初恋は叶わない (音槌和史)
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登場人物
登場人物紹介


 登場人物

 

高城 広樹 たかぎ こうき   14歳。

 

    主人公。叶わぬ恋だと分かっていながら諦めきれず、日々彷徨っている恋する男子。学力は本人曰く中の上くらい。運動神経は本人曰く壊滅的、だそうだが球技だけは一応できる。顔はいたって普通。性格的にはネガティブ思考が強めだがポジティブな時もある。毎日日記をつけている。

 

杵益 香里    きねます かおり  14歳。

 

    中学の初めの頃までは、康多や広樹とよく遊んでいたが途中からはあまり遊ばなくなった。女子一人で男子二人と遊ぶと部活の先輩に何か言われるかもしれないから、というのが康多の憶測。性格は至って天然。勘が鈍そうにしているが実は鋭い。頭脳明晰・運動神経抜群・容姿端麗の三拍子が揃うスーパー女子。

 

今澤 康多    いまさわ こうた  14歳。

 

    広樹と仲がよく授業中にしゃべって怒られる仲。これまでに二回しか同じクラスになったことがないとは思えないほど。康多は力で解決しようとするが根はとってもいい。最近は我慢強くなった。学力・運動神経とも平均。顔もそこそこで笑いを取れるのでクラスでは近くの席の女子とすぐ仲良くなる。最近、元カノとまた付き合い始めた。

 

橋立 春歌 はしだて はるか   14歳。

 

香里も含むいつメン(いつものメンバー)のうちの一人。広樹とは5年生でも同じクラス。学力・運動神経とも平均で性格的には香里と似ている。広樹と同じで図書室の常連。

 

黒石 花歩 くろいし かほ    14歳。

 

    同じくいつメンの一人。少し暗い性格だが仲がいい子とはよくしゃべる。勉強は少々苦手だが努力家。少し前まで伸ばしていた髪を最近ショートカットにした。

 

重川 莉奈   しげかわ りな    14歳。

 

    いつメンの中で香里ともっとも仲がいい。香里とは家も近く、よく遊んでいる。長い髪の毛を後ろで結んでいる。

 

豊島 奈緒   とよしま なお    14歳。

 

    広樹の周りで一番頭がいい。しかし性格は…。色んな人と仲がいい。たくさんの習い事を掛け持ちしている中で毎日五ページ以上の自主学習をしてくる。広樹達とは別の中学校へ行った。

 

秦 紗理奈   はた さりな     14歳。

 

    錦潟中学校の一年二組で三年ぶりに広樹と同クラスに。これまた香里と似たようなタイプで頭もよい。運動神経もそこそこいいらしい。ショートカットの髪と同じようにさっぱりした性格である。

※シーズン2より登場。

 

ヒェーリー・益伴   ひぇーりー・ますとも     14歳。

 

    広樹達が中一の夏に転入してきたフランス人と日本人のハーフ。香里のことが好きだが、康多と椰子乃が付き合い始めたことでヒェーリーに告白した香里を断り元気づけた、ファーストレディなイケメン。広樹達は「マッスー」と呼んでいる。

※シーズン3から登場

 

磯田 椰子乃   いそだ やしの     14歳。

 

    錦潟中学校一年二組で、初めて広樹と同じクラスになった。小四の頃、康多に告白し付き合っていたものの一度別れた。しかし、今度は康多が告白してまた付き合い始めた。そしてまた別れた。

※シーズン4より登場。

 

福地 絵美   ふくち えみ     49歳。

 

    去年、広樹たちのクラス、六年三組の担任の先生だった。実は六年生を担任するのは初めてで生徒からはとてもいじられていた。今年は一年生の担任。

 

下山 英治   しもやま えいじ   28歳。

 

    錦潟中学校一年二組の担任の先生。担任を持つのは初めての初々しい先生。最近、クラスのメンバー(ほんの一部)が荒れていて、先生も若干キレ気味。

※シーズン2より登場。




 ☆17.09.23〜の更新情報☆

17.09.23 登場人物更新しました。
17.10.18 登場人物紹介訂正+追加しました。
18.06.24 登場人物紹介訂正+追加しました。
18.10.30 登場人物紹介訂正+追加しました。


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Season1 僕が恋をしても叶わない
part1 終業式


今日の夕方二時間で書き上げました。
(二時間もかかったわりに内容が薄い、というコメントは無しで…。)

では、本編どうぞ〜!


 ♪キーンコーンカーンコーン♪

 

 1時間目が始まる5分前になっても相変わらずザワめいた体育館内。

 僕は隣に座った女子から話しかけられるが適当にあしらう。

 普段なら人を適当にあしらうことはないだろう。それがなぜ、あしらわなければいけないのか、その答えはまだ言うことはできない。

 

 はぁ……。静かになってほしい。

 毎回全校集会などの際、体育館に入場してからの五分間はほとんどの人が喋っている。僕もこれまでは喋っていた。でも今回は静かにしてほしい。

 まわりが静かなら誰も喋らないはずだからだ。そうすれば、僕は女子たちからの猛攻を防ぎきれる。

 

 ……。

 そう考えると人間とはなんと自分勝手な生き物だろうか……。自分も含めて。

 しかし、自分はまだマシな方だと思う──というより思いたい。

 

 ♪キーンコーンカーンコーン♪

 

 ようやく1時間目開始のチャイムがなった。

 皆はさすがにお喋りを止め、前を向く。

 

 初めの挨拶と校長先生の話を聞き流しながら考える。

 はぁ……。

 考えながらまたため息をつく。

 どうせ僕になんか高嶺の花どころじゃないんだよな……。

 頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗、性格天然etc...。肩まで下ろされたショートカットの髪、授業中の真剣な表情、授業以外でしか見ることができない、明るい性格。

 ふぅ……。

 また、ため息が出る。

 僕はどうすればいいんだろう。心の中では朝から醜い争いが続いている。

 発端は、今日の朝だ……。

 

 

──1時間前──

 

 

 いつも通りの7時45分、僕は教室に足を踏み入れた。

 今日で小学校生活最後の二学期が終わる。

 二学期は一番長いはずなのに短く感じた。修学旅行も体育大会もあったはずなのに。

 僕の席は一番窓際の一番後ろ、冬場は最高の席だ。

 そんな僕の前の席の奈緒の席には康多がやってきていて、二人で恋バナをしている。僕は提出物を出したりしながら聞き耳を立てる。

 すると奈緒たちの恋バナの中に、周囲のざわめきより大きく、はっきりと聞こえた言葉があった。──いや、大きく聞こえたわけではない、大きく聞こえたように錯覚しただけだ。その言葉は僕の心に響き渡り、何度も反響した。

「香里ちゃん、好きな人いるんだって〜」

「ふ〜ん。香里ならなんか一途そうだな〜」

 僕は思わず立ち止まってしまった。なんとなくで知っていたが、本当だとは……。

 

 ボーッとしていたせいで()()()()後ろを歩いていた香里とぶつかってしまう。急いで謝り、提出物を出しに行く。

 席に戻ると案の定僕にも話が振られた。

「広樹は好きな人いるんだろ〜」

 康多が聞いてくる。そして、すかさず追求してくるのが奈緒、という人物だ。

「えっ誰々!?教えないと〜……」

──えっ、僕なんか奈緒に弱み握られてたか!?

 僕は焦る。すると、奈緒は僕の心を読んだかのように頷き、

「それが知ってるんだよ〜」

 ()()がなんなのか僕は気になって聞く。しかし簡単には答えてくれない。

奈緒曰く「弱みを知りたかったら好きな人を教えなさい」だそうだ。「もちろんそんなことはできない」と答えると、

「じゃあ、広樹の弱みみんなにバラすよ〜。」

 と言う。

 ……。

「どっちも無理だ」

 そう答えると、

「じゃあ、好きな人教えなさい。」

 これの無限ループだ。

 結局、終業式が終わるまでに考えておくこと、となった。

 はぁ……。

 

 

 

 

 終業式が終わった。教室に帰ると奈緒と康多からの猛攻が待っている。

 

 教室に帰ると案の定、奈緒と康多が文字通り飛んできた。

 まあ、奈緒は僕の席の目の前の席だが。

 十分の休み時間でとても濃い内容の議論が行われた。

 結局、ヒントを五つ奈緒に教えることになった。

 どうしたものだろうか……。僕はしわの少ない頭を捻る。

 

 

 

 

 通知表が渡され、二十分休みになる。

 二時間目の間考えていたヒントを言う。

「えっと……。じゃあ、ヒントを言うよ……。1、この小学校。2、この学年。3、名前はフルネームで七文字。4、頭がいい。5、性格は天然。

……。これでいいよね?」

 最初の方は少しズルいかな、と思ったが奈緒は意外にも素直に頷く。

「分かったわ。広樹が好きなのは   ちゃんでしょ?」

 名前の部分だけ遠慮しているのか小声になる。

 僕の返事を聞いた奈緒は自分の席へ戻っていく。

 僕は「……ノーコメント」と答えたがその時の顔は真っ赤に染まっていただろう。

 

 

 

 

 「冬休みの間に奈緒が忘れていたらいいのにな〜。」

 ここは布団の中。いくつかある落ち着く場所の一つだ。

 それが本当になるのかは次の話で。




なんとか、一週間以内に次話投稿、という目標を達成できました。
色々と学校が忙しいですがこれからもシューイチ更新目指します。

※個人的なお願い

こんなこと言ったらダメだと思いますが……、もしも(本当に≪≪もしも≫≫)この物語を気に入っていただけたら良かったら高評価お願いします。
良くなかったら低評価をしていただくと分かりやすいのでお願いします。
(僕は文章力も無いのに小説を書いていてだからと言って某ノベルスライターのようにたくさん投稿する事もできません。皆さんに評価してもらうとたくさんの方がこの物語を読んでくださり、たくさんのアドバイスがもらえます。宜しくお願いします。)


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part2 始業式とプレッシャー

「おはよ〜。久しぶりだね〜。冬休みどっか行った?」

 そのような会話がたくさん聞こえてくる。もちろん、僕の周りでもそんな会話が繰り広げられる──はずだった。

「ねぇねぇ、広樹〜。三学期中に告っちゃいなよ」

 僕の周りでの話題は冬休みの話ではなくそう、僕の淡い恋心の話だ。奈緒や康多が小声で話しかけてくるのだ。

 僕は所々にできた人の輪を見ながらため息を吐く。

「はぁ……。僕なんかに叶う恋はないよきっと」

 そして心の中で想う。

(──でも、叶えたい……な)

 いつも以上に暗い声を出した僕に突如名言がふってきた。

「広樹、『叶わない』って思って落ち込むか、フラれて落ち込むか、どっちにしろそんな暗い声出すくらいだったら思いを伝えて落ち込む方が私はいいと思うけどな」

「うん、奈緒が言う通り、何もしなかった後悔より、何かを一生懸命やって失敗した後悔の方が経験にもなるしな」

 康多と奈緒の言葉がなんだか同い年に言われている言葉とは思えないほど僕の心に響いた。

「……」

 僕はしばらくの沈黙を保った後、こう呟いた。

「確かにやってみないと分からないよね。家で充分に考えとく」

 ちょうどその時チャイムが鳴った。皆、廊下に並び体育館へと向かう。

 いよいよ、三学期のスタートである。

 

 

 

 

 「ねえねえ、広樹〜。香里ちゃんのことが好きなんでしょ〜。知ってるよ〜」

「そんなこと誰が言った?でたらめにも程があるよ」

 と、僕は適当に嘘をついて誤魔化す。

(──まさか、奈緒の奴……)

 そう考えた僕は奈緒の席へと向かう。学期早々、席替えがあったためかなり離れた。

「あのさ、奈緒。嘘つかないでよ。誰にも言わないって言ったじゃん。それなのに……」

「はぁ!?うそ、私が!?そんなわけないじゃん!康多なんじゃないの?」

それを聞きつけた康多がやってくる。

「奈緒、マジさ〜自分が疑われたくないからって人に罪をなすりつけるとかひどくね?」

 奈緒も反論する。

「いや私が教えたりすると思う?」

『思う!!』

 僕と康多の声が重なる。

(──ん?ちょっと待てよ?)

「奈緒、この間さ、僕に香里のことをどれくらい好きなの?って聞いてきたじゃん。その時小声だった?」

 僕の質問に奈緒は小さく首を振る。

「いや……。」

「しかも周りには人がいたよね。」

「はは〜ん。そういうことか。奈緒、俺のこと疑ったなぁ〜」

 康多が笑いながら奈緒を追いかける。奈緒は康多から逃げながら僕に謝る。

 ……。

 でも、謝られたところで現実とは薄情なもので何にも変わらない。僕が香里のことが好きだという噂はきっとすぐに学年中に広まるだろう。

 こうなったら思いきるしかないのかも……しれない。

 




どうも!毎週水曜更新、守れました!
今回は事実要素少なめのほぼオリジナルです!

◇次回予告◆
ついに次回、Season1の山場を迎えます!!!!
もしかすると、更新が遅れるかもしれませんが気長に期待せず待っておいてください!

では!


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part3 初恋は叶わない……

第四話にしてようやくPVが150を越えました!!
皆様、いつもありがとうございます!!
今回はついにSeason1最終話です!

では本編お楽しみください!


 

 今日の天気は雪、今も教室の外でははらはらと雪が舞い落ちているだろう。

(──この雪が放課後まで続くのだったら香里に想いを伝えようかな)

 と、そんな運任せなことを思ったのは僕だけじゃないようだ。

 康多も授業が始まる直前「このロケーション、告白には最高じゃね?」と言ってきたから。

 僕は祈りながら授業を受ける。

 

 でも、昼休み頃にはやんでしまい、雪も積もらなかった。すると康多は聞いてきた。

「で、どうする?今日、雪やんだけど。いつまでに告白する?そういうの決めとかないと絶対にできねえだろ」

 今にでも告白したい、でもそんな勇気はでない……。もう、勇気が出ない時点で僕の初恋は終わりなのかもしれない。

 でも……

「来週の月曜……」

「分かった、奈緒にも伝えとくよ」

 まだ諦めきれない。

 

 

 

 

 週が明けた。

 さっきから心臓がバクバク言ってる。周りに鼓動が聞こえていないか心配なほどだ。

 あと一時間で学校は終わる。

 休み明け、放課後、昇降口、卒業まで二ヶ月……。

 条件的には最高である。

 先生の話もまるで耳に入らない。ただ考えつづける。そして、ただ緊張し続ける。

 どんどん時間は過ぎていく。

 

 気がつくと帰りの挨拶だった。荷物を入れたことさえ記憶にない。

 康多と奈緒がやって来て僕に言う。

「俺は広樹を昇降口で止めとくから──」

「私は香里ちゃんを止めとくね!」

 そんな元気そうに言わなくても……。

 僕は康多に引っ張られ階段を下りていく。

 香里より早く教室を出たから奈緒たちは後ろにいるのだろう。

 でも、康多が僕を逃さないようにしていたからか、奈緒が早足で香里を連れてきたからか、昇降口につくころにはほぼ並んでいた。

 扉を出て肌寒い中、奈緒が香里を「ここでちょっと待って」と足止めする。

 そして人がいなくなったのを見計らって奈緒が声を出す。

「香里ちゃん、広樹から話があるんだって〜。」

「えっ何〜?」

 香里が、さも不思議そうにこちらを見てくる。僕はしばらく俯いて黙っていたが、もう取り返しがつかないということを悟り、顔をあげる。心臓の鼓動なんかを気にしている場合ではなかった。

 僕は口を開く。

 冬しか見られない白い息と共に、小さく緊張で強張った言葉が口からこぼれる。

「えっと……。その……。……好き、です」

「っ……」

 小さな僕の言葉は香里の鼓膜に届き、香里は表情が固まる。

 横からは康多が

「だから、なんだよ」

 と急かしてくる。

「……僕と……、付き合ってください……。」

 

 

 

 

 僕の顔は真っ赤になっていただろう。だって香里の頬も赤くなっていたから。もちろんその赤さは寒さからくるものだけではない。

 香里は真っ赤な頬を手でさすりながら

「え〜どうしよう」

 を繰り返している。

 すると、いきなり奈緒が

「すごくシチュエーションはいいんだけど……、広樹が告るってのがねぇ。しかも香里ちゃん告白されるの初めてなのに相手が広樹とは……」

 と、かなり傷つく言葉を言って「あちゃー」というように額をおさえる。しかし僕はそれには答えず、ただただ祈る。良い返事を。

 香里は相変わらず悩んでいるようだ。

 そしていつのまに来たのか周りには多くのギャラリー。

 なぜだろうか……。

 すると香里がか細い声で

「友達がいい……」

 と言うのが聞こえた。奈緒がもう一度繰り返す。

「ごめん……」

 僕は反射的に謝る。香里が何か言おうとしたが、その前に康多が大きな声で言った。

「よし、解散!広樹、お疲れ!!」

 香里は奈緒や春歌に引きつられ帰り始める。

 僕は、というと室内で康多に引きずり込まれて慰められていた。

「まあ、友達っていうことは嫌いじゃないってことさ!これから自分磨きを頑張ればいつかは叶う!!」

「うん」

 僕もできるだけ明るく答えたつもりだがいつもより落ち込んだ声だっただろう。

 それを聞いた康多が

「なにごとも経験だよ。それに告白しただけですごいと思うよ。俺だったらそんな勇気でないもん。尊敬するわ」

 と言ってくれた。

 そして康多と分かれ、帰路につく。

「はぁ……。」

 思わずため息がこぼれた。

 

 

 

 

 本当はもっと伝えたいことがあった。でも伝えられなかった。香里は伝えたいことをすべて聞いていたら頷いていただろうか。

 それはもう分からない。

 とりあえず、僕の初恋+初告白は終わった……。

 

 

Season1・完




またまた予定より早く投稿できました!!
そして……ついにSeason1完結しました!!!!
実はまだまだ続きがあります!
それが
Season2 「初恋の相手はいまや親友」
です!!
乞う、ご期待!!!!

コメント・感想・評価・推薦、いつでもお待ちしています!!


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seazon2 初恋の相手はいまや親友
part1 ええぇぇ〜!?なんで!?


ついにseason2「初恋の相手はいまや親友」スタートです!!
そしてアクセス数が200越え!!
本当にありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします!!


 

「康多と広樹〜今度の日曜日、空いてる〜?」

『えっ!?』

 香里の思わぬ発言に僕と康多は声が揃う。

──どうして僕を?

「ああ、俺は空いとるよ。広樹は?」

 僕の疑問にはまったく気づかずに、康多は方言まる出しで答える。僕も正直に答える。

「基本暇人だから空いてるけど……」

「あ、じゃあ児童センターに来て〜」

『OK牧場!!』

 声を揃えて答える。

 香里が去った後、康多と声をひそめて話す。

「これ、夢?」

「んなわけないやろ」

「夢にしか思えんとばってん……」

「広樹、頬ばつねってやろうか?」

「いや、いい……。痛そうだし」

「じゃあ現実だと思っとけ。でも、困ったなぁ」

「ん?」

「いや俺が行くと広樹と香里の邪魔に──」

「なるわけない!!っつーか俺と香里がいつ恋仲になった!!しかも男子一人になるとか気まずすぎやろ!」

 ここまで小声で話していたのについつい大きな声が出てしまう。うさぎ小屋の前で話していたせいでうさぎたちが慌てて巣穴に戻っていく。

 ちなみにここのうさぎはあなうさぎである。

 うさぎさん、ごめんなさい。

「さて、帰りますか。まあ康多、日曜日来てよ!!絶対に」

「おぅ!」

 僕は康多と別れ帰路につく。

 

 

 

 

「ふぅ」

「意外と来ないな」

 今は児童センターの前で香里と春歌を待っているところだ。

 チリンチリン

 ベルの音が聞こえ、顔をあげると自転車に乗った香里と春歌が見えた。

「おっ来た来た」

『やっほ〜』

 香里達が駐輪場に自転車を止め、僕らと一緒に室内へ入る。

「さて、まず何する?」

 ここではバドミントンやフリスビーバスケットボールなどが借りれるのである。

「う〜ん……僕は何でもいいよ」

「じゃあ、バドミントンやりたい!!」

 香里が元気よく答える。

「OK牧場」

 康多がそう言いカウンターでバドミントンを借りる。

「よし、遊戯室へGO!」

 僕ら四人は遊戯室へ向かう。

「まずは香里と春歌がやれよ〜」

「は〜い」

 しばらく羽根を打つ音が遊戯室に響く。

 羽根を打つ音が途切れた。

「疲れた〜。代わって〜」

「広樹行ってこいよ春歌の仇を討ってやれ!!」

「了解!!」

パコーン

「ぎゃぁ、届かねえ」

パコーン

「あ、飛びすぎた……」

パコーン

 スカッ……。

「広樹!!交代だ、お前の仇は俺が討つ!!」

 別に死んではないけどな、というツッコミを飲み込み、康多にラケットを渡す。

パコーン

 パヒョッ……ポトッ。

パコーン

 スカッ……。

パコーン

 パーン。

「あっ……」

 つられて上を見ると康多が打った羽根がバスケットゴールの上に引っかかっている。

 ふぅ。

「ここの人呼んでくるよ」

「俺も行くよ」

「サンキュー」

 まったく何やってんだか……。

「すいませ〜ん、この人がバドミントンの羽根をバスケゴールの上に引っ掛けてしまって……」

 康多をカウンターの前に突き出しながら言う。康多は抵抗して横に移動するが職員用の通路があったため、すぐによける。長い棒をもってきた係の人が羽根を落としてくれる。

「ありがとうございました〜」

 しかし再開しようとしたらもう貸出時間が終わろうとしていた。結局誰も香里に勝てなかった。運動神経いいもんな。

 冬の夕暮れは早い。まだ五時にもなっていないのに早くも空は夕焼けに染まっていた。

「帰ろっか」

 誰かが呟いた。

 香里と春歌は小声で何かを話している。

 館内を出たところで、

「はいっ友チョコ」

「私からも友義理チョコ」

『んっ?』

「いや、今日バレンタインでしょ?」

『あ、サンキュー。お返しをお楽しみに』

「あくまでも友チョコだからね?」

「分かってる分かってる」

 これは一体……。──なぜ僕なんかに。お金と時間の無駄遣いじゃないか、とこれまで家族や親戚以外からチョコをもらったことがない僕はそんなことを考える。

 まあ、返すのは失礼だからありがたくもらっておこう。

 

続く



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part2 何でも話せる相手、それが親友である

本当は火曜日に更新するつもりでした。
でも時間がなくて一字も書くことができませんでした(-∫-;;;;;;)スマヌ
その結果水曜の一時間という制限時間のなかで書くことに……(自業自得)
そうして書き上げたのが↓です

どう感じるかはあなたの考え方次第!!


 

「ふっふふぁい!!」

 今はちょうど2月14日の夜、自宅のリビングである。香里から貰ったクッキーを食べているところだ。

 クッキーの甘さが口の中に拡散していく。しっとりとしていて、でもさくさくとした歯触り。上にかかったチョコがさらに味を引き立てる。

 毎日食べたいくらいの美味しさだ。

 これはホワイトデー、めっちゃプレッシャーかかるな。

 

 

 なんとか苺のクッキー作ることができた。

香里と春歌に渡したがどうだったんだろうな。

 

 

 

 

「香里〜、明日遊べる?」

「あ、なんもないと思うよ〜」

「じゃあ1時半児童センター集合で!」

「は〜い」

 また遊ぶことになった。桜が満開になり、児童センターに植えられている桜もきれいだろう。

 

 土曜日。

 思った通りゆうゆうの桜も満開だった。

「わぁ〜桜きれいだね〜」

 香里が声をあげる。今日は香里と康多だけだ。

「ベランダ出ようぜ〜」

 康多がそう言って外に出る。僕と香里もついていく。

「はぁ……。春だねぇ」

「どこの老人だよ」

 思わずこぼれた独り言に康多がいいつっこみをする。でも、そう呟いてしまうほどいい気候なのだ。

 そうやって毎週毎週遊んでいるうちに康多と香里はほぼなんでも話せる相手になっていた。

 康多や香里にとって僕はどうなんだろう……。きっと、まだまだなんだろうな。

 でも、なんでも話せる相手ということは相手がどう思っていようと親友だ。

 僕はそう思ってる。

 

 

 

 

「次、香里の番だぞ〜」

「はいはい」

 康多が急かす。

 ここは歩道の真ん中、自転車が三台横並びしている。本当はダメなのだろうが人も通らないし、なにより話しやすい。

 香里の好きなタイプを聞くのにはうってつけだ。

「えっとね……まず。」

 香里が話し始める。

「まぁ、けじめがつく人でしょ。で、猫が好き。背が高い。頭いい。真面目。……そんくらいかな」

 僕は香里の話を静かに聞く。片想いの相手が好きなタイプを言っているんだから聞かなきゃいけないだろう。

「なるほど、広樹頑張れよ!!まずは牛乳を飲むんだ!!それ以外はクリアしてるから」

「いや、他にも色々クリアしてないと思うけど……」

「まあ、それはいいとして最後は広樹だぞ。広樹のことだからハードル高そうだけどな」

 いや、そんなにハードル高いかな……。

 少なくともこの条件をクリアしている人が隣にいるのだが。

「へいへい。まずは香里と同じでけじめがつく、それから頭と運動神経は平均よりいい方がいいな。あと、しっかりしてる人。んで性格は明るくて天然。そのくらいだよ。自分的に真面目と天然な性格ってのが重要かな」

 まあ簡単に言うと香里の性格ということだ。でもそんなこと本人の前で──

「ほう。まぁ簡単に言うと香里ということだな」

──言うんじゃないよ!!康多!

 僕はあわてて康多の耳を引っ張って耳打ちする。

「それはトップシークレットだ。それを言うことは普通だめって分かるだろ」

 康多も耳打ちする。

「いや、簡単に言うとそういうことだろ?」

「いやまあ……そうなんだけど」

「ならいいじゃん」

 耳打ちしあっている姿に香里があきれたような声を出す。

「何の話してるか知らないけどさもうすぐ5時になっちゃうよ?」

 話の内容は推測できるような気がするが、あえてつっこむことではないからだろう、香里はそう言って自転車にまたがった。

「あ、帰らなきゃ」

「俺も帰るわ。じゃ、またな」

「また学校で!!」

 僕らは慌てて家路に着く。




ふぅ……。
書き上げたぁ。

 実はこれまで親友と呼べる親友がいなかったんですよ。
それがこんなことになるなど4ヶ月前にはまったく思っていなかったですよ。
まさか告白した相手が親友と呼べる親友になるとは……。
人生、これだから面白いんですよ。
 この間中学校でも先生から「なんでも話せる相手を作っときなさい」と言われて互いに指を指しあいましたもんw

 多分次は一気に飛んで中学校の入学式です。
運命のクラス替えは果たしてどうなったのか……!?


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part3 入学式!!

ついに今作から中学生編です!!
運命のクラス替えの結果はいかに!
そしてあの三人の友情は!


 

 僕と康多、そして奈緒が前に立つ。

 奈緒のピアノでクラスが歌声に包まれる。担任の福地先生は号泣だ。

クラスの女子もほぼ泣いている。

 ♪NO.1にならなくていい、元々特別なOnli one♪

 先生が大好きなSMAPの代表曲「世界に一つだけの花」だ。

 この一ヶ月間主に奈緒が計画して先生が大好きなSMAPの歌を6の3バージョンにして歌うため練習してきた。

 そして今日。僕らは卒業した。

 外に出た後クラスメート達と写真を撮る。

 いつものメンバーも一緒に。

 中学受験で離ればなれになる子もいるがきっとまた会えるだろう。

 

 

 

 

 「もう明日から中学かぁ〜」

康多がしみじみと声を出す。

「そうだね〜」

 香里がそう反応したので僕も口を開く。

「クラス替えが怖い」

「それは言えてる。クラス替えマジで怖いわ」

「康多とか広樹と同じクラスだといいなぁ〜」

 三人とも同じクラスになりたい。

 それが僕らの共通認識だった。

 

 

 

 

「うぅ〜ん……」

 僕は思わず唸る。

 一年二組の名簿の中に自分の名前を見つける。そして上の方に康多の名前も。

 しかし、どれだけ見ても香里や春歌、莉奈の名前が無い。

 他のクラスの名簿も見てみると香里が四組、春歌が三組、莉奈は一組。見事なくらいばらけた。

 そう考えると康多と同じクラスになったのはラッキーだったのか?

 そして先生は下山英治先生。二十六歳の初々しい先生だ。どうやら担任を持つのは初めてのようで、担当科目は理科。なかなかイケメンな先生だ。

 教室の中を見渡すと小学校の時より縦に長く横に短い。そのため横が六列縦が六列、という妙に正方形な机の並びになっている。

 僕の席は中央列の一番後ろ。目はいいから別に支障は無い。

 

 

 

 「はい、じゃあ書いてくださいね〜」

 僕は紙に康多の名前を書き、[立候補する]に丸をつけた。後は投票次第だ。

 この紙がなんの投票用紙かというとクラスの代表である[評議員]──一般的には学級委員──の投票用紙。

 立候補するかどうかと誰を推薦するかを書く。

 

 次の日の朝。

 先生の言葉から思わぬ言葉がこぼれた。

「それでは投票によって評議員になった人を発表します。まず男子は高城広樹さん」

「ひょえっ!?」

 自分が選ばれるとは思わず、すっとんきょうな声を出してみんなから冷たい視線が送られてくる。

「続いて女子。女子は立候補者がいなかったので推薦からの投票で一番多い、秦紗理奈さんです。秦さん、いいですか?」

「あ、は、はい」

 下山先生が続ける。

「それでは一学期の評議員は高城さんと秦さんになりました。クラスの代表ですので頑張ってください。拍手!」

 拍手に囲まれて現状把握が追いつかない。とりあえず、よかった、のかな?

 

 

続く




新しい登場人物が三人も出てきましたね。
と言っても福地先生はこれから出てくるのかどうかさえ分かりません。

そして毎日投稿第四作目です!
1、2作目は土曜日に、3、4作目は日曜日に書きました。
5作め以降はもうあまり時間が無いですが頑張ります!!


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part4 三人の絆と新メンバー

 

「やっほ〜広樹、康多呼んでくれる?」

「あ、おっけ〜」

 香里が突然うちのクラスにやってきたのは入学式の2日後だった。

「康多、ちょっ来て」

 康多を呼ぶ。康多がやってくると香里が話し始めた。

「今度の日曜日遊ばない?とりあえず予定確認しといて〜」

『りょーかい!!』

 声を揃えて返事する。香里が戻った後、康多と自然と顔を見合わせる。

「まさか、まだ遊ぶなんてな。まあ広樹は嬉しいやろ?」

「いや、まあ遊べるのはそりゃ、うんまあ」

「日本語になってねえぞ」

「いや、うんあのその」

 康多が無言で首を振る。まるで、やれやれ、と言っているようだ。

 

 親に聞いてみると何もないと言っていた。

 そう伝えると「じゃあ1時半児童センター集合で」ということになった。

 

 

 

 

「ねーねー、さっきから何話してんの?」

「遊びの話、かな」

 聞いてきたのは同じ評議員の秦紗理奈。康多が答えると紗理奈は言った。

「え、私も行きた〜い」

──ほえっ?

 驚いたのは僕だけじゃなかったようだ。康多も、相談に来ていた香里も呆気にとられた顔をしている。

 落ち着いた康多が聞き返す。

「えっ行きたいってことは一緒に遊ぶっつーことだろ?」

「うん。だめ?」

「いや別にいいけど。香里も広樹もいいだろ?」

 康多に聞かれようやく落ち着いた僕と香里は頷く。

「じゃあ日曜日の1時半な」

『了解!!』

 

 放課後、康多と喋りながら家に帰る。中学生になってからいつのまにかそれが日課になっていた。

 倉庫の影に自転車を止めしゃべり出す。

「多分さぁこっからも紗理奈、遊ぶと思うよ」

「それは言えてるな」

「それにしてもさあ」

 僕は前から思っていた疑問を口に出す。

「ん?」

「なんでさぁ香里は僕達を誘ったんだろうね」

「確かにな。一度告られた人と遊ぶ香里の神経がよく分からんわ」

「なんでやろうな。なんか始めて誘われたときは変な理由考えとったけどな」

「変な理由って?」

 康多は予想通りの質問をしてくる。でも康多だから正直に答えられる。

「いや……。僕のことをふったお詫びかと」

 最後の方含み笑いをしながら言う。すると康多の方も笑いながら答えた。

「それはないな」

「うん、そもそもなぜむこうが謝るのかさえ分からんし。謝るのは時間とったりなんか考えさせたりしちゃった僕の方だし」

 かなり日が傾いて肌寒くなってきた。康多がまとめるように言う。

「つまりは香里の神経は図太いってことだな」

 僕は笑いながら答える。

「あんな強い心の持ち主、他に知らないくらいだよ」

「俺は知ってるぞ」

「誰?」

「奈緒」

「あーそれは言えてる!」

 僕らは大笑いする。そして笑いすぎてお腹が痛くなってきて、僕は康多に呼びかける。

「そろそろ帰るね」

「おう。また明日な」

 

夕日が僕の左頬を赤く染める。




 ひょええええ〜
 書き溜めが無くて前日に書きましたよ(汗)
 明日も学校ある……。
実は日曜日体育祭なんです。
それが終わったら執筆する時間も増えるんですが……。
書き溜めが無い今、月曜の朝が心配です。
果たして体育祭後に執筆する時間と体力があるか……。
体力はなくなってても精神力があれば書けるんですけど時間はどうしようもないですからね。
 まあ頑張りますので応援お願いします。


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seeson3 複雑な人間関係
part1 諦めきれない想いと現実の儚さ


連続投稿part12!!


 

パン!!パン!!

 文字通り雲一つない空に号砲が響く。体育大会の始まりだ。

 我が二分団は練習では負け続き。リレーでは四分団が全て勝利していた。一年生の学級対抗リレーでも序盤ダントツの一位だったが中盤で次々と抜かれトップと半周の差をつけられ安定のビリ。やはり本番でもそれは一緒で、練習で三回中三回もビリだったのになんと、一位……なはずはなく安定のビリだった。

 他の学年に勝ってもらうためクラス全員が声を張り上げるも午前中の時点でやはりビリ。というより午前中に二分団が一位になった競技はあったのかどうなのかだ。

 僕は康多に笑いながら話しかける。

「もう二分団終わったな。悪い意味で」

「それは言えてるわ。午後の競技も勝てる気がせんもんな」

 果たしてこの体育大会、どうなることか。

 

 

 

 

 今日は外部受験したクラスメイト達もやってきているようだ。

 県で一番の成績を誇る中学に行っている奈緒も例外ではない。昼休み、時間が余っていた僕は奈緒の所へ行くことにした。

「やっほー奈緒」

 声をかけると「あ、広樹!」と叫ぶと僕をすぐに近くに建物の陰まで引きずり込む。

「あのさ……」

「ほえ?」

「絶対にあんたと香里ちゃん結ばれなさいよ!!」

──へっ?いきなりなんだ?

「えっと……、なにゆえ?」

「あのね、ここだけの秘密で康多のことが好きなんだよね」

「奈緒が?」

 奈緒は顔を赤らめながら頷く。

「で……香里ちゃんも康多のことが好きなの」

 

 一瞬時が止まる。

 奈緒はそんな様子に気づかず話を進め、また時間が動き出す。

「で広樹は香里ちゃんのことを好き。ってことはあんたと香里ちゃんが結ばれれば私にとってもいいし、広樹にとってもいいでしょ?」

 僕にとって奈緒の声は聞こえてこそいるものの頭の中に入ってこない。

 さっきの「香里ちゃんも康多のことが好きなの」という声が何度も頭の中で反芻する。

 確かに背も高いし猫も飼っている。さらに面白いしそれでいてけじめもつく。香里がこの間言っていた条件に当てはまる。

 そして前に康多と話していた「なぜ香里は僕らを誘ったのか」ももう解けた。つまりは香里にとって本命は康多であり僕はそのおまけ……ということなのだろう。

 奈緒と別れ応援席に戻っても沈んだ気持ちは戻らなかった。ここにきてネガティブな性格が。

 それに気づいたのか康多は帰るときいつもの場所で聞いてきた

「なんか昼休みの後から暗い顔してるぞ?ひょっとして香里関係か?」

 くっ……鋭い。

「いやまあそんなところかな……」

「そうか……。頑張れよ」

 あまり深くは聞いてくれない康多に僕は心から感謝した。

「うん。ありがと」

 

 家に帰った僕は紙を出して僕、康多、香里、奈緒の関係を書き出してみる。

 ……。

 なんだこの三角関係を通り越した四角関係は。

「でも……」

 僕は小さく呟く。

 康多になぞ勝てるはずもない。

 僕の胸の中の想いは儚く砕け散るのだった……。




どうも音槌です。
いやぁなんだか大変な関係になってきましたね。
 あ、ちなみにこの四角関係の方は完全オリジナルです!!
(よくもこんな恐ろしい舞台にしてくれたな、と広樹が怒っていますが……)
体育大会の結果はノンフィクション。
絶対クラス替え間違ってますよ。
  ☆
さて、ここから広樹がどうするのかは神のみそ汁!!

では!


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part2 儚き僕の初恋と八角関係

連続投稿part16!!!!

さらに……
[初恋は叶わない]シリーズついに、十作目!!!!!!
 応援ありがとうございます!!


「フランスから来た、転入生のヒェーリー・益伴さんです」

 下山先生の言葉にクラスがどよめく。

 中には口笛を吹き、先生に怒られている男子もいる。女子を見ると完全に目がハートになっている。

「はじめまして。ヒェーリー・益伴です。母親が日本人なので日本語もフランス語も話せます。僕の事はなんと呼んでもいいです。よろしくお願いします」

 そう言って頭を下げるヒェーリー。サラリと髪の毛が滑り落ちそれをかき上げるのを見て女子が騒ぐ。

 どうやら本が好きなようで毎日図書室で会うのでかなり仲良くなりいつメンに混じって遊ぶようにもなった。

 

 そんなある日、放課後に呼び止められた僕はかなり驚く話を聞いた。

「やあ広樹。ちょっと相談したい事があるのだが」

「どうした?マッスー」

 どうでもいいかもしれないが、僕はヒェーリーのことをマッスーと呼んでいる。

「いや……こちらに来てからその……気になっている人がいるんだ」

「ほう。それで?」

「その人というのは四組の杵益香里さんなのだが……」

──っ!!

 僕は動揺を悟られないように冷静に答えようとする。

「う、うん。告白するつもりは?」

「そう、そこなんだよ……。とても迷っているんだ」

「そうか。じゃあ経験者として言うよ?迷うことは重要だし自分で決めることも重要。でも一番覚えといてほしいのは『やらなかった後悔より、やった後悔』だよ。まあ友達からの受け売りだけど」

 マッスーは少し考えると

「分かった。もう少し考えてみるよ」

 と言って、去っていった。

 さらには次の日、昼休みに二人から驚くべき事実を知った。一人目は橋立 春歌。二人目は杵益香里。

 春歌からは、マッスーのことが好きだということ、香里からは黒石花歩がマッスーのことを、重川莉奈が康多のことを好きらしいよ、という話を聞いた。

 どうやら僕はマッスーと仲がいい、という噂が学年中を駆け回っているらしく、何かしらと聞かれることが多いのだ。

 

 

 

 家に帰った僕はまた関係を紙に書き出してみる。

 まず、香里と奈緒、莉奈は康多のことが好き。次に、僕とマッスーは香里の事が好き。さらに、春歌と花歩はマッスーのことが好き。

 紙に書き出してみるといくつかの三角関係が集まって『八角関係』になっていることが分かった。

 次の日それを康多に話すと、さらに驚くべき事実を知ることとなった。

「誰にも話すなよ……。実は俺春歌の事が好きなんだ。絶対に話すなよ!!っていうかこれで完璧な八角関係だな」

「お、おう」

──何が起きて八角関係になったんだ。というかこの数日色々な事実を知りすぎている……。

 

 そして僕がマッスーに勝つことはできない……。康多は香里に恋愛感情は抱いていないから大丈夫だが。

 砕け散った僕の恋心は欠片さえもなくなっていった。




ついに、完全オリジナル作品キター!!!!
 どうも音槌です。
 ☆
現実世界でこんな関係になったら戦争が起きますよ(汗)
次回はどうなるんでしょうね〜。

では!


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part3 すべての恋が叶わぬ時(前編)

ついに連続投稿part20がキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
 
 お祝いメッセージとか応援メッセージとか欲しいなぁ(ボソッ


 学年中がざわめいている。

 学年に流れる噂、それは「ヒェーリーが杵益 香里に告白をする」というものだ。

 噂によると今月中の放課後誰もいなくなった頃、その瞬間を迎えるらしい。場所についての噂は流れていないが()()()()だろう。

 僕は一つ疑問が出てきた。

 それは、なぜ、こんなに詳しい噂が流れているのか。

 しかしその謎はすぐに解けた。休み時間にマッスーが言ってきたのだ。

「今日、放課後小学校の東門で香里に告白するから。あ、時間とかの噂は流してるけど場所は秘密だから」

「お、おう。香里には場所と時間は伝えたのか?」

「もちろん。朝のうちに伝えたよ」

「なんで噂を流したんだ?」

「今月中と言って、今日告白するとは誰も思わないだろ?」

──……。

「あのさ。噂を流さなければ良かったんじゃないか?」

 しばらく考えてポンと手を打つマッスー。

 僕は小さなため息を吐く。

「まあ頑張れよ」

 僕は複雑な気持ちを隠して言う。

 

 そして放課後。

 いつもは学校の北側から帰るのだがマッスー達にばれるといけないので南側から遠回りして植え込みの横に自転車を止め陰に隠れながら様子を見る。

 隣には康多も。

「いや楽しみだな」

「……」

「まあ広樹にとってはかなり複雑だろうけど」

 声をひそめてしゃべる。

 そのうち香里が自転車に乗ってやってきた。

「ごめんね遠回りさせちゃって」

 マッスーが笑顔で香里に話しかける。

「いいの。どうせ今日は部活も休みだし。で、何なの?」

 マッスーはしばらく黙り込んでから口を開いた。

「あなたのことが好きです。転入してきたその日あなたを見たときに一目惚れしました。良かったら僕と付き合ってください」

香里は困ったように下を向きながら答えた。

「ごめん……。友達がいいな……」

「……そうか。ごめんね時間取らせちゃって」

「大丈夫だよ。うん……えっと……じゃあ」

 香里は去っていった。

『お疲れ!!』

 香里の姿が見えなくなってからマッスーのところへ駆け出す。

 マッスーは心なしか落ち込んでいるようだ。まあそりゃそうだろう。

「マッスーは初恋?」

「うん」

「そうか……」

 その瞬間『初恋は叶わない』その言葉が僕の頭の中を回る。

 ということは……。

 僕は記憶をフラッシュバック。

 

 

 

「俺の誕生日の日、ちょっと厄介な事になりそうなんだ」

 康多から聞かされたときすぐに僕は聞き返した。

「どんな?」

 康多はしばらく黙ってから答えた。

「莉奈から呼び出されたんだ」

「見ない方がいい?」

「まあできれば」

 僕が色々と聞かない理由。

それは──康多は春歌以外の人に告白されても絶対に謝る、ということを知っているからだ。

「まぁ、色々、大変だな」

「あぁ」

 

 そしてその通り後日康多から報告があった。

「とりあえずフったわ」

「お疲れ」

「おう」

 

 ようやく落ち着いた僕の周りだったが僕は忘れていた。

 七月に恐るべきイベントが待ち受けていることを……。




どうも音槌です。
 ☆
この回からその他の出来事は後回しにして皆の絶対に叶わない告白を書いていきたいと思います。
 でも困りました。
告白の仕方が思い浮かばないんです……。
 本当に困りました。
まぁ、どうにかなるでしょう!!
 ☆
次作は[こちら私立(略)]です!!(ついに略すようになったか)
下神が手に入れる数々の情報。
読者にこの謎解けるのか!!
乞うご期待!!!!


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part4 すべての恋が叶わぬ時(中編)

あと三十分で書かなきゃ毎日投稿できない!!

 というわけで連続投稿part24です(-Ц-)ヤベェ


「……うん、というわけで七月の二十三日に児童センター集合でOK?」

【了解。一時半でいい?】

「うん。いいよ」

 このような会話が三回繰り替えされた。

 電話をかけたのは僕で相手は康多、奈緒、香里だ。

 用件は【夏休みの宿題終わらせよう会!!】の日時。

 簡単に言うと勉強会だ。六月の一学期末テスト前にもやったがそれの二回目だ。

 そして、この勉強会の目的というのは二つある。一つ目は勉強会。もう一つは……。

 

───六月───

 

「あのさ……。実は……七月に勉強会開くっていう話あるじゃん?」

 そう言ってきたのは奈緒だ。なぜか中学校の参観日に来ている。

 奈緒が続ける。

「で、勉強会のときにどうにかして告白したいと思っているの。だから協力してくれない?」

「ああ、いいよ」

 僕は即答する。それが100%奈緒のためだけかと言われるとノーとしか答えようがないのだが。

「じゃあ私と康多が二人きりになれるようになんとかしとくから手助けしてね」

「う、うん」

 僕は複雑な気持ちになる。それは、どれだけ準備をしても結果は変わらない、ということを分かっているからだ。

 しかし僕は思い出す。

 何もしなかった後悔より、何かを一生懸命やって失敗した後悔の方が経験にもなる、という康多の言葉を。

 

─七月二十三日─

 

「じゃ広樹は香里ちゃんと勉強しておいてね」

 奈緒が囁く。

 そして他の二人に向かって言う。

「なんか飲み物買ってこようか?何がいい?」

「まじ?ありがと。じゃあ普通にお茶で」

「奈緒ありがとぉ〜。私コーラね」

「おっ買ってきてくれるのか。俺は……いろはすにしといて」

 最後に言った康多を奈緒が見る。

「か弱い女の子はペットボトル四本も持てないんだからあんたも来なさい!!」

「私行こうか?」

「いや、康多だけでいいわよ」

──……。奈緒は果たして「か弱い女の子」なのか……。

 康多も思ったのか

「奈緒ってか弱い女子だったのか?」

 と言うが奈緒に瞬殺される。

「ぐはぁ。飲み物買いにいくの手伝ってやるからやめろ」

「よし、行くわよ!!」

 自販機に引きずられていく康多。

 それを見て香里が言う。

「二人とも仲いいね」

 少し悲しそうな表情だったのは気のせいだろうか。

 僕は少し待ってから口を開いた。

「うん」

 その後、黙々と勉強をする。

 たっぷり五分ほど経ったころようやく奈緒たちが帰ってきた。

「遅くなってごめんねぇ。とりあえず買ってきたよ」

「ほい」

 僕は百六十円を渡す。

「いや、いいよ。お小遣い有り余ってるし」

『いやいやいや』

 香里も一緒にお金を押し付ける。

「奈緒は受け取る」

 と、RPGのような返事をしたものの、さっきの康多とのけんかとは打って変わって落ち込んでいる雰囲気が丸出しだ。

 どんなににぶい人間でも分かるだろう。

 香里も分かったのか奈緒に心配そうに声をかける。

「どうしたの?」

 しかし奈緒は答えられない。

「いや、飲みたかった飲み物がなくて落ち込んでいるんだ」

 康多がよく分からないフォロー。しかしそれで香里は納得したようだ。

 

 僕らは夕方まで勉強会をしてなんと半分の量が終わった。

 しかし奈緒はしばらく復活まで時間がかかりそうだ。

 康多は何を言ったのか。それだけが気になる。




どうも、音槌です!!
 ☆
結局一時間かかりましたw
というか元々三部作にしようと思っていたんですがちゃんと収まるのかそれだけが心配です。
 しかも書き溜めがない状態で迎える平日……。
かなり厳しいものがありますねぇ(でもわくわくしてます)
 でも連続投稿50は目指すんです。
こんな20くらいで中断するわけにはいきません!!
というわけで明日もお楽しみに。
 ☆
◇明日の投稿◆
[こちら私立警察事務所です!!〔消えた紙麻大明神@解決編〕]
ついに解決です!!
全ての謎が解き明かされる!!
(早く書かなきゃwww)


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part5 すべての恋が叶わぬ時(後編)

久々に書き溜めます(*・▽・)ワーイ

 というわけで連続投稿part28です。


「そういや、この間の奈緒の時ってどんな感じで振ったの?」

 いつもの倉庫の陰。

 長い夏休みが明け、自転車を止め康多と喋る日常が戻ってきた。

「あぁ。あのときか。もう、簡単に言ったよ。『俺は心に決めた人がいるし、誰かに告白されて付き合うのは俺の性に合わない』ってな」

「おぉ。なんかカッコいい!」

「何がだよ」

「ところでさ……」

 僕は本題に入る。

「香里が今度の休み明けお前に告白するらしいぞ」

「……」

 康多は黙り込む。

「色々と大変だな……」

「まったくやれやれだぜ」

───────

  週明け

───────

「──で、私思ったの。やっぱり私が好きなのは康多だって。だから……」

 中学校の自転車小屋の康多の自転車の前で香里が話している。僕は小屋の裏側に潜んで聞いている。

「だから付き合って欲しいの」

 康多はしばらく考え込む。

「……気持ちは分かった。じゃあ聞くぞ」

「何?」

「仮に付き合うとしよう。で、付き合ったからと言ってどうなるんだ?」

「えっ……」

 香里が黙り込む。

「えっと、それは……一緒にいる時間が長くなる……とか」

 苦し紛れに答えているのが分かる。

「それは両思いの場合はそれで両方とも納得するさ。でも俺には好きな人がいるんだ。もっとも俺の場合付き合うとかどうとかじゃなくてただ単純に好きなんだ。」

「……」

 香里が黙り込んだ。

「いや、香里が嫌いなわけじゃない。それどころか頭もいいしドジだし面白いし俺からすると結構好きだよ。でもお前に恋愛感情は抱いていない。というわけで友達としてこれからも遊ぼうな」

「……ドジだし、って私そんなにドジかなぁ」

「あぁ。ドッジビーやるだけで転けたり歩いただけで滑ったり──」

「もうそれ以上言わないでよぉ」

 香里が頬を膨らませる。そして言った。

「友達として、よろしくね」

 

 

 

「えっと……。どういうことかな?」

「だから、私か花歩かどっちかを選んで」

 ここは放課後になり誰もいなくなった廊下。

 「廊下に放課後呼び出された」というマッスーの言葉で僕と康多は下駄箱の陰で一部始終を見ることにした。

「と言われても……」

 マッスーは困ったように目を伏せる。

「二人ともに恋愛感情は抱いていない。言葉にするとそれだけなんだけどね……」

 その言葉に二人が静まる。構わず続けるマッスー。

「でも、僕にも好きな人がいたから分かるんだ。初恋ってのは儚く淋しいってことは。でも初恋は、叶わないから初恋なんじゃないかな。失敗をするからこそ次に生かせる。そういうものだと思うよ。だからごめんね」

 僕と康多はそっと場を離れた。

 

 

 

「というわけで伝言役よろしく」

「おぅ了解。で、詳細は?」

「まず日時は文化発表会の日の放課後。場所は西階段の踊り場で。」

「ぉし。行ってくるぜ」

 早速三組へ行こうとした僕を康多が止める。

「待て。図書室で偶然会ったふりをして切り出してほしい」

「ラジャー!!」

───────

  図書室

───────

「あ、春歌」

「ん?どうかした?」

「文化発表会あるじゃん。その日の放課後に西側の……音楽室がある方の階段の踊り場に来てほしいだって」

「えっ?誰が?」

「そこは内緒ってことで」

「えぇ〜」

 春歌が思いっきり不満げな顔になる。

「まあ後一週間もすれば分かることだから」

 そう言ってなだめる。そして……

────────

文化発表会放課後

────────

「別にだから何とかいうわけじゃないんだ。ただ俺は春歌のことが好きだっていうこと。それだけを伝えたかったんだ」

 西日が差し込む階段で春歌の顔が赤く染まる。その赤さは西日のせい半分、康多のせい半分だろう。

「そっか……。でもごめん私にも好きな人はいるから」

「だと思ったよ」

 康多はため息をつく。

「じゃ春歌、時間とらせてごめんな」

「いや、いいの。あと康多君の友達ではあるからね」

 そう言うと階段を降りていった。

「まぁ、お疲れさん」

 僕は非常扉の陰から飛び出す。

「おわ!いたのか」

「もちろん!!」

 僕は笑う。

「まぁ、これで何もかもが終わったな」

「あぁ」

 康多は小さく頷いた。




どうも、音槌です!!
 ☆
ついに告白編が終了!!
というわけでダラダラと書いていきます。
 ☆
◇明日の投稿◆
[こちら私立警察事務所です!!〔学校の七不思議(事件の幕開け)〕]


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初恋メンバーの日常
香里の優雅な休み【番外編】


連続投稿part32です!!


「ただいまぁ」

 玄関のドアを開けるといきなり駆け寄ってくる猫に頬ずりをしながら二階の自分の部屋に向かう。

 通学バックを開こうとするのだが猫が邪魔する。私は頬を膨らませて猫を抱き上げる。

 足をばたばたする猫の〔もち〕を見て微笑む。そして部屋の隅に座らせる。

 私が宿題を始めると「ミャァ」と鳴くもち。それはまるで「もっとかまってよ」と言っているかのようだ。仕方無しに膝に乗せて撫でながら宿題を始める。

 すると今度は部屋の外から別の猫が駆け込んできた。止まりきれなかったのか私にジャンプしながら体当たりするこの猫は〔きなこ〕。

 体当たりのせいで漢字を書いていた手を止めることになったけどまぁいい。

 すると、いきなり消しゴムをくわえてもちが駆け出した。

「あ、ちょっと待って」

 私が追いかけようとするときなこが追い越していく。

 いきなり始まった猫との追いかけっこに隣の部屋のドアが開く。

──ヤバい!!

 私はリビングに行ってお茶を飲む。

 でも、慌てていたせいかお茶がこぼれる。すると飛びかかってきたのはきなこ。

「もぉ!!やめてよぉきなこ。」

 すると階段を降りて来る足音が。

「姉ちゃん、さっきからうるさい。宿題に集中できないじゃねぇか。宿題忘れになったら姉ちゃんのせいだからな」

 そう言ってすぐ戻っていったのは弟の(かなで)

 私は階段を上がって言う。

「文句言うならきなこともちに言ってよね」

「でも追いかけ回したのは姉ちゃんだろ」

 うっ……。私は言葉に詰まる。

 そしてゆっくり下がる。

 後ろ手でドアを開けようとして手を滑らせる。そこに飛び込んでくる、消しゴムをくわえたままのもち。

 私はもちを踏まないようによけて、体が浮かぶ。

「えっ?」

 と思ったのもつかの間背中と床が激突。

 床に寝転ぶ私の上に乗っかってきたもちが消しゴムを落とす。

「返してくれるの?ありがと!」

 もちにお礼を言い、立ち上がろうとする。

 すると奏の部屋のドアがゆっくり開く。顔を出した奏の顔面に横からやってきたきなこがジャンプっ!!奏と猫の喧嘩の間に私は部屋に戻って宿題を始める。

 漢字を三行ほど書いたところで私の部屋のドアが「キィー」となる。おそるおそる振り向くと、手足の至る所に引っかかれた痕がある。顔は手でガードしたのだろう。

「姉ちゃん……。しつけ係は姉ちゃんなんだからちゃんとしつけろ」

「はいはい。っていうか宿題はいいの?」

 私は話題を変える。

「姉ちゃんのせいで進まないんだよ」

 ブスッとした顔のまま答える奏。

「だから、なんで私なの?やったのはきなことかもちだよ」

「いや、しつけ係の姉ちゃんの責任だろ」

 奏の横に寝転ぶ二匹の猫も「ニャアァ」と鳴く。

「ほらもちときなこも、姉ちゃんの責任だ、って言ってるぞ」

「はいはい。じゃあ宿題に行ってらっしゃい」

 私は奏を部屋の外に出す。

 そしてムササビペーパーという優れものを部屋の隅に置いて宿題を再開する。

 学校から帰ってきてからすでに三十分。




どうも音槌です!!
 ☆
香里目線で書いてみましたが最近、三人称で書くことが多いので一人称が苦労しました。
それにしてもこれが優雅なのでしょうかね?
 ☆
明日の投稿は今話題(!?)の新シリーズ[名探偵下神宏樹事件ノート]です!!
お楽しみに!!


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広樹の引きこもり寸前ライフ【番外編】

久々に早起きできたので朝、書いてます。

〔連続投稿36弾〕です!!


只今のアクセス数:954 (6/23 05:39)


「さて……と」

 僕は呟いてパソコンの電源ボタンを押す。

 軽い「ウィーン」という音がしてパソコンの画面が明るくなる。三十秒経って、ログイン画面に切り替わる。

 スリープ状態にしとけばいいのだが、どこを押せばスリープになるのかが分からない。

 ログインしたその流れでメールチェック。愛知に住む爺ちゃんからのメールはないようだ。

 そしてブラウザを開き、お気に入りの小説投稿サイトを開く。だいぶん、書き溜めがなくなってきた頃だ。

 すると、マイページに〔新着感想通知〕が来ていた。

「誰からだろう……」

 そう思って見てみると、そこには[康多]の文字。

「ひょえっ!?」

 僕はしばらく固まる。でも、すぐに硬化の呪縛から開放される。

「あ、この間康多に教えたんだった」

 僕は呟きながら本文を読む。

「『とても、素晴らしく、世界で一番素晴らしいと言っていいほどです』か。お世辞が上手くなったな」

 そう呟いて投稿のページを開く。

 が、何百文字か書いただけで別のタブを開きマイクラ風のゲーム、マインブロックスをやり始めてしまう。

 経験値トラップでマウスを押しっぱなしにしてタブレットで動画を見る。

 非常に自堕落した生活だと思いつつも、経験値を溜めるのだけは止めない。

 僕はタブレットを閉じ、ノートと歴史の教科書を出す。歴史の教科書を、去年の誕生日に貰った書見台に置き、ノートの白紙のページを開く。

「ヤマタケルうんたらかんたらが……」

 ブツブツ呟きながらときに口笛を吹いて勉強をする生活も非常に自堕落していると思うが、勉強はリラックスしてやるからはかどるのだという持論を持っているため止めることはしない。

 腰を九十度にして何時間も勉強ができず、背もたれに寄っかかって勉強すると何時間も持つのと同じだ。

 だから、

「鉄器がどうたら……渡来人……」

 ずっと呟く。しかし、口笛だけは止めるときが来た。

「広樹〜。口笛吹きながら勉強するのやめなさい。そのうち学校でもするようになるよ」

 という母親の声で口笛をやめる。

「は〜い」

 おとなしく返事をして勉強に戻る。

「ふふ〜んふふ〜ん♪」

 今度は小さな声で鼻歌をする。リラックスした状態で勉強をしたからか思った以上に早く終わる。

 このまま終わろうかとも思ったが、明日は一番心配な英語のテストだ。というわけでこのまま英語の復習もやることにした。

 

 結局、四ページも書いて終わった。

 そして、僕はまたも動画を見る。

 やはり自堕落した生活だと自分でも思うが勉強をノート五ページもしたのだから別にいいだろう、そういう持論を持っているのでひたすら動画を見る。

 そして、飽きたのでタブレットを閉じゲームもやめて執筆に取りかかる。

 それが学校から帰ってきてからの日常だ。




どうも、音槌です!!
 ☆
休日がやってきた!!
そしてベタベタして(´Д`υ)アチィー
溶けそうなくらい暑いんですが湿度が高いので溶けたら逆に辛い気がする……。
 ☆
明日の投稿は[名探偵下神宏樹事件ノート]です。
お楽しみに!!


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康多の動画漬けな日々【番外編】

 近々、大発表をしますのでお楽しみに……。

というわけで〔連続投稿第41弾〕です!!


そして……
[初恋は叶わない]のアクセス数が
    1000
を突破しました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 本当にありがとうございます!!
 泣き目になるくらい嬉しいです【男泣き】・`σω・´)・゚・
そして、これからもよろしくお願いします!!(●;ω;●)泣かすなょ


「ただいま〜」

 母さんにも妹にも聞こえないくらい小さな声を出す。

 だから俺がリビングに行くと「あら、いつ帰ってたのよ」というようなことがよくある。

 そして大抵こう言われる。

「ちゃんと帰ってきたら『ただいま』を言いなさいよ」

 ちゃんと言っているのだがその場を丸く収めるため

「はいはい。分かったよ」

 と言って階段を上がり一番手前の部屋に入る。そしてそのままの流れでバッグを放り出しベッドに寝転ぶ。

 そしてベッドの脇に置いていたタブレットを取ってYouTubeのサイトを開く。

「おったくちゃんのが出てる」

 俺はすぐさまたくちゃんTVの動画を見る。しかしベッドだと見にくいので椅子の上で体操座りをして見る。

 動画を見終わるとその下にあるコメント欄を開く。

 かなりの数の視聴者がYouTubeの動画のメインはコメント欄だと言っている。──ちなみにサブはアンケート、さらにサブは評価だそうだ。

 

 六時になると毎夕恒例のマイクラ実況であるカブクラを見る。

 ついでにこの、カブクラの楽しみ方をお教えしよう。

 まず、【前回のカブクラ】をしっかり見る。

 そして、本編が始まったらコメント欄に移動。この間画面は見れない。

 そしてコメント欄チェックを終えたらアンケートがあるかを確認。アンケートに答えたら高評価をポンと押す。

 最後に、コメント欄で見た動画の山場まで移動してそこだけ見て閉じる。

 

 七時半には動画を一旦やめて風呂に入る。

 十分で出てご飯を食べる。

 今日は鯖の味噌煮だ。骨を抜くのが面倒くさい……。しかし、骨を抜かなければ食べることはできない。大好きな魚を。

 骨との闘いが終わると、また自室へ戻る。

 そして、マイクラを一時間ほどする。

 その後リビングでテレビを見てまたも二階へ上がり今度は宿題に取りかかる。

 今日の宿題は英語のノート2ページと家庭学習1ページだ。しかし、真面目にやらないので時間がかかる。

「あぁ……まじ最悪……」

 俺は小さくつぶやき手を動かす。ギリギリ象形文字にはならない程度の字が英語のノートを埋め尽くす。

 

 それが2ページ分になった頃俺の疲労度はメーターギリギリまで迫っていた。

 しかしまだ家庭学習が残っている。残りの体力と精神力を振り絞って字を書く。

 

 最後に、タブレットを取り出し、広樹の小説とブログをチェックする。そしてブログの方にコメントをするとまた動画を見る。動画を見るくらいならそこまで疲れないのだ。

 

 

 ──ふと時計を見ると一時半。

「そろそろ寝るか」

 そう呟いて俺は目を閉じる。




どうも、音槌です。
 ☆
日替わり投稿の件、今週中に、活動報告とブログにて詳しくお知らせします。
多分、土曜日だと思われます。
皆さん、楽しみに待っていてくださいね。
 ☆
さて、三作連続番外編でしたが、次回ようやく本編に戻ります。
皆さん、お楽しみに!!
 ☆
明日の投稿は[名探偵下神宏樹事件ノート]です!!


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seazon4 初恋の新たな展開
part1 恋をめぐる不穏な空気


 いつの間にか合計文字数20000文字突破、お気に入り登録者数8人、になっていました。
 応援いつもありがとうございます。
本当に感謝しています(*ーー)(*_ _)ペコリ

では、本編へGO!


「ねえ、春歌」

 私は春歌に問いかける。

「ん?どうした莉奈」

 私──重川莉奈──は続ける。

「康多が春歌のこと好きなんだって」

「あぁ、知ってる。本人から聞いたもん」

 私が驚いているのにも構わず続ける。

「フラれっちゃったけど私にも好きな人がいるから、って断ったよ」

「えぇ。もったいない。あんなに格好良くて面白いのに」

 私はさも残念そうな表情を作る。

「私は康多じゃなくて益伴君の事が好きなの。好きな人は人によって違うのよ」

 私の残念そうな表情に気づいていないのか淡々と喋る春歌。

 私は少しイラッとする。

「そうね。あんたみたいな康多の魅力に気づかないような子は転入してきたばっかの益伴君の方が気になるでしょうね」

 不穏な雰囲気がその場に流れる。

「それを言うなら、益伴君の魅力に気づけないあんたもなかなかの者と思うけど……」

 春歌の発言で不穏な空気が当社比一.五倍になる。

「康多と同じように顔もいいし面白い、そこは同じよ。でも益伴君の方が頭もいいわよ」

 私の反論にもものともせず続ける春歌。

「頭がいいから、何なの?康多を馬鹿にするつもり?」

「何を揉めてるの?」

 いきなり入ってきたのは康多や益伴君と仲がいい広樹だ。

 去年、同じクラスでもあり、香里ちゃんに告白した意外と勇気ある男子だ。

「いやぁ、ちょっと春歌が益伴君の魅力に気づいてないからね……」

 そう言って目を伏せる。

「あんただって康多の魅力に気づいてないくせに」

 春歌が私の方を睨んでくる。

「あのさぁ……」

 広樹が言いづらそうに口を開く。

「ちょっと状況整理をしたいから一から話してくれるかな?」

 私たち二人は頷く。

「いいよ。どうせ放課後だし、月曜だから部活休みだし」

 

 

 

「なるほど、状況は分かったよ」

 揉めながらで三十分はかかった説明は広樹の一言で収束した。

「つまり……」

 そう言って広樹は黙り込む。

「莉奈は康多のことが好き。康多は春歌の事が好き。そこで立派な、と言っては何だけど三角関係ができたわけだ」

 頷く私たち。

「で、莉奈は春歌のことを羨んだ。それはなぜか。康多が春歌のことを好きだからだ。そこで莉奈は嫌味っぽく康多の魅力を語る。でも、春歌的には、自分が好きなマッスー、ちなみにマッスーっていうのは益伴のことね、を馬鹿にされたような気がして反論する。それで意味が無い不穏な争いが始まったわけだ」

「なんだかツッコミどころもあるけど頷いとくわ」

 春歌がこう言う。

 さすがは小説家を目指しているだけある。揉めながらたっぷり三十分はかかった説明を原稿用紙半分より少なくまとめたのだ。

「あのさぁ……。一つはっきり言う。その口喧嘩、どう言う結末を迎えれば納得できるんだ?」

「それは……春歌が康多の魅力を認めるとか……」

「莉奈が杵益君の魅力を認めるとか……」

『……ってダメダメ!!』

 私たちは思わず声を揃える。

「な。結局はどんな結末を迎えようが莉奈や春歌にとっては不利益なんだよ。こんな意味ない喧嘩、止めたらいいのに」

 確かにその通りだ。

 私は無意識のうち広樹に尊敬の念を抱いていた。




 今回も閲覧ありがとうございました!!(*ーー)(*_ _)ペコリ
 
 ついに広樹のモテ期到来でしょうかね(笑)
 なかなか広樹はいい仲裁ができたんじゃないでしょうか。
 
 さて、昨夜、悲しいお知らせがありました。
 昨日の夜十時に活動報告に記したのでチェックお忘れなく!!
 
 では、またお会いしましょう!!


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part2 夏祭りの夜

 今回、久々のオリジナル要素入りです。
 小説って、作者の分け御霊なのでしょうね。


 カランカラン。

「おっ、香里ちゃん来たぁ」

 奈緒が香里に気付く。

「もう、浴衣着せられるだけで疲れたぁ」

 そう言いつつも嬉しそうな表情である。

「じゃ、行こっか」

 そう言って僕と康多も含めた四人でお化け屋敷を目指す。

 もう開始から三十分以上経っているのにすごい行列だ。

 行列で並んでいる間、奈緒と香里は恋バナを咲かしているようだ。

 僕と康多はお互いに「進め」を言い合っていたのだが。

 突如、奈緒から聞かれた。

「広樹って、好きな人から話しかけられたらドキドキする?」

 三人の目線が僕に集まる。

「う〜ん……。まあ、一目惚れだったらそうなるんじゃないかな……。僕の場合だとドキドキと言うより……」

 途中で言葉を詰まらせた僕に康多が先を促す。

「言うより?」

「いや、なんでもない」

 僕は嘘をついた。なんでもないはずがない。

 話しかけられるのは嬉しいのだがそれが僕にとっては虚しくもあるのだ。どれだけ話そうとそれが初恋である限り……。まあ、話せることに越したことはないのだが。

 そのうち、順番が回ってきた。

 康多が百均で買ったお面をかぶってスタンバイする。

「康多、お前お化けにでもなるつもりか?『あ、お疲れ様で〜す』とか言って」

 康多が笑う。

「ちょっとアルバイトしてこよっかな。月給何円やろうか」

 月給も何も一ヶ月間もお化けになるつもりかい。

 心の中で突っ込む。

 僕ら四人はいざ出陣する。

 康多が先頭、その次奈緒、三番目が香里で最後が僕だったのだが最初の方で寝そべっていた幽霊がふと気づくと後を付けていたのだ。

「おわわ。おばけにストーカーされたぁ」

 と、つい言ってしまった。

 三人が笑う。

 その後も喋りながら進んでいると足元に転がってきた幽霊が!!端っこの方を歩いたため危うく幽霊の手を踏みつけるところだった。

 それを言うと

「それ、私実際に踏んだことあるよ」

 と奈緒が言う。

 話を聞くと去年の夏祭りの時に怖くて踏みつけたとか。確かに今回も康多の背中をずっと掴んでいるような……。康多の後ろなのは、奈緒的には嬉しいのだろう。

 

 外に出た僕らは暑いのでかき氷を買って食べる。

 そして、花火の場所取りをする。

 途中から同じクラスの他の男子と女子がやってきたので僕と康多はそちらと喋る。

 暗くなってきたとこで腹ごしらえのためにたこ焼きを買う。家に帰ったらカレーがあるみたいだがお腹が減っているのだ。

 大抽選会も終わり、いよいよクライマックスだ。

 実行委員の人が、この町でも花火を上げたいという願いから毎年打ち上げられる500発の花火が夜空を彩る。

 最後の五分間は動画をとって記念に残しておいた。

 花火が終わってから女子二人が、一緒に写真を撮らないか、と言ってきたが康多が写真に写りたくないと、言ったため却下。

 あのお面をかぶる勇気はあるのになぜだろうか。

 

 今年の夏祭りは終わった。

 そして思う。なんか、家族と来ていたときより楽しかったんだけどその分一人の時間も多かったなぁ、と。




 はい。というわけで閲覧ありがとうございました(*ーー)(*_ _)ペコリ

 さて、次回こそは進展があるかもしれませんね。
新seazonもあるかも!?

 感想・評価の投稿フォームは後書きの下にあるのでお忘れなく。

ではまた次の作品でお会いしましょう。アディオス!!


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part3 僕の初恋の想い出

 はい。今回はオリジナルです。


「『はぁ……。僕なんかに叶う恋はないよきっと』か……。あの時は奈緒にああやって言われたけど、実際僕が叶えられる恋って、ないんだろうな……」

 僕の沈んだ声に康多が口を出す。

「お前。この間から落ち込みすぎな。あ、あと今から言うことはトップシークレットな」

 僕は小さく頷く。

「紗理奈、お前のこと好きみたいだぞ」

──へっ!?紗理奈が?

「康多はどこからその情報を?」

「この間の夏祭りの時かなりうちのクラスの女子がいたろ」

 僕は頷く。

 確かにあの時半数近くが来ていたのではなかろうか。

「そいつらが話してた」

──ってことは……。

「盗み聞きかい!!」

 康多は慌てて首を振る。

「いやいや。たまたま聞こえてきただけだから」

「ふぅ〜ん」

 僕は疑わしそうに康多を見る。

「そんな目で見るなって。」

「まあ、いいや。でも紗理奈と結ばれるつもりはない。ただ香里が好きで苦しいんだよ」

 僕が言ったことに対して康多がしみじみ答える。

「それにしてもさあ。この八角関係+紗理奈ってさあ、誰かの恋が叶う=誰かの恋が叶わない、ってことだもんな」

「ってことは全員の願いが叶わないというのが公平なわけだ……。あ〜あ、恋なんかしたくなかったなぁ」

 康多が僕の頭を小突く。

「今頃言うな。それに人が恋に落ちるのって、偶然じゃなくて必然なんだから今更嘆いた所で未来が変わるわけじゃない」

 あーもう。

「最近、康多がめっちゃいいことばっか言ってて置いてかれそうな気がしてならないんだが」

「早く乗り込まないと発車しちまうぞ」

 夏の夕方っぽい涼しさを含む熱風が辺りを夜の空気に変える。

「僕が告白した時さ……香里ってどう思ったんだろうね。そして今はどう思っているんだろうね。康多とか奈緒がどう思ってるかはこの間教えてもらったけどさ。はっきり言っていいとこなしの僕を香里はどう思ってるんだろうな、っていう。それだけが不安なんだよ」

「じゃあ、俺が聞こうか?」

 僕はこっそりため息をつく。

「前、それで失敗したでしょ。多分あの時に勇気がない奴だと思われただろうし、うざいとも思っただろうし」

 また康多が僕をパカンと叩く。

「最初にも言ったけど高城はネガティブになりすぎ。ってか高城ってネガティブな時とポジティブな時の言動やら行動やらが違いすぎだよな」

 当たり前だ。

「そりゃそうでしょ。精神面はかなり影響するよ。特に僕のようなメンタル弱い系はね」

「だったらまず心を鍛えなきゃな。そしたら告白の時ちゃんと言えるしそんなネガティブ思考にもならないぜ」

「あのさあ、そんな簡単に言うけどさ、メンタル鍛えるって相当大変だと思うよ」

「そうだな……」




 なんか会話文しかねえ(汗)


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part4 急すぎる展開!?(その一)

 よっしゃぁ〜!!
ついに初恋は叶わない、待望の新作投稿!!
待っていた皆様、申し訳ございませんでした。


「で、どうすんのさ」

 僕は奈緒に問いかける。

「今日……。しようかな」

 うん。それしか道はないな。

 今は、奈緒の家にいる。

 何故かって?

 半月後に控えたある人の誕生日プレゼントを考えるためさ。

 で、康多には14:00に来てほしい、と伝えるよう奈緒から頼まれたのでそう伝えた。

 僕は13:30集合。

 奈緒的には最後に相談をしたかったのだろう。

ピンポーン!

 軽快なチャイムが鳴る。

「は〜い」

 慌てて奈緒が玄関へと行く。

「よぉ」

 いつも通りな寝不足な笑顔で康多が現れる。

 しっかりクマができている状態での笑顔というのはそこそこホラーだ。

 近いうちにそのクマさんがいなくなることを願う。

「さて。じゃあまずどこに買いに行く?」

 僕が話し合いを始める。

「あ、この間いいの見つけたぜ」

 康多がすかさず手をあげてアピールする。

「イオンにあったんだけどさ……ghhjwのお守りとか良くない?」

 小声になる康多。

「いいねそれ!!」

 奈緒が賛成する。

「で、あとは僕がおみやげを渡してっと……」

「お守りはどっちが買うの?」

 疑問に思った奈緒が聞く。

「ああ、お守りは奈緒から渡して。俺は文房具でも買うからさ」

 康多が答える。

 さて、話し合いも終わったことだし……。

「どっかで遊ぶ?」

 ▼広樹は康多に台詞を取られた。

 テレッテレレレ。

 って脳内でふざけてる場合じゃな〜い。

「どっかってどこやねん」

 とりあえずツッコミ役になってみる。

「じゃあ、今から買いに行くか?」

「……。いいよ〜」

 これじゃあ、ツッコミようがないじゃないか。

「あ、イオンに?」

 ボーッとしていた奈緒が慌てて準備をし始める。

「わたしゃ1000円しか持ってないよ」

「俺も金欠」

 おいおいおい。この間の5000円はどうなったよ!!

「この間の5000円はどこに消えた!?」

「勝手に消えた」

 真面目な顔で5000円がなくなったことを超常現象のせいにする康多。

 ここはなんとしてもつっこまなければ。

「消えるはずがないだろって。どうせセブンの電子マネーに吸い込まれたんだろ」

「そうそう。1000円札5枚がさあ歩いて電子マネーの方に……っなわけないやろ」

 康多の寂しい一人ボケツッコミ……。

「じゃあ、行く?」

 奈緒も戻ってきたので、自転車に乗っていざイオンへ。

「30分もありゃあ、行けるかね」

 イオンの近くには康多が通うアーチェリーの練習場があるから、康多に聞くのが一番手っ取り早い。

「30分あれば余裕だぜ」

 まあ、そんなことだろうと思ったよ。

 そんなこんなでしょうもない雑談をしているうちにイオンの敷地内に入っていた。

「えっと、駐輪場はっと」

「あった!ここだよ〜」

 僕が探していると奈緒がさっさと見つけた。

「さんきゅう」

 思いっきり平仮名でお礼を言う康多。

「康多、もう少し英語っぽく発音しろよ。こんな風に。いくよ?」

「さんきゅうー」

 ふっ。ざっとこんなもんだ。

「広樹の方がひどいじゃねえかよ」

「まあ、気にするでない。それより中にはいるよ」




 えっと、「初恋は叶わない」シリーズ、なんと20作目を迎えました!!
 アクセス数は1300を越え、お気に入り登録者数も11人となりました!!

 これらは、読んでくれ、そしてお気に入り・評価までしてくださる読者さんがいらっしゃるからです。
これからも皆さんへの感謝を忘れないように、最高の作品を紡ぎ出していきたいと思っています。

 本当にありがとうございます。
 そして、これからもよろしくっ!!!!


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part5 急すぎる展開!?(その二)

 投稿が遅くなってしまい、申し訳ないです。
 休日になった途端投稿する、という分かりやすいパターン……。


「ちょっと、トイレにでも行ったふりしといて」

 入ったとたん、奈緒から言われる。

 いきなり、あの作戦をするつもりなのか……。

 とりあえず奈緒の言う通り康多に、トイレ行ってくるわ、と言ってあの二人を離れる。

 トイレ方面に行く足を止め、棚の影に隠れる。

 人が多い日なら怪しまれるが今日は人が少ない。

 

「前、ああやって言われたけど──」

 あの、勉強会の時か。

 奈緒が続ける。

「やっぱり、諦めきれなくて……」

 そんな短期間でまた告白をしているのか……。

 さらに続けようとする奈緒をさえぎって、言う。

「前も言ったじゃないか。心に決めている人がいるって。それに誰かと付き合うってのは自分から言いたいんだ」

 相変わらず、さらっとかっこよく言うよなぁ。

「ごめん……」

 奈緒が、謝る。

「お前が謝ることじゃないさ」

 さてと、僕も戻るかな。

「ただいま〜。あ、待っててくれたんだ。さんきゅう」

 そして、無事、あれやこれをゲットし、帰路についた。

 

 そういえば、康多が心に決めた人って、奈緒は知っているんだろうか。

 康多に聞いてみると「教えたはずはない」と言っていた。

「じゃあ、僕が教えちゃおっかな」

 康多は自分の自転車を僕の自転車にぶつけてくる。

「あと、高城が知っているのとは別だぜ?」

 えええ!?そうなの〜!?

「えっ、だ、だだだだ誰!?」

 自分でも動揺しすぎだと思う。

「香里。……って言ったら?」

「発狂する」

 うん。発狂しそうだ。

 発狂しなくとも性格が暗くなるであろう。

「まあ、もちろん嘘だよ。絶対に教えないってなら教える」

 もちろんだよ、という思いを込めて頷く。

「えっとなぁ……。磯田椰子乃」

 あぁ、椰子乃かぁ。

「お前の元カノだったなぁ。そう言えば」

 ぐさりと康多に言ってみる。

「もう、4年のころの話はいい」

 一度、別れたはずだが、また好きになったんだな。

 しかも4年のころは椰子乃からだったのに今回は康多から。

 日常生活でも仲がいい二人はきっとお似合いだろう。

「え、じゃあ春歌は?」

 しばらく考え込む康多。

「そこは俺も迷ったよ。でも春歌にも好きな人はいるんだろ。だったらそっちを優先すべきじゃないか?」

 くそ〜。置いていくんじゃないよ。

 僕も康多みたいに割りきれたらいいのになぁ。

「それがお前の性格なんだろうな」

 康多の言葉に少し苦笑いをする。

「ずっと追いかけてればいつかは振り向いてもらえるんじゃないか?」

 現実はそう甘くないんだよ……。

「ま、前も言ったけど自分磨きだな」

 そう言ってどこから持ってきたのか紙ヤスリを取り出す。

「ちょ!そう言う意味の、磨き、なのか!?」

 何事もなかったかのようにポケットに紙ヤスリを戻すと平然と言う。

「紙ヤスリで磨くはずがないだろ」

 じゃあ、なぜに紙ヤスリを……。




 はい。多分明日も初恋です。
 
 新たな展開ですね〜。
 康多に元カノがいたとは驚きです。

 次回は康多と椰子乃の日常でも書きますか。


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Season5 叶う恋、叶わぬ恋
part1 椰子乃&康多


 さらなる展開に乞うご期待!!


「かえりの あいさつ」

『さよーならー』

 康多の号令に全員が応え、半数以上の者が教室を出て行く。

 部活がない僕はすぐに帰れるのだが、学校にいる方が楽しいので帰らない。それに今外は雨が降っている。

 かさを持っているとは言え、ギリギリまで粘りたいところだ。

「椰子乃〜、ナミヤ雑貨店、返せー」

 康多が椰子乃を呼ぶ。

「はい。面白かったよ」

 椰子乃が康多に本を渡す。

 そう言えば、椰子乃たちの合唱部は明日の朝から沖縄行くんだっけ?

「椰子乃、アマゾンでも頑張れよ!!」

「アマゾンじゃないし!!」

 ゴスッ

「うおっ」

「まあまあまあまあ、落ち着きなさい二人とも。二人ともアマゾンでピラニア食べて頑張ってきなさい」

 ゴツン!!

「いってててててて」

 ガスッ

「ぐはっ」

 二人を止めようとしたら、二人から攻撃された……。

 しかし、三人とも笑っているのは事実だ。

 ここにはドM兼ドSしかいないのか?

「さて、と」

 雨も小止みになってきたし帰るかな。

 ガラガラガラ、ドンッ

 教室のドアを閉めたところで椰子乃の声が聞こえてきた。

「ねえ、康多……」

「なんだ?」

「合唱コンクールの九州大会、金賞もらえたら、付き合ってくれない……?」

「付き合ってなんになるんだ?」

 また康多の必殺技だ。

 椰子乃は答えきれるのだろうか。

「康多と一緒にいれば、もっと自分を知ることができると思うの」

「なぜ……そう思う?」

 顔には出していないが康多は動揺している、そう思った。

「なぜって、私が好きだから」

「……。本音を言っちまえば俺も椰子乃のこと好きなんだよなぁ」

「じゃ、じゃあ……」

 おぉ、こんな展開を見るのは初めてだ。

「ああ、付き合ってもいいぞ」

 そして、康多は頭を掻く。

「あ〜。付き合うときは俺からって決めてたのになぁ〜」

 そう言えばそんなこと言ってた気が……。

「じゃ、そろそろ帰るぜ。合唱コンクール頑張れよ!!」

「うん。康多のために頑張る」

「なんか違うだろ……」

 康多が出てきそうなので、慌てて生徒玄関にダッシュし……。

 捕まえられた。

「まさか、聞いてたのか?」

 とりあえず知らないふり。

「え?何を?」

 康多が右手を出す。

「嘘をついたら二倍だ」

 ゴツン!!ゴツン!!

「いたっ……。ちょっ待て」

 あまりの痛さに涙目になってしまう……。

 ツーー……ポタッ

「あれ?」

 康多が頭を叩く。

「悲しむな」

「いや……あまりの痛さになんですが?」

 分かっているという風に頷く。

「大丈夫だ。高城の悩み聞いてやるから」

 いや……そういうわけじゃ……、まっいいか。

 

 そして週明け、うちの中学の合唱部が金賞をとったことが新聞に出た。




 シリーズで初めて、恋が叶いました!!
 そろそろハッピーエンドに向けて舵をきります。

 このぐちゃぐちゃした関係がどうなるのか、お楽しみに!!


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part2 初恋の定義とは最初の告白である

 このシリーズでは何度かにいっぺんの会話だけの回ですが、最後までお付き合いください(*ーー)(*_ _)ペコリ



「そういやさぁ、初恋の定義ってなんなんだろうな」

 二学期が始まってから二週間が経った今、こうしていつもの倉庫前に自転車を止め康多と喋っている。

「僕が思うに、だよ?心の中で想うだけは恋じゃないんだよね。行動してこそ初めて恋になる、っていうかさ。小学校中学年くらいからは好きな人、ってのはいたけど、告白しよう、とかまでは思わないくらい薄い気持ちだったんだよね」

 残暑が意外と戻らなかった今年の秋の涼しい風が僕の伸びてきた前髪を揺らす。

「俺さ、小学校6年間、ずっと好きだった人がいてさ。でも告白はしなかったんだよ。で今年春歌に告白したけど叶わなかったじゃん?あれを初恋と捉えるか、ただ単に叶わなかった恋なのか分かんなかったんだよな」

「え?小学校6年間好きだったのって誰?」

 康多はため息をつく。

「Rさんだ」

「南?北?」

 北のRさんというのは香里の事だ。

 南のRさんというのは紗理奈の事だ。

 家の方角なだけなんだが……。

「それを言うと面白くないだろ?だから暗号を考えておいたんだ」

 暗号?康多が暗号を作った?

「どんな暗号?」

「『ぎ』だな」

 は?

「あ『だ』とか『ば』『ぶ』でもいいぞ?」

 ますます分からない。

「ヒントくれ」

「頭のいい広樹らしくないな」

 頭はよくないし……。

「ヒントはなあ……濁点だと二画分増える、ってとこかな」

 ってことは……。

「画数か」

 康多が出したひらがなは全て6画だった。

 イニシャルか?

「香里か?」

「理由は?」

「『杵益香里』のイニシャルはK・K。Kの画数は3画でそれが二つで6画だから」

 康多がニヤニヤしながら僕を見る。

 ドラマだったら僕の顔と康多の顔が交互に映されるんだろうな、と妙に冷めた頭で思う。

「正解──」

 ……僕の初恋、本当に終わりだ。

 だってまた康多が香里の事を好きになったら……。

 前に6年間も思いつづけていたのならありうる。

「あ〜もう、なんかすっきりしちゃった」

 そう言って笑おうとするけど引きつった笑みなのだろう。

 でも実際すっきりしたのは事実だった。

 康多にとられるのなら別にいいや、と思ってしまう。

 でも……。

「ほれ」

 そう言って康多からティッシュを投げつけられる。

「ん?」

「目の周りを拭け」

 また気づかないうちに涙が出ていたようだ。

「ありがと」

 そして康多がフフフ、と笑う。

「──って言ったらどうする?」

 ……。

「康多のばかぁ!!もうまじで心の奥ではこれまでの思い出が回想されてたんだからね!?」

「悪いな。でもこんぐらいしないと面白くない。人間一番楽しく過ごせるのは、悲しいと思ったらそれが嘘だったときだぜ」

 ……そういうものなのか?

「ってことはつまり──」

「紗理奈だったよ。誰にも教えるなよ?」

「了解。口すべらしちゃったらあのげんこつ5回でいいから」

「5回は痛いだろ」

 あ、康多にも気遣う気持ちはあったんだ、そう思ったけど言わないでおいた。




 いやぁ、初恋の定義はあくまでも広樹が考えたものなので気にしないでください。

 さて、本日もハエトリグモ観察日記、書いていきますか。
とりあえず名前をつけてあげたいですね。
大人二匹はじっくりみたので名前つけられるんですが、子供二匹は最近、存在を確認しただけなので特徴まで見てません。
とりあえず8月の初め頃からいるやつはシマシマの黒い体が特徴なので〔シマクロスケ〕と名づけましょうか。
二匹目のやつは夏の20日前後に現れた茶色い体なので〔リッシュウチャ〕とでも名づけましょう。
ネーミングセンスは気にしないでください。
 子供二匹は今度じっくり見れたら名前付けます。


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part3 僕の初恋は……。

 著者も読者も楽しみにするシリーズです(笑)


「僕の初恋、本当の本当に終わった……」

 僕がそうつぶやくのには理由がある。

 先週、椰子乃が康多に告白して、椰子乃と康多が付き合っている、ということがわずか一週間の間に学年中に広まった。

 この情報の拡散について僕は関係していない。

 そして、学年中に広まったということは香里にもその噂が伝わったということだ。

 そして、僕は見てしまった……。

 

「益伴くん、私と付き合ってほしいの……」

 香里が、一年二組の駐輪場の奥でマッスーに話している。

 僕は、学校で宿題を終わらせ、帰ろうと思い、体育館の横の駐輪場に来たのだが、地面がアスファルトから、大きな音のする砂利に変わる寸前で見慣れたマッスーの頭がチラッ、と見えたので慌てて急停止した。

──あんなところで立ち止まっているというのは何か不自然だ……。

 そう思った僕は一度ジャンプした。すると……香里の頭まで見えた。一体どういうことなのか……。もう少し詳しく知りたい。

 しかし、このままでは気づかれる可能性もあり内容も聞こえないので、地面がアスファルトで、向こうからは死角になる、駐輪場の裏に移動した。

 ここからならよく聞こえるし、二人の様子も見れる。

「僕は、大丈夫だよ。でも何故だい?」

 マッスーが答える。

「私が好きだったの、康多だったんだけど、なんか椰子乃ちゃんと付き合ってるらしくてね……。それで……」

 そして香里は言葉を切る。

 悲しみに暮れていた僕の耳に飛び込んできたのは意外な言葉だった。

「だったら、無理だ。好きな人がいるなら、最後まで貫き通すべきだよ」

 マッスーは続ける。

「好きな人が別の誰かと、今、付き合っているからなんだい?人の恋愛というのは、儚く散る場合が高いんだよ。諦めずに頑張りたまえ」

 僕は心の中でマッスーに盛大な拍手を送った。

 しかし、香里は──

「でも、益伴くんは……」

 戸惑っていた。

「僕のことは気にしなくていいんだよ。昔からファーストレディっていうしね」

 さらっと受け流すマッスー。

 これが帰国子女と純正日本人の違いか……。

 頬を冷たい汗が落ちる。

「じゃあ、僕は帰るね」

 そう言って、マッスーは自転車にまたがる。

「うん……。私、諦めないで頑張るから!!」

 笑顔の香里も自分の自転車に向かって歩き始める。

 というわけで僕は──

 ──見つからないようにさらに奥の体育館の奥へ逃げた。

 一人ニヤニヤしながら。

 

 

 というわけで、二度目の告白ブームがやってきているな……、と実感する僕。

 しかし、僕はまだ告白する勇気はない。

 だって思わないかい?一年も経っていないのに、同じ相手にもう一度告白する男子なんて、絶対にウザがられるって。ね?

 というわけで、僕が香里に再告白するのはもうしばらく後のお話。




 どうも、音槌政旨です。

 いやぁ新展開でしたがお楽しみいただけたでしょうか!!
 なかなか個人的には書いてて楽しかったですけどね?

 では、次の投稿もお楽しみに!!


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part4 広樹は布団の中で涙を零す

 ア、アアクセス数が…………
 1700突破!!!!!!!!!!!!
 あと300で2000!?

 そして合計文字数も今回で30000を突破します!!

 皆さん、いつも本当に……本当にありがとうございます(*ーー)(*_ _)ペコリ


「はぁぁぁ〜……」

 暗闇の中僕はためいきをこぼす。

「潔く諦めたいのになぁ……」

 そのつぶやきを聞くものは誰一人としていない。

 香里のことを好きになってからもうすぐ一年が経とうとしている。

 僕の恋に終点はあるのだろうか──ふと、そんなことも考えてしまう。

 いや、もしかすると僕の恋は一生叶わないのかもしれない。

 そう考えると目のふちに涙がたまる。

 

 

 今、考えると修学旅行の班決めの時から香里のことを好きになっていたのかもしれない。

 でも、あの時は告白しようとまで思わなかった。

 香里への想いが強くなったのは、修学旅行の頃なのだろうか……。

 香里のことを好きになってしまった、そして、人生初の告白までした事実、それは変わらない。

 それをいかに未来につなげるか、それが大事なのだ、と頭では理解している。

 できることなら今すぐにでも諦めたい。でもそれができないから……。

 

 

 ツーポタッ。

 僕の頬を暖かいものが流れ落ちていく。

 なぜ僕は告白をしたのだろうか。

 その決断は間違ってはいなかったのだろうか。

 僕の心に後悔がうずまく。

 叶うはずがない、そう分かっていたはずなのに……。

 一度流れ落ちた涙が止まらない。

「くそっ……」

 なぜだか無性に悲しくなる。

「今、死ねたら……」

 どれだけ楽になれることか、そう思ったが──

 

 気がつくと朝になっていた。

 

◆ 

 

「おはよ……」

「おぉ、高城おはよ」

 康多がいつも通りの笑顔であいさつを返してくる。

 今日もなんら変わりのない一日が始まる──はずだった。

「広樹、聞いた?」

 マッスーが話しかけてくる。

「え?何を?」

「香里が僕に告白してた、って話」

 はい、聞いてました。とは言えない。

「そうなの!?うわぁ、いい話聞いちゃった。で、どう返事したの?」

「ふったよ」

「ぬわぁ!?な、な、なんで?」

 全て知っているのだが、もう一度言ってもらうとするか。

「なんか康多が磯田さんと付き合ってるじゃん?それで僕に方向転換したとかどうとか」

「ふぅ〜ん」

「まあ、そんなことはどうでもよくて、帰りに広樹らしき人影が見えたから隠れて聞いてたのかな、とか思って」

「ないない。そもそもマッスーと金曜日話してないじゃん」

「確かに。放課後は広樹僕らよりあとに帰ってたっぽいしね」

「うん」

 僕の演技はそこそこうまい?と思ったが……

「いや、ちょっと訂正。金曜日の放課後は僕の姿を見てから後で帰ったもんね」

「え?」

「いやぁ、体育館の壁に銀色の太いパイプがあるじゃん?」

「あ、ああ」

「で、そこに広樹のきのこ頭が見えた、ってわけ」

「きのこ頭、言うなし」

 よく言われるけど、前の康多の方がきのこには近かったような……。

 と思ったが言わないでおいた。




 えっと、いつもご覧いただき、誠にありがとうございます。
 おかげさまで、アクセス数が1,776になり、2000の大台までのこり300を切りました。
 最近は、たまにコメントが来るようになり、嬉しく思っております。
 しかし、この音槌政旨という人物は周りの応援がないとやる気をださないようであります。
 よかったら、これからもこの怠け者に応援、よろしくお願いします。


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Season6 つかの間の平穏
part1 広樹は拳骨から逃げる


 えっと……謎のタイトルで申し訳ない。
 まあ、中を見れば分かるということで、いってらっしゃ〜い


「かえりのあい、さつ」

『さよなら〜』

 妙な間の号令に、皆が合っていないあいさつを返す。

 康多の号令はなぜ、変なところで途切れるのだろうか……ってそんなことはどうでもよくて。

 今日も宿題やってから帰るかぁ。

 そう思って、いわゆるcampusの大学ノートと、地理の教科書を出す。

 小学生の頃から、自由に書く宿題は社会科が多かった。

 で、筆記用具を出し、書こうとしたその時

「あ、高城くん」

 担任の下山先生から呼ばれた。

 何かと思ったら……。

「今日から、用もないのに学校に残ってはいけないことになってね」

 なるほど……。きっと隣のクラスの副担任で学年主任のあの先生が言い出したのだろう、と勝手な憶測をする。

 しかし……。

「用はありますよ。勉強をする、という用事が」

「宿題は、昔で言う所の宿、つまり家でやるものです」

 あっさり切り捨てられた。

 仕方なしに家へ帰ろうとする。

 その間に先生は教室を出て行った。

 で、ようやくずっと黙っていた康多が口を開く。

「家は宿かぁ〜。金はらいたくねえな」

 そう言って笑う。

「まあ、康多の場合部屋に閉じこもってそうだから金もなにもないのかな」

「俺は引きこもりか!!」

「いえ〜す!!」

 軽く言ってみたら……。

「よし一発な、帰りの準備するから覚えとけよ」

「い〜やいや、いくら記憶力がなくても数分では忘れませんよ」

 覚えとけよ、と言われたら僕は必ずこう返す。

 で、

「よし、一発後回しにするの止めた」

 怒らせる。で、

「おわわわ〜」

 ダッシュで逃げる。

 いつも、階段降りた先で、どこにいくか迷うが、今回はもう決めてある。

 階段を降り、玄関へ向かう。

 康多は階段の折り返し一個分後ろにいる。上履きをはいたまま、運動靴を取り出し、体育館の影に隠れてから靴に履き替える。

 給水タンクらしきものがあるので生徒玄関の方からは見えない。

 しかし、自転車小屋の方に行ってから引き返して来ると完全にバレる。

 なので、先生の車の影を移動しながら、体育館の影から生徒玄関まで行く。

 で、靴を履き替え、教室に向かう。

 机の上に載せていたカバンを教壇の下に隠し、自分は黒板の影のカーテンに隠れる。

 康多もカバンを置きっぱなしだからいずれは教室に戻ってくるだろう。

 と思った矢先康多が戻ってきた。

 無表情で帰りの用意をし、教室を出て行こうとする。

 慌ててカーテンから出ていこうとした瞬間

「広樹、教室の鍵閉めよろしく」

 康多が言った。

 どうやらバレていたようだ。

 鍵閉めをするはめにはなったがどうにか康多の思い出すだけでも痛い拳骨は避けることができたかと思うと、とてもホッとした。



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part2 久しぶりのいつメン集合!?

どうも、音槌です。
今週はまともに投稿します。


「高城、今度の月曜日遊ばん?」

 実力テストが終わった直後の教室で康多が言ってくる。

 来週の日曜日が文化発表会──高校で言う所の文化祭なので、月曜日が代休になっているのだ。

 10月の第1週が中間テスト、2週目は合唱コンクール、3週目が実力テストで第4週が文化発表会、という異様な忙しさである。

「あぁ、多分空いてるけど?」

「ならさあ、香里はもちろんのこと、春歌も誘わん?」

「おっ、いいねぇ。初期メンバー」

 僕らが最初に集まって遊んだのは僕、康多、香里、春歌の四人だったから、完全なる初期メンバーなのだ。

「初期メンバー。あはははは。確かにそうだわ」

「じゃ、僕が香里に伝えるついでに春歌に言っとくよう伝えとくわ」

「了解」

 と、そんな感じのトントン拍子で決まったのだ。

 で、まずは香里に電話をかけねば。

 謎の緊張で、手汗が……。

 電話が滑らないように、

「****-**-****……っと」

 トゥルルルルルル。トゥルルルルルル。

「はい、もしもし」

 相変わらず、眠そうな声の香里が電話に出る。

「もしもし、広樹ですぅ」

「あ、広樹?」

「うん。あのさぁ、月曜日空いてる?」

 電話の外で「月曜日って空いてるっけ〜?」と聞く声がする。

「うん、多分空いてる」

「じゃあさぁ、久々に四人で遊ばない?」

「四人?」

「うん、僕と康多と香里と、春歌」

「ああ、はる!!」

 春歌の名前を聞いた途端元気になる香里。

「でさぁ、僕、電話番号知らないから春歌に伝えといてくれない?」

「うん、いいよ!!じゃあまた後で連絡するね」

「は〜い」

 電話の最初と最後で声のトーンの代わり様がすさまじい。

 これから、遊びに誘うときは春歌の名前を出して──ってダメダメ!!嘘はつくもんじゃないよ。

 と一人でボケツッコミをしたとこで……。

「ホイホイホイホイっと」

 トゥルルルルルル。トゥルルルルルル。

「はい、もしもし」

「もしもし、康多?」

 康多の報告の電話をかける。

「ああ、広樹か。どうだった?」

「えっとねぇ、とりあえず香里の方は予定はないらしいよ」

「んで、春歌は?」

「春歌は、今香里が聞いてるとこだと思う」

「了解」

 で、電話を切る。

 春歌を含めた四人で遊ぶのは何ヶ月ぶりだろう……。

 それこそ、最初に遊んだのは2月の、バレンタインデー直前だったはず。

 そっから何回か遊んでいるものの、中学生になってからは全くと言っていいほど遊んでいないから、半年くらいぶりかなぁ。

 とりあえず、香里からの電話を待たねばな……。




 はい、おとつちわ。
 先週は更新が滞ってしまい、申し訳ありません。
 親しい友人から「今週から投稿サボったらげんこつ一発」と脅されたので、ちゃんと仕事できそうです。
 投稿がサボリ気味になったらコメント欄で言ってください「明日も投稿サボったらげんこつ落とすよ」と。そうしたら仕事しますので。

 では!!


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part3 香里と謎の涙

 おとつちわ!!昨年10月以来の投稿です。
 ちょっと前書き長くなります。
 今回「初恋は叶わない」の続編投稿に踏み切った理由は、友人達から「新シリーズはよ」という声が多数ありまして、ならその前にハーメルンのどれかしらは完結させなきゃな、と思ったんです。で、僕が投稿している中で一番思い入れがあるのがこの「初恋は叶わない」なんです。実話も含まれてますしね〜〜。というわけで8月までにこのシリーズを完結させて9月からはハーメルンとカクヨム交互で投稿していくつもりであります。
 なんだかんだ言って、ハーメルンは僕の執筆人生の原点なので落ち着きますね♪そしてハーメルンの方が書き心地がいい!!もしかすると、カクヨムのシリーズが終わったらハーメルンだけでの投稿になるかもしれません。
 とにかく皆さん、ただいま!!!!


プルルルルル……。プルルル──ガチャ。

 あ、電話だ。これはもしかして……?僕はそう思い階段を降りる。案の定電話をとったお母さんから「香里ちゃんから電話だよ」と言って子機を渡してくる。僕はそれを受け取り受話器を耳に当てる。

「もしもし〜、広樹です」

「あ、広樹。はるちゃん大丈夫だって〜」

 おぉ、それは良かった!!

「んじゃあ月曜日の1時半いつものところに」

「了解〜」

 そう言ってほぼ同時くらいに電話を切る。

 まあ、何はともあれ半年ぶりに四人で集まれるのだ。早速康多に連絡しなければ。

「えっと──ピッピッピッピピピピッ─っと。そしてトゥルルルルルル」

 番号を押す音と呼び出しのコール音を口で真似る僕。何やっているんだ……。

「もしもし。高城か?」

「おぉ、大正解☆んで、春歌もオッケーだったよ。いやぁ、半年ぶりくらいかな、この四人で集まるのは」

「まあ、そのくらいだろうな。そもそも春歌と遊ぶこと自体が最初とあと何回かだけだろ?三人で遊んでたことの方が多いから」

「そうだね。んじゃあ月曜日に」

「了解」

 

 そして月曜日がやってきた。

「よう」

「やあ」

 僕と康多の短い挨拶。

「やっほ〜」

 次にやってきたのは春歌だった。「あれ、香里は?」と聞くと「少し遅れるだって〜」と返事が来た。

 先に中に入っておくかと思って自転車の鍵を抜くが、寒くも暑くもないし外にいておこう、と思い、自転車のサドルに腰かける。

 しばらく来週の文化発表会について「土曜日準備で登校とかダルい」とか「劇、主役になっちまったんだけど……?」という雑談をしていると見覚えのある自転車がやってきた。

「お、香里」

「おぉ、遅かったな」

「かおり〜ん!!」

 しかし香里の方に反応はない。というか……、泣いてる?

「えっと……香里大丈夫?」

 僕の言葉に小さく頷く香里。でも僕から見た香里は大丈夫じゃなくても「大丈夫」と言い張る気がする。

「ん、どうした?何があった?」

 康多が聞くが、香里は答えない。そりゃあ聞いちゃダメなやつだろ。僕はそう思いつつ、室内に入ろう、と促す。

 4人で室内に入ると香里は少し落ち着いたようだ。──というより泣いていたのを僕ら以外には知られたくないから、落ち着いたように振る舞っているのか……。とりあえず誰も何も言わないが流れで、誰もいないベランダ的なところに出ることにした。

「まあ、とりあえず何があったのかはあえて聞かないけど、せっかく久々に4人集まったわけだし、楽しもうよ」

 そう言って元気付けようとする。すると香里が顔をあげて

「じゃあ……オセロやろ……」

 と言った。オセロは春歌がとても強くて前遊んだ時、香里が若干嫌そうだったのだが──まあいい。遊ぶ気になったのならなんでもいいや。

「んじゃあ、とりあえず借りてくるよ」

 そう言って僕だけ室内に戻る。今年の始めに作ったカードのおかげですんなりと借りることができた。

「じゃあ、じゃんけんで対戦相手を決めよう」

 僕の提案に康多が指をチッチッチと振る。悔しいがその姿が様になっている。え、僕?やったら悲惨なことになると思うからやりません。手小さいし。

「そこはうらかの方がいいだろ」

 という康多。「うらか」というのは「裏か表」の略で同時に手を出して裏は裏どうし、表は表どうしで仲間or対戦すると言うものだ。

 康多の言う通りうらかにすると春歌vs康多、僕vs香里になった。

 まずは春歌vs康多の試合を観戦──。かなり早い段階で春歌の白駒が多くなる。康多は「オセロは後半逆転するゲームなんだ」とか言っているが結局逆転できないまま春歌の圧勝。

 続いて僕と香里の戦い。僕は春歌とは逆の戦い方で、前半はあえて少なめにしておいて後半逆転する戦い方だ。先手の黒駒は香里。僕は白駒で後手。いつも僕は後手からスタートする。ここら辺は春歌と同じ戦い方だ。しかし僕は序盤あえて一個ずつしかめくっていかない。元気が出てきた香里が余裕綽々の笑みで「めっちゃ勝ってる〜」と嬉しそうに言い、康多も

「高城、負けるんじゃね?将棋でもオセロでも勝てず何でなら勝てるんだよ」

 とバカにしてくる。と、いうわけで反撃タイム。まずは角をとるためにその隣に黒駒を置かせる。んで簡単に角をとる。その後は香里もヤバいと思ったのか角の隣には置いてくれにくくなったがそのさらに隣の方に白駒を多数並べることで、たくさん取れる角の隣に黒駒を置いてくれた。「ありがとうございま〜す」と言って角を取り、ついでにさっき黒になってしまった駒を白に戻す。これで勝利はほぼ確実になった。

 最後の方で香里が追い上げてきたが、そのまま逃げ切って勝利。

 決勝戦は春歌とだ……。はっきり言うとあまり自信がない。前はネットでオセロゲームをやりまくっていたが最近では忙しくてできていないのだ。まったくどうしたものか……。




 やべぇ、2000文字近くかいてしまった!!でもまあしばらくこちらの「初恋は叶わない」はボリューミーにいきますよ!!読者さんへのお詫びも兼ねて(笑)
 というわけで休日にはこのように投稿していきますので、よろしくお願いします!!!!


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part4 半年越しのいつメン

 お〜と〜つ〜ちわ〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜〜わ〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜〜♪
 って長いわ!!!!
 さて、「初恋は叶わない」のお時間です。あ、前話でお知らせし忘れたのですが、こちらは21時ではなく書き終わった後のキリがいい時間で投稿します。例えば10時3分に書き終わったら10時半投稿、10時47分に書き終わったら11時に投稿、みたいな感じです!!
 それではどうぞ本編、お楽しみください!!!!


「さぁ、オセロ最強と最強の決戦が今、始まろうとしています!!『第一回ボードゲーム大会オセロ編』の実況はこの俺、いやわたしくし、今澤康多がお送りします!!」

──……。なんか始まったよ。

「ゲストで初戦敗退の杵益香里さん、このゲームの見どころはどこにあるでしょうか」

 康多にいきなり話を振られた香里が戸惑いつつも答える。

「えっと……角を取れるかどうか……かな」

「おっと、先ほどの教訓を覚えているようです!!わたしくしとしましてはやはり先手後手が重要なのかと思いますが──」

 まあ、そうなんだけどさ。というわけで……。

『さいしょはグー、じゃんけんポイ!!』

「っしゃ!!負けた!!」

 僕が思わず叫ぶと康多がまた調子に乗る。

「お〜っと!?高城選手がじゃんけんで負けて喜んでいる!!その反面、橋立選手は悔しそうな顔!!普通のじゃんけんとは違う、違うぞ!!っともう試合が始まっている!!まずは普通に置く!!」

 いや、普通に置くもなにも特別に置くの?というか──

「ちょっと静かにしといて」

 あっ、春歌が先に注意した。

「はい、以後気をつけるようにしたいと思います」

 なんか願望だな。まあ、とにかく今はオセロに集中しなければ。とりあえず、今は春歌の黒駒が多い。ここまでは予想通りだ。試合は中盤に差し掛かっているのでそろそろ攻めに転じた方がいい気もする。

 それにしてもお互い見事なくらい角の2×2を避けてるな。でも上手くやれば、先に2×2に駒を置くのは春歌のはずだ。これだから後手はやめられない。さて、64-角付近の16で、48マスに置けるのだが、その48マスも残り僅かとなってきた。

 しかし──

「ない!!ない!!ストップストップ審判!!」

 48マス内はおろか、64マスないにも置き場がないのだ。後半で黒を増やしたがために、白の周りに黒がダーッと並んでいて、本当に置けない。くっ、攻めに転ずるのが早かったか……。

「審判、置くところが無いんだけど?」

「え〜、パスは二回までとする」

 っしゃ!!

「んじゃあパスで」

 しかし、このままでは僕が先に2×2を取ることになってしまう……。どうにかして春歌にパスさせたいが……。すると、

「パッス〜」

 えぇ!?ここで?でもこれはチャンスだ。んじゃあ48マス内最後のマスにおいてっと。で次に春歌が2×2内に置くから──。

「──ぬわぁに!?」

 置け……ない……だと?

 2×2の直線上は全て春歌の黒駒で埋まっている。つまり僕は白で挟むことができない。

 えぇ〜い、かなり無理やりだがこうなったら作戦変更だ!!とりあえず、角から攻撃できない、6マスのスペースを4つとも埋めることに専念する。全部埋められれば24マスは確実に取ることができるのだ。というわけでやってみよう♪

「え……」

 春歌が声を出す。

 僕は2×2内に置いたので、春歌は角を取る。そして次は僕が右上隅の2×2にポンと置く。春歌が角を取って、僕が2×2にポン、春歌が2×2にポン、の繰り返しで……。

「しゅ〜りょ〜」

 康多が叫ぶ。これはかなり微妙だ。外回りは春歌が多いが内側は僕がかなり取っている。

「んじゃあ、数えるぜ」

 ──そして……。

「結果発表!!『第一回ボードゲーム大会オセロ編』決勝戦は……33ー31で──春歌の勝ちー!!!!」

 うわぁ……2個差が一番悔しいやつや……。

「というわけで第一回王者は、橋立春歌選手です!!」

「やった〜〜。でも結構高城、強いね〜」

「ん、まあネットでやったりしてるだけだけど」

「あ、それ私も一緒〜」

 CPは意外と強いんだよね……、という話で盛り上がる僕と春歌。

 まあ、とにかく充実した休日だった……。




 オセロの話、角に干渉されない6マスとか48マスとか分かりますよね?まあ、分からない方は盤面見ながら考えてください。
 
 ブログの方でも書きましたが、期末テストまで2週間を切ったので、明日6月10日〜6月22日まで投稿お休みします。期末テストが終わったら、ブログもカクヨムもハーメルンも、さらには新小説も頑張りますので、お楽しみに!!
 
 それでは雲隠れ。ドロン!!


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part5 祝!?あれから一周年……

 祝!!「初恋は叶わない」30話アーンド2000UA6000PV!!!!!!
 ちょっ、祝って祝って(笑)
 いやぁ、おかげさまで30話そしてアクセス数がすごいです。僕が投稿している小説の中で一番長い作品ですからね〜……。なんか8月までに終わらせる予定だったけど終わらせたくなくなってきた……。できれば皆から惜しまれつつ無事ハッピーエンド♪みたいになってほしいんだけど、知名度0だからな〜……。この作品だけはたくさんの人に読んでいただきたい。文章力も低ければ執筆歴もまだ二年に満たないこの初心者の作品だけど、一番心を込めて書いた作品だから……。批判も評価も糧にしていきたい。
 皆さん、これからもどうぞよろしくおねがいします(*ーー)(*_ _)ペコリ


 半年ぶりにいつメンが集合した11月からもう2ヶ月……。今は1月だ。そう、あの告白からもう1年が経ったのだ……。

 僕の気持ちを理解してくれない冷やかし好きな友人たちは「あれ?もう1年じゃない?告れよ〜」などと言ってくる。しかし康多は違う。康多にも恋愛経験があるからだ。あれ、「も」……?じゃあ僕は恋愛経験があるのか……。というか恋愛経験ってどっからどこまでがそれなんだ。いかん頭がぐしゃぐしゃになる。

 今年の1月23日は火曜日だ。閏年ではなかったので去年より一日遅いだけ。まったくどうしたものか……。

「んで、来週の火曜日だっけか?」

 中学生になってから毎日のように放課後喋っている家の近くの倉庫で康多が聞いてくる。他の人なら「何が?」ととぼけるが康多にはすべてを話せる。

「あぁ……そうだよ」

「とりあえず動くつもりはない、と?」

「うん、まあそんな感じだね。僕が動くときはもうどうしようもなくなったときだね……」

 そう、僕は基本意気地なしなので、そう何度も何度も告白しようと思わない。というか一度でも告白するつもりなどなかった。でも1年前のちょうど今日1月19日……。想いが抑えきれず、康多と奈緒に言ってしまったのだ。「来週の月曜……」に告白する、と。あの時のように香里のことを──どう表現したらいいのだろうか……。今が甘酸っぱ苦い状態だとすると、あの時はもう味覚を感じない状態。息が思うようにできなくて、香里が視界に入ってくると苦しくなる、そんな状態。

 あの感覚がまた蘇るのはそう先の話ではない、そんな予感がするのだ……。

「んで、康多は椰子乃とのリア充ライフをエンジョイしてるかい?」

「ぶっ飛ばすぞ」

 話を変えようとしたら笑いながら睨まれた。

「んで、どうなの?」

 僕はスルーしてもう一度聞く。

「んまぁ、イチャイチャしてますよぉ、はい──ってなわけやろ!!」

 うん、でしょうね。康多がイチャイチャしてるイメージが沸かないわ。むしろ二人で騒いでるバカップルのイメージしか……ゴホンゴホン。

「そうかぁ、もっとイチャイチャしてたらおもしろかったのに」

 残念そうにそう言うと今度は真顔で睨まれた。ごめんなさい。

 うぉっと、5時の音楽が流れ始めた。1月だからねー。日が暮れるのが早いよ。

「そんじゃそろそろ帰りますか」

「ああ、そうだな、じゃ」

「じゃーね〜」

 遠ざかっていく康多の自転車を見送ってから僕も家へ帰る。

 

 週は明けて1月23日。

「広樹おめでとー!!」

「おめでと、おめでとー」

 いや……まじそういうのやめてください。マジ卍。──とかちょっと流行りに乗ってみる。乗るしかない!このビックウェーブに!!

 ゴホンゴホン。とりあえずうるさいやつらはスルーするか。うぅっ、我ながら寒いギャグを言ったもんだ。

 とりあえず別のクラスだから鉢合わせする可能性は低いが、鉢合わせしないようにせねば。コソコソ……コソコソ……。

「いや、お前ただの怪しい奴だから」

 あ、いやまあそりゃそうだろうね……。まあ鉢合わせしても反応しなけりゃいいだけさ。そう割り切って普通に行動する。

 その日は結局鉢合わせすることも見かけることもなかった。小説とかドラマならそこで何か起こるだろ!!と思ったが後から聞いた話だと今日は香里休みだったとか。あいつにしては珍しい……。

 放課後またまた康多と喋る。

「香里休みだったらしいね〜」

「あ、どうりで見なかったわけだ。漫画とかならここで鉢合わせして──みたいなのがあるはずだが、残念だったな」

 康多も同じこと考えてた。思わずクスリと笑ってしまう。

「うん?どうしたんだ、頭狂ったか?」

「いや、頭狂ってるのは元々──って誰がやねん!!」

 まったく、つい乗ってしまった……。

「いやさ、ロマンチック的な展開を求めてるのがおもしろくて」

「逆に高城はそういうの求めないのか?」

「いや二人とも求めてるのがおもしろかっただけ」

「なるほどな。確かに」

 この日も5時の音楽で帰る。ンジャメナ。

 

 さて……。一年が経ったわけだが、2年になって同じクラスになれるかが肝だな。そこら辺次第で結構変わるはず……。




 あ、やべえ7月くらいには話の内容がカクヨムの「初恋は叶わない2」https://kakuyomu.jp/works/1177354054884572277に追いついちゃう……。まあ、でも追い越しちゃっていいよね。ってか夏休み入ったらそもそも描写多めで書く予定だから、そんなすぐには追いつかないやろ……。
 というわけで明日投稿のhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054884572277もお楽しみに☆


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【30話突破記念企画】みんないつもありがとう!!
【30話記念】人物相関図&主要登場人物・著者トークショー


 皆さん、おとつちわ!!
 今朝投稿した話でこの「初恋は叶わない」が30話に達したことはご存知かと思います。そこで!!このとーっても複雑な人間関係をLibleOfficeの描画機能でまとめてみました!!
 この相関図で皆さんが「初恋は叶わない」をもっと楽しめますように☆


広樹:皆さん、こんにちは!!……でいいのかな?

康多:別にいいんじゃね?

音槌:できれば「おとつちわ」を……。

全員:皆さん、おとつちわ!!

広樹:「初恋は叶わない」主人公、高城広樹です。

康多:高城の友人、今澤康太です。

音槌:著者兼代hi……

広樹:それはまだ秘密ですよね?

音槌:おっと、そうだった。というわけで著者の音槌政旨です。

康多:んで、ついにこのシリーズが30話になったみたいだな。

広樹:そうなんだよぉ。なかなか進展しないんだけどね〜……。

音槌:というわけで、30話記念に「人物相関図」を載せてみようと、思いまして。

康多:え、ハーメルンって絵とかそういうの載せれると?

広樹:さすがに無料の投稿サイトじゃ無理やろ。

音槌:ふっふっふ。無料の投稿サイトを侮るでない。なんと載せれるのだ!!

広:康:な、なんだってーーーーーー!!

音槌:というわけで初の画像投稿、やってみるよ?

広樹:ほい!

康多:楽しみだな。

 

【挿絵表示】

 

音槌:……よし、これでokかな。

康多:俺たち3人には見えるが……。

音槌:ほら、僕らは画面の奥の世界の人だから。

広樹:それは言わない約束!!

康多:それにしてもよくできたな、こんなん。

音槌:いやぁ2時間くらいかかったよ。

康多:あっ、いやこの投稿サイトのことです。よく挿絵投稿できるなぁ、と。

音槌:ガビーン……。

広樹:い、いやいや音槌さんも頑張ったと思いますよ?ねえ、康多。

康多:あ、うんまあそうだな。音槌さんはよく頑張ったと思います(棒

音・広:棒読みじゃねえか!!

音槌:2時間かけて作ったんだからもうちょっと褒めてよ。ほら画面の向こうの君も。登録しなくてもコメントできるからね?

広樹:さりげなくコメントを求めていくスタイル……。

康多:まあ、でもすごいと思うぜ。俺だったらこんなの作れねえもん。

広樹:僕は頑張れば作れるけど……。

音槌:いや、せっかく康多君が僕のこと褒めてくれたんだからさぁ……。

奈緒:やっほ〜。ってなんか息が合ってなさすぎじゃん!!

広樹:おっ、奈緒。お久〜。

奈緒:お久〜。音槌さんはじめまして〜。

音槌:奈緒さん、はじめまして〜。よろしく〜。

康多:あれ、奈緒は音槌さんと会うの初めてなんだ。

広樹:あぁ、各シリーズの中心人物は音槌さんと話の前に会うけど、それ以外は会わないらしいよ。

音槌:そうなんだよ。

康多:でも奈緒はそこそこ出てるくないか?

音槌:あまり人数が多いとお茶代がかさむから……。

広・康・奈:そこ!?

広樹:って、ていうかさ、もう1000文字越えちゃってるんだけど?

康多:公開で喋るのは珍しいからつい喋りすぎたな。

広樹:ってか香里は来ないの?

奈緒:あ、呼んでるんだけどね──あ来た来た。

香里:こんにちは〜。

康多:そこの空いてる席座ったら?

広樹:……(なんでわざわざ僕の隣に……)

音槌:じゃあこれからは「初恋は叶わない」の中心メンバーはこの4人で──

ヒェーリー:やあ☆

康多:お、マッスー。

広樹:遅かったね〜。

ヒェーリー:いや駅でさぁ「スリーボックススリーライン、ドコデスカ?」って聞いて何人くらい分かるか試してたら全然誰も分かってなくてさぁ。

広樹:何やっとんじゃ(笑)

康多:スリーボックス……?スリーライン?

香里:私、分かったよ〜?

音槌:僕は松原秀行さんの「パスワードシリーズ」にそれ乗ってたから知ってるよ。

広樹:う〜ん……。

奈緒:あ、私も分かったかも。

広樹:分かった!!

康多:分かんねし。ギブアップ!!

ヒェーリー:じゃあ正解を皆さん同時にどうぞ!!

広・奈・香・音:品川駅!!

康多:?

ヒェーリー:正解〜♪あれ、康多?

康多:あ、そういうことか!!こんちくしょ〜……。

音槌:じゃあ答えも分かったところでそろそろお開きにしようか。

広樹:あ、1500文字越えてる。

音槌:それでは皆さん、最後まで……

全員:閲覧ありがとうございました!!

音槌:またキリのいい時にトークショー的な何かやります!!




 はい、というわけで長くなってしまって申し訳ない。これで挿絵表示されなかったらどうしよう……。僕の3時間を返せーーーーーーって言いたくなりますね。
 あ、最後に言っていた、キリのいい時にトークショー的な何かやる、というのですが、8月のブログ2周年のときにブログの方でやろうと考えています。今連載してる6シリーズの主な登場人物オールスターズで。お楽しみに〜!!
 というわけで皆さん、コメントとコメントとコメント、ください!!こういうのって面白いですよね、ね?ね?(威圧)なのでそういうコメントを(笑)
 それでは今日はここまで。皆さん閲覧ありがとうございました〜♪


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Season7 最初で最後の大ピンチ!?
part1 ドキドキ!運命のクラス替え!!


 おっっとっつっっちっわっっ!
 というわけで通常モードに切り替えての「初恋は叶わない」です。
 今回から広樹達が中学二年生という青い春真っ只中になります。これは……何かあるね〜?
 さあ今回何が起こるかお楽しみに。皆さん、楽しんできてねぇ〜。


「おはよぉ〜」

 僕は康多とマッスーに伸び伸びとした挨拶を送る。しかし返ってきたのはかたや不機嫌そうな声、さらにもう一つは疲れ果てた声。

「はよう」

「ん〜、おはよ……」

 康多はいつも寝不足なうえ、低血圧なので朝のテンションが低いのは分かるが、マッスーはいつも僕のように早寝早起きなはずだから珍しい。

「マッスーどうした?寝不足?」

 そう聞くとマッスーはあくびを無理やり抑えて「グフッ」という音を出しながら答えた。

「そうなんだよ、まったく困っちゃうね。クラス替えってこんなに緊張するものなのか」

 えっ、マッスークラス替え初めてなの?

「フランスはクラス替えないの?」

「他がどうか知らないけど、僕のところの小学5年間はクラス替えなかったよ」

「ん、じゃあ6年目はあったの?」

「いや、元々フランスは5・4・3制だから」

 あっ、そういえばそうだった。フランスは小学校5年、中学校4年、高校3年と日本と少しずれているのだった。

「あれ、じゃあ中学の1年から2年は?」

「クラスが1つだった」

 あら、それは悲しい……。まあそこから来るといきなり4クラスシャッフルされるというのはなかなか緊張するのだろう。しかも好きな人もいるしね☆

 まあ、クラス替えを6回経験している僕でも緊張するけどね。

 

 そしてクラス発表の時がやってきた……。

 小学生のころは前学年の廊下の壁に貼ってあったが、中学校は誰が何組か先生が読み上げていくようだ。

 下山先生が男子から出席番号順に読み上げていく。

「……康多、3組…………広樹、2組………マッスー、4組……」

 あっ、先生もマッスーのことマッスーって呼ぶんだ。それにしても昨年度に引き続きどうしてこうもバラバラになるのだろうか……。

「さあ。問題は誰が香里と同じクラスになるかだね」

 マッスーがニヤニヤしながらそう言って僕に近づいてくる。意外とポーカーフェイスはできないのか。

「香里は3組じゃない?」

 僕が冗談めかしてそう言うとマッスーは慌てた表情で「それはやめてくれ!」と言う。

「広樹ならいいけど康多は香里と結ばれる可能性が高そうだからね」

「ちょ、地味に僕の事ディスってない?」

 と答えてからハッとなった。康多は椰子乃と付き合っているのになんで香里と結ばれるという話が出てくるんだ……?それをマッスーに問うと「広樹にとってキツい話かもしれないけど……」そう前置いて話し始めた。香里周辺の恋愛関係の話を。

 

 3月末に僕とか紗理奈とか広樹とかと花見に行ったじゃん?そんときの様子をたまたま──まあ僕はたまたまとは思わないけど──見てたらしくてね、春休み中に椰子乃が康多を呼び出したんだって。それでお互いにカミングアウトしてね。まず椰子乃が『3年前別れたときも同じ理由だった』ということ、そして康多は『椰子乃ではなく別の人を好き』ということを言って、別れたらしい。

 え、康多の好きな人が誰なのかって?それがこの話をキツい話だよ。確証があるわけじゃないけど僕の予想では香里、そう思ってることを康多に電話で話してみたんだよ。そしたら『さぁね』ってさ。否定しないんだよ、怪しいよ。

 

「……ソースは……?」

 僕は震えを隠して尋ねる。

「ソース……、あぁsourseのことか。椰子乃と同じ合唱部の人が見てたって」

 滑らかな発音だ……。ってそんなことはいいとして。それが本当だったら……。

「2階行こうぜ〜」

 別の人と喋っていた康多がやってきて3人で2階へ向かう。マッスーが別れ、康多が別れ、僕も2組の教室に入る。

「っ!!」

 その瞬間、危うく叫び声を出すところだった。いや、さすがにこれは僕を褒めてほしいくらいだ。香里が目の前にいて卒倒しなかった僕を褒めてほしいくらいだ。なぜ香里が目の前で莉奈と話しているか、瞬時に考えて結論が出た。──そうか僕は香里と同じクラスになったんだ、と理解する。

「高城、おめでとー」

 同じクラスになった椰子乃がそう言って小声で冷やかしてくる。僕は華麗にスルーして自分の席へ向かう。

 

 放課後、康多とマッスーから手荒な祝福を受けた。まあ、良くない話はあるけど、同じクラスになれたというのは間違いなくいいことだ。今、この瞬間を喜ぼう。




 どうも。1のマッスーと2の渕津は同じポジションですね〜。あとは椰子乃と矢野とか。広樹、康多、香里、奈緒は1も2も同じですからあれですけど、どんどん1と2が近づいている予感……。
 まあどっちにしろ夏休みに追い越すんですけどね〜♪
 
 では、明後日の「初恋は叶わない2」もお楽しみに!!


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part2 渦巻く心中

 おっとっつっちっわ〜〜!
 本当は昨日投稿するつもりでしたが忙しくて無理でした。え、暇人だろって?キ・ノ・ウ・キョ・ウ・ナ・ゼ・カ・メ・チャ・ク・チャ・イ・ソ・ガ・シ・イ……。宿題・作文・執筆×4本、ブログ×4本、部屋の片付け、新小説プロット作り──どういうこっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!音槌政旨は暇人だから音槌政旨なんだぞ!!それなのに何故忙しくするのだ、暇神よ!!まだ祈祷が足りないのか。よしやってやろう。暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇暇
──強制的に本文へ移動します──


(おっはよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ)

 僕は教室に入るなり大声で挨拶──をするはずがない。普通に後ろから二番目の席に行ってカバンを置いて荷物出して宿題を教室前方の給食台に置く。給食台はユーティリティスペースだ。

 5、6m離れた香里の席を、自分の席に戻りながら横目で見る。本人はまだ来ていない。駄目だと分かっていても無意識に目線が行ってしまう。末期かな。

 僕は自分の席に戻ると本を取り出し開く。しかし集中できない。おかしい。集中するために本を読もうとしているのに全く集中できない。こんなこと初めてだ。

 仕方なく顔を伏せて目を閉じる。

「おはよぉ〜高城」

 通路挟んで隣の席の椰子乃がそう言ってカバンを机に置く。

「大丈夫?死んでる?」

 そう言って頭をペシペシ叩いてくる椰子乃。女子にちょっかい出されてもやりかえせないんだよなあ。いや椰子乃は男子認定で──殺気を感じたので読書して集中しているふりをします。全く集中できてないけど、これまでの上積みで「読書してる高城=話しかけても反応無いほど集中してる」というイメージが定着しているから大丈夫なはずだ。

 そうそう、反対側の隣には鳥越知華という女子がいて、なんと小説を書いているのだ。いやメインは絵だろうけど。どこで投稿してるかは教えてくれない。こちらは教えているのに、ちくせう。というか知名度が違いすぎて知華は広めなくていいんだろうな。こちらは……まあ皆様の予想通り知名度最底辺にいます。

 

 香里が来る。僕は時計を見る。7時57分。何故いつも8時3分前なのかが気になる。電波時計でも持ってて8時に着くつもりなんだけど教室の時計が3分遅くていつも7時57分に着く、みたいな?ないか。

 朝読書の時間も近づいているので、本の方に目を向ける。

 今読んでいるのは浅葉なつさんという小説家の「神様の御用人」シリーズだ。いい話なのでぜひ読んでほしい本だ。というか僕が読む本は大体ほっこり系なのでそういうのが好きな人は僕におすすめを聞けばいいと思う。なんたって昨年度の図書貸出冊数1位ですから。今年は少しさぼっているのと強敵が同学年に現れたこともあり、ランキング圏内から外れている。まあ昨年度ので特製しおりをもらったからいいんだが。

 

 この状態に慣れるのが先か、抑えきれずに告白するのが先か。しかしできれば告白はしたくない。二回も同じ人から、なんて迷惑以外のなんでもないだろうから。でもこの恋を叶えたい。言い過ぎかもしれないが香里を手に入れたい。そんな理性と欲望が自分の中で渦巻いていた。




 ちょっと今回ここまでです。
 というか来週まで1000文字くらいかもしれませんが、夏休みに投稿頻度を上げるのでそれで我慢してください。 
 では!!


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part3 最初で最後の大ピンチ!?

 どうも、おとつちわ!!前回の件で初恋は土曜のうちに投稿するものだと実感しました。
 あ、タイトル若干含ませてます。ふふっ、何が起こるかはお楽しみに♪


「暑い……」

 いつもの倉庫横。いつもの時間。いつもの自転車の向き。いつもと違うのは康多がさっきから「はぁ……終わった……」やら「くそマジあんなやつに負けるとは思わなかった……」やらブツブツ言っていることくらいだろうか。

「どうしたの?」

「……」

「お〜い、死んでますか〜」

「……死んでる」

「wwww」

 思わず笑ってしまう。まあ康多のことだから言うとは思ってたが。というかそのために死んでるか聞いたんだが。

「んで、ほんとにどうしたの?告ってフラれた?」

「……そうじゃなきゃこんなに落ち込んでないぜ」

 まあそうだろ──って、え?は?嘘でしょ?え、いつ?

「いつ告ったんだよ」

「まあ嘘だけど」

 途中で勘づきました。

「んで、何が『終わった』の?」

 そう聞くと康多は顔を上げ、断片的に説明してくれた。

「まじあいつに負けるとは思わなかったんだけど負けて、1学期中にしないといけなくなった……」

 いや、あの……。

「最初から順繰りに話してくれ」

 

 期末あったやん。そんときに女テニのやつから、あ誰かはまあ考えろ。んでそいつから「どちらが勝った教科が多いか競わない?」って言われて、俺が負けたら香里に告るって条件付きで。まあ負けるとは思わなかったから受けたわけよ。んで音楽以外返ってきて、4ー4。音楽次第なんだけど、まず俺が76点。……どうせ高城より低いし。で、そいつは99点。化け物だろ!!ってわけで、最初は月曜日つまり1、2……4日後?に告れって言われたんだけどなんとか交渉して1学期中、になったんだけどさ……。

 

「……」

 マジで?という言葉しか出ない。いやでも康多はネタという名の嘘をよくつくからな……。康多は基本的にいいやつなんだが冗談が過ぎる時があって、それで一部から恨まれてるとか何とか……。

「えっと……本当のこと?」

「そりゃそうだ」

 いやそんな当たり前みたいな顔しないでくださいよ。まあ、でも誰にでも一つ冗談があっていいのかな。康多は言動が冗談で僕は顔が冗談……。

「まあそんなわけで1学期中には告るからな」

 ……はぁ。

「……?」

 僕はため息をついた後康多の方を向くが疑問そうな顔。あれ「冗談だよ」の言葉が来ると思ってたのに。

「本当なのね?」

「あぁ、あとその女子からこう言われてさ……」

 

「かおりんにね、『もし康多に告られたら付き合う?』って聞いたの。そしたらね最初『う〜ん……』って言ってたけど『付き合うかな』って言ってたよ。だからさっさと告りなよ」

 

「って」

 あれ、これちょっと……いやかなりヤバい感じのやつ?え……そんなん聞いてない聞いてないって。え、じゃああと数週間のうちに香里は康多のものに……?

「そんなん嫌だ!!!!!!」

「高城!?」

 無意識のうちに僕は走り出していた。どこへ向かうでもなくただ動き回りたかった。

 これが現実逃避というものか?




 ヤバいですね……。
 さあ広樹よ、康多より先に告るか、康多がフラれるのを祈るか。
 来週をお楽しみに!!!!


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part4 最初で最後の大ピンチ!?#2

 おとつちわ!!
 昨日、辛い出来事があったので空元気の音槌です!!(誰か慰めて……)
 というわけで本編どーぞ!!


 明日で1学期は終わる……。

 1学期最後の昼休み、僕はマッスーと並んで廊下に座っている。

「……」

「……」

 長い沈黙。

「よう」

 康多がやってくる。

「やあ……」

「やらないのか?」

 僕らの前に立ってそう聞いてくる康多。

「やりたいけどさぁ……」

 そう言うと康多は自分のクラスへ戻っていった。

「どうしたんだ、康多は」

「さぁ?」

 すると一分もせずに戻ってきた。

「ここに輪っかがあります」

 そう言ってビニールテープを割いて作ったような紐の端と端を合わせる。

「まあ見りゃ分かるよ」

「で、この穴の中に手を入れると50%の確率で欲しいものが手に入ります。入れますか?」

「そりゃ入れるよ」

 僕は即答する。

「じゃあ告ってこい」

 えぇ……?

 でも確かにあと15分ほどで昼休みは終わる。行くなら今だ。でも……でも……。

「……足が動かない……」

 今動かなければ終わるかもしれないのに。今動けば始まるかもしれないのに。怖い。動いても動かなくても怖い。

 康多に取られるなんて嫌だ。でも動けない……。嫌だ。怖い。

 葛藤が終わらない。どうすれば楽になれるのだろうか。恋なんてしなければ……こんな辛い思いしなくてよかったのに。1年半前告白していなければこんなに引きずることはなかったかもしれないのに。もし僕がこの世にいなければ、僕も辛くないし、香里も迷惑被ることもなかったのに。

 それでも僕は……香里のことを──

キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン。

「チャイム鳴っちまったな」

 いつの間にかマッスーはいなくなっている。

「康多は……」

「うん?」

「康多はいつ告るの?」

「……まあ明日だろうな」

 もうどうとでもなれ!!!!!!!!

 

 そして1学期最終日。終業式で僕は倒れた。

 連日の暑さと、連日の葛藤のせいで眠りが浅く、熱中症になったようだ。まぶたが痙攣し、眩しくなりブラックアウトし……。

 気がついたら保健室にいた。経口補水液を飲み、なんとか回復した僕は教室に戻った。

「うぉ、高城大丈夫だったか?」

「ああ、うん。ありがと」

「終業式面倒くさいからってズルいぞ(笑)」

「そんなこと言うなし!!」

 通知表を受け取り先生の話を聞き、挨拶をした。

 教室を出て、康多やマッスーと合流する。

「で、どうするんだい?」

「ってかマッスーはしないの?」

「別に」

 そうなのか。

「僕は言いたいけどさぁ……」

「じゃあやれよ。俺が取っちまうぞ」

「そういう問題じゃないんだって」

「そう言う康多は?」

「俺は……」




 おっといいとこで終わりましたね〜w
 あ、夏休みに入ったんで不定期更新です。お楽しみに〜。


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part5 最初で最後の大ピンチ!?#3

 今話でようやくSeason7が終わります。
 あと、夏休みで不定期更新なのに結局週一になってしまい申し訳ないです。8月後半には更新ペースあげれるのでお待ちください(*ーー)(*_ _)ペコリ


「そうだなぁ……。ってか一学期中だろ?登校日も含まれないか聞いてくるわ」

 そうか、そうだった康多はもう近いうちに告白をしなきゃいけないんだった。

 康多は3組の前にたむろっているうちの一人に近づいて何か話す。

「あの人だったんだね。あの人ってそんなに成績良かったっけ?」

「いやそれはさすがに言い過ぎ」

 マッスーがちょっと毒舌を吐いたので軽くたしなめる。

「──かおりん呼んでくるね!!」

 

 え──?

 

 僕もマッスーも固まる。康多は慌てているようだ。事の発端となった女子は香里のいる方へ駆け出しさっさと戻ってくる。康多の前に立つあたり香里はもう勘づいているんだろう。

「ちょ、空気読んで一旦引こう!」

 なんとか立ち上がった僕はマッスーの手を引いて階段の影に隠れようとする。

「いや、僕は見ておくよ。どうせ会話も聞こえないしね」

 それならまあいいか。でも僕は、

「隠れとこ」

 と言いつつチラチラ見る。まあマッスーの言ったとおり何を話しているかは聞こえないが。

 でもやっぱり怖い。僕は見たいけど目を強く閉じてしまう。そして康多達がいる方とは逆を向いて目を開け、階段に向かう。

 一階と三階の間の踊り場の壁に寄っかかり康多とマッスーを待つ。

 ──あの様子だと90%成功するだろうな。電話ででもいいから先に告白すべきだったっかなぁ。いやでも香里がもう気持ちを固めていたら意味ないし。まあ、とにかく終わったことだからもう潔く祝福しなきゃ。

 そう思って壁から離れた途端康多とマッスーが廊下を曲がって階段を降りてきた。何故か僕をスルーする二人。あれ……?

 僕は自転車小屋まで行ってから康多に話しかける。

「これは……結果を聞かない方がいい感じ?」

 まあ一応聞いておこうかと。

「いや、別に」

 あ、大丈夫なんだ。僕は一応周りに誰もいないか確認する。

「んで、どうだったん?」

 康多は溜めて溜めて溜めて、それはもう気が遠くなるほど溜めて言った。

「『考えさせて』だってさ」

「……おめ──ってあれ?じゃああいつが言ってた『香里は康多から告られたら付き合う』というのは?」

「嘘ってことだな」

 まあそれならそれで。

「まあでも確率が高いことは間違いないし」

「さあ、それはどうだろうな?」

 康多はそう言って自転車を出しこちらに向かってくる。僕も慌てて自転車を出しマッスーの方へ行く。マッスーも自転車を出す。そしてまたいつもの倉庫横に向かって走ろうとした。

「あ、ごめん俺今日無理だわ」

「米を炊かなきゃいけないんだ」

「じゃ、了解」

「んじゃ」

「サラダバー」

 僕らは3方向に散って行った。




 はい!!次話からSeason8ですが、シリーズ二回目の山場が来ますよ〜♪題して「Season8 本当に初恋は叶わない!?」です☆
 お楽しみに〜。


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Season8 初恋中断のお知らせ
part1 夏祭り帰りの意味深発言


 ちょっと読書感想文が行き詰まったので息抜きがてら投稿します。
 あそうそう、去年の夏も話していたハエトリグモ、先日見かけました!!また「ハエトリグモ観察日記」をしなきゃですかね?
 
 というわけで本編どうぞ☆


「で、明日は何時集合にする?……あ、1時だと間に合わんかも。1時半で……うん、了解了解。んじゃ……」

 僕は電話を切り別の番号にかける。

「もしもし。ヒェーリーさんのお宅でしょうか。……。え?今なんて。パーンミーって何ですか?……。プリースウェイトは待っててください、か」

 受話器の奥で何かが聞こえる。っていうか今電話に出たのはマッスーのお母さんなのかな?

[やあ、高城。うちの家政婦がすまないね]

 え、家政婦?なんちゅうお金持ちじゃ……。

[で、何のようだい?]

「あ、うん明日のことなんだけど」

[いつでも空いてるよ]

「1時半に図書館の奥の将棋スペースで」

[了解]

 電話を切り、自分の部屋に戻る。優雅な(?)執筆のお時間だ。

 

──ありゃ。こりゃ早く来すぎたな。

 自転車小屋に来た段階で康多のもマッスーのも自転車がなかったのでそう思ったが、鍵を抜いて歩き出すとベルが聞こえてきた。

 慌てて振り返ると康多だった。

「お、康多」

「やっぱ高城だったか。マッスーは?」

「まだみたい」

「とりあえず入るか」

「借りといてくれ」

「分かった」

 目的語を言わずとも伝わるとは……。まさか……エスパーか!?

 ま、とりあえず将棋盤を確保しにいこう。って空いてるんだけど盤の目の前の椅子を使われてる……。

「将棋と囲碁の盤、場所交換したら?」

 右手に将棋のコマが入った箱を持った康多がそう言う。確かに囲碁盤の方は誰もいない。

「よし。いくよ〜」

「囲碁盤でかっ!おもたっ!」

 康多が小さく叫びながら囲碁盤を運んでくれる。ありがとう、私は非力なのだ……。

「康多、お前はいいやつだったよ……」

「いや死んでないからな!?」

 あら、ボケとツッコミが逆転した。

「よし、じゃんけん、」『ぽい!』

「お、いたいた。将棋んとこが分かんなくてさ館内ぐるぐるしてたよ」

 じゃんけんをして僕が勝ったところでマッスー参上。

 

 将棋の結果はvs康多が3戦全敗、vsマッスーが1戦1勝。マッスーは初めて将棋をしたそうな。さすがにそこに負けるわけにはいかないぜ。

 

 

 夏祭り本番では花火を見るところが偶然香里の目の前だったり、冷やしパイン買おうとしたら香里とぶつかりそうになったり、途中で会った紗理奈から「告りなよ〜」と言われたが華麗にスルーしたりして、今年の夏祭りは終わった。

 

 

〜帰り〜

「高城」

 いつになく低い康多の声。

「ん?」

「俺さ……香里から返事もらったと思う?」

 こんな質問をしてくるってことは…………。

「返って……きたんでしょ?返事が……」

「……」

「じゃ、また登校日な」

 いつものトーンでそう言って自転車を加速させる康多。

「まあ……いいか」

 そうは呟いたものの僕の中には「焦り」が生まれてきていた。




 さあ、本物のクライマックスがもう、すぐ!!──と言いたいところなんですが、そんな『簡単に終わらないのが恋』。
 ムフフ、次話も楽しみにしててくださいね〜♪


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part2 (一時的に)恋愛やめます。by高城広樹

 サブタイ、決してふざけているわけではありません。次話からちょっと主人公は康多になります。2話ほどで交代にはなると思います。
 それでは本編どーぞー(銅像)!!


 8月6日。全校登校日 放課後。

 僕は康多から結果を聞くのを、楽しみ半分、覚悟半分で待っていた。

 場所はいつもの倉庫横ではなく、僕の家の前の日陰。登校日は半日も経たずに終わるので、10時半頃に帰宅となる。夕方ちょうどよく日陰になる倉庫横。しかしこの時間帯は日影とは無縁であり、灼熱の地獄となる。

 日陰に向かい合わせで自転車を止め、目を合わせる。

「さあ、聞かせてもらおうか」

「何を?」

 この期に及んでまた言わないつもりか。しかし今日は1時間以上時間がある。しっかり問い詰めよう。

「夏祭りの帰り、あんなことを言ったからにはしっかり聞かせてもらわないと」

「ああ、あれのことか」

 あ、本気で分からなかったのか。それは申し訳ない、と心の中で謝ってさらに問い詰める。

「んで、どうだったんだ?」

 すると康多を二本指を出す。

「広樹に言わない理由が二つあった」

 ──『あった』……?

「一つはもうなくなった」

「じゃあその理由は?」

 康多は西を向いたまま指を一つたたむ。

「一つ目。電話を貰ったときどっちか分かんなかった」

 あ、やっぱり返事は貰ってたのか。だろうな。僕の心の中は、覚悟半分、祝福するつもり半分になっている。

「電話だからさ、聞き取りにくいやん?だから」

 ふむ。二つ目は?

「もう一つは、これを言ったらもう分かると思うけど──」

 

 ついに来たか、この時が……。

 

「高城ってメンタル弱いやん」

「いや、もう康多が告った時から心積もりはしてたから大丈夫。で?」

 康多がスーッと息を吸う。

「今朝女テニのやつに言われたから」

 何を?──ってどうせアレでしょ。

「『おめでとう』って。まあそれでああ、本当なんだな、って分かった」

「つまり結論は〜〜〜〜〜〜?」

 

 ……。

 

「香里から、オッケーを貰った」

「おめでとーーーーーー!!!!!!」

 僕は思わず叫んだ。

「大事にしろよ?これでもし1、2ヶ月で別れたら即行で僕が奪うから。あっはっは」

「いやいやあと1ヶ月くらい夏休みだし」

 そうですね。(笑)

「とりあえず康多は帰ったら香里に電話掛けなきゃじゃんね!」

「なんのだよ」

 女心が分かってないやつめ(作者注:超巨大ブーメラン。付き合ったこともないやつが何を言っている(自分もだが))。

「なんで?『付き合ってくれてありがとう。愛してるよ』くらい言わないとでしょ。ふふ」

「いやいや、なんでかけなきゃいけないんだよ」

 まったく、そんなんだから椰子乃とすぐに別れるんだぞ。しかも二回も(作者注:超巨大ブーm─(ry)。

「まあかけることだ、はっはっは」

「……」

「ん?どうした?」

 康多が黙り込む。

「……。高城、無理してないか?」

 え?

「全然?え、逆になんで?」

「なんか無理やり明るくしてるというか……」

「ダイジョブダイジョブ。あっはっはっはっは」

「やっぱ無理やりじゃね?」

「別に?」

 だって僕は一度ここでセーブすることを決めたから。一旦香里への恋心は忘れて秋の生徒会長選挙に向けて集中しようじゃないか!!香里との関係性?60点近く差があるけどテストでのライバル。2学期中間では絶対に……勝つ!!!!




 いやあ、バッドエンド(終わらないけど)でしたが広樹の隠されたポジティブさがでてきました。
 これならきっとこれからもだいじょうぶでしょう!!
 
 それでは〜。


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part3 彼女を大切にしたいです。by今澤康多

 どうも、またも作文が行き詰まったので息抜き執筆です。
 前回言っていたとおり、今回と次回は康多視点です☆お楽しみに。


「はああああぁぁぁぁ……」

 俺は昼食を食べ終わってからの2時間半ほど、布団に倒れこみ溜め息を吐きつづけている。

 

◇ 

 

 それはなぜか。理由は昨日の昨日にある。8月6日、中学校への登校日だ。

 簡単に説明すると、俺は7月末に香里に告白した。その日返事が帰ってきたものの、電話だったためうまく聞き取れず、高城への報告ができなかった。

 ──いや、これは建前だ。高城に結果を言えなかったわけ、それは……高城にこれを伝えると高城のメンタルが壊れるんじゃないかと思ったからだ。

 

 実際昔「俺が香里と付き合ってたらどうする?」と聞いたことがある。その時高城ははっきりとこう言った。

「ん〜そうさねえ〜……。発狂するね」

 そう言って大笑いしていたのだ。

 

 それは冗談も含めている、わけではないように俺は感じる。高城のメンタルの弱さでは本当に発狂するんじゃないか、そう思った俺は8月6日、少しずつ真実を打ち明けていくことにした。

 すると高城は「覚悟できてたし」と言って笑った。いかんせん他のところでも笑いまくってたのが気になったがそこはおいておこう。

 問題は報告した後高城に言われ、学校にいるときには女テニのやつらから言われた「大事にしなきゃ」という言葉。これが俺に重くのしかかってきた。高城からは加えて「電話掛けなきゃじゃんね!!」という言葉ももらったが、何を伝えればいいんだ。「愛してる」とか言えるわけないじゃねえか。

 でも……香里を好きになってから4ヶ月ほどで高城と比べたら5分の1近い短さだが、高城の方が想いは強いかもしれないが……俺はせっかくできた彼女である香里を大事にしたい。

 しかし俺は本当に何をすればいいんだろうか……。

 

 

 と、それを考えつづけているといつの間にか夕方になっていた。時がすぎるのは早いもんだ。そしてこのまま考えつづけていればあっという間に夏休みが終わってしまうだろう。そう考えた俺は立ち上がり、机の上からノートパソコンをとってくる。久々に高城とブログでも読むか。あと高城の香里への想いを再確認するために「実写 初恋は叶わない」を観ようじゃないか。

 そして俺はあと一ヶ月ある夏休みの間は全力でダラけよう。その後は怒涛の2学期だからな……。

 

〜語り手〜

 康多のこの発言がのちに大きな後悔を生むこととなる……かもしれない。

「夏休みの間は全力でダラけよう」

 つまりは香里に対して何もしないということなのだろうか……。

 

 この4ヶ月後自分がどんな感情を抱くかも知らずに、今澤康多の日常は……

 

つづく




「実写 初恋は叶わない」の説明。
 ・高城○樹が書いていた日記を、作家音槌○旨の手で表現を豊かにし出版された「片思い系ラブコメ」のドラマ版である。
 ・書籍化→漫画化→アニメ化→映画化→ドラマ化という異例のルートを辿り大注目される。
 
 ・という、音槌政旨の夢物語である。


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part4 非日常だけど日常by今澤康多

 おとつちわ!!(15時投稿予定でしたが遅れて申し訳ない)
 宿題の提出がすべて終わったので、今日から全力で投稿していきます♪というかほぼ毎日投稿していきます!!
 ☆


〜学年登校日・課題提出日〜

 7時35分。俺は教室内に入り、大きくため息をつく。

 ひたすらため息をついていたあの日から2週間近く経ってもため息が零れる。しかし何か変わったかというと、ため息が上手くなっただけだ。──結論、ため息をついても何も変わらない。

「おはよお♪康多」

「康多ぁ、あの後どうなん?」

「高城はどうなの?」

「もう、かおりんと色々したの?」

「やめなよぉ〜、って康多それ本当?」

 女子テニス部のやつら、というより小学生のころからソフトテニスをやっていたやつら、が群がってくる。朝は低血糖だから返事するのも面倒くさい。──ご飯食べれば?という意見は受け付けておりません。ちゃんと食べているので。

 というか色々したって何をだよ。

「ほら、否定しないってことはそうだよ〜。んで、どうだった?」

「……。いや何が?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜」

「してるわけがねえよ」

 うん、何もなかったことにしよう。

「電話くらいはしたでしょぉ?」

「いや、別に」

『えぇ〜!?』

 え、そんなに驚くか?俺は後髪をかく。

「え、ほら付き合ってもらってしかも色々させてもらったんだから──」

「いやしてないって」

「──ふ〜ん。まあでも付き合ってもらってるんだから一日一回は『付き合ってくれてありがとう。愛してるよ、キラーン』くらい言わなきゃ〜」

 高城と発想同じか!!まあ高城に言われるのはまあいいんだけど何も知らないこいつらに言われたくはないな。

 まあとにかく逃げるか。

「ちょっと用事あるから」

 と嘘をついてヒェーリーの4組の方へ行く。あ、まだ来てない。高城は……っと。居た居た。

「はよお」

「おお〜おっはよぉ〜。あ、自由研究持ってきたよ〜。ってか家出る直前に気づいたんだけど……紐付けてなくね?」

 あ……。

「とりあえず釘は6本打ったから強度はオッケーだと思うけど」

「まあ、いいんじゃね?」

「うん、まあうん、下山先生に渡しといて」

 あれ、高城が出すって話じゃなかったか?そう思ったが、提出まで高城がやる、という話だったか、持ってきて、と頼んだだけかが思い出せないから、パッとうちのクラスの配膳台に乗せておいた。

 ──っていうかやっぱ高城、妙に明るいよなぁ。きっと本人に言うと、「いや、恋愛関係の悩みがなくなったから、あっはっは」と言うんだろうけど。こちらも過去のことは色々隠しているからまあお互いさまだ。

 まあ、とりあえず今日は帰ったら香里に電話をかけてみるか。果たしてどうなるかは分からないけど。




 と、いうわけで康多編終わりです。
 とても続きが気になりそうな所で終わっちゃいましたが……。
 あそうそう、今回で40話です!!!!(あ、記念短編かかなきゃ)
 ではまた明日もよろしくお願いします!!


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Season9 香里・康多カップルの行方
part1 なんでいきなり勉強会!?


 目指せ毎日投稿シリーズ、第二弾〜〜〜〜いぇ〜い!!!!!!
 というわけで皆さんおとつちわ!毎度お馴染み音槌政旨です☆
 今日からはまた広樹視点ですよ♪


【……と、いうわけで勉強会することになった。高城はいつなら空いてる?】

 一応週末以外は空いてるが……。

「週末以外なら空いてるけど……そこは君たち二人で行くべきでしょ?初々しいカップルの初デートなんだし」

 それを邪魔するのはさすがに無理っす。というわけで……。

「勉強会、ふs──」

【去年の冬、バレンタインに遊びに誘われて仕方なく行ってあげたのは誰かなぁ〜。確か今澤康多とか言ったような……】

 くっ……。確かに僕が香里に告白した半月後、遊びに誘われたとき、康多は来てくれた。

「でも、立場が違うよ」

【週末以外な。了解了解。仕方がないからマッスーも誘ってやるよ。んじゃ】

 ガチャッ。……ツーッツーッ。

 

 僕は康多に幸せになってほしいんだ。僕は一旦、香里への恋心は封印しているから、僕のことなど気にせず日々を楽しんでもらいたいんだ。

 それに僕がいたら、一年半前の友達だったころと同じだ。香里と康多は付き合ってるんだし、二人きりで行動してもいいじゃないか。

 

ピッピッピッピッピ……。トゥルルルルルルル。トゥルルルルルルル。トゥ──

【はい、もしもし】

 良かった。マッスーが出てくれた。

「高城です」

【おお、高城か。どうしたんだい?】

「いや、康多が今度勉強会するらしいんだけど……」

【それはいかなきゃだね!!】

「いや……それが……」

 僕は言葉を濁す。

【どうしたんだい?】

「香里も来るとかなんだとか」

【それはお邪魔しちゃダメなやつだね】

 そうそう。マッスーという仲間ができて嬉しいよ。

「でもなんか僕らにも来てほしいとか言ってきてて。そっちにも康多から電話かかってきたら、断っといて」

【ああ、了解したよ。わざわざありがとう】

「いやいや」

 ガチャッ。

 

 さあ、これで良かろう。カップルらしく振る舞え!今澤康多!!

 

〜10分後〜

 プルルルルル。プルルルルル。プル──

「はい、高城です」

【マッスーだよ】

 ん?

「なとしたん?」

【勉強会強制参加になりました】

 え、待って、え?なんで?なんで?

「どうして??」

【あの、椰子乃と康多のことバラしてたのがバレた】

 あれま……。弱み握るのほんっと好きだなぁ〜。

「分かった。日時は?」

【まだ】

「りょ。んじゃ」

【サラダバー】

 まあ、仕方がないか……。できるだけあの二人の邪魔をしないように静かに家庭学習を書き溜めよう。マッスーにもそう伝えなければ。

 あ、それかめちゃくちゃ冷やかすのはどうだろう。いや、でも香里が嫌がるだろうからやめておこう。いくら恋愛をスリープしているとはいえ、わざわざ嫌われにいく必要もないからね。




 新章スタート!!
 次回もお楽しみに〜。


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part2 空気人間ヒェーリー・広樹?

 皆さんおとつちわ!!
 カクヨムの方で面白いことが起きてますが、ハーメルンでも負けずに頑張りますよ!!(自分(ハーメルン)vs自分(カクヨム)の戦い)


 僕は少し早めに家を出て、マッスーの家へ向かう。空気人間作戦を伝えるためだ。

ピーンポーン。

「はい……。おぉ、高城?」

 ドアが開き、驚いた表情のマッスーが出てくる。

「早くない?」

 うん、そう思うのも無理はない。1時半集合なのに、1時10分にここにいるからだ。

「ちょっと、伝えたいことがあってね」

 僕がそう言うと、マッスーはドアを大きく開ける。

「暑いししばらく時間あるし良かったら中に入ってよ。僕しかいないし」

 と、言うので僕はありがたくマッスーの家に上がらせてもらうことにする。

 リビングに入り、僕は少し安心した。家政婦がいるからお金持ち。つまり、家具とかも豪華なのかと思っていた。実際はそうでもなかった。

「んで、伝えたいことって何?」

 机の上にアイスティーをだして、マッスーが話を切り出す。

「康多と香里の邪魔をしないように、極力喋らないようにしようかと」

「確かにそれはいいね」

「基本、僕らから話を出すことはしない」

「そりゃあそうだよ」

「で、話を振られても相槌とか質問に答えるだけにしよう」

「了解了解」

「よし、行くか」

 アイスティーを飲んで、僕は立ち上がる。

 冷房が効いていたので、外に出るのが辛そうだ……。

「せ〜のっ!」

 わざわざ掛け声をかけて玄関のドアを開ける。まあまあ滑稽なトリオだろう。

「ぬわっ、ぁっつ……」

 僕は小さく呟く。

 自転車にまたがり、水筒に入ったスポーツ飲料、アクエ○アスを飲む。しみわたる……。

「っし、行こうか」

 ここから図書館までは自転車で1、2分の距離だが、残念なことにこの時間、一切と言っていいほど日陰がない。炎天下を走りつづけなければいけないのだ。

 早く漕いで、早く室内に入った方が一時的な暑さはキツいが、涼しさをより感じられるだろう。そこで僕らは先に横断歩道を渡っておいて、あとは止まらなくて済むように、風をずっと受けられるようにした。

 駐輪場には何か見覚えのある自転車、そして康多の自転車が止まっていた。まとめて近くに自転車を止め、図書館の方に歩こうとしたとき後ろから声をかけられた。

「あ、益伴くんと広樹?」

 慌てて後ろを振り向くと香里がいた。

 気まずさを感じ、僕は小さく「康多に呼ばれて……」と返す。精神的な余裕がこれっぽちもない。香里もそれを感じたのかそれ以上は何も言ってこなかった。僕は先を歩くマッスーを追い越し、室内に飛び込んだ。

 肉体的な涼しさと、精神的な一時的な解放感で、言い表せないほどの安堵に浸る。

 いよいよ勉強会の始まりだ……。




 Twitterで昨日書きましたが、元々の投稿予定よりかなり遅れています。若干のスランプなんですよね……。なのでこちらは遅れ遅れになると思いますが、気長に待っていただけると幸いです。


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part3 空気人間たちの嘘

 おとつちわ〜〜〜〜〜〜。うん、夏休みも終わりですねぇ。結局今年はハエトリグモを一回しか見れなくて悲しい……。今年の暑さはハエトリグモにも厳しいんでしょうねぇ……。
 ってなわけで本編どーぞ


 康多の姿を確認すると、死角に入り、マッスーも引き込む。香里はまだ来ていない。

「ちょっと、3時には帰るから、マッスーも」

「あ、了解」

 それだけ会話して四角を出る。奥の四角い机に行き、僕とマッスーは康多の反対側に並んで座る。もちろんカップルはくっつけないと。

「いや、どっちか来いよ」

 当然のごとく康多は文句を言うが、ちょうど香里が来たので、康多の隣に座らせる。

「あそうそう、ちょっと執筆が厳しいから3時で帰るわ」

「え、マジ?」

「僕も米炊けって言われたから」

「…………」

 この沈黙は肯定の意と受け取ろう。

 とりあえず空気人間プロジェクトスタートだ。

 

〜10分後〜

(ヤバい、このままだとただの無言の気まずい空間に……)

 とにかく康多が僕らにしか話しかけてこない。仕方がないからもう一つ嘘つくか。

「ちょっと飲み物買ってくる。マッスーも来る?」

「ああ、じゃあ行くよ」

 機転を利かせてすばやく反応するマッスーに感謝する。

「あ、じゃあ俺も」

 康多が来そうになったので慌てて止める。

「いや二人いれば充分だから。何が欲しい?」

「……じゃあメントスコーラ」

『自販機にないわ!!』

 僕とマッスーのツッコミが炸裂する。

「じゃあ紀州の梅」

「おぉ〜アレ気に入ってるねぇ。なかなかお目が高い」

 まあコーラじゃないんだ、というツッコミはしないでおこう。

「あと最近抹茶にもハマってる」

「いや、僕の好きなものパクらないでくれる(笑)」

「いやパクってるつもりはないけどな?」

 梅も抹茶も僕が好きなものじゃないか。

「まあ、夫婦は似てくるというし」

『いや、夫婦じゃないから!!』

 まったくツッコミが疲れるよ……。ボケが康多だけならまだ対応できるけどマッスーまでボケちゃダメ!

「ま、まあとりあえず買ってくるよ。香里は?」

「私持ってきてるから」

 

〜30秒後〜

「このままだと香里が一言も喋らないということになるので……」

「で?」

「もう、僕らから話題提供をしようと思って」

「ほう!」

 そうは言ったものの何を提供しようか……。

「何を話す?」

「猫?」

「まあそれが妥当だねぇ」

「まあ任せなさい」

「了解」

 

〜30秒後〜

「ほい、日田の梨」

「せんきゅー」

 1009円みたいになってんじゃん。

「そういやさぁ、うちで猫飼うかも、みたいな話出てるんだけどさぁ」

 戻ってきて数秒で真っ赤な嘘をつく。

「え、高城んとこめっちゃ手触りいいうさぎいなかったっけ?」

「ああ、うん。そうなんだけど」

 適当にごまかす。

「え、種類は?」

「いや、どの猫がおすすめかな、って」

「あ〜……う〜ん……」

 ひたすら悩む康多そして歓喜の瞬間が訪れ──

「香里ある?」

「種類は関係ないんじゃないかな〜。直感じゃない?……とりあえず勉強しにきたんだから勉強したら?」

 ──一瞬で終わった。

 というわけで帰ろう……。




 書いてて面白いwなんかそのうち康多と香里がイチャイチャしてる場面も書きたいけどそういうことを見たことさえないから無理。そう言う場面を見たい方、僕に彼女をください(殴殴殴)いやまあ別にいますぐはいらないんですけどね〜www


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part4 事後報告

 どうも、おとつちわ!投稿が遅くなってしまい申し訳ない。今日は体育大会の準備の代休なので、学校と同じタイムスケジュールで生活してみようと思います!!1時間目は8時40分〜9時30分。教科は国語、内容は「初恋は叶わない」執筆、です!!


「んで、どうだったのあの後」

 二学期始業式。家の近くで一番涼しくて、なおかつ蚊がいない日陰(夏の間に見つけた最高の場所)で康多に聞く。

「まああの後某・宿泊場所ではない○○○(校正注:NGワードのため透明文字タグを追加)に移動してぇ──あほかい!!」

 一人ボケツッコミ……。突っ込んでくれる人がいない寂しい人なんですね、察します(本来は僕がツッコミ役なはずだけど)。

「んで、まあなんとか5時くらいまでちょこっと話しかけては『勉強しないの?』って言われての繰り返しで5時くらいで香里が帰るってだったから、一緒に帰った」

 おぉ、話しかけたんだ。しかも一緒に帰った?

「え、どこまで送ったの?」

「分かれ道んとこ」

「いや最後までじゃないんかーい!」

 普通に去年分かれてたとこじゃんそれ。家まで送っていけよ。

「でもまあ、途中まででも一緒に帰れただけ偉い偉い」

「何様だよ」(←おっしゃるとおり)

 いやぁ、でもあまり面白くないなぁ。

 そう思うと心を読んだかのように康多が話し始めた。

「でも喋ってるときに一つだけ盛り上がった話題があってさぁ」

 ほう!

「進撃の○人」

 あぁ、そう言えば去年も盛り上がってましたねぇ。

「『進撃の○人』って今NHKでやってるよね、確か」

「そうそうそうそう!!毎週見てるんだよ!!」

 いやテンションあげすぎだろ。っていうか、放送日って月曜の朝というか未明だよね?

「いやせめて録画しろよ」

「録画は最終手段☆」

 いや、あの、ドヤ顔しないでくれます?

「そんな時間なんだから最終手段使っていいでしょ」

「まあ香里は最終手段使ってたけどな」

「そりゃそうだ!!」

 まったくそんな夜遅くまで起きてるから低血糖なんだよ()

「まあそんなわけで楽しい一時を過ごせましたとさ」

 それはそれは。早く帰ってよかったよ。

「早く次のステップにいけるように頑張れ」

「次のステップとは?」

「僕ら二人とかを使わずに二人きりでデート」

「それはちょっとハードル高い……」

「あ、知り合いに見られたくないからか」

「まあそれもある」

「じゃあお家デート」

「余計無理!!」

「仕方がない。某宿泊場所ではない○○○はどうだ」

「百パーセントないな。っていうかそういうことって汚そうだからしたくない」

「そうですな。それには賛同」

 そんなこんなで僕らはいつもの挨拶で別れを告げた。

『サラダバー♪』




 結構早く書き上げられましたねぇw
 これは書いてすぐに投稿していますが、残りの作品は、下書きの状態で保存しておいて、明日・明後日投稿していきます。二学期しんどい、という方も笑顔になれる小説を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 あと、今話は誤字脱字チェックをしていないので見つけたら言ってください。


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Season10 それぞれの想い
part1 広樹は今更後悔する


 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 この、「初恋は叶わない」シリーズも今回からSeason10です!!
 そして──
 
総アクセス数が10000を突破しました!!うおおおおおおおおおおお!!
 
 いつも閲覧ありがとうございます!まだまだ執筆続けていきますし、このシリーズも終わる気配がないので、応援よろしくお願いします!


「そういえばさ、体育大会の代休で……で……」

──ん?なんだ?

 僕は涼しくなってきたいつもの倉庫横で康多の話を聞いていた。

 突然康多の言葉が途切れより集中する。

「香里とデートしてきた」

「ないっすぅ〜。ってどこで?」

「イオンでキミスイ見てきた」

 おお、9月1日から公開されてる劇場アニメ版か!そう言えば香里は住野よるさんの「青くて痛くて脆い」も読んでたしキミスイも読むのかな。

「いやぁ、ようやくカップルらしくなってきたね」

 そう言って僕らは笑う。

「なんかようやく『ああ、香里と付き合ってんだな』って実感が沸いたよ」

「そりゃ良かった。くれぐれもバカップルになるなよ」

 僕が忠告すると康多はサラッと人任せにした。

「俺はどうか知らんが、あいつは頭いいから大丈夫だろ」

 頭いい人の方がその反動で……と思ったが黙っておいた。

「で、次のデートの約束はしたの?」

「いや。まあそん時は連絡すればいいさ」

「ふっ、そんな甘いことを言いおって」

 まあ僕が言えることじゃないんだけどね……。

「まあ頑張りたまえ」

 そう言って僕らはそれぞれの帰路についた……。

 

 

 家に帰った僕はまず体育大会で中断していて今日から再開された宿題をした。そして風呂を洗い風呂を溜め風呂に入り、夕飯を食べ、食後にアイスクリームでも食べ、歯磨きをして、布団の上に転がった。

 正直なところ、今頃になって……康多と香里が付き合いはじめて2ヶ月近く経って後悔の念が出てきた。

 その理由についてはだいたい検討がついている。

 この間までは、二人ともお互いにどう接すればいいか分からない状態だったのかなんなのか、まったく進展がなかった。だから僕も余裕をこいていられたし、そのうち消滅するだろう、とも思っていた。

 しかし初デートを経験した二人は接し方が分かり、距離が近づくことだろう。そうなると僕としては余裕をこいてなんかいられず、「終業式前に告白しとけば……」という後悔が出てきたのだ。

 まったくバカな話である。

 

 そしてもう一つバカな話がある。

 今僕は康多に嫉妬しているのだ。この間までは、知らないドラマの番宣を見て「嫉妬だの恨みだのバカらし」と思っていたのにだ。

 そして自分が悪いのに……。

 そうなると余計に後悔する。

 

 「叶わない』って思って落ち込むか、フラれて落ち込むか、どっちにしろそんな暗い声出すくらいだったら思いを伝えて落ち込む方が私はいいと思うな」

 僕が去年の冬告白する前に奈緒が言った言葉がふと頭に浮かぶ。

 あの時のことを僕は忘れていたのだ、愚かなことに。

 心の中で一時期座右の銘だとかなんだとか言っていたくせに。

 僕はアホだ。バカだ。愚かだ……。




 というわけでどうだったでしょうか!
 次回からは康多目線・香里目線・マッスー視点・奈緒視点の全五話でSeason10はお送りします!


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part2 康多は初めてデートに誘う

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!というわけで今日も毎日投稿頑張っていきましょう!
 本日は康多編ですね〜。その次が香里編なのでカップル要素は確実……。頑張って書きます。(心の声:お〜い〜……。恋人なんかできたこと一度もねえのに無理だろぉ〜……)
 あ、ちなみにちょっと時間が戻ります。頑張ってついて来てください!
 それでは本編どうぞご覧ください♪


 高城や女テニのやつらからよく「デートしてないの」という類のことを言われるのだが。はっきり言ってどう誘えばいいかが分からない。そりゃ前に付き合った人もいるのだが、椰子乃をデートに誘ったことがないからなぁ……。

 俺は昼休み、考える。

 まず誘うかどうか。これはYESしかないだろう。というかNOを続けて色々言われるのも面倒くさい。まあ噂がなくなるわけはないんだけども。

 次にいつ行くか。来週が実力テスト、その次の週が中間テスト……。そうなると次の土日がラストチャンスか……。敬老の日も含めると3日。そのどこかだな。

 さて、どこに行くか。映画と言うのが王道だろうし、ちょうどキミスイ(「君の膵臓を食べたい」)のアニメ版も上映されている。イオンシネマにでも行けばいいだろう。

 金銭面は親になんか適当に言って……と。

 そしていつ誘うか。昼休みはもう時間がないから放課後にしよう。

 最後にどう誘うか。まあ「今度の休み映画いかん?」とでも言えばいいやろう。

 俺は軽く考えて──机に突っ伏した。

 

──

 

 下山先生との雑談もほどほどに2組へ向かう。ちょうど高城が出てきたが今はそれどこじゃないので「今日は喋れん」と言って、2組の廊下側の窓へ向かう。視界の隅で高城とマッスーが喋っているのが見えた。

 とりあえず周りに女テニはいないようだ。

 俺は窓から顔をだし、香里に声をかける。

「お〜い」

「うわっ、びっくりしたぁ」

 普通に驚かれる。まあそりゃそうだ。

「いや、今度の土曜か日曜か月曜か映画見にいかん?」

 香里の深く澄んだ目を見ると、嬉しそうな顔をしていた。

「日曜と月曜部活休みだからいいよ〜。実力あるけどもう片方で全力で頑張ればいいし」

 なるほど二日休みなのか。

「んじゃあ日曜の1時半くらいにそこのコンビニに来て」

 俺はそう言って向かって右側を指差す。

「分かった〜。っていうかなんの映画?」

──キミスイ

 と言いかけたが俺の中のいじわる心が邪魔する。

「う〜ん……日曜のお楽しみかな」

「え〜? まあ日曜日の1時半に駅前ね。了解でーす」

 香里の笑顔を見て思わず顔がほころぶ。あ、緊張していたのか、と気づく。

「じゃあ、よろしく」

 俺は自分のクラスに戻る。

 高城とマッスーの姿はなかった。もう帰ったようだ。

 俺もそろそろ帰るか……。そう思って人が少なくなった廊下に出ると香里がいた。

「うお、香里?」

「きょ、今日部活休みだから、一緒帰らない?」

 !?

「え、あ、ああいいけど」

 あまりにも驚いて、帰る方向違うけどな、というツッコミも忘れ、ただただ上ずった声で返事するのが精一杯だった。

 俺は香里の後を歩き、自転車小屋にたどり着く。

 そして自転車を出し、学校の敷地を出る。

「なんか最近、不審者が出るんだって……。めっちゃ怖くていっつも全力で自転車漕いでたんだけど……。康多がいるなら大丈夫だよね」

──別にそんな強いわけじゃないが……。まあ高城の数倍は強いけど(高城:失礼な!!─まあ事実だけどね……)

「まあ、これからの時期は暗くなるのが早いからな。部活休みの時は着いてくから」

「良かった……」

「マジで暗くなるの早くなってきたら、部活ある日でも一緒帰ろうぜ」

 俺はそう言って香里の斜め前をゆっくりと進んだ。




 ええええ、すごくない!?こんなラブコメ書けるとは自分でも思わなかった!!
 まあまず主人公の片想いの相手が、仲いい人と付き合う、とかいう小説を書けるとも思ってなかったし、やっぱ何事にも挑戦してみないと!!ってことですね♪
 ぜひぜひ感想・評価お待ちしております!


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part3 香里の初○○○

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!!というわけで本日も毎日投稿頑張っていきましょ〜♪
 もう中間テスト前の勉強期間が始まりました。まだ全然書き溜めできてないのに(笑)
 まあとにかく、本編お楽しみください^^


 私は家を出て自転車に乗る。

 南に下ったところにあるコンビニの駐車場で待ち合わせだから。

 自転車を漕ぎながら康多のことを考える。

 康多は背も高いし、顔もいいし、足速いし、最初のころはどうなるかと思ったけど、やっぱり康多と付き合ってよかったと思う。

 けど、広樹の様子も気になる。元々、私から話かけることはほぼ無かったし、広樹はきっと遠慮しているのだと思う。だから私の方に近づいてくることがここ1年くらい全然なかった。でも広樹はまあまあ明るい表情だった。しかし最近は私をさけることはない気がするけど、その分ふと見ると、思いつめたというか、病んでいるというかそんな暗い表情をしていることが多い。

──広樹が私のことを想っていてくれてるのは知ってるし、申し訳ないなとは思うけど、私は康多が好きだから康多と付き合っているだけ。

 私は心の迷いを振り払うようにそう考えて立ちこぎしてコンビニへ向かった。

 

 コンビニに着くともう康多の黒い自転車があった。けどここにいないということは店内にいるんだろう。

 私は店の中に入り、康多の姿を探す。左側を見つづけていると簡単に見つけることができた。前一緒に遊んでいたころよく持ってきていた飴の袋を持ってフラフラしていた。

「康多〜」

 私は呼びかける。

「おぅ──う」

 康多が振り向きそのまま固まる。

 きっと私の服装のことだろう。

 1年半前は遊び目的だったから、動きやすい服装できていたけど今回はそんな走り回ることもないだろうと思い、少し長めのスカートをはいてきた。

 まあ固まられるとは思ってなかったけど、男子ってこんなもんなのかな?

「ちょっと買ってくる」

 そう言って康多はレジへ向かった。

 

 映画館までの道中私たちはどう話せばいいのか分からず、黙々と自転車を漕いだ。康多の言う通り20分くらいで着いた。もう少しかかるかと思ったけど意外だ。

「おつかれ〜」

 康多がそう言って自転車を目一杯端っこに置く。私はその隣に。

「というわけで今回見る映画はキミスイです!!」

 おーやった!!

「あれ見たかったんだよね〜」

「え、香里は原作とか読んだ?」

「原作、漫画、映画、すべて制覇しております」

 そう言って手を額に当てる。

「んじゃあちょっと行ってくる」

 康多はそう言い残して駆け足でカウンターへと急いだ。

 

 

 帰り、私たちはのんびりと喋りながら帰った。

「そう言えば、この間のテストどうだった?」

 ああ、実力テストのことね。

「まあまあ?数学は満点だったよ。康多は」

「満点!?俺44。まあ高城とか理系得意なマッスーに勝てたからいいや」

「え、あの二人44より低かったの?マッスーとかめちゃくちゃ理系なのに」

「42だったかな?って言ってた気がする。まあ高城は完全に文系だからあれだけどな。そう言えば香里って文理だとどっち系?」

 私はそう聞かれ戸惑う。う〜ん……。

「まあ理系かなぁ」

「おー、まあ俺と同じかな。文系は苦手」

 

そうして私の初デートは終わった。




 というわけでいかがでしたか〜。
 ちょっと描写下手ですね。すみません。
 感想・評価などなどお待ちしております!ぜひ、よろしくお願いします!
 それではまた明日の「怪盗イッツ」でお会いしましょう!


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part4 奈緒は運命を感じる!?

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!えっとですねー……。今10月5日午後5時半過ぎです。はい〆切(投稿)日ですw頑張ります。
 それでは本編お楽しみください!


 今日は小学校の運動会だ。私──豊島奈緒は中二だから自分自身は関係ないけど、弟が小学二年生だからそれを見にきた。ここら辺に来るのも久々だ。今年は中学校に顔も出してないしね。

 そんなわけで私は今、小学校の校庭東側にある鉄棒の近くで小学校の運動会を見学している。

 弟のクラスは現時点でダントツ1位。まあリレーで負けない限り大丈夫だろう。

 そう言えば広樹や康多、かおりんの姿を見かけていない。3人とも弟や妹がいるから来てそうだけど。

 そう思った私は、母親に「ちょっとグルッと回ってくる」と言い残して右回りで校庭の端っこを歩き始めた。

 まずは校庭の南側。ん、かおりん発見!

「やっほ〜」

 そう言って手を振る。

「奈緒ちゃん!!」

 かおりんは慌ててシートから出てきてこっちに駆けてきた。

「久しぶり〜」

「LINEでは喋ってるけどね〜」

 そう言って笑う。

「んで、康多とはどうなの?」

 私はちょっとそこら辺の事情を聞いてみる。

 するとかおりんはあっという間に赤面し──

「え、映画見てきた……」

 と小さく呟いた。

「えっ、すごいじゃん!」

 私はそう言って頷く。

「そう言う奈緒ちゃんはどうなの?なんか前付き合ってるみたいなこと言ってたけど」

 私は言葉に詰まる。

 一応付き合っている人はいるが、はっきり言って冷めている。付き合い始めてから、相手の悪い部分が結構、しかもちょっとタイプじゃなかった。

「ん〜、まあ一ヶ月くらい前かな、に別れた。いい相手いないかなぁ」

 嘘を言ってごまかし、笑う。

「いい相手見つかるといいね〜」

「まあ、見つかるときはふっと見つかるよ」

 そう言ってかおりんと別れ、また歩き始める。

 プールの前のあたりで私の視線が釘付けになる。

 そこには少し茶色っぽい髪の毛のハーフらしきイケメンがいた。髪の毛はサラッと横に流していて、目鼻立ちはとても整っている。

 どこの人だろうか。私は久々に覚えるあの感覚にワクワクしていた。

 ──ハッと我に返り、何事もなかったかのように通りすぎていく。

 体育倉庫前で広樹と会い元気づけ、その先で康多と会い冷やかしたが、そんななかあの彼のことを忘れる時はなかった。

 両親がいる場所に戻ってもそれは変わらず、競技が終わった後、あの彼を探しに駆け出した。

 そして校庭を一周し、もう帰ったのかな、と思ったその時校門の近くに彼がいることに気がついた。慌てて校門の方に行き、彼の斜め後ろに立つ。

 そして少し上の方にある彼の左肩を叩き声をかけた。

「すみません……」

 振り返った彼はやっぱり──私の心をざわつかせた。




 というわけでいかがだったでしょうか!
 このシリーズは恋愛メインですが、何気に一目惚れを書いたのは初めてですね。もちろん僕は一目惚れなどしたことありません。恋愛経験が乏しいのに恋愛ものを書いている不思議……。
 誤字等ございましたら、お教えください。またそれ以外の感想や、評価などお待ちしております!
 それではまた明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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part5 ヒェーリーも一目惚れ!?

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 今日もまた投稿予定の日に書いています。しかたがないじゃん!(ゴリ押しで正当化する)
 と、バタバタしておりますが、この「初恋は叶わない」シリーズ。今回で49話目です!!つまり次回で50話!というわけで【番外編】と称して、裏話でも載せちゃいましょうかね〜。
 
 そんなわけで本日もよろしくお願いします(*ーー)(*_ _)ペコリ


 僕はプールの前にいたとき、こちらを見ていた女の子──と言っても同い年くらいだろうけど──のことが頭から離れなかった。

 肩より少し長いくらいの髪の毛、華奢な手足、はっきりした目鼻立ち……。それらは僕の心をざわざわさせた。

 こういう想いになることはこれまでもあったが、なぜ話したこともない相手に、今日初めて見かけた相手に……?という疑問の方が大きかった。

 そんなことを考えながら歩道を歩いていると、左側の方をトントンと叩かれた。振り返り、僕は思わず固まる。その視線の先には、あの彼女がいた。

──な、なぜ?

 そう思いながら「どうしましたか?」と平静を装い、問う。すると目の前の僕の心をざわつかせた本人は頬を赤らめて口を開いた。

「さ、先ほど見かけたときから貴方のことが頭から離れなくて……」

──あ、貴方も!?

 と叫びそうになるのを堪え、小さく「そう、ですか……」と呟く。

「やっぱり迷惑ですよね……。すみませんでし──」

 僕より少し小さい彼女は慌てて方向転換しようとする。僕は思わずその華奢な肩を掴んでいた。

「……え?」

 彼女は大きく目を見開きこちらを見つめる。

「実は私も、先ほどプールの前で見かけたときから、貴方のことが頭から離れませんでした」

「え……うそ……」

 彼女はそう呟くと、体ごとこちらを向き口を開いた。

「す、──」

「その言葉は私から言わせてください」

 僕は彼女の言葉を遮り、その目をしっかりと見つめる。

「私は貴方のことを好きになりました。私で良ければ、付き合ってください」

 そう言って大きく頭を下げる。3秒後に頭をあげると顔を真っ赤にした彼女が返事をした。

「はい……。もちろんです……」

 彼女の潤んだ目からはあっという間に大粒の涙がこぼれ落ち、慌てて目をこする。

「目をこするのは良くない」

 僕は慌ててそう言い、ハンカチを渡す。

「今度、洗濯して渡しますね。そう言えば、まだ私の名前を言っていませんでした……。私は豊島奈緒と言います」

 そう言えばそうだった。気が急いてそこまで頭が回らなかった。

「奈緒。いい名ですね。私はヒェーリー・益伴。日本人とフランス人のハーフです」

 だいぶん人通りが減り、ガラーンとし始めた。

「あ、もう少し柔らかく話そう。あまり堅く喋るのは疲れるから」

「分かりました──じゃなくって分かった」

「あと連絡先を交換しておこうか。奈緒はLINEやってる?」

「はい」

 スマホを取り出し、お互いのIDを交換する。

「じゃあ、改めてよろしく」

「よろしくお願いします」

 僕は奈緒の手を握り、そのまま彼女の体を引き寄せ、両手を背中に回した。




 というわけでいかがだったでしょうか!
 前々々回に引き続き、僕には何かが取り憑いたんですか、と言うくらい自分でもビックリしております。何か悪いことが起きるんじゃないでしょうね〜w
 さて、今回でSeason10が無事に終わりました。ちゃんと書けるか不安だったのですが、なんとか書けて本当によかったです!
 で、Season11なのですが、広樹視点に戻り(主人公ですし)文化祭や生徒会長選挙など学校行事メインでやっていこうと思います。時々、康多・香里やマッスー・奈緒なども出てくると思います。
 まあとにかく次回は50話記念で【番外編】と称して「初恋は叶わない」シリーズの裏話をお届けしたいと思います!
 感想・評価をいただけるととても嬉しいです♪また、身の周りの人ににぜひ広めてください!
 それでは後書き長くなってしまいましたが、本日はここまで!明日の小説でお会いしましょう!!サラダバーー☆


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【50話突破記念企画】執筆裏話
【50話記念】「初恋は叶わない」執筆裏話 〜前編〜【番外編】


 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!というわけで今日も毎日投稿頑張っていきましょう!
 さて、投稿が遅くなってしまい申し訳ございません。なかなか忙しくて……(言い訳乙。ですね)
 と、そんなお詫びからスタートしたこの「初恋は叶わない」第50話ですが、これまでの裏話やこれからについてチラッとネタバレ(!?)したりします。ぜひ最後まで楽しんでいただけたらな、と思います。
 それでは本編、レッツゴーー☆


 音槌政旨(以下、音槌):皆さん、おとつちわ!

 高城広樹(以下、広樹):おとつちわ〜。

 今澤康多(以下、康多):おとつちわ!

 杵益香里(以下、香里):お、おとつちわー。

 豊島奈緒(以下、奈緒):おとつちわ♪

 ヒェーリー・益伴(以下、マッスー):おとつちわ〜!

 

↓『おとつちわ』について

 

 音槌:なんだか「おとつちわ」の嵐だねw

 マッスー:この挨拶っていつ頃から使ってるんだい?

 奈緒:そう言えばそうだね〜。いつの間にか定着してるけど。

 康多:「ぽこにゃちわ」のパクリだって言われてたりもするらしいが「ちわ」しか合ってないからいいだろ♪

 広樹:そう言う問題じゃないから!(゚Д゚)/ ビシッ

 香里:確かに初期の頃というか中断前はこれといった挨拶なかったね〜。

 音槌:ブログの方でだと、多分2017年の初夏くらいから使ってるけど、こっちだとその頃は意外と使ってなかったみたいだね。

 

↓『広樹』はなんと読む?

 

 音槌:そういえばさ〜、君たちは知ってるからいいんだけど、読者の中で広樹君のことを『ひろき』って読んでる人がいるらしいんだよね。

 全員:・ ・ ・ ・ ・ ・ 。──それってあなたのことですよね?

 音槌:ギ、ギクッ!?

 奈緒:『ギクッ』って口で言う人初めて見た〜。

 音槌:いやその変な人を見る目やめてくれない?

 音槌以外全員:はwはwはwはwはwはw

 康多:確か、「本当は『こうき』なんだけど、変換で『広樹』になるのが『ひろき』って打ったときだけだから」だったっけな。

 音槌:……はい。

 広樹:書いてる人が間違うのはどうなの?さすがに変換のせいにはしないよね?

 音槌:……すみませんでした。読者の皆様覚えてください。高城広樹君は『たかぎ こうき』です。

 マッスー:下の名前、康多と一文字違いだね。

 音槌:はわわわわ!じゃ、じゃあやっぱり「ひろき」で──

 音槌以外全員:ちゃんと考えてから名前つけてください!

 音槌:とりあえず『たかぎ こうき』です。

 香里:と、とりあえずって……。

 

↓_ありそうなQ&Aコーナー「このシリーズ終わる気配なくない?」

 香里:思ったんだけど、このシリーズ終わる気配ないよね。

 奈緒:確かに〜。ハッピーエンドなら広樹とかおりんがくっつくんだけど、今かおりんは康多と付き合ってるから……。

 音槌:奈緒さん、今はその話じゃないから……。

 康・香:(音槌さんナイス☆)

 広樹:それで、音槌さんこのシリーズはどんな感じになるんですかね?

 音槌:とりあえず中々終わらないとは僕も思うよ。まあけど100まではいかないんじゃないかな。

 康多:100は新規の読者が入りにくくなりそうだな……。

 マッスー:完結してからは増えるかもしれないけどね。

 音槌:とりあえず、これからの流れとしては……中学三年生になって、ちょっと大きな出来事がいくつかあって高校生になって大きな出来事があって、最後のSeasonは大人になった君たちを描きたいと思ってるよ。

 奈緒:え、大人になるまで私たち登場人物として出れるの!?

 康多:それだけで食っていけるんじゃね?

 広樹:いや一話が千文字だとしたら、5人全員出て一人200円だよ。

 香里:大体週に一回の投稿ペースだけど月で800円……。

 音槌:そんながめつくならなくても……。無料投稿サイトなんだからさあ……。

 

 

※次回に続く!




 というわけで夜も遅くなってきたので今回はこの辺で切り上げます。次は木曜日ですね〜。ぜひ楽しみに待っていてください。
 明日は父と登山に行きますが、予約投稿していますのでぜひカクヨムをご覧ください。
 それではまた明日の小説でお会いしましょう、サラダバーー☆


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【50話記念】「初恋は叶わない」執筆裏話 〜後編〜【番外編】

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!というわけで今日も毎日投稿頑張っていきましょう!

 さて、今日は執筆裏話の後編ですよ〜♪あまり読者を焦らすのも悪いのでさっさと投稿しちゃいますが、今回重大発表があるのでお見逃しなく!

 それでは本編──レッツゴーー☆


※前回の続きです!まだ前回の裏話を見ていない人は先にそちらをご覧ください!

 

↓ありそうなQ&Aコーナー「このシリーズ終わる気配なくない?」

 

 マッスー:まあでも、物語の折り返し点は過ぎてるってことだね……。

 音槌:どんなことでも始まりがあれば終わりがあるんだよ。小さなことで言えばこの「初恋は叶わない」などのシリーズもの。大きなことで言えば、人生。 けどどちらにも言えるのは、無理に引き延ばしちゃいけないってことだよね。

 康多:ね、と言われても……。

 音槌:創作だって無理に引き伸ばしちゃうと、読者を焦らして引き留めるつもりだったのに、面白くなくなって逆に読者が離れていっちゃう。

 広樹:確かにそれはそうだね……。

 音槌:で、人生でだと、延命治療。そりゃ家族側はもっと一緒にいたいと思うだろうし、その気持ちは分かる。けど人には定められた寿命があって、それを無理やり越えさせると、本人のためにならないんじゃないかな、と僕は思うよ。

 香里:薬とかで延命して、その副作用ですごく痛い、っていう話もあるし家族はいいかもしれないけど本人は辛いよね……。

 広樹:相手の立場に立って考えてみないと。

 音槌:と、いうわけでいつかは終わりが来ます!こっちの世界と読者さんがいる世界は時間軸が違うからあれだけど、読者さんがいる世界では半年後くらいには完結すると思います。

 奈緒:みんな最後まで見てくれると嬉しいよね〜♪

 康多:まあ見てくれるだろ、ここの読者さんならな☆

 

↓ありそうなQ&Aコーナー

「前に『音槌政旨は著者兼ナンチャラカンチャラ』って出てきたけどナンチャラカンチャラって何?」

 

 康多:あっ、30話ん時のトークショーだな。

 広樹:最初の挨拶だったよね。

 音槌:奈緒さんや香里さん、マッスー君はいなかったから知らないと思うけど、30話記念のトークショーの挨拶のときに僕がうっかり「著者兼代hi……」って言っちゃったんだよ〜。

 奈・香・マ:バカじゃーん。

 音槌:すみません。

 康多:まあでもそろそろ言っちゃっていいんじゃないか?

 広樹:あんま支障はないでしょ。

 音槌:そうだね。えっと……。

 マッスー:ついに発表だね!!

 康多:これもある種の読者焦らしだがな。

 広樹:それに康多も加担していると。

 音槌:え〜……まず、

 奈緒:まず?

 香里:いくつもあったっけ?

 音槌:まず、メタいツッコミはなしでお願いします。

 音槌以外全員:・ ・ ・ ・ ・ ・ 。読者焦らし反対!!

 音槌:ごめんなさい。

    えっと、これの原文は高城広樹君が2016年1月から付けている日記です。本当はもっと長文なのですが、文章がめちゃくちゃなところがあったり語彙力の低さが露呈しているところがたっっくさんありましたし、情報が少ないところもあったので、広樹君に事情聴取しつつ、編集してできあがったものです。

 広樹:あっ、このトークは日記じゃなくて普通に集まって喋ってるのを音槌さんが録ってるだけだよ。

 音槌:30話記念の頃にようやく広樹君の日記と小説の方が並んだからトークができたんだよね。

 康多:今は結構リアルタイムってことだな。

 音槌:編集してるからどうしても遅くはなってるけどね。

 

 

 音槌:それではそろそろ切り上げたいと思います。

 康多:最後まで見てくれてありがとうな♪

 広樹:感想や評価もくれるとありがたいです。

 香里:え、えっと、知り合いにもこの物語を広めてみてください!

 奈緒:折り返し地点は過ぎましたが、まだまだこの物語は続きます!

 マッスー:これからも僕たちを見てください!!

 音槌:最後はこの挨拶で締めましょう。それでは皆さん……せーの!

 全員:サラダバーー☆



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Season11 最初で最後の大チャンス!?
part1 5ヶ月の日(前編)


 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です♪さあ、本日も毎日投稿頑張っていきましょう♪

 というわけで、お待たせ致しました!ついに全話の修正を完了し、通常公開にしました!……とは言ってもストーリーは変わっていないのですけどね。──しかしぜひこの機会に最初から読み直してみてください!

 それでは本日もお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


 12月20日。

 そう、康多と香里が付き合い始めてから5ヶ月の節目だ。

 クリスマスを目前に控え、僕──高城広樹は深くため息をついた。

「あいつらはクリスマスどこ行くんだろうなぁ」

 そう呟きながら周りの風景を見渡す。まだ慣れない風景だ。

 ここは生徒会室。現生徒会役員からの引き継ぎをするため毎日のようにここに集まっている。

 そう、僕は11月に行われた生徒会長選挙でなんと生徒会長になったのだ。十中八九、康多が会長だろうと思っていた僕は帰りの放送で[生徒会長は、二年二組、高城広樹さん]という言葉が聞こえたとき、思わず「えっ……マジで……!?」と言ってしまったのだが、これは紛れもない事実。ちなみに生徒副会長は康多。気心知れた人が隣にいるということほど頼もしいことはない。

 現生徒会本部の書記から今年の分の活動をまとめたものを手渡される。僕はそれを受け取り頭を下げる。

「明日の放課後空いてる?」

 現生徒副会長からそう言われ、僕と康多は揃って頷く。

「じゃあ明日、帰りの会が終わったらまたここに」

「はい」

「分かりました!」

 僕らは一足先に生徒会室を出て教室に戻る。まだ昼休みも中盤。図書室に行く時間はありそうだ。

 康多と分かれ、自分のクラスに戻った僕はさっとロッカーから本を取り出し、図書室に向かう。途中、妙に暗い顔をした康多を見かけた。まるでなにか大事な決断をした後のような。しかし康多は一人の時大体無表情だから気にすることでもないか、と思って声はかけずに図書室に向かった。

 図書室でいつものごとく4冊本を借りて教室に戻る途中、康多とすれ違った。さっきと同じように暗い顔をしていたが、そこには少し諦めも入っていたような気がする。少し後ろを振り返ると康多はそのまま自分の教室へ入っていった。

 僕はそのまま5・6時間目の授業を受け、掃除に取りかかった。そこでも特段変わったことはなく、あっという間に時は過ぎていった。

 帰りの会も終わり、教室を出る。そしていつものように康多のクラスに行き、姿を探す。いつの間にか席替えをしていたようで、康多の席はすぐ近くにあった。僕が声をかけようとすると、康多は顔もあげずに言った。

「先に行っといて。俺も後から行くから」

 と。

 僕はそれに従い、自分の家の前に向かった。そして待つ。康多は10分ほどで来た。

「んで、どうした?昼休み妙に暗い顔してたけど」

 僕がそう言うと、康多は目を伏せ口を開いた。僕の耳に飛び込んできたのは衝撃的な一言だった。




 というわけでいかがだったでしょうか!!

 いやぁ、なんとかちょうどいいところできることができました。さて、次はなんと香里視点です。あっ、勘づいても言わないでくださいね〜?そして次の次ではこれまでとは違った書き方にします。お楽しみに!!

 感想・評価などお待ちしておりますし、良かったら知り合いにこの「音槌政旨」という一介の小説投稿者の名を広めていただければ幸いです。

 それではまた、明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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part2 5ヶ月の日(中編)

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です♪さあ、本日も毎日投稿頑張っていきましょう♪

 さて、しばらくお休みしていたことのお詫びということで、今週は2話投稿します!!来週は多分また1話だと思いますが。

 それでは本日もお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


 12月20日。

 そう、康多からシンプルな想いを伝えられ、付き合いはじめた日から今日で5ヶ月。

 クリスマスを目前に控えた記念日、ということで本当なら喜ばしいはずの日なのに……。私は深く深くそれはマリアナ海溝より深いんじゃないかというほどのため息をついた。

 すべての物事に発端があるわけではない。今回のことだってこれまでのことが積み重なって起こったことだ。

 

──12月20日・朝──

 7時35分。私はとあることのためにいつもより20分早く教室に入り、かばんから荷物を取り出す。

 今日で二学期の授業は終わり、明日の終業式で2週間の冬休みに入る。──と、未来のことを考えた私は嬉しい気持ちになる。

 しかし、過去のことを考えると──浮かぶのはだんだん心が離れつつある彼と、だんだん気持ちが強くなっていく彼のことだった。

 ありがたいことに私は二人の男子に好意を抱かれている。そして今、そのうちの一人(康多)と付き合っている。もう一人(広樹)は同じクラスだが、この一年半ほど、必要最低限の会話しかしていない。別に仲が悪いわけではない。むしろ一年半前は普通に友人として仲良く接していた。しかし中一で別のクラスだったり、中二で同じクラスになったものの、ライバルであり親友である康多が私と付き合い始めたことで、余計話しづらくなっている。距離感がつかめないのは、私も広樹もそうだ。

 しかし、康多ともここ1、2ヶ月ほど喋っていない。前に喋ったのは……そうだ、二学期末テストの前だ。一緒に勉強をしないか、と誘われたけれどあいにく用事が入っていて断らざるを得なかったのだ。それ以来まったく話すことがない。

 私がもう少し奥手じゃなかったら、今もまだ仲良くいられたのかもしれない。──そう思うと胸がチクリと痛む。

 しかしそんな迷うを振りきるように私は教室を出ると康多を待ち構えた。

 

 廊下の奥に背の高い康多が見えたのはそのわずか数十秒後。私は慌てて駆け寄る。康多は驚きを露わにしながら疑問を口にした。

「ど、どうした?」

 これまで二人で出かけたとき以外に私から話しかけることはなかった。だからこそ康多は驚いているのだろう。

 私は斜め上にある康多の目を見つめて言った。

「昼休み……うちのクラスに……来て」

「お……おう。生徒会の引き継ぎがあるけど15分くらいで終わるからその後でもいいか?」

 康多は落ち着いた表情に戻り、そう言った。

「うん、分かった……。絶対だよ」

 そう言って、私は康多に背を向けた。

 

──12月20日・昼──

 13時30分。窓際にある自分の席に座って本を読んでいると右から康多の聞きなれたバリトンボイスが聞こえてきた。

「よう」

 私はその声がした方に顔を向け──




 というわけでいかがだったでしょうか!

 いやぁ、個人的にはうまく読者を騙してるつもりですが……分かっちゃいますかね?まああまり言うとネタバレになってしまうので、今日の後書きはここら辺で締めたいと思います。

 感想・評価などお待ちしておりますし、良かったら知り合いにこの「音槌政旨」という一介の小説投稿者の名を広めていただければ幸いです。

 それではまた、明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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part3 5ヶ月の日(後編)

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です♪さあ、本日も毎日投稿頑張っていきましょう♪

 さて、今回初めての執筆方法でお届けします。なんと呼べばいいのか分かりませんが、2人の視点が交互に出てくるやつです(語彙力)

 それでは本日もお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


「今日の朝、香里に『昼休み来い』って言われたんで、生徒会の引き継ぎが終わった後に行ったわけよ」

「ほ、ほうほう。呼び出しくらうとは何したんだ?」

 僕は驚きつつもそう返す。

「あいつの席廊下側じゃん?で、窓からひょっこりはんしたわけよ」

──なんだろう。昼休みあんな暗い顔してたとは思えないほど軽い口調。

「『よう』ってな。そしたら本読んでた香里がこっち向いて──何をしたでしょうか!」

「え、ええ?」

 僕は戸惑うも考える。

──香里が何を……?

「ビンタくらった?」

「なわけやろ」

 ちょっとボケてみたら鋭いツッコミが入った。ありがとうございます。

「えー……クリスマス、デートいけなくなった、って話された?」

 暗い顔をしていたということはそのくらいしか考えられない……。

「なわけやろ。ちゃんと考えろ」

 頭はたかれました。ありがとうございます()

「いやもうギブ」

「おいおい。マジかよ。しゃーなしやな。──香里、こっち向いてさ言ったんだ」

 

 

 

 

 私はその声がした方に顔を向け本を閉じると、言った。

「あのさ……。私たち友達に戻らない?」

 絞り出したその声は自分でも聞き取り辛いほどか細い声だった。案の定、康多は「うん?」と聞き返してきた。私は大きく息を吸い、言った。

「別れよう……」

 すると康多は薄々勘づいていたのか、冷めていたのか、もしくはどちらもか知らないけれど、あっさりと頷いた。

「すまん……。香里とよく話すようになって、また話さなくなってようやく気づいたんだ。俺の負けだな……って」

「負け……?」

「ああ、これは高城との人生をかけた勝負だ。まあけど最初から勝敗はついていたのかもな。10月くらいで香里、もう心が傾いてるのバレバレだったぞ」

「えっ嘘っ」

 思わず素っ頓狂な声を上げる。

「ご、ごめん……」

「いや香里の心を引き止められなかった俺が悪いんだって。まあどっちにしろ将来的にはフリーがいい人だし」

 

 

 

 

「『別れよう』ってな」

「え、ええ、えええええええええ!?」

 僕は思わず叫ぶ。

──え、康多と香里が?別れた?

「で、ででででで、で、康多は?」

「落ち着け。まあ俺もなんとなくは分かってたし。まあ頷いたよ。というわけで高城、頑張れ」

──あ、そういうとこはちゃんと漢だな……。

「えっとーそのー頑張れ、とは」

「あれ、お前もう香里への好意なくなってた?」

「いや、それはないけど」

「香里、若干お前のことが気になってるみたいだぞ。それが好意かどうかは分からんが、全力でいったら惚れるんじゃないか?」

──え……?

 僕は戸惑い絶句する。香里が僕に好意を抱いているなんて冗談だとしか思えなかったがその時の康多の顔は真剣だった。




 というわけでいかがだったでしょうか!

 さて、広樹にようやくチャンス到来!次回告白!!──ではないんですなーそれが。次回は「もう一つの恋愛事情」と題して奈緒・マッスーカップルの様子もお届けします☆お楽しみに。

 感想・評価などお待ちしておりますし、良かったら知り合いにこの「音槌政旨」という一介の小説投稿者の名を広めていただければ幸いです。

 それではまた、明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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part4 もう一つの恋愛事情

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です♪さあ、本日も毎日投稿頑張っていきましょう♪

 さて、時間がヤバいです。誤字などのミス等ありましたらお伝えください。

 それでは本日もお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


 私はこの間教えてもらったLINEに「明日、でかけませんか?」と打ち、えいっ、と言いながら送信した。しばらくボーッとしていると既読が付き、「ええ、午後なら空いていますよ」と返ってきた。

 私は慌ててまたフリックで文字を打っていく。「じゃあ13:30に小学校の前で」と。すると今度はすぐに既読が付き、「分かりました。楽しみに待ってます」という文が表示される。それに「はい!行き先はまだ言わないでおきますね♪」と返し、スマホをスリープ状態にした。

 

 

 

 

 翌日。

 私は時間の10分前には小学校の前に来ていた。左腕にはめた腕時計を見て、顔を上げると一台の自転車が近づいていた。雰囲気だけで分かる。益伴くんだ。

「やっほー」

 益伴くんは片手を振りながら自転車を近くに止めた。

「じゃ、じゃあ、行きましょう」

 緊張しながら言うと彼は「そんな緊張しなくていいよ」と声をかけてくれた。そんなことを言われても無理だ、と思うと同時に、会う度に緊張して堅苦しいと思われたら嫌だな、という不安も抱く。

 行き先は私だけが知っているので先に自転車を漕ぎ始める。そうすることで少しは緊張も紛れた。

 漕ぎ出してしばらく経ったころ、もう一度腕時計を見る。13:45。少し急がなければ間に合わないかもしれない、などと思いながら少し漕ぐペースを上げる。しっかり益伴くんを確認してから。

 5分後。少し急いだこともあって、そのイベントの午後からの回が始まる10分前には会場につくことができた。益伴くんは小学生のように声を上げて喜ぶ。それを聞いて私は母性本能がくすぐられるような気がした。

「これが、バルーンフェスタ!!いやぁ、この県にくることが決まった時から世界的に有名なこのイベントを見たかったんだ!!本当にありがとう、奈緒」

 そう言ってまた優しく私を抱く。まったく外国の人はいちいちオーバーだな、と思いながらも悪い気はしなかった。

 私たちは自転車を止めると、人が多いからはぐれないように、手をつないで歩く。

「そういえば、奈緒はこれまでに誰かと付き合ったことはあるのかい?」

 突然益伴くんがそう聞いてきた。私は小さく「まあ何回かは……」とつぶやくようにかえす。すると彼はこう言ってきた。

「そうか。僕は初めてなんだ。色々足らないところもあるかもしれないが、何かあったら言ってほしい。僕は誰よりも君のことが好きだし、誰よりも君のことを愛してるから」

 思わず立ち止まってしまった私に益伴くんは「さあ、行こう」と手を引っ張ってくれた。おかげで真っ赤になった顔をあまり見られずに済んだ。



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part5 もう一つの恋愛事情(後編)

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です♪さあ、本日も毎日投稿頑張っていきましょう♪

 それでは本日もお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


 川の土手沿いをそのまま進んでいくとどんどん人が増えてきた。それにつれて私と益伴くんとの距離が近づいていく。河川敷内のターゲットにマーカーが落とされる競技が行われる場所の目の前につく頃にはもう完全にくっついていた。

「ここら辺でいいかな」

 2人くらいは座れそうな場所を見つけ、座る。私は自分の地面に敷く自分のハンカチを出すと同時に、この間借りたハンカチも出して返す。

「ハンカチ、この間はありがとう」

 少しぎこちない会話。

「いやいや、いいよ」

 益伴くんは手をヒラヒラ振る。

 私はスマホを出しLINEをチェックする。何もなし、と。

「あ、あそこに!!」

 益伴くんがそう言い、私は指差された方向を見る。ぼんやりとした薄い水色の空にいくつかの熱気球の影が見えた。

「3つくらい?」

 スマホのカメラ機能を開き、ズームを最大にする。かろうじて画面に3つの影が映ったので下部のボタンを押す。

 

 20分ほど経ち、目に見える範囲にたくさんの熱気球が来るようになってきた。

 私と益伴くんはマーカーの行く先をドキドキしながら見守ったり、ランドリーさん達と「やったー!やったー!やったーー!!」と叫んだり、時にスマホでその様子を撮ったりした。

 

 

 競技を満喫し、私たちはお腹が減ったので、屋台がたくさん出ているエリアに向かった。それぞれポテトややきそばなどを買い、またお揃いのキーホルダーを買い、また競技エリアに向かった。

 途中でかおりんと康多に会ったので、小学校の運動会の時のように冷やかしてきた。あと、益伴くんと付き合っていることを話したらめちゃくちゃ驚かれた。まあそうだよね。

 競技エリア前に戻ってきた私たちは昼間以上の混雑っぷりに驚いた。軽く2倍はいるんじゃないか、というほどの人、人、人。なんとかはぐれないように昼間より心なしか強く手を握って座れる場所を探し、結果、放送棟の目の前に座った。

 目線の先には12月から販売が始まるという新しいいちごの品種である「いちごさん」の熱気球。しかし何故か高い温度の炎しか出らず、あまり目立っていなかった。「あと1ヶ月なんだからちゃんと宣伝しないとでしょ」と益伴くんと笑いあっていた。

 

 

 夜間係留が終わり、自転車を置いている場所へ戻る。当然人ごみの中だ。

「いやあ、まさか熱気球を目の前で見れるとは思わなかったよ。改めて奈緒、ありがとう」

 益伴くんから爽やかな笑顔でそう言われ私はクラッとくる。

「い、いや、益伴くんが喜んでくれたならそれでいいよ」

 しどろもどろになりながらもそう返す。もちろん、

「来年は唐津くんち行こうよ」

 と約束するのも忘れない。

「けどまずはクリスマスじゃないかい?イルミネーションも見たいんだ」

 もうクリスマスまであと1ヶ月か……。かおりん達も一緒にどこかいくんだろうなぁ。広樹はまあ普通に過ごしてそう。そんなことを考えて微笑みながら人ごみの中を進んでいった。




 というわけでいかがだったでしょうか!

 感想・評価などお待ちしておりますし、良かったら知り合いにこの「音槌政旨」という一介の小説投稿者の名を広めていただければ幸いです。

 それではまた、明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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Season12 広樹よ、自信を持て!
part1 広樹の心中(独り言編)


 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!毎日投稿も今日含めあと2日、全力で頑張っていきますよ~♪

 さて、ついに広樹のターンがやってきます!──が、皆さんにはできるだけこのシリーズを楽しんで欲しいのでまずは広樹の心中をご覧ください。

 それでは本日も最後までお楽しみください! 本編、レッツゴーー☆


 12月20日木曜日の夜に近い夕方。

 僕は某動画サイトで聞いていたとある2人組ロックユニットのメドレーを聞きながらため息をついた。

 それがなぜなのか、きっと察されていることだろう。

 お分かりのとおり、僕がため息をつく理由は今日の夕方にある。康多から「香里と別れた」ということを聞かされ、挙句の果てには「香里、若干お前のことが気になってるみたいだぞ」などと言われ、なかば放心したような状態で康多と分かれたのだが、家に入り、自室へ入ってすぐにパソコンをつけて歌を聞くうちに、これは現実ななんだな、と認識し始めたのだ。

 僕は一度唸ると学習机の上に突っ伏した。

「どうしたものか……」

 思わずそんな呟きが零れる。

 きっと、康多以外の人がこの事実を知ったらすぐに「チャンスじゃん!告れ!」とでも言ったことだろう。でも僕は首を振る。もしそれが康多相手でもだ。

 「何をそんなに悩んでいるのか」 そう思う人もいるかもしれない。だからちゃんと記しておこうと思う。

 

 僕は今も間違いなく香里のことを好きだ。それはもうおよそ2年前のあの日よりさらに。だから康多と香里が付き合っていることに嫉妬心を覚えたりもした。

 そして今日、康多と香里は別れ、さらには、香里が僕のことを気になっている、という情報まで与えられた。

 そこで「これは最大のチャンスだ!」と思って、決断できればいいだけれど「いいだろうけど」ということはそんな決断はできていないということだ。

 本当はすぐにでも香里の元へ走り出したい。そして想いを伝えたい。けど、僕にはそれができなかった。

 なぜなら……。

 僕なんかで本当にいいのか、と思ってしまうからだ。

 運動もできない、頭も自慢できる程よくない、嫌っている人が多い(らしい)、コミュニケーション力もない、最近ははっちゃけちゃってそんなに真面目でもない、それに香里の好みと違って背も高くない、ついでに言うと……かっこよくもない。

 こんなに短所がある僕なんかが、香里の隣にいてもいいのだろうか。

 運動神経もいい、頭もいい、みんなから好かれてる、コミュニケーション力もオフの時には発揮される、真面目、けじめがつく、そして何よりか、……かわいい。

 短所だらけの僕と長所だらけの香里。やっぱり不釣り合いだ。そもそも香里は僕の何に惹かれたのか分からない。

 これらのことを2、3行にまとめるならば、こうだろう。

 

 僕は短所だらけだから、長所だらけの香里が僕なんかを好きになるはずがない。もし本当に香里が僕のことを好いているとしても、僕なんかが隣にいていい理由がない。だから僕が香里に告白することはない。

 

 ということだ。

 

 でも……でもなあ……。香里が別の人と付き合ってたらそれは……嫌だな……。

 やっぱり僕は身勝手だ。




 というわけでいかがだったでしょうか!

 さて、久々の広樹's独り言回。なんかいつの間にか広樹の口癖が「僕なんか」になってますね。自信喪失もちょっとしすぎのような気がしますがこんなんで大丈夫でしょうか……。まあ、何か広樹の自信をつけさせる出来事があればいいんですけどね♪

 感想・評価などお待ちしておりますし、良かったら知り合いにこの「音槌政旨」という一介の小説投稿者の名を広めていただければ幸いです。

 それではまた、明日の小説でお会いしましょう!サラダバーー☆


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part2 “広樹なんか”じゃない“広樹だから”

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み……お久しぶりの音槌政旨です!まあブログをご覧になっている方はお久しぶりではないと思いますが。
 さて、なんと年が明けて初の投稿です(遅い遅い)というわけで皆さん、明けましておめでとうございますっ。本年は更新ペースが激落ちする(してる)と思いますが、よろしくお願いします!
 というわけで今日からいよいよ小説投稿再開です!
 それでは本編……レッツゴーー☆


 12月21日金曜日、12時10分頃。2学期最後の学校が終わった教室で僕は立ちすくんでいた。思わず半開きになった口から「えっ……?」という言葉が零れ、目の前に立っている人は静かに目を伏せた。

 なぜこんなことになっているかというと、4時間ほど時を戻さなければならない。

 

 

 

 12月21日金曜日、7時50分頃。

 教室で座ってボーッとしていた僕はいつものように「おはよ」と声をかけられた。彼女は「ああ、うん」と生返事を返した僕に「ん、寝ぼけてる?」と顔の前で手を振りながら言った。僕は「まあ、色々とありまして」と誤魔化す。──まあ、色々とあるのは事実だが。

 すると彼女は急に満面の笑みになって、それから真顔になって、また慌てて笑顔になって「ちょっと、今日の放課後残っといてくれない?」と言った。

「まあ、別にいいけど?」

 僕がそう返すと彼女は「ありがとー!!」と両手を挙げて跳んだ。何がそんなに嬉しいのか分からなくて、僕が聞こうとするとすでに彼女は女友達の方へ向かっていた。

 僕は、まあいいか、と思い、またしばらく終わらないであろう考え事を再開した。

 

 

 12月21日金曜日、11時55分頃。

「広樹ー、覚えてる?」

 彼女がそう言って駆け寄ってきたのは帰りの挨拶が終わってすぐのことだった。僕はコンマ1秒で「もちろん」と返す。彼女は「じゃあちょっと帰る用意先にしてくるから」と言ってまたすぐに戻っていった。なので僕も同じようにカバンに少ない荷物を入れる。軽い。

 顔を上げるとちょうど香里が教室を出ていくところだった。僕は無意識のうちに顔を伏せ、彼女の方を見た。同じ部活の仲間と喋っている。その間に僕は隣のクラスに向かう。康多に、今日は帰れないことを伝えるためである。

 それをすぐにすませ、いつの間にやら人気のなくなった教室に戻ってくると、彼女が僕の名を呼んだ。

「広樹……」

 僕は彼女に近づく。そこではたと気づく。顔が赤い。

「ん、なんか顔赤いけど熱でもある?」

 そう聞くと彼女は慌てて首と手を横に振る。僕は本題に入ってもらうことにした。

「で、何?」

 僕がそう聞くと彼女は僕の目を見た。

「実は私、好きな人がいるの」

 僕はそのまま彼女の目を見続ける。

「その好きな人が……」

 彼女は目を合わせたまま、僕に近寄ってくる。彼女が僕に触れそうになって、立ち止まる。斜め上を向いた彼女の口からは熱い吐息が出て、僕の首に当たる。目は少し潤んでいる。

「広樹」

 唐突に彼女は僕の名を呼んだ。思わず僕は「ん?」と返す。彼女は少し戸惑っていたが何かに気づき再び口を開いた。

「私は、広樹を、好きなの……」

 僕は立ちすくんだまま、口が半開きになる。その口から反射的に「えっ?」という言葉が零れた。彼女は少し目を伏せて続きを言った。

「広樹が香里ちゃんを好きなのも知ってる。香里ちゃんと康多が付き合ってて、広樹が苦しんでるのも分かってる」

 いや、別れたんだけどね、そう思ったが口には出さなかった。どこかでこの状況を楽しんでる僕がいた。

「でも、私は広樹が好き。それに変わりは無いの。誰よりも広樹のことを好きなの。だから……私と付き合ってくれない……?」

「紗理奈……」

 気がつくと彼女は、紗理奈は僕に触れていた。

「だめ……?」

 紗理奈は一瞬下を向きかけ、また僕の目を見る。僕はこんな時どう言えばいいのか分からない。これまでにそんな経験がなかったからだ。

 僕は脳の半分で必死に考えた。けどまとまらなかった。だからひとまず聞いてみることにした。別に恋愛感情を持っていない相手だからといって、ばっさり切り捨てるのはあまりにも非情だと思った。

「どうして僕なんかを……?」

 紗理奈もまた言いたいことがまとまらないようでしばし中空を見つめていたが僕の目に焦点を戻し、言った。

「広樹なんか、じゃない。広樹だから」

 僕は思わずこの細目を見開いた。頭の中で“広樹だから”という言葉が反芻する。

 

 

続く




 というわけで、いかがだったでしょうか!しばらくの間に下手になっていないといいのですが、それを自分で判断することはできないんですよね。良かったら皆さん、感想をお寄せください!
 さて、意外にも文字数が増えてしまい、今回だけでは終わりませんでした。次回がいつになるかは分かりませんが、良かったら次回もご覧ください。
 それではまた次回の小説、またはブログでお会いしましょう、サラダバーー☆


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part3 “虚像”なんかじゃない“実像”だ

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 学年末テストやら三年生の卒業式やらあって、丸二ヶ月ぶりの投稿となってしまい申し訳ありません!
 少なくとも春休みの間は、週3以上は投稿するつもりですのでお楽しみに!
 それでは久々に本編……レッツゴーー☆


 ただ、その言葉が反芻するだけで、その言葉の真意を読み取れないまま体感にして一時間以上、教室にある時計で一、二分が過ぎていった。

「広樹は自分を過小評価しすぎだと思う」

 沈黙を破ったのは紗理奈だった。

「……別に過小評価なんて……」

「してるよ。さっきの一言が全部明かしてる」

「……」

「香里ちゃんが、広樹より康多を選んだ理由とかどんだけでも想像してるんでしょ?」

「……」

 僕は答えられなかった。もしかしたらそうなのかもしれない、そう思い始めている自分がいた。

 

 

 なぜ、香里が康多と付き合っているのか、その理由を想像している……。そんなことこれっぽちも思っていなかった。いや、今も「自分で想像した虚像じゃない。すべてそのままの実像だ」そう思っている。

 康多が優れているのか、僕が劣っているのか、もしくはその両方か分からないが、少なくとも間違いなく言えることは、僕より康多の方が優れている、ということだ。。

 母親譲りの細い目、決して深いわけじゃない彫り、背の順で並ぶと前から二番目な身長、“もやし”と言われるほど細く、筋肉の少ない体、人によっては気にしないとは思うが、気にする人も一定数いるだろう。そして、足も早くないし、頭も誇れるほどよくないし、ボケれば九十九%スベるし、昔より真面目じゃなくしてしまった。

 そんな嫌われものの僕を好きになる人なんて一生いないんじゃないか……。

 きっと僕はある種の物欲センサーに引っかかって「高城広樹さんは結婚願望があるようですね。それではちょっと短所を増やしておきましょう」「今澤康多さんは結婚願望がないようですね。長所多めにしときましょう」みたいな感じになったのではないだろうか。

 というかそもそも、僕がここにいるのには何の意味があるというのだろうか。

 自分勝手に一人の人を好きになって想いを伝えて、叶わなかったけど確実に距離は縮まって、それで満足したら良かったのに、諦めなくて、でも再びぶつかる勇気は無くて砕かれるのが怖くて、別の人と付き合い始めたからと言って、勝手にその人を嫉妬して、壊れたふりをして自分を護って、二人が別れたら自分に自信をなくして、せっかくのチャンスを無駄にしようとしている。

 そんな自分に価値などあるはずがない。生きていてもただ周りが嫌な気持ちになって、“人を嫌う”という最もエネルギーが必要なことをさせて、気にしてないふりして、陰でしょぼくれる、それだけのことしかない。

 これはすべて……偽りない実像だ。




 というわけでいかがだったでしょうか!
 投稿できていない間にもアイデアだけは出てくるんですから困ったもんですよまったく。そしてやはり気になるのが、書いていない間に下手になっていないか。「これ以上下手にならねーほど下手だよ」と言われればそれまでですが、不安な気持ちなんですよね……(汗)
 良かったら、以前と比べて音槌の文章力・表現力がどうか、感想をくださるとありがたいです。
 それではまた次回の小説・ブログでお会いしましょう、サラダバーー☆


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part4 本気と本気

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 ちょっと2つほどお知らせが。
▼小説について
 ちょっとカクヨムの小説が遅れています。特に「初恋は叶わない2」が……。4月中にはカクヨムの小説も何本か投稿できるよう頑張っていくのでもうしばらくお待ちください。

 それでは本日も最後までお楽しみください!本編レッツゴーー☆


「少なくともさ……」

 紗理奈はしばしの沈黙のあと口を開いた。

「広樹が劣ってるわけじゃないよ。康多や香里ちゃんが優れてるわけでもない。そもそも一人ひとり違う個性を持ってるのにそれで優劣つけるなんて間違ってると思う」

 僕はその言葉を黙って聞き続けた。

「だから誰が誰を好きになるのもありなんだよ。いくら広樹が自分のことを過小評価してても、私からしたらまったく“広樹なんか”とは思わないし、むしろ“広樹だから好きだ!”って思うんだよ。つまり……私は広樹の全てを本気で好きなの。だから理由なんて全部は話せない。時間足りないもん」

 少しずつ息が上がってきているように見える紗理奈。

「でもいくつか話すね。広樹の好きなところ。一番は優しさだよ。結構、女子が荷物持ってたりしたら代わろうとしたり、自分はより重いものを持ったりするし。それにさ、康多と香里ちゃんが付き合い始めても、普段どおりに接してたじゃん。その前から好きだったけど、その姿を見て余計、諦めきれなくなった。それに頭の回転も早くてさ。最近、広樹はツッコミ役に回ってるじゃん?結構キレのあるツッコミだと思う」

 そういえば紗理奈はお笑いが好きだといつか言っていた。

「あと、春歌から聞いたんだけど、女子同士のケンカを仲裁したって」

 もうあれも2年近く前のことになるのか……。

「……ってもう5時か」

 僕も釣られて時計を見る。

 

 ……どうしたらいいのだろうか……。1年半前、康多から“紗理奈がお前のことを好き”と聞いたときはそんなまさか、と思って軽く流していた。そこも含めての過小評価なのかもしれない。

 僕は、香里のことを本気で好きだ。だからこそ紗理奈がどれだけ僕のことを好きになってくれているかも分かった。これは本気だ。

 

「返事は明日で……いいよ」

 少しうつむき加減で黙り込んでいる僕に紗理奈がそう声をかけた。でも僕は、首を振った。

「今の率直な気持ちを言わせてほしい」

 紗理奈が小さく首を上下に動かしたのを確認してから、今度は僕が、率直な思いを明かした。

 

「紗理奈が僕に対してそういう感情を持っていてくれていることが、僕はすごく驚いたけど、それ以上に嬉しい。でも本当に申し訳ないけど、僕は香里を諦めることはできない。自分でも諦めの悪い男だと自覚はしてるよ。けど、紗理奈と同じように僕は本気なんだ。だから……ごめん。いつか僕が過去と決別できて、まだ紗理奈が僕のことを好きだったら、考えるよ」

 紗理奈は涙目になっていた。泣かせるつもりはないけどこれだけは言っておかないと……。

「あと、僕を好きになってくれて、ありがとう」

 紗理奈の顔が僕の制服に当たり、彼女の嗚咽が教室に木霊した。




 というわけでいかがだったでしょうか。
 広樹が告白されると作者自身なにか恥ずかしくなりますね(笑)←この一言で、音槌は告白されたことがない、という事実を物語っている。
 そんなわけで初めて広樹が告白された記念すべきこのSeason12、完結です。まだ、シーズンタイトルを付けていないのでつけようと思います。
 評価や感想等、よろしくお願いします!!!!!!
 それではまた次回の小説、もしくはブログでお会いしましょう!!!!!!サラダバーー☆


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part1 広樹の決断(前編)

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 今のところ投稿予定日を大幅に越すようなことは起きていないのでこれを続けつつ、できればもうちょい投稿したいですねー……。
 それでは本日も最後までお楽しみください!レッツゴーー☆


 

 紗理奈に告白されてから早二週間。冬休みもあっという間に終わろうとしていた。

 まだ、香里にもう一度告白するかは決めていない。でももう明日にはまた学校が始まり、香里と、康多と、そして紗理奈と顔を合わせることになる。学校から出された宿題は全て終わってしまい残るは読書感想文や自由研究とは比べものにならないくらい大変なこの問題だけになってしまった。

 香里を好きなのは今も昔も変わらない。むしろ今の方がその気持ちに拍車がかかっている気もする。だからこそ、怖い。もしもまた、フラれてしまったら……そう考えると、怖くて、悲しくて、ただただ不安が積み重なっていくだけだ。

 僕の今の心情を表しているかのような空を見て、一度白い息を吐いた。どうしてこうも、この時期は曇り空が多いのだろうか。そんなことを思いながら。

 

 

 

 

 翌日。最後にして最大の宿題が終わらぬまま僕は学校に来てしまった。しかし、今日は正式に生徒会役員になるため、校長先生から委任状を受け取り、生徒会長選挙以降初めて全校生徒の前で話す日。まずはそれをやり遂げなければ。

 

 

 校長先生から任命証を受け取った僕は、副会長である康多が同じように任命証を受けとるのを待って、横を向いた。本部の議長、書記の四人に委嘱状を渡し、次の人にも同じように渡していく。次の人にも同じように委嘱状を渡そうと顔をあげるとそこには香里がいた。

 そう、香里も本部ではないが同じ生徒会役員となったのだ。嬉しいが、複雑な気持ちもある。

 しかしそんな気持ちは死んでも出すものか、という思いで、普通に委嘱状を渡す。

 

 

 自分と康多を除く十六人に委嘱状を渡し終えた僕は、壇を下り、マイクを手に取った。

「おはようございます。新しく生徒会長になりました、高城広樹です。──

──僕は、この学校を良くしたい、人の役に立ちたい、という気持ちがとても強いです。この学校のため、皆さんのため、精一杯頑張りますので、皆さん応援よろしくお願いします」

 僕はこう締めくくり、できるだけ深く礼をした。

 

 

 

 

 放課後。いつものように家の近くで康多と喋る。

 すると案の定、二学期終業式の日のことを問い詰められた。

「結局、二学期の終業式の日は何があったんだ?」

「いや……。今日の式の原稿を読む練習をしてた」

「なるほどな」

 康多は一度、僕の目を覗き込むと、頷いた。怖すぎる……。

「新学期最初の日に言わなきゃいけないとかツラいよな……」

 おっ、なんとか誤魔化せたようだ。

 それでは本題に入ろう。もう、自分でどうしようもないことは、親友である康多に相談するしかない。まあ、どんなことを言われるかは検討がついているけどね……。




 というわけでいかがだったでしょうか!誤字・脱字等ありましたら、感想、もしくはTwitterのリプでお伝えください!
 さて、ここでお知らせ!これから8月まで、できるだけ、カクヨム・ハーメルンともに「初恋は叶わない」の投稿を進めていき、8月までに完結したいと思います!2年以上続けてきたシリーズですが、いつかは終わるものですので、それまで皆さん、お楽しみください!
 それではまた、次回の小説やブログでお会いしましょう、サラダバーー☆


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part2 広樹の決断(後編)

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者(絶賛投稿頻度低下中)の音槌政旨です!
 投稿頻度ばかりはお許しください……。自分で言うのもあれですが、これでも頑張っている方なので。
 それでは本日も本編……レッツゴーー☆


「さてさて」

 僕は極めて明るく“その”話題を切り出す。

「さてさて?」

 康多はまだ頭の上に疑問符を浮かべている。

「私は神父です。あなたが嘘をつかないと信じています」

「私は正直者です。嘘は絶対につきません」

 謎の小芝居にちゃんと付き合ってくれる康多は寛大だ。

「それでは今から話すことを、私以外の人に結果的であってもイワナイコト、チカイマスカ?」

「チカイマス!──ってなんで途中から国籍変わってんだよ」

 おい、ツッコミは僕の役割だぞ。……まあ僕が最初にボケたんだけど。

「アリガトゴザイマス。ソレデハハナシマス」

「ユルシマス」

「いや別に許される事柄じゃねえ」

 ようやくツッコミアー(tsukkomier)だかツッコマー(tsukkomer)だかの座を奪還。

「ってな茶番はいいとして」

「アラソウナノ?」

 いや、それもはやオネエです。

「んでさ」

 さすがにこのままだと永遠に本題には入れなさそうなので声のトーンを落とし、今度こそ“その”話題を切り出す。

「ん」

「まあこれは康多を信じてのことなんだけどさ……?」

「別に言うつもりはないから安心しな」

 察しが早い。ってか康多のことだから予想ついてるんじゃね?と思ったが怖いので口に出すのはやめておこう。

「香里に告白するか迷ってる」

「うん」

 ここはありがたくそのまま話させてもらおう。

「間違いなく僕は香里のことを好きだ。だからこそ本当に香里が僕のことを少しでも気になっているというのであれば、僕でいいのか、と思うんだ。別に何かとても優れた部分があるわけじゃない僕で」

 康多はふんふんと頷いた。

「確かに広樹は突出した才能を持っているわけじゃない。すまんけどな」

 それは事実だからいいよ。僕は小さく返す。

「でも、何かしらの才能を持っているイコール優れてるってわけでもないし、才能を持っていないイコール優れていないわけももちろん無いと思う。この理論が通るなら、性格なんてどうでも良くなっちまうからな。広樹は一番大事な性格の部分が優れているから、突出した才能なんて無くても大丈夫だよ」

「康多……」

 まさかこんな深い話が返ってくるなんて。予想の斜め上だった。

「ってかワンチャン、性格のよさも、才能の1つって可能性もあるけどな」

 でも……。

「……とは言われたものの、自分の性格の良さが分からないんだけど……」

 すると康多は深い深いそれはマリアナ海溝より深いため息をついた。

「どこまでお前は自分をけなすんだ」

「えっ?」

 別にけなしてたつもりはなかった。

「謙遜もしすぎは良くないぞ。実際広樹にはいいところがあるんだから。これだけ言われてんだからさすがにお世辞では無いだろ。というかお世辞なんて面倒なこと、俺はしない」

 それは僕も同じだ。

「天狗にならない程度に頑張るよ」

「だからと言って謙遜しまくって自分に嘘をつくとピノキオになってどっちにしろ鼻が伸びるから気をつけろよ」

 いや……。

「座布団18.93582枚!」

「いや小数点以下なんなんだよ」

 いつものように黄昏時の住宅街に僕らの笑い声がこだました。




 というわけでいかがだったでしょうか。
 これを書いているのが朝の3時ということで、ところどころコメディ要素というかネタ要素が織り交ぜられております。この笑い所が好評でしたらこれからも夜のテンションで生きていこうと思います。ってなわけでもしそうなったら誰かツッコミ役をお願いします。僕がボケて滑るのはツッコミがいないことが原因だと思うので。
 そんなわけで、今回のテンションが良かったかどうか等の感想お待ちしております。あ、あと眠いので誤字があるかもしれませぬ。とりあえずおやすみなさい。
 学生たち!!あと3週間頑張るぞー!!


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part3 結果はいつも同じ

 皆さん、おとつちわ。毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です。
 なんだか不穏なタイトルとなっていますが、果たして何が起きるのでしょうね?
 というわけで本編、レッツゴーー☆


 康多と黄昏時に笑いあった日から1ヶ月。なかなか告白するタイミングをつかめないまま、太陽暦ではもう2月だ。

 あの数日後から、僕と康多は何故か放課後一緒に喋ることがなくなった。というより、康多が僕を意図的に避けている、そんな感じがする。放課後も大体終わるのが遅い僕のクラスに康多が来ることが多かったのに、最近では気づいたら居なくなっている。

 そんなある日、母親と隣町のショッピングモールに行ったときのこと。

 母親がレジに並んでいるのを待っていると、まるでカップルのように手をつないで歩いている人の姿が目に入った。僕はまた香里のことを考え小さくため息をつく。あれが僕と香里だったらいいのに。そんなことを考えているとだんだん、カップルのうち1人が香里に見えてきた。その隣の人は僕にも見えてくる。いや身長が違いすぎる。というか、あの2人、香里と康多じゃ?

 よくよく目を凝らすとやはりそうだった。

「えっ……。」

──あの2人、12月に別れたんじゃ……。

 僕の戸惑いとは裏腹に香里と康多は仲良さげに歩を進めている。考えてみればあの2人がデートしているとことを見るのは初めてだ。だからか。この心の奥底で沸々と煮えている汚れた感情は。

 考えうることは2つ。12月のあの日、康多が嘘をついていたのか……。それとも……。最近になって復縁したか……。後者の方が可能性は高い気がする。前者だとしたら、嘘をつく理由も分からないし、嘘をついていたとしたら1ヶ月前、あんなことを言っていないと思う。逆に後者だとしたら、最近康多が僕を避け気味なのも辻褄が合う。1ヶ月前、あんなことを言ってしまった後に、こうなっているとしたら。

 僕の心はぐるぐると回り回り回りつづける。2人が視界から消え、僕はようやく深呼吸をすることができた。

 でも……。何故こうなっているのだろうか。

 12月の別れは香里からだったらしい。ということは、康多が香里に猛アプローチをした?いや、僕にあんなことを言っておきながら、猛アプローチをしていたらもう僕は誰も信じられなくなる。

 これってもしかして。僕が躊躇したから?その間に香里の心が再び康多に動いたとか。

 ……。結局僕はこうだ。

 半年前、康多が香里に告白することになったとき。1ヶ月前、康多に「香里、若干お前のことが気になってるみたいだ」と言われたとき。何故、後々苦しむと分かっておきながら、動かなかったのだろう。受け止めきれないふりをして自分の心にみすみす負けて、後で後悔する。

 これはすべて、自分のせいなのだ。

 僕は何も言わずにその場を離れた。




 というわけで、最後までお読みいただきありがとうございます。
 ちょっと短めですが、お許しください(汗)Season13はかなりいい感じで進んでおります。“起承転結”の言葉どおり進めば、次の話でSeason13は無事に終わるのですが、どうなるでしょう。この次をお楽しみに。
 さて、私ごとですが今週末より父方の実家に帰省しますので、小説投稿ができません。次の投稿は、恐らく来週末になるかと思います。このシリーズもかなり長くなってきたことですし、2週間弱の間にぜひ過去の話も読み返してみてください!(宣伝じゃないですよー笑)
 それではまた、次回お会いしましょう、サラダバーー☆


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part4 分かっていた

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 夏休みの課題も無事、終わりまして、投稿している8月21日は絶賛、県下一斉テストの真っ最中です。(ついでに言うと執筆している8月16日は宿題の追い込み真っ最中です。息抜きは大事なので)
 そしてうれしいお知らせがあります!なんと「初恋は叶わない」の全話PV(ページビュー=アクセス数)が20000を越えました!UA(ユニークアクセス=アクセス人数)も5000を突破!(正確には5540)のべ5000人もの人がこれまでに見てくださったって、もはや恐怖ですね。このうち何アクセスが自分なのかは置いといて!本当にいつも見てくださる皆さんありがとうございます。受験生ですが息抜きがてらまだまだ投稿していきますし、高校生になっても投稿は続けていくつもりなので末永くよろしくお願いします!!!!!!
 というわけで前書きが異常に長くなりましたが、本編レッツゴーー☆


 翌日。

 なんとしても帰りに康多を捕まえて昨日のことを確認しようと帰りの会が終わるやいなや帰る準備もせず3組に突撃した。3組は康多を告白させた人たちがいるから少し苦手だが。

「あ、康多」

 意外と近いところにいた。席替えをしたようだ。

「ちょっくら話したいことがあるからしくよろ」

 あえて謎の言葉をしゃべることで察させないという僕の戦法だ。

「あーおkおk。んじゃあちょっと待っとくわ」

「あざまる」

 いや渋谷とか原宿にいそうな会話(行ったこと無いから実際がどうかは知らない)。

 とりあえずさっさと荷物をまとめてっと。

「ただいま~」

「お前の教室じゃねえ」

 うん、確かに。

 歩きながら康多に色々を問う。

「そういえば久々じゃない?2人で喋るのって」

「まあ確かにな」

「……」

「……」

 あ、理由はお話しになられないんですか?

「放課後デートでも行ってた?」

「いやちょっと前に別れただろ。そのままバレンタインは0個だな恐らく」

「え、家族からは?」

「あるわけないやん」

 あ、ご愁傷さまです。僕はとりあえず学生の間は家族から貰えるんで毎年3個はゲットしております。……なんか悲しい。

「え、じゃああれか、イチャコラしてたのか」

「そんな相手いねえわ!親に早く帰ってこいって言われてただけだわ!」

 ふーん……。じゃあ昨日のことは僕の幻覚なのか。

「まあ時間かかる話じゃないから。ちょっと確認したいことがあるだけ」

 自転車を漕ぎ、僕の家のカーポートに自転車を止め、取り調べのお時間が始まった。

「カツ丼……。あげないから正直に答えるんだな」

「いや正直に答えねえよ」

「嘘をついたりバックレたりしたらあっつあつのカツ丼を食わせるからな。火傷でもするがいい」

「地味に嫌だわ」

「なら正直に話せ」

「りょ」

 とりあえず悪魔の契約完了だ。カツ丼はないが。

「昨日、お前は何をしていた」

「家でマイクラで家作ってた」

「紛らわしいが、とりあえず家で日がな一日、ゲームをしていたんだな」

「ああ。そうだ。素晴らしい読解力だな」

 到底取り調べられているとは思えない口調だ。

「そうか」

「そうだ」

「……はい嘘つきー!!!!!!あっつあつカツ丼案件!」

「なんでだよ!」

 康多が自転車に乗ったまま吠える。確かに夕日がきれいだ。

「証拠映像……はないから口頭で話してやろう。ありがたく思え」

 面倒くさい容疑者には上からが一番だ。

「あっざーっす!」

 な、なんだと……。上から目線が効かないとでも言うのか……!くそっ身長で10cm負けている影響がここに出るとは……。だがいい。話せば分かる!

「お前さん、昨日、イ○ンに行っていたな!」

「まあ、デートというものだな」

「ああ!……あぁ?」

 早い!認めるのが早い!

「相手は誰だ!」

「香里だ。許せ。浮気でもないし不倫でもない。何より一線は越えていない」

「そうか。ならば許す──ってそんなわけあるかーい!こっちは経緯を知りたいんじゃい!」

「ゾンビランドサガの巽さん……」

 よくぞご存知で。第二期決定したぞ。

「んで、どんな経緯でそうなった。そしてなぜ別れて2ヶ月にも満たないのにまた付き合った」

「ちょっと待ってくれ。経緯はちゃんと話すから安心してくれ。俺と香里は付き合っていない」

「はあ!?」

 え、じゃあさっきの「デート」発言は?昨日僕が見たものは!?

「『デート』は冗談だ」

 じょ、ジョーダン……。

「まあまず、今の状況を軽くおさらいしよう。12月に俺と香里は別れ、俺は想い人無し。香里は1人いる。以上」

「軽すぎん!?」

「大丈夫。それだけ情報があれば十分だ」

 康多は明後日の方向を向いて頷いた。

「香里の想い人とは……そう!貴様だ!」

 一瞬、こちらを振り向いて指を指す康多。こちらを見ると眩しいのか。

「というか何キャラ?」

「マイケル・ジョーダン」

 ごめん、名前は聞いたことあるけど知らないわ。

「と、いうわけだが、一つ問題が浮上した」

「ほう」

「ほけきょ。……高城が告らない問題だ。1ヶ月前言ったことをもう忘れたか?」

「いえ……違います」

「知ってる。んで、俺は考えた」

 あ、変なしゃべり方に疲れたんですね。

「まあここから先は俺と香里だけのトップシークレットだから言えないが、まあ考えて、香里にも協力してもらうことにした。以上!」

 いや……。

「ちょっとよく分からない」

 すると康多が自転車に乗ったままこちらへ突っ込んできた。

「つべこべ言わずさっさと告れ、ということだな」

「えそんな急に言われても」

「3年前みたいに、いつ告るか決めとかないとやらなさそうだから決めるぞ」

「え、じゃああの80年後で」

「バカ言え。今週の金曜日だ」

 えと……。

「5日ある。告白の言葉を考えておくんだな。んで土日の間に考えてもらうように言うんだな」

「ははー!」




 というわけでいかがだったでしょうか!
 夏休みということで(というより宿題からの現実逃避が楽しすぎて)2000文字近く書いてしまいました。まあ楽しんでいただければ幸いです。
 そして最後の方で分かると思いますが、Season14ようやくの告白編です!!!!!!広樹推しの皆さん、そして片想いをしていて毎晩眠れない皆さんに笑顔をお届けできればうれしいです。
 それではまた次回の小説でお会いしましょう、サラダバーー☆


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part1 高城広樹の苦悩

 皆さん、おとつちわ!毎度お馴染み素人小説投稿者の音槌政旨です!
 昨年の9月第1水曜日。この日から100日連続投稿は始まりました。あれから1年が経ったんだと考えると、感慨深くなりますが、それ以前に……1年って早すぎやしません!?まだ感覚的には半年前なんですが……。まあ若い証拠として捉えておきましょう。
 まあ兎にも角にも、今年は忙しすぎますので連続投稿はありません。むしろ連続投稿したら受験に落ちて来年の小説投稿0になりますので。来年、全力で執筆するため、今年は投稿頻度は落ちてしまいます(投稿しないとは言っていない)が、見放さずにお付き合いよろしくお願いします。
 それでは本編……レッツゴーー☆


 告白一日前。僕はまだ告白の言葉を考えきれていなかった。というか決めきれていなかった。

 目の前の机の上には文字が並んだルーズリーフ。

 もう少し僕に語彙力があればいいのに。国語の授業の時より思った。

 一人、暖かい部屋にいる自分がバカらしくなってヒーターを消した。同時に流していたCDも止めて布団の上に寝転がる。

 こんなに好きなのに何故それを伝えられないのだろう……。三日三晩悩み続けるほど真剣なのに。二年以上前から想いは変わらないのに……。

 

 

 

 

 

 朝になっていた。

 のそのそと階段を下りる。

「おはよ~……」

 いつものように母親が先にリビングにはいた。いつもと変わらない。ただ……。

「ちょっと今日、帰り遅くなるかも」

「ん、生徒会?」

「まあそんなところ」

 ぶっちゃけ今の時期、生徒会は一番忙しくない時期だろう。もう少しソツなく仕事をこなせるようになっていれば昼休みだって取れるかもしれないくらいのレベルで。年度が変わってしまうと忙しさは今の比じゃなくなってしまうから。

「いってきま~す」

 朝食を平らげ、自転車を約二百メートルこぐ。学校だ。

 案の定、授業が身に入らないことこの上ない。

(好きです。付き合ってください)

 ……何か薄い。というか2年前と一言一句同じだ。

(2年半前、香里のことを意識し始めてから、香里のことを考えない日はなかった。これからずっと香里の隣を歩きたいんだ)

 ……いやこれはイケメンが言ったらキュンと来るかもしれないけど僕が言ってもキュンとはならないだろ。というか別にキュンとさせたいわけではないし。

(あのさ、香里は僕のこと好き?……僕は誰よりも香里のことを好きだよ。だからさ、付き合ってくれないかな……?)

 いやだからイケメンじゃないとダメだってこの言葉は。

 ……難しいな。どうしてくれよう。

 あ、これはどうだろう。

(香里さ、今の僕の好きな人知ってる……よね?まあ2年半前から変わることなく香里なんだけどさ。もう一度だけ告白させてほしいんだけど、いい?…………2年半前からずっと好きです。付き合ってください)

 う~ん……長いけどまあマシな方か。

♪キーンコーンカーンコーン♪

「え、もう終わり?」

 びっくりした拍子にそう呟くと紗理奈から心配された。

「今日、ずっとボーッとしてるけど熱でもあるんじゃない?」

「いや9年以上風邪ひいてないから大丈夫だよ、多分」

「多分じゃん。気温も下がってるから気をつけてね」

「サンキュー」

 うん、紗理奈は素から優しいから僕がフってもまた新しい恋を始められれば大丈夫だろう。それより自分の方が問題だ。いつの間にか5時間目まで終わっていて、タイムリミットはあと1時間ちょいだ。

 どうにか考えねば……。




 というわけでいかがだったでしょうか!
 本当に投稿が遅くなって申し訳ない。本当は先々週投稿するつもりで書いていたのですが体育大会が終わったということでやる気を充電してもすぐ使い果たしの連続でここまで遅れてしまいました。
 今、できるだけ早くブログで重大発表をするため全力で頑張っておりますので応援よろしくお願いします。
 それではまた次回の小説でお会いしましょう、サラダバーー☆


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