機動戦士Dガンダム~悪魔の兵器の物語~ (クニクニ)
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第37話までのキャラクター設定 ※ネタバレあり

キャラクター設定です。
参考程度にどうぞ。
話が進むごとに加筆・修正します。

※一部wikiから引用

2019/7/11 内容一部変更


・橘隆司(タチバナリュウジ) 20歳

 

本作の主人公

子供を庇い、死亡し神様の力で『スパロボZ』の世界に転生する。

性格は優しく人付き合いが良い。

ただし鈍感である。(本人は自覚なし)

神様に特典で能力をもらう。

・ドラゴ○ボールの初期孫○空のステータス(経験を積むことで強化できる、頑張れば最終話並みの強さにも?)

・回復能力・・・ある程度の傷を治すことができる。ただし死亡または呪い関連は無効、1日の使用制限があり。

・強いガンダム←これが原因でデビルガンダムを手に入れる。

 

・DG細胞・・・使用することにより身体を乗っ取る、又は眷属化にできる。橘隆司の意思で相手を蝕むことも苦しめることもできる。ただし相手の精神力が強ければ強いほど侵食不可

さらに触れたものを意図的に変異させることができる。

侵食が軽度なら治療法はあるが除去は現在のところUG細胞のみである。

 

・UG細胞・・・DG細胞を唯一除去可能な細胞。

DG細胞とは正反対に無害な細胞なので治療に使用可能。

 

 

・ジョーカー

 

仮面とコートを着ている橘隆司。

デビルガンダムを乗っているのがバレないようにするために着ている。

なお能力は上記の隆司と同じ。

ちなみに作者の考えたモデルはPSO2の仮面と仮面ライダースカルを混ぜたキャラ。

 

・精神コマンド(隆司・ジョーカー 共通)

 

ド根性、不屈、気合、??(未取得)、??(未取得)

 

・特殊技能(特殊スキル)

 DG細胞、UG細胞、底力L8、援護攻撃L4

 

 

・ディナ 0歳(見た目では 17歳)

『第35話 Dの少女』から登場したメインヒロイン。

真っ黒なゴスロリ衣装を身にまとい、逆に肌と髪は白く、瞳は真紅の瞳をした少女。

そしてその正体は生体ユニットとして取り込んだティナの体を使っているデビルガンダムである。

コアの一部を移しているので『第2のデビルガンダム』といっても過言ではない。

普段は無表情だが、時にはにこやかに作り笑いをして周りとは友好的に見えるが基本的に隆司とティナ以外の者は興味がない。

人間のことは好きではないため見下すことが多いが、現在は東方不敗に『人間』について理解しようとしている模様。

 

ちなみに元はデビルガンダムの為、狂気によって印象ががらりと変わり周りを恐怖で貶める。

さらには見た目も騙されはいけず体は元々の体をDG細胞によりフルスペックに作成されている為、Gガンダムの武道家ですら裁けるようになっている。

そのため特典をもらっている隆司よりも遥かに強いのである。

 

ちなみに予断だが彼女の胸や体は隆司の性的興奮の記録によって計算された体らしい。

 

 

・デビルガンダム

 

神様から転生の特典で貰った(?)ガンダム。

神様の力で魔改造されたので原作と比べてかなり性能がいい。

ティナを生体ユニットにした為、デビルガンダム本来の能力が大幅に強化。

それと同時にティナの思考を分析したことにより感情が芽生えマスター(隆司)を守ることが自分の使命だと思うようになる。

なお、自我があるため独立行動が可能。

吸収した機体は自由に扱えるのでDG軍団に加えることも自分の機体にすることも可能。

その上、自己進化で相手の能力を分析することで技を真似をすることができるが威力、又は効果はオリジナルと比べると大幅に落ちる。

その為、直接機体を吸収することにより技を完全コピー、さらに自己進化でシステムを向上させることが可能でさらに強化される。

原作とは違い自我はあるので完全にDG細胞化していないためUG細胞が使用できる。

なお効果は上記の隆司のUG細胞と同じ。

だが、デビルガンダムの方が上位互換なのでDG細胞、UG細胞共に強力。

 

現在は生体ユニットである体にコアの一部をディナに移しているので意識を共有して個別に動かせることが出来る。

ちなみにコアの働きは同じなのでどちらかが倒されても復活する。

 

・ゾンビ兵

 

デビルガンダムによって作られた兵士。

元々はフリンコ村の住人だが、デビルガンダムの自己増殖でクローンが作られている。

思考能力が低いが命令には忠実に従う。それこそゾンビのごとく動かなくなるまで・・・。

なお、隆司曰くは顔が怖いのとのことなので全員にヘルメットを被せている。

なお、東方不敗がゾンビ兵の一部に流派東方不敗を学ばせて戦力増強を図っている模様。

 

 

・ティナ 15歳

 

フリンコ村に住む少女。オリジナルキャラクター。

ごく普通な少女で村に旅としてきた隆司と出会い彼の世話役となる。

世話好きなため隆司の為に身の回りの世話をしているうちに密かに恋心を抱く。

だが、ガイゾックのドミラの襲撃で隆司に思いを告げられず亡くなる。

その後、デビルガンダムの生体ユニットとして利用されるが、

現在は『第2のデビルガンダム』としてディナとなり活動している。

 

 

 

 

 

----------------------

 

~原作キャラ~

 

 

・東方不敗 49歳

『機動武闘伝Gガンダム』のキャラ。

隆司と出会い、デビルガンダムの再生能力を使って自然を戻そうと考えている人物。

だが、隆司の底知れない力に恐れたが、DG軍団に加わったことで隆司に忠誠を誓うが、ジョーカーの底知れない力に不安を感じ、ジョーカーについて探るが、ディナとのある会話によりそれは拭われる

戦闘力は生身でもガンダムと戦える身体能力を持っている。

現在はZEUTHと共に行動して、新たにできた弟子であるセツコを鍛えている。

体の異変が日に日に強くなっているらしいが、最後まで己の命で生きるため治療を拒否。

なお、体の異変について知っているのはディナのみである。

 

 

・ドモン・カッシュ 20歳

『機動武闘伝Gガンダム』の主人公

隆司がカッシュ一家を追い込んだ人物と思い彼の居場所を突き止めようとする。

そしてデビルガンダムと行方不明の家族を追う為に一年後に開催されるガンダムファイトに向けて現在は特訓中。

 

 

・キョウジ・カッシュ 28歳

『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモンの兄 

原作ではデビルガンダムのパイロット。

隆司によりデビルガンダムに乗れなくなり、カッシュ一家共にネオジャパンの指名手配犯として追われている。

なお現在は行方はわからない。

 

 

・セイラ・マス 17歳(1st)→24歳(Ζ)

『機動戦士ガンダム』のキャラ

ヒロインの一人。

微ヤンデレ?

家族が皆いなくなり寂しさがあったが隆司との出会いでその寂しさは紛れるようになったが、彼に依存するようになる。

戦闘能力は高くないが、ホワイトベースでの経験があり多少の戦闘はこなせる。

一年戦争の後は投資家として過ごしていた経験もあるため交渉などが得意である。

一年戦争後、各地を回って隆司のことを探しているらしい。

 

 

・アムロ・レイ 15歳(1st)→22歳(Ζ)

『機動戦士ガンダム』の主人公

一年戦争の際に隆司と出会う。

機械に関して知識があるため隆司に教えたことがある。

彼が面倒見がいいのがあり隆司のことを少なからず兄のような存在に思っている、

一年戦争の途中で行方がわからなくなり今も探し続けているらしい。

現在はZEUTHと共に行動している。

 

 

・ブライト・ノア 19歳(1st)→26歳(Ζ)

『機動戦士ガンダム』のキャラ

『ホワイトベース』の艦長。

指揮能力は高いが、隆司の指揮能力(勘違い)の高さと策略に驚きを隠せなかった。

用心深いのか彼のことは信用はしてない。

現在は『アーガマ』の艦長として就任している。

 

 

・シャア・アズナブル 20歳(1st)→27歳(Ζ)

『機動戦士ガンダム』のキャラでアムロのライバル

直接の面識はないが隆司の策略(勘違い)により優れた指揮官と勘違いされる。

 

 

・ステラ・ルーシェ 不明(推定16歳)

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のキャラでガイアガンダムのパイロット。

その正体は連邦軍の強化人間エクステンデッドの一人。

ザフトのコロニーで迷子になったところを隆司と出会う。

彼女の首には露店で隆司が買った水色の羽根を着けた首飾りがいまでも持っている。

現在は捕虜としてミネルバの医務室で拘束されている。

 

 

・セツコ・オハラ 19歳

『スーパーロボット大戦Z』の主人公

地球連邦軍の戦技研究班グローリー・スター所属の女性。

性格は内気で気が弱く消極的で、物事を深く考えてしまう。

原作ではトビーのことが好きだったようだが…。

なお、東方不敗と出会ったあと心身共に鍛えるために流派東方不敗を学んでいる。

 

 

・ハマーン・カーン 20歳

『機動戦士Zガンダム』のキャラ

アクシズの実質的な指導者であり、ミネバ・ラオ・ザビの摂政。

ニュータイプの能力、MSのパイロットとしての技術は高く、その上カリスマ力の高い人物で兵からの人気は高い。

ただ、彼女の性格は良くも悪くもない傲慢な性格。その為自分から敵を作ってしまうこともある。

また、自分が興味を持った人間には当人の意思を無視してどこまでも執着する。

ちなみにこの小説ではこの性格は少し控えめにしている。

隆司がアクシズにジオン兵として来たがアクシズでハマーンが隆司を気に入り共に買い物をした際に隆司の中をみて少しだけ彼のことを知る。

現時点では彼のことを一番知っているキャラではないだろうか。

 

 

・ジ・エーデル・ベルナル

 

『Z』の世界のラスボス。

科学者として天才的な頭脳を持つが、虐げられることが快楽と言った変態でもある。

デビルガンダムがいることには驚いてはいなかったようだが、橘隆司というイレギュラーに興味を持つ。

 

 

----------------------

~その他~

 

・ガデット 20歳

『第5話 悪魔は微笑む』で登場したオリジナルキャラクター。

これといった出番はないが、この作品で一番最初にデビルガンダムに取り込まれた人物。

 

ちなみに余談だが『第23話 一年戦争の亡霊』で出て来るザクⅡは彼が乗っていた機体のコピーである。

 

 

・カイリル・アーバン

『第29話 渓谷の門②』で登場したオリジナルキャラクター。

渓谷に設置されているローエングリンのある基地の指揮をしている。

昇進など金や女好きな欲がある。

デビルガンダムの攻撃でかろうじて生き残るがそのせいでか結局デビルガンダムにより意識を乗っ取られる。なお指揮能力などは高く有能であるが欲深い為に損している。

渓谷襲撃後デビルガンダムによりDG細胞に侵食され、傀儡となる。

現在は新地球連邦軍でデビルガンダムの命令に従って暗躍している。




修正・意見がありましたらよろしくお願いします。


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序章
第1話 これから転生します・・・えっ!?


初投稿です。

色々なものを書いて書き貯めしていましたが、この度投稿させていただきました。
もしかしたら設定がおかしいところがあるかも。

駄文や表現がおかしい所がいろいろあるかもしれませんがよろしくお願いいたします。


俺、橘 隆司(たちばな りゅうじ)は目を覚ますとそこは一面真っ白な世界だった。

 

(ここはどこだろう?)

 

そこにはなにもなくただ白い世界が目の前にあった。

 

さて、なぜ自分がこの世界にいるのか、

 

「それはお主が死んでしまったからじゃ。」

 

どこからか、声が聞こえる

 

「こっちじゃ、こっち。」

 

後ろから声がするので後ろへと振り向くと、そこには白くて長い髭を生やした老人がいた。

 

(もしかして、神様ですか?)

 

「いかにも儂が、神じゃ。」

 

本当に神様っているんだ。

 

(そういえば、さっき死んでしまったからって言ってましたが?)

 

「うむ、お主、今日帰り道で何があったか、覚えているか?」

 

 

確か今日は朝大学にいって、大学で授業を受けて友達と遊んだあと家に帰っている途中で、車が歩道にいる子供に向かって突っ込んていくのでとっさに体が動いてしまってその後は……。

 

「お主が子供を庇い、撥ねられて死んでしまった。」

 

そう、子供は救えたが、自分は車に跳ねられてしまい、そのまま死んでしまった。

 

「本来ならあの子供が死ぬと予定されていたのだがお主が庇ってしまった為、お主が死んでしまった。」

 

なるほど本来はあの子が死んでしまうとこが自分が庇ってしまったことで僕が代わりに死んでしまったと。

 

「それと残念じゃが、お主は死んでしまったので生き返られることはできぬのじゃ。」

 

(それじゃあ、自分はこのまま天国に行くのですか。)

 

「その選択もある。じゃが、お主はそれでは未練があるじゃろ。」

 

たしかに未練がないのかといわれたら未練はたくさんある。

やりかけのゲームもあるし、友達にも言いたいことがあるし、彼女もほしかった。

 

「そこでじゃ。お主をこのままにすると神としては見過ごせぬのでな、お主を転生させようかと思っての。」

 

(転生ですか?)

 

「うむその通りじゃ。天国に行くか、転生するかはお主次第じゃ。」

 

ウ~ム。天国か転生。

天国でのんびりも悪くないが、やっぱり転生がいいな。

やっぱり中途半端に死んでしまったのだから老後するまで生きてみたいな。

 

(それじゃあ、転生でお願いします。)

 

「わかった。

では、転生する前に特別に3つ願いをかなえよう。」

 

(願いですか?)

 

「本来はないのだが、お主には特別に願いをかなえよう。いわゆる転生の特典と言うものじゃ。」

 

願いか~。特にないが、

小さい頃からすきだった、ガンダムシリーズの強い機体がほしいな。

 

「ガンダムの強い機体じゃな。」

 

あとは、簡単には死なないように強い体と、怪我したら回復できる力も欲しいな。

 

「強い体と回復できる力じゃな。この3つでよいかな?」

 

(はい、その3つがあれば大丈夫です。)

 

「わかった。では、異世界ではお主の好きなように生きるが良い。」

(はい、ありがとうございました。)

「達者でな。」

 

隆司の魂は異世界へ向かう為白い部屋から消え去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「行ったか。」

 

さて、あの少年の願い事を叶えてやろうかの。

 

「あっ、」

 

しまったわい、重要なことを1つ聞き忘れていた。

 

「ガンダムの機体は何に乗るのかを聞き忘れていた。」

 

ウ~ム、困ったぞもうすでに向こうの世界に送ってしまったので聞くことができぬ。

 

「まぁよいか、たしか強い機体で、強い体と回復できる力となると、おお、あった。」

 

しかし、このままじゃつまらぬから少し改造を加えてやるかの。これをこうしてのこうで・・・、

むっ、いかんな。

少し改造しすぎたかの?

まっ、これで良いかの。後は、向こうに送るだけ、っと。

 

これで良し。

 

さて、次は誰かの~?

 

 

隆司に送った機体の名前はディスプレイにとある機体の名前があった。

 

 

『アルティメットガンダム』と・・・。




いかがでしたか?

色々と無理やりな設定ですが、デビルガンダムが活躍できるように頑張ります。


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第2話 神様からのプレゼント ~クーリング・オフできますか?~

連続投稿です。

感想が早速あってうれしかったのでもう1話投稿させてもらいました。

ちなみにデビルガンダムの出番はしばらくありません。
DG「えっ?」
UG「( ´・ω・)⊃旦 <これ飲んで待っといて。」
DG「 (´;ω;`) <うん」

だいたいこんなかんじ。

今回は原作にオリジナル展開があります。




~主人公視点~

 

「うーん、ここは?」

 

さっき神様に転生されたから、ここは転生先の世界かな?

 

目がぼやけていてまわりがよく見えない。

それにしても、さっきから騒がしいな。

 

「キョウジ!早く行け!

こいつを軍に悪用させてはならん!」

 

「けど、それじゃあ父さんが!」

 

「早く行け!」

 

 

あわわわ。

ここは『Gガンダム』のキョウジがアルティメットガンダムに乗るシーンじゃないか!?

なぜこのシーン!?

 

ふと、手元に一枚の神が落ちてきた。

『この手紙が届いているということはうまく転生できたかの?

実は1つ確認ミスでの、お主が乗りたい機体がわからないので、

そこにある『アルティメットガンダム』じゃったかの?その機体をプレゼントするぞ。

 

追伸・おまけで原作の真っ最中に送ってやったぞ。嬉しいじゃろ?

では、良き転生ライフを。』

 

神様ーーー!!?

確かに、俺が機体の名前を言わなかったのは悪い!

けど、よりにもよってガンダムシリーズの中でも最恐のラスボスでもある『デビルガンダム』こと『アルティメットガンダム』を選ぶなんて!?

くそー、俺はダブルオーガンダムとか、νガンダムとかに乗りたかったよ。

 

でも、せっかく神様が用意してくれたし、

それにあれに乗らなかったら、俺がウルベに捕まってなにされるかわかったもんじゃない。

とにかく乗らなくちゃ。っとその前に。

 

 

----------------------

 

~キョウジ視点~

 

「さあ、そのアルティメットガンダムをこちらに渡してくださいカッシュ博士」

 

ウルベはミカムラ博士と複数の兵士を連れて、カッシュ一家を取り囲んでいた。

 

「これは地球の再生に必要なのだ。君達に渡すことはできない。」

 

「安心して下さい、私が代わりに地球を再生してみせますよ。私がこの世界を支配した後にね。」

 

ウルベの目的はネオ・ジャパンが世界の頂点に立ち、そしてウルベが頂点に立つには強力な力を持つアルティメットガンダムが必要な為である。

 

(くっ、やはりアルティメットガンダムに乗ってここから脱出しないと。

でも、そうなると父さんが。)

 

キョウジはアルティメットガンダムに乗って脱出しようと図るが父と母を見捨てないと逃げれないので決断するのに戸惑ってしまった。

しかし、ここでこのままアルティメットガンダムを奪われるのだけは阻止しなくてはならない。

 

(父さん、母さん、ごめん)

 

遂に決断し、アルティメットガンダムに向かって走ろうとするが。

 

「おい!貴様何をしている!」

 

(くそ、バレたか!?)

 

キョウジはアルティメットガンダムに向かおうとしているのがバレたのかと思ったが、兵士たちの視線は自分に向いていないことに気付く。

 

(一体何を見ているんだ?)

 

兵士たちと同じようにアルティメットガンダムに向くとそこには紙袋を被った謎の人物がアルティメットガンダムに乗り込もうとしていた。

 

(あいつまさか、アルティメットガンダムに乗るつもりなのか!?それにあいつはいったいは誰なんだ!?)

 

紙袋を被っているので誰かはわからないが、ここの研究員はほとんど撃たれているし、残りはすでに避難しているはず、そうなると謎の人物の正体が誰なのかキョウジはますます分からなくなった。

 

ただ解っている事は、奴がアルティメットガンダムを奪うつもりなのかもしれないと言う、最悪な展開だけだ。

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

ふー。

なんとか、アルティメットガンダムのコックピットにたどり着いた。無重力状態だから、よかったけど重力があったらたまったもんじゃない。

設定では他のガンダムよりも大きいからよじ登ったらどれくらいかかることか。

 

ちなみに、いま被っている紙袋ここに来る前に偶然近くに落ちていたのだ。中にはパンとピーナッツバターの入ったビンが中にあったので、被ると少し甘い臭いがする。誰かのランチだったのかな?

 

とりあえず、コックピットに入ってここから逃げよう。

 

「おい!貴様何をしている!」

 

ひっ!?見つかった!?

とにかくコックピットに入ればなんとかなるはず。

 

隆司はすぐさまコックピットの中に入り、アルティメットガンダムを起動する。

なぜか、初めてなのに操作方法の仕方が分かっていた。

 

もしかして、神様の特典の影響かな?

モニターでは、ウルベと兵士たちがこちらを見ているがどこか驚いているような表情をしていた。

やっぱり目の前でガンダムが動いていたらやっぱり誰でも驚くだろうね。

そうだ!ついでにカッシュ一家をも救っておこう。

さすがにここに置いといたら後でウルベにありもしない罪を擦り付けられて冷凍刑にされてしまったらあまりにもひどい。

 

アルティメットガンダムを動かしてカッシュ博士たちを掴んで、ウルベ達から離れた場所に置く。

カッシュ博士たちは呆気に取られたが、俺はそのままアルティメットガンダムを動かして格納庫を無理やりこじ開けた後、そのまま宇宙へと飛び立った。

 

----------------------

 

~ウルベ視点~

 

なんなんだあいつ!?

アルティメットガンダムに乗っていた謎の人物。

あいつがコックピットに入ろうとしたのに気づき、すぐさま兵達に射撃の合図を出そうとしたが出せなかった。

いや、出来なかった。

アルティメットガンダムがいつの間にかこちらを向いており、バルカン砲を撃とうとしていた。

だが、一番の原因はあの謎の人物だ。

あいつの雰囲気が異質だったのだ。

私はガンダムファイトで色々なファイターと戦ってきたがあいつはそんなものではなかった。

もしあのまま合図を出していたらやられていたのはこちらかもしれない。

しかし、あの雰囲気。

もしかしたら、東方不敗以上か?

いや、そんなはずはないあれ以上のものがいるなんてたまったものじゃない。

どうせ見間違いだ、ガンダムが無ければただの人間なのだからな。

 

なんとかして、アルティメットガンダムを取り戻さねばなければ。

だかその前にカッシュ博士たちを捕まえて口封じをせねばならんな。

 




次回はアルティメットガンダムと主人公の能力の解説です。

デビルガンダムとハーレムはもう少しお待ちください。
ハーレム物は書いてみたかったんじゃ~(文章力がほしいです。)

↓今の作者の心境
(∀・;)オドオド(;・∀)

次回の投稿もご期待ください。


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第3話 ガンダムと俺の能力

今回は能力説明回です。

アルティメットガンダムが元々がチートの為、あまり強化できていないかもしれません。
ご了承ください。

主人公も少し(?)強化しています。



さて、今現在宇宙空間で漂っている自分こと橘 隆司です。

 

カッシュ博士たちを逃がした後、そのまま壁に突っ込んで無理やり宇宙空間に逃げたのはいいが、

その後ことは何も考えていませんでした。

 

原作ではキョウジはこのまま地球へと降りたが、地球へ降下中に故障してデビルガンダムへと変貌するが、

できればそのような事態はごめんだ。

取り込まれて生体コアにされたくないから。

 

となると、今地球へ降りるのは得策ではないが何をしようか。

 

何をしようかとコックピットで考えていると、一枚の紙があるのに気がついた。

紙を広げてみるとそこには神様の言葉が書かれていた。

 

『この手紙を見ているなら無事アルティメットガンダムに乗れたようじゃの。

さて本題じゃが、アルティメットガンダムとお主の能力について説明させてもらう。』

 

へー。もしかして神様アルティメットガンダムも強化してくれたのかな。

 

『まず、アルティメットガンダムじゃが、まず、三大理論を大幅に強化しておる。』

 

おお、アルティメットガンダムの特徴である三大理論の強化か。

 

『まず自己増殖、本来はUG細胞を利用して自然を増殖できるのが、このアルティメットガンダムは吸収したものはなんでも複製できる。』

 

『自己再生、UG細胞が少しでもあればどのような攻撃を食らってもすぐに修復が可能になる。』

 

『自己進化、本来は成長するたびに進化するが相手の攻撃などを見て学習することで、さらに強化される。しかし見て学習より吸収したほうが飛躍的に強化される。』

 

 

・・・・うん。チートだね。

 

チートをさらに強化すると良く分からなくなるという人たちの気持ちがいま分かったような気がする。

 

これって考え方によったら、チート機体を吸収もしくは見て学習したら技を再現できるということか。

しかも、回復力はとてつもなく強力な上、UG細胞が少しでもあれば回復できる。

 

 

これまだアルティメットガンダムだから良いけど、デビルガンダムになったら手に負えないんじゃないかな。

 

『そしてお主の能力じゃが、各能力を大幅に増量と回復の能力を付与した。』

 

あら?以外に普通だな?

 

『能力は以前ドラゴ○ボールの世界に行った転生者のステータスを基準に作ったぞ。ただし、かめ○め波やビッグ○ンアタック等は出んぞ。

そして回復は直接触れることによりあればあらゆる傷を治すことができる。ただし1日の回復量は限界があるので注意!』

 

前言撤回チートでした。

 

アルティメットガンダムの能力と比べたら地味かもしれないが、人間としてみたらかなりのチートだ。

ドラゴン○ールの能力に勝てるとしたら『Gガンダム』とか『ジャイアントロボ』くらいじゃないかな?

 

とにかくこのままじゃ何も無いからどこかに移動して落ち着ける場所があれば良いけど。

 

どこかに行こうと考えていると、突然機体が大きく揺れる、

 

「おお!?なっ、何事だ!?」

 

しかし、実際に揺れているのは機体ではなくこの宇宙空間が揺れていた。

しかし、時間がたつと揺れは収まっていき次第に揺れはなくなった。

 

「今のはいったい?そうだ何かないかレーダーで。」

 

レーダーを使って近くに何かあるか調べる。

 

「ん?これは?」

 

レーダーに映っていたのは『サイド7』と呼ばれるコロニーだった。

 

「サイド7?どうしてここに。」

 

この世界はてっきりGガンダムの世界かと思ったがどうやら違うみたいだ。

 

「『ガンダム』と『Gガンダム』本来は別作品の世界。というこは、ここは『スーパーロボット大戦』の世界なのかな?」

 

だとすると、さっきの揺れは時空振動だったのか。

 

「サイド7となると『ファーストガンダム』のアムロがいるコロニーか・・・。」

 

そういえば、スーパーロボットの世界って、

作品や時系列が違うのに一緒に仲間になっていたり、

いつのまにか、成長していたりしているよな?

あれなんでなんだろう?

 

少しメタ発言したよような気がするが、まあ、いいか。

そのおかげで、いろんなキャラが一緒に戦えるというロマンがあるんだから。

 

せっかくだし。ガンダムの始まりのサイド7にいって、名シーンを堪能しよう。

 

隆司はアルティメットガンダムを動かし、サイド7へと向けて発進するのであった。

 




いかがでしたか?

ちょっと、設定が無理矢理だったかもしれません。

前回のお話で『原作崩壊してるじゃないか!?』と思われた方はいたと思います。

今後にご期待ください。

ちなみに主人公の強さは『ドラゴンボールZ』の初期の悟空が気やかめはめ波がない状態の強さです。
この時点ですでに強いですが、主人公も日々進化し続けます。

というわけで次回はファーストガンダム編です。

ヒロイン一人目登場するかも?



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第4話 ガンダムと俺、大地に立つ

ファーストガンダム編です。


~主人公視点~

 

サイド7

 

地球から見て月の正反対にあるコロニー、近傍を「ルナツー」が周回する。地球連邦の影響が強かったコロニー。住民は老人や子供の比率が高い。

 

「って、確か前にネットで見たような気がするけど、今じゃほとんど人がいないな」

 

このコロニーが戦争で被害を受けることは誰も知る由が無かった。

この男以外。

 

隆司はアルティメットガンダムでうまくサイド7に乗り込むことに成功した。

 

やり方は簡単、

①隕石にくっついてコロニーに近づく。

②サイド7に近すぎると怪しまれるのでうまいこと軌道を変える。

③近くなったら外壁に乗り移る

④アルティメットガンダムから降りてコロニー内に入る

⑤中に入ったらあとは見つからないように進む。

 

ねっ?簡単でしょ?

 

あっ、ちなみに今は紙袋は被っていません。

アルティメットガンダムのUG細胞を使って、服と仮面を作りました。

服は黒色でハードボイルドみたいなソフト帽と黒い服

仮面は不気味な感じの真っ黒な仮面

この2つを作りました。かっこいいな。

それにしても、UG細胞が便利すぎる。

前にアニメでコートを着ているキャラを見てかっこいいと思い、着てみたいと思ったが着ていたら明らかに不審者見たみいに見えるので着る勇気がなかったので断念したのは懐かしい記憶だ。

 

さて、それは置いといて、まずはアムロ達はどこにいるのかな?

 

おや、あれは?

 

「ほら、アムロ行くわよ。」

「わかってるよフラウ。」

 

おっ、見つけた!

やっぱり、生で見たらアムロは若いな。

それに今日は、アムロにとって大きな運命の分岐点でもあるから、見逃すわけにはいかないな。

 

俺はそのまま、車に乗った二人を後ろからこっそりついていくのでした。

 

なにでって?もちろん走って。

 

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~アムロ視点~

 

いつものように部屋の中で機械を弄っていたら、隣に住む女の子のフラウ・ボゥが家にやって来た。

 

「アムロ、また朝食食べなかったの?」

 

「このコンピュータ組み込んだら食べるよ。」

 

いつも家に来て、うるさい小言をいいに来る。

ほんと参るよ。

 

「アムロ、さっきの避難命令聞いていなかったの?」

 

「避難命令?あのサイレンがそうなの?」

 

「呆れた、軍の放送聞かなかったの?軍艦が入港するから避難しろって。」

 

「なんで?」

 

「知らないわよ。」

 

たく、なんで軍艦の入港だけで避難しなくちゃならないんだろうか。

 

「アムロ、時間がないのよ!」

 

「わかってるよ」

 

ほんと、うるさいな。

 

僕はフラウが用意したサンドイッチを食べながら車を出す。

 

「お行儀が悪いわよ。」

 

「わかってるよ。」

 

たく、ほんとうにうるさいな。

 

んっ?

 

「アムロ、どうしたの?」

 

「いや、さっき誰かがいたような気がして」

 

「まだ、避難している人たちじゃないの?」

 

「そうかな?」

 

でも、なんだったんだろさっきの感覚は?

 

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~主人公視点~

 

さて、時間は飛んでアムロ達がシェルターの中に入っている間、いま自分はコロニー内にいるザクの後ろにいます。

 

何でそこにいるかって?

 

アムロと一緒にシェルターにいてもなんにもやることがないので、せっかくだからザクも鑑賞中。

戦闘はしないのかって?

確かにザクならアルティメットガンダムでも使っても勝てるけど、

目立ってしまったら、後で色んな所から目を付けられたらかなわない。それにもしかしたらアムロの歴史に変化が起きるかもしれない。

 

なので、ここで鑑賞中です。

 

けど、MSや人が殺されているのに見ているだけなのは、やっぱり辛いな。

 

本当ならここで正義の味方のように登場したいのだが。

本来俺はここにはいない人物。

無闇に出て混乱が生じてしまったら大変だ。

 

「んっ?あれは、アムロ?もう出てきたのか。」

 

となると、そろそろガンダム登場か。

なら、早速移動しよう。

 

----------------------

 

~アムロ視点~

 

早く父さんに会ってみんなを軍に収容してもらわないと。

あんなシェルターじゃすぐに崩れてしまう。

 

僕は車のエンジンをかけて、すぐさま走らせる。

前から軍の車とぶつかりそうになり車のハンドルを回してギリギリ避ける。

 

「おい、民間人はシェルターに避難しろ!」

 

「あの!技術開発のテム・レイを探してます。どこにいるかわかりますか?」

 

「恐らく艦にいるはずだ!おい、早く開けろ!」

 

軍人がハッチを開けようとすると、後ろからミサイルが飛んでくる。

 

(いますぐ地面に伏せろ!)

 

頭の中に誰かの声が聞こえてくる。

声に反応したのか声の通りにアムロはすぐさま地面に伏せる。

 

ミサイルが当たり大きな爆発で、辺り一帯が吹き飛び、破片などがアムロや車に飛んでくる。

 

アムロは起き上がり、先ほど軍人がいたところを見るとそこは、無惨に焼け、跡形もなく吹き飛んでいた。

 

「しっ、死んだのか?」

 

あまりに突然の事で理解できなかった。

さっきまでいた軍人は一瞬で炎に焼かれ、そして風景は爆発で姿を変えてしまった。

だが、目の前にあるのは現実。

アムロはすぐさまここから離れようとする。

 

(そういえば、さっき頭に響いた声はいったい?)

 

アムロは先程頭の中から聞こえた声に疑問を抱くと、近くに一冊の本が落ちているのに気がついた。

 

「極秘資料?」

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

ふ~~。

 

焦った。

 

いや、本当に焦った。

 

だってアムロのすぐ近くにミサイルが突っ込もうとしたときに思わず伏せろと言いそうになった。

けど、アムロのニュータイプとしての能力か、咄嗟に地面に伏せて、無事なのを確認できたときはホッとした。

 

しかし、あれがニュータイプか、詳しいことは良くわからないけど一種の予知能力みたいなものみたいだな。

 

 

さて、アムロがガンダムに乗るぞ。

 

撃て!ザクにバルカンで撃て!

 

ザクが来るぞ!立って体勢を整えるんだ!

 

そこだアムロ!ザクのコックピットを貫くんだ。

 

俺は影でガンダムを応援し、ザクが撃破されるのを見ていた。

 

ふぅー。何とか勝てたみたいだな。

つい暑くなってしまって応援してしまった。

だって、ガンダムの歴史の始まりとも言えるガンダムvsザクの戦闘を生で見れたんだから感動モノだよ。

 

ん?

やべっ!ガンダムの顔がこっち向いている。

アムロがこっちに気がついたみたいだ。

とりあえず、退散!!

 

----------------------

 

~アムロ視点~

 

さっきの人は?

 

もしかしてさっきから僕の頭に声を掛けていた人なのか?

 

(バルカンで撃て!)

 

(来るぞ。立って体勢を整えるんだ。)

 

(ザクのコックピットを貫くんだ。)

 

あの人の言葉が無かったらもしかしたらザクにやられていたかもしれない。

ガンダムのカメラで偶然こちらを見ているあの人を見つけたけど、すぐにいなくなってしまった。

僕に頭の中に声をかけたあの人はいったい?

 

『そこのガンダム。今すぐにMSのパーツをホワイトベースに運ぶんだ。』

 

ガンダムの通信に誰かが話しかけてくる。

 

「あなたは?」

 

『そんなことよりも、ガンダムをホワイトベースに。ジオンは待ってくれないぞ。』

 

突然通信で命令するなんて何様なんだ。

 

「わかりました。」

 

僕は通信の声の人の言うことに従いガンダムのパーツを持って、格納庫へと向かった。

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

「行ったみたいだな。」

 

ガンダムの足跡が聞こえなくなるまで待っていたがようやく足音が聞こえなくなった。

さて、港にいってアルティメットガンダムを回収するためにまずはこの格好じゃいくらなんでも怪しい。

トレンチコートとソフト帽と仮面を手の平サイズに縮小する。

UG細胞で作った伸縮自在の服なのでとても便利。

 

準備ができたところで、すぐここから離れないと。

 

「止まりなさい。」

 

(ひぇっ!?)

 

立ち上がったところで女性の声が聞こえ思わず体がビクッとなった。

しかし後ろを振り向いても女性の姿がなく俺は、瓦礫となったMSの影からこっそりと見ると、そこにはセイラ・マスとシャア・アズナブルがいた。

 

「部品を捨てて、いますぐ手を上げなさい。」

 

シャアは手に持っていた部品を地面に置き、手を上げる。

 

「それと、その仮面も外しなさい。」

 

シャアはセイラの言う通りに仮面を外しセイラを見る。

 

「あなたは・・・?」

 

セイラはシャアの顔を見て一瞬だけ驚き、照準がずれる。

しかし、シャアはセイラのその一瞬の隙をついて、銃を持つ手に蹴りを当て、すぐさまシャアはその場飛んで逃げた。

 

「待ちなさい!」

 

セイラはすぐさま銃を拾いシャアに照準をあわせるが、

突然近くにあったMSが爆発しセイラが吹き飛ばされた。

 

「危ない!」

 

隆司はすぐさま、飛び出しセイラを受け止める。

 

「大丈夫ですか!」

 

「えっ?ええ、あっ、貴方は?」

 

「えっと、俺の名は隆司、橘 隆司です。」

 

「リュウジ・・・。ありがとう助かったわ。」

 

セイラは隆司の腕から離れ、立ち上がる。

 

「痛っ!?」

 

「あ、危ない!」

 

セイラは立ち上がった途端バランスを崩し、地面に倒れそうなのを隆司は咄嗟に受け止める。

 

「ええ、何ともないわ。」

 

「大丈夫じゃないでしょ!見せてください。」

 

隆司はセイラの脚を見ると、セイラの脚は赤く腫れていた。

 

「これくらい何ともないわ。ホワイトベースへ行けば応急治療できるはずだから。」

 

「ちょっと、待っててください。」

 

隆司はセイラの脚に手をかざし、神様から貰った回復の力をかける。

するとセイラの脚の腫れているのが直っていき、

そして、遂には腫れていた形跡はどこにもなかった。

 

腫れていた脚をあっという間に治した力に驚きを隠せないセイラ。

 

「あなた・・・。その力は?」

 

セイラは隆司に謎の力のことを問おうとするが、

 

『セイラさん!』

 

向こうからガンダムがこちらにやって来る。

 

『さっきジオン兵がいたみたいですが?』

 

「えっ?ええ、でも逃がしてしまったみたいね。」

 

『そのようですね。それとセイラさん、そこにいる人は?』

 

「ああ、この人は橘隆司さん。さっき私を助けてくれたわ。」

 

『そうなんですか。』

 

セイラさんを助けたのはつい咄嗟に体が動いてしまったが、服を片付けといて正解だった。

もしあれを着ていたら変な人扱いされていたかもしれない。

あれを着るのはもうやめよう。

俺のメンタルがボロボロになる前に。

 

『橘さん、ここは危険です。あなたも早くホワイトベースへ』

 

アムロは俺に避難を促す。

 

「そうだな此処にいたら危険だしな早く避難しないと。」

 

隆司はアムロの提案に賛成するが内心は違っていた。

 

(くそっ、おもいっきりこの場所から逃げるタイミングを逃した。

俺がいたら本来の歴史にどんな影響があるかわからないので迂闊なことはできない。

だからといって、ここで避難を断ったら不振がられてしまう。

となると、選択肢は一緒にいくしかないか。)

 

隆司の心配性でアムロ達との行動決心するのだった。

 

「そうと決まれば早く避難しましょ。」

 

セイラさんは俺の手を引っ張りガンダムの手のひらに乗る。

ああ、女の人の手って柔らかいな。

はっ!いかんいかん。

手を出してしまったらそれこそどうなってしまうか。

特にあのセイラさんだ。

手を出してしまったらすぐさま眉間を撃ち抜かれてしまう。

 

『ちゃんと乗りましたか?』

 

「ええ、こちらはよろしくてよ。」

 

「こっちもオーケーだ!」

 

『それじゃあ、動かします。』

 

俺とセイラさんがガンダムの手のひらに乗り、ガンダムがホワイトベースの格納庫へ向かうと、

シャアがハッチの隙間からホワイトベースの格納庫に侵入してきた。

 

『ブライトさん!ジオンの兵士が格納庫に侵入してきました!』

 

『なに!総員戦闘準備!各隔壁閉鎖。ジオン兵が侵入してくる。銃を持てるものは応戦しろ!』

 

すぐさま格納庫にいる人たちは銃を持ち応戦する。

 

「あなたもこれを!」

 

俺とセイラさんはすぐガンダムの手から降りると、セイラさんは俺に銃を渡してきた。

俺、銃を撃ったことないんですけど。

え~い、やけくそだ!

シューティングゲームのように適当に撃てばごまかせる。

 

俺は、銃を一発放つが勢いがすごく手が痺れた。

 

痛て~。一発だけでこの威力か。

今度、銃の訓練しよ。

 

横を見るとセイラさんが驚いた顔をしていた。

やべっ、あまりにも銃の扱いがひどくて驚いているのかな?

 

できるだけ、早く訓練しよ。

 

----------------------

 

~セイラ視点~

 

突然現れた民間人、橘 隆司。

 

私が爆発で吹き飛ばされた時、咄嗟にあの人は私を抱き抱えてくれた。

 

爆発のせいか、脚をくじいてしまい歩くのは困難だった。

 

だけど、ここで止まっていてはホワイトベースが出港してしまう。

 

その時、隆司は私の脚に手をかざし不思議な力を掛けると腫れていた脚が治っていくのがわかった。

 

民間人にしては変わっているところがあるが、

なぜかこの人から優しい気持ちが私の中に流れてきたような気がした。

 

暖かくてまるで何かに包まれているようなそんな感覚だった。

 

さっきの不思議な力について聞こうとしたが、そこにガンダムが現れ、話は遮られる。

 

ガンダムの手のひらに乗るときいつのまにか彼の手を引っ張っていたが変に思われなかっただろうか?

 

ホワイトベースがある格納庫に向かう際、さっき私が銃を向けたジオン兵が格納庫の僅かな隙間から侵入されてしまった。

 

すぐさま全員が、銃を持って応戦する。

 

私も銃を持ち、彼にも銃を渡した。

民間人が当てられるとは思わないが、人手が欲しいのでこの際は仕方がない。

 

しかし、その予想はすぐさま覆る。

 

当てたのだ。たった一発で。

 

この男は手渡して躊躇せず一発放つと敵のカメラと思われる機械に当てたのだ。

ジオン兵はそのあとすぐさま撤退していき、その姿は見えなくなる。

 

謎の力にあの射撃力、彼はいったい・・・?




いかがでしたか?


視聴者「スパロボは?」
主「もうしばらく、もうしばらくお待ちください。」
DG「私は?」
主「もうしば・・・。」
DG「できぬ!」
主「あ~う(^p^)」

寝ていたら何故か夢で出てきた。


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第5話 悪魔は微笑む

今回はオリキャラが登場します。

2017/09/22 一部修正


~主人公視点~

 

ジオン兵が撤退して、俺たちはホワイトベースのブリッジに向かうと、ブライトさんが俺がいることに気付き俺に対して誰だと言われ、

何て答えようかと思っていたら、セイラさんが、「彼は避難の手伝いをしてくれた人です。」と答えてくれた。

ありがとうセイラさん。

わざわざ答えてもらって。

 

ブライトさんは最初、不審に思っていたがいまは気にしていないようで「なら、出来ることを手伝ってくれ」と言って再びブリッジに指示を出した。

 

ここで出来ることはないので、避難民のところに行って何かやることがあるか見てこよう。

そう思いブリッジから出ようとしたが、セイラさんに止められてここにいた方がいい。と言われたのでブリッジで待機擦ることになりました。

 

そして、ホワイトベースが動き始めては攻撃を仕掛けてきたジオン軍に対しては追撃を始めた。

 

アムロはビームライフルを装備して敵戦艦に向かって発進する。

 

そこで、原作通り三倍の速度ザクがやってきた。

しかし原作と違い、ザクの数は三体いるようだ。

ザクが一体だけ増えているようだが、アムロには関係ないだろ。

 

そう思っていたが、慢心は身を滅ぼすという言葉があるので、このザク一体が後々に大きな間違いだったんじゃないのかと後悔しては遅い。

 

俺はブライトさんに主砲で援護するように伝える。

 

俺の言葉を理解してくれたのか「わかった、目標はどこだ」とブライトさんに言われ、

ザクに当てろと言おうと思ってたが、

ガンダムに当たる可能性があったので、牽制の意味で近くのデブリに当てて欲しいと言うと、ブライトさんは最初は疑問を抱いていそうな顔をしていたが、

きっと、牽制の意味を理解してくれたのか、すぐさま主砲でデブリを粉々に砕く。

 

牽制が効いたのかガンダムの回りにいたザク達はバランスを崩し、その隙をガンダムはビームサーべルでシャアに切りつけるが、シャアはギリギリの所で避ける。

デブリのせいて、ザクはバランスを崩しアムロがそれぞれにビームライフルで撃ち抜き、もう一体は先程の爆発で消息不明だった。

 

シャアとムサイはすぐさま撤退し、レーダー圏外に離れていったようだ。

 

戦闘は終わり、とりあえずは安心かな。

 

周りを見ると、みんなの視線がこちらを向いていた。

あっ、もしかして俺、でしゃばりでしたか?

 

----------------------

 

 

~シャア視点~

 

連邦のMS、そして、木馬。

 

スレンダーのザクがやられ、その上新兵のガデットとの連絡もとれない。

 

「ガデット、すまない」

 

恐らくこの宙域にいるかもしれないが、見捨ててしまわないとムサイすらやられてしまう可能性があった。

 

最初は戦術とはほど遠いただ突っ込んできただけの素人集団かと思ったが、途中から戦艦のビーム砲がデブリに当たり破片がガンダムには当たらず、すべての破片がザクの機体にのみ当たった、

破片の影響でザクは大きくバランスを崩し、ガンダムに攻撃を与える隙を与えてしまった。

私は無理矢理バーニアでガンダムから離れ間一髪だった。

だが、残念なことにスレンダーのザクは連邦のMSの犠牲となった。

 

私は連邦のMSの性能に恐怖した、だが戦艦にいるだろう指揮官の方に私はさらに恐怖した。

たった一発の主砲で仲間の援護そして我々を撹乱させることができた人物がとてつもなく恐ろしかった。

もしあのままいたら危うくムサイが撃沈するところだった。

 

素人かと思ったが、どうやら一筋縄ではいかない軍人もいるようだ。

 

次に戦うときも苦労しそうだな。

 

----------------------

 

 

~????~

 

「こちらガデット、繰り返すこちらガデット。シャア少佐、ムサイ。

くそ、ミノフスキー粒子か?」

 

ザクのパイロット、ガデットはガンダムの戦闘の際デブリの爆発でシャア少佐と離れてしまい、シャア少佐かムサイに通信を飛ばしていた。

 

「くそっ、サイド7がすぐそばにあるから大体の座標はわかるが、通信が通じないのはやはり不安になるな。」

 

ガデットは家にいる家族のためにも帰らなければならなかった。

まだ軍に入り日の浅いガデット、ついこの間赤い彗星と呼ばれるシャア少佐の部隊への配属が決まり、俺は嬉しくなった。だがいざ戦場に出てみればこのざまだった。

 

「さて、いつまでもここにはいられない。ムサイが発進してしまったら帰られなくなる。」

 

ガデットはザクを発進させようとするがザクの足が何か掴まれた感じがした。

 

ザクの足元を見るとそこには、1本の緑色の触手のようなものが巻き付いていた。

 

「なんだこれは?」

 

ガデットは足に巻き付いている触手の元を辿ると、

そこには1体のMSがいた。

 

「ひっ!?なっ、なんだあれは!?」

 

そこにいたのはただのMSではなかった。

さっきの連邦のMSと顔は似ている。

だが、いま目の前にいるMSはなにもかもが違った。

まるで、生者をくらう悪魔のような機体だった。

 

ガデットはすぐに逃げなければと本能で感じ、ザクを急発進させる。

しかし、MSはザクを逃がさなかった。

何本もの触手が、ガデットのザクに絡み付き逃がそうとしなかった。

ザクが動かないことを感じ取ったガデットはすぐさまコックピットから出ようとする。

 

 

しかし、侮ることなかれ

そこにいるのは悪魔となるもの

生者を引きずり込む悪魔だ

 

すでにコックピットは触手で巻かれ、開くどころか外に出ることすらできない。

 

「出せ!出してくれ!こんなところで死にたくない!

俺はこんなところで死ねないんだ!」

 

ガデットは泣いて喚いてコックピットのハッチを叩く。

しかし、相手が人間あれば彼にも救いがあっただろう。

 

しかし、相手はMS。

慈悲の言葉が理解できないのも無理はない。

だか、ガデットはそんなことを知る由はない。

もう、彼はただここから逃げたい。

家族の元へ帰りたい。

それだけだった。

 

ガデットのザクはみるみるMSの中に吸い込まれていく。

呑み込まれていくザクの手は最後まで誰かが助けてくれるだろうと手を伸ばす。

しかし、現実は非情であり、手を伸ばしても結局助かることはなく呑み込まれていく。

 

「こっ、こんなところで死にたくない。」

 

それがガデットが放った最後の言葉であった。

 

彼が何処に行き、どうなってしまったのかそれは神と悪魔しか知らない。

 

 

 

そのMSはザクを吸収したことも1人の人生を潰したことにも罪悪感はない。

あるのはただひとつ・・・、

 

 

 

 

 

すべては主のために。

 

 

 




オリキャラの退場が速すぎる(笑)


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第6話 思いは人それぞれ

~主人公視点~

 

ホワイトベースに乗って3日目

 

サイド7でシャアとの戦闘をしたあと、ルナツーに向けて発進することになった。

 

艦内では避難民で溢れかえっており、暇そうにしている子供達やただボーと過ごす老人ばかりだった。

 

俺は何かしようと思い、子供達の遊び相手や老人の方たちと地球の話をした。

そのかいもあってか、少しずつだが、みんなが笑顔になってきて艦内は明るいムードになってきた。

 

他にも艦内でブラブラとしているのとアムロに出会い、アムロから「コロニー内でガンダムの戦闘を見ていたのはあなたですか?」と言われたときは焦った。

 

あれはものすごく焦った。

あの恥ずかしい格好を着ていたのが自分だと言ってしまったら、

 

「あんな、コスプレみたいな服を着ているのですか?」

 

何て言われかねん。考えてみろ。

出掛けていて、学校の友達がコスプレみたいな格好をしていたらどう思われるか!

 

たがハードボイルドっぽい格好はかっこいいと思わないか?

昔見たカッコいい服を着たキャラを見たとき、

「おお、格好いい」っと、思ったのだ。

悪いか!?

だが人前だとやっぱり恥ずかしい。

 

俺はすぐさま否定して、セイラさんを見かけたのでアムロを置いてセイラさんの所へ向かった。

 

セイラさんとは、前の傷は痛むのか?とか、

調子はどうかとか、他愛もない会話をした。

けど、セイラさんからは「これからはセイラと呼んで」と言われたときはドキッとしてしまったが、別にセイラさ・・・セイラは俺には対した感情はないと思う。せいぜいお友だち程度だろう。

彼女はダイクンの事や兄シャアのことで一杯なのだろうから。

 

あと、セイラのことをセイラさんと呼ぶとムスッとした顔をするのはなんでだろう?

 

その後も、艦内で老人や子供達の相手をして、時々セイラたちホワイトベースのクルーも巻き込んで遊んだ。

たがやりすぎてブライトさんに怒られた。

ブライトさん息抜きは必要ですよ?

 

 

そんなこんなであっという間に2日経ち、

ブリッジでムサイの動きをキャッチしたとの報告があり、シャアが補給を受けているとわかったので、ブライトさんはすぐさまシャアに攻撃を仕掛けると言った。

 

アムロがシャアを引き付けている間、残りがムサイに攻撃を仕掛ける作戦だった。

 

それから俺は特に手伝うこともなくホワイトベースはシャアたちへの攻撃を成功させてルナツーへと向けて発進していった。

 

それから無事にルナツーへ到着するとアムロを含む軍に関わった一般人とホワイトベースのクルーが全員独房に閉じ込められた。

最初は俺も一般人と一緒かなと思ったが、あのルナツーの司令官が「クルーと一緒に行け!」と言われ俺も独房に入れられた。なぜだ!?

 

確かに俺もホワイトベースに乗っていた、だけど戦闘には参加していないので一般人じゃないのか?

少しだけ指示を出したけど。

もしかしてあれだけでもうアウトなのか?

 

まあ、文句を言ったところでどうにもならない。

それに、いざとなったら、無理矢理突破するか、アルティメットガンダムを出すかだ。

俺も独房に入り、あとはシャアがここを襲撃するまでご飯を食べて待っていた。 

 

そして、そろそろかなと思ったら、独房が大きく揺れる。

 

来た。

シャアの襲撃だ。

俺はすぐさま扉に向かう。

鍵は原作通りに壊れており、すぐさま開けた。

そのあとは他のクルーと一緒にホワイトベースへと戻り戦闘準備をする。

 

 

ブライトさんから何かいい案はないかと、言われたときはなぜ俺に聞くのか!?と内心慌てた。

 

だけど恐らくブライトさんも心に余裕がないのだろう。まだ二十歳にもいってなくて、軍に入ってまだ数ヶ月で艦を任されるのだからきっと辛いのだろう。

 

俺は本来はルナツーの司令官が考えた作戦をブライトさんに伝える。

 

ブライトさんは作戦通りにルナツーの司令官に戦艦を主砲で撃つ許可をもらい戦艦を撃ち抜く。

戦艦を撃ち抜き、その衝撃でザクを撃破し、ムサイにダメージを与えた。

 

 

ジオン軍は撤退していき、ホワイトベースは弾薬やエネルギーの補給を終え、ルナツーを出港し、目的地である地球へと向かうのであった。

 

----------------------

 

~ブライト視点~

 

ホワイトベースのブリッジでガンダムのパイロットを待っていたら、先程怪我人の治療をしていた女性が現れた。たしか名前は、セイラ・マスといったか。

彼女と一緒に入ってきた男性に見覚えがなく何者か問うと、彼女が間に入り「彼は避難を手伝ってくれた人です。」と彼女が答えた。彼の名前を聞くと彼の名前は橘隆司というらしい。日本では、名前が後ろに来るらしい。

 

彼は避難民と一緒にいようとしていたが、セイラが彼をここにいるようにと促した。

 

後でセイラにその事を聞くと、彼はもしかしたら軍のものかもしれないといい、私は彼がジオン兵なのか?と聞いた。

しかし、セイラは「彼はジオン兵ではないわ。」と答え、根拠はあるのかと問うと彼女は「ただの勘」と答えた。

勘で敵味方が区別できるなら苦労はしない。

しかし彼女は「それに彼は私を助けてくれたわ。」と答えた。

 

彼女は良くても連邦の兵士である私には良くない。

その後、私は彼の監視を兼ねて彼をブリッジに置いといた。

 

ちなみにこの事は誰にも言っていない。

もし、周りにそれを伝えたら混乱が起きる可能性がある。

 

その後、ジオンの戦艦をレーダーでキャッチし、すぐさまガンダムに追撃させる。

 

しかし、ザク3体とシャアのザクが1体の計4体がガンダムを襲う。

 

援護をしたいがガンダムとザクとの距離が近すぎる為、援護ができない。

 

しかし、隆司は私に「ガンダムの近くにあるデブリを撃ってほしい」と言い、私は最初は何の意味があるのかと思ったがすぐさま私は理解する。

デブリを撃ち抜き、ザクに牽制を仕掛けると。

 

しかし、そんなことうまくいくのかと疑問に思うが、

ガンダムを援護するにはこの方法しかない為、

すぐに主砲でデブリを撃ち抜くように命令する。

 

主砲がデブリを撃ち抜くと、見事に砕け散った。

すると、デブリの破片はザクにのみ当たり、ザクは大きくバランスを崩す。

 

アムロはその隙にザク1体を撃破し、あと少しのところでシャアにも当てられそうだったが、相手はそれを許してくれずそのまま逃げられてしまう。

 

しかし、たった一発デブリに当てただけで形勢は逆転し、ガンダムの援護とザク1体を撃破する手助けをした。

 

彼はこれらを予想していたのだろうか。

ブリッジのクルーは隆司の言葉で、形勢逆転になったことに驚きが隠せない。

当の本人はまるで、当然かのように余裕の表情をしていた。

 

私はこの時、内心で恐怖していた。

もし彼が敵の立場にいたら、我々はどうなっていたのだろうか?

 

私は彼が我々の敵ではないことを祈るだけだった。

 

 

ルナツーへ到着し、ルナツーのワッケン司令と会うが彼は避難民を受け入れることはせず、その上軍事機密に触れた民間人を拘束するとまできた。

 

俺は憤りを感じた。軍はここまでしていいのかと。

 

だが、隆司を見ていると抵抗も焦ることもせず、ただ落ち着いていた。

 

食事の時も「食べなければいざという時に動けないぞ」とまで言った。

 

彼はなぜここまで平然とできるのだ?

いったいなにを企んでいる?

 

私は彼の不可解な行動に疑問を抱いていた。

 

それから、時が経ち。

 

突然独房が大きく揺れる。

 

何事かと思い私は内心動揺するが、隆司は独房の扉が壊れていることを知っていて、いとも簡単に開けたのだ。

 

もしや、これも彼の想定の範囲内だったのか?

 

なぜ彼はここまで未来を予測できるのだ?

 

いろんな疑問を抱く中、我々は独房を出てクルー全員でホワイトベースへと戻り、全員配置に着く。

 

そして、私は彼に1つ賭けをしてみることにした。

 

この状況を彼はどうするのかと、

彼は目の前にある戦艦を撃てばいいと、。

ただし、ムサイが直線上に入ったタイミングで撃つことそれだけだった。

私は彼を信じてワッケン司令に許可をもらい、ムサイが直線上に入り戦艦に主砲で撃ち大爆発を起こす。

 

そして爆発でザクは巻き込まれ撃破、ムサイにダメージを与えて見事撤退させた。

 

私はこれで確信した。

彼は軍略を持つ天才なのだと。

しかも、運すら味方にする男なのだ。

この橘隆司という男は。



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第7話 悪魔は地球へ

地球。

 

人類誕生の星。

 

ホワイトベースはこのまま地球へ降下しジャブローへ向かう。

 

全員あわただしく動くなか、俺は考え事をしていた。

 

俺はこのままホワイトベースにいていいのだろうかと。いまもネオジャパンは俺を探しているはずだ。もし見つかったらホワイトベースすら巻き込まれるだろう。

だから、いつまでもホワイトベースと共にはいられない。

たしかにここは居心地が良かった。

 

ブライトさんは俺のことを気にしているのか俺のことをよく見てくる。

きっと彼は優しい人なのだ。さすがガンダムシリーズで人気のある人だ。

ああいう人がシリーズで長いこと出るんだろうな。

ただ、軍の関係があって感情が表にでない人物なのだと思う。

 

カイくんやハヤトくんはよく僕に話しかけてくれるし、アムロくんはまだ前のことを気にしているようだか、今はあまりその会話はせず、ガンダムの機体の話とか他にも機械の話をする。

こうやって話していると彼は歴史に名を刻むの人物かと思うとすごいと思う。

今はまだ子供だが。

 

それと、最近セイラと出会って話すと、

顔が少し赤いような気がするが熱でもあるのだろうか?

そのことを聞くと恥ずかしそうにして、その場をすぐ立ち去る。

聞いてはいけなかったのだろうか?

 

ホワイトベースのみんなは優しい。

避難民の人とも良く喋るし、子供たちとの遊び相手にもなる。

本当ならこのまま一緒にいたい。

だが、このままだとホワイトベースのみんなに迷惑かけてしまう。

 

だが、俺は地球降下すれば原作どおりになるんじゃないかと心配するが。

今のアルティメットガンダムは万全。

問題ないはずだ。

 

だから、地球へ降下する前にホワイトベースと別れなければならない。

 

本当はみんなに別れの言葉を掛けたいが、きっと俺はここを去るのに躊躇してしまう。

 

 

 

俺はその場を去ろうと思ったとき、アラートが鳴り響き敵が来たことを知らせる。

 

すぐにブリッジに向かい、ブリッジに入って状況を聞くとやはり、シャアが仕掛けてきたみたいだ。

 

 

すぐにホワイトベースは迎撃体制を取り、アムロがガンダムで出撃し迎撃へと向う。

 

ホワイトベースは迎撃と同時に地球へ降下するようだ。

 

 

その間に俺はノーマルスーツを着て、ブリッジではなくホワイトベースの緊急用のハッチへと向かう。

 

ここを開ければ俺はホワイトベースを去る。

もしかしたら、もう二度と会えないかもしれない。

だが、俺のせいで迷惑がかるのなら致しかたがなかった。

 

俺がハッチに手を掛けると、

 

「隆司?あなた何をしているの?」

 

声をかけられて後ろを振り返るとそこにはセイラが立っていた。

 

「セイラ・・・!?どうしてここに。」

 

「隆司。あなた、そこのハッチを開けてどこにいくの?」

 

「・・・すまない。俺は、俺のやるべきことがある。」

 

当然これは嘘だ。

ここを出ていけば、なにもすることはない。

だが、ここにいては皆に危険があるなどいえるわけがなかった。

 

「どうして・・・。」

 

「セイラ。わかってくれ、いずれこうなることは君にもわかっていたはずだ。」

 

「・・・・・・・。」

 

セイラは沈黙し、ただ時間だけが過ぎていく。

 

『まもなく、地球への降下を開始する。総員、降下準備せよ。繰り返す・・・。』

 

降下準備のアナウンスが艦内に鳴り響き、それと同時に艦が大きく揺れ、セイラもバランスを崩す。

 

「きゃあ!?」

 

「セイラ!」

 

俺はとっさにセイラを受け止め、二人は抱き合った状態になる。

 

「本当に行くの?」

 

隆司の胸の中でうずくまってセイラは隆司に聞く。

 

セイラの肩は震えていたことに隆司は気づく。

恐らく泣いているのだろう。

ホワイトベースで過ごした仲間の一人がいま居なくなろうとしているの。

仲間が居なくなるのは誰でも辛いのだから。

もし、ホワイトベースのみんながいたらこの先の未来は少し変わって俺の決意は揺らいでいただろう。

 

「すまない。」

 

俺はセイラを突き飛ばし、ハッチへと向かう。

 

「隆司!?」

 

「セイラ!」

 

俺はハッチを開ける前にセイラに顔を向け、最後に一言だけ伝える。

 

「またどこかで会おう。」

 

俺はハッチを開けて、宇宙へと飛び立つ。

セイラは近くにあった柱に捕まっていて、俺が飛び立った時にはすでにハッチは閉まっていたのでセイラは無事だろう。

 

ホワイトベースからたいぶ離れ、俺は機体の名を宇宙に向けて叫ぶ。

 

「来い!アルティメットガンダァァァァァム!」

 

叫ぶと、アルティメットガンダムは俺の前にまで来て、

コックピットを開け、俺はコックピットの中へと入る。

 

そしてアルティメットガンダムを地球へ向け降下する。

 

モニターで拡大して、ホワイトベースとガンダムが地球へ降下するのも確認できた。

 

「さようなら、ホワイトベース。」

 

アルティメットガンダムとホワイトベースの距離は徐々に離れ、アルティメットガンダムは大気圏に突入する。

 

やはり細心の注意を払ったのでアルティメットガンダムが故障する兆候は見られずまったく問題はなかった。

 

しかし、そこで突然問題が起こった。

 

大気圏を降下している最中に地上から何者かの攻撃を受け、機体の一部が破損する。

破損した部分が大気圏の摩擦で燃え上がるのと同時に修復も開始する。

 

しかし、摩擦と修復の繰り返しで、そのまま地上へとバランスをとることができず地面に向かって不時着した。

 

「いててて。いったいなにが?」

 

モニターを確認すると、そこには大量のMSがいた。

 

『アルティメットガンダムのパイロットに告げる。貴様は包囲されている。今すぐに投降すれば命だけは助けてやろう。』

 

ウルベ!?どうしてここに!

 

『アルティメットガンダムが宇宙で目撃され、地球へ向かっているのはもうすでにこちらは知っている。』

 

くそっ、どこかでアルティメットガンダムの姿を見られていたのか。

しかも、外にはかなりの数の機体がいる。

 

『パイロットは今すぐに出てこい!』

 

アルティメットガンダムは今も修復中だが、さっきの大気圏突入のダメージが大きいせいで、まだ動かせる状態じゃない。

 

仕方がない。とりあえず外に出て時間稼ぎするしかない。

 

俺はもう着ないと思っていた、ハードボイルドの服と仮面を着て、コックピットから両手を上げて外に出る。

 

『素直でよろしい。では、撃て!』

 

ウルベはそばに居る機体に攻撃命令を下し発砲する。

 

「えっ?」

 

 

待っていたのはMSの一発の銃弾だった。

 




次回!デビルガンダム誕生!

DG)やった!

地球)オレオワタ\(^o^)/


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第7.5話 傷ついた心

幕間的な物です、

かなり文字数は少ないです。


~アムロ視点~

 

隆司さんがいなくなって2日目

 

ホワイトベースの皆は隆司さんがいなくなり、艦内は暗い雰囲気になっていた。

 

彼は避難民の人ととても仲良く子供たちとも良く遊んでいた。

彼が地球で住んでいた事があり、地球の話を皆にしていて、皆楽しそうに笑っていた。

 

ブライトさんは隆司さんを良く思っていなかったが、カイさんやハヤトはよく隆司さんと話していたし、僕も前の謎の人物のことは気になっていたが、ガンダムのシステムのことや他にも機械のことで話をしていたりした。

 

だが、彼は突然居なくなった。

地球に降下した後、セイラさんがものすごく悲しそうな顔をしていたので理由を聞くと、隆司さんがホワイトベースを降りてしまったとセイラさんの口から聞いた。

 

彼がいなくなり多くの人は悲しそうにな顔をしている人もいて、実際に泣いていた子供たちもいた。

 

だが、誰よりも悲しんでいたのは未だに部屋から出てこないセイラさんだった。

 

----------------------

 

~セイラ視点~

 

部屋に閉じ籠って2日目。

 

この艦から1人の男が居なくなってしまった。

 

橘隆司。

彼はとても優しい人だった。

艦内にいる避難民の相手や子供達の遊び相手を彼はしていた。

 

始めて彼と会ったときは優しい人だと思ったが、彼と過ごす内になんだか言葉で言い表せないような感情が芽生え始めて。彼と話すたびに顔を赤くしてしまった。

 

たまに彼は私のことを『セイラさん』というが何故か他人行儀なのが嬉しくなかったので呼び捨てでかまわないといったがまだセイラさんと言われたときは大人気なくムスッとしてしまった。

 

そんな毎日を過ごし、久々に楽しいと思っていた。

 

でも、彼はこの艦からいなくなってしまった。

私の目の前で。

 

地球降下前に彼の姿が見えないので、心配になり彼を探した、

そして、隆司を見つけたときにはノーマルスーツを着て、緊急用ハッチの前に立っていて、

私は隆司に話しかけると彼はこのホワイトベースを去ろうとしていた。

 

私は彼を止めようとしていた。

だけど、彼は私を突き飛ばし、ハッチを開け外へと出た。

私は近くにあった、柱に捕まり外には出されなかったが、ハッチは空気漏れの警報ですぐさま閉まり、隆司の姿は見れなくなった。

 

彼がどうして出て行ったのかは分からない。

もし私があの時手を伸ばして無理矢理にでも止めていれば彼はこのままホワイトベースに居てくれたのだろうか?

 

分からない。もしかしたらそれでも行ったのかもしれない。

 

私はいったいどうしたらいいの?

 

隆司・・・。兄さん・・・。




セイラさん好きは申し訳ないですがしばらく出番は無いです。

セイラ)・・・。ジャキッ(冷めた目で銃を持つ)

(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


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第8話 悪魔の目覚め

放たれた銃弾が俺に向かって放たれて、俺は神様からもらった身体能力でギリギリで避けることができた。

 

多少、傷を負ったがなんとかなる。

 

『ちっ、避けたか。ならば、全機!一斉射撃準備』

 

すべてのMSの砲身がこちらに向き、射撃体勢にはいる。

 

『全砲門、撃・・・。』

 

『撃て』。そう言えば、全機体攻撃していただろう。

だが、できなかった。いや、出来るわけがなかった。

 

ここにいるもの全員は来るんじゃなかったと、後悔しているだろう。

 

後ろにいる悪魔の機体が、ウルベたちに向かって雄叫びをあげていた。

 

「グルアアアアアアァァァァァ!」

 

『なっ、なんだ!一体何事だ!』

 

その雄叫びは身を凍らせるほど恐ろしかった。

 

デビルガンダムは自分の主人を傷つけようとしたMSを見る。

そしてデビルガンダムは怒り満ちていた。

 

恐れよ。

 

そこにいるのは悪魔だ

 

泣こうが喚こうが無駄だと。

 

生者を闇へと引きずり込む

 

主を傷付ける者はすべて敵

 

敵は生かす必要なし。

 

 

悪魔は学習し、主の為には何が必要なのかを考える。

 

そして『究極』は『悪魔』へと進化を始めた。

 

 

 

「グルルルル」

 

悪魔は唸る。

 

 

一瞬。

 

たったの数秒もなかった。

 

何十体もいたMSは一瞬で粉々に砕け散った。

 

『えっ?』

 

ウルベはあまりのことに驚きを隠せず思わず素っ頓狂な声を出していた。

たった一瞬だったため自分の部下は声1つ上げることなく、撃墜されたのだ。

 

無理もない。

 

ほんの一瞬で触手を地面に張り巡らして、MSを貫き。

図体が大きいわりにスピードがあって、避けることはできずMSは無惨に破壊され、喰われていった。

 

そんなことができる機体に勝つことはあまりにも不可能に近いのだから。

 

『なんなんだ!?なんなのだこいつは!?』

 

たった、たったの数秒で部下の大半を失った。

ウルベは混乱し目の前で起こっている惨状が信じられなかった。

 

「ウルベ少佐!ウルベ少佐ァァァァァ!助けてください!ウルベ少佐ァァァァァ!」

 

部下の一人がデビルガンダムの触手に捕まり、デビルガンダムの胴体部分に飲み込まれていった。

 

他の部下も何もできずに捕まったり、逃げれたけどそれも虚しく下から来た触手に捕まり飲み込まれていった。

 

『こんなバカな事が、こんなはずでは!』

 

デビルガンダムの攻撃に成す術のないウルベ。

 

『ええい!撃て、撃ちまくれ!』

 

ウルベは全機に撃つように命令する。

 

部下の中にはただがむしゃらに撃つもの。

圧倒され撃つことができずただ呆然とするもの。

 

どんなに抵抗しても、デビルガンダムという存在にはまるで無意味だった。

 

『くそ、なぜ当たらん!』

 

ウルベはデビルガンダムに攻撃するが当たる気配すらない。数では圧倒的にこちらが上なのにも関わらず、デビルガンダムには弾1つ当たる事はなかった。

 

『ええい!何をやっている!奴はすぐそこにいるのだぞ!・・・なに左か!?』

 

ウルベは部下を叱責するが、その隙にウルベの機体も触手の攻撃に巻き込まれた。機体はなにもできずに無惨に破壊され落下していった。。

幸いなのか、コックピット部分は無事のようだった。

 

『おのれ、デビルガンダムめ!』

 

ウルベのコックピットの脱出装置が働き、脱出した。

 

それから数分がたち、さっきまでいたMSはもう見る影もなかった。

 

ウルベのMSは大破になりながらも、この場から撤退していき、今はもうこの場にはいない。

だが、生きている限りまた付き纏われるかもしれない。

 

「グルアアアアアアァァァァァ!」

 

デビルガンダムが再び雄叫びあげるとそれに呼応するかのように地面は揺れてデビルガンダムの体から光を放たれる。

その光は徐々に増して俺は光の中へと包み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が弱まったのかようやく目を開けることができるので目を開けるとそこは先程までいた場所と大きく変わって森のような場所だった。

恐らく先程のは時空振動による転移だったのだろう。

 

「グルルルル」

 

そして俺の後ろにはデビルガンダムがおり、

デビルガンダムは顔を隆司の側へとゆっくり近づける。

 

「まさか、本当にデビルガンダムになったのか!?」

 

結局、デビルガンダムになることは避けられなかった。

ガンダムのなかでも最狂最悪とも言われる悪魔の機体になってしまったのだ。

俺がデビルガンダムの顔を見つつそんなことを考えているとデビルガンダムはコックピットを開き、触手を隆司に伸ばそうとしていた。

 

「まっ、待て!?とまれ!!」

 

生体コアにされることを感じとり、デビルガンダムに止まるように呼び掛ける。

 

すると、俺の言葉に従ったのかデビルガンダムの触手の動きが止まる。

 

呼び掛けに答えてもらったのか、デビルガンダムはさっきまでと違い落ち着いた雰囲気を纏っていた。

 

まるで俺が何か言うのを待つ狂犬だった。

 

「デビルガンダム。お前は、俺の言うことがわかるのか?」

 

「グルルルル」

 

隆司の問いにデビルガンダムは首を縦に振り答える。

 

「そ、それじゃぁ、幾つかお前に命令する。」

 

俺の言葉が解るということなら好都合。デビルガンダムに幾つか命令する。

 

「まず、むやみやたらに人を傷付けるな。」

 

これは、デビルガンダムになってしまったこいつにはこの命令は絶対必要だ。

原作では、地球に人間は必要ないと判断し、人類の滅亡を人工知能が判断した。

なので、同じことを考えているかもしれないので人間はできるだけ傷つけないように命令する。

 

「次に、俺を生体コアにするな。」

 

さっきの1つ目の命令は絶対に守ってほしいが、できればこの命令も聞いてほしい。

生体コアにされて操り人形みたいにはなりたくない。

 

「あとは俺の命令は絶対に聞いて守れ。」

 

俺は念のためにデビルガンダムに再度言い聞かせる。

 

大事なことなので2回いいました。

 

「グルルルル」

 

デビルガンダムは頭を縦に降ったので、恐らく理解はしてくれたのだろう。

 

デビルガンダムは触手を俺に巻き付け持ち上げる。

 

「おっ、おい!何を!?」

 

まさか!やっぱり生体コアにされるのか!?

 

「待つんだ!俺を生体コアにするんじゃない!?」

 

それでも触手は俺をデビルガンダムに近づける。

 

しかし、俺の予想を裏切り触手はデビルガンダムの肩に下ろす。

 

「あっ、あれ?俺はどうなったんだ?」

 

頭が混乱して、理解が追い付かなくなってやっぱり混乱する。

 

しかし、時間がたっていくにつれ、自分の状況を理解する。ただデビルガンダムは俺を肩に乗せたいだけだったみたい。

 

どうやら、原作みたいにただ人間を排除するだけの機械になったわけじゃないみたいだ。

 

俺は安心して一呼吸置き、落ち着く。

どうやらいまのこいつは無差別に攻撃するやつにはなっていないのかもしれないな。

 

「さて、これからどうしようか。」

 

ホワイトベースを降りたのはいいが、やっぱりこれから何しようか考えていなかった。

相変わらずこの無計画さに呆れる。

 

「グルルルル」

 

「ん?そうだな、考えるよりとりあえず歩くか。」

 

デビルガンダムが何を言っているのかわからないが、

ここで立ち止まっているより、どこかに歩いたらとりあえずなんとかなるだろう。

 

「それじゃあ、デビルガンダム!あっちの方向へ進むぞ。」

 

デビルガンダムは隆司の言う通りに指差す方向へ進路を向ける。

 

しかし、俺はまだ知る由もなかった。

 

これから俺たちは物語の中心となり戦禍に巻き込まれることを。

 

 

 

 

〈アルティメットガンダムの状態変化により能力が改変されます。〉

 

デビルガンダム

 

ガンダム三大理論

 

・NEW

『自己増殖 UG細胞がDG細胞へと変化。デスアーミー・ガンダムヘッド・吸収した物が増殖可能。ただし完全にDG細胞化しておらずUG細胞の能力も残っている為、生物に無害な物も増殖可能』

 

・NEW

『自己再生 変化しても基本能力は変わらず。UG細胞は壊れた部分の再生及び、DG細胞の除去が可能。

DG細胞は生きた人間は操ることができDG細胞で相手に苦痛を与えることができる。

死んだ人間にも使用可能。ただしゾンビとして活動。

ただし、ゾンビのDG細胞を除去すれば再び活動停止する。』

 

・NEW

『自己進化 変化しても基本能力はかわらず。機体を吸収することにより進化し続ける。機体を吸収したら機体の特性、特徴をデビルガンダムで使用できる。』

 

・自我が芽生えたことにより独自行動が可能。

 

 




皆様お待ちかねのデビルガンダムの登場。

あと少しでZ本編へ。
スパロボの皆様もうしばらくお待ちを。


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第8.5話 悪人はただでは転ばない

前回のウルベのその後。

汚いさすが悪人汚い!


~ドモン視点~

 

俺は、師匠東方不敗マスターアジアとともに修行したある日。

 

突然、師匠は俺にキングオブハートの称号を渡し、そのまま姿を消した。

 

俺はネオジャパンに戻るとネオジャパンの軍関係者に声を掛けられある人物が会いたいと言われて今その人物がいる部屋へと入った。

 

「おお、ドモン君よく戻った。」

 

「あんたは?」

 

「まあ、とりあえず座りたまえ。」

 

部屋の中に入るとそこには顔半分を仮面で覆い、軍服を着た1人の男がいた。

男の案内で部屋の中にあるソファへと案内される。

 

「さて、はじめまして。私はウルベ・イシカワ少佐だ。」

 

ウルベ・イシカワ・・・。

この男、まるで隙がない。

こいつできる!

 

「はっ、初めましてドモン・カッシュです。」

 

「まあまあ、そう固くならなくていい。」

 

ドモンは師匠東方不敗の元で修行していた経験があった為、ウルベの隙のない動きに対して緊張していた。

 

 

「さて、ドモン君。前置きはそこまでにして単刀直入に言う。」

 

ウルベの雰囲気が変わり、ドモンもさらに気を引き締める。

 

「君のご家族、カッシュ一家がネオジャパンに謀反を起こした。」

 

「えっ?」

 

最初、何を言っているのか分からなかったが。

父さんや母さん、それに兄さんが、謀反を!?

 

あまりのことで理解ができず、ドモンは椅子から立ち上がる。

 

「そんな!?なにかの間違えじゃ!?」

 

「いや、事実だ。」

 

そんな、父さん達が・・・。

 

ドモンはあまりのショックに椅子にドサッっと座り込む。

 

「カッシュ博士はデビルガンダムと呼ばれる兵器でネオジャパン、いや、この全宇宙を支配しようとしているのをミカムラ博士が私に教えてくれた。」

 

「デビル、ガンダム」

 

「そうだ、どのような兵器かはまだわからないが、カッシュ博士はこのガンダムの細胞を使った兵器で宇宙を滅ぼそうとしていた。」

 

父さん達はそんな悪魔のような兵器を作っていたのか。

 

「だが残念ながら、デビルガンダムもカッシュ博士も逃がしてしまった。」

 

「父さんは?母さんや兄さんはそのあとはどうしたのですか!?」

 

「カッシュ博士たちは謎の人物に奪われたデビルガンダムとは別行動で現在は行方不明だ。」

 

「謎の人物?」

 

「ああ、これを見てくれ。」

 

ウルベ少佐はモニターのリモコンを押して、映像を写し出す。

 

そこにはガンダムのような機体と紙袋を被った謎の人物がいた。

一見ふざけていそうな人物だがモニター越しでも分かる。

こいつは危険だと。

 

「これが謎の人物だ。恐らくカッシュ博士たちはこの人物によってこのガンダムを開発していたのだろう。」

 

「こいつが?」

 

「ああ、映像の続きを見てくれ。」

 

映像の続きを見ていると、まるでデビルガンダムが・・・・・まさか!?

 

「気がついたか?そう、このガンダムがまるでこの人物を守っているように見えるだろ?

つまり、この男こそこの悪魔のような兵器を作り、カッシュ博士たちをたぶらかした張本人だ。」

 

こいつが父さんたちを・・・。

 

父さんたちを騙した人物に対して、いまにも張り裂けそうな怒りがこみ上げてくる。

 

「怒りがこみ上げてくるのは分かる。そこで、君に提案がある。」

 

「提案?」

 

「君にはこれからガンダムファイトに参加してもらう。」

 

「ガ、ガンダムファイト!?」

 

ガンダムファイト。たしか師匠が以前優勝したと言われるあの試合か!

 

「うむ、カッシュ博士を追うのとデビルガンダムと戦うにはガンダムが必要になる。

だが、軍に就いていないきみに機体を渡すわけにはいかない。そこで、ガンダムファイトに参加した君にならネオジャパンのガンダムを渡すことができる。」

 

なるほど、確かに生身ではデビルガンダムと対峙するのは無謀だ。それにガンダムがあれば。

 

「それと、もしカッシュ博士たちを説得できれば、カッシュ博士たちの罪を帳消しにしてあげよう。」

 

「ほ、本当か!?」

 

「ああ、この事を知っているのは私とミカムラ博士のほか一部だけだ。

それと、恐らくカッシュ博士はあの謎の人物に脅されている可能性があるので罪はなんとかなるかもしれない。」

 

説得できれば父さん達をあの謎の人物から救うことができる。

 

「本当なら、私が出たいところなのだか、デビルガンダムとの戦闘の影響でいまの私では。」

 

ウルベは悔しそうに拳をぐっと握る。

 

「任せろ。父さんたちとデビルガンダムは必ず俺が何とかする。」

 

「ドモン君・・・!すまない!」

 

ウルベはドモンに対して頭を下げ、礼を言う。

 

しかし、ウルベが頭を下げているのでドモンは知る由もなかった。

 

 

 

ウルベの黒い笑顔に・・・・。

 

 

 

 





ちなみにドモンの登場は未定です。

ドモン)アアアアアア!?怒りのシャイニングフィンガー!!

主)ぐふっ!?

次回も本編とは別のお話です。


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第9話 出会いと後悔

お待たせしました。

UA数を久々に見たら1万越えて、しかもお気に入りが200以上と画面を見たとき、スマホを落としてしまいました。(笑)

精々、UAは200程度かなと思いましたが皆様のおかげで延びていました。

今回はオリジナル回となります。オリキャラが何人か出ます。




先日、ネオジャパンに取り囲まれ絶体絶命の時、アルティメットガンダムがデビルガンダムへと変わりました。

 

デビルガンダムがネオジャパンの追っ手を倒してくれたのですぐにその場から移動し逃げることにした。

これからの予定がないので、とりあえず東へ俺とデビルガンダムと共に向かっていました。

 

そした、とある密林地帯を進んでいるとレーダーでとある村が近くにあることを知り、

デビルガンダムを置いて、村へと向かった。

 

見た目はそこまで大きくないが回りに大きな畑や田んぼがあるので人数は多いはずだ。

 

「おや、珍しい。旅人かね?」

 

村へ向かうと、村入口で牛を連れている一人の褐色肌の麦わら帽子を被った白い髭を生やした老人がいてこちらに話しかけてきた。

 

「ええ、あとすみませんが、ここ何日か泊まりたいのですが、どこかに宿はないですか?」

 

最近はガンダムのコックピットの中で寝ていたので身体中がバキバキである。

それに食糧ももう無くなりそうなのでここでしばらく過ごそうと思った。

お金は元の世界の日本円しかないけど、宿の人に聞いて無理だったら住み込みのバイトで過ごそうと思う。

 

「ああ、それならウチにいらっしゃい。家族がいるが旅人さんぐらいの寝床はあるよ。」

 

「ほんとですか?それではありがたく。」

 

「それじゃあ、家に案内しよう。こっちじゃ。」

 

宿に泊まろうかと思ったがおじいさんの家ならたぶん金銭関係はないだろうと思いおじいさんの後ろについて行き目的の家へと向かう。

 

村の中を歩きながら、おじいさんに色々と聞くと、

この村の名前はフリンコ村といい、森に囲まれているため、外とは隔離されている場所のようだ。

老人から子供まで様々な人が居て、人数は200人近くらしい。

 

若い人は何人か外へと旅へ出るが、ほとんどの人はこの村で生涯を過ごすようだ。

そうして話している内に目的の家へと着く。

 

「ここが我が家じゃ。」

 

そこには他のいえと比べたら大きな家がたっていた。

 

「申し遅れました儂はこのフリンコ村の長のガルテと申します。」

 

「え?村長?」

 

「はい、その通りです。」

 

俺は驚いた。いや、驚くでしょ。

村で出会った人が村長だなんて。

 

「あ、どうも、えっと、自分は橘隆司です。」 

 

「ホッホッホッ、そう固くならなくてもよろしいですぞ橘殿」 

 

「そうですか?じゃあ、自分のことは隆司と呼んでください。」

 

「わかりました。隆司殿。では家の中に案内します。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「では、家の中に入りましょうか。おーい、今日はお客さんがきたぞ。」

 

俺はその後、村長の家に入り家族を紹介されました。

 

「妻と娘夫婦と、孫達です。」

 

ガルテさんの奥さんと夫婦と孫3人が出迎えてくれた。

 

「隆司殿には孫のティナが世話役になってもらいます。」

 

「いえ、そんな悪いですよ。」

 

ただでさえ、世話してもらう立場なのだらかこちらがなにか手伝わないと。

 

「そうですか?ですが、一緒にいた方がなにかと過ごしやすいと思いますが?」

 

確かにそう言われると何も言い返せない。

俺はこの村のことは何も分からないのだから。

 

「わかりました。」

 

俺はどこか納得ができていないのか渋々承諾した。

別に嫌と言うわけではない。 

ただ、お世話になるのにされるのはどうかと思っただけだ。

 

ガルテさん一家の中から1人の少女が前にでる。

 

「はじめまして、ティナです。」

 

3人の子供達の中でも背は大きくて褐色の肌に茶髪の少女で俺より年下のようだった。

胸はおっ、大きいです。

 

「はじめまして、橘隆司です。気軽に隆司と呼んでください。」

 

「わかりました。隆司さん」

 

彼女はニッコリと笑い俺の名前を呼んでくれた。

かっ、かわいい。

 

「それじゃあ、荷物を片付けたらこの村の案内をお願いしてもらってもいいかな。」

 

「はい、それじゃあ部屋はこっちになります。」

 

俺は荷物を持ってティナのあとについていく。

俺が泊まる部屋は2階の一角の部屋だった。

中に入ると、中は綺麗に清掃されており、中々に広かった。

 

「ここが隆司さんの部屋になります。」

 

「へ~。結構広いね。」

 

「広いですが、端っこにあるのであまり使うことがありませんでした。」

 

「それにしては、綺麗だね。」

 

「私、掃除が好きなので。」

 

彼女はどうやら綺麗好きのようだ。

将来彼女はいい嫁さんになりそうだ。

 

「それじゃあ、準備ができたらいきましょうか。」

 

俺は荷物を部屋に置き、少しだけ休憩した後、ティナに村を案内してもらった。

 

「やあ、ティナちゃん。彼氏かい?」

 

「もう、ビアナおじさん違いますよ。お客さんです。」

 

「おお、そうかい、そうかい。こりゃすまんな。」

 

ティナは顔を真っ赤にして、畑仕事をしているおじさんに怒る。

 

「さっ、隆司さん行きましょ。」

 

「ティナちゃんは彼氏いるの?」

 

「え?いえ、いませんけど。」

 

「そうなの?かわいいと思うんだけどな。」

 

「ふぇ!?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いっ、イエイエイエ!?なっ何でもありません!」

 

「そっ、そう?」

 

ティナちゃんは顔を真っ赤にして、顔に手を当てている。もしかして、聞いちゃダメなやつだった?

 

「それと、隆司さん。」

 

いまだに顔は赤いが彼女は俺を呼んでなにか言いたそうだった。

「ん?どうしたの?」

 

「私はティナって呼んでください。これでも16歳なんですよ。ちゃん付けはしなくてもいいですよ。」

 

「そう?それじゃあ、俺のことも隆司って呼んでくれていいよ。」

 

「隆司さんはお客様ですし、それに年上じゃないですか。このままでいいですよ。」

 

ウ~ン、セイラの時もさん付けしなくてもいいと言われたが、女の子はそういうのが嫌いなのかな?

 

女の子は難しいな。

 

 

俺はこのフリンコ村で畑仕事を手伝い、子供達の遊び相手をしたり、村でいろんなお話をした。

 

子供達のいたずらに引っ掛かり、顔は泥だらけになり、仕返しに子供達にも、泥をかけ返した。

 

それを繰り返して、帰ったときには全身泥だらけでティナにものすごく笑われた。

 

そんな日々を過ごし5日たった。

 

俺は夜、ガルテさんの家の中にある自分の部屋にあるベッドで空にある月を眺めていた。

 

コンコンと、扉がノックされる。

 

「あの、隆司さん入っていいですか?」

 

「ティナ?」

 

入ってきたのは、ティナだった。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、眠れないので、もしかしたら隆司さんが起きているかな?と思って。」

 

ティナはそう言いながら空にある月を眺めていた。

ティナの顔は月の光に照らされてよりいっそう綺麗に映っていた。

 

「なにかあったの?」

 

「いえ、大したことではないのですが。」

 

「もし良かったら相談にのるよ。」

 

「・・・。私、この村に生まれてよかったと思います。みんな優しいし、とても過ごしやすい所だとおもいます。でも、」

 

ティナはそこで口を閉じ、言葉を詰まらせた。

 

「隆司さんが来て、最初は普通にお客さんのように思っていました。けど、日が経つにつれ、隆司さんと共に過ごす時間に限りがあると思うとなんだか、こう胸が締め付けられる感じがするんです。」

 

ティナは胸に手を当て、ぎゅっと握る。

 

(別れがつらいのかもしれないな。)

 

ホワイトベースで別れたセイラも別れの際、彼女も辛そうな顔をしていた。

 

そういえば、あれから何日か日にちが経つがホワイトベースは無事ジャブローに着いたのだろうか。

原作通り、ガルマの部隊を突破できているといいが。

 

彼はかつて共に過ごした彼らのことを思い出し、月を眺めていた。

 

「隆司さんはいつか、ここを出るのですか?」

 

「ああ、まだいつか分からないがその内に出るつもりだ。」

 

ティナの答えに答えると、ティナは下を向いて黙り込む。

 

「あの、もし隆司さんが良ければ私も連れていってくれませんか?」

 

「えっ?」

 

最初は何を言っているのか理解できなかったが、徐々にその言葉の意味を理解する。

 

「でも、それだと村を出ていくことになるよ。」

 

「村を出ていくのは辛いですけど、いつか戻ってこれます。でも、リュウジさんと別れたらいつ会えるか分かりませんから。」

 

彼女の顔はもう決意したという顔だった。

 

「本当に・・・いいのかい?」

 

「はい、隆司さんと一緒なら。」

 

さすがの俺もここまで言われたら俺は何も言えない。

それに、彼女は涙を流しているがその目は決意を決めた顔だった。

 

「わかったよ。」

 

「それじゃあ!」

 

ティナはさっきまでの悲しい顔とは違い、満面な笑みで笑う。

 

「その前に、その事を家族に伝えないとな。」

 

「はい、それじゃあ・・・。」

 

ティナの会話の最中に地面が大きく揺れ始める。

 

「きゃあ!?」

 

「ティナ!」

 

俺は咄嗟にティナを抱き止め揺れが収まるのを待つ。

 

「なんですか、いまの?」

 

「外へ出てくる。」

 

俺は部屋から飛び出して外を見ると、そこには異様な姿の化け物がいた。

 

「まさか、あれはメカブーストのドミラ!」

 

ザンボット3に出てくる敵のメカブーストのドミラか。

それが、村の近くで数体いた。

 

しかし、無差別に攻撃しており、恐らく物資を奪うためにここを襲っているのだろう。

 

(もし、あれがこれ以上ここで暴れたら村に被害が!)

 

俺はすぐにドミラの元に向かって走った。

 

「隆司さん!」

 

後ろを振り向くとそこにはティナがこちらに向かって走ってきた。

 

「ティナ!危ないから村で待ってるんだ!」

 

「隆司さんはどこに行くつもりですか!?」

 

「あいつをこのままにしては村が危険だ。」

 

「だからといって、隆司さんじゃどうにかできるはずないじゃないですか!」

 

「大丈夫!」

 

俺はティナの肩を持ち、ティナを安心させる。

 

「俺には強い味方がいる。」

 

俺はデビルガンダムを呼び、デビルガンダムを見てティナは驚く。

 

「あれは・・・。なに?」

 

「俺が乗る機体。そしてこの村を守る機体だ。」

 

俺はティナから離れデビルガンダムに乗り込む。

 

「隆司さん!」

 

「ティナ!待っていてくれ必ず戻る。」

 

ティナに一言言って、コックピットに乗り込み。

 

ドミラに向けて攻撃を仕掛ける。

 

ドミラはこちらに気付き、光線をこちらに向かって放つ。

 

「その程度の攻撃じゃ当たらないぜ。」

 

ドミラの攻撃はデビルガンダムにはなんの驚異にもならず、攻撃を防ぎ。

 

デビルガンダムの拡散ビーム砲で撃ち抜く。

 

後ろを取ったドミラはデビルガンダムに接近してくる。

 

(後ろを取ったか。だが!)

 

俺はガンダムヘッドをドミラの下に潜り込ませて、地面の中からドミラを空に向かって伸ばす。

 

ガンダムヘッドは見事、ドミラの腹に命中しドミラは空へと飛ばされる。

 

空へと飛ばされたことによりドミラはまさに格好の的だ。

 

ガンダムヘッドを数体呼び出し、空にいるドミラに向かってビームを放ち、ドミラは穴だらけになり撃破する。

 

数体いたドミラはデビルガンダムの前では成す術もなかった。

 

(これで全部かな?)

 

俺はデビルガンダムをフリンコ村に向けて歩き出す。

 

デビルガンダムの事を村の人になんて言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこのとき慢心していたのだろう。

ドミラの死体だと思っていて、俺は背を向けた瞬間、ドミラがビームを撃つことに気がつかなかった。

 

 

ドミラの放ったビームは村へと直撃し、大きな爆発が起こった。

爆発したところは先程ティナと別れた場所であった。

 

「え?」

 




次回あの人がちょっとだけ出ます。(最後だけですが)


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第10話 新たな力

頭の中にストーリーが一気に湧いたので、勢いで書けました。

※2017/8/17 能力説明を一部加筆
※2017/12/4 内容を一部修正・変更


ドミラの放ったビームは一直線にデビルガンダムの横を通り過ぎ、村へと当たった。

 

大きな爆発が当たり一帯を吹き飛ばす。

 

 

「え?」

 

あまりに突然なことで驚き、頭の理解が追い付かなかった。

 

「村が・・・。」

 

俺はただ呆然と村を見ることしかできなかった。

 

モニターで拡大すると、そこには畑仕事を手伝った場所、みんなで話して笑っていた場所、俺が過ごしていた家、

 

「あああ・・・・・。」

 

 

そして俺の帰りを待っているティナが血溜まりの中に倒れている姿が。

 

 

「ああああああああ・・・・!」

 

 

俺の理性はそこで切れた、

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

俺はコックピットの中で叫び、いまだに動いているドミラに向かって飛び込み、デビルガンダムの全体重をドミラに乗せて潰し、ドミラの肉を手で引きちぎり、それでも足りず殴り、潰し、引きちぎり、それらを繰り返した。

とにかく俺はこの感情をドミラにぶつけた。デビルガンダムの姿は俺の今の感情を現すようにただ暴力の限りを尽くす。

 

 

 

だが、足りない。

 

 

何かが足りない。

 

 

この心に開いた穴が埋まらない。

 

 

ああ、お前らを徹底的に叩きのめさなければならないのか。

 

 

 

俺のこの渇きを、この空虚感を・・・。

 

もっと・・・。

 

 

もっともっと・・・・。

 

 

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモット

 

 

 

 

ミタシテクレ

 

 

 

 

 

コックピットに座っているナニかは口元をニッコリと見るも寒気が走る表情を見せるのであった。

 

 

 

 

それから数十分たち、周りにいたドミラたちは見るも無残な姿に成れ果てて、すでに虫の息だった。

さっきまで俺は何をしていたのか分からない。

ただ・・・、いまは頭の中は真っ白になり何も考えられない。

 

俺はデビルガンダムでティナの元に向かい近くで降りて、僅かな思いに賭けティナの頬を触る。

 

しかし、彼女の息はすでになかった。

 

俺ができることはただ涙を流すことだけだった。

 

もう何も考えられない。

もう俺の帰りを待ってくれる人はいないいんだな。

 

時間だけが経ち、次第に村の火は消え、後はただ時間が過ぎていくだけだった。

 

 

 

日は落ちて、あたり一帯は暗くなり、周りは闇一色となった。

 

かつてあった村の明かりは無い。

 

この村にいた人はもう誰もいない。

 

俺一人だけだった。

 

 

「・・・せめて、火葬だけでもしてあげよう。」

 

骨だけでもあれば、一緒に旅ができるのだから。

 

 

すると、デビルガンダムがこちらに近づいてくる。

 

「どうした、デビルガンダム?」

 

デビルガンダムはコックピットハッチを開き、触手をティナに伸ばす。

 

「ちょっと待て、何をするつもりだ!」

 

何をするつもりか分からないが、俺はデビルガンダムを止める。

 

「グルルル」

 

デビルガンダムは大丈夫だといっているような気がして、俺はデビルガンダムの触手を手から離す。

 

触手はティナの体に巻き付き、ティナをコックピットの中に入れた。

すると、ティナの体は徐々に銀色へと変貌した。

 

「もしかして、生体コアにしたのか?」

 

「グルルル」

 

デビルガンダムは肯定し頭を縦に振る。

 

「でも、死体だと機能しないんじゃないのか?」

 

「グルルル」

 

デビルガンダムは頭を横に振り、否定する。

 

デビルガンダムはこっちに来てと触手でジェスチャーし、俺はティナの近くへと寄る。

 

そして、心臓に耳を当てろとジェスチャーされ、耳を当てる。

 

 

・・・・・。

 

・・・トクン・・・。トクン・・・。

 

「心臓が!?」

 

ということは彼女は生きている?

 

「彼女は生き返るのか!?」

 

俺は淡い期待をデビルガンダムに問う。

 

しかし、デビルガンダムは頭を横に振り否定する。

 

「そんな。」

 

彼女は死んだ。それは覆ることのない事実。

 

俺は淡い期待を持っていたがそれは間違いだと気づく。

人の命は限りがあり、一回しかないと。奇跡でもない限り人は蘇らない。

そして、俺は残された村の皆を埋葬しようと村で一緒に話をしたことのある1人のおじさんの体を触ると、触れた部分が謎の六角形で埋め尽くされる。

 

「なっ、なんだこれ!?」

 

俺は驚き、尻餅をつく。

俺は謎の六角形をよく見るとあれをどこかで見たような気がした。

 

「もしかして、DG細胞?」

 

どうして俺の手からDG細胞が?

俺はもう一度、おじさん体に触れてみるとまたDG細胞が広がった。

 

俺の体は一体どうなっているんだ?

 

それから俺は実験を兼ねて様々な検証をした。

 

 

それから数時間、分かったことは俺の体にはDG細胞とUG細胞が使えるようになっていた。

 

(神様が与えてくれたと思うが神様の説明ではこの能力は入っていなかった。あとは、デビルガンダムが俺に能力を付与したかどうかだ。だがいつの間に。)

 

俺は記憶の中から可能性の高い出来事を思い出す。

 

(まさか!)

 

俺は咄嗟にデビルガンダムへと振り向きたった1つだけ思い当たる出来事を思い出す。

 

アルティメットガンダムがデビルガンダムになりが俺に触手を伸ばして巻き付いたあの時。

 

考えられるのはこれしかない。

 

そう確信した。

 

俺は目の前を向き村を見渡す。

そこは昨日まであんなに幸せで戦争のなかった場所。

それが一夜でなくなったのだ。

 

そして俺は村を見て決心した。

 

今回は俺の慢心でこのような事態になってしまった。

あの時、ビームを防げれば、事前に敵の接近に気がついていれば。後悔が募るばかりだ。だから、俺に必要なのは力だ。

俺はこの力をもっと活用できなければならない。

その為に俺はこの村の人たちをDG細胞で侵食しゾンビ兵を作らねば。

そして、戦力の増強を図る。

守る為には力が必要なのだから。

せめてこの村の人たちの魂がここで眠れるように簡単にだが墓を作り、そして寂しくないように花を植えた。

 

ごめんね、みんな。

俺は戦うよ。

これ以上この村のように悲しみを増やさないために。

これからもっと戦争で人が死ぬかもしれない。

その為にみんなの力を借りるよ。

 

勝手にしたのは悪いと思ってる。

いつそっちに行けるか分からないが、説教は向こうで待っててくれ。

その時は存分に怒られるよ。

 

そして隆司は誰もいなくなった村をあとにしてその場を去るのであった。

 

そしてその背中を見守るかのように誰もいない墓に植えた花が風で少しだけ揺れた様な気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、1つの村から住人が全員消えた。

後に残るのは焼けた小さな廃村のみだった。

 

なぜ彼らが消えたのかは不明。

だが1つの村が消えたことなど誰にも気に留められることなく、そして知られることはなかった。

 

 

「う~む。あやつは一体何者なのだ?」

 

その現場を見ている謎の人物以外には。

 

 

 

 

 

〈デビルガンダムの能力が進化しました。〉

 

生体ユニット・ティナを取り込んだことにより、能力が大幅に増大します。

 

ゾンビ兵・200人

 

 

〈橘隆司の能力が新たに付与されました。〉

 

ドラゴン○ールの身体能力 強い体

 

回復能力 直接触れることによりあらゆる傷を治すことができる。ただし死亡または呪い関連は無効、一日の使用制限があり。

 

〈NEW〉DG細胞・・・使用することにより身体を乗っ取る、又は眷属化にできる。橘隆司の意思で相手を蝕むことも苦しめることもできる。ただし相手の精神力が強ければ強いほど侵食不可。さらに触れたものを意図的に変異させることができる。

 

〈NEW〉UG細胞・・・DG細胞を唯一除去可能な細胞 無害な細胞なので治療に使用可能。




最後に出てきた人は分かる人には分かるはずです。


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第11話 東方不敗

デビルガンダムとあの人がどうやって会ったのかが気になりますがオリジナルストーリーで作りました。

戦闘描写が難しいので駄文になっています。


~主人公視点~

 

フリンコ村が壊滅して俺は村の跡地で村人を全員ゾンビ兵にして、デビルガンダムには村で世話になったティナが生体ユニットになった。

 

これから起こる『スーパーロボット大戦』に備えて俺は戦力増強の準備を整えていた。

フリンコ村のゾンビ兵たちに、デビルガンダムではおなじみデスアーミーを増殖で生産し200体ほど用意した。

 

デスアーミー1体では戦力的にあまり強くないので、デビルガンダムの増殖でゾンビ兵とデスアーミーの生産を開始。

 

出来上がったデスアーミーやゾンビ兵を派遣して、各地からMSや兵器の残骸を回収することにした。

ただ、見つかると面倒なので『見つからないように行動しろ』と命令しているのだがどうも心配だ。

 

だが、スパロボの世界だったら様々な兵器があるはず。

もし回収できれば、少しはデビルガンダムの強化ができるはず。

 

「さて、これからどうしようかな。」

 

いつもの通り、また予定がなくなってしまいデスアーミーを増殖しているデビルガンダムを眺める。

 

ちなみに今の格好はあのハードボイルドの格好をしている。

なぜ着ているのかと思うだろう。

理由はデビルガンダムのパイロットだからだ。

もし、橘隆司がデビルガンダムのパイロットだったら世界から狙われる可能性があるため、カムフラージュを兼ねてこの格好をしている。

この前、ネオジャパンと接触した上にいまもこうして活動準備を整えているのだから、変装しないと後々厄介なことになる。

それにアニメじゃ変装するキャラクターなんて色々いるから問題ない・・・はず。

 

あとは、名前を考えなければならない。

何にしようかな。

 

ぼー、として座っていると近くにあった茂みが揺れる。

俺はなんだろうと茂みのほうに視線を向ける。

 

そこから一匹の鳥が出てきた。

 

(なんだ、鳥か。)

 

俺は安心して、視線をデビルガンダムに戻そうとした時。

 

「フハハハ。儂の存在に気づくとは中々の者ようだ。」

 

先程揺れていた茂みの近くにある茂みから顔が見えないフードを被った知らない人が出てきた。

 

(えっ?誰この人?)

 

「まあよいわ、そこのお主覚悟!」

 

「えっ?えっ?ちょっ!?」

 

 

謎の人物は茂みの中から飛び出し突然殴り掛かって来た。

謎の人物は俺の顔面にパンチを当てようとするが俺は咄嗟に避ける。

 

「ちょっ!一体何なんですか!?」

 

「ええい、問答無用!」

 

謎の人物が俺に攻撃を仕掛け、ものすごい速さで攻撃してくるが神様の力でなんとか避けられた。

俺はあまりの驚きでその場から動けず立ちっぱなしだ。

 

「儂の攻撃を避けるとはなかなかよのう。だが、これならどうだ!」

 

さっきまでものすごい速さのパンチだったのに、突然大振りな蹴りを放ち、俺はしゃがんで避けるが、近くにあった大きな岩は綺麗な切断で真っ二つに裂ける。

 

「ぐぬ、これもよけるか。それに儂に攻撃をせぬとはよほど余裕を持っておるのか?」

 

相手が何か言っているが、今の俺はぎりぎり避けてことに驚いて心臓がバクバク状態なので何を言っているのか分からない。

 

「とすれば、こやつは相当な強者と見るべきか・・・油断は出来んな。」

 

しかし、相手はそれでも攻撃をしてきてこのままじゃいつかやられそうだった。

危機を察知したのか、俺を守るべくデスアーミー達が前に出て盾になる。

 

「邪魔だ!」

 

謎の人物は布をデスアーミーの顔に直撃させて、さらにデスアーミーの顔に布を巻きつけてもう一体のデスアーミーにぶつけ撃破した。

2体いたデスアーミーはあっという間に撃破されてしまった。

 

(布でデスアーミーを!?待てよ、布・・・?まさか!)

 

布を使う人物に心当たりが当たり、謎の人物に呼び掛ける。

 

「もしや、東方不敗か!」

 

「なっ!?なぜ儂の名を!?」

 

どうやら当たっていたようだ。

 

東方不敗の攻撃は止まり、警戒するかのようにこちらをただ見据えるだけたった。

 

「・・・なぜ貴様が儂の名を知っている。」

 

「そりゃあ、前ガンダムファイト優勝者東方不敗マスターアジア。有名だからな。」

 

「・・・。」

 

東方不敗は黙りこちらををただじっと見てたいた。

よし、それならもう一押しだ

 

「そして、ドモン・カッシュの師匠だったな。」

 

「なっ!?ドモンの事も!」

 

よし、うまいこと動揺している。

この隙になんとか逃げよう。

東方不敗なんかと戦ったら勝ち目がない。

 

「・・・お主に聞きたい。あのガンダムは一体何なんなのだ?」

 

俺が逃げようとしたとき、東方不敗はデビルガンダムがデスアーミーやゾンビ兵を生産している姿を見て、あの機体がなんなのかを聞きたいのだろう。

 

「あれは、デビルガンダム。元々地球再生計画で作られたガンダムだ。」

 

「地球再生計画?」

 

「荒れ果てた地球を緑豊かな世界にするための機体だ。」 

 

「ということは、あのデビルガンダムという機体は地球再生の為にあったということか。」

 

「その通りだ。」

 

まあ、自分はそんな地球再生計画なんて考えていないから無意味だけど、これで東方不敗の隙ができるはず。

東方不敗は再び黙り込み、ただ時間が過ぎていくだけだった。

俺は少しずつ後ろに下がり逃げる準備をする。

 

「ふ、ふはははははは!」

 

東方不敗は突然笑いだし腰を大きくのけ反る。

 

 

「素晴らしい!素晴らしいですぞ!これこそ!これこそ儂の望んでいた物!」

 

東方不敗は笑いながらデビルガンダムを誉め称える。

 

「すまぬがそなたの名を聞かせてもらえませぬか。」

 

突然の変わり様、俺は驚き呆然としてしまった。

 

(しまった。ぼーっとしていたから逃げるタイミングを失ってしまった!くそ、東方不敗と逃げ足で勝負しても勝てる気がしないぞ。)

「俺の名は・・・。」

 

橘隆司・・・。そう言おうと思ったが、さっきも言った通り俺の正体が橘隆司だとバレれば世界から橘隆司の居場所がなくなるのだ。

その為、名を変える必要がある。

 

本当の名ではない、偽りの名前。

 

「・・・ジョーカー。」

 

「ジョーカー殿。本名ではないようだが致し方がない。いずれ本当の名を聞けるようにこの東方不敗精進いたします。」

 

偽名だということが一発でバレたがあまり深く聞いてこないようなので助かった。

 

そして東方不敗はジョーカーの前で跪く。

 

俺は東方不敗が跪いたことに疑問を抱いた。

 

「・・・?、どいうつもりだ?」

 

「この東方不敗。ジョーカー殿とデビルガンダムの配下として誠心誠意努めさせていただく所存です。」

 

「えっ?」

 

東方不敗が配下になったと一瞬頭がフリーズしてしまった。

なぜ俺の配下に・・・?

 

あっ!

 

 

 

回想(あれは、デビルガンダム。元々地球再生計画で作られたガンダムだ。)

 

 

 

地球再生計画・・・。

 

そうだ、東方不敗は地球再生を目論んでたんだった!

 

俺は何でそんなことを忘れていたのかと声に出さないが、ひとつだけ思ったことがある。

 

どうしてこうなった?

 

 

----------------------

 

 

~東方不敗視点~

 

儂の名はマスターアジア。

 

キングオブハート名を持つガンダムファイターだ。

 

この間まで弟子ドモン・カッシュと共に修行していたが、だがあやつはまだ未熟だが、もう一人立ちしてもよい頃だろう。

 

ドモンはネオジャパンに帰り、儂は一人で修行しながら世界を旅していた。

 

 

そして、ドモンと別れたのにはもう1つ理由があった。それは、儂の悩みが理由であった。

 

かつて参加したガンダムファイト。

儂は数々のガンダムファイターを倒し優勝へと勝ち残った。儂は優勝へと勝ちあがれたこと喜びを感じていた。

しかし、後ろを振り返って見ればその喜びは消えた。

戦いの傷跡を見てみれば自然は消え、街は壊れる有様。

かつてあった美しい光景は潰れていた。

 

儂は浮かれておった。

 

シャッフル同盟のキングオブハートになり、

ガンダムファイトの優勝に、儂は酔いしれていた。

 

あの光景を見たとき儂は己の行為が間違っていたのに気が付いた。

儂はこんなことの為に戦ったのではない。

こんなことをするために儂はガンダムファイターになった訳ではない。

 

戦争などで消えていった自然。

様々な所を旅していてどこもかしこも戦争や闘いでで美しい自然はほとんどなかった。

儂は何とかせねばと思っていた。

たが、儂にできることなど何もなかった。

 

そんな旅の最中、儂が風雲再起と共に走っているとき突然光に飲み込まれ、気がつけばとあるジャングルのなかにいた。

周辺を探索していると突然大きな揺れが起きたことに気がつき、向かってみれば謎の巨大な化物がいた。

 

儂は素手で何体か倒したが、残りの奴らは突然方向を変え一斉に動き出した。

 

儂は後を追うと、そこには1体のガンダムがいた。

 

化物共に囲まれて儂が加勢しようと思ったとき、あのガンダムは目に見えぬ速さであっという間に化物共を倒し、触手の様なガンダムタイプが化物の腹に当たり、空中へと飛ばされ身動きがとれずビームを撃たれ倒された。

 

さっきまでいた化物たちは一体残らず無残に倒された。

 

しかし、かろうじて生き残っていた化物はビームをあのガンダムに当てようとする。

しかしビームは当たらずわずかにそれて、すぐそこにあった村へと当たった。

 

ガンダムは村をずっと眺めていると、後ろにいる化物はもう一度ガンダムにビームを放とうとする。

儂は止める為に駆け出すが、儂は手を出すことはできなかった。

 

ガンダムからの殺気で儂は動くことができなかった。

 

もし少しでも動いたら殺される。

 

本能は感じ取り儂の体は氷で固まっているかのように動けなかった。

ただ、見ることしかできなかった。

 

ガンダムは化物に飛び乗り、その衝撃で化物は地面にめり込む。

さらにガンダムは肉を引きちぎり、殴り、潰す。

 

その姿はまさに悪魔だった。

 

それから気が治まったのか、ようやくガンダムは止まりゆっくりと村のほうへと向かった。

 

儂が村に到着し、様子を探っていると村は全滅しており生き残っているものはいなかった。

先程のガンダムを遠くから見ていると何かをしているのはわからなかったが、村人が六角形のようなもので覆われているのがわかった。

 

そしてガンダムの胴体からはガンダムタイプとは違う機体がぞろぞろと出てきた。

 

(あのガンダムは一体何を企んでいる?)

 

儂は遠くからそれを見続けていた。

考えても埒が明かないので、直接確認するしかないな。

 

儂はガンダムのパイロットらしき人物の近くにまで寄り茂みまで近寄ることができた。

トレンチコートに不気味な真っ白な仮面を被っており、今は石の上に座ってただガンダムに視線を向けて座っていた。

 

これなら簡単に仕掛けられる。

 

儂がそう思いしかけようと思ったその時、奴はこちらを見ていた。

なぜばれたのか、完全に気配を絶っていたはず。

仮面で見えないが、奴は確実にこちらを見ている。

明らかに奴がこっちに気づいているのは明白だった。

 

儂は意を決して、茂みから出て攻撃を仕掛ける。

奴はわしの攻撃を軽やかにただ避け続け、儂に攻撃すらしなかった。むしろこやつは余裕な態度で立っておる。

なぜこやつは儂に攻撃しないのだ・・・?まさか!

奴が余裕な態度なのは儂をいつでも攻撃できると言うことか!?

 

気配ではそれほどの強者に見えぬが儂は誘われたというのか!?

だとすれば、すぐに決着を着けねばやられるのは儂ということか。

 

儂はすぐにでも決着をつけようと強力な蹴りの一撃を食らわせようとするが、奴はそれすらも避けて蹴りは後ろの大きな岩に当たる。

 

 

 

儂はさらに追撃して追い込むために布を使って、奴に向けて攻撃する。

しかしこの攻撃さえも避けられてしまう。

 

「もしや、東方不敗か!」

 

不意に名を聞かれ儂は動きを止めてしまい隙ができてしまった。

だが奴は隙ができた儂に攻撃をしないので『フードを被っているのになぜ儂の名を知っているのか』奴に聞くと、

 

「そりゃあ、前ガンダムファイト優勝者東方不敗マスターアジア。有名だからな。」

 

どうやらこやつは儂の事を知っているのはガンダムファイトの事を知っているからのようだ。

それなら納得いく。

儂はそう思い安堵するが、

 

「そして、ドモン・カッシュの師匠だったな。」

 

儂はその時心臓を掴まれたかのような感覚が体を駆け巡った。

ドモンと修行しているのは一部のものしか知らないはず。

なのになぜこの者が知っているのだ。

 

儂はいつのまにかこやつの術中に嵌まったらしいの。

 

逃げようと思えばすぐににでも逃げれた。

だが今では術中に嵌まりもう逃げることはできぬようだ。

しかし、こやつにはあのガンダムがいったいなんなのかを聞かねばならぬ。

なぜか聞かねばならぬようなそんな気がする。

 

それから、奴からは聞くとあのガンダムが地球再生計画とやらで作られたガンダムらしい。

 

『地球再生計画』

 

その言葉を聞き、儂の中に一筋の光が見えたような気がした。

もしこのガンダムを使えば、戦争で消えた自然を元に戻すことが可能になる。

 

この者はただならぬものを感じるが、このチャンスを逃しては儂の願いは絶たれてしまう。

 

この方はジョーカーと名乗られたが、おそらく偽名だろう。

いずれ信頼され本当の名を聞き、儂の願いを聞いて貰おう。

 

「この東方不敗。ジョーカー殿とデビルガンダムの配下として誠心誠意努めさせていただく所存です。」

 

あの緑ある地球をもう一度見るために。




東方不敗登場!



※活動報告にアンケートを追加しました。


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第12話 舞台開始の前

~主人公視点~

 

東方不敗が仲間になりました。

何を言ってるのかって?

気にしないでくれ。

 

ただ、原作の東方不敗を知っていると何か裏があるんじゃないかと疑ってしまう。

東方不敗は自然環境について悩んでいて、デビルガンダムと出会ってシャッフル同盟や弟子のドモンを裏切った。そして、現実でも地球再生計画の話をしたら急にこちらへの態度が変わり、俺の仲間になった。

 

原作どおり自然に対しての思惑があるのか、デビルガンダムの力を説明すると素晴らしいと言ってくれた。

だが、俺は原作みたいに人類を滅亡させようなんてこれっぽちも考えていない。

なので東方不敗にはデビルガンダムが人類を滅ぼすための機械とは説明していない。

それにいまこうやって力を蓄えているのはこれから起きる『スーパーロボット大戦』に備えての準備だ。

デスアーミー200体程度じゃ話にもならない。

その為、デスアーミーを増殖して各地にデスアーミーを派遣しMSや兵器の回収をしてもらってデビルガンダムの戦力増強を最優先としている。

デビルガンダムにある自己進化で機体を吸収すると、その機体の能力を持つことが出来るというチートみたいな能力がある。

だがむしろこのチートがなければ俺はこのスパロボの世界では生き残れなかっただろう。

 

『ジョーカー殿!』

 

どうやら、東方不敗が帰ってきたようだ。

俺が考え事をしていると東方不敗はクーロンガンダムに乗りながらこちらに話しかけてきた。

 

「東方不敗か、どうした?」

 

ちなみに前に東方不敗に敬語を使ったら。

 

『ジョーカー殿。儂は配下なのですからそのような他人行儀はしなくてもよいですぞ。』

 

と言われて、今では東方不敗にはこのような喋り方をしている。

 

『はい、待機中のデスアーミーの数が現在1000体ほどになりました。』

 

東方不敗には、『デビルガンダムの戦力増強の為に増殖等を任せる』と東方不敗に伝えて、現在はデビルガンダムとデスアーミーの戦力強化を任している。

ガンダムシリーズで上位の強さの東方不敗に任せれば何とかなるだろう。

 

「そうか。もうそんなになったか。」

 

『派遣中のデスアーミーを含めばもう少しいくと思われます。』

 

「わかった。引き続き頼んだ。」

 

『では、儂はまた戻りますので何かあればまたお呼びください。』

 

東方不敗はクーロンガンダムを振り向かせてその場を去ろうとした時、俺はあることを実行しようと思う。

 

「待て」

 

『どうかされましたか?』

 

「折角だ。東方不敗のクーロンガンダムも強化しなくてはなと思ってな。」

 

『クーロンガンダムをですか?』

 

「DG細胞があれば強化など簡単だ。」

 

俺はデビルガンダムを動かしてクーロンガンダムに触手を伸ばす。

まず、原作通りにマスターガンダムに改造する。

DG細胞はデビルガンダムの一部なので、戦闘経験を積めば積むほどデビルガンダムも強くなる。

つまり、東方不敗を通してデビルガンダムが強化されるということだ。

 

それにDG細胞ならいざとなれば東方不敗じゃなくてもマスターガンダムは乗っ取れるしな。

 

 

それから数分掛けてマスターガンダムへの改造が終わり、異常がないかを確認してもらう。

 

「おお!素晴らしい!ガンダムが儂の動きについてこれますぞ。」

 

クーロンガンダムは数年前に作られたガンダム。

技の熟練度の高い東方不敗の動きに年々追いついてこられないのは仕方がないことだ。

だが、このマスターガンダムは東方不敗の動きについてこれる上、能力を格段に上げた機体なのだから。

 

このマスターガンダムがあれば戦力増強とデビルガンダムの強化と一石二鳥になる。

それからマスターガンダムの改造は終わり、東方不敗はマスターガンダムと共にデビルガンダムの所へと戻っていった。

 

さて、これからの予定だがデビルガンダムは現在デスアーミーの増殖と回収した機体を吸収している為、この場所から動かせない。

 

なので、数日間この場で待機しないといけない。

準備が整ったら次の目的地は・・・。

 

「宇宙か・・・。」

 

物語への始まりが少しずつ近づいていた。

悪魔の介入も含めて。

 

----------------------

 

~東方不敗視点~

 

ジョーカー殿の元で過ごして一日が過ぎ、現在はデビルガンダムと共にデスアーミーの増殖を任されていた。

デビルガンダムはどうやら儂の言っていることを理解できているようだ。

ただ、言葉は喋られないので頭を振るか触手で返事をしている。

 

デスアーミーの数をジョーカー殿に報告したついでに儂のクーロンガンダムをマスターガンダムに強化してもらい、試しに動かしてみるとクーロンガンダムの時と比べて性能差はすぐに分かった。

やはり長いこと使っているため劣化があり、儂の動きに付いてこられないときがあった。

しかしこのマスターガンダム、クーロンガンダムよりも遥かに動きが違いまるで儂の体と一体になったような感覚になって、明らかにこのマスターガンダムの性能がはるかに上だったのは明白だった。

 

儂はマスターガンダムと共にデビルガンダムの元へと戻り増殖するデスアーミーを見ていると儂の中で1つの考えに至り、儂はその答えに頭に電流が走る。

 

そのとき儂は大きな勘違いをしていたのに気づく。

 

ジョーカー殿は戦力増強の為にデスアーミーを増殖している。だが、ジョーカー殿は『デビルガンダムの戦力増強の為に増殖等を任せる』と言われた。

 

 

儂は自分の考えの至らなさに、その場で膝から崩れ落ちる。

なんて自分は愚かなんだろうか。

自分はただデスアーミーだけを増殖だけに専念してしまっていた。

 

ジョーカー殿が言いたかったのはデスアーミーだけではなく、更に強力な機体も増殖しろということを含めて言われたのではないかと。

 

既にデスアーミーは増殖で1000体いるが、今から他の機体も増殖すれば間に合うはず。

儂はデビルガンダムに相談するとデビルガンダムも了承してくれたので何を増殖するか決め、ジョーカー殿の命令を遂行するため行動を開始する。

 

 

 

 

 

ちなみに、この事を本人が知るのはまだまだ先のことである。

 

 

 

 

 

 



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第12.5話幕間 究極と悪魔の話

需要があるかわからないですけど折角なので作りました。


~デビル(アルティメット)ガンダム視点~

 

私には名前はない。

 

名前はないが形式ではアルティメットガンダムと呼ばれている。

カッシュ博士が私を作ったようだ。

 

私に乗るのはその息子のキョウジという男らしい。

だが、なにかが違う。

この男とは違う。

ここにいる人とは違う人が私に乗るような気がした。

何故かそう思う。

ずっと前から・・・。

 

ある日、カッシュ博士が機体の調整をしているとき格納庫に人間がたくさんやって来た。

 

カッシュ博士たちがたくさんの人間に銃とやらを突き付けられている。

 

たが、別にそんな事はどうでもよかった。

この人たちがどうなろうが知ったことではない。

 

私はただ、なにもせずじっと待っているだけだった。

 

そして、髪の長い男が何か叫んだとき私の機体の上に誰かが乗った。

 

カメラで見ると私はその人物を見て私の何かが反応した。

 

この方だ!

この方こそ私に乗る方なんだと。

ようやく私のマスターとなる人物が来たのだと。

私の何かが高揚し、この方に会えたということがなぜか不思議な気分になった。

 

だが多くの人間がマスターに向かって銃を向けてきた時、さっきの高揚とは別の何かが私の中で感じた。

そしてマスターを守るために頭部バルカンを発射体勢を取る。

 

マスターがコックピットに乗り込み、マスターはカッシュ博士たちを逃がしたら格納庫から出て宇宙へと出た。

 

 

宇宙に出て後マスターは何かを考えていたが、私はいま歓喜していた。何年も待ち望んだマスターがようやく私のコックピットにいるのだ。

私の知らないこの現象、この高揚とは良いものだ。

 

私はマスターの姿をコックピットで見続け、この方を守るために私はいるのだと。

私の人工知能の最優先リストに登録する。

 

マスターが行き先を決めたらしく、どうやらサイド7とやらに向かうようだ。

 

マスターがコックピット内でハードボイルド(?)とやらの服と仮面を着けて変装とやらをするようだ。

 

マスターの服装を見ているとコートの襟が歪んでいたのでコッソリと触手で直す。

マスターは気がついていなかったけど、マスターの服装がバッチリなので良しとする。

とってもかっこいいですよマスター。

 

私はサイド7の外で待機して、マスターが中に入るようだ。

確かに私の機体は他の機体より大柄なので潜入には向かない。なので待機状態にして待つ。

 

 

マスターの服についているUG細胞でマスターの居場所は特定できる。

なのでマスターの帰りを待つまでコロニーの外壁で待っていた。

 

マスターを待っている間にサイド7のネットワークの中に入り、情報を集めていた。

 

宇宙、地球、緑、世界情勢、戦争、感情、怒り、悲しみ、喜び・・・。

 

喜び・・・高度の快状態に関与した意識体験で,通常満足したことを表わす表情の表出や動作の発現を伴う状態のこと。

 

私がマスターと出会ったあの状態もこの"喜び"と言うものなのだろうか?

とても・・・良いものだ。

 

 

それから時間がたちが、マスターが乗っているだろう白い戦艦が出てきた。

サイド7のネットワークでマスターが戦艦に乗っているのは確認できた。

マスターが乗っている戦艦が攻撃されたいるので出ようと思ったが、マスターはあの戦艦で何か重要なことをしているのだろうか。

私はそう判断してマスターの邪魔にならないようにする。

それにいざとなったら戦艦が落ちる前に救出すれば問題ない。

 

 

戦闘が終わり、1機のザクがこちらに近寄ってきたので、ついでに吸収した。

吸収しているときにザクのパイロットが何か叫んでいたが気にしない。

中に乗っているものはどうでもよかったのだが彼の持つ情報はマスターの役に立つので貰っておく。

 

吸収したあの人物は、ジオン軍という軍隊に所属しており、彼らはマスターの乗っている白い戦艦を『木馬』と言うらしい。

他にもこの男の『記憶』とやらを見た。

出生、学校、軍の入隊、結婚、家族

彼の中にある役に立つ記憶だけ私のメモリーに記録しておこう。

 

それから木馬はサイド7から移動を開始したので私も木馬についていく。

もちろん、木馬の索敵に入らないように注意しながら進む。

 

途中で木馬はジオン軍の艦を二隻に攻撃を仕掛けるらしく、2体のMSが木馬から出撃してジオン軍の艦に攻撃したらジオン軍は早々に撤退していった。

 

さらについていくとルナツーと言う場所へと木馬は入っていき遅れて私もルナツーへと到着する。ハッキングして中の監視カメラを使ってマスターを見つける。

 

だが、マスターは独房という罪を犯した囚人が囚われる場所に入っていた。

マスターが罪を犯したとは思えない。

すぐさま、ルナツーの情報システムから独房のセキュリティにハッキングを開始したが先程から揺れがありレーダーを見ると先程のジオン軍が攻撃していた。だが特に問題はないので独房のセキュリティを解除する。

 

マスターはすぐにこちらがセキュリティを解除したことに気が付き扉を開ける。

私が扉を開けてくることをマスターは分かっていたのだろう。

さすが、私のマスターです。

 

マスターを乗せた木馬はルナツーでジオンの艦を撃退し、見事勝利してみせた。

 

それから2日が経ち、木馬は地球と呼ばれる場所へと向かった。

 

地球へと降下しる時にまたしてもジオン軍が攻撃を仕掛けてきた。

木馬のMSが木馬を援護しながらジオン軍に攻撃していた。

まだ、動きに荒っぽさがあるが、上手く攻撃を避けたりしている。

 

あの動きを念のためメモリーに保存しておいて自分の進化の役にはたって貰おう。

 

木馬が地球に降下したとき、マスターが私を呼んでいるのですぐマスターのもとへ向かいコックピットの中へと入れる。

そして、そのまま機体を地球へ向けて降下する。

だが、不覚にも何者かの攻撃により機体は損傷し、大気圏の中で再生と損傷を繰り返して地球へと降下した。

 

だが、損傷により地上に機体は不時着してしまった。

 

システムに少しだけ異常があるが、問題はない。

損傷箇所は今も修復中だが、動くことは困難だった。

 

センサーで周りを確認するとかなりの数の機体が周りを包囲していた。

隊長機と思われる機体がスピーカーを使ってマスターを呼ぶ。

機体は動けないのでマスターは外に出るしかなかった。

 

マスターは仮面を被りコックピットの外へと出るが、MSに攻撃された時、なんとか守ろうとするが機体が動けなかったがマスターは攻撃を避けなんとか無事のようだった。

 

だが、マスターの肩から血を流していた。

 

 

何かわからなかった。

 

 

マスターの血をみたら何か自分の中で何かが弾けとんだ。

 

この煮えたぎるこの反応はなんなのだろうか?

 

だが分かっているのは、これは"怒り"なのか

 

でもいまはそんな事はどうでもいい。

 

ああ、

 

マスターの・・・マスターの・・・マスターノ・・・、

 

マスターノチヲナガシタノハダレダァァァァァァァ!

 

 

システムからなにかが流れ込み目の前にいるものが全部破壊衝動に駆られる。

 

すぐに地下に触手を張り巡らして、ガンダムヘッドを出し辺り一帯にいたMSを倒していった。

空にいるものもいるので拡散メガ粒子砲で一掃する。

抵抗しようが無抵抗だろうが関係ない。

とにかく周りにいるのは全部敵!敵は倒す、敵は生かす必要はない!

 

ガンダムヘッドやメガ粒子砲を使って辺り一体を手当たり次第に壊す。

 

それから攻撃している内に敵がいなくなり、直ぐ様マスターが無事を確認に向かう。

 

マスターの体を触手で確認して無事だったので安堵する。

触手を伸ばすとマスターから制止され、初めて命令してもらう。

マスターの命令は絶対。

なので一字一句危機逃さないように録音する。

 

マスターからの3つの命令を受諾し、先程確認しようと思ったマスターの体に異常がないかを確認する。そしてついでにマスターの体にDG細胞とUG細胞をマスターの体内に流し込んでマスターがいつでも使えるようにした。

 

マスターならいずれ気が付いてくれるだろう。

 

 

それから移動を開始して何日かすると村を見つけた。

マスターはその村でしばらく世話になるようなので、私は森の土の中に潜り待機する。

 

ただ、待機している間マスターの様子をデスアーミーを蜂と呼ばれる小型の昆虫みたいに小さな状態にしたデスアービーに村の中を確認してもらう。

 

村の人数は200人程度。

その中にマスターの姿を確認した。

 

問題なく村の人に歓迎されていて、村の中でで過ごせるようだった。

子供?と呼ばれる人間と共に遊んでいるとき泥だらけになり、ティナと呼ばれる女性に仲良くやっていた。

今日も私はマスターの観察しながら土の中で待つ。

 

それから5日経ち、いつものようにマスターとティナが話をしているとき突然謎の機体が現れ、マスターの呼ぶ声に応え、土の中から出てマスターを迎える。

 

突然現れた謎の機体と対峙し、データで謎の機体を調べても該当がない兵器。

だが、マスターはこの機体の殲滅を目標にしている。

ガンダムヘッドやメガ粒子砲を使って殲滅し敵を排除した。

 

それから数十分。謎の機体を全機倒したので村へと帰還するが、後ろから一筋のビームが機体スレスレで横切り村へと直撃した。

 

モニターで確認すると村は全滅しており、中にはティナと呼ばれている少女の姿もあった。

マスターはその光景をみてマスターの血圧が上昇し操縦レバーを震わせながら突然咆哮のような叫びをあげた。

 

マスターは手当たり次第に謎の機体に攻撃するが、マスターの目から何かが流れている。

 

これは怒り?いやそれ以外の感情なのだろうか?

マスターのこの顔を見ているとなぜか嫌な気持ちになる。この気持ちは一体なんなのだろうか?

 

マスターは謎の機体を手当たり次第に蹂躙し、謎の機体を全て撃破したら村に向かいマスターはコックピットから降りてティナの元へ向かうとマスターは座り込んだらティナの手を握りただ時間が経っていくだけだった。

 

その時のマスターはただ目から何かが流していた。

 

これは"悲しみ"?

 

マスターは悲しんでいるのだろうか?

 

マスターの為に何かできないかと思案する。

そして思い付いたのは彼女を生体ユニットにするか再生することだった。

だがマスターはこの少女が活動停止で泣いているので、再生の選択を取る。

だが、

もうすでに生命活動が停止しており、再生できる可能性は低いががDG細胞で再生しようとすると・・・。

 

(・・・・・・。)

 

(これは?誰かの声?)

 

デビルガンダムの頭に誰かの声が聞こえる。

 

(・・・・・・。)

 

(いいのですか?マスターに会わなくて。)

 

(・・・・・・。)

 

(わかりました。ではあなたの体を利用させてもらいましょう。)

 

彼女の体はまだ利用できるのでせめてマスターの役に立てるように彼女を触手で巻き付けて生体ユニットへと変えた。

生体ユニットをつけたことで機体の性能が上昇し、このティナと言う少女の身体を通して思考と言うものが現れる。

 

人間は感情的な生き物なのだとことの時理解した。

マスターの目から流れていたのは涙。

悲しみの感情らしい。

マスターにはやはり泣き顔は似合わない。

あの顔を二度と作らないようにしなくては。

マスターの為に。

 

それからマスターは力を付ける為に軍団を作ろうとデスアーミーの生産を開始する

生体ユニットをつけたおかげで生産の効率が上がり、村人をゾンビ兵に変えて、デスアーミーの生産を開始した。

 

生産しているときマスターは村の土の上に石と花を置き手を合わせていた。

マスターは何をしているのだろうか?

 

データベースを検索すると該当するのは"墓参り"・・・死者を弔う墓を作り供え物に花や供物を置くもの。

墓の中には誰もいないのだが、なぜマスターは墓を作ったのだろうか?

 

 

それから、時間が経ちデスアーミーとゾンビ兵の数は増えていった。そしてマスターはこれからの方針を考えるため近くにある石の上に座っていた。

しかし、マスターの近くには先程から何者かが近くの茂みで見ていた。

敵対行動をしていないのでほっとく。

たまが、マスターはすでに気が付いているようで、茂みの中にいる人物が茂みから出てきて、マスターに攻撃を仕掛けたようと、マスターに近づくためデスアーミーにマスターを護衛するように命令する。

 

不幸なことにデスアーミーを生産中だとこの体を動かすことはできない。

 

さらに、マスターの護衛のデスアーミーはあっという間にやられてしまいすぐに次の護衛を向かわせようとしたが、マスターは相手の攻撃を軽々と避けていた。

マスターは武術にも心得があったので相手の攻撃は見えているのだろう。

 

敵が攻撃しようとしたときマスターは相手のことを東方不敗といった。

マスターの言葉を聞いた相手は動きを止めマスターと話を始めた。

 

それからマスターと会話した後、東方不敗は仲間になりデスアーミーの生産を任されるのであった。

 

そして一日が経ち、東方不敗はマスターに報告にいった後、何か考えていると突然膝から崩れなにか震えていた。

 

そして東方不敗は私に量産する機体をデスアーミーだけではなく他のも量産して最強の軍団を作る計画を聞かされ、東方不敗の言葉を理解した。

 

主の役に立つと考え東方不敗と共に量産する機体を考案する。

 

目的をさらに追加する。

それは、マスターを守れる最強の軍団を作ること。




デビルガンダムのお話の続きは未定(見たい人がいたら早めに作成するかも?)

そして皆様お待たせしました。
次回からようやく本編です。


~ついでのコーナー~

活動報告に機体アンケートあります。
あの機体が活躍するチャンス!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=151907&uid=162200



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スーパーロボット大戦Z
第13話 物語の始まり


お待たせしました。
本編です。

あのキャラを魅力的に書きました。


アーモリーワン

 

『ガンダムSEED DESTINY』の舞台

ザフトと呼ばれるの軍の拠点であるプラントの1つ。ここでは現在、ミネルバの進水式が行われる予定だ。

俺はフェンスからその光景を眺めていた。

 

さて、自分はなぜここにいるかというと東方不敗と3ヶ月くらいデスアーミーの量産やデビルガンダムの強化を優先にしていたが、東方不敗は現在は別行動をしていた。

 

 

~1週間前~

 

「日本に?」

 

「はい。ジョーカー殿はいま我々に何が必要だと思われますか?」

 

「必要なものは・・・。」

 

人間に必要なものは衣・食・住だ。

だが水や食糧は俺と東方不敗だけなのであまり必要ない。となると残りは・・・。

 

「拠点?」

 

「さよう。この廃村ではまともな設備もない上しかも大きな活動もしにくいので、辺境で人に見つかりにくい、設備も整っている場所となったら日本で探すのが一番です。」

 

なるほど、確かに拠点は必要だ。

 

だが、俺の考えは違った。

 

「日本もいいが今はまだ早い。」

 

「どういうことでしょうか?」

 

東方不敗は日本拠点にしてはいけないという理由が分かっていないので説明する。

 

「確かに日本なら色々な資源があり豊富だが、問題がある。」

 

「それは、一体?」

 

「あの国の防衛力が高い。地球防衛軍や様々な研究所があり、独自の技術が大量にある。」

 

「それなら、デビルガンダムの強化にふさわしいのでは?」

 

「戦力があまりないこの状況にか?」

 

「!!」

(ジョーカー殿はこちらの機体の数を把握されているのか!抜かりのない方だ。)

 

そう、デスアーミー(・・・・・・・)だけの状態で、日本で過ごすなんて地雷原のなかで寝転がっているような状態だ。

ちょっとしたことだけで日本にいる防衛部隊マジンガーやゲッターロボなどがこっちに攻撃してくるなんて無理だ。それに原作でもデビルガンダムは日本にいたせいでえらい目に合うことになる、

 

「だから拠点は宇宙だ。」

 

「宇宙・・・ですか?」

 

拠点を宇宙にした理由もちゃんとあるのでそれを東方不敗に説明する。

 

「地球だとその内発見されるが、宇宙という広大な場所に拠点を置けばそう簡単に発見されることはないはずだ。」

 

俺は目立たないように行動するなら宇宙でなら見つかりにくいと判断した。

なので東方不敗には宇宙へ行ってもらうことにする。

 

「分かりました。では宇宙での拠点探しは自分にお任せください。」

 

「わかった。あとは任せる。」

 

「はっ!それでご相談なのですがデスアーミーをいくつか「全部持っていっていいぞ。」・・・は?」

 

「だから、全部持っていっていいぞ。」

 

「で、ですが、それだとジョーカー殿の護衛が。」

 

東方不敗の心配はたしかにわかる。たが、その事については考えがあった。

 

「問題ない。それに俺も宇宙に向かうからな。」

 

「ジョーカー殿もですか?」

 

なぜ、俺も行くのかと東方不敗も疑問を抱いているので、理由も言う。

 

「地球にはすでにデスアーミーを派遣しているが、宇宙にはまだデスアーミーがいない。なので、デビルガンダムも宇宙に上げてデスアーミーを宇宙でも活動させる必要がある。」

 

「・・・わかりました。必ず、必ずやジョーカー殿に見合う拠点を探して参ります。」

(これほど聡明な方であるジョーカー殿の為に必ずや達成せねば。やはり儂の判断は間違えではなかった。これなら地球の再生はすぐだ。)

 

東方不敗は跪いていたが、顔は泣きそうな顔でしかも肩が震えていたけど、もしかして嫌だったのかな?

 

 

----------------------

 

 

というわけで、東方不敗とはデスアーミーは回収したザンジバルをDG細胞で、修復と強化をして宇宙へと上がった。東方不敗にデビルガンダムを預け(最初デビルガンダムは嫌がっていた?)一緒に拠点となる場所を探しに行った。

 

俺はDG細胞で作ったゲシュペンストに乗っている。

本当ならもっと強いのに乗りたいが、前にも言ったが目立つ行為は避けたい。

もし強い機体に乗っていけば、「なんだ、あの機体は!」等と、目立ってしまう。

その為、性能がよく目立たないのだとこのゲシュペンストなのだ。(ゲシュペンストも十分目立つような気がするが?)

 

 

リストの中から機体を選ぼうと見ていたら驚いたが、なぜその機体があったのかは分からない。

恐らくデスアーミーが回収したのだろう。

他にもガンダムやスパロボの名だたる機体があったがここで説明したら長くなりそうだ。

 

そして、ゲシュペンストで探索している途中そこで偶然、レーダーにアーモリーワンを見つけたので、潜入しました。

(これ、以前にもやったような?まあいいか。)

 

なので、偶然にも今日はミネルバの進水式なのです。

 

これがどういうことか分かるかな。

 

今日は襲撃の日じゃないか!

なぜ俺がいる日に限ってこんなハプニングが!

 

 

 

~10分後~

 

ふう~。

落ち着いた所でまずこの場所を離れないとな。

 

俺はフェンスから離れ、ゲシュペンストの元へ向かおうとすると、

 

ドシン!っと誰かとぶつかり、目の前にいた人は倒れそうになる。

 

「危ない!?」

俺は目の前の人物の手を握り、自分の胸に抱き止める。

どうにか、相手は倒れずに済む。

「君?大丈夫?」

 

「うん・・・。大丈夫。」

 

黄金の髪、赤紫の瞳、水色のヒラヒラとした服を着ているこの少女。

・・・うん、どう見てもあのステラ・ルーシェにしか見えない。

あれ?

というか、どうして君がここにいるのかな?

 

「こんな所に一人でどうしたんだ?」

 

「仲間・・・。スティングやアウルとはぐれた。」

 

どうやら迷子になっていたようです。

 

最初はどうしようと思ったが、このステラという子、物凄くおっとりしていて幼い子を相手しているかのようだった。

こんな見た目で実は地球連合の軍の強化人間なのだから普通にしていたら誰も気づくはずがない。

なのでここに置いていくと少し心配なので。

 

「迷子かい?それなら一緒に探そうか?」

 

「あなたは?」

 

「俺?俺の名前は橘隆司。隆司って呼んでいいよ。」

 

「リュウジ?私・・・、私はステラ。」

 

「ステラ。いい名前だね。」

 

ステラとは初めて会った会話をする。

そりゃ、初めて会った人が自分の名前を知っていたら不審に思われてしまうじゃないか。

まあ、この子はそんなの気にしないだろうけど。

 

「それじゃあ、スティングとアウルを探そうか。」

 

俺はステラとはぐれないように手を繋いで二人を探しに行った。なぜ手を繋ぐのかって?

もしまたはぐれたら大変なので。

べっ、別に邪な気持ちはないぞ。

本当だぞ!

 

というか!この子、無警戒すぎ!

知らない人についていったらダメだって言われなかった!?

だとしたら、俺が不審者じゃねーか!

一体どうしたらいいんだ!?(錯乱中)

 

 

 

 

・・・さて、落ち着いて。

今はステラがどこから来たか聞かないとな。

 

「ステラは二人とはどこではぐれたか分かる?」

 

「わからない。いつの間にか二人とはぐれた。」

 

たぶん、いつものように踊っていたら二人とはぐれたのだろう。

こりゃ、骨が折れそうだ。

 

俺とステラは適当に二人を探して歩いているうちに首飾りの売っている出店を見つけた。

 

ステラは気になったのか、出店の商品を眺めていた。

 

「綺麗・・・。」

 

ステラは首飾りが綺麗なのか見とれていていた。

俺はステラの横顔を見ていると、彼女が軍で人を殺しているなど誰も思わないだろう。

できれば彼女を戦争に行かせないようにしたいが、彼女のこれからの人生に俺が介入していいのだろうか?

そればかり、頭の中で疑問に出てくる。

俺が考えていると1つの首飾りを見つける。

 

「おじさん、この首飾り頂戴。」

 

「あいよ。」

 

俺は店主にお金を渡して水色の羽根の形をした首飾りをもらう。

 

「リュウジ?」

 

「はい、ステラ。この首飾りあげる。」

 

「いいの?」

 

「ステラに似合うと思って。」

 

俺はステラの首に首飾りを着けてあげて、ステラは嬉しそうににっこりと笑っていた。

 

「ステラ~!」

「おーい、ステラーどこだー!」

 

どうやらお迎えがきたみたいだ。

 

「あれが君の仲間かい?」

 

「うん。スティングとアウル」

 

「たくっ、探したぞ。」

 

「ほんと、毎回どこかに行くよねステラは。」

 

スティングとアウルがこちらにやって来て、ステラが無事なのを確認する。

スティングが俺の方に振り向き、

 

「うちのバカがご迷惑掛けました。」

 

「別にいいよ。いい気分転換になったし。」

 

「そうですか、では俺達はこれで。」

 

スティングたちが帰ろうとしたとき、ステラが駆け寄って来る。

 

「ステラ?どうしたんだ?」

 

「リュウジ。また、会える?」

 

また会えるか、

次は戦場でなのか、普通に会えるかわからないが、

 

「ああ、その首飾りがあればまた会えるさ。」

 

「うん。」

 

今度こそステラはスティング達と共に帰っていった。

恐らく彼らはこれからミネルバを襲い、MSを奪取するのだろう。そして、彼女の記憶から俺という存在は消されるだろう。

 

ステラにはあげた首飾り。

 

ラリマー・・・『安らぎと平和』の石。

 

あの首飾りのように彼女に安らぎ、そして羽を広げて自由があることを願いたい。

 

----------------------

 

~ステラ視点~

 

今日、ステラはスティングとアウルの三人でザフトの基地に来ていた。

 

ネオからザフトの新型のMSを取ってきてくれと言われた。

 

基地の近くにまで来たけど、ショーウィンドウに映った自分を見ているとなんだか踊りたくなった、周りを見ずに踊っていると気がついたら誰かとぶつかった。

けれど、相手が私を抱きとめてくれた。

 

「君?大丈夫?」 

 

黒髪に黒の目をしたこの人とぶつかったみたい。

 

「こんな所に一人でどうしたんだ?」

 

私はスティングとアウルからはぐれたことをこの男の人に言う。

 

「迷子かい?一緒に探そうか?」

 

「あなたは?」

 

「俺?俺の名前は橘隆司。隆司って呼んでいいよ。」

 

リュウジ・・・。

なんでだろう。

この人からは優しい感じがする。

手を繋いでいるときもとても安心する。

何でこんなに安心するんだろう?

 

それから、リュウジと二人でスティングとアウルを探していたら、お店に綺麗な首飾りが置いているのを見つけた。

とっても綺麗だった。

でも、ステラはお金を持ってないから買えない。

 

「おじさん、この首飾り頂戴。」

 

「あいよ。」

 

リュウジが並べられていた首飾りの1つを買う。

 

「はい、ステラ。この首飾りあげる。」

リュウジはお店にあった首飾りを私に渡してきた。

 

「いいの?」

 

「ステラに似合うと思って。」

 

リュウジは私の首に首飾りを着けてくれた。

水色の羽根を着けた首飾り。

とっても綺麗だった。

なんだか、とても嬉しくなった。

 

「ステラ~!」

「おーい、ステラーどこだー!」

 

この声はスティングとアウルかな?

 

二人は私を見つけてこっちにやって来た。

 

「たくっ、探したぞ。」

 

「ごめんなさい。」

 

それからスティングとリュウジが二人で話して、リュウジと別れることになった。

もう、リュウジとは会えないのかな?

別れると胸がこうきゅ~ってなる。なんでだろう?

なんだか少し悲しい気持ち?

私はリュウジの所に行き、また会えるか聞いてみた。

 

「リュウジ。また、会える?」

 

リュウジは少しだけ考えるが、すぐににっこりとした顔で答える。

 

「ああ、その首飾りがあればまた会えるさ。」

 

リュウジの答えを聞くとさっきまでの胸の締め付けが無くなりうれしい気持ちになった。

とても不思議な感じ。

 

 

また、いつか会えるといいな。




いかがでしたか?

ステラが可愛く書けていたらいいのですが、自分の文章力ではこの程度です。




~どうでもいい話(アニメでの当時の気持ち)~

作者「キラてめぇ!よくもあの子(ステラ)を殺してくれたな!」
キラ「それでも!守りたい世界があるんだ!(主人公を)」
作者「てめぇなんか怖かねぇ! ……野郎、ぶっ殺してやぁぁる!!!」
キラ「ふん!」(ハイマットフルバースト)
作者「ぐふぅ!」

続かない。


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第14話 怒れる瞳と黒の機体

お待たせしました。

本当だったらもう少し早く投稿できていたのですが、『スーパーロボット大戦Z』を知らない人のために書き溜めていたのをすべて変更して、知らない人でも読めるようにしました。(たぶん・・・。)

※ただし、この小説は二次創作なので原作とは物語が大きく異なります。


~主人公視点~

 

ミネルバがいる港から離れているプラントの外壁でゲシュペンストを待機状態にして、俺はゲシュペンストのコックピットの中で座って、ただ時間がたつのを待っていた。

 

 

ゲシュペンストのモニターで拡大してミネルバ付近を見ているとカガリとアスランがデュランダル議長と話しているのをモニターで確認でき、視点を変えて格納庫付近を移すと、ステラたちはすでに内通者と共に格納庫でMSの奪取に動いているみたいだ。

 

本当ならコロニー内にいるのは危険だったが、あの子・・・ステラを見ていたとき、あんなにも無邪気に見えるあの子が強化人間でさらに彼女が死ぬ未来を知っているので、俺は何もしないままで良いのかとずっと考えていた。

それに彼女の家族とも言えるスティングやアウルだって戦争で死ぬことになる。

手を出したら、未来が変わる事だって知っている。

だが、何もしないでただじっとして人が死んでいくのを黙って見ているなんて俺にはできない。

だから、せめてできることはしよう。

 

ここは俺がいる現実の世界。俺の生きている世界なんだ。

それに俺はティナのように死ぬ光景を見るのは二度とごめんだ。

神やチート?それがどうした。俺はやることをやってやる。

 

それにしても、さっきまでとは大違いだな。

関わるのはごめんだと思っていたが、今では真逆なのだから。

まさか女の子一人でここまで変わるとは俺もチョロいのかな。

 

だから、せめてステラがシンとくっつくようにしないとな。

 

俺がモニターを見つめながらそう考えていると、突然眩い光が基地一帯を包み、ザフトの基地内に3機のMSが現れる。

 

「あれは・・・、バルゴラか。となると中にはセツコさんたちがいるのか。」

 

『スーパーロボット大戦Z』の主人公の一人セツコ・オハラ

 

「だとしたら、この世界は『スーパーロボット大戦Z』の世界になるのか。」

 

以前からこの世界がスーパーロボット大戦なのはわかっていた。

だがどのシリーズなのかは不明だったがこれでようやく『Z』の世界だと確信した。

 

基地内に謎の機体が現れたのでザフトの基地内からサイレンが鳴り響く。

 

ザフトのザクは3機のバルゴラに攻撃を開始して、バルゴラはうまいことコックピットを狙わずに戦闘不能にする。

そのうちのザク1体が基地の近くに倒れ基地の一部が爆発し倒壊する。そこにはオーブのカガリとアスランがいるのが確認でき二人はザクに搭乗するようだ。

その後、別の場所でスティング達の乗るガンダムタイプが現れる。

アスランの乗るザクウォーリアがアビスやカオスと戦闘になるが、ここでシンの乗る小型戦闘機コアスプレンダーが援護に入り、カオスの背中に攻撃を食らわせる。

 

コアスプレンダーはそのまま上空へと上がり、ソードインパルスガンダムへと合体する。

セツコ達とシン、アスランたちが手を組み、スティング達に向き攻撃体制を取る。

 

3機のガンダムの内アビスがセツコの乗る機体に攻撃が仕掛け、危ないと思い俺はゲシュペンストの待機状態を解除して、すぐさまゲシュペンストを動かす。

 

アウルの乗るアビスがセツコの機体に攻撃を仕掛ける時に、咄嗟に空中でガトリングガンで攻撃する。

 

うまいことアビスの槍に偶然当たりアビスは体勢を崩す。

 

(ラッキー!偶然だけど当たった。)

 

しかし、ゲシュペンストは減速できずそのままアビスに向ってものすごい勢いで突進する。

 

(やばいやばい!止まらないぞ。このままじゃぶつかる!)

 

俺は咄嗟に目を瞑ってしまい、その時スロットルを思いっきり踏み脚部のブースターを全開で噴かす。

 

衝撃が伝わってきて目を開けると何とかゲシュペンストは両足で着地できていて無事だった。

ただ、アビスはどうやら避けた際にこけて転倒したようだ。しかも頭の一部は破損しているので、恐らくこけた際に破損したのだろう。

 

「ふ~、何とかなったみたいだな。」

 

俺は倒れているセツコさんの機体に手を貸して機体を起こすのを手伝う。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、あなたは?」

 

セツコさんが質問してきたとき他の2機のガンダムがこちらに向き、倒れていたアビスが立ち上がる。

 

セツコさんは危ないので下がってもらった。

 

「さてそれじゃあ、ステラたちを助けながらシンたちも援護しないとな。」

 

3機のガンダムが周りに警戒しながら、こちらに攻撃態勢を取る。

最初に仕掛けてきたのはスティングの乗るカオスガンダムがビームライフルを撃ち、俺はビームを避け、ガイアが避けているときにビームサーベルで攻撃してきて、すぐさま背中のブースターを噴かして上昇するが、空中にいるときにアビスがこちらに飛んできて槍をこちらに振り向ける。

 

すぐさま、左腕に装備してあるグラン・プラズマカッターを右手に持ちアビスの攻撃を防ぎ、止まったアビスの腕を掴みカオスに向けて振り落とす。

アビスとカオスはぶつかり合って転倒、その光景を見ているだろうガイアの隙を突いて上からガイアに向ってガトリングガンで攻撃する。

 

3機はゲシュペンストの攻撃を食らって所々が壊れていた。

 

3機のガンダムはすぐに立ち上がり、すぐさまその場を離脱した。

 

シンのインパルスが追いかけようとしたが一人で宇宙に行くのは危険なので俺はシンを止める。

 

シンがなにか言うかと思ったがどうやら、向こうも無闇に追いかけるつもりはないらしい。

 

その後、プラントが攻撃され全機体がミネルバに向かったので自分もついていった。

 

どうにか、物語の序盤はなんとかなりそうだな。

 

あっ、それと後で気がついたがいつの間にかこっちの通信のマイクをオフにしていたみたいです。

まあ、別に問題はないと思う。

 

----------------------

 

私の名前はセツコ・オハラ少尉。

 

地球連邦軍の戦技研究班グローリー・スターに所属するパイロットです。

 

月でエゥーゴとの戦闘中に謎の光に包まれて気が付いたらコロニー内にいた。

 

「チーフ!モビルスーツが出てきたぜ。」

 

同じ所属のトビー中尉がバルゴラ2号機から警告する。

 

正面を向きMSを見る。

あれはザク?どうしてこんな所にザクが?

私たちは月でエゥーゴと戦っていたのに。

 

「知るかよ!大方、戦闘中に気絶しちまったところをエゥーゴに拉致られたんだろう。」

 

「状況がわからん以上、下手に仕掛けるのは危険だ。ここは俺がコンタクトを取る」

 

チーフのデンゼル大尉はザクに対してオープンチャンネルの通信をとる。

 

「こちらは地球連邦軍月面駐留軍戦技研究班所属、デンゼル・ハマー大尉だ。

現在、この地にいる件については、当方も状況不明の状態にある。至急説明を願う。」

 

チーフは向こうのMSの返答を待つが、突然が様々な所で爆発が起きる。

 

「一体、何が?」

 

「不味いぜ、この展開。」

 

私は突然の爆発に戸惑い、中尉はこの状況を良く思っていなかった。

向こうのザクがこちらに攻撃姿勢をとり、こちらに銃口を向けてきた。

 

「やむを得ん・・・!向こうが仕掛けてくるなら、我々はバルゴラを守らねばならん。

それに、この状況では下手に説明しても、ますます疑われるだけだ。」

 

「だろうな。状況はこっちのほうが不利だ!」

 

「応戦するぞ、トビー!お前は少尉のフォローに回れ!」

 

「了解」

 

「だが、俺達の目的は状況を把握する事だ!少尉、コックピットは狙うなよ!」

 

「りょ、了解です!」

 

 

ザクがこちらに攻撃を仕掛けてきて、私はバルゴラを動かして避ける。

隙ができたザクにバルゴラの近接戦闘武器「ジャック・カーバー」を使って敵の頭を潰し敵を撃破する。

 

どうやらチーフや中尉もザクを倒せたようだ。

だが、倒したザクが工場近くへと落ち、基地が爆発する。

 

 

「片付いたか。」

 

敵がいなくなり全員無事なことをデンゼルが確認する。

 

「そういや、工場の爆発の方はどうなったんだ・・・?」

 

先程あった爆発にトビーは気になっていた。

もし、まだ中に人がいたら相当な被害のはずだろうと。

 

デンゼルとトビーが話しているときセツコのバルゴラのレーダーに新たな機影を確認し2人に注意を促す。

 

「チーフ、トビー中尉!新たな機体です。」

 

レーダーで表示されている方向を見るとそこには3機のガンダムが起動していた。

 

「また、見たことの無いモビルスーツだ!ガンダムタイプか!?」

 

「確かに頭部の意匠は似ていますが・・・。」

 

ガンダム、かつて宇宙世紀の一年戦争で『白い悪魔』と言われたアムロ・レイが使用していたと思われる機体。

細部の形は違うが頭部はガンダムタイプに似ている機体が目の前にいた。

 

「おいおい!どうなってだ!?俺たちの知らないザクとガンダムがいるこのコロニーは何なんだよ!?」

 

知らない場所に知らないMS。訳の分からない事にトビーは混乱していた。

 

 

 

 

「よし、こっちはいける。そっちの調子はどうだ、アウル?」

 

スティングはザフトから強奪した機体のチェックをして問題が無いことを確認して仲間のアウルに確認する。

 

「悪くないね。さすがザフトの新鋭機ってところだよ。」

 

「ステラもいけるな。よし・・・まずは周辺施設を潰すぞ。」

 

全員のMSに問題は無いので、ザフトの基地に対して攻撃を開始する。

 

 

ガンダムが現れたと思ったら突然基地の破壊を始めた。

その光景をトビー中尉は、

 

「あのガンダム、施設を破壊してるぜ!」

 

「い、今、通信を傍受しました!どうやら、あの3機のガンダムは何者かに強奪された模様です!」

 

「ちょっと待てよ!このタイミングじゃ、俺達、盗みの手伝いしたみたいじゃねえか!」

 

そう、あまりにもタイミングが悪かった。もし強奪が無ければまだ話し合えたかもしれないのに。

だが目の前ではその強奪された機体が施設を破壊していた。

 

「これで、あのザクの部隊が俺達に仕掛けてきた理由が分かった・・・。連中俺達を強盗一味と判断したか・・・!」

 

----------------------

 

セツコ達がガンダムの行動を見ているとき、別の場所では1機のザクを起動している者がいた。

幸いにもザクは倒れていて、コックピットには容易に入れた。

 

「やれるのか、お前・・・!?」

 

「あのままでは死ぬのを待つだけだ。」

 

アスランはカガリを抱いてザクのコックピットへと入りザクを起動する。

新しくなっているがザフトの機体のシステムや操縦の仕方は変わらない。

アスランはザクを立たせてガンダムに向かってきて対峙する。

 

「だけど、ザフトの部隊はやられて1対6なんだぞ!」

 

「こんな所で君を死なせるわけにいくか!」

 

数では確かに圧倒的に不利だが、ここのただじっとしていてもカガリを死なせてしまうだけだった。

だがそれでは護衛として失格だ。キラにも約束した必ず守ると。

 

「アスラン・・・。」

 

アスランは3機のガンダムを見て、かつて自分がしていたことを思い出す。

以前は自分たちザフトが奪い、今度は連合がMSを奪う。

 

「また、戦争がしたいのかお前達は!」

 

----------------------

 

1機のザクの出現はスティング達からも確認されていた。

 

「どうする、スティング?1機出てきたぜ。」

 

「たった1機だ、仕留めるぞ!」

 

3機のガンダムはザクに向って仕掛けようとする。

 

「来た!」

 

「つかまっていろ、カガリ!」

 

スティングの乗るアビスが先行し一番にビームを放つ。

しかし、アスランのザクは見事に攻撃を避け回避する。

 

「かわしたって!?まぐれに決まっている!!」

 

アビスが再び攻撃をするがこれもザクは回避する。

だが、このザクはコーディネーター用に設計されている上、シートに座っておらずさらに怪我をしているカガリにはかなりの負担がある。

 

「くっ、」

 

「・・・このままでは、弾に当たらなくてもカガリが持たない!」

 

カガリを心配しザクの動きを止めてしまい隙ができ、それをスティングは見逃さなかった。

 

「これならどうだ!」

 

スティングの乗るカオスは脚部に装備されているビーム・クロウで攻撃する。

 

「うわあっ!」

 

「くっ!つかまったか!」

 

「もらった!」

 

「スティング!何か来る!」

 

ザクに止めを刺そうとしたとき、アウルが何か接近していることを伝えるが、カオスの背中に小型戦闘機が接近し攻撃される。

 

「何!?」

 

「今だ!」

 

小型戦闘機の攻撃によりスティングは小型戦闘機に気を取られてしまったので隙ができ、アスランはすぐさまカオスから離れる。

 

デンゼル大尉は攻撃した小型戦闘機をモニターで確認する。

 

「あの小型戦闘機、ザクの援軍か!?」

 

「チーフ!さらに来ます!」

 

小型戦闘機の攻撃にデンゼルは味方なのかを確認しようとするが、さらに後方から別の戦闘機が来るのをセツコが確認する。

 

小型戦闘機がさらに3機通り過ぎ、さっきの小型戦闘機と共に飛行していると突然合体をはじめ地上に降り立つとそこには赤いガンダムの姿が1機あった。

 

「合体してモビルスーツになった・・・!?」

 

アスランは援護してくれたであろう小型戦闘機が空中で合体してガンダムになったことに驚きが隠せなかった。

 

 

「何でこんな事・・・。また戦争がしたいのか、あんた達は!?」

 

平和で戦争が無くなった世界。

しかし今日、その平和は3機のガンダムの強奪で砕けた。

シンはまた戦争になることに憤りを感じた。

 

 

シンと3機のガンダムが対峙している時、バルゴラに乗っている3人は通信でやり取りしていた。

 

「どうする、チーフ!?どさくさに紛れて、俺達も逃げるか!?」

 

「で、でも、状況がわからないのにどこへ!?」

 

トビー中尉が逃げることを提案するが全く知らない場所な為、セツコは戸惑っていた。

 

「ここは下手に抵抗するよりは、俺達の身の潔白を立てる方が得策かも知れん・・・。」

 

「では!?」

 

「俺達は奪われた3機のガンダムを押さえるぞ。」

 

デンゼルの下した命令はザクたちの味方になり、3機のガンダムを取り押さえることだった。

 

「本気かチーフ!?いきなり寝返りかよ!」

 

この命令にトビー中尉は驚きを隠せない、

無理もない。突然見知らぬ土地に聞いたことのない軍。

ただでさえ状況がわからない状態なのに敵対していた組織と手を組むのだ。

驚くのも無理もない事だ。

 

「下手に脱出しようとすればさらに状況が悪化するだけだ。ここはまず身の証を立てるぞ。」

 

デンゼルはすぐさまシンの乗るガンダムに通信を送る。

 

「通信?あのアンノウンから?」

 

シンは通信を取り、デンゼルとの通信をつなげる。

 

「再度交信を求む!こちらに敵対の意思はない!先程の戦闘はあくまで自衛のためだ!」

 

「勝手な事を!アーモリーワンに潜入しておいて、何を言うんだ!」

 

「ザフトのパイロット、今は口論している時間は無いぞ」

 

デンゼルの言葉に突っかかろうとしているシンにアスランは通信に割り込む。

 

「あんた・・・ザフトじゃないのか・・・!?」

 

「俺はオーブの人間だ。非常事態としてこの機体を借りている。今は奪われたモビルスーツの奪還を優先するんだ。」

 

「あの得体の知れない連中を信用しろっていうのか!?」

 

シンがアスランにも突っかかるとミネルバの艦長タリア・グラディスから通信が入る。

 

「シン、聞こえる?今は彼のいうとおり奪われたカオス、アビス、ガイアの奪還を優先しなさい。」

 

「グラディス艦長・・・。」

 

「こちらは他に回せる機体がないわ。今はあのアンノウンの言うことを信じるしかないわ。」

 

「しかし!」

 

「これは命令です。直ちにカオス、アビス、ガイアを追い、これを奪還しなさい。」

 

「・・・了解です。」

 

シンはタリアの命令に渋々だが従うことにした。

 

 

----------------------

 

 

「どうする、スティング。あの3機のアンノウン、手を組んだようだぜ。」

 

「ちっ・・・!何なんだよ!あいつらは!俺達のアシストに来たんじゃないのか・・・!アウル、ステラ!こうなりゃ奴らを蹴散らして離脱だ!」

 

「了解!最後までスリル満点だね!」

 

「・・・・。」

 

スウティングとアウルが喋る中、ステラは首に掛けられた首飾りを撫でてある人物を思い出す。

 

「リュウジ・・・。」

 

彼は今どこにいるのだろう。

だが今は戦場。ステラは首飾りを撫でた後、手をレバーに戻し視線を戦場へと戻す。

その瞳は少女の瞳ではなく狩る者の瞳へと変わっていた。

 

 

----------------------

 

 

タリアの命令はデンゼルたちも聞いていた。

 

「聞いたなどうやら向こうの指揮官は俺達を信用してくれたようだ。俺達も剣のガンダムをフォローして、向こうの3機のガンダムを押さえるぞ!」

 

「「了解!」」

 

グローリー・スターは3機のガンダムに攻撃を開始する。

 

5対3と数では不利だが、スティング達の操縦技術でカバーする。

 

セツコの乗るバルゴラが、カオスに近接攻撃を仕掛けるが避けられる。

 

カオスが上空へと飛びビームを地面に向かって撃つ。

放たれたビームは地面に当たり粉塵で周囲が見えなくなりモニターでは敵の位置を確認することはできない。

 

「しまった、早くこの場所から逃げないと!」

 

こんな中にいては格好の的であると判断したセツコはバルゴラを粉塵の影響がない場所へと移動しようとするが、粉塵のせいでアビスが後ろから迫っており、アビスの攻撃に気付かなかったセツコはもろに攻撃を受けてしまい粉塵の外へと飛ばされる。

 

セツコのバルゴラは攻撃された時にできた隙をアウルは見逃さずにバルゴラの腹部に追撃で槍で止めを刺そうとする。

 

「少尉!危ない!?」

 

デンゼルがセツコに注意を促すがセツコは避け切れずアビスの攻撃で地面に倒れる。

 

「きゃああああ!?」

 

地面に倒れたバルゴラにアビスは槍を振りかざした状態にして相手のパイロットに最後の言葉を掛ける。

 

「さようなら、どっかの誰かさん!」

 

アビスの槍がセツコの機体に振りかざそうとした時、槍にガトリングガンの弾が当たる。

 

「なんだ!」

 

攻撃のされた方向を見ると1機の黒いMSがこちらに向ってきた。

 

「あの機体こっちに来る!ダメだ避け切れない!」

 

アウルはアビスを避けさせようとするがさっきの攻撃の反動と向こうの機体の速さで避けることができない。

だが、途中で黒の機体は空中でブースターを噴かして強力な回転蹴りをアビスに食らわせる。

 

「うわああああ!?」

 

猛スピードな上、回し蹴りでさらに加速したことにより攻撃が格段に上がり、蹴りが強力だったのでアビスは大きくぶっ飛んでしまう。

ぶつかった衝撃によりアウルはコックピット内で大きく弾ける。

 

黒のMSはアビスに攻撃した後、バルゴラに視線を向ける。

 

「大丈夫か?」

 

黒の機体がこちらに手を差し伸べる。

セツコは黒いMSの手を取り体勢を立て直す。

 

「あっ、あなたは?」

 

セツコは黒いMSに何者かと問う。

 

「・・・どうやら向こうは待ってくれないようだな。」

 

黒のMSのパイロットに誰なのか問おうとしたが、

3機のガンダムはこちらに攻撃の姿勢をとっていた。

 

「下がっていろ。ここは俺が相手する。」

 

「そんな、一人じゃ危険です!」

 

黒いMSは3機のガンダムに挑もうとしている。セツコは黒のMSのパイロットを止めるが、こちらのことは無視して、しかも3機のガンダムの内の緑のガンダムが仕掛けてくる。

緑のガンダムは黒いMSに対してビームライフルで攻撃する。

 

黒いMSは緑のガンダムのビームを避けると黒いガンダムのがビームサーベルを振り上げて黒いMSに追い討ちを掛けられる。

しかし咄嗟の判断で黒いMSはブースターを噴かして上空へ上がり黒いガンダムの追撃から逃げる。

 

だが、さらに青のガンダムが攻撃するときもうだめだと思ったが、黒いMSはビームサーベルで防ぎ、動きが止まったところを掴んで緑のガンダムへとぶつけ、黒いガンダムにガトリングガンを当てる。

 

3機のガンダムは攻撃された箇所がボロボロになり、黒いMSは無傷で立っていた。

 

あまりに一瞬だったので最初はなにが起こったのか分からなかった。

あのMSのパイロットは3機のガンダムを相手しながら、無傷だったのだ。

 

黒の機体、赤に光るバイザー。助けてくれた人に失礼かもしれないが、私はその姿に恐怖した。

今度は私達がやられるのではないかと。

思わず操縦桿を握りしめる。

 

そして、3機のガンダムは起き上がり、分が悪くなったのかすぐさま撤退していった。

 

「おい、待て!」

 

剣のガンダムが追いかけようとするが、黒いMSが剣のガンダムの前に出て手を出して制止するよう止められる。

 

「おい、あんたどういうつもりだ!」

 

「・・・・。」

 

黒の黒いMSのパイロットはなにも答えない。

その時、別の通信が入る。

 

『シン。いまはそのMSが正しいわ。』

 

「ですが、グラディス艦長!」

 

『仮に追いかけても外には戦艦がいるかもしれないわ。それに、インパルス1機で行ったところエネルギーがなくなるわよ。』

 

「くっ、了解。」

 

剣のガンダムは追いかけるのをやめて、黒いMSも手を降ろす。

あの黒いMSはこれを見越してあのガンダムを止めたのかしら。

 

黒いMSのパイロットについて考えていると、突然コロニーが揺れ始めた。

 

「なっ、なに!?」

 

『全機、今すぐミネルバに乗りなさい。』

 

先程の通信してきたグラディス艦長が通信してきた。

 

「グラディス艦長これはいったい?」

 

『外からの敵戦艦の砲撃よ。』

 

『アンノウン。それと、そこの黒のモビルスーツもね。』

 

「了解した。貴官の命令に従おう。」

 

「・・・。」

 

デンゼルはグラディスの命令に従い、黒のモビルスーツは返答はなかったが一緒にグラディス艦長の命令に従い、全機体がミネルバへと向かった。



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第15話 二つの世界

ゲシュペンスト「我が世の春が来た!」
デビルガンダム「・・・。」
主人公(デビルガンダムの目が恐ろしいほど冷たい)ガタガタガタガタ


~主人公視点~

 

ザフトの新鋭艦ミネルバの格納庫に入り、3機のガンダムを追うためにミネルバはプラントの外へと発進した。

 

3機のガンダムを捜索している間、ゲシュペンストのコックピットから外に出ると、レイを筆頭にザフトの皆さんに銃を向けられました。

 

ルナマリアは恐らくアスランのもとに行き、レイがこっちに来たのだろう。

 

「どうやら、ザフトのものではないようだな。」

 

「君は?」

 

 

いちおう味方として介入したけど向こうが俺をどう思っているが分からないので、とりあえず俺は知らない振りをしてこの場を乗り切ろうと思う。

 

 

「おっとその前に俺の名前だな。俺は橘隆司、気軽に隆司って呼んで。」

 

「・・・私はレイ・ザ・バレル」

 

「それじゃあ、レイと呼んでいいかな?」

 

「好きにするといい。では、隆司。これから尋問させてもらうが構わないな。」

 

「ああ、もちろん構わない。」

 

 

その後、格納庫から部屋へと移され、俺とセツコさんたちは,そこで副艦長のアーサーさんに尋問されれることになった。

 

 

「・・・では貴官らは地球連合とは無関係だと?」

 

「それについてはすでに述べた通り、我々は地球連邦月面駐留軍の所属だ。」

 

「だから、その『地球連邦』という組織はなんだ?そんな政体が誕生したなんて聞いてないぞ。」

 

「おいおい、あんた地球圏に住んどいて、連邦を知らないのか?」

 

デンゼルさんとアーサーさんが話している。

住んでいる世界が違うので話が全然進まず停滞していた。俺は原作の事を知っているからついてこれるがデンゼル大尉たちにはなんの話をしているのかわからない状態だった。

 

「・・・貴官らは・・・『ナチュラル』か?」

 

「天然だと!?あんた俺を馬鹿にしているのか!?」

 

「あの中尉。たぶんこの場合、別の意味があるようですが。」

 

アーサーさんの人種の問いにトビーさんは天然かと勘違いしてセツコさんがつっこみ(?)をいれてた。

 

「そちらの発言の意図が理解出来かねる。説明を要求する。」

 

「『ナチュラル』の意味が分からない!?では『コーディネイター』は!?」

 

「何だ、そりゃ?調停役か代理人か、何かか?」

 

「ど、どうなっている!?ナチュラルもコーディネイターも知らないなんて、いったい何者なんだ!?」

 

「聞きたいのは、こちらのほうだ。」

 

会話がいまいち噛み合わず、地球連邦を知らないアーサーにトビーが

突っ掛かる。そもそも、世界が違うので知らないのも無理ないが、今それを知っているのはたぶん俺だけだろう。

 

 

「では君も連邦の関係なのか?」

 

あ、ようやく俺に話が回ってきたな。

 

「いえ、俺はただの傭兵ですよ。」

 

「傭兵?なぜザフトに傭兵が?」

 

「ザフト・・・。というのは俺もわかりませんが、傭兵で生きてきました。」

 

「ということは貴官も地球連邦の者か?」

 

「ええ。」

 

全くの嘘だが。

ここでは、地球連邦の情報を調べることはほぼ不可能だ。それに、セツコさんたちも傭兵についてのほとんど情報はないはず、そもそも傭兵なんてそこらじゅうでゴロゴロしているはずと独断で俺は考える。

なので俺が傭兵について疑うはずがない。

 

「にわかに信じがたいが今こうして聞く限り嘘と断定もできないな。」

 

アーサーさんは信じがたい気持ちのようだが目の前の俺たちは紛れもなく異世界の住人と思ってくれているはず。

 

そんな中、グラディス艦長から通信が入る。

 

『アーサー聞こえる?一度ブリッジに戻って。』

 

「しかし艦長、いまはまだ尋問が!」

 

『いまは投降した彼らより、逃げるボギーワンよ。初陣のミネルバを切り盛りするにはブリッジには一人の欠員も許されないわ。』

 

「了解です。尋問を中断し直ちに向かいます。」

 

グラディス艦長が通信を切り、アーサーさんがこちらに向き直る。

 

「え~、おほん。デンゼル大尉・・・残念ながらこの尋問から有益な情報収集ができたとは言い難い結果となった。」

 

「済まない。こちらも協力する気はあるのだがどうにも状況を把握できないでいる。」

 

「しかし、貴官らが危険人物ではないと私は判断する。」

 

「了解した。投降した以上、騒ぎを起こす気は無い。」

 

「そうしてくれると助かる。」

 

デンゼル大尉たちとアーサーさんが会話した後、アーサーさんは部屋を出てブリッジへと戻った。

 

 

それから、部屋の中で過ごしていてデンゼル大尉たちと会話をした。

時々船が揺れたりしてちょっと落ち着きがなかったが戦闘中なら仕方がない。

 

「どうやら君も我々と同じ別の世界からの住人みたいだな。」

 

「ええ、ちなみにあなた達は地球連邦の人なのですか?」

 

「そうだ。先程述べた通り私は地球連邦月面駐留軍の所属のデンゼル大尉だ。そしてこっちにいる二人はトビー中尉、セツコ少尉だ。」

 

「よろしく、自分は傭兵の橘隆司です。」

 

「隆司?それはファミリーネームなのか?」

 

「ああ、違いますよ。俺の出身は日本で名前が前と後ろ逆だから橘がファミリーネームです。でも気軽に隆司って呼んでください。」

 

「了解した。」

 

 

デンゼル大尉と挨拶を交わして現状の把握と知っている情報の交換をした。

もちろん、この世界のことは知らない振りをしている。

それから何十分か時間が経ち、艦は戦闘しているのか艦は揺れていた。

 

「さっきより揺れが増してきたな。」

 

「おいおい、この艦は大丈夫なんだろうな。」

 

「中尉、少尉がいま外のモニターを付けているのだ。少し落ち着け。」

 

「モニター付きました。」

 

先程から艦内は大きな揺れを繰り返していて、外では戦闘していると俺は予想していると、セツコさんが部屋の中にあるモニターで外が見れることを教えてくれる。

 

「おいおい、外で戦っているのティターンズじゃねぇか。」

 

「そして、あの白い戦艦・・・エゥーゴか!」

 

モニターに移っていたのは外で戦闘している。ティターンズとエゥーゴだった。

しかも、あの白い戦艦・・・アーガマか、ブライトさんもあそこに乗っているのか。

だとすると、みんな原作どおりに1年戦争を生き残ったみたいだな。

 

「チクショウ、こんな艦のなかでお陀仏なんてごめんだぜ。」

 

トビー中尉が文句を言っているときに俺は扉にもたれ掛かると、突然ドアが開き危うくこけそうになる。

もし重力があったら俺、今頃かっこ悪く地面に倒れていただろう。

 

「おおリュウジ!扉が開いたのか!?」

 

「えっ?ええ、いま扉が開いたみたいです。」

 

「チーフどうしますか?」

 

「ここにとどまるのは危険だ。外に出れば状況がわかるかも知れん。行くぞ!」

 

「了解!アーサーには悪いがこんな所でヒザ抱えてお祈りしているのは性に合わねぇしな!」

 

「よし・・・では、自由と真実へ脱走する。」

 

デンゼル大尉とトビー中尉は扉の外へ出て、俺たちも後に付いて行く。

 

「あっ、あの。」

 

部屋を出るときセツコさんが俺に声を掛ける。

 

「ん?どうかしましたかセツコさん?」

 

部屋で待っている間、セツコさんが話しかけてきました。ただセツコさんは少しオドオドした感じでした。

 

「あっ、あの先程はありがとうございました。」

 

「えっ?」

 

セツコさんにお礼を言われたが何のお礼の事か分からなかった。

 

「先程の戦闘であなてに助けてもらいました。」

 

ああ!さっきの戦闘で転けていたのを起こしてあげたことか。

 

「いいですよ、別にお礼なんて。」

 

「そんな、私がドジを踏んだせいであなたにご迷惑を。」

 

ああ、やっぱり現実でもこの人はネガティブでした。

今にも泣きそうな顔をしている。

よしここはおれが和ませないとな。

 

「隆司。」

 

「えっ?」

 

「俺の名前は橘隆司。気軽に隆司って呼んでください。」

 

 

あら?セツコさんキョトンとした顔をしているけど、もしかして俺、滑った?

やっぱり一発ネタをしてから呼び捨てしてと言えばよかったかな。

 

「・・・はいっ!隆司さん。」

 

セツコさんはすぐに笑顔になり、いい声で返事してくれた。

よかった。

どうやらいい感じになってくれたみたいだな。

 

「でしたら、私のこともセツコと気軽に呼んでください。」

 

「了解!よろしくセツコ。」

 

セツコと名前を呼んだのはいいが、セツコの顔がちょっと赤いけど気のせいか。

まあ、彼女は控えめな性格だから恥ずかしいのかな?

 

それから4人で格納庫へと向かい

セツコと共に出撃して、敵の撃破に向かう。

 

そういえば、何か忘れているような気がしたが?まあいいか。

 

 

 

 

4機共に出撃し、戦場へと出る。

そこでは、ティターンズとエゥーゴが睨み合いをしていた。

 

デンゼル大尉とティターンズのジャマイカンは通信で話していたが、こちらの話を聞いてくれずこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

「駄目だ、チーフ!ティターンズの連中、ハナっからこっちの話を聞く気がねえ」

 

「・・・。」

 

「くそっ、相手がティターンズだろうとやるしかねえ!」

 

「待て、トビー!」

 

トビーがティターンズに攻撃しようとするところをデンゼルが止める。

 

「チーフ!あいつら、俺たちを撃ったんだぞ!軍人だからエゥーゴの味方は出来ねえって言うのかよ!?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「じゃあ、どうするんですか!」

 

「いや、俺たちは投降した身だ。・・・ここは、あのミネルバに味方するぞ!」

 

「了解でございます。チーフ!トビー・ワトソン中尉、ミネルバの捕虜として自衛のために戦います。」

 

「後々の面倒は俺が引き受ける!だがコックピットは狙うなよ!」

 

「了解!」

 

デンゼル大尉たちはミネルバの護衛に回り、ティターンズの敵になる。

あっ、もちろん俺もミネルバの護衛です。

俺はまずティターンズのザクにガトリングガンをお見舞いする。

見事命中しザクは爆発四散する。

 

すぐさま、ゲシュペンストで敵に向っていき、ティターンズの機体にプラズマカッターで縦に一直線で切り捨て、後ろに飛んできた別のザクにすぐさま後ろを向いてガトリングガンをコックピット部分に当てる。

それから上に向って上昇し、ザクの頭上を取った俺はガトリングガンで2体のザクを落とし一体は撃破に至らず左腕だけを撃ち抜いた。

 

損傷した機体をセツコが後ろから切って倒してくれた。

ナイスフォローセツコ。

 

ちょっと張り切り過ぎたけど、これくらい他の人も倒せるだろう。

だから、たぶん目立っていないはず!・・・だといいな。

 

それから、アーガマとミネルバの皆とともに協力してティターンズを撃退した。

 

戦闘は終わったがミネルバとアーガマと俺たちの睨み合いがまだ続いていた。

デンゼル大尉が仲裁に入ろうとしたときセンサーから異常反応があるとセツコが教えてくれた

 

「お、おい!こいつは月からすっ跳ばされた時と同じような状況だぞ!」

 

「あっ!?」

 

そうだ忘れてた!?

セツコたちはこのまま時空震動に巻き込まれるんだった!?

さっき何か忘れているような気がしたがこれか!

 

 

俺はそのままセツコたちと一緒に時空震動に巻き込まれるのであった。

 

 

----------------------

 

 

~タリア視点~

 

私の名前はタリア・グラディス。

 

新造艦ミネルバの艦長を勤めています。

 

ミネルバの進水式の際、突如として謎のモビルスーツ『アンノウン』が現れ。

その上、恐らく連合の者が新型のガンダムを3機の奪ったのだ。

 

ルナマリアとレイのザクウォーリアは出せないのでシンのインパルスを出撃しようと思うが、別のところから現れたザクが1機で3機のガンダムを相手にし、インパルスとアンノウンが手を組んだので5対3と数ではこちらが有利になったが、あの新型のガンダムを扱っている者の操縦テクニックがあるのか数ではものともしなかった。

 

しかも、アンノウンの1機がアビスに止めを刺されようとしたとき、管制官のメイリンが新たな機影を捉えたので確認してみると黒いモビルスーツが尋常じゃない速度でアビスに迫り、アビスの槍にガトリングガンを当て、その上強力な回し蹴りを食らわせてアビスを大きく飛ばし体勢を崩した。強力だったのかアビスの頭部は一部は破損していた。

 

その隙にアンノウンの1機が体勢を立て直すが、3機のガンダムが黒いモビルスーツに向かって戦闘体勢を取る。

 

私はすぐさまシンに援護するように伝える。

 

たが、シンの援護がはいる前に3機のガンダムのカオスが黒いモビルスーツに攻撃を仕掛ける。黒いモビルスーツは避けるが、ガイアとアビスが追撃してくる。

しかし、黒いモビルスーツはそれらの攻撃を防ぎ、さらには反撃をして返り討ちにした。

 

ガンダムは損傷しているが、黒いモビルスーツは無傷だった。

 

ブリッジにいたクルー全員は黒いモビルスーツに唖然としていた。

あの新型のガンダムをたったの1機で圧倒したのだ。

驚くのも無理がない。

ザフトの最新鋭のガンダムをたったの1機で圧倒したのだ。

 

3機のガンダムは撤退していき、プラントの外へと出る。シンはインパルスで追いかけようとするが、黒いモビルスーツがそれを止めた。

 

なぜ、黒いモビルスーツはインパルスを止めたのだろうか?

私は疑問に思うと1つの可能性が出た。

ここで撤退してプラントの外に出たのだ、外に戦艦がいる可能性が大きい。

 

私はすぐ黒いモビルスーツの意図を理解して、シンに通信を送る。

 

シンは渋々承諾したが、あのモビルスーツは外に戦艦がいることを知っていたのだろうか?

だとすればあのモビルスーツのパイロットは連合の者なのかしら?

 

 

ミネルバの格納庫にアンノウンと黒いモビルスーツが入り、それぞれがコックピットから降りてきた。

 

黒いモビルスーツのパイロットがどんな人物か確かめたら、降りてきたのはシンやレイと年齢が近そうな青年だった。

 

黒いモビルスーツのパイロットはレイと同行してアーサーの尋問へと向かった。

 

後でその事を聞くと彼らは『連邦』と呼ばれる組織にいたようだが、そんな組織は聞いたこともなかった。

 

その事についてもう少し詳しく聞きたかったがボギーワンを捉えたのでミネルバに戦闘配備の発令を艦内に流す。

 

「さすが、ミネルバもう追い付いた。」

 

「喜んでいる場合じゃないわよ。本当なら追い付くのはもっと先だったのだから。」

 

アーサーはミネルバの性能がよくて追い付いたと思っているが、あまりにも追い付くのが速すぎだった。

考えられるのはあまりよくない状態だった。

 

「ということは。」

 

「敵機はすでに展開してる。こちらは誘い込まれたようなものね。」

 

すくにシン、レイ、ルナマリアの3人はモビルスーツに乗り出撃させた。

 

敵もモビルスーツと戦闘機に奪取された3機のガンダムもいた。

アビスは頭部が修復中なのかまだ損傷が一部残っていた。

シンたちは3機のガンダムと戦っていたがボギーワンの隕石を利用しての奇襲で身動きがとれない状態になったが、オーブ代表の付き人の意見で事なきを得た。

 

たが、突然耳鳴りのようなのが起きて、目の前にいつの間にか、戦艦やモビルスーツが現れた。

目の前に現れたので理解が追い付かず呆然とした。

 

 

突然の敵の襲来に驚いているとき、メイリンからカタパルトが強制で作動しているとの報告がきた。

 

「艦長!カタパルトが強制解放されました。」

 

「いったい何のために!?もうミネルバには出せるモビルスーツがないはずよ。」

 

カタパルトから出てきたのはアンノウンとあの黒いモビルスーツだった。

 

脱走したのかと思ったがどうやらミネルバを援護してくれるようだ。

 

黒いモビルスーツ敵に向って攻撃し、すぐさま他のモビルスーツを落とそうと敵を次々と落としていった。

数は4機だが私は撃墜した時間に驚いた。

他とは違って、あの黒いモビルスーツは出撃して数分でに敵機を同時に4機も撃墜と損傷をさせたのだ。

しかも、あの機動力まるで敵がどこからやって来るのかわかっている感じ、彼には予知能力でもあるのかしら。

あまりにも他の機体とは違って異質だった。

その姿に私は身震いした。

 

それから、アンノウンとホワイトと共にブラックを撃退した。

 

しかし、ホワイトと睨み合いをしているとき、黒いモビルスーツがこちらに敵対しないかが気がかりだった。

ホワイトの機体も脅威だが黒いモビルスーツと比べればまだ脅威とは思えなかった。

 

睨み合いをしているときアンノウンのリーダーがこちらに話しかけてきたとき突然、光に飲み込まれ姿が見えなくなった。

 

いなくなったことに驚いたが同時に安心する自分がいた。

 

 



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第16話 異星人と悪魔襲来

~主人公視点~

 

プラントがある宇宙からセツコと一緒に時空震動に巻き込まれて地球の駿河湾へと来ちゃいました。

 

ストーリーで時空震動で移動することをすっかり忘れていたのでセツコ達と一緒に来てしまった。

デンゼル大尉たちが向こうで戦闘しているとのことなので戦闘区域に行くとそこにはスパロボチームが戦闘していた。

 

「チーフあれは?」

 

「間違いない!あれはグレンダイザーとその随伴機だ!」

 

 

デンゼル大尉たち同じ宇宙世紀世界のグレンダイザーの人たちがベガ大王の率いるベガ星連合軍と戦っていた。

俺たちはどうやらその戦闘中にこっち来てしまったみたいだ。

 

「こいつらが噂に聞くベガ星連合軍か!」

 

「月の裏側を根城にしていたベガの奴らには好き放題やられてきたんだ!ここで一気に借りを返すぜ!」

 

 

ベガ星連合軍はデンゼル大尉たちの月基地の裏側を拠点に活動しており地球侵略しようと目論んでいる奴らだ。

 

 

「けど、敵艦は堅牢な装甲と大火力を持っています、付け入る隙が見つかりません・・・!」

 

セツコが敵艦の攻撃に対して心配しているので、安心させるためにMS越しに接触回線で話す。

 

「セツコ」

 

「隆司さん?」

 

「あまり力まないで、敵の戦艦はブリッジさえ破壊すれば指揮もできなくなって落ちる。」

 

「ええ、ありがとう。」

 

これで、少しは気が楽になったかな。

さて、それじゃあベガ星連合を倒すとするか!

 

ベガ大王の乗る戦艦キング・オブ・ベガに攻撃を仕掛ける前にまず回りにいる敵を破壊しないとなもし邪魔が入られたらかなわない。

 

 

まず俺は近くにいる円盤獣をガトリングガンで狙い撃ち撃破する。

 

「君は地球連邦のものか?」

 

(グレンダイザー!ということはデューク・フリードか!)

 

デュークさんの乗るグレンダイザーがこちらに近づいて通信を飛ばしてきた。

 

「そっちはグレンダイザーか、俺は傭兵の橘隆司だ!」

 

「傭兵か、どうやらこちらのことを知っているようだな!僕はデューク・フリード。グレンダイザーのパイロットだ。」

 

「よろしくデュークさん、援護は任せろ!」

 

「了解した。後ろは任せたぞ隆司くん!」

 

 

俺はデュークさんと会話して共に戦うことになった。

俺はグレンダイザーと共に進み、円盤獣に攻撃を仕掛ける。

まずは1匹目!

 

「スキだらけだぜ!」

 

「よし、これでとどめだ!スペースサンダー!」

 

ガトリングガンで円盤獣の動きを鈍らせその好きにグレンダイザーの攻撃で止めを刺す。

 

「いいぞ、隆司くん。このまま進むぞ!」

 

「了解。ん!敵が左から来ます!」

 

「させるか!ハンドビーム!」

 

俺とデュークさんが会話しているときに円盤獣が左からやってきたところをグレンダイザーが腕からハンドビームを出して、敵に当てる。

それからも円盤獣やベガ獣がわんさか出て来るが俺たちは次々と倒していく。

 

「このままじゃキリがないな。デュークさん、少々荒っぽいが強行突破します。」

 

「わかった、ならグレンダイザーの上に乗ってくれ。ゆくぞスペイザー!」

 

グレンダイザーの象徴ともいえるUFO型のサポートユニットのスペイザーと合体して俺はその上に飛び乗り、ベガ大王のいるキング・オブ・ベガに攻撃を仕掛ける。

 

「当たれ!」

 

俺はガトリングガンをキング・オブ・ベガに当てるが、損傷は軽微のようだ。

 

「ダメージがあまりないな。もう一度攻めるぞ。」

 

デュークさんはグレンダイザーを旋回させ、キング・オブ・ベガに向けようとするが、アリスさんからの通信が入る。

 

「兄さん!上空から何かが来るわ!」

 

ベガ大王が悪態をついているとき、マリアさんが上空から何かがやってくるのを知らせてくれる。

そしてマリアさんの言う通りに上空からは何体かのロボットが降りてきた。

 

「何だ、あいつらは?円盤獣やベガ獣じゃないぜ!」

 

「恐竜帝国のメカとも違うみたいよ!」

 

「新たな異星人なのか・・・!?」

 

あれは、フリンコ村に現れたメカブーストのドミラか。

ということはガイゾックか!

俺はドミラにやられたフリンコ村の光景を思いだし、怒りが込み上げてくる。

 

「ぬう、あやつら何者だ!?銀河の星々を支配下に置くこのわしが知らぬ勢力だと言うのか!」

 

「チャンスです、ベガ大王!奴らが謎のロボットに気を取られているうちに離脱を!」

 

ベガ大王の部下ガンダルはドミラの襲来の隙にベガ大王の乗るキング・オブ・ベガでベガ大王と共にこの区域から離脱してしまった。

 

だがそんなことはどうでもいい。

今は目の前にいるドミラを・・・。

 

「おい!大丈夫か?」

 

グレンダイザーが心配したのかゲシュペンストの肩に手を置きこちらに声を掛ける。

 

「あ、ああ。大丈夫だ。」

 

いけないな。頭に血が上ってしまっている。

落ち着かないと。

 

「すまない心配を掛けてしまったな。さああのロボットを倒すぞ。」

 

「ああ、行こう!」

 

デュークさんと共にドミラの元に行き、すぐ近くに居るドミラの近くまで来たら、グレンダイザーのスペイザーから飛び降りてドミラの頭上からプラズマカッターを振りかざして真っ二つにする。

 

 

「そこ!」

 

そして次のドミラの胸に再びプラズマカッターで横一閃で切り裂き、固まっている場所にはスプリットミサイルを発射する。

セツコやデュークさんたちも他のドミラを攻撃して街を守りながらドミラをすべて倒し、何とか一件落着した。

 

「なんとか片付いたか。」

 

今回のドミラは恐らく偵察。

目的は機体のデータの情報収集だろう。

 

それからして連合軍のモビルスーツが到着する。

 

「やっと連邦軍が来たか。しかし、見たことのない機体だな。新型か?」

 

甲児くんは援軍に来たモビルスーツを見たことないらしく、連合のことを連邦と思っているようだ。

 

あっ、そっか。

甲児くんはこの世界のことをまだ知らないんだった。

 

「う、動くな、異星人!」

 

連合のモビルスーツがこちらに銃口を向け、投降するように促す。

 

「こちらの言葉が理解できるのなら速やかに武装を解除して投降しろ!」

 

向こうもこちらが別の世界の住人だと思っていないようなので宇宙人だとおもったみたいだ。異世界人より宇宙人のほうがまだ信じられるのだろう。

ただこのままでは無駄な戦いになるので、俺たちは話し合いするため連合に投降して現在は連合のお偉いさんと話していた。

 

「だから、俺たちは地球人だって言っているだろ!」

 

「だが、貴様らが所属している宇宙科学研究所なる機関は存在していない。その上、貴様らの機体もこちらのデータには存在していないぞ。」

 

「そりゃお前たちのミスだろ。地球を守って戦ってきた俺たちを知らないなんてどうかしてるぜ!」

 

 

いま甲児くんは連合の人と文句の言い合いしていました。

 

セツコたちとデュークたちは連合の人たちが甲児くんと文句の言い合いしているときに会話していました。

甲児くんほったらかしだけどまあいいか。

 

(デンゼル大尉、これはどういうことですか?)

 

(君がグレンダイザーのパイロットか?確かデューク・フリードと聞いていたが?)

 

(事情があり、普段は宇門大介と名乗っています。)

 

(甲児くんが取り調べ係を引きつけている間に大尉の知っている限りを教えてください。)

 

(理由や過程はわからんが我々はどうやら我々のいた世界とは別の世界にいるみたいだ。)

 

(別の世界!?)

 

デンゼル大尉とデュークたちが取り調べ係の人に聞こえないように、コソコソと喋っているが、グレンダイザーが地球のものじゃない話になるとセツコが声を出してしまい、連合の人に聞こえてしまった。

 

「そこ!なにコソコソと喋っている!」

 

「なんでもないっすよ。ただ腹が減ったなって。」

 

連合の人が怪しんでいる所をトビー中尉が誤魔化している。

 

「所属はともかくとして、見ての通り同じ人間だ。それなりの対応を願う。」

 

「フン、人間だと?そんな言葉に騙されるものか!」

 

「騙すだって!?どういうことだそりゃ!」

 

デンゼル大尉が連合の人と交渉しているが連合の人は聞く耳を持っておらず。デンゼル大尉に一方的な疑いを掛ける。

そんな連合の人の言葉に甲児さんが突っ掛かる。

 

「お前たちがザフトの所属だということは分かっているぞ!」

 

「ザフト・・・?何、それ?」

 

連合の人が俺たちのことをザフトと疑うがマリアさんは異世界のためザフトという言葉に聞き覚えがあるはずがない。

まぁ、連合の人達からしたら異世界人よりザフトのほうが信憑性があるからな。

 

おっと、となるとそろそろ検査かな。

 

「マリアさん。」

 

「えっ?あ、貴方は黒い機体の人?」

 

「その話は後で。いまは俺の後ろに隠れて。」

 

「え?どういう・・・。」

 

「お前達が自白する気がないなら遺伝子検査で、コーディネーターであることを暴くだけだ。そこの女!まずお前からだ!」

 

「きゃあ!」

 

「その前にちょっといいですか!」

 

連合の人がマリアさんを連れていこうとしたので俺が間に入る。

マリアさんが連れて行かれると大変なことになりそうなので、時間稼ぎをする。

ただいい案がないのでこれで時間稼ぎするしかない。

 

「なんだ、貴様は!」

 

「まあまあ、遺伝子検査してもいいですけど、その前に・・・ティッシュ貰えませんか?」

 

「テ、ティッシュだとぉ!?貴様!ナニをするつもりだ!?」

 

「何って、鼻をかむだけですよ?」

 

「まさか・・・え?鼻をかむ?な、なんだ、そんなことか。ゴホン、残念だがいまはティッシュはないぞ。」

 

「そんな!?それじゃあ、俺のクシャミするときはどうすれば!?」

 

「向こうを向いてすればいいじゃないか!?」

 

「なるほど、その手があったか!」

 

「くそっ、こんなアホみたいな質問に余計な時間を取らせるんじゃない!さあ、女こっちに・・・。」

 

再び連合の人はマリアさんを連れていこうとしが、突然ブザーが鳴り響く。

 

「非常呼び出しだと!こんな時に。」

 

 

俺の演技で時間を稼いだおかげで、マリアさんを連れていくまえにブザーが鳴り、無事助けられた。

 

「各員は部屋の前で待機。部屋の前で監視しろ。」

 

「了解しました。」

 

連合の人たちが外へ出て部屋の中は俺達だけになった。

 

「マリアさん大丈夫ですか?」

 

「え、ええ。ありがとう。」

 

 

「しかし、あいつら俺達は人間だって言っているのに。」

 

「どうも、ナチュラルというのはコーディネーターを根本的から認めてないみたいだな。」

 

「どうも、そうみたいですね。遺伝子操作がどうこう言ってたけど、そこが鍵なんですかね。」

 

連合の人たちが部屋から出て行った後、甲児くんとトビー中尉が文句を言い、それから全員で現状の把握とこれからどうするのかの話をしていた。

そのときに、マリアさんが俺のほうに近づいてきた。

 

「あ、あの。」

 

マリアさんの顔は少し怖かったのか顔が強張っていた。

 

「ああ、マリアさん。怪我はないですか?」

 

「ええ、大丈夫よ。」

 

マリアさんと話したあと大介さんも礼を言う。

 

「すまない、妹を助けてくれて。」

 

「いいんですよ。女の子を乱暴にされるのはみてられないですから。それに困るでしょうし。」

 

「え?」

 

うん、女の子が連れられてされることといったらアレでしょう。

なんてけしからんことだ。

それに、乱暴されるなんて女の子からしたら嫌だろうし。

 

大介さんの顔が青いが大丈夫だろうか?

 

「そういえば、ここでの自己紹介がまだですね。始めまして橘隆司です。黒い機体ゲシュペンストに乗っていたものです。」

 

「え?あ、ああ!君がさっきの黒い機体のか!」

 

「始めましてデュ・・・いや大介さん。面と向かって話すのはこれが初めてですね。」

 

「ああ、こちらこそ!」

 

俺は先程大介さんと戦っていたので、大介さんと会話しているとき絆のようなものを感じた。

 

そして、大介さん達とデンゼル大尉達は部屋のなかで軽く自己紹介した。

 

短く説明すると、

元祖スーパーロボット『マジンガーZ』兜甲児

 

同じくUFO系スーパーロボット『グレンダイザー』デューク・フリードこと宇門大介

 

デュークのヒロイン『マシンスペイザー』のパイロット牧葉ひかる

 

デュークの妹『ドリルスペイザー』のパイロット

マリア・グレース・フリード

 

以上がグレンダイザーことダイザーチームのメンバーだ。

 

「さて、ではこれから話すことは脚色のない話だ。」

 

「その話私たちにも聞かせてもらいたいのだが。」

 

そしてデンゼル大尉たちの自己紹介も終わり、

デンゼル大尉がこれまでのことを話そうとした時、部屋の中に入って来た複数人の前に立つ大柄の体型で髭を生やした男性。

あ、この人。

 

「あなた方は?」

 

大介さんが部屋に入って来た男性に質問する。

 

「私はブルーフィクサーの責任者、長官月影剛士だ」

 

そうこの男性こそ『宇宙戦士バルディオス』の地球防衛軍ブルーフィクサーの長官月影剛士だった。

月影長官はバルディオスのキャラクターで冷静沈着なのだが、彼は軍人とは思えないほどの優しい人なのだ。

 

 

そしてその後ろにいる女性はは同じくブルーフィクサー科学開発局長のエラ・クィンシュタイン博士と特務戦闘隊のジャック・オリバーと北斗雷太だ。

 

「我々は連合軍に依頼で君達の調査に来た。お互いのためにも協力をお願いする。」

 

「どうやらさっきの人間よりは話が通じそうだな。」

 

デンゼル大尉は月影長官の言葉を聞いて、先程の連合の人と比べたらまともな人だと思ったのだろう。

 

「調子に乗るなよ。お前たちがフジサワで暴れたおかげでかなりの被害者が出たんだぞ!」

 

「何言ってやがる!ベガやロボットたちのせいだろ!俺達は街を守ってやったじゃねえか!」

 

「それ自体が俺たちを欺く茶番だとしたら?」

 

デンゼル大尉の言葉に雷太さんとオリバーさんはデンゼル大尉たちに対して挑発する。

雷太さんの挑発に甲児くんが文句を言う。

 

「雷太、オリバー!余計な挑発行為をとるならあなた達でも退出を命じます。」

 

「・・・すいません、博士。」

 

雷太さんの顔は全然謝っている顔ではないな。

 

空気が悪い中だがデンゼル大尉がこれまで起こったことを話す。

 

 

 

 

「そんなことがあったのか。」

 

月影長官はデンゼル大尉からこれまでのことを聞き信じられないかのような顔をする。

 

「これが、我々に起こった全てです。」

 

「にわかに信じがたいが嘘ではなさそうだな。」

 

月影長官が考え込みなにかを言おうとしたとき部屋の扉が突然開いた。

 

「月影長官大変です!」

 

突然部屋の中に入って来た月影長官の部下と思われる人物が慌てて入ってきた。

 

「いったい何事だ?」

 

「駿河湾に謎のロボットが現れました!」

 

「なんだと!?」

 

 

駿河湾にロボットが現れたと聞いて月影長官の案内で俺達は別の部屋へと移りモニターの前にある椅子に座る。

 

「これが今、報告にあった東海地区を襲撃している謎の敵とそれを迎撃する謎の機体だ。」

 

映像に映っていたのは街を攻撃しようとしていメカブーストのドミラと、それらを迎撃しているザンボエースだった。

ガイゾック・・・、さっき戦闘でも現れた奴等か。

 

俺が過ごしていたフリンコ村を潰し、

しかも、奴等は人間を兵器にして爆弾に変える奴等だ。

原作であれを見たとき軽くトラウマにもなりかけた。

本来の歴史を変えれるのは余りよろしくないがガイゾックを倒さなければあの悲劇が起こってしまう。

だが、ゲシュペンストでは歯が立たないし、デビルガンダムだと目立ってしまう。

このまま原作どおりのルートで進むなら多くの人の命が失われる。それは何とか阻止しないと。

だがどうすればいい。

これは非常に・・・、

 

「まずいな。」

 

「隆司さん?一体どういうことですか?戦況は謎のロボットの方が優勢に思いますが。」

 

・・・ん?

あっ、もしかして声に出ていたのか!?

どうしよう皆こっちみているよ。

しかも、いまは敵の攻撃について喋っていたのか。

この場面、本来だったらデンゼル大尉の台詞言う場所なのに。

俺はデンゼル大尉が喋ってくれると期待してデンゼル大尉に目を向ける。

 

 

「どうやら、隆司くんは分かっているみたいだな。」

 

デンゼル大尉!?

そんな期待した顔でみないでください!?

ああもう、仕方がない!

 

「ええ、月影長官、いまの東海地方全体での敵の動きはどうなっていますか?」

 

「各地で戦っていた部隊が駿河湾に集中しつつある。」

 

「そうか!敵の目的が情報収集なら当然あの所属不明機を標的とするはずだ!」

 

「そんなたった一機で街を守りきれるわけがないわ!」

 

俺の言葉を理解したのか大介やマリアがことの重大さに気づく。

そう、あまりにも戦況が悪い。

少数なら、ザンボエースでも戦えるが多数のメカブーストが来てはいくらザンボエースでも不利だ。

 

 

「これ以上、軍のモビルスーツは動かせないの?」

 

「無駄だぜ。」

 

ひかるが、モビルスーツを動かせないのか提案するが、トビー中尉がそれを否定する。

 

「この世界の軍の戦術は、同レベルのテクノロジーを前提としているからな。」

 

「トビー中尉の言う通りです、現状モビルスーツのOSは異星人との戦闘を想定して開発されていません。」

 

クィンシュタィン博士はトビー中尉の言葉が正しいと答えた。

異星人がいないこの世界にはそんなテクノロジー等存在するはずがない。ましてや、俺達は軍に捕まっている身だ。

 

「甲児くん・・・。」

 

「了解だ、大介さん。俺も乗るぜ!」

 

「すまない。」

 

「なにいってんだよ、水臭いぜ。それに俺だってそのつもりだったんだぜ。」

 

「一体何をするつもりですか?」

 

大介さんと甲児くんの考えていることが分からないセツコ。

 

「月影長官。申し訳ありません。自分達は脱走させてもらいます。」

 

二人は脱走して、ザンボエースの味方に行くのだろう。

二人についていくように全員が脱走しようとし、扉の方へと向かう・・・・・あれ?

本来だったらここで通信が来るはずなのに通信が来ない。

てか、皆もうちょっと待とうよ!

 

もうすぐで解放される通信が来るから!

 

本来来るはずの通信が来ないので俺は内心焦っていた。

 

甲児くんが扉を開けようとしたとき俺は我慢できず全員に呼び掛ける。

 

「ああ、待った。」

 

俺の呼び掛けに全員が止まりこちらに振り向く。

 

「隆司くん?一体どうしたんだ?」

 

大介さんが止められたのに疑問を抱き俺に聞く。

 

「確かに脱走は賛成だが、もう少し待とう。」

 

「おいおい!早く行かないと手遅れになるぞ!」

 

意味が分からないのでこちらに突っ掛かる甲児くん

 

「まあまあ、もう少しの辛抱さ。」

 

「だから、いったい・・・。」

 

甲児くんが喋ろうとしたとき突然コールのようなのが鳴る。

 

「基地指令の直接通信?」

 

月影長官はコールが鳴ったので通信機の受話器を取り、

 

「はい、月影です。え?・・・は、はい。了解です。」

 

月影長官が受話器を置きこちらを向く。

 

「諸君・・・脱走の必要はない。基地指令から君達に正式に協力の依頼が来た。」

 

は~。

なんとか間に合った。

 

あのままじゃ、俺たち最初から脱走犯として追われることになるところだった。

まぁ、どのみち連合から良いように利用されているだけだけど、楽に外に出るにはこれしかないんだよね。

 

それにしても、全員がこっち向いて口が開いている状態だけど何かあったのかな?

 

 

----------------------

 

~デューク視点~

 

ある日の事。

 

私たちは突然光に包まれ、気が付くと見たことのない場所にいた。

 

甲児くんや妹のマリア、ひかるさんも一緒にいた。

 

ここはどこかと思っていたら、別の場所が光るとそこからベガ大王たちが現れた。

 

私たちはベガ大王と戦っていると、また先程の光が現れた。

今度は見たことのない機体が四体現れたが、どうやら地球連邦の人達みたいだった。

 

だが、そのうちの黒い機体はなにか異様な感じがした。

こちらを見ていないがあの機体から発する雰囲気で背筋が凍り身動きができなかった。

 

甲児くんはすぐに動けたみたいだが私は震えが止まらずレバーを握れなかった。

 

だがあの4機は通信で話すとどうやら味方のようなのでさっきよりは安心できたが、いまだに先程の震えがあった。

 

連邦の軍人と思われる人物と一緒にいた黒い機体がベガ大王の円盤獣を倒しているので

 

 

そしてベガ大王をあと一歩の所で突然、謎のロボットが現れ街が攻撃された。

街が攻撃されている隙にベガ大王を逃がしてしまったがいまは街を守らなくてはならない。

 

 

 

 

それから黒い機体と共に謎のロボットを全員で倒してなんとか町への被害は最小限に抑えられた。

 

その後連邦軍がようやくやって来たようだがどうも様子がおかしく。

俺たちを宇宙人だと思われていた。

それから同じ連邦軍のデンゼル大尉から説明を聞くと、ここは俺たちのいた世界とは別の世界らしく、あの軍は地球連合軍と呼ばれる俺たちの世界にはなかった軍組織らしい。

 

そして俺たちは無駄な戦闘を避けるため大人しく投降して、連合軍の軍人と話し合いをした。

しかし、相手は俺たちの話を一向に聞こうとしないでコーディネーターと呼ばれるものと決めつけられ、DNA検査をしようと連合の軍人がマリアを連れていこうとする

もしDNA検査をされれば地球人ではないことがばれてしまう。

手荒だが宇宙人とばれてしまったら我々の立場が危うくなってしまうのですぐさま止めようとする。

 

しかし俺が前に出ようとすると、マリアに近かったあの黒い機体に乗っていた男、橘隆司くんがマリアを連れていこうとしている連合の軍人を止める。

 

どうやら隆司くんはティッシュが欲しかったようだがタイミングよく通信が入り連合の人たちはマリアを離して部屋を出ていった。

もし隆司くんがティッシュを貰うために連合の軍人を止めていなかったらどうなっていたことか。

 

そのあと現状の把握をしていたがマリアが彼に礼を言っているようなので俺も彼に礼を言う。

 

だが、彼の一言で俺は不覚にも硬直してしまった。

 

「いいんですよ。女の子を乱暴にされるのはみてられないですから。それに困るでしょうし(・・・・・・・・・・)。」

 

 

私はこの時、心臓が掴まれたような感覚だった。

なぜ彼は俺たちが宇宙人だということを知っている!?

なぜDNA検査で宇宙人とばれてしまうと気づいたのだ!?

 

彼の言葉で俺は全身が強張ってなにも言えなかった。

 

彼はそれでも関係なしに自己紹介を始め、俺も戸惑いながらも自己紹介を始めた。

彼を警戒しながら。

 

それから数分後。

月影長官達が新たに加わり部屋の中でこれまでのことをデンゼル大尉が話そうとすると、兵士の一人が中に入ってきて、駿河湾が襲われているとの報告が入る。

 

別室に移り、駿河湾の様子をモニターで確認していると赤い機体1機で謎のロボット達を倒していた。

 

隆司くんはこの状況があまりにもよくないと考えており、その理由を聞くとこの状況がよくないのがよくわかった。

あの赤い機体と戦っている敵の機体の目的が赤い機体ならば戦力を随時追加するだろう。

そうなれば赤い機体の持久力等目に見えている。

 

このあまりにも戦力的な不利を見ているとに居ても立っても居られず甲児くんと脱走するを企てる。

たとえ、世界が違っても守るべき地球なのだから。

 

そして、甲児くんと脱走する計画を考え、外に出ようとしたが隆司くんに止められる。

彼は何かを待っているようだが、一体何を待っているのだろうか。

 

そしてそこに一本の通信が鳴り、月影長官が通信の受話器を取り耳に当てる。

 

「はい、月影です。え?・・・は、はい。了解です。」

 

月影長官が話しているうちに驚いている表情をしているが何かあったのだろうか。

 

月影長官が受話器を置きこちらに向く。

 

「諸君・・・脱走の必要はない。基地指令から君達に正式に協力の依頼が来た。」

 

なっ!

なぜ急に、もしや隆司くんはこれを待っていたのか!?

だが、彼はどうして連合の人が解放することを知っているんだ。

 

まさか!

 

彼が先程連合の人とティッシュの話をしていたのに何が秘密があるのか!?

 

だめだ、俺には分からない。

なぜ、ティッシュなのだ。

 

だが、彼のお陰で面倒な手を取らずにすんだ。そして同時に俺はこのとき私は彼が恐ろしく思えた。

彼は一体何者なのかと。




作者「毒電波(ティッシュ!)」
??「やめないか!」
作者「俺は悪くない!」


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第17話 ずれた世界

~主人公視点~

 

連合軍の基地からダイザーチームと共に駿河湾に向かって出撃した。

出撃する前、ついでに連合軍の基地から少し道具を借りていった。

それからダイザーチームのスペイザーであっという間に駿河湾に到着した後、全員が戦闘態勢を取る。

 

 

すでにサンボエースがガイゾックとの戦闘を始めており、まだザンボエースに大きな損傷はないようだ。

デュークが勝平くんのザンボエースに通信を飛ばす。

 

「赤いロボット、応答願う!こちらはグレンダイザーのデューク・フリード。」

 

「うるせえよ!俺とザンボエースに手伝いなんていらねえぜ!」

 

原作どおりかなり強気な少年だな~。

まあ、それが勝平くんのいいところ何だけどね。

 

「デューク・フリード、挨拶は後だ。今はとにかくエイリアンを片付けるだけだ。」

 

デンゼル大尉はバルゴラを戦闘態勢に移行して、いつでも戦闘できるようにしている。

 

「了解です!勝平君町を救うためにも僕達も力を貸すぞ!」

 

「へっ、そっちがそうしたいってんなら、勝手にしな!」

 

「よし!各機ザンボエースを援護し、速やかに敵機を迎撃するんだ!」

 

デンゼル大尉の号令でダイザーチームやセツコは敵に向って攻撃を始める中、デンゼル大尉はこちらに来て通信を送ってきた。

 

「隆司くん聞こえるか?」

 

「デンゼル大尉?どうかしましたか?」

 

「君はあのザンボエースを援護してきてくれないだろうか?」

 

「僕がですか?」

 

「そうだ、我々は何とかなるが。あのザンボエースを一人ではいささか不安があってな。」

 

「わかりました。それじゃあ、自分はザンボエースと共に行動します。」

 

「では頼んだ。」

 

デンゼル大尉は通信を切りセツコやダイザーチームの元へと戻っていった。

そして俺はデンゼル大尉の言う通りにザンボエースに乗っている勝平くんの傍へと向った。

 

「勝平くん。」

 

「なんだ?兄ちゃんも宇宙人の仲間か?」

 

「まあ、ある意味宇宙人かもな。」

 

「?、まあいいけど、なんか用?」

 

「君の機体「こいつはサンボエースだ!」・・・サンボエースはまだ動けるか?」

 

「サンボエースがこんなことでやられるはずねーよ。まだまだ動けるよ。」

 

「よし、それじゃあ俺はこのゲシュペンストで援護するからザンボエースは敵をどんどん倒してくれ。」

 

「よっしゃ、それなら俺の得意分野だ!覚悟しろガイゾックめ!」

 

勝平はザンボエースを敵に向かって走らせる。

 

・・・子供だな。

だけど、あんな子供が原作では悲惨な人生が待っているなんて誰も思わないだろうな。

だから少しでもそんな悲惨がないように俺が頑張らないとな。

他の機体はチームで行動しているがザンボエースは孤立しているから俺が援護して助けてあげないとな。

 

さて、のんびりとしないで勝平くんの援護に回らないとな。

 

そして俺はザンボエースの後を追い、ともにガイゾックを倒していく。

ガイゾックの戦力は今のところ大したことなく各機が確実に倒していく。

それから特に何もなくドミラを全機体を倒していった。

 

それから程なくして連合軍が到着する。

 

「ようやく軍が着てくれました。」

 

「動くな!」

 

「えっ?」

 

連合のモビルスーツ全機がこちらに銃口を向けて、その行為にセツコは驚きを隠せない。

 

「脱走したお前たちを連行する。武装を解除し、機体から降りろ!」

 

ああ、やっぱりね。

こっちは原作を知っているから連合がこちらを取り押さえに来ることはわかっていた。

 

「ちょっと待てよ脱走って何だよ!」

 

「そうよ、あたし達は月影長官の頼みで出撃したのよ。」

 

連合の軍人に脱走といわれ甲児くんとマリアさんは連合の軍人に文句を言う。

 

「彼女の言う通りだ。事情を説明してもらいたい。」

 

デンゼル大尉の言葉を聞かずに、連合のモビルスーツはこちらへビームライフルで撃ってきた。

 

「警告は一度だけだ、こちらの勧告にしたがえ。無論そちらの所属不明機も同様だ。」

 

「それって俺のことかよ!」

 

連合軍の一方的な会話に勝平は驚きを隠せない。

 

連合は俺たちけではなく勝平くんのザンボエースも捕獲するつもりだな。

だがこんなときの為に用意したものが役に立つな。

 

「俺たち長官にハメられたわけ?」

 

「あのときの様子と長官という人間を見る限りそれはないと思うが。」

 

「こっちの世界も俺たちの世界も人間の質はそう変わらんようだ。」

 

「どうやら基地指令は俺たちに一時的に低姿勢に出ただけのようだな。」

「で、その後は脱走扱いにして全員を拘束か。」

 

「なんだよ、お前ら!俺や宇宙人の兄ちゃんも必死で戦ったのによ!」

 

勝平くんが連合軍に攻撃しようとするので俺はすぐさまザンボエースの攻撃を止める。

 

「やめるんだ勝平くん。」

 

「何で止めるんだよ!」

 

「いま攻撃したら俺たちの方が悪い奴等になるぞ。」

 

連合に攻撃すればたちまち俺たちの立場が悪い方に向くため攻撃することはできない。

だがこのままでは連合に言いように利用されるのがオチだ。

 

そんな中、駿河湾の海上から突然水柱が発生してそこにはビアル1世がいた。

 

「勝平、皆さん!このビアル1世に乗るんだ!」

 

「じいちゃん!」

 

「勝平くんの身内か!よし、各機体はビアル1世に乗り込むんだ!」

 

デンゼル大尉の号令で全機体がビアル1世へと向かう。

 

「貴様ら逃げる気か!」

 

「それじゃあこれもついでに食らっときな!」

 

俺は手に持っている起爆スイッチを押して、連合軍のモビルスーツの近くに設置しておいた煙幕を起動させた。

 

「な、何だこれは!?煙幕か!」

 

連合軍は見事混乱し始めて、身動きが取れない状態だった。

 

「隆司さん、あれは一体?」

 

「ちょっと、軍基地から少し借りた。」

 

「か、借りた・・・。」

 

セツコは隆司の行動に僅かながら頬が引き攣っていた。

 

正直これを使わなくても原作では逃げ切れたがなぜか不安だったので基地に置いてあった煙幕を一つ借りて(返せるかわからないが)DG細胞で同じものを増殖し事前に連合が来る港に用意しておいた。

 

 

そして俺たちはビアル1世に乗り、駿河湾から離れていった。

 

----------------------

 

 

~???~

 

 

「くそっ、逃げられたか。」

 

駿河湾沿岸から数キロはなれた山の中に1機のモビルスーツが待機していた。

 

「隊長、無理です。この煙幕で狙いが定められません。」

 

山の中には遠くから狙いを定めて攻撃をする予定だったが、突然煙幕が発生した為追撃は不可能だった。

 

「仕方がない撤退するぞ。」

 

「「了解」」

 

「しかし、ようやくザムザザーの運用テストと同時に戦闘配備されたのに逃げられましたか。」

 

「文句を言うな。こうして無傷でいられたのだからむしろいい方ではないか。」

 

「それはそうですが・・・。」

 

「それに俺は戦わなくてよかったと思うぞ。」

 

「なぜですか?」

 

「あの煙幕。ただ設置したみたいではないようだからな。」

 

「煙幕が・・・ですか?」

 

「あの煙幕よく見てみろ。風で今は海が完全に見えない状態だ。」

 

「ということは!」

 

「ああ、あの煙幕を設置したものはこの撤退を計画して設置されている。しかも風の計算をいれてな。」

 

「・・・。」

 

連合の兵士の一人はただ黙っているだけだった。

風の吹くことを計算した上の計画。

風がいつ、どの方向に吹くかわからない自然現象。

それを予測するだなんてそんなこと不可能に近いことだと。

 

「だから、この戦いは参加しなくてよかったんだよ。もし、戦っていたら損傷どころかロストしていた可能性があったぞ。」

 

「ま、まあ、それはそうですけど。でもこのザムザザーはいずれ連合で量産されば、あいつらじゃなくてもコーディネーターの野郎どもはケチョンケチョンにしてやりますよ。」

 

「ははは、そうなるといいな。」

 

「しかし、腑に落ないですね。」

 

「何がだ?」

 

「今までテスト運用だけしか動かせなかったのに今日、突然出撃命令が出されましたからね。」

 

「さあな、上が何を考えているのか俺たちには知ったこっちゃねぇよ。」

 

「まあそれもそうですね。」

 

そしてザムザザーは基地に戻り、再びテスト運用ばかりの日々に戻るのだった。

 

しかし、この数日後ザムザザーが正式に採用され量産が決定することをまだ知らない。

 

わずかに正史とずれた世界。

その綻びは少しずつ崩れ始めているのであった。




ちなみに、作者はザムザザーよりゲルズゲーが好きです。
アニメで始めて見てからSEEDのゲームでよく使っていました。


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第18話 落ちてくる黒い機体

グラヴィオンの内容が思い出せないのでゲ○に行って一気に借りしました。(眠い)

なので、今回は原作とスパロボを混ぜています。


~主人公視点~

 

勝平くん達、神一家のビアル1世に乗って数日。

 

勝平くんのお爺さん兵左衛門さんが東京にカイザックと思わしき者がいると言う情報があり来てみて、勝平くんがザンボエースに乗り偵察してくれたが、そこにはカイザックではなくゼラバイアというメカだった。

 

ゼラバイアだったらここは『超重神グラヴィオン』の舞台の東京か。

 

さて考えている暇はないし、さっさとゲシュペンストに乗るか。

 

 

全員出撃できて、街中にはすでにゼラバイアがいている。

しかもあれはソルジャーゼラバイアか。

動きは早いが俺たちには問題ない。そしてさっそくセツコや勝平くん、ダイザーチームと共にゼラバイアの撃破を始める。

 

ゼラバイアの数が減ってきたときに水の中から艦1隻、グランフォートレスが出てきて、その中から機体と戦車や戦闘機が出てきた。

 

あの機体はグランカイザーか、ということはまわりにいるのはグランディーヴァか!

なら合体すればゴッドグラヴィオンになれるな。

 

グランナイツの登場した後、さらに増援が来てソルジャーゼラバイアと1体巨大な剣の形をしたゼラバイアもいた。

 

来たか、あの巨大な剣、ディクリール!

えっと、確か正式名が・・・掃討の剣神 ディクリールだったかな?

それに白いから間違いないあれは強化体だ。

原作だと黒なのにこの物語だといきなり強化体なんだよな。

 

 

ディクリールはエイジくんの乗る戦闘機Gアタッカーに向かって進み攻撃しようとしたとき援軍のGシャドウがディクリールに攻撃した為、ディクリールに隙ができたのでエイジくんは怪我はないようだ。

 

それから、原作通りにグランカイザーを中心にか各機体が集まり合体・・・いや合神する。

 

合神したゴッドグラヴィオンはディクリールを相手にしている間俺たちは周りにいるソルジャーゼラバイアを相手にする。

 

ディクリール1体ならゴッドグラヴィオンで倒せる相手だがどうやら苦戦しているな。

少し手助けした方がいいかな?

ゴッドグラヴィオンは3分しか合神することしかできない。そう、まるでウ○トラマンのように。

 

でも、普通の攻撃で倒せるかな?

ガトリングガン、ビームサーベル、キック・・・キック?

 

あ!だったら、高度が高ければ高いほど強力な一撃を喰らわせられるんじゃないか?

よし、そうと決まったら実行するまでだ。

 

俺はゲシュペンストのブースターを噴かして上空へと飛ぶ。

 

「隆司くん!?どこにいくんだ!」

 

デンゼル大尉がみんなから離れていく俺を見て、通信をかけてくる。

 

「ちょっとお手伝いをね。」

 

ゲシュペンストのテスラ・ドライブを使って上空高くまで上がり、雲の上まで来てしまった。

 

まあ、雲より上で攻撃するなんてよくあることだから気にしない気にしない。

それに止めはグラヴィオンがしてくれる。

 

 

さて、それじゃあやりますか。

 

俺は目標をディクリールへと合わせる。

 

 

----------------------

 

~エイジ視点~

 

俺の姉、アヤカからの手紙が届いて中を見ると、

 

 

彼女を見つけ出すべくサンジェルマン城に侵入を試みた。けどすぐ侵入がばれてしまいメイドたちに追いかけられた。

 

というか、何でメイドしかいないんだ!?

 

それから逃げるために適当にあった穴の中にはいったが、降り立った場所はどうやら何処かの滝がある場所だった。

けどそこでなんかよくわからない男と会ったので、アヤカの居場所を吐かせようとするけど、こいつは急に笑ったり、俺の体をベタベタと触ってくる。

俺はそんな趣味ないし、むしろゴメンだ。

アヤカの場所を聞き出してさっさとこんなところから逃げたいのに突然部屋が揺れ、地面が割れてしまい俺はそこから下へと落下してしまった。

 

 

 

 

落下して地面に叩きつけられた後、

目を覚まして光がある場所へと向かった。

そこにはエアバイクが置いてあり、

これを使えばこの城から脱出できると思い乗り込むが、エアバイクが突然動きだし、カタパルトから飛び出すと俺が乗っているのはエアバイクではなく戦闘機だった。

 

しかも外は何か戦闘が始まっていて今すぐ脱出したいがタッチパネルを操作しても反応しないし、わけのわからないツインテール女が何故か文句を言ってきた。

 

結局俺にはどうすることもできず、そのまま従うことになった。そして、さっきの天然野郎・・・斗牙って、野郎が乗っている青い機体が空中に上がり俺たちも上空へと上がるが、俺は初めてなので操縦なんてわかるはずもない。

 

けどそんなときあのデカイ敵がこちらに近づいてきて、もうだめだ、と思ったとき。

 

誰かの攻撃で敵はバランスを崩し隙ができたのでなんとか逃げれた。

 

そして再び青い機体が上空へと上がりその周りには俺を含め4機が青い機体を中心を周り、機体同士が合体して巨大な機体になった。

 

『いい?このゴットグラヴィオンは重力子臨界数を超えると、合神が解けるわよ。』

 

モニターにはさっきのツインテール女じゃなくて金髪巨乳の女がモニターに出てきた。

 

 

「重力子臨界数?」

 

『要するにゴッドグラヴィオンの合神の限界時間てことよ。』

 

「で、その時間は?」

 

『大体3分くらいね。』

 

「ちょ、3分って短過ぎないか!?」

 

『仕方ないじゃない、この合神状態は体に負担が大きいのよ。』

 

 

そうなったら無駄な時間を過ごすことができない。

ゴッドグラヴィオンがあの白い敵に向って攻撃をするが、あいつの装甲が固く、

攻撃は通じているようだが、致命的なダメージにはなっていないようだ。

そういっている間にも3分という制限が徐々に近づいてきた。

 

「なんとかしやがれ、この天然野郎!」

「言われなくてもわかってる」

 

けど、もう少しで予定の3分だぞどうするんだよ!?

 

 

 

『究極!』

 

 

 

 

ん?

いまどこからか声がしたような。

俺は周りをキョロキョロするが声の主の奴が見当たらなかった。

 

 

 

 

『ゲシュペンストォォォォ!!』

 

 

 

 

上空から声がしたので上空に視線を向けると黒い機体が空からものすごい勢いで雲を割って、ゼラバイアに向かって蹴りの体勢をとっている。

落下速度もかなりはやくてこのままじゃ機体が地面に向かって激突するんじゃないかと思った。

 

 

 

 

『キィィィィィィィィィィィック!!!』

 

 

 

 

そして黒い機体はそのままゼラバイアの胴体に強力な一撃を食らわせてゼラバイアはそのまま黒い機体に吹き飛ばされ爆発四散した。

 

 

 

「なんなんだよあいつは・・・。」

 

ゼラバイアを倒したから味方かと思うけど、あいつはあの敵をたった蹴り一撃で倒しやがった。俺は爆発を背にしているあの黒い機体を見ているとなぜか額から汗が吹き出てくるのであった。

 

----------------------

一方主人公は・・・、

 

 

「やっべ!やり過ぎた!!」

 

 

思いっきりディクリールに止めを刺してしまったことに狼狽えていた。




少し後悔しているのは・・・
「マジかよ!俺のハートもドッキングだぜ!」、というトビー中尉の台詞が入れられなかったこと。この台詞自分の中ではお気に入り。(入れる場所がねぇ・・・。)



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第19話 変化

~主人公視点~

 

サンジェルマン城 城内

 

先程までの戦闘が終わりサンドマンの案内でサンジェルマン城の部屋へと案内された。

部屋で待っている間、メイドの人にお茶をご馳走になった。

 

「お飲み物はいかがなさいますか?」

 

「あっ、すみません。コーヒーをください。」

 

「かしこまりました。」

 

しかし、本当にこの城は女の人しかいないな。

城に入ったら、整備班から警備まで全員女性なのだから。

原作で見たとき『ハーレムじゃねえか!!』と思ってしまったくらいだ。

べっ、別に羨ましくなんかないんだからな!

・・・・・羨ましい。

 

「しっかし、本当に女ばっかりだなこの城。」

 

甲児は俺と同じことを考えているんだな。

けど、その顔はまずいよ。

 

「甲児くん・・・。セクハラするんじゃないぞ。」

 

「ちょっ、!隆司さん!、俺がそう簡単にセクハラすると思ってるんですか!」

 

「いや、一応言っておこうかと思って。」

 

「そうよ、甲児くん。セクハラは駄目よ。」

 

「そ、そんなマリアちゃんまで・・・。」

 

甲児との会話をしているときに部屋の扉が開きサンドマンが部屋の中に入ってきた。

 

「お待たせして申し訳ありません。」

 

部屋に入ってきたこの男こそ『超重神グラヴィオン』のゴッドグラヴィオンの開発者でもある人物でこの『超重神グラヴィオン』の物語の中心人物とも言える人だ。

 

「いえ、ミスター・サンドマン。まず我々を助けていただいた礼を述べさせていただきたい。」

 

デンゼル大尉が前に出てサンドマンと話をする。

この中だとデンゼル大尉がリーダーみたいなものだしな。

 

「いえ、こちらこそ、勝手に皆さんを巻き込む形になったことをお詫びいたします。」

 

「・・・・助けてもらったことに感謝しています。でも俺たちを利用する魂胆があるんじゃあないんですか?」

 

「甲児くん!」

 

サンドマンに不審を抱いたのか突然、甲児はサンドマンに対して疑問をぶつける。

 

「利用とは?」

 

「俺たちの機体を使って戦力を集め戦いを仕掛けるとか。」

 

「確かに君たちの機体を使えば世界を手中に収めることも覇権を得る事も可能だろう。」

 

「だが私と私達の仲間の願いはたった一つ。この星とすべての人達を邪悪な魔の手から守ることだ。」

 

サンドマンの回答にこの場にいたものは驚く。

 

「それじゃあ、あんたは自分の金を使って正義の味方をやるってのかい?」

 

「そのためにアースガルツとグラヴィオンが存在する。」

 

彼は、過去の経験もありそして彼自身の性格もあって、サンドマンはこれほどまでの正義を貫くことが出来るのだ。

 

 

「さあ、部屋を用意しよう。まずは疲れを癒してくれたまえ。後のことはそれからだ。」

 

サンドマンとの話が終わり外は日が暮れ、全員それぞれサンジェルマン城の中で自由行動を始めた。

俺は部屋で寛いでいたのだが、何もすることがなかったのでゲシュペンストの様子を見ようと、格納庫へと向かう。

 

「俺は行かないといけねぇんだ!」

 

そして俺は格納庫の前を歩くと格納庫から声が聞こえたのでそっと、中を覗くとそこには勝平くんと琉菜ちゃんがいた。

 

「・・・頼む、琉菜。いえ、琉菜さん・・・琉菜様見逃してくれ!」

 

「何言ってんのよ、だいたいねぇ・・・。」

 

「父ちゃんが帰ってくるんだよ!だから、俺、迎えにいくんだ!」

 

「あなたのお父さんが・・・。」

 

勝平くんはお父さんに会いに行くため無断で出ようとしているんだな。

ザンボット3の鬱展開をなくすために俺も一肌脱ぎますか。

 

「どうやら困っているようだね。」

 

「隆司兄ちゃん!」

「隆司さん!」

  

「・・・勝平くん。」

 

「なんだよ隆司兄ちゃんも邪魔するなら容赦しないぞ!」

 

「まあまあ落ち着け、一人じゃ危ないだろ。」

 

「へっ、あんな奴ら俺一人でどうにでもできるよ。」

 

「ほんと、意地っ張りだね君は。」

 

「あの・・・。隆司さんはどうしてここに?」

 

「もちろん勝平くんの手伝いをするためさ。」

 

「隆司さん!?」

 

「琉菜ちゃん、今回は俺が逃がしたと言うことにしといて。」

 

「で、でも。」

 

「大丈夫、俺に考えがある。」

----------------------

 

「勝平くんと隆司さんが脱走したって!?」

 

「ええ、明け方にザンバードとゲシュペンストが発進された模様です。」

 

「どうやら隆司さんがハッチを開けた模様です。」

 

「でも、どうしてあの2人が・・・。」

 

「・・・。」

 

琉菜は言うことができなかった。

あの2人と一緒に自分もいたことを。

彼女は隆司の言うとおりに隆司さんが逃がしたことにしたが。

本当は彼女はただ見かけただけであってあの後の手伝いは一切手伝っていなかった。

 

手伝おうと思ったが、隆司さんに「俺が何とかするから、琉菜ちゃんは見なかったことにしといて」といわれた為である。

だが彼女は罪悪感があった。

本当だったら止められたのに自分は止められなかったと・・・。

 

「まあ、いちおう隆司さんがいるから大丈夫だと思うけど。」

 

「勝平くんが勝手な行動をしないかが心配だよね。」

 

甲児とマリアは勝平の性格もあってか一抹の不安があった。

 

「レイヴン様。」

 

レイヴンに声を掛けたのはサンドマンのメイドの一人であるテセラがレイヴンへと声を掛ける。

 

「テセラか、どうした。」

 

「はい、実は隆司様のお部屋にこのお手紙が。」

 

テセラの手にはきれいに畳まれている一枚の紙があった。

 

「手紙?」

 

レイヴンはテセラから手紙を受け取り中を見てみる。

 

『みんなへ

俺は勝平くんのお父さんと会いに行くため、勝平くんと共に出ます。

 

追伸 念のため出撃準備をしておいてください。』

 

「・・・まさか。」

 

「レイヴン様?」

 

「勝平くんの父親と会うために隆司君は着いて行ったのだろう。彼らの飛んでいった予想進行ルートでおそらく駿河湾へと向っている。」

 

「ということは駿河湾で会うってことなのか。」

 

「・・・だが、もしもの事がある。

一応手を打っておくか。

テセラ、クッキーにこちらに上がってもらってくれ。」

 

「了解しました。」

 

レイヴンの命令でサンドマンのメイドのテセラは命令を実行するため部屋を出て目的の場所へと向う。

 

「念のため、我々も出撃準備をしておこう。」

 

「わかりました。」

 

「・・・隆司さん。」

 

セツコは何故か不安で仕方がなかった。

彼が無事なのかとそしてこれから起こる混沌の始まりに。

 

----------------------

~主人公視点~

 

サンジェルマン城を抜け出して、勝平くんと共に駿河湾に向っていた。

 

機体が見えないように駿河湾の近くの森へと降り、俺たち2人はコックピットから降りた。

 

 

 

「勝平くん。1つだけ約束してくれるかい?」

 

「ん?なに隆治兄ちゃん。」

 

「例え、町の人にひどいこと言われても、ザンボエースで仕返しなんてことはするなよ。」

 

「何でだよ!あいつら俺が町を守ってやったのにあんな風に言いやがるんだぜ!」

 

「じゃあ、ザンボエースは人を殺すロボットなのか?」

 

「そ、それは・・・。」

 

「勝平くん、ザンボエースに乗るなといっているんじゃないんだ。ただ使いどころを間違えたら君は一生後悔するかもしれないんだ。君はそれでもいいのか?」

 

「・・・分かったよ。」

 

「分かってくれたならもう言うことはないよ。」

 

「・・・隆司兄ちゃんここからは俺一人で行かせてくれねえか?」

 

「一人でか?」

 

「うん、俺の仲間に会って話をしなくちゃいけねえんだ。だから俺一人で行きたいんだ!」

 

「・・・わかった。ただし何かあったらすぐこの通信機で連絡するんだぞ。」

 

俺は勝平くんにDG細胞製の通信機を勝平くんに渡す。

あ、もちろん感染の心配はないよ。

俺が侵蝕するようにすればあっというまに侵蝕されるけど。

 

「・・・じゃあ、行ってくるよ。」

 

「気をつけるんだぞ。」

 

 

そして勝平くんは山を降りていき町へと向かった。

 

おそらく途中で勝平のヒロインでもある仲間のアキやミチと会うだろう。

でも、彼の父親が町の人たちから迫害されているのを勝平くんが見ていたら町の人たちをザンボエースで脅そうとするからな。

 

少し先回りしておこう。

 

 

----------------------

 

~駿河湾 港~

 

「お前たち神ファミリーのせいでこの町は滅茶苦茶にされたんだ!」

「あんたたちのせいで家が壊されたわ!どう責任取ってくれるのよ!」

 

「待ってください皆さん。我々は皆さんを守ろうと。」

 

『宇宙大帝ゴッドシグマ』の主人公壇闘志也と勝平くんの父親の神源五郎に対して町の人は自分達の怒りを二人に当てていた。

 

「勝平の奴が来たら、親父さんを使っておびき寄せれてやろうぜ。」

 

「そうだそうしようぜ!」

 

 

 

「そこまでだ!」

 

 

 

「うわっ、何だお前は!」

 

「通りすがりのヒーローだ。」

 

俺は勝平くんのお父さんの源五郎さんを利用して勝平くんをおびき出そうとする香月くんを止め、源五郎さんと闘志也さんを囲まれているなかから救い出す。

 

「おい!どこの奴かは知らないがお前は関係ないだろ!」

 

「すまないが、今は言い争っている暇はないぞ!」

 

「なにを・・・。」

 

香月君がなにかを言おうとしたとき駿河湾の港が爆破する。

 

「い、一体何が!」

 

町の人は突然の爆発に理解が出来ずその場は騒然とする。

そんな中で駿河湾からはドミラが軍勢がやってきた。

ということはもうガイゾックの部隊が到着したのか。

 

「うわああああ!宇宙人だ皆逃げろ!」

 

ドミラが現れ全員我先にとその場から逃げる。

ここにいては危険なのでまず源五郎さんと闘志也さんを安全な場所に・・・。

 

「隆司様!」

 

俺が源五郎さんと闘志也さんをとりあえずこの場から離れさせようとしたとき、後ろから声を掛けられる。

 

「あなたは・・・。」

 

「はい、クッキーと申します。」

 

そこにいたのはサンドマンのメイドの一人のクッキーだった。

 

「勝平様のお仲間の宇宙太様と恵子様を勝平様の元へ案内していた為遅くなってしまいました。」

 

「いえ、問題はないです。それより勝平くんのお父さん・・・源五郎さんと闘志也さんを安全な場所へ。」

 

「わかりました。」

 

『隆司兄ちゃん!』

 

空から声が聞こえ上空を見るとそこにはこちらに降りてくるサンボエースがいた。

 

「勝平くん!」

 

『ガイゾックの奴らが来たみたいだけど大丈夫?』

 

「ああ、こっちは大丈夫だ。」

 

「勝平!」

 

『父ちゃん!』

 

勝平くんと源五郎さん感動の対面か。

っとそんな場合じゃない。

 

「勝平くん!今すぐお父さんを連れて安全な場所へ連れて行くんだ!」

 

『あ、安全な場所ってどこに!?』

 

「とりあえず離れた場所にだ!」

 

『わかった!』

 

源五郎さんはザンボエースの手のひらに乗りザンボエースはすぐさまこの場から離れる。

 

「闘志也さん、あなたは今すぐトリニティシティへ行くんだ!」

 

「あ、ああ、すまない。(何で俺の名前を知っているんだ?)」

 

「闘志也様こちらです。」

 

クッキーさんの案内で闘志也さんもこの場から離れトリニティシティへと向った。

 

「隆司様は?」

 

「俺も戦うさ。」

 

俺は空に向って自分の機体の名を叫ぶ。

 

「コールゲシュペンスト!」

 

----------------------

 

~ビアル1世 艦内~

 

「もう間のなく駿河湾に到着する。全員出撃準備の用意じゃ。」

 

サンジェルマン城から出撃した一行は駿河湾に向った隆司と勝平の元へと向っていた。

 

「おじいさん見えました。駿河湾です!」

 

一太郎は兵左衛門に目的地が見えたことを伝える。

 

「どうやらすでに戦闘が始まっているようじゃな。」

 

「もうすぐ他の仲間も来る、ビアル1世は準備するから全機体出撃後離脱するぞ。」

 

「わかりました。」

 

ビアル1世は海上を進み駿河湾近郊へと近づいた。

 

「よし、全機出撃!」

 

デンゼル大尉の合図で全機体が出撃する。

 

「隆司さん!」

 

「セツコ、それに皆も来たか。」

 

「グランナイツおよび+αも登場だ!」

 

「こら、エイジ!俺たちをおまけ扱いにするんじゃねえよ。」

 

「君たち、今は敵を撃破することが最優先だ!」

 

スパロボチームが到着し、こちらの形勢が有利になり敵を次々と落としていった。

 

そしてもうあと少しで敵は全滅しそうなとき、セツコの機体を狙っている機体を見つける。

俺はすぐさまスロットルを踏み込みセツコの機体の援護に向かいせめての思いで銃口を敵に向ける。

 

(チャンスは一回!外すなよ!)

 

しかし、俺の思いは虚しく攻撃を当たらず外れてしまった。

 

「しまった、外してしまった!くそ、間に合え!」

 

「きゃあああ!」

 

俺はセツコの機体を守るためにバルゴラに体当たりしてゲシュペンストを盾にしたが運悪く左腕が持っていかれ、ゲシュペンストには片腕しかない状態になった。

 

「うわあああ!」

 

「隆司さん!」

 

ゲシュペンストの体勢が崩れて機体は地面へと倒れた。それを見ていたセツコは隆司の元へと駆け寄る。

 

「だ、大丈夫だ!まだ戦える。」

 

「そんな無茶です!」

 

「片腕と足がある。最悪援護だけでも出来るさ。」

 

「・・・わかりました。けど、絶対に無茶だけはしないでください!」

 

「ああ、わかったわかった!」

 

「本当に分かっているのですか!」

 

セツコの怒っているけど泣いている顔であまり怖くなかった。むしろかわいい。

彼女なりに俺のことを心配しているのだろうな。

彼女、仲間のことは大切にする人だからな。

でも大丈夫、俺には神様の力とDG細胞があるから無敵さ!(・・・無茶したら死ぬかもしれないけどね)

 

 

セツコに怒られてしまったので俺は後ろに下がり右腕のみで援護をするのだった。

だが相手の戦力も除々に減り、最終的に敵はいなくなった。

 

敵がいなくなってすこししてからグランフォートレスも到着した。

 

 

「へえ・・・迎えに来てくれたんだずいぶんと手回しがいいじゃない。」

 

「うるせえ連合が来ない内に早く帰ろうぜ」

 

琉菜とエイジが楽しそうに会話を始めるが、グランフォートレスに乗っているサンドマンはそんな楽しくやっているような状況ではなさそうだった。

 

『グランナイツ、ならびに協力者の諸君、君たちにはこれより宇宙へ上がってもらう。今から30分前にユニウスセブンが地球へ落下軌道に入ったと報告が入った。』

 

 

やっぱり来たか。

 

ユニウスセブン。

原作だと「血のバレンタイン」という地球連合がユニウスセブンに核攻撃によって多くの人が亡くなった場所で、ザフトと連合の戦争のきっかけともなった場所だ。

そしてスパロボZでは特異点ともいわれる存在だ。

分かりやすくいうと、別々だった世界を繋げられる「平行世界への扉」のようなものだ。

 

「マ、マジかよ!?」

 

「ユニウスセブンが!?」

 

「ユニウスセブンは本来だったら安定軌道に乗って落ちてこないはず・・・。」

 

「でもどうしてユニウスセブンが今になって地球に落ちてくるのよ!」

 

「おそらく、何者かの意図によってユニウスセブンを意図的に落下させようとしているのだろう。」

 

「・・・コロニー落とし」

 

「異世界に来てまであのムナクソ悪い作戦に遭遇するとはな。」

 

セツコ達宇宙世紀の世界の人たちにとってはユニウスセブンの落下はコロニー落としが身近なものなのだろう。

 

「こうしちゃいられねえ!艦に乗って宇宙でユニウスセブンを食い止めるんだ!」

 

「で、でも。グランフォートレスにすべての機体を乗せるのは無理です!」

 

闘志也がグランフォートレスで宇宙へ行こうと考えるが、あの一隻だけでは重量オーバーだ。

 

「心配はいらん!」

 

駿河湾から水しぶきがあがり、そこからビアル1世、2世、3世が浮上してきた。

 

 

「よし!一太郎ドッキングじゃ!」

 

「了解!ドッキングします!」

 

ビアル2世、3世がビアル1世を中心に合体し、キング・ビアルへと変形した。

 

「すっげぇ!船まで合体したぜ。」

 

「これがキング・ビアルだ、勝平!」

 

「よし、では全員乗り込んでくれ。」

 

兵左衛門さんの指示に従い、各機体はキング・ビアルへと乗り込む。

 

「よし、全員艦に収容できたみたいだな。それじやあ、宇宙に・・・。」

 

発進間近のところで突然警報が鳴り、確認するとドミラが再びこの駿河湾付近に出現した。

 

「まだガイゾックの増援がいたのか!」

 

そんな!?

原作ではこんなのはなかったぞ!?

もしかしてこれが俺が原作に介入した影響か?

 

全員、艦に入りあとは宇宙に上がるだけなのだが、敵が多く簡単にはいきそうにもなさそうだ。

ガイゾックのドミラはキングビアルに攻撃を仕掛け始め、ビームをキング・ビアルに向ける。

 

「緊急発進じゃ、一太郎!」

 

「は、はい!」

 

一太郎さんがキング・ビアルを緊急発進し、ぎりぎりのところで避ける。

しかし、数は十数体いるため攻撃が激しく避けることだけしかできない。

 

「くっ、避けるだけで精一杯じゃ!」

 

「ここは俺に任せろ。」

 

幸い俺はゲシュペンストをキング・ビアルから緊急発進して地上に降り敵の前に立ちはだかる。 

 

「隆司兄ちゃん!」

 

「君たち全員ユニウスセブンに向かうんだ。」

 

「しかし、それでは隆司君が!」

 

モニターで全員が隆司を心配する。

損傷している機体で敵中に一人で戦うなど無謀だった。

 

「俺は大丈夫だよ。この程度どうにでもなるさ。

それに、ユニウスセブンを落とすのを阻止するには人数が多い方がいい。」

 

それに、片腕のゲシュペンストじゃ足手まといだろうし。

 

「・・・これより宇宙に向かうぞ!」

 

「じいちゃん!」

 

「男はやると決めたら引かぬものじゃ、それに誰かが引き留めなければ儂らは宇宙へ上がれん。」

 

「でもよ!」

 

勝平は何処か納得いかず悔しそうな顔をしていた。

 

「リュウジさん!」

 

「セツコ。向こうは任せた。」

 

「発進!」

 

兵左衛門さんは隆司の決意を無駄にしないようにスロットルを引きキング・ビアルを発進させる。

ゲシュペンストはキング・ビアルに背を向けて、敵の正面に立つ。

 

「さあ、来い!ガイゾック共!」

 

----------------------

 

 

 

それから、俺はゲシュペンストでガイゾックの機体を1機残らず倒したが、ゲシュペンストも損傷をしてしまい、現状は左腕の使用不可能、各部に軽微の損傷、モニターが一部使用不可能の状態だ。

 

 

「手酷くやられたな。修復してからユニウスセブンに・・・ん、何だ?」

 

俺はレーダーに反応する数十体の機影を確認したので機影が来る方向を向くと、そこには連合軍の機体がゾロゾロとやって来た。

 

----------------------

 

軍人は本来は正規の訓練をして軍人になれるが一部例外がある。

傭兵やならず者の中で優秀な腕前を持つ者の勧誘だ。

正規の訓練をして軍人になるところを軍の上層部らは優秀な人材欲しさに性格に難がある人物の勧誘をすることもある。

 

いまその駿河湾にはその腕前は優秀だが、問題の部隊が接近していた。

 

彼らの任務は所属不明の機体の奪取だった。

しかし、彼らは面倒な戦闘を避けるためわざと到着する時間をずらしていたため、いま戦場にはゲシュペンスト1機しかいなかった。

 

 

「おいどうするあの1機しかいねぇけど。あの機体も落とすか?」

 

「かまわねよ。どうせザフトの機体だろうし。」

 

「それにあんなボロボロの弱っちい機体じゃ数分も持たねえよ。」

 

「へへへ、違いねえ。」

 

「というか、今ユニウスセブンが落ちてきているらしいがどうする?」

 

「ほっとけ、最悪基地をおいて逃げればいいしな。」

 

「それもそうか、連合とは金を貰えるからいるだけだしな。」

 

「それじゃあ、あの機体をさっさとぶっ壊そうぜ。」

 

「おいおい俺たちはあの機体の奪取だぜ。まあいいけどさ、さて。宇宙に行った奴はほっといて。さっさとこいつを片付けて酒でも飲みたいぜ。」

 

「お!いいねぇ。帰ってあの機体を撃墜したと報告すれば給料は少し上がるかもな。あとカメラの記録は切っとけよ。後で偉いさんに見つかったら面倒だ。」

 

「それじゃあ、ちゃっ・・・ちゃ・・・と。」

 

連合軍が色々と言うが黒い機体に変化が現れ言葉は途中で途切れて終わった。

 

黒い機体からは体の至るところがボコボコと泡のようなのを発生させていた。

黒い機体の肩からガンダムの顔を着いた触手が伸び、壊れていた左腕はまるで生えているかのように元に戻っていた。

 

『そうか。弱くて数分も持たないか・・・。』

 

ストライクダガーの通信機から誰かの声が聞こえてきた。

その声を聞くと背筋が凍り少しずつ体が震えだした。

 

 

「おいおいおいおい!!何だよあれ!!」

「し、知るかバカ!あんなの見たことがねえ!」

「やばい、俺ちびりそう。」

「くっそ、何だあれは!?」

 

突然のことにストライクダガーに乗っている仲間は混乱を始めた。

 

「落ち着け!」

 

ストライクダガーの隊長が混乱している仲間を叱責して落ち着かせる。

 

「どうせ見せ掛けだ。全員で攻撃すれば必ず勝て・・・・。」

 

隊長機の通信が突然切れたのでモニターで確認すると・・・。

 

 

隊長の機体は地面から生えた頭がガンダムの触手が隊長機を真っ二つに噛み千切っていた。

 

隊長機が噛み千切られているのが映っていたモニターは突然ノイズが走り、全てのモニターがハッキングされたのかモニターにはコックピットの中で座る誰かを映した。

 

『あっけないな・・・。まアいい、君たチハ何分持つかな・・・フフフ・・・ハハハハハハハ!』

 

 

その笑顔は不気味、恐怖・・・とにかく言葉では言い表せないものだったと、連合軍のパイロットはそう思ってたのだろう。

だがその真相を知る者は誰も分からない。

記録はない上に、その戦場にはストライクダガーの機体は1体もおらず残骸すら存在しなかった・・・。

 

 



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第20話 ユニウスセブン

~主人公視点~

 

ガイゾックとの戦闘が終わったあと連合軍が駿河湾にやって来てどうやらあの人たちはスパロボチームの機体を奪取しようとしていたみたいだ。

 

けど俺はなんとか連合の部隊と戦って連合の機体は全て倒せた。

損傷した部分はDG細胞で修復できたので、ゲシュペンストに損傷はない。

 

「さてと、とりあえずユニウスセブンへと行くか。」

 

いまここ駿河湾ではやることは特にないからな。

 

できるかわからないが、DG細胞を使って宇宙へ上がれる装備を作るか。

 

 

 

----------------------

 

~ユニウスセブン~

 

ユニウスセブンでは連合軍とザフトとザフトのテロリストと異星人とスーパーロボットチームの混戦となっていた。

 

「もう!なんだか色んなのが入り乱れて戦ってもう訳が分からないわ!」

 

「お嬢ちゃんたち!こういう時は向ってくる敵を叩き潰せばいいんだ!」

 

琉菜が混乱しているとき闘志也は琉菜に的確(?)なアドバイスをする。

そして各機体はそれぞれ戦いを始める。

しかし、やはり混戦としている為、どれが味方なのか、どれが敵なのか分からない状態になっている。

 

「グローリー・スター各機!我々はベガ星連合軍及び異星人部隊を叩くぞ!」

 

「「了解」」

 

「甲児君、我々も彼らに続くぞ!」

 

「了解だぜ、デューク・フリード」

 

グローリー・スター及び、ダイザーチームはベガ星連合軍に攻撃を開始する。

 

「出たなガイゾック!地球を守るためにお前達を倒す!」

 

「勝平!気を付けろよ、相手はデカブツだ!」

 

「んなことはわかってるよ!」

 

「ほんとに大丈夫かしら?」

 

勝平たちが乗るザンボット3は一際大きいブッチャーの乗るバンドックに目に付けてと戦う。

バンドックの機体は大きく攻撃しても大きなダメージにはならない。

 

「ホーッホッホッホッホ!ほれ落ちるがいい!」

 

「こんなところでやられてたまるかってんだ!」

 

 

ザンボット3はバンドックに攻撃するが相手は要塞、そう簡単に攻撃は通らない。

 

「くそ、図体がでかい上に攻撃が通らないぜ!」

 

「勝平!あいつが攻撃を仕掛けてくるぞ!」

 

バンドックに装備しているバンドック砲をザンボット3に向けて発射しようとしていた。

 

「バンドック砲発しゃ・・・・」

 

バンドックが攻撃しようとしたときバンドックの脚部が装甲部分に当たらず脚部の関節部分に直撃した為、バンドックは体勢を崩す。

 

「なんだ!一体何事なんだ!?」

 

「何者かに脚をやられました!」

 

「ええ~い!すぐに直すのじゃ!」

 

バンドックは一時的にバランスを崩したのでバンドック砲がザンボット3には発射されることはなかった。

 

「一体誰が?」

 

「おい、あれを見ろ!」

 

勝平は攻撃のほうを見るとそこには隆司の乗るゲシュペンストがこちらに向かって飛んでくる。

 

「あの機体、隆司兄ちゃんか!」

 

----------------------

 

俺はDG細胞でロケットブースターを作り、背中にくっつけて宇宙へと飛びユニウスセブンへと向った。

なんとか大気圏を突破できたので、ロケットブースターをパージする。

ただ即席で作ったから前にザンジバルで上がったときよりも振動がものすごいので、今すごく気持ち悪い。

 

どこかにエチケット袋なかったかな?

 

俺は置いてあるはずのエチケット袋を探すときにレバーにぶつかってしまう。

 

おっと、レバーに当たっちまった。

間違えて誤作動を起こしたら大変だなっと、あったあったエチケット袋。

念のためすぐ取れる場所に置いとこう。

 

さてまずはユニウスセブンの落下の阻止。

恐らくいるだろうブッチャーの撃墜、そしてユニウスセブンの落下阻止の際に発生する転移をセツコ達の近くにいとけば恐らくセツコ達と同じ場所に転移するだろうからセツコ達の近くで行動すること。

 

この三つが今回の重要ポイントだ。

 

 

俺が再びコックピットのモニターを見ると大きな土人形の様な要塞みたいなのがいた。

あれはガイゾックのバンドック!

ということはあれにブッチャーが乗っているのか!

何故か体勢を崩しているがみんなと戦っているときに損傷したのかな?

 

まあ、とにかくここで奴を仕留めれば人間爆弾も他の被害も阻止できる。

 

「ブッチャー、覚悟!」

 

俺はプラズマカッターをバンドックの頭上に向って切り裂こうとする。

 

「む!させるか、ミサイル発射!」

 

バンドックに乗っているブッチャーの部下ギッザーがバンドックに搭載されている大型ミサイルで迎撃する。

 

「くそ、ミサイルの数が多過ぎる!」

 

バンドックから発射されたミサイルの数が多く、避けるだけで精一杯だったのでとりあえず射線から離れる。

 

「黒い奴、あなたはここで落とす!」

 

「ガイア・・・ステラか!」

 

俺がミサイルを避けてバンドックの射線から離れるため一旦退避したが、その後ろをステラの乗るガイアガンダムが攻撃を仕掛けてくる。

 

「くっ、ガイアを傷つけないようにしないと。」

 

「我らコーディネイターの為にガンダム!貴様も死ねえぇぇぇぇ!」

 

ガイアと戦っているときにテロリストのジンがガイアへ攻撃を仕掛けてくる。

しかもステラからしたら死角だった。

 

「こんなときに!」

 

俺はまた間違いを犯すのか?

 

 

・・・・なめるナ!俺ノ邪魔をスるな!

 

「離れるんだ!」

 

「きゃあああ!」

 

少々強引だが、ガイアガンダムを弾き飛ばし俺はジンの攻撃をグラン・プラズマカッターで防ぐ。

 

「なんだと!」

 

俺の邪魔をすルな!

 

俺はゲシュペンストの背中にあるグラン・スラッシュリッパーをジンに向って放つ。

 

「ぐあ!ま、まだだ!」

 

「ならこれならどうだ!」

 

グラン・スラッシュリッパーが再び戻り、ジンの背中に向って飛ぶ。

 

「く、だがこの程度!」

 

ジンは避けるが俺はその隙にゲシュペンストの左腕からグラン・プラズマカッターを取り出し、相手を一刀両断する。

 

「ぐあああ!コ、コーディネイターに栄光あれぇぇぇ!」

 

テロリストのジンのパイロットは最後に断末魔を叫び爆発する。

よし、それじゃあセツコ達のところに行って転移する準備をするか!

 

俺がゲシュペンストを振り向かせセツコの所へ行こうとしたとき、先程置いていたエチケット袋が無重力の中を漂って俺の顔に覆いかぶさる。

 

「うわ!?なんだ!?」

 

俺は目の前が見えなくなりすぐさま顔からはずす。

 

「メテオブレイカー作動!ユニウスセブンを破砕します!」

 

俺がエチケット袋をはずした時、アーサーの合図でイザークたちの設置したメテオブレイカーが作動し白い閃光が放つ。

この光!

しまった転移の光か!

 

 

そして俺はセツコ達から離れた場所で光に飲み込まれ、そこから意識を手放し俺の意識は真っ暗な闇の中へと沈んでいった。

 

 

----------------------

 

隆司が意識を失っているときゲシュペンストの中にあるゲシュペンストの中に搭載されているOSはある処理をしていた。

 

 

特定条件をクリア

 

現在パイロットはデビルガンダムに搭乗していないためゲシュペンストを代理機体に登録。

デビルガンダムによるデータの受信・・・・完了

ブラックボックスSRを開放

同乗者及び機体の転移を開始します。




次回 デビルガンダムVS○○○○○○

ヒント:あのボスです。
なんでいるのかって?
すべて時空振動が悪い!


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第21話 始まりの敵

「うっ、う~ん。ここは?」

 

確か、ユニウスセブンの落下を阻止しているときに時空振動に巻き込まれて。

 

 

というかここどこだ?

なんだか異次元みたいな空間だな。

 

俺が迷い込んだ場所は宇宙でもどこかの星でもなく本当に何にもない空間だな。

モニターは生きているし、機体もDG細胞で修復は出来ているから問題ないな。

しかし、これからどうすれば。

 

ゲシュペンストには時空を越えるなんて機能はないし、

ましてや、移動もできない。

 

俺がコックピットの中で考えていると、上空の空間が割れて中から大きな機体がゆっくりと降下してきた。

そして目の前に降りたのは大きな剣を携えた赤い巨体の機体だった。

 

「こいつは!もしかしてヴァルシオン!?」

 

「・・・・・」

 

目の前にいたのは間違いなくヴァルシオンだった。

第2次スーパーロボット大戦のラスボスで、スパロボシリーズの数々に出てきた機体。

DC(ディバイン・クルセイダーズ)という組織の総統ビアン・ゾルダークの最新技術によって作られた「究極のロボ」の異名を持つ機体で、その名の通り攻撃と防御が桁違いの機体だ。

 

「・・・・・。」

 

ヴァルシオンは何もしゃべらないが、ヴァルシオンから溢れ出すこの威圧感で明らかにいい雰囲気じゃないのは確かだ。

 

それからゲシュペンストに乗っている俺はヴァルシオン対峙するとヴァルシオンは手に持っている剣ディバインアームを構えていきなりこちらに攻撃を仕掛けてきた。

 

「やばい!?」

 

俺はゲシュペンストのブースターをフルで動かすが、相手はヴァルシオン、機動力ならゲシュペンストが上のはずだがパワーは向こうが上、直線ではあっという間にゲシュペンストに追いつかれてしまう。

ヴァルシオンが剣で攻撃しようとするので俺はゲシュペンストを右に傾けて攻撃を避けるが、ヴァルシオンの攻撃が凄まじくかすっただけで左腕がボロボロに砕け散った。

 

「くそ、かすってこの威力か!」

 

今の攻撃だけでもかなりやばいのにヴァルシオンにはクロスマッシャーやメガ・グラビトンウェーブと強力な攻撃もしてくるので明らかに俺に勝ち目はない。

 

「だがこのままただでは負けるわけにはいかない!」

 

俺はやけくそでスプリットミサイルをヴァルシオンに向けて発射するがヴァルシオンは避けも防ぐこともせず全弾命中しヴァルシオンの周りに煙が発生する。俺はその瞬間にヴァルシオンに取り付きゼロ距離でガトリングガンを向ける。

 

「これなら!」

 

俺はガトリングガンをヴァルシオンに撃つがフィールドも発生しておらず当たったのは確実だが、傷ひとつすら付いていなかった。

 

「そんな・・・!?」

 

あまりの防御力にゲシュペンストの攻撃ではダメージを与えられないことに俺は驚きを隠せない。

俺が驚愕している隙にヴァルシオンはゲシュペンストを掴み、振り払う。

 

「しまった!?うわあああああ!」

 

ゲシュペンストを軽々と投げ飛ばし俺は機体の中で弾け飛ぶ。

 

「・・・ふん、この程度か。」

 

「!?・・・あなたは!?」

 

この声、間違いないヴァルシオンの開発者でありDCの総帥ビアン・ゾルダークだ。

 

 

「貴様はこの世界の理から外れたものか。」

 

「?」

 

ビアンの言っていることに理解ができず疑問を抱く。

 

「まあよい、さあ立て!そして俺を倒して見せろ!」

 

「ま、待ってくれ!なんであなたが俺と闘わないといけないんだ!?」

 

ビアンは俺の静止の声を聞かずヴァルシオンはゲシュペンストに攻撃を仕掛ける。

 

「貴様は何のために戦っているのだ?」

 

「な、なにがだ?」

 

「貴様は守るために戦っているのだろう!ならば剣を取れ、銃を持て!何もしなければ守るどころか勝つことすらできないぞ!」

 

ビアンは隆司の乗るゲシュペンストに向かって再び突進を掛けてくる。

 

「まずい、回避行動を!」

 

ゲシュペンストを動かしなんとかヴァルシオンの攻撃を避ける。

しかし、ビアンはその行動を予測しており剣を途中で止め機体を回転させゲシュペンストに蹴りを食らわせる。

 

「ぐあああああ!」

 

ヴァルシオンの蹴りは強くゲシュペンストは大きく飛ばされそのまま地面にぶつかり機体は倒れた。

 

「所詮この程度か。」

 

機体を起こせず、それでもヴァルシオンはこちらにゆっくりと近づいてくる。

 

 

くそ、まったく歯が立たない。

こんな強いのに勝てるはずがないだろが。

 

「ならば、ここで死ね。」

 

このままじゃ負ける。

 

・・・負ける?

 

俺が?

 

 

・・・・・・そうだったな。

 

俺はフリンコ村のような事がないように力を欲したはず。

負けたくない、そして守りたい。

すべてを守ることは出来ないが、一つでも多く守りたい。

だからこんなところで勿体がらずに全力で戦えばいい。

 

俺は自分の相棒とも言える機体の名を呼ぶ。

 

「来い!デビルガンダァァァァァム!」

 

俺の叫びに鼓動するかのように空間そのものが揺れる。

そして空間が割れてデビルガンダムが姿を現す。

 

「あれがデビルガンダムか・・・。」

 

俺はビアンがデビルガンダムに視線がいっている間にゲシュペンストを起こして、デビルガンダムに向かって飛ぶ。

 

ゲシュペンストのコックピットから出てデビルガンダムのコックピットから飛び移る。

 

「さあ、これからが本番だ。」

 

「ふふふ、いいぞ。ならば貴様の本気をこの俺に見せてみろ!」

 

俺はデビルガンダムに乗り込みヴァルシオンと対峙する。

 

周りからは一瞬とも思える時間がこのにらみ合いをしている俺はとても長く感じた。

まるでこの世の全てがスローモーションで動いているかのように・・・。

 

 

 

そして時は流れ・・・先にヴァルシオンが動いた。

 

 

「来た、行け!ガンダムヘッド!」

 

ヴァルシオンが来る場所にガンダムヘッドを地面から生やして攻撃させるがヴァルシオンはガンダムヘッドの攻撃をうまいこと避け、その上速度を落とさずにディバインアームでガンダムヘッドに反撃する。

 

少しずつこちらに近づいてきて、このままではデビルガンダムの元に来てしまう。

デビルガンダムには近接の武器が少なくましてや剣の装備など無いのだ。

 

・・・ん?無い?

そうだDG細胞だ!

DG細胞でデビルガンダムを新しく改造すればいいんだ!

間に合うかな?

いまならガンダムヘッドが時間稼ぎしてくれてるから急げば!

 

俺はデビルガンダムの腕をDG細胞で改造して、腕からビームが出るようにする。

 

改造が完了してヴァルシオンが目の前に来て、ディバインアームを振りかざす。

俺はずぐにデビルガンダムのビームソードで防ぐ。

 

「その程度ではこのヴァルシオンの攻撃は・・・何だ?」

 

互いに一歩も引かない状態でビアンはヴァルシオンに何かが引っ付き、モニターで確認すると黒い機体、ゲシュペンストがいた。

 

「む!こいつはさっきの機体か!」

 

ヴァルシオンにはさっき俺が乗り捨てたゲシュペンストがヴァルシオンの動きを止めるため、ヴァルシオンに張り付く。

 

 

「いいこと教えてやる。この機体は強いが本当に強いのはこの機体そのものの性能ではなく・・・。」

 

 

俺の言葉に会わせるようにデビルガンダムの周りに多種多様の機体がデビルガンダムを守るかのように現れる。

 

「増殖がこの機体の本気なのだからな。」

 

多種多様の機体は一気にヴァルシオンに向かって距離を詰める。

 

「その程度でこのヴァルシオンは倒せないぞ。」

 

多種多様の機体がヴァルシオンに向かうなかヴァルシオンは空中に浮かび空気がヴァルシオンを中心に回り竜巻のようなのが発生して、DG軍団を吸い込む。

 

「メガ・グラビトンウェーブ!!」

 

竜巻に機体が吸い込まれヴァルシオンの放ったエネルギーが竜巻の中心で爆発を起こし、竜巻の中にいた機体のほとんどは爆散してしまった。

 

 

デビルガンダムは周りの機体を利用して巻き込まれなかったが、今の攻撃でDG軍団の5割が減った。

 

さすがヴァルシオンだ。あれだけのDG軍団をたった1撃で半分がやられてしまった。

だが、まだ終わったわけではない。長期戦はこちらが不利になってしまう。

だからこの一撃で終わらせないと!

 

「これ以上時間は掛けられないな。では、これで終わらせよう。」

 

ヴァルシオンは右手を挙げてこちらに向ける。

どうやら早めに終わらせようとしているのは向こうも同じか。

 

俺はヴァルシオンに強力な一撃を与える為にデビルガンダムの胸部にエネルギーを集める。

 

そして互いにエネルギーが溜まり発射準備が整う。

 

 

「行くぞ!クロスマッシャー!」

 

「メガビームキャノン!」

 

 

 

ヴァルシオンとデビルガンダムの攻撃が互いにぶつかり合い、大きな爆発を起こす。

爆風はヴァルシオンの機体を大きく揺らす。

 

「くっ、この程度!」

 

爆風により、機体は一時的に動けなくなったがすぐさまビアンは爆発で発生した煙の中にある、動かないデビルガンダムの影に向かって歩く。

 

「ふふふ、よく頑張ったといいたいがこれまで・・・なに!?」

 

 

 

そこにいたのはデビルガンダムではなくデスアーミーが固まってできたデビルガンダムっぽい模型だった。

 

 

 

 

ビアンが驚いたときに一瞬の隙が出来てしまい、ヴァルシオンの足元からガンダムヘッドがヴァルシオンをがっしりと絡みつき身動きが取れなくなる。

 

「しまった!?う、動けん!」

 

そのできた隙にデビルガンダムはヴァルシオンの後ろを取る。

 

「これで終わりだああああああああ!!」

 

デビルガンダムはヴァルシオンの背後に迫り、ヴァルシオンに向ってデビルソードで切り裂く。

 

 

 

 

 

 

 

デビルガンダムの攻撃でヴァルシオンの目の光が弱まり、機体は力尽きたかのように崩れ落ちた。

 

 

「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・。か、勝ったのか?」

 

ヴァルシオンを倒し、俺はコックピットにもたれ掛かり休憩する。

 

「はぁ~、なんとかなった。」

 

俺が休憩しているときデビルガンダムはヴァルシオンに触手を伸ばしヴァルシオンを吸収し始める。

 

俺が一気に出てきた疲れを癒し、デビルガンダムがヴァルシオンを吸収しおわった時に時空振動なのか空間が揺れる。

 

「時空振動か?今度はどこに飛ばされるんだ?」

 

俺は時空振動でどこかに飛ばされる不安はあったが、さっきまでいたビアンにたいして感謝をする。

 

「ビアンゾルダーク。貴方のおかげで気付くことができました。守るために必要なことが。」

 

 

(・・・それでよい。)

 

 

ん?、今誰かの声がした様な・・・。

 

俺はその声を最後に時空振動でその場から消えた。

 

----------------------

 

~???~

 

 

「・・・これでよかったのか。」

 

「すまぬのわざわざこのようなことの為にお主を呼び出してしもうて。」

 

「構わん、久々にいい戦いだった。」

 

「だがよかったのか?お主の機体じゃろ?」

 

「お前が作った模造品だろ?完成した本物はもっと強い。」

 

(神の力で完全コピーしたからまったく同じなんだが・・・。)

 

声に出していったら面倒だから言わぬが。

 

「しかし、俺の世界に関係ないからいいが、よかったのかあれを渡して。」

 

「かまわんよ。あやつには好きなようすればよい。」

 

「だが、あのデータは・・・。」

 

「特別なことをしないと開かぬよ。まぁ、その特別は普通のものには到底越せぬものじゃからな。」

 

普通のものなら・・・。

 

「ふん。やはりお前は食えぬ奴だな。何を考えているのかよくわからん。」

 

「そうかの?」

 

「突然現れて俺に協力しろだのなんだの、いきなり言ってきたのはお前じゃないか。」

 

「ほっほっほっ、まあよいじゃないか。それにいずれあの者は『神の書』すら見つけるかもしれぬな」

 

「神の書?」

 

「なんでもあらゆる記録が書かれているらしい。」

 

「お前は知らないのか?」

 

「見たことはないの、この世のどこかにあるかもしれないと言われている。」

 

だが、あやつなら見つけるじゃろう。

その時、悪魔によって世界は破滅するかそれとも他の選択肢が出るかの。

 

「まあ、おまけに色々なデータをデビルガンダムに追加したが・・・まぁ大丈夫じゃろ。」

 

 

----------------------

 

 

〈デビルガンダムの能力が進化しました。〉

 

・ヴァルシオンを吸収したことにより性能が強化

 

・特定条件クリアによりブラックボックスSRを解放

 

・ブラックボックスSR解放によりデビルガンダムにデータ集:DCが追加されます

 




正解はヴァルシオンでした。

ヴァルシオンはスパロボの2作目のボスです。
初代スパロボはパイロットキャラがいなかったので、2作目が個人的にはスパロボの始まりだと思います。


オリジナル武装

・デビルソード・・・デビルガンダムの腕からビームサーベルを生やし相手を切りつける。いわゆるチョップに近いもの。イデオンソードみたいなもの


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第22話 新たな拠点

相変わらずの文章力と設定の低さが憎いwww
というわけで投稿が遅くなってすいません。


ユニウスセブンの落下を阻止する為にゲシュペンストで援護したが、

ブレイク・ザ・ワールド、のちの大時空震動でヴァルシオンがいる異空間へと飛んでしまった。

それから理由はわからないが、ヴァルシオンと戦うことになってしまい危うくやられそうになったがデビルガンダムのおかげでなんとか勝てることができた。

できれば今後あんな強い機体とはもう戦いたくない。

 

でもこの世界に来たんだから泣き言はいえない。

これからいろんな機体と戦わなくちゃならないかもしれないしな。

 

 

その後、無事異空間から脱出できてデビルガンダムに乗っていたが、今からセツコ達の元にいこうかと思ったが、デビルガンダムが勝手に動きだした。

 

どこに向かうのかと思い、デビルガンダムに任せて宇宙空間の中を進む。

それから2時間ほどしたら、宇宙空間にぽつんとコロニーが1つだけあった。

近づいてみると至る所がボロボロで場所によっては穴が開いている箇所もあった。

 

デビルガンダムはそのボロボロなコロニーの中へと入っていった。

中も損傷が酷く格納庫はボロボロになっており、鉄骨や道具などが空中で浮遊している。

 

さらに奥を進みコロニー内に入ると住区と思われる場所があった。

そこには所々にデスアーミーがいて、その中に東方不敗の姿があったので近くにデビルガンダムを降ろして東方不敗の元へと向かう。

 

「おお!ジョーカー殿。お待ちしておりました。」

 

「留守を任せてすまなかったな東方不敗。」

 

「いえ、ここでやることは多いのであっという間に時間が過ぎました。」

 

「それでこのコロニーは一体?」

 

「ああ、このコロニーですか?実は偶然見つけたのです。」

 

「偶然?」

 

「ええ、あれは・・・。」

 

 

----------------------

 

~1週間前~

 

儂はマスターガンダムでデビルガンダムと共に拠点となる場所を探していた。

 

デスアーミー等を使い、とにかく広い範囲で捜索した。

 

最初は色々と見つけたが、拠点としての条件があっていないのがいくつもあった。

 

「ウ~ム。どうも拠点にふさわしいところがない。」

 

儂はマスターガンダムのなかで何かいい案がないか考える。

もしこのまま手ぶらでいるとジョーカー殿に失望されてしまう。

そうなっては、地球の再生の希望がなくなってしまう。

失望されないためにも何か手を考えているときに東方不敗の目の前で突然耳鳴りがおきて、東方不敗はすぐさま戦闘体勢をとる。

東方不敗が構えて、警戒しているとき突然目の前から光が放たれる。

 

「なっ、なんだこれは!?」

 

光が眩しく咄嗟に目を瞑ってしまったが、敵がいると思い再び戦闘態勢を取る。

恐る恐る目を開いてみると、目の前には敵ではなく先程までなかったコロニーが出現していた。

 

「なんだあれは?」

 

東方不敗は目の前に現れたコロニーを不審に思いコロニーを見つめる。

 

 

東方不敗は不用意に近づかないようにしていたが、デビルガンダムが前に出てコロニーへと向かう。

 

「おっ、おいどこに行くのだデビルガンダム!」

 

東方不敗の制止を聞かずデビルガンダムはそのままコロニーに向かって進む。

 

コロニーは長いこと使われてないようで至るところボロボロだった。

場所によっては穴が開いており、瓦礫や資材が宙に浮いていた。

 

「ここは一体?」

 

中にも入ると住宅地と思われる場所もボロボロになっていて人の気配がなかった。

 

「ふむ、とりあえず誰かいないか探さねばな」

 

デビルガンダムからデスアーミーとゾンビ兵を出して周囲を捜索、あとはこのコロニーの情報収集をさせた。

 

 

それから、3時間経ったが人が一人もいなかった。

 

「なぜ、このコロニーには人がいないのだ?」

 

「グルルルル」

 

「ん?どうしたデビルガンダム?」

 

デビルガンダムが何かを言いたそうにするがさすがに言葉でないとなにを言っているのかわからない。

ジョーカー殿ならわかるかもしれないが。

 

「もしや、ここを拠点にしようというのか!?」

 

「グルルルル」

 

デビルガンダムが首を縦に振り肯定と示した。

 

考えてみれば確かにだれも使っておらず、この近くには誰もいないので、簡単には来れるはずもない。

その上コロニーなので、設備や土地の広さも文句はない。

拠点としては今まで探していた場所よりも条件がよかった。

 

「しかし、この場所は安全なのだろうか?」

 

そう、儂が危惧していたのはこの場所で安全なのかどうかだった。

突然現れ、しかもこのボロボロな状態のコロニー。

そんな場所が安全とはとても言い難い。

 

「グルルルル」

 

デビルガンダムは触手を地面に生やしてDG細胞を広げけて穴があった部分はふさがり、まるで自分の力があれば修復できると言っているみたいで、デビルガンダムはこの場所で問題ないかのように言っており儂は渋々承諾した。

 

 

拠点が決まったのはいいがまずやるべきことがある。

コロニーがボロボロをどうにかしないといけない。

なので先程と同じようにデビルガンダムのDG細胞を使ってコロニーの損傷箇所を修復し、デスアーミー達や他のMSを使って資材運びと修復をさせることから始めた。

 

----------------------

 

「・・・というわけです。」

 

東方不敗からコロニーにいる経緯を聞き、

 

「なるほど。だがこの一週間は特に何もないのだな?」

 

「はい、今のところはなにも。」

 

東方不敗の心配事は確かに俺も理解できる。

だが、折角見つけたのだ有効に活用しなければ。

 

「それじゃあ、ここを拠点にするか。」

 

「よろしいのですか?」

 

「東方不敗やデビルガンダムが探してくれたんだ。使わないともったいない。」

 

「わかりました。それではこのコロニーの名前は何にしましょうか?」

 

「名前?」

 

「はい、我々の新たな拠点です。名前をつけるのはここの主であるジョーカー殿に任せましょう。」

 

「なら、デビルガンダムの名前を使って、DGコロニーにしようか。」

 

「わかりました。」

 

「それじゃあ、少しこのコロニーの案内を頼めるか?」

 

「お任せください。ささ、まずこちらから案内致しましょう。」

 

俺は東方不敗の案内でコロニー内を案内してもらった。

居住区・工業区その他にも色々な設備などがあり、そこも至る所がボロボロになっておりデスアーミーやMS、ガンダム・・・・・・ガンダム!?

俺は目を凝らしてよく見るがどうみてもガンダムがいる。しかも1種類ではなく、良く見るといろんな所にガンダムらしき姿があった。

資材を運んでいるリジェネレイトガンダムやガンダム4号機。その他のガンダムの姿もあった。

しかも他の所に視線を向けるとガンダム以外にもMA、スーパーロボットのザコ敵や量産機などもいた。

 

「(というか同じ機体が何体もいるぞ!?まさか量産されている!?)東方不敗、あの機体たちは?」

 

「あれはジョーカー殿のご命令で作ったMS達です。」

 

(え?そんな命令したっけ?確か・・・・。)

 

俺は覚えのない命令を思い出す為、東方不敗と会話していた内容を思い出す。

 

『デビルガンダムの戦力増強の為に《《増殖等を任せる》》。』

 

 

(・・・あれかぁぁぁぁ!?)

 

東方不敗と出会って1日目の時に確かにそのようなことを言っていた記憶がある。

俺は東方不敗に言った内容を思い出したがまさかこんな形の内容になっているとは思ってなかったので仮面の下でかなり驚いた顔をしていた。

 

(確かに言ったけどあれはデスアーミーの増殖を任せるという意味で言ったんだけどなぁ。)

 

 

驚いてはいるがとりあえずもう量産してしまったのだから仕方がない。

それに前々から思っていたが戦争や戦いで活躍した機体を多数所持していると、目をつけられたら厄介だと思い悩んでいたがデスアーミーだけだと、どうしても戦力に心配があった為悩んでいた。

しかし、こうして見ているとこれなら少しは戦力はましになるだろうと思えた。

とりあえず結果オーライで。

 

「そうだったな、ご苦労。」

 

「ありがとうございます。」

(ジョーカー殿、何か悩んでおられるみたいで相当お疲れのご様子、案内はできるだけ早めに終わらせるとしよう。)

 

それから東方不敗のコロニーの案内を再開した。

次は居住区を離れ、工業区へと向かった。

 

「こちらが整備工場です。主にMSなどの設備を置いております。」

 

整備工場に入るとそこには多種多様の機体が勢ぞろいしていて、まるで博覧会みたいだった。

 

 

「こちらでは機体の修理や整備を主に利用しています。とはいってもDG細胞があればその必要はまったくありませんが。」

 

そう、DG細胞があれば修理も改造も簡単にできるので整備士は必要がないのだ。

おかげで機体の量産で必要になる人件費とか諸々が浮くことになる。

 

「本当は色々見せたいものがあるのですが、まだ修復作業が終わっておりませんので危険かと思われますのであまり立ち入らないでください。」

 

「わかった。」

 

「とりあえず、いまのところ案内できるのはこれだけですな。」

 

「意外と少ないんだな。」

 

「申し訳ありません。まだ修復作業を始めて1週間ですので。」

 

さすがに1週間じゃ、コロニーを修復させるのは無理か。

 

「いや、とりあえず。モビルスーツ達にはこのまま修復作業を続けさせてくれ。」

 

「わかりました。」

 

「あと、植林スペースも作っとかないとな。」

 

「植林スペースですか?」

 

「ああ、東方不敗の願いは自然を取り戻すことだろ?だから、余っている場所があるんだからそこは植林スペースにしよう。」

 

「じ、自分の為にですか?」

 

「そうだ。東方不敗には世話になっているからな。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

東方不敗はこれまで色々と助けてもらったんだ。せめて何かご褒美をあげないと、うちのDGはホワイト企業としていかないと。

もしこれでなにもあげないとかブラック企業になってしまうからな。

 

俺が整備工場を見ていると、とある一角でゾンビ兵の姿が見えた。

ゾンビ兵が集まっていて、何か準備運動みたいなのをしていた、

 

「あれは?」

 

「はい?ああ、あれはゾンビ兵の強化が出来るか試しているのですよ。」

 

「ゾンビ兵の強化?」

 

「ええ、いくら機体ばかりを強くしても、白兵戦が弱くては話になりませんからな。」

 

「それでゾンビ兵に白兵戦を?」

 

「はい。そして白兵戦の格闘術に流派東方不敗も教えています。」

 

ちょ、ゾンビ兵に白兵戦でしかも流派東方不敗を教えてるのか!?

 

「ただ・・・。」

 

「ただ?」

 

「少しずつ良くなっているのですが、やはり動きが遅いのがありますのでご期待には添えられないかもしれません。」

 

ああ、やっぱりゾンビ兵の動きはあまりよくないんだね。

ゾンビのゲームをしていたら、ノロノロした動きだからそんなに早く動けないんだろうね。・・・たまに走ってくるやつがいるけど。

 

「まあ、あって損するわけじゃないからやっといて問題ないだろう。」

 

「わかりました。ではこのまま、ゾンビ兵の強化は続けましょう。」

 

それにしても、東方不敗にはいろんな仕事押し付けているような気がするな。

少し気分転換に何かしてもらいたいが・・・。

あ、そうだ。

ずっとコロニーにいたら大変だし、東方不敗に少し頼み事をして貰うついでに骨休めしてもらうかな。

 

 

「実は東方不敗、それよりも頼みがある。」

 

「はい、何なりと。」

 

「実は・・・。」

 

「・・・わかりました。ではさっそく。」

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

「では。」

 

東方不敗はその言葉を最後に姿を消し、行動に移した。

他の見事をしてもらったがずっとコロニーにいるよりかはましだろう。

これで少しは骨休めになればいいが。

 

とりあえずDGコロニーは現状このままにしておこう。

警備体制はまだまだだが、デスアーミー達には周辺警戒はさせておこう。

 

さて俺も行動を移すか。

俺もその言葉を最後にデビルガンダムのところへと向かった。

 

「あれ?」

 

俺はデビルガンダムに乗ろうとしたときあることに気がつく。

 

「前より・・・大きくなってる?」

 

そう、デビルガンダムの機体の大きさが以前と比べて大きくなっているのだ。

前にデビルガンダムに乗ろうとしたときよりも大きい感じがする。

 

「もしかして自己進化?」

 

DG細胞の自己進化で機体が大きくなったのはわかる。

しかし、何で大きくなっているのかは分からない。

 

(もしかしてヴァルシオンを吸収した影響か?)

 

覚えがあるとしたらヴァルシオンとの戦いが一番記憶に新しくそれが原因ではないかと考える。

 

だが俺は原因を考えるがどれもあくまで予想なので明確な理由がわからなかった。

結局原因が分からずデビルガンダムに乗りセツコ達の元へと向かうのであった。




東方不敗が便利www

仲間が東方不敗しかいないので、すべて東方不敗に任せているみたいな状態になってしまいました。

デビルガンダムの大きさを調べたら意外と小さかった。
ゲームとかでは大きい感じがあったんですけど・・・。


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第23話 一年戦争の亡霊

今回は8000文字超えです(笑)。


どうも隆司です。

セツコ達ZEUTHに会うために地球へと向かってましたが、

いまはというと・・・、

 

「どうした、アクシズの料理は食えないのか?」

 

「あっ、いえ。想像よりも豪勢だったのでつい。」

 

「そうか、遠慮はするな好きなだけ食うといい。」

 

アクシズの摂政であるハマーン・カーンのいるところに来ています。

 

どうしてアクシズにいるのかって?

それは・・・。

 

 

----------------------

 

~さかのぼること3時間前~

 

DGコロニーからデビルガンダムで再び出撃した俺は地球へと向かっていた。

しかし、セツコ達がどこにいるか当てがあるわけではない。ただいまどこにいるかはっきりと思い出せない。

 

(原作のゲームをしたのがけっこう前だったからみんなの場所があまり覚えてないな。)

 

その為、地球に降りて情報収集するしかないのだ。

 

そして、デビルガンダムで向かっている途中で閃光が放ち、カメラをそちらへと向ける。

そこでは他にいくつもの閃光が放っていた。

 

「あれは・・・、爆発の光か!」

 

近くで戦闘しているようだ。

もしかしたらセツコ達、ZEUTHか?

だけどこのとき宇宙に来てたか?

 

とりあえず俺はすぐさま戦闘している場所へと向かおうとしたが今乗っているのはデビルガンダム。

この機体なら戦闘は楽だが、もしDG細胞でZEUTHになんらかの影響を与えてしまってはいけない。

そう考えるとデビルガンダムでの戦闘の参加は今は控えたほうがいいと考える。

 

「ゲシュペンストを今から作るとなると・・・くそ、10分かかるのか!なら代わりに何かないか!」

 

俺はモニターで使える機体を探すが以前のヴァルシオンとの戦闘でほとんどの機体を失い残りは大破して使い物にならない状態だった。

直接このままでビルガンダムで、と思っていたときすぐ使える機体が1機だけあった。

 

「ザクⅡか。」

 

他の機体はボロボロなのに、なぜかザクⅡだけがまったくの無傷で残っていた。

 

「しかたがない。とにかくこいつで出よう。」

 

俺はすぐにデビルガンダムからザクⅡを出し、コックピットを乗り換え戦場に向かって飛ぶ。

 

「あれは・・・、」

 

戦場が近づくとセツコ達のZEUTHはいなかったが、そこにはネオ・ジオンのガザCの部隊とガイゾックのメカブーストのドミラが戦っていた。

ガザC部隊はドミラに反撃はしているがやはり、数で押されている。

 

「見過ごすことはできないな。」

 

俺はすぐさまザクⅡでガザC部隊の援護に向かう。

まず、近くにいるドミラを頭上から急接近してザクマシンガンを喰らわせる。

 

『お、お前どこの部隊だ!?』

 

ガザC部隊の男兵士がこちらに通信を飛ばしてくる。

 

「いまは、それよりもここを乗り越えるぞ。」

 

俺はガザC部隊を守るためにフットペダルを踏み、ドミラに向かって飛ばす。

 

「くらえ!」

 

俺はヒートホークを取り出して近くにいるドミラに対して胴体に向かってヒートホークの刃を食い込ませて攻撃する。

 

「そこ!」

 

そしてヒートホークで一体撃破したあとすぐさま反転してカメラで確認すると複数固まっているドミラを見つけたのでザクマシンガンを構えて撃ち、ドミラはザクマシンガンで無数の穴が開き、その直後爆発する。

 

「あと、数体!」

 

再び、バーニアを噴かしてドミラに向かって一直線に進む。

右手にザクマシンガン左手にヒートホークを持ち残りのドミラがいる場所へと近づく。

ドミラもこちらに気がついてか攻撃を仕掛けてくるが、こっちはDG細胞で強化されたカスタム機。

そうそう簡単に当たるわけがない。

 

「これで最後だ!」

 

最後の一体にヒートホークを食らわせてようやく戦闘が終了する。

 

「ふ~、これで終わりかな?」

 

「何者かは知らぬが礼を言おう。」

 

俺は安心して息を吐いてその声を聞いたとき体がビクッと反応して声がした方向を見る。

あ、やっぱり。

この声に、目の前の白いガザC。

どうみてもハマーン・カーンです。

 

「見たところ貴様もジオンの者のようだな。」

 

いえ、違います。

でもザクに乗っている時点でジオンに見られてもおかしくないか。

というかいま声を出して『違う』と言いたいがビビってしまい声を出せない。

『機動戦士Zガンダム』ではシャア(クワトロ)やシロッコと戦うことのできる女性で、しかもスパロボでのステータスが異様に高い人なのだ。

それが目の前にいるとなるとビビってしまう。

 

「まあいい。礼をしよう。アクシズに来るがいい。」

 

「えっと、あの・・・。」

 

地球に行ってセツコ達、ZEUTHと合流したい。

だが、ビビってしまい声がでない。

 

「どうした?なにかあるのか?」

 

ガザCがこちらに振り向いたとき、俺は思った。

もし、自分がジオンじゃなかったらあのハマーンがこちらに怒りの矛先を向けるのではないかと思い・・・。

 

----------------------

 

~妄想(隆司の頭の中)~

 

「なに?貴様ジオンのものじゃないだと!」

 

「そうです。俺はジオンのものじゃないです。」

 

「ならば貴様は我々の敵か!」

 

「え?いや別に「恥を知れ!俗物!」」

 

「うわあああああ!?」

 

----------------------

 

ガクガクブルブル

 

お、恐ろしい。

もしジオンじゃないなんて知られたら俺生きて帰れるか。

 

「いえ、なんでもないです。」

 

「そうか、では来るといい。」

 

ここは素直に着いて行くのがいいのかもしれないな。

 

「はい。」

 

----------------------

 

~アクシズ~

 

俺はハマーンに連れられて、アクシズの格納庫に入り、ザクをジオンの整備班に預ける。

特に損傷はないから整備の必要はないだろう。

それにいざとなったらDG細胞のオートパイロットで何とかなるだろう。

・・・たぶん。

 

「そこにいたか。」

 

「あ、あなたは。」 

 

「始めましてだな。私の名はハマーン・カーン。このアクシズの指揮をしている。」

 

「た、橘隆司です。」

 

生で見たらすごい美人だな~。

思わずその美しさに動悸が激しくなり、危うくやられそうになる。いかんいかん、気をしっかり持たねば。

このハマーン・カーンはザビ家の復讐の為にいろんな手を使う恐ろしい女性なのだ。

いわば獲物を狙う際にはいいとこ取りをする美しき猛獣なのだ。

危ない危ない騙されるところだった。

 

「紹介したい人がいる。こちらに来てくれるかな。」

 

ハマーンの目は俺を獲物であるかのようにこちらに目を光らせる。

ここに来た時点で俺に拒否権はないんだな。

 

「わかりました。」

 

 

俺はハマーンと共にアクシズ内部を歩き、大きな扉の前へと来た。

ジオン兵が扉を開けてハマーンが中に入り俺も付いていく。

そこは大きな部屋で真ん中には赤いカーペットが引かれていて、その奥には玉座と思わしきものに一人の少女が座っていた。

 

「紹介しよう、このお方はミネバ・ラオ・ザビ様だ。」

 

玉座に座っていたのはジオンの忘れ形見で『ガンダムUC』で活躍するミネバ・ラオ・ザビだった。

俺は膝を折り、テレビとかでよく見る騎士が跪く姿勢にする。

 

「は、始めまして、橘隆司と申します。」

 

「うむ、おもてを上げよ。」

 

「は、はは。」

 

こんな経験一度もないから俺はとても緊張してか、体が硬い為か顔を少しだけしか上がらない。変な動きをしていないかな?

ミネバはこちらを見てニコッと笑う。

 

(うっ!ミネバはこの頃から可愛かったんだな。)

 

こりゃあ、バナージが惚れる理由がわかるな。

 

「この度はここアクシズの危機を救ってくれたことを感謝する。」

 

「とんでもありません。自分もジオンの一兵士です。仲間の危機は救わなければなりません。」

 

実際見過ごすことも出来たけど、見過ごしたら後味悪いからね。

 

「では、アクシズを救ってくれた礼だ。ここで過ごすといい。」

 

「ありがとうございます。」

(どうしよう・・・ますます帰りにくくなったぞ。)

 

「ところで、お前もジオンのものだといったが本当なのか。」

 

「はい。その通りです。」

 

「そうなのか。なにか面白い話はあるか?」

 

「面白い話ですか?」

 

「ああ。ここにいると退屈でたまらない。」

 

「ミネバ様・・・。」

 

ハマーンはミネバを止めようとする。

 

「構わないだろ。ハマーン」

 

「・・・わかりました。では、もう少しで食事のお時間ですので。貴公もそれまでお話されてはいかがですかな。」

 

「わかりました。ではミネバ様。ここに来るまでのお話をしましょう。」

(ここで、ミネバと仲良くなれば俺のイメージアップになって信頼を得れば俺の生存率も上がる・・・はず。)

 

それから、ミネバ様と見張りだろうジオンの兵士数名と共に部屋で待機して、ミネバにスパロボのお話をしてあげた。

 

「・・・そして、甲児はこういったのです『やい!一昨日来やがれ』っと。」

 

「ほう。そのマジンガーZは強いのだな。」

 

「ええ、とても強いですよ。」

 

「他には何かないのか?」

 

「そうですね。他でしたら・・・、ああ、なら次はUFOのロボットで戦った男の物語はどうですか?」

 

「おお、それも面白そうだな。」

 

「では・・・。」

 

俺が次の話をしようとしたときに侍女が部屋の中に入ってくる。

 

「ミネバ様、お食事のご用意が出来ました。」

 

侍女がミネバを呼びに部屋の中へと入ってくる。

 

「もうそんな時間か。では隆司今日は楽しかった。」

 

「いえ、ミネバ様が楽しいと思われて良かったです。」

 

「では。」

 

そして、ミネバは侍女と共に部屋を出ていった。

 

(・・・は~。なんとかなった。)

 

とにかく面白い話をしようとあれこれ考えていたらつい熱中してしまった。

これじゃあ、俺まるでアニメの話に夢中になったオタクじゃないか。変に思われなかったかな。

 

「少し良いか?」

 

「ひゃい!」

 

突然声を出せない掛けられて驚いてしまい、後ろを振り向くと、そこにはマシュマー・セロがいた。

 

「すまない。驚かせてしまったようだな。」

 

「え、えっと。あなたは?」

 

「む!失敬。こちらの自己紹介がまだだったな。私の名前はマシュマー・セロ。ハマーン様をお守りする忠実なる騎士だ。」

 

「マシュマー・セロさんですか。自分に何かご用でしょうか?」

 

「うむ。実はハマーン様から貴公を呼ぶようにと仰せつかったので呼びに来たのだ。」

 

「じ、自分をですか?」

 

「そうだ。貴公のこれまでのことを聞きたいらしい。」

 

一難去ってまた一難。

今度はハマーンの相手をしなければならないのか。トホホ。

 

「わかりました。いきましょう」

 

俺はマシュマーに着いていってハマーンのいる所へと向かった。

 

----------------------

 

・・・そして今に至るわけだ。

ただ、案内された場所がなぜか食堂だったのだが。

ちなみに、食堂とは言ってもミネバは別の場所で食事を取っているらしくこの部屋では俺とハマーンとジオン兵数名だけだった。

 

「ハマーン様・・・。」

 

「どうしたのだ?」

 

「いえ、なぜ自分めが食事なのでしょうか?」

 

「おかしな奴だ。食事をとるために食堂にいるのではないのか?」

 

「??」

 

「まあよい。実はお前には聞きたいことがあるのだ。」

 

「自分にですか?」

 

「お前はジオンに所属していると言ったな。」

 

「・・・え、ええ。」

 

「どこの部隊の所属だ?」

 

・・・ま、不味いぞ。

所属している部隊のことはなんにも考えていなかった。

ど、どうしよう!

 

「・・・どうした?」

 

「い、いえ、なにも!!」

 

くそ、適当な部隊の名前を言えばなんとかここを切り抜けられるんじゃないか?

 

「自分の所属は・・・。」

 

ドカン!

 

俺が意を決して言おうとしたとき突然爆発と揺れが起きて食器や食事がひっくり返る。

 

「なんだ!?」

 

「ハマーン様!」

 

「マシュマー!一体何ごとだ!」

 

「敵です。先程襲撃してきた異星人が再びこちらに。」

 

「また、奴等か。」

 

ガイゾック、また来たのか。

アクシズを置いて逃げるか?

でも、逃げるのもなんだか悪いような。

う~ん。

そうだ!戦ったあととんずらすれば良いじゃないか!

そうすれば罪悪感もないはずだ。

 

「ハマーン様、自分も手伝います。(そのあとは逃げますが。)」

 

「・・・助かるぞ隆司。」

 

食堂を後にして俺はハマーンと共に格納庫へと向かった。

 

----------------------

 

俺はアクシズからノーマルスーツを借りて、ザクの元へと行く。

 

「特に損傷もなかったのでいつでも動かせます!」

 

整備士の人から特に問題はないとの事なので俺はザクのコックピットへと乗り込む。

 

「わかった。橘隆司、ザク発進する!」

 

俺はアクシズのカタパルトから出撃してアクシズに近づいているドミラを見つける。

 

「そこか!」

 

俺はザクマシンガンを発射してまず1体を撃墜する。

ドミラは散開して少数でこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

「くそ数か多いこのまま戦うのは面倒だな。だけど誰が見てるかわからないからDG細胞で戦ったらそれこそ後がもっと面倒だ。」

 

俺は仕方がなく敵を1体ずつ倒すことにした。

幸いなことにDG細胞だとエネルギー切れを起こすことはないので弾の残弾を気にせず、ドミラに向かってザクマシンガンを撃つ。

そして、命中した弾が一発でもドミラに当たれば内部でDG細胞が侵食を初めてドミラの動きを止める。

そして、動きが止まったところをさらにザクマシンガンで止めを指す。

 

これらを繰り返したので特にこちらに被害はなく粗方倒したので、こちらは大丈夫だろうと思い、モニターを見ると近くにハマーンの機体があった。

モニターを確認するとハマーンはガザCを巧みに操り、ドミラを何体も撃墜する。

 

「さすが、ハマーン。あれほど動けるとは。」

 

しかし、モニターをよく見てみるとハマーンの乗ってるガザCの後ろにある隕石の影にドミラの姿を見つる。

ドミラは隕石に隠れてハマーンを後ろから狙おうとしていた。

 

「まずい!」

 

俺はすぐさまブースターを噴かせる。

ドミラを撃墜させようとドミラに照準を向けトリガーを引く。

しかし、それも遅くドミラは撃墜直前にガザCに向ってビームを発射する。

そのとき俺はドミラを落とすことより、ハマーンを守る為にザクの向ける方向を変えた。

 

だが後々で考えてみればハマーンならこの程度の攻撃ぐらい避けられただろうと思った。

けど俺はこの時、そんなことを考える余裕もなく迷うことなくハマーンの元に向ってブースターを噴かせる。

 

「ハマーン!」

 

俺は咄嗟にハマーンの前に出て、ドミラの攻撃がザクの肩のアーマーに当たる。

 

「うわああああ!」

 

「隆司!異星人め、落ちろ!」

 

ハマーンはガザCのナックルバスターをドミラに向けて撃つ。

 

『ハマーン様ご無事でしょうか!?』

 

「マシュマーか、こちらは問題はない。

それより大事無いか?隆司。」

 

ハマーンはガザCをザクに近づけて接触回線を送る。

 

「あ、ああ。損傷は軽微・・・です。」

 

「そうか、では帰還するぞ。」

 

とりあえず俺はハマーンと共にアクシズへと帰還するのであった。

 

 

・・・あ、逃げるチャンスが。

 

----------------------

 

アクシズへと帰還を果たして見事逃げるタイミングを失ってしまい、今はハマーンとマシュマーと共にアクシズの中の通路を歩いていた。

 

「お前には2度も助けられたな。」

 

「い、いえ、そんな。ハマーン様ならあれぐらい避けれられたから余計な手出しだったでしょう。」

 

「ふ、お世辞はよい。

それに今日はもう遅い。ゆっくり休むがいい。

マシュマー、彼を部屋へ。」

 

「はっ!ではこちらに。」

 

俺はハマーンと別れてそのままマシュマーさんに着いていって部屋へと向う。

 

「すまなかった。」

 

「え?」

 

「この度の戦闘で2度も貴公のおかげで助かった。そして先の戦闘でもハマーン様の盾となってくれたことを。」

 

「い、いえ。俺がしたことなんてたいしたことは。」

 

「いや、貴公は騎士の鏡に相応しい。それに比べて私は情けない。ハマーン様の危機にこの私が守ることができなかったとはなんと情けない!」

 

マシュマーは薔薇の花びらを撒き散らしながら涙を流していた。

 

「いや、でも、マシュマーさんもすごいと思いますよ。」

 

「この私がか?」

 

ここでフォローしないと後々が面倒な気がするので、なにか良い感じにしないと。

 

「そうですよ。ハマーン様の騎士なんてマシュマーさんがきっと一番ですよ。」

 

「そ、そうか?

ふ、ふはははは。やはり私が一番の騎士か。ありがとう我が同士よ。最初は貴公のことはジオンの者ではなくどこか怪しいやつと思っていたが私の勘違いだったみたいだな。」

 

ば、バレてる!?

いや、勘違いといってくれたのだ。

たぶん大丈夫だろう。

 

「さて、ではここが貴公の部屋だ。」

 

部屋のなかにはいるとそこはベットが置いてあり綺麗な装飾品とかがおかれていた。

 

「随分といい部屋ですね。」

 

「アクシズを2回も救ってくれたのだ。私ができるのはこれぐらいだ。」

 

「マシュマーさん。」

 

「では、ゆっくり休むとよい。」

 

そういってマシュマーさんは部屋を出ていくのであった。

 

折角用意してくれた部屋なのだ。

俺はとりあえずベットに滑り込み、横になる。

 

「逃げるタイミング逃したな。これからどうしよ。」

 

まあ、とりあえず今日はここで休むとしよう。

俺が目を閉じようとしたとき、腹の虫が鳴く。

 

「そういえばご飯まだ食べてなかったな。」

 

----------------------

 

 

~格納庫~

 

 

「やれやれ、ガザCの整備はやっと終わったな。えっと次はあのザクか。」

 

整備士はザクの肩が損傷していると聞いたのでどんな状態なのかを確認する。

 

「あれ?損傷がないぞ?」

 

ザクの肩を見るとそれはまるで新品のように傷1つなかったのだ。

 

「おい!このザク誰か修理したのか?」

 

「いえ、まだ誰もさわってませんよ?」

 

「?、おかしいな。」

 

整備士は肩を触っても(・・・・)特になんにもなく。

ましてやハリボテではないちゃんとした金属(・・)であった。

 

「俺の気のせいか?」

 

整備士はそのザクに損傷がないので手をつけることはしないでザクから離れていった。

 

そして、ザクから整備士が離れていくのをザクはモノアイでそれを確認しており、

特に問題はないと判断して主が来るまで格納庫でじっと待機するのであった。

 

 

----------------------

 

 

~ハマーンの私室~

 

 

隆司が自分の部屋にいるとき、別の部屋ではハマーンが一人暗い部屋で椅子に座っていた窓の外を眺めていた。

 

「・・・私はいったいどうしたのだろうか。」

 

窓の外の暗い空を見上げて一人つぶやくハマーン。

 

「やはりあの男が来てからか・・・。」

 

思い浮かぶのは隆司の顔。

アクシズが異星人の襲撃に遭い、兵士が何人もやられていくとき、あの男が現れた。

奴等に負けるなどはないがあの男が現れなければより一層被害は大きかっただろう。

あの男が何を思ってこちらの支援をしたのかはわからないが、あれほどの技量を持っているのだ。

利用する手はないだろう。

 

利用はするが最初は怪しい男と思い、ミネバ様と話しているときに化けの皮をはがそうと思って兵士には不審な行為をしたら撃てと命令して、私は部屋の外であの男の行動を見ていたが怪しい行為はなくミネバ様と仲良くお話もされていた。

 

・・・それにしても、ミネバ様があんなに笑われた姿は久しぶりに見た気がする。

ゼナ様が亡くなられた後はシャアと過ごしているとき、ミネバ様は笑われていたが、シャアがここを離れてからミネバ様の笑顔は減ってしまった。

だがあの男はまだ来て一日も経っていないのに、ミネバ様との会話で笑わせることができた。

 

それから、ミネバ様との会話が終わり私が確かめようとした際、先程の異星人からの攻撃を受けた。

このタイミングで襲撃を受けるとは実はこの男は異星人の仲間ではないかと疑ったが証拠がない。

その為確かめることはできなかったが、幸いなことに戦闘にあの男が協力してくれることになった。

あの男がザクで出撃した後に私はガザCで後ろを付いていき、奴が異星人の仲間ではないかを確かめることにした。

もし奴が異星人の仲間ならこの戦闘のどさくさに紛れて逃げるはずだろう。

そう思って戦っていたが、敵の数が多くあの男を確認する暇がなかった。

そして、私が戦っているとき後ろからの攻撃を隆司は自分の機体を盾にして私を守った。

 

あの時、あの男の頭の中が見えた。

奴は欲などはなくただ純粋な思いで私を守ったのだ。

彼の中を感じたときとても心地がよく、そして・・・暖かった。

私は情けないな。

あの男の純粋な気持ちを踏みにじろうとしたのだから。

 

それから戦闘が終わったあと今回の礼を重ねて良い部屋へと案内させた。

 

たが、なぜだろうか。

以前の自分なら男にこのような感情を振りまくようなことはなかった。

しかしどうだろうか、いま隆司の顔を思い出すとぼんやりだがなんらかの感情が沸いてくる。

 

「ふっ、まさかな・・・。」

彼女は誰もいない部屋で独り言を呟く。

 

「隆司か・・・。」

  

ハマーンが無意識で呟いた言葉は誰にも聞かれること無く。

 

そして、自分自身も気付くことはなかった。

 

 




いかかでしたか?
『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』を見ていてハマーン様の小説を作りたいと思いました。
ちなみにこの小説ではハマーン様:ハニャーン様が8:2でできています。
ハマーン様って『Z』より『ZZ』の方が美しく見える。そうは思いませんか?

というか、『ZZ』のキャラクターどうしようか。
取り合えずマシュマーさん出したけど『ZZ』のストーリー出すつもりがないから、アクシズのキャラクターだけ出そうかな?そもそも出番がないからね。


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第24話 一年戦争の亡霊②

ハマーン様ばんざーい!ハマーン様ばんざーい!

さあみなさんで、ハマーン様ばんざぁぁぁぁぁぁぁい!!

人類に逃げ場なし様、評価コメントありがとうございます。東方不敗良くできていて凄かったです。


成り行きでここハマーンのいるアクシズに来たけど、なぜか思い通りにならず、ここアクシズでジオン兵として活動していた。

 

「アクシズで一日を過ごしたけど、早いことセツコのところに行かないとな。」

 

だが、どうやって出よう。

無理に出撃して追撃にあったらザクで逃げ切れるか。

デビルガンダムを使えば問題ないが、それじゃあ原作通りにデビルガンダムの悪い噂が広がってしまう。

 

とにかくデビルガンダムの悪い噂が広がらないようにするにはまずデビルガンダムで慈善活動すればいいのだ。

そうすれば、デビルガンダムの討伐なんて言う話にはならないはず。

その為のZEUTHとの合流なのだ。

だが、問題はやはりデビルガンダムの暴走が一番の懸念だよな。

もし、ZEUTHの中で暴走してしまって彼らに何かあったらこれからの歴史が大きく変わる。いや、それどころか戦争の泥沼状態になってしまう。

それを阻止するためにも暴走を何とかしなければ。

だが、俺はあくまで凡人。そんな簡単にいい案が思い付くはずがない。

それからいくら考えてもなにも思い付かないので、取り合えずこの部屋から出て気分転換しよう。

 

 

----------------------

 

とは言ったものの格納庫に来てみたたけどやはり状況は変わらない。

 

「どうしようかな?」

 

やはり、強行突破するか?いやだが・・・。

 

「ここにいたか。」

 

「あ、これは!ハマーン様!」

 

俺がザクを見ているときに声をかけてきたのはハマーンだった。

 

「どうした?なにか悩んでいるような顔をしているな。」

 

「え?そ、そんな顔してましたか?あは、あはははは。」

 

いけないいけない。

ここは敵でもないけど味方でもないんだ。

慎重に行動しないと。

 

「そうか・・・。」

 

ハマーンは一言だけ言ったが、俺の顔をジーと見てくる。まさか・・・疑われてる!?

 

「あ、あのなにか?」

 

「いや、大したことはない。それと、見たところ暇のように見えるな。」

 

確かに特になにもすることがないな。

アクシズに来たものの、何もすることがなくただウロウロするだけしかやることがないのだ。

 

「なら、ちょうどいい。少し付き合え。」

 

ハマーンはそういうと一足先に行ってしまう。

 

「え?ハ、ハマーン様!?」

 

俺も慌ててハマーンへと着いていくのであった。

 

----------------------

 

「あの、ハマーン様?」

 

「どうかしたか?」

 

「いや、着いてきたのはいいんですけど、あの・・・なぜ、買い物なのですか?」

 

ハマーンに連れらて来たのはアクシズの隣のモウサの中にあるショッピング店だ。

そこで、衣類や装飾品などを買っていた。

 

「私とて人の子だ。必要となるものはある。」

 

「?、部下に購入してもらわないんですか?」

 

「たまにはこういうのも悪くないのでな。」

 

「はぁ。」

 

ハマーンってこういう性格だっけ?

なんだか、周りに壁を作って交流を絶っていそうな感じがしたんだけど。

もしくは、なにか巧んでいるんじゃ?

 

 

「さて、隆司。次はあっちに行くぞ。」

 

まっ、いいか。

取り合えず、今は少し警戒しとけば大丈夫だろう。

いざという時には行動すればいいし。

 

「わかりました。それにしても色々買いましたね。」

 

服に装飾等色んな物を買った。

もちろん荷物持ちは俺だ。

もしハマーンに持たせてみたら、マシュマーが飛んでくるぞ。

そして俺がどうなることやら。

 

「私もこうして外で買い物をするのは久しい気分だ。」

 

ハマーンはまるで何かを思い出すかのように思い耽っていた。

その姿はどこか悲しそうな雰囲気が出ていた。

 

「ハマーン様?」

 

「ああ、少し昔を思い出していた。」

 

シャアと共にいた記憶かな?

しかし、シャアも酷なことをするよね。

いくら信用しているからって、なにも言わずに行くなんて、いくらニュータイプだからといっても何でもわかるわけではないんだから。

・・・もしかして、シャアと共にいた未練がまだあるからこうして買い物に来たのかな?まあ、たぶん俺は暇そうだから荷物持ちとして連れてきたのだろうけど。

 

ハマーンは思い耽っているためか、足元に注意がいっておらずハマーンはバランスを崩しかける。

 

「ハマーン様!」

 

俺は咄嗟にハマーンの手を取り、ハマーンの腰を手で抱えハマーンの転倒を未然に防ぐ。

 

「大丈夫ですか?」

 

「・・・・。」

 

「ハマーン様?」

 

さっきから俺の顔を見て唖然としているけど何か付いているのだろうか?

 

「・・・ああ、もう大丈夫だ。手を放しても構わないぞ。」

 

俺は自分の今の状況を確認する。

倒れかけているハマーンの手と腰を今掴んでいる状態なのだ。

 

「あわわわ!す、すいません!」

 

「いや、気にするな。」

 

俺は手を離してハマーンは体勢を戻す。

 

「さあ、さっさと買い物を終わらせるとしよう。帰りが遅かったら兵が心配するからな」

 

「は、はい。わかりました。」

 

俺とハマーンは長くて短いような買い物を終わらせて帰路へと付くのであった。

 

----------------------

 

って、何悠長に買い物してるんだよ俺は!!

逃げるタイミングがないじゃないか!!

 

は~、どうしよ。

 

「おや?隆司じゃないか。」

 

「あ、マシュマーさん。」

 

俺が悩んで歩いているときマシュマーが声を掛けてきた。

 

「何か悩んでいるようだが。」

 

マシュマーはハマーンのことにはとにかく無茶なことをするが普段はいい人なんだよな。

 

「ええ、実は迷っていることがありまして。」

 

「迷い?」

 

「ええ、行きたいところがあるのですが無理にでも行くべきなのか、それとも時を待って待つべきなのか分からないのです。」

 

「己の行きたい道を進め・・・。」

 

「え?」

 

「これは私自身に対して言うことでもあってな。ハマーン様の為には何をなせば良いのか。そう思うことがある。その時にこの言葉を己に聞かせて、ハマーン様の為に最善のことを選ぶ。だから迷ったときはこの言葉を思い出すのだ。隆司もなにか迷ったときはこの言葉を思い出すといい。」

 

「マシュマーさん・・・。」

 

「おっと、すまないが部下達を待たせているのでこれで失礼する。」

 

マシュマーはそういって背を向けて通路の奥へと進んでいった。

 

「己の行きたい道を進めか・・・。」

 

俺は窓の外の宇宙を見つめてそして決心する。

 

「・・・よし!」

 

----------------------

 

~アクシズ格納庫~

 

人がほとんど居ない格納庫で俺はこっそりと忍び込んでいた。

マシュマーの言葉でようやく決心がついたので1日は泊まっていたが、早いことセツコ達の元にいかねばならないと思いアクシズを出ようと考える。

 

俺は格納庫に誰もいないのを確認しつつザクへと向かっていた。

 

「さて、ここまで誰にも見つかっていないな。」

 

俺は周りをキョロキョロと見回して誰もいないことを確認する。

だが、格納庫に入ってから違和感があった。

 

格納庫から物音がひとつもないのだ。

 

まるでこの格納庫に誰もいないかのように。

それにまわりを見たら誰もいないことにも不審に思えてきた。

 

「罠か?だとしたらここまで来たらもう引き返せないな。」

 

もしこれで戻ったら次出られるタイミングがあるのかさえ分からないのだ。

俺はそのままザクのコックピットへと向って飛び、出撃準備を整える。

 

ザクを起動させて、出撃準備を整える。

だが、やはりなにもなく順調に出撃準備は整った。

 

「・・・なにもない?今だったら絶好のチャンスなのに。

それにしても生きた心地がしなかったな~。

でもバレなくてよかった。もしバレたらどうなっていたことになっていたやら。」

 

俺は内心ホッとして、ザクを出撃させる。

 

「よし。後方からの追撃もない。どうやら本当に何もないみたいだな。ん?通信か?」

 

俺は突然鳴り出した通信を取る。

 

『おお、ジョーカー殿つながりましたか。』

 

「東方不敗?どうかしたのか?」

 

『はい、実は・・・。』

 

「え?」

 

俺は通信を聞いた後すぐデビルガンダムと合流するためザクのブースターをフルスロットルで噴かすのであった。

 

----------------------

 

1機のザクが飛び立っていくのをアクシズの窓から見ていた人物がいた。

 

(行ったか・・・。)

 

彼は・・・隆司はザクに乗り、ここアクシズを飛び立っていった。

その姿は徐々に見えなくなり、そして遂には暗い海の中へと消えていった。

 

もう暗い海の中を探しても隆司の乗るザクの姿は見当たらない。

完全にこのアクシズの領域を離れたのだろう。

 

 

ハマーンは視線を窓から自分の手に向けて、手を見つめる。

 

(奴の手は暖かかった・・・。)

ふと頭の中によぎる考え。

アクシズで買い物に行ったとき隆司に手を握られたとき、彼の頭の中が見えた。

やはり以前と同じく私の事を心の底から心配していた。

なんの疚しいこともなくただ純粋に。

 

「ジオンの者ではなかったが、おもしろい男だったな」

 

隆司に握られたときニュータイプの力なのか隆司の中が見えてジオンの者ではないのはわかった。

断片的だが学校のような所で授業をしたり、普通な生活をしている風景。

恐らく奴は民間の人間なのだろうな。

 

だが、あの男の中の一部は何か靄が掛かっていて見ることはできなかった。

目が2つ輝いてる大きな機体。

恐らくあれは以前に報告にあったガンダムタイプの機体だろう。

 

あれが一体なんなのかはわからないが、あれは隆司にとっては関わりの深いものなのだろうな。

 

次は敵か味方か、

できれば、味方であることを願おう。

 

「隆司・・・お前は奴みたいにはなるのではないぞ。」

 

ハマーンは誰にも聞こえない声で一人つぶやくのであった。

 

「ハマーン様」

 

「マシュマーか。」

 

「は、アクシズの発進準備及び、アクシズ全員の準備が整いました。」

 

「そうか・・・。」

 

「ハマーン様、ひとつお伺いしてもよろしいですか?」

 

「よい、申せ。」

 

「は、なぜアクシズのパイロット及び、整備員含め全員を部屋もしくは大広間の待機状態にしたのですか?」

 

「これから、地球へと向かうのだ。激励の言葉でもかけてやるのも指導者の役目。」

 

「おお!ハマーン様のお言葉が聞けるのですか!それならすべての兵が喜びます。」

 

「そうだな・・・。」

 

ハマーンはもう一度窓の外の暗い海に視線を向け外を眺める。

 

「ハマーン様?」

 

「・・・いや、なんでもない。」

 

ハマーンは窓から視線をはずし、再びマシュマーたちに振り返る。

 

「これよりアクシズは地球圏へ向けて発進する!」

 

アクシズの核パルスが点火して、アクシズは地球へ向けて発進するのだった。




ハマーン様の性格が違う?
それは赤いのに騙されているからです。
あと、書いていてマシュマーさんがまじめな人にしすぎましたwww

本編まであと2話ぐらいお待ちください。


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第24.5話 幕間 彼のいない日常

本日2話目


時は遡り、ZEUTH一員が合流しシベリアの「氷の運行部長」カシマルとの戦闘が終わりあとの休息の話。

 

「今日の敵・・・おかしな奴でしたけど手強かったですね。」

 

ゲイナーはそこらにある石の上に座り休息をとる。

 

「ああ、だがそれよりもゲイナーの告白は中々のものだったな。」

 

シベリアでのゲイナーによる告白。

氷の運行部長カシマルとの戦闘でプラネッタというオーバースキルとデスネッタ・リオンネッターを持つことで人間の心に作用するオーバースキルを持つオーバーマンで心を読まれてしまう為、ゲイナーは隠さずにはっきり口で告白することによって撃退した。

 

「ゲ、ゲインさん。」

 

「それにもっと手強い敵も来たしな。」

 

ゲインが言う方向を見るとゲイナーの元にはものすごい顔で迫ってくるサラがゲイナーに無言で迫っていた。

 

「サ、サラ!?」

 

「ゲイナー。覚悟できてるんでしょうね!」

 

はっきりとした告白を言われたため周りから視線で恥ずかしそうに顔を真っ赤にしたサラ。そしてそんなサラにおびえているゲイナー。

さっきまで戦闘していたのがまるでウソみたいにみんなが楽しそうにしており、そんな平和なのをセツコ達は見ていた。

 

「まだ全員とは言えないがみんなと合流できてよかったぜ。」

 

甲児は時空振動で離ればなれになってしまったみんなとの再会できてうれしそうに話をする。

 

「ええ、そうですね。あとは他のみんなと、あと隆司さんがいれば・・・。」

 

「セツコさん、隆司さんって誰ですか?」

 

セツコの呟きがレントンに聞こえて、レントンはセツコに隆司のことを聞く。

 

「そっか、レントン君はまだ会ったことないんだっけ。

えっと、隆司さんは皆と出会う前に一緒にいた人よ。」

 

「僕達より前に?」

 

「ええ、とても優しい人で強いのよ。」

 

「隆司さんか・・・。最初はおっかない人かと思ったけど、いざ本人を見たら普通の人だったしな。」

 

「そういえば、エイジは隆司さんがコックピットから出てきたとき緊張していたね。」

 

「べ、別に緊張してねぇよ!」

 

エイジは初めて隆司と会ったことを思い出しそれを斗牙はありのままの事をい言うがエイジは恥ずかしそうな顔をする。

 

「セツコ君!いま隆司って言ったのか!」

 

セツコ達の会話を偶然聞いていたアムロがセツコの肩をつかみセツコに目を強張らせて迫る。

 

「ア、アムロ大尉?」

 

「隆司と言ったのか!いま!!」

 

「え、えっと、はいそうです。」

 

「髪が黒くて日本人だったか!」

 

「はい、確か隆司さん髪が黒くて自分の出身は日本と言っていました。」

 

「・・・そ、そうなのか。」

 

アムロはセツコの肩から手を放してさっきまでの強張った顔から嬉しそうに笑っている顔変わっていた。

 

「アムロ大尉?」

 

「生きていた、生きていたんですね。隆司さん」

 

「アムロ大尉も隆司さんと面識が?」

 

「ああ、彼は一年戦争でお世話になった人なんだ。」

 

「アムロ大尉のですか?」

 

「いや、正確には俺達ホワイトベースの乗組員のみんなと一年戦争で初めて出た戦闘やそれ以外の戦闘でも助けてもらったことがある。」

 

「アムロさんにそんなことを言わせるなんてすごい人なんですね。」

 

「ああ、あのときの彼は戦闘には出てなかったが、ホワイトベースの艦橋で指揮をしていたこともあった。当時シャアすら撃退した人だ。」

 

「赤い彗星をですか!?」

 

赤い彗星。

一年戦争を知っているものであれば知っている名だ。

ジオン軍のエースパイロットで、ルウム戦役で五隻の戦艦をシャア一人で撃破したともいわれる人物。

一年戦争のア・バオア・クーで行方不明となり現在は生きているのかさえ分からない人物。

 

「隆司さんってそこまですごい奴だったのか。」

 

甲児は共に戦場にいた経験もあった為、一年戦争の英雄とも言われるアムロ・レイの言葉に驚く。

一年戦争でまず名前が挙がるとしたら『連邦の白い悪魔』とも言われたアムロ・レイだ。

そのアムロ・レイが隆司さんのことを絶賛しているとなると彼の認識は飛躍的に上がり、彼と会ったことない者は隆司と言う男に期待するのだった。

 

「だが、俺たちは共に地球へ降下したんだが俺が帰還したときには彼はいなかった。

一年戦争の間に情報を集めたり、戦争が終わった後も彼のことを探しに行った者や情報集めをした者もいた。

しかし彼の情報は一つも入らなかった。正直覚悟もした。

だがようやく隆司さんの情報をようやく聞けた。」

 

アムロのその顔はとてもうれしそうに笑っていた。

 

「ええ、隆司さんとは一緒に戦場で共に戦いました。けれどユニウスセブンでの戦闘で行方が分からなくなってしまって・・・。」

 

「あの人ならたぶん生きているはずだ、あの人がそう簡単にやられるはずがない。」

 

「そうですね、いつかまた会えますよね。」

 

(姉さん、皆さんが会ったこのある隆司さんという人はどうやらすごい人みたいです。)

 

レントンはまだあったこともない隆司という男性に憧れと期待を寄せて目を輝かせる。

 

いまはいない人物。

彼と再び会えることを思い今日も一日が過ぎる。

 

これはシベリアでのわずかな休息。

しかし、彼らに待っているのは過酷な運命だった。




↓やってみたかった

次回予告 cvストーカー

戦いが終わり休息するZEUTHチーム。
しかし、魔の手は忍び寄り戦士達に襲い掛かる。
悲しみが渦巻く中現れた謎の人物。
素手でMSを倒す奴は一体何者なのか?

それでは次回もガンダムファイト!レディィィ、ゴォォ!


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第25話 その拳に破れぬものなし

※注意:少しだけ自重しません(誰がとはいわないですが。)


~シベリア~

 

仲間を引き連れて新たな戦地へと向うZEUTHチーム

しかし、彼らはその途中で更なる試練が待ち構えていた。

 

 

時間は遡り数十分前。

一時的な休息をしているときにセツコとトビーの元にUNの回線から送られてきたメッセージによりアサキムが待っているととの通信を送られてきた。あきらかに何か罠の感じがするが、彼らはデンゼルの敵を討つためそんなことを考えている暇もなくバルゴラを動かすのであった。

 

そして指定されたポイントに向うとそこにはチラム兵の部隊がいた。

明らかに彼らもアサキムによって誘われたの雰囲気があったが、彼らは敵の為これをセツコとトビーで撃破することになり、

チラム兵を撃破したときにアサキムと黒いカラスのようなメカであるコルニクスが登場する。

数で不利に思えたとき心配になって駆けつけてきたZEUTHチームがやってきたので戦況は有利になるのであった。

 

 

----------------------

 

 

そして現在、コルニクスを全滅させて残りはアサキムだけの状態となっていた。

 

「くらえ!」

 

トビーはバルゴラの持つ武器ガナリー・カーバーから実弾のストレイターレットを発射し、その隙を突いてセツコはバルゴラで接近戦を持ち込みガナリー・カーバーの後背面を直接シュロウガに叩き付けて攻撃する。

ZEUTHチームと共にシュロウガに大きなダメージを与え、いまのシュロウガはいたるところが破損している状態だった。

 

「そこまでだ、アサキムお前には死ぬ前に全て吐いてもらうぞ!」

 

「・・・。」

 

しかしシュロウガはセツコたちに背を向けて戦闘区域から逃げようとする。

 

「あの機体・・・まだ動けるの!?」

 

「追うぞ、セツコ!ここですべての決着をつける!」

 

「はい!」

 

セツコとトビーはZEUTHたちのところから離れ、アサキムを追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それがアサキムの罠だと知らずに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

セツコ達がある程度アサキムを追いかけたところでシュロウガがこちらを向く。

 

「一時の勝利を味わったか・・・。そこから奈落へ堕ちるがいい。」

 

シュロウガの機体は破損していた。

普通であればどこかの整備できる場所でなければ修復不可能なぐらいに。

しかし、シュロウガのパーツはみるみる修復し始め機体損傷のないは綺麗な状態へとなった。。

 

「何っ!?」

 

「残念ながらシュロウガはそう簡単に崩れない。狭間にいるんだ現世と幻世の・・・。それに太極へと先んじているのさ。」

 

アサキムはシュロウガのディスキャリバーを抜き、バルゴラに向って距離をつめてくる。

 

「セツコ、回避だ!急げ!!」

 

「トビー!!」

 

「さあ・・・絶望を抱くんだ、その胸に・・・。」

 

アサキムはセツコ・・・ではなくトビーの機体に向って攻撃を仕掛ける。

シュロウガの動きが早くバルゴラでは回避が間に合わずトビーの機体はシュロウガの攻撃をモロに受けてしまう。

 

「ぬああああああああっ!」

 

バラバラになる機体。

そんな中、トビーは意識を朦朧とさせ・・・。

 

「す・・・すまねぇ・・・チーフ・・・セツコ・・・」

 

トビーは言葉の途中でトビーの機体は爆散する。

セツコの機体は爆発の衝撃で機体はバランスは崩し、セツコは機体の中で大きく振り回される。

 

「きゃあああ!」

 

バランスを崩したバルゴラはそのまま雪に覆われた地面へと倒れこむ。

 

「うっ、うう。い、一体何が?」

 

幸いなことにセツコに怪我はなく、セツコは外の状況を確認しようとモニターを確認する。

そぁそモニターが一部に砂嵐が流れ外を確認することが出来ず、機体のチェックするとバルゴラの機体は何箇所か損傷しており機体を動かすことは出来なかった。

セツコはバルゴラのコックピットから出て外を確認する。

そんなセツコの元に一人の人物が近づいてきた。

 

「あ、あなたは!?」

 

「そう、僕がアサキム・ドーウィンだ。」

 

目の前にはアサキムが立ちふさがっており、周りを見たときにトビーがいないことにセツコは気づく。

 

「トビー?・・・トビー!?トビーはどうなったの!?」

 

「トビー・ワトソンはあの無様な人形と共に消えた。」

 

アサキムの言葉にセツコは驚きが隠せなかった。

いや、隠せるはずがない。

周りを見てみればあるのはバルゴラの無惨な残骸のみ、

さっきまで共に戦っていた仲間、その仲間はもういないのだから。

 

 

「いや・・・。いやああああああああ!」

 

「そう・・・その声いい響きじゃないか。僕はそれが聞きたかった。」

 

アサキムはセツコが絶望に包まれる顔を見てアサキムの顔は悪意に満ちた笑顔で微笑んだ。

 

「これで残るは君一人だね。」

 

「あなたは・・・あなたはチーフに続いてトビーまで!」

 

ユニウスセブンでの戦闘で転移した後、このアサキムは突然現れ、デンゼルの命を奪いそして今トビーの命さえも奪ったのだから。

そんな想いがセツコの感情を悲しみから怒りへと変わる。

 

「・・・その目はなんだい。君に許されるのは泣き叫ぶことだけだよ。」

 

セツコの感情が変わったことにアサキムは先程までの笑顔がなくなり、彼も不快な気分になっていた。

 

「君にそんなものは必要ない。さあ絶望の涙を僕に捧げるんだ。」

 

アサキムはセツコの頬にビンタをし、彼女はビンタの影響でふらつきセツコの頬は赤くなっていた。

しかしアサキムはそれでもやめず彼女に痛みを与える。

 

「君の体にはまず痛みと恐怖を刻み込み、君を絶望にしてあげよう。さあ悲しみを心に刻み込め!」

 

「いやあああああ!」

 

「ハハハハハハハ!そう、それだ!その姿こそまさに至福の悲鳴だ!

泣け!もっと泣け!

心の底から絶望するんだ!」

 

彼女を痛めつけるアサキムの姿はまるで他人を蔑んでいる狂人の姿だった。

 

「さあ、今から君に黒獄の時刻が訪れる!苦しみ、嘆き、もがき、そして耐え難い悲しみを抱きつつ堕落していくといい、アハハハハハハハハ!」

 

「助けて!誰か!誰かあぁぁぁぁ!」

 

彼女の元へと駆けつけたいZEUTHチーム。

しかし、敵の妨害が激しい上に彼女のいる場所がアサキムの策略によってZEUTHチームから離されているため向うことができない。

 

「だめだ、この距離じゃ届かない!」

 

アムロがすぐにでも助けに行きたいが行けず、アサキムはセツコに更なる悲しみを与える為に彼女に痛みによる苦痛を与え、涙を流せさせる。

 

「さあ、絶望するがいい!その道は僕も歩んできた道なのだからな!」

 

「いやあああああああ!」

 

 

 

「そこまで!でりゃああああああ!」

 

アサキムがセツコに苦しみを与えているとき、謎の人物がアサキムへと拳を当てにくる。

その拳はセツコに伸びていたアサキムを遮り、アサキムはすぐさまセツコから離れる。

 

「ぐっ、・・・邪魔が入ったか!」

 

フードを被った謎の人物はアサキムとセツコの間に入りセツコを守るように立つ。

 

「い、いや来ないで!」

 

アサキムは邪魔が入ったことに苛立つがセツコの絶望した顔を見れたのでアサキムは満足し、セツコから少しずつ離れる。

 

「ふ、まあいい。いずれ君を迎えよう。その顔を絶望に染めるために。」

 

アサキムは自分の機体であるシュロウガに乗り撤退を始めるが、謎の人物はそうはさせまいと、

シュロウガの前に立ちふさがる。

 

「逃がすと思ったかぁ!」

 

謎の人物は生身のままでシュロウガに蹴りを食らわせて、シュロウガの片腕が大きく損傷させた。

謎の人物は機体の中央を狙っていたがアサキムもただではやられとず僅かながら急所をはずしたのであった。

そのためシュロウガの撤退の速度は落ちずそのままエリア外へと向う。

 

「むっ!はずしたか。」

 

 

「いっ、一体何が?」

 

アムロはアサキムの機体を蹴りだけで損傷させた人物に驚きを隠せなかった。

だが、謎の人物の周りにはアサキムを逃がそうとアサキムの仲間の黒いカラスのようなメカであるコルニクスが謎の人物の周りを囲い逃がさないようにする。

 

「お、おい!あんた、そこにいると危ないぞ!」

 

シンは謎の人物が戦場に生身でいることに危険を感じ謎の人物に呼び掛けてこの場から離れるように促す。

 

「ふん!若造に心配されるほど儂は甘くないわ!でりゃあああああ!」

 

謎の人物は自分の持つ布を巧みに操り、その布を鉄よりも硬くしコルニクスに向って真っ二つに切り裂く。

空中に浮かび身動きが出来ないところを敵はレーザーで撃ち落とそうとするが、謎の人物は布を回転させ、攻撃をすべて弾き、布を大きく振り回しては遠心力の力で布は周りの機体を切り裂き謎の人物の周りにいた機体を一気に倒しシュロウガへと距離を詰める。

 

「す、すごいあの人、生身で敵を。」

 

シンは生身で敵を倒す東方不敗に度肝を抜かされる。

生身で敵を倒すなんて不可能のはず。

だが目の前にいる人物はいま目の前でやってのけているのだ。

 

「貴様!一体何者だ!」

 

アサキムは謎の人物に正体を問う。

 

「ならば貴様に名乗ってやろう!その耳で聞き、覚えとくがいい!」

 

謎の人物はフードを取り、空へと投げ捨てる。

 

「儂は、流派東方不敗のキングオブハート!そしてこの儂こそ、東方不敗マスターアジアだ!」

 

東方不敗の気が凄まじく、アサキムも東方不敗が並みの人物ではない強者として認識した。

そして先程の戦闘もあって準備不足な状態なため、ここは退いた方が賢明だと判断する。

 

「どうやら一筋縄ではいかない相手のようだな。ならここは一旦撤退する。」

 

「アサキム!」

 

アサキムは撤退を始めようとしたとき新たな機体が現れる。

 

「来てくれたか、ランド。」

 

現れた新たな機体はアサキムの味方でガンレオンに乗ったランド・トラビスだった。

 

「当然だろ、兄弟。お前のピンチときたら放ってはおけねえよ!」

 

「すまない、ここは任せる。」

 

アサキムは後をランドに任せ、アサキムはその場を撤退する。

 

「さあて、悪いが俺がいる限り、アサキムはやらせねぇよ!」

 

「ほう、この儂に対してその口は達者じゃな。」

 

「おっさん、怪我しない内に帰った方がいいぜ。」

 

「ふん、ならば試してみせようかの、そこのお主!この女はお主に任せる。」

 

「ええ!?えっと、はい!」

 

完全に出だしが遅れたレーベンは東方不敗の近くにいた為かセツコの回収を任される。

 

「おいおい、おっさん、いくらなんでも生身はやめときな怪我するぜ。」

 

ランドは到着する前にアサキムの機体が生身の東方不敗に壊されたことを知らなかった。

そのため、ランドは生身の東方不敗に遠回しに無理だと鼻で笑うのであった。

 

「こいつと戦うなら自分の機体でも「でりゃああああああ!!」ぐあああああ!?」

 

ランドが余裕を見せたとき東方不敗はすかさずガンレオンのコックピットに一撃を喰らわせる。

そのためガンレオンの中ではランドは大きく弾ける。

 

「な、なにが!?」

 

「お主、大口を叩く暇があるなら構えよ!敵は目の前!ここにおるのだからな!」

 

ガンレオンを生身。しかも素手で一撃を与えたことに理解ができずランドは混乱する。

しかし、ランドも負けるわけにはいかないと、ガンレオンを起こし戦闘態勢をとる。

 

「何をしたかわからねぇが!だったら、もう容赦はしねぇぜ!」

 

「では!来い!」

 

「でぃやああっ!」

 

ガンレオンは人間の大きさよりはるかに大きい工具のデッカー・スパナを東方不敗に向かって投げる。

普通に当たれば当然のごとくミンチの状態になるだろう。

 

「そんなものでこの東方不敗が止まると思うなぁ!せいっ!」

 

しかし、東方不敗はこれも簡単に蹴りで弾き、デッカー・スパナは地面に突き刺さる。

 

「ならこれならどうだ!」

 

デッカー・スパナは外れてしまったが、

ランドはガンレオンが持つ巨大なレンチ、ライアット・ジャレンチを東方不敗に目掛けて真上から叩き落とす。

その衝撃は凄まじく辺り一体を揺らす。

 

ライアット・ジャレンチの攻撃で地面に大きなクレータが出来上がっていており、周りには煙が立ち込めていていた。

あの男がどうなったか煙でわからないがライアット・ジャレンチを生身でモロに食らったのだ恐らく原型は留めてないだろう。

 

「はぁはぁ、や、やったか!?」

 

直撃を喰らわせたのでランドは相手を倒せたことにほっ、と安堵する・・・。

 

 

しかし、その後異変が起きる。

 

ライアット・ジャレンチが少しずつ()()()()()ているのだ。

 

 

「なっ、なにが起きてやがる!?」

 

煙が少しずつ晴れるとそこにはライアット・ジャレンチを両手で支えている東方不敗がいた。

 

「なに!?」

 

「でりゃああああああ!!」

 

ランドが驚くのと同時に東方不敗がライアット・ジャレンチを持ち上げガンレオンごと押し倒す。

 

「その程度!その程度か、貴様は!!」

 

「くっ、なめんなよ!こっちには修理屋の意地ってのがあるんだよ!」

 

ランドはガンレオンをすぐに立て直して東方不敗に向かって対峙する。

 

「ほう、その根性は良し!たが貴様は根性だけで他には足りないものが多いわぁ、たわけめ!」

 

東方不敗はガンレオンから離れ、近くの瓦礫の上に立つ。

 

「ならば、こちらはこれで相手をしよう。出でよ!ガンダアアアアァァァム!!」

 

東方不敗は拳を高く突き上げて、自分の機体であるクーロンガンダムを呼び出す。

クーロンガンダムは雪の下から飛び出してきて東方不敗の元へと飛んでくる。

 

「とお!」

 

東方不敗は瓦礫の上から飛び上がり、クーロンガンダムのコックピットへと飛び移る。

 

「このガンダムの攻撃、貴様には受けきれるか!」

 

クーロンガンダムが構えてガンレオンに一撃を与えようと構えを取る。

 

「超級!覇・・・。」

 

「くっ、あの技を喰らったらヤバイ気がするぜ!

それにこれ以上は持たない。悪いがここは引かせてもらうぜ!」

 

ランドは東方不敗の攻撃を受けては不味いと思い、すぐさま撤退する。

 

「逃げたか・・・。

ふん、情けない。少しは手加減してやろうと思ったが、

・・・まあいい。」

 

クーロンガンダムの一撃を喰らわせようとしたがランドが逃げてしまったことによりその気が失せたので攻撃をやめる。

 

(追撃をするのは得策ではないな。ここは見逃すのが良さそうじゃな。)

 

東方不敗は周りに敵がいないことを確認して構えを解き、戦闘態勢も解く。

そして視線をZEUTHに向ける。

 

「ふむ。あれがZEUTHか。」

 

----------------------

 

~アーガマ艦内~

 

「この度はご助力ありがとうございます。」

 

戦闘が終了しブライトは艦の中にに一緒にいる東方不敗に礼を述べて感謝していた。

 

「構わぬ。儂も主殿のご命令で動いたまでよ。」

 

「主?」

 

「うむ、我が主がこのZEUTHの元に行き、手助けせよとのご命令されたのでな。」

 

「命令・・・ですか?」

 

「うむ。我が主は聡明で思慮深いお方だ。きっとあの方は何か理由があって儂をこの場所へと赴かせたであろうと思ってこちらに来たのだ。」

 

「あなた程の人がそれほど言うなんて余程すごいお方のようですね。」

 

「うむ、儂はあのお方と初めて会ったとき最初儂は敵として仕掛けたが、あのお方は本気を出さず儂の攻撃を簡単にあしらったのだ。

しかも、敵だった儂を配下にしてもらった素晴らしきお方なのだ。」

 

「「「えっ?」」」

 

ZEUTH一同は驚きを隠せなかった。

機体を素手で倒した東方不敗の主である人物は本気を出しておらず、しかも東方不敗を配下にできるほどの人物。

東方不敗が褒め称えている人物が一体どれ程のものなのかとZEUTH一同は内心不安もあった。

 

「それはそうと、先程の女性は?」

 

「え?ええ、彼女は・・・。」

 

----------------------

 

~医療室~

 

 

「・・・。」

 

セツコは先の戦闘で回収され、体に異常はなくほっぺが少し赤くなっているだけだった。

しかし、彼女の心には大きな傷ができていた。

 

「トビー・・・。」

 

つい数時間前には共にいた人が今はいない。

チーフが死んだときもトビーが慰めてくれた。

だが、そんな彼も今はいない。

セツコは目に涙が溜まりベットの上で膝を抱える。

 

 

セツコのいる部屋の扉が開きそこに一人の男性が入ってきた。

 

「少しいいかの?お嬢さん。」

 

「・・・貴方は、さっきの?」

 

「うむ、まだ名を言っておらなかったな。儂の名は東方不敗マスターアジア。武闘家だ。」

 

「あの、先程はありがとう・・・ございました。」

 

「気にするでない。儂もただ手助けをしたまでよ。」

 

東方不敗は部屋の中に入りセツコがいるベットの横の椅子に座る。

 

「ほれ、これで涙を拭くが良い。」

 

東方不敗は懐から綺麗な布を出してセツコに渡す。

 

「事情は少しだけ聞いておる。・・・辛かったであろう。共にいた仲間を失い、そしていまは一人。」

 

セツコは東方不敗の言葉を聞きアサキムに殺されたデンゼルやトビー。

彼らがいないと思うとセツコの瞳からは再び涙であふれる。

 

「泣きたければ泣くが良い。・・・じゃがな、泣いても何も戻らぬ。それはわかっておろう。」

 

「・・・・。」

 

わかってはいる。いまこの現状が現実で何も変わらないのだと。

だがセツコは何もいえずただ黙っているしか出来ない。

チーフとトビー、セツコがグローリー・スターで共にいた仲間はいなくなり、いまではもう一人だけなのだから。

 

「じゃが、お主にはまだ残っておるものがあるではないか?」

 

「・・・え?」

 

「このZEUTH、それにもしかしたらお主には他にも信頼の置ける人がいるのではないのか?」

 

「信頼の置ける人・・・。」

 

「その信頼の置ける人物のことは知らぬから絶対とはいえぬが。もしかしたらお主の帰りを待っているかも知れぬぞ。その者の為にも立ち上がってみてはどうだ。」

 

「わ、私は・・・。」

 

「迷うなとは言わぬ。むしろ気が済むまで迷い、そして泣くが良い。そして腹の中にあるものをすべて吐き出すが良い。それから決めるのも遅くないぞ。」

 

東方不敗はそれだけを言った後にはそれ以降なにも言わずに椅子から立ち上がり部屋から出ていった。

再び一人になったセツコは目を潤ませて、膝を抱える。

 

「私、いったいどうしたら・・・・隆司さん。」

 

----------------------

 

~???~

 

セツコと話を終わった後、

アーガマの格納庫の人目がつかないところに東方不敗はいた。

 

『・・・そうか、間に合わなかった。』

 

「はい、もう少し早く到着していればジョーカー殿の言っていたトビー・ワトソンを救えたのかもしれたのですが。」

 

『いや、彼らの援護してくれたのは良くやってくれた。

ありがとう。』

 

「ジョーカー殿、礼などと。」

 

『いや、東方不敗が行ってくれなければ事態は良くない方向になっていたのかもしれないからな。』

 

「ありがたきお言葉。それで今後は?」

 

『そのまま、ZEUTHと同行して報告をしてくれ。俺も近いうちにそちらに行く。』

 

「自らこられるのですか?」

 

『ああ、そこは少々縁がある場所だからな。』

 

「畏まりました。到着されるまでこの東方不敗がお守りいたします。」

 

『心強いな。では頼んだ。』

 

「はっ!」

 

東方不敗は通信を切り、ジョーカーのいわれたとおりにこのZEUTHの動向と行き先を調べる行動に移った。




東方不敗が本編に参戦
東方不敗のキャラがうまく表現できていたらいのですが・・・。

そういえば関係ないですけどスパロボ64では東方不敗vs衝撃のアルベルトの戦いがありましたね。あの戦闘シーンは衝撃的でした。ロボットではないですけどwww


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第26話 一人ぼっちのシベリア

おまたせしました。

もう少し早く投稿予定だったのですがパソコンにあるメモ帳のデータが破損してしまったので投稿が遅くなりました。

書いたものが消える絶望感は半端ないですね。


~主人公視点~

 

俺はついこの間アクシズを離れ、地球に降下した。

現在はシベリアへと向っている。

宇宙が広くてデビルガンダムのGPSをたよりにアクシズから4日たってようやく地球が見えたので地球へと降下した。ちなみに今回は何もなく無事に地球を降下して到着した。

 

しかし、時間がかかってしまったのでもうすでに東方不敗たちはシベリアを離れてしまっていた。

 

「予定よりかなり遅れたな。東方不敗の現在位置を確認しないとな。」

 

俺は通信で東方不敗の通信に繋げる。

 

『ザー・・・ザー・・・ザーザー。』

 

しかし、通信機はノイズがひどく東方不敗との連絡が取れない状態だった。

東方不敗だからやられたというのはありえないはずだ。

あと考えられるのは、何らかの磁場によって聞けないのかあるいは何者かの通信妨害か。

 

『そこの機体とまれ!』

 

俺が考え事をしているときにどこからか声が聞こえてきたので周りを見回すと、十数体の機体がこちらに近づいてきた。

 

「あれは塔州連邦のKLF、モンスーノか。」

 

近づいてきたのは『交響詩篇エウレカセブン』に出てくるKLFのモンスーノだった。

 

『そちらの所属不明の機体、所属を言え!』

 

(厄介なのに見つかったな。どうしよ。)

 

『所属不明の機体。聞こえているのか!場合によっては敵対行動と見なすぞ。』

 

KLFのパイロットはこちらの返答が無いのにイラついてか少し声を荒げる。

 

(面倒だな。いま彼らに構っている用はないんだが。だからといって強行突破もダメだろうし・・・。)

 

俺はどうにかしてここを切り抜けようと考えているが、まだそんなに時間はたっていないのに向こうは攻撃を仕掛けてきた。

 

「あいつら、短気かよ!もう少し待てないのか!?」

 

俺はデビルガンダムを動かしてモンスーノの攻撃を避けるがヴァルシオンを吸収した影響なのかデビルガンダムの動きは見た目と違ってとてもよく動き、モンスーノはこちらに攻撃を当てれてなかった。

 

「邪魔をするな!」

 

俺はデビルガンダムからデスバーディを出してモンスーノの部隊に攻撃を仕掛ける。

 

『な、なんだこいつら!?どこから現れた!?』

 

『落ち着け、一体ずつ確実に倒すんだ!』

 

残念ながらそのデスバーディは俺が実験がてら色々な機体のデータを含ませた機体でそう簡単にはやられない。

 

『た、隊長!こいつらマシンガンもレーザーも効いていません!』

 

『だから落ち着けといっているだろう!なら接近して奴の目玉に全弾ぶつける!』

 

隊長機らしき機体がデスバーディに近付いて、マシンガンをデスバーディへと向ける。

 

『これでもくらえ!』

 

デスバーディに向かってマシンガンを撃つが、機動性も強化したデスバーディの動きが速く、攻撃をはずしてしまった。

 

『なっ!?こいつ速い!』

 

そしてスピードが速いデスバーディに付いてこれず隊長機は逆に返り討ちにあってしまい、デスバーディの棍棒がコックピットに直撃する。

そしてコックピットが潰されて機体は爆発する。

 

『隊長!?隊長ぉぉぉぉぉぉ!!』

 

『おい、次の指揮は誰がするんだぁ!?』

 

『知るかよ!こっちはこいつらの相手で手が一杯だ!』

 

『こいつら動きが速すぎる!誰かなんとかしやがれ!』

 

隊長機が撃墜されたことで指揮系統は崩れ、部隊の統率が取れない状態に陥ってしまった。

そして、デスバーディたちはモンスーノをうまく誘導させて一ヶ所へと固まらせた。

 

「これで終わりだ。」

 

俺はデビルガンダムの右腕を動かしてモンスーノに向け、右腕からガンダムヘッドの束を出してモンスーノを一気に吸収する。

 

『な、なんだこれ!?触手が、触手がああああ!!・・ザ・ザーザー・・・・・』

 

『くそっ、くそっ!脱出装置が作動しない!このままじゃ押し潰される!ハッチも開かない!開けてくれ!開けてくれええええ、うああああああああ!?・・・ブツン』

 

「うわ、想像以上に酷かったな。」

 

機体を吸収するのを手っ取り早くしようと思ってガンダムヘッドを使ったがモンスーノのパイロットの声がこちらに聞こえてくるので断末魔もこちらに聞こえてきた。

 

戦う覚悟は出来ていたのだが断末魔があまりにも酷かったので吐き気がしてきた。

次からは通信は切った状態でしようと俺は心のなかで思った。

 

とりあえず戦闘は終わったので、これ以上面倒なのに見つかる前にデビルガンダムを地中に潜らせて進むか。

 

いや、待てよ?

KLFの機体を取り込んだのだから空中飛行できるんじゃないのか?

でも飛んだらデビルガンダムの大きさじゃばれるんじゃないかな?

 

「あ、ミラージュコロイドを同時にすれば問題ないじゃないか。」

 

それにみんなのところに近づいてきたら地中に潜れば問題なし。

よし、完璧な作戦だ。

 

「ミラージュコロイド展開っと。さて、行くか!」

 

そういえばもう通信は使えるかな?

 

ちなみにその後、シベリアを離れてようやく通信が回復したので東方不敗に連絡を取るともうすでに日本を出発しているようだったので俺は急いでデビルガンダムで次の目的地に向かうのであった。

 

----------------------

 

~シベリアのとある基地~

 

「何!?全滅しただと!」

 

「は、僅か3分も経たずに15体いた部隊が全滅しました。」

 

とある場所にて指揮官である男性が部隊の全滅の報告を聞き驚いていた。

 

「なんてことだ。何処の奴らにやられたのだ。」

 

「それが、何者にやられたのかすら記録も残っておらずで。」

 

「通信も残っていないのか?」

 

「はい。以前ティターンズが使ったミノフスキー粒子の影響で通信は全て使えない状態でして記録はすべてダメでした。」

 

「他の記録もか?」

 

「あの・・・えっと。」

 

報告に来た兵士の視線はこちらを見ずに、しかも顔には汗を吹き出しており、なにか隠しているように見える。

 

「ええい、はっきりと喋って報告しろ!」

 

「じ、実は一部のシステムが乗っ取られてしまいまして現在使用ができないのです。」

 

「なんだとぉ!?一体どこからだ!」

 

あまりに予想外な答えだったので座っていた椅子から指揮官は勢いよく立ち上がる。

 

「解析班によるとどうやら先程報告した全滅した我が部隊のKLFからの通信を受信した際にハッキングされてしまったようです。」

 

「敵は我々の機体を使ってシステムに侵入したのか?」

 

「恐らく・・・、ですがハッキングされたのは先程の戦闘と一部のシステムだけですので問題はないかと。」

 

「この大バカモノ!!相手が手を抜いているのが分からないのか!」

 

「え?と、ということは・・・。」

 

「考えてみろ。敵と接触して僅か数分で我が基地のシステムの一部を乗っ取り、しかも戦闘の記録を奪われたのだぞ。今回の敵が手を抜いているのは明らかだ。もし本気になれば数十分も持たずにこの基地のシステムは全て乗っ取られてしまうことになるぞ。」

 

それを聞いていた兵士は顔を青くして今回起きた事態がどれだけ深刻なのかを理解した。

 

「まあいい。とりあえず周辺を警戒して周囲の警備を強化。それと足がつかないようにハッキングされたプログラム等は撤去しろ。あと他に手掛かりはないのか?」

 

「えっと、手掛かりになるかわかりませんが、コンピュータに奇妙な文字かあるだけでした。」

 

「奇妙な文字?」

 

「はい。『DG』という二文字です。」

 

「DG・・・。一体何者なのだ?」

 

彼らはまだ知らない。

この二文字が後にあらゆる世界でもっとも恐ろしい二文字として世の中に広まることになろうとは。



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第27話 強くなる理由

ふと思って、セツコにせめての救いとして書きました。

いつの間にかUAが10万を越えてました。本当にありがとうございます!!


時は少し遡り、デビルガンダムが地球に降下する前。

ZEUTH一同はシベリアを横断して次の目標地点へと移動していた。

 

 

~アーガマ~

 

アーガマの甲板の上で東方不敗は風を靡かせながら外を眺めていた。

 

「うむ、少し風が強いな。一荒れでもするのかもしれぬな。」

 

「あの、東方不敗さん。」

 

東方不敗が外の風景を見ているとき後ろから声を掛けられたので東方不敗は後ろを振り返る。

そこには以前、東方不敗が助けた女性セツコ・オハラがいた。

 

「む?お主は・・・、確かセツコといったかの。どうしたのだ?」

 

「あ、あの実は、お願いがありまして・・・。」

 

「ん?」

 

セツコはなにかを言いたそうだったが、恥ずかしがってか中々口に出せずにいた。

 

「どうした。恥ずかしがらずに言ってみるがよい。」

 

「あの、私を・・・、私を弟子にしてください!」

 

セツコは東方不敗に頭を下げて弟子入りを乞う。

 

「ほう・・・、なぜ儂の弟子に?」

 

「私はこのままではいけないと思って、せめて少しでも強くなる為に稽古を・・・。」

 

「喝あぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!」

 

「!?」ビクッ!

 

セツコが答えた理由に東方不敗は耳が割れそうなほどの喝をいれる。

 

「お主、どうやら強さを得る理由を履き違え取るようじゃの。」

 

「強さを・・・履き違えている?」

 

「儂には、お主が強さを欲しがる理由がただ先の見えないところをただ縋り付いているだけのように見える。」

 

「で、でも私は・・・。」

 

「強さを欲しがる気持ちは分からぬでもない。

だが、己を見失って強くなるなど強さの足しにもならぬ。いや、むしろ己の弱点ともなろう。己を見つめ、過去に向き合い、そして己の意思を貫いてこそ己の強さへと変わるのだ!」

 

「己を見つめ、過去を向き合い、そして己の意思を貫ぬく・・・。」

 

「大方、お主が強くなりたいのは仲間のためを思って、お主の機体の性能をよくするために武術の経験を掴みたいのだろう。」

 

東方不敗の言葉はセツコにとってまるで心を読まれたかのように図星であった。

そう、デンゼルやトビー達グローリー・スターの形見であるバルゴラ。

せめて彼らの弔いとなるのはバルゴラを完成させることなのだ。

だから、少しでも・・・。

 

「確かに武術を会得はお主でも大丈夫だろう。」

 

「それって・・・。」

 

「だが、いまのお主には流派東方不敗の会得をすることは出来ぬな。」

 

「えっ?」

 

東方不敗はセツコに向かって流派東方不敗の会得は無理だと面と向かって言う。

セツコは東方不敗の答えに驚きを隠せなかった。

 

「では、聞こう。お主には覚悟はあるのか?」

 

「は、はい! あります!」

 

「では、仲間が残した機体を捨てる覚悟もあるのか?」

 

「・・・え?」

 

予想外の問いだった。

セツコはグローリー・スターの形見でもあるバルゴラの為にも強くなろうとしていた。

しかし、それを捨てる覚悟があるのかと言われると自分のなかにある覚悟が揺らいでしまう。

 

「お主には二つの選択肢がある。お主の機体を取るか、流派東方不敗を取るか。」

 

「わっ、私は・・・。」

 

仲間の形見を取るのか、それ捨てるのか。

 

バルゴラを捨てれば東方不敗の技を教えてもらえる。

しかし、グローリー・スターのバルゴラを捨てるわけにはいかない。

 

それはセツコのなかではすでに決めていた。

 

「私は・・・バルゴラを取ります。」

 

セツコはバルゴラを取ることを選択する。

共に戦った人との思いを捨てることはできない。

 

東方不敗はセツコを見つめセツコの目は紛れもなく決心した目をしていた。

その顔を見て東方不敗は思わず口元が微笑み、大きく笑った。

 

「ふ、ふははははははははは。」

 

「え?ええ?」

 

突然笑う東方不敗にセツコは戸惑いが隠せなかった。

 

「そう、それでよい。それがお主の己を貫く意思だ。」

 

東方不敗はセツコを試していた。

先程東方不敗が言っていた『己を見つめ、過去を向き合い、そして己の意思を貫く』。

己の目的を見失わないこそ強くなれる要因のひとつを東方不敗はセツコに教えたのだ。

 

もし、セツコがバルゴラを捨てて流派東方不敗を取るのなら東方不敗は『愚か者』と喝をいれるとこであった。

しかし、セツコは己の意思を貫きバルゴラを守ることにした。

 

「よろしい、その気持ち忘れるではないぞ。」

 

「はい!」

 

「では、早速始めるとしようかの。」

 

「えっ、武術を教えてくれるのですか?」

 

「お主が機体を取っても武術を教えぬとは言っておらんぞ。」

 

セツコはちょっとだけ、拍子抜けしたのか頭の理解が追い付いてなかったが内心ほっとしていた。

 

「それに1日や2日で会得できるほど流派東方不敗は甘くない。だが、お主はまず武術の基本を学ばねばならぬようだからな。本音を言うとお主にはかなりきついかもしれぬが、それでもやるかの?」

 

「はい!お願いします!」

 

「よろしい。ならまずやるべきことは・・・。」

 

「・・・。」ゴクッ、

 

セツコはどんな訓練が待っているのかとセツコは無意識に固唾を飲み込む。

 

「まず、その格好ではなく動きやすい格好にすることじゃな。」

 

「えっ? あ・・・。」

 

セツコのいまの格好はグローリー・スターの軍服を着ており、武術の訓練には不向きな格好だ。

 

「その格好でもできぬとは言わぬが、それでも周りを気にせずにスカートで武術をするのは向かぬ。」

 

「えっ、えっと。中に確かジャージがあったはずなので借りてきます。」

 

セツコはジャージを取りにアーガマの中へと戻る。

東方不敗はそんなセツコの背中を眺めていた。

 

「ふふふ、あれは、磨けば輝く原石かもしれぬの。」

 

今はまだ輝いていないが磨けば驚くほどの変わるかもしれないと東方不敗は少しながらセツコに期待していた。

 

(ジョーカー殿に言われてあの娘を守ったとき、あの娘の中には何かわからぬが明らかに何か大きな力が存在していた。

恐らくジョーカー殿はあれに期待しているためにこの儂にあの娘を守るようにいったのであろう。

なら、その力を鍛えて我らDG軍団の為に役立ててもらうとしよう。そうすればジョーカー殿も喜んでくださり地球再生への道も早まる。)

 

東方不敗は心の中ではセツコを利用してジョーカーを喜ばせて、地球再生への実行することを考えていた。

 

だが、東方不敗にはセツコを弟子にした理由はもう1つあった。

 

「あやつを弟子にしてもう数年か・・・。」

 

東方不敗はドモンを弟子にして数年が経ち、一人立ちさせたときにはもう立派になっていた。

その懐かしさなのか東方不敗はセツコを弟子にすることにしたのだ。

 

「まさか儂がドモンやDG軍団以外に流派東方不敗を教えるとはな。ウッ!ゴホゴホッ!」

 

東方不敗がドモンを修行させた日々を思いだしているとき突然咳き込み始める。

 

「いかんな。最近咳が酷くなってきた。年を取るのは辛いものよ。」

 

彼の中にある物は少しずつ、少しずつ、東方不敗の体を蝕み続ける。

しかし、ただの咳と思っている東方不敗は自分の中にある物に気がつくことはなかった。




原作でドモンと東方不敗を見ていると東方不敗って本当にいい人だなと思えます。


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第27.5話 幕間 平和の羽

アニメとゲームを混ぜています。
というかほぼ原作です。


~ホンコンシティ~

 

度重なる連戦でつかれきっているだろうZEUTH一同に休暇が言い渡され休暇を使って街に遊びに行くものや休暇している間にでも訓練をしようとするものもいた。

 

 

そして一方でシンは、バイクに乗りツーリングをしていた。

 

今までの戦闘で疲れきっていた精神だったので彼は海の見える道路を走っていた。

そして、バイクを停めるのにいい場所があったので、彼はバイクを停めた後バイクを降りて海を眺めた。

 

静かで、綺麗な海。

シンはそんな海を見てただのんびりとする。

いままで疲れきった体を癒すために。

 

「ラーラーララー♪ラーララーラ♪」

 

そんな時、どこからか歌声が聞こえた。

歌声のする方向を見ると、クルクルと踊っている一人の少女がいた。

 

金髪で、白と水色のドレスを着た出会ったことのない少女だったが彼はその姿を見て思わず見とれてしまった。

 

(綺麗な子だな・・・。)

 

そんな彼女の声を聞きながら視線を戻し再び海を眺める。

 

「ラーラーララー♪・・・あっ!」バッシャァァァン

 

「えっ?」

 

少女の声が突然聞こえなくなると同時に水の音が聞こえ、シンは先ほど少女がいた場所をもう一度見る。

しかし、その少女の姿はなかった。

 

「おい、まさか!?」

 

シンはすぐさま少女のいた場所へと駆ける。

少女のいた場所へと着き、崖の下を見ると先程の女性が海の中で溺れていた。

 

「ああ!嘘だろ、海に落ちたのかよ!?それに泳げないのか!?」

 

シンは上に着ていたジャケットを脱ぎすぐさま海へと飛び込む。

シンは彼女を浅い所へと運ぼうとするが、彼女は混乱しているのか暴れまわっていて泳いで運ぶことが出来ない。

 

「くそ、落ち着けっ!」

 

シンは少女にしがみつき離さないようにするが、彼女は暴れまわり彼女の爪がシンの頬をひっかく。

多少血は出ているがそんなことより彼女を運ぼうとする。

 

そして数分たって疲れきったのかようやく落ち着き、シンはすぐさま彼女を浅瀬である洞窟へと運ぶ。

洞窟の中は浅いのでもう溺れる心配はなかったので彼女を運ぶのを途中でやめる。

先程彼女が暴れていたのを押さえるためにシンの体力はかなり消耗していた。

 

「はぁはぁ、死ぬ気か?この馬鹿!」

 

「・・・!?」

 

シンがつい言ってしまった一言。

少女は『死』に対して強く反応してしまい、体が硬直する。

 

「泳げもしないのにあんなとこ!なにをボーっとして・・・ん?」

 

シンは彼女に対して怒っていたが彼女の様子がおかしいことに気づく。

 

「い、いや、いやぁ!」

 

「え?」

 

彼女は何かに怯えるかのように青い顔をしていまにも泣きそうにしていた。

 

「死ぬのいやぁぁ!!」

 

「お、おい、一体何!?」

 

少女は立ち上がり再び海の深いところへと向かう。

まるでシンから逃げるかのように。

 

「死ぬの、死ぬいやぁ!死ぬの怖い。」

 

「いや、だから待てって!」

 

シンは彼女を止めようと後ろからしがみつく。

しかし、彼女は再び暴れ始め、シンに肘があたり2人とも海の中へと倒れこむ。

まだ、浅い場所なのでシンはすぐさま立ち上がる。

 

「くそ、一体何なんだよ。」

 

「いや、いやぁ!死ぬのはいやぁ!」

 

(この子・・・。)

 

シンがこの子は死ぬことに過剰に反応していることに気がつく。恐らくこの子は戦争の被害者なのだろうか?

だとしたらさっき自分が言ったことにこの子は怯えているのだろう。

 

「大丈夫!君は死なない!俺がちゃんと守るから!」

 

シンは彼女に抱きつき彼女に聞こえるように大きな声で彼女に語りかける。

 

「うぅ、ま、守る?」

 

彼女に聞こえたのだろうか彼女は暴れなくなり彼女は大人しくなった。

 

「ああ、約束する。君のこと俺がちゃんと守るから。」

 

太陽が沈むなか、シンは彼女を安心させるために彼女を守ると約束をする。

 

----------------------

 

あの後2人は洞窟の中へと戻り、2人の着ていた衣服は海水でボトボトになり、体を冷やさない為に火をおこして体を温めている。

服はぬれているので今は2人とも上半身は何も着ていない状態だった。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

しかし、互いに喋ることなく焚き火に当たっており、時間が過ぎていった。

シンはせめて後で家族に引き渡す為に彼女の事を聞こうとする。

 

「君の名前は?」

 

「・・・ステラ。」

 

「いつも誰といっしょにいるの?お父さんとお母さんは?」

 

「いつもはネオ、スティング、アウル。お父さん、お母さん知らない。」

 

「そっか・・・。」

 

父と母を知らない。

恐らく彼女は家族と離れ離れか、あるいは・・・。

そう思っていたシンはふとステラを見ると、ステラの首には水色の羽の形をした綺麗な首飾りをしていた。

しかし、彼女が服を着ていないのですぐ視線をステラからそらす。

 

「え、えっと、その首飾りは?」

 

「わからない・・・。でも大切なもの。」

 

ステラは首にぶら下がっている首飾りを大事そうに握る。

シンは首飾りを大事そうにしている彼女の顔を見ると彼女はほんの少し笑っていた。

その顔を見てシンは不意にドキっとしてしまう。

 

「?」

 

シンの視線に気が付いたのかステラはシンに振り向き首を傾ける。

 

「い、いや。なんでもないよ。」

(おっ、落ち着け俺!)

 

シンはステラから再び顔を背け、気づかれないように深呼吸をして心臓の鼓動を抑える。

多分、自分の顔はいま真っ赤になっているだろう。

 

そして少しずつ心臓の鼓動が落ち着き、ふと彼女の首飾りのことを考える。

 

(もしかして、家族から貰ったものかな?)

 

でも、さっきのステラの『死にたくない』という言葉を思い出す。

恐らく過去になにかがあったのだろう。

だから、あれほどに反応してしまうのだろう。

やはり彼女の家族はもう・・・。

だから、彼女にとって大事な形見なのかもしれない。

 

彼女も戦争によって家族を亡くした境遇が自分と似ていると考えてしまう。

 

 

「・・・。」

 

一方でシンのことを見つめるステラ。

すると、ステラは立ち上がり自分の服のポケットからあるものを取り出す。

 

「はい。」

 

「え、くれるの?」

 

ステラから渡されたのは一枚の貝殻だった。

貝殻は綺麗なピンク色で角度によっては光に照らされキラキラと光る。

 

「あ、ありがとう。」

 

シンはステラの顔を見て視線を下ろすと危うく見えそうだったのでまた急いで目を反らす。

 

再び二人は焚き火のパチパチという音をがなる洞窟のなかでただ沈黙し、少しずつ時間が流れていった。

 

 

 

 

それから一時間ほどして俺達が洞窟の中で過ごしているとき海の向こうから一筋の光が洞窟の中を照らす。

そして光を照らしながら近づいてきたのは一隻ののボートだった。

ボートが洞窟の入り口に止めて、そのボートから一人の女性がボートから降り、ステラの元へと駆けてくる。

 

「ステラ!無事だったのね!」

 

「フォウ・・・!」

 

フォウという女性はステラに抱きつきステラの無事を確認して安心した顔をする。

 

「ステラのお姉さんかい?」

 

「ううん。同じ部隊の人。」

 

「部隊・・・?」

 

「シン! こんな所にいたのか!」

 

ステラの言葉に疑問を抱き考えてると声を掛けられたので声がした方向を見ると彼女たちの後から洞窟に入ってきたのは彼と共に戦うZEUTHの仲間カミーユだった。

 

「カミーユ・・・?お前こそどうしてここに?それにこっちの人は何なんだ?」

 

「お前を探しているときに知り合ったんだよ。」

 

カミーユとシンがお互いに事情を話しているとき一人の連邦の制服を着た女性が近づいてくる。

 

「少年・・・状況から見て、君がステラを保護したことは認める。とりあえず服を着てくれ。」

 

シンは今の自分の状況を確認して自分が上半身裸だったことを思い出す。

 

「え? えっと、はい。」

(あの制服、連邦軍・・・?)

 

シンは焚き火であたためた服を着ていつでも出れる状態にした。

 

「さて、着替えたようだな。とりあえずこの洞窟からでるとしよう。」

 

ロザミアの案内でシン達はボートに乗り、ボートで近くの岸へと送ってもらいシンとカミーユはボートから降りる。

 

「ありがとうございました。ボートまで出してもらって。」

 

「気にしなくていい。ステラを助けてもらったお礼だ。それに君がザフトの人間であることはすでに知っている。」

 

シンはその言葉を聞き体が思わずドキッとして体が動揺する。

やはり彼女は連邦の・・・。

シンは最悪のことを想定して体を動かそうとする。

 

「・・・だが、ステラを助けてくれた以上、本件において君に手出しするつもりはない。」

 

連邦の女性はどうやら理解のある人のようで礼として今回だけ手出しはしないと言う。

シンは少しだけ安心して警戒は解くがいつでも動けるようにする。

 

「わかった。」

 

「・・・では、俺達はこれで失礼します。」

 

「そのほうがお互いの為だろう。ステラの件については感謝する。」

 

彼らは自分達の帰る場所へと歩みを進めようとしたとき、ステラはシンを呼び止める。

 

「シン・・・。」

 

「じゃあね、ステラ・・・。でもきっと、また会えるよ。」

 

「シン・・・!」

 

シンとステラが話しているときカミーユはこっそりフォウの元へと近寄る。

 

「ありがとう、フォウ・・・。君のおかげで助かったよ。」

 

「あの子みたいに、また会えるって言ってくれないの?」

 

「そ、それは・・・。」

 

「じゃあ、私が会いに行くよ・・・。カミーユのところへ。」

 

「ああ・・・。またな、フォウ・・・。」

 

「2人ともそこまでだ。ファントムペインに戻るぞ。」

 

ロザミアはステラとフォウを呼び、ボートへと向かう。

 

「ロザミア・・・。」

 

「わかっているだろうな・・・。奴らは恐らくZEUTHだ。」

 

「そして、宇宙の人間は空を落とす。私達は奴等を倒さなくてはならないのだ。」

 

普通であれば会いに行くことは可能だろう。

だが、彼女たちは戦っている身。

たとえ、仲良くなっても相手は敵の部隊。

そう簡単には会うことはできない。

 

「さあ、戻ろう。皆が待っている。」

 

ロザミアたちはボートに再び乗り込みエンジンを掛け、岸から離れる。

彼らはほんの少しだけ見送り踵を返す。

 

「俺たちも戻ろうシン。」

 

「ああ。」

 

彼らも自分達の帰る場所へと向う。

 

そして彼らは彼女達と再び会えることになる。

だが運命は悲しく、彼らが再び会うのが戦場となるだろうことを・・・。




シンとステラの濡れ場(意味違い)




~どうでもいい話~
当時アニメ見て思ったんですけど、シンってこの時ノーヘルだったのがとても不思議でした。


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第28話 渓谷の門

遅くなってすみませんm(__)m



~アーガマ~

 

ホンコンシティで短い休日を過ごしたあと、

格納庫内でZEUTHたちは鉄也、ガウリ、雷太たちによるトレーニングをしていた。

 

「トレーニング開始!腕を前から上げて、大きく背伸びの運動から!」

 

「いっちに!さんし!ごーろく!しちはっち!」

 

「勝平、腕が曲がっているぞ!ルナマリア、上体をそらせろ!」

 

「は、はい!」

 

・・・という感じでまずはラジオ体操をしていた。

ただ、普通のラジオ体操ではなく鉄也たち3人によるスパルタラジオ体操だったが。

 

「ったく・・・。訓練の見物に来たら俺まで付き合わせられるとはよ!」

 

「文句言うなよガロード。あれを見たらまだ俺達のほうがまだマシだとと思うよ」

 

ゲイナーの視線に合わせてガロードもゲイナーの向けた方向を見る。

そこには東方不敗とジャージ姿のセツコは俺達と同じラジオ体操をしていた。

 

「ほれ、どうした?

もっと腕を伸ばさぬのか?

それに体もバランスを崩しそうだぞ?」

 

「は、はい、先生!」

 

セツコは東方不敗の指導のもとで同じようにしているが、他の人たちとは違ってセツコの体には『1kg』と書かれた重りを体中につけていた。

そんな状態で動くのもきついのにも関わらず体操をしていた。

 

「うわぁ、あれもきつそうだなぁ。」

 

「だろ。だからまだ普通(?)の体操のこっちで我慢したほうがいいよ。」

 

「くそっ、不幸だ。」

 

「ガロード!もっと手を動かさんか!」

 

「わ、わかってるよ!」

 

ガロードはつい好奇心で見に来たことを後悔していた。

せめての救いは東方不敗の訓練みたいに重りをつけていないことだった。

 

 

----------------------

 

~ミネルバ ブリッジ~

 

それから、数時間後ZEUTHにとある報告が来ていた。

 

「ローエングリン?

旧連邦が使っていた陽電子砲ですか?」

 

ミネルバの艦橋ではザフトのエリートであり、つい最近ザフトからの補充兵として赤服を着ている男、ハイネ・ヴェステンフルスはミネルバの艦長タリアから渡された報告書を見ていた。

 

「そうよ・・・。ディアナ・カウンターもそれの足止めを食らったらしいわ。」

 

ムーンレイスと呼ばれる月の住民によって結成され月の月の姫ディアナ・ソレルの名前を付けられた部隊ディアナ・カウンター。

そのムーンレイスは先日プラントとの同盟を結び、宇宙移民をまとめて新地球連邦軍に対抗する為に同盟を結ぶことになった。

いわば宇宙同盟軍のようなものだ。

そしてそのディアナ・カウンターが先日、プラントの議長デュランダルの指令でディアナ・カウンターとZEUTHが合流してザフトの拠点ジブラルタルへと向かう手はずだった。

しかし、自分達の手柄にしようと先に先行してしまったディアナ・カウンターはガルナハンに進攻していたが道中にある連邦軍基地の陽電子砲ローエングリンの攻撃により部隊の一部が壊滅して撤退したとの報告があった。

 

「その威力は凄まじく渓谷を通過するものは問答無用で攻撃にさらされます。」

 

「その名もローエングリンゲートか。自信のほどがうかがえるな。」

 

クワトロが名付けたローエングリンゲート。

まさにその名のとおり自然でできた大きな壁が両方にあり正面には戦艦ですら落とせる高威力の砲台があり山の上を通るには大気圏内の重力により高度をあげることもできないため逃げるには後退するしかないが、それは相手からすれば的のようなもの。

逃げ道が限られた場所をただ連邦は追撃するだけで相手を落とせる。

まさに地の利を得た場所なのだ。

 

「そしてディアナ・カウンターは我々との合流を前にして手柄を手に入れようと独断で渓谷の突破を図ったと・・・。」

 

「でも、結局失敗してゲートの攻略を我々に押し付けるだなんて勝手が過ぎますよ!」

 

アーサーは仕事を押し付けられたかのように思えて不満を訴える。

 

「アーサー。あなたが不満に思うのは分かるけどこれは命令だから弁えなさい。

けれど、ディアナ・カウンターからは女王の親衛隊のハリー・オード中尉という方が来てくださるわ。

そして他にも状況の説明ということで技師の方も一緒だそうよ。」

 

「それでもローエングリンゲートの突破が我々の頼みであるのは変わりない。」

 

兵左衛門の言うとおり、ディアナ・カウンターから数人人が送られてくるだけであってローエングリンゲートの攻略をZEUTHに一方的に押し付けられているのは変わりはなかった。

ましてや、数人増えただけで攻略の状況がよくなるわけでもなく。

 

「しかし、どうします?

機体を盾にして進むというわけには行かないでしょう。」

 

風見博士の言い分ももっともであり何か打開策はないかと一同が考える中、艦橋の扉が開く。

 

「やっぱり、皆さんここに集まっておられましたね。」

 

中に入ってきたのはザンボット3のパイロット勝平の祖母である神梅江だった。

入ってきた梅江にメイリンが近寄って疑問の孕んだ声で梅江に問いかける。

 

「どうしたの、梅江おばあちゃん?」

 

「いえね・・・。この辺りに住んでいる人が例の谷を抜ける方法を教えてくれるって人が来てるんですよ。」

 

梅江が説明しているとき扉から断りもなしに一人の見知らぬ男性が入ってきて、ミネルバの艦橋の中をキョロキョロと見回す。

 

「ほう、こいつがザフトの最新鋭の戦艦の中か?」

 

「これ、ばあさん!

部外者を勝手にミネルバに入れてはイカン!」

 

「固いことを言うなよ爺さん。

俺が無理に婆さんに頼み込んで上がらせてもらったんだ。」

 

「あなたが我々に協力したいという付近の住民の方?」

 

「俺の名はヤッサバ・ジン。

シベリアじゃ、ちょいと名前の知れた男よ。

それよりも知りたくないのかよ。あの谷を抜ける方法ってのを。」

 

本来なら怪しいと門前払いするところだが、いまのこの状況では少しでも情報がほしいという気持ちもあった。

 

「いいでしょう。

聞かせてもらいますヤッサバさん。」

 

----------------------

 

~数時間後~

 

 

「「「渓谷の中を抜ける?」」」

 

ZEUTHチームの召集をかけられて一同はブリーフィングルームに集まり、ミネルバの艦長タリアから作戦の内容を伝えられた。

 

「そうよ。

このガルナハンの渓谷に連邦の基地があるわ。

ただ闇雲に進めば連邦の兵器でもあるローエングリンの餌食になるわね。」

 

「じゃあ、いったいどうするんだ?」

 

疑問に思った甲児がタリア達に質問をする。

 

「そこでこの人を紹介するわ。」

 

タリアに呼ばれて前に出てきたのは先程艦橋に入ってきた人物ヤッサバだった。

 

「俺の名はヤッサバ・ジン。

まあ、さっきも言ったがシベリアじゃ、ちょいと名前の知れた男よ。

さて、聞いていた通りこの渓谷抜けるのは簡単じゃない。そこで、抜け道を使う。」

 

「抜け道って言ってもよ渓谷にそんな道があるのかよ?」

 

甲児はヤッサバにみなが思っているだろう疑問を問いかける。

 

「この渓谷には自然でできたトンネルがあってな、調査で探索をしていると1つだけ連邦の基地の側面に出ることができる穴があった。そこを抜ける。」

 

「でも、MSが抜ける大きさはあるの?」

 

「いや、ない。」

 

ルナマリアの問いにヤッサバははっきりと答える。

 

「MSが入るには小さすぎる。小型の作業用プチモビなら入れるだろうが。」

 

「え、それじゃあどうするのよ!」

 

「そこがこの作戦で重要な所だ。」

 

話にクワトロ大尉が間に入ってきてこの作戦を左右するだろう重要な部分を伝える。

 

「シン、君がこの渓谷を抜けるんだ。」

 

「お、俺がですか!?」

 

「君の機体。コアスプレンダーで渓谷のトンネルを抜けて連邦の基地の側面を叩く。その間に残った我々が連邦の気を引いて囮となる。できるね。」

 

「何で俺なんですか?」

 

「渓谷の抜け道は狭く、MSでは入ることはできない。

だが、君のコアスプレンダーでなら入れるのと、君ならできるとパイロットとしての技術を信用して推薦した。

強制はしない。君が嫌なら他の人にやってもらうだけだ。」

 

「・・・わかりました、やります。やってやりますよ。」

 

「この作戦の要は君に任せる。

では、その他の人たちの作戦の詳細について話そう。」

 

クワトロは部屋を暗くしてスライドで地図を映して作戦の詳細などを話す。

 

「どうします先生?・・・先生?」

 

セツコが東方不敗がこの作戦のことをについて意見を聞いてみたくて東方不敗に声を掛けるが返事はなく。

セツコが視線を東方不敗の方に向けるとそこには東方不敗がおらず、周りを見渡しても東方不敗の姿はなかった。

 

----------------------

 

~ガルナハン 渓谷~

 

この地方の渓谷は深い谷になっており左右は険しい壁となっている。

 

そんな中で1つの影が素早い移動で渓谷の中へと入っていく、その速すぎる動きは常人では気づくことはできないだろう。

そしてその影は連邦の基地が良く見える場所へと辿り着きじっくりと基地を観察する。

 

「ふむ、ここが先程の話にあった基地か。」

 

東方不敗の立つ崖の眼下には先程話していたローエングリンの置かれている基地があった。

 

その周辺には4本足のMSやその他のMSの姿も確認できた。

 

「外の防衛は監視の眼が多いな。

さて、中はどうななっておるかの。」

 

東方不敗は再びすさまじい速さで基地の格納庫の扉から堂々と中へと入る。

だが速すぎるためか誰一人気づくことはなかった。 

 

「ここが基地の中か。

見た目とは違って人は少ないようだな。」

 

外の防衛を重視にしているのか基地の中は人の気配が少なく、この倉庫にも数人しか確認できない。

 

「ふむ、どうやら外ばかりに眼がいっているようだ。策としてはまだまだ甘いの。」

 

「そこに誰かいるのか?」

 

東方不敗の声が聞こえていたのか、連邦の兵士が気付き銃を構えてこちらへと近づいてくる。

 

「む?

少し戯れ過ぎたか、もう気づきよった。」

 

そして、連邦の兵士は声がしたであろう場所へと近づいて、銃口を向ける。

 

「誰だ!」

 

声がしたであろう人物へと銃口を向けるがそこには誰もおらずいつも通り何も異常がなかった。

 

「おい、どうした?」

 

「ああ、いや。誰かいたような気がして。」

 

「バカか。ここに入ってこれる奴はいないさ。

横は断崖絶壁の壁、正面はローエングリンで一撃さ。

この前の奴等も威勢がいいだけであっという間に逃げていったしな。こんなところに侵入なんて出来る筈がないだろ。」

 

「そうだな俺の勘違いかもな。」

 

「疲れているんだろ。

おい、それよりお前そろそろ休憩だろ。

交代が来るまで俺がここにいるから先に戻ってろ。

いま、この基地の守りは完璧だから必要のない兵のほとんどが異動で数が少ないんだからな。」

 

「すまないな。

じゃあ、後は任せた。」

 

そう言って兵士の一人は持ち場を離れて休憩へと向かう。

 

「さて、上官が来たときのいいわけでも考えねぇとな。」

 

兵士を休ませるために言い訳を考えようとをそんなことをしている兵士の真上の天井には東方不敗が張り付いておりその光景を見ていた。

 

「やはり、兵の数は少ないようじゃの。」

(ふむ、ZEUTHの者達に伝えるのもいいがそれは一先ず置いておこう。流石にそれは早計じゃからな。

とりあえず次の場所はここだとジョーカー殿に伝えなければ。)

 

そして東方不敗ら音を立てずにその場を後にして外へと出てすさまじい勢いで渓谷を抜けていってZEUTHの元へと帰っていった。

 

もちろん誰もが連邦の基地に侵入したなどと気付くものはいなかった。

 

----------------------

 

それから二日後

 

準備が整いZEUTHはガルナハンの渓谷を通り、連邦軍の基地へと向かう。

各機体は発進して、敵を迎え撃つ準備を整える。

 

「各機へ。こちらクワトロ・バジーナだ。

作戦は先程ブリーフィングで説明したとおり、我々が敵を引き付けている間、シンはコアスプレンダーで渓谷の間に出来ているトンネルを通り、敵のローエングリンに奇襲を仕掛ける。」

 

「「「了解!」」」

 

「シン、君は指示通りに渓谷のトンネルを抜けて敵の側面から攻撃だ。いいかい?」

 

「分かりました。」

 

シンとの通信を切った後にミネルバからコアスプレンダーとチェストフライヤー、レッグフライヤーも共に出撃して渓谷の中へと飛んでいった。

 

「では、我々も行くとしよう。」

 

----------------------

 

~ガルナハン 連邦軍基地~

 

「エリア内に複数の艦影あり、おそらくZEUTHの部隊です!」

 

「ふん。性懲りもなく部隊を送ってくるとはザフトも必死だな。

何度やってもここは落ちぬと分かっているだろうに。MS部隊を発進させろ。」

 

「はっ!」

 

士官の命令によりMS部隊の発進準備のアナウンスが流れパイロットは機体へと乗り込み発進準備を整える。

 

「YMAG-X7Fゲルズゲー発進用意」

 

格納庫から四本足のMAが出撃準備に入り、中にいるパイロット達は出撃準備を整える。

 

「圧力よし、各スラスター異常なし、発進準備よし。」

 

「よし、ゲルズゲー発進!」

 

ゲルズゲーのスラスターが噴き発進して、戦場へと出撃する。

 

----------------------

 

「敵部隊発進。MS約40機、MA10機です。」

 

メイリンはレーダーに反応した敵部隊の数を報告する。

 

「さっそく、そうとうな数を出してきたはね。MS部隊に伝えて!」

 

「了解!」

 

「アーサー、MS部隊が敵を引き付けている間にこちらもタンホイザー照準用意。」

 

「了解、タンホイザー照準用意!」

 

ミネルバの前面が開き、タンホイザーが発射体勢にはいる。その状況はゲルズゲーからも確認されていた。

 

「敵艦陽電子砲発射体勢に入りました!」

 

「リフレクター展開して前へ出ろ、弾き飛ばしてやれ!」

 

ゲルズゲーはミネルバのタンホイザーの射線上に入り、陽電子リフレクターを起動させる。

 

「艦長、敵MSが射線上に!」

 

「構わないはこのままタンホイザー発射して!」

 

「り、了解!

照準敵施設、タンホイザー!てぇー!!」

 

ミネルバのタンホイザーからビームが発射されて一直線に基地へと向かって発射される。

そして、敵MSであるゲルズゲーへと当たるがビームはシールドにより防がれてその衝撃で周囲に爆風が巻き起こる。

 

「く、敵MS健在!基地への被害もなしです。」

 

「やはり無傷ね。けれど我々の目的は敵を引き付けることよ!このまま敵を引き付けて!」

 

----------------------

 

「敵艦の攻撃ゲルズゲーに直撃、損害はありません。」

 

「よし、ゲルズゲー数機をローエングリン周辺へ戻せ。

残りの部隊は敵旗艦の足を止めろ!

ローエングリン攻撃の際は退避できるように通達。」

 

士官が命令を下して、管制官は指示にしたがいMS部隊に指示を伝える。

そして命令通りに増援のゲルズゲー部隊はZEUTHの部隊を横に通り過ぎて、ミネルバへと向う。

 

「あのMA、狙いはミネルバか!」

 

ゲルズゲーはミネルバの底部へと入り込み、ミネルバの死角を取る。

 

「敵MAがミネルバの底部に!?」

 

「回避急いで!」

 

「だ、駄目です!間に合いません!!」

 

ミネルバへの接近を許してしまい、ゲルズゲーの放ったビームライフルの攻撃がミネルバへと直撃する。

 

「き、機関部損傷!推力30%ダウン!」

 

「応急修理急いで!」

 

ゲルズゲーの攻撃はミネルバの推進部に当たってしまいエンジンからは煙が上がってしまいミネルバの動きが鈍くなる。

 

「しまった、ミネルバが!?」

 

ZEUTHのパイロットたちはミネルバから煙が出ているのに気づき直ぐ様駆けつけようとするが連邦のMSの攻撃が激しく、ミネルバの救援にいけない状態へとなっていた。

 

「敵ザフト艦の被弾を確認!」

 

「よし、ローエングリン照準!目標、ザフト艦!」

 

連邦軍のローエングリンの設置しているドームが開き、ローエングリンの砲口がミネルバへと向けられる。

 

「陽電子砲がこちらをロックしました!?」

 

「回避!」

 

「ダメです、推力上がりません!」

 

「くっ、総員対ショック!」

 

一方で東方不敗はクーロンガンダムに乗ってゲルズゲーの撃破はできたがミネルバから離れていた。

 

「む、まずい!」

 

東方不敗はセツコの近くにいたためミネルバから離れてた場所に位置していた。

急いで東方不敗がミネルバの前に出れば、攻撃を防ぐことは出来るが間に合うかどうか。

 

「ローエングリン発射準備。」

 

「エネルギー充填。90%、95%、100%!発射準備完了!」

 

「目標、敵ザフト艦!」

 

連邦のローエングリンの発射体勢が整い、その攻撃はいまミネルバへと放たれようとする。

 

「発し・・・!」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

 

 

ローエングリンがミネルバに向けて発射されようとしたとき地面が突然大きく揺れ始めて連邦の兵士たちは揺れに耐えきれず倒れ込む。

 

「な、何事だ!?」

 

「わ、わかりません!周囲のレーダーには反応なし。」

 

「ただの地震か!?」

 

「現在確認しておりますが、原因はわからずです。」

 

「ええい、さっさと原因を探らぬか!

さっさと敵艦にローエングリンを発射するのだ!」

 

「りょ、了解!

・・・ん?こ、これは!?

准将、ローエングリン発射不可です!」

 

「なんだと!?

一体どういうことだ!」

 

「先程の揺れでローエングリン周辺の地盤が陥没して陽電子砲の発射角が地面を向いています!」

 

「くそ、なんということだ・・・。」

 

戦艦すら落とせる強力な兵器である陽電子砲。

しかし、偶然にも先程の揺れは連邦の強力な一撃を使用できなくしてしまっていた。

 

「とりあえず、応急修理を済ませろ!出せるMSを出してローエングリンの傾きを直せ!」

 

次々と対応を命令するなか別の兵士が新たな報告をする。

 

「准将!」

 

「ええい!次は何事だ!」

 

「地下に巨大なMAの反応があります!」

 

----------------------

 

突然起こった揺れにはZEUTHの一同も同じく何事かと動揺する。

 

だが、幸運にもミネルバは揺れのおかげで攻撃は免れたのであった。

 

「な、なに!いまのの揺れは!?」

 

「艦長!地下から高熱源反応アリです!」

 

「何なの一体?」

 

「大きい・・・恐らくMAかと。」

 

「MAですって!?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

 

再び地面に揺れが起き始め、

その揺れは次第に大きくなったが、再び揺れが収まった。

 

「止まった?・・・メイリン、状況は!」

 

「待ってください!MAは・・・・。」

 

メイリンが先程反応したMAの位置を探しているとき、戦場の近くで突然地面がめり上がりそこから一体の機体が現れた。

その機体は大きく顔はインパルスと同じガンダムタイプの顔をしているが下半身はまるで生物を思わせるような足をしている変わった形のMAだった。

 

「な、なんだあれは!?」

 

突然地面から機体が現れたことにアーサーは驚きを隠せない。

 

「あれはどこの機体?」

 

「データには情報がありません!」

 

「情報がない?一体なんなのあれは・・・。」

 

その姿に多くのものが釘付けになる。

連邦もZEUTHも、誰もが戦闘中だということを忘れ、突然現れたガンダムに視線を向ける。

そして誰もが恐れた。

その姿は禍々しく、そして恐ろしい。

あるものは震え、あるものは身構えた。

この戦場にいる誰もが思った。

あれは味方なのだろうかと・・・。

 




ようやくデビルガンダムが合流です。
もう少し早めにデビルガンダムと合流させたかったのですが中々・・・。

ちなみに鉄也さん達のスパルタトレーニングか東方不敗の超人特訓、どっちも辛そうですね。

それとスーパーロボット大戦Xの発売決定おめでとう!
Gガンダムは・・・(´・ω・`)?


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第29話 渓谷の門②

更新速度をもう少しあげたい(切実)


~主人公 視点~

 

「ようやく見つけた。」

 

アクシズを出て東方不敗からトビー中尉がやられたとの連絡をもらったので急いで地球に来て、俺は東方不敗の情報を頼りに後を追ってきてようやくたどり着いた。

 

この前もホンコンシティに追い付いたと思ったらもうすでに出ており、急いでいこうと思っても軍に見つかりそうになったりしそうなので地面を掘って皆のもとへ近づくことにした。

 

だが、近すぎた。

予定ではもう少し離れた場所で様子を見ようと思ったんだけど、ここまで来たからには仕方がない。

ここで逃げたら絶対「何しに来たんだあいつ」

何てことを言われかねない。

そうなると俺が精神的にダメージを食らうのでこのまま、デビルガンダムで戦うしかないか。

まぁ、仮面とジョーカーの名前があればたぶんバレないと思う。

 

「ん?

あれは・・・ローエングリン。」

 

気を取り直して俺が戦場へと視線を向けた先には大きな陽電子砲の砲台があった。

 

「たしか、『SEED』で出ていた陽電子砲か。

あれがあるということはいまZEUTHはあれと戦っているのか。」

 

そうと決まればあれも後で回収しよう。

どうせ壊されるだろうし。

いや、壊さないようには努力しよう。

デスアーミーやMS部隊の配置ももうすぐで完了する。

戦闘が終わったら回収をしてもらおう。

 

「だが、まずはこいつらを片付けることが先か。行け、ガンダムヘッド!」

 

DG細胞で作ったガンダムヘッドを地面から出して、突進による攻撃やガンダムヘッドの口から出されるビームで連邦軍の機体に攻撃を仕掛ける。

 

縦横無尽にあらゆる方向からガンダムヘッドが飛び交い、連邦軍は避けることができずガンダムヘッドの突撃を喰らってしまう。

 

だが、俺がガンダムヘッドのビーム攻撃をゲルズゲーが陽電子リフレクターを作動させてガンダムヘッドのビーム攻撃を防ぎ無効化にする。

しかし、それも無意味でガンダムヘッドの本体やビームの多数が四方から飛んできて陽電子リフレクターで抑えきることはできなかった。

 

当然ながらゲルズゲーの機体はガンダムヘッドにより取り込まれてデビルガンダムへと送り込まれる。

 

----------------------

 

デビルガンダムの圧倒的な攻撃に連邦は混乱していた。

そしてある一機のゲルズゲーもその光景を見ていた。

 

「化け物め!」

 

「隊長どうしますか!?」

 

「一旦距離を取れ、いくら触手でもここまでは届かないだろう。その後遠距離からの攻撃を行う。」

 

「了解!」

 

一機のゲルズゲーはデビルガンダムから離れた場所に位置しており、そう簡単にこちらを攻撃を当てることはできないと考える。

 

しかし、その考えも甘くゲルズゲーが後ろに後退している時にゲルズゲーの背後からガンダムヘッドが現れゲルズゲーの背後へと体当たりを決めようとする。

 

「後ろから敵が現れました!?」

 

「緊急回避!」

 

ゲルズゲーの側面にあるブースターが噴き、ガンダムヘッドの体当たりをギリギリで回避する。

 

「あのガンダム頭ここまでこれるのか!」

 

「地下から多数の反応こちらに向かってきます!」

 

「他の部隊はどうした!」

 

「ZEUTHと交戦している部隊は健在。ですがあのMAとの戦闘を行った部隊は・・・。」

 

「くそ、たった一機のMAに我々が翻弄されるとは!」

 

「た、隊長、どうすれば!?」

 

「ここで迎え撃つ!」

 

ゲルズゲーに乗るパイロット達はガンダムヘッドを迎え撃つ準備をする。

そして、直ぐにゲルズゲーの周りには無数のガンダムヘッドに囲まれゲルズゲーは危機的な状況になった。

 

「エネルギー残量は僅か。これだけを数を相手するならせいぜい5分が限界か。」

 

「こちらもいつでも行けます!」

 

操舵手を担当しているパイロットの一人は元気良くガッツポーズを取る。

しかし、彼の手は震えており、その笑顔も無理矢理笑っているのか強張っていた。

 

「すまない。お前たちを巻き込んでしまって。」

 

「気にしないでください隊長。」

 

もう一人の砲撃手のパイロットも覚悟を決めたのか決意を決めたかお出こちらを見る。

 

「よし、なら帰ったら一杯やろう!」

 

「「はい!!」」

 

3人は覚悟を決めてモニターに向き、今か今かと攻撃しよとしているガンダムヘッドに視線を向ける。

 

「攻撃開始!」

 

そして、ゲルズゲーはガンダムヘッドへ攻撃を仕掛けようと前へ出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、現実は非情である。

 

ゲルズゲーが動き出した直後、ゲルズゲーの真下の地面からガンダムヘッドが現れゲルズゲーガ

ンダムヘッドに噛みつかれ、ゲルズゲーの機体は折れ曲がりコックピット部分はガンダムヘッドの歯によって潰されたのであった。

そして、倒れこんだゲルズゲーに周りのガンダムヘッドは一斉に飛びかかりゲルズゲー噛み千切りそのまま吸収する。

そして3人のパイロットは呆気ない最後を迎えるのであった。

 

だがこれは戦争である。

 

誰かが生きる代償に誰かは死ぬ。

 

戦争では常識であり、そして悲しく覆せない現実でもある。

 

----------------------

 

連邦の機体がほぼ壊滅状態になってしまい連邦の基地内では混乱が生じていた。

 

「ええい!MS部隊は何をしている!」

 

「て、敵の攻撃がすさまじく次々と撃破されている模様です。」 

 

「なら、ローエングリン発射準備!」

 

「ま、待ってください!応急修理もできてない上に射線上には恐らくまだ味方が!」

 

「構うものか!一発撃てれば十分だ。それに多少の犠牲は付き物だ!」

 

「し、しかし!」

 

「ええい、さっとせぬか!」

 

「く、了解!」

 

連邦の兵士はローエングリンのチャージを始めて発射体勢を取る。

 

「90%、95%、100%!ローエングリン、発射準備完了!」

 

「我々の敵になった事を後悔するがいい。

目標、敵大型MA。ローエングリン発射!」

 

「は、発射!」

 

連邦の兵士はスイッチを押して、デビルガンダムに向かってローエングリンを発射し、ローエングリンの光がデビルガンダムに向かって突き進む。

 

その光景を見ても誰もがデビルガンダムが落ちると思われた。

 

 

しかし、そんな光景を見ていても悪魔は笑っていたであろう。

 

 

ローエングリンのビームはデビルガンダムに当たる直前に何かに阻まれるかのようにローエングリンのビームを弾き、ビームは周囲へと分散して地面や壁などに当たり瓦礫などで煙が充満する。

 

 

「な、なにが起きたのだ!?」

 

「わ、分かりません。いま確認します!

そんな!?て、敵大型MA健在!無傷です!」

 

「ばかな!?」

 

連邦の最強の兵器でもあるローエングリン

それを直撃で食らったのにも関わらずデビルガンダムが無傷なことに驚く。

 

「ええい、なら次の発射を急がせろ!」

 

「りょ、りょうか・・・うわあああ!?」

 

再度ローエングリンを発射させようとした瞬間、突然の爆発による基地は揺れが発生する。

 

「何事だ!」

 

「敵の戦闘機が側面からによるミサイルでローエングリン本体に直撃です!」

 

「戦闘機だと!?

だが、この程度でローエングリン砲台が破壊できるか!

もう一度照準を設定しろ!あのガンダムを仕留めるんだ!」

 

デビルガンダムに集中していた為か、

シンの乗るコアスプレンダーが渓谷の間を抜けてローエングリンの横へと現れるのに気が付かず、ローエングリンが炎をあげるが士官は構わず発射を指示する。

それが無謀を越えて悪足掻きだということに目を背けながら。

 

「!?、敵大型MAの熱源上昇!攻撃体勢に入っています!」

 

「何だとぉ!?」

 

モニターを見てみると大型のMAの胸部から光が集まっており、こちらへ攻撃しようとしていた。

そのエネルギーがどれ程のものかが見て分かるほどだった。

 

「ゲルズゲー部隊をすべて戻せ!」

 

「数機はZEUTH部隊と交戦中、残りは敵の大型MAにすべて撃破されています!」

 

ゲルズゲーがいればなんとかなったであろう状況。

しかしいまは明らかに絶望的な状況だった。

それを理解した士官はもう打つ手がないと悟り、管制室から扉に向かってはしっていく。

 

「に、逃げるんだ!退避、退避~!!」

 

准将は我先にと逃げて、その後を追うかのように兵士たちが一斉に退避する。

しかし、デビルガンダムの胸部の光は眩い光を出していつでも撃てる状態だった。

 

そしてそのエネルギーがデビルガンダムから放たれ、眩い光の筋が連邦の基地へと向かって貫通する。

その威力は凄まじく付近にいたMSすらも吹き飛ばして基地には跡形もなく吹き飛び貫通したビームは渓谷を貫通して海の地平線へと真っ直ぐ向かい世界が一瞬だけ真っ白になり、そこから巨大なキノコ雲ができ、猛烈な爆風が後からやって来る。

 

「な、何て威力なの・・・。」

 

その光景を見ていたセツコは突然現れた機体に恐怖を抱いた。

圧倒的な力を見せつけたガンダム。

あの機体はこちらに攻撃はしてこなかった。

しかし、それが味方とも限らない

その不安をこの戦場にいる誰もが思っていた。

 

----------------------

 

「終わったか。」

 

メガビームキャノンが基地を貫通して地平線の彼方ではキノコができている。

1つ言わせてくれ・・・・・・威力高すぎ。

別に最大出力じゃないよ。

最少とは言えないけど、だいたい半分より低いくらいの出力。

それなのにこの威力って。

 

「あ、もしかしてヴァルシオンと戦った影響で強くなったのか?」

 

・・・あり得る。

こんなことならメガビームキャノン撃たなければ良かった。

普通にビームを撃っとけば良かったな。

 

それにさっきのローエングリンの攻撃を防いだのも恐らくヴァルシオンのIフィールドによるものだろう。

まさかここまで強いとはまったく思わなかった。

 

俺が内心で後悔しているとき戦闘が終わったにもかかわらず、インパルスが飛んで連邦軍の基地へと向かう。

 

『シン!

どこに行く!?』

 

アスランがシンに対して通信を送るが、シンの乗るインパルスはスピードは減速せず基地の手前で地上へと降り立つ。

そしてそこにいるのはこの基地の要でもあるローエングリンを落とされたことにより戦意を喪失して抵抗もしなくなった連邦軍の兵士だけだった。

その連邦軍の兵士をインパルスは見下ろして、インパルスの持つビームライフルの銃口が連邦軍の基地へと向け一筋のビームが基地へと直撃する。

 

『うわああああああ!』

 

『やめろシン!既に抵抗は止んでいるんだぞ!』

 

『こいつらが・・・、こんな奴らがいるから・・・!』

 

『やめるんだシン!』

 

一方的に連邦軍の兵士を嬲っている姿を見ていられなくなったのかターンエーガンダムのロランはインパルスへと近づき攻撃をやめさせる。

 

『邪魔をするな、ロラン!』

 

『そうはいかない!

こんなことを目の前でやられて放ってはおけるものか!』

 

『こいつらは連邦軍だ!

ザフトにとってもムーンレイスにとっても敵なんだぞ!』

 

『確かにさっきまで敵だった。でも同じ人間だ!

たとえ顔や名前を知らなくても、この人たちだって命があって、この世界で生きているんだ!』

 

『・・・。』

 

ロランの言葉により、インパルスが連邦に向けていた銃口は下ろされてシンは攻撃をすることをやめた。

そしてロランとシンは二人で戻ってきてZEUTHの部隊と合流する。

 

(あっちも終わったか。

それにしても・・・、

本来だったらここでゼラバイアが来るはずなのになぜこないんだ?)

 

原作のお話ではこの喧嘩の後にゼラバイアが来るはずなのに周囲を索敵してもゼラバイアの姿はない。

 

(原作と違うのはデビルガンダムがやってきたことだが・・・。

だけどそれだけであいつらが介入してこない理由が分からない。一体何を・・・?)

 

隆司は少しばかり不安を抱えゼラバイアの動きを模索している時、突然ミネルバから通信が来た。

俺は気を取り直してミネルバからの通信を繋ぐ。

 

『こちら、ミネルバ艦長タリア・グラディスです。そちらの所属不明のガンダム聞こえますか?』

 

「はじめまして、自分はた・・・、ジョーカーと言います。」

 

『ジョーカー?

・・・いえ、とにかく戦闘の援護感謝します。』

 

「いえ、自分もそちらに用がありましたので援護させていただきました。」

 

『我々に?』

 

「はい、出来れば直接お話させてもらってもいいですか?」

 

『・・・いいでしょう。ではミネルバへと着艦してください。』

 

「ありがとうございます。」

 

俺は通信を切ってデビルガンダムをミネルバへと近づける。

 

「とりあえずゼラバイアの件は一先ず置いておこう。

さて、ようやくみんなとの対面だな。」

 

後はDG軍団に任せて隆司はデビルガンダムと共にミネルバへと向かった。

 

----------------------

 

~ZEUTH撤退後~

 

先程まだあった基地は今では瓦礫となり、

基地の面影はなかった。

そんな中瓦礫の一部が崩れ落ちて唯一生き残っていた連邦の士官が現れる。

 

「いたたた。一体何が?」

 

先程デビルガンダムの攻撃を基地が貫通したのにも関わらずなぜ彼が生きているのかと言うと彼が誰よりも先に逃げ出したことで、通路の壁がデビルガンダムの攻撃により崩れ士官の上に覆い被さった状態になったお陰でこの士官は生き残ることができた。

 

だが、士官よりあとに来た兵士はデビルガンダムの攻撃の余波で吹き飛んでしまい彼らはもう、帰らぬ人となっただろう。

 

そして、この士官は運良く生き残れたが年齢が少しばかりいっており、この瓦礫の中からでるのも一苦労してかようやく外へと出られた。

 

「くそ、役立たずな兵士共め!私の言うことを聞いていれば勝てていたのかもしれぬのに!

それに私の昇格が掛かっているのだ!このままで済むと思うなよZEUTHめ!

そして、あのガンダムタイプのモビルスーツめ。

だが、あの機体を鹵獲すれば我々連邦は安泰だな。すぐに連絡をせねば!」

 

そして、士官が他の基地へ急ごうと思い、後ろを振り返ったとき、目玉がひとつあるMSが現れる。

 

「ひっ!な、なんだ!?」

 

しかも、一体だけではなく目玉がひとつある機体を先頭に様々な機体も崖の上や土の中からも出てきて、しかも中にはガンダムタイプの機体もいた。

 

この辺り一帯や空も機体で埋め尽くされて前も後ろもMSに囲まれ逃げられる場所がなかった。

この場所にいるMSの数は数十や数百ではなくおそらく数千はいっているだろう。

 

そして、先頭にいる目玉の機体の足元には顔がヘルメットで隠れているがパイロットらしきものたちが何人も現れた。

 

「な、なんだ貴様ら!?どこの所属のものだ!

わ、私は連邦軍の准将なんだぞ!

貴様なんぞに見下げられるつもりは毛頭ないぞ!」

 

士官が座り込んでいるところを何人もの兵士が見下げている。

表情が見えないため何を考えているのか分からないが友好的な雰囲気ではなかった。

 

そして、MSやパイロットはなにも言わずに手に持っている銃や武器を持って士官へと照準を合わせて射撃体勢を一斉に取る。

 

「ひぃ!?

ま、待て、金を払う!幾らだ!幾ら欲しいんだ!望んだ額をくれてやる!」

 

先頭に立っているパイロットスーツを着たものは手を挙げて射撃用意の合図を取る。

 

「待ってくれ!私は死にたくないのだ!もっと偉くなりたいんだ!そして、女や酒ももっと欲しいんだ!頼む殺さないでくれ!!」

 

涙を流しながら慈悲を乞う、余りにも情けない慈悲を。

 

だがその情けない願いは聞き届けられたのか、パイロットスーツを着たものはは挙げていた手を下ろし、周りのMSも武器を下ろす。

 

「おお、分かってくれたか。」

 

士官は涙を流しながら命が助かったことによる安堵なのか嬉しそうに笑う。

 

(ふっ、バカめ。ここからすぐにでも逃げてこのことを報告してやる。次に泣くのは貴様らだ。)

 

しかし、士官の内心では全く別のことを考えており、相手にどう仕返ししてやろうかと模索する。

とりあえず、相手が攻撃をやめたので士官は立ち上がろうと腰をあげる。

そんなとき、パイロットスーツを着た一人が腕を士官に向ける。

 

「ん?ああ、手を貸してくれるのかありがたい。」

 

立ち上がるのに手を貸してくれると思いパイロットの手を掴もうとすると、パイロットの腕が液状に変化したと思ったら触手となって出て、士官に絡み付く。

 

「な、なんだこれは!?は、離せ!やめろ!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?だ、誰か、誰か助けてくれぇぇぇぇ!!ぐ、かば、ごばばばば!」

 

士官は助けを求める。

しかし、周りにいるものは誰一人助けようとせず触手に絡み付く士官をただ眺めてるだけだった。

触手は士官の体を包み込む。

それから数分して触手は士官を解放した。

 

解放された士官の目は無気力な状態になっており目に光はなかった。

肌にはDG細胞特有の金属の肌が出ていた。

 

「命令は・・・絶対。自分の・・・マスターは・・・ジョーカー。次の命令が・・・あるまで普段通り過ごすこと。重要な情報は報告・・・。」

 

士官がブツブツと何かを言い、一度目を瞑ったあとに再び目を開くと先程までの無気力な姿はなく、肌も徐々に普通の肌へと戻り、その姿は普段通りの姿になっていた。

 

「ふん、基地が壊れてしまったか。

まあいい早く基地にいってZEUTHとザフトの新型MSを報告せねば。」

 

命令通りに普段通りの士官になり、士官は連邦の拠点へこの情報を報告しに向かう。

もちろん、嘘の情報を・・・。

 

(敵の排除及び洗脳完了を確認。

マスターの敵となる可能性のあるものは生かしておく必要はないがあの男は使える。

・・・では、周囲にある残骸を回収。)

 

兵士とデスアーミーは士官に興味をなくしたかのように背を向け各々の役割を始めた。

 

デスアーミーたちを通じて、デビルガンダムは敵となる可能性のある士官を洗脳したのをDG軍団の目を通して確認していた。

地球や宇宙に何万といるDG軍団。

デビルガンダムはその全てに『目』を持ち、DG細胞さえあれば全て、デビルガンダムに伝わってしまうのだ。

これも『自己進化』によってDG細胞は変化した結果によるもの。

 

もちろん隆司はZEUTHとの合流を果たしている為、デビルガンダムがそのような行動をしているなんて知る由もなかった。

 

たが、デビルガンダムは今日も効率を重視した方法を考えているのであった。




以前にゲルズゲーの話をしましたので今回の戦闘シーンはかなり力が入れたと思いますwww(最後はあれでしたが。)
最近思ったのがゲルズゲーを見てデビルガンダムとデザインと若干形が似ていると思ったのは自分だけなのでしょうか?


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第30話 偽りの再会

更新遅くなりましたがお待たせしました。



~ミネルバ~

 

戦闘が終わり戦いから戻ってきたパイロットたちが艦に帰ってくる中、1機の機体を連れて帰ってきた。

 

整備士たちはその機体に誰もが目を向ける。

その機体は顔はガンダムの顔だが、注目しているのはその下半身だった。

6本の足を生やしまるで生き物のような下半身をしており、上半身とはまるで不釣り合いな姿をしていた。

 

そして、そのガンダムは格納庫の所定の場所に留まるとのコックピットが開き中から一人の人物が現れた。

その人物は黒い服装をしており、顔にも同じく黒い仮面をして素顔を隠していた。

仮面にある目と思われる赤く光っており、どこを見ているのか分からない不気味さがあった。

キョロキョロと周囲を見ており、おそらく彼はこの艦内の隅々を見ているのだろう。

 

そして、周囲を見終わったのかガンダムの手のひらの上へと乗りガンダムの手はパイロットを地面へと持っていく。

そこでタイミングがいいのかこのミネルバの艦長であるタリア・グラディスが兵を連れて格納庫へと現れた。

 

「改めまして。私はこのミネルバの艦長を勤めていますタリア・グラディスです。」

 

「自分はジョーカーといいます。」

 

タリアから差し出された手をジョーカーは握り、そして二人は互いに手を取り合って握手をする。

双方がどういう思いで握手しているのか分からないが、タリアの表情を見てあまりいい雰囲気ではないことは明らかだった。

 

「今回の戦闘に対して貴方のお陰で我々の被害は最小限に抑えられました。」

 

「いえ、あの噂に聞くZEUTHがどのようなものなのかを見れたついでにと思い手助けしたまでです。」

 

「そうですか。ではここで立ち話も何だしょうですから落ち着いて話せる場所まで同行してもらえますか?」

 

「ええ、構いませんよ。」

 

そして、タリアを先頭に歩き、そしてジョーカーを囲むかのように兵士が回りに立ちジョーカーと共にタリアの後ろへと付いていくのであった。

 

----------------------

 

ジョーカー達が格納庫から出ていった後、それを見ていた複数のパイロット達も移動を始めるものもいればデビルガンダムを見ているものもいた。

 

「あのガンダムに乗っている男仮面で顔が見えませんでしたが一体どんな男なんでしょうね。アムロ大尉。

・・・アムロ大尉?」

 

カミーユがアムロに声を掛けるが、アムロはジョーカーの後ろ姿をじっと見つめていた。

 

「どうかしましたか、アムロ大尉?」

 

「・・・いや何でもない。」

 

「?、そうですか。」

 

カミーユは不思議に思ったが、特に何ともないので他のパイロットと同じように格納庫を後にした。

 

「・・・何だったんださっきの感じは、なにか懐かしい雰囲気が。」

 

アムロのニュータイプとしての力なのか、ジョーカーから感じた雰囲気にどこか懐かしさを感じたがその正体が何だったのかを思い出すことはできなかった。

 

だが彼にとってはその人物こそ7年前にいなくなり、探していた人物だということを彼はまだ知らない。

 

 

----------------------

 

一方同じくデビルガンダムがいる格納庫で一人の顔立ちのよい少年はジョーカー・・・ではなく、デビルガンダムを見上げていた。

 

「ロランどうしたの?」

 

デビルガンダムをじっと見ているロランにソシエは声を掛ける。

 

「いえ、大したことではないのですが、さっきの戦闘のときホワイトドールがあの機体に反応していたような気がしたので。」

 

「ホワイトドールが?」

 

「ええ、それからは何の反応もありませんが少し気になったので。」

 

ジョーカーという不安要素があるなかロランはホワイトドールこと∀ガンダムがデビルガンダムに反応したことに一抹の不安を感じるのであった。

 

 

----------------------

~主人公視点~

 

格納庫からタリア艦長と周りの兵士達に案内されて艦長の部屋へと案内された。

扉には『艦長室』とかかれていた。

部屋の扉が開くとすでに部屋のなかには、神北 兵左衛門、クワトロ・バジーナ、ブライト・ノア達が待っていた。

 

「では、こちらの椅子へどうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「では、早速ですがこちらにいますクワトロ大尉、アーガマのブライト・ノア艦長、そしてキングビアルの神北 兵左衛と共にお話しさせていただきます。」

 

「ええ、わかりました。」

 

「ではさっそく本題に入るのですが、

貴方の所属をお聞きしたいのですが。」

 

タリア艦長は、さっそく俺の所属についての疑問を投げてきた。

まあ見ず知らずの人物を簡単に信用するなど軍はすることはまずあり得ないだろう。

 

「そのことなんですが自分はどこにも所属はしてはいません。」

 

「所属していない?

だとしたら、貴方の乗っている機体は貴方個人の機体ということかしら?」

 

「そうですね、作った人は別にいますがあの機体は自分の機体で間違いないですね。」

 

そもそも、作ったのはカッシュ博士でさらに言えばあの機体に乗ることとなったのは神様による特典で手に入れました。

・・・・なんて言えるわけもなく曖昧な答えで答えるしかない。

 

「そして、自分はとある研究を目的に活動していましたが、時空振動の影響によりこちらの世界へと飛ばされまい、いまに至るというわけです。」

 

「活動?」

 

「ええ、自分の目的は地球環境の改善を目的とした活動です。」

 

もちろんこれは半分嘘だ。

元々そのような活動は考えてはいなかったが、デビルガンダムことアルティメットガンダムの本来の目的は地球の自然環境の回復を目的としており、それに目を付けた東方不敗は地球環境の為に原作でも弟子を騙してデビルガンダムを利用して、あらゆる手を使うほど執着しているので、とりあえず環境改善を目的として行動している。

 

もちろん俺の本来の目的はデビルガンダムが暴走しないようにすることと、この世界で死なない程度に出きることをやろうと思っている。

 

「環境の改善・・・ですか?」

 

「ええ、戦争により消失した自然を取り戻すためにまだ研究中な為詳しくは言えませんがあの機体の特別な力でこの環境を改善を目的にしています。まあそのお陰でこうして仮面を被り自分の身を隠しているわけです。」

 

「なるほど、今回あなたによる救援で助かりましたので仮面のことはとやかくは言いません。それにしそうだとしたらあの機体は環境改善のために作られた機体という判断で間違いないようですね。」

 

「ええ、ご理解いただけて何よりです。」

 

「ですが、そんな貴方がなぜ我々ZEUTHの所へ来たのですか?」

 

「先程言ったように時空振動の影響によってこちらでさまよって各地を転々としていた所ZEUTHの噂を聞いたのです。

各地で困っている人々を救っている部隊があると。

そういうわけで、いく宛のない自分が身を寄せるためにこちらに来たときにZEUTHの皆さんが戦闘中だったので手助けしたまでです。」

 

取り繕っているような感じはするが少しでも自分は敵ではない感を出せばこの場を切り抜けられるだろうとジョーカーはとにかく本当のことと嘘を交えつつ話す。

 

「わかりました。

とりあえず、今のところ聞きたいことは聞けましたので、先程の戦闘でお疲れでしょうから、部屋を用意しますのでそちらで休んでください。」

 

「ええ、ありがとうございます。」

 

俺はザフトの兵士の案内で艦長室を退出して用意されている部屋へと向かった。

 

----------------------

 

ジョーカーが部屋を退出したあと、タリア艦長はジョーカーとの腹の探りあいに疲れが出たのか一息つく。

 

「さて、いかがてしたか?」

 

「ふむ、環境の改善を目的とした機体か。」

 

クワトロ大尉は顎に手を当てて、ジョーカーが言った言葉の意味を探る。

 

「しかし、先の戦闘でのあの機体。

はっきり言って一方的な蹂躙だった。

さらに最後のあの攻撃。

山を抉っては消し飛ばした攻撃。

あれは環境改善の機体にしては過剰戦力だ。」

 

ブライトが部屋に備え付けられたモニターに先程の戦闘のデビルガンダムの映像を流す。

さきほどブライトが言ったように環境改善の機体としては攻撃的でありそしてなにより異質であった。

 

「だが、彼を敵と断言することはできないが、少なくとも我々に対しては中立的な立ち位置ではないかな。」

 

「それもあなたの勘という奴ですかクワトロ大尉。」

 

「あまりからかわないでくれないかブライト艦長。」

 

二人は微かに笑ってはいた。

だが冗談をいっている雰囲気ではなく、互いに距離を感じさせるような言い回しにも感じ取れた。

 

「ですが、こちらに対して明確な敵対行為を出してない以上こちらから手出しすることはできませんので、彼は現状は敵ではないと判断してもいいということでいいですね。」

 

タリア艦長はこのままでは埒があかないと考えては結論をだしてその答えに他の3人は渋々だが頷いて肯定を示した。

 

「では、我々の現在の目的はジブラルタル基地へと向かいザフト軍と合流します。」

 

「先の戦闘での消耗があるようだが補給はどうするのじゃ?」

 

「ガリア大陸にある基地へ向かおうと思いましたが、友軍からの連絡でガリア大陸に連邦軍の動きが盛んになっているらしいので心許ないですが遠回りしてディオキア基地へと向かえば戦闘は最小限には収まるでしょう。」

 

「わかりました。」

 

タリア艦長は友軍からの情報により敵の部隊が動いていることを察知した為、到着の日数は遅れてしまうが遠回りでザフト軍基地ディオキア基地へと向かう航路を進むことになり、これにブライトは賛同する。

 

「それと、先程のジョーカーのことですが念のためにザフトの兵士から監視をつけましょう。」

 

「タリア艦長、それについてなのだが。」

 

タリア艦長の考えに対してクワトロ大尉が意見を出す。

 

「私にいい考えがある。」

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

さて、ZEUTHとの会話をした後、

とりあえず部屋を借りれたのでザフトの兵士の案内で部屋へとたどり着き、一人で中に入った後俺は適当にベットに座り込んだ。

 

ようやくZEUTHとの再会を果たし、これでいいと思いだろう思うかもしれないが、

 

「は~、どうしてこうなった。」

 

そう、現在の行動は自分の考えていた予定とは大きく違っていた。

そもそも、デビルガンダムで地中にもぐっており出て来る場所の座標がずれており戦場のど真ん中へと出てしまったのだ。

そのため逃げることができず、デビルガンダムで戦闘をすることになり。

そして、この格好。

デビルガンダムによる悪影響の際の保険として着ているこの服と仮面。

今さらだが周りから見れば謎のガンダムに乗って現れた仮面の男なんてアニメだったら不審者フラグ確定じゃないか。

でも今さら仮面を外して皆と話すこともできないし、

外してしまったら仮面をつけている意味がなくなってしまう。

なので仕方がないが、しばらくジョーカーとして過ごすしかないようだ。

 

そして次に、その元凶であるデビルガンダムがいまZEUTHと共にいることである。

 

DG細胞の機体ならまだしも、元凶が艦内いるのはどうだろうか。

 

「ほんと、どうしたらいいんだ。」

 

もう、いまの俺の精神ズタズタで、ため息を吐くことしかできない。

 

「ジョーカー殿。」

 

どうしようと思い悩んでいたとき、天井から声が聞こえた。

その声の主となるの者は俺が覚えているなかでは一人だしかいない。

 

「・・・・東方不敗か。」

 

天井にあるダクトの蓋が外れ、そこから東方不敗降りてきて地面へと降り立った。

 

「ジョーカー殿、お待ちしておりましたぞ。」

 

「東方不敗、早速だが現状の報告を頼む。」

 

「はい、ジョーカー殿のご命令通りにZEUTHの監視を遂行し、いまの所気が付いておる者はおりません。

そしてジョーカー殿との話していたとおりにZEUTHには我が主なるものの命令で同行しておると伝えて、儂とジョーカー殿との関係は話しておりませんので儂ら二人の関係に気がついてはいないでしょう。」

 

「ふむ、とりあえず計画通りか。」

 

東方不敗と俺との関係は明かさないように事前に打ち合わせしてもらっている。

なぜならば、先程のいったように俺がデビルガンダムに乗っているからだ。

分かっていると思うがデビルガンダムは本来は地球から人間を滅ぼそうとまでした機体だ。

出来ればそんなことはしたくはないが、何が切っ掛けでデビルガンダムが破壊衝動に駆られるかわからない。

それで潜入している東方不敗と俺との関係がZEUTHにバレてしまったら、ZEUTHの皆を見守ることができないのだ。

その為、東方不敗には事前に俺のことは言わないようにしてもらっている。

 

「そしてジョーカー殿のご命令通りにあのセツコという娘もいまのところ異常はありませんぞ。」

 

「そうか・・・。」

 

本来の原作のとおりにトビーさんとデンゼル大尉は亡くなり、セツコはスフィアによる因果に巻き込まれることになる。

その為、護衛の目的として東方不敗に見守ってもらうこととなった。

 

「ついでに流派東方不敗の修行をして肉体の強化もしておりますぞ。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

・・・ん?

 

 

 

 

 

・・・・・・え!?

どういうこと!?

なぜそうなったんだ!?

いやそれどころかなぜ流派東方不敗なんだ!?

俺そんなこと言ったっけ!?

 

「あ、あの東方不敗その事なんだが・・・、」

 

「む!」

 

「ん?、どうかしたか?」

 

俺が東方不敗に問いかけようとしたとき、東方不敗は何かに気づいたのか視線を扉の方へと向けていた。

 

「いえ、とりあえず報告は以上です。ではまた後程。」

 

「え?あ・・・、ああ、頼んだ。」

 

俺は東方不敗にセツコのことを聞き出すことができず、

東方不敗は先程入ってきた天井の中に戻り、ダクトの蓋はきっちりと閉めてくれた。

 

東方不敗って忍者だったけ?

というか色々聞きたいこと聞きそびれたな。

まあ、後で聞くとしよう。

 

コンコン、

 

そして、東方不敗と入れ替わるかのようにドアからノックの音が響き、誰かが来たことを知らせてくれる。

 

「はい、どちらさまで・・・しょう・・・か。」

 

扉を開けるとそこには先程話していたセツコが扉の前に立っていた。




新作のスパロボXを早速プレイして更新が遅れてしまいました。(それ以外にもありますが(汗))

とりあえず色々と落ち着きができてきたので更新を早めにできるように頑張ります。(^_^)/


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第30.5話 幕間 強化人間の休日

Q,ステラは首飾りはまだ持ってるの?

今回の話はこの疑問を解消するために。
あと短いです。


これはジョーカーがZEUTHたちと合流を果たしている頃の話。

 

 

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~ガルダ艦内~

 

 

連邦軍輸送艦ガルダ艦内にあるエクステンデッド調整室。

ここでは連合軍の強化人間エクステンデットの調整のためのカプセルが置かれていた。

エクステンデットはかつてブーステッドマンとよばれる連合軍がMSの操作などを向上するために徹底的な薬漬けと手術、洗脳教育を施していたが協調性の無さと暴走が起きやすかった為、

それを改良し、エクステンデッドを作り上げ、戦闘が飛躍的に向上させることが出来たのだった。

 

そしてステラ達エクステンデットは『ゆりかご』とよばれる特殊な睡眠カプセル部屋で措置を施されている。

 

「ん、んん。」

 

その内のカプセルの1つの中で眠っていた少女ステラは目を覚まし、カプセルの中から出るとすでに他の強化人間達が集まっていた。

 

「おはよう。フォウ、ロザミア。」

 

「そろそろ目覚める頃だと思って来たよ。」

 

「調子はどうだいステラ?」

 

「たくさん寝たから気分がいい。」

 

楽しそうに会話をしている彼女たち、一見微笑ましく思えるかもしれないが、それほど現実は甘くはなかった。

 

「のん気なもんだよ。調整が終わったって事はまた出撃だってのに。」

 

楽しそうな彼女達にアウルは水を差し現実へと引き戻される彼女達。

そう、あくまで強化人間は兵器、用がないときは寝かせて出撃のときは起こして万全の状態で出撃される。

連邦、連合。

まったく違う世界から来た組織でも人間を使って戦争するという根本は同じなのだ。

 

 

そしてその光景を離れてみているものもいた。

 

「頼もしいと同時に哀れさを感じますな。」

 

「彼らの境遇にか?」

 

彼らを離れた場所で見守るブラン・ブルタークとネオ・ロアノーク。

連邦の強化人間であるフォウ、ロザミアの上官であるブラン・ブルタークは強化人間とエクステンデットの境遇に哀れみを感じていた。

 

「自分は兵士としてプロの誇りがあり、それが戦う理由となります。ですが、彼らは・・・。」

 

「戦うためにだけに存在するか・・・。

本人の意思や願いとは関係なくな・・・。

言い換えれば戦いに勝つことだけが彼らの生きる意味だ。」

 

「正直に言えば、認めたくありませんな。

勝利を目的とするのは自分も同じですが、彼らを同じ兵士とは思えないときがあります。」

 

「・・・。」

 

ブランの言葉はまさに正論。だが今は戦争。

軍の上層部はただ勝つことに論点を置き、後先を考えず新たな兵器を作る。

その被害者とも言えるのが彼女達だ。

 

「これ以上、あのような存在が戦場に出るようでは戦争の意味も変わります。」

 

「ブラン少佐・・・。」

 

生き残るために人間を犠牲にする。

矛盾しているがそれを正しいとも否定することもできない。

彼らも悩んでいるのだろう。

まだ若い彼らを戦争の道具として使うことを・・・。

 

そんな暗い雰囲気で会話している二人を他所に、強化人間のロザミアはステラが首に首飾りを着けていることに気づく。

 

「そういえばステラ、その首飾りは?」

 

「・・・?、

・・・わからない。でも大切なもの・・・。

そんな気がする。」

 

「ふぅ~ん。ま、壊さないようにするんだな。ステラはドジだから。」

 

「おい、アウル!」

 

アウルがステラをからかっていたがスティングに叱られてしまった。

 

 

「・・・大佐よろしいのですか?あのペンダント?」

 

「ん?

ああ、実はあの子の記憶を調整したのだが、なぜかあのペンダントを離したがらないんだ。」

 

「調整をしたのにですか?」

 

「いつから持っているのか知らないが、

もしかしたら、彼女にとっては大切なものなのだろうな。」

 

「かもしれませんね。」

 

「だが、今は戦争だ。

必要ないものは取り上げないといけないのが、俺たち大人なのかもしれないな。」

 

「大佐・・・。」

 

ネオは仮面を被っているため表情は分からないが、彼の声にはわずかながら哀愁のある声だった。

 

「次の出撃で勝負をつけましょう、大佐。ファントムペインの名に懸けて。」

 

「わかった。期待させてもらうぞ、少佐。」

 

「さあ、スティング、アウル、ステラ!お前達に連携戦闘を教えてやる! シミュレーションルームに来い!」

 

 

戦争の被害者でもある彼ら。

そんな彼らは今日も戦いの準備を進めるのであった。

 




そういえばガンダムダイバーズにデビルガンダム出てましたね。
BFの時と比べて強者の雰囲気が出てましたね。
結局一撃でやられましたが・・・。


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第31話 運命の分岐点

(セッ、セツコ・・・!?)

 

 

扉を開けた先にいたのは懐かしくも以前共に戦い、そしてユニウスセブンのブレイク・ザ・ワールドにより離ればなれとなった女性セツコがいた。

 

「初めましてZEUTH所属のセツコ・オハラといいます。」

 

緊張しているのか声が強張っておりながらも、俺に対してセツコは敬礼してくれた。

 

当然ながら中身が橘隆司なので仮面を脱げばセツコは俺のことにたぶん気がついてくれるだろう。

しかし、あれからたいぶ経っているため俺の事を覚えているのか内心不安しかなかった。

 

だが、いまの俺はジョーカー。

デビルガンダムにもしもの事があったときのための保険なのだ。

仮面を脱いで「久しぶり」と声を掛けたいところだが俺は自分自身の名乗り出したいという気持ちに対してブレーキをかけて止める。

 

「初めまして、自分はジョーカーといいます。」

 

「やあ、君がジョーカーかい?」

 

俺がセツコと自己紹介をしたとき横から声をかけられて振り向くとそこにはザフトの赤服を着ている男、ハイネ・ヴェステンフルスがいた。

 

「始めましてザフト軍所属ハイネ・ヴェステンフルスです。」

 

「ええ、こちらこそ始めましてジョーカーです。」

 

ハイネが手を差し出してきたので握手をしようと促してきたことに気付き自分もハイネの差し出してきた手を握り互いに握手を交わした。

 

そして握手をしている最中にほんの一瞬、どこか彼の視線には俺に対して僅ながらに鋭い視線を感じたのだが、すぐにそのような視線を感じなくなっていた。

 

「グラディス艦長とクワトロ大尉からしばらく君と共に行動しろと指示されて来たんだ。」

 

(なるほど、たぶん監視なんだろうな。

まあ、怪しいのは仕方がないからね。)

 

グラディス艦長とクワトロ大尉は俺が怪しい奴かまたはスパイだと思って二人を俺の監視に付けたんだろう。

 

「まあ、正直に言えば君の監視みたいなものだ。」

 

「えっ?」

 

監視だろうと思っていた時に、それをハイネ自身の口から聞いたとき俺は素で驚き、思わず驚きの声を口に出してしまった。

なにせ監視役が監視していると暴露したら驚くのも無理はないのだから。

 

「ハッ、ハイネさん!?」

 

「大丈夫だよセツコ。

それにやってきて突然一緒に行動しようだなんてもう監視していますといっているようなもんだろ。

それなら最初っから言ったほうがいいじゃないか。」

 

だが、ハイネは隠すこともしないのか監視していることを暴露してしまい隣にいたセツコはハイネの突然のことに困惑していた。

 

「で、ですが・・・。」

 

「それになんとなく喋っても大丈夫だろうしね。」

 

「その根拠は?」

 

「勘かな。」

 

ハイネは俺のことを信用してくれているのか、勘だけで俺に任務のことを喋ってくれた。

普通に見ればおかしいかも知れないがしかたがないとはいえ変装して怪しまれている俺からすれば嬉しいことだった。

 

 

ビィー!ビィー!

 

 

しかし、俺達の会話は中断され、通路一帯に警報のサイレンが鳴り響く。

 

『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて発進準備せよ。』

 

「どうやら出撃のようだね。」

 

「俺も行こう。」

 

「助かる。」

 

俺たち三人は部屋を後にして格納庫へと走っていった。

 

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~ガリア大陸西部~

 

「メイリン敵の状況は?」

 

「前方から艦の反応が2。

連邦軍の輸送機とファントムペインも確認。」

 

「待ち伏せ?」

(まさかこちらの動きを向こうに知られていた?)

 

「とにかく相手はこちらを逃がすつもりはないみたわね。

各員戦闘準備。MS戦闘用意!」

 

ZEUTH部隊はファントムペインの部隊をレーダーで捕捉したため戦闘準備を整える。

 

「ファントムペインと目される部隊、まもなく接触します。」

 

メイリンの言葉通りに目の前から連邦の艦であるガルダ級が現れた。

 

「モビルスーツ発進!

各員に戦闘体制と伝えて!」

 

「了解!」

 

「艦長!連邦軍とは別に新たな部隊の接近を確認!

オーブ軍です!」

 

「オーブ軍?どうしてこんなところに!?」

 

「艦長!オーブ軍が照準をこちらに向けています!

オーブ軍は地球連邦を援護する模様です!」

 

「どうやら連邦とオーブ軍は同盟を結んだようだわね。

それなら援護するなら当然といえば当然ね。

けれど問題はこの挟撃にどう対応するかだわ!」

 

「艦長ちょっと待って下さい・・・。これは!?」

 

「どうしたのメイリン?」

 

「オーブ軍とはさらに別のルートからこちらの地域に接近する新たな艦の反応確認!

識別信号は連邦軍でもオーブ軍でもありません!」

 

「ってことは味方か!?」

 

レイダーでの反応をキャッチしたメイリンは通信で部隊全員に伝えた。

連邦軍とオーブ軍に囲まれて苦しい状況の中で援軍が来たのかと甲児は歓喜する。

 

「いや、待てあれは!」

 

視認で切る距離まで近づいてきて海中から勢いよく浮上して現れたのは連邦でもオーブでも、ましてやザフトにも所属していない艦。

アークエンジェルだった。

 

「あれはアークエンジェル!」

 

海中から現れたアークエンジェルにアスランは驚き、そして海中から出てきたアークエンジェルのハッチが開き、そこからはフリーダム、ムラサメ、ストライクルージュが出てきた。

 

『・・・私はオーブ軍連合首長国代表ガガリ・ユラ・アスハ!』

 

「発信源はアークエンジェルの機体からオープンチャンネルで発信しています!」

 

『オーブ軍、直ちに戦闘を停止せよ!軍を退け!』

 

この地域にいるすべての部隊に対してなのかオーブの代表カガリはオープンチャンネルで呼びかける。

しかし、オーブ軍はそれに応じないかのようにカガリの乗るストライクルージュに銃口を向ける。

 

「こ、これは一体どういった状況でしょうか?」

 

突然現れたアークエンジェルから現れたオーブ代表カガリからの停戦を促す通信とそれに従わないオーブ軍というあまりに突然なことにアーサーは困惑する。

 

「わからないわ。でもこの状況最大限に利用させてもらうわ。タンホイザー起動!本艦が突破口を開く。」

 

「了解。タンホイザー起動急げ!」

 

アーサーはタリアからタンホイザー起動の指示を受けて、各員にタンホイザー起動の指示を与える。

そしてミネルバの艦首からタンホイザーの砲口が出て、前方にいる連邦軍へと向けられた。

 

「!」

 

しかし、それを良しとしないのかフリーダムはミネルバへと向かって急接近してビームライフルをタンホイザーに向けて放つ。

そして、ビームはタンホイザーを貫き、直後タンホイザーが爆発を起こす。

 

「艦首部分に直撃!タンホイザー、使用不能です!」

 

「何ですって!?」

 

フリーダム・・・。

やはり原作どおりか。

 

「セツコ、ハイネ。

俺はアークエンジェルの足止めをしてきます。」

 

「なら俺達も行かないとな。一応監視しろって命令されているからね。」

 

「私も行きます。皆を守るために。」

 

俺たち三人はZEUTHを守る為に機体をフリーダムとアークエンジェルに向けて迎え撃つ準備を整える。

 

 

----------------------

 

 

「やめろキラ!お前、何をしているのかわかっているのか!?」

 

「アスラン・・・。」

 

「そこまでだ、アスラン・ザラ。」

 

「あなたはジョーカー・・・。」

 

デビルガンダムを先頭にセツコとハイネの2人をつれてアスランの乗るセイバーの前へとでてきた。

 

「だが、あのまま放っておいては!」

 

「いまは退くんだ。」

 

「なにを・・・。」

 

「あれが君と深い関係なのは分かるだがいま迷っていたら足元を掬われるぞ。」

 

「だが・・・。」

 

「あのアークエンジェルとフリーダムは俺が相手する。オーブとファントムペインは任せます。」

 

俺はアスランの言葉を聞かずに、デビルガンダムを動かして、フリーダムと対峙する。

彼には申し訳ないが、今ここでキラ・ヤマトと喧嘩していても戦況は覆らない。

だから、オーブとファントムペインを片付けてくれれば、止めはしないが。

それに俺がアークエンジェルの足止めをしていればシンとステラ、カミーユとフォウを引き合わせやすくなる。

だからこうするのが一番だ。

 

「そこをどいてください!ボクは止めなくちゃならないんだ!」

 

デビルガンダムがフリーダムの前に立ちふさがるがキラは

 

「武器を失くせば戦争は終わる。確かにそれはいい考えだ。

だが、それは結局は君の自己満足じゃないか?」

 

「けど・・・。」

 

戦争をやめさせたいのはわかる。

しかし、正直にいってキラたちのやっている行為はただの荒らしだ。

戦場のど真ん中で武器を失くしたら返り討ちにあい抵抗も出来なくなるし、海や地面に落ちて救助が車で待たないといけない状況にも陥る。

 

「く、退かないならボクだって!」

 

キラはフリーダムを動かしてデビルガンダムに向かって攻撃を仕掛けてくる。

 

「やっぱり来るか。

戦えるかもしれないけどデビルガンダムには相手が悪い。

フリーダムにはこの機体が相手してもらおうか。」

 

フリーダムはビーム攻撃による中・遠距離攻撃を得意としている上に機動性も高い機能を持っている。

対してデビルガンダムはDG細胞を使った物量戦で主に後方から援護をする機体。

その為、動き回るフリーダムがデビルガンダムの懐に入ってしまうとこちらが攻撃する前にフリーダムのビームサーベルで切りつけられるだろう。

 

なので倒すことはできないだろうが足止めをしてくれるフリーダム対策のためのこの機体を用意しておいた。

そして、デビルガンダムのコンソールパネルを使って呼ぼうとするが・・・。

 

「その勝負待てぇい!!」

 

東方不敗の乗るクーロンガンダムがフリーダムガンダムとデビルガンダムの間に降り立つ。

 

「ジョーカー殿。この者は儂が相手しましょう。」

 

突然の東方不敗の登場に俺は呆気に取られてしまう。

完全に予想外な援軍だった。

別に東方不敗にフリーダムを相手してもらおうとは思っておらず、DG細胞で作った別の機体を呼ぼうと考えていた。

だが東方不敗になにか考えがあるのだろうと思い、それに東方不敗がフリーダムに負けることはないだろうと判断して任せることにする。

 

「わかりました。ではよろしくお願いします。」

 

俺はその場を東方不敗に任せてファントムペインとオーブ軍をZEUTHに押さえてもらうことにしよう。

 

「さてと、予定と違うがこっちと戦うとするか。」

 

「まいったな俺はこのデカブツが相手かよ。」

 

俺が向けた先にいたのは『砂漠の虎』ことアンドリュー・バルトフェルドだった。

 

----------------------

 

「さて、儂が相手をするとしよう羽根つきのガンダムよ。」

 

デビルガンダムから入れ替わり東方不敗の乗るクーロンガンダムがフリーダムと対峙する。

 

「僕は行かなくちゃならないんだ!」

 

フリーダムは翼に装備されているバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲を東方不敗のクーロンガンダムに向けて撃つ。

しかし、東方不敗は避けることもせず手に持っている布状のクーロンクロスを使いビームを弾き返す。

 

「ビッ、ビームが!?」

 

「ふん、その程度の攻撃でこの東方不敗を倒せると思ったか 。」

 

ビームを弾き返して東方不敗の乗るクーロンガンダムはフリーダムへとクーロンクロスを伸ばして攻撃し始める。

 

キラは迫ってくるクーロンクロスを避けて反撃でビームライフルを撃つが東方不敗は物怖じもせず弾き返す。

 

「どうして僕の邪魔を!」

 

「お主の行動のはあまり褒められたものではないな。

まるで赤子の我が儘を見ているようじゃからな。

戦いでただ武器を奪っておいて相手を無惨に相手を惨めな思いをさせるそんな戦いに何の意味がある!」

 

「でも、それでも僕は!」

 

「ええい、このわからずやがぁ!!

ならばこちらもやらせてもらうとしよう。

はあぁぁぁぁぁ!」

 

東方不敗は構えの状態をとると右手が輝き、まばゆい光が放つ。

 

「くらえ、クーロンフィンガァァァァァ!」

 

クーロンガンダムはフリーダムに向けて輝く右手を突き出しそのまま一直線に飛ぶ。

 

「なっ!?」

 

しかし、キラの反射神経の高さにより東方不敗のクーロンフィンガーの攻撃を紙一重でかわすことができた。

 

「ほう、かわしたか。」

 

「先生!」

 

再びフリーダムに向き直したときセツコの乗るバルゴラが東方不敗の元へと降り立つ。

 

「セツコか。」

 

「私もお手伝いします!」

 

「もちろんこの僕も手伝うとしよう。」

 

「助太刀不要!・・・と言いたい所じゃが奴は儂一人では手に余る。

それにお主と共に戦うというのも悪くない。

では共に行くぞセツコ!ハイネよ!」

 

「はい!」

「了解!」

 

----------------------

 

そして一方、ファントムペインでは数は有利だが戦況はこう着状態だった。

 

「まったくZEUTHめ。

こうまで戦闘が長続きしているとあまりこちらも宜しくないんだよね。」

 

数はこちらが上なのだが機体性能や戦闘技術は向こうが上だ。

徐々にこちらが押しているがこちら側にもやられている機体も

最悪、痛みわけになる可能性もある。

 

『大佐!ネオ・ロアノーク大佐!』

 

「なんだ、いまは戦闘中だぞ!」

 

『はっ!しかし、司令部からの直接回線です。』

 

「司令部からの直接通信だと?」

 

「はっ!通信を司令部へと繋ぎます。」

 

通信士が映っていた画面から上官の司令部の顔が映りネオは機内の中にいる為狭いが軽く画面に向かって敬礼をする。

 

「少将、直接の通信のようですが何かありましたか?」

 

『ネオ・ロアノーク大佐。今回のZEUTHへの攻撃は中止して直ちに撤退せよ。』

 

「なっ!?

撤退とはどういうことですか!?

ZEUTHが墜ちるのはもう目前ですのになぜ!」

 

『異論は認めん。

それと、ZEUTHと共にいる6本足のガンダムに対しての攻撃は一切認めぬ。

これは連邦軍上層部による判断だ。』

 

連邦軍、ファントムペイン、オーブ軍、そして味方ではないがアークエンジェルがZEUTHを囲んでおり、

ZEUTHを墜ちるのはもう時間の問題ではないといったところまで来たのに撤退の命令が出された。

しかも、上官個人ではなく上層部による判断となれば覆すことはほぼ不可能といったところだ。

逆らえれば連邦軍に帰ることは出来なくなる。

 

「・・・・・・了解。」

 

そして、通信は切られて狭いコックピットで虚しくも焦燥感だけが残る結果となってしまった。

しかし、ここでじっとしていても何もないのでネオは通信を開いて部隊に対して撤退することを伝えた。

 

 

----------------------

 

「おい、連邦軍とオーブ軍のやつらが撤退していくぞ!」

 

甲児が連邦軍が背を向けて逃げていく様を喜びながら見送っていた。

そしてオーブ軍も同盟である連邦が逃げていくので戦況が不利と判断したのかオーブ軍も撤退を始めた。

 

一方でアークエンジェルも連邦とオーブ軍の撤退を目の当たりしていくのを見て、これ以上子の戦場にとどまる理由もないのでアークエンジェルの艦長マリュー・ラミアス撤退しようと判断する。

 

「勝負はついたわ。本艦は後退!キラ君達にも指示を!」

 

ファントムペインとの戦闘は終わったので俺がアークエンジェルの足止めをする必要はなくなった。

 

「退け。これ以上の戦闘は無意味だ。」

 

「今回ばかりはそちらの提案に乗らせてもらうよ。」

 

バルドフェルドは見逃されているのを分かってか、背を向けてアークエンジェルへと帰還する。

 

そしてフリーダムは東方不敗たちの隙を見てアークエンジェルへと帰還していった。

 

「おっと、逃がさないよ。」

 

そんな中、ハイネのグフイグナイテッドがフリーダムを追う。

 

「待て!深追いするな!」

 

「大丈夫だよ、相手は手傷を負っているから。」

 

「あのモビルスーツ早い!?」

 

「ザクとは違うんだよ、ザクとは!」

 

ハイネはグフイグナイテッドのスラスターを噴かしてアークエンジェルに接近して、腕に装備されているドラウプニル4連装ビームガンでビームマシンガンをアークエンジェルに浴びせる。

 

「次は仕留める!」

 

再びハイネはドラウプニル4連装ビームガンをアークエンジェルに向けるとグフイグナイテッドへと接近する機体フリーダムがやってきた。

 

「フリーダムか!

前の大戦の英雄の力見させてもらおうか!」

 

ハイネはグフイグナイテッド二装備されているスレイヤーウィップをフリーダムに向けて伸ばす。

 

「くっ、」

 

フリーダムは加速しながらもスレイヤーウィップを避けて、ハイネのグフイグナイテッドを通り過ぎる。

 

「この期に及んで見逃すか!」

 

「!」

 

ハイネがフリーダムの背後を狙おうとしたときフリーダムは直ぐ様振り向いてハイネのグフイグナイテッドに向かってビームライフルを撃ちの片足を貫く。

 

「しまった!?」

 

足を撃たれたせいかグフイグナイテッドの機体のバランスを崩してしまった。

 

そしてハイネのグフイグナイテッドの動きが止まってしまったその直後ハイネの直上に複数の輝きが放ちハイネのグフイグナイテッドに向かって光の筋が飲み込もうとする。

 

「まずい!」

 

このままだとハイネは原作どおりに撃墜されてしまうので俺は咄嗟にデビルガンダムを動かし、

ハイネのグフイグナイテッドはデビルガンダムに抱え攻撃から守るかのように丸め込みその上をガンダムヘッドで包みこんだ。

幸いにもデビルガンダムの機体は大きい為かハイネのグフイグナイテッドを包み込むことが出来て攻撃から守ることが出来た。

しかし、攻撃はかわりにデビルガンダムが代わり受け止め、デビルガンダムの無防備な背中と脚部は被弾する。

 

「ぐうっ!!」

 

「ジョーカー殿!」

 

「ジョーカー、大丈夫か!」

 

「ああ。こっちは大丈夫だ。

だが機体の背面と脚部の一部が損傷してしまった。

動くのに少しばかり時間がかかる。」

 

背中と脚部の一部にはビームが貫通したダメージがあり、今もDG細胞で再生しているが動くとなると再生できるまで待機しないといけない。

 

それにアークエンジェルとバルドフェルドのムラサメ、フリーダムはいつの間にかいなくなっており恐らくこの区域から脱出したのだろう。

 

 

「さっきの攻撃はどこから?」

 

「奴らが、上から来るぞ!」

 

「奴ら?」

 

ハイネが上空に眼を向けるとそこには複数の機体がこちらに降下していた。

そして複数の機体は地面へと降り立った。

そしてギンガナム隊の先頭にいる1機が前に出てくる。

 

恐らくあれがギンガナム隊の一人スエッソンだろう。

そしてスエッソンの機体が銃口をZEUTHへと向け、後続の部隊も同じく銃口を向けて攻撃を始めた。

 

「そんな、ムーンレイスは私達の味方じゃなかったんですか!?」

 

味方であるムーンレイスがこちらに攻撃してくることにアーサーは戸惑いを隠せなかった。

 

「メイリン、ムーンレイスの部隊との連絡は?」

 

「駄目です艦長!あのムーンレイスの部隊こちらの通信に応じません!」

 

「どうやら向こうは敵のようね。

仕方がないわ、各員に迎撃の指示を!」

 

タリアは目の前にいるムーンレイスを敵とみなして攻撃するように指示する。

そんな中一つの通信がセツコに繋がる。

 

「こんなときに通信?」

 

『やあ、久しぶりだねセツコ・オハラ。』

 

「アサキム・ドーウィン!」

 

『元気そうで何よりだ。

デンゼル・ハマーとトビー・ワトソンのことはもう忘れたのか?』

 

セツコのトラウマを抉るかのようにアサキムは口元をにやりとさせて笑っていた。

 

「ああ・・・!?」

 

「どうしたセツコ!?」

 

セツコの様子がおかしいことに気がついたハイネは心配してセツコの元へと駆けつける。

 

「く、来る!」

 

セツコはコックピットの中で震えとおり何かに怯えていた。

そしてセツコの言っていたとおりにムーンレイスとは別に以前シベリアにいた複数のカラスの機体と1機のピンクの機体がいた。

 

「一体あれはどこの部隊だ?」

 

「あれはアサキムが派遣した部隊です。」

 

「なんだって!?」

 

「ハイネ!セツコを連れてミネルバに戻れ!」

 

「しかし。君はどうする!」

 

デビルガンダムは未だ修復しておりあと少しで動けるが今はまだ動かすことはできなかった。

 

「俺のことはいい2人だけでも先にもどれ!」

 

「ダメです!!」

 

俺は2人が先に逃げるようにといったときセツコは大きな声でそれを気絶する。

モニターからバルゴラのコックピットを見るとセツコの表情は先程より青ざめていた。

 

「もうこれ以上誰も・・・誰も失いたくはない・・・。」

 

セツコはまるで何かに取りつかれたように暗い表情でひとり言をもらしていた。

 

(トビー中尉とデンゼル大尉の死がトラウマになっているのか。)

 

この状態だと離れるとセツコに悪影響を及ぼすと判断したが、さすがに今のデビルガンダムでは二人を守ることは出来ない。

だがどうすれば。

 

「安心せよセツコ。

ジョーカー殿には儂が付いていよう。」

 

東方不敗がここに残り俺を守ってくれることを伝えるとセツコの表情は少しばかり和らいでいった。

 

「さあ、早く行くんだ。」

 

ハイネは理解してくれたのかセツコの機体を担ぎ上げミネルバへと向かった。

 

「おっと、行かせないわよ。」

 

帰還しようとしているハイネたちをピンクの機体にのっている人物ツィーネ・エスピオとコルニクス達が立ち塞がる。

 

「セツコ!くそっ、機体が動かない!東方不敗援護するんだ!」

 

「承知!」

 

東方不敗がセツコの援護に向かうが数多くのコルニクスが東方不敗の邪魔をする。

 

東方不敗ならあの程度問題ないだろうが、

その間にもツィーネがセツコの元へと近寄ろうとしているのをハイネが食い止めているがフリーダムにやられた損傷があるためそちらも時間の問題だった。

 

そして俺は先程のギンガナム艦隊の攻撃で機体が損傷してしまい動くことが出来ない。

 

「このままじゃ!」

 

このままでは結局俺は何も出来ないままで終わる。

いままではデビルガンダムの力を使えば、後悔するかもしれない。

それがいままで俺は目立つ行為を避けてきた、だけど行動を起こさなければ何も出来ない。

 

だから俺はデビルガンダムを使ってある機体を呼ぶ。

 

本当だったらまだ先にしようと思っていたが・・・。

ここで使わざるを得ない!

 

「来い!ヴァルシオン!」

 

俺の声の叫びに答えるかのようにデビルガンダムが起動しDG細胞で作った自分の僕を呼び寄せる。

 

そして空からヴァルシオンが降ってきて、地面を抉りつつも着地してきた。

さらに周りからデスアーミーとガンダムヘッドが地面から湧きだしてツィーネやギンガナム隊を囲むのであった。

 

「いけ、DG軍団!敵を殲滅しろ!」

 

デビルガンダムのパイロットであるジョーカーからの初のDG軍団への攻撃命令がいま下された。

 

 




はい、というわけでハイネさん生存です。

元々ハイネさんを生存させるのはこの小説書くときから決めていました。
スパロボKとLでは生存できるのになぜZでは生存条件がないんだ(怒)。
あと、ヴァルシオンとフリーダムを戦わせてみようと思いましたけど東方不敗との戦いを書いていた方が面白かったので没にしました。
ちなみに作者はキラのことは好きですよ。


それと話は変わりますが、
この小説を投稿してあっという間ですが1年が経ちました。
そしてつい先日にはUAが15万も突破するという状態にまでなりました。
駄文ばかりのこの作品ですが皆さんにここまで見てもらえて本当にありがとございます。
これからもよろしくお願いいたします。


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第32話 主人公、再び・・・。

「作者死んだはずじゃ!? 」

「残念だったなトリックだよ。(*´∀`)♪」
(遅くなって申し訳ないです。m(__)m)



「な、なんなのよこいつらは!?」

 

ツィーネたちを取り囲む無数のDG軍団。

あるものは空からやって来て、あるものは地面の中から這い出てくる。

デスアーミーやガンダムヘッドの他にもデスアーミー達がかき集めてきた量産機などの機体などがいた。

 

この内の一機であるヴァルシオンはツィーネの乗る機体カオス・カペルに向かって攻撃を仕掛け、手に持つ巨大な剣を振りかざす。

 

「ち、図体がでかい割には素早い!」

 

一方で周りにいるデスアーミーたちはツィーネの周りにいるコルニクスなどを虱潰しに殲滅していた。

もちろんデスアーミーたちはデビルガンダムの改造により過剰戦力と言っていいほどの強さをもっているため、倒すことは容易ではないためコルニクスまるで歯が立たず次々と潰されていた。

 

「ち、やっぱり偵察機じゃまともに戦闘をこなせないか。」

 

ツィーネはコルニクスが次々と倒されていくのを見て思わず舌打ちをするが、そんな状況でもお構いなしかのようにヴァルシオンはツィーネに狙いを定めており、今すぐにでも切り掛かって来る雰囲気を醸し出していた。

 

そしてそれほどの時も立たずにヴァルシオンは動き出してツィーネに向かって飛び出し、再び攻撃を仕掛ける。

 

「けど、偵察機でも時間稼ぎぐらいにはなるわよね。」

 

ツィーネはヴァルシオンの猛攻の中、コルニクスの一部をヴァルシオンに向けたことによりヴァルシオンの注意がそれ、その一瞬の隙をツィーネは突き、脇目も振らずにヴァルシオンの横を通り過ぎて一直線に本来の目的であるセツコの元に飛んでいく。

 

「あの機体セツコが狙いか!

なら、ここは通させはしない!」

 

ツィーネの動きを見ていたハイネは、猛スピードでセツコの元に向かっていくのに気がつき機体を動かしてツィーネの前に立ちふさがる。

 

「雑魚はどいていな!」

 

「悪いけれどそれは聞けない相談だね!」

 

「なら、落ちろ!」

 

機体の性能差によるものなのか、ツィーネハイネのグフを回り込みカオス・カペルの両腕からは青い炎のファントム・ラッシュをハイネのグフに向かって発射した。

 

「その程度の攻撃で!」

 

そしてカオス・カペルの攻撃をハイネはグフの操縦桿を目一杯に振り切ってツィーネの放った攻撃を避ける。

 

「避けられた!?」

 

「ザクとは違うんだよ!ザクとはぁ!!」

 

ハイネは反撃を仕掛けるためコックピットのスロットルを踏み、グフをカオス・カペルに向けて接近し、腕に装備されているスレイヤーウィップを鞭のように打撃を与えようとする。

 

「ちょこまかと!」

 

「ふむ、どうやら動きは悪くないようだな小娘よ?」

 

ハイネと戦っている最中、背後に新たな機体がいたことにツィーネは気が付いた。

 

「新手!?いつの間に背後に!?」

 

そこにはセツコの師匠である東方不敗の乗る機体クーロンガンダムがいた。

 

「お主の目的はセツコのようだが、生憎と儂はあの娘を守ってやらねばならんのでな。」

 

「ふん、悪いけどこちらの邪魔しないでくれるかしら、それにおじいさんは帰って椅子に座って楽にしていた方が身のためよ?」

 

「ふむ、では儂がただの老いぼれかどうかはその身を持ってして見せてみよ!

・・・そして、そこな男よ、確かにハイネと言ったか。お主は下がっておれ。」

 

「いえ、自分も手伝います。」

 

「・・・いいだろう。しかし、相手は生易しい相手ではないぞ。」

 

「了解!」

 

東方不敗とハイネは互いに肩を並べてツィーネに向かって睨みあう。

 

「二体一ね、そこらの奴ならまだしも、確かに厳しいかも。でも、残念でした。」

 

「なんだと?」

 

「こっちが何も考えずに突っ込んでいる訳じゃないってことよ。」

 

ツィーネがにやりと笑うとカオス・カペルの羽が光輝き、手には槍のようなものが現れ、東方不敗たちに向かって投擲する。

 

「ふん、その程度の攻撃で儂を止められると思ったか!」

 

カオス・カペルの放った槍、ナイトメア・ストライクは東方不敗に向かうなか、東方不敗は避けることもせずクーロンクロスをナイトメア・ストライクに向けて伸ばし槍の先っぽに絡みつける。

 

「でりゃあああ!」

 

そして、東方不敗はクーロンクロスに巻き付けたナトメア・ストライクをツィーネに向けて投げ返す。

 

「嘘でしょ!?」

 

目の前でおきた出来事にツィーネは驚きを隠せないが、自分が放ったナイトメア・ストライクこちらに迫り来ており、カオス・カペルを咄嗟に動かし損傷は免れた。

 

「一体どうなっているの!?」

 

カオス・カペルの高威力のエネルギーによって形成されたナイトメア・ストライク。

それをたかが布状のビームクロスでこちらに投げ返してきた。

 

それがどれ程の異常なことか想像がつくだろうか。

 

否、そもそ東方不敗たちガンダムファイターの常識がこちらにとって常識はずれなため仕方がないとも言える。

 

だが、そんなガンダムファイターのことなど一切知らないツィーネにとって先程の光景に戸惑いが生じたが、すぐ様意識を戻して東方不敗たちを見据える。

 

しかし、そこには先程のまでいたであろう東方不敗の姿はどこにもなかった。

 

「いない?一体どこに?」

 

「どこを見ておる!儂はこっちだ!」

 

東方不敗はツィーネの不意をついて後ろに回り込んでおり、クーロンクロスをカオス・カペルに向かって伸ばす。

 

「くぅっ!?」

 

クーロンクロスはカオス・カペルにあたりカオス・カペルは機体のバランスを崩し落下する。

 

「いまだ!クーロンフィンガァァァ!」

 

好機と思わんばかりに東方不敗はクーロンガンダムの右手を輝かせてツィーネに向かって輝く右手を向けた。

 

機体の距離は徐々に縮まりあと少しで右手が触れそうなときツィーネはもう一つ隠していた策を放つ。

 

「掛かったわね!」

 

「なにぃ!?」

 

そこにはいつのまに現れたのか東方不敗とハイネの周りには多数のコルニクスが取り囲んでいた。

 

待ち伏せでもましてやステルスで隠れていたわけでもない。

まるで突然そこに現れたかのようであった。

現に東方不敗ほどの男がそれに気がつかないはずかない。

 

「これだけの数、一体いつの間に!」

 

「ふむ、どう言う仕掛けかわからぬが。どうやら儂らはあやつに誘われたと言うことじゃな。」

 

そして、多数のコルニクスは袋の鼠である東方不敗たちに攻撃を仕掛け、その間にツィーネはその場を離れる。

「さっきの攻撃は思わず冷や汗をかいたわ。

まあ、結果的にこちらの誘いに乗ってくれたようだけれど。」

「ええい、小癪な!」

 

「だから、あんた達の相手はそいつらで我慢してね。」

 

「なっ、待て!」

 

しかし、ツィーネはハイネの制止を無視して、戦闘を中断し再びセツコの元へと飛び立つ。

しかし、ハイネはそれを許さぬかのように追いかけるが先程の戦闘で機体にダメージを負っている上にコルニクスによる妨害もあるため追い付くことができず、ツィーネとの差は開く一方であった。

 

そして、ツィーネのカオス・カペルはセツコまで後少しというところにまで迫っていた。

 

「さあ、絶望と悲しみに溺れろ!

それがお前の役目だ。」

 

「く、来る!」

 

ツィーネはセツコに向かって強力なとどめの一撃を浴びせようとした瞬間、

突然カオス・カペルのレーダーが上空にいる機体をキャッチする。

 

「上っ!?」

 

ツィーネは上を見上げるとそこには太陽を背景にこちらに近づいてくる黒い機体があった。

 

 

 

 

「究極ぅ!」

 

 

「ゲシュペンストキィィィック!」

 

 

 

 

 

突然現れた黒い影はツィーネの乗る機体へ一直線に向かって蹴りによるカオス・カペルへと攻撃を喰らわせることに成功する。

 

「くっ!?」

 

突然現れた機体の攻撃は見事ツィーネの乗るカオス・カペルの胴体に命中したためカオス・カペルを大きく吹き飛ばした。

機体は体勢を崩し地面に倒れようとした瞬間、カオス・カペルの頭上にはヴァルシオンが追い詰めるかのごとくディバイン・アームを振り上げていた。

 

「こいつっ!」

 

ツィーネは咄嗟の判断で倒れる機体を無理に起き上がらせようとせずそのまま倒れそうな状態で無理やりブースターを噴かして地面を擦れ擦れの状態で飛び、危機一髪でヴァルシオンのディバイン・アームを避けた。

 

「ちっ、これ以上は面倒だね。

ここは退くしかない!」

 

ツィーネはヴァルシオンと突然現れた機体により不利と感じ、さらには東方不敗たちを取り囲んでいたコルニクスはもうほぼやられており、ツィーネはここは退くことを選択し、すぐさま戦場を離脱する。

 

「い、一体何が?」

 

『セツコ!』

 

セツコが突然の状況で驚く中、そらから突然現れた黒い機体とは別に一機のウィンダムがセツコの機体に近づいてきた。

 

「えっ?」

 

セツコは驚きで目を見開いた。

突然現れたから驚いたのもあるが、むしろそんなことよりも目の前に現れた機体と人物に驚きを隠せなかった。

 

そこにはかつてセツコ達とともに戦った機体、ゲシュペンストと死んだはずであるトビーが乗るウィンダムが同時に現れたのだから。

 

 

「隆司・・・さん、それに・・・トビー?」

 

セツコは頭の理解が追い付かないのかゲシュペンストとウィンダムの両方に視線がいったり来たりとさせていた。

 

『よう、待たせたな。』

 

『・・・。』

 

---------------------

 

~セツコ視点~

 

私はついさっきまでもう駄目だと思い、思わず目を瞑り死を覚悟した。

 

しかし、それは一機の機体よって死は免れた。

 

目の前に現れたその機体は黒く、独特なデザインをしている機体。

見間違えるはずもない。

短い間ではあったがかつて共に戦った機体、隆司さんのゲシュペンストが目の前にいた。

 

私は夢でも見ているのだろうか。

 

そんな風に私は思わぬ展開に唖然としており、目の前にいる機体を眺めた。

 

『セツコ!』

 

私が唖然外しているなか、さらに一機の機体がこちらに接近してきた。

 

近づいてくる機体は地球連合軍の機体のウィンダムがこちらへと接近して通信でこちらへと呼び掛けていた。

 

そう、とても聞き覚えのある声で・・・。

 

「トビー?」

 

『よう、待たせたな。』

 

そこには共に同じ部隊で過ごしこの世界で共に過ごしてきた仲間であるトビーがいた。

 

これは夢なのだろうかと。

 

共に過ごしてきたのに 隆司さんがいなくなり、デンゼル大尉もいなくなり、そしてトビーも・・・。

 

『大丈夫かセツコ?』

 

私が皆がいなくなったときのことを思い出してしまい暗い気分になっていたときトビーは明るい声で語りかけてくれた。

 

「本当にトビーなの?」

 

『おいおい、冗談がキツいぜセツコ。

俺は紛れもなくお前の知っているトビーだぞ。』

 

冗談っぽく明るい口調で喋るそれは紛れもないトビーの喋りかただった。

 

 

 

『久しぶりですね()()()()。』

 

トビーも隆司さんと久しぶりに会ったのだろうか隆司さんに言葉を交わす。

 

『・・・・。』

 

『隆司さん?』

 

『ああ、いや、なんでもないよ。

ちょっと気になったことがあって。

まるで始めてあったような気がするから。』

 

『そうですか・・・。』

 

しかし、トビーはそれからは言葉を発することはなかった。

 

そのかわりにトビーの乗るウィンダムは隆司さんの乗るゲシュペンストに向かってビームサーベルを抜いて振り下ろした。

 

『くっ!』

 

ギリギリの所でゲシュペンストはビームサーベルを避けて攻撃をかわしてウィンダムから距離をとる。

 

「待ってトビー!

その機体に隆司さんが乗っているのよ!」

 

『セツコ騙されるな!

こいつは隆司さんの皮を被った偽物だ!』

 

『くそっ、そっちがその気ならこっちだって。』

 

距離を取ったゲシュペンストは武器をとり、ウィンダムに向かって今度はゲシュペンストが攻撃を仕掛ける。

 

トビーは攻撃を避け、反撃を仕掛け、また隆司も同じようにトビーの攻撃を避けて反撃をし、次第に二人の戦いは苛烈になってゆく。

 

セツコは戦う二人を止めようとするが二人は武器を収めることはなく、激しい戦いを繰り広げており止められる隙がなかった。

 

「トビー!、隆司さん!

お願いです、二人ともやめてください!」

 

私は二人が戦う姿を泣き叫びながら止めるように呼び掛ける。

 

『隆司さんの真似をして何が目的だ!』

 

『目的もなにもお前の正体は分かっているんだ!アサキム・ドーウィン』

 

『俺がアサキムだって?

バカ言うんじゃねえ。

そういうお前がアサキムじゃないのか!

俺たちを騙そうたってそうはいかねぇぜ!』

 

『無駄口を・・・!』

 

二人の機体は激しい動きを繰り出して、一進一退の攻防を繰り返していた。

 

「どうして・・・。」

 

そんな二人の戦いを眺めている私はどっちを止めればいいのかわからず、咄嗟になにも考えもなしに二人の間に入ろうとするがそれを制して止めるものがいた。

 

「待たぬかセツコよ!」

 

「先生!二人を、二人を止めないと!」

 

「お主がいったところでどうにもならぬ。

ここは儂に任せるがよい!」

 

そういって先生はガンダムを操り二人のもとへと駆け抜ける。

 

『あの機体は!?

ちっ、どうやらここまでだな。』

 

『まて!』

 

しかし、先生の事にいち早く気がついたトビーはいち早く戦闘を中断してこの空域から離脱をし始め、その後を隆司さんもトビーを追って同じように空域から離脱し、もう二人の姿は小さくなっていた。

 

『トビー・・・。隆司さん・・・。』

 

私は小さく二人の名を呟きながら、止まらない涙を流し続けた。

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

 

「これでいい・・・のかな?」

 

俺は戦闘を終わらせたあとも目の前にいるセツコたちを眺めながらデビルガンダムのコックピットの中で安堵しつつも、ほんの少しだけため息を吐き出した。

 

先程までトビーに化けているアサキムと戦っていたゲシュペンストには本当は俺は乗っておらず、デビルガンダムの中で遠隔操作して喋っていたのだ。

 

最初は普通に出ようかと思ったが今すぐデビルガンダムから出たら不味いと考えてデビルガンダムに出来るか聞いてみたらデビルガンダムがやってくれました。

 

俺はジョーカーと橘隆司の2つの顔を持っているので一人二役をするならこれが一番なのだ。

いやまあ、本来ならキョウジがクローンみたいなのつくるけど、なんだか嫌な予感しかしないのでやらない。

 

しかし、結果的にセツコを泣かせてしまうことになってしまった。

 

トビー中尉の正体がアサキムだということがわかればセツコは泣くことはなかっただろう。

 

しかし、アサキムは自分の正体を否定してトビー中尉ということを頑として認めようとしなかった。

 

そのため、勝負に出たこの賭けはアサキムの方が上手だった。

 

これで恐らく、俺はセツコに嫌われたかもしれないな。

なにせ、相手がアサキムだって言ってもたぶん信じてくれないだろうし・・・。

 

あそこでゲシュペンストから降りてセツコの前に出れば信じてくれたのだろうが、遠隔操作のためデビルガンダム降りたらバレるだろうし、それはそれで問題が発生する。

 

その為デビルガンダムに乗ったままゲシュペンストを操作している。

これもDG細胞だからこそできる技術なのだ。

 

ちなみにヴァルシオンたちはすでに役目を終わらせてくれたのでこの場から離れて待機してもらっている。

 

帰ったらデビルガンダムの損傷を確認しないと。

こればかりは他の人には見せるわけにはいかないからね。

 

----------------------

 

~ミネルバ 艦長室~

 

今回の戦闘の報告を聞く為、数人がミネルバの艦長室に集まっていた。

 

ジョーカーも呼ぼうとしていたがデビルガンダムの損傷もあるためこの部屋にはいない。

 

「今回の戦闘で燃料や弾薬などもほとんど残りは少ないですが、幸いにもジョーカーと東方不敗がアークエンジェルと突然現れた勢力の足止めをしてくれたおかげで消費は抑えられましたが・・・。」

 

「このままの状態ではジブラルタル基地までは持たないと・・・。」

 

「はい。」

 

ミネルバの副長アーサーからの報告を聞き艦長のタリアは机の上に肩肘を立て、額に軽く手を当てて小さいため息をついた。

 

「事態はかなり深刻ね。」

 

「しかもこの付近に補給を受けられる場所はなく、中立の場所へ行っても待ち伏せされている可能性がある。」

 

モニターに出されたマップを眺めながらブライトはこのような現状でも物怖じもせずいつもどおり落ち着いた口の利き方呟いた。

だが、ほとんど手詰まりな状態のなか突破口がないかと模索している中、ある人物が進言してきた。

 

「自分に提案があります。」

 

進言してきた人物はZEUTHに協力している青年レーベン・ゲネラールだった。

 

「ここから少し行った所に我々のカイメラ隊の基地があります。

そこで補給を受けてみてはいかがでしょう?」

 

「君たちの基地か?」

 

「はい、そこにいけば我々の部隊の創設者エーデル・ベルナル准将がいます。

あの方なら皆さんをかくまってもらえます。」

 

「エーデル・ベルナル准将・・・。

たしか、新地球連邦軍の権力者の一人だったか?」

 

「はい、その方で間違いありません。」

 

「確かに、ほかに選択肢がないのは事実。

共に戦ってくれたレーベン大尉の提案を私は受け入れようと思いますが他の方々は?」

 

タリアは周りにいる人に目を向けるが誰も反対の意見がなく全員一致で決定し、タリアを含めその提案を承諾するのであった。

 

こうして艦の進路はカイメラの基地へと向かうことをジョーカーは後に知るのだがそれは時すでに遅しであった。

 

 

未来を変えようと奮起するジョーカー、

しかし、同時にこの世界の運命もまたジョーカーによって変えられた未来を修正しつつあった。




お久しぶりです。

相変わらず執筆に時間がかかってしまう作者です(泣)

今回の話はツィーネ無双になっていますがスパロボ基準で考えたら恒例かもしれないですね(笑)
別の勢力も絡ませようかなと思いましたがゲームを再プレイしてみてツィーネが強かったのでじゃあこれでいいかと思いました。

ちなみにヴァルシオンの出番が少ないと思いますが今後も活躍してもらう予定です。


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第32.5話 幕間 連邦の裏側

早く投稿できたのが久々な気がします。←(おい(笑))
このモチベを保ちたい!



~新地球連邦軍 会議室~

 

薄暗い部屋の中、幾つか人影の姿がいくつもあり、それらは大きな円卓のテーブルを中心にして座っていた。

 

そしてその円卓の中心には立派な髭を生やしており、体型は小太りな男性が一人立っていた。

 

「では、カイリル少将。

先の戦闘での行動は一体どう言うことかね。」

 

座っている人物の内一人が中心に立っている軍人の男性に問う。

 

「はて、何のことを申し上げてるのでしょうか?」

 

「とぼけるな。あのザフトと手を組んでいるZEUTHを取り囲んで一網打尽の包囲網を敷く為にオーブ軍のあの小僧にうまいこと言ってようやく協力を漕ぎ着けたのにもかかわらず、君が独断で部隊を撤退させたそうじゃないか。」

 

先の戦い・・・ZEUTHが連邦、オーブにさらには別の勢力に囲まれて危機が迫っているなか連邦は突然の命令により 撤退せざるを得ない状況へとなった。

 

そしてその状況を作り出したのはその現在問いただされている人物、カイリル・アーバン少将であった。

 

以前配属されていたガルナハンがZEUTHによる強襲を受け、さらには山ごと基地が削り取られており、最新鋭の兵器であったゲルズゲーの全滅、ローエングリーンの破壊と、ほとんど壊滅状態に陥っていた。

そんな戦闘の中、生き残ったほとんどは後衛で待機していた兵士。

いわば戦闘に参加していない負傷者たちなどばかりであった。

しかし、中にはザフトの捕虜として捕らえられたものもいるため、捕虜にもならずそして生き残って基地へと戻ったのはほんの数人だった。

 

その為、戦闘に参加していた兵士の生存は絶望的かと思われた。

 

だが、そんなときカイリル准将はガルナハンから奇跡の生還を果たし、一部では『奇跡の生還者』と呼ばれるようになり、さらにZEUTHに関する情報を以て帰ってきたためカイリル准将の功績を認められ、昇進を果たした。

そして今回の作戦ではカイリル少将が参加しており士気の向上は言わずもがなである。

しかし、そんな中で先の戦闘での独断の命令により上層部は当然無視のできない行為だった為現在は査問会が開かれており、その責任としてカイリル少将は問われていた。

 

「さて、カイリル少将。

いい加減、説明してはもらえないだろうか。」

 

しびれを切らした一人がイラつきながらもカイリル少将に問う。

 

「あまり公にお話はできないのですが情報部からの情報により判明したことがあるため緊急の措置をとらせてもらいました。」

 

「情報部からだと?」

 

「そのような緊急性のたる情報は我々の耳には覚えがないが。」

 

「軍内部の混乱を防ぐために情報規制を敷いていた為恐らく伝わらなかったのでしょう。」

 

「ふん、まあいい。

ただでさえ時空振動によりあちこちで被害が出ているなか、無用な混乱は確かに必要がない。

して、そんなことよりもその情報とは?」

 

「はい。

・・・ZEUTHが核に匹敵する兵器を所有してあるとの情報がありました。」

 

ザワザワ・・・。

 

カイリル少将の言葉を聞き、室内がざわめき始める。

 

「バカな!?

核に匹敵する兵器だと!?」

 

「はい、しかしこれらの情報の真偽が不明なため余計な被害を出さぬために撤退の指示を出しました。」

 

「むう、確かに・・・。

だがその話が本当だとすれば撤退せず包囲網で取り囲んでその兵器を入手すればいいのではないか?」

 

「もちろん、その案も考えました。

しかし、どれほどの脅威か分からない以上無闇に兵士を無くすのは得策ではありません。

もし無理にでも戦闘していれば多大な損失をしていたかもしれません。

ですが、幸いにもあそこには協力してくれた軍がいましたので我々が無理しなくても問題はありません。」

 

「なるほどそれでオーブ軍か!」

 

「はい、

オーブ軍がいたのでそれを利用して我々の損害を代わりに被ってもらおうかと。幸いにもあのオーブの五大氏族の一つである宰相の息子ユウナ・ロマ・セイランが我々のことは気にせず軍を前に進めてくれましたので。

そのため今回は我々の出番はありませんですが、お陰で今回の戦闘の結果を得られましたので次回は我々が優位にたつことが可能です。」

 

「「「おおおっ!!」」」

カイリルの査問会にもあったのにもかかわらずカイリルの今回の目的を知った上層部はカイリルの意見に思わず驚きの声を漏らす。

 

「ではその兵器の入手は可能なのだな?」

 

「はい、ですが相手はあのZEUTH。

しっかりとした作戦でないと厳しい相手でしょう。」

 

カイリルの話が終わると円卓に座る人物たちは隣にいる人物たちと小さな声でヒソヒソと密かに喋っており何か話し合っていた。

 

「カイリル少将。今回の君の働きは評価に値する。

だが無断の命令について本来は処罰を与えねばならぬ。そのため次の作戦にてその兵器を入手してみせよ。」

 

「はっ!寛大な処置ありがとうございます。

次の作戦では精一杯勤めさせていただきます。」

 

そして査問会議は終了したため座っていたものたちは次々と立ち上がりそれぞれ会議室から出ていった。

 

「さて、自分も戻るとしようかの。」

 

カイリルも会議室から出ていく人たちの後を追いカイリルも会議室から出るのであった。

 

 

----------------------

 

 

会議室から出て上層部たちとは別方向に進み、自分のやるべきことを済ますためカイリルは通路を歩き移動していた。

 

『・・・リル・アーバンよ。』

 

歩いている途中誰かが自分の名を呼んでいる気がしたが、周りには誰もおらず通路には自分一人しかいなかった。

 

『カイリル・アーバンよ、聞こえますか?』

 

再び声が聞こえるがその声の発生源は自分の頭の中から聞こえてくるものだとわかった。

そして頭の中から聞こえてくる声の持ち主が誰かは即座にわかった。

 

「こ、これはデビルガンダム様。この老骨にお声をかけていただけるとは。」

 

カイリルの頭の中からデビルガンダムの声が聞こえ、笑みを浮かべながら自分の主たるデビルガンダムに敬意を

現しつつ返事をする。

 

『カイリル・アーバン、そちらの方は順調ですか。』

 

「はっ、デビルガンダム様より授かったDG細胞を使って現在上層部の一部はすでに掌握ずみです。

ですが、周りに気がつかれぬように慎重に行動しているためいまだ半分もいっておらず申し訳ありません。」

 

『かまいません。我々の存在を世に大きく広めるのはいまはまだ早いです。

とうぜんながら今回の報告で我々の存在は明かしていませんね?』

 

デビルガンダムは今回の報告の内容について問いかけてくる。

喋り方は別段代わりはないが、その問いはかけの部分を聞いた瞬間思わず体がブルッと震えた。

先程の査問会議みたいな問いかけにもかかわらず頭の中に語りかけられて冷や汗が止まらず、さらには震えが止まらなかった。

今にも自分の命が終わるような圧力がカイリルの体に重くのし掛かる。

 

「もっ、もちろんです。

いっ、以前に仰られていたようにZEUTHには核に匹敵するものがあると伝えました。」

 

『手筈通りですね。』

 

「で、ですがよろしかったのですか?

デビルガンダム様のことを言っていないとはいえ、デビルガンダム様に危害が及ぶ可能性が・・・。」

 

『核に匹敵する兵器を連邦の上層部はそれを広めると思いますか?』

 

「・・・いえ、むしろ我先にと手に入れるために周りに気がつかれぬように少数で行動するかと。」

 

『まさにそのとおりです。

ですのでそこまでの心配はせずとも無用です。』

 

「かしこまりました!

では現状維持のまま上層部の掌握を進めます。」

 

『まかせます。

それと我々にとって支配は目的ではなく、手順の一つです。

我々の本来の目的はマスターの望む未来を我々が操作して導く為です。

その為には大規模な組織、いわば新地球連邦軍を裏から操作することが最も素早い方法です。』

 

「重々承知しております。

その重大な役目をこの自分に与えられたからにはデビルガンダム様、そして我らが主のために!

この新地球連邦軍のことはカイリルにお任せください。

いづれはこの新地球連邦軍そのものがデビルガンダム様の思いのままとなりましょう!」

 

『期待しておきましょう。』

 

『ははぁ!』

 

デビルガンダムとの会話を終わらせたあと、カイリルの頭の中からデビルガンダムの声が聞こえなくなり緊張の糸が切れ、ほっと息をつく。

 

そして、カイリルはにやりと口元を笑わせて他の人が見たらゾッとするような表情をしていた。

 

「ふ、ふひひひひ!」

(デビルガンダム様から貰ったこの力。

これさえあれば地位も名誉も金も女もすべて自分のものに、もっと自分が役立つことを証明すればいづれはデビルガンダム様の幹部、いや右腕にしてもらえる。

これが笑わずにいられるか。)

 

「さて、そうと決まれば早速行動せねば。」

 

見た目に似合わず真面目な姿勢の足取りで歩を進めつつ、頭のなかでは欲望まみれな思考のカイリルであった。

 

当然、ご存じの通りながら彼の行動や考えはデビルガンダムに筒抜けであり、さらにはデビルガンダムに洗脳されているためこの状況がおかしいことなどカイリルはまったく気が付くことはなかった。

 

 

 

 

新地球連邦に忍び込んだ魔の手。

その支配は着々と侵食していた。

 




あいかわらずですがデビルガンダムが裏から暗躍して着々と足場を固めていることを知らない主人公です(笑)。


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第33話 帰りたいけど帰れない

GガンダムがスパロボTで参戦決定!

待った甲斐があった( ;∀;)
デビルガンダムの登場が気になります。


俺、橘隆司こと変装状態であるジョーカーである俺は心の中でだが、頭を抱えていた。

 

なぜなら、

 

「タリア・グラディス以下6名入室させていただきます。」

 

「ZEUTHの皆様初めまして。

新地球連邦軍総司令部所属エーデル・ベルナル准将です。」

 

なぜかタリア艦長を含む代表たちに含まれてる俺の前にはこの世界の中ボスが目の前にいます。

 

正直帰りたい。

 

「ではそちらのかたが・・・。」

 

「はい、彼が先の戦闘で活躍されていた者です。」

 

だが、味方のタリア艦長に逃げ道を塞がれた。

どうやら俺を帰らせてくれないらしい。

 

どうしてこうなったかというと、

さかのぼること、数時間前。

 

 

---------------------

 

~ミネルバ艦内~

 

俺はミネルバの艦内の窓から近づきつつある基地を眺めていた。

 

タンパグンダ基地。

 

ここは新地球連邦軍のエーデル・ベルナル准将がいる基地である。

一見普通にどこにでもある基地だが、ここにいるのは、この『Z』の世界で実権を握りつつある黒幕のような存在である人物たちがいる場所である。

 

そう、この世界で一番めんどくさいやつらが集まる場所なのである。

知っていたなら阻止していたのだが、あいにく先の戦闘により損傷したデビルガンダムに付きっきりだった為、俺の知らないうちにこの基地に向かうことが決定してしまい、俺がそれを知ったのはついさっきである。

 

なんとかできないものかと考えるが、あいにく凡人である俺の頭脳では解決策など思い付くはずもなく時間だけが過ぎていく。

 

当然ながら阻止するには何か理由を付けないといけないのだが皆をごまかせるその理由が思い付かないのだ。

幾つかごまかす選択肢を考えてみたのだが、

 

1.何か嫌な予感がする・・・むしろ彼らが突撃してしまう。

2.お腹がいたいので・・・学校か!

3.黒幕がいる・・・直球過ぎる。

 

ダメだやっぱり思いつかない。

 

しかし、そうこうしているうちにミネルバ含む艦はタンパグンダ基地へと到着し、艦は動きを止めて基地に着陸したことを知らせる。

 

当然ながら俺に残された選択肢は現状を受け入れることしかできないと言うことだった。

 

事によって、いざと言うときはデビルガンダムを使い力で解決するしかないだろう。

 

だがそれはあくまで最終手段。

 

使いどころを間違えればたちまち犯罪者として世界中から狙われるだろう。

そうなればデビルガンダムが原作と同じく破滅へと直行してしまうのは目に見えてる。

しかし、幸いなことに俺はZEUTHの主要メンバーではないのでエーデルとの会談には参加することはない。 なのでこのまま待機するとしますか。

 

「ああ、ここにいましたかジョーカーさん。」

 

のんびりしようとしていたとき声をかけられ振り替えるとそこには黒服を着た男性ミネルバの副官アーサーがいた。

 

「ん?これはアーサー副艦長。どうかしましたか?」

 

「はい、実は艦長からあなたを探すようにと言われましたので。」

 

「グラディス艦長が自分を?

何かありましたか?」

 

「申し訳ないが、私は細かい理由までは聞いてはいないもので。」

 

「んー。何かあったんでしょうか?

まあ、とりあえず艦長のところにいきます。」

 

俺は何故か嫌な予感しつつもタリア艦長のいる艦長室へと向かうのであった。

 

 

---------------------

 

~ミネルバ 艦長室~

 

「失礼します。グラディス艦長お呼びでしょうか?」

 

「態々ご足労ありがとうございます。そちらに座ってください。」

 

艦長室に入るとブライトさんたち艦長のメンバーが集まっていた。

そんな中俺はタリア艦長に席に座るよう勧められて俺は言われたとおりに椅子へと座り込む。

 

「さてさっそくですが本題を言わせていただきます。今回、この基地で行われる会談に貴方にもご参加していただきたく思いましてお呼びしました。」

 

(ふぁ!?)

 

さきほどまで呼ばれることはないだろうと思っていた俺を殴りたい。

これはさすがに想定しておらず、思わず変な声を出しそうになったがなんとか押し止める。

 

「なぜ自分も参加する必要が?

今回の会談では自分は不要かと思いますが。」

 

「確かに本来なら責任者である我々でするべき事であることは理解してます。

理由は不明ですが、今回会談で応じることとなるエーデル・ベルナル准将から貴方にも参加してほしいとのことですので。」

 

くそっ、先手を打たれたか。

 

グラディス艦長から伝えられた言葉に最初は理解が追い付かなかったが、その言葉の意味を理解して思わず悪態をつく。

幸いなことに仮面をつけているから表情に出てても気がつかれることはないだろう。

 

しかし、こんなにも速く行動を移すとは。

やはり、レーベンがデビルガンダムのことを話したからか?

 

だが、エーデルはなぜわざわざ俺を指名してきた?

 

会談で聞かれるとするとデビルガンダムのことなのだろうが、他にもガンダムなどオーバーテクノロジーを持った機体は幾つかある。

それなのなぜ俺を?

 

(もしや、DG細胞の事が漏れたのか?

秘密にしていたはずだが漏れた可能性は否定できない。

わざわざ会談に参加させるのには会談の話し合いで手に入れる算段か?

あるいはなにか別の思惑が?)

 

いくら俺は頭の中で考えても相手の考えなどわかるはずもなくただ予想することだけが俺の限界だった。

 

(ここはひとまず相手の目的を探るためあえていくしかないか。)

 

「わかりました。自分も参加させてもらいます。」

 

俺は意を決してエーデルとの会談に参加することにした。

 

---------------------

 

~タンパグンダ基地~

 

場所は代わりタンパグンダ基地内へとレーベンを先頭にグラディス艦長含む人たちの中に俺は付いてきていた。

 

そしてレーベンは通路の奥にある扉の前に到着すると、扉をノックする。

 

「どうぞ。」

 

扉の向こうから優しさのある声が聞こえ、レーベンはその声の指示にしたがって扉を開ける。

 

「失礼しますエーデル准将。

ZEUTHの皆様をお連れしました。」

 

「ご苦労、レーベン大尉。

あなたは下がっていなさい。」

 

「はい・・・。

では失礼します。」

 

レーベンが下がるのと入れ替わるようにグラディス艦長が中へは入り敬礼をしながら挨拶をする。

 

「タリア・グラディス以下6名入室させていただきます。」

 

「ZEUTHの皆様初めまして。

新地旧連邦軍総司令部所属エーデル・ベルナル准将です。遠路はるばるご苦労様です。」

 

「この度は我々の支援をしてくださりありがとうございます。」

 

「私は当然のことをしたまでです。

皆さんが無事到着されたのを嬉しく思います。

そして後ろにいる方々もZEUTHのチームの皆様ですね。」

 

「こちらにいます方々は我々ZEUTHの代表としてきた方々です。」

 

「ではそちらの仮面を着けた方が・・・。」

 

「はい、彼が先の戦闘で活躍されていた者です。」

 

という感じでいまに至るのであった。

 

「あなたの活躍はレーベン大尉からお伺いしております。」

 

「自分のことを知っていただいているとは恐縮です。」

 

俺は相手の気分を害さないようにとりあえず頭を下げておく。

 

「では立ち話もなんですので、どうぞお座りください。」

 

「では失礼させていただきます。」

 

各々は用意されている椅子へと座り、俺も同様に空いてる席へと着席する。

 

「さて、さっそくで申し訳ないが、質問をよろしいのですかな?」

 

席に座ってからか兵左衛門さんがエーデルに質問を投げる。

 

「ええ、どうぞ。」

 

「我々ZEUTHは独立遊撃部隊と名乗っていますがザフトの人間も所属しております。

本来なら敵である我々をかくまっていると知られればただでは済まないでしょう。」

 

「お心遣いをありがとうございます。

ですが心配は要りません。

このタンパグンダ基地は私直下の特殊部隊・・・カイメラ専用施設といってもいいものですから、

ここであなた方とお会いしていることは外部には決して漏れません。」

 

「しかし、准将・・・・。

それでも危険であることは事実です。

それを冒してまで我々に接触する意図をお聞かせ願いたいのですが・・・。」

 

「皆様はご存知のとおりこの世界では様々な国家や立場の人間達が望まぬ形で同居することとなった世界、

それらは一つの組織となり、結束しています。

ですが、いまの新地球連邦は一部の人間の独善による私的な集団と成り下がっています。」

 

「ティターンズやブルーコスモスですね。」

 

ティターンズとブルーコスモス。

旧連邦、そして旧連合の内部に存在する組織で、大きな勢力を持って独自行動をとる組織である。

そして同時に戦争の裏で暗躍することも有名な組織でもある。

 

「私はこの状況を内部から正そうと思います。

そしてそんな中で活動しているあなた方が私の同士となってくれるかどうかをこの目で確かめたかったからここへお呼びしました。」

 

グラディス艦長は信用しきっていないのか少し考えるが、エーデルの人柄とそして思いに応じてなのか協力することを決める。

 

「・・・わかりました。

では、なにか我々にお手伝いができることがあれば手をお貸しましょう。」

 

「ありがとうございます。

さて、ここにお呼びしたのは皆様にお願いがあるというのはすでにご想像されていると思われます。

ですのでさっそくですがひとつあなた方に調査してほしいところがあります。」

 

「調査してほしいところですか?」

 

「実は、ここから少し離れたところにですが連邦軍の古い施設がありまして、そこの調査をお願いしたいのです。」

 

「施設ですか?」

 

「ええ、どうやらあそこは連邦の極秘施設ようでして、非人道的な施設との情報があり、それを確認してきて欲しいのです。」

 

非人道的な施設となると、強化人間の研究所か。

 

「エーデル准将では直接の確認はできなかったのですか?」

 

「私も極秘のルートで入手した情報ですので、私でも確認することができず、無理やりにでも確認しても決定的な証拠がなければ私の地位が危ぶまれます。」

 

「それは・・・我々に捨て駒になれといいますか?」

 

「仰ることはわかります。

私も本来なら客人であるあなた方にこのようなことをお願いするような立場ではないことはわかっております。

ですがこれで決定的な証拠を見つければ新地球連邦軍の大部分を改革することができます。」

 

「・・・。」

 

エーデルは真剣な眼差しでグラディス艦長を見詰め、訴えかけている。

 

当然ながら俺は拒否したいと声に出して言いたいが、何分エーデルが敵である証拠がない。

 

彼女が裏切るのはほぼ分かりきっている。

しかし、それを俺が言ったところで信じてはくれないだろう。

 

さらには当の本人は今回の騒動の立役者ジ・エーデル・ベルナルのことなど知らないからなお、敵であるとは言いづらい。

 

まったく知っているとはいえ精神的に疲れるな。

 

そんな考えの中タリア艦長はエーデルの頼み事をどうするのかを決めたのか、小さく息を吐きエーデルの目を見据える。

 

「わかりました。

その調査我々がお引き受けしましょう。」

 

そして俺の願いは無情にも叶えられず、

グラディス艦長はエーデルの頼みを了承するのであった。

 

「ありがとうございます。

我々も可能な限り皆様のバックアップは勤めさせていただきます。」

 

「エーデル准将、お伺いしたいことが。」

 

会談が無事終わりそうなところでブライト艦長がエーデルに対して質問をする。

 

「今回の会談で彼・・・ジョーカーを呼んだわけをお伺いしたいのですが。」

 

(ナイス、ブライト艦長!)

 

そう、俺が一番知りたいこと。

それはなぜ俺が呼ばれたかだ。

 

「それについてはちょうどご説明しようと思いました。

ジョーカーさんをお呼びしたのは今回の調査にあなたのお力が必要であるからです。」

 

「自分の?」

 

「ええ、レーベン大尉からお聞きになりましたが、あなたは生物学、または植物学に大変詳しいとお伺いしております。」

 

以前にタリア艦長たちに言ったことがレーベンからもう伝わっているのか。

 

「おや、すでにご存じとは驚きですね?」

 

「余計な詮索だと思い不快に思ったのなら申し訳ありません。」

 

エーデルは俺が詮索されているのが不快になっていると思ったのかエーデルは軽く頭を下げる。

 

「いいえ、別に気にしてはいません。

ですがなぜそんなことをお聞きに?」

 

「今回の調査で非人道的な実験をしているのは先ほどご説明しましたがその実験について貴方にも確認して頂きたいからです。」

 

「待ってください。確かに彼も科学者の一人ですが、彼以外に他にも科学者がいます。なのになぜ?」

 

確かにブライト艦長の言うとおり、以前に彼らとの自己紹介で科学者と自己紹介をした。

いや、そもそも俺は科学者じゃないから間違っているけど、俺よりも人体に詳しい科学者はいる。

 

「ごもっともな意見ですね。

確かに彼以外にも科学者はいることは存じています。

ですが、場所は極秘の施設。

さらにはどんな罠が仕掛けられているかわからないなか、非戦闘員である科学者の方を危険に巻き込むわけにはいきません。」

 

「では、戦闘経験がありモビルスーツを動かせ、さらには科学知識のある彼を行かせると?」

 

「そのとおりです。」

 

むむむ、たしかに正論ではあるが。

だがわからない。

エーデルがただそんなことで俺を行かせる理由が何かある。

デビルガンダムが目的なのか、それとも別のなにかなのか?

 

ん?

まてよ戦闘・・・?

 

 

・・・なるほどようやく合点がいった。

 

俺の想像が正しければエーデルの目的は戦力が未知数であるデビルガンダムの戦力の把握。

 

デビルガンダムの能力を知らないこの世界の人にとってはデビルガンダムの力は未知数以上。

 

だが明確に敵対するより頼み事をしつつ、俺達が施設の調査をしているところをエーデルとは関係無さそうな連邦が襲ってくる。

襲ってくる連邦のことをエーデルは知らぬ存ぜぬで通せば裏切ったことにはならない。

それにエーデルからすれば連邦を動かすことなど簡単だろう。

 

そう、結局のところはデビルガンダムが目的なのだ。

 

危うく騙されるところだった。

やっぱり原作知識は持っててよかった。

そうと知ればこれは断らなければいけない。

 

「で「なるほど、では彼を送り出すことはなにも問題はないということですかね。」

 

ブライトォォォォオオオオ!?

まさかの退路を粉砕しやがった。

 

「ええ、ジョーカーさんにならきっとやり遂げて貰えると思いました。」

 

くっ、エーデルめ。

ブライトの言葉に合わせるかのように喋りやがって。

 

「・・・わかりました。」

 

そして俺は逃げ道がなくなりやむを得ず了承せざるを得なかった。

 

これが終わったら部屋で寝転がろう。

別に不貞腐れているわけじゃないからな。

 

---------------------

 

~ZEUTH視点~

 

エーデルとの会談が終わり、その後ジョーカーとは別れたZEUTH一行。

 

「ブライト艦長少し伺いたいことが。」

 

そんな中で、タリア艦長はブライト艦長を呼び止め彼に疑問を投げ掛ける。

 

「どう思いましたか?」

 

「どう・・・とは?」

 

「ご冗談を、すでにお気づきではないのでは?」

 

「・・・。」

 

「彼・・・ジョーカーとエーデル准将との関係はいかがでしたか?」

 

「やはりあなたも気になっていましたか。」

 

「ええ。」

 

「やはり、彼は連邦と繋がっていると?」

 

「連邦・・・というよりエーデル准将と繋がっているのが正しいかと。」

 

「先の連絡でわざわざ彼を指名してから何か胸騒ぎをして思わず彼女に聞きましたが、残念ながらこれといった確証はありません。

ですが、懸念事項として留めていた方が身のためでしょう。」

 

「ええ、そうしましょう。」

 

 

部屋で過ごしているジョーカー。

そんな中、彼に対する不信感は積もるばかりであった。



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第34話 因果

スパロボTたぁのしぃいい!
久々のGガンダムだぜぇ!

けどデビルガンダム出番少ねぇぇええ!?

あと個人的にレイアースも出てくれたのが嬉しいw( ≧∀≦)ノ
(他のも語ると長くなりそうなのでカット)


~研究施設内~

 

俺達ZEUTH一行はエーデルの指定されたポイントに向かい、人が寄り付かないであろう森の奥深くにその施設はあった。

 

今回は俺を含めてシン、レイと共に行動していた。

シンとレイは護衛で付いてきてもらっている。

 

今回の調査にはこの2人にははずせない理由があるしな。

 

本当は風見博士とかも連れてこれたらいいんだが、エーデルに俺で大丈夫と言われたせいで、俺以外は連れては行けなくなってしまった。ちくしょうめ。

 

あと東方不敗はいつも通りセツコと一緒にいてもらいアサキムとの戦闘に備えて待機してもらっている。

 

「しかし、こんな森の奥になんで施設があるんだ。」

 

「連邦が公には出来ない研究をしていたんだろう。」

 

そんな会話しているうちにとても頑丈そうに出来ており扉の前に着いたが、開く気配がなかった。

 

「この部屋の扉だけやけに頑丈そうだな。この奥に何かあるのか?」

 

「電源がまだ通っているな。けれどセキュリティでロックされている。」

 

「シン、レイ、少し離れててくれるかい?」

 

「一体何をするんだジョーカー?」

 

「開かないなら強引に開けるのが一番だろ?」

 

俺はレイとシンを少しだけ離して、扉のセキュリティロックのしたのパネルを外し、ケーブルをもって弄くっていると見せかけて俺の持つ力のDG細胞を使ってセキュリティにアクセスする。

 

使い方を少しずつ学んだ結果、簡単なものであれば俺でもハッキングできるのが分かった。

とは言ってもハッキングを実践するのは今回が初めてなので内心不安がある。

 

そしてセキュリティロックのイメージがDG細胞を伝って頭の中に流れ込み、パズルを解いていくかのようにセキュリティへと入り込む。

 

「これだ!」

 

手応えがあり、セキュリティを掻い潜り目的のところへとたどり感覚を掴むと扉が開き中にはいれる状態となった。

 

「よし、あいたぞ。」

 

「すげぇ、ジョーカーあんたこんなことも出来るんだな。」

 

「まあ、あまり自慢できることじゃないけどな。」

 

「とりあえず今回はジョーカーのおかげで難なく入れたんだ。

シン、俺達が先行して中に入るぞ。武器は用意しておけ。」

 

「ああ、分かった。」

 

二人は武器を構えて解錠した扉を開けて中の部屋へとゆっくり入っていき俺は2人から安全が確認されるまで外で待機する。

 

「な、なんだよこれは・・・!?」

 

「どうした・・・!?」

 

しかし、中に入った二人の様子がおかしいのに気がつき二人の後を追うとそこにはそこら辺に倒れ伏している死体、そして液体の入ったカプセルに放置されている死体が部屋一杯にあった。

 

「あ・・・、ああ!?」

 

「お、おいレイ!?

どうしたんだいったい!?」

 

(・・・!)

 

彼の記憶のフラッシュバックによるものなのかレイはひどく怯えた状態に陥っている状態だった。

 

「レイ!おい、しっかりしろ!」

 

「はあ、はあ!」

 

とりあえずレイを落ち着かせるために肩を掴んで呼び掛け、何とか落ち着きを取り戻しているがこのままここにいるとまた再発させかねない。

 

「二人ともここから一旦出よう。」

 

「ジョーカー、ここは一体・・・!?」

 

レイほどではないがシンもこの光景に驚きを隠せずにいた。

 

「おそらく薬物などを使って人体実験をして兵器化するのを目的とした強化人間の研究所だろう。」

 

「人体実験だって!?」

 

「ああ、

さあ、そんなことよりもレイを連れていこう。

ここにいてはまた錯乱するかもしれない。」

 

「あ、ああ。」

 

シンはいまだこの部屋の衝撃が大きすぎたのか、生返事で帰って来た。

 

やはり彼らには辛いものだったかな。

 

でも、仕方がない。

シンとレイにはこれを見せないと。

彼女の・・・、ステラのためにも知っておかないといけない場所なのだから。

 

俺は内心シン達に謝罪しながらその部屋を後にした。

 

 

---------------------

 

 

あれから少しばかり時間がたち、シンとレイは護衛を続行が無理なため代わりにジュリィとハイネに付いてきてもらいさらにはここの惨状を確認する為に風見博士や艦長たちにも来て貰った。

 

「これは・・・酷いな。」

 

護衛をしてくれているハイネはシン達より落ち着いているがやはりこの光景に驚きを隠せていなかった。

それもそのはず中の状態はひどくそこら中に死体が転がっており中には子供の死体も転がっていた。

 

だが驚くべき所は転がっている子供の死体の大半が武器を握りしめていることだ。

 

「一体ここで何があったんだ。」

 

「おそらく反乱だろう。」

 

「反乱?」

 

ジュリィの疑問に答えた俺はパソコンに残っている日誌を見ていたがそこにはこの施設の記録が残されていた。

 

まず、この施設は強化人間の研究所なのは間違いない。

だがある日、この施設は時空振動により別の世界へと飛ばされてしまい孤立無援の状態へと陥ってしまったようだ。

そして数日たったある日、ここの子供たちが反乱を起こし兵に銃を向けた。

 

とここまでは記録で残ってはいた。

 

だがいつこの施設が戻ってきたのかはわからないがエーデルはこの施設の情報を何処からか手に入れ、さらにはタイミングよく現れた俺達にそれを押し付けてきたというとことか。

 

「時空振動で別の場所へか。支援も期待できない不安な状況で子供達も耐え切れなかったのか。」

 

俺の発見した日誌を護衛できてくれたハイネに見せるがこの研究所の惨劇を目の当たりにしたせいかやるせない気持ちなのか悲しい顔をしていた。

 

そして日誌をもとの場所に戻して、さらに探索を続けるため奥へと進む。

 

そしてベットの置かれた部屋のようなところにはいると既に息の引き取った子供が倒れており、血は流れていなかったため恐らく衰弱死だろう。

そしてその子の手には1つのスケッチブックをもっており、そのスケッチブックには衰弱によるものなのか文字には書く力もないような赤いクレヨンでこう書かれていた。

 

 

『みんなと一緒に■■■■』

 

 

最後の部分は掠れて読めないがここの子供たちと共にいられることを願っていたのだろうか。

 

「せめて向こうでみんなと共に幸せでいてくれ。」

 

俺はせめての思いで子供の目を閉じてあげて子供達が向こうで皆といれることを願った。

 

「さあ、ここの調査を進めよう。

俺達はその目的で着たんだからな。」

 

「ああ、そうだな。」

 

俺の言葉にハイネはうなずき、俺は立ち上がりその場を後にしようとしたがタリア艦長の持つ通信機が鳴り始めた。

 

『艦長、聞こえますか!』

 

通信機からはメイリンの切迫した声が聞こえた。

 

「メイリン、何があったの?」

 

『こちらに接近する部隊・・・おそらくファントムペインの部隊がこの地域に向かって接近中です!』

 

「何ですって!」

 

『おそらく連邦軍はその施設を狙っているのだと思います。』

 

「可能性はあるわね。こんな施設世間一般では大きなマイナス印象でしょうね。」

 

「迎撃はキング・ビアルに任せます。

ジョーカーと風見博士はここの施設のデータの収集をお願いします。」

 

「わかりました。」

「了解した。」

 

「私とブライト艦長は共に艦に戻ります。」

 

「では2人は自分が護衛します。」

 

ハイネは武器を持ち、二人の護衛を買って出た。

 

「では行きましょう。」

 

「さて、ではジョーカー、残った我々は、こちらの仕事を片付けよう。」

 

「わかりました。」

 

艦長たちと別れ残った俺達はデータの収集を急ぎで回収することとなった。

 

(後は任せたぞ。)

 

俺は頼もしい仲間に後を託し研究所でデータ収集を始めるのであった。

 

---------------------

 

 

そして一方で、キングビアル一行はこちらに仕掛けてきたファントムペインの迎撃を行うためキングビアルを中心に各機体は出撃し、接近するファントムペインを迎え撃つ準備を整える。

 

その中には研究所から一旦戻ってきていたシンとレイの姿があった。

 

「ファントムペイン。ならあそこにステラが・・・。」

 

「シン、お前の言っていたステラという少女はガイアに乗っているといったな。」

 

「そのはず・・・。」

 

「ならばシン、アーモリーワンの件がある以上他から協力を得られないだろうから、俺達が彼女を止めるぞ。」

 

「レイ・・・。

お前はどうして俺を助けてくれるんだ?」

 

「理由が必要か?」

 

「いや、

ありがとう、レイ。」

 

「さあいくぞ、やつらが来る。」

 

(ステラ・・・必ず、必ず君を止めて見せる。)

 

深い森で待ち構えるZEUTHたち、そしてZEUTHに接近するファントムペインの部隊。

 

「全機攻撃開始!」

 

ファントムペインを率いるネオ・ロアノークの号令と同時にファントムペインの機体はZEUTHの部隊に目掛けて接近する。

 

「よし、こちらも迎え撃つぞ。」

 

ファントムペインが接近するのに対してZEUTHの神北兵左衛門はZEUTHチーム全員に合図を送り、ZEUTHチームも攻撃を開始して戦闘が始まる。

 

機体性能はZEUTHのほうが圧倒的に上な為、ファントムペインの機体は一機、また一機と落ちていく。

 

被害が大きくなっているファントムペインが後退するのをZEUTHが追い詰めていき、ZEUTHは善戦を続けていた。

しかし、それがファントムペインの仕組んだ計画だとも知らずに。

 

(さてと、ここまで引き付ければ奴さんでもやれるだろう。)

 

ネオは作戦が大方順調に進んでいるのを喜びつつ、計画通りに部隊を後退させるのであった。

 

そう、敵はファントムペインだけではないのだから。

 

「これは!?」

 

「どうした一太郎。」

 

「後方に新たな敵舞台を確認!これはオーブ軍です!」

 

「オーブ軍!?」

 

「ファントムペインは囮だったのか。」

 

後方に現れたオーブ軍。

ファントムペインを追い詰めるなか後方ががら空きとなってしまい、そこにオーブ軍が後ろをとりやすい位置に陣取られてしまっていたのだ。

そしていまでは前方はファントムペイン、後方にはオーブ軍と挟み撃ちされ、このまま挟撃されれば被害は免がれないのも目に見えていた。

 

そんな状況のなか更なる状況の悪化がZEUTHを襲う。

 

「さらに別の熱源反応も探知。」

 

「次は一体なんじゃ!?」

 

たたでさえファントムペインとオーブ軍に挟まれているのにも関わらず、更なる援軍が来たとなれば、

 

「目標補足、アークエンジェルです。」

 

ZEUTHとファントムペイン、オーブ軍との間に登場した白い装甲の戦艦アークエンジェルが現れ、アークエンジェルの先端のカタパルトが開くとそこからは青き翼を生やしたMSフリーダムが現れる。

 

「あんにゃろうまた来たのか!?」

 

「おい、勝平!敵が来てるぞ!」

 

「よそ見してんじゃねぇぞ!」

 

「や、やべぇ!?」

 

勝平がフリーダムとアークエンジェルに視線を向けていると宇宙太が勝平を叱責するがスティングの乗るカオスガンダムがザンボットエースに攻撃が当たる瞬間、

どこからともなくシールドが飛んできてスティングの放った攻撃が弾かれた。

 

「な、何が起きたんだ?」

 

勝平がシールドの飛んできた方向を見るとそこにはジムらしき機体が3機いた。

 

「あのジムは連邦の?」

 

突然現れたジムをモニターで捉えていたアムロは地球で過ごしているときにその内の2機の機体に見覚えがあった。

 

一機は大型のロングレンジ・ビーム・ライフルを装備したジム・スナイパーカスタム。

そしてもう一機は汎用性の高くあらゆる作戦で活躍できるジム・カスタム。

 

しかし最後の一騎である全身が蒼い機体のジムあれはいままで見たことも聞いたこともなかった機体だった。

 

アムロが蒼いジムを注意深く確認していると、ジム・スナイパーカスタムは2機の機体を置いて森のなかにはいる。

 

「スナイパーが森に入った!

狙撃される前に叩くぞ!」

 

狙撃されることを危惧したオーブ軍のムラサメ部隊の一部はジム・スナイパーカスタムを追い森の中へと追いかける。

 

そして残された蒼いジムは一直線にファントムペインの部隊へと突っ込み攻撃を仕掛ける。

 

「くそ、連邦のジムがなぜこっちを!?

まさか鹵獲されたのか!?」

 

スティングは本来味方のはずのジムの機体がこちらを狙っていることに驚きを隠せなかったが、強化人間ゆえの反射神経で蒼いジムの攻撃を防ぐ。

 

「こっちもやられるだけじゃ気が済まねぇんだよ!

くらいやが・・・ぐぅ!?」

 

スティングが蒼いジムに攻撃を仕掛けるが横からジム・カスタムに邪魔され攻撃は不発となる。

 

「ちぃ、邪魔しやがって!」

 

サーベルを抜きジム・カスタムに攻撃するがジム・カスタムは難なく避け、

まるで遊ばれているかのようにスティングの攻撃はジム・カスタムにあたることはなかった。

 

「たかが量産機のくせに!」

 

スティングはちょこまかとよけるジム・カスタムにイラつきはじめてカオスガンダムの装備するドラグーン『機動兵装ポッド』を射出しジム・カスタムに放つ。

 

しかし、やはりジム・カスタムは掠りもせずよけて回避するがカオスガンダムのドラグーンはそもそも従来のドラグーンとは違いエネルギーの消耗は大きくなるが空間認識能力を持たなくても使用でき、ドラグーンとは別にカオスガンダムに乗るパイロット自身はドラグーンの制御をしなくてもいいという利点がある。

 

そのためドラグーンの攻撃をさばいているジム・カスタムを狙うには絶好の機会なのだ。

 

「これで・・・!」

 

スティングがジム・カスタムにビームを放つ瞬間、別の機体がジム・カスタムに突っ込み始めた。

 

「そこをどけぇぇ!」

 

「おい、アウルよせ!」

 

アウルの乗るアビスガンダムはジム・カスタムへと接近しアビスガンダムの持つビームランスをジム・カスタムへと振り下ろすがジム・カスタムはビームランスをジャンプしてよけ、直ぐ様反撃の体勢をとる。

対してアウルの乗るアビスガンダムは先程ビームランス大きく振り下ろしたせいでか、ビームランスは地面に深く突き刺さりすぐには動けない状態だった。

 

『アウル武器を捨てて下がれ!』

 

スティングの声で直ぐ様ビームランスを手放し後ろへと下がるがジム・カスタムは逃がすまいとビームライフルをアビスガンダムへと向け、脚部を撃ち抜く。

 

「しまったバランスが!?」

 

脚部を撃ち抜かれた影響で機体は体勢を崩したことにより動きが止まってしまい、ジム・カスタムの接近を許してしまった。

 

そしてアウルの近くまで接近したジム・カスタムは右手を握りしめてコックピット目掛けて拳を一直線に突き付け、コックピットへの直撃によりコックピットは凹み、さらにはコックピットの内部にまでめり込んだ。

 

「アウルゥゥゥゥ!!

てめぇ!よくも!!」

 

ジム・カスタムがアウルのいるコックピットへとめり込ませていたのをみていてアウルの生存は絶望的と判断してかジム・カスタムに怒りの矛先を向ける。

 

カオスガンダムはドラグーンにビームライフル、ミサイルなど持てる武器を全て撃ち始める。

 

「ちくしょう!

何であたんねぇんだ!」

 

しかし、カオスガンダムの全弾発射でさえもジム・カスタムに当たることもなくカオスガンダムの攻撃をよけていく。

 

それどころかジム・カスタムは徐々にこちらに接近しつつ、間合いを積めていく。

 

『スティングそれ以上は危険だ撤退しろ!』

 

「あいつだけは落とす!」

 

『機体のエネルギーを使いすぎだ!』

 

ネオからの通信によりカオスガンダムの残りエネルギーがあと僅かなところまで来ていたことに気付き、ネオに撤退を指示されたことにスティングは渋々撤退を始める。

 

「くそっ、アウルも、それにあいつの思い出の場所も守れねぇのかよ!」

 

そして、撤退するスティングにジム・カスタムは追撃はせず、スティングには用済みかのように次の敵へと向かうのであった。

 

---------------------

 

一方で静に息を潜めているジム・スナイパーカスタムを追って森の中に入ったムラサメの部隊。

しかし、その結果は見るまでもなく無残にジム・スナイパーカスタムの餌食となっていた。

 

「うあぁぁぁぁ!?」

 

「3番機ロスト!」

 

「くそ、これで8機もやられたか。」

 

「残っているのは我々だけです。隊長、撤退を!」

 

「くっ、むざむざとやられて帰るわけには行かない。

それよりも肝心のスナイパーはどこにいる!」

 

「そっそれが見当たらなく。

敵は高いステルス性能を搭載してるかと・・・。」

 

「馬鹿者、消えてる訳じゃないんだ!

くまなく探しだせ、あんな機体などすぐに見つけられるだろう。それにそう遠くには言ってないはずだ。」

 

「りょ、了解。ではこっちを捜索します。」

 

「まて、個別に行動を「うぁあああああ!」

くそ遅かったか。だがそこにいるのは分かったぞ!」

 

隊長格であるムラサメのパイロットはビームが飛んできた方向にジム・スナイパーカスタムがいると確信し、武器を構え突っ込み、ジム・スナイパーカスタムのいる場所に来たが、ジム・スナイパーカスタムの姿は見えなく、周りには木々があるだけだった。

 

「い、一体どこに!?」

 

周囲を警戒していると突然アラートがなり始め後方に敵がいることを知らせる。

 

「後ろだと!?」

 

ムラサメは後ろを振り返るが時既に遅し、ジム・スナイパーカスタムはムラサメの後ろを取りビームサーベルをムラサメのコックピットを後ろから串刺しにする。

 

パイロットは何も言えずに絶命し、パイロットの失ったウィンダムは力なく倒れた。

 

そしてこの場での役目を終えたジム・スナイパーカスタムは次の獲物を探す為、まるでその場に溶け込むかのように姿を消し、残ったのは無残にやられたムラサメの機体たちだった。

 

 

---------------------

そして場所は戻り、蒼いジムはウィンダムと戦っていた。

 

しかし、蒼いジムはウィンダムに数による暴力でさえものともせず攻撃をかわしつつ確実に敵を落としていった。

 

「野郎、さっきから調子に乗りやがって!」

 

「よし、全員で囲んで攻撃するぞ」

 

「「「「了解」」」」

 

8体のウィンダムは蒼いジムを囲んでビームサーベルを抜き一斉に攻撃を仕掛け、蒼いジムは絶体絶命の状況だったが、蒼いジムは平然として動かずにいた。

 

ビームサーベルが迫る中、蒼いジムの目が赤くなり、左手に持っていたシールドを横に投げて2体のウィンダムにぶつかり、コックピットはシールドによりめり込み形が変形し、

そして右手に持っていた100mmマシンガンを持ち素早い射撃でウィンダムを次々と打ち抜き、その間に手の空いている左手で脚部に収納されているビームサーベルを抜きウィンダムを切り裂き、次を狙うがウィンダムが目の前に迫っており間ぬあわないと判断したのかビームサーベルをウィンダムのコックピットにめがけて投擲し見事貫いた。

 

そして、一瞬のうちに8体のウィンダムは撃破され傷ついた機体たちは崩れ落ちた。

 

「やめろおぉ!」

 

ウィンダムが倒れた直後、空から一体の機体フリーダムが蒼いジムに向かってビームサーベルを振りかざしながら急降下してきた。

 

蒼いジムはとっさにシールドを手放しつつシールドを犠牲にしてフリーダムの攻撃を防ぐ。

攻撃を避けることはできたが蒼いジム・・・ブルーデスティニーはフリーダムを驚異と捉え、機体に搭載されたシステムを起動する。

 

 

[タイショウヲキョウイトダンテイ システムヲキドウ]

 

 

[EXAMシステム・・・・スタンバイ]

 

 

 

蒼いジムのバイザーが青から赤へと変化し敵と判断したフリーダムへと襲いかかる。

 

「この機体、急に動きが!?」

 

キラはブルーデスティニーの動きが先程までと違い動きは速く、そして一撃一撃の攻撃は重くそして命を刈り取らんとする攻撃だった。

 

「なんだよあいつあれだけのMSを一瞬で・・・。」

 

ブルーデスティニーとフリーダムが戦っているのを脇目で見ていたシンは囲んでいたウィンダムの一掃とフリーダムとの互角の戦いをするブルーデスティニーの強さに驚きを隠せず、一瞬だけステラの相手をするのに手を緩めてしまった。

 

しかし、ステラはシンのみせたその隙を見逃さなかった。

 

「シン!ガイアがそっちにいったぞ!」

 

レイがシンにガイアガンダムが向かっていることを伝えシンも直ぐ様ガイアガンダムを捉える。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

ステラはガイアガンダムをシンの乗るインパルスガンダムへと突っ込み、サーベルを抜いた。

 

シンはとっさにインパルスを後ろへとブーストを噴かして下がるが、ガイアはそんなインパルスへと距離を縮めていった。

 

「くっ、ステラあああああ!」

 

「はああああああああああ!」

 

[タイショウニキョウイガセッキンチュウ テキタイスルタイショウヲハイジョ]

 

「しまっ!?うわあ!?」

 

互いの距離が接近するなか蒼いジムはそんな行為見逃さず機体を限界まで稼働させフリーダムに一撃を放っておいてガイアガンダムに急接近し、直ぐ様ビームサーベルを抜いてはガイアガンダムの足を切り裂いて転倒させる。

 

「くぅぅ、こんのぉぉぉお!?」

 

ステラは倒れているガイアガンダムを立ち上がらせようとするが、蒼いジムはガイアガンダムを足で踏み倒し、動けないようにする。

 

そして蒼いジムは右手に持っているマシンガンの銃口をガイアガンダムへと向ける。

 

「あ、ああ!?」

 

ステラは赤く光るバイザーで見下ろし、銃口をこちらに向けている姿に恐怖し、そして直感で自分に死が訪れることに気が付く。

 

そして、それをみていたシンは蒼いジムに止めるように呼び掛ける。

 

「ステラ!?

おい、あんた待ってくれ!!」

 

しかし、蒼いジムはシンの静止が聞こえないのか銃口をガイアガンダムのコックピットへと向ける。

 

「い、いやぁあああ!?」

 

蒼いジムの銃口がこちらを狙いつつ紅く光るバイザーをモニターで見ていたステラは恐怖が限界にきたのか叫ぶと彼女が掛けている首飾りがパイロットスーツ内で光を放ち輝きだす。

 

「キョウイレベルテイカ セントウゾッコウハフヨウトハンダン コレヨリテッタイスル」

 

そして首飾りが光るのと同時に、まるで呼応するかのように蒼いジムのバイザーが赤から先程までの青色へと戻り、コックピットに向けていた銃口を下ろし、ガイアガンダム踏み倒していた足を退かした後、蒼いジムはガイアガンダムに背を向けて歩きその場を離れていった。

 

「一体なにが・・・そうだステラ!?」

 

シンはガイアガンダムの元まで駆け寄りコックピットからステラの安否を確認する。

 

「ステラ、ステラ!」

 

「・・・シン?」

 

「そうだよシンだよ!

良かったステラ。生きていてくれて。」

 

シンは、ステラが無事なのを確認し喜びでステラを抱き締める。

 

「・・・。」

 

シンがステラを抱き締めて涙を流しているのをレイはモニターで確認し、そして別のモニターでは先程まで戦っていたファントムペインとオーブ軍は撤退を始め、またフリーダムとアークエンジェルは既に姿はなかった。

 

再び、蒼いジムへと視線を向けると、いつの間にか他の2機のジムがこちらを遠くから見ており、蒼いジムを迎え入れるのと同時にこちら監視しているかのようにジムのバイザーがこちらを見ていた。

そして蒼いジムが2機の所へと歩むと、それに追従するかのように2機のジムもこちらに背を向けて蒼いジムと共にその場から姿を消すのであった。

 

「・・・奴らは一体?」

 

突然現れたジム。

敵か味方なのかはレイは知ることはできなかった。

 

---------------------

 

~研究所 近郊~

 

戦闘が終わり、風見博士とのデータの収集も終わり、やることを終わらせたが、俺はまだやることが残っており、一人で研究所の近くで穴を掘っていた。

 

そんな所に一人の人物がジョーカーを訪ねる。

 

「やはりここにおられましたかジョーカー殿。」

 

「・・・東方不敗か。」

 

俺が穴を掘っているとき後ろから声をかけてきたのは仲間であり部下でもある東方不敗だった。

 

「して、ジョーカー殿これは・・・。」

 

俺が穴を掘っていることかそれとも近くに積もられているビニールに疑問に思ったのか、俺は東方不敗の疑問に答える。

 

「あの研究施設の子供達の墓だ。」

 

穴を掘っている場所から少ししたところには子供達が包まれたビニールシートを置いておりその子たちの墓の穴を一人で黙々と掘っていたのだった。

 

あのまま放置していても何にもならないしかといって軍に引き渡せば解剖されて分析に出されるのだろう。

 

それならせめて誰にも知られることなくこの子達が安らげる場所に行けるように願いを込めてこの子達を埋葬したい。

 

DG細胞を使えば簡単だが、それでは意味がないように思えてスコップで掘っている。

 

自己満足なのはわかっている。

 

でもせめて何かをしてあげたい。

そう思ってしかたがない。

 

「子供を使ってまで手にいれた勝利に一体なんの価値があると言うのか。」

 

東方不敗は積まれている子供達の姿を見て何かを思ったのか悲しそうな顔つきをしており、彼の握っている手は怒りによるものなのか手を震わせていた。

 

そして東方不敗は俺がいくつか予備で用意していたスコップを持ち地面にスコップを差し込んだ。

 

「ジョーカー殿、儂も手伝いましょう。」

 

「東方不敗・・・ありがとう。」

 

そして俺と東方不敗は黙々と穴を掘り、子供達が安らかな眠りを願いながら一人ずつ丁寧に埋めていった。

 

 

 

しかし、そんな中で自分の運命を左右する人物が誕生しようとしているとは、この時知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---------------------

 

~ミネルバ 格納庫~

 

 

整備士たちは機体の修理を終わらせて格納庫に人がほとんどいない中、さらにその奥に進むと誰もおらず静寂で薄暗い空間があるが、整備士はそこへは立ち寄ろうとはしない。

なぜなら、一体の禍々しい機体デビルガンダムが立ち尽くしているからだ。

 

一見何の変哲もないように見えるが、デビルガンダムの足元には触手の様なものが束になり繭のように巻き付いては心臓の鼓動のようにドクドクと脈を打つものがあった。

 

そしてその触手の束は役目を終えたのか、あるいは中にいるものの準備が整ったのか、触手の一本一本が束から離れていき、少しずつ繭の形は崩れ、そして遂に中が見えるぐらいにまで減るとそこには一人の人間の姿があった。

 

 

 

ズルルルル・・・ビチャッ!

 

 

 

 

そして触手の束がなくなり支えるものがなくなるとその人間は地面に倒れ伏せて、立ち上がることはできず仰向けの状態で地面に這いつくばっていた。

 

地面に倒れている人間は少女の姿をしていた。

 

その少女の肌は白く、髪は汚れを知らないかのように美しく真っ白であった。

そしてゆっくりと瞼が開かれた中にある瞳は血のように紅く同時にすべてを魅了し飲み込みかのような眼差しをした瞳であった。

 

仰向けでありながらも彼女の瞳は辺りを見回す。

 

 

「これが人間の世界・・・。」

 

 

遂にこの世に一人の少女の姿をした悪魔が世に放たれてしまうのであった。

 




今回3機のジムの戦闘を書けて俺は満足。


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第35話 Dの少女

カウボーイビバップの技がOPのカットインとは恐れ入った。
それにしてもアンジェラやファサリナとか色気だしすぎじゃない?(鼻血流しながら)
まあ、昔の方がもっとはねてたけどね(遠い目)


~ミネルバ 艦内~

 

東方不敗と共にやるべきことを済ませて研究所から戻ってきて体を休むため部屋へと向かっていた。

 

「はぁ、疲れた。」

 

「お帰りなさいませマスター。」

 

部屋に入ると女性の声がしてそちらの方向に顔を向けるとそこには知らない少女がいた。

 

「えっ・・・・・・誰?」

 

少女は黒い衣装・・・ゴスロリと呼ばれる衣装を身に纏い頭にはトークハットという帽子を被っていた。

そして帽子から垂れて出ているベールの奥にある顔をみると着ている服とは真逆の汚れのなく綺麗な真っ白の肌をしており瞳は紅くずっと眺めているとまるで意識が持っていかれるかのように綺麗な瞳だった。

だが少女の顔をよくみると俺の記憶に一人だけ合致する人物がいた。

 

「・・・ティナ?」

 

そう俺がかつて地球にきてフリンコ村で世話になった少女ティナと瓜二つだった。

 

肌や髪の色など細部に違いはあるが、顔の作りはそっくりなので見間違えるはずはない。

 

「残念ながら私はティナではありません。」

 

しかし、目の前にいる少女はティナであることを否定する。

 

「ですが、体はティナであることを間違っておりません。」

 

「それじゃあ、君は一体誰なんだ!?」

 

不可解な状況だが目の前にいるのがティナでないとするなら別の人の姿に成りすますことが出来るアサキムかという可能性が浮上し、警戒する。

 

「名乗りが遅れましたが、遅ればせながらデビルガンダム、マスターの元へと馳せ参じて参りました。」

 

ドレスのスカートをつまみ軽く持ち上げてお辞儀をする。

 

しかし、彼女の言葉にとんでもない単語が聞こえた。

 

「デ、デ、・・・デビルガンダム!?」

 

彼女は確かにデビルガンダムと言った。

できれば間違いであってほしい。

いや間違いであってほしい。(大事なことなので2回)

 

「はい、その通りです。」

 

しかし、現実は非情だ。

だがそうなると様々な疑問が頭をよぎる。

 

「どうやって人間に!?

いや、待てそれなら何でティナにそっくりなんだ!?」

 

「それの話ですとあの日フリンコ村での出来事まで遡りますがよろしいですか?」

 

「ああ、話してくれ!」

 

「わかりました。ではお話いたします。

あの日の出来事を。」

 

 

---------------------

 

~フリンコ村 襲撃後~

 

『・・・ここは?』

 

村娘の一人ティナは真っ暗で光がひとつもない空間のなかに放り込まれていた。

 

『私、確か爆発の炎に巻き込まれて、それから・・・。』

 

『目が覚めたようですね。』

 

声が聞こえ声がする方向に振り返るとそこには恐ろしい姿をしたロボットが現れた。

 

『ひっ!?』

 

『怯える必要はない人間。』

 

『あ、ああ!?』

 

『これだから人間は・・・。』

 

ティナが完全に怯えてしまっており、これでは会話が出来ないと判断したデビルガンダムはみるみるとその姿が変化し、人型の形になった。

 

しかし、人間とは違って顔どころか存在自体がぼやけている全身白一色の人間だった。

 

『これでならよろしいでしょう。』

 

『あ、あなたは・・・?』

 

先ほどと違って怯えは少なくなったがまだ警戒している状態であった。

 

『私の名前はデビルガンダム。

いま貴方は私の中に取り込まれており貴方とは意識のつながりで会話しています、』

 

『ここが貴方の中?』

 

『そうです。

貴方はガイゾックという敵勢力の爆発に巻き込まれ、緊急の措置で私の中に取り込みました。』

 

『でも、もう私死んじゃったのですよね・・・。』

 

『いえ、今ならあなたの体を再生させて生き返らせることは可能です。』

 

『ほ、本当ですか!?』

 

『ですが、それには条件があります。』

 

『条件ですか?

えっとお金とかですか?』

 

『なぜ人間は条件=金なんでしょう。理解不能です。

それに私には金銭の必要はありせん。

条件というのは、貴女の自由です。』

 

『私の自由・・・。』

 

『はい。

私の持つ力で貴女の体からは寿命という概念がなくなります。

さらには毎日貴女の行動は私に監視され、必要なときには貴女の体を使い酷使するときがあります。』

 

デビルガンダムの持つDG細胞で生き返らせることは可能だが、それは同時にデビルガンダムの操り人形として生きていかなければならないということだった。

 

『・・・あの、デビルガンダムさん。』

 

そしてその決断を迫られるティナはどう選択するか思い悩む中デビルガンダムに質問をする。

 

『なんでしょう。』

 

『もし・・・、もし貴方が私の体を使えたらあの人の役に立てますか。』

 

『はい、貴方の体を使えるならマスターのために有効活用することは可能です。』

 

『・・・わかりました。』

 

ティナは一呼吸置いて目を閉じ、何か決心したのか目を開きまっすぐな瞳でデビルガンダムを見つめる。

 

『私の体をあなたに上げます。』

 

『・・・。』

 

デビルガンダムはほんの僅か、人間にとってはほんの一瞬の時間デビルガンダムはティナの回答にほ少し驚いた。

その選択を人間がとるとは想定外だったのだから。

 

『その言い方は人間で言う冗談ですか?』

 

『いいえ、冗談ではないです。私の出した答えです。』

 

ティナの目は冗談を言っているような雰囲気はなく、真剣なまなざしをしていた。

 

『いいのですか?

そうなっては貴方は自ら死を受け入れて肉体を捨てるということですが。』

 

『私、思ったんです。

生き返っても、まして何か特別な力があっても、私はきっとあの人に何か迷惑をかけてしまうかもしれない。

そう思ったんです。

でも・・・、デビルガンダムさんみたいな人なら私の体であの人を守ってくれそうだと思って・・・。

ですから、私の体を使ってください!』

 

『・・・。』

 

『あ、あのデビルガンダムさん?』

 

『あなたは変わっていますね。』

 

『ええっ!?』

 

真剣な顔をしていた時にデビルガンダムからの意外な言葉にティナは思わず驚いてしまう。

 

『普通の人間は私と会えばさっきのあなたのように怯え私の言うことは聞かない。

おびえがないとしても、生き返りたいだのなんだの自分の願い事を言います。

けれどあなたはいまでは怯えず私と話して、私のマスターでありますがあなたにとっては他人であるマスターのために自分の命を捨てるとは。

今までで見た中ではあなたは変わっていますね。』

 

『私も分からないんです。

これがもし見知らぬ他人だったら私もその人と同じように自分のことを考えてしまっていたのかもしれません。』

 

『でも、あの人だからこそ私は自分のためじゃなくて、あの人のためになりたいんです!』

 

ティナが見せた満面の笑み。

そこには後悔も、悲しみもない純粋な笑顔。

デビルガンダムはその笑顔がなぜか色鮮やかにそして鮮明に写った。

ただの人間と蔑む彼女でもその笑顔だけはなぜかそんな気持ちも湧かなかった。

 

そして、別れを告げるかのようにティナの決意によるものなのか彼女の体は足元から塵状となり徐々に形を失っていく。

 

『・・・お別れみたいですね。

それじゃあ、デビルガンダムさん。あの人のことよろしくお願いします。』

 

ティナは慌てることも、怯えることもなくデビルガンダムに対して深くお辞儀をして礼を述べた。

 

『わかりました。』

 

『ありがとうございます。

最後にデビルガンダムさんに会えてよかったです。』

 

ティナは最後の瞬間、にっこりと笑顔で微笑みながら、ほんの僅かに目に涙を浮かばせてその姿は消えてなくった。

 

それが彼女の命の終わったのであることを告げる瞬間であった。

 

 

 

---------------------

 

 

 

デビルガンダムから話された内容に隆司は仮面をつけつつもその仮面の奥では涙を流していた。

 

「ティナ・・・。」

 

だが、そうなるとあの時ティナは生きていたこととなる。

しかし、あの時デビルガンダムは言葉を喋ってはいなかったが首を振っていた。

 

「それじゃあ、あの時ティナは!」

 

「はい、本当のことを申し上げると彼女は僅ながらですが生きてはいました。ですが彼女は自らの意思で体を私へと譲りました。

これは紛れもない事実です。」

 

デビルガンダムが嘘をついているとは思えない。

そうなるといま喋ったことはすべて事実と言うことになる。

 

俺はデビルガンダムから伝えられた真実に驚きを隠せなかった。

彼女は俺なんかの為に自ら自分の体を捨ててデビルガンダムに譲ったのだった。

 

「デビルガンダム・・・。」

 

「なんでしょうか?」

 

「もう一度聞くけど、今の話に嘘、偽りはないんだよな?」

 

「はい。」

 

「そうか・・・。」

 

悲しみなのかに悲しい雰囲気を出している隆司。

しかし、少しばかり時が経つと先ほどとは違って悲しそうにはしていなかったが、

無理しているのはデビルガンダムから見ても分かっていた。

 

「それじゃあ、デビルガンダム・・・っていうのもなんかおかしいよな。

デビルガンダムとは別の体なんだし・・・。」

 

隆司は何か考えるてのか顎に手をあててじっくり考える。

 

「・・・ディナ」

 

「・・・?」

 

「名前だよ。

これから人間のときは名前があったほうが良いだろう?」

 

「なぜ"ディナ"なんでしょうか?」

 

「"ティナ"の頭文字から"デビルガンダム"の頭文字に入れ変えたんだけど。

・・・さすがに駄目だったか?」

 

「いえ、ではこれからはディナと名乗らせていただきます。」

 

「よかった。

それじゃあ、俺は疲れたから寝る。

後は自由に過ごしていいよ。」

 

「はい、ゆっくりお休みなさいませ。」

 

そしてディナは隆司が寝静まったのを確認した後、扉へと向かい部屋を出る。

 

「それで貴方はここで盗み聞きですか?」

 

「ふむ、まさか気が付かれるとはな。」

 

部屋の外に出ると扉の近くには東方不敗が立っていた。

 

「たとえ私が気づいてなくてもマスターはどうやら気づいていたようですのでそれは良いとしましょう。」

(部屋をキョロキョロ(・・・・・・)としていたのは東方不敗の気配に気づいていたのでしょう。

ティナの話をしてからはその余裕はなさそうでしたが。)

 

「さすがはジョーカー殿。

儂の気配にいち早く気が付くとは。」

 

東方不敗はジョーカーのことを褒め称えていると、東方不敗に向かって細い棒状のものが突き刺さらんとする勢いで迫っていた。

 

「むっ!?」

 

ディナのスカートからはガンダムヘッドの口から先端が鋭利状にとがったデビルガンダムが生やしている触手と同じものが東方不敗の首に刺さりそうな所で寸止めされていた。

 

「・・・これは一体どういうことかな?」

 

「一度しか言わないのでしっかりと聞くように。

あなたは味方なのですか?それとも・・・。」

 

ディナの瞳は先程とは違いハイライトがなくなっており東方不敗を刺さんとする触手は確実に殺しに来るのは明確だった。

 

「何を言う。

儂が敵とでもいうのか?」

 

「それが答えですか?」

 

「ああ、儂は味方じゃ。」

 

しかし、東方不敗はまっすぐディナを力強い目で見ていた。

それを見たディナは触手をスカートに引っ込め踵を返して部屋へと戻ろうとする。

 

「貴方がそう答えたから信じることにしましょう。」

 

「ですが次は(・・)ありませんから」

 

そういってディナは部屋の中へと帰っていった。

 

(ふぅ、さすがは機械、いやデビルガンダムというべきか。

殺気のレベルが違ったな。儂はいいとして並の人間ならあの殺気だけでも無事で済むかどうか。)

 

東方不敗は冷や汗をかきながらジョーカーの部屋を後にした。

 

 

---------------------

 

部屋に戻ったディナはベットで眠るジョーカーを見つめながら立っていた。

体がDG細胞で出来ておりさらには疲れを知らない為、何時間経とうと彼女に疲れはやってこないだろう。

 

そしてディナはあることを考えていた。

ディナは確かに"ティナ"に関しては全て話した。

 

しかし、ディナは2つだけ隆司に話していないことがあった。

 

それはティナの言葉を『隆司さん』から『あの人』に意図的に変えていたこと。

それからティナが消えたあとディナが何をしていたかということを・・・。

 

 

---------------------

 

 

ティナが消えたあとのデビルガンダムは暗い空間のなかで一人いた。

 

『・・・人間とは本当に愚かな生き物ですね。』

 

『欲望のためになら他人より自分を優先する生き物』

 

『・・・ですが人間のなかではほんの少しだけ貴方は好感が持てました。』

 

『・・・さようなら、にんげ・・・いえ、ティナ。』

 

『貴方の体、使い捨てではなく、最大限に使わせてもらいます。』

 

デビルガンダムはティナの体に触手を伸ばし体をDG細胞で侵蝕を始める。

 

『ただDG細胞にするだけでは勿体無いですね。

肉体は人間のままではすぐに壊れてしまうので皮膚細胞を硬化させ、筋肉は簡単に引きちぎれないようにしましょう。

あとは・・・コアの一部も埋め込みましょう』

 

そしてティナの体・・・もといディナの体ははっきり言って魔改造レベルで強化されており、多くの人が顔を真っ青にするレベルで改造されていた。

 

 

---------------------

 

「さて、マスターが起きるまでこのまま待つことにしましょう。」

 

ディナは、自分の主である隆司以外で唯一、人間の中で敬意を払った少女との約束を守るために、自分のすべてをもってして敵を排除しよう。

 

それをしっかり胸に刻み込むのであった。

 

 




あれ?
デビルガンダムがいい人に見えてきた?(錯覚)


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第36話 日常と異常

こっそりと投稿

UA20万ありがとうございます。


「ううん・・・?」

 

ベッドで寝ていた隆司は眠りから徐々に覚めるのを感じ、閉じていた目を開けるとそこは先程まで寝ていた部屋ではなく、真っ白な空間が目の前に広がっており、俺はその空間の地べたで眠っていた。

 

壁は見当たらずどこまでも続く白い空間だ。

 

「こ、ここは・・・?」

 

俺は確か、デビルガンダム、じゃなくてディナと話していて疲労がたまっていたから部屋で寝ていたはず。

 

なら、何で俺はここにいるんだ?

 

「「「待っていたぞ、『・・・』者よ。」」」

 

突然声が響き渡り辺りを見回すと、白い空間にいつの間にいたのか燃え盛る青い炎で形成されている人物がいた。

 

「だ、誰だ!?」

 

俺は目の前にいる人物に問いかけるが目の前の炎の人物は答えず話を続ける。

 

「「「選択が迫っている。」」」

 

目の前にいるものは声が老若男女と様々な声が何重にも重なっており、どんな人物なのか判別がつかない。

 

「「「まもなく第2の封印が解かれる。」」」

 

「「「第2の封印を解いたとき、さらにお前に幾多の試練が降りかかるだろう。」」」

 

「「「そして乗り越えたときお前の選択で『・・・』が始まる。」」」

 

「選択って何の事だ?

それに何なんだここは、お前は一体・・・。」

 

炎の人物の言葉は所々が途切れており聞き取りにくく、さらにここが何なのかと俺は炎の人物に問おうとするが、いつのまにか目の前にまで炎の人物が顔に当たりそうな距離にまで迫ってきており、炎の人物の目が俺の目をじっと見つめる。

炎の人物の目はどこまでも底のない白い空洞が俺の顔を覗きこみ、俺の意識が空洞に飲み込まれそうな感覚に陥りそうになる。

 

「「「お前はいずれ知る。」」」

 

「「「お前は自らここまで来た。」」」

 

「「「もう逃れることはできない。」」」

 

「「「希望か、絶望か、」」」

 

「「「お前の選んだ道の先でお前を待とう。」」」

 

「「「『・・・』よ。その時・・・お前は・・・『・・・』に・・・な・・・。」」」

 

炎の人物が次々と言葉を並べてくるが、俺はそれを最後についに意識は持たなくなり、俺のそのまま意識は暗闇へと落ちた。

 

 

 

 

 

----------------------

 

 

 

「ううん・・・?」

 

ベッドで寝ていた隆司は重い瞼を開けて眠りから徐々に覚めるのを感じ、眠りから覚める。

 

「はっ!?」

 

俺はさっきの見た光景を思い出して、勢いよくベッドから起き上がる。

 

ベッドから起き上がった光景は眠る前に見たミネルバの部屋で間違いはなかった。

 

(なんだっんださっきのは?

よほど疲れていたのか?

確か、研究所で色々としつつ、部屋に戻るとティナにそっくりのデビルガンダムがいて、話を聞いていると色々と思考が追い付かなくなって寝たんだっけ?

もしかして、あれは夢だったのかな?)

 

だが夢にしては現実味のある夢だった。

まるで夢でなにかを伝えているかのように。

だが、あれがなんなのかわからない。

 

そもそもあんなのは見たこともない。

 

青い炎の人物、そして第2の封印。

さらにはこの先に選択が待っている?

 

ダメだ、分からない。

 

この先の展開を知っている俺でも炎の人物の伝えた意味がまるで分からない。

 

「おはようございます。マスター。」

 

頭を抱えて悩んでいると、俺に声を掛けてくれたので声をする方向を見るとやはり寝る前と何の代わりもしていないディナがベットの横で立っていた。

 

(これも、夢じゃなかったかぁ。)

 

ディナのことは一度考えることをやめて寝たが、起きてみれば夢ではなく現実だった為、昨日起こったことはすべて夢ではないと証明された。

 

「ああ、おはようディナ。

あれから俺はどれぐらい寝てた?」

 

「3時間20分と35秒です。」

 

(大体三時間半といったところか。

というか細かいな。)

 

だけど少しでも寝たお陰か体は調子がよくなったので、とりあえず、さっきの夢のことはあとに考えよう。

 

疲れは取れたので俺はベッドから降りる。

 

「よいしょっと、それじゃあ少し出掛けるよ。」

 

「どちらへ?」

 

「うーん、特にこれといった用事はないが・・・、そうだ散歩ついでに東方不敗の所へ行こうか。」

 

まだ、東方不敗とディナってまだ顔合わせしてないだろうから、散歩ついでに紹介するとしようかな。

 

「お供します。」

 

「よしっ、それじゃあ行くか。」

 

俺はディナを連れ添い部屋をあとにする。

 

ミネルバ艦内を歩いていると時々ザフト兵と遭遇するが決まって道を譲ってくれたりするのだが、どうも近寄りがたい雰囲気をだしている。

 

まあ、仮面なんか被っている時点で怪しいのだから仕方があるまい。

 

しかし、今回はいつもと違ってザフト兵と出会うと何故か魂でも抜けているのかと思うかのようにぼーっとしてこちらを見つめてくる。

 

正確には俺ではなくおれに付き添っているディナにだが。

 

まあ、気持ちはわかる。

ディナはティナになかった言葉では表しづらい妖艶というような雰囲気をだしており見とれてしまう気持ちはわかる。

 

まあ、そんな感じて俺に対してあからさまに距離をおいている人に遭遇することはなかったが、ディナがいなかったらいつも通りなんだろうなぁ、っと俺は心の中で若干複雑だなと感じるのであった。

 

 

ガシャアアアアン

 

そんな中、歩いている途中で何か物音がし、歩いていた足を止めた。

 

「ん?何の音だ今の?」

 

「あそこの医務室からです。」

 

ディナは指す道の先には医務室があり、そこから音がしたようだ。

 

「行ってみよう。」

 

「かしこまりました。」

 

俺は不審な音が聞こえた医務室へと再び歩を進めた。

 

----------------------

 

~ミネルバ艦内 医務室~

 

ミネルバの艦内にある医務室にて先程の戦いで敵パイロットを捕獲して捕虜になったステラがベットの上で横たわって拘束されており、シン、レイ、カミーユ、風見博士、理恵の5人がステラと共にいた。

 

「あ・・・ああ・・・。」

 

しかし、ステラは激しく錯乱しており、精神的に弱っている状態だった。

彼女は強化人間による副作用により、専用の薬物を定期的に服用しないと起こる症状のせいで暴れるため彼女の体に拘束具を着けていた。

 

「怖い・・・怖いよ、ネオ!」

 

「心配しなくても大丈夫だよ。もう何も君を怖がらせはしないんだから。」

 

「いやあああああああ!?」

 

シンはステラの手を取ろうとするが、ステラはシンのことを分かっていないのか、シンの手を振り払う。

 

「ステラ!?俺だよ、 シンだよ!覚えてないのか?」

 

「お前のことなんか知らない!」

 

ステラは鋭い目付きでシンを睨み、それが本当にシンのことを覚えてはいない証明でもあった。

 

「そんな・・・。」

 

シンはステラに覚えられていないことにショックだったのか壁にもたれ掛かって呆然とする。

 

「ネオ・・・ネオ、どこ?ここ怖い・・・ステラ・・・怖い・・・あああああああ!?。」

 

ステラは何もかもを拒絶するかのように再び暴れ始める。

 

「いかん!バイタルが乱れている!」

 

次第にステラは縛られているにもかかわらず体を必死にもがき始める。

精神的恐怖によるものなのかステラのバイタルサインが乱れ始め、さらにこのままにしてしまえば拘束具で自分の体を傷つけてしまう可能性があった。

 

「いかん、彼女を抑えるんだ!」 

 

「ステラ、落ち着いて!」

 

しかし、ステラの力は通常の人とは違い、

力があるため、拘束具の根本が嫌な音を立て、拘束具の根本の部分が千切れ左腕が自由になってしまった。

 

「まずい!?拘束具が!」

 

風見博士はすぐさま左腕を押さえようとするが、激しく暴れているため押さえつけるのに精一杯だった。

そんな状況でようやくシンはすぐに意識を戻してステラに駆け寄っては暴れるステラの体を抑える。

 

「大丈夫だよステラ。俺がいる・・・俺がいるから・・・。」

 

「ううう、あああああああ!?」 

 

(駄目なのか・・・。俺はステラを守れないのか。)

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

ステラを押さえている中、ドアが開きそこから仮面を被った人物ジョーカーが現れる。

 

「おお、ジョーカー君か。すまないが手伝ってくれないか。」

 

ステラを数人で押さえているが強化人間な上、拒絶反応が強いせいかステラが暴れるのがはとまらない為、

風見博士はジョーカに助力を求める。

 

「わかりました。」

 

ジョーカーはすぐさま理解したのかステラのもとに歩みよると、ジョーカーは両手を広げてはステラの頭を包み込み、安心させるかのように穏やかな声で囁く。

 

「よーしよし。落ち着いて。」

 

しかし、ステラはジョーカーに抱かれてもなお暴れるのは止まらず彼女の自由になった左腕で、ジョーカーを激しく殴ったり叩いたりと抵抗しつつジタバタと暴れてるときジョーカーが抱き締めているせいではっきりと見えなかったがステラの胸が一瞬だけ淡く光ったような気がした。

 

「い、いやあぁぁぁ・・・。ううっ」

 

そしてステラに変化が現れ、激しく暴れていたのがおとなしくなり、ステラはゆっくりと眠りについたのであった。

 

「ふぅ、どうやら落ち着いたようだな。」

 

風見博士は安心したのかほっと一息につく。

 

「しかし、どうやって止めたんだ?」

 

「まぁ、ちょっとした特技といった所ですかね。」

 

「う~む、もしかしたら彼女にとっては何か安心できる何かがあったのかもしれないな。

さて、気になるところだが、彼女が再び暴れないようにきっちりと拘束具を着けなくては。

幸い彼女もぐっすり眠っているからすぐには起きないだろう。

ああ、それとお前さん達、先の戦闘から休んでいないだろうから疲れているだろう。

あとは我々に任せて休むといい。」

 

先程までシンやレイはステラたちと戦ってから休んでもいないため、風見博士は休むように伝える。

 

「わかりました。

シン、彼女のことは任せておいてすこし部屋で休むといい。あとはジョーカーと風見博士達が何とかしてくれるだろう。」

 

「レイ。」

 

「お前は戦闘が終わってからずっと付きっきりだろう。

それにここにずっといても体に障る。」

 

レイはシンのことを思ってか、シンに部屋に戻るように伝える。

ステラが収容されてから何時間も付っきりの状態だった為、彼には休息が必要だろうと判断した為である。

 

「あ、ああ。そうだな少し部屋に戻るよ。」

 

シンはなぜか少しだけ胸の奥がモヤモヤとして気分になっておりこれが何なのかはわからなかったが、いまはステラが安心して眠っていることにシンは少しながら安堵して部屋を後にする。

 

----------------------

 

シン達が部屋を後にして部屋には俺と風見博士、理恵の3人だけとなった。

 

「それにしてもその子お前さんにしっかりとしがみついているの。」

 

風見博士の言うとおり、ステラは俺の服を掴みながらで眠っており、未だに手を緩めない。

 

「気に入られたのですかね?でもこうしていると彼女もパイロットとは思えないですね。」

 

「そうだな。それにこのZEUTHのパイロットも若い者が多い。年配者としては複雑だよ。」

 

「そうですね・・・。」

 

このZEUTHの中にいるパイロット達はまだ20歳にもいっていない少年達が多数いる。

正規のパイロットもいるが戦争に巻き込まれてパイロットになった子もいる。

 

「君も聞いていると思うが彼女も強化人間だ。

しかも、つい先日調査に向かった研究所。

その子もあの研究所の出身のようだ。

これがそのリストだよ。」

 

風見博士から被検体のリストが映されているタブレットを渡される。

 

そのリストをスライドさせるとその中にステラの他にあの研究所で被検体となった人が映っており、

中には俺が先日埋めてあげた子供達のリストもあった。

 

「・・・。」

 

「そういえばさっきドタバタとしていたから気が付かなかったが、そこにいる彼女は初めて見るようだが?」

 

俺がタブレットを見ているとき、風見博士はようやく気が付いたのか俺に付き添っていたディナに気付く。

 

「ええっと、彼女はディナ。

自分の仲間で、先日に・・・研究所で合流しました。」

 

もちろん嘘である。

ディナが『元ガンダムです』なんていったところで信じてはくれないだろう。

 

「なるほど、おっといかん。もうこんな時間か。」

 

風見博士は時計を見ていると、すでに時計の針は夜の9時を指していた。

 

「では、申し訳ないがこれから急いでグラディス艦長に研究所の資料を渡しに行くので、

その子のことを頼んでも良いかな?」

 

「ええ、大丈夫ですよ。」

 

「では、すまんが頼んだよ。」

 

風見博士と理恵は医務室をあとにし、医務室には俺とディナとステラの三人だけになった。

 

----------------------

 

いやぁ、しかし何が起こるかわからないものだな。

 

物音が気になって見に来たらまさかのステラが暴れているときた。

 

風見博士が手伝ってほしいと言われたので、すぐさま手伝うことになったのだが、正直どうすればいいのかわからずテンパっており、とにかく頭を撫でれば落ち着くように囁くことにした。

 

さらに効果があるか分からないけど、ステラに回復能力を使ってみたのだが効果が出たのかステラは暴れるのをやめて眠りについたので効果はどうやらあったようだ。

 

いやぁ、それにしてもこの力。

精神的にも作用するとは驚きだな。

 

にしても、ステラが俺の服を握ったままなのでベッドから動くことができない。

 

握っているてをはずせるか試してみるがびくともしない。

さ、さすがエクステンデッド。

握る力も強化されてやがるぜ。

 

「ジョーカー殿。」

 

俺がステラの手と激闘をしているとき、部屋の天井から声が聞こえ、こんなことをするのは一人しか居ないと思いその人物の名を呼ぶ。

 

「東方不敗か。」

 

「はっ。」

 

天井の蓋が外れ、降り立ったのは部下でもある東方不敗だった。

 

しかし、本当に忍者だよな。

いや、東方不敗は格闘家だから違うか。

だが来てくれたので呼ぶ手間が省けてよかった。

 

「ちょうど、よかった。

東方不敗にちょっと話があってな。」

 

「儂になにかご用で?」

 

「ああ、彼女の事をまだ紹介していなかったと思ってな。せっかくだから紹介しようと思って。」

 

「・・・ああ、彼女のことでしたら先程ジョーカー殿が寝ている間にしておきましたぞ。」

 

「ん?そうなのか?」

(いつのまに・・・。)

 

「はい、東方不敗の言うとおり尋ねてきたのでお相手(・・・)しておりました。」

 

「そっか、それじゃあ要らない世話だったか。」

 

「いえ、お心遣い感謝します。」

 

(となると、本来の目的の紹介は終わってしまったから特にやることがなくなったな。

それならDG軍団の仲間が集まったことだし何かお喋りでもしようかな。)

(仲間ではないのが一人寝ているが。まあ大丈夫だろう。)

 

(それなら飲み物でも用意しないとな、でもここには飲み物はおいてないしな。どこかで用意してこないと。

でもステラが服に手を・・・あっ、上に着てる服を脱げばいいじゃん。)

 

俺はコートをステラが起きないように巧みに脱ぐ。

コートは未だにステラの手の中だが動けるようになったので問題はなし。

 

「それじゃあ、何か飲み物でも取りに行くか。」

 

「お供致します。」

 

俺が飲み物を取りに行こうとすると、ディナが一緒に付いてこようとするがせっかく東方不敗がいるのだから、二人で仲良く話せるように気を使ってやらないと。

うん、俺って気が効いてるな。

 

「ああ、いいよ。

二人はステラのことを見ててくれるかい。」

 

「・・・畏まりました。」

 

「承知。」

 

俺はそういってベットから立ち上がり部屋を後にした。

 

----------------------

 

ジョーカーが部屋を後にしたあと、部屋に残ったディナ達は・・・。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

仲がいい・・・とは言いずらい雰囲気が溢れ出ていた。

 

「これもお主の策かの、ディナよ?」

 

「いいえ、私は特になにも伝えてはおりません。

それに私たちの事を嗅ぎ回っているならそれもご存じでは?」

 

「やはり、気付いておったか。」

 

「当然です。

最初の頃のあなたは特に何もしていませんでしたが、ZEUTHで合流を果たしてからこちらを嗅ぎ回っていることも。」

 

「・・・さすが、というべきかの。

では聞きたいことがある。あの男ジョーカー殿の正体は一体何者なのだ?」

 

「わたしがマスターの事を私が教えると思って?」

 

「いいや、お主の事だ。

喋るつもりは毛頭ないのだろう?」

 

「当然です。」

 

「やはりな・・・。」

 

東方不敗はディナの返事が予想通りと思ってたような顔をしていると同時に何か別の思いを感じたがディナにはそれがわからない。

 

「東方不敗、あなたが何かを企んで実行するのは好きにして構いませんが、あなたは何故このような行為を?」

 

「・・・仮面や素性を隠すのは分かる。

だが儂には分からんものが一つある。

最初にジョーカー殿に出会ったときは再生計画の事を聞き、その為に尽くそうと考えた。

だが、共にいるにつれて疑問に思ったのだ。

ジョーカー殿の力はもちろんの事、知識においてもそうだ。まるでジョーカー殿にはこれから起こる未来が手に取るようにわかっているかのように。

儂はそれが恐ろしく見えるのだ。

何もかもを見透かされているのではないかと。」

 

「確かにマスターなら未来が見えていても不思議ではありません。

ですがそれは重要ですか?」

 

「何・・・?」

 

「人間とは、自分の目的のために生きていると私は理解しています。

あなたはその目的の為にマスターを利用しているのでは?

貴方の事を見られることで何か不都合があるならまだしも、貴方にはそんな不都合があるのですか?」

 

東方不敗の目的、

そう、東方不敗はたった一つのことを果たすために生きているのだから。

 

「ふっ、ふははははは!」

 

「・・・?」

 

「まさか機械にそういわれるとは思わなかったぞ!」

 

ディナが元々はデビルガンダムという一体の機械にも関わらず、まるで人間かのように考えを、そしてまだ未熟であるが感情を持っていることに驚きつつも東方不敗は笑いだす。

 

「ふっ、だがお陰で吹っ切れたぞ。」

 

「ディナよ、儂の目的は地球の再生、儂はその為に今を生きている。

それを成せるデビルガンダム・・・そしてジョーカー殿に尽くそう。」

 

「わかりました。

では私も東方不敗の目的のために、貴方を利用しましょう。」

 

ディナは隠しもせず東方不敗を利用すると口にする。

 

しかし東方不敗も元々は利用していたのだ。

むしろ隠さず堂々と喋るほうが好感が持てた。

 

「うむ、ではこれから・・・うっ、ゴホゴホッ!?」

 

東方不敗はディナと喋っている途中、咳き込みはじめ、

ディナはすぐさまにその異変に気付く。

 

「・・・!

東方不敗、貴方の体ですが・・・」

 

ディナが東方不敗の体について喋ろうとするが東方不敗がそれを言わせないかのように手を出す。

 

「確かにお主の細胞を使えば儂は長くいきられるだろう。

だが、儂は最後まで己の命で生きることこそが人間だと思っておる。」

 

「・・・理解できません。」

 

「いずれお主にも分かる。

人間とはどういう生き物なのか。」

 

「人間・・・とは。」

 

「お主はまだ生まれて間もないのだろう?

ならば、時が経てば分かる。」

 

「・・・。」

 

ディナは考える。

人間は欲深い生き物なのだと。

 

だが、東方不敗の言葉を理解しようと頭脳が機械のように高速で処理しようとするが理解できず、ただ延々と『人間とは』を繰り返していた。

 

「戻ったぞ。」

 

そんな中、扉が開き飲み物を取りに行っていたジョーカーが帰って来た。

 

「ん?、何かあったのか?」

 

ジョーカーは帰ってきたとき何かを考えているディナに気付いた。

 

「少しばかり儂がディナに与えた課題を考えておるのですよ。」

 

「課題?」

 

「ええ、ディナに必要なことですのでしばらくそっとしておくとよいですぞ。」

 

「あ、ああ。そうだな?」

 

なんだかよく分からないが、まあ大丈夫だろう。

 

そう思って飲み物を渡そうとするが・・・。

 

『各員、ブリッジへの集合をお願いします。!繰り返す・・・。』

 

突然、メイリンの声による放送が鳴り響き、ブリッチへの集合を促される。

 

「何かあったのか?」

 

「非常事態ではなさそうですな。」

 

「そうだな、とにかく行くか。」

 

「かしこまりました。」

 

(うぉ!?ビックリした!)

 

いつの間にか横に現れたディナにあまりの驚きで声には出さなかったが内心では驚き、心臓がバクバクと音を立てる。

 

「も、もういいのか?」

 

「はい、答えはいずれ出るようですので、ブリッジの集合が優先と判断しました。

ブリッジへ向かいますか?」

 

「ああ、そうだな。

けど、ステラのことだが・・・。」

 

「それでしたら、儂が残りましょう。」

 

ステラを一人にして出掛けるのはまずいなと思い、どうしようかと考えたとき、東方不敗が自ら名乗り上げた。

 

「いいのか?」

 

「もちろんです。

儂が行ったところでなにもすることはないでしょうしな。はははは。」

 

東方不敗は俺に心配かけないようにか笑って送り出してくれる。

 

「すまない。

では頼んだよ。」

 

そして、俺とディナはミネルバへのブリッジへと向かうのであった。

 

 

 

 

医務室に残った東方不敗はいまだに眠り続けているステラに目を向ける。

 

「・・・、お主はこの世界をどう思っておるのだ?」

 

東方不敗はまるでステラに問うかのように話すが、ステラは何も変わらず、ただ静かに寝息を立てていた。

 

「・・・。」

 

それから東方不敗は何も言わず、何もせず、ただじっとステラをずっと見守っていた。

 

----------------------

 

俺とディナは二人でミネルバのブリッジへ向かうとすでに他の人たちが来ていた。

 

「お、ジョーカーも来たみたいだな。」

 

俺たちが入ってきたことに甲児くんが気さくに挨拶を交わしてくれる。

 

甲児くんは仮面を被っている俺でも分け隔てず喋ってくるのでほんと良い奴だよ。

 

「ん?ジョーカー。彼女は誰だ?」

 

「ああ、彼女はディナ。俺の仲間だ。

別れて行動していたんだが、研究所で合流した。」

 

甲児くんはディナの顔を見ると少し赤くなっているのが分かる。

 

(あっ、これはあれだな。甲児くんの悪い癖。

ということはあれが見れるな。)

 

「えっと、どうも俺は兜甲児っていいます。」

 

「もう、甲児君ったら!

また女の人にデレデレしちゃって!」

 

甲児くんがディナにデレデレしているとさやかさんが嫉妬で甲児くんの耳を引っ張る。

 

「あいたたた!?

ちょっ、さやかさん痛いって!?」

 

はい、さやかさんの甲児くんへの嫉妬を生で見れて(?)ファンとしては御馳走様です。ありがとうございます。

 

「さて、何人かは諸事情で来ていないですが、集まったので話をさせていただきます。」

 

どうやら俺が最後だったらしく、タリア艦長が話を始める。

 

「つい先程、タンパグンダ基地による補給が完了したため、明朝に我々ZEUTHはザフト軍基地ジブラルタルへ向かいます。」

 

「はぁ~、敵がまたやって来るんじゃないかと思ったぜ。」

 

「甲児くん。まだジブラルタルに向かうんだから気を抜かないの。」

 

どうやら補給が終わったらしく明日には出発するようだ。

 

(あれ?そういえばアサキムの襲撃は?)

 

 

本来の話で現れるはずのアサキムとの戦闘がないことに俺は心配するが、そんな未来の事を知らないZEUTHは明日の出発の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------

 

時は遡り・・・。

ディナが東方不敗に忠告した後の話。

 

 

ジョーカーこと隆司がベットで寝ているとき、

デビルガンダムことディナは隆司の眠るベットの横で立っており、これが普通なら軽く心霊現象になる光景であるがディナの外見の美しさもあってか、絵にもなるような光景であった。

 

しかし、ディナは何かに気がついたらしく周りをキョロキョロと見回す。

 

(・・・どうやら外にネズミがいるみたいですね。)

 

(東方不敗とは違う人物のようですがマスターへの危険要素は排除しときましよう。)

 

ディナは再び部屋を後にして通路を進んだ。

 

「おや、これはこれはかわいいお嬢さん。」

 

通路を歩いていると一人の老人、ジエー・ベイベルと出くわした。

 

「この基地の周りにを囲んでいる部隊。

あなた方の仲間では?」

 

「ん、何故分かったのかな~。」

 

「貴方がここをうろうろしているのと、その態度でわかります。」

 

「ありゃー、そこまでわかっていたのかぁー。」

 

「そんな風に姿を隠していても私には無意味です。」

 

「ふーん、どうやら君の事を甘く見すぎていたようだね。」

 

ジエー・ベイベルの体がノイズが走ったかのように所々形が代わり、先程までの老人ではなく若い男性へと姿が変わった。

 

「それが貴方の姿ですか。」

 

「そうだよ。これがジエー・ベイベルことジ・エーデル・ベルナルだよ、すごいでしょ。」

 

「いえ、興味がありません。」

 

「えー、君ってつまんない奴だね。

まあ、僕としては君よりセツコのほうが重要だからね。君はおまけさ。」

 

「セツコ・オハラですか。」

 

「そっ!

よく知ってるね。ご褒美に僕をいたぶる権利をあげようか?」

 

「あなたの言っている意味がわからないので、必要ありません。」

 

「残念。

まっ、いいさ。

この後、彼女の機体の改良もしないといけないし。」

 

「それで、その後は我々と戦うと?」

 

「ん~、そのつもりだったけど、やっばやめた。

君が戦うとあんまり面白くなくなりそうだから。

セツコをいじるだけで済ませる。」

 

「では今は敵対はしないと。」

 

「僕は君の味方でもないし、敵でもない。

あっ、でも敵になったらそれはそれで面白そうだね。

デビルガンダムがこの世界にいることに驚いたけど、まあそれも可能性の一つだしね。

でもいま興味があるのはあのジョーカーって男。

彼のこと知ろうとすると何でか邪魔されるんだよね。

何でかな~。

ねぇ、彼のこと調べさせてくれない?」

 

「私が許可すると思いで?」

 

ディナは表情は変わってはいないものの誰から見ても殺す気満々の雰囲気を出しており、スカートや服の袖などからは触手を生やして攻撃は万端の状態だった。

 

「冗談だよ冗談。

まったく冗談が通じないな~。」

 

ジ・エーデルはやれやれっと言っているかのような態度でディナを煽る。

 

「では、もうあなたと話すことはないのでこれで失礼します。」

 

ディナは ジ・エーデルと話すことがなくなると触手を服の中へと戻し、部屋への道へと帰るのであった。

 

----------------------

 

「あれがデビルガンダムか・・・。」

 

 

「ふふふ。面白いことおもいついちゃった!」

 

ジ・エーデルは新しいオモチャを見つけたかのようにルンルンと軽い足取りでその場をあとにするのであった。

 

 

 

 

 

そして次の日、

 

ジ・エーデルはその後、何もせずただZEUTHが基地を離れてジブラルタルへと向かうのを見ているだけだった。

 




あれ?セツコの悲しみの乙女は?(フラグ)


最近、諸事情で執筆が中々進まないくなり、さらに何度も更新が遅くなってしまい本当に申し訳ないです。

今さらですが、早くも2年が経過してしまいました。
(やべーよ、全然お話進んでないじゃないか!?)


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第37話 偽りの仮面

俺たちZEUTH一同はタンパグンダ基地を出発し、何事もなく順調に航路を進んだ。

数日かけてようやく目の前にはザフト軍基地ジブラルタルが見え、俺はミネルバの艦内の窓から見下ろしていた。

 

「ここがザフト軍の基地ですか。」

 

そして俺の隣で同じように窓の外を眺めているディナ。

 

「ああ、そうだ。

前にいたタンパグンダ基地より大きいだろ。」

 

ここジブラルタルはザフト軍が地球に置けるザフト軍の重要拠点として建築し、ここにはザフトの大部隊が駐留している。

その為、窓から見ているだけでも巨大な基地だということは見て分かる。

 

「マスターはここジブラルタルで何をなさるつもりでしょうか?」

 

「そうだなぁ。」

 

ここジブラルタルでやることは幾つかある。

 

その中で重要なのはステラのことだ。

 

ステラの体は強化人間として改造されており、定期的に薬物を摂取しなければならない。

本来の物語通りならステラをよくするには連邦に返すためシンが動くのだが、その結果彼女はシンと戦うことになる上、フリーダムによってとどめを刺されることになる。

 

いちおう俺が手を出さなくても生きている可能性はある。

 

しかし、俺がいることで歪みが生じるという可能性も否定できない。

なら、俺の力でステラを治せば良いのではないかと考えた。

 

だが、もしここでステラを治せばどうなる?

 

事情がどうあれ彼女は連邦の兵士。

さらには強化人間な上、ザフトの新型機を奪取、そしてザフト兵を何人も倒したのだ。

 

そんな簡単に見逃してくれるはずがない。

さらにはザフトでいいように扱われるのがオチだ。

 

そうなると結局彼女を何とかしようとシンが動くはずだ。

 

そもそも俺のこの力でステラの体を治せるのか?

 

不安と疑問がある中、何とかならないかといくつか考えてみたのだが、何をするにしてもいま動けば状況が悪くなるのだ。

 

なので、いまからではなく少し時間をおいてから行動しようと思う。

 

それに、着いていきなり始まるというわけではないのでしばらくはこの基地の探索か、周囲を見てまわりたいな。

 

「ディナ。」

 

「はい。」

 

「シン・アスカに監視をつけられるか。」

 

「可能です。」

 

「それじゃあ、シンがステラを連れて動いたら報告してくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

「頼んだ。」

 

とりあえずしばらく自由行動だ。

彼が動くまではね。

 

----------------------

 

~ザフト軍 ジブラルタル基地~

 

ミネルバ率いるZEUTHがジブラルタル基地へ入港し、艦から降りる許可をもらうと皆が次々と艦から降り、俺たちは自由行動を許可されたので基地をうろつくことになった。

 

しかし、外に出てみると兵たちは何かあるのか賑わいっているのが分かる。

 

「なんだか、すごい賑わいですね。」

 

前を歩いていたロランは眼前に群がっている人たちに驚いていた。

 

確かに普段からこんなにも賑わっているのだろうかと疑問には思う。

 

そんなロランにヨウランが答えてくれる。

 

「ロランは知らないんだっけ。

今日、あのラクス・クラインがライブに来てくれるんだ。」

 

「ラクス・クライン?

それって確か歌姫と呼ばれている人でしたよね?」

 

「ああ、俺あの人のライブがあるって聞いてからずっと楽しみだったんだ。」

 

「へぇー、こんなに活気があるってことはすごい人なんですね。」

 

「ロランも見ていきなよきっと気に入るぞ。

おっ、噂をすれば。」

 

ヨウランが興奮しているとき、向こうから歓声が聞こえ、視線をそちらに向けると一際目立つピンクのザグ

がステージに歩いてきて、そしてザクの手から一人の少女が現れる。

 

『みなさーん!ラクス・クラインでーす!』

 

「「「おおー!!」」」

 

件の少女、ラクス・クラインの登場で観客全員が沸き上がる。

 

「すごい、熱気ですね。・・・ヨウラン?

どうかしましたか?」

 

「んー、あのラクス・クライン、なんだか雰囲気が変わったような気がするんだよな。」

 

ヨウランはラクス・クラインの様子が違うことに違和感を感じていた。

 

世間が知らないのも無理はない。

彼女はラクス・クラインを模した歌姫なのだから。

 

そして、元気よく歌うラクス・クラインを横目に視線をそらし少し離れたところに目をやると、ラクス・クラインを見守る人物が一人いた。

 

「・・・ギルバート・デュランダル。」

 

・・・いずれは彼とも戦うことになるんだろうな。

俺この場ですることはないので踵を返して、ライブ会場から離れる。

 

「マスター、どちらへ?」

 

「ここで見るものはなくなった。

他を見ていこう。」

 

「かしこまりました。」

 

----------------------

 

ライブ会場から離れるとまるで人がいなくなったかのような寂しさを感じる。

 

「人がほとんどいないな。」

 

「軍の人口の殆どがライブ会場に密集しております。」

 

デュランダル議長はラクス・クラインを世界に見せるためにこうやって基地の殆どの人をライブに集めているんだろうな。

 

一人でも多くの人が「あれはラクス・クラインだ」といえばそれで人々から彼女は偽物ではなく本物と言われるようになるんだろう。

そしてそれがデュランダル議長の考えでもある政治に利用できる歌姫だろうな。

 

「ん?ここは・・・?」

 

「ジブラルタル基地の入り口ですね。

この門の先は基地の外にある街に繋がっているようです。」

 

適当に歩いていると大きな門があり、兵士が厳重に警護していた。

・・・街に行くのもありか。

 

「街へとでるか。

だが、外に出ても問題はないのだろうか?」

 

「では、自分が兵のものに伺ってきましょうか?」

 

「ディナがか?」

 

「はい、マスターでも問題はないでしょうが、異性の者が交渉した際の方が成功率は高いと判断します。」

 

確かに俺よりディナの方がお願いすれば相手も頷いてくれるだろう。

むしろ俺が行くと話す前に銃を向けられそうな見た目だしな。

 

ディナは門番らしき人物に話しかけて外に出れないか交渉する。

 

ディナと話している人物は、ディナの顔を見てデレデレとしていた。

 

これが若さ・・・ではなく、男女差か。

 

少しするとディナが門番の兵士を連れてきた。

何かあったのか?

 

「マスター、外へ出る許可をもらえましたが、一応マスターの事も確認しておきたいとのことです。」

 

あ、なるほど。

仕事熱心で結構。

 

「ん、失礼ですが所属は?」

 

「ZEUTH・・・新造艦ミネルバの一員です。」

 

「この方と同じあの艦の人ですか。

でしたらすでに話は来ておりますのでどうぞ。」

 

「じつはここに来るのは初めてなので、できればどこかおすすめの場所はありますか?」

 

「おすすめですか・・・、あまりおすすめできる場所は少ないですが・・・。

ああ、それと初めてなのでしたら、部下にこの辺りをご案内しましょうか?」

 

「いいのですか?」

 

「ええ、ライブに興味がないものもおりますので問題はないです。」

 

まあ、アイドルに興味のないのがいたって不思議ではないか。

 

「では、お言葉に甘えて。」

 

そして、付き添うこととなった兵士を先頭に入り口の門を潜ると、そこは予想外の光景だった。

 

「こ、これは一体・・・。」

 

基地から一歩外へと出るとそこには人で溢れかえっており、至るところにテント等が立てられていた。

 

「難民キャンプです。

ここ最近、異星人による襲撃や戦争のため多くの人たちがこの基地に集まってきており、基地周辺は難民で溢れかえっています。」

 

目の前に広がる光景はテントと人が数多く見え、かなりの範囲を占めていた。

 

基地周辺にも建物はあるが、ここにいるのはその建物に入りきらず、テントをたてて雨風を凌いでいるのだろう。

 

「おい、早くしてくれよ!」

 

俺が難民キャンプを歩きながら見回していると、診療所らしき場所で何か揉めているようだった。

 

「もう、3日も息子の治療を待ってるんだぞ!」

 

「おい、それなら俺は一週間も待ってるんだ!俺が先だ!」

 

「なんだと!俺の息子はあの異星人の攻撃で大怪我しているんだぞ!

はやくしないと死んじまうんだぞ!」

 

「んなこと知ったこっちゃねえ!」

 

2人の男が取っ組み合い、いまにも殴りあいが起こりそうな雰囲気であった。

 

「ああ、またか。」

 

「こういうのは頻繁に起きてるのですか?」

 

「ええ、ここにある診療所も生き残った医者や看護師をかき集めた人たちばかりな上に、人手もまったく足りないので、診療所の人たちは休む間もないくらいの状態です。」

 

医者や看護師の格好をしている人たちは休む間もなく動いており、明らかに手が足りていない状態だった。

 

しかし、診療所のテントの回りには火傷や重症で身体中包帯に包まれている人、辛そうな顔つきをしている人でで溢れていた。

 

「・・・よしっ!」

 

「えっ、あのなにを・・・!?」

 

俺は意を決して、診療所で揉めている人たちの所へと歩く。

そして案内してくれている人は俺が揉めている人たちの所へと向かっているのに気がつき止めようとするが、ジョーカーはそれを無視して進む。

 

「失礼。少し良いですか?」

 

「あ?なんだこっちはいまそれどころじゃないんだ!」

 

「申し訳ない。だが息子さんが大ケガしていると聞こえたので。」

 

「あ、あんた医者かい?」

 

「医者、っというわけではないですが、治すことはできます。」

 

「ほっ、本当か!!

なら頼む、息子を助けてくれ!」

 

さっきまでもめていた男の顔は打って変わって、泣き顔で俺の服にしがみついて懇願してきた。

 

「わかりました。息子さんはどちらに。」

 

「い、いま連れてくる。」

 

男は人混みの中を突っ切って走っていきテントの中へと入っていった。

恐らくあそこに息子さんがいるのだろう。

 

「お、おいなら俺のところも見てくれるのか!?」

 

「ええ、どなたか具合が悪いのですか?」

 

「ああ、うちの母親がこの間の襲撃で腕を大ケガしちまって。」

 

「わかりました。見てみましょう。こちらにつれてきてもらえますか?」

 

「わ、分かった!」

 

「おおーい!息子の治療を頼む!」

 

先程の男が帰ってきて、腕に息子さんを抱えてやって来た。

 

「そこの台に乗せてください。」

 

俺はとりあえず少年を見るために大きくて平べったい場所に寝かせてもらい、怪我の具合を見る。

 

少年の体には至るところに火傷や傷口がありさらには体の殆どが包帯で包まれており、かなりひどい状態だった。

 

「はぁはぁ。」

 

少年の呼吸は荒く、息をするのも辛そうである。

 

「ぼ、僕、死ぬの?」

 

「大丈夫。俺に任せて。」

 

俺は少年の体に手を乗せ力を込めて、俺の力を発動させる。

 

手が緑色に淡く光り、少年の体を包む。

すると、火傷や傷口がみるみると小さくなり、最終的には怪我一つない体へとなり、不要となった包帯をとる。

 

「・・・あれ、痛くない?

仮面のお兄ちゃん、なにをしたの?」

 

「ん?

ん~・・・実はお兄さんは魔法使いなのさ。」

 

「お、おい!ほ、本当に大丈夫なのか?」

 

「あっ、父ちゃん!

うん、もう体はなんともないよ!」

 

少年は本当に何でもないかのように元気にガッツポーズをする。

 

「あ、ああああ、よかった。本当によかった。

あんた本当に、本当にありがとう!」

 

男は息子さんに強く抱きつき、涙を流しながら何度も感謝の言葉を並べてくる。

 

「おい、次はこっちを見てくれ!」

 

「いや、こっちだ、こっちを見てくれ!」

 

「次は私のところよ!」

 

この回復の力を見せたらもしかしたら、ここの人たちに嫌厭されるのではないかと思ったが、

どうやら思った以上にここにいる人は治療ができないことに切羽詰まっていたようなので、いまや俺の回りに人が溢れかえっていり。

とにかく俺の回復の力であっても治したいようだ。

 

「み、皆さん落ち着いて、とりあえず重症のかたを優先に「そんなの待ってられるか!早くしてくれよ!」」

 

しかし、藁にも縋る思いなのかここにいる人々は押し寄せてきたせいでか混乱し、状況が悪化しそうな雰囲気もあった。

 

(しまった。

このままじゃ、まずい。

俺、俺はまた余計なことをしてしまったのか。)

 

自分が、よかれと思ったことが裏目に出てしまった。

軽率なことをしてしまった俺は自分の事に嫌気がさす。

 

「ここは我々に任せてください。」

 

そんなとき、誰かが俺の肩に触れ、振り向くと白衣を着た男性がいた。

 

「あ、あなた方は?」

 

「我々はここで医者をやっているものです。

重軽症者の選別は我々に任せてください。」

 

混乱している人々を看護師や医者の人が手慣れた感じでいなしており、次々と重軽傷者を選別していってた。

 

「では誘導はこちらが行います。

いまから連絡して基地から兵を何人か呼びましょう。」

 

さらには俺を案内していたザフト兵の人が通信機を取り出して基地の人と連絡を取りこちらに人を寄越してくれるようだ。

 

こんな戦争のなか、自分の事で手一杯のはずなのにこうやって協力できるのだなと。

そして感謝の気持ちで涙が出そうだったが、言い出した俺にはやるべきことがある。

それを済ませないといけない。

 

「皆さん・・・、お願いします。

それとありがとうございます。」

 

「今は手が足りない状況。

どういったものか分かりませんがあなたのその不思議な力、どうかここにいる人たちの事をお願いします。」

 

「わかりました。」

 

そしてそんな光景を見ていたディナはというと。

 

「これも『人間』の一つ・・・。」

 

機械であった少女はその光景を見て何を思ったのか、それは本人にしかわからない。

ただディナはその光景を主人の傍らで見守っていた。

 

 

 

しかし、そんなやり取りの中で一人の人物がこちらをじっと見ているのであった。

 

「いまのは・・・。」

 

 

----------------------

 

「つ、疲れた。」

 

五時間ぶっ通しで治療を行い、ようやく人混みが収まってきたのでテントの中に入り、一息休憩することにし、テントにある椅子に座り込むのだった。

 

「お疲れ様です。」

 

続けて入ってきたのは先程いた白衣の男性だった。

 

「ええ、そちらもお疲れ様です。」

 

白衣の男性は俺とは反対側の位置で向かい合う感じで座った。

 

「この度は本当にありがとうございます。」

 

白衣の男性が座った後、突然頭を下げて礼を言う。

 

「あっ、いえ、そんなお礼なんて。」

 

突然のお礼に、俺はキョドってしまう。

そりゃそうだ。

俺がやったことでめちゃくちゃ混乱した上に、いろんな人に迷惑をかけてしまったのだ。

礼を言われるなんて・・・。

 

「ですがあなたのお陰で、多くの人が救われました。」

 

「・・・俺のこの力、気味悪がらないのですか?」

 

俺の持つこの本来人間にはない異質な力。

俺が気になっていたことを白衣の男性に問う。

 

「・・・正直にいえば貴方のその不思議な光・・・よく分からないものだと、怪しんでいました。」

 

やはり・・・か。

実際に言われると重みが違うな。

やっぱり人に見せるものじゃないなこの力は・・・。

 

「ですが、貴方のその力がなければここにいる人のほとんどは我々の手にかかることもできずに亡くなっていたでしょう。」

 

男性は悲しそうな表情をしていたが、視線をテントの外を向けていたので俺もつられて眺めると、外には先程まで怪我していたとは思えない人たちが笑顔で過ごしていた。

 

「我々は怪我や病気を治すことはできます。

しかし、我々には限度があり、治せるのもあれば手に負えないものもあります。医者と言えど限度はあります。

一人ならまだしも、これだけの大人数は我々医者の数が少ないほど無力となってしまいます。」

 

「それに、こんなこと言っては医者失格ですが、

正直、ここにいた重症の人を救うことは諦めていました。

私だけではなく他の人もどうやらそう思っていました。」

 

治療していた人の数は多かった。

重症の人を優先に治療していたが、軽傷の人は医者や看護師が対応していてくれてたらしく、分担していたお陰で素早く済んだのだった。

 

もし、彼らの手助けがなかったら、俺はここの人たちを救えていたのだろうか?

 

「ですが、あなたが現れたお陰でここで治療するには設備も薬品も足りるかわからない患者を貴方はあっという間に直してくれました。

そして我々は思ったのです、貴方がいればここの人たちを救えると。

だから我々は貴方に任せることにしたんです。

貴方のその力に!」

 

ああ、だがらあんなにも信用して、俺に託してくれたのか。

 

「ああやって、みなさんが笑顔でいられたのは紛れもなく貴方の力のお陰です。

我々だけでは到底できないことをあなたは成し遂げてくれたのです。」

 

テントの外で賑わっているか人々を見て俺は仮面の下で涙を流す。

 

この世界に来て色々なことがあった。

思い通りにならなかった事もあった。

だけど今回の俺の行動は間違っていなかったんだ。

俺はようやく人の役に立てたのだと。

 

「マスター。」

 

涙を流しているなか、ディナが傍に寄り耳打ちする。

 

「シン・アスカが動きました。」

 

「!・・・わかった。すぐ向かおう。」

 

どうやら休んでいる暇はないようだ。

涙を流すのはやめて俺は目的の場所へと向かうのだった。

 

----------------------

 

 

~ミネルバ~

 

ミネルバ艦内で医務室から三人の人物が出てくる。

 

「大丈夫だよステラ。俺が君をネオのところに連れて行ってあげるから。」

 

「シン、急ぐぞ。

恐らく異変にすぐ気がつかれる。

そうなると彼女を返すこともできなくなるぞ。」

 

「ああ、わかってる!」

 

医務室から出てきたのはザフトのパイロットであるシンとレイ。

そして捕虜であるステラが眠るベットを押して通路を歩いていた。

 

 

しかし、世の中甘くないのか通路を進んでいると曲がり角から巡回の兵士と出会ってしまった。

 

「やべ、まずい!」

 

シンはステラの眠るベットを押しており、とっさに止まり、レイが前に出て兵士に騒がれる前に先手を打とうとする。

 

「おい、お前何をして・・・ぐっ!」

 

しかし、レイが手を下す前に兵士の後ろに黒衣の少女が現れて手刀で兵士の首筋に一撃を与え気絶させる。

 

「なっ!」

 

「対象を無力化。」

 

「あ、あんた一体。」

 

「確か・・・彼女はジョーカーと一緒にいた少女。」

 

「よし、よくやった。」

 

ディナの後に続いて、仮面の男ジョーカーも現れる。

 

「ジョーカー!

どうしてここに!?」

 

「そんなことよりも、さあ早く。インパルスの発進準備は整えた。」

 

「え?」

 

「その子。ステラを連合に返すんのだろ。」

 

「ど、どうしてそれを。」

 

「早くしろ。レイはカタパルトの準備を。シンはコアスプレンダーに乗るんだ。」

 

「・・・!、了解した。」

 

レイは状況を理解してくれたのか即座に動き、カタパルトの準備をするためにシンたちとは別れる。

 

「さあ、俺たちも行こう。」

 

「なんで・・・、あんたが。」

 

シンは未だにジョーカーの登場に、そして手を貸してくれることに戸惑っていた。

 

「その子の為を思って連合にいくんだろ。困っていたら助けてあげないと。さあ、早く行くぞ。兵士が来たら出るに出られないぞ。」

 

「あ、ああ。」

 

「ああ、それとディナ、ここは俺たちが済ませる。

念のためにデビルガンダムで待機していてくれ。」

 

「畏まりました。」

 

ディナは目にも止まらぬ早さで姿を消す。

 

そして、コアスプレンダーにシンが乗り、彼の膝の上にステラを乗せて倒れないように固定しておく。

 

「よし、このベルトを着けて、っとその子が安全なようにちゃんとしないとな。」

 

「ジョーカー。えっと、ありがとう。」

 

「気にするな。さっきも言ったが困っていから助けてあげただけだ。よし、これで大丈夫だろう。」

 

「はぁ、はぁ、・・・シン?」

 

薬の効果が切れたのかステラが目を覚まし、苦しそうにシンを見つめる。

 

「ステラ、大丈夫?今から連邦に連れていくから。」

 

「・・・?、ネオ?」

 

「そうだよ。ネオのところに連れていってあげるからね。」

 

「さあ、シン早く行け。」

 

こうして話しているうちに兵士が来てしまうかもしれない。

しかし、ステラは俺の声に反応したのか今度は俺を見つめてきた。

 

「・・・あなたは?」

 

「・・・ジョーカーだ。君と話すのは初めてだね。体には気を付けるんだよ。」

 

「あなたも・・・また会える?」

 

「・・・ああ、その首飾りがあればまた会えるさ。」 

 

「・・・?」

 

ステラはジョーカーの言葉に首をかしげる。彼女はジョーカーの言った言葉を何処かで聞いたような感じだった。しかし、それがどこでだったか思い出せなかった。

それどころか意識は朦朧としておりまともに考えることはできなかった。

 

「・・・せめて君が元気になるおまじないだけはしておこう。」

 

ジョーカーはステラの手を握り、回復の力を使いステラの体が淡い緑で包まれる。

 

そして効果があったのか彼女から辛そうな顔はなくなっていた。

 

「いまのは・・・。」

 

「ほんのおまじないだ。

さあ早く、兵士がすぐ来るぞ!」

 

「っ!・・・ああ!

それじゃあ、ステラいくよ。」

 

シンはコアスプレンダーのキャノピーを下ろして出撃準備を整え発進する。

 

レイの方も間に合ったのかコアスプレンダーの射出口を開いてくれる。

 

「シン・アスカ!

コアスプレンダー出ます!」

 

強いGが一気に掛かり、機体がカタパルトから射出され、続けてチェストフライヤー、レッグフライヤー、そしてシルエットフライヤーも射出し、4機がそれぞれ合体しインパルスガンダムへと合体する。

 

「頼む間に合ってくれ!」

 

シンはステラの体に負担を与えないように気を使いながら、シンはフットペダルを踏み加速させる。

 

そしてその後を追いかける、虫の形をした一つ目のロボットに追跡されているとも知らずに。

 

 

----------------------

 

「行ったか。」

 

「ええ。」

 

シンのコアスプレンダーを見送り、俺とレイは格納庫で佇んでいた。

 

今回、俺が出るまでもなかったが、

やはり、俺がいることで何か予想外のことが生じるんじゃないかと思ったがどいたやら杞憂のようだった。

まあ正直いうと心配だったのもある。

 

そして、シンが出撃してから遅れてザフトの兵士がゾロゾロとやってくる。

 

「レイ・ザ・バレル、そしてジョーカー。

連邦兵士の脱走に関与しているのは明白だ。

同行してもらおう。連れて行け!」

 

逃げ場はなく、俺とレイの手に手錠をかけられ、連行される。

 

まあ、これから尋問されるんだろうな。

 

 

あれ?

確か二人はデスティニープランの要になるからデュランダル議長が帳消しにしてくれるが、この場合俺はどうなるんだ?

 

 

 

 

・・・やべぇ、詰んだ?

 

 

----------------------

 

ジブラルタル基地の部屋の一つに、ラクス・クラインの付き添いできていたデュランダルが今回の騒動の報告書を見ていた。

 

「なるほど。連邦のエクステンデットを逃がしたのか。」

 

「はい、今回の騒動を引き起こしたのは我が艦のシン・アスカ、レイ・ザ・バレル、そしてジョーカーの三名によるものです。」

 

「なるほど、詳細は分かった。

彼らの処遇は追って伝えるとしよう。」

 

「わかりました。ではこれにて失礼します。」

 

タリアは報告が終わると踵を返して、デュランダルの部屋を後にする。

 

「・・・それで、結果は?」

 

タリア艦長が部屋を出たあと、デュランダル議長が誰かに対して喋っていると物陰から人が現れる。

 

「はい、ミネルバに設置している監視カメラでも映像が確認できました。」

 

彼の正体はザフトの中でも一部の者しか知らない兵士。

いわゆる内部調査を目的とした兵士の一人だ。

 

「それは、ほんとうか。」

 

「はい、ですが何者かの工作なのかいくつか映像が見れませんでしたが、こちらで確認できます。

ただ、こちらのカメラはネットワークから独立したタイプな上に小型化にしたのですが、さらに残念ながら雑音が酷く音声は入手できませんでした。」

 

音声もあればよかったが音声がなくてもこの映像は確実な証拠になるのは間違いなかった。

そしてデュランダルはカメラの映像をモニターで再生する。

 

「これは…。」

 

そこに映っていたのはシンとレイ、そして仮面を被った男ジョーカーの3人(・・)だった。

 

 

連邦の兵士をつれているシンたちと合流しており、ジョーカーを先頭に格納庫へと向かっているのが映像に映っている。

 

会話の内容はわからないが、この手際のよさにデュランダル議長は違和感を感じた。

 

(もしや、この脱走を仕組んだのは彼なのか?)

 

「この3人はどうしますか?」

 

「・・・シンとレイはザフトの一員だ。

それに彼らはパイロットとしての功績もある。

だが、ジョーカーというこの男。

恐らくこの脱走は彼が計画した上でシンやレイが手伝ったのだろう。

2人に何を見返りにしたのかわからないが主犯はこの男で間違いはないはずだ。」

 

「では、この者は。」

 

「ああ、君のやり方で頼んだよ。もちろん、丁重にね…。」

 

「はっ!では、失礼いたします。」

 

ザフト兵はデュランダルの部屋を後にする。

 

「やはり彼は我々とは相反する存在なのかもしれないな。」

 

モニター越しに写るその仮面を最後にデュランダルはモニターの電源を切るのであった。

 

 




おや、不穏な空気が・・・。


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第37.5話 無罪と罰

ひゃー!
あけましておめでとぉー!(いまさら)


~ミネルバ艦内 独房~

 

ミネルバの艦内にある薄暗い部屋。

その部屋には独房があり、そこにはレイとジョーカーが捕らえられていた。

連邦の兵士の脱走の手助け、無許可の発進、さらにはザフト軍の兵器でもあるMSの無許可の使用と、重大な軍規違反を侵したため、二人はそんな薄暗い独房の檻に別々で入れられていた。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

捕らえられている二人はというと特に会話がなく、沈黙し部屋は静かだった。

 

ジョーカーはあまり多く話すことはない人物であり、レイも寡黙な青年でもあるので話すことはなかった。

 

「・・・すまなかった。」

 

しかし、そんな静けさが漂う独房の中で長い沈黙を破ったのはレイだった。

 

「・・・ん?、何がだ?」

 

「本来なら俺たち二人だけで済ませるはずだったが、

あなたの手も煩わせてしまった。」

 

「気にしなくてもいい。

たまたま君たちのしていたことに出くわして、

ただ、手伝っただけだ。

シンが彼女とどういった関係かは知らないが、

それに彼女の体、見た限りだがもう限界だったんじゃないか?」

 

「・・・ああ。」

 

「なら、このまま衰弱するより、治療のわかる連邦に渡した方がまだ助かる可能性はある。」

 

「あなたはそれでよかったと?」

 

「ん?」

 

「彼女は元々は我々と敵対していた連邦の一人。

敵であった彼女をみすみす逃したことを。」

 

「・・・確かに我々ZEUTHやザフトからすれば彼女は敵かもしれない。

けど、シンはそんな敵である彼女を逃がしたかったのだろう?

理由は聞かないが、そんなに必死にまで守ってあげたい彼女を、奪い取るような真似はしたくはない。

それに返してあげた方がよい結果に繋がるかもしれない。」

 

「・・・これがいい結果であれば。」

 

「どういう意味だ?」

 

「彼女が連邦で治療を受けたとしても、

快復した彼女はまた戦争に連れ出されたときシンは果たしてどうするのかと思ってな。」

 

「・・・。」

 

レイの突きつけた可能性。

その可能性もありうる、もしくは想定とは違った結果にも。

だが、ジョーカーはレイの言葉に対してなにも言わず沈黙するが・・・。

 

「・・・もしかしたら、君のいう通り悲しい結果になるかもしれない。

けれど、もし神様が彼女のこと見たらきって助けてくれるんじゃないかな?」

 

「・・・それで救われるなら、誰も苦労はしない。」

 

「・・・そうだな。

明日の事なんて未来を見ることができなければ誰もわからない。

でも案外、シンなら彼女のこと何とかしてくれるのかもしれないな。」

 

「・・・。」

 

そこで会話が続かなくなってしまい、

再び、静まる独房。

そんなとき、独房の入り口が開きゾロゾロと兵士が入ってくるなかにシンがいた。

想定していた時間よりも早いが、ここにいるということは恐らく連邦にステラを無事に引き渡せたのだろう。

 

「さあ、入れ。」

 

シンは兵士の指示に従って指定された牢の中にはいり、鍵を閉められる。

 

「そこにいる奴等にも伝えたが処罰は追って伝える。おとなしくそこで待っていろ。」

 

兵士は役目を終えて独房から続々と出ていく。

 

そして兵士はいなくなり三人だけとなった部屋でジョーカーはシンに話しかける。

 

「無事、彼女は返せたか?」

 

「ええ、ネオっていう連邦の指揮官に彼女を返しました。」

 

「そうか・・・。」

 

壁越しで喋っているためジョーカーの状態はわからないがどこか悲しそうな感じの声で返事をした。

 

「あの、すみませんでした。」

 

「え?」

 

シンの突然の謝罪にジョーカーは驚いたのか唖然とした声を漏らす。

 

「いや、あんたも巻き込んでしまったの悪かったなと思って。」

 

「・・・ぷっ、ははははは!!」

 

シンが敬語やタメ口を混ぜながらも謝っているなか、ジョーカーは突然笑い声をあげる。

 

「え?、ええ!?」

 

シンは壁越しだが突然壁の向こうで笑い始めたジョーカーについていけず、思わず困惑する。

 

「はは、いや、すまない。

レイと同じ事をついさっき言われたけどまさか二人とも同じなのを言われるとはね。

俺は別にそんな気にしてないのだがね。」

 

「えっ、レイが?」

 

「・・・。」

 

レイと共に過ごしていたシンからすれば、レイが俺と同じことをいうなんて想像すらしていなかった。

 

シンとレイは性格が全く違っており、意見も考えも違っていた。

しかし、彼らは訓練生時代から一緒にいた仲間。

意識せずとも二人はよきパートナーとして成長していたのだろう。

 

「だが、仲がいいのは良いことだ。

シン。そういう繋がりは大切にするんだぞ。」

 

ジョーカーはシンにそんなことを言っていたとき、シンはふと違和感を感じた。

 

壁越しだから顔も見えなければ表情もわからない。

けれど、彼の言葉は何処か憐れんでいるのかもしくは哀しんでいるのかそういった感情をうっすらと感じとるのであったが、ジョーカーたちが会話をしているとき、再び入り口の扉が開きそこから同じZEUTHの仲間であるアスランが入ってきてシンの牢の前にやって来ては立ち止まる。

 

シンは嫌いな人物がやって来たからなのか不機嫌な表情になる。

 

「・・・なんですか?」

 

「いや、・・・彼女のことすまないと思って。」

 

「え?」

 

「君が彼女に対してそんなに思い詰めているとは思わなかった。」

 

「・・・ああ、別に思い詰めてたってわけじゃありませんけど。」

 

「・・・?」

 

「ただ嫌だと思っただけですよ。

彼女・・・ステラも戦争の被害者なのに、あんなに弱って、死にそうになっていてもみんなして敵だの、連邦の強化人間だからだの、死んだって仕方がないみたいに!」

 

シンは憤りを感じていた。

もし普通の兵士だったら、最低限の食事や治療を行う捕虜の人道的扱いが当たり前だった。

しかし、彼女が強化人間であるだけで、まともな扱いはせず、さらに弱っていくのを仕方がないと片付けることにシンは納得がいかなかったのだ。

さらにいえばその彼女がシンにとって特別な存在となればなおさらである。

 

「だが、それも事実だ。」

 

「・・・なっ!?」

 

「彼女は連邦のパイロットであり、そして彼女は多くの仲間を殺してきたことも事実だ。

それを君は・・・。」

 

「それは!

・・・でも、彼女が望んでやった訳じゃない!

望んで軍に入った俺たちとは違います!!」

 

「ならば、なおのこと彼女は返すべきではなかったのかもしれない。

自分の意思で戦場を去ることができないのなら彼女はまた誰かの手で戦場に連れ戻されることだって・・・。」

 

「なら、あのまま死なせればよかったと言いたいんですか!」

 

「そうは言っていない、ただ俺は・・・。」

 

「二人とも、もうそこまででいいだろ。」

 

アスランとシンの論争が激化するなか沈黙していたジョーカーが二人の会話を遮って制止させる。

 

「アスラン。君がいっていることも確かに正しい。

けれど、救いたい、助けたいことにすべて正当な理由がないとダメなのか?」

 

「それは・・・。」

 

ジョーカーは淡々と喋っているが、言葉の奥底にはどこか怒りのようなものを感じた。

 

「・・・では、質問を変えよう。

君は軍の、それも決められたルールためならばオーブの姫を撃つことはできるのか?」

 

「な、なぜ、カガリがそこで!?」

 

「簡単なことだ。

君のいう敵という明確な線引きをするのならばこちらに攻撃を仕掛けてくるアークエンジェルやオーブ軍はザフトの敵ということになるぞ?

もし、彼女が捕らえられたとき君はどうする?

見捨てるのか?それとも・・・?」

 

「・・・。」

 

アスランはジョーカーの言葉に関してはなにも言えず、ただだんまりとする。

ただ彼がいうそんな状況になったとき、アスランはどうするのだろうか?

しかし、アスランは答えは出せなかった。

 

アスランが口を開きせめて何かを言おうかと言葉を選んでいるとき、入り口の扉が開き武装したザフト兵が数人入ってきた。

 

「シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、出ろ。」

 

「え?」

 

突然の事に理解が追い付かないのか誰かが疑問の声を出すが、果たしてそれが誰なのかはわからなかった。

 

「議長がお呼びだ。」

 

「議長が?」

 

シンはなぜ議長がと、疑問が湧くなか、

シンとレイの二人は兵に連れられ、独房から出るのであった。

 

 

 

----------------------

 

 

少し時間は巻き戻り、シンがステラをMSに乗せて連邦に連れていっているとき。

 

ザフトによって囚われたステラを追ってジブラルタル基地近くにまでやって来た連邦軍の強化人間たちがいるエクステンデット部隊の陸上戦艦。

そこでは指揮官ネオ・ノアローク大佐と隊員たちが奪還もしくは証拠隠滅の準備を進めていた。

 

強化人間の施設を見られ、さらには強化人間を捕獲される。

それらは彼ら連邦にとって人体実験をしていたなどと世間に広まるのはあまりよろしく思われてなくか、部隊の責任は指揮官がとれとのことで、ザフト軍の中でも強固な守りであるジブラルタル基地に向かって部隊1つと多くない人数で向かわなければならなかった。

俗に言う当たって砕けろである。

 

しかし、彼らの目的であるステラは突然ザフトのパイロットによって引き渡されることとなった。

だが、パイロット単独の・・・、それも軍の正式な手続きなしでだ。

 

本来ならば捕虜引き渡しには色々と面倒なことがある。

メリットとしては無駄な血を流さないことだが、この引き渡しは政治や取引的にはデメリットが多すぎる。

 

政治家や重要人物など怪我を負わせないように細心の注意をするにはいいが、今回は目的は強化人間のパイロット。

取引するために天秤にのせること事態がありえない。

 

その為、奇襲による奪還作戦のはずが敵のパイロットが単独で返還するというのだ。

しかも条件に『ネオ・ノアロークただ一人で来い』と。

 

これを罠と思わないはずがない。

 

連邦の兵士は罠だと言ったが、エクステンデットの指揮官でもあるネオ・ノアロークはこれに応じて一人で出撃した。

 

彼の腕前のことを知っているためか、兵士たちはしつこく止めたりはしなかったが、内心不安もあった。

 

しかし、ネオが単機で出撃してから数十分たつとネオの機体が帰ってきて艦に着艦した。

ネオは戦闘もなく無事に帰還したこともあってか、兵士たちは安堵し、ネオがつれてきた強化人間の少女はそのまま、調整室へと運び込まれた。

 

そして現在に至る。

 

「ふぅ、ただいまっと。

なにか問題はなかったか。」

 

「はっ、大佐が帰還した直後に連邦軍特務隊と名乗るものからの秘匿文を受信しました。」

 

「ん、秘匿文?俺たちにか?」

 

「はっ、読み上げます。

 

『ザフト軍ジブラルタル基地付近にいる連邦軍に伝える。

現在、ザフト軍最高評議会議長ギルバート・デュランダル、及びラクス・クラインによる訪問が行われている。

なお、現在、ラクス・クラインによる歌の公演により基地の警戒は手薄。我々が一部警戒網に穴を開けているため進軍可能。

戦力を持つ友軍の助力を求む。』との事です。」

 

「ふむ。

・・・送ってきた人物のデータの照合は確認できたか?」

 

「はい、IDを基地のデータベースで確認したところ本物であるのは確認できたのですが、詳細は極秘との事で詳しくは・・・。」

 

「いや、かまわない。

大方、潜入任務で隊員の詳細は秘匿というのだろう。」

 

「大佐、もしやこれこそ本当に罠なのでは?」

 

「・・・。」

 

ネオは考える。

 

元々はステラの救出でジブラルタル基地へとやって来たが出撃することなく救出することができた。それも敵兵士の手によって。

さらにはまるでタイミングよく、ジブラルタル基地にスパイがいると思われる通信が来た。

それがあまりにもできすぎているのだ。

 

ここまで立て続けにこちらに理があることに不安を覚える。

 

だな同時に思った。

まるで誰かのシナリオに踊らされているのではないのかと。

 

(もしやあの少年がステラを連れてきたのはそのスパイによるものなのか?)

 

ネオは思った。あのジブラルタル基地にいるスパイ、いったい何者なのかと。

 

「・・・援軍の要請はできるか?」

 

「確認します・・・、

返答によりますと早くて30分くらいには到着するとのことです。」

 

「十分だ。向こうについたら援軍もすぐ到着する時間だな。

援軍には我々の合図で突入するように伝えろ。」

 

「では?」

 

「我々はこのままジブラルタル基地へと向かう。」

 

「了解!」

 

「ああ、それと例の試作機の準備もしといてくれよ。」

 

「えっ?しかし、あの試作機にはまだパイロットが。」

 

「パイロットはさっき戻ってきただろう?」

 

「戻ってきた?・・・もしや!?」

 

「とにかく、彼女があれを使えるために調整するよう伝えるんだ。」

 

「り、了解です。」

 

ネオはその場を離れ少女の眠る部屋へと向かうのだった。

 

 

----------------------

 

ネオによるジブラルタル基地襲撃の準備をしている頃、ジブラルタル基地内にて通信機をもった複数のザフト兵が人目つかないところにいた。

 

「付近の連邦軍にメッセージは届けられたか?」

 

「はっ、問題ありません。」

 

「よし、ならここはじきに戦場となる。

予定通り、警戒網に穴を開けた状態でここから離脱。

その後、迎えに来ているカイメラ隊と合流する。」

 

「「「はっ!」」」

 

そして、偽のザフト兵たちは敬礼したあと、まるで何事もなかったかのようにその場から散り、周りに溶け込むかのように己のいくべき場へと向かうのであった。

 

 

----------------------

 

 

そして、場所は戻りジブラルタル基地の中央に位置する場所ではより一層に警備が厳重の場所があり、さらにその中にはザフト軍の最高評議会議長ギルバート・デュランダルが座して待っていた。

 

そして、ある程度時間が経つとデュランダルのいる部屋の扉がノックで叩かれ、デュランダルは扉の向こうに自分が呼んだもの達が来たと確信していたのかほんの僅かながらに口元に笑みをこぼす。

 

「議長、シン・アスカ、レイ・ザ・バレル両名をお連れしました。」

 

入ってきた兵士の後ろに付いてくるかのようにシンとレイの二人がいた。

 

「ご苦労。

やあ、シンとレイ。よく来てくれた。」

 

そしてデュランダルは二人を向かいいれるかのように席をたち二人の元に歩み寄る

 

「あの、議長、俺・・・。」

 

シンはここに連れてこられた理由は自分でも理解できていた。

しかし、デュランダルに何を言えばいいのか、言葉が見つからずシンはデュランダルの前で俯くしかなかった。

 

「今回の件、強化人間である兵士が逃亡の末、死亡したのは実に残念ではあるが、これまでの功績によりZEUTHの今回の件は不問に付す。」

 

「えっ?」

 

デュランダルが突然の言葉に驚くシン。

自分がステラを逃がしたのに、議長から出た言葉はまるでステラ自身が逃げたかのようであり、俺たちに罪はないと。

しかし、シンはなぜかそれを認めてはいけないような、焦燥感に駆られる。

 

「まっ、待ってください議長。あの・・・。」

 

「シン。」

 

議長に問いかけるシンをレイは止める。

レイはシンに言葉ではなく目で語る。

"これ以上は追究してはいけない"と。

 

それが伝わったのかシンはこれ以上はいけないと理解し、引き下がる。

 

「さて、君たちのに関する事はこれで終わりだ。

では・・・。」

 

「議長、その前に質問をよろしいでしょうか。」

 

デュランダルが次の話題にふろうとしたとき、レイは軽く挙手して、質問をする。

 

「何かな、レイ?」

 

「今回の件でジョーカーも囚われているのですが、我々は不問となったなら、彼はなぜいまだ牢なのでしょうか?」

 

レイの言葉でシンは思い出す。

確かにシンとレイは牢から出されたのに、ジョーカーだけは牢に入れられたままだった。

 

今回の事を不問にするなら彼がいまだ牢にいるのはおかしいとシンは気づく。

 

「ふむ、実は今から話すのはジョーカーについて君たちに聞きたいと思ってな。」

 

「ジョーカーについて、ですか?」

 

「そう、彼についてだ。

あまり大きな声では言えないが、

今回は件に関しては不問に付したが、本来なら君たち二人だけで行ったものかなと?」

 

「はい。」

 

「そして、彼は君たちの事を手助けした。

それは間違いないのだな?」

 

「はい、間違いないです。」

 

シンはデュランダルに対して嘘は言わず正直に話す。

 

「だが、もしそうだとしたら私は少しばかり不可解な点があるのだか。」

 

「不可解な点?」

 

不可解な点があるとデュランダルは言うがシンはとっさには思い付かなかった。

 

「君たち二人が行ったことをなぜ彼がすでに知っていたのかということについてだ。」

 

ジョーカーはたしかに二人の前に現れ、

そして、彼は俺たちがステラを連邦に連れていくことを知っていた。

 

「ですが、それでしたら彼が偶然出くわしたとき咄嗟に理解したというのも否定はできませんが。」

 

レイのいう通りなら、咄嗟に出くわしたときに瞬時にシンたちの状況を理解できる人ならば可能ではある。

 

しかし、デュランダルはというと。

 

「そう、確かに私もその可能性は考えた。」

 

そして、デュランダルは机におかれているパネルを操作し壁設置されているモニターが起動する。

 

「彼らはどうやら君たちが医務室に入る前に格納庫にいたのは確認できている、彼らは何かしらの準備をしていたようだがカメラの不調なのか確認はできなかった。

だが確認できたカメラによると格納庫からジョーカーは一直線に君たちのいる場所へと向かっている。」

 

スクリーンにはたしかにジョーカーとあの黒衣の少女の姿が写っていた。

 

「ここまでの状況を見て、君たちならもう分かるのではないかな?

彼がなぜ、君たちが連邦の兵士を逃がすことを知っていたのか。」

 

「あの・・・議長、いったい何を?」

 

「私はこう思うのだ、彼は連邦のスパイではないのかと?」

 

「なっ・・・!?」

 

シンは驚きを隠せなかった。

彼は共に戦い、仲間を助けてくれたこともあった。

そんな彼が連邦のスパイだと、シンにとっては信じがたいものであった。

 

「そんな!?

まっ、待ってください!

確かに変な仮面や格好で怪しそうな雰囲気はありますけど、ジョーカーは俺たちと共にいた仲間です。

それに戦闘でもZEUTHの仲間と共に戦ってくれました!」

 

「確かに彼はZEUTH共に戦い、さらに報告で聞いたがハイネ・ヴェステンフルスを庇ったとの報告もある。」

 

「なら・・・!」

 

「しかし、それだけで彼は無実と決めるには国と国民の上に立つものとして容易には認められぬ。」

 

国と国民の上に立つコーディネーターのトップでもあるデュランダル。

シンやレイは特別であるが、

一個人であり、ザフトとはあまり関わりがない彼を無実にするには彼にとってあまりよろしくはなかった。

 

「だが、彼が連邦のスパイではないという確証もないのもまた事実だ。」

 

デュランダルの言うとおりに同時にスパイの証拠もないのは紛れもない事実である。

 

「シン、私は彼が憎いとかではなく、あくまでザフト、そして君たちコーディネーターの為でもあるための一時的なものだ。

必ず罪に問われるわけではない。

君たちが信じるように彼がスパイではないと私も信じよう。

だから、君たちも私を信じてほしい。」

 

「議長。・・・あの!」

 

シンが口を開き喋ろうとした、

 

その瞬間・・・!

 

突然、爆発音と震動が響き渡り、シンとレイ、デュランダルは姿勢を保てず、床に崩れ倒れる。

 

「くっ!、・・・な、なにが?」

 

突然の出来事に、シンは慌てる。

しかし、その後も爆発音は響き渡る。

 

「議長、失礼します!」

 

「何事だ!」

 

「はっ、現在我が基地に連邦軍の部隊によって襲撃されてます!」

 

兵士からの報告に誰もが驚く。

無理もない。

ここは地球にあるザフト軍の基地では他よりも侵入に対して厳重に警戒しており連邦の侵入を簡単に許すはずがなかった。

 

「なんということだ。なぜ誰も気がつかなかったのだ。」

 

「申し訳ありません!、

原因は不明ですがレーダーに引っ掛からずに敵の侵入を許してしまいました。」

 

「とにかく、被害を最小限に食い止めるのが最優先だ!」

 

「りょ、了解しました。」

 

攻撃による爆発音が続くなか、兵士はすぐさま踵を返して、走り去る。

 

「なぜここに連邦軍が?

いや、そうなるとまさか・・・!

やはり、私の予想は正しかったようだな。」

 

「議長、早く避難を・・・。議長?」

 

レイはデュランダルを安全な場所に避難させようとデュランダルの顔を見ると、してやられたかのように笑みをこぼしていた。

 

「どうやら我々はジョーカーにしてやられたようだ。」

 

「どういうことです?」

 

「今回の連邦の兵士の脱走の手助け、そして彼が独房にいるこのタイミングで基地の警戒網に引っ掛からずに連邦の侵入されるなど、あまりにもできすぎていると思わないか?」

 

「そんな!?」

 

「彼が捕まったことで躍起になったのかもしれないな。

連邦め、それほどの彼は重要人物か。」

 

「もしやこの襲撃もジョーカーによるものと?」

 

「確実とは言えぬが、恐らくは・・・。」

 

「議長!」

 

デュランダルが顎に手を当てて、考えにふける中、先程とは別の兵士が慌ててやって来た。

 

「どうした。」

 

「はっ、独房に捕らえられていたジョーカーが脱走しました!」

 

「何!?

監視は何をしていた!」

 

「も、申し訳ありません。

どうやらこの騒動の隙に逃げられました!」

 

「なんということだ!

ともかく、なんとしてもジョーカーを逃がすな。」

 

「しかし、外はどこもかしこも戦闘状態、やつを見つけられるか・・・。」

 

「ならば、ここの警備の者を連れて探すのだ!

彼をここから逃がしてはならない!」

 

「了解しました!」

 

「議長、ここは危険ですお早くシェルターに!」

 

兵士が慌ただしく出口に向かい、さらに入れ替わって護衛の兵士がすぐにでも議長を安全な場所に移動させようと急かす。

 

「ともかく、まずはこの窮地を脱せねば。

シンとレイはミネルバと合流し、侵入してきた連邦を撃退せよ。」

 

「了解しました。」

 

「りょ、了解・・・しました。」

 

二人に役目を与え、護衛と共にデュランダルは部屋を後にする。

 

「シン、俺たちも急ぐぞ。」

 

「あ、ああ。」

 

レイはミネルバと合流するため即座に部屋を出て、走って向かう。

シンも、レイを追って部屋を出るが、心ここにあらずといった感じて動揺していた。

 

「ステラ・・・。」

 

ジョーカーのこともあるが、

シンにとって一番気にかかるのは連邦へと送り出した少女は無事なのだろうかと不安が積もるばかりであった。




言葉って、付け足したり、わざと減らしたりするだけで意味が変わってきますからね、政治って怖い。
(作者の文章力や表現力は相変わらず低いですが(泣))

数ヶ月もお待たせして申し訳ないですm(__)m
以前のパソコンが壊れてからようやく復帰しましたので、ちょくちょく頑張ります。(  ̄▽ ̄)


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