ハイスクールD×D The brother Dragons (黒木龍牙)
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殴り出しは怒りの突発の中で

真っ赤な血。

ヒトの体の7~8%を占めるその液体は、体を動かす為に必要なものだ。

当然だが、ヒトはそれを失うと死ぬ。

目の前で妹が腹に穴を開けられ、死に絶えかけている。

そんな状況、自分が体験するなんぞ、考えてもなかった。

駆け寄り、妹の体を抱える。

 

「い………せい?」

 

「喋るな…………、良いから喋るな!!」

 

死に絶えそうな妹の口から自分の名前が漏れる。

俺は傷口をよく見る。

穴。

何もなく、その淵から血が溢れる。

塞ぐにしてもデカすぎる。

血は………、止まらない。

 

「死に……たくな………い………よ……」

 

その一言きっかけか、涙のダムが決壊したのか、視界がぼやける。

どんどんと、俺の足と腕を染め上げる血は、妹の体からあふれ続ける。

妹の体から力がなくなった。

………………妹の命が尽きたのだ……。

だが、すぐに、妹の握られていた右腕の隙間から赤い光が溢れる。

何事か。

近くが赤く光り、女性が現れた。

 

「あなた達が、私を呼んだのね」

 

紅髪…………。

ストロベリーブロンドよりも鮮やかな紅色……。

俺の知っている人で、そのような鮮やかな紅色の髪の女性はあの人しかいない。

 

「リアス………、先輩………」

 

リアス・グレモリー

俺の通っている高校、駒王学園の三年生。

オカルト研究部部長であり、この高校を代表する有名な人だ。

そして………、悪魔だ。

悪魔…………、人間よりはるかに長く生きる事ができ、肉体も強く、魔力を操る事が可能な種族………。

 

「久しぶりね。こうして話すのは」

 

「………妹を………、助けてくださいますか………?」

 

俺の言葉を聞いたリアス先輩は少し目を閉じて考える。

そして、答えは出たらしく、口を開いた。

 

「ええ……、いいわよ」

 

その一言だった。

俺はその瞬間、妹の生き返りを確信し、絶望をかき消す。

悪魔は、死んだ者に、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使うことにより、転生させ、自分の下僕にできるのだ。

涙は、止まった。

 

「それにしても、その傷………、堕天使ね」

 

「そうですね………、僕は復讐してきます」

 

「あら、大丈夫なの?」

 

「大丈夫です。たとえ種族が変わっても………、妹は妹ですから」

 

「そう………、でも、明日からもちゃんと学校に行くのよ?」

 

「ええ、でも、あいつは許しません。羽根を千切って、四肢をぐちゃぐちゃになるまで潰して、喉を潰して………。あ、処理はそちらのスタッフでもいいですか?」

 

「…………あなたって、結構グロいこともするのね」

 

先輩は少し、引いていた。

 

「当たり前です。溺愛している妹を殺されたんです。あなただって、もし自分の下僕を殺されたら、復讐するでしょう?」

 

「そうね………、増援は?」

 

「…………大丈夫です。残虐な殺し方ですし……」

 

もちろんだが、断っておく事にする。

正直、怒りを抑えられそうに無いからだ。

俺は妹を託す。

 

「妹を、よろしくです」

 

「分かったわ。この子………、可愛いわね」

 

「僕の自慢の妹です」

 

「あなたは………、私とどういう関係になるのかしら?」

 

そういえば………、そうだな……。

自分は先輩の下僕の兄だから……。

ええいややこしい。

 

「何だったら、俺も転生しましょうか?少し、時間をもらえれば」

 

「………簡単にそんなこと言ってもいいの?あなたの人種が悪魔になるっていうのに」

 

「良いんですよ。人間で致命傷でも、悪魔なら耐えられるという事もありますし、仕事をする事も悪く無いと思っていますから」

 

そう……と黙り込まれてしまった。

………そろそろ怒りが限界まで溜まってきている。

 

「では……、行きます。妹を頼みましたよ」

 

「ええ、わかっているわ」

 

俺はその場から立ち去った。

…………………連れを待たせているのを忘れて………。

 

 

 

 

連れサイド

…………遅い。

明らかに遅い。

デートに私から誘って、途中で飲み物買いに行ってもらったは良いけど………

 

「遅い!イッセーったら、何してるのよ!」

 

思わず口を突いて出てしまった言葉により、周りから視線を集めてしまった。

口を噤んで少し小さくなる……。

さっきナンパされたけど、頰を平手打ちして追い返してやった。

で、なんか数人の男に取り囲まれたけど、アイアンクローで持ち上げてやったら怖がって逃げて行った。

ざまーみろ、ふん……。

………………。

携帯で電話してみよ……。

数コールなった後、イッセーは出た。

 

「イッセー?いい加減戻ってきてもいいと思うんだけど……」

 

「あー………、夕麻………」

 

「風切り音がすごいんだけど?」

 

「悪い、もうちょっと遅れる、ってか、戻れるか怪しい」

 

「はぁ!?どういうことよ!」

 

何でよ。

何か事件に巻き込まれたの?

 

「すまん、ちょっと妹が、お前さんの部下の男に殺されたんだ」

 

「!?待ってどういう」

 

何でよ!?

あいつらには動くなって!

って、何でイッセーが部下の事なんか……。

それより、私のこと分かってるっていうの?

 

「ドーナシークだが、正直お前の部下だから殺すかどうか迷っている……」

 

「…………あいつ………、いけ好かないところがあるわ。でも正直使えない事は無い……」

 

「………………すまん。スペックは?」

 

「え?ああ………、この間グレモリーのネットワークに侵入して情報を書き出していたわね……」

 

「ああ、俺が作ったダミーに侵入してきたのはあいつだったか……」

 

「っ!!」

 

「残念だが、グレモリーの守備範囲はかなり広い。あんなもんじゃ無いし、それに、グレモリー管轄外でも、俺が見張っている場所なんか多くあるからな」

 

「じゃ、じゃあ、駒王町内のグレモリー管轄範囲の地図って……」

 

「おう、俺が作ったニセモン。完全にデータ引っ張って、喜んでたがな」

 

「じゃあ………、ドーナシークって………」

 

「俺の罠に引っかかったただの間抜けだな」

 

………………。

間抜け………、なのかな……。

 

「見込みはある…………、だが、正直俺は妹を殺した元凶であるあいつを………、許せんのだ」

 

「…………分かったわ。でも、気づいたのなら、何で私を早々に引き込まなかったのよ?」

 

「お前さんと遊ぶのが楽しかったから」

 

「…………」

 

少し、体温が上がった。

不意を突かれた。

ほおが熱い………。

だが、そんなことも構わず、イッセーは話し続ける。

 

「はじめての彼女が、妹を殺したやつの上司ってのは………、少し歪だが、やっぱり楽しかった。だから、お前さんとの関係を切りたくなかったってのはある……。お前さんに質問だ。イチカに近付くために俺の彼女になったのか?」

 

そう聞かれ、少し戸惑う。

最初はそうだった。

兵藤一華に近づく、そのためにイッセーに告白したつもりだった。

でも………、惚れた。

 

「沈黙は是と取るぞ?」

 

「違う!!絶対に違う!だから」

 

「分かった、分かったから、じゃあ、お前さん。とりあえず、ドーナシークだけど」

 

「…………、あなたの好きなようにして頂戴…………。ただし、ミッテルトとカラワーナは」

 

「もちろん、無傷で返すさ。心配すんな。そこまで俺は非常じゃねぇよ。じゃあ、あとで俺の家来てくれ、したいことがある」

 

「っ!」

 

ま、まさか

え、エッチな事じゃないわよね?

いや、イッセーってムッツリだったの?

 

「じゃ、またな」

 

「あ、ちょっと!」

 

電話を切られた…………。

…………まあ、いいわ…。

しょうがない……。

カラワーナに連絡を入れておこうか……。

って、そういえば、カラワーナもミッテルトも今日はホテルの一室借りて一泊してるから、大丈夫だったわね……。

未だ夕日が雲を赤く染める空を見上げながら、夜まで待つのだった。

 

 

 

イッセーside

 

俺は屋根の上を走りながら、目の前でカラスの羽を羽ばたかせ、飛んでいる奴を追う。

無駄に早い。

チッ、と舌打ちをしつつ、追う。

内ポケットに入れてある自家製の迎撃用の札があるがあいつと俺の間は約40mくらい離れている。

ちと狙うには遠い。

離れもしないが追いつけもしないといった感じだろうか?

俺は右腕の神器(セイクリッド・ギア)を展開する。

神器は神が作り出したシステムの一つ、所有者に不思議な力を持たせる物、とでも覚えておけばいいだろう。

こいつは、その中でも強力な力を得られる、その上、神、魔王すら倒せるというクッソ強い武器、神滅器(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だ。

所有者の能力を十秒ごとに倍加させられる、とんでも武器。

まあでも、元の能力が低ければ、倍加前にやられるなんて事もあるから一概に強いとは言えない。

 

『おい、イッセー、どうする気だ?』

 

こいつはドライグ、この赤龍帝の籠手に憑依している元ドラゴン。

二天龍と言われた赤龍帝と白龍皇の赤い方。

赤龍帝、ウェルシュドラゴンというのが一応の個体名らしい。

だが、どうやら色々な事があったらしく、神器として顕現して俺と話す事ができるようになった時、俺の人格に感動していた覚えがある。

さらに言うなれば、こいつはこの世界の赤龍帝ではないらしい。

この世界の赤龍帝はオスではなくメスだという。

色々あるもんなんだなぁというのが俺の感情だ。

 

「カラワーナ、ミッテルトは協会にいないことは確認済みだ。協会であいつの追いついて、ぶっ飛ばすってのが一番いいだろう」

 

『そうだな、だが、どうやらあいつの目的地は………』

 

「少し違うらしい。この方向………、学校か?」

 

…………。

まさか……。

 

「俺の偽の資料に書いてあった悪魔の表を見て、勝てると思ったか?」

 

『可能性は大いにある。だが、恐らく、あいつは姫島朱乃にも劣るだろう』

 

「だな………、先に俺が倒すか……」

 

『その方が、あいつとしても良いだろうな』

 

俺は赤龍帝の力を、今から使用する。

まあでも、使用せずに、屋根を走ってる時点で俺は普通ではないのかもしれない(錯乱)。

 

『Boost!!』

 

よし、力が高まった!

そして俺は右腕に力を込めると、肘に空気の噴出口ができる。

 

「じゃ、行くか!」

 

『Jet!!!』

 

噴射口から恐らく魔力的な何かが噴出した。

俺は操ることができないのでそういったことはすべてドライグに任せっきりだが、潜在魔力量がかなり多いらしい。

人間なのに……。

人間なのに……………!!!

 

『因みに言っておくが、魔力だけでなく、天使、堕天使と同じく光力、それに妖怪の有している妖力も多少ながらだがあるぞ?』

 

マジで?

 

『ああ、それに、お前の脳内を探っていると、数回多くの剣の内包した世界にたどり着いた。あれは何だ?』

 

そんなもんは知らん。

深層意識じゃね?

まあいいやと思い、前を向く。

スピードが増した俺はそろそろ、ドーナシークに追いつこうというところ。

 

『Boost!!』

 

「何だ?」

 

ドーナシークが赤龍帝の籠手の音声で振り向いた。

チャーンス!

 

「落ちろおおおお!!」

 

俺は右足に力をこめ、跳んでドーナシークの顔面に、体をひねって全体重を右腕に込めてコークスクリューを捻じ込んで殴り落とす。

 

「グベアッッ!?」

 

おお、ちょうど空き地に落ちた。

俺は素早く着地体制に入り、着地する。

 

「な、何者だ?」

 

「復讐しに来た、お前が殺したあいつの兄だ」

 

「ふん………はははっ………、なんだ……、レイナーレ様と一緒じゃないのか?」

 

「ああ、デートほっぽらかして、お前を殺しに来た」

 

俺は言い切る寸前で踏み込んで前に走る。

だが、ドーナシークもすぐに避ける。

かかった。

 

「ぐあああああ!?」

 

「残念だったな、お前さんを止める方法なんざ、多く作ってるんだよ」

 

ドーナシークは、俺以外を見ていなかった。

つまり周囲への注意が散漫になっていたわけだ。

俺は少しだが、結界術を使うことができる。

ちょっと前に京都に行った時、狐の妖怪に教えてもらったのだ。

いやー、いいお姉さんだったなぁ。

あ、そうだドーナシークだ。

俺が張った結界に触れて、電撃で痺れたのだ。

 

「ああ、ドラゴンでも一撃で黙るくらいには、電撃強めといたから流石にすぐには動けないと思うよ?」

 

「……………ぶ……ぎぃ………ど……………」

 

何を言っているんだろう?

ん?後ろから気配

 

ザンッ!!

 

斬撃!?

しかもかなり早かったぞ!?

前に転がったおかげで、なんとか避けられた。

後ろにいたのは

 

「おやぁ?避けられましたか〜、一撃で決められると思ったんですけどねぃ?」

 

白髪鬼だった。

黒い神父服に、首からぶら下がっている銀色の十字架が揺れている。

そしてそいつの手には剣が握られている。

 

『Boost!!』

 

「へぇ……?ただの人間ちゃんにしては強そうじゃないですか〜。楽しめそうですし〜?」

 

「……………ドーナシークの部下か?」

 

「ええ、もぉっちろんですよ〜。名前はフリード!フリード・セルゼン様だ!」

 

また剣を振るう白髪鬼。

いや、はぐれのエクソシストか?

俺はバックステップで避ける。

で、フリードとやらが剣を切り返しに斬りかかってくる前に殴りにかかるとしますか。

フリードの剣が振り終わり、止まる瞬間を狙って右肘のブースターを吹かせ殴る。

 

「ギャオバッ!?」

 

そんな声を出しながらフリードが後方にぶっ飛んだ。

あれ?そんなに力増してたっけ?

 

『3回も倍加がかかっていれば8倍………。充分に吹っ飛ぶと思うが?」

 

「あ、ほんとだ、8倍になってる……」

 

『Boost!!』

 

16倍になった。

あー、どんどん倍加していくんじゃぁ〜。

 

「調子こいてんじゃねえですよクソガキがああっ!」

 

と、また切り掛かってくる。

俺は足元に落ちてあった石を持って、投げる!

 

「痛いっ!」

 

手元に当てたので、剣が吹っ飛んだ。

あれ?こっちに飛んでくる?

近くの地面に突き刺さる。

俺はそれを無造作に地面から抜く。

そして、ドーナシークに向ける。

 

「おい、人間ごときに負けてるぞ?悔しくないか?」

 

「っ……………」

 

「だんまりか、まあそれでもいい」

 

「くっ!はいじゃらば!!」

 

俺がドーナシークをあおっていたら、フリードが割って入り、煙幕を広げた!

剣を振って、煙幕を切ると周りが見えるようになったが、フリードとドーナシークは消えていた。

逃したか……。

剣を地面に突き刺し、頭をかく。

携帯を取り出し、リアス先輩に電話する。

おそらく、もうそろそろ転生が終わっているはずだ。

…………、生きていてくれるなら………、復讐なんて………。

いや、あの妹なら自分で自分の復讐するとか言い出しそう………。

数コールなってから、リアス先輩が出た。

 

「あら、もう終わったの?」

 

「いえ、逃げられました。追うか悩みますが、そちらはどうでしょう?」

 

「ええ、イチカは私の兵士(ポーン)として転生したわ」

 

ホッとその言葉で安心した。

失敗する例もあるらしく、成功しないとそのまま死んでしまうという。

まあ、もしそうなっても、ハーデスの下まで行って魂取り返してくるが……。

 

「そういえば、前回は先輩と姫島先輩しかいなかったですけど、他は誰がいて、誰がどの駒なんですか?」

 

そういえば聞いていなかったと思い、持っていた情報があっているかどうか確認のために聞いて見る。

すると先輩は簡単に答えてくれた。

 

「これから顔合わせするものね。私が王(キング)なのはわかるわね?朱乃は女王(クイーン)、そして木場悠斗、騎士(ナイト)、塔城小猫、戦車(ルーク)、そして兵藤一華、兵士(ポーン)よ。一人、僧侶(ビショップ)がいるんだけど、その子の紹介はもっと先になるわ」

 

ふむふむ、木場がナイトで小猫ちゃんがルーク、そして僧侶…………、外に出てきていないというので一つ思い当たるものがある。

インターネットサイトでの悪魔契約だ。

そういえば、グレモリーのセキュリティの改善とかで一回話したっけ。

 

「………………いえ、その僧侶の子とは一応知り合ってますよ。ヴァンピィとかいう名前で取引していますよね?」

 

「あら、そういえばお兄様が何か頼んでいたようだけれど、インターネットサイトのことだったの?」

 

「あ、はい。ソーナ会長の方も色々とセキュリティー強化ということで魔王様2人から頼まれまして………、いやはや、魔王お二人の妹大切具合は半端ないですね」

 

「はぁ………、全くね………。あ、イチカだけどちゃんと自宅のベッドに寝かせておいたわ。堕天使があなたの家の前で待機していたけど、どうかしたの?」

 

「あ、忘れてた…………、話があるんで俺の家まで来てもらったんですよ。あ、明日はどうしますか?」

 

「明日は体を慣らすために一日、あなたが近くにいてあげてくれるわね?クラブは明後日からということで、明日の夕方にちゃんと話してあげてちょうだい。じゃあ、また明後日ね」

 

「ええ、また」

 

電話が切れ、ふと足元を向いた俺の目に飛び込んだのは。

 

みゃー

 

白と黒のまだら柄の子猫。

俺が少し下がると、それについてくるように足にすがりついてくる。

右手で持ち上げてやる。

 

「にゃー」

 

みゃー!

 

俺がそう言うとちゃんと返してくれた。

優しい。

 

『おい、こいつは普通の猫じゃないぞ』

 

「ん?ああ、そうだな猫又だよな〜?」

 

みゃー

 

猫に聞くと俺の質問を分かっているように、ないた。

おそらく言葉は分かっているんだろうな。

猫は尻尾を二本ゆらりゆらりとさせている。

俺は着ているパーカーのフードに入れて、右手で剣を持つ。

すると猫がフードから上半身を出して、右肩に腕をかけるように乗っかった。

フードを足場にしている感じだ。

 

「じゃ、帰るか」

 

『持ち帰るのか?』

 

「ああ、持って帰って飼う。首輪つけたら人化の時首締まりそうだな」

 

みゃっ!?

 

「しねえよ。大丈夫だ」

 

俺はドライグに頼んで、空気の膜を作ってもらい、風除けとして使った。

猫が吹っ飛んだらかわいそうだ。

家の前まで着いた。

 

「遅い!」

 

こいつがいたのを、猫の事ですっかり忘れていたがね。




どうも、黒木です。
はい、また新しい物として書き始めました。
評価、感想、待ってます。
とりあえず、レイナーレ仲間化決定。
ドーナシーク死すべし慈悲などない。
カラワーナ、ミッテルトはどうなるのか、そこは順次考えていく予定です。
赤龍帝の籠手は右腕に、そして色々と音声と機構を増やしています。
『Booooooost!』
16倍化
『Resurrection』
追加効果の無効化
『Trace over!』
能力のコピー
『illusion』
透明化
『Clock up!』
体内時間の倍加
以上!
っつー事で次回もお楽しみに。
ではでは


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日常は非日常へ

「ちょっと!なんでこんなに遅いのよ!!」

 

「耳元で叫ぶな!耳がいてえよ!」

 

がるるると怒り心頭なのはレイナーレ。

家の前でずっと待っていたらしい。

 

「で、したいことって?」

 

「んー?ああ、約束をするためだ」

 

「約束?なによ、そんなことのためにここに呼んだわけ?」

 

明らかに落胆の表情が見えるレイナーレ。

ありゃ?

ダメだったかな……。

 

「ああ、そうだ。約束の内容は……」

 

「内容は?」

 

「別れよう」

 

「よし、死ね!」

 

「ちょ!まっ!」

 

俺が全て言い終わる前に、心臓を狙って光の槍を突き刺そうとして来た。

だが、それは俺がとっさに防ごうとした手の先にできた盾によって防がれていた

ってか、俺こんな盾知らないんだけど。

7枚の花弁が開いて、それが盾のように槍を防いでいる。

ほぼ無意識のうちに防御していた。

…………?

 

『お前の深層意識が呼び寄せた防御本能とも言うべきものだろう』

 

そうか、サンキュー。

 

「話は終わってないぞ?」

 

「別れるんだったら、あんたを殺して私も死ぬ!!」

 

「だーかーら、お互いにもっと仲良くなってからにしないかって話だ!」

 

その瞬間うごきが止まったのを見て盾を解除する。

レイナーレも、槍を消した。

 

「で、どうなんだ?」

 

「う…………、その………、早まってごめんなさい……」

 

早々に静まってくれた。

その点は良かったのだが、頰を赤くして下向いて黙られた。

あ、そだ。

 

「ドーナシークには逃げられた。どうしようか迷ってる」

 

「そう…………、生きてるのね………。あなたはどうしたい?」

 

あ、仕事の顔になった。

…………、少し赤いが……。

 

「あー、うん………、俺は今としてはイチカが悪魔として生き返ったから問題ないんだけど」

 

「!?」

 

あ、言ってなかった情報をカミングアウトしたせいでめっちゃ驚いていらっしゃる。

まあそうなるか。

別の意味で真っ赤になったレイナーレ。

 

「ちょちょちょ!?そんなこと聞いてないわよ!?あなたは知っていたかもしれないけれど、私からしたらそんな大それたこと言われても情報処理が間に合わないじゃない!!」

 

「…………すまん……」

 

レイナーレはブツブツと何か言いつつうつむいてしまった。

するとドアがガチャリと開いて母さんが出て来た。

おそらく角度的にレイナーレが見えていないのだろう。

 

「あら、一誠、おかえり」

 

「ああ、ただいま」

 

「一華は?」

 

「もう部屋で寝てるはず。俺に見つかって、なんかその後いろいろあったらしくて、メールで帰るってさ」

 

「ふーん?で、何してるの?」

 

「友達と話してるの。晩飯、何?」

 

「鯖の煮付けよ。早く終わらせなさい」

 

「ヘーイ」

 

母さんはレイナーレに気づくことなく家の中に戻って行った。

するとレイナーレが俺の服の裾を引っ張っているのに気がついた。

 

「理解はできたわ………、でも、納得できない……」

 

「方法はまあ、まだあったんだが、一番手っ取り早くイチカを生き返らせるにはそれしかなかったんだ」

 

「でも………、私はそれだと敵になっちゃうじゃない……」

 

レイナーレは堕天使、そして、俺とイチカは悪魔側に入る事になるだろう。

百年前の大戦争で敵対していたこの二つの勢力は未だに敵対し続けている。

だが、少し先の未来を見通した案を提示してみる

 

「じゃあ……ーーーーーーーーーーーーーだと思うんだが……?」

 

「…………、筋は通っているわね……」

 

「なんだったら神の子を見張る者(グリゴリ)の幹部に直々に掛け合ってもいい。レイナーレ、どっちにしたって、幹部どもはーーーーーーーーすることを決めている。どうだ?やっぱりダメか?」

 

「……………」

 

また押し黙るレイナーレ。

すると、右肩に乗っていた猫が、忘れるなと言うように前足で肩を叩いて来た。

おお、すっかり忘れていた。

あくびするように大きく伸びをした猫はフードの中で丸くなってしまった。

寝たのかよそこで。

 

「分かった………、逃げたら許さないからね?」

 

「……………おう」

 

上目遣いで頰を少し朱に染めて放たれた言葉は、すごい破壊力を持っていた。

予想以上の破壊力だ。

思わず言葉が詰まったせいで、睨んでくるレイナーレ。

 

「何よ、その沈黙は?」

 

「お前さん可愛すぎるだろ」

 

「ちょ!?そう言う直球やめてくれない!?照れるんだけど!」

 

「あ、悪い………、つい本音が……」

 

「ああああ!もういいわ!」

 

そう言って、顔を両手で隠すレイナーレ。

可愛いなぁ……。

癒されるわ。

そんなこんなで話が終わり、レイナーレは帰って行った。

 

 

晩飯を食い終わり、部屋に戻ろうと、イチカの部屋の前を通る。

………。

部屋に入る。

オレンジと黄色を基調とした部屋。

オレンジ色のベッドでスヤスヤ眠ってい

 

「………んがっ………ぐごごご…………」

 

ばりっばりいびきかいてたわ。

ベッドの横に立って顔を覗き込む。

おー、よだれ垂らして笑顔で寝てら。

むにぃぃぃ…………

 

「んびゅ………………ふぇ………」

 

気がついたらムカついてほっぺたを引っ張ってた。

離す。

ふよんと伸びていた頬が戻り、いつもの顔に戻る。

 

「い……せぇ………」

 

いっちょまえに寝言言いやがって。

頭をひと撫でして部屋を出て、俺の部屋に入り、書類を整理する。

しようとすると、起きたのか、フードから猫が出て来た。

 

にゃう!

 

そう鳴いて、俺の机の上に登った猫。

そういえば、とタンスの中をあさり、小さな座布団を取り出す。

どこかへ旅行に行った時、お土産で買って来たクッションだ。

机の上に置いてやると、その上で丸くなった。

俺は紙を取り出して、魔法陣をちょいちょいと描いて、その座布団の下に滑り込ませる。

すると猫が伸びをして座布団に座った。

 

『ふむ、私を拾ってくれたのは嬉しいけど、言葉が伝わらんのはなぁ……」

 

おや、おっとり系。

なまりがあるようで少し妖艶な雰囲気をまとっている。

 

「なあ、猫さんや。一応今は伝わってるよ?」

 

『嘘ぉ!?』

 

お、おう、マジで驚いてる。

 

「言語翻訳の魔法陣をその座布団に座った時だけ発動するようにしたからさ」

 

『へぇ……、便利やねぇ……』

 

「おう、なんかいろんな力が俺の中にあるらしいからな」

 

ちなみに今のはドライグの入れ知恵だ。

っつーか、なんだ。

京都弁か?

 

『御察しの通り、京都生まれの京都育ち。裏京都で育った完璧な京都猫ですわ』

 

「おお、人型になれるのか?」

 

『なられへん事はないけど、あんさん妖力ありはるならもらってもええ?』

 

「あるけど……、どうすれば?」

 

俺は猫の前に右手を持っていく。

ドライグの操作で右腕先に妖力が溜まっていっているようだ。

 

『こないぎょうさんの妖力もらってもええの?』

 

「いいよ。って言ってもどれくらいか分かんないけど」

 

『これくらいあれば、そうやねぇ………。あんさんの分身作って式神にしたとして、恐らく一週間くらいは持たせられるくらいかな』

 

Oh.........

なんとなく分かった気がした。

まあいいか。

 

「まあ、受け取ってくれ。人型見たいし」

 

『ん、分かった。じゃあもらうね』

 

そう言って俺の手を猫が舐めたら、猫が光った。

おう、力抜ける。

妖力が抜けたから足が一瞬カクンと曲がってこけそうになった。

あぶねえ。

すると、俺の手を小さい手が握った。

お?

小猫ちゃんより小さいくらいの女の子が、俺の手を握っている。

 

「あらあら、どうしはったん?私の姿みて目見開いて」

 

「いや………、その姿……」

 

酒呑童子かよ!?

いや、ツノがない。

その代わりピンととがった猫耳がそこに存在している。

その猫の姿が、FGOの酒呑童子に酷似しているのだ。

酒呑童子とは、かの有名な坂田金時が源頼光らとともに倒した鬼。

と言うよりまず、俺はFGOを何故知っている?

あれ?知識があるぞ?

 

「なんや、知り合いと似とったんか?残念やけど、別人やと思うよ?」

 

「おう………、そうだな……」

 

俺は考え込む。

そういえば、小さい頃からかなり記憶力が良かった。

いや、知っていたんだ。

元から知識があった。

 

「ねえ?どうしたん?」

 

つまり俺は小さい頃から今まで習ってきたことの知識があったと言うことだ。

つまり、前世が存在し、そして今と同じような高等教育を学んでいた、と言うことだ。

いや、それ以上の知識か。

この間大学の問題をしたが、スラスラ解けたのだ。

つまり、前世がこの世界のもっと昔というわけでない………?

すると、腹にトンと何かが触れた。

 

「ねえ、大丈夫?」

 

猫が俺のお腹あたりに抱きついて顎を当て、見上げていたのだ。

俺は少し汗をかいていたらしく、手の甲で額を拭う。

 

「大丈夫だ。で、人型を維持するのに妖力は必要だったか?」

 

「いや、それに関しては心配あらへん。あ、そういえば名乗ってなかったね」

 

俺から離れ、胸元に手を当てて自己紹介を始めた猫。

 

「私はシャパリュって名前やで」

 

「災禍を及ぼす怪猫じゃねぇか!」

 

思わず突っ込んでしまった。

京都生まれ京都育ちはどこいった!?

シャパリュはウェルズでキャスパリーグと呼ばれていた怪猫で、円卓の騎士であるアーサー王もしくは、ケイ卿に倒されたと言われている。

 

「あら、博識やねぇ」

 

「当たり前だ。シャルルマーニュくらいは知っている」

 

「ふーん?じゃあ、ふざけるのも、これくらいにして……」

 

そう言うと、真剣な顔で。

 

「私は灰符(はいふ)、本名やけど、こっちで呼ばれるのは好かへん。灰の里、でカイリ、もしくはハイリって呼ばれてるんよ。ちなみに、一応成人してるから、エッチなこともできるよ?」

 

「後半は聞かなかったことにしとく。了解、灰符が本名ね。で、カイリorハイリって呼べばいいわけか」

 

「で、あんさんは?一応、表札で名前見たし、お母さんに呼ばれてるんも聴いたけど」

 

「じゃあ、さらっと、俺は兵藤一誠、高校生。運動は嫌い。ゲームが好きでずっとやってる」

 

「へぇ?で、失礼やけど、“左腕、なんで動いてないのか教えてくれへん”?」

 

「おう、良いぞ。単純に筋肉が衰退する病気に“何故か左腕だけかかった”からだ。それ以上は知らん」

 

そう、俺の左腕は“動かすことができない”。

それは筋肉が衰弱する病気、筋ジストロフィーと呼ばれるものだが、何故か左腕だけそれにかかってしまった。

何故かかってしまったか。

恐らく“俺と妹が一卵性双生児だから”であろう。

一卵性双生児は通常、同性同士で生まれてくるものだ。

だが、稀に遺伝子異常で性別を分ける遺伝子XXの片方がなくなりXのみになり生まれてくる子供がいると言う。

それが俺だ。

そして、XのみでYが形成されなかった結果、このような弊害ができているのだろう。

 

「そう………、分かったわ。まあ、そうなんやったらそうなんやろな」

 

??

何か含みがあるようだったが……?

 

「あ、人間体になったら食べもん食べたくなってきたんやけど?」

 

ただの気まぐれだったらしい。

 

 

 

 

『おい、嬢ちゃん。起きな。朝だぜ』

 

んむむむ………。

男性声優の目覚ましでいつも通り起きる。

目覚ましの上のボタンを押して、ベッドから落ちる。

ゴスッ!

頭打った……。

 

「いったぁぁ…………」

 

目が覚めた。

あれ?昨日はいつ寝たっけ……?

 

「おい、イチカ?大丈夫か?」

 

「あー………、大丈夫……」

 

「おはようだが、前見えてるぞ」

 

「おわわわ!?」

 

パジャマの前が開いておっぱい見えてたああ!?

イッセーってば……。

顔色少しでも変えてくれないとこっちが損してる感じになるじゃん!

すごく恥ずかしい。

着替えて下に向かうと足元に猫がすがりついてきた。

え?家の中だよ?

 

「イチカ、おはよう。イッセーが拾ってきたのよ」

 

「あ、おかーさんおはよー……、ってイッセーが?」

 

「ええ、珍しいこともあるものね。私たちには懐いてないのに………、少し羨ましいわ」

 

「へぇ?」

 

と、当の本人は今見当たらない。

猫は私の足についてきている。

食卓に向かうと、お父さんはいるけれど、イッセーはいない。

 

「おはよー」

 

「ああ、イチカおはよう」

 

新聞を読みつつコーヒーを飲んでいるお父さんだが、口元に思いっきりパンくずが付いていてすごく格好悪い。

朝ごはんはいっつもお母さんが作っている。

でも、イッセーはお母さんよりも早起きで、三人を起こして回っている。

 

「親父、口元パンくず付いてるぞ」

 

「っと、ありがとう、イッセー」

 

イッセーが台所から現れて、ナプキンをお父さんに渡しながらそう言った。

私はチーズ食パンにかぶりついて咀嚼する。

時間を見ると、いつもより早い時間帯だ。

イッセーは……………。

朝からアイス食べてやがる!?

 

「イッセーずるいぞー!!」

 

「俺の小遣いで買ったんだ。さっき買ったんだよ。お前が食い終わったら残りは分けてやる」

 

私は今日ほど、自分の食欲があってよかったと思った日はない。

 

 

 

放課後だ。

何だかだるい時間を過ごして思い出したこと。

昨日、確か、私はイッセーと彼女さんを尾行して………。

???

そこから記憶がおぼろげだ。

なんか……、壮絶なことがあった気が……?

 

「イチカ、帰るぞ〜?」

 

「っひぇ!?」

 

「ぶっ………、くくく………」

 

「!!もう!イッセーっ!!」

 

首元を指先でくすぐられ、変な声が出た!!

もう!!

イッセーはケラケラと笑って、逃げる。

それを追いかける私。

 

「松田!元浜!!囮になりやがれ!!」

 

「だが断る!!」

 

「同じく!!」

 

セクハラパパラッチこと坊主頭の松田と、エロメガネこと元浜を巻き込み、三人を私が追いかける形に。

そういえば

 

「てめえら私から借りた金返せええ!!」

 

「げえ!?」

 

「今金ねぇよ!?」

 

「ナラバ、死スベシ慈悲ハ無イ!!」

 

「「アイエエエエ!?慈悲無イ!?慈悲無イナンデェ!?」」

 

クソ!

元浜が失速し始めたけれど松田が元浜を引っ張り出した!

胸元掴んで!

 

「そこかよ!?」

 

「腕掴むのも気持ち悪いだろ!!」

 

「服が伸びるだろうがああ!」

 

「ってイッセーは!?」

 

「クッソ!あのヤロ!途中で離脱しやがったな!!」

 

あ、ほんとだ。

でも

 

「金返せ!」

 

「「だから無いって言ってんだろうがああ!!」」

 

 

 

今は放課後。

もう少しで始まる部活………、仕事の準備を今して居るところだ。

ここは旧校舎。

オカルト研究部の部長をして居る私は、開いた窓からのそよ風を心地よく感じつつ、書類に目を通していた。

 

「失礼します」

 

ドアが開けられ、見慣れた顔が入ってきた。

長身で制服の中にフード付きのノースリーブを着ていて、長身。

茶髪に黒の髪留めをつけており、左腕はだらんとしている彼は、すぐに私の近くの窓際にもたれかかる。

 

「あら、イチカのそばにいなくて大丈夫なの?」

 

「ええ、追っかけっこが終わったら旧校舎に来いってメールしましたから」

 

穏やかな笑顔を浮かべつつそう言ったイッセーは窓の外を見ている。

私は書類を置いて、イッセーと窓の外を見てみる。

サッカー部が全員で校舎の周りを走っているのが見える。

 

「あなたは………、何故私に力を貸してくれるの?」

 

ふと………、気になったことを聞いた。

イチカが転生する事になる昨日………、それよりも以前から、私たちの正体を知り、一年前からずっと、悪魔と協力し、はぐれなどの処理や、サポートなどをしてくれていた。

でも、理由はわからない。

すると、イッセーはゆっくりと口を開いた。

 

「保険…………ですかね」

 

「保険………?」

 

「ええ、内容は言えませんが、イチカのためですかね」

 

「ふふっ……、あなたは本当に妹が好きなのね」

 

「………まあ、そうですね」

 

…………。

静かな時間、すると、ドアが開いた。

部員のメンバー、朱乃、悠斗、小猫だ。

 

「おや、部長。なんで兵藤くんがここに?」

 

「あれ?俺の知名度って高いの?」

 

「お茶を入れますね」

 

「変態4人の1人」

 

「ひどい」

 

「4人でも一番真面目」

 

「あ、そうなんだ」

 

「むっつり」

 

「やっぱりひどい!」

 

一誠は結構好印象で通って居たはずと記憶している。

生徒会の手伝いもしているし、後輩にも優しく、勉強を教えたりして居た。

先生の代行を勤め、一年生のクラスで教えたらしい。

学校も学校だが、一誠も一誠ね。

よく成立しているわ。

すると、ドアが叩かれ、女の子が入って来た。

背は160くらい。

髪はセミロングで寝癖か髪が所々跳ねている。

 

「失礼しまーす……」

 

「木場、あいつ、もらってくんね?」

 

「兵藤くん、君は本気なんだったらもらうよ。けど冗談ならやめたほうがいい」

 

「結構本気だったんだがなぁ」

 

「な、何!?どんな話が始まってるの!?」

 

イッセーは悠斗に、すごい事持ち出していた。

待ってよ、私もお兄様がいるけれど、こんな感じではないわよね?

 

「あー、イチカ、この面々は、わかると思う。これからは部活仲間だ。そして、眷属だ」

 

「眷属?」

 

急にイッセーが真面目な顔で話しだした。

イチカは分からないと言った顔で、首を傾げている。

可愛い。

 

「イチカ、昨日の傷は治っているな?」

 

イッセーがそう言った瞬間、イチカの顔が驚愕、そして疑問、更に不安へと変わっていく。

 

「…………夢じゃ………、ないの?」

 

「ああ、イチカ、お前は昨日、死んだ。そして生き返った。“悪魔”にね」

 

イチカは1人ブツブツとつぶやき始める。

やれやれ、説明は難航しそうだ。




ドウモ、ドクシャ=サン。
クロキ リュウガ、デス。
寿司食って自費がねえ、クロキです。
第2話です。
酒呑童子的なオリキャラ出しました。
キャラ紹介はもう少し後に出します。
ではでは。


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