バトルスピリッツ ブレイヴ ~ REVIVED SCARLET ~ (白銀るる)
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紫の章
世界と彼と……


バトスピを出戻りして、ブレイヴのあの結末を創作で良いから変えたいと思った私の脳内妄想になります。
ブレイヴ自体がわたしの少々幼い頃の物語なので知識不足ではあると思いますが、もし誤った箇所があればご指摘頂けると幸いです。

追記:三話完結の予定です


 ──眩く輝く光に包まれ、消えてゆく彼──。

 

 その瞳からはひとしずくの涙が零れ落ちる──。

 

 そんな彼をわたしは──、

 

 ただ見ているしか──、

 

 泣いているしか出来なかった───。

 

 

 ─────

 

 

 ふと目が覚めると、既に太陽が空に浮かんでいた。どうやら机に寄りかかって寝てしまったようだ。

 起き上がると頬を伝う熱に気づく。涙。

 ………また、あの夢を見た。未来の地球を救うための最後のバトル。バローネに勝利し、引き金となって消えた彼、馬神弾。

 手に握られた一枚のカード、《雷皇龍ジークヴルム》。彼の相棒にして切り札だったこのカードが、あの夢を見せたのだろう。

 今でも目を閉じると、彼の笑った顔が浮かぶ。

「ダン……」

 

 この時代に戻ってから、わたしたちにある変化が訪れた。以前は敵意だけを向けてきた世界は一転し、わたしたちを《世界を救った英雄》として称えるようになった。

 心当たりがあるとすれば一年前、わたしたちが未来から帰ってきて三ヶ月ほど経ってから、政府に関する人物が行方不明になり、闇に葬られていた事実が明るみに出た事件をきっかけにしたということだけ。未だ原因も犯人も分かってはいない。しかし、その一件があってか、(ダン)も英雄として称されるようになった。だけど………。

 

 

 わたし(紫乃宮まゐ)はデッキをしまい、気分転換の散歩に行くことにした。

 

 〜~~

 

 外に出ると少し気分が楽になる。

 そっと髪を撫でる風。そしてこの世界を照らす太陽。

 行く宛もなく、歩き続ける。

 しばらくしていると、カードショップが見えてくる。中を覗くと、たくさんの人がいた。カードを買う人、デッキを組む人、そしてバトルをする人。それぞれが違った形でバトスピを楽しんでいる。

 彼が世界を守ったからこそ、今この瞬間にバトスピを心から愛し、楽しめると思うと、同時にグラン・ロロや未来での彼の姿が重なり、心に引っかかる。

「お姉さん」

 不意に声をかけられる。振り返ると、小学生ほどの男の子が立っていた。

「お姉さん、僕とバトルしようよ」

 その手にカードを握る男の子はどこか不思議な雰囲気に包まれていた。

 

「ジークヴルム・ノヴァでアタック!」

「ライフで受けます…」

 男の子の名前、──ロロの名前を聞いた時、わたしは驚いた。かつて、仲間たちと巡ったあのグラン・ロロと同じ名前を持つ少年に。

 バトルの腕は、お世辞でも強いとは言えなかった。しかし、どこか不思議な雰囲気を持つ彼とのバトルは思うものがある。

「お姉さん強いね!僕全然勝てないやぁ」

「ありがとう、ロロ。でもわたしにも、勝てない人がいるの」

「ええ!?お姉さんでも勝てない人なんているの!?」

「ええ一人だけ……」

「お姉さん?」

 彼のバトルをしている姿が脳裏を()ぎる。

 

『ブレイヴスピリットでアタック!』

 

 彼に呼応して、咆哮するサジット・アポロドラゴンが相手(わたし)のライフを穿つ。

 

「お姉さん、悲しいの?」

「え…?」

「だってお姉さん、泣いてるんだもん」

 ロロに言われて初めて気づいた。

 やっぱり忘れられない。忘れられるはずがない。

 とめどなく溢れ流れる涙と感情

 最後に見た彼の笑顔。

 彼に、ダンに会いたい…っ!

 あの時の約束を……ダンにわたしのカレーを食べさせてあげたい……っ!!

「………分かりました。()()()()()()()についてきて下さい」

「え?ロロ?」

 突然ショップから出ていってしまった。ロロが、彼がわたしを呼ぶ理由。それははっきり言って分からない。

 でも……でもこれだけは分かる気がする。彼の案内する所に、わたしは行かなくてはいけないと───。

 

 

 

 

 

 



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赤の章
想い達が紡ぐ奇跡


 ここはどこだ……。

 

 何も無い。何も見えない。

 

 ただただ真っ白な空間が広がっている。

 

 体を動かすことも出来ない。

 

 ────そうだ。俺はあの時……。

 

『消滅してしまったわ』

「ッ!?その声…マギサか!?」

 遠くから光が近づいてくる。その光が近づくにつれて、なんだか暖かくなる。

『久しぶりね。ダン』

「マギサ……本当に久しぶりだな」

 目の前に来たマザーコアは、かつて共に旅をした仲間、マギサへ姿を変えた。

 挨拶を交わした彼女の表情(かお)は再会を喜ぶと言うより、申し訳なさを感じさせる。

『ごめんなさい!!』

「…マギサ?どうしてマギサが謝るんだよ」

『あなたが引き金になってしまったあの時、本当はあなたを助けてあげたかったの……。でも……マザーコアの力は強大だった。わたしは【マギサ】としてのわたしの意識を失って、マザーコアとしての役目を果たすにとどまってしまった……。そのせいでダン、あなたの体は……』

 マギサは頭を下げ、謝ってくれていた。

「良いんだよマギサ。あれが俺の選んだ未来だったんだ。確かに悔いは無いかと言われたら、うんとは言えない。まだ生きていたかったよ。まゐと一緒に……」

 目頭が熱くなっているのが自分でも分かる。体が消滅した、そう言われたはずなのに。それほどに俺は………。

『聞いてダン。あなたはまだ死んだ訳じゃないの』

「ッ!!?それってどういうことなんだ?」

『それは彼が教えてくれるわ。あなたが今どんな状態なのか。何故そうなったのか……』

 マギサの言葉に続いて、一人の男の子が俺の目の前に現れた。

「キミは……?」

『初めまして…だね、馬神弾くん』

 俺の名を呼ぶ男の子は、どこか大人びた雰囲気で、その見た目からは想像のつかない“存在感”を放っている。

『そんなに構えなくても大丈夫。わたしはキミの味方さ』

 その一言を受けると、俺はロロに対する警戒を自然と解いてしまう。

『さて──、キミの肉体が既に消滅してしまっていること、それは彼女(マギサ)から聞いたね?』

「ああ」

『確かにキミの「肉体」は消滅してしまった。「肉体」は、ね』

 ロロは少し間を置いて、また口を開く。

『本来なら引き金となった時に、肉体はおろか「魂」も消滅し、今のような状態にはならないのさ』

「つまり今の俺みたいな状態は異常だってことか?」

『そういうことになる。肉体とともに消滅するはずの魂、それがこうして消滅を免れたのは、他ならぬ「彼ら」のおかげなんだよ』

「彼ら……?」

 ロロはそう言うと少し上に上がっていく。そしてロロがいた場所に、六色のコアが現れた。やがてそのコアたちは眩い輝きを放つ。

 俺は眩しさから目を瞑り、再び瞼を上げるとそこにはスピリットたちが立っていた。

 ジークヴルムとアポロドラゴンたち。ベルゼビート。ビャク・ガロウ。イグドラシル。イスフィール。アレクサンダー。そしてホウオウガ。

「まゐ…剣蔵…勇貴…クラッキー…硯…華実…」

光主たち(キミの友たち)とその友たちの強い想いがキミの魂をこの場所に留まらせた。いつかキミの体を甦らせるために』

「みんな……」

 みんなの想いが俺を守ってくれた。とても嬉しかった。

『ダン、ジークヴルムたちはあなたが眠っている間も、ずっと力を蓄えていた。そしてやっと今日がきたのよ』

「それってつまり……」

『ええ』

「そうか…ありがとなジークヴルム…みんな」

 答えるように咆哮したジークヴルムはジークヴルム・ノヴァに進化する。その隣でもスピリットたちが次々と姿を変えていく。

『彼らは究極の存在へとその身を昇華させた。キミを甦らせるために、あの場所へと帰すために』

 マザーコアを含めた七つのコアは円を描くように並ぶ。そしてその中に黄金に輝くもう一つのコア。現れた八つ目のコアに手を触れる。

「──感じる。俺の体が───」

 浮遊感が消え、確かに俺の体は現実の実体として存在していた。

『馬神弾。キミがある限り、彼らのその存在もまたあり続ける。お互いがあり続けるその世界の中で───』

 ジークヴルム・ノヴァたちとマギサ、ロロの体が輝き始める。

 同時に意識が遠のき始める。

「待ってくれ!ロロ!マギサ!』

『ダン。あなたが呼ぶ名前はわたしたちじゃないわ』

「マギサ……」

『ちゃんとあの子の──、まゐの隣にいてあげて───』

 

 マギサの言葉が最後まで俺の耳に届くと、俺の意識は闇の中に包まれていった───。

 

 

 

 

 



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未来への章
過去を超えて…


どうにか書き終えることが出来ました!
ダメダメなわたしが自分の妄想を駄文作成スキルで書いただけなので、読んでくれている方々の期待に添えられているかは分かりませんが、今回のお話はこれにて終了となります。それでは

*硯のセリフとまゐの語りを一部修正しました。


 カードショップを飛び出したロロをわたしは急いで追いかけた。走っている訳でないのに、追いつくことが出来ない。

 思えば、いつもそうだったかもしれない。わたしが追いかけた人はいつも追いつかせようとさせず、先を行ってしまう。

 わたしはロロを見失わないよう走った。

 やがてロロの歩みは止まり、わたしも足を止めた。

「ここは……」

「あの日、紫乃宮まゐさん、キミが馬神弾を未来へと(いざな)った場所です」

 思い出す。弾に抱かれ、ゲートに飛び込んだ日のことを。

「紫乃宮まゐさん。ここでわたしとバトルしてください」

「どういうこと?いきなりバトルだなんて……」

「彼が、馬神弾を救うには───、あなたの力が必要なんです」

 

 

 言葉に表せなかった。

 ダンのことと、バトルフィールドでのバトル。

 一年ぶりにこの身を包むバトルフォームは未来でヴィオレ魔ゐを名乗った時のもので、ロロに関しては、わたしの本当の強さを引き出すためと、ダンの姿になっている。

「突然こんなことになって驚きましたか?」

「ええ。もちろんその姿にもだけれど、ゲートを開いたってことは……あなた、グラン・ロロから来たのね」

「黙っていてすみません……ですが、あなたの力を借りなければ成せないことなのです。先攻はわたしが。スタートステップ」

 第1ターン目、ロロはモルゲザウルスを召喚。続く2ターン目、わたしはソードールを召喚し、ロロのライフを削った。

 3ターン目、ロロはブレイドラをレベル2で召喚した。

「マジック、《スターリードロー》を使用します」

 ロロはスターリードローでサジット・アポロドラゴンとシャインブレイザーを手札に。そしてモルゲザウルスをレベル2にアップしてターンエンドした。

 続く4ターン目、デモボーンを召喚、ソードールで再びロロのライフを削る。

 そして五ターン目。

「龍神の弓、天馬の矢。戦いの嵐を鎮めよ。光龍騎神サジット・アポロドラゴンを召喚。不足コストはブレイドラから確保。続けてアタックステップ。サジット・アポロドラゴンでデモボーンに指定アタックします」

 デモボーンは破壊され、ロロはターンエンドした。

 六ターン目、ソウルホースを召喚し、ソードールで攻撃。ロロのライフは残り2。

 バトルは7ターン目に突入した。

 ………どうも変な感じがする。1ターン目からこれまで、この盤面にデジャブを感じる。

「メインステップ。輝竜シャイン・ブレイザーを召喚します。そしてシャイン・ブレイザーをサジットアポロドラゴンにブレイヴ!モルゲザウルスをレベルアップしてアタックステップ!ブレイヴスピリット!アタック時効果により、BP10000以下のソードールを破壊します」

「ライフで受ける」

 ダブルシンボルでライフを2つ削られ、わたしのライフは残り3つ。

 わたしのターン。エクストラドローを使用。

 …………雷皇龍ジークヴルム。

「気づきましたか?」

「これはどういうことなの?」

 見覚えのある展開。もしかするとこれは………

「これは『あの時』の再現です。このバトルはあなたの想いが強ければ強いほど再現度は高くなっていきます。あの時の彼を、そしてあなた自身を──あなたは再現度(運命)を超えることができますか?」

 このバトル……やっぱりあの時の再現だったんだ……わたしがダンを止められなかったあのバトルの……。

「……2体目のソウルホースを召喚。ネクサス闇の聖剣を配置。ソウルホースで攻撃」

「フラッシュタイミング、サザンクロスフレイム。コストはアポロドラゴンから確保、レベル1に」

 ロロのモルゲザウルス、そしてわたしのスピリットが全て破壊され、ターン終了。

「サジット・アポロドラゴンをレベル3にアップ。さらに金牛龍神ドラゴニック・タウラスを召喚。ブレイヴスピリットでアタック」

「ライフで受ける」

「続いてドラゴニック・タウラス!」

「マジック、グリーディコアを使用。ブレイヴしていないスピリットのコアを2個リザーブへ」

 ドラゴニック・タウラスは消滅。ロロのターンは終了した。

 ………10ターン目。わたしの敗北に決定的な一打を与えたターン。

「マジック、ビッグバンエナジー。このターンの間、自分の手札にある系統『星竜』をもつスピリットカードすべてのコストを、自分のライフと同じ数にする!」

「……っ‼」

「雷皇龍ジークヴルムを召喚!そして、滅神星龍ダークヴルム・ノヴァを召喚!さらに、雷皇龍ジークヴルムを転召させ、超新星龍ジークヴルム・ノヴァを召喚ッ!!」

 フィールドに降り立つ2体のノヴァ。2体はロロを睨み、咆哮する。

「ジークヴルム・ノヴァの召喚時効果!ジークヴルムで転召したとき、ライフを5にする」

『ダブルノヴァ……まゐさん。あなたは馬神弾を……昔の自分を超えられますか?』

 

「アタックステップ!ダークヴルム・ノヴァでサジット・アポロドラゴンに指定アタック!」

 サジット・アポロドラゴンのBPは18000、ダークヴルム・ノヴァは23000、これなら……!

「フラッシュタイミング!マジック、バーニングサンを使用!手札からトレス・ベルーガを直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

 アポロドラゴンBP24000…!!あの時と変わらない……。

 ダンの姿をしたロロも、あの時と同じ……。

 何も変えられないなんて……そんなの……

「そんなの……イヤ!!マジック、ブレイヴデストラクション!」

「っ⁉」

「トレス・ベルーガを破壊!」

 サジット・アポロドラゴンのBPが18000にダウン。ダークヴルム・ノヴァのBPが上回った。

 サジット・アポロドラゴンは破壊され、ダークヴルム・ノヴァの効果でフィールドに残れないシャイン・ブレイザーもトラッシュへ。

「これで最後……ジークヴルム・ノヴァでアタック!!」

 泣いても笑ってもこれがラストアタック!

『ライフで受けます……』

「強くなったな……まゐ───」

「え────」

 

 

 

 ~~~きみが待ってる~~~

 

 

 

『負けちゃったわね』

『そうだね。彼女の想いはバトルが始まったあの時からわたしの力を超えていたよ』

『最後の最後、彼女に応えるように奇跡が起きた。それが負けたくない気持ちからだったのか、あるいは……』

『そんなこと考えるだけ無駄よ。まゐ(あの子)のことだからきっと………』

『ははは、その通りだ。さて、フィクサー(かれら)も反省しているだろうし、ゲートを閉じて僕らも戻るとしよう。彼らが守ったグラン・ロロ(あの世界)へ────』

『ええ』

 

 ~~~

 

 俺が目を覚ますと、まゐもまた、目の前で「すぅすぅ」と寝息を立てて眠っていた。もちろん幻なんかじゃない。彼女から届く匂いが、彼女を撫でたときの感触とぬくもりがそれを証明してくれている。

 起き上がってまゐの頭をまた撫でる。

 俺……帰って来たんだな、この世界に。

 異界王の事件以来、失ってばかりだった俺が得たこの気持ち……。

 まゐと一緒に生きていきたい。

 ずっとまゐの隣で、まゐと笑っていたい。

 

 またそっと髪を撫でると、まゐが目覚め始める。

 俺のことを見たらどんな顔をするだろう?

 散々打ち負かしておいて消えちゃうなんて、とか言いながら怒るのだろうか?

 もしくは笑顔でおかえり、と迎え入れられるのだろうか?

 でも今は、一秒でも長く、彼女の側にいたい───。

 

 ~~~

 

 わたしの意識が目覚め始めた頃、「誰か」がわたしの側にいた。

 その「誰か」が髪を撫でてくるが、不思議と嫌な感じがしない。それどころか、どこか懐かしい感じがするとその手の心地に浸っている自分すらもいる。

 ゆっくりと瞼をあげると目の前には彼が、激突王馬神弾が、わたしの愛する人がいた。

「ダン……ダン、ダン、ダン…ッ!」

「まゐ…」

 わたしはダンの胸に飛び込む。

「夢じゃないよね?本当にダンだよね?」

「ああ。遅くなって悪かった…」

「ううん…いいの……」

 彼が本物なんだと思うと涙が止まらなくなってしまう。

「まゐ……」

 わたしの名前を呼び、頭を撫でてくれるダン。

「顔を見せてくれ」

 わたしは顔をあげてダンの顔を見つめる。ダンもわたしの顔を見て指で涙をぬぐってくれる。

「約束するよ。まゐ、もう絶対お前から離れない。この手も離したりしない」

「本当?」

「ああ」

 そうしてわたしも、彼も目を閉じて、互いの唇を重ね合い、その約束を交わしたのだった。

 

 

 

 ~~~Battle No Limit!~~~

 

 

 バトルスピリッツチャンピオンシップ大会の会場は全国から集まったカードバトラーたちの興奮と熱気で最高潮へと達していた。

 陽昇(ひのぼり)博士が開発したバトルフィールドに立っている二人の最強のカードバトラーとその仲間たちだ。

『さあ!会場のテンションがマックスになったところで、両者のキーカードが対峙したぁぁぁッ!!!』

 バトスピ界のカリスマ、「ギャラクシー」がそのマイクから観客たちの興奮を煽る。

『睨み合う超新星龍ジークヴルム・ノヴァと!聖皇ジークフリーデン!そして伝説のカードバトラー!馬神弾と馬神トッパ!バトルもいよいよクライマックスへ突入だぁぁぁぁッッッ!!!!』

 周りの人たちに押し潰されないようにわたしもダンを応援している。けんちゃんやすずりんも一緒に。

「今のダンくん、昔みたいにとても生き生きしてますね」

「そうだね。グラン・ロロで旅をしてた時と同じ。ずっと楽しそうにしてる気がする」

 ダンがこちらに戻ってきてから、ギャラクシーをはじめとするカリスマたちのおかげで、ダンの公式大会出場禁止は免除され、こうして公の場でバトルすることができている。もちろん最初は反対する人が多かったけれど、彼のバトスピに対する真っ直ぐで純粋な想いを人々は次第に受け入れていった。

「本当、バトスピにちょっとだけ妬いちゃうわ。……冗談。今のバトスピをしてる彼が、わたしの一番大好きなダンだから……」

 二人は茶化したり、笑ったりしない。二人もそんなダンが好きだからかな?

「そういえばけんちゃん、未来との通信とかは出来るようになったの?」

「そうですねぇ。もう少しで完全に完成するってところでしょうか。陽昇博士たちにも力をお借りしてもらっていますから」

「じゃあ完成したらダンのこと報告しなくちゃね」

「はい!」

 未来との通信が可能になれば、クラッキーやバローネたちにもダンのことを伝えられる。そんなこともわたしたちは思っていた。

「見て二人とも。ダンくんが何か言ってるよ」

 

 

 このフィールドに立つのは最強の座をかけた二人。

 そして互いの相棒が対峙する。

「へへ。やっぱり強いな、激突王!」

「そっちこそ。最強のカードバトラーの名は伊達じゃないな」

 互いに称え合う二人。それに呼応してスピリットたちも咆哮する。

「メガネコ、それにみんなが応援してくれてるんだ!そんな簡単にやられねーよ」

「俺だって、まゐと約束してるんだ。この大会は必ず優勝するって。それにバトルで勝った後のまゐのカレーは格別に美味いからな」

 弾もトッパもここが公衆の前であることを忘れ、のろけてしまう。しかし、そんな二人も、バトルも止める者は誰もいなかった。

 

 

「あ~……あれはダンくん、ここが公衆の面前だってこと忘れちゃってますね~」

「まあそれだけバトルに夢中になっちゃってるってことなんだねー」

 もう………ダンってば……!

 すっかり顔が真っ赤になってしまっているのは、いちいち鏡を見なくても分かる。

 ダンがそう言ってしまうのはとても恥ずかしいが、それと同じくらい……いや、それ以上にうれしくもある。

 だからそう言ってしまわれたら、もうこう言うしかない。

「ダァァァァン!絶対負けないでよねぇぇぇぇ!!!!」

 

 

「いくぞ!アタックステップ!超新星龍ジークヴルム・ノヴァでアタック!!!」

 

 ダンの宣言とジークヴルム・ノヴァの咆哮がフィールドと会場に響き渡った。

 

 

 

 

 

~Fin~




短かった……。
まあ位置付け的に後日談で、しかも思い付きだけで書いたから……仕方ないかも……(~_~;)
まあそれは置いておいて、ここまで読んでくれた皆さん!
本当にありがとうございます!
本編終了後、ダンくんはこんな風に戻って来たんだ……と私は自分の中で信じています。

最後にバトスピが大好きな皆さん!
わたしのことは嫌いでも、バトスピのことは(殴

はい!なんでもありません!
では最後はこれで締めましょう!

ゲートオープン!解放‼


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