不死鳥の四男坊(仮) (kaikai9032)
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誕生

みなさんこんにちは、kaikaiです……ハイスクールD×Dを見直していたら書きたくなってしまいました。
この作品も気まぐれ投稿です。
それではみなさん、不死鳥の四男坊(仮)
お楽しみください


冥界のとある貴族の家に、二人の子供が生まれた。

 

片方は男子、もう片方は女子であった。

 

そしてその赤子達は父と母である二人の男女に抱き抱えられていた

 

「無事に産まれてきてくれたわね」

 

どこか安心した様な顔でそう言った女性は、ロビン・フェニックス、二人の母である

 

「良かった……本当に良かった!」ポロッ

 

そう言って涙を流すのは、父であるアトラス・フェニックスだ

 

「まったく、もう4回目よ?さすがに慣れたわ...」

 

そう言ってロビンは少し苦笑した

 

「でっ!でも!双子なんて初めてなんだ、仕方ないだろう?」

 

アトラスは少しおどおどしながらそう言った

 

「ウフフ、そうね……本当に良かったわ……ねぇ、あなた?」

 

「うん?どうかしたか?」

 

「この子たちに名前をつけてあげましょう?」

 

「おぉ!そうだなぁ、女の子はレイヴェルと言うのはどうだろう?」

 

「レイヴェル、いい名前ねぇ……そうねぇ、お兄ちゃんの方はどうしましょうか?」

 

「うーん?」

 

「そうねぇ………レイン………レインなんてどうかしら?」

 

「レイン、雨か………私とは、正反対だな」

 

そう言ってアトラスは少し考え込んだ

 

「ウフフ、そうね、フェニックスは炎を司る悪魔ですからね」

 

「だがそうか、レインか………うん!いい名前だ!」

 

「えぇ………レイン、レイヴェル、貴方達は将来、貴方達のお兄様達のような、強くて、優しくて、誰にでも信用される、そんな人になりなさい?」

 

「あぁ、将来が楽しみだ」

 

「えぇ、そうですね」

 

 

こうして、とある悪魔の家に二人の子供が生まれた。

 

その子供たちの名前は

 

レイン・フェニックス、レイヴェル・フェニックス

 

 

 

 

原作開始まで、あと16年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから5年がたった、三男のライザーは母に言われ、二人を探していた。

 

 

「あっ!おにいさまー!」

 

 

そうやってライザーに駆け寄ってきたのは妹のレイヴェルだった。

 

 

「レイヴェル、どうしたんだ?」

 

「きいてよおにいさま!またれいんが、ほんのおへやにとじこもってるの!」

 

 

それを聞いてライザーは、またか、と頭を抱えた。

 

 

「あぁ、わかったレイヴェル、母上が呼んでいるからレインを迎えに行こうか?」

 

「おかあさまが?わかった!はやくいこう!おにいさま!」

 

 

そうして二人は書庫へと向かった。

 

 

 

 

 

 

書庫に向かった二人が目にしたのは、山のように積んである本と、その中心で本を開き、何かの読み書きをしているレインだった。

 

 

「………レイン、なんの勉強をしているんだ?」

 

「?あぁ、ライザー兄様、はいギリシャ語の勉強を」

 

「どれぐらい進んだんだ?」

 

「περίπουταμισά」

 

「…………すまないもう一度言ってくれ」

 

「はい、半分ほど、と申しました」

 

「そうか、すごいな、会話までできるのか」

 

「まだまだです、それに半分ほどと言っても、わからないことの方が多いですから」

 

「そうか………」

 

 

違う、ライザーが言いたかったことはそんなことではないのだ。

問題はレインがギリシャ語を話せることではない。

問題はその過程にある。

 

レインはいまギリシャ語を勉強している。

だがフェニックス家にはギリシャ語を扱える者などおらず、

ましてやギリシャ語について書かれた本などもなかった。

しかし父の趣味は本を集めること。

もしかしたらギリシャ語で書かれた本などもあるかもしれない。

部屋に入ってきたときに積んであった本の山は、探した時のものだろう。

 

ここまでのことで、なにが言いたいかと言うと、

レインは、ギリシャ語と言う未知の言語を、

たった一冊の本を読むことにより、

解読しているのだ。

 

これがどれだけ異常なことなのか理解できるだろうか?

 

通常、人が未知の言語を解読するのに数年から数十年という時を費やす、

だが昨日書庫はこんな風に本が積んであるなんてことはなかった。

つまりレインが、ギリシャ語を勉強し始めたのは、今日の朝からになる。

レインは朝、自分達と朝食を取っていたので、はやくても7時からとなる。

今が正午なので、最高でも5時間、5時間の間にレインは、ギリシャ語を解読したというのだ。

 

 

「ライザー兄様?どうかしましたか?」

 

「………いや、なんでもない、それよりもレイン、昼食だ、母上が呼んでいる」

 

「あぁ、もうそんな時間でしたか、なら続きは昼食のあとですね」

 

 

この調子でいけば、レインは今日中に解読し終えるだろう。

そのことに恐ろしくなるライザーだったが、これがどれだけ異常なことかわからないレイヴェルは、

 

 

「えー!まだおべんきょうするのー!?わたしとあそぼうよー!」

 

「でも………」

 

 

相変わらずの無表情、だがどこか困ったような、悩むような、

そんな顔をする弟にライザーは

 

 

「たまには勉強を休み、体を動かすのも大切だぞ?」

 

 

ライザーがそういうと、レインは悩んでいたのが嘘だったのでは、というほどの速さで判断を下した。

 

 

「わかりました兄様、午後は外でレイヴェルと運動することにします」

 

「ほんとう!?やったー!ひさしぶりにまほうであそぼー!」

 

「うん、でもあんまり無茶しちゃダメだよ?」

 

「もー!わかってるよー!」

 

 

ライザーは思った、なぜレインは才能も、魔力も劣る自分を尊敬するのだろうか。

レーティングゲームで活躍する長男のルヴァルや、メディアの幹部をしている次男を尊敬するのはわかる。

だがなぜ自分を慕うのだろうか?

何度考えても答えのでない自問自答に、ついライザーは口に出してしまった。

 

 

「なぜ、俺を慕う?」

 

「それは、兄様が兄様だからですよ」

 

「なっ⁉︎」

 

「僕にとって、兄様は大切な家族です、かっこいい兄です」

 

「………」

 

「だから僕は兄様を尊敬します、兄様を慕います」

 

「………そうか…」

 

「はい……だから兄様?僕は兄様にとって自慢の弟になれるよう頑張ります!」

 

 

ライザーは今までの自分が馬鹿らしく思えてきた。

レインがライザーを慕う理由など、兄だから、で十分だろう。

それ以外になにがいるというのか。

なぜこんな簡単なことも思いつかなかったのか。

そう、それはライザーが、レインの兄として、自信を持てていなかったからだろう。

だが、レインは言った、自分は大切な家族だと、かっこいい兄だと。

では、ライザーは今の自分は、レインの兄だと、堂々と名乗ることができるだろうか?

否、できるはずもない、なぜなら自分は努力しているか?

していないだろう、そんなので兄と名乗れるか?

それは、努力する弟を侮辱するのと変わらないのではないのか?

ではどうすればいい?

簡単なことだ、強くなればいい、誰にも負けなければいい、その相手が、たとえ神だったとしても。

そうすれば、レインの兄だと自信を持って言えるだろう。

それからははやかった、ライザーは努力し続け、遂には超越者と呼ばれ、原作が少なからずとも、変わってしまうほどには。

 

 

 

 

 

原作開始まで、あと10年




いかがだったでしょうか?
と言ってもまだプロローグなのでこれからですが(苦笑)
よろしければ他の二つの作品もよろしくお願いします。
意見、感想お待ちしております。


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原作開始

あれから9年、今年15歳になるレインは父にあるお願いをしていた。

 

 

「お父様、お話があります」

 

「ふむ、どうしたんだレイン?」

 

「はい、実は学校に通ってみたいのです」

 

「うん?どうしてだ?」

 

「はい、一つは兄様の婚約者であられる、リアス様の通う学校がどのようなものか、気になったからでございます」

 

「うん、一つということはまだあるんだろう?」

 

「はい、もう一つは、今僕は独学で勉強していますが、学校に行けば、僕とは違う思想を持つ人がたくさんいます、なので僕では気がつかないこともわかるようになると思うんです」

 

「そうか……よし学校に通えるようにサーゼクス様に掛けあおう」

 

「よろしいのですか?」

 

「大丈夫さ、普段我儘どころか、不満の一つも言わないお前が珍しく頼むんだ、親として叶えてやりたいと思うのが普通だろう?」

 

「………ありがとうございます……」

 

「ハハハッ、構わないよ、それに、たまにでいい、今日のようにお前はもっと人に甘えていいんだよ、お前は一人で考えすぎだ」

 

そう言ってアトラスは笑った

 

「……はい、ありがとうございますお父様」

 

こうしてレインは駒王学園へと通うことが決まった。

 

 

 

原作開始まで、あと1年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、入学式、長い校長の話しが終わり、決められた教室に移動し、今は自己紹介の時間だ、そしてレインの番が回ってきた。

 

 

「レイン・フェネルです、これから3年間よろしくお願いします」

 

 

そう言って、頭を下げたレインにクラスの大半が固まった。

なぜ固まったかというと、その容姿が要因だった。

男だと言われればそう見えてくるが、知らなければ女にしか見えないその顔に、今にも折れてしまいそうな体つき、そして高校生にしては少し高めの女声。

これだけの要素が揃っていて、男だと言われて固まらない方が無理な話だった。

 

ここでレインの家名が変わっている理由を説明しよう。

理由は単純だ、リアス・グレモリーに気づかれないようにするためだ。

もしバレれば、ライザーを嫌う向こうに言いがかりをつけられてしまうかもしれない、それほどまでに、向こうは婚約に否定的なのだ。

だからレインは兄に迷惑をかけないようにと、家名を偽っているのだ。

 

そんなレインは固まる周りを放置し、席へと戻った。

そして次に自己紹介した人にレインは見覚えがあった。

 

 

「塔城小猫です、よろしくお願いします」

 

 

(塔城小猫、確かリアス様のルークだったかな?)

 

 

そして小猫の席はレインの隣だった。

 

 

「よろしくお願いします、塔城さん」

 

「……はい、えっと……」

 

「呼び方はなんでもいいですよ?」

 

「はい、よろしくお願いします、レーくん」

 

「はい、よろしくお願いします塔城さん」

 

 

 

原作開始まであと二週間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッス!俺は兵藤一誠!みんなからはイッセーって呼ばれてる。

そんな俺はこの学校で知らないやつはいないというほどの有名人だ!

 

 

 

悪い意味でな(泣)

俺は、元浜、松田とともに変態三人組と呼ばれ、学校中から嫌われている。

そんな俺は今とあるやつとファミレスにきている。

そのある奴とは、学校で二大王子様と呼ばれる奴だ。

 

一人は木場祐斗といい、顔、性格、成績、運動神経と、全てにおいて完璧な奴。

そして、学校中の男どもの敵だ(怒)

 

そして今俺が一緒にいる奴、それがレイン・フェネルだ。

なぜ俺が、こいつと一緒にいるかというと、1週間ほど前になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間前、俺が走って帰っていると、曲がり角から出てきたレインとぶつかってしまったのだ。

最初は何このラブコメ展開、と思ったが、大丈夫か?と聞こうとした時、こんな声が聞こえた。「アイス」と。

ふと思い、足元を見ると、そこには三段アイスが落ちていた。

まずいと思い、俺はすぐに謝った、そしてアイスを奢るといったのだが、レインは

 

「大丈夫です、また買い直しますので、それでは」

 

そういった。

だけど、それじゃあ俺の気がすまなかった。

なぜなら、レインの無表情な顔に、悲しそうな目が見えたからだ。

俺はレインを呼び止め、弁償するといった。

だが、レインはそれを頑なに拒んだ。

なので俺は強行手段に出ることにした。

レインの手を引き、無理やりファミレスに連れ込んだ。

普段の俺なら、たとえ相手がどんなに可愛かろうが、男とわかっている以上、頑なに拒む相手に奢るなんてことはしなかった。

だけど、あの時俺は見ちまったんだ、レインの目を。

その目は、誰にも迷惑をかけない、掛けちゃいけない。

そんな目だった。

その時俺は、なんでそんな目をするんだ、迷惑をかけてもいいのに。

そんな思いもあって、俺はそれが聞きたくなった。

だから俺はレインをファミレスへとつれこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

うん、自分で思い出してて、思った。

側から見て、美少女のこいつを、無理やりファミレスに連れ込む俺って、もしかしてやばい奴に見えてる?(大汗)

 

あれから1週間、なぜ俺がまたレインとファミレスにきているのかというと、実は俺がレインを誘ったんだ。

なんで誘ったんだって?

それはこいつの表情にあるんだ。

普段無表情のこいつが、甘いものを食べてる時だけは綻ぶんだ。

その顔に俺は何故か癒されてしまった。

い、いやっ、男だとわかっているし、俺は普通に女の子が好きだからな⁈

でも、まぁ、こいつが女の子だったら絶対に惚れてたと思う。

それほどまでにこいつは可愛いんだ。

 

 

「先輩?どうしたんですか?」

 

「いやっ、なんでもねぇよ、それより美味いか?」

 

レインが食べているのはこの店で一番高い、いちごパフェだ。

高いといっても千円もしないのだが。

 

「はい、美味しいです」

 

相変わらず、抑揚のない声、だが、その顔は僅かに微笑んでいた。

この顔だ、この顔に俺の心が癒されるんだ。

 

「でも、本当にいいんですか?」

 

レインは、そうやって心配そうに聞いてくる。

普通の奴、特に男なら、奢ると言われれば遠慮などせずに食いたいだけ食うもんなんだけど、こいつはちがう。

最初に今日は俺が奢るといった時の、第一声が「大丈夫です、お金はありますから、自分で払います」だった。

それを聞いて俺は、今日突然呼び出したんだから、俺が払うよといった。

このセリフは、普通彼女にいうものではないのだろうか?

でも、俺は後悔していない、それにレインはもっと人に甘えてもいいと思うんだ。

だから俺は、

 

「大丈夫だぜ?なんなら、もっと頼んでもいいぞ?」

 

そう、笑いながら言った。

一瞬、目を輝かせるレインだったが、すぐに戻し、申し訳なさそうにいった。

 

「ありがとうございます、でも流石に悪いので、これだけ奢って貰えるだけで、十分です」

 

「そうか、あっ、そうだレイン?」

 

「なんですか?先輩?」

 

「次の土曜日って暇か?」

 

「はい、特に用事はないですけど?」

 

「ならさ、また今日みたいに食べに行かないか?」

 

「いいですけど、その時は僕が払います、先輩にばかり払ってもらうのは、申し訳無いので」

 

「はははっ、そうか、でも流石に全額はダメだ、そこは割り勘にしようぜ?」

 

「でも……」

 

「おいおい、俺は後輩に奢らせるほど、酷い先輩じゃないからな、ここは俺の先輩としての顔を立ててくれ、な?」

 

「………わかりました」

 

たっぷりと間を空け、如何にも納得していませんという目で見てくる後輩を、ついイッセーは笑ってしまった。

 

「なんで笑うんですか」

 

「いやっ、悪い、お前が不満そうにしてるのが面白くてな」

 

そういうとレインはまた不機嫌そうにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1時間、レインと別れたイッセーは、突然声を掛けられた。

 

「あっ、あのっ⁈」

 

「ん?」

 

「兵藤一誠さんですよね⁈」

 

「えっ、あぁそうだけど?」

 

「よかったー!あのっ、実は伝えたいことがあって」

 

「えっ、あっ、うん」

 

「一目惚れしました、私と付き合ってください‼︎

 

「えっ⁈」

 

突然のことにイッセーは思考することができなかった。

 

「……あのっ、嫌でしたか?」

 

「いやっ、ちがうよ、めちゃくちゃ嬉しい!それに俺からもお願いしたいぐらいだよ!」

 

「それじゃあ‼︎」

 

「あぁ‼︎よろしくお願いします!」

 

「よかったー‼︎断られたらどうしようかと思ってたの!」

 

「断るわけないだろ?こんな可愛い子から告白されたのに」

 

「そんな!可愛いなんて(//∇//)」

 

 

こうして、ここに一組のカップルが誕生した。

そして、その後二人は連絡先を交換して別れた。

その時、イッセーは気づかなかった。

彼女が浮かべていたものが、恋する乙女の笑みではなく、

醜い、嗤い顔だったことに。




いかがでしたか?感想お待ちしています。


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出会い

翌日、レインが学校に行くといつも通り、追いかけ回されているイッセーがいた。

 

「うぉっ⁈レイン!頼む!助けてくれ‼︎」

 

「レ、レインくん⁈」

 

「……あのっ、先輩……」

 

「なっ、なにかな⁈」

 

「あの、イッセー先輩を許してあげてくれませんか?」

 

「でっ、でも……」

 

「お願いします」

 

そう言ってレインは頭を下げた。

 

「わっ、わかったから頭をあげてレインくん⁈」

 

「ありがとうございます」

 

「う、うん、じゃあまたね」///

 

「はい、失礼します」

 

「すげぇ、あの村山がデレデレしてた」

 

そう言いながらイッセーは冷や汗をかいていた

 

「先輩、女性には礼儀を持って接しなければいけませんよ?」

 

「でもよー、性欲が抑えられねーんだ」

 

そう満面の笑みで言った

 

「……………変態」

 

「へへへ、変態で悪かったな」

 

「全くです」

 

そう言いながらも、レインはイッセーを避けようとはしなかった

 

「そーいえばよー、俺彼女できたんだぜ!」

 

「…………先輩」

 

「ん?」

 

「今ならまだ間に合うかもしれません、一緒に病院にいって診てもらいましょう」

 

「そんなにおかしいか⁉︎なら証拠を見せてやる、ほら天野夕麻ちゃんだ!」

 

「……………どうして」

 

「ん?どうして付き合えたかって?それはな〜」

 

「どうして………こんな性欲しか取り柄のない先輩を好きになる物好きがいたなんて………ありえません」

 

「おい⁉︎そっちかよ⁉︎」

 

(それに、この人は堕天使だ、なんの目的があって先輩に近づいたんだろう?)

 

「レイン?」

 

「っ⁉︎なんでもないです」

 

「そうか?そうだ!お前に相談したいことがあるんだ!」

 

「なんですか?」

 

「実はな〜、土曜日にデートすることになったんだ、そこでアドバイスをもらいたいんだ」

 

「それはいいですけど、何か忘れてませんか?」

 

「忘れる?一体何を…………土曜日?…………待てよ確か…………あ⁉︎」

 

「はぁ、思い出してくれましたか?」

 

「やべぇ⁉︎そうだ、土曜日はお前と食事する約束してた⁉︎」

 

思い出したイッセーは大慌てでレインに謝罪した

 

「反省してくれてるならいいです、それは日曜日にしましょう?その時に土曜日の感想を聞かせてください」

 

「………本当にごめんな?」

 

「いいですよ、いつも奢って貰ってますから」

 

「本当にありがとう、俺は本当にいい後輩をもったぜ!」

 

「やめてください、気持ち悪いです」

 

そういうレインはしかし、スイーツを食べているときのような顔をしていた

 

「本当は嬉しいくせに」

 

イッセーはその顔を見て、ついニヤついてしまった

 

「………うるさいです」

 

「ははは!っと、時間がやばいな、悪い放課後大丈夫か?」

 

「はい大丈夫です」

 

「なら放課後いつものファミレスで待ち合わせな!」

 

「はい、ではまた後で」

 

「おう!また後でな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、レーくん」

 

レインが教室に入ると、隣の席の小猫が挨拶をしてきた

 

「おはようございます、塔城さん」

 

「兵藤先輩となにを話していたんですか?」

 

教室の窓から先程の様子を見ていた小猫は、会話の内容が気になりレインへとそう質問した。

それに対してレインも、別に隠すほどのことでもないと判断し正直にこう答えた

 

「先輩に彼女ができたらしいので、お祝いしてました」

 

「あの先輩に彼女ができたんですか?」

 

そう言って小猫は少し目を見開いて驚きの表情を見せた。

その反応だけでイッセーが周りからどう見られているか改めて理解したレインは、その評価を少しでも和らげようと「あれさえなければ、先輩はとてもいい人ですよ?」と言った。

 

それに対して小猫は「そうなんですか?」と少し信じがたいと思いながら聞き返した

 

「そうです、先輩は本当はとても優しい人なんです、ただ感情に正直すぎるだけで悪い人ではないんです」

 

レインはいつもの無表情ではなく、少し、ほんの少しだけ頬を緩め楽しそうにそう言った。

 

レインのそんな顔を初めて見た小猫は、少し意外に思いながらもレインにこんな顔をさせる兵藤一誠は本当にそのとおりの人物なのだろうと思い、「レーくんがそういうならそうなんですね」とレインに返した

 

「どんな基準なんですか?それは」

 

小猫がそんなふうに思っているとはわからないレインはそう聞き返し、また顔で判断したと言うのは少し恥ずかしく感じた小猫も「なんとなく、そう思っただけです」と返した

 

「そう…ですか?」

 

と少し引っかかりを覚えるレインに

 

「はい、そうです。それよりも今日は新しく発売されたお菓子を持ってきました、レーくんも良ければ一緒にどうですか?」

 

と、露骨に話題を逸らす小猫であった

 

「いいんですか?」

 

それに対して逸らされていると判ってはいるが、別に気にするほどのことでもないと判断し話題に乗ることにした。【………別に新作のお菓子に釣られたわけではありません】とレインは内情で述べた(大嘘)

 

「はい、一人で食べるより誰かと食べた方が美味しいですから」

 

と、そう言いながらもレインは意外にちょろいんだなと感じた小猫であった

 

そして何か良からぬ気配を察知したレインであったが、あえてスルーし「……ありがたくいただかせてもらいます」と言い手を付け始めた

 

それに対して小猫も「どうぞ召し上がれ?」と返した

 

「なぜ疑問系なんですか?」

 

「私が作ったわけじゃないですから」

 

「なるほど、理解しました」

 

「そういえばレーくんはなんで敬語なんですか?」

 

ふと疑問に思った小猫はレインにそう質問した。

実際に二人が出会って二週間はたち、二人はお菓子好きと言うこともあり周りよりも長い時間話してきた

 

その質問に対しレインは「塔城さんも敬語じゃないですか」と返した

 

「あって一ヶ月もたってないのに、タメ口は相手に失礼ですから」

 

そう小猫が自分が敬語である理由を述べるとレインも、「なら僕も同じ理由にしておきます」と答えた

 

「なんですかそれ?」

 

「いつか教えます」

 

「………ならいいです」

 

小猫は少し不満に思いながらも、自身も本当の理由を言っていないのと、先程自分も答えなかったこともありそう返すことしかできなかった

 

「もうすぐ授業が始まるので、後でお菓子をいただきます」

 

「はい、じゃあ昼休み、一緒にご飯食べませんか?」

 

「わかりました」

 

 

 

このときの小猫は、いつもだったら他人が敬語で話しかけてきてもなんとも思わなかったのに、なぜ自分がレインに対して不満を感じたのか、その理由どころか考えさえまだ浮かんでは来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、ファミレスにてイッセーを待っていると、「レイ〜ン、きたぞー」と言いながら走り寄ってきた

 

「先輩、遅かったですね?」

 

「あぁ、帰りに夕麻ちゃんにあってな、デートが日曜になったんだ」

 

「なるほど、なら土曜日は下見をしましょう」

 

「下見?」

 

「はい、今日を合わせて3日あります、なので回るコースを決めながら実際に回っておけば、道に迷ったり、失敗することはなくなると思います」

 

「なるほどな!ありがとなレイン?」

 

どこか申し訳なさそうにしながらそう言った

 

そんな顔を見たレインは、「これも先輩の人生のためです、もしかしたらもう2度と先輩を好きになる人が現れないかもしれませんから」と返した

 

「おい⁉︎」

 

「冗談です」

 

「冗談に聞こえねぇよ⁉︎」

 

「大丈夫です、このデートを成功させればいいだけの話です」

 

「おう!絶対に成功させてみせるぜ‼︎」

 

「なら早めにコースを決めておきましょう」

 

「おう!頼むぜレイン」

 

「任せてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてデート当日、レインは離れたところでイッセーを見ていた

 

そして

 

「ごめん、待たせちゃったかな?」

 

「いや、今来たとこだよ」

 

などなどの定番のセリフを交わす二人は、前日に決めていたコースを回って、デートは大成功に終わった

 

ちなみにレインは途中から離れ、一人街を歩いていた

 

「先輩が上手くいってよかった」

 

「今からなにしようかな…………?」

 

レインが考え事をしていると、誰かとぶつかってしまった

 

「いたっ!」

 

「っ⁉︎ごめんなさい、大丈夫ですか?」

 

「痛いっすね!どこ見て歩いてんすか⁉︎」

 

「すいません」

 

「すいませんじゃないっすよ、服に泥がついたじゃないっすか!どうしてくれるんすか⁉︎」

 

普通の人なら、ヤクザのようなことを言い出すゴスロリ少女を軽くあしらうだろうが、あいにく目の前の少年は普通ではなかった

 

「わかりました、服は弁償します、なんなら新しい服も買いましょうか?」

 

「え?」

 

「?どうかしたんですか?」

 

「い、いやっなんでもないっす、早く行くっすよ⁉︎」

 

「はい」

 

この時少女は、さすがに適当に言っただけだろう、値段を見ればさすがに本性を見せると思っていた、だがこの時少女はまだ知らなかった、この少年がとんでもないお人好しだということを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついたっすよ、ここに欲しい服があるっす」

 

「どれですか?」

 

「これとこれっす」

 

そう言って出されたのは黒を基調としたワンピースと靴だった、そしてその値段は合わせて10万、学生が出せる域を超えていた、だが

 

「これでいいんですか?なら会計を済ませてくるので待っていてください」

 

「は?」

 

「では行ってきます」

 

「ちょ、ちょっと待つっす!本当にいいんすか⁉︎」

 

「?これだと言ったのはあなたですよ?」

 

「で、でも⁉︎」

 

「これはお詫びなんですから、遠慮しないでください」

 

「………なんで」

 

「?」

 

「なんでここまでしてくれるんすか」

 

「それはお詫びだから……」

 

「そうじゃないっす‼︎うちが言いたいのは、これがお詫びの域を超えてるってことっす‼︎」

 

「あぁ、やっぱりほかのより高いんですね」

 

「これでわかったすよね⁉︎うちはあんたを嵌めようとしたんすよ⁉︎」

 

「そうですね、それがどうかしましたか?」

 

「はぁ⁉︎なに言ってるんすか!うちはあんたを騙したんすよ⁉︎なにも思わないんすか⁉︎」

 

まるで信じられないものを見たかのように叫ぶ少女に向かいレインは、「?僕は新しい服も買うと言っただけで、上限は言ってませんし、あなたは欲しいものを欲しいと言っただけじゃないですか?なのにあなたに怒ることなんてなにもないですよ、堕天使さん?」と本当に不思議そうにそう言った

 

「っ!しってたんすか……知ってて一緒にいたんすか?」

 

「はい」

 

「バカっすね」

 

「はい」

 

「うちは敵っすよ?」

 

「そうですね」

 

「なのにあんたはうちにお詫びしようとしてたんすか」

 

「してたじゃなくて、今からするんですよ」

 

「なんでっすか」

 

「なんでと言われても、失礼をしたらお詫びするのは常識ですよ?」

 

「なんすかそれ…」

 

そう言って堕天使の少女は力を抜き、諦めたかのように苦笑いをした

 

「だから少し待っていてください、すぐに会計を済ませます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、これがさっきのものです」

 

堕天使の少女は俯き何も答えない

 

「受け取ってくれないと困ります」

 

「………でも、うちはあんたを……」

 

「………わかりました」

 

「なら…」

 

「これは僕からのプレゼントです」

 

少女は驚き、顔を上げる

 

「………え?」

 

「どうしたんですか?お詫びの品じゃなくて、プレゼントなら問題ないですよね?」

 

「い、いやっそうっすけど」

 

「ならお願いします、受け取ってください」

 

「…………………礼は言わないっすよ?」

 

「はい、お礼なんていりませんから」

 

「…………あんた名前は?」

 

「レインです」

 

「そうっすか………うちはミッテルト、また明日会えるっすか?」

 

そうミッテルトは不安そうに聞いてきた

 

「はい、大丈夫ですよ?」

 

「なら明日、公園に来て欲しいっす」

 

「わかりました、ではまた明日、ミッテルトさん」

 

「…………また明日っす、レイン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「がはっ!夕麻ちゃん………なんで!」

 

「あはははは!これでアザゼル様のお役にまた立てたわ!」

 

 

世界は原作通りの展開を迎えていた




ミッテルトと小猫の口調がわからない(苦笑)
そしてレインの口調も定まらない(笑)


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強さ

サブタイが思いつきませんでした(苦笑)
何かいい案があれば申し上げください(苦笑)






翌日、学校に行きいつものように追いかけ回されている先輩に会う、そしてそれを助け、他愛のない話をして別れる、放課後時間があれば食事をして帰る。

昨日はデートだったからその感想を聞かないといけない。

そう思っていた。

いつもの日常がやってくるものだと思っていた。

なのにもう、引き返せないところまで、来ていた。

僕は、大切な人(先輩)を救えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、学校に行くと信じられない光景があった。

なんと兄様の婚約者であるリアス様と先輩が一緒に登校して来たのだ。

そして気づいた。

先輩が悪魔になっていることに。

 

 

そしてその日、先輩と会うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ミッテルトさん」

 

「ちゃんときてくれたんっすね」

 

「…………はい」

 

「何かあったんすか?」

 

「…………いえ、大丈夫です」

 

「…………聞きたいことがあるっす」

 

「………なんですか?」

 

「…………レインは、光力を一切持たない堕天使はいると思うっすか?」

 

「いる………と思います、一切魔力を持たない悪魔もいますから」

 

「…………そういう奴のことをどう思うっすか?」

 

「どうも思いません……………たとえ魔力や光力がなくても、悪魔に生まれて来たのなら悪魔、堕天使に生まれて来たのなら堕天使なんですから」

 

「でも………力がないと強くはなれないっす」

 

「そうですか?………少なくとも僕は、魔力を一切持たず、周りに無能と呼ばれても、必死に努力して、ついに若手悪魔最強と呼ばれるだけの実力を手にした人を知ってますよ?」

 

「え?」

 

「その人とは一度だけ戦ったことがありますが、強かったですよ?」

 

「…………うちには光力がないっす、そのせいでうちは親に捨てられて、死にかけた、でもそんなところをアザゼル様が拾って育ててくれたっす、そして幹部たちも本当の娘のように接してくれたっす」

 

「そんなことが………」

 

「でも…………他の堕天使たちは納得できなかったみたいっす。なんの力もない下級堕天使の、その底辺に位置するうちをよく思わない堕天使は多かったっす。そしてうちが一人になったときにそれは起こったっす、いきなり集団で殴られたり、蹴られたりしたっす。バレれば殺されるから、服で隠せるところばかりをねらわれたっす」

 

「アザゼルさんにそのことは?」

 

「……………言えるわけないに決まってるじゃないっすか、うちを拾ってくれただけでもありがたいのに、娘のように育ててくれて、はぐれ悪魔やエクソシストに襲われないかいつも心配してくれてるのに……………これ以上心配をかけるわけにはいかないんす」

 

「ならなんでこの街に?」

 

「それは…………レイナーレ様に無理やり連れてこられたんっす」

 

「なんで……」

 

「こなかったらアザゼル様に報告するって言われて、うちは下級堕天使だから、中級堕天使のレイナーレ様には逆らえないんす」

 

「ならレイナーレさんの目的はなんなんですか?」

 

「神器、聖女の微笑みの回収っす、そしてそれを持ち帰ってアザゼル様に気に入ってもらうことが目的っす」

 

「………確か神器を抜き取られた人間は………」

 

「………死ぬっす」

 

「……………他に殺された人は?」

 

「確か、昨日一人殺したって自慢してたっすね」

 

「昨日…………」

 

「あら、ずいぶん楽しそうね、ミッテルト」

 

「っ⁉︎レイナーレ様⁉︎」

 

その姿を見て僕は驚いた。

だってレイナーレと呼ばれた人は

 

「天野………夕麻?」

 

「あら?なぜ人間ごときがその名前を知ってるのかしら?記憶は消したはずなのだけれど、神器もちかしら」

 

「まさか、あなたが兵藤一誠を殺したんですか?」

 

「兵藤?………あぁ、あいつのことね、それなら確かに殺したわ」

 

「っ⁉︎」

 

「そんなことよりもミッテルト?これはどういうことかしら?まさか裏切るつもり?」

 

「そ、そんなことないっす‼︎」

 

「そう、ちょうどいい機会だから、ここで消しておきましょうか?私の計画に、あなたは邪魔なのよね?バレても、任務中にはぐれに殺されたとでも言えばいいし」

 

「そ、そんな……」

 

「あははは、その人間と一緒に死になさい‼︎」

 

そう言ってレイナーレは光の槍を投げて来た

 

(ここまでなのかな?やっと見つけたのにな、うちをバカにせずに、堕天使として見てくれる人を。お人好しで、バカで、変なやつだったけど、嬉しかったなぁ)

 

そしてミッテルトは貫かれ、死んだ……………はずだった

 

「…………先輩を殺しておいて、そんなこと?…………邪魔だから、部下を殺す?…………ふざけないでください」

 

「え?」

 

「なっ⁉︎」

 

そこには光の槍を掴んで止めるレインがいた

 

「すでに結界は貼ってある、このことがバレることはありません」

 

「う、嘘⁉︎なんでただの人間ごときが私の槍を止めれるのよ⁉︎」

 

「人間?()は悪魔ですよ、中級堕天使さん」

 

「⁉︎ならなおさら止めれるわけないじゃない⁉︎」

 

「そうですね、でもそれも、私があなたより弱かったらの話です」

 

こうして話している間も、レインの魔力は高まり続けた

 

「う、うそ⁉︎どこまで上がるのよ‼︎もう最上級悪魔レベルの魔力じゃない⁉︎」

 

「最上級悪魔?とんでもない、私は貴族の家に生まれた、ただの子供ですよ」

 

「あ、ありえないわ⁉︎なんで、なんでなのよ⁉︎」

 

「ここであなたを殺すことは簡単です、でもそれは私の役目じゃない………………死にたくないなら消えてください、そして2度とミッテルトさんに関わらないでください」

 

「わ、わかったわ‼︎もう関わらない⁉︎だから殺さないで⁉︎」

 

「……………行っていいですよ」

 

「ひ、ひぃ⁉︎」

 

「…………レイン」

 

「怪我はありませんか?ミッテルトさん」

 

「………大丈夫っす」

 

「そうですか…………これからどうしましょうか?」

 

「……………グリゴリに戻るっす」

 

「でもそれでは………」

 

「……………今までのことを話してくるっす」

 

「…………そうですか」

 

「うん………多分なんらかの処置が下されるはずっす、だからもう会えなくなるかもしれないっす」

 

「ミッテルトさん…………」

 

「だから……………だから、次会えた時には、うちを眷属にして欲しいっす」

 

「え?」

 

「アザゼル様には感謝してるし、ひどい扱いを受けたけど、堕天使が嫌いなわけじゃないっす」

 

「なら、なんで………?」

 

「そうっすね、レイン風にいうなら、恩返しっすよ、まぁそれだけが理由じゃないっすけどね」

 

「恩返しされるようなことなんて何もしてませんよ?」

 

「うちを助けてくれたじゃないっすか」

 

「でも、それは………」

 

「む、もしかして、そんなに渋るってことは、うちが眷属になるのが嫌だってことっすか?」

 

「そんなことないです、でも本当にいいんですか?」

 

「いいっすよ、本命はもう一個の方っすからね」

 

「もう一個?」

 

「いつか教えるっすよ」

 

「わかりました、それまで待つことにします」

 

「それでいいっす、今はまだ伝える勇気がないっすから」

 

「?」

 

「なんでもないっすよ、それとさっき一人称が変わってたのはなんでっすか?」

 

「僕は相手がどんなに凶悪な犯罪者でも、礼儀は尽くさないといけないと思ってますから、怒りで忘れそうになってる時は私にして、なんとか抑えてるんですよ」

 

「そうだったんすね」

 

「それに2度と繰り返さないと決めたから」

 

「え?」

 

「なんでもありません」

 

「…………レイン、本当に大丈夫っすか?」

 

「え?」

 

「なんかに怯えてるような、後悔してるような、そんな目をしてるっすよ?」

 

「…………大丈夫です…」

 

「無理しちゃダメっすよ?」

 

「ミッテルトさんこそ、ダメですよ?あなたには僕の眷属になってもらうんですから」

 

「わかってるっすよ、あと呼び捨てでいいっすよ?うちはレインの眷属になるんすから、眷属に敬語ってのも変な話じゃないっすか?」

 

「…………わかったよ、ミッテルト、早く戻ってきてね?あんまり遅いと僕の方から行くから」

 

「了解っす、絶対に戻ってくるから待ってるっすよ!」

 

「うん、待ってるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃

 

「あうっ⁉︎」

 

「おいおい、大丈夫か?」

 

 

世界はそう、確実に進んでいた

 

 




次回ようやくライザーが登場します


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今回ようやくライザー登場です


あれから数日、その間先輩と会うことはなかった

 

それと同時に、最近塔城さんから先輩の愚痴をよく聞く

 

なんでも、ハーレム王を目指しているのだとか

 

どうやら先輩は悪魔になっても、何も変わっていないようだ

 

ちなみにまだ、僕が悪魔であることはバレていない

 

そして今日、兄様から連絡があった

 

どうやら放課後に、リアス様と婚約について話し合いがあるらしい

 

そのことについて、僕にも参加して欲しいとのことだ

 

兄様には、来たくない時は来なくてもいいと言われたが

 

僕は先輩に謝らなくてはいけない

 

先輩のことだから、気にするなとでも言うだろう

 

兄様に迷惑がかかってしまうかもしれないが

 

それでも聞きたいことがある、だから僕は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧校舎に近づくと、大きな気配を感じた

 

この気配はグレイフィア様のものだ

 

この距離になって、ようやく気づくことができた

 

流石だと思ったが、まだまだ僕が甘いだけだと思っておくことにした

 

僕の目指す目標はただ一人

 

それ以外の人に劣る時点で、まだまだなのだ

 

そう思いながらドアの前に立ち、ノックをする

 

そしてグレイフィア様が扉を開け、数日ぶりに先輩と再会した

 

「数日ぶりです、先輩」

 

「なっ⁉︎レイン⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす!俺はイッセー!最近部長の兵士になった新人悪魔だ!

 

なんでも今日は大事な話があるそうで、メイド服を着た綺麗なお姉さんが部室にいた

 

名前はグレイフィアさんと言うらしい

 

そのグレイフィアさんが集まった理由を言おうとして、部長が止めた時、ノックが聞こえた

 

そしてグレイフィアさんが誰なのか確かめずに扉を開けると、そこには最近会ってなくて、とても見慣れた人物が立っていた

 

そして

 

 

「数日ぶりです、先輩」

 

「なっ⁉︎レイン⁉︎」

 

「久しぶりでございます、レイン様」

 

「お久しぶりです、グレイフィア様」

 

「グレイフィア?彼は一体誰なのかしら?」

 

「お嬢様、この方は………」

 

「大丈夫です、グレイフィア様、自分で話します」

 

「しかしそれでは………」

 

「わかっています、それでも僕の口から話さないと意味がないんです」

 

「…………分かりました」

 

「ありがとうございます」

 

「ですが、詳しい説明はこちらで行わせていただきます」

 

「はい、それで構いません」

 

「ちょっと⁉︎さっきから2人で話を進めないでちょうだい!あなたは誰なのかと聞いてるのよ!」

 

「………申し訳ありません、リアス様。僕の名前はレイン・フェネル………本当の名前をレイン・フェニックスと言います」

 

「フェニックスですって⁉︎」

 

「はい、僕はライザー・フェニックスの弟です」

 

「っ⁉︎グレイフィア‼︎なんでライザーの弟がこの学校にいるのよ⁉︎」

 

「お嬢様、それは………」

 

グレイフィアさんが説明しようとした時、魔法陣から人が出てきた

 

「そんなの簡単だろう、魔王様が入学を認めた、ただそれだけだよ、グレモリー嬢」

 

「ライザー‼︎」

 

「兄様………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス様に説明しようとしたその時、兄様が現れた

 

兄様は僕の方を見ると少し嬉しそうにしていた

 

 

「あの、この人は誰なんですか?」

 

「この方はライザー・フェニックス様です、レイン様のお兄様で、お嬢様の婚約者です」

 

「え!ええぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

先輩が突然叫んだから、耳鳴りがひどい

 

「先輩、うるさいです」

 

「お、おぉ、悪りぃレイン」

 

僕が先輩に注意すると兄様が驚いていました

 

「どうかなさいましたか?兄様」

 

「いや、お前がはっきりと言うのは珍しくてな、少し驚いたんだ」

 

「?レインはいつもこんな感じじゃないのか?」

 

「いや、いつもは意見すら言わないで、言われたように行動していたからな」

 

「そうなのか?」

 

「?分かりません」

 

「まぁそれはいい、久しぶりだなレイン」

 

「はい、一ヶ月ぶりです、兄様」

 

「さて、わかっていると思うが、今日は婚約についての話し合いをしにきたんだ」

 

「あなたと話すことなんて何もないわ‼︎帰ってちょうだいライザー‼︎」

 

「そう言うわけにもいかないんだ、この婚約は俺たちより上が決めたこと、逆らうわけにはいかないんだよ」

 

「そんなことはわかってるわ!それでも私はあなたとは結婚しないわ‼︎」

 

「はぁ………何もわかっていないようだなグレモリー嬢?俺たちに拒否権はない……なのになぜ婚約を嫌がる?」

 

「私は、私をグレモリーではなく、リアスとしてみてくれる人と結婚したいのよ!あなたは私をグレモリーとしかみていない、私を愛してなんかいないでしょ⁉︎」

 

「そうか、だかなグレモリー嬢?今のお前に何ができるんだ?魔王様の妹という以外に、お前に何があるんだ?あいにく俺も、親父や兄貴たち、フェニックスの顔に泥を塗るわけにはいかないんだよ、だから婚約は破棄できない、お前もそうだろう?グレモリー嬢」

 

「それは……」

 

「…………どうしてもというなら、1つだけチャンスをくれてやる」

 

「チャンスですって?」

 

「レーティングゲームで勝負しようじゃないか」

 

「ライザー様それは‼︎」

 

「兄様………!」

 

「いいわ、受けて立つわ」

 

「お嬢様⁉︎」

 

「そうか、なら決まりだな、10日後に試合でいいか?」

 

「あら、今すぐでもいいのよ?」

 

「バカを言うな、俺はプロで、お前は学生だ、当然のハンデだろう」

 

「なめないで‼︎」

 

「なめる?事実だろ?」

 

「ライザー様、本当によろしいのですか?あなたがこの勝負を提案するメリットはございませんが?」

 

「構いませんよ、ちょうどいい機会です、婚約者の実力を確認しておきたいと思っていましたし」

 

「兄様1人でですか?」

 

「…………は?」

 

「もちろんそのつもりだが?」

 

「……………僕も参加していいでしょうか?」

 

「本当に珍しいな?だがだめだ、お前が入ったら試合にならなくなる」

 

「…………不死性と焔は使いません」

 

「はぁ、わかったわかった、珍しい我儘なんだ、聞いてやる」

 

「ありがとうございます、兄様」

 

「ちょっと待ちなさい‼︎まさかあなた達2人で私たちと戦うと言うつもり⁉︎」

 

「あぁそうだが?何か問題でもあるのか?」

 

「問題しかないわよ‼︎それで勝てるとでも思ってるのかしら⁉︎」

 

「勝てるとも、俺1人でも、何もしなくとも勝てる」

 

「私たちが弱すぎると言いたいのかしら?」

 

「いやそうじゃない、お前達は全員ポテンシャルは高い、いづれは最上級悪魔にも引けを取らなくなるだろう、特に赤龍帝、お前は神を殺せる、だがそれもいづれかだ、今のお前達では、俺は殺せない」

 

「なんだと⁉︎」

 

「イッセー‼︎」

 

そう言って先輩は兄様に突っ込んだ

 

「っ‼︎」

 

「大丈夫だレイン」

 

「うぉぉぉぉ‼︎」

 

「ふっ‼︎」

 

そして先輩が兄様に触れるか触れないかというギリギリのところで、先輩はソファーに投げ飛ばされた、今のを認識できたのはグレイフィア様と僕だけだろう

実際に

 

「うそ⁉︎」

 

「いつの間に」

 

「……見えませんでした」

 

「イ、イッセーさん⁉︎」

 

「ありえませんわ……」

 

「ライザー様、これ以上はおやめください」

 

「えぇ、わかっています、これ以上の危害を加えると婚約に支障をきたしますので」

 

「っ⁉︎イッセーに何をしたの‼︎」

 

「投げ飛ばしただけだよ」

 

「うそよ⁉︎」

 

「どう思うかはお前達次第だが、何があろうと10日後には試合だ、少しは手応えのある特訓をするんだな」

 

そうして兄様は戻っていった

 

「いててて!」

 

「大丈夫ですか?先輩」

 

「んお?レインか、あぁ大丈夫だぜ!」

 

「ならよかったです」

 

「よかったじゃないわ、あなたがこの学校にいるなんて聞いていないのだけれど?」

 

「それについては申し訳ありません、入学したことがバレれば、婚約に支障をきたした可能性があったので」

 

「お嬢様、レイン様のご入学は魔王様により了承されております、身分を隠すように強制したのもこちらです」

 

「なんでそんなことを‼︎」

 

「では聞きますがお嬢様?もしお嬢様にこのことをお伝えしていれば、お嬢様はそれを元に婚約に口出しをなされたかもしれません、それでは困るのです」

 

「それは…………!」

 

「そして本来、ライザー様がレーティングゲームをするメリットはございません、もしお嬢様が負けた場合はグレモリー家に被害が及ぶだけでなく、魔王様にまで過失が及びます、その場合の責任をお嬢様は取れるのですか?」

 

「っ⁉︎」

 

「安心してくださいリアス様、兄様は何も責任を取れとはいっていません、今回の勝負は婚約の最終決定をめぐるものです、兄様が勝てば婚約は確定し、リアス様が勝てば婚約は破棄されます、そしてこれが最後のチャンスだと思ってください、僕も参加しますが、これ以上兄様に苦労をかけるなら、僕も我慢ができなくなります、もしかしたら魔王様達に直談判するかもしれません」

 

「なんですって⁉︎」

 

「レイン様……」

 

「大丈夫です、グレイフィア様、流石に殺し合いまではしません、ただ軽い牽制はしあうかもしれませんが」

 

「おまっ⁉︎魔王様ってめっちゃ偉いんじゃないのかよ⁉︎」

 

「はい、でもあの人たちは普通にやっても動きませんから」

 

「…………ごめんなさい、レイン」

 

「大丈夫です、グレイフィアさん、もう諦めましたから」

 

「戻ったらきつく言っておくわ」

 

「ありがとうございます」

 

「グレイフィア、魔王様とその子は知り合いなの?」

 

「はい、魔王様とレイン様は親友と呼ばれる中です」

 

「お前って実は偉い?」

 

「いえ、僕は地位は低い方ですよ?」

 

「なら下級悪魔なのか?」

 

「いえ、これでも上級悪魔です」

 

「まさかの貴族だった⁉︎」

 

「………先輩」

 

「ん?」

 

「僕を恨んでないんですか?」

 

「なんでだ?」

 

「先輩が殺されたのは僕のせいです、僕を恨むのは当然だと思います」

 

「………俺は今の生活に満足してるんだ」

 

「………」

 

「確かに殺された時は、あいつが憎かった、でもお前を恨んだことはなかった、だってあんなにも真剣に話を聞いてくれて、一緒に考えてくれて、そんな奴はお前だけだったしな!」

 

「でも……」

 

「それに俺は悪魔になれてよかったと思ってるんだ、ハーレム王になれるしな!」

 

「…………最低です」

 

「ははは!なんとでもいえ!それにお前も悪魔なんだろ?ならこれから何千年も一緒にいれるじゃねぇか!だから俺は悪魔になれてよかった!」

 

「先……輩」

 

「だからさ、これからも俺の友達でいてくれよ?レイン!」

 

「…………はい」

 

そう言うレインの顔は、わずか、ほんのわずかだが、笑顔を浮かべていた、よく見なければ気づかなかった変化、それに気づいたのは、イッセーと小猫だけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、レインが元気そうでよかった

 

自分をさらけ出せる相手も見つけたようだ

 

あいつは強いから、どんな相手にも負けないだろう

 

だから次は俺の番だ

 

この婚約は必ず成功させる

 

フェニックスの名に泥を塗るわけにはいかない

 

今ここで汚名を被れば、2人に迷惑がかかる

 

特にレインには迷惑をかけれない

 

俺が罵倒されるのはいい、だがそれであいつらの将来が潰れるのだけはいけない

 

この婚約に俺の意思はいらない

 

俺は自分に誓ったんだ、あいつの兄として、胸を張れる男になると

 

だから俺は負けない、たとえ相手が神を殺せる神器を持っていたとしても

 




今回の話を書いていてふと疑問に思いました
家族のために自らの意思を切り捨てたライザーと、自らの理想のために婚約を拒むリアス、どちらが正しいのでしょうか?
リアスは人として正しいと思います、でも同時に常識としては間違っているんです
そしてライザーは理屈では正しいのですが、人として間違っているのではないかと思うんです
私はライザーの方が正しいとは思います、しかし自分がそんな立場に立たされた時、ライザーと同じく自分の意思を切り捨てることができるかわかりません
だからと言ってリアスのように自分の意思を貫き通せるような勇気もありません
皆さんはどちらが正しいと思いますか?


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修行

相変わらずの気まぐれ投稿ですいません(汗)
ただ今回は、いつもよりも長めなので、誤字、脱字があるかもしれません、もし見つけた方がおられましたらご連絡ください。
では不死鳥の四男坊(仮)をお楽しみください



イッセーside

 

——ピンポーン——

 

午前5時、誰かがインターホンを鳴らしている

 

昨日から両親は旅行に向かい、今家にいるのは俺とアーシアだけだ

 

家の外に出ると、そこには部長と朱乃さんがいた

 

「部長⁉︎それに朱乃さんまでどうしたんですか⁉︎」

 

「おはようイッセー、はやく準備なさい?」

 

「じゅ、準備って、なんのですか?」

 

「もちろん特訓のよ♪」

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらイッセー!もう少しよ!頑張りなさい!」

 

「ゼェゼェ、ぶ、部長!も、もう無理です!」

 

「みなさい!小猫や祐斗はもう先に行ってるわよ?」

 

「クッ、クッソォォォォ‼︎」

 

 

 

———————————————————

 

 

 

 

「や、やっとついた!」

 

「お疲れ様イッセー、早速で悪いのだけれど、ジャージに着替えてらっしゃい?」

 

「す、少し休ませてください………」

 

「ダメよ、体が温まっている今のうちから始めないと」

 

「う⁉︎わ、わかりました……」

 

「あはは、じゃあ先に行ってるよ?イッセー君…………覗かないでね?」

 

「木場‼︎お前まじでしばくぞ⁉︎」

 

割とガチで泣きかけた

 

こうして俺たちの修行は幕を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「………どうかしら?」

 

「ダメです、この調子では勝てません」

 

「…………そう………ならそう伝えるわ」

 

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

「さてと、みんなお疲れ様!それで1日目の感想だけれど、イッセー?あなたはどう感じたかしら?」

 

「はい、みんなが強いのと、俺が弱すぎることを感じました」

 

そう言ってイッセーは肩を落とした

 

「そう、ならライザーを倒すためにも、もっと頑張らないといけないわね!」

 

「っ!はいっ‼︎」

 

「無理ですね」

 

「っ⁉︎だれ⁉︎」

 

「失礼します、お嬢様」

 

「グレイフィア?どうしてあなたがここにいるのかしら?それと、隣の男はだれかしら?」

 

「レイン・フェニックスです、リアス様」

 

そういうレインは、全身を包帯で包み、仮面をしていた

 

「レイン⁉︎お前どうして包帯なんかして、仮面で顔をかくしてんだよ⁉︎」

 

「そうよ!なんで敵であるあなたがここにいて、顔をかくしているの⁉︎失礼だとは思わないわけ⁉︎」

 

「申し訳ございませんリアス様、これにはわけがあるのですが、外せと申されるのであれば、外させていただきます」

 

レインが仮面を外そうとしたとき、グレイフィアさんから待ったがかけられた

 

「やめなさいレイン、この子たちにトラウマを残す気なの?」

 

「しかし、外せと申されたのはリアス様です」

 

「外さなくていいわ、これはグレモリー家のメイドとしてではなく、魔王様のクイーンとしての命令よ」

 

「わかりました、申し訳ございませんリアス様、外すなとの命令が下りましたので、失礼ながらこのまま続けさせていただきます」

 

「え、えぇ」

 

「先ほども申した通り、このまま修行をしていては、予定が狂ってしまいます」

 

「っ!何が言いたいのかしら?」

 

「申し訳ございませんが、レーティングゲームではなく、イッセー先輩と兄様との一騎打ちにさせてもらいます」

 

「ふざけないでちょうだい‼︎そんなことを認めるとでも思っているの⁉︎」

 

「申し訳ございませんお嬢様、これはすでに決定したことでございます」

 

「どうしてよ⁉︎私は認めていないわ‼︎」

 

「残念ながらお嬢様、この変更にお嬢様の意思は必要ありません、すでに両家の了承は得られ、魔王様により決定されました」

 

「そんな、嘘よ、どうして⁉︎」

 

「………最初から反発されることはわかっていました、この変更を提案したのは僕ですから、僕から妥協策があります」

 

「…………何かしら?」

 

「予定通りレーティングゲームは行います、相手は僕1人、もちろん先輩は参加できません、しかし僕が負けた場合は、婚約は破棄されても構いません」

 

「⁉︎」

 

「レイン様それは⁉︎」

 

「構いませんグレイフィア様、こうでもしなければ納得していただけないと思いましたから」

 

「っ!しかし!」

 

「大丈夫です、僕が兄様以外に負けることはあり得ません、誰でもない、僕自身がそれを許しませんから」

 

「いいわ!その勝負受けてたつわ!あなたを倒して、婚約を破棄するわ‼︎」

 

「っ!わかりました、魔王様にはそのように伝えておきます」

 

「では先輩、早速で悪いのですが一緒に来ていただきます」

 

「お、おう」

 

「ではリアス様、9日後に会いましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

「先輩、つきました」

 

「ここはどこなんだ?」

 

「魔王様の城です」

 

「え⁉︎魔王様⁉︎」

 

「はい、これから魔王様に会いますが、緊張しなくて大丈夫です」

 

「お、おう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ!よく来たねレイン!」

 

「魔王様、先輩を連れて来ました」

 

「そうか!君が兵藤一誠君だね?私はサーゼクス・ルシファー、一応魔王をやっている、これからよろしく頼むよ」

 

「は、はい!」

 

「あはは、そんなに緊張しなくていいよ、リラックスは無理かもしれないけど、友人と接する時のようにしてくれると、こちらも助かるんだけどね?」

 

そう言いながらサーゼクスは笑いかけた

 

「い、いやっ、でも」

 

そう言われてもと、イッセーが反応に困っていた時に、「大丈夫ですよ先輩、この人に敬語なんていりません、というより価値すらありません」とレインが言った

 

「レ、レイン?」

 

さらに、「そうですよ、一誠様、あの人に敬語なんて必要ありません」とグレイフィアが続く

 

「ちょっと⁉︎2人とも失礼すぎないかい⁉︎」

 

「「事実です」」

 

「ぐっ!最近妻と友人が僕に冷たすぎる‼︎」

 

「あなたの友人になった覚えがありません」

 

「えっ⁉︎」

 

「というよりも、ぼっちじゃなかったんですね」

 

「僕にもちゃんと友人ぐらいいるさ‼︎」

 

「誰ですか?ちなみに敵対勢力の方々は含まれませんよ?」

 

「ぐっ⁉︎た、たとえばアジュカとか、セラフォルーとか、ファルビウムとか」

 

「3人だけですか?というか仕事仲間ってありなんでしょうか?」

 

「さぁ?ぎりぎりいいんじゃないかしら?」

 

「ほ、他にもいるとも!タンニーンとか、え、えっと、そうだ!ライザーとか!」

 

「え?」

 

「勝手に兄様を友人にしないでください、兄様にあなたのような友人はいりません」

 

「というよりもサーゼクス?その友人に自分の妹と婚約させようなんてよく思えたわね?」

 

「え?え⁉︎部長の婚約って魔王様が決めたんですか⁉︎ていうか妹⁉︎え、部長と魔王様は兄妹なんですか⁉︎」

 

「?はい、気づきませんでしたか?」

 

「お、おう、それよりも3人の関係ってなんなんだ?」

 

「そうですね、強いていうならば殺し合いをした仲ですかね?」

 

「は?殺し合い?」

 

「はい」

 

「いやいやいやいや!なんでそんなことになったんだよ⁉︎」

 

「いえ、実は8年ほど前にとある事件が起こりまして、その調査をレイン様が申請されて来たのですがあの馬鹿魔王様が断られたので、レイン様が力ずくでやらせようと殺し合いを始められたのです」

 

「え⁉︎マジっすか⁉︎」

 

「あの事件か、結局事件の真犯人たちは殺し合いに巻き込まれ消滅、大きな被害を出して解決したんだったね」

 

「はい、それと同時にフェニックス家は汚名を被りました、あの時許可を出せばこうはならなかったのですがね」

 

「うっ⁉︎そのことについては本当に申し訳ないと思っているよ」

 

半泣きになりながらサーゼクスはそう言った

 

「大丈夫ですグレイフィア様、確かにフェニックス家、というよりも被害者にかなりの被害がありましたが、戻って来てくれただけでも感謝しています」

 

「レイン…」

 

「それに、許可を出してもらっても、結局は同じ結果になっていたと思います」

 

「それは………」

 

「それに、あれがなかったら、この力の危険性に誰も気づかなかったはずです」

 

「そうかそうか!そう言ってくれるとこちらも助かるよ」

 

そう言いながらもサーゼクスは、複雑そうにレインを見つめた

 

「あ、あの!そろそろ俺がここに呼ばれた理由と、レインが包帯と仮面をしてるのと、魔王様の()()()()()理由を知りたいんですけど!」

 

「あぁ!そうだったね!ではまず僕の片腕がない理由と、レインの包帯についてだが……」

 

「!」

 

「実はこの数時間前まで、レインと殺し合いをしていてね、互いに()()を出したせいで私は片腕を失い、レインは全身が焼け爛れてしまったんだよ」

 

「え⁉︎それ大丈夫なんですか⁉︎」

 

「まだましな方だよ、8年前私は半身を失ったからね」

 

サーゼクスは楽しそうに笑いながらそう言った

 

「笑い事じゃないですよ⁉︎でも、アレ?魔王様は部長と兄妹なんですよね?なら部長と同じ消滅の魔力で戦うんじゃないんですか?」

 

「お!いいところに気がついたね!そうとも、私の戦闘スタイルは消滅の魔力で戦うこと、ならレインはなぜ火傷を負ってしまったのか、それはね……」

 

「そ、それは?」

 

「レインの全力の魔力が込められた炎が、フェニックスの回復力を上回ってしまって、自分の体を焼いてしまったんだよ」

 

「え⁉︎そんなことってあるんですか⁉︎」

 

「普通ならあり得ないことだけどね、レインの魔力量は全悪魔、いや全種族の中で最も多いからね、その魔力を全開放したら文字通り、太陽と等しい力を持ってしまうんだ」

 

「太陽⁉︎」

 

「あぁ、そしてこれが厄介でね、太陽と同じということで、並みの悪魔なら近づくだけで消滅してしまうんだよ」

 

「マジですか⁉︎」

 

「あぁ、おかげさまで近づくことすらできずに、ジリ貧になってこのざまだよ」

 

ここまでサーゼクスは、自分のことを自慢するかの様に楽しそうにレインのことを語っていた

 

「……そんなことはどうでもいいので、はやく次に行きましょう」

 

そうやって次を促したレインは、少し恥ずかしそうにしていた

 

「ふふふ!そうだね、では兵藤君、君に頼みがある」

 

「は、はい」

 

「ライザーを倒してもらいたい」

 

「…………え?」

 

「本来ならグレモリーに婿として来てもらい、これ以上戦うことを禁じるつもりだったんだけどね」

 

「なんで禁じるつもりだったんですか?」

 

「それはライザーの戦い方に関係するんだけど、簡単にいうと、これ以上今の戦い方をしているとライザーの体が耐えられなくなる、だから戦うこと自体をやめさせればいいと思っていたんだけど………」

 

「?」

 

「そこに先輩が現れたんです」

 

「お、俺?」

 

「僕たちでも兄様を倒すことはできます、でもそれじゃ意味がないんです」

 

「なんでだ?」

 

「私たちが倒しても、それは本当の勝利とは言わない、ライザーは賢すぎるからね、私たちが負けてしまった時のデメリットをよく分かってる」

 

「はい、だから必要なんです、兄様よりも地位が低く、兄様を倒すことができる人が」

 

「でもそれなら、なんで最近悪魔になったばかりの俺が呼ばれたんですか?」

 

「先輩、赤龍帝って知ってますか?」

 

「え?えっと、俺の神器に宿ってるやつだよな?」

 

「はい、赤龍帝ドライグ、その能力は倍加と譲渡、兄様を倒すのに最も適している能力なんです」

 

「赤龍帝の能力は、使用者の身体能力に左右されるからね、使用者が強ければ強いほど、強力になるんだ」

 

「ま、待ってください!俺はまだ悪魔になったばかりで、全然強くなんかないですよ⁉︎」

 

「分かっています、だからこそここに呼んだんです」

 

「え?」

 

「これから9日の間、先輩には少し荒めですが、潜在能力を解放し続けてもらいます」

 

「潜在能力?」

 

「簡単に言えばリミッターですね」

 

「リミッター⁉︎で、でもどうやってやるんだ⁉︎」

 

「口で話すよりも実際に体験した方が格段に早いので、まずは付いて来てください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここです」

 

「ここは?」

 

そこは全体が鋼でできた部屋だった

 

そしてレインはイッセーの背中に手を当てた

 

「レイン?」

 

「先輩、今先輩の体に肉体強化の魔法をかけました」

 

「に、肉体強化?身体能力の強化じゃなくてか?」

 

「はい、正確に言えば、内臓を強化しました」

 

「内臓?なんでだ?」

 

「………いまから先輩には、筋トレをしてもらいます」

 

「筋トレ?それならなんで内臓を強化したんだ?」

 

「もともと筋トレは筋肉繊維を壊して、修復させる、そしてまた壊して修復する、それを時間をかけてなんども繰り返します」

 

「確か、一度壊れた筋肉を戻すには3日かかるんだよな?」

 

「はい、ですがそれでは時間が足りません」

 

「じゃあどうするんだ?」

 

「そもそも筋肉繊維を壊すといっても、ほんの一部を壊すだけ、それを繰り返すことでより壊れにくい筋肉をつくります」

 

「つまり?」

 

「リミッターを外すことで、一度に全ての筋肉を壊して修復させます」

 

「そんなことができるのか⁉︎」

 

「もちろん危険な方法です」

 

「ま、まじか」

 

「……………先輩」

 

「ん?」

 

「…………やめたい、ですか?」

 

「なんでだ?」

 

「だってこれは、先輩にとってやる意味のないものなんです」

 

「?」

 

「先輩にとって兄様は、自分の主が嫌っている相手です、そんな先輩にとって敵になる兄様を、助ける理由がないんです」

 

「うん?なんだ、そんなことで聞いて来たのか?」

 

「そんなこと?」

 

「だってライザーはお前の兄貴なんだろ?お前は兄貴を助けたいんだろ?だから俺に頼ったんだろ?」

 

「…………はい」

 

「なら俺はやるよ」

 

「どうしてですか?」

 

「どうしてって、俺たち友達だろ?ダチが困ってるのに見捨てるなんて俺にはできねぇよ」

 

「ダチだから、ですか?」

 

「おう!それに意味はあるぜ?ライザーに勝ったら部長の婚約は破棄できるからな!」

 

「先輩はやっぱりバカです」

 

「なんでだよ⁉︎」

 

「…………でも…」

 

「?」

 

「でも……かっこいいです」

 

「そ、そうか〜?」デレッ

 

「…………やっぱり思い違いだったみたいです」

 

「えぇ⁉︎」

 

「じゃあ先輩、これから筋トレ?を開始します」

 

「お、おう、やっぱり精神面での心配はしてくれないんだな」

 

「精神面?」

 

「危険な方法でのトレーニングで怖くないかとか、最後までやりきれるかとか」

 

「大丈夫です、先輩はどんなに辛いことがあっても諦めない人ですから」

 

「レイン……」

 

「だから先輩?兄様のことを頼みます」

 

「任しとけ!」

 

「では開始します」

 

「おう!で、何をすれば………っ⁉︎」

 

その瞬間、イッセーは床に叩きつけられた、否引き寄せられたが正しいだろう

 

「ガァァ⁉︎」

 

「先輩、いまから先輩にはこの中で生活してもらいます、いまこの部屋には、外の十倍の重力がかけられています、そしてこの重力から解放されるには、壁にあるあの赤いボタンを押す必要があります………先輩、はやく出てきてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レインside

 

いま僕たちは先輩のいる部屋を覗くことができる部屋へと移動していた

 

「レイン?本当に大丈夫なのかしら?」

 

「わかりません、でも、成功しなければ兄様に勝つことはできない」

 

「だから彼はやるしかない、全く、スパルタにもほどがあるんじゃないかい?」

 

「それでもやらなければいけません、兄様の為に」

 

「まぁこの方法が最適であることはわかっているんだけどね?これを見るのも2()()()だし」

 

「…………圧倒的な強者に追いつくために、1番早い方法、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、確かにその通りね」

 

「確か、()()()()()()()()()だったね」

 

「兄様と同じでは間に合いません」

 

「まぁそうだね、さてと、彼はどうなっているかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい

 

全身が潰れそうだ

 

レインが内臓を強化したのも今ならわかる、これがなかったら死んでいた

 

ボタンを押せば戻るようだが立てる気がしない、というより動けない

 

だけど俺はここを出ないといけない、外ではレインが待っているのだ

 

だから

 

「ガアアアァァァ!!!!?」

 

俺は立ち上がる

 

ブチブチと嫌な音が聞こえる

 

確実に筋肉が切れているのだろう

 

骨折なんて目じゃないほどの激痛が走る

 

正直意識が飛びそうだ

 

できるならこのまま眠りたいとすら思ってしまう

 

だが、それでも歩む

 

一歩一歩時間をかけて、ゆっくりと

 

そしてボタンを押す、すると急に体が軽くなり、俺は気絶してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

「驚いたな、まさかこんなにも早いなんて」

 

「………ありえないわ」

 

「僅か15分で終わらせるなんて」

 

「今代の赤龍帝が最弱?全く冗談にもほどがあるよアザゼル、彼はまさしく天才だ、確かに戦いでは素人で才能もないが、これだけは言える、彼は強くなる、私たち魔王や神よりも、強くなる、僕たちは知っている、他人のために強さを求める者の凶悪さを」

 

「先輩は兄様と同じタイプの人です」

 

「それは、自分よりも他人を優先してしまうということかしら?」

 

「それもあります、でも一番は……」

 

「それが赤の他人、ましてや自分を殺そうとする敵のためですら、命をかけることができてしまうこと、だね?」

 

「兄様も先輩も、求められてしまえば助けてしまうんです」

 

「まったく、リーアたんも運がいいのか悪いのかわからなくなるね?」

 

「………それよりもレイン?重力魔法が解除されてないみたいだけど?」

 

「もともとそういう作りなので大丈夫です、ボタンを押せば回復魔法が発動するようになっていましたから」

 

「ちぎれた筋肉を新しい繊維で無理やり繋げたのかい?」

 

サーゼクスの目は完全に鬼を見る目だった

 

「はい、これで先輩の身体能力は単純に、リミッターを外した時、つまり元の五倍の能力に固定されたはずです」

 

「で、次にやる時はまたこの五倍になるということだね?」

 

「そうなります」

 

「…………レイン、あなた鬼ね」

 

否、レインは鬼であった

 

「そうでもしないと先輩に勝ち目がありません」

 

「さてさて、彼がこの9日でどれほど強くなるか、楽しみだね?」

 

 

 




相変わらずキャラの口調がわからなかったので、サーゼクスの口調は、仕事や真面目な時は私、プライベートな時は僕で分けたのですが、いかがだったでしょうか?
感想をお待ちしております


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怒り

久しぶりのヒロインの登場です(苦笑)



レインside

 

あれから9日間、先輩はあの訓練を繰り返した

 

僕と魔王様の傷も完全になくなった

 

そして今日、兄様との一騎打ちがある

 

その前に僕とリアス様のレーティングゲームを行う

 

そして今、そのゲームが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

私は塔城小猫です

 

いまから部長の婚約をかけたレーティングゲームが始まります

 

相手は、高校で初めてできた友達の、レーくんです

 

レーくんが悪魔だと知った時はとても驚きました

 

でもそれ以上に、レーくんが部室や別荘に来た時に話せなかったことに、とても胸が苦しくなりました

 

なんでそうなったのかはわかりませんでしたが、レーくんのことを考えていると、なぜかモヤモヤした気持ちになります

 

それがなんなのか知りたくて、朱乃先輩に聞いたのですが

「あらあら、それは私の口からは言えませんわ、でもこれだけは言えます、小猫ちゃん?その気持ちはとても大事なものです、もし小猫ちゃんがその気持ちに気付いた時は、自分に正直になりなさい?」

 

そう言われましたが、なんのことだかまったくわかりませんでした

 

レーくんと話せば何かわかるかもしれない

 

今の私はそんな気持ちでここにいます

 

でも、同時にレーくんとは戦いたくないと思ってしまってます

 

部長の婚約がかかった大事な試合なのに、そんなことを思ってしまうなんて、私はダメな眷属です

 

でも私はやらなければいけません

 

そしてゲームが始まりました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

ゲームが始まってすぐ、リアスたちは作戦会議を始めようとしていた

 

だが

 

「っ⁉︎リアス大変よ‼︎彼がこっちに向かって来てる‼︎」

 

「なんですって⁉︎」

 

「すごい速度よ!もうここにたどり着くわ‼︎」

 

「っ!えぇ、そのようねっ‼︎」

 

「9日ぶりです、リアス様」

 

「堂々と突っ込んで来て、勝てる気でいるのかしら?」

 

「はい、僕は兄様以外に負ける気はありませんので」

 

「そう………祐斗!」

 

「ハァ‼︎」

 

「……ハァ

 

レインはため息をつきながら、自分に突っ込んで来た木場の鳩尾に、拳を入れた

 

そして木場は気絶し、リタイアとなった

 

「リアス様、忠告しておきます、戦い、また殺し合いの場で、相手に聞こえる大きさで指示を出すのは愚策です、また相手にバレているのに真正面から突っ込んで来るのは、相手に殺してくれと言っているようなものです」

 

「あなた、よくも祐斗を‼︎小猫‼︎」

 

「………はい」

 

小猫は前に出た

 

だが、まだ小猫には迷いがあった

 

「………塔城さん、構えてください、そうしなければゲームは終わりません」

 

そう言いながらレインは、拳を構えた

 

「レーくん………いきます!」

 

そして小猫が攻撃を仕掛けた

 

それをレインは紙一重で躱す

 

小猫は追撃に回し蹴りを繰り出す

 

だがそれも躱される

 

それを何度も何度も繰り返す

 

レインから攻撃して来ることはなく、またカウンターを仕掛けて来る様子も見られなかった

 

そうすること五分、小猫の動きは躱されるたびに鋭くなっていき、ついに達人レベルの動きになっていた

 

そんな中、放送が流れる

 

《レイン様、このまま続けられるようでしたら、残った眷属の数でリアス様の勝ちとなりますが、よろしいでしょうか?》

 

「……………わかりました、ご忠告感謝します」

 

「レーくん?」

 

「………塔城さん、申し訳ございません、僕は負けるわけにはいかないんです、だから少しの間だけ眠っていてください」

 

「え?」

 

そういうとレインは小猫に近づき、頭に手を乗せた

 

そして

 

「眠れ」

 

そう言われた時、小猫はだんだんと意識が遠のいていた

 

「レー……くん……」

 

「………ごめんなさい、塔城さん……」

 

《リアス様のルーク、リタイアです》

 

眠る直前、小猫が見たレインは、とても寂しそうな顔をしていた

 

「雷よ‼︎」

 

瞬間、レインに雷が降り注いだ

 

「っ!直撃ですわ!」

 

だが

 

「僕は確かに不死性と焔は使わないと言いました、ですがそのほかの魔法を使わないとは言っていません」

 

「あらあら、参りましたわ(汗)」

 

そういうレインは雷を纏っていた

 

朱乃の雷を退けるほど、強力な雷を

 

「お返しします」

 

「っ⁉︎」

 

そしてレインから、先ほどの倍以上の威力の雷が放たれた

 

そして朱乃もリタイアとなった

 

「……そん、な⁉︎」

 

「リアス様、リザインしてください」

 

「ふざけないで‼︎私はまだ諦めてないわ‼︎」

 

「………リアス様、僕はあなたが嫌いです」

 

「っ!なぜかしら?」

 

「今、こうしてゲームを行なっているのはあなたの我儘が原因です」

 

「我儘ですって⁉︎」

 

「あなたは兄様と結婚したくない、もっと幸せになりたいと言います………」

 

「何が言いたいの⁉︎」

 

「………ふざけるな」

 

その瞬間、膨大な殺意がリアスを襲った

 

「……ぁっ……!」

 

「あなたは言いました、僕を倒して婚約を解消すると………なぜあなたはそう思えたんですか?僕を倒せると、なぜ思えたんですか?」

 

「それ、は……」

 

「それは………それはあなたが僕のことを見下していたから、そして、あなたが兄と両親に甘えていたから」

 

「ち、違っ!わ、私は………!」

 

「間違っていません…………あなたは今まで、自分よりも強い相手と戦ったことがなかった………」

 

「それは……」

 

「それもそのはずです、あなたに依頼されるはぐれ悪魔の討伐はランクの低いもの、魔王様が危険ではないと判断したものばかり、だからあなたは僕が提案した時こう考えた、『これは魔王様がくださったチャンス、またいつものように倒せる相手だ』と」

 

「…っ……」

 

「………あなたは兄様に言いました、自分をグレモリー、魔王様の妹ではなく、リアスとしてみてくれる人と結婚したいと…………なら努力したんですか?どうすればいいか考えたんですか?」

 

「……わ…たし…は……」

 

「していないでしょうね、当たり前です、生まれてからの17年と数ヶ月、一度も努力したことがないんですから」

 

「………違う、違う!違う‼︎……私は努力した!力を使いこなせるように頑張ったわ‼︎貴族としての礼儀作法だって覚えたわ‼︎」

 

「力を使いこなせるようになる?礼儀作法を覚える?何を当たり前のことを言っているんですか?」

 

「……え?」

 

「使いこなせない力は周りを傷つける、あなたはあなたの手で仲間を殺すつもりですか?礼儀作法だってそうです、貴族なら覚えて当たり前、家を潰す気ですか?」

 

「ぇ……ぁ…」

 

「それは努力とは呼びません、あなたが言ったものは、やらなければいけないことで、自分で判断したものではありません」

 

「…………」

 

「…………最後に一つ………自分では何もできないくせに、夢を語るな………努力すらしてないくせに、努力を語るな…………何もしない()()が、兄様と先輩(努力した者)を貶すな」

 

「……ぁ」

 

それを最後に、リアスは気を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスside

 

「珍しいね、レインがあんなに怒るなんて」

 

「………それよりも2人は?」

 

「ライザーとイッセー君かい?」

 

「はい」

 

「2人なら今、お互いに自室で集中力を高めているよ」

 

「…………それで、いつ始めますか?」

 

「う〜ん?リーアたん達が目を覚ましてからかな?」

 

「塔城さんはもうじき起きるとして、他の人、特に()()()()()()()()()はいつ頃目を覚ましますか?」

 

「これは完全に嫌われてるのかな?というよりも、レインが人を完全に嫌うのって何気にリーアたんが初めてなんじゃないかな?」

 

「………僕は聖人ではありません、嫌いになることだってあります」

 

それを聞きながらサーゼクスは思い出す、かつてレインは、3人のレーティングゲームプレイヤーをフルネームで呼んだ

 

レインは嫌っている相手、または、()()()()()()()()()()()()をフルネームで呼ぶ

 

そしてフルネームで呼ばれた3人は、後者に値する

 

1人目のプレイヤーに言った言葉は、『なぜそんなに退屈そうに、そして機械的にゲームをするんですか?』だった

 

最初、僕はレインが何を言っているのかわからなくて、なんどもそのプレイヤーの対戦映像を見直した

 

そして意味を理解した

 

彼はゲーム中、全ての試合において、一度も笑ったことがなかったのだ

 

レインの言う通り、機械のように淡々と命令を出し、能力で相手を倒す

 

彼を問い詰めたところ、最初ははぐらかそうとしていたが、レインが彼の逆鱗に触れ続け、彼は話してしまった、誰にも知られてはいけない秘密を

 

そもそも彼の逆鱗はなんだったのか、それがこの話の重要点になる

 

彼の逆鱗に触れた言葉は、『実力があるのに、勝てるように努力しないなんてもったいない』と言う言葉だった

 

そして彼は言葉にしてしまう、自分の過去を

 

彼はどんなに努力しても、才能には勝てないと言った

 

それをレインが否定しようとした時、彼は言った、『こんなものを使わなければ、才能の差は埋まらない』と

 

そしてレインはその言葉を聞き逃さなかった

 

問い詰めると彼の口からあってはならないものが話された

 

それはゲームの歴史を大きく変えるものだった

 

そしてレインは脅しをかけた、『バラされたくないなら、僕を倒してみろ』と

 

そして彼は全力で戦い、負けた

 

その時、レインは全力ではなかった、だが彼は一撃の元に能力を無効化され、肉弾戦でも大敗した

 

そして彼は、『不正までして手に入れた力を持ってしても、才能には敵わないのか』と言った

 

だがレインはそれも否定した

 

レインは語る、とある男の話を

 

その男は兄弟の中で一番才能がなく、周りの貴族達からは無能と呼ばれていた

 

だがその男は決して腐らず、何度挫折しようが努力することをやめなかった

 

その結果、本気を出されれば、自分でも勝てない所まで強くなったとレインは言った

 

それを聞いた彼は、『私もそうなれるか?』と質問した

 

するとレインは、『なれるかはあなた次第です、でも、今の実力に満足していたら、その人どころか、僕にも届きませんよ?』と答えた

 

その言葉の元、彼は今、毎日修行に明け暮れているという

 

実際に世間の声も変わり、以前は貴族らしく、堂々としすぎて近寄りがたいと言われていたが、今ではとても社交的で、話しやすい好青年とまで言われている

 

2人目は女性で、男女問わず人気があった

 

そんな彼女にレインが言った言葉は、『なんで悔しそうにゲームをやっているんですか?』だった

 

僕は疑問に思った、ゲームなんだから勝ったら嬉しいし、負けたら悔しいのは当たり前だろうと

 

だがレインはそれを否定した、『目を見ればわかります、ゲーム中、表情は楽しそうなのに、目だけは悔しそうにしています』と

 

彼女は最初は否定していたが、レインがゲームで行われているという不正を口にしたら、反応が変わった

 

そしてレインが彼女の過去を調べ、事実か確認をした

 

彼女は諦めたかのように頷いた

 

自分の過去も、ゲームでの不正も、そして、悔しそうにしていたことも認めた

 

だが彼女は、不正をしたことには後悔をしていないと言った

 

彼女は、小さい頃からレーティングゲームの舞台に立つことを、夢見ていたという

 

では、なぜ悔しそうにしていたかというと、彼女は戦っている最中、自分とは違い、才能と努力で同じ舞台に立つライバル達を見て、努力をしなかった自分を情けなく思ってしまうのだという

 

それを聞いて、レインは聞き返した、『不正を行うと、そこまで変わるのか』と

 

そう言われ、僕も初めて気がついた、1人目の彼も、今目の前にいる彼女も、幼い頃は才能がなかったのだ、不正をしたと言っても、そこまで変わるものなのだろうか?

 

彼女によると、不正によって得られるのは、体内で生まれる魔力が、跳ね上がるだけだという

 

レインはそれを聞いて、『なら、あなたは努力していますよ』と言った

 

彼女は否定しようとしたが、レインに『体内で生まれる魔力が増えるということは、()から漏れ出すということです、そして漏れ出した魔力は体を壊し続けます、あなたは今、魔力を封印していないんですよね?ならその魔力に耐えられる体を作ったってことです、さらにその魔力を完璧に制御、また応用できるのは、努力をした成果ですよ』と言った

 

それでも納得のいかない彼女だったが、レインはこう言った、『それでも納得がいかないのでしたら、これからまた努力をしなおせばいいんですよ』と言った

 

彼女はなぜそこまで言ってくれるのか?と聞いたが、レインは、『事情は違いますが、僕も似たような状況ですから』と応えた

 

それから2人は、その話題で盛り上がり、彼女の方は、腫れ物が落ちたような顔をしていた

 

それからの彼女は、幼き頃からの夢であった、レーティングゲームへの参加を控え、出場しなければならない時も、不正で得た魔力を使わずに、元々の魔力と戦略のみで戦っている

 

それから変わったことといえば、もともと年下好きということもあり、自分を救ってくれたレインにべた惚れしてしまったということだろうか

 

もはや狂信者ではないかというほどの惚れっぷりである(汗)

 

そして3人目だが、確か彼は………?

 

 

 

3人目の彼のことを考えていると、グレイフィアが部屋に戻ってきた、そして

 

「レイン様、塔城様が目を覚まされました」

 

「………わかりました」

 

そうしてレインは、部屋へと向かった

 

 

 

 

 




如何でしたか?

今回、今作のメインヒロインの、小猫の想いが明らかになりました

まだ自分では気づいていないようですが、いつ気づくのでしょうか?(笑)

そしてその後に、レインがリアスに怒りを向けました(苦笑)

レインに完全に嫌われたリアスは、この後の物語で信頼を得ていくわけですが、これはリアスアンチをつけないとダメですかね?(苦笑)

また、サーゼクスの回想で出て来た3人ですが、誰だかわかりますかね?(笑)

最初の2人はヒントがあるのでわかると思います(笑)

最後の1人ですが、答え合わせはかなり後になります(苦笑)

最後に、誤字、脱字などがございましたら、ご報告よろしくお願いします


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誓い


約一年ぶりの投稿、誠に申し訳ございません。
理由としましては、忙しくて時間がなかったというものでございます。
一年経って、漸く時間を余らせることができるようになって来たので、これからはまだまだ遅いかもしれませんが、少しずつ投稿を再開させていただけたらと思っております。

では一年のブランクがありましたが、不死鳥の四男坊(仮)をお楽しみください。






レインside

 

人間界、いや、冥界も含めて、塔城さんは僕にとって初めてできた友人だった

 

最初は、リアス・グレモリーの眷族だから警戒していたけど、毎日言葉を交わしていると、それも薄れてしまった

 

彼女は、あまり喋る方では無かったけれど、人との付き合い方の分からない僕には、とても話しやすかった

 

だけど、それもここまでだろう

 

僕はリアス・グレモリーと敵対した

 

それはつまり、塔城さんとも敵対するということだ

 

婚儀がどうなろうと、リアス・グレモリーは兄様を拒絶するだろう

 

そうなれば、兄様の弟である僕は学園を去ることになる

 

だがそれは覚悟していたことだった

 

兄様の為ならば、この(人生)を全て賭ける気でいた

 

ただ、学園での一ヶ月は、僕には刺激的すぎた

 

少なくとも、離れたくないと思わせてしまうほどに

 

幼い頃から世話になっているあの人は、今の僕を見て何と言うのだろうか?

 

偽善の代償だとでも言うだろうか?

 

それとも、呆れて物も言えなくなるのだろうか?

 

どちらも有得そうだが、きっとこう言うだろう

 

気づくのが遅い、と

 

サーゼクス様と並び讃えられる彼は、擬似的に未来を観ることができる

 

それは経験からではなく、圧倒的な知識と、計算力からくるものだ

 

彼から学んだことは多い

 

僕にとって彼は先生と言えるだろう、又は師匠だ

 

魔術や体術などの戦闘系、料理や勉学などの日常系など、様々なことを学んだ

 

ゲーム中の雷や、睡眠魔法も彼から学んだものだ

 

そんな彼に、人間界に来るときに問われたことがある

 

お前の夢は何だ?何を目指して生きている?

 

その問いに、僕は応えることができなかった

 

最近、そのことを思い出してしまう

 

目指していることといえば兄様を越えることだが、それを果たせば死んでもいいのかといえば、そうではない

 

ましてや将来やりたいことなど、考えたこともなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余計な話はここまでにしよう

 

僕は今、塔城さんがいる部屋の前にいる

 

はっきり言えば、合わせる顔がない

 

ゲームでの対戦中、僕は武術ではなく、魔法(邪道)を用いてリタイアさせてしまった

 

彼女を傷つけたくなかったとは言え、武人である彼女のプライドを汚してしまったかもしれない

 

さらには、リアス・グレモリーと敵対してしまった

 

最悪、友人関係すら無くなるかもしれない

 

僕はそれが、とてつもなく怖かった

 

でも、謝らなければいけないことが山ほどある

 

だからこそ僕は覚悟を決め、扉を開いた

 

 

 

 

 

「塔城さん?」

 

 

 

 

 

 

 

そこには、涙を流している塔城さんがいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

懐かしい夢を見た

 

私が小さい時の夢だった

 

夢に出てくる私はいつも笑顔だった

 

そこには姉様がいた

 

小さい時の私は姉様が大好きだった

 

不満なんて何もなかった

 

この生活がずっと続くものだと思っていた

 

()()()までは

 

場面が切り替わる

 

怒号が飛び交い、城内は混乱に包まれていた

 

この光景を私は知っている

 

忘れるはずもない

 

この日は

()()()()()()()()()なのだから

 

この混乱は、姉様が当主を殺害したことによって起こったものだ

 

当時の私は、姉様が殺したということを信じられず、いつも通り部屋に閉じこもっていた

 

そうしていれば、いつものように姉様が迎えに来てくれると思っていたから

 

でも、現実はそう甘くはなく、何日も何日も待ったが、姉様が迎えにくることはなかった

 

あの時、小さかった私でも薄々感じてはいた、本当に姉様が殺したんだと

 

それでもまだ、心のどこかでは信じていたのだ、姉様が私を捨てるはずがないと

 

だがそれもすぐに崩れ去る

 

私の元に魔王様が訪れた

 

そして小さかった私にこういった、

『君のお姉さんは自分の主人を殺した、そして1人で逃げてしまった、君のお姉さんがここにくることはもう二度とない』と

 

魔王様には感謝している

 

あの時助けて下さらなかったら私は殺されていた

 

そうしたらレーくんとも会うことができなかった

 

そう考えた途端、また場面が切り替わった

 

今度はとても暗い、何処までも続く黒い世界

 

今自分が立っているのか、寝ているのか、座っているのかさえもわからない

 

そんな中にひとつだけ別の色があった

 

とても綺麗な、見慣れた金色

 

レイン・フェニックスがそこにいた

 

しかしレーくんは、あの日の前日の姉様と同じ目をしていた

 

そしてレーくんは私の目を見てはっきりと言う、

『さよなら』と

 

待って!と声をかけようとするが声は出ない、動こうとしても鎖に縛られたかのように動けない

 

そして止められないままレーくんは消えて行き、私は暗い世界で独りぼっちとなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで私は目を覚ます

 

すると横にはグレイフィア様がいた

 

「目が覚められましたか?」

 

「………はい」

 

「ではレイン様をお呼びいたします」

 

「レーくんを、ですか?」

 

「はい、塔城様が目覚められましたら連絡するようにと言われております」

 

「……わかりました」

 

「では失礼いたします」

 

そういうとグレイフィア様は部屋を出ていった

 

さっきの夢はなんだったんだろう?

 

最初の夢は分かる、過去のものだ

 

でも次の夢が分からない、身に覚えのないものだった

 

夢であったとしても、あんなもの見たくなかった

 

そこで私は、ある可能性を考えてしまった

 

そもそも睡眠魔法というのは、発動者の見せたい夢を見させるものが多い

 

そこで、例えばレーくんがあの夢を意図的に見せたとする、又は深層心理が映されたものだとする

 

そうした時に、あの夢で伝えたいことはなんだったのだろうか?

 

いや、簡単だ、考えるまでもない

 

私はまた1人になるのだろう

 

レーくんが言ったさよならも、もう会うことがないという意味だろう

 

そこまで考えて、私はそんな訳がないと考えるのをやめた

 

でも、一度考えてしまったがために、忘れようとしても思い出してしまう

 

それを何度も繰り返していると、声が聞こえた

 

「塔城さん?」

 

「………レーくん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レインside

 

 

少し驚いている自分がいる

 

普段、塔城さんは感情を表に出さない

 

故に、僕には塔城さんが泣いている理由もわからない

 

だが、なんと話しかければいいか迷っていたのは事実

 

話かける理由の一つにはなるだろう

 

そんなことを思ってしまう自分に嫌気がさしてしまうが、そうしてでも僕は塔城さんと話さねばいけないのだ

 

そして、無言のままというのも嫌なので、僕から話しかけることとする

 

「………なぜ泣いているのですか?」

 

「え?私、泣いてなんか……」

 

「気づいていないのですか?では目元を触ってみるといいですよ?」

 

そういうと、塔城さんは目元を触る

 

どうやら本当に気づいていなかったようだ

 

すると塔城さんは、

 

「少し、嫌な夢を見ていました……」

 

と、言った

 

僕はどういうことか分からず、つい聞き返してしまった

 

「嫌な夢、ですか?」

 

言ってから後悔する、あまり思い出させないほうが良かったのではないか、と

 

しかし塔城さんは俯きながらではあるが、話し始めた

 

「………一つ目は、小さい頃の夢です……」

 

「……お姉さんの夢ですか?」

 

「……はい」

 

「………魔王様から伺っています……塔城さんのお姉さんは……」

 

「……はい……主人を殺した、犯罪者です……」

 

お姉さんのことを話している時の塔城さんは、震えて、怯えていました、それを見ていられず、どうにかしてあげたいと思いましたが、立場上側に寄ることも出来ず、その場に立ち会っていない僕では、軽々しく大丈夫なんて言葉はかけることも出来ませんでした

 

せいぜい僕に出来るのは話題を変えることだけでした

 

「……それで、二つ目は?」

 

「………レーくんの夢です」

 

「僕の、ですか?」

 

「……はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

私がレーくんの夢を見ていたことを伝えると、レーくんはとても驚いた顔をしていました

 

とてもと言っても普段に比べたらの話で、あまり大きな変化はありませんでした

 

でもその時、私はあの夢をレーくんが意図的に見せたものではないと判り、少し安心してしまいました

 

しかし、それでも私の中から不安がなくなることはありませんでした

 

意図的ではなかったとはいえ、もしかしたらレーくんは私に別れを告げに来たのかもしれないからです

 

その不安に耐えきれなかった私は、無意識のうちに口にしていました

 

「…………レーくんは……何処にも行きませんよね?」

 

それを聞いたレーくんは、少し目を見開き、驚いたような顔をした後、私が見たことのないほどとても優しい顔で微笑みました

 

それは以前先輩から聞いた、レーくんがスイーツを食べている時と似たような顔でした

 

そして

 

「……よかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レインside

 

「……よかった」

 

僕は塔城さんの話を聞き、そして何処にも行かないか?という問いかけに対して、安心してしまいました

 

そんな風に考えていると塔城さんが今にも泣き出しそうな顔をしていました

 

僕の一言で勘違いしてしまっているようなので、早めに誤解を説かなければいけませんね

 

なので

 

「大丈夫ですよ、実は僕もここに来るまでに同じことを考えていました」

 

「……同じことですか?」

 

「はい」

 

「なら……レーくんも…?」

 

「はい……塔城さんと友達ではいられなくなるのではないかと考えていました」

 

「そう…ですか…」

 

「なので、僕からひとつだけ言わせて欲しいことがあります」

 

「?」

 

「もう一度、僕と友達になってください」

 

「……え?」

 

「今までのような、人間としての友達ではなくて、自分の思いをちゃんと伝え合える、本当の友達になってくれませんか?」

 

「……いいんですか?…だって私たちは……」

 

「僕もそう思っていました、でもそれ以上に僕は塔城さんと友達でいたいんです」

 

「………私なんかでいいんですか?」

 

「むしろ塔城さんじゃないとダメなんです」

 

「……どうして私何ですか?」

 

「実は僕、同い年の友達が居ないんです」

 

「え?」

 

「おかしいと思いませんか?僕の友達って、思い返してみると年上の人しかいないし、僕よりも立場が上の人たちばかりなんです」

 

「……もしかして、レーくんはぼっち?」

 

「……それは言わないでください、かなり傷つきます」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「……塔城さん」

 

「はい?」

 

「まだ敬語は取れませんか?」

 

「……レーくんがやめてくれたら考えます」

 

「考えるだけですか?」

 

「……そういうのは気づいてはいけないんですよ?」

 

「……わかりました、なら外してくれるまで気長に待ちます」

 

「?……はい」

 

「だからこれからもよろしく、小猫」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

「だからこれからもよろしく、小猫」

 

「っ‼︎」カァァァァ////

 

私は、自分の顔が真っ赤に染まっていくのを感じ取ってしまいました

 

私は自分でも、感情が表に出にくいことは自覚していましたが、これは無理です////

 

そのあとレーくんは会場の準備があるからと、部屋を出て行きました

 

私はレーくんのお陰で、安心することができました

 

あの夢を見て不安だった私に、とても優しくしてくれました

 

でもどうしてでしょう?胸の奥でズキズキと痛みがするのは?

 

レーくんが友達で居たいと言ってくれて嬉しいはずなのに、どうしてなのだろう?

 

その答えがわからないのがなんだかもどかしくて、知ってしまうのが怖くて、でも、早く気づかないといけない気がして

 

私はどうしたらいいのでしょうか?

 

そんな風に思いながら私は、ゲームの会場へと足を運びました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

レインと小猫が話していた頃、一誠とライザーは自分たちの待合室で集中力を高めていた

 

そして一誠は、とある人物と対話をしていた

 

「……なぁ?」

 

《なんだ?》

 

「俺は、ライザーに勝てるのか?」

 

《普通なら不可能だろうな》

 

「そんなに強いのか?」

 

《少なくとも先代の魔王共よりは上だろうな》

 

「まじっすか」

 

《さらに言えば、全盛期の俺と互角とまではいかんだろうが、だいぶ苦戦するだろうな》

 

「なんでだ?」

 

《単純にあの男、死んでも倒れんだろうからな》

 

「確かフェニックスの炎って」

 

《あぁ、本人が気絶するまでか、魔力が尽きるまで回復し続ける》

 

「なら、レインやサーゼクス様が言ってた通りだとしたら」

 

《相棒では一生かかっても勝てんだろうな》

 

「だよなー」

 

《しかし、今回はあの小僧からとどめの一撃を授かっているだろう?》

 

「でもそこまで持つのか?」

 

《安心しろ、あの小僧からの攻撃を耐え切った今の相棒ならば、そこまで持ち込めば道は見えてくる》

 

「お前がそこまでいうなんて、やっぱレインってそんなにすげーのか?」

 

《あれは怪物だ、俺はあいつを悪魔だとは認めんぞ、あれは全盛期の俺を遥かに超えている》

 

「はぁ〜⁉︎」

 

《信じられんかもしれんが、事実だ》

 

「ドライグより上って」

 

《だが、完全には制御できていないようだな》

 

「どういうことだよ?」

 

《そのままの意味さ、膨大すぎるその魔力を自由に扱うことはできても、自らの内側に抑え込むことができないんだろう、だから魔力を解き放ったとき体から漏れ出て自分を傷つけることになるのだ》

 

「…そうなのか」

 

《さらに言えば、奴の魔力は悪魔の弱点である太陽そのものだ、それを自らの内側に内包するなど、想像を絶する苦痛だろうな、それも常人ならば発狂するレベルの痛みだ》

 

「それなのにレインは顔色ひとつ変えないのかよ⁉︎」

 

《恐らく生まれた時から感じていたのだろう、その結果奴は痛みを感じなくなった、奴が普段無表情なのもそのせいだろう》

 

「生まれた時から…」

 

《さてと、おしゃべりはここまでのようだぞ?》

 

「もうそんな時間か」

 

《怖いか?》

 

「あぁ怖いさ、でも逃げ出したりなんか絶対にしない」

 

《それは何故だ?》

 

「誓ったからだ」

 

《誰にだ?》

 

「自分に、そして親友(レイン)に」

 

《誓ったからどうなる?所詮は口上で述べただけだ》

 

「わかってる、だからこそ俺は逃げない」

 

《ではもう一度聞こう、それは何故だ?》

 

「俺は死んでもダチには嘘をつかねぇ‼︎」

 

《ク、クハハハハ!!!!よく言った‼︎それでこそ赤龍帝に相応しい‼︎我ら赤龍帝が突き進むは、邪道でも覇道でもない‼︎王道ただ一つ‼︎さぁ!歴代最弱の宿主よ!今宵貴様が挑むは歴代最強の敵!勝ち目など皆無!それでも挑む覚悟はできたか⁉︎》

 

「そんなものとっくの昔にできてる‼︎」

 

《ならば行くぞ!二天龍と恐れられた我が力を思い知らせてやるといい‼︎》

 

「赤龍帝ドライグ!この試合に勝つためにお前の力を借りるぞ‼︎」

 

《下級悪魔兵藤一誠よ!その力を持って悪魔共に刻み込んでやれ!自分こそ赤龍帝に相応しいのだと!自分こそが今代の赤龍帝なのだと!そして自分こそが!》

 

「《リアス・グレモリーのポーンなのだと!》」

 

《クハハハハ‼︎わかっているではないか相棒!》

 

「当たり前だ!誰がなんと言おうとも、俺が部長のポーンなんだ‼︎」

 

《さぁ、行くぞ相棒?我らの記念すべき初陣だ!》

 

 

 

 

そうして一人の悪魔と、一体の龍は、戦場へと向かった

 

その胸に親友への誓いを乗せて

 

 

 

 

 

 

 




一年もの間が空いてしまったので、前話との違和感や、誤字、脱字が見当たるかもしれません。
その場合はご報告よろしくお願い致します。
そして最後に、これからも不死鳥の四男坊(仮)をよろしくお願い致します。


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