始祖の魔王様に青春を! (犬原もとき)
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比較的真面目なプロローグ

この作品の主人公は時間操作ができたり、透明化したり、エロ光線を放てたりします。
その上色々召喚できます。

召喚されたキャラは作者の拡大解釈が混じります。
苦手な方や嫌な人は別の作品をオススメします。
食わず嫌いな方はなんでもいいので見る事をオススメします。

この前書きは毎回書きます_(:3」∠)_


突然だが、私は死んだ。

さもありなん。私は魔王だ。

世界平和の為に死ななければいけなかった。

まぁ、発端は魔族の末端と聞くし、巡り巡って私の所為と言われたら否定はできない。

あれ程人間との争いは避けるようにと、言ったにも関わらず、「始祖はビビってる」だの「魔族が人間に負けるハズが無い」だの言って、結局負けて死んだのだから、正直私としては迷惑でしかなかった。

神と話し合った結果、私は死ぬという事で決まったが、その際に呪いを一つかける事を条件にした。

それは、魔族は人間に惹かれ、人間は魔族に惹かれるというものだ。

一見すると祝福にも見えるそれは、長い目で見ると、魔族と人間の根絶を目指しているようにも見える。

互いに惹かれ合い、子を残せば、生まれるのは当然混血。

どちらとも言えるし、どちらとも言えない。

数が多くなれば、どちらの勢力も自分側に味方せよと声を大きくするだろう。

混血児達は恐らく思い入れの強い方に肩入れし、バラける。

そうなれば最早止まるとこはない。

互いが互いを滅ぼし合い、最後の一人になるまで止まらない。

結果、残るのは2つに一つ。

人型種族の絶滅か、或いは混血児達だけか。

この事は私を討った勇者に伝えた。

あの子の事だ。きっとそれを防ぐ為に何かを残すに違いない。

それにこれは私の国に住んでいた者たちは皆知っている。

きっとそこに住まう魔族は人間と手を取り合い、生きていく道を選ぶに違いない。

愛しき我が子達よ。

愛すべき隣人達よ。

私は先に逝く。

決して、決してすぐに追いついてくれるな。

 

 

 

さて、これはどうした事だろうか?

僕は先程死んだはずだ。

だけども不思議。身体には血が通ってるように、しっかりと体温があるし、胸に手を当てれば心臓が脈動している事がはっきりわかる。

魔力の流れも感知できるし、生前使うことができた時間操作と透明化も使う事ができる。

催眠術は相手がいないから分からない。

うへー……ちょっと待ってよ〜。

あんな長ったらしいモノローグ語らせておいて夢オチとか無いよね?

いや、それならそれでおかしいけどね?

先ず僕がいるこの場所。

僕はさっきまで300年間暮らした城の謁見の間にいた。

ところがどっこい。今はどうだろう?

なーんにもない。

いや、詳しく言うと、椅子がある。その他は何もない。

そして背格好。

今の僕は最期の時の如何にも魔王してます!みたいな威厳のある青年ではなく、始祖の魔王になったばかりの16歳の少年だ。

あぁ。肌の張りが、潤いが懐かしい…。

めっちゃピッチピチやでぇ……。

「いつまでそこに立って居るのですか?」

ん?誰だろ?

今僕は若りし頃の肌を堪能してるんだぞ?

と思い声のした方を向くと、そこに居たのは美少女だった。

豊かな胸、透き通るような青髪。そして人ならざる雰囲気。

間違いない。こいつは所謂神と呼ばれる存在だ。

「どうぞ。座ってください」

女神は微笑み、僕に着席を促す。

普通の魔族なら警戒するんだろうけど、生憎こっちは死んでるので、全く警戒せずに座る。

うほっ!結構いい素材使ってるね。

魔王城の椅子位フッカフカだ。

「貴方の立場に合わせて、相応の物を用意させてもらいました」

あっ、何だ。いつも使ってるわけじゃないんだ。

まぁ、そりゃそうだよね。

「さて、真宮真緒さん。知ってのとおり、貴方は死にました」

うん。知ってる。

「無念でしたか?」

「まー、悔いがないと言ったら嘘になるけどさ」

仕方がなかった。

話し合いで解決出来るなら、それに越したことはなかった。

相手が引いてくれたならそれに越したことはなかった。

魔族の子供達が、掟を守ってくれたならそれに越したことはなかった。

しかしそうはならなかった。成らなかったんだ。

ならば最後の手段を。僕の命で持ってできる最後の解決の手段を取るしかなかった。

その選択に、僕は後悔はない。

「強いのですね」

「300年以上生きたんだ。思い切りも良くなるよ」

女神はそうですか。と言った後に、姿勢を正してこちらを見る。

僕も一応姿勢を正す。

「貴方は種族として、正しく生き、また、可能な限りの善政を敷いてきました。その栄誉を讃え、特例ではありますが、人間と同じように選ぶ権利が与えられます」

「選ぶ権利?」

「はい」

僕が聞き返すと、女神はその権利を説明しだした。

一つ、何もかもを初期化し、人間として一からやり直す。

二つ、何もない天国で隠居生活を送る。

三つ、全てを引き継いで異世界を救うべく転生する。

この三つの選択肢を勧めてきた。

因みに女神イチオシは異世界転生のようだ。

目が輝いてる。お金色に。俗的だなぁ。

僕がしばし悩んでいると、上から目の前の女神とは比べ物にならない気配が近づいてくる。

見上げるとそこには懐かしい顔があった。

「ちょっ!?えっ?ル、ルーシェ様!?」

天界最高責任者、元悪魔の現天使。一番手が掛かったヤンチャ坊主。

ルーシェだ。

「父よ。お久しぶりです」

「やぁ、ルーシェ」

混乱している女神をよそに、ルーシェは近くに椅子を出し、座る。

「如何ですか?父上が最も充実していた時の身体は」

「事前に言ってほしかったかな」

「それは失礼を。して、何処まで聞かれましたか?」

「この先の権利についてかな」

なるほど。と言ってルーシェは考え込む。

僕としてはどれでも良い。

一からやり直してもそれはそれで楽しいだろうし、天国に知り合いがいないわけでも無いだろう。

異世界転生とかも……正直ちょっとワクワクしてる。

「父よ。正直に言います。私は父に会いに来ただけです。あと、タメ口で良いですか?いいよな?いいな。よし決定」

あっ、こいつめんどくさくなったな。

「しかし親父もとうとう死ぬとは…意外だったぜ」

「いつの間にか最高神になってた息子に言われたくないなぁ」

キャラ作りに疲れたのか、砕けた口調で話すルーシェと、僕は雑談を始めた。

 

暫くすると、輪から外れていた女神がそわそわし始めた。

何というか言いたいけど言いにくそうにしている。

ルーシェはと言うと、それを見てニヤついている。

ははーん。遊んでやがるなコイツ。

「それで、異世界転生ってどうするの?」

可哀想なので、僕は助け舟をだしてやる。 

声をかけた途端、花が咲くような笑顔になる。

うん。何というか、ウチの息子がゴメン。

「異世界転生ね!任せなさい!」

おんやぁ?何やら最初と雰囲気が違うぞぉ?

さっきまでの神様オーラが只のハリキリ特攻娘なオーラになったぞ?

「人間として扱うから当然これが必要ね」

そういうと、目の前にカタログが現れる。

まー、見ちゃうよね。

「異世界は危険な場所だもの。人間が迂闊に行ったらすぐ死んじゃうわ。だから特典として、一つ好きな物を渡してるの」

女神ちゃんが何か言ってるけど、カタログを見る分には、なにかこう……惹かれるものがない。

「貴方の特殊能力が強い事は分かってるわ。でも貴方自身は弱い。だから肉体強化とかおすすめね!」

女神ちゃんちょっとうるさい。

僕は読書とかは一人で静かで豊かにしたいタイプなんだよ。

しかし本当に色々あるな。

うへぁ!エクスカリバーとかもあったのか。

こんなんあったら僕とか即死だよ。

まぁ、勇者ちゃんは壊れないだけの鋼の剣で僕を倒したけどさ。

うーん。いまいちピンとこないなー。

「ねーまだー?早くしなさいよね。次がつっかえてるんだからー」

うるせーなー。舌入れて悶絶させちゃうぞ?

こう見えても何人もの女魔王を生み出す為に、色々とテクニックを鍛えたから凄いんだぞぅ?

「お陰様で苦労してねぇぜ」

ルーシェ、お前何やったんだよ…。

「何だっていいじゃねぇか。それよりも親父。悩んでるなら、俺にいい提案があるぜ?損はないはずだ」

「ナチュラルに心を読むんじゃないよ。で?提案って?」

僕が問いかけると、待ってましたとばかりに、ルーシェはニヤリと笑う。

勿体つけるようにゆっくりと両手を広げて、僕に向かって口を開く。

「気づいているかどうかは分からねぇが、親父が最も得意とする魔法は、時間操作でも透明化でも催眠でも無い。親父の得意な魔法は創造だ」

何それ初耳。今明かされる衝撃の事実。

「気づいてなかった……いや、無意識か。まぁ、いいさ。そんで、俺の提案っていうのは召喚師だ」

「おぉ。なんかファンタジーな雰囲気」

「親父が好きだったあんなキャラやこんなキャラを召喚し放題だぜ!」

「マジか…最高かよ」

こう見えても魔力には自信がある。

伊達に始祖の魔王様はやってなかったのだよ!

「とは言え無制限ってわけにゃあいかねぇ。流石に存在がチートなのに強力な連中を召喚し放題とか他の転生者がやる気をなくしちまう」

そりゃそうだ。

僕としては時間操作さえあれば別に良いとは思うけども。

「つーわけで、召喚は一日一回。親父が生命定着させない限り、24時間後に消滅する。生命定着出来るのは一作品に対し一人までだ」

意外と緩いな。

もっとギチギチに締めてくるかと思ってた。

「楽しくねーしな。それに親父には良い青春をもう一度味わってほしいしな」

「遅い親孝行だなぁ。全く」

言ってろ。なんて言いながら、ルーシェは魔法陣を展開する。

足元が地から離れていく。

あぁ、また暫くのお別れか。

「気にすんなよ。いつでも待ってる」

「待たせるのは子供の特権だと思ってたよ」

「言ってろ。じゃあ頑張れよ。魔王退治」

はっ?

「ちょっと待ておまっ!?」

僕が言い切る前に、吸引が激しくなる。

あっという間に僕は吸い込まれた。

これだけは言わせてほしい。

今あいつ魔王退治とか言わなかった!?



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適当に始まる冒険の日々

毎回書くといったな。あれは嘘だ

拡大解釈が苦手な人は別の作品をオススメします_(:3」∠)_

感想にて出してほしい作品のキャラを書いてくれたら出すかもしれません_(:3」∠)_
詳細とか書いてくれてたらなお嬉しいです_(:3」∠)_

ちょっと誤字を修正。


あれから一年がたった。

うん。一年だ。

詳しい描写?やつは死んだよ。

因みに僕の隣には約二名ほど、召喚したのがいる。

「おはよう。山姥切」

「………あぁ」

白い布をてるてる坊主宜しく、頭から被っている美男子。

如何にもイケメンですよ!と言った風体で有りながら、布のせいもあってか、少し陰りのあるコイツは、山姥切国広。

曰く、刀剣男子と言う存在らしい。

本来なら歴史遡行軍とやらと戦うのだが、哀れ僕の召喚センサーに引っかかり、この場に生まれ落ちたようだ。

因みに初回サービスということで、生命定着はルーシェがやったらしい。

「……ここに来て一年になるな」

「そうだね。夢のマイホームまでもう少しだ」

「……早く気兼ねなく部屋の隅に居たい」

この山姥切の大きな特徴としては、まずこの引きこもり体質な所だろう。

曰く、写しだから隅で小さくなっている方が丁度いいらしい。

記憶が確かだったら写しって元があって、それを自分なりに打ってみましたって奴じゃなかったか?

と言ったら

『そうだ。だから俺は国広の最高傑作とも言われている』

と返された。自覚してんならもっと自身もてよ。とも思ったが、これはこれで面白いし、人間としてはまだ1歳くらいなので、これからの成長に期待して、何も言ってない。

それに、なんだかんだ切国は面倒見がいいのか、よくやってくれる。

今ではアクセル街の白マントっていうあだ名まで付いている。

そしてもう一人。

「あら旦那様。それに切国。いい朝ですね」

「おはよう。如水」

「…あぁ、いい朝だな」

目の前に現れたのは美女。

爆乳に白い髪と赤紫色の瞳が特徴的なこの人は、驚くことにかの軍師 黒田官兵衛だ。

流石変態の国日本。自国の偉人であろうと構わず萌えに変える国。

草葉の陰で偉人達も腹を抱えて笑っているに違いない。

まぁ、ひょっとすると頭を抱えてるかもしれないが。

彼女が僕の事を旦那様と言っているのにはわけがある。

ざっくり言うと、ルーシェが召喚士のルールを少し弄って、異性キャラはやや惚れやすくしてあるらしい。

そこに僕の謎フェロモン(女性限定)が合わさり最強に見える。

まぁ、大体はルーシェのせいだ。

「今月で、切国が40万エリス。私が同じく40万エリス稼げば、目標に届きますわ。旦那様は商談を進めてくださいませ」

「二人の負担大きくない?変わろうか?」

「俺は問題ない。いつもより少し稼げば良いだけだからな」

切国はいつもの調子ながらも、任せろ。と言う力強い声色で答えてくれた。

「私は構いませんわ……ですが」

と如水は艶やかに微笑み舌なめずりをする。

あっ、これあかん奴や。

「いや、やっぱり家の事は大事な事だし、僕が行こうかな?!うんそれがいい!ね?切国!」

「!?」

切国が何故俺に振る!みたいな顔をしてるけど知るか!

このままだと夜戦(意味深)なんじゃい!コイツ激しいんだよ!まともに受けたら干からびるわ!!

「いや……その……」

「いえいえ、よく考えましたら、一生のことですもの。ここは私が出向いて、しっかりと話をつけた方が賢明ですわ。ねぇ?切国?」

「!!??」

なにか言おうとする切国を遮り、もっともらしい事を言う如水。

そしてまたも話を振られ、動揺を隠さない切国。

あれ?これってもしかして……。

「家の事ですもの。私と旦那様でお話をつけても……構いませんわね?」

こ、こいつ!?まさか今月の資金調達を全部切国にやらせるつもりか!?

マズイ。切国はわりかしお人好しだ。それに頼まれたらイヤとは言えない性格、

このままでは切国一人に負担を負わせてしまう!

だが、一般的に見れば、如水の言うことも正しい。

ならば僕が取る方法は一つ!

「わ、わかった……俺が」

「待った!!」

「…なんですの?」

おぉう……冷たい視線。ちょっとエロティックでゾクッとなった。

だが、元魔王はその程度では怯まない。

「一生の買い物なら、切国も一緒に来る必要があるんじゃないかな?使うわけだし…」

スマン切国……僕には…僕にはこれが限界だった。

「……そうだな。俺にも一つが二つくらい希望を言う権利はある筈だ。資金の殆どは俺と主が用意したからな」

「…それもそうですわね。では今月の方針は家の間取り等が決まり次第、手分けして資金調達ということで」

「それでいいとおもうよ。切国は?」

「あぁ。異論はない」

よし、これで…。

と僕が安心しきった瞬間だった。

「素敵でしたわ。今日の夜はもっと激しくなりそう」

と耳元で囁かれた。如水に。妖艶に。

腰が抜けるかと思う程の色香が、一瞬僕を貫いた。

こ、こんにゃろぅ……。

嘘みたいだろ?まだ召喚されて3ヶ月なんだぜ?

 

いろいろあって数日後。

細かい所も決まり、頭金も払って、後は完成を待ちながら、お金稼ぎをしている。

「春は定番の蛙狩りだね」

この世界は、春になるとジャイアントトードが繁殖期を迎える。

産卵に向けて体力をつけるべく、家畜は勿論のこと、人も丸呑みにしてしまう。

見上げる程の巨体ではあるが、幸い動きは鈍く、丸呑み以外の攻撃はしてこない為、初心者向けのクエストとして有名だ。

報酬はジャイアントトード一匹に対して5000エリス。

5匹退治するので2万5000エリス。

これは成功報酬やら、輸送費などの控除をした後の金額だ。

そして、1エリスは1円。即ち日当2万5000円である。

ある程度熟練した冒険者なら、それなりの稼ぎになるが、そういった冒険者はまず、こんなクエストより実入りの良いクエストに挑むため、駆け出し冒険者以外でこれを選ぶのは臆病者か、蛙が好きな変態位だ。 

僕らが雑談をしながら冒険者ギルドに向かっていると、ふと視界の端に気になるものを見つける。

一人は平均的な日本人と言った風体で、ジャージを来ている。

少し面倒くさそうに、隣の口撃を受けている。

そしてその口撃しているのは、透き通るような青い髪に、よく膨らんだ胸。そして見えそうで見えなさそうなすこし透明な丈の短いスカートを穿いた少女。

つーかアクアじゃんあれ。なんでここに居るの?

しかもいっちゃ何だけど何処にでも居そうな男子学生と……。

あっ。

「どうした?主」

「逃げよう。やな予感がする」

如水と切国が不思議そうな顔をするけど、説明する暇も惜しい。

僕が二人を連れて逃げようとした瞬間。

「追いなさいカズマ!あいつが居れば何とかなるわ!」

と大声であの女神。いや、この場合疫病神が叫ぶ。

気づくのがはえぇよ!!

「走れ!」

「逃さん!!」

その声がスタートであるかの様に、僕たちは一斉に走り出す。

 

暫く状況が読めなかった二人も、異常は察したのか、やがて自分で走ってくれた。

「主。あの二人とは知り合いか?」

切国は走りながら聞いてくる。

素早さと体力は筋力の次くらいに上げているので、まだまだ余裕はありそうだ。

「一人は面識がある。結構残念系なオーラを出してた。男の方は知らない。初対面」

僕も走りながら答える。

体は鍛えてるんでね!

「ふぅ……はぁ…はぁ…」

如水は着いてくるのがやっとといった感じだ。

まー、僕はこっそり時間操作使って体力無限状態だから仕方ない。

「黒田。無理そうなら俺と主が手を貸すぞ」

「な、なんのこれしき…はぁ…元戦国大名ですもの…んふぅ…」

切国の心配に何とか返すも、その表情は苦しそうだ。

少し官能的なのは僕がそう意識しちゃっている所為だろうか?

「ぜぇ…ぜぇ…ま、待ちなさいよぉ〜」

「」

追ってくる側もよく着いてきてると思う。

ジャージの子。多分あの子がカズマ君だろうね。彼に至っては地面に倒れそうだ。

流石に可哀想だから止まってあげよう。

「止まろうか…」

「いいのか?」

「なんか可哀想になってきた」

「…確かにな」

僕と切国が止まると、如水やアクア達も追いつき、止まる。

三人とも息も絶え絶えって感じだ。




山姥切国広
原作 刀剣乱舞
堀川国広作の長義の作品の写し。
それを擬人化した刀。現存している。
写しであることを気にして、本家に迷惑がかからないよう白い布を頭から被っている。
この世界では切国という名前で呼ばれており、原作に比べて若干マイルド。
お人好しで押しに弱く、頼まれると先ず嫌とは言わない。
布が無くなると急激に弱体化する。
具体的には帽子が取れた次元大介くらい。

黒田官兵衛
原作 戦国武将姫MURAMASA
白髪赤目の爆乳美女。しかし原作の世界では普通。パネェを
あの世界はケモナーにも対応してるからヤバイ。
色気ムンムン。流石シコマサ。
この世界では女っぽく聞こえるという理由で如水の方を名乗っている。
如水とは官兵衛が福岡に定住する際に名乗った法名。
なので九州には如水庵という和菓子屋がある。美味い。
召喚してすぐ生命定着されたので真緒の事が大好き。
戦国脳が少し入っているので、すぐ子どもを残そうと夜戦(意味深)を仕掛けてくるエロテロリスト。
好きあらば物陰に引きずり込もうとする。
夜戦(意味深)の確約を取ろうとする。
曰く「搾り取られる」らしい


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割りと大事な自己PR

この作品には拡大解釈や妄想によるキャラ補正があります。
苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_



こんな作品をお気に入りにしてくれたユーザーに感謝を
色々と誤字修正


立ったまま話すのも何なので、僕たちは冒険者ギルドに足を運んだ。

カズマ君達が何をするにしても、冒険者カードは作っておいて損はない。

勿論そのまま、一市民としてこの街に根を下ろすのも悪い選択肢ではないと思う。

僕達は僕達で冒険者ギルドに用があったし、ちょうど良かったのだ。

「さて、取り敢えず自己紹介でもしようか」

「じゃあ早速言うわ!私は女神アクア!アクシズ教の主神アクア様よ!」

僕が言い終わるのが早いか否か。と言うところで、アクアが自己紹介を始めた。

最初から思ってたけど、胸でかいよな。

如水には負けてるけど。

「えー、ごく普通の日本人です。真っ当な常識人です。佐藤和真といいます。宜しくお願いします」

実に普通な挨拶だ。

困った時は無難な選択肢を選ぶ、日本人特有の気質とも言える。

「山姥切国広だ。元は刀だったが、主によって人の身を得た。ここでは切国と呼ばれている」

お?珍しい。

切国は初対面にはなかなか話したがらず、自己紹介は一番最後か、促されるまでしない。

つまり、訳はわからないが、切国は好印象だったと言う事だ。

「イケメンか……ちくしょう」

和真はそうでもないようだけど。

「黒田如水と申します。貴方には官兵衛と名乗った方が分かりやすいかしら?」

如水が怪しげに微笑み、自己紹介する。

和真はもう見て分かるほどに鼻の下を伸ばしきっている。

まぁ、如水は美人だしな。

あれで反応しないのはホモか魔王か朴念仁のどれかだ。或いは切国のような元人外。

「あっ、ど、どどうも…ふへへ…」

如水の色仕掛け!和真はメロメロに成っている!効果は抜群だ!

メロメロに成っている和真の注意をこっちに向けるため、一つ咳払いをする。

ハッとした和真が、隣で笑いを堪えているアクアを肘で小突いたのを確認し、姿勢を正す。

「僕の名前は真宮真緒。元魔王をやっていたよ。特典は召喚士。特技は時間操作。よろしくね」

「あっ、はい。ん?」

僕の自己紹介に疑問符を浮かべる和真。 いやー、面白い。

召喚した子にこれ言うと、皆ポカーンて顔になるから凄い楽しい。

「え?ん?もと魔王?つうか特技が時間操作?え?」

おーおー、混乱しとる。

まぁ。そりゃそうか。

ちょっと説明するか。

 

 

俺は佐藤和真。

トラクターに引かれそうになってた女の子を助けて死んだ。

そう。そうやって死んだんだ。

そういうことにしてくれ!

決してそれが勘違いだった上に死因は心臓発作で、更に変顔で死んだなんてことはない!

断じて!!

………自己暗示はこの辺にしておいて、俺は今、目の前の悲劇の主人公から、昔話を聞いたところだ。

要約すると、俺と同じくらいの時に魔王になってしまって、長い事良い国の王様として平和にやってたけど、話を聞かないバカのせいで、外国との関係が修復できないくらいになって、改善関係のために色々話した結果、自分の首を差し出したそうな。

スゲーな。俺なら出来ないわ。

バカのやったことはバカに清算させるわ。ぜってー肩代わりしねぇ。俺関係ないもん。

でも、これも個人間だから言えることなんだろうな。

規模が大きくなったらそんなかとも言えないんだろう。

やっぱ王様というか、人の集まりのトップに立つ人は違うんだな。考え方とか、思い切りの良さとか。

駄女神ことアクアの話によれば、真緒さんが亡くなった日の1週間は世界の休日となっており、すべての仕事が休みになるそうだ。

現代日本人が発狂しそうだ。主に社畜が。

因みにこの日に働いたら叛逆の意思があるとみなされ、その会社の経営陣は社会的に殺されるらしい。過激すぎる。

まぁ、死んで異世界に来てる俺達には関係ないか。

「で、君たちはこれからどうするの?」

一通り話し終えた真緒さんが聞いてくる。

真緒さんによると、なんでも最初は、冒険者になる必要があるそうだ。

そして冒険者は、ハイリスクハイリターン。

危険度が低い仕事は儲けは少なく、危険な仕事は儲けが多い。

また、魔王討伐が冒険者の最終目標のため、そういう意味でも、冒険者なる必要がある。と言う事だ。

ならば、俺に他の選択肢はない。

「まずはアドバイス通りに冒険者登録をしようと思います。教えてくれてありがとうございました」

俺は真緒さんに深く頭を下げた。

隣の駄女神は知らん。

「うん。そうするべきだし、そうするしかないよ。で、いくらかかるか聞いてる?」

金がいるのか。危ねえ。

今の俺は無一文だ。隣の駄女神は知らん。

「こいつから何も聞いてない上にお金もないです」

俺は言いながらすかさずアクアを指差す。

ちょっとー!なんて叫んでいるが、大体はこいつのせいだ。

こちとら死んだんだぞ?

そりゃー決して人から同情されるような死に方じゃなかったし、感動じゃなくて笑いの涙を誘う物だったが、初対面から大笑いされた挙句、真剣に悩んでる最中に罵倒されて頭にこない奴なんているか?

……うん。居たわ。と言うか多分いるわ。目の前に。

切国さんからはなんというかこう…詐欺とかに騙されそうな雰囲気を感じる。

今でも財布の中を確認して、俺達にお金を貸そうかどうか真剣に悩んでいらっしゃる。

ごめんなさい切国さん。全部この駄女神のせいなんです。

だから真緒さんに耳打ちまでしてお金貸そうとしないでください! 

死ぬ!あなたの良心で俺の心が!!

こら!そこの駄女神!!目を輝かせるんじゃねぇ!!世話になる気があるならせめて頭を下げろ!

 




佐藤和真
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
ご存知このすばの主人公。
カスマ、ゲスマ、クズマの三拍子が揃ったこのすば界のリーサルウェポン。
自慢のスティールで、女の下着は剥ぎ取るし、男の得物は奪い取るし、人外の弱点は強制奪取。
おっと心は硝子だぞ?だから攻めるなよ?攻めないでね。お願いします。
この世界で優しくしてくれた真緒一行には恩を感じているし、尊敬している。
駄女神?知らん。

アクア
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
駄女神。
それしか言いようのないくらい駄女神。
見た目は良い。女神だからね。
おっぱいもでかい。女神だからね。
お尻もきれい。女神だからね。
でも頭と性格がポンコツ。
メリットすべてを帳消しにするほどのポンコツ。
アクシズ教が凄い。凄い刹那的な生き方をする。
そして流石主神様。日々の好きのためなら借金も平気。その後泣くけど。
公式が「アクア?履いてないんじゃないんですかね?」とうっかり言っちゃったせいで履いてない(疑惑)が履いてない(確信)になってしまった。
この世界のアクアは安心してください。履いてますよ!
ただし、バカ(アクア)には見えない下着なので、アクア(バカ)には見えない。


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理想→こうだったらいいのにな

この作品は拡大解釈や妄想によるキャラ補完があります_(:3」∠)_
苦手な方は別の作品をオススメします_(:3」∠)_

評価をしてくださったお二人様。
誠にありがとうございます。

サブタイトルをちょっと変更



やぁ、俺の名前は佐藤和真。

いや、この世界に合わせて言うならサトウ・カズマだ。

俺は今、とても広い平原にいる。

現代日本では、観光地になりそうなほど広い。

のどかな風景ってこういう事を言うんだろうなー。

よーし!僕寝っ転がっちゃうぞー。

「なんて出来るかーーーー!!!」

死ぬ!死んじゃう!そんなことしてたら蛙に飲まれて死ぬ!!

只でさえ全力疾走二度目なんだから体力がNEEEEEE!!!

「あっはははは!!あひゃ!あはは!げほっ!ごほっ!!」

咳き込むほど笑ってんじゃねえぞこの駄女神!!

くそっ!何が初心者向けのクエストだよ!

装備が整ってりゃあ楽勝だよな!

5匹とか余裕なんで10匹くらい狩ってやりますよ?

なんなら俺一人でも余裕?

寝てることが多いけど大丈夫?

誰だ!そんなこと言ったやつは!?

「俺だよ!!」

ちっくしょおおおおおぉぉぉ!!!!

 

 

山姥切国広だ。

主に言われて、主が召喚した獅子王やとりという真剣少女と、カズマ達のクエストの手伝いをしている。

まぁ、やとりはここに着くなり『いいお天気ですね~』と言って、持っていた枕をその辺に置き、アイマスクを装着したあと横になったから、実質的に手伝えるのは俺一人だ。

だが、カズマはクエストが始まる際にこう言っていた。

一つ目は初心者向けのクエストなら楽勝ですね。

二つ目は5匹とか余裕なんで10匹位狩っちゃいましょう。

三つ目はなんなら俺一人でやりますよ。

俺としては初めてだからこそ、複数での動きに慣れるべきだと思ったのだが、やたらと自信有りげなカズマを見て、任せてみた。

結果としては、案の定ジャイアントトードに追いかけられている。ちなみにアレはまだ一匹目だ。

ジャイアントトードは、確かに動きは鈍いし、食事が目的だから、丸呑みしかしてこない。

だが、見上げる程の巨体というのは視覚的に威圧感を与え、思考を鈍らせる。

あいつらの大きさを簡単に説明すると、電柱だ。と、主は以前言っていた。

俺の記憶にある電柱も、確かにあのジャイアントトード位大きかった。

加えて横幅は長屋一棟程はあるように思える。

その巨体が跳ねながら迫ってくるわけだ。

俺も最初は驚き戸惑った事をよく覚えている。

戦闘に慣れていると思っていた俺ですらそうだった。

では慣れていないカズマが対峙すればどうなるか。

当然ながら逃げる。いや、逃げるだけセンスがあると思う。

普通は動くことすらできなくなる。

しかも結構な距離を一定間隔を空けて走っている。

良い足腰をしている。正直ちょっと羨ましい。

………そんな事を考えている場合ではない。カズマを助けなくては。

アクアとかいう女はさっきから変な事ばかり要求している。

敬えだとか、崇めろだとか。

そんなのは自分の行動次第でいくらでも着いてくるものだ。

強要するものではないと俺は思う。

やとりはやとりで起きる気配がない。

器用に鼻提灯まで出している。

………凄いな。初めて見たぞ。鼻提灯。

俺は腰に下げている俺……山姥切国広に手をかけ、抜刀する。

カズマを追いかけるジャイアントトードが俺の進路の延長上に差し掛かる。

それを確認する前に、俺は駆け抜ける。

近くの景色を置き去りにし、目の前に迫る巨体に刃を振るう。

狙う場所は人間で言うところの頸動脈。

刃と肉が触れ合う。

ゾグリとした感触を感じる前に、一気に体重をのせ、引き斬る。

ジャイアントトードは痛みを感じる前に絶命した。

俺は刃に付いた血糊を払い、ベルトポーチから布を取り出し、拭う。

そしてカズマの方を向いた。

 




今回は簡潔テキトーなキャラ紹介はありません_(:3」∠)_


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現実→これしか出来ない

この作品は拡大解釈や妄想によるキャラ補完があります。
苦手な方は別の作品をオススメします_(:3」∠)_

あと、感想にて原作タイトルの間違いを指摘してくださり、ありがとうございます。
本気で気づきませんでした_(:3」∠)_


「大丈夫か?カズマ」

切国さんが俺の方を向いた。

すっげぇ…流石ベテランって感じがするわ。

あともう少しで食われるところだったのを、切国さんがすごい速度でこっちに来て、蛙をぶった斬った。

ド素人の俺でも分かる。

長い経験があるからこそあんな事が出来るんだ。

切国さんには足向けて寝れねぇ。いろんな意味で。

「ありがとうございました!切国さん!」

すかさず立ち上がって深くお辞儀をする。

命が助かったなんなら何回でも頭下げるわ。

つーな切国さんマジで神。

どっかの自称女神の駄女神とは大違いだわ。

オメーも人の事笑ってないで、なにか役に立つ事しろ。今の所プラスの要素ねーぞ。

見た目以外。

「気にするな。寧ろカズマはセンスがある」

「えっ?マジっすか?ん?」

切国さん。それはあれですか?お笑いのセンスって事ですか?なんて聞こうとして顔を上げる。

そして気づく。

「あーー!!??アクアーーー!?」

あの駄女神食われてやがる!?

蛙さーーん!そんなもの食べちゃだめ!

ペってしなさい!ぺって!

俺の大声に気づいた切国さんが急いで走り出すが、タイミング悪くジャイアントトードが通過する。

ちくしょう!あんなんでも一応俺の仲間だ!

助けてやるから後で何か役に立てよ?アクア!

「むにゃむにゃ…乱獅子〜」

え?

何?いまのこの状況とまるで合ってないのんびりした声は……

「うおおおおぉぉぉぉ!?」

俺の目の前にカエルの首がーー!?

あっ、中にアクアがいる。助けとこ。

「アクアー大丈夫かー」

「うえぇ…ぐす…ぐす…」

マヂ泣きだ。嗚咽を漏らすってこういう事なんだな。

世の中には異性をいたぶって興奮する変態がいるが、やはり俺はその類では無かったようだ。

むしろそんな連中は現実を目の当たりにすれば、そんな考えも吹き飛ぶと思う。

誰かがやばい状況というのは、即ち自分もやばい。

余計な事を考えている時間があるなら、さっさと自分が生き残るように、努力していた方が身の為だ。

さもなくばこうなる。

蛙の粘液まみれになって、グチャグチャのドロドロになったこの駄女神のように。

「がじゅまぁ!」

「うぉ!?」

感極まったのか、感情が高ぶったのか、アクアが抱きついてくる。

「ありがとう!ありがとねぇ〜!がじゅま〜!」

美少女に涙ながらに感謝される。

しかも相手は女神。胸の大きさも申し分ない。

いい光景だ。感動的だな。だが無意味だ。

生臭ええええぇぇぇぇ!!!

こいつの身体に付いた粘液が醸し出す圧倒的生臭さ!

そしてこいつ自身が放つ涙声!

両方が合わさって不快感MAX!!!

これには俺も表情を隠しきれない!

だが堪えろ俺。真のフェミニストは男女平等。

コイツだって恐怖を味わった末に助けられたなら、こんな反応だってするさ。

「そ、それよりアクア。一体何が起きたんだ?そっちにはいきなり寝始めたけど、やとりちゃんがいただろ?」

「ぐす…えぇ…でも何が起きたのかはまるで分からなかったわ。食べられてたし」

そりゃそうだ。

「恐らくはやとりの真剣必殺だな」

切国さんがやとりちゃんを抱えてこっちに来る。

つーかまだ寝てんのかよ!?すごいなこの子!

「真剣必殺は真剣少女が使える必殺技のようなものだ。特定の条件を満たすか、一定時間経つと使えるらしい」

「へー、なるほど。凄いッスね」

必殺技かー。

いいなー。俺今のところそんなの無いもんなー。

 




獅子王やとり
原作 しんけんっ!
ちっちゃな身体に、足まで伸びたもじゃもじゃヘアー。
眠そうな目つきは伊達じゃない。アイマスクとマイ枕は必需品。
多分青狸を連れている銀河最強のメガネガンマンと同じ位早く眠れる。
必殺技の乱獅子はゲーム内屈指のカウンター技。
最近ろくにやってないけど多分今もそう。
アイマスクはゲーム内でも普通に装着する。
獅子王は太刀なので140cm代なやとりちゃんが持つとすごく大きくみえる。
胸は発展途上。


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アットホームは自称するものではありません

この作品は拡大解釈や、妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_

最近ヴァイスのこのすばスターターを買いました。


「先ずは戦力を整えるべきだ」

クエストを終えた俺達は、食堂の一画を占領し、明日からの方針を話し合ってる。

まず感じたのは圧倒的なアタッカー不足だ。

俺の職業は最弱の冒険者。

なんでも出来るし、なんでも覚えられる。 が、取得する為のポイントは高いし、職業によるステータスのボーナスも無い。

所謂器用貧乏だ。

アクアと真緒さんはアークプリースト。回復役。即ちヒーラーだ。

切国さんは剣士。分かりやすく言うとタンク。実力は昼間の通り。

如水さんはアークウィザード。黒魔道士みたいなもので、打点もバフも優れるアタッカー。

やとりちゃんは役割的にはアタッカーなんだけど、真緒さんが召喚した子達は、使い魔的な扱いらしい。

24時間後に消えちゃうから仕方ないよな。

ここまで見ると、不足どころか完璧な布陣に見えるが、真緒さん達はあくまで助っ人だ。

いつも切国さんが居てくれるわけでもないし、やとりちゃんだって今回限定だ。次会える保証はない。

なら、俺がしなくてはいけない事は何なのか?

ずばり自分のパーティーを作ることだ。

自分だけのパーティー。良い響きだ。

今現在のパーティーメンバーが、隣でやとりちゃんに要らんことを教えようとしているこの駄女神でなければ。

「それには賛成ね!上位職は勿論だけど、実力も切国かやとり位はないと!」

「身の丈にあった人選でないと、後で不和を招くぞ」

アクアの素っ頓狂な提案に真面目に返してあげる切国さん。

切国さんマジイケメン。

だが、アクアの言う事は最もだ。

上位職でないにしろ、この世界にある程度詳しい人が望ましい。

今の俺の頼りは頭が残念な駄女神と、見ず知らずに同郷という理由で、当面の生活費を貸してくれた元魔王様と、初めてだろうから心配。と言う理由で助けてくれたイケメンと、眠そうだけどやる時はやってくれた、今日限りのサムライロリだ。

「カズマさんカズマさん」

「ん?どうしたんだ?やとりちゃん」

俺が頭を抱えていると、やとりちゃんが話しかけてくる。

つい、頭を撫でちゃったけど、凄いふわふわしてる。天使かな?

「アクアさんが何か張り出したみたいですよ〜?」

なにぃ!?あの駄女神!また変なこと書いたんじゃないだろうな!?

上位職以外はゴミクズだからお断りだとか!?

「あっ…の駄女神!ありがとうやとりちゃん!ちょっと見てくる!」

俺は、やとりちゃんにお礼を言ってすぐに走り出す。目指すは掲示板前のあの駄女神だ。

 

「よしっ!これで完璧ね」

私の目の前にあるのはお手製の、メンバー募集貼り紙。

内容は

「明るく楽しいアットホームな職場です!未経験者歓迎!上位職優遇あり!今なら10万エリス差し上げます!ふふふ…完璧だわ!完璧すぎる内容だわ!」

「どこがだーーー!!」

むっ!?誰かと思ったらヒキニートのカズマね?

まったく先を越されたからってそこ迄叫ばなくてもいいじゃないの。

「カズマ!早速明日からバンバンくるわよ!素敵ですごい仲間が!」

「こねーよ!来るわけねーよ!明らかに怪しいしこの10万は何処からでたんだ!」

ふっ、全くカズマはバカね。

「おい。なんだその顔。めっちゃ腹立つんだけど」

「おバカなカズマにも分かりやすく説明してあげるわ。先ず、私は女神」

「見た目だけで頭は悪いし、脳筋だし、人の迷惑を省みない駄女神だな」

「駄女神じゃないわよ!」

ほんっとに失礼しちゃうわ!

まぁ、そんな事はいいの。この後の私のパーフェクトなプランを聞けば、流石アクア様と褒め称えること間違いなしなんだから!

「とにかく私は女神よ!それも真緒の息子であるルーシェ直属の!」

「………それで?」

「鈍いわねー。真緒なら察してくれるわ!そう!真緒から貰うのよ!前の世界での貯金を、そのままコンバートしてこっちに持ってきてるから、相当貯め込んでるわ!可愛い息子の可愛い部下の頼みだもの!断らないはずよ!」

「ふっざけんなてめー!却下だ却下!!」

なんでよーー!!

 




出して欲しいキャラとかあれば感想の方へ_(:3」∠)_
今のところ無いけど_(:3」∠)_


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怪しい誘い文句に釣られクマー

この作品は拡大解釈や作者の妄想によるキャラ補完があります。
苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_


パッションリップは来ました。
レジフェスなんて無かった_(:3」∠)_


カズマくんと会って翌日、掲示板にはカズマくんが作ったであろう貼り紙があった。

内容は

「パーティーメンバー募集中。明るく楽しい、アットホームな職場です。上位職優先。御用の方は冒険者カズマかマオまで」

………なんでさり気に僕の名前が書いてあるんだろ。

まぁ、パーティー組んでなかったし、何時でも声かけてもらっていいけど。

しかしあれだね。募集の文がブラック企業みたいな感じになってる。

これはあれかな?隅の方に研修期間ありとか書いておいた方がいいのかな?

「ねぇ如水。君はこれを見てこのパーティーに入りたいって思う?」

「余程他のパーティーから門前払いを食らって、他に行くところが無かったり、顔見知りがいなくて他に頼る宛がなかったり、特殊な性癖をしてない限り入ろうとは思いませんね」

わーおぅズッパシ。

そりゃー僕だって聞かれたら嫌だって答えるけどね。

でもなーなんでかなー。

そういう子しか集まらない気がするんだよな〜。

まぁ、いいや。パーティーリーダーはカズマ君だし。

僕?僕はサブリーダーだよ。サブリーダーと言う名の傍観者だよ。

誰が好き好んで騒動の種を拾うのさ。

「すみません。その張り紙を見たのですが、貴方がマオですね?」

「ん?」

おいマジかよ。

この状況で、僕に声をかけてくるのは3パターン。

一つに知り合いが張り紙を見て雑談しようとしているパターン。

だがそうなると最初にすみませんと断りを入れていることに理由がつかない。

無論その知り合いとやらが、おちょくる為に、わざとそういうふうにしている可能性もあるが、声色から初めて話す人に対する緊張が僅かに伺えるので、この線は無しだ。

二つはたまたま僕に話しかけたパターン。 

なにか困った事はあったが、近くには僕くらいしかおらず、仕方なく声をかけた。

が、これも無い。今この子は僕を名指した。

しかも張り紙を見たと言った。つまり目的はハッキリしている。

つまりは三つ目のパターン。

カズマパーティーに入りたくて声を掛けた。

…………い、嫌だぁ〜。なんで好き好んで、こんな宝箱の罠を見分ける魔法をかけたら、真っ赤に光りそうな張り紙見て、入ろうなんて思う人と関わり合いを持たなきゃいけないんだよ〜。

そういうの、カズマの担当じゃん!

い、いや待てよ?この子はさっき貴方がマオですね?と疑問系で聞いてきた。

つまりまだ逃げられる。

知らないフリをしておこう。

「えぇ、この方はマオさんですわ。貴方は?」

ですよねー。

如水ってばさり気なく腕を組んできて、仲良しアピールをしてくる。

おっぱいが当たってるって?

違うな当てられてるんだよ…。

仕方なく振り向くと、そこにはロリがいた。

黒髪赤目のロリ。大きな杖と大きなとんがり帽子に、足首まであるマントを羽織ったロリ。

まぁ、ザックリいうと黒髪赤目のいかにも魔法使いです。みたいな格好をしたロリがいた。

「……今何回心の中でロリって言いましたか?」

「え?なんの事?って言うか心の中の声って……君大丈夫?」

全く失礼なロリだな。

「人をおかしな人みたいに言わないで下さい。そして名前を聞かれたからにはお答えしましょう」

そういって女の子は腕を突き出し、持っている杖を勢い良く回し、正面で真一文字にピタリと止める。

「我が名はめぐみん!!アークウィザードにして、紅魔族随一の爆裂魔法の使い手!我が一撃を受け、立てる者無し!」

よく通る大きな声で、紅魔族特有の自己紹介をするめぐみん。

 

今更知らない人はいないだろうと思うが、紅魔族は高い魔力と、ずば抜けた知識を持つ、黒髪赤目が特徴的な種族だ。

紅魔族の里は魔王軍と最も近く、最前線と言っても過言ではないが、彼らは恐ろしい事にその圧倒的火力で持って、幹部クラスも追い返す。

ここまで聞くと、すごく頼りになる種族だが、彼らには他にも特徴がある。

それは、めぐみんの様に独特な名前をつけたがる傾向と先程の所謂中2チックな自己紹介だ。

後者に関しては、大体看板に偽りなしなので、別にどうってことは無いが、名前の方はもう少し何とかならなかったのかな?

めぐみんはまだ良いけど、その内もぐもぐとかてけてけとか出てきそう。

「しかしまたなんでウチにしたんだ?」

カズマくんの疑問は最もだ。

さて、ここはほぼ定位置となりつつある冒険者ギルドの一画。

カズマくんとめぐみんが、向かい合うように座っている。

因みにカズマくんとアクアはさっきまで寝ていたが、僕が時間を止めて探し出し、無理やり連れてきた。

そのせいで二人はまだパジャマとジャージ姿だ。

正直悪いとは思っていたけど、発端はアクアであり、あの張り紙を書いたのはカズマくんだ。諦めてくれたまへ。

「ふっ、知れた事…この場所が最も我が力を振るえると判断した。それだけですよ…」

と、カッコつけて言うめぐみんだが、長い事ご飯を食べて無かったせいか、食べながら話しているせいで、全然カッコつかない。

因みにお金の出処は切国だ。

「めぐみん。頬に食べかすがついているぞ。あと、話すときはちゃんと口の中を空にして話せ」

甲斐甲斐しく世話をしているさまは完全に保護者のそれだ。傍から見れば微笑ましい。

「アークウィザードか…如水さんもアークウィザードだし、確かに打点は欲しかったしな…よし!めぐみん!よろしくな!」

「えぇ、我が魔眼の力。とくとお見せしましょう」

あっ、何か話まとまったっぽい。

まぁ、アークウィザードってだけでも選択肢は拡がるしね。

紅魔族ともあれば有用性は高いはずだよ。

…………何故かとても嫌な予感がするけどさ。

 




めぐみん
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
カズマパーティー1の火力を持つロリっ子。
燃費の悪さも勿論パーティー1のロリ。
多分魔力とか才能に胸の栄養が持っていかれたロリ。
ロリ体型であることを気にしているロリ。
web版ではメインヒロインだった模様だロリ。
ロリロリ言いすぎてなんかそういう語尾のマスコットみたいになった説明文ロリ


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ご利用は計画的に

この作品には拡大解釈や、妄想によるキャラ補完があります。
苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_


闇オッさんきました。
やったああああぁぁぁぁ!!!


というわけで僕たちは今、ジャイアントトードが群生している平原にいるのだ。

早速実力を見てみたいとカズマが言い出したので、僕らもこうして見物に来ている。

アークウィザードといえば、僕らの中では如水が一番初めに思い浮かぶ。

豊富な魔法と知略で持って、時に大胆に、時に狡猾に戦場をコントロールする美魔女。

一度カズマ君達が、如水を連れてクエストに行った際、ほとんど一人で片付けたせいで、やることが無いと言われたことがあった。

如水からすれば、自分で自在になんでも出来るわけだし、戦国時代の憂さ晴らしみたいな気分なのかもしれない。

まぁ、少し話が逸れたけど、何が言いたいのかというと、普通のアークウィザードは非常に強い。と言う事だ。

「よーしめぐみん。早速頼むぜ?」

「えぇ任せてください。紅魔族…いえ、すべての魔法の頂点に君臨する魔法をご覧に入れましょう!」

全ての魔法の頂点とは随分大きく出たなぁ。

時間止めてスカート剥いじゃおうかな?

いや、止めておこう。流石にまだ嘘かどうか決まったわけじゃないし。

ド肝抜くような内容じゃなかったら剥いじゃおう。

「…それは暴力の具現。それは力の本質」

詠唱が始まる。

本来この世界で覚えた魔法は、詠唱はあまり必要ではなく、呪文を唱えるだけで勝手に発動する。

だが、ロマンとかカッコよさに生きているこの世界の住人は、更にそれに全力を注いでいる紅魔族がやっているのを見て、感化され広まったらしい。

つまるところこの詠唱にはなんの意味もない。

だがそれがいい。

正直こういうのはテンション上がる。

僕だって男の子だしね!

「解き放つは破滅の狼煙!エクスプロージョン!!!」

ん?エクスプロージョン?

僕がそんな事を思った瞬間、鼓膜を破ろうとするかの様な爆音が、辺りに響く。

結構離れているにも関わらず、切国とめぐみんの羽織っているマントやローブが、激しくはためく程の風圧を体が受け止める。

そういえば、昔何処かの温泉で、旗や布がはためく位の勢いのある風が、人間は一番心地良く感じる。と言うことを聞いた記憶がある。

気持ちいいなー。後ろ振り向きたくないなー。

「……旦那様」

うわーい。如水が凄く言いにくそうに声かけてくるー。

うん。なんとなく言いたいことは分かるけど言わないでー。

「あの爆発…あの範囲と威力から考えますとあの子は……」

「多分考えてることは同じだと思うな。僕も昔は魔王だったからよく分かる」

嫌だー…絶対あれだよー…。

「うおーー!?すっげぇなめぐみん!」

「ふふふ…どうです?これが我が最大の奥義にして最強の魔法。爆裂魔法です」

うわーい。めぐみんの声が下から聞こえてくるー。

気付いてーカズマくーん。君とんでもない地雷掴まされてるよー!

「あぁ!いやー、やっぱりアークウィザードは凄いな!どこぞの駄女神と違って」

「ちょっと!それ誰のことよ!」

これ僕が振り向いて気づかせてあげるべきかな?

絶対この子僕達の後ろの方で…

「…何をやっているんだ?めぐみん」

切国が声を掛けた。ですよねー。

全員が切国の、正確にはめぐみんの方を振り向く。

そこには、倒れ伏しピクリともしないめぐみんの姿が。

「……あの〜めぐみんさん?」

「我が爆裂魔法は究極にして最大。故に代償もまた最大。今の私はお箸すらもてません」

「……つまりは動けないということか」

やっぱり……。

 




感想とか待ってます!
いや、本当に。マジで。切実に


このすば……(山姥切国広)


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何だかんだ新しいのは嬉しい

この作品には拡大解釈や作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


次の召喚キャラは誰にしよう?_(:3」∠)_


魔法の威力は、その魔法に込めた魔力の量によって決まる。

スポイト1滴の魔力なら、当然毛程も感じないし、バケツ1杯分なら相応の威力になる。その為、魔法にも十全に威力を発揮出来る魔力量が決まっている。

ブラック企業よろしく、少ない賃金で最大の結果は残せない。

残したとしても、それは仮初。直後に結果以上の代償を支払わさせられる。

例えば腕が吹き飛んだり、相手が強化されてしまったり、最悪死んだり。

また、魔力は生命エネルギーの一種なのか、体力とリンクしている節があり、魔力が無くなると、動けなくなる。

昼間のめぐみんのように。

あの後は大変だった。動けないめぐみんを庇いながら戦うのは一苦労で、痺れを切らしたアクアがジャイアントトードに突撃。ゴッドブローなるものを放つも、打撃に強いカエルに効果など無く、あっさり食べられた。

バカかアイツはなどと呆れている最中に、めぐみんも食べられた。

二人仲良くヌトヌトのネチョネチョになった。

まぁ、その後は面倒くさくなった如水が辺りのカエルにサンダーボルトおみまいし、クエストは終了。帰路についたわけだ。

帰る途中、抱えているめぐみんが「カエルの中って意外と暖かいんですね…」と要らない体験談を話してくれた。

大衆浴所上がりの後、もはや言うまでもなくなったギルドの1画に、僕らは集まっている。

「めぐみんの爆裂魔法が凄いのは分かった。だけどあれは奥の手のようなものだ。他の魔法を使って、如水さんの様に、俺たちを援護してくれ」

「え?嫌です。と言うか無理です」

「はっ?」

めぐみんとアクア以外の声が重なる。

アクア。随分頼んでいるけど会計は個別だよ?僕は払わないし、切国にも払わせないからね?

「私は爆裂魔法しか愛せないのです。爆裂魔法しか覚えていません。なので、爆裂魔法しか打てません」

「そうか!良いパーティーが見つかるといいな!めぐみん!!」

早い!流石カズマくん!

めぐみんが使いにくい上にめんどくさいと感じるやいなや、朝の出会い等無かったかのような切り捨てっぷり!

そこには情の欠片も無い!

君管理職向いてるよ!

「そんな!朝のあの感動的な出会いは何だったのですか!?」

「知らん!そんなものはない!!」

「酷いです!使うだけ使ってポイですか!?」

「おいやめろ!人聞きが悪いだろうが!!」

おーおー、騒いじゃって。

じゃあ僕はカエルの唐揚げとシュワシュワと後野菜の盛り合わせを…。

「そんなこと言ったらマオはなんですか!?殆ど動かなかったじゃないですか!?」

おっとぉ。こっちに飛び火したぞ?

正確には動く必要が無かっただけだ。

スキル歩インドがだだ余ってる僕は、無詠唱と言うスキルを獲得している。

その為、すべての魔法は何も言うことなく使うことができる。

立って、視線を向けて、念じる。

この3つのステップで、魔法が発動するわけだ。

なので、動く必要が全くないのだ。

アークプリースト、アークウィザード両方のスキルを全て取得してこれを会得出来るわけだから、自分の経歴に恐れ入る。流石元魔王だね。

「そりゃそうよ。なんたってマオは、元魔王だもの。自分から動くような真似はそう簡単にしないわ」

おい。余計な事言うな駄女神。パンツ剥ぎ取るぞ。

「は?元魔王?」

「気にするな。今は普通の人間だ」

「切国」

「………すまない」

フォローのつもりだろうがフォローになってないぞ?

ほら見ろ。この微妙な空気。どうするんだ?

「………めぐみんの話だが」

おっと、そう切り出すか。

「なんですか?」

「俺は加入には賛成だ」

なん…だと?

まさかの…いや、もしかすると庇護欲にでも目覚めたのかもしれん。

おとなしく理由を聞こう。

「その〜理由はなんですか?」

「めぐみんの爆裂魔法はハイリスクハイリターンだ。効果的に使えば、状況は一変する……良くも悪くもな」

「でもそれ以外だとポンコツだよね?」

めぐみんがムッとした顔をする。

だが事実だ。限られた時に真価を発揮する。と言う事は限られた時以外では、役に立たない。という証明になる。

「そうだな。だがそれを差し引いても、あの火力は魅力的だ」

「旦那様。差し出がましいようですが、私も同意見です」

おっ、意外な援護射撃。

と言うかこの二人ならそこに目をつけると思ってはいたけど、協力してくるとは思わなかった。

「あの威力は単純な打点にもなりますし、城などを攻め落とす際の大きな手段の一つにもなります」

「君が爆裂魔法を取得しても?」

アークウィザードが爆裂魔法を覚える事ができるなら、如水が覚えても良いだろう。

めぐみんは縋る様な目で、カズマくんとアクアは、どうなんだろう?と言う目で、如水の方を見る。

「それもありです。ですが、私ではあれ程の威力を出すことは困難を極めますわ」

如水の答えはほぼ否に等しい可。

即ちあの爆裂魔法は

「めぐみんにしか出来ない…と言うわけだね」

僕の言葉に如水はゆっくり頷く。

めぐみんは、目を見開き、瞳を潤ませている。

「カズマ!ここでバシッと言わないと男じゃないわよ?」

アクアがカズマを急かす。

「……は〜〜、分かったよ。如水さんや切国さんの言う事も最もだ。パーティーにいれてやる」

「ほ、ほんとうですか!?」

めぐみんは身を乗り出して、カズマくんにグイッと迫る。

「本当も本当だよ。あそこ迄理論的にメリットを言われて断ったら、俺がアクアよりバカって言ってる様なもんだしな」

「どういうことよそれ!」

「そのままの意味だが?」

カズマくんの言葉に、ウッキー!と叫んで大乱闘を開始するカズマくん達。

あらあらと困ったふうに笑うが、止めようとしない如水。

二人を宥めようとする切国と、二人を煽るめぐみん。

こうして、カズマパーティーに新しい仲間が加わった。

 

 

 

けどなーんかもう一波乱ありそうなんだよなー。




感想待ってます!


このすば!(カズマ)


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普段の行いは大事です

この作品には拡大解釈や作者の妄想によるキャラ補完があります。
そう言うのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_

やったー!感想が来たぞー!しかもリクエスト付き!
リクエストキャラは特に要望がなければ、1日だけの召喚です_(:3」∠)_
なるべく沢山のリクエストに応えたいので_(:3」∠)_


山姥切国広だ。

先日、カズマ達に新しい仲間が増えた。

そして、もう一人増えようとしている。

「頼む!私も君のパーティーに加えさせてくれ!」

「嫌だって言ってんだろ!」

目の前にいるのは金色の髪を後ろで一つ結びにしている女だ。

西洋甲冑に身を包み、騎士然とした佇まいは、今は少し成りを潜めている。

そういうのも、今この女は……確かダクネスと言ったか。ダクネスは、カズマのパーティーに入れてもらうために、必死に成っている。

その理由は建前上では、めぐみんやアクアを、危険に晒さないために、クルセイダーである自分を雇うのが良い。

本音は先程から見え隠れしている、自分の被虐的欲求を満たしたいが為だろう。

そんな理由で、パーティーを組ませるほど、俺は甘くない。

しかし、売り込みは間違えていない。

確かに俺達は、現在前衛が圧倒的に、不足している。

主や黒田もできない事はないが、やはり本職は後衛だ。前に出ないのが望ましい。

アクアは前に出たがるが、奴もアークプリーストだ。

そして昨日加わっためぐみんも後衛。

カズマは前線に出れることは出れるが、やはり腕前に不安が残る。

そうなれば、まともな前衛職は俺一人と言う事になる。

写しの俺にはそれ位の働きが丁度いいが、それとパーティー全体の安全は、また別の話だ。

なので、欲しいといえば欲しい。

だが、自己満足の為に、自らの身を危険に晒す奴を信用はできない。

俺は考えが堂々巡りになった。

そしてそういう時は

「俺はカズマの……リーダーの意思に従う」

人の扱いに長けた、カズマに委ねた。

カズマが呆気にとられた顔をする。

きっと呆れているのだろう。

こいつは俺を尊敬している節があった。

そんな男が、頼りない自分に判断を委ねた。

きっと幻滅したのだろう…。

それでいい…写しの俺にはそれ位の扱いで

「分かりました!男、サトウ・カズマ!ビシッと言ってやります!」

なん………だと……!?

 

 

俺は今感動している。

あの切国さんが、このドMクルセイダー ダクネスの扱いを、俺に任せてくれた事に!

切国さんには蔑まれこそ、信頼を得ているような場面なんて1つもなかった。

初日からお金が無い俺達に、お金を貸してくれた切国さん。

戦い方を日が暮れるまで真剣に、分かりやすく教えてくれた切国さん。

アクアの我儘を窘めながらもコッソリと叶えてやれるように動いてくれた切国さん。

馬小屋ではゆっくり休めないだろうと、安い宿の取り方を教えてくれた切国さん。

土木工事のアルバイトで夜まで飲んだくれて、帰りが遅い俺達を心配して迎えに来てくれた切国さん。

思い起こせば世話になってばかりだ。

そんな切国さんが、俺にこいつのパーティー加入の可否を任せてくれた!

ならば全力で挑まぬばなるまい!

「すこし待ってくれ」

「ん?あぁ、待つとも」

俺はダクネスに断りを入れ、聞こえるか聞こえないかの位置で、めぐみんとアクアと会議を開く。

「お前ら。普段世話になってる切国さんの為に協力しろ」

「もちろんよ!」

「当然ですね」

おぉ、二人共やる気だな!

そりゃーそうだろうな。あんなドMクルセイダーが加入したら、切国さんの胃にマッハで穴が空くかもしれないしな。

ストレスで。

「前線で頑張りまくってる切国が少しでも楽できるように、アンタを説得すればいいのよね?」

「ちげーよ!!」

ちげーよ!?合ってるけどちげーよ!?

そりゃー確かに俺達には圧倒的に足りてない前衛だけども!?

「なぜですか?クルセイダーなら切国程のの実力はあるでしょうし、そうでなくても囮役としての使い道はあると思いますが?」

ぐっ……。

そういえばこいつらはアイツがドMだって事を知らないんだった。

仕方ない。説明してやろう。

 




ダクネス
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
ご存知ドMクルセイダー。
思うに天職についたある意味幸せな奴。
キャベツの猛攻を受けても喜ぶし、罵倒されても喜ぶ。
多分このすば界最強の存在。
ただし攻撃は当たらない。ビックリするほど当たらない。
豪快に技を叫びつつ盛大に外す。
親の顔が見てみたいとか思ってたら本当に見るハメになった。
その話はまた後日。


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ドMほどめんどくさい相手はいないと思うの

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をおすすめします_(:3」∠)_


GW?知らんなぁ_(:3」∠)_
イノセンティアを作っていたからな!!

文章がごっそり抜けていたので追加挿入
クリスすまねぇ・・・すまねぇ・・_(:3」∠)_


あれは俺が切国さんと昼、装備を見繕うために街を歩き、休憩している所だった。

「切国さん。スキルって何に振ればいいんですか?」

「……すまん。俺もよく分からん」

「マジっすか…」

俺の質問に答えられないのが気まずいのか、顔を隠す切国さん。

勿論、切国さん以外にも聞いたけど、マオさんや如水さんのアドバイスは、先を見据えすぎててイマイチピンとこなかった。

え?爆裂魔法?ははは。こやつめ。ははは。

いてぇよ!殴んな!

え?あぁ、続きね。

んでまぁ、二人で言うこともなくボーッとしてたわけよ。

そしたら

「ねぇ君達。スキルの事で悩んでない?」

って声をかけられたんだよ。

白髪のショートで、胸は控えめだったけど、元気そうな女の子だったよ。

名前は、クリスって言ったかな?

その時そばにいたのがドMクルセイダーのダクネスだったわけだ。

 

 

クリス達に案内されてたどり着いたのは、人気の少ない路地裏だった。

「私が君に教えるのはスティール。所謂「盗む」だね。」

「…なるほど。相手の得物を奪い取れれば、直接的な戦力低下にも繋がるな」

「そういうこと。しかもカズマって幸運値高いでしょ?人よりも高い確率で狙ったものが取れると思ってさ」

俺は正に俺の為にあるようなスキルだと思ったね。

勿論すぐ覚えるって答えた。

「じゃあお手本を見せるね……スティール!!」

スキルを発動したクリスの掌が眩しく光った。

思わず、腕でガードしたけど、見逃さないように視線は外さなかった。

光が収まった頃、自分の身体から取られたものは無いか確かめた。

あぁ、俺はなかった。俺はな。

「か、返してくれ…」

驚いたよ。後ろから消えそうな声がしたからな。

思わず振り向いたら………凄い残念なイケメンがそこに居た。

いつもの白い布が剥ぎ取られたせいか、切国さんってばインナーを被って代用してたんだよ。

ただ、急いでそんなことした成果、なんというかその……ジ●ミラみたいだった。

「頼む…返してくれ…」

「う、うん…その…ごめんなさい」

泣きそうな顔の切国さんは…色々と見てられなかった。

おいアクア。剥ぎ取ろうとすんなよ。あぁいうタイプは身内がすると、とんでもなくブチ切れるか、引き籠るかどっちかだ。

んでまぁ、白い布を返してもらったあと、カードを確認したわけだ。

え?この辺りの行いるのかって?

いるに決まってんだろ。話の腰をいちいちおるんじゃねーよ。

あー、まーざっと説明するとさ、スティール覚えたから早速使ってみたら、クリスのパンツ剥いじゃったんだよ。

そしたらそれを見たダクネスが大興奮して叫んだんだよ。

「やはり私の目に狂いはなかった!!さぁ!!私にも使ってくれ!!できれば公衆の面前で!!!」

 

 

「つーわけなんだよ。これを聞いて俺は確信した。アイツはドMの変態だ…てな」

俺の話を聞き終えた二人は何故か俺を白い目で見ている。

まて!なんでだ!?WHY!?

「だって・・・ねぇ?」

「えぇ、例え人気の少ない場所だろうと、他人のしかも大して親しくもない人の下着をはぐのはちょっと・・・」

「そこかよ!?そこ重要じゃないだろ!?いや重要かもしれないけど本題じゃないだろうが!?」

こいつら俺の話ちゃんと聞いてたのか!?

俺はあいつをパーティーに引き入れたら切国さんの胃がやばいだろって話をしたよな!?

それが何故に俺のスティールの話しか残ってないわけ!?

耳に変換機でも内蔵されてんのかよ!

「ともかく・・・カズマとの付き合いを考えるのは後にしておくとして」

「そっちを考えるなよ!」

「それでもやっぱり余っている上級職は貴重よ。それにほら、よく言うでしょ?残り物には福があるって」

「私もアクアの意見には賛成です。それに切国なら、うまい具合に役立ててくれます」

「はい!じゃあ2対1で参加にけってーい」

うそだろおおおおぉぉぉ!!??




クリス
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
カズマをゲスマに変えた張本人。
しかしながら、このスティールがなければ、カズマはこのすば界のリーサルウェポンには成らなかっただろうし、web版での活躍もなかったに違いない。
読んでないけど。
どこぞのパッド神よろしく神は白髪。
どこぞのパッド神よろしく胸は控えめ。
どこぞのパッド神と違い、身長はそこそこ大きめ。
どこぞのパッド神はどこかしら身体を盛らないと気がすまないらしい。
イッタイドコノパッドシンナンダー


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この後背負われて帰った

この作品には拡大解釈や作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_

オッさん石三凸しました_(:3」∠)_


今何処かで知り合いが叫んだような気がした。

「えーと・・・どうしたんですかー?」

「いや、なんでもないよ。また厄介なメンバーが加入したような気がしただけ」

「なるほどー」

僕の隣りにいるのは今朝召喚したシズクという少女だ。

この作品初のメガネキャラだ。

しかも胸がでかい。

しかし能力が意外と厄介だ。

「吸引とはねぇ・・・」

「元いたところでは結構重宝されてましたよー。服破かれたりしたけど」

「重宝されてたのに?」

「戦うこと多かったんですよー」

なるほど。と頷いて、改めてこの子に関して思い出してみよう。

名前はシズク。

原典は某有名念能力バトル漫画。

巨乳で黒髪ボブカット。身長はそこそこ。女性にしては大きめ。

黒い服にジーンズとラフな服装でデメちゃんっていう掃除機の念能力で戦う。

あの作者はいい加減月刊誌に変えるか、作品を畳むかすればいいと思うんだ。

「それされたら食い扶持がなくなるんでこまりますねー」

「え?そうなの?」

「1コマ10000エリスなんですよ」

マジか。そういうシステムだったんだ。

「嘘ですけど」

そんな、どうです?みたいな感じで表情を輝かせないでくれよ。

あんま見た目変わんなくてわかりにくいけどさ。

というかこの子ナチュラルに心読まなかった?

「女はみんなエスパーですから」

「・・・・・」

「あれ?ここ笑うところだと思うんですけど?」

「いや・・・こう見えて300歳だからさ・・・色々あったんだよ・・・」

「へー、凄い若作りですね」

そう来るとは思わなかった。

というかこの間のやとりといいこの子といい最近天然キャラ多いな。

きらいじゃないけどね。

「それで、今から何するの?」

「んー・・・そうだね~」

悩んでいるのはそこなんだよなー。

腕は立つけど、吸引という特性上、少しクエストを選ぶ。

昨日と同じジャイアントトードのクエストに行って血でも吸おうものなら、干からびてカエルの干物に成ってしまう。

あれはパンパンに肥えている方が高値で取引される。

そうなると・・・・。

「上位クエストかなぁ」

「なんかすごそうだ」

「凄いよ。来たばかりの君でどうになるかどうか・・・」

「なんとかなりますよ。アナタも来てくれるんでしょ?」

そういうとシズクは首を傾げてこちらを見る。

相変わらず表情は変わらないけど、そこには僕への信頼が見て取れた。

あって数分の相手に信頼を置くとか・・・やはりジャンプ式対話術(物理)は偉大であったか。

「いえ、あれですわ。エロフェロモンのせい」

せめてそこはカリスマとかでごまかしてくれないかな~。

 

 

さて、僕達が受けたのは初心者殺しと呼ばれるモンスターの討伐だ。

このモンスターはコボルトやゴブリンを追いかけてくる初心者を襲う。

そのことから、いつしか初心者殺しと呼ばれるように成ったそうな。

最近被害に合うことが多くなったので、数を減らそうというのが狙いだ。

なんで絶滅しないのかって?

色々うるさい奴らがいるんだよ・・・・何処の世界にもいるんだよ。

「世知がない理由だね」

「全くだよ」

ちなみに、カズマ達は置いてきた。

いや、無理でしょ。あの子達連れて初心者殺しとか。

それに今からやるのはちょっとした実験だからね。

下手すると僕が倒れちゃうかもしれないし。

「なんでそんなことを?」

「手数を増やしたいからね」

召喚は何も人だけでは無いのではないか?

そういう疑問から、今回は物質の召喚に手を出そうと言うわけだ。

せっかくだしエクスカリバーとか出ないかな。

そういうわけで、僕らは初心者殺しが出やすい、コボルトやゴブリンが出てくる森に来たのだ。

「さて、始めるか」

魔法陣を展開し、意識を集中させる。

ガラスの破片が自分の周りをグルグルと飛び交うイメージが浮かぶ。

いつもなら人の姿が浮かぶその面に、今は何も映っていない。

もっと意識を集中する。

まだ見えない。

もっと…もっと…。

そして一つ。人ではない何かが映っている面を見つける。

すかさずそこに手を伸ばし、中にある物を引っ張り出す。

手にしたのは夜空をそのまま閉じ込めたかのような指輪だった。

いきなり大当たりだ。

こいつは僕が以前使っていた物だ。

あとで試してみよう。

メッチャ疲れてるしね。今。

「あれ?どうしたんですか?」

仰向けになっていると、向こうの茂みからシズクが、帰ってくる。

あれ?お前こそどうしてたの?

「疲れたから休んでる。そっちは?」

「いえ、暇だったんで歩いてたら、変なのに出くわしちゃってぶっ倒してた」

そういうと、シズクは左手に持ってた物を見せてくる。

そこにしたのは干からびた初心者殺しだった。

「……クエスト達成だ」

「あり?なんでしたっけ?」

「終わったことだしもういいよ」

取り敢えず服を着ろよ。なんで下着姿なんだよ。

 




シズク
原作 HUNTER✕HUNTER
黒髪、メガネ、巨乳の3属性に加え、天然まで入っているハイブリッドな萌キャラ。
原作の中では数少ない巨乳要因。
しかも割りと脱いだり脱がされたりする。
取り敢えず勝てればいいから平気で脱ぐ。童貞は死ぬ。精神的に。
ドラマCDという世界線ではゴンと恋人だったとか。

アネモネさんのリクエストにより今回召喚された。


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規格外は何処にでも居ますよ

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、別の作品をオススメします_(:3」∠)_


今日のセレマグチャレンジ。
3回やって全部1ループもせずに失敗!
内2回は救援を出し忘れるという失態_(:3」∠)_


翌日、僕は昨日の成果を確かめる為に、また軽いクエストを受けに冒険者ギルドへ行こうと足を運んでいた。

すると

「緊急クエスト発生!緊急クエスト発生!冒険者の皆様は、直ちに正門前に集合してください!繰り返します!」

と放送が鳴り響いた。

おぉ、もうそんな時期か。こりゃ丁度いい。

試運転ついでに金稼ぎじゃい。

 

「マオさん。これ何の集まりですか?」

「聞いてないの?キャベツの収穫だよ」

わけも分からず着いてきた。と言う顔で尋ねてきたカズマに、このクエストの内容を単純に告げた。

因みに僕は久しぶりに体動かすから、ラジオ体操をしている。

昔は面倒くさくてあまり真面目にやらなかったけど、しっかりやると全身の筋肉が良い感じに解れるのだ。

いっちに。いっちに。

「マジか……マオさんが言うなら本当に飛んでくるのか…キャベツが…」

カズマが未だに信じられないという風に遠くを見ている。

うん。そうだろうね。僕も驚いたよ。まさか飛ぶなんてさ。

初めて見たときの衝撃は、今でも忘れられないよ。

切国も呆然としてたっけな。

唯一動けてたのは…

「今年もこの季節がやってまいりましたね。主」

この男だけだったな。

「えっと…誰です?」

「ふん。なぜ俺が貴様の様な見ず知らずに…」

「長谷部。挨拶」

「へし切り長谷部と言う。主の為に今日はキャベツをくまなく切り伏せよう」

へし切り長谷部。別の名を妖怪シュメイトアラバー。

名を与えられるた早々に、縁も縁もない人に渡された過去を持つ刀剣男士。

打刀の中ではずば抜けた機動力を持ち、任務遂行の為なら非情にもなれる。

と、ここまで聞けば悲しい過去を持つイケメンだが、愛に飢えてるのか何なのか、妖怪シュメイトアラバーとしての習性なのか、出会った頃からやたらと、主命主命とうるさかった。

去年の収穫祭の時に呼んでいたから、あそこにいるキャベツを、全部切ってこいと命令した時、物凄い笑顔で「主命とあらば!!」と叫んで走り出していったっけ。

まさか500玊も切ってくるとは思わなかったけど。

さらにその後1000玊いかなかったからと、切腹するとは思ってなかったけど。

でも一番驚いたのは朝起きたらこいつが、普通にいたことだけどね!

ビビるわ!朝起きたらこいつが笑顔でおはようございます。とか何事もなく挨拶してる場合かよ!

『キャベツが空を飛ぶ時期と思い、自ら馳せ参じました』

ふざけんなよ。そんな理由で寝起きドッキリかますんじゃないよ。

……今更だけど、キャベツが空を飛ぶ時期って意味わかんない言葉だよね。

 




へし切り長谷部
原作 刀剣乱舞

妖怪シュメイトアラバー。
主命ならだいたい何でもこなす。
裸踊りしろとか言われてもやるかもしれない。
名前をつけられて早々、話で聞いただけの赤の他人に渡した信長が嫌い。
嫌いとか言いつつも信長の話しかしないから、多分ツンデレ。
2016年に国宝として認定された。すげぇ。
作者は見に行けなかった。くやしぃ。
日本号もまだ見てない。くやしぃ。
でも村正は見れた。かっけぇ。


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キャベツを軽んじる者、キャベツに泣く

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そう言うのご苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


一昨日昨日と連休でした。
文アルの新美南吉くんが可愛すぎてヤバい_(:3」∠)_


「主。俺は去年より、今日という日のために鍛錬を重ねてまいりました。今年こそは1000…いや!2000玊切ってみせましょう!」

「ウン。ガンバッテネーハセベ」

マオさんが棒読みで長谷部に返事を返していた。

まぁ、確かにちょっとああ言うのには関わりたくないよなぁ。

「みなさーん!今年のキャベツは出来がよく、経験値が沢山詰まってますので、1玊1万エリスで取引させていただきまーす!」

「うおおぉぉぉーーー!!!」

受付のお姉さんことルナさんが、メガホンを持って大きな声で報酬を言うと、周りの冒険者達が威勢よく吠える。

うるせぇ!

「例年は3〜4000エリスらしいから、盛り上がるのも当然ね」

おぅふ…この色気満々のお声は如水さん。

ていうか例年でもそんなに多いのか。

そりゃ、躍起にもなるよな。

そりゃ、アクアでなくても一攫千金夢見るよな。

そりゃ、長谷部出なくても興奮するよな。

あの空を埋め尽くすようなキャベツの、軍勢をみたら。

「キャベキャベー」

「行くぞキャベツ共!同胞の備蓄は充分かぁー!!」

「ウラーーーー!!!」

走り出した長谷部を、皮切りに他の連中も続く。

爆裂魔法で一網打尽にしようと隙きを伺うロリ。

虫取り網で一匹づつ捕まえるより、殴って気絶させたほうが早いとロッドを振り回す駄女神。

他の冒険者に襲いかかるキャベツを自らの体で受け止め、自らの特殊性癖を満たすドM。

チュインチュインと謎のレーザー音を出し、高速移動でキャベツを狩りまくる妖怪シュメイトアラバー。

得物を色々と変えつつ、キャベツを瞬間冷凍していく元魔王。

そしてあちこちで雷の雨を降らせる爆乳軍師。

ナニコレカオス。

もういいや。俺もキャベツを狩ろう。無心で。

 

「やべぇ…めっちゃキャベツ旨ぇ…」

「食材になるモンスターは、経験値が多いほど美味しいんだよ」

へー、そうなんだ。

キャベツ収穫祭の翌日の今日は、カエルの唐揚げとキャベツの盛り合わせを食べている。

ただのキャベツと、侮るなかれ。唐揚げと食うとこれがまた美味い。

唐揚げは言わずもがな、キャベツがその味を引き立たせる。

まずは唐揚げを食べる。

あの油まみれでありながら、止められない肉の味を、溢れ出る肉汁と共に味わう。

次に本命のキャベツ。

切り立て刻みたてのキャベツは、特有の甘みとパンパンに詰まった葉肉の、シャキシャキとした食感で俺の味覚を楽しませてくれる。

噛むたびに感じる野菜独特の苦味は、前に食べた肉汁や油っこさを和らげ、しかし唐揚げの味を忘れさせず、キャベツの甘みをふんわりと広げてくれる。

水を飲み一旦箸を休めて、またキャベツを、食べて唐揚げの味を完全にリセット。

これでまた唐揚げの味が楽しめる。

野菜……恐るべし。

美味しく食べれてしかも経験値も貯まるとか…最高かよ。

「カズマ。顔が変なことなってますよ」

「あぁ、何か作画が違うというかなんと言うか」

まな板爆裂娘とへっぽこドMクルセイダーが何か言ってるが気にならない。

「今心の中で思ったことをはっきり口に出して貰おうじゃないか」

なんで分かるんだよ!エスパーかよ!

「ちょっと!なんでこれっぽっちなのよ!!」

なんだなんだ?この朝の優雅な一時に水を差してくる駄女神は?

「なんでレタスが混じってるのよ!」

ったく好き嫌いか?野菜を舐めるなよ?

「良いじゃない!美味しいじゃない!レタス!!」

んん〜?なんか方向がおかしいぞ?

つうかあいつなんで昨日報酬貰いに行かないで、今行ってんだ?

「そういえば今回の報酬は自分で稼いだ分は総取りって言い出したのアクアだったね」

マオさんの言葉に電流走る。

そう、昨日の夜。キャベツ収穫祭が終わったあと、アクアがこう言い出した。

『今回のクエストで稼いだ分は、全部自分の物ってことにしましょう?皆それぞれで頑張ったんだし』

アクアにしては珍しい上に粋な提案だな〜と思って賛成したから覚えている。

そのお陰で、ダグネスはキャベツの猛攻で砕けた鎧を買えたし、めぐみんは杖を新調した。

切国さんはそもそも出てないから変わってない。

なんでも、刀剣男士が召喚された時はそいつが少しでも長くマオさんと一緒にいられるようにも引きこもるそうだ。

切国さんマジ天使。

マオさんと如水さんは参加してたけど、全額建設中の家の費用に回したそうな。

いいな〜一軒家か〜。

俺もいつまでも宿屋暮らししたくないな〜。

「か、カズマさ〜ん」

まー無理なんですけどね!

チクショウ!この駄女神が!

今度はどんな厄介ごとだ!

「……なんだよ」

「え、えっとね。カズマさんどれ位稼いだのかな〜って?」

「………」

どうしようかな。あんまり言いたくないんだよな。

「そういえば僕も聞いてないね」

「私もですね」

「どうだったんだ?カズマ」

わー、次々と聞いてくるー。

やめてー。見ないでー。聞かないでー。

カズマさん心はガラスなのー。

「……100万ちょい」

渋々いう俺。

なんだよ…わりーかよ。

そりゃーマオさんとかに比べりゃー少ないよ。

「すごいですねカズマ。私の爆裂魔法でも30万くらいですよ」

「あぁ。私もめぐみんと同じくらいだ」

え?そうなの?

でもマオさんは400万とか…。

「あれは殆ど長谷部が切ったようなもんだからね。僕自身は武器の調子とかを見るのには気がいってたから、40万位だよ」

長谷部すげぇ。流石妖怪。

そ、そうかーそうなのかー。

なんか自信ついちゃったなー!

「で、それでなんだけど〜」

あっ、そういえばこいつの事忘れてた。

「で?なんだよ」

「お金貸して♡」

「マオさん!家の見積もりって何処でしました?」

「まってえええぇぇぇ!!見捨てないでええぇぇぇ!!」

うるせーーー!!てめーの借金に、巻き込むんじゃねーーー!!

 




キャベツ
原作 現実
アブラナ科アブラナ属の多年草。
緑色の球体という形のせいで、作画崩壊の代名詞として扱われている。
野菜といえばキャベツと言っていいくらい、現実でも2次元でもよく見かける。
最近は値段が上がってお高い。


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筋肉、それは逞しさ

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


四象が始まり、キアラピックアップが始まり、6節の難易度に躓く_(:3」∠)_


「アクアー!危なくなったら言えよー!」 

俺は向こうの方で檻の中で水を浄化しているアクアに呼びかける。

遂にアクアをこの世からあの世へ、リターンバック(物理)しようとしているわけではない。

これにはちゃんとした理由があるのだ。

 

 

「お願いよー!私今回のキャベツクエストで、大量のお金が入るって踏んでここの酒場に10万も借金してるのよー!」

「知るかよ!つうかレタスとキャベツだぞ!そうそうに間違える方が悪いだろ!」

「なによー!そんな言い方ないでしょー!」

自業自得で自ら借金を背負った駄女神にかける言葉はねぇ!

「つうかおまえ!切国さんからまだ借りてるらしいじゃねぇか!マオさんこの間静かに切れてたぞ!」

「………てへ♪」

「てへ♪じゃねぇ!!どれだけ他人に迷惑かけてんだよ!」

「なによー!私だって流石に悪いとは思ってるわよ!だからこうしてカズマに頼んでるんじゃない!!」

「その俺だったらOKみたいな言い方やめろ!貸さないからな!!」

「何よこの人でなしー!」

「持ってきたわよん」

「はい?」

ぎゃいぎゃいと喚く俺達の間に割って入ったのは、今日召喚されたという男だ。

筋肉モリモリマッチョメンの身長およそ2m。

磨き上げられた強靭な肉体は、理想型な逆三角形の体格をつくり、俺の胴はありそうな足は力強く地面に根を張り、丸太の如き腕は逞しく、ドラム缶ほどはあろう胴回りは恐怖と威圧感を与えてくる。

その雄々しき角は彼の身体にしっかりとマッチし、この肉体にはこの角無くしてはあり得ないと言わんばかりだ。

しかして、その顔つきは、それらすべてと真逆の柔和なもので、強靭な肉体は途端に父親の背中のような温もりを感じるようになる。

そして言葉遣いは

「アクアちゃん。まだ諦める時間じゃないわ!」

「うぅ……でも頑張った結果があれじゃあ…」

「大丈夫よ!その為にアクアちゃん向けのクエストを持ってきてあげたわ!」

オネエだ。

渋い声で凄くオネエだ。

しかもこの人、すげぇ優しい。

あのアクアですら声を荒らげずに言うことを聞かせられる。

めぐみんやダクネスの手綱もしっかり握ってくれている。

「カズマちゃん」

「え?あ、はい。なんすか?」

「いつも皆を叱ってくれてありがとう。カズマちゃんがしっかり皆に言い聞かせてるおかげで、皆私の言葉に耳を傾けてくれるわ」

「い、いえいえそんな!ファスティバさんだからですよ!普段からこれなら俺も苦労しませんって!」

この人いい人過ぎだろ!

そんな意図ありませんから!

ただその時言いたい事言っているだけですから!

だからそんな慈愛に満ちた目で見るのはやめて!

浄化されて成仏しちゃう!

「んもぅ!謙虚ねぇ!そんなカズマちゃんには……イッツア!ラアアァァァッブ!!」

「ぐおおおおおぉぉぉぉぉ!!!???」

「でたーー!!ファスティバさんのラヴマックスホールドだーー!」

アクアてめー!呑気に実況してんじゃねー!

折れる折れる!!

浄化されちゃう!成仏しちゃう!物理的に!!

 




ファスティバ
原作 グランブルーファンタジー
ドラフ族の男。身長は202cmで、ドラフの男としては身長は低め。漢女としては最高身長。
カジノ艇でプロレスラーをしつつ、愛の伝道師としての活動を欠かさない憎い奴。
孤児院で育ち、愛を知り、伝える漢女。
今日も彼女の筋肉が唸る。愛を伝える為に。
イッツア!ラアアアアァァァァァッヴ!!!


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筋肉、それは強さ

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そう言うのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


ファスティバさんは書いてて筆が乗るけど、カズマパーティーのらしさが抜けるんで辛いです_(:3」∠)_


と言うわけで、俺達はファスティバさんが見つけてきたアクア向けのクエスト。湖の浄化するクエストをやる為に、この場所に来た。

通常なら何時間もかけて呪文を使い続けなければいけないが、曲がりなりにも水を司る女神であるアクアは、湖に浸かっているだけで、その湖は浄化されていく。

無論、すぐにと言う訳にはいかないが、この呪文を使う使わないの差は非常に大きい。

魔力切れの心配が無い為、ああして檻の中に入れているだけでいい。

勿論アクアが浄化魔法を使えばその分早く終わる。

が、まぁその辺はアクアに一任している。

まぁ危なくなったら使うだろ。

檻に入れている理由だが、別に俺にそういった趣味があるわけではなく、アクアの身を案じての事だ。

なんでも、汚れた湖なんかには、ブルータルアリゲーターというワニが住み着いているそうだ。

そして、その近くを通ったり、休んだりしている動物を襲い、捕食する。当然ながら人間もその対象だ。

現代日本にいたらそこら中にいそうな奴らだ。

ブルータルアリゲーターは、綺麗な湖には居つけず、今回もブルータルアリゲーターの討伐は対象になっていない。

まぁ、討伐しないのは人間の勝手であって、当のワニたちにとっては住処を荒らされているようなものかも知れない。

なので、あの檻はアクアを守る為に必要なわけだ。

まぁ、傷ついたりなんたりは許容範囲だが、人為的な傷をつけた場合は報酬から差っ引かれる。

「浄化は順調よー!」

「そうかー!トイレとかいきたくなったら言えよー!」

「アークプリーストはトイレなんか行かないからー!」

「アクアちゃーん!無理しちゃだめよー!」

「ありがとー!ファスティバー!」

いいなぁ…なんというかこう…普通のパーティーって感じがするなぁ…。

ファスティバさんがいるお陰で俺の胃の負担は軽くなっている上にパーティーの纏まりは増している。

「さっ、ちょっと早いけどお昼にしましょう」

「えぇ、なんだか余裕そうですし。因みに紅魔族もトイレにいきません」

「……く、クルセイダーもトイレには」

「張り合わなくてもいいぞダクネス。嘘か本当かは今度トイレに行けないクエストで判明させるから」

ファスティバさんがシートを広げ、お手製の弁当を並べる。

その豪快な見た目からは想像もできない可愛らしい中身に少し驚いた。

女子力高いな本当。

うちの女性陣よりずっと乙女してるぞ。

「カズマちゃんも食べてて。あたしはアクアちゃんにお弁当渡してくるから」

「あっ、じゃあお言葉に甘えて…」

「にぎゃーーーーー!!!」

何だ何だ!せっかく俺達が楽しいランチタイムをしようとしてたのに!

アクアの方を向くと、なんとブルータルアリゲーターに襲われていた。

うわっ!多!!なんだあの数?住み着き過ぎだろ!どうしてこうなるまでの放っておいたんだ!?

「アクアー!引っ張るかー!?」

「い、いいえ!やるわ!もう少しで終わるもの!ピュフリケーション!!」

俺の言葉にアクアが浄化の魔法を唱えて答える。

この土壇場で続行とは…なかなか根性があるな。

「あたしちょっと行ってくるわ!これお願いね!」

そう言うが早いか、俺にアクアの弁当を渡したファスティバさんは、アクアの方へ駆け出した。

「うおおぉぉぉらあっ!!!」

あっという間にアクアの元に着いたファスティバさんは、ブルータルアリゲーター1頭を、直ぐさま仕留めた。

2mの筋肉の塊にラリアットされたワニは間もなく気絶し、崩れ落ちる。

「あたしの仲間に手を出す奴には……お仕置きよ!!」

ファスティバさん……カッケェっす!!

 




ブルータルアリゲーター
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
ワニ。どう見ても大きいワニ。
そのせいでアニメ版かなにかではタダのワニ扱いされた。
汚い水を好む為、多分現代にいたらそこらかしこにこのワニがいる。
日本でも佐鳴湖とか東京湾とかに居る。
中国や韓国には生息できない。


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筋肉、そしてそれは………愛

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


MMDで一日が終わる_(:3」∠)_


ファスティバさんの大立ち回りとアクアの懸命の浄化により、何とか夕方に街に帰り着く事ができた。

「アクアー。いい加減に出てこいよー」

「嫌よー。私お昼食べ損ねたんだから」

クエストが終わったにも関わらず、アクアは檻の中から出てこようとしなかった。

理由は単純で、歩くのがたるいから。

今は檻の中でファスティバさんのお弁当を、食べている。

旨いんだよなー。家庭の味って感じがするんだこれが。

「んー♪おいひー!」

「嬉しいわ。アクアちゃん」

「このままいてくれたら良いのに」

おいやめろ。悲しくなるだろ。

「ごめんなさい。それは出来ないわ」

「……カズマ。召喚は覚えられないんですか?」

「……わりぃ」

「いえ、私こそすいません」

たった一日だ。だけど、ファスティバさんとの時間は濃厚で、優しくて、頼もしかった。

自然と足が重くなり、やがて止まる。

見ればアクアも箸を止め、視線を落としている。

……くそっ。やな空気だ。

「皆ありがとう」

え?

何でお礼なんて言ったんだよファスティバさん。

「あたし嬉しいわ。皆がここまであたしを思ってくれて」

「ファスティバさん…」

「でも皆、大丈夫よ!」

ファスティバさんが腕を大きく広げる。

厚い胸板が惜しげもなく晒され、沈んでいく夕陽もあって、まるで慈愛の神様のように見える。

今日だけでこの人にどれだけ憧れただろうか。

この人の言葉にどれだけ勇気づけられただろうか。

今日一日の事が一気に駆け抜ける。

これが走馬灯か…。

「この空のように、あたし達は繋がっているわ!そう!愛で!!」

そのセリフは体を衝撃となって駆け巡った。

そう、ファスティバさんはことあるごとに言っていた。

ラヴ。そうつまりは愛を!!

「ファスティバさん!」

「ファスティバ!!」

「フ"ァス"ティバぁ!」

「ファスティバ殿!」

四者四様にファスティバさんの名前を呼び、抱きつく。

力強い身体が俺たちを受け止める。

アクアは残念ながら檻に阻まれた。

父のようで、母のような安心感を覚える。

オネエって凄い。改めてそう思った。

「嬉しいわ。でもちょっと待ってて。今アクアちゃんを出すから」

そう言ってファスティバさんは俺たちを優しく離し、アクアの檻の鍵を開けようと近づいた瞬間だった。

「アクア様伏せてください!!」

という大声のあと、檻が切り裂かれた。

あ、アクアの30万エリスがあぁぁ!!??

 

 

「アクア様。ご無事ですか?」

突然現れた騎士風のイケメンは、切り裂いた檻に目もくれず、アクアの安否を確認していた。

つうかどうしてくれんだよ。さっきまで完全に感動的な雰囲気だったのに、こいつの場違いな行動のせいで一気に白けたぞ。

「もう安心ですよ、アクア様。あなたに選ばれたこのミツルギ・キョウヤが、あなたをお助け致します!」

と、俺達のそんな胸中など分かるはずもないイケメンは、一人で勝手に盛り上がっている。

「カズマ。何なんですかあいつは」

「さぁ?アクアに騙された可哀想な被害者Xじゃね?」

知らねーよ。俺のほうが聞きたいわ。

アクアも覚えがないのか、俺達の方に助けを求めて視線を向けている。

うん。わかる。分かるぞアクア。

俺がいつもそうだしな!

「そこの君達も安心したまえ。今この僕がそこの悪漢を倒し開放してあげよう」

は?

今こいつなんった?

悪漢?誰が?

「おい、聞き捨てならないこと言わなかったか?」

「カズマ。撃っていいですか?やっていいですか?」

「さしもの私も今の言葉には怒りを隠せないな。騎士としてではなく、人として許せん」

「遠慮なくやっちゃっていいわよ!死んでも生き返らせるから!」

俺達は確かな怒りの元に団結した。

こいつは許せない。

ファスティバさんの事をミリも分からねぇくせに、悪く言いやがって!

「皆!落ち着きなさい!」

怒りで頭が湯だった俺達を沈めたのはファスティバさんの一喝だった。

「あたしの見た目が怖いのは事実よ!だからそんな事で怒っちゃダメ、ね?」

ファスティバさんが俺達の目を見て宥めてくる。

仕方ねぇ。ここは引いてやるか。

「茶番はそこまでにするんだな。そうやってアクア様をはじめ、このパーティーを誑かせたんだろう?」

「よし、分かった。泣かせてやる」

「カズマちゃん!」

ふざけんなよコイツ。

ミツルギ・キョウヤって日本風な名前って事は転生者だろ?

なんでそんなファンタジーに染まった格好してんだよ。

こちとら、未だにそこら辺にいる村人Aの別バージョン。みたいな恰好なんだぞ?

「あっ、思い出したわ。コイツ転生したやつよ。魔剣グラムを持って」

なにぃ?!ってことはアレか?チート持ってるってことかぁ?

………腹立ってきた。潰そ。

「ファスティバさん。ここは俺に任せてください」

「カズマちゃん…」

「恩人をバカにされて引き下がったら男じゃありませんよ。それに、個人的にぶっ飛ばしたい理由もできました」

「……そこまで惑わされているとは…仕方ない。君は眠らせてあげよう。起きるころには、悪い夢から覚めているさ」

イケメンはグラムを抜き、構える。

が、全然怖くなかった。

なぜならもっと怖いやつと対峙したことがある。

切国さんだ。

あの人の剣技は綺麗で、強くて、何より怖かった。

稽古していると頭でわかってても、いつか殺されるんじゃないかと何度も思った。

そんな切国さんに比べれば、目の前のイケメン(笑)はヘッポコだ。

だが俺は油断しない。もともと真正面から勝てるとは思ってない。

相手がチート持ちというのも勿論だが、職業の差もある。

見たところ剣士か、その一つ上のソードマスター。

冒険者の俺では一太刀も浴びせられないだろう。

だが、軍師はこう言った。

戦いは刃を交える前が肝心。

だから俺は提案する。

「お互い真剣勝負だ。殺さない、街に被害を出さない。そして外野には手を出さない。この3つを守れば手段は問わない。どうだ?」

「いいだろう。僕が勝ったら、君以外のパーティーメンバーを貰おう」

は?なんで?

「今気づいたんだが、君は最近噂になっているカズマだろう?パーティーメンバーに恵まれながら、そのメンバーを充分に活かしきれずにいるそうじゃないか」

まぁ、確かに面子は豪華だな。面子は!

宴会芸と高速借金が得意なアークプリースト!

爆裂魔法オンリーの一発屋アークウィザード!

命中率0、ところ構わずドM全開クルセイダー!

三人揃って見かけは立派!ポンコツトライ!!

「かっこ悪!!」

「?どうしたんだ?」

「気にすんなよ…」

思わず声に出ちまったぜ。

「ともかく…受けるのかい?」

「いいぜ。その代わりあんたが倒れたら、ファスティバさんに謝って貰う他にもう一つ何かしてもらうぜ」

「構わないよ」

こんにゃろう。間違いなく自分の勝利を疑ってない顔してやがる。

後ろの女二人組なんか「やっちゃえー」とか「謝るのはそっちよ!」なんか言ってるしよ。

対してこっちは……

「カズマ。絶対勝ってください。負けたらこの場で爆裂魔法撃ちます」

「なら私は生き返らせてぶん殴るわ!」

「で、では私はその両方を……いや、やっぱり勝ってくれ。アイツとだけは居たくない」

好き勝手言いやがって…まぁいいや。

この戦いに、ミツルギの勝ち目はねぇ。

 




ミツルギ・キョウヤ
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
漢字で書くと御剣 響夜。画数が多い。
原作での死因は不明。
この世界でも死因は不明。
本来なら素直にイケメンとして認識される予定が、山姥切国広というでか過ぎる壁のせいでいまいちパッとしなくなった。
人の話は聞かない上に他人の心情も理解しないあたり、コイツもコイツでちょっとおかしい。


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人の話はよく聞かないと損をする

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります_(:3」∠)_
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_


MMDはいいぞ?_(:3」∠)_


なんか騒がしいな。そろそろカズマ達が帰ってくる頃と思って、迎えに来たんだけども、なんだか野次馬が多くて前に進めない。

今回召喚したファスティバは、見た目と喋ったときのインパクトこそ凄いけど、性格は非常に友好的で、問題を起こすような人では無かったはずだけど…。

と言うかそろそろ僕らの方にも新しい人材が欲しいな。

前に出たいんだ。僕が。

後方支援が欲しい。

そんな事を考えている場合じゃないや。

この人だかりは何だろ?

行列を見たら並びたくなるし、人だかりを見たら確かめたくなる。

思うに人の習性だと思うんだよねー。

と言うわけで、失礼してっと。

時間を停止させて、最前列まで行く。

そこには切国に鎧を着せて、顔をちょっとランクダウンさせたような、イケメンと対峙しているカズマと、離れた所から、カズマを応援しているアクア達が見える。

ファスティバは真剣だが、不安を感じている顔でカズマを見ている。

ふぅむ。ちょっと巻き戻してみるか、

……なるほど。そういう事か。

バカじゃないかな?コイツ。

まぁいい。停止を解除しよう。

水滴が落ちたら響きそうな空間から、破裂でもするんじゃないかと言う空間に戻る。

この落差が実は僕は好きだ。

時間操作出来る人間に許された特権だ。

一人静かに悦に浸っていると、イケメンくんに向かって、名前らしきものを呼んでいる女の子が見える。

青いなぁ。初々しいなぁ。恐らく汚れを知らないんだろうなぁ。

ちょっとイタズラしちゃお。

「ちょっといいかな?」

「ん?なに…よ…」

僕が話しかけた女の子は、さっきまでの元気は何処へやら、言葉尻を小さくさせていく。

ふふふ…抗えまい。これが始祖の魔王の特権の一つ!エロフェロモン!

ってはえぇよ!もう少し抵抗しろよ!

もうメロメロじゃないか…。少し好意を持ってくれて、情報引き出せれば良いやって思ってたのに、このまま聞くだけ聞いてオサラバしたらヤバイやつやん。

まぁ、いい。後でこの子の時間もとに戻しておこう。

「あの子の持ってる剣ってなに?」

「は、はい…魔剣グラムといって、キョウヤにしか扱えない剣です…なんでも切っちゃいます」

グラムで、効力は伝承通りか。

伝承に由来する効力の場合は、所持者の解釈によってその効果範囲が変わる。

グラムの場合、鉄やドラゴンの鱗は当然切れるとして、持ち手が時間すら切り裂けると信じたら、時間まで切り裂くことができる。

本人の努力と、技力。精神力にもよるが、か可能かと言われれば、爆裂魔法を撃っためぐみんが倒れるくらいの可能性で可能だ。

見たところ、キョウヤという少年は場数はそこそこ踏んでいるようだが、対人特にカズマの様なタイプと戦った経験は少なく思える。

先程巻き戻して見た時のやり取りを見ても、それが見て取れた。

狡いわー。カズマ狡いわー。

相手の敗北条件は明確にして、自分の方はぼやかしてるもん。

あれはアレだよ。自分が倒れたら僕とか切国を呼んで続行させる気だわ。

狡いわー。確かにカズマが倒れたらキョウヤの勝ちとは一言も言ってないけど狡いわー。

汚い。さすがカズマ汚い。

一通り聞いた僕は、女の子の頭を撫でてこっそり元の状態に戻してその場をあとにした。

 

今向こう側でマオさんが敵の女の子と話しているところが見えたような…。

まぁいいか。

俺達は野次馬に来ていたダスト。まぁ、アクセル街に住んでいれば一回は聞いたことがある冒険者だ。コイツを捕まえてこの勝負の介添え人を頼んだ。

「よーし、もう一回確認するぜ?まず、キョウヤさん。あんたが倒れたらファスティバさんに暴言の撤回と、カズマに対して何らかの詫びをいれる。これで異論はないか?」

「あぁ、勿論」

「カズマ。おめーも負けたらパーティーメンバー全員をキョウヤさんに明け渡すって琴でいいか?」

「あぁ。良いぜ」

何をもって負けにするのかは言ってないけどな!

……勢いで言ったけど結構穴だらけだな。

また勉強しなおそ。死ぬかもしれないけど。

「そんじゃあ……両者構え!」

ダストの声に瞬時に反応し、構えるキョウヤ。

大して俺は手足をぶらつかせ、まるで構える様子がない。

「おい、カズマ。構えねぇのか?」

「これが俺の構えなんだよ」

ダストの疑問に肯定で返す俺。

くぅ〜!言ってみたかったんだよな!このセリフ!!

なんつーか強者感溢れてるわ!

そんな俺の気持ちなど知らないキョウヤは、バカにされたと思い一層その視線をキツくしている。

ふふん。無駄無駄。せいぜい粋がっているんだな。

「そうか始め!」

「おい!ノータイムかよ!」

ダストのやろー!

さっきまでのいい気分が台無しじゃねーかよ!

うお!?はえぇ!!

間一髪で回避ー!

「構えを取らないからそうなる!」

うっせえ!そっちがその気ならこっちもっとその気じゃい!

キョウヤの剣は、落ち着いてみれば決して早いわけではない。

接近戦でやってはいけない事の一つに、相手の得物の先を見る事がある。

特に剣の場合は、上から下。下から上。と激しく、また非常に早く動く。

そんな物は目で追えないし、追えたところで体はついていけないので、相手の手元。ここを見て回避する。

また、回避するときは獲物の長さは、自分の想定より1.5倍程の間合いで動いた方が避けやすい。

そして自分の得物は逆に気持ち短めの間合いで想定して動く。

これが切国さんとの特訓で覚えたことだ。

等倍では避けられるし、格上相手でなくても当てられやすい。

過剰な考えなんて以ての外だ。

間合いは空白だ。思考の時間だ。

頭を白くするな。常に考えろ。

臆病になれ。勇気を持て。

そうすりゃこんなの屁でもない。

 

「はぁ…はぁ…くっ…!」

なかなか攻撃が当たらない上に、こっちは避けてばかり。

結果として状況は変わらず、ただ体力と時間と気力が削がれていくばかりだ。

こちらとしては計画通りな訳だが。

これ以上は俺もきつい。ぶっちゃけ体力の限界で吐きそう。

つまるところ、ここで勝負を仕掛けるしかない訳だ。

「君…はぁ…はぁ…やる気は…あるのか?」

おっと、いいのか?そんなこと聞いちゃって。

そのセリフはつまり、もう体力と気力の限界と取るぜ?

「あぁ…あるさ…今その証拠を見せてやるよ!」

俺は右手を前に突き出し、大きく息を吸い込む。

咄嗟に剣でガードしようとするキョウヤ。

バカめ!!自分から視界を防ぐとは愚かなやつよ!!

「スティーーール!!」

本当はフラッシュの後に使いたかったけど、自分から目を塞いだんなら強行じゃい!!

淡い光が辺りを包み、視界を覆う。

その光が収まると、キョウヤの手にはあるはずの物がなく、俺の手には無いはずのものがあった。

魔剣グラム!ゲットだぜ……って重!?

クソ重!?こんなん振り回してたのかよこいつ!?

「ぼ、僕のグラムが!?」

「見たかー!これが最弱職業、冒険者の底力だー!そしてすかさずフラーシュ!!」

「う、うわああぁー?!目が、目がー!!」

閃光を、もろに受けたキョウヤは天空の城の悪役よろしく目を抑える。

後ろからも駄女神の悲鳴が聞こえるが知らん。

何故か爆裂ロリのイッタイ!メガー!という悲鳴も聞こえるが知らん。

「ぶっ倒れろイケメン!!!」

俺の渾身のアッパーカットがキョウヤの顎を捉える。

いくら身体を鍛えようと、内臓までは鍛えられない。

脳を揺らされたキョウヤは、あっけなく倒れた。

 




ダスト
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
冒険者。カズマの悪友。それだけの事。

感想待ってます!
勿論活動報告の方へのリクエストも待ってます!


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勝てば官軍とはよく言ったもので

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_


今週高千穂に行ってきます。楽しみ_(:3」∠)_


おっ、カズマが勝った。

この勝負は、カズマの作戦勝ちって所だね。

相手の得意な土俵に上がらず、終始自分の得意分野で試合を展開していた。

つまりはまぁ、逃げていた。

相手は降参するわけにはいかないし、他の人はいないから、必然的にカズマの相手をするしかなかったのも大きなポイントだった。

しっかしウザい戦法だなー。

ひたすら避けるたけだもんな。

これ格ゲーとかでやられたらリアルファイトものだよ。

この戦い方の目的はキョウヤの疲弊だ。

スティールの成功は相手と自分と精神力の差と幸運のブーストによって決まる。

大抵幸運値はそこまで高いのが居るわけでもないし、幸運は上がりにくい為、基本的には精神力の差で決まる。

が、カズマは能力こそ平凡だが、並の冒険者にはない、高い幸運値がほぼ全ての相手に成功を決める。

それでも実力差があったりすると、狙ったものが取れなかったり、そもそも成功しなかったりする。

では格上相手に成功させるためにはどうするか?

その結果考えたのがこの流れだ。

スティールの成功の鍵は、厳密にいえば、相手と自分の意識の差だ。

例えば腰に下げている革袋を注視していれば、当然それに意識が向く。

意識が向いていれば、警戒は高まる。

そして相手が、盗もうと行動すれば、自然とそれを守る。

ところが、相手の目的は自分の後ろにいる可愛い女の子だった。とかならあっさりその子は取られてしまう。

疲れていると注意力が散漫になり、思考も鈍り、とっさの判断や、事前の予測をしにくくなる。

結果として、先程のように目的の物が奪取できる。

勿論ちゃんと取れるかどうかは本人の幸運も必要なんだけど。

「やるじゃないカズマ!どうせなら顔面凹ませてやればよかっわね!」

「見事な作戦勝ちでしたね。まぁ、カッコよくはありませんでしたが」

「最後の一撃は見事なものだった……あぁ!私も喰らいたかった!」

三者三様の賞賛…賞賛なのかな?まぁ、そんなものを浴びながら、悠々とパーティーの元へ帰っていくカズマ。

「ひ、卑怯者!卑怯者!!」

になにやら罵声を浴びせる女の子達。

えー?卑怯も何もルール違反はしてないじゃない?

みれば、それはさっきメロメロにした女の子だった。

ほほぅ。気が強い子は嫌いじゃないぜ?

「なによ!逃げてばっかりで攻撃したのは最後だけじゃない!」

「そーよそーよ!それに目潰ししたりキョウヤの剣を盗んだり、そういうの卑怯よ!」

やれやれ、しょうが無いなぁ。という風に肩をすくめるカズマ。

うっぜぇ顔してるなぁ。

「卑怯?心外だなぁ。俺はちゃんとルールは守ってるぜ?なぁダスト」

「え?あ〜…まぁそうだな。外野に手は出してないし、街には傷一つつけてねぇ。別にキョウヤさんを殺してる訳でもないから、卑怯かどうかでいやぁ卑怯じゃねぇわな」

そらそうだ。

ダストの言うとおり、カズマはルールは破ってないし、勝ち方も見た目こそ地味だが、理にかなった戦い方の勝利だ。

まぁ、見た目が良いかどうかは前述のめぐみんの通りだが。

「正々堂々戦いなさいよ!」

「いや、むしろ俺は持てる手段で懸命に戦ったぜ?つうかさ、馬鹿正直に真正面から戦って、冒険者とソードマスターだったらどっちが勝つよ?ソードマスターだろ?だから搦手で戦うしかないの。おわかり?」

うむ。実に正論である。正論ではあるがそのドヤ顔はやめて欲しい。

無性に殴りたくなる。

後ろにいるアクア達もそんなことをヒソヒソと話している。

なおも文句をつけようと言葉を探している少女A&B。

そろそろお開きにしてほしいかなー。

「それに不満があるならそっちと勝負してもいいぜ?だが俺は男女平等を掲げている。それも女性有利の似非フェミニズムじゃねぇ。勝つためなら手段は選ばねぇ。俺が女相手にスティールすると、何故かパンツを剥ぎ取っちまうからな。動けない隙にドロップキック位お見舞いしてやる。さぁ、どうする?んん〜?」

そういうと、カズマは手をワキワキと動かす。

その動きは下衆い顔もあってか非常に如何わしく見える。

あの様子だとパンツどころか下半身の衣服を全部剥いじゃいそうだな。

公衆の面前で、下着を剥ぎ取られてしまうという悪夢を想像した、少女A&B。

少しの間考えた末、彼女達の取った行動は

「お、覚えておきなさいよーー!」

と言って、キョウヤを引き摺りながら去っていくことだった。

仲間の仇よりも己の純潔を取ったわけだ。

まぁ、そりゃそうだ。命がかかってるわけでもないし。

そんなこんなで、今日も一日が終わったのであった。

 

「冒険者カズマ!!」

翌日、食事を取っていると、キョウヤが大声でカズマを呼んだ。

てかデカイよ。朝は静かにしろ。

今日のモーニングは目玉焼きにキャベツの千切りとベーコンを三枚。それとコーヒーのモーニングセットだ。

因みにカズマは大盛りチャーハンだ。

「んご?」

「厚かましい話だとは思う!恥だとは百も承知だ!だが…」

相変わらずこっちの話を聞かずに勝手に話をすすめるなコイツ。

「頼む!僕のグラムを返してくれ!アレがないと僕は…」

と言って勢い良く頭を下げてくるキョウヤ。

グラム以外持ってないのかよ。

とはいえ…

「あー…悪い。それ無理」

「わかっている。だがそこを……ん?」

カズマに再度頭を下げようと、視線を上げたキョウヤは違和感にきづいたみたいだ。

カズマの手には、あるはずの物がものが無く、無いはずのものがあった。

「き…きみ…そ、その…グ、グラムは?」

「売った」

震える指でカズマを指し、自分の愛剣の所在を確認したキョウヤに対し、なんの感慨もなく、即答で売却したという事実を、カズマは叩きつけた。

流石ゲスマ。気に入らないイケメンに対しては、隙きを生じぬ2段構えで仕留めにかかる。

まぁ、宿屋暮らしのカズマでは、そんな物は置けないし、使うにしても特典の武器ということもあって、重くて使えない。

ならばいっその事売ってしまえ。となるのは当然といえば当然の流れだ。

切国は一応反対していたが、民主主義の数の暴力の前には、勝てなかったよ…。

呆然と沈黙するキョウヤと話は終わっただろうと席につくカズマ。

「ちくしょーーーーー!!!」

しばらくして、意識が戻ったキョウヤは大声を上げてギルドを後にした。

因みにこれは全くの余談ではあるが、彼には30万の借金がある。

そう、彼が切り裂いた檻の代金である。

檻自体はそこまで無かったのだが、カズマがあの手この手で言いくるめ、30万の借金を引っ被らせたのだ。

それが成立した時のカズマの顔と言ったらもう、お前が魔王なんじゃねーの?って言うくらい悪い顔をしていた。行動も相まって実に鬼畜。ド畜生である。キョウヤは1発くらいぶん殴っても良いと思う。

 




次回は新しい子が二人増えます_(:3」∠)_

感想とか活動報告へのリクエスト、待ってます_(:3」∠)_


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男の娘はお好きですか?

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_


宮沢賢治来ました。可愛いです_(:3」∠)_


「さーて、今日は何が出るかな?」

街も秋めいた頃、僕は自宅で召喚をするべく、庭に立っている。

土地の広さが小学校のグラウンド位だから、庭はその内の3分の2程度だ。

僕はその庭でいつも召喚を行う。

理由は単純に広くて邪魔にならないから。

魔法陣を展開し、辺りにガラスの破片のような物が飛び散る。

僕を中心に、グルグルと渦を巻くように動き始める。

そして気づく。いつもと様子が違う。

いつもは青い蛍火のような光を放つのに、今日は黄色が混じっている。

何だろう?よく気をつけないと。

そう思うと同時に、僕に向かって手を伸ばしてくる人影を見つける。それも二人だ。

迷っている暇はない。僕は両手をそれぞれに伸ばし、手を掴む。

そして眩く光が放たれ、数秒もしない内に収まり、召喚した人物がわかる。

薄い桃色のショートヘアー。と思ったらこの子ポニテだ。分かりにくい。対象的な濃い紫の袴に、桜色の着物。腰には刀を下げていて、草履ではなく靴を履いている。

歳は16最頃かな?肌が白く病弱に見えるのに、その瞳には曲がらない信念の強さを感じる。

隣に立っているのは…え?二人?

どちらも一見すると女性のように見えるが、背の高い方はちゃんと見ると男の様に見える。

が、背の低いほう。というか子どもじゃんこの子。女の子じゃん。

ていうかえ?、親子?親子なの?

背の高い人は中性的な顔立ちで、柔和な目つきをしている。

着流しの上にキレイな刺繍の入ったマントを羽織っており、女性っぽさに拍車がかかっている。が、よくよく見れば僅かに男性であることが分かる。

そして腰には得物であろう鞭が吊り下げられている。え?鞭?

ま、まぁそういう趣味の人かも知れないし。

「今、何か失礼な事を考えませんでしたか?」

「そんなこと無いよ?」

さて、もう一人を見てみよう。

小さい。僕は160cm位なんだけど、それより小さい。

小学校低学年位しかない。

背の高い方の影に隠れて、こっちをじーっと見てる。

可愛い。

銀色の髪は全体的に短いけど、右目の方は覆うように伸ばしてて、青い瞳が片方だけ覗いている。

服装は冬国の人が着るような物で、猫耳帽子みたいなものまで被っている。

つうか見れば見るほど親子だな。

さっきの喋った背の高い方は普通に男の人の声だった。

なんか脳裏に自爆したら死ぬほど痛いとか忠告してきたり、黒猫と白猫を引き連れて道に迷ったりしそうとか考えたが、気のせいに違いない。中の人ネタとか思ったけど気のせいに違いない。

「司書さん」

不意に声をかけられた。

あらやだ可愛い。

やっぱり小さい子は偉大だよ。余程悪ガキでない限り好印象を持たれる。

「僕のことかな?」

「うん。これお手紙」

「ありがとう。えーと…」

「新美南吉だよ。ニイミ・ナンキチの方がそれっぽいかな?」

新美南吉?なんだかどこかで聞いたような…。

「えへへ〜。紅葉さんの小説と違って僕のはきっと聞いたことがあると思うんだ〜」

「いや、長年暇を持て余していたと聞く。もしかすると読んでいるのかもしれない 

お前ら勝手にハードル上げるんじゃないよ。

取り敢えず手紙を読むか。

えーと

『よう親父。元気に色々楽しくやってるみたいだな。今日は親父の誕生日で、そっちに行って一年目だ。』

あぁ、もんそんなに立つのか。

…そういえばルーシェは家を出て行くのが一番早かったな。

誕生日の時はいつも何処からともなく、こうやって前触れもなく、プレゼントを送ってきたっけ。

相変わらずだな。

『正直今回は悩んだぜ。以前みたいなマジックアイテムだと、均衡を崩しちまうし、かと言ってザコいもんは俺のプライドが許さねぇ。んで、仕方ね~から診断メーカーで親父のプレゼントを選んだってわけだ』

おい。ルーシェおい。

診断メーカーでプレゼント選びすんなよ。

この子達は診断メーカーで選ばれた悲しき犠牲者じゃねーか。

しんみりした雰囲気が台無しだよ。

『因みに生命定着してるから存分にイチャコラできるぜ!』

やめろ!そういう事を文面に残すんじゃない!

もっとこっそり匂わせなさい!!

『追伸 新見は男だ』

なん………だと?

おい、嘘だろ?嘘だよな?嘘だと言ってくれよ。

あの見た目とあの声で男?

男の娘ってやつか?そうなのか?

新見の方を見る。

「うふふ♪気づいちゃった?」

可愛らしく首を傾げ、コロコロと微笑う。

その姿はまさしく女子。だが男。

これが男の娘か……。変態じゃー変態の仕業じゃー。

 




新美南吉
原作 文豪とアルケミスト
大きな原作は現実に存在する作家。
平たくいえばごんぎつねの作者。
呼び出されたのはそれを元にした全くの別人。
本人もまさかの数十年以上の未来で男の娘になるとは夢にも思わなかっただろう。
声も完全に女の子である。
だが男だ。性別も中の人も。
男の娘万歳。可愛いは正義


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どんどん増えてく僕達の仲間

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_



弾丸ツアーでした_(:3」∠)_
やはり日帰りは無理があったか_(:3」∠)_


「全く!驚きですよ!目の前に健気系病弱ヒロインこと沖田さんがいると言うのに、まさかの!ま・さ・か・の!男の娘オンリー!これには斎藤さんも苦笑い!」

桜色の剣士。名前は沖田総司。

そう、あの幕末の天才剣士。新撰組の沖田総司だ。

なのになぜだろう。この漂う微妙な残念感は。

さっきからお前本当に病人なのか?と聞きたくなる程の食事量だ。

隣に座っている朝召喚した背の高い方。紅葉先生の方がずっと少食だ。

「ふむ…なかなかどうして…悪くない」

食には煩いらしいが、どうやらここの食事は気に入ったようだ。

「ここは魚料理が少ないんだね。良かった」

「好き嫌いはいけませんよ。新撰組にも歯磨きをしなかった末に死んだという、実に情けない死に方をした浪士もいたようですし」

一言も魚は嫌いとは言ってないんだよなぁ。

「…賑やかになったな」

そういうのは僕の隣で食事を取っている切国だ。

ちなみにさっきまで悶ていた。

理由は沖田にキレイト言われたから。

褒めたのは刀かもしれないけど、山姥切国広は、切国の大元だ。

それを褒められるということは、自分を褒められているのと変わりがない。

しかもこの娘。刀を褒めた上で切国本人も褒めたのだ。

2重に褒められた結果、ショートした切国は白布に包まり、ブルブルと震えていた。

久しぶりに見たな。この光景。

「しかし解せません。私ほどの腕前を捕まえて、ソードマスター等とは。侍という職業は…いえ、新撰組という職業位あってもいいはずです!そう思いませんか?尾崎さん!」

「思うに新撰組は職業ではないな」

「職業にしたら浪人じゃないかな」

「沖田さんショック!!」

タイミング良く吐血し、倒れ込む総司。

賑やかというか沖田が主にうるさいなこれ。

「おはようございまぁ…うわ!?なんだこれ?!血?」

「どうしたんですか?カズ……な、なんですか?!なんなんですか!?大丈夫ですか!?」

あとから来たカズマ一行は、沖田の吐血を見て、驚き戸惑った。

まぁ、知らなきゃ驚くよね。そりゃ。

「気にするでない。この者のスキルのようなものだ」 

「え?あ、あぁそっすか…」

「というかどなたですか?」

「これは失敬。我は尾崎紅葉と言う。ここの習わしに乗っ取るのならば、オザキ・コウヨウとなるな」

「あっ、転生者…じゃないな。マオさんが召喚したのか。サトウ・カズマです。よろしく」

「……やはり我の本は今の若者向けではないのか。いや、あの時はあれが良かったのだ。悪いのは時代の流れというわけか」

「え?どうしたんですか?コウヨウさん」

「小説家なんだよ」

自分の名前を出してもどんな人なのか分かってないカズマを見て、ジェネレーションギャップというか、若者の本離れを嘆く紅葉。

その隣では、南吉がドヤ顔をしている。

そりゃー南吉の作品は、誰もが一度は見たことあるしな。

「えー…と、その隣の美少女は?」

「ふむ。確かに可愛いですね。私ほどではありませんが」

「あぁ、だが何故だろう…何故か彼女にはこう…攻めてほしい…はっ!?いやいや!相手は女の子だぞ!何を考えているんだ私は…!」

南吉をみて色々と感想をこぼすカズマ一行。

ダクネス…お前凄いな。前情報なしに本能と言うか性癖が反応しやがった。

「お嬢ちゃん。名前は?」

「……ニイミ」

「ふむ。他の人に比べれば多少変という感じですね」

「おめーん所と一緒にすんな。大丈夫だよーニイミちゃん。全然変じゃないからねー。このツルペタなんてめぐみんって冗談みたいな名前だから」

「よしカズマ。表に行きましょう。今ならあの平原を更地にできそうな気がしますから、カズマはその中心で観測しててください。なに、死んでも構いませんよ。アクアやマオさんが居ますから」

「冗談でも言って良いことと悪いことがあるだろ!」

お互い様じゃないかな。

めぐみんにとっては普通の感覚だし、僕らからすると、ニイミも別に変わった名前じゃない。

やいやいと言い合いをしているカズマとめぐみんを見て、ふと気づく。

一人足りなくね?具体的にはアクアが見えない。

朝ごはんはどんな事があっても抜かないのに。

人の金で好き放題飲み食いするのに。

「カズマ。アクアは?」

「つまり俺は悪く……へ?アクアっすか?」

「うん。アクア。あの人の金で好き放題飲み食いした挙句、尻を叩かなきゃ金返さない駄女神」

「……本当にすいません」

さらりと嫌味を言っておく。

とうとう身売りでもさせられているのだろうか?

「取り敢えず飯食う前にクエスト探してこいって言って、今探してる最中です。俺たちで出来そうにない難易度持ってきたら、一人でやってもらいます」

席につきながら、そんなことを言うカズマ。

ああは言ってるけど、多分最終的に助けるんだろうなぁ。結構お人好しだし。

「我も金に苦労した弟子がいたな……」

「作家で苦労してない人はそういないよ…」

金の話になって一気に暗くなる文豪組。

文豪だろうと、物書きってのは今も昔も中々稼げないもんなんだねー。

 




尾崎 紅葉
原作 文豪とアルケミスト
大きな原作は現実に存在していた明治時代の文豪、尾崎紅葉。
文アルの紅葉先生は世話好きをクローズアップしまくって、オカン的な部分を更に大きくして「誰がババァだ!」なんて言わせている。グリリバボイスで。
というか前回の新美くんといい紅葉先生といい、正直今までライトノベル以外の小説とか読んだことないから解説のしようがない。
取り敢えず好き勝手動かす所存。


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本社(魔王城)から来ました 序

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_

書けないときって本当に書けないよね_(:3」∠)_


あれから数日。知り合ったウィズの縁もあり、カズマ達はなんと無償で、いやクエストの報酬として、自宅を手に入れることができた。

これも幸運のなせる技かー。なんて思いながら、新居祝を送ったのはそれから間もない事だ。

その後、サキュバスが出たとかなんとか女性陣が騒いでいたけど、恐らくあの店の事だろう。

アクアが張った結界は確かに機能しており、効果は抜群だったに違いない。

が、カズマにしてみればありがた迷惑な話だっただろう。

女所帯。しかも皆して見た目は良い美女揃いとくれば、健全な男にとってこれ程羨ましく、辛いものはない。

頭こそあれだが、柔らかそうな胸を持ち、スカートの丈はギリッギリで、丸く綺麗なお尻が常に見えそうな、無知シチュが楽しめそうなアクア。

貧乳はステータス。否、それを通り越して幼女でござい。と言わんばかりのその体型。背徳感と庇護欲を掻き立てられるロリっ娘ウィザードなめぐみん。

鎧の上からでは分かりにくいが、一度脱げば自慢の巨乳が現れる!アクア以上の大きさで心も体も満たしてあげる!だけど攻めるのはノーサンキュー!くっ殺ドMクルセイダー。ダクネス!

以上三名!全選手入場!!

………カズマ……強く生きろ。

 

あれから変わった事といえば、アクセル街の近くに、魔王軍の幹部が移り住んだ事だ。

駆け出しの冒険者が多いこの街にとって、これは非常に困る。

なぜなら、幹部がいるということは必然的に、それだけ冒険者達の危険度が跳ね上がる。

幹部程の存在が居ると、それだけで他の魔物は大人しくなり、必然的に幹部かそのお付きとやり合わなければ無くなる。

だが、駆け出し冒険者にそんな事できるわけもない。

つまりは飯の種が無くなると言うわけだ。

実力の程は分からないけど、名ばかり幹部のウィズですら、まともにやり合えばこの街位は、壊滅させる事ができると思う。

争い事が苦手なウィズでそれなのだから、戦闘を本職にしているのなら、もっと強いと思って構わないだろう。

僕は日々の生活をしながら、コッソリと街の防衛力の強化に勤しんだ。

 

「緊急招集!緊急招集!冒険者の皆さんは正門に集合してください!繰り返します!…」

いつもの様に朝を迎えたある日。

冒険者ギルドの爆乳おねーさんことルナさんの声が響く。

声からしてもうかなり切羽詰まった事態なのは明らかだ。

ということはあれかな?来たのかな?

「旦那様。行きましょう」

「そうだね。ふふ…楽しみだ」

さーあれが試せるぞー!見せてもらおうか?魔王軍幹部の実力とやらを!

 




感想とかなんやら色々と待ってます_(:3」∠)_


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本社(魔王城)から来ました 破

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は他の作品をオススメします_(:3」∠)_

レジフェスなんて無かった_(:3」∠)_
台座さんは可愛い_(:3」∠)_


「俺は魔王軍幹部のベルディアと言うものだが……」

アクセル街の正門に集合した俺達の前に現れたのは、まさかの魔王軍の幹部だ。

しかも見るからに強そうなデュラハンで、あたりに黒い瘴気まで出ている。

あまりの事態に誰もが息を呑んでいた。

そりゃそうだ。近くにいるとは聞いていたが、こんな所に攻め込んでくるなんて、誰も思っていなかったに違いない。

隣にいる切国さんも、いつも以上に表情を固くして、刀をしっかりと握っている。

南吉くんもいつでも撃てるように銃を持ち、目つきを鋭くしている。

沖田さんもいつものマシンガントークは何処へ行ったのか、臨戦態勢だ。

そして真緒さんは……怒っている。

え、えぇ〜!?何あの表情怖っ!?

今まで見たことないんですけど何あれ?

なんかベルディアとめぐみんが問答してるけどそれどころじゃないよ!怖っ!

こんな顔で睨まれたら縮み上がるわ!

あっ!ベルディアがなんかした!

「めぐみん!」

俺が叫ぶのと、ダクネスが飛び出し、その何かに当たったのはほぼ同時だった。

俺達はすぐさまダクネスの傍に近寄った。

「大丈夫か?ダクネス」

「ん?あ、あぁ。別になんともないが…」

なんだよビビらせやがって。

てっきり何かすごい魔法かと思ったぞ。

「ふん。命拾いしたな。だが残念だったな。そこの騎士はお前のせいで死んだ!」

「いまだ!放てー!!」

それは…とベルディアが何かを言おうとしたが、真緒さんの号令にかき消された。

俺達の後ろから、まるで豪雨のように降り注いでくる魔法弾。

すげー。空が見えねぇ。

「聞こえるかー!カズマー!空が1、弾が8だ!繰り返す!空が1、弾が8だー!」

アクアがキャッ、キャッとはしゃぎながら俺に話しかけてくる。

うるせぇよ。ってかどこで仕入れたそんなネタ。

しかしまぁ、アクアの言うことは間違ってない。

ベルディアも何か叫びながら必死に避けたり防いだりしてるけど、このスコールの如き魔法弾はその手を休めるどころか、益々激しくなっている。

以前如水さんが戦いとは事前の準備が全て。と言っていたけど、本当にそうだよなぁ。

前情報もなしにこんなのを凌ぎきったら負けを認めるしかない。

「ちくしょーー!!テレポート!!」

あっ、とうとう逃げた。

暗い光とともに、ベルディアは逃げた。

『お、お前ら!もう容赦しないからな!とにかくそこのクルセイダーは、あと一週間したら死ぬ!全部そこの頭のおかしいアークウィザードのせいだからな!解除して欲しかったら城まで来いよ!ばーか!ばーか!』

見えない所から負け惜しみを言い放ち、ベルディアはとうとう気配まで消えた。

「チッ、仕留め切れなかったか」

「やはり幾つか術式が干渉しあって、作動してませんわ。見直しを測りませんと」

「やり過ぎるとまた市長からお小言を貰うぞ」

「実績を作りしたからね!ノーカンですよノーカン」

また?ねぇ今またっていったよね?

なにしてんすか真緒さん…。

っといけねぇ。それどころじゃない。

「ダクネス。体はなんともないか?」

「ん?あぁ、別にこれと言って体調に変化は…」

「大丈夫よダクネス!このアクア様に任せなさい!セイクリッドブレイクスペル!!」

ダクネスの安否を確認している最中、アクアが横から解呪の魔法を使ってきた。

効果が作用したのか、パーン!と快音が成り、ダクネスの体は少しの間淡く光り、やがて収まった。

つまりはまぁ……死の宣告は無力化されたみたいだ。

喜んでいいのか、ベルディアを哀れんだらいいのか、なんとも微妙な顔をする俺達とは裏腹に、満面のドヤ顔を披露してくるアクアの顔が、一層際立っていた。

 



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急と思ったか?残念だったな。トリックだよ

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


やる気が出ません_(:3」∠)_
短い割に難産でした_(:3」∠)_


暖炉の火が薪の上で踊っている。

おっ、なんか作家っぽい言い回しだな。紅葉先生の影響か?

ベルディア襲来から2、3日位した。

相変わらずクエストにはめぼしいものがないので、早くも訪れた冬の足音を、暖かい家と暖かい食事で出迎えている。

真緒さんの話では、この季節はマツタケやシイタケが、例年なら群生しているので、その討伐クエストが出るらしいが、ベルディアの関係で、すっかり大人しくなっている。

もし秋の内にベルディアを討伐する事ができたなら、今年のマツタケとシイタケは非常に美味しく、経験値も豊富だろうという見通しだそうだ。

まぁ、アクセル街の連中は真緒さん一行を除けば、そこまで強い人は居ないから、今年の収穫は諦めたほうが良さそうだ。

あー…しかしなー。

「暇だ……」

誰に言うともなく俺の意思が口から漏れた。

 

「魔王討伐に対しての予行演習がしたい?」

俺達が訪ねたのは真緒さんの家だ。

発端はめぐみんの「魔王軍幹部が来たくらいですし、そのうち気まぐれで魔王がきたりとかしませんよね?」だった。

まっさかーとアクアは笑っていたが、ありえない話じゃない。

なにせ目的は分からないが、魔王軍の幹部が近くに越してきたのだ。

幸い真緒さんが元魔王という話はここに居る連中しか知らないが、それもジョークか何かと思われている。

だが、幹部を相手に、今までのような舐めプレイは難しいだろう。いや、もしかしたらできるかも知れないけど。

つーか間違いなくできるよなー。この間のアレも「あまりに弱くて腹が立ってやった」とか言ってたし、つうかベルディアで弱く感じるって真緒さんどんだけだよ!

…話は逸れたけど、そういうわけで、なら身近にいる元魔王様に鍛えてもらえば、将来的に魔王討伐を目的にしてる俺らは、良い特訓になるとふんで、頼みに来たわけだ。

真緒さんからすればいい迷惑かもしれないけど…。

取り敢えず理由を説明して、真緒さんの返事を待つ。

「どうですかね?」

「ん?いいよ」

あっさりOKがでた。

「丁度僕も暇してたしね。で、どうする?どんなふうにやる?」

結構乗り気なのか、肩をグルグルと回しながら、庭に出る真緒さん。

俺たちも玄関から回って庭に出る。

ダクネスとか鉄の具足だからな。仕方ない。

 

結論から言おう。魔王はやっぱり鬼のように強い!

チート使ってなくても強い。流石魔王。

詳しい描写?やつは死んだよ。

そんなんやろうとするから詰まって書けなくなるんだよ!

メタい話は捨て置いて、全く何も分からないじゃ面白くないので、ざっくりと思い返そう。

まず最初に俺がやられた。

理由は一番弱そうだから。

うん。知ってた。知ってたけど、開幕急接近でワンパンキルは酷くないですかね?

開幕退場した俺は、結界の外から観戦することになったわけだが、まー酷かった。

早々とリタイヤされた俺をみて、アクアはゲラゲラ笑っていたが、返す刀で頭を蹴りぬかれ昏倒。しばらく意識は無かった。

次にめぐみんが慌てて詠唱している最中、ダクネスが前に出て庇おうとするが、魔王と化した真緒さんは、ダクネスをスルー。めぐみンに直行し、めぐみんをリタイヤさせた。

ここから俺とめぐみんが観戦組となったわけだが、恨みを晴らすかのようなアクアに対する攻撃と、まるで居ないものとして扱っているような、ダクネスへのスルーっぷりを見せつけられた。

最初は元気があったアクアも、次第に気力をなくし、最後には土下座をしてリタイヤした程だから、相当なものだったと思う。つーか間違いなく日頃の憂さを晴らしてるだろ。

そして、それ迄放置プレイと思って喜んでいたダクネス。

アクアが退場し、ようやく自分かと思いきや、真緒さんはやはり魔王だった。

なんとダクネスを放ったらかしにして食事の献立を考え始めた。

これには流石のダクネスも切れたが、それに対する真緒さんの反応は

「当たらない攻撃を脅威と見るのは無理だよ」

ド正論だった。

山をも砕く拳も、星をも切れる一太刀も当たらなけりゃー意味がない。

ましてや自分から当たらないよう仕向けているんだ。

当てることができたなら、きっと構ってくれたかもしれない。

相手は元とはいえ魔王。

きっとこの先しばらくは味わえない一撃が貰えたかもしれない。

言ってみれば自分の勝手でご馳走を台無しにしたようなもんだ。

それに理解したダクネスは、心が折れたのか膝をつき、リタイヤした。

 



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魔王城(本社)から来ました。急

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのか苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


感想で次辺りでカズマ達の成長が見れるとか嘘言ってスマネェ…スマネェ…_(:3」∠)_


ベルディア訪問から一週間が経った。

なんか忘れているような気がするけど、まぁ、忘れるって事はそう重要な事じゃないんだろうな。

今日は何をして過ごそうかなー。

「緊急事態発生!緊急事態発生!冒険者の皆様は、至急正門前に集合してください!特にサトウ・カズマさんのパーティーは、大至急お願いします!!」

あるぇ〜?なんで名指しされてんの〜?

 

「何で名指しで呼び出されたんだ?」

「ちょっとー、カズマ何したのよ?」

「そうですよ。何かしたなら今なら許して上げますので、さっさと吐いてください。新しい爆裂魔法の実験台にしますので」

こいつら…一欠片も自分かもしれないとか思いもしてねぇ。

……良いこと閃いた!

「そうだな。身に覚えないけどもしかしたら俺のせいかもしれないしな。万が一俺のせいだったら言うとおりにしてやる」

「えっ!?」

「その代わり俺のせいじゃなかったらお前たちのパンツを剥ぐ。今この場で」

邪悪な笑みを浮かべて右手をワキワキと動かし、これみよがしにアピールする。

因みに言うと半分本気だったりする。

「なるほど。一理ありますね。理由もなく疑ってすいませんでした。なので、パンツだけはやめてくださいお願いします。」

「ふふーん!残念だったわねカズマ!私は女神よ!汚れなき肉体を維持できる私に下着なんて不要なのよ!」

俺の本気を感じ取り、謝ってくるめぐみんと違い、とんでも発言をかますアクア。

イマナントイイマシタカ?

「お、おいアクア…お前…」

「本当よ!ほ……」

「あ、あっちで確認しましょう!私とダクネスと如水が確認しますから!ね?!」

「う、うむ。そうだな。これは非常に由々しき事態だ…」

「というわけでちょっと待っててくださいな。カズマ」

「すいません…本当にすいません。うちのバカが……」

信じてないと、いや、普通は信じられねーよ。そう思ったアクアはあろう事か、公衆の面前でスカートを捲ろうと裾に手をかけたが、間一髪めぐみんのナイスなカバーで何とか痴女の烙印は免れた。

いや、まぁ、これでマジで履いてなかったらただの痴女だけどさ。

もしそうだったら明日からの付き合いを考えよう……マジで。

 

「大丈夫ですよカズマ。アクアには見えないだけで、ちゃんとパンツを履いてました」

「そうか。良かった…本当に良かった…」

「んー。でもなんで私には見えないのかしら?」

数分後、めぐみん達の検査の結果、アクアは馬鹿には見えないパンツを履いていることが分かった。

どうやって替えているのかは甚だ疑問だが、新品同様の代物で、衛生的にも問題はなさそうとの事だ。

痴女がいるパーティーとかゴメンだしな。

「ベルディアが来る前に発覚して良かったぜ」

「全くです。アクア。今度普通のパンツを買いに行きましょう」

「んー…私は別に今のままでも…」

「俺(私)達が良くねぇよ(よくありません)!」

俺とめぐみんの声が重なり、さしものアクアも狼狽えながら了承する。

「うーむ…」

ダクネスが唸っているが、どうせ変な事だろう。

「言っておくが本人にしか見えないパンツとか、逆に本人には見えないパンツとかそういう類のを買ったら即パーティーから外れてもらうからな」

「な、なぜわかった!?」

「やっぱりかよ!!」

「あ、あの〜……」

ん?なんか誰かの声が……。

「も、もういいかな?まだかかる?その話」

声のした方に顔を向けると、そこには申し訳なさそうにしながら、ちょっと顔を赤くしている魔王軍幹部、ベルディアがいた。



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物的証拠だけじゃ分かりませんよ?

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


デレマスコラボとセレマグチャレンジで大忙し_(:3」∠)_


「えーと…今の話本当?」

抱えている頭部はほんのりと、赤く染まり、体を器用にくねらせ、モジモジしている魔王軍幹部。

「……何が?」

「いや、ほら…パンツがどうのこうのって…」

「何でパンツの話一つで興奮してんだよ!!思春期の中学生かてめーは!!」

「う、うるせーー!こちとら男寡婦で女には飢えてるんだよ!!悪いか!!」

「開き直ってんじゃねーよ!!」

「女に飢えているだと!か、カズマ!先発は私にやらせてくれ!ハァハァ…負けて激しく淫らなことになるかも知れないが!具体的には今日この場であいつが持っているであろうネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲でらめぇ!してしまうかもしれないが、私は絶対に屈さないから!ね?ね!良いでしょ!?」

「完成度たけーなおい!ここぞとばかりに性癖性欲全開してんじゃねーよこの万年発情ドMクルセイダーだがあああぁぁぁ!!!」

収集がつかねーーー!!

 

「取り敢えず一旦落ち着こうか」

見ててとても面白い漫才を充分堪能した所で、間に入って治める。

「すいません真緒さん」

カズマはなんとか冷静さを取り戻したが、ダクネスはまだ興奮しているのか、ハァハァと鼻息を荒くしている。

ベルディアはベルディアで、アクアの方をチラチラ見ているあたり、パンツにご執心のようだ。

「で、ベルディアくん。君は何しに来たの?」

「え?…あぁ。一週間前にそこのクルセイダーの死の宣告を解呪して欲しかったら、乗り込んできてねって話をしたのに、ちっとも来ないから、この人でなし共に天誅を。と思って来たんだが…」

そこまで言って、ダクネスの方を見る。 流石にちょっと気まずいのか、困った顔で頬をかいている。

そういえばベルディアは知らないんだったっけ。

「何で生きてるんだ?しっかりと決まったはずだが…」

「それはこのアクア様のセイクリッドブレイクスペルで破ったわ!!ざまぁみなさい!!」

ベルディアの言葉に対して、胸を張って堂々と答えるアクア。

曲がりなりにもアクアは神様だ。

魔王軍幹部とはいえ、ベルディアの呪いの解呪は余裕だったようだ。

「そ、そうか…話は本当だったんだな…」

ベルディアの声はどことなく予感はしてた。みたいな言い方だ。

と言うか誰から聞いたんだろう?

「話って…誰に聞いたんだ?」

「あぁ、貴様らはこのマントに見覚えはあるか?」

そう言ってベルディアが見せてきたのは、ボロボロの白い布。

裾のあたりには乾いた血のようなものがついている。

そしてほのかに香るフローラルな香り。

洗濯したてじゃんこれ。

ははーん。なるほどそういうアレか。

「これは…」

「マシンガンエクスプロージョン!!」

僕が心当たりを言おうとした瞬間、被せるように、と言うか思いっきりめぐみんの新しい魔法が被さり、発動した。

マシンガンエクスプロージョンとは、エクスプロージョンを小型化、楕円状にし、連続して相手に放つめぐみんお手製の爆裂魔法だ。

威力や射程は落ちるものの、爆発範囲もこれまでに比べると非常に狭く、大きいものでもバレーボール程しかない。

だが、これの真価はそこではなく、爆裂魔法にありがちだった、撃ったら倒れるほどの魔力消費量を大幅に抑えている事にある。

最初は不満を漏らしていためぐみんだが、恐らくガンナーズハイだろうから、撃たせたら案の定気に入った。

他に幾つかバリエーションのヒントになりそうな物を教えたし、多分あるだろう。

ショットガンとかスラッグ弾とか。

そんな新技が炸裂した理由。それは…

「お、おま、お前ーー!!何なんだいきなりー!?」

「やかましい!良くも切国さんを…!」

と言う訳で、盛大に勘違いしている。

多分あれは沖田がぶちまけたに違いない。

明らかに拭った跡があるし、恐らく目の前の魔王軍幹部のベルディアさんがご丁寧に洗ったに違いない。落としきれてないけど。

さっきから切国と沖田が出て行きにくそうに、岩の影からこちらを見ているし。

さてどうしようかと頭を捻っていると、カズマ達はヒートアップしているようで…。

「やるぞ皆!」

「えぇ…切国。空から見ててください。私の更なる爆裂魔法を!」

「死体さえあれば私の力で生き返れるわ!一先ずあいつをのしちゃうわよ!」

「壁役は任せてくれ!」

盛り上がってるなー。

あっ、ベルディアがこっち見た。明らかに助けて欲しそうな顔してるけど……。

無理だろ。こんなん。面白すぎる。

ベルディアは一言も俺がやったなんて言ってないのに。

やばいなー。顔がニヤけちゃうなー。



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イケメンは何をやっても許される

この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


定期的な保存管理は大事_(:3」∠)_


勘違いから始まったベルディア討伐戦は、カズマ達の善戦で事が進んでいる。

マシンガンエクスプロージョンで先制したカズマパーティーは、その直後にダクネスでベルディアをガード。

以前と同じく相変わらず攻撃は、当たらないものの、あの鎧を着ているのに何処からそんな?と言いたくなる俊敏さで、すり抜けて行こうとするベルディアをディフェンスしている。

仕方なくダクネスを倒していこうとするも、持ち前の性癖と頑強さと耐久力でしぶとく立ち続ける。

後方からアクアでちまちまと体力を回復させている為、余計に倒れない。

時折隙きをついて通り過ぎようとするも、めぐみんのマシンガンエクスプロージョンや、アクアのクリエイトウォーターが邪魔をする。

カズマは指示を飛ばしつつ、先日取得したスキル 千里眼でベルディアの弱点を探る。

どうやらあの時の一戦から大きく進歩したみたいだ。

相手の嫌がることは積極的にやりましょう(悪い意味で)が得意なカズマは、普段はともかくとしてこういう場では本当に頼りになる。

とは言え相手は曲がりなりにも魔王軍の幹部。奇襲には驚かされたものの、暫くすると慣れ、的確に対処している。

戦況は千日手の模様を広げ、徐々に指示を出すカズマに、焦りと疲労が見え始めた。

多分そろそろベルディアに抜かれるだろう。

僕はそっと総司と切国に目配せをした。

………よし。伝わった。

まぁ、念のために時間止めてわざわざ言いに行ったし大丈夫だ。

なら目配せの意味ないじゃんって?

そのほうがほら、かっこいいじゃん。

「しまった!?」

「くっ!」

「貰ったぁ!!」

あっ、やっぱり。

僅かな隙きをついて、ベルディアがカズマに迫る。

めぐみんの爆裂魔法じゃカズマを巻き込むし、アクアはそもそも火力がない。

ダクネスじゃ間に合わないし、僕はそもそも動く気がない。

というか動く必要がない。

「やはり来たか!」

「……当然だ」

「切国!?」

「切国さん!」

「更に隙あり!」

「うぉ!?」

カズマに迫る刃を受け止めたのは、死んだはず(と思い込んでた)山姥切国広だ。 

更に横から、沖田も襲撃にかかったが、ベルディアは辛くも躱した。

大きく後ろへと後退し、睨み合う双方。

カズマ達はまさか生きているとは思ってなかったのか、呆然としている。

「来ると思っていたぞ」

「……当たり前だ」

やや嬉しそうな声でベルディアは切国を迎えた。

「俺の居場所を、仲間を。傷つけさせる訳にはいかない…!」

セリフは最高にかっこいいが、残念な事に、今の彼はジャミラだった。




長い事放置してましたが、今回また書きました。
文字化けおこしてたから焦った_(:3」∠)_


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