Fate/Another Zero (オピス)
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英霊召喚Ⅰ


今回はキャスター陣営です。


 

  聖杯戦争

 

 

 それは、三つの家の魔術師達が協力して万能の願望機である聖杯を創りだそうとして聖杯を創り出すことには成功したのだが、誰もが願いをかなえることができる物ではなかった。聖杯で願いを叶えることができるのは、戦い殺し合い生き残ったたった一人の勝者しか無理だというものだった。その戦いこそが、聖杯戦争である。この聖杯戦争は、聖杯が造られた都市の冬木市でこれまで三度行われてどれも参加者が全滅という結末で、まだ誰も勝ててはいない。ルール違反を行った者がいたとしてもだ。

 それに、聖杯戦争は魔術師と言われる人だけで殺し合うのではない。その戦いには、サーヴァントと呼ばれる過去、現在、未来、ありとあらゆる時代の英霊を呼び出し戦わせる。そのサーヴァントを呼び出すには、聖杯に選ばれて令呪を刻まれる必要がある。これは、絶対ではないが例外の方が少ない。令呪は、聖杯戦争に参加する資格だけではなく自分が契約しているサーヴァントに対して絶対命令権として行使することができる。ただし、令呪は膨大な魔力の塊なので一画だけではサーヴァントに抵抗される可能性もある。また、自分に対しても使用することができます。そのため、令呪は基本的に使ったら二度と増やす手段はないに等しい。

 それと、呼び出した英霊にはクラスというものが与えられる。そのクラスは、7つ存在しておりそれぞれ特性があり適正がないとそのクラスで召喚されないということになっています。それに、目的の英霊を召喚すために触媒と呼ばれる物を用意する。触媒は、その英霊に関わりがある品のことである。それと、触媒が特定の集団を指すものであれば召喚者の人格に最も近い人が召喚される。

 それぞれのクラスの特性は、固有のスキルと呼ばれる。セイバーなら騎乗、対魔力など、バーサーカーなら狂てというものもある。保有スキルは、クラスに関係なく様々ものがある。例え、別のクラス召喚されたとしても失われるものではない。

 

 

 もし仮に、アーチャーとキャスター両方のクラスの適正がある者がいたとしよう。キャスターで召喚されれば、魔術が秀でたものになり物理攻撃の手段が減り物理に弱くなる代わりに魔術の攻撃に強くなる。それゆえに、いくら強い英霊であろうとクラスが違えば全く性能が異なってしまう。そのため、ランサーで召喚されていれば勝てたかもしれないのにキャスターとして召喚されたという例もある。

 それに、バーサーカー以外で召喚する場合、複数の適正を持つ英霊であればどのクラスで呼ばれるかはわからない。それゆえに、自分の想像通りではない結果が起こってしまうこともある。

 例外として、二重召喚(ダブルサモン)というものがある。それは、二つのクラスのいいとこどりができるというものである。...そのようなことは、滅多にないが。

 

 

 

 

  ◆  ◆  ◆ 

 

 

 

 

 

 聖杯戦争が行われる都市である冬木にある大きな屋敷の地下の一室に、今回の聖杯戦争の参加者の一人がいた。その人物は、聖杯戦争の監視者と裏で協力して何とか勝ち抜こうと色々と策を労してしたきた。他には、その監視者の息子を自分の弟子に向かえて魔術師として鍛え上げ自分を裏切った形で、今回の戦いに参加するよう準備していた。それゆえに、現時点で他の5人の参加者に対して大きなアドバンテージを持っていると確信していた。

 その男の名は、遠坂時臣。聖杯を造った三家の内の一つ遠坂家の頭首である。そのため、勝ちたいと強く思っている人物の一人でもある。

 

 

(これで、我が一族の長年の夢である聖杯を手に入れることができる可能性をはるかに高くすることができる。これほどまでに準備したのだ、後は余計なイレギュラーが起きないことを願うばかりだな)

 

 

 彼は、これから起こる聖杯戦争で起こる可能のあることを想定して様々な準備をして、前準備としてはほぼ万全の体制にしていた。後は最も重大といってもいい、召喚した英霊との相性や他の参加者についてだった。

 彼がここまでしていきた上記以外の準備としては、自分の家族を安全なところに移動させて人質に取られないようにうのするのと娘に自分の魔術刻印の一部を受け継がせる対策をしていた。自分の家を継がせる娘を人質に取られてしまうと、自分が追い込まれてしまうことになってしまうことから。それと、魔術刻印はその家にとって最も大事な物の一つである。自分が死んでしまうと、移植できなくなる可能性があるからである。自分の娘が大成して欲しいと思うから、といのもある。

 召喚する予定の時間がまで少しあったので、召喚する予定である英霊についてもう一度考えることにした。

 

 

(ここまでに問題はない。問題は、これから呼び出す英霊だな。英霊の中でもトップクラスの実力があるだろう世界最古の王だから、どのように扱えばいいのかも探っていかなければならない。王だから、面倒な性格でなければいいのですけれど。まぁ、クラスとしてはアーチャーが一番可能性があるでしょうね。この英霊のあり方なら、その可能性高そうですからね)

 

 

 彼は、召喚を予定していた自分の魔力が一番高まる午前二時になるまで、これまでの準備にどこか不備はなかったのか確認したり検討して時間になるまで待っていた。

 勝つための作戦で、弟子にはアサシンの英霊を召喚するようにしておいた。弟子には、他の参加者の動向を観察したり、暗殺可能であればして私のサポートをしてもらう予定だ。本来であれば、誰かと協力をすれば裏切られるリスクがあるが共闘する相手は信頼している人の息子かつ一年間弟子として育てた人物であるから安心であった。

 自分の計画にミスがないことを確認して、時間を確認するともうすぐ午前二時になろうとしていた。それで、用意していた『蛇の抜け殻』の触媒を頑丈なケースから取り出して召喚陣のところにおいた。

 そして、彼は魔法陣の前に立ち詠唱を始めた。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ」

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠よりで、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。閉じよ《みたせ》。繰り返すたびに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

「―告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら応えよ」

 

「―誓を此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

「―汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

 

 詠唱を唱えるたびに目の前の魔法陣が、徐々に輝きが強くなっていった。そして、その詠唱を唱え終わった瞬間突然目の前の空間から暴風が発生した。それで、魔法陣から漏れていた光が徐々に消えていき目の前に人が現れていたことに気が付いた。

 その人物は、金髪で目が赤い男性であった。服装としては、上半身が裸に近いもので下も少しそれに近いものがあった。さらに、右手には斧左手には魔術書みたいな特殊な本のような物を持っていた。

 

 

(っ。見た目は思ったよりも話がわかる感じであるが、どうくるのでしょうね)

 

 

「貴様が、(オレ)我を呼んだ魔術師か?」

 

 

 そう問われて、下手な対応をして関係を悪くしたくなかったので畏まって答えた。相手の関係が拗れることが、一番避けるべき結末だからである。

 

 

「そうでございます。この聖杯戦争にどうしても勝ちたくてお呼びしました」

 

「ふん、王に対して最低限の礼儀はわきまえているか」

 

 

 何かつまらないような反応をしつつもこちらに対して、全くの無関心というわけではなく一安心した。こちらの話を全く聞かないようであれば先が思いやられてしまう。そうでないだけでも、感謝すべきなのかもしれない。

 それで、目の前のサーヴァントはこちらを値踏みするような目を向けてきて問うてきた。

 

 

「それで、貴様は一体何のために(オレ)の物であった聖杯を求める?」

 

「?それは、どういうことですか」

 

「別に、貴様が気にするべきことではない。それで、どうして聖杯を求めるのだ」

 

「それは、根源への到達のためです。根源に到達することは、魔術師であれば誰もが一度は目指すものです。ですが、現状到達することはとても難しく不可能といっても過言ではありません。だから、この願いを聖杯によって叶えようと」

 

「いかにも魔術師らしいという答えの一つで、実につまらないな。もっと他にはないものか」

 

 

 それで、召喚された男はつまらない者に召喚されたみたいな感想を言ってきた。だが、時臣にとったらそれは仕方がないことだろうと思った。

 

 

(それは仕方がないでしょう。ここは、神代と違い神秘が薄れているのですから理解されなくても仕方がないというものです)

 

 

 それに、と言って続きを呼ばれたサーヴァントは時臣に言ってきた。

 

 

「そういったことは普通、自分の力で根源の渦に至ろうとするのだが、他人の物を使ってでも至ろうとするのか。それで、貴様は本当にいいと思っているのか?」

 

「っ。....はい。自力で至ろうとすれば、運よく至る寸前までたどり着いたとしても必ず抑止力が介入してきて邪魔をしてきます。聞くところによれば、それ相応の準備をしても必ず邪魔され失敗する。それなら、確実かつ可能性が高い方を選ぶのがベストです」

 

 

「ふん。それで貴様がいいなら、このことに関しては何も言わないでおこう」

 

 

(ふっ。どうやらこちらのことを一応、気にしてくれた?ということなのでしょうかね。そういえば、クラスを聞いていなかったな)

 

 

 召喚されたサーヴァントは遠くの壁を見て、何か面白いことが起きたのか少し楽しそうにしていた。そこで、少し思い切って聞いてみた。

 

 

「聞いてみたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

 

「よかろう。それで、(オレ)我に何を問う」

 

「クラスは何でしょうか?」

 

「ハハハ。そういえば、まだクラスを言っていなかったな。我はキャスターだ。だが、生粋のキャスターというわけではない。別に、魔術が得意というわけではない。まぁ、そのことについてはおいおい話すとしよう」

 

「キャスターでしたか。伝承から考えますと、キャスターよりもアーチャーだと思ったのですが」

 

「ふん、全ての原型を持っているのだからその中に魔術に関するものを持っていてもおかしくないだろう。なぜ、そんな簡単なこともわからないのか。まぁ、(オレ)は生粋のキャスターではないから色々なことができよう」

 

「例えば、どんなことでしょうか?」

 

「そうだな。例えるなら、アーチャーなのに棍棒を使ったり双剣を使ったりしているようなものだ。そんな少し可笑しなことだ」

 

「アーチャーなのに双剣ですか......?」

 

 

 アーチャーなのに弓矢を使わない?それはアーチャーと呼ぶことができるのか、とキャスターの例え話に疑問を時臣は持っていた。そうしていたら、キャスターの方からこちらに聞いてきた。

 

 

「それで、お前はこれからどうしていくのか考えているのか」

 

「もちろんで、ございます」

 

「ほう、それではその案を我に聞かせてみろ。採点してやる」

 

 

 そこから、時臣がキャスターに対してこれからの作戦をキャスターのできることを聞きつつ話した。

 

 

 

 そのあと、弟子から無事に目的のアサシンのサーヴァントであるハサンを呼び出した、という連絡をもらった。だが、隠密能力は高いが自分たちがさらに有利になるような宝具やスキルと持っていないらしい。これは、持っていたとしたら運がいいと思った程度の話だった。

 しかし、その時の弟子の声が普段と少し異なっていたのだが気がつくことができずにスルーしてしまった。このことがあとで大きな問題に発展する恐れのあるものだと知らずに。

 

 

 

  ☆   ★

 

 

  召喚されたサーヴァント:ギルガメッシュ

 

 人類最古の王で、全ての原型を持っていたとされる人物。今回は、二重召喚(ダブルサモン)というスキルを持って召喚された。そのため、魔術に関する物以外も宝物庫から取り出して攻撃することが可能に。ただし、武器を飛ばす門の数は小ギルと同じぐらいしか無理という制約がある。

 

 

 





少しでもこの作品に興味を持っていただければ、幸いです。


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英霊召喚Ⅱ

今回はバーサーカー陣営です。
違う鯖にしたかったのですが、ストーリー的にこのキャラしか思い浮かばなかった…


 

聖杯

 

 

 それは万能の願望機である。アーサー王の物語でも聖杯を探索するという話でも知られているものである。

 ただし、冬木の聖杯には第三魔法である魂の具現を行うことも可能である。聖杯で願いを叶えるには、その土地の地脈からマナを大量に吸い上げることができる場所が必要もしくは長い年月をかけて魔力をためるという方法しかない。なおかつ、聖杯は巨大なため簡単に持ち運ぼうにも大変である。そのため、他のサーヴァントを倒すよりも先に聖杯を確保することによって優位に進めることができる。宝具によっては、聖杯を動かし安全なところに移動させて攻撃するという戦法もできる。

 その他にも、地脈は地球のあらゆるところに存在しており、日本から遠く離れたイギリスであっても日本の地脈と繋がっているので遠くから地脈に影響を与えることは可能である。ただし、下準備が大掛かりで大変なことをして成功したとしても何もメリットはない。

 

 だが、もしこれまでの聖杯戦争で聖杯に何かしらの損傷が与えられるということがあった。その影響で、何かしらの異常が発生している可能性もある。それは、誰も気づかないままであるとしたら。それは、この聖杯戦争に影響を与えるのだろうか。

 その他には、に聖杯を創ったときにとある魔法使いがいたという話も存在している。それは、何らかの見える形で表れるのだろうか。

 

 

 

 

 

◆    ◇    ◆    ◇

 

 

 

 

 

 俺は、数週間ぶりにいつものようにある女性とその女性の娘二人と偶然を装って公園で会っていた。別の日には、買い物帰りなどを隠れてついていったりしている。いつもなら女の子が二人いるはずなのだが一人しかいないので、少し疑問に思った。いつもなら、少し大人しい感じで少し引っ込み思案な妹と元気いっぱいでちょっとおっちょこちょいなところがある姉と母である葵さんがいる。まぁ、こんな日もあるだろうと思った。

 だが、実際は違っていた。

 

 

「えっ。どういうことなんですか、葵さん」

 

「普通に、養子に出しただけですよ。魔術師の家なら基本誰か一人を自分の跡継ぎとして、その他の子どもは魔術師にはなれない。でも、不幸なことにあの子たち二人とも魔術師としての才能があった。だから、どちらかが魔術師になれないのではなくどこが別の家の魔術師になって大成できるようにと思っただけ」

 

「それは、自分も魔術師の家だからわかりますけど…。それならよりよって、なんで間桐家になんですか!!」

 

「聖杯を作った御三家の内の一つでもあるからどこか知らない魔術師に比べて信用できると、時臣さんは言っていたわ。…まぁ、どこであったとしても桜が幸せに暮していくことができればどこでもいいんだけどね」

 

「それなら、どうしてそれだけで間桐家を信用できるんだ。間桐家が、実際どんなことになっているのか調べてもいないのか。そして、そんな簡単なことも時臣は理解できていないのか?」

 

「時臣さんのことを悪く言わないでっ!あなたは、自分が魔術師であることが嫌になって普通の人になりたくて何年も前に間桐家逃げ出した。あなたから見たら、そうだったかもしれない。でも、別の人から見たら違うかもしれないし桜が酷い目に必ずあうということではないでしょう!そんな勝手なことばかりしている人に、とやかく言われる筋合いはないの。それにもし、桜が不幸になったとしたらあなたもせいでもあるんじゃないの。雁夜くんが魔術師になることから、逃げだしたせいであるかもしれないんだから」

 

 

 その後、言い争いが少し続いた。俺はその途中、逃げるようにその場所から離れてしまっていった。「自分は悪くない。すべて時臣のせいだ」、と思いながら。冷静になって考えてみて、確かに自分にも非はあったと思ったがそれ以上に時臣が愚かなせいだと考えた。

 

 

(時臣、お前は間桐臓硯を正しく理解していない。そして、その無能さと愚かさを葵さんに見せつけてやる!!そして、桜ちゃん地獄のようなところから助ける。素直にあいつが言うことを聞くはずがない。そのため、まず桜の安全を確保する必要がある。臓硯のことだ、クズみたいな方法を使っているだろうから、早く助けないといけないな)  

 

 

 時臣を無能で駄目な人間だと認識させるかつ桜を無事帰らすことを胸に誓い、何年か前に逃げ出した間桐家に再び足を踏み入れた。 

 

 

 

 

― ― ― ー 

 

 

 

 

 それで、間桐家の長である間桐臓硯を呼び出してある交渉を持ちかけた。

 

 

「はははははは、これは愉快だな。何年か前に逃げ出した奴が、よくそんな発想ができて儂に言ってくるもんだな。それが、どんなことか理解して言っているとしたら正気を疑うレベルだぞ」

 

「俺は、いたって普通でどこもおかしくなっていない。狂っているのはお前の方だろう、臓硯」

 

「言うようになったな、雁夜。それに逃げ出してから一切魔術を使用していない....というわけでもなく前より一部能力は上達しているな。特に、隠密と遠視関係だけだがな。まぁ、あの女を安全に付け回すたm…」

 

「そんなことはどうでもいいだろう!それで、さっきの俺の案に対する答えはどうなんだ?」

 

 

 こちらが真剣に言っているのに対して、ありもしないことを言ってきそうだったので少し腹が立った。そして、その俺の反応を楽しそうに見ている感じがあり、よりムカついた。

 

 

(葵さんを付け回す?それは、お前の俺に対する偏見だろうがっ!…それにしてもこちらの話を聞こうとするとは、少し意外だな。何かを企んでいるだろうから、用心しておくにこしたことはないな)

 

 

「さっきのお前の提案、うけてやろう。もちろん分かっていると思うが、聖杯を手に入れればあの遠坂の娘はお前の好きなようにしたらいい。わしの狙いは、あくまで聖杯だからな」

 

「えっ」

 

 

 臓硯は、この提案を馬鹿にするだけして無視するものだと思っていたため、普通に驚いてしまった。その後、臓硯は一体何をしようとしているのかと雁夜は考えざるを得なかった。

 

 

「何で、お前自身が驚いておるんじゃ。もちろん、聖杯に認められて手に令呪が現れるまでになってもらう必要があるから、厳しい修行を受けてもらうことになるがな」

 

「…どういうことだ?」

 

「簡単な話だ。雁夜お前には蟲蔵に入って、間桐の魔術を学ぶかつお前の肉体の魔術回路と魔力量を少し強化して魔術師として成長してもらうだけじゃ。まぁ、分かっているとは思うが、命を削る羽目になるが構わないな」

 

「っ。命のことは、とっくに覚悟の上だ。俺が気になるのは、令呪や呼び出すサーヴァントの方だ。…もし仮に令呪が宿ったとしても、呼んだサーヴァントが弱ければ話にならないんじゃないのか?」

 

「サーヴァントのことは、気にしなくていい。こちらで、ちゃんとしたものを準備するからの。それで、蟲蔵にはいる覚悟はあるかの」

 

「そんなものは、ここに来るまでにできている。…それで、さっき言っていた桜ちゃんはどこにいるんだ」

 

「それぐらい自分で、理解しておるというのに。後で、その光景を見せてやろう。ついてこい」

 

 

 そう言って、臓硯は部屋から出て行った。臓硯が桜ちゃんのいる場所まで、案内するようだった。ただ、何となく普通では耐えられないめにあってもうどうしようもないところまでいっているのではないか、という気持ちもあった。そのまま、臓硯の後をついて行き階段を降りいき地下室の前で止まった。

 そこは、いつもなら大きな空間がただ広がっているだけなのだが、今は異様な空間になっていた。

 

 

「っ!」

 

 

 今はいたる所に、臓硯の使い魔の蟲、蟲、蟲、蟲、蟲、蟲という感じにあたり一面に溢れ返っており蟲がいないところを探すことの方が難しい状態だった。そんな光景の真ん中ぐらいに、一人の少女が寝た状態いるのが見えてしまった。その少女-桜の上に蟲が、群がって存在していて何とか顔だけが見えるぐらいに覆っている状態になっていて、生気がない目で上の天井を見ていた。

 どうにかしてこの場所から出してあげたいと思ったが、今は無理だと思った。もしここで助けようとしても臓硯に邪魔をされて俺が死ぬだけだとわかっているので、ただ見ていることしかできなかった。

 

 

「最初のころは泣き叫んでおったが、今では大人しくしてあの状態でいる」

 

「.....わかっているが、聖杯を俺が手に入れなければやめないままなのか」 

 

「そうなるな。お主が、聖杯戦争で勝たないとそのまま体を作り変えるまで続く。それだけの話じゃよ」

 

「.....それで、俺は一年ぐらいで何をすればいいんだ?」

 

「さっきも言ったが、間桐の魔術師として鍛えなおすだけじゃよ。まぁあの娘と似たようなことをするが、途中で逃げだすんじゃないぞ。まぁ、お主が耐え抜いたとしても勝ち残る可能性はそんなに高くないからの」

 

「ふん、そんなのお前から言われるまでもない。それでも、勝ち抜いてお前に聖杯をくれてやるよ」

 

 

 そうして、俺は臓硯が指定した部屋に行き地獄のような苦しみの中で一年近くを過ごした。

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 あれから一年近くが立ち、俺はそれから何とか令呪を宿すことに成功して魔術師としてもマシなレベルに到達することができたみたいだ。だが、体は蟲に喰われてかつ体内に存在している状態で魔術を行使するときには、痛みが生じるようになっている。他にも、髪が白くなり少し足が不自由になり片目が見えにくくなっていた。それと、体内に蟲を飼った状態でいるので後数ヶ月しか生きることができない。蟲を体内に入れていることによって、自分の魔術師としてもレベルを上げている部分もあるから、わざわざ自分から取り出して勝率を下げたくなかった。

 

 

(狙い通り、聖杯を手に入れることができて時臣をつぶせたら、死んでも構わないからな。そのためには、まず強いサーヴァントを呼ぶ必要があるのだが、そこは臓硯しだいという非常に不安なところだが信じるしかないな。そう言えば、桜ちゃんが何か妙なことを言っていたな)

 

 

 二人とも、同じ家にいるので偶然で会うこともあった。そのときの彼女は、昔とは違ってとてもおとなしい感じになっていた。そして、自分の変化を見て心配してくれた。だから、自分は大丈夫だと伝えて「大丈夫だよ、桜ちゃん。もう少ししたらおじさんが必ずどうにかしてあげるからね」と言った。無責任まセリフだったかもしれない、でも何とかして救ってあげたいという気持ちからこう言っていた。

 聖杯戦争で、必ず勝てる根拠など存在しない。でも、この子の現状を考えるとそうにかして不安な気持ちを和らげたいと思ってそう言った。それで、少しでも楽しいことを思い出して何とか頑張ってほしいと思い、家族以外でのことを聞いた。その途中、俺に言ったのではなく全く別の誰かにあてた言葉を無意識なのかもしれないが口にしていた。

 

 

“もう一度あのお兄さんに会いたかったな”

 

 

 それは、純粋に願いの言葉であった。それが誰に向けてなのかはわからなく、今までそんな人物の話は聞かなかったので誰だかもわからない。それでも、何とかしてこの諦めた目をしているのを何とかしたいと改めて思った。そんな桜ちゃんとのことを思い返しても、桜ちゃんに会う機会は少なく会うたびに酷い目にあっているのがわかるほどの状態であった。

 そんなことを思いつつ、臓硯の後に続いて再び昔桜ちゃんがいた地下室へと向かっていた。

 

 

「それで、これから俺が召喚する英霊の名前は何なんだ?」

 

「それは、召喚してからの楽しみということでじゃな。あと、召喚の呪文に一文追加してもらう。くれぐれも忘れないようにな」

 

「一文追加?一体、それに何の意味があるんだ」

 

「それも召喚してからの楽しみ、ということでじゃな」

 

 

(何も答えないか.......。まぁ、正面から強敵と互角に戦えるか奇襲に強ければいいんだけど。強いということにこしたことはないのだがな)

 

  

 雁夜は召喚される英霊に少し不安を持ちながらいたが、気にしたら負けだと思うようにした。それと、今は魔術回路を使わずに歩いているので片方の足が動かしにくいままなので、移動するのが大変で時間が少しかかった。

 一年ほど前には桜が蟲の中にいた部屋には、今は中央に召喚サークルが存在していた。それと、まだ何匹か蟲が動いていて不気味な感じであった。そして、臓硯が召喚サークルの真ん中に何かを置いていた。

 

 

「おい、雁夜。準備はできたぞ」

 

「........」

 

 

 俺は、そのことに何も言わず召喚サークルの前まで移動した。そして、令呪のある手を前に出して呪文を唱えだした。

 

 

「素に銀と鉄・・・・」 

 

「・・・・・我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

 呪文を唱えるたびに魔力を消費するので体内の刻印虫によって激痛が生じるが、それを気にせず直前に臓硯が追加するように言ってきた文も忘れずに付け足した。

 

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし」

 

「汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――」

 

 

 最後まで言い終わると、召喚サークルから暴風と光が突然襲ってきた。そして、そこには全身鎧を着ていて黒いオーラをだす英霊がそこにはいた。見ているだけも。こいつはヤバいと思う何かがあった。そして、召喚されたサーヴァントは何かに気づいたのか急に遠くのほうを見ていた。

 

 

「Arhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh」

 

 

 そして、このサーヴァントは急に叫んだ。

 そして雁夜は、この英霊を現界させていると大量の魔力を持っていかれるかつ魔力を一部刻印虫によって生成している状態なので、すぐに霊体化させた。あのまま現界させていれば、普通にいるだけで魔力を全て持っていかれるかもしれないと思うほどだった。

 

 

(くっ。現界しているだけで、魔力を多く持っていかれるな。これは、戦闘以外は霊体化させておかないと持たないな。後、意思疎通が難しそうだな。それで、どうやって時臣のサーヴァントを倒そうか)

 

 

 英霊が無事に召喚されるのを見届けてから、臓硯が言ってきた。

 

 

「さて、雁夜。これで、聖杯戦争に参加する準備は整ったわけじゃ。それじゃ、いい結果を楽しみにしているぞ」

 

 

 それだけを言い、どこかへ行った。そして、俺は何も理解していない時臣を倒そうと行動を始めた。

 

 

  




次回から原作から少しずつ変化した話になっていきます。

余談ですけれど、FGOのcccコラボのマップの女性が一瞬『セファール』に見えました。エクステラの続編も決まったので、マテリアルにあった妹や弟がでてくるのでしょうかね。


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英霊召喚Ⅲ

唯一オリジナル鯖?のアーチャー陣営に話です。
それと、キャラ崩壊がありますので注意してください。また、視点の変更が多くなっています。


 魔術師と魔術使い

 

 

 魔術師とは、「根源の渦」に到達することが最終目標の人たちである。「根源の渦」とは、全ての始まりであるとされているもの?である。「根源の渦」は、そう簡単に到達することが非常に困難なもので到達したとされる人物は片手で数えられるかもしれないぐらい少ない人数しかいない。もし仮に、今の時代で「根源の渦」に到達しえる段階になったとしても【抑止力】という概念にによって邪魔されて殺されてしまうのがオチである。

 反対に魔術使いは、魔術師と比べて自分のためなど私的にしか魔術を使うことしかしない者たちのことである。傭兵や厄介ごとを起こす人など魔術師とは異なった考え方である人が多く、魔術師はそういう生き方を野蛮だと思って見下さしてくる人が中にはいるので関係はあまりよくない。もちろん、そういうことを思わない人物もいる。その他のことをしている人物も存在している。例えば、タレントでありながら魔術師でいる人物もいる。魔術を深めていくには、お金がいるのでそれをタレントとして稼ぐということである。

 そのためか魔術師の特徴として、魔術のことばかりしているため科学のことに疎い傾向がある。全ての人がという訳ではないが、大したことないと思って科学について、あまり知らない人もいる。そのため、携帯電話を知らなかったり敵対組織からの攻撃で魔術師相手に銃火器を使用すれば、簡単に殺せてしまうということもあった。どういう武器なのか理解していないので、対策をすることができないためである。そのため、魔術使いの中には魔術よりも近代武器を使用して、魔術師を殺しまわっている人物がいたりもする魔術師殺しと呼ばれる人物がいるくらいである。

 だが、最近では銃火器などの近代武器に対する対策をする人物も増えてきている。その結果、科学を侮り慢心する人物がでてくる。その対策だけで、大丈夫だと思い慢心する人物もいる。銃火器の中に魔術よりの攻撃を仕込むことが可能なためである。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 今、自分‐衛宮切嗣は教会のような場所にいた。そこは、大きな屋敷の中の一つの建物だった。そこで聖杯戦争に向けての準備してきたところであり、雇い主の家でもありそこに何年か住んでいた。

 なぜ、雇い主の家に住んでいるかというと、聖杯を持ち帰ってきてほしいとの依頼を受けてそれ備えて準備をする拠点として活用しているからだ。ここは、魔術的な結界がありそう簡単に侵入することが不可能であるので拠点としても大きな力魔術師の家でも優れていた。そして、自分の願いを叶えるためには、聖杯がなければ叶えることが難しいものなので、聖杯戦争に勝てば持ち帰るまでに願いを1つだけ叶えてもよいとの許可をもらっているからだ。それに、雇い主は財力があるので優秀な英霊を呼び出すための触媒も用意してもらえるほか色々戦いを楽に進めるための準備がとてもしやすかった。

 それで、現在聖杯戦争を間近に控えているので英霊を召喚しようと召喚サークルを準備して、雇い主である人物からある召喚するための触媒を受け取っていた。

 

 

(よく、こんな聖遺物を手に入れることができたな)

 

 

 銀色のアタッシュケースを開けて、再び中身を見た。渡される時に中身が何なのかと聞いていたが、改めてそれが本物かどうかを念のために調べた。それは、間違いなく本物であった。もし、これが偽物であれば本物は、どれほど素晴らしい出来の聖遺物なのだろうかと思うレベルの物であった。それも2つ(・・)である。

 

 

(まさか、僕にこれほどの物を用意するとはね。.......まぁ、個人的にはアサシンのサーヴァントなら暗殺を得意としているのと暗殺者ならではの部分が気が合うかもしれなく、僕もやりやすかったんだけどね。こればかりは仕方がないか。ここまで、準備知れこれたのは依頼主のお陰なのだからな)

 

 

「ねぇ、キリツグ。どんな触媒だったの?」

 

 

 用意してもらった触媒を見ていると、後ろから銀髪のロングの女性が話しかけてきた。

 この女性の名前は、アイリスフィール・フォン・アインツベルン。自分の妻だ。それに、この聖杯戦争で、これから呼び出すサーヴァントの偽者のマスターを担ってもらう人物である。....それとに、この聖杯戦争のために作られたホムンクルスである。

 

 

「僕には、勿体無いくらいの物だよ。よくこれほどの物を手に入れることが、できたなと感心するほどだよ。それも2つだよ」

 

「ふーん、そんなにすごいものなんだ。どれどれ」

 

 

 そう言って、アイリが近寄ってきてケースの中身を見ようとしたので、見やすいようにケースの位置をズラした。中には赤い布で丁寧その聖遺物を包んで保管してあった。 

 

 

「....これって。あの有名な伝説の話にでてくるものよね?」

 

「そうみたいだよ。まぁ、今回それほど聖杯を手に入れたいという気持ちの表れだろうな」

 

「そうね。.....でも、どうして2つも用意したのかしら?」

 

「どちらも手に入りにくいものだから、片方は保険で手に入れたというところじゃないかな。それに、これだけだと別のサーヴァントが呼ばれる可能性が少しだけあるから、確実に呼ぶためじゃないかな」

 

 

 そう言って、切嗣は2つあった触媒の長い方を手に持った。それに、と続けた。

 

 

「これは、触媒になるだけでなく別の使い方もできるから、僕としては使える物が増えるのだからありがたいよ。そのお陰で、こちらの手段が一つ増やすことができたからね」

 

「絶対に勝ちたいからね......。まぁ、それほど何としてでも聖杯を手に入れたいと思っている証拠ね。それに、この聖杯戦争はあなたの願いを叶えることができるまたとない絶好の機会なんだから、頑張ってね」

 

「うん」

 

 

 自分の願いを叶えるためには、聖杯がなければ不可能な類のものである。そのため、この聖杯戦争に勝って願いを叶えるしか方法がない。実際に、それ以外の方法がないのか探した結果最後には、聖杯に頼るしかなくなったのである。

 

 

「それじゃ、サーヴァントを召喚するから少し離れて」

 

 

 そう言って、召喚するための呪文を唱えだした。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

呪文を唱え終わり、風が吹き荒れるのと同時に呼ばれたサーヴァントとラインが繋がった風に感じた。そして、ようやく煙が晴れて姿を見てみると全身鎧で覆われた人物が立っていた。その鎧の顔の部分は、獅子をイメージしているのか何か動物の毛がついたものになっていた。それと、赤いマントをしていた。手には、特に何か持っているようではなかった。

 

 

(?こんな姿の伝承はなかったはずだが.....。最悪呼んだ英霊が違う、ということもあるのか?。この触媒で召喚される英霊なら、強さは折り紙付きだろうからどんな奴であったとしても強さに関しては)

 

 

「呼びかけに応じて召喚された。私は、アーチャーのサーヴァントだ」

 

 

(女性の声だと!?この人物は、男性でないのか。どういうことなんだ?もしかして、触媒が偽物だったのか....)

 

 

「あらっ、かわいらしいお声ね。急で、悪いのだけど真名を確認してもいい。伝承ではあなたは男性だったからどうか確認がしたいの、大丈夫?」

 

「もちろん。構いませんよ」

 

 

 そこで、アイリが確認するのだが呼び出した英霊は二人の予想通りの英霊だった。それにヘルムを取って、顔を見せてもらった。髪の色は、金髪で長くちょっとした髪飾りもしていた。そこで、女性であることに疑問を持ったアイリがさらに質問をしていた。僕は何も言わずにただ聞いていた。

 

 

「うーん、そうなると疑問なのよね。どうしてあなたが、伝説だと男性として書かれてるいるのかしら。アーチャー、あなたには何か心当たりはないの?」

 

「それは、私が男装して暮らしていたからだと。当時、女性が王になることは不可能に近かったですから。周りの騎士たちにもバレない様にしれいましたから」

 

「男装?そんなことをしてもすぐにバレていそうな気がするのだけど....」

 

 

 そして、鎧の上からでもわかる大きなものを見た。どう考えても、隠し通せるようなものではないと思うのだけど。

 

 

「ということは、生前男物をばかり着ていたということなのね」

 

「まぁ、そういうことになりますね。そっちの方が戦では楽ですし生活していなかでそこまで服装に意識しなくても大丈夫でしたから」

 

「そういうことなら、聖杯戦争が始まるまでに目一杯可愛らしくて年頃の女の子らしい格好をしてみてはどうかしら。それに、生前してこなかったこともやってみるのもい経験になるのじゃないかしら」

 

「えっ」

 

 

 聞いてた自分も驚くようなことをアイリが言っていた。よくそんなことを言えるな、とアイリの行動力に関心していた。それを受けて、アーチャーは困ったような顔をしながら答えていた。

 

 

 

「いえ、別に私はそんな格好をするのはいいです。それこそ、聖杯に与えられた知識の中にあるすーつ?とかいう服装の方がいいのですが...」

 

「そんな物は後で、着ればいいのよ。それに、アーチャーは生前全然オシャレをできていなかったでしょ?それなら、今ぐらい女性として楽しんだとしても問題はないと思うのだけれど」

 

「ですが.....」

 

「ですが、じゃないの。今からサイズを測ってオーダーメイドの物を作ってもらうから、その鎧を脱いで付いてきてくれない」

 

 

 そう言って、アーチャーにアイリが近づいて来たので、また助けを求めるようにこちらに視線を向けてきた。だが、アイリのこういう時は何を言っても意味がないのを知っているのでそっと目を反らした。自分は、何も見ていないという空気を出しながら。

 

 

(全くだ。まさかあの英雄が女性だったとは。女性だと腑に落ちない部分が多々あるのだが、そこはどうなっているのやら......。でもまぁ、アイリを護衛してもらおうと思うから、あの二人が仲良くやってほしかったのだが杞憂だったかもな)

 

 

「おい、マスター。この女性をどうにかやめるよう、説得してくれないか」

 

「あら、女性って。...あー、そういえばまだ自己紹介していなかったわね。私は、アイリスフィール・フォン・アインツベルンよ。それで、彼がエミヤキリツグよ。わかっていると思うけど、キリツグがあなたのマスターよ」

 

「..........」

 

「なぜ、一言も話さないのですか」

 

「彼は、少しシャイなの。だから、そこのところを踏まえて接してあげてね。それじゃ、自己紹介も終わったところでさっさと行くわよアーチャー!」

 

「ちょっと、無理矢理連れて行こうとしないでください。本当に、オシャレとか大丈夫なので。お願いですから話を聞いてくだい、アイリスフィール」

 

 

 そのまま、アーチャーはアイリに引きづられていった。連れて行かれる最中ずっと、僕を睨んできたが見て見ぬ振りをしていた。

 

 

(はぁ、これから聖杯戦争が始まるというのにこんなことをしていても大丈夫なのか不安になってくるな。例え、自分のサーヴァントに反感を買われようと勝てればいい)

 

 

 そう思い、その場所から離れ自分の娘であるイリヤがいるところに向かった。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

「急にこんなことを聞いても、答えられないかもしれないと思うのだけれど。アーチャー、これからキリツグと上手くやっていけそう?」

 

 

 あの場所から強引に連れ出され歩いていると、アイリスフィールがそう尋ねてきた。その声から、真剣に答えて欲しいと思っているのが理解できる。何かマスターに思うところがあるのか、と思った。

 さらに続けて、アイリスフィールが私に言ってきた。

 

 

「それに、私が強引に連れて行こうとする時キリツグに助けを求めていたでしょ?それで、あなたはまだキリツグに対して少し何かあるだけだと思うの。あれは、あなたに何か思うところが少しあっただけ。でも、そのことで彼はあなたに簡単に歩み寄ろうとはしないとは思うの。それでも、私はアーチャー、あなたにはキリツグをサポートしてあげて欲しいのよ。それは、聖杯戦争に勝ち抜くためには必要になってくることだと思うの。それに、もししっかりとした関係を築いていないと後悔してしまうと思うから」

 

 

 まったく、あの人は変なところで頑固なんだから、と明るい声で付け足してきた。

 

 

「..........」

 

 

 嘘でもいいから何か言おうと思ったのだが、この女性は嘘だとすぐにわかってしまう予感があったので、何も言えなかった。生前のことを考えても、ここで軽率なことを言ってしまわない方がいいと思えた。

 それに、直感としかいえないのだがアイリスフィールには悪いのだが、あのマスターとは気が合わないような感じがしていた。それでも、アイリスフィールのためにも協力したいと思う気持ちがあった。

 

 

「これは私のワガママだから、別にあなたは変に気にしなくてもいいわよ。でも、心のどこかには止めていてくれれば嬉しいわ。....私は、最後までいることができないと思うから」

 

「?アイリスフィール、最後までいることができないとはどういう意味なのですか?」

 

「あなた、は気にしなくてもいいことよ。さて、着いたわ!ここが衣裳部屋よ。ここからあなたに似合うものを選んであげるし、自分で着てみたいものがあれば勝手に着てもらっていいわよ」

 

 

 そこから、長時間にわたって着せ替え人形のように様々な服を着せられた。その中に、なぜか少し興味を持った服?があった。それはライオンの着ぐるみで、なぜここにあるのかわからないような物であったが、なぜか着てたいと思っていた。それを見たアイリスフィールが、私に着せてきた。

 それを見て、「とてもかわいいわよ、アーチャー。だけど、などうしてこんな物がここにあるのかしら。でも、あなたが興味を持ってくれるものが見つかってよかったわ」と言ってきた。

 私としては生前このようこのような服を着ていなかったので、鏡で自分の姿を見て少し新鮮でありたまにはこんなのもいいかもしれないと思った。このことは、アイリスフィールに対して口にしなかった。そうすると、また別の服を進めてきて終わりそうになかったからである。

 余談だが、他にはホットパンツや青いマフラー、青い帽子に興味を持った。なぜか知らないが、初めて見るものとは思えないものがいくつかあった。本当に不思議なこともあるのだと、思った。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 私は、召喚された日から数日間普通に過ごしていた。マスターとは、こちらから話しかけたとしても全て無視されている。その後、聖杯戦争ではどうしていくのかとアイリスフィールに聞いてみた。

 

 

「まだ、何も準備をしていないように見えますが大丈夫だろうか?」

 

「それは大丈夫よ、アーチャー。もう準備を大方終わらせたみたいだから。それに、表立って行動したら他の参加者に警戒されてしまうから、裏で色々なことをするらしいからそんなわかりやすいことをしていないと思うわ」

 

「そうなると、私は単独で動くということになるということでしょうか」

 

「それは違うわ。キリツグは、私の護衛をアーチャーに任せると言っていたから、聖杯戦争中は私と行動してもらうことになるわ。私は、どうしても聖杯戦争が行われる冬木の地に行かないといけないから、キリツグの代わりの偽のマスターとして行動することになっているわ」

 

「なるほど、そういうことですか。でも、それは直接自分から言うべきことじゃないですか」

 

「そうね、私もそう思うのよ。でも、キリツグたっら何も言わないつもりみたいなんだよね。全く困ったことだわ」

 

「....そうですね。もう、仕方がないことだと受け入れますよ。これから、アイリスフィールは冬木に向かってどうするつもりですか」

 

「そうね、私はこの城からでたことがないから、外の世界でショッピングや観光がしてみたいわ。お金に関してはカードが渡されているから、金銭面での心配は必要ないわ。アーチャーも好きなだけ食べても、大丈夫なはずだしね。

 

「......」

 

 

 自分が食べる量を見て、アイリスフィールが驚いていたことを思い出した。自分の中や周りの騎士たちと比べたりしていたなかでは、普通だと思っていたのだが何だか恥ずかしく思っていた。

 それと、と付け足して私に言ってきた。 

 

 

「急なんだけど明日にはここを出発するから、何かいる物があったら準備しておいてね」

 

「わかりました」

 

 

 私は、特に持っていく物はないので何か準備する必要はなかったので、アイリスフィールのお手伝いやアイリスフィールの娘のイリヤスフィールと一緒に散歩したりと自由に過ごした。

 次の日に何事もなく、冬木市に向かった。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

僕は、アイリたちとは別行動をして、マスターを襲撃していくプランでいた。そして、事前に参加することが決定している人物や可能性のある人物のプロフィールをユーブスタクハイトからのと、舞弥に調べてもらった情報の2つを見ていた。それを見て、今回の聖杯戦争で僕たちにとって脅威がある人物のことをアイリに予め伝えておいた。

 その中で、一番厄介だと感じたのが言峰綺礼だと伝えた。

 

 

(この男だけは、一切何を考えているのかわからなかった。だから、こいつが何を仕掛けてくるのかもわからない。さて、これからどうしていけば一番いいのだろうか)

 

 

「それで、切嗣。アーチャーとは最後まで、一切話さないままでよかったのですか」

 

「それに関しては、問題はないよ。アイリを守ってもらって、敵にこちらを警戒させないための作戦だからね」

 

「そんなに簡単にことが、進めばいいのですが....。もしもの時を考えて、少しでも交流してもよかったように思うのですが」

 

「確かにそうかもしれないが、もうアイリたちと分かれて行動している現状で、何かを言っても意味はないよ。それよりも問題は、誰がどんなサーヴァントを召喚しているのか知ることだ」

 

「そうですね。でも、どうやって探すのですか?マスターが見ればサーヴァントかどうかはわかるのですが、出鱈目に移動したからといって見つかるとは思えませんしね」

 

「そこは、地道に情報を集めていくしかない。最悪、アイリと連絡を取って何か知ってないか聞くのもありかな」

 

「それならば、子供じゃないのですからいい加減話してみたらどうですか」

 

「.............考えてみるよ」

 

 

 自分の利点を最大限活かして、何とかこの聖杯戦争で勝ち抜こうとしていた。

 

 

 

 

 




まぁ、オリ鯖と言ってもクラスが違うだけです。

触媒の部分が強引になっていて、すみません。全部明かすのもどうなのかなー、と思いまして何騎か隠そうと思ったので.....。でも、バレバレだと思いますが。

今回は、アイリを書くのがいちばん楽だった気がする....。


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英霊召喚Ⅳ

今更ですが、2話について補足です。
桜が言っていた人物は、ワカメでもなく良くしてくれた一般人の人です。



今回の組み合わせは、一番ぶっ飛んでいるかもしれません。あと、オリジナル設定が多くあります。


神秘

 

 魔術とは、神秘そのものである。そのため、魔術は年々衰退していっている。昔は、人間の体は謎だらけだったが、医療が発達してヒトゲノムも全て解析されるまでになった。だが、今でも神秘はありそれを秘匿しようとする組織も存在している。例えば、時計塔の法政科などがある。

 話は戻るのだが、神秘は失われつつあるので聖杯などの物を使って根源に至ろうとしたり、自分の家の繁栄を願って参加するという人物もいる。

 参加者の中には、色々な宗教の人たちも参加している。それが、マスターであったりサーヴァントであったりと様々である。もし、仮にサーヴァントとして呼ばれれば例え異教徒の物である聖杯を取るのに反対的でない者が多い。

 だが、もちろん例外も存在している。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 ある日、突然父である言峰璃正が私に魔術師になるように言ってきた。私はそのころ、妻が死んで娘が母方の叔父達に預けられてからすぐのことであった。

 

 

「魔術師ですか?どうして、今になってそのようことをする必要があるのですか」

 

「近い内に、冬木という場所で聖杯戦争というものが起こなわれるみたいでの。その戦いで、聖堂教会は監視者を送って被害を抑えようとしている。それで、ワシと親交のある人物が今回の戦いにでるので、そいつに聖杯戦争で勝ってもらいたいのだ。もし仮に、他の人物が勝ち甚大な被害を出されるよりはマシだと考えて、お前にはそいつのサポートをしてもらう」

 

「なるほど、そういうことですか。ですが、今から魔術師となってもロクなサポートはできないと思うのですが?」

 

「ああ、それは言い方が悪かった。正確には遠坂時臣という魔術師の弟子になってもらう。それと、綺礼お前も聖杯戦争に参加してもらう。そのために、短い期間であるが魔術を学んで魔術師について知っておいて、もらおうと思う」

 

「例え、協力したとしても他の参加者も同盟を結んで対処するかもしれません。そうなれば、こちらのアドバンテージはなくなります。それに、聖杯戦争にはサーヴァントと呼ばれる存在を召喚する必要がある、と聞いてます。それは、どうするつもりなのですか」

 

 

 話していた場所は、部屋の一室で防音など情報が漏れないように施してあるので、お互い隠さず言った。

 

 

「それは問題ない。協力する人物の方が、メインで動きお前が影から支えるサーヴァントと役割分担を作るからな。それに、聖杯戦争前にお前と遠坂さんはとの間で揉め事が起こり破門されたという風に、見せ掛けるつもりだからなそうなれば、簡単には協力しているとは思われんからな」

 

「........わかりました。それで、私はまず始めに何をすれば」

 

「まず、この資料を目に通すのと近々遠坂さんと会ってもらうそれだけかな」

 

 

 そう言って、璃正は綺礼に少し厚みのある紙の束を渡してきた。その中には、今のところ聖杯戦争に参加しそうな人物や参加するのが確実な人物のプロフィールや経歴、使用する魔術など多くのことが書かれていた。

 それを見ていると、璃正は付け足すように言ってきた。

 

 

「それと、サーヴァントを呼び出すための触媒の心配は必要ない。わかっているとは思うが、そこに書いていない人物はロクに準備をせずに乱入してくる者だから、アサシンを使って実力を確認しておくなど自分で臨機応変に対応するのだよ、綺礼」

 

 

 そう言って、もう言うことはないのか璃正は部屋から出て行きそこには綺礼が渡された資料を読んでいた。そのなかで唯一自分が興味を持つ人物がいた。

 

 

(衛宮...切嗣。この男は、なぜこのような行いを続けているのだろう。何も考えずに行動しているというわけではなく、何かしらの考えに基づいて動いていると思うのだが、それが何なのかわからないな)

 

 

 衛宮切嗣。璃正が渡してきた資料の中で、一番自分に近いと思われる人物だ。自分のように何か確固たる信念がない、ということではなかった。だからこそ、綺礼は切嗣に興味を持っていた。

 それと、何か根拠があるわけではないのだがどこか確信めいたことを思った。衛宮切嗣、こいつは聖杯戦争で私の最大の壁になるだろう、と。本当に、資料を見ていてそう思った。

 

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 しばらくして、父と一緒に全身赤い服を着た男性とあった。

 

 

「初めまして、綺礼くん。私は遠坂時臣という。君の話は、君の父親である璃正さんからよく聞いているよ。それに今回の聖杯戦争で、急なことかもしれないがマスターになってもらうことになってすまない」

 

 

その人物は、全体的に優雅さがある人物であった。魔術師とあまり会う機会がなかったので、どのような人物なのか少し疑っていたのだが、現時点では杞憂だった。

 

 

「初めまして、これから一年近くお世話になります、言峰綺礼です。これから、よろしくお願いします」

 

「別に、畏まらなくていいよ。私たちの悲願に、君を危険なことに付き合わせるのだからね。それで、璃正さん。本当に、協力してもらえるということでいいんですね」

 

「もちろん。どこかの魔術師に勝ち抜かれるよりは、遥かにマシですから。それに、あなたの目的ならば聖堂協会的に見ても問題がないからの。私の言ったことが、そんなに信用がないのか」

 

「いえ、そんなことはないです。これまで何度も聖杯戦争に挑んで勝てていないので、出来るだけ慎重に物事を安全に進めたいもので」

 

「ふむ。何世代も参加して、勝つことができていないからか。まぁ、こちらは最大限出来る限りはバックアップしよう。それで、綺礼。しっかりと、遠坂さんのところで弟子をやっておれよ」

 

「わかっていますとも」

 

「それじゃ、綺礼くん。これからよろしく頼むよ。私もできる限り様々な魔術を教えるから、頑張ってついてきてくれよ」

 

 

 その後、遠坂さんと一緒にこの国を離れ日本の冬木に向かった。そこで、遠坂さんを師匠として魔術を一年近く学んだ。元々、遠坂家は宝石魔術を得意としているのだがそれを使うには多額の金が必要になるので、基本的なこと様々な分野の魔術を教えられた。

 具体的には降霊術、天体、人形術、薬草の使い方などを習った。どれも素人程度のことが、できるようになったくらいである。それでも、人形を作ることが一番マシであったらしい。

 なぜ、こんなことまで教えるのか聞いてみると「いついかなる時に、その分野の知識が必要になるのかわからないからね。それが、原因で負けてもらったら困るからね。常に、備えておくことで冷静に判断することができて最善手を打ってくれるから」とのこと。

 それを聞いて、少し疑問に思った。

 

 

(私は、アサシンを召喚する予定のはずだ。でも、マスターである私が狙われると身を守るのが大変になるな)

 

 

 自分なりに、遠坂さんの言っていることを解釈していった。

 それと、遠坂さんの妻や遠坂さんの娘である遠坂凛と関わることもあった。もちろん、娘である凛も魔術師であった。そのため、見た目よりもしっかりとしていて才能もあるように見えた。そして、遠坂さんの意思をしっかりと引き継いでいた。

 

 

(娘の方は、詰めが甘いところがあるので肝心なところでミスしなければいいがな。まぁ、私には全く関係がないことだがな)

 

 

 そんなことを思いつつ、遠坂時臣の下で魔術を学びかつ聖杯戦争での作戦を話し合ったり、協力体制を強化していった。

 

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 それで、今自分は召喚陣が書かれた部屋にいた。場所は、冬木市にある廃屋で、遠坂邸から離れた場所にいた。ここにいる理由は、もちろん英霊を召喚するためである。それで、もしものことがないように遠坂さんが召喚する場所から離れた場所にした。

 

 

(これで、私は遠坂さんと敵対関係ということだな。それで、敵に私たちが完全に敵対関係にあるよう思い込ませるために行動しなければならないが.....。それは、召喚したサーヴァントの能力で判断しなければならないから、不安に感じるな)

 

 

 私は召喚し終わったあとに、遠坂さんに連絡をしてどうするか伝えておく必要がある。そこで、どのような行動をするのか伝えるためである。その連絡も特殊なもので、盗聴対策がしてある。

 それで、アサシンを召喚するために用意された触媒をケースから取り出しておいた。それは、ハサン・ザバーハと呼ばれたアサシンの物らしかった。自分には、古びた物にしか見えなかった。

 

 

(うーん。まさかこんな、『黒い布』が触媒になるとはな。もしも、呼び出したサーヴァントがアサシンでない時のことも考えていてもいいのかもしれないな。まぁ、これは信じることしか今からだとできないからな)

 

 

 そんな不安もあったのがそろそろ召喚しようと思い、召喚陣の前に立ち呪文を唱えだした。

 

 

「素に銀と鉄。」

 

 

 呪文を唱える度に、目の前の召喚陣の輝きが強くなり自分の魔力回路が活性化するが全くそのことに何も思わず、淡々と続きを言っていった。

 

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

 

 

 呪文を唱え終わった後、暴風が吹き荒れたのだが何かが、現れたような感じが全くしなかった。そのことを疑問に思っていると、後ろから声をかけられた。

 

 

「汝は........聖杯を求める者か」

 

 

 そう、女性の声で言われた。話しかけられたことに、驚きつつ正体不明の人物に背後を取られている、という状況なので後ろに後退しつつ、黒鍵をいつでも使えるように準備しつつ振り返った。そこには、黒い布で装束で目以外を隠している人物がいた。

 見た瞬間、何か飛び道具で攻撃してきた。目の前かつ少しだけの距離しか空いていなかったが、何とか黒鍵を使い弾いた。

 

 

「ま、待って。私は、聖杯なんぞに興味はない!」

 

「関係ない」

 

 

 そう言って、右手をこちらに向かって伸ばそうとした。距離が空いているので、届かないが何かヤバイと感じた。

 

 

「妄想心 ......」

 

「人の話を聞け!」

 

 

 何かしらの宝具を使おうとしている、と判断して令呪を使って、落ち着くようにした。それで、話すことでどうにか私を殺すのを取りやめてもらおうと思った。 

 最悪、どうにかしてここから生きて離れることができればいいと思った。

 

 

「待て、私は別に聖杯なんぞ求めていない。そんな物は、どうでもいいと思っている。だが、仕事である人物と協力するように言われたからしているだけだ」

 

「.......口では何ともでも言える。それに.....お前が聖杯を欲しくないという証拠は全くない」

 

「では、どうすれば私は聖杯に興味がないと証明できるのだ?」

 

「私は異端である聖杯を無にするために...邪魔になる可能性が僅かでもあるなら....それを潰すだけ」

 

「それなら、私が君の行動を一切邪魔しなければいいんだな。それなら、聖杯からの知識があるから知っているかもしれないが、《ギアスロール》という物がある。それなら、お互いに絶対に決めたことを破ることが、できない絶対厳守の決まりを作ることができる」

 

「つまり......私とお前でそれを結ぶと..。それをして、私に一体何のメリットがあるのだ」

 

「一つ、私はある人物と協力体制にあるので、多くの情報を入手することができる。そうすれば、君は他の参加者を潰しやすくなる。2つ目は、私の父がこの戦争の監督役なのでそこを上手く利用することが、できれば令呪をいくつか増やすことができる」

 

「令呪を増やすことは.....私にとって得になることはない」

 

「それは、ギアスロールで縛れば問題ないだろう」

 

「......それでも、私のやり方で...やらせてもらう。それに、少しでも怪しいことをすれば...殺す」

 

「それで、構わない。だが、少しだけでもいいのだがこちらにも協力してほしいのだが」

 

「...どんなことだ」

 

 

何とか殺されずにすみそうだな、と綺礼は心の中で思った。ここで、気を緩めて軽はずみなことを言えば殺されるので次の言葉を慎重に選ばないといけない、と気持ちを引き締めた。

 目の前の女性のサーヴァントは、最初の攻撃してきたような殺気は少しだが薄らいでいるように感じた。

 

 

「協力者にこちらの持っている情報の一部を伝えたいのだが、大丈夫か」

 

「こちらが....不利になるのがなければ。ただし、そこの部分も制限させてもらう。だがそんな関係なら......お前はなぜ聖杯戦争に....参加しようとした?」

 

「上司に、聖杯を危険人物に渡すなということで信頼できる人物がいるから、その人を勝たせるように言われてね。それで、聖杯戦争に参加しただけだ。それと、キャスターのマスターだけは殺さないでくれないか」

 

「それは....邪魔にならないかぎり....殺さない」

 

「それで構わない。君が言う、ギアスロールの代わりになるものはどうすればいいのかね」

 

「簡単なこと。必要な物などは....ない」

 

「そう言えば、君は一体何の英霊なのかね。私はアサシンを呼び出すつもりだっただけで、詳しいことはわからないからね」

 

「名前など....とっくになくしている。それと、お前が....変なことをしなければ...命は奪わない」

 

 

 そこから、アサシンから言われたことをして綺礼に特定の行動を制限させる契約が結ばれた。それは、ギアスロールと同じく破ることができない。そのため、時臣が予定していた協力関係は開始早々崩れ去ることになった。

 綺礼はというと、自分が異教徒であるのだが何とか協力体制を作ることに安堵していた。それに、遠坂さんが勝ち抜かなくても自分達が聖杯を取り壊せば問題ない、とも考えていた。

 

 

(それなれば、父に何か言われるかもしれないがそれは仕方がない。一番の目的を果たせばいいわけだからな)

 

 

 契約を結んだあと、綺礼はアサシンと情報交換をした。綺礼は、契約の影響で素直に情報を開示した。アサシンからも、能力の一部を教えられた。

 その後、何とかして遠坂さんに協力することができることもやってもらうようにした。

 

 

 

 




~没案~


 山奥をある人物が、歩いていた。その人物は全身を黒いフードを被っているが、顔だけは見ることができる。その顔は、角がある髑髏の仮面を被っていた。もちろん、この人物は人間ではない。
 そう、この人物は聖杯戦争で呼ばれたサーヴァントである。だが、召喚されたと同時にマスターを殺したハグレサーヴァントでもあった。だが、そのサーヴァントは単独でも行動できる力があったので関係なかった。
 そうしていると、目の前に開かれた場所がでてきた。そして、そこにはテントを建てている人物がいた。


「な、何ですか!あなたは」


 その人物は、魔術師でも何でもなかったので穏便に済ませようと思った。


「別に私は、怪しい者ではない。外国から来たのだが、道に迷ってしまいこんな場所を歩いていた」


 自分でも隠しきれていないな、と思った。それに、この場所に来たのは晩鐘が反応したから何かあるのかと思いそれを探していたのである。


「そうですかー。それは、大変でしたね。えっと、私はゼッちゃんっす。ここら辺なら道が分かるので、案内できるっすよ」

「いや、別にかもわない。自分でどうにかしてみよう。.....それと、私は山の翁だ」


 名前を言おうか、迷ったのだが魔術師ではなくマスターでもないので大丈だと判断した。


「山の翁?それが、名前すっか?」

「そうだ」

「山の翁というのは、ちょっと、言いにくいー。だから、じぃじって読んでも大丈夫っすか」

「.....別に、何でも構わない」


 生前では、絶対に呼ばれなかったであろう言い方であった。
 そこで、しばらく二人で様々なことを話した。それで、この人物のことを本の少しだが、認めた。
 そして、その後夜も遅かったのでテントに止まるように言ってきた。それを断ったのだが、しつこくテントの外で休むことで妥協した。
翌日になり、二人は別れて別々の場所に行った。

★ ☆


ここは、ある日の冬木市の埠頭である。そこでは、サーヴァント同士が戦っていた。そこには、結界があったのだが破壊されてしまっていたので、一般人が入っていた。


「なんすか?これは」


声を出してしまってせいで、戦っている人たちもその存在を把握した。
そこで、あるロードが神秘の秘匿のために殺そうと魔術を行使した。そのロードは、サーヴァントから離れた位置にいて、その声を出した人物-ゼッちゃんに近かった。
それに、近くには誰もいなく助かる見込みはなかった。
だが、その通りには物事は進まなかった。


「あっ!」

いつのまにか、ゼッちゃんの前には黒い装束で顔にドクロの仮面をつけていることしかわからない人物が、いたからである。


「大丈夫か?」

「大丈夫すっ。でも、じぃじはあんな攻撃みたいなのを食らっても大丈夫なんすか?」

「あれぐらいなら、簡単に防ぐことができる」

「そうすか。それはよかったすっ。でも、あそこにいる人たちからどうやって、逃げればいいんすか」

「我に捕まっておけば、安全なところまで運ぼう」


そう言って、少女が謎の人物に抱き抱えられてどこかに消えていった。


☆ ★ ★ ☆


初期案は、これでした。
でも、こうすると過剰戦力になりすぐに終わってしまいかねないかったので、ボツになりました。それと、自分がやりたいストーリーにしにくかったのもありますが。

まぁ、これこれで初代の性格的に厳しいでしょうが……。

あと、アサシンを書くのがとても難しい。



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英霊召喚Ⅴ

独自解釈があるので、ご注意を。


 エクストラクラス

 

 

普通の聖杯戦争ではセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七騎しか存在しない。だが、この七つに属さないクラスも存在している。それは、裁定者(ルーラー)や復讐者(アヴェンジャー)なども存在している。これらは、普通の聖杯戦争では登場することはない。もし、登場するようなことがあったら随分特殊なものなのだろう。

 なぜだか、それ以外にもエクストラクラスと呼ばれるクラスも存在している。だが、それは特殊な力を持っているが上記の2つに比べればあまり知られてもいなく、性能がピーキーであったりもする。番人(ウォッチャー)は、他のサーヴァントの起こした事象や居場所を把握することができるが戦闘力はない。偽物(フェイカー)は、文字通り偽者である。何者かの代替品であったりする。

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 僕の家-ウェイバー・ベルベットの家は、魔術師として平凡以下であった。魔術師とは、代を重なるごとに力を増して優れた魔術師の家になるのが魔術師たちの常識だ。僕は、魔術師として三代目なのでまだまだ新しい魔術師の家だった。

 そのため、魔術刻印と呼ばれる魔術師にとって大事な物の一つが欠如していた。魔術刻印は、自分の子に継がせてより優れたものにしていくものである。魔術刻印があると、普通の人間であれば死んでいたのを何とか生きていられることもある。.....有名な家の分家であれば、本家から魔術刻印の一部を分け与えられることもある。

ただ、魔術刻印は自分の体に新しい臓器を創るような物で、拒絶反応が起きるので子供か親戚にしか継がせることしかできない。中には、誰に移植してもその持ち主が死ぬというものになったのも存在する。

 

 だからこそ、歴史が浅い人たちでも何十世代と続いてきた人たちに対抗できることを、証明したいと思ったのだが...

 

 

「あー、くそっ。どうして、この考えが方がダメなんだ」

 

 

 僕は、時計塔の廊下を不満を口にしながら歩いていた。ある授業で自分の考えた理論を話すと、その授業の先生だった時計塔で十二人しかいないロードの内の一人であるケイネス先生にそのことを言うと、具体的なことを言わずに批判してきた。.....周りの人達も同じような反応だった。

 何も論理的なことを一切言わず、考えるまでもない、そんな反応だった。そのことが不満だったので、文句を言いながら歩いてた。そうしていると、前から受付の女性が荷物をいくつか抱えてやってきた。

 

 

「あっ、ちょうどいいところにいた。君は確か、ケイネス先生の授業を受けていたよね。だったら、知っていると思うからこのケイネス先生宛の荷物を届けて欲しいのだけど、大丈夫?」

 

「確かに、授業を受けているので知っていますけど。そういう荷物は、直接持っていた方がいいんじゃないんですか」

 

「別に大丈夫だよ、大丈夫。それに、最近は荷物が多いからしょうがい、ということで」

 

「荷物が多い?どうして、何ですか?いつもなら、少ないはずなのに」

 

「最近、極東で聖杯戦争とかいう儀式が行われるらしいの。それで、聖杯戦争とやら関係のせいで荷物が増えているのよ。それで、こっちは仕事が増えて困っているのよ。だから、お願いできるかな?」

 

 

 そこで、聖杯戦争という聞いたことがない儀式に興味を持ったのとあの先生が、何を注文したのか見てみたいと思った。だから、面倒だが引き受けることにした。

 

 

「......わかりました。後で、教授に届けておきます」

 

「よし、これで荷物が一つ減ったー。ありがとうね、少年」

 

 

 そう言って、荷物を一つ渡してどこかに荷物を届けに行った。渡された荷物を見て、届け先がケイネス・エルメロイ・アーチボルトになっているのを確認して、何か魔術的な仕掛けがないのを確認してから透視の魔術を使って中身を見た。

 歴史を感じる赤い布があるだけだった。

 

 

(?何か魔術に使うものだと思ったのだけど.......どういうことだ)

 

 

 儀式と聞いたからどのような物を使うのか興味を持ったので中身を見たのだが、これではこの布をどのように使うのか全くわからなかった。そのため、荷物を持ったまま図書館に行って調べてみようと思った。

 

 

「いつまでに届ければいいのか、言っていなかったから大丈夫か。実物を持っていけば、確実に何に使うのかわかると思うからしょうがない」

 

 

 そして、ケイネス宛の荷物を持ったまま図書館に行き、極東の儀式である聖杯戦争について調べようとした。

 

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 そして、聖杯戦争に関する資料を読みそれがどのようなものなのかを知った。資料に書かれていたことに驚きの連続であった。

 

 

(あらゆる時代の英霊の召喚、願望機、どの性能を考えても複数の分野から成り立たせているな、これは..。極東は、辺境なにあるので魔術は遅れていると言う人はいるが、これを見るとそんなことは言えないな。それに.幻と言われた冠位(グランド)の称号を受けた人に極東の蒼崎という人がいるからな)

 

 

 それで、やっと古びた赤い布の正体がわかった。英霊を召喚するための触媒で、あることが。そこで、赤い布に関する英霊を調べてみた。時間が掛かったのだが、何とかそれらしき人物を何人か探し当てられただけだった。

 

 

(『古びた赤い布』。これだけだと何人か当てはまるから、断定はできないな)

 

 

 どの英霊なのか、特定するのは諦めた。

 そして、聖杯戦争はこれまで勝ったものはいなく、これに自分が参加して歴史が浅い魔術師でも一流の人とある程度は対抗することができる、と証明することができる絶好の機会だと思った。聖杯戦争で結果を出して、さっき馬鹿にしてきたケイネス先生などに自分が言った理論が正しいと証明してやる、との思いで参加することを決めた。

 だが、問題もあった。

 

 

(サーヴァントに関しては、このケイネス先生宛に届いた荷物を使えば大丈夫だろう。....そこそこなところまでいけば問題にはならないと思うのだけど。一番の問題はお金がない!)

 

 

 ベルベット家は魔術師としては浅く、コネもなく多額の金が入ってくる手段もない。お金のほとんどを魔術に使用しているので、使えるお金がない。そのため、急に極東の日本に行くためのお金を用意することはできなかった。急でなければ、どうにかできたかもしれないのだが。

 どうにかして、お金をリスク少なく得る手段を考えなければいけなかった。考えた結果、どうしても借りたくない人物しか思いつかなかった。だが、その人物しか心当たりがなかったので仕方がないと思った。

 

 

(っ。メルヴィンぐらいしか、纏まった金を貸してくれる人を思いつかないとはな.....。魔術師としては優秀だが、あの性格がなー)

 

 

 届けるはずだった荷物を抱えて、調律師のメルヴィン・ウェインズのところに渋々向かった。

 

 

 

 

 

☆   ★   ☆   ★

 

 

 

 

 

 調律師。

 魔術師の魔術刻印や魔術回路に干渉して、一時的に使う魔術の効率や効果を増加させるたり、魔術回路の調節などをすることができる特殊な魔術の使い方である。メルヴィンは調律するにあたって、バイオリンを使用する人物である。......バイオリンを使うのが支流なのかどうかは不明だが。

 

 

「やあ、ウェイバーくん。久しぶりだね。どんなようがあったら、君が嫌っている僕のところに来る用があるんだい?」

 

 

 出会って、一発目にこんなことを言ってくる人物である。昔、ちょっとしたことがあって会いに行きたくもないし性格的にも苦手な人物だ。

 見た目自体は、白髪で全身白い服を着ているような人物である。生まれながら病弱な人物なので肌も白い。そのため、全体的に白いという印象を受ける人物である。

 

 

「.......日本までの飛行機のチケット代、生活費などに使うお金が欲しい。だから、お金を貸してくれ。そしたら、お前に面白い話をき聞かせてやるから」

 

「確かに僕は、面白い話を聞かせてくれたら金をやる、とは言った。だけど、君が僕に殴りかかってきたこともあったじゃないか。そんな相手から金を貸して欲しいと言われて素直に渡してくれると」

 

「...僕も、あの時のことは悪かったと思うと。だけど、今回はどうしてもお金がいるんだよ!」

 

「.....まぁ、いいよ。もちろん、帰ってきたとk..ゴッホ」

 

 

 言葉の途中で、目の前の人物が吐血した。メルヴィンは、病弱でためによく吐血する。そのため、輸血パックを常に持っていたりする。それに、もし魔術の才能がなかったら、まともに歩くことができない状態である。つまり、魔術回路を常時使っているから行動できているということである。

 それと、話している最中に吐血を何回もしてくる。それなのに、なぜか平然としている。たまに、輸血パックなどで血を補充しているがそれで大丈夫なのか、と思うときもある。

憎たらしいことに、魔術に関しては僕よりも優秀である。魔術回路を使って、常時身体を動かしていたら維持するので精一杯なのだから。

 

 

「あー、ごめんね。いつもの吐血だよ。それで、金を借りたいという話しだったよね」

 

 

 そう言って、メルヴィンはひと呼吸おいてから僕に言い聞かせるように言ってきた。

 

 

「僕に面白い話を聞かせてくれる、ということ?」

 

「もちろん!絶対に面白い話を聞かせてやるよ」

 

「わかった。それで、いくらぐらいあればいいんだい」

 

 

 それで、メルヴィンからお金を借りることに成功した。それで、ようやく準備が整った。向こうに着いた後、どうやって行動していくかを考えつつ飛行機に乗って移動した。

 

 

 

 

 

☆   ★   ☆   ★

 

 

 

 

 

 冬木市に向かうのではなく近くの街に行き、良さそうな家を見つけてその家にいる住民に暗示の魔術をかけて自分を孫だと思わせることにして、そこを拠点にして活動しようと決めた。

 そして、人気がないかつ良い地脈の場所を探し始めた。そして、そこで英霊を召喚するための召喚陣を書くための素材も用意しようと色々と見て回った。それで、森の奥の方に適した場所があったのでそこで夜英霊を召喚しようと決めた。

 

 

(魔術は秘匿しなければ、ならないという点から夜活動をする人が大半だと思うから昼間をできるだけ、情報を集めに力をいれるという形でいいかな) 

 

 

 下見で、冬木市を歩いてみた。その後、自分の拠点であるおじいさんとおばあさんの家に戻って食事を食べた。そして、寝たように見せかけて家を出て昼間見ておいた場所に向かった。

 その場所にたどり着く前に、召喚陣を書くための物を撮取って向かった。その場所に着いて、まず英霊を召喚するための召喚陣を書き始めた。

 

 

(よしっ、こんなものかな)

 

 

 自分で見ても、そこそこのできなものを書けたと思った。そして、ケイネス先生宛の荷物から取ってきた古びた赤い布を用意した。

 自分が、何かミスをしていないのかを何度も確認してしていた。それでも、不安を完全に払拭することはできなかったけど、召喚を始めることにした。

 

 

「素に銀と鉄......」

 

 

 予め調べて、用意していた呪文を唱えった。それをここに来るまでに完璧に覚えて最後まで間違えることなく唱えた。

 唱え終わった後、風が吹き乱れて何かとラインが繋がった感覚もあった。そして、現れた人物から声をかけられた。

 

 

「.....お前が私を呼んだマスターか?」

 

「は、はい」

 

 

 予想外のことがあり、そのまま答えた。そのことに、目の前の人物は確認をしたかっただけだったみたいだ。

 

 

「これから、よろしく頼む。私はライダーのサーヴァントだ」

 

 

 そう目の前の女性は答えた。髪は黒く短く切りそろえられていて軽くウェーブしていた。そして、目は特徴的で金銀妖眼(ヘテロクロミア)だ。服は、赤い色をした簡素な鎧を着ていた。

 自分が予想していた英霊に、女性はいなかった。そのため、目の前の英霊が何者なのかという疑問を持った。そのため、真名に関することで弱点がバレたくなかったので、思い切って聞いてみようと思った。

 

 

「えっと、急になんだけど真名は何?」

 

「.......名前は、言えない。それに何かしらの弱点の伝承もないが、ライダーとしては十分な力を持っていると思うぞ」

 

「無銘?そんなはずはない。しっかりと触媒をしようして召喚したのだから、それに関する英霊が呼ばれるのではないのか?」

 

「いや、それで合っている。単に、私が特殊なだけだよ。詳しいことはおいおい話していく」

 

「わかったよ。後で、絶対に教えてくれよな。それで、ライダーと言っていたけどどんなことができるんだ?」

 

「どんなことか、と言われてもな。基本的には戦車を召喚しての機動力を活かした戦い方など.....かな。それと、魔術が少し使えるかな」

 

「魔術?ライダーなのに」

 

「クラスには、全く関係がないからな。ランサーとかでもキャスターぐらいは無理でも、簡単なものであれば使えると思うぞ」

 

「なるほど。ということは、サーヴァントの魔術にも注意した方がいいのかな」

 

「いや、そんなに気にする必要はない。使えたとしても、サポート程度の魔術しか使うことができないだろうからな。まぁ、これにも例外があるのだが今は気にしなくてもいい」

 

 

 自分が読んだ文献には、最低限のことしか書かれていなくどのような戦術や能力のサーヴァントがいたのかわからなかった。そのため、事前に少しでも知れてほっとした。

 

 

「それで、マスター。これから、どのようにするのか決めているのか?」

 

「漠然とだけどね。魔術を使ってある家に親戚という形で泊まっているから、そこを拠点にしよう、と思ってる」

 

「そこは、冬木の中なのか?もし、そうであれば、その家の住民を巻き込むリスクが高いのだが」

 

「そこは、大丈夫。僕も余計な被害は、出したくないからね」

 

「そうか」

 

 

 その後、二人はまず拠点としている家に向かうことにした。その途中、簡単に聖杯を得たい理由などを言い合った。

 そこで、ウェイバーはライダーを比較的常識人であると思った。だから、あまり無茶苦茶なことをしない、と思っていたのだがその考えを聖杯戦争が始まってから考えさせられることになった。

 

 




メルヴィンとライダー、難しい。多目に見ていただければ、幸いです。


次回で、英霊召喚は終わりです。



*ランサー陣営は、原作と全て同じです。追加するとすると、法政課やドクターハートレスを出したかったのですが、厳しかったので「なし」にしました。


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英霊召喚Ⅵ

 平行世界

 

 それは、ありえたかもしれないIFの世界。

 それは、ありとあらゆる可能性の世界。

 それは、干渉することができず普通では観測することができない世界。

 

 だが、その世界を知ることができる人物も存在している。それは、極稀な話で多くのには関係ない。

 もちろん、それには例外といものも存在している。それは、意図的にその人物に教えることである。何か意図がなければ、わざわざそんなことはしないかもしれない。....面白半分に仕込んだので、なければの話であるが。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  

 

 

 

 

 

 俺は、その日を境に今までの人生を大きく変えることになった。ただ、そこのことに不満はない。もし、同じような場面に出くわしてもまた同じ行動をする自信がある。例え、死ぬことになったとしても。

 それは、ある日の出来事。起きてすぐに視界に少し違和感を感じた日のことである。それと、なぜか右手の甲が少しヒリヒリとしていた。普通に体調が悪かったり、寝ている時に何かしたのだ判断してスルーしていた。

 今から、思えばその時から対処できない異変が起こっていたと理解できる。でも、その時は気に止めなかった。もし仮に、その時何かしていようが結果は変わっていない。それに、この結果には満足している。

 

 それで、自分は学生だったので学校に向かう準備をして、余裕を持って家を出て学校に行った。

 その途中、階段がある場所があるのだが、そこで女性が降ってきたのだ。つまり、自分よりも上いた女性が、階段を踏み外して下にいる自分に降ってきたのである。そんなことを想定していないかつ体をそんなに鍛えていないので、受け止めることが出来なく二人揃って階段から転げ落ちていった。

 

 

「あらっ」

 

「っ」

 

 

 もちろん、下にいた俺の上にその女性が乗る形で落ちてきた。そして、気がついたら目の前が真っ暗になっていて、何かによって呼吸が塞がれた。そのため、女性には悪いがすぐに退いてもらおうと、呼吸の妨げになっているものを退けた。

 

 

「あらあらっ。何か、私の胸に恨みでもあるのでしょうか。顔を埋めて楽しんだ後で、少し強引鷲掴みしてくるなんて....」

 

「ご、誤解です。偶然、そこを触ってしまったというだけで...」

 

「うふふふ、わかっていますよ。ちょっと、からかってみたくなりましたもので」

 

 

そう言って、女性はすぐに俺の上からどいて俺に手を差し伸べてきた。

 

 

「大丈夫ですか?私が上から乗って、すみませんでした」

 

「いえ、こちらの不注意もあったので気にしてませんよ」

 

 

 謝られたが、こちらも受け止めきれればよかったと思っていた。

 

 

「私も急いでいましたので、こんなことになってしましました」

 

 

 そこで、女性の服装が特殊なことに気が付いた。

 お寺で使われていそうな布で、顔だけが見えるようにしてあった。服も服で、尼が着ていそうなもので、色は白と黒を基調にしてあった。

 ......それと、気のせいかもしれないのだが、この女性と手を繋いだ時に何か痛みを感じたよう気がした。チクッとした痛みだったので、そのことはすぐに忘れた。

 

 

 

「お詫びをしたいので、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?可愛くてムッツリな学生さん」

 

 

 別に、狙ってあのようなことをしたわけではないのにそのような言い方をされるのは、嫌だが事実だからしょうがない。それに、学生服を着ているから学生さんと言ったのだろう。

 

 

「俺は、岸波白野です。それで、あなたはなんという名前なんですか?」 

 

 

 岸波白野。それが自分の名前である。何もない、そんな自分にはぴったりな名前だと自分では思っている。

 そして、名前を聞かれた目の前の女性はなぜか、少し悩んでいた。何か事情があるのかもしれない、と思った。そう思っているうちに、女性が答えた。

 

 

「私は、藤村大河です。どうか、覚えておいてくださいね」

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 藤村大河、と名乗った女性とはあの後何事もなく別れた。別れる前に少し藤村さんの話を聞いたりしたくらいである。印象としては、尼の服装をしているけど仕草のせいで全然そう見えない人だった。.....何というか、一つ一つの動きが官能的というかそんな感じがする人だった。。

 なぜだか、藤村さんと別れる前に握手をした。どうして、と聞いても気まぐれで、こうしたらあなたが喜ぶんじゃないかなと何とも言えない笑顔で言ってきた。それで、顔を背けると笑ってきた。

また、変な人に会ってしまったな、と思った。自分は、変な人を引き付ける何かがあるんじゃないのと思うぐらいには。世の中では何が起こるかわからないな、と改めて思った。

 そういえば、と朝見たニュースを思い出した。それで、しばらくあっていない子供の心配に思った。

 

 

(最近、近くで子供を狙った犯罪が多発しているらしいなぁ。そういえば、桜ちゃんは元気かな?最近は、どうしてか見かけないから何かあったのかな。まぁ、何かあたったとしても、俺にはどうすることもできないだろうけどね)

 

 

 遠坂桜。偶然、困っていたのを助けたことがきっかけで、何回かあったことがあるぐらいではあったのだが、心配に思った。

 そう考えているうちに、学校に着いた。だが、何か視界に違和感を感じたがどこが違うのかわからなかったので勘違いだと、思った。

 

 

「よっ、岸波。あはよう。何か妙な顔をしていたのだが、何かあったのか?」

 

 

 校門を通る時に、自分に話しかけてきた人物がいた。その人物は、生徒会のメンバーでなぜだか俺と仲がいい人物である。

 

 

「何かって、ちょっと考え事をしていただけ。特に何かあるというわけではないけどね」

 

「それならいいが。何か困っていることがあったら、言うんだぞ」

 

「わかっているよ」

 

 

 そう言って、俺は昇降口に向かった。

 何か困ったことがあったら、と言われたことについて思うところがあった。昔から、危険なことに飛び込むようなところがあるらしい。あまり、自分ではそうは思っていないのだが。心のどこかには、留めておこうと思った。

 

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆  ★

 

 

 

 

 

 そこで、一つの異変が起きているのに気がついた。友達に指摘されたのだが、いつのまにか右手の甲に赤い刺青のような物があったのだ。自分でも、いつ出来たのかわからないもので不気味に思った。

 

 

(いったい、いつこんなものが出来たんだ?朝、行く前にはこんな物なかったはずだけど....。自然にはできないから、誰かの仕業だとは思うのだけど心当たりがないな)

 

 

 赤い刺青が、何かを指している感じがあるので洗い流そうとしたのだが消えなかった。そのため、保健室に行き包帯を貰って巻いて隠していた。

それ以上、何かおかしなことは起こらなかった。

 放課後には、部活をしていないのだが提出しなればいけない書類があったので、それを書いていた。他にも、クラスメイトに雑用をたくさん押し付けられたので、それをやっていた。そのため、ようやく帰れるようになったのが、日が傾いてきてあたりが少し暗くなってきていた。

 

 

(ふーっ。やっと終わったか。)

 

 

自分に仕事を押し付けてきたことは、よくあったので問題なかったのだが量が多くて今回ばかりは、自分でやれよっと思うくらいであった。その人物との付き合いも長いので、ある程度のことは慣れてしまった感が少しある。

 それと、右手の包帯を一回はずして刺青が何かなっていないかみようと思って、見たのだが一切変化していなかった。

 

 

(うーん。こんな怪しいのを放置しておくのもどうかとは思うのだが....)

 

 

 現状では、何も変化起きていないので変化起こってからでも大丈夫かな、と思い学校を後にした。

 帰っている最中、いつも同じ場所を通っているのだが少し違和感を覚えた。違和感というよりかは、何か声が聞こえてきたような気がしたのである。それに、いつもなら人がそこそこ通っている道なのに人が、一切通っていなかった。

 

 

(偶然、こんなことが、起きるものなのかな?それとも、何か人為的に引き起こされている?どちらにしても、早くこの辺りを通り抜けた方がいいな)

 

 

 その場所から、早足で家に帰ろうと移動した。

 

 

「だずげでー」

 

 

 しかし、すぐに助けを求める声が聞こえてきたので足を止めた。声から考えて少年で、心から助けを求めているような感じがあった。自分も怖いのだが、一番何もしないままいることも出来ないので、声がしたと思われる場所を探した。

 そしたら、一軒だけ妙な家があった。なんというか、何か変なものがある家があった。

 

 

(なんだろうな。朝から、少し感じていた違和感のようなものが強く感じる家があるな。それに、何というか気持ち悪く感じるだよな。他とあまり変わっていないように見えるのにな)

 

 

 この家がさっきの悲鳴がしてきた家なのかな、と思っていると中から何かが、吹き出るような音と何が落ちる音も聞こえてきた。これは、この家で間違いないなと思った。

 それに、物音が少しだけだけだがしているので、誰かがいるのはわかっているのだが、電気が一切付いていないのはおかしい。

もし、外れていたら素直に謝るしかないな、と思い玄関から入ろうと思いドアを開けよとすると鍵がしまっていなく、普通に開いた。そこに何かあるというわけでは、なかった。でも、何者かが侵入したような跡があった。

 そこで、気を引き締めて奥に進んだ。ドアが少し開いているところがあったので、そこでに入ってみようと思い、周りを警戒しつつ入った。 

 そこには、刃物を持った男と何かで虐められた死体と首なし死体と口にタオルを咥えさせられている子供がいた。様子を見て、どうにか子供を助けられたらな、と思った。

 

 

(格闘技とかが得意なわけではないから、相手の隙につけこむようなことしかできないな。それに、違和感が何のかもわからないから、すぐには動かない方がいいのかもしれないということもあるかもしれないしな)

 

 

 そう思っていると、いつの間にか目の前にまで刃物を持った男が移動していた。

 

 

「へぇー。よくここが、わかったね。どうしてか、あることをしたら人が寄ってこなくなっていたけど、効果が切れちゃったのかな」

 

 

 発言からして、目の前の人物が細工をしたから人がいなかったみたいだった。でも、どうやったらそんなことが出来るのかはわからなかった。

 

 

「まぁ、そんなことどうでもいいか」

 

 

 そう言って、興味を失ったみたいに俺から離れていった。そのことに安堵していたが、自分のお腹ら辺に違和感を感じていた。もしかして、と思って見てみると案の定切られていてそこから大量の血が流れ出していた。

 痛みのせいで、そのまま前のめりに倒れた。

 

 

 

 

 

☆  ★  ☆ 

 

 

 

 

 今、自分はナイフで脇腹を切られてしまい、その痛みで部屋の真ん中あたりで蹲った状態でいた。それと、右手の包帯をして変な模様を隠していたあたりがなぜか痛かった。 

 そして、自分を切りつけてきた男性は、何かを行うつもりなのか血で床に何かを書いていた。その仕草から、何かを準備しているようだった。それと、自分の近くに小さな少年が縛られていた。口を塞がれたままずっと泣いていた。そして、その原因はすぐにわかった。

 その少年の近くには、首がない死体とバラバラにされた死体があった。そのことから、これがこの少年の両親だろうと推測することができた。

 

 

(今日は、とことんついていないなぁ。まさか、最近話題になっている殺人事件の現場に遭遇してしまうなんて....。でも、なんとかしてこの子供と逃げ出さないとな)

 

 

 今日一日、なぜかいつもなら起きないようなことが起きている。そして、現状は最悪と言ってもいい。自分は、運動が得意な方ではなく泣いている子供と仲良く動きを封じられた状態で、相手は刃物を持った殺人犯である。

 

 

(何か!現状を変えるためには、何がある?)

 

 

 お腹の痛みを我慢しながら、一生懸命に考えた。当たり前かもしれないが、普通の生活を送ってきたので、ナイフで切られる経験をしたことがない。つまり、痛みに慣れていない状態ということだ。それと、右手で傷口を押さえて出血量を押さえようとしている。

 体のことに詳しくないので、どのくらいの血を失えば人間が死ぬのかはわからないが、出来るだけ減らしておくのがいいので痛みを我慢して強く抑えている。

 それと、切ってきた相手はさっき自分切った時に、違和感を覚えたみたいだった

 

 

「うーん。さっき何か、おかしかったな。あの本に書いてあるやり方をやっていれば、違和感なく移動することが出来て楽に殺すことができたんだけど。何か、さっきは上手くできなかった気がするんだよな」

 

 

 ちょっとだけ、顔を上げて周りの様子を少し確認してみた。声の通り、相手がこちらに全く意識していないままなので、この機会を活かせたらなと思ったのだが。

 

 

(そう思っても、何もできないだよなぁ。相手の実力の差が開いていて、自分は負傷しているし。何か、ないのか)

 

 

 そう思って、周りを簡単に見ていると気づいたことがあった。少年を縛っているのが、頑張ればすぐに解けそうになっていた。だが、これで相手の考えていることが少しわかったよな気がした。

 

 

(紐を意図的に、解けやすようにしているな。ということは、逃げようとしたところを捕まえて、相手の反応を楽しむというところかな。それなら、相手の意表をつくようなやり方でないと駄目だな。それに、子供を逃がすだけで精一杯になりそうだな)

 

 

 そして、子供にしてある縄をより解けやすくしておいた。子供には、声を出さないようにと念押しをして。相手に気づかれていると、思ったが気にしないようにした。

 そうしている内に、ナイフを持った男性がしていた何かの準備が終わったようだった。床にある血を使って、血で汚れていないスペースで何かを書いていたらしい。

 

 

「よし!これで完成っと。だけど、いったいこれは何に使うものなんだ?」

 

 

 発言からして、書いた本人でさえ何か理解していないようだった。そのことを不思議に思ったのだが、そんなことどうでもいいと判断して、いつ動こうかと観察していた。

 

 

「よいしょっと。英霊の召喚?よくわからないけど、面白そうだからしようとしたけど、呪文を唱えるのは面倒だなー。あーあ、さっさと始めて帰りますか」

 

 

 男は、持っていた本をめくり何かのページを探していた。それと、持っていた本なのだが、何か危険な感じがした。

どうにか、子供だけでも逃がそうと思い、行動しようとした。だが、すぐにそんなことをする意味がなくなってしまった。

 

 

「えっ」

 

 

 なぜなら、急に男の胸から生えてきたのである、その手が、心臓を持ち握り潰してあたりに血が少し飛び散ることになった。

 とっさのことで、何があったのか理解できなかった。いつの間にか、相手の後ろに人が立っていてその人物が目の前で殺した。何が起きたのかは、理解できてもどのように動けばいいのかわからなかった。殺した犯人の服装は、独特かつ見にくいものだった。全身を黒で、明かりがないこの場所だとわかりにくかった。

 それに、もしかしたらまだ脅威は過ぎ去っていないかもしれないと思った。この人物が、危険ではないと決まった訳ではないから。

 

 

「....一人目...処理完了」

 

 

 それは、さっきの男を殺し人物が言った言葉なのだが、全く意味がわからないことを言っていた。

 

 

(?何を言っているんだ)

 

 

 正体不明なままなので、警戒しているとこちらにやってこようとしていた。そして、その視線はこちらを観察しようとしているような気がした。.....特に、

 

 

「 」

 

 

  そう言って、こちらに近づいて来た。こちらは、何もしないでいた。

 

 

 

 

 

 

☆   ★ ☆   ★

 

 

 

 

 

 そこで、また一つ普通ではありえないことが起きた。

 

 何かを突き破ってくる音が聞こえてきた。そして、自分の目の前にそれが現れた。

 それは、独特な格好をした少女であった。服装や姿も独特なのだがら、一度見たら覚えていそうなのだが会ったことがない人だった。だが、会ったことはないはずなのだが、どこかで見たことがあるような気がしていた。

 それとい、なぜだか急に現れた人物を見ていると安心した気持ちにもなっていた。・・・自分でもわからないのだが、もう大丈夫だと思った。

 現れた少女の方は、なぜか少し怒っているような雰囲気もあった。そして、素人目から見てもただならぬ気配を放ってもいつつ、右手に持っていた武器をを黒装束の人に向けていた。

  

 

 

「......お前はマスターだったのか」

 

 

 そう黒装束の女性が、言ってきたのだが意味が全くわからなかった。ただ、自分を守るように立っている少女も何も言わないで、警戒しているようだった。

 

 

「・・・・・・・」

 

 突然、現れた少女はこちらを一切見ていないなく目の前の敵と思しき人物に警戒をしていた。

 今までは、死ぬかもしれない恐怖があったからだろう、何とか意識を保つことができていた。だが、今は安心感の方が強くなっているのでそのまま意識を手放しても大丈夫だと思えていた。

 そして、意識を失う前に自分の様子に違和感を感じたのかこちらを見てきて、慌てて何かを言いいつつ近づいてきた。

 

 

「大丈夫か、■■■《マスター》!!!」

 

 

 それが、どんな意味かまではわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 






次から、本格的に物語が進んでいきます。


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開戦


ちょっと語弊がありそうだったので、訂正させてもらいます。


 まず、6話に出てきたナイフを持っていた男(連続殺人鬼みたいなものです)。あの人物は本編でジル・ドレを召喚した時に使った本です。あれには、召喚陣も書かれていたので簡易的な魔術が書いてあってもおかしくないと思い、あんな感じになりました。

 それと、登場した藤村大河は偽物です。本人はまだ学生です。(あまり話に関係ない話ですが)


 戦闘描写が、何かフワッとしているかもしれません。すみません。


 

 あれから、アイリスフィールと一緒に日本の冬木市に何事もなく到着した。大丈夫だとは思うが、何が起こるかわからないので一応警戒だけはしていた。

 それで、今は........。

 

 

 

「ねぇ、アーチャー。この服どうかしら?」

 

 

「似合うと思いますよ」

 

 

「ねぇ。...少し返答が雑になっているのじゃないの」

 

 

「いえ、そんなことは」

 

 

 実際は、こんなやり取りを何時間もしているので雑にもなってくるというものだと思う。買い物を始めて、この店で5店舗目でそこそこの量の荷物が存在していて、一軒一軒が長ければこんな対応をしてもしょうがないというものだ。

 

 

(私が生きていた頃には、こんな施設はなかったから新鮮ではあります。ですが、もしあったとしてもさっさと決めて帰っていたでしょう。それに、アイリスフィールと一緒ではなく私だけなら、こんなに時間をかけず機能性を重視した服だったり選んだりしていると思いますからね。あまり、どれがいいのかを聞かれてもわからないというのもあるのですけどね。こればかりは、アイリスフィール自身にやってもらうのが一番ですかね)

 

 

 

 護衛がいるとはいえ、戦いが行われる場所にいるのであまり動いて、敵に発見されたくないと思っていましたがアイリスフィールのことも考えて、妥協して色々な所を回ったりもしている。

 

 街を歩いて見ているときに、魔術を使って何かしたらしい場所もあったりと、も戦いが始まっているのだなと思わされた。

 

 

 

「アーチャー、そろそろ帰ろうかしら。人が少なくなってくると、危険が増えるからね。それに、いくつか何か細工したような感じがする場所もあったからね」

 

 

「.....アイリスフィール。そこまで、気づいていたのならもう少し慎重に行動してくれませんか?」

 

 

「その必要はないわ。参加者の大半は、夜に本格的に行動するのだから、昼間は比較的安全なのよ。それに、仮に敵と遭遇したとしてもアーチャー、あなたがいるから大丈夫だと思うのだけど」

 

 

「....そこまで信頼していただけるのは、ありがたいのですが」

 

 

「まぁ、正直に言うとね。一度、町でショッピングがしたかったから今やってしまおうと思っただけなんだけどね」

 

 

 

 うん、何ていうか自由な人だと思った。

 

 それから、止まっている場所に戻り荷物を置き、食事などをして過ごした。そのさい、アイリスフィールがあの城ではできない色々なことをして、楽しそうに過ごしていた。

それを見て、私も多少のことなら大目に見てもいいかも、と思いつつ付いて行った。

 

 

 

 

 

☆   ★ ☆   ★

 

 

 

 

 

 それから、泊まっている所に戻り買った物を整理したりご飯を食べたりして何事もなく普通に過ごしていた。

 そして、夜になってからだがアイリスフィールの要望で夜の海を見に行くことになった。その途中で、敵に遭遇するかもしれないので警戒しながではあるが。心配していたが、何も起きることなく海に辿りつき楽しそうにアイリスフィールがいるのをただただ見ていた。

 何か、言おうと思ったのだが何となくこのまま何も言わないのがいい気がした。

 

 

(本当はあの人とここに来たかったのでしょうが、別行動なら仕方がない部分もあります。でも、もう少し気を遣ったらと思うのですが)

 

 

 そこで、敵のサーヴァントの気配がした。それをアイリスフィールに伝えた。

 

 

「アイリスフィール、敵の反応です」

 

「ええ。わかったわ」

 

 

 それで、反応があった場所に向かった。その場所は、そんなに離れた場所ではなく埠頭であった。

 その場所には、二本の長槍を持った人物がすでにいた。その人物以外は、近くには誰もいないようだった。髪の色は黒く、赤と黄色の槍を持ち緑色のタイツのような物を着ている人物だった。

 

 

(はじめから、武器を持っているということはよぼどの戦闘狂か襲撃にそなえているのかだな。現状では、まだアサシンがいる状態だから気を抜くわけにもいかないというのもあるな)

 

 

「おやっ、最初の相手が美しい女性とはな」

 

 

 会ってすぐに、こんなことを言っていくるランサーらしきサーヴァントに少しイラついていた。会って早々こちらを弱者扱いしているような気がしたから。

 

 

「ふん、そんなことを言うのだから

 

 

「アイリスフィールは、安全なところに居てくださいね。巻きこれては危険なので」

 

「大丈夫だわ。私もそのくらいのことは、わかっているわよ。頑張ってね、アーチャー」

 

「ええ、任せてください」

 

 

 そう言って、アイリスフィールから離れて少し前にでた。

 

 

「ふん。そんな舐めた言い方をして、いつまでそんなことを言っていられるのか、試してみるか」

 

「嘗めてかかかるなど、そんなことはない。.....生前、ちょっとしたことだと思っていたことによって後々苦しめられたからな。油断するつもりはない」

 

「そんなことを言う前に、構えろ。後から、卑怯な手を使ったと言われたくないからな」

 

 

 そう言って、着ていた黒いスーツから臨戦状態になった。全身を銀の鎧で覆い、手にはまだ武器を持たずにいた。

 

 

(さて、相手はどう見ても槍を持っている時点でほぼランサーで決まりだな。こっちはあえて、あまり使っていなかった武器を使おうか。それに、クラスを偽っておけば何かの役にたつかもしれないしな)

 

 

 そう思い、宝具で数ある武器の中からある剣を選んだ。それは、王が使うことで力を発する剣である。

 剣には、謎の文字が彫られていたりもする。

 

 

「ほう、それがあなたの戦う時のすがたですか。それで、武器は剣と。つまり、あなたがセイバー、というわけですか」

 

「そんなこと、どうでもいいでしょ。真名に比べればね」

 

「確かにな。それでは、始めさせてもらおうかっ」

 

 

 そう言って、ランサーが突っ込んできた。

 それを剣で受けたり回避をして、こちらからは積極的に攻めずに相手の反応を窺っていた。剣で、相手の槍を正面から受けずに受け流すような戦術を採った。

 

 

(たぶん、持っている槍が宝具と関係があるだろうからな。下手にあの槍の攻撃を喰らうと、毒を受けるかもしれない。まだ、様子見をしておくか)

 

 

そこから、アーチャーは積極的ではないが相手の隙を見つけて攻撃したりしていた。その打ち合いを十回程度した。

それで、ランサーに掠り傷程度しか与えられなかった。私は全身鎧を着ているはずなのに、傷を負ったのがわかった。

 

 

「なるほど。ランサー、貴様の宝具の一つは魔力の無効化か。だが、その程度では致命傷まで程遠いぞ」

 

「ほう、そこまでバレましたか。この紅の長槍は、魔術的な防御を無効化して攻撃することができる。.....それにしても、その鎧は魔力でできているんですね」

 

 

 少し厄介そうにランサーが、言った。

 実際は、そんな単純な話ではないと考えている。

 

 

 

(とはいえ、もう一方の槍も警戒しておいたほうがいいだろうな。二本の長槍で、戦うのだからお互いに能力を補うものである可能性が高い。そのため、鎧は着ていた方がいいかな。それに、ちょっとこちらから仕掛けてみるか)

 

 

 

 アイリスフィールの方を見てみると、ちゃんと後ろの方にいた。しっかりと安全を確保しているようで、安心した。

 

 相手に向き直り、剣の先を後ろに向けて両手で持つ形にした。

 

 

 

「今度は、こっちからいかせてもらう」

 

 

 

 そう言って、鎧を着たまま保有スキルの魔力放出を使った。剣から魔力を少し放出して、ジェットエンジンのようなことをした。それで、そのまま相手に高速で接近して魔力放出を維持しながら剣を振り上げた。普通の剣戟ではなく、魔力放出を使って攻撃したので攻撃範囲は少し大きくなっていたのだが、ランサーは後ろに後退しつつも上手く避けててきた。そのため、大きなダメージにはならなかった。

 

 だが、ランサーの体勢を少し崩せたので畳み掛けるように攻撃をしていった。槍の攻撃を鎧で受けないように気をつけながら。技量では、圧倒的な差はないのでそこまでアーチャーは押し切れなかった。

 

 そこで、多少無理な体勢からでも攻撃してこちらの力をあまり見せずに終わらせようとした。だが、上手くランサーに流されてしまった。

 

 そうすると、ランサーがここぞとばかりに槍を上手く使いどちらかしか剣では防げないようにズラして攻撃してきた。それを黄色い槍は、持っていた剣で防いだ。そのため、ランサーはがら空きになった胴に赤い方の長槍で突いてきた。

 

 あえて、その槍を引き付けて防ぐ手段がないと相手に思わせるくらいまで引き付けた。相手はこちらの鎧では、防げないことをしているので当たると確信していた。

 

 だが、

 

 

 

「なにっ!」

 

 

 

 当たる寸前になって、さっき剣を取り出したゲートから今度は盾を展開して防いだのである。

 

 それで、相手の一瞬の隙を使って後の防御などを考えない全力で軽く魔力放出しつつ剣を振り下ろして勝負を決めにいった。

 

 しかし、相手も英霊になった人物なのでそう簡単に致命傷を与えてくれるはずもなくもう一本の長槍で防ぎつつ後退した。そのため、魔力放出の余波かつ浅くではないがダメージを与えることができた.

 

 

「っ」

 

 

「ちっ」

 

 

 

  相手がもう一本の長槍の宝具を使う前に決着を着けようとしたのだが、決まられなかった。さすが、英霊にまでなる人物なだけはある、と思った。それに、たぶんランサーのマスターもこの戦いを見ているだろうから回復してくるとはいえここでこのまま押し切ろうと考えた。

 畳み掛けるように攻撃しようとした瞬間、空の上から雷と共に何が落ちてきたようなうな音がした。それで、急いでその場から離れてランサーと距離を空ける形になった。

 

 

「ふん。戦いが始まっていたから見に来たら、この程度のものか」

 

 

 その声と共に、二頭の馬に引かれた戦車が空から現れた。そこには、堂々としているサーヴァントらしき女性と現状に驚いて少し怯えているマスターらしき少年?が乗っていた。

 さらには、私たちがいる場所の上にゲートが現れてそこから魔術で攻撃してきた。私は、急いでアイリスフィールの元に戻って盾を使い全て防いだ。ランサーは、傷があるせいか全て避けるもしくは回避することができなくいくつか喰らっていた。だが、どれも最低限のダメージで抑えていた。さっき現れた女性は、剣で防ぐのと何かしらの魔術らしきものを使って防いでいた。

 

 

「大丈夫ですか、アイリスフィール?」

 

「大丈夫よ。あなたが助けてくれたおかげでどこも怪我していないわ」

 

「それは、よかった。さっきみたいな広範囲の攻撃もあるかもしれませんので気をつけてくださいね」

 

 

 アイリスフィールを守るために抱えていたので、降ろそうとした時にまた別の人物の声がした。

 

 

「ほう。手加減したとはいえ、あの攻撃で誰も脱落はしないか。ある程度の質は期待できるということだな」

 

 これなら、少しは楽しめるかもな、と誰に言うわけでもないような感じで言った。

 その人物は、いつの間にか戦っている場所にあった街頭の上にいた。金髪で目が赤く、どこかキャスターのような服装をしていた。先ほどの攻撃は、この人物がしたのだと理解した。

 

 

(これで、この場には私を含めて4騎のサーヴァントがいますね。背後から攻撃されないのとこの戦いに気づいてやって来るサーヴァントの奇襲にも気をつけないといけませんね)

 

 

 お互いに様子を見ながら、この聖杯戦争の初めの戦いの第二ラウンドが始まる。 

 






 戦闘描写は、これから少しでもよくしていけるように改善していきたいと思います。

また、説明不足なところがありましたら教えてもらえれば幸いです。


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乱戦

 

 まず、アイリスフィールの安全を確保するためにも街頭の上に立っているあの金髪のサーヴァントを狙うことにした。あのゲートから武器を飛ばしてくるような攻撃は少し厄介だが、最悪宝具を使用したら確実とはいえないが致命傷に近い傷を負わせることができかもしれなかった。でも、できるかもしれない(・・・・・・・・・)で切り札である宝具を使うことはできない。

 そのためにはまず、ライダーと思われる空から戦車?(2頭の馬雷を出しながらが荷台のようなものを引きずっている)で現れたサーヴァントとさっきのランサーが、こちらの戦いに乱入してくるのだけはさけたい。そのために、ライダー(仮)がこちらの戦いに乱入しないようにランサーが邪魔するかこちらに興味を持たず手負いのランサーを狙って欲しい。これは、自分の運を信じるか大変だが乱入してきても対処できるように頭の片隅においておいた。

 そして、先手必勝とばかりに魔力放出を後方に向かって使いそれを推進力として空中を移動し、街頭の上のキャスターらしきサーヴァントに詰め寄って剣で薙ぎ払うように振おうとしたのだが、また先ほどのゲートからの攻撃をしてきた。その中には、魔力弾らしきものだけではなく一級品の武器も混じっていた。その中には、自分に有効な武器があるかもしれないのでその攻撃を喰らわないようにしなければいけなかった。

 

 

「ほう、この攻撃も防ぐか。さきほどのランサーとの戦いぶりからすれば、簡単に終わると思ったのだがな。まぁ、サーヴァントになれるだけの実力があるのだからこれぐらいで死ぬような期待外ればかりになってしまうからな」

 

「っ」

 

 

 こちらは、相手からの攻撃を防ぐのでほとんど手一杯み近く何も言えなかった。

 

 

(くっ。防ぐことはできるが、こちらから攻撃するのは少し厳しいな。はぁ、こんなことになるならあの騎士から相手の武器や身近にある物をどうすれば、自分の武器として上手く使えるのか聞いておけばよかったな。あの時は、こんな敵に会うとは思わなく全く何も考えていなかったからな) 

 

 

 飛んでくる武器は、少し方向を変えて魔力弾らしき攻撃に当てて自分から逸らすようにする、他にもたまに掴んで攻撃してきたサーヴァントに投げ返したり足場の街灯らしきところを狙ったりするのだが中々思うように投げられなかった。その他には、自分の武器として少しの間振るっていたりしている。それでも、少しずつこちらが押されてきたような気がする。こちらは、軽く魔力放出や身体強化をして何とか致命的なミスがないように維持していた。この場で何とかする手段はあるのだが、それは宝具で大量の魔力を消費するのでマスターの魔力がなくなりそうになるほど消費するので、こちらがさらにピンチになってしまう危険性がある。損傷を最小にして、何とか相手の隙を伺っていた。

 もし仮に、片手に盾を前に特攻したとしてもあのゲートは一方向からだけではなく、色々な場所から現れるので意味がない。だから、チャンスを待つしか方法がなかった。

 

 

「案外、持ちこたえるのか。それで、いつまで持ちこたえられるのか。いい加減何か行動したらどうだ」

 

「ふん.....」

 

 

 相手が、まだ余裕でいるのが少しムカついた。そんなことを言いながら、こちらに向かってくる弾幕が少し厳しくなったが魔力放出の量を増やした剣で、攻撃範囲を増やして何とか弾いた。それに、体感時間では何分も防いでいるような気がするのだが、まだ一分ぐらいしか経っていないと思うほど集中して防いでいたのがわかった。このままだと、ジリ貧なので本当は使いたくなかったのだがここで切り札の一つを使用しなければいけないかなとも考えていた。

 他に何も思い浮かばない現状だと、何も出来ないので他のサーヴァントがいる状況がだが切り札の一つを使おうかと判断した。

 

 

(まだ、こんな序盤で使うつもりではなかったのですけれどね。これはしょうがないですね。このまま守りにはいった状態でいると、魔力を大量に消費するあれは使えなくなりそうですからね)

 

 

後はそれをどのタイミングで使用するのかが重要だ。相手がガードしているところではなく、油断しきっているところにしたい。でも、相手は口では油断しているように見えるが本当はそうではないと思う。だから、しっかりとこの切り札で仕留めたいので使うタイミングを見極めなければいけない。

 だが、事態は使おうとしたタイミングで動くことになった。

 

 

「Arrrrrrthurrrrrrrrr!!!」

 

 

―雄たけびを上げるサーヴァントの登場によって。

 

 

 

 

 

 ☆    ★    ☆    ★

 

 

 

 

 

 その男は、薄暗い路地裏の壁にもたれ掛かっていた。

 特に何かしているようではないが、何かを待っているようではあった。実際に、使い魔を使い埠頭で行われている戦いを見ており今回の聖杯戦争の参加者の一人である遠坂時臣のサーヴァントが出てくるのを待っていた。

 遠坂のサーヴァントを襲撃をするに当たって、どのようなサーヴァントなのかはある程度調べていた。だが、相手もサーヴァントの情報は隠すので見た目の特徴しかわからなかったがそれだけでも大丈夫だと思った。自分のバーサーカーなら何とかなるだろう、とどこか甘いことを思っていた。

 それで、戦いが始まって急いで使い魔を送りそこに身を隠し様子を確認するとちょうどそのサーヴァントと別のサーヴァントが戦っていた。上手く隙を突いて何とかしてあの遠坂のサーヴァントを倒しておこうと思い、バーサーカーをそこに投入した。魔力を大量に喰われるので、長時間の戦闘が厳しいのだが乱戦に持ち込むことでなんとか早めに終わるように願いながら。

 

 

「いけ、バーサーカー。時臣のサーヴァントを殺せっ!!!」

 

 

 

 

 

 ☆    ★    ☆    ★

 

 

 

 突然、登場した黒いオーラを放つ鎧のサーヴァントに街頭に立っていたキャスターらしきサーヴァントも驚いていた。

 

 

「新たな雑種の登場か。どれ、貴様の実力を試してやろう。(オレ)を落胆させるなよ」

 

「Arrrrrrrrrrrrr!!!」

 

 

 そのまま、武器を持たずに理性なき声を上げていることからバーサーカーだと思われるサーヴァントが金髪のサーヴァントに突っ込んでいった。魔力弾のような攻撃を回避して、飛んできた槍を上手く右手で掴みそれで攻撃を弾いた。その動きは、完全に使い慣れた者の動きだった。

 

 

(ほう。相手の武器をまるで、自分の武器かのように扱いますか。そうなると、私のあの攻撃はあの相手には使わない方がいいでしょうね。使ったとしても武器を奪われてしまうだけでしょうから)

 

 

 そのまま相手の攻撃を防ぎ、なぜか持っていた槍を地面に突き立てていた。そして、今度は飛んできた剣をまた上手く掴みそれを武器にしていた。その武器を自然な流れで相手に向かって投げた。そして、その動きのあとに地面にさしていた槍を回収していた。

 

 

(相手の武器を使う英霊の伝承は数多くありますから、真名に繋がるようなことはないですね。もし、わかるようであれば対策ができるのですが。相手の武器を奪って戦うような人物は大抵強い人物が多いですから、もし何かわかれば対策を練れたのですが、それは残念です)

 

 

 そのバーサーカーの動きを見て、武器を飛ばす攻撃は無意味だと判断したのか魔力弾のような攻撃しかしなくなっていた。もしくは、相手が武器を取れないようにしつつ使っていた。

 

 

(それにしても、あのバーサーカーらしき英霊厄介ですね。自分の本来の武器を使わず、相手を倒したことのある英霊でしょうね、あれは。はぁ、そんな人物はどこの伝承でも大概強いと相場が決まっていますからね)

 

 

 バーサーカーらしきサーヴァントとの戦いでも、魔力弾らしきものを使うことからキャスターらしきサーヴァントは一歩も動かずにいた。それでも、戦いを優位に進めていた。自分と戦うのに相応しい相手なのかを見ているようでもあった。.....それと、バーサーカーがこちらの方を見てきているような気がする。そして、キャスターの方は、私のことを完全に頭の端に追いやっているようだった。

 何度目かバーサーカーとキャスターの攻防で、バーサーカーが吹き飛ばされたときに突然叫んで私の方に向かってきた。

 

 

「A――urrrrrrッ!!」

 

 

 どこかで見たことのあるような動きだったような気がしたが、今はそんなことを考えるべきではないと考えた。それで、バーサーカーが奪った剣を最小限の動きでこちらに切りかかってきた。キャスターらしき人物は、こちらに対して何もしてこないで様子を見るようだ。もしかしたら、キャスターなどが邪魔してくる可能性もあるので反撃ができるように動かなければと思った。

 バーサーカーの剣を最小限動きで、片足をずらして剣スレスレを回避できるように動いた。回避したあと、相手は鎧を着けているので普通に切りかかっても鎧が硬くてダメージを一切与えられなく無駄の終わる可能性もあるので、別の方法で攻撃した。

 

 

「ふんっ」

 

「...っ........」

 

 

 それは剣で切るのではなく、剣の持っている場所を90度変えて相手のヘルム目掛けてフルスイングした。純粋なダメージではなく、相手が人間だと思われる相手だからこそ有効な攻撃をした。つまり、鈍器のような攻撃になったのとヘルムごしに振動を頭に伝えること次の相手の動きを遅らせるもしくは鈍らせることを狙った。相手がもし、雑魚であれば脳震盪を起こせる攻撃であった。

 ただし、相手はサーヴァントで歴史に名を残した英霊である。隙を作れたとしても、一瞬が限界だろうと考えていた。だから、その一瞬で決着をつけようと思った。

 

 

(倒せるうちに、倒しておいた方が後から楽になりますからね。それに、この英霊の能力は厄介ですからね。まぁ、あのキャスターっぽいのも相性的にはよくはないですからね。自分の切り札を隠せて倒せるなら、それにこしたことはありませんからね)

 

 

 何かうめき声のようなものをあげつついたバーサーカーに対して、今度は鎧の装甲が最も薄くなりやすい関節部分に攻撃をするかのように見せかけて、また頭への攻撃をしようとした。鎧は、機動力を最低限確保するために関節部分の装甲を他の部分に薄くなっている構造的弱点がある。そのため、その部分を戦いで狙われることがある。それを今回うまく利用していこうとした。

 今度は、キャスターが私とバーサーカーに対して攻撃をしてきたので追撃をすることなく回避した。バーサーカーの方は、少しは被弾したというところだった。

 

 

「さっきのような不意打ちでも、あまり意味はないか」

 

「何ですか、突然」

 

「何、中々戦いが終わりそうになく暇だったからな。それで狂犬。いい加減我の物を離したらどうだ?」

 

 

 そう言って、どこからか矢が飛んできてそれが、バーサーカーが奪った剣を持っている腕に直撃した。完全に意識していない方向からの不意打ちであったため、反応できていないようだった。それで、剣を落としてしまいそれをキャスターが回収した。

 それで、まだまだこのキャスターらしきサーヴァントは自分の能力をうまく隠して他のサーヴァントの情報を得ていた。それを実感した。

 

 

「ふん。それは、お前には過ぎたる物だ。狂犬お前に相応しい武器でも使っておけ」

 

 

 バーサーカーが戦いの余波で散らばっていた鉄パイプを一本持って、突っ込んできた私に対して構えていた。

 

 

(何、鉄パイプをだと?相手の武器だけではなく、そこらへんに落ちている武器でも戦えるというのか)

 

 

 そのまま、鉄パイプを切りそのままバーサーカー自身に攻撃をしようとしたのだが鉄パイプを切ることができず逆にバーサーカーに蹴られて少し飛ばされた。ダメージ的にはそんなに大したことではないが、持っている物を強化して宝具クラスぐらいにまで引き上げているような感じがした。もし、それは本当であれば非常に厄介なものになるかもしれない。

 

 そして、またこの戦いに乱入してくる者が現れた。

 その人物は、一撃目に魔力放出を使った範囲攻撃をやってきた。不意打ちな攻撃でしかもさっきのゲートからの攻撃よりも火力が高く回避しにくいものであった。

 

 

 

 

 

 ☆    ★    ☆    ★

 

 

 

 

 少し遡った時刻

 

 

 「大丈夫かしら、アーチャーは」

 

 

 私があの場所にいたとしても、アーチャーの邪魔になるだけなので少し離れた場所にいた。あのキャスターと思われるサーヴァントの攻撃は、幅広い範囲に攻撃ができるかつ強力なものなので私の力だけでは自分を守ることさえできない。......普通のマスターであれば、サーヴァント戦闘になればほとんどの確率で負ける。相性がよければ、勝てるかもしれないというレベルである。

 そのため、離れた場所から様子を見つついる。

 

 

(はぁ、私が回復魔術以外の支援魔術がある程度使えたらなー。そしたら、私もアーチャーのために色々とできるのだけどなー。まぁ、自分には合わなかったのだからどうしようもないのだけれど)

 

 

 そう考えている間に、バーサーカーらしきサーヴァントが現れたりして戦場にいるサーヴァントの数が増えて戦っているので、もし隙があればまだここにいないサーヴァントが奇襲してくる可能性があった。そのことによって、周りも警戒する必要が出てきた。

 そうして、周りを見ていると埠頭の方に向かって歩いていっている人の姿が見えた。その人物は、ここから少し離れた場所かつ街頭が少ししかないためよく見えなかったが制服のようなものを着ていた。

 なぜ、こんなところにいるのか疑問に思って聞くべきか迷っている間にアーチャーがバーサーカーに攻撃されていてキャスターのようなサーヴァントからも少しではあるが攻撃されていた。

 

 

(それにしても、さっきの人物は魔力を使っているような感じはなかったけど何なのかしら。そんなことより今は、まずは目の前の出来事に集中しないとね。軽くではあるけど、支援しないよりマシだと思うから)

 

 そのあと、私のところは範囲外だったのだが魔力放出を使った強力な攻撃をそこにいたサーヴァント全てにしていた。

 

 

 

 

 ☆    ★    ☆    ★

 

 

 

 

 

 自分が、気づかないうちにこの埠頭に接近していてここにいる全員に攻撃を仕掛けてきた。 

 

 

(っ。あまり、こんなサーヴァントが多いところでは使いたくなかったんだけどな。仕方がない。この場で、この攻撃によって致命傷を受けるわけにはいかないからな)

 

 

 そう思い、さっき剣を取り出したゲートから今度はある盾を取り出した。それを攻撃を確認してからすぐに構えて、完全に防ごうとした。他のサーヴァントもそれぞれ行動をしていた。

 

 

船でもありし■■■の盾(プリドウェン)。」

 

 

 私は、盾の真名開放をして相手の攻撃を全て防いぎきった。だが、魔力はそこそこ喰われてしまった。そのため、連続で攻撃してきたら魔力の消費を考えて温存しなければいけないというのもある。もし仮に、普通に防ごうとしてしていたら致命傷にはなりえないだろうがかなり弱っていた可能性存在していた。

 あの街灯に立っていたキャスターのサーヴァントも自らの前に盾を展開して防いだようだ。そして、バーサーカーはよくわからなかった。

 

 

「あれだけの攻撃をしたのに、あまり効果がないようだな」

 

 

そう言って、この攻撃をしてきたと思われる剣を持った女性サーヴァントが姿を現した。

 





 英霊召喚Ⅲまで、修正しました。これで、多少はマシな出来にはなっていると思います。まだまだ駄文な文ですが、亀よりも遅いスピードだと思いますがよくしていきたいです。


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