遊戯王ってバーチャルだね! (ROXAS²)
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番外編
IF:癒やし空間破壊事件


通算UA10000突破記念回。
これの前に遊作がカオスと言いましたが、そんな事は無かった。短いです。


夏休み、それは学生に訪れる長期休暇。出された宿題をこなして楽しむ日々である。しかし、夏は暑い。外出などしたら倒れてしまうのでは、などと思う人もいる。

夏休みの生活は十人十色なのだが、その中で最も天国から地獄に突き落とされた人物がいた。彼は嘆いた、己の失態を・・・ある者は糾弾した、お前のせいで・・・と―――

 

 

 

夏の日差しの中、今日も草薙はフードトラックの中で注文を受ける。真夏だが、彼の作る出来立ての熱いホットドッグは評判が良い。赤いケチャップに黄色いマスタード、茶色い焦げ目の付いたジューシーなソーセージ。その匂いはたちまち辺り周辺を包み込む。

 

「はい、ホットドッグ1つ。ありがとうございました。」

「草薙さん、よく平気だね?こんな暑い中ソーセージ焼くとか拷問だと思うんだけど?」

「草薙さんはこれでも気温に対してはタフだからな。」

 

へぇ~、と遊作の言葉に反応したのは有馬蓮。遊作と同じ高校1年生だ。彼もまた、この夏休みの被害者の一人である。

 

「それにしても人が多いね?何かあんのかな?」

「今日はこの近くで決闘大会があるからな。行くのか?」

「いや、今は気分じゃないし、暑いからパス。ダルさが凄まじい・・・エアコン欲しいなぁ・・・」

「?お前の家にエアコン無かったか?前にお前の家に行った時にはあったと思うんだが・・・」

 

いや、あったけどお前らと遊んだ日に壊れてた。そう言う有馬の横で話を聞く遊作の腕に付いている自称イケメンAIのアイは、汗をダラダラと流して聞いていた。夏の暑さに適応して汗を流せるAI、技術も進んでいるのだろう。

 

『へ、へぇー。それは残念だったな。』

「ホントだよ・・・」

「・・・なんなら俺の家に来るか?」

 

予想以上に困った顔をしている有馬に、遊作は自分の家へ泊まればと誘った。エアコンもあるため、有馬の家と比べるとかなり心地よいだろう。

 

「・・・良いのか?」

「あぁ、殆ど何も無い家だからな。泊まるついでにアイが暴れるのをどうにかしてほしい。」

 

それは俺が泊まるのがついでで、アイを抑えて欲しいのが本年か。そう思い、苦笑いをしながらアイのいつもの行動を思い出す。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて、泊まらせて貰うよ・・・」

 

 

 

そうして有馬は遊作の家に泊まらせて貰ったのだが、遊作の言う通り本当に何も無い。お掃除ロボットみたいなのがいるが、働けているのだろうか。

 

「本当に何も無いな・・・」

『だろぉ~?こんな俺を囲う硝子何かより、この味気ない部屋をどうにかしたほうが良いだろ。』

 

アイを囲う硝子は重要だな。救世主(ペット)を逃がしたら大変だし。

 

「別に良いだろう。置く物が無いんだ。」

「ふ~ん。で、俺はどの部屋で寝れば良いんだ?」

「向こうのドアを開ければ小部屋が一つあるからそこで良いか?」

 

良いよと言いながら、遊作に言われたドアを開ける。部屋にはベッドと机、そしてエアコンがあった。

そう、エアコンである。

 

「ゆ、遊作?これ・・・点けてもいい?」

 

一応の確認を取る。すると遊作は、ん?別に良いが?、と返答してくれた。それを聞いた有馬の行動は速かった。即座に持っている荷物を部屋の隅に置き、机に置いてあるエアコンのリモコンを手にとり入/切のボタンを押す。

 

ピッ!ブォォォォン・・・

 

「あ、あぁぁぁぁ・・・涼しいぃぃ・・・」

「それじゃあ俺はしばらく外出するから、アイを頼んだ。」

 

 

 

 

 

 

 

遊作が出て行ってから、3時間が経過した。

有馬はアイとお掃除AIロボットという面子で、遊作の家に居た。因みに、遊作の家にはエアコンは1つしかない。そのエアコンがある部屋は有馬の泊まる部屋である。遊作がエアコンエアコンと言っていたのを考慮してくれたのだろう。遊作の使う部屋には、遊作の他にもアイやお掃除AIロボットもいる。

 

『おい、お前。』

「ナンデスカ?」

『お前、俺の子分ならここから俺を出せ。』

「・・・ワカリマシタ!」

 

カチャカチャと音を発てながら作業するお掃除AIロボット。アイの子分となった為か、アイの言うことは大抵聞く。

お掃除AIロボットが作業をしてる間に、有馬はエアコンの効いた部屋で横になってゴロゴロしていた。

 

「あぁぁぁぁ・・・」

『オォォン』

意訳:お前はそれ以外喋れんのか?

 

かれこれ1時間、有馬はずっとあぁぁぁぁと言い続けている。床に這い蹲りながら声を出す姿は、見る者によってはバイオ・ハ○ードを連想するだろうというくらいに、有馬はグダグダしている。

 

――もはや、エアコンになれないだろうか――

 

と、もはや意☆味☆不☆明な思考になっている。そもそもエアコンになれたとしても、自分は涼められるのか分からないだろう。

有馬がこうして、クーラーの効いた部屋(天国)に居た時、悲劇は起こった。

 

ウィーン・・・

 

「あぁぁぁぁ・・・あえ?」

『オォォオォン』

意訳:急に止まったな。エアコン。

 

これだけならまだ良い。自然に切れたと思うだろう。しかし、問題はここからだった。

 

「・・・・・・あれ?」カチカチカチカチカチ

 

ボタンをいくら押しても、エアコンが点かない。仕方無く有馬は隣の部屋へと移動する。

 

 

「・・・・・・向こうの部屋に行こう。」

『オォォン・・・』

意訳:お、おう

 

 

 

 

『あぁぁぁぁ・・・・・・』

「ドウカシマシタカ?」

『ドウカシマシタカ?じゃねぇよ!家のブレーカー落ちてんじゃねぇか!?』

「ハイ、ソノホウガロックヲカイジョスルノニハヤイノデ。」

 

駄目だコイツ、早く何とかしないと・・・

 

『取りあえず元に戻せ!これが見つかったりなんかしたら――』

「どうかしたのかアイ?」

 

あ、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでエアコンが壊れたのか・・・お前のせいで・・・!」

『スミマセン・・・!』

 

アイの話によると、有馬の家でエアコンが壊れた理由は、アイが他のAIを子分にして、知識自慢をしていた時に、ふざけて、俺ならあのエアコンだってもの凄いスペックに出来る、等と言ったらしい。スペックを良くしようとして、お掃除AIロボットは家のエアコンを分解して壊してしまったのだろう。

そして今回の遊作の方は、アイが硝子の檻から脱出するために、お掃除AIロボットにロックを解除しろと命令し、お掃除AIロボットは最も手っ取り早い、ブレーカーを落とすという方法で解決した。だから有馬の点けていたエアコンは切れたのだろう。

 

「というか、遊作のエアコンは壊れて・・・ないよな?」

 

有馬は一番の心配である遊作のエアコンが無事かを、アイを片手にブレーカーを上げてから見に行った。

有馬は入/切のボタンを慎重に押す。

 

ポチ

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

点かない。急に消したのが悪かったのだろう。

 

「○▼※△☆▲※◎★●!」

『オオオオオォォォォン』

意訳:落ち着け有馬ぁぁ!

『アワワワワ・・・』

 

ピンポーン

 

場が混沌と化している時、遂に死を告げる鐘の音(チャイム)が聞こえてくる。晩鐘は有馬とアイを指し示す。

隠れても無駄。どれだけ隠れんぼをしてもいずれ捕まる。有馬は勇気を持って玄関の扉を開けた―――

 

「予定より遅くなった、・・・?どうした?」

 

遊戯王では、一部の人達から、天使は悪魔だと言われている。そして、この場に現れたのは、彼らを殺す悪魔(天使)ではない。彼らの死を告げる天使(悪魔)なのだ。

 

「・・・・・・これは、どういうことだ。」

「」

『』

 

有馬は土下座をしながら首を出し、アイは白目を向いている。そんな中でもお掃除AIロボットは素知らぬ顔で掃除をする。

 

「俺が目を離したのが間違いだったか・・・」

 

この日は遊作の家から、夜まで1人と1AIの悲鳴が聞こえたという。南無。




作者は夏は嫌いですね。暑いし、手札誘発のドローじぃさんが出るから。


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プロローグ
転生


いやー、しまった。
説明だけってダメなんですね・・・
もうちょい気をつけよう。

後書きの赤き竜の説明を変更しました。


「あー、うん。ようこそ、死者の都へ!」

 

・・・何言ってるんだ、コイツ。

 

「あー!今、コイツ何言ってるんだ、って思ったでしょ!?」

 

当然だろ。いきなり目が覚めたら、死者の都へようこそ、なんて痛い事言ってる奴が目の前に居たんだ。精神を疑わない方が可笑しい。

 

「うわー、無いわー。神様の精神を疑うなんて、トンだ罰当たりね。」

 

うん。やっぱ可笑しいな、コイツの精神。

どうしたら自分を神様と躊躇無く、当たり前の用に言えるんだろ。いや、そんな事言う奴もいるんだろうけど。

後、何で俺の考えてる事分かるんだろ?

 

「お、よくぞ聴いてくれました!私はあなた達の言う神様、その内の一人でね。転生の任を任されているんだ。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

「おぉう、驚いてるねぇ~!うんうん。いい顔だ。」

 

今、何て言った?転生?イヤイヤ、ナイナイ。

普通、二次創作の神様でも、転生させる相手って、善人とか、神様のミスとかだろ?コイツの様子からすると、自分のミスとは考え辛い。

 

「あぁ、うん。ミスはしてないよ。酷な事だけど、君の寿命、死ぬ時は最初から決まっていた。その上での転生だ。」

 

更に分からなくなってきた。

どういう事なんだ?

俺の死は、ミスとかそんな事は無しで、ただ決まっていた事だったんだろ?

善人?馬鹿言え。俺はどこぞの正義の味方みたいに人助けなんて自分からは殆どしてない。

なら、問題は無い筈だ。

 

「あぁ、君が善人でも無いのは把握しているよ。君は運が良かったんだ。」

 

・・・運?

 

「そう運だよ。実は、神様にもノルマが有ってね?」

 

ふむ。

 

「転生のノルマは、君達の住む世界での1日の間に、善人を何人か転生させる事なんだ。」

 

ふむ。

 

「でね、ちょっと問題が有ってねぇ・・・」

 

ん?

 

「その、善人の何人かが転生を断っちゃって・・・」

 

は?

つまりは、ノルマ達成出来ないから転生してくんないって事?

 

「うん!いやぁ、話の分かる奴は良いねぇ~!」

 

・・・何だろうか、俺の神様像がマッハの速さで崩れていく。

大体、そんな事は他の神様に報告すればどうにでもなったのでは?

 

「ちょっとね・・・、この前報告書を作るの面倒だから、虚偽を書いちゃってね?それで少し信頼が・・・」

 

オイコラ自分の問題じゃねぇか

 

「いやぁ~ゴメンね~・・・、サボってる訳じゃないんだよ?ただ、すこ~し疲れたから休憩してただけなんだ。」

 

それをサボってるって言うんだよ!

 

「ふぅ、まあ、今説明した通り、君は転生出来る。どうする?」

 

別に良いけど?あ、でも殺し合いが頻繁にあるような世界以外でとか出来る?

 

「うーん、人間以外に転生しても良いならあるっちゃあると思うけど・・・石とかでも良い?」

 

あ、いや、良いです。はい。人間でお願いします。

そうだよね。人間なんだから殺し合いは頻繁にあるよね・・・

仕方がない事だったか。

 

「んじゃ、君の楽しめそうな場所。娯楽に満ちた場所はっと・・・」

 

駄女神様が何処からかオーブを出して、調べ始める。

うん、少し神様っぽい。

今までの感じで余計にそう見える・・・

しばらくして、神様はこちらを見てきた。

おっ、見つかったのかな?にしては何か気だるそうな目をしてるな・・・

 

「うん、遊戯王の世界で良いよね?良し、君は遊戯王について良く知ってるみたいだし説明は要らないよね?じゃあ転生の準備をしよう。」

 

・・・ちょっと待て

何だその説明めんどくさ感。説明しろよ。

 

「えー・・・、しないと駄目?」

 

駄目だ

 

「はぁ、世界は遊戯王VRAINSだ。君は高校生で、両親は居ない。OK?じゃあ、準備して?」

 

・・・おい、なんでVRAINSなんだよ。

ろくに知らないんだぞ。もっと教えろ。

 

「他の転生者で他の遊戯王の世界は一杯一杯なの!面倒だからこの子と頑張って?大丈夫、この子が一緒に居ればどうにでもなるって!ホラ、俺Tueeeとか?出来るって!」

 

そう言って渡されたのは5Dsに出てきた、タクシーこと赤き竜。

 

『オオォォォォンンッ!!』

意訳:ふざけるなぁ!

 

うん。怒ってるねこれは。確実に。

気のせいか、体の色がもっと赤くなってる気がする。

 

「それじゃあ、頑張ってね~。こっちも応援してるから~、あ~あ、やっと終わったぁ~。あー、けど報告書有るのか・・・めんどくさ・・・」

 

え、ちょ、おま

体が浮かび上がり、徐々に体が粒子となって消えていく。

隣に居た赤き竜はカードになっていくのが分かる。

 

「君の生前の持ち物や必需品は送ってある。君の個人情報もね。バックの中はかなり広い空間になってるから、君のカードとかは全て入っているから安心して。それでは頑張りたまえ。」

 

意識が遠退いて行く。

不思議な気持ちだ。

 

「へぇ~・・・転生って、こんな感じなのか・・・」

 

そう呟き、有馬は完全に意識を失った。

 




主人公
名前:アリマ レン
   有馬 蓮
アカウント名:The user
性別:男性
年齢:16才
性格:面倒くさがりでいつも眠たそうにしている
所有デッキ:エグゾディア(ネタ)、覇王眷竜搭載型魔術師(ロマンに溢れている)、方界、青眼、巨神竜、HERO召喚獣、ラー(ただし使う可能性は0に近い)、星杯
特徴:髪は黒で目も黒、肌は白く少し影が薄い。また、コンマイ語を使う度、他の人に何言ってるか分からないと言われる。自分の言いたい事を伝えるのが兎に角下手。ただし、それなりにコミュ力はある。
転生前はネタデッキを良く作っており、ガチデッキではなかなか良い発想は出ないが、ネタデッキでは良く出てくる。
プライドは皆無で、親しくなった人には良く否定的な意見を出して相手を不快にさせる。
嫌いな物はとことん嫌うが、好きな物の為ならとことん頑張る。
転生先では両親は事故により既に他界しており、生活を支えてくれている麻由さんにあまり面倒を掛けさせない用に様々な方法で負担を軽くさせようと奮闘している。
本当に原作知識はほぼ無く、転生しても神様の手抜きで原作知識は貰えなかった為、いきなり転生して周りの環境にしばらくはついて行けなかった。
アカウント名のThe userは利用者という意味で、遊作のPlaymakerのmaker、作成者を意識した物。
特に意味はない。
尚、カリスマ決闘者がいる中で、エンタメ決闘者を演じてみたいと思っている。
好きな物:布団とカード、デジタルゲーム、辛い料理
嫌いな物:勉強、運動、アニメ効果、特別甘い物
許せない事:自分に害の及ぶ事、世話になっている人、友人に害の及ぶ事
今の所、ヒロインは未定。
また、デッキも増えて行くので、増えしだい更新予定。

赤き竜(アルティマヤ・ツィオルキン)(ケツァルコアトル)
有馬の精霊。
アニメ版の方なので、比較的温厚で優しい。
テレパシーを使えば話す事が可能。
ただし、マスタールール4的に出しにくい。
神様が手抜きする際に、「面倒だからこの子と頑張って~」と言われ、有馬のサポートを任された。


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Q.行き先は?A.異世界で

また短いです。
VRAINSが進まないと更新できないと言ったな?
あれは嘘だ。


転生して、周りに木々が生い茂る公園のベンチで目が覚めた俺は、すぐさまバッグを調べた。そこに広がるのは、遊戯王のカード。

どうやら、神様は適当にカードをバッグに積めたようで、様々なカードとデッキがゴチャゴチャになっていた。

 

「あ~あ、これ整理すんの面倒だなぁ・・・、あの駄女神、一回ぶん殴りてぇ・・・」

『オオォォォォンンッ!』

意訳:もし出来る時は協力するぞ?

 

あぁ、後、神様の送って来た手紙を読むに、赤き竜はどうやら俺の精霊。守護者?とかいう奴らしい。何でも、転生して来た俺の体は、本来なら異物として世界に消されるらしいのだが、赤き竜がいる限りはその必要も無いらしい。

つまりは、俺の命=赤き竜と言うことなのだが、正直言うと、地縛神とかでも来ない限りこのタクシーは死なない気がする。

 

『オオォォォン』

意訳:タクシーでは無いんだが

 

それ今までの自分の活躍と効果見て言えるか?

あ、そういえば、赤き竜は俺の脳内に直接話し掛けられるらしい。見えるのも話せるのも俺一人。

 

「ふぅ、先ずは自分の家にでも向かいますか。」

 

そう言って有馬は手紙に書かれていた場所へと向かうのだった。

 

1時間後

 

「可笑しいな。こんな場所に出るなんて書かれて無いんだけど・・・」

『オォォン・・・』

意訳:迷ったな、コレは・・・

 

転生して1時間、有馬迷う。

まさかの出来事に赤き竜も困惑している。

え、迷う?公園から遠いけどちゃんと見えてたよね?そんな感じである。

 

「う~ん何かいい方法は・・・あ」

『ォォン?』

意訳:何か思い付いたのか?

 

突然だが、道に迷って焦った事は無いだろうか?

有馬は中学生の頃に土砂降りの雨の中、夜に傘無しで帰るはめになり、迷った事がある。

その時に呟いた言葉が、誰か車に乗せて家まで運んでくれないかなぁ、である。

当然そんな事は無く、何とか家に辿り着いたのだが。

ここには、タクシー(赤き竜)がある。

 

「運んで」

 

『オオォォォォンンッ!』

意訳:ふざけるなぁぁ!

 

うん、まぁ、だよね。

 

『オオォォォォンンッ!』

意訳:分かっているなら、その期待の籠もった目を向けるなぁ!

 

いやー、だってさぁ?目の前にタクシーがあるんだよ?

しかも無料だし。

はいそうですかって、引き下がれないでしょ?

まぁ、最悪決闘でもすれば良い。ラスボスやった事のある奴となんか、あまりしたくないけど・・・

ま、最初の決闘が神とか流石に無いと思うけど・・・

 

『ンンンッ・・・』

意訳:ふむ、ここで一度決闘して、お前がどの位の腕か知っておくのも悪くない・・・

 

え、マジで・・・?

もしかして俺、何かフラグとかどっかで建ててた?

え?全然覚えないんだけど・・・

 

『オオオォォォン』

意訳:良し、今からお前の技量を計る為に決闘を始める。

場所はここでは迷惑になる可能性がある。まだこの世界の決闘がどのような物か分からんからな。 故に、我が神殿、アステカの遺跡にて行う。良いな?

 

え、アステカ?アステカって、あの?

 

『オォン』

意訳:そうだ。かつて熱き魂を持つ男が、我が敵、地縛神の力を吸収し、己の力に変えた場所だ。

 

・・・・・・この世界にあんのかよ、それ

 

『オオォォォォンンッ』

意訳:この世界には無い。が、この世界にはだ。

 

おい、その言い方、まさか・・・

 

『オオオオオォォォォンンンッッ』

意訳:察しが良いな。そうだ、これより、世界を移動する。

 

そういうと赤き竜は突如として俺に襲いかかり、そしてそのまま口を広げ・・・

 

「うわぁぁぁ?!」

『オオォォォォンンッ!』

 

飲み込まれた。

こんなタクシー・・・、誰が乗るかぁぁ!

 

 

・・・・・・・・・・・・静寂

ただひたすらに静かだった。

俺は赤き竜に食われて、そのまま世界を移動した。

そして、目の前には闇、闇、闇

周りには誰も居ない。赤き竜の声も聞こえない。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い

突如として体が闇に飲まれる。

嫌だ嫌だ嫌だ、体が飲まれて行く感触にただひたすらに恐怖を感じる。

誰か・・・誰か助けて・・・!

 

――一緒に遊ぼう!――

 

『オオォォォォンンッ』

「っ!?」

 

ガバッと体を起こす。目の前には赤き竜が居る。どうやらもう神殿に着いたようだ。

・・・・・・酷い汗だ。

 

『オォン?』

意訳:どうした?

「・・・わからない。怖い、怖い夢を見た。・・・少し待っててくれ・・・」

『ォン』

意訳:急ぐ必要は無い。万全の体制で挑め。

「・・・ありがとう」

 

俺は赤き竜の言葉に感謝し、しばしの休息を取った。

 




アステカの遺跡と赤き竜について、間違っていたらすみません!


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初めての決闘と決着

アニメを見て
「この世界、デジタル過ぎない?」
今回はこの小説で初めての決闘です。
最後の感じがちょっと失敗したって感じですが・・・
プレイングは良いとは言えない所があるかも知れませんが、よろしくお願いします。

感想ありがとうございました!
もう嬉しくて嬉しくて涙が滲んできました・・・
こんな駄目文を読んで下さっている方々、本当にありがとうございます!



「・・・・・・始めようか?」

『オォォン?』

意訳:もう良いのか?

 

いつまでも夢なんかで震えてたらいけないし、何よりも早くこんな異世界から帰りたいしな。ん?遊戯王VRAINSの世界も俺からしたら異世界か・・・

見るからに古い遺跡。アニメで見た遺跡と全く同じだ。

 

「ふぅ・・・、本当に俺、転生したんだな・・・、改めて実感した。目の前に赤き竜、場所はアステカの遺跡とか、遊戯王の世界だな・・・本当に。」

『オォォオォン』

意訳:我はこの世界のキーパーソンでは無い。お前の言う遊戯王の世界かは、これから先の出会いや決闘で判断する事だ。

 

・・・確かに、その通りだ。

俺はまだ、正しくVRAINSの世界を見ていない。

でも、形容しがたい感じがある。ここは俺の知る遊戯王の世界だと確信付かせている何かが。

あぁ、心臓の鼓動が早くなる。

緊張は勿論ある。でもそれ以上に、赤き竜と決闘が出来る。

遊戯王に出てくる人や精霊等と会話出来て、決闘が出来る。

それが物凄く、嬉しくて嬉しくてたまらない。

とても、ワクワクしてる。

 

「決闘を始めよう。全力で・・・勝つ・・・!」

 

腕に神様から送られた決闘盤を付ける。

使うのは自分のデッキの中でも、一番自信のあるもの。

 

『オオォォォォンンッ!!』

意訳:良い、全力で挑むが良い。

 

遺跡の床から石版が出現し、デッキが置かれる。

準備は出来た。後は戦いを始めるあの言葉を言うだけだ。

 

「『決闘!』」

 

有馬LP8000

手札5

 

赤き竜LP8000

手札5

 

決闘開始の宣言と共に、赤き竜の元に石版が現れる。

 

『先行は譲ろう。勇姿を我に示せ。』

「先行は俺からか、俺のターン。俺は手札の白き霊龍をコストに、手札からトレード・インを発動する。デッキからカードを2枚ドローする。更に、墓地の霊龍を対象に、手札から復活の福音を発動。蘇生させる。そして、青き眼の賢士を召喚。その効果により、デッキからレベル1、チューナーモンスター、伝説の白石を手札に加える。」

『チューナーモンスター、我を相手にシンクロか?』

「生憎、好きなデッキでね。相手が誰であろうと、当たり前だけど、自分がその時思った最善の手を打った方が良いに決まってるし。続けるぞ?俺はレベル8、白き霊龍を、レベル1、青き眼の賢士でチューニング。白き龍王よ、その穢れ無き眼で罪ある者を滅せよ!シンクロ召喚!レベル9、白亜の体持つ龍の王。青眼の精霊龍(ブルーアイズ・スピリットドラゴン)!」

 

清らかで美しき龍が現れ、遺跡を大きく照らす。

その姿はまさしく龍王と言えた。

しかし、残念ながら直ぐに退場する。

 

「龍王よ、竜を導け。俺は青眼の精霊龍をリリースし、効果発動。EXデッキから、光属性、ドラゴン族モンスターを特殊召喚する。来い、エンシェント・フェアリー・ドラゴン。」

 

赤き竜を前に、下僕は怯える事無く現れる。

 

『我の下僕を使うか・・・今回は許す。が、今後は我の許可の下、その力を振るえ。意味の無い争いでその力を振るうのは許容出来ぬのでな。』

「あ、そっか・・・うん、そうする。エンシェント・フェアリー・ドラゴンの効果発動。手札からレベル4以下である伝説の白石を特殊召喚する。そして、レベル7、シンクロモンスター、エンシェント・フェアリー・ドラゴンを、レベル1、伝説の白石でチューニング!」

 

フィールド中央に透明な結晶が現れる。

エンシェント・フェアリー・ドラゴンと伝説の白石は1本の光の線となり、結晶へと降り注ぐ。

 

「神聖なる光たくわえし翼きらめかせ、その輝きで敵を撃て!シンクロ召喚! レベル8、クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン!!」

 

やがて結晶は割れ、中からシンクロの名を冠する竜が現れる。

 

「白石の効果で、デッキから青眼の白龍を手札に加える。ターンエンド」

 

有馬LP8000

手札4(青眼の白龍)

EXモンスターゾーン クリスタルウィング・シンクロドラゴン ATK3000/DEF2500

 

『我のターン、ドロー、我は手札から禁じられた聖杯をクリスタルウィングを対象に発動する。効果により、このターン、クリスタルウィングの効果は無効になる。』

「マズい!?」

 

これは、マズい・・・!

このターンに効果無効をしてきたということは・・・来るのか・・・!?

 

『そして、手札から捕食生成を発動。手札の捕食植物ドロソフィルム・ヒドラを公開し、クリスタルウィングに捕食カウンターを乗せる。捕食カウンターが乗っているモンスターはレベル1となる。更に手札断札を発動。お互いに手札を2枚捨て、2枚のカードをドローする。我は手札のドロソフィルム・ヒドラと絶対王バック・ジャックを墓地に送る。そしてドロー。』

 

まさかの捕食植物の登場に少し驚いたが、直ぐに対応する。

「俺は手札から、太古の白石と青眼の白龍を捨て、ドローする。」

 

絶対王バック・ジャック・・・確かデッキ操作と罠を伏せる効果・・・

 

『我は墓地に行ったバック・ジャックの効果を発動する。デッキトップ3枚を好きな順序で置き換える。更に手札からBFー朧影のゴウフウを特殊召喚し効果発動。朧影トークン2体を特殊召喚。そして、通常モンスターである朧影トークン1体でリンク召喚。リンク1、リンク・スパイダー。』

 

機械的な蜘蛛が、石版から飛び出る。

その姿はあまりにもこの場所と合っておらず、異質な物にさえ見えた。

あれ・・・何か絵と違って全然光ってない上に、ほぼガラクタみたいだ・・・

 

『クリスタルウィングをリリースし、墓地からドロソフィルム・ヒドラを特殊召喚。』

 

クリスタルウィングはもがき始め、内部から竜のような姿をした植物が体を突き破り出現する。

クリスタルウィングは光の欠片となり、視界から消えていった。

 

「ぐ・・・、レベル5のチューナーと非チューナー・・・お出ましか・・・」

『その通りだ。我はレベル5のドロソフィルム・ヒドラをレベル5、チューナーモンスター、BFー朧影のゴウフウでマイナスチューニング。』

 

遺跡が揺れる。

今まさに、この場に降臨する神を待っていたかの用に。

 

『混沌の次元より沸き出でし力の源。原点にして全ての頂点。この現世でその無限の渇望を暫し潤すがよい。神降せよ。アルティマヤ・ツィオルキン!』

 

赤き竜そのものと言える存在、アルティマヤ・ツィオルキン。召喚されるだけで、体が恐怖する。

が、堪える。

ここで怖じ気づいて、何が勇姿だ。

そう自分に言い聞かせ、有馬はアルティマヤ・ツィオルキンを睨みつける。

 

『ほぉ、この威圧感に耐えるか・・・、だが、それではまだ、我が認める主にはなれん。続けるぞ。朧影トークン、リンク・スパイダーを使い、リンク召喚。現れよ、リンク2、プロキシー・ドラゴン。』

 

またも現れるリンクモンスター。

が、先程と同じで、ガラクタのようだ。

 

『我は手札からジェット・シンクロンを召喚し、プロキシー・ドラゴンと共にリンク召喚の素材とする。現れよ、リンク3、デコード・トーカー。』

 

3度目となるリンク召喚。そのどれもが、ガラクタの用に弱々しいい光を放っていた。

EXモンスターゾーンにはデコード、メインモンスターゾーンにはアルティマヤ。

デコードによって新たに2体、あちらはEXデッキからモンスターを出せる・・・

このターンで死なないか、そんな心配が有馬を揺さぶる。

 

『我はカードを一枚伏せ、我の効果発動。EXデッキからレベル7、8のシンクロのドラゴン族またはパワーツールモンスターを特殊召喚出来る。来い、月華竜ブラックローズ。バトルだ。デコード・トーカーで攻撃。デコード・トーカーはリンク先にモンスターが居る場合、1体に付き、攻撃力が500ポイントアップする。』

 

デコード・トーカー ATK/2300>2800

 

デコード・トーカーは、その大きな剣で風を起こした。

 

「ぐぅ・・・」

有馬LP8000ー2800=5200

 

『続けて月華竜ブラックローズで攻撃。』

 

攻撃を命じられた月華竜は、体のあちこちから鞭のような茨を出し、有馬の体に叩きつける。

 

「がはっ!?」

有馬LP5200ー2400=2800

 

『我はこれでターンエンド』

 

赤き竜

LP8000

手札0

EXモンスターゾーン デコード・トーカー

メインモンスターゾーン 月華竜ブラックローズ

            アルティマヤ・ツィオルキン

魔法&罠 1枚

 

「ぐぅ・・・、何とかライフは残ったか・・・」

 

有馬はよろよろと立ち上がる。

相手の場には最初に出たレベル5以上のバウンス、相手のモンスターを対象にした瞬間、リンク先のリリースで無効にして破壊してくる奴。

正直辛すぎる。亜白もバウンスされるし、対象とれば無効。おまけにアルティマヤでクリスタルウィング出されたら終わりに近い。

でも、それでも

 

「諦めは・・・しない・・・!ドロー!」

『この瞬間、墓地のバック・ジャックを除外し、効果発動。デッキトップに置いた罠カード、波紋のバリア―ウェーブフォースを伏せる。そしてアルティマヤの効果により、EXデッキからクリスタルウィング・シンクロドラゴンを特殊召喚する。これにより、デコード・トーカーの攻撃力は500ポイントアップする。』

 

デコード・トーカー ATK/2800>3300

 

もう一度現れる結晶の竜。その輝きは敵対する者を焼き殺さんとしていた。

 

「俺は手札から闇の護封剣を発動する!」

 

上空に骸骨の顔が現れたかと思った次の瞬間、靄のような黒一色の剣が相手フィールドに降り注いだ。

 

『ほぅ、裏守備にする事で、月華竜とクリスタルウィングによる妨害を無力化したか。が、リンクモンスターには守備力は存在しないため、デコード・トーカーは裏守備にはならん。』

「知ってるさ、俺は手札からマンジュ・ゴッドを召喚!効果により、デッキからブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンを手札に加える。更に、手札から儀式魔法、カオス・フォームを発動する!コストとして手札から青眼の白龍を墓地に送る!現れよ!ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン!」

『それは!?』

 

現れたのは青き体と青き眼を持つカオスの龍。

一発逆転の切り札。それは、アルティマヤ・ツィオルキンをカオス・MAXで殴るという簡単な事だった。

 

「運が良かったよ。まさか、引けなきゃ負けるって時に闇の護封剣が引けるなんて思わなかった。」

『だが、必要なカードを引き込む運も、決闘者にとって必要な物だ。』

「そっか・・・。よし、バトルだ。カオス・MAXで裏守備になっているアルティマヤ・ツィオルキンを攻撃!混沌のマキシマム・バーストォォ!!」

『・・・我が伏せたカードは業炎のバリア -ファイヤー・フォース・・・。この状況では使えぬか・・・』

白と黒の混じった光がカオス・MAXから放たれ、赤き竜を包み込んだ

赤き竜

LP8000ー8000=0

 

『見事だ・・・、それでこそ、我の主に相応しい・・・。』

 

赤き竜は有馬の瞳を見てそう答えた。

 

 

 

 




赤き竜が決闘中に叫ぶ描写が無いのは、一々叫ばせてると切りが無いからです。すみません。

赤き竜に関しての細かい設定としては
・飲み込まれた物は、赤き竜同様に、周りから見えなくなる。
・決闘のルールを無視した手助けは基本しない
・無駄な争い(普通の決闘なら良い)では下僕を協力させない
 例:復讐等


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原作介入
天使?悪魔の間違えだろ?


原作に入ります。
ただし決闘は無い。


俺は赤き竜との決闘を終えて、再び赤き竜に飲まれ、VRAINSの世界へと戻った。

行きに見た悪夢は見なかった。一体あれは何だったのだろうか。

転生した時は明るかったのに、空はすっかり夕方になり始めている。かなり時間が経ったのだと推測できた。

赤き竜曰わく、別世界へ移動する場合、多少の時差が発生するらしい。

帰ってきた場所は神様の用意してくれた家の前。どうやら帰るついでに赤き竜が運んでくれたらしい。

やっぱり万能タクシーだな・・・

 

「へぇ~、網膜認証タイプか。これならセキュリティーも堅いな。さてと、ちゃんと俺の網膜も認証されてるかなぁ~と。」

 

少し心配になりながらも、目を認証カメラの前に出す有馬。やがてピピっという音と共に家のドアが開く音がした。

よし入ろう。そう思った時だった。

有馬の決闘盤がアラーム音を流し始めた。ちなみに音楽は神の怒りであった。あの神、余程仕事への怒りが強いらしい。

 

「へ!?ちょ、どうやって電話出れるんだ!?コレ!?」

『オォーン』

意訳:落ち着け、そこにtelephoneとあるだろう?それを押せば良いのではないか?』

 

慌てて赤き竜の言った通りにする。

すると黒髪の色白な肌色をした30代ぐらいの女の人の顔が現れた。

麻也と名前には出ている。

 

『あ、有馬君?ごめんね~、今日からしばらくからDen Cityから離れて仕事しなくちゃならなくなっちゃってね?銀行にお金は預けてあるから、それでどうにかしてね?本当にごめんなさい。言い忘れてたの・・・。お金が無くなったりしたら言いなさい?こっちでもそれなりに有馬君の為に稼いで来るから。』

「は、はぁ?・・・、分かりましたけど・・・」

 

物凄い勢いで話され、とても混乱している有馬には、これが精一杯だった。

 

『それじゃあね!あ、今日のカリスマ決闘の見学チケット、私使えないから使って良いわよ~。確か・・・ブルーエンジェルとGO鬼塚だったわね。どちらも人気な決闘者だから、見に行ったら?じゃ、またね~。』

 

ブチッ

通信が切れて麻也さんの顔は見えなくなった。

色々と大変そうな顔だったが、今は他人の心配をしている場合じゃない。

まず、銀行に入ってるお金。これは100万円ちょいあるのが決闘盤のメニューで確認できた。が、問題は

 

「どうしよう・・・食費代とか電気代とか、計算しなくちゃいけないのか・・・?家計簿を付けないといけないのか・・・?」

 

駄目だ、絶対借金だよコレ。

仮に決闘で稼げたとしても、労働やらで忙しいし、何よりも目立てるぐらい勝てるかも分からないし。

 

ありまのめのまえがまっくらになった!

 

「・・・・・・決闘・・・見に行くか・・・」

『オ・・・オォーン』

意訳:う・・・うむ

 

 

 

赤き竜の案内で、何とかその会場まで辿り着いた。

そこでホットドッグと珈琲を売ってるフードトラックがあり、買って食べたのだが、それがかなり美味しかったので、ついつい2個買ってしまった。残りの1本を黙々と食べながら、有馬はフードトラックの近くでブルーエンジェルとGO鬼塚の映っている映像を見る。

・・・鬼塚はまだしも、財前は見る影も無いな・・・

 

「ねぇ、おじさん。ブルーエンジェルってどんな人物なのか知ってない?」

「ん?あぁ、ブルーエンジェルね。ブルーエンジェルはLink vrainsの看板娘と言われていて、使うデッキとその見た目が天使のような事で人気だよ。強さもかなりのものだ。」

「ふ~ん・・・、天使ねぇ~・・・Link vrainsって?」

「決闘者等が行ける第2の現実世界とも言われているVR空間の事さ。」

 

遊戯王の天使ならロクな奴じゃないんだろう?

どうせ笑顔で鬼畜効果を使いまくるんだ!

ボチテンシヨンタイ・・・うっ、頭が・・・

 

「君も決闘者なのかい?どんなデッキを使うのか聞いても良いかな?」

「色々あるんで・・・。例えばこんなのですかね?」

 

そうして見せたのは、比較的見せても問題なさそうなHERO召喚獣。超融合は抜いてある為、問題は無い筈。

 

「へぇ~、こんなカードもあるのかぁ・・・ありがとな、っと、お~い、遊作~」

「あ、草薙さん。」

 

紫色の髪をしたおじさん、草薙さんは、デッキを返すと近くを通りかかったロブスターのような髪をした青年、遊作に声をかけた。

・・・え

 

「草薙さん、どうしたんだ?」

「いや、お前と同じ高校の制服を着てたから、もしかして知り合いかなんかじゃないかと思ってな。」

 

え、同じ高校なの?

というか、この人、主人公と知り合いなの?!

 

「いや、カバのような奴には会ったが、彼とは会っていないと思う。」

「あ、はい。会った事無いです。」

「そうか・・・、お前も友達早く作れよ?俺はお前にまともな高校生活を送って欲しいんだ。」

 

カバのような奴というのに少し興味が沸くが、それ以上に今の会話が気になる。まともな高校生活を送って欲しい?

どういう事だろう?

 

「すまないと思っているんだ・・・、お前を巻き込んでしまって・・・」

 

巻き込んでしまって?何に巻き込んだんだ?

どんどん気になる情報が出てきて、有馬は遊作の返事を待つ。

 

「俺は俺の意思でやっている。俺は、あんたの弟と、俺の過去を奪った奴らに復讐する・・・!」

 

ぐっと手に力が入る遊作。

過去を奪った?何かの経歴だろうか?

何にせよ、主人公に会えたのはやはり嬉しい。遊戯王の世界がより楽しめる筈だ。

 

「・・・そうか、なぁ、遊作?データストームって知ってるか?」

 

どうやらこの話は、もう少し続きそうだ。

 

 




短くてスミマセン・・・
お気に入り5件
感想1
評価1
もうこれだけで嬉しい・・・、まさかこんな文を読んでくれる人がいたなんて・・・


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人質GETだぜっ!

特に短いです。
遊作とハノイの騎士の決闘が1日で終わらなかったら、次の更新が出来ないかもしれません・・・

感想ありがとうございます!
お気に入りも増えて、評価も増えて・・・
う、目から激流葬が・・・

5/17 有馬の決闘の腕に関する説明を変更しました。


「データストーム?聞いた事無いな・・・」

「俺も聞かせてもらっても良いですか?」

「あぁ、昔Link vrainsにはデータストームって風が吹いていたんだと。一部の連中は、そこでスピード決闘ってのをやってたんだとよ。」

「スピード・・・決闘・・・」

「そのデータストームって、もう無いんですか?」

 

今の話の仕方だと、データストームは、今はもう見ないのだろうかと思い、有馬は草薙に質問をする。

スピード決闘・・・、転生前にやるって情報を耳にしたけど、遊作のこのしんみりとした何とも言えない表情を見るに、話の根幹に関わってきそうだな。

 

「分からない。スピード決闘の中には、新世界と未知のモンスターが居たって噂だ・・・。遊作もそんな物を見たら、きっと決闘を楽しんでくれるんじゃないかと思ったんだ。」

 

成る程、それがサイバース族、もしくはあの謎の生命体なのだろう。

 

「草薙さん、ありがとうな。でも、やっぱり俺は復讐する。絶対に・・・この手で・・・」

「そうか・・・あっ、遊作、そういえば今日、SOL社が大規模なスキャンをかけるかもしれない。」

 

SOLテクノロジー社?遊戯王のKCとかLDSみたいな物かな?

ブラック企業な所とかまで同じじゃありませんように・・・

というか、かけるかもって、事前に報告もなしにやるのか?何か可笑しいよな・・・

 

「何でも、AIを探してるらしい。」

「AI・・・ですか?AIってそんなに移動するもんなんですか?」

「いや、プログラムが歩いたりするなんて、聞いた事が無い。そもそも、スキャンなんてしたらハノイのいい的だ。・・・ん?待てよ・・・」

 

質問に答えてくれた遊作は少しの間考える素振りを見せる。

ハノイ?何だそれ?イリアステルみたいなのか?

遊作の味方・・・って訳じゃあなさそうだし・・・

あ~でも真の敵はSOLテクノロジー社とか、有り得なくは無さそうだし・・・

 

「草薙さん!忙しくなるぜ!」

「まぁ、こんな店でも、夜は繁盛するからな。」

「美味しいし安いですからね。それは繁盛するでしょう?」

 

お、嬉しい事言ってくれるねぇ~、と草薙は言うが、それに対して遊作はそうじゃないと否定し、無理矢理店を閉め、草薙をモニター前の椅子に座らせる。

何でこんなのがあるんだよ・・・

 

「罠を張って欲しいんだ。それも、ファイアウォールの逃げ道を、この決闘盤の中に。AIを追っているのは、きっとSOLテクノロジー社だけじゃない、ハノイも追っているんだ。そのAIを捕まえて人質にすれば、俺達の切り札になる。」

 

これに対して草薙は無理だという。

が、遊作は俺達ならきっと出来ると言い、作業が始まった。・・・これ、俺見てても良いものなのかな?犯罪を見逃すって大丈夫かな・・・

 

・・・それにしても外が五月蠅いな?もうライブが始まったのか・・・

 

「クソッ!もうSOLテクノロジー社のスキャンが始まったぞ!」

「後少しで・・・!」

 

その時、突如として外からの声が消えた。

何事だと思い、有馬は外に出る。

その瞬間、大画面のモニターを見ていた人達の頭上にモニターの破片が飛び散り、観客達は悲鳴を上げる。

それを見た有馬はしばらく放心するが、直ぐに意識を取り戻し、自分の精霊に小声で指示を飛ばす。

 

「・・・!赤き竜、あの人達を守ってくれ!」

『オォォン!』

意訳:うむ

 

赤き竜は有馬の指示を聞き、観客達を降り注ぐガラスの破片から覆うようにして守る。

 

「よし、これで完成だ!」

 

トラックの中に居る遊作の声と共に、遊作の決闘盤に電流が流れる。

どうやら罠が完成したようだ。

 

「遊作!この状況、どうにか出来るか!?」

 

焦った声で有馬は遊作に聞く。

このままじゃマズい。赤き竜が守れなかった人達が出る前にどうにかしないと・・・けど、この混乱しきった状況で、人の話が聞けるとは思えない・・・

そんな有馬の心境を知ってか、遊作は安心させるように肯定する。

 

「あぁ、もう少しでこの決闘盤にAIが来る。後は決闘プログラムにルールを変更すれば、この状況を作った奴の攻撃の手は止まる。俺がそいつと決闘するその間、観客達の避難を頼めるか?」

「任せろ、なるべく早く避難させる。」

「あぁ、遊作、負けるなよ・・・」

 

有間、草薙の順で遊作に答える。

さてと、避難指示、頑張るか!

 

 

「・・・行ったか」

 

草薙さんとアイツ(有馬)が観客達の避難指示に向かい、遊作は一人、電流の流れる決闘盤を携えていた。

 

「・・・アイツの名前、聞いてなかったな・・・」

 

思えばこの騒動の間、彼の名前を聞いてなかった。

彼からは不思議な感じがしていた為、少し気になっていたのだが・・・。まぁ、同じ高校らしいから、今度会ったら聞けば良いか・・・

遊作は思考するのを止め、旧型の決闘盤を見る。その周りには細い紫電が無数に飛び散っていた。

 

「来るか・・・!」

 

瞬間、決闘盤の丸い穴が空いた箇所に大きな電流が流れた。

その眩い光に、遊作は少し目を瞑る。

そして、目を開け、真っ先に目に入ってきたのは

 

『うぅぅん、あれ?ここは?』

 

目玉の形をした救世主(人質)だった。

 

 

 

 

「落ち着いてください!皆さん慌てずに避難してください!」

 

俺は遊作に言われた通り、観客達を避難させていた。

遠くには(有馬)の姿が見える。

彼はお年寄りや迷子の子供達を近くのビルへ誘導している。その姿に多くの人が従い、感謝をしていた。

 

「俺じゃあ、遊作に普通の高校生活を送らせてはやれないのかもな・・・。ああいった優しくて強い意思を持った子が、いつか遊作の友達とかになってくれたりしたら、きっと、遊作はいつか決闘の楽しさに気付けるんだろうな・・・」

 

ビルへ避難しようとする人達と有馬の姿を見ながら、草薙は一人、自分のせいで復讐に捕らわれた遊作の事を心配し、同時に、有馬に遊作の友達になって欲しい。そんなことを考えていた。




次回は遊作とハノイの騎士の決闘
なのですが、ルールをスピード決闘にするか普通の決闘にするか、かなり迷ってます。
なので、活動報告の方でアンケートを取りたいと思います。
どうかご協力お願いします・・・


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私の最強カードォォ!!

ちょっとの間、更新スピードが落ちるかもしれません。



「よし、これで避難は終わったか・・・」

「お兄ちゃんありがとう!」

 

俺は会場の近くにあったビル付近で、まだ会場に人が残っていないかの確認をしていた。

草薙さんも誘導を終えて、俺の近くにあったベンチでぐったりとしている。

 

「全く・・・肉体労働はハッカーのやることじゃ無いんだがねぇ・・・」

 

言葉だけ聞くと嫌々やっていた用に聞こえるが、その顔には、避難し終えた人達を見て安心したような表情が見える。

 

「ははっ・・・、僕も疲れました・・・」

「だろうな。良く頑張ったよ君は。」

 

そう言われると嬉しい。

が、喜んでばかりじゃいられない。

 

「・・・遊作は大丈夫でしょうか・・・」

「・・・・・・」

 

流れる沈黙。

沈黙が嫌な予感をより大きな物にした。

しかし、そんな沈黙を壊すかの用に、ビルにいた人達が大きな声で騒ぎ始めた。

 

「おいコレ!本当にplaymakerなのか!?」

「ハノイの邪魔をしてる決闘者・・・まさか本当に・・・!?」

 

良く見れば、ビルに避難した人達は、自分、または他人の決闘盤から出ている映像を見ていた。

ハノイの騎士、playmaker、戦っている

有馬と草薙はこの3つの言葉を聞いて、透かさず近くの人の決闘盤を見る。

そして、その映像には風のような波に乗って決闘しているplaymakerとハノイの騎士の姿が見えた。

 

「!?これはデータストーム!?」

「それって噂の・・・、ということは、これは・・・」

「あぁ・・・スピード決闘だ。」

 

 

 

 

俺は今、突如発生した青紫の色をした風、データストームに乗り、スピード決闘をしている。

ルールは俺の決闘盤に寄生した人質に聞いた為、ある程度の理解は出来た。

その際、俺はこのスピード決闘を知っていたと気づいた。失った記憶の中に、スピード決闘に関する何かがあった気がした。

周りには黒い色をした建物が多く見え、とてもさっきまで陽気に決闘をしていたとは思えなかった。

相手はさっきまで破壊活動をしていたハノイの騎士。

その姿は相変わらず白い服に機械的なマスクをしていた。

 

『どうやら奴はスピード決闘を知っている用だな。何なら俺がサポートしてやろうか?』

「必要ない。黙っていろ!、集中する。」

 

コイツの助けなんて無くとも、俺はハノイに勝つ。勝たなければならないんだ。

やがて、Dボードという物に乗ったハノイと俺は近づき、やがてコースにて交わった。

 

「「スピード決闘!!」」

 

playmaker

LP4000

手札4

 

ハノイの騎士

LP4000

手札4

 

「先行は私からだ。私のターン!」

 

そういってハノイは虚空に手を出す。

するとそこから、データ化された手札が出てきた。

 

「完璧な手札だ。これなら最初から全力で行ける・・・。相手フィールドにモンスターが居ない時、私は手札からハック・ワームを特殊召喚できる。更にもう一体も特殊召喚する。」

「攻撃力400・・・それが2体。上級モンスターを呼び出す気か」

「その通りだ。これこそリボルバー様から渡された最強のカード・・・!」

 

リボルバーというのがハノイの指揮官なのか?

 

『playmaker様?考えてる所悪いが、奴のエースモンスターが来るぜ?』

「来い!クラッキング・ドラゴン!!」

 

現れたのは、俺とこのハノイの騎士が出会った際にハノイの乗っていた黒い体を持つ機械の竜。その体には、幾つもの緑色をしたオーブのような物が付いていた。

 

「1ターン目から攻撃力3000か・・・!」

「更に手札から波動キャノンを発動し、ターンエンドだ」

 

ハノイの騎士

手札0

LP4000

 

playmaker

手札4

LP4000

 

相手のフィールドには攻撃力3000のモンスター・・・おまけにスピード決闘ではLP4000・・・1度でもダイレクトに食らったらほぼ負けだ・・・。この局面を切り開くカードをここで引ければ・・・

 

「俺のターン、ドロー!」

『気をつけな。あのモンスター、強いよ。』

「そんなことは分かっている!俺は手札からサイバース・ウィザードを召喚する。」

 

現れたのは青い色をした魔法使い。

その手には自分と同じ位の大きさをした杖がある。

 

「クラッキング・ドラゴンの効果発動!相手がモンスターを召喚、特殊召喚した場合、そのモンスターのレベル×200、攻撃力をダウンさせる。更に、この効果で下がった攻撃力の分、お前はダメージを受ける!」

「ぐぅ・・・」

 

playmaker

LP4000ー200×4

=3200

 

「クハハハハハハ!これこそがリボルバー様が私に授けてくれた最強のカードの力だぁ!」

 

何が最強だ。どんなカードにだって弱点はあるというのに。

 

「サイバース・ウィザードの効果発動。1ターンに1度、相手フィールドの攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示にする!サイバースアルゴリズム!」

 

サイバース・ウィザードがクラッキング・ドラゴンへ持っていた杖を向けると、クラッキング・ドラゴンはいきなり弱り始めた。

 

「サイバース・ウィザードの効果で守備表示になったモンスターをサイバース族が攻撃する場合、そのターンの終了時まで、貫通ダメージを与える!」

「ほう?」

 

クラッキング・ドラゴンは高い攻撃力の代わりに守備力は0。だというのにハノイは全く動じていない。何かあると見て間違いないだろう。

 

「カードを1枚伏せ、バトル。サイバース・ウィザードでクラッキング・ドラゴンを攻撃!イリュージョンスパイク!」

 

ハノイの騎士

LP4000ー1000

=3000

 

「残念だがクラッキング・ドラゴンは自身のレベル以下のモンスターとの戦闘では破壊されない・・・」

「・・・ターンエンドだ。」

playmaker

手札4

LP3200

 

ハノイの騎士

手札1

LP3000

 

『まさか戦闘破壊に対する効果まであるとはな。それにしてもplaymaker様は意外と驚いていないみたいだな?』

「アイツはモンスターが守備表示にされても表情を曇らせなかった。何かあるとは思っていた。」

『相手の僅かな動作も見逃さないか・・・流石はplaymaker様だ。』

 

見逃さなかったのは確かだ。だがこのスピード決闘では、常に注意していなければならない為、普段やっている決闘よりも、相手の表情が読みにくい。

 

「これが・・・スピード決闘・・・!」

 

やる前の説明では簡単な物だ予想していたが、どうやらそんな簡単な物では無かったらしい。

遊作は一人、自分の考えを目の前の状況を見て、間違っていたと訂正していた。




未OCGカードの穴を補うのって大変なんだと気付きました・・・


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カードは(風の中で)拾った

やっと・・・2話の内容書き終えた~!
今回はいつもよりは長いです。
い つ も よ り は


決闘の映像を見ていた有馬は、不思議な気持ちでいた。

遊作が負けないか心配していると同時に、主人公がモブとの戦いでそう負けることは無いだろうという安心。

とてもこの場で、草薙さんが心配していて遊作が頑張っている中で、そんな気持ちでいるのに何も思わない訳は無い。

 

最悪だな、俺。

 

そう思っていた。

しかし、それでもどこか安心したままだ。

この場(原作)(異物)がいる事で、主人公が何時何処で負けるか、あるいは今後あるはずだった物語に支障を起こすかも知れない。そういった事がある可能性が否定しきれ無いのにも関わらず、俺は酷く冷静だった。

 

どうせ決闘をすれば話が進む。

俺はただ楽しめれば良い。

遊作がどうにかするだろう。

負けたって誰かが補うだろ。

 

心の奥では、正直な所そう思っている。

決闘者として、このアニメの世界というのは、正に夢の世界だろう。行きたいと思う人もいるだろう。

けど、実際はどうだろうか?

原作を知っていて面白そうだから、またはただ面白そうだから。もしかしたらアニメの中でやりたい事があるから。

そんな理由では無いだろうか?

そんな俺はというと、かなり楽しんでいると言えるだろう。

心配事(これから待ち受けているかもしれないこと)を無視していいのなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はスキルを使わせてもらう。」

「何!?スキルだとっ!?」

 

どういうことだ?

そう思いつつ、目の形をしたAIを睨みつける。

 

『あぁ、手短にと言われたから割愛した。』

「お前・・・、自分の命について真面目に考えたらどうなんだ・・・!」

 

コイツは本当に現状を理解しているのだろうか?

負ければ自分はハノイの手に渡るというのに。

 

『一応は考えてる。スキルっていうのは決闘中1度だけ使える物だ。例えばドロー、攻撃力の変動、ライフを増やしたり減らしたり・・・様々な種類がある。』

 

つまりは手札になくとも使える変わった速攻魔法のような物だろうか?

 

「話は終わったか?それではスキル、ダブルドローにより、カードを2枚ドローする。」

 

・・・なっ!?

 

「何だその効果は!?」

『インチキ効果もいい加減にしろっ!』

 

スピード決闘を知っていたコイツ(イグニス)がインチキ効果呼ばわりするということは、あれは正式なスキルでは無いのだろう。

というかそうであって欲しくない物だ。

 

「ふっ!勝てば良いのだよ勝てば!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・(殺意レベル推定60)

 

『おうおう。playmaker様がお怒りだねぇ?』

「黙っていろ、消されたくなければな?」

 

次煽ったらホントに消すからな?

そう遊作は目で警告した。

 

「ふん、今更消えゆく者にどう思われようが構わん。」

「消える・・・?」

『言い忘れてたが、こちらで大きなダメージを受けたりすれば、現実の体に戻った時フラッシュバックが起きて、精神的ダメージが襲う可能性がある。』

 

そういう事は割と早く言って欲しかったが、まぁ良いだろう。

 

「今のドローで、私は最高の手札を得た。そして波動キャノンは自分のスタンバイフェイズにカウンターが乗る。ククク、コイツで沈ませてやる。私は波動キャノンの効果発動!」

 

ハノイの声に反応して、波動キャノンはコチラに標的を定める。

 

「この一撃で消えるが良い!波動キャノン発射!」

 

波動キャノンの砲台に、青白い光が溜まって行く。

ハノイと俺の距離はそこまで遠くない為、これを避けるのは難しいと思えた。

そして、光は放たれ、俺に向かって一直線で飛んで来る。

 

playmaker

LP3200ー1000

=2200

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ!playmakerが!?」

「!?」

 

俺の目には波動キャノンの効果でダメージを受けた遊作が、コースから落ちたように見えた。

見間違えか?

そう思ったが、映像越しのハノイの顔がにやけているのを見て、見間違えでは無いと把握した。

マズい。あの高さから落ちても大丈夫なのだろうか?

いくらVRといえども、心配してしまう。

最悪コースに戻れず、遊作の負けともなりかねない。

 

「あっ!ブルーエンジェルだ!」

 

その声を聞いて、有馬は思考の海から帰還する。

忘れていたが、そういえばあそこにはカリスマ決闘者の鬼塚と財前がいた・・・。このタイミングで現れたということは・・・

ブルーエンジェルは落ちているplaymakerを見て、手の平から青い色をした鞭を出す。

そしてplaymakerの乗っていたDボードを鞭で強く叩く。

すると、持ち主から離れていたDボードが軌道を遊作の方へ変更し、そのまま凄い勢いで移動する。

 

「!」

 

近づいて来たDボードを手に取り、遊作はさっきまでいたコースとは違うコースに移った。

どうやらどのコースもさっきまでいたコースに戻れるように出来ていたようで、遊作は何とかコースに戻ることが出来た。

 

「ちっ!余計な真似を・・・だがお前のライフもクラッキング・ドラゴンによってやがては0になる・・・」

 

ハノイはブルーエンジェルを睨むが、直ぐに遊作との決闘へと意識を切り替える。

 

「カードを1枚伏せ、装備魔法、エアークラック・ストームをクラッキング・ドラゴンに装備!このカードを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘破壊した場合、このカードの装備モンスターはもう1度攻撃出来る。行け!クラッキング・ドラゴンで、サイバース・ウィザードを攻撃!」

「罠発動、スリーストライク・バリア!その効果で俺はこのターン、戦闘破壊を無効にする。」

「だがダメージは受けてもらう!」

 

3つの効果から俺が選んだのは戦闘破壊の無効。

しかしながらダメージの発生までは無効に出来ず、エアークラック・ストームから発せられた攻撃は、俺の体全体に突風を浴びせる。

 

playmaker

LP2200ー1200

=1000

 

playmaker

LP1000

手札3

場 サイバース・ウィザード

 

ハノイの騎士

LP2200

手札0

場 クラッキング・ドラゴン(エアークラック・ストーム)

 

突風を受けた俺はまたも落ちそうになるが、AIの指示により、仕方無く右に移動してやった。

また俺を落として決闘に勝とうとしたのだろう。

しかし、ハノイはニヤリと笑っている。慢心しているのだろうか?

 

「これで貴様は終わりだ。」

 

ニヤニヤと笑いながら、ハノイは俺の敗北と言った。

まだライフが残っているのにも関わらず。

確かにクラッキング・ドラゴンの効果は俺のライフをあっという間に削れるだろうが、効果での破壊が出来れば、俺のライフは減らず、アイツのモンスターは0となり、充分逆転の余地はある。

それとも、あの伏せカードが何かあるのだろうか?

 

「まだ気付いて無いようだな?自分の置かれた状況が・・・」

「何・・・?あれは・・・!」

 

ハノイの視線の先を見ると、そこには建物を次々と破壊していくハリケーンの姿があった。

目の前のコースに進路変更の道は無い。

 

「ぐぅ・・・うわぁぁぁ!」

 

迫って来た暴力的な風に、遊作は抗うも、遂には飲み込まれてしまった。

 

「おい!お前わざとこのコースに誘導したな!?」

『あぁ、そうだ!このデータストームの中に、お前が勝つ為に必要なカード、未知のモンスターがいる!』

「未知のモンスター・・・」

 

さっきまでとは気迫が違うAIの言葉を、俺は素直に受け止めた。

 

『今こそスキル・・・ストームアクセスを使う時だ!ライフが1000ポイント以下の場合、データストーム内からランダムに、カード1枚にアクセス出来る!』

 

遊作のアバター、playmakerの黄色のラインに光が走る。

光が強くなるに連れて、風の勢いも徐々に強くなる。

 

「ぐ・・・俺には・・・勝たなければいけない理由が3つある・・・!1つは、失われた過去を取り戻す為!2つ目は、草薙さんの弟を助け出す為!そして3つ目は・・・!」

 

誰かわからない。

どんな人だったかも。

それでも覚えている。

俺に・・・

 

「俺に勇気をくれた!アイツに会うため!」

 

手に光が集まる。

暖かい光。

絶望を切り開く希望の光が。

 

『今だ!』

「ストームアクセスッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「データストームに呑まれたか・・・これでイグニスを回収出来れば・・・!?」

 

データストームから1人。帰って来ると微塵も思っていなかった人物が自分の目の前に降りてきた。

あのデータストームから出てきただと・・・!?

 

「くっ!だがライフは高々1000。クラッキング・ドラゴンの効果で直ぐに消し去ってやる・・・!」

「俺はサイバース・ウィザードの効果発動!サイバースアルゴリズム!」

 

再び青い魔法使いは黒き機械竜に杖を向け、呪文をぶつける。機械竜は突然の事に動揺する。

 

「そして、サイバース族が自分の場にいる時、俺は手札からバックアップ・セキュレタリーを特殊召喚出来る!」

「レベル3のモンスターの登場で、攻撃力を600下げ、貴様に600のダメージを与える!」

 

playmaker

LP1000ー600

=400

 

「更に手札からスタック・リバイバーを召喚。」

 

小さな箱のような機械が現れる。

 

「ふん馬鹿め!、クラッキング・ドラゴンの効果発動!レベル2のモンスターを召喚したため、攻撃力を400ダウンさせ、貴様のライフに400のダメージを与える!これで終わりだ!!」

 

playmaker

LP400ー100

=300

 

「何!?たったの100だと!?」

 

有り得ない。機械が壊れたのかと疑うが、その答えを遊作は当たり前の用に説明する。

 

「ソイツの効果はダウンした数値分のダメージを与える効果だ。よって、元から攻撃力100のスタック・リバイバーは400下げる事が出来ず、俺へのダメージは、下げられた100となる。どうした?お前、自分の使っていたカードの効果も理解出来ずに使っていたのか?」

「くっ!黙れっ!貴様のライフは300に対し、私のライフは2200。その様な雑魚で貴様が私に勝てる筈が・・・!」

「それはどうかな?俺はまだ、エースモンスターを出していない!現れよ!未来を導くサーキット!」

 

Linkvrainsの偽りの空にゲートが開き、そこへ遊作とモンスター達は進んで行く。

通り抜けた先には、神秘的な空間が広がっていた。

遊作は、ゲートに付いている矢印、アローヘッドを確認する。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件は、効果モンスター2体以上!俺はスタック・リバイバー、サイバース・ウィザード、バックアップ・セキュレタリーの3体をリンクマーカーにセット!」

 

それぞれのモンスターが、上、左下、右下の灰色のマーカーの中へ、光となって移動する。

 

「サーキットコンバイン!リンク召喚!現れよ!リンク3デコード・トーカー!!」

 

主の声に反応し、剣士は(ハノイの騎士)に刃を向ける。

 

「馬鹿な!?お前のエースモンスターがリンクモンスターだとぉっ!?」

「リンクモンスターはレベルを持たない!よって、クラッキング・ドラゴンの効果は発動しない!そして、墓地に送られたスタック・リバイバーの効果発動!これによ、サイバース・ウィザードを墓地からデコード・トーカーの左下へ守備表示で特殊召喚!デコード・トーカーはクラッキング・ドラゴンとサイバース・ウィザードがリンク先にいる為、効果により1体に尽き攻撃力を500アップさせる。」

 

デコード・トーカーの持つ剣がプラズマを帯びる。

 

「バトルだ!デコード・トーカーで、クラッキング・ドラゴンを攻撃!デコード・チェスト!!」

 

黒い機械竜の装甲を、剣士は力強く断ち切る。

 

「ぐ・・・おのれぇぇぇ!!」

 

ハノイの騎士

LP2200ー3300

=0

 

「・・・お前に、決闘者を名乗る資格など無い!」

 

 

 

 

 

 

 




ふ~疲れた~。
お気に入りにしてくれた方々、ありがとうございます!


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残酷な天使のテーゼ

・・・残酷な描写ってタグに入れようかな・・・

有馬のアバター名に関する情報を一部変更しました。
財前兄さんが何でも利用する人とエマさんに指摘されていたので、キャラ被りを避ける為にも変更しました。
突然の変更、申し訳御座いません。


ハノイの騎士がLinkvrainsを襲って来て2日が経った。

昨日は夜遅く、方向音痴と自覚していた為、名前だけ教えて早々に遊作と草薙さんと別れた。

歩いて帰る途中で酷い頭痛に襲われ、頭上にモンスターが現れた気がしたが、一体あれは何だったのか、今日赤き竜のナビで高校まで行き、その際遊作と同じクラスだったので聞いてみれば、遊作も昨日はモンスターが現実世界に出現しているように見えたらしい。

話によると、謎の生命体、アイを追っていたリボルバーというハノイのリーダーが、そのモンスターに乗っていたと言う。

 

「そういえば、良いの?口封じとかしなくて?他の人に教えちゃうかもよ?」

「安心しろ。その時はお前の個人情報をネット上で散布する。」

 

悪魔だ。コイツ絶対ドSだ!冗談で言っただけだからね!?

 

「言わない!絶対言わないから!・・・それより、今日のニュース凄かったな?全部playmakerだったけど・・・どう?人気者になった感想は?」

「興味ないね。むしろハノイの騎士が人気者になってくれれば、対応の早さもマシになるかもな?」

 

どこの元ソルジャーだ、と思ったが口にはしなかった。

というか、ハノイの騎士どれだけの頻度で出てきてるんだろ?遊作過労死とか無いよね?

・・・・・・何か心配になってきた・・・

 

「・・・遊作、俺もなるべくハノイ倒すよ・・・偶には休め、うん・・・」

「・・・急にどうした?まぁ、そうしてくれるなら嬉しいが・・・」

 

こうして俺は、自分のアカウントとアバターを、遊作に教えてもらいながら作るのだった。

 

 

 

 

「これは・・・凄いな・・・」

 

流石にこれは俺が決めたいので、遊作にはやり方だけを教えてもらった。

今はみんなが弁当を食べたりしている。因みに俺はシーホースサラダと遊作が持って来てくれた草薙さんの作ったホットドッグである。うん、今日も美味しい。

教室には同じ組の生徒達が沢山いる。

パーツのクオリティーはどれも高く、無限とも言える量のパーツがあった。

中には課金が必要な物もあったが、そんなことをしなくても充分だと思えた。

例えば元ソルジャークラス1stな服装だったり、円卓の白馬の王子様 とか、外道な花咲お兄さん等々、様々な物がある。

 

「どれにするか・・・よし、黒いので統一するか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前もplaymakerの偽物か?」

「何言ってるんだい?meがplaymakerさっ!」

 

目の前の黒衣の男は何だ?

偽物か?別に良いだろう?偽物でも?

meはみんなから注目されたいんだ!

VRの世界なんだ、好きにしたって構わないだろう?

 

「決闘だ」

「はぁ?生憎meはyouのようなのとは決闘なんてしたくないんでね?断らせてもらうよ?」

 

決闘なんてしても、meのデッキに勝てる奴なんか早々いないし。

仮にやってもつまらない結果に終わるだろ?

 

「お前の事情など知らん。決闘だ。決闘盤を構えろ。」

 

不審者が決闘盤を持ってコチラに近づいて来る。

お、可笑しいな?VRの筈なのに・・・プレッシャーを感じる・・・

 

「い、良いだろう!受けてあげよう!!meのデッキに勝てるならね!サイバース族なんか使わなくてもyouになんかmeは負けないし?!」

「粋がるのも良いが、もう少し顔に出さない事だな。それでplaymakerの真似が出来ていると、本気で思っているのか?本物はもっと冷静じゃなかったか?」

「ゴ、ゴチャゴチャと五月蠅いんだよっ!さっさと決闘だ!」

 

「「決闘!」」

 

playmaker?

手札5

LP8000

 

黒衣の男

手札5

LP8000

 

「meの先行!meの力を思い知らせてやる!手札から切り込み隊長を召喚!効果により、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚出来る!来い!切り込み隊長!」

 

傷だらけの金髪の戦士が2人現れ、腰に付いている剣を2人同時に抜く。

 

「切り込み隊長がいる時、自分はこのカード以外の戦士族を攻撃対象にされない!これがmeのコンボ、切り込みロックだ!」

「終わりか?こっちは早くデッキを回したくて待ちきれないんだが・・・」

 

コ、コイツ・・・!meのコンボを見て何とも思わないのか!?どんな頭をしてるんだ!?

 

「し、信じられない・・・こんなにもmeのコンボに無反応なのは今まででyouだけだ・・・」

「ん?あー、うん。凄ーい」

 

棒読み!?コイツ棒読みだ!?meを侮辱してるのか!?

許さない、絶対許さない!

 

「フンッ!ターンエンドだ。」

 

playmaker?

LP:8000

手札:3

場:切り込み隊長×2

 

黒衣の男

LP:8000

手札:5

 

「俺のターン、ドロー。手札からヘカテリスを捨て、効果発動。デッキから神の居城ーヴァルハラを手札に加え、発動する。」

 

現れたのは神の住まう神殿。出現と同時に、神殿に向かってどこからか光が射す。その光景はとても神々しく、美しかった。

 

「ヴァルハラの効果、自分のフィールドにモンスターが存在しない時、手札から天使族モンスターを特殊召喚出来る。来い、アテナ!」

 

神殿に射す光がフィールドにずれ、そこへモンスターが天から舞い降りる。

 

「更に手札から、創造の代行者ヴィーナスを召喚。この時、天使族が召喚、特殊召喚されたので、アテナの効果で600のダメージを与える。」

 

アテナの杖が光輝き光を放つ。光は直線状に飛び、playmaker?の顔を掠る。

 

playmaker?

LP8000ー600

=7400

 

「ひいっ!?」

「ライフを500払い、ヴィーナスの効果発動。デッキから神聖なる球体を特殊召喚する。この時、アテナの効果がもう一度発動される。」

 

黒衣の男

LP8000ー500

=7500

 

神聖なる球体がアテナの前まで移動すると、アテナは杖を持ちバットの用に構える。

そして・・・

 

「射出っ!」

 

カキーンッ!と音がすると、playmaker?は猛スピードで迫って来た神聖なる球体に顔面からぶつかった。

 

playmaker?

LP7400ー600

=6800

 

「いったぁぁぁ!!」

「ヴィーナスの効果は手札、デッキに神聖なる球体がある限り、何度でも使える。効果発動。射出っ!効果発動。射出っ!」

 

黒衣の男

LP7500ー500×2

=6500

 

神聖なる球体が2体、さっきと同じように放たれる。

どちらも同じように、顔面へと直撃した。

 

playmaker

LP6800ー600×2

=5600

 

「ぼ、ぼうばべでぐで(も、もう止めてくれ)・・・」

 

見ればplaymaker?の顔は腫れていた。

それを見てアテナは御満悦だった。

 

「俺も止めたい。けどな?勝つ為にも仕方がないんだ。大丈夫だ。VRなんだからどんだけダメージを受けても、抜ければ直ぐに元のアバターの顔に治ってる筈だ。」

 

そして何より、と黒衣の男は続ける

 

「モンスターがこんなにも楽しそうなんだ?止める訳にはいかんだろ?」

「この鬼!悪魔!」

 

何言ってんだ?天使だよ、コイツらは。

さも当然だろ?という顔で黒衣の男は言ってきた。

いや、こんなのが天使なんて・・・何かの間違いだ・・・。

 

「さて、まだまだ続けるぞ?俺は神聖なる球体2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来い、ランク2、聖光の宣告者。アテナの効果で600のダメージを与える。」

「ぐふぁ!」

 

playmaker?

LP5600ー600

=5000

 

「おぉ、また顔面クリーンヒットだな。聖光の宣告者のエクシーズ素材を墓地に送り、効果発動。今墓地に送った神聖なる球体を手札に加え、そのままデッキに戻す。」

 

playmaker?の顔が恐怖で歪む。最初から顔面クリーンヒットのおかげで酷い顔だったが、更に酷くなった。

 

「ヴィーナスの効果、ライフを500払い、今戻した神聖なる球体を特殊召喚する。言わなくても、分かるよな?」

 

黒衣の男

LP6500ー500

=6000

 

playmaker?

LP5000ー600

=4400

 

「ぐはっ!」

 

どうやら腰に当たったらしい。

playmaker?は腰に手を添えてプルプルしている。

しかし黒衣の男は気にする様子もなく淡々と決闘を続ける。

 

「アテナの効果、フィールドの聖光の宣告者を墓地へ送り、墓地からヘカテリスを特殊召喚する。」

 

今度は球体では無いため、アテナは渋々と、光る杖で攻撃をした。

 

playmaker?

LP4400ー600

=3800

 

「わ、わがっだ。じない、もうばではじないがら(わ、わかった。しない、もう真似はじないから)・・・!」

「・・・・・・はぁ、最初からそうすれば良いのに?じゃ、ちゃちゃっと終わらせようか?」

 

黒衣の男が優しい声で終わらせると言ったのをplaymaker?は聞き逃さなかった。

やった・・・!これで決闘が終わった。

そう思っていた。

 

「俺は2体の神聖なる球体でオーバーレイ!幾万の戦士を貫き、闇に葬る呪われし反逆の槍。降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろランク2。幻影騎士団カースド・ジャベリン!」

「え」

「ん?あー、安心しろ。コイツは天使じゃないから?」

 

いや、そういう事じゃない。

何で決闘が続いているんだ?

今終わらせるって・・・

 

「ん?俺のこのターンでお前は負けるから終わらせるって言ったんだけど・・・」

 

・・・・・・そういう意味かよぉぉ!

 

「?まぁいいや、カースドジャベリンの効果、エクシーズ素材を1つ墓地へ送り、お前の切り込み隊長の効果を無効にし、攻撃力を0にする。」

 

カースドジャベリンは持っていた呪いの槍を少し加減して切り込み隊長へと投げる。

結果、当たりはしたが、切り込み隊長に刺さりはしなかった。

 

「バトルだ。アテナで切り込み隊長を攻撃!」

 

アテナは切り込み隊長へ向けて、墓地から無理矢理引っ張り出した神聖なる球体で攻撃を仕掛ける。

余程気に入ったようだ。

 

playmaker?

LP3800ー(2600ー1200)

=2400

 

「ヘカテリスで切り込み隊長を攻撃!」

 

playmaker?

LP2400ー1500

=900

 

「ラストだ。ヴィーナスでダイレクトアタック!」

 

ヴィーナスは手のひらで神聖なる球体を作り出し、それをplaymaker?の顔面へと投げつけた。

 

「や、やめ」

 

playmaker?は迫って来る球体から逃げるが、残酷な事に、球体は追尾機能が搭載されていた。

 

playmaker?

LP900ー1600

=0

 

「全く・・・これに懲りたらもう真似なんかすんなよ?」

「・・・・・・ばい(・・・・・・はい)」

 

この後、ナルシストなplaymaker?と体がぶれてたりするplaymaker?と決闘し、その様子を見ていた人達から、あんなの人間のやることじゃねぇ。と言われた。

 

 

 

 

 

 




ハノイよりも悪役な気がする・・・
尚、カースドジャベリンだけが慈悲の心を持っていた模様。

使用デッキ
バーン天使


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未来への不安

お気に入りが24?どういう・・・ことだ・・・?
・・・・・・こ、答えてみろルドガァァァ!
お気に入り登録、ありがとうございます!


「あ、あっぶねぇ・・・!」

 

有馬はLink vrainsに入って、playmakerの真似をしている奴を決闘で倒して真似を止めるように忠告していた。

高校のLHRは50分ぐらいだったので、1決闘に少しの時間しか掛けられなかった。

そもそも何故有馬がその様な行動に出たかというと、単にplaymakerの真似をしているのが許せなかっただけでは無く、Link vrainsでの決闘を体験してみたかったからだ。

今ならSOLテクノロジーも、スピード決闘をしようとする者への警告や、ハノイが残した傷跡の修復、アイを持っているplaymakerの捜索で忙しくなっているだろうと推測し、試しに決闘をしてみたかったのだ。

しかし、試しにしては長く入っていたらしく、授業開始の1分前に、何とか自分の席へ着くことが出来た。

 

「おぉー!ギリギリセーフだったな!何やってたんだよ?」

「いや、ちょっと決闘の腕試しをね。」

 

因みに、隣には遊作とカバ・・・じゃなかった。島がいる。

何でも、ぼっちの遊作に近づいてあげたとかなんとか。

 

「へぇ~。どんなデッキ使ってんだ?」

「んー・・・色々と?まぁ、今回使ったのは天使だったけど・・・」

 

そういうと島は成る程なーと呟き、とあるカリスマ決闘者の名前を出した。

 

「じゃあカリスマ決闘者の中でもブルーエンジェルが好きなのか?」

「リンカーネイション、プレゼントカード、地獄の拷問部屋、グリード・・・考えるだけで恐ろしい・・・誰が好きになるんだあんなの・・・」

 

この世界に来る前、つまり前世で手札除外とバーンで苦しめられた有馬は、友人にエグゾディアパーツが揃いそうになった時打たれたリンカーネイションが今でもトラウマだった。

 

「はぁ?ブルーエンジェルは拷問なんてしねぇよ。」

「・・・・・・何?」

 

今、有馬の耳に聞き捨てならない言葉が入ってきた。

ブルーエンジェルは・・・・・・拷問しない・・・?

 

「・・・?どうしたんだ有馬?そんな顔して?」

「あぁ、俺は今、とても安心したよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

『オォォォン』

意訳:それにしても、この世界は科学が発達しているな。あの2つの世界を思い出す・・・

(そうだな、俺も同じ事考えてた。似てるよ、5DsとARCーVに。)

 

有馬と赤き竜はテレパシーを用いて、授業の途中で少し話をしていた。

この世界は5DsやARCーVの世界並みに科学が発達している。

とあるノベルゲームに、英知を持つものこそが最も愚かであり、滅びて行くという記述があったが、正にその通りだと思っている。

5Dsで出てくる未来から来た使者、イリアステル。

彼らの元々居た未来は、進み過ぎた科学、モーメントによって滅びの運命を迎えた。

モーメントは最初の方は安定しており、生活を支えたりするシステムだった。だが、シンクロ召喚の加速が原因でモーメントは暴走、やがては世界を絶望に染め上げた。

要するに、前世で言う原子力だ。便利であると同時に、膨大なリスクがある。

ARCーVでは質量を持ったソリッドビジョンと人々がそれに近かった。

愚かな人々はソリッドビジョンで出てくるモンスターの激しい戦いを望み、結果として、悪魔を誕生させた。

悪魔となったズァークはソリッドビジョンによって、実体のある覇王龍で世界を破壊した。

強大過ぎる光は、強大過ぎる影を生み出すのだ。

 

(心配だよ。この世界もあの2つの世界と同じ未来を見ることにならないか・・・)

『オォォオォン・・・』

意訳:そうだな。

 

どうやら赤き竜も同じ心配をしていたらしい。

もしかしたら、ハノイの騎士にもそういった何かがあるのかも知れない。

これから起こるかも知れないこと。もしくは一度起こったこと。それらを起こらない用にどうにかしたいといった思惑があるのかもしれない。

 

「駄目だ・・・判断材料が無い今、考えていても仕方が無いか・・・」

 

何故ハノイとSOLテクノロジー社はアイを探しているのか、データストームは消えて行ったのか、気になる事は沢山あるが、それを判断するには兎に角判断材料が無かった。

 

「おい、何ブツブツ言ってんだ?気持ち悪いぞ?」

「えっ!?あ、ゴメン・・・」

 

気づかない内にテレパシーが切れ、口に出ていたようだ。

テレパシーが切れない用にする事、これが今後の課題だろうか・・・

それにしても、島の顔はいつ見ても・・・

 

「カバだよなぁ・・・」

「うっせぇ!」

 

尚、この後大きな声を出した為、先生に注意された模様。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~・・・やっと最後の授業かぁ・・・!」

「早く草薙さんと一緒に調べたいな・・・」

「あ、それ俺も付いてって良い?」

「良いんじゃないか?草薙さんの重要な収入源だしな。」

 

収入源・・・あれ?俺ってそういう扱い?

こうもっとさ?友達だから良いよ、とか無いのか!?

 

「夜は繁盛すると言っても、大抵はアイに付いて調べる時間にするから儲けが少ないんだ。そろそろアルバイトも始めようか考えているらしい。」

 

遊作は小声で呆れたような声で言った。

いやアイに時間割きすぎだろ。アルバイトするとか考える以前にアイに割く時間考えろよ!

 

「あんなに美味しいんだからもっと高くしても問題無いと思うんだけどな・・・」

 

あ、でもメニューにあった幻煌龍珈琲は駄目。あれ殆ど味無いし香りもしないし。ただの黒い水だし。なのに2900円もするし・・・。どうやったら味も臭いも無くなるのだろうか。 不思議だ。

あぁ・・・何で興味本位で2900円を生け贄にしてしまったんだろうか・・・

 

「それにしても、カリスマ決闘者って居るけどさ?何で決闘にカリスマが必要なんだ?俺からしたら、そんなものは必要無いと思うんだけど?あ、エンターテインメントは良いかもしれないけど。」

「お前・・・まさか見たこと無いのか!?」

 

俺が小声で喋るのを止め、普段と同じ位の声で遊作へ向けて喋ると、島が驚いた顔をして俺の方を向いて来た。駄目だ、ヒッポにしか見えん・・・

 

「・・・俺もあまり詳しくは知らないな。」

「お前もか!?はぁ・・・全く・・・。良いか?カリスマ決闘者っていうのは、俺らみたいなそこら辺にいる奴とは違って決闘が上手くて、それでいて魅せる決闘をするんだ。お前らそれぐらい常識だぞ?」

 

う、島に常識を教えられた・・・何かムカつく。

けど、成る程。つまりはエンタメ決闘者の目指す物とカリスマ決闘者の目指す物はほぼ同じという事だろうか。

観客に夢や希望を与えたりファンサービスをしたり・・・

後半何か可笑しな物があった気もするが、大体そんな物だろう・・・

・・・トマト(遊矢)みたいな豆腐メンタルも居るのだろうか・・・

 

「それ、決闘じゃなくちゃいけないのか?」

 

遊作!それを指摘しないで!お願いだから!

それを聞いて返答に困らないで島!

 

「ま、まぁ良いんじゃない?カリスマ決闘者を必要とする人達も居るんだろうし・・・」

「うわぁぁぁ!」

「っ!?」

 

遊作は眠そうな表情で、島と俺は叫んだ男子を慌てて見る。

虫でも出たのかと思ったが、そんな訳では無さそうだ。

 

「ハノイ!ハノイの騎士だぁ!」

 

その生徒が見せた映像を見た俺は、慌てて遊作の方を向いた。

が、

 

「あれ?遊作の奴どこ行ったんだ?」

「・・・・・・」

 

そこには遊作の姿は既に無かった。

 

 

 

 

 

 




早くレギュラーメンバーと遊作の決闘終わらないかなぁ・・・
正直早くしてくれないと有馬を介入させられずに、この小説の主人公は遊作です!ってなっちゃう・・・


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おい、授業しろよ

超短いです。
次の話の始めから決闘にするにはこうするしかなかったんだ・・・文才の無い非力な私を許してくれ・・・


「全くアイツは・・・」

 

授業は今も続いているが、流石は遊戯王の世界と言った所だろうか。クラスの生徒の殆どが、突然現れたハノイの騎士の映像を見ている。

先生も授業よりも映像を優先しているという混沌と化したそんな中で、有馬は学校から出て行った遊作の事を考えていた。

 

「はぁ・・・」

 

今日、遊作を見ていて分かった事が3つあった。

1つ、学校ではいつも気だるげ

2つ、自分の意見をあまり口にしない

3つ、ハノイの為なら無断で帰宅出来る

これらの事から心配になること、それは成績である。

遊作は頭が良い。だが、教師から見たらどうだろうか?

いつも眠そうにしている。

発言は殆ど無い。

これだけでも少しマズいのに、今回の無断の帰宅も、ハノイが出る度となれば・・・

 

おい、授業(真面目に)受けろよ。

 

「はぁ・・・・・・」

 

思わず今度は長い溜め息が出る。

草薙さんが言う普通の高校生活を遊作が出来る可能性って・・・

 

「まぁまぁ!アイツが居なくたって俺がいるんだ!解説なら任せろ~!」

 

島、俺は違う事を考えて溜め息をついたんだ。それと、お前の解説よりも、普通に決闘を見た方が理解できる気がする。お前の解説って、どうやって突破できんだ~とかこんなの無理に決まってんだろ~とか、実況だろ殆ど。分かってる。

 

「・・・それにしても、何でこのタイミングなんだ?」

 

ハノイの騎士は、隙をついてLinkvrainsを攻撃していると遊作から聞いた。この前の事件からしても確かな筈だ。

だが、今回は違う。どうどうと出てきて、尚且つplaymakerはどこだと大きな声で言っているが、破壊活動はしていない。

考えられる事としては、本物だということと、偽playmakerが居たように、ハノイを演じている何者かであること。

どちらにせよ、決闘を申し込まれたら勝てば良いのだ。

 

「気を付けろよ・・・遊作・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、Linkvrainsに入って、ハノイの目の前に立った。

仁王立ちで俺と真正面から何も危害を与えず話をしようとしている時点で、俺の知っているハノイじゃない。そんな気がしたのだが、相手がハノイのアバターで俺と決闘と言ってきたのだから、油断は出来ない。

 

「来たなplaymaker ・・・」

 

ハノイが喋る。少し声が違う。それに態度ももう少し調子に乗っていた筈・・・やはりコイツは・・・

 

「ふ・・・ふははははははっ!」

 

ハノイが大きな声で笑い始めた。

それと同時に遊作とアイは確信した。

コイツは、ハノイの騎士じゃない。

 

「今から俺とスピード決闘をしてもらうぞ!この、GO鬼塚と!!今その化けの皮を俺が剥いでやる!」

 

そう言ったハノイの騎士の姿をしたアバターは、徐々にポリゴン体の用になり、とうとう本当の姿が明かされる。

金色の髪、筋肉質な体、前回の事件の後に会った2人のカリスマ決闘者の1人。

そこには、決闘を申し込んでくるGO鬼塚の姿があった。

 

「興味ないね。帰るか。」

 

しかしそれでもplaymakerはぶれない。

何?ハノイじゃないの?なら知らん。そんな感じである。

 

「いや、お前には俺の決闘を受けて貰うぞ。」

 

そう言うとplaymakerと鬼塚GOの周りには大きなドーム状の囲いが出現した。まるで鳥籠のようだ。

それはとても大きな物で、多くのビルも一緒に囲んでいた。

 

「これは・・・?」

 

ログアウトボタンを押してもログアウトが出来ないという状態に、playmakerは困惑する。

 

「これがある限りお前は俺と決闘をしない限りログアウト出来ない!さぁ決闘だ!」

 

面倒な。決闘決闘と何回言えば気が済むんだ。

だが内側からはプログラムの変更など出来なさそうだ・・・これは受けるしか無いか・・・

 

『どうだ内側からプログラムが弄れない気分は?もう受けるしか無いんじゃ無いか?』

「はぁ・・・そうだな。」

 

playmakerはアイの言葉に溜め息どしつつも答えた。

正直言うと、こういうタイプ・・・見るからに脳筋そうな奴はあまり得意では無い為、少し面倒だ。

 

「覚悟は出来た用だな・・・!」

 

そう言ってGO鬼塚はDボードに乗って、近くに流れていたデータストームへと波乗りする。

・・・?SOLテクノロジーが警告をしない・・・?

 

「・・・これはどういう事だ?まさか、SOLテクノロジーがアイを狙ってこんな事を・・・?」

 

だとしたら、俺はまんまと騙されて罠に掛かったということになる。

 

「おい!さっさとしろ!」

「分かっている!」

 

騙されたということに、若干切れ気味になるが、しばらくして落ち着きを取り戻す。そうだ、ハノイに奪われるよりはSOLテクノロジーの方がまだマシな筈だし、何よりも勝てば良いんだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝てば良いのだよ!勝てば!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

『playmaker様?流石にそろそろ行った方が良いんじゃないか?』

「そうだな。」

 

そう言って俺は持っているDボードを出現させ、それに乗って決闘盤を構え波に乗った。

脳裏に浮かんだ仮面の奴と同じ事を考えていたなど、全然悔しくない。断じて悔しくはないのだ。

 

「来たか・・・!」

「さっさと終わらせる。」

『お、今日のplaymaker様は強きだなぁ!』

 

黙っていろ

 

『も~お~!playmaker様ったらこ~わ~い~!』

 

黙 っ て い ろ

 

「おい!始めんぞ!」

「ああ。済まない。」

 

どうやら大分怒らせてしまったらしい。GO鬼塚は少しイラついている。

急いで俺はGO鬼塚の近くまで移動する。

しかし、その時には既にGO鬼塚の顔は怒ってはおらず、獰猛な笑みをしていた。

俺はお前を倒すという、獣の如き獰猛な意思が、playmakerへと向けられていた。

最強でありたい。それがGO鬼塚の望みであり、常に注目を浴び、子供や大人から喝采の嵐を受ける。それがGO鬼塚のプライドだった。

だからこそ、子供達からの喝采を奪った奴を許すわけにはいかない。

こんな決闘を申し込まれても断るような奴に、少しハノイを倒したからと注目を浴びてる奴なんかに、俺が負ける筈なんてない。

それこそが、GO鬼塚がplaymakerと決闘する理由だった。

 

「俺こそが一番だとコイツを倒して証明してやる・・・!いくぞ!」

 

「「スピード決闘!!」」



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壁とやってろ

お待たせしました!
もうやだ、既存カードを使って再現には限界があったと強く実感しました・・・


GO鬼塚

LP4000

手札4

 

「先行は俺からだ!剛鬼スープレックスを召喚し、効果発動!手札の剛鬼モンスター、剛鬼ツイストコブラを特殊召喚する!ターンエンドだ!」

 

GO鬼塚

LP4000

手札2

 

現れたモンスターはどこか蛇と熊に似ており、どちらもplaymakerに今すぐ襲いかかってきそうだった。

 

「俺のターン。ドロー。」

 

playmaker

手札5

LP4000

 

「フィールドにモンスターが存在しない時、手札から、リンク・スレイヤーを特殊召喚出来る。」

 

playmakerがリンク・スレイヤーを特殊召喚すると同時に、リンク・スレイヤーは持っている剣を左右に振る。

 

「更に、手札からサイバース・ウィザードを召喚する。

そして効果発動!対象はスープレックス。サイバースアルゴリズム!」

 

鬼のいる場所に降り立ったのは、ハノイとの戦いで、勝利へと導いた青い魔術師。持っている杖を頭上で回転させ、2体の鬼へと、杖の先端を向ける。

 

「ハノイとの戦いで使ってた奴か!確か効果は守備表示にしつつ、対象とのバトルでサイバース族に守備貫通を与える・・・」

「そうだ。そして俺はカードを2枚伏せ、バトルに移る。リンク・スレイヤーでスープレックスを攻撃!流星暫破!」

 

リンクスレイヤーの持っている光輝く剣は、容赦無く敵を切り裂いた。スープレックスも抵抗を見せてはいたが、僅か数秒で霧のように散っていった。

 

「ぐぅぅ・・・」

 

GO鬼塚

LP4000ー(2400ー0)

=1600

 

リンク・スレイヤーがスープレックスを倒し、ダメージが入った後、GO鬼塚はDボードの上で膝を着いている。

アイ曰わく、GO鬼塚は孤児院で育ち、その育った孤児院を支援しているらしく、決闘スタイルは自分をピンチに追い込み、逆転劇を見せる事で観客を驚かせるというものらしい。

さっきのモンスターも、効果を使えばダメージは無かった筈。なのに受けたということは・・・

 

『皆さん!3カウントを数えますので!一緒にお願いします!』

 

外の観客達のGO鬼塚への声援が聞こえてくる。

 

『1!』

 

GO鬼塚は動かない。

 

『2!』

 

そのカウント数を聞き終えて、GO鬼塚は少しずつ立ち上がる。唸り声を出し、Dボードの上に立つ。

 

『スリッ・・・おぉぉっと!?何とGO鬼塚、カウント2.9で立ち上がったぁ!』

「俺は破壊されたスープレックスの効果を発動し、デッキから剛鬼ライジングスコーピオンを手札に加える。そして、俺のスキル!闘魂を発動するっ!」

 

GO鬼塚がスキルの発動を宣言すると同時に、フィールドが暖かく、元気が漲ってくるような光に満ちる。

 

「闘魂は、このターン戦闘破壊された剛鬼モンスターを全て特殊召喚する!そして、俺のターン!ドロー!」

 

GO鬼塚

LP1600

手札4

 

「行くぞ!手札のライジングスコーピオンは、自分のフィールドにモンスターがいないか、剛鬼だけの場合、リリースなしで召喚出来る!」

『リリースなしで攻撃力2300かよ!?』

「いや、アイツはまだ奥の手を見せていない。」

 

そう判断すると同時に、GO鬼塚はリンク召喚を行う為に、鬼を引き連れ天を目指す。

ある所で空間が裂け、そこへGO鬼塚達は入って行く。

中はplaymakerがハノイとの戦いで入った時と同じで、黄色い空間にマーカーが設置されていた。

 

「召喚条件は、剛鬼モンスター3体以上!スープレックス、ツイストコブラ、ライジングスコーピオンをリンクマーカーにセット!来い!リンク召喚!リンク3、剛鬼ザ・グレートオーガ!」

 

とうとう現れたGO鬼塚のエースモンスター。

その姿は今までになく力強く、正に鬼と言えた。

 

「ザ・グレートオーガがフィールドにいる限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターの守備力分ダウンする!食らうがいい!オーガプレッシャー!」

 

鬼の雄叫びがフィールド全体に響く。

それを目の前にしたplaymakerのモンスター達はあまりのプレッシャーに、汗が滲み出ている。

 

サイバース・ウィザード ATK1800ー800=1000

リンク・スレイヤー ATK2000ー400=1600

 

「更に、墓地に送られた剛鬼モンスターの効果で、デッキから剛鬼カードを3枚手札に加える!」

 

手札3→6

 

GO鬼塚が手札に加えたのは剛鬼再戦とライジングスコーピオン、ヘッドバッドの3枚。

手札が減らないタクティクスに、playmakerは驚いていた。

多くの決闘者は、展開した後は手札が少なくなっており、一度盤面を崩されるとその後が苦しいのだが、このGO鬼塚という決闘者は展開した後も手札が減らない。

手札の数が多ければ多い程、いざという時にも対処が出来る。手札が多いというのは、それだけで脅威なのだ。

 

「そして俺は、今加えた剛鬼再戦を発動する!墓地の剛鬼モンスターを2体特殊召喚する!来い!ライジングスコーピオン!ツイストコブラ!」

 

次々と出てくる鬼の軍勢。

ボスであるグレートオーガがいることで、それら全てがとてつもない威圧感を発揮していた。

 

「ツイストコブラの効果発動!ライジングスコーピオンを墓地に送り、その攻撃力分、グレートオーガの攻撃力をアップする!そして俺は、手札のヘッドバッドの効果発動!手札の剛鬼モンスターを墓地に送り、手札から守備表示で特殊召喚する!そしてフィールドのグレートオーガの攻撃力を800ポイントアップする!」

 

跳ね上がる攻撃力にアイは焦る。

この攻撃を通せば、自分達の負けが決まってしまうからだ。

 

「リバースカードオープン!禁じられた聖杯!ヘッドバッドの効果を無効にする!」

 

しかし、playmakerはどうにかしてこれを対処した。

 

「ちっ!カードを2枚伏せ、バトルだ!グレートオーガで、サイバース・ウィザードを攻撃!オーガアックス!」

 

迫り来る斧に、サイバース・ウィザードは呆気なく両断された。サイバース・ウィザードだったそれは、一瞬でチリと化した。

 

「ぐぅぅぅ!」

 

playmaker

LP4000ー(4900ー1000)

=100

 

「次は無い。ターンエンドだ!」

「お前のターンの終わりに、俺は裁きの天秤を発動する。お前のフィールドにはカードが5枚。俺のフィールドと手札の合計は3枚。差は2。よって俺はカードを2枚ドローする。」

 

裁きの天秤の効果で手札を補充したplaymakerにアイは一つ質問をする。

 

『なぁ?何でツイストコブラの時点で禁じられた聖杯を使わなかったんだ?そうすれば受けるダメージも少なかっただろ?』

 

実際その通りで、GO鬼塚も少し疑問に思っていたことだった。

そして、質問に答える前にplaymakerのコースに草薙が用意した脱出用ポータルが現れる。が、これをplaymakerは無視していく。

 

『おい!?何スルーしてんだよっ!?どういうつもりだplaymaker様?』

「1つ、アイツは自身の持つタクティクスを使って、観客や、敵である俺さえも楽しませようとしていた。アイツは、どんな時でも、どんな敵であったとしても自分の決闘を貫き通す。それがアイツの信念だ。それが、アイツが紛いも無い一流の決闘者だという証だ。」

「っ!」

 

それを聞いた時のGO鬼塚は、心底驚いていたという。

ここまで燃えるような決闘を出来ただけでも嬉しくて堪らなかったのだが、まさか冷静で暑苦しいのが苦手そうな奴から賞賛を貰い、自分と同等とも言えるぐらいに熱い心を持っていたというのだから仕方が無かっただろう。

 

「2つ、アイツには、絶対に勝つという執念がある。」

『楽しませる事と必ず勝つことは矛盾している!』

 

確かにアイの言うとおりだ。

必ず勝つということは、最善の手を打ち、勝つことを兎に角考える事だ。それが楽しませる事と一緒に出来るとは思えない。

 

「そうだ。だが、その矛盾が一つになるとき、決して合理性からは導き出せない境地が見えてくる。アイツはそれを見ている。」

 

それこそがGO鬼塚の人気の理由であり、在り方である。

GO鬼塚はそんな合理的な思考だけの決闘など、1mmも必要とはしていない。多くの人を兎に角楽しませる。多くの人が喜び、自分も相手も悔いや後悔を残さない決闘。それこそがGO鬼塚の決闘なのだから。

 

「3つ!その結果、俺はコイツの決闘を最後まで受けたくなった!受けた上で、俺の決闘でコイツに勝ってみたくなった!アイツをアイツ以上の決闘で倒す!それが俺の流儀だ!!」

『理解不能!理解不能!』

 

playmaker

LP100

手札4

フィールド:リンク・スレイヤー

 

「俺のターン、ドロー!・・・来た!俺はスキルを発動する!」

「そうかっ!スキルを発動するために、態とダメージを・・・」

『成る程!そういう事か!』

 

迫り来る情報の竜巻。

その渦の中へ、playmakerは臆することなく進んで行く。

 

『・・・今だっ!風を掴め、playmaker!』

「ストームアクセスッ!」

 

playmakerの手に徐々に風が光となって集まって行く。

そしてとうとうplaymakerは未来を導くカードを手にして自分のコースへと戻って行った。

 

「行くぞ!俺は手札からドラコネットを召喚!効果により、デッキからビットロンを守備表示で特殊召喚する!現れよ!未来を導くサーキット!」

 

前回と同様に、モンスターを引き連れたplaymakerは天高くへと飛んでゆく。そしてリンクマーカーの前で口を開く。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件は通常モンスター1体。俺はビットロンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンク・スパイダー!」

 

現れたのは機械の蜘蛛。有馬の使うリンク・スパイダーとは違い、こちらはしっかりと青い光を放っている。

 

「リンク・スパイダーの効果により、手札の通常モンスター、ビットロンをこのカードのリンク先に特殊召喚する!来い、ビットロン!」

 

playmakerの呼び掛けに答え、小さなビットロンはモニターに映されている表情を真剣な表情に変える。

 

「更に、俺はビットロンとリンク・スレイヤーでリンク召喚する!」

「何!?」

 

もう一度破られる空。

2度目のリンク召喚はGO鬼塚にも予想出来ず、出てくるモンスターは、この決闘で手に入れた新たなるモンスターであった。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件はサイバース族モンスター2体!俺は、ビットロンとリンク・スレイヤーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れよ、リンク2、リンク・バンパー!」

 

現れたのは機械の戦士。どこか玩具のようにも見える。

 

「俺は手札から、バックアップ・セクレタリーを自身の効果で特殊召喚する!そして!」

「!?」

 

playmakerはもう一度空を破る。

この勝負に勝つために。ハノイなど関係無いこの決闘に、GO鬼塚という決闘者に勝つために。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件はサイバース族モンスター2体!俺は、ドラコネットとバックアップ・セクレタリーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ハニーボット!」

 

新たに現れたのは人の姿に似た機械の蜂。フィールドには蜘蛛と蜂、そして戦士が並んだ。

 

「更に手札の貪欲な壺を発動する!墓地のサイバース・ウィザード、リンク・スレイヤー、ドラコネット、ビットロン2体をデッキに戻し、カードを2枚ドローする!良し、これなら・・・!現れよ!未来を導くサーキット!」

「1ターンに4回のリンク召喚だと!?」

 

この決闘の終わりを告げるplaymakerの切り札。

それが今、とうとう姿を現す。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件は効果モンスター2体以上!リンクモンスターは、リンクマーカーの数を素材の数として扱える。俺は、リンク・スパイダーとハニーポッドをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れよ、リンク3、デコード・トーカー!」

 

playmakerの操るエースモンスター、デコード・トーカーは、その剣をグレートオーガへと向け、お前を切るという意志を表した。それを感じ取ったのか、グレートオーガも持っている斧を力強く構える。

 

「そして手札から死者蘇生を発動し、墓地のハニーポッドを特殊召喚する。そして、手札の月鏡の盾とジャンク・アタックを、デコード・トーカーに装備する!月鏡の盾は、ダメージ計算時に、装備モンスターの攻撃力を、戦闘するモンスターの攻守の高い方に+100した数値にする!」

 

片手に剣を、もう片方の手には盾を付け、デコード・トーカーはグレートオーガへと剣を持って走り出す。対するグレートオーガも、斧を持って雄叫びを上げながら一直線に走り出す。

 

「バトルだ!デコード・トーカーで、剛鬼ザ・グレートオーガを攻撃!デコードエンド!」

「オーガアックス!」

 

GO鬼塚

LP1600ー(2700ー2600)

=1500

 

「グレートオーガの効果発動!ヘッドバッドを破壊し、自身の破壊を無効にする!ヘッドバッドの効果で、デッキから剛鬼再戦を手札に加える。」

 

デコード・トーカーとグレートオーガはどちらも肩で息をしていた。しかし、どちらも負けられないという意地があり、両者は武器を持ち立ち上がる。

 

「リンク・バンパーの効果発動!デコード・トーカーは、このバトルフェイズ中、通常の攻撃に加えて、このカード以外の自分フィールドのリンクモンスターの数まで、相手のリンクモンスターに攻撃できる!バトルだ!デコード・トーカーで、グレートオーガを攻撃!デコードエンド!」

「何度でも掛かって来い!オーガアックス!」

「あぁ!お前がそう望むのならな!」

 

GO鬼塚

LP1500ー(2700ー2600)

=1400

 

両者は再び弾け飛ぶ。しかし、どちらの闘志も消えず、寧ろ更に燃え上がっていた。

 

「グレートオーガの効果!ツイストコブラをリリースし、破壊を無効にする!ツイストコブラの効果で、デッキからライジングスコーピオンを手札に加える!」

「デコード・トーカーでグレートオーガに最後の攻撃!デコード・エンド!」

「オーガアックス!」

 

GO鬼塚

LP1400ー(2700ー2600)

=1300

 

「グレートオーガの効果!フィールドの剛鬼を・・・!?しまった!」

「お前のフィールドに既に剛鬼モンスターはいない!」

 

グレートオーガに亀裂が入り、やがてそれは大きなものとなり、大きな爆発を起こした。

 

「ジャンク・アタックの効果!装備モンスターが戦闘でモンスターを破壊した時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

「何!?」

 

大きな爆発はGO鬼塚をも巻き込み、この決闘に終わりをもたらした。

 

GO鬼塚

LP1300ー2600

=0

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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UNLIMITED TEA WORKS.

フードトラック恐るべし。もはやハイブリッドトラック。その内トランスフォームしそう。


「あー、暇だ。」

『オオォォン』

意訳:迷惑を掛けないためだ。我慢しろ。

 

現在俺は、草薙さんのフードトラックの中のベッドで寝ている。ホント、何でこうなったのやら・・・。

 

「まさか有馬が風邪をひくとはなぁ?」

「遊作のブルーエンジェル探し見たかったなぁ~・・・。(あ、赤き竜に乗っていけば上空からワンチャン・・・?)」

『オオォォォォン!』

意訳:無い、絶対に無い!

(えぇ?だってお前ライダーだろ?ほら、アサシンはいないからさ?)

『オオオオォォンン?』

意訳:それ以上言うと決闘竜でリアルダイレクトアタックするからな?

 

ア、ハイ、サーセン。今分かったが、こう、体調が悪い時にテレパシーって辛いもんがあるな。何か包丁で自分の手を切りそうになった時感じるあの変な感じが繰り返されるって感じ。

つまり心臓に悪い。

 

「草薙さん?何か飲み物が欲しいんだけど・・・何か貰える?」

「あぁ、ちょっと待ってろ~」

 

草薙さんは棚からゴソゴソと何かを探している。

その様子を見ていた有馬は遊作に渡したカードの事を考えていた。

GO鬼塚との決闘の後、遊作はこのフードトラックに来た。その際に楽しい決闘を見せて貰ったお礼という事でカードを渡したのだ。遊作はいらないと言ったりして遠慮していたが強引に押し付けた。というのも、アニメの世界なのだからレギュラー陣との決闘は必ずあると考え、GO鬼塚との決闘が終わった今、リボルバーは直ぐには出てこないとして、決闘しそうなのは財前葵ことブルーエンジェル。ライフ4000のスピード決闘があり、カードはOCG効果のこの世界であの効果がスピード決闘で出てくるとしたらデッキアウトにバーンと、焼け死ぬ可能性が出てくる。

だからこそ、強引にでも遊作に対策カードを持たせたかったのである。

しばらくその様な事を考えていると、草薙さんが自分で淹れたと思われるお茶を持って来てくれた。そのお茶はドリンクメニューにあった――

 

「えぇっと?ドーピング・・・ティー・・・?」

「あぁ、飲んだ人がな、これを飲んだら力が湧いてきたって言っててな。きっと良くなると思って淹れてみた。」

 

出てきたのはドス黒いお茶。決して珈琲では無いらしい。周りに危険なオーラを纏っているのを見る限り、飲み物と言えるのかも怪しい。

いや、それ絶対ヤバいヤツだからね?

てか何でドーピングティー?もっと良い名前あっただろ!?

 

『・・・・・・ォオオォォン』

意訳:・・・これも試練だ・・・

 

テレパシー切ったから何言ってるのか分からないが、凄く怯んでいるのは良く分かった。

もはや赤き竜まで怯ませるとか・・・これアレだ。絶対この世にあっちゃいけないヤツだ。攻撃力が一瞬上がるけど後からどんどん下がって行くヤツより絶対ヤバい。

 

「くっ!、だけど善意で貰った物を断る訳には・・・!」

 

そう言って有馬は震える手で(黒い泥)を飲み干した。瞬間、有馬の頭に焼けていくような激痛が走る。凄まじい吐き気とダルさが同時に襲ってくる。

 

「有馬?どうした?何だか目が死んでるが・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・イエ、オイシカッタデスヨ?」

「そうか、ならもっと作るか。」

 

以降、このお茶の名前は禁じられた聖杯となったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り、遊作は有馬から押し付けられたカードを手にアイと相談をしていた。

 

「・・・・・・有馬から貰った3種のカード、デッキに入れるべきか・・・?」

『んー、どうだろうな?スピード決闘は高火力、即展開が勝負を決める場合が多いし・・・まぁ、せっかくだから入れたらどうだ?』

 

そう言われて遊作はスピード決闘用のデッキにカードを入れる。その時、ブルーエンジェルである財前葵をアイが見つけた。

 

『おい居たぞ!ふむふむ・・・これは美人の部類だな。』

「下らない事言ってないで行くぞ。」

 

そう言って遊作は廊下へと気付かれないように付いていく。ここに有馬が居れば、きっとストーカーなどと思っていたことだろう。

そうして気付かれないように付いていくと、途中にあった教室へと財前葵は入って行く。入った後扉を閉めたのを確認すると、遊作はその部屋の前まで移動する。

 

「決闘部・・・?」

 

扉に掛かっていた看板には、DUEL CLABと書かれていた。どうやら財前葵は決闘部に入っているらしい。

そんな事を確認している内に、ギィっと音がし、目の前の扉が開かれる。そこから出てきたのは――

 

「あれ?遊作じゃねぇか?」

 

やはりというか何というか、遊作のいるところに必ずいると言っても過言では無い島の姿があった。

 

 

 

「草薙さん・・・これ、現実ですか・・・?」

「あぁ、良かったな。確かまだ朝の部活動の時間帯だ。お前は帰宅部だからまだ電話もしてないだろう?行けるがどうする?」

 

結論から言おう。治っちゃったぜ!いやホントに疑ったけど。草薙さんの言うとおり帰宅部の為、俺は高校に伝えてはいない。このまま行けば遊作のスト・・・尾行が見れるのか・・・

 

「それじゃあ遊作見てきます。アイツが上手くいってるか心配なんで。」

「あぁ、頼んだ。後でどうだったか教えてくれ。」

 

分かりましたと答えてフードトラックを出る。その姿を見た赤き竜は、本当に心配だからなのか?と言われたが、そうだ。決して愉悦の為じゃない。心配だからだ。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・」

「おいどうしたんだ?」

 

島が俺の溜め息に気づき近づいて来た。どうやら新しく入って来た遊作とかいう奴への自己紹介じみたものをしている途中だったらしく、その中で溜め息をついた俺に少し不機嫌な顔をしていた。

 

「いや、この頃つまんないな~と思って。」

「どうしてだ?」

「何かさぁ~、楽しくなれないんだよこの頃。決闘しても勝ったり負けたり程度で・・・」

 

ワクワクするような物が足りない。カリスマ決闘者のGO鬼塚とplaymakerの決闘を見て心の底から決闘したくなり、俺はここ(決闘部)にいた奴と決闘をした。けど、駄目だった。全然ワクワクしなかった。

 

「ふ~ん。ま、その内楽しくなんだろ!」

「島君の言うとおりです。その内また決闘を楽しくできます。」

 

部長も島と同じで、その内どうにかなると言うが、それはつまりしばらくは我慢しなければならないということだ。決闘が好きな身としては、それは少し困る。

そんな事を考えている時だった。扉が開いて、身に覚えの無い人物が現れた。

 

「あ、え~っと、ここ決闘部・・・ですよね?」

「!有馬、治ったのか?」

「あぁ、草薙さんのおかげだよ。それより、決闘部に入りたいのですが、宜しいでしょうか。」

 

有馬という奴は、遊作の知り合いらしく、決闘部に入る為にここに来たようだ。細田は歓迎するって言ってるが・・・・・・ちょうどいい。

 

「おい、決闘しろよ。俺に勝ったら入部させてやるよ。」

 

この言葉に周りの奴らは一斉にコチラを向く。財前と細田は反対らしいが知るか。他の奴らは乗り気だ。

 

「コレは受けた方が良いのかな・・・?」

 

そう言う奴の顔は苦笑いしている。少し強引過ぎたか?イヤ、部長と財前がやる必要は無いと言ってるからか。

迷いながらもデッキを出すのを見て、俺も自分のデッキを出す。それを机の上に乗せ、お互いのデッキをシャッフルしたら準備完了。EXデッキの枚数も確認する。

 

「久し振りに机で、しかも相手がいるとなると、全力を出したくなるな。」

「そうかい。俺は石井集(イシイシュウ)。この部での強さは上位に入る。宜しくな。」

 

自己紹介は終わった。後のことは決闘で語る。

 

「「決闘」」

 

さぁ、俺を満足させてくれよ?




さて、決闘の前に言っておきますが、満足さんの口癖だからって、デッキも同じだなんて事は無い。以上。
因みに、フードトラックから高校の距離は割と近いです。


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バスター・ブレイダーは2度切る

久し振りに主人公の決闘が・・・!


遊作の尾行を見に行こうとしたら既に終わっていた・・・無念。そしてそんな俺は決闘部に入ろうと決意した。だってそろそろ決闘したいし。1人で回すのも飽きてきたし。

そしたら何か決闘しろとか言われた。うん、俺も何が起きてこうなったのか全然わからない。遊戯王の世界だから理解できなくて当然なのだろうと一人納得するしかない。どうやら勝たないと俺と遊作も入れないみたいだし。

 

「お前の先行からで良い。勿論後攻でもな。好きにしろ。」

 

ちなみに今持って来てんの、割と事故が起きやすいデッキである。・・・何でこれ持ってきたし。

 

「はい。じゃあ俺のターン。俺は手札から黒の魔導陣を発動します。発動時の効果処理でデッキの上の3枚を確認します。その中から、ブラック・マジシャンのカード名が記されている魔法罠、もしくはブラック・マジシャンを1枚手札に加えます。俺は永遠の魂を手札に加えます。」

 

あ~良かったぁ~。このデッキ普通じゃないからもし来なかったらと心配してたけど、上手くいった・・・

 

「ブラック・マジシャン・・・やるのは初めてか。」

「俺は手札の伝説の黒石を召喚します。そしてリリースして効果発動。デッキから真紅眼の黒炎竜を特殊召喚します。カードを2枚伏せてターンエンド。」

 

有馬

LP8000

手札2

フィールド:真紅眼の黒炎竜

 

「俺のターンドロー。手札から愚かな埋葬を発動。デッキからアモルファージ・イリテュムを墓地に送る。そして、手札から竜の渓谷を発動。効果発動。コストとして、手札の巨神竜の遺跡を捨てる。デッキからアークブレイヴ・ドラゴンを墓地へ。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ。」

「エンド時に速攻魔法、イリュージョン・マジックを発動。レッドアイズをリリースして、デッキからブラック・マジシャンを2体手札に加えます。そして罠カード、永遠の魂を発動します。効果でデッキからブラック・マジックを手札に加えます。」

 

石井

LP8000

手札2

 

・・・・・・よりにもよってアークブレイヴか・・・永遠の魂と相性が悪いな。

 

「俺のターン。ドロー。スタンバイ。」

「アークブレイヴの効果発動。知ってるみたいだな?墓地からイリテュムを特殊召喚する。」

 

まぁスタンバイってわざわざ言ったら気づくよな。・・・というか、さっきから周りの目が・・・

 

「永遠の魂の効果発動。手札のブラック・マジシャンを特殊召喚します。」

「ならそれにチェーンして、俺は速攻魔法、ツイン・ツイスターを発動する。コストはツイン・ツイスター、対象は黒の魔導陣と永遠の魂だ。」

 

破壊してくるか・・・だがまだ動ける。相手がドラゴンなら尚更だ。

 

「なら俺は、手札から破壊剣士の伴竜を召喚し、効果を発動します。デッキから破壊剣士融合を手札に加えます。そしてリリースして効果発動。手札からバスター・ブレイダーを特殊召喚します。」

「何、バスター・ブレイダーだとっ!?」

 

さて、バスター・ブレイダー君には竜を切って貰おうか。スライムとか機械竜とかは切り飽きてきた頃だろう?

 

「バスター・ブレイダーの攻撃力は、相手のフィールド、墓地のドラゴン族の数×500ポイントアップします。よって今は――」

「攻撃力・・・3600か・・・!」

「バスター・ブレイダーでイリテュムを攻撃します。」

 

石井

LP8000ー(3600ー2750)

=7150

 

「まさかEXデッキを封じたのに、それを強引に解決してくるとはな・・・。おもしれぇ。」

「ありがとうございます。カードを2枚伏せてターンエンドです。」

 

有馬

LP8000

手札2

フィールド:バスター・ブレイダー

 

「俺のターン。ドロー。良し、手札の巨神竜フェルグラントをコストに竜の渓谷の効果発動。デッキからアークブレイヴを墓地へ送る。更に手札からブラックホールを発動する。ターンエンド。」

 

石井

LP7150

手札1

 

「俺のターン。ドロー、スタンバイ。」

「アークブレイヴの効果でフェルグラントを特殊召喚する。そして効果発動。お前の墓地のバスターブレイダーを除外し、レベル×100ポイント、攻撃力をアップする。」

 

攻撃力3500か・・・届かなくも無い。何よりもイリテュムがいないなら・・・

 

「今の内に倒す・・・!罠カード、破壊剣士の揺籃を発動します。効果により、デッキからバスター・ブレイダーと破壊剣-ドラゴンバスターブレードを墓地に送り、EXデッキから、破戒蛮竜-バスター・ドラゴンを特殊召喚します。」

 

EXデッキから無理矢理モンスターを出した事に、ここにいる者は驚きを隠せなかった。通常、モンスターを出すには正規の手順を踏まなくてはならず、それを無理矢理出す事自体は強い決闘者の中にはいる。が、EXデッキからとなると話は別だ。そんなことを出来るのはカリスマ決闘者ぐらいなのだ。

 

「お前は・・・一体・・・」

「?俺はバスター・ドラゴンの効果を発動します。墓地のバスター・ブレイダーを特殊召喚します。」

 

もう一度フィールドに現れるバスター・ブレイダー君。さぁ、もう一回切ってこようか?

 

「バスター・ブレイダーでフェルグラントを攻撃します。」

「・・・あぁ、受ける。」

 

石井

LP7150ー(4600ー3500)

=6050

 

「ターンエンドです。」

 

有馬

LP8000

手札3

EXモンスターゾーン:破戒蛮竜-バスター・ドラゴン

メインモンスターゾーン:バスター・ブレイダー

 

「全く、まさか俺が一方的にやられてるとはね・・・」

 

こんな事は今まで無かった。バスター・ブレイダー自体はあっち(Link Vrains)でも何度かやってきた。が――

 

コイツは、才能がある。近いうちにコイツは必ずあの舞台(LinkVrains)で何かを起こす・・・!

 

「俺のターン。ドロー!来たか、俺は手札の龍の鏡をコストに竜の渓谷の効果を発動する。デッキから巨神竜フェルグラントを墓地へ送る。更に手札から魔法カード、ソウルチャージを発動する。対象はフェルグラント2体とアークブレイヴ1体の計3体。」

「・・・・・・マズいか・・・?」

 

発動されたカードを見ながら、有馬は少し手に力が入る。

 

「俺はライフを――」

「それにチェーンして、速攻魔法、破壊剣士融合を発動します。俺はフィールドのバスター・ドラゴンとバスター・ブレイダーで融合します。EXデッキから、竜破壊の剣士-バスター・ブレイダーを融合召喚します。」

「バスター・ブレイダーの・・・融合体・・・?」

 

石井はこれまで戦ったバスター・ブレイダー使いを思い出すが、融合体を使う相手は初めてだった。よくよく考えればバスター・ドラゴンとも初めてだった。

 

「俺はライフを3000使い、フェルグラント2体とアークブレイヴ1体を特殊召喚する。」

「この時、竜破壊の剣士ーバスター・ブレイダーの効果が発動します。相手のドラゴン族は全て守備表示となり、効果を発動出来ません。そして攻撃力を相手のフィールドと墓地のドラゴン族の数×1000アップします。」

 

その効果を聞き、有馬と石井以外は有馬の勝ちだと判断を下した。しかし、有馬の顔は少し苦しかった。

 

「俺は巨神竜フェルグラント2体でエクシーズ召喚する。EXデッキから、森羅の守神 アルセイを守備表示でエクシーズ召喚。・・・どうやら知ってたようだな。」

「はい。バスター・ブレイダーはドラゴン族へ特攻にも近い効果を持っています。そして、フェルグラントはレベル8、エクシーズモンスターの中でドラゴン族以外のランク8、俺もレベル8ドラゴン族を使う時、困ったら入れてましたから。まぁ、神竜騎手フェルグラントかとも思いましたが。」

 

やっぱ気づかれてたかと石井は呟く。しかし他のメンバーは凄いと言い、口を開いたままだ。

 

「まぁ良い、アルセイの効果、D.Dクロウを宣言。デッキトップは・・・今日はツイてるな。」

 

そう言ってめくられたカードはアークブレイヴ・ドラゴン。宣言したカードと違う。つまりはアルセイの効果が発動するということ。有馬は墓地に送られたアークブレイヴのカードを苦い顔で見ている。

 

「効果で素材を切って竜破壊の剣士ーバスター・ブレイダーをバウンスする。ターンエンドだ。」

 

石井

LP3050

手札0

EXモンスターゾーン:森羅の守神 アルセイ

メインモンスターゾーン:アークブレイヴ・ドラゴン

 

「俺のターン。ドロー、スタンバイです。」

「アークブレイヴの効果、巨神竜フェルグラントを特殊召喚する。フェルグラントの効果、お前の墓地の破壊剣士の伴竜を除外する。攻撃力を100ポイントアップする。」

 

明らかに有馬が劣勢だ。手札の内3枚はブラック・マジシャン2枚とブラック・マジック。この盤面を今のドローで崩せるとは到底誰にも考えられなかった。

ただ、有馬が誰よりも優れる点、この場にいる誰よりも優れているのは――

 

「俺の・・・勝ちです。」

 

運だ。そう言ってドローしたカード、紅と紫が入り乱れる渦に竜と悪魔が描かれているカードを発動する。

 

「真紅眼融合・・・!」

「その効果で、デッキの真紅眼の黒炎竜と、デーモンの召喚で融合召喚します。EXデッキから、悪魔竜 ブラック・デーモンズ・ドラゴンを融合召喚します。そしてこのままバトルフェイズ、ブラック・デーモンズでアークブレイヴを攻撃します。」

 

この時、石井の表情は最初と大きく変わっていたという。晴れやかな、悩み事が吹っ切れた用だったと言う。

 

石井

LP3050ー(3200ー2400)

=2250

 

「バトルフェイズ終了。そして、ブラック・デーモンズの効果発動。墓地の真紅眼の黒炎竜をデッキに戻し、その攻撃力分のダメージを相手に与える。真紅眼の黒炎竜の攻撃力は2400。よって――」

「2400のダメージで・・・俺の負けだ。」

 

石井

LP2250ー2400

=0

 

石井がデッキを片付け、有馬が片付け終わるのを見ると、椅子から立ち上がり有馬の顔の前で手を出す。

 

「決闘部へようこそ。俺ら部員は、お前らの入部を歓迎する。」




お師匠様仕事して下さい!


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AIBOO!!

石井集
茶髪で黒目の2年生。親はどちらも仕事で忙しく、家には一人でいる事が多い。よく言葉使いから怖い人と思われがちだが、話してみればいい人である事が伺える。
使用デッキは2種類。内一つは巨神竜。


石井先輩(後から先輩と教えられた)との決闘が終わり、ブルーエンジェルの挑戦状から1日が経った。俺と遊作はちょうど登校途中である。気のせいか遊作がコチラをチラチラと見ている気がする・・・。う~ん、昨日の決闘が原因かな・・・?

 

「お前はあれだけ強くてカリスマ決闘者を目指さないのか?」

「あぁ、カリスマ決闘者ね・・・」

 

正直嫌です。なんか面倒くさそうだし。

 

「俺はな遊作。強要されたり、自分以外の意志によって決闘とか、正直嫌いなんだ。自分の好きな時に、好きな事が出来た方が良いだろ?」

 

この世界に来る前もそうだった。音感が優れてはいたが、どれだけクラブなどに行けと言われても決して行こうとは思わなかった。

 

『成る程なぁ~。時間が好きに使えないのは嫌だな。』

「だよな。まぁ、自分の好きに行動できんなら考えるかもなぁ~。」

 

遊作は違うのか?と聞けば、そうだな。いつも授業よりハノイを倒したいと思っている。なんて言い出す。もうコイツアレだよ。ハノイ絶対殺スマンだよ。どっかのシスコン不審者を思い出すレベルでハノイへの恨み強いんですけど・・・流石に凄すぎるわ、ドン引きです・・・。

 

「そう言えば、ブルーエンジェルからの申し込みを拒否したのもハノイじゃないからだったな?お前、そんなんだとハノイ倒した後には苦労すんぞ?」

「?どうしてだ?俺はハノイを倒し、草薙さんの弟を助け出す。それ以外の事はどうでも良い。」

「んーそうか?GO鬼塚との決闘でのお前は凄い輝いてたぞ?あんなの興味無くて出来るもんじゃないと思うんだがな~。」

 

実際、草薙さんもあんな遊作は初めて見たとか言ってたし、もしかして本人が自覚してないのか・・・?

 

「アレは偶々アイツの決闘に好感が持てたからだ。それだけだ。」

 

あぁ、面倒くさい奴だコレ。こういうのは自分が気付くまで放置しといた方が良いな。

・・・というか、その法則で行くと、ブルーエンジェルとの決闘も好感が持てたからだとか・・・言わないよな?よし、言い出したら訂正させておこう。あんな鬼畜アイドルの決闘が好きになられたらヤバいからな!

 

『オォォォォォンンン!』

意訳:お前も大概だろ?どこの誰だ?バーンでライフガリガリと減らしてたのは

(いやー、アレは・・・・・・い、一応攻撃はしたし?)

 

ブルーエンジェルでも攻撃はするだろう。だとさ。俺なんかよりブルーエンジェルの方が酷いに決まってる!絶対そうだろう!?

 

そんな事を考えていると、校門を少し通り過ぎた辺りでアイがその話を止めろと言う。どうしたのかと辺りを見回すと、噂をすれば何とやら、後ろの方から財前がコチラに近づいて来た。

 

「藤木遊作君と有馬蓮君・・・だったよね?」

「あぁ」

「そうだけど、何?」

 

こうして見ると、ブルーエンジェルと同一人物なのか本当に疑うなぁ・・・。あのプリキュ○みたいな性格が本当にあるなんて、本当に女は分からないなぁ・・・。

 

「あなた達は何で決闘部に入ったの?」

 

財前の質問に遊作は思考する。しかし、答えるのを期待していなかった財前は話を始める。

 

「決闘が好きだから・・・なんて言わないわよね。私の兄さんがSOL関係者だから優先して決闘盤が貰える。それが目的でしょ?もしくは将来SOLで働くため。」

「あぁ、そう言えば島がそんな事言ってたな・・・。」

 

遊作は意外とちゃんと人の話を聞いてるんだな~。いつもツンツンしてふてくされた用な顔してるから聞いてないと思ってた。

 

「俺はコイツが入ると言ったから入った。それ以上の理由は無い。」

 

遊作くぅーん!?ちょっと待って!それは酷いよ!俺に匙を投げないで!俺に任せとけばどうにかなるとでも思った?それは違うよぉぉ!!

 

「あなたは何で?」

「あー・・・何と・・・なく・・・?一人決闘も飽きてきたから・・・かな・・・?」

 

ヤメテェェ!アイもそんな訴えるような目で俺を見ないでぇぇ!赤き竜も、もっと他にあっただろ・・・、とか言わないでぇぇ!

 

「そう・・・あ、そろそろ急がないと・・・、私、兄さんにあまり信用されてないみたいだから。残念だけど、SOLに入社するとかは期待出来ない・・・じゃあ。」

 

うわぁ、めっちゃ暗い顔してたよ・・・。何?お前がどうにかしろだぁ?赤き竜、それは俺の管轄外だ。

 

『おい遊作、ちょっと話が・・・』

「黙れ」

 

話すら聞いてもらえんとか、ヤバい、アイが可哀想に見えて来た。というか、そろそろ本当にアイの話もまともに聞いて欲しい。

そんな事を考えていると、赤き竜が突然低い声で唸りだした。うん?どうした?

 

『オォォ・・・』

意訳:気を付けろ有馬。少し様子が可笑しく見えた。

 

へ?それってもしかしてかなりヤバい系の?どっかの梟みたいに頭の中がシャワ・シャワ・シャワ・シャワしちゃうぐらいの?

 

『オォン』

意訳:分からん。だが何かが起こる。お前達の敵であるハノイの騎士が関わっているやもしれん。

 

そうか・・・とうとうブルーエンジェルとplaymakerが決闘するのか・・・俺の対策カード、使ってくれるかねぇ・・・

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ!」

「うん?どうしたんだい?」

 

真っ暗な空間の中に白い服を着た白髪の男の子が、邪気の無い笑顔で笑っている。その隣には有馬と同じ位の年をした黒い髪の白衣を着た男がいた。

 

「あの人はさぁ、どれぐらい強いと思う?」

 

男に子供は問い掛ける。男は微笑してしばらく間をあけてから答えた。

 

「・・・そうだねぇ・・・君と同じぐらい強いんじゃないかな?」

「そっかぁ!・・・もしそうだったらさぁ・・・?」

 

男の子は琥珀色の目を横にいた男に向け、満面の笑顔で提案する。

 

「もう一度ここに招待しよう!僕達と同じはぐれ者なんだからさ!」

 

そう言って男の子は暗闇の中を歩き始め、男もそれについて行く。すると暗闇は、姿を次々と変えて行く。

荒れた都市。広大な砂漠。そして宇宙。数え切れない程風景が変わって行く。そして、1つの風景へと辿り着くと、少年は歩みを止める。男はそんな子供の手をそっと握った。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

私の持っている最新型決闘盤に送られてきたメール。そこにはplaymakerの文字があった。

『今なら挑戦を受ける。』

 

「すみません。少し体調が悪いので保健室に行ってきます。」

 

見ていてお兄様。私がplaymakerを倒すから・・・!

次々と階段を登り、人目のつかない屋上まで移動すると、財前葵は決闘盤にデッキをセットする。

 

「In to the vrains!」




うわぁ超短い!
4000以上が平均の人多いけれど、これが限界なんです・・・。頑張って投稿スピードで補っていこうと思います。というか早くエースを召喚させたい・・・
お気に入りが40になりました!通算UAも6000を超え、もはや現実なのか疑いました笑
これからも何卒よろしくお願いします。


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バーサーカー葵

タクシーは現実世界では見えません。
ただし現実じゃなければ・・・

ただいま通算UA1万突破した際のオリジナルの話を作成中。すんごいカオスです。特に遊作が。

今回は普段と比べると異常な程長く書けました。
それでは、どうぞ。

7/12 Q行き先は?A異世界で の内容を少し弄りました。


『ハノイの騎士が現れた!』

 

俺が教室に入り、最後の授業を受けようとした時に、アイは焦ったような大きな声で俺へとハノイの出現を知らせた。それを聞いた俺は教室に入って来た先生に、気分が悪いので抜けます。と言い、その場を抜け出した。

目指す場所は決闘部。今は人も居ない為、安心してLinkVrainsへとログイン出来る。俺は決闘部へと全力で走り、遂に室内に辿り着いた。

 

『急げ遊作!』

「分かっている!デッキセット!In to the Vrains!」

 

俺は有馬から渡されたカードを入れ、LinkVrainsへとログインした。アイに言われた通り、ハノイの居場所へと向かった俺は、目の前に立っている人物にとても驚いた。

 

「!?ブルーエンジェル・・・!?」

「来たわね!Playmaker!さぁ決闘よ!」

 

全く意味が分からない。アイの示すハノイの座標は確かにブルーエンジェルを指している。

 

「おい、どうなってる?何故ハノイの騎士では無く、ブルーエンジェルがここにいる!?」

『いるだろ?お前の目の前に?』

 

特におちょくった様子も無く答えるアイの言葉に、俺は慌ててブルーエンジェルを見る。前のハノイとの決闘の時と姿や喋り方は変わっていない。ハノイの騎士が偽装している可能性も無くはないが、それならハノイの騎士だと気付かせないように、何かしらの工夫をしてくる筈だ。

つまり、このブルーエンジェルは高確率で本人、財前葵だろう。

 

「っ!早くして、貴方が私を呼んだんでしょう!?」

「俺が・・・お前を呼んだ・・・?」

 

駄目だ・・・全く分からない。ここは考えるよりも一度決闘をした方が良いか。

そう思ったその時、アイが俺に忠告をしてきた。

 

『気を付けろよ遊作。僅かだが、ブルーエンジェル、財前葵のデッキからハノイの臭いがする。きっとハノイの仕掛けた、お前を釣る為の餌だろうな。』

「さぁ!デッキを構えなさい!スピード決闘よ!」

 

ブルーエンジェルがそう言うと、LinkVrainsにデータストームが発生する。GO鬼塚の時は最終的に決闘して良かったと思えた。だが、今回の決闘では、そんな事は絶対に思えないだろう。こんな、俺を釣る為だけに利用されたブルーエンジェルとの決闘など、気持ちの良い物では無い。

・・・俺のせいで、ハノイの犠牲者が出た・・・

 

「さぁ、始めましょう!」

「・・・あぁ・・・!いくぞ!」

「「スピード決闘ッッ!!」」

 

ブルーエンジェル

LP4000

手札4

 

「私の先行!私は手札から、トリックスター・キャンディナを召喚!召喚時の効果で!デッキからトリックスター・マンジュシカを手札に!まだまだ終わらないわよー!手札のマンジュシカの効果発動!フィールドのトリックスターを手札に戻し、このカードを特殊召喚!おいで!トリックスター・マンジュシカ!」

 

ブルーエンジェルの声に答えるように、マンジュシカは元気に笑みをする。

 

「更にぃ~!手札から魔法カード、二重召喚を発動!これで手札のキャンディナをもう一度召喚!」

 

もう一度現れた黄色の天使。召喚された直後に笑いながら空中を飛び回った。

 

「そして効果発動!デッキからトリックスター・リンカーネイションを手札に加える!そして手札からフィールド魔法、トリックスター・ライトステージを発動するよ~!発動処理時に、デッキからトリックスター・マンジュシカを手札に加える!カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

ブルーエンジェル

LP4000

手札2(キャンディナ)

フィールド:トリックスター・マンジュシカ

      トリックスター・キャンディナ

 

 

「俺のターンドロー!」

 

Playmaker

LP4000

手札5

 

「この時!フィールドのマンジュシカの効果発動!相手の手札にカードが加わった時、その数×200ポイントのダメージを与える!行って!マンジュシカ!」

「何!?」

 

マンジュシカは手札が増えたのを確認すると、持っていた杖の先端をPlaymakerに向ける。するとそこから、光弾がもの凄いスピードで発射された。

 

Playmaker

LP4000ー200×1

=3800

 

「そして、ライトステージの効果発動!トリックスターモンスターの戦闘、効果で相手がダメージを受けた時、相手に200ダメージを与える!」

 

ダメージを与えたマンジュシカは、どこから出てるのか分からないスポットライトを浴びて、持っていた杖をもう一度振るう。するともう一度、杖の先端部分から光弾が発射された。

 

Playmaker

LP3800ー200

=3600

 

「更に!罠発動!トリックスター・リンカーネイション!効果で相手の手札を全て除外し、その枚数分相手はデッキからカードをドローする!そしてこの効果にチェーンして、手札のマンジュシカの効果発動!キャンディナを戻して特殊召喚!」

「く・・・手札のカードを全て除外し、5枚ドローする・・・。」

 

またもや発射される2つの光弾。2体のマンジュシカの効果によって、強い風が発生し、スポットライトを浴びたマンジュシカ達は、もう一度その杖を振るう。

 

Playmaker

LP3600ー(200×5)+(200×5)+300×2

=1000

 

ライフが1000以下になったPlaymakerはデータストームを確認するが、近くにはデータストームが見つからない。遠くに見えるのが1つ。後2ターンぐらいで辿り着けそうだ。

 

「!デッキが残り10枚・・・。俺は手札からドラコネットを召喚!効果により、デッキからビットロンを特殊召喚!」

 

青い色をした小さな竜が、Playmakerの窮地を救う為に頑張って電子の翼を羽ばたかす。

 

「行かせてもらう!現れよ、未来を導くサーキット!」

 

今までと同じように、天に穴が開き、そこへモンスターを連れたPlaymakerが向かう。

 

「アローヘッドを確認。召喚条件は通常モンスター1体。俺はビットロンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」

 

機械の蜘蛛が、窮地を逃れる為に現れる。青い光は、黒い体から漏れ出すように発せられている。

 

「リンク召喚!リンク1、リンク・スパイダー!」

「早速現れたわね!でもそのモンスターじゃ、次のターンは凌げないわよ?」

「そんな事は分かっている。リンク・スパイダーの効果発動。手札からデジトロンを特殊召喚!」

 

ビットロンによく似たモンスターが現れる。ビットロンとは違い、声は少し強気だ。

 

「今一度現れよ、未来を導くサーキット!」

「またっ!?」

 

流石に1ターンに2回もリンク召喚するPlaymakerに対して、ブルーエンジェルはGO鬼塚と同じように驚いた。何回もリンク召喚するような者をブルーエンジェルは知らないからだ。

 

「召喚条件はサイバース族2体。俺はドラコネットとデジトロンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、リンク・バンパー!」

「そのモンスターはGO鬼塚とやった時の・・・!」

「更に、召喚条件は効果モンスター2体以上。俺はリンク・バンパーとリンク・スパイダーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、デコード・トーカー!」

 

Playmakerを勝利へと導いて来たモンスターが現れる。デコード・トーカーはいつも道理、持っている剣を振り回す。

 

「カードを2枚伏せ、バトルだ。デコード・トーカーで、マンジュシカを攻撃!デコード・エンド!」

「ぐ・・・ぅぅ・・・」

 

ブルーエンジェル

LP4000ー(2300ー1600)

=3300

 

「ターンエンド」

「私のターン、ドロー!・・・え?」

 

ブルーエンジェル

LP3300

手札3(キャンディナ)

フィールド:トリックスター・マンジュシカ

魔法罠:トリックスター・ライトステージ

 

『あ!あれだ!』

「ハノイのカードか!」

 

ドローしたブルーエンジェルの様子が可笑しい事に気付いたPlaymakerとアイは、引いたカードをハノイのカードだと考えた。その考えは正しく、引いたカード、ダーク・エンジェルのカードをブルーエンジェルはじっと見る。

 

「私、こんなカード入れた覚えが・・・それに何?今の・・・。駄目、集中しないと・・・、私はトリックスター・ライトステージの効果発動。あなたの右側のカードを選択。そのカードはエンドフェイズまで発動できず、エンドフェイズに墓地に送られる。」

「俺はその効果にチェーンして、対象とされた王宮の鉄壁を発動する。このカードがある限り、お互いにカードを除外出来ない。」

 

有馬に渡されたカードの1枚、王宮の鉄壁。この効果でリンカーネイションによるバーンとデッキアウトは無くなった。もし入れて無かったら負けていたかもしれない。それだけに、ブルーエンジェルは強い。

 

「これじゃあ墓地のリンカーネイションの効果が・・・、なら、手札からキャンディナを召喚!効果発動!デッキからリリーベルを手札に。そしてリリーベルの効果発動!このカードを特殊召喚!」

 

フィールドに3体のトリックスターが揃う。これにより、ブルーエンジェルはエースモンスターを呼び出す。

 

「さぁ行くわよ!夢と希望のサーキット!」

 

ブルーエンジェルの手から光が発生し、空に穴を開ける。ブルーエンジェルは3体の天使を連れて穴へ飛び込む。

 

「アローヘッドを確認!召喚条件は『トリックスター』モンスター2体!私はキャンディナとマンジュシカをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、トリックスター・ホーリーエンジェル!」

 

2体の天使を使って現れたのは、今までよりも巨大な、トリックスターのボスのようなモンスター。大天使と言った所だろう。

 

「そして私は、手札から死者蘇生を発動!この効果で、私の墓地のキャンディナを特殊召喚!」

 

そして私のスキル!と、スキル、トリックスター・フロードを発動しようとしたが、それを遮るようにPlaymakerが、有馬から貰ったモンスターの効果を発動する。

 

「俺は手札のエクストラ・ヴェーラーの効果発動。相手がモンスターを特殊召喚した時、このカードを特殊召喚できる。来い、エクストラ・ヴェーラー!」

 

エクストラ・ヴェーラーは持っている赤い布を前に出し、Playmakerを守るように、デコード・トーカーの左斜め後ろに現れる。

 

「このカードが自身の効果で特殊召喚されたターン、俺が受ける効果ダメージはお前が受ける!」

「ぐ・・・ぅぅぅ」

 

妨害を受けたブルーエンジェルは、ハノイのカードから溢れ出る邪悪なオーラに包まれ、とても安全とは言えない程に荒々しく絶叫を始めた。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

『不味いぞ!ハノイのカードに汚染され始めた!』

「くそ!あの状態で決闘が続行できるのか!?」

 

このままではブルーエンジェルが壊れてしまう。

そんな時だった。

 

「オォォォォォォォォォォォォォンンンン!!」

『な!何だよアレッ!?』

 

耳が張り裂けるような大音響。声のした頭上の空を見上げると、そこには大きな赤い竜がまるで泳ぐかのように飛んでいた。よく見れば竜の頭に黒いコートを着た人物がいる。

赤い竜はその実体の無さそうな体で、俺とブルーエンジェルのコースの前に移動し、こちらを向く。

 

「ハノイか!」

 

咄嗟にそう思ったのは仕方無かっただろう。つい最近、頭の上に乗って頭上を飛んで行ったハノイのボスもいたのだから。だが、今回は違う。

 

「あ~違う違う。俺はあの子が心配だからちょっと見に来ただけ。あ、邪魔だった?悪いな決闘の途中で・・・」

 

妙に高い声で話掛けて来る黒コートは、どうやらボイスチェンジャーを使用していると見える。しかも所々にラグが見えることから、違法な方法を使って来ていると見える。

 

「お前はアレをどうにか出来るのか・・・!?」

「んー微妙だな。ある程度ブルーエンジェルのターンは時間が経てば制限時間によって強制的にお前に変わると思うが・・・・・・まぁ俺もよく分からん。その前にブルーエンジェルが壊れてしまうかもしれんし・・・時間を掛けられ無いとなると・・・そうだな、お前の次のターンまでか?どうなのタクシー?」

「オォォォン!!」

 

赤い竜は先程より短く、大きな声で吠えた。黒コートを見ると、どうやらOKらしい。

 

「頼んだ。俺はアイツに勝つ。」

「あぁ。頼んだぞ、Playmaker様?」

 

どこかおちょくるような態度に若干イラッとくるが、今は一々怒っている暇は無い。

 

「オォォォンン!」

「ぐ・・・ぅぅぅ・・・苦・・・しぃ・・・ターン・・・エンド・・・うぅ・・・あ゛ぁ゛ぁ・・・」

 

赤い竜が体中から赤いオーラを発すると、ブルーエンジェルから発生している黒いオーラが争うように空気中に集まる。オーラが空気中に集まれば集まる程、ブルーエンジェルに理性が戻っていっている様に見える。

 

「俺のターン!ドロー!行くぞ!」

『風を掴め!Playmaker!』

 

遠くにあったデータストームも、いつの間にか近くにまで来ている。このデータストームに全てが掛かっている。

 

「ストームアクセス!・・・来た!俺は伏せていた大欲な壺を発動!除外されているドラコネット、リンク・スレイヤー、サイバース・マジシャンをデッキに戻し、カードを1枚ドローする!」

 

有馬に貰った最後のカード、それは、Playmakerに希望を、勝利をもたらした。

 

「俺は手札からドラコネットを召喚!効果でビットロンを特殊召喚!召喚条件はサイバース族モンスター2体以上!俺はデコード・トーカーとビットロン、ドラコネットをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、エンコード・トーカー!」

 

デコード・トーカーとは違い、白い鎧に盾を持つモンスターが、この決闘を終わらせる為に現れる。

 

「更に手札から装備魔法、巨大化を発動!これにより、エンコード・トーカーの攻撃力は2倍になる!更に、手札から一騎当千を発動!エンコード・トーカーの攻撃力を1500ポイントアップする!バトルだ!エンコード・トーカーで、マンジュシカを攻撃!」

「私は・・・手札の・・・う・・・ぅぅぅ!ダーク・エンジェルの効果を・・・発動するぅ!」

 

再び可笑しくなるブルーエンジェル。それを見たPlaymakerは決闘を終わらせる為、最後の札を切る。

 

「マンジュシカをリリースし、ホーリーエンジェルにマンジュシカの攻撃力を加算して攻撃対象を移し変える!負けるかぁ!」

「俺はその発動に対して、手札から速攻魔法、収縮を発動する!この効果により、ホーリーエンジェルの攻撃力は元々の攻撃力の半分になる!」

 

収縮するホーリーエンジェルに対して、巨大化したエンコード・トーカーは持っている盾に付いている剣を振りかざす。

 

「がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

「やれ!エンコード・トーカー!ファイナルエンコード!」

 

ブルーエンジェル

LP3300ー(6100ー2600)

=0

 

エンコード・トーカーの剣が振り下ろされた箇所から、ホーリーエンジェルは崩れていく。ブルーエンジェルは力無くうなだれ、涙を流して爆破の光に飲み込まれた。

ごめんなさい、兄さんと言いながら――




最後のパワーのごり押し感。どれだけ頭が固いのか良く分かりました・・・涙

アンケートを取り始めました。
遊戯王ってバーチャルだね!アンケート2で1万突破した時用の話のアンケートです。よろしくお願いします!


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今日も赤き竜タクシーをご利用下さり、ありがとうございます!

この前FGOの水着ガチャの10連を1回引いたらアン・ボニー&メアリー・リードと清姫がセットで来ました。その後呼符でエミヤが来ました。運を使いきったかな・・・

リボルバーとの戦いの後、次回予告で盛大にネタばらしする草薙さん。冒頭から決着はつかずとか・・・城ノ内、死すを思い出す作者でした。


「ん?ブルーエンジェルとPlaymakerだ!?」

「!?」

 

場面は授業中。島がタブレットでPlaymakerとブルーエンジェルの決闘を見つけて発狂した所だった。先生から、そこ!煩い!と注意されてしょんぼりしている島を見て、俺は小声で、見せてくれと頼み込み、差し出されたタブレットを見る。

 

『!デッキが残り10枚・・・。俺は手札からドラコネットを召喚!効果により、デッキからビットロンを特殊召喚!』

 

ギャァァァ!遊作ぅぅ!?デッキ10枚って・・・えぇぇぇ!?

ま、マジか。初っ端からリンカーネイションされたか!?

俺のやったカード・・・全部除外されてますとか・・・ありえるな。・・・というか、俺のあげた対策カード、本来デッキに入ってた対策カード抜いて入れてるとか・・・無いよね・・・?

――駄目だ、流石に心配になってきた。やっぱり変に原作の邪魔したら駄目だな。

 

「・・・すみません先生。気分が優れないので保健室に行ってきます。」

 

まーたお前もか的にこっち見てくんの止めてくれませんかねぇ?俺は遊作と違って真面目に授業受けてるわ!

 

 

 

教室を出た後、俺は安全にログインできそうな場所を探した。一度決闘部に向かったが先客(遊作)が既に居たため違う場所を探した。屋上に来たけど、こっちにも先客(財前葵)が既に居たし・・・おいぃ!どこか無いのかよぉ!

 

・・・・・・もういっそのことアステカでログイン・・・出来ないよなぁ・・・

 

「どうしようか・・・?」

『オォォォォン』

意訳:草薙に遊作と同じようにデータを調べられないようにしてあるんだな?

「うん?あぁその話ね。一応、身バレして繋がりを辿って遊作がPlaymakerだって気付かれないようにだと。それがどうした?」

『オォォオオォン』

意訳:ならば我がそのLinkVrainsにお前を送ろう。

 

その提案を聞いて、有馬は少し頭が痛くなった。

・・・やっぱこのタクシー可笑しいって・・・つまり現実世界から仮想世界に移動出来るってことだろそれ。

 

「・・・うん。もうそれで良いよ。もう考えるの面倒くさくなってきたし・・・」

『オォォォォオオオオォン』

意訳:決まりだな。飲み込むから動くなよ?

 

あ、また飲まれるんすか。と思った時には既に赤き竜の腹の中。不思議な事に、赤き竜の視点で周りが見える。まるで自分の目が赤き竜の目になったようだ。

赤き竜が轟音を轟かすと、目の前にリンク召喚する際に出現する真ん中が空いている四角い機械が出現した。かなり大きい。

 

『オォォォォオオオオォン』

意訳:行くぞ。

 

赤き竜は勢いよくその空き部分に突っ込んだ。有馬は当然、超エキサイティングな気持ち・・・な筈は無く、口から聖水を出してしまいそうだ。ここで出したら100%怒られるだろう。

 

「うぷ・・・何か体が電気風呂入ってるようなチクチクする感じ・・・」

 

後で考えて分かったのだが、自分の体が丸々データ化されている現象だったらしく、いつの間にか黒いコートを着ていた。確実に有馬のアバターである。

 

「ヤ・バ・イ・・・!赤き竜急いで!は・・・吐くぅぅぉぉぉぇ」

『オォォォォオオオオォン!?』

意訳:ヤメロォォォオオ!着くから!?もう着くから!

 

げ、限界が・・・。有馬が吐きそうになったその時、視界が突如として真っ白になった。

 

『オォォォオォン』

意訳:着いたぞ

「オロロロロロ・・・うえぇ・・・今度からは安全運転で!」

『オォォォォォォォォォォォォォンンンン!!』

意訳:タクシーでは無い!次言ったら振り落とすからな!というか我の腹の中で吐くなぁ!

 

とりあえず腹から出て頭に移動。

そんなやりとりをしていたら、決闘中のPlaymakerに気付かれた。どうやらこっち(LinkVrains)では赤き竜が他の人も見ることが出来るようだ。この後遊作と草薙さんにはバレるとして、他の観戦者にバレるのはかなり面倒だな、一応声変えとこ。出現場所・・・もうちょっとどうにか出来なかったかなぁ・・・頭上とか目立つに決まってんじゃん。もうこれ目立つ事不可避だよ。世間にどんな目で見られるか・・・。あの時遊作にカードを渡した俺を殴りたい。やっぱ間違いだったな。絶対に。

それと、何だか俺がログインに手間取っていた内に、ブルーエンジェルがヤバい事になっていた。主に顔芸が。あんな顔、女の子がしちゃあいけません!

ハノイの騎士という疑いはどうにかなったが、治せるかと聞かれた。知らん。そんなの俺の管轄外だ、とは流石に言えなかった。つい最近知り会った奴を見捨てるのは後味が悪いからな。タクシーに出来るかどうか聞いてみよう。

 

「んー微妙だな。ある程度ブルーエンジェルのターンは時間が経てば制限時間によって強制的にお前に変わると思うが・・・・・・まぁ俺もよく分からん。その前にブルーエンジェルが壊れてしまうかもしれんし・・・時間を掛けられ無いとなると・・・そうだな、お前の次のターンまでか?どうなのタクシー?」

『オォォォン!!』

意訳:そうだな。後、タクシーでは・・・!

「いや、お前はタクシーだ。ふぅ、とりあえずブルーエンジェルは大丈夫そうだな。」

 

そう言うとPlaymakerは少し安心して決闘に集中する。さてと、赤き竜タクシーにはまた働いてもらおうか。ブラック企業の社長ってこんな気持ちなのかな?

 

『オォォォォン!?』

意訳:我は社畜か!?

 

うん?自分から率先して働いているだろう?別に強制はしてないしぃ?

 

『・・・オォォォォン』

意訳:・・・決闘竜から好きなのを一体選べ。

 

サーセンッシタァァァ!謝りますんで(リアル)ダイレクトアタックは勘弁してぇぇ!

 

『オォォォォン』

意訳:ふん。次はないからな?では早速、ブルーエンジェルをどうにかしよう。

 

俺を乗せた赤き竜は、徐々に体から赤いオーラを発生させ、ブルーエンジェルから溢れ出ている黒いオーラとぶつかり合う。油と水のようにオーラは反発しあい、黒いオーラは、赤いオーラに負けじと、ブルーエンジェルに纏わりついている黒いオーラを少しずつ対抗するために引きずり出す。

 

「成る程な。消そうとすれば対抗するために黒いオーラを集めるのか。これでブルーエンジェルの意識も多少は戻って来たかな?」

「ぐ・・・ぅぅぅ・・・苦・・・しぃ・・・ターン・・・エンド・・・うぅ・・・あ゛ぁ゛ぁ・・・」

「ん、データストームが来てるからな?避けろよ?」

『オォォォォン』

意訳:了解した。

 

微妙だが先程よりもましにはなった。赤き竜の力でも、少しずつしか楽にしてやれないらしい。俺に出来る事も祈るぐらいで、何の役にも立てない。

はぁ・・・無力だなぁ俺・・・。役に立てない事って、やっぱりちょっと・・・悔しいな。

 

「リンク3、エンコード・トーカー!」

 

有馬が無力差を悔やんでいる間に、Playmakerはエンコード・トーカーを出して、ブルーエンジェルを倒しに掛かる。しかし攻撃した時に黒いオーラが増幅し、黒いオーラの元凶であるダーク・エンジェルをブルーエンジェルが使用した。この一瞬、赤いオーラよりも黒いオーラが強くなり、またもやブルーエンジェルの様子が可笑しくなる。

しかしPlaymakerは冷静に手札の収縮を発動。攻撃が通り、ブルーエンジェルは大きな爆発に巻き込まれた。

 

「うおっ!赤き竜!急いで退避!」

『オォォォォオオオオォン!』

意訳:掴まっていろ!

 

赤き竜はそう言うと、猛スピードで空中を移動、そのまま行きに出現した四角い機械を通って行った。

 

「オロロロロロ!」

『オォォォォン!』

意訳:頭に吐くなぁ!

 

こうして有馬は思いっきり本来の原作をぶち壊し、この後、黒コートの自分のアバターがとても話題になった。原作に干渉したらいけない。ハッキリワカンダネ。そう思った有馬であった。

 

 

 




決闘が無いと短いなぁ・・・いや、あっても短いけど。
全然進まないIFエピソードに若干涙目。これUA10000に間に合うかなぁ・・・


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YUーJYO

有馬と遊作の決闘です。エマさんは今日はプログラム組むのに後1日必要で行動しなかったと言うことでお願いします。

・・・FGOでなんとなく呼符2枚を全て円卓ピックアップに使い、モーさん来いと祈ったらトリスタン×2・・・あぁ、私は悲しい・・・


「それで、お前のあの赤い竜はどんなAIなんだ?」

「あー、よくわからないなー。気づいたら決闘盤に居たからさ~」

 

俺は今、草薙さんのフードトラックにて、草薙さんに尋問を行われている。もちろん赤き竜に関してだ。

あの後俺はログアウトして、屋上に居るのを見た遊作に、お前が黒コートなのか?と言われ、そのまま財前葵を発見。病院にて財前晃に関係を聞かれた。え?ただの知り合いですよ。とだけ答えた。・・・シスコンお兄ちゃんは何の心配してるんだよ。

 

「本当にかぁ?」

「本当だって!俺もあんなの初めて見たし!」

「・・・どうだかな」

 

勿論嘘である。俺はえ、え~っと・・・とか言う嘘のバレやすい奴じゃないからな。このまま信じさせる!

 

「というか、あの後の財前の様子、どうなの?」

「一応、病院にハッキングしてカルテを手に入れたんだが・・・」

『凄いねぇ、そんな事まで出来んの?というかそれ、プライバシーの侵害、犯罪だよ?』

「ハッキングは全て犯罪だ。」

「そうだな、高校1年生の女子の個人情報を見ているんだ。立派な変態だ。」

『うわー、草薙の変態ぃ~』

「お前らなぁ?言っておくが見逃してる時点で共犯だからな?」

「共犯者か~・・・いざという時は草薙さんを売ろう!」

 

話を変えて、俺と草薙さん、アイで盛り上がっている中、遊作は一人、ずっと暗い表情でいる。やはり財前葵が気になるのだろうか?

 

「・・・・・・なぁ遊作、決闘をしないか?」

「・・・俺と決闘・・・?」

「そう、もう俺目立っちゃって精神的に疲れちゃってさ?そんで決闘して気を楽にしたいな~なんて?」

 

精神的に疲れた理由は目立ったことも確かにある。けどそれ以上にずっと暗い表情されてると、近くにいる俺とか凄い心配になって疲れちゃうんだよね。だから一刻も早く疲れの種をどうにかしよう。そういう意味で、俺は決闘を申し込んだ。

 

「ルールは・・・スピード決闘と同じにしよう。デッキ20枚のEX5枚、 フィールドもメインとEXで4つ、スキルの使用はどちらも禁止!ま、現実じゃストームアクセスも出来ないし、俺はスキル知らないし、関係無いか。」

「・・・やるとは言ってない。」

 

ルールを説明したら遊作がトラックから出ようとする。ちょっとちょっと!ここで帰らないでくれよ!?

 

「良いじゃないか?遊作も偶には現実で決闘したらどうだ?ハノイとの時に何か役立つかもしれないし。」

 

出て行こうとする遊作を、草薙さんが呼び止める。ナイス草薙さん。遊作は溜め息を尽きながら此方へと足を進める。

 

「・・・1回だけだ」

「あぁ。・・・・・・これから使う俺のデッキは、俺が一番好きなデッキだ。そして、いつもこのデッキを使っていると、不思議と不安とかも無くなっていった・・・それはな、コイツが一番好きなデッキであるから、一番楽しいと思うデッキだからだ。」

 

遊作は何も言わず、俺の話を聞いていた。草薙さんも、アイですら、口を挟んでこない。・・・恥ずかしいな・・・。

 

「遊作、お前はそのデッキを使っていて、楽しいか?」

「・・・わからない。」

「そうか・・・ま、急ぐようなことじゃないな。ゆっくりと、気づいていけば良い。・・・さ、話は終わり!決闘を始めよう!」

 

石井先輩の時と同じように、お互いのデッキをシャッフルし、手札を4枚ドローする。

 

 

「じゃ、ジャンケンで勝った方が先行後攻を決めるとしよう。」

 

懐かしい、前世ではこうして友人と決闘したな・・・何だか少し寂しくなってきた。いけないいけない、今はそんなしんみりしてる場合じゃないな。

 

「「ジャンケンポン。」」

 

遊作

LP4000

手札4

 

「先行を貰う。・・・手札からサイバース・ウィザードを召喚。更に手札からバックアップ・セクレタリーを守備表示で特殊召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド。」

 

遊作

デッキ:16

手札:1

メイン:サイバース・ウィザード(攻撃)

      バックアップ・セクレタリー(守備)

魔法罠:1

 

「んじゃ、俺のターン、ドロー・・・俺は手札から調律を発動。デッキからクイックシンクロンを手札に。その後デッキトップを墓地へ送る・・・ジェットかぁ・・・まぁまぁかな。手札からジャンクシンクロンを召喚。」

「・・・チューナーモンスター、シンクロか。」

「効果で墓地からジェットを蘇生。この時、手札のドッペルの効果、特殊召喚。」

『お~凄いな。1ターンでフィールドが埋まった。』

「さ、まずは1体目、レベル3のジャンク・シンクロンで、レベル2のドッペル・ウォーリアーをチューニング。シンクロ召喚。ジャンク・ウォリアー。シンクロ素材になったドッペルの効果で、ドッペルトークンを2体、攻撃表示で特殊召喚。そして、ジャンク・ウォリアーの効果。俺のフィールドのレベル2以下のモンスターの全ての攻撃力をこのカードの攻撃力に加算する。」

「!攻撃力2300から攻撃力3600に・・・!」

 

おぉ、遊作の表情が段々良いものになってきた。

 

「・・・何だ?」

「あぁいや、気にしないでくれ。バトル、ジャンク・ウォリアーでサイバース・ウィザードを攻撃。」

 

遊作

LP4000ー(3600ー1800)

=2200

 

「ターンエンド」

「俺はこの時、罠カード、サイバース・ビーコンを発動。デッキからドラコネットを手札に加える。」

 

有馬

デッキ:13

手札:3(クイック・シンクロン)

EX:ジャンク・ウォリアー(攻撃)

メイン:ドッペル・トークン(攻撃)×2

            ジェット・シンクロン(守備)

魔法罠:0

 

遊作

デッキ:16

手札:2(ドラコネット)

メイン:バックアップ・セクレタリー(守備)

魔法罠0

 

「俺のターン、ドロー。手札からドラコネットを召喚。効果により、デッキからビットロンを守備表示で特殊召喚。ビットロンでリンク召喚。リンク1、リンク・スパイダー。効果により、手札からビットロンを守備表示で特殊召喚。ドラコネット、リンク・スパイダー、ビットロンでリンク召喚。リンク3、エンコード・トーカー。」

 

エンコード・トーカーを出した時、遊作の表情が少し曇る。ブルーエンジェルを倒したカードということで、ブルーエンジェルを思い出してしまったのだろう。

 

「遊作、ブルーエンジェルの事、気になるのか?」

「あぁ、俺とハノイの戦いに、巻き込まれてあんな事になった・・・それが凄く苦しい・・・」

 

遊作は罪悪感を感じている。それは表情からも、声音からも伺える。自分のせいで犠牲者が出たことに、強い罪の意識に捕らわれているのだろう。

 

「・・・お前は馬鹿か?」

「!黙れっ!」

 

有馬の発言に遊作は心を乱す。当たり前だろう、ブルーエンジェルが傷付いたのは自分のせいだということを、呆れ顔で馬鹿にされたのだから。

 

「何でお前はそんなに一人で背負い込む?俺じゃあ不甲斐ないだろうが、草薙さんだってアイだっている。」

「だが!あの時俺がブルーエンジェルの決闘を受けていれば――」

「遊作・・・確かにお前の言うとおりだ。受けていれば何も無かっただろう。でも、ハノイの騎士は誰でも良かったんだ。どうせ別の駒を利用しただろうさ。・・・お前の気にする事じゃない。」

 

藤木遊作は、少しツンケンしていて、周りに興味を示す事が少ない。だから高校でも友達は少なく、どこか浮いている。

しかし、他人を思いやる気持ちは強い。自分のする事に極力人を巻き込まないようにいつもしている。要するに、周りには素っ気ない言葉で返したりするが、その人を自分のせいで危険に晒したくはないというツンデレなのだ。

 

「・・・・・・俺は手札から死者蘇生を発動、墓地のサイバース・ウィザードをエンコード・トーカーの下に特殊召喚する。」

「遊作・・・」

 

草薙は心配そうな顔で遊作を見つめる。今の遊作の表情は初めて見たのだ。辛そうで何かに耐えるような表情、見ていられない。

 

「サイバース・ウィザードの効果、ジャンク・ウォリアーを守備表示にする。バトル、エンコード・トーカーでジャンク・ウォリアーを攻撃。」

 

有馬

LP4000ー(2300ー1300)

=3000

 

「ターンエンド・・・」

 

遊作

デッキ:14

手札:0

EX:エンコード・トーカー(攻撃)

メイン:バックアップ・セクレタリー(守備)

    サイバース・ウィザード(攻撃)

 

有馬

デッキ:13

手札:3(クイック・シンクロン)

メイン:ドッペルトークン(攻撃)×2

    ジェット・シンクロン(守備)

 

「俺のターン、ドロー。・・・俺はレベル1のジェット・シンクロンでレベル1のドッペルトークン2体をチューニング、シンクロ召喚、霞鳥クラウソラス。効果発動、このターン、エンコード・トーカーの効果を無効にする。そして、手札のダンディライオンを墓地に送り、手札からクイック・シンクロンを特殊召喚。ダンディライオンの効果により、綿毛トークンを2体を守備表示で特殊召喚する。俺は、レベル5のクイック・シンクロンでレベル3の霞鳥クラウソラスをチューニング、シンクロ召喚、ジャンク・デストロイヤー。効果発動、チューナー以外のシンクロ素材の数だけ相手フィールドのカードを破壊できる。エンコード・トーカーを破壊する。」

「・・・・・・俺は・・・無理だ。自分の失敗が招いたと思うと・・・」

 

思わず手に力の入る遊作。表情は険しく、少し俯いている。有馬はそんな遊作にイラつき始め、遊作の頭に握り拳をぶつける。

 

「ッ!」

「ガハッ!?」

 

いきなり殴られた遊作は、若干驚きながらも、さっきまでの思い詰めていた顔とは逆の間抜けな顔をしていた。そんな遊作に、有馬は言葉をぶつける。

 

「・・・・・・あーもう分かったよ!ならこうしよう。俺達はハノイの騎士とSOLテクノロジーと戦う共犯者だ。俺達は仲間の失敗を全員で埋め、全員で戦い、全員が罪を背負う。遊作のそのミスは、俺達が一緒に背負ってやるから、その見てて心配になる顔は止めろ。」

「心配・・・そうか、俺は・・・心配を掛けていたのか・・・」

 

心配になる顔を止めろと言うと、遊作は今まで自分が心配されていたことに気付き、草薙と有馬、アイに謝った。草薙とアイは、遊作が謝ってくるということを信じられないといった顔で見ている。

 

「すまない、草薙さん、有馬、・・・アイ」

「気にするな遊作。・・・そうだ、新しいホットドッグが出来るんだ。お前に味の感想を聞きたい。」

「この決闘でお前は俺を楽しませてくれている。だからお前のことは許すよ。」

『ちょっとちょっと?俺だけ間があった気がするんですけど?まぁ、遊作が謝るなんて滅多に見れないものを見れたから・・・許してやるよ。』

 

全員から向けられた暖かい言葉を聞き、遊作は有馬に感謝の言葉を伝える。ありがとう、と。有馬はその言葉を聞いて決闘を再開しようと言った。

 

「・・・全く、世話が掛かるな・・・さぁ、決闘を再開しようか?」

 

この日の決闘は、遊作にとっても、有馬にとっても忘れられないものとなった。

 




今回の決闘はこれで終わりです。結果は想像にお任せします。


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本物の天使は此処に居たのですね

我がカルデアに水着鯖が集まり始めました。
無課金10連1回で弓アルトリア出たときは発狂しましたね。
後はモーさんとマリーかな。


遊作との決闘から1日が経ち、原作なんか知るかと開き直った今日この頃。今俺は我が家にいる。今日は学校が休みだから、アバターの名前を決めた後、久し振りにぐっすり寝てみようかな、なんて思っていたら、草薙さんから電話が掛かって来て、遊作がSOLに捕まった、とか言って来た。俺は確かに共犯者と言ったけど、休日はゆっくりさせて欲しいなぁ・・・まぁちょっと様子を見に行こうかとは思うけど。

 

「あー、そう言う事だから力を貸してくんないかな?」

『オォォン』

意訳:良いだろう。安全運転で運んでやる。

 

いやぁ、コイツの安全運転って信用出来ないんだけど急ぎだし仕方ないな。あ、酔い止め飲んどこ。

 

「一応、何が起きても良いようにデッキ持っていこ・・・ん?」

『オオオォォン?』

意訳:どうした?

 

凄い名案かも知れない・・・、そう思い、俺は持っていたデッキを机に置く。遊戯王のアニメ世界とは、大抵は決闘で問題を解決して、ストーリーが進む物だ。その逆もあって、決闘をして面倒事が起きたりもする。そして、決闘者は決闘をさせられ、それ以外は何だかんだ言って生きている場合が多い。何故なら世界を救う為の決闘とかを主人公とかがしてくれるからだ。で、何が言いたいかと言うと―――

 

「なぁ、別にデッキ持って行かなくて良くね?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

遊作を助けに行けば良いだけだしね。自分から、コイツ・・・出来る、とか言われに行く道理は無いし・・・

 

『・・・・・・オォン?』

意訳:・・・・・・アァン?

「スミマセン持って行きますんで許して下さい。」

 

毎回思うんだ。どっちがコレ主導権握ってんだろって。

 

『・・・オォォン』

意訳:はぁ・・・、飲み込むからデッキを持って目を瞑れ。

 

赤き竜が俺を飲み込み、またまた四角いリングの機械が現れる。潜ると前回には無かった感覚が全身を襲って来た。あれ、酔い止め飲んだんだけどなぁ・・・。俺は赤き竜の体の中で、気を失うかのように眠ってしまった。

 

 

 

 

暗い闇。俺はまたアステカの時と同じ空間に来ていた。だが今回は死の恐怖と言った感覚が無い。その代わり、目の前には白髪の小さな少年が居る。

 

「起きて、ねぇってば!」

「うん・・・君は?」

 

取りあえず名前を聞いて見る。こんな空間で会う奴なんて、大抵ろくな奴じゃないとは思うが。

 

「僕はアブシューム!アルテンシア・アブシュームって言うんだ!」

 

アルテンシア・アブシューム・・・長いな・・・てか外人さんか。

 

「外人なのに日本語ペラペラと喋れるんだな・・・、君、年は?」

「う~ん・・・分かんない!」

 

おっと、分かんないか・・・まぁ小学2~3年生と言った所かな?

 

「ねぇねぇ、遊ぼうよ!僕ね、有馬と決闘するの楽しみにしてたんだ!」

「俺の名前知ってるのか?」

「うん!この前僕が有馬の記憶を調べた時・・・あ、白衣のお兄ちゃんが調べてくれたんだ!それで知ってるの。」

 

この前・・・もしかしてアステカの・・・?それにしても―――

 

「その白衣のお兄ちゃんとやらは出てこないんだな。」

「うん、白衣のお兄ちゃんは有馬と僕だけの方が良いだろう?って、気を利かしてくれたんだ!だから後でありがとうって言うの!」

 

う~ん・・・ここにもシスコン財前さんと同じようなのが居るのかな・・・まぁ無邪気な子供らしくて分からなくも無いが・・・。

 

「決闘しよ!決闘!」

「あぁ良いぞ・・・と言いたいんだけど、今ちょっと忙しくてね。また今度、暇な時にな。」

「やだ!決闘したい!」

 

えぇ~・・・、ちょっと、白衣のお兄ちゃん助けてよ・・・あ、ブラコンか。無理だな。仕方ない、此処はどうにかして諦めて貰うしか・・・

 

「・・・・・・・・・・・・う゛ぅ゛ぅ゛」

「・・・え、ちょ、え」

 

泣かれてしまったよ!ど、どうしよ・・・此処は、どうすれば・・・あぁもう面倒だ!

 

「じゃ、じゃあ受けるよ!うん!よ~し、お兄ちゃん頑張って勝つぞぉ!」

 

言った瞬間アブシュームは泣くのを止めて、キラキラとした顔で此方を見てくる。う、そ、そんな純粋な目で俺を見るな!俺が浄化される!

 

「うわぁーい!じゃあ外で待ってるね!」

「へ?外ってどういう―――」

 

こと?と言おうとした瞬間、目の前が揺らいで何かに引っ張られるように意識が失われて行く。この感じ、あの時と同じ・・・

 

 

 

 

『オォォォォォンンン!』

意訳:いい加減に起きろ!

「イィィヤッフォォォォォ!?・・・・・・あ、あれ?戻って来た・・・?」

 

目の前には赤き竜、そして地獄のようなLinkVrainsが。い、一体どういう事だってばよ?最速ふざけて無いとやってられない位には、有馬は混乱している。大草原が見えていて、トンネルを通過したら荒野でした。そんな感じだ。

 

「取りあえず遊作に連絡を・・・アレ?」

『オォォォン?』

意訳:どうした?

 

・・・遊作と連絡が取れない。というか草薙さんからの履歴がヤバい。軽く30は越えてる・・・。あ、掛かって来た。

 

『有馬!どうなってるんだ!遊作と連絡が取れない!』

「こっちも連絡を試みてるけどキツそう・・・というか、なんか決闘してるけど遊作?子供の書く太陽みたいなギザギザ髪をした奴と・・・」

 

草薙さんにはこう言ってるが、俺はその赤い太陽の髪した奴を知っている。リボルバーだ。今俺はちょっと遠いビルの屋上に位置に居るから、本当にそうかは分からんが・・・

 

『服装は?』

「うーん、ハノイの騎士にそっくりな真っ白コート。多分リーダーなんじゃない?風格とかから何かそんな気がする。」

『そいつは前に俺達の前に姿を現したハノイの騎士のリーダーだ!クソ、このままじゃ遊作とアイが・・・!』

 

ドードー落ち着いて草薙さん、焦ったって何も意味無いんだから。それより俺が気になるのは―――

 

「あの波ってさ、何?」

『遊作とハノイのリーダーの決闘の映像が見れるようになった!今すぐ送る!・・・これは・・・データストームか!!しかも遊作の時よりも大きい!』

 

流石は草薙さん、優秀だ。受け取った映像を見るが・・・トポロジックさんが出て来た・・・え、終わったんじゃね?

 

『終極のマリシャス・コード!!ザーガガガガ・・・・・・』

 

あーあ、止まっちゃったよ。ただ伏せカードはあったからまだ分からんな。

 

「草薙さん?遊作との決闘が見れなくなったんだけど?」

『・・・・・・気を・・・付け・・・有馬・・・!』

 

草薙さんからの本当にヤバそうな警告が来た。ん、どうしたの?と聞き返すと、聞き取れた部分を要約すると、何やらデータストームとは違う大きな何かが、此処に近づいて来ていると言い、草薙さんとの通信が途絶えてしまった。それを聞いた有馬は赤き竜に乗ってその場を離れようとした。が、その時だった。

 

―――じゃあ決闘しよ!―――

 

「!?この声、それにこの身を包む冷たい感じ・・・ハッ!?」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオン」

 

脳内に聞き覚えのある声がし、背後からする死のオーラに有馬が振り返ると、そこには青と黒い色をした目鼻口の無い不気味な巨人がいた。大きさもどのビルよりも大きい。巨人は声を張り上げ、目の前で声を聞く者(有馬)に恐怖を与えた。

 

「お・・・お前は・・・」

『・・・・・・オォォン・・・』

意訳:・・・・・・コイツは・・・

 

赤き竜と有馬、そのどちらもが巨人を見て度肝を抜かれた。何故か?それは本来居ない筈のそれが、存在し、尚且つ自分達の目の前に、天空から鎖で繋がれて現れたからだ。

 

―――やっちゃえ!CcapacAp!―――

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!」

 

巨人の咆哮は大地を揺らし、災害を巻き起こす。巨人は繋がれている鎖にもがきながらも、近くのビルを倒して行く。このまま逃げたとすると、遊作を巻き込んでしまう可能性がある為逃げられない。更に、有馬は約束してしまった。アブシュームと決闘をすると。

 

―――わー!!カッコイイ!!―――

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!」

 

アブシュームの声から邪気は感じられない。ただ純粋に決闘をしに来たのだろうが、本当にコレは冗談じゃない。俺の事に関して、白衣のお兄ちゃんから聞いたと言っていたが、短時間だが、話を聞いてくれない奴と言うことは少し分かった。きっと聞いてるようであまり聞いていなかったのだろう。やはりと言うか、説得を試みるがアブシュームは言うことを聞いてくれない。

 

「頼む!ソイツだけは止めてくれ!今決闘するのは難しいんだ!」

 

―――やーだー!決闘するって有馬言ったもん!―――

 

『オォォオンン!?』

意訳:お前の知り合いか!?

「ちょっと闇の中でね・・・、でもコレを連れて来るとか・・・全然想像もしてなかったかな・・・!」

 

有馬と赤き竜の命は繋がれている。赤き竜が死ねば、有馬は世界に消され、無かったことにされる。赤き竜の天敵、宿敵とも言えるコイツら(地縛神)との決闘等、最速闇の決闘と同等だ。下手したら死ぬ。

・・・全く、こういう時に俺は運が無い・・・

 

『オォォオンン』

意訳:アレと決闘をすると言うのなら、決闘竜の使用を考えておけ。お前のそのデッキなら出せるだろう。

「やっぱり決闘竜じゃないと消滅出来そうに無いのか・・・試合に勝てても消せなきゃ意味が無いか・・・」

 

きっと消滅させればアブシュームも諦めてくれるだろう。負けず嫌いの場合は非常にマズいのだが、今の所、それ位しか手が思いつかない。

 

「スピード決闘が出来そうな体の(モンスター)じゃないのが救いかな・・・?・・・始めよう、・・・決闘。」

 

―――決闘だー!―――

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!」

『オオオォォォォォォォォォォンン!!』

 

有馬は巨人をジッと見つめ、持っている決闘盤を準備する。まさかこんな事になるなんて、と思いながらも、有馬は赤き竜と共に、聳え立つ恐怖(巨人)に立ち向かう。自分達(有馬と赤き竜)の明日の為に。共犯者(遊作と草薙さん)の為に。




言い忘れてました。有馬の決闘盤は島と同じ最新版の決闘盤でありながら、デッキ収納型でもあります。


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