ハイスクールD×D〜暗黒英雄と赤龍帝〜 (ゼパル・ガルベスク)
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第0章:始まりのアズライグ
第0話:死と蘇生改造


時系列的にイッセーは一年、今回出るオリキャラは二年生です。

最初は暗い、とにかく暗い!

酷すぎるとか文句は受け付けないし現実逃避する!!それがガラスなハートの私が身につけた生存方法…

イッセーが可愛そすぎるけど…どうぞ!




羅刹、それは鬼神の中でも人を喰らう最強の悪鬼、羅刹鬼(らせつき)速疾鬼(そくしつき)可畏(かい)とも訳される程、残虐性・速度・高度な戦闘能力と知能に恵まれている。最高速度は人では辿り着けないほど速く、正に食物連鎖の王者と言えるだろう……。

 

では、怪人は知っているだろうか?

特撮などで敵キャラとして出てくる怪物の姿をした人間で、必ずヤラレ役として登場する存在だ。

 

だが……そんな存在がもしも、主人公の仲間だったら?これはそんな話…

 

 

 

《side:兵藤一誠》

 

オッス!俺は兵藤一誠、みんなからはイッセーって呼ばれているハーレムを目指す極普通の思春期真っ盛りの男子高校生だ。

 

話は変わるけど、俺には俺と違って出来のいい兄貴がいる。名前は兵藤一也、頭も良く運動も出来て人気もある…そしてこんな俺に対しても優しくしてくれるイイ人だ。俺とは本当に真反対な最高の兄貴だけど、その兄貴にある廃工場に呼び出されたらまさか、こんな事になるなんて……

 

 

 

俺は今、兄貴に殺されかけている。

 

 

 

 

 

《sideout:兵藤一誠》

 

一誠「あ、兄貴?いきなり何を…」

 

一也「そろそろ原作に入るからな、まぁこれから死ぬお前には関係ないけどよ!!」《ザクッ》

 

一誠「グアァァァッ!?」

 

一也が右手に持っている光の剣が一誠の左足に深く突き刺さる、一也はそれを右に振り払う事で剣が刺さっていた膝が力無く逆方向へ曲がる。

 

一誠「アアアアアアアアアッ!!?や、やめて…やめてくれよ兄貴!!あの優しかった兄貴はどこに行っただんだよ、カッコよくて頼りになるあの兄貴が一体どうして…どうして!?」

 

その言葉に一也はハァ…と溜息を吐くと、嘲笑うかの様に一誠にトドメと言える台詞を吐きつけた。

 

 

一也「ハハハハハハ!!前からバカだとは思っていたがココまでおめでたい脳味噌だとは思わなかったぞ。俺がお前みたいな変態でアホで何の取り柄もないクソ野郎を好き好んで仲良くすると?本気で思っているのか?クハハハハァッ!!本当に愚かな奴だぜ!才能も無い、まともな努力も出来ない、あるのはエロさと『()()()()()()』の力のみだ。お前みたいなゴミが主人公だなんて許せるか!俺の方が相応しい、おれがお前の代わりにヒロインを惚れさせてやる…よっ!!」《ドグッ》

 

一誠「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

一也の光の剣が形を変えて、巨大なハンマーになり残っていた右足を思い切りへし折る。

 

一誠「い、痛い…痛いよ…」

 

一也「全く、許せないと言えばあの転生神とか言う奴もだよ。元々俺がお前に憑依して赤龍帝になる筈だったのに、自分にはそんな権限は無いとか言いやがって。まぁ、他人から神器をぶん取る能力と、光を様々な形に出来る神器を寄越したのは有難いがな。さてと、遊びもここまでにしてそろそろ本番に移るか」

 

一誠「ヒィッ!?待ってくれよ、俺達兄弟だろう?その神器が何なのか知らないし、主人公とか全然分かんないけど譲れるもんならあげるよ!だから…お願いだよ…殺さないで……」

 

ニヤニヤと笑いながら一誠に光の短剣を向ける一也をすっかり恐れてしまった一誠は使い物にならなくなった両足を引きずりながら命乞いをする。けれども、一也は真顔になり一誠の親指の付け根に短剣を突き刺す。それにより一誠は声にならない悲鳴をあげる。

 

一誠「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!?」

 

一也「この世に二人も主人公がいたら可笑しいだろう?どうせ神器を抜き取られた死ぬんだし、ココで主人公であるこの俺の役に立てるんだから本望だろう?クズはクズらしく人間様に掃除されろ!!」

 

一誠「い、嫌ダァァァァァァァァ!!」

 

一誠はこの時、一也が自分に向ける視線に最大の恐怖を覚えた。その視線はまるで使われ過ぎた挙句に牛乳をブチまけられたボロボロの雑巾を見る様に、汚らしい物を見る視線であった…………。

 

 

 

***

一誠の悲鳴が響いてから数時間後、最終的に首を刎ねられた一誠の表情は絶望しきっており、首から下は完全にズタズタになって居た。

 

そして、一也の腕には一誠が持っているはずの神滅器(ロンギヌス)の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が装着されていた。

 

一也「クハハハハハハハハハハハハ!!!やった、やったぞ!!遂に『赤龍帝の籠手』を手に入れたぞ!これで俺が主人公だ!!ハハハハハハハハハ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何が楽しいんだ?』

 

すると、籠手からシブいハスキーな男性な声が聞こえできた。その声に一也はニヤリと笑って声の主に話しかけた。

 

一也「やぁドライグ!!初めましてだな、俺は兵藤『一也だろ、知っている』ッ!?な、何で?」

 

ドライグ『決まっている、お前が殺した人間…兵藤一誠の中でずっと見ていたからだ。それだけじゃない、会話こそ出来なかったもののずっとずっと長い間そいつの心の中を見ていた。お前に首を刎ねられるまでな…おかげで神器の中にいる怨霊共が騒ぎ出した程だ』

 

その言葉に一也は驚きを隠せなかった、自分が知っている兵藤一誠はドライグを目覚めさせるのに堕天使との闘いを終えなければならないからだ。会話できる様になるのもフェニックスとのレーティングゲームが終了してからの筈、明らかに変わっていた。

 

一也「そ、そんな…原作と違う!?」

 

ドライグ『お前の言う原作が何なのか知らんが、アレも原作と違うのか?』

 

ドライグの問いに疑問に思った一也は辺りを見渡すと何やら黒紫の渦が現れていた、一也はこの時恐ろしいほどの圧迫感に覆われていた。

 

一也「(何だよ、何なんだよこれ。こんなの知らないぞ、くそっ!あの野郎なんか変なもん組み込みやがったな?いや、もしかしたらオーフィスかもしれない…よくよく考えたら主人公を殺したんだ、少しぐらい改変があってもおかしくないか)やぁ、オーフィスかい?姿を見せてよ」

 

一也はいつも通りフランクな感じに挨拶をした、それに対しドライグは胸焼けがする様なもどかしい嫌悪感に包まれた。確かに一誠は褒められる様な事はして居ない、覗きなんてしょっちゅうしている悪ガキだ。

 

だが、心優しい一面もある。クラスメイトが困っている時は手を貸すし、友達を見た目で選ぶ事もしない、学力は学園では平均レベルでも一般的には良い方だし体力面もおおむね良し、それに顔は中性的だが整っている方だ。欲望を尊重する性格の所為で、台無しになっているが…それでもドライグは将来、最高の相棒になるやもしれない人物を侮辱されるのは我慢出来なかった。

 

ドライグ『(兵藤一誠の生い立ちを知っているなら如何してあんな性格になったかも知ってる筈なんだがな…どちらにしろ、此奴はハズレだな)』

 

どうせ力に飲み込まれて死ぬ、そう思っていたドライグが神器の奥に入ろうとすると突然、神器が物凄い勢いで引き抜かれるのを感じた。

 

確認してみるとドライグは驚きで目を白黒させた。それもそうだろう、何故なら一誠を殺した男が恐怖の顔をしながら干からび、焼きただれ、傷だらけで息絶えていたのだ。

 

ドライグ『なっ!?コレは…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、いつまで経っても邪悪な外道の悲鳴は最高だなぁ。これをBGMに食事なんて良いんじゃないか?」

 

すると、赤い球体に包まれた己の体を持っていると思われる人物がいつの間にか居た。ボイスチェンジャーで声を変えているその人物は黒いローブで全身を隠しているが、自分を掴んでいる白い左腕が人間の物でないのは明らかだった。

 

ドライグ『貴様……何者だ?一体何をした?』

 

「別に?殺しただけさ」

 

ドライグ『随分アッサリと暴露するんだな…何が目的なんだ?』

 

「お前、そこの…ええと…名前なんだっけな?とにかく兵藤一誠を殺したゴミの会話で出てきた原作を戻す為に害獣駆除に来たってわけ…まぁ、上の奴らがバームクーヘン買って来いとか色々行って来た所為で死なれたけどな…」

 

ドライグ『いや、無視しろよ…』

 

「無視したら隕石落としてくんだぞ…」

 

ドライグ『それは、まぁ、何と言うか、御愁傷様って奴だな……』

 

「言わないでくれ、悲しくなる」

 

最初の緊張感など全く感じさせないトークにドライグはすっかり毒気を抜かれてしまった。その人物は一誠の頭を持つとその顔をジッと、悲しそうに見つめていた。

 

「俺、こいつのファンでもあるんだよね。確かにスケベだし?未来じゃ乳龍帝だのおっぱいドラゴンだの呼ばれてるし?技の殆どがエロ目的だが、熱血ぶりと優しさは素晴らしいものだ」

 

ドライグ『あぁ、俺も同感…待て、今なんて言った?乳龍帝?おっぱいドラゴン?ドユコト?』

 

「言っとくけどお前の自業自得だからな。力を付けさせる余り、欲望を糧にしろ的な事を言うから余計にエスカレートしたんだ。最終的には乳神様とか言う奴に気に入られて復活するんだぞ?」

 

ドライグ『そ、そんな…』

 

 

落ち込むドライグを他所に一誠の身体を集め、その人物はローブの中から甲殻類の様な触手の様な物体を取り出して、その身体を覆った。

 

 

「さて、兵藤一誠よ。君を甦らそう…少しプレゼントをしてね。頑張ってくれよ?()()()()()

 

 

 

 

 

 

その翌日、兵藤一也の葬式が行われ…其処には、死んだはずの兵藤一誠の姿があった。

 

 




言ったっしょ?言ったっしょ?

イッセー可愛そうって言ったっしょ?

次からは、まぁ、大丈夫かなぁ…?


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第1話:イッセー、自分を改める

今回は前よりも少なめです。

まぁ、楽しんで下さい。



一誠「……ん?どこだ、ココ?」

 

目を覚ました一誠が居たのは空が黒く、地面が赤く燃えている不思議な空間だった。そこに一誠はフワフワと浮いていた。

 

一誠「確か…兄貴に廃工場に呼ばれて、そこで兄貴に殺されて、いつの間にか兄貴の葬式に出て…っておかしく無いか?何で俺じゃなく兄貴?」

 

そう、確かに殺されたのは一誠で一也ではない、なのに死んでいるのは一也で生きているのは一誠なのだ。

 

一誠「何が、一体どうなっているんだ?訳が分からねぇよ…『俺が説明しよう』ッ!?誰だ!?」

 

一誠が声に反応すると、燃え盛る炎から赤い鱗にエメラルドの様な瞳を持った気品溢れる龍が現れた。

 

一誠「あ、赤い龍………?もしかしてお前が!!」

 

ドライグ『その通り、俺が赤龍帝と呼ばれし二天龍の一角…ア・ドライグ・ゴッホだ。よろしくな、相棒』

 

一誠「何がよろしくだよ!俺はお前の所為で……いや、何でもない」

 

怒りの表情で責め立てようとした一誠だが、すぐに落ち込んだ様に暗い表情をした。自分が殺されたのはドライグが居ただけじゃない、自分が相応しくないと判断されたからである。

 

ドライグ『…責めないのか?』

 

一誠「お前を責めたら、もう殺される心配は無くなるのかよ…んな訳ねぇだろ。俺だってそれぐらい分かるよ」

 

ドライグ『そうか……だが、俺にも非はある。聞いた話では俺はお前を欲望のまま生きる様に進めたらしい、汚名を着せられても仕方ない』

 

一誠「いや、もう良いよ。それよりさ…何で俺は生きているんだ?兄貴にやられてからこの瞬間までの記憶が曖昧なんだけど……?」

 

ドライグ『それは、俺にも知らない存在によって蘇生されたからだ』

 

一誠「蘇生?どんな人が?」

 

ドライグ『さっぱり分からない、恐らく人の形をしているのだろうが人間では無いのは確実だ。そしてこんな事を行って来た、お前を鍛えろと』

 

一誠「お、俺を!?」

 

 

一誠の驚きに肯定するように周りの炎の威力が上がる、ドライグは頷きながら翼を広げて答えた。

 

ドライグ『その通りだ、元々俺とお前は会話が出来ないだけで神器や魂の波長などはピッタリとあっていた。ただ、戦いに疎い一般人だとまともに扱えないのが普通の事なんだ。だが、これから先またあんな力になり溺れた馬鹿どもに殺されて良いように使われるのも癪だしな』

 

一誠「でも、俺は何の才能も無いんだろ?それなのに強くなる意味なんて…」

 

ドライグ『いや、確かに才能は必要だが強い覚悟も必要だ。お前はもう殺されまいと言う目標が既にある、その目標の為に強くなればいい』

 

一誠「・・・・・・・」

 

 

一誠は俯きながら考える、確かに死ぬのは嫌だ。だが、それが自分にできるのだろうか…今回は謎の人物にすくわれたが今度もそうなるとは限らないのだ、次はもっとひどくなるのかも知れない。だが、ふとその事が頭を下げ過ぎるとその人物の事が頭から離れなくなった。

 

一誠「俺を助けてくれた人はさ…善人なのかな?」

 

ドライグ『それは断言出来んな…パッと見た所、奴の趣味は悪党をジワジワ嬲り殺す事だからな。話は通じるみたいだから狂人は狂人でも常識のある狂人らしい』

 

一誠「どんな狂人だよそれ…でも、強くなったらさ…お礼言えるかな?」

 

ドライグ『さぁな……まぁ、力は貸すぞ?相棒』

 

 

 

***

それから一誠は変わった、持っていたエロ本は全て友である松田と元浜に譲ったり売り飛ばしたりして片付けた。勉強も真面目にやれば何時もより解るようになり、身体も鍛える事で前よりも強くなった。

 

勿論、周りの者はどうしたんだと心配したが兄が死んだ為に自分が頑張らなければならないと言って誤魔化した。両親は涙を流し喜んでくれたが無理はするなと言い、変態二人組は元に戻そうとしている。寂しいのだろう…だが、付き合いはやめないでいる。

 

そして少しづつだが周りの反応が変わっていった。

 

 

「兵藤の奴、変わったよね…」

 

「お兄さん死んじゃったし、それでじゃ無い?」

 

「なんか、カッコよく見えてきた…」

 

 

 

それはこんな所でも…

 

「ねぇ、あの子…なんて名前だったかしら?」

 

「彼ですか?確か兵藤一誠…と言ったような……」

 

「兵藤、イッセー…」

 

 

 

そして、ココでも…

 

「彼が神器を持っている兵藤一誠?」

 

「は、確かとの事です」

 

「ふぅん、中々いい男ね…殺すのが勿体無いわ」

 

 

 

そして、こんな所でも…

 

「赤龍帝の力…強まった?」

 

「アルビオン、感じるか?」

 

『微弱ながらな…だが、お前に叶うとは思えんぞ』

 

「ククク、それはどうかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、赤龍帝の力が目覚めた様だな…暫くは様子を見るか。まぁ、頑張ってくれよ?最高の主人公くん……」

 

 

そんな事を呟きながら、電柱の影から覗いている一誠を救った人物はその影に吸い込まれる様に消えていった。

 

 

 

 

 

 




まぁ、解る人には解るよね…最後以外。

謎の人物の正体はまだ先ですが、次回から原作前のイッセーの一年間の奮闘に移ります。


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第2話:イッセー、死にかける!?

最近、とあるサイトでイッセーに見た目がソックリなキャラを見つけました。『漆黒使いの最強勇者 仲間全員に裏切られたので最強の魔物と手を組みます』って長いタイトルの主人公です。

あ、でも似てるのはあくまで漫画の方なので、漫画で調べれば分かると思います。ただ、とあるサイトでしかやってないみたいですが……




イッセーが変わってから数ヶ月の時が経った、アレから毎日体を鍛え続けた結果、すっかりスポーツマンの肉体となった。あまり真面目に取り組まなかった学問も、必死にやり高成績を取ることができた。その結果………

 

 

 

一誠「松田…元浜…何故か知らないがまた俺を題材にした同人誌を拾ったんだが…しかも必ず俺が受けのヤツなんだけど……」

 

 

 

「「何故か知らないが……じゃねえこの野郎!!」」

 

深刻そうに悩みを打ち明ける一誠に坊主頭の青年、松田と眼鏡をかけたインテリ系の青年、元浜が声を荒げながらガタンと席を立ち叫びながら詰め寄る。

 

一誠「うわ!?な、なんだよいきなり…」

 

松田「俺達だって被害者だ!お前の見つけたモノは全て雑兵も雑兵!!何が悲しくて俺達がオークになってビキニアーマーのお前を触手責めにしにゃならんのだ!?」

 

元浜「しかもなんかエロいんだぞ!!知り合いで、しかも男でちょっとドキッとしちゃった俺達の気持ちがお前に分かるか!!?」

 

一誠「知りたくなった!!どっちも!!!」

 

イッセーは悪友二人の発言に(色んな意味で)ショックを受けた、そうイッセーは変わり始めてから人気が出てきたものの、そのせいで腐女子なるものにこういった物を描かれているのだ。

 

因みに上の松田と元浜はスケベで有名、二人ともそれぞれちゃんとした長所があるのだが松田はその運動神経を生かさず写真部へ所属して『エロ坊主』や『セクハラパパラッチ』と呼ばれている。元浜は計算能力を悪用し『エロメガネ』や『スリーサイズスカウター』とか言われてる。まぁイッセーはイッセーで『おっぱい魔神』だの『スケベガキ』だのと言われていたのだが、あの事件をキッカケに変わったおかげで『駒王学園変態三人衆』は『駒王学園変態コンビ』に改名された訳だが……

 

元浜「頼むよイッセー!元に戻ってくれよ!!最近いい覗きスポットを見つけたんだ、また一緒に見に行こうぜ!!なぁ!?」

 

松田「そうだ!元浜の言う通り目を覚ましてくれ!!俺達はこれ以上腐女子の餌にされるのはもうゴメンなんだよ!!いやまぁ、こればら撒くと逃げやすくなるから助かってるけど……」

 

そう言って広げられた物を見て教室中の女子が眼をカッと開いて凝視した、まるで獲物を狩ろうとする猛獣の様だ。その物とはイッセーを題材にされた同人誌ばかりだ、それにイッセーはただただ顔を引きつらせるしかない。

 

一誠「(俺、変われたんだよね?これでよかったんだよね?何でこうなるの?そりゃ女子と関わる機会も増えたけど…これは何と言うか……)」

 

ドライグ『(前にも言っただろ相棒、ドラゴンは良くも悪くも何かを引き寄せると。それが良いものか悪いものかは運次第だ)』

 

自身の中に封印されているドラゴン、ドライグにそう言うもズッパリと言い切られてしまう。運次第だとか言われたらもう何も言えないのである。

 

一誠「(分かっちゃいたけど、流石に…あっ!そう言えば)なぁ、今日新しい先生が来るって聞いたけどお前ら知ってるか?」

 

松田「ん?よくは知らんが男らしいぞ」

 

元浜「俺達は男に興味はない!!」

 

そう誇らしげに言う元浜にアハハと乾いた笑いをすると、教室の扉が開き先生が入りながら「席につけー、もう始まるぞ」と言う。

 

先生「はい、もう噂で知ってるかも知れないが新しい先生が来ました。では、入って来てください」

 

「はい、失礼します」

 

 

そう言って入って来たのは、長身で白銀の髪を光らせ、エメラルドの様な水晶を褐色の額に付け、首に数字やアルファベットが刻まれたチョーカーを着け、穏やかなワインレッドの瞳の褐色肌の男性だった。

 

「皆さん初めまして、このクラスの副担のアダム・ディードです。まだ担当教科は決まってませんがよろしくお願いします」

 

 

 

***

一誠「イケメンだったなぁ、あの先生」

 

ドライグ『現代の人間にしてはだいぶ異様な姿だがな』

 

一誠「そりゃあそうだろう、グレモリー先輩みたいな髪色の人がいるのにあの格好がダメってのは流石に変だろ?」

 

ドライグ『正確には悪魔だがな』

 

 

学校の帰り道、イッセーは今日出会ったアダムについてドライグと二人で話し合っている。悪友の二人は部活でいない為久し振りの単独の帰宅である。

 

一誠「なあドライグ、悪魔なら知ってるかな。あの人の…俺の恩人の事を……」

 

ドライグ『いや、アイツらはグレモリー一族だ。眷属愛で有名な奴らが狂ってるレベルで悪党が嫌いなアイツの事を知ってるはずがない、第一勝手な事を悪魔の領土でやれば普通にバレる。お前が一度死んだ時はアイツが現れたせいで不安定になり悪魔達に感知されなかったんだろうな』

 

一誠「そっか…なら俺のライバルの白龍皇に聞くか?いや、でもなぁ〜、戦いたくねぇ〜〜!!」

 

ドライグ『そもそもそいつが知ってるとも限らないしな、まぁそのうち悪魔側から来るだろうから気長に待てば良いさ』

 

一誠「おう、そうだ《ズガァァァン!!》っ!?な、なんだなんだ!!、交通事故!?それともテロか!?」

 

ドライグ『相棒!空を見ろ!!」

 

ドライグにある人物の事を相談しながら話して返答しようとした瞬間、それほど遠くない所から爆音が聞こえてくる。辺りを見渡すイッセーはドライグの言う通りに空を見上げると、赤い夕日で照らされてるはずの空が黄緑色に変色していた。

 

一誠「な、なんだよ…これ……?」

 

ドライグ『これは結界だ、感じからすると堕天使と人間の様だが…なんだこれは?人間にしては異質すぎる……まるで人間の形をした何かの様な………』

 

一誠「それって、あの人かも知れない!!様子を見てくる!!」

 

ドライグ『待て相棒!あぁもう、慎重に行けよ!!」

 

一誠「分かってるよ!!」

 

そしてイッセーはあの人に会えるかもと思うと脱兎の如く走り出す、ドライグに何度も道を間違えていると言われながらも必死で走るととある公園にたどり着いた。

 

草むらに隠れて見てみると、中型車程の大きさの人型の怪物が黒い羽根と髪のボンテージ姿の女性を殴り飛ばしている所だ。その怪物は全身が真っ白で身体中がツギハギだらけで頭頂部にボサボサの茶髪を生やし、剥き出しにされた分厚い歯をギラギラとさせながら黒い羽の女性、堕天使に躙り寄る。

 

一誠「な、なんだあの化け物は!?」

 

ドライグ『相棒、奴は普通の生き物じゃない。明らかに様々な物が組み込まれた何かだ、ベースは人間なんだろうが最早別の生き物だ。逃げろ相棒、今のお前では勝てる可能性はほぼ無いに等しい』

 

一誠「あ、あぁ…でも……」

 

「う、うぅ、だれ、か」

 

そう、この場にはイッセーと怪物の他にもう一人いる、黒い長髪にボディラインがハッキリ出ているボンテージを着込み背中から二枚の黒い羽根を生やした堕天使の女性だ。イッセーと同じ年齢であろう女性は殴られた場所が悪かったのか動かないでいる。

 

一誠「このままじゃあの子は…」

 

ドライグ『戦ってどうする、お前はつい最近鍛え始めたばかりなんだぞ。あの化け物の強さは中級悪魔レベル、お前が勝てる確率はかなり少ない。仲間の堕天使に任せておけば良い』

 

一誠「それは、そうだけど……」

 

そう、いくら鍛えているとは言えイッセーは一般人だ。武術も何も習っておらず武器も持っていない、しかも魔力も殆どなく戦闘経験も皆無だ。そんな状態の素人が中級堕天使を軽々と遇らえる怪物と戦うなど鉄パイプで熊と戦うような無謀な行動なのだ。

 

しかし、イッセーの中では運命のあの日の事が頭の中を過っていた。自分を助けてくれた恩人。目的は理解出来ないが自分を助けてくれたあの人ならどうするだろうか、この理不尽な状況を黙って見過ごすのだろうか……。

 

一誠「答えは決まってる、あの子の仲間が助けに来るまで時間を稼ぐ!!」

 

ドライグ『…やれやれ、熱血さに更に磨きがかかったな。2分だ相棒、奴を倒す一撃を作るにはそれくらいかかる。あの女を助けたいなら2分間時間を稼ぎながら逃げるしかないぞ、それでもやるか?」

 

一誠「…やってやるさ、絶対に!!」

 

ドライグ『なら行け相棒、お前の底力をあの化け物に見せてやれ!』

 

一誠「おう!任せろ!!」

 

 

 

***

 

「・・・まさか、ここまでとはな」

 

公園の木の陰から黒ずくめの人物がそっと覗いている、そう彼はイッセーを助けたあの謎の人物だ。彼は自分の仕事をする為に中級堕天使の女を助けようと現れたのだが、イッセーが予想外の動きを発揮していたのを目撃して傍観していたのだ。

 

「まぁ、アイツも結構良い動きをしてたしな……予期は来てたが予想よりも早く成長してるな。だが、アレは()()()()()()()が産んだ怪物…俺の予想が正しければ、ほらな」

 

 

《ズガァッ!》

 

一誠「ぐあっ、がはっ」

 

ドライグ『何!?伏兵だと?一体どこに潜んでた!!』

 

ヒットアンドアウェイで怪物の攻撃を躱していたイッセーの脇腹に、突然別の怪物が現れて体当たりを喰らわせる。

 

「やはりドライグでも感知出来なかったか……また死なれる前に助けるとする…《ドグシュウゥゥ!!》んん?あの光の槍は……あの女か?」

 

数が四体に増えて押され始めたイッセーを助けようと身を乗り出した瞬間、イッセーから一番離れた怪物の眉間を貫く様に光る槍のような物が飛び出て倒れた。気を失っていた堕天使、レイナーレが目を覚まし攻撃したのだ。

 

レイナーレ「はぁ、はぁ、まだ死ぬ訳には…いかないのよ!!」

 

黒い羽根を広げたレイナーレは低空飛行でイッセーを拾い逃げようと高く飛翔する、しかし怪物達もそうはさせまいと立ち塞がり拳をレイナーレに振るう。

 

「……まさか、人間を助けるとはな。やはり色々と変わっているようだな、まぁ味方は多い方が良いと考えるべきかな…っとそれよりも早く助けるか、イッセーに神器の可能性について教える為にもな」

 

そう言って歩みを進める黒づくめの人物の左腕には、イッセーの神器の『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』がはまっていた。

 

 

 

 

***

《side:兵藤一誠》

 

アレからどれだけ経ったろうか…何度も何度も殴られて、全身から蝕む様な痛みがゆっくりと込み上げてくる。堕天使の女の子に助けられたけど数には勝てずにまたやられてしまった。

 

一誠「が、くふっ!カハッ!」

 

肺に骨が刺さっているのか、それとも胸に裏拳を喰らったからなのか上手く息が吸えない。立とうとしても腕に力が入らない、脚が棒みたいになって動かない、目が歯をギラギラと光らせる怪物から離せない。

 

怪物の歯は奥歯の様に磨り潰すのが目的な様な太く大きな歯だ、犬歯や前歯の形の歯は一本も生えていないのがよく分かる。噛まれたら痛いじゃ済まなそうだ、死にたくないと思ってはいるが、何処かで諦めているのか不思議と恐怖は湧かない。

 

ドライグ『クソッ、何なんだこいつらは!!新たな神話生物か!?それとも神器によって生まれた兵器か何かか!?』

 

俺の身体が浮遊感に包まれると共にドライグの慌てた声が聞こえる、ドライグにも分からないんじゃしょうがないよな、あぁ、俺はこのまま頭から齧り殺されるんだろうなぁ。

 

 

父さん…母さん…親不孝な息子でゴメン、兄貴の言う通りだった。俺はゴミ同然のクズだったよ……もしあの世があるなら、神様がいるなら二人の幸せをお願いするね……

 

松田に元浜…変わってからも俺の友達でいてくれてありがとう、俺の分まで、元気に過ごせよ……

 

堕天使の女の子…もしも、まだ動けるなら俺が食われてる間に逃げてくれ、そして俺みたいな奴を出さない様にしてくれ……

 

ドライグ…短い間だけど相棒になってくれてありがとう、次は俺よりまともな奴だと良いな……

 

最後に俺の命の恩人……出来れば会いたかったな…直接お礼を言いたかった…でも、死ぬ最後くらいカッコつけても良いよね……

 

 

一誠「んな…れを……助け、れて…ありがと…う」

 

そう言って俺は、一筋の涙を流して目を閉じた。自分の首が断頭台で断たれるのを待つ囚人の様にその歯を受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺から言える事はただ一つ、『気にするな』だ」

 

『Slash!』

 

 

でも、その時は訪れなかった……聴いたことのないボイスチェンジャーの声が聞こえたと思ったら、ドライグの声が聞こえて俺を掴んでいた怪物がバラバラになった。

 

地面に落ちた俺の目の前には黒いローブで全身を隠し、俺の神器である『赤龍帝の籠手』を付けた人物が立っていた。手の甲の部分には、まるで死神や蟷螂の鎌の様な刃物が付いている。

 

 

 

「さぁ〜てと?一方的なリンチ(ド派手なパーティー)の始まりだ!!」

 

 

 

 




イッセーは元々変態性さえ無くなれば結構まともなのでやや強くなりました、まぁ作者はあの技とかも使わせる満々ですが……(企)

次は黒ローブの男の活躍シーンです、なまえ?名前ですって?

オゥホホホホホホ!作者である私が長ったらしい事考えたせいでまだまだ先ですよ!!!!


黒ローブ「巫山戯てんのか?」

あ、いえ、大体はぐれ悪魔戦近くで名前出します、はい。




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