東方人理録 (河影 御月)
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東方キャラ ステータス *ネタバレ注意
ストーリーの進行によって少しずつ開示されていきます。
2017年
8月16日 霊夢ステータス更新
8月17日 ステータスのスキル欄にFGO的な表示を追加
10月23日 ルビを振り、横の読み方を削除
2018年
4月2日 コマンドカード表示を追加
Class :キャスター
真名:
属性:秩序/中庸
ステータス:筋力D/耐久D/敏捷B/魔力A+/幸運B/宝具A+++
クラス別スキル:陣地作成A+
自分にとって有利な環境を作る。A+だと神殿を作成可能。〈自身のアーツカードの性能をアップ〉
道具作成B
魔力を帯びた物の作成が可能。彼女は退魔系統の物を作ることに特化している。〈自身の弱体化成功率アップ〉
固有スキル:直感Ex
戦闘時、常に自身にとって最適な展開を感じとる能力。彼女は日常においてもほぼ未来予知に等しい直感を持つが、ものぐさなため、それが表で発揮されることは殆ど無い。〈スターを大量獲得〉
博麗の巫女A+
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■〈自身に〔魔性〕&〔神性〕特効状態を付与(三ターン)&自身に無敵状態&無敵貫通状態を付与(一ターン)〉
弾幕避けB+++
日常的に行っている弾幕ごっこによって鍛えられた技術。特に飛び道具や遠距離攻撃に対して高い回避能力を持つ。〈自身に回避状態を付与(三回)&自身のNPを増やす〉
宝具:
ランク(C~A+) 種別(対人宝具) レンジ(100) 最大捕捉(10)
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『$$(|^">/])?<-$"|7\)=]]-/~>5"8(|-_))』
ランク(?) 種別(?) レンジ(?) 最大捕捉(?)
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コマンドカード
アーツ2 バスター2 クイック1
幻想郷の博麗神社の巫女、博麗の巫女にして博麗大結界の管理者。主に妖怪退治と異変解決を生業としている。が、基本的に面倒くさがり屋で滅多なことでは動かない。
しかし、一度幻想郷を揺るがす可能性のある異変が発生すると、異変の関係者を問答無用で成敗する鬼巫女となる。
何も無いときは大抵神社の掃除をしているか、縁側でお茶を飲んで過ごしている。
好きな物はお茶と賽銭。
主な武装は退魔の効果を持つ札とお払い棒。
戦闘方法は主に、お払い棒により物理で殴るか、札による遠距離攻撃である。
また、札は彼女が自身の魔力を流すことでさまざまな形状に変化し、繋ぎ会わせることで強力な拘束用のロープの代わりにすることができる。
本人は今のところ気づいていないが、キャスタークラスとして何者かによってこの世界に召喚された。
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プロローグ
2016年、日本のどこか。
そこには古からの自然が残る場所が存在した。
場所の名は「幻想郷」。
博麗大結界によって現世から隔絶された、「忘れ去られた者達」の最後の楽園。
そこでは人と妖怪が、時に争い、時に競い、時に助け合って暮らしていた。
さて、現在割りと平和な幻想郷において、ある噂が存在した。
曰く、「妖怪の山で光り輝く黄金の杯を見た。」
曰く、「それを取りに行った者達が、人妖問わずに行ったっきり戻ってこない。」
曰く、「戻ってこない者達を探しに行った者達も帰って来なかった。」
曰く、「その関係者達も忽然と消えてしまった。」
曰く、曰く、.....
噂は徐々に加速していき、「噂」は「事件」へと発展していった。
これを恐れた人間達は、この事件を「異変」として、博麗の巫女に助けを求めた。
「はぁ~、めんどくさい。何が黄金の杯よ、そんなものあるわけないでしょ。むしろあったら私が欲しいくらいよ...。」
とぶつくさ言いながら空を飛ぶ巫女服の少女。
彼女は
結界の維持と異変の解決を専門とする当代の博麗の巫女である。
「どうせ行方不明者もまたアイツのせいで神隠しにあったんでしょ。さっさと黄金の杯なんて無いことを証明したあとに〆ておかないと...。」
と彼女がぼやいていると、
「霊夢さーん!」と烏のような黒い羽をはやした少女がこちらに飛んで来ながら呼んできた。
「毎度お馴染み!文々丸新聞の射命丸文です!霊夢さんに情報があります!」
彼女は
妖怪の山に住んでいる烏天狗の新聞記者で、『
「文、私の邪魔をしないで。余計なことしたらまた退治するわよ。」
「いえいえ~、今回は本当に役に立つ情報を持ってきたので、お願いですから御払い棒をこちらに向けて封魔針を構えないでください。」
「ふんっ。」
霊夢は戦闘体制を解くと
「で、どんな情報?あの出鱈目新聞みたいに嘘の情報だったら目に封魔針をねじ込むわよ。」
と言った。
「は~、心外です。私の新聞には何一つ嘘は書かれていません。ただ真実をそのまま伝えられたらつまらないじゃないですか。だから私は読者が退屈しないようにアレンジを加えていr「御託はいいから(ギロり)」はい、わかりましたので御払い棒で頬をぐりぐりしないでくださいとても痛いです。「ふんっ。」えーと、ではでは報告させていただきます。」
射命丸は表情を切り替えると
「霊夢さんの探している黄金の杯が、妖怪の山の中腹で見つかりました。念のために、離れたところから白狼天狗達が見張っています。私達は、この異変の元凶であろう黄金の杯の排除を望んでいます。どうか力を貸してください、霊夢さん。」
と言った。
「...わかったわ。本来は博麗の巫女は妖怪からの要望は聞かないのだけど、まぁ、今回はあんたらは関わっていないし、被害者側ってことで見逃してあげるわ。早速だけど案内して。」
「はい、こっちです。」
文に案内された場所はそこだけ木が無く、その中心に黄金の杯がぽつんと置いてあった。
「確かに黄金の杯ね。今のところは?」
「はい。特に何も起こっていませんし、誰も触れていません。」
「そう。」
そう言ってよく見るために霊夢が杯を持ち上げた瞬間、すさまじい風と光が杯を中心に発生した。
霊夢が手を離す隙もなく光は膨れ上がり、周囲を呑み込んだ。
その後、すぐに風と光は止み、何もなかったかのように静かになった。
「........霊夢さん?」
射命丸達の視界が戻った時には、ただそこに黄金に輝く杯が木漏れ日の光を受けて更に輝いて転がっているだけであった。
..........君たちの力が必要だ。力を貸してほしい。
暗闇の中、霊夢はそんな声を聞いた気がした。
ふと意識が回復したとき、霊夢は自分がうつ伏せに倒れていることに気がついた。
「....いったい何が.....?」
目を開けて起きあがった彼女の視界に入ってきたのは、
「「えっ。」」 「どういうことなの!?」 「フォーウ!」
二人の少女とヒステリックに叫ぶ女性、白い謎の生き物、そして
「なによ、これ.....。」
火の海に沈む、見たこともない建物の群であった...。
特異点F 炎上汚染都市 冬木
開幕
to be continued...
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特異点F 炎上汚染都市 冬木
出会い
side ぐだ子
ハロハロ~♪私、藤丸立香。おおよそ高校生♪
今現在私は火の海のど真ん中にいま~す♪
........冗談抜きで死にそうです。
隣に頼もしい後輩が居なければ発狂してたかもしれない...
事はちょっと前に遡る...
私は元々普通の家庭で暮らしていたが、
ある日カルデアと呼ばれる組織にマスター候補とかゆうので呼び出され、
そこで偉そうな女性から「2016年で人類は滅亡する」と嘘か本当か分からぬことを言われ、
話の途中で襲い掛かってきた睡魔と闘うもアッサリと眠ってしまい、
それに怒った女性に放り出され、
自分の部屋となる部屋でさぼっていたDr.ロマンことロマニ・アーキマンに出会い、
暇潰しにロマンと喋っているといきなり爆破テロが起きて、
現場に行くとカルデアに来たときに私を案内してくれた後輩キャラのマシュ・キリエライトが瓦礫の下敷きになって死にかけていて、
彼女のお願いを聞いて手を握っていたらいきなり火の海の中にいた。
ダイジェスト説明終了っと‼
「先輩?誰に向かって喋っているんですか?」
「フォウ~?」
後輩キャラのマシュと白い謎のモコモコ生命体のフォウ君(マシュ命名)が首を傾げて聞いてきた。
「いや、なんでもないよ。」と返事をする。
.........確かに私、誰に向かって喋ってたんだろう...。
まぁ、それはさておき.......。
「所長、落ち着きましたか?」
私は倒壊した建物の陰に隠れて、某クローゼットの中のた〇し君並みに震えながらうずくまっている女性、オルマガリー所長に声をかけた。
「オルガマリーよ‼」
心を読んだ!こいつ、エスパーか!それともスタンド使いか!?
「声に出てるのよ!ああ、何でこんな三流マスターとこんな場所にいるのよ!こんなときレフが居てくれたら....ああ、レフゥ...何処にいったのよ...うっ、えぐっ...。」
因みに、レフとはマシュと一緒にカルデア内を案内してくれた優しげな(ちょっと胡散臭い)コンブヘアーのおっさん、レフ・ライノールのことである。
所長の信頼している人物の一人らしい。
「しかし所長、いつまでも落ち込んでいる訳にはいきませんよ。霊脈のポイントはすぐそこです。移動しないと逆にスケルトン等のエネミーが寄ってきますよ。」
「分かってるわよ!うう、もういやぁ....うっうっ、レフゥ.......。」
マシュの言葉でうずくまっていた所長と私達はやっと移動を開始したのだった。
「霊脈に魔力を求めてきたエネミーが群がっていますね...。排除します!先輩、指示を‼」
と言ってマシュは手に持っている大盾を構えてエネミーに向かって突進していった。
普通の人間ならば、それは自殺行為に等しい。
が、今のマシュはただの人間ではない。
所長曰く、今のマシュは最上位の使い魔たる英霊、「サーヴァント」と人間が融合した「デミ・サーヴァント」と呼ばれる存在らしい。
たった数体しかいなかったうえに、耐久性の低いスケルトンのエネミーは、マシュの攻撃でみるみる数を減らしていき、わずか数分で全滅した。
「....さて、何で霊脈?の上に来たんだっけ?」
「私の盾を使って召喚サークルを作り、カルデアと連絡をとるためですよ、先輩。サークルさえ設置できれば、カルデアから物資を受け取れるようになるだけではなく、戦力となるサーヴァントを召喚することができるようになります。」
「へー、そーなのかー。」
「では、召喚サークルを設置します。」
マシュが持っていた大盾を地面に置き、周囲に何かを書くと、盾を中心に光の環が広がり、幻想的な空間が展開された。
サークルを設置した直後、カルデアとの通信が回復し、Dr. ロマンと情報交換を行った。
因みに所長は通信が繋がったあとすぐにレフのことを聞いていたが、カルデアにレフがいないことを伝えられたらあと、また隅でうずくまり、何かをブツブツと呟いていた。
『...所長はそっとしておくことにして、立香ちゃんには今から戦力となるサーヴァントを召喚してほしい。』
そう言われた直後、手元に七色に輝く結晶のようなものが3つ出現した。
『今そっちに送ったのは聖晶石っていう高エネルギーの結晶体だ。それを使えばサーヴァントを召喚できるはずだ。』
「えっと、......どうやって使うの?」
『マシュの設置した召喚サークルに投げ込めばいいよ。あとはカルデアのシステムで勝手に召喚されるから。』
言われた通りに聖晶石を3つサークルに投げ入れる。
すると魔方陣のようなものが浮かび上がり、高速で回転を始める。
『...うん?なんだこの反応!?サーヴァント、なのか!?と、とにかく気をつけて‼今までにない反応だ‼』
その言葉を聞き、私はすぐにサークルから離れ、マシュは私達を守るように立つ。
サークルの光が強くなり、人型を形成していく。
そして、現れたのは不思議な少女だった。
紅白の変わった形の巫女服、濡れているかのような輝きを放つ黒い長髪、色白のきめ細かい肌、目は閉じているものの整った顔立ち、髪を束ねる紅いリボン、まるでコスプレイヤーのような姿をした少女が........そのまま地面に向かってうつ伏せに倒れた。
「「「...は?」」」 「キュー?」
呆気にとられて見ていると、もぞもぞと動きだし、「...いったい何が...。」と言いながら目を覚まして起きあがった。
「「えっ。」」 「どういうことなの!?」 「フォ~ウ!」
「なによ、これ...。」
そしてその少女は、まるで『何も知らない』かのように目を見開き、周囲の景色を見ていた。
to be continued...
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説明と理解
イベントや学校行事などでプロットが練れなかった。
すまない。
これからもこんな感じだろうが許してほしい。
本当にすまない。
...本編始まります。駄文注意。
side霊夢
........目が覚めたら辺り一面が火の海だった、というのは体験したことがなかった。
一瞬、ここは地底の旧灼熱地獄かと思ったが、前回異変解決のために旧灼熱地獄に行ったときはもっと熱かったうえに、風が一切なかった。
まあ、地底だから風が吹かないのは当たり前だが...
何より、このような巨大な建物(?)は存在しなかった。
河童が似たような建物を建てていたが、ここまで大きくはなかったはずだ...等と考えていると、
「あの~、すみません...」
と、声をかけられた。
声の方向を見ると、紫色の髪をした人間の━━━にしては何か別のものを感じる━━━少女がいた。
「...何?言いたいことがあるならはっきりと言いなさい!それにこっちも聞きたいことがあるわ。あんたがこの異変の犯人?ここはどこであんたは何者でどうしてこうなっているのか......答えなさい!今すぐ‼答えによっては容赦しないわよ‼」
「え?あ、あの、そんなにいっぺんに言われても困ります!その、異変?というのはわかりませんがその他はお答えします!ここは冬木市で、私達はカルデアという組織から来たもので、私はマシュ・キリエライト!どうしてこうなっているのかはわかりません!」
.......異変を知らない?
私は少し驚いた。
冬木だの、かるであだのよく分からないことを言っているが、異変を知らないということは、ここは幻想郷ではないのか?と思い、一瞬感覚を研ぎ澄まして見ると、幻想郷を覆っているはずの博麗大結界を初めとした結界の類いを感知することができなかった。
その代わりに、空の上に凄まじい力をもつ「何か」を感知した。
驚いて上を見上げても、厚い雲で覆われているため、その「何か」を見ることはできなかった。
「あの、上に何か...?そっ、それより!ひとつお尋ねしてよろしいでしょうか?」
「........何?今考えてるところなんだけど。」
「あっ!すみません!でも、知らなければならないことなので!あなたはどこの英霊で、クラスはなんでしょうか?見たところ『巫女服』、つまり日本の英霊でキャスターだとお見受けしますが「英霊?くらす?いったい何を言ってるの?」......え!?」
「え?」 「はぁ!!?」 「フォウ!?」
なんか周りにいた人間二人とよく分からない白い━━しかも何か嫌な感じがする━━小さな獣が驚いたような声をあげた。
「何よ、何かおかしいことがあるの?」
「大有りよ!!!あなたサーヴァントなんでしょ‼カルデアの召喚システムで呼び出せるのは英霊か魔術礼装だけのはずよ‼何の知識もない一般市民が召喚されるなんてあり得ないわ‼」
偉そうな態度の女性が訳の分からないことを叫んでいる。
さーばんと?魔術礼装?何を言ってるのだろうか?
『ひょっとして召喚システムに不備があって記憶がないとか!?それは大変だ!何とかして記おk「黙りなさい‼」はいすいませんでした!!!』
やたらと姿が薄い、根性が全く無さそうな男が喚いていたので黙らせた。
「さっきから訳の分からないことをギャーギャーギャーギャー五月蝿いのよ‼いくら私でもあんまり五月蝿いと怒るわよ‼(ギロッ!)」
「『ひぃっ!!!』」
「...で、そこの紫色の髪をしたマシュマロ「マシュ・キリエライトです!」そうそう、マシュなんちゃら、その英霊とか『くらす』とか『さーばんと』とか、あと召喚っていうのはどういうこと?」
「あ、はい。まず英霊とは...━」
少女説明中......
「......成る程、英霊っていうのは神話とか伝承なんかに出てくる人達の霊で、『さーばんと』っていうのはその英霊を式神にしたもので、『くらす』っていうのはその英霊の側面のことをいうのね。」
「はい。厳密には違いますが大体合ってます。」
...私の知らない知識だった。
このことを阿求が知ったら喜んで記録するだろう。
「ってことは、ここは本当に外の世界ってこと?紫から聞いてたのとは随分と違うけど...。」
紫から聞いてた外の世界は、妖怪等の神秘はほとんど存在しておらず、河童達よりも優れた技術を使い、たくさんの人々が闊歩する世界だと聞いていたが......。
今のここは空気が幻想郷のそれに近い、要するに神秘が漂っている。
そして見る限り人は目の前にいる四人(?)しかいない。
「外の世界って、まるで別の世界から来たみたいな言い方だね。」
と、マシュ・なん(以下略)の横にいた橙色の髪をした少女が言った。
「...まあ、ある意味別の世界って言えるわね。」
「え、本当に異世界から来たの!?」
「え~っと...めんどくさいわね。いい?一度しか言わないからよく聞きなさい。私がいたのは幻想郷といって...━」
少女説明中.....
「成る程、要するに固有結界の中に作られた箱庭のような感じですね。」
「固有結界っていうのはよく分からないけど、たぶんあってるわ。」
「それであなたはその神隠しの異変を解決するためにその黄金の杯を取ったらこっちに来たってことであってる?」
「その通りよ。」
二人は理解したようだ。
『....ってことは、この極東の島国にはカルデアでも観測できない領域が存在するってことか‼』
「あり得ないわ‼物理的な干渉もできず、魔術的干渉すらもできない上に何百年も存在し続ける固有結界なんて、そんなの完全に魔法の領域よ!!!」
ヒステリックに叫ぶ女性と姿が薄い男は納得していないようだ。
「何よ、うるさいわね。それに幻想郷では普通に魔法は存在してるわよ。私は使えないけど。」
「あり得ないわ.....」
そう言って女性はパタンと倒れた。
外の世界はやっぱりよく分からない、と私は思った。
to be continued...
丁寧口調がマシュ。フレンドリーな口調が藤丸立香です。
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君の宝具は。
河影 御月 は 目の前 が 真っ暗 に なった‼
すみません。
またしばらくは出せそうにありません。
時間とネタができたらまた書きます。
本編始まります。相変わらず駄文注意です。
sideぐだ子
目の前の少女の話は興味深いものだった。
『幻想郷』と呼ばれる人間と妖怪が共存する箱庭。
彼女と妖怪の賢者とやらによって成立した決闘法、『スペルカードルール』。
幻想郷における揉め事の解決法である『弾幕ごっこ』など、聞いたことのないもので溢れていた。
マシュは「行ってみたいです!」と目を輝かせ、所長は話が進むにつれて目のハイライトが消えて虚ろな表情になっていき、ドクターは唖然として聞いていた。
「そういえば、あなた達の名前を聞いてなかったわね。教えてちょうだい。」
彼女は周りの様子を一切気にすることなく名前を聞いてきた。
「では、改めて。私はマシュ・キリエライト。気軽にマシュと呼んでください。そしてこの子はフォウさんです。え~と...」
「霊夢、博麗霊夢よ。」
「はい。霊夢さん。」
「さんはいらないわよ。」
「いえ、つけたほうがしっくりするので。」
「そう、であなたは?」
「私は藤丸立香。よろしくね、霊夢。」
「藤丸...めんどくさいし『ぐだ子』でいいかしら?」
「え、何そのあだ名......」
「....リヨっとしててぐだぐだしてそうだから?」
「訳が分からないよ(° ω °)」
「なんかふと頭に浮かんで.......で、何その顔?」
「なんかフォウ君とは違う胡散臭い白い獣が頭に浮かんで.....淫獣?QB?うっ、頭が.....」
「しっかりしなさい....それはそうとぐだ子、あそこに突っ立ってるのは誰?」
霊夢は目のハイライトが消えている所長を見ながら聞いてきた。
「あの人はオルガマリー所長。一応私達の最高責任者だよ。」
『そして僕はロマニ・アーキマン。ドクターロマンと呼んでくれ。』
「オルマガリーにロマンね、覚えたわ。」
「オルガマリーよ‼」
目が一瞬で戻った所長は名前を間違えられたことに怒って抗議し始めた。
「オガルマリー?」 「オルガマリー!」
「オマルガリー?」 「オルガマリー!」
「オルガマリー?」 「オルマガリー!...じゃなくてオルガマリー!」
「冗談よ、もう覚えたわ。」
「ハァハァ...もう二度と間違えないでちょうだい。」
ある種のコントか何かだろうか?
「ところで、あなた自分がどんなサーヴァントなのか把握してるの?」
「いいえ、何も分かってないわ。そもそもサーヴァントってものさえ知らなかったのよ、分かるわけないじゃない。」
「...おかしいわね、サーヴァントは召喚された時にその時代の知識を得るはずなのに......てことはあなた、宝具使えないの?」
「宝具って何?」
『僕が説明するよ、ミス霊夢。』
「ミスはいらない、普通に霊夢でいいわよ。」
『わかったよ、霊夢。では、宝具とは何かを説明しよう。ちょうどいいし、立香ちゃんも聞くといい。』
『宝具とは、簡単にいえば人間の幻想を骨子につくりあげられた武装だ。英霊が生前に築き上げた伝説の象徴であり、物質化した奇跡、通称「ノウブル・ファンタズム」と呼ばれるものだ。有名なものはアーサー王の持つ聖剣であるエクスカリバーとかだね。要するに英霊の使っていた武器、もしくは英霊の生きざまを具現化したものさ。英霊はどんなに弱くても、必ず1つは宝具を持っているものなんだよ。』
「使ってた武器.....もしかして私のスペルカードとか宝具になってるのかしら。」
そう言って霊夢は袖の中から5枚のカードを取り出した。
よく見ると何か文字とイラストが描かれていた。
「それがスペルカード?」
「そうよ。私の代で成立した決闘法、『スペルカードルール』に使われる札よ。さっき幻想郷について話した時に弾幕ごっこがどうのって言ったでしょ。弾幕ごっこは名の通り弾幕を撃ち合って、弾を相手に一定回数以上当てれば勝ちというルールよ。だけどもうひとつルールがあってね、ただ弾幕を撃つだけではなく、その弾幕の美しさをいかに表現できるかも競うの。その時に使われるのがこのスペルカードよ。この札に自分の考えた弾幕の名前を書いておいて、撃つときにこれを掲げて宣言してから撃つのよ。『境界・二重弾幕結界』!みたいな感じで...」
霊夢が実際にカードを掲げて説明していると突然カードが光始め、やがてカードから溢れた光は、紅白の光で構成された美しい弾幕となり、近くの瓦礫の山を囲むように広がると弾幕の檻からさらに弾幕が放たれ、瓦礫の山を粉砕した。
その時、
「ギャー‼」 「オノレェ‼」 と声が聞こえた気がしたが....
「......ねぇ、今誰かいなかっt「いなかったわ。」うん、いなかった。」
『........今の反応は恐らくサーヴァントのものだろう。まさか説明に巻き込まれて倒されるとは思ってなかっただろうね。幸いにも敵意剥き出しだったから倒しても問題ないはずだけど......。』
「だからいなかったって言ってるでしょ!」
霊夢は否定してるけど........うん、やっぱりいたね。
ちなみに所長は威力に驚いて茫然としてる。
「........ねぇあなた!今!しれっとサーヴァント倒してるじゃない‼見直したわ‼召喚された時てっきり記憶をなくした弱小英霊かt「いちいち五月蝿い!」ひぃっ!!!」
「あのねぇ、これでも私、結構異変を解決してきたのよ?それこそ吸血鬼やら幽霊やら月の連中とかいろんなやつらを退治してきたし......」
「...へ!?吸血鬼!?あなた死徒と渡り合えるっていうの!?」
「...?死徒って何『大変だ‼』何よ!『わっ!ゴメン!ってそれどころじゃない‼』」
「どうかしたんですかドクター?」
「ロマン、どうかしたの?」
『今そっちにすごいスピードで何かが向かってる!この反応は...!』
ドクターが話し終える前に、黒い影が私達の前に現れた。
手に鎖を持ち、黒いもやに覆われている女性。
一目見れば分かる、明らかに人間を超越した存在感。
間違いなく、敵サーヴァントの襲来だった。
to be continued...
ちなみに、弾幕に巻き込まれて退場したのは、ゲームの方のランサーとアサシンです。
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遭遇と無知
ただでさえひどい文章がさらに劣化していると思いますが、ご了承ください。
本編始まります。
sideぐだ子
やって来たのは一体の女性サーヴァント。
全身が黒いもやに覆われててまるで影のようだった。
その姿からはただ者ではない雰囲気が漂っている。
「...サーヴァント。ええ、殺しがいのありそうな人間もいます...。」
しゃべった!?黒いもやに覆われてて正気じゃないようにしか見えないんだけど!?
どう見ても理性が消し飛んでるよね!?
...それはそうとして、フム。
私は一旦落ち着いて冷静に相手を観察する。
相手がどんな英霊なのかを考えるためだ。
戦闘能力が皆無で魔術のまの字すら理解できていないへっぽこの私でもできること、それは相手の特徴を知り、マシュと霊夢の助けになることだ。私は元々本が、特に歴史や神話の本が好きだった(理解できて覚えられるかは別として)。戦闘の助けになれなくとも本の知識で相手の真名を当てるくらいはしてみせる!
そう、
決して相手のナイスバディに悩殺されたわけではない‼
そう、これはマシュと霊夢の助けになるために必要な観察だ、だから相手の身体をじっくりと観察することも必要なことだ異論は認めん。
改めて相手サーヴァントを見る。
黒いもやに隠れて見えにくいものの、身長は結構高めで、紫色の美しい長髪を持ち、目のところには鱗のような模様の紫色の眼帯、何よりも目につくのは服装と胸部だ。
服装は明らかにサイズが合っていない黒を基調としたボディコン、白っぽくきめ細かい肌とマッチして実にGOOD。
そして問題の胸部、ボディコンから溢れんとばかりに露出されている美しきoppai。まさしくそのサイズはメロン、もしくはスイカに例えることができよう。
嗚呼、実にエロスである...眼福である...こう、激しく動けばポロn「先輩!驚くのはいいですが正気に戻ってください‼」はっ!私は今まで何を!?
あ、危なかった...。中学生時代から若干ソッチ系もイケるようになっていた思考回路が暴走するところだった.....。
気付けばマシュは私と所長を守れるように目の前で盾を構え、霊夢も武器なのかスペルカードとは違う別の札とお払い棒を構えている。
「......貴女達、なかなかいいですね。私の好みとは違いますが、痛めつけたあと石にしてあげましょう。」
なんかすごい物騒なこと言ってる!ていうか石!?石にされるってどういうこと!?
「ドクター!」
『ああ、今スキャンが終わった!この霊基はライダーだ!そしてさっき石にするとか言ってたし、間違いない!たぶん相手は「まさかゴルゴン三姉妹のメデューサ!?」所長!セリフとらないでください‼』
「ええ、その通りです姿無きもやしチキン。私こそが形のない島の怪物、メデューサです。今回はライダーとして現界しました。」
『やっぱりか!って姿無きもやしチキンってもしかして僕のこと!?』
「ええ、姿が見えないうえに、ここぞというときに驚きのヘタレっぷりをみせるだろうと思ったから、そう名付けました。それともワカメのほうがよかったですか?」
『初めて会ったサーヴァントにそんなこと言われるなんて...グスン......。』
またなんかコントしてる....
「メデューサ」、ギリシャ神話における有名な蛇の怪物、だっけ?たしか目を見た者を石に変えるとかいう能力を持ってて、最後はペルセウスに退治された...であってるはず。
「ちょっと!いきなりなんでギリシャ神話の怪物がしれっと出てきてるのよ‼こういうのはもっと弱い奴から出てくるのがお約束でしょ‼」
「所長!混乱するのはいいですが、少し落ち着いてください‼それに今いる場所は特異点です!仮に強力な反英霊が出現してもおかしくありません‼」
そんな感じでほとんどのメンバーが混乱するなか、霊夢はきょとんとした顔で質問してきた。
「ねぇ、メデューサって何?あと反英霊って?」
その瞬間、周囲の空気が凍り付いた。
敵サーヴァントであるメデューサですらポカンとしている。
『.......そういえば霊夢はこっちとは隔絶された場所に住んでるんだっけ....、それなら知らなくても無理は無いけど...メデューサはギリシャ神話に登場する蛇の怪物だ。ゴルゴン三姉妹の末の妹で、見たものを石に変える石化の魔眼を持っていることで有名だ。最終的には英雄ペルセウスの持つ不死殺しの鎌であるハルペーによって首を切られて退治されたとされているよ。』
「...よく分からないけど、相手は妖怪の類いで異変に関わっているのね?」
『まあ、......そういうことになるね。というか反英霊については「なら異変解決のために退治するわ!」.......後で話すか.....。』
「話は終わりましたか?待ちくたびれました。」
待っててくれた!意外にいい人だこの
仮に彼女にマスターがいたら絶対表だけでも健気でいい人だろう。なぜかわからんが間違いないと思う!
「ふふふ...それにしても、私を退治すると?面白いことを言いますね。」
「当たり前でしょ、異変解決に妖怪退治は博麗の巫女の仕事よ。それにあんた、異変の関係者でしょ。なら問答無用で退治するだけよ‼」
「私に勝てるとでも?見たところそれなりの身体能力を持っているようですが、貴女は人間。力とスピードはこちらのほうが上でしょうし、そこにいる盾を構えている彼女は戦闘経験が殆ど無いようですから、二人がかりでも十分に勝てます。」
「へえ、大した余裕じゃない。あんた慢心と傲慢は身を滅ぼすって知ってる?私が退治したやつの中には、自分がこっちを圧倒できると思い込んで襲い掛かって来たから、返り討ちでボコボコにしてやったやつがいたわ。あんた、その態度がそいつにそっくりね。」
「慢心と傲慢は強者の特権です。貴女達相手では負ける気がしません。」
「...ムカつくわね.......。マシュ、あんたはぐだ子...マスターを守りなさい。こいつは私が相手をするわ。」
「でも、霊夢さん!相手はサーヴァントです!しかもそれなりに上位の存在です!ここは二人で確実に「あんたはまだ素人でしょ!ならまず戦いがどういうものなのかしっかりと見ておきなさい‼」...はい、分かりました。」
マシュは少し悔しそうにしながらも私達を守る体勢をとる。
恐らく自分の力では足手まといにしかなれないことを悟ったのだろう。
「マシュ。」
「....はい。」
「これから強くなろう。」
「.....!はい‼」
私はマシュを慰める。
確かに今は弱いけど、一緒に強くなろう、という気持ちを込めて。
「一人でいいんですか?そちらこそ余裕そうですね。」
「妖怪退治は私の専門分野よ。それに、見たものを石に変えるかなにか知らないけど、能力持ちとの戦いは今までいやというほどやってきたのよ!」
お互いに力は未知数、どんな結果になるのか私には分からない。
ただ、1つ分かることがある。
それは、どちらも相手に勝てると確信していることだ。
霊夢は改めて札とお払い棒を構え、メデューサは鎖付きの短剣を持つ手に力を込める。
「14代目博麗の巫女、博麗霊夢」
「ゴルゴン三姉妹が三女、メデューサ」
「とりあえず━━倒れなさい‼」
「では━━優しく殺してあげましょう!」
今、二人の英霊が激突する。
to be continued...
次回、遂に戦闘描写!
ショボくなるかもしれませんが、お楽しみに!
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蛇と巫女
今回は前回言った通り戦闘回です。
相変わらず下手ですが生暖かい目でご覧ください。
では、本編始まります。
side三人称
二人はほぼ同時に走りだし、ほぼ中間で激突した。
霊夢はお払い棒で、メデューサは鎖の先端についている短剣でつばぜり合う。
しかし霊夢のほうがすぐに押されてゆく。
元々メデューサは反英霊として高い筋力を持ち、加えてスキル「怪力」によって底上げされている為である。
力比べでは不利と判断した霊夢は即座に後ろに跳び、それと同時に手に持っていた札を投げ放つ。
メデューサが鎖で札を打ち落とそうとすると、次の瞬間、札の爆風の直撃を受けて吹き飛ぶ。
メデューサの操る鎖を自動的に避けて飛んできた札が彼女に触れた瞬間爆発したのだ。
受け身をとり、即座に体勢を立て直したメデューサの目の前に、お払い棒を降り下ろそうとする霊夢の姿があった。
降り下ろされた瞬間、メデューサは避けようとせず、逆に霊夢の懐にもぐり込み、すさまじい威力と速さの蹴りを腹に向けて放つ。
メデューサが避けると思っていた霊夢はその蹴りを無防備にくらって吹き飛び、瓦礫の山に突っ込む。
「「霊夢!」‼」 「霊夢さん!」 「フォウ!」
三人と一匹が彼女の身を案じて悲鳴をあげる。
「大丈夫よ....。」
しかし、霊夢は何事もなかったようにむくりと起き上がる。
「ったく、やってくれるじゃない。」
霊夢が服を払うと服の間や袖から大量の札がバラバラと落ちる。
「仕込んでおいた衝撃吸収用の護符が一気にやられたわ。勇儀ほどじゃないけど、あんた相当な馬鹿力の持ち主ね。」
「おや、てっきり内臓が全て破裂して絶命したかと思ったのですが....。」
「バカ言わないで頂戴。私が妖怪退治をするのに何も準備しないと思うの?どんなに低級でも妖怪は妖怪。衝撃、斬撃、呪い、魔力、その他諸々の対策はきっちりとしてるわよ。弾幕ごっこだってそのルール上事故で死ぬことだってあるんだから、それくらいしておかないとやってられないわよ。」
「...成る程。では、これならどうでしょう?」
メデューサはそう言うと、眼帯を外して石化の魔眼、キュベレイを発動する。
「.......!?」
その瞬間、明らかに霊夢の動きが鈍る。
「動き辛いでしょう。私の魔眼、キュベレイは魔力C以下の者を無条件で石化させ、魔力Bでも場合より石化が可能です。貴女はA以上あるようですが.....、それでも『重圧』の効果は受けているようですね。」
「ふん!これくらいが調度いいハンデよ!」
霊夢は即座に攻撃を再開するが、重圧のせいでステータスが下がっているため、近接攻撃をを一切せず、札による遠距離のみに切り替える。が、
「二度同じ手はくらいません!」
メデューサは鎖を操り、札を挟むようにして破壊する。
「なら、」
それを見た霊夢は持っていた札に魔力を通し、針のような形状に変えて投擲する。
「封魔針!」
投擲された封魔針は手を離れた瞬間に仄かな光を宿し、札の時の数倍の速さでメデューサに向けて一直線に飛んでゆく。
メデューサは自身の敏捷をいかし、札と封魔針を回避しながら鎖で打ち落とす。
しかしいくつか避け損ね、体に突き刺さる。
すると、刺さったところからすぐにダメージを受け始める。
「......‼退魔の効果があるのですか‼」
メデューサは慌てて封魔針を引き抜こうとするが、
「させないに決まってるでしょ!」
さらに大量の札と封魔針が飛んでくるため、そのままダメージが蓄積される。
やがてメデューサが少しずつ押されてゆく。
「....っ、宝具が使えないのは厳しいですね!」
そう、今の彼女はとある事情により通常よりも劣化したシャドウサーヴァントである為、本来のスペックの八割程度しか出せず、さらに宝具が一切使うことができないのである。
「ですが、私は負ける訳にはいかない‼」
そう言うと、メデューサは守りを捨てて、自滅ギリギリの全力攻撃をし始めた。
劣化していても反英霊。
力がこもった鎖はあっさりと地を砕き、敵を捕縛せんと霊夢を執拗に狙いうねる。
(...まずいわね。このままだと埒が明かない。)
一方、霊夢はメデューサに攻めきれないことに焦り始めていた。
今のメデューサは守りを捨てて、全力攻撃をしている。
しかしその結果、霊夢が放つ札や封魔針がメデューサの攻撃に巻き込まれ、当たらなくなっているのだ。
(...仕方ない、宝具を使うか。)
そう瞬時に決めた霊夢は一度攻撃を中止し、後ろに跳んで距離をとり、
「『境界・二重弾幕結界』!」
即座にスペルカードの宣言を行う。...が、
(...発動しない!?)
なぜか宝具は発動しなかった。
そして、その一瞬の動揺による隙が命とりとなった。
メデューサの操る鎖が霊夢の体を完全に捕縛する。
「やっと捕まえました。ふふ、まさか貴女の宝具が不発に終わるとわ...、災難でしたね。もっとも、今から死ぬのですが。」
「霊夢!」 「霊夢さん!」
「安心しなさい。彼女に免じて、貴女達は殺さずに石にするだけにしましょう。」
メデューサが止めを指す為に霊夢に向けて短剣を降り下ろす。
「......ええ、本当に災難だったわね━━━あんたが‼」
体に必殺の一撃が突き刺さる。
「.......コフッ!」
彼女が自身の体を見ると、胸から鋭い針、封魔針が飛び出していた。
「......いったいどうやってあの鎖から脱出して、後ろに回り込んだのですか?」
彼女は退魔の力に体内を焼かれながら質問した。
サーヴァントは一部の例外を除き、頭部と心臓部に急所を持つ。
つまり、人間と同じく頭か心臓を破壊されれば━━死ぬ。
そして彼女、メデューサの心臓は退魔の力を持つ封魔針によって貫かれていた。
この時点でメデューサの消滅は確定した。
しかし、メデューサは拘束していたはずなのに、いつの間にか後ろに回り込んでいた霊夢にどういうことか聞きたかった。
「...そういえば言ってなかったわね。私、殆ど使わないけど瞬間移動が使えるのよ。もっとも、結構力使うし、一度に移動できる距離は50メートルが限界だけどね。」
それを聞き、メデューサは(反則だなぁ)と思いながら手足の先から消滅していく。
「.....申し訳ありません........桜..━━━」
その言葉を最後に、魔力の粒子を散らし、メデューサは完全に消滅した。
to be continued...
次回は設定か次に進むかのどちらかにします。
時間がかかるかもしれませんがよろしくお願いいたします。
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キャスターとクリティカル
なかなかプロットが繋がらなかったのと、時間がなかったため、投稿できませんでした。
こんな感じの作者ですが生暖かい視線で見ていてください。
10月27日 あとがきを修正
side ぐだ子
その戦いはまるで神話の再現だった。
暴力的な力の奔流と、人知を超えた速度で繰り広げられる高速戦闘はまるでリアルな映画のようだった。
所々ヒヤリとするところはあったが、霊夢は無事にメデューサとの戦いに勝利した。
メデューサが完全消滅したのを見て、私は安心して彼女のもとへ走り出した。
「霊夢~!」
「ッ!止まりなさい!」
それを見た霊夢は厳しい顔で私に待ったをかける。
「ほー、そこのお嬢ちゃんはそれなりの場数を踏んできたみたいだな。まさか俺の気配に気付くとはな。」
そんな声とともに、瓦礫のかげから青いフードを被り、杖を手に持つ男が出てきた。
「ドクターロマン!あなたちゃんとモニターしてたの!?敵が来たならさっさと報告しなさいよ!」
『ごめんなさい所長!でも僕が言おうとしたときにはもう霊夢が喋っていたんですよ!』
「あんたたちは少し黙ってなさい!」
「『はい‼』」
混乱していた所長とロマンは霊夢の一喝によって静かになった。
そりゃ霊夢の一喝は怖いだろう。
「...で、あんたは何物?私の敵?何が目的なの?答えなさい!」
そして霊夢は多少の威圧感を滲ませて青いフードの男に質問する。
「分かった分かった、1つずつ答えてやる。まず、俺はこの冬木の聖杯戦争に参加していたサーヴァント、クラスはキャスターだ。お前達の敵かっていうと...まあ、どっちかといえば味方だな。そんで目的はこの冬木の異変の解決だ。これでいいか?」
しかし、青いフードの男は威圧をものともせずにスラスラと答えた。
「どちらかといえば?」
「ああ、何せ目的は一致してるみたいだしな。だからといって完全に味方っていう訳でもねぇだろ?」
「...とりあえず、協力するってこと?」
「まあ、そういうことだ。俺としてもこの異変は解決してぇしな。それと俺ははぐれサーヴァントだ。今んとこ消費魔力を抑えて活動してるがもうそろそろ限界が近いんでな、このままだと消滅しちまうから、そこのお嬢ちゃんを仮のマスターとしていいか?」
「『はぐれサーヴァント』?なによそれ?それと消滅するって?」
「私が説明します、霊夢さん。『はぐれサーヴァント』とは何らかの原因でマスターを失ったサーヴァントの総称です。こうなってしまったサーヴァントは、通常では魔力を得ることができないためすぐに消滅してしまうのです。そのため、はぐれサーヴァントは消滅を回避するために、新たなマスターを見つけてパスを繋ぐか、人間を襲い、魂を喰らうことで魔力を得るかのどちらかの行動をとるしかないのです。」
「ふーん...なるほどね。だからぐだ子をマスターとして契約したいわけね。それにしても詳しいわねマシュ。」
「一応サーヴァントの知識はカルデアで教わったのである程度は...。」
やっぱりマシュはとても賢い後輩だったようだ。
サーヴァントの知識があまり無い私でも分かりやすい説明だった。
その後、キャスターと契約した私は、マシュ達と共に、この冬木の災害のことを聞きながらキャスターの案内に従って移動を開始した。
「つまり、この冬木の異変は聖杯戦争が何らかの原因で歪み、一番最初に汚染されたセイバーがキャスターさん以外の全てのサーヴァント達を倒して黒化英霊に変質してしまい、気付けばこの町は炎に包まれていたと、そういうことなんですか?」
「おう、ざっくりと言えばそうだな。」
マシュが確認している間もキャスターはどこかに向かってスケルトンなどの敵を倒しながら歩き続けていた。
「付け加えるならライダーとランサーとアサシンはそこの嬢ちゃんが仕止めちまったから、残ってるのはセイバーとアーチャーとバーサーカーだな。まあ、バーサーカーに関しちゃ特定の場所から動かねえから、手を出さなけりゃ問題ねえな。」
なるほど、と思いながら歩きながらキャスターの案内する先を見ていると、どうやら山の方に歩いているようだった。
山に何かがあるのだろうか?
「...ねえ、キャスター。今、どこに向かってるの?」
「ああ、今向かってるのは大聖杯のある洞窟さ、そこにセイバーが陣取ってる。」
「大聖杯?聖杯とは違うの?」
「はい先輩、私達が主に知っている聖杯は、キリストが自身の血を注いだというholy chaliceと呼ばれるものです。一方、ここ冬木の聖杯は遠坂、マキリ、アインツベルンの御三家が作り出したholy grailと呼ばれるもので、冬木の霊脈から60年の時間をかけてマナを吸い上げて、英霊七騎を召喚できるほどの魔力を溜め込み、魔術師達と英霊による戦いを引き起こして、最終的に勝ち残った組にあらゆる願いが叶えられるとされる聖杯を与えるものだそうです。」
私が疑問を口にすると、またしてもマシュがスラスラと答えた。
「そんで与える聖杯は端末である『小聖杯』って呼ばれる器。俺達が今向かってる場所にあるのがマナを吸い上げるための聖杯の本体とされる『大聖杯』って訳さ。」
キャスターの補足もあり、かなり分かりやすい説明だった。
「なるほど。あ、それともうひとつ。セイバーの正体って分かってるの?」
するとキャスターは明らかに顔を歪め、ため息までつきながら答える。
「...ああ、分かってる。何せあの剣を見りゃわかる。」
「そんなに有名な剣を持ってるの?」
「そうだ、あまりにも有名な星の聖剣、セイバーはその担い手だ。」
「......それってひょっとしなくても.....」
「そう、ブリテンの騎士王にして聖剣エクスカリバーの持ち主、アーサー王さ。」
「そんな!?伝説上でも最強の聖剣使いじゃない!そんなのが敵なの!?」
やっぱり所長はパニックになっていた。
もはや短時間でなれてしまった感じがする。
「...ねえ、アーサー王って誰?」
はい、これも予想通り。
まあ、仕方ないだろう。
『こっちに戻ってきたら霊夢にはある程度の歴史や伝説を教える必要がありそうだね...。』
ロマンも霊夢の教育を決意したようだ。
せめて最低限の知識は覚えてほしいものだ。
「...とりあえず、アーサー王っていうのはブリテンっていう土地で存在していたっていう伝説の王さまだよ。すごく有名な聖剣であるエクスカリバーの持ち主で、ブリテンを何度も救済したけど、最終的に自分の仲間だった騎士に裏切られて相討ちになったっていう逸話...だったはず...。」
自分の知識も意外に曖昧で自信をもって言えないのが困る。
『大体合ってるね。詳しい説明とかはカルデアに帰ってきてからだ。』
「どうでもいいけど、そいつって強いの?」
そしていつも通りのスルーっぷり。
短時間でだが霊夢の性格が分かった気がする。
「ああ、強いぜ。普通に戦っても並のサーヴァントなら歯が立たないうえに、聖剣の一撃は簡単に山を吹き飛ばす威力があるからな。まあ、このメンバーなら大丈夫だろうが...。」
「大丈夫ってどういうこと?」
どう考えても難易度ハード位はありそうだが...
「そりゃ、盾の嬢ちゃんの盾があるからさ。嬢ちゃんの宝具を使えば大抵のものは防げるだろうさ。」
マシュや私なんかはこの盾がどういう物か分からないが、キャスターの見立てではすごい物らしい。
しかし...
「....すみませんキャスターさん。実は私、宝具を使うことができないんです。」
そう、マシュは人間と英霊のハーフであるデミ・サーヴァントだが、本人いわく力を貸してくれた英霊は名も告げずに消えてしまったそうだ。
宝具は逸話の具現。
逸話を語るための名前がなければ宝具が使えないのはある意味当然である。
事情を聞いたキャスターは少し考えているようだ。
「んー、つってももう洞窟の前に着いちまったし...。今から特訓しようにも雑魚の密集地帯は通りすぎちまったしな~.....ッ!ちょうどいい、洞窟の前にはあいつがいたな。」
「...ねえ、キャスター。ひょっとしてこの洞窟の近くに敵サーヴァントでもいるのかしら?さっきから私の勘に引っ掛かるような感じがするんだけど....。」
霊夢は何かに気付いたように周囲を警戒する。
「勘ねえ...。ああ、実際ここにはセイバーの門番でもやってるのか、アーチャーがいる。ほぼぶっつけ本番だが、とりあえずウォーミングアップ代わりと盾の嬢ちゃんの宝具慣れも兼ねて倒すか。」
「ウォーミングアップ扱いとはな。まあ、事実彼女の方が強いから前座といえば前座なのだが....。」
そんな声とともに1人の男が少し離れた崖の上に現れた。
メデューサの時と同じく、全身が黒いモヤに覆われている、黒化英霊となったアーチャーだった。
しかし、アーチャーを見た瞬間、私は強い既知感を覚えた。
アイディア(70)→02 クリティカル‼
そして、私は、彼の、ことを、思い、出した....
「エミヤさん!エミヤさんじゃないですか‼」
「ブフゥッ!?」
「「『「...えっ!?」』」」
相手はまさかの知り合いでした。
to be continued...
シリアスぽいっと思いましたか?
残念、ギャグでした!
突然ですが、アンケートをとりたいと思います。
詳しくは活動報告欄を御覧ください。
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弓兵にして弓兵にあらず
どんなに時間がかかってもある程度は作品に結果を反映するつもりなのでどしどし意見を出してくれると嬉しいです。
また、この作品の進行速度はかなり遅いです。
一話あたりで少ししか進めないので、気長に待っていてください。
今回はシリアル&バトルでお送りします。
いつに増して駄文です。
御了承ください。
side霊夢
「エミヤさん!エミヤさんじゃないですか‼」
「ブフゥッ!?」
「「『「...えっ!?」』」」
いきなりぐだ子が叫んだ。
エミヤとはアーチャーのことだろうか?
なんか吹き出してるし。
英霊の知り合いでもいるのだろうか?
「ぐだ子、あんたの知り合い?」
「そ、そうだ!何故君は私の名前を知っている!?」
するとぐだ子はこちらを向き、なにやら嬉しそうに説明する。
「エミヤさんのことは知ってるよ!数年前に親に『少しは女子力をつけなさい』って言われて通ってた料理教室の先生がエミヤさんだったの!...でも髪の色とか肌の色とか声とか口調とかは今と全然違うけど。いったいどうしたんだろう?」
「エミヤさん!私です!藤丸立香です!あの時は美味しいシチューの作り方を教えてくださって、ありがとうございます!」
「お、おう。どういたしまして?じゃなくて!藤丸.............あっ‼」
アーチャーは少し考えたあと、何かを思い出したかのようにしゃべり始めた。
「思い出した!君はシチューを作ろうとして激辛麻婆豆腐を作り出した、藤丸立香だな‼」
「はい!思い出してくれたんですね!」
「忘れられるか!私が渡したレシピ通りに作られた筈なのに、どこぞの外道麻婆神父が作り出す麻婆豆腐とほぼ同じ物が何故できたのかずっと考えていたのだぞ‼」
「私にもわかりません!そういえばエミヤさん、あれからも液体状の料理を作ろうとすると必ず麻婆豆腐になっちゃうんですけど、何ででしょうか?」
「知るか‼」
...おかしい、相手は一応敵なのに、この空気の緩さはなんだろう。
「そういえばエミヤさん。」
「....何かね?」
「四股してるって本当ですか?」
「なっ!?しているわけ無いだろう‼というかその情報はどこから「ときどき買い物先で会う間桐さん。」桜~!根も葉もないことを~!あっ!違うぞセイバー私は本当に四股などしてn「あとエミヤさんの料理教室のアシスタントとしてきてた遠坂さんも愚痴ってた。」君もかリン‼ち、違うぞセイバー私は本当に.....なに?愉悦シスターの時?あれは事故だ!断じてやましいことなど.....ッ!わ、分かった、分かったから...はぁ、なんでさ.....。」
アーチャーは暫く何かを喚いたあと、若干やつれた表情でため息をついた。
「...?なんで1人で話してるんですか?」
「...セイバーと念話していた。彼女いわく『信じて欲しいなら働け、死ぬ気で、いやむしろ死ね。』とのことだ。というわけで今から私は全力で君たちを排除しなければならなくなった。悪く思わないでくれ。」
そう言ったアーチャーは何処からか弓と...一振りの剣を取り出した。
「...
その言葉と共に、アーチャーは弓に剣をつがえる。
すると剣の形が矢のように変化し、放たれる。
呆気にとられているなか、剣(矢?)は真っ直ぐに飛んでいく。
同じく呆気にとられているぐだ子とマシュの方へ......
「アンサズ!」
ぐだ子とマシュを貫く筈だった剣はキャスターの呪文らしき言葉と共に炎に包まれて燃え尽きる。
「ボサッとするな!あのアーチャーは弓兵らしくない戦いかたをする上に、合理的だ!油断しているとマスターをやられるぞ!」
「余計なことをしてくれたなランサー。いや、今はキャスターか。そのまま突っ立っていてくれれば早急に終わったものを....。まあいい、では、まずは数を減らすことにするとしよう。
その言葉と共に、今度は歪な形の赤い剣を弓につがえる。
「赤原を行け、緋の猟犬!━━
私に向かって放たれた赤い剣は目にもとまらぬ速度で私に迫る。
「....!ほう、今のを避けるか。」
私は赤い剣を勘と日々の弾幕ごっこで鍛えられた動きでギリギリ避けていた。
「ふん!遠距離戦は私の得意分野、ッ!!!!」
勘に任せて横に飛び去ると、先ほど避けた筈の剣が私のいた場所を猛スピードで通りすぎていった。
避けるのがあと数瞬遅ければ串刺しになっていたと思うとゾッとする。
「....ッ!セイバー並の直感スキルか!厄介な...!」
さらに追い討ちをかけるように複数の剣が同時に飛び、赤い剣は誘導弾のように私を高速で付け狙う。
「しつこいわね‼」
こちらも封魔針を投擲し、いくつかの剣を打ち落とすが、
「....!これじゃ無理ね。」
赤い剣と残った剣は威力が高すぎて封魔針では打ち落とせなかった。
赤い剣と残った剣は勢いに乗ったまま私を貫く、ことはなく、すべての剣がまたしても炎に包まれて焼失する。
「...俺のことを忘れてんのか、アーチャー?」
ふと、キャスターを見ると、
「無視してんじゃねぇ‼」
キャスターは憤怒の形相でアーチャーに向かって火の玉を飛ばす。
アーチャーはそれを避けると、今度は細長い剣を何本もキャスターに向かって射る。
「なに、彼女の方が倒しやすそうだったのでな。それに貴様はキャスターとして呼ばれたとしても厄介な存在だ。真正面から二対一で戦うまねはしたくないのでね。」
「はっ、そいつはどうも!」
キャスターは返事とばかりに杖から炎を出して飛んできた剣を全て燃やし尽くす。
私はその炎に紛れてアーチャーに接近する。
そして、炎を途切れたタイミングでアーチャーの頭上に瞬間移動し、頭部に向かってお払い棒を全力で振り下ろす。
が、その一撃は、
「ふむ、まだ甘いな。」 「!?」
いきなりアーチャーの手元に現れた陰陽柄の双剣によって防がれた。
即座に後退する。
「逃がさん!」
アーチャーも私の後を追い、切りかかる、が、
「ッ!邪魔をするな、キャスター!」
すぐに追うのをやめ、キャスターが飛ばした火の玉を剣で切り裂く。
「ああ、くそッ!やっぱキャスターはやりにくいなオイ!ランサーだったら今頃心臓をぶっ貫いてるんだが!」
「ふん!自身の不運を呪ってろ!」
その隙にお払い棒で攻撃を仕掛けるが、すべて防がれ、捌かれる。
どうやらアーチャーは弓兵のはずだが、近接戦闘においでかなりの実力を持っているようだ。
なるほど、確かに弓兵っぽくない。
だが、私だって少し前の宗教戦争の時に、僧侶のくせにやたらと肉体派な住職と殴りあったり、入道使いと入道を同時に相手取ったり、やたらと皿を飛ばしたり炎で物を燃やしたりするアホの子を吹き飛ばしたり、化け狸に騙されながらも退治したり、黒幕のお面妖怪を粛正したり色々してきたのだ。
「私もそれなりに近接戦闘ができるよ‼」
お払い棒を下から振り上げ、片方の剣を吹き飛ばす。
(もらったわ!)
そしてそのままお払い棒を降り下ろす。
「
「!!!?」
しかし、その一撃は、先ほど
一旦攻撃を止め、キャスターと立ち位置を交代し、思考する。
(どういうこと?アーチャーの剣は確実に弾き飛ばした。だけどアーチャーが何かを唱えた瞬間に手元に剣があった。いったいどんな手品を....)
ふと、キャスターを見ると、アーチャーと近接戦を繰り広げているところだった。
「オラァ!」
「貴様はキャスターなのだろう?キャスターはキャスターらしく杖を振って魔術を使ったらどうかね?」
「生憎、俺は近接戦の方がしっくりくるんでな、便利だがまどろっこしいルーンよりもずっと戦いやすいんだよ!」
「キャスターになっても脳筋か、変わらんな、貴様は...」
「そういうてめえもあんま変わんねぇなアーチャー。宝具を湯水のように使い捨てる英霊なんぞ聞いたことがねぇ!」
(...宝具を使い捨てる?)
よく見てみると、アーチャーの武器は定期的に砕けたり、吹き飛んだりするが、その度にまったく同じ武器がいつの間にか手にあるのが分かる。
まるで、無から作り出したように。
ロマンは宝具のことを、逸話の具現と言っていた。
それを使い捨てるということは自分の逸話を捨てているということではないのか?
...ひょっとして?
(試してみるか...)
私は懐からある札を取り出し、アーチャーの武器に向かって飛ばす。
もちろんアーチャーはすぐに気付き、札を切り払うために剣を振る。
そして剣が札に触れた瞬間、アーチャーの剣があっさりと砕けて消滅する。
その様子を見て、私は確信した。
「分かったわ、あんたの手品の正体‼」
to be continued...
このSSのエミヤはstay nightとhollow とカニファンを混ぜて
設定うろ覚えな上に突っ込みどころがかなり多いかも知れませんが御了承ください。
また、冬木編には最後の最後に一人だけ幻想郷住人を追加予定なので、アンケート結果はオルレアン編から反映するつもりです。
伝えるのが遅くてすみません。
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手品の正体
いつに増してメタくそで面白おかしなシナリオが楽しくて仕方ない作者です。
ああ、ドロップアイテム集めが辛い....。
今回の新鯖は結構好みでした。
この調子で、ケッツァルやレジスタンスライダーや今回の新鯖のような顔芸鯖が増えればいいなあ、と思う今日この頃です。
えっ?引けたかって?
...お察しください....。
大☆爆☆死しました、はい....。
今回は若干シリアスです。
sideぐだ子
エミヤさんとキャスターは自らのクラスを無視したかのように近接戦闘を繰り広げていた。
エミヤさんは手に持った陰陽柄の双剣で、キャスターは炎を纏わせた杖で、お互いを倒そうとしていた。
「なんでアーチャーとキャスターが殴りあってるのよ!両方とも遠距離とか小細工が得意なクラスなんじゃないの!?」
「落ち着いてください所長、おそらく彼らが特殊な例なのではないかと...おそらく。」
また所長がパニックになっている。
さっき霊夢が弾いた剣が所長の目の前に落ちてきてからこんな感じだ。
もはやお約束のレベルである。
ちなみに飛んできた剣はいつの間にか消えていた。
エミヤさんとキャスターの実力は拮抗しているらしく、なかなか決着がつかなかった。
そんな状況の中、ふと見ると霊夢が一枚の札をエミヤさんに飛ばしたのが見えた。
しかし、先ほどの攻撃と違い、速さも威力もほとんど無いように見えた。
当然、エミヤさんはそれに反応して札を切り払おうとする。
そして次の瞬間、私達は信じられない光景を見た。
なんと札がエミヤさんの剣に触れた瞬間、キャスターの攻撃を防ぐことができていた筈の剣はあっさりと砕けて消滅したのだ。
当然、キャスターはその隙を逃さずに畳み掛ける。
動揺したエミヤさんはその攻撃を捌ききると、キャスターを押し返し、バックステップで距離をとる。
「分かったわ、あんたの手品の正体‼」
霊夢はその様子を見て、何かが分かったようだ。
「...手品、手品か。あながち間違ってはいないが...それは私の剣のことかね?」
「ええ、そうよ。さっきからポンポン剣を出してるのを見て、不思議に思ってたのよ。いったい何処から出してるんだろうって。あんたの服装じゃそんなに大量の武器を隠すことはできないだろうし、かといって何処かに設置しているわけでもない。ましてや、知り合いみたいに空間のスキマにしまっていたわけでも無さそうだし。それに、キャスターはさっき『宝具を使い捨てる』って言っていた。ねえロマン、宝具ってそんな何個もあるものなの?」
『うえっ!?ボク?あっ、えーと、あっうん、宝具の所有数についてだね?』
「...あんた、サボってた?」
『そ、ソンナコトナイヨー...。っで!宝具の数はね、逸話の多い英霊なら3個以上持ってることもあるだろうけど、普通は1個か2個だね。』
「そう、だとすればほぼ確定ね。あんた、さっきから10個以上も宝具を使ってるわね?ロマンによるとそんなのは一部の英霊のみで普通はあり得ないらしいわね。だったら可能性はだいぶ絞られてくるわ。例えば、複数の物をまとめて1つの宝具としている可能性。例えば、あんたがその一部の英霊に含まれている可能性。...例えば、
「宝具を、作り出す宝具!?」
私達は驚き、同時に納得した。
確かに、宝具を作り出す宝具ならば、性質の違う宝具や、まったく同じ宝具を大量に持っていることも理解できる。
壊れたらまた作ればいいのだから。
「さっき飛ばしたのは、触れた物の魔力とかを散らすための札よ。そんな札に触れたとたん、あんたの剣は砕けて消滅した。でもキャスターはその剣を宝具と言った。つまり、あんたの武器は宝具であって宝具じゃない。魔力で作られた、本物に極限まで近い宝具の贋作、それがあんたの武器の正体で、宝具を大量に使い捨てる手品の種ね。さしずめ
「ッ!......正解だ、君は相当頭の回転が早いのだな。まさかこれほど早くに私の能力の正体を暴くとは...。」
『ちょっ、ちょっと待って!?武器を作り出す能力?そんなの....ッ!まさか、投影魔術!?』
「それこそあり得ないわ‼宝具を作ることができる投影魔術なんて封印指定級じゃない!そんなの聞いたことがないわよ‼」
所長とロマンが驚きの声をあげる。
投影魔術とは、そんなにすごい魔術なのだろうか?
「先輩、投影魔術とは魔力を編み込んでナイフ等の魔術触媒を作り出す魔術なんです。でも、......」
マシュは少し沈黙したあと、戸惑うように続ける。
「本来ならば、投影魔術で作り出された物は非常に脆くて、実戦はおろか物に傷を作ることができない上に、しばらくすると世界の修正力を受けて消滅してしまうんです。.....ですが、あのアーチャーさんの剣は見ての通り、しっかりとした強度がある上に、壊されたりしない限り、手元にずっと残っています。そんなことは、絶対あり得ないはずなんです。ましてや、通常の神秘を遥かに凌駕する宝具を投影するなんて.....。」
「その通りだな、通常の投影魔術では投影した物の長時間の具現化、ましてや宝具の投影などは不可能だ。」
その時のエミヤさんは、顔こそモヤで見えないが、
「だが、少々違うな。」
自らを皮肉っているような口調で続ける。
「私の投影は少々特殊でね、私はただ剣を作るのではない。『自らの心の中を形にする』、それが
どんなにすごい能力でも、それしかできない三流。
如何に本物に迫れても、贋作の域をでない
エミヤさんの口調が皮肉めいている理由が、なんとなく分かった気がする。
「ッ!....ああ、分かった。━━すまないな、たった今セイバーからの命令があってな、『
エミヤさんは少し慌てたようにそう言うと、一振りの剣を投影する。
その剣は先端から捻れており、まるでドリルのような形状だった。
エミヤさんがそれを弓につがえた瞬間、エミヤさんを中心とした強力な魔力の胎動により、空間が軋んだ。
『ッ!不味いぞ!その剣から凄まじい神秘が検出された!おそらく大英雄なみの一撃が来るぞ‼』
「ああ、確かにありゃ俺の原初のルーンでも防ぎきれるか分からねえな。あらかじめ設置しておけばなんとかなったかも知れねぇが...こりゃ間に合わねぇな。」
「ど、どうにかならないの!?そ、そういえば霊夢!確かあなたいろんな持っていたわよね?それで防ぐとか「たぶん無理ね。」.....へ?」
「これは私の勘だけど......たぶん防御しても貫通するわよ、あれ。形状的にも性質的にも、何かを貫くのに特化してるみたいだし、宝具で相殺しようにもまだ明確な発動条件がいまいち分からないから、失敗したら確実に終わるわね。」
「ど、どうすればいいのよ‼?」
周囲が諦めたり混乱するなか、私は意外と冷静だった。
何故ならば、状況を打開する方法は、大方思いついていたから。
「マシュ。」
私は少し怯えている後輩に声をかける。
「宝具を、使って。」
「!?でも先輩、私は宝具が....」
「使えるよ、マシュならきっと大丈夫。だって、マシュは強いから。」
「.....いいえ、先輩。私は、弱いです。力を貸してくれた英霊に申し訳ないほど...。」
「確かに今は弱いけど、心は強いでしょ?」
「...え?」
「だって、この町に来たとき、初めてなのに敵に立ち向かって行ったでしょ?マシュは強いよ。だから英霊も力を貸してくれたと思うんだ。」
「.........。」
「大丈夫、マシュならきっとできるできる‼」
「....はい!」
「話はすんだかね?では、これで仕舞いだ。安心してくれ、文字どおり━━━.......一撃ですむ。」
わざわざ待っていてくれたエミヤさんは、改めて腕に力を込め、呪文らしき一節を詠唱する。
「
空間が悲鳴をあげているのが分かる。
魔力が、満ちる。
「
そして、
「━
魔弾は、放たれた。
to be continued...
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そして大聖杯へ...
この小説はシリアル、緊張感/zero 、ギャグ等の要素が含まれています。
「いっこうに構わん!」
「ハハハハハハ!いいぞぉ、もっとだ!!」
「とんでもねぇ、待ってたんだ。」
「いいぞいいぞ!そうでなくてはな。」
以上のような人々以外はブラウザバックを推奨します。
sideマシュ
捻れた剣は空間を切り裂きながら私達に向かって直進する。
迎撃も防御も無意味、そう思えるような鋭い一撃だった。
「あ、」
でも私は負けるわけにはいかない。
後ろには先輩と所長とフォウさん、キャスターさんに霊夢さんもいる。
「あああ、」
私は、先輩達を守りきる‼
「ああああぁぁぁあぁああぁぁぁ!!!!」
その思いと共に、私の持つ盾に光が灯る。
光は膨れ上がり、複雑な紋様を構築して盾を覆う。
そして放たれた剣を真正面から受け止める。
盾が軋む、腕が震える、体が悲鳴をあげる、でも、それでも、
「私は、負けません‼」
そして遂に、私の体と盾は、捻れた剣に耐えきった。
「や、やりましたよ....先輩.....。私、皆さんを、守れました、よ...。」
息をきらせながらも、先輩に伝える。
「頑張ったね!マシュ!」
先輩の声が聞こえる。
「よくやったな、嬢ちゃん!」
キャスターさんの声が聞こえる。
「あとは任せなさい、マシュ。」
そして霊夢さんの声が聞こえたあと、私の体から力が抜け、地面に向かって倒れる。
そして、私の意識は、暗闇に....、沈んで━━━━
ーーーーーーー
sideぐだ子
魔弾を防ぎきったマシュは安心して力が抜けたらしく、地面に向かって倒れる。
慌てて私がキャッチすると同時に、キャスターと霊夢がとびだし、隙だらけのエミヤさんを捕縛する。
それを見届けた私は、腕の中のマシュの顔を見る。
少し汚れていたが、とても穏やかな寝顔だった。
「とりあえずアーチャーの野郎は俺のルーン付きのロープと紅白の嬢ちゃんの札でしっかりと拘束しておいたぜ。今、紅白の嬢ちゃんが情報を吐かせてる。」
キャスターは戻ってくるなりそう報告し、マシュの顔を見る。
「しっかし土壇場で盾の嬢ちゃんの宝具が発動してよかったぜ。あの剣は贋作とはいえ、俺にとっては鬼門だったからな、仮に俺が前に出ても防げなかっただろうよ。」
キャスターは額の汗を拭いながら続ける。
「それと嬢ちゃんの宝具だが、まだ不完全だな。完全になれば、それこそ大地を焼き尽くす一撃も防げるようになるだろうよ。」
つまり、マシュは可能性の塊というわけか。
さすが、私の後輩だ。
「不完全とはいえど宝具は宝具よ。あの状況で発動できた時点で妥協点よ。」
エミヤさんが捕まったのを見て、落ち着きを取り戻した所長は━━━若干青ざめて震えながら━━━そう言った。
「でも、宝具に名前が無いのは不便ね。名前があれば安定して宝具を発動することができるのだけど....。」
そう言いながら所長はマシュの顔を見て、少し安心したような顔で小さく笑う。
「...マシュが起きた後で決めましょう。今は疲れもあるし、決戦前の最後の休憩にしましょう。」
所長はそう言いながら、召喚サークルから取り寄せた水と所長の持っていたドライフルーツを、私とキャスターに渡す。
「お、いいのか?俺たちサーヴァントは飲食の必要が無いんだが...。」
「いいのよ別に、ドライフルーツは残り少なかったし、取り寄せた水もあと数本だから、使いきっても問題ないでしょう。....べ、別に戦ってくれてありがとうとかこれっぽっちも思ってないんだから(ボソッ)///」
「お、これうまいな。果物を乾燥させて、もつようにしてるのか。」
「所長、聞いてませんよ。(ニヤニヤ)」
「はうっ///。う、うるさい!」
私達は、マシュが目覚めるまで喋りながら待ち、目覚めたあとに宝具の名前を考えた。
その後、所長の発言により宝具の名前は、
「
「
「ふふん!そうでしょうそうでしょう、もっと私を誉めなさい!」
「さすがです所長!」
「オッホッホッホッ!」
「所長はとても綺麗です!」
「当たり前じゃない!」
「ストッキングに包まれた脚がすごくエロいです‼」
「そうでしょってそれは誉め言葉なの!?」
その後、調子に乗った所長が面白かったのでおだてていると、霊夢が戻ってきた。
「......何やってんのよ?」
ジト目で。
「あ、霊夢さん!お疲れ様です!所長のドライフルーツがあるのですが、食べますか?」
さすがはマシュ。
相手に対する気遣いを忘れないいい子だ。
「どらいふるーつ?あら、いい匂いね。いただくわ。」
ドライフルーツを見た霊夢は早速食べ始める。
「ところで紅白の嬢ちゃん、アーチャーはなんか話したか?」
「ふえぇ、いっふぇいふぁあ。」モグモグ
「飲み込んでからしゃべってくれ。」
「んっ。(ゴクリ)ええ、言っていたわ。何でもこの洞窟は昔魔術師達が天然の洞窟を改造してつくりだした物で、かなりいりくんでいるらしいわ。あと、セイバーがいるのは洞窟の最深部にある大聖杯の場所であってるらしいわ。それと.....。」
霊夢は急に言いよどむと、
「アーチャーが案内するらしいわ。なんでも、『君たちならばセイバーを止められるかも知れない。』らしいわ。」
と、言った。
「......本当か?それ。」
「ええ、騙したり嘘をついている様子はなかったわ。」
私達は拘束されているエミヤさんを見る。
顔が黒いもやに覆われているので表情が見えにくいが....、少し笑っているように見えるのは気のせいだろうか?
「おいアーチャー、本当に騙したりしてねぇな?」
「ふん、今の私は敗残兵だ。情報を信じるか信じないかはお前たちで決めろ。だが、.......セイバーを止めたいと思っているのは本当だ。黒化した今でも、彼女を止めることができなかったのは心残りだからな。」
『なあ、アーチャー?さっきからずっと気になってるんだけど....。』
「?何かね?遠見の魔術師よ。」
『あ!やっとまともな感じで呼んでくれた‼いやー、ライダーには酷いことを言われたから....じゃなくて!さっきからアーサー王のことを
確かに、アーサー王は伝承では男だったはずなのだが...
「?.....ああ。キャスターから聞いてないのか?セイバーは確かに女性だ、それは私が保証する。」
「「「『..........ええ!!?』」」」
「なんでも、王位につくために男装をしていたそうだ。確かに、しっかりとした男装をすれば彼女は美形で中性的な人物に見えるからな。王としての素質もなかなか高いものだったしな。だが、中身は食いしん坊で可愛い物好きな純粋な女性だぞ。...まあ、彼女のせいで家のエンゲル係数がはね上がったのはなつかしい思い出さ.......。」
....私の中のアーサー王のイメージが音をたてて崩れていく気がする。
女性だっただけでなく、食いしん坊で可愛い物好きって...もっとこう、「理想の騎士」のイメージが強い感じがするのだが....。
そんな衝撃的事実を知った私達は、その後アーチャーの案内により、洞窟の最深部にある大聖杯にたどり着いた。
「これが大聖杯?超抜級の魔術炉心じゃない!こんなものが極東の地に存在してたなんて....。」
大聖杯のある空間には、所長が驚くほどの魔力が漂っているのが分かった。
空間はかなり広く、私達の向こう側に小さな崖があるのが分かった。
その崖の上にセイバーとおぼしき人物が立っていた。
黒く、返り血を浴びたような赤い模様がついた鎧。
色素が抜けきり、病的に白い肌。
元々は輝いていたであろうくすんだ金髪。
冷徹さしか感じられない整った顔。
そして星の聖剣にしては黒く、禍々しい気配を撒き散らす『エクスカリバー』。
性別こそ伝承と違えど、その姿はまさしく歪み、反転したアーサー王の姿だった。
「....アルトリア。」
「アーチャーか、念話が来ないと思えばやはりそちらがわについていたか。」
エミヤさんが声をかけると、セイバーは冷徹な声で返す。
「...やはり私は君を止めるべきだと思ったからな。悪いがこちらにつかせてもらった。」
「ふん、昔から主変え、女変えの激しいやつだったからな。今更寝返っても問題はない。」
......へ?
「なっ!女変えなど、」
「していない、というのか?反転する前の私の体をくまなく味わった後に、リンやサクラ、あげくにあの神父に似た女に手を出したくせによく言うな?はっきり言ってランスロット卿並の節操のなさだったぞ。」
「い、いや、あれは事故で...」
「それはそうと面白いサーヴァントがいるようだな。」
「...なんでさ?」
エミヤさんの女性関係によりシリアスブレイクして緊張感/zero となった空気の中、話は終盤へと向かうのであった。
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光のキセキ
side霊夢
「それはそうと面白いサーヴァントがいるようだな。」
緊張感のないなか、セイバーは私達に目を向ける。
そしてセイバーの視線がマシュの盾をとらえた瞬間、緩んだ空気はセイバーから発せられた魔力の胎動によって消え失せる。
「面白い、その宝具は実に興味深い。...そしてもう一人、異界の巫女よ。」
セイバーは視線を私に移すと、少し考え込んでいる顔を見せる。
「抑止力....いや、違うな。また別のモノによる召喚か。.....まあいい、名も知れぬ娘たちよ、その盾の守りと幻想の力が真実かどうか、この剣で確かめてやろう。」
そう言うとセイバーは剣を構え、全身から魔力を放出する。
「...てめぇ、しゃべれたのかよ。前会った時にはだんまりを決め込んでいたくせによ。」
「ああ、何を語っても
「.......セイバー、今ならまだ間に合う。君が聖杯を守らずとも、彼女たちならば解決することが出来るはずだ。」
「アーチャー、確かに
一旦言葉を区切ったセイバーは剣を上段に構え、剣に魔力を集中させる。
「話は終わりだ、貴様らはここで果てるがいい。━━卑王鉄槌、極光は反転する。」
剣が黒い光に覆われる。
「っ!マシュ!宝具を発動して!」
それを見たぐだ子が急いでマシュに指示をとばす。
「光を飲め、
「はい、先輩!仮想宝具、展開します!」
マシュの言葉により発動した盾を覆う光の紋様は、セイバーによって放たれた漆黒の濁流を正面から防いでゆく。
「っ!防ぎきりました‼」
光が途切れた瞬間、マシュの後ろにいた私とキャスターはセイバーに向かって走りだし、アーチャーは後方から剣を射る。
「くらいなさい!」
「アンサズ!」
私は封魔針を、キャスターは火の玉をとばすが、
「黙れ。」
全てセイバーの剣によって切り伏せられる。
その後アーチャーによる援護射撃も、避けられるか弾かれることでいっこうにダメージを与えられず、時間だけが過ぎてゆく。
「この程度か、興醒めだな。.....ならば、こちらからゆくぞ‼」
そう言うとセイバーは全身から魔力を放出し、すさまじい速度で私に向かって斬りかかる。
咄嗟にお払い棒を構えて防ぐが、あまりの力で簡単に吹き飛ばされる。
「まずは一人。」
そして追撃として振られた剣撃は、私の首を楽に撥ね飛ばす、
「あぁあああぁあぁ!!!」
ことはなく、セイバーの死角から走ってきたマシュの盾によって防がれる。
「っ!チッ!」
剣撃を防がれた隙を逃さず、アーチャーの剣の矢とキャスターの炎がセイバーに襲い掛かる。
「無駄だ!」
しかし、キャスターの炎はセイバーに触れた瞬間に霧散し、アーチャーの剣の矢はセイバーの魔力の放出によってによって軌道をそらされた後、セイバーの剣で両断されて消滅する。
「くそっ!やっぱりセイバーの対魔力のランクが高過ぎる!これだからキャスターは面倒なんだ!」
「相変わらずの強さだなセイバー!反転してもその実力は劣らない、ということか!」
「当たり前だ。そして、貴様は劣化したなアーチャー。」
そう言って魔力の放出によって高速移動したセイバーは、弓を構えているアーチャーの体を切り裂き、吹き飛ばす。
「本来の貴様ならば少しは手こずったのだが....今は見る影もないな。」
「カハッ!っく!」
体に大きな傷をおったアーチャーは、追い打ちとばかりにセイバーに蹴り飛ばされ、洞窟の壁に叩きつけられる。
「ハアアァァァァ!」
その隙にマシュが後ろから攻撃を仕掛けるが、あっさりと反応され、セイバーの振り向きと同時の剣撃によって体勢を崩され、魔力の放出で吹き飛ばされる。
「つまらん。その程度の力と覚悟でいったい何が出来る?とるに足らないな。」
「っ!くうぅっ....」
マシュの体はボロボロになっており、再び動くのに時間がかかりそうだった。
「マシュ‼」
それを見たぐだ子が飛び出そうとするが、すぐにオルガマリーに止められる。
「....もう飽きたな。最後は我が宝具をもって止めとしよう。」
「?!!」
その言葉にぐだ子は目を剥き、オルガマリーの拘束をとき、マシュのもとへ向かおうと暴れる。
その様子に目を向けることもなく、セイバーは再び剣を構え、魔力を集束させる。
『不味いぞ!さっきよりも魔力量が上がってる!おそらく聖杯の魔力がセイバーに流れてるんだ‼実質上彼女の魔力は底無しだ!今すぐそこから撤退するんだ‼』
「そんなこと言っても間に合わないわよ!マシュとアーチャーは動けないし、キャスターと霊夢の攻撃はほとんど通らないから足止めすらできない!ああ!助けてよレフ!!!」
私は外野が騒ぐのに構わず、思考する。
いったいどのようにしたらこの状況を脱することが出来るかを。
(即席で結界を張る?)
いや、無理だ。
マシュが防いでいたのを見たが、おそらくあの剣は私の作り出す即席結界程度ならばあっさりと破壊するだろう。
(瞬間移動して直接攻撃する?)
だめだ、距離が離れすぎている。
それに、セイバーは視界外からの攻撃にも瞬時に反応した。
おそらく私と同じく、勘が鋭いのだろう。
(ありったけの札を全部一気に使う?)
無意味だ。
セイバーは魔術的な攻撃に耐性らしきものを持っている。
キャスターの攻撃を無効化した以上、札による攻撃は全く効かないか、威力が大きく下がるだろう。
(どうする、どうする?)
「.......では、幕引きとしよう。━━卑王鉄槌、極光は反転する。」
「っ!霊夢さん!キャスターさん!先輩たちを連れて逃げてください!」
「!?何言ってるのマシュ!今、その状態じゃ...」
「先輩!私のことはいいですから!早く行ってください‼くっ!」
「...仲間のために命を散らす、か。........ふん、今の私には関係の無いことだ。━━光を飲め。」
「だめだ!マシュ!マシューーー!!!」
「
さっきよりも明らかに強力になった漆黒の光の濁流は、すさまじい勢いでマシュを飲み込もうとする。
巻き込まれれば、間違いなく命を落とす、絶望の一撃。
どうしようもない死を見ながら、思考だけが勝手に一人歩きする。
(宝具は逸話の具現、私の宝具はスペルカード。...スペルカード、...弾幕ごっこ、...スペルカード、ルール、...スペルカードは、1つにつき、.......一回だけ、?!)
気付いたとき、私はマシュの前に立ち、1枚のスペルカードを手に持っていた。
『今なら使える』
そう確信した私は、そのスペルカードを掲げ、宣言する。
「宝具発動!『霊符「
その瞬間、カードから光が溢れ、七色の巨大な弾幕が複数展開される。
普段はそのまま敵を追尾する巨大弾幕は、私の正面で1つに集束し、巨大な陰陽玉を形成する。
そして、セイバーの宝具に真正面から拮抗する。
「!?霊夢さん!駄目です!逃げてください!このままでは、霊夢さんまで....‼」
「うるっさいわね!黙ってなさい!」
私の一喝により、マシュが口を閉じる。
「私はね、基本的に面倒なことはキライなのよ!今回だって、いきなり外の世界に送られたと思えば周りは燃えてるわオルガマリーはヒステリックをおこすわ敵はウザイわで面倒なことばっか!でもね、目の前で一人の人間が死ぬのを黙って見てられるほど、私は達観してないし冷徹でないし薄情でもないのよ‼」
私はセイバーに向き直り、全身に力を込める。
「...霊夢さん。」
「博麗の巫女を、なめるなぁぁあああぁぁぁ!!!」
私はありったけの力をスペルに注ぎ込む。
すると、拮抗した状態を破り、私の宝具はセイバーの宝具を押し返し、セイバーのもとで盛大に爆ぜた。
「ハァ、ハァ、ハァ....」
ほとんどの力を使い果たし、私は地に膝をつく。
『やったか!?』
「ロマン!それフラグ‼」
次の瞬間、爆風と共に黒い光が漂っていた砂煙を吹き飛ばす。
「まだだ、まだ終わらない‼」
所々鎧は砕け、全身の至るところから血を流し、見るからに満身創痍の状態なのにも関わらず、セイバーはまだ立っており、宝具を再び使おうとしていた。
「認めよう、博麗の巫女よ!貴様は強い!だが、だが、私は負けるわけにはいかない‼
「...セイバー、私のことを忘れている訳ではあるまい?」
その声と共に、その場から動けないセイバーの全身に何本もの剣が突き刺さる。
「カハッ!....アー、チャアアアアアァァァァァ!!!」
「今だキャスター、しくじるなよ。」
「言われるまでもねえ!」
今まで気配を消していたキャスターは私達の前に立ち、杖を掲げる。
「...少女達よ、よくぞ耐えた、ここからは俺の番だ。━━我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社━━倒壊するは、『
キャスターが詠唱を終えた瞬間、セイバーの足下で炎の輪が形成される。
そこから現れたのは、木々で編まれた巨大な人形。
人形は動けないセイバーを捕まえると、檻のようになっている自身の胴体に放り込む。
そして、炎の中に倒れこみ、すさまじい熱と共に火柱を立て、セイバーと共に炎上するのであった。
to be continued...
霊夢の夢想封印のイメージは、某東方同人アニメのシーンを元に考えました。
次回、冬木編完結!こうご期待!
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At first glance settled?
はい!「すぐに投稿できる」「しばらくはこちら(転スラ)の方に専念する」と
いや本当にすみませんでした。
プロットが練れず、時間も取れなかった(自業自得)ために投稿できず、さらには転スラの方のプロットがしっくりこないという理由で大半を破棄し、こっちを優先した作者を許してください。
転スラssを楽しみにしていた方々も含め、本当に申し訳ございませんでした....
ちなみにタイトルの意味は「一件落着?」です。(多分...)
駄文注意‼
sideぐだ子
キャスターの宝具による凄まじい熱波が去り目をひらくと、煙が漂うなか無事な姿のマシュと霊夢が立っていた。
「マシュ!霊夢!」
『っ!待つんだ立香ちゃん!まだセイバーの反応は消えていない!』
煙がはれるとロマンの言う通りさらにボロボロになっているものの、剣を支えにセイバーはまだ立っていた。
霊夢が再び構えると、キャスターは霊夢に向かって手をあげて止める。
「安心しろ紅白の嬢ちゃん、もう終わりだ。」
キャスターが言葉をいい終えるか否かのタイミングで、セイバーは足先から消え始めた。
「やはり、か。聖杯を守り通す気でいたが己が執着に
「おいセイバー!どういうことだ?」
セイバーの意味深なセリフをキャスターが問い詰めようとするが、彼女は答えることなく消滅していく。
「....いずれ分かる。カルデアのマスターよ、覚えるがいい、【グランドオーダー】。聖杯をめぐる戦いはまだ始まったばかりだと━━━」
最後にそう言い残すと、セイバーはエーテルでできた肉体を完全に崩壊させ、この冬木の地から消滅した。
「おい、ちょっと待て。それってどういう....ってうお、俺の方も時間切れか!」
よく見るとキャスターとエミヤさんも体の端から消え始めていた。
「まあ、聖杯戦争が完結すりゃこうなるわな。仮のマスター、今度俺を呼ぶ時はランサーで呼んでくれ。キャスターの時とは比べ物にならない位の活躍を見せてやるからよ!」
そう言った直後にキャスターは消滅する。
「ふぅ、終わったか。カルデアのマスター、いや藤丸立香。今回は影として、敵として現れたが、次に召喚された時は、君の剣となり盾となることを誓おう。」
「エミヤさん.....。」
「....フッ。」
エミヤさんも最後にニヒルな笑みをこぼして消滅する。
『現地のサーヴァント全ての消滅を確認。.......終わったのかな?』
「どうやらそのようです。...あっ!」
マシュの視線を辿ると、セイバーの立っていた場所に水晶の塊のようなものが転がっていた。
『あれは.....うん、聖杯だね。どうやらあれがこの特異点の基点になっていたみたいだ。今は機能停止してるから、回収するなら今だね。』
「【
セイバーの意味深な発言、セイバーの聖杯所有の理由、そして所長の呟いた【
パチパチ.....
大聖杯の空洞に拍手が響く。
「いやはや、まさか君たちがここまでやるとはね。さすがに計画の範囲外でもあり、私の寛容さの範囲外だ。48人目のマスター候補者。全く見込みのない子供だから善意で見逃してやったのが失敗だったというわけか。まあ、ひとまずはおめでとう、とでも言っておこうか、人類最後のマスターよ。」
そんな声と共に現れたのは爆発に巻き込まれて行方不明となっていたはずのレフ教授だった。
「レフ教授!?」
『レフ!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?』
「ん?その声はDr.ロマンか。そうか君も生き残ってしまったのか。」
ロマンが驚きの声をあげると、レフ教授は心底意外そうな口調でそう言った。
「すぐに管制室に来てほしいと言ったのに私の指示を聞かなかったんだね?まったく━━━━━どいつもこいつも統率がとれないクズばかりで吐き気が止まらないよ。」
そこまで言うとレフ教授は心底嫌そうな表情をうかべる。
「ああ、レフ!レフ!会いたかったわ‼」
所長がレフ教授に向かって走り出した瞬間、何枚もの札で編まれた縄が所長の体に巻き付き動きを止める。
「っ!!離しなさい霊夢!そこにレフがいるの!彼がいれば全部...」
「解決するって?」
「そうよ‼」
縄を放った霊夢はレフ教授に向かって明確な敵意をむきだしにし、
「どうかしら?私の勘はそいつが黒幕だって叫んでるわ。それにそいつ、人間じゃないわよ。」
冷徹にそう言い切った。
その言葉を肯定するようにマシュが私を庇うように大盾を構える。
しかし所長は納得できないらしく縄を解こうともがく。
「何よ!サーヴァントのくせに!レフのことを何も知らないくせに‼勝手に決めないでよ‼勝手に判断しないでよ‼ねぇレフ、あなたは私の味方よね?これからカルデアを建て直すのよね?」
「....オルガか、私は嬉しいよ。」
レフ教授は所長にいつも通りの笑顔を向けた後、
「何せ死んだ後も私を信じてくれているのだからね。」
私が初めて見たときの安心するような顔とは真逆の笑顔を浮かべた。
「「っ!?」」 『えっ!?』 「.....やっぱりか。」
そして私達はレフ教授....いや、レフの言葉に耳を疑った。
所長が、死んでる?
「えっ....レフ、ねぇ冗談、よね?私が、死んでる?」
「ああ、君は間違いなく死んでいる。何せ君の立っていた場所に爆弾を仕掛けていたのだからね。そもそも君はレイシフトの適性を持っていなかっただろう?今レイシフトができているのは死んだことにより肉体を失い、精神だけになっているからだ。まあ、そこの巫女は気づいていたようだがね。よかったじゃないか、念願のレイシフトができて。」
私達が霊夢の方を見ると、彼女は少々うつむいて言葉を紡ぐ。
「....初めて会ったときからぐだ子やマシュと違って妙な違和感を感じてたのよ。少し存在が薄いというか、まるで亡霊と会話してる感じがして、それで、実は肉体はもう無くなってるんじゃないか?魂だけになっているんじゃ?って思ってたのよ。まさか本当に死んでたとは驚いたわ。死んでも自覚がないって本当にあるものなのね.....。」
霊夢が苦々しい表情を浮かべているのを見た所長は、自身が本当に死んでいるということを理解したらしく、レフに向き直る。
「私を、騙したっていうの!?私、あなたのことを信じていたのに‼」
それを聞いたレフは少々呆れたような態度をとる。
「あいにく、私は今まで誰も信じていないし騙した覚えもない。むしろそっちが勝手に勘違いして、勝手になついてきただけじゃないか。まあ、少し心地よかったのは事実だが。」
『レフ教授、いや、レフ・ライノール。君はいったい何者なんだ?』
「.....Drロマン、貴様も命拾いしたな。そこの48番目のマスターと無駄話をしなければ、今頃痛みも苦しみもなく逝けただろうに。まあいい、では改めて自己紹介だ。」
レフはいつの間に手にしていた聖杯を掲げ、頭上に一つの光景を写し出す。
今もなお燃え盛る管制室
破損し、ひしゃげ、倒壊したコフィンの群れ
青かったはずなのに真っ赤に染まったカルデアス
それらを背景にレフは嗤う。
「私の名前はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たち人類を処理するために遣わされた2015年担当者だ。」
「嘘、カルデアスが赤く、レフ、あれは幻覚よね?そうよね?」
「いいや現実だとも、なにせ聖杯を使って時空を繋げてあげたのだからね。さあよく見たまえアニムスフィアの末裔。あれがお前たちの愚行の末路だ。人類史は残らず焼き尽くされ、人類の生存を示す青色は一片もない。あるのは燃え盛る赤色だけ。あれが今回のミッションが起こした結果だよ。マリー、今回も君のいたらなさが悲劇を呼び起こしたわけだ。」
「...っ!!嘘よ!そんなはずがない!ただ私は人類を救おうとしただけよ‼私は何も悪くない‼私はなにもしていないのに‼あんたはいったい誰よ‼私のレフをどこにやったのよ‼」
「ふん、君は昔からそうだな。精神的に脆すぎる。気に入らないことがあればいつもわめき散らして....本当に耳障りだったよ。」
そう言ってレフが手を掲げるとその動きに伴い所長の体が宙に浮かび上がる。
霊夢がいち早く気付き縄を引くがそれよりも早く、レフがとばした魔術によって切断される。
「ふん、無駄な足掻きを。ああ、そういえば一つ気になることがあったな。貴様だ、博麗の巫女。」
そう言ってレフは顔をしかめながら霊夢を見る。
「
そう言うとレフは霊夢への興味をなくし、所長を自身の頭上にあるカルデアスのもとへと移動させる。
「さてマリー。最後に私からのプレゼントだ。君の宝物、カルデアスに触らせてあげよう。」
その言葉を聞いた所長の顔が呆然としたものから青ざめたものに変わる。
「えっ?嘘、よね?だってカルデアスよ?そんな高密度の情報体に触れたら.....」
「太陽か、もしくはブラックホールか、どちらにせよ触れた瞬間に分子レベルまで分解され、永遠の生き地獄を味わうことになるだろうね。」
「っ!!そんなの、いや‼まだ私は誰にも誉められてないのに!誰にも認められてないのに!まだ、何もできてないのに‼」
「.....最後までやかましい娘だったな。もういい。大切なカルデアスに飲み込まれ、分解され、消えるといい。」
「い、いやあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
咄嗟に所長に向かい走り出すも間に合うはずはなく、所長がカルデアスに触れてしまう。
そう思った直後、所長の背後の空間がいきなり裂け、所長を一瞬で飲み込んで消える。
「なに⁉ぐ、ぐああぁぁあ‼」
レフが驚き、硬直した瞬間。狙い済ましていたかのように色とりどりの魔力弾がレフに向かって雨のように降り注ぐ。
「.......あのスキマ、そしてこの魔力の感じ、まさか....」
「っく!がああぁ!」
降り注いでいた魔力弾はレフの声と共に弾かれ、霧散する。
驚いたことに、あれだけの攻撃を受けたにも関わらず、レフは少しボロボロになった程度であり、まだまだ健在のようだ。
「おのれ小癪なあぁぁぁぁ‼」
激昂したレフからドス黒いオーラが滲み出た瞬間、空間が軋み洞窟が崩壊してゆく。
「っ!ちっ、この特異点は限界のようだな。セイバーめ、聖杯を与えられながらその時代を維持しようなど愚かなことを。ふん、まあいい。私はそろそろ帰るとしよう。こう見えても私は忙しい身だからな。さらばだ、ロマニ、マシュ、人類最後のマスター、そして博麗の巫女よ。」
そう言うとレフは空中に浮かび上がり、空間に溶けるように消えていった。
それと同時に洞窟の崩壊が早くなる。
『まずい‼その特異点が崩壊しそうだ‼』
「ドクター、急いでレイシフトを!」
『分かってる!でもごめん、そっちの崩壊の方が早いかもしれない!皆意識をしっかりもって!そうすればサルベージも出来るはず━━━━』
次の瞬間、遂に洞窟の床が崩落し私達は暗闇の中へと落ちてゆく。
どこまでも
どこまでも....
意識を失う寸前、光輝く一匹の小さな獣を見た気がした。
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