Not A Hero (聖奈)
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プロローグ

やっと書けました~…。


こんにちは。これから、皆さんには私の送った人生を語りたいと思います。

しかし、皆さんの中に興味がないか聞きたくない方が居れば回れ右をしてください。

何も時間を無駄にする必要は全くありません。

 

ちなみに、これは皆さんがご存知のヒーロー・織斑一夏の物語ではありませんのでご了承ください。

それでは、今言った事を全て受け入れられる方にお話を語ります。

それでは、お話します。

 

 

◇◇◇

 

私は、織斑千雪。ただの悪ガキである。

 

私には、織斑千冬という姉が居るが血はつながっていないのだ。

私は、姉ちゃんのお父さんの妹の子供らしい。しかし、私はもう顔も声も覚えていない。

それも、その筈…私が物心つく前に私を織斑夫妻に預けて出てってしまったからだ。

そして、そのパパとママも何処かに行ってしまった。

姉ちゃんは事故で亡くなったと言っていたが、それは嘘だとすぐに分かった。

 

それで、私と姉ちゃんは今は二人で暮らしている。前までは親戚の人に引き取って貰っていたけどある日親戚の人は、姉ちゃんの部屋に入って何かを探していた。

 

そして、○○銀行と書かれた小さな本を見つけて抜き取ろうとしていた。その時に、姉ちゃんが部屋に来てその本を奪って何か怒鳴り付けていた。

 

それから、姉ちゃんは親戚の人を家から出て行かせて二人の生活に戻っていた。その時、姉ちゃんは何故か私に謝っていた。

それから、二人の生活が何日か続いていた中、数人の大人が何度も家の前に来て引き取るだのわけの分からない事を言っていた。

しかし、その大人達は姉ちゃんを見ないで家の中を探るかのようにしながら話していた。そして、姉ちゃんは少し震えながら帰るようにその人達に言った。それでも、大人達は帰らず好き勝手に言いたい事をペラペラと言っていた。

私はその人達が大嫌いだった。

 

そんな、ある日姉ちゃんは教えてくれた。あの小さい本は通帳といってパパとママの残してくれたお金が入ってるらしい。しかし、そのお金も少しずつ減ってきていた。

その為、節約をしなくてはいけなくなり私達の生活は苦しかった。

そんなある日、一人の男性が私達の前に現れた。

 

「先生。何かご用で?」

 

「あぁ、千冬くん。今日は君に話があってな」

 

そのように会話していて、姉ちゃんはその人を家に上がらせた。

 

「すみません、何も出せなくて…」

 

「気にしなくていい。君達の事情は分かっている」

 

「ありがとうございます。それで、話というのは…?」

 

「君達を金銭面で支援したいと思っている」

 

「っ…!?いけません…友達のお父さんにそこまでしてもらうわけには…」

 

「子供が遠慮なんてするものじゃないよ。それに、私達は君達の事が放っておく事の方が嫌なようだ」

 

そう言って男性は姉ちゃんの頭を撫でていた。

 

「ありがとうございますっ…!本当にありがとうございます…!!」

 

姉ちゃんは泣いていたけれど特に嫌な気持ちはしなかった。

 

◇◇◇

 

以上が私達の家計と家庭の話です。




久しぶりで下手になってるかも…。
ちなみにこの小説で絶対に入れない要素は以下の通りです。
・ラウラがオリ主を「師匠」「先生」「お父さん」「お母さん」「嫁」「兄さん」等の呼び方をする。
・マドカ、クロエ等の過度なキャラ崩壊
・束の善人化
・亡国機業が味方になる(一時的な共闘はあるかも?)
・女尊男卑を頭ごなしに否定する


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設定

とりあえず、設定だけでも投下します。


織斑 千雪

 

今作の主人公

千冬とは実の姉妹ではなく、千冬の父親の妹の子供。性格はかなりひねくれていて冷たいように見えるが以外と情に厚い所がある。しかし、本人はそれを否定し善人扱いされる事を嫌う。その為、誰かを助ける際(一部の女尊男卑主義者の犯罪やDQNのナンパ)などは嫌がらせと言って行う。

恥ずかしがり屋であり、からかわれたり素直になるのが苦手。その事を友人達からいじられる事もしばしば。

身体能力が高く、喧嘩が強い。(残像を伴う変態スウェイや走りながら建物を登る事が出来る)尚、千雪は篠ノ之道場で習った技や千冬から教わった剣術や体術は喧嘩で使おうとしない。本人曰く「せっかく、先生や姉ちゃんが教えてくれた事を喧嘩に使いたくない。」との事。ちなみに、些細な事で口うるさい面も。(燃えるゴミにプラスティックを捨てる人を怒鳴りつけたり、メイド喫茶で強盗を無視してケーキを食べていたら皿をひっくり返されてキレたり、地面に唾を吐いたりゴミやタバコをポイ捨てした人に怒る…etc)

年齢:13歳(原作開始時)

 

容姿:端正な顔立ちをしていて、目はつり目。左頬と右目の下に傷がある。

 

髪型:肩まで伸ばしたセミロング

 

身長:139cm~145cm(物語が進むにつれ伸びる)

 

髪:灰色

瞳:赤色

 

【機体設定】

黒鋼(くろがね)

千雪の専用機。第三世代で色は黒。装甲が少なく機動力が高いが防御が薄い。

 

【装備】

・遠距離

H&K PSG1(ライフル)

ハイドラ(ショットガン)

イチイバル(エネルギーの矢を放つ弓。様々な形に変形させる事が出来る)

・近接

虎殺し(大剣)

雪片・影打(近接ブレード)

銀竜(日本刀型ブレード)

煉桜(ドス)

無銘の槍

ブラックセリカ(双射程散弾籠手)

【単一仕様能力】

・羅刹黒夜(らせつこくや)

エネルギーの性質を変化させ、自在に操る能力。霧状にエネルギーを分散させる事や零落白夜の再現も可。

 

【その他の登場人物】

織斑千冬

織斑家の長女。千雪の事は実の家族のように今まで接していた。

ある日、突然居なくなった両親が何故居なくなったかを知っているようだが語ろうとはしない。

今作では、家事が出来て女子力高め。教員としての経験があまりない為か、手探りで生徒と接しており生徒達の居ない所で分からない事を山田先生に聞いたりしている。束の他に友人が居たが癖のある人間が多かったため、纏め役でもあった。

・身長:162cm

 

・年齢:不明

 

篠ノ之箒

千雪の幼なじみ。昔から千雪とは何度か会ってはいたがお互いにコミュ力が低かったため、話すことはあまりなかったがある日を境に仲良くなった。

千雪と接していた為か、原作と違い融通と冗談が通じる。(むしろ、箒から冗談を言う事も)姉である・束の事で悩むことが何度かあった。

 

身長:164cm

 

篠ノ之束

皆、大好きマッドサイエンティスト。原作やアニメと同様身内には優しく赤の他人に冷たい。白騎士事件については特に悪いとは微塵も思っておらず、「たかが、有象無象が死んだだけ」と言える程、他人に冷たい。原作やアニメより友人が多いが変わり者が多かったかららしい。

・身長:168cm

 




わぁい束さん 聖奈外道な束さん大好き!


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一話 織斑千雪

遅れてすいません!この話読むと分かると思いますが、小学生ムズいんすよ!ぜんぜん小学生書けない!カーチャン、ワタシモウカコヘンヤダヨー


家の家計が楽になってから、しばらく経ち私は小学一年生になった。

しかし、私はクラスで浮き、男子からからかわれる事が多かった。男子達曰く、女の癖に女らしくないだの、喋り方が生意気だとか。何がいけないんだろう…?私はただ、普通にしてるだけなのに。今も、学校で一人で過ごしている。

 

「……」

 

やっぱり、本を読むのは楽しい。色々、ためになる事があるし1ページ読む毎に続きが気になる。体を動かすのとは違った楽しさがある。

 

「おい、おりむら」

 

聞き慣れた声が私を呼ぶ。いつも、私をからかってくる男子の一人・多串くんだ。

 

「…」

 

どうせ、またバカにしてくるんだと思って私は無視して本を読み続けていた。

 

「むしすんな!!」

 

多串くんは怒鳴りつけながら私から本を奪って適当な所に投げ捨てた。私は本を拾いに行くが、多串くんは私の肩を掴んだ。

 

「だから、むしすんな!!」

 

「どうせ、またばかにするんだろ。うるせぇんだよ」

 

私はそう言って多串くんの手を払って本を取りに行った。

 

「おやなしだからって、くちもきけないのかよ!」

 

「…っ…!!」

 

私はその言葉を聞くと本を取りに行くのをやめて、多串のもとに戻った。そこから先、私の身体は勝手に動いていた。

「がぁッ!?」

 

私は多串の顔を殴っていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

やってしまった。ここからどうなるかは私にはすぐに分かった。

 

 

 

◇◇◇

 

そして、放課後の今。

 

「うちの子になんてことするのよ!!」

 

女性が怒鳴り声をあげる。多串くんのお母さんだ。

 

「本当に申し訳ありませんでした」

 

そして、姉ちゃんはその人に頭を下げていた。そもそも、殴ったのは私だ。姉ちゃんはわるくない。なのに、なんで…。

 

「そもそも、あなたの教育がなってないから…!!」

 

多串くんのお母さんはさらに捲し立て姉ちゃんを責め立てた。

 

「すみません」

 

あぁ、そうか。私が余計な事をしなければ、こんな事にはならなかったんだ。だから、姉ちゃんにも迷惑がかかった…間違いない。

 

こうして、姉ちゃんと私。お互いに苦しい時間は終わった。

 

◇◇◇

 

そして、翌日から私は姉ちゃんの迷惑にならないようなことをすることにした。特に気を付けたのは、なにかされてもやり返さない事だ。

 

それからは、他人から見たらひどく見えたのかもしれない。

 

やり返してこないのをいい事に多串くんや男子達は私を叩いたり私の教科書を隠したりしたのだ。勿論、周りは注意しないし先生のいない時にやるから誰も助けてくれなかった。

そんな日が続いて何日か経ち、家では姉ちゃんにバレないように気を付けた。

例えば、お風呂には一人で入ったり厚着をしたりした。

 

「千雪。何処か怪我をしてるんじゃないのか?」

 

さすがに、分かるかもしれない。私の目は多分泳いじゃってる。

 

「け、けがなんてしてないしっ。ちょっと、さいきんあつかったりさむかったりするだけだからっ」「もう、迷惑かけないから」

 

そう言って私は姉ちゃんに背を向けて逃げるように立ち去った。

 

 

 

 

◇◇◇

 

千雪は背中を向け立ち去った。当時の私にはそれを見送る事しか出来なかった。

本来なら無理にでも聞き出して、相手の親御さんに文句を言うべきだったのかもしれない。しかし、それでいいのだろうか?

あの子の意思を無視してもいいのだろうか…。私は考えた。

 

現在の私なら迷わず、あの子を助ける方を選ぶだろうな。当時の私は保護者としては駄目な部類に入るだろう。

 

 

◇◇◇

 

ある日、私は長放課に多串くんと数人の男子から呼び出された。

 

「おらっ!」

 

「ぉぇ…ッ…!!」

 

呼び出されたと思ったら多串くんにお腹を殴られた。男子は力が強い為、殴られた途端うずくまって吐きそうになるけど耐えた。

 

「なまいきなんだよ!」

 

他の男子は私の背中を蹴り、多串くんと同じようにお腹を蹴ろうとした子もいた。私は殴られてた。そして、当時の私はまさかこんな形で出会うとは思ってなかった。後に親友となる女の子と。

 

「何をやってるんだ!」

 

私よりも背が高く女の子らしい子が立っていた。見覚えがあるような子だ。

 

「やべ…」

「むこうであそぼうぜ」

などと言って男子達は立ち去って行った。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

その女の子は私に声をかける。そして、私は…

 

「だいじょうぶ。へーき」

 

と返した。

「そんなわけないだろう!えぇい、来い!」

 

私はその女の子に手を強引に引かれてある場所に連れてかれた。てか、力強すぎ振り解けない。

 

その場所は保険室だった。

 

「ん?どうしたのかな?」

 

白衣を着た若い先生がこちらに振り向いた。

 

「実はこの子が怪我をしてて…」

 

「そっか。じゃあ、ここ座って」

 

近くにあった椅子をポンポンと叩いた。そして、座って質問に答えながら薬とかを塗られたり絆創膏を貼られたりしていた。ちなみに、質問は何処で何故怪我をしたのとかを聞かれた。当然正直に答えた。ちなみに嘘なんてつこうものならすぐにバレる。

それで、手当てをしてもらってから私を助けた女の子と話していた。

 

「自己紹介するべきだったな。私は篠ノ之箒っていうんだ」

 

ん…?篠ノ之…?

 

「あたし、おりむらちゆき」

 

「よろしく(ん?織斑?)」

 

「もしかして、あのときの…」

 

私はやっと思い出した。何度か顔をお互いに合わせてるけど話した事が無かった子だった。

 

「そうだった…私達は何度か会っているけど話した事がなかったなぁ」

 

「だね」

 

「それより、何故さっきは黙ってやられてたんだ?いつも、道場では歳の近い子達は誰も勝てないみたいじゃないか。なのに、何故…?」

う…その話を今ここでするか。

 

「だって、姉ちゃんにめーわくかけたくないし…たのしいことをやなことでやりたくないもん」

 

「あのなぁ、迷惑とかじゃなくてそういう事じゃなくてこういうのは親がなんとかしてくれるんだ。それに喧嘩は嫌いだったのか」

 

「…だから、それがいいづらいからっ!あとけんかきらーい!」

 

「千冬さんは、クラスメイトの子達と一緒なのか?」

 

そう言われるとちょっとムキになってしまって、

 

「ちがうもん!!姉ちゃんをいっしょにすんな!!」

 

「す、すまない…。でも、それなら言ってみたら?」

 

「あ、うん…おこってごめんなさい」

「いいんだ。それより、私達話してみたら結構話せるな!」

 

「うん!」

 

箒ちゃんは私に笑いかけてくれた。思わず私も笑ってしまった。

 

◇◇◇

 

私は思い切って相談してみる事にした。

 

「あのさ、姉ちゃん…」

 

「分かってる。怪我と男子達の事だろう?」

 

「なんで…!?」

 

「先生と箒から聞いたんだ」

 

なんで、余計な事を言っちゃうかな…。

 

「千雪、私はお前がクラスの誰かと何かあったのが多かった事を迷惑に思った事はない」

 

「なんで…」

 

「家族だからだ。いじめ?私が好きなだけ文句を言ってやる。喧嘩?どれだけでも頭を下げてやる。子供のうちは喧嘩をしたっていいんだ。ただ、理由もなく人に暴力を振るう人間になるな。約束してくれ」

「分かった…」

 

私は姉ちゃんと小指で指切りをした。

 

「好きなだけ暴れて来い」

 

「うん」

 

◇◇◇

 

翌日、学校に行ったらいつものように多串くんは私を殴ろうとしてきた。しかし、私はそれを避けて多串くんを殴った。他の男子達も同様だった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

案の定、親がすっとんできた。

 

「うちの子になんてことするのよ!!」

 

「すみませんでした」

 

「やっぱり、あなたの教育「しかし」」

 

「うちの千雪はあなたのお子さんに暴力を振るわれたり教科書に落書きをされてたようですが?」

「……」

 

多串くんのお母さんは黙り込んでしまった。

 

「多串さん、お互い悪かった事にしましょう?」

 

「わ、分かったわ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

それから、多串くん達がちょっかいをかけてくる事はなくなった。

 

「なぁ、千雪」

 

箒ちゃんが私に声をかける。

 

「なに?」

 

私は本を読むのを一度やめて、箒ちゃんに聞き返す。

 

「なぜ、わざわざ三年生の教室に来てまで私の膝に座って本を読む?」

 

「いいでそ。別に」

 

私に親友が出来ました。

 




私「原作ーーーー!!!!はやくきてくれーーーっ!!!!」
原作「そういや、オラ腹減っちまった!ハハハ!」
過去編「絶対に逃がさんぞ!虫ケラ!!!!!じわじわと引き伸ばしにしてくれる!!!!!」


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二話 篠ノ之箒

大変遅れてしまいました…。


あれから、しばらく経ち私達は仲のいい友達になっていた。

 

「なぁ…他に友達は作らないのか?」

 

ある日、箒ちゃんがそんなことを聞いてきた。これに対して私は、

 

「作らない!箒ちゃんだけでいい!」

 

と返したが、

 

「その…同じクラスとかの子は…?」

 

「変な目で見てくるからやだ!」

 

頑なにクラスの中から友達を作るのを拒んだ。

 

「そうか…」

 

 

 

◇◇◇

 

正直言って、この子が心配だ。私は人の事を言える立場ではないが同年代の子で友達がおらずというなら私が小学校を卒業したら、どうするんだろう?

もし、そうなったら…想像するだけでも恐ろしい。第2の姉さんになるのではないか…いや、あの子は姉さんよりも凶暴だからな…。

頭が痛くなってきた…。

 

「それで、一体どうしたんだ?」

 

話は変わるが、今私は千雪に連れられて織斑家に遊びに来ている。

それで、彼女の事について姉の千冬さんに相談することにした。

 

「実は…」

 

私は千冬さんに今悩んでいる事を細かく千雪に聞こえない様に説明した。

 

「そう…だな。言われてみれば第2の束になる可能性は…なくはないかもしれない…」

 

千冬さんは難しい表情を浮かべて頷いていた。

「それで、それをどうにか出来ませんか?」

 

私の質問に更に千冬さんは悩むように唸る。

 

「はっきり言おう。分からん」

 

は?何を言ってるんだこの人は。姉さんのコミュニケーション能力を確かなんとかしたって…!

 

「いや、姉さんの性格をある程度改善させたんですよね?その方法でいけ…「無理だ」え…何故?」

 

「それをしたら、児童虐待で捕まってしまうだろう!?」

 

「ええぇ!?何故!?それと、何したんですか!?姉さんに!?」

 

私は思わず突っ込みを千冬さんに入れざるを得なかった。

 

「その…アームロック、バックドロップ、踵落とし、酔鉄山、究極の極みをだな…あと、その後高杉と殴り合いにな…」

やりすぎだろ。あと、酔鉄山と究極の極みってなんだよ。ちなみに、高杉さんは姉さんの一番最初に出来た親友らしい。

 

「あの…もっといい方法はないんですか…?」

 

「あー…丸投げして済まないが任せた」

 

本気で言ってるのかこの人は…。

 

「分かりました…引き受けますよ」

 

「ありがとう」

 

結局、私はあの子の事を任される事になった。

 

◇◇◇

 

あれから、しばらく経った。

私は四年生、千雪は二年生になった。

 

接していくうちにあの子の良さも少しずつ分かってきて私達は仲良くなった。

 

私は誕生日に千雪からリボンを貰った。それは今でも付けている。

 

「や~い!男女!」

 

「なにいっちょまえにリボンとかしてんだよ」

 

「男女が女っぽくしてやがる!はははっ」

 

また私は馬鹿な男子達にからかわれていた。

だが、こういう時は無視するのが一番だ。

 

「ぎゃああぁ!!?」

 

「な、なんだこいつ!?」

 

「せ、先生呼べ!」

 

「ぐるるっ…!!」

 

何事かと思い男子の方を見たらなんと千雪が1人の男子の頭に噛み付いていたのだ。

 

 

 

◇◇◇

 

それから、すぐに先生が来て千雪は引き剥がされ私達の保護者が呼び出される事になった。

男子達の親は千冬さんに怒鳴りたてるが、父さんが私が前から嫌がらせやからかわれてた事を追求したら男子達の親は黙り込んだ。

 

 

 

そして、今私達は道場に居た。

 

どうやらあの後大人達が話を付けたようで穏便に済んだらしい。

 

「ふっ!はっ!」

 

千雪は正拳突きを私は竹刀の素振りを何度かやっていた。

 

 

 

二人でしばらく練習したあと、私は千雪に聞いてみる事にした。

 

「何故、あんな事をしたんだ?面倒な事になるとは思わなかったのか?」

 

「ムカついたから。人があげた物にケチつけられるのは嫌だし」

 

千雪が目を逸らしてそう答えると私は少し悪戯心が芽生えて、

 

「そうか…私の為とかではないのだなぁ…」

 

わざと落ち込んだフリをしてみて言ってみた。

 

すると、

 

「なっ、そんなわけ…!」

「ん…?そんなわけ…なんだ?」

 

おぉ、見事に狼狽えている!ダメだ…頬が緩んでしまう…!

 

「ぐ…と、とにかくっ…あげた物にケチつけられるのが嫌なだけだからっ…勘違いしないで」

 

そう早口で言っている千雪の顔は真っ赤になっていた。

やっぱり、この子は変わり者だが私にとっては親友だ。




一人称視点やめようかなぁ…。

それと、幼少期編が酷すぎる…。


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三話 IS

はぁん。遅れてすいま尊。


こんにちは。あれから、またしばらく立って今は二年生の二学期だ。

 

近頃、束さんと高杉さんが私や箒ちゃんに構ってくれない。そこで、今日は束さんと高杉さんにちょっかいを掛けに行く事にした。

 

 

「束さーん!あーそーぼおおおぉぉ!!」

 

私は今、篠ノ之家を訪れていて束さんの部屋の前で大きな声で呼ぶが機械を整備するような音がうるさくて聞こえないのか返事はない。しかし、構ってもらいたいので帰るわけに「うるさいぞー」は…

 

龍韻さん、ごペンなさい。

 

気を取り直して…束さんの部屋にドアを開けてお邪魔する。やっぱり、何か機械をいじってるようで高杉さんもその様子を見ている。

「高杉さーん!束さーん!遊んでー!!!」

 

しかし、反応はない。やっぱり機械の音のせいかな?

 

「束さー…「やめとけ」ん?」

 

もう一人誰か居たみたいで、そっちを見ると姉ちゃんの友達・倉持和葉さんだった。怪我の手当とか機械いじり(束さんは天災だが、この人は天才止まり)とかが得意でいつも眠そうにしている人だ。

 

「あいつらは、今集中してるからな。あたしが話しかけてもだめだった」

「だめじゃないですよ。まず、高杉さんを振り向かせます」

「どうやって?」

 

不思議そうに和葉さんが首を傾げている。こうするのだ!

 

「やーい!低杉ィー!!姉ちゃんの友達で一番身長低杉ィー!!」

「ハッ、そんなんで振り向くワケ…」

 

あっ、低杉さんがピクッてしてスパナ持った。そしてこちらを振り向きスパナを剛速球のような速度で投げスパナが飛んできた。

 

「ぶべらッ!?」

「反応しただとぉっ!?」

 

「誰が低杉よ!ゴラァッ!!」

 

痛てて…この人が高杉大河さん。姉ちゃんと束さんと和葉さんの1歳下で身長はわたしより何cmか高い位だ。しかし、外見とは裏腹に身体能力が高く姉ちゃんと互角の力を持っている。

 

「はぁ、私達は今忙しいから和葉にでも構って貰ったら?「ざけんな。勝手に決めんな」束もIS作ってて忙しいし…」

「IS…?」

「何でもないわ。ほら、あっち行った」

 

高杉さんにめんどくさそうな顔で追い払われた。ムカつく、低杉のクセに。

 

「懲りてないのな。またしばかれるぞ」

「別に。てか、何で着いて来んの?」

「高杉に押し付けられたからな。ほっといたらまたちょっかいかけに行くだろ?だから、遊んでやる」

「分かったよ。和葉さんで我慢する」

 

 

 

この後、めちゃくちゃお医者さんごっこした。×××してもらった、実に気持ちよかっ「嘘つくんじゃねぇよ」…

「いや、それっぽく締めようと…」

「あたしがロリコンみたいだからやめろ」

「えっ?誰もそんな話してないんですけど」

「嘘松はだめだぞ。ネットで叩かれるからね」

「嘘松!?あいつら、七つ子だったの!?」

「あ?んなわけねぇだろ六つ子であってる」

 

そんなこんなで遊んでもらいました。

 




幼少期マジ苦痛だったけど、フェリシアちゃん参考にしてたら結構キャラが安定してきたのです


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四話 災厄

遅れてすみません!


あれから、しばらく経ってこの前より束さんや高杉さんは構ってくれなくなった。やっぱり、この前言ってたIS?が関係してるんだろうか?そういえば姉ちゃんもよく束さんの所に行ってたような…。ほんとに何なんだろ…

 

「どうしたんだ?」

 

私が少し考え事をしてたら、声がして我に返った。今、私は箒ちゃんと遊んでたんだった…。失礼な事しちゃったな…。

 

「ごめん、ちょっと考え事してた」

「考え事?」

「最近、束さんと高杉さんが構ってくれないし遊んでくれなくてさ…」

「ああ、その事ならやる事が済んだら遊んでくれると思うぞ」

「やる事?」

「あぁ。ISなる物を作ったそうで発表しに行った後、やる事があるんだそうだ」

「ふーん」

 

話を聞いたら、ISってなんだろ?と思いながらテレビを付けた。すると…

 

「緊急ニュースです!日本に向けてミサイルが発射されました!!繰り返します、日本に向けてミサイルが発射されました!!」

 

なにこれ…しばらく私と箒ちゃんはそのニュースを見て固まっていた。そして私は思わずチャンネルを変えた。しかし、同じ内容だった。もう一度変えようとしたら手に阻まれた

 

「……」

 

箒ちゃんはもう止めようと言わんばかりに震えながら私の方を見て首を左右に振った。

 

「っ…!」

 

私はリモコンを置いて画面を見つめるしかなかった。今も、ミサイルが飛んでいるしミサイルがCGや合成じゃないのは明らかだ。

「もうだめだ、おしまいだ…」

 

ミサイルが直撃したらどんな風に死ぬんだろう?殴られた感じかな…?火傷したような痛みで苦しんで死ぬのかな…?

そんな事を考えていると、横から指が私の頬を撫でた。箒ちゃんの指だった…箒ちゃんの指は濡れている。気付いたら私は泣いていたのだ。

 

「あれは…!?」

 

テレビから、驚いたような声がすると私達はテレビを見た。なんと、そこにはミサイルを剣で落とす謎の飛行物体と銃でミサイルを撃ち落とす謎の飛行物体の存在があった。その様はまるで、テレビに出てくる悪者をやっつけるヒーローのように私には映った。リポーターが何か言ってるが今の私には耳から通り抜けていき分からない。

そして、謎の飛行物体がミサイルを全て落とし終わると戦闘機や戦車が飛行物体に攻撃を仕掛けるがあっさりと撃破してしまった。

 

「千雪」

「な、何?」

 

一瞬、反応が遅れて私は返事をした。

 

「取りあえず、父さんや母さんが心配してるかもしれないし…家に行こう」

 

私が頷くと箒ちゃんに手を引かれて篠ノ之家へ向かった。

 

「うわっ!?」

 

行く途中に何か巨大な影が通り過ぎて箒ちゃんと私は驚く。見上げるとそこには白い騎士のような飛行物体と紅い騎士のような飛行物体があった。

 

「綺麗…」

 

そう呟いていると私の方に何か小さく光る物が落ちてきた。

「痛ッ…!!ぁ…ぐっ…」

 

その小さく光る物を眺めていると左頬にそれが掠り鋭い痛みが走り私はうずくまった。

 

「千雪!?」

 

箒ちゃんは驚くと同時に私を抱き上げて篠ノ之家に走った。

 

 

 

それから、しばらくして…病院に私は居た。すると、声が聞こえてきた

 

「残念ですが…傷が深くて消せそうには…」

「そんな…」

 

声の主は箒ちゃんのお母さんとお医者さんだった。頬についてだろうか?それなら、別にいいや…死にやしないんだし。そんなことを思ってると、

 

「千雪!大丈夫か!?」

 

姉ちゃんが病室に血相を変えてやってきた。

 

「頬を切っただけだから平気」

「そうか…」

 

私は抱きしめられた。その時、ミサイルの時の恐怖がぶり返して来たのか沢山私は泣いた。

 

 

この事件は後に、「紅白騎士事件」として歴史に残った。

 

でも、私はまだ知らなかった…これが原因でこれから先、沢山の人が不幸になったり世界がおかしくなっていく事に…。




やっぱり、次から台本形式やーめた!


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番外編「バースデイ」

7月7日には間に合わなかったけど、投稿します。

先の話なのでわけわからん部分もありますがそこは目を瞑っていただけたら…。

ちなみに、この話では初期ブロットの設定で書いてるので居ないキャラが数人居ます。

本編で居なくなったり普通に出てくるキャラとか居るかもしれませんがご了承ください。




さて、今回は物語とは関係の話をしましょう。これは私達にとって今より先の未来の話…

 

 

 

 

「皆、集まったし準備も出来たわね?」

 

7月7日の夜…IS学園の食堂にて一つの席に皆で集まり鈴ちゃんが進行役で私と箒ちゃん以外に問う。

 

「お姉さんは出来てるわよ」

 

「わたくしもです」

 

「私もだ」

 

「クーも」

 

「…無論」

 

「出来てる」

 

早い順に、刀奈、セシリアさん、ラウラさん、クーちん、ベルさん、和葉さんだった。

 

「それじゃあ、誕生日おめでとう!千雪、箒!」

「「「おめでとう」」」

 

鈴ちゃんの一言に続いて、皆が私達を祝ってくれた。何を隠そう、今日は私と箒ちゃんの誕生日なのだ。

 

「皆、ありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

箒ちゃんと私がお礼を言う。

 

「さて、それじゃあ…まずはプレゼントよ。あたしからはこれよ」

 

「これは、すりーでーえすか…」

 

「ですね…。ワタシは買おうかは迷ってたんですけど…」

 

鈴ちゃんからは3DESだった。

 

「明日からポケモンゲットよ☆」

 

「それは一体…」

 

箒ちゃん困惑してる…

「あんたら、持ってなかったじゃあないの。特に箒、これあげるから私とも遊んでよ?」

 

「そういうことか。ああ、ありがとう。ガチパ組んでボコるがな」

 

「ありがとうございます」

 

鈴ちゃんからのプレゼントが終わり、次は…

 

「次はわたくしの番ですわね。はい、どうぞ」

 

「バッグか」

 

「バッグですね」

 

セシリアさんからはバッグだった。

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとう」

 

そして、セシリアさんのプレゼントを受け取り次は…

 

「その、私は…何もない。だが、ここにある料理は沢山私が作ったものだ」

 

「確かに美味しそうですね。別に気にしなくてもいいですよ」

 

「ああ。何もプレゼントが欲しいわけでもないしな」

 

「だが、来年の今日までにお前達の事をもっと知りいい物を用意しよう」

 

なるほど、ラウラさんらしいなぁ。

 

次は…

 

「私よ。はい」

 

ベルさんからだった。ベルさんがくれたのはさっきの3DESのポケモンのカセットだった。

 

「本体だけじゃあ、遊べないでしょう?でもプレゼントは一人ずつ…というわけでこれにしたわ」

 

「「ありがとうございます」」

 

そういうとこマジベルさん。

 

そして、次は…

 

「お姉さんからはこれよ」

 

刀奈からは高そうなハンカチだった。

 

「良さそうな、ハンカチっすね。ありがとうございます」

 

「いいんですか…?こんな…」

 

「いいのよ。あなた達、よく動くでしょ?汗でも拭ったり応急処置でもしなさいな」

 

いや、もったいなくて無理だよ。

 

「それに、二人共…よく無茶するでしょ?織斑ちゃんは特に…。二人共少しでも長く生きるのよ?」

 

刀奈は一瞬暗い顔をしたがすぐに明るいいつもの顔に戻った。やっぱ気にしてんのね…まぁ、家族のことだしなぁ。

 

「ありがとうございます」

「大切にしますね」

 

そして、次は…

 

「今度はクーの番。はい…」

 

クーちんがくれたのは熊のぬいぐるみだった。

 

「ありがとさん。きっちり部屋に飾っとくよ」

 

「ありがとう」

 

私はクーちんの頭をそっと撫でてあげる。

 

「んふふ…♪」

 

嬉しそうで何よりだ。

 

そして、最後は…

 

「最後はあたしだな。ほらよ」

 

和葉さんがくれたのは…安産のお守りだった。

 

「ありがとうございます。でも…何故、安産?」

 

「さっき、更識がお前等に言った通りお前等はよく無茶をしやがる…。だが、それで怪我すんのは別にいい。ちゃんと治してやる。だがよ、大人になる前にくたばんじゃねえぞ?せめてガキ産めるくらいまでは生きろッてこった」

 

「和葉さん…。承った」

 

これは承るしかないでしょ。

 

「お前もあいつが変な事するかもしれねぇが…負けんなよ?」

 

「はい…。ありがとうございます」

 

箒ちゃんは笑ってお礼を言った。

 

 

 

そして、それから…私達は沢山飲んで食べて喋って盛り上がった。

 

その後、お開きとなり…私は帰りの支度をして廊下を歩いていると…

 

「おめでとう、盛り上がったか?」

 

姉ちゃんだった…姉ちゃんはパーティに参加してなかったなぁ。

 

「姉ちゃんも参加すればよかったのに」

 

「私が居たら、皆怖がるし気軽に楽しめないだろう?」

「確かに」

 

姉ちゃんはある程度その辺とか分かってて気を遣う事多い。まぁ、朝にプレゼントと誕生日おめでとうはもらってたし。

 

「ねぇ」

 

「何だ?」

 

「私って…お袋にとって必要だったんでしょうか?」

 

誕生日になると私はいつも不安になる。本当は私は望まれて産まれた命だったのだろうか?と。私が物心つく前に実のお母さんは私を姉ちゃんの家族に預けてどこかに行ってしまったらしい。なんとなく、デキてなりゆきで産んだんじゃないかと疑ってしまう。

 

「…お前が必要だったのは多分、間違いない」

 

「なんでそう思うんですか?」

 

「おまえが産まれた日の事は今でも覚えている。お前の実の父・雅樹さんが生きていた頃、その時お前を抱えて美咲さんは嬉しそうに笑っていた。必要なかったなら嬉しそうになんかしないさ」

 

姉ちゃんは懐かしむように話してくれた。どうやら、心配は必要なかったようだ。

 

「そうですか…。安心しました、ありがとうございます」

 

「お前が安心したならなによりだ。さぁ、今日はもう遅い。送っていこう」

 

こうして、私は姉ちゃんに送ってもらい帰宅した。

 

いい誕生日だったなぁ。

 




さて、皆さんの言いたい事は分かります。

「5話さっさと投稿しろや」

でしょ?頑張ります


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五話 新たな時代

今回、主人公めちゃくちゃクズだしDQNなので注意。これからも、クズなシーンとか結構あります


紅白騎士事件が終わり、しばらく経ち千雪を取り巻く環境が変わった。最初は篠ノ之家の引っ越しから始まり、その次は高杉大河と篠ノ之束の失踪、最後に千冬がIS操縦者と日本代表になったことだ。

 

次に変わったのは世の中だった。ISの事が話題になったがISは女性しか動かせないという事が発覚し、男性達は意気消沈した。それがきっかけで今や世の中は女尊男卑の時代となった。

 

千雪はいじめられたり周囲から距離を取られることはなくなった。しかし、クラスの女子達は全く逆の行動をとった…。そう、チヤホヤし始めたのだ。原因はISの第一回世界大会「モンド・グロッソ」で千冬が優勝者となり、その血縁者である事と、なによりの原因は女尊男卑の時代になる前後と三年生になってからの行動だった。

元から男尊女卑の風潮が多少あった時代…学校では千雪が「意地の悪い男子を執拗にぶちのめす」といった行動や女尊男卑の時代になってからの「女子の身体を触るだけで能無しなんで喝を入れてやった教師は二度と学校に来なくなった」という千雪の行動による出来事がきっかけで女子達の目には『女の強者』に映り、女は男より上と解釈して好き勝手するようになった。

 

「って、わけで今あたしの学校はそんな感じだ」

 

「…なんつーか、すごい事になってんな。お前の学校」

 

千雪の話を打った少年の名は五反田弾。彼の実家は五反田食堂という食堂で昔から千冬がよく友達に会いに行く時に一緒に連れてってもらっておりその時に年も近い事もあり、仲良くなった親友である。しかし、家や学校が遠いので滅多には会えない。

 

「まあな。この前は男子達に威張るばかりで能無しなんで気合いを入れてやった女教師が二度と来なくなった」

 

「ちょっと、ヤンチャしすぎじゃあない?」

 

と、千雪に言った少女の名は鳳鈴音。弾と同じクラスで同じ学校の生徒だ。転校初日に中国人だという理由でいじめられてたところを弾に助けてもらったのがきっかけで弾と友人になり、五反田家に遊びに来てた千雪とも知り合い友人となる。千雪にとってはやたらお姉ちゃんぶってくる仲の良い友人である。

 

「…あたしの事はいい。それよりもういじめられてねぇか?」

 

「大丈夫よ。あんた達から喧嘩の仕方も教わったし、最近はまったくないわ」

「そうかい。っと、そろそろバースト圏内だぞ」

 

「はっ!?ちょ、うわあぁっ!!」

 

話に夢中になってる内に弾のマリオはお星様になった。

 

\遅すぎだぜぇ?wwwww/

 

「ぐぬぬぬっ…!忌々しいハリネズミめぇっ!」

 

「卵男乙」

 

鈴の鋭い指摘が弾を襲う。

 

「さて、そろそろ飯食って帰る。昼だしな」

 

「そうか。食ってけよ、サービスするからさ」

 

「おう」

 

こうして、千雪はいつものように五反田食堂では鉄板メニューである業火野菜炒めを頼んで普通に食べて会計を済ませた。ちなみに、千雪にとっては弾の祖父である厳の作る料理は下手なレストランより何百倍美味いとのこと。

「ごちそうさま」

 

「嬢ちゃん、また来いよ」

 

「ん」

 

店から出る時に厳が声を掛けてくれたので頷いて手を上げてから店を出た。

 

「織斑さんっ」

 

五反田食堂を出てから、しばらく歩いてると女子が一人駆け寄ってきた。

 

「内里か。なんだよ」

 

茶色い髪をショートカットにしヘアピンをしてる千雪に駆け寄ってきた少女の名は、内里歩美。クラスメイトで女尊男卑思想を持つ学級委員だ。

 

「何なんですか!?あの人!男のくせに織斑さんになれなれしくないですか!?私文句言ってきます!」

 

凄い剣幕でキレ散らかす歩美はそのまま千雪に背を向けて五反田食堂に向かおうとした時だったーー

 

「内里」

 

それを呼び止める千雪の声は酷く冷たいものだった。

 

「どうしたの?織斑さん?あっ、織斑さん…どうしてそんな怖い顔…!せっかくの可愛い顔なのに…。あの人許せないっ!織斑さんをこんなに怒らせるなんて!もう怒ったある事ない事言ってーー」

 

何故、千雪が怒っているのか分からない歩美は自分の事を棚に上げて弾に怒りを向けていた。

 

「お前だよ」

 

「が、っ…げふ…ぅ…ッ…!?」

 

千雪の膝蹴りが歩美の腹部に突き刺さり歩美の身体は少しだけ宙に浮き、その後膝を付いてお腹を押さえてうずくまり苦悶の声を上げ必死に吐き気を堪える。

 

「お前らが男より女が偉いし強いってえばろうが、好きにすりゃいいさ。だがな、あの人達に何かしてみろ。怪我するだけじゃすまねぇぞ」

 

「ぉえっ…ひっ…ぅ…い゛ッ…!」

 

千雪はうずくまる歩美の髪を掴んで持ち上げる。クラスで一番背が低い奴が二番目に高い奴を片手で持ち上げてるという奇妙な光景だった。

 

「わ、分かりましたから…殴らないでっ…」

 

泣きそうになりながら吐き気が収まりかけていてしっかり言葉を紡いで懇願した。

 

「ふぅ」

 

「はぁ…はぁ…」

 

千雪が手を放すと歩美はよろよろと立ち上がった。

 

「…帰る」

 

「えっ」

 

千雪は歩美の手を引き歩き始める。

 

「だから、帰るんだって」

 

「はいっ!」

 

千雪が少し目を逸らして言うと一緒に帰れるのが嬉しいのか歩美は笑顔になりそのまま一緒に歩く。

 

こうして二人はそれぞれ途中で別れて、家に帰った。

 




Q:理不尽な暴力は振るわないんじゃなかったの?

A:理不尽かどうかは千雪基準なのでどうとも言えません。

Q:一夏出さないのはなんで?

A:【理由1】一夏を出して甘ちゃんみたいな行動したり千雪が敵とかに拷問とかする時に止めたりしたり千雪との実力差で守る発言…etc これが理由で一夏が読者からヘイト集めて叩かれたくないから

【理由2】千雪と一夏の性格考慮した上で書くと千雪が惚れるから。妹が兄貴に恋愛感情抱くのはドン引きする方も居るかもしれないので…。


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サブストーリー1 宗教

本筋と関係ない日常回でございます。


「…宗教の勧誘?」

 

いつも通り、皆で遊んでいたある日…鈴が口にした話題に千雪は首を傾げていた。

 

「そうなのよ…最近、ウチの店に来てさ…私やお父さん、お母さんは断ったんだけど次はお客さんに勧誘し始めたのよ。客足が減ったらどうしよう…」

 

鈴がため息をついた。鈴の実家は両親が中華料理店を営んでおり、その事でそうとう困ってるようだ。

 

「ああいう人達なら、うちにも一時期来てましたよ」

 

「そうなの?それにしては来てないっぽいけど…」

 

彼女の名は五反田蘭…五反田家の次女で弾の妹だ。もちろん千雪とも仲良しである。そして、五反田食堂の客にもしつこく勧誘をしてきた集団は居たようだった。

 

「うちは…お客さんも含めて皆スルーしてくれたので」

 

「ダメね…こっちはお客さんから苦情来てるから同じことは出来ないわ」

 

「はぁん。飲食店ってのは大変だねぇ」

 

正直、千雪は困ってるので助けてあげたかったが自分が出来ることはないと感じて他人事のように振る舞った。

 

「あっ…。そうだ!お願い…追っ払ってくれない?」

 

「は?」

 

「うち、お父さんが店主だから…訴えても今の時代、勝てないかもしれないし…この中じゃ、あんたが一番腕っぷし強いし…お願い!」

 

「分かったよ…そんなに言うなら」

 

言われてみれば今は女尊男卑の世の中で女性優遇法などという制度もあり敗訴する可能性は充分ある。その為協力する気になった。

 

「で、いつ助ければいい?」

 

「明日のお昼頃」

 

「OK」

 

そして、今日はお開きとなり千雪と鈴は帰った。

 

ーーーー

ーー

 

翌日の正午にて千雪と鈴は店の席に座り、勧誘に来る女を待っていた。

 

「いらっしゃいませー!また、あなたですか…」

 

「そこの方、楽園に興味はありませんか?」

 

「いえ、私は…」

 

早速、シスターの格好をした女が店に来ると店員さんが迷惑そうにしながらも注意出来ない状態になっていて、それを無視して女性客にシスターの格好をした女が勧誘をしていた。

 

「待ちな。その話興味がある、向こうで話そう」

 

「まぁ!こんな子供でも楽園に興味があるだなんて!素晴らしいですっ!是非っ」

 

千雪が席を立ち上がり女性客に絡むシスターの女に声を掛けると女は喜んだ。そのまま、店から出てシスターの女を少し離れた空き地に連れていく。

 

「あの…どこまで?」

 

さすがに不思議に思ったのかシスターの女が言う。

 

(ここまでくればいいか…)

 

「嘘だよ、あの話」

 

「え?」

 

「消えな…あの店はあんたをお呼びじゃあないぜ」

 

話を切り出すと女が固まり唖然として、震え出した。

 

「騙しましたね…。この背教者があぁぁぁッ!!」

 

(うわっ…ババアがキレた!)

 

シスターの女は豹変し瞳孔が開き声を荒げて千雪に左の拳を振るい殴りかかった。ちなみに、シスターの女はまだ二十代であり外見も若い。

 

「ふっ、オラァッ!」

 

「あがっ…!?ぐぅっ…!」

 

右に身体を逸らしてかわすと、左腕の肘関節を指で強く摘み引く。すると、シスターの女は痛みにより顔をしかめてこちらによろけてくる…その勢いを利用して強く踏み込み右の肘鉄を鼻にお見舞いした。小三にしては力が強いのでシスターの女から鈍い音がして鼻から血が辺りに飛び散った。

 

「クソガキイィッ!」

 

「ふっ、ふっ、ドラァッ!」

 

「ぐふッ…!がはっ…!」

 

シスターの女は叫びながら右脚の回し蹴りを放つと、千雪は二連続の前後一回ずつにスウェイでかわしてから詰めその次に左の裏拳が来ると体勢を低くしてかわしボディーに左手と右手で一回ずつ縦拳を叩き込んだ。

 

「死ねえぇッ!」

 

「無駄ァッ!」

 

「あがあぁっ…!!ぐ…うぅぅ…!」

 

シスターの女は左で蹴り上げでの攻撃を仕掛けると千雪はジャンプして左脚を足場にして鼻にドロップキックをお見舞いした。シスターの女はすでに負傷してた鼻を抑えて仰向けに倒れて悶絶してしばらく立てなくなってしまった。

シスターの女 再起不能

 

「やれやれ…」

 

しばらくして、鈴の実家の中華料理店に戻った。

 

「千雪、あの女は?」

 

「もう来ないだろうな」

 

「そう。今日はありがとう、助かったわ」

 

「これっきりだぞ?」

 

千雪は鈴からお礼を言われ頭を撫でられ気持ちよさそうに目を細めた。

 

(やっぱり飯は、落ち着いて食べれる環境じゃあねえとな。多少、やかましいのはいいが…食った後のいい気分を台無しにされるってのはあっちゃあいけない。食って帰る時は幸せな気分なのが一番だ…)

 

 




今回、簡単だった頃一人称視点のありがたみが分かりました。


最近、作者はRWBYにハマッてまして…ヤン姉の使ってる武器を装備に出したくなりました(出すかは未定)


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サブストーリー2 占い師

大変、遅れて申し訳ありませんでした。


「Mii Tuberだ?」

 

「うん、最近お兄がミガキンの影響受けてMii Tuberになるって言って聞かなくて…。再生回数も二桁だし…」

 

ある日、蘭は千雪に弾が売れっ子Mii Tuber・ミガキンに憧れて動画投稿を始めたらしくそれが滑りまくってることを相談していたのだ。

 

「最近、付き合い悪いと思ったらんな事してたのか。あいつ…。にしても、隣から一人でブツブツ言ってんのが聞こえるぜ」

 

「今動画撮影してるから…後で説得しにいこ?」

 

「だな」

 

\ウィイイイイイイイイッス!どうも~、五反TVで~す!/

 

\今日は、こちらの商品のレビューをしていきまーす!○ラえもん ぶ○う…etc/

「これで人気者になるとかマジ…?」

 

「マジ。あ、撮影終わって投稿したみたい…」

 

「よし、行くぞ」

 

こうして、千雪と蘭は弾の部屋に向かった。

 

「よっ。さっきの動画どうだー?」

 

「お兄ぃ、もう止めなって…」

 

「いいや、俺はミガキンさんみたいな大物Mii Tuberになって金持ちになるんだ!あ、ちょっ…コメ覧を勝手に…」

 

弾がサングラスを掛けたまま、宣言していると椅子に乗って一生懸命背伸びをしながら千雪がPCのマウスをいじりコメランを開いていた。弾の制止も虚しく開かれてしまった。

 

『モッピー:つまらん』

『シノノン♪:圧倒的にセンスがない。やめたら?Mii Tuber』

 

『1000Winter:黒 歴 史 確 定 』

 

『kazuma:俺の動画の方が面白い』

 

『世界一の料理人淑女ティア:やめてはいかがでしょう?低俗きまわりませんわ』

 

『Adam:そんな事より、ファウナス万歳。人間はカス』

 

等、かなりボロクソである。

 

「………」

 

弾はそのコメントを見た瞬間に固まってうずくまった。何故、ここまで言われなければならないのか…しかし、いつまで経っても答えは出ないので弾は考えるのを止めた。

 

五 反 田 弾 再起不能

 

\皆ー!居るー?/

 

「はーい」

 

下から鈴の声が聞こえた事で蘭が下の階に降りてしまい、鈴の元へ行った。

 

(やべー、目が死んでる)

 

しかし、千雪は慰めることはしなかった…否、慰めることが出来ない、つまり、フォローのしようがなかった。先程動画をコメントと一緒に見たがクソすぎた為慰める事すら出来なかった。

 

「ねえ、最近…よく当たる占い師が話題になってるんだけど、行かない?一人百円ね」

 

鈴が二階に上がってくるとそう声をかけて部屋にやってきた。

 

「行くー…」

 

「女子って占い好きなのな」

「あんたも女子でしょ。まぁ、いいわ!話もまとまったし行きましょ!何か弾が死んでるけど!」

 

こうして、皆で店を出て噂の占い師の元へ向かった。どうやら、未来を占ってくれるようだ。

 

「おや、いらっしゃい。私は未来を占う仕事をしていてね。まずは誰から…「なぁっ!」どうしたんだい?」

 

「ばあさん!!なら、俺から先に占ってくれ!!この先、Mii Tuberで稼げてるか心配なんだ!!8年後で!」

 

弾が占い師のおばあさんに必死に我先にと頼んで100円を渡した。

 

「ああ、分かった。君の将来は…」

 

おばあさんがそう言うと水晶玉が光って映像が流れた。

『ウィイイイイイイッス!五反田TVです!今日はあらバザをプレイしていきたいと「おい、引きこもり!」』

 

『今日は、オフ会当日ですが…参加者は、友人…2人だけでした』

 

映像にはサングラスを掛けた未来の弾と思われる人物がパソコンでゲームをしようとしているところを蘭に罵られ、オフ会には千雪と鈴しか来ないという悲惨な状況だった。

 

「これって…マジ?」

 

弾の顔が青ざめていく。

 

「未来の君は…残念ながら、失敗して…職にも就かずに引きこもりMii Tuberを続けて家族からバッシングを受ける」

 

「じゃ、じゃあ、別にMii Tuber断念してたら…?」

「普通に恋人も出来て幸せになっとるよ」

 

占い師からそれを聞いて弾は、

 

「俺、Mii Tuberやめるわ。それとありがとな、ばあさん。あと、お前等は見られたり聞かれんの嫌だろうし先帰るぜ」

 

そう言って弾は五反田食堂に帰って行った。

 

その後、蘭も占ってもらったが普通に高校卒業してOLになる未来だった。そして、弾と同じ理由で帰った。

 

鈴は色んな困難を千雪と沢山の友と乗り越えた末に中華料理屋を経営するという内容だった。そして、同じく終わったら帰った。

 

「で、あたしのはどうなんだ?まずは、4年後だ」

 

「君の未来は…他の子達と比べるとかなり奇妙な運命を辿っているね。映像は知らない方がいいから見せられないけど…口頭で伝えるよ。4年後、君は隻眼の軍人と殴り合ったり、年上の同級生に囲まれて勉強をする」

「はぁ!?なんじゃそりゃ!?つ、次は…そのさらに4年後だ」

 

(何がどうなりゃ、軍人と殴り合ったり年上のクラスメイトに囲まれて勉強するんだよ?デタラメなんじゃあねぇのか?)

 

何がどうなってるんだと千雪は思いながら尋ねる。しかし、また…

 

「そのまた、四年後。君は学校を卒業して、13歳のロシア人の女の子とその子を養子として引き取った年の離れた君の姉と3人で暮らしている」

 

「ますます、わけ分かんねぇぞっ!?ってか、いつそのロシア人と会ったんだよ!?」

 

「君が13歳の時に会う。年上に囲まれた学校でね」

 

(マジで意味分からん。じゃあ、9歳じゃねぇか。ロシア人)

「さ、最後だ…。数分後は…?」

 

「私と別れた後、最初にぶつかった相手と4~6年後の間、深く関わる事になる」

 

「そうかい。信じないけどな。時間の無駄だったよ」

 

「毎度ありー」

 

(あー、バカバカしい。しんじねーよーだ)

 

と思いながら歩いて五反田家に戻ろうと歩いていると、

 

「痛っ!?」

 

「イテッ!?」

 

千雪はよそ見をしていたせいか、誰かにぶつかってしまいお互い顔をしかめた。

 

「あぶねぇだろ、気ィ付けな」

 

「悪りぃ」

 

ぶつかった相手は金色の髪と白い肌で青い瞳を持つ千雪より何歳か年上の外国人の背が高い少女だった。少女が千雪に文句を言うと千雪は適当に謝り彼女を通り過ぎて食堂に向かった。

 

(今、ぶつかったこいつと…まさかな…)

 

 

 

「ここが、スコール叔母さんが言ってた日本か。世間が馬鹿にするほどそんなに悪い所じゃあないな」

 

猟犬と狂犬、二匹の犬が数年後…巡り会い、宿敵として相対することになる。その事を二人はまだ知る由もなかった。

 

 




さて、今回はおふざけ回でしたけど…次回から本編入ります。誘拐~その後の話です。


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六話 誘拐

遅れてすみません。今回は、いろんな意味で大丈夫だろうか…。


第二回モンドグロッソ。ISの世界大会であり、織斑千冬は前回の優勝者だ。千雪は千冬に連れられ(※自分から観戦に行きたいとねだった)会場に来ていた。

 

「…やっぱりすごいなぁ」

 

千雪は千冬の試合を見てそんな感想を漏らした。実はISの試合観戦が趣味の一つであり見てて楽しいけれど、生で見に行った事は無かったので連れて行ってもらえると分かった時、とても喜んだ。

 

「はぁっ!」

 

「ぐぁっ…!?」

 

SE:0 勝者:織斑千冬

 

千冬が出した、剣術の基本である『唐竹』、『袈裟切り』、『右薙』、『右切上』、『逆風』、『左斬上』、『左薙』、『逆袈裟』、『刺突』これらの九つの斬撃を突進しながら同時に放つ技にやられ相手はシールドエネルギーが0になってしまい敗北した。

 

「ふぅ…」

 

(今のは、唐竹と袈裟斬りを同時に…?あ、手振ってくれた!)

 

千雪には二つしか見えなかった。考えていると千冬が手を振ってくれた為、振り返す。

 

今のは準決勝だった。先程の技を出すまで千冬はそこそこ苦戦していた…準決勝となると相手も手強い為当然とも言えるだろう。

 

決勝戦は三十分後に行われる。選手の休憩時間であり万全のコンディションで試合を行うため少し長い。

 

(さて、まだ時間はあるけど…どうしよ。ぬぁ!?)

 

三十分待とうとした時…!強烈な尿意が千雪に押し寄せる…!

 

「う~~トイレトイレ…」

 

席を立ち、トイレへと向かった。

 

「そこのあなた…やらないかしら」

 

しばらく、歩くと…トイレへ向かう道中で露出の多いドレスを着たスタイルがいい金髪の外国人の女が、ドレスをはだけてそう言った。

 

「……」

 

千雪は一瞬だけ女の方を向いてすぐに視線を背けるとそのまま素通りした。なお、後に女は語った。「あの時のあの子の目はまるで道端に落ちてたクソが近くにあった時みたいな目だった」と。

 

そして、トイレに到着してしばらく用を足し、スッキリするとトイレから出てきた。

 

「ふぅぅぅ…。観客席に戻るか…」

 

来た道を戻る。それは時間が掛からずすぐに終わるハズだった。ある人間達に絡まれなければ。

 

「織斑千雪だな…?」

 

「あ?」

 

「来てもらうぞ…」

 

近くに黒のハイエースが泊まるて大柄な黒人の男が降りてきて声を掛けて近付き掴もうとした。

 

「……」

 

しかし…男の手は空振った。右へと身体を逸らし右手を左へ捌いたのだ。

 

「このガキッ…!」

 

(白騎士事件起きる前までは、よく高杉さん怒らせてやってたんだよな…これ。掴まれたら一発OUTの鬼ごっこ。捕まえる時の動きの速さも掴む強さも身のこなしも…高杉さんの方がこいつより上だし)

 

次々と掴もうとしてくる動きを小さい動きで避けるか捌くかして逃れていく。

 

「クソガキがぁ…!!大人しくしろッ…!!ぐぉっ…」

 

「オラァッ!」

 

男は痺れを切らして正面から突っ込んできて両手で捕らえようとするも横にかわされ足を払われ転倒した。そして、男のωへと千雪の容赦ない蹴りがお見舞いされた。

 

「ぬぐっ…!?ぐおおおぉぉぉ…」

 

悪魔的…苦痛。それは男のωへの痛みが全身へ掛け巡りうずくまらせた。

 

「…逃げるかっ」

 

そして、男が悶絶している間に千雪は背中を向けて逃げ出した。向かう先は会場だった。

 

しかし…

 

「まったく…だらしがありませんねぇ。こんなガキにいつまで戸惑ってるんです?」

 

突如、女の声が聞こえ千雪の目の前に瞬間移動の様な速度で金色の髪のサングラスをかけた黒コートの女が現れ構えを取り掌打を放った。その速度は千雪が動くのが間に合わないほどだった。その一撃が迫る。

 

「がッ…!?ぐ、あぁっ…!!」

 

掌打を鳩尾にもろに食らい後方へと数m吹き飛んだ。威力はすさまじく激痛と息が詰まりうずくまって動けないほどだった。

 

「連れて行きなさい」

 

「は、はい…」

 

女の指示に先程ωを蹴られた黒服の男はふらつきながら駆けつけ千雪を抱えてハイエースの中へと連れていった。

 

そして、数分後ーーー

 

ハイエースの中には黒い服の男数人と運転手と、金髪の女、鎖で拘束された千雪が居て何処かに向かっていた。

 

「何もしないんですか?」

 

「え?」

 

何気なく放たれた女の言葉に若干戸惑いがちに1人の黒い服の男は反応した。

 

「ですから、その子には何もしないんですか?」

 

「何をするも何も…」

 

「いいんですよ?何をしても…許されます。例え、どんな事でも…」

 

黒服の男が戸惑っていると女は耳元で囁く。

 

「じゃ、じゃあ…」

 

「は…!?何すんだよ…やめろ…!」

女の言葉に乗り、黒服の男は千雪の服に手をかけ無理矢理引っ張りボタンを外し脱がした。

 

「あらあら…貴方、そっちの気があったんですね?三好さん」

 

女は楽しそうにその様子を眺めていて三好と呼ばれた男と千雪の座る席を倒していた。女の表情は面白いものを見るかのように笑っていた。

 

「触んなっ…!!」

 

「うるせぇッ!」

 

「ッつ…!」

 

千雪は鎖に縛られながらも身をよじるが、三好は拳を顔に降り下ろし鼻に命中し鈍い音が響き鼻から血が出始める。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「っく…ぁ…」

 

三好は息を荒げて衣服を全て脱がし終わるとベルトを外しチャックを下ろし下着を脱ぐと千雪の身体を引き寄せてナニかをしようとしていた。そして、千雪は顔に走る鈍い痛みに涙を流す事しか出来なかった。

 

「…やめ…て…」

 

「…っ…く」

 

千雪の力のこもっていない懇願など意に介さず三好は一気に身を引き寄せた。

 

「い゛…ッ…!?い゛だい…ッ!!い゛だいッ!!あ゛ああ゛あああ゛あぁぁッ!!!」

 

それは本来、千雪位の歳の子供が味わう痛みではなかった。引き裂かれるような痛みにより思考は一瞬で痛み一色で染まった。

 

「……」

 

女はその様子を見てほくそ笑んでいた。彼女のその時感じたモノは愉悦だった。

 

そして、その地獄は…千雪が痛いと喚いてももがいても、運転手である前田が引いていても止まることはなく続いた。

ーーーー

ーーー

ーー

 

誘拐犯達が建物に着くと車の中は生臭い匂いと血の匂いが充満しており、運転手の前田は鼻を抑えていて女と三好は満足そうに車を降り、千雪はあちこち傷だらけで目元は涙の跡で腫れていて生気を失ったを瞳をしていて女に運ばれている。

 

「それでは、始めましょうか。織斑の血が流れてるのであれば適合するはずです」

 

車からアタッシュケースを取り出すとそれを開いて女は注射器を出し、千雪の腕に宛がい刺す。

 

「…っ…」

 

それと同時に白衣を着た研究者達が紙を手に取り何かを書いている。そして、女が注射器を押しての中のナニカを注入した。

 

「…っあ゛あ゛あ゛ぁッ!!!」

 

注入されたナニカが体内で這い回り、激痛と恐怖を与えまともな思考も出来なくなっていく。

 

「はぁ…はぁ…」

 

ナニカが這い回る感覚がしばらく続いた後、収まり髪は灰色に変色し、赤い瞳は爬虫類のようになっていた。

 

「素晴らしい…!成功しました。血液を採取しなさい」

 

女は喜び、研究者達に指示を出すと研究者達は注射を刺し血液を吸引したり色々、検査を行った。

 

そして、数分後……

 

「それで…このガキはどうしましょうか?」

 

全員がその場から去る準備をしていると気になったのか前田が尋ねる。

 

「冥府にでも捨ててきなさい。織斑千冬が来る前に撤退します」

 

「分かりました」

 

女の指示に前田は頷き、千雪を車に乗せて車を出した。

 

 

 

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

そして、『冥府』という場所では…

 

「ふぅ…今日の外からの流れ物は何かと思ったがガキか。これでしばらくは…」

 

『冥府』の入り口に捨てられた千雪は小汚い格好をした浮浪者の男に運ばれていた。

 

『冥府』…それは、ある国に建てられた社会的地位を失った者達が流れ着く廃墟の様な場所だ。ここには、法も秩序もないこの世の地獄でもありこの国の負債とも呼ばれていた。

 

「ガッ…!?ぁ…」

 

千雪を運ぶ浮浪者の男は背後から何者かに刀で刺され、倒れた。刺したのは黒いロングコートを着てフードで顔を隠した女だった。その女は刀を抜き振るい血を払うと納刀し、

 

「……」

 

地面に落ちた千雪を抱えて何処かへ向かった。



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