Fate/Inferno Order (ハイカラ 一方通行)
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プロローグ

FGOをしている最中に書きたくなってしまった僕は悪くない!悪いのはあの素晴らしくいいストーリーのせいだ!


標高6,000メートルの雪山に存在する人理継続保証機関フィニス・カルデア。

 

そこは時計塔の天体科を牛耳る魔術師の貴族である、アニムスフィア家が管理する機関であり、魔術だけでは見えず、科学だけでは計り知れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐ為の各国共同で設立された特務機関である。

 

目的は人類の未来を保証することにある。

しかし、2015年に人類にとって最悪の未来が“証明”されてしまった。

 

人類史は2016年に消滅する――――つまり2017年以降の世界に人類は存在していないということだ。

 

カルデアは人類滅亡の未来を回避するため人類史のターニングポイントとなった時代にレイシフトを行いその時代に起きている異変の調査及び解決を為レイシフトの適正を持った48人のマスター候補生を集めた。

 

しかし、レフ・ライノールの計画した爆破事件によって一般募集で召集されたマスター候補生である藤丸立香を残し他のマスター候補生47人すべてが重症もしくは昏睡状態になってしまい魔術においては素人も同然である藤丸立香が『人理』を守護する為に特異点に赴き異変を解決していく物語―――のはずだった。

 

物語は1つの異なる要素が加わるだけで時と場合によっては大きく結末が変わってしまうこともある。

 

これは1つの壮大な物語に神からの加護を受けた1人の人間が介入していく話である。

 

 

 

side???

 

どうしてこうなってしまったのかは分からない、だが少なくとも俺は何処かで間違えてしまったのだ。

 

倒れていた猫の病気を魔術で治してしまったのがいけなかったのかもしれない、落ちてきた鉄骨を魔術ですべて吹き飛ばしてしまったのがいけなかったのかもしれない、他にも色々魔術であれこれやってたのがいけなかったのかもしれない…あ、アホみたいに魔術をポンポン使ってたからだわ。

 

 

「ホントについてねーなぁ」

 

「神秘は秘匿されなければならないというのを無視して人前で魔術を何度も使ったあなたの自業自得でしょう?いい加減諦めなさい。」

 

「チッ…分かってますよ~大人しく着いていけばいいんでしょ?」

 

「分かっているのなら黙って着いてこればいいのよ」

 

「ヘイヘイ…」

 

俺氏カルデアに連行中now(σ´∀`)σ

 

…ホントにどうしてこうなった…まぁ検討はつくが。

 

事の発端は前世で俺が死んでしまったところから始まった。

 

死んだ後突然意識が戻ったと思えばそこは真っ黒な空間だった。

 

何事かと思っていたらいきなり謎の声が聞こえてきて自分が死んだこととすぐにFate/Grand Orderの世界に転生することを伝えられた。

 

何か欲しいものはないかと言われたので俺は回復アイテムを生み出す能力と3つの刀を要求した。

 

貰ったものの事は追々話していくとして重要なのは転生した後の話だ。

 

転生した俺は魔術師の家系ではなく金持ちの家に生まれた。

 

生まれて意識がハッキリとしたときに自身の体内から膨大な量の魔力を感知したが、最初はこれが何なのかよく分からず、すごく気持ちが悪かった。

 

 

生まれて3年間は満足に動けなかったが、3年間の間、自身の中の膨大な魔力を体内で練りに練り上げ気付けば、魔力の密度がおかしいぐらいに濃くなって魔力の保有量も最初の5倍にまで増えていた。

 

この時点ですでに俺は現代の魔術師が俺の存在に気付けば即封印指定を受けるほどの異常者だったはずだ。

 

両親は俺がどこかおかしい子供だと勘づいたのか俺が8歳の時に金だけ残して家を出てってしまった。

 

俺はある程度自炊が出来たので、生活には全く困らなかったが、普通の8歳の子供なら間違いなく今頃天にのぼっていると思う。

 

その後は自分の身体と剣術をひたすら鍛えて小、中を卒業し高校に入学してこの日までやってきたが、ついに時計塔の魔術師共に俺が一般人なのに日常的に魔術を使っていることがばれ、『人理』を守護することを目的とする機関であるカルデアが俺をスカウトしに来た。

 

しかもスカウトに来たのが偶然近くにいた現アニムスフィア家当主であるオルガマリー・アニムスフィアだったものだから俺自身が驚いて固まってしまい、オルガマリーに魔術で拘束されてしまった。

 

そして現在に至るのだが…カルデアに全然着かない!ていうかオルガマリーちゃんちょっと迷ってない?大丈夫だよね?

 

「おい、道に迷ったとかじゃないよな?」

 

「そ、そんなわけないでしょ!カルデアのトップであるこの私がカルデアの場所が分からなくなるなんていう失態を犯すはずがないでしょう!?ふざけたことをいわないで頂戴!」

 

フラグ回収お疲れさまで~すw

 

ていうかそこまで反論するなら「ここどこかしら?助けてよレフゥ…」とか小声で言って涙目になるのやめようね?こっちまで声が聞こえてるからね?なんかオルガマリーが可哀想な子に見えてきちゃったよ…

 

結局オルガマリーと俺はカルデアの職員の人にナビをしてもらってカルデアに到着した。

 

俺がカルデアに入館しようとするとどこからかアナウンスが響きて来た。

 

≪塩基配列、霊基属性を確認。指紋認証、声帯認証、遺伝子認証オールクリア。魔術回路を測定――完了。登録名 日番谷重國。カルデアへの入館を許可します。≫

 

「なんだぁ?今のは?」

俺は某野菜人さんの真似をしながらオルガマリーに聞いてみた。

 

「今のはあなたがカルデアに入れるようにする登録作業みたいなものよ。」

 

「いや、それは分かっているんだが、どうやって俺の遺伝子を入手したんだ?あんたの返答次第では世の中のすべてが信用できなくなりそうなんだけども…。」

 

「あなたの学校での様々な検査を利用させてもらったのよ。」

 

「わざわざ言わなくていいんだよ!こっちも薄々分かってたから!」

 

「じゃあ、なんで聞いたのよ!?」

 

「ちょっと口から出ただけだろーが!ほら、よくあるだろ?思ってる事が口からポロッと出ちゃうこと!」

 

「ないわよ!そんな事!」

 

くだらない言い争いをしていると、モナリザそっくりの美女と全身緑の変態紳士野郎、そして気弱そうななよっとした男が俺達の目の前に現れた。

 

「ようこそカルデアへ!私はダヴィンチちゃんだ。君を歓迎しよう重國君。」

 

「私はレフだよ。長旅ご苦労だったね重國君。ようこそカルデアへ。」

 

「僕はロマニ・アーキマン。ロマンって呼んでくれ。よろしくね~重國君。」

 

…おかしい。

 

なぜ全員俺のことを知っている?

 

「なぜ俺のことを知ってるんだ?って顔をしてるね。よし、このダヴィンチちゃんが説明してあげよう。君は知らないだろうが君は1、2年前から魔術師の間では有名でね。なぜかって?そりゃあ魔術師の家系でもないのに魔術を使える人物なんて最高の研究素材として注目されるに決まってるじゃないか!まぁ今回は時計塔が君を確保する前にそこのオルガマリーが君を確保したんだけどね~。」

 

そういうことかよ…というかすでに気づかれてることに気づいてなかった俺はバカなのかな?…私は悲しい…ポロロン

 

「なるほどな…不満はあるが何があったか分かっただけでも十分だ。それで?どうして俺が呼ばれたのかが知りたいんだが?」

 

「それは私から説明します。ここカルデアでは人類の滅亡を防ぐ為の活動が行われているの。だけどつい最近の観測で2016年以降の人類の滅亡が確定されてしまったのよ。詳しく調べてみたら本来は存在しないはずの過去の異常――私達は特異点と呼んでいるのだけど、それが存在していたのよ。だから私達はこの特異点に介入して破壊すること事によって未来を修正するための作戦を始動したの。その作戦内容が48人のマスターを集めて英霊を召喚して特異点を修正するものなのだけれど、私達はそのマスター候補にあなたを選んだ。今の説明で分かったかしら?」

 

「要は、人類を救うために俺に戦えということだな?」

 

「そういうことよ」

 

なるほど…事情は分かったが…

 

「言っておくが俺は生粋の魔術師野郎とは絶対に反りが合わないからな。俺自身も魔術師と言うよりは魔術使いに近い。自分勝手だとは思うがあいつらと共同戦線を張ることはよっぽどのことがない限り無いと思ってくれ。それでもいいなら協力させてもらう。」

 

「すべての条件をのむことはできないが、ある程度は保証しよう。今度こそ本当によろしく頼むぞ重國君。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

まぁ…知っていて何もしないのはさすがの俺も気分が悪いからな。

 

嫌な予感しかしないがとりあえず頑張ってみるとしますかね…ガ、ガンバルゾー(ヽ´ω`)

 

sideout

 

こうして神の加護を受けた転生者の人理を救う物語が幕を開けた

 

転生者1人の介入よって全くの別物になってしまった物語が――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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はじまり

主人公に原作知識はありません。


はじまり

side日番谷

 

俺がカルデアにやってきて1週間程が経ちここの職員ともある程度打ち解け、ここでの生活にも少しずつ慣れてきた。

 

そんな俺が昼食を食べようと食堂に向かう途中、通路に倒れている少女と、その少女を心配そうに見つめているカルデアの癒しキャラであるマシュとフォウがいた。

 

「マシュ」

 

「あっ重國さんこんにちは。」

 

「フォーウ!」

 

「あぁ、こんにちは…。その子どーかしたのか?力尽きたように眠ってるけど…」

 

「わたしにも分かりませんが恐らく入館の際に行われる戦闘シミュレーションで疲れてしまったのではないでしょうか?」

 

「あー…ありうるな。あれ最初はものすごく疲れるからなぁ…」

 

「重國さんも最初はヘロヘロになってドクターに支えられながら部屋に戻ってましたよね。」

 

「嫌なこと思い出させないでくれよ…あそこまで消耗するとは俺も思ってなかったんだよ。」

 

あれは俺の人生でもトップスリーに入るレベルの黒歴史だ、天然なマシュだから仕方ないとはいえ出来ればほじくりかえすのはやめてほしい。

 

ていうかあれは調子にのって余裕ぶっこいてた俺も悪いけど、俺に対抗して敵のレベルを最大にまで引き上げたダヴィンチちゃんがいけないんだとお兄さん思うんだよね~。

 

「フォウ!フー!フォウ!」

 

「ん?その子起きたぞマシュ。」

 

「…ここは?」

 

「あの…朝でも夜でもありませんから起きてください先輩。」

 

「あなたたちは…?」

 

「いきなり難しい質問なので、返答に困ります先輩。ここは、名乗るほどの者ではない――とか?」

 

「何を言ってるんだマシュ…こういうときは普通に名乗ればいいんだよ…あ、俺は日番谷重國だ。あだ名とかは無いからテキトーに呼んでくれ。よろしく。」

 

「なるほど…しかし、ドクターは初めての人にはこのように自己紹介をしろと言っていたのですが、間違っていたのでしょうか?」

 

「あのドルオタ野郎の言ってることは基本的に信じるな。ほとんどがアニメとかから引っ張ってきたテキトーな事だからな。」

 

「そうだったのですか!以後気をつけます。あとわたしはマシュ・キリエライトです、マシュと呼んでください。よろしくお願いしますね先輩。」

 

「フォーウ!キューウ!」

 

「…失念していました。フォウさんの紹介をまだしていませんでしたね。このリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩している特権動物です。わたしはフォウさんに誘導されてここで倒れている先輩を発見したんです。」

 

「フォーウ!キュウ!」

 

「あっ、また何処かに行ってしまいました。あのようにフォウさんは特に法則性もなく散歩しているんです。」

 

「見たことがない動物だけど、不思議な感じがしたね。」

 

「はい。普段は私以外にはあまり近寄らないのですが、先輩はフォウさんに気に入られた見たいですね。おめでとうございます!フォウさんのお世話係2号の誕生です!」

 

そんな風に話していると向こうから全身緑の変態紳士ことレフが歩いてきた。

 

「マシュ…勝手に出歩いてはダメだと言ったじゃないか…。ん?そこにいるのは重國君と…あぁ君が今日から配属される新人さんだね?私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の1人だ。君の名前は何ていうんだい?」

 

「藤丸立香と言いますレフさん。」

 

「ふむ、藤丸立香君か。いい名前だね。そして君が招集された48人のレイシフト適合者、その最後の1人というわけか。ようこそカルデアへ、歓迎するよ。」

 

「何をしに来たんだレフ?お前はオルガマリーの奴の子守りがあるんじゃないのか?」

 

「随分と辛辣だね重國君。彼女はもう一人でも十分やっていけてるよ。」

 

「フンッ…どうだかな。俺はここで失礼させてもらう。それと、藤丸立香…だったか?ここでの生活は中々に大変だと思うが…まぁ、頑張れよ。」

 

俺はレフから漂ってくる胡散臭さが好きではないので、その場を後にし、自分の部屋に戻った。

 

sideout

 

side立香

 

私が目を覚ますとそこは床だった。

 

そして目の前には中々に背の高い白髪のお兄さんと後輩属性を持ってそうな子が私を見て立っていた。

 

二人が私に挨拶するとどこからかリスに似た、今までに見たことのない動物が私の前に出てきた。

 

「フォーウ!キューウ!」

 

マシュという子が言うには、この動物はフォウと言って中々他の人にはなつかない…らしい。

 

なんか勝手にお世話係に任命されてしまった…。

 

モフモフしたいなぁ…と考えていると、全身緑の人が向こうから歩いてきて私に挨拶自己紹介をした。中々いい人そうなので安心したよ~。

 

けど、なんで重國さんはあんなにも辛辣なんだろう?

 

「随分と辛辣だね重國君。彼女はもう1人でも十分やっていけてるよ。」

 

「フンッ…どうだかな。俺はここで失礼させてもらう。藤丸立香だったか?ここでの生活は中々に大変だとは思うが…まぁ、頑張れよ。」

 

そう言って重國さんは何処かに行ってしまった。

 

「重國さんもフォウさんと同じで中々他の人に心を開きませんね…」

 

「ハハハッ。時間がなかったとはいえ、彼にはここに連れてくるときにかなり乱暴な扱いをしてしまっただろうからな、所長が。それに我々に対する不信感もまだ抜けきってはいないだろうしね。けど、マシュにはある程度心を開いているようにも見えるがね。」

 

「そうだといいんですが…」

 

「おっと、もうこんな時間か。もうすぐ所長の説明会がはじまる。君も急いで出席しないと。」

 

「…所長?」

 

「所長は所長さ。カルデアの責任者にして、ミッションの司令官だよ。君は一般公募で来た新人だからもしかしたらパンフレットしか見てないのかもしれないな。」

 

「そのようですね。所長のプロフィールは一般公開されてませんからね。アニムスフィア家に敬意を示すのは100年以上続いている魔術師の家系だけです。」

 

「そうか、まぁマスターとしての仕事に影響はないだろうから特に問題はないだろう。だが、些細なことで目をつけられるのも良くない。君の今後の安寧の為にも急ぎたまえ。5分後に中央管制室で説明会がある。君たち新人にたいしての、ちょっとしたパフォーマンスだ。」

 

「レフ教授。わたしも参加していいでしょうか?先輩をこのまま放っておくとまた通路で熟睡しまいそうで。」

 

「隅っこで立っているぐらいなら構わないだろうが…君をひとりにすると所長に叱られるからなあ…結果的に私も同席する、ということだね。」

 

「な、なんか色々すいません。」

 

「なあに、構わないさ。それより管制室に急ごう。もう時間があまりないからね。」

 

「分かりました。」

 

管制室についた私は自分の番号が書かれている最前列に座ったんだけど…眠たい。

 

どれぐらい眠たいのかって?そうだな~なにも考えないとマシュが眠らせてくれない悪魔に見えるぐらいには眠たい。

 

「先輩…大丈夫ですか?顔色が優れないようですが…」

 

「だ、大丈夫ダヨ…多分。」

 

「全然大丈夫そうに見えないのですが…とにかくねないようにだけはしないでくださいね?」

 

「う、うん。」

 

「話はそこまでにしたまえ。これ、もう始まってるみたいだぞ?」

 

「…時間通りとはいきませんでしたが全員そろったようですね。特務機関カルデアにようこそ。私が所長のオルガマリー・アニムスフィアです。あなたたちは―――」

 

眠い…もうダメだ…意識が落ちt(バチーン!)

 

「…大丈夫ですか先輩?」

 

「もしかして私、寝てた?」

 

「はい、寝てました。誰がなんと言おうとも寝てましたよ先輩。どことなくレム睡眠に近い状態でしたが。ともあれ、所長の平手打ちで完全に覚醒されたようでなによりです。先輩はファーストミッションから外されてしまったので先輩を部屋に案内していたところです。わたしは、ファーストミッションのAチームなので戻りますね。運が良ければまたお会いできると思います。ではまた。」

 

そう言ってマシュは管制室に走っていってしまった。

 

とりあえず部屋に入ろうかな…。

 

(ウィーン)

 

「うわぁ!ビックリしたぁ!誰だ君は!?ここは空き部屋でボクのサボり場だぞ!?誰のことわりがあって入ってきたんだい??」

 

なんかいた…パソコンにネットアイドルっぽいのが映っているが気にしないでおこう…

 

「私の部屋だと言われて案内されたんですけど…ていうかあなたは何者なんですか?」

 

「何者って、どこからみても真面目に働くお医者さんじゃあないか!」

 

「サボっている人を真面目とは言わないんじゃないかな?」

 

「うっ!は、ははは…じ、冗談はここまでにして、はじめまして立香ちゃん。予期せぬ出会いだったけど、改めて自己紹介をしよう。ボクはロマニ・アーキマン。みんなからはDr.ロマンと言われていてね。これでも一応医療部門のトップをやらせてもらっているんだ。君もロマンと読んでもらって構わないよ、むしろそう呼んでくれ。ロマンって響きがいいしどことなく甘い感じもするからね。」

 

「ああ!あなたが重國さんが言っていた、ドルオタさんなんですね!」

 

「ちょっと重國君!?ボクのことなんて言ったんだ彼は!」

 

「アニメとかからテキトーな知識を引っ張ってきてマシュに与えるドルオタ野郎って言ってましたけど…。」

 

「なんて言い草だ!いや、ほとんど間違ってないのが残念なところだけども!」

 

「私は藤丸立香です。よろしくドクター。」

 

「なんでさらっと自己紹介したの!?…コホンッうん、はじめまして。今後ともよろしく。」

 

さらっと今の流れを有耶無耶にしたなこの人…。

 

「そんなジト目で見ないでくれ…。と、とにかくある程度の事情は把握したよ。君は今日来た新人さんで、所長のカミナリを受けたってところだろう?」

 

「よく分かりましたね。さすがドクター。」

 

「褒めたって何も出ないよ立香ちゃん。もしそうならボクと同類だって話さ。何を隠そう、ボクも所長に怒られて待機中だったのさ!もうすぐレイシフトが始まるから他の職員はみんな駆り出されているんだけど、ボクはみんなの健康管理が仕事だからね。正直やるコトがなかった。それでボーッとしてたら所長に“ロマニが現場にいると空気が緩むのよ!”って追い出されて、仕方なくここで拗ねてたんだ。いやぁ~話し相手ができて助かったよ。所在のないもの同士、ここでのんびり親睦を深めようじゃあないか!」

 

「というかここ、私の部屋なんデスケドネー。」

 

「まあまあ!細かいことはいいじゃないか!とりあえずここの構造を説明しよう!」

 

説明中…

 

「…とまあ、以上がカルデアの構造だ。あとはカルデアの場所なんだけど…」

 

≪ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一のこともあるから管制室に来てくれないか?Aチームの状態は万全だが、Bチーム以下のバイタルに不安ともとれるものが現れている。医務室にいるなら2分でこちらに到着できるはずだ。≫

 

「ここ、医務室じゃないよね?」

 

「う、それを言わないでほしい立香ちゃん。ま、まあ少しぐらいの遅刻なら許してくれるヨネ☆」

 

「とりあえず急いだ方がいいんじゃ…」

 

「そうだね、それじゃあ行こうかnガシャン!なんだ!?いきなり明かりが消えるなんて何か――」

 

ドオォォォン!

 

≪緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかにゲートから待避してください。繰り返します。中央発電所及び――≫

 

「いったい何が起こっているの!?」

 

「さっきの爆発音に何か関係がありそうだ。急いで管制室に向かわないと!モニター!管制室の映像を送ってくれ。なっ!?これは――」

 

「管制室って、そこにいるマシュは…?」

 

「立香ちゃん。ボクは管制室に行くけど君は避難してくれ。もうじき隔壁が閉鎖するからねその前に君だけでも外に出るんだ!」

 

ドクターはそう言って走っていってしまった。

 

「私もこんな所でじっとしてないでマシュを助けに行かなきゃ!」

 

私はドクターの後を追って管制室にはしりだした。

 

sideout

 

side日番谷

 

「そろそろ、ファーストミッションのレイシフトがはじまるな…」

 

マシュたちと別れた俺は自分の部屋に戻り自分の魔術礼装の整備をしていた。

 

俺の勘からしてあと1週間以内に原作が始まるだろう…その後の内容は全く覚えてなどいないケドネ。

 

転生する際に原作知識を消された俺はこの世界の事についてほとんど何も知らないため、事前に出来ることは何もないと言っていい。

 

つまりは出たとこ勝負ってことだ…

 

自分の実力がないとは思わないが、過去の英霊やら何やらが出てくる時点で自分が敵わないという可能性は十分にありうる。

 

もし実力や能力が現代に伝えられている通りならば出てきた時点で詰みゲーということもあるだろう。

 

世界を切り裂く剣とか、絶対に心臓を貫く槍とかどんなチートだよ。

 

…勝てるわけがない!!逃げるんだぁぁ…( ゚д゚)ハッ!変な電波を受信してしまった…

 

「とにかく急いで装備を整えないとな。回復アイテムもまだそんなに用意できてないsガシャン!なんだ!?」

 

ドオォォォン!

 

「爆発音!?何が起こっている!?」

 

≪緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所及び、中央管制室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかにゲートから待避してください。繰り返します。中央発電所及び――≫

 

「チッ!こんな時に!オルガマリーやレフの野郎は何をしているんだ!」

 

管制室っていったらマシュの奴もあそこでレイシフトをするために待機をしていたはず…クソッ!

 

「とりあえず管制室に向かわねーと!」

 

俺は職員たちの救出に向かうため管制室に向かって走り出した。

 

 

 

管制室に着いたが…なんだこれは…!?辺り一面火の海じゃないか!

 

こんな風になってしまっては生存者などいるわけが…

 

「ん?」

 

≪システム レイシフト最終段階に移行します。

座標 西暦2004年 1月 30日 日本 冬木 ラプラスによ

転移保護 成立。特異点への因子追加枠 確保。

アンサモンプログラム セット。マスターは最終調整に入ってください。≫

 

「レイシフト…だと?くっ生存者は!?」

 

生存者を探すべく辺りを見回すと、30メートル程が先にいる立香と体が酷い有り様になっているマシュが見えた。

 

「マシュ!立香!」

 

「重國さん!?どうしてここに!?」

 

「あ……重國さん…カルデアスが真っ赤に、なっちゃい、ました。」

 

「その体で喋るなマシュ!死を早めるぞ!」

 

マシュの体の状態ではどうみても助からないだろう…おそらくもってもあと1分といったところか。

 

部位欠損でも治せるようなものがあれば…あっ忘れてた!部位欠損を治すなら俺が作り出した仙豆があるじゃないか!

 

「マシュ!これを食べろ!」

 

「これ、は…豆…?」

 

「いいから早くしろ!」

 

そう言って俺は仙豆をマシュの口の中に捩じ込んだ。

 

「これは、怪我が治って…なにをしたのですか!?」

 

「それは後で説明する。生きていればだけどな…」

 

≪レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。適応番号47番、適応番号48番藤丸立香をマスターとして再設定します。アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します。≫

 

「先輩、重國さん手を握ってもらっていいですか?」

 

「うん…」

 

「あぁ…」

 

≪レイシフト開始まで…残り3 2 1 全工程完了。ファーストオーダー実証を開始します。≫

 

そのアナウンスとともに俺の意識はなくなった。




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序章「炎上汚染都市 冬木」
戦いの幕開け


新宿のアヴェンジャー強ぇ…


side日番谷

 

目が覚めて起き上がってみると、街が燃え盛っている様子が確認できた。

 

うん…ここはどこデースカ?

 

「とりあえず、探索してみるか。」

 

立香とマシュ…ついでにロマンの奴の安否も気になるが今は探索に集中しよう。

 

「しっかし、何をしたらこんなに街が燃えるんだ?空からガソリンでも撒いたのかよ…。」

 

しばらく歩いていると、物凄くデカイ斬撃痕が見えた。

 

え?何これ…この世界に藍染様とかいないでしょ?もしいたら「いつから私がいないと錯覚していた?」とか言われそうで怖いんだけど…フラグじゃないよね?もしいたら絶対に勝てない自信があるよ?だって崩玉取り込んだヨン様は多少せこい手を使ったとはいえ、片腕をも犠牲にしてまで攻撃してきたボウボウおじいちゃんでも勝てなかったんだから。

 

そんなことを思っていると、いつの間にか俺の周りを骸骨集団が取り囲んでいた。これ1種のホラーだろ…

 

「見たところ、大したやつらじゃなさそうだな。強敵なら迷わず逃走を選択していたがな。それに、お前らならいい実験台になりそうだ。」

 

そう言って俺は1本の刀を取り出し、自身の体に魔力を回しはじめた。

 

ちなみに刀はあと2本あるのだが、1本はここらへん一帯をまとめて吹き飛ばしてしまうため使えず。もう1本は使い方によっては1対1なら使えるがこういう殲滅戦には向かない。よって消去法でこの刀になってしまうわけである。

 

「霜天に坐せ『氷輪丸』!」

 

俺が解号を唱えて、氷輪丸に魔力を注いだ瞬間、刀の先から氷の竜が飛び出した。

 

数匹?の骸骨が竜に飲み込まれ凍りつき砕け散る。

 

「まだまだいくぞ!氷竜旋尾!」

 

俺は刀を振り回しながら1回転をして俺の周りにいる骸骨をすべて凍らせた。

 

「フンッあっけなかったな骸骨ども。こいつで粉々にしてやる!群鳥氷柱!」

 

ドドドドドドドドドド!

 

大量の氷柱が地面に向かって飛んでいき凍った骸骨をすべて粉々にした。

 

「初戦闘にしては上出来か?しかしさすがは氷輪丸だな。作中でのあまりの扱いの悪さに、ネットでは氷雪系最強(笑)とか言われていたが、氷雪系最強になるかは使い方次第だろこれ…。」

 

まぁ、いくら氷雪系最強でもヨン様には地力が違いすぎて絶対に勝てないんですけどネ☆

 

「なんか、落ちてんな…これは骨か?魔力を帯びているからダヴィンチちゃんに見せたら何かに加工してくれるかもな。一応ポーチに入れておくか。」

 

俺は見た目は小さなポーチに入れるが、このポーチ実は魔術のおかげで見た目よりもずっと多くの物が入るのだ。魔術さまさまである。

 

「てゆーかこの斬撃痕…すごい量の魔力を帯びてるな。痕だけでこれだけの魔力(マナ)が残るなんて、間違いなく現代の魔術師の仕業じゃねーな。ということは英霊…か。もしそうだったらやることエグすぎだろ。こんなん食らったら一瞬で空気中の分子とかに仲間入りだぞ。」

 

俺が斬撃痕に夢中になっていると、上から魔力を感じ、空が急に光ったような気がした。

 

慌てて顔をあげると、とんでもない量の数の矢がこちらに向かって迫ってきていた。

 

「!?くっ!縛道の八十一!断空!」

 

ドガガガガガズドーン!

 

なんとか防げた…少しヒビが入ったけどな。

 

矢の雨が降り終わると俺はすぐに矢の飛んでに来た方向に向かって攻撃をした。

 

「破道の七十三!双蓮蒼火墜!」

 

俺の放った破道は青い光線となって突き進んでいき、着弾した場所一帯を吹き飛ばした。

 

「逃げたか…」

 

手応えが全くなかったので仕留められなかっただろうが、自分の放った破道の威力に驚いた。

 

「こんなに威力が出るなんて思わなかったな。」

 

ちなみに鬼道は前世の知識を利用して自力で習得していたりする。そのまま再現できているかどうかは別としてだが…

 

しかしこれほどの威力が出せても、全くヨン様を倒せる気がしないのは何故なのだろうか?

 

…なんか悲しくなってきた。

 

よし!探索を続けよう!(無理矢理感)

 

sideout

 

side???

 

なんだあいつは!?

 

英霊でもないはずなのに私の矢を防いだだけじゃなく、あんなにもデタラメな威力のものを打ち返してきた!

 

というか、あの矢の中には偽・螺旋剣(カラドボルグII)も混ざっていたはずだが!?あの壁のようなものにヒビを入れるだけとは…

 

私の硝子の心が砕け散りそうだ…しかし、これは…

 

「不味いな…まさか殺すつもりが殺されかけるとは。私もまだまだということか…。とりあえず、このことを彼女に報告しに戻らなければな…」

 

彼女に報告に行くため、私は急いでこの場を後にした。

 

sideout

 

side日番谷

 

先程の場所を後にした俺は探索を続けていたのだが…

 

「さっきから前を見たら骸骨。後ろを見ても骸骨。横を見ても骸骨って休める場所がどこにもないじゃないか!」

 

そう、どこを見ても骸骨でいっぱいなのである。

 

倒しても、なんか新しく出てくるし!こいつらはゴキブリかなんかなの!?もううんざりだよ!1匹いたら100匹どころじゃねーだろ!1匹いたら1000匹はいるぞこれ!

 

「まあいい…お前らがいるそこは今、罠の設置をすべて終えた場所だからな。食らえ!六衣氷結陣!」

 

俺の回りを隙間なく骸骨もろとも氷の柱で取り囲んだ。

 

汚物は消毒だ!ヒャッハー!!!

 

( ゚д゚)ハッ!また変な電波を(ry

 

 

「ハァ…やっと休める…ブラック企業並みにつらいぞこれ…」

 

俺が倒した骸骨は間違いなく1000匹を越えているのに、一向に減る気配を見せない。

 

当たってほしくはなかったが、さっき骸骨を倒している最中に立てた仮説は当たっているのだろう。

 

この地のマナが骸骨を生み出している。つまり、あいつらは倒しても減らない!

 

…ハイ!詰みましたーw減らない骸骨とか無理ゲーすぎっしょ!それプラス英霊とか…(天に)帰っていいデスカ?

 

そんな事を思っていると前方から急接近してくる、ものすごい魔力の塊を感じた。

 

「ん?なんだ!?すごい勢いで何か迫ってくるぞ!?」

 

バリィィィン!

 

俺を囲っていた氷のバリケードは紙のように破壊され、破壊した張本人が迫ってきた。

 

「グオオオオォォォォ!」

 

「ぬぉぉぉ!?ひ、氷輪丸!」

 

ガキィン!

 

「グゥ…な?グワァ!」

 

迫ってきた黒い靄のかかったようなそいつは、一気に俺に接近して刀を構えた俺を吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされた俺は氷の壁を突き破り100メートルほど空を飛んだあと、地面に着地した。

 

「ぐっ!なんつー力だ…あれが英霊ってやつか?ちょっと強すぎねぇ?」

 

なんて言ってる間にあいつは距離を半分以上も詰めてきている。

 

これはたとえ逃げたとしても、逃げたところを斬られるのがオチだろう。

 

逃げられるのなら逃げるが、逃げられないのなら!

 

「戦うしかねぇなあ!いくぞ、氷輪丸!」

 

「グオオオオオアアァァ!」

 

ガギィィィィン!

 

お、重い!大型トラックを相手にしているみたいだ…!

 

「チッ!氷竜旋尾!オラァ!」

 

パキィン!

 

奴は凍りつくがこんな程度じゃ絶対に死なないだろう。

だが、多少の仕込みをする時間なら稼げるはずだ。

今のうちに大技を放つ準備をしておかないとな。

 

バリィン!

 

「予想してたよりも抜け出すのが早いな…だが恐らく理性がない分、やりやすい。」

 

「グオォ!」

 

「綾陣氷壁!!」

 

パキパキ…ガキィィ!

 

「くらいなぁ!群鳥氷柱!」

 

ズドドドドド!

 

奴の背後から氷を出現させ、氷柱を背中に撃ち込む。

 

「グルルルル…」

 

「そのまま凍ってろ!氷竜旋尾!」

 

ビキィン…

 

今のうちに仕込みをしねーと!

 

俺は刀を地面に突き刺し、大量のマナを送り込む。

 

「千年…氷牢」

 

俺がそう言うと、地面から10本以上のどでかい氷の柱が出現し、奴を取り囲み、凍らせた。

 

「フゥ…終わったか。予想以上の強敵だったな。」

 

奴を凍らせた氷は奴ごと砕け散り、それに安心した俺が踵を返して去ろうとしたところで、後ろからものすごい量の魔力を感じた。

 

「!?まさか!?」

 

慌てて振り向くと、目の前には斧のような剣を振り上げている奴がいた。

 

ズバァ!

 

「グッ!バ、カな!?蘇生した…だと?」

 

体が燃えるように熱い…痛い…意識が飛びそうだ。

 

だが…それは斬られたのが()()()()()()話だがな。

 

パリィィン!

 

「危なかったな…一応警戒しておいてよかったぜ。ん?何がなんだか分からないって顔をしているな。まぁ、理性のないお前では分からんだろうが説明してやる。そいつは斬氷人形って言ってな。氷で作った俺の分身だ。服の皺とかも精巧に再現できるから結構便利なんだぜ?最初に打ち合った時があっただろ?あんときに入れ替わらせてもらった。」

 

「グルルルル…」

 

「さっきのお前の蘇生で、お前の正体にも気づいたぞ。俺がガキの頃に読んだ文献にお前の事が書いてあったんだ。お前のその能力は恐らく生前の逸話によるもの…ヘラクレスの12の試練だろう?だから12回殺すまで死なない。厄介な能力だ、底抜けにな。俺もガキの頃に過去の偉人をアホみたいに勉強してなかったら、警戒心なしで挑んで、今ので殺られていただろうからな。」

 

「グオォォォォ!!」

 

「人形が時間を稼いでくれてる間に仕込む時間は山ほどあった。お前の残りの命をすべて消すぐらいの威力を持った攻撃の準備をする時間がなぁ!」

 

俺は奴に向かって刀の切っ先を向け、生前にさんざん憧れたあの言葉を叫んだ。

 

「卍・解!!」

 

俺の背中から氷でできたドラゴンの翼の様なものがはえ、氷の鎧が全身を包んでいく。

 

「大紅蓮氷輪丸!!」

 

俺はこの刀の持つ天相従臨の能力を使い、半径12キロ圏内の天候を変化させる。

 

「氷天百華葬!」

 

俺が天相従臨によって発生させた雨雲に穴を空けると、そこから白い雪のようなものがたくさん降ってきた。

 

「グオ?(ピキピキピキピキピキピキ)グオァァ!?」

 

奴が降ってきた雪に触れると、雪は華のように凍り、やがて全身から華が咲き始めた。

 

「その雪は触れたものを凍りつかせる雪でな。その氷の華が百輪咲き終える頃には…もうお前の命はねぇ。仮に復活したとしてもこの雪が降ってる間はお前は死につづける。命のストックが尽きるまでな。仕上げだ…千年氷牢!」

 

俺がそう叫ぶと天まで伸びた氷の柱が100本程出現し、奴を取り囲んだ。

 

「これでお前はそこからは出られねぇ。消え行くまでそこで苦しんでろ。」

 

こうして、俺は辛くもヘラクレスとの戦いに勝利した。

 

sideout

 

side立香

 

マシュに起こされて目を覚ますとそこは、地獄だった。

 

辺り一面が火の海だ。

 

「ここは?」

 

「ここは冬木という街のようです。」

 

「そしてその格好は?」

 

「こ、これはレイシフトをした際にわたしのなかにいた英霊の方が力をわたしに託して消えてしまわれたので、こうなってしまっただけです。」

 

マシュ!私はあなたをそんな風に育てた覚えはないよ!

 

≪2人とも無事かい!?≫

 

「ドクター!無事だったのですね!」

 

≪ああ!なんとかね!ってマシュ!?その格好はなんだい!?ボクは君をそんな風に育てた覚えはないよ!?≫

 

私とおんなじことを思ってるし…なんかショック!

 

≪ていうか、マシュの霊基がサーヴァントのものになってるんだけど…まさか!?≫

 

「そうです。わたしのなかにいる英霊の方が力を貸してくださったんです!力を託してくださっただけで、真名などは教えてくださりませんでしたが…」

 

≪そうか…って通信が切れそうだ!予備電源に切り替えたばかりだから電力が安定していないんだな。立香ちゃん、マシュ。2人で霊脈がある所を探してくれ!そうすれば通信も安定するはずだ!≫

 

「分かりました!先輩!霊脈を探しましょう!」

 

「分かった!」

 

私達が霊脈を探している間に所長を骸骨の群れから救出したり、襲われていたところをキャスターことクー・フーリンに助けてもらったり、マシュが宝具を使えるようになったんだけど、そこは割愛させてもらうね。

 

ゴメンネ☆

 

そして私達は今クー・フーリンたちと一緒に作戦会議をしている。

 

「嬢ちゃんたちの他には誰かいないのか?」

 

「え?あ、そういえば重國さんは?」

 

「すっかり忘れていました先輩!重國さんはどこに行ったのでしょう!?」

 

≪マシュ…君は時々人の心にグサッとくるようなことを言うよね。今は本人がいないからいいけども、決して本人の前で言うんじゃないよ?分かったかい?≫

 

「?よく分かりませんが、了解ですドクター。」

 

「マシュたちがレイシフトする前まで一緒にいたのなら重國の奴はいったいどこに行ったのかしら?もしかしてレイシフトに失敗してしまったとか?」

 

≪縁起でもないこと言わないでくださいよ所長。彼ならきっと生きてますよ。しぶとそうですからね、彼は。≫

 

「じゃあここの探索をしつつ重國さんをみんなで探そう!」

 

「俺はそれでいいぜ。嬢ちゃんたちはどうだい?」

 

「わたしはそれで構いません。」

 

「私もよ。とりあえずしばらくはそういう方針でいきましょう。」

 

方針を固めた私達は再び歩き出した。

 

─────────────────────────

 

しばらく歩いたのだが見つかりそうな手がかりすらない…あるのは凍った骨の残骸だけだ。

 

「ほう…この氷、魔力で生み出されたものだな。この聖杯戦争に参加していた英霊で氷を使う英霊はいなかったはすだ。ったことはこの氷を生み出したのはその重國って奴かもな。」

 

え?この氷魔力でできてるの!?確かにここらへん一帯が凍ってるけど!?

 

「嘘でしょ!?この氷の魔力密度異常よ!?現代の魔術師でも生み出せないほどの魔力量をつい先日までただの一般人だった彼が生み出せるはずが…」

 

「そちらさんの事情は知らねぇが、客観的に分析すればそこら辺の骸骨を氷漬けにしてバラバラにしたのは重國って奴だろうさ。」

 

≪しかし本当にすごい密度の魔力だね!?これだけでも魔力リソースに用いれそうじゃないか。これくらいだとクー・フーリンのアンサズに匹敵するぐらいの密度じゃあないか?≫

 

「いや、こいつは俺のアンサズよりも多いな。もし俺が槍を持ってたら是非手合わせ願いたいところだったんだがな…つくづく今の自分が恨めしいぜ。」

 

「重國さんそんなにすごい人だったんだ…」

 

「わたしも知りませんでした。なんていうかすごく意外です…すごい噛ませキャラみたいな喋り方をするのに…」

 

マシュ…それは言っちゃダメだと思うんだよ…

 

話をしていると突然空が暗くなり広範囲にわたって雨雲が出現しだした。

 

「こいつぁ…天候を変えてやがるのか!?なんて魔力量だ!」

 

≪すごいぞ!この辺りの魔力数値がさっきまでの10倍にまで上がっている!そこら辺一帯はもう神代と同じかそれ以上の魔力濃度だ!≫

 

「なんなのよこれぇ!?助けてよレフゥ…」

 

私達が空を見上げていると(1名地面に座り込んで震えているが…)いきなりレーザーのようなものが雨雲に突き刺さり、空に穴が空いた。

 

「キレイ…」

 

するとそこから大量の白い雪が降ってきた。

 

「ほう…こいつはすげえな!」

 

「すごく…キレイです」

 

≪なんて幻想的な景色なんだ…≫

 

降った雪は地面に触れると氷の華を咲かせ、まるでそこ一帯が夢の国にでもなったかのような美しさだった。

 

1ヶ所だけ氷の華が柱のようになっている場所があり、少したつとそこから沢山の氷の柱が出現して華の柱を取り囲んだ。

 

5分後雪が降りやむと、辺り一面に氷の華が咲き乱れ、そこはまるで夢の景色のように美しい眺めだった。

 

「とりあえず、あそこに誰かいるのは間違いねぇ。いくぞ、嬢ちゃんたち。」

 

「はい!先輩!わたしのそばから離れないでくださいね!」

 

所長をクー・フーリンが抱き抱え、氷の華の道を進んで行くと、氷の柱の所にいたのは氷のドラゴンを纏ったような格好をして氷の柱を眺めていた重國さんだった。

 

sideout

 

 

 

 

 




主人公は無自覚チートです。

評価感想よろしくお願いします。


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共同戦線

Fate ExtraCCCコラボ楽しみです!


side日番谷

 

強敵との戦いもちろん終わり、「疲れたなぁ…」と思いながら自分が作り上げた氷柱を眺めていると、横から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「重國さん!これは重國さんがやったんですか!?」

 

「ん?あぁ、まぁそうだけど。それがどうかしたのかマシュ?それとその格好はなんだ?俺はお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」

 

声の聞こえたほうに顔を向ければ、見たことのない青い髪をした男と立香、オルガマリー、そして破廉恥な格好をしたマシュがいた。

 

「いえ、私はまだまだ未熟者だと思っただけです!あと、これは決して狙ってこの格好にしたわけではありません。本当です!…神に誓って本当です!」

 

「お、おう。な、なんかそこまで拒絶する理由があるみたいだな。」

 

「おう!坊主!お前すげぇなあ!俺も槍があればあんたと手合わせしたんだがな!」

 

…なんか物騒な事を言っている奴がいるな。

 

「いや、たとえ槍を持っていたとしても、なんか危険な香りがするからお前とは手合わせはしないけどな…ところで、誰ですか?」

 

「俺はクー・フーリンだ!今回はキャスターのクラスで現界した。まぁ、よろしくな!」

 

「なんかよく分からんが味方みたいだな…俺は日番谷重國。好きに呼んでくれ。とりあえず、よろしくなクー・フーリン。」

 

「おう!ところd「ちょっとあなた!さっきのはなに!?説明して頂戴!」…」

 

「なんだ、オルガマリーか。あの爆発に巻き込まれても生きてるなんてゴキブリよりもしぶといんじゃないか?」

 

「なんですって!?私は所長よ!?もっと私に敬意をはらいなさい!」

 

「人の家に押し掛けてきて、こっちの言い分も聞きもせずにいきなり拘束して拉致したやつにどう敬意をはらえと?弱虫ちゃんのくせよくそんなことが言えるな。」

 

≪ははは…やっぱり重國君は所長とレフ教授には辛辣なんだね…≫

 

「当たり前だ。こいつにきつく当たる理由はさっき言った通りだし、レフの野郎はずっと胡散臭い笑みばっか浮かべてやがって気持ち悪いからな。」

 

「ちょっと!レフをバカにするのは許さないわよ!」

 

「ハイハイ、いつでもレフばっかだなお前は。いっそ結婚したらどうだ?」

 

「なんですって!?」

 

「ま、まあまあ…2人とも落ち着いて」

 

「立香も無事だったのか。よかったよかった。」

 

オルガマリーから「ちょっと!」という抗議の声が聞こえるが無視だ。

 

あの癇癪さえ起こらなければかわいい奴なんだけどな…

 

「はい、重國さんも無事でよかったです。それとさっきの奴は私も気になるんですけど教えてもらってもいいですか?」

 

「ああ。分かったがその前に立香。俺に敬語は使わなくていいぞ。めんどくさいだろ?」

 

「え、でも…」

 

「俺はそういうのは特に気にしないからいいんだよ。」

 

「えっと、分かりま…分かった。」

 

立香が俺への敬語をとったところで、俺は立香たちに俺が起こしたことと、氷輪丸の能力の説明をした。

 

≪刀一本でそんなことができるなんて…いや、神代なら考えられないこともないけど。神秘の薄れた現代でそんな刀を持っていたら余裕で封印の対象になるぞ!?≫

 

「だろうな。だから今まで隠して生きてきたんだ。」

 

「そんな程度の話じゃないだろうよ。兄ちゃんのその刀は下手をすれば英霊の宝具をも上回る逸品だぞ?」

 

え?そうなの!?この刀ってこの世界でもそんなにすごい物なのか…。さすが氷雪系最強!後ろに(笑)なんてもう2度とつけられません!

 

 

 

「あいつがあんなにすごい奴だったなんて…。私なんかより圧倒的に強いじゃない…。こんなときにレフが居てくれたら…。あぁ、やっぱり私の味方はレフだけなんだわ!戻ってキテヨ、レフ…。」

 

おいおい…レフの奴はオルガマリーをどれだけ自分に依存させてたんだ?

 

何かあったら「レフ助けて!」って依存しすぎだろ!

 

あれは完全にヤンデレの領域に踏み込んでる気がするんだが…目のハイライトも消えてるし。

 

「何言ってんだお前は?今この場での最高責任者はお前なんだからしっかりしてくれよ。」

 

恐らくレフの奴はあの爆発に巻き込まれて死んだのだろう。

 

じゃなかったらいくらレフに依存しきっている状態のオルガマリーでもこうはならないはずだ。

 

「重國さんの言う通りです所長。今わたし達がするべき事は死んでしまった方々への弔いではなく、この特異点を探索し、狂ってしまった歴史を修正することのはずです!」

 

「坊主!と盾の嬢ちゃんの言う通りだ。あんたがしっかりしねーと指示が行き渡らないだろ?」

 

俺たちがそういうとハッとした表情になり、すぐに顔を引き締めた。

 

 

「ぐっ…え、ええそうですね。私としたことが取り乱してしまいました。重國も見つけたことですし、本格的にこの特異点の攻略を始めましょう。さっそくですが、クー・フーリン。あなたの知っている敵の情報をすべて教えたもらえるかしら?」

 

「ああ、だが俺達のしていた聖杯戦争はいつのまにか全く別のものに置き換わっていたからな。何故そうなったかの経緯は全く分からねえが、街は一夜で炎に覆われ、人間はいなくなり、残ったのは俺達サーヴァントだけだった。真っ先に暴れだしたのはセイバーの奴でよ。奴さん、水を得た魚のように暴れだしてな。あいつの手によって5人ものサーヴァントが倒されちまった。」

 

「そのセイバーに倒されたサーヴァントっていうのがさっき俺が戦っていた奴みたいな奴のことだな?」

 

「ああ。セイバーに倒されたサーヴァントは真っ黒い泥に汚染されて、ボウフラみてーにウジャウジャ湧いて出やがった怪物どもと一緒に何かを探し始めたんだ。んで、面倒な事にその探し物には俺も含まれていてな。」

 

「だろうな。お前を倒さない限り…」

 

「この聖杯戦争は終わらない。そういうことだよね、クー・フーリン?」

 

≪ということは、残ったサーヴァントはあなたとセイバーだけ。ならあなたがセイバーを倒せば…≫

 

「この聖杯戦争は終わるってわけだ。終わってもこの状況がもとに戻るかは分からねえがな。」

 

「じゃあ、そのセイバーを倒せばいいんじゃ…?」

 

「それが俺1人でできねえから、あんたたちを頼ったんだよ。セイバーの宝具はアホみてえに強力でな。ランサーの状態で現界した俺でも、食らえばひとたまりもないだろーよ。」

 

おいおい、それってまさか…

 

「じゃあもしかして俺がさっき見かけた巨大な斬撃痕はセイバーの宝具ってことか!?あれほどの広範囲にわたって地面を抉るなんて、どんな威力の宝具だあれは!?」

 

「おーそうだ。それがセイバーが放った宝具の痕だ。」

 

「それほどまでの強力な宝具…ですか。それはどういう?」

 

「王を選定する剣のふた振り目。おまえさんたちの時代において最も有名な聖剣。名を、『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』。騎士の王と誉れの高い、アーサー王の持つ聖剣だ。」

 

アーサー王の聖剣…とんでもない威力だな…相対したらすぐに卍解することも視野に入れておかなければならないだろう。

 

そう思いながらふと、上を見上げるとそこには大量の魔力を集中させた矢をつがえて俺達に向かって構えている黒い靄のかかった男が立っていた。

 

「!?縛道の八十一!断空!」

 

ほとんど反射で縛道を発動させて、みんなを自分の周りに引き寄せた。

 

「ちょっ!?」

 

「キャッ!?」

 

「うおっ!?」

 

「重國さん!?」

 

ドオォォォン!

 

「ひいぃ…」

 

オルガマリーのやつビビりすぎだろ…

 

しっかし…

 

「また断空にヒビを入れられるとはな…誰かは知らないが、随分とせっかちなんだな。」

 

「フンッ!私の矢を簡単に防御しておいてよくそんなことが言えるな、貴様は。」

 

「言ってるそばから信奉者の登場か。相変わらず聖剣使いを守ってんのか、テメエは。」

 

「…ふん。信奉者になった覚えはこれっぽっちもないがね。なに、つまらん来客を追い返す程度のことはさせてもらうさ。」

 

「追いかけっこはやめにして、そろそろ決着をつけようじゃねーかアーチャー。いつまでも戦局の動かないゲームは退屈だろ?ああ、テメエはそういうネチネチしたのが好きそうだから、そうは思わねえか。」

 

「その口ぶりでは事のあらましは理解済みのようだな。大局を知りながらも自信の欲望に従って行動する…魔術師になってもその性根は変わらんと見える。私も人の事は言えないが、その腐った性根をこの剣で叩き直してやろう。」

 

「ホントにテメエには言われたくないことじゃねーか!おい!嬢ちゃん、坊主!構えな!共同戦線といこうや!」

 

ったく…

 

「勝手にお前1人で事を進めてんじゃねぇ。まあ、このままじゃ先に進めねえから一緒に戦うけどな。」

 

「先輩!指示を!マシュ・キリエライト出ます!」

 

「任せて、マシュ!」

 

「前衛は任せろ!霜天に坐せ!氷輪丸!」

 

俺は刀から氷のドラゴンを出現させ、アーチャーに向かって放つ。

 

「単純な攻めだな。この程度で私がやられるとでも?」

 

「んなこたあもちろん思ってねえよ。クー・フーリン!」

 

「任せなぁ!アンサズ!」

 

「なっ!?くっ!」

 

氷と炎がアーチャーを挟み撃ちにして激しい爆発をおこす。

 

「やった!!」

 

立香!それはフラグだぞ!?

 

「そんなわけがないだろう!偽螺旋剣(カラドボルグII)!」

 

「マシュ!防いで!」

 

「了解です!ッグウゥ!」

 

アーチャーの矢をなんとか防いだマシュを一瞥し、俺はアーチャーに接近し刀を振るう。

 

「フッ!」

 

ギィン!ガキィン!

 

そのまま何回も打ち合うが、守りが固い…だが、多対一なら、チームワークさえしっかりしていればまず負けることはない!

 

カァン!キィン!ズガアァン!ギギギ…

 

何回もの打ち合いを重ねたあとなんとか俺はアーチャーの剣を押さえ込みそしてクー・フーリンに向かって叫んだ。

 

「俺ごとやれ!クー・フーリン!」

 

「いい度胸だ坊主!くらいなぁ!」

 

「な、バカな!?ぐああぁ!」

 

クー・フーリンの炎が俺とアーチャーを包み込む瞬間、俺は自分の回りに氷の壁を張り炎を防いだ。

 

アーチャーは炎に飲まれ地面に落下した。恐らくだがまだ煙の中にいるだろう。

 

「自身を陽動に使うたぁなかなかいい作戦を考えるじゃねーか!」

 

そこまでいい作戦ではないと思うが…

 

「あの場ではあれが俺の中での最適解だったんだよ。けど、あんだけやってもあいつまだ死んでないみたいだぜ?」

 

俺の言った通り、煙が晴れるとそこには体の半分が焦げているアーチャーがいた。

 

「い、今のはさすがの私も肝を冷やしたぞ…なかなかにえげつないことをしてくれる…!」

 

こんだけやってもお前が死なないことに俺はビックリしたよ(´-ω-`;)ゞ…

 

「テメエホントにしぶてえな…前世はゴキブリかなんかじゃねーのか?」

 

「それには心の底から同意するが…まあ、いいだろ。どのみちあんたはここまでだからなアーチャー。」

 

「なに?どういうことだ?」

 

「こういうことさ!縛道の六十一!六杖光牢!」

 

俺がそう唱えると、アーチャーの胴に六つの帯状の光が囲うように突き刺さりアーチャーの動きを封じた。

 

「これは!?体全体が動けない…だと!?胴だけじゃなく体全体を縛っているのか!?」

 

「説明ありがとう。仕上げだ、やれ!マシュ!」

 

「了解!マシュ・キリエライト行きます!」

 

「ま、待ちたまえ!それはさすがに不味い!」

 

「ハッハハハハハハ!もう遅えよ!じゃあな変態紳士!」

 

「私は変態紳士でh(ゴガアアァァン!)グホアアァァ!」

 

マシュが思いっきり脳天に盾を振り下ろすと、アーチャーからは先ほどまで紳士的な喋り方をしていた男とは思えないほどの奇声をあげた。

 

「な、なんで、さ…」

 

そう言って、目から涙を流しながらアーチャーは消滅してしまった。

 

…………うん。

 

「なんかかわいそうだったな(´・д・`)。」

 

「あんたがやらせたんでしょ!!」

 

「わたしはスッキリしました!先程のがいいストレス解消になったのだと思います!」

 

「今のやつはさすがの俺でも同情するぜ…しっかしさっきのばくどう?ってやつはすげーな!あの野郎の動きを完璧に止めちまいやがった!あの野郎の矢を防いだ壁といいとんでもねえ威力だな。」

 

「他にも色々あるが…さっき使った2つは比較的汎用性も威力も高いやつだからよく使うんだ。」

 

オサレな詠唱はさすがに恥ずかしいから唱えないけども。

 

「まさか英霊をも拘束することができるなんて…」

 

「期待通りの戦力で安心したぜ。これならセイバーの奴をなんとか倒せるかも知れねえな!」

 

「けど、聖剣ぶっぱされたら俺がある程度はバックアップするとはいえ、守りの基本はマシュだからな。頼むぞ。」

 

「はい!任せてください!頑張りましょうね、先輩!…先輩?どうかしたんですか?」

 

なにやら立香の様子がおかしい。

 

顔色があまり良くないし立っているのがやっとのようだ。

 

「ドクター、立香のバイタルチェックはちゃんとしているの?顔色が通常よりも良くないわよ。」

 

≪え!?あ…うん。これはちょっとまずいね。いきなりのサーヴァントとの契約だったからなぁ。使われていなかった魔術回路がフル稼働して脳に負担がかかっている。ここらへんで少し休憩を挟んだほうがいいかもしれない。≫

 

「わたしもティータイムには賛成です。」

 

「お?決戦前の腹ごしらえかい?じゃあ俺はイノシシでも狩ってきますかね。」

 

「そんなものこんなところにいないわよ。そもそも肉はやめて肉は。どうせなら果物にしなさい。」

 

「おっドライフルーツか。オルガマリーにしては気のきいたものを持ってるんだな。少し見直したぞ。」

 

「相変わらず一言多いわね…。それにドライフルーツを私が持っていたのは頭痛には柑橘系が効くからよ。それに――」

 

「…なんですか所長?」

 

「こ、ここまでのあなたの働きは及第点です。三流の魔術師にしてはよくやってくれています。」

 

えっ?あのオルガマリーが人を誉めただと!?明日は槍が降るな!(錯乱)

 

≪所長が立香ちゃんを認めるとは…けど何がなんでも重國君のことは認めないんですね…≫

 

「当たり前よ!こんな口の悪いやつ、死んでも認めたくないわ!」

 

ひどい言われようだな。俺もその分言ってるが…

 

「とりあえず、あと30分程ここで休憩していきましょう。」

 

まぁ、今回の事で多少は評価を改める必要がありそうだな…

 

sideout

 

 

 




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決戦

虹演出で勝ち確だと思っていたのに出てきたのはピックアップの壁を越えてきたアルテラ…だと?

ふざけるなぁ!ふざけるなぁ!!


side日番谷

 

立香も回復し、大聖杯の場所へと再び歩き始めた俺達だが、先程から謎の悪寒が止まらない。

 

何か、こう、背中に突き刺さる殺気?のようなものを感じる。

 

後ろを見ても何もいないし…

 

フエェ…なんか本当に怖くなってきちゃったよ~

 

≪重國君、精神状態が安定していないみたいだけど大丈夫かい?≫

 

「あ、ああ。大丈夫だ。今のところはな。」

 

「おいおい坊主、しっかりしてくれよ。これから決戦だってのに怖じ気づいちまったのか?」

 

「いや、そうじゃねーよ!…お前はなんか悪寒みたいなのを感じないのか?」

 

「悪寒って言われてもなぁ…俺は生前からさんざん殺気とかいろいろ向けられてきたんでね、そういうのには慣れちまってんだ。ま、気にすることはねえ。いずれ慣れる。」

 

いや、もうすぐ大聖杯の所につくから!悪寒に慣れる前に聖剣で塵にされちゃうから!!

 

「くそ…!人の気も知らないで呑気なもんだ…」

 

なんかこれだけのやり取りで疲れちゃったよ…

 

「おしゃべりはそこまでよ。…これが大聖杯…なんてことなの…これって超抜級の魔術炉心じゃない…なんでこんなものが極東の島国なんかに…。」

 

ゾワッ!!

 

なっ!?なんだ今のは!?

 

「奴さんに気づかれたぞ。気ぃ引き締めな…!」

 

クー・フーリンにそう言われ、殺気が飛んできた方を見ると、そこには真っ黒い甲冑に身を包まれた女性立っていた。

 

「――――――――。」

 

なんだよあれ…おびただしい量の魔力が体から溢れ出てるのが素人目からでも分かるぞ!?

 

なんつー魔力放出だ…。

 

それにあれは…女性?

 

「ドクター、あれは…」

 

≪何か変質してしまっているが間違いない。彼女がアーサー王だ。≫

 

やはりか…しかし…

 

…こんなときになんだが…なんで女体化してんだよ!?あれ本当にアーサー王なの!?なんかすっごい可愛いんですけど!?

 

「おい、見た目が可憐だからって侮るなよ。ありゃあ筋力じゃなくて魔力放出でかっ飛んでくる正真正銘の化けもんだ。気ぃ抜いてると上半身と下半身がお別れすることになるぞ。」

 

え!?

 

「なるほど、理解しました。ようはロケットの擬人化のようなものですね。全力で応戦します。」

 

それを理解しているにも関わらず挑むなんてやっぱ度胸ありすぎでしょマシュ…「ほう――」!?

 

「面白いサーヴァントがいるな。その盾…そしてその宝具…実に面白い。いいだろう。貴様は試す価値がありそうだ。盾を構えろ娘!その守りがどれほどのものか見せてみろ!」

 

ヒエッ!?いきなりかよ!?

 

「…!来ます!マスター!」

 

「フッ…卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!」

 

「くっ!ばんか――」

 

不味い!卍解が間に合わねぇ!

 

「ハアァァ!仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)

 

!?マシュのやつ宝具が使えるようになってたのか!

 

これならギリギリで間に合う!…はずだ!!

 

「卍解!大紅蓮氷輪丸!!」

 

マシュは押されていたがなんとか間に合った。

 

俺はマシュの肩に手を置いて自分の魔力を流し込んだ。

 

「ぐううぅ!!え?重國さん!?」

 

「よく耐えたマシュ!綾陣弐霜氷壁(りょうじんにそうひょうへき)!! 」

 

俺は綾陣氷壁を進化させた技をマシュの体を通してマシュの宝具と同じぐらいの魔力で展開し、マシュの宝具と合体させて黒い巨大な斬撃を防ごうと考えていたのだが、現実はそう甘くはなかった。

 

「ぐぅ!!」

 

「これでも押されるのか…!」

 

2人の魔力を合わせても少しずつだが押されている。

 

くっそこうなったら!

 

「立香!令呪をマシュに使え!」

 

「わ、分かった!令呪をもって命ずる!マシュ、全力でこの攻撃を防いで!」

 

「ありがとうございますマスター!ハアァ!!」

 

マシュの宝具に込める魔力が上がるのに合わせて俺も綾陣弐霜氷壁に込める魔力を上げていく。

 

「これでもギリギリか…!」

 

両者のぶつかり合いは見事なまでに拮抗していた。

 

拮抗していた時間は何秒か分からないが自分の体感的には何時間も過ぎたように感じる。それほどの極限状態だったのだろう。

 

しばらくすると徐々に斬撃の威力は減衰していきやがて斬撃は消えてなくなった。

 

「やった!!」

 

「ハァ…ハァ…な、なんとか防げました!」

 

「本当になんとかな…」

 

「防がれたか…全力で放った一撃だったのだがな…」

 

「上出来だお前ら!こっから反撃開始といこうぜえ!アンサズ!」

 

まったく!もう少し防いだ余韻に浸らせやがれ!

 

「甘いぞキャスター!その程度で私がやられるとでも?」

 

「無論そんなこと思っちゃいねえさ!いけ!坊主!」

 

ったく…

 

「人使いが荒いんだよ!死輪・群鳥氷柱!」

 

俺は100本の氷柱をセイバーの周りにドーム状に展開し、撃ち込んだ。

 

「フンッくだらん。」

 

セイバーは剣に魔力を込め氷柱をすべて打ち払おうとするが、それは…()()()

 

ビシイィ!

 

セイバーが剣を振るおうと1歩踏み出したところで、俺が聖剣を防いでいる間に仕掛けておいた罠が発動した。

 

「六衣氷結陣。これでお前は数秒間の間は動けねえはずだ…キャスター!」

 

「任せなぁ!焼き尽くせ…灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!」

 

キャスターがそう叫ぶと突如何もないところから巨大な藁人形みたいなものが出現した。

 

「そのまま砕け!」

 

キャスターのその言葉と共に俺もセイバーに向かって突撃していく。

 

「竜霰架――!?「約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」まずっ――」

 

その瞬間、俺は黒い斬撃に呑み込まれた…

 

 

sideout

 

 

side立香

 

 

セイバーに突っ込んでいった重國さんがセイバーの宝具に呑まれてしまった…

 

「重國さん!?」

 

私がセイバーの宝具が通りすぎたところに行こうとすると、キャスターが止めてきた。

 

「よせ、嬢ちゃん!」

 

「でも!重國さんが!!」

 

「今はそれどころじゃねーだろーが!!しっかりしろ嬢ちゃん!お前がサーヴァントに指示を送らないで誰が指示するってんだ!」

 

クー・フーリンの言葉を聞いてはっとする。

 

そうだ…私はマスターなんだ。こんなときにこそしっかりしないと…

 

私は自分の目から流れそうになっていた涙をぬぐい、歯をくいしばりながら、こんな事態を起こしている元凶を見据えた。

 

「マシュ!いくよ!」

 

「了解です、マスター。重國さんの分まで頑張らせていただきます!」

 

「いい面構えになったじゃねーか嬢ちゃん。俺もこんなマスターが欲しかったぜ!」

 

「マシュ・キリエライト出ます!」

 

「1人潰しても崩れないか…おもしろい。」

 

「余所見してていいのかよ!潰せ!焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!」

 

キャスターの宝具がセイバーに向けて放たれるがダメージを与えるには至らない。

 

そのままお互いに決定打のないまま戦いは続いた。

 

マシュも盾でよくガードをしてくれていたがやはり元々の馬力の違いからか徐々にこちらが押され始めた。

 

「ちっ!やっぱキャスターじゃ本領が発揮できねえな…」

 

「ハァ…ハァ…このままでは…」

 

「もう終わりか?ならばこれで消し去ってやろう。」

 

 

セイバーの剣に魔力が収束されていく。

 

でももうみんなボロボロだから為すすべがない。

 

このままじゃ…

 

「さらばだ!約束された勝利の――(パキッ)っ!?」

 

セイバーの宝具が放たれる直前にセイバーの体が凍りついた。

 

「千年氷牢。」

 

後から声が聞こえてくるのと同時にセイバーの周りを氷の柱が取り囲んだ。

 

「ったくやってくれたな、おい。」

 

声のした方を見るとそこにいたのは無傷の重國さんだった。

 

 

sideout

 

 

side日番谷

 

こ、ここは?…確か俺はセイバーの宝具をくらって…!?

 

体が熱い…焼けるような痛みだ…!

 

俺の体はどうなったのかと思い見てみると、 左の手足が消し飛んでいて、無傷だだったのは頭と右半身だけだった。

「…!ぐっ…」

 

とにかく体が、特に腕が片方だけでも残っていてよかった。

 

腕がないと回復アイテムが作れないからな…。

 

俺は右腕に魔力を集中させ死に意識が飛びそうなほどの体の痛みを我慢しながら1分ほどかけて仙豆を作り出し、それを口の中に放り込んだ。

 

「!はぁ!危ねえ!氷を張るのがもう少し遅かったら死んでだぞ!て、あれ?氷輪丸は?」

傷が治り思考がクリアになったことで俺は氷輪丸がないことに気がついた。

 

どこかと思い探してみると俺から10メートルほど先にボロボロになった氷輪丸があった。

 

「セイバーの野郎の宝具が直撃したからな。そりゃこうなるヨネ!まあ関係ないケド!」

 

何を隠そう!俺の氷輪丸は氷雪系最強だからな。水分さえあれば何度でも修復できるのだ!これぞ圧倒的便利感!てか原作の最後の方じゃかっこいいことと修復可能なことぐらいしか取り柄がなかった!

 

だが街全体が燃えているせいか水分量が少なく自分で検証したときよりも治りが遅い。結果治るまでに2分もかかってしまった。あいつらは大丈夫だろうか?

 

とにかく急いで戻らないとな!

 

 

あいつらが視認できる位置まで戻ってくると、絶賛大ピンチだった。

 

俺は即座に氷輪丸を地面に突き刺しセイバーのいる位置に氷を出現させた。

 

「よし…次は――」

 

セイバーが凍ったのを確認すると俺は突き刺し氷輪丸にさらに魔力を流し込んだ。

 

「千年氷牢。」

 

セイバーの周りに氷の柱が出現したのを確認すると俺は右腕に達に向かって歩き出した。

 

「ったくやってくれたな、おい。」

 

「重國さん無事だったんですか!?」

 

「まあな。死にかけたが。」

 

立香の方を見てみるとまるで俺をゾンビでも見るかのような目で見ていた。

 

「どうした立香?」

 

「だっで…宝具が直撃したから死んじゃったと思ったのに…」

 

泣きながらそう言う立香に少しだけ胸が痛くなる。

 

「悪かったな…次からは気をつけるよ。」

 

そう言って立香の頭を少しだけ撫でた。

 

「おい、お前ら。敵はまだ死んでねえぞ。話なら終わった後でもできるだろ?」

 

クー・フーリンにそう言われ俺は立香の頭から手をはなす。り、立香の髪の毛がサラサラだったから名残惜しいなんてそんなこと少しも思ってないんだからね!…うえぇ、気持ち悪!

 

「あ、ああ、そうだな。けどもう次の攻撃で終わりだよ…多分。」

 

「なに?それはどういう――「どうやって私の宝具をかわした?」!!」

 

「はっ!直撃したに決まってんだろ。おかげで死にかけたわ!」

 

「なに?ならばどうして生きている?あの距離でただの人間が私の宝具をくらえば確実に死ぬはずだが?」

 

「それはお前に言う義理はねーし、そもそも説明がめんどくさい。それに…お前はもう終わりだ。」

 

「なんだと?それはどういうことだ?」

 

「くらったら分かるさ。」

 

俺はそういい氷輪丸に魔力を込める。

 

するとセイバーの足元から半径30メートルの地面が凍り世界を写し出した。

 

「じゃあな。天臨・霜仙竜!」

 

「な!?なんだt――」

 

鏡のように張られた氷から巨大な竜が飛び出しセイバーを巻き込みながら天へと昇りそして空を穿った。

 

「言ったろ。くらったら分かるってな。」

 

 

やがて氷が砕け、セイバーは光の粒子となって消え、砕けた氷は地面に降り注ぎ辺り一体の炎を消した。

 

≪アーサー王の霊基反応消滅!よくやったぞ!≫

 

「やった!」

 

「戦闘終了。お疲れ様です、みなさん。」

 

「おう、あんたもな盾の嬢ちゃん。しっかしまた坊主にいいとこ奪われちまったな…」

 

「そう言うなよ。何回かお前の見せ場もあっただろうが。」

 

「ホントに少しだけじゃねーか!」

 

「ははは…仲良くね…」

 

 

こうして俺達とセイバーとの戦いは俺達の勝利で幕を下ろした。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここで主人公のオリジナル技の解説を。

「綾陣弐霜氷壁」
原理は真空多層氷壁と同じ。氷の壁を2枚作り出しその間の空気を無くし真空にすることで絶大な防御力を生み出す。

「死輪・群鳥氷柱」
氷柱を100本出現させドーム状に展開し相手を四方八方から攻撃する技。攻撃力よりも手数優先の技。

「天臨・霜仙竜」
作者が最も考えるのに苦労した技。地面を鏡のように凍らせ、そこから天へと昇る竜を出現させる技。技の規模は調整可能。

評価感想よろしくお願いします。


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帰還

そうか!うちのカルデアにはアルターエゴは実装されていないんだね?分かるとも!!


side日番谷

 

なんとかセイバーを倒して一件落着…のはすだったのだが、なぜか俺は立香に怒られている。

 

「どうして無傷なのにすぐこっちに戻ってこなかったの!?こっちはすごく心配したんだよ!?」

 

と、このようにオルガマリー顔負けの剣幕で怒ってくる。

 

しかも怒っている姿が結構可愛いためこっちもなかなか言い返せない。…おのれ、卑怯な!

 

「いや、だから、ほら、あれだよ、俺だって決して無傷って訳じゃなかったんだって。「ホントにぃ~?」いや、本当だって!マジマジ超マジ!セイバーの宝具をくらった直後は死にかけの状態だったんだよ!」

 

「ならどうして今無傷なの?」

 

「そいつは俺も気になるな。お前さんがあのセイバーの宝具をくらったってことは腕の1、2本は確実になくなってたはずだ。だが、お前さんは今無傷。一体何をしたんだ?」

 

「うーん、まあそうだな、お前らなら教えてもいいだろう。」

 

俺は残っていた仙豆の入った袋をポケットから出した。

 

「これは仙豆っていってな。これを1つ食べれば死んでいない限りどんな怪我でも治せる。だが、それだけじゃない。これ1粒で普通の人間なら10日間ほどは何も食べなくても生きられるし、たとえ魔力が枯渇していたとしてもこれさえ食べれば失った魔力をすべて回復させることができる。もちろんこの豆は俺のオリジナルでな。俺以外には作り出すことはできないんだ。だからこんな便利なもの作り出せるなんて事が魔術師共にバレたら…」

 

≪確実に狙われて、残りの生涯のすべてを魔術師達からの逃亡に使うことになるだろうね。≫

 

「そういうことだ。だから誰にも話してなかったんだ。」

 

「あの、重國さん…もしかしなくてもレイシフト直前に私に食べさせてくれた豆ってその仙豆ですよね?」

 

「そうだぞ?あのときは切羽詰まってたから半ばヤケクソだったけどな。」

 

「そうだったのですか…」

 

「てことは、それを食べて体の傷を治して戻ってきたってこと?」

 

「そういうこと。だから俺は悪くない。絶対に悪くない。」

 

「はっすげえな。お前さんが俺達の時代に生まれていたら間違いなく英雄になれてただろうに。もったいねーな。」

 

「はっ!英雄になるなんて俺はごめんだね。英雄になるなんて最後は裏切りで死にたいですって自分から言ってるようなもんじゃねーか。」

 

「それは間違っちゃあいねえがな…て、おお!?ここで強制帰還かよ!?くそっ!あとは任せたぞお前ら!あともし次があるんならランサーのクラスで喚んでくれ!」

 

そう言ってクー・フーリンは消滅していった。

 

「セイバーとキャスターが消滅したということはわたし達の勝ちということでしょうか?」

 

≪そうだね。お疲れ様と言いたいところだけど、帰るまでが遠足ならぬ帰るまでが人理修復だ。もうすぐ特異点の崩壊が始まる。すぐにレイシフトの準備にかかるよ。≫

 

「そうね、早くしなさいロマニ。もうクタクタよ…」

 

え?こいつ何言ってんの?

 

「お前は最初っから最後まで何もしてねぇだろオルガマリー。離れた場所でビクビク震えてただけじゃねーか。」

 

「な、私だって何かしたかったけど英霊同士の戦いに介入なんてできるわけないじゃない!」

 

「はいはいそーですか。相変わらず頭ん中はハッ◯ーセットですね~。」

 

「ふ、2人とも落ち着いて…ドクターも作業に集中できないから。」

 

「とりあえず聖杯を回収しましょう。確かあそこらへんに…な!?」

 

あ、あいつは…!

 

「君達がここまでやるとはね。私の計画の予想範囲外にして私の許容範囲外だったよ。48人目のマスター。君をなんの見込みもない子供だからと見逃してしまった私の失敗だ。」

 

「レフ教授!?」

 

≪レフだって!?レフ教授がそこにいるのか!?≫

 

「やあ、ロマニ。私はすぐに管制室に来てくれと言ったはずなんだが私の指示を聞かなかったのか。まったく――どいつもこいつも統率のとれていないグズばかりで反吐がでる。」

 

「やぁっと本性を現しやがったか変態紳士が。出会ったときからどうも胡散臭さを感じていたが、まさかこれほどとは俺も予想していなかったぞ。」

 

「君が1番予想外だったよ重國君。まさかあれほどの力を持っていたとは。そういえば君だけはまったく私に心を開いてくれなかったな。だからといって害は無いと放置しておいたのが間違いだったか。」

 

「そいつは残念だったな。俺はお前の誤算が嬉しくて仕方がないが「レフ!生きていたのね!」なっ!?」

 

オルガマリー…こいつまさか!?

 

「良かった、あなたがいればカルデアを守れるわ!いつだって私を助けてくれたあなたなら何か素晴らしい案があるんでしょ!?」

 

「オルガか…君は2番目に予想外だった。ちゃんと君の足元に爆弾を設置したはずなのにまさか生きているなんて――いや、生きているという言い方は間違っているな。君の肉体はとうの昔に()()()()()。だが、死んでいるがゆえに君が喉から手が出るほど欲しがっていたレイシフトの適正が手に入ったんだ。」

 

「え、嘘でしょ?そ、そうよね冗談なのよねレフ!?」

 

「冗談な訳がないだろう。君はカルデアには戻れない。なぜならカルデアに戻った時点で、君の意識は消滅するんだから。」

 

「そ、そんな…カルデアに戻れないなんて…」

 

「そうだとも。だがそれでは君があまりにも哀れだ。だから生涯をカルデアに捧げた君のために、せめて今のカルデアがどうなっているかを見せてあげよう。」

 

そう言うとレフは空間に手をかざして、カルデアとの空間を繋いだ。

 

「そんな…!?カルデアスが真っ赤に…嘘でしょ!?これは虚像よねレフ!?」

 

「まったく、この期に及んでまだそんな事を言っているなんて…本当に君はムカつくな。まあいい。それもこれで終わりだ。さあ、よく見たまえアニムスフィアの末裔。これがお前達の愚行の末路だ。」

 

レフがオルガマリーに手をかざすとオルガマリーの体がカルデアスに向かって吸い込まれ始めた。

 

「いや、いやよ!まだ何も褒めてもらってないのに!誰にも認めてもらってないのに!お願い!誰か助けて!!」

 

……クソが。こんなときだけ、こんなときだけ…

 

「助け求めてんじゃねーぞオルガマリィ!縛道の六十三!鎖条鎖縛!」

 

俺は胸くそ悪い思いで手から光の鎖を出しオルガマリーの腰に巻きつけてオルガマリーを引き止めた。

 

「し、重國…な、なんで助けたの?あなたは私が嫌いなはずなのに…」

 

「確かにお前のことは嫌いだが、そんな理由で今見捨てたら後で後悔するだろーが。」

 

「そんな理由で――「それに…」?」

 

「お前を助ける方法が無いわけではないからな。おい、ロマン!そこに1人だけ残してあとの残り全員で今すぐにオルガマリーの体を探してこい!それさえあればなんとかなる!」

 

≪なんかよく分かんないけど分かった!ダヴィンチちゃんにここに残ってもらって他の全員で探しにいくよ!≫

 

ロマンからの通信が切れると俺はレフに向き直る。

 

「スタッフ達が戻ってくるまで暇なんでな。それまでの間、お前で時間を潰すとするか。霜天に坐せ!氷輪丸!」

 

「マシュお願い!」

 

「了解ですマスター。マシュ・キリエライト出ます!」

 

「やれやれ。本当に虫酸が走る。貴様らごときが私に勝てるとでも?」

 

「勝てるさ。たとえお前がどんな存在でも、()()なら。そうだろ?()()()?」

 

「!?え、ええ。カルデアの所長として命令します。罪人であるレフ・ライノールをここで始末しなさい!」

 

やっといい顔になったな…ちょっと恥ずかしいが頑張った甲斐があったか。

 

「貴様ら…!!」

 

「つーわけで、てめえを殺すぜレフ。覚悟しな!氷輪丸!」

 

氷輪丸から氷の竜を出現させレフに向かって放つ。

 

「くっ!こんなもの!」

 

「フッ…こっちばっかでいいのか?バカが。」

 

「ハアァ!」

 

「なっ!?ぐぁ!?」

マシュの攻撃で動いた所には罠がある。

 

「しばらく凍ってろ。六衣氷結陣。」

 

ビシイィ!

 

氷の柱がレフを閉じ込め凍りつかせる。

 

「あっけなかったな…ん?≪見つかったぞ重國君!ってもう特異点の崩壊が始まってるじゃないか!?早くレイシフトさせないと!!≫そうか、これでなんとかなるな。」

 

「ど、どうするのよ。」

 

「お前のを助けるには今の残留思念の状態のお前をを時間ごと凍結させるしかない。」

 

「そ、それって――「時間がない。すぐに。やるぞ。なに、少しの我慢だ。」…分かったわよ。」

 

「いくぞ!卍解!大紅蓮氷輪丸!からの~縛道の七十三!倒山晶!」

 

俺は倒山晶を圧縮しマリーの残留思念を限界まで小さくして閉じ込めた。

 

「時流概念凍結!」

 

そして倒山晶の中のマリーも含めて時間の流れを凍結させた。

 

「こっちは準備OKだロマン!」

 

≪こっちもOKだよ重國君!「待てぇ!貴様ら!」レフ!?≫

 

「黙ってろ!千年氷牢!」

 

グシャア!

 

「ぎゃああぁぁ!」

 

弱っ!?骸骨よりも弱いんじゃねーかあれ?

 

「とにかく早くしろ!」

 

≪わ、分かった!レイシフト開始!≫

 

ロマンがそういうと俺達の意識は闇に消えた。

 

 

sideout

 

 

sideレフ

 

 

私は閉じ込められた氷からなんとか脱出した。

 

「くそ!!なめやがってえぇぇぇ!!あの程度でこの私がやられ訳がないだろう!日番谷重國!絶対に許さんぞぉ!」

 

魔神柱である私がここまでコケにされたのは初めてだ!

 

この借りは次会ったときに必ず返すぞ!日番谷重國!

 

 

sideout

 

 

side日番谷

 

 

目を開けるとそこは見知らぬ天井――ではなく、自分の部屋の、天井だった。

 

「起きたかい?よく頑張ってくれたね。」

 

「それもそうだが、今はマリーの奴が先だ。あいつの体は今どこにある?」

 

「それなら医務室の冷凍カプセルに保管してあるけど…って重國君!?」

 

「それさえ分かれば十分だ!あとはこっちでやる!」

 

俺は急いで医務室に行き、冷凍カプセルを開け無惨な姿になってしまっているマリーを見る。

 

「…損傷が激しいが、これならなんとかなりそうだ。」

 

俺は自分の懐からマリーを閉じ込め圧縮した倒山晶を取り出し、もう片方の手でポーションを作り出す。

 

「あとは、ポーションをこいつの体にぶっかけてっと。」

 

ポーションがかかったマリーの体はみるみるうちにもとの体へと戻っていく。

 

「時間凍結を解除して…体に入れてと、よし…これで終わりだな。あとはこいつが目覚めるかどうかだが…」

 

「ん…ここは?」

 

どうやら大丈夫そうだな…

 

「よう、おはようさんマリー。」

 

「重國!?ということは戻ってこれたのね私!」

 

相変わらずうるさいやつだ。

 

…けどまあ、今回は仕方がない…のか?

 

「所長!ちゃんと戻ってこれたんですね!?よかったー所長チキンだからあれだけ醜態さらしたら戻ってこないかと思った~。」

 

それを言ってくれるなよロマン…

 

「とりあえず、一先ずこの件は一件落着だな。」

 

「そうだね。今度こそ本当にお疲れ様。」

 

「ああ。」

 

 

本当に色々あったが、こうして俺達の初めての人理修復は幕を閉じた。

 

 

sideout




「時流概念凍結」
時間という概念を凍結させる技。凍結させられたものの時間は止まる。

評価感想よろしくお願いします。


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幕間
始動


一句詠みます!

一角の 卍解マジで 弱すぎる

なんで一角の卍解はあんなにもヘボかったのか…それは師匠しか分からない


日番谷side

 

マリーを助けた後、ロマンがマリーの状態をチェックし、体のどこにも異常がないのを確認した後、ロマンからこの後すぐに管制室に集まってくれと言われたので、ロマンが管制室に向かってダッシュで走っていった後、俺とマリーは管制室に向かっていた。

 

「ロマニのやつ…こんなときにどうして召集なんか…」

 

「おいおい…お前の頭は台所で使うスポンジみたいにスカスカなのか?こんなときだからこその召集だろーがよ。」

 

俺は┐(-。-;)┌と大袈裟にリアクションをとりながら、呆れた目でマリーを見る。

 

「そ、そんな事は分かっています!そ、その…まだあなたにお礼も言えてないから…」

 

…?

 

「いや、何言ってるか全然聞こえないんだけど…。君は壁に喋りかける痛い子なのかなマリーちゃん?」

 

俺が難聴とかじゃなくて本当に聞こえないんだ!

 

それに何故か俺から目をそらして反対側の壁を見ながら俺に話している。

 

( ゚д゚)ハッ!そうか!君は壁と話すのが得意なフレンズなんだね!

 

…なんだこれ…(混乱)

 

「ち、違います!これは…その…くっ!と、とにかく管制室に急ぐわよ!」

 

「?…まぁ、いいか。とりあえず急げばいいんでしょ急げば。」

 

「そうよ。だからほら、走るわよ。行きましょ?」

 

そう言ってマリーは手を差し出してきた。

 

…は?

 

えっ!?どうしちゃったのマリーちゃん!?ついさっきまであなた俺にすごい辛辣じゃなかった!?なんか今のあなたスゴいかわいいんですけど~。…それと同時になんか裏がありそうでスゴい怖いんだけどネ!

 

「え?急にどうしちゃったのお前?てかお前の手をとって走るぐらいだったら俺がお前を抱えて走った方が速いんだけど…」

 

そう言いながら俺はマリーを抱えた。

 

「きゃあ!?な、何を!?」

 

「何って管制室まで魔力放出でかっ飛ばすに決まってんじゃん。魔術で肉体強化しとけよ!」

 

「どこ触って…って、にゃあ!?」

 

にゃあ!?ってかわいいなおい!ヤバイよ!さっきからそんな反応ばっかだけど、毎回それやられたらうっかり惚れそうになっちゃうからやめてくださいね?

 

あと俺はマリーをお姫様抱っこ…ではなく腰のところで抱えて魔力放出でかっ飛ばしている。

 

え?なんでお姫様抱っこしないのかって?そんなことしたら死ぬわ!俺が!社会的にも物理的にもね!

 

そんな事を考えているとあっという間に管制室の前についた。

 

「ホレ、ついたぞ。」

 

「し、死ぬかと思った…」

 

「これでも安全運転をしたつもりなんだがな…ほら、立てるか?行くぞ。」

 

「え、ええ…。」

 

俺が手を差し出すとものすっごい躊躇いながらも手をとってくれた。…ゴメンね俺で!!絶対嫌だよね!俺がお前の立場でも嫌だもんこのシチュ!…なんか目から汗が出てきちゃったよ(´・д・`)

 

 

管制室に入るとそこにはすでにロマンと立香、そしてマシュがいた。

 

「悪い、待たせたな。こいつを復活させてたら遅れた。」

 

「所長!?無事だったのですね!?」

 

「さっきまで死んでたわよ…。ものすごくムカつくけれど重國に助けられたのよ…」

 

「悪かったね、俺で。」

 

「そ、それでも感謝はしてるわよ!」

 

え!?ウソ意外!!そしてちょっとかわいい!!

 

「ソ、ソウデスカー…」

 

「コホン、もうそろそろこっちに注目してくれないかな?」

 

「あ、悪い。もういいぞ。」

 

マリーの「ちょっと!?」と言う声を無視して俺はロマンに続きを促す。

 

「とりあえずは生還おめでとう立香ちゃん、重國君。君達にはなし崩し的にすべてを押し付けてしまった形になったけど、この事態に勇敢に挑んでなんとか乗り越えてくれた。君達のおかげでマシュと所長も助かったしね。まったく、君達には感謝してもしきれないよ…。」

 

「い、いえそんなことは…「建前はいい。さっさと本題に入れロマン。最悪な事が最悪なタイミングで同時に起こったんだ。どーせとんでもなくめんどくさい事態になってるんだろ?」え…?」

 

「やっぱり重國君には分かっちゃうか…確かに君の言うとおり事態は最悪だ。まずは1つ目、レフの言ったことは真実だったみたいだ。外部との連絡が全く取れない。おそらくすでにカルデア以外の場所は焼却されてしまっている。カルデアだけが時間軸から外れて崩壊直前の歴史で踏みとどまっていると言ったところかな。」

 

うへぇ…予想通り超絶めんどくさいことになってんな…

 

「だから今カルデアから外に出れば死んでしまう。この状況を打破できない限りね。」

 

「ということは何か策があるんですね?」

 

「もちろんだ。まずはこれを見てくれ。復興させたシバで地球の今の状態をスキャンしてみた。」

 

「これは…まさか!?」

 

「そう、人類の未来は変わっていない。君達が冬木の特異点を修復したにも関わらずだ。だから僕達は他にも原因があると仮定して調べてみたんだ。その結果――――」

 

画面に映し出されたのはとても世界地図とは思えないほど歪み狂った世界地図だった。

 

「こ、これって冬木とは比べ物にならない時空の乱れじゃない!なんでこんなことに!?」

 

「お、落ち着いてください所長!」

 

「こんなことが起こっていて落ち着いていられるはずが―「取り乱すなら自分の部屋で取り乱せ。今は落ち着いて状況を見極める時だろ?」!?…くっ。」

 

「ありがとう重國君。所長もどうか落ち着いて聞いてください。話を続けるよ。よく過去を変えれば未来も変わると言うけど、未来を変えるってことはそう簡単なことじゃない。歴史には修正力があってね。ちょっとやそっとの事じゃ結果は変わらない。1人や2人なら救えるかもしれないがそこまでだ。けど、この特異点は違う。これらの特異点は人類のターニングポイント。つまり現在の人類を決定づけた究極の選択点ともいえるものだ。」

 

「おいおい…ってことは――マジか…ブラックすぎだろこれ。」

 

「何を想像しているかは知らないけど…多分あってると思うよ。このターニングポイントを崩されれば人類史の土台が崩れる事に等しい。この7つの特異点はまさにそれ。この7つの特異点の存在によって未来は決定してしまった。レフの言うとおり、人類に2016年以降はやってこない。」

 

「え!?じゃあどうすれば?」

 

「けど僕らは違うんだ。カルデアはまだ未来に到達していないからね。結論を言えば――」

 

「俺達がそこの特異点にレイシフトして、狂った歴史をもとに戻すしか方法はないってことか…」

 

「なんかさっきから僕のセリフがいっぱい持っていかれてない!?気のせいかな!?」

 

「メタいぞ。気のせいださっさと続けろ。」

 

「納得がいかないけど…まぁ、いいか。さっき重國君が言ったとおりなんだけど今の僕達にはあまりにも力がない。マスター適正者はすべて凍結保存中。カルデアが今現在所持しているサーヴァントはマシュとダヴィンチちゃんだけだ。しかもダヴィンチちゃんは戦闘要員じゃないしね。だから君達にこういう状況でこういうことを言うのは、ほぼ強制に近いと思っている。だけど、僕はこう言うしかない。藤丸立香、日番谷重國。君達が人類を救い、2016年以降の未来を取り戻したいのなら。君達はこれからたったの2人で7つの特異点で戦わなければならない。」

 

「ええ、そうね。あなたたちにその覚悟はある?カルデアを人類を背負って戦う覚悟が。」

 

「もちろんあります。」

 

「――ありがとう立香ちゃん。君はどうだい重國君?戦う覚悟はあるのかい?」

 

「どうでもいい状況なら断るんだがな…クソが。この状況なら腹くくるしかないだろ。」

 

「そうか…重國君もありがとう。君達のその言葉で僕達の運命は決定した。所長、お願いします。」

 

「分かったわ。これよりカルデアは当初の予定通り、人理継続の尊命を全うします。目的は人類史の保護、そして奪還。探索対象は各年代と、その年代を狂わせていると思われる聖杯の回収とします。」

 

「立香。俺達がこれから戦うのは歴史そのものだ。俺達の前に立ちはだかるのは多くの伝説や英霊ということになる。一見それは挑戦ともとれるが、同時に過去に弓を引く冒涜にも値する。ちょっと下手するだけで、すぐに天へと向かうことになるからな。想像以上に辛い旅になると思えよ。」

 

「(ゴクッ)う、うん!分かった!」

 

「そうだね。そしてそこまでしてま結果がどうなるかは分からない。()()()、だ。だけどやるしかない。以上の決意をもって、作戦名はファーストオーダーから変更する。これはカルデア最後にして最大の使命。人理守護指定・GO(グランドオーダー)。魔術世界における最高位の使命をもって我々は未来を取り戻す!」

 

「ハッハッハ!乗ってきたねロマン!おもしろくなってきたよぉ!」

 

このクソシリアスな時に、なんでこいつはこんなにもテンション高いの!?

 

「こんなときに何を言っているのあなたは!?」

 

奇遇だね!?俺も同じ事思ってた!!

 

「先輩頑張りましょう!」

 

「うん!マシュ、これからもよろしくね!」

 

君達はマイペースすぎない!?え?いいの?人理修復をすることってこんなに軽くていいの!?

 

「マリーの他に誰かまともな思考回路持ってるやつはいないのか!?」

 

「何を言ってるんだ重國君!こういうときだからこそだよ!何事も前向きに取り組まなくちゃ!」

 

「はぁ!?何言ってんのお前!?っておい!」

 

あいつ笑いながら走ってどっか行きやがった!

 

「けどまぁあいつの言うことは間違ってはいないな。仕方ない…やるか!」

 

どうやらこれから1年の間は退屈することはなさそうだ。

 

 

…死ぬほどブラックだけどねΣ( ̄皿 ̄;;!!

 

 

 

 

sideout

 




次はサーヴァント召喚です。何か召喚してほしいサーヴァントがいればコメ欄で言っていただければと思います。

あと評価感想よろしくお願いします。


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召喚

深夜テンションで書いたせいか文の様子がおかしい…


side日番谷

 

「さあて、説明も終わったことだし戦力の強化をしようか。」

 

「英霊を召喚するってことか?」

 

「そうだよ。ところで重國君、君が冬木でエネミーを倒したときに7色に輝く石が出てこなかったかい?」

 

7色に輝く石…?確かに結構拾っておいたと思うんだがいくつあったっけな?

 

「ああ、確かに落ちてたがそれがどうかしたのか?」

 

「それは聖晶石といってね、カルデアではそれを触媒にして英霊を召喚するんだ。普段の健全な状態でのカルデアだったのなら1個だけでいいんだけど、今のカルデアでは電力が足りなくてね…それを3つ使ってようやく召喚できる、と言った具合なんだ。」

 

「なるほどな。よくできたシステムだ。」

 

たしか回収した骨とかと一緒に入れておいたはずなんだが…

 

「お!あったあった!うーんと、9個だけだな…」

 

「十分だよ。あと召喚してもどの英霊も呼び掛けに答えない場合があるからね。そういう場合は礼装が出てくる。」

 

それって前世の高確率で爆死するガチャと同じ臭いがするんだが…ガチャは悪い文明…破壊する!!( ゚д゚)ハッ!また変な電波を(ry

 

「じゃあ今回は立香が全部召喚するといい。俺はまた今度にするさ。」

 

「え?いいの?私が全部もらっちゃって。」

 

「お前の方が戦力強化は早い方がいいだろ。俺は普通ぐらいには戦えるが、お前は魔術ではほぼ素人なんだからな。」

 

「僕もそれをオススメするよ。あと重國君は異常だからね?決して普通ではないからね?」

 

「じゃあお言葉に甘えて…」

 

「おーい君達!私を忘れてもらっちゃ困るよ!」

 

あれは…ダヴィンチちゃん?さっき自分の魔術工房に走っていったはずだったと思うんだが…

 

「どうした?仙豆ならお前が血走った目で寄越せと必死に頼み込むからさっき何個かくれてやったはずだが?」

 

「あれじゃあ全然足りないよ!もっとたくさんくれないと!ってそうじゃなくて!英霊を召喚するんだろう?だったらこの万能の天才であるダヴィンチちゃんの開発した呼符の出番だ!」

 

そう言うとダヴィンチちゃんは懐から金の板のようなものを取り出した。

 

「なんと!これ1枚だけで召喚の儀式を行えるんだ!いや~さすが私。いいものを開発するねぇ~。」

 

「へぇ~便利なもんだ。」

 

「え!?それだけ!?なんか…こう…もっと言うことがあるだろう!「さすが天才!」とか「なんでそんなにも万能なんですか?」とかあるだろう!?」

 

「なんで自分で自分を褒め称えてんだよ…これだから天才(バカ)ってやつは…」

 

「それって何枚あるんですか?」

 

「うーん残念ながら、まだそんなに量産できるわけじゃないから2枚しかないんだ。」

 

「2回も召喚できるなら十分だろ。とっとと召喚しようぜ。」

 

「それもそうだね。じゃあ案内するよ。」

 

 

ロマンに案内されてついていくと、すでにそこにはマリーとマシュがいた。

 

「何をやってるんですか所長?」

 

「マシュの宝具である盾を触媒にして召喚サークルを設置するために、盾をここに置いてもらってたのよ。」

 

マシュの宝具はそんなこともできるのか…確かに宝具であればものすごく強力な触媒になるはずだが。

 

「召喚サークル設置できました。先輩、重國さん。いつでも召喚できます。」

 

「じゃあさっさと召喚してちょうだい。どっちから召喚するの?」

 

「じ、じゃあ私から…」

 

そう言うと立香は召喚サークルの前まで歩いていき、聖晶石を3つ取り出した。

 

「え、えっとどうすれば?」

 

「それをそこの召喚サークルに向かって投げ入れるだけでいいわ。それだけで人理修復に協力してくれる英霊が呼び掛けに応えてくれるはずよ。」

 

「それじゃあ…いきます!」

 

立香が気合いを入れて召喚サークルに向かって聖晶石を3つ投げ入れると、召喚サークルから膨大な魔力が溢れ出た。

 

 

「この霊基反応は…!?すごいぞ!いきなり超級サーヴァントだ!!」

 

「フッ…影の国よりまかり越した。スカサハだ。マスター、と呼べば良いのかな?お主を。」

 

「スカサハだって!?影の国の女王じゃないか!!どうしてそんな人物が!?」

 

「どうやら人理が焼却されたことによって、影の国も消滅し私も死んだという扱いになっているようだ。本来ならば私は召喚されるはずのない英霊だ。」

 

なんかヤバそうな赤い槍を持った全身タイツの女の人が出てきたぞ…

 

一言で言うならばエロい!そしてエロい!エロすぎる!ごちそうさまです!!

 

「そんなことよりも…」

 

「そんなこと!?」

 

そう言うとスカサハはこちらを見た。

 

「そこのお主。「え、俺?」そうお主だ。お主中々いいものを持っているな。どうだ?これから手合わせでもせんか?」

 

こいつも脳筋か!!

 

「手合わせしたいのはやまやまなんだが、生憎まだ俺はサーヴァントを召喚してないんでな。召喚したらいつか相手をしてやるよ。()()()な。」

 

「そうか、残念だ…」

 

本当に残念そうに( ´-ω-)ってなってやがる…

 

てかケルト勢脳筋すぎだろ!クー・フーリンといい脳筋しかいないのかアイルランドの英霊は!?

 

待てよ…?スカサハはたしかクー・フーリンの師匠だったはずだ。ここまでクー・フーリンと縁の強い者を召喚したら…( ゚д゚)ハッ!まずい!立香を止めなくては!!

 

「立香ちょっとm「え?もう召喚しちゃったよ?」なんだと!?」

 

「よう。さっきぶりだなお前ら。ランサーのクラスで召喚してくれてサンキューな。ま、気楽にやろうぜ!ところで重國の奴はどこだ?手合わせしたいんだが…」

 

くそっ!!遅かったか!!

 

なんか早速狙われてるし、早く逃げねーとYABEEEEEEE!

 

「おい、ロマン!俺は体調が悪くなった。今から3時間ぐらいトイレに籠る予定だから後で英霊を召喚する。というわけで、じゃあな!」

 

「え!?ちょ、ちょっと!」

 

そう言って魔力放出で部屋の外に逃げようとすると、自分の両肩に手が置かれた。

 

「「どこへ行こうとしている?」」

 

「なん…だと…!?」

 

速っ!?化け物かこいつら!!

 

やばいやばい!手が食い込んでる!骨がマッチ棒みたいに折れちゃうよ!

 

「ひ、ひいぃ!死ぬ!死んじゃう!立香!令呪でもなんでも使っていいから止めてくれ!!」

 

「う、うん、分かった。令呪をもって命ずる。重國から離れてクー・フーリン、スカサハ。」

 

「ちっ、しゃーねーな。」

 

「抗えんこともないが…マスターからの命令ならば仕方ないな…」

 

そう言いながら俺の肩から手が離される。

 

「た、助かった…」

 

こいつらマジでヤバい。手合わせなんかしたら確実にあの世行きだ。

 

「ア、アハハ…つ、次で最後かな!よっ!」

 

立香が聖晶石…(もう石でいいや)、を投げると召喚サークルから再び魔力が吹き出して見覚えのある英霊が出てきた。

 

「うげぇ…マジかよ…」

 

「サーヴァントアーチャー、召喚に応じて参上した――なっ!?クー・フーリン貴様何故此処に!?」

 

「それはこっちのセリフだアーチャー。どうやら俺のテメエは行く先々で巡り会う運命らしいな、くそったれが。」

 

「その言葉、そっくりそのままリボンをつけて帰そう。私もこういう特殊な状況でない限り貴様と組むのはごめんこうむる。」

 

「あ?なんだテメエ?やんのか?」

 

「まあまあ2人とも落ち着いて…」

 

「おっと、失礼したマスター。これからよろしく頼む。」

 

「ちっ、やっぱテメエとはそりがあわねぇ。」

 

「貴様と考えが一緒なのは腹が立つが、私も今それを思っていたところだ。」

 

そういえばあの2人は冬木でも色々言い合ってたな…なんか因縁でもあるのか?

 

「あとは重國君だね。準備はいいかい?」

 

「そうだな。取り敢えず召喚しないことには始まらないか。」

 

俺はケルト勢だけは来ないようにと祈りながら呼符を投げ入れる。

 

するとサークルから魔力が溢れ、そこから人影が現れた。

 

「ブーディカだよ。よろしくマスター。気軽にブーティカさんと呼んでもいいよ?」

 

お姉さんキャラ…だと…!?

 

フハハハハ!素晴らしい!!素晴らしいぞ!!良い人というのがあらゆるところから滲み出ているじゃないか!神よ!今から3分ぐらいは感謝します!

 

「うん、よろしくなブーティカ。」

 

「なんで泣きながら私を崇めてるのマスター!?鼻水まで出して!」

 

嬉しさのメーターが振り切っただけなんだ。

 

「な、なんでもない。(ゴシゴシ)…よおし!この勢いでいくぞ!」

 

「?なんかよく分かんないけど頑張ってマスター!」

 

「おう!そおい!!」

 

勢いに任せて呼符を投げると、召喚サークルからまたもや女性と思わしきシルエットが浮かび上がった。

 

あれは…刀?刀繋がりで召喚されたのか?

 

「新選組一番隊隊長、沖田総司推参!あなたが私のマスターですか?」

 

なんかハイカラな着物を着た女性が出てきたんだが…

 

沖田総司って女だったの?でも創作物に書かれているのが男だし…ってことは、男と偽っていたのか?

 

そして…

 

「羽織なくない?」

 

「…え?羽織?それがどこかに落としてしまったみたいで…」

 

召喚なのに物を落とすことってあるのかな?

 

…まあいい。考えても分からんし、ちゃんとした英霊みたいだしな。

 

「どうやら俺とは刀繋がりで召喚されたみたいだな。」

 

「え?マスターは刀をお使いになられるのですか?」

 

「ああ。といっても扱いは初心者だがな。」

 

「そうだったのですか!マスターが望むのならばこの天才美少女剣士である沖田さんが稽古をつけてあげますがどうですか?」

 

「じゃあ、時間が空いているときにでも頼むよ。」

 

脳筋じゃないならいい、とにかく稽古とかで死にたくない。切実に。

 

これからどうやってあのケルト勢から逃げようか考えていると、ロマンから意外な助け船がきた。

 

「どうやら召喚したみたいだね。それじゃあ、あとは各々の部屋で親交を深めたらどうだい?次に君達を呼ぶときは特異点にレイシフトする直前だからね。」

 

「そうだな、それがいい、てかそうしよう。」

 

「ま、手合わせはまた今度にすりゃーいいか。行こーぜマスター、師匠。そちらさんも仲良くやれよ!」

 

「そうだね、じゃあね~重國!」

 

結局手合わせするのは決定事項なのね…

 

そう言って立香達は行ってしまった。

 

「…俺らも行くか。行くぞ沖田、ブーティカ。」

 

「お!マスターの部屋に行くんですか?それなら私、お団子が食べたいです!」

 

「団子か…冷蔵庫にあると思うけど……あれはなぁ」

 

「団子なら私が作れるよ。現界した時に知識として入ってきたんだ。」

 

へぇ…便利だなサーヴァントって。

 

けどその分全力出せないように弱体化されてるから、メリットもデメリットもあるってかんじか。

 

 

 

 

雑談をしながらの移動はかなり楽しく、すぐに部屋についてしまった。

 

「着いたぞ。ここが俺のマイルームだ。」

 

「へえ、結構広いんだねここ。」

 

「俺がマスターとして加わる条件として、でかい部屋を貸してもらったんだ。キッチンとかもついてるから1日中過ごせるんだよな。ってあれ?沖田は?」

 

「マスター!冷蔵庫に団子ありました~先に頂いてますね~。」

 

え!?ちょっと待て!

 

「おいこら沖田!それは先着10人限定の売ればプレミアがつくほどの高級団子なんだぞ!?わざわざ外に出て徹夜して並んだんだ!勝手に――「美味しいです~。私、生前にこんなおいしいお団子が食べたことないですよマスター!」聞いてんのか!?」

 

「あ、大丈夫ですよマスター。ちゃんとマスターとブーティカさんの分は1本ずつ残しておきますから~。」

 

「いやいやいやいやいや。それ5本入りだからね?それだと君が3本食べることになるからね?」

 

「アハハ…食い意地が張ってるなぁ…。今回は諦めようよマスター。その代わりに私が何か作ってあげるから。」

 

くっ…まぁ団子を幸せそうに食べる美少女を見れたと思えばいいか。

 

…全然よくねーけど。

 

「…分かったよ。けどその分きちっと働いてくれよ。」

 

「やったー!沖田さんこれからいっぱい頑張りますね~。」

 

「じゃあ、親交を深めるために雑談でもしようか。お茶をいれてくるよ。」

 

「ああ、頼む。」

 

「あ!私も手伝いますよ~。」

 

「そう?ありがとう。じゃあついてきて。」

 

「はーい!」と言ってブーティカについていくブーティカを横目に、俺は考える。

 

恐らくこっからの敵は一筋縄ではいかないような奴ばかりだろう。

このすべてが曖昧な状況なら、下手をすれば権能レベルの力を使う神のような存在が出張ってくる可能性すらある。

その場合、間違いなく氷輪丸ともう1本の斬魂刀では相性的にも太刀打ちできない時があるはずだ。

沖田やブーティカの宝具も伝承通りなら神や伝説の竜の前ではあまり効かない可能性もある。

もし、そうなった時の為に、俺はあの斬魂刀の始解、もしくは卍解を使う覚悟を決めなければならない。

 

すべてを灰塵にする炎熱系最強の斬魂刀…

 

 

流刃若火を使う覚悟を。

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

狂った歯車はゆっくりと加速する

 

そこに極めて小さな原典とのずれを残しながら

 

しかしそのずれは小さいながらも、現実には大きな変化を起こし、原典に牙を剥き確実に破壊する

 

それによって起こる事象が良いことか悪いことかは誰にも分からぬまま時は流れ…

 

やがて本当の狂った物語が幕をあける――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとなく伏線?をはっておきました。

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第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン
竜の大地


テスト勉強ダルーい


side日番谷

 

俺は今、沖田に稽古をつけてもらっている。

 

いるのだが…

 

「マスターが縮地を使えるなんて聞いてませんよ!?」

 

「いや、だからこれは縮地じゃなくて瞬歩っていう縮地とは違う技なんだって!」

 

「そうだったのですか…ですが、私と似たようなことを出来るのならば全力で戦っても問題ありませんね?」

 

「問題大有りだ!お前の宝具は刀とか関係なしに使えるだろ!あんなもん俺に使われたら俺がトマトになるわ!!」

 

「何言ってるんですかマスター!そこは気合いで乗り切りましょ――コフッ!?」

 

と、こんな感じでぐだくだしているせいで全く稽古にならない。

 

そもそも沖田が速すぎてまともに打ち合うことすらも困難なのだ。 瞬歩もどき使っても追い付けないとか…ドンダケー!

 

つーか沖田さん病弱スキル発揮しすぎじゃない?この3日間で3回血を吐いたよ?

 

「す、すいませんマスター。私はどうやらここまでのようです。」

 

「何言ってんだお前?稽古はここまでにして部屋に戻るぞ。ブーティカが飯を作ってくれてる。」

 

「もうちょっと私のジョークに乗ってくれてもいいじゃないですかぁ~うわーん!」

 

「はいはい、あざといあざとい。」

 

沖田はブーティカと違ってすごくあざとい。

 

けど無駄に顔が整っているせいか、全然嫌悪感が沸かないのだ。

 

…やっぱりかわいいって正義なんだネ!!

 

 

 

「おーい、戻ったぞ~。」

 

「沖田さん只今戻りました~!」

 

部屋に戻ると、キッチンから良い臭いが漂ってきた。

 

「おかえりなさい。朝食できてるよ。すぐに食べる?」

 

「ああ、いただこうかな。」

 

俺がそう言うとブーティカは、料理を皿に盛り付けてくれた。

 

「はい、どうぞ。」

 

「おお…すごいな。」

 

今日の朝食は和食のようだ。

味噌汁、さばの味噌煮、ご飯、玉子焼きとは…ここ数日でも思っていた事だが、ブーティカはやっぱり料理のバリエーションがかなり豊富だな。

「んじゃ、いただくか。いただきまーす。」

 

そう言って俺はさばの味噌煮を口に入れた。

 

これは…!?うまい!!ボキャが貧しすぎてうまく言い表せないが、さばが口のなかでゆっくりほどけていく感じ…かな?

 

「どう?美味しい?」

 

「ああ、すごくうまいぞ。流石だな。」

 

「ふふっ、ありがとうマスター。」

 

ああ…癒される…。

 

ブーティカがこの時代に生まれていたら絶対に良い奥さんになれただろうに。

 

まあ俺は女性と付き合ったことすらないから良い奥さんの基準が分かんないけどな…あれ?なんか目から汗が…

 

 

 

絶品の朝食を食べ終わってお茶を啜っていると、ブーティカが連絡事項を伝えてきた。

 

「マスター。朝食を食べ終わったらすぐに管制室に来てくれってロマンが言ってたよ?なんでも特異点に行く前のブリーフィングがあるからとか。」

 

「そうか、いよいよ始まるのか…ブラックな仕事が。」

 

「あ、あはは…と、とにかく!特異点の攻略頑張ろうね2人とも。」

 

「ああ…」

 

「ええ、勿論ですとも!腕がなりますよ~。」

 

沖田。お前は病弱スキルをなんとかしてくれ。

 

「電気とかも全部消したな。よし、行くぞ。」

 

電気などの確認をした後、俺がそう言うと沖田達は霊体化し、それを見た俺は管制室へと足を動かし始めた。

 

 

 

俺が管制室についた頃にはもうみんなが揃っていた。

 

「もう!遅いわよ重國!」

 

「悪い悪い。沖田に稽古をつけてもらってたからさっきブーティカに連絡事項を聞いたばっかなんだ。」

 

「なんでさっきなのよ!?」

 

「まあまあ、いいじゃないですか所長。重國君もサーヴァント達と親交を深められたみたいですし。」

 

「…そうね…。」

 

なんであいつちょっと機嫌悪そうなの?俺遅れる以外になんかしたかな?

 

「これなら安心してブリーフィングを始められそうだね。まずは君達にやってもらうことから簡単に説明し直そうかな。1つ目、特異点の調査及び修正。人類史におけるターニングポイントの調査し修正すること。これはこるからの作戦の大原則だ。2つ目は『聖杯』の調査だ。まだ推測の域を出ないけど、恐らく特異点の発生には何かしらの形で聖杯が関わっている。聖杯でもないと時間旅行とか歴史改変とか不可能だからね。ホントに。だから聖杯を回収または破壊しないといけない。以上の2つがこの作戦の主目的だ。…ここまではいいかい?」

 

「はい。よく分かりました。」

 

「こっちも大丈夫だ。続けてくれ。」

 

「うん、よろしい。あとは任務のほかにもう1つやってほしいことがあるんだけど、こっちは大したことじゃない。レイシフトをしてその時代に跳んだ後のことなんだけど、霊脈を探しだして召喚サークルを設置してほしちんだ。冬木でもやっただろう?通信だけならまだしも、補給物資とかを転送する際には召喚サークルがないと物をそっちに送れないからね。前と同じように、マシュの盾をセットすればそれが触媒となって召喚サークルが起動するから、そうすれば君達もサーヴァントを召喚することができる。恐らく召喚されるのは、何かしらその時代に縁のある英霊にだろう。そうやって戦力を強化していくわけだ。分かったかな?」

 

「ああ。向こうにレイシフトしたら、最初に霊脈を探してそこで召喚サークルを確立すればいいんだろ?」

 

「そうだ。立香ちゃんもOKかい?」

 

「大丈夫です。」

 

「うんうん。物分かりがいいと教えがいがあるなぁ!」

 

「おい、お調子者。いつまで私を待たせておく気だ?」

 

「おっと失礼。紹介するよ立香ちゃん。彼…あれ?彼女…違うな…あれ?何て言えばいいんだ!?」

 

何やってんだロマンは…

 

「そいつはレオナルド・ダ・ヴィンチだ。」

 

「え?でもその人って男の人じゃあ…」

 

「ああ、合ってるぞ立香。正確には()()()()だがな。そうだろ?ダヴィンチちゃん?」

 

「ふっふっふ…その通り!私がカルデアに召喚され英霊に第3号の天才発明家!レオナルド・ダ・ヴィンチさ!気軽にダヴィンチちゃんと呼ぶように。こんなに綺麗なお姉さんは滅多にいないだろう?」

 

「え…?お姉さん?」

 

「騙されるな立香。そいつは自分の描いたモナリザが好きすぎて、自分自身をモナリザに改造しちまうクレイジーサイコホモだ。まともにとりあってると胃に穴が空くぞ。」

 

「ひどい言われようだが、男か女かってそんなに重要かい?実は男だったとか女だったとか、最初に言い出したのはいったいどこの誰なんだろうね、まったく。私が美を追求し、理想の美を体現したのが今の私だっただけのことだろう?つまりこれは当然の帰結───というわけだ。」

 

「どこが当然の帰結なんだよ!?お前のその持論せいでどれだけの職員の胃が犠牲になったと思ってんだ!?」

 

「うん、僕も一応学者の端くれなんだけど、彼女の持論はさっぱりできなくてね。モナリザか好きだからって自分自身がモナリザになろうなんていう変態は彼女だけだろうね。」

 

「フフフ…それはどうだろうねロマニ。文明も円熟すればなんでもありさ。そのうち美少女になりたい!だなんていう願望は案外ノーマルなものになるかもしれないよ?」

 

うん、前世はまさしくそういう時代でした!!

 

「そうかもしれないが、お前はいったいいつの英霊だ?」

 

「天才に時代は関係ないのだよ重國君。君もよく覚えておくといいよ立香ちゃん。これから出てくるであろう芸術家サーヴァントは誰もが例外なく私と同じようにとんでもない偏執者だろう!」

 

「うわぁ…マジか~。でもなんかそんな感じがしてきたぞ!?」

 

「知りたくはなかった事実ですが、忠告は感謝します、ダヴィンチちゃん。」

 

「うんうん、やっぱりマシュは物分かりがいいね!じゃあ私の紹介は終わり。じゃね~。」

 

「本当に自己紹介だけして行っちゃったな彼女。…話の腰が折られてしまったけど本題に戻ろう。休む暇もなくて申し訳ないけど、さっそくレイシフトの準備をするが、いいかい?」

 

「…仕方ないですね。」

 

俺も問題ないと首を縦に振る。

 

「今回は君達用のコフィンもちゃんと用意してある。レイシフトは安全、かつ迅速に行えるはずだ。それで特異点のことなんだけど、今回はどれも揺らぎが大きかった7つの特異点の中で、できるだけ小さな揺らぎの時代を選んだ。向こうに行ってしまえば僕達は連絡をすることしかできないからね。さっき言ったことをちゃんとするんだよ?」

 

「分かりました。」

 

「了解。」

 

「では──健闘を祈るよ。いってらっしゃい。立香ちゃん、重國君。」

 

≪アンサモンプログラム スタート。量子変換を開始します。レイシフト開始まで3 2 1…全工程 クリア。グランドオーダーの実証を開始します。≫

 

そのアナウンスとともに俺の意識は途絶えた。

 

 

 

気がつくと俺は草原の上に立っていた。

 

「なんの問題もなくレイシフト出来たみたいだな───ってあれ!?立香達は!?」

 

もしかして俺とは違う場所にレイシフトしてしまったのだろうか?

 

え~またボッチじゃないですか、ヤダー。

 

 

けど一緒にレイシフトしたはずなのにこんなことが起こるなんて──

 

「まるで何かが俺と立香達を引き剥がそうとしているみたいだな。」

 

『そんなことってありえるんですかねぇ?』

 

『ありえると思うよ。けど、もしそうならマスターは…』

 

「大方、俺の能力が希少もしくは危険だから抑止力はほかっておけないってだけだろ。心配すんな。もしも抑止力が俺を本格的に排除しにきたなら、そん時はそん時でなんとかするさ。」

 

…なんて言ってるが、以前小耳にはさんだ情報にあった月の王とかが出てきたら勝てる気がしない。サーヴァントの力を計算に入れたとしても五分五分だろう。それなら───

 

そんな風にして思考の海に沈んでいると、急に沖田とブーティカが実体化した。

 

「どうした?」

 

「マスター。前方から大量の何かが来るよ。」

 

「距離は?」

 

「ここから10キロぐらい先かな?すごいスピードでまっすぐこっちに向かってる。こっちに着くまであと1分ぐらいかな?1体1体は大したことないけど、感じられる魔力の数は200を越えてる。…どうしよっか?」

 

「ちなみに逃げてもマスターと一緒だとあのスピードなら追い付かれますね。」

 

「悪かったね、遅くて。…迎撃するしかなくね?」

 

10キロを1分って瞬歩使っても無理じゃん…

 

「マスター!来ます!」

 

「うわぁ…何あれ…」

 

すごーい!黒い塊が移動してるぞ~!

 

「あれ…ワイバーンだよね?いける?」

 

「「もちろん。」」

 

「そうか、じゃあ俺がワイバーン落とすから落ちたワイバーンの処理を頼むぞ。」

 

「「了解(です)!マスター!」」

 

あれほどの大群なら氷輪丸を使うよりもう1本を使った方が効率がいいな。

 

え?流刃若火?あれはこんなところで使うような代物じゃあない。それに使えば今よりも抑止力に狙われる可能性があるからな。

 

「よし、俺も行くか。」

 

俺は刀を具現化させ、俺が前世で個人的に好きだった斬魂刀の解号を、一言一言噛み締めるように口に出す。

 

「面を上げろ…侘助(わびすけ)!」

 

これが、相性さえ良ければ絶対に負けることはない(と、作者は思っている)斬魂刀だ!

 

刮目してみよ!この美しいフォルム!そして切った相手の重さを倍にするという鬼畜能力!これこそこういう複数人での殲滅戦でのサポートに最も長けた斬魂刀ではなかろうか!?いや、そうに違いない!

 

「か、変わった形の刀ですねマスター…」

 

「それ刀の刃が逆なんじゃない?」

 

「いーや、これでいいんだよ。この至高の芸術が分からんお前らにはこの刀の素晴らしさをたっぷりと見せてやる!」

 

これは空飛んでる奴なんかには特に有効だ。

 

故にあいつらは侘助にとって最高の餌!

 

「縛道の六十三、鎖条鎖縛!」

 

あとは侘助に鎖条鎖縛を巻いてシックスナインの斬魂刀の様なことが出来るようにすれば完璧だ。

 

よっし!!

 

「いっくぜぇぇぇ!!」

 

俺は大きく跳躍し、魔力で空中の空間を固定して足場を作り奴等のところに突っ込んでいく。

 

「落ちろやぁ!」

 

「グアアアアアァァ!?」

 

奴等のところにたどり着いた俺は鎖条鎖縛が巻きついた侘助を振り下ろす。

 

すると自分の2倍になった自分の重みに耐えられなくなったワイバーンは地面へと落下していき、地面で待機していた沖田が切り裂いて仕留めた。

 

「一気に決めるぞぉぉ!嵐獅子舞踏(らんじしぶとう)!」

 

魔術で肉体強化を施し、超高速で鎖条鎖縛を持った手を振り回すと、同じく超高速で動く侘助に当たったワイバーン達は、次々に地面へと向かって落ちていく。

 

「マスターなんか異常にテンション高くありません?そしてホントにどんどん落ちてくるんでけど!?」

 

「ダヴィンチちゃんに言った言葉がブーメランに近いものだってことに気がついてないよね…私、こういうのあんまり得意じゃないんだけどなぁ…」

 

下からなんか聞こえてくるが無視だ。

 

俺は今、全能感にも似た何かを感じているのだから…

 

ああ!これが、空飛ぶ天使さん(笑)を地面に張りつけにした究極の斬魂刀の力!

 

吉良さえもう少し強ければ確実に破面相手でも無双できたであろうに!

 

「これでラスト!」

 

最後の1匹を地面に落とし、ブーティカが片付けたのを見届けた後、俺は地面に降りた。

 

楽しい時間は本当にあっという間に終わってしまうな…

 

それが私は悲しい…ポロロン

 

「ハァ…ハァ…み、見たか?ブーティカに沖田。切った相手や物の重さを倍にする能力。1度切れば倍になり、もう1度切ればさらにそのまた倍に、という感じで重さがどんどん倍になっていく、これが侘助の力だ。便利だろ?」

 

「うわ~鬼畜ですねそれ…初見だったら確実に死亡コースじゃないですか。」

 

「なるほどね~。相手が重さに耐えかねて、自然と頭が相手に謝るように下がるから侘助なんだ。」

 

「ああ!これこそ最高の芸術だと思うんだ!」

 

「なんでいきなりのドS発言!?…ま、まあとにかくお疲れ様、マスター。少し休もうか。丁度そこら中に調理できそうな素材がごろごろと転がってることだし、何か作ろうか?」

 

「沖田さんは焼き肉というものが食べたいです!肉なんて生前はほとんど口にできませんでしたから!」

 

「そう…マスターもそれでいい?」

 

「ハァ…ハァ…ああ、任せるよ。」

 

「分かった。じゃあちょっと休んでてね?」

 

「りょーかい…」

 

マジで疲れた…侘助を使える喜びではっちゃけすぎてしまったな…

 

次からは気をつけよう。

 

「マスター!」

 

岩に座って息を整えていると、沖田がいきなり俺に飛び込んできた。

 

ヤダ!?表現がなんか卑猥!!

 

「うわっ!?どうしたんだ?」

 

「もっと自分の体を大事になさってください。私、これでも心配してるんですよ?」

 

近い、近いよ沖田!

 

つーかヤバイヤバイヤバイ…美少女っていい匂いがデフォなのん?

 

そして上目遣いは理性飛びそうだからヤメテェ!

 

「わ、分かった!次から気を付けるから離れてくれ!」

 

マズイ!顔に熱が集まって…

 

「クスッ、マスターって意外とウブなんですね。顔赤いですよ?」

 

「!?…知ってるよ…てか分かってんなら胸部装甲を押し付けるのをやめてくれ…」

 

沖田さんって意外とでかいんですね!!何処がとは言いませんけども!何処がとは言いませんけども!!

 

「嫌です。ブーティカさんの料理ができるまで離しませんよ…どこかに行ってしまったら困るので。」

 

「疲れてるからどこにも行かねーよ…」

 

「そういうことじゃないんです。私やブーティカさんにとってあなたは大切な存在なんです。だからこそ失いたくないんです。生前に色々な物を失った身としては…」

 

「!?…悪かったよ。あ、ありがとな説教してくれてよ…」

 

「まったく、マスターは素直じゃないですね…」

 

あー、熱い。心臓に悪い。今も心臓が和太鼓叩いてるみたいにドドドドドドって鳴ってるし…あれ?俺大丈夫かな?生きてるよね?大丈夫だよね?

 

 

結局この羞恥プレイはブーティカが焼けた肉を持ってくるまで続いてしまった。

 

今後はこのようなことにならないように、出来るだけ鬼道もどきでの後方支援に徹しようと思いましたマル

 

 

sideout

 

 

 

 




《嵐獅子舞踏》
刀に鎖条鎖縛を巻きつけて振り回す作者が即興で考えた技。

評価感想よろしくお願いします。


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竜の大地2

模試の結果が悪すぎて意気消沈してたらこんなに遅くなってしまった…


side立香

 

 

気がつくと私達は草原の上に立っていた。

 

どうやら無事にレイシフトが成功したようだ。

 

前回の時はいっぱいいっぱいだったからわからなかったけどいきなり違う場所に転移しちゃってるから結構怖いなぁコレ…

 

「無事にレイシフト出来ましたね、先輩。前回とは違いコフィンを使用してのレイシフトだったのでそこまで心配はなかったのですが無事でなによりです。」

 

「う、うん…ついでにフォウ君もいるけどね…」

 

私はマシュの下にいるフォウ君を指差して言った。

 

「フォーウ!」

 

「フォウさん!?ついてきてしまったのですか!?」

 

「コフィンの中に忍び込んでたのかな…?」

 

「恐らく…ですが、わたしたちのどちらかに固定されているはずですから、わたしたちが帰還すれば自動的に帰還できるはずです。」

 

「…そういうことなら問題ない…かな?」

 

「はい。わたしたちは運命共同体ということになりますね。」

 

そ、そうなのかな?よくわかんないけど…

 

「?──マスター。時間軸の座標が確認できました。ここは1431年のフランスのようですね。」

 

「15世紀のフランスって言ったらえーと、…なんだったっけ?」

 

「現状、百年戦争の真っ最中のはずです。ただ、今は休戦中だったはずです。」

 

「へー、さすがマシュ!できる子は違うね!」

 

「い、いえ…それほどでもありません。」

 

「ん?あれは…マシュ、空を見て。」

 

「何が…え?」

 

《よーし!回線が繋がったぞぅ!ついでに画像は粗いけど映像も通るようになった!ってどうしたんだい?立香ちゃんもサーヴァントの皆もそろって空なんか見上げちゃって…ってうわぁ!?なんだあれは!?…光の輪?》

 

「いーや、違うな。あそこから魔力を感じるってことは何者かの仕業だろーよ。」

 

「ふむ、衛生軌道上に展開した何らかの魔術式のようだな。」

 

「とんでもない大きさです…」

 

ホントになんなんだろうあれは?この特異点に関係あることは間違いないと思うんだけど…

 

《1431年にこのような事象が起こったなんていうのはどこの記録にもない。間違いなく未来消失の理由の一端だろうね。アレはこちらで解析するしかなさそうだ…とりあえず君達は現地の調査に専念してくれ。それと霊脈なんだけど幸いにも霊脈はそこの近くにある。とりあえずはここから3キロほど歩いてもらえるかい?》

 

「分かった。行こうみんな。」

 

 

 

しばらく歩いていると100メートルほど先に人影が確認できた。

 

「先輩、あれはフランスの斥候部隊のようです。コンタクトをとってみますか?」

 

「そうしよう。そうしないと何も始まらないし。」

 

私がそういうとマシュ、スカサハ、クー・フーリンそしてエミヤが私のことを囲んでくれた。

 

「フッ。それでこそ我がマスターだ。」

 

「いいねえ。そういう選択は嫌いじゃねぇ。」

 

「私はこういう選択は好まないのだがね…まあ、時にはこういう選択も必要だろう。」

 

「守りは任せてください。先輩には傷1つつけさせません!」

 

「うん!ありがとう!」

 

「Hey,Excuse me.こんにちは旅のものなのですが─」

 

「ひ、ひいぃ!敵襲!敵襲!」

 

《やっほー。ちょっと手が空いたから見にきたよーってなんで周りを武装集団に囲まれてるのさ!?いきなり荒事!?しかもフランス軍の精鋭!どうしよう!?その世界はすでに隔離されているから何が起きてもタイムパラドックス発生しないし、戦闘しても問題はないと思うけど…》

 

「何かないの!?こういうときのフランスジョークとかさ!?」

 

《そんなものあるわけないでしょ??大体戦争中にジョーク言う国なんて何処にもないよ!》

 

「ドクターに期待したらいけません先輩。こうなったら峰打ちで制圧するしかありません!」

 

「わ、分かった!じゃあみんな頼んだよ!」

 

「「「了解(した)!」」」

 

そう言うとみんなは次々と兵士達を制圧し始めた。

 

マシュは盾を使うのを諦めて素手で気絶させてるけど…

 

そしてさすがは英霊。50人ほどの兵士を10秒かからずに無力化してしまった。

 

「みんなお疲れ様!」

 

「肉体的にではなく、精神的にものすごく疲れました。」

 

「うん、結局素手でやってたもんね…」

 

「そ、それは言わないお約束です先輩!ですが峰打ちが少々甘かった為か撤退されてしまいました。」

 

「ふむ、すぐに後を追った方がいいだろう。」

 

「うん!行くよ!」

 

そう言うとすぐに私達は兵士の後を追った。

 

 

 

私達が兵士を追ってたどり着いたのはボロボロになった砦だった。

 

「これは…」

 

《砦がボロボロじゃないか!?今戦争は休止中のはずじゃあないのか!?》

 

「休止中のはずだったが正解のようだな。ここはもうすでに正規の歴史の流れからは随分とはずれてしまっているようだ。」

 

あの兵士の怯えようを見ても何かあったのは明らかだしね。

 

「ひぇっ…!ま、また来たぞ!」

 

「先輩、とりあえず兵士達の誤解を解くのが先です。ボンジュール。わたしたちは旅の者です。あなた方に危害を加えるつもりはありません。どうか、武器を置いてくださいムシュー。」

 

「敵…ではないのか?」

 

随分簡単に信用しちゃうんだね!?

 

《もしかして…萎えきって戦う気力すらも残っていないとか…?》

 

「シャルル七世は休戦条約を結んでいないのですか?」

 

「シャルル王だって?アンタ、旅の者だから知らないのか?」

 

「…え?」

 

「シャルル王ならとっくにくたばっちまったよ。魔女の炎に焼かれてな。」

 

…え!?魔女が焼きつくしちゃったの!?

 

「その魔女の名は()()()()()()()()だ。」

 

「ジャンヌ・ダルク…ですか?」

 

「ああ。あの方は蘇ったんだ、魔女となってな。イングランドはとうの昔に撤退した。だが、俺達は何処に逃げればいい?俺達にはどうすることもできないんだよ畜生!」

 

「ジャンヌ・ダルクって言ったら…」

 

「ええ、世界で最も有名な聖女です。その信仰心は凄まじく、火刑に処される時でさえ信仰心を手放さなかったとも言われています。」

 

「そうだ。その聖女様が蘇り、自分を見捨てたフランスに復讐をしようとしているんだ!悪魔と取引して!」

 

「悪魔、とは先ほど道中で襲ってきた骸骨兵のような?」

 

「違う。それぐらいならば俺達でも対処が可能だ。だが──」

 

─グオオオォォ!!

 

「来やがったか…みんな立て立て!抵抗しないと食われちまうぞ!」

 

《周囲に大型の生体反応!しかも、速いぞ!?》

 

「マシュ…あれって…ワイバーン!?」

 

「ええ。間違っても15世紀のフランスにいていい生物ではありません!」

 

《来るぞ!!》

 

「クー・フーリン!スカサハ!お願い。エミヤはここで狙撃して!」

 

「任せなぁ!」

 

「あまり突っ走るなよ、バカ弟子。」

 

ワイバーンに向かって行ったクー・フーリン達を見つめていると砦の上から声が聞こえた。

 

「兵達よ!水を被りなさい!彼らの炎を一瞬ですが防げます!」

 

「…え?」

 

「そこのあなた!どうか武器をとってください!──そして私に続きなさい!」

 

《彼女、サーヴァントだ!けど反応が弱いな。一体何者なんだ…?》

 

「ドクター!それよりもワイバーンの数が多いことの方が問題です!」

 

《え!?うわっホントだ。100匹以上はいるぞコレ!?》

 

「呑気にそんなこと言ってる場合じゃありません!」

 

マシュの言うとおりクー・フーリンたちも頑張ってくれてはいるが如何せん数が多い!

 

「チッ!数が多いな!」

 

「おい、クー・フーリン。今お主の槍を大軍仕様にしておいた。宝具を使え。」

 

「ホント出鱈目だなアンタ!?まあいい、マスター!宝具を使うぞ!」

 

「分かった!やっちゃって!!」

 

「よっしゃあ!いくぜぇ!突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)!!」

 

クー・フーリンがそう言うと、私の中の魔力がごっそり無くなるのを感じる。

 

けどその甲斐あってか、クー・フーリンの宝具でほとんどのワイバーンを串刺しにして倒せた。

 

「やった!!」

 

「残りは私に任せろ!!───フッ!!」

 

エミヤの矢が残りのワイバーンに命中し、ワイバーンの体が爆散する。

 

うわっ…グロッ!!

 

「あっ…すまないマスター。嫌なものを見せてしまったな…」

 

「ううん、大丈夫だよ!私こういうの意外といけるから!」

 

「それもそれで問題だと思うのだが…」

 

エミヤが落ち込んでしまった…どうしよう…?

 

…うん、放っておこう!

 

こういうのは、本人が忘れた頃にいじってあげるのが面白いからね!(ゲス顔)

 

「どうやら今ので最後のようです。お疲れ様でしたせんp──「そんな…!貴女は!?いや、お前は!みんな逃げろ魔女に焼かれるぞ!」え?」

 

あの金髪の女の人を見たら、兵士達は走って逃げてしまった。

 

「……あの…ありがとうございました。」

 

「いえ、おきになさらず。それより、貴女の名を─」

 

「私はサーヴァントルーラー。真名をジャンヌ・ダルクと申します。」

 

「ジャンヌ・ダルク!?亡くなったはずでは!?」

 

「その話はまた後で。彼らの前でするような話ではありませんから…ついてきてください。お願いします。」

 

「…誘われてしまいました。どうしますか、先輩?」

 

「手掛かりだ。行こう。」

 

《ボクも賛成だ。この時代のサーヴァントならこの時代にも精通しているだろうからね。》

 

私達はとりあえずジャンヌの話を聞くためについていくことにした。

 

 

 

どうやら彼女はサーヴァントとしては未熟らしく、ステータス面などでランクダウンしてしまっているようだ。

 

そしてこの時代にはもう1人ジャンヌがいるらしく、もう1人の方がシャルル七世を殺し、オルレアンにて大量虐殺を行ったようだ。

 

人理焼却の事を話すついでに、魔獣を倒しながら森を抜けると遠くの方にワイバーンの群れがあった。

 

《すごい数だ…さっきの3倍ぐらいいるぞ。一体何があったんだ?》

 

「!?フム…今ようやく思い出したが、重國の奴があそこの中にいるようだ。」

 

(゜ロ゜;!確かに言われるまで完全に忘れていた!

 

…普通だったら忘れるはずがないのになんでだろう?

 

「ほう…なるほどな。どうやら抑止力があの者の排除をしようとしているようだ。今まで奴のことを忘れていたのも抑止力が原因だろう。人理焼却で混乱している為にそこまで直接的な排除行動には出ていないようだがな。」

 

「奴の力は現代においては過ぎた力だからな。恐らく、本人もそれを分かっていたから今まで力を使ってこなかったのだろう。」

 

そ、そんな…

 

「あいつなら大丈夫だ、マスター。今回の件で抑止力も奴の力が人理修復に必要だと理解するだろうからな。少なくとも人理修復の間は排除されることはねぇだろうよ。」

 

「それでも良くないけど…」

 

「そんなことをいっている場合ではありません!一刻も早く助けないと!」

 

「その必要はないぜ聖女様。すぐに終わるはずだ。」

 

「しかし…!」

 

「危なくなったら助けに入るからよ、今はあいつのお手並み拝見といこうぜ。よっこらせっと…」

 

うちのサーヴァントはマシュを除いて全員座ってしまった…あっ、エミヤは立ってた。ごめんエミヤ。

 

…仕方ないから私も見ることにしよう…

 

最悪令呪で命令するしかないと思いながら私も座って戦いを見物することにした。

 

 

 

side日番谷

 

沖田に説教された後、俺達は少し休憩してから立香達を探すために出発したのだが、ここに来るまでの間にもう3回も蜥蜴どもに襲われている。さすがにいい加減にしてほしい。

 

俺は先程沖田とブーティカに近接戦闘を禁止された為、鬼道で彼女達の援助をしながら戦ったのだが、数が多すぎて中々全部倒せず、沖田の病弱スキルも発動したため、予想以上に時間をくってしまった。

 

これはBLACKすぎる!このままいったら俺がBLACKコーヒーのCMを独占できるぐらいにはBLACKだ。もしかしたらついでに仮面ラ○ダーにもなれちゃうかもしれない…

 

「ここから少し先の森からサーヴァントの気配を感じるよマスター。行ってみる?」

 

「そうだな。恐らく立香達だろう…行くか。」

 

そう言って1歩踏み出そうとしたその時──

 

「!?マスター!後ろからまた大量にくるよ!!」

 

≪いじめかな?いじめじゃないよ?いじめだよ!!≫

 

“重國 心の一句”

 

なんて考えてる場合じゃねーな…俺頭大丈夫かな?

 

「くそっ!とりあえず侘助を沖田に渡すからワイバーンを全部叩き落としてくれ!あと、全部叩き落としたらこの場から離れろよ!ブーティカは俺を抱えて走ってくれ!」

 

「「了解!!」」

 

沖田が戦闘に向かうと同時に、俺は沖田とは逆の方向にブーティカに抱えられながら走り、ワイバーンと戦っている場所から離れたところで待機した。

 

「何をするつもり?」

 

待機しながら魔力を練っているとブーティカがそう聞いてきた。

 

「さっきからお前らに任せっぱなしだからな。それに一応仙豆を持たせてはいるけど、沖田の体調もいつ悪くなるか分からないしから一気に終わらせたいんだよ。」

 

「普通サーヴァントとマスターってそういうものだと思うんだけど…それで?」

 

「だから1発でかいの撃って終わらせるんだよ。なぜかあっちの森の方にいるサーヴァント達は手伝う気が無さそうだしな。」

 

「それ、重國は大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ。遠距離攻撃だしな。それに魔力なら有り余ってる。」

 

「ならいいけど、無理はしないでよ?」

 

「いざとなったら令呪でも使ってこっちに転移してきてもらうさ。」

 

なんて話している間に沖田は全部叩き落としたようだ。

 

「ブーティカ。」

 

「どうしたの?」

 

「行ってくる。」

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

ブーティカの返事を聞くと俺は瞬歩で一気に蜥蜴どもの真上に移動した。

 

「これで散れ──飛竜撃賊震天雷砲!!」

 

そう言いながら俺は手を突きだして鬼道を打ち出した。

 

sideout

 

 

side立香

 

「ヒュー!さすがは出鱈目坊主だ。ワイバーンの群れを遠距離魔術で塵にしちまうなんてエグいことしやがる!」

 

「すごいです…!先輩、彼は本当に何者なんでしょうか?」

 

「ごめん、マシュ。そんなの私にも分からないよ。」

 

先程重國が放った一撃が強烈すぎてみんな10秒ほど言葉を失っていた。なんでワイバーン約300匹を纏めて塵にできるの!?訳が分からないよ…

 

≪本当に人間だよね彼?≫

 

≪さあねぇ?もしかしたら神様か何かかもよ?≫

 

「神代でもあそこまでの魔術を扱う輩はそうはおらん。あれほどの魔術を扱えるのはそれこそキャスター最高位とも呼ばれるキングメーカーや裏切りの魔女ぐらいだろう。」

 

「控えめに言っても化け物だ。あんなもの現代の人間が扱えるような代物ではない。」

 

みんなひどい言いようだね…分かるけども!

 

「あっ、重國さんを確認しました。あのスピードならあと10秒ほどでこちらに着きます。」

 

マシュの言葉で、先程の爆発で更地になって煙の上がっている所から重國達が物凄いスピードでこっちに来ているのが見えた。

 

「ありゃああいつかなり怒ってんな。」

 

「おい、大丈夫かジャンヌ・ダルク?固まっているぞ?」

 

「え、ええ…大丈夫です。あれは人間なのでしょうか?あんなのありえません。あぁお腹すいた…

 

ジャンヌが死んだ瞳で何かをボソボソと呟いてるけど怖いよ!?

 

「おい、テメエら。見てたんなら手伝えや。」

 

重國いつの間に!?しかも凄い怒ってる…

 

「わりぃ、わりぃ。お前さんの実力を見たくてな。」

 

「私は行こうって言ったんだけど聞かなくて…」

 

「あー、そう。もうなんかどーでもいいや。で?そちらの金髪美女は?」

 

「び、美女!?…コホン…私はクラスルーラーのジャンヌ・ダルクです。ええと…貴方のお名前は?」

 

「俺は日番谷重國だ。で、こっちの髪が赤い方がブーティカでピンクの方が沖田総司な。」

 

重國がジャンヌの事を美女って言ったとき、重國の後ろから凄い殺気が飛んできた気がしたんだけど気のせいかな?

 

…気のせいであってほしいナー

 

「とりあえずこれまでの経緯を説明してくれ。俺達は蜥蜴狩りしかしてなかったもんでな。」

 

「う、うん。分かった。とりあえず、歩きながら話そうか。」

 

そうして呆れながらも私は歩きながらこれまでの経緯を重國達に話すのだった。

 

sideout




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竜の魔女と竜殺し

今回終盤にオリジナル展開いれてみました。

そしてタイトル詐欺ですごめんなさい。


日番谷side

 

立香からこれまでの経緯を聞いた後、森を抜けた俺達はラ・シャリテに向かうことにした。

 

ちなみにサーヴァントには魔力節約の為、マシュを除いてすべて霊体化してもらっている。

 

「もうすぐでラ・シャリテに着きますよ。ここでオルレアンでの情報が得られない場合は、ここからさらにオルレアンに近づかなければなりませんが…」

 

「なるべくそうならないようにはしたいな。今の俺達の戦力で向こうに勝てるかも分からねーし。」

 

「勝てそうな気もするけどね。」

 

確かにゲイボルクの使い手が2人もいれば勝てそうな気もするが…

 

「それでもです。私も正直かなり焦っていますが、もう1人の私は正気ではない。戦えば下手をすれば全滅してしまうかもしれません。」

 

《妥当な判断じゃないかな?特異点の修復を急がなきゃいけないのも事実だけど、焦って全滅してしまっては元も子もないからね。ん?ちょっと待ってくれ、その先にサーヴァントの反応があるな。場所は君達が今から行くラ・シャリテだ。》

 

「敵か?反応はいくつだ?」

 

《えっと…うわっ3つもあるぞ!?けど、凄いスピードで離れていくぞ??》

 

「何が目的なんだろう?」

 

立香がそう呟いた瞬間、街から火の手が上がった。

 

「!?これは…。」

 

「急ぎましょう!!」

 

「マシュ!立香を抱えて運べ!!」

 

「了解です!先輩、失礼します!」

 

マシュが立香を抱えたのを確認すると、俺は瞬歩でラ・シャリテを目指した。

 

『お前らも準備はしておいてくれ。』

『了解です、マスター。しかし次から次へと事が起こりますね!?』

 

『それだけの異変ってことじゃないかな?とりあえず私達は臨戦態勢だけ整えておこう?』

 

『分かりましたブーティカさん。マスターは気をつけて下さいね?』

 

『ま、テキトーに頑張るよ。』

 

そう言ってサーヴァント達との念話を切り、ひたすら瞬歩で街を目指した。

 

 

ラ・シャリテに着いたがそこには誰もいなかった。

 

「まさか…!」

 

「ロマン!生体反応はあるか!?」

 

《ダメだ、そこには人間と思われる反応は1つもない。》

 

「人間じゃないのはいるってことか…」

 

最悪だな…

 

「あそこにいるのは…ワイバーン!?うっ…」

 

マシュが指を指した場所にはワイバーンがいた。

 

だが、あれは───

 

「死体を食べているのか…?」

 

「やめなさい!くっ…体が──」

 

「無理をしないでジャンヌ。今スカサハ達を向かわせたから。」

 

意外と冷静だな立香は…この状況でも的確な状況判断を下している。

 

これならきっとこれからも大丈夫だろう。

 

《一体何が起こっているんだ?》

 

「これをやったのも恐らくもう1人の私なのでしょうね…一体どれ程人を憎めばこれほどの事ができるのでしょうか…」

 

「ジャンヌ…」

 

ジャンヌを立香が励ましていると、ふと向こうから魔力の高まりを感じた。

 

「おい、ロマン…まさか──」

 

《ああ、そのまさかだ。向こうからサーヴァントが迫ってきている。なんの冗談か知らないが、数はさっき反応があった倍の6騎だ!しかも、速度が速い…これはライダーか何かか!?とにかくそこから逃げろ!》

 

「でも!!」

 

《立香ちゃんのサーヴァント達はマシュ以外すべて出払ってしまっている今、数で勝っていない以上は逃げるしかない!!撤退しよう!そうしよう!きっと三十六計さんも言っている!》

 

「…」

 

ジャンヌが動いていない!?まさかあの野郎!!

 

「ジャンヌさん、早く逃げないとサーヴァントが…」

 

「逃げません…せめて真意だけでも問い質さねば!」

 

《ダメだ!もう間に合わない!重國君、逃げることだけを考えるんだ!いいね!?》

 

「はなっからこいつらを逃がすことしか考えてねーよ。俺は死んでもいいかもしれないが、立香みたいなタイプの人間は人理修復において最も重要な人材だ。俺は無理でもせめてこいつらだけは逃がしてやらないとな。」

 

《何を言っているんだ!?君も─「もしもの場合だ。逃げれたら俺も逃げる。俺だって死にたくはないしな。」…分かった。頼んだよ!》

 

「ああ。」

 

「来ます──!!」

 

現れたサーヴァント達を見てみたが予想以上だ。

 

しかも1人異常に強そうな奴がいる。

 

「おい、マシュ。立香を抱えて離脱しろ。これは無理だ。俺とブーティカ達で足止めするから立香のサーヴァント達と一緒に逃げろ。」

 

「…え?」

 

「しかし!それでは──」

 

マシュが何かを言おうとしたところでクー・フーリンが戻ってきた。

 

「おいおい、大変な事になってるじゃねーか。」

 

「クー・フーリンか…他の2人はどうした?」

 

「俺は様子見に来ただけだ。他はまだ戦ってる。」

 

「それは好都合だ。お前はジャンヌ・ダルクを連れて他の2人と合流してから逃げてくれ。この場においてジャンヌ・ダルクは足手まといだ。」

 

俺がそう言うとクー・フーリンは厳しい目で俺を見た。

 

「…お前さん、死ぬつもりか?勇気と蛮勇は違えぞ?」

 

「ハッ死なねーよ。こっちにはまだ切り札もあるしな。」

 

「…そうか、分かった。ほら、いくぞジャンヌ・ダルク」

 

「私は行きません!彼らn──」

 

ジャンヌ・ダルクが何かを言おうとするとクー・フーリンはジャンヌの首に手刀を当て気絶させた。

 

「強情な女だな。漢の覚悟を無駄にするようなことを言うんじゃねーよ。おら、いくぞ嬢ちゃん達。」

 

クー・フーリンはマシュに視線を向ける。

 

「先輩…またも失礼します!」

 

一瞬躊躇ったマシュだったが、すぐに立香を抱き抱えて走り出した。

 

「え!?いやっ!重國は!?」

 

「…申し訳ありません、先輩。」

 

「そ、そんな…」

 

 

 

 

不思議なことに奴等は手を出さず、立香達が離脱していくのをただ見ているだけだった。

 

「意外だな。もっと手出しをしてくるのかと思ったが。」

 

「ふっ──うふふふふふふふふ!はっはっはっはっはっはっ!!」

 

何かいきなり笑いだしたぞこいつ。頭の中ハッピーセットなのかな?復讐ハッピーなのかな?べ○ータみたいな笑いかたしやがって…そんな笑いかたしてるから“ぶるルルルぁ”さんに「なーんちゃって」とか言われてすぐに再生されちゃうんだよ!

 

「何がおかしいんだ?何処にも笑える要素がないと思うんだが…」

 

いや、ホントに。今のやり取りで笑えるやつなんて狂人ぐらいだろ!…あっ!相手はフルルルルァァァァァンスに復讐することで快楽を感じる頭オッ○ッピーな奴だったわ。君は復讐することによって発情することができるフレンズなんだね?分かるとも!!(混乱)

 

「ええ──そうね。あの小娘があまりに惨めだったから、愉快すぎて指示を出すのを忘れてしまったわ!全く誰かに私の頭にむかって水をぶっかけてほしいぐらい──反吐が出るほどの友情ドラマっだったわよ?」

 

「……あ?」

 

こいつ人の話聞いてねぇぇぇ!?

 

しかも人の質問に答えてねぇくせして、自分の言ったセリフに酔ってやがる!

 

「まあ、いいでしょう。私は戻ります。バーサーク・アサシン、バーサーク・ランサー、そしてバーサーク・セイバーオルタ。私が狂化を施したあなた達はまさしく怪物。勇者達を平らげることがあなた達の存在意義。存分に貪りなさい。バーサーク・ライダーはあの小娘達を追いなさい。」

 

もう1人のジャンヌ・ダルクは踵を返し、バーサーク・ライダーと呼ばれた女は、立香達が向かった方角に凄まじいスピードで向かって行った。

 

「フッ。よろしい、私はあの桃色の着物を着た女の血をいただくとしよう。」

 

「ならば私はあの赤い髪の女の血と腸をいただくとしましょうか。セイバーオルタはあちらのマスターをおやりなさい。あなたのような狂犬にはそれがピッタリですよ。」

 

「…フンッ」

 

あのセイバーオルタって奴が一番ヤバそうだ。

 

特にあの剣がヤバい。何がヤバいってその剣がヤバいって言葉でしか表現できないってぐらいヤバい。

 

「沖田、ブーティカ。一旦別々で戦うぞ。こういう場合別々で戦った方が勝率が上がる。」

 

「私もそれに賛成だよ。」

 

「しかし…マスターは大丈夫なのですか?」

 

「心配ならさっさと片付けて俺のところに駆けつけてくれ。なに、大丈夫だ。お前らが駆けつけるまでぐらいの時間は稼げる。分かったならあの2人を連れてここから少し離れた場所で戦ってくれ。」

 

「「了解!」」

 

「では我々も行くと──ぬぅ!?「バーサーク・ランサー、だっけ?悪いけど付き合ってもらうよ?」くっ…」

 

「ランサー!?ハッ!?「余所見してていいんですか?私は今ちょーっと機嫌悪いんで余所見してると瞬殺しちゃいますよ?」チッ!!」

 

あの2人、あえてさっき相手が言ってた方と逆の相手に突っ込んでいったな…

 

さて、

 

「戦う前に真名を聞いておきたいんだがいいか?全身棘の鎧に包まれたお前じゃあ弱点なんかないみたいなもんだろ。」

 

「貴様に言う必要はない。剣を構えろ。」

 

セイバーオルタの魔力が高まるのを感じる。

 

気を抜くとすぐに呑み込まれそうだな…

 

「あっそ。まあ、はなっから期待してなかったけどな。」

 

そう言いながら俺は全力で魔力を回し、強化を全身に施す。

 

「ほう…自らサーヴァントを遠ざけて戦うなど愚の骨頂だと思ったが、訂正しよう。それに見合う実力は有しているようだ。俺に勝てるかは別としてな。」

 

こいつ、言いやがる…!

 

「違えよ。」

 

「…なに?」

 

「あいつらを遠ざけたのは俺1人で戦いたかったからじゃねえ。俺の攻撃に…巻き込まねぇ自信がなかったからだ!!卍解…!!」

 

俺がかつてないほど全力で魔力を上げると、自分の体から赤色の魔力が溢れ出た。

 

「なんだと…!?この魔力量は一体!?」

 

「大紅蓮氷輪丸!!」

 

俺の背中から生えた氷の翼の色はいつもの氷の色ではなく赤色。同じ刀でも使い手が違えば進化の仕方も違う。日番谷冬獅郎は氷華がすべて散ったとき大紅蓮氷輪丸は完成すると言っていたが俺のは違う。俺の氷輪丸は俺が魔力を注げば注ぐほど強くなる。故に俺の刀に完成形など存在しない。

 

これが今の俺の全力…!!!

 

「紅蓮氷竜牙!!」

 

赤いオーラを纏った竜が刀から飛び出し、セイバーオルタにむかって牙を剥く。

 

「…!!竜王・幻想失墜(バルムンク・オブ・ファヴニール)!!」

 

相手も宝具を用いて赤き氷の竜を相殺する。恐らく本気では放っていないだろうが…だが、今ので相手の真名が分かった。

 

「バルムンクって事はお前ジークフリートだな?」

 

「貴様…俺に宝具を使わせる為に不意討ちであれを撃ったと言うのか…!?」

 

「ああ、まあな。けど、今回は真名が分かったところで特に意味は無さそうだ。その全身の鎧。背中の弱点は隠せないはずなんだがな…どうやって隠したんだ?」

 

「隠すもなにも、再びファヴニールの血を浴びただけだが?」

 

絶対にそれだけではないだろう。聖杯もしくはその他の手段による呪いの浄化。これがなければ再び血を浴びたとしても意味はないはずだ。

 

「おんもしれぇ…!上等だ。いくぞ、ジークフリート!」

 

「ガッカリさせてくれるなよ。フッ!!」

 

こうして俺とジークフリートとの壮絶な死闘が始まった。

 

sideout

 

 

~ナレーション~

 

2人は共に魔力放出で飛び出し、数秒間で数十もの剣戟交わす。陸で打ち合ったと思えば空へと飛翔し、片や翼で飛びながら氷の斬撃を放ち、片や小回りはきかないものの聖杯からのバックアップによる圧倒的出力の魔力放出で空を飛び回り斬撃を避けつつも接近して切りつける。一方が斬撃を放てば空気を切り裂き、風が吹き荒れ、地面が削れる。そしてその斬撃を自らの斬撃をもって相殺すれば辺り一帯に暴風が吹き荒れ、家や岩などが竜巻に巻き込まれた時のように、空へと打ち上がる。

 

その様子はまさしく()()()()

 

化け物と化け物の衝突はこれだけではもちろん終わらない。2人は互いに接近しあうと相手にむかって何百回も剣を振るう。2人が数秒間打ち合うと辺りには竜特攻の効果を持った赤い氷の竜巻が発生し、周辺のワイバーン呑み込み、凍らせ、そして切り裂き、木っ端微塵に粉砕する。竜巻が止んだかと思えば、突然空に巨大な竜が出現し、ジークフリートを飲み込まんと牙を剥く。しかしそれをものともせず宝具でもって粉微塵に砕くジークフリートはまさに人間災害。そのジークフリートに全くひけをとらず剣戟を振るう日番谷重國もまた人外認定間違いなしの化け物。この2人の戦いは人間はもちろん、人間を超越した存在であるはずの英霊達であっても入ることを躊躇うほどの魔力の奔流を生み出している。地面は凍り、そして傷つき、また凍る。周辺に生物と呼べるものはすでにおらず、彼らの味方であるサーヴァント達もこの戦いに足に踏み入れることは叶わない。

 

 

────一体どれほど経っただろうか?本人達の体感では100年が経ったような気分だろうと予想するほどの剣戟の嵐。

 

しかしこの2人の戦いは意外な者によって幕を下ろすことになる───

 

~ナレーションsideout~

 

日番谷side

 

一体どれほどが経っただろうか…100年経ったようにも感じるし、たった数分しか経っていないようにも感じる。不思議な感覚だ。これが本気の戦い…まったくにやつきが止まらない。自分はこんなにも戦闘狂だったのだろうか?いや、もうそんなことはどうでもいい。俺は氷輪丸の全力をもってしても仕留めきれないあの男を1分1秒でも早く倒さねばならない。その為には…もっと速く、そしてもっと強い攻撃をくりださねばなるまい。

 

もっとだ!これでは足りない!もット…モットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットツヨイコウゲキヲ!!

 

「英霊でもないはずの人間がこれ程のパワーを持っているとは…だが力に呑まれかけているな。恐らくこれが初めての死闘か。それでは俺には勝てんぞ!フッ!!」

 

「…!?」

 

ギ…!?ハッ!危ねぇ!力を使いすぎて呑まれかけた!

 

つーか、

 

「…敵に塩を送るような真似をしていいのか?」

 

「フンッ折角面白くなってきたというのに、貴様の暴走でこの戦いが終わってしまっては興ざめにも程があるだろう?」

 

「そーかよ。てか俺も今やっと加減が分かったところだ。続きをしようz──」

 

グオオオオオオオオオォォォ!!!!!

 

「…あん?なんだあれは?お前の差し金か?」

 

「そんなわけがないだろう。あれはファヴニールだ。魔女め…余計な事を…!」

 

「はーん、まぁいいやとりあえず…」

 

俺とジークフリートはファヴニールにむかって剣を構える。

 

「「邪魔だ…失せろ!!」」

 

一閃すると駄竜が4分割された。

 

今の状態の俺ならばあんな駄竜一撃で切り伏せられる。

 

…なんか興奮状態かなんかよく分かんないけど、今の俺ってスゲー自信ありげなことばっかり考えてね?それって自意識過剰すぎじゃないですかヤダー

 

「おい。」

 

「んあ?何だよ?」

 

「貴様、名を何という?」

 

「日番谷重國だけど?」

 

「そうか…」

 

そう言ってジークフリートは俺に背を向けた。ってちょっと(;-ω-)ノい!!

 

「ちょっと待てい。何で背を向けてんだ?」

 

「先程の駄竜のせいで気分が冷めた。貴様との戦いは次の機会にする。次の戦いは貴様の持てる最高の力で挑んでこい。今回のような手抜きではなくな。」

 

「!?バレてたのか…」

 

「当たり前だ。暴走する前までの貴様には妙な余裕が感じられた。なめられたものだな、俺も。…ではな。」

 

「次の機会があれば全力でやってやるよ。次の機会があればな。」

 

そう言って俺は笑ってやる。

 

「チッ…」

 

ジークフリートは何も言わず、舌打ちだけして帰っていった。

 

「うーん、こんな序盤から流刃若火を使うことになるとは…先が思いやられるな。ハァ…」

 

俺はこの時知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の事をモーレツに心配して駆けつけたブーティカ達にしばかれるなんて…

 

 

日番谷sideout




≪紅蓮氷竜牙≫
主人公本気モードの時にのみ出せる赤い氷の竜。その威力は通常の卍解の3倍ぐらい…だといいな~

評価感想よろしくお願いします。


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物理の聖女

書くのが進まぬ…文字数減らそうかな(ボソッ


立香side

 

「重國さん、大丈夫でしょうか?」

 

私をお姫様抱っこしているマシュが思い詰めたような表情で聞いてくる。

 

正直心が痛い…けど、

 

「きっと大丈夫だよ。だって、重國だもん。絶対に何もなかったかのように戻ってくるって!」

 

「だといいのですが…」

 

「正直厳しいだろうなぁ…あの黒い剣士、間違いなく聖杯のバックアップを受けてやがる。」

 

ちょっとクー・フーリン!?余計な事言わないで!?

 

「ああ、あれは強いぞ。恐らく単純な火力だけなら私よりも上だ。」

 

「何にせよ、奴の決めたことだ。我々は我々のすべき事をするべきだろう?」

 

≪そうだね…ん?立香ちゃん後ろからサーヴァントの反応だ。数は2騎。先程の霊基とは違うから、さっきのサーヴァント達ではないと思うけど、一応警戒しておいてくれ。≫

 

また!?っと思ったが、どうやらさっきのサーヴァントとは違うらしい。

 

「─────来ます!!」

 

マシュの声とともに私も身構える。どっからでもかかってこい!!

 

「ハァーイ!ボンジュール、異国の方々!」

 

…あれ?なんか想像と違うぞ?あれれ~?おっかしいぞぉぉ!?

 

「どうやら無事だったみたいね!私はマリー・アントワネット!よろしくね、素敵な異国の方々!」

 

「は、はい。よろしくお願いいたしますマリーさん。」

 

「マ、マリーさん?………………」

 

「あの、もしかして何か気に障りましたか?もしそうだったのなら謝罪しますが…」

 

「いい!!いいわ!!マリーさん…!いい響きじゃない!羊さんみたいで!」

 

「それはメリーさんでは…?」

 

「そ、それはともかくよろしくお願いします、マリーさん。」

 

「はい!ハイハイハイハイハイハイハイハイヾ(・ω・ヾ)マリーさんでーす!」

 

なんかいきなりテンション上がったぞこのサーヴァント!?

 

「そこまでにしたまえマリア。そちらの方々も驚いて固まっているじゃないか。おっと、自己紹介が遅れたね。僕はアマデウス。そこそこ有名な音楽家さ。所でそこのお嬢さんはなにか言いたいことがあるんじゃないかい?」

 

「え?どうしてそれを?」

 

「なぁに。君の胸の鼓動が速くなっているからね。そしてその表情から読み取ったことを言ったまでさ。」

 

「まぁ、アマデウスったら!女性の胸の音を聞くなんてサイテーね!」

 

確かに…

 

今日の下着何色だったかな~?…って一体何を考えているんだ私は!?

 

そういえばダヴィンチちゃんが芸術家サーヴァントは考えることが私達一般人とは思考のベクトルが違いすぎるみたいな事を言っていたような…

 

「…そ、それよりもドクターから、「すぐ近くに霊脈があるからそこを目指してくれ」って言われたのですが…」

 

「まぁ!私ったらまた1人で舞い上がって…なんてはしたない!それじゃあ霊脈を目指すとしましょうか。」

 

そう言ってマリーさんは駆け出して100メートルほど先まで走って行ってしまった。

 

…なんて落ち着きのない人なんだ!!

 

「いえ、そこですよマリーさん…今貴女がたっている場所が霊脈です。…とりあえず休憩にしましょう。」

 

「あら、失礼。コホンッ…それじゃあ休憩にしましょうか。」

 

「いや、全く誤魔化せてないよマリア…」

 

ホントにね…

 

 

 

 

霊脈に着くと、いきなりスカサハ達が立ち上がった。

 

「どうしたの?」

 

「…!どうやら始まったようだな…」

 

いや、答えになってないんですけど…

 

「へっ、すげーなこりゃ。」

 

「なんとも言えない複雑な気分だがね、私は。」

 

≪凄い魔力の衝突だ…!そこが霊脈じゃなかったら通信が切れていたよ。≫

 

もしかして重國の戦いの事?…うーん、ここからだとよく分からないなぁ…

 

「ねぇ、スカサハ。そんなに凄い戦いなの?」

 

「そうだな…あそこ一帯はまるで神霊同士がぶつかり合っていると錯覚してしまってもおかしくないほどのエネルギーの奔流だ。」

 

「あんな化け物がいるなんて僕は聞いてないんだけど…」

 

あっ、アマデウスさんがへたりこんじゃった。

 

「そうね…確かに凄まじい戦いだわ。もしかして今戦っているのは本当に神霊同士だったりするのかしら?」

 

「いや、一方は普通の人間だが?まぁ、あれを人間と呼んでいいかは置いといてだがな。」

 

スカサハおばさんひどい言い草だな。

 

ウワッ…あの人私がおばさんって思った瞬間にこっちを見たんだけど。エスパーかな?…ありうる!!

 

「もし普通の人間がここまでの力を出そうと思えばそれこそ魔法とも呼べる力を使わなければ不可能だ。さすがの奴でも相当な無茶を体に強いているのだろう。」

 

「まぁ!だったら急がないと!」

 

≪そうしてほしいのは山々なんですけどね~。近くにサーヴァントの反応だ。数は1騎。けどこの人数なら大丈夫だろう。≫

 

だといいけど、ドクターあんまり信用できないからな~

 

「こんにちは、皆さま。寂しい夜ね。」

 

え?夜なのにこんにちはって言うの!?

 

「先輩、私の後ろに!」

 

「───それほどまでの風格。さぞ高名な英霊とお見受けしますが、何者なのですかあなたは?」

 

「さあ?何者なのでしょうね私は。己を聖女たらんと戒めてきたというのに、こちらの世界ではすでに壊れてしまった聖女の使いっ走りなんて…。まったく、彼女のおかげで今の私は理性を保つので精一杯です。だからあなたたちが「もしかしたら」と期待しているようなことは怒らないわ。ごめんなさいね…」

 

「マシュ。私とあなたで防御を受け持ちます。盾をしっかり構えなさい。」

 

「了解です。ジャンヌさん。」

 

あなたたち!話を聞いてあげて!?あの女の人涙目よ!?

 

「我が真名をここに!私はマルタ!聖女のマルタよ!旅人たちよ。私の胸に刃を突き立て、ためらいなく私の屍を越えて行きなさい。無論私も手加減はしません。さあ出番よ、大鉄甲竜タラスク!」

 

≪マルタってあの聖女マルタか!?不味いぞ。気を付けろみんな!≫

 

よく分かんないけど凄い人なのは分かった!

 

「みんなお願い!」

 

「任せよ。」

 

「即興の安物だが僕の音楽を聞いていくがいい。」

 

「タラスクはあちらの4人を殺りなさい。私はあちらの3人をやります。」

 

───グオオオオォォォ!

 

「おもしれぇ…!」

 

「ええ!やってやろうじゃない!覚悟なさい!」

 

「マスター。こちらは儂らだけで大丈夫だ。お主はそこの女にのみ集中しておけ。」

 

「分かった!」

 

タラスクと呼ばれた竜に向かって突撃していったスカサハを見届けると私はマルタと名乗った女性に向き直った。

 

「さて、マスター。指示を頼むぞ。」

 

エミヤから指示をしろとの催促がきた。

 

じゃあ、えーっと…

 

「今回エミヤは前衛をお願い。マシュとジャンヌは基本防御で、隙が出来たら攻撃して。」

 

「「「了解(した)!」」」

 

「あなたたちの力、見極めさせてもらいます!せやっ!」

 

バーサーク・ライダー(もうライダーでいいや)がエミヤの剣を弾いた。

 

しかも()で。()で!!

 

「なっ!?ぐっ…拳…だと…!?」

 

「さあ、耐えきってみせなさい!鉄・拳・制・裁!」

 

あれはさすがにヤバい!!

 

「ジャンヌ!!」

 

「任せてください!我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)!」

 

ジャンヌが宝具でなんとか耐えている間にエミヤとマシュが攻撃する。

 

「はあぁ!」

 

「干将・莫耶!」

 

「…っ!!ちっ、やるわね。でも、それじゃあまだ足りないわよ?」

 

「マスター、魔力を回せ。私の宝具で仕留める。だが詠唱に時間がかかるからな。その間の防御を頼むぞ?」

 

「わ、分かった!」

 

「そのようなことさせるわけがないでしょう!」

 

「はあぁ!」

 

「なっ!?…くっ!こざかしい!!」

 

「I am the bone of my sword.

――― 体は剣で出来ている

 

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で、心は硝子

 

I have created over a thousand blades.

幾たびの戦場を越えて不敗

 

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく

 

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない

 

Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う

 

Yet, those hands will never hold anything.

故に、その生涯に意味はなく

 

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.

その体は、きっと剣で出来ていた 」

 

「凄い…」

 

エミヤの詠唱が終わると、辺りの景色はすっかり変わった。辺り一面剣が刺さった荒野となり、空には歯車が浮かんで回っている。

 

「これは固有結界!?自らの心象風景を具現化したというの!?「悪いが無駄話をしている時間はないのでね。一気に決めさせてもらうぞ。」…!?」

 

エミヤはそういうと手を上に上げて、ライダーのまわりに剣をドーム状に展開した。

 

「食らっていけ!」

 

ライダーに向かって数えきれないほどの剣が全方位から迫り、ライダーの体を切り裂く。

 

「ぐっ…!うぐぁ!?」

 

「これで幕引きとしよう。

 

鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)

 

 

心技 泰山ニ至リ(ちから やまをぬき)

 

 

心技 黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)

 

 

唯名 別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)

 

 

両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)

 

鶴翼三連!!」

 

エミヤの剣がライダーを切り裂いた瞬間、固有結界が解けて、もといた場所に戻った。

 

「…ふん。ここまでのようね。」

 

「私の鶴翼三連を直撃で受けてまだ立っていられるのか。化け物かね君は?まったく、英霊とはそういうものだと理解しているつもりだが、実際にそのしぶとさを目の当たりにすると嫌になるというものだ。」

 

「あら?失礼ね。せっかく此方側の情報を教えて差し上げようと思ったというのに…」

 

「むっ、それは失礼。非礼を詫びよう。これでいいのだろう?では、遠慮なく言いたまえ。」

 

「ホントムカつくわねコイツ。まったく私に虐殺なんかさせるからこんな風になるんだってえの!」

 

「え──マルタ…?」

 

「まあいいわ。あんまり時間がないから手短に教えてあげる。今のままのあなたたちでは竜の魔女が操る竜と黒のセイバーには恐らく勝てないわ。本当は2体いるはずいるはずなのだけれど、ついさっき黒のセイバーとあんたたちの仲間の人間に4等分にされたわ。…黒のセイバーは結局あの人間を殺さなかったみたいね。」

 

「重國は生きてるのか…よかった…!」

 

なんか死亡フラグっぽい感じのセリフだったからすごい心配しちゃったじゃない!

 

≪殺さなかったってことは、あの重國君が結構ヤバい状況まで追い詰められたってことなのか?≫

 

「さあね?そこまでは私も知らないわ。そんな事よりもここからが重要よ。竜の方の名はファヴニール。あなたたちは知っているかしら?」

 

≪ファヴニールだって!?ジークフリートがやっとのことで倒したっていうあの!?≫

 

「そうよ。そしてそれよりも遥かに厄介なのが黒のセイバー。あのファヴニールをたったの一閃で屠ったあの人間も大概だけど、あいつはそれ以上に厄介だと思うわ。聖杯のバックアップを受けてるから魔力切れなんて起こらないしね。」

 

「それほどまでの力の持ち主なのか…」

 

「ええ。恐らく生前よりも強いでしょうよ。背中の弱点も再びファヴニールの血を浴びることによって消えてしまったしね。」

 

≪背中の弱点ってまさか!?≫

 

「そう、黒のセイバーの真名はジークフリート。世界最強の竜殺し(ドラゴンスレイヤー)よ。…もう時間ね。私は先に戻るわ。後はあなたたちでなんとかなさい。」

 

そう言い残してマルタは消えていった。

 

…ていうかマルタの話通りならいつの間に重國の戦いは終わったんだ!?

 

「あそこを見てみろ。凄まじい戦いの余波で地形が変わっているぞ?」

 

いつの間にか戻ってきたエスパースカサハに言われた通りの見てみると、重國が戦っていた場所の地面は斬撃痕が残り、地面からはは赤い氷が突き出てワイバーンを凍らせて串刺しにしていた。

 

文字通り地形が変わって、地図を書き直さなきゃいけないレベルだと思うんですけど…

 

エミヤなんか現実逃避をするためかは分からないけどずっと「体は剣で出来ている、体は剣で出来ている、体は剣で出来ている、体は剣で出来ている、体は剣で出来ている…おっと心は硝子だぞ?」とか呟いてるし。

 

「え、えっと重國は今何処に?」

 

≪さっきのばしょからはあまり動いてないみたいだけど…≫

 

「じゃあ今すぐ合流して対策を練ろう。重國にも通信できる?」

 

≪わ、分かった!ちょっと待ってて。≫

 

ドクターはそう言って私達との回線を1度切って重國と会話を始めた。

 

1分ほど待っていると重國との通信を終えたドクターがこちらに話しかけてきた。

 

≪重國君は戦いで疲れちゃって今少し寝てるから立香ちゃん達に来てほしいってブーティカさんが言ってたよ。≫

 

「分かったよ。じゃあみんな!重國のいるところまで行こう。」

 

「「「「「了解」」」」」

 

「ええ、じゃあ行きましょうか。」

 

「そうだね。また1人で突っ走らないでくれよマリア?」

 

「あら、分かってるわよアマデウス。」

 

「ならいいんだけど…ねぇ?」

 

そう言いながらこっちを見るアマデウス。

 

うん…まぁいいけど、こういうときぐらい合わせてほしいな~なんて考える私なのであった。

 

 

立香sideout

 

 

 

 

 

 




戦闘中の模写は…まああれだね、難しいよね?そうだよね?


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進撃

遅くなってしまいすいません。ええ、これもすべて受験勉強とかいうやつのせいなんですよ!ほぼ2週間ごとの周期で模試があるとか金の無駄でしょ!FGOやらせて!

…とまあ作者の愚痴はさておき、福袋引いたらまさかの2枚ぬきで山の翁さんとイシュタルさんが降臨なされました。ありがとうございます!!

…育成めんどくせっ!!




side日番谷

 

 

なんとか黒のセイバー達を撤退させた俺たちだったが、その代償は大きかった。特に、俺が。

 

「体が…動かん…だと!?」

 

顔を歪めながら必死に動かそうとするが指一本ピクリとも動かない。

 

「そりゃそうでしょ…どんだけ無理したと思ってるの?」

 

ブーティカが呆れたように言ってくるが、そんなことは分かっているのだ。…分かってるんだ!けど「日番谷さんの斬魂刀でどこまでやれるか?」という男のロマンを探求にはいられなかったんや!確かに馬鹿げてるけど俺は必死に戦ったんや!なのに、なんでや!!なんで必死に戦った後に俺が自分のサーヴァントに飛び蹴りされなあかんねん!

「私が言えたことじゃありませんけど、ホントに無茶苦茶しますね、マスターは。少しはご自分の体のことも気を使ってくださいね?」

 

「ホントに君に言われたくないことだよね、それ?」

 

「最初に私が言えたことじゃないって言いましたよね!?最近ちょっとこの超天才の沖田さんに対して辛辣じゃないですかマスター!?」

 

そりゃそうだ。だって────

 

「お前が俺が楽しみにとっておいた生八つ橋1人で全部食べたからだろ?あれ高かったのに。」

 

「その事に関してはちゃんと罰を受けたじゃないですかぁ~!!」

 

「そうだな。けど、それとこれとは話が別だ。食べ物の恨みは恐ろしいのだ。」

 

「そんな~…ウゥ…」

 

ちょっと涙目の沖田に罪悪感が沸くが言いたいことが山ほどあるのでこの際言っておこう。

 

「大体お前は思考回路がぶっ飛びすぎなんだよ。夜にいきなり俺のベッドに入ってきたと思ったらサラシとパンツだけだし、間接キスはお構い無しに自分の使ってた箸を俺の口に突っ込んでくるし…あんなこと毎日されたらそりゃあ当たりも少しはきつくなるんじゃないんですかね?沖田さん。ちょっとでもいいからブーティカお母さんを見習ってくれ。」

 

「これほどの美少女が使った箸をつっこまれる突っ込まれるのなら役得ですよね!?」

 

「美少女なのは否定しないが、それを自分で言っちゃう時点頭がヤバいのは確実だな。」

 

「な、なんですと!?むむぅ…次はサラシをとってみましょうかね…」

 

「おい、なんか変なことが聞こえたぞ。それやったら令呪で廊下に強制転移させるからな!」

 

「うぇ!?で、でもでも自害じゃなくて廊下への強制転移だけってやっぱりマスターは優しいですね!!マスターはやっぱり沖田さんの事が好きなんですね!?」

 

「うるさいぞ自意識過剰な猿。ただ単純に自害させたら後味悪いだけだバカ。それによく考えてみろ?」

 

「ん?なにをですか?」

 

俺は某アニメの名ゼリフをあいつに向かって言い放つ

 

「人間は、猿に恋しませんよね?」

 

「な、マスターは私が猿だと!?」

 

「さぁ…どうでしょうね?」

 

「マスター?そこまでにしとこうね?」

 

後ろからとんでも殺気が飛んできた。間違いない!ブーティカお母さんが怒ってる。激おこプンプン丸だぜこらぁ!!やばい…こ、殺されるぅ…!!

 

「じ、冗談だよ。「ん?なに?(メキッ)」ギィィィィヤアァァァ!!は、はい!!大人しく寝てます!」

 

「ン。ならばよし。寝なさい?」

 

「ハ、ハイ…」

 

頭を締め上げられた俺はその痛みもあり、目を閉じるとすぐに意識を闇に落とした。

 

 

日番谷sideout

 

 

side立香

 

 

戦いの余波で更地になってしまった大地を進んでいくと、3人の人影が遠目ながらに確認できた。間違いない、重國達だ。

 

「まだまだだが、存外にしぶといようだな、彼奴は。」

 

「だが、それでもあの力を扱うとなると人の身では体がもたんだろう。」

 

「そうだな、お主の言う通り彼奴の体はボロボロだ。少し急ぐぞ。彼奴を治療せねばならんのでな。」

 

「分かった。クーちゃん、お願い。」

 

「クーちゃんってなんだよ…?つーか、こういうのはそこの奴の方があってると思うんだがな…」

 

渋々と私をお姫様抱っこするクーちゃんだが、その手つきは優しい…っていうかなんかエロイ。尻さすってるし…やめちくりぃ!こそばゆいし、さっきまでドクターと通信してたマシュがジト目で見てるからね!?

 

 

重國の所に着いた後、すぐにその場を離れるべく、ブーティカママンに戦車を出してもらい、戦車での移動中にスカサハに重國をルーンで治療してもらった。マリーちゃんには馬車を出してもらい、ジャンヌやアマデウス達に乗ってもらった。

 

無事に森の中に入った私達はキャンプができるようにカルデアから送られてきたテントなどの物資を組み立てて、手の空いたサーヴァント(エミヤとブーティカ)には料理をつくってもらった。重國はスカサハの治療のお陰もあってか顔色は土色から通常に戻り今はゆっくり寝息をたてている。OPIタイツのスカサハ氏によれば今日の夜には目が覚めるそうだ。今はみんなで今後の作戦会議をしている。

 

「私達ちょっと重國に頼りすぎなんじゃないかな?」

 

私がそう言うとみんなも頷きで返してくれる。どうやらみんなも私と同じ事を思っていたみたいだ。

 

「重國さんが勝手に敵に突っ込んでいってるのもあるかもしれませんが、今後このままでは恐らく破綻してしまいますね。」

 

「重國のサーヴァントとしては重國にはどうしようもないとき以外は前線に出てほしくないんだけどね…」

 

「それならばいくらでも解決策があるだろう?前に出させたくないないなら遠距離からあの有り余る魔力で支援させればいいだけの話ではないか。」

 

「なるほど…確かにあの不思議な魔術で支援してもらえればすごい助かりますね。」

 

「えーと、なんだっけか?あっそうそう、あの六杖光牢とかいう奴は使い勝手が良さそうだな。」

 

「私もその意見には賛成だ。彼は少し前に突っ込みすぎるきらいがある。それを抑える為にはやはりこの案が一番有効だろう。」

 

酷い言い草だ

 

「あ、あのさ~、みんな重國の事どう思ってるの?」

 

この機会にみんなに重國の印象を聞いてみることにした。

 

「手のかかるやんちゃな子供かな?」

 

「私の言えることではないですが、無鉄砲なアホですね!」

 

「見込みのあるやつだな。」

 

「修行させれば私を殺せそうな奴だな。」

 

「ケルト勢と同じ臭いのする脳筋だな。」

 

「わ、私はまだ彼の事をよくしりませんから…」

 

「彼は──えーっと、そう!ズバリ!不思議な人ね!」

 

「君と同じなのは癪だが、僕も同じ意見だね。彼からはすごく不思議な音色を感じる。」

 

言わなくても分かると思うが、上からブーティカママン、沖田、クーちゃん、OPIタイツ、エミヤおかん、ジャンヌ、マリーちゃん、音楽家という名の変態だ。

──って誰に喋りかけてるんだ私…

 

「…あ?何処だここ?」

 

丁度方針?が決まったところで重國が起きた。

──ウーーーーーッジャッッッッストタイミイイィィィング!!!…やっぱり今日の私ちょっとおかしいな。帰ったらドクターにメンタルカウンセリングしてもらおう、そうしよう。

 

そんな事を考えているうちにエミヤおかんとブーティカママンの説教が始まった。

 

 

立香sideout

 

 

side日番谷

 

 

起きたらいきなり小一時間説教されたでござる。何を言ってるのか分からねえと思うが俺自身もなに言ってるのか分からねえ。説教の内容はやれ無茶のしすぎだの、突っ込みすぎだの、君は脳筋なのか!?だの、お前ら言ってること全部同じじゃねぇ?と言いたくなるようなないようだった。

 

あっ、あともう前線に出るなって言われた。タイツおばさん曰く、お前は魔術師なんだから後方支援をしろということらしい。ようは鬼道でバンバン攻撃しろってことですね、分かります。え?違う?拘束するだけで十分?もっと自分のサーヴァントを信じて体を大切にしろ?そんなぁ~…

 

説教が終わると立香は疲れているらしく寝てしまった。その後の話で俺は明日の最終決戦でブーティカ、沖田と共にファヴニールの相手をすることになった。恐らくジークフリートも付いてくるとのこと。やだっ!超hardモードじゃない!

 

話が終わった後すぐに沖田とブーティカが抱きついてきた。ブーティカの沖田の胸部装甲を堪能していると、ふと某有名声優が歌っていた歌を思いだした。

 

──泡立った感情シ○イクされて~♪なんちゃら~かんちゃら~予・想・外っ♪

 

…なるほど。小○寺さんが○条君に恋してる時の気持ちが分かったよ!こんな気持ちだったんだね(違います)

 

 

そんなことを考えながら俺はブーティカの胸で息ができずに意識を落とした。

ま、まあ疲れてたんだから仕方ないよね!(ゲス顔)

 

ブーティカのOPIやわらかかっ、た…

 

 

日番谷sideout




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