真・恋姫†無双 ~外史神界救伝~ (ガーディアン)
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始動

それは、一瞬の出来事だった。

 

 

大地が、空が、燃えていた。

 

 

城も、街も、村も、燃えていた。

 

 

森の木々も炎で焼かれなくなり、山は崩れ、地面は穴だらけになった。

 

 

城の外壁も瓦解、街の家々も崩壊していた。

 

 

いつも国は街の民たちが盛り上げていた。

 

 

しかし、今の自分が見ている景色が嘘のように思えてきた。

 

 

突如襲ってきた化け物たち。

 

 

奴らは、非道、残虐、そして笑いながら殺していった。

 

 

死体の山々、街の民、城の兵士、そして…。

 

 

自分が愛した女性たち。

 

 

これは夢だ、そうに違いない、こんなことがあっていいのか…。

 

 

自分がこの世界にきて生まれた夢、争いのない世界。

 

 

その道筋の途中だった。

 

 

毎日起きて、毎日仕事して、毎日食べて、毎日寝て、毎日愛して。

 

 

平和だった日常が一瞬のうちに崩れていった。

 

 

自分が持ち上げている女性。

 

 

自分がとてつもなく愛した女性。

 

 

でもその体は血だらけで、瞳は閉じていた。

 

 

愛した女性たちは戦った、勝てると信じていた。

 

 

だが負けた、敗北した、勝てなかった、殺された。

 

 

自分は悔しかった。

 

 

何故こんなにも弱い、何故守れなかった、何故助けれなかった…。

 

 

怒り?悲しみ?苦しみ?憎しみ?

 

 

あらゆる感情に襲われた。

 

 

その時の白き衣を纏った青年は、泣いていた。

 

 

ただ、ひたすらに泣いていた。

 

 

会いたい…。

 

 

みんなに会いたい…。

 

 

楽しもう、笑い合おう、そして、愛し合おう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、世界を、外史すべてを守る物語

 

 

一人の青年の想いを叶える物語

 

 

 

 

 

 

 

山々に囲まれている小さな村があった。

村人たちは一生懸命農作業をしてる。

 

「お~い。順調か?」

 

「おう。そっちはどうだ?」

 

村人たちは元気に平穏に過ごしていた。

 

だが、そこに魔の手が伸びていた…。

 

「う、うわああぁぁぁッ!?」

 

『ッ!?』

 

1人の男の叫び声で村中が戦慄する。

 

 

ザクッ!!

 

 

切り刻む音が響いた。

 

叫んだ男は助けを求めるが、虚しく、絶命した。

 

乱世の中であれば盗賊が襲ってくることもありえる。

しかし、乱世は終わり、盗賊も見なくなった。

では何故、襲われているのか…。

 

答えは、そいつらが人間じゃないからだ(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「ぎゃははははは!殺せ!殺して、殺しまくれ!」

 

肌は灰色に近く、顔は醜悪。

牙を生やしている者もいれば、単眼の者もいる。

 

妖魔、化け物、まさしくそれだった。

 

「に、逃げろ…!?逃げろーーッ!?」

『わあああぁぁぁぁぁーーー!!?』

 

村人たちは仲間が殺されるところを目の当たりにして恐れ、逃げていく。

 

「逃がすな!追え!追って嬲り殺せ!!」

 

指揮官の妖魔が周りの仲間たちに指示を出し追いかける。

 

必死に逃げる村人たち、だが…。

 

「あ…!?」

 

一人の少女が逃げ遅れ、転んでしまった。

 

「う、うぅ…」

 

大きく転んでしまったため、立ち上がれない。

 

「おうおう。生きの良いのがいるじゃねぇか」

 

一匹の妖魔が少女に近づく。

 

舌を出し、口の周りを舐め回している。

 

「ひ……!?」

 

少女は醜いものを見て後ずさりする。

恐怖で顔が強張って、腰が引いてしまう。

 

「人間の女は特にうまいからなぁ。生か、焼くか、煮るか。くくく…」

 

妖魔は少女をどのようにして食べるか考えている。

 

「いや…。いや、いや、いや!?いやああぁぁぁッッ……!?」

 

「ははは!そんなに怖がるなよ。なぁに、ちょっと痛いだけだからなぁ…」

 

ジュルりと音を立ててて近づいてくる妖魔。

 

ゆっくり、ゆっくりと迫っていく。

 

「そんじゃまぁ、死んでもらうか!!」

 

妖魔は手に持っていた剣を振り上げる。

剣には切られた村人の血がこびり付いていた。

 

「いやああぁぁぁぁぁーーーーーーーッッッ!!?」

 

少女は叫んだ。

怖い、助けて、死にたくない。

 

「はは!死ねぇーーー!!」

 

ブンッ!と腕を振り下ろし、少女に斬りかかる。

 

村人は救出は間に向かうが間に合わない。

 

少女は死を覚悟して目を瞑った。

 

 

………

 

………?

 

少女は不思議に思った。

痛みを感じていないからだ。

 

ならばここは死後の世界?

いや違う、空気は変わっていない。

 

ならばどうして…?

 

少女はゆっくりと目を開けた。

 

目の前には妖魔と、一人の男がいた。

 

白い衣を身に纏い、手には黒い刃の剣を持っている。

 

その黒剣で妖魔と鍔迫り合いをしていた。

 

「ぐッ!?ぐぐぐ……!」

 

妖魔は思わぬ横やりと力に驚愕していた。

 

そして、妖魔の剣はあっさりと弾かれてしまった。

 

「大丈夫?間に合ったようだね」

 

妖魔と対峙する男。

 

その声はとても優しい声だった。

 

「何だ、てめぇは!?邪魔をするんじゃねぇ!?」

 

妖魔は折角のお楽しみを邪魔されて激昂する。

 

「悪いね。でも、見過ごすわけにはいかないだろ」

 

笑顔で答えていたが、言葉には重圧があった。

 

男は見たことがない白い衣を着ており、右目には包帯を巻いていた。

 

手には一本の黒刀、体は細いが筋肉は盛り上がっている。

 

「てめぇ、何者だ!?ただの人間じゃねぇな!?」

 

数匹妖魔が寄ってきて、その内の一匹が問う。

 

男は刀を構え、答える。

 

「神界軍 外史管理区部将軍 北郷一刀」

 

『なッ…!?』

 

男、北郷一刀の答えに妖魔たちは焦り始めた

 

「神界軍だと…!?馬鹿な、何故こんなところに…!?」

 

「そんなことはどうでもいいだろう」

 

北郷一刀は適当にあしらう。

だが、しゃべり方は普通に聞こえて、冷徹に感じる。

 

「お前ら、よくもやってくれたな」

 

北郷一刀は殺された村人の死体を見て言う、そして。

 

「覚悟しろ。てめぇら全員俺がぶっ倒す!」

 

北郷一刀は妖魔に向かって言い放つ。

 

 

 

 

 

天の御使い 北郷一刀

 

 

 

 

 

その男の世界を、外史を救う長い戦いは今ここに始まる




作者のガーディアンです。久しぶりに書いてみました。
恋姫はプレイしたのは英雄譚のみでありその他はプレイしていません。
ですので、キャラがおかしくなったり、曖昧な部分も出てくると思います。
その時は是非、ご指摘をお願いします。
後、更新はかなり遅いです、月一更新できたらいいなと思ってます。
更新できたとしても短い可能性も否定できない…(汗)
ではでは


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村人救出戦

村人を蹂躙しようとした妖魔たちは突如現れた男、北郷一刀によって阻まれた。

妖魔たちは一刀の名前を聞いた途端、驚愕していた。

 

「神界軍だと…!?」

 

「お前たち、この村の人たちを殺したようだな」

 

一刀は怒りの形相で妖魔たちを睨み付ける。

 

別の妖魔が答える。

 

「はっ!だからどうした!そいつらは俺たちの食糧だ!」

 

平然と言ってのける妖魔。

武器を構え一刀に向かう。

 

「食糧は食糧らしく、食われてろやぁぁぁッッ!!!」

 

迫る妖魔。

だが一刀は慌てず、冷静なままだ。

一刀は黒刀を納刀し、目を瞑り、構える。

 

ドッドッドッ!と迫りくる妖魔。

 

「何だ?武器を仕舞いやがって。食われる覚悟ができたことだよなッ!!」

 

妖魔は剣で攻撃する。

 

「危ない!!」

 

少女が叫ぶ。だが…

 

 

「フッ!!」

 

一刀は目にも止まらぬ速さで抜刀。

横に一線が生じた。

 

「………は?」

 

一刀が抜刀したことにより妖魔の動きが止まる。

 

キンッ、と再び納刀した一刀。

すると次の瞬間…。

 

ズバッ!!

 

攻撃してきた妖魔が上半身と下半身綺麗に分かれた。

そのまま妖魔は絶命した。

 

妖魔たちは何が起きたのかわからず、慌てふためいた。

 

「な、なにが起きたんだ…!?」

「み、見えなかったぞ…!?」

 

どうやら、一刀の居合に妖魔たちは追いついていないようだ。

 

すると指揮官の一人が叫ぶ。

 

「ええい!怯むな!敵はたかが一人だ!数に任せてぶち殺せ!!」

 

指揮官の命令で妖魔たちは冷静さを取り戻す。

 

『ウオオオォォォォォッッッ!!!!!』

 

今度は複数の妖魔が突撃してきた。

 

「………」

 

一刀はこれにも動じていない。

 

「あ、あの…」

 

少女が呼びかける。

 

一刀は笑顔で少女に言う。

 

「君、ここは俺に任せてくれ。急いで避難するんだ」

 

どう見ても無茶な状況だ。

だが、この男の優しい言葉を聞くと素直に頷いた。

 

「はい!お気をつけて!」

 

少女は自然に恐怖から笑顔を取り戻し他の村人たちが逃げていった方向に走る。

 

「さて、と」

 

少女の避難を確認した一刀は切り替え、妖魔に向かう。

 

「ハッ!!」

 

再び居合切りをする一刀。

 

ズバッ!!!

 

今度は五人同時に上下真っ二つにした。

 

「こ、こいつ…。なんて強さだ…!?」

 

妖魔の一人がビビる。

 

一刀はその妖魔の様子を逃さず、今度はその妖魔を縦に斬る。

 

「ごふっ…!?」

 

「ハァァァッッ!!!」

 

ズバッ!ズバッ!

次々と妖魔を斬っていく一刀。

 

どんどん数を減らされて焦る指揮官。

 

「くっ…!まだまだぁッ!!」

 

妖魔たちを次々と追加していくが、一刀は至って冷静だった。

 

「フンッ!ハァッ!!」

 

一人の妖魔には上半身を斬り、一人には胸に突き、一人には腹部を横に斬る。

 

圧倒的な人数の差なのに疲れる様子を見せない。

 

一刀の猛攻に痺れを切らした指揮官は抜刀する。

 

「ええい、クソッ!!俺が止めてやるッ!!」

 

抜刀した刀で斬りつける指揮官。

 

「甘い!!」

 

ガキィッ!!

 

一刀の黒刀と妖魔の剣がぶつかり合う。

 

「ぐ、ぐぐぐ……!!?」

 

指揮官は力いっぱいに押し付けるが、一刀は落ち着いた表情だった。

 

「フッ…!」

 

一刀はぶつけていた刀を妖魔の剣から離す。

 

「うおッ…!?」

 

指揮官は力を籠めすぎたため勢い余って前に転倒する。

 

「くっ…。ッ…!?」

 

指揮官は急いで体勢を立て直そうとするが、遅かった。

 

構えていた一刀が刀を振る。

 

「フッ!」

 

ズバッ!

 

指揮官の首が跳ねられた。

 

 

指揮官が討ち取られたことにより周りの妖魔たちに動揺が走った。

 

「な、なんだこいつ…!?」

「撤退…!撤退だぁぁ…!?」

 

妖魔たちは恐れ、撤退していく。

 

「逃がすかよ!」

 

逃げる妖魔を追撃する一刀。

 

 

 

「た、助けてくれ―――!!!?」

 

「!?」

 

 

助けを呼ぶ声を聴き、声の主の元に走る。

 

そこには3メートルを超える妖魔と、まだ逃げ遅れた村人が数人いた。

 

「待ってろ。今助ける!」

 

一刀は巨漢の妖魔に向かう。

 

『ブヒャアァァァッッ!!!』

 

妖魔は叫び声と同時に手に持っている巨大な棍棒を振り下ろす。

 

「シッ!」

 

ギイィンッ!!

 

防御の構えをし、妖魔の攻撃を塞ぐ。

 

普通なら体格差で負けている一刀が不利だが…。

 

「く…」

 

『ぶ、ブオオォォ…!?』

 

一刀が力押しに勝っている。

 

その勢いのまま妖魔の攻撃を弾く。

 

無論、負けじと妖魔は続けて攻撃するが、攻撃しても攻撃しても弾かれるだけだった。

 

「うおおぉ!!」

 

一刀は刀を振り上げ、妖魔の武器を弾き飛ばした。

 

「はあぁぁッ!!!」

 

そのまま肥大した妖魔の腹部を斬りつけた。

 

『ブヒャァッッ……!!?』

 

巨大な妖魔は血を大量に流し力尽きた。

 

「あ、ありがとうごぜえやす!!」

 

救出した村人たちから感謝される。

助けられた村人はそのまま避難していった。

 

その様子を見届けた一刀は警戒を強める。

 

一人の妖魔が近づいてきた。

 

目隠しをして猿ぐつわを付け、片腕には義手の代わりに大きなハサミを装備していた。

 

「ハサミ男だ!こいつならいけるぞ!」

 

妖魔がハサミ男の登場に歓喜する。

 

『……』

 

シュー。シュー。と呼吸音だけが聞こえてくる。

 

『……!』

 

ハサミ男はハサミを一刀に向け構え、突進する。

 

一刀は大きなハサミの攻撃を横にステップして避ける。

 

ジャキィィッッ!!!

 

金属音が鳴り響く。

 

その次の瞬間、ハサミ男の攻撃は避けられたが、その代わりに一軒の家が横に真っ二つになった。

 

「なんつう切れ味だよ…!」

 

一刀はそのハサミの切れ味に警戒を高める。

 

『……!……!!』

 

ハサミ男は大きくジャンプし、空中で一刀に狙いを定める。

 

その光景を見た一刀は黒刀を構える。

 

『ッッッ!!!!!』

 

ハサミ男は勢いよく迫る。

 

 

一刀は左足を一歩前に出しだし、刀の刃をハサミ男に向けながら構える。

 

 

 

「"断絶"」

 

 

 

刀を勢いよく振り下ろす。

 

ガキャアアァァッッッ!!!!

 

振り下ろされた刀は巨大なハサミを破壊。

同時に、ハサミ男も胸を大きく切られた。

 

ハサミ男は猿ぐつわされている口から血を吹き出し、よろよろと歩きながら倒れた。

 

「ヒ、ヒィッ!?」

「にげ、逃げろ~~ッッ!!?」

 

妖魔たちは有力な味方がやられたのを目の当たりにし、恐怖し逃げていく。

 

「敵将、討ち取ったぜ!」

 

一刀は刀を持った手を振り上げ勝鬨を挙げた。



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