東方異能録 (鎌虚(Kamauro))
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序章 東方幻想郷


まだまだ初心者ですが、よろしくお願いします

う〜ん、テンション上げずらい;




「そうね……。あの時は楽しかったわね。西行妖は咲かなかったけれどね」

 

「貴方は昔から無茶をしすぎなのよ。まぁ、そのぐらいでなければ異変なんて起こせないわよね」

 

中庭でししおどしが涼しい音を鳴らす

 

「それで紫。今日のご用件は何かしら?もしかして、この前話してた"私が生前にやってたらしい隠れんぼ"をするの?」

 

「いえ、今日は面白い物を持ってきたのよ」

 

「あら?紫の"妖怪さん"が持ってくる面白い物。また"外の世界"の機械かしら?」

 

「なぜ"妖怪さん"を強調するのかしら?"幽霊"である貴方が私の家に持ってくる物といえば、お茶菓子とお酒しか思いつかないわ。それに比べれば立派なものよ?」

 

「あら、私が持ってくるのは"立派な"お茶菓子とお酒よ?それに私は今まで貴方が持ってきた物に文句をつけたことはないわよ」

 

そう言って西行寺 幽々子は持っている紫色の扇子を開く

 

「それで、今日は何を持ってきたのかしら?」

 

「あら、気になるの?」

 

「珍しい物は好きよ?」

 

それを聞くと八雲 紫は宙に浮かぶポッカリと開いた黒い穴から銀色の箱を取り出した。

 

 

_______________________________________________________

 

 

人間の里の寺子屋で教師を営む上白沢 慧音はいつも通り教卓の前で子供たちに歴史の授業をしている。

黒板には大きく「春雪異変」とかかれ、小さい文字でその内容がダラダラと書かれている。

 

「西行寺 幽々子。幽霊の住まう地、冥界で現在は幽霊の管理をしている。彼女は自分の館の庭に咲いている西行妖と呼ばれる妖怪桜を咲かせる為に幻想郷の春を持って行ってしまったのだ。それが春雪異変だ」

 

そう言ってしばらく握り続けていたチョークを教卓に置きクラスを見渡すが、あまり興味を持って聞いている生徒は少ない。

 

これがいつもの授業風景であり、慧音にとっては当たり前の日常だ。

 

歴史は人間の教養を育む上で重要な単元の一つであるが、彼女自身あまり重要性というものをしっかりと見出していなかった。

 

 

この限られた空間の中での歴史というものに。

 

幻想郷

 

この世界には人間、妖怪、幽霊、獣人など多種多様な生物が暮らしている。

 

この世界の創設者は八雲 紫と呼ばれる大妖怪である。

 

1768年、明治の時代に彼女は架空の存在として消えつつある妖怪、幽霊の保護の為この幻想郷を創設。結界を貼る事によって、その後一切の外界干渉、往来を断ち切ったのである。

 

この幻想郷では未だに明治時代以前、江戸時代の風習を約240年間、そのままの状態で維持し続けている。

 




序章なんで短めです

初心者向けの解説……っていうか、文字稼ぎw

なんか、こういうのって雰囲気でるなぁ〜……。

まだ何も起こりませんね

次回投稿は少し先になると思います。


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第1章 平穏で平和な幻想郷は……
第一話 賽銭


「お邪魔しま〜す!」

 

慧音は大きな音を立てて扉を開けた。

 

玄関に腰を下ろして手持ちの扇子でパタパタと仰ぐ

 

「あら、慧音。どうかしたの?」

 

襖を開けて稗田阿求がまだ未使用の硯を三つほど抱えて出てきた。

 

「あ、書道教室まだやってるの?」

 

「えぇ、最近になって生徒が増えたわ。本を書くのもいいけれど、こうやって字の書き方を教える事もなかなかやり甲斐を感じるわね。なんだか、慧音の気持ちが最近になってやっとわかってきたわ! なんなら、歴史とかも教え始めようかしら……」

 

「そ、そんな目で私を見ない!もしかして、昨日の授業を見てたの?」

 

「えぇ、チラッとね。貴方、黒板の乱用は控えた方がいいわよ。チョークを一授業で二本半……。腕とか筋肉痛にならないの?」

 

「まぁ、長い間教壇に立ってるからね!」

 

そう言って慧音は元気そうに腕を回す

 

そんな慧音を見て阿求は苦笑いをする他無かった

 

「そうだ。冷たい飲み物を用意するから上がって。貴方も少しは涼みたいでしょ?それに、例の物も出来上がってるわよ」

 

阿求は手に持っている硯を玄関に置き、側に置いてあったお盆を抱えてニコリと微笑んだ。

 

「あ、はい! じゃ、遠慮なく!」

 

慧音は靴を脱いでキチンと揃え家に上がり、先を行く阿求の後ろに続いた。

 

いつもながらこの家は、とてもお淑やかな空気がただよい、少しながら堅苦しくも感じる。

 

阿求の家にはよく遊びにいくが、この雰囲気には未だに慣れていない。

 

今、この廊下を歩いているだけでも何十人もの女性使用人とすれ違う。

 

「ねぇ、阿求?いつも思うのだけど、流石に多すぎじゃない?」

 

「しょうがないでしょ。追い出すのも可哀想だもの……」

 

阿求の目にはいつも深い何かを感じさせる。

 

しかし、彼女の親友である慧音でさえその深い心の底を感じ取ることは出来なかった。

 

 

阿求は不意に立ち止まり、慣れた手つきで応接間の襖を開いた。

 

「じゃあ、ここで待っててね。今、お茶を持ってくるから」

 

そう言って阿求は慧音を応接間に座らせ、足早にお盆を持って部屋から出て行った。

 

「ふいぃ……。やっぱり何度来ても慣れないわねぇ……」

 

そう呟きながら畳を爪で弄る。やはり、ここの畳はこの程度で傷む事はない。

 

 

「どちら様で……?」

 

突然、聞き覚えの無い声が静寂の空間の中で慧音の耳を貫いた。

 

慧音はあまりの突然さに驚倒してしまい、大きく飛び上がって膝を卓袱台に叩きつけた。

 

「ひぐぅ...!」

 

この何とも言えない痛みに呻き声をあげ、その場で倒れた。

 

その時視界に入って来たのは見知らぬ男の顔だった。

 

________________________

 

 

「れいむ〜!お煎餅まだ残ってる〜?」

 

ドタバタと廊下を走る萃香に霊夢は決まった台詞で呼びかける。

 

「湿気った煎餅ならあるわよ」

 

今年の博麗神社では夏の例大祭。

ただお酒を飲むだけのような行事であるが、決まって行われるお祭りがあった。

 

それが今夜行われたわけだが...…。

 

「まったく、少しは片付けて行きなさいよ...…」

 

神社の庭先には空の酒瓶や大皿、湯呑茶碗や枡が地面に転がっている。

まさに嵐の"後"の静けさだ。

 

霊夢は幽々子が落として行った扇子で扇ぎながら溜め息を吐いた。

 

「まったく、夜になったってのに全く涼しくならないわね」

 

「しょうがないよ! だって、夏だもん!」

 

「貴方……。オンとオフでの性格差が激しすぎるわよ……。なんか気味が悪いわ」

 

酒に酔っている為でもあるが、霊夢の知る萃香はこんなものではない。

 

萃香はトロンと目を細めて湿気った煎餅を咥えつつ、座って卓袱台に顎をつける。

 

「いいじゃん別に……。最近の幻想郷は平和なんだし、いつもピリピリしてたら身がもたないよ」

 

「そうは言っても鬼の威厳ってものがあるでしょ? まぁ、私が言える立場じゃないけれどね」

 

そう言って霊夢は立ち上がって、濡れ縁に脱ぎ捨ててあった下駄を履き神社の拝殿の方へ向かった。

 

ついさっき、萃香が掃除してくれたおかげで枯葉一枚も落ちていない。

 

神社は少し離れた所でシャクシャクと萃香がお煎餅を齧る音が聞こえる程静かだ。

 

その場で当たりを見回すと様々な物が視界に飛び込んでくる。

 

鳥居、灯籠、神楽殿、拝殿、そして賽銭箱。

 

自分の家でもあるが、なんだかここは落ち着く。

 

灯籠のぼんやりとした灯りは神社全体を包み込み、霊夢を優しく照らしている。

 

無言で霊夢も湿気った煎餅を齧り、団扇で扇ぐ。

 

「このお煎餅、だいぶ湿気ってない?」

 

突然、霊夢の真後ろから声が聴こえた。

 

だが、霊夢は振り向かなかった。

 

慣れ切った突然の来客だ。

 

 

「紫...。人の食ってる煎餅にいちいちいちゃもんつけないでもらえない?」

 

 

いつのまにか霊夢の煎餅は大きく欠けていた。

 

「あら?最初に"湿気った煎餅ならあるわよ"とか言っていたのは何処のどちら様だったかしら?」

 

「まったく、いつも言ってるけど人の実生活を覗かないでもらえない? こっちだって"プライバシー"ってものがあるのよ!」

 

霊夢は最近覚えた言葉を使ってみた。

 

「あららぁ、意気がって。霊夢に現代語は似合わないわよ!」

 

突然目の前の空間が裂けて声の主が目の前に現れた。

 

霊夢は目を細めながら残りの煎餅を齧って飲み込んだ。

 

「あんたの能力って便利よねぇ...。特に掃除とかお茶入れにいったりとかどっか出かけたりとか」

 

「日々の小さな運動はとても重要よ!ちょっとした距離を歩いたりするのも日常的に必要な筋力を維持するには必要なの。長距離移動以外はあまりこの能力は使っていないわ。痛い思いはしたくないからね」

 

「そんなに運動熱心ならちょっとぐらい朝早く起きなさいよ。"日常的に必要な筋力"は朝の体操でさらに得られるわよ!」

 

「わ、私は朝が苦手なのよ!」

 

紫は裂けた空間(スキマ)から半身を出した状態で必死に弁明した。

 

そんな紫の様子を見て霊夢は先程の萃香を思い出した。

 

「そういえば紫。幻想郷って穏やかだと思わない?」

 

霊夢の突然の発言に紫はキョトンとした表情で霊夢を見る。

 

「え、えぇ。幻想郷は平和でとても穏やかよ。稀に異変があったりするけれど、あまり酷くはないからね」

 

「いや、そうなのだけど。逆に穏やか過ぎじゃないかしら?この世界で底が見えない程の力を持つ鬼、貴方みたいな幻想郷最強の妖怪、又は魔理沙や図書館のアイツみたいな上級魔術師。それなのに、みんなほんわかとしてて緊張感というのか……プライドというのか……。そんな物が全く感じられないのよ」

 

「そんなこと無いわよ。みんなそれを表に出さないだけ……。そんなピリピリしてたらこの幻想郷だって平和に成り立っていかないわ。その為に"スペルカードルール"だって作ったのよ。おかげで異変も昔よりは少し少なくなったわ。特に下級妖怪の反乱とか。 といっても、貴方は博麗の巫女としての自覚はあるのかしら?」

 

霊夢は口を噤んだ。

 

「まったく、弾幕やスペルカードがしっかりしてても武術、体術などの格闘技を身につけることも妖怪退治に役に立つし、ちょっとは巫女としての威厳も守れるのではないかしら?」

 

紫は懐から扇子を取り出し、「おかえしよ」とでも言わんばかりに微笑を浮かべながら扇ぐ。

 

「うるさいわねぇ!少しはやってるわよ!」

 

そうは言ったが霊夢は近接戦闘の練習はあまり行っていなかった。弾幕やスペルカードなどの通常な特訓は日々の日課であるが……。

 

紫は霊夢を見透かした様な目付きで手に持つ扇子を閉じる。

 

「それ、幽々子の忘れ物でしょ?こっちで預かっておくわ」

 

言い終わるか終わらないかのところで扇子を持つ右手の真上から突然手が飛び出し、幽々子の扇子をパッと掴んで消えた。

 

ふと紫を見ると左手に幽々子の扇子を握っていた。

 

「相変わらずそういうのは上手よねぇ……」

 

紫はそれを聞いて得意げな表情になる。

 

「あら、そういえば……」

 

何かを思い出したかのように紫はスキマの中から十円玉を取り出し、賽銭箱の方角へ投げた。

 

十円玉の飛んで行った方角は賽銭箱から少しずれていたが、十円玉の放物線上に小さなスキマが現れそれを飲み込んだ。

 

と思った時、賽銭箱の方からチャリーンとお金が落ちる音が聞こえた。

 

「湿気った煎餅のお礼よ。そろそろ煎餅も新しいのを買っておいた方がいいんじゃないかしら?」

 

そう言うと紫は霊夢の返答も待たずにスキマの中に消えた。

 

いつの間にか、宙で開いていたスキマは跡形もなく消えている。

 

霊夢はまた溜め息を吐いた。

 

この神社は高台にあるためあまり人がよってこない。さらにここらの付近では妖怪やら妖精やらがわんさか出るお陰で人を寄せ付けない。

 

前には「あの神社は妖怪に乗っ取られた」とかいった噂が子供たちの間で流行ったものだ。

 

まぁ、その妖怪やらは全て私の知り合いだけど。

 

あの"湿気った煎餅"だってあの氷妖精が持ってきた物だ。彼女の冷気でキンキンに冷えた状態だった。いざ、解凍されたと思ったら水分を吹くんで完全に湿気っている。ありがた迷惑と言うほどまではいかないが、ちょっとは考えて欲しい

 

勿論、そんなこんなでこの神社の賽銭箱には滅多にお金が入らない。

 

今日は十円かと思いながら、霊夢は賽銭箱に近づく。

 

ふと振り返ると、少しボロついた博麗神社の鳥居が見える。

 

霊夢はさらに溜め息をついて意味のない賽銭箱の錠を開け、中を開ける。

 

「あぁ、あったあった」

 

大きな賽銭箱の中では一つの十円玉を見つけるのは少しながら難儀する。

 

「全く、お金を入れるんだったら直接手渡しでもいいのに……」

 

そんな事を呟きながら霊夢は十円玉を指で弾いてキャッチする。

 

それでは賽銭箱の意味が無いという事はあまり考えなかった。なんにせよこの箱に知人以外のお金が入ることはまず無い。

 

「あぁ〜あ、今日は十円か!」

 

とわざとらしく大きな声で呟き霊夢は賽銭箱の蓋を閉じようとした。

 

その時、霊夢にの目に光る物体が飛び込んできた。

 

霊夢は目の錯覚だろうと思った。

 

 

 

 

 

 

無言で賽銭箱の蓋を開けた……

 

 

 

賽銭箱の隅の方で灯籠の光を反射して黄色の光をはなつ物体がある。

 

 

500円玉だ。

 

 

霊夢は目を擦った。

 

 

紛れもなく500円玉だ。

 

 

霊夢は持っている大幣で500円玉を突ついた。

 

 

紛れもなく500円玉だ。

 

 

霊夢はそれを掴んで手にとった。

 

 

それは紛れもなく500円玉だった。

 

 

霊夢は賽銭箱を見た。

 

 

確かに賽銭箱の隅っこに転がっていた。

 

 

 

いつもなら大喜びする霊夢はこの時だけそれに対して何も感じなかった。

 

逆に奇妙に思った。

 

この500円玉を入れたのは恐らく今日の宴会に出席した我らが知人の妖怪や鬼や人間達の筈だ。

 

しかし、霊夢はその宴会に出席し全ての出席者の様子を見ていた。

 

いや、監視と言っても過言ではない。誰かが賽銭を入れてくれるのではないか。そんな期待が霊夢にそのような行動をさせたのだ。

 

だが、出席者は誰一人として賽銭箱には目を向けず、二次会は何処にする? などと言いながら出席者達は石階段を降りて人里向かって行った。

 

勿論、霊夢はお酒など一滴も飲んでいない。

 

一体誰が賽銭箱にこのお金を入れたのか。

 

そんな事、霊夢にはこれっぽっちも想像できなかった。

 

 

 

 

人里の明かりがここからでもぼんやりと見える。今日の宴会の出席者は今頃あの明かりの中で酒を飲み交わしているのだろう。

 

 

 

 

「一体誰が……」

 

 

 

 

霊夢にはそう呟くことしか出来なかった。

 

 




いやぁ……。書いた書いたw

結構書いたw

だが、まだ書かないと!

第二話とかどうすっか……。

……というのはフリで、もう考えてあります。多分……。


次回も少し時間かかると思いまーす!


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