愛した人を求めて (白夜132)
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1話

初めまして。
まだ投稿の仕方がよくわかりませんがよろしくお願いします。


気が付くと何もなくどれだけ広いのかもわからない白い空間にいた。

 

まず落ち着いて状況を整理しよう。

1.誘拐された

2.友達のドッキリ

3.死んだ

思いつくのはこれくらいだな。

まず1は、誘拐される理由がわからない、それにこんな現実味のない空間を用意する必要がないから違うだろう。

次に2は、1と同じようにこんな場所を用意できる友達はいないので違う。

残った3だがこれは、よくわからないな。

死んだ記憶はないが意識がないうちに死んだのか死んだ時に記憶がなくなったかもしれないが。

神様でもいれば説明してくれるのだろうが。

神「なら説明しよう。」

「突然目の前に現れるな!驚くだろうが!」

なんの前触れもなく男が現れて驚いた。

見た目は、神話に出てきそうな神様のような格好だ。

神「すまんすまん。」

「謝ってくれればもういいさ。

それより説明してくれ。」

神「わかった。

まずお主は死んだ。

死因について聞きたいか?」

「いや、死んだのが分かったから他は興味ない。」

神「お主変わり者じゃな。

普通ならなぜ死んだのか聞きたがるじゃろうに。」

「聞いても意味ないからな。

そんなことより説明はやくしてくれ。」

神「そうか。

まあ説明はもうないがな。」

「ないのかよ。」

神「しいて言うならこれから転生させるってことくらいだの。」

転生って神様転生みたいなやつのことかな?

神「その通りじゃ。

希望があれば聞くぞ。」

「こころを読まないで欲しいんだが。

どれくらい聞いてもらえるんだ。」

神「行く世界や能力など好きなだけ聞いてやる。」

「随分気前がいいな。」

神「お主の新しい人生を見て楽しむためじゃよ。」

「なら遠慮なく。

まず行く世界はデート・ア・ライブで、

能力は十戒の統率者だったころのメリオダスの力と五帝と創世と重力操作を頼む。

それとメリオダスの全反撃はいらない。

ついでに魔力を霊力にしてくれ。

あとスパコンくらいの演算能力と無限の記憶容量と完全記憶能力をくれ。」

神「なぜ全反撃はいらないんじゃ?」

「使うことない能力はなくていい。」

神「そうか。

他に希望はあるか?」

「出来るなら万由里の出現条件を一人じゃなく地域に霊力が集まり過ぎたらにしてくれ。

あと万由里を消滅させずに救える力をくれ。」

神「出来るがなぜじゃ?」

「映画を見た時からずっと好きだったんだ。」

神「なら士道の立場になれば好きになってもらえるじゃろ。」

「万由里の意思を捻じ曲げて好きになられても嬉しくないんだよ。

万由里を好きだらか自分の意思で好きな人を選んでほしいんだよ。」

神「やはりお主は変わっておるの。」

「よく言われる。」

神「それじゃあ、そろそろ転生させるぞ。」

「いつでもいいぜ。」

神「最後に他にもう一人転生者がおるのとお主ら転生者が入ることでイレギュラーが起こる可能性もあるから注意するのじゃぞ。」

「分かった。」

神「では行ってこい。」

その言葉を聞くと意識が遠くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2話

読みづらいかもしれませんが最後まで読んでいただけると嬉しいです。


目を覚ますと知らない天井が見えた。

本当に転生したようだな。

動こうと思ったが思うように動けなかった。

何とか動こうとしていると。

母「目が覚めたのね。お母さんですよ。」

母親と名乗る女性が抱きかかえ声をかけてきた。

ということは、赤ちゃんからまた新しい人生を始めるのか。

とてもめんどくさいな。

父「起きたか。」

次は男が来た。おそらく父親だろう。

母「あなたこの子の名前考えてくれた。」

父「ああ、もう決めてるよ。

この子の名前は白夜。」

 

それから6年が過ぎた。

時間がとびすぎなのは気にしないように。

6年間であったことは簡単にまとめます。

 

1年目 妹が生まれた。

妹の名前は水樹 一姫

 

3年目 力について調べた。

頼んだ力は無事に全部使えた。

 

4年目 妹もそこそこ力を持っていることがわかった。

 

そして6年目

俺の外見は銀髪で赤い目の子ども姿のギルガメッシュみたいな感じだ。

妹の外見は俺と同じで銀髪で赤い目、顔はとても整っている所謂美少女だ、髪は背中の真ん中くらいまである。

妹と一緒に買い物に行った両親を待っている。

一「お兄ちゃん、お父さんとお母さんまだ?」

「もう少ししたら帰ってくるよ。」

それにしても帰りが遅いと思っていると。

ピーンポーン

インターホンの音が聞こえたので、出てみると知らない男の人がいた。

男「水樹さんのお宅で間違いないですか?」

「はいそうです。」

男「今から言うことは大切なことだから落ち着いて聞いてね。」

「はい。」

男「さきほど君のお父さんとお母さんが交通事故でお亡くなりになりました。」

男の言ったことに驚いたが確かに帰りが遅いので本当のことだと思った。

男「それで君たち兄妹は孤児院に預けられることになったから荷物をまとめてくれるかな。」

「はい。」

男に言われたことを妹に伝えると最初は理解できなかったのか固まったままなにも言わなかったが、次第に理解できたのか泣き始めたので落ち着くまで抱きしめた。

それからしばらくして妹が落ち着いたので、荷物をまとめ妹と男についていった。

 

それから1年孤児院で過ごした。

 

やることがなくて暇だな。

そんなことを思いながら孤児院の中を歩いていると。

男「子どもを一人引き取りたいのですが。」

と聞こえてきたので隠れて話を聞くことにした。

弧「どのような子がいいか要望はありますか?」

男「出来れば女の子がいいです。」

弧「分かりました。」

話が終わったみたいで男が帰っていった。

男は見た感じそこそこお金持ちのようだった。

なので孤児院の人に妹を引き取ってもらうように勧めた。

妹には悪いと思ったが次の日荷物を持って孤児院を誰にも気づかれないように出た。

妹に天宮市の来禅高校に入学すれば会えると書置きを残しておいた。

一人になったので世界について調べるためいろんな場所に行こう。

「さてまずはどこに行こうかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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3話

孤児院を出て最初に来たのは京都。

 

お金をどうしかは気にしないように。

 

まずは、俺の能力について詳しく調べることにした。

最初はメリオダスの魔神の力について調べてみた。

すると額の模様の色が黒から銀になっていることに気づいた。

俺や妹の髪はアニメでよくある白髪のような銀色だが模様の色は少し青が入った銀色だ。

そして魔神化した時の目も黒ではなく青色だった。

能力の闇や炎は黒と模様と同じ色の両方が使えた。

特に色が変わる以外変化はなかったのでイレギュラーだろう。

他の能力は特に異常なかった。

力を調べて身体能力や霊力が高すぎるため抑える手段を考えることにした。

 

孤児院を出て1年

 

時間がとんでることは気にしない。

 

あれから世界的なイレギュラーがないかと霊力について調べた。

結果、霊力を持った人が数万人に一人くらいの確立で生まれることがわかった。

霊力の方は、霊力を使って魔術のようなことが出来ないかいろいろ試しているとできた。霊力を使っているので霊術と呼ぶことにした。

霊術を使って身体能力と霊力を封印することで抑えた。

今の力は闘級3万のメリオダスくらい。

そして霊術について本にまとめておいた。

 

孤児院を出て3年

 

日本を出てヨーロッパの辺りに来ている。

2年の間に空間震を実際に見ることができた。

アニメで狂三が自分の意思で空間震を起こしていたので、出来ないか工夫してやっているとできた。

しかし、空間震を起こしたのでASTが来ると思い白いマントと仮面ついでに保険として自分が誰か認識できないようにした。

格好のイメージはディーグレイマンのクラウンクラウン(剣)を発動した時のような感じです。

AST相手に能力を試した後逃げるため山を少し吹き飛ばしそっちに気が向いている間に逃げようと思い山に攻撃をしたのだが力加減を間違えて山をまるごと吹き飛ばしてしまった。

そのためなのか識別名が<ディザスター>になっていた。

そして逃げた時に霊術についてまとめた本をどこかに落とした。

なくても困らないので放置することにした。

 

孤児院を出て8年

 

数年前に霊術を使う集団の話を聞いた。

おそらく誰かに本を拾われたのだろう。

話によると特に悪用はしてないようなので放置することにした。

そしてもう15歳になるので天宮市に行き来禅高校に入る準備を始めた。

 

孤児院を出て9年

 

無事に来禅高校に入学できた。

名前は 神領 白夜に変えた。

クラスは士道と同じになった。

そして転生者と思われる人物を見つけた。

外見はうずまきナルトだった向こうも気づいたみたいなので、二人で話すことにした。

名前は 渦巻 隼人で士道の家の隣に住んでいるらしい。

ちなみに俺は士道の二つ隣ようすうに隼人の隣の家だ。

隼人はいい奴だったのですぐに仲良くなれた。

そして士道も紹介してくれたので士道とも友達になれた

能力については知らない方が面白そうなのでお互いに隠すことにした。

 

現在の俺の外見は

髪を垂らした状態のギルガメッシュ

身長は低く160ちょっとしかない。



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4話

今回は妹の一姫視点です。
相変わらず読みにくいかもしれませんがよろしくお願いします。


一姫side

 

お兄ちゃんが来禅高校に入学すると会えるという書置きを残して消える一年前から

 

突然お父さんとお母さんが亡くなりとても悲しかったが孤児院のみんなやお兄ちゃんが優しく接してくれたので気がだいぶ楽になった。

お兄ちゃんは孤児院のみんなとすぐに仲良くなり私がみんなと仲良くなりやすいよにいろいろ考えてくれた。

お兄ちゃんは、異様な天才で勉強も遊びも負けたことがなかった。

お兄ちゃんは、まさに完璧な人間と言われるくらいなんでもできた。

私はお兄ちゃんに憧れて追いつくために勉強などいろいろ頑張ったが追いつくことはできなかった。

そんなお兄ちゃんが消えて私は悲しくなった。

孤児院の人に里親を勧められた話を聞きお兄ちゃんは私のことをどう思っていたのか聞くために新しいお父さんとお母さんにお兄ちゃんを探してもらったが見つかることがなかった。

 

里親に引き取られてから7年

 

中学校に通い始めた。

かなり強い力を持っていたらしくそれを扱えるようになるため毎日練習した。

父さんと母さんには兄を探すため来禅高校に通う許可はもらったので入れるように勉強も頑張っている。

 

里親に引き取られてから10年

 

力は使いこなすとこができるようになった。

来禅高校には無事に合格したので天宮市にアパートを借りて住み始めた。

天宮市に来てから町を見ながら兄を探してるが全く見つかる気がしないので本当に天宮市にいるのか不安になってきたが書置きには入学したらと書いてあったので、探すのは諦めて入学式を待つことにした。

力をコントロールする練習の中で、私は能力を持っていることが分かった。

能力は

1、炎を操ったり出したりする力

2、水を操ったり出したりする力

3、時間を加速させたり減速させる力

4、ある程度の傷を治す力   

まず1の能力は使った霊力量に応じて温度や量を調節することができた。

2も1と同じく霊力量に応じて温度や量を調節でき温度を下げて氷を作り操ることもできる。

3は1と2に比べて霊力の消費が激しいが同じように霊力量に応じて加速や減速を調節できるが時間が止まるくらい減速させようとすると10秒しか持たないので効率が悪すぎるため使うことはない。

4は霊力量に応じて治すはやさは変わるが治せる傷は酷いので複雑骨折くらいなら治せるが致命傷になると治すスピードが追いつかないのですぐに死んでしまう。

能力はこれで全部だが霊力のコントロールを練習し続けたため霊力を固めて飛ばしたり盾にすることや空を飛ぶことが出来るようになった。




視点を変えて書くのは難しかったのでかなり読みにくかったかもしれませんが読んでいただきありがとうございます。


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5話

今更ですが魔神の模様や能力の色を変えたのは私のこだわりなので特に気にしないでください。
今回も最後までよろしくお願いします。


やっと原作が始まるな。

いつものように琴里と別れた後、士道と隼人と学校に通う。

士「今日から二年か。」

隼「今年も同じクラスになれるといいな。」

「まあ同じクラスだと宿題見せてもらえるしな。」

士「自力でやる選択はないのか?」

「そんな選択しはない。」

隼「お前頭いいんだからすぐに終わるだろうが。」

「やっぱりやる気がないと進まないんだよ。」

隼「学年1位の言うことじゃないな。」

士「そういう隼人も結構上位の方じゃないか。

お前らみたいな天才がうらやましいよ。」

隼「俺は天才じゃないぞ。

勉強にしろなににしろ努力してるんだから。」

「そんなことより学校ついたぞ。」

士「じゃあクラス分け見に行くか。」

隼「俺のことはどうでもいいのかよ。」

「えーとどうやら今年も同じくらすのようだな。」

士「本当だな。」

隼「今年もよろしくな。」

「残念なことに殿町も同じクラスだ。」

殿「おい!残念は酷いだろ。」

「あいたのか気づかなかった。」

殿「お前絶対に気づいてただろ。

俺をからかうためにわざとやってるだろ。」

「そうだけど。」

士「認めるんだ。」

隼「相変わらず殿町弄るの好きだな。」

「それが俺の暇つぶしだ。」

殿「暇つぶすためだけにからかうのやめてくれ。」

「あと女子から男好きと疑われる原因になにしようがいいだろ。」

士・隼「「それには同意。」」

殿「同意するな!」

「さて馬鹿はほっといて、教室行こうか。」

教室につくと士道が折紙に話かけられた。

士「なああれ誰だ?」

殿「あの超天才鳶一折紙を知らないのか。

成績は常に学年次席で体育も完璧おまけにあの美人だ。」

「なんだ学年次席なのか。」

殿「そりゃ天才や鬼才なんて言葉がかすむくらいの化け物のお前がいればしょうがないだろ。」

「化け物とは酷いな。」

殿「授業をまるで聞かないくせにテストは全教科満点、全国模試でも満点を取り続ける奴を化け物以外になんて呼べばいいんだ。」

「なんて呼ぶんだ?隼人。」

隼「俺に聞くなよ。」

キーンコーンカーンコーン

チャイムがなったのでみんなが席に着いた。

少しすると担任の岡峰 珠恵が入ってきた。

珠「これから一年よろしくお願いします。」

 

それからしばらくして学校が終わった。

殿「一緒に帰ろうぜ。」

「いやだね。」

殿「即答で断るのは酷いだろ!」

隼「まあ白夜は知らないが俺と士道はことあと予定があるから無理だぞ。」

殿「まさか女か?」

士「一応な琴里だけど。」

隼「俺はまた別の用がある。」

「俺も予定があるから無理だ。」

その時、空間震警報が鳴った。

折紙は、気づかれないように教室から出て行った。

士道も避難の途中でいなくなった。

隼人も士道と同じようにいなくっていたので俺もこっそり脱走した。

外に出た時ちょうど空間震が起きたので発生源に向かった。

そこには士道を庇うような形で隼人が士道と精霊の間に立っていた。

少し話した後、ASTが来たので精霊はASTと戦っていた。

今のところ原作とたいした変わりがないので、このまま見ていようと思ったが乱入した方が面白そうだと思い前にASTと戦った時の格好で戦いに乱入した。

「俺も混ぜてくれないかな。」

隊員A「あれは<ディザスター>なんでいきなり!」

隊員B「精霊2人を同時に相手にするなんてできるの?」

隊員C「そもそも<プリンセス>1人に苦戦するのに<ディザスター>みたいな化け物をどうやって倒せばいいのよ。」

折「精霊は全員倒すのに変わりはない。」

そういって折紙が突っ込んできた。

「格上相手に真っ向勝負とは、お前は馬鹿なのか?」

折紙に手を向け重力を操作して折紙を地面に叩きつけた。

隊長「折紙の援護して、折紙こっちが気を引いてる間に脱出しなさい。」

ASTがミサイルや銃器で攻撃してきたが全てを重力を操作して撃ち落とした。

撃ち落としている間に折紙が脱出していた。

精霊や士道と隼人がいなくなっていた。

「<プリンセス>もロストしたしどうするまだ続きをするか?」

隊長「全員撤退。」

ASTも撤退していくので、俺も霊術で空間転移をしその場から消えるように姿を消した。




戦闘シーンは難しかったので短く適当になりましたがこれからも読んでくれたらうれしいです。


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6話

今回はラタトスクや士道たちの視点がほとんどです。


フラクシナスに回収された士道と隼人は解析官の村雨 令音に案内されて指令室に来た。

そこで待っていた司令官の琴里に説明を受けている。

琴「まずこれが精霊って呼ばれている怪物でさっきロストつまり消えちゃったわ。

でこっちが。」

士「ちょっと待った待った。」

琴「なによ折角司令官直々に説明してあげてるのに。」

隼「まあそれはともかく精霊と俺みたいな霊力を持った人は何が違うんだ。」

琴「それについてはあとで話すわ。」

隼「わかった。

説明を続けてくれ。」

士「いや、俺はまだわかってないんだけど。」

琴「それより士道、あんたなんであんなとこにいたの死にたかったの?」

士「琴里の携帯がファミレスの前から動かないからだろ。」

琴「それは盲点だったは、ここはファミレスの真上なのよ。

まあいいわ兎に角まずは次のことだけ理解しなさい。」

琴「一つ彼女は精霊、この世には存在しないもので存在するだけで周りのものを吹き飛ばす。」

士「吹き飛ばす?」

隼「要すに空間震か?」

琴「その通りよ。

つまり空間震は彼女たち精霊がこの世に現れる際の余波ってわけ。」

琴「二つ目これはAST、陸自の精霊部隊、精霊が現れたその場に飛んで行って処理する要するにぶっ殺す。」

士「こ、殺す?」

琴「三つ目精霊の対処方法には、ASTのやり方以外にもう一つある。

それには士道の力が必要不可欠なの。」

士「え?俺の?」

琴「さっそく明日から訓練に入るは手続きもろもろは今夜担当者にさせるから明日は普通に登校して。」

士「訓練ってなんだ!そもそも俺になにができるっていうんだ。」

琴「あなたの意見なんて聞いてない答えははいだけ。

四つ目さっき見せたのが識別名<プリンセス>そして問題なのがこっちの識別名<ディザスター>今までに観測された中で間違いなく最強の精霊よ。」

士「最強?」

隼「どれくい強いんだ?」

琴「わからないわ。

分かっているのは彼を怒らせると天宮市そのものが一瞬で消し飛ぶことくらいよ。」

隼「そんなに強いのか?」

琴「過去に一撃で山を塵一つ残さず消し飛ばしているわ。」

士「そんなの相手にどうやって勝つんだよ。」

琴「今のところないわ。

最後に精霊と隼人みたいな霊力を持ってる人の違いね。」

隼「そんなに大きな違いがあるのか?」

琴「いえほとんどないわ。

強いて言うなら精霊は本来臨界と呼ばれる世界にいてこっちに来る時に空間震が起きるくらいよ。」

隼「他にはないのか?」

琴「今はまだ見つかってないわ。

これで説明は終わりだからもう帰って大丈夫よ。」

白夜side

「精霊としての俺ってそんなに危険なもの扱いされてるのかよ。

にしてもハッキングに気づかないなんてフラクシナスの局員も大したことないな。」

さていよいよ十香とのデートかはやく物語進まないかなーじゃないと万由里に会えない。

 



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7話

新学期2日目の登校中。

「そういえば、昨日お前たちどこに行ってたんだ?」

士「なんのことだ?」

「空間震があった時、シェルターにいなかっただろ。」

隼「琴里を探しに行ったんだ。」

「まさか、本当に空間震が起きそうなときにファミレスの前で待ってたのか?」

士「ああ、まあなんとか無事に合流が出来たからファミレスの近くのシェルターに避難したんだ。」

「それはよかったな。」

 

士道と隼人のひそひそ話

 

士「なあ、隼人。」

隼「どうした?」

士「昨日のこと白夜に話していいのかな?

一応白夜も霊力を持ってるんだし。」

隼「俺に聞かれてもな。

琴里に聞かないとわからないだろ。」

士「それもそうだな。」

 

ひそひそ話終了

 

「今日も学校かめんどくさいなー。」

士「お前は学校通う必要なさそうだしな。」

「必要ないのにやることほどめんどくさいことはない。」

隼「ダメ人間の名言だな。」

士「それに授業中寝てるんだからそこまでめんどくさくないだろ。」

「布団で寝たい。」

キーンコーンカーンコーン

みんなが席に着き先生(たまちゃん)が教室に入ってきた。

珠「新学期2日目ですが頑張りましょう。

特に神領君今年は授業中もできるだけ寝ないように。」

「気が向いたら努力します。」

珠「気が向かなくても努力してください。」

 

そんなこんなで午前中の授業が終わり昼休みになった。

 

隼「白夜すこし話があるから屋上に来てくれ。」

「なんど愛の告白か気持ち悪いからやめてくれ。」

隼「違うわ!」

「じゃあなんの話だ。」

隼「屋上で話すから来てくれ。」

「分かった。」

 

屋上到着

 

「で、なんの話だ?

原作についてか?」

隼「ああ、昨日はなんで原作に介入しようとしなかったんだ?」

「別にたいした理由じゃないさ。

ただ十香の時に介入しなくても俺の目的は達成できるからな。」

隼「お前の目的ってなんだ?」

「秘密だ。

それにお前も何か目的があるんじゃないのか。」

隼「!よくわかったな。

これでもうまく隠してるつもりなんだが。」

「なんとなくさ。

お前が目的を教えてくれるなら少しは考えてやる。」

隼「別にたいした目的じゃないさ。

ただ俺が知ってる中で1人完全に救われたと思えないやつがいたから俺が納得できるように救おうと思っただけさ。」

「お前、結構お人好しなんだな。」

隼「そんなことないさ。

ただ結構好きなキャラだったから救えば仲良くなれるからとかそんな思いもあるからな。」

「それでもお人好しだろ。」

隼「俺の目的を話したんだからお前も話せよ。」

「俺は別に話すなんていってないぞ。

少しは考えるといったんだ。」

隼「それは卑怯なんじゃないか。」

「なんでもいいのさ。

俺は俺のためにしか動かない。」

隼「それでも少しは教えてくれてもいいんじゃないか?」

「そうだな。

じゃあ、少しだけな。

俺の目的は好きになった奴を救うことだ。」

隼「お前も意外と優しいんだな。」

「それはないな、俺はただ好きな奴が救われないと気が済まないだけだ。」

隼「やっぱりやさしいじゃないか。」

「・・・もうこの話はおしまいにしよう。」

隼「はいはい。」

「そういえば、昨日はどうだった。

お前がかかわって原作になんか変化はあったか?」

隼「ストーリの面ではなかったな。

でも、イレギュラーな存在はいたぞ。」

「へー面白そうな話だな。」

隼「戦うつもりならやめといたほうがいいぞ。」

「なんでだ?

そんなに強いのか?」

隼「ああ、規格外に強かった。

近くで見たからよくわかる。

俺もデアラの世界では、結構強い特典もらったつもりなんだが勝てる気が全くしなかった。

それ霊力の量も相当だが、なんて言ったらいいのかわからんが底が見えない圧倒的な強さを別に持ってる気がした。」

「そんなにやばいなら戦うのはやめておこうかなでも一度見てみたいな。」

なんかもう少し力抑えといた方がいいかな。

後でもう一段階封印かけて闘級3千のメリオダスくらい落としておこう。

隼「見るなら原作に介入した方が機会があると思うぞ。」

「それもそうだな。

俺も早めに介入しようかな。」

隼「なら俺からも原作に介入しやすいようにしとくよ。」

「またなんでだ?」

隼「俺の目的達成させるためには、お前みたいな頼りになるやつがいた方がよさそうだしな。」

「まあ気が向いたら手を貸してやるよ。」

隼「それでもいいさ。

じゃあそろそろ戻るか。」

「そうだな。」



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8話

あれから士道の特訓も終わりまた空間震が起きた。

 

「学校で空間震が起きたってことはそろそろ十香とのデートか。」

そう言いながら白夜は十香と士道が話ているのを見ていた。

「原作を知ってるがやっぱり士道が殺されてないのがすごいな。

普通あのタイミングであんなこと言ったら殺されそうだがな。」

 

それから十香と士道の話が終わった。

次の日、空間震で壊れた学校に来ると十香と出会いデートすることになった。

 

「さてデートの途中で士道をどうやって弄ろうかな。」

問題はフラクシナスに尾行が怪しまれないようにしないといけないな。

まあ偶然を装って会った後ならどんなに尾行しても言い訳できるか。

ということで現在、十香の頭を士道が撫でているところを狙って介入した。

「士道、お前なにやってんだ?」

士「白夜なんでここに!」

「暇だから暇つぶしに来ただけだ。」

士「そうか。」

十「士道、誰だそいつは?」

「俺は神領 白夜だ。

士道の友達だ。」

十「うむ、そうか。

私は十香だ。」

「十香か。よろしく。

ところで士道、こいつは何者だ?」

士「何者って今自分で名乗っただろ。」

「そういうことじゃない。

こいつはうちの学校の生徒じゃないだろ、それなのになんでうちの学校の制服を着てるんだ。

しかも相当な量の霊力を持ってるようだしな。」

士「いや、なにものって言われても。

てか、お前はうちの全校生徒の顔を覚えてるのかよ。」

「覚えてるけど。」

士「!いったいどうやって。」

「簡単さ入学式時に全校生徒の顔を確認して覚えた。

それに霊力持ちは注意して見てるからな。

それより十香が何者なのか教えてもらおうか。」

士「えーとなんていうか。」

十「私はお前たちが精霊と呼ぶものだ。」

士「な、なに言ってるんだよ。

そんなに簡単に言っていいのかよ。」

十「ダメなのか?」

「なんだ精霊か。」

士「え?白夜知ってるのか?」

「知っているがそれがどうした。」

士「いや、なんでもない。」

「そうか。なら俺はもう行くぞ。

またな。」

士「おう、またな。」

 

その後士道たちが飲食店に入った。

 

士「なあ、琴里。」

琴「なにかしら?」

士「さっき白夜にあって聞いたんだが。

どうやら白夜は精霊についてしっているみたいだ。」

琴「な!それどういうことよ。」

士「知らないよ。さっき知ったんだから。」

琴「わかったわ。

どう対処するか考えとくわ。

だから今はデートに集中しなさい。」

士「わかった。」

 

その後、白夜は十香と士道のデートをずっと尾行し続けた。

その後は原作どうりに進み十香の封印は無事にすることが出来た。

現在、フラクシナスでは。

琴「無事に十香は封印できたわね。

でも、なんで白夜は精霊について知っていたのかしら。」

士「誰かに聞いたんじゃないのか?」

琴「機密情報を誰が話すっていうのよ。」

士「それもそうだけど他になにかあるか?」

隼「ここで俺たちが考えてもあくまで予測にしかならないだろ。

ならいっそのこと白夜に直接聞くのがいいんじゃないか。」

琴「つまり白夜をフラクシナスに連れてくるってこと?」

隼「ああ、その方が理由も聞けるしあの天才が力を貸してくれるなら精霊の封印も今より少しは楽になると思うぞ。」

琴「・・・そうね。なら彼をフラクシナスに招きましょう。」



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9話

白夜をフラクシナスに招くことを決めた日から数日、白夜を招く日になった。

士「白夜、今日の放課後話があるんだが時間大丈夫か?」

「大丈夫だが、なんの話だ?」

士「精霊について聞きたいことがあるんだ。」

「精霊についてなら十香に聞けばいいだろ。」

士「いや、そういうことじゃなくて、なんで白夜が精霊について知っているとかだよ。」

「まあいいけど。

どこに行けばいいんだ。」

士「それは、放課後に案内するから。」

「わかった。」

 

そして放課後

 

士「じゃあ案内するからついてきてくれ。」

「はいはい。

てか、隼人も一緒なんだな。」

隼「一緒にいたらわるいのか?」

「そんなことないさ。」

士道に案内され学校裏の人目が少ないところに案内された。

「なぜ学校裏?」

士「ここから空間転移で移動するんだよ。」

「それは人には見せられないわけだな。」

士「もう少しで準備できるから待ってくれ。」

「別に暇だからゆっくりでいいがな。」

隼「まあすぐに準備できるだろ。」

士「ああ、準備できたみたいだ。

もうすぐ転移が始まるよ。」

?「やっと見つけた。」

「?誰か来たみ・・・」

士「本当だやばいな。

てか、白夜どうしたんだ黙って?」

隼「確かにさっきから固まってるけど。」

一「久しぶり。

白夜兄さん。」

「ああ、久しぶり一姫。

何年ぶりだっけ?」

一「十年ぶりです。」

士・隼「え?兄さん?

ということは、白夜の妹ーーー!」

一「初めまして先輩。

神代 一姫です。

よろしくお願いします。」

士「えっと、よろしく。」

隼「よろしく。

それより転移大丈夫なのか?」

士「いや大丈夫じゃないみたいだ。」

 

その時、浮遊感がし気が付くと知らない場所にいた。

 

「ここが話し合いの場所か。」

士「そうなんだけど。」

一「いったい何が起きたの?」

隼「説明してくれる人のところに案内するよ。

一姫さん巻き込んでごめんね。」

一「いえ、大丈夫です。

それから呼び捨てで大丈夫です。」

隼「わかった。」

「まあ、あそこで置いてきたら後が怖いからな。」

一「ええ、ようやく見つけたのに目の前で消えられては、怒らずにいられないし。」

「それは、巻き込まれてよかった。」

士「こっちとしてはよくないんだけど。」

「まあ、一姫は結構戦力になるぞ霊力も十香並みにあるからな。」

隼「精霊と同格の霊力って琴里に聞いた話だと世界でも100人くらいしかいないらしいからすごいんだな。」

「それは、すごい優秀な妹をもって俺はうれしいよ。」

一「兄さんに優秀と言われても全く嬉しくない。」

「それもそうだな。」

隼「認めるなよ。

それよりついてぞ。」

 

気づいたら指令室についたみたいだ。

 

琴「フラクシナスへようこそ。」

「なんだ琴里じゃないか。」

琴「反応がそれだけなのはどうかと思うのだけど。

それに関係ない人を巻き込まないでほしいのだけど。」

「それは士道の耳についてるやつで聞いてたんだろ。」

琴「気づいてたのね。

まあ今回は妹ってことでいいけど次はしないでね。」

「それくらい簡単にわかるさ。

そんな偶然そうそうないよ。」

琴「・・・一姫だったわね。

貴方も大変なこんなに優秀な兄がいると。」

一「そうでもなかったですよ。

兄さんには6歳の時に置いて行かれたので、さっきようやく見つけたところです。」

琴「置いて行かれたってことは、白夜は家出でもしたの?」

一「いえ、私たちは両親を事故で亡くして孤児院にいたのですが、孤児院で1年過ごしてすぐ兄さんは、誰にも気づかれずに孤児院を出ていきました。

私は、その後すぐに今の両親に引き取られました。」

琴「それは、かなりひどい兄ね。

よく探そうと思ったわね。」

一「兄さんは、この十年間探しても全く見つかりませんでした。

唯一出て行く時に残してあった書置きをたよりに見つけることが出来ただけで、それ以外は、手掛かりが何もありませんでしたから。」

一「それに、そこまでひどくもないですよ。

今の両親に私を引き取るよう孤児院の人に勧めたのは兄さんですから。

おかげで、金銭面などで苦労もしませんでしたし何より優しい方たちなのでとても幸せに暮らしてます。」

「それはよかった。」

一「それでも、置いて行ったことは許せませんが。」

「まあ俺なりの理由もあったんだが。

今言っても今更だし、そんな話より本題に入ろうか。」

琴「それもそうね。

じゃあ、まずどこで精霊について知ったのか聞こうかしら。」

「どこでと言われてもな場所は覚えてない。」

琴「ふざけないで!精霊について知った場所ならそれなりの印象があるでしょ!なんでそんな簡単に忘れるのよ!」

「まあまあ、そんなに怒るなよ。

場所については世界中を回ってたんだ自分がどこにいるのか確認しないで国を超えたりしてたからわからないだけさ。」

琴「あんた、どんだけ無茶苦茶な人生おくってるのよ。」

「まあ、精霊を知ったのは空間震が起きた時にあったからだよ。

空間震を見てみたくてな近くに行った時にあったんだ。」

琴「そんな死にたがりだったなんてね。」

一「兄さんが空間震程度で死ぬわけないじゃないですか。」

琴・士・隼「え?どういうこと?」

一「先ほど霊力量が多いといわれまた時、兄さんに褒められてもうれしくないといいましたよね。」

琴「ええ、そう聞いたけど。

あれは、自分を捨てた兄に褒められてもうれしくないってことじゃないの?」

一「いえ、そうではなく。

ただ、単純に私の3倍の霊力量を持つ兄さんに言われてもうれしくないという意味ですけど。」

琴「さ、3倍!ってことは、精霊の3倍近い霊力を持ってるってこと!」

「そうだけどそれが?」

隼「ただでさえふざけたくらい天才なのに、その上、霊力量までふざけてるとは、本格的に化け物だな。」

士「そんなにすごい奴だったのかよ。」

琴「すごいとかのレベルじゃないわよ!

ただの化け物じゃない。」

「化け物って酷いなーそんなに驚くことか?」

一「いい加減に自覚したらほうがいいよ。」

「そんなに俺ひどいか?」

隼・士・琴「自覚してないことが何よりひどい。」

「・・・俺のことは置いといて話を戻そうか。」

一・隼・士・琴「逃げた。」

「うるさい。

話を戻せよ。」

琴「はいはい。

じゃあ、ASTについてはどこまで知ってる?」

「全部知ってる。」

琴「全部ってなんで言い切れるのよ。」

「ASTの本部をハッキングして調べたからな。」

琴「もうあんたの異常なスペックについては何も言わないわ。」

隼「本当にチートだな。」

「もう俺も気にするのやめるよ。」

琴「さて、じゃあ最後の質問ね。

あんたは、精霊を救う気があるかしら?」

「救えるなら救うかな。」

琴「そうなら私たちに協力しない?」

「ああ、いいぜ。」

琴「さて、一姫は精霊についてどこまで知ってるかしら?」

一「話を聞いた限り、空間震に関わっていて私と同じくらいの力を持ってるってことくらいしか。」

琴「そうなら説明するわね。」

 

士道にした説明を簡単にして

 

琴「で一姫は私たちに協力してくれるかしら?」

一「はい、協力させていただきます。」

「じゃあ、そろそろ帰るわ。」

一「兄さん、まだ話たいことがあるのですが?」

「それは、また今度な。

安心しなもういなくなったりしないから。」

一「そうですか。

ならまた後日ゆっくり話を聞いてくださいね。」

「ああ、どうせ精霊が現れない限り暇だしな。」

士「いや、学校とかあるだろ。」

隼「どうせ寝てるんだし関係ないんだろうね。」

「そういうこと。

じゃあ、また明日学校でな。」

そう言い残して、霊術の空間転移で家に帰った。

 

フラクシナスside

琴「空間転移ができるってどんだけチートなのよ。」

隼「一般に知られている術ではあってもあそこまで気軽に使える人はいないでしょうね。」

琴「当り前よ。

空間転移は高等霊術でかなりの霊術使いでも基本は使わないわよ。」

一「まあ、兄さんは昔からあり得ないことを普通にやってのける人でしたから。」

士「あり得ないことの内容が気になるけど聞いたらいけない気がする。」

一「まあ、普通の人では不可能と言い切るようなことではあります。」

琴「味方になってくれてよかったわ。」

士・隼「同感。」




いつもより長くなったけど文才がないので読みにくいと思いますが、最後まで読んでくれると嬉しいです。


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10話

遅くなってすみません。
一姫と白夜の話はネタがないので番外編でやります。



あれからしばらくたち

 

「あれから精霊現れないな。」

士「そんなに頻繁に現れても困るんだが。」

隼「まあ空間震が頻繁に起こるのは町の人も困るだろうしな。」

十「それもそうだな。

今なら私も空間震のせいで、この世界を壊すのは、ダメだと思う。」

「まあ、そうなんだが。」

一「兄さんは、精霊が出てこないと暇だから嫌なだけでしょう。」

「そうなんだよなー。」

士「そんな理由で精霊が来ることを望まないでくれ。」

十「それにこっちに来るのは精霊の意思ではない。」

隼「まあ、どちらにしろ、そのうち来るだろ。」

一「それもそうですね。

では、わたしはこれで。」

話しているといつの間にか学校についていた。

「おう、またあとでな。」

士・隼・十「またあとでな。」

一「はい。また昼休みに。」

一姫と分かれて教室についた。

「また暇な一日の始まりか。」

士「ちゃんと授業を受けろよ。」

「分かり過ぎるのも大変なんだよ。」

隼「暇つぶしがだろ。」

「その通り。」

士「認めるなって。」

殿「相変わらずだな、お前ら。」

「おはよ、ホモさん。」

隼「おはよう、ホモさん。」

士「おはよう。ホモさん。」

殿「みんなしてひどくない。」

「殿町なんて、そんなもんだろ。」

殿「だから、なんでそんなにあつかいひどいんだよ。」

「それが、お前の運命だ。」

殿「納得できるか。」

士「そろそろチャイムなるから席に着こうぜ。」

殿「ああ。」

 

それからいつもと同じように時間がたった。

昼休みになった

 

一「兄さん、来ました。」

「おう、待ってたぞ。」

一「待ってたのは、わたしじゃなくて弁当の方ですか?」

「両方だな。」

一「そうですか。

弁当をとれば全力で霊力弾を撃ち込みましたが。

まあ、両方ならいいでしょう。」

「なら早く食べよう。」

隼「お前ら本当に仲いいな。」

士「途中にかなり物騒なセリフがあったけどな。」

十「それよりはやくご飯を食べようよ。」

士「そうだな。」

折「わたしも一緒に食べる。」

十「なんだ、貴様邪魔だぞ。」

折「それはこっちのセリフ。」

士「みんなで食えばいいだろ。」

「お前も相変わらずだな。」

隼「確かに。」

「まあ、早く食べよう。」

 

みんなが机をくっつけて弁当を食べ始めた。

 

十「なんだそんなに見てもやらんぞ。」

折「どういうこと?」

士「この弁当来る途中で買ったんだ。」

折「それは嘘。

この容器は154日前、あなたが駅前のディスカウントショップにて1580円で購入したのち使用し続けているもの。

弁当屋の物ではない。」

士「なんでそんなこと知ってんだ?」

「いや、なかなかの情報収集力だな。

俺が調べると3時間は掛かるかな。」

士「いや、調べようと思えばできるのかよ。」

折「今は、そんなこと関係ない。」

十「さっきから何を話しているんだ。

仲間はずれにするな。」

殿「なあ、五河。

彼女にコーディネート頼まれたんだが。

ナースと巫女とメイド、お前が選んでくれないか。」

士「今聞くことか。

メイドでもなんでも好きにしろ。」

殿「メイドか、了解。」

 

それから沈黙が続くと空間震警報が鳴った。

 

士「なんだ。」

「ようやっとか。」

珠「みなさん、空間震警報です。

すぐに、避難してください。」

 

避難中

 

士「十香を置いていくんですか。」

令「ああ、力を封印された十香は普通の人間と変わらないからね。

それに、精霊とASTの戦いを見せてストレス値が上がっても困る。」

士「いやでも。」

「まあ、当然だな。」

隼「なら、俺が一緒に残りますよ。」

令「わかった。」

士「隼人、頼んだぞ。」

隼「任せとけ。」

「なら、はやく行きますか。」

一「そんなに精霊が見たいんですか?」

「いや、精霊を攻略する士道が見たい。」

士「おい、真面目にやれよな。」

「当り前だろ任せとけ。」

士「十香、俺は大事なようがある。

隼人と一緒に先にシェルターに避難していてくれ。」

十「しかし。」

士「じゃあな。」

 

それからフラクシナスに移動

 

琴「来たわね。

ちょうど空間震が発生したところよ。

今回は大分小規模ね。」

恭「行幸といいたいところですが、<ハーミット>ならこんなものでしょう。」

士「ハーミット?」

琴「今回現れた精霊の名よ。

気象のおとなしいタイプと認識されているわ。」

士「俺、この子知ってる。

一昨日の夕方、神社で。」

恭「当該時刻に主だった霊波数値の乱れはありません。」

琴「十香の時と同じね。」

フ員「AST到着、攻撃開始されます。」

 

攻撃が始まった。

 

「<ハーミット>は反撃しないんだな。」

琴「ええ、<ハーミット>は、ほとんど反撃も攻撃もしないのよ。」

「それはまたどうして?」

琴「さあ、わからないわ。」

「そうかならいい。」

士「琴里、俺はあの子を助けたい。」

琴「それでこそわたしのおにいちゃんよ。

総員、第一種攻略準備。」

フ員「はい。」

琴「さあ、わたしたちの戦争(デート)を始めましょう。」

 



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11話

それから少し経ち士道は建物の中にいた。

 

士道side

士「本当に<ハーミット>はここに来るんだな。」

琴「ええ、解析から間違いないわ。

ASTもしばらくは手をだせはずよ。」

よ「君もよしのんをいじめに来たのかな?」

士「わあー。」

よ「おやー、だれかと思えばラッキースケベのお兄さんじゃない。」

琴「士道待ちなさい。

総員選択。

士道3よ。」

士「それやるのか?」

琴「いいお手本がいるじゃない。」

士「殿町かー。

ふー、知らないね。

わたしは、通りすがりの風来坊さ。」

よ「・・・

ぷ、あははは。

お兄さん意外とひょうきんもの今時それはないわ。」

士「お気に召して何よりだ。」

白夜の奴、今頃フラクシナスで爆笑してるんだろうな。

士「俺は五河 士道、君は?」

よ「おー、ミステイクよしのんとしたことが自己紹介を忘れるなんて。

よしのんの名前はよしのん。

かわいいしょ、かわいいしょ。」

士「おう、かわいいけど、それってこのパペットの名前かい?

それとも君のか?」

よ「・・・」

琴「士道精霊の機嫌数値が一気に下がってるわ。

あなた、なにをいったの?」

士「え?俺は、ただ、なんで腹話術でしか喋らないのかなって。」

よ「士道君のいってることわからないなー。

腹話術ってなんのこと。」

琴「士道、原因は後にして今はとにかく機嫌を直すのよ。」

士「そうだよな。よしのんはよしのんだよな。」

よ「ぅうんっもー士道君たらおちゃめさんなんだから。

でなんのよう?」

士「その、行き成りなんだけど、俺とデートしてくれないか?」

よ「デート?」

 

フラクシナスside

士「ふー、知らないね。

わたしは、通りすがりの風来坊さ。」

「あははははは。」

白夜は士道の予想通り爆笑していた。

一「可哀そうだからあんまり笑わない方がいいですよ。」

「せっかく、あんなに面白いことしてるんだから笑ってやらないとだめだろ。」

琴「笑ってないで、真面目に考えなさいよ。」

「考えてるさ。

それより、好感度下がりだしたぞ。」

琴「え?

士道精霊の機嫌数値が一気に下がってるわ。

あなた、なにをいったの?」

「おそらくパペットについてふれたんだろうな。」

琴「どういうこと?」

「簡単さ、あの精霊は二重人格でパペットが片方の人格なのさ。

人格が分かれた理由は、あの精霊の性格がもう少し詳しくわからないと予想もできないがな。」

琴「本当に考えてたのね。」

「当り前だ。

まあ、今士道に、それを伝えても無駄だろうから機嫌を直させた方がいいな。」

琴「そのようね。」

一「流石ですね、兄さん。」

「妹に褒められてうれしいよ。」

一「そういう、ふざけた態度を直せばモテますよ。」

「それは、無理な話だな。」

一「まあ、兄さんならそうでしょうね。」

「じゃあ琴里、俺はこの辺で。」

琴「ちょっとどこ行く気?」

「現地で高みの見物。」

琴「なんで現地に行く必要があるのよ。」

「なんかあった時、すぐに対処するため。」

琴「本当にそれだけ?」

「そんなわけないだろ。

まあ、連絡はいつでもとれるから大丈夫だろ。」

琴「勝手にしなさい。」

「じゃあ、行ってくる。」

白夜は空間転移で出て行った。

一「相変わらず、自由な人ですね。」

琴「全くよ。」

一「まあ、兄さんはここからはいても役にたたないでしょうけど。」

琴「あら?それは、どうしてかしら?

あんな完璧超人に出来ないことあるの?」

一「ええ、ありますよ。

兄さんが、唯一できないことが。」

琴「何かしら?」

一「恋愛関係ですよ。」

琴「え?」

一「兄さんは、恋愛に関しては一般人よりだめだめですから。」

琴「どうして、そこまで言い切れるの?」

一「子どもの頃、兄さんは、結構モテたんです。

けど、兄さんは、そのすべての相手のアピールに悉く気づかなかった上に、直接告白してきた相手には、なぜ自分に好意を寄せる理由がわからないとすべてを振りました。」

琴「それは、随分とひどいわね。」

一「兄さんは、超鈍感な上に相手の気持ちを理解できないんです。

それも理解できないのが、自分に向けられる好意だけでなく、他人に向けている好意も理解できないんです。」

琴「要するに、精霊をデレさせることに関しては、役に立たないということね。」

一「はい。」

琴「なら、いなくなってもよかったわね。」

 

士道side

よ「わははは。

どうよ、士道君。

かっこういい、よしのんかっこういい?」

よしのんは室内用ジャングルジムのてっぺんに立っていた。

士「おい、危ないぞ。」

よ「もう、かっこういいかどうか聞いてるのに。

わあー」

するとよしのんがジャングルジムから士道の上に落ちてきた。

その時、唇と唇が重なった。

士「わあー今のは、その。」

しまった不機嫌に。

よ「い、いっててて、ごめん士道君、不注意だったよ。」

士「え?」

琴「士道、緊急事態よ。」

士「え?何が?」

士道がある方を向くと

士「十香?」

十「士道。

今、なにをしていた。」

士「なにって。」

その時、よしのんと唇が重なったことを思い出した。

十「あれだけ心配させておいて、女とイチャコラしてるとは何事かあぁー。」

十香が床を踏むと、そこを中心に床がへこんだ。

琴「あっちゃー。

大分精神状態が不安定になってるわね。

精霊の力が逆流しちゃってるわよ。」

士「どうすれば?」

十「お前の言っていた大事なようというのは、この娘と会うことだったのか?」

士「いや、それは。」

よ「おねえさん、えーと?」

十「十香だ。」

よ「十香ちゃん、悪いんだけど、士道君は君に飽きちゃったみたいなんだよね。」

士・十「え!」

よ「話を聞いてると、どうやら十香ちゃんとの約束すっぽかしてよしのんのとこ来ちゃったみたいじゃない。

これってもう決定的じゃない?」

士「お、お前何言って。」

十「士道は少し黙っていろ。」

よ「いやー、ごめんね。

これもよしのんが魅力的過ぎるのがいけないんだよね。

別に、十香ちゃんが悪いって言ってるんじゃないんだよ。

ただ、十香ちゃんを捨ててよしのんのもとにはしちゃったことも攻めることが出来ないっていうか。」

十「わあぁーーー。

うるさい、黙れ黙れ黙れ、そんなのはだめなのだー。」

よ「ダメって言われてもね。

ほら、士道君も言ってあげなよ十香ちゃんはもういらないこだって。」

十香がよしのんを掴み上げた。

そしてパペットが少女の手から外れた。

十「わたしは、いらない子ではない。

士道が、士道がわたしにここにいていいと言ってくれたのだ。

これ以上の愚弄は許さんぞ。

何とか言ったらどうだ。

何を黙っている。」

すると少女が十香に近づき。

少「かえ・して・・っ、ください・・。」

琴「何してるの士道、よしのんの精神状態まで揺らぎまくりよ。

はやく止めなさい。」

士「なあ、十香、それ返してやてくれないか。」

十「は、士道、やはり私よりこの娘の方が。」

士「いや、そういうことじゃなく。」

少「<氷結傀儡(ザドキエル)

少女が手をあげ振り下ろすと床を突き破るようにして、巨大なウサギのような人形が出てきた。

士「な、これは。」

少女が巨大な人形に飛び乗り、その背にあいていた二つの穴に両手を差し入れた。

すると巨大な人形は、低い咆哮を上げた。

それに合わせて白い煙が出てきてあたりが凍り付いた。

琴「このタイミングで天使を顕現。

まずいわ逃げなさい、士道。」

士「天使?」

琴「十香の鏖殺公(サンダルフォン)を忘れたの?」

窓ガラスが割れ、雹のよに固まった雨が弾丸のように十香に放たれた。

士「十香!」

士道が十香の手を引き抱き込むようにして床に倒れた。

そしてまたも放たれた雨粒の弾丸を士道たちの前に現れた白夜が霊力の壁を作り防いだ。

「大丈夫か?」

士「なんとか。」

「それはよかった。

はやいとこ逃げるぞ。」

そう言って士道たてと一緒に空間転移でフラクシナスに移動した。

士「けがはないか、十香。」

十「いいから、はやくはなれんか。」

士「十香?」

十「触るな。」

士「い、いて・・・。」

十「どうせ士道は、わたしよりあの娘の方が大事なのだろう。」

士「は、は?」

琴「やれやれ大変なイベント発生ね。」

「全くだ。

面白そうで笑いが止まらない。」

琴「笑いごとじゃないから笑うのはやめなさい。」

「はいはい。」



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12話

士道side

十香の部屋のドアをノックしながら

士「おーい、十香。

頼むよ、話を聞いてくれ。」

ドンとすごい音がして

十「ふん、構うな、とっととあっちへ行ってしまえ。」

 

それから士道が買い物の帰りによしのんを見つけた。

 

士「よ、よしのん。」

少「は・・・。」

士道に気づいた少女は逃げ出した。

士「落ち着け、なにもしない。」

そして少女の手にパペットがついていないことに気づいた。

士「パペットはどうした?」

すると少女は士道の方に走ってきてしがみついた。

士「もしかしてあれを探してるのか?」

そして雨宿りできる場所に移動し。

士「なるほど、昨日ASTに攻撃された時になくしたのか。」

少女はうなずいて返した。

士「だそうだ、わかるか?」

インカム越しの琴里に聞いた。

琴「今、映像を解析させてるわ。

彼女の関心を士道だけに集中させたいから直接応戦は出せないけど。

捜索のサポートは最大限にするわ。」

士「よし、探しに行こうよしのん。」

四「わたしは、よしのん、じゃなくて、四糸乃、よしのんは、わたしの、友達。」

士「四糸乃?そっか。」

四糸乃が行こう動き出した。

士「ああ、ちょっと待て。

これ、もう濡れてるかもしれないけど無いよりましだろ。」

そういって傘を渡した。

士「ああ、俺は大丈夫だ。

いいから使えって。」

四「あ、りが、とう。」

 

フラクシナスside

琴「今回も十香の時と同じで静粛現界か。」

「そのようだな。」

琴「あら?私たちあなたに連絡した覚えないんだけど。」

「ああ、来てないな。」

琴「ならなんで精霊が現界したってわかったのよ。」

「天宮市全域の霊力を探知してたからな。」

琴「なんでそんなこと?」

「昨日士道が、あの精霊を見たことあるっていってたから。

また、静粛現界で気づかないうちに来るかもって思ったから全域に探知をかけ続けたら見逃すことはないだろ。」

琴「いや、そんなこと思いついても実行できることじゃないから。」

「俺にはできるんだよ。」

琴「もういいわ。

それより、四糸乃のパペット探してるから解析手伝いなさい。」

「はいはーい。

すこし席借りるぜ。」

琴「ええ、ご自由にどうぞ。」

「じゃあ遠慮なく。」

琴「さて士道たちはどうやら四糸乃がお腹すいてるみたいね。

一度休憩して食事でもしたら、なにか情報を聞き出すきっかけにもなるわ。」

士「でもこの辺の店はどこも臨時休業だろうし。

うちに来るか、四糸乃。」

そうして四糸乃を五河家に連れて行った。

「さて解析終わったぞ。」

琴「はや!」

「こんなもんだろ。」

恭「いえ、かなり早いかとうちの局員はまだ終わってませんし。」

「そんなもんか。」

恭「そんなもんです。」

琴「でどこにあるの?」

「折紙の家。」

琴「まためんどうなところに。」

「まあ、士道が行けば何とかなるだろ。」

琴「士道は別の意味で危険な気がするけど、まあ士道以外いけないからしょうがないわね。」

「まあ、伝えるのは四糸乃が飯食べた後でいいだろ。」

琴「それもそうね。」

 

それからは原作通りに進み無事よしのんを回収した。

そして現在、四糸乃はドーム状に渦巻いた吹雪の結界の中にいる。

 

「で俺はなにすればいいの?

あの結界を吹き飛ばすとか?」

琴「それだと中の四糸乃が危険でしょう。」

「大丈夫だ、結界だけ壊せる。」

琴「それでも、中の四糸乃を刺激して暴れられるかもしれないからだめ。」

「じゃあどうするんだ。」

士「俺が行く。」

「行くってあの中に?」

士「ああ。」

琴「あんた死にたいの?」

士「お前、俺が撃たれた時全然動揺しなかったってきいたぞ。」

琴「あの時とは状況が違うわ。

一発きりの弾丸じゃない散弾銃撃たれながら進むようなものよ。

しかも霊力を感知されたら凍らされるわ。

途中で傷を治すこともできないのよ。」

士「俺の回復能力ってのは精霊の力なのか?」

琴「士道止まりなさい止まっておにいちゃん。」

「なるほどなら俺が士道が凍らないようにすこし道を作ってやるさ。」

琴「どうやって?」

「簡単さ。」

白夜が空間転移で現場に移動すると

「こうやってさ。」

竜巻のような風を放ってドーム状の結界中まで貫通しないように少し穴をあけた。

「これで、散弾銃に一発撃たれる程度のはずだから大丈夫だろ。」

士「ありがとう。」

「おう、とっとと四糸乃救ってこい。」

士「おう。」

「じゃあ、俺は帰りますかね。」

空間転移でフラクシナスに帰ってきた。

琴「おにいちゃんを助けてくれてありがとう。」

「素に戻ってるぞ。」

琴「な、なんのことかしら。」

「誤魔化したな。」

琴「それよりも士道が四糸乃を封印したみたいよ。」

「そのようだな。

じゃあ、俺は家に帰るよ。」

 

それから数日

 

士「なんだこれ?」

琴「作るって言ってたでしょ。

精霊専用の特殊住宅。

今日から十香はうちをでてここに住んでもらうわ。

それともう一人。」

士「え?四糸乃。」

四「よろしくお願いします。」




ようやく四糸乃まで終わりました。
これからも頑張るのでできれば読んでください。


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13話

やっと狂三編になりまし。万由里がでるまでまだかかりますが頑張ります。


四糸乃を封印してから数日

いつも通りの朝礼で

珠「はい、みなさんおはようございます。

今日はなんとですねー。

このクラスに転校生がくるのです。」

士(この前十香が来たばかりじゃないか。)

隼(もう狂三が来るのか。

気を付けないとな。)

珠「さあ、入ってきて。」

 

先生がそう言うと教室のドアが開き女生徒が入ってきた。

女生徒は黒板に名前を書き自己紹介をした。

狂「時崎 狂三と申しますわ。」

そしてクラスの男子が騒ぎ出した。

狂「わたくし、精霊ですのよ。」

士「え!」

その言葉で十香と折紙と士道が驚いた。

士「白夜、今の言葉本当なのか?」

「士道、俺をなんだと思ってる。

精霊を見分ける能力なんてないぞ。

まああいつが霊力を持ってるのは確かだな。」

でもあいつが精霊かどうかはわからない。

もしかしたら中二病かもしれないし。」

狂「中二病ではありませんよ。」

「聞こえたのかそれはすまなかった。」

珠「えーと、はい。

とっても個性的な自己紹介でしたね。

それじゃあ空いてる席に。」

狂「その前に一つよろしいでしょうか。」

珠「なんでしょう?」

狂「わたくしまだ、この学校に不慣れなもので、放課後にでも構いませんがどなたかに校舎の案内をしていただきたいのですけど。」

殿「お任せください。」

狂「結構です。」

そして狂三は士道に近づき。

狂「お願いできません事、士道さん。」

士「え?俺?」

 

 

ASTside

狂三が転校してきたころ

燎「間違いないの。」

隊員「はい。」

燎「高校に精霊が転入、笑えないじょうくだわ。」

真「ただの精霊じゃねえです。」

つい最近ASTに配属になった崇宮 真那がそこにいた。

真「こいつは空間震とは別に直接その手で一万人以上の人間を殺してきた最悪の精霊です。」

燎「なんですって。」

 

士道side

士道はインカムで琴里に確認を取っていた。

琴「こっちでも確認したわ。

まさか本当に精霊だなんてね。

まあでも好都合よ。

ASTがちょっかい出してこないうちに好感度上げてデレさせちゃいなさい。」

狂「士道さんよろしくお願いしますわ。」

士「お、おう。」

 

白夜side

士道が狂三の学校案内を始めた。

デートの内容は原作通り。

(狂三が来たのは、いいんだがあいつが俺のことをどこまで知ってるか調べた方がいいかな?

原作では士道のことを知っていたから下手すると俺が<ディザスター>であることもしてるかもしれないな。)

そして今は、隼人と一緒に狂三の学校案内を見ている。

「なあ、狂三との戦闘にお前は介入するのか?」

隼「まあ、出来るだけするけど。」

「それなら手加減には気をつけろよ。

下手に圧倒すると琴里が精霊の力を取り戻す必要がなくなって琴里編がなくなるからな。」

隼「わかってるんだけど。

まあ、人質のせいで動けないくらいでいいかなって思ってる。」

「まあ、それなら大丈夫だろ。」

そんなことを話していると狂三が士道にパンツを見せようとしていた。

「やばいな、面白くて大笑いしそうだ。」

隼「頼むから絶対にやめてくれ。」

「ああ、頑張るよ。」

士「あのさ、朝言ってた精霊ってなんのことなんだ?」

狂「とぼけなくてもいいんですのよ。

士道さんはちゃんと知っているのでしょう。

精霊のことも。」

士「なんで俺のことも知ってるんだ。」

狂「それは秘密ですわ。

今お伝えできるのは一つだけ、わたしは士道さんのことを知ってからずっと焦がれていましたわ。

だから今こうして一緒に居られてすごく幸せですわ。

ねえ、士道さん。わたくし士道さんにお願いがありますの。

聞いてくださいまして。」

そしてロッカーから十香と折紙が出てきた。

士「十香、折紙。」

「これは面白い展開だな。」

隼「他人事とは言え友達の修羅場を笑うのはどうかと思うよ。」

「修羅場を作るやつが悪い。」

隼「士道の立場ならしょうがないんじゃ?」

「それもそうだが。

尾行されてるのに気づかないのはいけないな。」

隼「士道にしろ普通は尾行には相当下手でない限り気づかないと思うけど。」

「そんなものなんだな。」

隼「まあ、もうすぐこの会話も終わるからフラクシナスに行こうか。」

「そうだな。」

そして狂三の学校案内も終わり士道は十香家に帰る途中で真那と出会って今士道の家にいる。

俺と隼人と一姫そして精霊である十香と四糸乃もいる。

「にしても士道に妹がいるとはな。」

士「そのセリフ前に俺が言ったような気がするな。」

よ「隠し子ならぬ隠し妹、やるねー士道くん。」

隼「確かに士道にしろ白夜にしろ妹を隠すなよ。」

士「人聞きの悪いこと言うな。」

一「私は、隠されたというより一時的に捨てられましたが。」

士「いや、俺はそもそも妹がいるとか覚えてないんだが。」

「それは酷いな。」

士「それはお前には言われたくない。」

真「自分の妹を捨てるなんて酷すぎるでやがります。」

「多少は自覚してるさ。

でも、妹の存在すら忘れてる奴よりましだと思うんだが。」

真「無理もねえです。

実は私も昔の記憶がスパンと抜けてますから。」

士・琴・一・隼「はあああ!」

琴「なんですって。

昔のっていったいどれくらい?」

真「ここ2,3年のことは覚えてるんですが。

それ以外はちょっと。」

士「それじゃあ母親のことも。」

真「あはは、めんぼくねえです。」

琴「それでなんで士道が自分の兄だなんてわかるのよ。」

そして真那は写真の入ったペンダントを出して見せてきた。

士「これ俺か?」

琴「他人の空似じゃないの?」

真「いえ、兄さまは兄さまです。

ぼんやりした記憶ではありますが兄さまがどこかへ行ったことだけは覚えています。

寂しかったですが。それ以上に兄さまのことが心配でした。

だからこうして元気な兄さまとあえて、私は私は、兄さまー。」

そして真那は士道に抱き着いた。

琴「離れなさいよ。」

そこを琴里が士道を蹴り飛ばして離れさせた。

真「なにしやがるんですか。」

士「なんで俺を蹴った。」

「ああ、感動的な再開だったのに。」

一「それは、私との再会は感動的ではなかったと言いたいのですか?」

「そんなこと言ってないだろ。」

隼「まあ、感動的な再開ではないのは確かだが。」

「あの状況でどうやって感動的な再開にしろと。」

一「まあ、そのことは気にしてないんで大丈夫です。」

「そうだとありがたいな。」

琴「士道はうちの家族なの。

それを今更連れて行こうだなんてさせないわ。」

真「そんなつもりはねえですよ。」

琴「え?」

真「兄さまが幸せに暮らしているだけで真那は満足です。

こんなに可愛らしい妹さんもいらっしょるようですし。」

琴「なによ一応はわかってるみたいじゃない。」

真「まあもちろん実の妹にはかなわないですけども。」

琴「へーそうかしら。」

真「いや、そりゃそうでしょう。

血にまさる縁はねえですから。」

琴「でも、遠い親戚より近くの他人とも言うわよね。」

真「いやいや、所詮義妹は他人ですし。

その点実妹は血を分けてますからね。」

一「そうですよ。

義妹より実妹の方が血を分けているのでいいに決まってます。」

琴「何強調してんのよ。

それに一姫あんたもそっちにつくの。」

一「当り前です。私も実妹ですから。」

「あれ俺義妹いないけど。」

一「本当ですか?

私を置いて旅に出ている間に作ってませんか?」

「わざわざ妹おいて旅に出たのになんで妹作らないといけないんだよ。」

一「つまり本当にいないということでよろしいですか。

後から出てきたら許しませんよ。」

「義妹みたいな正式な妹はいなかったが、妹分みたいなやつは旅先でいたことがあるけどまさかそれも攻められるのか?」

一「当り前です。

実妹を置いて行って旅先で代用するなんて酷いです。」

「いや代用とか考えてないからちょっと訳ありで少し面倒を見てただけだから。」

一「まあ、それくらいならいいでしょう。」

琴「血縁がなんぼのもんよ。

実妹じゃあ結婚もできないじゃない。」

士「え?」

琴「兎に角、今の妹は私なの。」

真「実の妹の方がつええに決まってやがります。」

琴「それはもう妹関係ないじゃない。」

一「実妹の方が強いのは当然。」

「いや、関係ないだろ。」

一「まさか妹分の方が私より強いと?」

「まあ霊術の才能はあったし、環境も強くなければ死ぬようなところだったし、なにより俺が霊術を教えてるから。」

一「そうですか。

実の妹には才能もないうえに霊術一つ教えてくれないんですか。」

「教えてほしいの?」

一「はい、妹分に負けたくないので。」

「なら教えるけど。

妹分の方は、今のお前よりは強いだろうけど才能で言えばお前の方が圧倒的に上だからすぐに超えると思うぞ。」

一「なら安心です。」

一姫と話しているといつの間にか真那は帰っていた。

「真那帰ったんだな。」

士「ああ、お前も大変だな。」

「ああ。」

隼「見てる側としては面白かったぞ。」

「本当ならそれは俺の立場のはずなのに。」

一「兄さんの自業自得です。」

隼「確かに自業自得だな。」

「なんでそうなるのか訳がわからない。」

一「兄さんは相変わらずですね。」

「もういい、帰る。」




真那の口調を書くのはとても難しかったので読みにくいかもしれませんがこれからも読んでくれるとありがたいです。


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14話

狂三が転校して来た次の日

珠「時崎さん。

時崎さん?時崎さん。」

「狂三の奴来ないな。」

士「ああ、遅刻かな?」

十「転校二日目で遅刻とは。」

折「来ない。

時崎狂三は、もう学校には来ない。」

士「え?」

珠「もう欠席する時はちゃんと連絡入れてくださいって言っておいたのに。」

狂「はい。」

珠「時崎さん遅刻ですよ。」

狂「申し訳ありませんわ。

登校中に少し気分が悪くなってしまいましたの。」

珠「え!大丈夫ですか?」

士「なんだちゃんと来たじゃないか。」

士道が折紙の方を向くと

狂三を見て驚いていた。

士「折紙?」

士道の携帯に琴里からメールが来た。

琴「昼休みになったら物理準備室に来なさい。

見せたいものがあるわ。

あと、白夜と隼人と一姫も連れて来なさい。」

 

そして昼休み

 

「それで、わざわざ呼び出して何の用だ?」

すると令音がパソコンを操作して何かを出した。

「なんだこれ?

マイ・リトル・シドー2?」

士「続編?」

令「ああ、間違えた。

こっちだ。

昨日の映像。」

士「これって狂三と真那、折紙にASTなんで。」

琴「そりゃ精霊がいるからでしょう。」

すると狂三が霊装を纏った。

士「霊装。」

「やっぱり精霊なんだな。」

そして霊装を纏ってすぐ真那にレーザーのようなもので撃たれた。

狂三が立ち上がろうとするとまた同じように撃たれた。

そして真那は狂三に近づき狂三の首を切り落とした。

士「これって。」

士道は吐くのをこらえて聞いた。

令「見ての通りだ。

昨日、時崎狂三はAST、崇宮真那に殺害された。

完全に完璧に一部の疑いを抱く余地もなく。」

士「そんな。

でも、狂三は、今日普通に学校に。」

琴「どうやらそのようね。」

令「我々もそこがわからないんだ。」

琴「白夜、あなたは何かわかるかしら。」

「逆に聞くけど、何かわからないとこあった?」

一「私たちは、兄さんみたいな天才ではないんですよ。」

隼「まあ、わからないところはなんで狂三が生きているのかってところだ。」

「そんなの簡単だろ、あれは狂三の分身で本体は別にいる、それだけだ。」

士「なんであれが分身だって言い切れんだよ。」

琴「ええ、理由が聞きたいわ。」

「そんなの霊力が少なすぎるからな。

本当に死んで蘇ることのできる能力があるなら霊力はもっと多いさ。

つまり蘇るために必要な霊力が足りないのさ。」

士「霊力が多ければ蘇ることもできるのかよ。」

「誰もがってわけじゃないがな。

生まれつきそういう能力を持った奴もいるのさ。」

琴「なるほど、霊力が足りないから復活ではなく分身だと考えたのね。」

「まあな、おそらく狂三の能力は時間を操る類のものだろうな。」

琴「なぜかしら?

時間を操る能力と分身だと繋がりがよくわからないんだけど。」

「狂三の左目が時計だっただろ。」

隼「いやそれだけでなんで時間を操るとはわからないだろ。」

士「確かに、それに時間を操るなら時間を戻して復活できるんじゃ?」

「だから言ってるだろ分身だって本体にしかそれが出来ないんだろうよ。」

士「でもなら直接くればいいんじゃないのか?」

「詳しい理由は知らないさ。

あくまで俺の考えだ。」

一「兄さんの考えなら間違いなくそうなんでしょうね。」

琴「まあ、狂三の能力についてはいいわ。

どうせやることは変わらないんだし。」

士「それって。」

琴「明日狂三をデートに誘いなさい。」

士「こんなことが起こったのに。」

琴「こんなことが起こったからよ。」

令「時崎狂三が生きている情報は、すでに折紙からASTに伝わっているはず、もちろん崇宮真那にも。」

士「了解やってみる。」

「じゃあ頑張れよ。」

隼「今回は変なちょっかい出したりするなよ。」

一「今回は下手にちょっかい出すと何が起こるかわからないからね。」

「なぜ、俺はそんなに警戒されているんだ。」

一「兄さんは、放っておくと何をするかわかりませんから。」

「はいはい、わかりました。

今回はちょっかいは出しません。」

琴「これで安心してデートできるわね。」

士「ああ、十香の時は焦ってからな。」

「じゃあ、俺はもう行くぞ。」

 

物理準備室を出て少し歩いた後

 

隼人side

隼「さて原作を避けて狂三一人とデートできるようにしないとな。」

 

白夜side

「さて今回はちょっかいは出せないから。

デートの日、十香と折紙の二人にデートに誘われるように誘導しますか。」

 

次の日

士道は原作と同じように3人とデートすることになった。



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15話

士道と狂三たち3人のデートは原作と同様に終わった。

いつも通り学校に通う途中

「で士道、狂三を救うか決めたのか?」

士「ああ、決めたちゃんと救ってみせる。」

「そうか、頑張れよ。」

隼「何かあったら手を貸すからな。」

士「ああ、助かる。」

 

それからすぐに学校についた。

 

狂「あら、士道さん、白夜さん、隼人さんごきげんよう。」

士「おはよう。」

「おはよう。」

隼「おはよう。」

「じゃあ士道先行ってるぞ。」

士「ああ、わかった。」

狂「でも、少し驚きましたわ。

てっきり士道さんは今日お休みなされると思っていたので。」

士「狂三。」

狂「はい。」

士「俺はお前を救うことに決めた。」

狂「おかしなこと仰いますわね。」

士「もうお前に人を殺させない。

もう真那にお前を殺させない。」

狂「そうですの。」

そういうと狂三は行ってしまった。

 

そして放課後

士道side

「じゃあ狂三をデレさせて来い。」

士「行き成り言うことかよ。」

「細かいことは気にしない。」

士「そうですか。」

そういうと士道はインカムをつけて話し出した。

令「時崎狂三の下校はまだ確認されていない。

問題は彼女がこちらの話を聞いてくれるかだ。」

士「あれ琴里は?」

令「急用でね。

今回のナビゲートは私が務めさせてもらうよ。」

士「わかりました。

お願いします。」

そして急に体が重くなった。

士「これは?

令音さん。」

令「すぐに解析する。」

「霊力の結界みたいだな。」

隼「でも誰が?」

「狂三だろうな。」

令「広域結界、範囲内の人間を衰弱させる類の物だろう。」

士「狂三がどうして。」

十「士道。」

士「十香。

大丈夫か。」

十「ああ、だが体が重い。」

士「なんで、俺や白夜たちは平気なんだ?」

令「十香や四糸乃の霊力をその身に封印している君は、精霊の加護を受けているに等しい。

それに白夜たちも精霊と同等以上の霊力を持っている。

この状況でまともに動けるのは君たちだけだ。」

話していると

狂「士道さん聞こえますか。

わたくしに御用があるなら屋上までどうぞ。

なるべく早くいらしていただいた方がいいと思いますわよ。」

と放送から聞こえてきた。

士「十香ここで休んでろ。

大丈夫だ。俺が助ける。」

「なら俺は学校の奴らに結界を張ってから行くわ。」

隼「俺も手伝おうか?」

「いや、1人で十分だ。

隼人と一姫は士道について行ってやれ。」

隼「わかった。」

一「わかりました。」

 

士道たちが屋上についた。

士道side

狂「ようこそ。

お待ちしておりましたは士道さん。

それと隼人さんと一姫さん。」

隼「俺たちはおまけかよ。」

狂「ええ、ついてくるとは思っていましたが。

まあ、1番厄介な白夜さんがいないのは助かりますわ。」

隼「それは白夜が来るより俺たち2人が来る方がいいと?」

狂「ええ、あなたたち2人の方がとてもらくですから。

それに白夜さんみたいな本当に人間なのか聞きたくなるような人とはできるだけ戦いたくありませんわ。」

隼「まあ、その意見には同意するが。

俺もそこそこ強い自信はあるぜ。」

一「私も同じ。」

士「ああ、頼りにしてる。

だけど今は、狂三、お前なにをしたんだ。」

狂「素敵でしょ。時喰みの城。

わたくしの影を踏んでいる人の時間を吸い上げる結界ですわ。」

士「時間?それは?」

狂三の左目の時計が逆向きに回っていた。

狂「これはわたくしの時間ですの、寿命と言い換えても構いませんわ。

わたくしの天使は、それはそれは素晴らしい力を持っているのですけれど、困ったことに使うたびに膨大な時間をくらっていきますの。

だから時よりこうして外から補充してますのよ。」

士「な、なんだと。」

隼「白夜の予想は当たってたな。」

一「だから言ったじゃないですか。

兄さんの考えは間違いなく当たると。」

狂「皆さん哀れでかわいいわたくしの餌。

ああ、でもでも士道さんだけは特別ですわ。

だって、わたくしはあなたと1つになるために、あなたを直接食べてあるさしあげるため、ここまで来たのですもの。」

士「俺が目的ならこんなことする必要ないだろ。」

狂「あなたを食べる前に今朝方の発言を取り消していただきたくて、わたくしを救うなんでいう世迷言を。

ねえ、士道さんそんな理由でこんなことをするわたくしは恐ろしいでしょう。

憎いでしょう。慈悲をかけるべき相手ではないことは明白でしょう。

だからあの言葉を撤回してくださいまし。

そうしたならこの結界を解いて差し上げても構いませんわよ。」

そして狂三は士道の耳元で

狂「さあさあ、お早く手遅れになってしまったら元も子もありませんわよ。」

士「結界を解いてくれ。

でも、お前のことは諦めない。」

狂「何を言ってますの。」

狂三と士道が少し見つめ合い

狂「はあ、呆れますわね。」

といって狂三が士道から離れた。

そして手を上げると。

空間震警報が鳴りだした。

狂「この音がなにかお分かりになりますわよね。」

士「空間震警報。」

一「まさか、空間震を意図的に起こせるの?」

隼「これは厄介だね。」

狂「さあさあ、どうしますの?

今空間震が起きたら気を失った生徒の皆さんはどうなりますでしょうね。」

令「シン、狂三の精神状態が変化している。

まるで君を恐れているかのようだ。」

士「そうか。

狂三、お前は俺を食べるのが目的って言ってたよな。

なら空間震を止めろ。

さもないと。」

士道は手すりの上にたった

士「俺はここから落ちて死んでやるぞ。」

狂「そんな脅しやれるものならやってごらんなさいな。」

士「ああ。」

そして士道は飛び降りたが、途中で狂三に助けられた。

狂「信じられませんわ。

あなた馬鹿じゃありませんの。」

一「狂三のいう通りあなた馬鹿じゃないの。」

隼「俺も右に同じ。」

士「これではっきりした。

俺には人質の価値があるんだな。

空間震を止めてもらおうか、ついでにこの結界も消してもらう。

さもないと舌を噛んで死ぬぞ。」

狂「なんですの。」

狂三が指を鳴らすと空間震は止まり結界も消えた

士「よし、じゃあもう1つ。」

狂「まだありますの。」

士「狂三、お前にやり直す機会を与えさせてくれないか?」

狂「まだそんなこと有難迷惑ですわ。」

士「そんなのわかんないだろ。

お前だってごく当たり前の平穏な生活を好きになるかもしれない。

そうじゃなきゃ俺とのデートを楽しんだり出来なかったはずだ。」

狂「でも、そんなこと。」

士「出来るんだよ、俺になら。

お前の罪は一生かけて償わなきゃならねえ。

でも狂三、お前がどんなに間違っていても俺がお前を救ちゃいけない理由にはならない。」

狂「わた、くしは。」

士道が狂三に手を伸ばした。

狂「わたくしは。」

それを狂三が取ろうとすると。

白い手に狂三の腹が貫かれていた

?「だめですわよそんな言葉に惑わされては。」

狂「わたくしは。」

?「はいはい、わかりましたわ。

もう、おやすみなさい。」

そして狂三の霊装が消えて倒れた。

そして別の狂三が立っていた。

士「え?狂三?なんで?」

狂「このころのわたくしは若過ぎたかもしれませんね。」

倒れた狂三は影の中に引きずり込まれていった。

そして、白い手が士道を拘束した。

狂「もうまどろっこしいことはやめにしましょう。」

狂三が士道に手を伸ばすと狂三の腕が切られた。

士「真那。」

真「はい。

また、危ないところでしたね。」

狂「きひひ。

いつもながら流石ですわね。

わたくしの霊装をこうも簡単に切り裂くなんて。

でも、わたくしだけは殺させえて差し上げるわけにはまいりませんわねー。

おいでなさい、刻々帝(ザフキエル)。」

狂三の後ろに巨大な時計が現れ狂三の切られてない方の手には短銃が握られていた。

狂「四の弾(ダレット)

巨大な時計のⅣから赤黒い何かが出てきて短銃の銃口に入った。

それを狂三が自分に撃つと切られた腕が元通りになった。

真「たいした回復能力です。」

狂「きひひ、違いますわよ時間を戻しただけですわ。

さあさあ、始めましょう。」

真「上等です。

またいつものように殺してやります。」

狂「きひひ、まだわかりませんの。

あなたにわたくしを殺しきることは絶対にできませんわ。」

真「その喉から消し飛ばしてやります。」

狂「一の弾(アレフ)。」

次はⅠから何かが出てきて短銃に入った。

また自分に向けて撃つと狂三がその場から消えた。

真那の横に現れたかと思うと右手の古式の歩兵銃で真那を撃った。

士「真那。」

真那は空中で体制を立て直すと狂三に向かっていった。

今度は真那の後ろに現れ真那を蹴った。

狂「七の弾(ザイン)。」

そして今度はⅦから何かが出てきて短銃にはいった。

それを真那に向けて撃った。

真那「無駄で。」弾が真那に当たると真那は動きを止めた。

士「真那。」

狂三が真那に何発か撃つと真那は動きだし屋上に落ちた。

真「兄さま来ないでください。」

一「私が真那の治療をする。」

隼「分かった。

なら俺が狂三の相手をする。」

狂「あらあら、次はあなたですの。」

隼「ああ。行くぞ。」

隼人は狂三に向かって突っ込んでいった。

狂「無駄ですわ。

一の弾(アレフ)。」

またⅠから出てきたものが短銃に入り自分に撃った。

そして狂三が消え、隼人の後ろに現れた。

狂三が隼人を歩兵銃で撃つと隼人は煙となって消えた。

狂「な?」

隼「こっちだ。

これでもくらえ螺旋丸。」

今度は隼人が狂三の後ろに現れ狂三の背中に螺旋丸をくらわせた。

狂三はその攻撃で吹き飛ばされたが、すぐに立ち上がった。

狂「今のはなんですの?」

隼「単純さ霊力を掌の上で乱回転させ圧縮したものだ。」

狂「技の説明はありがたいのですがそれよりも、どうしてわたくしが撃った後、煙になったのですか?」

隼「あれは、単なる分身さ。」

狂「そうですのあなたも分身が出来るのですね。」

隼「まあな。」

狂「ならこれはどうですの?」

狂三の影が広がっていきそこからたくさんの狂三が現れた。

隼「ならこっちも多重影分身の術。」

隼人も狂三のように増えた。

狂「確かに隼人さんの能力もすばらしいですけど。」

狂三は全員そろって短銃と歩兵銃を乱射して隼人の分身をすべて倒した。

狂「一撃で倒せるならさほど怖くありませんわ。」

隼「これはちょっと厳しいな。」

狂「やってしまいなさい、わたくしたち。」

たくさんの狂三が隼人に迫ってきた。

隼人はそれを体術で倒していった。

狂「一の弾(アレフ)。」

狂三が、また同じようにⅠから出たものを自分に撃ち消えると隼人の後ろに現れ隼人を歩兵銃で撃った。

隼人は撃たれたことで動きが鈍り狂三たちの攻撃をもろに受けて倒れた。

士「隼人。」

十「士道。」

すると屋上の入り口に折紙と十香がいた。

士「2人とも。」

狂「あらあら、皆さんお揃いで。」

十「狂三戦いの途中で逃げるとは。」

折「もう逃がさない。」

狂「まあ、恐ろしいですわ。

こんなにもか弱いわたくしに大勢で襲い掛かろうなんて。

でもわたくしも、今日は本気ですの。

ねえ、わたくしたち。」

そしてまた狂三の影が広がりたくさんの狂三が現れた。

狂「これはわたくしの時間、履歴、様々な時間軸のわたくし。

お分かりになりました、わたくしを殺しきれない理由が。」

十「わけがわからんぞ。」

狂「さあ終わりにいたしましょう。」

そして狂三の分身によって士道たちは拘束された。

狂「これで心置きなく。

そうそう、もう二度とわたくしをたぶらかさないよう絶望を刻み込んで差し上げないといけませんわね。」

「ほう、誰に絶望を刻み込むって?」

士道たちが声の方を向くと白夜が狂三の後ろ側の手すりの上に立っていた。

狂「あなたは、いつからそこに?」

「ついさっきさ。

まさか、こんなにたくさん狂三がいるとは思わなかったけどな。」

狂「そうですの。

でも、あなたが来たところでこの状況は変わりませんわ。」

「さてそれはどうかな。」

狂「やりなさい、わたくしたち。」

「近寄らない方がいいぞ。」

隼人の時と同じように狂三たちが白夜に襲い掛かったが、白夜の近くまで行くと襲い掛かった狂三が全員、炎で跡形もなく燃やされた。

狂「な!なんなんですのあなたは?」

「どこにでもいる普通の高校生だけど。」

狂「普通の高校生がこんなことできるわけありませんわ。」

「そんなこと言われてもそれ以外に答えようがないな。」

狂「そうですのなら死んでくださいまし。

七の弾(ザイン)。」

狂三がⅦから出たものを白夜に撃った。

白夜は、それを炎を纏った手ではじいた時、動きが止まった。

狂「どんなに強い力を持っていても止めてしまえば意味ありませんわ。

これで、終わりですわ。」

狂三の分身が白夜に数十発撃った後、狂三が白夜を確実に殺すため頭を撃った。

そして動きだした白夜は倒れた。

狂「これで一番厄介な邪魔者は死にましたわ。」

一「兄さん?」

士「白夜。」

一姫と士道が白夜を読んだがなんの返事もなかった。

一姫は白夜が死んだとわかると声にならない悲鳴を上げ狂三の拘束を振りほどいて、白夜のそばまで行き治癒能力を使い始めた。

一「お願い、死なないで、私を一人にしないで。」

狂「無駄ですわ。

もう死んでますもの。」

その言葉で一姫は泣きながら白夜に抱き着いた。

狂「さて、先ほどの続きと行きましょうか。」

そして狂三が手を上げるとまた空間震警報が鳴りだした。

士「お前まさか。」

狂「今度こそきっとたくさん死んでしまいますわね。」

士「やめろー。」

狂三が笑いながら手を振り下ろすと、空間震が起きたがすぐに打ち消された。

狂「どういうことですの?」

琴「知らなかった?

空間震はね発生と同時に同規模の揺らぎをぶつけると相殺できるのよ。」

折「あ、れは。」

士「こ、とり。」

空中に霊装と炎を纏った琴里がいた。

琴「少しの間返してもらうわよ、士道。

焦がせ灼爛殲鬼(カマエル)。」

琴里の手に炎を纏った戦斧がでてきた。

琴「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう。」

 

 

 

 

 




今回大分長くなりました。できれば次も読んでください。


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16話

士道side

士「こと、り?なんで?」

琴「それについては後で話すわ。

それより今は、狂三の相手が先よ。」

狂「邪魔しないでいただけませんこと。

折角いいところだったのに。」

琴「それはごめんなさい。

本当は白夜に任せるつもりだったのだけど、殺されちゃったからしょうがなくね。

協力者とはいえ仲間を殺されたからには、手加減しないわよ。」

狂「あらあら、そうでしたの。

案外あっけなく死んでくれて、わたくしは助かりましたわ。」

琴「あまり死人を悪く言うものじゃないわよ。」

琴里は士道たちを拘束している狂三を倒して士道と狂三の間に立った。

琴「士道下がってなさい。」

狂「あらあらなかなかやりますわね。

でも、まさかこれで終わりだなんておられませんわよね。」

狂三は巨大な時計のⅠから出てきて短銃に入った物を自分に撃った。

そしていきなり琴里の上に現れて歩兵銃で攻撃してきた。

それを琴里は戦斧を使い防いだ。

その後狂三は歩兵銃と短銃で攻撃し、琴里は戦斧で防ぐの繰り返し

狂「素晴らしいですわ、素晴らしいですわ、流石天使を顕現させた精霊、高鳴りますわ、高鳴りますわ。」

琴「鬱陶しいわね、レディなら少しは落ち着きを持ったらどう。」

そして琴里が戦斧で狂三に反撃するがかわされる。

狂「では、ご要望にお応えして、しとやかにとらせていただきましょう。

刻々帝(ザフキエル)七の弾(ザイン)

狂三はⅦから出て短銃に入った物を琴里撃った。

士「だめだ琴里、それは。」

琴里は戦斧で防ぎ動きが止まった。

狂「白夜さんと同じように死んでくださいまし。」

狂三は白夜の時と同じように何発か撃った後琴里の頭を撃った。

狂「くふふ、あ、あー終わってしまいましたわ。

折角みえた強敵ですのに無常ですわ、無常ですわ。

さあ、今度こそ士道さんの番ですわ。」

倒れている琴里の傷から青い炎が出て、炎が消えた時には傷がすべて治っていた。

琴「全く派手にやってくれたわね。」

そして琴里は立ち上がった。

琴「私としては、あなたが恐れおののいて戦意をなくしてくれるのがベストだけど。」

狂「ふん、戯れないでくださいまし。」

「そうだぞ、琴里。

そんなことで戦意喪失なんてそうそうないぞ。」

琴・士・狂・隼「え?」

狂三や士道たちが驚き声のした方を見ると無傷の白夜が立っていた。

狂「な!なんであなたが生きてますの。」

「おいおい、まさかあの程度で俺が死ぬとでも?

俺は、生まれつき頭を撃ちぬかれたくらいじゃ死ねないんだよ。」

狂「どこまで、化け物なら気が済むんですかあなたは。」

琴「まさか、ここまで化け物だとは思わなかったわ。」

隼「むしろ、ここまで来ると化け物の方が可愛く見えてくるよ。」

一「本当に余計な心配させないで欲しいです。」

「ごめんごめん。

でも一姫、途中できずいてたよね。」

一「ええ、抱き着いた時に心臓が普通に動き続けていたので。」

「まあ、今回は油断した俺が悪いから今度埋め合わせするよ。」

一「分かりました。何がいいか考えておきます。」

「さてそろそろ、本題に入ろうか。

狂三、どうする今のところかなり不利だと思うが降参するか?」

狂「いったい何なんですの、あなたは。」

「さあ、そんなの俺に聞かれてもただの人間としか答えられないな。」

琴「こ、これは。」

その時、琴里が突然頭を押さえて膝をついた。

士「琴里。」

「急にどうしたんだ。」

一「どうしたんでしょう?」

すると琴里は立ち上がり

琴「灼爛殲鬼(カマエル)(メギド)。」

戦斧の形態を変え炎をため始めた。

「なにやってんだ。」

狂「わたくしたち。」

狂三は自分の分身を自分の前に並べ盾にした。

琴「灰燼と化せ灼爛殲鬼(カマエル)。」

琴里は狂三に炎の砲撃を撃った。

狂三はなんとか耐えたが膝をつき戦意を喪失した。

琴「銃をとりなさい。

まだ、闘争は終わっていないわ。

まだ、戦争は終わっていないわ。

もっと殺し合いましょう。

あなたが望んだ戦いよ。

あなたが望んだ争いよ。

もう銃口を向けられないというなら死になさい。」

士「琴里。

これ以上やったら本当に死んじまうぞ。

精霊を殺さずに問題を解決するのがラタトスクなんだろ。」

琴里は士道の言葉を聞かずにまた炎をため始めた。

士「おい、琴里。」

「完全に暴走してるな。」

一「はやく止めないと狂三が死にますよ。」

士「止めるって言ったもどうやって。」

士道は琴里の顔を見た後、狂三を庇うように琴里との間に入った。

狂「しど、う、さん。」

そしてまた砲撃が放たれた。

その直後琴里が意識を取り戻した。

琴「おにいちゃんよけて。」

「全く面倒なことを。」

砲撃が士道の目の前まで迫った時、白夜が間に割り込み炎で琴里の砲撃を防いだ。

士道は意識を失い倒れた。

「狂三、今のうちに早く逃げな。」

狂「わかりましたわ。」

そういうと狂三は自分の影の中に入っていった。

「さて、令音さん回収よろしくお願いします。」



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17話

投稿するの遅くなってすみません。


狂三との戦いがあった次の日。

 

士「ここは?」

四「あ、、おはようございます。」

 

ベットの傍にいた四糸乃は、走ってどこかにいった。

士道が体を起こすとベットの横で椅子に座り上半身だけベットに倒れこむように十香が寝ていた。

士「俺どうしてここに?」

令「やあ、目覚めたね、シン。」

「寝過ぎじゃないか、士道。」

一「普段の兄さんの方が寝過ぎだと思います。」

隼「確かに寝過ぎだな。」

「まあ、そんなことは置いといて。」

よ「いやー、びっくりしたよ。

士道君いきなり目を覚ますから。」

四「ごめんなさい、驚かせて。」

士「いや大丈夫だ。」

「そうだぞ、四糸乃。

士道は、なにされても迷惑なんて感じない奴だから。」

そう言いながら白夜は四糸乃の頭を撫でた。

よ「なるほど、なら安心して迷惑かけられるよ。」

「そうだ、俺だっていつも士道をからかって迷惑かけているけど普通に仲良くしてるからな。」

士「自覚あるならやめてくれよ。」

「え、やめるわけないだろ。

面白いんだから。」

士「そういうと思ってたよ。」

隼「まあ、元気そうでよかったよ。」

士「そういえば、令音さんなんで俺ここに?」

令「昨日、時崎狂三との交戦の後、気絶した君をここに搬入してね。」

士「そうだ。

あれからどうなったんですか?

十香は眠ってるだけですよね?

琴里は、あの姿はいったい?

あと折紙は?」

令「落ち着きたまえ、シン。」

士「真那は無事なんですよね?

それに狂三あいつも生きてるんですよね?

学校のみんなも。」

令音が士道を抱き寄せ喋れなくした。

令「よしよし、落ち着いたかい?」

令音が士道の頭をなでながら聞いた。

令音の行動で士道はようやく落ち着いた。

令「安心したまえ皆無事だ。

私の知る限り死者は出ていない。

鳶一折紙と崇宮真那はAST隊員に回収されていった。

多分自衛隊天宮病院に搬送されていったのだろう。

狂三は、白夜が逃がしたよ。

十香は見ての通りさ。

自分も傷を負っているというのに君を看病すると聞かなくてね。

疲れて眠ってしまっただけだろう。」

士「まだ、終わりじゃありませんよね。」

令「無論だよ。」

士「琴里はどこですか?」

「じゃあ、俺は四糸乃と待ってるよ。」

隼「そうだな、俺も待ってる。」

一「私も待ってます。」

令「わかった。」

 

令音は士道を連れて他の部屋に行った。

 

隼「まさか白夜に気を遣うことができるなんてな。」

「俺は、これでも結構気を遣ってる方だと思うんだがな。」

一「確かに、兄さんは気を遣うことはよくありますが、全く相手の為になってなかったり気づかれないことがほとんどです。」

隼「白夜、お前もう少し周りの人のこと考えろよ。」

よ「白夜君、聞いた感じだと無駄なことしかしてなくない。」

四「よしのん失礼だよ。」

「あれ俺そんなに空回りしてた?」

一「はい、兄さんは自分の為以外でやることはほぼ全てが空回りしています。」

よ「それはそれですごいね。

周りの役に全く立ってないなんて、ある意味天才だね。」

四「だいじょうぶです。

さっき頭を撫でてもらった時、とてもうれしかったです。」

「ありがとう。

四糸乃だけが俺の味方だよ。」

そう言いながら白夜は四糸乃の頭を撫でた。

四「いえ、どういたしまして。」

撫でられている四糸乃はとても嬉しそうだ。

よ「あーよしのんも撫でて撫でて。」

「さっき酷いこと言ってなかった?」

よ「気のせいだよ気のせい。」

「しょうがないな。」

空いている手でよしのんを撫でた。

よ「とっても気持ちいよ。

ありがとう、白夜君。」

「どういたしまして。」

一「相変わらず、頭を撫でるの上手ですね。」

隼「そうなの?」

一「ええ、昔はよく撫でてもらいましたから。」

そんな話をしていると十香が目を覚ました。

目を覚ました十香は士道がいないことに気づき士道を探し始めた。

十「士道を知らないか。」

「今は令音や琴里と大事な話をしている。

士道は元気だからお前は少し休んでろ。」

十「しかし。」

隼「十香、士道の前で疲れで倒れたりしたら士道を不安にするだけだよ。」

一「そうよ、だからしっかり休みなさい。」

十「分かった。」

「じゃあ今日はもう帰りますか。」

隼「そうだな。」

「十香、四糸乃、精霊マンションまで送ってやる。」

四「ありがとうございます。」

十「ありがとう。」

それから白夜は空間転移で十香たちと一緒に精霊マンションの前に飛んだ。

「それじゃまたな。

十香はしっかり休めよ。」

十「わかっている。」

十香と四糸乃がマンションに入った後、隼人は歩いて帰り白夜は一姫を家に送った後自分の家に帰った。




これからも読んでくれると嬉しいです。


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18話

遅れてすみません。


フラクシナスの指令室に白夜たちが集まっていた。

 

士「オーシャンパークですか?

あのプールがある遊園地ですよね。」

令「そうだ。

明後日の琴里と君のデートに最適な場所だと皆賛同してくれてね。」

恭「はいー。

この時期の少女にしかない幼さと危うさの同居する指令のきらめくような水着姿を目に焼き付けるにはもってこいかと。」

士「大きな声で言わないでくれますか。」

「妹の前でそんなこと言わないでくれる。」

一「前から思ってたけど、やっぱりかなりの変態ね。」

隼「話を進めようか。」

一「それより私もオーシャンパークに行ってみたい。」

「だそうです、令音さん。」

令「ちょうど何かあった時のために君たちにも行って欲しいと思っていたところでね。」

「俺は遠慮しておきます。

何かあってもフラクシナスからすぐに行けますし。」

一「兄さんも行くんですよ。」

「なぜ俺もいかないといけないんだ?」

一「兄妹で遊園地とか行ったことないので、一緒に行きたいからです。」

「個人的には、あまり行きたくないんだけど。」

一「狂三の時の埋め合わせということでいきませんか?」

「わかったよ、俺も行きますよ。

隼斗はどうするんだ?」

隼「なら俺は士道のデートに邪魔が入らないようにしておくよ。」

令「全員行くということでいいね。」

士「隼斗、ありがとう。」

「あれ俺たちには、ないの?」

士「白夜たちは、ほとんど遊びに来るだけだろ。」

「まあ否定はしない。」

士「否定くらいしろよ。

それはともかく、俺は何をすれば?」

令「シンには一つ事前の訓練を用意した。」

士「訓練、やります。

琴里を助けるためなら何でも。」

 

次の日

士道は十香と四糸乃と水着を買いに来ていた。

 

士「なんで、十香たちと水着を買いに来ることが訓練なんですか?」

 

インカムをつけている耳を手で押さえながら聞いた。

 

令「どんな水着を見ても動揺しないためだ。

琴里とのデートなのに他の女の子に目移りしたら困るだろ。」

士「こ琴里の運命がかかってるんですいくらなんでもそんな。」

 

そう言いながら士道の顔は赤くなっていた。

 

令「君の心拍数もモニターしていることを忘れたわけでもあるまいな。」

士「が頑張ります。」

 

士道と令音の会話が終わり指令室では買い物の様子をモニターで見ていた。

 

「いやー、これはとても面白そうだ。」

隼「面白がるなよ、士道は大変なんだから。」

「そう言いながら本当は面白がってるくせに。」

隼「さて、なんのことかな。」

一「なら二人も心拍数モニターしてみる?

直接じゃないけど士道と見てるものは変わらないわけだし。」

「俺は、いいぜ。」

隼「俺も。」

「ならより心拍数が上がった方が飯おごりな。」

隼「いいぜ、そのかけのった。」

「ということでよろしくお願いします、令音さん。」

令「わかった、今だす。」

 

令音が何か操作をするとモニターに白夜と隼斗の心拍数が表示された。

そんなやりとりをしているとモニターでは、十香たちと折紙が話していた。

 

「折紙の奴いつ来たんだ?」

隼「俺たちが話してる間じゃないか?」

「まあそんなことはいいか。」

隼「士道はデートをかけた勝負に巻き込まれてるみたいだな。」

「それなら士道の訓練になるからいいだろ。」

 

話しているとクラスメイトの亜衣、麻衣、美衣の三人が水着姿で現れた。

士道の心拍数はそれを見たことで上がった。

しかし白夜と隼斗の心拍数は全く変化がなかった。

 

「士道、あんなんで明日大丈夫なのか?」

隼「流石に、お前はこれくらいじゃあびくともしないか。」

「余裕だね。」

一「士道は反応し過ぎかもしれないけど、少しも反応しないのはどうかと思う。」

令「それだけ精神が強いんだろうね。

シンにも見習ってほしいよ。」

士「頑張ります。」

 

会話が聞こえていたのか士道が落ち込みながら返事をした。

そうしているうちに十香が試着を終えて出てきた。

神無月がなぜか解説していたが、気にしないことにした。

そして次に折紙が試着を終えて出てきた。

神無月はまた解説しているが興味がなかったので無視しておく。

この間、士道の心拍数は変動し続けているが、白夜と隼斗はいまだに変化していなかった。

 

一「あれを見て変化しないのは、流石に異常だと思うのだけど。」

「そうでもないだろ。」

隼「魅力的ではあるけど、まあ我慢できない範囲ではないな。」

恭「その程度というのが同じ男なのか不思議なくらいです。」

「失礼な奴だな。

そもそもお前が男を代表して言うな。

男がみんなお前と同じなわけあるか。」

隼「それは、同感だ。

神無月と一緒にされるのは心外だ。」

恭「みんなしてひどくないですか。」

「ひどくない。」

一「まあ、あそこまで変態なのは珍しいだろうけど、それでも全く反応しないのはそれはそれで変ですよ。」

「そこまで反応することか?」

隼「いや、俺は我慢してるだけで、しなければ普通に反応すると思うぞ。」

「まあいいや。

そろそろ次の水着に着替え終わるころだろ。」

 

白夜の言葉の後少ししてから、十香が違う水着着替えて出てきた。

それからすぐ折紙も着替えて出てきたが私服を着ていた。

すると折紙が士道に近づき、士道に服の端を持たせてめくってといい無理やりめくらせた。

それにより下に着ていた水着が見えた。

隠した水着を見せることで士道の心拍数はかなり上がった。

隼斗も今回はそれなりに心拍数が上がったが、白夜は相変わらず変化しない。

それどころか白夜は士道の反応を見て大笑いしていた。

 

隼「あれで反応しないのは、流石におかしいだろ。」

一「本当に女性に興味があるのか疑わしいです。」

令「それも確かに疑問だけど、ここまで笑っているのに心拍数に変化が一切ないことに疑問があるのだが。」

「笑うくらいなら精神力で心拍数の変動を抑えられますよ。」

令「それをするには、相当な精神力必要なはずだが。

君は、本当に人間かい?」

「失礼な正真正銘人間ですよ。」

隼「人間にそんなことできるとは思えないんだけど。」

「出来てるからできるんじゃない?」

一「確信はないんですね。」

「出来る人とできない人もいるさ。」

 

そんな会話をしているとモニターでは四糸乃の助けを呼ぶ声に士道が試着室のカーテンを開けた。

そこには片手のため水着をまともに着られてない四糸乃がいた。

それにより士道の心拍数は今までも最高値を出した。

隼斗も士道ほどではないがそれなりに心拍数が上がっていた。

白夜は相変わらず変化しなかった。

 

「じゃあ今晩の飯ゴチになります。」

隼「お前は、絶対におかしい。」

一「同感です。流石にここまで反応しないのはどうかと思います。」

令「ああ、ここまで変化しないと機械の故障を疑うよ。」

恭「これは本当に男なのか疑問ですね。」

「そんなことはどうでもいいのさ。」

隼「よくないと思うが。

まあ、かけに負けたからにはちゃんとおごるさ。」

「そうと決まれば早速行くぞ。」

隼「はいはい、どこでも好きなものおごってやるよ。」

 

次の日

白夜と一姫は士道たちの邪魔をしないように先にオーシャンパークに来て遊んでいた。

隼斗は士道たちのデートを少し離れたところで見守っていた。

 

「さて来たはいいが、プールで何して遊ぶんだろ?」

一「お待たせ。

水着どうかな?」

「似合ってるぞ。

で、何するんだ?」

一「兄さん、こういうところ来たことないんですか?」

「ないな。

プールじゃなくて海や湖なら行ったことがあったが。」

一「海とかだと何してたんです?」

「衝撃波とかで海を割ったり、水を操ってサーフィンしたり、重力を操作して無重力にして浮いた水を少し操って繋げてその中を泳いで移動したりとかだな。」

一「最初の一つ目からおかしい気がしますが、最後のは楽しそうですね。」

「ここでやる?」

一「ここでは能力を使っては遊びませんよ。

普通にあそこの滑り台みたいなのを滑ったりして遊びます。」

「能力使えばもっと複雑で速いの作れるけど、まあ今日くらいは普通に遊ぶとしますかね。」

一「そうして下さい。」

 

そんなこんなで二人はウォータースライダーを滑るために移動した。

 

「じゃあ、どっちが先に滑る?」

一「折角、なので一緒に滑りたいです。」

「俺は構わないが、どういう姿勢で滑るんだ?」

一「私が前に行くので、後ろから抱き着くようにしてください。」

 

白夜は言われたとおりに一姫の腰の辺りに手をまわす形で抱き着くような体制をとった。

 

「こんな感じか?」

一「はい、これで大丈夫です。」

「じゃあ、行くぞ。」

 

そういうと白夜たちは滑りだした。

滑り終わったところで着水と同時に大きな水しぶきを上げた。

 

「思ったよりスピードが出るんだな。」

一「そうでしょ。

能力を使わなくてもこんな楽しいことはできるんですよ。」

「ああ、いい経験になったよ。」

 

それから白夜たちはプールで一通り遊んだ後、遊園地の方に移動した。

士道も白夜たちが移動してから少し過ぎたころに遊園地の方に琴里と二人で移動したため十香と四糸乃の面倒を隼斗が見ることになった。

 

一「遊園地は、子供のころに来たことがありますよね。」

「まあな、でもそれ以来、来てないからなわからんぞ。

それに子供のころは身長制限で乗れるものも少なかったしな。」

一「私が、面白そうな場所に案内しますよ。」

「おう、期待してるぞ。」

 

まず最初に来たのはジェットコースターだった。

 

「これは、少し楽しそうだな。」

一「まあ、ウォータースライダーが楽しかったのなら楽しいと思います。」

「なら早速乗ろうか。」

 

ジェットコースターが終わった後、一姫のおすすめの乗り物をまわった。

おすすめをまわり終わったころ、爆発音が響き黒い煙が上がっているのが見えた。

 

「ああ、馬鹿がやらかしやがったな。」

一「どういうこと?」

「折紙だよ。

昨日、十香と四糸乃に折紙が何を聞きに来たのか聞いたのさ。

その結果、折紙はイフリートつまり琴里に何らかの恨みがあるみたいだな。」

一「なら琴里を助けないと。」

「いや、ダメだ。」

一「!どうしてですか?

もし琴里が殺されるようなことになったらどうするんです?」

「誰も殺されるまで手を出さないとは言ってないさ。

それにこれは士道が解決しないいけない問題だ。」

一「どうしてですか?」

「簡単なことだ。

俺が行って折紙を無力化することは簡単にできるでも、琴里がイフリートだとばれているなら無力化してもまたいつか同じことを繰り返す。

だから士道が琴里を折紙の標的から外す必要がある。」

一「でも、本当にできるんですか?」

「そんなこと知らん。」

一「え!?

そんなんで大丈夫なんですか?」

「出来るとかそういう問題じゃないからな。

出来なきゃ同じことの繰り返しだ。」

 

一姫も理解したのか言っても無駄だと思ったのか、白夜が動くまで見守ることにしたようで爆発のあった方を見ていた。

その後、上空で琴里と折紙が戦闘をしていた。

戦闘のせいで遊園地のいたるところが壊れていった。

しかし、しばらくすると先ほどまで戦っていた琴里の姿がなくなり十香と四糸乃と隼斗が折紙と戦っていた。

 

「あいつらは、いったい何してるんだ。」

一「折紙の相手をして時間を封印の時間を稼いでいるみたいですね。」

「だろうな。

全く、ならもう無力化して帰るか。」

一「え!?」

 

白夜の言葉に一姫は疑問に思ったが、白夜はそれに答えず、どこからか一本の槍を出した。

そして、その槍を折紙たちの方に向かってやり投げのように投げた。

 

「さて、帰るぞ。」

 

それだけ言うと、一姫の手を取り歩きだした。

 

隼斗side

 

士道が琴里を封印する時間を稼ぐため折紙と戦っている途中、異常な速度で飛んでくる物があった。

それは、折紙に向かって飛んでいき十香や四糸乃に当たることはなかった。

折紙もそれに気づきテリトリーで防いだが、少しの間受け止めただけですぐにテリトリーは貫かれた。しかし、飛んできたものは折紙ではなく、折紙が身に着けている装備を壊しただけだった。

装備を壊された折紙は、地面に落ちた。

地面に落ちた折紙の元に封印が終わったのか士道が出てきて、折紙を説得し始めた。

最終的に折紙が、気を失ったので、この場は収まった。

 

隼「それにしても、さっきの投げたのやっぱり白夜なのか?」

 

テリトリーで少し動きが止まったため飛んできたのが槍であることは、わかったが、投げた人物には確信を持てなかった。

 

隼(投げたのが、白夜ならあいつは、一体どんな力をもらって転生したんだ?)

 

隼斗は、あまりに強すぎる白夜について考えたが、途中で答えが出ないと思い考えるのをやめた。

 

その後は、原作通り進んだので何も問題はないだろう。




今回かなり長くなってすみません。
これからも読んでください。


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19話

今回からほとんどオリジナルです。
映画のネタバレもあるので、ネタバレが嫌な人は見ないことをお勧めします。



琴里の封印が終わり数日たったある日。

空から金色の小さな雫が一つゆっくりと降ってきた。

その雫は、横断歩道の真ん中に落ちると、金色の花弁の蕾になった。

しかし、周りの人は誰も蕾に気づかず通り過ぎて行った。

そして、学校帰りの白夜たちが、蕾の横を通り過ぎてすぐに蕾は、小さな粒になって消え残ったのは、白い制服を着た腰に届くくらい長い金髪の少女だった。

少女は、通り過ぎた白夜たちをただ見つめていた。

 

白夜side

横断歩道を渡ったところで違和感を感じて振り返ったが、気になるものは何も見つけられなかった。

 

(何かいた気がしたんだが?

一応霊力探知してみるか。)

 

霊力探知をすると知らない霊力が一つあった。

 

(この霊力は、新しい精霊か?

いや、この霊力は、そういうことか。)

 

霊力の正体に気づき、自分でも少し笑っているのが分かった。

 

(ようやく万由里の登場ってことか。)

士「どうしたんだ。

急に笑って何か面白いものでも見つけたのか?」

「いや、なんでもない。

少し用事を思い出したから先に帰ってくれ。」

士「え?ああ、わかった。」

「じゃあまたな。」

 

それだけ言うと霊力を感じたところに空間転移で移動した。

移動した先には、白い制服の金髪の少女がいた。

 

「みーつけた。」

?「!?」

 

少女は、驚いた後こちらを警戒しながら黙って見続けている。

 

「まずは、君の名前と何者なのか話してくれる。」

?「・・・私は万由里、雷霆聖堂(ケルビエル)の管理人格。」

 

少女は、少し考えた後に話始めた。

 

万由里side

私は、監視対象の一人が行き成り現れて驚いた。

 

万(どうしよう。

逃げてもまた簡単に見つけられるだろうし。

裁定について話て協力してくれるとも限らない。)

 

これからどうするか考えている万由里に白夜は

 

「まずは、君の名前と何者なのか話してくれる。」

 

私のことを聞いてきた。

 

万(逃げるのが無理なら裁定に協力してくれるように説得するしかないか。)

万「私は万由里、雷霆聖堂(ケルビエル)の管理人格。」

「それで、目的はなんだ?」

万「一つの場所に力が一定以上集約した時、私は自動的に生まれる。

器がそれに値するものか確かめるために。」

「なるほどね、要するにこの町にいる霊力を持つ者がまともな奴か確かめるということか。」

万「そういうこと。」

「だから、これからしばらく俺たちを監視するってことか?」

万「そ。」

 

私は、その問に頷いて答えた。

 

万(さて、これからどうやって説得しよう。)

「そうか。

監視するのは別に構わないぞ。」

万「え!?

いいの。」

万(断られると思ってのにどうして?)

「ただし条件がある。」

万「何?」

「俺をこそこと付け回して監視するのはなしだ。」

万「まあ、そうなるわよね。

じゃあ、どうすればいいの?」

「付け回すだけが監視じゃないだろ。

俺とともに行動するなら監視していいぞ。」

万「それって、つまりどういうこと。」

「隠れずに俺の横に立って監視しろってこと。

その方が監視しやすいだろ。」

万「確かに監視しやすいけど、あんたはどうして私と行動するの?」

「その方が面白そうだから。」

万「!?」

「それに、士道たちの監視も面白そうだしな。」

 

私は、そこで白夜がどういう人間なのか気づいた。

 

万(無駄に考えてた自分が馬鹿みたい。

白夜は面白いこと以外に興味ないんだ。)

万「分かったわ。

その条件をのむわ。」

「そうかなら、これからしばらくよろしく。」

 

そう言いながら、手を出してきたので、その手を取っり

 

万「よろしく。」

 

と返した。

 

「じゃあ、家に帰りますか。」

万「私は、どうすればいいの?」

「どうするって、一緒に来る以外ないだろ。

家にいる間、監視しないのか?」

万「そ。

これから一緒に暮らすってことね。

あんたが、学校に行ってる間は?」

「監視されてる間は、学校行かないことにしたから。」

万「あんた、自由過ぎない?」

「それが、俺だからしょうがない。」

万「そ。」

「じゃあ、帰るか。」

 

そして、白夜の空間転移で移動した。

気づくと一軒の家の前にいた。

 

「ここが、俺の家だ。」

万「以外と普通の大きさね。」

「まあ、外はこんなもんさ。」

万「外は?」

 

そう言いながら白夜は、ドアを開けて中に入った。

それに続いて、少し白夜の言葉に疑問を持ちながら家に入った。

 

万「おじゃま・・・」

 

そして、家の中を見て驚きのあまり言葉が出なくなった。

 

「どうかしたか?」

万「いえ、驚いてるだけよ。

確認だけど、この家どれだけ広いの?」

 

驚いた理由は、外から見た家の大きさに比べて中が広すぎたからだ。

 

「広さ?

来禅高校より少し広いくらいだと思うが。」

万「なんで、そんなに広いのよ。」

「そんなの空間を能力で作り出してるからだけど。」

万「あんたの力が、他の監視対象より規格外なことはよくわかったわ。」

「一応、褒め言葉として受け取っておくよ。

それと今晩の夕食どうする?」

万「私は、なんでもいいわ。」

「俺としては、万由里に作ってもらいたいんだけど。」

万「なんで私が作るの?

私は、さっき生まれたばかりなのよ。」

「それでも、見た感じ知識はあるんだろ。

俺たちの霊力から生まれたってことは、料理が得意な士道の知識もあるなら作れそうだから。」

万「知識はあるけど、それだけよ。

やったことないから上手く作れとも限らないし。

それでもいいの?」

「ああ、別に作らせといて味に文句は言わないさ。」

万(不思議な人、なんで私の料理が食べたいんだろ)

万「そ。

作るのはいいけど、材料はあるの?」

「なんでもあるぞ。

好きな料理を作ってくれ。」

万「分かったわ。

まず家の中を案内して。」

「分かった。」

 

それから家の中を簡単に案内され、台所に案内した後、白夜はリビングに行った。

台所にあった冷蔵庫を開けてみると白夜の言っていたようにスーパーで売っているものは、見た限りすべてそろっていた。

 

万(何を作ろうかな。)



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20話

万由里の設定が原作と違うところがありますが、性格は変えていません。
口調は、イメージで書いているので少し違うかもしれませんが気にしないで読んでくれるとありがたいです。


万由里side

 

万(何を作ろうかな。)

 

台所で何を作ろうか食材を見ながら考えていた。

 

万(初めてだから簡単なものがいいわね。

でも、簡単過ぎるものだと馬鹿にされるかな?

本当に何を作ろうかな。)

 

それから少し考えた後。

 

万(あれにしよ。)

 

作るものを決めすぐに必要な食材と調理器具を取り出し作り始めた。

 

白夜side

 

万由里を台所に案内してリビングに来てソファーに寝っ転がっていた。

 

(それにしても、思ったより万由里が出てくるの早かったな。

俺や隼斗がいるから原作より出現が早まったのか。

さて、これからどうしたものかね。

士道のデートを間近で見るのは面白いからいいんだが、原作みたいに愛する人がいるわけじゃないからな。

万由里が消えないことを望むんだろうか。

俺のわがままで生かしたら嫌われるかな。

好きになってもらえなくてもいいけど、嫌われるのは流石に嫌だしなー。

どうしたものか。)

 

そんなことを長々と考えていると、台所から調理をしている音が聞こえてきた。

それを聞いて

 

(なんか作り始めたみたいだな。

じゃあ、俺も今考えてもわからないことは、これからゆっくり考えますかね。

さて、何を作ってるんだろうか。

万由里の手料理楽しみだなー。)

 

分からないことを後回しにして、今を楽しむことにした。

 

(そういえば、あの神ふざけたことしてくれたなー。

能力の情報が頭に入ってきた時、

『万由里を救うのは、君なら努力したらできるから力は与えないね。

君の万由里への愛がどれほどのものか、見させてもらうね。』とかふざけたメッセージが入ってきたからなー。

絶対、面白そうだから力与えなかっただけだろ。

それに力だって使い方とか基本的なことはわかったが力加減や応用の仕方は全く教えなかったからかなり苦労したしなー。)

 

内心で神に対する愚痴を言っていると、万由里が料理を持って入ってきた。

 

「出来たみたいだな。」

万「ええ、初めてだから味の保証はしないわよ。」

「味に文句はつけないって言わなかったけ?」

万「言ってたけど、変な期待してるかもしれないから一応ね。」

「あっそ。

まあいいや、冷めないうちに早く食べよう。」

万「それもそうね。」

 

そういいながら万由里は、テーブルに料理を置いた。

そして白夜と万由里はテーブルをはさんで向かい合う形で座った。

 

「へー、オムライスか。」

万「そうよ、初めてだからあまり凝ったものは作らなかったけどいいでしょ。」

「ああ、ふざけたものじゃない限り何でもよかったからな。」

万「そ、ならよかった。」

「じゃあ、いただきます。」

万「召し上がれ。」

 

そして二人ともスプーンを持って、オムライスを食べ始めた。

 

「お、うまいな。」

万「そう、普通だと思うけど。」

「まあ、そうかもなでも、初めて作ったにしてはうまいだろ。」

万「そ、ありがとう。

でも、それって初めてじゃないとそんなにおいしくないってことでしょ。」

「まあ、そういう考え方もあるか。

でも、知識があるんだから、美味しく作ろうと思えば出来たはずだろ。」

万「まあでき無くわないと思うけど。」

「それでなのにしなかったのは、変に挑戦して失敗してまずいもの出すのが嫌だったからじゃないのか。」

万「馬鹿にされるのが嫌だっただけ。」

「初めて作るんだから言い訳ならできるだろ。」

万「まあ、それもそうだけど。」

「変な挑戦をしないで、まともな料理を作ろうとしたんだろ。

万由里は、優しいんだな。」

万「別に、そんなんじゃないわ。

それに、なんで私が優しいって言えるの。」

「初めて会った奴に料理作れと言われて作るし、まずいものを出して不快な思いをさせないようにする奴が優しくないわけないだろ。」

万「兎に角、食べましょ。

早く食べないと冷めるわよ。」

「はいはい。」

万(話しあからさまにそらしたけど、大丈夫かな?

まあ、反論できないように言ってくる、白夜が悪いわけだし。

それにしても私の考えほとんど筒抜けなんだな。

そこまで知ってて、美味しいって言ってくれたんだ。

嬉しいな。)

 

 

それから、食べ終わるまで何も話さなかった。

 

「ごちそうさま。」

万「お粗末さまでした。」

「さて、これから何しようかなー。」

 

そう言いながらソファーに寝転んだ。

 

万「食べてすぐ寝ると牛になるわよ。」

「大丈夫、俺太らないから。」

万「それは、女子からしたら羨ましい話ね。」

「そんなもんかね。」

万「そんなものよ。

それと、聞きたいことがあるんだけどいい?」

 

万由里は、適当に座椅子を持ってきてソファーから少し離れたところに座った。

 

「別にいいけど。

それって、裁定者としての質問?」

万「それもあるけど、私個人としてってのもあるかな。」

「ふーん、まあいいや。

で何が聞きたいんだ。」

万「そうね。

まず普段は食事はどうしてるの?」

「朝は、買ったものか自分で作るな。

昼は、学校の日は妹の一姫が弁当を作ってきて、休日とかは外食か作るかだな。

夜も外食か作るかだ。」

万「そ、ならこれから私が料理作ってもいい?」

「作ってくれるならとても助かる。

自分で作るの面倒なんだよねー。

でも、なんで急に?」

万「料理するのが楽しかったから、もっと凝ったのを作ってみたいだけ。」

「あっそ。

で質問はそれだけ。」

万「まだ、いくつかあるわ。

次は、どうして妹と一緒に住まないの?」

「あいつには、今の親が用意した家があるからな。」

万「なら、その家で一緒に住めばいいじゃない。」

「十年も放置してたからな。

流石に一緒に住むのは、少し気まずいんだよ。」

万「なんで十年も妹を放置してたの?」

「まあ、いろいろあるんだよ。」

万「そのいろいろを聞きたいんだけど。」

「いろいろは、いろいろさ。」

万「システム発動案件と考えていいの?」

「なんか、かなり卑怯な気がする。」

万「そんなことないわ。」

「要するに、ちゃんと答えないとだめってことね。」

万「そういうこと。」

「はあー。

まあ、理由としては、俺の力と世界について知るため後は妹のためかな。」

万「どういうこと?」

「俺は、生まれつき力が強すぎたからな、細かい力加減が出来なかったんだよ。

だから力の加減が出来るように安全な場所で練習したかったからだ。

そして、そんな力を持つ俺がどういう存在なのか知りたかったからな。

世界を回って自分の正体を調べにいたのさ。」

万「力加減の練習なら妹の近くでもできるんじゃない?」

「まあ、ある程度の力なら出来るだろうけど、天変地異みたいな力だと巻き込みかねないからな。」

万「天変地異って、どんだけ規格外な力持ってんのよ。

それと妹の為っていうのは?」

「一姫は、両親が死んでから兄である俺に依存しだしたんだよ。

多少甘える程度なら、まあよかったんだが、妹は、孤児院にいた時、俺から離れることが、ほとんどなかった。

俺は、妹に孤児院の子供と仲良くなれるようにした。

まあ、そのおかげで孤児院の子と友達にはなったんだが、友達と遊んでいる時でも俺が違うところに行くと遊ぶのをやめてついてくるようだったからな。

俺が孤児院を出る少し前までそんな感じだったからな妹の将来を考えて離れたのさ。」

万「そんなに酷い状態だったなら一緒にいるべきだったんじゃない?」

「かもな、でもあの時は、離れるべきだと思ったんだよ。」

万「どうして?」

「妹は、俺のいうことはどんなことでも聞くって言ったんだよ。

俺が、死ねといえば死ぬとな。

流石に、離れた方がいいと思うだろ。」

万「まあ、そこまで依存してたら離れた方がいいかもしれないけど。」

「まあ、妹から離れた後、霊術を使えるようになってからは、ばれないように様子を見てたんだがな。」

万「そ、でも随分妹が大事なのね。

もしかして、シスコン?」

「ふざけるな。

いくら俺でも、たった一人の家族の心配くらいはする。」

万「ふーん。」

万(白夜って、結構優しいんだ。)

 

万由里は、そんなことを考えながら少し微笑んだ。

 

「何がおかしいんだ。」

万「別に。

それより次の質問。」

「はぐらかすな。

全く、もう終わりだ。

俺は、風呂に入って寝る。」

万「え!?

ちょ、はぐらかしたのは、謝るからもう少しだけ質問させて。」

「はー。

そんなに質問したいなら一緒に風呂に入るか?」

 

ため息をついた後、仕返しのようにニヤニヤ笑いながら言った。

 

万(絶対、さっきの仕返しね。)

万「明日、聞くのはだめ?」

「だめ。」

 

とてもいい笑顔で断った。

 

万「さっきのこと、根に持ち過ぎじゃない。」

「そんなことないさ。」

万(絶対、嘘。

さっきからものすごくいい笑顔だし。

どうしよう。)

 

万由里は、それから少し考えて

 

万「わかったわ。

でも、せめてタオルで体を隠すくらいはいいでしょ。」

「なんだ、一緒に入るんだ。

まあ、別にいいよ。

一緒に入るなら俺も隠すし。」

万「そ、でどっちが先に体洗うの?」

「俺は、別に洗わないけど。」

万「え!洗わないの?」

「その汚いものを見る目やめてくれない。

別に、普通に洗わないだけで、霊術で汚れは落としてるから。」

万「霊術って、便利ね。」

「まあな。

じゃあ、先に行って服を脱いで入ってるよ。

3分くらい経ったら来ていいよ。」

万「タオルはどこにあるの?」

「脱衣所に行けばある。」

 

それだけ言うと白夜は、リビングから出て行った。

 

万由里side

 

白夜が出て行って3分くらいたった後。

 

万(そろそろ行こうかな。)

 

脱衣所に行くと大きなタオルが二枚入ったかごがあった。

 

万(一枚は、体を拭く用かな?

このかごに、脱いだ服を入れろってことかな?

まあ、いいや。)

 

万由里は、脱いだ服をかごに入れ、その上に片方のタオルをのせて、もう方を体に巻いて、風呂場につながっているであろう扉を開けた。

 

万「何、これ!?」

 

扉を開けた先には、温泉や銭湯にある露天風呂があった。

 

「お、来たか。」

万「来たかじゃないわよ。

何なのよこれは。」

「え?お風呂だけど。」

万「そうじゃなくて、なんで露天風呂があるのよ。」

「作る時の気分で露天風呂にしようと思ったから。」

万「もういいわ、あんたに常識は通じないってわかったから。」

「なんかとても酷いこと言われてるよ。

それにしても、風呂に入る時は、髪ほどくんだ。」

万「流石に、風呂に入る時は、ほどくわよ。」

「サイドアップもいいけど、ほどいた状態もかわいいね。」

万「あ、ありがとう。」

 

すこし赤くなりながら返した。

 

万「それより、私の体の汚れも霊術で落としてくれない。」

「分かった。」

 

白夜が、こっちに指を向けて軽く振ると、体が少しの間、光に包まれた。

 

「はい、落としたよ。」

万「本当に便利ね。

それと、一緒に入るんだから質問に答えてよ。」

「分かってるって、むしろ答えなかったら殺されそうだし。」

万「当り前よ。

じゃあ、質問だけど、霊術ってどういうものなの?」

「説明長くなるけどいいのか?」

万「別にいいわ。」

「そうか、ならいいんだが。

霊術は、霊力にいろいろな命令をして起こる現象を利用して作られた術だ。

基本は、命令を魔法陣にしてやるんだが、与える命令を理解していれば魔法陣なしでも使える。」

万「どうして魔法陣を使うの?」

「命令が複雑すぎるからだよ。

霊力を火に変化させるみたいなのならさほど難しくないが、高位の霊術になると、母国語以外の数か国語で文法も無茶苦茶に書かれた論文を読むようなものさ。」

万「それは、確かに難しいわね。

でも高位ってことは、難易度が分かれてるの?」

「まあな、第一位階から第十三位階の十三段階に分かれてる。

まあ、七位階以上を使える奴は、大分少ないし、十一位階以上は、ほぼいない。」

万「あんたは、使えるの?」

「使えるけど。」

万「他に使える人はいるの?」

「いるぞ、俺が知ってるのは一人だけどな。」

万「誰なの?」

「賢者って呼ばれてる奴さ、霊術を広めた張本人だ。」

万「その賢者にあったことあるの?」

「まあ、あるけど。」

万「どんな人?」

「変人。」

万「あんたに言われたくはないと思うけど。」

「うるさい。

他に質問は?」

万「十三位階って、どんな霊術があるの?」

「時間停止とかだな。」

万「無茶苦茶ね。」

「当り前だ。

十一位階以降は、平面的な魔法陣じゃ表すことが出来ないからな。

さっきいった数か国語で書かれた論文を暗号かしたものさらに暗号かした感じだ。

それだけ複雑な命令をしてるんだから時間停止くらいできる。」

万「もはや、意味が分からないわ。」

「そういうものだ。

でもう質問は、終わりか?」

万「そ。

まだ、あるわ。

次は、あんたの強さを教えて。」

「強さねー。

基準として十香たち精霊の強さも上げようか?」

万「そうしてくれるとわかりやすわ。」

「じゃあ、力/耐久力/霊力/敏捷性/知力の順で言うな。

十香が230/202/125/142/32

四糸乃が95/82/199/212/152

琴里が150/100/215/130/178

狂三が109/80/220/103/201

で俺が960/950/400/600/3000

こんな感じだ。」

万「あんたが異常なことがよくわかったわ。

後隼斗と一姫も教えて。」

「隼斗は250/210/200/400/180

一姫は120/100/130/130/190だ。」

万「隼斗も結構強い方なのね。

あんたがいるからあんまり強く見えないけど。」

「比べる相手が悪いだけだよ。」

万「それもそうね。

じゃあ、最後の質問だけど、あんたは何者なの?

自分の正体を調べるために旅に出たんでしょ。」

「それは、秘密。」

万「どうして?」

「それくらいは自分で調べな。

じゃあ、俺はそろそろ上がる。」

 

そういって白夜は、脱衣所に行った。

 

万(白夜の正体か。

気になるけど教えてくれないならしょうがないか。)




主人公のステータスは、メリオダスの闘級や戦闘シーンからの自己解釈です。
なのでほぼオリジナルです。


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21話

万由里の口調がいまだによくわかりませんが、最後まで読んでくれると嬉しいです。


白夜side

風呂から上がり着替えてからリビングのソファーでくつろいでいた。

服はブリーチの浦原が着ているような甚平着ていた違いは上が半袖なのと白地に青や水色の模様があること、そしてその上に同じように白地に青や水色の模様の膝くらいまである長さ着物を浦原のように着ていた。

 

「これから、何しようかなー。」

 

少しすると風呂から上がった万由里がリビングに来た。

服は白い制服のままだった。

 

「ずっとその制服でいるのか?」

万「これしかないから。

それに、監視が目的だから服は、このままでいい。」

「それでも、ずっとその格好だとこっちも気になる。

家の中くらい違う服着たらどうだ。

希望の服があるなら言ってくれ、すぐに作るから。」

万「そんな簡単に作れるものなの?」

「ああ、大体の物なら簡単に作れる。」

万「じゃあ、どんなのでもいいから作って。」

「分かった。」

 

白夜は、能力で白いワンピースを作って万由里に渡した。

 

万「流石に作るの早すぎない。」

「こんなもんだ。

脱衣所で着替えてこい。」

万「そ。

じゃあ、着替えてくる。」

 

そういって万由里は、リビングから出て行った。

 

「さて、また暇になったなー。」

 

それから万由里が来るまで、またソファーでくつろいで過ごした。

 

万「いつもそうやって寝っ転がってるの?」

 

すると着替え終わった万由里が帰ってきた。

 

「まあな、いつもやることないから。

適当に作ったが、似合ってるじゃん。」

万「ありがとう。

で、これからなにするの?」

「何したい?」

万「私は、監視が目的だからなんでもいいわよ。」

「そうか、んーならチェスでもするか?」

万「別にいいけど、ルール知らないわよ。」

「そんなのすぐ覚えられるだろ。

はい、これチェスのルール覚えたら言って。」

 

そう言いながら、スマホでチェスのルールを調べて渡した。

そして、白夜はチェス盤をどこからか取り出して準備を始めた。

万由里は、その間チェスのルールを読んでいた。

少しするとルールを読み終わった万由里が、スマホを白夜に返した。

 

万「覚えたわ。」

「やっぱり、すぐに覚えられたろ。」

万「ええ、でもなんでわかったの。」

「お前は、俺たちの霊力から生まれているらしいからな。

十香の知力はかなり低いが他は普通くらいだ。

万由里の知力が、俺たちの平均だとしたら少なくとも、俺の六分の一はあるからな。

それだけの知力が、あればそれくらいできるだろ。」

万「それだけ知力が高いと、そんなことも簡単にわかるのね。」

「俺にとっては、これが普通なんだがな。

さて、覚えたなら始めようか。」

万「そ。

お手柔らかにお願い。」

「掛でもするか?」

万「こっちは初心者なんだけど。

一方的に負けそうだから遠慮しておくわ。」

「それは残念。

なら普通に始めますか。」

 

チェスを始めて十分ちょっとで終わった。

 

「チェックメイト。

いやー、なかなか楽しめたよ。

初めてで、これなら今後期待できるな。」

万「そ。

あんたに今後勝てる気がしないけどね。」

「そりゃ簡単には、負けないさ。

今まで負けたことないからな。」

万「それで、初心者に掛け勝負を持ち出さないで欲しいわ。」

「無条件で相手にやらせられるんだからいいだろ。」

万「システム発動させた方がいいかな?」

「いやいや、そんな酷いことやらせるわけじゃないんだから。」

万「まあ、今後次第ね。」

「それは、残念。

でも、システムと本気で戦うのもいいかもな。」

万「なんで、そんな考えになるの?」

「強すぎると相手がいなくて暇なんだよ。」

万「そ。

で、次はなにするの?」

「反応薄いな。

じゃあ、もう数回チェスやりますか。」

万「強い人が、そういう風に考えるのはよくあることでしょ。

分かったわ。」

 

それから十回以上勝負したが、万由里が勝つことはなかった。

 

万由里side

万「あんた強すぎ。」

「そう言いながらも、少しは強くなったじゃないか。」

万「あれだけ余裕で対処されて強くなったかなんてわからないわよ。」

「まあ、それもそうだな。

じゃあ、そろそろ寝るかな。」

万「そ。

じゃあ、私は、朝まであんたを監視してるわ。」

「いや、お前も寝ろよ。」

万「寝る必要はないわ。」

「なら、じゃんけんで負けたら寝ろ。

俺が負けたら朝までベットの横で好きなだけ監視してくれ。」

万(じゃんけんなら勝てないこともないか。)

万「まあ、それでいいわ。」

「じゃあ、じゃんけんポン。」

 

私がパーで、白夜はチョキで負けた。

 

「俺の勝ち。」

万「まさか、じゃんけんまで強いなんて言わないわよね。」

「さーどうだろうな。」

万(じゃんけんでも、強いんだ。

まあ、今回は掛に乗った私が悪いか。)

万「で、私は、どこで寝ればいいの?」

「ベットは一つしかないから同じベットだけど。」

万「何を考えてるの?」

「特に何も。」

万「本当に?」

「本当だって、だから、その疑いの目を止めろ。」

万「まあいいわ。

で、ベットのサイズは?」

「キングだけど。」

万「あんた、いつもキングサイズのベットで寝てるの?」

「そうだけど。」

万「まあ、それだけ広いなら一緒に寝ても大丈夫ね。」

「一緒に寝るのに何か問題でもあるのか?」

万「それは・・・。」

「お前が、俺を男として意識してるならともかく、それ以外には、ないだろ。」

万「確かに。」

万(私、白夜のこと無意識のうちに意識してたのかな。)

「じゃあ、寝室に行きますかね。」

万「分かったわ。」

 

寝室は、キングサイズのベットがあってもまだ、それなりに広いスペースがあった。

 

万「どこの部屋も広いわね。」

「そういう風に作ったからな。」

万「はあー、相変わらずね。」

「あっそ。

もう寝ようぜ。」

 

そう言いながら白夜は、ベットに入った。

そして、ベットの片方によった。

 

「そっち側で寝れるだろ。」

万「じゃあ、失礼するわね。」

 

そして私もベットに入った。

 

「じゃあ、さっさと寝るか。」

万「ええ、おやすみ。」

「おやすみ。」

 

それからすぐに白夜の寝息が聞こえてきた。

 

万(流石に、あまり寝れないか。)

 

しばらく、目をつぶっていると後ろから抱き着かれた。

 

万「何!?」

 

万由里が後ろを見ると背中を向けて寝ていた白夜が抱き着かれていた。

 

万「ちょっと!?、あんた何やってるの?」

 

驚いて声をかけてが、何も反応がなかった。

 

万(もしかして、寝てる?)

 

少し様子を見たが、なんの反応もなかった。

 

万(やっぱり、寝てるだけか。

どんだけ寝相悪いんだか。

寝相なら仕方ないか。)

 

仕方ないので、しばらく抱き着かれたままでいることにした。

 

万(でも、抱き着かれるのは、恥ずかしいな。)

 

それから少しして万由里も眠った。



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22話

投稿遅くなってすみません。
今回大分長いですが最後まで読んでくれると嬉しいです。


士道side

朝起きてカーテンを開ける

 

士「え?、え!?」

 

空に大きな球体が浮いていた。

目をこすってもう一度見ても何も変わらなかった。

少しすると琴里がドアを開けて入ってきた。

 

琴「お兄ちゃーん、朝だよー。

あれ、もう起きてる。」

士「琴里あれ、あれ見ろ!」

 

球体を指さし琴里に見るように言った。

 

琴「あれー?

何が?」

士「何がって。」

 

それからフラクシナスに移動した。

フラクシナスで調査を始めた。

士道と琴里の他に、一姫と隼斗もいた。

 

琴「それじゃあ、あなたたちには、この辺に大きな球体が見えているってわけね。」

士「ああ。」

隼「同じく。」

一「私も、同じですわ。」

恭「この船のようにインビジブルをかけて見えなくしているのでしょうか?」

琴「だとしたら、この三人にだけ見えるのは、おかしいでしょ。」

中「解析結果出ました。」

川「確かに、その座標から球形に放出される微弱な霊波が観測されています。」

琴「本当にあるのね。」

箕「確認できたの霊波だけなので、物体の有無は断言できませんが。」

椎「なんらかのエネルギーが、そこに集まっているのは間違いないかと。」

琴「まさか、新しい精霊?」

令「いや、これは、一見複雑な波長をしているが、要素を分解してみると、十香や四糸乃、一姫、隼斗そして琴里。

一つ一つは、今までシンたちに関わってきた霊力を持った人や精霊の霊波に酷似している。」

琴「なんですって!」

フ員2「近似率99.6%解析官の言われる通りです。」

令「球体は、琴里君たちの霊力でできている可能性がある。」

琴「私たちの?」

恭「なんだー、全部指令のいたずらだったんですか。

もーうー人騒がせなんですからー」

 

神無月は、そういいながら琴里の頭を指で突っついた。

琴里は、その指を反らした。

反らされたことで、神無月の手からゴッキと鈍い音がした。

 

恭「ひーー。

地味なのありがとうございます。」

一「私たちは、何かした覚えはありませんが。」

隼「俺もないな。」

令「これは私の推測だが、球体は精霊たちの無意識の表れなのかもしれない。」

琴「どういうことよ?」

令「つまり、君たちの抱いている何らかの感情が形となったのではないかということさ。

例えば。」

椎「嫉妬。」

琴「行き成り何よ!椎崎!」

椎「すいません、でも指令や精霊のみんなは、心のどこかで士道君を独占したいんじゃないかって。」

箕「分かる。

独り占めしたい願望、近づきたいのに近づけない切なさ。」

琴「箕輪、悪い癖出そうとしない!」

川「しかし、ストレスというのは無意識に抱えているものですからね。

私もある日突然妻が、家財道具一切とともに消え失せてしまったという苦い経験が。」

琴「川越、あんたの離婚話はいいから!」

中「精霊同士仲良くしていても、全くないとは言い切れないじゃないですかね。

みんな士道くんを好きなわけですし。」

琴「う、じゃあ一姫や隼斗はどうなのよ!

一姫はともかく隼斗も士道が好きだっていうの!」

士「いや、それはないだろ。」

隼「流石に男は好きにならないわ。」

一「私も士道さんは、嫌いではないですけど、好きではないです。」

令「二人にもまた別でなんらかの嫉妬があるんだろうね。」

隼「そうだな、あるとしたら士道に対してかな。」

士「俺に?」

隼「美少女にそれだけ愛されるのは、男なら羨ましいからな。」

恭「一理ありますね。

確かに士道君の立場は、男性にとっては羨ましいものですし。」

隼「まあ、俺の嫉妬がそれだとして、一姫はなにかありそう?」

一「私は、多分兄さんに対してだと思います。」

士「白夜に?」

隼「白夜に対しては嫉妬することが多そうだね。」

一「いえ、兄さんの才能に対してではなく。

士道さんや精霊たちに気軽に接しているのがだと思います。」

隼「つまりもっと俺たちと仲良くなりたいってこと?」

一「ええ、恥ずかしいですが、そういうことです。」

士「なあ、今更なんだがなんで白夜いないんだ?」

一「分かりません。

今朝家に行きましたが、出てきませんでした。

電話もつながりませんし。」

琴「そういえば、球体に白夜の霊力は含まれてないの?」

令「一応含まれてはいるが、他の霊力に比べてかなり少ない。」

士「少ないってどれくらい少ないんですか?」

令「他の霊力の1000分の一以下だ。」

琴「!それって白夜は、なんの嫉妬もないってこと?」

令「いや、霊力がわずかながらあるということは、なんらかの嫉妬はあるのだろう。」

士「じゃあ、なんでそんなに少ないんですか?」

令「考えられるのは、すでに嫉妬の原因であるストレスを解消したからだろう。」

隼「もしくは、あの強靭な精神力で嫉妬のような無意識の感情を抑えているかだろうな。」

士「精神力で抑えられるものなのか?」

一「普通は無理でしょうね。

でも、兄さんはすべてが異常ですからあり得ない話ではありません。」

令「一理ある彼の精神力は人の域を超えている。」

士「でも、常に抑え続けるのは無理なんじゃ。」

隼「確かに、普段は誰かに気づかれるわけじゃないから普通抑え込む必要はないな。」

一「私の予想ですが、兄さんは球体がどういうものなのかもう知っているんじゃないですか。

球体のことに気づき私たちより先に調べて何等かの理由で姿を消したのでは。」

琴「なんで姿を消す必要があるのよ。」

一「そこまではわかりません。」

令「今白夜の家にカメラを飛ばしてサーモグラフィで中を調べたが、家の中に誰もいないことが分かった。

一姫の予想は当たっているのだろう。」

隼「白夜のことだから解決方法もわかってるんだろうな。

それを教えないってことは、間違いなくあいつ俺たちのことをどっかで見て面白がってるんだろうな。」

一「兄さんの性格からして間違いなくそうでしょうけど、おそらく兄さんには解決できないんでしょうね。」

琴「どうして?」

一「兄さんは、自分で解決できることは直接干渉してきて楽しむ人ですけど、解決できないことは、周りの努力を見て楽しみますから。」

琴「どちらにしろ嫌な奴ね。」

士「そういえば、白夜昨日の帰りの途中に用事があるってどっかにいったな。」

琴「じゃあ、あいつは昨日の時点でもう気づいてたって言うの。」

一「おそらく、そうでしょうね。」

令「それは、ともかく引き続き球体の調査を続けるとして、並行して精霊たちのストレス解消にかかる。」

士「どうやって?」

令「決まってるじゃないかデートだよ。」

士「え!?」

令「一人一人順番に希望通りのデートをしてあげるんだ。

その時間がシン君は、その彼女だけのものになる。

それが、見えない球体にどんな効果を及ぼすかはわからない。

ただ、何もしないよりかは良いかと思ってね。

どうする琴里?」

琴「他に手がなさそうなら仕方ないでしょ。」

 

琴里は、違う方向を向いて顔を赤らめながら言った。

 

令「頼んだよシン。」

 

令音は、それだけ言うと部屋から出て行った。

その日の夜士道の家のリビングに十香、四糸乃、一姫、隼斗、士道、琴里、令音が集まっていた。

 

十「本当か、士道とデェトできるのだな。

今からか今から言ってもよいのか?」

琴「十香あわてないの。」

令「順番はくじ引きで決めようないようは自由だ。

それぞれ自分が一番してみたいデートをしてくれればいい。

一姫と隼斗は、ストレスを解消できるないようを考えて実行してくれ。」

一「分かった。」

 

十香たち5人が一斉にくじを引いた。

 

四「一番です。」

琴「二番目ね。」

一「三番目です。」

隼「四番目だな。」

十「うー、最後かー。

まあ、よかろう。」

令「決まったね。

では、各自デートプランを立てて自分の番を待ってくれ。」

よ「四糸乃、士道君とデートだって、ちゃんとできる大丈夫?」

四「大丈夫多分。」

 

四糸乃は、右手を頬にあて少し顔を赤らめながら言った。

 

琴「最後に確認するわよ。

お互いのデートの邪魔はしないこと、節度を持って行動することわかったわね。」

四・十・一・隼「うん。」

琴「それじゃあ士道意気込みを。」

士「ああ、みんな楽しみにしてるよ。」

 

士道は、頬を指でかきながら言った。

 

十「うむ、シドウを楽しませるぞ。」

四「えっと、あの頑張ります。」

よ「まーす。」

一「分かりました。」

隼「俺も頑張りますよ。」

 

それからリビングでみんなでにぎやかに話だした。

 

白夜side

「士道たちは、ストレスの解消を始めたみたいだな。」

万「ええ、このままストレスを解消できたらシステムを発動させる必要がなく終わるわ。」

「じゃあ俺たちは、このまま監視してればいいんだな。」

万「ええ、そうだけど。

監視にここまで長けてるなんて思ってなかったわ。」

「何が?」

万「この能力のことよ!」

 

白夜たちは、現在白夜の家で、空中に浮いたモニターによって士道たちを見ていた。

 

「この能力監視には、やくに立たないぞ。」

万「説得力がないんだけど。

どうしてやくに立たないのか説明してくれない。」

「これ無駄に霊力使うんだよ。

遠くの状況を細かく色や音までつけて映像にしてるから仕方ないんだがな。

しかも、場所を固定しているならまだしも、街中を歩き回るのをずっと映像にするなんて流石に霊力が足りない。」

万「なるほど、じゃあデートは、直接見て回った方がいいのね。」

「ああ、デートから帰った後は、これで監視すればいい。」

万「じゃあ、一つ聞きたいんだけど、あんたの霊力が雷霆聖堂(ケルビエル)からほとんど消えているのは、なぜ?

ストレスを解消してもあそこまで消えないわ。」

「答えは士道たちが言ってただろ。」

万「つまり精神力で抑えてるってことでもいくらなんでもストレスをあそこまで抑え続けるなんて霊力を使い続けるより厳しいと思うけど。」

「そりゃそうだ。

でも、ストレスを解消した上で抑えるならそこまで辛くないさ。

さて、そろそろ風呂入って寝ようぜ。

今日も一緒に入るのか?」

万「ええ、もう一回入ったから気にないことにしたから。

だから監視を兼ねて一緒に入るわ。」

「そうか。」

 

それだけ言うと、風呂場に向かった。

 

万由里side

白夜が、風呂に向かって先に服を脱いだりする間、白夜がさっき言ったことを考えていた。

 

万(ストレスを解消した後でも、無意識を抑え続けるのは、そうとう辛いはずなんだけど。

それに、システムのことを知ってからずっと私といたはずなのにいつストレスを解消したんだろう。)

 

それから少し考えいいころ合いになったので、昨日と同じように風呂場に行き風呂に入った。

 

「どうした何か聞きたそうな顔だな。」

万「聞いたら答えてくれるの?」

「内容しだいだな。」

万「じゃあ、いつストレスを解消したの?

それとあんたのストレスってなに?」

「いつストレスを解消したかはわかるんだが、ストレスの内容がなんで気になる?」

万「あんたほど圧倒的な存在が外部からの影響を受けるなんてほぼあり得ないでしょう。」

「!?あ、あははは。」

万「!?どうしたの急に笑いだして?」

「いやー、万由里が俺のことをそんな風に評価してるとはな。」

万「そんなこと?

そんなのありとあらゆる才能を詰め込んだようなあんたの評価としては妥当でしょ。」

「俺は、そんなに才能なんてもってないさ。」

万「どういうこと?

私たちからしたら相当多くの才能を持ってるように見えるけど。」

「俺の才能は、記憶力と情報処理と身体能力だけだよ。」

万「え!?それだけなの?

例えば、その推理力とか知力とか霊力操作とかいろいろあるでしょ。」

「いわなかったっけ?

俺は自分の身体能力すら完璧にコントロールできなかったんだぞ。

精霊すら超える量の霊力を完璧に制御するなんてできるわけないだろ。」

万「じゃあどうして今は、それが出来てるの?」

「俺は、完璧主義者なんだよ。」

万「意味がわからないんだけど。」

「俺は、天宮市に来るまでずっと俺が理想とする俺を求めてずっと自分を鍛えてきたのさ。

霊力操作にしろ、身体能力の制御にしろ全部一から作り上げたものだ。」

万「・・・あんたが、努力してきたのは、わかったでもあんたの知力は才能じゃないの?」

「知力か、それに関してはよくわからん。」

万「そ。」

万(理想とする自分になろうとする努力の果てに今の白夜があるんだ。

一体どれだけの努力をしたんだろ。)

万「ねえ、今の白夜が理想の白夜なの?」

「残念ながらまだ俺の理想には届いてないよ。」

万「そ。

じゃああんたはまだ理想を目指し続けているの?」

「言っただろ俺は完璧主義者だ。

理想にこの手が届くまで努力を続けるさ。」

万「そ。

頑張って。」

「ああ、頑張るさ。

それにしても、今日は月がきれいだな。」

 

白夜の言葉に空を見ると満天の星空にとても美しい満月があった。

 

万「本当にきれいね。

そういえば、どうして令音が家を調べた時、家にいることばれなかったの?」

「この星空を見て、他のことを気にするってそんなに気になるのか?

まあいいや、俺の家は、違う空間にだけだ。」

万「要するに、あの家は飾りみたいなものってことね。」

「そ。」

万「それと別に星空より気になったわけじゃないわよ。

私が裁定者だから確認しただけ。」

「そ。

ならもう少し見てな先に上がって今日はもう寝る。」

万「わかったわ。」

「今日は、同じベットで寝ろとは言わないから、好きなところで寝な。」

万「そ。」

 

白夜が上がった後、しばらく星空を眺めていた。

 

万(こんなきれいな星空を生まれてすぐ見れるなんてついているのかな?

でも、役目を終えたら消えるのは、嫌だな。

ずっと今の生活が続けばいいのに。)

 

そんな考えを誤魔化すように頭までお風呂に浸かって少し息苦しくなってすぐに顔をお風呂から出し呼吸を整えた後、お風呂から上がった。

 

万(今日どこで寝よう。)

 

リビングのソファで寝ようとソファで横になったが、昨日と違い全然眠れなかった。

 

万(寝れないなら白夜の様子でも見に行こう。)

 

白夜の寝ている部屋に来たが、椅子などがなかったのでベットの端に腰を掛け寝ている白夜をしばらく見ていると眠くなってきた。

仕方ないので、そのままベットに横になった。

昨日とは違い白夜の方を向いて眠ろうとしたが、昨日と同じように白夜に抱き着かれた。

 

万(え!?また!?白夜は一緒に寝てる人に抱き着く習性でもあるわけ。

しかも、昨日と違って向かいあってるから顔が近い。)

 

白夜の顔が近くかなり恥ずかしかったが、眠気が強かったのか少しして眠りについた。



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23話

投稿遅くなってすみません。


白夜side

 

朝、目が覚めると万由里がベットにいた。

 

「なんだ、結局ここで寝たのか。」

 

万由里の肩に手を置き揺すった。

 

「万由里、朝だぞ起きなくていいのか?」

万「ん、ん~。」

 

万由里は、目を少し開けると目をこすりながら体を起こした。

 

「おはよう。

眠そうだな。」

万「おはよ。

だいたい寝起きはこんなものじゃない。」

「そうか。

でもなんで一緒に寝てたんだ?」

万「ソファーで寝ようと思ったんだけど寝れなかったから、監視しようと思ってきたんだけど寝てるあんた見てると眠くなって下に行くのも面倒だからここで寝ただけ。」

「そうか。

じゃあ、さっさと朝食食べますか。」

万「そうね。

朝食は、私が作ればいいの?」

「ああ、そうしてくれ。

その間に四糸乃のデートの集合場所と時間を調べておくさ。」

万「そんな簡単に調べられるの?」

「まあ、予定が決まってるなら簡単だ。」

万「もしかして、霊術を使うの?」

「よくわかったな。」

万「前から思ってたけど、なんでそんなに霊術って便利なの?」

「霊術が作られた理由の一つだからな。」

万「どんな理由があればそこまで便利になるわけ。」

「あらゆることを可能にする万能の術を作ることだ。」

万「理由もすごいけど、実際に作れたことがすごいわね。」

「まあ、そんな理由だから霊術をすべて使えるようになればできないことはない。」

万「あんたに隠し事はできないと考えた方がいいわけね。」

「なんだ、隠し事があるのか。

まあ、だいたいの隠し事は、霊術を使わなくてもわかるがな。」

万「私の隠し事について詮索したらシステムを発動案件とみなすから。」

「詮索する気はないが、随分隠そうとするんだな。

それとシステムを私的な理由で発動していいのか?」

万「人の秘密を自分勝手に詮索するのは、システム発動案件に入ると思うけど。

まあいいわ、それで朝食は、簡単なものでいい?」

「ごもっともで。

まあ、俺は他人に興味を持たないから詮索なんてしないがな。

ああ、好きなものを作ればいいさ。」

万「少しは他人に興味を持った方がいいと思うけど。

じゃあ、少し待ってて。」

「分かった。」

 

返事を聞いた後、万由里は寝室から先に出て行った。

 

「俺は、リビングに行きますかね。」

(それにしても、万由里は何を隠してるんだ?)

 

その後、朝食を食べ終わった後

 

「四糸乃とのデートの場所は、調べといた。」

万「分かったわ。

そういえば、どうやって監視するの?」

「?どうやっても何も見えなくすればいいだろ。」

万「姿を消せるのは予想してたけど、それだと私からも見えなくならない?」

「ああ、そんなことか。

姿を消す霊術を俺と万由里を一つの物としてかければお互いは見えるが、それ以外の人には見えなくなる。」

万「そ。」

「そろそろ士道が、待ち合わせ場所に行く時間だ。

俺たちも出るとしよう。」

万「そ。

あんたはその格好で行くの?」

 

白夜は、寝るときに着ている半袖長ズボンの甚平に着物を羽織った姿だった。

 

「そうだけど。

動きやすいし、風通しがいいから熱くない。

それに直射日光もほとんど当たらないしな。

そういう万由里もいつもの制服じゃないか。」

万「私は、これしか外で着る服ないから。」

「欲しいなら服作るけど、どうする?」

万「いいわ。

役目を終えれば消えるだけだもの。

そろそろ行きましょ。」

「そうか。

じゃあ、霊術かけるから手少し握ってくれ。」

 

そういいながら、手を万由里の方に出した。

 

万「別にいいけど、どうして?」

 

答えながら万由里は、出された手を握った。

 

「体のどこかに触れていた方が霊術をかけやすいからな。」

万「触れてなくても霊術かけられるの?」

「出来るが、いろいろ改変しないといけないから面倒なんだ。

よし、かけたから行くぞ。」

 

それから移動して神社についた。

 

「ちょうど士道も来たようだ。」

 

士道がちょうど神社について四糸乃と会ったところだった。

それから四糸乃と一緒にお参りした後、神社で遊び始めた。

白夜たちは離れた場所で見ていた。

 

「楽しそうだなー。」

万「確かに楽しそうね。」

「でもなんか子どもの遊びを隠れて見守ってる気分なんだが。」

万「確かにデートを隠れて見てるって感じじゃないけど。」

「とてもほのぼのするなー。」

 

少しすると士道たちがおみくじのところに移動した。

 

「おみくじ引くみたいだな。」

万「そのようね。」

「おみくじ引いてみないか?」

万「私はどっちでもいいわ。」

「じゃあ後で引いてみるか。」

 

士道たちが、おみくじを引き終わり近くのベンチに移動し座った。

 

「じゃあ今のうちに引きますか。」

万「ん。」

 

二人がおみくじを取った後、おみくじを開いた。

 

「俺は、大吉だな。」

万「私も大吉。」

「ここ大吉多くないか?

四糸乃とよしのんも大吉だったけど。」

万「確かに多いわね。

それで大凶引く士道って意外と強運なのかもね。」

「凶運の間違いじゃないのか。」

万「まあ運がいいようには見えないしね。」

「まあ士道だからな。」

 

それからしばらくたち日が暮れ始めると士道と四糸乃は手をつないで帰っていった。

 

「帰ったな。」

万「そのようね。」

「俺たちも帰りますか。」

万「ん。」

 

万由里と話して帰ろうとした時、万由里のイヤリングについている球体の色が水色に変わった。

 

「もしかして、そのイヤリングってストレス解消したら色変わるのか?」

万「そ。

でも対して気にすることじゃないわ。」

「そうか。

じゃあ、さっさと帰ってご飯食べるか。」

万「どうせ作るのは私でしょ。」

「よろしくね。」

 

そして白夜たちは家に帰った。

 

フラクシナスside

令「球体の様子は?」

川「異変はありません。」

箕「四糸乃に酷似した波長は軒並みレベルダウンしています。」

中「次は指令の番ですね。」

琴「ん、な、何?」

恭「いや~気になりますよ~。

指令が士道君とどんなデートをするのか。

今我々の会話といえばそのことばかりですからね~。

指令のデートの場所を当てるブックメーカーもいるほどで。」

琴「人に断りもなく賭け事にしない!

すぐに解散させなさい!」

 

そういって琴里は神無月の脛を蹴った。

 

恭「弁慶!

処置しました。」

 

神無月は蹴られた足を高く上げた後、後ろに倒れた。

琴里は椅子に座って顔を赤らめて上を向いて

 

琴「明日か~。」

 

と呟いた。

 

万由里side

晩御飯を食べた後、また白夜とお風呂に入っている。

 

「はあ~、いい湯だな~。」

万「ジジ臭いわよ。」

「酷いなー。

まあいいや、風呂から上がったら何しようかなー。」

万「寝ればいいんじゃない。」

「今日はそんなに眠くないんだよ。」

万「そういえば、白夜はテレビ見たりしないの?」

「アニメくらいしか見ないな。」

万「どうして?」

「ドラマよりアニメの方が面白いし、それにミステリー系のドラマは、謎がすぐ解けるから面白くないんだよなー。」

万「天気予報とかは見ないの?」

「天気が晴れようが雨が降ろうが興味ないからなー。」

万「傘を持って行くとかで関係あるでしょ。」

「霊力でバリアー張れば傘より便利だから。」

万「まあそうなんだけど。

そう考えると白夜にとってテレビって必要ないわね。」

「おかげで暇が多いけどな。」

万「天才にしかわからない苦悩ね。」

「万由里、風呂上りになんか勝負しようぜ。」

万「別にいいけど、何するの?」

「万由里が好きなの選んで。」

万「なんで私が選ぶの?」

「何選んでも結局勝つのは俺だから。」

万「ん。

本当に何選んでも勝てるの?」

「ああ、勝つ可能性が0でないなら絶対にな。」

万(事実なんだろうけど、実際に言われるとなんかムカつく。)

万「そ。

ならチェスであんたは目隠ししてやりましょ。」

「別にいいけど、そんな簡単なのでいいの?」

万「ん。」

「あっそ。」

万「簡単って言ったからには負けたら何かしてくれるの?」

「そうだな。

じゃあ、これから先万由里との勝負で負けたら一回だけなんでも言うこと聞いてやる。」

万「随分大きく出たわね。

ちなみになんでもってどれくらいまでいいの?」

「制限なんてないさ。

世界征服や自殺しろや、性的なことだろうがすべて実行してやる。」

万「世界征服とか本当にできそうで怖いわ。」

「まあ、そもそも勝てたらだけどな。」

万「一回目で負けたら笑いものね。」

「大丈夫負けないから。

じゃあ、先に上がって準備してる。」

 

そういって白夜は上がった。

 

万(ああは言ったけど、流石に今日は勝てないだろうなー。

役目を終える前に一回は勝ちたいなー。

勝てたら何命令しようかなー。)

 

それからしばらく何を命令するか考えて風呂から上がった。

白夜に作ってもらった白いワンピースを着てリビングに行くとテーブルの上にチェスの準備をし、椅子に座った白夜がいた。

 

万「待たせた?」

 

私は白夜の反対側の椅子に座った。

 

「で目隠しって言ったが視力を使わなければいいんだろ。」

万「ん。

じゃあ目隠しして始めましょ。」

 

白夜は、適当な布で目隠しをした。

 

万「私が先手でいいの?」

「ああ、先手の方がいいんだろ。」

万「じゃあ、好きにやるわね。」

 

そういってコマを動かした。

 

万「次あなたの番よ。」

「予想はしてたけど、本当に棋譜言わないとは。」

万「棋譜を言うなんて言ってないわ。」

 

そういって少し微笑んだ。

 

万(さて、どう対処してくるかな。)

 

少し警戒して白夜を見ていると前にチェスした時のように普通にコマを動かした。

 

万(適当に動かしたのかな?)

 

それからしばらくコマを動かして最初と同じように教えて白夜がコマを動かすを繰り返した。

 

「チェックメイト。

俺の勝だな。」

 

白夜は目隠しを外しながら言った。

 

万「嘘なんで?

コマの位置どうやって分かったの?

まさか霊術で布をすかしたりした。」

「まさか、霊力なんて使ってないさ。」

万「じゃあ、どうやってコマの位置分かったの?」

「音の反響を利用しただけさ。」

万「まさか、音の反響でコマがどこにあるか認識したってこと?」

「そうだけど。」

万「そんなことまで出来るのね。」

万(コマの位置がわかるなら勝てないか。)

「別に大したことじゃないさ。」

万「普通の人にはそんなことできないわよ。」

「いや、出来るよ。」

万「え?

どういうこと?」

「一般人でも音の反射を聞き分ける訓練をすればすぐにできるようになるってこと。

まあ、そんな訓練しなくても目で見ればいいから誰もやらないだけ。」

万「白夜は訓練したの?」

「ああ、暇だったから。」

万「相当暇だったみたいね。」

「まあな、でまだやるか?」

万「今日はもういいわ。」

「そうか。

ならもう寝ようか。」

万「ん。」

「今日も一緒に寝るか?」

万「そうする。」

「そうか。」

 

それから二人で寝室に行きベットに入った。

 

「なんでこっち向いてるんだ?」

万「特に理由はないわ。」

「そ。

じゃあ、おやすみ。」

 

それだけ言うとすぐに白夜は眠った。

そしてまた抱き着いてきた。

今回は、白夜が近寄って来たので白夜の胸の辺りが顔のすぐ目の前に来る形で抱きしめられた。

万(やっぱり恥ずかしいけど、落ち着くなー。

白夜からやってくることだから問題ないよね。)

それから少しして万由里も眠りについた。



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24話

白夜side

 

次の日、朝起きた後、万由里が作ったご飯を食べて琴里と士道のデートの監視を始めた。

 

「デートがスーパーで買い物ってどうなんだろうな。」

 

少し呆れ気味に呟いた。

 

万「個性的なデートでいいと思うけど。」

「まあ、精霊自体の個性が強いからな。」

万「あんた以上に個性的な人はいないけどね。」

 

万由里が呆れた様子で言ってきた。

 

「あはは、返す言葉もありません。」

 

それに対して苦笑いを浮かべて返した。

 

「ついでに俺たちも買い物して帰るか。」

万「霊術で私たちの姿見えないなら会計できないんじゃ?」

「買い物の間だけ認識阻害をかけてれば問題ない。」

 

万由里の疑問に答えると、万由里が何か言いたそうな目でジッと見てきた。

 

「どうかしたか?」

万「霊術が万能なのは聞いたけど、あまりにも扱いに慣れてるなって思っただけ。」

「別にやましいことはないぞ。」

万「まあいいわ。

それじゃあ、士道たちと同じものでも作りましょ。」

 

そういって万由里は、士道たちが向かった方に進んでいった。

白夜は、ちょうど近くにあった買い物かごを持って万由里の隣まで急いで移動した。

 

「それにしても、料理初めて2日で士道と同じものを作れるのか?」

 

万由里をからかうように言うと。

 

万「大丈夫よ。

失敗したら白夜が一人で食べるから。」

 

万由里は、同じように返してきた。

 

「俺は、残飯処理担当じゃないんだけが。

なら、万由里は昼飯抜きだな。」

万「なんでもできるんだからそれくらい簡単でしょ。

私は、別で作るから。」

「もちろんできるさ。

その気になれば石ころでも最高級料理以上の料理に出来る。

それと材料は、俺の管理下にあるから俺の許可無しだと作れないぞ。」

万「なら失敗したのは自分で食べるからあんたは石ころでも食べたら。」

「俺から初めて言うのもなんだけど、もうやめようきりがない。」

万「そうね。」

 

白夜と万由里は、疲れた感じで短く息を吐いた。

その後、二人とも少し楽しそうに微笑んだ。

 

万「で失敗した時は、どうするの?」

「気にはしてたんだ。

不安があるなら手伝うさ。」

 

少し意外だったので、驚いた様子で万由里を見た。

それに対して万由里は、不満そうにこっちを見てきた。

 

万「まだ完璧に作る自信ないから。

なら手伝って。」

「分かった。

でも、士道たちが選んでる食材からしてハンバーグだぞ。」

万「まあ、一応手伝ってその方が楽だし。」

「そうですか。

まあ、作らせてばかりだからし、今日くらいいいか。」

 

白夜は、ため息をつきながら言った。

そんな話をしていると琴里と士道がおかしが置いてある方に行った。

すると琴里がいつも食べている飴を買っていた。

 

「琴里ってあの飴本当に好きなんだなー。」

 

そんなことを考えていると、士道と琴里が移動した後、万由里も琴里と同じように飴を持ってきた。

 

万「これ買ってもいい?」

 

万由里は、少し恥ずかしそうに聞いてきた。

 

「ああ、金ならたくさんあるから欲しいものがあるなら好きに買えばいい。」

万「ありがと。

でも、あんた親もいないのになんでそんなにお金あるわけ?」

「金を稼ぐ方法なんていくらでもあるさ。」

万「まあ、どうやって稼いだかはいいとして大体どれくらいあるの?」

「なんだ方法は聞かないんだ。」

万「もう終わったことを聞いてどうしようもないでしょ。

それよりどれくらいあるの?」

「ちょっとした国家予算くらいかな。」

万「なるほど、あんたみたいな人を人生勝組って言うのね。」

 

万由里は、呆れるのを通り越したのか、無感情な目でこっちを見てきた。

 

「少しくらい感情のこもった目で見てくれない。

いくらなんでも無感情はなくない。」

万「ここまで来ると込める感情がないんだからしょうがないでしょ。」

「もうこの話はやめよう。

俺が悲しくなるから。」

 

話をやめて士道たちの方を見ると、レジの列に並んでいた。

白夜と万由里も違う列に並び会計を済ませて店を出た。

店を出て士道たちの後について行くと、途中で止まったり琴里が髪を結んでいるリボンを黒から白色に変えた。

白いリボンに変えてすぐに士道が持っていた2つの買い物袋の片方を持ち、士道と手をつないだ。

 

「琴里の奴、白いリボンに変えた途端に大胆になったな。」

万「確かに大胆ね。」

「万由里は、リボンの色で性格変わったりしないの?」

万「変わるわけないでしょ。」

「それは残念。」

万「悪かったわね。

それより袋片方持とうか?」

 

士道と同じように2つ袋を持っている白夜を見ながら言ってきた。

 

「別に気にしなくていいよ。

それとも琴里みたいに手を繋ぎたいのか?」

 

白夜は、からかうように聞き返した。

 

万「違うわ。

あまり人の善意をからかいで返さない方がいいわよ。」

「分かってるよ。」

万「分かってるならなんでするわけ?」

「大した理由はないさ。」

万「そ。

でも、今回は袋片方持つわ。」

 

そういって、万由里は手を片方伸ばしてきた。

 

「はあー。

何言っても聞きそうにないな。」

 

白夜は、ため息はついた後、片方の袋を渡した。

 

万「あんた一人に荷物持たせてたら、嫌でも気を使うわよ。」

「あっそ。」

 

それからは大した話もなく家についた。

家に帰ると霊術で士道たち家の様子をモニターで出し、士道たちと同じように料理を始めた。

料理がある程度できハンバーグを焼く用意をしていると、琴里が士道に何の動物の顔の形をしたハンバーグを見せていた。

琴里が言うにはウサギらしい。

 

「あれどう見ても狸か熊にしか見えないんだが。」

万「私もそう見えるから、それが普通でしょ。」

「まあいいや。

さっさとハンバーグ焼いてしまうか。」

万「私は、野菜を切ってさらに盛り付けておくわ。」

「よろしく。」

 

それからハンバーグ焼き終わり皿に盛りつけてリビングに運んだ。

士道の方も完成して、十香と四糸乃も含めた4人で食べようとしていた。

 

「もうデートじゃなくなってるし。」

万「まあ、琴里がいいならなんでもいいんじゃない。

それよりハンバーグこっちは目玉焼きのせないのね。」

 

万由里は、皿に盛り付けられたハンバーグを見ながら言った。

 

「ああ、俺はソースをかけて食べる方が好きだからな。」

万「このソースどうしたの?」

「自分で作ったけど。」

万「そ。

じゃあ、はやく食べましょ。」

「そうだな。」

 

2人は、そういうと食べだした。

 

万「何これ、美味し。」

 

万由里は、ハンバーグを一口食べると、少し驚いた顔をして言った。

 

「ありがと。

まあ、簡単に作っただけだが。」

万「こんなに美味しいの作れるのになんで普段は作らないの?」

「前に言わなかったっけ?

自分の為に作るのが面倒なだけだよ。」

万「まあ、男子にこんなの作られたら、女子の立つ瀬がないわね。」

「そうか?

士道は普通に弁当作っていくけど。」

万「あんたたちの周りの女子に同情するわ。」

 

そんな話をしながらも少しづつ食べていった。

料理を食べている途中に万由里のイヤリングの色が赤に変わったが、気にせずに食べた。

食べ終わった後は、昨日と同じように風呂に入り、上がった後、万由里と勝負をした。

勝負が終わった後は、寝室に行きいつものように同じベットで寝た。



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25話

遅くなってすみません。
今回も最後まで読んでくれると嬉しいです。


士道side

 

朝起きた後、いつも通り朝食を食べて琴里や十香、四糸乃と話していた。

 

士「今日は、一姫の番か何するんだろうな。」

琴「さあ、私たちと仲良くなりたいって言ってたからみんなでどこかに出かけるんじゃない。」

十「今日は、みんなで出かけるのか?」

士「多分などこに行くかは一姫に聞かないとわからないが。」

十「そうなのか。

なんにせよ、みんなで遊びに行くのわ楽しそうなのだ。」

四「私も楽しみです。」

 

十香は子どものようにはしゃぎながら言い、四糸乃は恥ずかしそうに言った。

そんな風に話しているとインターホンが鳴った。

 

士「どうやら来たみたいだな。」

琴「そのようね。

士道行ってきなさい。」

士「はいはい。」

 

そういって玄関に行きドアを開けると一姫と隼斗と令音の三人がいた。

 

士「おはよう。

十香たちはもう来てるぞ。」

隼「おはよう。

そうか。」

一「おはようございます。」

令「おはよう。

じゃあ、お邪魔するよ。」

 

そういって、隼斗たちは家の中に入りリビングに移動した。

 

琴「で、今日は何をするの?」

一「みんなでオーシャンパークに行く予定です。」

十「ん?そこは前に行かなかったか?」

士「ああ、琴里を封印する時に行ったな。」

隼「でも、あの時はみんなで一緒じゃなかったからいいんじゃないか。」

一「ええ、それに今回は遊園地の方で遊ぶつもりです。」

士「なるほど、確かに十香たちは、ずっとプールの方にいたからいいんじゃないか。」

令「まあ、そういうわけだ。

オーシャンパークの近くまではフラクシナスで移動するから庭に出てくれ。」

 

その後、庭に出てフラクシナスに回収された後、オーシャンパークの近くに移動した。

移動した後、オーシャンパークの中に入った。

 

白夜side

 

士道たちが、リビングで話している時、霊術を使って様子を見ていた。

 

「オーシャンパークねー。」

万「何か問題でもあるの?」

「いや、問題はないぞ。

強いて言うなら、認識阻害を使った方がいいってことくらいだな。」

万「姿を消すのはだめなの?」

「人が多いからな姿が見えないと誰かにぶつかったりすると面倒だからな。」

万「それもそうね。

で、他に何か思うところでもあるの?」

「まあな、一姫が思った以上にオーシャンパークを気に入ってたんだなと思っただけだ。」

万「そ。

それにしても、やっぱり妹のことは気になるの?」

「そりゃあ、少しくらいは気になるさ。」

万「少しって、士道みたいに妹のこともっと気にしてあげたら。」

 

万由里が少し呆れた様子で提案してきた。

それに対してジト目で聞き返した。

 

「それはシスコンになれって言ってんの?」

万「あんたの士道に対する評価酷くない?」

「そんなことはないさ。

それより、もう移動するみたいだぞ。」

万「そのようね。」

「フラクシナスで移動するとは贅沢だなー。」

万「あんたの空間転移の方が便利でしょ。」

 

どうでもいい感想に、慣れたのか呆れることなく普通に返された。

 

「まあな、それにしてももうあんまり呆れなくなったな。」

万「まあ、3日もずっと一緒にいれば慣れるわよ。」

「それはよかったな。」

万「良かったかはわからないけど、そろそろ行った方がいいんじゃない?」

「それもそうだな。」

 

その後、空間転移でオーシャンパークの近くに移動した。

移動後、認識阻害をかけてオーシャンパークに入った。

 

万由里side

 

オーシャンパークに入った後、士道達を見失わないように移動を始めた。

 

「士道たちが、乗り物に乗った時はどうする?」

万「乗り物に乗ってる間は近くで見てればいいでしょ?」

「別に見てるだけじゃなくて乗りたかったら乗っていいんだぞ。

どうせ乗り物に乗ってる間は監視してもあんまり意味ないしな。」

万「あんたが乗りたいだけでしょ。」

「いや、俺は最近来たばっかりだから乗りたい物はないぞ。

お前が乗りたい物ないなら別にいいが。」

万(どうしよ?

確かに気になる物はあるけど、素直に言うのは恥ずかしいな。)

 

それから少し考えた後。

 

万「少し気になるから士道たちが乗る物には乗りたい。」

 

そういうと白夜は少し微笑んで返してきた。

 

「やっぱり乗りたいんだな。

分かった、ならそうしようか。」

万「ん。」

 

それからジェットコースターなどに乗りながら士道たちの監視をした後、夕方の日が沈み始めた頃オーシャンパークを出た。

 

士「この後はどうするんだ?」

一「士道さんの家でご飯をみんなで食べようかと。」

士「そうか。

なら、うまいものたくさん作るとしようか。」

一「私も手伝います。」

隼「俺も手伝うよ。」

十「今日は何を作るのだ。」

士「いろいろ作ろうと思うから楽しみして待ってろ。」

十「分かったぞ。

楽しみにして待っているのだ。」

四「私も楽しみにしてます。」

琴「私も楽しみにしてるわ。」

士「じゃあ、頑張って作りますかね。」

一「ええ。」

隼「おう。」

 

士道たちが晩御飯の話をしているのを離れたところで見ていた。

 

「随分楽しそうだねー。」

万「そうね。

あんたは混ざらなくていいの?」

「流石に、自分から姿消しといてあの中に混ざる勇気は俺にはないよ。」

万「まあ、そんなこと出来るのは、余程の馬鹿くらいね。」

「だろうな。

じゃあ、士道たちは買い物行くみたいだし俺たちもなんか買って帰るか。」

 

士道たちが買い物に行くために移動を始めたので、私たちも士道たちの後を追った。

 

万「今晩は私が一人で作るの?」

「どっちでもいいぞ。

今晩は同じものは作れないから好きなの作ればいいさ。」

万「そ。

なら私一人で作るわ。」

「分かった。」

 

その後、買い物をして家に帰った。

士道たちと同じくらいに作り出したが、作る量が士道たちより少なかったためご飯を食べながら士道たちの様子を白夜と見ていた。

 

「それにしても、すごい量作っているなー。」

 

白夜が少し呆れて呟いた。

私も少し呆れながらその様子を見ていた。

 

万「十香がいる上にあの人数だからしょうがないんじゃない。」

「人数より十香がいるからだろうな。」

万「まあ、そうね。」

「それにしても士道は相変わらず料理うまいな。」

万「そういえば、あんたと士道どっちが料理うまいの?」

「さあー。

料理勝負なんてしたことないからわからん。」

万「そうなんだ。

後隼斗も料理うまかったのね。」

「みたいだな。

今度士道たちと料理勝負でもしてみようかな。」

 

白夜が少し笑いながらそんなことを呟いたので、ジト目で返した。

 

万「その勝負の判定をする人は、料理をしたくなくなりそうね。」

「なんだよそれ、例えそうなっても悪いの俺じゃないだろ。」

万「そうなったらあんたも悪いわよ。」

「まあ、そんなこと気にしなければいい。」

万「気にしなさいよ。」

「まあ、そんなことはなってから考えればいい。」

 

真顔でそんなことを言ってきた。

 

万「それ真顔で言うこと?

まあ、好きにすればいいんじゃない。」

「ああ、そうする。」

 

すごくいい笑顔でそういってきた。

そんな感じで馬鹿みたいな話をしながら士道たちを見ていた。

士道たちがご飯を食べ終わって解散になったところで今日の監視を終わりにした。



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26話

投稿遅くなってすみません。
これからも読んでくれると嬉しいです。



士道side

 

隼斗と一姫の三人で料理を作っている時。

 

士「一姫はともかく、隼人も料理上手かったんだな。」

隼「ああ、家でいつも作ってるからそれなりにな。」

士「でも、学校ではいつもパン買ってるのはなんでだ?」

隼「いつも自分の料理だと飽きるからな。」

士「そういうもんか。」

一「兄さんも似た様なこと言ってました。」

 

一姫が思い出したように言った言葉に隼人は。

 

隼「白夜と同じ扱いはされたくないんだがな。」

 

隼斗が少し複雑そうな顔で答えた。

 

士「あはは。

そういえば、白夜も料理するんだな。」

一「ええ、するのはすんですが。」

 

一姫が、苦い顔をして返してきた。

 

士「ん?まさか、あんまりうまくないのか?」

一「いえ、その逆で上手すぎるんです。」

隼「料理までうまいとなると非の打ち所がないな。」

士「でも、それだとなんでそんな苦い顔してるんだ?」

一「料理を食べた後、自分が今までの努力が何だったのか分からなくなっただけです。」

 

一姫が何か遠くの物を見るような目をして答えた。

それを見て俺と隼斗は、どれだけ美味かったのだろうと思いながら苦笑いを浮かべた。

 

士「じゃあなんで白夜の弁当を作ってるんだ?」

一「兄さんに頼まれたのと料理の練習のためです。

食べてもらって味付けの工夫などを聞いています。」

隼「料理はこれまで通り頑張ってるんだな。」

一「私が兄さんに勝てる可能性があるのはそれくらいだから。」

士「なんで白夜に勝つ必要があるんだ?」

 

一姫が少し暗い顔で下を向きながら答えた。

 

一「兄さんは、本気の勝負で負けることを望んでいるんです。」

隼「どうしてそんな?」

 

隼斗は、首をかしげながら聞き返した。

一「兄さんは、今まであらゆる分野で一度も負けたことがないんです。

だから兄さんは、何か一つでも自分より上の存在が現れるのに期待してるんです。」

隼「勝過ぎて負けを知りたいか、俺にはわからないな。」

士「俺もだ。」

一「私は子どもの時ずっと一緒だったから少しはわかります。

常に勝ち続けることがとても孤独なことみたいですから。」

 

一姫の言葉で白夜の気持ちを考え暗い雰囲気になった。

 

士「まあ暗い話はもうやめようぜ。」

隼「それもそうだな。」

士「そういえば、隼斗は明日どうするんだ?」

 

隼斗に話を振ったが、隼斗は困った顔をして答えた。

 

隼「それなんだが、俺もストレスの解消するのどうしたらいいのか分からないんだよな。」

士「それで大丈夫なのか。」

隼「まあ、後で令音さんと話して考えるさ。」

士「まあ、頑張れよ。」

隼「おう。」

一「料理たくさん作ったので、そろそろ食べますか?」

 

一姫が作っていた料理をさらに盛り付けながら聞いてきた。

作った料理を見るとそれなりの量があった。

 

士「確かにこれなら足りるだろうから、食べ始めるか。」

隼「そうだな。」

一「分かりました。」

 

それから三人で料理をテーブルに運んだ。

 

十「お、出来たのかシドウ?」

士「ああ、出来たぞ。」

琴「遅いわよ。」

士「結構作ってたからしょうがないだろ。」

隼「まあ、これだけ作れば足りるだろ。」

琴「そう、じゃあ食べましょう。」

 

それから料理を食べた後解散になった。

 

隼斗side

 

士道の家を出た後

 

隼「令音さん、明日のことについて少し話したいんですがいいですか?」

令「ああ、構わないよ。

場所はフラクシナスでいいかい?」

隼「はい、大丈夫です。」

 

いつものようにフラクシナスに回収されて指令室で話始めた。

 

令「で何が聞きたいんだい?」

隼「ストレスを解消するのにどうしたらいいかと思って。」

令「そうか。

なら球体の霊力量を少し見てみようか。」

 

令音がモニターを見ながら機械を少し操作した

 

令「どうやら今日の一姫のストレス解消で君のストレスもそれなりに解消されたみたいだね。

球体の霊力から君の霊力も少なくなっている。」

隼「つまり、今日みたいにみんなでどこかに遊びに行けばいいってことですか。」

令「ああ、それで大丈夫だろう。」

隼「分かりました。

じゃあ、遊びに行く場所考えておきます。」

令「ああ、じゃあまた明日。」

 

話が終わった後、家に帰った。

 

白夜side

 

監視を終了した後、イヤリングの玉の色が白色に変わったが気にせずに、いつものように風呂に入っていた。

 

「後十香と隼斗の二人か。」

万「そうね。」

 

少し考えた後、意を決して聞いた。

 

「なあ万由里、お前はこのまま消えることについてどう考えてるんだ?」

 

万由里は、目を見開いてとても驚いた顔をした後、暗い顔をしながら顔を反らして答えた。

 

万「私は、役目を終えれば消える存在よ。

消えることに対して思うことなんてないわ。」

 

答えている途中で顔をこちらに向けてきた。

その顔は先ほど見せた暗い表情はなく無表情だったが、どことなく悲しさが伝わって来た。

 

「そうか。

ならいいんだ。」

万「そ。」

(万由里、お前はそういうやつだったな。

これで俺のやることが決まったな。)

「さて、こんな暗い話はやめようか。」

万「あんたから始めたんでしょ。」

 

万由里の表情が無表情から少し楽しそうになった。

 

「まあそれはともかく、今日の勝負はどうするんだ?」

万「ん~、どうしようかな。」

 

万由里は少し考えた後。

 

万「じゃあ、明日の天気を当てるってのはどう。」

「別にいいぞ。」

万「じゃあ、降るか降らないかの二択にする?」

「晴れ、曇り、雨の三択でいいんじゃないか。」

万「じゃあ、そうしましょ。

で同じ選択を選んだら引き分け?」

「ああ、それでいい。

それじゃあ、ハンデで二つ選んでいいぞ。」

万「このルールでハンデをくれるなんて余裕そうね。

じゃあ、雨と曇りで。」

「俺は、晴れにするよ。

俺と勝負する上でハンデは必要だからな。」

万「相変わらずすごい自信ね。」

「まあ、負けたことないから。」

万(今日帰りにたまたま見た天気予報では、明日は雨ってことだったし、ちょうど今は梅雨の時期だからかなりの確率で勝てるかも。)

 

その後風呂から上がって少し話した後、いつものように寝た。

次の日、天気は晴れだった



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27話

投稿するの遅くなってすみません。


万由里side

 

万「どうして晴れるってわかったの?」

 

朝起きて、天気を確認してすぐに白夜に理由を聞いた。

 

「過去一週間の気温や湿度などの情報が分かれば、数日先の天気くらいわかるさ。」

 

その答えに少しの間、思考が停止した。

 

万「もしそれが本当でも、テレビも見てないのにどうしてそんなことがわかるの?」

「気温と湿度はある程度は感覚で分かる後は、その日の天気や風の強さなどから考えて、細かい値を出して計算するだけだ。」

万「あんたがすることに驚かないつもりだったけど、これは流石に驚いたわ。」

「そうか。」

 

適当な返事を返した白夜は、少しの間私を見ていた。

 

万「どうかしたの?」

「いや、前も思ったが万由里は、卑怯だとかは言わないんだな。」

万「それは、私があんたが出来ることを把握してなかったから、別にあんたが卑怯だとは思わないわよ。」

 

白夜は、驚いた顔をした後、微笑んだ。

 

「普通はそう考える奴の方が少ないさ。」

万「そういうもの?」

「ああ、今まで似たようなことで散々言われてきたからな。

言わなかったのは、万由里を除いて一人だけだ。」

万「かなり苦労してきたみたいね。」

「まあな。」

 

それから白夜と朝食を食べた後、隼斗たちの監視を始めた。

 

隼斗side

 

士道の家のリビングにみんな集まっていた。

 

隼「昨日みんなで遊びに行ったから、今日はショッピングモールに買い物に行こうと思う。」

士「分かった。

なら昼飯もそこで食べるか。」

隼「ああ、そうだな。」

十「何を買いに行くのだ?」

隼「決めてないさ。

でも欲しいものがあったら買っていいぞ。」

十「食べ物もか?」

 

十香が前のめりになって聞いてきた。

 

隼「まあいいが、ほどほどにな。」

士「四糸乃も買いたい物があったら言うんだぞ。」

四「はい。」

よ「よしのんも買いたい物があったら言っていいの?」

士「ああいいぞ。」

琴「じゃあ行きましょうか。」

士「そうだな。」

令「移動はどうする?」

隼「今回は歩いて行こうか。

移動中にある店でも欲しいものがあれば買えるしな。」

令「そうか。

では、歩いて行こうか。」

 

それからショッピングモールまで歩いて移動した。

 

万由里side

 

隼斗たちを白夜と監視していた。

 

万「ショッピングモールで買い物か。」

「どうかしたか?」

万「いや、精霊とのデートより一姫と隼斗の方が内容的にはデートぽいなーと。」

「まあ、確かに遊園地に行ったり、ショッピングモールに買い物に行ったりデートのようだな。」

万「まあ、精霊は個性が強いから仕方ないかもね。」

「そういう万由里も十分個性強いと思うぞ。」

万「あんたに言われたくないわ。」

 

白夜に視線を向けて言い返した。

 

「まあ、常識から外れた存在が個性が薄いわけないか。」

 

それを白夜が、適当なようで的を射たことを言って話を逸らした。

 

万「常識から外れた存在ね、私や精霊はともかくあんたは常識に沿って生きることも出来るんじゃないの?」

「していた時もあったさ。

だが能力的に出来たとしても心理的無理だったんだ。」

 

白夜が少し微笑みながら遠い目しながら話していた。

 

万「何があったかは聞かないわ。」

「大したことじゃないさ。」

万「そ。」

 

それから少しの間話さずに尾行を続けた。

 

万(白夜の地雷踏んだかな?

思った以上に気まずい雰囲気になったし。

どうしよう。)

 

話さない間に隼斗たちは、ショッピングモールに着き近くの店に入った。

隼斗たちは、店の一か所で止まって話始めた。

 

士「なあ、ちょっといいか?」

 

士道が、様々な色のひもの先に同じく様々な色のガラス玉が付いたストラップを見ながらみんなを読んでいた。

 

十「どうしたのだシドウ?」

士「いや、このストラップみんなで色を変えてお揃いで買ったらいいんじゃないかと思ってな。」

隼「いい案だな。

しかも色の種類も多いからかぶることもないしな。」

琴「確かに記念にってことならいいかもね。」

士「十香たちもそれでいいか?」

十「私はいいぞ。」

四「私もいいです。」

一「私もいいです。」

隼「俺もいいぞ。」

令「私も構わない。」

士「じゃあ、買うか。

でも白夜の分はどうする?」

琴「まあ、今はいないけど一応は協力者なんだから買うでいいんじゃない。」

隼「そうだな。

一人だけ仲間外れっていうのも悪いしな。」

一「では、兄さんの分は私が選びます。」

士「じゃあ、みんな好きなの選んでくれ。」

 

みんながストラップを選び終えた後会計を済ませて出てきた。

士道が、茶色のひもに少し濃い目の青色の玉。

十香が、黒色のひもに紫にところどころ黄色が入った玉。

四糸乃が、黄緑色のひもに水色の玉。

琴里が、黒と白色のひもに赤色の玉。

隼斗が、黄色のひもに赤い玉。

一姫が、赤色のひもに白い玉。

令音が、灰色のひもに水色の玉。

白夜が、白と水色のひもに赤い玉。

士道がみんなにストラップを配った後、移動し始めた。

その様子を見ていると白夜が話しかけてきた。

 

「今、どう感じた?」

万「何のこと?」

「今、存在を知られていないとは言え少し隼斗たちとの距離を感じたんじゃないか。

縮まることのない距離を。」

 

白夜の質問に俯きながら答えた。

 

万「その通りよ。

仕方ないとは言え少し何と言ったらいいかわからない感覚になったわ。」

「それがさっき俺が常識に沿って生きれなかった原因だ。

俺の場合仲のいい友達相手に感覚を味わった。」

万「なるほどね。

確かに仲のいい相手にこんな感覚を感じてたらきついわね。」

 

私は白夜に視線を向けて仲のいい相手にさえ距離を感じる生活をしてきた白夜のことを考えた。

 

万(それって、今までずっと孤独の中で生きてきたってことでしょ。

生まれてまだ数日しかたってない私と違ってもう何年も生きてるのにどうして未だに笑っていられるんだろ。)

 

そんな考えが表情に出ていたのか。

 

「そんな憐れんだような目で見るな。」

 

そう言われて一旦白夜から視線を外した後、再び向けた。

 

万「別に憐れんだつもりはないわ。

ただそんな生活をよく続けられたなと思っただけ。」

 

白夜は、少し疑うような目で見てきたが、少しすると軽く息を吐いた後。

 

「あっそ。

まあ、もうこの話はやめよう雰囲気が悪くなる一方だ。」

 

話をやめることを切り出してきた。

 

万「それもそうね。」

「士道たちが昼飯を食べる食べに店に入ったみたいだぞ。」

万「私たちも行きましょうか。」

 

そこからはいつものようにお互いからかったり、適当な話をしながら隼斗たちの監視を

した。

そして隼斗たちが解散して少し後、イヤリングについている玉の色が白色から黄色に変わった。

私たちは隼斗達が解散した後、白夜の瞬間移動で帰った。

今は、風呂から上がってリビングで白夜と話していた。

 

万「明日で最後ね。」

「ああ、明日の十香のデートが終わったら全部終わりだ。」

万「明日で私は役目を終わて無に帰る。

結局今日も負けたし一度も白夜に勝てなかったままか。」

「そういうものさ。

さてもう寝ようぜ。」

万「それが言えるのはあんたくらいよ。

分かったわ。」

 

白夜と寝室に移動していつものように眠った後白夜に抱きしめられながら眠りについた。



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28話

いつも投稿遅くてすみません。
これからも読んでください。


白夜side

 

朝、いつものように目が覚めた。

 

(今日で、終わりか。)

 

隣で、まだ寝ている万由里を見ながらそんなことを考えていた。

少し見ていると、万由里が目を覚ました。

 

「おはよ。

最後の日なのに、そんなにゆっくり寝てていいのか?」

 

万由里は、少し眠たそうに目を擦りながら返事を返してきた。

 

万「おはよ。

あんたが、起きるのが早いだけよ。」

「そうか。

まあいいや、朝食を食べて士道と十香のデートを見に行くぞ。」

万「ん。じゃあ、朝食作ってくるわ。」

「ああ、よろしく。」

 

万由里が、ベットから降りて部屋を出て行った。

 

(さて、俺も準備をしますかね。)

 

準備を終わらせてリビングに降りると、万由里が朝食をテーブルに運んでいる途中だった。

 

万「遅かったわね。

あんたこそ、ゆっくりしていていいの?」

「準備に思った以上に時間がかかっただけさ。」

万「準備?

そんなに時間かけて何してたの?」

「何、万由里が気にすることじゃないさ。」

万「・・・そ。」

 

万由里は、少し気になったのか少し黙った後、返事を返してきた。

 

「まあ、早く食べて行こう。」

万「そうね。」

 

万由里と朝食を食べた後、士道と十香のデートの待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせ場所に着くと十香が一人で待っていた。

 

「さて、今回はどんな変わったデートになるかな。」

万「まだ、始まってないのに何言ってんのよ。」

「精霊のデートが普通だったことが無かったし。」

万「まあ、そうなんだけど。」

 

万由里が、何とも言えないことを顔をしていた。

すると、士道がやって来た。

 

「どうやら主役が来たみたいだ。」

万「そのようね。」

「じゃあ、監視をしますか。」

万「ん。」

 

士道と十香について行った。

 

フラクシナスside

 

幹「十香ちゃんのデート開始しました。」

琴「推測通りなら、十香のデートが終われば、見えない球体は霊力を失い完全に消え失せるそうよね。」

令「ああ、これまでの観測結果からすれば、そうなる可能性が高い。」

川「いろいろ調査をしてみましたが、球体の件は、結局分からずじまいでしたね。」

恭「本音を言えば正体を把握しておきたいところでしたが。」

 

白夜side

 

士道と十香は、天宮仲見世商店街に来ていた。

 

「こうなると思ったよ。」

万「まあ、十香のデートならこうなるとは予想してたけど。」

「やっぱり精霊のデートは変わってるな。」

万「そういう白夜は、まともなデート出来るの?」

「さあな、したことがないから分からない。」

万「そ。

じゃあ、あんたも変わっているかもしれないね。」

「そうだな。

それより、あれに付き合える士道はどうなんだ?」

万「ある意味士道が一番変わってるんじゃない。」

「かもしれないな。」

 

それから、士道と十香がいろいろ食べ歩いてるのを見ながら監視を続けた。

士道と十香が、カレーの店に入ったので俺たちも入った。

 

「ついでだし、ここで昼を食べていくか。」

万「そうね。

でも、どこに座るの?」

「士道たちの隣でいいだろ。」

万「随分と大胆なところに座るのね。」

「どうせ気づかれないからな。」

万「そ。」

 

そんな話をした後、万由里と士道たちの隣の席に座った。

その後、注文をした品が来た。

万由里が、十香と同じカツカレーで、俺がフライドチキンカレーだった。

 

「じゃあ、食べるか。」

万「ええ、いただきます。」

 

カレーを食べていると、隣の士道と十香は、トッピングの交換をしていた。

それを、見ていた万由里が。

 

万「私たちも、トッピング交換しない?」

「ああ、別にいいぞ。

でも、どうしたんだ?

もしかして、デート見たいなことしてみたかったのか?」

 

からかうような質問に万由里は、何も言い返せないようだった。

 

万「デート見たいなっていうより、ただ、トッピングの交換をして見たかっただけ。」

「ふーん。

でも、珍しいな。

自分からやりたいことを言うなんて、どうしたんだ?」

万「今日が最後だから、少しは欲を言ってもいいかなって思っただけ。」

「そうか。

なら、他にしたいことがあったら出来るだけ言うんだな。」

万「ん。」

 

万由里は、少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。

その後、特に何事もなくカレーを食べ終わって店をでた。

そして、士道たちは、きな粉パンを買って、高台の公園に上がっていった。

 

「さて、どうせデートはここまでだ。

この様子だと、問題は何一つないんだろ。」

万「ええ、問題なく終わるわ。」

「そうか。

なら、霊術を解いたからあいつらに説明してきな、どうせ他の奴らもどこかで見てる。」

万「あんたは、来ないの?」

「俺が行く必要はないだろ。

それに、まだ姿を見せる気分じゃないからな。」

万「そ。

じゃあ、ここでお別れってことね。

さようなら。」

 

万由里は、無表情のつもりなのだろうが、その顔からは少し寂しさが感じられた。

 

「ああ、さようならだな。」

 

そういうと、万由里は士道たちの後を追っていった。

 

万由里side

 

白夜と別れて士道と十香の前に来た。

 

万「五河士道、あんたに話がある。」

 

十香は見えていないため、士道だけが反応し、十香に待つように言うとこっちに来た。

 

士「君は、誰なんだ?

どうして、十香に姿が見えないんだ?」

万「おめでとう。

どうやら私と雷霆聖堂(ケルビエル)の出番はないみたい。」

士「ケルビエル?

あれは、君の!

教えてくれ君は、なんなんだ?

俺に何の用があったんだ?」

万「私は万由里、雷霆聖堂(ケルビエル)の管理人格。

一つの場所に霊力が一定以上集約された時、私は自動的に生まれる。

器がそれに、値するか確かめるために。」

士「器、俺のことか?」

 

士道の問いに頷いて答える。

 

万「正確には、天宮市がそう。

あんたと隼斗、一姫、そして白夜が集まったことが原因。」

 

士道は、それを聞いて驚いていた。

 

士「やっぱり、白夜もかかわっていたのか。」

 

その問いにも頷いて答える。

 

万「現時点において、システム発動の必要はないと判断したわ。

私とケルビエルの役目は終わった。」

士「役目が終わった。」

万「そ。

後は、存在の構成を分解し、無に変えるだけ。」

 

それを聞くと士道はとても驚いた顔をした。

 

士「な、なんだよそれ!

どうして、そんな?」

万「どうしてって言われてもね。

判断が終われば消滅する。

私は、そういうふうに出来てるただ、それだけよ。」

 

私の着ていた制服が金色の粒子になって消えていった。

 

万(ただ、なんでかな。

最後に、白夜の顔をもう一度見たかった。)

士「まて、万由里。」

 

呼び止めようとする士道の声を遮って、私の後ろから二対四枚の翼が出てきて私を包んだ。

翼が開いた時、私は黒いワンピースに金色の膝のところにライオンの顔があり、踵の部分が歯車のブーツ、そして背中に翼がある霊装を纏って、空に浮いた。

 

万「さよなら、士道。」

 

士道に別れの挨拶をした後、後ろが光始めた。

 

士道side

 

万「ん、あ!」

士「あ!」

 

後ろを見ると、球体がいろんな色に変わりながら光った後、黒くなった後に小さくなった。

小さくなった黒い球体から、機械のようなしっぽと二対四枚の翼が生えた。

 

万「ケルビエル、なんで!?」

 

球体に、緑の正六角形の穴が出来て、その中心にエネルギーのような物が溜まっていった。

エネルギーが溜まった後、高台の公園に向かって雷が放たれた。

私は、衝撃で士道の後ろに落ちた。

煙が晴れると士道を守るように半精霊化した十香と四糸乃、そして隼斗と一姫がいた。

どうやら、みんな十香のデートを見ていたようだ。

 

十「いったい、どうなっているんだ。

それに突然出てきたその女は誰だ?」

士「説明できるかどうかわからんが後で詳しく話す。」

隼「俺も離れたところで聞いてたから付き合うぞ。」

一「私も、説明します。

それとまた、来ます。」

 

次は、球体にたくさんの目が出来て四方に霊力弾を大量に打ち出した。

それを、一姫や四糸乃たちが防いだが、町の方にも被害が出ていた。

上空にフラクシナスが現れた後、何かの機会が数機ケルビエルの下を回った後、ケルビエルの下に魔法陣が出来てケルビエルを空高くに飛ばした。

 

隼「守っているだけじゃきりがないな。

攻撃してくるか。」

十「私も行くぞ。」

四「私も行きます。」

士「みんな、気をつけろよ。」

 

十香たちがケルビエルに向かって飛んで行った。

 

一「では、私は士道さんを守ります。」

士「ああ、すまん、一姫。」

万「ケルビエルなぜ?

器は資格を得ているそれなのになぜ?」

 

上空では、ケルビエルと精霊たちが戦っている。

十香と四糸乃は、天使で離れたところから攻撃するもまるできいていない。

隼斗も、火の玉などを放って攻撃するもきいていない。

ケルビエルは、雷のような攻撃をするが避けられて当たらないため、埒が明かない。

そこにフラクシナスが来て、ケルビエルに砲撃を撃ち込むが、翼で防がれて傷一つつけられない。

ケルビエルからピンク色の球体が、万由里の上に落ちて来たが、考え事をしているのか、真上に来るまで気づかなかった。

球体から翼が生えて、万由里を包んで開いたと思うと、万由里が鳥かごの中に閉じ込められていた。

 

一「放しなさい。」

 

一姫が、鳥かごを壊そうと炎の攻撃をするも、鳥かごの上に着いた球体から生えている翼に防がれた。

鳥かごは、ケルビエルに向かって飛んで行った。

その途中、万由里は悲鳴を上げていた。

 

万「きゃあぁ!」

士「万由里!」

 

鳥かごは、ケルビエルの下にくっついた。

 

万由里side

 

万「ケルビエル、何を!?」

 

ケルビエルの攻撃力が先ほどよりも増した。

 

万「やめなさい!

もう、やめて、ケルビエル!

どうして、こんな?

あの子たちの心は安定しているはず。

はっ!この感情は?」

 

フラクシナスside

 

幹「天使、精霊らしき少女を取り込みました。」

椎「霊力レベルさらに上昇。」

川「攻撃力も増しています。」

琴「どういうことなの?

そもそも、十香のデートはうまくいっていたはずよ。

なのに、なぜこんなことに。」

箕「指令、霊波の波長に変化が。」

中「十香ちゃんたちの物とは別に、最初に観測したような波長が発生しています。

それと、もう一つ白夜君の波長も発生しています。」

琴「まさか。」

 

万由里side

 

万「これは、あの子たちの物じゃない。

これは、私自身の!

それに、どうして白夜のまで。」

 

フラクシナスside

 

令「嫉妬。

あの精霊自身も予期しなかった感情が天使を暴走させているようだね。」

琴「じゃあ、あの子も士道を?」

令「いや、それはわからない。

彼女が、何に対して嫉妬しているのかはわからない。」

琴「でも、なんで白夜まで。

白夜の霊力は、消えかかっていたんじゃないの?」

令「それは、彼が故意にやったのだろうね。

ストレスを精神力で抑え込んで消えたと思わせていたんだろうね。」

琴「なんで、そんなことを!?」

令「それは、私には分からないさ。」

箕「し、指令、さらにもう一つ強大な霊力の反応が現れました。」

琴「今度は、なによ。」

中「この霊波の波長は、白夜君です。」

琴「な!?」

 

するとモニターの音声から白夜の声が聞こえてきた。

 

「全員、下がってろ。」

 

白夜side

 

万由里を取り込んだケルビエルから少し離れたところに浮いて全員に下がるように言った。

 

隼「白夜、どういうつもりだ。

下がれっていったい何を考えている?」

十「そうだぞ。

あいつは、硬くてまともな攻撃は通らないぞ。」

「ああ、分かってる。

だから、俺が一人でやる。」

 

そういった後、隼斗たちを全員フラクシナスの指令室に空間転移で飛ばした。

その後、異空間から一本の金色の槍を取り出した。

槍の見た目は、問題児たちが異世界から来るそうですよ?に出てくるインドラの槍だ。

 

「さて、久しぶりに出したな。

昔、作ったのはいいが使わないから封印して放置してたからな。」

 

槍を手にして、ケルビエルに向き合った。

 

「悪いが付き合ってもらうぞ、ケルビエル。

俺の自己満足の我がままに。」

 

そして、額に銀色の模様が浮かび魔神化した。

 




今回は、視点がころころ変わって読みにくかったかもしれませんが、次からも読んでくれると嬉しいです。


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29話

フラクシナスside

 

先ほどまでフラクシナスの外にいた士道たちが指令室にいきなり現れた。

 

士「な!?なんでフラクシナスの中に?」

一「兄さんが空間転移で飛ばしたんだと思います。」

士「でもなんで白夜がそんなことを?」

四「先ほど一人であれを相手にするといっていました。」

 

それを聞いた士道は驚いた顔をした。

 

士「な!?白夜一人で勝てるのかよ!」

琴「そんなの分かるわけないでしょ。」

十「そんなことより、早く外に出て白夜の援護をした方がいいのではないか。」

隼「確かにその方が良さそうだな。

琴里、俺たちはもう一度行ってくる。」

琴「分かったわ。」

一「行っても無駄です。」

 

隼斗や十香たちが指令室から出て行こうとしたところで一姫が大きな声で止めた。

 

十「無駄とはどういうことだ。」

隼「いくら白夜が強かろうとあれを相手にするのなら俺たちがいた方がいいはずだ。」

 

隼斗と十香の問いに一姫は俯いた状態で力強く手を握って答えた。

 

一「無駄ですよ。

私たちが出て行ったところでただの足手まといにしかなりません。

兄さんの強さは、それ程圧倒的なんです。」

 

一姫の声からは悔しさが良く伝わって来た。

その一姫の言葉に隼斗たちは戸惑い動きを止めた。

 

令「白夜の霊力が、先ほどよりさらに上昇した。」

椎「それだけじゃありません。

白夜君が持っている武器の反応からして、おそらく神器です。」

士「神器ってなんですか?」

 

士道が聞いたことない単語に首を傾げた。

 

琴「数年前に見つかった強力な武器よ。」

令「単純な攻撃力は天使と同等以上の力を持っている上にそれぞれに固有の特殊能力が存在している。

しかし、神器は天使とは違いこちらの世界に存在しているものだ。」

士「そんなものがあるんですね。

でも、それを白夜が持っていて問題があるのか?」

琴「神器は、いまだに5つしか見つかってないのよ。

そして5つの神器はすべて賢者が持っているわ。」

士「な!?

じゃあ、白夜は6つ目の神器を持っていたってことなのか?」

令「おそらくそうだろうね。

それを考えると、ここは白夜に任せた方が良さそうだね。」

 

白夜side

 

(さて、始めるか。)

 

右手に槍を持ちケルビエルに全速力で近づいて、左手で殴った。

殴られたケルビエルは、殴られた部分がへこみ、そこから放射状にひびが広がった。

すると、ケルビエルは動きを止め再生を始めた。

 

「あ、槍折角出したのに殴っちまった。

まあいいか。」

 

ケルビエルの動きが止まっているうちに万由里が捉えられている鳥かごのところまで移動した。

 

「やあ、万由里気分はどうだ?」

万「こんな時に言うのもなんだけど、最悪よ。

主にあんたのせいでね。」

 

先ほどケルビエルを殴った時の衝撃で鳥かごが揺れたため、万由里が避難の目を向けてきた。

 

「悪い悪い。

それで、俺に聞きたいことがあるんだろ。」

万「やっぱり、わざとやったのね。」

「まあな、だが自分の感情を隠していたのは、お前もだろ。」

万「そんなことも分かってたのね。」

「まあな、だがそれが何に対する感情かまでは理解できなかったがな。」

万「そ。

でも、いくらあんたが強くてもケルビエルには勝てないわよ。」

「霊力の供給がある限り無限に再生するからか?」

万「そこまで知っていてなんで感情を隠したりしたのよ。」

「それを教える必要はないだろ。

それにあまり時間もないから、単刀直入に言う、俺はお前を救う。」

万「え!?」

 

白夜の言ったことに万由里が驚いている間に、槍で鳥かごの上についている球体を壊した。

球体が壊れたことで鳥かごが消え、驚いていた万由里は反応できず空中に投げ出されたが、白夜が万由里を抱えてケルビエルから距離を取った。

 

「これくらい離れれば大丈夫だろ。」

万「なんで、私なんかを救おうとするの?」

「そんなのは、俺の気分だ。

一週間も一緒に暮らした奴を簡単に見捨てるほど、俺は薄情ではないさ。」

万「そ。」

「それよりも、今はあれをどうするかが先だ。」

万「あれは!?」

 

白夜が視線を向けた先では、再生を終えたケルビエルの体が球体に入った後球体が小さくなった。

そして小さくなった球体の後ろから六枚の葉のような形の物が出てきて球体を花の蕾のように覆った。

それを破って現れたのは、最初の形からしっぽがなくなり、牛の角のようなものが生え、球体を中から破るような形で雫型の物が出てきた形に変化した。

そして、雫型の先端にエネルギーのようなものをためていた。

 

万「ラハットヘレヴ!」

 

万由里がそう言った後、ケルビエルがエネルギーを放った。

そのエネルギー砲が、山の向こう側を吹き飛ばした。

 

「これは、すごいな。」

万「関心してる場合じゃないでしょ。」

「そりゃそうだ。

まあ、あれとやりあうんだから対処はするさ。

それと万由里を救うための霊術を組むまでの間待ってな。」

万「拒否権はないのね。

分かったわ。」

「それじゃあ、始めますかね。」

 

そう言った後、左手で指を鳴らした。

創世の力で、何もない広大な草原の空間を作り、ケルビエルとフラクシナスをその空間に入れた。

 

フラクシナスside

 

映像に、その場の誰もが目で追えない速さでケルビエルに近づき殴った白夜が映っていた。

 

士「嘘だろ!十香たちが天使でいくら攻撃しても傷一つつかなかったのに、素手で傷つけるなんて!?」

十「何という力だ。」

四「白夜さん、すごいです。」

隼「あんなに強かったのか。」

琴「まさか、ここまで強いとはね。

この調子なら一人で本当に勝てるんじゃ。」

一「・・・。」

 

その映像を見た、一姫以外のみんなが白夜の強さに驚いていた。

 

令「確かに圧倒的に強いが、勝てるかはまだ分からないな。」

琴「どうしてよ?」

令「あの天使は傷を再生させている。

つまり、霊力の源であるあの精霊をどうにかしない限り再生し続ける。」

士「な!?それじゃあ、万由里を倒すってことですか?」

令「それだけではないが、どのみち万由里が助かることはない。

しかし白夜は、あの精霊を倒す気はなさそうだ。

一体どうやってあの天使を倒すつもりなんだろうね。」

隼「万由里の霊力を封印してもダメなんですか?」

令「おそらくあの精霊は、肉体を持たない霊力の塊、だとすると霊力を封印すると彼女は消滅してしまう。」

士「じゃあ、一体どうすればいいんですか?」

令「残念だが、それは私には分からない。」

 

令音の答えに士道たちは、黙ってモニターの映像を見ることしかできなかった。

 

十「あの天使、形がさっきまでと変わったぞ。」

 

十香がそう言って少し後に山の向こう側が吹き飛ばされた映像が流された。

 

隼「すごい火力だな。」

琴「あんなのと白夜がこんなところで戦ったら天宮市がただじゃすまないわよ。」

隼「でも、移動させる方法なんてないぞ。」

琴「分かってるわよ。」

 

琴里が天宮市に被害を出さない方法を考えていると、モニターに映る景色が変わった。

そこは、とてつもなく広い草原だった。

 

琴「いったい何が起きたって言うのよ。」

令「おそらく白夜の空間転移でフラクシナスとケルビエルを別の場所に飛ばしたんだろう。」

琴「でも、地球上にこんな場所ないでしょ。」

隼「確かに、地球上にこんな広い草原はないはずだ。」

士「じゃあ、ここは何なんだよ。」

一「兄さんが作り出した異空間です。」

 

ずっと黙っていた一姫がみんなの疑問に答えた。

 

琴「一姫どういうこと?」

一「兄さんは、創世というものを作り出す能力を持っています。」

琴「まさか、空間まで作り出すことが出来るっていうの!?」

一「子どもの頃に作られた空間を見たことがあるので間違いありません。」

琴「どれだけ規格外なのよ、あいつは。」

 

琴里と似たようなことを考えながらみんなモニターに映る白夜を見ていた。

 

万由里side

 

景色が草原に変わった後、白夜はケルビエルに向かっていった。

 

万(これ程の空間を一瞬で作るなんて、やっぱり白夜は規格外すぎるわね。)

 

白夜は、ケルビエルが白夜に向かって撃っている大量の霊力弾を当たりそうな物だけを槍で弾きながらケルビエルに近づいて行った。

槍で弾かれた霊力弾は、少し経つと霧散していった。

白夜は、ケルビエルに近づくと霊力弾を撃っている場所を数個、槍を大振りして切った後、槍を振った勢いのまま体を軸に回転しながら右側の角を切り落とした。

角を切った後、白夜がまた左手で角の根本あたりを殴りつけた。

しかし、先ほどとは違い殴られた部分はへこみひびも入ったがかなり小さくなっていた。

 

「なるほど、強度も大分増しているようだな。」

 

白夜がケルビエルの変化を確認するようにその場に少し止まっていたが、ケルビエルの霊力弾がまた飛んで来たため槍で弾いたり回避をしながらケルビエルに近づいた。

ケルビエルも白夜によって受けた傷を再生させながら白夜に霊力弾を撃ちたまに最初に撃った大きな砲撃も撃っていた。

白夜は、そのケルビエルの攻撃を時折受けるものの軽い攻撃を受ける程度でケルビエルに攻撃しては時間を稼ぐように少し距離を取って回避を少しの間続けていた。

 

万(すごい攻防でも、見た感じ白夜の方が有利みたいね。

それにしても白夜は何で私なんかを救おうとするんだろう。)

 

私が少し戦いから意識を逸らして考え事をしていると。

 

「何をしてるんだ、避けろ。」

 

白夜の声に戦いに意識を戻すと、ケルビエルがこちらに霊力の砲撃を撃とうとしていた。

先ほどまで考え事をしていて、突然のことに反応が遅れて今からだと回避が間に合わないと悟り受ける覚悟をしたが、白夜がケルビエルに向かって高速で近づき、強い攻撃を当てて砲撃を逸らそうとしているのか、焦った様子で槍を大振りで振る体制で構えていた。

しかし、それをケルビエルは読んでいたのか、砲撃をこちらから白夜の方向に向けた。

それを見て白夜は、しまったと言いたげな顔をしながら、正面からケルビエルの砲撃受けた。

 

万「白夜あぁ~。」

 

白夜が砲撃に飲まれたのを見た時、全力で叫んだ後何も考えられなくなった。

砲撃が続いている間、どうしていいのか分からず、身動きがまるで取れないでいた。

砲撃が止んだと思った瞬間にケルビエルが縦に真っ二つに割れた。

何が起きたのか確認するため、白夜が砲撃を受けた場所を見ると、着ていた服がところどころ破けていて、そこから見える肌は痛々しい傷がところどころについている白夜が槍を振り下ろした体制で雷を体の周りに薄っすらと纏っていた。

 

「ようやっと霊術が完成した。

お前を足止めする準備も整った。」

 

白夜は、それだけ言うと真っ二つにされたケルビエルの再生に合わせてケルビエルの中に槍が残るタイミングで持っていた槍を投げ込んだ。

ケルビエルが完全に再生し終わったところで、ケルビエルの内側から強力な雷が発生しケルビエルを粉々に砕いた。

粉々に砕かれたケルビエルの体の中心に白夜の投げた槍が雷を纏った状態で浮いていた。

その槍に、粉々に砕かれたケルビエルの体は引き寄せられ、また槍の雷によって体が細かく砕かれるの繰り返しが続いた。

 

「さて、これで良し。」

 

ケルビエルの様子を確認した後、白夜がこちらに近づいてきた。

 

万「いったい何をしたの?」

「それは、また今度説明する。

今は、折角完成させた霊術を起動させる。

今更、お前を救うことに文句は言わせんからな。」

万「え!?

ちょっと待ってまだ心の準備とかできてないし。」

「悪いが時間がないんだ、我慢しろ。」

 

そういった後、白夜が両手をこちらに向けてきた。

私が今から始まるんだと感じた時、私の周りに光る幾何学的な文字が円を描くように回っていた。

それと同じ円が様々な大きさや向きが異なって増えていった。

途中から円だけでなく異なった形のものも含まれていたが、たくさんの文字が重なっているためどのような形かは分からなかった。

少しすると、文字が放つ光で視界が完全に覆われた後、次第に意識が遠のいて行った。

 

白夜side

 

万由里が霊術を起動させたこどで発生したたくさんの文字で構成された魔法陣が集まってできた球体の中に納まった。

 

(これであとは、魔法陣が消えるのを待つだけか。

それにしても、霊術を組みながら戦っていたとはいえ、最後の砲撃をくらったせいで予想以上のダメージを受けたな。

霊力もほぼ使い切っって残ってないせいもあって意識が飛びそうだ、早く終わらないかな。)

 

それから少し経つと光が徐々に収まっていき、先ほどまでとは違い服や霊装を着ていない状態で万由里が出てきた。

意識がなさそうなので、近づいて万由里を受け止め、自分がいつも羽織っている着物の破れているところを直して万由里にかけた。

ケルビエルは、霊力の供給がなくなったため再生が出来ずに槍の雷に砕かれた体は光の粒子になって消えていった。

それを最後まで見た後、天宮市の上空にフラクシナスを連れて帰って来た。

天宮市の上空に出たあたりで、万由里の意識が戻った。

 

万「ここは?」

「天宮市の上空だ。」

万「!?ケルビエルは、どうなったの!?」

 

万由里はケルビエルを探すように周りを見るがどこにも見つからなかったため取り敢えず落ち着いた。

 

「ケルビエルは、消滅したぞ。

お前はもうケルビエルの管理人格じゃない、霊力を持ったただの人間だ。」

万「!?

そ、上手くいったのね。」

 

万由里は少し驚いた顔をしたが、すぐに俺が組んだ霊術がうまくいったことを理解したようだ。

 

「まあな、悪いが万由里はこれからフラクシナスで検査を受けてくれ、一応は異常はないだろうが、なにかあったら困るからな。」

万「ええ、分かったわ。

それと、この着物ありがとう。」

「気にするな。

霊力は今まで通りあるから今までの感覚で受けるはずだ。」

 

そういうと、万由里は俺の手を放して空中に浮いた。

それを確認した後、俺は最後に残った霊力で空間転移をして家の寝室に飛びすぐに寝た。




ようやっとケルビエルを倒すところまで来れました。
そして、お気に入り登録してくださった方ありがとうございます。
これからも読んでくれると嬉しいです。


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30話

投稿遅くなってすみません。
これからも読んでくれると嬉しいです。


白夜side

 

目が覚めると家のベットで寝ていたはずなのに白い空間で寝ていた。

 

「ここは、でもなんでまたここに?」

神「わしがここに連れて来たからじゃ。」

 

声のした方を向くと転生する時にあった神がいた。

 

「なんだ、そういうことか。

でいったい何の用だ?」

神「なに、わしを楽しませてくれたからの礼として特典をもう一つやる為じゃ。」

「そうか。」

神「で、お主は何を求める?」

「じゃあ、アルティメットアンチヒーローの焔の力をくれ。

邪神を操る力と魔術は必要ない。」

神「即答で決めるとはな。

それで、お主が封印を全て外した状態に上乗せしておく、それまでは今までと変わらない。」

「分かった。でそれだけか?」

 

白夜がそう聞くと神は少し笑って答えた。

 

神「流石に気づくか。

お主の考えている通りイレギュラーが発生する。」

「やっぱりか、でどんなイレギュラーが起きるんだ?」

神「今回は特別に教えてやる。

今回の特典だとお主の外見が多少変化するだろう、だが体格が大きく変わるわけではないから安心しろ変わるとしたら顔くらいだろうな。」

「そうか、なら問題ないな。

じゃあ、用も済んだことだし帰らしてくれ。」

神「まだ、他にも用があるからだめじゃ。」

「なら早く話せ。」

神「礼として特典とは別にお主に転生する許可をやろうと思ってな。」

「どういうことだ?」

 

白夜は、神が言っていることの意味分からずに聞き返した。

 

神「お主の好きなタイミングで別の世界に転生する権利じゃよ。

デート・ア・ライブのアニメでやったところまで転生してもいいし、小説の最後までいてもいい。

そして、別の世界に転生しても同じように転生できる。

後お主が好きな人も一緒に転生できるようにしてある。」

「それはいいな。

で用は、それで全部か?」

神「いや、一つお主に聞きたいことがある。」

「あっそ、で聞きたいことってなんだ?」

神「なぜ、ケルビエル相手に封印を解いて戦わなかったのじゃ?

封印を解けばもっと簡単にケルビエルを倒すことが出来たじゃろう。」

 

白夜は、少し考えたが話した。

 

「試したいことがあっただけだ。」

神「ほう、その試したいことと言うのは何だ?」

「思いの力さ。

俺は万由里のことを好きだが、その思いが本物なのかは流石に分からないからな。

アニメや漫画の主人公みたいにギリギリ勝てるかってくらい戦いをすれば少しはわかるかと思っただけだ。」

神「そうか。

で結果はどうだったんじゃ?」

「一応は成功かな。」

神「一応と言うのは、勝ったこと以外に何の成果もなかったからか?」

「いや、もう一つある。

封印が少し壊れて力が漏れていた。

無意識に力を無理やり引き出そうとした何かがあったからだろうが、それが万由里への思いの力なのかは分からないからな。」

神「そうか。

それが何なのかはいつかわかる時が来るだろう。

もう用は済んだ、そろそろ意識が途絶えるだろう。」

「そうか。

じゃあ、またな。」

 

その後、神が言った通り意識が途絶えた。

 

万由里side

 

白夜と分かれた後、フラクシナスに回収された。

その後、指令室に移動した。

 

万「ほとんどが初めましてね。

私は万由里、雷霆聖堂(ケルビエル)の管理人格をしていたわ。」

琴「自己紹介ありがとう。

であなたはこちらのことどれくらい知っているのかしら?」

万「精霊や士道たちのことも大体知っているわ。」

琴「なるほどね。

誰か万由里に聞きたいことがある人いる?」

 

琴里が質問すると一姫が手を上げて少し前に出てきた。

 

一「はい、少し聞きたいことがあります。」

琴「そ、じゃあ、好きに質問していいわよ。」

万「私に聞きたいことって何かしら?」

 

一姫は少しの間俯いていたが、万由里の目を見て話し始めた。

 

一「万由里さんは、兄さんとどういう関係なんですか?」

 

私は、その質問に少し驚いたが予想していたのかすぐに冷静になって質問に答えた。

 

万「士道たちと大して変わらないわ。

ただ、私が生まれてすぐに白夜に見つかっただけよ。」

 

それを聞いて琴里たちは呆れた顔になった。

 

隼「相変わらずだな、あいつは。」

一「それで、見つかった後どうしたんですか?」

万「白夜の監視をさせてもらう代わりに一緒に行動するようになっただけよ。」

一「兄さんに対して何か特別な思いはありませんか?」

万「!?どうしてそんなことを?」

 

私は、今回は予想していなかったのか驚いた状態で聞き返した。

 

一「ケルビエルの中にあなたの霊力があったからです。

そして、あなたは最後に姿を現すまでずっと兄さんといた。

以上のことから兄さんに対して何か特別な思いがあるんじゃないかと予想しただけです。」

 

一姫の説明が終わると、私は納得したような顔をした。

 

万「なるほど、流石は白夜の妹ね。

ええ、あんたの言う通り、私は白夜のことが好きよ。」

琴「一姫よくわかったわね。」

士「確かに白夜みたいな推理力だな。」

 

一姫は、それを聞くと少し俯いた。

 

一「兄さんに比べたら私は足元にも及びませんよ。

それに、今回わかったのは今まで兄さんを好きになった人に少し雰囲気が似ていたからですし。」

万「私そんな雰囲気出してた?

もしかして白夜にも気づかれてるかな?」

一「それはないので大丈夫です。」

 

私の疑問に対して、一姫が即答で否定した。

 

万「え!?即答で否定するほどなの。」

一「兄さんは大体のことはすぐに分かるんですけど、唯一恋愛に関して超が付くほど鈍感なんです。」

万「それ本当なの?」

一「はい、本当です。」

 

万由里は、それを聞くとしばらく考えた後、琴里に話しかけた。

 

万「琴里、取引しない。」

琴「取引?一先ず内容を聞かせて。」

万「私が白夜に告白するためにデートとかしたいから、そのサポートをお願いしたい。

その代わりに私が出すのは、私が持ってる白夜の情報でどう。」

琴「あなたが持ってる白夜の情報が私たちが持っている情報の中にないと言い切れるの?」

万「白夜が一姫と分かれてからのことを知っている人がいるならないかな。」

琴「!どうして、そのことをあなたが知っているのかしら。

ラタトスクに白夜の情報を調べてもらったけど、何一つ情報が得られなかったわ。」

 

琴里は驚きながら私が情報を持っている理由を聞いた。

それに対して私は平然とした態度で返した。

 

万「白夜から聞いただけよ。」

士「そんな簡単に教えてくれるのかよ!」

万「教えてくれたし、そうなんじゃない。」

琴「はあ、分かったわ。

あなたに協力してあげるわ。」

隼「デートのサポートはいつものことだしな。」

一「兄さんを好きな人の応援は久しぶりにします。」

士「白夜を落とすことって出来るのか?」

令「白夜を落とせるかは、はっきり言って分からない。」

恭「確かに、彼を落とすのは一筋縄ではいかないでしょうね。」

万「ええ、それが分かっているから協力をお願いしてるのよ。」

琴「じゃあ、協力するんだから白夜の情報を教えなさい。」

万「いいけど、今日この後いろいろ検査するんでしょ。」

令「ああ、十香たちが受けた様な検査を受けてもらう。」

万「そ、なら今日は一つだけ話すわ。」

琴「それもそうね。

じゃあ、他の情報はまた今度ね。」

万「そ。

じゃあ、白夜は賢者と接点があるみたいよ。」

 

私が話した白夜の情報を聞いた士道以外は目を見開いて何も言えないまま立ち尽くした。

私と士道は、琴里達が何に驚いているのか分からず首を傾げた。

 

万「どうかしたの?」

琴「確認なんだけど、その賢者って霊術を生み出して広めたあの賢者のこと?」

万「確かに霊術を広めた張本人とは言ってたわ。」

隼「またとんでもない大物が出てきたもんだ。」

士「そんなにすごい奴なのか?」

一「はい、賢者は、私たちのように霊力を持っている者だけの組織の創設者です。

そして、人類最強と言われるほどの力を持ち、霊術を作り出すほどの知識を持っているとも言われています。

実際のところは、どこまでが本当なのか誰も知らないのですが。」

士「知らないってなんでだ?」

隼「賢者の存在は明らかになってるんだが、外見や年齢、性別でさえ誰も知らないんだよ。」

琴「それもこれも全部、すべての国が賢者の情報を隠してるせいよ。」

士「なんで国が賢者を隠そうとするんだ?」

琴「賢者がもたらす利益がそれ程重要だからよ。

だから、どこの国も賢者を怒らせたくないわけ。」

士「なるほど、つまり白夜はそれ程の人物とつながりがあるわけか。」

琴「ようやくわかったのね。」

令「しかし、これで納得できることがある。」

琴「何かしら。」

令「白夜が万由里を救うために使った霊術だ。

あれを組むには霊術を熟知している必要がある。

賢者と接点があったというなら霊術を熟知していてもそこまで不思議ではないからね。」

琴「確かにそうね。」

万「話が終わったのなら早く検査に移りたいんだけど。」

琴「それもそうね。

じゃあ令音、検査よろしくね。」

令「ああ、ついてきたまえ。」

万「ん。」

 

その後、令音について行き様々な検査を受けた後、そのままフラクシナスに泊まった。



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31話

白夜side

 

目が覚めて時間を確認すると、ケルビエルと戦った次の日の夕方になっていた。

 

「思っていた以上にダメージを受けてたんだな。」

 

ベットから出ると髪が腰の辺りまで伸びていた。

 

「ん?そういえば、顔が変わると言ってたが髪の長さまで変わるとはな、それに体も全体的に前より細くなってるな。」

 

変化を確かめるために鏡を作って確認した。

顔は中世的で、髪は腰の辺りまで伸びて、体は全体的に細いため華奢に見える。

 

「これ、はたから見たら男か女か分からないだろうな。

まあいいや、気にするだけ時間の無駄だ。」

 

鏡を消して台所に移動し、適当に食べるものを作ってリビングに移動した。

リビングで作ったものを食べた後、これからについて考えることにした。

 

「さて、まず壊れた封印を外さないとな。

外した後どうしようかな、また封印しなおすのも面倒だし外したままでいいか。」

 

壊れた封印を外し、面倒だったので封印をしなおさないで別のことについて考えることにした。

 

「さて、これからフラクシナスに行って今回のことについて話すのもいいんだが、まあ面倒なんだよなー・・・・・よし、聞かれた時にざっくりと説明しよう。」

 

それから、特にやることもなかったので、寝室に戻っり、また眠った。

 

万由里side

 

フラクシナスで目が覚めた後、どうすればいいか分からなかったので寝ていた部屋で待っていると、令音が入って来た。

 

万「おはよ。

これからどうすればいいの?」

令「おはよう。

これからシンの家で朝食を食べるからついてきたまえ。」

万「そ。」

 

令音に言われた通りついて行くと転送装置がある部屋に着いた。

そこから、士道の家の庭に転送され、士道の家で令音と琴里、士道と一緒に朝食をとることになった。

士道の家に行くと、ちょうど朝食が出来たところだった。

 

士「万由里と令音さんも来たことだし食べようか。」

琴「そうね。

万由里、そこ空いてるから座りなさい。」

 

琴里に指さした席についた。

 

士「じゃあ、いただきます。」

琴、万、令「いただきます。」

 

士道が作った料理をみんなで食べ始めた。

 

万「美味し。」

士「口にあったみたいでよかったよ。」

万「男子にこんなの作れらたら女子の立つ瀬がないわね。」

琴「まあ、確かにそうよね。」

士「そうか?

それに一姫が言うには、白夜も料理上手いんだろ。」

万「ええ、一回しか食べたことないから確証はないけど、多分士道より上手いわ。」

士「まじか、今度料理教えてもらおうかな。」

琴「相変わらずの化け物スペックね。」

令「我々は、そんな彼をこれから攻略しないといけないんだけどね。」

琴「あんなの本当に落ちるのかしら。」

士「まあ万由里の為に頑張らないとな。」

琴「そうね。」

万「そういえば、士道たちは今日は学校に行くの?」

士「ああ、あんまり休んでると勉強が大変になるからな。

それに、白夜も学校に来るかもしれないし。」

万「私も学校行きたいな。」

 

私がそう小さな声で呟くと琴里達に聞こえたようで。

 

琴「行きたいなら転入できるわよ。」

 

琴里が転入の話をしてきた。

 

万「なら、お願い。」

琴「分かったわ。

クラスは白夜と同じクラスにしておくわ。」

万「ん、ありがと。」

 

私は、少し恥ずかしくて目を逸らした。

 

琴「じゃあ、転入の手続きをしておくから今日は、好きに過ごしていいわよ。」

万「好きしろって言われても、今白夜にもらったこの着物しか服もってないからで歩けないんだけど。」

琴「あんた霊力使えるなら服装くらい自分で変えられるでしょ。」

万「そういえば、そんなことも出来たわね。

使ったことないから忘れてたわ。」

琴「まあ、私も使ったことないけど。」

士「出歩くにしても万由里、お金持ってるのか?」

万「持ってない。」

琴「お金は後で渡すわ。」

万「ん、ありがと。」

 

話している間に全員が朝食を食べ終えた。

 

士、琴、令、万「ご馳走様でした。」

 

朝食の食器を片付けるのを手伝った後、士道たちは学校に行く準備をしに二階に上がっていった。

士道たちが準備をしている間に、令音がお金をくれた。

それから少しすると準備が終わった士道たちが降りて来た。

 

士「じゃあ、俺たちは学校に行ってくるな。」

万「ん。

私も少ししたら適当に出歩いてみる。」

士「じゃあ、家の鍵渡しておくから鍵をかけて行ってくれ。」

万「ん。」

 

私は、士道が出した鍵を受け取ってうなずいた。

士道たちが学校に行った後、士道の家のリビングでテレビを見て少し時間を潰し、昼頃に昼食を食べるために出かけた。

町で昼食を食べた後、士道たちを監視している時に来たショッピングモールを少し見て歩いた。

夕方頃に士道の家に帰り、士道たちが帰ってくるのをテレビを見ながら待った。

 

士「ただいまー。」

万「お帰り。

はい、鍵返すわ。」

士「おう、ありがとう。」

万「白夜は、今日学校に来てた?」

士「いや、来てなかった。」

 

私が士道に聞くと、士道は首を横に振って答えた。

 

万「そ。

で、今日の晩御飯はどうするの?」

士「ああ、食材を買ってきたから、これから作るよ。」

万「そ、手伝おうか?」

士「ありがとう、助かるよ。」

 

士道とリビングに移動して、料理の準備を始めていると琴里と令音が帰って来た。

琴里たちと一緒に十香と四糸乃も来た。

 

十「お、万由里もいるのか。」

万「ええ、十香と四糸乃も一緒に晩御飯食べるのね。」

十「そうなのだ。」

四「はい、万由里さんもご飯作るんですか?」

万「ええ、これから作るところだから少し待ってて。」

十「うむ、分かったのだ。」

四「分かりました。」

琴「じゃあ、よろしくね。」

万「ん、じゃあ士道早めに作ろ。」

士「そうだな。

じゃあ、始めますか。」

万「ん。」

 

士道の手伝いをし晩御飯を作り終わり、みんなで一緒に晩御飯を食べた後、士道と琴里が食器をかたずけてくれた。

十香と四糸乃は、少しの間士道の家にいた後、精霊マンションに帰った。

 

士「万由里は、これからどうするんだ?」

万「さあ、琴里どうすればいいの?」

琴「そうね。

取り敢えず、今日はここに泊まりなさい。

転入の手続きは済ませて制服とかも用意してあるから明日から学校に通えるわ。」

万「そ、分かったわ。」

令「それと、昨日の続きを話してを聞いておこうか。」

万「ああ、白夜についてね。」

琴「それもそうね。

他に白夜について何を知ってるの?」

 

琴里の質問に私は少し考えた後、思いついたものから話していった。

 

万「まず、白夜は天変地異並みの力を持ってるって言ってたわ。」

琴「ケルビエルとの戦いを見れば何と分かるわ。」

万「他には、自分の正体を調べるために旅に出たって言ってたわ。」

琴「それって白夜が人間じゃないってこと?」

万「分からない。

でも、普通の人間じゃないことは確か。」

令「確かに、霊力を持っているだけでは説明できない強さを持っているのは確かだ。

しかし、正体が何なのかは分からないがな。」

琴「白夜は、自分の正体が何かは言ってなかったの?」

万「ええ、流石に教えてくれなかった。」

琴「ならしょうがないわね。」

令「白夜が調べて正体が特定できたということは探せば特定できるかもしれない。」

琴「それもそうね。

ラタトスクに調べて貰うように言っておくわ。」

万「ん。」

士「他に、白夜について知ってることはないのか?」

万「まあ、知っていることはあるけど、特に聞いても意味ないわよ。」

琴「どんな情報なの?」

万「一姫についてのこととか。」

琴「確かに、兄妹のことを詮索するのもあれね。」

令「では、これくらいで終わりにしておこうか。」

士「じゃあ、風呂に入ってもう寝るか。」

万「ん、じゃあ先に入っていいわ。」

士「そうか、じゃあ先に入るぞ。」

万「ん。」

 

士道が風呂に入った後、風呂に入り士道に案内された部屋で眠った。



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32話

投稿するの遅くなってすみません。


白夜side

 

朝、いつものように起きて朝食を作り食べた。

その後、学校に行くための準備をして空間転移で学校の校門に移動した。

校門で靴を履き替えて教室に移動すると、朝早かったため誰も来ていなかった。

特にやることもないので自分の席に座って寝ることにした。

 

士道side

 

朝、隼人や一姫達と一緒に登校し、隼人と十香と一緒に教室に向かった。

教室に着くと、白夜が机に突っ伏して寝ていた。

 

士「白夜、今日は学校に来たんだな。」

隼「みたいだな。」

士「白夜に一昨日のこと聞いた方がいいのか?」

隼「無理だろ。

白夜は寝たらまず起きないし。」

十「叩いて起こせばよいのではないか?」

士「あいつには無理だよ。」

隼「あいつは防御力がおかしいから叩いても気が付かないんだよ。」

士「鉄パイプで叩いたらパイプが折れたしな。」

隼「まあ、一昨日のことは万由里が聞くことになってるから大丈夫だろ。」

士「それもそうだな。」

 

俺たちは、自分の席について朝礼が始まるまでの時間話して過ごした。

チャイムがなり担任のたまちゃんが教室に入って来て朝礼が始まった。

 

珠「はい、みなさんおはようございます。」

 

たまちゃんが教室を軽く見渡した後、白夜の方を見て止まった。

 

珠「神領君、今日はちゃんと来たんですね。

でも、相変わらず寝てるんですね。」

 

たまちゃんは少し落ち込んだ俯いたが、生徒は苦笑いすることしか出来なかった。

少しするとたまちゃんは、気を取り直したように顔を上げた。

 

珠「神領君は置いといて、今日は何とこのクラスに転校生が来るんですよ。」

 

たまちゃんが、そういうとクラスは少しざわつきだした。

 

珠「では、入って来て下さい。」

 

たまちゃんが入ってくるように言うと、教室のドアが開いて万由里が入って来た。

 

万由里side

 

私は、先生に呼ばれて教室に入り、黒板に自分の名前を書いて自己紹介を始めてた。

 

万「神領万由里です。これからよろしくお願いします。」

珠「はい、では神領さんの席は。」

万「白夜の席の隣でお願いします。」

珠「え!?」

 

先生の話を遮って希望を言った。

その後、なぜかクラスがざわつきだした。

 

珠「あの席はそういう風に決めるんじゃなくて。」

 

先生の話を聞かずに白夜の隣の席に座っている子のところに移動した。

 

万「席変わってくれない。」

生徒「え、あ、あの。」

万「変わって。」

生徒「は、はい!」

 

少し強めの口調でお願いすると、生徒は慌てた様子で席を移動した。

私は、机に鞄を置いて白夜の方を向いた。

白夜は、机に突っ伏して寝たままだったので、起こすため白夜の肩に手を置いた。

 

士「万由里、無駄だぞ。」

万「え?」

隼「白夜は、気分のままに行動するからな、起こそうとしても起きないぞ。」

万「そ。」

万(でも、一応は試しておこうかな。)

 

私は、視線を白夜の方に戻して、白夜の肩を揺らした。

 

万「白夜、もう朝礼の時間よ、いい加減起きなさい。」

「ん~。ああ、万由里か。」

万「ええ、おはよ。」

「おはよ。

で万由里は今日転校して来たのか?」

万「そ。

私の制服姿見て何か感想は無いの?」

「似合ってるぞ。

前の制服も良かったが、これはこれで可愛いぞ。」

万「ありがと。」

 

そこで、周りが静かなのが気になって周りを見てみると全員がこちらを向いて驚いた顔のまま固まっていた。

 

万「どうしたの?」

士「どうしたって、白夜が自分の意思以外で起きるなんて。」

隼「万由里、お前白夜に何したんだ?」

万「え?

特に何もしてないけど。」

「なんか、かなり失礼なこと言われてるような。」

万「普段の行いじゃない。」

「そんなに酷いのか。」

士「いつも寝てるじゃねえか。」

隼「しかも何しても起きないし。」

 

白夜は今までのことを思い出しているのか少しの間黙った。

 

「俺が寝てる間何かしたことあった?」

 

その一言でクラスの全員が呆れた顔をして黙った。

 

士「いや、もういいや。」

「そうか。」

珠「で、では、朝礼を続けます。」

 

その後、朝礼が終わった。

 

万「白夜、教科書ないから見せて欲しいんだけど。」

「ああ、はい。」

 

白夜は、教科書を手渡してきた。

 

万「え?白夜は教科書見ないの?」

「どうせ寝るし、それに見なくても分かるし。」

万「そ。」

万(机くっつけて一緒に見られると思ったのに。)

万「それと話したいことがあるから、昼休み屋上に行かない。

お弁当は、白夜の分作って来たから。」

「ああ、分かった。」

 

白夜と話していると一人の男子生徒が近づいてきた。

 

殿「初めまして、俺は殿町だ。

そういえば、神領さんは白夜と同じ苗字だけどどういう関係なんだ?」

万「白夜の従妹なだけよ。」

「殿町、万由里に手を出すなよ。」

万「え!?」

万(もしかして、白夜私のこと。)

殿「なんでだよ。」

「お前が親戚になるなんていやだ。」

万(なんだ。)

 

期待して少しそんした気分になったが、白夜に悟られないようにいつものように話した。

 

殿「酷くないか。」

「酷くない。」

万「そろそろ、授業始まるから席に着いたら。」

殿「おっとそうだな。」

「じゃあ、俺も寝るかな。」

殿「たまには授業中起きとけよ。」

万「そうね。

折角、起こしたんだから起きてたら。」

「んー。はあ、今日だけだぞ。」

万「そ。」

 

その後、授業が始まった。

昼休みまで、白夜は授業中寝ることなく授業を受けていた。

そのことに授業をしていた先生は全員驚いていた。

昼休みが始まると、私は令音にあらかじめ渡されたインカムを耳につけて白夜と一緒に屋上に向かった。

屋上に着くと白夜が話しかけてきた。

 

「じゃあ、あそこに座って弁当食べながら話そうか。」

万「ん。」

 

白夜の言うところに座って、弁当を出し、一つを白夜に渡した。

そこで、インカムから令音の声が聞こえて来た。

 

令『早速だが、一昨日君を救った霊術の仕組みについて聞いてくれ。』

万「じゃあ、一昨日私を救った霊術の仕組みについて教えてくれない。」

「簡単にでいいか?」

万「ん。

流石に、詳しい説明聞いても分からないから。」

「それもそうだな。

じゃあ、簡単に説明するぞ。

まず、万由里の体の詳細なデータを読み取って霊術に組み込む。

その後、ケルビエルと万由里のパスを切断することで万由里の管理者人格としての役目を強制的に終わらせる。

次に、役目を終えたことで霊力に戻りだした万由里の霊力をデータを元に作った体に入れ、その入れた霊力を最大値としてそれに耐えられ、霊力を生成できるように体を改変した。」

万「随分とすごいことやってるのね。」

「まあな、この霊術は流石にやばかった。」

万「そんな霊術をよく組めるわね。

もしかしてなんだけど、霊術を作ったのって白夜なの?」

 

白夜は、目を見開いて驚いた顔をしていた。

 

「よくわかったな。

流石にばれないと思っていたんだが、なんでわかった。」

 

琴『はあああ。』

令『琴里、少し落ち着きたまえ。』

 

インカムから琴里の叫び声とそれを宥める令音の声が聞こえて来た。

 

万「令音たちは賢者が霊術を作ったって聞いたけど、白夜は一度も賢者が霊術を作ったとは言わなかったから。

それに霊術が出来た理由を知ってたからもしかしたらって思っただけ。」

「いや、それだけで気づけばなかなかだよ。」

万「あんたならもっと少ない情報から特定するんでしょ。」

「さあな。」

令『次に、ケルビエルを倒した槍について聞いてくれ。』

 

インカムから令音が指示を出してきた。

 

万「ねえ、ケルビエルを倒した槍って何なの?」

「ああ、あれは神器だよ。」

万「名前や能力とかの説明してくれない。」

「ええ~。

面倒くさいんだけど。」

万「弁当作って来て上げたんだから、面倒くさがらずに説明してくれない。」

「はあー、それもそうだな。

まず、あの神器に名前はない。

能力は必殺。

能力は、雷を放って敵を攻撃し、雷を受けたものは槍に引き寄せられる。

そして槍に触れたものから霊力を吸収してまた霊力を放つ。

これを無限に繰り返す。

後は、この能力の影響で槍に触れた所有者以外のものから霊力を吸収する。」

万「また、すごい能力ね。」

「そうでもない。」

万「え!?

かなり強いと思うんだけど。」

 

白夜は、首を振って否定した。

 

「必殺は、手加減ができないから一度でも発動したら必ず相手を殺す。

まあ、あの時は他に霊力を使う余裕がない状況だから自分の霊力を使わなくても能力を発動出来るあれを使っただけだ。」

万「その言い分だと他にも神器持ってるの?」

「ああ、他に11本ある。」

琴『はあああ。』

令『琴里落ち着くんだ。』

士『そうだぞ、白夜が異常なのはいつものことだろ。』

 

インカムから再び琴里の叫び声とそれを宥める令音たちの声が聞こえて来た。

琴里の気持ちは分からないでもないが、もう慣れるしかないんだろうな。

 

万「琴里たちからは賢者が持っている5本しかないって聞いたんだけど。」

「それは、あいつが見つけて発表した分だけだろ。」

万「なるほど。」

 

その後、白夜は弁当を開けて食べ始めた。

 

「お、この卵焼き上手いな。

焼き色も綺麗だし。」

万「ありがと。

今朝、士道に味付けや焼き方のコツを教えてもらいながら作ったから。」

「なるほど、あいつが教えたからか。」

万「そ。

流石、普段から作ってるだけあるわ。」

「まあ、料理はやればやるほどうまくなるって誰かが言ってたしな。」

万「そ。

ねえ、話は変わるんだけど、白夜の家に住んでもいいかな。」

「ん?ああ構わないぞ。

でも、どうしてだ、てっきり精霊マンションに住むと思ってたんだが。」

万「やっぱり、一週間とはいえ住んでいたから白夜の家の方が慣れてるから、出来ればそっちの方がいいかなって。」

「まあ、いいぞ。

前にも言ったが家は無駄に広いからな。」

万「ありがと。」

 

白夜は、私の方に手を向けて少し光るとすぐに収まった。

 

万「今の何?」

「俺の家に入るための許可証みたいなものだ。

それがあれば俺の家に自由に入ることが出来る。」

万「そういえば、白夜の家って別空間にあるんだったわね。」

「ああ、それでいつから家に来るんだ?」

万「特に荷物はないから士道の家においてある荷物を持ったらすぐに行けるわ。」

「そうか。

今日は、少しやることがあるから勝手に入っていていいぞ。」

万「そ。」

令『こちらの用事は大体終わった。

そろそろ、君と白夜のデートについての話を始めてくれ。

丁度いいことに、明日は休日だしな。』

 

インカムから令音がデートについての話をするように指示が来た。

 

万「ねえ白夜、明日私とデートしてくれない。」

「ん?別にいいが、どうしてだ?」

万「士道たちのデート見てたら私もしてみたくなったし、服とか持ってないから買いに行きたいの。」

「ふーん。」

万「それに白夜、普通のデートできるって言ってたじゃない。

本当に出来るか確認したいし。」

「へー。

いいぞ、やってやる。」

万「じゃあ、明日ね。」

「てか、デートに行く服はあるのか?」

万「それは、霊力で何とかするから。

後は、買った服をその場で着ればいいかなって。」

「そうか。

さて、弁当も食べたことだし、そろそろ教室戻ろうぜ。」

万「ん。」

 

私たちは、弁当を片付けて教室に移動した。

午後も白夜は授業中眠そうだったが寝ずに授業を受けていた。

午後の授業が終わり下校の時間になった。

 

「じゃあ、先に帰るわ。」

万「そ。」

 

白夜は、空間転移で先に帰った。

 

白夜side

 

万由里達を置いて先に帰った後、空間を作って入った。

 

「さて、昨日はしなかったが、力の制御一応練習しとかないとな。」

 

服を霊力で普段着ている甚平に着替えた。

 

「封印を限定解除、時間制限無し。」

 

封印を一時的に解除すると、封印をかける前より力が上がっていた。

 

「転生した時もそうだったが、やっぱり漫画や小説で読むだけじゃ、強さがはっきりとは分からないもんだな。」

 

それから、魔神化し力の加減などいろいろ試した。

 

「身体能力も大分上がってるけど、やっぱり霊力量がものすごく上がってるな。

さて、じゃあ新しい神器でも作るか。

霊力量が前より圧倒的に多いから今までで最高の物が作れるがかな。」

 

それから何時間かけて新しく神器を二つ作った。

一つは、そして不滅の神域封剣の龍刀天叢雲剣とその鞘の龍刀薄紅桜のデザインで作った。

もう一つは、黒い鞘の鍔の近くに万由里の白い制服の首元にあったハートに羽が付いた模様が白色で描いてあり、鍔は金色の歯車の形をしており、柄の目貫が獅子の模様で色は鍔と同じ金色で他は特に変わったところの無い普通の刀だ。

 

「ふー。

気づいたら結構時間たってるな。

まあ、いい物が出来たしいいか。

封印限定解除終了。」

 

限定解除を終了した後、天叢雲剣を自分の体に一体化させ、もう一つを手に持って空間を出た。

すると、万由里がリビングのソファーで眠っていた。

毛布を作り万由里に毛布を掛けた後、神器をリビングの隅に置いて台所に移動して材料がどれくらいあるか確認すると、今朝作った時と変わっていなかったので、万由里は晩飯を作って食べてないんだろう。

なので、万由里の分まで晩飯を作り、リビングに運んだ。

万由里に近づき軽く揺さぶるとすぐに目を覚ました。

 

万「ん、おかえり。

いつ帰って来たの?」

「少し前にな。

晩飯は、食べたのか?」

万「いいえ、まだ食べてないわ。

今から作るから待ってて。」

「いや、待たせたのは俺だからさっき作った。

だから、早く食べて寝るぞ。」

万「そ、ありがと。」

「気にするな。

俺が待たせたんだし。」

 

椅子に着き、料理を食べた。

 

万「はあー。

相変わらず、料理上手いわね。」

「そりゃあ、子供のころからよく作ってるし。」

万「じゃあ、洗い物してくる。

料理作ってくれたし、洗い物くらいはするわ。」

「おう、ありがと。」

 

万由里が台所に行き少しすると帰って来た。

 

「おつかれ。」

万「別に大したことじゃないわ。

それと、あの刀何?」

 

万由里が部屋の隅に置いてあるさっき作った神器を指さして聞いてきた。

 

「ああ、これか。

神器だよ。」

 

神器を手に取り、万由里に見せた。

 

万「え!?じゃあ、それが11本あるって言ってたうちの一つ?」

「いや、学校から帰った後作ったんだよ。」

万「え!?神器作れるの!?

それに学校終わってから5時間くらいしか経ってないけど、そんな短時間でできるの!?」

 

万由里は、驚くことが多すぎたのかかなり狼狽えていた。

 

「まあ、取り敢えず落ち着け。」

 

万由里は、深呼吸して冷静さを取り戻した。

 

万「じゃあ、神器ってそんな簡単に作れるの?」

「いや、全然。

神器を作り出したのは俺だけど、簡単ではないぞ。

今回のこれも10時間はかけたからな。」

万「え!?でも学校終わってからそんなに経ってないけど。」

「ああ、時間の流れがここより早い空間にいたからな。

ここで5時間ならあの空間だと25時間くらいかな。」

万「え!?じゃあ一日以上いたの?」

「ああ、汗かいたから早く風呂に入りたい。」

万「そ。

じゃあ、入りましょ。」

「ああ、その前にこの神器プレゼントな。」

万「え!?

でもいいの?」

「ああ、いいぞ。

それにもともと万由里にあげるために作ったんだし。」

万「そうなの?でもなんで私の為に?」

「万由里、精霊じゃなくなって天使使えないだろ、だから今後天使の代わりになればと思ってな。」

万「そ。

でもそれ能力なに?」

「それは風呂でゆっくり話すさ。

取り敢えず、これを体と一体化してから行こう。」

万「どうやるの?」

「これ持って、自分の中に入るイメージをすればいい。」

万「ん。」

 

万由里は、神器を受け取ると言われた通りイメージしたのか神器が体と一体化した。

 

万「神器って全部こんななの?」

「いや、それと一緒に今日作った二つだけ。」

万「ふーん。

じゃあ、風呂に行きましょ。

先に行っていいわよ、汗かいてるんでしょ。」

「ああ、じゃあ先に行ってる。」

 

その後、いつものように風呂に入った。

いつものことでどれくらい時間を空ければいいのかもう分かっているのか時間を言ってないのに丁度いいタイミングで入って来た。

 

「もう時間言わなくてもタイミング分かるようになったんだな。」

万「まあ、一週間も経てばなんとなくね。」

「そうか。」

 

いつものように、霊術で万由里の体の汚れを落とした。

 

万「ねえ、今度からは私普通に体洗って入りたいんだけどいい?」

「ん?別にいいが、どうしたんだ?」

万「やっぱり、体洗わないと気になるのよ。」

「そんなものか。

汚れとかはちゃんと落ちてるんだが。」

万「それでも、女子はいろいろ気にするのよ。」

「まあいいぞ。

じゃあ、体洗うところ明日までに作っておくよ。」

万「ありがと。」

「じゃあ、神器の能力について説明するぞ。」

万「お願い。」

「あの神器の能力名は万能だ。

まず、所有者の身体能力を上昇させる。

さらに、神器を媒介に色んな属性を扱うことができる。

それに、なんでも切ることが出来る。

で、鞘の方は所有者を守る結界を常に張ってくれる。

後、鞘を媒介にすると強い結界を張れるようになるぞ。」

万「あの槍と違っていろんなことができるのね。」

「ああ、一つのことに圧倒的な力があるより、全てのことに一定以上の力がある方が色んなことに対処できるから便利で強いんだよ。」

万「なるほど、使いこなせるように頑張るわ。」

「まあ、使い方は万由里の好きにすればいいさ。」

万「そ。」

「じゃあ、もう上がって寝るか。」

万「ん。」

 

風呂から上がって寝室に移動し、ベットに入った。

 

「そういうば、ずっと同じベットで寝るのか?」

万「ん。

もう慣れたからいいかなって。」

「そ。

じゃあ、寝るか。」

万「ん、おやすみ。」

「おやすみ。」



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33話

今回で万由里とのデートを全部書いたのですが、文字数が2万を超えるほど長くなってしまいました。
なので、かなり長いと思いますが最後まで読んでくれると嬉しいです。


白夜side

 

朝いつものように目が覚めた。

隣を見ると、まだ万由里は寝ているようだ。

 

(今日は、万由里とデートか。

でも、昨日も思ったけどなんでデートなんだ?

服が買いたいなら言ってくれれば、いつでもついて行くのに。

まあいいか、どちらにしろ万由里と出かけられるだけで嬉しいしな。)

万「ん〜。」

 

考えごとをしていると、万由里が起きたようだ。

 

「おはよ。

今日はデートするんだろ。

早く朝食食べて準備しないと、時間なくなるぞ。」

万「おはよ。

わかってる。」

 

万由里は、そういうと眠そうに目を擦りながらベットから出るとすぐに寝室を出て台所に向かった。

それについて白夜も一緒に寝室を出てリビングに向かった。

リビングのソファーに座っていつものように待っていると、万由里が朝食を持ってリビングに入ってきた。

万由里はいつものようにテーブルに朝食を置いて椅子に座った。

白夜もいつものように万由里の正面の椅子に座った。

白夜が椅子に座った後、二人ともすぐに朝食を食べ始めた。

その後、朝食を食べ終わると万由里が今日のことについて話し始めた。

 

万「この後、私は士道の家に行って色々準備するから、白夜はこの前隼人の番で行ったデパートの入り口前で待ってて。」

「わかった。

集合時間はどうする?」

 

時計で時間を確認すると8時になる少し前だった。

万由里も時計を見て時間を確認し、少し考えた顔をした。

 

万「じゃあ、10時に集合で。」

「わかった。

食器は片付けとくから準備しに行っていいぞ。」

万「ん。

じゃあ、よろしく。」

 

万由里は、そう言った後リビングを出て、その後すぐに家を出て行った。

万由里が行ったので、食器を台所に持って行き洗って片付けた。

 

(さて、流石にデートにこの服装で行くのはまずいよなー。

ん〜、9時半くらいになったらなんか服作っるか。)

 

そんなことを考えた後、いつものようにソファーに座ったが。

 

(ん〜、やっぱり万由里とデートするとなると落ち着かないなー。)

 

白夜にしては珍しく緊張していた。

それを紛らわすためにソファーに寝っ転がってくつろいでいたが、いつもしているためか、気が紛れなかったので何かないかと少し考えた。

 

「そうだ。」

 

白夜は、リビングの端にハンギングチェアーのエッグ型を作った。

そのハンギングチェアーに座った。

 

「思ったより、これ快適だな。」

 

ハンギングチェアーの予想以上の快適さで緊張が多少ほぐれた。

その後、少しの間そのままの状態でくつろいだ。

少しくつろいだことで落ち着いたため、色々と今まで考えないようにしていたことが浮かんできた。

 

(はあー、万由里に会えて嬉しかったのはあるが、いろいろ好き勝手やり過ぎたなー。

自分で思ってた以上に万由里のこと好きだったのかな?

それとも片思いのまま20年近く会えなかったから浮かれてたのか?)

 

白夜は目を瞑って浮かんだ考えを頭の中でまとめた。

 

(これからは、あまり無理強いしないで万由里の意見も聞かないと嫌われるよなー。

でも、万由里に会って話せるだけで十分に幸せだと思ってたのに、実際に会うと欲が出るんだなー。

万由里のことをもっと知りたいし、万由里と恋仲になりたいなんて万由里に会うまでは出来たらいいなくらいにしか思ってなかったのに、万由里と話してたり、一緒ご飯食べたりしてるうちにどんどん強くなって、抑えるだけでも一苦労だ。)

 

白夜は、ため息をついて目を開けて目線を上げた。

 

(今日、万由里に告白してみるか。

駄目だったら潔く諦めよう。

でも、出来れば友達くらいの関係ではいたいな。)

 

白夜は決意を固めた後、時計を見ると時間が9時半になった。

 

「そろそろ、服を作るか。」

 

白夜は、どんな服にするか少し考え服を決めると、いつも着ている服を霊力で変化させた。

服は、白い半袖のTシャツに黒い半袖の帽子付きパーカーを羽織って、ジーンズを履いていた。

 

「こんなもんでいいかな?」

 

いつも同じ服を着ているため白夜は、一般的なセンスがわからないため服装がこれでいいかわからなかった。

 

「はあー、もう少し一般的なことも知っておいた方がいいな。」

 

白夜は、ため息をつきながらそんなことを思った。

 

(十分前に待ち合わせ場所に空間転移で行こ。)

 

白夜は、待ち合わせ場所にいつ行くか決めて、ハンギングチェアーに座り時間を潰した。

 

万由里side

 

家を出てそこで少し待つと、浮遊感がして気が着くとフラクシナスの転移装置がある部屋にいた。

そこに令音がいて、司令室まで案内してくれた。

 

万「白夜を攻略するための用意は出来てる?」

琴「一応、いくつか作戦を考えたけど、相手はあの白夜だからうまくいく保証はないわよ」

万「それくらい、わかってる。」

令「服装は自分で考えると言っていたが決まったかね?」

万「まあ一応ね。」

 

令音の質問にそう返して服を霊力で変化させた。

上半身は、黒色で胸の上からは布が無くあるのは黒色の細い紐が両肩を通って背中まで伸びているだけ、その上に薄い青色で肩が出ているが少し袖が付いて多少避けている服を着ていた。

下は、黒色の膝より少し上くらいまでのスカートを履いていた。

靴は、サンダルで足首のあたりまであり、かかとの部分がすこし高い黒色のブーツサンダルを履いる。

 

万「これで行こうと思ってる。」

琴「士道と隼人、男から見た感想は?」

士「俺はいいと思うぞ。」

隼「ああ、俺も同じだ。

でも、白夜がどう思うかはわからないぞ。」

万「わかってる。

で、白夜をどうやって攻略するの?」

琴「それはデート中に報告するは、白夜の反応次第で臨機応変に変えないといけないから。」

万「それもそうね。」

令「だが、今のところ白夜の君に対しての好感度は士道や隼人と同じくらい、つまり友達くらいには思われているということだ。」

万「そこから好感度をさらに上げればいいのね。」

令「ああ、しかし白夜は精神力で心拍数を抑えたり出来ることから、この好感度も正確とは言えない、もしかしたら、もっと高いかもしれないし、その逆もありえる。」

万「そ。」

琴「なるほど、結構厄介ね。

ちなみに昨日も白夜の心拍数測ってたのよね、結果はどうだったの

?」

令「昨日も心拍数に変化はほとんどなかった。」

万「ほとんどってことは変化したところがあったの?」

令「ああ、まず万由里が白夜を起こして万由里を見た時、次に万由里が白夜が霊術を作ったと当てた時、最後に君がデートに誘った時だ。

どの反応もほんの少し心拍数が高くなっただけですぐに落ち着いている。」

琴「どれも万由里と関係してる時ね。

意外と脈ありだったりして。」

万「流石にそこまで単純じゃないんじゃない。」

士「確かに、相手は白夜だしな。」

令「万由里とシンの言う通りだ。

最初の時は万由里がいることに驚いただけかもしれないし、次は霊術を作ったことを言い当てられたことだ驚いただけかもしれないし、最後もいきなりなことに驚いただけかもしれない。」

一「確かに、兄さんも寝起きやそれくらいのことがあれば流石に驚くでしょうし。」

万「そ。」

 

今の段階では、白夜が私をどう思うか何もわからないことがわかったので、少し落ち込んだ。

私が俯いて、落ち込んでいることに気づいた士道たちも黙ってしまったので暗い雰囲気になった。

すると、令音が。

 

令「それと、昨日の万由里の心拍数はかなりの変動があった。」

万「え?」

 

私は予想外の言葉に思考が止まった。

 

令「まず白夜に制服を可愛いと褒められた時、殿町に万由里と付き合うなと言った時、一緒の家に住んでいいって言われた時、弁当を美味しいと言われた時、デートの話をした時など他にも何回かあった。

そのいずれも、あまり表情には出ていないが多少顔を赤くしていた。」

 

令音にそう言われて私は、恥ずかしくなり俯いた。

私は、鏡を見なくても顔が赤くなっていることがわかるくらい顔が熱くなっているのを感じた。

 

琴「まあ、好きな人を相手にしてたんだから当然よね。」

隼「そうだな。

好きなんだから心拍数が上がるのはしょうがないよな。」

士「そうだな。

まあ気にしなくていいぞ。」

一「そうですよ。

それに私は応援しています。

万由里さんのことを義姉さんと呼ぶことまだ考えています。」

 

みんなが、気を使ってくれているが、逆に恥ずかしさが増した。

 

万「お願いだから、あまり気を使わないで、逆に恥ずかしくなるから。

それと一姫、そんなことは考えなくていいわ。」

 

おそらくみんな私を気遣うような目で見ていることが、見なくてもわかる。

そのため、私が言った言葉でみんな何も言わなくなった。

と思ったが。

 

令「ちなみに万由里の白夜に対する好感度は」

万「令音、お願いだからそれ以上は言わないで。」

 

令音は気を使わないで、さらにとんでも無いことを言おうとしたが、その言葉を私は遮った。

しかし、令音はまだ続きを言おうとしていることに気づいた。

 

琴「『ラ・ピュセル』の限定ミルクシュークリーム10個。」

令「なんでもない。」

万「ありがと。」

琴「気にしなくていいわ。

あんたと白夜がうまくいけば、これから白夜をコントロールしやすくなるからね。」

万「私が言っても言うこと聞くかわからないけど。」

琴「でも、今よりはコントロールしやすくなるわよ。」

万「そ。」

 

令音の発言を止めた琴里はそんなことを言っているが本心なのかはわからない。

 

令「それはさておき万由里、今の君は他の精霊に比べてかなり身体能力と霊力量がかなり高い。

そのため、力の加減は気をつけてくれ。」

万「ん。

今のところちゃんと制御できてるから大丈夫だと思う。」

 

令音が真面目な注意を来た。

 

琴「そろそろ待ち合わせの時間ね。

待ち合わせ場所の近くに送るわ。」

万「ん。」

 

そういうと私は転移装置がある部屋に移動した。

その後、待ち合わせ場所であるショッピングモールの近くの人気がないところで降ろされた。

そこからショッピングモールの入り口前に移動した。

待ち合わせ場所に着くとまだ時間まで5分はあるのに白夜はすでに待っていた。

 

万「おまたせ、まった。」

「いや、待ってないぞ。

着いたのは、少し前だしな。」

万「そ。」

 

白夜の服装をよく見ると、いつも着ている和服ではなかった。

 

万「服、いつもと違うの着て来てくれたんだ。」

「まあな、流石にあの服でデートするのはダメだと思ったからな。」

万「そ。

その服似合ってるわよ。」

「ありがと。

万由里もその服とてもよく似合ってるぞ。

今まで俺が作ったワンピースや制服は見てきたが、万由里が自分で選んだ服を見るのはこれが初めてだな、とても可愛いよ。」

万「!?」

 

その言葉に恥ずかしくなり、言葉を返すことが出来なくなった。

おそらく、顔も赤くなっているだろう。

 

万「ありがと。

じゃあ、早く行きましょ。」

「そうだな。」

 

そういうと、白夜は手をこちらに出してきた。

 

万「どうしたの?」

「仮にもデートなんだろ、なら手ぐらい繋ぐもんじゃないか?」

万「そ、それもそうね。」

 

そう言って白夜の手を取ったが、先程服を褒められた時より恥ずかしくて顔が熱くなったので、今とても赤くなっているのだろう。

それを白夜にあまり見られたくなかったので、顔だけ白夜がいる反対側を向いて俯いた。

すると、インカムから令音の声が聞こえた。

 

令『万由里、わかっているだろうが、君が白夜を攻略しなくてはいけないのに、君が白夜に攻略されてどうする。』

万「わかってる。」

 

その令音の声に白夜に聞こえないように返した。

 

隼『あれが無意識でやってるなら相当だな。』

一『おそらく、無意識です。

昔、ここまでではありませんが、無意識のうちに女子を攻略していましたから。』

琴『それで、女子に好かれてることに気づいてないって酷いわね。』

士『確かにな。』

 

士道たちがいろいろ言ってるが、それを無視して大分落ち着いたので白夜の方を向いた。

 

万「じゃあ、行きましょ。」

「なんだ、もう戻ったのか。

照れてる姿、可愛かったのに。」

万「もういいから行きましょ。」

 

白夜の言葉にすこし恥ずかしくなったが、気にしていたら終わらないので無視して白夜の手を引っ張って少し強引に移動を始めた。

 

白夜side

 

万由里に手を引っ張られ移動を始めた。

いつまでも万由里に引っ張られているわけにもいかないので、万由里と横並びになり万由里のペースに合わせて歩き始めた。

 

「で、最初はやっぱり服から見るのか?

それとも何か別の店を見に行くか?」

 

万由里は、その質問に俯いて考え始めた。

 

万「やっぱり、服から見たいわ。

この服はあくまで霊力で作っただけだから。」

「そうか。

でも、折角万由里が服を考えて来たのに着替えるのはもったいないな。」

万「そう?」

「ああ、・・・そうだ。

万由里、その服良かったら霊力による一時的なものじゃなくて普通の服にすること出来るけど、どうする?」

 

白夜は少し考えた後、万由里にそう提案した。

万由里は、少し驚いた顔で聞き返してきた。

 

万「え!?

そんなこと出来るの?」

「ああ、もともと俺の能力は、壊したり霊力を供給するの止めたりしたら消えるようなものだったんだ。

それを霊術で情報を書き換えて、霊力を実際の物質に変化させて実物の物にしてるんだから。」

万「やっぱり、相変わらず霊術の説明はあまり理解できないわ。」

「まあ、理解できる人の方が少ないからな。」

で、どうするんだ?」

 

そう聞くと万由里は、こちらから目を逸らし俯いた。

どうしたのかと思うと横顔が少し赤くなっていた。

 

万(白夜、さっき可愛いって言ってたからしてもらおうかな。)

万「この服、本当に似合ってる?」

「ああ、さっきも言ったけど、よく似合ってて可愛いよ。」

万「そこまで聞いてない。

でも、ありがと。」

 

万由里は、まだ顔をすこし赤くして俯いていた。

 

(やっぱり、照れて赤くなる万由里は、アニメとかで見たことなかったから新鮮でいいな。

それに、とっても可愛い。

万由里も可愛いって正面から言われたら恥ずかしいって思うんだな。)

万「じゃあ、この服を実物の服にして。」

「わかった。」

 

万由里の着ている服に手をかざし霊術により情報を書き換えて実物の服に変化させた。

 

「終わったぞ。

大した変化がないから分からないだろうがな。」

万「確かに変化がないから分からないわね。」

「じゃあ、服を買いに行くか。」

万「ねえ、白夜の能力とこの霊術を使えば服買わなくても見るだけでいいんじゃ?」

「それを言ったら全ての物を作ることが出来るから。

それに、お金も使わないと無駄に余ってるからな。」

 

万由里は、先ほどまで赤かった顔はいつも通りになり、疑問に思ったことを聞いてきた。

それに対する白夜の返答に万由里は、顔が少し引きつっていた。

 

万「確か国家予算並みに余ってるんだっけ?」

「ああ、いい加減に消費しようと思ってたところだから丁度いい。」

万「でも、国家予算なんて普通の買い物じゃあ減ってもわずかじゃない。

そんなの無くす方が無理じゃない?」

「まあな、でもしないよりましだろ。

それより、服を売ってるエリアに着いたぞ。」

万「そのようね。」

 

万由里と貯金を減らす話をしていると、早速服を売っているエリアに着いた。

 

「じゃあ、気になった店があったら言ってくれ、その都度寄って気になった服を見ていこう。」

万「ん。」

 

店の回り方を決め、服屋の前を歩いて回り始めた。

歩いて回り始めて少し経つと、万由里がある店の前で止まった。

 

万「この店、見て行こ。」

「分かった。」

 

万由里と店の中に入り、店内の服を見ながら歩いていると、万由里がたくさんの服がかけてあるところで止まりこちらを見て来た。

万由里の言いたいことが分かったので、繋いでいた手を放した。

 

「好きに手に取ってみればいいさ。」

万「ん。」

 

万由里は、服を手に取ってよく見ながらじっくりと考えて選び始めた。

しばらく服を選んでいる万由里を見ていた。

 

(服を真剣に選んでる万由里をずっと見てるだけでも飽きないな。

女子の買い物に付き合うのはかなりきついって聞いてたけど、万由里の買い物に付き合うのは悪くないな。)

 

そんなことを考えていると、万由里が両手に服を一着ずつ持って白夜に見せて来た。

 

万「この二つだとどっちがいいかな?」

(あ~、デートで服を買う時の定番のパターンだ。

ん~、どう答えていいかわかんないな。

よし、思った通りに答えよう。)

 

そう考え万由里の持っている服をよく見てみる。

右手に持っているのは、薄い水色のワンピースで肩全て出るようになっていて、肩回りとスカートに少しフリルが付いていた。

左手には、右手と同じくワンピースだったが、色は白で肩の部分はちゃんとあり、前に万由里に作って渡したワンピースに似ているが、首回りとスカートの端に少しフリルが付いていて、スカートの丈も短い。

二着をよく見比べてみるが、服だけ見て選ぶのは難しく何とも言えなかった。

 

「服を見ただけだと、どっちがいいか分からん。」

万「・・・それもそうね。」

 

万由里は、納得したような顔をした後、一瞬少し目を見開いて驚いた顔をした。

 

「どうかしたのか?」

万「な、なんでもない。

それより、服だけで分からないなら試着してみるわ。」

「ん?

そうか。」

(今、万由里が少し焦っていたようだが、表情はあまり変わってなかったので気のせいだろう。)

 

万由里の行動に違和感を覚えたが取り敢えず気にしないことにした。

万由里は、試着室に二着を持って入っていった。

試着室の前で着替え終わるのを待っていると、万由里が試着室のカーテンの端から顔と片手を出して近くに来てと言いたいような合図を出してきた。

なので、近くに行ってみると。

 

「どうした?」

万「背中に手が届かないから背中にあるチャック上げて。」

 

万由里はそういうと後ろを向き背中をこちらに向けて髪をサイドアップしている右側によけ前側に持って行った。

長い髪で隠れていた背中は、先ほど左手に持っていた白いワンピースの背中のチャックが背中の真ん中くらいの中途半端なところまで上げられていた。

ワンピースのチャックが途中までしかしまってないため、その間から肌とピンク色の下着が少し見える状態だった。

しかも髪を避けているため、うなじや首元まで綺麗に見えるためとても色っぽく見えた。

流石にこれは、平常心を保つのがとても一苦労だ。

試着室の鏡が目に入ると、そこには顔を赤くして俯いている万由里が映っていた。

それを見て白夜も覚悟を決めて、万由里に言われた通り背中のチャックを上げた。

 

「上げたぞ。」

万「あ、ありがと。」

 

そういうと万由里は、髪を元に戻してカーテンを開けてこちらに向き直った。

 

万「・・・どう?」

 

白いワンピースを着た万由里をよく見た。

 

「ああ、よく似合ってる。

前に渡したワンピースに似ているが、あれとはまた違った雰囲気があって可愛いと思うよ。」

「そ。」

 

そういうと万由里はすぐにカーテンを閉めたが、少し間を開けて先ほどと同じように顔と手を出して合図して来た。

 

万「チャックさっきのところまででいいから下ろして。」

「分かった。」

 

先ほどと同じように髪を避けて背中をこちらに向けて来た。

そして先ほどチャックがあった辺りまで下ろした。

 

「下ろしたぞ。」

万「ありがと。」

 

そういうとカーテンをキッチリと閉めた。

次は先ほどのようなことは無く普通にカーテンが開いた。

そこには、右手に持っていた薄い水色の肩が出ているワンピースを着ていた。

 

万「こっちはどう?」

「さっきの白いワンピースとは違ってかなり色っぽいな。

スカートはさっきのより長いが肩が出てるからか色っぽい大人って感じの雰囲気が出てていいと思うぞ。」

万「そ。」

 

そういうとまたカーテンを閉めた。

次にカーテンが開いた時は最初に来ていた服に戻っていた。

試着室から出て来た万由里は、さっきと同じように二着を両手に持っていた。

 

万「で、どっちがいい?」

「俺は、左手の白いワンピースの方が好きかな。

右手の水色のワンピースもいいけど、なんていうか色気が強すぎるからな。

まあ、そんな理由で白い方かな。」

万「そ。」

 

万由里は、そういって元の位置に水色のワンピースを戻そうとしていた。

 

「万由里は、その水色のワンピースも気に入ったのか?」

万「え?

まあ、こっちもいいかなとは思うけど、どうして?」

 

理由が分からない万由里は、首を傾げている。

白夜はそんな万由里に、手を伸ばした。

 

「気に入ってるなら両方買うってこと。」

万「ああ、そっか。

お金かなり余ってるんだったわね。」

「そういうこと、他に欲しいものがあったら言えよ。」

万「と言っても、服は取り敢えずこの二着でいいかな。」

「そうか。

じゃあ、この二着だけ買ってくる。」

 

万由里から服を二着受け取るとレジに持って行き会計を済ませた。

 

万由里side

 

白夜に服だけを見てもよくわからないと言われた後、インカムから琴里が指示を出してきた。

 

琴『万由里、丁度いいから試着しなさい。

試着室に入ったらまず白いワンピースの方を着て。』

万「どうして?」

 

白夜に会話を聞かれないように注意しながら小声で話した。

 

琴『白いワンピースの方は背中側にあるチャックを上げて着るタイプだからよ。

背中に手が届かない振りをして、白夜にチャックを上げさせるのよ。』

 

琴里の指示に少し動揺して、それが顔に出たのか白夜に気づかれそうになった。

その後、琴里に言われた通り試着室に入り白いワンピースを着た。

チャックは、不自然思われないようにある程度自分で上げて置き、琴里の指示通り白夜に上げてもらうため、カーテンから顔と片手を出して近くに来るように合図を出した。

 

「どうした?」

万「背中に手が届かないから背中にあるチャック上げて。」

 

そういった後、白夜に背中を向けて髪を右側によけ前に持ってきた。

おそらく、チャックの間から肌と下着が少し見えているだろう。

それを見られていると思うと、恥ずかしくなり俯いた。

ちょうど、背中を向けているので顔が赤くなっていても気づかれないだろう。

 

「上げたぞ。」

万「ありがと。」

 

白夜がチャックを上げたのを確認すると髪を戻してカーテンを開け、白夜に服の感想を聞いた後カーテンをすぐに閉めた。

 

万(流石に、これはかなり恥ずかしい。)

 

カーテンを閉めた後、恥ずかしかったので落ち着くまでカーテンを閉めたままにしておいた。

すると、インカムから琴里が指示を出してきた。

 

琴『万由里、脱ぐ時もチャック下ろしてもらわないと怪しまれるわよ』

万「わかってる。」

琴『わかってるならどうして?』

万「流石に、恥ずかしいから落ち着くまで待ってるだけ。」

琴『そ。

じゃあ、落ち着くの邪魔しちゃったかしら?』

万「大丈夫。

もう落ち着いたから。」

琴『じゃあ、頑張りなさい。』

 

その後、白夜にチャックを下ろしてもらい白いワンピースを脱いで着替えた。

次に、水色のワンピースを着てカーテンを開けまた感想を聞いてすぐにカーテンを閉め、着替えながら心を落ち着かせた。

 

万「令音、さっき白夜の心拍数に変化あった?」

令『ああ、今まで一番大きな反応だが、士道や隼人に比べるとほんの少し動いた程度だ。

これは、かなり大変だろうから頑張ってくれ。』

万「そ。」

 

インカムで白夜の先ほどの反応について聞いた後、試着室から出た。

 

万(あそこまでした甲斐があって良かった。

あれで無反応なんて結果だったら流石に立ち直れる自信ないわね)

 

今まで一番大きな反応だったことに心の中で喜んで、白夜にどちらの服がいいか改めて聞いた。

結果は、白い方だった。

水色の方も悪くはないが色気が強いとのことなので元の位置に戻そうとしたが、両方買ってくれるというのでお願いし、レジに向かう白夜について行った。

 

白夜side

 

万由里の服を買い店を出た。

 

「この服すぐに着るわけじゃないんだろ。」

万「ん。

今日は、この服でいるわ。」

「分かった。

じゃあ、家に送っておくわ。」

万「そ。」

 

万由里にそう言った後、買った服を家に霊術で転送した。

服を転送した後、手を下ろすと万由里が手を握って来た。

 

万「そろそろ昼食を食べる店を探しに行こ。

お昼時になると店が混んでなかなか食べれなくなるだろうし。」

「ああ、それもそうだな。」

(万由里から手を繋いでくるとは思わなかったな。

さっきは勢いでやったけど、急にやられると恥ずかしいな。)

 

万由里と手を繋いだまま、昼食を食べる店を探すため料理店がまとまっているエリアに移動した。

 

「さて、何食べるか。

俺は、特になんでもいいが。」

万「私もなんでもいいかな。」

「じゃあ、適当に見て回るか。」

万「ん。」

 

料理店を見ながら歩いて回り出した。

見ているといろいろな店がある。

寿司屋に和食や焼き肉など様々だが、万由里と一緒に食べれるだけで白夜は満足なので本当に何でもいい気分だった。

白夜も気づいていないが、万由里も白夜と食べれることが嬉しいためなんでも良かった。

 

「いろいろ見て回ったが、やっぱり何でもいいな。」

万「ん、どうする?」

「ん~、じゃあ寿司にするか

回転寿司なら寿司以外にもいろいろ食べる物あるし。」

万「それもそうね。

じゃあ、回転寿司にしましょ。」

 

万由里と先ほど見かけた回転寿司に入った。

店に入るとまだ昼食を取るには早いので、客は少なかった。

そのため、すぐに席に案内された。

 

「じゃあ、食べますか。」

万「ん。」

「ほい、小皿。」

 

万由里に醤油を入れる小皿を取って渡した。

 

万「ありがと。

はい、お茶。」

「ありがと。」

 

すると、万由里がお茶を入れて渡してくれた。

 

「何食べるかな~。」

万「回ってくるのから選べば。」

「それもそうだな。

ん~、マグロにするか。」

万「じゃあ、私はサーモンかな。」

 

回って来た皿の中からマグロの皿を取った。

万由里はサーモンの皿を取った。

白夜は取ったマグロの一つを食べる。

 

「ん、思ってたより美味しいな。

ここの回転寿司初めて来たけど、結構美味いな。」

万「そうなんだ。」

 

万由里は、白夜と同じようにサーモンを一つ食べた。

 

万「ほんとだ。」

「万由里もマグロ食べてみるか?」

万「え?

ん~、食べようかな。」

「じゃあ、あ~ん。」

 

そういって万由里に残っているもうひとつのマグロに醤油をつけて万由里の口の近くに運んだ。

すると、万由里は少し驚いて少しの間迷った後、差し出されたマグロを食べた。

その際、顔を少し赤くしていた。

 

万「ん、確かに美味しい。」

「そりゃよかった。」

万「白夜もサーモン食べる?」

「ああ、もらうよ。」

万「はい、あ~ん。」

 

次は、万由里がサーモンを白夜の口の近くに運んで来た。

それを白夜は、迷わずに食べた。

 

「ん、これもうまい。」

万「そ。」

 

万由里がそう言った後、何かに気づいたように周りを見た後、顔を耳まで赤くして俯いた。

どうしたのかと思い万由里と同じように周りを見てみると、こちらを見て微笑ましい物を見るような目で見ている他の客や店員がいた。

 

(なるほど、人前で食べさせ合いしたのが恥ずかしかったのか。

もうちょっと後で人が多くなった時にやってたら、どうなってたんだろうな。)

 

取り敢えず、視線に気づいてないふりして、たこの皿を取りもう一度万由里の口の近くに運んで。

 

「あ~ん。」

 

と言ったら、顔を赤くしたまま俯き気味にこちらを恨みがましい目つきで見て来た。

 

万「分かっててやってるでしょ。」

「ばれてたか。」

万「なんで白夜は平気なのよ。」

「周りの視線なんて気にしてないからな。」

万「これだけ見られてるのに気にしないなんて無理よ。」

「俺は、人の気配を探るの得意じゃないからな。」

万「え?

でも、誰も気づかなかった私を一番に見つけたじゃない。」

「ああ、あれは精霊が静寂限界することがあるってわかったから天宮市全体の霊力探知を常にしてたからだよ。

それに、流石に精霊くらいならある程度近づけば分かるぞ。」

(まあ、少し意識を集中して探らないといけないが。)

万「常にって今もしてるの?」

「いや、万由里を見つけて以来してない。

はっきり言って面倒くさくなったからな。」

万「そんなことだと思った。

でも、なんでそんなに気配や視線に鈍感なの?

白夜ならなんでも出来るイメージがあったけど。」

「いや、気配を感じる手段はあるけど、普段使う必要ないだけだよ。

それに、別に鈍感なわけじゃないぞ。」

万「どういうこと?」

「万由里だってアリやミジンコの気配や視線なんて分からないだろ。

それと同じだよ、普通の人に比べて俺の力が強すぎるから気づけないだけだ。」

万「理由は分かったけど、ここまで来ると何とも言えないわね。」

「そういうことだ。

それより、食べようぜ。」

万「ん。」

 

そういうってさっき取ったたこを食べ、他にも注文したり回ってくる皿を取って食べ始めた。

万由里も回ってきた皿や注文をした物を食べ始めた。

ある程度、食べたところでまた一つを万由里の口の近くに運んで。

 

「あ~ん。」

万「ん、ん~。」

 

万由里はかなり悩んだ後、顔をかなり赤くして食べた。

 

万「美味しい、これって大トロ?」

「ああ、そうだよ。

珍しく大トロなのに二つだったから。」

万「ありがと。」

「さっきみたいに俺にあ~んしないのか?」

万「・・・あ、あ~ん。」

 

万由里は、恥ずかしくて顔を赤くして戸惑いながら寿司を口の近くに運んできた。

白夜は、その姿の万由里を見て可愛いなと思いながら食べた。

しかし、万由里は白夜が食べた後また恨みがましい目つきで見て来た。

 

「美味しいな。

トロサーモンか、万由里も高い物遠慮せずに食べろよ。」

万「ん。」

 

その後は、あまりやると万由里に嫌われると思ったので、それ以上は何もせずにお互い満足いくまで食べ会計を済ませて店を出た。

 

「じゃあ、これからはいろんな店を適当に見て回るか。」

万「ん。」

 

万由里と手を繋いでショッピングモール内をいろんな店を見ながら歩いていたが途中で万由里は何回か顔を赤くして俯いたりしていた。

 

万由里side

 

先ほど店が混む前に早めに昼食を食べた時、白夜と食べさせ合いっこをしたがただでさえ恥ずかしいのに、それを他の客や店員に見られていることでとても恥ずかしい思いをした。

それなのに、白夜はまるで気にしていないので、私だけが恥ずかしい思いをしているのは不公平だと思う。

 

万(でも、やっぱり白夜があ~んしてくれるのは嬉しいし、それに関節キス出来るし。)

 

周りの人に見られるのは恥ずかしいけど、それと同じくらい嬉しいという思いがあったため、二回目の食べさせ合いっこはかなり悩んだ。

そのことを思いだして、また恥ずかしくなり顔が赤くなっていることに気づいて俯いてしまう。

そして、先ほど周りの視線を意識したため、朝はあまり気にしてなかった手を繋ぐ行為だけでも周りの人が気になり人が多いところを通ったりすると恥ずかしくて俯いてしまう。

そんな風にいろんな店を見ながら回っていると、隼人たちがお揃いのストラップを買った店が見えた。

 

万(私のストラップは今度みんなでまた買いに行こうって言ってたな。

そういえば、あの時白夜の地雷踏んじゃったんだっけ。

今普通に話してくれてるから嫌われてはないよね。)

 

そのことで少し不安になり落ち込んでしまった。

それを白夜に悟られたら心配されそうなので、すぐに意識を切り替えた。

 

万(次は踏まないようにしないと。)

 

そう心に決めて他の店を見て回り始めた。

 

白夜side

 

先ほど隼人たちがストラップを買っていた店の前を通った時、万由里が一瞬暗い顔をした。

 

(もしかして、みんなお揃いのストラップ買ったのに自分だけ持ってないから落ち込んでるのかな。)

 

しかし、万由里は気にせずに通り過ぎっていったので気にしないことにした。

それから、店を見て回っていると家具を売っている店を見かけた。

 

「なあ、あの家具売ってる店寄らないか?」

万「いいけど、どうして?」

「万由里の個室を作るから、そこに置く家具を選んでもらうため。」

万「私、別に個室なくていいけど。」

「何かと必要だろ、勉強道具を置いたり、服を置いたり、勉強をしたり、俺に見られたくない物を置いておく場所とか。」

万「まあ、あって困ることはないだろうけど、勉強するならリビングで白夜に教えてもらいながらやった方がいいと思うんけど。」

「え?俺が教えるの?」

万「あんた成績いいでしょ。

それに私、ある程度の知識はあるけど、生まれてまだ一週間程度だからあまり勉強出来る自信ないし。」

「それもそうか。

まあ、ある程度なら教えてやるよ。」

万「ん、ありがと。

それに白夜に見られて困る物なんてないけど。」

 

万由里がそういうと、白夜は少しニヤリと笑った。

 

「それは、俺に下着を見られても困らないと言うことか?」

 

万由里は、顔を赤くして驚いた。

そして、顔を赤くしたまま白夜を横目で少し睨んできた。

 

万「すけべ。」

「冗談だ。

そんなこと本気でやるわけないだろ。」

万(そんなはっきり否定しなくてもいいのに。)

万「そ。

でも、確かにそういうことも考えると個室あった方がいいわね。」

「まあ、そんなこと無しにしても個室は一応作るがな。」

万「どうして?」

「親しい中にも礼儀ありっていうだろ。

一緒に住んでるって言っても買ったものを置いておくのに必要だろ。」

万「まあ、そうね。」

「ああ、それとリビングとかの家具もいい物があれば交換しようと思うから、いい物があったら言ってくれ。」

万「ん。」

 

それから、万由里と一緒にどの家具がいいかなど、お互いに意見を交わしながら家具を見て歩いた。

その後、店を一通り見て歩いた後、どの家具にするかをもう一度歩いて決め店を出た。

 

「さて、家具も決めたことだしこれからどうする?」

万「ん~。

カフェでデザートでも食べない。」

「おう、いいぞ。」

万「じゃあ、行きましょ。」

 

万由里と一緒にカフェを探しながら移動を始めた。

カフェを見つけて店に入り、二人分のコーヒーとパフェを一つ頼んだ。

注文したものが来るまで、万由里と話して待つことにした。

 

「こうやってゆっくりするのもいいな。」

万「ええ、そうね。」

「万由里は、これからどうするんだ?」

万「これからってデートの話?」

「いや、デートが終わってからのことだ。

俺の家で一緒に暮らすのはいいが、精霊を救うのを手伝ったりするのか?」

万「ええ、私も白夜に助けられたから、白夜が精霊を救う手伝いとするなら私も手伝うわ。」

「そうか。」

万「ん。」

 

白夜と万由里は、それから少しの間黙っていた。

すると白夜が沈黙を破った。

 

「万由里、悪かったな。」

万「え!?

どういうこと?」

「お前を救いはしたが、望んでもないのに力を与えたことだ。」

万「そんなこと気にしてない。

白夜は私を救ってくれたから。」

「・・・俺は昔、万由里と同じように救う為に力を与えたことがある。

そいつは、最初は万由里と同じことを言っていた。

そして、力の使い方を知り、知った後はそれを伸ばす為に努力してそれなりの力を手に入れた。」

 

白夜は、俯いて暗い顔をした後、少し間を開けて話始めた。

 

万「そんな人がいたのね。

でも、聞く限りでは努力家で一生懸命に強くなろうとしてるように聞こえるけど。」

「ああ、そうだ。

あいつは、俺がしたように誰かを救う為に力をつけた。」

万「ならないが問題なの?」

「問題なのは、その力があいつを破滅に追いやったことだ。」

万「どういうこと?

その人、今どうしてるの?」

「死んだよ。

・・・いや、俺が殺した。」

万「え!?

どういうこと?

なんで、そんなことを。」

 

万由里は、白夜の一言で驚いた顔をし少し大きな声で理由を聞いてきた。

 

「力を持つってことは、普通の人として生きることが出来なくなるってことだ。

力が強ければ強いほど、普通に生きることが出来なくなる。

それが原因で精神が崩壊してな、守るために得た力を自分の都合で使いだしたんだ。

そいつのせいで何万もの人が死んだだから殺した。」

万「どうして、その人はそんなことを?」

「お前なら分かるだろ、人だけじゃなく精霊でさえ抱く感情だ。」

万「!それって、嫉妬。」

「ああ、あいつは自分は普通に生きることが出来なくなったのに、自分の救った人や他の人は普通に生きて、しかも自分のことを人でない何かを見るような目で見られる日々の中、普通に生きている人に嫉妬を抱くようになったんだ。

万由里の言いたいことは分かる。

そんな勝手なことって思ってるんだろ、でもな人は小さな負の感情が何年も積もれば精神が壊れるものなんだよ。」

 

白夜の話を聞いた万由里は、少し俯いて考えた後顔を上げて白夜に言った。

 

万「白夜は、私もいつか嫉妬や負の感情が積もって精神が壊れるって言いたいの。」

「そうなると思いたくないがな。

今の精霊がいい例だろ。

彼女たちは士道に封印されているが、精神が不安定になれば力が逆流する。

力を完全にコントロール出来てると思っても無意識に力のコントロールが外れる。

だからこそ万由里に力を与えたことを悪いと思ってる。

出来れば普通の人生を歩んでほしかったんだがな。」

万「ありがと。

でも、普通に生きていけなくてもいい。

私の幸せが普通の人生の中にあるって決めつけないで、私の幸せは自分で探す。

私は、救ってくれただけで十分に感謝してる。

それに、白夜の考えてる幸せを押し付けるのはお節介よ。」

 

万由里の言葉に白夜は驚いた顔をした。

 

万「それと、どうして白夜は平気なの?」

「どういうことだ?」

万「その人は相当な力を持ってたんでしょ。

私の予想だと、隼人や精霊たちよりも強かったんじゃない。

じゃないと、隼人や一姫が今普通に暮らしてるわけないから。」

「・・・ああ、強かったぞ。

それこそ、ケルビエルくらいなら瞬殺するくらいにはな。」

万「じゃあ、その人を倒せる白夜はどうして負の感情に飲まれないでいられるの?」

「俺は負の感情を抑え込むだけの精神力があるからな。

それに他人に嫉妬するほど他人に興味がないからな。」

万「そ、白夜はやっぱり規格外に強いのね。

私のことを心配してくれるのは嬉しいけど、私は自分の幸せくらい自分で見つけられる。」

「ならその幸せがどれだけ辛い道でも貫く覚悟はあるか?」

万「ん。

その道が辛くても逃げるつもりなんてない。」

 

その答えに、白夜は満足したように微笑んだ。

 

「そうか。

ならこの話はやめようか。

悪いな折角のデートの雰囲気悪くして。」

万「そうよ。

折角の楽しいデートが台無し、責任取ってパフェ食べさせて。」

「別にいいけど、いいのか?

さっき周りの視線気にして恥ずかしがってたくせに。」

 

白夜がそういうと、万由里はニヤリと笑うと。

 

万「白夜が霊術を使えば周りの目を誤魔化すくらい出来るでしょ。」

「なるほど、そういうことか。

噂をすれば何とやらだ。

注文したものが来たみたいだぞ。」

 

店員がパフェと二人分のコーヒーを置いて行った。

 

万「じゃあ、霊術よろしく。」

「はいはい。

終わったぞ。」

 

白夜は、片手を上げ、その手が少しの間光った。

白夜が、霊術をかけたことを伝えた。

 

万「じゃあ、あ~。」

 

万由里が、口を開けて来たので、パフェをスプーンですくい万由里の口に運んだ。

 

万「ん、美味しい。

白夜も食べたら。」

「じゃあ、遠慮なく。」

 

そういってパフェをスプーンですくい食べようとすると、すくう前に万由里がスプーンを持っている手を掴んで止めた。

 

「どうかしたか?」

万「いや、今度は私が食べさせる番かなって。」

「なるほど、そういうことか。」

 

そういうと白夜は万由里にスプーンを渡した。

万由里は、スプーンを受け取るとパフェをすくい白夜の口の近くまで運んだ。

 

万「はい、あ~ん。」

「あ~ん。

美味しいな。

じゃあ、次は俺か。」

 

その後は、そんな感じでお互いに食べさせあい途中でコーヒーを飲んだり、冗談を交えながら話したり、お互いにからかいあったりしながらお互いに楽しく時間を過ごした。

 

「それにしても、このコーヒー美味しいな。」

万「そういえば、家ではコーヒーや紅茶飲まないけど何か理由あるの?」

「いや、特にないぞ。

今までインスタントコーヒーとかコーヒーメーカーを用意するの面倒くさかったから飲まなかっただけだ。」

万「そ。」

「でも、これから万由里もいるし、コーヒーメーカーかインスタントコーヒー買うか。」

万「そんなこと言って、白夜が飲みたいだけなんでしょ。」

「あ、ばれたか。

まあ、それもあるが、万由里と一緒に暮らすならそれくらいあってもいいかなって思ったんだが、万由里はいらないか?」

万「ん~、たまにくらいは飲みたいかな。」

「そうか。

じゃあ、買うか。」

万「ん。」

「さて、そろそろカフェ出ようぜ。」

万「ん。

で、次どこに行くの?」

「ん~、万由里はどこか行きたいところあるか?」

万「ん~。」

 

万由里は、片手で口を軽く隠しながら考え始めた。

少し経つと口から手をのけていった。

 

万「アクセサリーを見に行きたいかな。」

「そうか。

じゃあ、出るか。」

 

そういうって白夜は、会計を済ませて万由里と一緒に店を出た。

店から出た後、万由里とまた手を繋いでアクセサリーショップを探しに移動し始めた。

 

万由里side

 

次に行く場所を考えていると、インカムから琴里の声が聞こえてきた。

 

琴『万由里、次に行く店、アクセサリーショップ、ランジェリーショップ、ペットショップの三つから選んで。』

万「どうして?」

琴『その三つの店での攻略作戦があるんだけど、時間的に次で最後の店になりそうだからどこか好きな店を選んでってこと。』

万「アクセサリーショップとペットショップはまだわかららけど、ランジェリーショップは明らかに嫌な予感しかしないんだけど。

その作戦ってまともな作戦なの?」

琴『人前で堂々と食べさせあいっこできるなら出来る程度の作戦よ。』

万「すこし考えさせて。」

万(ランジェリーショップは嫌な予感しかしないから無しとして、ペットショップは白夜があまり興味ないだろうし、私もそんなにペットが欲しい訳じゃないから不自然に思われてなんか疑われそうだから無し、アクセサリーショップなら私も見てみたいものもあるから変な疑いはかからないだろうからアクセサリーショップね。)

 

琴里にアクセサリーショップに行くことを小声で伝えた。

 

万「アクセサリーを見に行きたいかな。」

「そうか。

じゃあ、出るか。」

 

そう言って、白夜は席を立ちレジに会計をするため向かった。

私はその後ろについて行き会計を済ませた白夜と一緒に店を出た。

店を出て、また白夜と手を繋いでアクセサリーショップを探すために移動を始めた。

移動している時、まだすこし周りの目が気になってすこし恥ずかしく思いながらもある程度慣れたため顔を赤くすることはなかったと思う。

それからすこしの間歩いていると、アクセサリーショップに着いた。

 

「じゃあ、見てみますか。」

万「ん。」

 

白夜とアクセサリーショップに入ってすこしすると、インカムから琴里の声が聞こえてきた。

 

琴『万由里、まずは好きな指輪を探しなさい。』

万「指輪って、もしかして、作戦って好きな指輪を白夜に買ってもらって婚約指輪みたいに左手の薬指にはめてもらえなんて言わないわよね。」

琴『あら、その通りよ。

作戦の内容がわかってるなら話が早いわね。

指輪をはめてもらう時の細かい言葉はこっちで指示を出すから取り敢えずは指輪を探しなさい。』

万「はあ、わかった。」

 

琴里の言葉に予想が当たったことで、呆れてため息をついて琴里に返事を返した。

琴里に言われた通りに指輪を探しならが、白夜に疑われないように他のアクセサリーもいいのがないか探し始めた。

 

「いいのがあったら言えよ。

ここで売ってるの実際の宝石を使ってるものなさそうだから、言えば好きな宝石のやつで同じデザインで作るから。」

万「ん。」

 

白夜にそう言われてすこし探していると、一つ気になった指輪があった。

その指輪は、金色のリングに黒色と白色の宝石が5つ交互に並んでリングに埋まっていて、真ん中の黒色の宝石が他の4つよりすこし大きくなっていた。

私の視線がその指輪に向いて止まったことに白夜が気づいたようで話しかけてきた。

 

「その指輪が欲しいのか?」

万「ん。」

「そうか。

じゃあ、リングは金でいいとして宝石は何がいい?」

万「ん〜、ダイヤかな。」

「じゃあ、金とダイヤだけでいいな。」

万「え!?

黒いダイヤってあるの?」

「ああ、ブラックダイヤモンドがある。」

万「へー、そんなのもあるんだ。」

「まあな。

それにしても、万由里もそこまで細かい知識は無いんだな。」

万「まあ、最低限の普通の生活ができる程度の知識しかないから。」

「それもそうか。

で、他に欲しいものはないのか?」

万「もう少し見てみる。」

「わかった。」

 

白夜にそう言って、アクセサリーを見ながらインカムで琴里に次どうするかを聞いた。

 

万「琴里、これからどうするの?」

琴『指輪は、あんた士道たちの前に姿を現した公園に行ってから受け取ってちょうだい。』

万「ん。」

 

琴里にそう返事をして、私は自分が欲しいアクセサリーがないか探し始めた。

そして少しの間見ていると、一つ気になるブレスレットを見つけた。

 

万「ねえ、白夜このブレスレットつけて見て。」

「ん?

別にいいけど、どうしてだ?」

万「いや、白夜に似合うかなって。」

「そうか。」

 

白夜はそれだけ言うと、ブレスレットを受け取って身につけた。

ブレスレットは、銀のプレートを真ん中に両サイドに黒、青、白の玉が順番に一個ずつついていて、その玉の間に細い銀色のビーズが入っていて、その飾りの両サイドから黒色の紐が結んであり、その紐の先に銀色の止め金具がついていた。

 

「ほら、これでいいのか?」

万「ん。

これ白夜に買ってあげる。」

「買ってくれるのは嬉しいんだが、お金あるのか?」

万「一昨日令音に少しもらったあまりがあるから大丈夫。」

「そうか。

なら、遠慮なく買ってもらおうかな。」

万「ん。」

令『万由里、今の白夜の心拍数が少し上がった。

今のプレゼントで、白夜の好感度が多少上がったようだ。』

 

インカムから令音の声が聞こえて、白夜の好感度が少し上がったと報告が来た。

そういって白夜は、ブレスレットを外して私に渡してきた。

ブレスレットを私に渡した後、白夜は先ほどブレスレットが置いてあった辺りに視線を移した。

どうしたのか白夜を見ていると、何かに手を伸ばした。

 

「じゃあ、万由里にはこれを買ってやるよ。」

万「え?」

 

白夜は、先ほどのブレスレットの青色の玉が黄色になっていて、白色の玉はピンク色になっているブレスレットを見せてきた。

 

万「ありがと。」

 

白夜が見せてくれたブレスレットを見て嬉しくなった。

そんなことを考えていると、インカムから令音の声が聞こえて来た。

 

令『万由里、心拍数が上がっているぞ。

何度も言うが、今回のデートは君が白夜を攻略するのが目的だ。

それなのに君が白夜に攻略されてどうする。」

万「う、分かってる。」

令『別に照れるなとは言わないが、ほどほどにしてくれ。』

琴『令音の言う通りね。

好きなのは分かってるけど、流石に照れる回数が多すぎよ。

もう次は告白なんだから、最後くらいは恥ずかしがらずにしっかりとしなさいよ。』

万「分かってる。」

 

それから、レジに行きブレスレットを購入した。

白夜も同じようにブレスレットを購入し、店を出た。

 

「じゃあ、これは帰ってから渡すとして、これからどこに行く?」

万「私が士道たちに姿を現した時に行った公園に行かない。」

「いいぞ。

今から歩いて向かえば丁度日が沈む時間だし、綺麗な景色が見れるだろうしな。」

万「そ。

じゃあ、歩いて行きましょうか。」

 

白夜と手を繋いで高台の公園に移動を始めた。

移動中に白夜と冗談を交えて話したり、普通に雑談をしたり、からかいあったりした。

そんな何気ないことでもお互い楽しいため、微笑みながら移動を続けていた。

そうしていると、目的の公園に辿り着いた。

 

万「着いたみたいね。」

「だな、しかも丁度日が沈み始めたようだな。」

 

白夜に言われて見てみると、山の向こうに日が隠れ初めていた。

すると、インカムから琴里の声が聞こえて来た。

 

琴『万由里、丁度雰囲気も完璧よ。

白夜にさっきの指輪の話をしてちょうだい。』

 

琴里の指示を聞いて、私は白夜に指輪についての話を振った。

 

万「白夜、さっきの指輪作ってくれない。」

「別にいいが、なんで今なんだ?」

万「えっと、漫画とかでこんな雰囲気の中愛し合う二人が指輪をつけあうとかあるじゃない。

あれやってみたいなって。」

「な、なるほど。

かなり恥ずかしいこと俺にさせるな。」

万「白夜が恥ずかしがることがあるのね。」

「そりゃあるよ。

俺も人間だぞ。

まあいいや、せっかくのお願いだ聞いてやるよ。」

 

白夜は、先ほどの指輪を作り出した。

それが、分かったので白夜に向かって左手を差し出した。

その左手を白夜は左手で軽く支えて、右手で私の左手の薬指に指輪をはめた。

この行為はかなり恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかったので顔が赤くなっているだろうけど、それなりに落ち着いていられた。

 

令『万由里、今白夜の心拍数が今までで一番大きく反応した。

白夜の強靭な精神力を振り切るほど、心が動いたのは間違いない。』

 

その令音の言葉でさらに嬉しくなった。

そして、白夜に指輪をつけてもらった左手の掌が上になるようにし。

 

万「次は、私の番。

だから、同じ指輪もう一つ作って。」

「まだ続けるのかよ。」

万「何?

もしかして、恥ずかしいの?

私は出来たのに、白夜は出来ないの?」

「ん。」

 

そういうと、白夜の眉が少し動いた。

おそらく、私の挑発に反応したのだろう。

 

「はあ、分かったよ。」

 

白夜はため息をついた後、了承の言葉と先ほどと同じ指輪を作って左手の掌の上に載せ、私と同じように左手を出した。

なので、私も白夜と同じように左手で白夜の手を支えて右手で薬指に指輪をはめた。

 

万(これは、はめられる側も恥ずかしかったけど、はめる側もかなり恥ずかしいわね。)

「これで、満足だろ。」

 

白夜はそういうと、夕日が見える方にある手摺の近くに行った。

その白夜の顔は夕日のせいなのか分からないが、普段より赤くなっている気がした。

 

令『今白夜の心拍数が高くなったままで、好感度も少し上がった。

この調子で告白をすれば流石の白夜も落とせるかもしれない。』

万「ん。

今を逃したらもうチャンスがないだろうし、やってみる。」

 

インカムから聞こえた令音の報告に心を決めて、白夜がいる手摺の近くに近づいた。

白夜は、夕日の方を見てぼーとしていた。

 

万「白夜、大事な話があるんだけど聞いてくれる?」

「ん、ああいいぞ。」

 

そういうと、白夜は真剣な顔でこちらを向いた。

私もその顔を見た後、軽く深呼吸をして呼吸を整えた。

 

万「私、士道たちの監視をしながら白夜と一緒に過ごしてるうちに段々白夜のことが気になって、頭から離れなくなっていって、役目があるから意識しないようにしてたけど。

それで無意識のうちに私がいなくなった後、白夜と変わらずにずっと一緒にいられるみんなのことがうらやましかったんだと思う。

その思いが原因でケルビエルが暴走したんだと思う。

だから白夜に救ってもらった後、そのことについて私ずっと考えた。」

 

そこまで言って言葉を区切り、白夜の目をしっかりと見た。

白夜は、さっきと同じで真剣な顔のまま聞いていた。

 

万「考えて分かったの。

私は白夜のことが好き、白夜のことを心から愛してる。

だから、白夜が私のこと好きだと思ってなくてもいい、でも今誰も好きな人がいないなら試しでもいいから私と付き合ってください。」

 

そういって、白夜に向かって頭を下げ右手を突き出した。

白夜の返事を待っていると、インカムから令音の声が聞こえて来た。

 

令『今、白夜の好感度が大きく変動した。』

 

令音がそう言った後、何かを続けて言おうとしたが、それを白夜の言葉が遮った。

 

「悪いが万由里、断る。」

 

白夜の言葉に優しさが入っているように感じたが、それが私に対する罪悪感から来ているように感じて余計に私の冷静さを奪った。

 

万(振られた。

それに好感度が変動したってことは、嫌われた。)

 

そう考えると、視界が少しぼやけた。

目元に涙が溜まっているのが分かった。

それを白夜に気づかれないように頭を上げても俯いて顔を白夜に見せないようにした。

インカムから琴里たちが何か言っている声が聞こえるが、何を言っているのかまるで頭に入ってこない。

それ以上に自分が今何をしていいのか分からず、ただ必死に涙がこぼれないようにこらえてながら白夜に話すしか出来なかった。

 

万「そうよね。

好きでもないのに付き合うなんてできないわよね。」

 

その声は、涙がこぼれないよにこらえているせいか震えているのが自分でもよく分かったが、普通に話すことが出来なかった。

そして、白夜に嫌われたことが何よりも悲しく、そのせいで白夜が今どんな顔をしているのか見るのがとても怖く今すぐにでもここから離れたくてしょうがなかった。

 

万(嫌われた。

これまでみたいに一緒にご飯食べたり、一緒に寝たり、一緒に買い物したり出来なくなるのかな。)

 

思考が悪循環し、どんどん不安なことを考えてしまってさらに涙がこぼれそうになるが必死にこらえた。

 

万(今泣いたら、白夜に面倒くさい女と思われてさらに嫌わるかもしれない。)

 

その考えで、涙がこぼれそうなのを必死に抑える。

 

万(今ならまだ、これまでのような生活は出来なくても友達くらいではいられるかな。)

万「ねえ白夜、付き合うのは無理でもこれから友達としてやっていくのは出来るかな。」

「それこそ無理な話だ。」

万「!?」

万(もう、完全に嫌われたんだ。)

 

その考えに行きついて、何も考えられなくなりただひたすらに泣くのを我慢し続けるしか出来なかった。

すると、周りから何かが壊れる音や地面に揺れる音がが聞こえて来た。

それが自分の霊力が暴走して起きていることだと気づき自分の腕で体を抱きしめて、暴走を抑えようとするがまるで収まらない。

 

万(お願い、収まってこのままだとさらに嫌われる。)

 

これ以上白夜に嫌われたくない一心で抑えようとするがまるで収まる気配がない。

そんなことを考えていると、白夜が話しかけて来た。

 

「万由里、俺も大事な話がある。」

万「!?」

「俺は。」

万「いや、聞きたくない。」

 

白夜の言葉にさらに拒絶されると思い、白夜の言葉を途中で遮った。

 

「万由里、話を聞いてくれ。」

万「いや、聞きたくない。」

 

白夜がそう言いながら私の両肩を掴んできた。

 

「頼むから聞いてくれ。」

万「いや、いや。」

 

そういって、白夜の話を聞かないように抵抗していると、白夜は私の肩から手を放して両手で優しく私の左右の頬に触れて、白夜と目が合うように顔を上げさせられた。

 

万「お願い、放し。」

 

私が、白夜に手を放すように言おうとすると、白夜は自分の唇で私の口をふさいだ。

 

万(え!?)

 

その行為で思考が完全に停止した。

少しの間、そうしてから白夜が唇を放した。

 

「これで、少しは落ち着いたか?」

万「・・・。」

「ありゃ、思考が完全に停止してるなこれ。」

 

白夜は、私の目の前で手を振っているが、私にはその行為に反応する余裕がなかった。

 

万(白夜にキスされた。

なんで?どうして?)

「まあいいや。

これで話は聞いてくれるだろうし。」

万「話って何?

それに何で?」

 

私が、何が何だか分からないでいると白夜が真剣な顔をして話始めた。

 

「万由里、俺はお前とお試しとかそんな感覚で付き合う気はさらさらない。

俺は万由里が好きだ。

いや、万由里のことを心の底から愛してる。

だから、俺とこれからずっと俺と一緒にいて欲しい。

俺と結婚を前提に付き合ってください。」

 

白夜はそういうと、先ほど私がしたように右手を突き出して頭を下げた。

そこでようやく私の勘違いであることが分かり、そしてそれ以上に嬉しくて、先ほどまで我慢していた涙がこぼれた。

左手で流れる涙を拭きながら、右手で突き出されている白夜の右手を取った。

 

万「はい、不束者ですが、よろしくお願いします。」



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34話

万由里side

 

万「はい、不束者ですがよろしくお願いします。」

 

白夜の右手を取ってそういうと、白夜は頭を上げて微笑んでいた。

その顔は、誰が見てもとても嬉しそうなのがすぐに分かるほど嬉しいことがすぐに分かった。

落ち着いたことで、インカムから琴里が話しかけて来た。

 

琴『万由里、落ち着いた?』

万「ええ。」

琴『まっく話は最後まで聞きなさいよ。

周りを見て見なさい。』

 

琴里に言われて周りを見てみると、手摺は壊れ、公園の地面は私を中心に放射状にひびが入っていた。

 

万「これ、私がやったの?」

「やっぱり、気づいてなかったのか。

まあいいや、勘違いさせた俺も悪かったし。」

万「ほんとよ。

なんであんないい方したのよ。」

「いや、お試しで付き合うのを断ると言ってすぐにこっちから告白しようとしたんだが、なんか急に落ち込んだから言えなかったんだよ。」

万「いや、それは断られたから。」

「まあ振られたことが悲しいのは分かるけど、なんであんな急激に落ち込んだんだよ。」

万「それは・・・白夜に嫌われたと思って。」

「俺、告白を断りはしたが何も嫌いとは一言も言ってないだろ。」

万「それは・・・。」

 

その言葉で令音に言われたことを言うべきか悩んだ。

 

万(琴里たちと連絡を取ってたって言うべきかな?)

「悩んでるのは、フラクシナスと連絡を取ってたことか?」

万「え!?

いつから気づいてたの?」

「万由里に指輪をはめてもらった後、夕日を見ながらどうしてあんなことを言い出したのか考えてる時にもしかしたらッて思ってな。

その後、万由里に告白されてようやく気付いたわけだ。

だから、おそらく琴里たちの報告を勘違いして嫌われたと思ったんだろ。」

万「う、そうだけど。」

「まあ、気にするな。

そんな程度で嫌いになるほど、俺の思いは軽くないからな。」

万「そ。」

 

白夜のその言葉に嬉しくなり、顔を赤くして俯いた。

 

「まあ取り敢えず、これ直すか。」

 

白夜は、そういうと地面や手摺を元に戻した。

 

「さて、取り敢えずそこのベンチに座って、少し落ち着こうか。」

万「ん。」

 

そういって白夜と一緒にベンチに座った。

ベンチに座ると丁度夕日が半分くらい山に隠れているのが見えた。

 

「綺麗な夕日だな。」

万「ん。」

 

白夜の言葉に簡単に返事を返して、隣に座っている白夜の肩に頭を乗せ白夜にすがった。

 

万「ねえ、白夜は私と生活して楽しかった?」

「ああ、楽しかった。

万由里と一緒に過ごしてる時間は今まで生きて来た中で一番幸せに思えた。」

万「そ。

私もあんたと一緒にいてとても幸せだった。」

 

お互いに微笑んで今の幸せをかみしめながら一緒に夕日を眺めた。

そして白夜の顔を見てみると、白夜もこちらを見て来て、しばらく見つめ合った後、お互いに顔を近づけてまたキスをした。

今度は、先ほどとは違い私を落ち着かせるために白夜がしたものではなく、お互いに了承の上で先ほどよりも長い間キスを続けた。

そしてお互いに唇を放し、また先ほどと同じ体制で夕日が沈むまでずっと見ていた。

 

白夜side

 

万由里に告白された後。

 

(ああ、なんでずっと一緒にいて気づかなかったんだろうな。

まさか、フラクシナスと協力してまで俺を攻略しようとするなんてな。

もう気持ちを抑える必要はないか、でもお試しで万由里と付き合うのはやっぱりだめだな

まあ、感情を抑えなくなったんだから好感度で断っても理由があると思われるか、混乱する程度だろ。)

「悪いが万由里、断る。」

 

そういうと、万由里は少しの間固まり頭を上げたかと思うと、俯いたままこちらを全く見ようとしない。

 

万「そうよね。

好きでもないのに付き合うなんてできないわよね。」

 

そういう、万由里の声はとても震えていた。

 

(ん?

どうしたんだ?)

 

万由里の反応に違和感を覚えた。

 

(フラクシナスから細かい好感度までは聞いてないのか?

それなら、付き合えるほど好感度が高くなかったって勘違いして落ち込んでる可能性があるし。)

 

万由里の反応について考えていると、万由里がまた震える声で話しかけて来た。

 

万「ねえ白夜、付き合うのは無理でもこれから友達としてやっていくのは出来るからな。」

(そんなの出来るわけない。

やっと両想いだって気づけたのに、これまでのような関係でいるのは無理だ。)

「それこそ無理な話だ。」

(友達も無理となると好感度からして残るのはなぜ無理なのかって疑問だけだろう。)

 

白夜は、友達としていることも断ればなぜだめなのか疑問に当たり万由里が聞いてくると思ったが、その予想は外れ万由里から霊力が漏れ出し暴走し始めた。

それにより、手摺や地面など周りの物を壊し始めた。

そして、暴走に気づいたのか万由里は自分の体を抱きかかえるようにして、暴走を抑えようとしていた。

 

(これはまずいな。

もう、俺から告白するしかないか。)

「万由里、俺も大事な話がある。」

万「!?」

「俺は。」

万「いや、聞きたくない。」

 

万由里に言葉を遮られ、告白することが出来なかった。

しかし、告白しない限り暴走は止まらないと思った白夜は、何度か万由里に話を聞くように説得しようとしたが、まるで聞いてくれない。

仕方ないので、万由里の両肩を掴んで説得しようとする。

 

「万由里、話を聞いてくれ。」

万「いや、聞きたくない。」

「頼むから聞いてくれ。」

万「いや、いや。」

 

それでも万由里は話を聞かずに抵抗している。

 

(もうキスするしかないのか?

でも、まだ好きだとも言ってないし。

けど、暴走を止めるにはもうキスしかないか。

万由里は、俺のこと好きって言ってたし大丈夫だよな?

あああ!もうこれしかないんだ、とっとと覚悟を決めろ。)

 

白夜は、自分にそう言い聞かせて覚悟を決め、万由里の両頬に優しく触れて顔を上げ目が合うようにした。

そして、万由里に顔を近づけていった。

 

万「お願い、放し。」

 

手を放してと言おうとする途中で万由里にキスをして口をふさいだ。

少しの間そうして、万由里から出ていた霊力を止まり暴走が止まったことを確認してから離れた。

 

「これで、少しは落ち着いたか?」

万「・・・。」

「ありゃ、思考が完全に停止してるなこれ。」

 

試しに、万由里の目の前で手を振ってみるが、万由里は何の反応も見せなかった。

 

「まあいいや。

これで話を聞いてくれるだろうし。」

万「話って何?

それに何で?」

 

万由里は、まだどうしてキスされたのか理解できてないようだ。

なので、今度こそ告白すると決めて話始めた。

 

「万由里、俺はお前とお試しとかそんな感覚で付き合う気はさらさらない。

俺は万由里が好きだ。

いや、万由里のことを心の底から愛してる。

だから、俺とこれからずっと一緒にいて欲しい。

俺と結婚を前提に付き合ってください。」

 

先ほど、万由里がしたように右腕を突き出して頭を下げた。

すると、万由里はその右手を取ってくれた。

 

万「はい、不束者ですが、よろしくお願いします。」

 

顔を上げてみると、万由里は涙を拭きながら微笑んでいた。

夕日に照らされた万由里は、とても神秘的で今まで見て来た万由里より断然美しく可愛く見え、そして愛おしく思えた。

 

(今更だが転生させてくれた神には感謝だな。)

 

そんなことを考えていると、万由里が周りを見渡し始めた。

 

万「これ、私がやったの?」

「やっぱり、気づいてなかったのか。

まあいいや、勘違いさせた俺も悪かったし。」

万「ほんとよ。

なんであんないい方したのよ。」

「いや、お試しで付き合うのを断ると言ってすぐにこっちから告白しようとしたんだが、なんか急に落ち込んだから言えなかったんだよ。」

万「いや、それは断られたから。」

「まあ振られたことが悲しいのは分かるけど、なんであんな急激に落ち込んだんだよ。」

万「それは・・・白夜に嫌われたと思って。」

「俺、告白を断りはしたが何も嫌いとは一言も言ってないだろ。」

万「それは・・・。」

(まあ、この反応からするとフラクシナスとの連絡で勘違いがひどくなったんだろ。)

 

万由里が、何か悩んでいるようだ。

 

「悩んでるのは、フラクシナスと連絡を取ってたことか?」

万「え!?

いつから気づいてたの?」

「万由里に指輪をはめてもらった後、夕日を見ながらどうしてあんなことを言い出したのか考えてる時にもしかしたらッて思ってな。

その後、万由里に告白されてようやく気付いたわけだ。

だから、おそらく琴里たちの報告を勘違いして嫌われたと思ったんだろ。」

万「う、そうだけど。」

「まあ、気にするな。

そんな程度で嫌いになるほど、俺の思いは軽くないからな。」

万「そ。」

 

万由里は、顔を赤くして俯いた。

その後は、壊れた周りを直してベンチで日が沈むまで万由里と一緒に過ごした。

 

「なあ、万由里。」

万「何?」

「お前は、今より強くなりたいと思うか?」

万「え!?」

「俺は、世界を見て回り始めてから力をつけ始めた。

そのこともあって俺は生まれた時より桁違いに強くなった。」

 

白夜は、10年くらいの旅で自分がしてきた修行について考えながら話した。

 

万「そんなこと今言っていいの?」

「フラクシナスに声が漏れないようにしてるから大丈夫だ。」

万「はあ、それよりも何でそんなに強くなろうとするの?」

「いざという時、守りたい物を守れないのは嫌だからだ。

そのために、ただひたすらに力をつけ続けて来た。

けど、いまだに成長限界が見えないんだよな、なんでだろ。」

(まあ、万由里を守る為に強くなっただけだがな。

それに未だに強くなる為に修行を続けているからな。)

万「あはは。

でも、守りたい物を守る為か。」

 

万由里は、白夜の疑問に苦笑で答えた後、少し考え始めた。

 

万「私は、もっと強くなりたい。

今回みたいに暴走することもあるかもだけど、白夜がいれば止めてくれると思うし。

それに、白夜は対等な存在が一人もいないって言ってたから、少しでも追いつくために強くなりたい。」

「それは、俺を守る為に強くなりたいってことか?」

万「ん。」

「そうか、ありがと。

だが、俺は生まれつき今の万由里より強かったぞ。

それに長年の修行で俺は数十回死にかけてる。

少なくとも俺と対等になるには、それ以上の修行をする必要があるか大丈夫か?」

万「流石に、数年で追いつくのは無理かな。」

 

万由里は、白夜のしてきた修行の過酷さを聞いて少し暗い顔をして返した。

 

「気にするな。

今の俺たちは数百年くらいは余裕で生きられるから。

まだまだ、先は長いゆっくり強くなればいいさ、そのための協力ならしてやる。」

万「ありがと。」

 

それから少しの沈黙の後、白夜が何かを思い出した。

 

「そういえば、このブレスレット忘れてた。」

万「そういえば、あったわね。

さっきの告白の時のごたごたで完全に忘れてた。」

 

ブレスレットのプレートの部分を見て白夜はあることを思いついた。

万由里へ渡す為に買ったブレスレットのプレートに霊力を使って何かを書いた。

 

「万由里、プレゼントだ。」

万「ありがと。

でも、今何を書いたの?」

 

万由里は、プレートに何が書いてあるのかを確認し、驚いた顔をした。

プレートには、白夜と万由里の名前が筆記体のローマ字で書いてあり、それがハートの中に入るようになっていた。

 

万「これ。」

「折角付き合うことになったんだからな。

プレゼントにこれくらい書いても問題ないだろ。」

万「ん。

じゃあ、私も。」

 

そういって、万由里も白夜に渡すブレスレットのプレートに書き込んだ。

 

万「はい。」

「ありがと。」

 

プレートを見てみると、先ほど書いたものと同じものが書いてあった。

 

万「私、デザインを考えるのは得意じゃないから、同じものだけどいい?」

「ああ、これでも十分嬉しいよ。」

万「ありがと。」

「じゃあ、そろそろ帰るか。」

万「ん。」

 

万由里と腕を組んで一緒に家に帰る為に移動し始めた。

 

フラクシナスside

 

万由里の告白直後、白夜の好感度が最高値まで上がった。

その白夜の好感度の変化を万由里に伝える途中で白夜が万由里の告白を断った。

 

琴「な!どういうことよ!?」

士「令音さん、白夜の好感度は最高値じゃないんですか?」

令「ああ、間違いなく最高値だ。

おそらく何らかの理由があるのだろうが、今万由里は精神状態が不安定なせいでこちらの言葉がまるで聞こえていないため伝えられていない。」

隼「白夜は何を考えているんだ?」

一「おそらく、兄さんは万由里のことを愛してますよ。

それも、今までにないくらいに本気で愛していると思います。」

士「じゃあ、なんで告白を断ったりしたんだ?」

一「おそらく、お試しで付き合うと言うのが嫌だから断ったんだと思います。」

琴「それなら、あんないい方しなくても他にも言い方があるでしょ。」

隼「確かに、もっと別の言い方があると思うが。」

一「兄さんなら、あれで考えが伝わると思ってるんですよ。

兄さんは、人智を超えた天才ですから、相手の持っている情報から伝えたいことが分かる最低限しか話さない時があるんですよ。」

士「つまり、白夜ならあの状況であの言葉が来たらお試しが嫌だって伝わるっていうのか?」

琴「流石にそれはないんじゃない?」

一「ええ、流石にそこまでは分からないでしょう。

けど、断られたことに何らかの理由があるということはすぐに気付くと思います。」

隼「まあ、それくらいなら分かるか。」

 

そんな話をしていると、万由里が白夜にこれからも友達としていようと話したが、それも白夜は断った。

 

琴「あいつなに考えてるのよ!」

令「まずいな。

万由里が暴走し始めた。」

隼「どうするんだ。」

士「どうするって万由里を落ち着かせないと。」

隼「万由里はかなり強い力があるんだよな。

万由里が暴走したら、どれくらいの被害が出るんだ?」

令「まだ万由里が暴走を抑えようとしているから被害は小さいが、抑えられなくなれば天宮市の大半が吹き飛ぶ可能性がある。」

隼「それはやばいな。

でも、万由里を落ち着かせる方法なんてあるのか?」

琴「そんなものがあればやってるわよ。」

 

そんな話をしている最中モニターでは、万由里に白夜が歩いて近づいていた。

 

士「なあ、今万由里暴走してるんだよな。

地面もひび割れてるし、まともに近づけないんじゃ。」

令「シンが近づけば最悪死ぬだろうな。」

士「まじかよ。」

隼「あんな中、平然と近づくなんて俺にも無理だ。」

士「白夜って、やっぱすげえな。」

一「万由里さんの暴走は兄さんに任せるしかありませんね。」

琴「暴走させた張本人だけどね。」

 

万由里の暴走は、白夜のキスにより止まり、万由里に告白して解決した。

その後は、ベンチに座って二人でイチャイチャしていた。

 

琴「なんとかなったようね。」

令「そのようだな。」

 

すると、白夜は万由里がインカムでフラクシナスと連絡を取っていたことを言い当てた。

 

琴「まさか気づいていたとはね。」

一「いえ、兄さんにしては気づくのが遅かったと思います。

兄さんもそれだけ万由里さんとのデートが楽しかったのでしょう。」

士「まあ、なんにしろ無事に終わったな。」

隼「そうだな。」

 

そんなことを話していると、モニターが黒くなった。

 

琴「な!?

どうしたの?」

令「どうやら白夜が霊術で干渉しているようだ。」

隼「これ以上は見るなってことか。」

一「おそらくそうでしょう。」

琴「なら、こっちはもう解散しましょ。」

士「それもそうだな。」

 

その後、フラクシナスに集まっていた士道たちは解散した。

 

白夜side

 

万由里と腕を組んで家に帰り、リビングまで移動した。

 

「さて、これからどうする?

飯にするか、風呂にするか。」

万「ご飯を先に食べましょ。

ちょっと待ってて作ってくるから。」

「分かった。

じゃあ、俺は風呂場に体を洗う場所を作ってくるよ。」

万「ん。

じゃあ、出来たらリビングで待ってて。」

「ん。」

 

そういって、浴室に向かい風呂場の一か所にシャワーと鏡を作り体を洗うスペースを作った。

 

「こんなもんだろ。

そういえば、シャンプーとかないな。

まあ、それは万由里の意見を聞いて作ればいいか。」

 

体を洗うスペースを作り終えたので、リビングで万由里がご飯を作ってくるのを待った。

しばらく待っていると、万由里が料理を持ってリビングに入って来た。

 

万「お待たせ。」

「そんなに待ってないさ。」

万「そ。

じゃあ、食べましょ。」

 

そういって万由里は料理をテーブルに並べた。

いつもは、向かい合うような形で食べるが、今日は隣り合うように料理を並べて、万由里は普段白夜が座る隣に椅子を持って行き座った。

 

「なんだ。

今日は隣で食べるんだ。」

万「隣じゃダメ?」

 

万由里は可愛らしく首を傾げてそういってきた。

 

「いや、そんなことはないさ。

いつもと違うから気になっただけだ。」

万「そ。

けど、付き合うことになったんだから今までと違ってもおかしくないでしょ。」

「それもそうだな。

じゃあ、食べますか。」

万「ん。」

 

晩御飯を隣り合う形で食べ始めた。

 

「そういえば万由里、シャンプーとかの匂いはあった方がいいのか?」

万「あ、言い忘れてたけど、シャンプーとかは琴里に言って買ってもらってるから作らなくて大丈夫。」

「そうか。

なにか作っておいた方がいいものあるか?」

万「体を洗うタオルがないから作っておいて。」

「分かった。」

万「それと、私も聞きたいことがあるんだけど?」

「ん?

なんだ?」

万「あの卵見たいなの何?

朝はなかったと思うんだけど。」

「ああ、あれか万由里が行った後に作ったものだよ。

ハンギングチェアーっていうものだ、後で座って見れるといい意外と快適だ。」

万「そ。」

 

それから、軽い雑談をしながら晩御飯を食べて、食べ終わったところで万由里が士道の家にシャンプーなどを取りに行った。

その間に体を洗う用のタオルを作っておいた。

万由里が帰って来たので、先ほど作ったタオルと鈴を渡した。

 

「じゃあ、体を洗い終わったらこの鈴を鳴らしてくれ。」

万「鳴らしたらどうなるの?」

「この鈴は、どこにいても俺に音が届くようになってるから、鳴らし方は霊力を流せば勝手になる。

それ以外の方法だと鳴らないから。」

万「そ。」

 

そういって万由里は風呂場に向かった。

 

「はあ、今日は疲れたなー。

それにしても、万由里はなんで俺のことを好きになったんだ?」

 

万由里に好意を向けられている理由がまるで分からず考えたが、結局分からなかった。

 

「はあ、人の心はいつまでたっても分からん。」

 

そんなことを考えながら鈴がなるのを待った。

いろいろと考えていると、鈴が鳴る音が聞こえた。

 

「さて、行きますか。」

 

脱衣所に行き、風呂場に入ると万由里が風呂に浸かっていた。

 

万「待たせたわね。」

「そんなに待ってないさ。」

万「そ。」

 

万由里に、そういって風呂に浸かる。

 

「ああ、気持ちい~。」

万「爺臭いわよ。」

「今日は、精神を抑えるのに疲れたんだからいいんだよ。」

万「抑えてなければ、私が苦労しなくて済んだのに。」

「俺も万由里の好感度が分からない状態だったんだからお互い様だろ。」

万「まあ、そうなんだけど。」

「まあ、どちらにしろ今日は上がったら、さっさと寝よう。」

万「ん。」

 

そういって少しの時間風呂に浸かった後、万由里が先に上がり少し経ってから白夜も上がった。

風呂から上がった後、すぐに寝室に向かい、寝室に入ってすぐにベットに座った。

 

「万由里、髪乾かそうか?」

万「お願い。」

「じゃあ、ここに座ってくれ。」

 

白夜は、自分が座っている隣を軽く叩いて座るように言った。

万由里は言われた通りに隣に座った。

 

「じゃあ、向こう向いて髪をこっちに向くようにしてくれ。」

万「ん。」

 

万由里は、白夜のいる反対側を向き背中を白夜に向けた。

白夜は、万由里の髪に指を通し手櫛をした。

その手櫛をしている手は少し光っている。

そのように手櫛をかけた髪は、すぐに乾いた。

そして、髪全体を乾かし終えた。

 

「終わったぞ。」

万「毎回思うけど便利よね。」

「教えて欲しいなら今度教えてやるよ。」

万「ありがと。

でも、あまり難しいのは出来る自信ないな。」

「難しいのは徐々に覚えていけばいいさ。

それに、日常生活で使う範囲の術は簡単だから安心しろ。」

万「そ。

じゃあ、もう寝ましょ。」

「そうだな。」

 

ベットに入りいつものように寝ようとすると、万由里が近くに寄ってきて、少し顔を赤くして迷った後抱き着いてきた。

 

「これも付き合ったことで変わったことか?」

万「ん。」

「そうか。」

 

万由里は、いつもと同じように短い返事で返してきたが、恥ずかしいのかいつもより声が小さかった。

それを聞いた白夜は優しく返事を返した後、万由里を抱きしめ返した。

すると、万由里が顔を赤くした状態で上げ、白夜と目を合わせ何かして欲し気な顔をしていた。

その顔を見た白夜は、万由里の顔に顔を近づけてキスをした。

キスは、そこまで長い時間はせずにすぐに離した。

 

「おやすみ。」

万「おやすみ。」

 

そういった万由里の顔は赤くなっていたが、とても満足そうな顔で目を閉じた。

万由里が、目を閉じたのを確認して同じく白夜も目を閉じた。



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35話

投稿遅くてすみません。
次からネタがあまり思いついてないので、ネタがある転生後の世界を書いていこうと思います。
なので、本編はネタができ次第書いていきます。


万由里side

 

目が覚めると辺り一面が白い空間にいた。

 

万「ここどこ?」

 

辺りを見回して見るが、何も見つからずただひたすらに白い空間が続いているだけだった。

 

万「白夜はどこに行ったんだろ?

白夜どこにいるの?」

 

白夜を探すため、白夜の名前を呼びながら少し歩いて回ったが、何も見つからなかった。

 

神「ここに白夜はおらんよ。」

 

白夜を探しながら歩いていると、後ろから声が聞こえた。

振り返ると、神様のような外見の男性が立っていた。

 

万「あんた誰?」

 

男にそう言い警戒しながら後ろに一歩下がった。

 

神「そんなに警戒しなくてもいいじゃろうに。」

万「ここはどこ?白夜をどこにやったの?」

神「ここはわしが作った空間じゃよ。

白夜は、自分の家の寝室でお主と一緒に寝ておるぞ。」

万「!?どういうこと?

私は、ここにいるのに白夜と一緒に寝てる?」

 

男の言葉よくわからず男を見ながら考えた。

 

神「簡単なことじゃよ。

お主の精神だけをここに連れてきただけじゃよ。」

万「!?あなた何者?

私は、白夜の作った空間で白夜と一緒に寝てたのよ。

白夜の保護を掻い潜って私の精神に干渉するなんて出来るわけない。」

神「わしは、人が神と呼ぶ存在じゃよ。

そして、白夜を転生させた張本人じゃ。」

万「!?白夜を転生させた?

どういうこと?」

 

神と名乗った男言っている意味が分からなかった。

 

万「神って言うのは信じるわ。

でも、白夜を転生させたってことについて教えてくれない。」

神「ほう、なぜそんなに簡単に信じるのじゃ?」

万「白夜の保護を掻い潜って私に干渉出来る人なんていないだろうし、だから神様って言われた方が説得力があるわ。」

神「そうか。」

万「それより、転生について教えて。」

神「そうじゃったな。

白夜はな、お主達の生きている世界とは違う世界に生きていたんじゃよ。

その世界で死んでしまった白夜を、わしが今の世界に生まれ変わらせたんじゃ。」

万「白夜は、もともと違う世界の人だったってこと?」

神「そうじゃ。

生き返らせる時に白夜の望んだ力を与えてやっただけだ。」

万「なるほど、白夜があんなに強いのはそういうことだったんだ。」

神「まあ、お主が知っている白夜の力はわしが与えたものだが、霊術は白夜が一人で一から作り上げたものだ。」

万「それは、白夜に聞いた。」

 

神様に白夜の話を聞いていると、一つの疑問が思い浮かんだ。

 

万「ねえ、なんで私をここに呼んだの?」

神「それをこれから話そうと思っていたところだ。」

万「そ。」

神「お主、白夜と対等になって白夜を守れるようになりたいと言っていたの。」

万「ん。」

 

神様だから、それくらい知っていてもおかしくないだろうけど、実際に言われると恥ずかしい。

 

神「しかし、それは絶対に無理じゃ。」

万「え!?」

神「先ほど言ったが、わしは白夜に力を与えた。

それは、アニメや漫画の主人公のような英雄が持つ力だ。

その英雄の中でも強力な力を持つ英雄二人の力と万能と言える能力を少し与えた。

その英雄の一人は邪神を使い魔の如く使役ほどの力を持っていた。

もう一人の英雄は、人では無く魔神と言われる人より遥かに強い力を持った種族で英雄と呼ばれていた。」

万「つまり、その英雄二人の力を持っているから白夜に追いつくことが出来ないっていうこと?」

神「それもあるが、それだけではない。

白夜は、そんな二人の英雄に勝らずとも劣らないまでに強くなった。

わしが与えた力ではなく、自分で力をつけたのじゃ。」

万「白夜も言ってたけど、そんなに強くなったの?」

神「お主たちの世界は、瞑想で精神を安定させればさせるほど、生み出せる霊力量も増えより強力な霊力を扱えるようになる。

白夜は、日常生活の中で瞑想で精神を安定させることで、旅に出ていた10年間霊力を増やし続けた上に修行中はさらに精神を安定させることで、日常生活以上に扱える霊力量を増やした。

そんな生活を10年もしていたせいだろうが、白夜は未だに日常生活で瞑想を続けている。」

万「それで、あれだけ心拍数が安定してたんだ。

ねえ、白夜と対等になる方法って本当にないの?」

神「今のままだとないの。」

 

神様の言ったことが、少し気になった。

 

万「今のままだとってことは、今のままじゃなければあるってこと。」

神「ああ、今回来てもらったのはお主に白夜と対等くらいに強くなる機械を与えるためじゃ。」

万「え!?

それって、白夜と対等くらいの力を与えてくれるってこと?」

神「残念だが、それは無理じゃの。」

万「!どうして?」

神「人の魂には、力の器がある。

その器の大きさを超える力を得るとそれ相応の代償が伴う。

その例を挙げると、渦巻隼人じゃの。」

万「え!?

隼人も転生させたの?

というか何で転生してる人が二人もいるっておかしくない?」

神「おかしくはないさ、お主達の世界は白夜たちのいた世界では、小説やアニメとして存在していたからの。

まあ、それはさておき、器の大きさを超えた力の代償は様々だ。

軽ければ、隼人のように外見が力を持っていたキャラに似たり、力を満足に扱えなくなったりなどじゃな。

重ければ、人格が破綻したり、力が暴走して死ぬこともある。」

 

なんか、とても重要なことをさらっと言ったので後で聞くことにした。

 

万「もしかして、白夜も器に合わない力を得たの?

さっき聞いた話だと、白夜は相当強い力を得てるんでしょ。」

神「白夜は、隼人とは違う。

隼人は普通の人より大きい器を持っているが、白夜は大きさの桁が違う。

隼人の器が山くらいの大きさなら、白夜は地球くらいの大きさはある。

そして、お主の器は隼人より一回り大きいくらいじゃ。」

万「なんて滅茶苦茶な大きさしてるのよ。

じゃあ、どうやって白夜と対等になるのよ。」

 

私がそういうと、神様は真剣な顔をした。

 

神「お主にこれから二つの力を与える。

その二つの力は器の大きさの影響をほとんど受けずに大きな力を使うことが出来る。

その二つの力を入れて器の余りを全てのスペックを倍増させて埋める。

後は、白夜と同じように修行して力をつけていけば器もそれに合わせて大きくなる。」

万「その二つの力って何?」

神「それは、いろいろ試して自分で見つけることじゃ。

白夜もお主を救うすべを自分で見つけ出したんじゃ、お主もそれくらいは見つけんと対等にはなれんぞ。」

万「ん。

それはそうと、私たちの世界が小説やアニメの世界だったってどういうこと?」

神「そのままの意味じゃよ。

この世には多くの世界がある。

その中のいくつかが、他の世界の創作物としてかかわることもあるんじゃよ。」

万「そうなんだ。

ねえ、白夜は私を救うすべをなんで見つけ出そうとしてたの?」

神「あまり言うと、白夜のプライバシーに関わるからあまり言わんが、白夜は転生前の世界で初恋がお主をだったんじゃ。

人を愛することもなかった白夜が唯一好きになった相手がお主なんじゃよ。

それで、お主を救うために探してたんじゃ。」

万「じゃあ、私が生まれる前からずっと私のことを好きだったってこと。」

神「ああ、お主が思っている以上に白夜の愛は大きくて純粋じゃ。

それと、言っておくがわしは白夜を好きになるように心を操作したりはしてないからな。」

万「それは気にしてない。

白夜は、そんなことしないと思うから。」

神「そうか。」

 

神は目をつぶり少しの間黙った後目を開いた。

 

神「では、用事は終わったことだし白夜について少し話そうか。」

万「それは嬉しいけど、話してもいいの?」

神「白夜は、お主のことを知っているのにお主は何も知らないと言うのは不公平だろ。」

万「それもそうね。

じゃ、教えて。」

神「では、白夜の現状について話そうか。

白夜は、かなりの力を身につけていると話したの。」

 

神の確認の言葉に頷きで返した。

 

神「白夜は、その力をある一定の力以上は封印されるようにしているため、瞑想で力を少しずつ増しているが全て増えた分はすぐに封印されている。

そのため、白夜の本気を知っている者はいない。」

万「対等になるにはまずその封印を解かないといけないのね。」

神「そうじゃ。

白夜が、そこまで力をつけることに必死になったのは両親が死んだ時以降じゃ。」

万「どうして?」

神「白夜や今の世界の両親のことをとても大切に思っていた。

特に母親のことは、とても信頼していたんじゃ。

白夜の母親は、とても強力な力を持っていることを理解した上で白夜を生み育てたのだ。

そんな両親を、強力な力を持ちながら守ることが出来なかったことが、とても悔しかったんだろう。」

万「そうだったんだ。

そういえば、白夜が力の限界が見えないって言ってたけど、あれはあんたがやったの?」

神「そうじゃ、あれはサービスのつもりじゃったんじゃが、まさかここまで強くなるとは思ってなかった。」

万「そ。

ねえ、今白夜と一番まともに戦えるのって誰?」

神「今の現状だと賢者以外おらんの。

隼人も与えた力を使いこなせるようになれば賢者と同じくらいには戦えるだろう。

お主は、与えた力を使いこなせるようになるのと修行によっては対等に戦えるだろう。」

万「やっぱり、賢者は相当強いのね。」

神「ああ、現在も力をつけているところじゃ。」

万「賢者が何者なのか気になるけど、それは教えてくれるの?」

 

その質問に神は首を横に振って答えた。

 

神「それはだめじゃ。

白夜についてのみは教えるが、それ以外の者については話せん。」

万「そ。

白夜についての話はもう終わり?」

神「いや、最後に一つ重要なことを知っておいてもらう。

白夜は、霊術を作る過程の失敗で呪いを受けている。

その呪いは、とても強力でわしでさえ簡単には解けん呪いだ。

最初に受けた呪いのおかげで他の呪いは受けずに済んだが、もし他の呪いを先に受けていれば人として重要な機能を幾つか失っていただろう。」

万「つまり、結局は一つの呪いしか受けてないってこと?」

神「そうじゃ。

今白夜が、受けている呪いは不滅じゃ。

不滅は、老いることも死ぬことも無くなる。」

万「つまり、不老不死ってこと?」

神「まあ、他にもいろいろあるが大体そんなところじゃ。

お主が望むなら不老不死くらいにならしてやることも出来るがどうする?」

 

神の質問にしばらく考えた。

 

万「私も白夜と同じように不老不死になるわ。」

神「そうか。

では、能力と一緒につけておこう。

では、そろそろ帰すとするか。」

万「ん。」

神「あんまり、ここで話していると白夜が干渉してきかねないからな。」

万「まさか、神の作った空間に干渉出来るの?」

 

神の言葉に呆れながら聞き返すことしか出来なかった。

 

神「いや、普段は無理じゃ。

しかし、お主の体を作ったのは白夜じゃ。

その体に入っている意識に干渉しているため、白夜はここに干渉しやすいんじゃ。

まあ、封印を解かない限りここに干渉は出来んから、今帰れば大丈夫じゃろう。」

万「そ。

じゃあ、また会う機会があれば。」

神「また、会う機会はあるじゃろう。」

 

神のその言葉を聞いた後、徐々に眠くなってきて意識が途切れた。

そして、目が覚めると寝た時と同じように白夜に抱かれた状態で頭を撫でられていた。

 

万「おはよ。」

「おはよ。」

 

体を起こそうとすると、白夜は背中に回していた腕をのけて一緒に体を起こした。

 

「神と話してきたんだろ。

何か収穫はあったか?」

万「白夜と同じくらい強くなるための力を貰った。

それと、白夜についての話も少し聞いた。」

「俺が転生者ってことか?

がっかりしただろ、俺の力が神に貰ったって聞いて。」

万「そんなことない。

白夜は貰った力以外にも自分で力をつけたんでしょ。

それに、私は圧倒的な力を持ってる白夜を好きになったんじゃなくて、私や他の人を守る為に力を使う優しい白夜を好きになったんだから。」

「俺は優しくなんてないぞ。」

万「白夜は、優しいわよ。

ケルビエルと戦った時だって霊力を他に使う余裕がない状況で空間を作り出して天宮市に危険が及ばないようにしてたし。

両親を守れなかったことを後悔したり、妹の為にお金持ちの里親をつけたり、優しくないわけないじゃない。」

「そ。

まあ、あくまで万由里の意見だ。

俺が、否定できることじゃないな。」

万「ん。」

 

それからお互いに黙った。

その沈黙が少し続いた後白夜が話しかけて来た。

 

「これからも万由里は俺と一緒にいることにするってことでいいのか?」

万「ん。

そのために、神様に言って不老不死にしてもらったから。」

「あの神、余計な気遣いしなくていいのに。」

万「その気遣いのおかけで白夜とずっと一緒にいられるから私は嬉しいけど。」

「不老不死になるってことは、身近な人間の死をたくさん見るってことだ。

それでも不老不死になって良かったと思うのか?」

万「確かにつらいこともあると思うけど、白夜がいてくれるなら乗り越えられると思うから。」

「そうか。」

 

そういうと白夜は、また黙って考え始めた。

しばらく経つと白夜が、また話始めた。

 

「なら万由里、俺と一緒に色んな世界に転生する気はあるか?」

万「それってどういうこと?」

「神から聞いてなかったんだな。

俺は、神に好きなタイミングでいろんな世界に転生する権利を貰ってる。

その転生に好きな人を連れて行っていいらしい。

万由里が、良ければ一緒に転生出来るがどうする?。」

万「転生するってことは、この世界の人にはもう会えないってことよね。」

「ああ、人の死を見ることは無くても会えなくなるのは変わらない。

おそらく、一緒に転生しなくても俺と何も変わらない奴が残るだろうから一人になることはない。

だから、転生するかは万由里が自分で決めて構わない。」

 

その言葉で私は考え始めた。

万(一緒に転生しなかったら多くの人の死を見ることになるけど、一緒に転生してもこの世界でできた友達たちには会えなくなるのか。)

 

そのことでどちらにするか考えていた。

 

万(そういえば、一緒に転生しなかったら白夜はどうなるの?

白夜の話だと、私は転生先の世界にはいないってことよね。)

 

その考えに至って私は答えを決めた。

 

万「私も一緒に転生するわ。」

「本当にいいのか?」

万「だって私が一緒に転生しないと、私はともかく白夜は私とずっと一緒にいることが出来ないじゃない。

告白の時に言ったじゃない、ずっと一緒にいてって。」

 

それを言うと、白夜は目を開いて驚いた後微笑んだ。

 

「まさか、それが理由で一緒に来るとは予想外だった。」

万「そ。」

「じゃあ、転生する時また話すよ。」

万「ん。」

「そういえば、神に何もらってきたんだ?」

万「二つの力と、今の私が持てる限界まで全てのスペックを上げてもらった。」

「二つの力っていうのは?」

万「自分で見つけないと白夜と対等にはなれなって言って教えてくれなかった。」

「なるほど、まあ力については万由里が対等になった時にでも聞くか。

それはさておき、上がった力を試しておくか?

ぶっつけ本番だと色々困るだろ。」

万「それもそうね。」

「じゃあ、朝飯前に軽い運動ついでに試しに行くか。」

 

そう言って白夜は目の前の空間を歪ませた。

 

万「それは?」

「訓練用の空間に繋がってる入り口だ。」

万「そ。」

「じゃあ、行くぞ。」

万「ん。」

 

白夜と一緒訓練用の空間に入った。

そこはケルビエルとの戦闘で使っていた空間と同じだった。

 

万「力を試すのはいいけど、この服でするの?」

 

私が着ているのは、いつも寝る時に来ている白夜の作った白いワンピースだ。

白夜もいつもの服だが、ケルビエルの時はあれで戦っていたから戦闘の時も着るんだろう。

 

「そういうば、そうだった。」

 

白夜は少し考えた後、近づいて来た。

 

「万由里、力を試す前に一つの霊術を覚えて貰う。」

万「それはいいけど、どういう霊術?」

「戦闘服を作るものだ。

精霊で言う霊装を作る霊術だ。」

万「それってすぐに出来るようになるの?」

「まあ、戦闘で使うから霊術の基本の一つだが、まあ基本の中では1番難しいな。

けど、万由里は元精霊だから霊装を展開する感覚が分かるから大丈夫だろ。

霊術は少し理論的だと思えば。」

万「そ。

で、どうやるの?」

「まずは、作りたい戦闘服をイメージする。

次に、霊力を糸にして、それで布を編む感覚でイメージした服を作っていく。

最後に、作った服を固定して意識しなくても形を保ち続けるようにするだけだ。」

万「それって理論的?」

 

白夜が理論的というから複雑なのかと思うと、思った以上に簡単そうな説明だった。

 

「まあ、元精霊なら感覚的な説明をした方が出来るとだろうからな。

逆に本来の理論で説明すると、出来なくなりそうだし。

それに大体のことは理論的なことでも感覚でこなせるからな。

算数で言う割り算の後ろの分数が分母と分子をひっくり返してかけるのと同じだ。

理屈が分からなくても意外と出来るもんだ。」

万「そ。

じゃあ、やってみる。」

 

白夜に言われた通りにイメージをして霊装を作った。

 

万「出来た。」

 

ワンピースのような黒い和服の上に、白夜と同じように黒色で黄色の模様が入った着物を羽織り、着物は少しはだけて肩を出している。

白夜は、霊装を作った私をじっくり見てきた。

 

「ん〜、多少不安定で強度もあまり高くはないが、まあ何回かやってるうちに上がるだろ。

それと、よく似合ってるぞ。」

万「ん。

ありがと。」

「じゃあ、力を試すか。

まずは、霊力の出力から見ていこうか。」

 

白夜に言われるがままに、様々なことを試した。

全部が終わった後、家に戻り朝食を作って二人で食べた。



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36話

白夜side

 

万由里の力を見て、少しの時間が過ぎた。

いつものように万由里たちと学校に行き楽しく過ごしていた。

しかし、ある日放課後の下校の時に

 

隼「白夜、今日少し話したいことがあるんだが、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ。

万由里、そういうことだから先に帰っていてくれ。」

万「ん。」

 

万由里たちと別れて、隼人について歩いていくと、いつもの公園についた。

 

「で、話ってなんだ?」

隼「万由里のことだ。

俺は、アニメ2期までとゲームの或守インストールまでの知識しかないから、万由里の存在を知らないんだ。

万由里は、イレギュラーなのか?」

「ああ、イレギュラーだ。」

(本来ならもう少し後に出てくるからな。)

隼「そうか。

なあ、俺と本気で手合わせしてくれないか?」

 

隼人は、何か思いつめたような口調でそう言ってきた。

 

「どうしてそんなことを?」

隼「白夜は、あのイレギュラーに簡単に対処して見せた。

でも、俺は万由里の時もディザスターの時も何も出来ないと思わされた。

だから、あの時出せなかった本気でお前と戦えば、イレギュラーに対処できる力の目標が見えるかもと思ったんだ。」

「断る。」

隼「そういうと思ったよ。

なら、無理にでも相手をしてもらうだけだ。」

 

隼人は、そういうと殴りかかってきた。

その隼人の目の周りに隈取りが現れ、瞳孔が長方形になっていた。

 

「なるほど、仙人モードか。」

隼「そうだ。

これなら少しは、お前とも戦える。」

 

隼人は、数十体分身を作り殴りかかってきた。

何体もの分身の殴りや蹴るなどの攻撃を避けたり、受け流したりして全て対処していたが、見えないところから何発か入れられたことにより、他の攻撃の受け流しが失敗し何発か攻撃を食らってしまった。

 

「なかなかやるじゃないか。

今のが蛙組手か、確かに認識できない攻撃は厄介だな。」

隼「よくいうよ。

あれだけ打ち込んだのにダメージを受けたようには見えないぞ。」

「ああ、受けてないからな。」

隼「少しは本気を出してくれてもいいんじゃないか。」

「そうか。

なら、少し本気出してやるよ。」

 

隼人に言われた通り本気を出すために、魔神化した。

額に銀色の紋様が浮かんだ。

そして、隼人の分身を右手のみですべて倒し切った。

そのあとに、隼人の腹に軽く拳を打ち込んだ。

 

隼「ぐっ、仙人モードでもこれほどのダメージを受けるとはな。

その額の紋様、色と形は少し違うがやっぱりメリオダスの力だろ。」

「よくわかったな。」

隼「これほどまでに強いとはな。」

「お前も十分強いよ。

でも、俺からしたらお前も守る対象でしかない。」

 

そういうと、隼人はとても悔しそうな顔をして俯いた。

 

隼「俺は、お前と対等になることは出来ないのか。

俺は、お前のことを親友だと思っている。

なのに、俺はお前の力になってやるどころか、お前に守られるものの一人でしかない。

俺は、そんなのは嫌だ。

俺は、お前と対等になるための力が欲しい。」

「・・・。」

 

隼人の言葉に何も言えなかった。

万由里にしろ隼人にしろ、俺と対等になって俺を助けたいか。

 

(そんな風に思ってくれるやつが、二人もいるなんて嬉しいな。)

 

そんなことを考えていると、隼人の体から赤い霊力が湧いてきて体を包んで狐の耳と尻尾を形作った。

 

「まさか、九尾の力か。

力が欲しい思いを利用されて暴走したのか。」

 

尾は、あっという間に四本になり、禍々しい霊力が隼人の姿を覆い隠した。

 

隼「がああ。」

「はあ、やっぱり俺と対等な存在は現れないか。」

 

九尾化して、襲い掛かってくる隼人の腹を蹴り上げ空高く打ち上げた。

跳躍して飛んでいく隼人に追いついき、山の方に向かって蹴り飛ばした。

隼人は、山に打ち付けられ巨大なクレーターを作った。

隼人の倒れているところに近づいた。

 

隼「ぐああ。」

「まだ、意識を刈り取ろうと思ったんだが、思った以上に頑丈だな。

でも、俺が霊術で九尾を沈めれば大丈夫だろ。」

 

隼人の体に触れて、九尾を沈めようとした時、異変が起きた。

天宮市に結界が張られた。

そして、時間が巻き戻っているかのようにあたりがもとに戻っていった。

変化が終わった時に俺がいたのは、家の寝室だった。

万由里が、朝食を作るために出て行った直後だという記憶だけがあった。

 

「なるほど、始まったのか。

やっぱり、呪いのせいで俺の記憶は消えないか。

これから、記憶が消えた風に演技をしなきゃいけないのか、面倒くさいな。

幸い植え付けられた記憶があるだけましか。」

 

仕方ないので、気づいていないふりをしていつものように過ごすことにした。

いつものように朝食を食べて、家を出るといつも一緒に登校する士道たちと、もう一人今までいなかった人物がいた。

しかし、今まで一緒に登校していたという記憶もある。

その矛盾する二つの記憶に面倒くさいと思いながらバレないように演技をした。

 

「おはよ、凛音。」

凛「おはよう、白夜、万由里。」

万「おはよう、凛音。」

 

これから始まるループを面倒くさいと思う反面、万由里と過ごす時間が増えることをうれしく思いながらみんなと登校した。



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