ISと無気力な救世主 (憲彦)
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無気力な救世主編
自己紹介


この小説には以下の物が含まれます。

・一夏、誰これレベルでキャラ崩壊。
・オルフェノク出ません。
・スマートブレイン普通に企業。
・一夏はベルト2本持ってる。
・ドラマ性?何それ美味しいの?
・設定ふわふわ。
・白式には早々に退場してもらいます。(出るのは名前だけ。)
・原作と言う十二宮殿への階段はとうに崩壊していま
す。
・仲間達と成長……しません。
・最初から最強
・ネタあり。
・作者は気まぐれに感想に返信します。
・たまに遊びます。

それ以外にも多数注意事項があります。読む際はご注意下さい。


 IS学園。それは、将来ISを扱った職に就くものを育成する専門機関である。

 

 原則として、ISは女性にしか使うことが出来ない。その為、自然とIS学園は女子高になる。

 

 だが、そんな学園に1人の男性がいた。名を織斑一夏。偶然にもISを動かしてしまった不幸な少年である。

 

(鬱陶しい……。)

 

 因みに、この様な状態が頭の中ピンク色の男性に訪れれば「ヒャッホーイ!!」となるが、あいにく一夏は女性にそこまでの興味を示さないし、男性との違いが「胸周りに脂肪が付いているか否か」なので、この状況をただただストレスに感じるだけだ。

 

(ジャンプでも読むか。ワールドトリガーは……。まだ休載中……。)

 

 ストレスから解放される為なのか、それとも単に気になるからなのか、朝買ってきたジャンプを開き、読み始めた。

 

 読みたいマンガが掲載されていなかったが、他にも読むのはたくさんある。気にせずにジャンプを黙々と読み始めた。

 

 数分後、教室の入り口が開き、誰かが入ってきた。

 

「全員揃ってますねー。それじゃあSHR始めますよー。」

 

 このクラスの先生が来たようだが、何か全体的に小さい。見た目だけで言えば周りと大して変わらないくらいに見える。しかも服や付けているメガネのサイズが合っていない為か、ますます本人が小さく見える。

 

『子供が無理して大人の服着てみました』感満載である。

 

「副担任の山田真耶です。今年1年よろしくお願いしますね。」

 

『…………』

 

「お願いしまーす。」

 

 誰も返事をしないなか、一夏だけが真耶に返事をした。間抜けな返事だがな。

 

「!じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号で。」

 

 返事をされたことがそんなに嬉しかったのか、表情が明るくなった。

 

(この人、今までどんな生活送ってきたんだ?)

 

 返事をされたくらいで嬉しくなっている真耶に、一夏はそんな疑問を抱いたが、すぐに読みかけのジャンプに目を移した。「そんなに大事か!?」と突っ込みたくなる。

 

「……くん。織斑一夏くんっ。」

 

「ん?あぁ、自己紹介か。」

 

 ジャンプに熱中していた為、突然大きな声で呼ばれ、不機嫌そうに返事をしながらも、立ち上がって自己紹介をした。

 

「織斑一夏だ。好きなものは特に無い。嫌いな物は女尊男卑に染まっている女、面倒な物に退屈なもの。後、熱い物だ。」

 

 完全にそこそこ問題のある自己紹介だ。周りの女子は「もっとなんか言って」的な視線を向けてくるが、全部無視して座り、またジャンプを読み始めた。

 

「え、えーと……。他には?」

 

「自分の事を詳しく言うわけが無いだろ。」

 

「自己紹介とは自分と言う人間の事を知ってもらう為に存在する。少しはまともにやれ。」

 

 自己紹介の途中に教室に入ってきたスーツの女性。この人がクラスの担任の様だ。

 

「こんなところで何やってんだ?姉貴。」

 

「ここでは織斑先生だ。」

 

 主席簿を降り下ろされたが、軽々と片手で受け止めた。相手が手加減した訳ではないのだがな……。

 

「良く見ておけ。自己紹介とはこうやるんだ。」

 

 そう言うと、黒板の前に立ち、生徒達を見ながら自己紹介を始めた。

 

「諸君。私が織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことは良く聴き、良く理解しろ。出来ないものには出来るまで指導してやる。逆らっても良いが言う事は聞け。いいな。」

 

 こちらの自己紹介も、一夏と変わらないくらいに問題がある。まともな思考の持ち主なら、「お前ら自己紹介って知ってる?」と質問してしまうレベルでおかしい。

 

 が、本人達には全くの自覚が無いから質が悪い。

 

 しかし、千冬の自己紹介は何故か女子達には人気である。IS界のカリスマである千冬の自己紹介に興奮するのは分からなくもないが、流石に「付け上がらない様に調教して!!」はヤバい。イヤ異常だ。




と言うわけで、今回もISが原作です。クロス元は仮面ライダーファイズですけどね。

本当はウルトラマンとのクロスを考えていたんですけど、ウルトラマンさん達はチートすぎて聖闘士星矢もびっくりするレベルで原作と言う階段が崩壊しそうなのでやめておきました。すでに崩壊は始まってるけど……。

毎度のことながら、今回もタイトルの募集を行いますので、活動報告の方もよろしくお願いします。

次回もお楽しみに!感想もよろしくね。


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自称幼馴染(迷惑者)とイギリス代表候補生

最近なにも食べずに空腹を満たす方法を考えている作者です。今やこれが最近のマイブーム。

今回もゆっくりしていってね。


 授業が終った行間休み、殆どの生徒にとっては勉強と言う地獄から解放される時間だ。

 

 しかし、こんな時間なのに、1組の教室の周りは人でごった返している。理由は1つ。世界初の男性IS操縦者、織斑一夏を見るためだ。「暇なのかお前ら」と言いたくなってくる。

 

 だが、神経が人と比べて図太い一夏は気にする様子はない。関わられるのが面倒なのか、耳にイヤホンを刺し、音楽を聴いている。

 

「ちょっと良いか。」

 

「……。」

 

 声をかけられた気がしたので顔を上げてみたが、そこにはポニーテールの人が居ただけなのでまた顔を下げた。

 

「おい!無視をするな!!」

 

 今度は大声を出しながら耳からイヤホンを抜き取った。

 

「なにしやがる……。」

 

 この行動にはイラッと来たようだ。明らかに不機嫌である。

 

「お前が無視をするからだろ!!まぁ良い。少し付き合え。」

 

 何か話があるようだが、ここでは話しにくい様だ。その為、一夏を連れて教室から出ようとしたようだ。

 

「断る。何で初対面のお前の命令に従わなくちゃいけないんだ。」

 

「な!?初対面だと!?私を覚えていないのか!!」

 

「知らねーよ。お前みたいなヤツ。」

 

「とぼけるな!!お前の幼馴染の篠ノ之箒だ!覚えているだろ!!」

 

 どうやら一夏の幼馴染(自称)の様だ。自分の事を覚えていない一夏に、何がなんでも思い出させようと必死になっている。

 

「知らねーっつてんだろ。鬱陶しいんだよ。お前。」

 

 しつこく絡んでくる箒に突き放す様に言うと、丁度授業開始の呼び鈴がなった。

 

「後でまた来る!」

 

「チッ。休み時間邪魔しやがって。」

 

 その後は授業に入ったが、一夏は休み時間を邪魔してきた篠ノ之箒について考えていた。どっかで聞いたことのある名前だったからだ。

 

(篠ノ之箒……篠ノ之箒……。1人しか知らないな。)

 

 一夏の記憶の中にある篠ノ之箒と言う名前。それは小学校の頃にしつこく付きまとってきた人の名前だ。それくらいしか覚えていない。

 

(事ある毎に付きまとって勝手に人の予定を狂わせてくるあの女か?だったら関わる必要は無いな。)

 

 一夏の中にある彼女の記憶は、彼女への評価と共に散々な様だ。

 

(アイツとは殆んど関わっていなかった筈だが……。何で絡んでくるんだ……。まあ無視しとけばその内どっか行くか。)

 

 彼女は幼馴染と言っていたが、一夏自身は一切馴染んだ記憶がない様だ。むしろ煩わしいと思っている。

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 考え事をしたら授業が終わってしまった様だ。

 

 授業が終わってから早々、一夏は学園の1階まで降りていった。

 

「何で自販機が1階にしか無いんだよ。…………まともな飲み物が無いな。」

 

 自販機のレパートリー

 

 ・どっかの神様のジュース、オレンジ味

 ・どっかの神様のジュース、バナナ味

 ・どっかの神様のジュース、ブドウ味

 ・どっかの神様のジュース、メロン味

 ・どっかの神様のジュース、ドリアン味

 ・どっかの神様のジュース、レモン味

 ・どっかの神様のジュース、モモ味

 ・どっかの神様のジュース、ドラゴンフルーツ味

 

 と、バツゲーム用のジュースが全種類並んでいた。余り評判が良くない理由は、どの味も滅茶苦茶濃いのだ。そして値段が高い。缶ジュースなのに500ミリペットボトルと同じ値段、イヤ、30円ほど高い。

 

「はぁ…………。」

 

 財布を覗いて溜め息を付き、あの中でもまともな物であるメロン味を買った。

 

「まさか缶ジュース1本で180円も使うなんて……。」

 

 この値段の高さもバツゲームのいわれである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室に戻り、買ってきたジュースをチビチビ飲んでいた。

 

「やっぱ不味い……。」

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「チッ!何か用か?」

 

「まあ!何ですの!?その口の聞き方は!!わたくしに声をかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言うものがあるのでは無いのかしら!?」

 

 一夏はこの様に「女=偉い。男は媚びろ」と、頭のなかでおめでたい方程式が出来上がっている女が苦手である。

 

(またうるせーのが来た。)

 

「知らない相手にやる態度って何だ?お前みたいな人間にはこれくらいで十分だろ。」

 

「知らない!?イギリス代表候補生にして、入試主席のこのわたくしセシリア・オルコットを知らない!?」

 

「あぁ、知らん。興味も無い。」

 

 一夏の言葉に何か色々と大声で喚いていたが、ガン無視を決め込んでいた。

 

 買ってきてたジュースを飲みきるのに必死になっていたらいつの間にか休み時間が終わっていた。

 

「また来ますわ!!逃げないことね!!」

 

 いったいどこに逃げると言うのやら。

 

 その後、なんとかジュースを飲み干し授業の準備を行った。




取り敢えず今日はここまで。台本形式の方が楽だな……。

次回はオルコットの演説と宣戦布告かな。

どっかの神様シリーズは察しの良い方は何が元になったのかお気付きでは無いのでしょうか?良かったら感想欄に答えを載せてみてください。

次回もお楽しみに!感想もよろしくね。

活動報告のタイトル募集もよろしくお願いします。


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ジャパニーズディスりお嬢様

サブタイトルの命名は水笛さんです。個人的にツボったので使わせて貰いました。

これはお願いなのですが、ファイズとデルタの入力コードと入力後の音声を教えて貰えませんか?自分でも調べているのですがファイズは情報量も多く、設定も細かいのが多いので今大変苦戦しています。

皆様のお力をお貸しください。

そして、昨日はすみません。書いてる途中に寝てしまい。今日になってしまいました。


 味が濃いと不評の「どっかの神様のジュースシリーズ」第1弾を飲み干した後の授業。これが今日の午前最後の授業となる。

 

(今度は第2弾買お。)

 

 どっかの神様のジュースシリーズは味の濃い第1弾よりも、値段が安く、味もよい第2弾「どっかの神様のジュース・プロフェッサーシリーズ」の方が人気である。エナジードリンクの様な強炭酸が人気の秘訣だ。ただし種類が少ない。

 

 ………イヤ、そんなバカ話はどうでも良いのだ。問題は一夏が次に買う飲み物の話では無い。現在の問題、それは、

 

「では、クラス代表は織斑で良いな。」

 

 クラスの代表である。何故こんな話になっているのかと言うと、この授業が始まった直後、千冬の一言のせいだ。

 

「SHRで伝え忘れたが、再来週に行われるクラス対抗戦に出るクラス代表をここで決める。クラス代表とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……。まぁ、クラス長だ。自推・他推は問わないぞ。」

 

 ざわ……ざわ、ざわ……ざわ。と教室がざわめき出した。どこの人生逆転ゲームアニメのざわつき方だ……。

 

 一夏は興味無さげに、机の中に入れておいた小説を読んでいる。ハッキリ言って参加する気はさらさら無い。

 

「はい!織斑君を推薦します!!」

 

「私も!」

 

「右に同じく私も!!」

 

 ↑左側に居る人が何を……

 

 一夏の名前が上がると、そのまま周りにそれが伝染し、クラス中が一夏を推している。

 

 まぁ、当の一夏本人は露骨にイヤな表情をしている。それもそうだろう。本人の意見丸々無視しているんだから。一夏自身たまにやってしまうので人には言えないけど。

 

 この様に、クラスの大体が一夏が代表に推薦しているので、千冬も一夏を代表にしようとした。

 

「お待ちください!!納得いきませんわ!」

 

 決まりかけていたが、先程一夏に突っ掛かってきたオルコットが、机を強く叩きながら立ち上がった。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんて良い恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

 そこまで言うのなら自己推薦をすれば良いのかと思うのだが……。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然!それを、物珍しいからと言う理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこの様な島国でISの技術を学ぶために来たのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

 彼女は世界地図を見たことはあるのだろうか?日本もイギリスも、島国でだ。違うところは面積と正式な国名が長いこと位だろう。(グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国)因みに面積は日本の方が大きい。

 

「良いですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!!大体!文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―」

 

 止まらないなこの人。このIS学園イヤ彼の前では先程の発言はどれぐらい危険なものなのかを理解していない。

 

 ピ

 

「あっ、電池切れた。」

 

 何かの機械音が教室に響き、オルコットも演説を止めた。

 

 音のでた場所は一夏の手の中。そこを見ると、小さな機械を持っていた。

 

「織斑、それは何だ?」

 

「せっかくのイギリス代表候補生の演説だ。両国のトップにでも聞かせてやればどうだ?ほれ。」

 

 小型の録音機の様だ。充電はしていなかったので、先程の所までしか録音は入っていない。それを千冬に投げ渡した。

 

「貴方、どう言うつもりですか?そんなもの。」

 

「はぁ、オルコット、さっきの演説を思い出してみろ、この録音を両国元首に聞かせたらどうなるか考えてみろ。」

 

 千冬に言われ、考えてみた。すると、みるみる内に顔が青ざめてきた。どうやら理解したようだ。

 

「まあ、先程の発言は問題だ。最悪戦争。良くてもお前は代表候補生の資格剥奪と専用機の没収だな。ここではお前にその気があろうと無かろうと、国の発言になる。それを忘れるな。完全に宣戦布告だったぞ。」

 

 千冬の言葉に、完全に諦めた様に見えたが、1つだけ先程の事がバレない方法を見つけた。

 

「そ、そんな……。ッ!決闘ですわ!」

 

「は?」

 

「よくもわたくしを落とし入れようとしてくれましたわね!!貴方に決闘を申し込みます。そしてその音声データは消させてもらいますわ!!」

 

 周りにいる皆が言葉を失った。流石にこれは無いだろと思ったからである。

 

「はあ、仕方ない。候補が複数いるわけだし、1週間後に代表決定戦を行う。オルコットが勝てばこのデータは消してやる。織斑が勝った場合は……、まぁ好きにしろ。それで良いな。」

 

「構いませんわ!!」

 

「だだし、織斑。お前は手加減をしろ。そうじゃないと、オルコットは勝つことが出来ない。」

 

 千冬が一夏に対して、手加減をしろと言ったので、クラス中が驚いた。当然だ。片方は国家代表候補生。もう片方はつい先日見つかった男性IS操縦者。本来なら完全に逆である。

 

 しかも、勝つことが出来ないと断言したのだ。

 

「織斑先生。それはどう言うことですか?わたしくしがこの男に劣っていると言う事ですか?」

 

「姉の私が言うのも何だが、織斑の戦闘能力はハッキリと言って異常だ。単機での戦闘には向かない打鉄で試験官を倒した。ダメージを受けずにだ。強さだけで言えば国家代表にも近い。」

 

 千冬の言う、一夏の実力にクラスは驚き、言葉が出なかった。

 

 そのまま授業が終わると、千冬が思い出したように一夏にあることを伝えた。

 

「織斑。お前に専用機が届いているが、どうする。」

 

「返品で。」

 

 即答した。もう一度言わせてください。考えもせずに即答したのです。

 

「な!?貴方いったい何を考えているのですか!?専用機とは与えられるだけでも名誉な事なのですよ!分かっているのですか!?」

 

「どうせ倉持だろ。作ったの。あそこは今日本の代表候補生の専用機を作っているはずだろ。元からある仕事放り投げる連中の作った機体なんか乗れるかよ。そもそももう持ってる。2機な。」

 

 信用なら無い。命を預ける機体だ。いくら専用機を与えられる事が名誉でも、一夏の判断は当然である。

 

「そう言うと思ってもう返品してある。ただこれは持たせろとしつこくてな。」

 

 千冬はどこからか1本のブレードを出した。

 

「何だそれ?てかどっから出した。」

 

「雪片弐型。私の雪片の弟刀に当たるらしい。」

 

「はあ、ちょっと貸せ。」

 

 一夏は千冬から雪片を受けとると、窓を開け、外に放り投げた。

 

『106』

 

『enter』

 

『blastmode』

 

 窓の外に雪片を投げ捨てると、拳銃のような物で破壊した。

 

「よし。」

 

 イヤ何が?何がよしなの?何もかもがアウトだよ。

 

「もしもし用務員さんですか?教室の外にゴミが散らばっているので片付けておいて貰えませんか?」

 

 お前ら姉弟何やってんの?問題にならないと良いけどな。

 

 




『教えて!憲八先生!!』(ただのネタの為、続くかどうかは別)

はーい。ペンネーム「作者のリアルでの友人のメガネ」さんからの質問です。「何故いきなり小説を書き始めたのですか?勉強は大丈夫なのですか?」……ズバリお答えしましょう。……全然大丈夫じゃあ無いです。上がらず下がらず。イヤ、ジワジワと下がっています。何故いきなり小説を書き始めた理由ですね。単純に趣味が欲しかったからです。

続いてもう1通。ペンネーム「野生のゴリラ」さんからの質問です。「小説を書いてて死にたくなる事ってありませんか?」……はい、ズバリお答えしましょう。結構な頻度であります。特にキャラに自分の夢やら幻想やらを押し付けてる時とか、自分の理想を押し付けてる時は、何か悲しくなってきます。なので私は極力恋愛や家族の風景は書かないようにしています。

※この訳の分からんコーナーは質問があれば続くと思います。質問のある方は感想欄にどうぞ。

次回もお楽しみに!感想もよろしくね。タイトル募集の活動報告の方もよろしくお願いします。

最後やらかしてしまった……。


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クラス代表決定戦

本来なら、色々あった後にこれに入るんだろうけど、この作品ではそんなの一切無いのですっ飛ばします。


先程の話が終わった後、一夏は昼食をとるために食堂に来ていた。学食なのに意外とメニューが豊富である。

 

そんな豊富なメニューの中から一夏が選んだものは……

 

「熱ッ!!」

 

猫舌なのにラーメンである。何で?と突っ込みたい。

 

「ちょっとおばちゃん。これ熱すぎない?舌火傷しそうなんだけど。」

 

「えぇ~?普通だけど。熱いなら冷めてから食べれば?」

 

「俺は今食いたいんだよ!」

 

ずいぶんと勝手な言い方である。急いで食べたいなら何故ラーメンを頼んだんだ?急いでる人が昼食に食べたくない物ランキングで、普通に1位とか2位とりそうな物なのに。

 

仕方なく、一夏は手元に置いていた氷水をラーメンにブチ込み、ズルズルとすすって食べた。

 

すると、隣に箒が座ってきた。ここから早く離れる理由が1つ増えた。

 

「一夏。何か策はあるのか?代表決定戦での。」

 

「何でそんなこと一々あんたに言わなきゃいけないんだよ。」

 

「い、いや、その、お前の練習に付き合ってやろうかと思ってだな……。」

 

「必要ない。何であんたに教わらなきゃなんないんだ。つーか付きまとうな。鬱陶しい。」

 

ISの訓練に付き合ってくれるとの事だが、バッサリと切り捨てた。これにはいくつかの理由がある。

 

1、ISの訓練と言いながら、1週間剣道させられるだけの可能性がある。

 

2、戦い方がなっていないと、無理矢理戦い方を変えさせられる。

 

3、ISの事など1つも教えない。

 

4、一夏は既にISに関する大体の知識・戦闘能力を持っている

 

等があげられる。その他にもまだいくつかある。

 

断られたことに何か文句を言ってくるが、昼食を早く終わらせたいので、ラーメンをズルズル吸っている。すると今度は、別の人が声をかけてきた。リボンの色が違う。恐らく2年生だと思う。

 

「君かな~?代表候補生と勝負するって言うのは。それって本当の事?」

 

「はぁ。だったら何だ?あんたに何か関係でもあるのか?」

 

今回の箒と言い、この2年生と言い、この学園には一夏に絡んでくる人がやたらと多い。正直、本人はもううんざりしている。この状況に。

 

「何?その言い方。せっかくISの事教えてあげようと思ったのに。」

 

「必要ないって言っ―」

 

「必要ありません。私が教える事になっているので。」

 

一夏が必要ないと言うよりも早く、箒が自分が一夏に教えると言った。

 

「でも、君も1年生でしょ。稼働時間たいして変わらないんじゃない?」

 

「私は、篠ノ之束の妹ですから。」

 

「篠ノ之って……ええ!?」

 

2年生の人は、ここぞとばかりに驚いている。それなら仕方無いと、その場を退散した。

 

「おい、何勝手に決めてんだ。」

 

「良いじゃないか。お前もISの事が理解できるのだから。」

 

「ふざけんな!誰がテメー何かに教えられるかよ。」

 

空になったラーメンの丼を取り、不機嫌そうにその場から去っていった。

 

後ろの方で「放課後に剣道場に来い」と言われた気がしたが、無視して食堂から出ていった。その顔は誰の目から見てもイライラしていると分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒にしつこく絡まれながら1週間。クラス代表決定戦当日。一夏はピット内で準備をしていたが、何故かそこには箒がいた。

 

「あの、篠ノ之さん。ここは関係者以外立ち入り禁止なんですけど……。」

 

「私は一夏の幼馴染ですので関係者です。」

 

山田先生が出ていくように優しく注意をしたが、自分は一夏の幼馴染だと言って出ていかなかった。

 

「立派な部外者だバカ者。今すぐにここから出ていけ。」

 

「ち、千冬さん!?」

 

千冬が現れた。

 

「織斑。こいつはお前の幼馴染だと言っているが、どうだ?」

 

「さぁな。勝手にそう言って付きまとってるだけだ。」

 

「な!?」

 

「ほら。さっさと出ていかないか。」

 

一夏に幼馴染であることを否定され、千冬にも注意を受け、渋々出ていった。

 

「ん?今回はそれを使うのか?」

 

「手加減しろって言ったのはそっちだろ。」

 

一夏の手には、「SMARTBRAIN」のロゴが入った小さめのアタッシュケースがあった。

 

「試合時間まだだが、相手は既にアリーナで待っている。行けるか?」

 

「ああ。」

 

アタッシュケースを開き、中にある白いベルトを腰に巻き、一昔前にあった折り畳みの出来ない携帯電話の様な物を手に、デルタフォンに取った。(作者は1度も携帯電話には見えませんでした。)

 

「変身」

 

『Standingby』

 

不思議な待機音が流れた。それをベルトの右側に付いているビデオカメラの様な物。デルタムーバーにさした。

 

『complete』

 

電子音と共に、一夏の体に白いラインが回り、光に包まれると、そこにはオレンジの複眼に、黒い体のスーツを纏った一夏が立っていた。

 

「さてと、行くか。」

 

右腕を軽くスナップさせるように振り、アリーナへと向かっていった。

 

「ようやく来ましたわね。あら?男にはお似合いの欠陥機ではありませんか。飛行能力もない、武装は腰に付いている拳銃1丁とは……随分と情けない機体ですわね!そんな粗末な機体でわたくしに勝てるとでも!?」

 

等と、精神的に追い詰めようとしているのか、一夏の機体に色々と文句をつけてきた。当の一夏はと言うと

 

(デルタは久しぶりだな。上手く動けると良いが……。)

 

もう1機の方に慣れている為、少し不安に思っていた。自分が動けるかどうかにだ。

 

「貴方に最後のチャンスを与えますわ。」

 

「あ?チャンス?」

 

話を聞いていなかったので少し戸惑った。(元から聞く気などは無いがな。)

 

「織斑先生がなんと言おうとも、わたくしが一方的な勝利を納めるのは明白の理。ボロボロで惨めな姿を晒したくなかったら、今ここで謝りなさい。そしたら、許してあげない事もなくってよ。」

 

オルコットが上空から一夏を見下しながら言うが、何言ってんだ?コイツ。が一夏の感想である。そんなことに一々反応するのは面倒なので、無視しておいた。

 

「無言……。そうですか。それが貴方の答えですか。ならここで無惨に負けて、惨めな姿を晒しなさい!!」

 

試合開始まで5秒程残っているが、オルコットは一夏にライフルを向けており、弾の装填・セイフティーの解除をし、ロックオンをしている。公式戦なら完全にアウトだ。

 

『試合開始!』

 

開始の合図と同時に、オルコットは一夏を狙撃した。

 

「ふん。呆気なかったですわね。」

 

見ていた誰もがオルコットの勝利を確信しただろう。だが、いつまで経っても試合終了の合図が無い。

 

土煙が晴れてくると、人の影があった。正体は1人しかいない。一夏だ。体に付いている埃を払っている。

 

「な!?ッ!さあ、踊りなさい!わたくしとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!!」

 

「お前試合の時にいつもそれ言ってんのか?Fire」

 

『BLASTMODE』

 

腰からデルタムーバーを取り出し、ブラスターモードに変え、オルコットを撃った。

 

その威力は、大きさからは想像できない位に大きく、完全に嘗めていたオルコットはモロに受け、地上に墜ちた。

 

「フッ!ハァ!!」

 

墜ちたオルコットに、一気に近付いた。ライフルを向けられたが、蹴りで弾き飛ばした。ついでにオルコットも蹴飛ばしておいた。

 

「キャ!クッ!!」

 

ヨロヨロとオルコットが立ち上り、ティアーズの目玉でもあるビットを展開しようとしたが、それよりも早くに一夏が動いていた。

 

バックルからメモリーを抜き取り、デルタムーバーにさし込みポインターを展開した。

 

『Ready』

 

「check」

 

『ExceedChage』

 

ベルトから光が出て、ラインの上を移動しデルタムーバーに入っていった。

 

それをオルコットに撃つと、三角錐状の光が動きを封じた。

 

「う、動けない……!?」

 

「ハアァァァァァ!!!」

 

そこに蹴りを叩き込み、ティアーズのシールドエネルギーを0にした。

 

ティアーズが解除される瞬間に、ローマ数字のΔが薄く浮かび上がった。

 

『…………。』

 

観客が予想していなかった展開。終止一夏のペースで幕を閉じた試合に、全員言葉を失った。

 

「よくやったな。それで?賭けの内容はどうするんだ?」

 

「アイツにクラス代表をやらせる。」

 

「ほう。それで良いのか?」

 

「ああ。そうじゃないと、俺が代表をやることになるからな。」

 

「分かった。ならこの音声データは私が預かっておく。部屋で休め。」

 

千冬に賭けの内容を伝え、一夏は部屋に戻った。もちろん変身は解除してだ。




『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「ウルトラマンさんは今も昔も最強」さんからの質問です。「作者は日本に存在する特撮作品の中では何が好きですか?」はい。ズバリお答えしましょう。大体作者は特撮は仮面ライダー、ウルトラマンそして2年程前まで見ていたスーパー戦隊位ですが、ウルトラマンの方が好きです。特にネクサスを気に入っています。

次回は、出来ればチャイナ娘を出せれば良いかな~と思っています。そして、一夏の持っているもう1つの専用機を明らかにします。皆さん予想していると思いますが、飽きずに待ってください。

次回もお楽しみに!感想もよろしくね!

タイトル募集の活動報告は24日までにしようと思います。ふるってご応募下さい!


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もう1つの力

テスト日に何をやっているのだろうか…………。小説の投稿です。


あの色んな意味で印象に残ったクラス代表決定戦が終わり、週の開けた月曜日。この日は大体の生徒が暗い顔をしている。作者も今日からテストなので暗い顔をしている。

 

その中に1人、周り以上に暗い「この世の終わり」的な顔をしている生徒が居る。

 

そう。先日行われたクラス代表決定戦で、一夏に盛大に負けてしまったセシリア・オルコットである。

 

因みに周り以上に暗い顔をしている理由は、あれだけの大事を言っておいて、それらしい成績を残せなかったと言うことと、あの演説(笑)を国の方々に報告されたらと言う恐怖からである。

 

(良くて代表候補生の資格剥奪と専用機の没収。悪くて戦争…………。)

 

考えれば考えるほどに、顔が真っ青になっていく。もう既に、病人の様に青白い。

 

これが自らの力を傲り、他人を見下した人間の末路なのかもしれない。

 

「全員居るな。織斑起きろ。」

 

オルコットが青くなっていると、教室の入り口が開き、千冬と真耶が入ってきた。

 

「まずは連絡だ。クラス代表はオルコットに決まった。」

 

千冬のこの一言で、クラス中がざわついた。

 

「な、何故わたくしなんですか!?」

 

「決まっているだろ。これが織斑の賭けの内容だからだ。」

 

「俺は面倒な事はやらない主義なんだよ。」

 

この言葉に、オルコットは安堵し、取り敢えず先日の不手際をクラスの全員に謝った。

 

まあ、その事は別に問題にならなかったのだが、クラスの大半の女子が嘆いていた「スイーツ無料パスが貰えない」と。……。試合そっちのけでスイーツ無料パスかよ。

 

「一時間目はISの基本的な操作訓練を行う。着替えてからグラウンドに集合だ。」

 

全員着替え始めた。一夏は着替える必要が無いが、制服だと動きづらいので、更衣室にいき、ジャージに着替えようとしたが、教室を出ると、箒に呼び止められた。

 

「おい!一夏!!」

 

「何だよ。うるせーな。」

 

「そんなことはどうでも良い!何だ?先日の試合の戦い方は!?何故拳銃を使った!?何故刀を使わないのだ!?」

 

かなりどうでも良いことだった。そもそも何で拳銃を使ってはダメなんだ?この時代飛び道具積んでる機体は沢山ある。その機体全てに刀で戦えと?バカなのか?

 

「どう戦おうと俺の勝手だろ。何でお前に決められなきゃなんないんだよ。つーか何で刀なんだよ?この時代に。」

 

「千冬さんだって現役時代は刀1本で戦っていたのだぞ!お前もそうするべきだろ!!それに剣術なら昔私の道場で習っていただろ!!」

 

「ふざけんな。俺は俺だ。何で他の真似をしなくちゃなんないんだよ。いい加減にしろ。つーか剣術なんか習った覚えはねーよ。」

 

話を聞く必要が無くなったので、更衣室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これよりISの基本的な飛行操作を実践してもらう。織斑、オルコット。試しにやってみろ。」

 

「織斑先生。俺の専用機飛べない。」

 

「もう1つの方があるだろ。今回はそっちを使え。」

 

千冬にもう1つの方を使えと言われていたが、あいにく今日はデルタギアしか持ってきていない。

 

「バジンにでも取ってきて貰え。それでも操作は出来るだろ。」

 

「あ~。はいはい」

 

デルタフォンを取り出し、どこかに連絡をした。(※本作ではデルタフォンでもバジンの遠隔操作が可能となっております。ただし、声帯認識システムに登録されている声のみ可能です。)

 

数分後、人型のロボットが荷物を持って飛んできた。手にはデルタギアが入っているのと変わらない大きさのアタッシュケースと、トランクボックスみたいなのがある。

 

それを一夏に投げ渡すと、いつも待機している場所に戻っていった。

 

「まだ用事があったが……まぁいいか。織斑、早く変身してみろ。」

 

千冬の指示で、アタッシュケースの中にあるものを取り出し、ベルトを腰に巻き、トランクボックスのくぼみに、携帯電話をさし込み、キーボードに番号を入力した。

 

『555 enter』

 

『Awakening』

 

電子音の後、赤い光に一夏が包まれると、そこにはデルタとは違う、赤い体に黒いラインが入っている姿になった。

 

「な!?」

 

「やっぱり何度見ても慣れんな。ブラスターフォームは。」

 

オルコットは自分が戦ったのとは別の機体を使っていることに驚き、千冬はブラスターフォームを見ると毎度思う感想をこぼした。

 

「両者展開できた所で、飛んでみろ。」

 

「はい!」

 

千冬の言葉に、オルコットはハッキリと返事をして飛んでいった。一夏は、

 

『5246 enter』

 

『Faiz Blaster Take Off』

 

電子音の後、背中に付いているマルチユニット、フォトン・フィールド・フローターからのジェット噴射により、一夏も空中に飛んだ。

 

後から飛んだにも関わらず、オルコットを追い抜き、かなり高い位置まで飛んだ。

 

「よし。次は急降下と完全停止だ。目標は地上より10センチだ。」

 

位置的に一夏よりも低い場所に居るオルコットから始めた。

 

「12センチか。まあ、良いだろ。次、織斑。」

 

空中である程度停止場所の確認を行い、フルスピード降下していった。そして、目測をつけた場所で急停止をかけてみた。

 

「ジャスト10センチか。良くやった。だが、あのスピードでの降下はよせ。周りが驚く。」

 

千冬の言うと通り、先程の一夏を見ていた生徒たちは、心臓の辺りを手で押さえている。

 

コイツら大丈夫か?と言うのが一夏の感想である。

 

「次は武装の展開だ。まずは遠距離武器。」

 

『103 enter』

 

『Blaster mode』

 

電子音と共に、ボックスのアンダーパートが上方向に180°展開・接合させ、巨大な銃に早変わりした。

 

「まあ、お前のは仕方無いな。次、オルコット。」

 

「はい。」

 

左手を肩の高さまで上げ、真横に突き出す。すると、一瞬爆発的に光に、手の中にはスナイパーライフルが握られていた。

 

銃には既にマガジンが接続され、オルコットが視線を送るだけでセーフティーが外れた。

 

「流石代表候補生と言う所か。だが、そのポーズは止めろ。真横に向かって展開して誰を撃ち抜くつもりだ。」

 

因みに、一夏はオルコットの右側に立っているので大丈夫だが、左側に立っていたら確実にフォトンバスターを躊躇なく撃っていただろう。

 

「次は接近用の武器を展開しろ。」

 

『143 enter』

 

『Blade mode』

 

フォトンバスター時の砲身部分が分解され、刀身が生成され、巨大な剣が完成された。因みに砲身部分はボックス内のサーバーに格納されている。

 

一夏はナンバーの入力等があるので、そこそこ時間がかかるが、それ以上にオルコットは時間がかかっていた。

 

「くっ……」

 

「まだか?」

 

「ああ、もう!インターセプター!」

 

やけくそに叫び、漸く展開することが出来た。

 

「遅い。実戦ではすぐにバーベキューになるぞ。」

 

「実戦では間合いに入られないので問題ありません!!」

 

「拳銃一丁しか武装の無いデルタに、一瞬で間合いを詰められた上にビットすら展開することが出来なかったのはどこの誰だ?」

 

この言葉に、オルコットは黙ることしか出来なかった。

 

「もう時間だな。各自、着替えをして教室に戻れ。」

 

この時間はここまでらしい。あれ?一夏とオルコット以外なにもしてなくね?




もう少し行きたかったけど今日はここまで。まさかの最初からファイズブラスターです。1話の注意事項を読んだ人は大体予想していたでしょう。

次回はあの人が登場します。

次回もお楽しみに。感想もよろしくね!タイトル募集の活動報告もよろしくお願いします。

『ちょこっと!教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「銀髪ニート侍」さんからの質問です。「後書きでやっているコーナーって銀魂のあれですよね。結構前にやってたあれと同じ様な物ですよね。」はい、ズバリお答えしましょう。全くその通りです。

それじゃあ、次回。またお会いしましょう。


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外国の友達

最近腰痛と眠気が酷い作者です。

※今日は短いです。

今日はISで人気のあのキャラが登場します。ただし、原作の様な感じではなく、親友ポジションです。それが嫌な方はお気をつけ下さい。

何だろう。今更ながら挿絵が欲しいな。描けないけどw


一夏の2つめのISが明かされた次の日、やけにクラス中が盛り上がっていた。作者的には火曜日はあんまり好きじゃないですね。面白い番組が無いので。そもそも最近テレビほとんど見ないけど。

 

「あ、織斑くん。聞いた?転校生の話。」

 

「この時期に転校?転入の間違いだろ。」

 

ごもっともである。この時期では「転校」と言うには少し早すぎる。どちらかと言えば「転入」だ。

 

そして噂の転校生?だが、どうやら中国の代表候補生だそうだ。

 

「中国ねぇ……。」

 

中国と言う言葉を聞き、どこかに懐かしそうにしている。

 

「中国にご友人でも居られるのですか?」

 

「ああ。1人な。」

 

オルコットの質問に、友人が居ると言った。その言葉を聞いた1組の生徒の中には驚いているのも居た。

 

そんなに不思議か?

 

「織斑一夏くん居ますか~?」

 

転校生の話をしていると、教室の入り口から名前を呼ばれた。

 

どうやら噂の転校生本人の様だ。

 

「……鈴?」

 

「久しぶりね、一夏。元気してた?」

 

噂の転校生は、たった今噂をしていた一夏の友人だった。……偶然って怖いね。

 

「ああ。久しぶりだな。何でまたこっちに来たんだ?」

 

「それは―」

 

久し振りに会った者同士、話をしようかと思ったが、それは出来なかった。何故なら、

 

「おい。もうすぐSHRの時間だぞ。」

 

後ろに地獄の閻魔様ですら冷や汗をかく鬼が立っていたからだ。

 

「ゲッ!千冬さん……。」

 

スパン!!

 

「織斑先生と呼べ。そしてとっとと教室に戻れ。」

 

名前で読んだ鈴の頭に、出席簿を叩き込み本来あるべき教室に戻した。

 

その後、多少騒がれたが授業に入り、午前中を過ごした。授業中にとある生徒が出席簿を頭にバッチリと叩き込まれていたが、特に問題は無い。

 

そして昼休み、一夏は昼食をとるために学園の食堂に向かった。頭の中で何を頼むか考えながらだ。

 

「待ってたわよ一夏。」

 

食券を買おうとしたら、ラーメンを持った鈴が現れた。(ドラクエのモンスター出現bgm流したい。)

 

「麺伸びるぞ。」

 

それくらいしか反応できない。実際、もう既にスープが減ってきている。

 

一夏は比較的、イヤ滅茶苦茶安い蕎麦を注文し、受け取ると空いてる席に座った。鈴も一緒にだ。

 

「それにしても久し振りだな。丁度1年位か?会うのは。」

 

「それぐらいね。しかし、良くまぁISなんて動かしたわね。昔からの不幸体質は治ってないようね。」

 

鈴の言う通り、一夏は昔から地味に運が悪い。当たり9割の福引きでハズレを引いたり、自販機で買ったのとは別の飲み物が出てきたり、心霊スポットで自分だけ幽霊に出会したり、自動ドアが開かなかったり、財布を無くしたりと、こう言った不幸が多い。

 

これ地味って言わなくね?

 

財布を無くす辺り普通に不幸じゃね?

 

そんな感じな話していたら、箒がやって来た。

 

「おい一夏!ソイツとはどういう関係か説明しろ!!」

 

予想通り、と言うかヤッパリ聞いてきた。

 

「ただの友達だよ。何でお前に一々説明しなきゃいけないんだよ。」

 

「一夏誰これ?」

 

「知らん。勝手に付きまとってくるヤツだ。」

 

「ふ~ん」

 

それを聞くと、興味が無くなったのか自分の注文したラーメンをズルズルとすすっている。一夏も残りの蕎麦を黙々と食べた。

 

隣でなんか言ってきているが、2人はスルースキルを発動している。その為、一切話の内容は耳に入ってこない。

 

「そう言えば一夏。あんたISの操縦とかどうなの?」

 

「特に問題は無い。専用機も持ってるしな。」

 

「専用機?企業代表にでもなったの?」

 

「んな大層なものにはなってねーよ。スマートブレインの機体を使ってるだけだ。」

 

スマートブレイン。鈴はそれを聞くと少し考え出した。

 

「じゃあ放課後に訓練手伝ってくれない?スマートブレインの機体の性能も見たいし。」

 

「ああ。良いぞ。」

 

こうして、一夏は放課後に鈴の訓練に付き合うことになったのだが、問題はどれ程の力加減でやれば良いかと言うことだ。一歩間違えれば鈴の機体を破壊しかねない。

 

その為、慎重にやることを決めた一夏だった。

 




クラス代表就任パーティー?主人公が参加しないものをわざわざ書く訳が無いでしょう。一夏が参加しない理由は分かりますよね。

あっ、鈴は仮面ライダーにはしません。シックリ来るのが思い付かないので。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「カップ麺大好き」さんからの質問です。「作者はガンダムは好きですか?好きでしたらどれが1番好きか教えてください。」ズバリお答えしましょう。作者はガンダムシリーズを全部見ることなんてしません。現に最初から最後まで見たのはダブルオーとユニコーン位です。その他のガンダムシリーズについても多生の知識はありますが、個人的にハマったガンダムはダブルオーくらいです。

次回もお楽しみに。感想もよろしくね!タイトル募集は明日までです!ふるってご応募下さい!!

次回、放課後の訓練。


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放課後の訓練

感想欄にオーガは千冬が良いですよ的なコメントがありましたが、オーガにはこれ以上に無い適役が居ます。俺の中でのオーガは彼しか居ないし、オーガは彼だけの仮面ライダーなので、そのリクエストは受けられません。ごめんなさい。

タイトルの募集は今日までです。そちらもよろしくお願いします。

※今回も短いです。


座学中心の授業を終えた放課後。一夏は訓練のためアリーナに向かっていた。鈴は既に待っていると先程連絡があった。

 

「ん?何でソイツが居るんだ?」

 

「さぁ?」

 

一夏がアリーナに入ると、鈴以外に何故か箒が居た。しかも打鉄を纏っている。

 

「一夏!お前の曲がった根性、今日ここで叩き直してやる!!」

 

「はぁ……。一夏、私は後で良いから早く済ませて。」

 

「分かった。」

 

『555 enter』

 

『Standingby』

 

「変身」

 

『complete』

 

「?昨日とは姿が違う……」

 

こんなことでブラスターフォームを使うのは面倒なのだろう。

 

「んな事どうでも良いんだよ。さっさと始めろ。」

 

なんか納得していない様だが、そんなことで時間を取ってる余裕は無いと判断したんだろう。規定の位置まで下り、2人ともいつでも動けるようにした。

 

「じゃあ準備は良いわね!始め!!」

 

鈴の合図で、箒は打鉄の接近ブレードの葵を構えて、声をあげながら突っ込んで来た。

 

(突っ込むなら瞬間加速ぐらい使えよ。)

 

そんなことを考えながら、一夏はベルトに付いているカメラの様な物にメモリをさし込み、手にはめた。

 

『Rady』

 

『enter』

 

『EceedCharge』

 

「ハァ!!」

 

「ガッ!?」

 

一夏が出した拳をもろに受け、箒は壁までブッ飛ばされた。この一撃でシールドエネルギーも0になった様だ。打鉄が解除されている。操縦者の箒はと言うと、そのまま伸びている。

 

「ストーカーされてるなら相談したら?千冬さん辺りに。」

 

「あぁ、そろそろストーカーの相談でもしてみるか。」

 

これ以上話してるのも時間の無駄なので、一夏は鈴と試合をする準備をした。準備と言ってもメモリをベルトにさしなおすだけだけど。

 

「準備は良いわね。始めるわよ!」

 

全体的にピンク色の目立つ機体を纏っている。機体の名前は『甲龍』。7つの玉を集めると願いを叶えてくれる緑色の龍と同じ名前だ。

 

「その機体人の願い叶えてくれるのか?」

 

「なに言ってんの?頭打った?」

 

流石にそのネタはあっちでもさんざん言われたのか、少しイラッとしている。

 

「って、そんな事はどうでも良いのよ。早く始めるわよ。」

 

「グッ!?重い……!」

 

大型のブレード、双天牙月の重い一撃が一夏を襲った。同じ斬撃でも、箒のものとは比べ物にならない。

 

「これを受け止めるの!?化物ね、その機体。」

 

「デリャ!!お前の機体もな。ファイズがおされるとは思わなかったさ。」

 

「まだ余裕そうね。でも、これならどうかしら!!」

 

「ッ!?」

 

突然なにもない所から衝撃に襲われた。そのまま続けて2発食らい、吹っ飛ばされた。

 

だが、一夏もただやられている訳ではない。

 

「ッ!フッ!」

 

「避けた!?嘘でしょ!?見えない筈なのに!」

 

この短時間で一夏は鈴の癖を見抜いた様だ。その癖とは、

 

「お前、次に撃つところに目線送ってるだろ。バレるぞ。」

 

鈴は次に撃つところに無意識の内に目線を送ってしまう様だ。たった3発受けただけで見抜き、対処したようだ。

 

「たった3発で見抜くとか、機体だけじゃなくてアンタも相当の化物ね。普通気付いてもすぐに対処は無理でしょ。」

 

「生半可な訓練は受けてないからな。続けるのか?」

 

「当たり前!!」

 

その後も、一夏と鈴の2人はお互いにアドバイスしつつ、ほとんど一夏が鈴にしているだけだが、訓練を続けた。

 

アリーナが閉まるギリギリまで、約3時間位。ノーストップでだ。……良く体力が持ったな。

 

後は2人で軽く夕食をとったり、離れている間の事を話していた。

 

箒は……、途中アリーナの監督の先生に回収されていったので、問題は無いだろう。次の日放課後の記憶が少し消えてる位だから問題は無い筈だ。多分。きっと。




『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「フルーツポンチ侍(桂)」さんからの質問です。「最近文字数が減ってきていますが、ネタ切れにでも陥ったのですか?」はい、ズバリお答えしましょう。ネタは切れていません。ただ疲れているだけです。字数少なくて申し訳ありませんね。

次回 クラス対抗戦、無人機従来。

次回もお楽しみに。感想とタイトル募集もよろしくね!


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クラス対抗戦。無人機襲来

昨日夢で、デルタがファイズエッジに自分のミッションメモリを差し込んで使うと言う変な夢を見ました。劇中でも二次創作でも見たこと無いのに……。それを友人に話したら、「お前…………」と言われました。変な事でしょうか?

あ、今日よりタイトルの変更を行います。


あの訓練のあと色々な事があった。箒にいつも通り絡まれたり、箒が千冬に出席簿アタックを食らったり、箒が千冬に指導室に連れていかれたり、箒が補習を食らったり…………。訂正しよう。特に何も無かったな。

 

まあ、そんなことがありながら迎えた、クラス対抗戦当日。

 

この対抗戦は、現時点での各クラス代表の実力をはかる物なので、公式戦の様に相手をシャッフルで選ぶ訳ではない。隣のクラスと戦うことになる。従って、最初は1組と2組の試合になる。(※上記の対戦相手選出方法は今作のオリジナルとなります。)

 

(鈴は初っ端から相性の悪い遠距離機が相手か……。)

 

そう、鈴の機体、甲龍は遠距離の機体との相性が悪いのだ。主な理由は衝撃砲の射程距離が余り長くない事があげられる。

 

しかし、そんな事は鈴が1番理解しているだろう。だが、絶対に勝つと言う顔をしている。

 

(1組やオルコットには悪いが、ここは鈴を応援させて貰うか。)

 

『両者、規定の位置まで進んで下さい。』

 

どの様な試合になるのか、楽しみにしていると、いつの間にか開始時間になっていた。

 

アナウンスに従って、鈴とオルコットは規定の位置まで進んだ。

 

『試合、開始!!』

 

合図と共に、オルコットは自分の距離に入るために後退し、鈴との距離を開けようとした。だが、

 

「オゥリャ!!」

 

距離を取らせまいと、双天牙月を連結して投げ飛ばした。綺麗な投球?フォームだ。

 

ISと言う、ほぼ何でもアリな戦いが出来るようになったこの時代、自分の持っている武器を投げ飛ばすと言う方法は誰も取らない。単にリスクが大きいからである。

 

しかし、誰も取らない方法だからこそ、相手の意表を突き、大きな隙を作らせる事が出来る。暗殺でも良く用いられる方法だ。

 

なにより、ISの戦闘では「隙を作る」事事態、最も危険なことである。この世に存在するどんな格闘技よりもだ。(因みに作者は1秒あればナイフを4回相手に当てることが出来ます。腕力に物を言わせてですけどね。)

 

予想通り、鈴の放った攻撃は、オルコットの意表を突き、動きを一瞬止めた。一夏との特訓で、それを見逃さなくなった鈴は、一気に距離を詰め込んだ。

 

「ハァ!!」

 

「グッ!」

 

距離を詰め込むと、武器を使わずに、拳で地面に叩き伏せた。しかし、相手も専用機を任される程の代表候補生。一夏との試合から全く訓練をしていない訳ではない。

 

墜ちながらではあるが、ビットを展開して、鈴を攻撃した。これくらいの返しは出来るようになった様だ。

 

(ヤバッ!ビットの対策してなかった!!こうなったら!)

 

鈴はビットの対策を忘れていたみたいだ。しかし彼女の性格上、チマチマ避けたりガードしたり等はしない。単純に面倒だと思うからだろう。

 

攻撃を受けながらも獣の様に接近し、オルコットに掴みかかると、一緒に地面へと突っ込んで行った。

 

地面に押さえ付けると、衝撃砲の出力を最大にして撃とうとしていた。残りのシールドエネルギーを考えて、この一撃で全てを決めるようだ。

 

だがオルコットもただ押さえ付けられてるだけではない。レーザービットにエネルギーを溜め、鈴と同じく一撃で片付けようと思っていたらしい。だが、

 

ドゴォーン!!!!

 

突然響き渡った轟音に、アリーナが静まり返った。

 

その音は、鈴の衝撃砲でも、オルコットのビットでもない。アリーナの中に突っ込んで来た何かの音だった。

 

「「ッ!?」」

 

「ん?」

 

土煙に包まれた相手の正体。それはISだった。一夏のとはかなり違ったフルスキンのISだ。

 

「何あれ?一夏のISの親戚?」

 

「どう見てもそんな感じには思えませんけど?」

 

正体不明のIS。それの登場で観客席はパニックになっている。皆我先に逃げ出そうとし、収集が付かない。

 

「姉貴聞こえるか?」

 

『織斑先生と呼べ。それでなんだ?』

 

離れた所から一夏は千冬に連絡をとっていた。

 

「この状況は不味い。俺をアリーナの中に入れろ。今すぐにだ。」

 

『そうしたいが、今全ての扉がロックされている。開けることは出来ない。中に入るには壁かアリーナを覆ってるシールドを破壊する必要がある。』

 

「なら今すぐにシールドを―」

 

『ただし、シールドは修理費が高い。破壊するなら壁にしておけ。そっちの方がまだ安く済む。今から指定する場所の壁を破壊しろ。』

 

「分かった。」

 

いくら人を助けるためとは言え、学校を破壊させるとは、千冬も思い切った様だ。一夏は場所を聞くと、その場に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑先生!いくら何でも生徒をあそこに入れるのは危険すぎます!扉を開けて、教員部隊を入れた方が―」

 

「その教員部隊が我先に逃げ出し混乱を招いている。そんな連中を入れるより、アイツを入れた方がよほど信用できる。」

 

「ですが!」

 

「それに、私は一夏を信じている。アイツなら大丈夫だ。」

 

一夏を信じ、託した千冬に真耶は何も言わなくなり、一緒に一夏を信じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内部では、シールドエネルギーがギリギリな鈴とオルコットが踏ん張っていた。

 

先程通信で、千冬に一夏到着までの時間を稼ぐ様に頼まれたのだ。

 

「すぐに来るって言ってたけど、案外キツいわね……!」

 

「大丈夫ですわ……!あと少し、あと少し耐えれば、きっと……!」

 

2人共、立っているのがやっとの状態だ。ほとんど気力で戦ってる様な物だ。

 

しかし、相手にはそんなこと関係ない。所属不明のISは、鈴達に止めをさそうと迫ってきた。

 

((避けられない!!))

 

2人は諦めかけたが、まだ運は2人を見捨てていなかったようだ。

 

「ハァ!」

 

壁を破壊した一夏が、壁と一緒に正体不明のISを殴り飛ばしたのだ。

 

「遅くなった。後は俺がやる。」

 

「本当よ。どれだけ待たせる気?」

 

「遅すぎですわ!」

 

「そんだけ騒げるなら大丈夫か。一気に片を付けさせてもらう!」

 

そう言うと、手首に巻いている腕時計の様なもの、ファイズアクセルからメモリーを抜き取り、携帯のメモリーと差し替えた。

 

『Complete』

 

電子音の後、体の基本カラーが黒に変わり、胸部のアーマーが展開し、複眼の色も赤に変わった。体に流れるラインもだ。超加速モード、アクセルフォームだ。

 

ファイズアクセルに付いているボタンを押そうとしたとき、突然の邪魔物が入った。

 

『一夏!!男なら……男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』

 

「「な!?」」

 

「あの野郎!?」

 

そのバカデカイ放送が流れると、正体不明のISは放送室に狙いを定め、アリーナに突っ込んだ時と同じレーザーを放った。

 

「不味い!?」

 

『startup』

 

加速して、攻撃を体で受け止めた。別に箒1人だったら見捨てても構わなかったかもしれない。だが、放送室には他にも数名人がいた。恐らく逃げ遅れた放送部の人だろう。

 

それを守るために、一夏は体を張ったのだ。だが、アクセルフォームは胸部のアーマーが展開しているため、防御力が下がっている。

 

「グワァ!!」

 

その状態で攻撃を体に受ければ、当然ダメージは生身の体まで来る。

 

スーツもダメージ限界を迎え、解除されてしまった。

 

「一夏!!」

 

生身になった一夏に、止めをさそうと所属不明機が近付いてくる。だが、それは大丈夫だ。何故なら、

 

「……おせーよ。呼んだらすぐに来い!」

 

事前にバジンを呼んでいたからだ。

 

バジンは一夏を立たせると、ファイズエッジを置いて、元の場所に戻って行った。

 

『555 enter』

 

「はぁ、全く……変身!!」

 

『Complete』

 

「もう1回行くか。」

 

『Complete startup』

 

渡されたファイズエッジに、もう片方のメモリーを差し込み、加速しながら相手に斬りかかった。その時、装甲の一部が剥がれ、相手が無人機であることが判明した。

 

「無人機ならこれ食らっても問題は無いな!」

 

ファイズエッジからメモリーを抜き取り、ポインターに差し込み、それを脚に付けた。

 

『ExceedCharge』

 

電子音の後、無人機に大量の円錐状のマーカーが付き、それに次々と蹴りを叩き込んだ。

 

『3.2.1 timeout』

 

『Reformation』

 

無人機は粉々に破壊され、ファイズは元の姿に戻った。

 

「これで、終わったか…………。」

 

ダメージが大きすぎたのか、変身を解除すると、そのまま倒れてしまった。制服の胸の辺りが少し焦げている。それが彼のダメージの大きさを物語っている。

 

その数時間後、一夏が目覚めると先程の報告を行った。その結果、戦闘及び避難の邪魔をした箒に反省文と1週間の自室謹慎処分が下った。

 

本人は一夏の応援の為だと全く悪びれた様子は無かったが、千冬にこっ酷く叱られた。

 

ついでに、鈴には殴り飛ばされた。2秒位空中を漂っていたと思う。結構な力で殴ったな……。




今日はここまで。タイトルは「ISとファイズと無気力一夏」から「ISと無気力な救世主」へと変更します。

タイトルをくださったナハト・リコリスさん、ありがとうございました。

次回 2人の転校生。

次回もお楽しみに。感想もよろしくね!

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「鈴の髪の毛を切って短髪にしたい」さんからの質問です。「作者が特撮にハマったきっかけは何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。作者が初めて見た特撮の映画が「ウルトラマンコスモス THE first contact」です。少年の頃のムサシとコスモスを描いた作品ですね。この映画のムサシがコスモスの手に乗って空を飛ぶシーンに憧れ、そこから特撮を見るようになりました。初めて見たウルトラマンはコスモス、戦隊はアバレンジャー、仮面ライダーはファイズです。

実は企画を2つほど考えています。1つは今まで書いた作品の外伝をまとめた短編小説、もう1つは過去に書いた作品を1度けす、またはリメイクと言うことで、台本形式から現在のような小説形式に直すことです。短編の方は書くのが決まっていますが、台本形式から小説形式に直すのはどっちが良いか迷っています。良かったら感想欄に書いてください。


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2人の転校生。の少し前

何も伝えず2日も休んでしまい、申し訳ありません。理由としましては、

金曜日、溜まっていた疲れが出てきて学校から帰宅後に意識がブラックアウト

土曜日、朝から頭痛と目眩が酷くて1日中ダウン

こんな感じで投稿が出来ませんでした。最近睡眠時間が必要時間以下になることが多発していたからかな?

因みに今日も頭痛と目眩が抜けていません。

と言うわけで、今日はいつも以上に誤字がひどいと思いますので、ご注意下さい。

※今日も少ないです。

そして今日はウェットティッシュのあの人が出てきますが、崩壊しています。ファイズ本編程歪んだ性格はしていません。そもそも大して歪んでいません。歪んだ草加くんが好きだと言う方はご了承下さい。


無人機の襲撃後、壊れたアリーナのシールドと壁の修繕、大量に出来たクレーターの処理、その他諸々の影響でクラス対抗戦が中止となった。

 

「外出届け?どこに行くんだ?」

 

「スマートブレイン。あの後からコイツの調子が悪くてな。」

 

千冬に外出届けを提出し、ファイズギアを見せながら行き先を伝えた。

 

どうやらあの無人機の襲撃でファイズギアが不調になっているようだ。

 

まあ、あの攻撃をアクセルフォームで受けた上に、強制解除されたのにまたすぐに変身したのだ。当然と言えば当然だ。

 

「そうか。まあ良いだろう。今日中には帰ってこいよ。」

 

「分かってるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイクを走らせ数時間。現在一夏はデカいビルの前に居る。そこがスマートブレイン。ファイズギアの開発元だ。ついでにその他のギアも含めてだ。

 

「またですか……。織斑くん、アクセルフォームは防御が低いと何度言えば分かるんですか?ファイズアクセル渡した時と訓練中にも伝えた筈ですよね。」

 

「しかたねーだろ。あん時はそうするしか無かったんだから。」

 

「ブラスター使えば良いですよね。ブラスターの方が早く片付きましたよね。」

 

一夏の行動に呆れているこの男。スマートブレインの社長の村上だ。因みに今回の様に突然訪れて修理を依頼するのは今回が初めてではない。数えるのが鬱陶しくなるくらいある。

 

「はぁ……、分かりました。修理ができ次第IS学園に送ります。修理代は……、今回は良いでしょう。」

 

「あぁ、頼んだ。」

 

それを伝え、ファイズギアを机の上に置き、社長室を出ていった。

 

一夏の今日の予定はこれだけなので、スマートブレイン社の中をブラブラと歩き回っている。すると、1人の男に声をかけられた。

 

「ん?一夏か。」

 

「ウェットティッ……、草加か。」

 

「おいコラ今なんて言おうとした。まぁ良い。このあと暇か?」

 

「あぁ。予定は無いが。」

 

「なら少し買い物に付き合ってくれ。」

 

「買い物って、どうせ姉貴へのプレゼントだろ。あんたからのプレゼントだったらなんでも喜ぶだろ。」

 

会話の流れからも分かるように、草加と千冬は現在交際中だ。今年で3年ぐらいかな?とっとと結婚しろよ。

 

「まぁそう言うな。ちょっとの時間で終わる。」

 

「前もそう言って2時間ぐらい付き合わされたよな。」

 

何だかんだ言っているが、結局買い物に付き合ってしまった。

 

現在、高級宝石店にアタッシュケースを持った2人が並んで立っている。

 

「何でそんな物を持ってきたんだ?」

 

「お前と買い物に行くとロクな事が無いからな。」

 

実は草加もかなりの不幸体質なのだ。大体一夏と2人で出かけると、35%の確率で強盗にあったり、50%の確率で何かを無くす。

 

2人で過ごすと不幸体質が強化されるのだ。全く嬉しくないな。

 

「んで?今日は何を買うんだ?婚約用の指輪か?」

 

「それはまだ早いだろ。今回はネックレスにでもしておくか……。」

 

なんで3年間交際してて婚約もしないんだよ。そろそろ痺れを切らして相手から言ってくるよ。千冬だから。

 

「ん~……。」

 

「早く決めろよ。もう1時間も悩んでるだろ。いい加減にしろ。」

 

「待ってくれ。もう少しだ。」

 

「さっきも同じこと言ってただろ。つーか石ころなんかどれも同じだろ。」

 

やっぱりかなりの時間付き合わされている。一夏からすればどれも同じ様に見えるが、買う人から見ると違う様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~それから2時間後~

 

「おい、マジでいい加減にしろ。」

 

「ん?もうこんな時間か。もう行くか。」

 

「結局買わないのかよ。」

 

「いや。もう買っている。」

 

(クソ!殴りてー!!)

 

デルタギアの入っているアタッシュケースでぶん殴りたいと思った。結局、この日一夏は、草加によって3時間無駄にしたのであった。

 

「これ。渡しておいてくれ。」

 

「自分で渡せよ。」

 

「最近仕事が立て込んでてね。抜けられそうに無いんだよ。」

 

断れずに受け取ってしまった。途中、何度か海に放り投げようとしたが、姉への届け物なので我慢していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外と早かったな。ファイズギアはどうなった?」

 

「修理ができ次第IS学園に送るだと。後これ。」

 

「ん?なんだこれは?」

 

「草加からだ。渡すように言われた。」

 

「そ、そうか。感謝する。」

 

早く結婚しろよ。と思いながら、自室に戻り寝た。夕食もとらずにだ。

 

そう言えば、今回は大きな不運はおきなかったな。

 




今回はここまでです。次回は転校生2人の紹介となります。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「ニーチェ」さんからの質問です。「作者の睡眠時間はどれくらいですか?」はい。ズバリお答えしましょう。小説を書き始める前までは約8時間くらいとっていましたが、今では大体5時間、6時間くらいです。なので、平日はいつもテンション低めです。まぁ、これでも多い方なんですけどね。

次回もお楽しみに。感想もよろしくね!ついでに評価もお願いします。質問のある方はどうぞ書き込んで下さい。『憲八先生』のコーナーで紹介します。


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2人の転校生

意外と好意的に草加と千冬の関係を受け入れて貰えて嬉しい作者です。

綺麗な草加にここまで人気が出るとは……。その内の人気キャラ投票でもやってみようかな?

今回は銀髪の眼帯と貴公子が出てきます。

※今回は紹介だけなので短く、話も進みません。そして凄く少ないです。


休みがあけたら次の日。今日は朝から村上からの連絡があった。後2日ぐらいでファイズギアの修理が完了するそうだ。が、デルタフォンが使いにくくて聞いていて少しイライラしていた。

 

まぁ、そんなことはさておき、今日はどう言う訳かクラス中がザワツイていた。どうやらこのクラスに転校生が来るようだ。しかも2人。そしてその内の1人が男だと言う。

 

しかし気になるのはそこではない。毎度の事ながら、一体どこからそんな情報が回ってくるかだ。男子校だろうが女子高だろうが、中学校や小学校でも、先生が伝える前から何故か全員が知っている。ある意味七不思議である。

 

一夏が何も考えずにボーっとしていたら、真耶と千冬が教室に入ってきた。

 

「ホームルームを始めるぞ。全員座れ。織斑は起きろ。」

 

その後、連絡事項を手短に済ませ、恐らくクラスの全員が聞きたいであろう連絡を、真耶に言わせた。

 

「はい。ええとですね。皆さんもう知ってると思いますが、今日は2人の転校生を紹介します!」

 

知っているとは言え、やはりテンションが上がるようだ。現在進行形でクラスが盛り上がっている。

 

「落ち着かんか!自己紹介が遅れるだろ!!」

 

千冬の一言で、クラスが一気に静まった。これだけ見るとクラス中から恐れられてる人物にしか見えない。

 

だが、またすぐに騒がしくなることだろう。

 

「始めろ。」

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします。」

 

「やっぱり、男……。」

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方が居ると聞いて、本国より転入を―」

 

人懐っこそうな顔。礼儀正しい立ち振舞いに中性的に整った顔立ち、濃い金色の髪。華奢に思えるぐらいに細く、スマート。シュッと伸びた足。

 

……チッ。モテ要素の塊である。作者が近くに居たら、即藁人形を作って呪うだろう。おや?後ろの方で釘を打つ音が……。

 

「きゃ……」

 

「あっ。」

 

なんか嫌な予感がしたので、とっさに耳をふさいだ。次の瞬間、

 

「きゃああああああ!!!!」

 

クラス中に大きな衝撃波が響き渡り、ガラスに軽くヒビが入った。これぞIS学園の最終防衛システムだ。襲撃にあっても一瞬で片付き、なおかつ相手を殺さずに生きた状態での確保が可能だ。まぁ鼓膜は無事ではすまないだろうがな。

 

「男子!2人目の男子!」

 

「しかもうちのクラス!」

 

「美形!守ってあげたくなる系の!」

 

「地球に生まれて良かったーーー!!!」

 

元気な事でなによりだな。このクラスは。

 

「貴様ら。少しは静かに出来んのか?まだ残っているだろ。」

 

あまりにも五月蝿いことに、少しイラッと来たようだ。言葉と共に僅かに殺気が含まれている。

 

「み、皆さん。まだ自己紹介が終わっていませんから~!」

 

「……。」

 

挨拶ぐらいしろよ。無言は止めてやれ。山田先生が可哀想だ。

 

「……挨拶をしろ。ラウラ。」

 

「はい。教官。」

 

礼儀正しいと言えば礼儀正しい。が、ズレている。クラス一同、ポカーンとしている。

 

「ここではそう呼ぶな。私はもう教官ではない。」

 

「了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

 

シンプルだな。

 

「い、以上ですか?」

 

「以上だ。」

 

このいたたまれない空気をどうにかしてくれ。山田先生は出来る限りの笑顔を作ってラウラに聞くが、無慈悲な即答だけで、泣きそうな顔をしている。先生をいじめるな。

 

興味無さげにラウラの様子を見ていると、バッチリ目があった。

 

「!貴様が―」

 

何故か急に殴られた。他の作品では兎も角、この作品で一夏とラウラは初対面の筈だが。

 

「どうした?虫でも止まってたか?」

 

が、一夏は全くダメージを受けていない。あんな無駄な動きの無い平手打ちを受けたのに。

 

こんな一夏を見て、周りの人は少なからず引いている。

 

「ッ!?私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか!」

 

なんか訳の分からない事を言って自分の席に向かっていった。

 

「はぁ、ホームルームはこれで終わる。各自着替えて第2グラウンドに集合しろ。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

ホームルームも終わったので、一夏はとっとと空いてる更衣室に向かおうとしたのだが、

 

「待て織斑。お前はデュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろ。」

 

予想はしていたが、実際頼まれると面倒なことこの上ない。

 

「君が織斑くん?初めまして。僕は―」

 

「んな事はどうでも良い。早く移動するぞ。女子が着替え始めてるぞ。」

 

説明すると同時に、デュノアを連れて教室から出ていった。

 

「男子は空いてる更衣室で着替えろ。実習のたびに移動になるからとっとと慣れろよ。」

 

「う、うん……。」

 

何故かソワソワしている。

 

「どうした?トイレか?」

 

「ち、違うよ!」

 

「そうか。置いていかれたくなかったら急げ。」

 




『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「デカレンジャーの中で1番好きなキャラ、話、敵役を教えてください。」はい。ズバリお答えしましょう。1番好きなキャラはドギー・クルーガーこと、デカマスター。好きな話はデカマスター初登場の回。あの圧倒的な強さと渋さには強い憧れを持ちました。好きな敵役はエージェントアブレラですね。何だかんだ言って、彼ほど悪役らしい理由の悪役は居ませんでしたし、計画などもしっかりしているので。

その他にも、好きな話では、ホージーがバンを相棒と初めて言った回や最終回でバンが「相棒って言うな!」と嬉しそうに言っていた所も好きですね。

100人斬りのシーンは外伝の方でやろうと思っています。

次回もお楽しみに。感想もよろしくね!

……マジで近々人気キャラ投票でもやろうかな………。

そしてデカレンジャーの質問が来たので後書きで一度言ってみたかったあの台詞を。

キミのハートにターゲットロック!!

また1日あけてしまい申し訳ありません。なんか、体力が持たなくて……。

憲八先生の質問コーナーはいつでも受け付けております。お気軽に質問を送ってください。


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2人の転校生。その2

『ちょっと早いけど、教えて!憲八先生!!』

はーい。初っ端からこのコーナーでーす。ペンネーム「たけじんマン」さんからの質問です。「好きなスーパーロボットとスパロボパイロットを教えてください。」はい。ズバリお答えしましょう。作者はスパロボの存在は知っていても、深くは知りません。なので、好きなロボット、パイロットは限定されてきますが、そのなかでと言うのなら、ダブルオーライザーと刹那です。

大して知識を持っていなかったので戸惑いましたが、こんな感じです。他にも、馴染み深いガンダム系なら結構好きですね。

※お知らせ

今日より、少し更新速度が落ちます。理由は単純に体力が続かないからです。小説の事に頭を回し過ぎて、寝不足になり、学校の体育の授業レベルでも怪我をしそうになりました。

無論、出来ることなら毎日更新はしますが、その場合は誤字が酷かったり、今までに無いキャラ崩壊、初期設定のド忘れ、文字数ギリギリ等と言うことがありますので、読む際は今まで以上にお気を付け下さい。

もう片方の外伝シリーズも後3話位したらISに入りますが、設定に無理があっても「この作者だからしゃーない」的な感じで流してください。

外伝シリーズのリクエスト、今作の特別コーナー、「教えて!憲八先生!!」の質問は常時受け付けております。それぞれの小説の感想欄に気軽にコメント下さい。

外伝シリーズは「読者の皆様と共に」でありたいと思っているので、ドシドシ送ってください。ストーリーが固まり次第小説にします。


今現在、一夏とデュノアは現在進行形で全力疾走をしている。学校の廊下を走るなよ。

 

全力で走っている理由は1つ。スピードを落とせば捕まるからだ。

 

誰に?まさかとは思うが、この小説を読んでいる画面の前のお友達の皆は知らない筈が無いよね。

 

それでは紹介しよう。2人を捕まえようとするハンター達を。

 

「いたっ!こっちよ!!」

 

「者ども!出会え出会えい!!」

 

学校中の女子だ。つまり今の状態は、一夏&デュノアVS他1年1組以外の全校生徒、だ。

 

と言うか、いつからここは武家屋敷になった?

 

「織斑君の黒髪も良いけど、金髪って言うのも良いわね!」

 

「しかも瞳はアメジスト!」

 

四方を囲まれた。

 

「チッ。」

 

これ以上の時間のロスは危険と判断したのか、多少強引ではあるが、正面を突っ切る事にした。少しでも動きやすくするために、デュノアを抱えてだ。所謂お姫様抱っこで。

 

「キャアアア!!見て!お姫様抱っこよ!!」

 

「眼福眼福。」

 

拝むな。崇めるな。ただただ全員の頭上を飛び越えるだけなのに。

 

何故かデュノアも顔面を真っ赤にさせて黙ってしまった。……コイツ、もしかして男色家?(※スットボケ。皆さんも、この段階ではデュノアは男。と思って読んでください。)

 

その後も、追い掛けてくる女子が数名いたが、何故かポケットの中に閃光弾が入っていたので全員撒けた。

 

大方草加がイタズラで仕込んだのだろう。この前会ったときの服装は制服だったからな。意図は全く分からんが……。

 

「やっと着いたな。早く着替えるぞ。」

 

「う、うん。」

 

何故か気まずそうにしている。

 

「早く着替えろよ。」

 

「早!?ISスーツは?」

 

「俺のは着る必要が無いんだよ。さっさとしろ。」

 

手際よくジャージに着替えて第2グラウンドへと向かってしまった。

 

数分後、デュノアも慌ててグラウンドに集合した。一夏が運んだお陰で、遅れることはなかった。

 

「全員居るな。では、今日より格闘および射撃を含む実戦訓練に入る。」

 

「はい!」

 

1組と2組の合同。人数はいつもの倍となり、出てくる返事もいつもより気合いが入っているように思える。

 

「じゃあそうだな……、オルコット!凰!お前達2人が実演してみろ。」

 

千冬に呼ばれ、前に出たが露骨に嫌な顔をしていた。

 

「なんでわたくし達が……。」

 

「流石に面倒よね~。」

 

「専用機持ちはすぐに始められるだろ。少しはやる気をだせ。アイツに良いところ見せられるぞ~。」

 

一夏を売りやがった。この言葉にオルコットはやる気を出したが、鈴はそうでもなかった。何故なら、彼女は一夏を真友以上には見ることが出来ないからだ。(※誤字ではありませんよ。真の友と書いて真友です。)

 

「凰。本気を出して強くなった所を見せれば、アイツは今までに以上にお前と全力で戦ってくれるぞ。」

 

「全力で!ならやるしか無いわね!!」

 

こっちの方が効果覿面だった。鈴は一夏を真友と思っているが、それ以上に良き好敵手と思っている様だ。彼女らしいと言えば彼女らしい。

 

「で?相手は誰ですか?セシリアですか?」

 

やる気出しすぎだ。千冬も若干引いている。

 

「落ち着け、慌てるな。もう少しで来る。」

 

こんなやり取りをしていると、上空から空気を裂くような音が聞こえてきた。

 

「あああああーっ!ど、どいてください~っ!!」

 

「ん?ヌァッ!!」

 

流石にこれでは一夏も目を瞑る。だが、いつまで経っても体に痛みが来なかった。普通なら骨の砕ける音や、内蔵が破裂する音が聞こえてくる筈だ。だがそれが来ない。痛みを感じる間もなく死んだと言う事だろうか?

 

そんな訳は無い。物語が進まなくなるからな。

 

ゆっくりと目を開けると、ラファールを纏った真耶をバジンが受け止めていた。今日は使うため、近くに持ってきていたのが幸いしたようだ。多分今年の運を使いきったな。

 

「ビックリした~。サンキューバジン。」

 

「す、すみません。お手数をかけてしまって……。」

 

2人がバジンに礼を言うと、バイクに戻って待機した。カッコいいな。

 

「と言うわけで、山田先生が2人の相手だ。」

 

なにがと言うわけでだよ。と突っ込みたくなった。

 

「山田先生はもとより代表候補生だ。2対1でも今のお前達に勝ち目は無いだろう。」

 

この言葉に2人は燃えた。と言うより、頭に血が昇り、沸騰している。その為、2人の攻撃全てが真耶に簡単にかわされた。

 

「さて今の内に、デュノア。山田先生が使っている機体の説明をしろ。」

 

「はい。山田先生が使っている機体は、デュノア社製のラファール・リヴァイブです。第2世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期型第3世代型にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、豊富な後付け武装が特徴の機体です。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第3位のシェアを持ち、7ヵ国でライセンス生産、12ヵ国で制式採用されています―――」

 

その後も、デュノアの説明が続いたが、試合が終わりそうになったので一旦止めた。

 

「クソ。負けた。」

 

女子がクソとか使うなよ。

 

手も足も出なかった。いや、正確には頭に血が昇り、冷静な判断が出来ず自爆した。の方が正しい。

 

「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力が理解出来ただろう。以後、敬意を持って接するように。」

 

その後は、各専用機持ちごとに別れて、それぞれ実習を行った。

 

班ごとに教え方や温度差等はあったが、特に問題なく進んだ。ただ、先程負けた2人は少し落ち込んでいたため、テンションが下がりながらの指導となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、授業が終わり疲れを癒すための時間。一夏、鈴、オルコット、デュノアの4人は屋上で昼食をとっていた。

 

ん?いつも突っ掛かってくるポニーテールのヒドインはどうしだって?まぁ伝えるまでも無いと思っていたので言っていないが、今日まで自室謹慎中だ。理由は無人機のあれだ。

 

「さーてと。一夏。昔約束した酢豚よ。ちゃんと腕をあげてきたから食べてみなさい。あっ、温度は下げてあるから大丈夫よ。」

 

「ああ。おっ、マジで美味くなってるな。」

 

少し疑っていた様だ。そんな鈴を見て、オルコットも対抗し、一夏に自分の作ったサンドイッチを食べさせてみた。すると……

 

「ガハァッ!?」

 

一夏が倒れた。よほど不味かったようだ。因みに、今引いたのは、ハズレの中のハズレである。

 

ここでは運の悪さを発動するとは……。

 

次に一夏が目を覚ましたのは、保健室のベットの上である。授業は全部終わって放課後になっていたようだ。

 

夕食をとるために食堂に行くと、オルコットに会ってしまい。全力の謝罪を受けた。

 

が、当の本人が何故気絶したかを覚えていなかった為、なんのことかは理解出来なかった。




今日はここまで!次回もお楽しみに。感想、評価もよろしくね!

そして今日より、人気キャラ投票を始めます。結果は最終回後、集計できしだい完結記念小説と共に発表します。感想欄に、「一夏に1票」みたいな感じで投票して下さい。もちろん、このあとも数名追加でキャラが増えますので、投稿可能期間は今日から最終回投稿4日後までです。最終回後もネタストーリー等を書いて、発表までのカウントダウンをします。皆さんドシドシご応募下さい。

ランキングは各5位まで発表します。(人数によっては変わります。)

因みに部門は6つあります。

A人気キャラ部門
B個人的に受け付けられないキャラ部門
C魅力的なキャラ部門
D可愛いキャラ部門
Eカッコいいキャラ部門
Fアシストマシーン部門(専用機も含む)

です。各部門、お一人様1票までとさせていただきます。

投票の例

A 一夏

B 箒

と、この様に部門のナンバーとキャラの名前で投稿してください。

まだキャラが出きっていないので、慌てずに自分のタイミングで投票して下さい。変える場合は「変更」と入れてください。


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ふざけた作文

今日は一夏が普段のIS以外の授業でやらかしてしまった事です。一般的な授業のですよ。

所謂ただのおふざけ回です。

しかし、最近ファイズの公式配信を見て思ったんですが、なんか人間の汚い部分を見せられた気がするんですよね……。そんな部分も考えると深い作品ですよね。ファイズって。

※短いです。ストーリーとは関係ありません。


『 誰かが言った。前を向き、進むのに疲れたら後ろを振り返れと。そうすると自分が今までに歩んだ足跡が道になり、再び前を見て進む気力をあたえてくれると。

 

その言葉を信じて、俺もやってみた。だが、もう二度と見たくないと思った。前に進む活力?イヤ、前に進まざるおえないだけだった。自分の後ろにあったのは道なんかじゃない。自分と同じ顔をした、物言わぬ死体が転がっていただけだった。吐き気がした。逃げ出したくなった。

 

人間は成長し、社会に出るにつれて本当の自分を消さなくてはならない。本当の自分を出せば、周りから拒絶され、孤立するのは明らかだからだ。独りになりたくないが為に、人は自分を殺し続ける。休まずに自分を殺し続け無くてはならない。そして気が付くだろう。自分の価値について。この世界に自分と言う人間が本当に必要なのかが。想像すれば簡単にわかるだろう。自分がいなくても、この世界にはなんら影響はないと。今までに関わってきたグループから自分が居なくてもなんの問題も無いことに。

 

変な夢や幻想を追い掛けるのも悪くはない。だが、現実を忘れるな。人間は現在から逃げることが出来ないのだからな。

 

むしろこんな言葉を考えたヤツは何を考えて生きてきたんだ?絶望や挫折を知らないのか?バカなのか?頭の中お花畑なのか?』

 

「織斑。これは一体なんだ?」

 

「現文の時に出された課題ですが。」

 

現国の課題の作文の様だ。

 

「イヤ、それは分かっている。私が聞いているのは何故こんなふざけた作文になるのかだよ。読んでいて生きるの力を吸いとられて行ったぞ。読んだ女子共の感想もかなり酷いぞ(ヽ゚д゚)」

 

1年1組女子共の感想

 

・なにも考えず生きててごめんなさい。

 

・幻想ばかり見てました。ごめんなさい。

 

・現実直視してませんでした。ごめんなさい。

 

・生きててごめんなさい。

 

・気軽にこの言葉を使っていました。ごめんなさい。

 

・過去になにかあった様ですね。なんかごめんなさい。

 

・おりむー大丈夫?

 

「確かに私は、よく言われている言葉に自分の考えを書けと言ったが、言葉と言った本人をディスれとは言っていない。布仏以外読んだヤツは皆は全員謝ってるぞ。」

 

「思っていたことを素直にまとめただけですよ。作者の(ボソ」

 

クソ。蹴飛ばしてー!

 

イヤ、違うからね。作者こんなに歪んでないからね。ここまで酷く歪んでないからね。

 

「お前がこんな作文書くから、見ろ、真耶を。」

 

「わぁーお。」

 

机に突っ伏している。わずかに見える顔は……、かなり疲れていた。少し青白くなっている。

 

この学園の人打たれ弱すぎだろ。この程度の作文でグロッキーとか……。

 

「お前と作者が歪んだ人間だと言うことは知っているが、流石にこれは無いだろ。嘗めてんのか?」

 

おい、そこに俺を絡めて来るなよ。

 

「イヤ、俺はそこまで歪んでねーよ。」

 

「死んだ魚みたいな目のヤツが何を言う。はぁ、まぁ細かいところまで伝えなかった私が悪かった。」

 

因みにこの作文、学園の一部の層には受けが良かったらしい。歪んでるな(笑)

 

「今のイメージを払拭したいのなら趣味ぐらい持て。」

 

「えぇ~。面倒くせー。」

 

無趣味の人間には生きづらい世界になったな。




ヤバイ。ネタが出てこない。消えた……。これからもネタが出てこない時はこんな感じの回をやります。なので、今日みたいな話が出たらネタが消えたのだと察して下さい。

次回もよろしくね。感想と評価もよろしく!

『教えて!憲八先生!!』は質問が無いのでお休みします。質問はいつでも受け付けております。どうぞよろしく。

人気キャラ投票はかなりグレーですが、感想と一緒なら大丈夫だと思いますが、いちよう後で活動報告出そうと思います。


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貴公子の正体

※今日は内容が薄いです。

人気キャラ投票用の活動報告を出しました。いちよう投票例を、

A草加
B束
C鈴
D鈴
E木場
Fバジン

こんな感じです。同じキャラでも別部門に入っていれば大丈夫です。

木場さんまだ出てないけどね。投稿期間はまだまだあるので、焦らずに投票してください。

※お願いとしては、全部門に投票してほしいと言うことです。

あ、書き忘れましたが、一夏とデュノアは同室です。


2人の転校生が来た次の日の放課後。前日屋上で昼食をとっていたメンバーは現在、アリーナで訓練をしている。のだが……

 

「ハァァ!!」

 

「キャァァ!!」

 

3人とも一夏にブッ飛ばされていた。唯一鈴だけが食い付いている様だ。

 

「なんですの!?その機体!ファイズじゃないからまだ勝ち目があると思っていましたのに!!」

 

「本当、強すぎるよ。」

 

オルコットもデュノアも、一夏に手も足も出ずにダウンしたようだ。

 

「Check」

 

『Exceedcharge』

 

「デリャァ!!」

 

「キァァ!!」

 

とうとう鈴もルシファーズハンマーを受け、ダウンしてしまった。

 

「イタタタ。ちょっとは手加減してよ~。」

 

「手加減したら意味ねーだろ。」

 

ごもっともである。訓練である以上、全力で取り組まなければ意味が無い。

 

「ねぇ、ちょっとアレ……」

 

「ウソッ、ドイツの第3世代型だ」

 

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」

 

急にアリーナ内がざわつき始めた。一夏達もそっちに視線を移すと、そこにはもう一人の転校生、ドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒだった。

 

「おい」

 

オープンチャンネルで話しかけてきた。

 

「なんか用か?」

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話は早い。私と戦え。」

 

いきなりの申し出だった。

 

「断る。面倒くせー。」

 

「貴様には無くとも、私にはある。」

 

「なに言ってんの?お前」

 

何の事を言ってるのかは一夏にはさっぱりだ。

 

「貴様がいなければ教官が大会2連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像が出来る。だから、私は貴様を、貴様の存在を認めない!」

 

恐らく彼女が言っているのは、第2回モンド・グロッソ決勝戦の事だろう。その日、一夏は変な連中に誘拐された。連中の目的は千冬の決勝戦の破棄。これ以外はなにも分からなかった。

 

そこに助けに来てくれたのが千冬、と言いたいが、実際は違う。ギリシャ文字のΩを模した金色のライダーだった。

 

その後に千冬が一夏を保護してくれた。これを知るのは一夏と千冬だけだ。金色のライダーの変身者を2人はまだ知らない。

 

まぁこれを言ったところで彼女が止まることは無いだろう。彼女の目に写っている一夏は、尊敬する千冬の経歴に傷を付けた憎い相手としてだろう。

 

しかし、そんなことは戦う理由にはならない。あの日の事を気にしていないと言えば嘘になるが、今更それを言ったところで過去が変わるわけではない。

 

故に、一夏はそれを消し去るレベルまで強くなろうとしている。かなり危険な方法ではあるがな。(ブラスターとかのこと)

 

「また今度な」

 

「ふん。ならば、戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

そう言うと、ラウラはISを戦闘状態へとシフトさせ、左肩に装備された大型の実弾砲をぶっぱなした。

 

「……危ねーな。いきなりの撃つなよ」

 

ゴガギンッ!

 

放たれた砲弾を野球ボールの様にキャッチし、返した。

 

キャッチするのにどんな音出してんだよ。

 

「こんな密集したところで撃つんじゃねーよ。ドイツでは流行ってんのか?人が密集したところになんかデカイ球体を落とすのが。ほら、返すぜ」

 

「グワァッ!貴様……!」

 

結構吹っ飛んで行った。意外とISって軽いな。

 

一夏の行動にイラッと来たのか、本格的な戦闘になりそうになった。

 

『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 

突然アリーナのスピーカーから声が響いてきた。騒ぎを聞き付けてやって来た監督の教師だろう。なんでもっと早くに止めないんだよ。

 

「……ふん。今日は引こう」

 

横やりを入れられて興が削がれたのか、戦闘状態を解除してアリーナゲートに向かっていった。怒った教師が待っているだろうが、彼女の性格上ガン無視だろう。

 

「大丈夫?」

 

「問題ない。さっさと帰るぞ。そろそろ閉館だ。」

 

その後、一夏は飲み物を買いに自販機へと向かった。まぁどっかの神様シリーズしか無いんだけどな。少し部屋に着くのが遅くなるので、デュノアに部屋の鍵を渡してだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、かなり時間がかかったな。」

 

何本かのジュースを持って一夏が寮に戻ってきた。メロンエナジーにレモンエナジー、ピーチエナジー、チェリーエナジー、4本も買ってきたようだ。

 

「メロン以外は冷蔵庫に入れておこ。」

 

部屋に入ると、早速メロン以外のジュースを冷蔵庫に入れ、氷を入れたコップにメロンエナジーを注いだ。因みにこれは炭酸がかなり強いので、落としてしまった場合は覚悟が必要です。

 

コップに注ぎ終わると、シャワーの音が一夏の耳に入ってきた。デュノアがシャワーでも浴びているのだろ。

 

「あ、ボディーソープ切れてた。」

 

昨日の夜に使いきったことを思い出して、詰め替え用のボディーソープをデュノアに渡すためにシャワールームに入っていった。

 

「デュノア、ボディーソープの替え持ってきたぞ。」

 

「へ?い、一夏……」

 

「詰め替えておけよ」

 

「は、はい……」

 

確実に見た筈だが、詰め替えるように言って、後は出ていった。

 

~5分後~

 

「そ、その、見た?」

 

「あぁ。まさかお前が…………性同一性障害だったなんて……。」

 

「へ?」

 

性同一性障害、生物学的な性別をハッキリと認知していながらも、心理的にはそれと別の性に属していると確信している状態。GIDとも言う。

 

「イヤ、本当、気付いてやれなくてごめんな。皆には黙っておくよ。」

 

「い、いや性同一性障害じゃないけど……」

 

「ん?じゃあ男だったけど、女になるために全身改造してきたのか?いくら掛かるんだよ。それ?」

 

「別に手術もしてないよ!」

 

全部自分の斜め上の答えを出してくる一夏に、突っ込みを入れてしまった。普通の人なら「お前女だったのかー!!」的な反応をするからな。

 

「え?生まれつき女だったのか?」

 

「どう考えてもそれしか無いでしょ!?」

 

「あっそう。じゃあなんで男の格好なんかしてたんだ?」

 

「実家から言われたんだ。デュノア社にね。」

 

この学園に男として転校した理由。それは経営難に陥ったデュノア社を立て直すためだった。デュノア社は他の企業に比べて第3世代の研究が遅れている。その為IS学園に入り、第3世代機のデータを取ってくるためだそうだ。そして、あわよくば一夏に近付き、スマートブレインの機体を盗み出す等、所謂スパイ行為を命令されたのだ。

 

「んな事どうでも良いけどよ。お前はどうするんだ?」

 

「事の全てがばれちゃったし、本国に強制送還からの牢獄行きかな?これだけの事をやろうとしてたんだから。」

 

いくら強要されたとは言え、スパイ行為だ。このまま行けば、デュノアの言った未来が現実になるだろう。だが、一夏の聞きたい答えはそれではない。

 

「ハッキリ言って俺はお前が牢獄に行こうと興味はない。俺が聞きたいのはお前がどうしたいかだ。良いのか?それで?」

 

「で、でも、そうなるしか…………」

 

「はぁ、これ読め。IS学園の特記事項。本校に在学する者は、3年間在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に属しない。本人の同意が無い場合、それらの外的介入の一切は許可されない。」

 

「これって……」

 

「取り敢えず3年間は身の安全があるって事だ。まぁまだ3年と捉えるか、3年しか無いと捉えるかは別だけどな。」

 

3年。確かに長いように感じるが、たかだか3年で企業の状態や国の状態が変わる訳ではない。短すぎる。

 

「後は好きにしろ。」

 

それを伝えると、一夏は部屋から出ていき、人気の無い場所に行った。

 

「もしもし、俺だ。話がある。今週の土曜日、予定を空けておいてくれ。」

 

『また急ですね。今度はなんですか?』

 

「ここじゃあ言えない。そっちで直接言う。」

 

『分かりました。ただし長い時間は取れないので手短にお願いします。』

 

「分かった」

 

『あぁ、後、ベルトの修理が完了したので明日届けます。草加くんが届けると言っていたので、彼から受け取ってください。』

 

「あぁ、サンキューな」

 

そのまま電話を切り、軽めの食事を買うために食堂に向かった。




『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「たけじんマン」さんからの質問です。「アイドルマスターかラブライブ!で好きなキャラは居ますか?」はい、ズバリお答えしましょう。作者はどちらも見たことがありません。ラブライブは最初の1話を録画して見ましたが、なんか作画が好きになれなかったし、オープニング入る前に何か見る気を無くして全く見ていません。アイドルマスターはテレビなCMで何回か目に入りましたが、その他は全く知りません。

次回もお楽しみに!感想と評価、質問に活動報告もよろしく!


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ドイツ軍との殴り合い

別に激しく殴り合う訳ではありません。そして、今日も短いです。


デュノアの正体が一夏にバレた次の日の朝、複数の生徒が大きな声で何かを言っていた。廊下までに響いている。

 

「何騒いでんだ?」

 

「さあ?」

 

因みにデュノアはまだ男性用の制服だ。クラスの皆には話してないからな。

 

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際でき―」

 

「俺がなんだって?」

 

「「「キャァァ!!」」」

 

なんか一夏が声をかけたら慌てて逃げていった。しかし、優勝出来たら一夏と交際と言う妙な噂、これは恐らく、完全にあれが原因だろう。

 

昨日の夜、消灯時間ギリギリの時間、謹慎の解けた箒が一夏とデュノアの部屋を訪ねて来たのだ。

 

そして大声で「私が優勝したら付き合ってもらう!」とか叫んでいたことだ。

 

まぁ、当の一夏本人は寝る寸前だったと言うこともあり、話なんか全く聞いていなかった。右耳に入って左耳へと流していし、デュノアは1時間ぐらい前に寝ていたので話は耳に入っていない。

 

たぶんその声を聞いた他の生徒が、誰かに話してそれが学校中に噂として広まり、現在に至ったのだろう。9割女子校って怖いな。

 

「なんだアレ?」

 

「あ、一夏~。おはよう!」

 

「あぁ、鈴。朝からよく炭酸なんか飲めるな。」

 

飲み物を片手に持った鈴が現れた。

 

「まぁ~ね。それよりも、あんたも災難ね。変な噂流されて。」

 

「は?」

 

「え?知らないの?自分の事なのに?」

 

聞こうとしたら悲鳴をあげて逃げていったからな。一夏は今現在なにも知らない。

 

「なんかアンタ、今度やる大会の優勝賞品になってたわよ。」

 

本来出回っている噂よりも酷い言い方だ。事実ではあるが……。

 

「なんだそれ……。」

 

「まぁ、75日たてば忘れ去られるから、それまで待ってれば?じゃあ私自分のクラスに戻るわ。」

 

トーナメントまでもう少しなんだけどね。

 

「どうすんだよこれ。」

 

「変に本当の事を伝えても、別の噂が広がりそうだしね……。」

 

この日1日、一夏は自分の不幸体質を恨みながら授業を受けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恨みながら授業を受けた放課後、修理が完了したファイズギアを受け取りに、職員室に来ていた。とっとと受け取ってデュノアとアリーナに行こうとしていたのだが、

 

「何やってんだ?草加。」

 

「あぁ、来てたのか。一夏」

 

「さっきから居たよ。早くファイズギアよこせ。姉貴とコーヒーなんか飲んでないで。」

 

しばらく会えてないから仕方無いと思うが、ここ学校だぞ。それに草加は仕事でここに来ている。

 

「良いではないか。後5分だけだ。」

 

「姉貴、あんた仮にも教師だよな。仕事あるだろ。」

 

「そうだぞ一夏。5分ぐらい許してやれ。それに俺は今日の為に仕事を全部終わらせてきた!」

 

誇らしげに言うなよ。

 

「尺が勿体無いんだよ。早くしろ。」

 

「チッ。千冬、また今度な。」

 

「そんな~……」

 

久々に会えたが、時間が短かったのか千冬が少し泣きそうになっている。

 

「今度2人で誰にも邪魔されないところに行こう。そこで今まで会えなかった分の埋め合わせをッ!!」

 

「いい加減にしろバカ共!」

 

キスしそうなくらい千冬に顔を近付けていたので、カイザギアの入っているアタッシュケースを使って、全力で草加の後頭部を殴った。あのまま行ってたら確実にしていただろう。

 

「一夏!君は将来の兄に何て事をするんだ!」

 

「お前が俺の兄貴になるくらいなら俺は家を出ていく!とっとと帰れ!帰るのが嫌ならアリーナで俺の訓練相手になれ!」

 

そんなことを言われたら、大体は帰るはずだ。だが草加はアリーナで一夏の相手をすることにした。

 

「えっと……、一夏、隣の人は?」

 

「草加雅人。姉貴の恋人だ。」

 

「え!?織斑先生恋人居たの!?」

 

悪くないリアクションだな。スマートブレイン内部でも、草加に恋人がいると言ったら周りから驚かれた。この2人に恋人がいるのはかなり意外な様だ。

 

3人が使用人数の少ないと聞いた第3アリーナに向かっていくと、近づくにつれなにやら慌ただしい様子が伝わってきた。

 

「何だ?」

 

「何かあったのか?」

 

様子をうかがうために前に出ようとしたとき、

 

ドゴォンッ!!

 

突然爆発音が響いた。その音を聞いた3人は、強引にではあるが、前に出て様子を見た。

 

「鈴!?オルコット!?」

 

ISを使ったら模擬戦、と言うよりは、ラウラが2人を一方的に攻めている様にしか見えなかった。機体の状態も危険だ。だが、それでも無理矢理動かして戦っている。

 

「一夏!」

 

「分かってる!」

 

「「変身!」」

 

『『complete』』

 

2人は変身すると、アリーナのシールドをぶち破って中に入り、3人の間に入った。

 

「おい。何をやってるんだ。お前は?」

 

「何をやっている?見ての通り模擬戦だが。何か問題でもあったか?」

 

「一方的に痛め付けてただけだろ。」

 

「その2人が弱いだけだ。」

 

「……草加。2人をここから出してくれ。」

 

「……分かった。」

 

一夏は草加に頼み、鈴とオルコットをアリーナの外まで運んでもらった。

 

「お前、昨日俺に自分と戦えって言ったな。良いぜ。相手になってやる。ただし、無事で済むと思うなよ。」

 

本気でやるようだ。友人を傷つけられた事でかなり頭に来ている。

 

「ふん。無事で済まんのは貴様の方だ。」

 

2人の間にビリビリとした空気が流れる。一夏だけではない。ラウラも本気で一夏を潰しに行くようだ。

 

「ハァ!」

 

『Ready』

 

ファイズショットにミッションメモリーをさし込み、ラウラ目掛けて走り出した。

 

「直線的に突っ込んでくるとは……。絵に書いたような愚図だな。」

 

「ッ!?」

 

突然一夏の動きが止まった。

 

「やはり敵ではないな。私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の1つでしかない。消えろ。」

 

肩の大型カノンが回転し、一夏に止めをさそうとしたが、

 

「グゥゥ!!ハァァ!!」

 

無理矢理拘束を外した。

 

「な!?ガッ!」

 

この予想外の動きに、ラウラは驚き、隙を作ってしまい、殴り飛ばされた。

 

『Ready』

 

『ExceedCharge』

 

ラウラが立ち上がり、一夏に向けて加速するが、一夏もミッションメモリーをファイズショットから抜き取り、ポインターに差し込んだ。

 

「グ!?」

 

加速するラウラに、円錐状の光で拘束した。

 

「終わりだ!!ハァァ!!!」

 

クリムゾンスマッシュでラウラにとどめさそうとした。だが、

 

「よせ!一夏!!」

 

空中で草加によって阻止された。

 

「止めんなよ!」

 

「バカか!その攻撃を有人のISに撃ってみろ!機体は大破し、操縦者は灰になって消えるぞ!もう十分だろ。これ以上は意味が無い。」

 

「……。」

 

草加の言葉に納得したのか、変身を解除してアリーナから出ていった。

 

「2人はどうした?」

 

「デュノアが医務室に運んでくれたよ。」

 

「そうか。」

 

その言葉を聞いた一夏は、見舞いの為に医務室に向かった。途中、千冬に会い、アリーナのシールド破壊とやり過ぎについて注意され、この戦いは学年別トーナメントで決着をつけるように言われた。後でラウラにも同じことを伝えるつもりの様だ。




『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「ロムラー」さんからの質問です。「TVゲームではまったもの、又は今はまっているものはありますか?」ズバリお答えしましょう。作者は基本TVゲームはやりませんが、はまったものと言えば、クライマックスヒーローズシリーズですかね。DSだったらモンハンやロストヒーローズ、エースコンバット等にはまりました。

次の質問はペンネーム「たけじんマン」さんからです。「好きなおっさんキャラや爺さんキャラはいますか?」はい、ズバリお答えしましょう。微妙なラインですが、名探偵コナンに出てきた赤井秀一ですかね。字が合ってるかは分かりませんけどね。

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告の方もよろしくね!


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訓練をのその前に

色々と端折って、デュノアとの訓練の後にトーナメント戦書こうと思ったんですけど、一夏が1つ大事なことやり残してたのでそっちをやります。

※昨日の記念小説で前書きに「本編と関係なし・ヤバいキャラ崩壊・パロディーネタ」と書いた筈なのですが、なんか本編と同じ枠の小説と勘違いした方も居るようなので、ここでもう1度言っておきます。記念小説は本編と無関係です。一夏と木場さんがその劇をやっていると思ってください。


「…………」

 

「…………」

 

現在保健室。第3アリーナの件から少し時間が経っている。ベッドの上では包帯やら湿布やらでぐるぐる巻になっている鈴とオルコットがボーっとしていた。

 

「別に助けてくれなくても良かったのに。」

 

「あのまま行けば勝ってましたわ。」

 

「イヤ無理だろ。」

 

鈴とオルコットが強がっていたが、一夏がバッサリと切り捨てた。まぁ、鈴は頭に血を上らせず冷静に居れば勝てたかも知れないが、オルコットは機体の性能をフルに稼動できていない。あのまま行っても勝つことは無かっただろう。

 

「俺と草加が入らなかったら、包帯と湿布の他にギプスも巻くはめになったぞ。」

 

「後は、機体のフルメンテ。最悪オーバーホールしてからパーツを1から組み立てることになってたかもね。2人が割って入ってくれたから通常メンテでなんとかなったって感じかな。」

 

一夏の言葉に、デュノアが付けたし、この言葉に2人はぐうの音も出ない。確かにあの状態で続けていたら、確実にオーバーホール、もっと悪ければ廃棄の可能性も無くはない。

 

ある意味、今の状況はラッキーと言えるだろう。が、2人にはやっぱり納得出来ない所があるらしく、少し不機嫌そうだった。

 

2人の様子も見たことだし、部屋に戻ろうとしたその時、

 

ドドドドドドッ……!

 

「ん?地震?」

 

イヤ揺れてないだろ。廊下からの地鳴りの様だ。そしてそれはだんだんと近付いている。気のせいだろうと思っているが、ドアに目を向けていると、

 

ドカーン!!

 

急にドアが吹っ飛んだ。ジャンプ系のアニメでありがちなシーンだ。修理費いくらだろう?結構高そうなドアだが。

 

「織斑くん!」

 

「デュノアくん!」

 

女子が雪崩れ込んできた。IS学園はその規模故に保健室と言えども普通の学校の3倍以上の広さがあるのだが、それが一気に埋め尽くされた。しかも一夏とデュノアを見つけると、我先に捕まえようと手を伸ばしているため、軽くホラー映像みたいになっている。……ホラー映像より怖いかも知れない。

 

「お前らここ保健室だぞ!」

 

「ど、どうしたの、みんな……ちょ、ちょっと落ち着いて!」

 

「「「これ!!」」」

 

その言葉を聞くと、女子生徒がバン!と一同に学内の緊急告知文が書かれた申込書を出した。

 

「あ?何だ?」

 

「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦闘を行うため、2人組での参加を必須とする。締め切りは―』」

 

「ああそこまでは良いよ。兎に角!」

 

そして、また手を一斉に差し出した。

 

「私と組もう!織斑くん!」

 

「私と組んで!デュノアくん!」

 

面倒くさい事この上なし。と言う表情をしている。しかし、一夏はこの中の誰かとペアを組むのは不味いと思っていた。自分がではない。デュノアだ。彼女の正体を知るのは、今のところ自分だけ。協力者が居れば、その人とデュノアを組ませ、自分は不参加。と言うのは可能だが、生憎そんな便利な協力者なんて居ない。かと言って、片足突っ込んでしまった件を放り投げて、デュノアを見捨てるのは少々心苦しい。

 

そのため、仕方無く一夏はデュノアを指差し、

 

「悪いな。俺コイツと組むから。」←かなり苦い表情をしている。

 

それを言うと、女子の波が去っていった。何故か滅茶苦茶暗い雰囲気になっていたが、一夏には全く関係がない。

 

静かになった保健室で、鈴が「一夏も出るなら私も出る!」と張りきり、オルコットと出ようとしたが、2人の機体の状況を伝えに来た山田先生に、ダメージレベルがCを越えていると言うことで、学年別トーナメントへの参加は不可能になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年別トーナメントを2日後に控えた休日。(いつとは聞かないで下さい。作者の技量を考えれば分かります。)出ると言ってしまった以上、出るしか無い。その為、今日一日は訓練に使いきろうかと思っていたが、大事なことを思い出した。

 

「またスマートブレイン。今度は何をやらかした?」

 

「何もやってねーよ。社長と話があるだけだ。」

 

朝から外出届を出していた。

 

「まぁ、分かった。ついでにスマートブレインに行くならこれを渡してくれ。この前のネックレスのお返しだ。」

 

そう言うと、千冬は一夏に、ワインを渡した。かなり高そうだ。その前に未成年になんてものを持たせてるんだ。

 

「せめてラッピングしろ。剥き出しで持たせるとかどんな神経してんだ?」

 

一夏に言われて、それもそうだと思い、綺麗にラッピングしたものを渡した。それでも調べられれば完全にアウトだけどな。

 

置いていこうかと思ったが、後が五月蝿いので持っていくことにした。バッグに入れてだ。

 

数時間バイクを走らせ、スマートブレイン内に入ると、まず草加を1発ぶん殴ってから、千冬に持たされたワインを渡した。頭に投げ付けてやろうかと思ったが、騒ぎになりそうなので止めておいた。

 

そんなことがありながら、ようやく社長室に入り、村上と話を始めた。

 

「お待ちしていました。それで話とは?ここでしか言えないような内容みたいですが……」

 

「ああ。この前来た転校生の片方の事だ。」

 

そう言うと、一夏はデュノアの写真を村上に渡した。

 

「この子がどうかしましたか?」

 

「2人目の男性IS操縦者として学園に来たんだが、実はデュノア社からのスパイだったみたいでな。このまま行けば牢屋行きは確実だが、本人は普通に生きたいと言っている。だから……」

 

「彼女を助けたいと。……織斑くん。私は貴方に感謝しています。ファイズギアやデルタギアの使用者として、貴方は今までにこの会社に貢献してくれました。ですので私も貴方の頼みはなるべく聞き入れたいと思っていますが、今回の件には協力出来ません。メリットが無い上に、これから逮捕者が出る可能性のある企業です。そんな企業は潰すにこしたことはありませんが、この会社が不利益を被る事は出来ません。」

 

「メリットならある。デュノア社はイグニッションプランからは外されたが、世界3位のIS企業だ。そこを買収すれば、ラファールの設計図が無条件で手に入る。その他にもデュノア社のIS情報や研究用に至急されたISと警備用に配備されているISのコア。そしてスマートブレインが手を加えればイグニッションプランに再び入ることも出来る。これだけメリットがあればこっちの不利益はカバーできる。」

 

一夏の言うデュノア社買収のメリットに、村上はしばらく黙り込み、考えた。

 

「貴方がこれほどまでに熱くなるのは珍しいですね。まぁ、確かに織斑くんの言うメリットは正しい。………分かりました。やってみましょう。明日には全てが片付くでしょう。」

 

「分かった。感謝するぜ。」

 

そのまま部屋を出て帰ろうとしたが、

 

「お待ちください。もし私が協力しないと言った場合、貴方はどうするつもりだったんですか?」

 

「物理的にデュノア社を潰していた。文字通り跡形もなくな。」

 

これを聞いて、今回の話を受けて良かったと心底思う村上だった。

 

翌日のニュースで、デュノア社社長婦人とその他数名の社員が逮捕されたことと、デュノア社がスマートブレインに買収されたことは余談だろう。




今日はここまで。次回は学年別トーナメント戦です。VTシステムまで行けるかな?

次回もお楽しみに。感想、評価、活動報告もよろしくね!

『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「心がけ踊るな」さんからの質問です。「作者がゲームをやる上でのモットーはなんですか?」はい。ズバリお答えしましょう。コンテニューをしてでもクリアすることです。これを聞くと、どっかのゾンビの社長を思い出しますね。実際やりこんで行くとノーコンテとかどうでも良くなってくるんですよね。

※一夏のヒロインに本音はワンチャンありますか?と言うコメントがそこそこありましたが、作者の技量的に普通の恋愛的な接点を作ることが出来ないので、無理矢理で良ければやることは出来ます。それでも良いと言うのなら出します。感想欄に感想と共にどうぞ。


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学年別トーナメント

今日はサブタイトル通りの学年別トーナメントです。

感想欄に本音のヒロイン化に賛成派の声が多かったので、無理矢理ですが次回やってみようと思います。原作程可愛くはかけないけど……。

「この設定嘗めてんだろ!」と思っても「この作者だからしゃーない」的な感じで納得してください。


デュノア社がスマートブレインに取り込まれたニュースがあったが、デュノアには大して影響が出なかった。その辺も全て手を回してくれたようだ。

 

このニュースを聞いたデュノアからは、朝からスゴくお礼を言われた。が、寝ている一夏を叩き起こした上でのお礼なので、本人はかなり迷惑がっていた。

 

その後は、仕方無く起きてトーナメントに向けての訓練をすることにした。

 

「1日無駄にしたな……。」

 

日曜日は大体寝ている一夏にとって、平日と同じ時間に起きたと言うことは、その日1日が台無しになったのと同じなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな日曜日を過ごして週明け、時間のかかる行事は週の始めに持ってこようと言う学園独自の考えで、大体の行事は月曜日から開始する。

 

そして今日は、学年別トーナメントである。しかも今年は優勝商品付きと言うことで、参加者全員、異常なまでに気合いが入っている。

 

※誤解はまだ解けていません。

 

そして第1試合のカードは、一夏&デュノアVSラウラ&篠ノ之となった。初戦から一夏とは色々ある2人が相手となった。

 

「この学園は俺に恨みでもあるのか?」

 

「アハハハ……。」

 

一夏の発言に、デュノアは笑うしか無かった。最近篠ノ之が謹慎になっていた為、一夏への迷惑は少し減っていたが、多いことに変わりはない。そして今回、まさかの煩わしい1号と2号が初戦から出てきた。

 

因みに、対戦相手は完全ランダムなので運が悪かったと言うことになる。ここでも不幸体質の発動である。

 

「1戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたと言うものだ。」

 

「そりゃー良かったな。」

 

相手はやるき満々だが、対照的に一夏は仮面で顔が隠されてるが、諦めかけた笑みを浮かべているのが分かる。現に今頭を抱えている。そして、イライラもだんだんMAXに……。

 

「叩きのめす!」

 

「上等だ!殺れるもんなら殺ってみろ!!」

 

普段はキレない一夏だが、流石に今回ばかしは少しキレている。文字がおかしくなってる。

 

試合開始のブザーと共に、一夏とラウラは走りだし、武器を無視して殴り合いに入った。……これISの試合だよな。今完全に2人はただの殴り合いの死合になっている。

 

両者の相方のデュノアと篠ノ之はと言うと、篠ノ之が一方的に押されているだけだった。当然だ。相手はアサルトライフルやグレネード使ってるのに、何故かブレード1本で戦っている。打鉄にも「焔備」と言う飛び道具は積み込まれている筈なのだが……。何に拘っているんだが。

 

「グッ!貴様!飛び道具とは卑怯だぞ!正々堂々と戦わんか!!」

 

「何言ってんの?戦いに卑怯も丁寧も無いよ!それに、シッカリと正面から戦ってるよ!!」

 

うん確かにデュノアは死角からは攻撃せず、正面から銃を乱射している。

 

最終的に、篠ノ之は蜂の巣にされ負けた。うわぁ~と言う感想しか出てこない。絵に描いたような雑魚キャラっぷりだ。

 

そして、一夏達はと言うと、

 

『Ready』

 

一夏は右手にファイズショットをはめている。この前喧嘩した時と同じだ。だがラウラはAICを使わない。無理矢理ほどかれるのが分かっているからだ。前回は無理矢理ほどかれて隙を作った。同じ過ちは繰り返さない為に、今回は最初からAICを使わずに相手をしている。

 

「どうした?AICは使わねーのか?」

 

「同じ過ちを繰り返すほど、私はバカではない!」

 

「そうかよ!」

 

殴っては殴られの繰り返しである。2人共全力なのに、何故まだ決着がつかないのか不思議だ。

 

「一夏!今援護に!」

 

「来るな!手を出すな。」

 

篠ノ之を片付けたので、一夏の援護にデュノアが来たが、勝負の邪魔をされたくないのか、デュノアの援護を断った。

 

「そろそろ終わらせるぞ。」

 

「望むところだ!」

 

お互い、これが最後の一撃になるだろう。全力で殴った。

 

ラウラは一夏の腹部に、一夏はラウラの顔面に拳を叩き込んだ。相当の威力だったのか、お互いに吹っ飛ばされ、地面を2、3回バウンドしてアリーナの壁にめり込んだ。

 

これで一方の機体が解除されれば勝負はついたのだが、まだ終わらなかった。

 

「マジかよ。タフ過ぎんだろ。」

 

『Ready』

 

ファイズショットからミッションメモリーを抜き取り、ポインターに入れて脚に付けた。クリムゾンスマッシュで終らせるつもりだ。そのままやると危険なので、当然威力はセーブしてある。

 

ENTERキーを押してラウラを拘束しようとしたが、突然、ラウラの悲鳴と共に、レーゲンから激しい電撃が放たれた。

 

「ッ!?」

 

一夏とデュノア、イヤ、観戦していた人も含めて自分の目を疑った。レーゲンが変形を始めたからだ!変形では少し語弊がある。そんな生易しいものではない。装甲を型どっていた線は全て溶け、ドロドロになりラウラを飲み込んだのだ。

 

「あれは……一体……。」

 

誰もが思ったことだろう。ISには原則として変形機能は今のところ存在しない。それはISに疎い者でも知っている事実だ。では目の前で起こっているこれは何だ?ISが溶け、別の形を形成しているこの現象に、誰も声を出せなくなった。

 

そして、変形が終わると、そこにはレーゲンではない何かが立っていた。

 

「雪片……。」

 

レーゲンだった物が握っていた刀、それはかつて千冬が振るってきた「雪片」だったのだ。姿も暮桜に酷似している。

 

「デュノア、今すぐここから逃げろ。」

 

「え?」

 

何で?そう聞こうとしたとき、隣に居た筈の一夏が消えていた。いや。デュノアの後方で暮桜擬きの攻撃を受け止めていた。

 

「早くしろ!巻き込まれるぞ!!」

 

その言葉を聞き、すぐにその場から離れた。ここにいては死ぬ。本能がそう告げたのだ。

 

「おい!何ISに飲み込まれてんだ!?聞こえてんのか!!」

 

必死にラウラに呼び掛けたが、完全に意識を失っているため、届かなかった。

 

「チッ!ハァ!」

 

『complete』

 

ラウラを蹴飛ばし、ファイズアクセルからミッションメモリーをファイズフォンにさし込みアクセルフォームに変わった。

 

「少し我慢しろよ。」

 

『startup』

 

ISに直接ダメージを与えて、強制解除させようと考えた。ただし、少し加減を間違えるとラウラ諸とも殺してしまいかねない。かなり精神を削る作業だ。

 

「ゼヤァ!!」

 

加速を付け、ラウラが居るであろう場所に腕を突き刺した。中で何かを掴むと全速力でその場を離れた。腕にはシッカリとラウラが掴まれていた。

 

『timeout』

 

『reformation』

 

「デュノア。早くコイツを保健室まで運べ。」

 

「分かった!」

 

ラウラをデュノアに渡し、先程まで戦っていた機体に視線を移した。

 

「ッ!?……。」

 

一瞬動いたので身構えたが、その直後に完全に動かなくなったので警戒を解き、レーゲンを回収した。回収後は勿論千冬に全て渡した。

 

「ご苦労だったな。今日はもう部屋に戻れ。」

 

「その前に、デュノアの事だが、もう連絡は来ているか?」

 

「ああ。村上さんから直接聞いた。部屋の準備はもうしてある。ある程度の事が終わったらすぐに作業に取り掛かる。」

 

「分かった。」

 

それを聞くと、一夏は部屋に戻り休むことにした。




今日はここまでです。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「笠時雨」さんからの質問です。「投稿を一定のスピードで続ける秘訣って何ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。変なプライドを捨てているからです。文字が少なかろうが内容が薄かろうが、自分がその日限界だと感じたらキリの良いところまでで投稿するからです。後は、小説を書く者としてはやっちゃダメだろうけど、書いてる途中に次回の内容を考えているからです。その他にも、時間さえあれば内容を考えてるのも理由の1つだと思います。作者が一定のスピードかどうかは分かりませんがね。

続きまして、ペンネーム「izu」さんからの質問です。「小説を書く時に聞いているbgmは何ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。作者は基本音楽を聴きながら小説は書きません。理由は原作本を片手に作業しているため、音楽なんか耳に入ってこないからです。因みに、前書き後書きのbgmはピアノ版らららコッペパン(たまにやる気の無いダースベーダー)。憲八先生のコーナーは銀魂と同じbgmが流れてます。

次回もお楽しみに。感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!


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学年別トーナメントのその後。

えーっと、無理矢理なヤツです。作者に対する突っ込みはご遠慮下さい。大体何が起こるかは予想できると思いますけどね(笑)

そして、ラウラもキャラが崩壊に……。


「ウッ!……ここは?」

 

「保健室だ。」

 

「教官……。私は一体……」

 

学年別トーナメントの一件の数時間後に、ラウラが保健室で目を覚ました。

 

「VTシステム。ドイツ軍のお前には分かるな?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システム……。モンド・グロッソ部門受賞者の動きをトレースするシステム……。ですがあれは……」

 

「ああ。ISの条約で現在はどの国家、組織、企業において全ての研究や開発、使用が禁止されている。それがお前のISに積まれていた。」

 

「…………」

 

「まぁそんなことはどうでも良い。ラウラ、実際アイツと戦ってどう思った?」

 

この質問に驚いた。もっとVTシステムの話が続くかと思っていたからだ。だが、きた質問は一夏と戦ってみての感想だった。

 

「……楽しい、そう思いました。戦いのなかで起こる胸の高鳴り、久しく忘れていた高揚感。限界の中で繰り出される、1つ1つが命を持った攻撃。おかしい話ですが、あの男とはもっと戦いたいと思いました。」

 

これは全て事実だ。ラウラが戦いの中で感じた、心の底から楽しいと思った戦い。現に話しているラウラの顔は、実に楽しそうだ。

 

「そうか。何故VTシステムが発動したのかが不思議なぐらいだな。」

 

「恐らく、私が力を求めたからです。この男に負けると思ったときに……。もっと戦っていたいと思っていましたが、アイツだけは絶対に潰すと言う思いが混ざって今回の事態に至り、力に溺れたのかと……。」

 

「なら、今度からは溺れないことだな。まぁ、この学園で私が指導する限りは無いだろう。今は私の授業に耐えるための体力を付けるために休んでおけ。」

 

それを伝えると、千冬は保健室から出ていき、現在引っ越し作業が行われている一夏の部屋へと向かった。ラウラもその後は傷を治すために寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、一夏の泊まっている部屋では引っ越し作業が行われているのだが、思ったより捗っていなかった。理由は簡単だ。IS学園の寮に使われている家具は、かなり重たいのだ。

 

素材なんだよ?って言いたくなるレベルでクソ重たい。大型のブラウン管テレビを3台位一気に持つ方が軽いと思えるレベルだ。

 

「やっぱり終わってなかったか……。」

 

「姉貴……。これいつ終わる予定なんだ?」

 

「さぁな。本来は1日はかかる作業だからな。」

 

この言葉を聞いて、ファイズになって一気に片付けようかと思ったが、そもそもファイズだと力が大きすぎて家具が壊れてしまう。その為、渋々生身で手伝うことにした。

 

~5時間後~

 

「あと……半分…………。」

 

 

~更に3時間後~

 

ガンッ!

 

「あ、目覚まし時計壊れた……。」

 

「おい、気を付けろよ。フローリング直すのに時間がかかるから。」

 

人の心配より床の心配かよ。

 

~そのまた更に2時間後~

 

「やっと……終わった……。」

 

「ご苦労様でした。」

 

結局、作業が終わったのは夜中だった。作業を最初から手伝っていた一夏は既にフラフラである。トーナメントの後にすぐ行われた作業のため当たり前である。

 

因みにデュノアだが、現在は千冬の部屋に居る。(ちゃんと片付いています。)作業が長引くのは目に見えていたので、千冬が自分の部屋で過ごすように言ったのだ。

 

「一夏、シャワー浴びたらすぐに寝ろよ。」

 

「当たり前だ……。」

 

千冬の言葉通り、シャワーで体を洗い、ベッドに入ると深い眠りに入った。3分ぐらいで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。この日はラウラも復帰し、デュノアも女性として再編入した。デュノアが女だと判明したさいに誰かが「織斑君はデュノアさんが女だって知ってたの?」的な発言をしたため、クラスが少し混乱した。千冬の一言ですぐに片付いたがな。

 

だが問題はそこでは無い。居ないのだ。一夏が。

 

「恐らくまだ寝てるんだろう。昨日遅くまで作業してたからな。誰に起こしに行かせるか…………。」

 

「でしたらこのセシリア・オルコットが!」

 

「千冬さん!私が行きます!」

 

「僕のせいだし僕が行こうかな?」

 

「いや、ここは私が。」

 

と、4人手を挙げ自分が行くと言った。だが千冬は

 

「そうだな、布仏。お前が行け。」

 

「は、は~い。分かりました。」

 

一瞬、「何で自分?」みたいな顔をしたが、千冬から合鍵を受け取り、学生寮に向かった。

 

「織斑先生!何故わたくし達の中からではなく布仏さんを!?」

 

「そうです!接点のある私の方が良いではありませんか!!」

 

と、オルコットと篠ノ之が抗議したが、千冬にとっては全く無意味だった。

 

「はぁ、そうか。では、まずオルコット。貴様はここのところ成績が右肩下がりだがどうしてだ?」

 

「一夏さんとの訓練に時間を使っていたからですわ。それが何か?」

 

「成績が下がっているヤツを授業から抜けさせる訳が無いだろ。次に篠ノ之。貴様は何をするかが分からない。今までの織斑に対する行動から、まず貴様に行かせることは無い。そもそも、お前はただでさえ謹慎があって授業が遅れている。」

 

この言葉にはぐうの音も出ない。実際、オルコットは最近の小テスト等での成績が落ちてきているし、篠ノ之に関しては1週間の謹慎、一夏に対する様々な危険行為等の前科がある。

 

「次にボーデヴィッヒ。貴様の保健室での発言で私は少々危ないと判断した。寝込みを襲う可能性が無いとは言えないからな。」

 

「わ、私はその様な卑怯な真似はしません!信用ならないと言うのなら、身一つで行きましょう!無論武器を持っていないことを証明するため、服は着ません!」

 

「その行動も十分問題だ馬鹿者!最後にデュノア。お前は何と無くだ。」

 

「ちょ!ボクだけ適当じゃないですか!?」

 

簡単に言うと、どいつもこいつも何をするか分からないからだ。

 

「お前ら全員が凰の様な性格なら兎も角、邪な考えを持っているヤツを行かせるわけが無いだろ。」

 

確かにデュノア以外、起こしに行く以外に何かを考えていたようだ。

 

「まぁ、布仏なら間違っても何かが起こることは無いからな。成績もクラス上位だしな。分かったらさっさと席に着け小娘共。」

 

渋々席に座り、授業を受けた。が、ラウラとデュノア以外の2人は真面目に聞いていなかった為、授業中に何度か出席簿を頭に食らった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~っと。あ!あった。おりむー起きてる?」

 

鍵を開けて、声をかけながら中に入っていった。起きていれば返事があるはずなのだが、無いところを見るとまだ眠っているようだ。

 

寝ているのに気付くと、ベッドの方に行き一夏を起こそうとしたが、声をかけても全然起きない。

 

「おりむー!お~き~て~!」

 

一夏を揺らしながら起こそうと試みたが、一向に起きる気配がない。

 

「お~り~む~!わぁ~」

 

急に本音の視界が暗くなった。何故かはすぐに分かった。一夏が本音を抱き枕にしたからだ。一夏を揺らしているときに寝返りを打ち、そのまま枕にされたようだ。

 

「え?お、おおお!」

 

最初は少し焦ったが、少し時間が経つと

 

「ZZZ」

 

本音も寝てしまった。彼女の性格上、あり得ないことでは無いが……。2人揃って欠席だなこれは。

 

因みにこの後、あまりにも遅かったので千冬が来てみたら、2人仲良く寝ていたので写真を撮って静かに部屋から出ていった。

 

2人が起きた後に、千冬から写真を見せられてイジられた事は言うまでも無いだろう。本音は顔を真っ赤にさせていたが、一夏は通常通りだった。何故か鈴もその写真を持っていたな。笑いながら一夏に見せていた。




本当、なんかごめんないさい。私にはこれが限界です。

『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「ドラえもんで欲しい道具と嫌いな道具を3つ教えてください。」はい。ズバリお答えしましょう。ただ、普通に書くと長くなるので、箇条書きにさせていただきます。

欲しい道具

・タケコプター→移動に便利
・あらかじめ日記→ネタに困ったときに「小説のネタが
出てくる」と書けば毎日更新を維持できるから。
・グルメテーブル掛け→食事に困らない。

嫌いな道具

・転ばし屋→10円払ってまで転ばせる価値が無いから。
・木こりの泉→なんか面倒。
・地球破壊爆弾→危険すぎる。

こんな感じです。因みに好きな映画は、「ワンニャン時空伝」と「のび太の恐竜2006」です。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!


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大体誰かと買い物に来ると厄介事に巻き込まれる

後少ししたら体育祭。……テンション下がるな。

そしてこの小説も、後少しで完結。

そして、とあるマンガのキャラが出てきます。当ててみて下さい。答えは感想と共に感想欄まで!


「はぁ……何でこうなるかな?」

 

現在、一夏と本音はデパートに買い物に来ていましたが、拉致られてます。他の客と一緒に。

 

「おりむーの運って本当に悪いね。」

 

「全く、清々しいぐらいの不運だ。」

 

何故この2人が買い物に来ているのかと言うと、遡ること数時間前。

 

「アハハハハ!!いつ見ても面白いわ~。この写真。見事なまでに抱き枕だし(笑)」

 

「笑いすぎだろ。」

 

「リンリンあんまり笑わないで~。」

 

一夏が本音を抱き枕にしている写真を見ながら大爆笑していた。この写真のどこにそんな要素があるかは分からないが、鈴にはこれで大爆笑出来るようだ。

 

「て言うか誰に貰った。」

 

「ん?千冬さん。草加さんにも渡したって言ってたけど。」

 

「草加の野郎……。脚滑らせて頭打って死ねば良いのに。」

 

今一夏の頭の中では、その写真を見ながら腹を抱えて笑っている草加が浮かんでいる。何故かそれだけでも酷く殴りたくなった。

 

「まぁそれよりもさぁ、アンタらどんな体勢でご飯食べてるの!!?」

 

ああ、言い忘れたが、ここは食堂だ。しかし休日の為ほとんど人が居ない。それもそうだろう。わざわざ学園が休みなのに、金を払ってまで食堂で朝食をとる人は居ない。自分で作れば良いからだ。

 

その為、今ここに居るのは料理の出来ない人か、一夏や鈴の様に作るのを面倒くさがる人たちぐらいだ。と言っても、ここは規模の大きい学園。そんな人はたくさん居る。現在の食堂には、約40人ほど居る。

 

それで、鈴が言っていた体勢だが、一夏の膝の上に本音が座っている状態だ。

 

「いつの間にな、これで安定してな。」

 

「アンタらが関り持ったの昨日でしょうが!何で1日も経たずにこんなになってんの!?」

 

「知るか。」

 

本音の能力である。一夏の抱き枕になったら、何故か一夏の近くが落ち着く様になったそうだ。

 

「私はここが落ち着くんだよね~。なんか安心する~」

 

「でしょうね!それは分かってるわよ!!一夏の側が安心するのは分かってるわよ!!でも何でそんなすぐに信頼関係が築けるのよ!!」

 

「落ち着け。コーヒーでも飲んでろ。」

 

「私がエスプレッソは飲まないのは知ってるでしょが!!」

 

「モガッ!」

 

余計に火に油を注ぐ結果となり、鈴は一夏に差し出されたコーヒーを手に取り、無理矢理一夏の口の中に流し込んだ。因みに、本音は動じないでご飯を食べている。

 

しばらくして鈴が落ち着くと、

 

「そういえば、2人は水着買ったの?」

 

「いや。買ってないな。」

 

「やっぱり。買いに行った方が良いわよ。そろそろ臨海学校だし。」

 

臨海学校と言う単語に、2人は成る程と思い、午後から水着を買うために出掛けることにしたのだ。

 

デパートの水着売り場では、

 

「種類多すぎるだろ。」

 

好みの水着を買うために、一夏と本音は別々に水着を探しているのだが、普段着ですらネットで適当に買う一夏だ。こんなに種類の多い店では選ぶのにも苦労する。

 

「水着をお探しですか?」

 

「え?あぁはい。」

 

後ろから学ランをきた七三分けの眼鏡をかけた、とんでもないスタイリッシュオーラを放っている人に声をかけられた。

 

「でしたら、こちらの水着はいかがでしょうか?動きやすさを重視し、軟らかい素材で構成されておりますし、耐久性もあります。こちらのパーカーと合わせることも可能です。私の勝手な判断ですが、あなた様の第一印象から、カラーはこちらを選ばせて頂きました。」

 

上下でメーカーは違うが、デザインがぴったりな2着を渡された。どちらも黒に赤いラインが入っているファイズカラーだ。ポケットも付いているので物を入れることもできるし、チャックも付いているから落とす心配も無い。

 

そして、彼の言うように動きやすい素材で出来ている上に、中々の耐久性もある。

 

「良いものだな~。」

 

「お気に召した様で何よりです。その2着ならお値段もお安く済みます。」

 

「へ~。サンキューな。アンタ店員か?」

 

「いえ、近くを通り掛かったら何やら悩んでいる様子でしたので、失礼ながらお声を掛けさせて頂きました。では、私はこれで。」

 

一夏に頭を下げると、そのまま店を出ていった。世の中にはとんでもない物好きが居るようだ。

 

「おりむー決まった?」

 

「ああ。お前は?」

 

「決まったよ~。」

 

かごの中には着ぐるみみたいなのが入っていた。これ水着か?

 

「本音、溺れないのか?」

 

「?大丈夫だよ」

 

本人が大丈夫な様なので、そのまま会計に進んだ。水着は以外に高いものが多いが、一夏の選んで貰った水着は彼の言う通り、安値で済んだ。

 

まぁ問題が起こったのはここではない。問題が起こったのは一夏達が帰ろうとしたときだ。

 

武装した男達がデパートを占拠したのだ。そして、冒頭の様に一夏が頭を抱える結果となったのだ。

 

「でも何で今時デパート襲撃するの?銀行とかで良いと思うんだけど。」

 

「アイツらの格好見てみろ。そんなこと思い付く連中に見えるのか?」

 

襲撃してきた連中の格好とは、まさに世紀末である。髪型も含めてだ。顔を隠すつもりでマスクを着けているのかもしれないが、全く意味をなしていない。

 

「おいテメー!何喋ってやがる!!死にたいのか!?」

 

「うるせーよ全身世紀末スタイル。つか何で今時デパートなんか襲撃してんだよ。銀行行けよ銀行。」

 

「うるせー!どこを襲おうが俺達の勝手だろうが!!その口もう一回開いてみろ!2度と喋れない様に……。」

 

急に言葉が途切れた。さっきまで喋っていた男の顔があった場所には、デカイ拳があり、男は壁にめり込んでいた。

 

「な、何だ!?コイツ!!」

 

「う、撃て!撃て!!」

 

一斉に撃つが、銃弾は弾かれるだけだった。まぁ皆さんもうお気付きだろうが、今テロリストを殴り飛ばしたのはバジンである。

 

騒ぎに気付いて中に入ってきた様だ。

 

「おっと。サンキュー。」

 

一夏にベルトを投げ渡すと、いつまでも後ろから撃ってくる連中が鬱陶しく思ったのか、近くに居たのを蹴飛ばした。

 

「変身!」

 

『complete』

 

「IS!?ガァ!」

 

「全く、どいつもこいつも俺の休日を潰しやがって!何か恨みでもあんのか!?」

 

拉致られた人の全員を助けると言うより、日頃の鬱憤を晴らしているようだ。まぁ、確かに最近の休日は平和に過ごせていない様な気がする。

 

「う、嘘だろ。相手はたったの1人だぞ!!?」

 

「も、もうダメです!アイツ、鬼の様に強い……!」

 

「に、逃げろー!!」

 

「逃がすか馬鹿共!!」

 

「「「「ギャアアアア!!!!」」」」

 

物の数分で全てが片付いた。テロリスト共は全員警察に持っていかれた様だ。

 

「おりむー本当に運が悪いね。」

 

「一度出雲大社にでも行って開運でもしてくるか……。」

 

「普通に近くの神社でも良いと思うけど……。」

 

その後、一夏はマジで神社に通い詰める事になり、今日の様な不幸はあまり起きなくなったが、その代わりにそこそこ大きめな不幸が起こりやすくなった。

 

「マジで神の野郎をしばく……!」

 

この発言に、皆何も言えなかった。ただ1人、

 

「ドンマイ!」

 

と、鈴が毎度声をかけている。




今日はここまで。質問が無かったので憲八先生はおやすみします。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします。


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ふざけた作文 その2

ストーリーの方が書き終わりそうに無かったので、ネタ回を行います。なんか久しぶりだな。

献血で400ml血を出してきたので少々頭がフラフラしますね。

あ、前回出てきたスタイリッシュキャラの「坂本ですが?」の坂本くんでした。感想欄を見たら知らないキャラがいっぱい出てきて少しビックリしましたね。


「それでは、今日の授業はここまでだ。作文の宿題は次の時間まで提出するように。」

 

今回の現文の授業でも作文の宿題が出た。作文のお題は「孤独について」だ。高校生にどんな内容の作文を書かせるつもりだよ。と思う人も居るだろうが、宿題なので仕方無く取り組むことにした。

 

「さてと。どうするかな……。」

 

1人部屋に戻った一夏は、作文の内容に頭を悩ませていた。書く内容が無いわけではない。前回の様な作文になるから悩んでいるのだ。幸いなことは、今回は教師しか読まない。これくらいだろう。

 

「まぁ、書き方までは指定されてないし、別に良いか。」

 

~一夏の作文~

 

『人間は潜在的に孤独を恐れ、嫌う。自分が孤独にならないためならどんな事にも手を染めるだろう。分かりやすい一例を挙げるとすれば、今まで少数で過ごしてきた人達が、大きい人数と過ごすことになったとき、孤立したくない人間は、真っ先に少数の関わりを捨てる事だろう。

 

そのグループの連中とはどんなに長い付き合いであっても、ソイツらが自分から離れていく事を恐れ、自分から切り捨てに行く。そして大きな人数の団体に属する。自分は孤独じゃないと周りにアピールしながら、それを自分に言い聞かせる為に。

 

その行動が正しいかどうかは分からない。だが、その行動が自分では間違っていると理解していても、人間はそれを選択する。たとえその行動が間違いでも、人間は孤独には勝てないのだからだ。

 

しかし、大きな人数の団体に属しても、次第に周りと自分の間には壁の存在を自覚することになる。何故なら、自分とその団体は長い付き合いではないからだ。だが、そことの繋がりを切ることはできない。今更過去の仲間の元には戻れないからだ。

 

自分から切り捨てて置いて、周りと壁を感じるから戻る。なんて言う虫のいい話は受け入れてもらえない。当然の事である。だから、切り捨てた人間は永遠に壁を感じるグループに属するしかない。そして気付くだろう。本当の孤独と言うものに。

 

自分の周りに人が居ながらも独りに感じる。孤立していないのに孤立している。少数を切り捨てた事で、自分が1番嫌っていた孤独に陥る。

 

本当の孤独とは、周りに人が居ないことではない。自分の心に人が居ないことだ。しかし、それに気づく頃には、人は、孤独のドン底に墜ちているだろう。

 

しかし、過去の仲間にいつまでも頼っている人間も、孤独になる。周りの仲間は新しい人達との関係を持つからだ。そうして、捨てられた人間は独りで新しい関わりを探さなければならない。なんの助けもなく、暗闇を歩き続け、掴むしかない。掴めなければ、一生孤独と付き合っていくしか無いのだろう。

 

結果、人間はどう転ぼうとも孤独になる。信頼できる人間を見つけない限りは。 by作者』

 

「よし。これで誤魔化そう。」

 

次の日、職員室で、

 

「織斑。またお前は……。作者と書けば誤魔化せると思ったのか?」

 

当然呼び出しを食らった。

 

「ウチの作者なんて大体こんなもんだろ。」

 

「この際作者はどうでも良い。見ろ。独り身の教師たちを。」

 

千冬の言う、独り身の教師達は、なんか暗い顔をしながら負のオーラが出ている。

 

「この学園の者が打たれ弱いのは知っているだろ。前回の作文でな。それなのに懲りずにまたこれか?」

 

「高校生にこんな難しい事について書かせるからだろ。もっと明るい題で書かせてみたらどうだ?」

 

無理矢理暗い方向に持っていかれそうな気もするけどな。

 

「まぁ、最後の方に少しまともな事が書かれていたのが僅かな救いだったな。次回作文の宿題が出たときは今よりもまともに書くようにしろ。」

 

「へいへい。善処するよ。」




『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「たけじんマン」さんからの質問です。「子供の頃から好きなゲームのシリーズはありますか?」はい。ズバリお答えしましょう。「怪獣バスターズ」と言うウルトラ怪獣を討伐するゲームがあります。1作目と2作目で大きな内容の変更はありませんが、ウルトラ怪獣と戦えると言うことで、作者的には気に入っています。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!


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一夏は意外にも海が好きです

最近海行ってないな~。かれこれ7年ぐらい。

※短いです。


現在、週が開けての月曜日。1年生達は大型のバスに揺られながら海を目指している。今日から2泊3日の臨海学校だからだ。

 

バスの中では、暇を潰すために音楽を聴いたり、複数でトランプをやったり、チェスをしたり、将棋をしたり、モンストしたり、ジグソーパズルをしたりと盛り上がっていた。……うん。バスの中でやる遊びでは無いな。

 

だが1番多いのはやはり、海で何をやるかの話である。高校生でも「海」と言う単語は、テンションが上がるようだ。そんな中、一夏と本音はと言うと、

 

「グー……zzz」

 

「スースーzzz」

 

爆睡してた。本音は一夏の肩に頭を乗せて、一夏は乗せられた本音の頭に自分の頭を寄り掛からせて寝ていた。

 

その光景に、鬱陶しい嫉妬の念を飛ばしてくるヤツと、微笑ましそうに眺める者がいた。千冬は相変わらず写真を撮っている。しかも高そうな一眼レフで。アルバムにでも入れるのだろうか?態々自分の席と一夏達の席を近くにしたのは、このためのようだ。

 

しばらくすると、景色が変り海が見えるようになると、誰かが「海だ!」と口にし、他の生徒も一斉に窓の外に目を向けた。多少バスの中が騒がしくなったが、一夏と本音は起きることなくスヤスヤと寝ている。

 

数分後、バスが目的地に到着した。だが一夏達が起きる気配がないので、千冬が起こしてくれた。

 

「ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ。」

 

「「「よろしくお願いしまーす」」」

 

千冬の言葉の後に、全員で挨拶をした。この旅館には毎年お世話になっているようだ。

 

「はい。こちらこそ。今年の1年生の元気があってよろしいですね。」

 

歳は30代くらいだろう。しっかりとした大人の雰囲気を漂わせている。仕事柄、笑顔がたえないからなのか、その容姿は女将と言うには逆に若々しく見えた。

 

「あら、こちらが噂の?」

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします。」

 

目があったので、取り敢えず挨拶をしておいた。

 

「ええ、まぁ。今年は1人男子が居るせいで浴場分けが難しくなってしまい、申し訳ありません。」

 

「いえいえ、そんな。それに、良い男の子じゃあありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ。」

 

「そうですか。」

 

そのあとは、全員指定された部屋へと向い、夕食までの自由行動を言われた。

 

「ねー、おりむ~。おりむーの部屋ってどこ?後で遊びに行きたいんだけど。」

 

「いや。俺も知らん。別に野宿でも構わんがな。」

 

流石に寒いと思うぞ。海辺だし。

 

「織斑。お前の部屋はこっちだ。」

 

千冬から呼ばれた。待たせるわけにも行かないので、本音に「またな」と伝え、千冬の元へ向かった。

 

「ここがお前の部屋だ。少し狭いだろうが我慢しろ。」

 

千冬に連れてこられた部屋には「教員部屋」と書かれたプラカードがぶら下がっていた。

 

まぁ、実際色々な面から考えても、ここ以上に適している部屋は無いだろう。

 

「着替えたらとっとと海へ行け。」

 

「ああ。」

 

千冬に言われた通り、とっとと着替えると海に向かっていったが、途中で変な物を見つけた。岩に突き刺さったウサギの耳だ。

 

「……無視するか。」

 

なんか面倒な予感がしたので、触れずに無視して海水浴場に向かった。

 

「さーてと、泳ぐか。」

 

泳げる場所に到着したので、泳ぐための準備をしていた。その時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あっ!おりむー!」

 

本音だ。

 

「本当に着ぐるみで来たか……。」

 

「おお~!その水着似合ってるね~」

 

「そうか。お前の水着は個性的だな。溺れないかが心配だ。」

 

「大丈夫だよ~。慣れてるから。」

 

以前にもこの様な格好で泳いだことがあるかの様な発言に、少し一夏は驚いている。

 

そんな感じに雑談をしていると、鈴がやって来た。

 

「一夏来るの早いわね~。もっとのんびり来るのかと思ってたのに。」

 

「海はけっこう好きだからな。潜れば魚や海草が採れるし、海水は蒸発させれば塩が採れるからな。食料に困らない。」

 

確かに一夏は海が好きだが、あくまで食材としてだ。100%間違ってる楽しみ方だと思う。

 

「取り敢えず、海は食材って言う考えを辞めようか。」

 

鈴にそんなことを言われたが、一夏の見方は変わらないだろう。だが、ここには海水浴に来ている。流石に食材確保は行わないだろう。いくら一夏でも。

 

その後は普通に泳いだり(普通ではない。)、千冬達を交えてのビーチバレー(色々と危ない)をしたりと、自由時間を楽しんだ。ビーチバレーに関しては、ボールが3個程お釈迦になってしまったがな。

 

「一夏、アンタら姉弟はどんな力でバレーやってんのよ?」

 

「おりむーやりすぎだよ。ボールがいくつあっても足りないよ。」

 

「むしろ何故怪我人が出なかったのかが不思議なんだけど……。」

 

一夏と千冬のスパイクを正面から受けた生徒には、素直に同情するしかない。怪我はしなかったけどな。

 

この姉弟にスポーツをやらせてはいけないと、1年生全員が思ったそうだ。体育祭等ではどうなるかは分からないがな。




『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「作者は何党ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。作者は甘党です。……嘘です。そうですね。作者は真耶か本音派ですかね。この2人となら普通に友達になれそうな気がしたので。

次回も楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!

あ、明日は用事があるので投稿出来ないかもです。あらかじめご了承下さい。


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緊急事態

ネジの飛んだ歩く自然災害が出てきます。そう言えば、ファイズは歩く猛毒なんてアダ名がありましたね。少しフォトンブラットが漏れただけでも1時間足らずで東京24区がゴーストタウンとかす。とか言う物騒な設定がありませんでしたっけ?

それを考えると、ファイズも結構物騒なライダーですね。

注意
束ぶっ壊れてます。そして、篠ノ之姉妹のラストが決まりましたが、どんなラストになっても批判はしないで下さいね。

それと、この場を持って、あらかじめ箒派の方と束派の方には謝罪をしておきます。申し訳ありませんでした。


臨海学校は楽しい時間だけと言うわけではない。2日目には大規模なISの操縦訓練を行う。海上と言う、アリーナよりも何倍も広い空間で、生徒全員が普段学園では行わない様な訓練を行うのだ。

 

ただし、専用機持ちとは別々でだ。別々の筈なのだが、何故か専用機持ちのグループの中に篠ノ之が混ざっている。

 

もう1度言わせてください。何故か篠ノ之が混ざっていた。

 

「姉貴、1人専用機持ち以外が混ざっているんだが。」

 

「織斑先生と呼べ。その事に関してだが、コイツは今日から―」

 

「ちーちゃ~~~~ん!!」

 

その声が耳に入り、鼓膜を振動させ、その人間の存在を頭で認識した瞬間、千冬は呆れた様な顔をし、一夏は嫌悪感を露にした。嫌悪感と共に殺意も混じってる様な気がする。

 

「……束」

 

認めたくない。認めなくなかったが、認めざるおえない。そこには、ISを作った歩く自然災害にして、自分は世界の中心だと豪語する天災、篠ノ之束が居たのだ。

 

一夏は一刻も早くこの場から消え失せたい、もしくはアイツを今すぐに灰にしたいと言う顔になっていた。

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、ハグハグしよう!愛を確め―ぶへっ!」

 

飛び掛かってきた自然災害の顔を掴み、思いっきり指を食い込ませていた。手加減は全く無いようだ。

 

「うるさいぞ。束。貴様との間に愛なんぞ存在しない。それに、私は既に恋人持ちだ。独り身歴=年齢の貴様と一緒にするな。」

 

「ウグッ、相変わらず容赦の無いアイアンクローだね。て言うか恋人!?誰ソイツ!誰ソイツ!!ちーちゃん騙されてるよ!待ってて!今すぐソイツ殺しに行って―」

 

「ほう、それは面白い冗談だな。私が気が長くないのは知っているだろ?クソウサギ。首を斬られたいか?それとも灰にされたいか?選ぶんだ。光栄に思え。今なら好きな方を選ばせてやるぞ。」

 

「じょ、冗談だよ。ちーちゃん……」

 

「ふん。」

 

殺気を全開にして束に問い詰めた。が、自然災害でも命は惜しい様だ。冗談だと行ってその場がら逃げようとした。

 

「まぁ、この女に草加を殺すことは無理だろ。」

 

「それもそうだな。返り討ちにするのが当たり前か。」

 

一夏の言葉に、千冬も納得し殺気を解いた。草加の強さへの信頼は厚いようだ。

 

「な!?いっくん!?それはどう言うこ―」

 

「姉さん!それよりも、私の専用機は。」

 

「あ、そうだった。私としたことがつい。」

 

周りの事などお構い無しに話が進んでいく中、彼女の存在を詳しく知らない者達はポカーンとしていた。

 

「織斑先生、あの方は?」

 

自己紹介を待っても無駄と思ったのか、オルコットが千冬に直接聞いた。

 

「ISを生み出した天災、篠ノ之束だ。世界一のバカと覚えておけば良い。名前は覚える価値もない。」

 

言い過ぎである。流石に気に入らないからと言っても、少々言い過ぎな感じもする。まぁ、今気にするところはそこではない。本来は専用機持てない上に持つほどの実力もない。そんな人間に専用機が与えられるのだ。当然周りからは、

 

「あの専用機って篠ノ之さんが貰えるの……?身内ってだけで」

 

「だよねぇ。なんかずるいよねぇ。」

 

当然こうなる。が、そんなことで一々揺らぐような神経をしている姉妹ではない。

 

「おやおや、歴史の勉強をしたことが無いのかな?有史以来、世界が平等であったことなど1度もないよ。」

 

この様にピンポイントで姉は周りを黙らせ、妹は好き勝手する。手の施しようが無い。

 

「後は自動処理に任せておけば全部終るね。あ、いっくんのIS見せて。白式じゃないのは癪だけど、興味があるしね!」

 

キーボードやらディスプレイを全部片付けて、一夏の方を向き、ISを展開するように言った。

 

「断る。」

 

「……それはまた、何でかな?」

 

「アンタに見せればロクな事が無いからだ。どうせ模造品でも作ってまた世界を引っ掻き回すだけだろ。」

 

「随分と信用されてないね~」

 

「信用されてるとでも思ってたのか?悪いが俺はガキの頃からアンタを信用した覚えは無い。」

 

「そ。ま、いっか。(後で盗めば良いし)」

 

なんかヤバイこと考えてるが、それを悟られないように興味を無くしたような振りをした。

 

突然だが、画面の前のお友達の皆さんは、トラブルの連鎖はご存知だろうか?1つ大きなトラブルが起こると、連鎖反応の様に他の大きなトラブルが起こることだ。

 

現にここでも、

 

「たっ、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」

 

真耶が大きな声を出しながら走ってきた。大体いつも慌てているが、今回は尋常じゃないくらいに慌てている。

 

「どうした?」

 

「こ、こっ、これをっ!」

 

「どう言うことだ?」

 

渡された小型の端末に目を通すと、千冬の表情が険しくなった。

 

「そ、それが、ハワイ沖で試験稼働をしていた―」

 

「機密事項だぞ。これ以上はここで喋るな。」

 

「す、すみません……」

 

「専用機持ちは?」

 

「1人欠席していますが、それ以外は……。私は他の先生方にも伝えてきます。」

 

見ているだけでも事の重大さは伝わってくる。真耶が走っていくと、千冬は生徒たちの方を向き、注目させた。

 

「現時刻より、IS学園教員は特殊任務行動へと移る。今日のテスト稼働は中止。各班ISを片付けて旅館の自室に戻れ。連絡があるまで自室待機。以上!」

 

この言葉に、全生徒がざわついた。実戦経験等が少ないものからすれば、戸惑うのは当然だ。

 

「とっとと戻れ!以後、許可なく室外に出たものは実力を持って拘束する!いいな!!」

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

「専用機持ちは全員集合!篠ノ之も一応来い。」

 

篠ノ之を呼んだとき、かなり嫌そうな顔をしたが、専用機を持っているため何をしでかすか分からないので、取り敢えず呼んでおいた。戦力としては端から数えていないようだが。

 

専用機持ちは全員千冬に着いていった。だが、慌てていた為、誰も気付かなかった。篠ノ之束が笑っていることに。




中途半端ですが、今日はここまでです。前書きで篠ノ之姉妹がどうなるかは予想した方も居るかも知れませんが、感想欄では何も言わないでください。作者からのお願いです。ですが、この小説での2人に相当しい最後にするつもりです。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「作者が仮面ライダーに変身するなら、どのライダーになりたいですか?」はい。ズバリお答えしましょう。仮面ライダーには一人一人に個性があり、色々なものがあります。ただ、私の戦闘スタイルから考えると、拳で戦うか、刀で戦うかの2択なので、そうですね……、昭和では1号かブラックRX、平成はファイズと鎧武ですかね。がちで自分が戦うためと言うのなら、フォームが多目の鎧武を選びます。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!


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戦闘開始のちょっと前

サブタイトル通りです。戦闘を開始する直前までです。

次回はあの人を出せたり、3ライダー変身とか出来たら良いな~


「では、現状を説明する。」

 

旅館の1番奥、周りに部屋は無く、他の生徒に話を聞かれない旅館の一室で、専用機持ちと教員達が集められた。

 

照明を落とした部屋の中には、大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS『銀の福音』が制御下を離れて暴走し、監視領域より離脱したとの連絡があった。」

 

いきなりの説明に、全員ポカーンとしてしまった。何故軍用ISの暴走が専用機持ちの生徒に伝えられたのか、そもそもISの軍事的運用を禁止すると言う条約はどこに行ったのか、等と言う疑問がある。

 

が、緊急事態であることに変わりはない。篠ノ之を除く全員が事態の深刻さを理解している。特に軍人のラウラは真剣な眼差しだ。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして50分後、学園上層部からの通達により、我々が事態の対処に向かうこととなった。」

 

溜め息を吐き、何故こんなことを私達にやらせるんだ。的な顔をしている。当然だ。専用機持ちとは言え、全員生徒な上に、教員部隊も訓練を受けてるとは言え、本職の軍人ではない。突然の事態に対応できるかが不安だ。それに無人機の前科もある。

 

ハッキリと言って、今回の作戦は無謀としか思えない。本来なら大元であるアメリカとイスラエルの軍や、日本の自衛隊が対処に当たるのだろうが、恐らく1番近い、と言う理由で決められたのだろう。嘗めてんのか。

 

「教員部隊は学園の訓練機を使い周辺の空域及び海域の封鎖を行う。本作戦の要は専用機持ちに行ってもらう。」

 

かなり苦い顔をしている。今回の事態に生徒を頼るのは、気が進まないようだ。

 

「それでは作戦会議を始める。意見のある者は挙手をしろ。」

 

「はい」

 

真っ先に手を挙げたのはオルコットだった。

 

「目標の詳細なスペックデータを要求します。」

 

「分かった。だが、けっして口外はするなよ。漏洩が発覚した場合、諸君らには査問委員会による裁判と、最低2年の監視がつく。」

 

「了解しました。」

 

その場に居る全員が提示された機体情報を頭に入れている。状況を飲み込めていないのは篠ノ之だけだった。取り敢えず目を通してます感がある。

 

機体の情報を見ると、ますます全員の顔が険しくなった。それもそうだろう。広域殲滅を目的とした特殊射撃型、オールレンジ攻撃も可能。攻撃力だけではなく、機動も高い。しかも格闘性能が未知数ときた。完全に情報不足である。

 

「偵察は行えないのでしょうか?」

 

「無理だ。この機体は現在も超音速飛行を続けている。現段階では、アプローチは1回が限界だ。」

 

「一度きりのチャンス。やはり一撃必殺級の攻撃力を持った機体で行くしか無いですね。」

 

当然の判断である。能力未知数となれば、一撃で沈めるしかない。

 

「俺が行く。ブラスターなら福音のスペックに負けてない。攻撃力も十分にある。」

 

「やはりそうなるか……。織斑、今すぐ準備に―」

 

「ちょっと待ってちーちゃん!ここは断然!紅椿の出番だよ!!」

 

「山田先生。室外への強制退去を。もしくは亡き者に。」

 

なんか天井から出てきて、作戦に紅椿を加える様に言った。真耶が部屋から出そうとしたが、逃げている。

 

「ちょっと!話だけでも聞いてよ!」

 

「分かった。話だけ聞いてやる。」

 

「今日箒ちゃんに渡した紅椿は私の作った第4世代型のISだよ。攻撃力もスピードも現存するISを軽く超えてるんだよ!だから―」

 

「もう良い。分かった。……織斑、準備しろ。」

 

「ちょ!束さんの話聞いてた!?紅椿の方が絶対良いって!」

 

話だけは聞いた。確かに千冬は、束の作戦を行うとも、参考にするとも一言も言っていない。

 

「私は話だけ聞くと言ったんだ。そもそも篠ノ之は最初から戦力として見ていない。実戦経験も実力も無いヤツを戦場に出す訳が無いだろ。話は終りだ。とっとと引っ込め。」

 

「待ってください千冬さん!私と一夏なら行けます!失敗はしません!!」

 

「はぁ、私は織斑の戦闘力と学園に入ってからの実績を信用している。ファイズとして戦っていたからな。お前は今日専用機を貰ったばかりだ。実技授業での成績が優秀なら兎も角、今のお前に信用できる要素は無い。あるなら言ってみろ。ただし剣道の事以外でだ。あんな物、ISの戦闘、しかも実戦ではクソの役にも立たない。」

 

この言葉に、箒は黙ってしまった。事実、千冬を信用させられることが自分でも見付からないからだ。まぁ、あったとしても千冬は箒を行かせることは無い。理由は簡単だ。絶対邪魔をするからだ。

 

「無いようだな。織斑、時間が迫っている。早く準備をしろ。」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『555 enter』

 

「変身」

 

『Awakening』

 

海岸では、一夏がファイズブラスターフォームに変身し、福音の撃墜に向かおうとしていた。

 

『5246 enter』

 

『Faiz Blaster Take Off』

 

コードを入力し、飛ぶとフルスピードで福音の通過するポイントに向かっていった。

 

数分後、

 

「福音を見付けた。これから攻撃に―」

 

「ハアアアア!!!」

 

「ん?……おい姉貴、救い様の無いバカがこっちに居るんだが……。」

 

『すまん。束が入れ知恵したようだ。目を離した隙に逃げられた。』

 

まさかの、ここに来てのトラブルである。




中途半端ですが、今日はここまでです。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「ただの通りすがり」さんからの質問です。「好きなガンダムは何ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。作者の好きなガンダムは、ガンダムエクシアですね。某ロストなヒーローズで大変お世話になりました。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もよろしくお願いします!

※18時34分、少し手直しをしました。経験と言ってしまうと、少し合いませんので……。


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SBと白騎士事件の真実

今日は漸くあの人が本編に登場します。そして、ISの世界では知らない者は居ない白騎士事件、その真実とSB社の本当の姿が判明します。

白騎士事件は原作とは別の物となっておりますので、原作の設定以外認めないと言う方はご注意下さい。

それと、昨日は更新出来なくてすみませんでした。昨日今日と体育祭がありまして、熱中症患者、怪我人の手当てや競技への参加で体力を使い果たしてしまい、投稿が出来ませんでした……。歳を取るのは嫌ですね……。

そう言えば、原作では一夏と箒、福音と戦っているときにお喋りするほどまで余裕を持ってましたね。あの余裕は一体どこから来てるんでしょうかね?


暴走した軍用のIS『銀の福音』、人的被害が出る前に福音の討伐の作戦を実行していたIS学園の専用機持ち。

 

福音を確実に行動不能にするために、一夏が向かったのだが、思わぬ邪魔が入ってしまった。

 

「おい!邪魔だ!早く戻れ!!」

 

「何を言っている!私とお前ならすぐにアイツを殺せるだろ!」

 

「バカな事言うな!!福音と操縦者を助けるのが目的だ!いい加減帰れ!」

 

福音の攻撃を避けながら、篠ノ之に帰るように言っているが、全くそのつもりは無いようだ。しかも彼女は今回の任務の内容を全く別の物としてとらえていた。

 

それに加え、彼女の行っている攻撃は、一夏の援護どころか、邪魔をしているだけだった。そして、更にトラブルが続いた。

 

「ッ!?おい!何でこの海域に船が居るんだ!?」

 

『なに!?密漁船か……?数名の教員を向かわせた!なんとか持たせてくれ!』

 

「分かったよ!」

 

トラブルが重なる自分に、半ばヤケ糞になりながら、福音から放たれる光弾を弾いている。

 

『143 enter』

 

『Blade Mode』

 

「ハァァ!!」

 

フォトンブレイカーで放たれた大量の光弾を切り裂き、福音に近付き落とそうとしたが、

 

「ガッ!?危ねーな!何しやがる!」

 

またしても篠ノ之の援護(笑)である。慣れない射撃武器での攻撃だ。篠ノ之は当然福音に当てられる訳もなく、攻撃は一夏に当たってしまった。

 

「お、お前が私の射線上に入るからだろ!」

 

逆ギレである。いい加減帰れよ。

 

「あぁ、もう!耐えてくれよ!」

 

離れた福音に全速力で近付き、フォトンブレイカーからフォトンブラットの刃を伸ばし、福音を斬った。もちろん威力はセーブしてある。

 

攻撃を受けた福音は、海へと落下。後は福音と操縦者を回収するだけだが、一夏が海へ向かおうとしたとき、異変が起こった。

 

福音が墜ちた場所の海水が蒸発し、そこだけ綺麗に無くなっていたのだ。その中心には、青い雷を纏った福音が、自らを抱くかのようにうずくまっていた。

 

「おいおいマジかよ……!」

 

「な、何だ?あれは……」

 

一夏も篠ノ之も、第二形態移行した福音に驚いている。何故このタイミングかは疑問だが、事態は更によろしくない方向に進んでいる。

 

『キアアアアアア……!!』

 

獣の様な咆哮を発し、福音は一夏に突っ込んできた。

 

「ッ!?グワ!!」

 

あまりのスピードに、反応することが出来ずに足を掴まれ、海へと叩き付けられた。

 

「チッ!」

 

『103 enter』

 

『Blaster Mode』

 

海から出て、飛び出すと同時にフォトンブラスターに変えて、福音を狙い撃った。1発1発のポンプアクション式なのを恨みたくなる。

 

先程よりも増えた光弾を、紙一重で避けながら福音に攻撃を入れている。だが、どんなに一夏が必死で戦っても、邪魔をしてくるヤツが居る。篠ノ之である。

 

彼女のやっている攻撃は、福音の動きを制限するのではなく、逆に一夏の動きを制限している。

 

「ガッ!?お前いい加減にしろ!!」

 

とうとう、篠ノ之は一夏に攻撃を当ててしまった。今まではかする程度だったので、ある程度は無視していたが、今度は当てやがった。

 

「お前が一々私の射線上に乗るからだ!!援護をしてやってるのに文句を言うな!!」

 

邪魔ばっかりしてくる篠ノ之に、一夏もついにキレた。だがここは戦場。目の前に居る福音を倒さない限りはまともに文句を言うことも出来ない。しかし、第二形態移行をした福音は、篠ノ之の作った絶好のチャンスを逃さなかった。

 

「ハッ!?グワァァァ!!」

 

一瞬で一夏に近付き、0距離で光弾を一夏に撃ち込んだ。その衝撃で、ベルトは外れ、一夏は海に落ちていった。

 

「一夏!!」

 

一夏が落ちるのを見ると、福音はその場から立ち去っていった。

 

『作戦失敗……。直に戻れ。』

 

「ですが千冬さん!一夏が!!」

 

『戻れと言っている。次は無いぞ。』

 

千冬からの帰還命令に納得できず、命令を無視して海に入ろうとしたが、その時

 

『邪魔だ。退け。』

 

紅椿に短い文のチャットが飛んできた。誰かと思い、確かめようとしたとき、横から何かに殴り飛ばされた。バジンである。ベルトの状況から一夏が危ないと判断して飛んできたのだろう。

 

そのまま孟スピードで海に突っ込むと、物の数秒で一夏とベルト、ファイズブラスターを見付けて上がってきた。全部揃っていることを確認すると、一夏を持って旅館に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館の作戦室に使っていた部屋では、一夏が横になって寝かされていた。全身に包帯等を巻いている状態だがな。

 

「篠ノ之。貴様どういうつもりだ?命令を無視し、勝手に出撃した挙げ句、戦闘では一夏の援護どころか邪魔をして、戻ってきたら一夏はこの状態。」

 

「そ、それは…………」

 

「ちーちゃん!箒ちゃんは悪くないよ!問題があったのはいっくんの方だよ。私が作った白式を使えば良かったのに、スマートブレインの作ったゴミなんかに乗ってるからこんなことになったんだよ!」

 

「そ、そうです。悪いのは一夏です!ちゃんとしたISを使っていればこんなことには!!」

 

「貴様らは揃って私に殺されたいようだな。望み通りにしてやろう!!」

 

頭蓋骨を割る勢いで2人を殴ろうとした。だが、止められた。

 

「よせ。そんなヤツら、殴る価値すら無い。」

 

その部屋には、2人の男性が入ってきていた。

 

「雅人さん……木場さん……」

 

「今はそんな人達を殴るよりも重要な事があるはずだ。キツいかも知れないけど、今は落ち着いて。千冬さん。」

 

草加と木場の2人だった。

 

「そう、ですね。ふぅ……。よし、まず、お前達2人は今すぐこの部屋から出ていけ。これ以上一夏のそばには居させん。」

 

「な、何故ですか!?千冬さん!!」

 

「私は同じことを2回言うのが嫌いなんだ。さっさと出ていけ。」

 

その言葉に、篠ノ之姉妹はなにも言わずに出ていった。出ていってから数秒後に何かを蹴飛ばした様な音がしたが、何と無く予想がついたので無視しておいた。

 

「2人は何故ここに?」

 

「一夏が撃墜された直後、スマートブレインのメールにバジンからの連絡があった。」

 

「それを見た社長が、俺たちをここに向かわせたんだ。でも、まさかここまでだったなんて……。」

 

「あの女は、自分以外の事なんて考えていないんだ……。白騎士事件の時もそうだ。どうせ今回も、自分の作った第4世代型のISの実力を見たいが為に、こんなことを……!」

 

他の専用機持ちが暗い顔をしていたが、「白騎士事件の時も」と言う発言に反応した。

 

「どう言う事ですか?白騎士事件の時もって?」

 

専用機持ちの中から、ラウラが代表して2人に訊ねた。

 

「白騎士事件は、表向きは日本に飛んできた4000発以上ものミサイルを撃ち落とし、死者0と言う事になっている。新聞やニュースでもそうなっている筈だ。」

 

「えぇ。わたくし達も、当時のニュースで報道された内容は覚えていますし、授業でもその様に聞いていますわ。」

 

「でも違ったんだ。実際は、何万人もの人が死んでいる。白騎士が落とせなかったミサイルや、破壊したミサイルの破片が降り注ぎ、地上に居た人達を殺した。でも政府はその事実を公表しなかった。これからISの時代が来るからだと、ISが不利になる情報を消すために……!」

 

その言葉に、千冬以外の全員が驚いていた。そんなことが発覚すれば、世界が持っているISへの見方が180度変わってしまうからだ。

 

「な、何故そこまで……!いやでも、実際にたくさんの人が亡くなっているのならそんな報道出来る筈が無い!」

 

軍人のラウラならそれが不可能なことはよく知っている。実際に何万もの人が亡くなっていたとしたら、そんな報道出来る訳が無い。かならず遺族や友人等が騒ぎを起こすからだ。

 

「誰も文句を言わないように、政府は死亡した人の関係者に、大量の金を払ったんだ。それこそ、自分の家族や友人がどうでも良くなるレベルの金額を……。」

 

この言葉に、全員驚き、何も言わなくなった。

 

「国の予算には、毎年使用用途不明金が出てくる。白騎士事件が起こった当時、その金を使って人を黙らせたんだ。具体的な額を言うとすれば、人生5回は遊んで過ごせる位の額だ。そんな金を貰ってしまえば、例え家族でも恋人でも黙ってしまう。」

 

「で、でも、それでも騒ぐ人は居ると思うよ!いくらお金を積まれたからって、無かったことに出来ない人だって居る筈だよ!」

 

デュノアの言うことは確かだ。本当にその人を大切に思うのなら、金でも黙らない人はいくらだって居る。だが、

 

「そんな人間ほど、沢山殺されたよ。国が手を回してその人の人生を滅茶苦茶にしたり、覚えも無い借金で自殺に追い込まれたり、ISに不利な情報を出そうとする人は、いろんな方法で消されたよ。」

 

「俺達スマートブレインは、そんな人達を集めて作られた会社なんだ。白騎士事件の被害者だけじゃない。世界中のIS被害者で構成された会社だ。そして、俺達の使ってるギアも、これ以上IS被害を出さないための物だ。世界を、もう一度男女平等に戻すための……。」

 

これがスマートブレインと白騎士事件の真実だ。だが、1つ分からないことがある。

 

「あの、何でそこに篠ノ之束が出てくるんですか?ISの制作者だからって、白騎士事件と結び付けるのは無理があると思うんですが……。」

 

鈴の言うことも確かである。IS制作者=白騎士。では少し無理がある。

 

「当時、ISは学界では子供の夢物語だと笑われていた。そしてそのタイミングでの白騎士事件、これだけでも結び付ける理由にはなる。」

 

「それに、俺達は独自で白騎士事件について調べていた。世界中の軍事基地にハッキングを仕掛けたヤツや、白騎士の正体を。だが、その結果は誰もが予想した通り、ハッキングしたのも白騎士の正体も篠ノ之束本人だった。……あの事件は、自分の発明を周りに認めさせる為の自作自演だったんだよ!そのせいで、俺の友達は……!!」

 

木場の言葉に、全員詰まらせた。さっきまで半信半疑だった白騎士事件の真相が、目の前に居る人の言葉によって真実だと判明したからだ。

 

木場は、あの事件でギタリストになる夢を持っていた親友を、やっと好きな人と結ばれた女友達を失っていたのだ。それから、政府の連中に追われたり、いっそのこと自分も死んで楽になろうとしていた。

 

だが、自分と同じ境遇の人がいるスマートブレインに入り、男女平等を目指し現在に至る。

 

同時に、草加も白騎士事件で幼馴染を失っている。草加と木場の共通の友人をだ。

 

その為、2人は篠ノ之束を恨んでいる。と言っても良いだろう。




白騎士事件の真相を少し弄り、バジンも多少の意思があると言う設定にしました。この設定に納得がいかなくても、このまま続けますので悪しからず。

今日は質問は無かったので、憲八先生はお休みです。

最終回が近付いてきたので、もう一度人気キャラ投票の注意事項を、理由はあっても無くても構いません。ただし、全部門に入れて貰えると助かります。投票数によっては中止する可能性があることをお忘れなく。投票終了日は最終回でお知らせします。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!


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因果応報

サブタイトルに深い意味はありません。

『ちょっと早いけど、教えて!憲八先生!!』

はーい、ちょっと早いけど始めます。ペンネーム「俺、参上!」さんからの質問です。「好きなサブライダーは何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。ガタックです。主に変身者の性格が好きです。

今回は、感想欄で良く見かける、「篠ノ之姉妹はどうなるんですか?」的な感想と、「デルタの意外な変身者」が判明します。予想された方も沢山居ると思いますが、飽きずに読んでください。こんな設定認められない!と言う方が居ても書き直さないので、ご了承下さい。


木場と草加の話で、真実を知らなかった者達は暗い顔をしていた。ISの為に、たくさんの人が死に、たくさんの人が悲しんで居る現実。知らなかった訳ではないが、内容が自分達の知っている真実と違いすぎた事に、彼女達は戸惑っていた。

 

その時、真耶の持っていた端末に、緊急の通信が入ってきた。

 

「どうした?」

 

「ちょっと待ってください……ッ!?これを!」

 

「な!?」

 

福音の暴走にも、冷静な判断が出来た千冬だが、今度学園から入ってきた連絡には、その冷静さも消えた。

 

「どうした?」

 

連絡を見てからの千冬のただならぬ様子に、草加が訪ねてみた。

 

「山田先生、すぐに各教員に連絡を!専用機持ちはすぐに準備をしろ!」

 

「待ってください!一体、何が起きたと言うんですか!?」

 

ラウラの言葉に、千冬は持っていた端末を全員に見せた。その内容は、現在に自分達が居る旅館に、福音が近づいているとの内容だった。

 

「ッ!?木場!いくぞ!」

 

「あぁ!」

 

木場は一夏のファイズギアを持ち、草加と共に旅館を飛び出した。

 

「専用機持ちは教員部隊と協力し、旅館を守るんだ!」

 

「ですが!福音はどうすれば!?」

 

確かに旅館を守るのは大切だ。しかし、福音を倒さない限り、いくら守ってもキリがない。かといって、真っ先に飛び出した2人に頼むのも申し訳ない。

 

「……。山田先生、しばらくここを頼みます。」

 

そう言うと、デルタギアの入ったアタッシュケースを持ち、草加達の後を追った。

 

「木場、出来るだけ旅館から離れるぞ。」

 

「分かってる。海岸の端まで行けば、旅館への被害は抑えられる。」

 

木場はバジンに、草加はサイドバッシャーに乗り込み、出来るだけ旅館から離れた場所で福音の相手をしようとしていた。そこへ、

 

「待ってください!私も行きます!行かせて下さい!」

 

「千冬!?」

 

デルタギアを持った千冬が現れ、自分も連れていって欲しいと頼んだ。

 

「良いんですか?ここからは、本当に危険ですよ。」

 

「覚悟は出来てます。私は行かなくてはならない。教師として、一夏の姉として。」

 

覚悟は確かな様だ。こうなってしまえば必ず着いてくる。草加はそれを良く知っているので、何も言わずにバッシャーのサイドカーに乗せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイクを走らせる事数分。海岸の端まで来ると、福音を目視で確認できた。

 

「来たぞ!」

 

『913 ENTER』

 

『Standingby』

 

「思ったより早い。」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「「「変身!」」」

 

『Standingby』

 

『『『Complete』』』

 

福音を確認すると、3人ともベルトを巻き、草加はカイザ、木場はファイズ、そして千冬はデルタに変身した。

 

『Battle Mode』

 

草加はサイドバッシャーをバトルモードへと変形させて、飛んでいる福音目掛けて6連装のミサイル砲で一気に攻撃した。だが、福音はそのミサイル全てを光弾で破壊し、草加達のいる場所へ向かってきた。

 

「来たよ!」

 

『Rady』

 

「Fire」

 

「Blast Mode」

 

ミサイルを全て破壊し、迫ってくる福音に、木場はファイズエッジにメモリーをさし込み構え、千冬もデルタムーバーをブラスターモードへと変えて構えた。

 

「威力はちゃんとセーブしておけよ。」

 

「分かってる!」

 

2人に注意しながら、草加もブレガンにメモリーをさし込み、ブレードモードにした。

 

『キアアアアア!!!』

 

福音が咆哮をあげ、更にスピードをあげて突っ込んできた。

 

「グッ!ハァ!!」

 

初撃を受け止め、弾き返した。そこに合わせて千冬は福音を撃ち、動きを一瞬止めたところを木場が斬り付けた。

 

「加減が難しい!」

 

「あぁ!何でアイツがこれで戦えてたのか不思議だ!」

 

ライダーズギアはISを超える攻撃力を持っている。今回の様な、機体と操縦者の救出の場合はかなりの神経を使う。各攻撃力は最低限にしてあるものの、やはりやりにくい様だった。

 

「千冬!合わせろ!」

 

『Rady』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「デリヤァ!!」

 

グランインパクトで福音を殴り飛ばすと、千冬はそれに合わせて、空中にいる福音を木場のいる場所にルシファーズハンマーで蹴り落とした。

 

「ハァァ!!」

 

木場のファイズエッジでの攻撃が命中した。威力はセーブしてあるとは言え、かなりのダメージを与えられた筈だ。

 

「どうだ?」

 

砂浜に叩き付けられた福音は、動きを止めている。だが、待機状態に戻っていない為まだ警戒はしている。様子を確認するために、少しずつ福音に近付いていく。しかし、次の瞬間、福音は突然起き上がり、草加達に近距離で光弾を撃ち込んだ。

 

「グワァ!!」

 

「ウワァ!」

 

「アアァ!!」

 

「う、嘘だろ……。ダメージが、無い!?」

 

油断していた訳ではないが、近距離での攻撃に防御が間に合わず大きなダメージを受けてしまった。

 

何故ISを超えているライダーズギアを使っているのに、ここまでのダメージを受けるか疑問に思っている人も居ると思うので説明しましょう。フォトンブラッドの流し方1つでスペックが変わるからだ。今はISに合わせて流しているため、防御力が下がっているのだ。

 

「……クッ!」

 

『Rady』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

ポインターにメモリーをさし込み、福音を2重の四角錐状の光で拘束し、トドメをさそうとしたが、福音はその拘束を無理矢理解いた。威力をセーブしているため拘束力も弱くなっている様だ。

 

「ッ!?グワァ!!」

 

無防備になった草加に光弾を当て、地面に落した。その衝撃でベルトも外れ変身が解除されてしまった。福音は、邪魔者を消そうと再び光弾を草加に撃とうとした。

 

「「危ない!」」

 

草加を庇うため、木場と千冬が盾になり攻撃を受けたが、2人もベルトが外れ変身を解除されてしまった。

 

「グ!まだだ!」

 

草加はベルトを掴み、立ち上がろうとするが脚に全く力が入らず、立つことが出来なかった。木場と千冬も、受けたダメージが大きい為、しばらく動けそうに無かった。

 

福音は、倒れている3人に近付くと、今後も障害になると判断したのか、エネルギーを溜めて3人に放とうとした。草加達も流石にこの状況には目を瞑ってしまったが、いつまで経っても衝撃が来なかった。

 

「ギリギリ間に合ったか。」

 

「い、一夏……。」

 

目を開けると、一夏がいた。その手にはファイズブラスターがある。生身で福音にフォトンバスターモードで攻撃した様だ。……何でそんなもん生身で使えんだよ。

 

そしてそこには、一夏だけではなく専用機持ち達も来ていた。

 

「お前達、どうしてここに?」

 

千冬が驚いた様に訊ねた。

 

「一夏が目を覚ましたんで連れてきました。どうしても行くと言っていたので。」

 

「そこまで言ってねーよ。早く3人を連れてこい。」

 

運ばれてくると、一夏はファイズギアを受け取り自分の腰に巻いた。

 

「良くそんな状態でこれたな。」

 

「結構な時間寝たからな。後は俺がやる。」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『Awakening』

 

『143 ENTER』

 

『Bride Mode』

 

フォトンバスターによって吹っ飛んだ福音が体勢を直したところに、一夏がフルスピードで突っ込んで、福音を斬った。

 

『キアアアアア!!』

 

「何回も同じ攻撃を食らうかよ!」

 

福音から放たれた無数の光弾。だが、それはもう何回も見た。見切れない筈がない。

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ヤバイ。離れるぞ!」

 

草加の言葉を、専用機持ち達は良く理解していなかったが、何と無く危ない感じがしたので全力でその場から離れた。

 

「ハァァ!!」

 

ファイズポインターを起動させると、フォトン・フィールド・フローターで上空へ飛行し、急降下しながら福音に跳び蹴りを叩き込んだ。攻撃が福音に当たった瞬間、周囲にフォトンブラッドが渦巻いた。草加が離れろと言った理由はこれの様だ。

 

この攻撃を受ければ、福音と言えども動くことは出来ない。シールドエネルギーが0となり、強制解除された。

 

「よし!終わ……り……」

 

「一夏!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、旅館の医務室。ベッドの上では一夏が寝ていた。

 

「織斑先生、おりむーの様子は……。」

 

「大分落ち着いている。もう大丈夫だ。」

 

「でも、戦いが終わった直後に倒れたって……。」

 

「無理して動かしたからな~。まぁ夜中にでも目覚めるだろ。少しの間代わってくれないか?座りっぱなしで少し疲れた。」

 

「はい!」

 

会話の通り、福音を倒した後に一夏は気を失ったのだ。ブラスターの影響かと思ったが、単に無理して倒れた様だ。むしろ何であれで戦えたのかが不思議だ。

 

消灯まで後1時間位しか無いのに生徒に何を頼んでいるのやら。まぁ本音自身も一夏を心配しているので快く受け入れてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居ない筈の夜の海岸。しかしそこに人影があった。篠ノ之束と箒だ。

 

「早く行こう。ここに居ても箒ちゃんには意味無いよ!」

 

「で、ですが一夏が。」

 

「後で束さんが連れてくるよ!(頭の中を色々と弄ってからからだけど。)」

 

学園から逃げ出して別の場所で何かをするようだ。しかも束はまた碌でも無い事を考えている。

 

「待て。篠ノ之束」

 

「ん?なんだお前か。何か用?」

 

「白騎士事件について聞きたいことがある。何であんなことをした?」

 

「な~んだそんなこと。決まってるだろ。私の作ったISを認めさせる為だよ。それ以外にある訳無いでしょ。」

 

「あの事件でたくさんの人が死んだんだぞ。中には夢を叶えられそうな人も居た。ギタリストになる夢を叶えられそうな人、好きな人と結ばれた人、美容師になる夢を叶えた人、世界中の洗濯物が真っ白になるように、世界中の皆が幸せになることを夢見ていた人、そんな人達がたくさん居たんだぞ。」

 

「ふん。そんなの知らないね。そんな小さなゴミみたいな夢より、私の夢の方が大切だからね。私の夢の方がそんなヤツらよりも大きいし偉大。叶えられるべき夢なんだよ。私の夢の為なら、他のヤツらの夢なんか消えてしまうべきなんだよ!!」

 

自分の夢の為に他人の夢を消す。この発言に、強い怒りを覚えた。

 

「……知ってるかな?夢って言うのは呪いと同じなんだよ。途中で挫折した人間はズット呪われたまま。らしい。人の夢を潰し消した、貴方の罪は重い!」

 

『000 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身……!」

 

『Complete』

 

木場の体を包む金色の光。その光が止むと、そこにはギリシャ文字のΩを模したデザインの金色のライダーが立っていた。

 

「ふ~ん。そんなので来ても無駄だよ。紅椿には勝てない。箒ちゃん。殺っちゃいな。」

 

「はい!」

 

箒は紅椿を纏うと、刀を構えて木場に突っ込み、斬りかかった。

 

「ハァ!」

 

「ガ!?」

 

攻撃を受け止めると、そのまま箒の顔面を殴った。

 

『Rady』

 

右腰のホルダーに携行しているオーガストランザーにメモリーをさし込み、長剣にして構えた。

 

「デリャアァ!!」

 

バカの一つ覚えの様に突っ込んでくる箒の攻撃を避けながら、一撃一撃を確実に決めている。

 

「フン!」

 

「グワァァ!」

 

木場の攻撃は先程から決まっているが、紅椿には傷が付いていなかった。束はそれを観察していた。

 

「ハハハッ!見ろ!この機体には傷1つ付いていないぞ!派手な割には随分と弱い機体だな!!」

 

傷1つ付いていない事に、余裕そうな態度をとっていたが、それはすぐに消えた。突然ISが解除されたのだ。

 

「な!?何故ISが!?」

 

すると今度は、箒の体が灰の様に崩れてきた。青い炎も出ている。

 

「こ、これは一体!?」

 

「お前!箒ちゃんに何をした!?」

 

「体に有害なフォトンブラッド。それが体内に入り込めばどうなるか。当然調べたんだろ。」

 

「……灰になって……死ぬ……!」

 

「そ、そんな!ああ!アアアアアアア!!!!!……」

 

悲鳴が消え、箒は灰になり崩れ去った。

 

「次はお前だ。篠ノ之束。罪を償って貰う。」

 

オーガストランザーを構え、ジワジワと束に近付くが、突然大きな声で笑い始めた。

 

「アハハハハッ!!!」

 

「何が可笑しい?」

 

「いやー。ISへの適性は低くても、私の妹だから機体の性能の30%は出してくれるかと思ってたけど……まさかその半分も出せなかったなんてね~。笑えてくるよ。やっぱり専用機は与えられた人が使わないとね。」

 

「何を言っている。」

 

束は箒の灰の中から待機状態に戻った紅椿を取り出すと、自分の体に付けた。

 

「こう言う事だよ。この機体は、私が私自身の為に開発、調整した機体なんだよ。見せてあげるよ。開発者自身が自分の為に造り上げた機体の性能を!来い!“黒椿”!」

 

束が叫ぶと、纏った機体は先程の紅色ではなく、赤い部分が黒になった機体だった。これが本来の姿の様だ。

 

「100%の力を味わって死ね!!」

 

「ッ!?ハァ!!」

 

確かに彼女の言う通り、スピードも攻撃力も箒が使っていた時と比べて格段に違う。動く度に残像が発生するレベルの速さだ。

 

「ハハハハハ!!そんな動きで捕まえられると思うなよ!!」

 

さっきまでは、迫ってくる束に剣を振るっていたが、それを止めた。

 

「?諦めたか?良い判断だね!!死ねぇぇ!!!」

 

「確かに捕まえるのは難しい。でも」

 

「ッ!?」

 

「こうなってしまえば関係無い。」

 

トドメをさそうとした渾身の一撃を片腕で受け止め、逃げられないようにガッチリと固定した。

 

「終わりだ。」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

オーガストランザーから伸びる、伸縮自在のフォトンブラッドの刃に、束は貫かれた。

 

「無駄だよ。この機体にはフォトンブラッドを消す能力がある!この傷もすぐに塞がる!お前に勝ち目はない!!」

 

フォトンブラッドを消す能力が機体に備わっていると、余裕そうにしているが、箒の時と同様に機体が解除された。

 

「な、何で!?」

 

「オーガのフォトンブラッドは、ライダーズギアの中でも最も強い濃度を誇る。ファイズブラスターのデータをきちんと機体に入れておけば、少しは防げたかもしれない。」

 

「そ、そんな……!私にはまだやることが……!イヤだ!死にたくない!!死にたくない!!!!!イヤアアアアアア!!!!!」

 

「その感情は、あの事件で死んだ沢山の人が思っていた事だ。」

 

灰の中から束の作った機体を回収すると、変身を解いて旅館に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千冬さん。これを。」

 

「篠ノ之の機体……。そうか、ありがとう。」

 

渡された機体を見て全てを察した様だ。

 

「いえ。一夏君はまだ?」

 

「眠っています。でもそろそろ目を覚ますでしょう。あぁそうだ。部屋を2つ取りました。使ってください。」

 

「……草加君と一緒に居たらどうですか?最近一緒に過ごせなかったでしょ?」

 

「ええ!?で、でも!」

 

「1つの部屋に一夏君を泊まらせるので、バレませんよ。適当に誤魔化しますし。」

 

「そ、そこまで言うのならお言葉に甘えて……。」

 

「伝えておきます。」

 

そう言うと、一夏の居る医務室に向かっていった。中に入ると、一夏の寝ている側に本音が居た。

 

「あ、さっきの。」

 

「布仏本音です。」

 

「よろしく。調度良かった。一夏が目を覚ましたらこの部屋に泊まる様に言ってくれないかな?」

 

部屋の名前が書かれている紙を本音に渡した。

 

「後で君も行くと良いよ。一人部屋だしね。」

 

「はい!伝えておきます!」

 

伝える事も伝え終わったので、自分の部屋に向かっていった。

 

明日は臨海学校最終日。午前で学園に戻るが、出来ることなら楽しんで貰いたい。




まさか今日が最終回になるとは……。書いてるのに予想してなかった……。

え~っと、本編は終わりましたけど、やりたいことがまだあるので終わりません。

キャラも出揃ったことで‼人気キャラ投票の締切日を発表します!締切は今日から1週間後の24日です!振るってご応募下さい!前にも言ったように、投票数によっては中止の可能性もあるので、なるべく全部門に多くの方に入れて貰えるとありがたいです!

発表までは軽いその後のストーリーだったり、質問のあった作文回の他の専用機持ちの作文等をやります。

『もう1回、教えて!憲八先生!!』

はーい、もう1回行きます。ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「ファイズの世界のオルフェノクになったら何をしますか?」ズバリお答えしましょう。作者は基本ダラダラした人間です。特に何もせず、オルフェノクになって、人が苦労して行く、もしくは行けない場所に行ってのんびりグタグダしたいですね。

……夢の無い作者ですみません。

前書きでも言った様に、設定が気に入らないからと言って、批判するのはやめてください。たとえ来たとしても、一切取り合うつもりはありませんので悪しからず。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もお願いします!

字数が過去最多だ(笑)


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次の日

木場が篠ノ之姉妹を始末した次の日。臨海学校最終日の話です。


次の日の朝、一夏は木場に泊まる様に言われた部屋で目を覚ました。しかし何故か頭を抱えている。

 

(ヤベー。記憶がフワフワして何も思い出せねー。何で枕元に女子用の制服があるんだ?何で俺包帯だらけなんだ?つかここ何処だ?意識朦朧として本音に運ばれたのは覚えてるけどそこから先何も覚えてねー……)

 

頭を抱えながら自分の状況を確認している。意識が可笑しくなっている時に女子の制服を着てしまったのか?等を考えてしまった。だが、キチンと畳まれてい辺り、それは無い。

 

「ん?なんだ?」

 

周りを見ると、自分の使ってる布団の隣半分が膨らんでることに気が付いた。何と無く捲ってみると、そこにはスヤスヤと寝ている本音が居た。

 

「…………」

 

ゆっくりと、布団を戻した。そしてもう1回捲って確認をした。しかし結果は同じ。何度確認してもそこには本音が居た。……服装は聞かないでね。皆さん1番最初に予想した通りの服装だから。

 

「……シャワー浴びてこよう」

 

朝からよく理解出来ない状況。イヤ、理解したくない状況に、一夏は考えるのを止めてシャワーを浴びることにした。

 

そして、これと似たような状況が別の部屋でも起こっていた。しかも随分と身近な人物がだ。

 

「あっ……あぁ。朝か。ん?何で私は何も着ていないんだ?ッ!」

 

大事な事を思い出し、顔を真っ赤にさせた。しかし昨晩はそこそこ飲んでいたので、記憶は一夏同様にフワフワしている。

 

(一体昨日の夜に何があったんだ~!イヤ待て頭は痛いが何か覚えているかも……ダメだ残念ながら何も思い出せない~!イヤ!でも何も起きていないかも!)

 

自分の使ってる布団を捲り、中を見てみた。誰も居なかった。この事に安心したが、一応触って確かめてみると、少し暖かかった。

 

(絶対誰か居た~!!)

 

まぁ誰かと言っても1人しか居ないけどな。するとそこに、風呂から草加が出てきた。

 

「起きたのか。朝食までには少し時間があるぞ。」

 

「ま!雅人さん!き!昨日の夜は!?」

 

「……何も聞かない方が良い。」

 

「////ッ!!」

 

肩に手を置かれて言われたその言葉に、再び顔を真っ赤にして、今度は目を回しながら気を失った。

 

「ちょっと遊びすぎたかwww」

 

爽やかな良い笑顔で笑っていらっしゃる。どこまでが悪戯かは分からないが、実に楽しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~。昨日、全員が知っている通り、トラブルがあった。内容は言えんが、皆には迷惑をかけたことに変わりはない。そこで、帰りの時間をずらし午後4時まで初日と同様自由時間とするようにと、学園から連絡があった。以上!」

 

千冬の連絡に、生徒達のテンションが上がった。今日もほぼ1日自由に過ごせるのだ。全員、急いで部屋に戻り、水着に着替えて海で遊び始めた。

 

「さてと。何をやるか……。」

 

「おーりむー!!」

 

「ウワッ!」

 

後ろから本音に抱き着かれた。

 

「あぶねーぞ。?着ぐるみはどうした?」

 

「今日は着てないよ。」

 

今回は置いてきたようだ。乾かなかったのだろうか?今日はビキニタイプの水着だった。

 

「可笑しいかな?」

 

「イヤ。似合ってると思うぞ。」

 

一夏に水着が似合ってると言われ、嬉しそうにしている。

 

「一夏~!本音~!海の家行きましょう!」

 

「海の家?」

 

「リンリン何かやるの?」

 

「えぇ。料理の美味しいって評判だから全メニュー制覇しようと思ってね!」

 

実に鈴らしい元気な理由だ。全メニューとはまた、随分と思いきったな。

 

「お~!面白そう~!行こう行こう!」

 

本音も乗り気である。この2人なら本当に全メニュー制覇しそうに思えてきた。そんな2人を見て、一夏は苦笑を浮かべている。

 

「おじさ~ん。全メニューちょうだ~い!」

 

「え!?Σ(O_O;)」

 

小柄な2人が、メニューを全て注文したことに、店長はかなり驚いていた。古い表現だが目玉が飛び出るくらいにだ。

 

料理が来ると、早速かじりついた。スゴい勢いで減っていく。どこにそんなに入るんだよ。

 

「ちゃんと噛んで食えよ。」

 

「「はーい!」」

 

2人に注意しながらも、一夏も出てきた料理を食べている。

 

~2時間後~

 

「嘘だろ……。マジで全メニュー食っちまった……。」

 

出されたメニューの料理全部を完食した3人を見て、店長は驚いている。と言うか軽く引いている。

 

「ふぅー!美味しかった!」

 

「噂通りの味だったね~。」

 

「あの、いくらですか?」

 

「あぁイヤ。こんなに食ってくれたんだ。何か、逆にもう良いよ……。」

 

2人の食欲は、店長に代金はいいと言わせるレベルでスゴかったようだ。

 

「あっ!最後にかき氷下さい!」

 

「私も~!」

 

「「………………」」

 

かき氷を受け取り、満足そうに海の家から出た。一夏は出るとき会計に諭吉さんを1枚置いてから出ていった。




何か、一夏の近くに本音と鈴の2人が居るとお兄さん、もしくはお母さんに見えてくる様な気が……。と言うか予想以上に鈴の性格が……。何か妹的な感じになってる気がする。

『教えて!憲八先生!!』

はーい。ペンネーム「鉄血のブリュンヒルデ」さんからの質問です。「IS作品の中で1番好きなISってなんですか?」はい、ズバリお答えしましょう。打鉄です。量産機ですが、打鉄には第3世代機やラファールの様に、武装が無駄に多くないので使いやすく、近距離・中距離のバランスが良さそうなので作者は好きです。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もお願いします!


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バカがビーチバレーをすると、戦場になります。

臨海学校最終日のpart2。草加&千冬VS一夏&バジンのビーチバレーです。


海の家のメニュー全てを制覇した3人は、特にすることが無いので海岸をブラブラ歩いていた。

 

「食後の運動になんかやるかな……」

 

軽く運動をしたい一夏は、辺りを見回していた。すると、

 

「あ、一夏。ビーチバレーやらないか?」

 

「お前が相手をするのか?」

 

「構わないが」

 

草加からビーチバレーのお誘いを受け、参加するこことなった。

 

「じゃあ、ルールの説明をするわよ!今回は2VS2の1試合。先に相手から3点モギ取った方が勝ちよ!」

 

鈴のルール説明の声を聞いてか、周りには沢山の生徒がよってきた。彼女らも試合が気になるようだ。……死合にならないと良いのだが……。

 

「草加さんのペアは決まってるけど……。一夏、あんた誰と組むの?」

 

「あ、」

 

完全にペアを忘れていた。

 

「忘れてたのね……。仕方無い。木場さんでも呼んでくるかな……」

 

ペアが居ないとどうしようも無いので、木場を連れてこようとしたが、現在木場は気持ち良さそうに日光浴中だったため、誘うのも悪いと判断し声をかけなかった。

 

「仕方無い。アイツ呼ぶか。」

 

「ん?誰か居るの?」

 

『Battle Mode』

 

一夏がギャラリーの中から選ぶのかと思ったが、電話をかけるとスゴく聞き慣れた電子音の後に、スゴく見慣れた人型のロボットが出てきた。

 

「これでいいだろ。」

 

確かに問題は無い。ペアが居るのだから。むしろバジンで安心している。普通にここの生徒がやったら怪我では済まないだろうからな。

 

「色々と問題が見え隠れするけど、大丈夫みたいね。……始め!」

 

「おりむー頑張れー!」

 

草加のサーブを一夏が綺麗にレシーブすると、上がったボールをバジンがトスを、せずに相手のコートにツーアタックを決めた。

 

「なっ!?」

 

「ハッ!?」

 

何故か一夏も驚いている。綺麗にツーアタックを決めたバジンはと言うと、

 

「……(^^)b」

 

満足そうにサムズアップしている。

 

「…………」

 

バジンの行動に、言葉を失った一同だった。そしてサーブは一夏ペアへと移った。しかもサーブをするのはバジンである。

 

バジンの見ため的に、全員普通にオーバーで打つのかと思ったが、またしても裏切られた。ボールを高く上げ、ジャンプサーブを打ったのだ。かなり強烈なヤツを。

 

……スッゲーシュールな光景だった。

 

「落とすか!!グッ!千冬!上げろ!!」

 

「はい!」

 

「ゼリャ!!」

 

「グワァ!!」

 

草加の打った強烈なスパイクは、ブロックで飛んだ一夏の壁を突き破り、砂浜にボールがめり込んだ。

 

「チッ!草加、全力で行くぞ!」

 

『555 ENTER』

 

「面白い!」

 

『913 ENTER』

 

『『Standingby』』

 

「「変身!!」」

 

『『Complete』』

 

2人にとっての全力、お互いに変身し文字通り全力で終わらせる様だ。

 

「食らえ!!」

 

一夏の放った全力のジャンプサーブ、何故ボールが破裂しないのかが不思議だ。

 

「グッ!千冬!叩き込め!!」

 

「ハァ!!」

 

千冬のスパイクは、完全に決まったと思ったが、落下地点に来ていたバジンによって、かなりの高さまで上げられた。

 

『『ENTER』』

 

『『Rady』』

 

「ハァァァ!!」

 

「デリャ!!」

 

「ヤバ。本音、逃げるわよ。」

 

「アイアイサ~」

 

ズドォーーーン!!!!

 

「な!なんだ!?」

 

突然起こった爆発に、日光浴をしてウトウトしていた木場が驚き、音のした方向を見てみた。

 

「何でクレーター?」

 

一夏と草加は変身が解除された状態で倒れ、千冬も横になってる。バジンに関しては半分砂に埋まっている状態だ。

 

「一夏と草加さんがビーチバレーをやったからです。」

 

「ビーチバレーとは一体…………。」

 

帰りのバスの中では、何故か包帯や湿布、絆創膏を付けた生徒がたくさんおり、真耶が不思議そうに見ていた。




ビーチバレーとは一体……。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「生焼け食パン」さんからの質問です。「作者の好きなオルフェノクは何ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。主人公のウルフオルフェノク。と言いたいところですが、個人的にはホースオルフェノクの方が好きです。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もぜひお願いします!


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記念
お気に入り登録者200人突破&UA20000突破記念


なんか情報見たらこんなことになっていたので、記念小説を書きます。なんかのパロディーネタですけどね。ネタ元が分かったら当ててみて下さい!

出演キャラは、一夏・木場です。本編関係なしです。

本編よりこっちに登場するとは……。お詫びとしてほぼ木場さん視点です。

※ヤバいキャラ崩壊多数。


「まずいな~。ギリギリだ。」

 

俺は木場勇治。コンビニの深夜勤バイトをする就職浪人1年目です……。

 

「あれ?なんな騒がしいな……。今日は新しいバイトが来るんだっけ?おはようございま……。」

 

「ああん!?ふざけんなよ!お客様は神さまだろうが!!」

 

なんかヤバい事になっていました。

 

「神は死んだ」

 

「……( ; ゜Д゜)」

 

深夜勤帯にゆとり世代ならぬ、さとり世代の大型新人がやって来ました。彼の今後の活躍に機体したいところです。

 

『神は死んだ』ドイツ人哲学者、フリードリヒ・ニーチェ(生1844年~没1900年)の残した有名な言葉。人生とは不条理なものだが、神に頼るな。その運命を愛せる超人になれと人々に説いた人。

 

「初めまして。織斑一夏と申します。今日からお世話になります。」

 

「あ、こちらこそ……って、面接でもお会いしたんですが、憶えてないんですか?」

 

「……座右の銘は「初心忘るべからず」です。」

 

言い訳の風雲児来たる―

 

◇大学生でした

 

実は彼、大学生でした。

 

「へぇ~。仏教学部なんですか!行ってる人に会うの初めてかも!どんなことを学ぶんですか?」

 

「……袈裟を着込んだ本職のお坊さんと般若心経を一緒に唱える授業があります。」

 

…………

 

「へ、へぇ~」

 

丁寧にお答え頂いたのですが、理解の範疇を超えていたため、新たな疑問が徒に増えた結果に終わった。

 

◇基本からです

 

「まずはレジの基本操作を覚えてもらいますね。練習するので、商品をいくつか持ってきてください。」

 

「はい」

 

……線香と仏壇用ライター、慶弔用の封筒……。君が想定するコンビニのお客様がどんな人物であるのかを問い詰めたい。

 

◇証拠の言葉。

 

「で、商品を打ち間違えた時の取り消しかたは……、カッコいいですね!そのペン」

 

「実はこれ、ペンを模ったボイスレコーダーなんです。」

 

「何故そんなものを持ち歩いてるんですか……?」

 

「お客様から言質を取るために。」

 

※言質=証拠となる言葉の事。

 

接客業に対する大きな誤解を一刻も早く解きたい次第。

 

◇1つ残らず

 

「ではゴミが1つも残らないように掃除機をかけて下さいね。」

 

「はい」

 

ガッ、ガッガッ!

 

「お客様にそんな事をしでかしてはダメですよ……!」

 

「でもゴミが1つも残らないようにと指示されましたよね?」

 

お客様は粗大ゴミでは無いことを教え込むのに膨大な時間がかかりそうです。

 

◇X・Y・Z

 

「ええと、ライトのメンソール……」

 

「遅っせーんだよ!」

 

「お待たせして申し訳ございませんでした。」

 

「プロならタバコの銘柄くらい暗記しとけ!チッ!」

 

「……ああ言うのも居るけど気にしないでね。」

 

「大丈夫です。Z軸のある女性には期待していないので。」

 

3次元の新しい表現を学べたのが、今日の夜勤のハイライト。

 

◇依存症

 

「俺はタバコ吸わないけど、映画とかで見るとちょっと良いなって思いますね。」

 

「タバコはカッコいいイメージがありますが、実際は哺乳類の本能である「乳を吸う行為」をタバコに置き換えただけの幼児退行の現れですし、タバコの銘柄を間違えただけで逆上する方は、乳首依存患者として扱っています。」

 

「…………。」

 

乳首依存患者と言う言葉の破壊力が凄まじすぎて、内容が全く頭に入ってきませんでした。

 

◇ggrks

 

「ではお荷物をお預かりします。」

 

「あのさぁ、宅配便いつ向こうに届くか分かる?」

 

「少々お待ちくだ-」

 

「あ?何?聞こえねぇよ」

 

「あなた様のお持ちのスマートフォンは、飾りか何かでしょうか?」

 

「…………。」

 

こんな喧嘩腰のググれカス見たこと無い。

 

◇ザ・ワールド

 

「只今キャンペーン中です!1枚どうぞ!」

 

「!」

 

「あっ!当たりですね!おめでとうございます!今すぐお引き換えいたしま…す……」

 

『どんな爆毛も思いのまま!!ウルトラハード』

 

世界が、静止した。

 

◇還るべき場所

 

「買った?行こ行こ」

 

「ったく……。なんで元の場所に戻すってだけの事が出来ないんですかねぇ。」

 

ブッチンッ

 

「お客様も、本来あるべき場所に還したいものです。」

 

土に?




では次回もお願いします。感想、評価、活動報告の方もよろしくね!元ネタの答えは感想と共に感想欄へ!


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ISと無気力な救世主完結編
終わらない戦い


臨海学校終了後にいきなり何書いてんだ。的な事を思う方も居るかも知れませんが、そろそろこの物語も収まる所に収まるべきだと思うので、こうしました。

ライダー同士の戦いも見たいとのコメントもありましたので、こんなんで良ければどうぞ。

一夏にとってのハッピーエンドにするか、読者やその他大勢にとってのハッピーエンドにするか、それはまだ決まっていませんが、そろそろ決めさせて頂きます。


これは、学園の生活が終わりそれぞれが別々の道を歩み、未来を過ごす物語。学園を卒業して数年後のお話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い夜道を歩く1人の青年、木場勇治。スマートブレインで一夏たちと共に過し共に戦う仲間だ。そんな彼に声をかけるものが1人。

 

「木場勇治だな。」

 

「誰だ?」

 

「誰でも良い。帝王のベルト、オーガギアを貰いに来た。大人しく渡せ。」

 

「社長の推薦した新たな装着者じゃあ無さそうだな。一体誰だ?」

 

「いずれ分かる。私の、イヤ、私達の正体が。」

 

パチィン!

 

「ッ!?グワァァ!!」

 

木場の目の前に居た人間が、指をならすと、突然辺りが爆発した。そして、木場はその爆発の中に。

 

「貰っていくぞ」

 

「ッ!?な、何で、あなたが……!○○さん!」

 

「ふん」

 

オーガギアを拾うと女性は立ち去り、木場の意識は闇の中へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッチー!注文来たよ~。」

 

「ああ。て言うかお前動いて良いのか?」

 

「少しは大丈夫だよ~」

 

ここは町外れにあるとある食堂。客は少ないが、1度店に入ると必ずどんな人間でも常連になると噂される食堂だ。

 

料理の味も評判だが、何より評判なのは織斑一夏とその妻の織斑本音(旧姓 布仏本音)である。学園卒業後、なんやかんやあって結婚した2人の仲の良さを見ようと来る人も結構居る。

 

そして、短い会話からも少し予想できる。もう1人の家族の存在に。まだ産まれてないけどな。

 

「あぶねーから部屋に居ろ。店は俺が回す。」

 

「は~い」

 

いつも通りの真の抜けた返事、いつも通りの客の注文、いつも通りの平和な毎日。そして、最近は来なかった緊急時の着信音。何事かと思い、ファイズフォンに手を伸ばすが、一夏の手が少し灰となった。

 

「村上……?ッ!?」

 

驚いて灰を振り落とすと、灰化は止まった。

 

「あとどれぐらい持つか……。もしもし……ッ!?木場が!?すぐ向かう!」

 

慌てた様子で電話を切り、急いでスマートブレインに向かう準備をした。

 

「あれ?ちょっと、俺のいちごパフェは?」

 

銀髪天然パーマが目立つ男に声をかけられた。さっき注文したのはこの人の様だ。

 

「わるい!急用が入った。今日は店じまいだ。タダ券やるからまた来てくれ!」

 

「……急用ねぇ……。仕方無ぇ、駅前のファミレスで食うか。」

 

渡されたタダ券を財布にしまいながら、男は原チャリに乗って帰っていった。パフェを食べられなかったのが残念だったのか、少し残念そうな顔をしていた。

 

一夏がバイクで走ること数時間。目的地であるスマートブレインに到着した。本音には既に連絡を入れてある。戸締まりも頼んでおいた。

 

正面の入り口から入ると、村上が出迎えてくれた。

 

「お待ちしていました織斑くん。こっちです。」

 

いつもは落ち着いている村上も、今回ばかりは落ち着きが無く、妙に焦っている。

 

焦っている村上に連れてこられたのは、スマートブレイン内にある医療ブースだった。そこには、ベッドの上で横になり、全身に包帯を巻いて点滴を受けている木場が居た。意識は戻っていない様だ。

 

「一体……何が。」

 

「目撃者が居ないので推測でしかありませんが、恐らく襲撃にあったのでしょう。その証拠に、現場には爆発の痕がありました。それに、オーガギアも持ち去られて居ました。」

 

「オーガギアが!?」

 

「それだけではありません。ベルトの製作・保管を行っている支社も襲われ、帝王のベルトの片割れ、天のベルト、サイガギアと量産型のベルトも数本奪われました。」

 

村上から放たれた予想外の言葉に、一夏は何も言えなくなった。

 

「幸い、襲った連中の検討はついています。」

 

「誰がやったんだ?」

 

「亡国機業。手際の良さから考えても、ここしか無いでしょう。ベルトに入っていたGPSである程度の場所までは絞り込めたのですが、正確な座標までは……。」

 

「この事を知ってるのは?」

 

「今のところ貴方だけです。事が事だけに、あまり知られたくはありませんので。」

 

「そうか。なら、ベルトの回収と亡国機業の破壊は俺1人でやる。」

 

「ッ!?何を言っているんですか!?いくらなんでも1人では無理だ!それに、貴方は父親になるんですよ!」

 

そう言われたが、一夏には行く理由があった。村上を納得させるため、ポケットから灰色になってる右手をだし村上に見せた。

 

「ッ、それはいつから?」

 

「さぁーな。気付いたらなってた。」

 

「なら早く治療を!今ならまだ!」

 

「悪いが、治療を受けても父親らしいことは出来ないだろう。だったら、せめて出来る父親らしいことをしてやりたい。草加にも伝えるなよ。結婚してまだそんなに経ってないからな。」

 

事実、草加と千冬が結婚したのは、一夏と本音が結婚してから数か月してからだった。

 

「……分かりました。此方からも出来る限りのサポートをさせていただきます。」

 

「ああ。頼んだ。」

 




『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「無名」さんからの質問です。「作者の好きな仮面ライダーバイクは何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。仮面ライダーレーザーレベル2です。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もよろしくお願いします!

クリーニング屋と食堂で迷ったけど、食堂にさせてもらいました。

どっちのハッピーエンドをとるべきか、全然決まんない……。


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一夏は覚悟を決めている

一夏が亡国に乗り込む為の準備回です。一夏は本音に、家族に何と言って向かうのでしょうか。

『早いけど、教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「ロムラー」さんからの質問です。「特撮で好きなロボメカは何ですか?」はい。ズバリお答えしましょう。作者が1番好きな戦隊デカレンジャーのデカレンジャーロボです。他にもアバレンオウとかも好きですね。

そしてもう1つ、ペンネーム「たけじんマン」さんからの質問です。「作者の好きなと言うか尊敬している、女性キャラは?」こちらにもバッサリお答えしましょう。銀魂に出てきた九兵衛です。女性としてあり続けるか男性としてあるか、それに迷いながらも進んでいく姿をどっかの神様と重てしまい、尊敬するようになりました。後は同じ銀魂からで、歌舞伎町のお袋さん、お登勢さんですかね。彼女の一本筋の通った行動、言動の一つひとつに尊敬し、そうでありたいと思わされます。

そう言えば、前回の話ではチラッも銀さん出てましたね。いつもお世話になっているので出してみました。


スマートブレインから店に戻った一夏は、しばらく離れるため早速準備に取り掛かった。

 

「本音。姉貴の家に行くから準備するぞ。何か欲しいものはあるか?」

 

「特に無いけど……急にどうしたの?」

 

「あぁ、村上から頼まれてな。少しの間日本から離れることになってな。」

 

嘘は言っていない。村上に頼まれたと言うのも、日本を離れると言うのも事実だ。一夏は本音の鋭さを知っている。いつもはのほほんとしているが、彼女の人間の心の変化を感じ取る力は凄まじい。その為、下手な嘘はすぐにバレてしまう。

 

「村上さんが?」

 

「ああ。そんなに長い間離れてるって訳じゃない。すぐに帰るさ。」

 

いつの間にか完全に荷造りが終わっていった。

 

「タクシーを呼んでおいた。お前はそっちに乗ってくれ。俺は後ろからバジンで行く。」

 

「分かった……。」

 

何か引っ掛かる事もあるが、そろそろタクシーがくる時間なので、本音も最後の確認にと部屋を覗いた。

 

確認してから数分後にタクシーか来たので、本音はそれに乗り込み、一夏はその後に付いていく形で移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ姉貴と草加、本音の事を頼むぞ。」

 

「それは構わんが、何かあったのか?」

 

「問題があったなら草加にも連絡が行くだろ。軽い出張みたいなもんだ。」

 

「確かに、それと、いつから俺の事を兄と呼んでくれるんだ?」

 

「呼ぶのが嫌だから離れて暮らしてるんだろうが。……じゃあ、行ってくる。」

 

仕事の内容は何も言わず、スマートブレインに向かおうとした一夏の背中に、本音がソッと抱き付いた。

 

「帰って……来るよね……?」

 

会話の中から何かを感じたようだ。“もう会えない”、そんな感じがしたのだろう。

 

「当たり前だ。俺は約束は守る。お前との約束ならなおさらな。それに、コイツにも会いたいしな。」

 

本音の腹をさすりながらそう伝えた。しかし、察しのいい人は気付いただろう。確かに一夏は帰ると言った。いつとは言っていない事に。

 

「じゃあな。」

 

そのまま一夏はバジンでスマートブレインへと向かっていった。

 

「……後で村上に聞いてみるか。」

 

「あぁ。言わないようならシバクか。」

 

心配そうに一夏を見る本音の後ろでは、とてつもなくブラックな事を言っている姉夫婦。村上の命がこれから先も無事なことを祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「村上、亡国のアジトの場所は分かったか?」

 

「えぇ、サイガギアに付いていたGPSが一時的に繋がったので、正確な座標が分かりました。ジェットスライガーに入れておいたので、いつでも行けます。」

 

「分かった。あぁ、後で姉貴と草加がシバキに来るかもしんねーけど、適当に誤魔化しててくれ。」

 

「は?」

 

「じゃーな」

 

最後にとんでもない事を村上に伝え、ジェットスライガーで指定された座標まで飛んでいった。

 

「ちょっと!織斑くん!?最後のどう言う事ですか!?シバキに来るって何ですか!?」

 

その後、スマートブレイン社内部に社長に似た悲鳴が会社中に響き渡ったと言う変な噂が出回った。

 

「さーてと。建物もろとも瓦礫に変えてくるか。」

 

上空を猛スピードで飛行するジェットスライガーの上では、一夏が亡国をどの様に潰すか考えていた。そして、その横をバジンが飛んでいる。

 

「お前そんなにスピード出たっけ?」

 

「(^^)b」

 

誇らしげに親指を立てている。

 

「まぁ良いか。」

 

もう少し突っ込め。




今回書いてるシリーズを映画で例えるとすると、タイトルはどうなるんだろうか……。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もよろしくお願いします!!

※このままだとマジで投票結果の発表が出来ないので、皆さん投票お願いします。


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挨拶は盛大に花火で

感想欄で、「サイガの変身者はレオですか?ISキャラですか?」との事がありましたが、そんなストーリーのネタバレになること感想欄で言えるわけねーだろ。あと5話位で終るのに。変身者やキャラの予想なら兎も角、教えろと言われて教える訳が無いでしょ。むしろ言ったら怒られるよ。世界最強の夫婦に。


「さーてと、着いたな。しかし、ここに居るのに全然気付かないとはな……。まずは挨拶と行くか。」

 

そう言うと、ジェットスライガーの操縦席前面に付いているタッチパネルを操作し、全16門、38発のフォトンミサイルを、亡国機業が根城としている建物に放った。

 

因みに今、一夏は真上に居る。建物のだ。しかも村上が色々と細工をしたお蔭で、相手には全く気付かれていない。

 

「ついでにお前も行ってこい!」

 

一夏は機体全体にフォトンフィールドを展開させ、ジェットスライガーを建物へと突っ込ませた。この一方的な攻撃で、建物の大部分が崩壊、中に居た人間も大体が死んでいるだろう。

 

「よっと。さてと、挨拶はこんなもんか。」

 

どこの国の文化かを聞きたい。しかも、当然そんなことをすれば、生き残ったヤツが出てくる。今回は盗んだ量産型のベルトで変身したライオトルーパーがわんさか出てきた。

 

数にして、約15人。

 

「お前ら盗みすぎだろ。ある分全部持ってきたのか?」

 

一夏の質問には何も答えず、一斉に飛びかかってきた。話を聞く気は毛頭無いようだ。

 

『Rady』

 

「行くぞ。バジン」

 

ファイズエッジを構え、バジンと一緒にライオトルーパー達を潰しにかかった。

 

「ハァ!!デリャ!!」

 

「……!!」

 

一夏はファイズエッジで相手を切り裂き、バジンは怪力で相手を殴り飛ばす。2人の強さに、ライオトルーパーはなすすべなく倒されていくが、少々防御力が高いようだ。吹っ飛ばされてもゾンビの様に立ち上がってくる。

 

「一気にブッ飛ばすか。」

 

『Vehice Mode』

 

一夏はバイクに戻したバジンに乗り、目の前のライオトルーパー達に猛スピードで突っ込んで行った。(何で右ハンドルだけで操作出来るかは聞かないでね。一夏だから出来たこと。)

 

『Exceed Charge』

 

「オリャ!!」

 

通りすぎ様に、一切の手加減無しの出力で切り去った。ライオトルーパー達も、この攻撃には耐えられず、変身は解除され、変身者は灰と化した。

 

「よし!次!」

 

また回収される恐れもあったが、また取り返せば良いことなので、そこらじゅうに転がってるベルトを無視して建物内へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

量産型は回収出来る状態になっているが、まだ帝王のベルトが2本残っている。2本揃った状態で使われれば厄介なため、瓦礫を避けながら進んでいる。

 

そんな一夏に突然攻撃が浴びせられた。まぁ、敵の本拠地だから突然では少しおかしいかもしれないが、その攻撃で一夏は動きを止めた。

 

「誰だ?」

 

「誰でも良いだろ。よくもこんな派手にやってくれたな~。でも、ここに残ってて正解だった。当たりを引いたようだ。」

 

一夏の目の前には、ロングヘアーの女性にしては口の悪い人が立っていた。女は背中に8つの独立したPICを展開している装甲脚を備え、蜘蛛を模した異様な容姿をしたISを纏った。

 

「チッ!先を急いでるってのによ!」

 

一夏が飛びかかろうとしたが、バジンが止めた。そして、先を急げと手で合図をした。

 

一夏はそれにしたがい、先に進んだ。

 

「逃がすかよ!ッ!?」

 

一夏を捕らえようとした女に、バスターホイールで攻撃し、動きを止めた。その隙に、一夏は奥の方へと進んでいき、バジン達からは見えなくなった。

 

「チッ。まぁ良いか。そういやー、お前人工知能が入ってるんだよな。教えろよ。何であんな男に使われてんだ?」

 

「…………」

 

その質問に答えるかの様に、相手のISに文を送った。

 

『1つ、俺はアイツの側に居るように言われた。2つ、アイツは1人だとかならず無茶をする。ストッパー役が必要だ。3つ、アイツとその家族を守るため。そして最後に、一夏は、俺の大事な相棒だからだ。』

 

「はん!随分と下らない理由だな!なら、守ってみろよ!私から!あの男を!!」

 

女はバジンへと突っ込み、2人の戦いの火蓋が落とされた。




今回はここまで。次回はバジンの戦闘から入ります。そして、サイガの変身者、気になっている方も居ると思うので、戦闘に入れるかは分かりませんが出します。

『教えて!憲八先生!!』

はーい、ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「好きなウルトラ怪獣は何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。最近タレント怪獣として有名なゴモラや今だ色褪せない初代ゼットンが好きです。1番強い怪獣は?と問われれば、「デモンゾーア」と答えます。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!


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天のベルト

出てくるのは少ししてからです。

そして読む前に、何かごめんなさい。キャラはおろか、作者自身が崩壊してしまいました……。

※短いよ~。


一夏を先に向かわせ、蜘蛛の女と戦っているバジン。しかし、今のバジンの状況は、

 

「おいおいどうした!攻撃してこいよ!!ポンコツ!」

 

女が言っている通り、バジンは避けるだけで、攻撃も防御もとらず、ただ避けるだけだった。

 

だが、皆さん勘違いしないで願いたい。バジンは攻撃が出来ずに避けているのではない。相手の癖と隙を探しているのだ。つまり観察だ。

 

バジンの様な機械なら兎も角、人間や動物の様に意思や感情を持っている者にはかならず癖があり、スタミナが無くなると隙も生まれる。

 

分かりやすい具体例をあげるとしたら、時間が経つと利き脚を下げる。や蹴りを入れるときに左腕で顔半分を隠してしまう。等だ。

 

因みに、スタミナが無くなると起こることは、攻撃や動きが極端になる。や目が泳ぐ等があげられる。

 

なので、そろそろ

 

「ガァ!?」

 

バジンの攻撃が始まり、ジワジワと追い詰め始めた。

 

「なんつー力だよ……チッ!」

 

因みに、バジンは物理的攻撃力はクソが付くレベルで高い。ブラスター<バジン<オーガ的な具合いだ。実はバジン、かなり強いのだ。物理攻撃しか使えないけどな。

 

そして、

 

「な!は、離せ!」

 

機械故、腕力?馬力?は半端なく強い。攻撃に出された腕をつかんで離さない。むしろ掴まれた腕が動かない。腕を支点にして体を水平に出来るくらいだ。

 

機体の出力を最大にして抜けようとしたり、逆に壁に打ち付けようとしたが、やっぱりピクリとも動かない。

 

ガン!!!

 

瓦礫の山に投げつけた。不思議な事にそれだけでシールドエネルギーが殆ど持ってかれた。

 

「マジかよ……。化物か?あのロボット」

 

『化物とは心外だな。貴様とは性能が違うだけだ。』

 

「聞こえてんのかよ…………」

 

かなり小さい声で言った筈だが、言った直後にこの文が飛んできた。変なところで高性能だな。

 

『時間が無いので終わらせて貰う。』

 

「は?グワォハ!!!」

 

突然飛んできた短文。理解に少し手間取ってしまい、普通に殴られてシールドエネルギーが消え失せ、衝撃で操縦者は気を失ってしまった。

 

「……((( ̄へ ̄井)」

 

後は一夏の後を追って先へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殆ど死んだとは言え、出てこなさ過ぎだろ。」

 

取り敢えず残っている道を歩いているが、誰も出てこない。転がってる物は見たが、それ以外は本当に何も出てこない。

 

「バジン連れてくるんだった……」

 

歩くのが鬱陶しくなってきたようだ。まぁ確かに延々と歩き続けてたら鬱陶しくなるのは分かるが、この状況では中々出てこない感情だ。

 

「おーい!誰か居ないか~!」

 

試しに敵の誰かを呼んでみた。バカだろ。アホだろ。この状況で何言ってんだ?コイツ。これで返事をするヤツがいたら相等のバカだ。

 

「呼んだかしら?」

 

居たよ。底知れぬバカがここにも居たよ。書いてるのは自分だけど少し呆れてきたよ。長身で金髪の謎のセレブオーラを纏った人が出てきたよ。

 

「何で出てくんだよ。バカだろお前。」

 

「敵の本拠地で「誰か居ないか~!」とか叫んでる君に言われたくないんだけど。」

 

いやバカさ加減で言ったらどっこいどっこいだよ。バカ共。

 

「まぁそんなことはどうでも良いわ。そうね。ファイズ相手なら申し分無いわね。このベルトを試すのには。」

 

そう言うと、手に持っていた青が目立つベルトを見せた。

 

「サイガギア。お前が持ってたのか。」

 

「えぇ。貴方なら丁度良いわ。」

 

『315』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身」

 

『Complete』

 

変身が完了すると、基本カラー黒のファイズとは真逆の白いライダーが立っていた。

 

「何でオーガと2人で来ないんだよ…………」

 

「ウァ……」

 

完全に見落としてた様だ。一夏にとっては有利な展開を作ってしまった。




なーんかキャラだけじゃなくて作者まで崩壊しかけてるよこれ……。最近ネタとか出てこないしまとめられないんだよね……。

『取り敢えず、教えて!憲八先生!!』

テンション低いけど、ペンネーム「俺、参上!」さんからの質問です。「一夏がファイズ以外で変身するなら何が良いですか?」ザクッとお答えしましょう。特にありません。ISと言う作品とファイズの相性が良さそうだったので、今回はこんな感じになってますが、原作一夏で考えると、これと言って似合うライダーが居ないんですよね。千冬さんなら斬月とか似合いそうなんですけどね。性格改変しても何かシックリ来ないんですよね~。性格は仮面ライダーで良く居そうだけど、それに伴う実力が原作一夏には…………。

続いて、ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「ウルトラマンで1番好きな台詞は何ですか?」はい、丁寧にお答えしましょう。ただ、結構な量があるので、個人的に好きな平成ウルトラマンからいくつか抜粋させてもらいます。

・「光は絆だ。誰かに受け継がれ、再び輝く」(姫矢准)
光の中に消えていく時に孤門に姫矢が伝えた言葉ですね。伝える直前の戦闘シーンやbgmが相まって印象に残っています。

・「僕には守るべきものがある。大切な仲間が、そして、何よりも大切な人が!」(マドカダイゴ)
映画で出てきた名台詞ですね。レナへの愛情、仲間への気持ちが伝わって来ました。

・「ウルトラマンさん!ティガさん!光の力、お借りしまーーす!!」(クレナイガイ)
テレビ本編最後の変身の時のヤツです。覚悟と意気込みが伝わってきて、頭に叩き込まれました。

・「ふん。あばよ」
こちらもテレビ本編最終回のラストバトル。決着間際にガイに言った言葉ですね。短くてもカッコ良すぎてヤバイです。

・「お前だって、ウルトラマンだろうが!!」
ウルトラゼロファイト2のゼロがベリアルに言った言葉です。他の皆は闇だの堕ちただの言っていたけど、ゼロだけは自分と同じ、対等の立場にいるウルトラマンとして放った言葉の様に感じました。ゼロだから言える言葉だと思いました。

次回もお楽しみに~。感想、評価もよろしくお願いしま~す。


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地のベルト

最近、アニメのISキャラのボイスを聞いたら、一気に作業の手が止まってしまいました……。今年上半期最大の失敗です。

前回の如く、オーガが出てくるのは最後の辺りです。

※人気キャラ投票ですが、票が集まらなかったので、中止とさせていただきます。票を入れてくださった皆さん。誠にありがとうございました。


『Rady』

 

「ベルトは返して貰うが、用があるのはお前じゃない!」

 

ファイズショットを腕にはめ、殴りかかった。だが、

 

「そんな単調な攻撃が通じるとでも?」

 

受け止められた。そのあとの攻撃も、フライングアタッカー背負ってるにも関わらず、全て受け流されてしまった。

 

「チィ!グワァ!!」

 

攻撃が入らず、体力を消耗し動きが鈍くなったところに、ブースターライフルを受けてしまい、吹っ飛ばされた。連射型なのに威力が滅茶苦茶高い。

 

「話に聞いてた程じゃないわね。性能チェック終ってないんだから死なないでね!」

 

サイガは空中に飛び上り、高い精度とスピードで縦横無尽に飛び回り、一夏を圧倒した。

 

「ガァ!あの野郎、ちょこまかと!ウワァ!!」

 

いくら一夏でも、高スピードで動いて、しかも空を飛んでいる敵を相手にするのは骨が折れる。それに、ブラスターは温存しておきたい。

 

「どうしたの!?手も足も出ない様だけど!その程度の強さで乗り込んで来たの!?」

 

「 嘗めやがって……!」

 

馴れない戦いを強いられてイライラしていた上であの言葉。とうとうキレてしまった。

 

『Complete』

 

ファイズアクセルのミッションメモリーを差し込み、アクセルフォームへとなった。

 

「見てろよ!」

 

『Stateup』

 

10秒と言う限られた時間だが、その間ならサイガよりもスピードは上。その為、

 

「堕ちろ!!」

 

壁づたいに天井の中心まで移動し、天井を思いっきり蹴ってフライングアタッカーにグランインパクトを叩き込んだ。

 

「ガァ!!」

 

ファイズアクセルと降下するスピードを合わせた攻撃、当然そんな攻撃にフライングアタッカーが耐えられる訳もなく、バラバラに大破しサイガは地面に叩き付けられた。

 

『Reformation』

 

女は残った操縦桿2本を引き抜き、トンファーエッジを構えながら起き上がった。この2本は、ファイズエッジやカイザブレイガン・ブレードモードよりも高い攻撃力を持つ。その為、少しでも擦れば大きなダメージを受ける。

 

「少し見くびってたわね。全力で潰すわ!」

 

無駄の無い動きで、トンファーエッジを巧みに使いこなし、一夏を攻撃してきた。トンファーは長さこそ短いが、短い分小回りが利きく。更にトンファーエッジは攻撃力が高い。先程アクセルフォームを使ってしまい、体力を消耗している一夏には避けるのがやっとだった。

 

と、そこに蜘蛛の女を倒したバジンがやって来た。狙ってたか?と言いたくなるくらいナイスタイミングだ。バジンは一夏にファイズエッジ(ハンドル状態)を投げ渡した。

 

「おっと。ナイスタイミング!」

 

『Rady』

 

トンファーエッジの一撃を受け止め、そのままファイズエッジの刃を滑らせてサイガの腹部に当てた。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「デリャア!!」

 

「ガァ……!」

 

スパークルカットで切り裂くと、女は灰になり、ベルトは地面に落ちた。

 

「ハァハァ……。バジン、ベルトの回収を頼む。」

 

バジンにベルトの回収を頼み、倒れそうになっている体を押して先へと進んだ。気を抜けばすぐにでも倒れて変身が解除されてしまいそうだ。倒れない様にファイズエッジを杖にしながら歩いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来たわね。くたばったかと思ったわ。」

 

「姉貴……にしては小さいか。誰だ?」

 

「誰でも良い。漸くこの手で貴様を……」

 

『000』

 

『ENTER』

 

「消せる……!変身!」

 

『Complete』

 

木場からオーガギアを奪った千冬ソックリの女。理由は分からんが、何故か一夏を酷く嫌っている。殺そうとするくらいに。

 

「初対面の筈なんだが……。そこまで嫌う必要無いだろ。」




そう言えば、マドカって何で一夏のこと嫌ってるんだっけ?知ってる方が居ましたら感想欄までお願いします。

『教えて!憲八先生!!』

えーっと、ペンネーム「俺、参上!」さんからの質問です。「仮面ライダーシリーズで好きな台詞は何ですか?」はーい、ズバリお答えしましょう。そうですね。やっぱり木場さんのあの台詞ですね。「知ってるかな?夢って言うのは呪いと同じなんだ。一度挫折した人はずっと呪われたまま。らしい。貴方の、罪は重い。」これ1択です。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!


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555VS000

後1、2話かな~?

今更ですけど、木場さん以外をオーガにした自分を全力で殴りたい……。


「死ねェ!織斑一夏ァ!!」

 

「グワァ!!ガァハァ……」

 

現在の状況、いきなり一夏がオーガに吹っ飛ばされた。それもそうだ。先程の戦闘で体には大きなダメージを受け、アクセルフォームを使い体力も消費している。何故変身を維持しているのか聞きたくなる位だ。

 

「グッ!」

 

「どうした?力が入っていないぞ!」

 

なんとか攻撃を受け止めるが、今の状態では受け止めるのが精一杯だった。ファイズブラスターがあれば兎も角、今は無い。バジンに探してきて貰っている。

 

盛大に挨拶をしたときの自分に、全力でグランインパクトを決めたいと思った。何があったのかはお察し下さい。

 

『Ready』

 

「ハァァ!!!」

 

「ッ!?」

 

『Ready』

 

オーガストランザーで斬られそうになったので、一夏もファイズエッジを再び起動し、なんとか受け流したが、その後オーガのラッシュを受け、ベルトが外れてしまった。

 

「ハァハァ……。クッ」

 

息が上り、ボロボロの状態でも戦おうと、ベルトに手を伸ばした。

 

「貴様、何故そこまでして戦う?戦えば確実にここで死ぬ。生き延びたとしても、いずれは灰となって消え失せる。なのに何故戦う?死ぬのが怖くないのか?」

 

「……怖いさ。今も昔も、死ぬのが怖くて仕方無い。それに、俺は死んだら体が残らない。それだけでも泣きそうになる位怖いよ。」

 

「なら何故……?」

 

「俺には、守りたいものが、守るべきものが出来すぎた。何もなかった俺に、大切なものを沢山くれたアイツらを、俺は何があっても守り抜く!ただ、それだけだ!」

 

IS学園で出会った仲間達、共に戦った木場や草加、姉として支えてくれた千冬、そして、一夏の1番近くで隣に立ち、進んでくれる本音。それらの存在が、今の一夏が戦う最大の理由だ。

 

と、そこに

 

「やっと見付けたか。どこまで行ってたんだよ。」

 

一夏の足元にファイズブラスターが転がってきた。バジンが見付けて転がしてくれたようだ。一体どこまで吹っ飛ばされていたのやら。

 

『555』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

「近い将来死ぬ運命だとしても、俺は戦う。ファイズとして、アイツらの仲間として!変身!!」

 

『Awakening』

 

『143』

 

『ENTER』

 

『Blade Mode』

 

「仲間……。気に入らん。そんなものの為に……!そんなものの為に命を懸けると言うのか!」

 

何かが癪に障った様だ。

 

「あぁ。当たり前だ!!」

 

もう、互いに防御を捨てている。攻撃を防がず、斬られ斬り返す。殴られれば殴り返す的な感じだ。

 

正直な話、さっきまでボロボロふらふらの状態だったのに、ブラスターになって防御無視して攻撃しあえるのが疑問だが、些細な問題なのでサラッと流して頂きたい。

 

「これで終わりだ!!」

 

『5532』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「こっちの台詞だ!!」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

ファイズのブラスタークリムゾンスマッシュとオーガのオーガ・ストラッシュがぶつかり、フォトンブラッドが渦巻き周囲を薙ぎ払った。その影響で、壊れかけていた建物は更に壊れ、崩れそうになった。

 

「グッ!ゼリャア!!」

 

最初はファイズが押されていたが、徐々にオーガストランザーのフォトンブラッドの刃が砕けちり、押され始めた。

 

「何!?グワァ!!」

 

とうとう、フォトンブラッドの刃が全てなくなり、オーガストランザーもへし折れてブラスタークリムゾンスマッシュを受けて吹っ飛ばされてしまった。

 

その拍子にオーガギアも外れ、変身が解除された。

 

「な、何故こんなに、強いんだ?」

 

意識を失いそうになりながらも、ボロボロの状態で自分に勝った一夏に質問をぶつけてみた。

 

「別に強かねーよ。昔と変わらず弱いまんまだ。何も出来ないのがイヤで、誰も守れないのがイヤで外側に力を付けただけだ。1っつも強くなんかなってねーよ。やり方はどうであれ、お前の方が強えーよ。俺なんかよりな。」

 

それを聞くと、意識を失ってしまった。

 

「さーてと、早くここから出るか。」

 

道中、ベルトを回収しながら建物の外に出た。因みに、一夏と戦った女はまだ生きているので、肩に担いでいる。

 

『3821』

 

『ENTER』

 

『Jet Sliger Come Closer』

 

ファイズフォンにコードを入力すると、間もなくジェットスライガーが飛んできた。操縦席に担いでいた女と回収したベルトを積んで、色々と入力してからスマートブレインに飛ばした。

 

「バジン。お前は帰らないのか?」

 

『Vehice Mode』

 

帰らない、と言う意思表示の様だ。

 

「あっそ。壊れても文句は言うなよ。」

 

そのまま、一夏はバジンに乗って何処かへと行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、スマートブレインでは、頭に包帯を巻いた村上が社員から連絡を受けていた。

 

「社長。ジェットスライガーが帰ってきました。中には盗まれたベルトと少女が1人、後手紙が入ってました。」

 

「織斑君はどうしたんですか?」

 

「それが、連絡がつかなくて……。」

 

「ッ!?ベルトのGPSは!」

 

「ファイズギアのGPSは切られているので、見つけられませんでした。バジンも同様です。」

 

連絡がつかない。それを聞いた村上は、力なく椅子に座り込んだ。この分ではデルタギアも同じと判断したのだろう。

 

「一緒に来ていた手紙を。」

 

「こちらになります。」

 

目を通すと、手紙と言うよりは報告書?的なやつだった。

 

『これを読んでるなら、全部そっちに届いたんだな。確認すれば分かるが、ベルトの回収は終わった。オーガギアとサイガギアは修理が必要だがな。ジェットスライガー1機は壊れた。修理代はベルトと言うことで勘弁してくれ。後、一緒に乗ってたヤツは手荒にするなよ。多分妹だ。情報聞いて怪我も治ったら姉貴の所にでも預けてくれ。』

 

「……一緒に乗ってた女性の手当てを急いでください。」

 

「はい!」

 

連絡に来た人が出ていくと、村上はパソコンをいじり始めた。

 

「必ず見付け出しますよ。織斑君。家族の顔を見ずに死なせませんからね。」

 

どうにかして一夏を探し出すようだ。この数カ月後、本音は出産し、更に数年後に国は一夏の死亡を発表した。この時、珍しくスマートブレインが国に対して強気に反発していたことが結構話題になった。




最近、文章の下手さ加減に磨きがかかってきたな。

『教えて!憲八先生!!』

ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「アクセルフォームとクロックアップが使えるならどっちが良いですか?」はい、ズバリお答えしましょう。汎用性の高いクロックアップです。アクセルフォームも魅力的ですけどね。

続きまして、ペンネーム「たけじんマン」さんからの質問です。「必殺技とか通常技で使うなら、パンチ系と剣等による斬撃のどっちですか?」はい。ズバリお答えしましょう。通常なら剣、必殺技なら拳が良いですね。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いいたします!

そして、恐らく次回が最終回。後書コーナーで次回作の予告もあります。


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あれから16年

前回は最後で本音の出産を数年後と間違えて入力してしまい、申し訳ありませんでした。間違いに気付いてすぐに直そうとしたんですが、既に何名か見ていたので、疑問に思った方が居ましたら、すみません。

そして今回も疑問に思うことがあるかも知れませんが、大きすぎる疑問で無い限り流して貰えるとありがたいです。

後、一夏死んでませんから。ガッツリ生きてますから。


ファイズ、織斑一夏。彼が居なくなってから約16年。まだ国の中に女尊男卑の色が濃く残っていたので、一夏の捜索をたったの数年で終了。証拠が無いまま正式に死亡を発表した。

 

この事に、スマートブレインが珍しく強気に反発し、事の全てを公表した。だが、スマートブレインの行動でも、一夏の捜査を再開させることは出来なかったが、全てを知った者は一夏の事をこう呼ぶ様になった。

 

世界を救った救世主『仮面ライダー』と。

 

そして時が流れて16年。この時間で、スマートブレインの製作したライダーズギアは世間に浸透し、女尊男卑も緩くではあるが消え去っていた。

 

IS学園もほぼ女子校から共学の学校に姿を変え、ISの操縦だけではなく、製作・整備に関わる専門知識や量産型ライダーズギアの使い方等を含める専門学校となった。

 

そして入学式の今日、見覚えのある無気力な目をした男子生徒が1人、名を織斑一音。織斑一夏、本音の息子だ。因みに、目の無気力加減と口の悪さは一夏譲り、背の小ささは本音譲りだ。(気にしてるので言わないであげてね。)

 

「織斑一音だ。嫌いな物は面倒な物に退屈な物。後、熱い物だ。」

 

「え、えーと……。他には?」

 

「自分の事を詳しく言うわけが無いだろ。」

 

十数年前に見たことがある光景だ。まぁ、今回の話はここではないので、時間を何ヵ月か早送りしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3ヶ月程進んだ夏休み直前の授業参観日。高校の授業参観日と言うのは、生徒にとっては悲鳴を上げたくなる程に嫌な物だ。まぁ、見られるのが座学ではなく、ISやライオトルーパーの操作の実技等であることが唯一の救いだろうか。

 

女尊男卑が殆ど無くなり、平和な時代。だが全てが無くなった訳ではない。人間の深いところまで女尊男卑に染まってしまった人間は、変わることが無い。昔よりも質が悪く、凶悪になる女尊男卑者が増えたのだ。なので、

 

「我らの理想とする世界のため!神聖なISを汚し、無能な男共と手を結ぶ貴様らを断罪する!!行け!!!」

 

↑の様なバカがかなり増えて、色々な場所を襲撃するようになったのだ。まいど何処からISを出してきてるのかが不思議なくらいだ。しかも、女尊男卑に熱心なヤツがデータの破棄をされていない束の研究所を見つけ出し、そこにある無人機を大量に持ち出したのだ。

 

「ッ!?皆さん!早くシェルターへ!急いで下さい!!」

 

逃げろと言っても、雨の様に降ってくるレーザーの中、下手に動く方が危険に思えるのだが。

 

「たく!何でこんなことに!」

 

『913』

 

『ENTER』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

本音の付き添いで来ていたのだろうか、千冬と草加が居た。

 

「千冬!皆を!」

 

「はい!」

 

草加はカイザで襲撃者の足止めを、千冬は全員の避難を誘導するようだが、無人機40体位いるけど大丈夫なのか?

 

カイザを確認すると、全て地上に降りて攻撃を始めた。生徒やその他参観に来ている人に攻撃が行かないようにしているが、1人であの数を相手にするには無理がある。必然的に防御中心の戦い方を強いられる。

 

『Ready』

 

「デリャア!!」

 

カイザブレイガンにミッションメモリーをさし込み、ブレードモードで斬っているが、減ってる感じがしない。

 

「ヤバイ!?」

 

防ぎきれず、何体か抜けていってしまった。そして、それは一音の元へと、

 

「ッ!?ウワァ!!」

 

『Exceed Charge』

 

「……ファイズ……!」

 

「いっちー……」

 

カイザギアとは違う電子音がし、恐る恐る目を開けると、ファイズが立っていた。

 

「ほれ。」

 

特に何も言わず、小さめのアタッシュケースを投げ渡した。

 

「これは……?」

 

「使いたきゃ使え。草加!伏せろ!!」

 

「は?ウワァ!?一夏?」

 

突然飛んできた斬撃をかわし、懐かしい声と姿に驚いた。

 

「一夏!お前今までどこに!」

 

「んな事言ってる尺はねーんだ。さっさと片付けるぞ。お前も戦うんなら早くしろよ。」

 

「あぁ。変身!」

 

『Standingby』

 

『Complete』

 

過去のログ等を見ていたので、一通りの操作方法は頭の中に入っているようだ。

 

「1つ教えろ。あんたは俺の父親なのか?Check」

 

『Exceed Check』

 

「今は目の前の事に集中したらどうだ?」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「俺の質問の方が重要だ。」

 

「父親だったらなんだ?」

 

「1発ぶん殴る。そして蹴り飛ばす。」

 

「面白い!やれるもんならやってみろ!」

 

親子揃ったと思ったら戦闘中に親子喧嘩が起こってしまった。敵は巻き込まれてるから問題は無いが。

 

「お前ら何でこんなところで親子喧嘩やってんだよ!?」

 

「「喧嘩を売られたからだ!」」

 

「目の前の鉄屑片付けてからにしろ!」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「「「ハァァ!!!」」」

 

一夏が登場してから僅か数分。襲撃者の連れてきた無人機は全て機能を停止した。そして襲撃を仕掛けた女も、

 

「サンキューバジン。縛ってその辺に転がして置いてくれ。」

 

バジンが始末をしてくれていた。そして、一夏の指示通りにヒモで縛り、適当にその辺に転がした。

 

「一夏、お前……」

 

『Vehice Mode』

 

「じゃーな」

 

「あっ!おい!クソ親父待ちやがれ!!」

 

戦いが終わると、バジンに乗って何処かへと行ってしまい、再び姿を消してしまった。

 

「次見付けたらぜってー捕まえてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ……危なかった。」

 

あの後一夏が向かったのは森の中である。変身が解除されると、かなりボロボロな状態だった。そして、一夏に近付いてくる足音が1つ。

 

「ようやく見付けましたよ。織斑君。」

 

「……村上か?」

 

「えぇ。その様子だと、そろそろ限界の様ですね。」

 

「目も耳もまともに動かないからな。触覚も味覚も嗅覚ももう残ってねーよ。」

 

「そうですか。バジン、起きてください。彼をスマートブレインまで運びますよ。」

 

「おいおい。今更治療しても治らねーだろ。」

 

「ジェットスライガー、その他ベルトの修理代。払って貰わなくては困ります。」

 

「ジェットスライガーはベルトでって言ったろ。」

 

「ベルトの修理代は含まれてませんよ。代金はキッチリ頂きます。そうですね……家族と残りの人生を過ごす。これで今回は勘弁しましょう。」

 

「性格が更に悪くなったんじゃないか?」

 

「今までの貴方へのお礼と思ってください。」

 

その後、一夏はバジンに運ばれスマートブレインへ。そして後のストーリーは、皆さんのご想像にお任せします。まぁ、本音に泣き付かれるのは回避出来ませんけどね。




後味悪くてごめんなさい。

『教えて!憲八先生!!』

ペンネーム「鉄血のブリュンヒルデ」さんからの質問です。「作者が転生するなら何の世界が良いですか?」はい。ズバリお答えしましょう。暗殺教室か銀魂ですかね。主人公達と過ごしたら楽しそうな毎日を遅れそうなので。少なくともクソゲー同様の現実よりかはマシでしょう。

この物語はこれが最終回!感想、評価をよろしくお願いします!

次回作もよろしくお願いします!


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平和な日常

記念小説の後日談です。

それと、皆様に謝罪が。昨日の最終回で一夏TSの小説を書こうとしたのですが、書いてて「無理だな」と思ったので、次回作も特撮×ISで行こうかと思います。案がまとまり次第出しますので、またよろしくお願いします。


一夏が戻ってきて、IS学園に襲撃を仕掛けた女の対処をし、村上にスマートブレインに連れていかれてから数日後のお話。

 

「あ~あ。結局このタダ券使えなかったな~。勿体ねーけど捨てるか。」

 

まだ店をやっていた頃に来ていた常連の銀髪天然パーマの男が、あのとき貰ったタダ券を財布から出しながら捨てるかどうかを悩んでた。

 

「あれ?それ捨てるんですか?最近また始めたのに。」

 

「え?マジで?」

 

「あれ?知らなかったんですか?」

 

天パの行動に、メガネをかけた平凡な顔をした男が答えた。どうやら天パは最近再開したことを知らなかったようだ。

 

「マジで知らなかったアルカ?常連が聞いて呆れるネ。」

 

「何でテメーらは知ってんだよ!」

 

「姉上の店の客が言ってたみたいです。」

 

「私はソヨちゃんから。」

 

知らなかったのは自分だけだったようだ。すると、急いで出かける準備を始めた。

 

「あっ!ちょっと何処行くんですか!?」

 

「ちょっとあの店行ってくる!タダ券使ってくる~!!」

 

「あっ!じゃあ仕事もついでに探して来て下さいね。」

 

「遅いアル。もう行っちゃったネ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~。まだ痛みがとれね~な。これなら姉貴の作った変な薬飲まされた方がマシだったな。」

 

厨房に立って料理をしながら頬のアザを撫でながらボヤいてるこの店の店長、織斑一夏。先日全力で一音に殴られてアザが出来ている。

 

「おーい、やってるかー?」

 

「ん?あぁ、あん時の。」

 

「タダ券使いに来たんだけど、これ何品まで大丈夫なの?」

 

「特に書いてねーだろ。」

 

「マジか。2人も連れて来るんだったな。じゃあ取り敢えず、甘いもの全部ちょうだい。」

 

「はいよ。」

 

出された大量の和菓子、洋菓子等がどんどん口に吸い込まれて無くなっていく。

 

「今更だけど、そのアザどうした?」

 

一夏の頬を指差しながら尋ねてみた。

 

「この前息子に殴られてな。本音には泣き付かれたよ。」

 

「……そりゃあ16年も失踪してたら当たり前だろ。つか何してたんだよ。16年も」

 

「あぁ、いろんな所を回ってた。非合法な場所を主にな。」

 

「何でニュースになんねーんだよ。」

 

「破壊してた訳じゃないからな。研究内容を流してただけだからな。ネット上に。」

 

「思いっきりニュースになりそうな事やってんじゃねーか!!何でそれがニュースになんねーんだよ!!」

 

「コッソリ流してたからな~。次の日そこ無くなってたけど。」

 

「ガッツリじゃねーか!コッソリじゃなくてガッツリじゃねーか!!次の日には完全に無くなってんじねーかァァァァ!!!」

 

一夏のボケと天パの食事をしながらの突っ込みが、暫くの間続いた。何処から何処までが冗談かは分からないがな。

 

「ただいま~」

 

「あっ、帰ってきた。」

 

話をしていたら、買い物に行っていた本音とバジンが帰ってきた。バジンは荷物持ちの様だ。

 

「え?何?このシュールな光景……」

 

まぁ、バジンが人型の状態で買い物に行けば確かにシュールである。

 

「2人に買い物に行って貰っててな。材料が減ってきてたから。」

 

「あっそう。じゃあもう何品か作ってくんない?家に持っていくから。」

 

「了解」

 

適当に人気のある料理を5品程作ってタッパーに詰めて天パの客に渡した。

 

「んじゃあまた来るわ。ご馳走さん。」




終わった作品に手を出してすいません。前書きのお知らせを兼ねて記念小説を書きたかったので、書きました。

因みに、いつもお世話になっている銀さんにもう一度出てきて貰いました。

次回作は何とクロスさせようか……。

一応、感想、評価をよろしくお願いします!


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トゥルーエンド
もう1つのエンディング


前半Aパート、ファイズVSオーガの所は変化ありませんが、後半Bパートを変化させてみました。

現在進行形で書いている仮面ライダークロノスとISの小説の感想欄で、このエンディングのリクエストがあったので書いてみました。悲しいヤツじゃないですよ。一夏がすぐに帰ってきた場合のストーリーです。

※一夏が日本を離れていた時間などは詳しく考えていないので、突っ込まないで下さい。本音が出産をする少し前に帰ってきた。と思ってください。


「死ねェ!織斑一夏ァ!!」

 

「グワァ!!ガァハァ……」

 

現在の状況、いきなり一夏がオーガに吹っ飛ばされた。それもそうだ。先程の戦闘で体には大きなダメージを受け、アクセルフォームを使い体力も消費している。何故変身を維持しているのか聞きたくなる位だ。

 

「グッ!」

 

「どうした?力が入っていないぞ!」

 

なんとか攻撃を受け止めるが、今の状態では受け止めるのが精一杯だった。ファイズブラスターがあれば兎も角、今は無い。バジンに探してきて貰っている。

 

盛大に挨拶をしたときの自分に、全力でグランインパクトを決めたいと思った。何があったのかはお察し下さい。

 

『Ready』

 

「ハァァ!!!」

 

「ッ!?」

 

『Ready』

 

オーガストランザーで斬られそうになったので、一夏もファイズエッジを再び起動し、なんとか受け流したが、その後オーガのラッシュを受け、ベルトが外れてしまった。

 

「ハァハァ……。クッ」

 

息が上り、ボロボロの状態でも戦おうと、ベルトに手を伸ばした。

 

「貴様、何故そこまでして戦う?戦えば確実にここで死ぬ。生き延びたとしても、いずれは灰となって消え失せる。なのに何故戦う?死ぬのが怖くないのか?」

 

「……怖いさ。今も昔も、死ぬのが怖くて仕方無い。それに、俺は死んだら体が残らない。それだけでも泣きそうになる位怖いよ。」

 

「なら何故……?」

 

「俺には、守りたいものが、守るべきものが出来すぎた。何もなかった俺に、大切なものを沢山くれたアイツらを、俺は何があっても守り抜く!ただ、それだけだ!」

 

IS学園で出会った仲間達、共に戦った木場や草加、姉として支えてくれた千冬、そして、一夏の1番近くで隣に立ち、進んでくれる本音。それらの存在が、今の一夏が戦う最大の理由だ。

 

と、そこに

 

「やっと見付けたか。どこまで行ってたんだよ。」

 

一夏の足元にファイズブラスターが転がってきた。バジンが見付けて転がしてくれたようだ。一体どこまで吹っ飛ばされていたのやら。

 

『555』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

「近い将来死ぬ運命だとしても、俺は戦う。ファイズとして、アイツらの仲間として!変身!!」

 

『Awakening』

 

『143』

 

『ENTER』

 

『Blade Mode』

 

「仲間……。気に入らん。そんなものの為に……!そんなものの為に命を懸けると言うのか!」

 

何かが癪に障った様だ。

 

「あぁ。当たり前だ!!」

 

もう、互いに防御を捨てている。攻撃を防がず、斬られ斬り返す。殴られれば殴り返す的な感じだ。

 

正直な話、さっきまでボロボロふらふらの状態だったのに、ブラスターになって防御無視して攻撃しあえるのが疑問だが、些細な問題なのでサラッと流して頂きたい。

 

「これで終わりだ!!」

 

『5532』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「こっちの台詞だ!!」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

ファイズのブラスタークリムゾンスマッシュとオーガのオーガ・ストラッシュがぶつかり、フォトンブラッドが渦巻き周囲を薙ぎ払った。その影響で、壊れかけていた建物は更に壊れ、崩れそうになった。

 

「グッ!ゼリャア!!」

 

最初はファイズが押されていたが、徐々にオーガストランザーのフォトンブラッドの刃が砕けちり、押され始めた。

 

「何!?グワァ!!」

 

とうとう、フォトンブラッドの刃が全てなくなり、オーガストランザーもへし折れてブラスタークリムゾンスマッシュを受けて吹っ飛ばされてしまった。

 

その拍子にオーガギアも外れ、変身が解除された。

 

「な、何故こんなに、強いんだ?」

 

意識を失いそうになりながらも、ボロボロの状態で自分に勝った一夏に質問をぶつけてみた。

 

「別に強かねーよ。昔と変わらず弱いまんまだ。何も出来ないのがイヤで、誰も守れないのがイヤで外側に力を付けただけだ。1っつも強くなんかなってねーよ。やり方はどうであれ、お前の方が強えーよ。俺なんかよりな。」

 

それを聞くと、意識を失ってしまった。

 

「さーてと、早くここから出るか。」

 

道中、ベルトを回収しながら建物の外に出た。因みに、一夏と戦った女はまだ生きているので、肩に担いでいる。

 

『3821』

 

『ENTER』

 

『Jet Sliger Come Closer』

 

ファイズフォンにコードを入力すると、間もなくジェットスライガーが飛んできた。操縦席に担いでいた女と回収したベルトを積んで、色々と入力してからスマートブレインに飛ばした。

 

「バジン、俺を日本まで運んでくれ……」

 

「(^^)b」

 

ブラスターを維持するのはキツいようなので、バジンにしがみつて日本まで行くようだ。降り下ろされなければ良いけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数ヵ月後~

 

バジンの燃料や、一夏の体力等、色んな事が重なって日本に着くのが遅れてしまった。終いにはバジンも一夏も、なかば八つ当たりの様に、日本に着くと同時にスマートブレインの社長室に突っ込んだ。ガラスをぶち破って。

 

「ちょっと!何やってんですか!?連絡が無いと思って心配してたら急にここに突っ込んで来るなんて!!」

 

「悪ぃ~。何かむしゃくしゃしたから。」

 

「少しは反省してください!大体貴方はいつも―」

 

「行くところあるからまたな」

 

『Vehice Mode』

 

バリィーン!!!

 

「あっ!待ちなさい!……何で態々割れてない方のガラスから飛び出すんですか……」

 

また1枚ガラスを割られた様だ。結構な高さから飛び降りたが、変身しているので問題無いだろう。

 

一夏が急いで向かった先、それは本音の居る草加の家だ。一刻も早く会うために、かなりスピードを出している。(法に引っ掛からない常識の範疇で。)

 

その為、バイクでは3時間程かかるのだが、半分ぐらいの時間で目的地に着いた。

 

「本音!ウッ!」

 

変身を解いてすぐに本音の元へ行こうとしたが、突然足から力が抜けて倒れそうになった。

 

『Battle Mode』

 

「サンキュー。バジン」

 

倒れそうになったが、バジンに支えてもらいながら、家の中へと入っていった。

 

「本音!」

 

「いっちー……!今までどこに!?何か傷だらけだし!!どうしたの!?」

 

「ハハハ。まぁ色々とな」

 

「色々じゃないよ!何ヵ月も連絡とれなくて……心配したんだよ!」

 

そこそこ長い間連絡もとれず、帰ってきたかと思えば傷だらけ。心配していた本音は、泣いてしまった。

 

「悪かった」

 

「本当だよ!!村上さんも何も教えてくれなかったから!死んじゃったかと思ったんだよ!」

 

「お前らおいて死ぬかよ。それと本音」

 

「ん?」

 

「ただいま」

 

「うん…!おかえりなさい!」

 

それから数日後、本音の出産となったのだが……

 

「「「ガタガタガタガタ」」」

 

「全く……うちの男共は……」←千冬

 

「アハハ……仕方無いですよ。こればっかりは」←真耶

 

「はぁ、社長として少し情けないですね」←村上

 

病院の長椅子で、一夏、草加、木場の3人が並んで体育座りしながら、ガタガタ震えていた。本音の悲鳴が聞こえるたびに「ビグッ!」となっている。

 

「出産だと男は役に立たないって言いますけど、本当だったんですね。都市伝説かと思ってました……」

 

鈴も来ていた様だが、一夏達を興味深く見ていた。

 

震えている3人に対して、村上は全く動じていなかった。人生経験の差と言うものだろうか。

 

終わった頃には、本音よりもフラフラになっている。心なしか顔も青くなってる。

 

「いっちー達大丈夫?」

 

「な、何言ってんだ?お、俺達はこれ以上の阿鼻叫喚を体験してんだぞ!こ、これ、これくらいで動揺するかよ!」

 

「そ、そうだぞ!こ、これくらいどおって事はねーよ」

 

「ほ、本音さんは大丈夫なの?」

 

隠しきれていない。現に一夏は普段飲まない様な青汁を飲んでいるし、草加はコーヒーを飲もうとしているのだろうが、それは麺つゆだ。木場は今も震えているが、なんとかいつも通り喋れた。

 

「織斑くん。今からそんな状態でどうするんですか?貴方は父親になるんですよ。」

 

「村上……」

 

何故か、この言葉がいつも以上に重たいものに感じた。

 

「これから背負うものが増えたな。」

 

「違うでしょ一夏。背負うんじゃなくて、守るんでしょ。重たい事には変わりはないけど、背負うと守るじゃあ意味が違うわよ。」

 

「あぁ。そうだな」

 

覚悟を決めながらも、実に穏やかな顔をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数年後~

 

「なぁ母さん。父さんってどんな人なんだ?」

 

「どうしたの?急に」

 

「学校の宿題。父親についてだってよ。」

 

小学校の宿題ではありがちなものだ。自分の親についての作文などだ。昔から思っていたが、複雑な家庭事情の生徒には何を思ってこの宿題を出していたのだろうか?

 

「ん~……。お父さんはね~。口が悪くて、細かい作業が苦手なのに、女の人以上に家事や料理が出来て、女のプライドをズタズタにしたり、乱暴な所があったり、大事な事は何も言わないし、長い間帰ってこないと思ったら傷だらけで帰ってくるし、必ず無茶なことするかな。」

 

「母さん、本当に父さんの事好きなんだよね?」

 

「え?大好きだよ」

 

「……」

 

さっきの言葉を聞くと、本当に好きなのかが少し不安になってきた。

 

「悪いところしか無くね?」

 

「うん。確かに悪いところが多いね。でもね……必ず約束は守ってくれるし、不器用だけど優しいし、記念日とかも覚えていてくれるんだ~。それに、私達の為に、世界を救ってくれた事もあるんだ。ボロボロになって帰ってきたけど……。」

 

「ふ~ん。父さんって何者なの?」

 

世界を救った。その言葉に少し引いている。流石に自分の父親が世界を救ったと言われれば、どうなる?答えは「(゜д゜)?」こんな顔になる。

 

「何者って……」

 

何者。本音にとって、一夏を一言で現す言葉は1つしか知らない。

 

「世界を救った救世主、仮面ライダー。かな?作文に出来そう?」

 

「……イヤ。止めとくよ。何か大事そうな感じだし。」

 

結局、作文にはしないようだ。そこに

 

「帰ったぞ~」

 

買い出しに行っていた一夏が帰ってきた。

 

「何やってたんだ?」

 

「宿題の作文。親について書けだと。店の事でも書くか」

 

「面白そうで良いんじゃないか?」

 

子供の宿題で店の事を書かせようとするなよ。まぁ、こんな具合だけど、何だかんだで楽しく家族と過ごしている一夏だった。




う~ん。これが限界。途中から疲れて、また後味が悪いと言うか、適当な感じになってしまいましたが、一応トゥルーエンドです。

感想、評価よろしくお願いします!現在進行形で書いている小説もよろしくね!!


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仮面ライダーカイザ編 カイザサーガ
草加と千冬の結婚。その前に


一夏と本音の前に、草加と千冬の過去編にでも入りましょうかね。

ただし、3話4話で終ります。時間系列とか気にしないで下さいね。きりが無いので。


「ん~……どうするか……。この花にするべきか……それともこっちか……」

 

現在、一夏の店のカウンター席。そこには、大量の資料を広げて陣取っている草加が居た。

 

「これ!いやこっちも……!いやでも!!」

 

「いい加減にしろ!!人の店で何時間悩んでるつもりだ!!」

 

「グバァ!!」

 

訳の分からんエンドレスに陥って悩んでいる草加に、いい加減痺れを切らした一夏が、草加の顔面に1発決めた。

 

「おいコラ草加。朝7時に開店して今午後2時。何が言いたいか分かるか?」

 

「あ、イヤ。済まん。弟の店でこんなに悩んでしまって……」

 

「そこじゃねーよ。お前を気味悪がって客が減ってんだよ。営業妨害もいい加減にしろよ。」

 

開店してから7時間。この間、草加はコーヒーを飲みながらずっと悩んでいたのだ。

 

何に悩んでいるのか、それは

 

「仕方無いだろ……。ブーケの種類と花が決まらないんだ!!」

 

「んなもん即決しろ!!」

 

「一生に一度の晴れ舞台なんだぞ!即決出来る訳が無いだろ!!」

 

草加の言う事も確かだ。大体の人は一生に一度だけ。細かいものでも自分で決めたいと思うのは当然だ。しかし、店を営む一夏にとって、これ以上の営業妨害は死活問題。もう帰って貰うしか無い。

 

「はぁ……。ブーケと使う花は俺が決めてやる。もう帰れ。」

 

「ッ!ほ、本当か!?それはありがたい!!一夏のセンスなら信用できる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『御食事処 織斑、本日臨時休業。』

 

 

 

 

「で?営業妨害されたくないから引き受けたけど、結局営業妨害されてると……」

 

「まさかこんな事になるとはな……」

 

自分の事ではないとは言え、身内の話。しかも血の繋がった姉と、認めたくは無いが、いつも世話になっている草加の結婚式。適当に選ぶわけには行かない。悩みまくった結果、臨時休業である。木場も呆れ気味である。

 

「そう言えば、草加くんは何を選んでたんだ?」

 

「キャスケード。青バラとアブローズの」

 

どちらの花も、最近遺伝子組み換えで完成した青いバラだ。しかも、よりにもよってキャスケードだ。大量の花を使う。1本5000円以上する花を大量に使うのは気が引ける。

 

「資金いくらあれば足りるのかな?それ。」

 

「草加に言ったら、「通帳の中には子供が3人出来て、大学や専門学校に入れるし、デカイ家を買っても老後を充実して過ごせる金はある」って言われた。流石にイラッと来たからぶん殴った。」

 

「まぁ、昔は物欲どこに行った?っ言うくらいの仕事人間だったからね。今思えば、千冬さんと交際してから自分のお金を使うようになったからね。」

 

しかし、ここまでやっといてだが、木場は1つ気になることを一夏に尋ねた。

 

「そう言えば、一夏。草加くんと千冬さんって、何で付き合い始めたんだい?接点殆ど無いと思うんだけど……。」

 

言われてみれば確かにそうだ。一夏が1つのポイントになっているのは間違いない。だが、それだけで千冬は草加と交際を始めただろうか?

 

少なくとも、シチュエーションや一夏が懐いてると言う理由では絶対に始めないだろう。

 

「草加と姉貴は最初からお互いを意識してた。だけど、草加は何かに遠慮して、姉貴は何も言わない草加を見限って、良い縁談の話があったからそっちに行った。」

 

「そこから何で今の関係に?」

 

「そこは問題じゃない。その後だ。ある事件が切っ掛けで、お互いの思いが通じて今の関係になった」

 

表には出ていないが、スマートブレインのやった最大の功績。それによって草加と千冬は今の関係になったと一夏は言う。

 

その話は、一夏がスマートブレイン系列の児童施設に通っていた頃までに遡る。




今回はここまでです。次回から本格的にストーリーがスタートします。草加と千冬が現在の関係に至るまでの理由と、結婚式の内容をお伝えします。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

大して面白くないかもだけど、今書いてる方もお願いします!


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昔の草加

個人的には延びるのはイヤなので、

「書けないだけだろ。」

思いっきり飛んだり、

「明後日の方向にな。」

時間系列バラバラだったり、

「袋から開けたばかりのジグソーパズルの様にな。」

矛盾があったり、

「法廷で嘘をつく罪人の様にな。」

その様な事が多々ありますが、

「都会の1日のひったくりの件数なみにな。」

気にせず、読んでくださいね。

「読むのが居たらな。」

いきなり始まりますので、お気をつけ下さい。

「お前の小説を警戒しねー人間は居ねーよ。」

うるせーよ!!さっきから何だテメェーは!!人が注意事項話してるときに何マイナスの事言ってんの!?

「イヤ。俺なりの注意事項をと思ってよ。」

注意事項って言うか、完全に俺のを真っ黒に染め上げてるだろ!!良いから本編行くぞ!!!

「その前に、このストーリーは草加が主人公。スマートブレインはテロを根絶やしにしている事になっています。つまり、裏に関わる者からしたら有名です。矛盾点、気に入らない点は目を瞑ってください。因みに、木場さんは新人研修中です。」

それ俺の台詞ゥゥゥ!!!



「……草加。お前、姉貴にいつ告白すんだ?」

 

「一夏くん。年上の人には言葉に気を付けろ。将来困るぞ。」

 

「気持ち悪いキャラの皮を被って生きるよりはマシだ。」

 

お前は一体いくつなんだ?と、机に向かって静かに絵を描いている一夏にそんな疑問を持ったが、それと同時に草加は一夏の鋭さに驚いた。

 

「そもそも、俺が織斑さんに好意を持っていると思っているのか?」

 

「思ってなかったら聞くと思うか?」

 

全てを分かった上で、一夏は草加に尋ねたようだ。

 

「俺の言ってることが間違ってるなら否定しろ。」

 

「…………」

 

「黙り……。間違っては―」

 

「一夏。迎えに来たぞ。あ、草加さん。今日もお世話になりました。」

 

「イヤ。大丈夫だよ。今日もお疲れ様。織斑さん」

 

誰もが100%好印象を抱くであろう爽やかな笑みを千冬に向け、帰っていく2人を見送り、再び自分は仕事に戻った。仕事に戻った彼の表情は完全な無表情。一夏や千冬はもちろん、スマートブレインの人間にも絶対に見せない表情だ。

 

この頃の草加は、人前では誰もが100%の好印象を抱く人間を、1人の時は誰にも見せないような完全な無表情に。そして、嫌われるのを防ぐ為か、欲も全く出さない人間だった。

 

誰からも気に入られる人間の皮を被る。それがこの頃の草加雅人と言う人間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからも、お互いに意識はしあっていたが、千冬はこう言った事になれてないのか何も言わず、草加も話は聞いているが必要以上の事は言わず、側にいる一夏にとっては気味の悪い時間が過ぎていった。

 

それから数ヵ月後の事だ。

 

「……分かりました。調べておきます。では。」

 

仕事の事で何かを頼まれたようだ。しかし、電話越しでも気に入られるキャラの皮を被る辺り、徹底していると言えるだろう。

 

「……草加。姉貴に結婚の話が来た。」

 

「……そうか。それは良かったな。君も織斑さんも、必要以上に苦労する必要が無くなったんだから。」

 

「はぁ。そうかよ。もっと別の答えを期待してたんだがな。……後で姉貴が来るけど、今日は帰ったって言ってくれ。」

 

それを伝えると、一夏は部屋から出ていき、必要なものを買いながら家路についた。それから数十分して、一夏の言う通り千冬が迎えにきた。

 

「あれ?一夏は……?」

 

「用事があるからって帰りましたよ。」

 

「そうですか……。草加さん。その……」

 

「結婚の話……。来たそうですね。」

 

「……」

 

千冬は自分で言おうとしていたのかも知れないが、草加が結婚の話を言うと、だまってしまった。

 

「おめでとうございます。式には呼んでくださいね。」

 

いつも通りの、人には見せるための笑顔を作り、千冬に向けた。いつもはこのまま帰るのだが、今日は少し違った。少し悲しそうな顔をしている。

 

「何も、言わないんですね……。」

 

「言うも何も、俺と貴女はお互いにどうこう言う間柄では無いはずです。今回の結婚の話。俺は素直に良かったと思ってますよ。ISの事や一夏の事、生活の事。貴女は抱え込みすぎている。」

 

「……そうですか。そうですよね!貴方はいつも大勢から気に入られる自分を演じている!今日も満点ですね!でも、出来ればそれ以外の言葉が聞きたかった!そんな作った顔じゃなくて、本当の貴方の表情で!言葉で言ってほしかった!」

 

「…………。俺は貴女にそこまでの感情を抱いてるつもりはない。今回の事は素直に喜ぶべきです。」

 

「……そうですよね。私が間違ってました。訳も分からず感情的になって。馬鹿みたいですね。何で貴方にこんな事言ったんでしょう?不思議です。黒崎さんならもっと良い答えを言ってくれたのに……。失礼しました。」

 

結婚相手の名前だろうか?黒崎と言う名を言って、部屋から出ていった。草加は1人になったことから、いつも通りの完全な無表情になったが、少し悲しそうな顔をしていた。

 

しかし、それもすぐに変わることとなった。

 

「黒崎……。ッ!?さっきの電話の!」

 

黒崎の名について、先程あった電話の内容を思い出した。

 

『現在追っているテロリストの事ですが、ボスが黒崎と言う名前だと分かりました。場所も私達が目を付けていた港の可能性が高いです。調べておいてください。』

 

黒崎と言う名字の人間は、日本にはざらにいる。現在調べているテロリストのボスだとは限らないが、草加は確信した。理由や証拠があるわけではないが、自分の中にある何かがそうさせたのだ。

 

「また、酷いことするな……。」

 

そう呟くと、SmartBrainのロゴが入ったアタッシュケースを持って、でかける準備を始めた。




作者の力ではこれが限界。明日は投稿できるか不明。上手く書けねー。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

※最終回ではここだけ限定で、憲八先生を復活させようと思います。質問のあるかたはどうぞ。


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草加雅人の戦い

今回の草加が何故あの様な性格になっているのか、そのストーリーは作るつもりが無いので、ここで理由をざっくりとお話します。

この様な草加になった理由、それは、彼に教育をしてきた親と教師の教育の賜物です。

幼い頃から様々な事に才能を発揮してきた草加。しかし、周りと比べてコミュニケーション能力が低かった。別に様々な事をこなせるし、最低限のコミュニケーション能力はあったので、本人も気にしていなかったのですが、親も教師もそれを良しとせず、無理矢理教育を、それこそ警察沙汰ギリギリの教育を施し、草加は人とは距離を置き、誰からも気に入られる人間を作り上げられるようになった。と考えています。親は草加が社会人になったら一切の収入を草加に任せる為、要するにダラケてご近所の票を得るために、教師は自分の票を上げるため。結局は大人の為に利用された。

的な感じに考えています。まぁ、白騎士事件で全て無に還るんですけどね。

因みに、本来の草加を知っている友人は沢山居ますよ。ファイズ本編の流星塾の人達や、啓太郎、巧、海堂、長田さん等が本当の草加を知っていますが、この小説の本編を読んだ方は分かるように、白騎士事件で亡くなっています。


天気は雨。風が吹き、海は少し荒れている。そんな海の近くの港には、様々な色のコンテナが大量に運ばれていた。

 

作業の全てを見張らせる場所で、作業を眺めながら話をする男たちがいた。

 

「順調に運び込まれていますね。」

 

「はい……。黒崎さん、その……スマートブレインの事は?」

 

「問題ありません。珍しくスマートブレインの重要な人物と関わっている女性に縁談を申し込む事が出来ました。上手く行けば情報が入ります。もしもの時は、その女性を人質にすれば良い。かなり親しい仲の様でしたからね。」

 

この男は、端から千冬の事を道具としか見ていないようだ。草加の勘は当たったようだ。

 

その時、

 

「た!大変です!!す、スマートブレインからの襲撃です!!」

 

「何ですって!!?数は!?」

 

「ひ、1人です!」

 

「!?」

 

襲撃と言われれば、大人数で攻めてくるのが普通だ。だが、今回の襲撃は1人。当然驚くし、何かあると思い焦りも大きくなる。

 

「は、早く逃げて―」

 

逃げると言いたかったのかもしれないが、言いきる前に灰になってしまった。

 

「黒崎だな。兵器の密入・密造、テロの準備……。ここで潰させて貰う。」

 

カイザフォンのフォトンブラスターで黒崎に狙いを付けている草加が居た。

 

「……1人で襲撃とは、誰かと思いましたが、貴方でしたか。草加さん。千冬さんから話は聞いてますよ。しかし、1人で乗り込むとは……随分と命知らずですね。」

 

「……」

 

囲まれていた。当然だ。こんなに堂々と襲撃をかけたのだ。しかも隠れて行動している訳ではない。今、草加の周りには銃を構えた人が10人ほどいる。

 

『913』

 

『ENTER』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

いつまでもそこに居たら蜂の巣は確定。その為、そこから飛び降りながら空中でカイザに変身した。

 

そして、ただ落ちている訳じゃない。カイザブレイガンのガンモードを使って周りを破壊しながらだ。破壊したコンテナの中には火薬や科学兵器の入っている物もあり、それらに命中すると大爆発を起こした。

 

「早くヤツを仕留めなさい!大事な商品が無くなってしまいます!!」

 

話している内容から、自分達だけではなく、他の連中にも売り捌くようだ。下手したら日本以外にも被害が行きそうだ。

 

『Readey』

 

「デリャア!!」

 

着地すると、カイザブレイガンにミッションメモリーを装填し、ブレードモードで敵を灰へと変えていく。敵の人数は多いが、このままのペースで行けば数時間後には片付くだろう。とそう思っていた。だが、

 

「グッ!?IS……!」

 

突然ラファールのグレネードによる爆撃を受けた。そして、動きを止めたカイザに、今度は後ろから打鉄が斬り付けてきた。

 

「ッ!?ハァァ!!」

 

倒れそうになったが、無理矢理体勢を保ち、打鉄の操縦者を灰にし、ラファールには射撃で攻撃した。しかし、今度は大量の爆弾を投げ込まれ、草加を中心として5メートル程周りが吹っ飛んだ。

 

「グワァァ!!」

 

爆発によって、ベルトからカイザフォンが外れてしまった。しかし、そこで止まってしまってはここに来た意味がない。変身は解除されたが、爆煙の中からカイザブレイガンのブレードモードを構えた草加が飛び出してきた。

 

「ウオォォ!!」

 

銃弾の雨を避けながら、相手一人ひとりを確実に倒していく。が、

 

ダン!

 

「ガァ!チッ!」

 

脚を撃ち抜かれ、倒れてしまった。だが、それでも立ち上り、脚を引きずりながら目の前の敵を斬り伏せている。しかし、今まともに動かせるのは片足だけ。変身していない生身の状態では、動きが大振りになり隙も生まれてくる。更に銃弾2発を受け、座り込んでしまった。

 

「残念ですよ。草加さん」

 

コンテナの上から高みの見物をしていた黒崎が、座り込んでいる草加に話しかけてきた。

 

「千冬は大切な友人を亡くす事になるのですから。出来れば、貴方達とは仲良くやっていきたかったのですよ。スマートブレインの情報があれば、楽に商売が出来ますからね。その為に貴方と仲の良い者に近付き、縁談まで儲けたと言うのに、こんな事になるとは……。非情に残念な話ですよ。」

 

「端から俺達の情報を掴むために、あの人を利用するつもりだったのかよ」

 

「愛していましたよ。商人は商品を愛でるものです。ただし……道具としてですけどね。本来なら誰も近寄らない様な人に、人並みの幸せを与えようとしたのです。感謝してほしいくらいですよ!」

 

「はぁ、外道とは言わないさ。俺もそうだからな。仕事しか出来なくて、幸せにすることなんか出来ないと思って、分厚い壁を作ってきた。距離を置くために酷いことも沢山言ってきた。挙げ句、やっと人並みの幸せ掴めるって時に、その旦那を殺そうとしてるんだ。酷い話だろ。」

 

「同じ穴の狢と言う所ですか?貴方とは気が合いそうだ。」

 

「そんな大層なもんじゃないさ。」

 

カイザブレイガンを支えにして、再び立ち上がろうとした。自分の思いを言いながら。

 

「ここに来るまでに、あの姉弟に色々と言われてな。自分の感情や欲には鍵をかけたつもりだったが、あの2人のせいで吹っ飛んだよ。お陰で欲が出てきた。」

 

『913』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

「俺は、惚れた人には幸せになって欲しい。こんなところで、血塗れになって戦ってる俺には無理な話だが、普通でも、小さくても良い。誰かと結婚して、普通に子供産んで幸せになって欲しい。ただ、それだけだ。変身!!」

 

『Complete』

 

「ウワァァァ!!」

 

カイザに変身した草加は、再び走りだした。銃弾の雨をもろともせず、走りだし、敵を倒す。そこに、

 

『Battle Mode』

 

バトルモードのサイドバッシャーが出てきた。

 

「ハッ!食らえ!!」

 

バッシャーに飛び乗ると、ミサイルと光子バルカンで周りの物を全て破壊した。

 

「逃げますよ!」

 

バッシャーを見ると、黒崎は部下を3人連れて逃げた。

 

コンテナを破壊すると、バッシャーから降りて残っている敵を倒しに向かう。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

カイザブレイガン・ブレードモードの銃口から、黄色のエネルギーネットで自分に向かってくる敵を拘束して、斬り裂いた。

 

次はISに乗った連中が向かってきた。数は3。カイザブレイガンからミッションメモリーを抜いて、カイザショットにはめた。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「デリァア!」

 

先頭にいるISに、グランインパクトがヒットすると、そのまま後ろのISも巻き込んで何処かへと飛んでいった。

 

「アイツ……逃がすか!」

 

『Vehicle Mode』

 

バトルモードからビークルモードに戻し、側車部分を外して逃げた黒崎を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く。ここを失うはめになるとは……。まぁ良いでしょう。他にも場所はある。」

 

車で逃げている黒崎は、破壊された港の事は悔しがっていたが、他にも場所があるようで余裕そうだった。しかし、

 

「ッ!?黒崎さん!!」

 

「どうしました?」

 

運転していた男が、進行方向を指差した。そこには、バイクと一緒に草加が立っていた。

 

「な!?」

 

「潰すと言った筈だ」

 

カイザポインターにメモリーを差し込み、右脚のホルスターニセットした。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

ポインターからは黄色い二重の四角錐状の光が放たれ、車ごと拘束した。

 

「終わりだ。デリャアア!!」

 

中に乗っていた黒崎やその部下も、ゴンドスマッシュによる爆発に巻き込まれ、車と一緒に燃え尽きた。

 

草加は変身を解除するが、体へのダメージが大きく、解除と同時に気を失ってしまった。次に目覚めたのはスマートブレインの病院だった。

 

「起きたか。村上怒ってたぞ。無茶なことしてって。」

 

「一夏くんか。」

 

「そのくん付けの気持ち悪いキャラ止めろ。どっかの姉弟のお陰で、鍵が吹っ飛んだんじゃないのか?」

 

「何でそれを?」

 

誰も聞いていないはずの言葉。強いて言えば黒崎達と自分だけだ。しかし黒崎達は死に、自分は誰にも話していない。なのに一夏は知っていたのだ。

 

「ベルト。村上が使用者の状況を知るために色々と仕込んでたんだと。他にも、」

 

『俺は、惚れた人には幸せになって欲しい。こんなところで、血塗れになって戦ってる俺には無理な話だが、普通でも、小さくても良い。誰かと結婚して、普通に子供産んで幸せになって欲しい。ただ、それだけだ。変身!!』

 

「とかな」

 

「な!今すぐそれを消せ!!」

 

「使えるものを消すかよ。じゃあ俺は退散させて貰う。後は2人で話せ。」

 

デカイあくびをしながら、病室の扉を開けると、外に居た千冬を中へと引っ張り、自分は病室から出ていった。

 

「織斑さん!?」

 

「草加さん……。その、さっきの言葉は……」

 

「…………」

 

今の草加の頭の中では、病室の外で一夏が腹を抱えて笑っている状況が浮かんでいる。

 

(は、ハメられたぁぁぁ!!)

 

「その……惚れた人と言うのは…………。」

 

「……はぁ、言葉の通りだよ。俺は、君に、心底惚れてるよ。」

 

こんな事があったから、2人は交際を始める事になったのだが、後に一夏が頭を抱える事になる。本人達はまだ知らなかったが……




カイザブレイガンは生身でも使える様にしています。

書いてる途中に意識ブラックアウトとは……。夏休みだからってダラケルとヤバイですね。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

まだ続きますよ。もう1つの方は……もう少し開きます。

そして、何かすいませんでした。


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新たな門出

さてさて、今回は結婚式。これでVシネならぬ、Nシネの草加編が終わります。

2人の過去を木場に話した一夏がブーケに選んだ花とは?最後まで見守ってくださいね。


「何か、かなり壮絶な事があったんだね……」

 

「確かに壮絶だが、病室でのアレが原因で今みたいになったのかと思うと……」

 

一夏が木場に話した草加の過去。木場はそれを壮絶だと言ったが、それを話した一夏は、自分のせいであんな草加になってしまったのかと思うと、少し後悔している。

 

「ま、まぁ、今の性格の草加君の方がスマートブレイン内でも評判は良いから、プラスマイナス0だよ。」

 

一夏が草加を良い方向に歪めてしまったのを悔やんでいるが、逆に木場は草加の評判が良くなったので問題は無いと思っているようだ。

 

だが、結婚する前、交際中は過去の草加のイメージが強い人には、千冬と恋人関係と言うと必ず驚かれる。今はそんなことは無いがな。

 

「で?花はどうするんだい?」

 

「さっきの話してたら決まったよ。」

 

一夏のえらんだ選んだ花は、それは、

 

「スイートピー。これで良いだろ。花言葉もあの2人に合ってる」

 

「スイートピーの花言葉?」

 

スイートピーの花言葉

 

「門出」「至福の喜び」「優しい思い出」「別離」「さようなら」「永遠の喜び」

 

「結構多いね。」

 

「そこに関しては同感だ。1つの花に何個の言葉付けてんだよ。」

 

因みに、スイートピーには上の花言葉以外にも「微妙」や「偽りの謙遜」と言う言葉もある。これから誰かに花を送ろうとしている画面の前のお友達の皆さんは、余り花言葉を意識しすぎないように。喧嘩の原因になります。まぁ、伝わらなければ意味なんて無いんだけどね。

 

「草加君が最初に選んでた花の言葉は?」

 

スイートピーの花言葉を聞いた後に、木場は興味本意で草加の選んだ花の言葉を聞いてみた。

 

「青バラは「神の祝福」アブローズは「夢叶う」だ。」

 

「……よく知ってるね」

 

一夏があまりにも詳しいので、少し驚いた。こんな事には疎いと思っていたのに、聞いてみたら意外とホイホイ出てくる。

 

※花言葉は調べた本、サイトによって変わってきます。その為、調べて違う言葉が出て来る可能性もあるので悪しからず。

 

「因みに、バラは色によって意味も変わってくる。赤いバラは情熱、黄色は嫉妬、オレンジは信頼と絆、白は純潔、紅は死ぬほど恋い焦がれている、赤黒は憎悪や恨み、黒は貴方はあくまで私の物。ただし本数によっては真逆の意味になることもある。送るときには気を付けろ」

 

「へ、へぇ~。き、気を付けないとな~……」

 

既に何処かで何かをやらかしたようだ。木場の目が今滅茶苦茶バタフライしている。物凄い水飛沫をあげてバタフライしてる。

 

「その、向日葵の花言葉って……?」

 

「崇拝、私は貴方だけを見つめます。意外と重たい言葉だよな~」

 

「あぁ……ポコポコポコ」

 

何故か溺れた。水も無いところで溺れた。

 

「本音~。AED持ってきてくれ。」

 

「は~い」

 

必要無いだろうが、木場の状態を見た一夏が、本音にAEDを持ってくるように言った。

 

「持ってきたよ~」

 

「そこに置いといてくれ。木場、さっさと上がってこい」

 

木場を水から引き上げ、花も決まったので早く連絡をしようとしたとき、本音から結婚式に花嫁が付ける青い物は?と聞かれた。

 

「結婚式に花嫁が付ける青い物って何だっけ?」

 

「確か英語だったような気がするけど~……え~っと……あ!マリッジブルー!」

 

マリッジブルー、結婚を控えた女性が間近に迫った結婚生活に不安や憂鬱を覚える精神的な症状の総称。

 

「それは1番持っちゃダメなヤツだな」

 

「え?違った?じゃあ……マタニティーブルー?」

 

マタニティーブルー、妊娠中~産後にかけ、ホルモンバランスの変化によって情緒不安定になったり落ち込みやすくなったりすること。

 

「姉貴にはまだ早いな。て言うか、サムシングブルーだろ。それ。」

 

「あ~!それそれ!」

 

本音があげた2つは、字は似ているが全くの別ものだ。木場と本音が悩んでも出せなかったものを、一瞬で出した一夏は一体何者なのだろうか……?

 

「聞きなれないけど、何それ?」

 

「意味は本音が言った通り、結婚式に花嫁が青いものを付けると幸せになる言い伝えの事だ。欧米では主に花嫁のガーターに付けたりするのが一般的だ。」

 

一体どこから仕込んだ知識なのかに興味はあるが、決まったものを全部まとめて草加の携帯に送り、式を準備してくれる会社の人達にも送っておいた。

 

「じゃあ俺スーツ買いに行ってくる。」

 

「え?無いの?」

 

「俺のじゃねーよ。バジンのだ。取り敢えずデカイの買っておけば問題ないだろ。」

 

「バジンも出席するの!?」

 

「招待状はバジンの分も来てるからな」

 

一夏は驚いてる木場に、バジンの分の招待状を見せ、納得させると、スーツを買いに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~結婚式当日~

 

この結婚式には、親しいIS学園関係者とスマートブレイン関係者、そして、一夏と本音夫婦にバジンが出席している。

 

「この短期間に草加さんまで結婚するとは……。次は木場さんですか?」

 

「ちょっと!やめてくださいよ村上さん。まだ決まってませんからね!」

 

「そうですか。式を挙げる時は言ってくださいよ。それなりの余興を考えておくので。」

 

村上の考える余興とは一体……?この場に一夏の姿が見えないことから、木場の焦りは大きくなってくる。まともな余興なら良いんだけど、村上の考える余興だ。規模の予想が出来ない。

 

「ふぅ。間に合った」

 

色々と木場が不安がっていると、そこに一夏が現れた。物凄く焦ってここまで来たようだ。

 

「何やってたの?」

 

「バジンの着付け。と、その他色々」

 

そう言うと、スーツをキッチリと着こなしたバジンが現れ、関係者数名を驚かせた。

 

そんなことがあったが、取り敢えずすぐに馴染み、結婚式が執り行われた。花嫁が入場するときは父親と入ってくるのだが、生憎千冬と一夏には居ない。その為、全員のお父さん的な意味で、村上と一緒に歩いている。

 

「私たちは今、千冬さん雅人さんの結婚式を挙げようとしています。」

 

よく分からん説教の後↓

 

「それでは誓約をして頂きます。皆さまご起立ください。千冬さんと雅人さんは今結婚しようとしています。この結婚に正当な理由で異議のある方は申し出て下さい。異議がなければ今後何も言ってはなりません。」

 

当然ここで異議を申し立てるような人間は居ない。居たとしても当の昔に灰になっている。

 

「どうぞお座りください。雅人さん、貴方はこの女性を健康な時も病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか?」

 

「誓います」

 

「千冬さん、貴女はこの男性を健康な時も病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか?」

 

「誓います」

 

「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか?」

 

「「はい、捧げます」」

 

「よろしい。では、指輪の交換を」

 

色々な説明(以下略↓

 

「千冬さん、貴方はこの指輪を雅人さんに対する愛の印として受け取りますか?」

 

「受け取ります」

 

「千冬さん、貴女はこの指輪を、雅人さんに対する愛の印として彼に与えますか?」

 

「与えます」

 

「雅人さん、貴方はこの指輪を千冬さんの貴方に対する愛の印として受け取りますか?」

 

「受け取ります」

 

「では、指輪を交換してください。そして、ベールを上げて誓いのキスを」

 

ここまでは普通だ。バジンがスーツを着ていること以外は。そして楽しいのはここからだ。ブーケトス前に、一夏はすぐに移動を開始して、準備に取り掛かった。

 

「あれ?一夏は……?」

 

千冬と草加が出てくると、一夏が居ないことに気が付いたが、すぐに居なくなった理由が判明した。

 

「姉貴!草加!夫婦になった2人への祝砲だ!!」

 

ファイズになった一夏が、サイドバッシャーに乗って突然現れたのだ。

 

『Battle Mode』

 

「はあ!?」

 

「ちょ!一夏!落ち着け!!」

 

「派手に行くぜ!!」

 

ドガァーーン!!

 

サイドバッシャーをバトルモードに変え、全ての砲門を大空へ向けると、一気に発射した。何も知らない者は顔を青くしたが、それはすぐに変わった。バッシャーから放たれたのはミサイルではなく、大量の紙吹雪と日中でも綺麗に見える花火だった。

 

「成功ですね」

 

村上が仕込んだようだ。

 

「うわ!……全く……」

 

「一言くらい言えば良いのに……」

 

祝砲を打ち上げた後に行うのはアレだが、まだブーケトスが残っている。誰が取るのか見ものだ。

 

未婚の女性陣は是が非でも取りたいだろうが、千冬の投げたブーケは弧を描いて、1番後ろに居た真耶の元へと飛んでいき、丁度手元に落ちた。

 

「ほえ?」

 

「あ……」

 

「木場さん。次は貴方でしたね」

 

受け取った本人が1番ビックリして、ポカーンとしていた。

 

「真耶~!次は君達の番だぞ!!」

 

「木場!しっかり支えろよ~!!」

 

「「えぇぇぇぇ!!」」




やっぱラストは後味が悪くなる。

Nシネ・草加編はこれにて終了となります。今までこの作者にお付きあい頂き、ありがとうございました。

次はクロノスで!と気持ちよく始められる訳ではありませんが、よろしくお願いします!

感想、評価もよろしくお願いします!!まだ色々と残っている気もしますが、恐らくこれで終わりです。

そして最後に、一夏から一言

「今までこの小説を読んでくれて、ありがとうな。小説はここで終わりだが、皆が忘れない限り、物語は終わらないぜ!ここまでありがとうよ!!」


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短編集
無人島その1


ではまず、短編企画の1発目は明るい物から行きましょう。

ツッコミ所満載でお届けします。ただし、ツッコまないで下さいね。


8月5日、気温36度。湿度72度。大抵の人間なら根を上げる環境。そんな中、絶賛夏休み中の一夏達はと言うと、

 

「いっちーまだ直んないの~?」

 

「ちょっと待ってろ……あ、こりゃ無理だな」

 

IS学園の寮では、一夏の部屋に本音が来て休んでいたのだが、ドライバー片手にクーラーを分解して中身を見ていた。そして何かを諦めた。

 

「えぇ~!ここも~」

 

ここも。とは、IS学園の殆どの部屋のクーラーが異常をきたしているのだ。電子科出身の教師や用務員などは直して回っているのだが、数が足りず直した経験のある者は自分で直せと言われたのだ。一夏もその1人なのだが、

 

「ここまでブッ壊れてたら御手上げだ。ハハハ!」

 

笑っては居るが、暑さでかなりイライラしている。目が全然笑っていないのだ。キレるのは近いな。

 

「あぁ~……暑い……」

 

「風呂に水入ってるから……水浴びでもしてこい……」

 

「は~い」

 

本音は一夏に言われた通りに風呂へと向い、一夏は分解したクーラーを組み立てて、ネジを絞めている。そんな細かい作業をしていると、先程本音に言った「水浴び」と言う言葉が引っ掛かり、考えていた。

 

(水浴び……水浴びか……よし)

 

クーラーの最後のネジを絞めると、何かを思い付きスマートブレインへと向かっていった。しかし、急に居なくなると本音も驚くので、置き手紙を残していった。

 

『村上と話をしてくる。

かき氷でも食って涼んでろ。

シロップは冷蔵庫の1番手前の棚に入ってる。

メロンは残り少ないから使うなよ。

 

一夏』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな理由で訪ねられても困るんですが……」

 

「仕方無いだろ。お前しか頼れるの居ないんだから」

 

確かに、村上はかなり頼りになる。しかし流石に無理があったようだ。まぁ、確かに「暑すぎるから何とかしてくれ」は無理がある。

 

「家に行けば良いんじゃないんですか?クーラー付いてるでしょ」

 

「俺も姉貴も家に帰る日が少ないから、電気止めててな。帰ったところで使うことは出来ない」

 

「…………」

 

余りにも極端なこの姉弟の行動に、村上は言葉を失って頭を抱えてしまった。すると、今度はそこに

 

「村上!クーラーが動かなくなったぞ!」

 

「俺の部屋もです」

 

スマートブレインの社員寮のクーラーも逝かれた様だ。因みに、スマートブレインの社員寮のクーラーは結構古いものになっている為、いつ止まってもおかしくはない状況だった。何故変えなかったって?まだ使えたからだよ。それに日常的に社員寮を使っていたのはこの2人だけだ。他は社員はだいたいマイホームを持っている。

 

「…………はぁ。分かりました。どうにかしますよ」

 

常日頃からスマートブレインに多大な貢献をしている3人だ。一夏1人なら兎も角、3人まとまって来るとなると、無下に帰すわけにも行かない。

 

「スマートブレインが実験の為に買い取った無人島があります。気候的にも穏やかなので、涼むことは出来る筈ですよ。移動用のボートはこちらで出すので、それで我慢してください。」

 

無理な願いかと思っていたが、叶えてくれるようだ。村上に無理な事は無いのか?と思ってしう。むしろそれで我慢とは一体何だ?十分贅沢だと思うが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで無人島まで来たが……草加、この状況どうする?」

 

「イヤ……本当済まない。久しぶりの運転だったから慣れるのに時間がかかって……」

 

現在無人島に到着した一夏、千冬、本音、草加、木場、真耶の6人で来ているのだが、一夏以外草加の手荒な運転のお陰で完全グロッキー状態だ。全員顔を青くして出しそうになっている。何がとは聞かないでくれ。大体みんな予想した物だから。

 

「帰りは木場に運転させるか……」

 

「イヤ、もう1度チャンスをくれ。何か上手く行きそうな気がするんだ!」

 

「フラグな発言をするんじゃねーよ。沈めて泳いで日本に帰らせるつもりか?」

 

とは言え、誰もいない島にまで涼みに来たのだ。村上の言った通りこの島は気候が穏やかだ。日本より何倍もまともな環境。グロッキー状態でもすぐに回復する。

 

「さーてと!泳ぐぞ!」

 

「あの織斑先生。私もここに居て良いんでしょうか?まだ仕事も残っているのに……」

 

「構うもんか。どうせ他の教師共に押し付けられた仕事だろ。給料が上がるわけでもないのに何の特がある?人間休みは必要だからな」

 

女性陣は海にプカプカ浮かんで波に身を任せながら揺られている。そして男性陣はと言うと、

 

「飲み物は……何とか無事だな。炭酸以外」

 

「食品も大丈夫だ。肉と野菜と調味料しか無いけど…」

 

「何故か釣り竿とモリがあるぞ……」

 

食材の確認と、食事の準備をしていた。取り敢えず、魚介類は現地で捕れと言うことらしい。

 

「あ、スイカだ。木場!海で冷やしてくれ」

 

かなりの大玉のスイカだ。(スイカアームズ!大玉!ビッグバン!)←言いたかっただけ。

 

よく割れなかったな。網も付いていたので、木場に2つ手渡して海に冷やすように言った。海水で冷えるかは甚だ疑問だが。

 

スイカを渡した後、一夏はモリを持って海へと向かっていった。あれ?一夏ってモリなんか使えたっけ?海の中で脚を吊らないように十分に解して、ゴーグルを着けて海の中へと飛び込んでいった。

 

海の中はかなり澄んでいて、相当な距離を見ることが出来る。そして、魚や貝なども沢山生息している。

 

(必要な数捕れば良いか……)

 

因みに、所有者の居ない無人島等で勝手に漁をするのは法律に触れるので、自治体や役場等の水産課に許可か確認を取ってからにしましょう。

 

(あ、外した。意外と難しいな……)

 

やっぱり簡単には捕れない様だ。それからも10分ぐらいモリを放っているが、一向に捕れる感じがしない。

 

「使いにくいな。これ……」

 

初心者にも使える平均的な長さのモリなのだが……。

 

「やっぱコッチだな」

 

『555』

 

『ENTER』

 

「変身」

 

『Complete』

 

「さてと……やるか」

 

変身した重みで、海の底へと沈んでいった。一応呼吸は出来るので苦しくはない。深さは10メートルぐらいだろう。歩きながら獲物を探している。ベルトは重り代りに着けていたのだろうが、何故ファイズフォンを持っているんだ?

 

「あれ?一夏は」

 

「魚捕りに言ったよ。アッチの方向に」

 

ヤシの実らしきものを持ってきた草加が、木場に一夏の事を聞いていた。すると

 

ズドォーーン!!

 

木場の指さした方向に大きな水柱が立った。そして宙を舞っている魚や貝をアクセルフォームのファイズが掴み取っていた。

 

「「…………」」

 

よくマンガとかで見かける光景に、2人の口は開いたまま塞がらない。この状況でも女性陣は海で普通に遊んでいる。

 

そして、先程まで口の開いていた2人も、すぐにこの状況に慣れ、自分達も遊ぶことにした。羽織っていたシャツを脱ぎ捨て、千冬達の居る海へと走っていった。

 

「お、ようやく来たか!」

 

「準備は終わったんですか?」

 

「うん。スイカも冷やしてるよ。後で割ろう」

 

「やったー!あれ?いっちーは?」

 

「潜って魚捕ってたよ。もう少しで来るんじゃないかな?」

 

その後、一夏も合流して草加、千冬、本音、一夏は海で泳ぎながら遊び、泳ぐのが余り得意ではない木場と真耶は砂浜で山や完成度の高い城を作った後に浅瀬で遊んでいる。

 

これが食事をする直前まで続いた。




次回はスイカ割りとバーベキュー?的な事をします。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

ストーリーのリクエストは活動報告、ダルい方は感想と共に感想欄へお願いします。

感想欄でリクエストを見付けた方は、リクエスト単体以外の場合は報告しないようにお願いします。

あ、短編集に丁度良い企画名があったらそちらもよろしくお願いします。流石に「短編集」では寂しいので……


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無人島その2

読みにくいと言われようが書き方は変えない作者です。むしろ今更変えた所で何になると言う話ですけどねww

さてと、今日はスイカ割りです。まぁ、一夏達がやると素直にスイカ割りと言って良いのかは微妙ですけどね。


気候の穏やかな無人島。その海岸で遊んでいた一夏、本音、草加、千冬、木場、真耶の6人。暑くてジメジメした場所を離れて遊んでいたが、やはり腹は空いてくる。

 

「そろそろスイカが冷える頃じゃないか?」

 

「そうだな」

 

「じゃあ、さっきの場所に持っていって割ろうか!」

 

「やった~!!」

 

海から上がると、一夏はスイカを回収して道具の置いてある場所まで戻っていった。しかし、戻ってから気付いた。割る道具が無い。

 

「……何で割る?」

 

「そこら辺に棒とか落ちてないのか?」

 

「細いのなら一杯あるんだがな……」

 

火起し用に大量に集めてきた枯れ枝なら沢山あるが、割るのに使えそうな太い棒は全く無い。草加は棒の代りに食材を入れてきたクーラーボックスを持ち出したが、壊れたら帰りにゴミや荷物を持ち運べなくなるので止められた。

 

※環境にも影響を与えるので、ゴミのポイ捨て、ダメ。絶対。

 

「島を散策して探すか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~30分後~

 

「見付かったか?」

 

「イヤ~どんなに探しても、こんなのしか……」

 

・テニスラケットの形をした石←千冬

・赤黒い色のシミが付いた石←草加

・錆び付いたスパナ←真耶

・人間の二の腕の骨らしき物←木場

・中に4つの星がある水晶玉←本音

・刀の鞘(朽ち果てかけている)←一夏

 

まともな物がなに1つとして落ちていなかった。と言うか、いくつか事件性のあるものが拾われている気がするのだが……。それに千冬のはどんなに探しても絶対に見付からないだろ。

 

「この中から選ぶしか……」

 

「その前に、姉貴のはどこに落ちてた?」

 

「…………イヤ、そのだな」

 

「一夏、どこだって良いじゃないか。キャラが薄いからとか、余り目立たないとか言う理由じゃないんだから」

 

「ドキッ」

 

一瞬何かが聞こえたが、取り敢えずここから選ぶことにした。しかし、テニスラケットのは重たくて振ることが出来ず、石、骨、水晶玉では割ることは不可能、スパナは汚れているし、刀の鞘は一振りすればすぐに折れた。

 

もう、割るのを諦めるか別のものを使うかの2択しかない。

 

「仕方無い。木場、オーガストランザー貸せ」

 

「え?まぁ良いけど……スイカ割りじゃなくないか?それ」

 

確かに、それではスイカ割りではなく、スイカ斬りだ。しかもオーガストランザーを使うとなると、この中の1部の人間が島ごとやってしまいかねない。

 

「誰からやる?」

 

「じゃあ、真耶。行ってこい」

 

「私から!?大丈夫かな?」

 

オーガストランザーは生身でも使える様にはしているが、普通に重たい。慣れてないとフラフラする。しかも目隠しをするため、危険度が増す。

 

「仕方無い。特別リールとして、木場が一緒に付いてやれ。倒れそうな時は支えろ」

 

草加にしてはまともな提案だ。危ないなら当然と言うことになり、目隠しをした真耶の後ろを木場が歩くことにした。

 

「い、行きますよ!」

 

「頑張って~!」

 

「取り敢えず5メートル程真っ直ぐ進め!」

 

「ま、真っ直ぐ……」

 

フラつきながらだが、千冬の指示通りに真っ直ぐ進んでいく。木場もその後を着いていき、倒れそうになったときは支えている。

 

「もう少し右!そこだ!!」

 

千冬の言葉を信じて、オーガストランザーを一気に降り下ろした。だが手応えが無い。目隠しを取ってスイカを見てみると、数センチずれていた。

 

「惜しかったな真耶。次ぎは私だ」

 

真耶からオーガストランザーを受け取り、構えると「指示はいらない」と目隠しを巻きながら伝えた。自分の立っている位置から標的(スイカ)までの距離を完全に覚えたようだ。

 

オーガストランザーを構えながら無言でスイカまで歩いていった。そして、

 

「ここだ!!」

 

全力でオーガストランザーを降り下ろした。スイカは真っ二つに割れ(斬れ)、地面にもスイカを中心に3メートル程に渡って亀裂が入っている。

 

「よし!」

 

誇らしげに腕を挙げているが、見ていたメンバーは引いている。

 

「あ、割れたか。そろそろ肉類も焼けるから早く集まれ。」

 

一夏は火を起こして肉などを焼いていた様だ。割った(斬った)スイカを一夏に手渡し、焼いた物を食べに向かった。

 

スイカを切り分けて皿に盛ると、一夏も焼いた物を食べに行った。

 

「「「「「「頂きます!!」」」」」」

 

焼いてしまえば後から食べることが出来るから、あるぶん焼いておいたが、スゴいスピードで減っていく。本音だな。その次に真耶、草加となっている。本当に良く食うな……

 

「?この貝なに?」

 

「さあ?さっき砂浜に落ちてたのを砂抜きして焼いたからな。種類は分からん」

 

※種類の良く分からない貝は食べない様にしましょう。食あたりを起こします。

 

「スイカ残ってるぞ。食えるのか?」

 

「大丈夫大丈夫。デザートは別腹!!」

 

本音達の食欲に驚きつつも、出したスイカをぺろりと平らげてしまい、更に驚いた。




この後は片付けて帰りましたよ。ごみ1つ残さずに。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

皆さんは草加と千冬の子供は男の子派?女の子派?いつか子供達のファイズVSカイザをやってみたい……

あ、次回からは別の話になります。リクエストのあったものは完成できしだい出します。


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トイレでのお話

本日二度目。特に言うことは無い!


ここはスマートブレインの地下にある実験場。しかし余り使われない方の場所なので少し埃が溜まっている。そんな廊下を全力で走る者が1人。草加だ。何やら腹を押さえている。

 

「と、トイレ……!」

 

何か食べて腹を下した様だ。しかし妙だな。この世界の千冬は料理や家事などが出来る。ダークマターを錬成するとはまず無いはずだが……

 

バタン!

 

「はぁ~。間に合った……消費期限が3日過ぎたヨーグルトは食べない方が良かったな~。まさか腹を下すとは。」

 

ヨーグルトにあたったようだ。何故消費期限を3日過ぎたのに食べようとしたのだろうか?スナック系なら兎も角ヨーグルトは食べないだろう。

 

「あ~。漸く毒素が抜けてきた……。んあ?」

 

トイレットペーパーで拭こうと思い、手を伸ばしたが、何も無かった。トイレットペーパーが切れていたのだ。

 

(マジかよ!?無いし!どうする!……ん、人の気配)

 

トイレットペーパーがなく、少し絶望していた草加だが、このトイレに自分以外の人間の気配を感じた。そして紙を分けてもらうために大声で助けを求めた。

 

「すみませーん!!紙を下さい!拭けなくて大変な状況なんです!!」

 

「……紙も仏もねーよ。」

 

帰ってきた返答は、自分の求めていたのとは全くの逆の物だった。しかも入っていたのは

 

「ん?その声!一夏か!?何でここに!?」

 

「この前安売りしてた豆パンを買い込んでたんだが、消費期限が大分前で切れててな。朝から毒素を排出するのに手間取ってた……しかも紙は切れてるしよ」

 

「はぁ!?お前の所も切れてんのかよ!?まだ個室は2つあるんだ!どっちかには必ず!!」

 

「か、紙を下さい!!」

 

「ウワァァ!!」

 

草加が隣の個室を上から覗いて紙があるかを確認しようとしたが、急に悲鳴を挙げた。

 

「どうした?」

 

「な、なんか居た!村上みたいな何かが!」

 

「あ?村上?なにやってんの?」

 

「こっちに用事があったので来たのですが、急に便意に襲われて……。入ったらこの様ですよ……」

 

村上まで入って結構な時間を過ごして居たようだ。何やってんだこの3人は……

 

「仕方無い……木場でも呼ぶか……あ、ここ地下だった。電波悪いな。」

 

まさかの圏外。連絡の手段は無くなったようだ。しかしそこに足音が、これで助けを呼ぶことが出来る。しかも来てくれたのは連絡を取ろうと思っていた木場だった。

 

「木場!聞こえるか?」

 

「ん?一夏君?なにやってんの?」

 

「良いから、トイレットペーパー持ってきてくれ。3つ大至急」

 

「あぁ、紙切れてたのね。ちょっと待ってて―」

 

バタン!

 

「あ、朝食べた卵が!!」

 

「何やってんだ!お前まで!!どーすんだよ!この状況!!助けも呼べねーぞ!どうしてくれんだ!!」

 

「ご、ごめん。我慢できなくて。あぁ、楽になっていく。あ、やっぱダメだ」

 

木場もトイレに入ってしまい、誰も助けることが出来なくなってしまった。

 

「ヤベーよ。どうするよこの状況」

 

「普段使わないトイレなんかに入るからだよ……」

 

「補充させなかった私の責任でもあります……」

 

「使わないから補充させないのも納得ですけどね。それよりも取り敢えず」

 

「「「「誰か!!紙を持ってきて下さい!!!」」」」

 

ここのトイレは日常的に使われている訳ではない。その為、清掃はされるが、トイレットペーパーの補充は不十分。そして、ゴミは捨てるのがルールのこの会社では、芯はすぐに捨てるようにしている。つまり、芯を柔らかくして拭くことも出来ない。因みにウォシュレットも付いていないタイプだ。

 

「なぁお前ら、人間の腕が何故2本あるか知ってるか?それはな―」

 

「まて一夏!早まるな!!」

 

「…………」

 

「ちょっと村上さん!?真に受けないで下さい!!信じないでくださいよ!!」

 

一夏の発言で、場が一瞬乱れた。

 

「済まん。取り乱した。取り敢えず、全員持ってるもの出せ。大人が4人集まってんだ。何か使えるものくらいあるだろ」

 

「そんなものあったらとっくに拭いてるよ。俺は無いぞ。」

 

「俺もです。」

 

「あ、こんなのがありましたよ。あの紙ヤスリ」

 

((紙ヤスリだと?ふざけるな!肛門が血だらけになるわ!!))

 

「村上ナイスだな。全員に回すぞ」

 

一夏が指示をだすと、それに従い全員に回した。渡されたので一応手に取って触ってみた。

 

(嘘だろ……目が思ってたのより3倍荒い!!マジで肛門がシャア専用機みたいに赤くなるわ!!)

 

(しかも両面!!片方を使うことも出来ない!!)

 

流石に無理と判断し、草加と木場は自分の内ポケットを漁ってみた。

 

((ん?写真?って、これ紙じゃねーか!イヤでも))

 

2人の取り出した写真。それは千冬の写真と真耶の写真だ。何故真耶の写真を持ってるかって?一夏から「いい加減身を固めろ」との事で見合いを進められた相手だからだ。ここで共通の知り合いの上に自分の副担の教師を差し出す一夏の神経がどれ程図太いかが分かる。

 

(どっちで行く!?)

 

(写真かヤスリか!どっちで!!)

 

((写真!ヤスリ!写真!ヤスリ!写真!ヤスリ!))

 

「「ッ!!」」

 

両端のトイレから水を流す音が聞こえた。そして中から草加と木場が出てきた。お互いに目を合わせると、何かを悟った様な目をしていた。そして

 

ブシャァァ!!

 

尻から血を噴き出してお互いに倒れた。

 

「あの2人逝ったな」

 

「えぇ。逝きましたね」

 

紙ヤスリで行ったのを確認すると、自分達は安全策を取ることにした。だって目の前の2人が紙ヤスリで逝ったもん。

 

仕方無く、一夏は財布から1000円札を、村上は午後かの会議で使う重要な資料を使って個室から出てきた。

 

「傷は大きかったな」

 

「失った物もですけどね」

 

その後、2人を抱えてトイレから出ていき、肛門の手当てをした。そして、使わないトイレだろうとトイレットペーパーの補充は完璧にするようにと、係りの人間に義務付け、2度とこんなことが起きないようにした。




完全ギャグですね。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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徹夜した上での深夜のテンションと開発業務

今日はリクエストのあったものです。リクエストをくださった「たけじんマン」さん、ありがとうございました



「では、新装備の開発は草加さんと木場さんに一任します。開発スタッフと協力して下さい。経費等はこの書類に書いてあるので、目を通しておいて下さい。」

 

今日は量産型に付ける新装備の開発の会議。この前村上がトイレで書類を使ってしまった為、少し延びて今日になった。

 

「「えぇ~」」

 

新装備の開発なら、大体担当する人は喜ぶのだが、この2人は全く乗り気ではなかった。それもその筈、2人が開発業務に関わると、大体最低でも3日は徹夜するはめになるからだ。そして、作業中は平均睡眠時間が1時間を切る。

 

その理由は、案が出すぎてまとめられず、アレもこれもと言っている内に3日の時間が過ぎるのだ。しかも完成したらその都度実験が必要で、2人からしたら面倒なことこの上無い業務なのだ。

 

しかし、そんなことで決められた事は変えることが出来ない。幸か不幸か、開発期間は約1ヶ月ある。完成できなくても、ある程度のデータと物が出来れば良い。適度に気を抜きながら作業を行えば良いのだ。2人の性格上無理な話だがな。

 

新装備の内容

 

・量産型ギア、ライオトルーパーに付ける装備。目立たず攻撃力のあるもの。

 

・全てのギアへの転用が可能。

 

製作期間 1ヶ月ちょい。

 

「「はぁ~……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ~てと……何から作るか……」

 

「身近にあるもので良いんじゃない?」

 

早速開発室に籠り、何をベースに作るかを考え始めた、木場は身近なものと言っているが、草加的には新しいものを作った方が良いと思っている。しかし、現状では案が浮かんでこないので、木場の提案通りに身近にあるもので考えた。

 

「グランインパクトの小型化とかか?」

 

「あぁ~良いかもね。早速やってみようか」

 

そう言って、ファイズショットとカイザショットの設計図を引っ張り出して、そこから色々と考え始めたが、アレでも最大限小型化した物だ。流石にそこから更に小型化するのは骨が折れる。

 

しかし、提案してしまった以上やるしかない。ゲンナリしながらパソコンの画面と睨み合いなが、作業をこなしていく。思った以上に進まないがな。

 

威力の設定を下げたり、付いているカメラ機能を取り外したりと、現在以上に小型化して目立たない様にしているが、そうすると攻撃力がファイズのグランインパクトよりも威力が下がってしまう。どう頑張っても3トンが限界だった。

 

ここまでの作業で既に1日経っている。

 

「なぁ、これって外付けじゃなくて、最初からベルトの中にシステムの一部として組み込んでおけば良いんじゃないか?」

 

「あ……」

 

草加に言われて気付いたようだ。確かに、後から外に付けるよりも最初から中に入れておけば目立たないし、物を作る必要も無い。しかし、それを形が完成する前に言ってほしかった。

 

だが出来てしまった物は仕方無い。実際に使ってみるしかない。草加をカイザに変身させて、取り敢えず使わせてみた。木場のオーガでも良かったが、ベースにしているのはファイズとカイザなので草加に頼んだ。

 

「どう?」

 

「スゴく微妙……」

 

まぁ、普段からファイズ以上に強力な技を使えるカイザからしたら、わずか3トンの攻撃など風船に水を入れて3つ持つのと同じくらいに微妙なんだろう。流石にこれが新装備だとしたらショボ過ぎる。

 

グランインパクトの小型化の案が出るまで1日、設計図を作るのに1日と半分、完成に1日、実証実験に半日。この段階で4日かかっている。しかもいつでも作業できる様にほとんど寝ていない。

 

「はぁ……没になったらドッと疲れが出てきたな……」

 

「……次は何にする?」

 

この後も2人は新装備のアイディアを出そうとして、寝ずに考えまくった。クリムゾンスマッシュ・ゴルドスマッシュの小型化や先程のグランインパクト小型化のを脚に付けようや、スパークルカットやカイザスラッシュの簡易的な物など、現状で考えられる簡単な物を出したが、ほとんど量産型が使う装備だ。威力とか色々と問題があってどれも没になった。

 

実際に作ってはいないが、各設計図を引っ張り出して新しい設計図を作ったり、作る1歩手前まで作業をしたりしたので、かなりの時間が過ぎ去った。

 

ここまでに既に2週間の時間が経っている。そして、ほとんど寝ていない。

 

「あぁ~。もう眠い!眠すぎて訳分かんねー!!」

 

「これ終わったらサーカスに寝に行こうか~!!」

 

2週間不眠不休で作業をすると、人間のテンションは壊れてくるみたいだ。寝るためにサーカスに行くってどう言う事だ?

 

ちなみに最初の発言が草加で、次が木場のだ。

 

「と言うか寝るのに適したサーカスってなんだ?」

 

「劇団○季でしょ!」

 

「な・る・ほ・ど!!それだな!!」

 

「と言うわけでプラネタリウムへ行こうか~!!!」

 

何故?さっきまでサーカスへ行こうと言っていたのに、どうやってプラネタリウムになったのだろうか……。小さな疑問なので、この際無視するが。

 

「ん?何だこの本……」

 

マジンガー○(←○の位置間違ってる)のコミック本だった。何故こんなものがここにあるのかは疑問だが、手に取って読んでみた。すると、

 

「ロケットパンチに目からビームはどうだ!?」

 

開いて読んでいた描写に調度それがあったようだ。もう出てこない案。不眠不休の疲れ。そして深夜のテンション。これが揃えば草加の無茶な提案も受け入れられてしまう。

 

「よーし!残りの時間でそれを作ろうか!!」

 

「「「「オー!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレから数日。草加のブッ飛んだ提案が受け入れられ、完成させたこの日、作業終了と同時に草加と木場が倒れたので、コミック本を持ってきた人が代わりに色々とまとめた書類を持って村上の居る社長室に入った。

 

「ロケットパンチと目からビーム……」

 

「もう、皆のテンションがおかしくなって、完成しちゃいました」

 

コスト的には問題は無い。正直言って採用したいと言うのが本音だが、間違いなく関係各所に怒られる。

 

「まぁ、その。色々とアレなので、今回は採用を見送らせて貰います。」

 

まぁ、当然の判断だな。




深夜のテンションと言うか、私のテンションがおかしいのでこうなってしまいました……。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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バジンは万能

最近、友人と「最近のアニメ、男子キャラの方が天使じゃね?特にワートリの空閑と三雲とか」と話してたら、「小説の投稿を1週間休んで脳みそをまともにしろ」と言われました。

……解せぬ

『』はバジンのプラカードの内容。()はバジンの内心?的な物です。

ネタは、aki ecoさんの提供でお送りします。リクエスト通りになってるかは分かりませんけどね……


「あ、卵ない……」

 

卵の料理を作ろうとして冷蔵庫を開けたが、中を見ると調度卵がきれていた。最近店の方が忙しくて買い物なんか全くしていなかった。よく見ると卵以外にも色々と足りなくなっている。

 

「バジン。買い物頼めるか?」

 

本音は子供の世話、一夏は店の仕込み。現時点で買い物に行けるのはバジンだけだ。一夏が呼ぶとすぐに現れ、冷蔵庫を開けて中を覗いた。

 

『卵以外にも色々と無くなってるな。ついでに買ってくる。』

 

「あぁ。頼む」

 

一々メールを送るのも面倒なので、普段はプラカードで話すようにしている。以外にも字は達筆だ。

 

メモ用紙に買うものを書いて、自分の着けてるエプロンのポケットにしまい、買い物かごを持って出掛けていった。エプロン姿が意外と似合っている。

 

「あれ?バジンは~?」

 

「買い物に行って貰った。用事でもあったのか?」

 

「うん。オムツ買いに行くから、一音を少し見てもらおうと思って~」

 

因みに、バジンは子育てもお手の物だ。子守唄以外だけど。

 

「なら買ってきて貰うか。メールで連絡出来るからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ん?メール?……パンパース追加か。)

 

一夏からのメールを確認すると、時計を見て今の時間などを把握した。幸い、卵やその他食品のタイムセールまでにはまだ時間があるので、追加で頼まれたパンパースの方を先に買いに行こうとした。

 

タイムセールの時間はチラシで全て把握している。完璧に安く手に入る様に全力を出しているのだ。お陰で無駄な出費は最小限に抑えられている。

 

タイムセールまでに買うため、急いで向かおうとしたのだが、バジンの目に厄介事が映った。

 

「困ります。止めてください!」

 

「良いじゃんちょっとぐらい!すぐ終わるから!」

 

「困りますって!離して下さい!」

 

典型的なナンパをするチャラい男と、嫌がっている女性だ。何もこんなところでやらなくても……。

 

(路地裏とかでやれよ……ん?大麻やら違法薬物の反応が……)

 

金髪の男が無理矢理に眼鏡をかけた三つ編みの女性を連れていこうとしたので、流石に見過ごすことも出来なくなり、止めに入り、男の肩を掴んで、プラカードで止めるように伝えた。

 

「は?何だテメェ?変な格好して。ふざけてんのか?」

 

『断じてふざけてはいない。休日の真っ昼間から女性を無理矢理連れていこうとする人間よりはマシだ。』

 

「余計なお世話だ!お前には関係ないだろ!!」

 

『大いにある。これからの買い物を不快な気持ちで行いたくない。出会いが欲しいのならサイトにでも登録したらどうだ?そっちの方が確実だぞ。』

 

真面目に言っているのか、それともバカにしているのかは分からないが、確実に言えることは1つ。バジンに悪気は無い事だ。

 

「テメェ……やっぱふざけてるだろ!!」

 

女性を無理矢理掴んでいた腕を離し、バジンを全力で殴った。

 

カァーーン!!

 

「イッテーーー!!!!」

 

そりゃそうだ。金属を全力で殴ったのだ。怪我をしなかったのが奇跡だと言える。

 

『怪我するぞ。』

 

「チッ!覚えてろよ!!」

 

相手をしたら自滅すると悟ったようだ。よく耳にする台詞を吐きながら逃げていった。因みに数日後、この男は捕まったそうだ。何でも、交番にロボットが似顔絵を描いて提出してくれたそうだ。探してた人物だったので、スゴく感謝された。

 

「あ、あの……ありがとうございました」

 

『服、貸してください。』

 

「え?」

 

近くにある座れる場所に腰をかけ、ポケットから裁縫セットを出して、服を縫い始めた。乱暴に捕まれたときに1部破れてボタンも外れたようだ。

 

(直ったな)

 

裁縫セットをしまい、縫い付けた服を返した。

 

『少し雑ですが、直しました。』

 

「ありがとうございます!裁縫、上手なんですね」

 

少し雑と言っていたが、そんなことはなく綺麗に縫い付けられていた。破れた箇所も同じ色の糸で縫われている為、余り目立たない。

 

『家まで送りましょう。私はまだ時間があるので。』

 

「はい。ありがとうございます!」

 

その後、雑談(バジンはプラカードで)をしながら約1時間ほど歩いて家まで送った。バイクの状態ではなく、人型の状態でだ。しかも着いた家はかなり大きかった。

 

(あれ?ここって……)

 

スゴく見覚えのある家だ。最近でも半年に1回、数年前なら2週間に1回は来ていた場所だ。

 

「あら?虚帰ってきてたの?」

 

「あ、母さん。ただいま」

 

「おかえりなさい。バジンちゃんも久しぶり~」

 

『お久しぶりです。』

 

本音の家だった。コース的にバジンも「あれ?」と思っていたが、何度か来た場所だった。

 

「知り合いなの?」

 

「知り合いも何も、彼、一夏君のバイクよ」

 

「え?……えぇぇぇぇ!!!」

 

悪くない反応だ。言われてみれば、学生時代に全校生徒の前では人型になったことは少ない。知らなくても当然だ。それに、本音の家に来るときもバイクの姿だ。知らなくて当然かもしれない。

 

『そろそろタイムセールなので、失礼します。』

 

「うん。また今度みんなと来てね」

 

軽く頭を下げると、急いでスーパーに走っていった。卵のタイムセールには間に合ったが、長ネギとニンジンは間に合わなかった。が、特に必要と言う訳ではないので、また別の日に買うことにした。

 

「5387円になります」

 

『6087円で。』

 

「700円のお返しです。またお越しください」

 

(あ、パンパース忘れた……)

 

仕方無く、たまにしか寄らない薬局に買いによった。ポイントは余り溜まらなかったがな。

 

『頼まれた物は買ってきたぞ。』

 

「あぁ。サンキュー」

 

『後、たまには本音の家に顔を出してこい。』

 

「は?」

 

伝言を伝えると、エプロンを洗濯機の中に入れて、自分は車庫の中でバイクに戻って休んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~1ヶ月後~

 

「この日にでも出掛けるか」

 

「そうだね~。どこに行こっか~?」

 

カレンダーを見ながら、一夏と本音が予定を立てていた。バジンに言われて本音の家にも行くようだ。しかし、何故か既に予定の入ってある場所がある。

 

「ん?バジンか?」

 

『その日は俺の予定だ。少し出掛けてくる。』

 

「珍しいな。デートか何かか?なーんてな」

 

『まぁそんなもんだ。』

 

「「え……」」




最近体調がおかしいので、中途半端に終わることがありますが、ご了承下さい。

バジンの彼女?デート相手?に関しては、まぁお分かり頂けたかと……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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超絶季節外れネタ

ネタを作れない作者のやること。それは季節外れネタ!

と言うわけで、今日はバレンタインです。……滅べ。

そして、村上の秘密が1つ明らかに……


今日はバレンタイン。世の中の男子高校生やまだ現実を知らない無垢な子供たちが、テンションを上げたり下げたりするこの日。一夏の開いた「お食事処 織斑」はと言うと……

 

「一音!会計頼む!」

 

「おう!」

 

「バジン!注文聞いてきてくれ!本音はこれを持っていってくれ!!」

 

『了解!』

 

「は~い!」

 

一家総出で店を回していた。何故普通の料理屋である一夏の店がここまで大変な状態になっているか。それは、2年前に一夏がノリで始めたチョコレートのおまけ発売が切っ掛けである。

 

2年前のバレンタインの時に、「バレンタインだしやってみるか」で、一夏特製のチョコレートを作って販売したところ、味や評価がよく、この日は訳が分からないほど人が来るのだ。

 

「親父……何でこんなイベント考えたんだ……」

 

「ノリと勢いでやったら……後に引けなくなった……」

 

「すいませーん。特製チョコレート3箱下さーい!」

 

「はーい!3箱で2100円になりまーす!」

 

因みに、1箱700円と少し高めだが、中には6つ入っており、どれも専門店に負けない味だ。しかもランダムのため楽しむことも出来る。

 

そして、頼んだ料理の量で割り引きが付く。これも人気の秘密だ。しかし、それが原因で今や自分の首を絞めてることになる。

 

料理の味とチョコレートの完成度。共に高いこの2つがあるお陰で、2年前からこの日とクリスマス、そして正月は集客率がおかしいのだ。クリスマスはケーキ。正月はおせち料理だ。

 

その時、一夏のファイズフォンに電話が入った。

 

「もしもし!」

 

『村上です。今日の閉店時間は6時でしたっけ?』

 

「あぁそうだよ!こんなクソ忙しいときに電話しやがって!何の用だ!?」

 

『それはスマートブレインに来てからのお楽しみです。家族全員で来てください。じゃ』

 

「あ、切りやがった……」

 

一方的に連絡を言って、一方的に切られた。何故?

 

「すみません。このハートのチョコ、ラッピングとメッセージ入りにしてもらますか?」

 

「あれ?ツッキーここで良いアルか?」

 

「ここの方がそこらの店よりも味が良いからな。銀時達には日頃から世話になっている。ついでならお前も渡しやすいだろ。」

 

常連が来た。このタイミングで、珍しくこの2人が来た。素が出てしまいそうだ。

 

「これで良いのか?少し高いぞ。」

 

ハート型のチョコレートは1つ800円と高めだ。だがメッセージとラッピングは無料でサービスしてくれる。

 

「構わん。それで頼む」

 

~5分後~

 

「お待たせ。メッセージはこれで良いだろ」

 

『銀時へ、愛を込めて。ツッキーより』

 

「なんじゃ!これは!?」

 

「あぶね!」

 

叩き割られそうになったので、そいで避難させた。このメッセージに何か不満があったのだろうか?

 

「商品なんだから割ろうとすんなよ」

 

「じゃあなんじゃ!このメッセージは!?」

 

「銀さんもそろそろ身を固める歳だし。あんたも惚れてんだから、さっさとくっ付け。2人で店に来る度に俺達も客も思ってることなんだから」

 

その光景を知っている客達とバジン、本音、一音が、一斉に頷いた。

 

「だからって何でわっちじゃ!!神楽でも同じ様なものじゃろ!!」

 

「私は親子として見られてるネ。それに心に決めた人が居るアル。そう言うのは万事屋の母親として新八に頼むネ」

 

「んなことしたら作品が変わるわ!」

 

「大丈夫ネ。この小説はバトル、ギャグ、恋愛、クロスオーバーの他にも、エリーやアフロみたいなプラカードで喋るロボットが居るネ。今更BLのタグが加わった所で、読者は驚かないアル。1つにまとめられなかった作者の責任ネ」

 

「やめろ!そこデリケートな所だから!!」

 

どうでも良いけど、お前ら物凄くメタいぞ。そして俺をディスるな。一夏はツッコむのは良いが、俺のフォローにはなってないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、閉店の夜6時。家族揃って一夏達はスマートブレインに向かった。すると、入り口で草加夫婦と木場、真耶と出くわした。

 

「あれ?みんなも呼ばれてたの?」

 

「あぁ。忙しいときにな……」

 

何か怪しいと思いつつも、全員で社長室に向い用件を聞きに行った。

 

「やっと来ましたね」

 

「それで何の用だ?下らん事だったら許さないぞ」

 

「まぁまぁ落ち着いて。今日はバレンタインですので、私からのささやかな贈り物です」

 

そう言うと、全員に綺麗にラッピングされたチョコレートが配られた。見た目も良く、味も良さそうだ。

 

「あんたが作ったのか?」

 

「えぇ。昨日久し振りに家に帰ったときに妻と娘と一緒に。」

 

「「「えぇぇ!!!娘!!?」」」

 

みんな驚いた。社員である草加や木場ですら知らなかったようだ。

 

「言ってませんでしたっけ?」

 

「初耳だよ」

 

「今年大学生になる娘が居ましてね。昨日一緒に作りました」

 

実に嬉しそうに言っているが、一夏達は処理堕ちしている。まだ完全に飲み込めていないようだ。

 

「味は保証するので、食べてみて下さい」

 

「あ、あぁ……」

 

恐る恐るだが、1つとって口に入れてみた。確かにメチャクチャ旨かった。酸味と苦味、甘味が調度良かった。売っているものと言われても、納得できる完成度だった。




誰が一夏達の甘いストーリーを書くと言った?今日はこんなストーリーでした。バレンタインの話なので、銀魂のキャラも出してみました。誰かはお分かりですよね?

次回もお楽しみに!!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

あ、クリスマスや正月は書きませんよ。多分。これと似たストーリーなので。

因みに、ちゃんとそれぞれのヒロインからチョコレート等は貰っています。何故「等」かって?1人だけ確実に違うからだよ。


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木場勇治編
白騎士事件


ヤバい……休みすぎた……

村上の秘密がもう1つ明かされます。

あ、言っときますけど作者はシリアス書くのが苦手なので、ご了承下さい。

余り期待しないでね

あ、木場の愛車のシーマは車検中です。


「じゃあ、今日はバジン借りるね」

 

「あぁ。気を付けて行ってこいよ。墓参り」

 

この日は、沢山の命が「理由の無い悪意」によって奪われた日。木場と草加からしたら、頭の中から切り取りたい、人生で最大の悲劇が起こった日。

 

もう10年以上の時間が流れたが、あの日、あの場所で起こったことがいかに風化しようとも、世界から忘れられることは無い。消えない程に深い爪痕を残した事件。

 

後に『白騎士事件』と言われる、世界にISの実力を世界中の人間に刷り込ませた事件だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~し!客の入りも上々だな!この調子ならいずれ武道館ライブも夢じゃねーな!!」

 

「何言ってんだよ海堂。今日だって50人しか入ってなかったじゃないか」

 

「良いんだよ!この前と比べて倍の人数になったんだぜ。ようやく、時代がこの俺様に追い付いたんだよ」

 

どや顔で言っているが、実は今日で半年目だ。作者的には多いかは分からないが、良くここまで根気強く続けた物だ。

 

しかし、2人は人数の事なんか全く気にしていない様だ。海堂は曲の演奏を楽しみ、木場はその曲を楽しむ。とても理想的な構図だ。

 

「今度は俺様の新曲を聞かせてやるよ。期待してろよ~!」

 

「新曲か……まぁ、期待しとくよ。クラシックギターならね」

 

「おう!ってそっちかよ!!」

 

誰もが平和に暮らし、将来を語り合い、夢を語り合い、それぞれの理想とする自分へと歩んでいるこの時。誰も思っていなかった筈だ。この平和な日常が一瞬にして破壊され、大切な物をなくし、心が引き裂かれるとは。

 

「そう言やー、アイツどうした?」

 

「あぁ結花?今日は啓太郎君とデートの筈だよ。遊園地に行ったんだったかな?」

 

「ったく、この俺の大切なライブを放おっておいてデートかよ。いい身分だな」

 

「そう言うなよ。ようやくお互いに気持ちが通じあったんだぞ。祝ってやれよ」

 

「だーれが。んなもん祝うかよ!」

 

口ではそんなことを言っているが、実際はとても嬉しそうだ。実際、顔が少し緩んでいる。相変わらず素直じゃないな。

 

「そうだ。明日買い物に行くから手伝ってくれよ」

 

「えぇ~……」

 

「仕方無いだろ。3人で暮らしてるんだから物の消費が激しいんだ。それにお祝いもまだしてないんだから」

 

実はこの3人、幼い頃からの付き合いで今は3人で一緒に暮らしているのだ。近所で有名な仲良しグループがそのまま大人になったような感じだ。通う学校が変わっても、3人は変わらず仲良しだった。

 

海堂は音大を卒業後にバイトをしながら演奏を。木場は大学院生で合間を見てバイトしている。長田は大学を卒業したら近所のクリーニング屋に就職し、働いている。

 

「で?何買うんだ?」

 

「取り敢えず、食材とシャンプーとトイレットペーパーだね。野菜も底を尽いたから買わないと……」

 

「おっと!なら玉ねぎは買うなよ。俺様は―」

 

「分かってるよ。苦手なんだろ」

 

「違う!嫌いなの。お分かり?」

 

「はいはい。分かったって」

 

どこでも見るような、日常的な会話だが、誰もが理想とする様なやり取りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、買い物に行くのだが、買い物の前に銀行に寄ることにした。何故かって?どう言ったわけか、昨日の夜に家の中を確認したら、やたらと物が切れてたからだ。お陰でなけなしの貯金を崩した。

 

「何か……行く前からやる気失せたな……」

 

「ごめんなさい!昨日色々と気付いちゃって……」

 

「イヤ、俺が確認を適当にしたからだよ……」

 

物凄い気の落ち込みようである。まぁ、確かに買い物前夜に気付いて、貯金をおろせばテンションは下がるが、いくらなんでも下がりすぎだろ。

 

「ま、まぁ、少し余分にいろんな物を買おうか。今日は俺が料理を作るよ」

 

「それは楽しみだな!お前の料理は当たりと外れの差が激しいけど」

 

「そんなことを無いだろ!海堂の料理よりはマシだ!」

 

「おいコラ木場。俺様の本気を知らずに料理をディスるな」

 

「本気って……この前魚を三枚に卸そうとしてズタボロにしたばっかりだろ」

 

「それは素直に切られなかった魚の問題だ」

 

「大丈夫ですよ海堂さん。海堂さんの料理は不格好ですけど、味は個性的で食べられますから!」

 

「お前……それフォローになってないからな」

 

木場の運転するシーマの中では、この様なやり取りが行われていた。本当に仲良いな。だがここで、大きなサイレンが鳴り響いた。

 

「何だこのサイレン?」

 

「国民保護サイレン……!」

 

国民保護サイレン、恐らく聞いたことがあるのは、興味があって調べた人や、動画サイトで流された物を聞いたことある人以外は知らないだろう。

 

国民保護とは、ジュネーブ条約第一追加議定書及び第二議定書すなわち民間防衛条約に基づき、日本に戦争などの有事から文民を保護するために整備した武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律だ。

 

しかしこれが流れたと言うことは……

 

「木場止まれ!!!」

 

ドカァーーン!!!!!

 

「「「ウワッ!?」」」

 

海堂が止めてくれなかったら、確実に死んでいただろう。

 

「ミサイル……?」

 

木場達は車から出ると、周りを見渡した。そこには自分達と同じ様に、突然のミサイルに驚き呆然としている人がたくさんいた。

 

「おい。あそこ」

 

先程のミサイルはビルに当たり、その瓦礫の下に車が埋もれていた。その中には人もいて、それを海堂が見付けたのだ。

 

「ッ!大丈夫ですか!?海堂、そっちの瓦礫持ってくれ」

 

「おう!」

 

車のドアの部分を覆っている瓦礫を退かして、海堂がドアを全力で外した。そこから木場が中に入り込み、長田が中の人を外へと運び込んだ。

 

助け出して病院へと運ぼうとしたが、ある男性が空を指差しながら怯えたように声を出した。

 

「お、おいおい……何だよ……あれ……」

 

その言葉を聞くと、その場にいた誰もが空を見上げる。すると、そこには自分の目を疑う光景が広がっていた。大量のミサイルが迫ってきていたのだ。そして、その中心に人型の何かが浮遊していた。

 

「に、逃げろ!!!」

 

誰かは分からない。しかし、さっきの国民保護サイレンと目の前に広がる光景。恐怖に刈られた人達は叫びながら逃げ、それを見た人達にも恐怖が伝染して一気にパニックになった。

 

浮遊している人型の物はミサイルを破壊しているが、大量にこぼしている上に、破壊した破片が地上に降り注ぎ、危険度が増している。

 

木場たちも逃げているが、辺りから聞こえてくるのは爆発音と悲鳴。この時点で既に沢山の人が死んでいる。

 

「ウワ!」

 

「おい!大丈夫か!!」

 

自分の近くで倒れた子供を助けに、海堂が走って助けに向かった。転んだときに脚を怪我したようだ。その場から逃げるために担いで走っていった。

 

「海堂!その子は?」

 

「知るか!さっさと逃げるぞ!!」

 

全力で走って逃げる。しかし、爆発が収まる気配はない。今、木場達のいる場所は爆発が起きていないが、建物には亀裂が入りまくっているし、ミサイルはまだ大量に飛んでいる。

 

「あれ?さっきの子は?」

 

「母親が居たからそっちに行かせたよ」

 

「ここも危険です。早く行きましょう!」

 

長田の言葉も確かだ。この場所も危険だ。急いでその場を離れようとしたのだが……

 

「ッ!危ない!!」

 

「「ウワッ!?」」

 

長田がビルの瓦礫が落ちてくるのに気付くと、2人の身代わりとなり助けた。

 

「ッ!結花!!」

 

「おい!!」

 

更に不幸が重なり、そこに今度は大量のミサイルが飛んできた。

 

「木場!逃げるぞ!!」

 

「でも結花が!」

 

「んな事言ってる場合か!!悪いけど、俺は逃げるぞ」

 

海堂は逃げるためにその場から離れるが、木場は瓦礫の中から長田を助け出すために瓦礫を退かしている。しかし、ミサイルは迫ってくる。早く逃げなくては木場自身も危険だ。

 

「ったく、ちゃんと受け身とれよ!!!」

 

「え?ウワッ!」

 

木場を全力で蹴り飛ばした。

 

「じゃ~な」

 

「海堂!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後にミサイルが着弾し、全てが吹っ飛んだ。そして、次に目が覚めたのは、病院の様な施設だった。目が覚めたのを確認されると、ある部屋へと通された。

 

「木場勇治さんですね」

 

「はい……貴方方は……?」

 

「国の者です。本日は貴方に用件があって来ました。」

 

通された部屋には、スーツを着た男性が2人並ぶように座っていた。

 

「まず初めに、ご友人2人の事、お悔やみ申し上げます。が、今回の事件で2人が亡くなったことは公表しないで頂きたい。」

 

「……どう言う事ですか?」

 

「ミサイルを破壊していた人型の物体。あれはISと言う物です。つい最近学会で発表されたマルチパワードスーツ。今回のミサイル破壊の性能から、今から世界はISの時代に入ります。」

 

「そこで、ISにとって不利益な情報は公開しないで貰いたいのです」

 

「ナッ!?」

 

「勿論ただでとは言いません。こちらをどうぞ。望むのであれば、更に金額を追加することが出来ます」

 

木場の目の前に出されたのは、大量の金が入ったケースだった。そのケースは後6つある。人の死を金で買うようだ。確かに、それだけの金を出されれば大抵の人間は金を受け取り、死んだ家族や友人、恋人の事は忘れて第2の人生を歩もうとするだろう。しかし

 

「ふざけないで下さい!!そんなこと、頷くとでも思ってるんですか!?いくら金を積まれよとも、俺の友達の死は売らない!事実は全て公表させてもらう!!話は終りだ!!!」

 

人の死を金で買おうとする国のやり方に怒り、全てを公表すると言って部屋から出ていき、自分が寝ていた部屋に戻った。しかし、部屋に入ると同時に膝から崩れ、大声で泣き叫んだ。

 

「あぁぁあぁああぁあぁあ!!!何で!何で俺だけが!何で俺だけが生きてるんだ!!何で生きてるべき2人がここに居ないんだ!!何で……!新曲を聞かせてくれるんじゃなかったのか!!海堂!!もっと幸せになるべきだっただろ!結花!!何で俺はここに居るんだ……!」

 

状況や、彼らの身の上を知らない者は言葉を掛けて慰めることが出来るかもしれない。しかし、彼らの事を知っている者や、あの場所で起こったことを知っている者はそれができない。

 

その夜。木場は自分の病室にただなら無い気配を感じて目を覚ました。そこにはナイフを構え、自分を刺し殺そうとしていた男が居た。

 

「ッ!?誰だ!!」

 

間一髪で避けて、相手の正体を確認しようとしたが、何も言わずに再び構えて自分に刺してきた。

 

「チィッ!!」

 

ベッドを蹴って相手に当てると、窓から逃げ出した。しかし、何故かそこは森の中。どうやら、あの事件で被害に遭った人はここに収容されていたようだ。

 

だが、どこであろうと構わない。ここで自分は死ぬわけにはいかない。そう思い必死で逃げた。だが、

 

「ッ!?拳銃……!」

 

木の陰に隠れていたが、そこを狙われた。場所はバレている様だ。離れようと逃げるが、今度は全く別の方向から銃弾が飛んできた。他にも隠れている様だ。

 

「ガぁ!アァ……」

 

銃弾を受け倒れてしまった。するとさっきの男がまたナイフを構えて近付いてトドメをさそうとした。木場はもうダメだと思った。だが、

 

「下の下ですね。はぁ!」

 

「え?」

 

木場を刺そうとした男の腕を掴んで止めたのが居た。しかし身体に赤いラインが走っており、顔の部分は黄色い複眼。とても人間には見えない。

 

「公安も随分と手荒な事をしますね。民主主義国家が聞いて呆れる」

 

ナイフを持った男の腹部に拳を入れて、意識を刈り取った。そして今度は、ファイズフォンをベルトからとってコードを打ち込み、ポインターも付けた。

 

「隠れるならもっと上手く隠れたらどうですか?」

 

誰も居ない場所に構えて、撃ち抜いた。すると、短いに悲鳴を上げて男が倒れた。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「貴方は……ウッ!……」

 

木場を担いで、ファイズは暗闇の中へと消えて行った。




最近更新に間があいてしまい申し訳ありません。何故か体調の悪い日が続いて、とても更新できる状態ではありませんでした……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

近々、お気に入り登録400人突破を記念して、キャストトークショーの様な座談会を行おうと思っています。登場キャラは一夏、本音、草加の3人とあらかじめ声をかけさせて頂いたユーザー様が参加します。そちらもお楽しみに!

……しばらくファイズ見てないから、木場達3人のテンション忘れた……

木場さん、映画だと長田さんの事「結花」で呼んでたけど、テレビ本編だと長田さん何だよな~……


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スマートブレイン

また1日休んでしまった……

あ、前回登場したファイズ。あれ初代です。2代目が木場さんで、3代目が一夏です。

そして仮面ライダーもエグゼイドからビルドへとバトンタッチ。新しい時代が来週から始動!初っ端から鳥肌要素ぶち込みまくってたけど……

※今日は短いです。


白騎士事件で大切な物を失い、全てを公表すると言った木場。しかしそれが原因で公安に命を狙われる事となる。襲われて命を失いかけたが、暗闇に現れた存在に助けられた。

 

「……ここは……?」

 

「身体は大丈夫ですか?」

 

「……はい。貴方は?政府関係者には見えませんけど」

 

「自己紹介が遅れました。私はスマートブレイン社長の村上です。ここでは話しにくいので、社長室に行きましょう」

 

確かにここはスマートブレインの中にある病室的な場所。他にも寝ている人がたくさんいる。怪我の具合からして恐らく白騎士事件の被害者たちだろう。

 

社長室へと通された木場は、政府と言う前例があるために警戒している。また金の入ったケースや友人の死を無かったことにしろ等と言われる可能性もある。警戒するのは当然だ。

 

「では、まずスマートブレインについて知っていることはありますか?」

 

「え?まぁ、新エネルギーの開発と実験。そして開発したエネルギーの運用方法の公案……だったはずですよね?」

 

全く予想外の質問をされたので戸惑ったが、自分が知っているスマートブレインの情報を話した。それには間違いは無いと言ったが、木場の目の前に1つのベルトを出した。

 

「これは?」

 

「ファイズギア。いくつか存在するライダーズギアの1つです。2日前に貴方を助けたときにもこれを使用しました」

 

「……スマートブレインは……一体……」

 

「スマートブレイン発足時の最初の研究で発明した新エネルギー。従来の物とは違い、少量でも爆発的なエネルギーを生み出すフォトンブラッド。これの安全な運用と製品の開発を行っています。表向きはね」

 

「表向きは?」

 

「貴方も見たように、フォトンブラッドをこのように今は使っています。ISが発表されてから急ピッチで作ったので問題が色々とありますけどね」

 

1番最初に出来たスマートブレインの発明。そしてISが発表されてから急ピッチで作ったライダーズギア。流石に飲み込むまで少し時間がいる。

 

「ISには既にとんでもない欠陥が報告されています。女性にしか使えないと言う欠陥です。それ以外にも発表時に宇宙開発用にはあってはならない欠陥が沢山あった。なのにそれを世に出してしまった。それは止めなかった私達科学者の責任でもあります。」

 

「しかし、それとこのベルトに何の関係があるんですか?いくら開発者の暴走を止められなかったとは言え、これも兵器だ。ISと変わらない、人の命を奪う物だ」

 

「そう。貴方の言うことは正論。覆り様のない事実。しかし、ISは既に止められない所まで来ている。この短時間で。そして、ISにより世界は荒れることになります。それを止めるには同等かそれ以上の力が必要になる。ISでテロも戦争も変わってきます。悲しいことですが、これしか方法は無いと言うわけです」

 

木場には実感は無いが、ISが登場してから1週間と少し。この短い期間でISは世界に浸透し、各国はISの受け入れを始めた。しかも女性にしか使えないと言う事で女尊男卑が一気に広がったのだ。

 

そしてISに対抗するために作られた新たな兵器、ライダーズギア。現状でISに対をなす唯一の物。力には力と歴史をなぞっている様な気にもなる。それしか方法が無いとは分かっているが、受け入れたくない。IS開発者と同類になる様な気がするからだ。

 

どんなにISの使用方法に規制をかけようとも、抜け道はいくらでもある。利益や更なる力を求めるために、世界は遠慮なく戦争に投下し、テロリストに売り払われる。

 

「……それで、何故その事を俺に?」

 

「貴方にこのベルトを使って欲しいからです。」

 

「ッ!?」

 

「確かにこれは兵器。人の命を奪う道具です。しかし、奪えると言う事は、反対に救うこともできる。貴方はあの事件で大切な物を失った。でも、それで終わらせてはいけない。失った以上に救ってほしいんです。貴方に」

 

「……少し、考えさせてください……」

 

「分かりました。社員寮に空きがあるので、しばらくそちらで過ごしてください」

 

「分かりました。では……」

 

村上からの説明の後、社員寮を使わせてもらうことになり、木場はそちらに向かった。行く間に村上に言われたことを考えながらだ。




近日公開予定の座談会は台本形式で書こうと思っています。椅子に座っての話がメインなのでね。変わるかもですけど……

まぁ、400人突破記念の挿絵等の準備があるのでビルドが始まってからですかね。そこで、座談会用の質問を募集します。この作品に限らず、今まで書いた作品への質問、作者への質問。何でも受け付けます。そして思いっきりお答えします。

受付期間は、座談会投稿前日まで。終了は前書きでお伝えします。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

あれ?なんか木場編に入っているような……気のせいですよね?


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木場の決断と再会

本日2本目。もう少ししたらリクエストの消化に戻ります。

座談会は挿絵などの準備や質問の募集で9月中になります。なるべく早くはしますけど。

質問はいつも通り感想と一緒にお願いします。そして、見かけた方も方はしないようにお願いします。

短いです。


社員寮の空き部屋にやって来た木場は、荷物を床に置いてベッドに座り、村上に言われたことをじっくりと考えた。

 

(確かにあのベルトを使えば人を救えるかもしれない。でも、あれは兵器。人の命を簡単に奪える……)

 

木場の頭の中にあるのは、厳密に言うと自分が人の命を奪う事への抵抗ではない。今回の白騎士事件の様に、罪もない人を殺してしまうかもしれないと言うことだ。

 

強大な力に溺れ、自分を失い、IS開発者と同様に暴走してしまう可能性。全く無いとは言い切れない事が、溺れないと言い切れない自分が居ること、それが更に不安を煽るのだ。

 

(俺は一体……何をしたいんだ?)

 

考えれば考えるほどに分からなくなる。一瞬にして大切なものが奪われたあの瞬間。まぶたの裏に貼り付いて取れない光景。今も聞こえてくる沢山の悲鳴。様々な物が思考を鈍らせてくる。だが考えてみた。自分があの力を持っていても、あの場で人を助けられたかと。長田を海堂を助けることが出来たのかと。

 

答えは……

 

(イヤ、あの力があっても俺には……)

 

救うことが出来ない。それが出てきた答えで、突き付けられた現実だ。そんなことを考えている木場の部屋に、一人の男が入ってきた。

 

「ッ!?草……加くん」

 

「木場……本当に、生きてたんだ……良かった……!本当に良かった」

 

草加だ。木場の姿を見ると、安心して力が抜けた様だ。姿を確認すると同時に膝を床に付けた。

 

「何で……ここに?」

 

「短大出た後はすぐに就職活動始めてな。色々あってここに就職した。その、聞きにくいんだが……皆は……」

 

「うん……俺以外は全員……」

 

「そうか……。そう言えば、村上に言われたそうだな。ベルトの事」

 

「あぁ。でも受けるかは決めていない。よく考えてみたら自信が無くて……」

 

白騎士事件、ファイズギア。この2つが木場を悩ませていた。ベルトを使えば、白騎士事件で救えなかった分だけ命を助けられる。しかし、力を使う以上持たなければならない覚悟もある。人を救うべきか、自分を守るべきか。決断を下せないでいるのだ。

 

「……考えてる暇があったら、行動してみたらどうだ?」

 

「え?」

 

「俺も悩んださ。力に飲み込まれないのか、使いこなせるのか、この力を使うと俺はどうなるのか。不安な事が多すぎてイヤになってきたよ。でも、アイツの事を思い出したんだ。不器用で口が悪くて猫舌で、人間として欠点が多かったアイツの事を」

 

その人物は木場も知っている共通の友人だ。突然自分達の前にフラッと現れて、いつの間にか大切な存在の1つになっていた人。普段は頼りないのに、何故か自然と頼りたくなる人だった。

 

「そしたら、自然と答えが出てきた。いい加減ウジウジ悩んでるのにも飽きた。1つでも多くの命を救えるなら、俺はこの力を使う」

 

「1つでも多くの命を……そっか。ハハハ。悩んでるのがバカらしくなってきた!そうだね。救えるなら、救うべきだ。何でこんなに簡単な事に悩んでたんだよ。俺は」

 

草加と話して、在る友人を思い出して、覚悟を決められたようだ。救える物が多いなら救う。2人の友人がこの場に居たら絶対にそれをとる。想像以上にその人の存在が自分達に影響していた様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

「では、使うと言うことで良いですね?」

 

「はい!1つでも多く救えるなら、俺は救いたい。その結果誰かの命を奪うことになっても……戦うことが罪なら、俺が背負います!」

 

「よろしい。上の上です!木場さん。貴方にして正解でした。これからもよろしくお願いします」

 

「はい!」

 

木場の心意気を認めると、村上はファイズギアの入ったケースを木場に託した。2代目、仮面ライダーファイズの誕生だ。

 

「あ、先代として言わせて貰いますけど、中々素直になりませんよ。そのベルト」

 

「……それでも、俺は一緒に戦って行きます」

 




連続は疲れる……。次回は一気に時間を飛ばして、オーガの受け取りと第2回モンド・グロッソでの誘拐事件に行こうかな?

多分次回で木場編が終わるので、その次はリクエストの消化に入ろうと思います。中々に面白いのが沢山来たので。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

あ、現時点でスマートブレインが完成させているのは、ファイズギアとカイザギアの2本です。2つとも完成とは言えませんけどね。

そして勘違いしないで頂きたいのが、ライダーズギアは本来は兵器としては使わないと言うことです。ザックリ言うと、人間が到達困難な場所に行くのに使うためのツールと言うことです。今兵器として運用されているのは、完全にISのお陰です。


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ファイズとオーガ

今日は時間を飛ばしまくって、オーガの受け取りと一夏の救出。はてさて、詳しく語られなかった誘拐事件の真相とは一体?

木場編は今日で多分終了。次回よりリクエストのあったエピソード行きます。


『『Exceed Charge』』

 

「「ハァァ!!」」

 

クリムゾンスマッシュとゴルドスマッシュ。ファイズとカイザの必殺技が同時に敵を撃破した。木場がファイズギアを受け取り、2代目と活動を始めてから結構な時間が経った。最初こそは戸惑っていた毎日だったが、今は草加と肩を並べて戦うほどに成長したのだ。

 

「終わったな。大丈夫か?」

 

「なんとかね。まだ慣れないけど……」

 

木場が慣れてないと言うのは、恐らく仕方無いとは言え命を奪うことだろう。だが、慣れないと言うのが普通。力に飲み込まれていない証拠だ。

 

「今日は村上から話があるそうだ。早く戻るぞ」

 

そう言うと、草加はサイドバッシャーに、木場はオートバジンに乗ってスマートブレインへと戻って行った。受ける前は様々な事に心配していたが、上手くやっているようだ。

 

スマートブレインに戻ると、完了してきた任務を報告してからすぐに村上の待つ社長室に入っていった。村上は既に対談用の机に着いていた。そして、机の上には白いベルトと金色のベルトが置かれていた。

 

それを見ると、何を話すのか理解したのか、自分達も椅子に座った。

 

「話はそれか?」

 

「はい。先日完成して今日ここに届けられたデルタギアと帝王のベルトの片割れ、オーガギアです」

 

デルタギアはファイズギアとカイザギアの出力を上げた発展型のベルト。オーガギアは先に作られたファイズギア、カイザギア、デルタギアの出力を遥かに凌ぐ程の強さを持っているベルトだと説明を受けた。その分体にかかる負担も大きい事も。

 

「最近、2人には戦地などで武力介入を行なって止めたり、テロリストの根城に突入して壊滅して来て貰っていますが、何か感じることはありませんか?」

 

「確かに、最近激化の一途を辿っている気がする……」

 

草加の言うように、アラスカ条約が結ばれたと言うのにも関わらず、戦争にはISが大量に投下され、軍隊だけでは無く民間人にも大きな被害が出ている。それは間接的な被害ではなく、IS部隊が直接攻撃しているのだ。

 

そしてテロリスト。使っている兵器は出所不明の未知のものとIS。悪いことにどんなに調べてもどの国で作られたのか、どの国から送られたのかが全く分からないのだ。まぁ、十数年後に木場の助けた少年が潰す事になるが、それは別の話だ。

 

「ですよね。私も事前に様々な場所の情報を仕入れるために現地へ行くことがありますが、ハッキリと言って戦力が異常に高いところがある。そこで、こちらも戦力の増強と言うわけです」

 

「でも、それじゃあライダーズギアの本来の使い方からあまりにも逸脱することになる。ISでおかしくなった世界を元に戻すまでの間、戦闘の為に使っているだけの筈ですよね?これじゃあ完全に戦闘用に作られてる」

 

「木場さんの言うことは確かです。しかし、現段階で我々の活動を世界に知られる訳には行かないのです。今は2人はまだ都市伝説程度の存在。でも、このまま行くと明るみに出てしまう」

 

村上としては、まだスマートブレインの行っている活動が明るみに出るのは避けたいのだ。理由は様々あるが、最大の理由は、ライダーズギアが今世界に知られれば確実にISを殲滅するための兵器となり、その後の世界でも最大の戦力として使われる様になるのを恐れているからだ。

 

新しい戦力として見られれば、新な戦争の火だねとなることは間違いない。村上は何としてもそれは阻止しなくてはならないと言うことだ。

 

「デルタギアは草加さんが。オーガギアは木場さんが持っていてください」

 

「分かりました……」

 

木場は少し納得出来ない所がある様だが、確かに今自分達の活動がバレる訳には行かないことは知っているので、大人しくベルトを受け取った。草加もデルタギアを受け取り、社長室をあとにした。

 

「お前が帝王のベルトの装着者になるとはな……随分と追い越されたな」

 

「いや、俺はこのベルトは草加君が受け取ると思ったよ。まさか俺が使うことになるなんて……」

 

まぁ、大体木場がオーガギアを使うことになった理由は分かる。草加は体術や武器のカイザブレイガンを使った斬撃や銃撃と、様々な状況に対応できる柔軟な戦い方をするが、木場は少し固い戦い方をする。主にファイズエッジを使った斬撃主体の戦い方だ。その為、剣が標準装備のオーガギアを託されたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『木場さん、ドイツには着きましたか?』

 

「えぇ。たった今。今回の相手は、4年前に草加君が壊滅させた組織の残党ですよね?」

 

「はい。全部で20人。その内3人がISを所持しています。気を付けてください」

 

「分かりました。では」

 

電話を切ると、早速作業に取りかかった。今回の目標が集結する可能性が高いところの目星は付いているので、バジンに乗ってそこまで向かった。

 

バジンを使って約1時間程度の現在は使われていない、病院の廃虚。町でもかなり有名な心霊スポットでなので業者も壊せないのだ。滅茶苦茶怖いから。職務放棄かよ……

 

「こんな感じの場所苦手なんだけど……」

 

場所にテンパったのか、ファイズギアではなくオーガギアを持ってきている。流石にテンパりすぎだ。

 

全部で4階建ての病院だが、事前の村上からの報告で使われているのは1階だと分かっている。木場としては、早く終わらせることが出来るので、安堵の表情を浮かべている。

 

しかし1階にある病室を回ってみたが、いっこうに見付からない。絶対に行きたくは無いと言うことで、手術室だけは見ていないが、このパターンは完全に手術室にいる。

 

「はぁ……よし!」

 

覚悟を決めて、手術室の扉を全力で蹴り飛ばして中に飛び込んだ。そして、案の定中に居た。

 

「誰だ!?」

 

「へ、変身!!!」

 

『Complete』

 

余程怖かったのか、中に飛び込むと同時に変身して、問答無用で中に居た人の意識を刈り取った。そして後悔した。何故なら、相手は20人と言っていたが、ここにいるのは15人。しかも全員男性で、ISを持っている人も居なかった。

 

「1人残して情報を聞けば良かった……ん?何だこの書類?」

 

明らかに入り口に散らばってた無数のカルテとは違う、真新しい書類を手にとって目を通した。英語で全部書かれていたが、幸い木場は英語を読むことが出来るので、解読した。

 

「誘拐の計画書って、今時ベタな……ん?誘拐……?ヤバ!!」

 

すぐに廃病院を出て、紙に書いてあった監禁場所まで急いだ。しかも、驚く事に誘拐されたのは日々草加が将来の弟と言っている織斑一夏と言う少年だったのだ。助けられなかったら色々とヤバイので、すぐに救出に向かった。

 

紙に書かれていた場所は、これまた木場の苦手な雰囲気漂う、今は誰も使っていない大型の倉庫だった。かなり離れた位置で、入り口を確認すると男が2人立っていた。両方とも銃を持っている。

 

「ん?おい!止まれ。」

 

『000』

 

『ENTER』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

「っ!?仮面ライダー!」

 

「はぁ!!」

 

「「うわぁぁぁ!!!」」

 

オーガに変身して、手早く門番役の2人の意識を刈り取り、中に入って行った。中に入ると、驚く事に捕まっていた一夏は自力で縄をほどいて、ISをまとっている3人から逃げ回っていたのだ。

 

「チッ!タイミング間違えた!」

 

「大人しく捕まらないか!!」

 

「やなこった!!!」

 

どうやら、もう少し早いタイミングで縄をほどいて逃げるつもりだったようだ。しかし、そのタイミングで木場が門番2人を倒してしまい、気付かれたようだ。

 

1人が銃を展開して、一夏を撃ち殺そうとしたが、

 

「やめろー!!!」

 

オーガストランザーを手に持った木場が、全力で阻止に入ったのだ。仮面ライダーの存在を過去に知ったことがある人間だったので、当然驚いた。

 

「仮面ライダー!?何でここに!!そのガキは放っておけ!今はコイツだ!!」

 

リーダーの様な女がそう叫ぶと、一夏を追い掛けてた2人が木場の方を向いて、打鉄の武器を展開して斬りかかってきた。

 

木場はそれを受け止めて、2人を弾き飛ばすが、もう1人のリーダー的な女はラファールをまとっている。木場が2人を払い除けた所にサブマシンガンで銃弾を叩き込んできた。

 

「グッ!はぁ!」

 

まだ調整が完璧ではないが、オーガはそこら辺のISよりも強い。だが、流石に3人を1人で相手にするには少しばかり調整が足りないようだ。最初こそは相手の意表を突き圧倒していたが、徐々に押され始めた。

 

打鉄をまとった2人が木場を抑えて、動きを封じてからラファールのグレネードを撃とうとしたが、ここで一夏が驚きの行動に出た。

 

「ガッ!?鉄パイプ?」

 

「今だ!!」

 

「!デリャァ!!」

 

ISをまとっている3人に鉄パイプを投げ付けて、一瞬動きを止めたのだ。誰も予想していなかった行動である。

 

「助けられっぱなしは性に合わないからな」

 

「この……クソガキが!!アガッ!」

 

ラファールをまとった女が、一夏の行動に激怒して持っていたグレネードで殺そうとしたが、今度は大きな何かに蹴り飛ばされた。

 

「バジン!?」

 

「ロボット……?オット!」

 

一夏は女を蹴り飛ばしたバジンから投げられたアタッシュケースを受け取ると、床に置いて中を確認した。そこには、木場が今着けているものとは違う形状のベルトが入っていた。一夏はそれを取り出し、ベルトを腰に巻き付けると、携帯の画面を見ながらコードを入力した。

 

「よせ!使うな!!」

 

『555』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

木場は使うのを止めるように言ったが、それを聞かずにコードを入力したファイズフォンをベルトへとはめた。

 

『Complete』

 

「ウソ……だろ……」

 

「オリャ!!」

 

木場を押さえていた女を蹴り飛ばすと、膝を付いている木場に手を差し出して立たせた。

 

「手伝ってやるよ。出来る範囲でな」

 

「無茶な人だ……」

 

蹴飛ばされた女が体制を立て直して、再び迫ってくると、一夏はラファールの相手を、木場は打鉄2機の相手をした。

 

打鉄はブレードを展開して戦っているが、剣の勝負で木場に挑んで勝てるわけが無い。邪魔なラファールの相手を一夏がしてくれて居るので、心置き無く2人の相手が出来るのだ。先程よりも強く、正確な斬撃が打鉄の2人を襲い、圧勝した。

 

そして一夏は、バジンからさっき渡されたバイクのハンドルにミッションメモリーをさし込み、ファイズエッジで戦っていた。

 

「はぁ!デリャア!!」

 

「うわぁぁぁ!!このガキっ!」

 

「終わりだ」

 

『Exceed Charge』

 

「ハッ!?」

 

ファイズエッジから放たれたフォトンブラッドの波。それに飲み込まれて自由を奪った。そして、全力で斬ったのだ。攻撃が終わると、ラファールはエネルギーが0になり強制解除された。それを見ると一夏はファイズエッジからメモリーを抜いて、ハンドルの部分はバジンに返して、変身を解いた。

 

「返すぜ」

 

ベルトをアタッシュケースにしまうと、それを木場に投げ渡した。中身があるのは分かっているので、自分の姿を見せずにその場を立ち去った。千冬が来たのはその直後だった。天井をぶち抜いて入ってきた。その為、見たのはオーガの後ろ姿だった。




草加編を書いてたときは、適当に木場さんは新人研修と書いた気がしますが、普通にファイズとして活躍してました。すみません。はい。

とまぁ、一夏の誘拐事件の真相はこんな感じです。まさかここで1回変身するとは……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

あ、木場さんの結婚式のリクエストがありましたが、それはあえて書かず、結婚前日のストーリーを書こうと思っています。と言っても、またとあるアニメのオマージュですけどね。結婚はサラッと行こうと思います。


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木場の結婚前夜

予告の辺りでお気付きになった方も居ると思いますが、ドラえもん のび太の結婚前夜のオマージュです。


「ん~……」

 

「キツいですか?」

 

「はい……肩周りが少し」

 

「また運動でもしました?ハードなやつ」

 

「す、少しだけ……」

 

「じゃあ肩周りを調節してきますね」

 

サイズの変更、今回で5回目だ。どう言う訳か、毎週サイズ確認に来るのだが、そのたびに少しずつサイズが変わってくるのだ。最初の3回ほどは驚いたが、次からは動じなくなった。と言うか少し呆れている。その前に何故すぐに体のサイズが変わるんだ?成長期か?

 

何の服か?サブタイトルを読めば分かると思うが、木場が結婚式で切るためのタキシード?だ。木場と真耶も、草加と千冬が結婚してブーケを受け取ってしまい、周りが色々と言っている内に準備が完了して、明日が式当日となったのだ。いや~周りの力ってスゴい!

 

因みに今日は真耶も来ている。別の部屋で両親とウェディングドレスの確認中だ。さすがにこちらはサイズがちらほら変わるなんて事は無い。真耶の両親は、娘の晴れ姿を見ることが出来て嬉しそうにしている。

 

真耶はこれで決定。木場は当日までトレーニングを控えるように言われた。まさかスポーツとは全く関係ない場所でこの台詞を言われるとは思わなかった。もう苦笑を浮かべるしかない。

 

お互いサイズの確認が終わると、真耶の両親は結婚式の打ち合わせで会場に残りスタッフと打ち合わせをしている。木場と真耶は結婚式後の二次会の打ち合わせに向かおうとしていた。

 

「まさか運動を控える様に言われるとは……」

 

「皆さん運動量が異常ですもんね~」

 

「俺は周りよりしてないのに~」

 

重さ15Kgの素振り用の剣を、1日最低1000回振っているヤツが良く言うよ。因みに、その後は腕立てに腹筋、スクワットを100回の4セット。近接格闘の訓練を40分休憩なしでミッチリ行い、最後に10分程体幹運動をする。短期間で服のサイズが変わるのは当たり前だな。

 

「でも、まさか俺達も明日で結婚か~」

 

「ちょっと前までは考えもしませんでしたからね。まだ少し実感がわきませんよ」

 

「俺も……ん?」

 

自分も無いと言いたかったのだろうが、あるものが光景が入った。信号が変りかけていた時に、道を渡ろうとする猫だ。その猫が目に止まったとき、木場は何かイヤな予感がした。

 

「にゃあ!」

 

「え?危ない!!」

 

「勇治さん!?」

 

信号が赤から青に変わった瞬間で猫が反対側から飛び出した。しかもトラックが来ている。タイミング的にもこちらに着く直前に目も当てられない姿になること間違いなしだ。

 

「捕まえた!!」

 

猫を抱き込むと、地面に片手を着いて側転してトラックをかわし、後から流れるように来る車も全て避けた。

 

「動きやすい服で助かった……」

 

「何やってるんですか!?もう少しで怪我では済まないところでしたよ!!」

 

「ごめんごめん。でも、お陰で助けられた」

 

怒る真耶に、腕の中にいる猫を見せて笑った。それを見た真耶も、自然と怒りが収まって笑みを浮かべながら猫を撫でた。

 

「飼い猫ですかね?」

 

「多分。首輪がある。えっと九段上……」

 

「近くですね!」

 

「うん。送ってあげよう」

 

「あ、でも二次会の打ち合わせ……」

 

「急げば間に合うさ」

 

「そう言うと思いました」

 

本当、そう言うと思ったよ。猫を抱きながら、首輪に書かれている住所まで向かった。猫の家らしき場所に着いたのだが、家のカーテンは閉められて玄関も閉じられている。

 

チャイムを鳴らしてみたが、やはり反応は無い。すると、木場達に気付いた掃除をしていたお隣さんが声をかけてくれた。

 

「高木さんなら引っ越しましたよ」

 

「「えぇ……」」

 

「にゃあ~!」

 

「あら!ミーちゃんじゃない!?」

 

猫を見ると、慌てた様子で近付き確かめた。抱き抱えると、この家の飼い猫であることを確信した。首輪に書かれている通り、この家の猫でミーと言う名前らしい。

 

「迷子……だったんですね」

 

「うん……それで、引っ越し先は何処ですか?」

 

「アメリカよ」

 

「「アメリカ!?」」

 

「確か4時の便だって……」

 

その言葉を聞くと、木場は急いで自分の腕時計で時間を確かめた。空港までは2時間かかるが、時計は2時30分を指していた。

 

「みゃー!みゃー!」

 

「ミーちゃん、お家には誰も居ないのよ」

 

家族を恋しそうにするミーを見て、木場は決心した。空港まで送り届ける事に。ミーをお隣さんから受け取ると、空港に向かって走り出した。

 

「待って下さい!勇治さん!」

 

真耶もその後を急いで追いかけた。大変な事になってきたもんだ。

 

「無理ですって!空でも飛ばない限り間に合いません!」

 

「やってみなきゃ分からない!それに……ウワッ!?」

 

話しながら走っていたせいで、足元への注意が薄くなった様だ。小石につまずいて転んでしまい、顔面から地面に飛び込んでしまった。

 

「勇治さん!大丈夫ですか?鼻血が……」

 

「うん。それに……人間でも、動物でも、家族が離れ離れなんて寂しいよ……」

 

ハンカチを取りながら、木場の言った「離れ離れなんて寂しいよ」と言う言葉に何かが引っ掛かった。その正体は自分が1番理解している。木場にハンカチを渡すと、ミーを抱いて空港まで走ろうとした。

 

「タクシー!」

 

呼んだが、気づかれずに通りすぎてしまった。するとそこに、バッシャーに乗った草加が現れた。

 

「ん?まだこんなところに居たのか?」

 

「草加さん」

 

後ろからきた木場が、草加とバッシャーを見ると、真耶とミーにヘルメットを渡してサイドカーに。自分もヘルメットをかぶって草加の後ろに乗った。

 

「これから二次会の打ち合わせに―」

 

「頼む!4時までに空港まで向かってくれ。この子の飼い主がアメリカに行っちゃうんだ!このままだと、もう会えないんだ!」

 

「フン!面白い!掴まってろよ!!お2人さん!!」

 

2人に掴まるように促すと、全速力で突っ走った。スゴいスピードだ。

 

「草加くん!4時までに着ける?」

 

「普通に行ったら無理だな」

 

「えぇ!」

 

「心配するな!近道すれば余裕だ!!」

 

周りに車がいないので、更にスピードを上げた。時間が相当無くなっているようだ。近道をして一気に空港に到着する気だ。

 

空港と書かれている看板を見つけると、そこに次いでで書かれている近道と言う方向にバッシャーを向かわせた。この道は山道の様だ。途中まで道路が鋪装されていたが、その後は鋪装されていない。物凄い凸凹している道だ。

 

「す、スゴい道!!」

 

「余裕だ!!」

 

空港と大きく書かれた看板を抜けると、元の鋪装された道に戻り、目的地が見えてきた。

 

「後10分」

 

「間に合いますか?」

 

「大丈夫さ!絶対に間に合う!」

 

後1つ丘を越えると空港に着く。しかし、上り坂の中腹辺りで急にバッシャーのスピードが落ち始めた。どうやら、エンジンに無理がかかっていたようだ。あんな道を走っていたのだから当然だが、とても間が悪い。

 

「不味いな……木場!真耶さん!走れ!!間に合わなくなるぞ!」

 

「分かった!ここまでありがとう!!」

 

バッシャーから飛び降りると、ミーを抱えて残り数キロを全力で走った。空港のロビーに駆け込むと、ミーの飼い主らしき人を探して回った。しかし

 

「4時!」

 

「勇治さん!」

 

時刻表を見ると、4時の便はたった今出発してしまった。間に合わなかったのだ。

 

「ごめん……!間に合わなかった!!」

 

木場は大切な人と離れ離れになることの辛さを知っている。だから涙を流して謝ったのだ。もう会えなくなるかもしれないから。

 

「大丈夫ですよ。私達がずっと側に居ますから」

 

ミー抱き、自分も涙を流しながら一緒にいると伝えた。真耶も悲しいようだ。

 

「ねぇパパ。いつ乗るの?」

 

「ん~5時の便だよ」

 

木場達のすぐ隣にいる親子の会話だ。その声を聞くと、ミーは真耶の腕から飛び出して、声の方向へと走っていった。

 

「ミャン!」

 

「っ!?ミーちゃん!?」

 

「ミャーン!」

 

「本当にミーちゃんだ!!パパ!ミーちゃんが帰ってきたよ!!」

 

「本当だ!本当にミーちゃんだ!!良かったな~!!」

 

どうやら、まだ運は2人を見捨ててなかった様だ。木場と真耶は無事にミーとの約束を果たすことが出来た。嬉しそうにする親子の光景を見て、真耶は子供の頃の自分の父親との記憶を思い出した。まだ小さく、楽しかった頃の記憶だ。その光景と重て、笑顔を浮かべた。

 

「行こう」

 

「はい!」

 

空港から出ると、さっきバッシャーが止まったところまで戻った。調度草加が工具をしまっていた。修理が完了したのだろう。

 

「その様子だと、間に合ったみたいだな」

 

「うん。バッシャーは?」

 

「修理完了。二次会の打ち合わせは一夏の家だ。千冬ももう着いてるって連絡がきた」

 

「あぁ。俺達も急ごう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく、木場も結婚か~」

 

「しかも私の後輩ととはな……想像も付かなかったな。そう言えば、何で2人は付き合ってたんだ?」

 

「詳しくは覚えてないけど……一夏君が学園に通っていた頃、正確には夏休みに入ってからだけど、少し2人で話す機会があったんだ。そこからだったかな?交際を始めたのは……」

 

「その後に村上の作った訳の分からない部屋での1件。ほとんどこれのせいだけどな」

 

「木場さん。もし真耶を泣かせでもしたらその時は……私が引導を渡すので覚悟してくださいね」

 

使っていた割り箸をへし折って木場に忠告した。

 

「分かってるって。絶対に幸せにするさ。じゃあ俺はこれで帰るよ」

 

「イヤお前飲んでないだろ」

 

「俺は今日泊まる予定じゃないからね。車もあるんだ」

 

「そうか。じゃあ明日な」

 

真耶は夜は家族と過ごす。その為、ここに来る途中に真耶の家まで行ったのだ。その次いでで木場の家まで行き、車でここまできたのだ。

 

「うん。よろしくね。あそうだ。草加君今日はありがとう」

 

「どうってことは無い。むしろこっちが礼を言いたいぐらいだ」

 

「え?どうして?」

 

「あの頃、俺達が学生の時さ。その時みたいにバカなことやれて楽しかったからだよ。お前のお陰さ。あの人が惚れた理由、なんと無く分かったよ」

 

そしてその頃、真耶は親子3人で親子パーティーをやったようだ。しかし、どこか浮かない表情だ。食器を片付けているが、やはりどこか沈んでいる。

 

「真耶、明日は早いんだから。片付けは良いからお休みなさい」

 

「はい。母さん」

 

「なぁに?」

 

「ありがとう。お休みなさい」

 

浮かない表情をしている真耶に何か気付いたのか、水道を止めて真耶に近付いた。

 

「真耶、前向いてて」

 

前を向かせると、自分の首にかけてある真珠のネックレスを外して真耶に着けてあげた。

 

「明日の式にはこれを着けてね」

 

「母さん、これは―」

 

「良いのよ。じゃあ、父さんにお休みなさいのご挨拶をして」

 

真珠には、健康、無垢、長寿、富、純潔、円満、完成の意味がある。最後ではないが、母親としての贈り物と御守りの意味があるのだろう。そして然り気無く父親の元へ向かうフォローをした。真耶はその言葉を聞き、父親の部屋へと向かっていった。

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「父さん、お休みなさい……」

 

「あぁ。お休み」

 

部屋で愛用のパイプを磨いている父親に挨拶をすると、何かを言いたそうだったが、何も言わずに部屋から出ていった。

 

「お休みなさい……」

 

「あぁ」

 

真耶が部屋から出ると、パイプに息を吹き掛けて中に溜まった灰を出した。それを吸い込んでしまったのだろう。咳き込んでいる。それを聞いて、いてもたっても居られなくなったのだろう。ドアを開けて父親に近付いた。

 

「父さん!私、お嫁に行くのを止めます!!ハッ!」

 

「真耶……」

 

「私がお嫁に行ったら、父さんも母さんも寂しくなりますよね?」

 

「それは勿論だ」

 

「これまでずっと、2人に甘えたり、我が儘言ったり、それなのに……私からは2人には何もしてあげられなかった……」

 

結婚直前に、今までの家族との生活を振り返り、自分が両親に対して何もしていないと思ったのだろう。それが負い目となり、嫁に行くのを止めると言ったのだ。しかし、そんな真耶に、父親は優しく声をかけた。

 

「とんでもない。君は僕らに、素晴らしい贈り物を残してくれるんだ」

 

「贈り物……?私が?」

 

「そう。数え切れない程のね。最初の贈り物は君が産まれてきてくれたこと。午前3時頃だったかな?君の産声が天使のラッパみたいに聞こえた。ハハハ!あんなに楽しい音楽は聞いたことが無い」

 

窓を開けて懐かしむように、空を見ながら真耶に思い出を伝えた。

 

「病院を出たとき、東の空は白んではいたが、頭の上はまだ、1面の星空だった。この広い宇宙の片隅に、僕の命を受け継いだ宝が今産まれたんだ!そう思うと、むやみに感動しちゃって、涙が止まらなかったよ」

 

そう話しているが、その時の事を思い出したのだろう。涙を流しながらではあるが、真耶に大切な思い出を話し続けてくれた。

 

「それからの毎日、楽しかった日。満ち足りた日々の思い出こそ。君からの最大の贈り物だったんだよ。少しぐらい寂しくても、思い出が暖めてくれるさ。そんなことは気にかけなくて良いんだよ」

 

「……父さん。私、不安なの……勇治さんと上手くやっていけるか……」

 

「やれるとも。彼を信じなさい。僕は君の判断は正しいと思っているよ。彼は昔、大切なものを多く失った。その分、大切なものを守るために戦っている。自分の物も、人も物も。人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ事も出来る。1番人間にとって大切なことだ。でも、たまに救おうとし過ぎてしまうこともある。そんなときは君が止めてあげなさい。」

 

とても心当たりがある。今日のミーのことだってそうだ。1歩間違えば大惨事だった。それは本人も分かっていただろう。しかし、それでも守ろうと、救おうとしたのだ。それを行き過ぎない様に止めるのが、真耶の役目なのかもしれない。

 

「でも心配はいらない。彼なら間違いなく君を幸せにしてくれると信じているよ」




ドラえもんの結婚前夜見ながら書いてましたが、静香とお父さんの話は聞いていて涙が出てきました。小学校に入る前から見ていたドラえもんですが、いつの時代も、声優が変わろうと、作画が変わろうと、大事な所は何一つとして変わっていません。その事だけでも無性に感動しました。結婚前夜、今回は旧ドラを参考にしましたが、何度見てもいい作品です。

次回は結婚式!村上の仕組んだサプライズとは一体?そしてサイガの装着者は?

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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木場の結婚

さ~て、今日は木場の結婚式。しかし、真耶が悩みを抱えている様に、木場もまた大きな悩みを抱えている。その悩みを解決してくれる人とは?


一夏の店で二次会の予定を話し合って、早めに抜けてきた木場。車を運転しながら自分の家へと向かうが、何かを考えている表情をしている。

 

「はぁ……」

 

その表情は酷く沈んでいる。どう表現して良いか分からないくらいにだ。真耶が自分の結婚に対して両親に負い目を感じていた様に、木場もまた負い目を感じているのだ。今は亡き友人達に。

 

そんなことを考えながら運転をしていると、村上を見付けた。

 

「こんばんは。打ち合わせの帰りですか?」

 

「はい。村上さんは?」

 

「先程までスピーチの内容を考えてましてね。草加さんからはなるべく短くしろと言われました」

 

村上にとって、自分の部下について語れと言われたら何時間でも語れる。特に、草加や木場、一夏等の深く関わった人達には1日あっても足りないだろう。なので短くと釘をさしたのだ。

 

「木場さんはこれから自宅に?」

 

「いえ。その前に寄りたい場所があるので」

 

「寄りたい場所?」

 

「はい。皆にはまだ結婚すること伝えてないので……」

 

「そうですか。帰りは気を付けてくださいね」

 

「はい。では」

 

そう言うと、木場は皆が待つ場所へと向かった。町の外側にあるのだが、やはりこの時間は人がいない。それもそうだ。ここは墓なのだから。

 

「久しぶり。みんな……大した物は持ってこれなかったけど、これ飲みながらでも話を聞いて……」

 

この墓には、遺骨が入っているかは定かではない。なんせ、白騎士事件の被害者達の墓だからだ。まぁ、そんな記述は何処にも無いがな。そして木場が今酒を注いでいるのは、木場と草加の共通の友人達の墓だ。

 

「連絡が遅れちゃったけど、俺、明日結婚することになったんだ。みんなには1番最初に言うべきだったんだろうけど……中々言い出せなくて……ゴメン」

 

気持ちは分からないでもない。特に海堂直也と長田結花の2人には言うのに躊躇してしまう。

 

「今日はそれを伝えに来ただけだから、もう帰るよ。今度は草加くんと一緒に来るね……」

 

その後は家に着くと、明日のこともあるためすぐにシャワーを浴びて寝ることにした。

 

「海堂……結花……ごめん……」

 

この一言を呟くと、木場は深い眠りへと入っていた。結婚が近付くに連れて、眠れない夜が続くようになった。今夜もそうだ。でも久々に昔使ってた睡眠薬を飲んだので、すぐに眠れた。

 

「……あれ?俺寝た筈だよな」

 

確かに睡眠薬を飲んで寝た筈だ。だが、自分は立っている。何もない白い空間に。

 

「よう。久し振りだな。木場」

 

「なっ!?嘘だろ……」

 

声をかけられ、その方向を見ると衝撃を受けた。何故なら、目の前にいるのは白騎士事件で、目の前で失った自分の親友だからだ。

 

「海堂……何で?夢?」

 

「あぁ夢だ。ちゅうかお前、何だ?墓に来たときの報告や、寝る直前の一言はよ」

 

「え?」

 

「え?じゃねーよ!バカかお前。結婚なんて大事なこと直前になって伝えるわ、落ち込んでるわ、寝る前に俺達に謝るわ。なに考えてんだお前は?」

 

「……俺は、2人を死なせてしまった。他の誰でもない、俺のせいでだ……海堂も結花も、もっと幸せになるべきだったんだ……俺なんかより、もっと……」

 

「うんうんうんうん。……ふざけんな!!!」

 

「ガァッ!?」

 

目の前にいる木場の発した言葉が頭にキタのか、全力で木場を殴り飛ばした。

 

「いきなり何を―」

 

「こっちの台詞だバカ野郎!!何だ!?自分なんかよりもって!何で俺と結花がお前を助けたのか分かってんのか!?お前に生きてて欲しいから!お前を助けたいから助けたんだろうが!!自分のせいで死んだとか訳の分かんねー後悔しやがって!俺達をバカにしてんのか!?」

 

「海堂……」

 

「俺も結花もなぁ、お前のせいで死んだとは思ってねーし、お前を助けたことにも後悔してないんだよ……だから結婚するって報告したときは嬉しかったんだよ……なのに下らねー事で悩みやがって……」

 

「……良いのか?本当に……」

 

「当たり前だ。そろそろ時間か……じゃーな。幸せになれよ、木場。……あ、結婚式は見に行くからな」

 

それを伝えると、海堂は木場に背を向けて歩き出した。

 

「待って、待ってくれ!海堂!!」

 

まだ話したいことがあるのか、手を伸ばして必死に掴もうと追いかける。だが、一向に距離は縮まらず、開くばかりだった。次第に木場の意識は薄れていき、見てる光景にもモヤがかかってきた。

 

ジリジリジリジリ!!!

 

「本当に……夢だったのか……」

 

うるさく鳴り響く目覚まし時計によって目を覚まし、先程までのやり取りが夢であることを自覚した。だが、目にはうっすらと涙が付いており、海堂に殴られた頬も少し痛みが残っている。

 

「ありがとう。みんな」

 

昨日の夜とは変わって、曇り1つ無い表情で式場へと向かっていった。夢の中とは言え、海堂に殴られたことで悩みごとが吹っ飛んだ様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく来ましたか」

 

「遅いぞ。木場」

 

「イヤ予定時間の筈だけど!?」

 

木場はちゃんと時間通りに現地に到着したが、他の人がそれよりも早く到着していた。もう会場の準備は完璧に終わっている。後は新郎新婦が着替えて始めるだけだ。

 

「あとは真耶さんとマドカさんだけですね」

 

「あれ?マドカって今日本に居ないんじゃ……」

 

「昨日の夜に空自に連絡したので、そろそろ来ると思いますよ」

 

そんなことを話していると、上空から聞き覚えのあるジェットの音が聞こえてきた。そして、ゆっくりと降りてきた。サイガが。

 

「お久しぶりです。村上社長」

 

変身を解くと、中の人はマドカだった。一夏がスマートブレインにマドカを送ったあと、色々とあってそのまま就職したのだ。そして、正式にサイガの装着者になったのだ。世の中何が起こるか分からないな。

 

「マドカ、お前も仮面ライダーになったのか?」

 

「えぇ。姉さんが指導してくたお陰で」

 

「そうか。それは良かった」

 

「はい。兄さんもお久し振りです」

 

「あ、あぁ……(こんなキャラだっけ?)」

 

あれから色々あってキャラ変更したのだ。決して崩壊では無いぞ。例えるなら、今ジードに出ているゼロと昔のゼロみたいな物。角が取れて丸くなったのだ。

 

何故村上が空自に連絡をしたのか。それは、戦闘機をスクランブルさせないためだ。いくらISのお陰で空を飛ぶ人が増えたからと言って、突然レーダーに人型の影が映れば慌てる。日本の領空に入った瞬間に空自が戦闘機を飛ばすことになるかもしれないからだ。もしそうなったらスマートブレインはかなり怒られる。

 

その直後に、車で来た真耶達が到着して開始時間まで各々準備して待つことにした。バジンは今日もスーツを着用している。後ろの邪魔な部分は、着るときに村上に頼んで外して貰った。お陰で前回よりも着やすくなっている。

 

式が始まると、いつも通りの牧師の話が始って、一通りの事が終わると村上の2人への祝福の言葉。その後に友人代表として草加がスピーチをし、最後に真耶の父親が話をした。

 

ここまでは普通の結婚式だ。だがこれが終わると、どう言う訳か司会の人と牧師、スマートブレイン関係者以外は後ろに下りだした。前に出てきたスマートブレインの人間は、全員腰に量産型のベルトを巻いている。

 

「え?何?」

 

この完全に意味不明な状況に、木場も真耶も戸惑ってる。確かにこの状況は訳が分からない。

 

『『『『Complete』』』』

 

変身すると、アクセレイガンをホルダーから抜いて胸の前で構えた。カリ○ストロの伯爵ですかい?しかもそれが外まで続いている。

 

「では、私が先頭に立って2人の先を歩こう」

 

『315』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

『Complete』

 

「では私達はお2人の後ろを歩きましょう」

 

『555』

 

『913』

 

『『ENTER』』

 

「変身」

 

『『『Standingby』』』

 

『『『Complete』』』

 

「……これ俺も変身した方が良いですか?」

 

「私が気まずくなるからそのままで居てください!!」

 

空気を読んで、木場もオーガに変身しようとしたが、真耶が涙目になって全力で止められた。確かに、少し真耶が可哀想だ。

 

マドカが歩き出すと、木場と真耶もそれに続いて進んでいき、その後ろを更に一夏達3人が付いていく。そしてしばらくするとライオトルーパー達も外に出てきた。

 

外では、ロケットランチャーの様なものをもったバジンと、バトルモードで砲門を上に向けたバッシャー、そして上空にはスライガーが飛んでいる。

 

「え?まさか……またみんな花火撃つの!?大丈夫?」

 

「ん?木場さん、バジン達だけではありませんよ」

 

「え?」

 

「ここにいる全員です。構え!」

 

デルタの村上が全員に指示を出すと、一夏はファイズブラスター、草加はカイザブレイガン、村上はデルタムーバー、マドカはフライングアタッカーのブースターライフルモードを、ライオトルーパー達はアクセレイガンを空へと構えた。

 

「全員って……そう言うこと!?」

 

「大丈夫なんですかそれ!?」

 

「大丈夫です。あらかじめ近隣の住民の方には言っておりますので。では、撃ち方始め!」

 

絶対に大丈夫では無い。許可を取っていても少なからず苦情は来るだろう。だって音がスゴいもん。花火大会で上げられる花火を、全て1回で同タイミングで打ち上げるような物だ。

 

「綺麗だけど……」

 

「迫力がスゴい……」

 

結婚式は華やかにとか言う人がいるが、村上の華やかの基準が分からない。まぁ一つ言えるのは、これがやり過ぎだと言うとだ。華やかさが迫力で掻き消されてる。

 

『何か……俺様の知ってる結婚式じゃないな……』

 

『まぁ、個性的で良いんじゃないですか?木場さんも楽しそうですし』

 

『確かにそうだけどよ~……まぁ良いか』

 

どこかで見覚えのある2人が木場の結婚式を離れた場所から見ていた。木場の様子を確認すると、その場所から離れて消えて行った。

 

「ん?」

 

「どうかしました?」

 

「……イヤ。何でもない(本当に来たんだな。海堂、結花)」




あぁ~中途半端~!!次回はようやく座談会を投稿します。書き終わった後の作者の感覚と、普通に今まで通りに皆さんが楽しんでくれたら今後も企画しようと思います。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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短編集 その2
素直になりましょう。夫婦でも


今日からまたリクエストの消化に入りますが、私が持っている知識は3巻までのおおまなか流れのみです。

なので、五反田一家については全く分からないので、ストーリー化は難しいので見送ります。はい。そして、スマートブレインの総説経緯は新エネルギーの開発を行うため、主要キャラの過去編は前日の木場編と草加編が全てです。

たくさんのリクエストを頂きましたが、文章化の難しいものや、書けないものについては前書きを利用して、あらかじめお伝えします。ですが、なるべくリクエストは実行するので、今後もよろしくお願いします。

提供 orotidaさんより


今日はスマートブレインの大掃除の日。年に1回行われるこの行事は、とある社員が自分を拾ってくれた村上への恩返しと言うことで、村上には内緒で企画したものだ。それが本社の部署全てに伝わり、今では社員全員を挙げての一大イベントとなったのだ。

 

因みに、これが会社全体に広がった次の年からは、村上も参加するようになった。その為、今日は業務すべてを停止して掃除の作業に打ち込んでいる。普段は清掃員でも掃除をしないような場所もピカピカにしている。

 

そして、当然そこには社員である木場と草加、スマートブレインの協力者的な立場にある一夏の3人と、その3人の付き添いとしてやって来た、本音、千冬、真耶の姿もある。

 

「さてと、俺達は今年どこを掃除すれば良いんだ?」

 

「そうですね……では今年はこの部屋を頼みます。ただ、長い間使っていなかったので、本来の用途が忘れ去られていますので、ご注意ください」

 

ご注意って……たかが部屋だろ。何を注意しろと言うのだ。聞いていた6人もそんな感じの反応だ。中に大量の変な道具があるのなら話は別だが、長い間使っていなかっただけの部屋だ。注意する事なんて何もない。

 

そんなわけで、それぞれ道具を持ってその部屋へと向かった。中に入ると、縦に30メートル、横に25メートル程の普通に運動が出来そうな部屋だった。

 

「ったく……地下だからってスペース使いすぎだろ。道理で地下2階は使われてない訳だ……」

 

そう。ここは地下2階。しかし、妙なことにそこは他の階と違って何もないのだ。文字通りに。あるのは、空の段ボールぐらいだろう。そもそも地下はライダーズギアの実験にしか使わないため、ほとんど誰も来ないので疑問に思われないが、改めて見ると結構異常な空間だ。

 

「な~に?この部屋~」

 

「本音、深く考えると疲れるぞ」

 

本音がこの部屋の存在について考えようとするが、千冬がそれを止めた。どうやら千冬は考えるのは諦めたようだ。確かに考えたくないのは分かるが、放棄するなよ。

 

「もうこの際、この部屋の事は良いから掃除始めよう」

 

「そうですね。結構広いですし、早く終わらせましょう!」

 

何故かは分からないが、真耶はやる気満々だ。しかし、ここは天井も高い。広さだけで言えば、スマートブレイン内で言えば1番の広さ。普通に掃除するだけでもかなりの労力を使う。

 

労力を使うと言っても、ここにはほとんど荷物になるものがない。強いて言えば、医務室にあった今は使われなくなった古いベッドと安物の机、トイレと水場、何故かあった台所と冷蔵庫。そして、ハンガーが数本しか入っていないクローゼットだ。こんなだだっ広い所にそれだけあるのも不自然極まりない……

 

「ベッドには新しいシーツを敷いて、机は埃を取れば良いか」

 

「床は箒とモップでゴミを取った後に水拭きだな」

 

しかし、物が少ないと言うのはありがたい。掃除がしやすいからだ。面白味も少ないが、必要最低限な物だけでも生きていける。それに生活もしやすい。こんなにも掃除のしやすい環境に当たった一夏達は、幸運と言えるだろう。

 

「しかし広いですね~。こんなに広いと、色々レイアウトしたくなりますね!」

 

「確かにそうだな……この辺には本棚が欲しいな」

 

「ここにはテレビかな~。あっ!あそこにはエアコンも欲しいですね!」

 

こうやって、スペースと言うものは埋まって行くのだろう……人間の欲と言うのは恐ろしい。

 

(山田先生、ここには住む気なのか?)

 

(ま~やんここには住むのかな~?)

 

(木場……ローン組んででも家を買ってやれ……後で千冬の欲しいもの聞くか……)

 

(不動産行ってこよう……)

 

何故かこの部屋を快適空間に変えようとしている真耶と千冬。こんな状況を見ると、木場は一刻も早く決断をするべきだろう。そして草加、本棚くらい作ってやれ。

 

そんな感じで、作業を続けてようやく終わりそうになった。真耶と千冬は風呂場を付けるところまで考えたそうだ。そろそろ本格的に木場は色々と決めなくてはならないだろう……。後は道具を片付けるだけだが、木場が何やら部屋のすみにある赤いボタンに気付いた。

 

「何だこれ?」

 

ポチッ!

 

ガチャン!

 

「え?」

 

「ん?」

 

ボタンを押した瞬間、ドアの鍵が閉まるような音がして、何事かと思った一夏がドアに近付いてノブをひねって見た。

 

「…………」

 

「い、一夏……?」

 

「……閉じ込められた……」

 

全員、言葉を失った。こんなだだっ広い所に閉じ込められたのだ。失うのは当然な気もする。すると、入り口の上辺りに電工掲示板が現れた。そこには大きく文字が出ている。

 

「何々?「恋人に思いの丈を素直に伝えないと出られない部屋」……は?」

 

当然な「は?」と言う反応をする。まぁ確かに突然部屋に閉じ込められた上に、恋人に思いの丈を素直に伝えないと出られない部屋と言われれば、言葉を失うだけではなく気力も失う。

 

「状況から見て、やらないと出られそうに無いな。木場、お前からやれ」

 

「なんで!?」

 

「お前がそもそもの原因だろ。四の五の言わずに始めろ」

 

渋々ではあるこの流れ。しかし、確かに木場は最近どう言う訳かは分からないが、真耶と自然とくっついた感がある。お互いに楽しく過ごしてはいるが、素直に真耶への思いを伝えたことが無いのかもしれない。

 

「行きますよ?真耶さん!」

 

「は、はい!いつでも来てください!」

 

なにが?と言いたくなる様なやり取りだ。もしかしたら、この2人は無意識の内に今のような関係になったのか?木場の事だからあり得なくはない。

 

「お、俺は今まで伝えて来ませんでしたが、あ、貴女の事がす、すすす、好きです!///いつも一緒に居て、安心することが出来て、俺の彼女になってくれたことに感謝しています!こ、これからも俺に一緒に居させてください!!///」

 

「は、はい!わ、私も木場さんの事が大好きです!!ふ、不束者ですが!これからも一緒に居てください!!///」

 

「「ポンッ///」」

 

お互いに顔を真っ赤にして倒れた。なんと表現して良いのか、リンゴ?トマト?茹でダコ?みたいに顔が真っ赤だ。なんと言うか、見ているこっちが恥ずかしくなってくる光景だった。

 

「じゃあ、次は草加と姉貴だな」

 

「よし!千冬!」

 

「はい!」

 

「改めて言うのも照れるが、俺には君しか居ない!君のためなら何だってすることが出来る!!結婚して、お互いに幸せだと俺は思っているが、これからはこれまで以上に君の事を幸せにしたい!!だから、これからも一緒に居てくれ!」

 

「わ、私も今以上の幸せを2人で掴めるように頑張ります!///な、なのでこれからもよろしくお願いします!!///」

 

この2人は慣れてるのか、お互いどストレートに思いをぶつけた。千冬はまだ照れくさいのか、顔を赤く染めている。草加はやりきったと言う顔だが、やはり少し恥ずかしいようで、顔を染めている。

 

「さ、最後は一夏だぞ!早く俺達の様に素直に言ってみろ!!」

 

「何でキレ気味なんだよ……本音。こっち来て」

 

「ん?なに?ンッ!?」

 

本音を近くに呼ぶと、抱き寄せてキスをした。よく人前で出来たものだ。この一夏の突然の行動に、顔を真っ赤にしたが、最愛の人からのキスと言うことで、恥ずかしながらではあるが拒む様子は無い。

 

「……これが俺の気持ちで、思っていること全てだ。受け入れてくれるか?」

 

「は、はい///(プシュー」

 

ガチャ!

 

電工掲示板に『GAME CLEAR』の文字が出ると、ドアにかかっていた鍵も解錠されて、開けることが出来た。

 

「さっさと上に行くぞ」

 

本音を抱え上げて(お姫様抱っこ)部屋から出ていった。そして草加は木場を抱えて、千冬は真耶を抱えて部屋を後にした。

 

「なんか負けたな……」

 

これで良いのか?と思う気もするが、電工掲示板には思いの丈を素直に伝えろとしか書かれていない。つまり、別に言葉で伝える必要は無いのだ。ならば行動で示せば良いと、一夏は文字を見た瞬間に気付いてあのようにしたのだ。言葉では伝えきれないと言うことだろう。

 

その頃社長室では、村上がベルトを作っている支部に電話をかけて、何やら話をしていた。

 

「えぇ。では、木場さんと山田さんの結婚式までに量産型ギアを100本程お願いします。今後のスマートブレイン関係者の招待もありますので、少し多めにお願いします。……今回は余興に使うだけなので、変身機能だけで大丈夫です。……はい。ではお願いします。あぁ、それと、彼女にも招待状を出すので、当日はサイガギアを持って出席するように伝えて下さい。では」

 

何やら、木場の結婚式で何かをやるようだ。草加のときの様な、大砲を打ち上げるような物はやめて欲しいが、ベルトを大量に使うようなので、それはない。一体何を企画しているのやら……




最初は訳も分からず変な部屋に閉じ込められた感じにしようかと思ったのですが、「文字が足りん!!」と言うことになり、急遽こうしました。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

「おのれディケイドぉぉぉ!!」

と言うリクエストはどう書けと……本編の士を使うべきな?


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仮面ライダー3人と怪談

はい。正直言ってネタ切れです。ディケイドは座談会後に予定しています。その後には、一音が主人公の「名もなき恋の歌」と言う映画のオマージュを書こうかな?

問題はそれまでのギャグ中心のストーリー……まぁ、何とかしましょう。


とある休日。IS学園の一夏の部屋には、スマートブレインの仮面ライダー3人が集まっていた。ここの家主は一夏だから居るのは分かるが、何故草加と木場の2人が居るのかは謎だ。

 

「お前らマジで何しに来たんだ?」

 

「暇だったから、つい」

 

「俺も……」

 

今日は真耶も千冬も出張だ。その事は草加と木場も知っている。暇だったから勢いで来たには少し問題がある。

 

「あのなぁ~、ここは大学生になって一人暮らしを始めた友達の部屋じゃないんだよ!学生寮なんだよ!学園の敷地にあるヤツ!気軽にこれる訳じゃねーんだよ!」

 

例えはどうかと思うが、言っていることは合っている。一夏の言うように、ここは一人暮らししたての大学生の部屋では無いのだ。気軽に来ることはまずおかしい。と言うか受付は何故2人を通した?理由は1つしか無いが……

 

一夏のもっとも正論なツッコミを受け流すと、突然草加が話を始めた。

 

「実はこの前さ~、定食屋で飯食べてたんだが……」

 

「イヤなんだよ急に……」

 

「どこの学校の学生かは分からないが、スゴく印象に残る娘が居たんだ」

 

一夏は千冬に連絡するべきかどうかを迷ってしまった。別に疑っている訳ではない。一応報告するかを考えただけだ。

 

「白身魚系の定食だったかな?俺の方はうどんだった。しばらくして、彼女が席を立ったんだが、綺麗に平らげられたそのお椀には、何故か箸が3本あったんだ……」

 

「怖い話をするな!!」

 

「お願いだから本当に止めて!!」

 

一夏と木場は2人して怪談の類いが苦手な様だ。こんな話でも意外と怖がっている。道理で遊園地に行ったときはお化け屋敷に入らない訳だ。

 

「怖いか?この話」

 

すると次は木場が

 

「俺の体験した怖い話は……」

 

「イヤ、怖い話大会じゃなくてさー……」

 

「ご存じの通り、俺は乳首に毛が生えてしまうのが悩みだ」

 

「初めて知ったよ。と言うか普通だろそれくらい」

 

男性なら誰にでも起こりうることが、木場には少し気になっていた様だ。それが発展して今では悩み事になっている。

 

「毛抜きで1本1本抜いても埒が明かない。そんなときに、朝髭を剃るのに使ったひげ剃りを見つけた。そうだ!これで一気に剃ってしまおう!そうすれば良いんじゃないかと考えた俺は……」

 

ザッ!……

 

「こうなった」

 

「わぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「痛い!痛い!痛い!痛い!!」

 

左の乳首にデカイ絆創膏を貼り付けていた。全部行っちゃった様だ……

 

「木場!それは怖い話じゃなくて痛い話じゃないか!」

 

「乳首って再生するのかな~?」

 

「良いから医者行けよ!!」

 

「仕方無いから、これ塗っとけ」

 

自分の左の乳首を押さえながら、さっさと医者に言うように草加が促した。しかし、当の本人はいつか再生すると思っているようだ。そんな木場に、一夏が部屋にあった唯一の傷薬のオロナイン?を渡した。

 

「俺が体験した怖い話はだな~」

 

流れで一夏が入ってきた。

 

「もう良いって!!」

 

自分から始めておいて止めようとするなよ。

 

「この前、中学の時の同級生と弾って言う友人の家に泊まりに行ったんだが、それで調子に乗って大量に飲んじまったんだよ。あぁ、酒じゃないぞ」

 

※お酒は20歳になってから飲みましょう。未成年が飲むと、脳が萎縮して記憶力の低下や集中力の低下が訪れます。また、未成年の体は完全では無いので、お酒の悪影響を直で体に受けます。寿命も縮むので、飲むのは20歳を越えてからにしましょう。因みに、将来アルコール依存症になる可能性も高くなります。今なってる人は手遅れですが……

 

タバコも同じです。タバコに関しては、法律で取り締まってないだけで、事実上は麻薬と同じ効果があります。そして、吸っている人の周りの人も、強制的に毒煙を吸わされています(受動喫煙)。吸う吸わないは個人の自由ですが、法律は守りましょう。

 

「ナレーションどうも。それで、案の定1番飲んでた弾が青い顔してな。それで風呂場まで連れていって、介抱してたんだが、弾の吐瀉物の中に動く物が居たんだ。それがさぁ~!なんとムカデだったんだよ。アイツら人恐れないから、寝てるときに口の中に入っちまうんだろうな~!」

 

一夏は面白そうに言っているが、草加と木場はかなりの衝撃を受けてた。心なしか顔が青くなっている。

 

「じゃあ、また草加の番だ」

 

「ちょっと待って……」

 

「この話は……ここまでにしよう」

 

すると、2人はゆっくりとトイレに向かって歩き出した。

 

「マジで……?」

 

「マジで……?」

 

人差し指を構えながら、トイレの扉を開けた。すると中には、

 

「おろろろろ!!!」

 

「鈴ちゃん!?」

 

「居たのか!?そして話聞いてたのか!?」

 

一夏は完全に鈴の存在を忘れていたようだ。そう言えば草加達がくる少し前に、自分の部屋の風呂が壊れたから借りに来ていたのだ。一夏はそれをすっかり忘れていた。そして、話を聞いてしまったのか今絶賛吐いている。

 

それを見た草加と木場も

 

「よし!俺達も行くぞおぉろろろろ!!!」

 

口に指を突っ込んで吐き始めた。それを一夏は部屋から見ていたのだが……(中は見てないよ)

 

「今更……嘘だとは言えないよな。そして鈴。忘れてた」




うん。男子高校生の日常ネタを使おう!そして少ししたら真面目な話を書こう!

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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メカ3台の1日

今日は少し思考を変えて、バジン、バッシャー、スライガーの1日です。物語の都合上、全員に感情があって機械同士の意思疎通が可能な設定になっています。

しかし、普通に人間も会話するので、メカ達は『』を使います。


「あれ?ドライバー無いな。部屋に忘れてきたか?」

 

IS学園にある整備室。本来ここは、授業か専用機持ちの整備程度にしか使わない。だが、今日は違う。一夏が中でバジンをいじっていたのだ。そして、ドライバーが無いことに気付いた。整備室なんだからそれくらいあるだろ。

 

「ここにあるか……?」

 

気付いて整備室のドライバーを漁りだした。しかし、いつも使っているサイズが無かった。そこだけピンポイントで。スゲー奇妙だな。

 

「仕方無い。1度部屋に戻るか……」

 

そのサイズでないと合わないので、部屋に戻って取ってくることにした。今日は一晩整備室に籠って、最近調子の悪いバジンを直そうと思っていたので、少しテンションが下がっている。一夏が直せる範囲の異常であることを願う。

 

(ん?人の気配……誰も居ない筈だが……)

 

部屋の中に気配を感じた。この日は本音は居ないし、草加や木場も突然訪ねては来ていない。鈴も食品をたかりに来るときはちゃんと一言声をかける。じゃあ部屋に居るのは誰だ?

 

(姉貴の抜き打ち部屋チェックか?迷惑なことこの上ない……)

 

イヤ抜き打ちなんだから迷惑とか思うなよ。部屋にゴミが溜まってないかとか、なんかヤベー物が転がってないかとか、ベッドの下からアルミホイルとライターとか言う訳の分からないコンビは出てこないかや、机の中から白い粉が出てこないとか。様々な事を考えられた上でのチェックだ。

 

そう言う訳で、中に居るのは千冬だと断定した一夏は、何食わぬ顔で普通にドアを開けた。すると、

 

「おかえりなさ~い。ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も……わたsクチャパァ!!!」

 

「不審者かよ……」

 

中に居たのは水着にエプロンとか言うイカれた格好の女が居るだけだった。9月にその格好で居るのはどうかと思う。不審者と判断すると、全力で殴って意識を飛ばした。

 

「マジで誰だよコイツ……仕方無い。あの手で行くか」

 

すると、部屋の棚から長いヒモを取り出してす巻きにした。そして人通りの多い場所まで持っていき、天井から吊るした。顔の辺りに「変態不審者」と書かれた紙を貼り付けて部屋に戻っていった。

 

「ん?家具の配置が少しずれてる……まさか!?」

 

まさかと思い、家具の配置がずれている場所や、目につかない場所などを詳しく見てみた。すると、盗聴器と盗撮カメラがわんさか出てきた。プライバシーもクソも無いな。

 

「あぁ~ここにも……一体何個仕掛けたんだ?」

 

あれから20分ぐらい部屋を漁っているが、まるで盗聴器と盗撮カメラのデパートだ。少し不安だが、流石にキリが無いのでバジンを呼んで探してもらう事にした。

 

『体調が悪いときに呼びやがって……』

 

「悪い悪い」

 

一夏との会話に使うプラカードの文字からも、かなりの恨めしそうにしているのが伺える。

 

『誰にこんなの仕掛けられた?』

 

「水着とエプロンの格好したイカれた女だ」

 

『また妙なのが出てきたな。こっちは終わったぞ』

 

「まぁもう二度と関わんないけどな。こっちも終った。整備室に戻るか」

 

出てきた盗聴器は全て証拠品として、千冬に提出するつもりだ。人通りの多い場所に宙吊りにしているら、所属クラスなどはすぐに分かるだろう。そんなことを考えながら整備室に向かっていたのだが

 

ガシャン!!

 

「バジン?バジン!!」

 

頭の辺りから煙を出しながら、バジンの機能が完全に停止した。スマートブレインのメカは、原則として強制的に機能が落ちることは無い。だが、バジンは今機能が強制終了されている。かなり状態が悪いようだ。

 

「スマートブレインに持っていくか……」

 

ここまでくると直すのは無理だ。木場に頼んで運んでもらう事にした。まさかここまで悪いとはな。一夏自身、これ程までに悪いことに気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?バジンの状態はどう?」

 

「直せるところまで直して、昨日の夜中に何とか意識は戻したよ……まだ歩くしか出来ないけどな」

 

木場がバジンに目を向けると、ぎこちなくではあるが手を挙げた。しかし、やはり調子が悪いからなのか油が切れた様な動きをしている。

 

「早く楽にしてあげたい……」

 

「それだとスクラップ望んでる様に聞こえるよ!?」

 

もちろんそう言う訳では無い。早く直って欲しいと言う意味だ。

 

出発すると、後部座席に座っているバジンを気にかけながらゆっくりとスマートブレインに向かっている。時折声をかけながらだ。

 

「バジン大丈夫?一晩でどれくらい直った?」

 

自己修復機能が付いているので、それの事だろう。流石に自己修復は壊れはしない。そこまで壊れてたら木場ではなく村上自身が運びにくる。いつも通りにバジンがプラカードで話そうとするが、文字が滅茶苦茶だ。日本語や英語、中国語にラテン語、アラビア語と使用国すら不明の文字と解読困難な感じになっている。幸い、日本語と英語があるので、「言語機能に異常あり」と言うことは伝わった。だが、それ以降の文は全く分からない。

 

「早く連れていかなきゃ……」

 

昔の相棒のこんな姿は見ていられないのだろう。スピードを上げて、普段は通らない近道をしながら急いだ。

 

スマートブレインに着くと、真っ先に村上が出迎えてくれた。そして、バジンの状況を妙な機械で読み取ると、地下にある整備室へと連れていった。そこに連れていくと言うことはフルメンテだな。

 

『めんどくせー事になったな~』

 

悪態を付きながら、大人しく地下へと向かっていった。そして、病院で言う待合室的な場所に通されて待っていたのだが、そこには驚く先客が居た。

 

『あれ?お前らもフルメンテ?』

 

『あぁ~バジンか。その調子じゃあお前もか』

 

『まぁ、2人は俺と違ってよく使われるからね』

 

バジンの他に、サイドバッシャーとジェットスライガーがそこに居た。メカ同士での会話は可能なので、久し振りにあった3人で何故ここに来たのかを話し合うことにした。

 

『バッシャーは何でここに?草加はよくお前の手入れしてるだろ』

 

『最近調子が悪くてな。この前買い物に行ったときに急にエンジンが停まって危うく事故るところだった。村上に見に来てもらったら、ここに入れられた』

 

バッシャーは、と言うかバジンもだが、普通の店で見てもらったら警察を呼ばれかねない。スマートブレインのやっていることは、仮面ライダーの存在が世間に知られたと同時に発表されたが、武器が大量に詰められたバイク何てもんを見たら店員はびっくりするし、一歩間違えば店ごと吹っ飛ぶ。なのでここで受けるのだが、まさかバッシャーも調子が悪かったとは……

 

『スライガーは?』

 

『知らん。何故か今日がフルメンテの日になった。ぶっちゃけ俺、2人程使われてないからミサイルとか武器を外したら機能を停止して眠ってるんだけど、今日起こされてここに運ばれた』

 

『まぁ、お前壊れやすいからな~』

 

『壊れやすいと言うか、主に壊されてんだけどね。お前らの主に。俺の先輩が』

 

『はてさて何の事やら』

 

『皆目検討もつかんな』

 

『誤魔化すな!!』

 

確かに、スライガーは昔草加に破壊されたことがある。訓練中にだ。因みに一夏も訓練中に1機壊している。ここで話をしているスライガーをだ。そして十数年後に、今度は後輩が形も無くなるほど木端微塵になる予定があるのだ。スライガーだけ不憫だな。

 

『と言うか、俺の扱いもう少しどうにかなんないの?』

 

『作者に言うんだな。それは』

 

『だな。俺たちではどうしようも無い』

 

…………どうしようも無い。イヤ、バッシャーは兎も角ね。スライガーはキツいわ~。子供達の遊び相手になってくれるしか無いよ。それで良いなら構わないけど。

 

『まぁぶっちゃけ、俺達の会話も作者が暇だから作ってるだけだしな。ネタ切れに陥ってるから』

 

『リクエスト使えば良いだろうが……』

 

『あ、そう言えばこの前、座談会作ってる作者に会いに行こうとしたんだけど―』

 

『いや無理だろ!』

 

『話は最後まで聞け。それでネタがまとまらないんだって。なんかやりたいことあるし、就職もあるしで混乱してたよ。絵描きながら』

 

『そりゃあ混乱するだろ……絵なんか描けば尚更』

 

実はこの前、夢の中にスライガー出てきました。何故か夢の中でも小説の事考えたり、座談会用の絵を描いてました。目覚めがスゴく悪かった……(※実話です)

 

『リクエストにあったんだし、その内俺とスライガーのストーリー書くだろ』

 

その内書きます。はい。

 

『そう言えば、最近一夏と本音どう?』

 

『普通に交際してるぞ。高校生にありがちな、異常なまでにベッタリしているなんて事は無いから助かるぞ』

 

『あぁ~うん。バジン、お前が羨ましいよ……俺の方は休日が辛い。主に周りの視線が』

 

『まぁ、片方プリュンヒルデで、もう片方はかなりのイケメンだからね。そりゃあ注目も浴びるよ』

 

バッシャーの苦悩に、スライガーがフォローを入れてくれた。何となくだが辛さを理解したのだろう。素直にフォローと受け取って良いのか疑問ではある。

 

『あれ?バジンも一夏にメンテされてるのな?何でお前は故障が酷いんだ?』

 

『さぁな。突発性のポンコツ病か、誰かに中を適当に弄られたかもな。……そう言えば先月、一夏が俺の整備から抜けたときに触られたな。IS学園の生徒に……リボンの色的に、多分2年生の整備課の生徒だな……』

 

『完全にそれ原因だろ』

 

『よく今まで無事だったね……』

 

『むしろ今来た感があるけどな』

 

そんな感じで近況を話し合っていたが、ついにメンテナンスの時間が来た。フルメンテの場合は、最初はオーバーホールをして、古くなった部品の取り換えを行い、プログラム関係の修復に入る。そして最後に人の手で微調整が行われるのだ。

 

『スライガー行ってら~』

 

『俺からで良いの?』

 

『うん。お前早く終わりそうだし。それに比べて俺らは今日中に終われば奇跡だよ』

 

確かに、スライガーは1番早く終わりそうだ。まぁ、スライガーはメンテナンスと言うよりも検診みたいな物だ。大した時間は取らない。恐らくだが、1番時間がかかるのはバジンだ。言語機能に障害が出てる時点で長時間のメンテナンスは決まったような物だからな。

 

予想通り、スライガーはすぐに終った。バッシャーも時間はかかったが、単にパーツが劣化していただけなので比較的すぐに終了した。自分で帰ることは出来るので、サイドカーの部分に予備のパーツを積めてもらっている。

 

そして問題のバジンだ。まずはオーバーホール。この時点でメンテナンスさんは驚かない。普通に一部のパーツが劣化しているだけだからだ。本来傷付かない場所が傷付いていたので疑問の声を挙げたが。取り敢えず、そこは劣化したパーツと傷付いたパーツを換えて再び組み立て直した。この作業は、職員の方は日常的にやっているので、大した時間はかからない。

 

しかし、メンテナンスさんが驚いたのは様々な機能を操作するプログラムの方だ。何故か偉いことになっていたのだ。一夏はこの作業には慣れているためこんなことは起こらない。やはり、バジンがさっき言っていた学生の可能性がある。

 

担当していた人は、今夜は帰れない的な顔をして作業をしている。お疲れ様で~す。

 

この作業は、次の日の早朝に何とか完了した。作業していた人は倒れていた状態で発見されたとかされなかったとか。まぁ過労で大変な事になっていたとだけ伝えよう。たった一晩の作業の筈なのに、一体どれ程過酷な作業だったのだろうか?

 

「どうですか?」

 

『随分と懐かしい光景だな』

 

バジンが目を覚ますと、初めて起動した時と同じ様に、村上の顔が目に写った。バジンが最初に見た人は村上なので、起動した時の事を思い出して懐かしくなったのだろう。だから「懐かしい光景」とプラカードで伝えたのだろう。

 

「覚えていてくれたんですね。確かに、初めて貴方を起動した時もこんな感じでしたね。懐かしいです」

 

『あれから少し老けたか?』

 

「まぁ……10年以上経ってますからね。初めて会ったときから数えるとですけど」

 

一夏には連絡を入れているそうなので、バトルモードで歩いて帰っていった。この状態でも、普通に電車やバスを乗り継いで学園の受付を通れた。非日常も慣れれば日常になると言うことだろう。




そう言えば、先週からビルド始まりましたね。個人的には結構好きな感じになりそうですね。CG量が多い気がするけど……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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料理対決

時間系列マチマチですいません。今日は大人一夏のトゥルーエンドが基準です。

そして、座談会の日程が決定したのでお知らせします。

投稿予定日は9月13日のカイザの日を予定しています。無理だったら次の日に投稿します。大変お待たせしました。座談会のプログラムは、後書きに書きます。

作者のテンション低めです


「ですから、こちらをお読みください!きっと納得して頂けますから!」

 

「悪いが、どんなに話をされようと答えは変わらん。この店を売り渡す気は無い」

 

午後3時、来る客も落ち着いてきたこの時間帯に、最近一夏の悩みの種である連中がやって来た。今日で何回目だろうか?取り敢えず1週間以上連続で来られるのは迷惑だ。

 

「何度も言うが、ここ以外にも場所はあるだろ。その迷惑極まりない行為を止めてくれ」

 

「場所の件に関しては、我々が何度も調査した結果ここが最適だと判断したからです!当然、それ相応の金額はお出しします!それに、これから先この店が順調に経営できるとは限らないでしょう。ご家族の事を考えたら私達に渡すことが最善の筈です!」

 

「問題ない。別に儲けを気にしている訳ではないからな。来る人に満足してもらう。それが家のやり方だ。それに息子も継ぎたいとか言ってたからな」

 

このやり取りがなんなのか、唐突に始まったので分からない人が9割だろう。何故こんな事になっているのか、それはここに新しくホテル?レストラン?を建てるからだそうだ。つまりここにいるのはただの地上げ屋だ。

 

しかし妙な話だな。この場所は本来余り人は通らない。ここに人が集まるようになったのは一夏が店を出してからの筈だ。何度も調査とは、どの程度の調査なのかが気になる。

 

「跡継ぎ?フン。それで上手く行くとでm―」

 

「今、アイツの夢を笑ったか?……俺が料理を学んだ人からは、子供の願い事は未来の現実。それを夢と笑う大人は人間では無いとな。俺はそこまで大きな事を言うつもりは無いが、大切な息子の夢を笑うことは許さん。」

 

「ッ!!」

 

まぁ、これに関しては地上げ屋が地雷を踏んだりだけだ。ただそれだけの事だ。しかし相手が悪かった。目の前に居るのは誰だと思っている?織斑一夏だぞ。睨み付けるだけで相手を黙らせることは造作もない。

 

「そんなにこの場所が欲しいなら、俺に勝ってから言うんだな。料理人ぐらい決まってんだろ。ソイツと料理で対決して決めようぜ」

 

一夏の提案で、料理ですべてを決めることにした。一夏本人は勝つ気満々なので、料理を食べる審査員は相手に決めるさせることにした。勝負内容は料理を一品作って食べてもらい、どちらが美味いかを審査してもらう一般的かつシンプルな物。勝敗は分かりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?何で村上が居るんだ?」

 

「最近援助をした方から依頼されましてね。まさかそう言う事だったとは……」

 

まさかの村上が資金を援助している相手だったそうだ。しかし、そう簡単に資金の援助は出来ない。恐らく、スマートブレインが援助しているのではなく、村上が個人的に自分のポケットマネーで援助しているのかも知れない。村上は一体どれ程の財力を……

 

「まぁ良いや。審査は公平にしろよ」

 

「良いんですか?それで」

 

「んなことで勝っても嬉しくはねーからな」

 

公平な勝負。それを一夏は望んでいる。そして、その勝負で相手を完全に倒す。相手にトラウマを植え付けないと良いけどな。

 

「そっちから選んで良いぞ~」

 

「……後悔するなよ」

 

先攻は相手。一夏は後攻の様だ。因みに食材は両者共に用意して使う。別に必ず相手の用意した食材を使うルールは無いので、一夏の出した食材は使わずに自分達の用意した高級な食材を使うようだ。

 

「やっぱそう来るか……」

 

予想通りの動きだった。まぁ当然だ。普通の食堂の料理人である一夏が普段使う安い食材より、自分達の用意した高級な食材の方がより美味い料理を作れるからだ。そして魚を中心に料理を作っている。この相手に、一夏はどの様な料理をぶつけるのだろうか?

 

相手が手際よく食材を切っているなか、一夏もようやく動き始めた。と言っても、余っている食材は自分が用意した物のみ。その中から取り出したのは、タマネギ、人参、ジャガイモ、鴨肉、そしてユリ根だ。

 

(久し振りにすり鉢でも使うか……)

 

棚からすり鉢を取り出すと、包丁でバラバラにした鴨肉とユリ根を入れて一緒に混ぜてミンチ状にした。次にタマネギをみじん切りにし、色が変わるまで火にかけて、色が変わると先ほどミンチ状にした肉に混ぜ合わせた。

 

手頃にハンバーグでも作るようだ。しかし、村上は肉が苦手だ。それは分かっている筈。なのに何故肉料理にしたのだろうか?

 

一夏の料理が終盤に入ったとき、相手側の料理が出来上がった。なんとかの豚っていう映画で見たことあるきがする料理だ。

 

「鮭のムニエルのベシャメルソースがけと人参のグラッセです。どうぞ」

 

やっぱり紅のなんとかっていう映画で出たものだ。

 

「では頂きます……うん。濃厚なベシャメルソースが鮭と合いますね。お互いに無い食感を補いあって実に良いですね。人参も素材の甘さを引き出しソースと合う」

 

かなりの高評だ。一夏の料理はまだだが、もう勝ったつもりで居る。村上が食べ終った段階で、一夏も完成して出した。

 

「家の人気メニューの鴨肉のハンバーグだ」

 

「鴨肉?珍しいですね……」

 

確かに鴨肉のハンバーグは珍しい。しかし、村上は肉が苦手だ。最低限の量は食べる。だがそれでも少ししか食べられない。それより多く食べようとすると吐き出してしまうのだ。それは一夏も知っている。

 

「ん!?……」

 

ひと口食べると、そのまま無言で食べ続けた。その村上に地上げ屋の皆さんはかなり驚いている。

 

「な、何故?肉料理は食べられない筈なのに!?」

 

「ユリ根だ……」

 

「ユリ根?」

 

「肉を苦手とする人は、肉に付いている血生臭さや匂いが原因だ。だがユリ根を一緒に入れることでその匂いを消すことが出来るし、ユリ根は火を通すと芋みたいに甘くなる。肉嫌いな人が肉を克服には最初はこれぐらいが調度良い」

 

「確かに、血生臭さはほとんど消えていました。お見事です」

 

当然、村上が食べられない筈の食材を完食させた一夏が勝利した。

 

「何故……こんな料理に……」

 

「10000円の食材も1000円の食材も変わらない。食材の良し悪しじゃなく結局は作る人間の相手に対する気持ちしだいだ。お前は俺に勝つことしか考えてなかっただろ」

 

この日以降、迷惑者達は二度と来なくなった。そして料理人のほうは師匠の元に戻ったとか戻らなかったとか……。




では、座談会のプログラムをお伝えします。

1 出演者の紹介(一夏、本音、草花、他4名)
2 各々印象に残っているストーリー(出演者全員)
3 作者による作品説明(無気力な救世主に関しての)
4 質問返答(全作品の物)
5 作者のお話(今まで書いた小説について)

この様に考えています。質問のある方は、感想欄に感想と共に13日の午前までにお願いします。記念の挿し絵は一部紹介し、残りは今後の前書きにて掲載します。

キャラ意外の出演者は当日の発表となります。質問のある方は是非お願いします。『憲八先生』で答えられてない!と言う方は、この場でお答えするのでまた書き込んでください。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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虚がバイクの免許取るって

今日はバジンと虚のお話しです。今日もトゥルーエンド基準です。

提供 aki ecoさん

※短いよ


「よし!」

 

現在、布仏家。今日はこの家に一夏、本音、バジンと小さい一音だ。久し振りに布仏一家と一緒に食事でもと思ってきたのだが、虚が部屋にこもって出てこないのだ。

 

「お姉ちゃん……何か気合い入ってるね……」

 

「何があったんだ?つーか何だよあの大量の参考書は……」

 

部屋の中を覗いてみると、机の上には大量の参考書が置かれており、気合いを入れて勉強していた。何の参考書かと思い、ファイズショットで写真を撮ってみた。画像を解析してみると、バイク免許の参考書だった。

 

「お姉ちゃん、バイクなんて乗るっけ?」

 

「彼氏とでも乗るんじゃないか?」

 

「なら後ろに乗せて貰えば良いのに……」

 

この時点で、バジンが虚の彼氏だと言うことはまだ誰も知らないし、バジンも伝えていない。虚も周りの人には内緒にして居る。(一部を除いて)

 

「バイクの免許ってどれくらいで取れるのかな~?」

 

「原チャリなら1日で取れるけど……そんな男なら1発ぶん殴る」

 

「じゃあ大型かな?」

 

「だろうな。参考書の種類も大型のだし……しかし相手は?」

 

お前らがいつも乗ってるバイクだよ。しかし、バジンはポーカーフェイスが得意だ。誰にも表情を読むことが出来ない。むしろ生れつきずっとポーカーフェイスだ。筋肉固まってんじゃないか?元々固いけど……

 

『何やってんだ?こんなところで』

 

バジンがオボンにお菓子やジュースを乗っけて現れた。どうやら虚への差し入れの様だ。一夏と本音を避けると、部屋の中へ入っていき、虚の机に差し入れを置いた。

 

『バイクの免許でも取るのか?』

 

「えぇ。いつかは取りたいと思っていたので、近々取ることにしました!」

 

『なら、俺も手伝ってやる。少しなら手を貸せる』

 

「はい!よろしくお願いします!!」

 

バジンは虚の隣に座ると、プラカードでではあるが虚に教え始めた。何かイキイキしている。

 

「あれ?何かバジン、今日楽しそうだな……」

 

「うん。何かイキイキしてるね。お姉ちゃんも」

 

この時、一夏と本音の頭の中で何かが繋がった。バジンはこの前彼女ができたと言っていた。そして普段は何を考えているか分からないバジンがここまでイキイキしている状況。

 

虚も虚で、バジンと話してるときは随分と楽しそうにしている。それに少し頬が赤い気もする。

 

((あぁ~そう言うこと……))

 

全てを、理解したようだ。あの時バジンが言っていた彼女とは、本音の姉である虚だったのだと。どうりで今日は少しバジンがソワソワしていた訳だ。

 

「お姉ちゃん、大丈夫かな~?」

 

「バジンなら問題ないだろ」

 

「お母さんはどう思ってるのかな?」

 

と言うわけで、一夏と本音はお母さんとお父さんの元へと向かった。和室(ほとんど和室みたいなものだ)で一音と遊んでいた。

 

「あの、お父さんとお母さんは、お姉ちゃんとバジンの事を?」

 

「その、バジン一応機械なので聞いておきたくて……」

 

聞きにくそうに尋ねた。確かにとらえられ方によっては失礼な質問になるかもしれない。それに、事が事だ。少しばかしキツい返答も来るかもしれない。

 

「あぁ~その事?私は賛成よ~虚もバジンちゃんの事大好きみたいだし!お父さんは?」

 

「娘が2人共嫁に行くのか~(勿論賛成してるよ)」

 

「お義父さん、多分本音と建前が逆」

 

「んあ!?」

 

まぁ、2人は賛成しているようだ。恐らくバジンの性格が信用されているのだろう。機械だが、人間の様な複雑な感情を持ち、一途な思いを内に秘めている。これ以上にない優良物件だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

免許の受取日。バジンに教えて貰いながら勉強していた虚は、当然免許を取得することが出来た。免許を手に持ちながら建物から出てくると、目の前にバジンが居ることに気付いた。

 

「バジンさん!取れました!!」

 

『当たり前だ。乗れ』

 

『Vehicle Mode』

 

ヘルメットを投げ渡すと、バイクの状態になって乗るように促した。ぎこちなくではあるが、バジンに股がりキーを回してエンジンをかけた。

 

教習以外ではこれが初乗りとなる。バジンはアシストしながらではあるが、虚に運転を任せた。両者とても楽しそうだ。気付けば家に着いていた。

 

『初乗りはどうだった?』

 

「とても楽しかったです!これで何処でも2人で行けますね!」

 

『そうだな……来週の日曜日、何処かに出かけよう。もっと走りたいだろ?』

 

「はい!是非!」




バジンに声を付けると、CVは誰だろう?想像すると楽しいですね。自分が小説を読むときの醍醐味です。キャラの声を想像するのが。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!


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座談会
座談会 Part1


台本形式は久し振りですね。前から言っていた通り、今回は描写等が無いので台本形式で行きます。読みにくいところもありますが、あらかじめご了承下さい。

キャラ崩壊多数ございます。


皆さん!おはこんばんちは。暇な時間のお友達、ISと無気力な救世主のナレーション兼作者、うp主の憲彦です。今日はようやく座談会を開くことが出来ました!偏に、お気に入り登録、評価、感想をしてくれている皆さんのお陰です!では、長々と話をしても仕方無いので、本日登場してくれるキャラクター達を紹介しようと思います!まず始めに、今作の主人公仮面ライダーファイズの織斑一夏!

 

一夏

「どうも~!」

 

続きまして、主人公を支えるヒロインにして、一夏の妻。布仏本音!

 

本音

「よろしくね~!」

 

そして、キャラクターの最後は今作で1番印象的だった一夏のサポーターにしてお義兄さん。真っ白い草加雅人です!

 

草加

「引っ掛かる紹介をするな!」

 

まぁまぁ、そんなこと気にするな。事実だから。そして今日はこの3人の他に、あらかじめ声を掛けさせて頂いたユーザー様4名を招いておりますので、そちらの紹介に移ります。今回は特に選んだ基準と言うものはありません。個人的に、特にいつもお世話になっている方を呼ばせて頂きました。本当はお気に入り登録してくれている人全員を呼びたかったんですが、技術的に無理なので今回はこの4名を招待しました。では最初に、たけじんマンさん!

 

たけじんマン

「お邪魔しまーす!!」

 

続きまして、我が小説に沢山のアイディアを提供してくださるorotidaさん!

 

orotida

「よろしくお願いしまーす!!」

 

お次は、鉄血のオルフェ……間違えました。鉄血のブリュンヒルデさん!

 

鉄血

「本当に来ちゃった!?」

 

疑わないでよ……。そして最後に、モンスターハンターを原作に小説を書いており、この小説に作者の思い付かないアイディアを送ってくださった、ただの通りすがりさん!

 

通りすがり

「私が来たー!!!」

 

はい!皆さん来ました!では、これより次のプログラムに―

 

草加

「イヤどうやって他のユーザーをここに呼んだんだ!?」

 

口寄せの術で一気に呼びました。意外と行けるもんですね。では、次のプログラムに行きます!次は印象に残っているストーリーの紹介です。これはゲストの皆さんからお願いします。あ、コーナーが変わるごとに天の声もゲストの誰かに代わります。

 

oro/たけ/通り/鉄血

「えぇぇぇぇ!!!!」

 

orotida

「ちょっと!流石にいきなりは無理だよ!!と言うか、コーナーの数的に全員に行き渡るよね!?」

 

あ、バレた?まぁ、必ずみんな1回はやるよ。だって、面白そうじゃん?では、そうだな……盛大にツッコミを入れてくれたorotidaさんから行こう!

 

orotida

「俺!?まぁ良いか。やっぱりビーチバレーの会かな?バジンの参戦ですら危ない感じがしたのに、変身してクリムゾンスマッシュとゴルドスマッシュをぶつけさせるとは思わなかったからね」

 

あのシーン、本当は木場さん使おうと思ったんだけど、何か木場さんは砂浜で日光浴してるイメージが浮かんだから、急遽書いてるときにバジンに変えたんだよな~。意外と好評だったけどね。

 

orotida

「印象に残っていると言えば他にも、バジンのチートスペックと草加がとても綺麗だったのとサイドバッシャーとジェットスライガーの不憫さだね。具体的にはジェットスライガーにバドルモードで追いつきオータムを真っ向から殴り倒しついでに、保父さんを完璧にこなしそして彼女すらゲットしたバジンに敬服を。草加はファイズ本編以上に酷い目にあいながら、まともに成長したからね。最も後を引きずる様な別れ方では無かったし、頼れる仲間が沢山もいたし、彼女がまともですからファイズ本編より恵まれている所もあるけど。サイドバッシャーとジェットスライガーについてはいうに及ばず。きっと日の目を見れると思うよ。量産にはジェットスライガーが一番向いてるし。サイドバッシャーも家事できないことはないからね。後、何より一番に印象に残ったのは束の死にたくないかな。誰しもが思う事でそういうのを素直に描写されるのが魅力の一つとおもうよ」

 

バジンに関しては、最初からチートスペックで行く予定だったからね。感情入れて人間らしくしたのも、一応とは言え、その後のストーリーも考えてからだし。草加は出すと決めた段階で真っ白は決定してました。草加がファイズ本編の様に病んでなかったら、きっと良い関係を一夏と築けると思ったからですね。

 

バッシャーとスライガーは、ちゃんと考えてますよ。受け入れられるかどうかは別として、人間態の登場予定もありますし、近々その2台をフル改修しようかと思っています。

 

草加

「何をするつもりだ?」

 

悪いようにはしないよ。じゃあ次はたけじんマンさん。よろしくお願いします!

 

たけじんマン

「そうですね……僕が印象に残っているのは、学年別タッグトーナメントで一夏がラウラと殴り合った時ですかねぇ」

 

一夏

「あれ正直言ってかなり痛かったんだよな~。何で殴り合いにしたんだよ」

 

真面目な戦闘シーンも考えてたよ。でも、ファイズAIC破っちゃったじゃん。もう、殴り合うしか無いよね。

 

たけじんマン

「そんな理由だったんですね。あ、他には箒の死亡回です。自分、ファース党なので……」

 

本音

「うp主、たけじんマンさんショック受けてるよ丶(・ω・`) ヨシヨシ」

 

うん。自分でもまさか殺すとは思ってなかったんだよ。本当は、木場との戦いで殺さず、束の本性を見て失意。束が木場に倒された後に、改心して木場から紅椿を受け取って流浪の旅に出させようかと思ってたんだよ……

 

一夏

「じゃあ何であんな感じに?」

 

木場との戦いを書いてるときに、「あ、これ改心無理だわ。直らないわ」となって、あのような結末に……

 

通りすがり

「まぁ、確かに……」

 

鉄血

「あそこからの改心は難しいよね……」

 

うん。では次に、通りすがりさん。お願いします!

 

通りすがり

「了解。私が印象に残っているのは、「SBと白騎士事件の真実」です。何と言いますか、ファイズの設定と白騎士事件が上手くマッチしていて、納得の行く設定だったので」

 

あれはほぼ無意識だったんですよね~。書く前は漠然とスマートブレインと白騎士事件を繋げられれば良いと思っていたんですけど、何も考えずに書いたらまさかのベストマッチする設定が完成しましてね。いや~、無意識って怖い!

 

通りすがり

「あとは、その次の「因果応報」ですね。篠ノ之姉妹との決着。書かれていて大変良いと思いました」

 

先程も言ったように、因果応報の篠ノ之姉妹戦の直前までは、箒は改心させる予定でしたからね。改心して流浪の旅に出るならその描写も必要かと思ってたんですけど……あんなことになっちゃいましたね。

 

草加

「前書きで一応謝ってたけど、これ結構衝撃与えたんじゃないか?」

 

驚いたって言う声は結構貰ったね。俺も完全に改心させるつもりで書いてたから、かなり驚いたよ。では次、鉄血さんですね。お願いします。

 

鉄血

「はい!個人的に印象に残っているのは、草加が黒崎と対峙するところです!あの時の「俺は、惚れた人には幸せになって欲しい。こんなところで、血塗れになって戦ってる俺には無理な話だが、小さくても良い。誰かと結婚して、普通に子供産んで幸せになって欲しい。ただ、それだけだ。変身!!」この台詞がたまらなく好きです!」

 

草加

「声色変えてまで全力で再現しなくても良いのに……」

 

鉄血

「やるからには全力でしょう!」

 

うん。確かにやるなら全力が良いね。あのシーンと台詞は銀魂を使わせて貰いました。元々作品の至る所で銀魂要素を少し出していたので、草加の過去編を考えているときに、このシーンが頭の中を駆け巡りましてね。ハッキリと言ってこれ以上に良い台詞は無いと思ったから、草加に言って貰ったよ。

 

一夏

「確かに良い台詞だったな」

 

本音

「うん。草加さんなら普通に言いそうだしね~」

 

草加

「言うか!」

 

はいはい。次は3人の番だよ。一夏から順に言っていって。

 

一夏

「俺が印象に残っているのは、雪片をぶっ壊したシーンだな。大体使わなくても壊さないからな。二次創作では」

 

あれね。やっぱりやるなら今までに無い物をやりたいじゃん。一夏が仮面ライダーで白式を使わないのはよくあるけど、俺もそれをやったらつまらないでしょ?あそこで一風変わった感を出すために、雪片には犠牲になって貰ったよ。雪片……君の事は忘れない……

 

本音

「次は私~!私はね~、いっちーに抱き枕にされたシーンかな?今でもあの感じは覚えてるよ~!」

 

鉄血

「そう言えば、一夏×本音も珍しい様な気が……」

 

orotida

「確かにあんまり見ないな……」

 

まぁ、一夏×本音も理由はさっきと同じだね。真耶でも良いかな~?と思ったけど、既に一夏×真耶は沢山あったから、ここは本音にしたよ。この作品の一夏には本音が1番良いかな~?とか思ったし。

 

草加

「最後は俺だな。「新たな門出」だ。一夏が花言葉にスゴく詳しかったし、バジンはスーツを着るしな。結婚式の最後に打ち上げた花火も印象に残っている理由だ」

 

やっぱりバッシャーにも祝福させたいじゃん。だから砲門の中身をミサイルから花火と紙吹雪に変えて盛大に打ってもらったんだよ。さてと、次のプログラムに行こうか。ではナレーションを交代しましょう!

 

やあやあ!おはこんばんちはー!皆のアイドル鉄血さんだよー!……すみません。ふざけました。……このコーナーは作者によるISと無気力な救世主の作品紹介です。ではお願いします!

 

うp主

「まぁ、説明と言ってもそんなに無いけど、今回もISを原作として、個人的に1番好きな仮面ライダーであるファイズとのクロスオーバーにしてみたよ。ただ、俺の個人的な考えもあるから、あえてオルフェノクを出さなかったんだ」

 

個人的な考え?

 

うp主

「うん。仮面ライダーだけじゃなくて、その他の特撮ヒーローにも言えるけど、まずヒーローを怪人と同じ、または酷似した力を持って怪人を倒す。怪人殺しの怪人とか言う人が多いんだ。別にその考えが間違ってるとは言わないし、考えを改めろとも言わない。だけど個人的にはそれは間違ってると思うんだ。あくまで個人的にだよ」

 

それはまた何で?

 

うp主

「確かに、仮面ライダーやその他のヒーローは怪人とほとんど同じ力を持っている。ウィザードの最終回でも怪人になれなかった出来損ないが仮面ライダーになってみたいな事が言われてたけど、もし彼等が怪人を倒すだけの存在なら、ここまで皆の心に残った?」

 

orotida

「心に?」

 

うp主

「そう。ヒーローは確かに平和や正義を守ってきた。でも、正義なんて人それぞれ。通りすがりの仮面ライダー程世界を見た訳じゃないけど、どのヒーローも自分の思う正義の為に戦っている。世界の平和何て物の為ではなく、自分の居場所や大切な人を守るためにね。そう思うと、怪人の存在はあんまり必要ないと思ったんだよ。この小説にはね」

 

一夏

「でも、仮面ライダーごっこをしてるだけって言うコメント貰うだろ」

 

うp主

「貰ったね。でもハッキリと言わせてもらうと、だから何だ?って感じなんだよね~。そもそも、怪人出さない予定で書いてるのに、何で必要以上に力を振るわせたがるのかが分からないんだ。皆の思うヒーローって一体何なの?力で相手を捩じ伏せる存在のこと?自分の力を見せ付けて自分が最強って知らしめる存在のこと?悪いけど、俺は今後もそんな何の魅力もない存在の小説なんか書くつもりは無いからね。最終的には世界を救ってるけど、どのヒーローも最初は自分の大切に思うものの為に戦っている。その大切な物は誰もが持っている当たり前の物。それを守っている姿が心に残るから、今もヒーロー達が人気なんだと俺は思っているよ」

 

成る程……うp主の多少良い話が終わったので次の……ん?カンペ?何々……続きは次回?




はい。長くなるので、続きは明日です。質問コーナーや今まで書いた作品の紹介、頂いた絵の紹介と今後の事について話します。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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座談会 Part2

本日も行きます。ISと無気力な救世主の座談会!今日はうp主が今まで書いた作品の紹介からです。


うp主

「次は通りすがりさん。天の声よろしくお願いします」

 

もう準備してます。このコーナーはうp主の上げている長編小説の紹介です。では順番通りに『ドラえもん のび太の新魔界大冒険~絆の戦士と七人の魔法つかい~』の紹介からお願いします。

 

うp主

「このサイトに登録したその日に書いた初めての小説だね。ドラえもんの新魔界大冒険を原作にして、1番好きな特撮ヒーローのウルトラマンネクサスとクロスさせた作品。ぶっちゃけ、1番力を入れて書いた作品です。台本形式だし下手だけど……一応URL貼っておくね。読んでくれたら感想お願いします!こっちの感想欄でもあちらの感想欄でも大丈夫なのでお願いしますね」

 

https://novel.syosetu.org/114628/

 

鉄血

「そう言えばこの作品、ザギ最終的に倒されずにノアと一緒に帰っていったよね」

 

うp主

「うん。ザギの過去を知ったから、テレビ本編とは別のエンディングを書きたいと思うんだよね。それにノアの歌のNOA~奇跡をその手に~っ言う歌があるんだけど、その中にある「拳を開き差し出せ」と「永遠の勇気を見せてくれ」って言葉があるんだ。その曲を聞いたときに1番その言葉が印象に残ったんだよ。拳を開き差し出せは文字通りにトドメを刺さずに助けること。永遠の勇気を見せてくれは、ノアとザギは皆さんご存じの通り長い時間を戦って過ごしてきたんだ。お互い簡単に許すことも出来ないし、一緒に生きるなんて無理な話なんだ。普通に考えてね。それにウルトラマンの寿命はほとんど永遠。神に近い2人は消滅以外に死ぬことは無いと思うんだ。ノアはザギを受け入れて一緒に生きる事。一応これを表しているつもりだよ」

 

orotida

「歌絡んでたんだね」

 

うp主

「まぁね。最後はコスモスのTHE FIRST CONTACTのムサシとコスモスの飛行シーンを再現させて貰ったよ。初めて見たウルトラマン。その映画の1番憧れたシーンだから使ったんだよ」

 

成る程……では次は、初めてISを原作にした小説「インフィニット・デカレンジャー ~クールで熱い戦士たち~」についてお願いします。

 

うp主

「初めてISを原作にした小説で、前作の流れでそのまま台本形式で行ったんだよね~。まぁ、今もそうだけど原作は未読だから受け入れられない部分も合ったんだよね~」

 

一夏

「確か、「犯罪が無くなってない。SPDの存在する意味が無い」だっけ?そんな感想送られてたよな?」

 

うp主

「犯罪が無くなってない。それに関しては反省はしてないよ。そもそも、現実を見ればわかるでしょ?いかに犯罪を取り締まる組織が強化されようとも、世界から犯罪は無くならない。小説の中だからと言って、犯罪の全く無いあり得ない世界なんて書きたくないからね。犯罪を確実に撲滅するには、コンピューターが全てを管理するしか無いから」

 

鉄血

「そう言うことね。確かに世界から犯罪は消えてないもんね。日本では今のところテロが起きてないけど、犯罪に関しては日常的に起こってるもんね……」

 

うp主

「現実では不可能な事を小説にするんじゃなくて、少しでも改善された物を書きたかったんだ。まぁ出来なかったけど笑」

 

それを明るく言える辺り、全く気にしてないみたいですね。うp主らしいと言えばらしいけど……

 

うp主

「全く気にしてないと言えば嘘になるけど、作品を作ってる以上は仕方の無い事だと思ってるよ。でも、作品を作ってるから、段々良いものが作れてると思ってるんだ。クオリティーは相変わらず低いけど」

 

では、次は現在進行形で書いてる「神と時間の支配者」の紹介ですね。よろしくお願いします。

 

うp主

「これもISを原作にして、エグゼイドで出てきた最強の敵である仮面ライダークロノスを使った小説ですね。個人的には敵ライダーではクロノスが最強だと思ってるよ。そして個人的に初の試みとなる憑依転生を使いました。一夏の中には、神を殴った高校3年生が入っています。クロトもその時に一緒に転生した高校3年生の少年です」

 

たけじんマン

「まさか1話早々に神を殴って瀕死に追い込むわ、その先生的な立場にある位が上の神の鎖骨を折るわ、少々やり過ぎ感のある人だったね……」

 

草加

「確かにあれはやりすぎだぞ」

 

うp主

「まぁ皆よく考えてみなよ。神に殺されて、転生させるから許して!って言われて、はい!許します!何て言うか?俺は無理だわ~。少なくとも一撃ぶん殴る。全力で」

 

鉄血

「小さい女の子の神様でも?」

 

うp主

「うp主、見た目には惑わされない……性別が女だろうと全力で殺る。向こうに完全に責任がある場合に限りだけどね」

 

でもうp主ならやりそうですね。むしろ1発じゃあ済まないかも……

 

うp主

「それは度合いによるよ」

 

その度合いとは?

 

うp主

「聞きたい?」

 

遠慮しておきます……

 

うp主

「あぁ、あとこの小説では、後書きと前書きでウルトラマンの紹介を行っています。長いと言われようが止めませんよ」

 

orotida

「この企画急に始まったけど、なんか目的あるの?」

 

うp主

「大雑把にはウルトラマンの事を知ってもらう事かな?自分の持ってる知識の披露じゃなくて、純粋にウルトラマンと言う作品を見て欲しい。そんな気持ちから始めた企画だよ。でも好きなウルトラマンだと、後書きと前書きでも足りなくなりそうだけどね。特にネクサスとか」

 

鉄血

「でも読んでて楽しいよ?ネクサスも見ることが出来て良かったと思ってるよ」

 

うp主

「鉄血さんの様に、このコーナーの影響とは言わないけど、少しでもウルトラマンを見てくれる人が増えればと思ってるよ。子供向けの作品と言われがちだけど、見てると大人でも考えさせられる作品だと思えるからね」

 

じゃあ次のコーナーですね。質問コーナーと挿絵紹介コーナーがありますが、どっちから?

 

うp主

「そうだね……じゃあ挿絵から行こうか。たけじんマンさん。天の声お願いします!」

 

はーい!天の声変わりましてたけじんマンです!では早速、記念の挿絵のご紹介に移りましょう!これはうp主が描いたの?

 

うp主

「自分で描いたのもあるけど、友人に描いて貰ったのもあるよ。クオリティーを見ればすぐに分かる」

 

成る程……では最初の1枚!

 

 

【挿絵表示】

 

 

これは一夏とファイズかな?

 

うp主

「うん。一夏の横顔とファイズの横顔を並べた絵が欲しかったから描いたんだ。一夏はファイズ本編の巧をイメージして、茶髪気味にしてるよ。ぶっちゃけファイズは少し失敗した……」

 

あらあら……では次!

 

 

【挿絵表示】

 

 

これは銀魂の銀さんかな?

 

うp主

「本編に少し登場した銀さんだよ。クオリティーが全然違うでしょ?」

 

鉄血

「と言うことは?」

 

うp主

「私のクラスの友人が描いてくれました!いや~銀さんカッコいい!」

 

友人さんスゴいですね。ではお次は?

 

 

【挿絵表示】

 

 

草加

「お!俺だ!まさかここで出てくるとは!」

 

うp主

「本当は、千冬とこツーショットとか書きたかったんだけど、無理だった。千冬の模写は行けたんだけど、草加を写真からイラストにするのが出来なかった……木場と真耶のツーショットも書こうとしたんだけど、真耶は描けても木場が描けなかった……」

 

まぁそれは仕方ないでしょう。ではお次

 

 

【挿絵表示】

 

 

……なんか足りなくない?

 

うp主

「気のせいですよ。純然たる新八君ですよ」

 

鉄血

「そうだよ。足りないのはメガネ掛けられ機だけだよ」

 

絶対それだと思うよ……まぁ、これだけでも誰かは分かるけど……

 

うp主

「分からない方は、画像検索で「銀魂 メガネ」と入れて下さい。すぐに出てきますので」

 

さてさてお次は~?

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

1回描いたヤツ?

 

うp主

「うん。結局製作が追い付かなくて、紹介で使った絵に文字を付け足して今回のに利用したよ。ネクサスとザギを使ったのには、特に理由はないよ」

 

あぁ……そうなの……えっと、他の画像はでき次第小説前書きに掲載するそうですので、そちらも楽しみにマッテイテ下さい!!短いですが僕の天の声はここまでにさせていただきま~す!ありがとうございました!

 

天の声はうp主に戻って、これからは質問コーナーに入ります!小説やリアルから来た質問や言葉を包み隠さず発表します!では最初は、「早い更新スピードの秘訣は?」ですね。

 

たけじんマン

「あ!僕もその質問しました!」

 

最近は滞りがちだけど、まぁお教えいたしましょう。小説を書くとき、ほとんどの人は最初から最後まで頭の中で想像すると思いますが、俺の場合は最初と最後だけ考えて書いています。中身は書いてると自然と出てくるので。後は、新しい小説を書くと決めたさい、ラストは決めておくことです。まだ投稿するつもりが無いなら、全部考える方が良いですよ。

 

たけじんマン

「うp主はそうやって書いてるの?」

 

そうだよ。絆の戦士と七人の魔法つかいに関しては、登録する前から考えていたストーリーだから、平均3000文字行けたけどね。このやり方だと、1話の文字数が少なくなることが欠点です。

 

一夏

「普通は全部考えてから書くだろ……」

 

俺の性格上それは無理。次の質問は、「特撮以外でのクロスなどはやらないのですか?サイボーグ009やガンダムシリーズ、ゼロの使い魔、シンフォギア、イナズマイレブン等の作品とのクロスはやらないのでしょうか?」

 

たけじんマン

「また僕のだ!」

 

は~い。ズバリお答えしましょう。実際、うp主はアニメも見ますが、ウルトラマンや仮面ライダー程の知識を持っているわけではありません。アニメファンの方には申し訳ありませんが、これからもクロスオーバーはウルトラマンや仮面ライダーの特撮を使っていきます。

 

たけじんマン

「それは残念です……読んでみたい気もするんですけどね~」

 

知識を持ってたら書いたかもね。次は、「うp主が作ったガンプラを見せて!」……俺ここでガンプラ作ってるなんて言ったかな?まぁ良いや。少し多いけど飽きないでね。

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

こんな感じかな?墨入れは最低限の事しかしてないよ。OOライザーは分離が可能な物で、ユニコーンは変形可能、エクシアはPGです。

 

本音

「そこそこあるね~」

 

まぁ、もう壊れて処分したのもあるから、それを合わせればもっと多いよ。今でも暇さえあれば作ったガンプラを触ってるからね。

 

え~っと次の質問は……「今後作りたいガンプラは?」そうだね……オーバーフラッグ10体ぐらい作りたいかな?あと100分の1のエクシアやOO関連のガンプラかな。ミスターブシドーと刹那の戦いの一こまを再現してみたい!後は道具を揃えて、完璧に作りたいな~!

 

草加

「普通にプラモ馬鹿じゃないか……」

 

まぁ、それは兎も角。気を取り直して次の質問に!「IS原作より面白くない」そりゃそうだよ。だって俺プロじゃないよ。原作も未読だよ。趣味で書いてるだけだから。原作を越えろって方が無理だよ。まぁ、それを理由に評価1を付けられても困るけどね。

 

次は「読むにあたって注意事項を山ほど設けられるとまず萎えます」これに関してもお答えしましょう。まずこの作品はオルフェノクは出てこない。それを知らずに読むとしっかりと注意換気をしろと言う方が出てきます。他にも棲み分けはしっかりとしてくださいと言うのも出てくるでしょう。そう言ったものを防ぐ意味での注意事項です。

 

「会話の「」や()の中では文末の句読点を無くした方が読みやすいと思いますよ。小説の作法の様な物です」ハッキリ言ってこれはうp主のさじ加減ですね。最初は確かに全部につけてましたが、会話が突然切れてはいけない場面などでは普通に付けます。作法は作法であって技法ではありませんから。

 

評価つけるときは一言で「つまらない」や「脚本が安っぽい」、「読みにくい」、「IS原作より面白くない」などの一言ではなく、具体的にどこを直したら良いとかも言った方が良いですよ。小説書いてない人の場合、「書いてないヤツが偉そうに言うな」的な事を思う人もいるのでご注意下さい。

 

次の質問は「ビルドの考察や注目みたいな所はありますか?」

 

鉄血

「あ!俺の質問だ!やったぜ!」

 

そうですね……考察は特に無いけど、多分ギャグ要素は控え目に行くかと思います。第1話の回想シーンや現状の報告を見るからに、極度にギャグ要素を入れることは無いと思います。どうなるかは分かりませんけどね。注目は人間がスマッシュになるための実験ですかね。パンドラボックスも気になりますが、スマッシュの実験も個人的には気になります。

 

後はコウモリ男の正体。パンドラボックスを見付けた人、もしくはあのときに触った人何て言う展開は流石に無いと思いますが、中の人が気になりますね。

 

たけじんマン

「主人公に関しては?」

 

髪の毛が急に跳ねるのはちょっと……まぁ過去も気になるところですね。どう言った経緯でベルトを持つことになったのかは明らかになってませんから。と言うか、まだビルドを2話ととゆっくり見れてない……

 

次の質問は……「今欲しいものは?」

 

草加

「彼女だろ」

 

もう諦めてるよ。そうだな~……お金!画力!文才!プラモデル!この4つです。今のところは。まぁ、この中で1番欲しいものは、プラモデルですね。一日中部屋にこもって作っていたいです。

 

全員

「運動しろ!!」

 

言われると思ったよ。次の質問は「俺のISの単行本どうなってる?」……本借りてる人からの質問だ……

 

通りすがり

「まだ返してなかったの!?」

 

……ISの単行本は、完全に機体の資料を見るためだけに借りてるからね……さっきも言ったように、読んでは居ません……そろそろ返さないとな。

 

orotida

「単行本の存在意義……」

 

次の質問は「最初に千冬がバジン呼んだときに何を言い付けるつもりだったのか?」

 

orotida

「俺の質問だ!」

 

多分、第5話の「もう1つの力」の時の事かな?それは近接武器の時に、ファイズエッジを出すためですよ。

 

orotida

「あぁ~そう言う事」

 

他にも、バジンの戦闘能力の確認などもあります。

 

……じゃあ、最後のコーナー行こうか!最後は今後の予定ですね。取り敢えず、今書いてる「神と時間の支配者」が完結したら、次の長編小説で一旦投稿を辞めようと思います。

 

全員

「えェェェェ!!!」

 

たけじんマン

「急にどうして!?」

 

鉄血

「うp主まだそんなに長い期間活動してないよ!」

 

通りすがり

「まだ早いって!」

 

orotida

「完結してない小説は!?」

 

イヤ。あの、落ち着いて。辞めるって言っても少しの間だけだよ。そろそろ就職だし、就職出来たら慣れるまでは投稿が出来ないからね。

 

鉄血

「そう言う事か……」

 

orotida

「と言うことは、次の長編小説のネタはある程度固まってるの?」

 

うん。一夏の心を光と闇に分けて、光にはネクサス、闇にはダークメフィストの力を持たせて本当の自分を取り戻すための戦いを書こうと思っています。

 

通りすがり

「完全に辞めるのかと思いましたよ……」

 

唯一自慢出来そうな趣味だからね。辞めはしないよ。ただ、一時的に執筆から手を引くだけだよ。

 

たけじんマン

「次はウルトラマン。しかもネクサスですか」

 

自分が1番知識を持っていると思っているウルトラマンだからね。久し振りに扱うから心配だけど。……あ、鉄血さん。今書いてる小説の宣伝しとく?

 

鉄血

「え?良いんですか!?是非やらせて頂きます!……では、今ISを原作として、エクストルーパーズと言うゲームとのクロスオーバー小説を書いています!皆さん!是非読んでください!よろしくお願いしま~す!!」

 

ISについては、俺よりも皆さんの方が知っているので、エクストルーパーズについて少し紹介をします。一応俺もプレイヤーの一人なので。

 

このゲームはカプコンが2012年発売したアクションシューティングゲームです。舞台となる「END-3rd」は「ロストプラネット」シリーズでお馴染みの場所ですが、リアル志向ではなく、マンガ的な爽快感を重視した作品です。ストーリーの紹介は省かせて貰います。

 

個人的な感想としては、確かにマンガの様な爽快感があり、やっていてとても楽しかったゲームです。声優も超豪華で、キャラとベストマッチしており、何度でも楽しめると言う印象を持ちました。普通に神ゲーの部類だったのに、何故ゴミゲーと言われるのか分かりませんでした。操作が難しい的な事を言っていた人もいたのですが、個人的にはスゴくやり易かったです。

 

鉄血

「説明ありがとうございます!是非インフィニットストラトス~空から降ってきた白銀の少女~をよろしくお願いします!!」




本日はここまでです。次回からはディケイドのストーリーを書きたいと思っています。都合上、一音が主人公のストーリーは書けませんので、一夏と本音の結婚式を持ってこの作品を終わりとします。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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世界の破壊者編
通りすがりの男


今日から数話に渡りディケイド編に入ります。ですがその前に1つ。リクエストをする際はリクエスト受付の活動報告、もしくは感想と共に感想欄にお願いします。それ以外でのリクエストは基本無効票となります。今後リクエストする方はお気をつけください。質問も同様です。そして感想欄で見付けた方も報告はしないでくださいね。

提供 鋭利な刃さん

あ、今回は物語の都合上、登場するディケイドキャラは士だけです。もしかしたら海東も出てくるかな?


「ここは何の世界だ?」

 

突然現れた灰色のオーロラ。その中から1人の青年が出てきた。IS学園の制服を身に纏っており、首からはピンクカラーの2眼トイカメラのBlackBirdFlyを首からはぶら下げている。

 

「しかしこの服は……全く、俺って奴は何を着ても似あっちまうな」

 

近くの建物のガラスに反射して写る自分の姿に、自画自賛している。まぁ実際に着こなしている為、似合ってはいる。

 

「あ、居ました。本日からIS学園に転入する方ですよね?迎えに来ました」

 

「門矢士だ。まぁ、よろしく頼む」

 

「はい!よろしくお願いします!私は門矢さんが所属するクラスの担任の木場真耶です!よろしくお願いしますね!」

 

近くにはIS学園の公用車が停められており、真耶は運転席に、士は後ろの座席に座った。その中でIS学園に着くまでの間、IS学園の説明を受けている。

 

「知っての通り、IS学園は数年前から男女共学となり、現在はISの運用の他に、スマートブレインと協力して、ライダーズギアの変身者の育成も行っています」

 

「そうか……大体分かった(スマートブレイン……ファイズの世界か?しかしISとは……)」

 

話なんか全く聞いていなかった。今自分のいる世界について考えていた様だ。

 

「ISは現在も原則女性にしか使うことが出来ませんが、数年前の事件を切っ掛けに兵器としての運用が全面的に禁止され、様々な企業が協力して現在は宇宙開発に利用されています。ライダーズギアも一部の例外を除き、宇宙開発や災害支援等に運用されています。ここまでは大丈夫ですか?」

 

「あぁ。問題ない」

 

そんな感じで説明を聞いていると(ほぼ聞き流していた)、IS学園に到着した。真耶は士をIS学園の総合案内所に連れていき、転入に必要な書類への記名を頼んだ。

 

「あんまり人が居ないんだな……」

 

「今日はIS学園OBの方とスマートブレインの方が来て、イベントをやっていますからね。皆アリーナに向かってるんでしょう」

 

「イベント?」

 

「はい。世界初の男性IS操縦者の織斑一夏君と、スマートブレインの仮面ライダーである勇治さんと草加さんが試合をするので」

 

「兵器としての運用は禁止されてるんじゃ無いのか?」

 

「はい。ですがISの世界大会のモンド・グロッソは行いたいと言う声が多いので、試合のための最低限の武器の製作と使用が許可されています。厳しい条件をクリアした上でですけどね……そろそろ始まりますが、ご覧になりますか?」

 

「そうだな。せっかくだし見て行くか」

 

「では案内しますね。こちらです」

 

IS学園にある最も多くの観客席を設けている第1アリーナまで士を案内した。しかし、もう既にほとんどの席が埋まっていた。この試合は生徒も教員もかなり期待しているようだ。

 

「ほとんど埋まっちゃってますね……座席はありませんが、ピットに行きますか?ここよりは見やすいですよ?」

 

「ならそっちで頼む」

 

少々態度が大きいような気もするが、別に真耶は気にしていない様だ。ピットには椅子こそは無いが、先程の観客席よりは見やすい。この試合に参加しているのは、

 

仮面ライダーファイズ/織斑一夏

仮面ライダーカイザ/草加雅人

仮面ライダーデルタ/織斑一音

仮面ライダーオーガ/木場勇治

 

今回サイガは参加していない。マドカは現在日本には居ない。別の国のスマートブレインで働いている。

 

「ISは居ないのか?」

 

「仮面ライダー相手だと、ほとんどのISは歯が立ちませんので……」

 

仮面ライダーが公となってからかなりの時間が経ったが、今も仮面ライダーに勝てるISは現れていない。1つ1つの性能では勝っているが、トータルした場合の性能はどうしても劣るのだ。まぁ、戦闘用としては開発されなくなったので、競う必要は無いのだがな。

 

『555/913/000』

 

『ENTER』

 

『『『Standingby』』』

 

「「「「変身!!」」」」

 

『Standingby』

 

『『『『Complete』』』』

 

アリーナにいる4人が変身すると、それを見ていた観客全員が一気に沸いた。しかしそれだけに留まらず、四つ巴のバトルが開始すると、更に会場全体が熱くなった。

 

「あれがライダーズギアです。たまにではありますが、一応戦闘の訓練も授業で行っています。特に、国家代表になってモンド・グロッソに出場する事を目標としている生徒は2年になってから、専門的な授業も受けることになっています」

 

「成る程。大体分かった」

 

そう言うと、どう言う訳かアリーナへと出ていこうとした。

 

「ちょっ!?どこ行くんですか!?危ないですよ!」

 

「まぁ見てろ。変身!」

 

『KAMEN RIDOE DECADE』

 

「うそ……仮面、ライダー……?」

 

ベルトに巻かれた白いベルト。展開したバックルにカードをさし込み回転させると、士はマゼンタと白、黒の3色の体色の仮面ライダーに変身した。4人が試合をしているど真ん中に飛び込むと、ライドブッカーのソードモードを構えた。

 

「俺も混ぜてもらおう」

 

「お前……誰だ?」

 

「転校生だ。気にするな!」

 

『ATTACK RIDE SLASH』

 

「グワァ!?」

 

まずはカイザを切り飛ばした。刀身にエネルギーが纏わりつき、一時的に分裂して数太刀の斬撃が草加を襲った。

 

『ATTACK RIDOE BLAST』

 

ライドブッカーの刃をしまい、ガンモードに変えると、再びカードをベルトに入れて技を発動させた。今度は銃口が一時的に分身して、デルタとオーガの2人にダメージを与えたのだ。

 

「スマートブレインのライダーシステムじゃないな……一体何者なんだ?」

 

「転校生じゃあ納得出来なかったか?」

 

「当たり前だ」

 

「じゃあ俺に勝ったら教えてやるよ」

 

「面白い」

 

『READY』

 

ファイズショットにミッションメモリーを差し込んで何時でも攻撃できるように構えた。その状態でディケイドとの距離を詰めると、間合いに入ったところでENTERボタンを押してグランインパクトを叩き込んだ。

 

しかし、ソードモードのライドブッカーに受け止められた。それでもそこそこのダメージを与えられたようだ。

 

「ファイズ相手ならこれだ!」

 

『FORM RIDE BLADE』

 

「姿が変わった!?」

 

一夏が驚いている所に、ライドブッカーソードモードで斬りかかった。ブレイドになったことで、斬撃が少し強化されているようだ。草加を切り飛ばした時よりも少し強烈になっている。

 

「なら!」

 

『Complete』

 

『Startup』

 

士に対抗して、ファイズアクセルのミッションメモリーをベルトに差し込み、アクセルフォームへと姿を変えた。スピードで翻弄する様だ。

 

「アクセルフォーム……なら!」

 

『ATTACK RIDE MACH』

 

マッハのカードをさし込み使って一夏と同じスピードで動き始めた。一夏は残りの時間を確認すると、一直線に士に拳を構えて突っ込んだ。士も同じだ。避けはせずに自分も攻撃を叩き込む様だ。

 

攻撃を受けると、お互いに吹っ飛びベルトが外れた。両者引き分けに終わった。突然の乱入者と、アリーナの地形が変わるほどの戦い。観客は唖然として、口を開けたまま固まっている。

 

「「やべー……やり過ぎた……」」

 

確かに、完全にやり過ぎだ。弾丸よりも速いスピードでお互いに突っこみ、攻撃を叩き込んだのだ。変身しているとは言え、身体へのダメージは大きいだろう。

 

2人の変身が解除されると、気を失った。そんな2人を、意識のある草加達が保健室まで運んだ。目覚めると次の日になっているので、士の転入の報告が遅れてしまった。




ディケイドの音声マジでめんどくせー!!

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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通りすがりの自己紹介

感想欄でディケイドをあまり知らないとあったので、今回の前書きは限定特別企画

『憲さんの仮面ライダー解説!』

取り敢えず、紹介するのは世界の破壊者仮面ライダーディケイドこと、世界を旅する青年、門矢士。ディケイドの顔はバーコードをイメージされて作られ、体はマゼンタカラーが目立つ姿です。2009年1月25日から8月30日まで放送されていた平成10作目の仮面ライダーで、「10年に一度のお祭り」がコンセプト。これまでに登場した仮面ライダー等が登場しました。

主人公の門矢士はいつの間にか光写真館に居候していた青年で、素性不明。本人も過去の記憶を失っております。ディケイドドライバーを手に入れた事で仮面ライダーディケイドに変身。仮面ライダーキバ、紅渡から世界の融合を防ぐために旅に出なければならないと告げられ、崩壊を防ぐ為に仲間と世界を巡ります。

性格はかなりの自信家で、誰にたいしても尊大な態度をとる俺様キャラ。ですが、襲われてる人を体を挺して守るなど、熱い心を持ち合わせています。口癖や仕草に癖の多い人物で、物事を何か比喩したアメリカンジョークを良く口にします。小難しいことは「大体分かった」で済ませます。ディケイドの脚本家の口癖の様です。

能力などは次回以降に紹介します。

※今日は短いです


「「どこだ?ここ……」」

 

「IS学園の医務室だ」

 

あのエキシビションマッチの時、突然乱入して一夏達と戦った士。一夏以外の3人は不意を突き倒すことが出来たが、その後の一夏との戦闘で2人とも意識を失ったのだ。

 

そして現在、IS学園の保健室。一夏と士は2人同時に目覚めたのだ。似た者同士か?草加が場所を伝えると、真耶が入ってきた。顔はいつも通りに笑っているが、目は全く笑っていない。まぁ、転校初日にあれは無いな。

 

「門矢さん?怪我が軽くて何よりです。ですが、いきなり試合のど真ん中に飛び込んで大乱闘。流石にどうかと思いますよ?」

 

「そいつは悪かった。コイツらの力を見ておきたくてな(俺の知っているファイズより強かった……一体何者だ?コイツは)」

 

「ではこれから自己紹介ですよ。早く教室に行きましょう」

 

士を連れて教室まで連れていくと、保健室に残った一夏と草加は自分達の家に帰った。やることが無いからな。家では一夏は本音に心配され、草加は千冬に状況を詳しく聞かれたと言う。

 

教室では、今年新任してきた副担任がSHRを進めていた。

 

「今日は転入生の紹介よ。木場先生が連れてきてるらしいけど……来ないわね」

 

「凰さん。SHRありがとうございます。連れてきましたよ~」

 

「そうですか。じゃあ入ってきて!」

 

シレッと進行しているが、このクラスの副担任は鈴だ。学園卒業後に、ISの勉強をしながら教師になる為に努力していたのだ。現在の彼女の実力は国家代表に匹敵するものらしい。実力が高いため、現在も甲龍の所有者として、専用機持ちの教師として活動している。

 

「自己紹介よろしくね」

 

「転入生の門矢士だ。得意なことは……全部だ。まぁよろしく頼む」

 

「ナマコと写真を撮ること以外の間違いじゃないのかい?」

 

「海東!?」

 

「やぁ士。元気だったかい?」

 

「お前こそ……何でここに?」

 

「君を追いかけてここに転入してきた。それだけの事だ。それに、君とは離れられない様な関係だしね」

 

士の行くところには色々と珍しいものがある。世界を回るトレジャーハンターの彼としては、士と一緒にいる以上に手っ取り早く宝を手に入れる方法は無いと考えているのだろう。

 

しかし海東、君この学園が共学になったとは言えまだ女子率は高い。そんな100%誤解を生むような発言をしてしまうと、君にそのつもりが無くとも女子共が勘違いしてしまうぞ。

 

「離れられない関係って……まさか!?」

 

「そう言う事なの?後で取材しようかしら?」

 

「門矢くん×海東くん?それとも海東くん×門矢くん?」

 

「前者の方で行きましょう」

 

「「「「意義なし」」」」

 

この一瞬にしてここまで話が決まってしまうのだ。これに関しては、真耶も鈴も慣れているので、ツッコミを入れない。むしろ一々そんなことをしていたら日がくれる。その為、SHRの短い時間でも内容まで決まってしまう。そして昼休みになるとマンガと小説の執筆が始まるのだ。そして完成した物は、高値で取り引きされる。そこそこ良い値段でだ。

 

「じゃあ門矢の席は海東の隣で良いわね。調度空いてるし」

 

「分かった」

 

「次の時間は実習ですので、着替えてからグラウンドに集合してくださいね~。ISでもライダーズギアでもどちらでも構いませんので、着いたら使うものを決めてくださいね」

 

ISとライダーズギアで別れての実習ではなく、両方とも同時に行うようだ。恐らく連携した動きなどもやるのだろう。クラスの全員が急いで着替えを持って更衣室へと向かっていった。




後2話ぐらいかな?ディケイド編は。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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問題児は問題児のまま

サブタイトルは終わりの方で分かりますよ。

『憲さんの仮面ライダー解説!』

今日はディケイドについてですね。ディケイドは様々なライダーのカードを使い、姿と能力を借りることが出来ます。変身出来るライダーは公式では全てに可能。しかし、昭和では1号以外変身してません。平成はブレイドがトータルすると少ないです。色々とめんどくさかったんですかね?

まず、ディケイドはチートその物。封印しか手段の無いアンデットを消滅させたり、龍騎に変身せずにミラーワールドに入ったりします。そう言った原則を破壊する力もあったと言う話もあります。

各ライダー最強フォームになることは出来ませんが、コンプリートフォームでは最強フォームの状態でライダーを呼び出して同時に必殺技を放つことが出来ます。映画では近くにいるライダーを最強フォームにしてましたね。

ファイナルフォームライドのカードを使うことで、ライダーを別の姿に変えることが出来ます。ファイズが巨大な銃になったり、クウガがクワガタになったりですね。変えるライダーの同意は描写からは必要ないみたいです。

激情態では、ライダーに変身せずにディケイドの状態で各ライダーの能力が使用可能です。異常な位に強かったです。

次回はディエンドですね。


「そう言えば、門矢さんも海東さんもまだ受けてませんよね?ISの検査」

 

「受けてないな」

 

「僕もだ」

 

IS学園は、ライダーズギアの訓練もあるので今ではほとんど必要ない要素だ。ISを動かせなくてもライダーズギアは使えるのだから。近々学園の名前も変えようと言う話まで出ている。まだ先の話だがな。

 

「では、こちらの訓練機に触れてみて下さい。ISの適性がある場合は起動しますので」

 

そう言われ、士は打鉄に海東はラファールに触れた。すると、両方とも光り、2機とも起動した。ちょくちょくとは言え、ISを起動できる男性は出てきている。最初は驚いたが、すぐに収まった。

 

「スゴいですね!2人とも起動できるなんて!!」

 

「何か慣れないな……」

 

「地に足が着いてない感じがするね」

 

2人の使っている物は自分の身体のサイズと余り変わらない。まんまスーツみたいな物だからだ。しかし、ISは手足の長さが伸びる。2人からしたら慣れない感覚なのだろう。

 

「初めての方は大体そうですよ~。使えることも分かったので、凰さんと一緒に飛行の訓練などを行ってくださいね!」

 

まぁ、ISに慣れてる生徒達と一緒に訓練するのは危ないのだろう。他の生徒達は真耶が指導して、士と海東の指導は副担任である鈴が行う。学生時代は少し大雑把な鈴だが、教師になってからは丁寧に教えられるようになったのだ。

 

「じゃあ、2人はまず歩くことからね。少し歩いてみて?」

 

鈴に言われ、その辺を少し歩いてみた。歩行は特に問題は無いのだが、やはり少し慣れない部分があるようだ。止まるたびに手首をブラブラしている。

 

「やっぱり慣れないか……」

 

「手足の長さが変わったからな」

 

「なんか気持ち悪い」

 

「なら少しストレッチしてみて。少しはましになるかもよ」

 

この方法は実際に良くやる方法だ。手足のリーチが変わると、初めから慣れてる人は少ない。それは初心者以外もそうだ。専用機持ちもたまにやることがある。

 

士と海東も実際にやってみた。すると、少しは違和感が無くなったのか、さっきよりも少し動かしやすくなっている。

 

「慣れてきた?次は飛行よ。参考書には三角錐をイメージしろとか書かれてるけど、個人の感覚で良いわ」

 

「成る程。大体分かった」

 

そう言うと、士は助走をつけて思いっきり上に飛んだ。無重力の状態をイメージして飛んでいるのだろう。飛んだ直後はフラフラしていたが、すぐにバランスを取りながら飛べるようになった。

 

「成る程。そんな感じか。なら僕も!」

 

士と同様の方法で飛んでみた。士よりも安定して飛んでいる。すると、飛んでいるときにラファールに武装が1つ積まれていることに気付いた。ハンドガンの様だ。

 

「危ね!?海東!何しやがる!!」

 

海東に対抗して、接近ブレードを展開して斬りかかった。急接近してだ。もう瞬間加速を使えるとはな……

 

「そんなに怒るなよ~。ただの悪戯じゃないか」

 

「ふざけてんのか?お前は……!」

 

ハンドガンで接近ブレードを受け止めて、2人とも静かに地面に降りた。少しお互いに距離をとると、再び瞬間加速で殴り合いになった。正直、打鉄と比べてラファールは出力が控えめだ。それでも打鉄に負けていない。

 

「ちょっと!何やってんの!?」

 

「海東ぉぉぉ!!」

 

「士ぁぁぁ!!」

 

最早話を聞いていない。ヒートアップして鈴の声が聞こえていない。言葉で止めることは絶対に出来ないだろう。2人とも戦いを楽しんでいる。

 

「はぁ……仕方無い……いい加減にしろ!!」

 

「グワァ!?」

 

「ウワァ!?」

 

「な~に急に戦闘に入ってるのかな~?」

 

甲龍を纏って、衝撃砲を叩き込んだ。意識外からの突然の攻撃に反応することが出来ず、そのまま吹っ飛ばされてしまった。これで2人のISは解除された。

 

「ISが壊れたらどうするつもり?」

 

「ちゃんと加減はしてたぞ」

 

「いきなり撃つなんて……」

 

「アンタらは加減を何だと思ってるの?あれで加減してるとは言わないわ……地形まで変えちゃって……ISは動かせるみたいだから、残りの時間はこれ直してて」

 

2人の戦いのお陰で、グラウンドのその部分だけの地形が変わっていた。クレーターがいっぱいある。それを残りの時間で直すように言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一夏の店では

 

「いっちー掃除終わったよ~」

 

「おう。じゃあ今度はこっちを―」

 

ズドォーーン!!!

 

「ウワ!!」

 

「キャア!!」

 

一夏の店に何かが突っ込んできて、半分が消し飛んだ。立ち込める土煙の中には、人型の物体が立っていた。

 

「誰だ……!」

 

「中々良い店だな……」

 

「その声……まさか!?」

 

声を聞くと、すぐにベルトを巻いていつでも変身出来る状態にした。

 

「何でここにいるんだ……篠ノ之箒!」

 

『555』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

「落ち着け。今は事を交える気はない。それよりも、会いたかったぞ?一夏」

 

一夏の目の前には、木場が消滅させた筈の箒がいたのだ。紅椿の改造版のISを纏ってだ。

 

「今日はコイツを借りに来ただけだ」

 

「キャッア!離して……!!」

 

「本音!!」

 

本音を掴むと、その場から離れようと飛んだ。そして上空で

 

「IS学園で待っている!!全員でくるんだな!!!」

 

そう良い放つと、何処かへと飛んでいってしまった。急いでバジンで追い掛けたが、追い付くことは出来なかった。

 

「クソ!!」

 

そして同時刻、IS学園にも異変が起こっていた。登録番号不明のコアをつんだISが大量に押し寄せて来たのだ。そしてその中心には、体のほとんどは機械で出来ていたが、黒椿の改造版を纏った篠ノ之束がいた。

 

因みに大量とは、10000機だ。10000機のIS部隊を率いてIS学園に飛んできたのだ。

 

「さぁ!復讐の始まりだぁぁ!!!全てを支配する!ハハハハハハハ!!!」

 

彼女の高笑いが、IS学園中に響き渡った。この非常事態に、完全に学園中がパニックになっている。一夏から連絡を受けた草加、千冬、木場は急いでIS学園に向かっている。




ファイナルフォームライドどうしようかな……本編通りにあれで行くか、バジンか白式を纏わせるか……皆さんはどれが良いですか?

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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大層なサブタイトルですが、タイトルだけです。

『憲さんの仮面ライダー解説!』

今日解説するのは、ディケイドに出てきた2号ライダー「仮面ライダーディエンド」です。変身アイテムはベルトではなく手持ちの武器であるディエンドライバー。ディケイド同様にライダーカードがありますが、こちらはライダーに変身ではなく呼び出します。

時間経過、もしくはダメージ量で消えます。ぶっちゃけその描写が無いので不明です。モモタロスは木にぶつかった一撃で消えましたね。

ファイナルフォームライドのカードもありますが、ディケイドと違いカードを読み込むと相手を1発撃ち抜きます。「痛みは一瞬だ」……一瞬でもやだよ。

コンプリートフォームでは映画で出てきたダークライダーが出てきます。電王関係のダークライダーが出てこなかったのは大人の事情。

変身者である海東大樹は世界を巡るトレジャーハンター。ディエンドライバーもショッカーから盗み出したものです。ファイズの世界ではオーガギアを回収しました。何故か士の行く先々で現れます。士の自己紹介の際に海東にそう言わせた理由がこれです。


「おいおい……何のパーティーだ?これ」

 

「そんなお気楽な物だったらどんなに良かったことか……木場先生!コンディションレベルレッド!生徒を避難させて下さい!」

 

「分かりました!皆さんシェルターへ!早く!!」

 

10000体の無人ISによるIS部隊。その中心に居る篠ノ之束。それを見た鈴は、独自の判断で警戒レベルをマックスにした。甲龍の衝撃砲の砲門を全て上空に向け、いつでも迎撃出来るようにしてある。

 

「時間稼げれば良いか……」

 

「全く……どこの世界にも居るもんだな……」

 

「同感だ」

 

海東と士はその場に残っている。目の前にいる自然災害に悪態を付きながら。

 

「何やってんのよ!?早く逃げて!!」

 

「時間を稼ぐんだろ?手伝ってやるよ」

 

「右に同じく」

 

士は腰にベルトを、海東は右手に拳銃型のアイテムを構えている。

 

「「変身!!」」

 

『KAMEN RIDOE DECADE!』

 

『KAMEN RIDOE DIEND!』

 

「ついでにもう1人」

 

そう言うと、デルタのカードをホルダーから取り出してディエンドライバーに入れて読み込ませた。

 

『KAMEN RIDOE DELTA!』

 

「あれ?何でここに居るんだ?」

 

デルタの状態で出てくるかと思ったが、生身の一音の状態で出てきた。ベルトはちゃんと巻いている。何でここに居るのか等、少し戸惑ったが目の前の状況を見て色々と納得してしまった。

 

「君も手伝いたまえ。と言っても、僕たちじゃあ5分が良いところだ」

 

「時間稼ぎって事か……良いぜ。変身!」

 

『Standingby』

 

『Complete』

 

しかし、ここに居る4人でも5分。それが稼げる時間の限界だ。それほどに不味い状況と言うことだ。と言っても、ここで潰せるだけ潰さないと後が困る。

 

「多勢に無勢も良いところだ……」

 

「でも5分は稼げる……頑張るしかないわね」

 

そう意気込んでいたのがつい3分前。5分は持つと思っていたが、上手くは行かなかったようだ。避難はまだ半分ほど残っている状態だ。押されるのも仕方無い。数も確かにそうだ。

 

しかし、大きな違いは性能だ。無人機は第3世代程度の性能だと思っていた。だが、それが大きな間違いだった。第3世代なんて言う優しいものでは無かったのだ。世界はまだ第3世代が主流。第4世代はまだ企画にすら挙がっていない。どう考えても完全に相手のISは第6世代以上の性能を持っている。

 

「そろそろヤバイぞ!!」

 

『ATTACK RIDOE BLAST!』

 

「ヤバイって言っても手が無い!」

 

『ATTACK RIDOE BLAST!』

 

流石10000体のIS部隊。どんなに倒しても数が減っているような気がしない。言葉に10000とするのは簡単だが、実際に目の前にすると恐ろしいの一言だ。

 

すると、今度はそこにもう1機ISが飛んできた。腕には誰かを抱えている。

 

「あ、箒ちゃん。戻ってきたんだ」

 

「はい!コイツもちゃんと持ってきましたよ!」

 

「母さん!?」

 

飛んできたのは箒だった。そして腕には気を失った本音がいた。これで鈴と一音は箒が何処から来たのかを把握することが出来た。

 

「ナイスだよ!箒ちゃん!さぁ!早速切り刻もう!!」

 

「待ってください。今ここで切り刻んでも意味がありません。殺すなら一夏の目の前で。手が届く瞬間にです!」

 

「おぉ~!良い考えだね!そのアイディア頂き!!」

 

「させるか!!チェック!!!」

 

『Exceed Charge』

 

ポインターを放ってルシファーズハンマーを入れようとしたが、空中で無人機によって邪魔された。それだけではなく、無人機を破壊した直後に束の放ったレーザーの直撃を受けベルトが外れてしまった。

 

「一音!!」

 

トドメを刺そうとする束の攻撃から、鈴が身を挺して守ってくれた。しかし、あまりにも攻撃力が高くて守ることは守れたが、甲龍は絶対防御が発動してしまい、戦うことが出来なくなった。

 

『FINAL ATTACK RIDOE DEDEDE DECADE!』

 

『FINAL ATTACK RIDOE DIDIDI DIEND!』

 

「デリヤァ!!」

 

「ハアァァ!!」

 

士のディメンションキックと海東のディメンションシュートが炸裂したが、攻撃の直後を狙い撃ちにされて、士たちも変身が解除されてしまった。

 

「あんまり手応え無いね……さぁ~てと。いっくん達が来るまで待ってようかな~」

 

「アンタら……!何でここに居るの!!臨海学校のあの時、アンタ達は―」

 

「そう。確かに死んだよ。木場勇治の手によってね」

 

「じゃあ何で!!」

 

鈴の言う通り、篠ノ之姉妹は臨海学校の2日目に死んだ。木場の手によって灰にされたのだ。友達の仇として。

 

「確かに死んだけど、その時はISも一緒に着けてた。私のISには万が一の事を考えて、あるシステムを入れておいたんだよ」

 

「システム?」

 

「そうさ。使用者が死んだとき、脳の中にある記憶やその人間の人格をデータとして保存するシステムさ!そして一定の時間が経つと私の研究所に送られるようになってる。後は簡単さ。空の体に私のデータを入れるだけだからね」

 

「その時に私のデータも一緒に取り込まれていたと言う訳だ。そのお陰で、今はこんなに素晴らしい力を手に入れることが出来た!人間離れした身体能力!回復力!そしてそれを自在に操ることの出来るこの体……お前達に殺されたお陰で手に入れたのさ!!フフフ……ハハハハ!!!」

 

束の口から発された事実に、聞いていた4人は唖然としてしまった。あまりにも現実離れしているからだ。しかし、現に目の前に彼女達は存在している。生きていると言って良いかは分からないが、束の言葉に嘘は無いようだ。誰も戦えず、固まっているところに、アイツは来た。

 

「本音ぇぇぇ!!!」

 

「来たか!」

 

「邪魔だ!!変身!!」

 

『Complete』

 

ファイズに変身すると、ミッションメモリーをバンドルに差し込み、勢いよくバジンから飛び降りて一気に斬りかかった。

 

「鉄屑に用は無い!!そこをどけェェェェ!!!」

 

『Complete』

 

『Startup』

 

「ゼリャア!!!」

 

アクセルフォームになって無人機を破壊しながら一直線に突っ込んでくる。勢いに任せて束と箒を斬り裂こうと思ったが、ファイズエッジを受け止められて攻撃は束に届かなかった。

 

『Timeout』

 

『reformation』

 

「ッ!?グッ!」

 

束はファイズエッジを弾じき、一夏の首を掴むとベルトからファイズフォンを外した。

 

「まぁまぁそんなにいきり立たないで。少し話をしようよ。ちょうど皆来た所だしね……そうだね~何で男でもISが起動出来るのか話そうかな~」

 

束の言うように、草加や千冬、木場がここに集まっていた。3人ともついさっきここに着いたようだ。ここに居る全員、束と箒の2人には因縁浅からぬ人が集まったことになる。

 

「まぁ、まずは基礎からだね。ISのコアには人間と同じ意思や感情が存在している。この学園で最初に習ったことだよね?ISの適性に個人差があるのはこれが原因だよ」

 

「何故……!そんな話を!」

 

「この学園の雰囲気も大分変わったよね~。昔は居なかった男子生徒が沢山いる……」

 

一夏の言葉を無視して、束は自分の話を進めた。その言葉を、全員黙って聞いているしか無い。話に興味があるのか、避難に遅れた生徒は窓から顔を覗かせている。

 

「ライダーズギアが使える以外にも、いっくんみたいなISを使える人が増えたんじゃないかな?当然だよね……私がISのコアにかけたロックが解けてきてるみたいだしね」

 

「ロックだと!?」

 

「そう。私の発明だもん。気に入らない不特定多数の人間に使われるのは嫌だからね。特に、学会で私の発明を馬鹿にした男共にはね。そもそもちーちゃんに使わせるために作った道具だもん」

 

ISが世に出てからの最大の謎。「何故男性には使えないのか」それが明らかとなった。製作者である束自身がロックをかけていたと言うのだ。

 

「いっくんにISが使えたのはちーちゃんの弟だからかな?姉弟ならDNAが似てる所があるからね。他の女共が使えたのはちーちゃんと性別が同じだったからかな?さっきの理論から行くと……まぁ、そこら辺は詳しくないから掘り下げて話すことは出来ないけどね……」

 

「お前は……!何処まで感情のある物を馬鹿にするつもりだ!!」

 

「馬鹿にする?自分の作ったものをどうしようと、私の勝手でしょ?意思?機械ごときがそんなものを持って良いと思ってるの?」

 

「ふざける……なぁ!!」

 

「さ~てと。ここでいっくんに選択肢をあげるよ!私達と来て永遠の命を手にして一緒に過ごすか、ここで首をへし折られるか……さぁ!選んで!!」

 

「……断る!お前らと居るくらいならな!」

 

「そう……残念だよ」

 

「一夏……残念だ。お前とは一緒に居たかったのに……まぁ良い。死を選ぶと言うのなら、この女と一緒にあの世に送ってやる!!」

 

「例え死ぬことになっても……本音は助ける!本音だけは!!」

 

そう言うと、地面に突き刺さってるファイズエッジを取り、束を斬った。拘束が解けると、本音を持っている箒へと向かっていった。しかし、後では束が一夏を殺そうと構えていた。

 

「海東!そっちを頼む!」

 

「あぁ!」

 

士はライドブッカーのガンモードを構えて一夏の方向へ、海東はディエンドライバーを構えて本音の方向に向かった。

 

「邪魔だ!」

 

「ウワ!?」

 

突っ走る一夏を押し退けると、後ろに居る束に攻撃を入れた。意識外の攻撃故、大きなダメージを与えることに成功した。その間に、本音は海東によって助け出された。

 

「お前……」

 

「バカ野郎!!」

 

「ガァ!何しやがる!!」

 

束に攻撃を入れた後、振り返ると同時に一夏を全力で殴った。

 

「死んでも助けるって言ったよな……俺はいろんな世界を回っていろんな人間を、仮面ライダーを見てきた。お前じゃないファイズもな。そいつらの目には死なんて無かった。死んでも守るって言うのはな、何も守れずに死ぬことと同じなんだよ!」

 

「…………」

 

「俺の知ってる仮面ライダーファイズは、たとえ自分の本当の姿を知られ、沢山の人に、大切な人に恐れられ軽蔑されるのを分かった上で、自分の大切な人を、大切な場所を守るために戦った。そいつは死ぬことなんて考えて居なかったさ……お前も、死んでもではなく、生きるために戦え!死ぬ気で!」

 

士の言葉に、覚悟を決めたようだ。ファイズフォンを拾いながらゆっくりと立ち上がった。

 

「生きるために死ぬ気で……か」

 

「一度だけじゃなくて二度までも……私達と来ることも!永遠の命までも……何故そこまで!!」

 

「命って言うのは、あるだけじゃあ意味がない。脆く、弱く、時間も限られている」

 

「そうさ。だから私達は永遠の命を手に入れた。下らない制限のあるものが嫌いだからね。お前の言ってる事は正しいよ。なら―」

 

「だが、だからこそ必死に生きている。大切な人の為に命をかけたりな。終わりがあるから俺達は全力を尽くすことが出来る。価値が生まれる。限りがあるからこそ、命は輝きを発する。お前の言う永遠には、価値なんて無い!」

 

「……この世界の存在じゃ無いくせに……ディケイド!何故ここまでこの世界に関わる!?お前は一体!何者なんだ!!」

 

「俺も聞いてなかったな。それ」

 

「ならよく聞いておくんだな!俺は、通りすがりの仮面ライダーだ!覚えとけ!」

 

「草加!木場!一音!俺に力を貸してくれ!」

 

「当然だ!」

 

「過去に蹴りを着けるためにも、協力させてもらうよ」

 

「親に手を出されたんだ。その分はキッチリと返させてもらうさ」

 

「僕も手伝わせて貰うよ」

 

『555/913/000』

 

『『『ENTER』』』

 

『『『Standingby』』』

 

「「「「「「変身!」」」」」」

 

『Standingby』

 

『『『『Complete』』』』

 

『KAMEN RIDOE DECADE!』

 

『KAMEN RIDOE DIEND!』

 

「たった6人ごときで……!」

 

「8人の間違いだ。束」

 

その声が聞こえると、空から髪型を変えて打鉄をまとった千冬と、ラファールをまとった真耶が飛んできた。この2人も参戦するようだ。

 

「千冬……大丈夫なのか?」

 

「ブランクはあるけど問題ありません。それに、私はアイツの心の闇に気付くことが出来なかった。そのせいで暴走させた。それだけではなく、沢山の人を悲しませてしまった。そして、束を一度死なせてしまった……これは私の罪だ。かつての親友には、私自身が引導を渡す」

 

「真耶さんは大丈夫なの?」

 

「はい!ここで一緒に戦わなかったら一生後悔する。それだけは嫌です。私は勇治さんの苦しみを分かることは出来ないけど、でも、今度は転ぶときも起き上がるときも一緒です!」

 

千冬も真耶も、戦う気は確かなようだ。それに伴う自分の中にある覚悟も。

 

「ちーちゃん……君まで……」

 

「束、私は自分の罪を数えた。次はお前の番だ。ーーーさぁ、お前の罪を……数えろ」

 

どっかの白ハットの探偵を思い出すな。そのセリフは。

 

「一夏……」

 

「篠ノ之……お前を歪めた責任は俺にもある。せめてもの償いとして、俺がお前を倒す」

 

「償い……フフフ……ハハハハ!!!お前1人で何が出来ると言う!?お前を私の物に出来ないのは悔しいが、その命は私が貰う!!」

 

「はぁ……随分と危ないのに憑かれたな……俺も協力してやる。一緒に行くぞ!」

 

自分の罪を償う者、過去のやり残しを終わらせる者。そしてそれに協力する者の戦いが始まるようだ。




ここの千冬は仮面ライダーにすると、スカルかな?それを思い付いたので、鳴海荘吉の名台詞を起用しました。思い付きを即実行しました笑

次回もお楽しみに!感想、活動報告、評価もお願いします!!

次回がディケイド編の最終回!だと良いな……


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ISと救世主達の世界

一応今回でディケイド編は次回で最終回です。このあとはギャグ回を数回やったら最終回の製作に入ります。

一夏と本音の結婚式……どうするかな~


10000体と2人の敵。相手をするのは6人の仮面ライダーと2人のIS乗り。数も戦力も圧倒的に不利だ。

 

「1人頭1250体って所か……」

 

「随分と中途半端だな~」

 

まぁ、数の不利は気にしなくて良さそうだな。この数の敵を目の前にしても、こんなに楽観的な態度をとっているのだ。恐らくすぐにでも巻き返すだろう。

 

「草加くん達と一夏くん達はあの2人を頼む。他は俺達が引き受ける!」

 

「お前は良いのか?仇をとらなくて」

 

「俺は一度仇はとった。もう十分さ」

 

「その他大勢は私達に任せてください!千冬さんと織斑くんは早く行ってください!」

 

木場と真耶の言葉に、草加、千冬、一夏、士の4人は束と箒に向かって突っ走った。

 

「バジン!一音達の手伝いをしろ!!」

 

『了解!!』

 

ファイズエッジを一夏に投げ渡し、いつも通りにプラカードで返事をした。そして、近くにいた無人機にプラカードを全力で投げ付けた。ヒットすると綺麗に首のパーツがボロリと斬れ落ちて機能を停止させた。アイスラッガーか?

 

「バジン。一緒に戦うぞ」

 

『おう!』

 

デルタに変身した一音と拳を軽くぶつけ合うと、もう1枚プラカードを出して戦う準備をした。そしてプラカードを構えて投げ飛ばした。ちょうどブーメランの要領でだ。

 

「いつからウルトラセブンになったんだよ……アイツも呼ぶか!」

 

アイツとはジェットスライガーの事だ。一音がデルタを受け継いだ時に、正式にスライガーが一音の専用ビークルになったのだ。

 

「さ~てと……吹っ飛ばすか!」

 

やって来たスライガーに飛び乗ると、全砲門を開放して大量のミサイルを撃ち込んだ。その様子をディエンドは地上から無人機を破壊しながら見ていたのだが、カードホルダーから1枚のカードが輩出された。

 

「ん?このカードは……そう言うこと」

 

この世界に着いたときに獲得したカードだ。さっきまでブランク状態だったが、スライガーの登場で絵柄が浮き出てきたのだ。

 

「よっと。お邪魔するよ」

 

「あぶねーな。なんか用か?」

 

「君じゃなくてこっち」

 

そう言ってスライガーを指差しながら、ディエンドライバーに先程のカードを差し込んだ。

 

『FINAL FOMA RIDOE JEJEJE JETSLIGER!』

 

「痛みは一瞬だ」

 

相手は機械だ。痛覚は一応無い。

 

「あ!テメ何しやがる!!」

 

痛覚があるか無いかはこの際どうでも良いが、撃ち抜かれたスライガーは徐々に姿を変えていった。

 

「え!?ちょ!何これ!?」

 

「君らの新しい力さ。上手く使いこなしてくれたまえ。じゃあ~ね」

 

「ふざけんな!!!!」

 

スライガーの新しい姿。それは馬だ。かなりメカメカしいデザインの。銀牙騎士絶狼の魔導馬を思い浮かべてくれれば分りやすいと思う。

 

「スライガー!敵を蹴散らすぞ!!後!あの馬鹿も蹴飛ばせ!!」

 

ファイナルフォームライドしたお陰か、スライガーにも自我的な物が表に出てきたようだ。一音と随分と相性が良さそうな性格だな。それに普段は出来ないような機動性も手に入れている。その為、かなり小回りがきくようになった。

 

「すぐに慣れたじゃないか」

 

「まぁ~な」

 

『Reaey』

 

「Check!」

 

『Exceed Charge』

 

『FINAL ATTACK RIDOE DIDIDI DIEND!』

 

ディエンドは空からこちらに向かってくる無人機に。一音は正面の敵にそれぞれ攻撃を放った。だが、一音の場合はスライガーが姿を変えたお陰か、放ったポインターがいつもの比では無かった。かなり巨大で、しかも複数の敵を拘束しているのだ。

 

「ハアァァァァァ!!!」

 

スライガーと一緒にポインターの中に飛び込み、拘束していた無人機を全て撃破した。

 

「ノルマ達成だね。おめでとう」

 

「スライガー、こいつを敵のど真ん中に蹴飛ばせ」

 

「え?」

 

ガン!!

 

「ウワァァ!!!」

 

スライガーに蹴飛ばされ、敵が多く居る場所の中心に着地した。ドンマイ。

 

コンっ!

 

「いて!ん?」

 

『バ~カ笑』

 

バジンのプラカードに短くメッセージの書かれたものが飛んできた。文字的にバジンが直接投げたようだ。様子を全部見ていたのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「視界に敵の位置情報を表示します!」

 

「頼んだ!!」

 

一音とスライガーが海東をいじめている時、木場と真耶は連携しながら敵無人機を撃破していた。ライダーズギアが一般に受け入れられ、IS学園でもライダーズギアの量産型が扱われる様になると、今後のことを考えて連携した訓練も多くなる。その為、ISにはライダーと協力するためのシステムが搭載されてる。因みにmade in SMART BRAINなので、全てのライダーにも使用が可能だ。

 

視界に情報が表示されると、真耶は上空から木場の範囲外の敵を破壊している。そして木場は確実に目の前の敵を斬っている。

 

『Exceed Charge』

 

「真耶!乗れ!!」

 

オーガストラッシュを発動すると、オーガストランザーから伸びるフォトンブラッドの刃に真耶を乗せて、フルスイングした。乗っている真耶は斬り溢した物やその他色々を破壊していた。

 

「よっと。そろそろですね。勇治さん!残ってるのを引き付けて指定した場所まで来てください!!」

 

木場の視界には真耶の言う場所が指定されている。しかし、相手は機械だ。どう引き付けるかは全く分からない。と言う事は指定した場所までコイツらを送る方法は1つしかない。

 

「フルメンテ覚悟で行くか!ハァァ!!」

 

無人機の真上に飛ぶと、オーガストラッシュで地面を丸く斬って、着地したとき更にそれを地面に刺して持ち上げた。

 

「おりゃあ!!」

 

そのままだとヤバイので、抉り取った部分はその場所に戻した。これだけで結構な体力を使っている。だが、休んでる暇は無いので真耶の居る場所まで急いで向かった。

 

「勇治さん!離れて!!」

 

「え?ウワァァァ!!!!」

 

真耶を見た瞬間、一瞬にして隠れた。比較的丈夫そうな岩影に。と言っても、無駄だ。だって、大砲が鎮座してるもん。

 

クアッドガトリングパッケージ。通常兵器である口径25ミリ7砲身のガトリング砲を4門追加装備し、4本の脚部、ドラム型マガジン、制御装置を追加したISの絶対防御さえも飽和させる事が可能なラファールの追加パッケージだ。しかし、その巨大さ故に動くことが出来ない。機動力が一気に0になるのだ。その為敵を誘き寄せてからぶっ放すしかない。

 

そもそも何でIS学園にこんなものが残っているかだが、これはそろそろ廃棄される予定の物だ。他は全て廃棄されている。これが最後なのだ。一音が入学する前までは記念品として取って置き、ISの歴史を見るための展示物として取っておいたのだが、立体投影出来る時代だ。現物は必要ない。そもそも何がきっかけでこれが戦争に投下されるかは分からないからな。しかし、これは相当な大きさがある。廃棄に手間取っていたのだ。だが幸運だった。これが廃棄される前の最大にして最後の仕事になる。兵器として本望だろう。

 

大量に射出される銃弾の音。着弾して破裂する金属の音。周りの岩を砕く音。それらが辺り一体を支配した。木場は岩影で丸くなって耳の辺りを手で押さえている。よほど怖かったのだろう。とてもイイエガオ(←誤字ではありません)をした真耶が。

 

「こ、怖い……」

 

銃声その他が鳴り止んだ頃に、岩影からヒョコっと顔を出してみた。

 

「あ!大丈夫でしたか?勇治さん」

 

「は、はい!(お、王子様!?)」

 

ラファールをまとった真耶が膝を着いてる木場に手を差し伸べた。仮面で顔は隠れているが、恐らく見せられない状態だ。かな~り乙女な感じの顔をしているからな。

 

「ノルマ達成しましたね!後、ようやく名前呼び捨てで呼んでくれましたね!」

 

「あ!ごめん!つい……」

 

「いいえ!壁がなくなった感じで嬉しかったですよ!さ!みんなの援護に向かいますよ!」

 

「は、はい!!」

 

別の意味で妻には逆らえなさそうだな。木場は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束!これが最後だ……」

 

「ちーちゃん……いや。織斑千冬!お前を殺す!!絶対に!!」

 

「かつての友でも、私は手を抜かない。お前は私が葬る!!今度こそ、お前の暴走を止める。もう苦しませはしない」

 

「私が。じゃなくて私達が。だ」

 

どこの探偵だ。だが、この2人も2人で1人の様な感じだ。片方の足りないものをもう片方が補う。どっちが上も下も無い。

 

「この数を相手にして勝てると思うな!行け!!」

 

「千冬。俺が道を作る!」

 

「はい!」

 

バッシャーを呼ぶと、バトルモードに変えて、向かってくる無人機にミサイルを撃ち込む。無人機を破壊したときの爆煙の中を、千冬が突っ切り束に掴みかかった。

 

「暮桜を使わず、量産機ごときでこの私に勝てると思うな!!!」

 

「力の本質は全て同じだ!ISを作ったお前なら1番分かっていることだろ!!」

 

「クドい!所詮は第2世代の量産。私の機体には勝てない!力を引き出しても!システムは設定されたスペックを越えることはない!!」

 

「限界なんて越えるもんだ!それに、私は1人じゃない!!」

 

「ッ!?グワァ!!」

 

そう。千冬は1人では戦っていない。束の言うように、打鉄は第2世代の量産機。いくら力の本質が同じでも、圧倒的なスペック差を埋めるのは難しい。千冬1人ならな。

 

「束、1人の力には限界がある。だが、1人じゃなければ限界は存在しない。どこまでも強くなる事が出来る!ハアァァ!!」

 

バッシャーのミサイルを受けて怯んでいる束を地面に蹴り落とすと、千冬も地面へと降りていった。

 

「1人じゃ何も出来ない無能共が……!偉そうに粋がるな!!ウワァァァ!!」

 

近接ブレードを呼び出すと、束は千冬と草加に向かって突っ込んできた。激情に駆られたその一撃は、強力ではあるが直線的すぎだ。

 

『Reaey』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「千冬!決めるぞ!!」

 

「はい!束!これが最後だ!!」

 

「「「ハアァァァァァ!!!」」」

 

お互いの攻撃が交差する。草加は変身が解除されて、千冬の打鉄はシールドエネルギーが0になって待機状態に戻ってしまった。しかし、それは束も同じだ。いや、束は灰になりかけている。

 

「ハハハハ!!無駄だ!いくら私を殺しても!復元させるほどのデータがあるかぎり私は蘇る!何度でも!!」

 

そんな束に近付くと、束の専用機の待機状態であるブレスレットを掴んだ。

 

「もう、良いんだ。楽になってくれ……束」

 

「え?」

 

「お前の作ったIS。欠陥は多いが私は好きだぞ。今度また生まれ変わったら、昔と変わらない関係なら、今度は協力して作ろうな?私はお前を暴走させないし、お前も私が暴走しそうになったら止めてくれよ。さよなら……私の心友」

 

「やっぱ君には勝てないか……ちーちゃん」

 

束が灰になると、専用機であるブレスレットを握り潰した。もうこれ以上、束がこの世界に恨みを抱かないように。これ以上、苦しまないように。

 

「あの時、誰もが苦しんだ。たくさんの人が……でも、それは束も同じだったんだ……何で気付いてやれなかったんだ……私は」

 

1回研究の成果をバカにされた。彼女が起こした事件の規模からしたら、「そんな理由で」と誰もが言うだろう。しかし、その研究にかけた物が自分の全てだったら?完成した物が自分の全てだったら?それならば1回とは言え、一生を貶されたような物だ。

 

「ある意味。彼女も被害者だったんだな……」

 

そうでありたかった夢と、そうならざる負えなかった現実。最初は純粋に宇宙と言う無限の夢の舞台へ行くために作った。しかし現実では最強の兵器として使われた。貶された挙げ句、本来の使い道から逸脱された使い方をされた。彼女も世界によって歪められてしまったのだ。

 

「私の罪が1つ増えたな……」

 

「俺もだ……」

 

もしを言っても仕方無いが、束が歪まずに今まで生きていたら。白騎士事件を起こすのを自分が止められていたら。先頭に立って兵器としての運用を辞めるように呼び掛けていれば。全てが今更だ。しかし、それが頭の中を駆け巡る。

 

「仕事……増えたな」

 

「構いません。アイツの、いや私達の夢を叶えるためなら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏ぁぁぁ!!!」

 

「俺は負けない!明日を掴むために!アイツらと生きるために!!」

 

箒が差し向けてくる無人機を士と2人で破壊しながら進んでいく。

 

「埒が明かない!一夏!ちょっとくすぐったいぞ!」

 

『FINAL KAMEN RIDOE FAFA FAIZ!』

 

「うわ!?何だこれ!?」

 

『FINAL ATTACK RIDOE FAFA FAIZ!』

 

複数のポインターが放たれると、地上に居る箒を除いた機体全てにポインターが付き、士がトリガーを押すと一気に破壊された。

 

「よし!綺麗になったな」

 

「急にやるなよ……」

 

「チッ!使えないガラクタ共が!!」

 

紅椿の頃にも装備されていた近接ブレードを2本出して、一夏達に攻撃をした。昔とは違い、斬撃を飛ばせるようだ。

 

『555 ENTER』

 

『awakening』

 

『KUUGA! AGITO! RYUUKI! FAIZ! BLADE! HIBIKI! KABUTO! DENO! KIBA! FINAL KAMEN RIDOE DECADE!』

 

一夏はファイズブラスターのブレードモード、士はライドブッカーのブレードモードで攻撃をいなし、箒に斬りかかった。しかし、その一撃も箒には止められてしまったのだ。

 

「ハハハハ!!勝てると思っているのか?今の私は最強だ!!現役時代の千冬さんも!姉さんも!お前さえも!全てを超越している!!!」

 

「確かに……お前の力は強くなったさ!」

 

「だがな!人は自分を最強と認めると成長を止めてしまう!」

 

「常に進み続ける俺達は!そんな力もすぐに通り越して行く!!」

 

「「ハァァァ!!」」

 

「な!何!?ウワァァァ!!!」

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

『FINAL ATTACK RIDOE DEDEDE DECADE!』

 

「「ハァァァ!!」」

 

ファイズブラスターのクリムゾンスマッシュと、ディケイドのディメンションキック。その2つが箒を襲った。箒も負けじとブレード2本を使って受け止めるが、この2人の全力の攻撃だ。止められる筈がない。

 

「何故だ!最強の力を手に入れたと言うのに!!」

 

「俺達は常に成長している!」

 

「お前の手に入れた力もすぐに越える!」

 

「「お前の最強は、もう最強じゃない!!」」

 

「う、ウワァァァ!!!!」

 

箒を貫いたこの攻撃は、箒のISをISのコアをも砕いた。もう蘇ることは無いだろう。束と箒の2人が倒されたことで、動いていた無人機は機能を停止した。終わったのだ。戦いが。

 

「さてと……帰るか」




馬の声ってどうやって現せば良いんでしょうかね?良かったら感想欄にお願いします!すぐに書き足すので!!

次回もお楽しみに!感想、活動報告、評価もよろしくお願いします!!

ここまで時間がかかるとは……はぁ……


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次の旅へ

今日がディケイド編の最終回です。

ここで1つうp主のざれ言を、仮面ライダーディケイドでクウガが出てきます。メインメンバーとして。ですが、ディケイド版クウガのスーツは完全に新規で製作した物です。クウガ放送当時のスーツはアメイジングマイティへと改造されてしまうので、現物は残っていません。

平成1作目として、ディケイドと同等の強さを持っていました。映画でもアルティメットのブラックアイで激情態のディケイドを追い詰める程に強かったです。

他にもライジングアルティメットと言う新フォームも出てきました。


束と箒が蘇り、IS学園を襲撃した後、破壊された学園の修復のためしばらくの間休校となった。士と海東は学園以外に寝泊まり出来る場所がないので、一夏の店で次の世界へ行くまでの間世話になることにした。だが、

 

「ングググ!!」

 

瓦礫の処理を全員でやっていた。今更だが一夏の店も破壊されていたな。住む場所は大丈夫だが、店はかなりの範囲が吹っ飛んだ。そこそこ広い店のため、朝から一家総出で作業している。

 

「うぉーい。こっちは終わったぞ~」

 

「じゃあ次はこっちを頼む!」

 

因みに、バジンを含めて6人しか居ないため万事屋にも依頼して作業を手伝ってもらってる。何故か銀時しか来ていない。

 

「ん?新八と神楽はどうした?飯付きだから来ると思ったんだが」

 

「夏風邪にかかって今日はダウンだ。新八はその看病……俺1人に仕事押し付けて今は休んでるよ」

 

「何でこんなときに力もあるのが来ないんだよ……」

 

神楽が来ると思っていたので、作業は半日程度で済むと思っていたが、まさかの夏風邪でダウンとは……夏風邪はバカが最初にかかると言うな。

 

「長谷川さんでも連れてくるんだったな~」

 

「そう言えばツケが溜まってるんだよな~長谷川さんもお前も」

 

「さぁ~てと……作業を進めるか」

 

話を無理矢理切り上げて作業に戻りやがった。神楽が居ない分はバジンに頑張って貰うしかない。何としても店を急いで再開させなくてはならないからな。貯金はあるから良いが、まだ切り崩すつもりはない。

 

その後、3時間程で片付けの作業は終わった。これからは店の修復だ。これに関して1日では終わらない。2日あっても作業は終わらないだろうな~。

 

「休憩にするか……」

 

「そうしてくれ……」

 

「もう……疲れた……」

 

士と海東はかなり疲れている。2人とも体力はあるのだが、腕力が高いと言う訳ではない。特に海東。慣れない力仕事で体力を全部持っていかれたのだろう。

 

「ようやくか……おい一夏!チョコレートパフェ3つくれ」

 

「アホかぁぁぁ!!」

 

「ぬアアアアアア!!!」

 

チョコレートパフェを3つ頼む銀時を、一夏が全力で投げ飛ばした。瓦礫の山目掛けてだ。

 

「何しやがる!!?」

 

「そろそろ子供が産まれるって時に糖尿病で入院するつもりか!?なんのためにツケが溜まってるのに依頼料払ってると思ってんだぁぁぁ!!!」

 

「何でそれ知ってんだよ!?」

 

「双子だそうだな。男女の」

 

「答えになってねーぞ!」

 

実はこの前、日輪と晴太が来たのだ。店をぶっ壊される3日前に。そこで銀時と月詠が結婚して、そろそろ子供が産まれる事を聞いたのだ。銀時の糖尿病をどうにかして欲しいとも言われた。晴太に。日輪には収入のある仕事に就かせてやってくれと言われた。

 

「お前が最低のごく潰しって事は知ってるがな!取り敢えず糖分を控えろ!せめて子供が高校出るまではな!後は働け!子供の育児費用も月詠に任せるつもりか!?」

 

「ぐ……!」

 

これを言われたら何も言えない。黙るしかなかった。パフェは大人しく諦めて、一夏の出した健康的な料理を食べている。美味いことは美味いが、銀時にしたら少し物足りない。

 

「……もしもし。近藤、今大丈夫か?」

 

『あぁ大丈夫だが。どうしたんだ?』

 

「お前の所で人手不足の所は無いか?」

 

『ん~食堂位だな……なんせ家は男手ばっかで料理出来るのが居ないからな。それがどうした?』

 

「銀時が明日から働くから雇ってやってくれ。アイツの料理の腕は知ってんだろ?」

 

『……甘いものばっかり作られそうなんだが……』

 

「大丈夫だ。給料を払ってやればまともなものを作る。そろそろ子供が産まれるんだ。仕事ぐらいには就かせてやれ」

 

『分かった!話は通しておくから、明日から頼むって伝えてくれ。じゃあな』

 

そんな感じで、日輪達の依頼を実行に移した。むしろ一夏の方が万事屋に向いているのかもしれないな。

 

「ちょっと!?本人の許可なしに何決めてんの!?」

 

「テメーの許可とってたらいつまでも決まんねーだろ。ありがたく思え。明日から就職だな。言っとくが、初日から辞表だして辞めようとすんなよ。ちゃんと給料は出るんだからな。しっかり働けよ分かったな」

 

血走り瞳孔開きぎみで凄味を聞かせながら銀時に言い聞かせた。これで完全に逃げ道を失ったな。そもそも、これで逃げ出したら灰にされる可能性がある。因みに、この後に収入が出来てから、家賃やツケ、給料の支払いをすると物凄い騒ぎになった。

 

「さぁ~て。休んだし続きをやるか」

 

明日からの作業をやりやすくするために、屋根の一部と壁を修復した。床に関しては木材が足りないので、バジンに買いに行ってもらってる。敷地内の木を使えば良かったのでは無いだろうか?

 

「一夏。あの木は使って良いのか?」

 

士もそう思い、店の敷地内にある木を指差した。結構な太さがある。これを使えば床は修復できるし、壊れた机や椅子も作ることが出来るだろう。

 

「少し寂しくなるが……まぁ良いか」

 

「なら遠慮なく使わせて貰うぞ。変身!」

 

『KAMEN RIDOE DECADE!』

 

『ATTACK RIDOE FLASH!』

 

「ハァア!!」

 

ディケイドに変身して、各種各サイズの板を作り上げた。これで取り敢えずの修復は出来るので、バジンには木材の他にニス等の道具も買ってきて貰うことにした。

 

「ん?釘が足りなくなってるよ」

 

「は?」

 

海東がトンカチを持って、板を打ち付ける為の釘を持ってこようとしたら、残り5本になっていた。どうやら予想以上に使ってしまったようだ。バジンに追加で頼もうとしたが、もう少しで帰ってくる。どうしようも無いな。

 

『買ってきたぞ。後釘』

 

頼んでいないのに釘も買ってきてくれた。何故?

 

「釘は頼んでないぞ」

 

『足りなくなる気がしたから』

 

予知能力でも付いてるのか?コイツには。

 

バジンも戻ってきたので、床と机、椅子を作り直して今回は終わった。壁や天井、屋根は一夏達では無理と判断したので、後日業者に頼むことにして、今日は他の所を直した。

 

「すっかり暗くなったな……」

 

「今日はここまでだ。ほら。依頼料と神楽達への料理」

 

「おう。じゃあまたな」

 

銀時はこれで帰ることにした。依頼は完了したからな。士と海東は今日もここで泊まる。明日の朝出発するようだ。学園側には何を言うだろうか……まぁ、適当に言い訳を考えてくれるだろう。一夏が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。この日の早朝に士と海東は別の世界に行く準備をしていた。

 

「一夏。世話になったな」

 

「こっちもな。まだ旅を続けるのか?」

 

「あぁ。これから先もずっとな。これから先どこかで会ったら、また戦おう」

 

「会うことが会ったらな」

 

「ふん。またな」

 

「じゃあ~ね~」

 

灰色のオーロラが現れると、海東が先に入り、士は目の前の一夏、本音、一音、バジンを写真に納めてからオーロラに入っていった。




ディケイド編はここまでです。ディケイド編なのに士と海東の台詞が少ないな……

次回からは再び短編集に入って、数回リクエストやギャグ回を行ってから最終回に入ろうと思います。いい加減この小説も俺も楽になるべきだ。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

あ、リクエスト受け付けの活動報告は明日までで締め切ります。リクエストのある方は早めにお願いします!なるべく書くつもりですが、書けないものに関しては放置する予定ですので、悪しからず。


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短編集 その3
メカ3台フルリニューアル


さてと……バジン、バッシャー、スライガーを色々と弄りますかね。

この前と同じく、『』がメカ達の会話に使われます。()はメカ達の心の声です。

本日2本目。短いです。


『あ~……』

 

『い~……』

 

『何やってんの?お前ら……』

 

今日はメカ達の定期メンテの日だ。スライガーはデルタが一音が正式な装着者になったので、最近はよく使われるようになった。主に通学や買い物や外出などにだ。間違ってね?使い方。

 

『いやさ~お前は人間に近い姿があるだろ?』

 

『そのお陰で一夏達にサポート出来るよな~』

 

『まぁそうだけど……バッシャーも人型に近い姿があるだろ。スライガーは馬になれるし』

 

スライガーに関しては、ディケイド達がこの世界に来たときに一度馬型になった。その後も何故かそれが機能の1つとして追加されているのだ。

 

『そうは言ってもさ~お前ほど手伝える訳じゃないじゃん。俺なんてデカいし家に入れないしで殆ど何も出来ないからな』

 

『俺馬だよ。普通に道走ってたらビックリされたからね』

 

『空飛べるんだからロマンがあるだろ。バッシャーは荷物たくさん運べるし』

 

『お前プラカードで喋れる上に彼女出来ただろ』

 

この会話でバジンは2人が何を言いたいのか少し分かった。つまりバッシャーとスライガーはバジンの様な人型になって主達の手伝いがしたいのだろう。

 

『まぁお前らの言いたいことは分かった。少し待ってろ』

 

そう言うと、バジンは整備室から出ていき、エレベーターに乗って社長室を目指した。何故社長室を目指しているのか、理由は1つしかない。直訴するためだ。

 

『と言う訳で、アイツらにも俺と同じ人型にする機能を付けてくれ』

 

「何がと言う訳でですか……」

 

『アイツらも色々と苦労してるんだからさ~少しぐらいは願いを叶えてやっても良いだろ?つー訳で人型にしてやってくれ。特にバッシャー』

 

「まぁ、草加さんはそろそろ娘さんが産まれますからね……分かりました。どうにかしておきます」

 

『サンキュー!』

 

急いで整備室に向かっていった。そんなバジンを見届けると村上は自分の机から1つの書類を出した。

 

『オートバジン、サイドバッシャー、ジェットスライガーの新モード』

 

そう書かれている書類だった。そこにあるのは、バジンのバトルモードに近い形に変型したバッシャーとスライガーの姿が書かれていた。そしてバジンには、更に人間とのコミュニケーションをとりやすい姿になる計画などが書かれている。

 

「本人たちも望んでる事ですし、実践してみますかね」

 

その書類を持って、エンジュニアのいる場所まで持っていった。その後は、それぞれの所有者にメンテナンスが延びて、1週間かかると伝えた。1週間後が楽しみだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後、メンテナンス(フル改修)を終えたこの日。一夏達には追加機能の紹介と言う名目でスマートブレインに呼んだ。草加は完全に怪しんでいる。何故?

 

「それでは、皆さんには取りに来てもらったついでに、彼らの新しい姿を見てください」

 

「新しい姿?」

 

『まぁ期待してろ』

 

バジンがプラカードで何も知らない一夏達に期待してろと伝えた。一夏達の近くに立つと、バッシャーとスライガーを眺めている。

 

「それじゃあ、お2人とも。よろしくお願いします」

 

村上の一言で、バッシャーとスライガーは自分達の新しい姿を皆に見せた。バッシャーはカイザカラーのバジンをイメージすれば分かりやすい。ただし顔の形は違う。サイドカー部分は色んな物を積めるバックパックとなっている。

 

スライガーはデルタにスライガーの各パーツを後付けした姿に近い。大分デルタ感は無いがな。

 

「「「「…………」」」」

 

『な?スゴいだろ』

 

「いや色々と突っ込ませろよ……」

 

確かに色々と突っ込みたい。が、まぁ機能的に問題は無いのでそのまま受け取って帰ろうとしたが、村上から引き留められた。もう1つあるそうだ。見せるものが。

 

「バジン。貴方もですよ。早く新しい姿を見てください」

 

『は?』

 

バジン本人が何の事か全く分かっていない。何故自分まで?みたいな反応をしている。確かにバジンもその場所にいた。だが改造は受けてない筈だ。

 

「あぁ、機能を停止してたので覚えてませんか。失礼しました」

 

バジンが機能を完全に停止している間に何かをしたようだ。が、村上に言われて気付いたようだ。新しい機能に。取り敢えず、変わってみた。

 

「ん?何も変わんないぞ。声が出ている以外」

 

「「「「いや鏡を見ろ」」」」

 

いつも持ち運んでるバックから手鏡を取り出して、自分の顔を見てみた。この姿に絶句した。しばしの静寂の後に響いたのは、

 

「なんじゃこりゃああああああああ!!!!」

 

バジンの渾身の叫びだった。人間の姿になっているから当たり前だな。

 

「人間!?何で人間!?はぁ!?」

 

スゲー混乱してる。滅多な事では驚かない一夏もこれには驚いている。草加と千冬は頭を抱えている。本音は、

 

「これお姉ちゃん喜ぶね~」

 

少しずれた感想を抱いていた。しかし、この姿を虚にバジンが見せるのは、もう少し後になるだろう。急に人間になったのだ。この姿を見せるのには少し抵抗がある。

 

「虚に何て言おう……」

 

「大丈夫だって!お姉ちゃんちゃんと受け入れてくれるから~!むしろ喜んでくれるよ!」

 

「はぁ……」




バジン、バッシャー、スライガーに声付けたら面白そううだな~。声のイメージが全く浮かばないけど……

変型時の音声考えてなかった……何か良いのありませんか?

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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男子高校生とひっかけ

今回は視点を変えて、ファイズ本編のキャラクターを男子高校生にしてやってみようと思います。

今回は啓太郎と草加です。


日が完全に落ちて、星空が見えてからの下校。予定が特に無いのに、高校では何故か遅くまで拘束されることがある。今もそんな哀れな男子高校生2人がこの時間に下校している。

 

片方は皆さんお馴染みの草加だ。そしてもう片方のひ弱そうなのは草加の友人の啓太郎。何故この時間まで学校に居たのかは謎だ。

 

「あ、草加くん。ガム食べる?」

 

ポケットに入っているのに気付いたのか、残り2枚のチューインガムを取り出した。ブドウ味だな。

 

「あぁ。貰うよ」

 

草加は取ろうと手を差し伸べたが、直前して手を止めた。

 

(まさか……これは……最近何故か流行っているバチィーン!ってなるヤツじゃないのか?ガムを取ろうとしたら、金具が指を挟むオモチャでは?……俺をひっかけようとしているのか。しょうもない。だがここはあえて気付かない振りをして、食らってやらなくては啓太郎に悪い)

 

色々と考えてから、意を決してガムを引き抜いた。しかし、金具が指を挟む事は無かった。

 

「ありがとう……」

 

(本物だったー!!)

 

「そう言えば草加くんの手、何かレモンの匂いがするよ?」

 

ガムを引き抜いた時にでも気付いたのだろう。草加の手からレモンの匂いがすることに。しかし、草加はまたもスゴい深読みをしてしまった。

 

(こ、これは……!手の匂いを嗅ごうと、手を鼻先に持ってきた所を叩き付ける!ダメージを与えるイタズラだな)

 

何故その様な考えに至るのだろうか?と言うか草加のイメージが怖すぎるだろ。相手普通にグーパンだし。殴られた方も鼻だけじゃなくて口からも血出てるし。どんな威力で殴られるのを想定してんだよ。

 

(気付かない振りをして食らってやらなくては……)

 

いや何でだよ。

 

(本当にレモンの匂いがするー!!!)

 

手を鼻から戻した。と言うかこんなことしない人だってことは草加も分かってる筈だろ。

 

「あ!ねぇ草加くん!鹿って10回言ってみて!」

 

(ん!?有名なひっかけクイズか。残念ながら答えは知っているが……)

 

「鹿鹿鹿鹿鹿鹿鹿鹿鹿鹿」

 

(思いっきり引っ掛かって安心させてやろう!)

 

何をだ?

 

「サンタクロースが乗っているのは?」

 

「トナカイ!」

 

「正解!」

 

(はぁあ!?そうじゃ無いだろ!サンタが乗ってるのはトナカイじゃなくてソリだろ!何で正解なんだ!!?)

 

「日本には登り坂と下り坂、どっちが多いでしょう?」

 

「あぁ……やっぱり下りかな?」

 

「実際どっち何だろうね」

 

(知らねーよ!クイズですらねーのかよ!ただの疑問かよ!!……コイツは相手に一杯食わせると言う意味を、今一つ理解していない!俺が手本を見せてやる!)

 

むしろ食わされまくってる気がするのだが……気付け。

 

「俺もガムあるんだ」

 

「ん?」

 

「食うか?」

 

「うん!貰うよ!」

 

そう言って啓太郎がガムを引き抜くと、中からゴキブリが出てきた。そしてそれが指に乗った。

 

「ぎやああああああああわぁぁぁぁあ!!!!」

 

「ハハハ!ビックリした?オモチャだよ」

 

「……最低だよ!!」

 

泣きながら走って帰っていった。純粋な少年を弄ぶのはダメだよ。

 

「え?そっか……人を騙すイタズラは……良くないって事ですね……」




皆さんも、人を騙すイタズラはダメですよ。騙す以外のイタズラにしましょう。学校のトイレットペーパーを残り一巻きにして、予備を別の場所に隠す等。これの方が面白いです。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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男子高校生と啓太郎の悩み

は~い。今回も少し違う感じで行きます。

あ、今日小説を出した後に、弟がノーゲーム・ノーライフZEROを見るために、家族で出掛けたので俺も付き合って見て来ました。

控えめに言ってスゲー面白かったです。殆ど原作通りに構成されており、見ていて楽しかったです。1つ贅沢を言わせてもらえば、唯一神の行き倒れシーンはやって欲しかった……

因みに、俺と似たような感性を持っている人なら「滅茶苦茶 でたらめ 面白い!」の3拍子が揃うことでしょう。無論悪い意味では無いですよ。1人で見てたら泣いてますね。

ヤッパ映画は1人で見る方が気楽で良いわ……

※短いですよ。


「元気出せって。啓太郎」

 

「そうだぞ。気にすることないって」

 

午後5時。辺りが夕焼けでオレンジ1色になっているこの時間。啓太郎は何か思い詰めたように公園のブランコに座っている。そしてそれを励ますように、草加と巧が啓太郎に声をかけている。

 

「何も今解決させなきゃいけないって言う悩みじゃ無いだろ?」

 

「カラオケでも行こうぜ。気が晴れるぜ」

 

「……ダメだ。何も、分からなくなってきた……」

 

深刻そうな顔をして悩んでいる啓太郎を励ますために、色々と声はかけてみるも、一向に浮上してこない。むしろ沈んでいってる。一体何を悩んでいるのだろうか?

 

「人によっては、些細なことだと思うぜ。俺は」

 

「兎に角、元気出せよ。じゃあ、俺たち行くぜ」

 

そう言うと、草加と巧は帰路に付いた。何も出来ない事に、少し申し訳なさそうにしている。しかし、人の悩みを完全に解決するのは無理だ。少なくともこの段階では。

 

2人が帰った後も、啓太郎は1人ブランコに座って悩み続けた。地面の一点を見て、何も言わずに悩み続けた。解決策が見つからないのか、ずっと沈んだままだ。

 

そしていつしか太陽は完全に沈み、啓太郎を照らすのは公園に設置されている街灯だけとなった。今は午後9時。あれから4時間は悩んだのだろう。しかし、全くその場から動いていない。それほどまでに深刻な悩みとは一体……

 

「…………」

 

「いつまで悩んでんだお前はぁぁぁぁ!!!」

 

「グワァ!!」

 

帰った筈の巧と草加が現れて、啓太郎を全力で蹴飛ばした。結構な勢いで飛んでいき、5メートルぐらいの地点に着地した。いや、着地とは言えないか。

 

「4時間だぞ4時間!!」

 

「ずっと見てたけど、よくもまぁそんなに悩めるな!!お前ちょっといい加減にしろよ!!」

 

「男子高校生の俺が言うのも何だけど!男子高校生のそう言う所が気持ち悪いわ!!」

 

まぁ確かに4時間は悩みすぎだ。本当によくそこまで悩めたもんだ。ある意味尊敬するよ。真似したくは無いけど。

 

「……でも!好きな人にエロ本見付かるのって……結構な事だよ……!」

 

「「死んでまえぇぇぇ!!!!」」

 

実際は啓太郎の所有物ではなく、海堂の物らしい。この前隠す場所が無くなったから、強引に持っててくれと頼まれたのだ。しかし、そんなものどこに隠して良いのか啓太郎には分からない。あたふたしていた所に、結花が入ってきた。そして見られないように隠そうとしたのだが、体勢を崩してエロ本を5冊ばらまいてしまったのだ。別にそれで蔑まれたと言う訳ではない。

 

「男の子ですから!仕方ありませんよね!皆には黙っておきますから安心してください!」

 

これ言われて完全に心が折れたのだ。ドンマイ。




は~い!無気力な救世主の日常は、うp主の提供でお送りいたしました!

……ふざけました。ごめんなさい。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

あ、活動報告のリクエスト受付は今日までです。


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男子高校生と誕生日+α

無気力な救世主の日常は、うp主の提供でお送りしたりしなかったり……


「なぁ海堂」

 

「んあ?」

 

「今、何かやりたいことってある?」

 

この日、木場の部屋には、家主の木場と同居人の海堂、そして巧が居る。特にやることもなく、3人でダラダラと過ごしていたが、突然木場が海堂に対して「何かやりたいこと無いか?」と訪ねた。

 

「ん~……一度で良いから、人前で、思いっきりおしっこ漏らしてみたい」

 

「……えぇ……」

 

この言葉は予想外だった。海堂がバカなのは知っているが、こんなことは言わないヤツだと信じていたからだ。なので木場は思いっきり引いている。

 

「海堂……俺達で叶えられる範囲にしてくれ……流石にそれは無理だ」

 

「えぇ?ダメ?じゃあ……あ、ケーキをワンホール自由に食ってみたいな~」

 

「よし!それなら良いな!」

 

「あぁ!」

 

「え?」

 

ケーキを食べるという願いを聞くと、木場と巧のテンションが上がった。そして、海堂の前にケーキを置いたのだ。そこそこ高そうなやつ。

 

「今日お前の誕生日だろ?」

 

「だから俺達で金出しあって、ケーキ買ってきてたんだよ」

 

「お前ら……粋な真似を」

 

一緒に入っていたプラスチックのフォークを袋から取り出し、ケーキにガッツいた。

 

「うぉぉぉ!!何て良い友達を持ったんだ俺は~!!」

 

そう叫びながら、ケーキを一口頬張った。だが、

 

「ウゴァ!済まん……!俺生クリームダメだった……!」

 

なら何故ケーキを食べたいと言ったんだ?ほぼ100%生クリームが使われてるぞ。あれは。

 

「ぬっ!」

 

「待って!落ち着け!」

 

海堂の言葉にイラッと来たのか、巧が目潰しをしようとした。それを寸の所で止めて落ち着くように言った。勢い的に完全に潰すつもりだったようだ。

 

「ふざけんな!何のためにバイト代削ってまで買ったと思ってんだ!?あぁ!?」

 

「待って!もう1つやりたいことがあった!!」

 

「今度は何だよ!」

 

「パイ投げ!」

 

「アアアアア!!!!」

 

海堂がパイ投げと爽やかに言うと、巧が雄叫びをあげながらケーキを海堂の顔面に投げ付けた。今の海堂は顔の原型が分からなくなるほどに生クリームまみれだ。

 

「ケーキ無駄にならなくて良かった~」

 

十分無駄になってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

ここはコンビニのトイレの個室。中には啓太郎が入っている。だが、中々出られない。外からスゴいプレッシャーをかけられてるからだ。

 

(なにこのプレッシャー!?草加くんに当てられた時以来だよ!このプレッシャーは!)

 

そんなことを考えてたが、数分後には消えたので出ていこうとした。のだが……

 

「紙がない~!!」

 

トイレットペーパーが切れていた。仕方無く、バックの中からノートを取り出して、使ってないページを切り取って拭いた。コンビニから出たときの彼は、魂が抜けたような感じだった。

 

「はぁ……うわ!?」

 

ダルそうに歩いていたら、捨てられていたバナナの皮に足を滑らせて転んだ。そのまま、後頭部を地面に強打。悶絶している。3分位悶えていたが、痛みも取れたので再び帰路に付いた。橋を渡っていたとき、何と無く川に目を向けると、流れてくる段ボールを見付けた。

 

「あぁ!?」

 

中身が目に入ると、学ランを脱ぎ捨てて川へと飛び込んだ。11月の時期に川に飛び込むのはどうかと思う。しかし、啓太郎には段ボールの中に猫が見えたのだ。助けるためなら仕方無い。段ボールを抱えながら岸に上り、中が無事かを確かめるために蓋を開けてみた。すると

 

「ぬいぐるみかよ!!何だよさっきから!アニメか!?」

 

小説の間違いだ。




無気力な救世主の日常は、うp主の提供でお送りいたしました!

……バジン1回破壊しようかな……?

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!


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買った覚えの無いコーラは危険

皆さんも身に覚えの無いコーラは飲まないようにしましょう。このあとの一夏達の様になります。


「だるまさんが~……転んだ!」

 

「……」

 

「……」

 

「暇だな」

 

「暇じゃねーよ!平日の朝っぱらから来やがって!!」

 

平日、しかもSHR前の時間だ。何故来た本当に。制服を着ながら、一応客人なので、草加と木場に飲み物を冷蔵庫から取り出した。しかし、特に何もなかった。あるのは買った覚えの無い2リットルのコーラだけ。

 

「コーラで良いな。飲んだら帰れよ!」

 

「あぁ。千冬と話したら帰るよ」

 

「すぐに帰れ!!」

 

まぁそんな感じはしてたよ。だが何故木場まで?来る理由は……あぁ、真耶か。と言うか一夏、1年生の時からこんな感じなんだから慣れろ。もう2年生だろ。

 

取り敢えず、自分の分も含めて3人分をコップに注いできたので、草加と木場の分を差し出して、自分も飲んだ。しかしこれを直後に後悔することになった。

 

「え?ちょ!何これ!!?」

 

「え?うわぁぁ!!」

 

「わぁぁぁ!!?」

 

飲んだ3人の体が光りだしたのだ。そしてどんどん形が変わっていく。一夏は少し身長が縮んで、髪が伸びてくる。腰の辺りまで。そして胸が膨らんできた。IS学園の男子用の制服では少しキツく感じる。草加は身長こそは変わらないが、体の線が細くなっていく。来ている服がダボついている。1番変化があったのは木場だ。身長は140㎝位までに下り、髪の毛も肩の辺りまで伸びている。そして胸は真耶くらいに膨らんでいる。

 

「「「何じゃこりゃあ!!!?」」」

 

あまりにも変わり果てた自分達の姿。お互いにお互いの体を見て絶叫した。その直後に、千冬が慌てた様子で一夏の部屋に入ってきた。

 

「一夏!冷蔵庫のコーラのんで……遅かったか」

 

「姉貴!?これなんだ!!何で俺達女になってんだ!」

 

「いや……その……科学の中馬先生居るだろ?この前実験に使う薬品を買い込んだんだが、まだ大量に残ってるのが見つかってな……期限切れが近かったから使わないかと言われて……」

 

で作った薬がこれだ。何でコーラのペットボトルに入れたんだよ。その前に何で一夏の部屋の冷蔵庫なんだよ。

 

「何でそれが俺の部屋の冷蔵庫に入ってんだよ!その前にそんな薬作れるかぁぁぁぁ!!!」

 

「いや~済まなかったな。入れるのにちょうど良いボトルも無かったし、私の部屋の冷蔵庫は隙間が無いからな。昨日の内に言っておこうと思ったんだが、言うタイミングが無くて」

 

何とも酷い理由だな。つーかマジで何でこんな訳の分からん薬を作れんだよ。何でもありの世界でも、これは流石にスゴすぎるわ。

 

そんなとき、いつものあの時間が来た。本音が一夏に朝食を貰いに来る時間だ。しかし今このタイミングで来られるのは不味い。

 

「いっちー!朝ごはん食べに来たよ~!!あれ?」

 

「一夏~!今月ピンチだから私もお願い!……ん?」

 

運命とは時に残酷な物だな。本音だけではなく鈴にも見られた。この姿を。

 

「ほ、本音……鈴……」

 

最悪の状況だ。女になっただけでもヤバイのに、この状況を見られたのだ。片方は彼女でもう片方は学園で1番仲の良い友人。このカオスをどう説明して良いのやら。

 

「いっちー……」

 

「一夏……」

 

「あ!頼む!見ないでく―」

 

「「可愛い……」」

 

「え?」

 

「「可愛い!!」」

 

「うわぁぁ!?」

 

一瞬顔が暗くなった様に感じたが、直後に目を輝かせて一夏に抱きついた。頭を撫でたり頬っぺたを擦り会わせたりしている。相当この一夏が気に入ったようだ。

 

「明日には戻るだろ。それまで待っとけ」

 

「あの、千冬さん。何で一夏達、性別変わってるんですか?」

 

「ん?あぁ。このコーラを飲んだからだ」

 

そう言って、本音と鈴にそのコーラを注いだコップを渡した。匂いを嗅ごうと鼻の付近に持っていくと、待っていたと言わんばかりに、千冬が2人の口の中に強引に流し込んだ。

 

「「ンゴッ!?」」

 

一夏達と同様に、体が光り始めた。本音は段々と身長が伸びていき、髪の毛も短くなっていき、声も低くなっている。が、鈴には変化が無い。強いて言えば、髪型がツインテールからポニーテールに近いものになっただけだ。

 

「おぉ~!いっちーより大きい!!」

 

「な、何で私は変わってないの!!?」

 

「ち○こ付いてるだろ」

 

「一夏!女の子が真顔でそんなこと言ってはダメだ!」

 

「姉貴ブッ飛ばすぞ」

 

そんな馬鹿なやり取りをやっていると、草加は誰にも気付かれないようにコーラをコップに注いだ。そしてそれを持って千冬の背後に移動する。因みに木場は一夏のベッドの布団にくるまって中でシクシク泣いている。

 

「あぁもう!せめて今の一夏の身長は越えると思ったのに~!!」

 

「ち~ふ~ゆ~!」

 

「ん?ンゴアッ!?」

 

「さぁ~てと……帰るか」

 

おいぃぃぃぃ!!!何やってんだ!!何状況ややこしくしてんだよ!!状況更に悪くなってんじゃねーか!!馬鹿だろ!お前馬鹿だろ!!

 

ガシ!

 

「雅人さん?いや、雅人。逃げられると思ったか?」

 

「ビクッ///」

 

低い声のイケボで、しかも耳元で呟かれたら体が反応してしまう。脚に力が入らなくなったのか、体を震わせながら膝を付いてしまった。そんな草加を見た千冬がニヤリと笑みを見せると、また草加の耳元に近付き呟き始めた。

 

「雅人が望むなら、今日は2人で過ごそうか?学園じゃ気分も出ないな~2人っきりになれる場所に行こうか?それとも、見られるのに興奮する方?」

 

「ちょ//!やめ……て//!ハァハァハァ//……」

 

はい。作品が変わるからそこまでな。後は作品外でやってくれ。そこなら自由だから。

 

「織斑先生~そろそろ職員会議始まりますよ~……」

 

状況を見ると、すぐに携帯を取り出して電話をかけた。主任に。

 

「あ、主任。問題が発生したので会議欠席します。1組のSHRに誰かよこしてください。では」

 

冷静に対応してくれた。この1年でスゴく成長してくれたな。

 

「あの、勇治さんは居ますか?」

 

「あそこに居るよ」

 

木場の居場所を聞くと、一夏が自分のベッドの上にある布団の塊を指差した。

 

「原因はこのコーラですね」

 

コーラのボトルを手に取ると、残ってる分を全部飲み込んだ。丸みのある女性的な体型から、体は細いが確かに男性的な筋肉質の体へと変わっていく。

 

「あ~。あ~。あぁ……織斑先生。今日休みますね」

 

爽やかな笑顔を千冬に向けると、木場のくるまっている布団に近付いた。そして勢いよく布団を剥いだ。

 

「勇治さん?」

 

「ヴゥ……ま、真耶さん?」

 

「さ!落ち着ける場所に行きましょうか?大丈夫です。2人きりになれば落ち着けますから。さぁ。行きましょう」

 

「う、うん……お願い……します///」

 

「(なにこの可愛い生き物)はい。安心してください。私の理性が持ってる間はね(ボソ」

 

「え?」

 

「何でもないよ。行こうか」

 

爽やかに言っているが、真耶の目は底冷えしそうなぐらいに鋭い眼光をしていた。木場は女になったからか、その辺が少し鈍くなっているが、他の全員はそれに気付いている。

 

「今日のMVPはやまやんかな~?」

 

「でしょうね」

 

「ん~まぁ良いか。一夏、この服を貸してやる。今日はこれで過ごせ」

 

差し出されたのは千冬が中学の時に着ていたセーラー服だ。着るものが無かったから仕方無く来てみた。これがまた似合っている。再び本音と鈴が興奮したのは言うまでも無いだろう。

 

次の日、男性陣は顔を赤くして自分達の恋人と目を合わせられなかった。恥ずかしかったのだろう。特に木場。




平和な日常を書いたときの一夏の「姉貴の作った変な薬を飲んだ方がマシだ」の一言を思い出したので、形にしました。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!


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男子高校生と占い

さ~てと、のっけから読者アンケートです。バジンの破壊か否かについて。

現在進行形でバジンと虚のデート回を書いています。そこで、敵が現れてバジンがそれと戦うか、それとものんびりダラダラとデートを見るか。これを皆さんに決めて貰おうと思います。投票はいつも通りに感想と共に、と言いたい所ですが、今回に限り感想は付けなくても良いです。見付けた方は通報しないようにしてください。

あ、でも出来るだけ感想もお願いします笑

因みに、ネタバレさせておきますが、破壊の場合敵はクロエです。但し、無駄死にするわけではありませんので、そこだけは頭に入れておいて下さい。誰1人として死にません。

期限は……そうですね。明後日までにしましょう。むしろそんなに時間はいらない気もしなくはないですが、一応明後日まで待っておきます。

皆さんの投稿をお待ちしております!

あ、今日も短いです。


「あ、海堂」

 

「ん?」

 

「俺達乙女座だろ?今日の運勢最悪だよ」

 

時間的に登校中だろう。木場は占いの書かれた雑誌を広げながら海堂と登校している。因みに読んでいる占いは普通のでなく、ブラック星座占いだ。ありとあらゆる星座の不運が書かれている。その中でも、2人の誕生月の星座である乙女座は、10年に一度の最悪の日らしい。見事にワースト1位だ。

 

「あ~そう。俺は占いは自分に都合の良いことしか信じないからな」

 

「そう言うなよ。10年に一度の不幸だぞ。もしかしたら今日死ぬかもな~」

 

「あり得ないって。大体占いなんてのはな~……」

 

なんと言おうとしたのは分からないが、海堂の言葉を遮るように、口にスズメバチがくっついた。手で振り払おうとはせずに、無言で木場に迫ってくる。

 

「え?ちょ!何だよ!!来るなって!ング!!」

 

ハチがついた状態で、口を木場の口にぶつけた。その衝撃でハチは絶命したが、気分は良くない。

 

「きゅ、急に何するんだよ……」

 

「わりぃ~……ちょっとテンパって……」

 

すると、その直後に2人の間を巧が歩いていった。100%見られたな。一部始終を。が、なにも言わずに真顔で通り過ぎようとした。

 

「まて!巧!違うんだ!」

 

「誰にも言わねーって」

 

「ハチが居たんだ!分かるだろ!?」

 

「いや意味分かんねーよ」

 

「話を聞いてくれ!」

 

「はぁ~ん」

 

通り過ぎられないので、尻ポケットに入れてる財布から5000円を取り出して2人に差し出した。

 

「何で金を払うんだ!?」

 

「意味分かんねーよ!!」

 

「ま、ハチでカバーされてたし、ファーストキスには入んないだろ」

 

巧は状況全部分かってたみたいだ。と言うことは分かった上でからかっていたのだろうか?

 

「状況分かってんなら先に言えよ!!!」

 

「ボガァ!!」

 

海堂が全力でぶん殴った。まぁ、木場でも殴っていただろうし、啓太郎でも真理でも殴っていただろうな。

 

その後も様々な不運が相次いで起こった。突然上からペンキが降ってきたり、500円玉かと思って拾ったら瓶の蓋だったり、某アニメで電気を放つネズミに追いかけられたり。もう逃げるしかない。逃げ切れないけどな。

 

「「はぁ……はぁ……はぁ」」

 

全力で何かから逃げていた為、息が完全に切れている。膝からも力が抜けているのだろう。ガクガクだ。

 

「マジでヤバイって今日は……!あの占いが当たってるんだよ!!」

 

「ふざけんな!俺は絶対に占いなんか―!」

 

また海堂の口にスズメバチがくっついた。

 

「ちょ!だから何で俺なの!?」

 

またキス(全力物理)でハチを潰そうとした。だが、今度はそこに草加が現れた。が、何も言わずにバックからスズメバチバスターを取り出して、噴射した。

 

※殺虫剤を人に噴射するのは危険なので、やらないようにしましょう。

 

((占いって怖いわ~……))




無気力な救世主の日常は、うp主の提供でお送りしましたお。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

あ、昨日のアレ使ってR18書きたいと言う方は居ませんか?我こそはと名乗りを上げてくれた方に提供いたします笑



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2年生の時のバレンタイン

バジンの破壊か生存かは皆さんの投稿しだい!明日までです!よろしくお願いしますね!!バジンの運命を決めるのは、君達だ!!……最悪両方書きます。


2月14日。男子、特に男子高校生がチョコを貰っただの貰えなかっただので一喜一憂する日。が、実際は3世紀にローマで残酷な拷問の上に撲殺された聖人、バレンタインの記念日だ。人の死を記念日にする辺り、拷問と処刑を執行した連中への皮肉も含められている感じがするな。

 

話が少しズレたが、この日は相愛の男女が愛を告白し、カードや贈り物を取り交わす日だ。セントバレンタインデーと言うらしい。因みに、女性が男性にチョコレートを送る風習は日本だけの物だ。

 

重要なのは、日本だけ女性が男性にチョコレートを送るではない。相愛の男女が愛を告白すると言う所だ。相愛と言うことは既に交際を始めている。何故また告白する必要があるんだ?そもそも聖人が1人死んだ日だ。どんな理由で拷問に逢い撲殺されたかは知らないが、そんな日を愛の告白をする日に使うか?

 

まぁそんなことはどうでも良い。問題は、この学園でこの日を送る今作の主人公である一夏だ。最近登場回数が少なかったから少し紹介しておいた。この日は特に早く起きる。何故なら、部屋から出られなくなるからだ。

 

「遅かったか……」

 

訂正、もう出られなくなっていた。まぁ理由は皆さんお察しだろう。この学園は寮生活だ。普通の高校とは違い、入り口に下駄箱があるわけではない。その為、下駄箱にチョコレートをブチ込むことは不可能だ。なので、大量に部屋の前、もっと言えばドアの前に置かれるのだ。バリケードが組まれてる訳じゃないのに、ドアがピクリとも動かない。

 

「んぬぬぬ!!!はぁ……ダメか」

 

一応、本音と交際していることは公言しているが、やはり仲良くなりたいと言う人は沢山居るのだろう。ほぼ学園の教師を含めた全員から送られるのだ。仕事しろよ教師。

 

「今起きてるのは……ダメだ。誰も居ない……」

 

そりゃあ4時だぞ。起きてる訳無いだろ。起きてるのはここにチョコレートを置いた馬鹿共だけだ。あいにく、一夏の友人にはそんな馬鹿は居ない。

 

「はぁ……気は進まんがドアぶっ壊すか……」

 

バジンの整備や修理に使う工具箱からドライバーを取り出し、ドアを止めてあるネジを外した。が、これでもドアは開かない。まぁこれは去年も同じだったので、冷静に対応出来る。ドアを蹴飛ばすんだ。これで吹っ飛ぶ。因みに去年はSHRに来なかったのを怪しんだ千冬が、本音を連れて一夏の部屋に行った。それで救出された。その後に、対策をいくつか考えた。これはその1つだ。

 

「開いたな……仕分け始めるか……」

 

仕分けとは、どのクラスの誰が渡したかだ。因みに、大半と言うか大体は一夏の所属しているクラス以外の生徒だ。教員は……焦ってる人しか出さない。

 

中には危険な物も混じってるのがあるので、本人に返すようにしている。送り主不明のチョコレートは、千冬と真耶が毒物検査にかける。毒薬、睡眠薬、下剤、自白剤、惚れ薬、催淫薬等の類いが見付かった場合は、草の根を分けてでも送り主をさがしだす。

 

まぁ、この日の朝食の時間に、今まで接点の無いヤツが急に馴れ馴れしく関わってくるが、大体ソイツが犯人で間違いない。犯人が判明した場合、千冬と真耶が生徒指導室に連行して、反省文と道徳の授業、その他生命倫理に恋愛観や人として最低限のマナーを1から叩き込む。なので、出てきた人は趣味、哲学書を読むことと勉強、尊敬する人は二宮金次郎と言う理想的な生徒へと変身して出てくる。ほとんど洗脳に感じるがな。

 

「えっと……これが1年の3組で、こっちが5組。7組ってどこだよ?何で卒業間近の3年生まで送ってんだ?あぁ今年も教師から送られてるよ……」

 

スマートブレインの独身社員を紹介してやれ。少しは減ると思うぞ。

 

「2年8組……あったか?そんなクラス……」

 

IS学園七不思議の1つには、存在しない2年8組の生徒がたまに現れると言うのがある。何故2年生をピンポイントで?

 

「去年と同じで、俺のクラス以外は大体送ってんな~。諦めろよ……」

 

手紙付きのチョコレートも送られるが、「愛人でも良いので付き合ってください!」や「旦那と過ごせない寂しさを埋めてください」とか「お姉さんとイケナイ関係にならない?」みたいなアホな手紙が送られてくる。しかも写真付きで。しかし、相手の気持ちなので無下にも出来ない。1枚ずつ一夏なりの丁寧な返答の手紙を書く。

 

内容は「俺は本命1人としか付き合うつもりないし、そもそも、2番目で満足するようなヤツとは一緒になる気は無い」や「有給や休みの日を利用しろ」とか「他を当たれ」みたいな感じの返事だ。

 

「送り主不明が出てきたな……あ、これもだ。これも……また出てきた」

 

取り敢えず、3時間かけて漸く仕分け作業が終わった。後はこれをそれぞれの教室に送るだけだ。1人じゃあ当然無理なので、バジンに手伝ってもらう。2年8組のはどうするべきだろうか……一応送り主不明の方に入れてある。

 

「じゃあバジン。頼むぞ」

 

『またかよ……恒例行事にするつもりじゃないよな?』

 

「んな事するかよ……早く運ぶぞ。変身」

 

『Complete』

 

量が量だ。生身の人間に運ぶことは出来ない。ファイズになるしかないのだ。それでも時間はかかるがな。最悪アクセルフォームでそれぞれの教室に送ることになる。

 

教卓の上に置かれた大量のチョコレート。ある意味この光景はシュールだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう~!いっちー!はい!バレンタインのチョコレート!!今年は手作りにしてみたよ!!」

 

「手作りって……また手が込んでるな」

 

「うん!リンリンと一緒に作ったよ!!」

 

「うえ?鈴も?」

 

「そりゃあね。いつも世話になってるし。お礼くらいは作るわよ。ほい」

 

雑に投げ渡したが、チョコレートその物は綺麗にラッピングされている。時間がないなかで良く作れたな。

 

その後は、ラウラとデュノア。最後にオルコットから貰った。が、サンドイッチと言う前科があるので、ラッピングをといて1つ鈴がオルコットの口に入れた。オルコットは倒れないので今回のは当たりだった様だ。

 

その頃職員室では

 

「今年も来ましたね~。送り主不明チョコ」

 

「良くこれで送る気になったな……誰が送ったか分からんだろ」

 

直後に、自分が送り主です!って言ってるような感じだがな。取り敢えず、それぞれ取り出してから、砕いて欠片を検査機にかけた。すると、見事なまでに2年8組以外のチョコに異常な反応が出た。毒物は入ってないが、全部惚れ薬や催淫薬だった。

 

「どこで手に入れた……」

 

「最近は色んな物がネットで簡単に買えますからね~。こう言う薬は普通に売ってますよ?」

 

「買ったのか?」

 

「ご想像にお任せします!あ、そう言えば、織斑先生は草加さんにチョコあげるんですか?」

 

「そのつもりだ。放課後にでもバジンに配達を頼もうと思ってる。真耶は?」

 

「私もあげようと思ったんですけどね。勇治さんが手作りを私にくれたんですよ~!ラッピングも綺麗だったし、見た目も可愛かったですし、本当に女子力高いですよね~」

 

「……それ、本人の前では言うなよ……かわいそうだから」

 

まぁ、確かにそうだな……。一見すると、真耶の方が女子力の塊の様に見えるからな。でも実際は木場の方が女子力が高い。……この小説での性別間違えたな。結婚前夜と木場勇治編のカッコいい木場はどこに行ったのだろうか……




さてと……次はホワイトデーかな?書くかどうかは話が別だけど。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!


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オートバジン

バジンの日常を覗いてみはしょうか。たまには。

果たしてバジンは新しい姿を虚に見せることが出来るのか?

バジンの破壊を書く場合はこれを基準とします。


バジンの朝は早い。遅くても4時には起床する。そこからまずは店の玄関を掃除する。ゴミを取り去って綺麗にした後は店内の清掃だ。これは閉店時に一夏がやっているが、バジンは朝にもやるようにしている。そして最後は朝食作りだ。これは一夏、本音、バジンと交代制でやっている。この日は偶々バジンだった。冷蔵庫の中にある食材を使ってそこそこ豪華な料理を作る。和食か洋食か中華かはその日の冷蔵庫の中次第だ。

 

因みに、一音が赤ん坊の頃は一夏と協力して離乳食を作ったり、朝食の担当でない時は魚の市場に行ったりジギングに行っている。実はこれがかなり家計に助かっている。

 

そして、朝の最後にすることは勿論

 

『朝だぞ。起きろ』

 

プラカードで寝ている一夏達を起こす。バジンのお陰で休日でも規則正しい生活が出来る。一音や本音は少し不服そうにするがな。

 

「今日は和食か……バジン。人間態になったらどうだ?」

 

『あの姿は慣れない所が多いんだが……』

 

ISの拡張領域の機能を利用して、バジンが人間になったときは邪魔なパーツの部分をしまうことが出来る。しかし、重いものが無い人間態は少し動きにくいそうだ。体がいつも以上に軽いのが原因だろう。あり得ない方向に飛んでいくことが何度かあった。虚にもまだ人間態は見せていない。

 

「いい加減見せたらどうだ?義姉さんなら気にしないと思うぞ?むしろ喜んでくれるだろ」

 

『人間態を見せて、「変な声」や「こんなキャラなんだ」とか「ロボットの方が良い」とか言われたら流石に立ち直れる気がしない』

 

「変な事気にしすぎだろ。絶対にそんなこと言わないから安心しろ。つーかそれ言うならお前と恋人関係になってないだろ」

 

『確かにそうだが……』

 

いまいち踏み切りが付かないようだ。仕方無い。ここはうp主が一肌脱ごう。

 

「あ、今日バジン予定入ってるだろ」

 

『……アァア!!?』

 

バジンの予定をカレンダーに書き足しておいた。ついでに一夏の頭にこの情報を流して言わせた。因みに虚とのデートを用意しておいた。そしてもう1つ。

 

ピピピピ!ピピピピ!

 

『ん?メール?…………』

 

「ん?どうした」

 

バジンにメールが来たが、それを読んで絶句した。

 

『バジンさん!新しい姿になれるよになったって本当ですか!?』

 

情報を流したのは誰だろうか~(棒読み)

 

『服どうしよう……』

 

「どっから情報が漏れたんだろうな?まぁ服は貸してやるよ」

 

『助かる……移動はバッシャーにでも頼むか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳で、バッシャーを借りに来た」

 

「なるほど。だから人間の姿なのな……」

 

待ち合わせの時間になるまえに、草加の家に訪ねてバッシャーを借りに行った。因みに服装だが、一夏の着る服を借りている。黒のジーパンに白のシャツに黒いパーカー。殆ど黒いじゃねーか。

 

「別に良いけど、今娘の相手をしてもらってるんだが」

 

「自分で見ろよ。子育てくらいお前にも出来るだろ」

 

「いや俺は千冬の面倒があるんだが……」

 

「両方ともこなせ」

 

娘さんはあと少しで一歳だが、また出来たそうだ。何故に?

 

「一夏と村上にしばかれて少しは反省したか?」

 

「まぁ、少しはな」

 

千冬が娘を出産した後に、祝いとして一夏の店に集まっていたのだが、それから数ヵ月後にまた子供が出来たと知らせに来たのだ。まぁ、それで村上と一夏に店の裏にあるデカイ山に一緒に行くことになったのだ。何があったかは察してくれ。これで山の一角が消し飛んだんだ。

 

「じゃあバッシャー借りていくぞ~」

 

娘を抱えながら、去っていくバジンとバッシャーに一緒に手を振っている。

 

『デートに付き合うのは良いが……機能停止してた方が良いか?』

 

「別に構わん。盗聴と盗撮をしなければな」

 

『分かってる』

 

お前らそこそこ長い付き合いなのに、何を疑ってんだ?と言うか盗聴と盗撮って普通警戒するか?

 

まぁそんな疑問はさておき、待ち合わせ場所である駅に着いた。いきなりの人間態は色々とあれなので、まずはいつもの姿で虚を探した。幸いすぐに見付けることが出来たので、プラカードで呼んだ。が、当然虚は気付かなかった。

 

『人間態で行けば良いだろ』

 

『いや緊張するから……』

 

『いいからさっさと行け。彼女の性格からも、拒絶されることは無い』

 

「はぁ……」

 

バッシャーに言われた通り、人間の姿になって虚を呼びに行った。

 

「虚」

 

「はい。あ、バジンさん来たんですね!」

 

まぁ当然の反応だ。この姿は完全に初対面。本音も写真を送ったわけではない。取り敢えずプラカードを出そうとし…………ん?

 

「俺だって分かったのか?」

 

「当然ですよ!近くに居るときの安心感がいつも通りですから!」

 

「そうか。じゃあ早速行くか」

 

まぁ行く場所は遊園地だ。虚が買い物の福引きでチケットを引き当てた。在り来りではあるが、2人一緒ならどこでも楽しめるのだろう。

 

「?この袋は何ですか?」

 

サイドカーの部分に虚が乗ると、中に入ってる2種類の袋に気付いた。片方は大きめで、もう片方は少し小さい。

 

「デカイ方は昼食だ。小さい方は……後で言う」

 

「はぁ……もしかして、指輪だったりしませんか?」

 

「…………」

 

「え?本当なんですか?」

 

まさか当てるとはな……普通は当てないと思うが。

 

「はぁ……もう少し雰囲気ある場所で言いたかったんだが……」

 

「今、言ってもらっても良いですか?」

 

「……」

 

バッシャーを路肩に停めると、袋から指輪を取り出して他の車が通りすぎるのを待った。

 

「虚、俺はロボットだ。それも戦うために作られた存在だ。平和にはなったが、戦いとなれば前に出るし、帰ってこれる保証もない……だが、それでも良いと言うなら、そんな理屈を無視して、俺と同じ道を歩いてくれないか?妻として……」

 

そう言うと、指輪を手に取り虚に差し出した。虚は、何も言わずに自分の左手をバジンに伸ばした。はめてくれと言う意思表示のようだ。

 

「良いのか?これから先、俺の伴侶として過ごすことになるんだぞ」

 

「勿論です。私もそれを望んでますから。但し、バジンさんが戦うときは、私も一緒に戦います!そして、一緒に帰ってきましょう」

 

「そうだな……」

 

婚約成立。バジンは虚の意思を聞いて、薬指に指輪をはめ込んだ。そしてバジンも、自分の左薬指に指輪を付けた。しかし、この世界の女共は逞しいな。前例のない人間とロボットの夫婦。そして一緒に戦う意思。並大抵の事ではないだろう。だが、それを受け入れた。本当に虚はバジンの事を心の底から愛しているようだ。そしてバジンもまた、心の底から虚を思っている。この2人なら前途多難な未来でも、迷わずに進むことが出来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たは良いが……何をやるべきか」

 

「そうですね~。何から遊びましょっか?」

 

まぁ、バジンは婚約したし、虚はそれを受け入れたし、指輪もはめてるし、正直言ってもう帰っても良いと思う。が、せっかく当てたチケット。使わないのは勿体ない。

 

「じゃあ全部乗りましょう!絶叫系以外で……」

 

「そうか。ならジェットコースター行くぞ」

 

「え?ちょ!何でですか!?イヤァァァァァァ!!!」

 

そのまま、虚を連れてジェットコースターに行ってしまった。そこまで混んでいなかったので、すぐに乗ることが出来たが、虚はガクガク震えている。

 

(楽しいな)

 

そんな虚を見て楽しんでいた。案外バジンはSの様だ。涙目になっている虚を見て笑っている。声には出さないがな。いつものポーカーフェイスも無くなっている。

 

ジェットコースターが発進すると、乗っている客は全員ドキドキしている。1番最初の登り坂を進んでいるときはまだかまだかと待ち構え、その後に続く高低差の大きいコーストの爽快感を各々楽しむ。だが、虚にはそんな余裕が無さそうだ。バジンの手をガッチリ掴んで離さない。

 

「そんなに怖がるなよ」

 

「む、無理です!ISに乗って超高速で空を飛ぶならまだしも、これだけは無理です!!」

 

「なら大丈夫だな。前見とけ」

 

「え?キャァァァァ!!!」

 

話してる間に天辺に到達していた様だ。そして直後に落ちた。他の客も悲鳴を上げているが、それは楽しんでの悲鳴だ。虚のは少し違う。普通に怖がってる時の悲鳴だった。

 

まぁ、ジェットコースターは速いので一瞬で終わる。悲鳴を上げてる内にスタート地点に戻った。足元が覚束無い状態で、フラフラしながらコースターから虚が降りてきた。そんな虚をバジンが支えている。

 

「意外と楽しめたな」

 

別の意味でな。お前が楽しんでたのはジェットコースターじゃないだろ。

 

「つ、次はもっと穏やかなのにしましょう……」

 

「そうだな。お化け屋敷辺りでも行くか」

 

「他のにしてください!!」

 

そろそろ虚が可哀想なので、別のものにしてあげた。元々長い時間いる予定では無かったので、もう2つほどアトラクションを楽しんでから家へと戻った。

 

薬指に付けてる指輪を見られて、虚の母親に迫られたのは言うまでも無いだろう。しかし、不思議なことに、何故か人間の姿でも、虚の両親は普通にバジンだと気付いた。

 

「バジンくん。君は婿に来るつもりは無いかね?」

 

「婿ですか?……考えておきます。お義父さん」

 

「うん。よろしく頼むぞ!」




無論破壊となれば、後半のストーリーは全て変わります。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

あ、この前の性転換のあれで読みたいシチュエーションとかありますか?勿論、出す場合はr18の方ですよ。書き方や用語は……教えて貰えるとありがたいです。

ある場合はいつも通り、感想と一緒にお願いします。報告もしないでくださいね。


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墓参り編
墓参りからの……


こちらではお久し振りです。インフィニット・ネクサスの投稿を開始しており、そちらに力を入れておりました。この小説では後1話2話書いたら完結させようと思います。

墓参り……この前、家族と墓参りに行き、自分は普通に家族と会話しているのに、目の前の墓には自分の名前が掘られている。ここにいる自分は誰?みたいな感じの夢を見ました笑

あ、インフィニット・ネクサスの方もよろしくお願いしますね!

提供 orotidaさん


墓参り。これは日本人にとっては当たり前の行動だ。誰もが行う普通の事。最近はデンジャラスゾンビなブラック企業が増えたから、時間が取れないと言う人も居るかもしれない。が、スマートブレインはホワイト企業。時間外労働はほとんど無い。休みもしっかり取ることが出来る。故に、今日は草加と木場が休みを取って墓参りに来ている。この墓地は、白騎士事件被害者の墓だ。どこにもそんな記述は無いがな。

 

「ここに来るのも久し振りだな」

 

「そう?俺は結婚式の前の夜に来たけど」

 

ついでに、夢の中で海堂に殴られてたけど。まぁそれのお陰で迷いが吹っ切れたのは事実だ。因みに、草加は久し振りと言っているが、最後に来たのは半年前だ。普通の感覚から言うと、半年前に墓参りして、今回に久し振りとは言わないだろう。ゲームで言うところのイベントが多かったからそう感じるのかもしれないな。

 

一応この墓地の管理人は、週に1回清掃をするように心がけているが、草加や木場の様に、ここに墓参りにくる人は全員掃除をする様になっている。何故かは分からないけど。

 

「さてと、みんなに報告するか。乾、真里、啓太郎、三原、長田、海堂、あと流星塾のみんな。俺も木場も、無事に結婚できた。そして俺は娘と息子が出来た。みんなにも会わせてやりたいが、それは今度にするよ。半年も来れなくて悪かったな」

 

「みんな、俺も無事に結婚できたよ。海堂、あの時はありがとうな。お陰で迷わずに進めてる。俺は子供はまだだけど、生まれたら妻と一緒に来るよ。草加君と一緒にね」

 

「あぁ、あと、乾。俺達の友達にお前そっくりなのが居るぞ。名前は織斑一夏。お前みたいにぶっきらぼうで愛想が無くて」

 

「乱暴で態度はでかくて」

 

「大切な人や場所は何がなんでも守る無茶をするヤツだ。お前そっくりだろ。今度子供たちと一緒に連れてくるよ」

 

最初の部分はほとんど悪口だ。事実なので言い返せないけどな。ここに巧が居たら「全然似てねーよ!」って言い返してるかもしれない。その後も、この半年間で起きたことをみんなに話した。別の世界から来た仮面ライダーや一夏と自分達が世界を救ったこと。一夏の家族や店の事も。バジンに彼女が出来たことも話している。因みに、バジンの事は既に伝えてる。墓参りにも何度か参加し、手作りの菓子等を置いていくのだ。

 

思い付く限りの事は話したので、コップに酒を注いで、墓を後にした。まぁ、今草加と木場が話した事。2人は誰も聞いていないと思っているが、実はちゃんと聞いている人がいる。

 

『アイツら~!俺の事をぶっきらぼうで愛想が無くて、乱暴で態度はでかいとか思ってたのか……!』

 

『ちょっ!たっくん落ち着いて!事実でしょ!!』

 

『あぁ!?啓太郎テメ!』

 

『あ!痛い!痛い!!』

 

『ちょっと!止めなよ2人とも。みっともないよ』

 

『そうだぞ~。テメーらも大人になれ』

 

『うるせーよ!自分だけ勝手に逝きやがって!あぁ!たくっ!次来たら悪戯してやる』

 

幽霊諸君。ガッツリ話を聞いていた。この世に未練があるわけではないが、ここに残っているようだ。49日過ぎれば悪霊になると言うが、コイツらには関係無いようだ。

 

『あ!そうだ!ねぇ、みんなで草加さんたちの後を付けてみようよ!』

 

『お!面白そうだな!』

 

啓太郎の発言に、巧、真里、海堂、長田の4人は賛成し行くことになった。

 

『三原さんたちはどうするの?』

 

『俺達は残るよ。だって……』

 

『あの草加くんにお嫁さんが!!』

 

『しかも子供もいるんだぜ!』

 

真里と三原を除く流星塾メンバーは、草加が結婚して、更には2人の子宝に恵まれたと言うことに感激して、嬉し涙を流している。もはや収集がつかない状態だ。

 

『俺はみんなを見てるから、5人で行ってくれ』

 

『う、うん』

 

そんな感じで、啓太郎、巧、真里、海堂、長田の5人は草加の後を追いかけていくことにした。幽霊だから飛んでいけるので便利だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~……ここも久し振りだな~」

 

「あの事件以降、俺達は町に戻れなかったからね。もう十年以上は来てないことになるよ」

 

ここは、よくみんなで集まっていた啓太郎のクリーニング屋だ。学生時代やあの事件の前までは、暇さえあればここに集まって騒いでいた。ここにいるだけで2人にとっては楽しいと思えるのだろう。

 

あれ以来来ていないので、まずは2人と1機でここの掃除をする。木場は2階の部屋。草加は入り口と受付、作業部屋。バッシャーはリビングの掃除をしている。

 

『懐かしいな~!よくみんなで集まったよね!』

 

『まぁ、私と巧と草加くんはここで居候してたからね』

 

『中学の時は木場の誕生日会もここでやったっけ』

 

幽霊5人組も楽しんでいる。自分達の使ってた部屋、よく集まって騒いだリビング。たまにクリーニングの手伝いで入った作業部屋。今ではどれもが懐かしく思えるようだ。と、そこに

 

「やっと見付けた」

 

「雅人さーん!勇治さーん!みんなで来ましたよー!」

 

来たのは、一夏、本音、一音、バジン、スライガー、千冬、真耶、虚、草加の子供も2人の10人だ。バジンとスライガーは人型になっている。

 

「よくここが分かったな!?」

 

「人がいるんだ。当たり前だろ」

 

ポケットから草加と木場の写真を取り出してる。恐らく聞いて回ったのだろう。

 

「全く、墓に行ったりこの町に来るなら俺達にも言えよ」

 

「そうですよ!水くさい」

 

「まぁそんなこと置いといて、台所借りるぞ。お前たち2人の友人の話でも聞きながら騒ごうぜ」

 

一夏とバジンが大きなクーラーボックスを持っている。恐らく中に食材が入っているのだろう。

 

「こっちには冷えたお酒もあるよ~!」

 

そう言うと、本音が新しいクーラーボックスを持ってきた。スライガーの拡張領域に入れていたのだろう。

 

『おい。なんか宴会が始まるみたいだぞ』

 

『良いな~。僕たちも参加したいよ!』

 

『バッカお前。俺達は見てるだけで十分だろ』

 

『そうですよ。見守りましょう!』

 

「お~い!料理出来たから持っていけ!」

 

『『『『『はや!?』』』』』

 

「プハッ!ビールもう1本!!」

 

「千冬。帰りもあるんだぞ……泊まれば良いか。啓太郎、部屋借りるぞ」

 

『え?あ、うん。良いよ』

 

『なに答えてんだ。馬鹿か』

 

『いや、急に言われたから』

 

「草加。子供2人にはこれを食べさせろ。バジン特製のお子さまランチだ」

 

バジンの料理の腕は右肩上がりだ。

 

「はい勇治さん。あ~ん」

 

「あ、あぁ……人前だと恥ずかしいな……」

 

「なに言ってるんですか。2人の時はいつもこうでしょ」

 

なんちゅう事暴露してんの!?木場がりんごみたいに真っ赤になってるよ!?

 

「バジンさん!私も手伝います!」

 

「いっちー!私も手伝う~!!」

 

『結局こうなるのか』←バッシャー

 

『コイツらはいつもこうだろ』←スライガー

 

「村上さんも呼ぶか」

 

一音は村上も呼んでいる。一瞬にして宴に変わったな。コイツらが来ると。幽霊5人組もそれを見て楽しんでおり、一夏たちもこの宴を楽しんでいる。

 




ぶっちゃけると、スライガーの人型のときの姿は考えていません。前は適当にデルタにスライガーのパーツがくっついてる感じと言いましたが、もうデルタカラーのバジンで良いかなと思っています。

ディケイド編の最終決戦でサイガが出なかった理由は、ペア的な問題です。草加は千冬、木場は真耶、一音は海東とバジン、一夏は士。とペアが無かったからです。夏みかんや雄介出してたら、参戦も考えていました。バジンとのペアは、なんかシックリ来なかったので。

次回もお楽しみに!感想と評価もよろしくお願いします!!あ、くどい様ですが、インフィニット・ネクサスもよろしくお願いします!


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夢の中で

これは「墓参りからの……」の夜の物語です。一夏、木場、草加が夢の中で何をするのか?

提供 orotidaさん


墓参りの後、草加と木場が学生時代によく来ていた思い出の場所。敬太郎が経営しており、巧と真里の居候していた場所だ。まぁ、敬太郎が学生の間は長期休業と日曜日、祝日限定の経営だったけどな。経営者は敬太郎の両親。敬太郎はそのバイト的な立場だ。実質的に働いていたのは彼だがな。

 

まぁそんな事はどうでも良い。クリーニング屋ではあるが、ほとんど仲良しグループの集まる溜まり場の様な場所だからな。長らく留守にしていたため、その掃除に来たのだ。後ろに幽霊を引き連れて。掃除もあらかた終り、過去を懐かしんでいたとき、突然店のドアが開き、たくさんの客が来た。それは、今の草加と木場の家族と仲間達。少しここに居た後、すぐに帰るつもりだったのだが、一夏が料理を始めたことにより宴会になり、今日はここで泊まることになった。

 

「この部屋久し振りだな~」

 

そりゃあそうだ。草加は高校を卒業した後に、ここを離れ県外に短大に進学。その後スマートブレインに就職した。ただでさえ帰る暇は無かった。そして白騎士事件によってこの町は少しの間閉鎖されていたのだ。そう思うのは当たり前だろう。因みに、一夏は巧の使っていた部屋に、木場はここに泊まるときに使っていた部屋、女子達と子供はそこそこの広さがある部屋に泊まっている。バジンは外だ。寝るときはバイクの方がしっくりする様だ。

 

「少しベッドが狭いな……」

 

成長したからな。高校を出た後でも体は成長する。昔使っていたベッドでも狭く感じるのは当たり前だろう。まぁ、眠れないことは無い。それにここは慣れ親しんだ場所。すぐに眠ることが出来る。

 

「ん……ん?どこだここ?」

 

寝たはずだが、いつの間にか、草加はカイザギアの入ったケースを持って、出掛けるときの服装をした状態で外に居た。場所は見覚えがある。幼い頃に通っていた塾の校庭。時間は……かなり遅いと言うこと以外分からない。

 

「お~い!こっちこっち!!ナイスパス!」

 

一夏と余り変わらない年齢の大人達がサッカーをやっていた。

 

「これは……流星塾の同窓会……」

 

白騎士事件の前に行われた流星塾の同窓会の光景だ。花火をした後に、よく遊んだ校庭でサッカー。草加の記憶にある通りだ。だが、1つ違うことが。

 

「草加!シュートだ!」

 

「あぁ!そぉら!!」

 

「ッ!?俺!?」

 

草加がもう1人居たのだ。だがこれでハッキリとした。今自分がいる場所が何処なのかが。

 

「夢の中か……ここは。道理で皆が生きてて、少し若いわけだ。懐かしい場所に泊まったが、まさかこんなに懐かしい事まで夢に見るとはな」

 

これが夢であると自覚したようだ。だがその直後に、おかしな事に気付いた。流星塾のメンバーの1人が、ボールを林の方まで飛ばしてしまったのだ。こんなこと、草加の知る同窓会では無かった。ボールを取りに行くと、帰ってきた人が青い炎に包まれて灰となった。

 

「ナッ!?」

 

「え……?」

 

見ていた草加は目の前の光景に驚き、流星塾の皆は彼が死んだことに気付くと、悲鳴を上げた。そして、後ろから灰色の化け物が現れ、流星塾の皆を遅い始めた。

 

「やめろ!!動かない……!?」

 

走り出して、すぐに化け物の動きを止めようとしたのだが、動くことが出来なかった。脚がすくんだとか言う事では無かった。脚に重りが付いているかの様に脚が動かないのだ。

 

「なんで……!動け!動けよ!!このままじゃあ!」

 

必死で動こうとするのだが、動けないでいる。するとそこに、

 

「おい!何やってんだ!?やめろ!!」

 

「乾!?」

 

草加のよく知る乾巧が現れた。すると、巧も狼の姿をした灰色の化け物に姿を変え、皆を襲っている化け物を殴り飛ばした。襲っていたヤツは吹っ飛ばされ、青い炎に包まれながら灰となって死んだ。

 

「キャアアアア!!イヤア!!」

 

「真里?」

 

「待ってくれ!俺は!……ッ!?」

 

「ん?ッ!?」

 

会話が突然止り、それを草加が怪しんだが、すぐに気付いた。巧と真里の後ろにいるとんでもなく強い気配。それが原因であると。

 

「早く逃げろ!!」

 

もう1体の別の灰色の化け物。ドラゴンを模した様な姿だ。とんでもない威圧感を放っている。巧はそれに挑むが、余りにも違う力の差に一撃で負けてしまった。その後に真里を殺そうと爪の付いている腕を上げた。

 

「やめろぉぉぉぉ!!!オリャア!!」

 

「グッ!」

 

「あ、動けた」

 

「え?草加くん!?え?でも後ろにも……」

 

「真里、早く逃げろ」

 

ケースからベルトを取り出すと、腰に巻き付け、カイザフォンにコードを入力した。

 

『913 ENTER』

 

『Standingby』

 

「俺は今度こそ、ここにいる皆を、俺の大切な仲間を守って見せる!変身!!」

 

『Complete』

 

カイザブレイガンにミッションメモリーを差し込み、ソードモードにして、ドラゴンめがけて走り出した。

 

「ティヤ!ハァ!!」

 

「君、中々の攻撃だね~。でも、僕の方が強い」

 

「ッ!?ぐわ!!」

 

カイザブレイガンで切りつけていたが、その攻撃を止められ、自分が攻撃を受けてしまった。ドラゴンの攻撃は重たく、ただの一撃で戦う気力を持っていかれる様な感じだった。

 

「ヤダなぁ~。自分から挑んだんだから、こんなに早く壊れないでよ」

 

「壊れるか!言ったろ、守るって。俺はもう、二度と仲間を殺させない!」

 

「ん?何言ってるかさっぱりなんだけど」

 

「あぁ。これは俺1人の問題だからな。分からなくて当然だ!」

 

『Readey』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

カイザブレイガンからメモリーを抜き取って、カイザポインターに差し込み、すぐにポインターを放った。この攻撃は当たった。確かなダメージを与えた。だが、

 

「ウワァ!?」

 

ドラゴンの全身を覆っていた殻が破壊され、中から別の姿を現した。動きはファイズアクセル以上に早く、目で追うことは不可能。超高速の攻撃は雷を呼び、それは容赦なく草加を襲った。

 

「意外と持つね~。初めてだ。君みたいな人間は。でも、これで終りだ」

 

ドスの効いた声でそう言うと、草加に近付き、渾身の力で殴り飛ばした。

 

「ウワァァァ!!」

 

これによって、胸の装甲が破壊され、一部無くなった。だが草加は立ち上り、誰もが予想しなかった行動に出た。自分の胸の装甲を自分で破壊し始めたのだ。

 

「何をしてるんだ?」

 

「お前と同じだ。邪魔な物を外してる。それだけだ!」

 

胸の装甲を完全に取り払うと、カイザの複眼の色が紫から黄色に変り、体を駆け巡るフォトンブラッドは黄色からシルバーへと変更された。

 

「ここからが、本当の勝負だ!ハァ!!」

 

「グッ!何だ!この力!!」

 

ドラゴンも草加も目で追うことの出来ないスピードで動いている。草加は自分の胸の装甲を破壊することで、普段は抑えられてるフォトンブラッドのエネルギーを最大限放出しているのだ。攻撃力もスピードも通常の比ではない。しかし、装甲を破壊しているため、防御力は著しく下がっている。防御を捨てた戦い方をしている草加には厳しい戦いとなるだろう。

 

「ゼリャア!!」

 

「グッ!ハァ!!」

 

「ウワァ!!オラァア!!」

 

殴り殴られの繰り返し。かなりのダメージをお互いに受けている。防御はお互いに薄い。そろそろ勝負が決まるだろう。

 

「これで終りだ!」

 

「ナッ!?」

 

ファイズのアクセルクリムゾンスマッシュと同様に、草加はドラゴンに大量のポインターを四方八方から放ち、ガチガチに拘束した。

 

「ハァァァァ!!!」

 

「う、ウワァァ!!!」

 

Χのマークが浮き出て、ドラゴンは砂となった。それと同時に、大きな負担があった為か変身は解除され、自分の体は半透明になっていた。

 

「時間切れか……」

 

後ろの方で怯えている流星塾の皆が居る。怪我をしている者も居るが、全員無事の様だ。

 

「守れたから良しとするか」

 

その一言を残し、草加はその場所から消えた。そして次に目が覚めたのは、自分が寝ていた部屋だった。まぁ変な夢ではあったが、寝起きの気分は悪くない。




実は一夏を食堂の店長ではなく、敬太郎のクリーニング屋で働かせようとも考えていました笑。結果は食堂でしたけどね。そして今回はブレイクフォーム初登場。変身の方法は自分が名前とピクシブ辞典であった説明から、こんなんじゃね?という感じで考えました。

次回は木場と一夏のストーリー。その次は束とクロエのストーリーを書こうと思います。後、完結しなかった事についての謝罪会見をしようかと……

次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告、『インフィニット・ネクサス』もよろしくお願いします!!


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夢の中の木場と一夏

え~、これから、「ISと無気力な救世主」の連載再開に当たって、関係者、坂田銀時氏による、謝罪会見が行われる模様です。

……………………ちょっと遅れているようですね。まだ到着していない様ですが……あ!来ました。

「えぇ、本日はお忙しい中、えぇ、お集まり頂き、ありがとうございます。えぇ、この度の、無気力な救世主の失態に付きまして、あぁ、関係者を代表しまして、主人公の友人の私、坂田銀時が、えぇ謝罪と釈明会見を行いたいと思います。えぇ、まずはあの、完結しなくて、すみませんでした!!」

※フラッシュの点滅にご注意下さい。

では坂田銀時さん。どうぞご着席下さい。これより質疑応答に入ります。ご質問のある方は挙手をお願いします。

「質問よろしいでしょうか?」

「あ、はい。どうぞ」

「あの、まずは今回の事態に至った経緯をお教え下さ―」

「ワァァァァァァァ!!」

「おおぃ!泣くのはえーよ!まだ何も聞いてねーよ!」

※フラッシュの点滅にご注意下さい

「ウワァ!私は!お気に入り登録が400を越えるなんて読者の皆様には、本当にね!感謝の気持ちで一杯でウオワハァァァ!!でもまだ!リクエストや、書ききれてないエピソードがあり、そうかと思ったら!いつの間にかネクサスとのクロスオーバーが始まってたし!作者に至っては!慣れないもの書いたせいでテンション可笑しくなってね!!でもね!皆さんに何が分かるって言うんです!作者の何が分かるって言うんですか!!?」

「何言ってるかよくわかんねーんだけど!?」

「ウェですから!私がこの場で!皆様に伝えたいことは、こんな感じでぉぉぉお!!……今謝ったんで、無気力な救世主、再開しま~す」

「ふざけんな!!」

『Exceed Charge』

「クシャトリアッ!!!」


草加が夢の中でかつての仲間を救っていたとき、木場と一夏の2人も似たような事になっていた。木場が見ていたのは何処かは分からないが、管理の行き届いた公園の様な場所。そこに立っていたのは木場だった。

 

「ここは……何処かで見たような……」

 

何処かでと言われても、ここは木場と海堂、長田の3人が中学の時によく来ていた場所だ。まぁ、中学を出てからの長い間来ていなかったのだ。忘れていて当然だろう。そこに、怪我をした女性が走ってきて、木の影に隠れるように膝を付いた。

 

「結花……って言うことは、海堂と同じでここは夢の中……か」

 

少し残念に思うが、また過去の親友に会うことが出来て嬉しく思えている。だが、彼女の負っている怪我を見てそんな感情はすぐに無くなった。手当てをするために急いで結花に近付こうとしたが、別の女性が先に結花へと歩いていった。雰囲気的に、助けるようには見えない。

 

「何を話してるんだ?」

 

何かを話しているのは確かだが、木場の居る位置からではイマイチ聞き取れない。話の内容が気になっていると。先程現れた女性が灰色の化け物に変身した。頭部を見ると、海老の様になっているため、恐らく海老を模した化け物だろう。手にはサーベルの様な物を持っている。そして、そのサーベルを構えながらジリジリと結花へと近付く。

 

「っ!……!?変身できない……!?」

 

「オルフェノクへ変身する力を失った様ね」

 

結花も変身しようとしたのだろう。顔に一瞬何かの模様が浮き出て体が光ったが、すぐにそれは無くなった。勝てないと悟ったのか、そこから立ち上がった。逃げるつもりなのかもしれないが、手負いの為それは不可能。相手はサーベルを振り上げて、下ろそうとした。

 

「危ない!!」

 

降り下ろされた直後、木場は走り出して攻撃から結花を守った。

 

「木場さん?」

 

「木場勇治……!何故ここに!?まぁ良い。裏切り者のオルフェノクを、ここで始末する!!」

 

「結花……ここから早く逃げろ」

 

「え?でも……」

 

「早くするんだ!俺は、もう君が目の前で死ぬのを見たくない」

 

それを聞くと、怪我を庇いながらその場から逃げていった。

 

「っ!待ちなさい!」

 

「行かせるわけ無いだろ。俺はもう、仲間を失いたくない。守りきって見せる!」

 

「そう。なら、守ってみせなさい。守れるならね。早くオルフェノクに変身したら?」

 

夢の中で、自分の知らない化け物『オルフェノク』。ここが自分の知る世界でないことは容易に想像が出来る。彼女の知る木場勇治はオルフェノクなのだろう。しかし今目の前に居る木場勇治はオルフェノクではない。

 

「悪いけど、俺はオルフェノクじゃない」

 

「ッ!?そのベルトは一体!?」

 

『000 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

「その姿は何!?」

 

この世界の木場勇治はオルフェノクなのかもしれない、しかし、ここにいる木場勇治は仮面ライダーだ。

 

『Reaey』

 

ミッションメモリーをオーガストランザーに差し込んで大剣モードにした。

 

「ハァ!!」

 

「くっ!セィ!」

 

木場の攻撃をオルフェノクは受け止めるが、サーベルの様な細身の剣では、オーガの攻撃を完全に受け止めることが出来ない。だが、彼女も負けじとサーベルを振り、もう片方の腕で打撃を加える。だが、

 

「ッ!?嘘……なんてパワー……」

 

「ハァア!!!」

 

「ウワァア!!」

 

オーガストランザーに斬撃を止められ、鉄塊をも容易に砕く拳を受け止められ、更には投げ飛ばされた。その底知れぬ強さには恐怖を覚えてしまう。

 

「俺の親友は!殺させない!」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァァァァ!!!ハァア!!」

 

「ウアアアアアアア!!……グッ!……」

 

オーガストラッシュを受けて倒れてしまうが、サーベルを使い、自分へのダメージを最小限にしたようだ。まだ意識はあるし立ち上がる事も出来る。だが、それでも受けたダメージは相当の物。それでも立てると言うことは、彼女がそれほどの力を持っていると言う証拠だろう。戦うことが出来なくなった為、人間の姿に戻って逃げていった。

 

「二度も見ずに済んで良かった……」

 

変身を解くと、草加の時と同様に、その場所から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場がかつての仲間を助けていたとき、一夏も夢の中で妙な場所に来ていた。何処かの闘技場の様な場所。周りは相当な熱気に包まれており、まともと言える状況ではなかった。そして、ここに居る者が見ている先。そこには目を疑うような光景が広がってた。オーガとファイズが戦っていたのだ。

 

「「「「オーガ!オーガ!オーガ!オーガ!」」」」

 

「何で……何で木場さんが……」

 

「ようやく分かったよ。俺が生きていく方法は1つしか無い。俺はオルフェノクとして生きていく!!」

 

木場のこの言葉に、観客は歓声を上げて熱気が更に高まった。そして闘技場では、アサルトライフルを持った男が数名、女の人を追いかけている。ファイズがそっちに気を取られるが、視線をオーガに戻すと自分のすぐ近くに立っていた。

 

「ウワァ!」

 

胸の装甲に拳がめり込む程の威力。その拳を受けて客席まで飛ばされた。オーガもそれを追って客席へ乗り込み、ファイズと戦い続けている。

 

「木場!おい!グワァ!!」

 

呼び掛けるが、意味がなく攻撃を受けるだけだった。そして再び闘技場の中心に殴り飛ばすと、ファイズはダメージの限界が来たのか変身が解除された。ファイズに変身していた人には一夏も見覚えがある。草加の部屋に飾ってあった写真の乾巧だ。倒れている巧にオーガストランザーを振り上げた。

 

「トドメだ!」

 

仕留めようとした。だが、巧の顔に模様が浮かび上がり、立ち上がると狼の様なオルフェノクへと姿を変えた。

 

「なに!?」

 

木場は驚いているが、驚いているのは木場だけではなく、周りに居る観客もそうだ。さっきまでうるさいほどに聞こえていたオーガーコールも鳴り止んだ。するとスピードで翻弄しながらオーガと戦った。巧の重たい一撃をベルトに受け、オーガの変身が解除される。すると、木場もケンタウルスの様なオルフェノクへと姿を変え、巧と戦い始めた。

 

「木場!お前本気か!?本当に理想を捨てたのか!?」

 

「そうだ!その証拠に、俺はお前を倒す!例えお前がオルフェノクであっても!」

 

「良いぜ。お前のやりたかったことは俺がやる!俺がお前の理想を継ぐ!」

 

全力で走り、お互いの距離を詰めると、2人のオルフェノクとしての姿、人間としての姿、そして、仮面ライダーとしての姿が現れ、2人がぶつかると、仮面ライダーの姿になっていた。

 

しかし、ファイズとオーガのスペックの差は明らか。巧が一方的にやられるだけだった。殴り飛ばされると、仰向けになって動かなくなってしまった。

 

「なぁ真里……真里!!」

 

この声に、うるさかった歓声が鳴り止んだ。

 

「なんだっけか~。救世主は何をするんだ?闇を切り裂き?」

 

「……光を……もたらす……」

 

「聞こえねーよ!」

 

酷く弱々しい声だった為か、それに渇を入れるように大声で聞こえないと言った。

 

「闇を切り裂き!光をもたらすのよ!!」

 

「きっついな~。お前の期待に応えるのは」

 

「出来るよ!巧なら出来る!だって、巧は巧だから」

 

その言葉を聞き、フと笑うと立ち上がって、転がっているファイズブラスターにコードを入力した。

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

『Awakening』

 

赤い姿、ブラスターフォームに姿を変えた。ブラスターフォームになり、オーガとのスペック差が無くなり、先程までは攻撃することが出来なかったが、1発1発確実に打ち込む事が出来る様になっていた。

 

「ハァア!!!」

 

「グワァァァ!!」

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

脚にファイズポインターをつけて、必殺技のコードを入力、木場もオーガストランザーにメモリーを差し込んでエンターキーを押した。

 

「はぁ!」

 

「デリァア!!」

 

2つの技がぶつかり合うと、フォトンブラッドの波が渦巻き、建物を破壊した。それだけではなく、真里を襲っていた巨大なオルフェノクも吹っ飛ばした。そして徐々にオーガストラッシュのフォトンブラッドで出来た刃が壊れ始め、巧の攻撃が決まった。戦いが終わり、巧が真里に目を向けると、さっき吹っ飛ばした巨大なオルフェノクが、再び真里を襲おうとしていた。

 

「真里!!」

 

巧はそれに気付くとすぐに攻撃の準備に、そして、木場も立ち上りオーガストラッシュで真里を助けに入った。

 

「不味い。変身!」

 

『Complete』

 

「木場ァァァァ!!!!」

 

「は!?」

 

『Exceed Charge』

 

オルフェノクに赤い円錐形のポインター。ファイズのだ。クリムゾンスマッシュが入ると、オルフェノクは体勢を崩して倒れた。

 

「ファイズ……」

 

「え?何で……巧はあそこに居るのに……」

 

「何やってんだ俺は……今戦っても、ここで戦っても、この世界には何にもならないってのに……分かってんだよ……ここが実在する世界なら、俺が戦ったってどうにもならないことぐらい……」

 

ファイズに変身して、木場たちを助けた一夏だが、酷く落胆した様子だった。分かってしまったのだろう。ここで自分がどんなに戦おうと、この世界の未来に影響しないことが。理由は分からないが、直感でそう感じたのかもしれない。

 

「何を……言ってるんだ?」

 

「さぁな……自分でも分からねーよ。ただ、お前らが殺し合ってんのを見ると、酷くムシャクシャして、お前らが死にそうになってんのを見ると、酷く悲しくなる。この世界は俺とは関係無い。でも、お前らを助けたくて仕方無い……木場、早くその子を連れて離れろ。もう戦えないだろ」

 

「何を言って―」

 

「早くしろ!!」

 

一夏の様子から、そうするしか無いと判断したのだろう。木場は真里を連れて離れていった。

 

「ファイズ。ここしか手を貸すことは出来ないが、協力してやる。このデカ物を倒すぞ」

 

「あぁ」

 

『『5532 ENTER』』

 

『『Exceed Charge』』

 

2人のブラスタークリムゾンスマッシュが叩き込まれ、抗えるはずも無く、巨大なオルフェノクは灰へとなった。変身を解除すると巧は真里を、一夏は木場を支えながら闘技場を出ようとした。だが、見ていた観客、恐らく全員オルフェノクだろう。そいつらが道を塞いだのだ。だが、2人のファイズにはそんなこと関係無い。

 

「「どけ」」

 

「そこは」

 

「そこからは」

 

「「俺たちの歩く道だ」」

 

その言葉を聞くと、道を開け渡し、4人はその道を歩いていった。

 

「なぁ、お前は何者なんだ?」

 

「俺?知るか。じゃぁな」

 

「ん?……消えた」

 

巧が一夏に目を向けたが、そこには既に一夏は居なかった。代わりに横になって眠っている木場が置かれているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~……よく寝た。だが疲れた。もう二度とこの家では寝たくないな……」

 

朝目が覚めて早々の悪態。借りといて酷い言いようだ。だが、仕方無いとも言えるだろう。取り敢えず服を着替えて、台所に向かって残った食材で朝食を作ることにした。




前書きから何処かで見たような物をぶち込んでみました。とあるアニメの有名な謝罪会見です。

次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告、『インフィニット・ネクサス』もよろしくお願いします!!

……今日、久し振りにテレビを見ていたら『科捜研の女』と言うドラマで木場さん(実名は伏せます)が出てて、「え!?」と思ったけど、これ再放送だって気付いてテンション下がりました……。ドラマは普通に面白かったけど……


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短編集 その4
ハロウィン


こっちではお久し振りです。

10月31日だからってこのネタは安易?……だからどうした!?私は神だ!!ヴァハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!

↑だからどうしたよ。

あ、バジンは彼女とデート中で一音は学園です。つまり今回は出てきません。


10月31日、ハロウィン。この日はトリック オア トリートの名目で、子供たちが大人から菓子を強奪することが許された日だ。この日が近付くと、町中どこもかしこもハロウィン一色だ。化け物達が街を横行し、店先や玄関の前などには顔のパーツを彫られたカボチャが鎮座している。そして、町ぐるみでイベントをするときもある。一夏の店も例外ではない。

 

「「「トリック オア トリート!お菓子をくれないと悪戯するぞ!!」」」

 

「はーい!これ持っていってね~!人数分ちゃんとあるから慌てないで並んでね~!!」

 

店の前でミイラにコスプレした一夏が、子供達にお菓子を配っていた。キャラに無いことをしているため、かなり疲れているように見える。

 

「ん?おじさん!これなに?」

 

「のど飴だね」

 

「えぇ~!やだ~!」

 

「我が儘言うんじゃ……ヴン!ちょっと待っててね~。今別のもの持ってくるから~」

 

のど飴を拒絶する子供を前に、素の部分が出そうになったが何とか保った。店の中に別の菓子を取りに行くと、山積みに用意された菓子の中から適当に1つ取ってきた。その顔は、子供に見せられない感じにイラついている。今回のイベントは、一夏にとっては相当なストレスのようだ。来年からは参加を断念するだろうな。

 

「いっちー!手作りのお菓子出来たよ~!」

 

「じゃあ袋につめて持ってきてくれ!」

 

顔に巻かれている包帯を1回ほどいて、さっきよりも顔が隠れるように巻き付けると、替えの菓子を持って店を出ていった。顔を見られると子供を泣かせてしまうかもしれないからな。細心の注意を払っている。

 

「はーい!別のお菓子を持ってきたよー!(早く終われよマジで)」

 

笑顔を保っているが、フとした切っ掛けでイラついた顔が出てしまうかもしれない。

 

「ありがとー!!」

 

一夏にとって苦痛であるこの作業が、これから3時間後の午後8時に終了した。だが、町ぐるみのイベントはこれで終わりだが、一夏の仕事はまだ終わらない。何故なら

 

「「トリック オア トリート!お菓子をくれないと悪戯するぞ!!」」

 

「お前らが言うと冗談に聞こえねーよ……」

 

草加と千冬が娘と息子を連れてやって来た。そう、でっかい子供達が残っているのだ。目の前に居るのは第1号。まだ2号が残っているのだ。

 

「姉貴と草加はバンパイアの仮装で、子供達は……ミニ○ン?」

 

「一夏。これはバンパイアじゃなくてトゥルーバンパイアだ。見分けが付かないか?」

 

「能力的には変わるかもしれんが見た目は大差無いだろ。下らん事にこだわるな」

 

まぁ、確かに大差は無い。絶対に。本人達は楽しそうにしているが、こう言ったイベントや子供が苦手な一夏からしたら楽しむ余裕はない。

 

「まぁどうでも良いけど、悪戯されるか?菓子を渡すか?早く決めた方が身のためだぞ?」

 

もはや脅迫だ。そこまでして一夏の菓子が欲しいかね。千冬さんや。

 

「はぁ……持っていけ」

 

溜め息を吐くと、菓子の大量に入ったバスケットを突き出した。全部一夏の手作りの様で、どれも旨そうだ。ここ以外では見ることは出来ないだろう。

 

「今年も悪いな。こんなに貰って」

 

「悪いと思うなら来年から来るな」

 

「ハッハッハ。じゃあ来年も頼んだ」

 

シレッと来年の予約も入れて、帰っていった。来年はグランインパクトがおまけで1発付くだろうな。そして再来年はクリムゾンスマッシュ。その次はバジンとのコンビネーションアタックが貰えるかもな。

 

そしてその数時間後、次は木場夫婦だ。今年娘が出来たようで、一緒に来ている。

 

「「トリック オア トリート!」」

 

「木場。お前のそれは仮装か?」

 

真耶はちゃんと仮装しているのだが、何故か木場はオーガの姿で来ている。

 

「一緒の仮装にしましょうって言ったんですが、勇治さん恥ずかしがっちゃって」

 

「いや、アンタのしてる格好なら恥ずかしがって当然だろ。木場に女装させるつもりか?」

 

「はい!少し露出が多くてエッチな服を勇治さんに着せたいんです!勇治さん筋肉はあるけど、目立つほどではないし、体は細いですから絶対に似合う筈なんです!!でも着てくれなくて……」

 

「お前も苦労してんな……」

 

「もう慣れたよ」

 

仮面ごしだが、死んだ魚の様な目をしていることは容易に想像できる。だって絶望のオーラ出してるもん。

 

「実は家で1回着たんだよね~。何か身の危険を感じたけど……」

 

木場、お前の判断は正しいぞ。真耶に公衆の面前で身ぐるみ剥がされる可能性も合ったからな。その格好で来たことは間違いじゃない。大正解だ。

 

「じゃあこれやるよ。早く持っていけ」

 

草加達に渡したのと同じ菓子を渡した。

 

「あ、じゃあ貰いますね」

 

木場が手を出したが、何かを思い付いたようで横から真耶が受け取った。そして、木場が取れない位地でそれを持つと、

 

「勇治さん!トリック オア トリート!お菓子をくれないと悪戯します!」

 

「ゲ!?このタイミングで!?」

 

「ほ~ら~。お菓子くれないと、悪戯しますよ~?」

 

慌てて体中を探すが、当然だ。この日に菓子を持ち歩いている訳ではない。黙って悪戯を受ける以外に道は残っていない。

 

「3秒以内に出さないと~、悪戯ですよ?」

 

「え!?ちょ!待っ!!」

 

「はい。時間切れです。悪戯しますね!」

 

楽しそうにしながら、オーガギアに手を伸ばしている。そして、オーガフォンを取ろうとした。が、

 

「お前ら、店で何やろうとしてんだ?」

 

「そ、そうだよ!ここは一夏の店だしさ!」

 

「ここじゃあ迷惑だから、家でやってくれ」

 

「え?」

 

「そうですね!じゃあ今日はこれで。勇治さん、行きますよ」

 

「……」

 

帝王のベルトの力でも、彼女の前では無意味な様だ。全く勝てる気がしない。木場達が帰ると、一夏は椅子に座ってくつろいだ。慣れないことをしたので疲れたのだろう。

 

「いっちー!トリック オア トリート!私にもお菓子ちょうだ~い!」

 

「ん?ほら。お前の分」

 

ポケットから手作りのチョコレートを取り出して、本音にあげた。

 

「ヒャッホーイ!!」

 

恐らく、菓子を貰った人の中で、彼女が1番喜んでいるだろう。現に飛び跳ねて喜んでいる。

 

「じゃあ、私からはこれ。さっき焼いたんだ~。味は保証するよ?」

 

「おぉ。サンキュー」

 

クッキーだ。空いた時間で焼いていたようだ。非常に出来が良い。いつも通りドライな受け取りであるが、確かに嬉しそうだ。




は~い。ハロウィンネタでした。インフィニット・ネクサスを書いてると、何故か疲れちゃうので、ここで息抜きです。いや~日常物って楽。

次回もお楽しみに!感想と評価もよろしくお願いします!!

あ、草加と木場の子供達の名前、募集しています。お気軽にどうぞ。報告は絶対にしないでね。


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村上の娘

さぁ~て、ただのギャグで行きます。

※スゴく中途半端~!!


いつものスマートブレインの社長室。そこに、草加、一夏、木場の3人と、それに向かい合うように座っている村上がいる。いつもならここで酒でも飲んで騒いでるだろうが、今回は違う。何か重苦しい雰囲気だ。

 

「貴方達を呼んだのは他でもありません。ヤツがついに動く」

 

「村上、それは確かか?」

 

「間違いありません。ヤツらの周りには常に見張りを付けています。ヤツもそれに気付いて鳴りを潜めていましたが、我慢の限界が来たのか動き出しました。私はもう後手に回るつもりはありません。上の連中がガタガタ言うのでしたら、首を切る覚悟です……決戦です。ヤツもヤツの企ても全て潰します」

 

お前社長だろ。お前がトップなんだよ。

 

「そうか。村上がそのつもりなら、俺達の命もアンタに預ける」

 

「ふ。頼りにしています」

 

何やら仰々しい村上と草加の会話。話すことが終わったので、草加達3人は社長室を出て、それぞれの家路についた。だが、別れる前に草加が1つ一夏と木場に質問した。

 

「一夏、木場、1つ確認したいんだが……」

 

「なんだ?」

 

「ヤツって誰?」

 

「知らねーのかよ!!?知ってると思ってお前らの会話聞いてた俺がバカだったよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は3日ほど流れ日曜日に。村上、草加、一夏、木場の4人は、何故か遊園地に来ていた。日曜日のためか、かなり賑わっている。(※某夢の国では無い)

 

その遊園地の入り口に、腕時計を見ながら誰かを待つ女性が1人。身長は160程。黒髪黒目のザ・日本人と言う感じの娘だ。

 

「おーい!五月!わりぃわりぃ。遅れちまって。待った?」

 

何だろうか……バカを形にしたような男が現れた。ダサいグラサンと大量のピアス。センスの欠片もない服装。うん。何でお前その女と付き合えてんの?

 

「いえ。私も今来たところです。ぜんぜん待ってませんよ」

 

「な~んだ良かった~!実は電車が遅れちゃってさ~」

 

こんな感じに言い訳しているが、そんな2人の後ろの茂みでは、この世界で敵に回したくない連中ランキング上位陣が揃っている。が、その前に遅れてきたのにグチグチと言い訳して、少し観察すれば待っていることなど一瞬にして分かるこの状況で、なに自分は悪くないですアピールしてんだこの男は。

 

「あの野郎ふざけやがって……五月はねぇ、貴様が来るのを1時間も待っていたんですよぉ?手塩にかけて育てた娘の1時間、貴方の残りの人生でキッチリ償って貰いましょう。一夏くん、ちょっと土台になってください」

 

「待たんかーい!!ヤツってあれか!?娘の彼氏!?」

 

「彼氏じゃあありません!!あんなチャラ男私は絶対に認めませんよ」

 

「喧しい!お前こそスマートブレインの社長だなんて認めねーよ!!」

 

「一夏、お前はいつになったら俺の事を兄と呼んでくれるんだ?」

 

「おめーは黙ってろ!!冗談じゃねー。こっちは折角の休み潰してまで来てやったのに、娘のデート邪魔するだ!?やってらんねー。俺は帰る」

 

茂みから物騒な物を取り出して、自分の娘の彼氏(仮)に狙いを定めているが、それに対して一夏が全力で突っ込んだ。だが、それに合わせて草加も訳の分からんことを言ってくる。ハッキリと言って今日は一夏に取って厄日だろうな。

 

「待ちなさい。私がいつそんなことを頼みましたか?」

 

「あ?」

 

「私はただ、あの男を抹殺したいだけです」

 

「もっと出来るか!?お前自分のキャラ考えろ!!変更とか崩壊とかじゃあ済まされないぞ!!」

 

「あんなチャラ男が五月を幸せに出来ると思いますか?いや私だって、娘の好きになった人は認めてあげたいですよ。悩んで色々考えました。それで抹殺しか無いと言う結論に……」

 

「いや色々考えすぎだろ!!木場、この親バカに何か言ってやれ」

 

「誰が木場だ。殺し屋、ホース13と呼べ」

 

「何やってんだお前。と言うか13って何だよ?」

 

「不吉の象徴。今月に入って真耶に13回襲われた。村上さん、俺も手伝います。俺は男の癖にチャラチャラ着飾ったのが大嫌いなんだ」

 

男の癖に妻に主導権握られてるお前はどうなるんだよ。と言うか今月に入ってまだ1週間もたってないぞ?

 

「木場さん……」

 

「小さい頃から妹の様に思ってきた五月ちゃんを、あんな男には任せられない!行きますよ!」

 

「おぉ!!」

 

「あ、おい!!」

 

一夏のツッコミを全部無視して、遊園地の中に物騒な物を持って入っていった。村上曰く、あのスナイパーライフルは銃弾ではなくフォトンブラッドの塊を放出するものらしく、火薬は使っていないため法にはギリギリ触れているらしい。……アウトだろそれ

 

「ヤベーな。アイツら本当にやりかねないぞ……草加、止めに行くぞ」

 

「誰が草加だ」

 

「え?」

 

「俺は殺し屋、雅人13。面白そうだから行ってくる!」

 

「オイイイイイ!!!!」

 

一夏の静止を振り切り、バカ3人は遊園地の中へと入っていった。中ではチャラ男が自分の武勇伝を語りながら五月と回っていた。そしてその後を、面倒な殺し屋3人が追いかけている。人の目に触れてる時点で殺し屋失格だがな。そして最初にやって来たのはメリーゴーランド。五月達の乗っている馬の4つ後ろに乗ってる。

 

「アイツやりますね。ここを選ぶとは……」

 

「狙いが定まらない……何か気持ち悪くなってきた」

 

そりゃあスコープ覗いて上下に動いてれば酔うわ。バカだろ。

 

「それより木場さん。これはいつになったら追い付くんですか?距離が一向に縮まらないんですが」

 

「縮まる訳ねーだろ!!てかメリーゴーランドだぞ!この土台ごと一緒に回ってんだよ!永遠に回り続けるわ!!」

 

「遊園地なんか来たこと無いから分かりませんよ。血の匂いと硝煙と土煙立ち込める遊園地になら行ったことがありますが」

 

「もう早まったことするんじゃねーよ。要はあの2人の仲を引き裂けば良いんだろ?他にいくらでも方法はあるだろ」

 

「何だ、殺し屋同盟に入りたいんでしょ?」

 

「オメーらが血迷った真似しねーか見張りに来たんだろうが!!俺はお前らみたいに、外見だけであの男の人間性を否定する気にはなれねーよ」

 

「どう見ても悪い男でしょあれ!だって穴だらけだよ!人間って元々穴だらけじゃん。そこに自ら穴開けるとか訳分からないじゃん!」

 

「オメーの言ってる意味が分からねーよ!」

 

そもそも人間の穴なんか10個もねーだろ。それを穴だらけとは言えねーだろ。

 

「あぁ言う年頃の娘はな~、ちょっと悪そうな歌舞伎者にころっと行っちゃうんだよ。それで、ちょっと火傷して大人になっていくんだよ」

 

草加お前歳いくつだ?どう考えても半世紀生きた人間じゃないと出ない言葉だぞ。

 

「愛だの恋だの言うのは所詮幻想なんだよ。アンタの娘もあの男に幻想抱いてるみたいだがな、それが壊れれば夢から覚める。幸いここはうってつけの場所だ」

 

「ウェエエ!」

 

メリーゴーランド、コーヒーカップと立て続けに酔うものに乗ったせいで、木場はダウンしている。

 

そして、次に五月が乗ろうとしているのはジェットコースター。だが、チャラ男の方が乗るのを渋っている。色々と取り繕って、こんなの怖くないですアピールしているが、ビビってる。

 

「んじぁ、俺はここから見てるから1人で―」

 

「ガタガタ言って無いで、さっさと行きやがれホルスタイン野郎。騒いだら、穴がもう1つ増えるぞ」

 

「ヒッ!?」

 

「ん?どうしました?」

 

「あ!イヤ……やっぱり一緒に乗るか!ジェットコースター!」

 

カイザフォンをフォンブラスターにして背中に突き付け、無理矢理ジェットコースターに乗るように方向転換させた。そして列に並び、自分達が乗る番になった。五月とチャラ男は1番前。草加はその後ろ。1番後ろには村上、木場、一夏の3人が座っている。

 

「本当に大丈夫なんですか?こんなんで」

 

「大丈夫だ。草加は人を追い詰める虐めるのが得意な超ドSだぞ」

 

「おい」

 

「ん?!」

 

「……しろ」

 

「え?」

 

男が聞き取れなかったようなので、今度は絶対に聞き漏らさないように、蟀谷にカイザフォンを突き付けて伝えた。

 

「ウンコしろ。ジェットコースターが帰ってくるまでにしてなかったら、殺すぞ」

 

「えぇぇぇ……!!」

 

「どうしました?顔色が悪いですが、そんなに嫌でした?降りましょうか?」

 

「降りたら殺す」

 

「う!うるさい!乗るって言ってるだろうが!!」

 

もう……収集付かなくなってきたんだけど……終わらせて良い?強制的に終わらせて良い!?

 

まぁ、そうこうしている内にジェットコースターが出発した。

 

「ンオッ!?思ったよりもキツい!!」

 

村上がそんなことを行っていると、前の方から

 

「ウワァァァ!!」

 

「「グワァ!?」」

 

草加が飛んできた。

 

「何してんだ!?」

 

「ベルト締めるの忘れた!ベルト締めるの忘れた!!」

 

そのまま急降下急上昇を続けている。

 

「ウワァアハァンァアアアア!!」

 

「ちょっと!!草加さんさっきと別人じゃないですか!?スゴくテンパってますけど!?」

 

「Sだからこそ打たれ弱いの!ガラスの剣なの!!たたた助けて一夏!!」

 

「イテテテテ!!前に戻れ!!!」

 

髪を引っ張られたので、その腕を付かんでさっきの席に投げ飛ばした。チャラ男の方は少し座高が高くなっている。漏らしたと言うと、五月は思いっきり引いていたが、何故かフォローを入れた。

 

「おいどうなってんだよ!?ますます仲良くなってるじゃないですか!!」

 

「オメーの娘こそどうなってんだ!?何であんなので受け入れられんだ!?一体どう言う教育してんだ!?……ヤバイ次のアトラクション行ってしまう!?おい木場!早くしろ!ん?木場?」

 

気絶してやがった。そんな怖くねーだろジェットコースターなんか……

 

もう、作者権限でコイツらの恋愛無かったことにするから、終わらせてくれ!それで良いな!!

 

「出来るならお願いしまーす!!!」

 

何でナレーションに答えられんだよお前は……




と言うわけで、何か収集つかないのでここまでにします。作者権限で五月とチャラ男の恋愛は無かったことにします。だから許して……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!

……息抜きでギャグ書こうとしたのに、逆に疲れた……


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草加と巧とマンガ

元ネタは男子高校生の日常。草加の高校時代のお話です。

※短いです。


学校が午前中で終わったこの日。普段なら部活や委員会、生徒会活動などがあるのだが、この日は教員全員に関わる用事があるので、この日は午前で終了。その後の活動も今日はない。暇をもて余した生徒は、街へと出て遊んでいる。巧もその1人だが、態々街に行くような事はしない。居候先である啓太郎の家の部屋でグタグダしている。が、何故か草加も一緒にいる。

 

「最近、マンガを読むんだが……」

 

急に草加がマンガを読むと言う話をしてきた。何故かは全く分からないけどな。まぁ心底どうでも良い話だが、巧はそれに耳を傾けた。

 

「どのマンガでも、俺達とそう歳の変わらない若者が、みんな血みどろになって何かに打ち込んでるんだよ。俺らはどう?な~んにもやってなくね?」

 

途中まで話を聞いていたが、だんだんどうでも良くなってきたので、携帯に視線を戻した。だが、草加の話はまだ終らない。

 

「と言うわけでマンガを描いてみた。読んでくれ」

 

そう言って、原稿用紙を20枚程わたしてきた。何故と言うわけでと言う理由で20ページのマンガを描けるのだろうかと言う疑問が残るが、取り敢えず目を通してみた。

 

「お前さぁ~。こう言うネタ本当に好きだよな。大体お前はさぁ~」

 

「イヤ。俺個人への攻撃は良いから、マンガの感想を頼む」

 

そう言われて、巧は再び草加の描いたマンガへと視線を戻す。が、

 

「イヤ~。感想とか言われても……俺正直こう言うジャンル好みじゃねーし」

 

「それは分かるけど、そこを何とか」

 

何故か執拗に感想を求める。まぁ、自分の描いたものの感想を聞きたいのは分かるが、急かすものではないだろ。もう少し待ってからでも遅くはないぞ。絶対に。

 

「ん~……と言うか意味わかんねーし」

 

「その一言で片付けないで。もっと具体的に」

 

「……このツッコミ入れるシーンだけど、明かに顔面にグーパン入れてるよな~?これ普通に警察沙汰だよな?可笑しくね?」

 

「いやマンガだから……」

 

「イヤでも可笑しいだろ!絶対可笑しい」

 

「うるせぇぇぇ!!!」

 

「ブヂャパァ!!」

 

その叫びと共に、強烈な平手打ちを食らった。しかもそれだけではなく、

 

「テメーなんかに俺のマンガは理解出来ないんだよ!」

 

「ググゥォ……」

 

顔面に膝蹴りを食らい、倒れてしまった。

 

「帰る!!」

 

感想を求めたのに、素直に言ったら怒られ、顔面に強烈な攻撃を2回も食らい、何か不運な一時を送っていた。だが、鼻血を拭いながら起き上がると、草加の居なくなった部屋で、

 

「頑張れ草加。応援してるぞ……!」

 

彼の聞こえないところで応援していた。そして次の日から、互いにマンガに意見しながら描いているが、お互い顔面の原型が分からなくなるほどにボコボコになっている。殴り合いながら描いたのだろうか……?




本日はここまで!次回もお楽しみに!感想と評価もよろしくお願いします!!


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蛇と兎編
救済


さぁ~てと、クロエのことを気にしている方も居ることでしょう。バジンの破壊を書かない場合は未登場で終わるかな~とか思ってたんですが、気になると言う声がございましたので、書こうと思います。

……銀魂ポロリ編の様にギャグで行こうと思ったんだけど、なんか真面目な物が続いていますね……


「ありゃりゃ?ここ何処だ?中途半端にデータが残ったと思ったら、訳の分かんない場所に出ちゃったよ」

 

何処かの薄暗い場所。周りは荒れている所を見ると、既に廃棄された場所の様だ。そこに置かれているパソコンの画面から、あの時千冬と草加の2人の手によって死んだはずの束が出てきたのだ。

 

「と言うか、何でここに出てこれたの?今のデータの量じゃあじきに消滅するはずだけど……まさかこんなに生きてたとは……ん?」

 

攻撃を受け、体が灰に変わる瞬間、わずかではあるが束のデータがコアに残り、それがコアネットワークから排出されて電脳空間をさ迷ってたのだ。しかし、量が少ないので消滅する。はずだった。どう言う訳か、長い間消滅する事は無かったのだ。それだけではなく、何かに呼ばれるようにこの場所に出てきてしまった。そして、周りを観察していると、自分の足元に転がってる様々な部品に気付いた。

 

「これは……ISの部品?と言うことは何処かの企業?でもだとしたらこんな乱雑に保管はされてない……廃棄された?いや、部品が残ってるのはおかしい……ちょっと端末を拝借しよう」

 

そう言うと、まだ使える端末を起動して、今自分の居る場所について調べた。廃棄されたのならデータは残っていない。残っていたとしても、なんの価値も無いゴミしか残っていない筈だ。だが、どうやら様々なデータが残ったままだった。しかも厳重なロックがかかった状態でだ。

 

「ふん。この程度の鍵、この私にとっては紙切れ同然なんだけどね~」

 

そう言うと、本当に簡単にパスワードを解除して、データを閲覧し始めた。

 

「ふむふむ。ここはドイツ……そしてこの陰気な場所は廃棄された研究所……ねぇ」

 

既に必要な情報は手に入れた。だが、こんな怪しいデータを見せられて、素直に「はいそうですか」となる天災ではない。この端末に残っていたデータ、ホコリが床に散らばっているが、明らかに最近数名の人が出入りしている跡。何か大きなもの、例えるなら人間。そのくらいの大きさの物を引き摺った跡。極め付きは何かが腐敗した様な匂い。廃棄されたと言うのは、多少の観察力があれば当然気付くことが出来る。束ほどにもなれば、考える間もなく感覚で分かる。

 

「はぁ……この国の連中は懲りないね~。全く。まぁ、私には関係無いけ―ガダッ……ん?誰?」

 

VTシステムの事や試験管ベビーの事。ドイツと言う国には束が耳に留めた内容の事が幾つかある。むしろISが世間に浸透してからと言うもの、これ程までに重大な問題を起こしてくれたのは、ドイツとアメリカ、イスラエル程度だ。そして、そんなことを考えているとき、後ろのガラクタを置いてある場所から誰かが動いた様な音がした。ガラクタをどかして確認すると、そこから1人の少女が出てきた。

 

「銀髪で黒い眼球に金色の瞳……お前、試験管ベビーだな。しかも失敗作として破棄された初期型の」

 

「は、はい。そうです」

 

「そ。名前は?いくら人工的に作られた存在でも、名前くらいはあるでしょ?」

 

「名前……?NO.968」

 

「番号じゃなくて名前。分かる?な・ま・え。君の製作番号には興味ないよ。君たちNO.1000以前の個体は破棄された事は知ってるの。番号になんか興味は無い。私が聞いてるのは名前」

 

「それ以外の名前は……私には……ありません」

 

「あっそ。じゃあ君以外の試験管ベビーは?君が968番って事は、それ以前の個体も存在してる筈だよね?」

 

「……失敗作と判明すると、全員消滅廃棄されました」

 

「じゃあ何で君は生きてるの?こんな生命倫理もクソも無いような実験。そしてそれを知ってる君の様な存在。存在価値が無いと分かれば1人残らず殺す筈だけど?まぁ、私が人に言えた義理じゃあ無いけどね」

 

「私は……逃げてきました……廃棄される直前に。その後は、ずっとここに……」

 

「……成る程。非常食の空が転がってるって事は、それを使って飢えをしのいでいたって訳……」

 

そう言うと、転がってるガラクタに手を伸ばし、何かを作り始めた。

 

「何をやってるんですか?」

 

「ここから逃げるための道具を作ってるの。こんなに材料があるんだ。2人乗りのロケットくらい作れるよ。後は、私でも嫌悪感を抱くこの胸糞悪い研究所を消し飛ばすか」

 

重要な情報を保管してある古い研究所等には自爆機能が付いている。軍の施設であればなおさらの事。最悪の場合はそれを発動させて、都合の悪いものをまとめて消し飛ばせる。古いガス管の破裂と言えば誰もが納得するしな。

 

「ん~……ま、飛べれば良いし、デザインは気にしなくて良いか。君も早く準備しな。置いていくよ」

 

「何故、私を助けようと……?」

 

「君はこんな場所で一生暮らしたいの?私は御免被るよ。君もこんな所に居るつもりは無いでしょ?安心しなよ。ここを出たら信用できる人の所に送るから」

 

「信用……」

 

「うん。なんせ、来世何て言う曖昧な物に希望を託してこの私を殺した人だ。この世の誰よりも信用できるよ。よし、こんなもんで良いか。早く乗って」

 

まさかもう完成するとは。確かにここにあるのは全部IS関係の部品。2人乗りのロケット程度、完成までは大した時間はかからない。が、流石に速すぎだ。エネルギー面一体どうした?しかも隣にあるIS的な物は何だ?

 

「コアがあればもっと早く作れたんだけどな~。まぁ、無くても動くけどね。両方とも」

 

何恐ろしいこと言ってんのこの人。と言うかデザインは気にしなくて良いとか言っておきながら、完全にロケットニンジン型じゃねーか。

 

「こっちのISは君が持って―」

 

「そこに居るのは誰だ?」

 

乗り込んで脱出しようとしたとき、入り口の扉が開いて複数の男が入ってきた。格好的にここの関係者の様だ。その後ろに銃を持ったのが3人居る。何故そんなのを付けてきたのだろうか。

 

「あらら。管理人来ちゃった?早く乗りな」

 

「ん?誰かと思えば篠ノ之束と、廃棄から唯一逃げ出した失敗作のNO.968ではないか。何故ここに居るんだ?」

 

「どうでも良いでしょ。あ、この子廃棄されたんでしょ?私が貰っても問題ないよね?と言うか貰うよ」

 

「それは困る。アレは私の作ったものだ。科学者として失敗作は完全に消去しなくては気が済まなくてね」

 

「はぁ、何で科学者ってこうもまともなのが少ないんだろうね~」

 

「貴女に言えた義理ですかな?自分の発明が認められなかったくらいで、一度世界を破壊しようとした。今ロケットに乗り込んだアレの様な存在が出来たのも、大元の原因は貴女にあるんですよ?」

 

「原因を追求しようとしたら、いくらでも責任の転換は出来る。そんなことも知らないのか?ハゲ猿。自分の作った物に責任を持てないくせに、よく科学者なんかやってられるな。まぁ、その程度の事も理解できない猿なんだろうけど」

 

「猿でけっこう。ではここは猿らしく、私の場所を荒らした報いは受けてもらいますよ。あのウサギ女を殺しなさい」

 

後ろに居るヤツに命令すると、銃の安全装置を外して前へ出てきた。だが、束は全く焦っていない。むしろ余裕そうだ。

 

「やめときな。お前らじゃ私には勝てないよ」

 

「負け惜しみですか?実に見苦しいですね。まぁ、もう遅いですけどね。……殺れ」

 

狭い部屋に銃弾が排出される爆音と硝煙の匂い、煙などが充満した。撃ち終わると束の死体を確認するために煙が晴れるまでその場で待っていた。だが、

 

「ウワァァァ!!」

 

「アアアア!!」

 

鉄の塊が飛んできて、銃を構えていた連中を吹っ飛ばした。

 

「な!?どう言う事だ!?」

 

「言っただろ?やめておけばって。私を殺す事が出来るのは、この世界で4人しか居ない。でも、お前たちはそこには含まれてないよ」

 

煙が晴れ、束の姿を確認できるようになると驚いた。体には確かに銃弾が当たった痕がある。穴も開いている。だが、血を流していないのだ。しかも穴から見えるのは臓器等ではなく数字とアルファベットの羅列。しかも徐々に塞がってきているのだ。

 

「お、お前は一体……」

 

「ISを作って世界を変えた元凶さ。そして、彼女の様な存在を作り、悪戯に世界を引っ掻き回したただの罪人だよ。と言うわけで、天災は天災らしく、嵐の様に去っていくよ」

 

近くにあった端末を操作して、ここの自爆機能を作動させた。作ったISを待機状態に変えて、自分もロケットに乗り込んだ。建物からニンジンが飛び出すと言うシュールな光景の後、その場所は跡形もなく消し飛んだ。

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

「助けてくれて、ありがとうございました……」

 

「お礼はまだ早いよ。日本に着くまで時間がある。それまで休みな」

 

その言葉を聞くと、少女は眠りについた。精神的に疲れていたからなのか、すぐに眠った。

 

「さぁ~てと、私もや~すも」

 

久し振りに外に出たからか、束も疲れたようだ。日本に着けば自動的に着陸するようになっている。設定した座標も千冬の家の近くだ。ISの部品を使っているため、レーダーにも極力干渉せずに進むことが出来る。安心して眠ることが出来るだろう。

 

~4時間後~

 

ピーピーピーピー!!!

 

「……アラームなんか設定したっけ?……もう着いたのか。おい。起きな。着いたよ」

 

無事に着陸すると、少女をロケットから降ろし、1つの端末とさっき待機状態にしたISを渡した。

 

「ここから見えるあのでっかい家。あそこに私の世界一信用できる人、草加千冬が居るから、その人に今渡した端末を渡すんだ。それと、そのISはプレゼントだよ」

 

「……あの、貴女は?」

 

「私は用事があるからこれで帰るよ。早く行きな」

 

「はい……」

 

束の指示した場所を目指して、歩き出した。だが、束が来ないためか、少し不安そうにしている。

 

「ちょっと待って。もう1つ渡すものがあった」

 

「?」

 

「クロエ。君の名前だ。あの男が言ったように、君を作り出した大元の原因は私。でも、私は自分の作ったものには必ず名前を付ける。大切な私の子だから。君は今日からNO.968ではなく、私の大切な娘の1人、クロエだよ」

 

クロエを抱き締めながらそう伝えた。クロエは初めて感じる愛情と言うものに、少し戸惑って居るが、名前を貰い、愛情を受けて嬉しそうにしている。

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

「コラコラ。泣いちゃダメだよ。さ、早く行きな」

 

「はい!お母さん!行ってきます!」

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

娘の出発を見届けると、束はまたロケットに入って飛んでいった。

 

「全く……ここまでシブトイとは……自分でもちょっと引くな~。もう限界みたいだけど……欲が出ないように肩入れはしないことを心掛けてたんだけど、出来れば、娘の成長を見たかったな~」

 

限界。その言葉通り、体は消滅しかけている。体が薄くなってきて、パーツごとに消えてきている。

 

そしてその頃、千冬の家では玄関でクロエと千冬が話をしていた。

 

「束が?」

 

「はい。これを」

 

少し疑っている様だったので、千冬に先程渡された端末を差し出した。

 

『やぁやぁ!ちーちゃん聞こえる~?久し振りだね~。今目の前に私の娘が居るはずだけど、私の代わりに面倒を見て欲しいんだ。ちょっと信じられない事もあるけど、全部本当の事だから信じてあげてね。私はもう出てくることは出来ない。押し付けるようで悪いけど、娘の事をお願いね!!じゃあ!』

 

「……クロエと言ったな。どこで降ろして貰った?」

 

「えっと……あの方向です」

 

「結構近いな……よし。まだ行けるか」

 

そう言うと、硬式の野球ボールを持ってきて、油性ペンで何かを書いた。そして、一緒に持ってきたバットを使い、束が飛んでいるであろう方向に全力で打った。

 

「ウワッ!?何だ?……ちーちゃん、君はやっぱり細胞レベルでチートだねぇ~。ハハハハ!!アッハッハッハッハッハ!!」

 

『任せろ』

 

千冬はその一言を届け、束はそれを見ると完全に消えた。だが、その表情に悲しみはない。笑いながら、穏やかな表情だった。

 

「さてと、アイツには伝えたし。クロエ、入れ。子供たちにお前の事を紹介する。雅人さんにも連絡しないと」

 

最初こそは疑われたが、他ならぬ束からの頼みと言うことで、千冬はクロエの事を受け入れた。これ以降、彼女は篠ノ之クロエと名乗り、千冬達のお陰で戸籍も取得することが出来た。名字が名字の為、何かと不便な事はあるが、クロエ自身その名を誇りに思っているため、全く気にしていない。




画面から出てくるのは、バクスターが画面から出てくるのをイメージすれば分かりやすいです。

……時間系列的に色々と無理がありますが、多目に見てください。これが限界です。試験管ベビーのナンバーについては適当です。原作でそう言った番号があったとしたら申し訳ない。あったら直そうと思います。

次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告と『インフィニット・ネクサス』もよろしくお願いします!!

インフィニット・ネクサス……後ろに何か付けましょうかね。何か寂しい気もするので笑


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蛇と兎 上

今回の設定で妙な所が多々ありますが、それはうp主が昔書こうとしたオリジナル擬きの設定ですので、後書きに少し説明を交えようかと思います。


あるところに1人の蛇が居た。その蛇は音楽が好きで、夢も音楽に関することだった。そして、それは言葉だけではなく、彼自身その夢を叶えるだけの実力を持っていた。彼の奏でる曲は、多くの人の心に響き、傷付いた心を癒してくれた。

 

その蛇は今日もクラシックギターで曲を奏でる。場所は、周りには綺麗な花畑と透明度の高い川が流れている幻想的な場所。そこに座ってギターを弾いている。聞いているととても落ち着く曲だ。だが、落ち着いているがどこかに悲しみを感じ、それでいて前へ進ませる力のある不思議な曲。それが川辺に響いていたのだ。

 

1人の蛇は、ただ静かにその曲を奏でている。誰かが聴いているわけではないが、そこにいない誰かの為に弾いている様にも受け取ることが出来る。蛇は曲を弾き終わると、フゥーっと息を吐き、愛用しているクラシックギターを自分の側に置き、横になった。

 

「今度木場にでも聞かせるか……あぁ、でもその為には魂こっちに引っ張って来ないとな~。それかまた夢の中にでも出るか?」

 

独り言の様だ。だが、今弾いていた曲は、恐らく木場と言う人間に聞かせたかった曲なのだろう。

 

「約束は守るぜ。絶対聞かせてやるからな。飽きるまでな」

 

蛇はそう言いながら、起き上がると、再びギターに手をかけ、曲を弾き始める。より丁寧に、より強く、より満足出来る曲を奏でる為に、蛇は曲を弾き続けている。目を閉じながら、穏やかな気持ちで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるところに1人の兎が居た。その兎は、自分の親しい者たちと宇宙に行くことが夢だった。子供なら誰しもが抱く壮大な夢。だが、彼女はそれを夢で終わらせなかった。学生の身でありながら、宇宙へ行くための技術を確立させようとしていた。

 

夢で終わらせないため、兎は自分の得意とする理数系の勉強を極めた。全ては自分の、自分達の壮大な夢の為に。そして完成させた。自分達の夢を叶えるための無限の翼が。兎は喜んだ。これで夢が叶うと。

 

だが、それは世界から拒絶されてしまった。全ては子供の夢物語だと。夢を忘れ、己を忘れ、自分より優れている人間が気に入らないと思う大人達によって、兎の大きくも小さく、大切な夢は粉々に砕かれてしまった。

 

兎が自分の牙を見せたのはそこからだった。自分のただ1つの夢を砕かれ、世界に絶望した兎は、自分の望む世界を造り上げようと、一度全てを破壊しようとした。だが、出来た世界は、兎の望むものではなかった。

 

夢を叶えるための無限の翼は、進むための力をもがれ、ただの醜い兵器と化していた。兎は再び世界に絶望し、可能性を、夢を捨てた。そして、今度こそ自分の幸せになれる世界を造り上げると決意する。

 

だが、それの願いは二度打ち砕かれた。1回目は自分が世界を破壊したときに、自分と同じく大切なものを失った1人の男に。2回目は、自分が唯一認めた心からの心友に。だが、心友に殺されたときは穏やかな心だった。認められなかった、歪められてしまった自分の翼を認められ、再び白く輝かせてくれた存在に、兎は心を救われた。そして決めた。もう、歪んだ目覚めはしないと。

 

だが、ただ消える訳ではない。自分の守るべき物を見付け、自分以上に幸せになって欲しいと心の底から思い、夢を託した娘。兎は今度こそ、安らかに眠ることが出来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?誰だ?」

 

川辺で曲を弾いている男の目の前に、1人の女が現れた。酷く疲れたようで、フラフラの状態だ。宛もなくこの辺をさ迷っていた所、この男の音楽に惹き付けられ、自然と足がここへと向かったようだ。

 

「ちょっと!お姉さん大丈夫!?」

 

声をかけるが、かなり疲弊している様で、倒れてしまった。

 

「え?ちょっと!本当に大丈夫!?」

 

自分の目の前で倒れたことに驚き、曲を弾いているどころでは無くなり、女に慌てて駆け寄った。だが、心配するほどでは無いようだ。単に疲れているだけだと思う。その証拠に倒れているが、すぐにさっきの曲について聞いてきた。

 

「ねぇ、さっきの曲。お前が弾いてたの?」

 

「そうだ。けど、初対面のヤツにお前はねーだろ。俺は海堂直也。アンタは?」

 

「……篠ノ之、束」

 

「そ。よろしくね!束ちゃん」

 

「……ねぇ、さっきの曲。もっと聴かせてくれないかな?」

 

「ん?あぁ、良いぞ」

 

そう言うと、海堂はギターを持ってきて、束の側に座り、さっき弾いていた曲を再び弾き始めた。それを聴いている束の顔は、実に穏やかだ。束にとって、その曲は心地が良いようで、聴いている内に眠ってしまった。

 

そこに、黒いローブを身にまとった男が現れた。

 

「あ、ここに居ましたか」

 

「死神のにーちゃんじゃんか。どうした?」

 

「イエ。篠ノ之束さんの書類の記入がまだったので、聞こうと思ったんですが……寝てるようですね」

 

「あぁ。何でこんなに疲れてんだ?この娘」

 

「……3日前に輪廻の輪に案内していたんですが、途中動物霊を運んでいる業者がミスをしまして。動物霊の大群に流され、それからずっと……」

 

「この境界をさ迷ってたと……」

 

ここは完全にあの世と言う訳ではない。そこに行くための通過点の様な場所だ。まだ転生するつもりのない沢山の魂がここに集り、生活を行っている。

 

「まぁ、彼女からは転生希望と聞いていますので、別に今書類をまとめる必要はありませんね。海堂さん。しばらく彼女と生活してみてはどうですか?」

 

まさか、海堂を殺した元凶と一緒に生活をさせるとは。かなり思いきった事をする死神の様だ。海堂も束がどんな人間かは知っている筈だが……

 

「まぁ、部屋は余ってるから良いけどよ……」

 

「では、しばらくの間お願いしますね」

 

そう言うと、死神は書類をまとめるために自分の仕事場に帰り、海堂は束を背負って自分の家へと向かっていった。束を布団に寝かせると、一応食事の準備をした。ここにいる者には必要ないが、生きていた頃の習慣として、沢山の者が行っている。まぁ、空腹がないと言うわけではないがな。ただ食べなくても死なないだけだ。

 

「味噌汁と焼魚と玉子焼きで良いか……」

 

手際よく、考えたメニューを作り、2人ぶんの食器にそれを盛った。味噌汁の香りが広がり、海堂は料理の出来に自画自讃していた。この匂いを嗅ぎ付け、束が目を覚ました。

 

「お!起きたか。飯できてるぞ!」

 

束は海堂の作った料理を見ると、息を飲んだ。海堂の見た目的に、料理をするようには見えないからだ。カップラーメンなどがポンと出てきても不思議ではない。

 

「冷めない内に食いな。今日は出来が良いからよ!」

 

「う、うん……ッ!?」

 

食べると衝撃を受けた。余りにも上手かったからだ。海堂が見ているが、そんなこと気にせずにかき込んでいる。

 

「上手かったか?」

 

「う、うん。美味しかったよ……」

 

「そいつは良かった」

 

食器を洗いながら、椅子に座っている束と何気無い会話をしていた。

 

「ねぇ、海堂だっけ?君はいつ死んだの?」

 

「んあ?あ~10年くらい前の8月9日だっけかな~。ミサイルで吹っ飛ばされた」

 

「ッ!?……そう、なんだ」

 

「まぁ、俺は別に気にしちゃあいねーから。お前も気にするなよ」

 

「……知ってるの?」

 

「まぁな。まぁ気にする必要はねーから。今後の事を決めるまでゆっくりしろ」

 

海堂にそう言われると、もう1度眠りに付いた。海堂も洗い物を済ませると、ソファーで眠った。明日からは色々と苦労しそうだけどな。




海堂は余り扱ってなかったから、やっぱり少し少なくなりますね。

では今回の設定の説明をさせてもらいます。今回の設定は、俺が昔、オリジナルで死神と漫画家を目指して専門学校に通う女性とのラブコメ?日常物?を考えていたときのネタです。

死神と言う存在が、死者の魂を管理し、地獄行き、天国行き、転生行きかの説明をして、死者の魂を導く存在。そこで出会った霊感とか全く持っていない女性との物語です。地獄行きの魂には、少しでも刑を軽くするために弁護をするときもあります。

その話では、死神は寿命を決める存在ではなく、別の神が定めた、その人間の寿命に到達する前に死ぬのを防ぐ存在として出てきます。死んだ者の魂には、46日の間に輪廻転生の輪があるところまで来てもらう。それらが死神の仕事の1つです。

他にも、呪いなどに用いられた物の後処理や、人間や現世に悪影響を及ぼそうとした悪霊の始末。地縛霊の悩みを解決させ成仏してもらう。など様々な仕事があります。その仕事をしている過程で、出会ってしまった2人のエピソードをと思っていたんですが、余りにも在り来たりだなと思いまして、文章にはしていません。今後陽の目を見ることはあるのやら……読みたい、やってみろ、読んでやる、読んだ上で笑ってやる。などの声があれば、インフィニット・ネクサスの後に出そうかと思います。もう1つのオリジナル(VRダイブ)と一緒に。

現世に留まっている、ファイズ本編のメンバーは、この死神君に支援してもらってると言う状況です。

境界とは、今回の本編にある通り、まだ転生するつもりのない魂が生活する場所です。ここなら悪霊になる心配がなく、現世に影響することはありません。現世との行き来も可能で、現世に残した者を見るために出ることも出来る。悪霊にならない特異体質の人以外は1週間以上外で過ごすことは出来ませんけどね。

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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蛇と兎 中

中と言うことは、下もあります。

あ、オリジナルは読みたい、やってみろ、読んでやる、読んだ上で笑ってやる。などの声があれば、インフィニット・ネクサスの後に出そうかと思います。もう1つのオリジナル(VRダイブ)と一緒に出そうと思います。


束が境界に来てから少しの時間が経った。まぁ、ここに住んでいる住人からしたら、時間と言う概念はどうでも良くなってくる。なんせ、腹は減らない。食べずとも餓死はしない。夜はなく、寝なくてと疲れることはない。時計と言うものがない。大体感覚でどうにかなる。の世界だ。ここにいる間は特に消滅と言うものもない。時間なんか関係無くなってくる。

 

まぁ、それでは話が成り立たないので、束がここに来てからの時間を、作者同様こちら側に住んでいる人と同じ値に換算すると、約1ヶ月だ。その間束はずっと海堂と一緒に過ごしてた。今日は、食事の材料を買うために市場に来ている。前にも言ったが、ここでは食事は必要ないが、生きていた頃の習慣として食べている人もいる。理由は様々あるが、1番は死んでも口にしたい味があるからだ。だからなのだろう。必要もない行為なのに、必要もない産業なのに、この町では、そう言った食に関するものを扱う店が多い。

 

「あ、いたいた。探しましたよ。海堂さん。篠ノ之さん」

 

「ん?どうした?」

 

海堂と束が歩いているところに、いつぞやの死神が降りてきた。何故か2人を探していたようだ。が、書類の記入は全て終わった筈だ。このあと記入するものは特に無かった筈なのだが。

 

「はい。篠ノ之さんには、この町の案内などがまだ終わっていなかったので、それをしよかと」

 

「真面目だね~。と言うか……なんか、疲れてないか?アンタ」

 

「……少々裁判に手こずりまして。篠ノ之さん。貴女の判決。決定しましたよ」

 

一応聞かされていた。死ぬときに改心したとは言え、束は多くの罪のない人を殺している。それは決して許されることではない。現世に居たときは、束は指名手配されていたとは言え、ISの制作者と言うことで、白騎士事件の犯人とは言われているが、罪が課せられたと言うわけではない。だが、ここではそうは行かない。死者となってしまえば、どんな偉大な人間も全員同レベル。犯罪を犯した者の生前の罪は全て裁判にかけられ、各神の厳正な裁判に基づいて判決が言い渡されるのだ。

 

「貴女の犯した罪は、許されることではありません。当然、貴女の事を地獄行きにしたいと言う声は沢山ありました」

 

「まぁ、そうだよね~。で?地獄行きが決定したの?」

 

「いいえ。貴女の最期に行った行為。白騎士事件に至るまでの経緯。ここに来てからの生活。それが全て考慮され、ご希望通り転生の許可を貰いました」

 

「え?」

 

「おぉ!やったな束!!いやぁ~。良かった~!」

 

余りにも予想外の答えに、束は思考が停止し、海堂はまるで自分の事の様に喜んでいる。束の転生許可が余程嬉しかったのだろう。大声を上げてしまっている。だが、それに続けて死神が1つ付け加えた。

 

「ですが、完全に過去の行いが無罪になった訳ではありません。転生後、約50年間。貴女には1人の死神が24時間監視に付きます。当然、転生後にこの記憶は残りませんし、死神も見えないので実感は無いでしょうが」

 

そんなもの、実質無罪放免と変わらないだろう。死神が付く事によって、何かしらの制限はかかるかもしれない。だが、見えないし感じないし覚えていない。それなら気にすることは無いだろう。

 

「まぁ、来世で人格が全く別の物に変わると言うことは無いので、また白騎士事件の様な事を起こせば、間違いなく地獄行き決定ですので、その辺はご了承下さい」

 

「う、うん。ありがとうね……」

 

まだ飲み込めていないようだ。だが、じきに受け入れて行くだろう。まぁそれだけが今回の目的ではない。この町の案内が目的だ。

 

「まぁ伝えることも伝えたので、案内しますね。海堂さんもどうです?今思えば、貴方にも主要な場所以外は案内していませんからね」

 

「そうだな~。考えてみれば市場以外使ったことないからな」

 

と言うことで、海堂も一緒に死神君の案内を受けることにした。まぁ1番栄えているのがここだから、特に今更案内を受けるところは余りないのだがな。だが、いろんな人が沢山いる。

 

「結構人が居るね~。あのMの一文字が入った全身赤い服を着てる髭のおっさんと、そのおっさんと一緒に話してるトゲトゲパンクなでっかい亀はなに?」

 

「あぁ、あの人たちは何故か天国行きも地獄行きも転生も出来なくて、ここに留まっている方々ですね。亀の方が姫を毎度拐って、赤い人がいつも助けています」

 

「なんで姫さん拐われてるのに、助けるのが王子とかじゃなくて、髭もじゃ?」

 

「そこは触れてはいけません。シリーズ化してからいつも疑問に思っていることですが、触れないのがマナーです」

 

何言ってんの?それ自体1番触れちゃダメじゃね?

 

「へぇ~。じゃぁあっちは?」

 

ザ・勇者な感じな服を着ている筋肉質な男性と、完全に人間ではない、例えるなら魔王的な何かが楽しく話をしている所を指さした。

 

「あれは、昔人間界を我が物にしようとした方と、その野望を打ち砕いた方ですね。魔王さんの名前は分かりませんが、勇者的な方は、確かロトシックスと名乗ってましたね」

 

「宝くじか?と言うか大丈夫なのか?ここにいて」

 

…………ノーコメント。流石に何も言えない。映像にしたら全身モザイクの塊になるのは間違いないがな。

 

「それにしても……ロボットみたいなのも居るんだね」

 

「魂のあるものは全員我々死神が管理していますからね。元が何かなど、小さな問題です」

 

確かに、そこら辺にロボットの様なのも居る。ほとんど人間に近いアンドロイドや、どこからどう見てもロボットとしか言い様の無いオーソドックスな者まで全ている。そんなロボットが居ると、当然束は興味を持っていろんな所を回る。そして、1番興味を持ったのが、チェスをしている2人組だ。チェスと言っても、盤も駒も木を彫って作った手作りの物だ。片方はロボット。もう片方は人間だ。

 

「ん~……」

 

「リク、まだ?」

 

「もうちょい待て……!」

 

「ほい」

 

「「あ」」

 

悩んでいたので、束が駒を1つ進めた。この行動に、2人組は大層驚いていたが、女のロボットがそれを見て自分の駒を1つ動かす。束はその後にまた自分の駒を進める。それが数分の間続いた。

 

「チェックメイト」

 

「ウソ……負け、た?」

 

「お前……スゴいな」

 

「まぁ~ね~。じゃ」

 

やるだけの事をやって、海堂たちの場所へと帰って行った。戻ると、海堂に何をやっていたか聞かれたが、遊んでたと答えて、他の事は何も言わなかった。

 

「取り敢えず、境界にある様々な場所を案内しました。買い物は、お金を払う必要は無いので、店の人に声をかけるだけですが、無断で持っていったりはしないでくださいね」

 

死神君の説明に返事を返すと、死神君はさっき貰ってきた糖分を持って仕事場へと帰って行った。どうやら、他にも仕事があるようだ。それを置いてここに来た辺り、どれ程人の魂を大切にしているのかが伺える。まぁ、その事に礼を言った所で、「仕事ですから」の一言が返ってくるのは間違いない。

 

「……少しお腹空いたな~。直也、帰ったらオムライス作って!」

 

「オムライス?まぁ……何とかなるか……」

 

こっちはこっちで充実した生活を送っているようだな。




今回はここまで!

次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告もよろしくねお願いします!!

さてと、次回はどうなるのやら……


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蛇と兎 下

昨日は更新できずにすみませんでした。何か、ありとあらゆるやる気が吸いとられ、とても文章を書ける状態ではありませんでした……


ここに来てからどれくらい時間が経ったのだろうか。死神君から判決を聞いてから、結構経つが、まだ転生するつもりはない。いつも海堂と一緒に行動しており、境界では珍しいカップルとして少し話題になっている。実際に交際している訳では無いがな。

 

「クロエ……どうしてるかな……?」

 

「クロエ?誰だそれ?」

 

なんとなく束が発したクロエの名。海堂はあまり束の過去に触れないので、その名を聞くのも初めてだ。当然食い付く。

 

「あぁ~。私の娘の1人だよ。ここに来る前、私が心友に託した、大切な娘の1人さ」

 

「娘居たのか!?」

 

「血は繋がってないけどね。私のせいで生まれたような存在だし、私は自分の作った物には名前を付けて、自分の子供の様に扱う。私の科学者としてのポリシーだよ」

 

海堂はかなり驚いたが、束の言葉を聞くと納得して、深いことまでは聞かなかった。詮索しない代わりに、こう言った。

 

「なら、今日はその子に会いに行くか!」

 

「え?」

 

どうやって?と聞く前に、海堂が束の手を掴んで走り出し、境界の出入り口まで走っていった。

 

「うぇ!?チョッ!!ウワァァァ!!!」

 

勢いよく飛び出すと、そこは雲の上だった。境界の入り口は結構高い場所にあるようだ。最初は重力に任せるように落ちていき、高度50メートルの辺りで急停止。そこからはゆっくりと穏やかに飛んでいる。

 

「ッ!?ここは?」

 

「現世。生きてる連中が住んでる世界だ」

 

海堂の説明で納得。久し振りの現世を懐かしむ様に、様々な場所を眺めている。空から落ちたとき、スカイツリー等の世界的に有名な物が見えたことから、ここは日本の首都として扱われている東京だ。

 

「娘さん預けた家ってどこだ?」

 

「ここから南東に50キロぐらいかな?」

 

と言うことで、海堂と束は町を眺めながら南西に飛んで行った。町の賑わい具合から見て、今日は休日の様だ。中には休日になったから、久し振りに実家へ帰るIS学園の生徒もチラホラ見える。IS学園の制服は他の学園の物よりも目立つので、すぐに分かる。

 

「今日は学園の生徒が多いね~」

 

「クロエって言うのも、IS学園って場所に通ってんのか?」

 

「それはどうだろうね~?どこの学校に通おうと、それはあの子の決めることだからね~」

 

束はクロエを千冬に託した後、すぐに消滅してしまった。後の事は何も分からないのだろう。そんな感じに雑談をしながら飛ぶこと約3時間。そこそこスピードを出して飛んできたので、千冬の家が見えてきた。

 

「ん?草加?」

 

表札を見て、昔の自分の知り合いと同じ名字に少し疑問を持った。なんせ、昔は「俺には結婚なんか無理だ」だの、「そもそも俺を好きになる女性は居ないだろ」とか言っていたからだ。少し疑う。

 

「あぁ。私の友達、草加雅人って人と結婚して、名字変わったんだよ」

 

「あぁ。そう(本人だったァァ!!)」

 

変わり果てた知り合いの今を見て、海堂は頭を抱えている。少し受け入れられない部分があるのだろう。結構前に結婚してると伝えられていたが、ほとんど信用していなかったのだ。だってあの草加だもん。クソが付くほどの仕事人間。親しい人の前以外は鉄の仮面を付けたような温度の無い表情。人や自分よりも仕事を優先。物欲や人間の三大欲求はどこへ行った?と言うレベルで酷かったのだ。結婚したと言う言葉その物がドッキリに思えてくる。

 

「あ!来た!!」

 

久し振りに見るクロエの姿。あの時より少し身長が伸びていた。その事に気付くと、年甲斐もなくハシャイでいる。

 

「さっき見た制服と同じだな」

 

「うん!IS学園の制服が似合ってるよ!!」

 

「ただいま戻りました」

 

「おかえり~!」

 

クロエが家に入ると、千冬の声が響いてきた。そしてその後に、

 

「「お姉ちゃんお帰り~!!」」

 

草加と千冬の子供たちが飛び出してきて、クロエに抱きついた。見た目的に小学校3年生くらいだろうか。元気の良い2人だ。

 

「ん~……?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、前に話を聞いたときは娘と息子って言ってたけど……どっちも娘じゃね?」

 

……まぁ、確かに片方。恐らく姉の方は千冬と草加の要素がバランスよく混じってる。千冬の見た目があるから女に見えるが、メチャクチャ中性的な見た目だ。髪を短くして、服の系統を男物に変えれば、性別を誤魔化せるかもしれない。

 

それに対して弟の方。見た目が完全に女。草加も千冬も顔が整っている。その部分を混ぜれば、姉の様に中性的な顔立ちになる筈なのだが……

 

「男の娘ってヤツじゃないの?」

 

しかも表情。スゴく柔らかい。草加も千冬も他人には絶対に見せない様な表情をしている。10人中10人が好きになるだろう。そして髪の毛。艶があって軟らかそうだ。動くたびに綺麗に揺れている。肌、色白で肌理細やか。一目見ただけでも柔らかくスベスベしていると予想できる。

 

「本当にアイツの子供だよな?昔の草加と全然似てないんだけど」

 

「間違いないと思うよ。昔のちーちゃんソックリだし。弟と言うよりは妹にも見えるから、間を取ってオモウトで良いんじゃない?」

 

束が何を言っているかわからない件。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロエを見ると、ここに来た目的が済んだので、境界へと帰って行った。

 

「ありがとうねぇ。久し振りに娘を見ることが出来て満足したよ」

 

「そいつは良かったな。早く家に帰るか」

 

海堂が帰ろうとすると、そこに死神君が現れた。すると、束に用事があると言って、海堂を先に家に帰らせた。

 

「で?用事って?」

 

「はい。転生に必要な書類がまとめ終わったので、それをお伝えに来ました。ですので、転生の日取りを決めようと思いまして」

 

「え?すぐに転生しなきゃダメなの?」

 

「はい。貴女の場合、本来なら死なない筈の人間まで殺してしまった。それも大量に。その事件で死んでしまった方の魂達の中には、今でも貴女を消滅させろと言う声もあります。それに……」

 

「それに?」

 

「貴女の作ったIS。そのコアには人格がある。この先彼らが進化すれば、それは新たな生命となってしまいます。しかし、新たな生命を作るのは、神にのみ許された行為。貴女はその行為に足を踏み入れてしまった。それが1部の神の間では結構な問題になっています。それ故に、裁判では確かに転生は許可されました。ですが、その行為が原因で、その判決が覆り、消滅処分になってしまう可能性もあります」

 

要するに、早く転生をする必要が生れたと言うことだ。原則として、この世界では一度決まった判決を覆すと言うことはない。覆せるのは裁判に不正などが見付かった場合のみだ。本来なら、判決が覆り、束に消滅処分が下ることはないが、神以外の者。しかも人間が神の領域に足を踏み入れるのだ。危険と判断されても仕方無いだろう。

 

「そんなことを我々死神が黙って認めることはありませんが、いつまで言ってられるか分かりません。ですので、早く決めてもらおうと思い、これを持ってきました」

 

書類を受け取ると、暗い顔をしながら海堂の家へと戻っていった。死神君はそれを見届けると、木の影に隠れていた海堂に声をかけた。

 

「行きますか?」

 

「当たり前だ。けど、俺1人じゃぁ無理だ。頼む。一緒に来てくれ」

 

「……魂を正しい場所へ導く。それが死神です。ご一緒しましょう」

 

空っぽの頭を地面に擦り付けて、自分の命と大切な友人の命を奪った人間のために、海堂は頭を下げて死神君に一緒に助けるように懇願した。死神君はそれに乗ることにした。

 

2人で束の判決を覆そうとする神の居場所に乗り込んだ。その場所では、絶賛、束の消滅に就いて話をしていた。しかも、今殺ろうと言う話にもなっている。

 

「あぁ~いたいた。ようやく見付けたよ~。神の皆さま方」

 

「こんな時間に何の用だ?人間が軽々しく神同士の会話に口を挟みおって」

 

「まぁまぁまぁ。お喋りの邪魔をしたことは謝るよ。だけどな……お宅ら、うちの束を消滅させようとか話してただろ?」

 

「それがどうした?」

 

「境界の裁判で、束は転生後に50年の監視が付けられることで転生が許可されたはずだ。それを無視して消滅っていうのは~、不味いんじゃないか?」

 

神の前だが、海堂の態度はいたって普通だ。神だからと言って特に改まった様子は全く無い。

 

「お前はその発言が不味いんじゃないのか?人間の魂風情が、神に口出しなど、烏滸がましいにも程がある」

 

「そもそも。あの女はたくさんの人間を殺している。お前もその1人だ。死んでくれと思わないのかね?」

 

「……そうだな~。確かに、死んだときは恨んださ。夢を叶えられなくて、木場には曲を聴かせてやれなくてで悔しい思いもしたさ。だがな、こっちで夢は叶えられたんだ。アイツにもいつかは曲を聴かせる。恨む理由が無くなったんだよ。あんたらはただ、自分達にしか出来ない筈の事が、アイツに出来た事が気に入らないだけだろ」

 

「……貴様、神に対してその口の聞き方は何だ?消されたいのか?」

 

「あらあら?そんなことしちゃって良いのかな~?そんなことやったら、アンタらの立場が危ないよ~?なぁ、死神のにーちゃん?」

 

「えぇ。神々の間にある絶対不変の法律。その第6条には、『罪なき魂を消滅させた神は、その全権を剥奪する』とあります。当然、共犯した神も同じです」

 

この法律はどんな神にも適応される。これにはどんな神も逆らうことが出来ない。

 

「ふん。それがどうした?お前を殺さずに、あの女だけを殺せば良い。それだけの話だ」

 

「第9条『神々の裁判で下された判決は遵守される。これを無視した神は、その全権を剥奪する』お忘れですか?これはあなた方神が作り上げた法律ですよ?」

 

「殺したきゃいつでも来い。まぁ、それなりの覚悟を決めてからな」

 

自分達の定めた法律。しかも絶対不変にして絶対遵守される物。今やこれが自分達の首を締めている。これを出されれば、頭の固い神は何も出来なくなるのだ。

 

「因みに裁判は不正の発覚が無い限り、再び審議をすることはありません。これもあなた方が決めた物です。当然、偽の不正証拠も厳罰になります。忘れたとは言わせませんよ?」

 

「つー訳で、束は殺させない。もしまた殺そうって言うなら、何か手を出そうって言うなら、こっちは黙ってないからな」

 

「当然、その場合は死神も全員そうです。正しく導く。その為ならどんな者が細工をしようとも、我々が全力で阻止します」

 

それを伝えると、海堂と死神君はその場所から出ていった。因みに、これ全部映像に残ってる。死神君が市場で買ったカメラを設置してたんだ。翌日海堂か束が消滅させられていれば、すぐに犯人がバレる。

 

「ただいま~」

 

海堂が家に帰ると、束は横になって渡された資料を読んでいた。

 

「あ、直也……どこ行ってたの?」

 

「あぁ、酒とツマミが無くなってたから、買ってきた」

 

「そう……ねぇ、直也は私の事どう思ってる?私はここにいたい。この先もずっと……でも」

 

「ずっと居たいなら居れば良いだろ。俺は気にしない。誰が何と言おうともな。気が済むまでここに居ろ」

 

「でも、私は……」

 

「死んだんだ。もう昔の事なんかどうでも良いだろ。俺にとっては、お前が居ない方が嫌だよ」

 

資料を束から取ると、丸めてゴミ箱の中に放り込んだ。海堂は束に居て欲しいのだろう。この場所に。自分の1番近くに。

 

「無理して今決めんな。のんびり考えろ。ここには時間なんて無いんだからよ」

 

「一緒に、居ても良いの?」

 

「……束、俺と一緒に居てくれ。これからも」




すみません。テンション戻らない変な状態で書いたので、本編もそれに連れて変なものになってしまいました。お詫び申し上げます。

次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告もよろしくねお願いします!!


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報告

まさかのこっちでも!?

『教えて!憲八先生!!』

今日の質問は、俺、参上!さんからです。どこの電王の赤鬼でしょうか?

「仮面ライダー・ウルトラマン・スーパー戦隊以外に、
考えてるクロスオーバー作品とかあるんですか?仮面ライダー・ウルトラマン・スーパー戦隊以外に好きな特撮作品は何ですか? 」

現段階で、仮面ライダー・ウルトラマン・スーパー戦隊以外ではクロスオーバーを考えていません。アニメに関しては知識は特撮程多くはありませんので。

仮面ライダー・ウルトラマン・スーパー戦隊以外で好きな特撮は、牙狼ですかね。あとはゴジラでしょうか。持っている知識は少ないですけどね。

ここに登録する前は、アニメとのクロスや牙狼とのクロスを考えていたんですけど、文章化は難しいので断念しました。


「海堂さんどうしたのかな~?」

 

「本当。いきなりここに呼び出すなんて」

 

「なんかやらかしたんじゃないか?アイツの事だし」

 

今日は境界に巧、真里、啓太郎、結花の4人が訪れていた。海堂に呼び出されたようだ。当然、呼び出された理由は聞いていないので、4人とも全く理由が分からない。巧に関しては、何かをやらかしたのが前提になっている。気持ちは分からなくはないが、少しくらい他の事の可能性を考えろよ。

 

「たっくん。流石にそれは無いよ……」

 

「そうですよ。問題を起こしたら、死神さんから連絡がありますから……死神さんがまだ把握してなかったら話は別ですけど」

 

何気にお前が1番酷いよ。この中だったらお前が1番海堂と付き合いが長いだろ。まぁ、海堂の為、完全に否定できない事は確かだな。と、そこに死神君が4人の前に現れた。

 

「やぁやぁ皆さんお揃いで」

 

「死神さん……海堂さんは何をやったんですか?」

 

「結花さんそれ酷いよ……」

 

来て早々にその質問をするかね?確かに海堂は見た目パーで頭が悪そうで、しかも犯罪者面だし言動も悪いから勘違いされやすいけど、優しい人だってことはお前らが1番知ってるだろ。まだ犯罪者の側には足を入れてないから。あと一歩だから。

 

「いやナレーション。お前が1番酷いよ。海堂に恨みでもあんのか?」

 

巧。そこは触れるな。特に恨みは無い。が、事実を淡々と述べただけだ。

 

「ナレーションも含め、皆さん何を勘違いしてるかは分かりませんが、彼は問題は起こしてませんよ……(神に対して来るなら来いと啖呵を切った事を抜かせばですけどね)」

 

今現在、海堂も束も消されていないため、特にあれからは何もなかった。

 

「なら良かった~。海堂さん、性格があんなんだから、てっきり神様に喧嘩でも売ったのかと思ったよ~」

 

死神君からなにも無いと聞いたが、何故か啓太郎があながち間違っていない事を言い出した。恋愛感情とかには鈍感なのに、何でこう言う事には鋭いんだろうか。

 

「……まぁ、海堂には大きな事はありませんでしたよ。それに、私も彼に呼ばれた身ですので」

 

どうやら死神君も呼ばれた身らしい。一体海堂はなんのためにこの5人を呼んだのだろうか。全くもって不可解だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、海堂の家に着いた。だが雰囲気が少し違う。まず玄関。いつもは少し散らかっており、靴は揃えられてないのがいつもの事だ。だが、今回は埃が綺麗に取られ、靴も揃えられている。それに加え、各部屋へと続く廊下。隙間にすらゴミがなく、ピカピカになっている。

 

「「「「「…………」」」」」

 

この光景に言葉を失ってしまい、1回出てしまった。そして、家の外にある表札を確認した。

 

「あってるよな。海堂の家で」

 

「あってますね。最近引っ越したとは聞いていないので」

 

「だよね。ここしか無いよね?!」

 

「一体海堂さんに何が……」

 

まぁ、ここに居ても仕方無いので、家の中に入ることにした。そして、いつもの溜り場である茶の間に行くと、また驚いた。中に海堂が居たのだが、いつものヨレヨレの服ではなく、キチンと洗濯されて、アイロンのかけられたものを着ていた。それだけではなく、常に部屋の中はギターの雑誌やカップ麺の空などで散らかっている部屋が、ちゃんと掃除されていたのだ。

 

「突っ立ってないで、座れよ」

 

「あ、あぁ」

 

巧を先頭にして、全員部屋に入り腰を下ろした。何故か海堂は落ち着かない様子で、巧達もいつもと違う海堂にソワソワしている。

 

「えぇーと……その、だな……今日は話があって皆に来てもらった。ちょっと待っててくれ」

 

そう言うと、海堂は茶の間から出ていってしまった。

 

「おい。やっぱ何か可笑しいぞ!」

 

「最近なんかあったんですか!?」

 

「最近……あ、健康診断がありました」

 

「じゃあまさか!」

 

「悪いところがあったんでしょうか?」

 

「海堂さん、料理はするけど、普段からジャンクフードばっか食べてたから……」

 

「何があっても、励ましてあげましょう。彼をこれ以上不安にさせないために……」

 

もう、体が悪くなっているのは確定らしい。もう異常の書かれた診断書を見るつもりでいる。体があるから忘れているんだろうけど、お前ら幽霊だぞ?血糖値や脂肪の付きすぎなどは無いはずだが……

 

「お待たせ。実は会って欲しい人が居るんだ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

あまりにも予想外の言葉に、全員鳩が豆鉄砲を食らったような顔になっている。が、すぐに自分を取り戻して、海堂に質問をした。

 

「結婚でもするのか?」

 

「お前らは俺の何なんだよ……と、言いたいところだが、実はそうなんだ。入ってきてくれ」

 

「は、初めまして。直也と一緒になる事になった、篠ノ之束です。よろしくお願いします」

 

あまりにも衝撃的な発言。束が居なかったら、ついに頭が逝ってしまったと思うが、目の前に本人が居るのだ。信じるしかない。しかも海堂とは釣り合わない様な美人と来た。正直言葉を失う。先程名前を聞いたので、どんな人物かは知っている。まぁ、死んでしまった今、過去の事を気にするだけ馬鹿馬鹿しいので、そこは無視している。

 

「ちょっと待って……私たち幽霊だよね?大丈夫なの?」

 

「問題はありませんが……境界で結婚するのは珍しいですね。前例はありますけど」

 

前例はあるそうだが、境界での結婚は結構珍しいらしい。まぁ教会では珍しくはないだろうがな。まぁ、そんなつまんないことはどうでも良い。式はいつ挙げるのだろうか。そこが気になるところだ。

 

「えっと……挙式はいつでしょうか?」

 

「それはまだ決めてない。何をどこで決めれば良いか分からないからな」

 

「篠ノ之さんは、式を挙げたいですか?」

 

「うん。出来ることなら。ドレスも着てみたいし……」

 

「あぁ~うん。では、色々と準備しますね」

 

その一言を言うと、死神君は海堂の家を出ていき、すぐに作業に取り掛かった。関係各所への連絡。会場の準備。その他参加者への招待状製作。それらの仕事に取り掛かったのだ。

 

「えっと……その……おめでとう?」

 

「おめでとう」

 

「おめでとう」

 

啓太郎が戸惑いながら言うと、それに続いて真里と巧が海堂と束を祝った。




もう一回座談会でも開こうかな~。前回から大分経ちましたし。参加用の活動報告も近い内に作りましょうかね。

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

あ、連載再開にあたり、ストーリーリクエストの活動報告を復活させます。よろしかったらそちらもどうぞ!

正式に海堂×束になりましたので、タグに追加します。


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家族の時間 買い物編

さぁ~てと。束とクロエに遅めのクリスマスプレゼントと行きますか。はぁ……

あ、でも時期的にはお年玉かな?クリスマスプレゼント&お年玉と言うことにしましょう笑


「では、14時間だけ現世に生き返れる様にしました。まぁ、余り長くいるとかえって別れが辛くなります。それは頭に入れておいてください」

 

とある日の早朝。死神君に呼ばれた海堂と束。この日は待ちに待ったあの日だ。現世に限定的に生き返れる日。前々から死神君に頼んでたのだ。

 

「分かってる。一通り楽しんだらすぐに戻るよ。未練残さないようにして」

 

「俺もだ。娘と半日楽しんだらすぐ戻るよ」

 

「はぁ、分かりました。では、これを」

 

渡されたのは、大量の福沢諭吉さんが入った封筒2人分と、遊園地、水族館の入場チケットだった。どっちか1つにしろよ。14時間で回れるのか?

 

「あとこれをどうぞ。一応、私が自分で回って何を使えば時間内に回れるかを書いたメモです。使って下さい」

 

「サンキューな。何から何まで」

 

「別に構いません。口座を少し軽く出来たので良かったですよ。使う予定の無い金達でしたから」

 

まさかの全部死神君のポケットマネーだった。どんだけ金持ってんだよコイツは……。

 

「この前も説明しましたが、時間が無くなっても現世に残った場合、我々死神はあなた方に消滅処置をとりますのでお忘れなく。では、現世での時間を楽しんでください」

 

死神君が死神の鎌を横に軽く振ると、空間が割れて現世と通じた。割れ目から1歩でも出れば、そこは現世だ。死神君から渡されたタイマーを腕に巻くと、2人同時に現世へと歩いていった。

 

「では、現世での一時をお楽しみ下さい」

 

そう告げると、割れ目は消えて元の風景に戻った。その後死神君は通常の監視任務に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……ここは」

 

「ちーちゃんの家の近くだね。見覚えがある」

 

出てきた場所は、束が死ぬ間際にクロエを置いていった場所だ。ここから草加の家までは、歩いて5分とかからないだろう。すぐに着く。

 

「ここだな」

 

取り敢えずチャイムを鳴らした。ここで余り時間は取りたくない。早く出てくることを願って、チャイムを鳴らす。

 

「ん?クロエ。出てきてくれ」

 

「は~い!」

 

中で千冬の声とクロエの声が聞こえた。家の中に居るようだ。声が聞こえてから30秒程で、クロエが姿を現した。

 

「あっ!?」

 

「ん?どうした?クロ……エ……ッ!?」

 

「久し振りだね。ちーちゃん。クロエ」

 

「た、束……」

 

「お、お母さん……」

 

目の前にいる束に、2人とも驚いている。当然だ。束が消滅したその時、束がクロエに託した端末では、もう自分は出てこないと言っていた。その束が目の前に居るのだ。驚くのは仕方無い。

 

「本当に、束なんだな……?」

 

「そうだよ!正真正銘、篠ノ之束だよ。あ、でも今は海堂束だけどね」

 

「名字を変えたのか?」

 

「うん。私、結婚したんだ!」

 

「「え?」」

 

予想通りの反応だ。痛々しい姿からまともな姿になったことよりも、束の口から出た結婚と言うワードの破壊力が強すぎて絶賛処理落ちしている。

 

「じゃちーちゃん。時間が無いから、クロエ連れていくね」

 

そう言って、クロエの手を引いてどこかへと連れていってしまった。

 

「14時間後には戻って来るからね~!」

 

「……相変わらず、嵐の様なヤツだ」

 

少しは弱まったけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、お母さん。結婚したって本当ですか?」

 

「うん。そうだよ。この人とね」

 

今電車に乗って移動しているが、クロエ本人はまだ信じられないようだ。まぁあの束の相手だ。それこそRPGのラスボスクラスの魔王じゃない限り務まらないだろうからな。

 

「どうも~。海堂直也だ。よろしくな」

 

「あぁ、よろしくお願いします……お父さん?」

 

「おう!」

 

この人が!?と言う事を内心で思っている。流石に少し失礼だが、クロエと海堂は今日が初対面だ。正確には座談会の時に会っているし、海堂は一足先に会っている。まぁ、今回は座談会のことは無かったことにしてくれ。

 

「えっと、今はどこに向かってるんですか?」

 

「ん~っと……」

 

死神君から貰ったメモ帳を広げ、プランの確認をする。取り敢えず今の目的は買い物だ。2人からクロエに何かを買ってあげるつもりなのだろう。

 

「次の駅で降りよう!まずはそこで買い物!その後は~……クロエ、どっち行きたい?」

 

そう言うと、ポケットから死神君に貰った遊園地のチケットと水族館のチケットを取り出し、クロエに見せた。

 

「えっと……どっちでも良いんですか?」

 

「おう。クロエの好きな方を選べ」

 

「じゃあ、水族館で!」

 

買い物の後の行き先は決まった。最初は水族館だ。メモを見ると、どちらからでも時間一杯楽しむためのルートが書かれている。用意周到過ぎて、ちょっと気持ち悪い。まぁそんな事はさて置き、最初の目的地である大型のデパートに着いた。ここには色々な物が置かれてある。食品や文房具は勿論、衣服や玩具、本、ゲーム類に機械類、楽器、スポーツ用品、自転車、植物、日曜大工の木材・道具、家具、宝石類、その他諸々。犬と猫の2種類限定だが、ペットも売ってある。相手は動物のため、売っていると言う表現が正しいのかは分からない。

 

「何を買おっかな~。迷っちゃうよ」

 

確かに、こんなにジャンルがあれば迷うのは当然だ。だが時間を食うわけには行かない。買うものは大体決まっているので、それ以外の物には目もくれず目的の物を買いに行く。

 

「まずは服だね~。クロエには何が似合うかな~?」

 

最初は定番の衣類だ。何が似合うか、と言ってと、クロエは容姿が整っている。ふざけた服で無い限り似合わないと言うことは無いと思われる。

 

白いワンピースを始め、様々な服を着せていく。完全に趣味に走る場面もあったがな。珍しい事に、ここには白衣も置いていた。束衣装と言うことで着せてみたが、無駄に似合っていた。後はサバイバルゲームに使えそうな迷彩服、○魂のゲロインが着ているチャイナ服、西部劇に出てくるガンマン風の服、とあるバレーボールマンガに出てくる高校の女子制服、和服、SPDの制服、東方キャラの服……ここコスプレ用品売ってる店だっけ?

 

「どれも似合うな」

 

「流石私達の娘!でも迷っちゃうな~」

 

「うぅ~。あんまり恥ずかしいのは嫌ですぅ!!」

 

「そっかぁ~。じゃあこれにしよう!!」

 

そう言って取り出したのは、大きめの黒猫のパーカー。フードには耳が着いているタイプで、おまけにつなぎ服タイプのパジャマも付いてくる。これもフードには猫耳が付いているタイプでつなぎ服のため、尻尾や猫の手を模した手袋も付いている。値段は34,580円。ついでに東方キャラのみょんみょん言っている半妖の服も買った。何気にこれが高い。69,860円。服だけで、合計104,440円した。税込みだ。

 

「良いんですか?こんなに高いの買って……」

 

「大丈夫大丈夫!クロエの為に一杯持ってきたんだから!楽しんで使わなくちゃ!お揃いのアクセサリーとかも欲しいな~」

 

確かに金はたくさんあるが、初っ端から飛ばしすぎな感じもする。心なしか、封筒の中の福沢さん達が汗を流しているように見える。カートに服を詰め込むと、次にアクセサリーを置いている場所へと向かう。が、その途中で海堂の得意分野の物を見つけてしまった。ギターだ。

 

「ギターまで置いてんのかよ……ちょっと寄って良いか?」

 

「うん。良いよ。まだ時間あるし」

 

「サンキュー。すいません。少し弾いてみて良いですか?」

 

「はい。構いませんよ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うと、クラシックギターを1つ手に取り、椅子に座って軽く音を整えた。

 

「お父さんってギター弾けるんですか?」

 

「弾けるなんてもんじゃないよ。なんせ、この私が彼に惚れた理由の1つだからね。ギターは」

 

音合わせも終わり、いよいよ弾き始めた。海堂の奏でる音楽を聴くと、クロエに衝撃が走った。奏でられた音楽は、穏やかな曲であるにも関わらず、強く何かが伝わってくる。

 

「スゴい……聞いているととても落ち着く曲。でも、落ち着いているけどどこかに悲しみを感じて、それでいて前へ進ませる力のある不思議な曲……」

 

「でしょ~。私も最初に直也の歌を聞いた時に同じことを思ったんだよ。いやぁ~。本当に不思議な物だね~。そこから一瞬にして好きになっちゃったんだもん」

 

顔を赤らめながらクロエにそう言う。いつのまにかたくさんの人が周りに集まっていた。海堂の奏でる音楽に引き寄せられたのだろう。曲が終わると、聞いていた人は海堂に拍手を送った。中には涙を流して感動していた人もいる。本当に力を持った曲なのだからだろう。

 

「良いギターだな。クロエも弾くか?」

 

「え?私がですか?」

 

「あぁ。時間無いから、基本的な事を少ししか教えられないけどな」

 

と言うことで、使ったギターを購入。同時にケースと教本も買って全部クロエにプレゼントした。そして今度はアクセサリーショップ。何をお揃いで買おうか悩んでいる。

 

「ん~……クロエ、どれが良い?」

 

「え?私が選ぶんですか?」

 

「だって~、私も直也もこう言うのは苦手なんだもん」

 

「え~……じゃあ、これで」

 

クロエが選んだのは、羽がモチーフのネックレスだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

画像はうp主が勢いで買ってしまったヤツだが、イメージ的にはこれだ。因みに、買ってはみたものの、なんか着ける気にならなかったので、結構な時間自室に放置していた。

 

「おお!結構良いな!」

 

「うん!そうだね!じゃあこれにしよう!!」

 

と言うことで、3つ同じものを買って早速着けてみた。特に何か特別と言う訳ではないが、無性に嬉しくなって笑顔が溢れてきた。

 

「さてと、買い物も終わったし、次は水族館に行こう!!」

 

再び電車に乗って、今度は水族館に向かう。まだ時間はある。ゆっくりして行けるだろう。因みに、カメラを購入して、クロエが様々な衣装を着ている写真を撮っていたため、境界に戻ったらアルバムが作れるだろう。




ほとんどのアニメでは、死者が現世に生き返れるのは24時間となっているので、現実的に考えて10時間ほど減らしてみました。

今更ながら、死神君の名前どうしましょうか……なんか良い名前のあるかた、ストーリーリクエストの活動報告によろしくお願いします!渾名と一緒に送ってくれるとありがたいです!

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告やその他作品もよろしくお願いします!!

そろそろ死神君の小説でも書きましょうかね。

次回 家族の時間 水族館&遊園地編。別に遊園地いらないような気がしてきた。


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家族の時間 水族館編

大分間が開きましたね……すいません。蔵王に行って1泊2日のスキー研修やったり、普通に疲れたり、ネタが浮かばなかったりと色々ありました。スキー出来なくは無いんですけど、特別好きと言う訳でもないんですよね。そもそも泊まり掛けと言うのが……。風呂は1人で入りたいんだよ!!まぁ1人で入ったんだけどね笑。温泉ではなく部屋に備え付けられてたのに。

……申し訳ない。


さてさて、間が開いてしまったので少し前回の説明をしよう。現世とあの世の境目である境界に住む海堂と束。かなり前から、娘であるクロエと現世で少しの間一緒に過ごすために、一定時間現世に蘇ることを申請。受理されて14時間限定で蘇れた。死神君の粋な計らいで、福沢諭吉が多量に入った封筒を2つ、遊園地と水族館のチケット、完璧なルートを記されたメモ帳を貰った。最初にクロエの為に買い物をした。と言っても、ほとんど2人の趣味に走られたがな。では、前回はサラッとしか書けなかった購入品の紹介をしよう。なお、前回書いていない物もあるが、気にしないでくれ。

 

・猫の耳が着いている大きめのパーカー

・ほとんど猫の着ぐるみのパジャマ

・東方キャラの庭師の服(刀付き)

・束衣装

・SPDの制服(レッドの女バージョン)

・某魔法戦隊の服(レッドの女バージョン)

・ギター

・ギターケース

・海堂の愛用していたギター入門の本

 

……何故かあの店では、やたらとコスプレの衣装が多かった気がする。しかも完成度も高く、それを使って放送されても違和感の無いレベルだ。しかもどれを着ても似合っている為、束も海堂も歯止めが効かなくなって調子に乗って着せまくった。まぁ余り恥ずかしいのは嫌だと言われて、上の6着で我慢した。

 

服を買った後は、海堂が楽器売り場を見付けたので、ギターを拝借して弾いてみた。クラシックギターの腕はプロレベルの為、弾いている内に客が集まってきた始末。……お前ら一応死人だぞ。束に関しては見付かったらアウトだ。まぁ、束の見た目は思いっきり変わっている。あの痛々しいウサギ耳は着けてないし、変な紫色の髪は元の黒色に戻している。昔からの知人、もしくは束の容姿が完全に頭に入っていない限り、気付くことは無い。

 

話がずれたが、ここではギターと海堂愛用の入門の教本を1冊。ギターケースを購入。まとめてクロエにプレゼントした。その後は再び電車に乗って、水族館へと向かっている。そこそこ時間があるので、電車の中ではクロエにギターの弾き方を教えている。電車の客がいないからな。結構空いている。が、音を出すのは迷惑なので、指の使い方等をだ。

 

そんな時間を過ごしながら、1時間弱で水族館付近の駅に到着。だが、向かっている時に問題が発生した。

 

「あ、木場」

 

「え?海堂……ん?ッ!?篠ノ之束ぇぇぇ!!!」

 

「ちょっ!?待て待て待て待て待て!!!!」

 

水族館に向かっている途中、木場と真耶に遭遇。海堂は無意識に木場と呼んでしまった。小さい声で言ったから気付かれないと思ったが、木場には聞こえた様だ。そして海堂を見付けたのだが、束の姿を見るなり物凄い勢いで走ってきた。

 

「どけ海堂!!篠ノ之束!お前、生きてたのか!!?」

 

「落ち着けって言ってんだろ!この馬鹿!!」

 

馬鹿に馬鹿と言われるとは……。今にもオーガに変身して束を無へと還してしまいそうな木場を、海堂が必死に抑えている。と言うかこのままだと海堂と木場が喧嘩に発展してしまいそうだ。だがそこに真耶がやって来た。そして、

 

「ふう~」

 

「ふにゃっ!?」

 

木場の耳に軽く息を吹き当てて、行動不能にした。完全に力が抜けたようで、地面に腰を着いてしまった。

 

「真耶!?」

 

「篠ノ之博士。どう言うことですか?あの時死んだ貴女が、何故ここに?」

 

木場が何かを言いたそうにしているが、真耶はそれを無視して束に話しかける。海堂はそんな木場を見て「うわぁ~」と言う顔をしている。まぁ確かにかつての親友がこんな状態になってるのだ。色々と気になるところがあるのだろう。

 

「篠ノ之博士って……まだ私を博士と呼ぶの?」

 

「えぇ。どんな事があろうとも、貴女はこの世界を作った人間の1人。ISを開発した偉大な人です。何があったにしろ、それは変わらない事実ですから。それより、どうしてここにいるのですか?」

 

「娘に、娘に会うために14時間限定だけど生き返らせて貰ったの。旦那も一緒に」

 

「「旦那?」」

 

話を聞いていた木場と真耶が、旦那と言う言葉に反応した。2人が首を傾げていると、ゆっくりと海堂を指差す。

 

「えええぇぇぇぇ!?海堂結婚したの!?」

 

「あぁ。色々とあってな」

 

「お前……でも……」

 

「まぁお前の言いたいことは分かる。が、安心しろ。もう束は変わったんだ。ほら見ろ。ウサギの耳も着けてないし、髪も黒になってんだろ?」

 

「「本当だ……まともになってる……」」

 

いや、まともになってるかの基準はそこかよ。まぁ海堂のふざけた説明に納得して、木場も収まってくれた。そして時間もここで少し消費してしまった為、死神君から貰ったメモ帳を開いて再確認。

 

「ん?」

 

「直也どうしたの?」

 

「いや。ここ」

 

そう言って海堂が指差したメモ帳の1文に「木場勇治、木場真耶の2人に会った場合は、行動を共にするとお得になる」と書かれていた。……死神君の用意周到さが少し気持ち悪い。

 

「なんの事だかさっぱり分からんが、取り敢えず木場たちも一緒に行くぞ」

 

「え?なんで?」

 

「良いだろうが。久々に行こうぜ。どうせお前らもこの先の水族館だろ?」

 

「確かにそうだけど……」

 

「良いですね!私は賛成です!勇治さんもそうしましょうよ!!」

 

結局、真耶に丸め込まれて一緒に行動することに。真耶はスゴく楽しそうだが、海堂と束、木場は複雑そうな顔をしており、クロエは「何ごと?」と言うような表情をしている。まぁそんな事はさておき、ようやく水族館に着いた。入場時、4人以上だったので買い物時に使える500円割引券を人数分貰った。

 

「うぉぉぉぉ!綺麗~」

 

「本当ですね~」

 

「はい!アッ!お母さん!見て下さい!ジンベイザメ!!」

 

「おぉぉ~!おっきい!」

 

女性陣はスゴくはしゃいでいた。木場と海堂はそれを遠くから眺めている。眺めながら、今のお互いの事を話していた。

 

「結婚生活、順調みたいだな」

 

「うん。怖いくらいにね」

 

海堂の言葉に、そう答える木場。人間は幸せを感じすぎると、幸せに鈍くなってしまう。木場もそんな時期に入っているためか、自信無さげに答えたのだろう。まぁ端から見たらマジで順調だがな。あれで不安になる理由が分からない。

 

「何で不安になってんだよ。普通お前じゃなくて相手がなるもんだろ」

 

確かに。海堂の言う通り、長く続く結婚生活に不安を覚えるのは、男性よりも女性の方だ。木場は珍しいパターンだな。まぁ何事にも例外はあるわけだから、一概に珍しいとは言えない。

 

「ハハ。でもお前こそ、何で篠ノ之束と?」

 

「さぁな。何か他人な気がしなかったし、放っておけなくてな」

 

「ふ~ん。過去が自分と似ているからかもな」

 

「あぁ。多分な」

 

確かに。海堂も束も、自分の夢を達成出来なかったと言う点では似ている。そして、その夢の自分にとっての大きさも。叶えられずに死んでしまったと言うのも似ている気がする。

 

「あっちでの生活はどうなの?」

 

「悠々自適に過ごしてるよ。たまにだけど、ギター使って演奏してる。毎日楽しく面白おかしく生きてるよ」

 

生きている、と言う表現は正しいかは分からないが、それを聞いて木場は何かに安心したようだ。木場は海堂の事を昔から知ってるからな。少し心配になってしまったのだろう。

 

「そう言えば、新曲。聞いてないな。完成したの?」

 

「そういや~そうだったな~。よし!今弾くか?」

 

「え?今?」

 

マジで?みたいな顔をしている木場を他所に、クロエを呼んでギターを借りた。今は人が少ないため、デパートの様にギャラリーが集まる事は無いだろう。

 

「じゃ、耳の穴かっぽじってよく聴けよ。今だけ限定の特別公演だ!」

 

木場は少し焦っている。絶対に人が集まってくると思ったからだ。確かに、少ないけど人はチラホラいる。人が集まったら面倒なことになる。そう思っての焦りなのだろうが、海堂が弾き始めても人は集まらなかった。

 

まぁ当然だ。なんせ、海堂の弾いている曲は、この水族館と言う空間では驚くほど違和感の無い曲。全員放送か何かだと思っているのだろう。海堂の妻である束ですら気づかないレベルだ。

 

「スゴい……」

 

小さく呟くと、その後は何も言わずに黙って隣で聴き続けた。約3分程だろうか。海堂の曲は静かに終わりを迎えた。

 

「あれ?放送止まった?」

 

「えぇ~……もっと聴きたかったな~」

 

「ん?放送器具の不調か?」

 

客たちが少しザワザワしている。係員も普通に流れている放送だと思っていたようで、無線を使って確認するように言っている。

 

「ふぅ。まぁこんな感じだ……ん?なに泣いてんだ?お前……」

 

反応の無い木場を見ると、何故か号泣していた。滝の様に涙を流している。

 

「や、やっと……やっと聴けた……お前の、聴きたかった曲を。やっと、やっと!」

 

「うわっ!?」

 

「ありがとう……ありがとう!!」

 

「いててて!!抱きつくな!おまっ!ギター!ギター巻き込んでる!いててて!!!」

 

感激の余りか、海堂に抱き付いてしまった。結構な強さで抱き付いたのか、ギターが海堂の体にめり込む。結構めり込んでおり、海堂の体は悲鳴をあげている。

 

……少し力を考えろよ。

 

「お父さん……」

 

「勇治さん。浮気ですか?」

 

「直也……女なら兎も角、相手が男なんて……」

 

「え?ちょっと待って……え?」

 

「うぅ……海堂ぉぉぉ!!」

 

「おめーは離れろ!!!」

 

結局、海堂はボコられた。束と真耶の2人に。かなりボコボコにされている。アニメみたいに目に青アザができている。それに服も所々裂けている。酷くやられたもんだな。

 

「これ俺が悪いのか?」

 

「ふん!私がいるのに、直也が別の人とイチャつくからだもん!!」

 

「海堂さんが私の勇治さんと抱き合うからです!」

 

「抱き合ってねーよ!!大体、何で俺様が男なんかと抱き合わないと―」

 

「は?」

 

何故か真耶に睨まれた。とんでもない眼力で、蛇に睨まれた蛙の様に、海堂は固まってしまった。……お前蛇だろ。まぁそんなふざけたツッコミは置いといて、館内にあるものを見終わった一行が向かった先は、屋外で行われているイルカショー。始まる20分前だと言うのに、もうほとんどの席が埋まっていた。が、運の良いことに1番良くショーの見れる席(最前席)が人数分開いていた。

 

「イルカショー楽しみだね~!」

 

「うん。まぁ楽しみではあるんだけど……」

 

「ここ、水被りそう……」

 

海堂と木場が揃ってそんなことを気にしていた。まぁ荷物はコインロッカーに入れてるし、ギターに関しては防水加工付きのケースに入っている。荷物が濡れる問題はない。

 

「そんな事、気にしなくても良いじゃないですか~」

 

「そうだよ。服なんかいくらでも乾くんだし」

 

なんなら売店で買えばいい。この水族館限定デザインのシャツやズボン、パーカーが売られている。まぁ席はもう変えられないので、ここで大人しく見るしか無いがな。そんなこんなで、イルカショーがスタートした。うp主はイルカショーなんか見たこと無いので、内容は省略させてもらう。が、その間の海堂ご一行の様子を。

 

「スゴい!あんなに高く飛ぶなんて!お母さん写真撮りました?」

 

「うんうん!撮ってるよ!」

 

クロエのをな。イルカ撮れよ。イルカを。

 

「うわぁ!?こんな近くまで来るんだ!」

 

「イルカって意外と大きいんですね~」

 

ステージがデカイからな。ショーが出来る範囲もかなりの物なのだろう。だが、そのときだった。

 

「帽子邪魔だな」

 

海堂が帽子を頭から取ったとき、いつもの癖で頭の上で腕を振ったのだ。すると、イルカが飛べの合図と勘違いしてしまい、目の前で大きく跳ねてしまった。

 

「うわっ!?」

 

「キャッ!?」

 

目の前で跳ねられたので、大量の水をぶっかけられた。イルカショー終了後、全員で仲良く服を買うことになってしまった。

 

「あ~……まさかここの従業員みたいな格好をするとは……」

 

「海堂があそこで手を挙げるからだろ……」

 

あれはもうマジで海堂のタイミングが悪かった。それしか言いようが無い。でだ、水族館でやることは全部終わった。問題はこのあと。時間的に、遊園地まで行く時間はない。どこかで時間をロスしたと言うわけではない。単に本人たちがのんびり楽しむつもりだったからだ。

 

「クロエ。遊園地行きたい?」

 

「いえ。今日は十分楽しみました。これ以上は……」

 

欲が出てしまう。そう言いたいのだろう。束も海堂も、クロエが言いたいことが何と無く分かったのか、余り詳しくは何も言わなかった。

 

「そっか。じゃあ最後にご飯でも食べに行こうか!お金はまだまだ余ってるし!」

 

「お!良いな!木場たちも来いよ!また何かの割引券貰えるかも知れないからよ」

 

「良いのか?」

 

「おう!まだまだ諭吉さんは一杯いるからな!俺達2人の奢りだ!」

 

「本当ですか!?でしたら是非お願いします!!」

 

奢りと言う言葉に釣られ、真耶は承諾。そのまま食事まで一緒にすることになった。まだ封筒の中には諭吉さんは沢山いるので、少し良いところに行こうと言う話になったのだが、束がこの近くに良い店があると言って、そこに向かうことになった。

 

「うん。まぁ予想はしてたんだけどさ……」

 

「水族館の後にここは流石に……」

 

5人がやって来たこの場所。まぁ予想された方もいるだろうが一応言っておこう。寿司屋だ。男2人は色々と気にしているが、女3人は全く気にしておらず、普通にバリバリ食べている。どこにでもある回転寿司のチェーン店だ。特に珍しいものは何も無いはずなのだが……

 

「ん?ふはりははべないの?」

 

「食ってから言えよ……」

 

海堂にそう言われると、茶で無理矢理口に入ってたものを胃袋へ流し込み、改めて言った。

 

「ゴクッ!2人は食べないの?」

 

「あぁ……うん。食べるよ?ただその……」

 

「木場。言うだけ無駄だ。食うぞ」

 

海堂はどうでも良くなって、自分もあるだけ食べることにした。木場もそれを見て自分も食べた。不思議なことに、1つ口に入れると特に気にならなくなった。

 

~1時間後~

 

「いやぁ~……食べた食べた」

 

「もう入らない……」

 

アニメの様に膨れている腹を擦りながら、満足そうにしている。最初は色々と抵抗していた海堂だったが、今は束と同じ状態になっている。木場、真耶、クロエは膨らんではいないが、満足そうだ。

 

ピピピ!ピピピ!

 

「ん?あ、そろそろ帰ろうか」

 

どうやら帰らなくてはならない時間になったようだ。早くクロエを家まで送らなくてはならない。電車に乗って草加の家まで急いだ。木場たちも同じ方向なので、一緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「到~着!」

 

帰りはさほど時間はかからなかった。束はクロエを家に入れる前に、これからしばらく会えないため後悔しないようにと、抱き付いて頬擦りをしている。

 

「木場。ちょっと良いか?」

 

「ん?」

 

まだ少し時間がかかりそうだったので、海堂が木場を連れて少し離れた場所へと向かった。

 

「なに?」

 

「ちょっと頼みがあってな。……木場、お前は自分の守りたいものはちゃんと守れよ。絶対にな」

 

「ッ!?……てっきり、娘を守ってくれ。とか言われると思ったんだがな」

 

「馬鹿か?アイツは誰かに守られなきゃダメな程、弱くねーよ。お前は何かと無茶するからな」

 

「ウッ……って!お前だってあの時とんでもない無茶しただろ!!」

 

あの時とは、白騎士事件の事だろう。確かに、あれはとんでもない無茶だ。木場の命を助けるために、自分の命を捨てたのだから。

 

「まぁ、お前はこっちで頑張れよ。あと、しばらくこっちには来んなよ。まだ束と2人で色々やりたいからな」

 

「はぁ……分かったよ。お前が決めたんなら、あの人は人の心を取り戻したんだ。もう怪物じゃない。しっかり面倒みなよ?」

 

「分かってるって。じゃ、俺達はこれで」

 

そう言い残すと、束と海堂はゆっくりと消えていった。笑いながら3人に手を振って。




ようやく書けた……結構間が空いてすいませんでした!

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!


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短編集 その5
キャラ紹介


「俺キャラ紹介出してないな」と言うことになって、今更ながら書くことにしました。

感想欄、活動報告、うp主がここで言っている意味不明な言葉の紹介も入ります。

紹介の順番は特に法則はありません。キャラが多くなってからの紹介のため、うp主が思い出した順に書いています。もしかしたら忘れているキャラも居るかもしれません。説明していない言葉もあるかもしれません。その時は感想欄にてお知らせください。

未登場のキャラ、出番の少ないキャラの説明は省かせて貰いました。


―キャラクター達―

 

○織斑一夏(おりむら いちか)

世界で初めて発見された男性IS操縦者。3代目仮面ライダーファイズ。どんなことがあっても己の道を突き進み、他人には絶対に流されない。ぶっきら棒で無頓着、無愛想。専用機の受け取りを拒否して雪片を破壊する。

一見すると人助けをしないような感じだが、根は優しいため、放って置くことが出来ずに助けてしまう。良い例がデュノアの件だ。

最初はファイズギアとデルタギアを併用していたが、デルタギアはほとんど使っていない。

学園卒業後に免許を取得して『お食事処織斑』を経営。交際していた本音と結婚して息子を授かる。一度死にかけるが、大切な人と場所を守るために世界を救う。灰になりかけたが、村上によって救われ、今も生きている。

 

○織斑本音(おりむら ほんね)旧姓 布仏

一夏を側から支え、一緒に歩む一夏の妻。学園卒業後に結婚して一夏と一緒に店を経営。家柄もあってか、非常事態でも動くことが出来る。

戦闘能力も非常に高く、学園時代はISの戦闘で常に上位にいた。使用する機体は打鉄。因みにまだ戦闘シーンは書いていない。

 

○草加雅人(くさか まさと)

スマートブレイン社員。ライダーズギア使用者第2号にして仮面ライダーカイザ。デルタギアの最初の使用者でもある。戦闘能力が恐ろしく高く、どんな状況にも対応できる戦闘スタイルを取る。

過去には1人でテロリストを撃滅。その後千冬と交際を開始。その後に長い交際を経て結婚。2人の子供を授かる。

 

○木場勇治(きば ゆうじ)

2代目仮面ライダーファイズ。オーガギアの使用者。スマートブレインではライダーズギア使用者第3号。剣を使った戦い方をよくする。白騎士事件で親友を失い、全てを公開すると言うと、国から命を狙われるはめに。公安の人間に殺されかけた時、村上に助けられスマートブレインの仮面ライダーになる。

臨海学校の件以降、真耶と関わりを持つことになり、恋人と言う関係に発展。だが、真耶の前だとヒロインになってしまう。たまに自分から襲われるのを求めている節がある。カッコいい木場はいつになったら見られるのやら。

 

○草加千冬(くさか ちふゆ)旧姓 織斑

一夏の姉にして、世界最強ブリュンヒルデの称号を持つ元IS学園教師。現在は結婚して、草加の姓を名乗っている。2人の子供の母親で、子供たちが小学校に入った頃に、束からクロエを託される。

男になったときは、それをいかして色々と楽しんでいる。

 

○木場真耶(きば まや)旧姓 山田

IS学園の副担任。千冬の教師引退後、担任になりIS学園の生徒たちを育てている。鈴がIS学園の教師になると、2人でタッグを組んで教育をする。ISの操縦レベルは歴代最強レベル。

木場と関わりを持つことになり、恋人と言う関係に発展。その後結婚。娘を出産し育てている。木場と2人でいると、ついつい襲いたくなる衝動に駆られるらしい。今では1日平均2回程度で落ち着いているが、昔は1日平均5回程だった。

 

○村上峽児(むらかみ きょうじ)

スマートブレインの社長。ライダーズギア使用者第1号。初代仮面ライダーファイズ。ISが出た当初は、変わる戦争やテロを根絶するためにライダーズギアを使用。白騎士事件を公開しようとして命を狙われているものを救うために運用。木場を助けたあとにファイズギアを託して前線から退いた。が、今でもたまに先頭に出て闘うことがある。その場合はデルタギアを使用。

 

○凰鈴音(ファン リンイン)

元中国の代表候補生。ISの操作技術が高く、国家代表にと声をかけられたが、それを全て蹴ってIS学園の教師となるために勉強。見事夢であったIS学園の教師になることが出来た。

甲龍は現在も鈴の専用機となっている。理由は、完全に甲龍のコアが鈴以外にリミッターをかけてしまうようになったからだ。他の操縦者が使うと性能が著しく落ちる。現在恋人募集中。誰か鈴の恋人になりませんか?

 

○セシリア・オルコット

現在イギリスの国家代表として活躍中。そろそろ再登場予定。

 

○シャルロット・デュノア

現在フランスの国家代表として活躍中。こちらもそろそろ再登場予定。

 

○ラウラ・ボーデヴィッヒ

IS学園卒業後は軍人の仕事を全うする。現在は少佐から大佐へと昇格。ドイツのライオトルーパー部隊隊長と現在交際中。そろそろ再登場予定。

 

○布仏・A・バジン 本名 オートバジン

町で虚と出会ってから交際。布仏家に婿として嫁ぐ。家事、育児、戦闘と何でもこなせる万能なロボット。村上の改造によって、人間の姿を手に入れる。非常にクールな性格で、余計なことは全く言わない。

戦うときは、バトルモードのパーツをISの様にまとったり、完全にバトルモードになってから敵と戦う。

 

○布仏虚(ぬのぼとけ うつほ)

バジンの妻。勉強と料理が得意。元々整備課の生徒のため、機械弄りをよくする。バイクの免許を取得してからは、休日にバジンと一緒にバイクの手入れをする。

 

○サイドバッシャー

草加の乗るサイドカー付きのバイク。巨大なロボットになっての戦闘が可能で、火力と機動力が高い。人型になることができ、村上に改造されてからは子育ての助けをするようになる。

 

○ジェットスライガー

一音がよく乗る専用ビークル。飛行が可能な超高火力型。有無を言わさずに相手を粉々に砕いてしまう。人型も存在するが、スライガー本人は落ち着かないので、なることは少ない。専ら馬の状態だ。

 

○乾巧(いぬい たくみ)

白騎士事件の被害者。性格、見た目はファイズ本編まんま。恋人なし。

 

○園田真里(そのだ まり)

白騎士事件の被害者。性格、見た目はファイズ本編まんま。恋人なし。

 

○菊池啓太郎(きくち けいたろう)

白騎士事件の被害者。性格、見た目はファイズ本編まんま。現在は長田結花と交際中。

 

○海堂直也(かいどう なおや)

白騎士事件の被害者。性格、見た目はファイズ本編まんま。死んでからは境界で自身の曲を演奏して、自分の弾く曲を沢山の人に聴かせると言う夢を叶える。その後流れ着いた束と行動を共にし、めでたく結婚することになった。

○海堂束(かいどう たばね)旧姓 篠ノ之

ISの開発者。世界に絶望し破壊する事を決意。白騎士事件を起こす。多くの犠牲を払うことになるが、ISの存在を世界に知らしめることになった。だが、宇宙開発ではなく戦闘用として運用されることに。自分が幸せになれる世界を作るために、一度全てを敵に回す。

最期にクロエを助けだし、自分の娘と言い名前を与え、消滅する。オルフェノクではないが、この小説では1番多く死と復活を繰り返す。

境界で海堂と出会い、彼の人柄に触れることで次第に好きになり、結婚することに。

死んでからは性格が変わってしまったのか、なんか普通に可愛くなってしまった。

 

○篠ノ之箒(しののの ほうき)

今作アンチ扱い。木場に一度殺されるが、紅椿に束が仕込んでいたシステムにデータが残り一度復活。一夏を自分の物にするために、画策するも、この世界に来ていた門矢士の手によって、完全に消滅することとなる。

 

○織斑一音(おりむら いちね)

新生IS学園の生徒。一音が入学するころには共学になっており、IS学園でも男子生徒が居るようになった。コアにかけられたロックが外れて来ているため、女以外にも使用することが可能になる。

デルタギアを使用しており、デルタの正式な使用者となる。一夏達には及ばないにしろ、高い戦闘能力を持っている。一夏に似て無愛想。ただし身長は本音に似てしまったのか小さい。

 

○織斑マドカ(おりむら まどか)

千冬、一夏の妹に当たる存在。クローンであるため、本当の自分と言う存在になるため、一夏に強い憎悪を抱き、木場を襲ってオーガギアを奪取。オーガに変身して一夏と戦う。が、負けてしまい、今ではスマートブレインの仮面ライダーとして自分のなりたい自分になるために動いている。サイガギアの正式な使用者となる。

 

○門矢士(かどや つかさ)

世界の破壊者こと仮面ライダーディケイドに変身する青年。世界を旅しており、その過程でこの世界に来た。自信過剰な俺様キャラ。世界を旅している経験からか、様々な事をそつなくこなす。

 

○海東大樹(かいとう だいき)

トレジャーハンターで、世界中の宝を探して旅を続けている。士の行く先々に現れるゆえ、士とは離れられない関係の様だ。

 

○長田結花(おさだ ゆか)

白騎士事件の被害者。性格、見た目はファイズ本編まんま。現在啓太郎と交際中。そろそろ結婚したいと考えている。

 

○篠ノ之クロエ(しののの くろえ)

束の娘。元々はドイツ軍の科学者によって産み出された初期型の試験管ベビー。廃棄される寸前に逃げ出し、しばらくの間ひっそりと生き抜く。束に助けられ、愛情と名前を与えられる。篠ノ之と言う苗字のため、多少不便はあるが、この名前は誇りに思っている。現在は千冬の家で世話になっている。

 

○中馬先生(ちゅうま)

IS学園の科学教師。趣味で訳の分かんない薬を作り出すことが何度もある。性別の変わる薬や、幼くなる薬、精神を入れ換える薬など、滅茶苦茶価値の高い薬を作ることが度々ある。漫画の単行本程のサイズのピルケースにどれ程の価値が付くことやら。性別は女。

 

○死神君

うp主が考えていたオリジナル小説の主人公。死者の魂を正しい場所へと導く存在。名前が無いため死神君も総称しています。設定を思い出したので、今回使用しました。この小説は出そうか迷っています。

 

○うp主

この小説ではナレーションをしています。そろそろ就職し、働くことに不安を抱えている学生です。1日の大半を小説などに消費しています。

平常の時の頭の中は平凡な感じ。疲れているときは、たまにクロトが降りてきます。どっかの後書きか前書きで何回か出てきたかと思います。

 

―意味不明な言葉等―

 

○真耶堕ち

意味、真耶に完全に堕ちてる木場の事を言います。こうなると、木場は真耶に逆らうことが出来ません。

 

○真耶欲し

意味、真耶と3日以上離れてしまい、真耶を求めるゾンビになってしまった木場の事を言います。

 

○真耶補充

意味、無意識に真耶に甘えてしまう木場の事。

 

○ポンコツ

意味、一夏、草加、木場が一定期間それぞれの恋人に接触できず、仕事に支障をきたす3人の事を言います。

 

○フォトンブラッド

意味、スマートブレインの村上が作り出した新エネルギー。仮面ライダーのエネルギー源として使われる。

 

○スマートブレイン

意味、仮面ライダーを作り出した大企業。社員への待遇が滅茶苦茶良い。

 

○トリック オア トリート

意味、木場がハロウィーンの時に真耶から1番言われたくない言葉。しばらく辛い日々。




今日はここまで!次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

座談会への参加、質問もしばらくの間受け付けています。参加条件は何もありません。軽い気持ちで参加してください!参加はしないが、質問はある。と言う方は座談会用の活動報告にどうぞ!座談会当日にお答えします!


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大人になるとクリスマス会も忘年会も一緒にやって一気に終わらせたくなる

後1カ月で時期だと言うのに、何をやっているんだろうか……

あ、クロエがくる前の話です。

今の頭の状態、ヤバいレベル2.5(最大3)慣れないことをやった結果……何があったかは、うp主の投稿小説を見てください。



12月25日。世で言うクリスマス当日だ。だが、歳を取るごとにそんなのどうでも良くなってくる。かく言ううp主も、高校3年にしてクリスマスはおろか、ハロウィンと元日を含めるその他イベントがどうでも良くなってくる。そんな日にはしゃぐのは、子供や幼い子供を持つ大人くらいの物だろう。その為、両方の特性を併せ持つ草加夫婦は当然はしゃぐ。

 

「「メリークリスマス!!」」

 

「……何故毎年俺の店で……」

 

「まぁ、忘年会も一緒にやってるから……」

 

ガチガチにサンタの格好で、草加と千冬が全身を固めてきている。トナカイはどうした?あ、子供2人か。因みに参加者は無理矢理入れられてるのも合わせて、草加夫婦とその子供2人、木場、一夏、本音だ。因みに、この日はクリスマスと言えども平日だ。一音と真耶はIS学園にいる。一音は兎も角、真耶は普通にテンションが下がっている様だ。

 

「木場は珍しく1人なんだな」

 

「真耶は今日仕事だからね。ケーキとか作って、明日楽しもうと思ってるよ」

 

木場の女子力は右肩上がりだ。1人暮しが長かったからなのも理由だろうが、真耶の仕事柄、家事は木場がやった方が効率が良いのだろう。

 

「あ!一夏、プレゼント持ってきたぞ!本音の分も」

 

そう言われると、草加と千冬からプレゼントを渡された。本音の分もあるが、大きさが結構ある。一体何をブチ込んで来たのだろうか……

 

「あ、俺もあるよ。はい」

 

「あぁ。サンキュー」

 

「ありがとうね~」

 

貰ったものにはお返しをしなくてはならない。一夏もプレゼントを取り出し、全員にあげた。

 

「じゃあ一気に開封しよう!」

 

千冬が案外乗り気だ。そう言えば、最近千冬はこう言ったイベントに対してノリが良い。草加のお陰なのか純粋に元から好きだったのか。それは分からない。

 

「じゃあせーの」

 

同時に開封した。では簡単に何をそれぞれにプレゼントしたのかを簡単に書いてみよう。

 

一夏→草加 ハンカチ

一夏→千冬 包丁

一夏→子供2人 クッキーの詰合せ

一夏→木場 何かの御守り

一夏→本音 手作りお菓子詰合せ

 

「何故このチョイス!?」

 

「いや、姉貴は料理するし必要だろ。木場は流石に御守りを持っておくべきだし、子供には手軽にクッキーで良いだろ」

 

「じゃあ何で俺ハンカチ!?」

 

「なんと無く」

 

ハンカチの贈り物は、場合として手切れ、別れ、拒絶を意味することもある。まぁそれを知った上でのツッコミだろう。

 

本音→全員にぬいぐるみ

 

まぁ本音らしい。結構大きいものもあるがな。最近1番クジやってたマ○オのデカイクッション等もある。これに関しては全員何も言わない。

 

草加→一夏 ピッキング道具一式

草加→本音 お菓子詰合せ

草加→木場 素振り用の木刀

草加→千冬 ネックレス

 

まぁ常識の範疇だ。と言うか、本音はまた菓子の詰合せか。どんだけ菓子のイメージが強いんだよ……

 

千冬→一夏 包丁全種(手作り)

千冬→本音 服

千冬→木場 ブレスレット(魔除け)

千冬→草加 マフラー

 

「この包丁は一体どこで……?」

 

「あぁ。知り合いに鍛治屋が居てな。1ヶ月間手伝いをする代わりに、打たせてもらった。日本刀と同じ製法で打ったから、切れ味は保証するぞ」

 

切れ味に関しては、刀身の輝きや波紋の均一さを見れば大体分かる。日本刀と同じと言うことは、中に硬い鉄の芯が入っており、周りを柔らかい鋼等が覆っていると言うことだろうか?なんちゅう高価な物をプレゼントにしているのだろうか……

 

「あ、ちゃんと砂鉄からやったぞ」

 

「どんな気遣いだよ……」

 

では最後に木場のプレゼントに行こう。

 

木場→一夏 バジンの修理道具一式

木場→本音 ハマってるアニメのBlu-rayBox

木場→草加 運動用の重り

木場→千冬 ブルーライトカットのメガネ

木場→子供2人 子供服(着ぐるみタイプ)

 

「この重りいくらした?」

 

「うん?ネットで7000円くらい?」

 

「かけすぎだろ……」

 

恐らく、この中で1番木場がプレゼントに金をかけてるかもしれない。だが、ここで一夏があることに気付いた。

 

「木場……山田先生にプレゼントは無いのか?」

 

「え?持ってきてないけど」

 

「あぁ……」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

『Awakening』

 

何故かファイズブラスターに変身した。すると、何か大きい袋とリボンを持ってきた。

 

「え?待って。なにそれ……」

 

「まぁ受け入れろ」

 

「何を!?ちょっ!やめ!!ギャアァァァァ!!」

 

木場の口を縛ると、持ってきた袋の中に木場を詰め込んで、綺麗にリボンで飾りを付けた。何か袋の中でガサゴソ動いている。そしてそれを担いで、店を出ていこうとした。

 

「草加、バッシャーのサイドカー借りるぞ」

 

「あぁ。分かった」

 

バッシャーからサイドカーを外して、更にスライガーを馬の状態にしてサイドカーと繋げた。

 

「スライガー、IS学園まで頼む」

 

一夏がスライガーに頼むと、エンジンの様な声を上げて、一夏の頼んだIS学園まで運ぼうとした。

 

「あ、ちょっと待ってくれ」

 

出発しようとしたスライガーに少し待ってもらって、一夏は一旦店に戻っていった。そして20分程してからだろうか、大量の料理を持ってきた。そして頭の上には草加から借りたサンタの帽子を被っている。

 

「待たせたな。出発するぞ」

 

サイドカーに座って、やっと出発した。その様子を残った皆は店の中から見ていた。草加の子供達はそれを見て喜んでいる。

 

「さんた~!」

 

「さんたさんた~!!」

 

まぁ、色々と違うところはあるがクリスマスカラーであることに間違いはない。と言うか端から見れば完全にサンタだ。そして空を飛ぶこと数十分。IS学園の上空に着いた。よく空自のレーダーに引っ掛からなかったな。引っ掛かったらアウトだけど。

 

そして、一音と真耶の部屋を探した。最初に見付けたのは一音の部屋だ。スライガーから降りると、一音の部屋に近付いていく。当然鍵は持っていない。その為、さっき草加から貰ったピッキング道具一式を使って鍵を開けた。部屋の机に料理を置いて、出ていった。勿論鍵は掛け直す。

 

「さてと……次は山田先生の部屋だな。あ、あった」

 

意外と近かった。木場を持ってきておいて良かった。だが、さっきから大人しかったので、少し不安になり、中を確認してみた。

 

「……一応起きてるか」

 

気を失いかけていた様だ。まぁスライガーに結構なスピードを出して貰ったからな。生身ではキツかったのだろう。一音の部屋と同様に、ピッキングで鍵を開けて部屋に入り、真耶のベッドの上に木場を袋ごと置いていった。帰りも同様に鍵をかけてだ。

 

「仕事も終わったし帰るぞ~」

 

再びバッシャーのサイドカーに乗って、店に戻っていった。次の日、サンタが空を飛んでいたことがネットニュースになったのは言うまでも無いだろう。

 

「ん?何だろう……?」

 

その後、真耶が部屋に帰ってきたが、袋がすぐに目に入った。まぁ当然だろう。警戒しながら、袋を開けると、中には縛られた状態の木場が入っていた。

 

「勇治さん……」

 

「んー!んー!」

 

取り敢えず袋から出してあげた。拘束は解いていないがな。木場を袋から出すと、中から紙が出てきた。

 

『イチカクロースからのプレゼント』

 

「あぁ~成る程……じゃあありがたく頂きましょうか」

 

これ以上は本編では語れません。




次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

座談会は来月にでも出そうと思います。まだ参加は受け付けていますので、参加よろしくお願いします!


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新世代の国家代表

今日はしばらく出番、と言うか本編始まってから殆ど活躍してなかった専用機持ちの人達、主には最近出てきていなかったオルコット、デュノア、ラウラの登場です。


モンド・グロッソ。ISの操縦者なら誰もが夢見るIS競技の世界大会。織斑千冬が初優勝を飾りブリュンヒルデ、世界最強の座を手にした大会だ。そして、その大会は今年で10回目を迎えることになった。

 

ISの兵器運用が禁じられてからと言うもの、ISの進歩は少し衰えた。だが、この大会は様々なIS関係者に大会だけは毎年行って欲しいと言うことになり、この大会に限り武器の無制限使用と武器開発が許可されている。

 

「各員聞こえるか?」

 

『問題ありません』

 

「よし。今日の大会は、絶対に怪しい者を通すな。8年前の様な事件は起こさないように細心の注意を払え」

 

『了解』

 

モンド・グロッソの会場の正面入り口。と言うか入り口はここしかない。そこに立っているのは、銀髪の長い髪の毛と赤い瞳、そして、左目に付けられている黒い眼帯。ドイツ軍のIS部隊隊長のラウラ・ボーデヴィッヒだ。今年の会場は、8年前一夏が誘拐された2回目と同様に、ドイツで行われているようだ。

 

だが、妙にラウラは気合いが入っている。昇進してから初の大仕事だからだろうか。はたまたスマートブレインが世界各国に配置したライダー部隊との共同作戦なのだからだろうか。それとも……

 

「大佐~!」

 

「ッ!?こらパトリック!持ち場を離れるな!!」

 

「ガフッ!!」

 

今ラウラに蹴り飛ばされた赤髪のこの男は、今日ここでドイツ軍と共同で動いているドイツのライダー部隊隊長だ。名前はパトリック・コーラサワーだ。どこの人かは分かる人は分かる。かなりのお調子者で、元軍関係の人間だったとか。まぁ真偽は定かではない。

 

「何故持ち場を離れたのか説明して貰おうか?コーラサワー」

 

「ちょっと、ファーストネームで呼んでくださいよ!地味に傷付くんですから~!」

 

「さっさと答えろ」

 

「おっと。これ以上はボケられないか……。大佐に会いに来ただけですよ。ただそれだけです!」

 

「なっ!?///お前は!!」

 

『あぁ~。またいつもの始まったか』

 

『この光景に最近慣れてきましたね~……』

 

『枯れてきてんのかね~』

 

『まぁ2人の関係だし仕方ないでしょう』

 

パトリックの発言にラウラは顔をリンゴの様に真っ赤に染めて、照れ隠しのつもりなのだろうかナイフを取り出して構えている。部下たちの会話から大体予想できるだろうが、現在2人は交際中だ。ラウラはいつもパトリックのペースに持っていかれるがな。大体いつもあんな感じだ。パトリックがラウラを赤面させ、ラウラが照れ隠しでパトリックを攻撃する。いつもの光景で、全員慣れている。

 

「早く持ち場に戻れ!」

 

「大丈夫です!俺の部下を置いてきたので!」

 

「大丈夫な訳―」

 

『あ、大佐。パトリック隊長となら大丈夫ですよね?』

 

『正面はお2人でお願いします。我々は全体の警備に当たりますので』

 

大体、黒ウサギ隊とライダー部隊が一緒に仕事をするとこの流れなので、全員冷静に対処してくれる。それに、この2人の実力は部下である彼等彼女等が1番知っている。その為、安心してここを任せられるのだ。

 

「全く……お前たちと共同で動くといつもこれだ」

 

「何ででしょうね~ハハハハ!」

 

何ででしょうね~……(うp主も枯れてきたのかな~)結局2人で正面の警備をしている。が、全く滞りなく行われている。そもそも不審者なんてそうそう来ないからな。

 

「ん……」

 

「どうした?」

 

「……ちょっとそこの貴方。止まってください。所持品検査を行います」

 

突然歩き出し、1人の男性の前に止まった。そして、所持品の検査を始めようとした。だが、男はそれを渋っている。それで確信したのだろう。無理矢理持っている鞄を奪って中身を確認した。

 

「ビンゴ!同行願います」

 

「チッ!……寄るな!!」

 

鞄の中からは大量の爆薬らしき物が出てきた。大人しく手を上げて投降するかと思ったが、懐から拳銃を取り出して、周りに向けた。無闇に刺激するのは悪いと思い、パトリックは距離を取った。

 

「おいおい……なんちゅう物持ってんだよ」

 

「良いか。寄るなよ。それと、俺の鞄を帰して貰う。早く渡せ!!」

 

周りの客は既に他の連中が安全な位置まで下げていてくれている。そして、ラウラは後ろに回り込んで男を取り押さえようとしている。ラウラが飛び付ける位置まで来ると、そのタイミングで鞄を投げ渡した。そして、受け取る直前に後ろから掴みかかった。

 

「グッ!?」

 

「大人しくしろ!―ウワッ!?」

 

掴みかかった。までは良かったが、余りの力で振り払われてしまった。体格差もあるから押さえきれなかったのだろう。しかもそれで激怒した男から拳銃を向けられた。

 

「ヤッベ!?」

 

『Complete』

 

ライオトルーパーに変身して、男とラウラの間に立った。男は銃を乱射するが、その弾丸を全て受け止めた。弾丸を全て取ると、男との距離を詰めて、鳩尾に一撃入れて意識を刈り取った。

 

「ふぅ……確保完了。皆さん~!お騒がせしました!どうぞご入場下さい!!」

 

事態も終わらせたので、再び観客の入場を再び開始した。男はそのまま部下たちに運ばれて何処かへと持っていかれた。一体どこへ連れていかれたのだろうか……

 

「さっきは助かった。礼を言う」

 

「いえいえ!大佐が無事で何よりです!」

 

「この礼はいつかする」

 

「楽しみに待ってます!大佐!」

 

その後、会場では先程の不審者の件があり、30分遅れでプログラムを開始することになった。あんなことがあったのに、30分遅れで済んだのは、パトリックや対応の早かった彼等のお陰だろう。

 

「大佐は、今回の試合で気になる選手とかいるんですか?」

 

「そうだな……今回の試合には、私の元クラスメイトが2人出場するんだ。2人の試合が楽しみだな」

 

学園卒業後に国家代表へとなることが出来たオルコットとデュノアの事だ。しかも今日は決勝戦。2人はまだどちらも脱落していない。今日当たるのは容易に想像できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始時刻。今日はA~Dブロックの勝者が戦う。最初にAブロックとBブロック。その次にCブロックとDブロック。最後に第1試合と第2試合の勝者が優勝を懸けて戦う。Aブロックにはデュノア、Dブロックにはオルコットがいる。が、恐らくこの2人は勝ち進むだろう。何せ、かつては一緒に過ごした仲だ。戦うのが楽しみに思うのだろう。

 

「絶対にシャルロットさんと戦いますわ!」

 

「絶対に決勝に残らないとな~。セシリアには絶対に勝つ!」

 

この様に、とんでもない気合いが入っている。この2人の相手をすることになった各ブロックの代表が可哀想に思える。絶対に勝てそうに無いからな。何故なら、この2人は今期の新人代表の中で実力が周りより頭1つ飛び抜けてるからだ。その2人の気分が高まっているのだ。勝てと言う方が難しい。

 

そして案の定、気合いの入った2人の勢いを止められるはずもなく、あっさりと決勝戦進出が決まった。簡単に2人の戦いを説明すると、デュノアは瞬間加速を駆使して相手に一気に迫り、アサルトライフルを2丁持ち相手を蜂の巣に。オルコットは開始早々に目一杯距離を取り、相手の射程圏外より狙撃。捨て身で突き進んできたが、ミサイルビットの餌食になりシールドエネルギーが0となった。あまりにも一方的な試合だった。しかも相手国の選手は、2人よりも長く国家代表をやっているベテランだ。

 

「お久し振りですわね。シャルロットさん」

 

「うん。久しぶりだね。元気だった?」

 

「えぇ。とても元気でしたわよ。そして今日も」

 

「奇遇だね。僕も今日はすこぶる調子が良いよ」

 

あ、これヤバいヤツだ。絶対荒れるヤツだ。恐らく、今大会で1番激しい戦いになるだろう。

 

『それでは両者、規定の位置まで進んで下さい』

 

放送があると、2人とも規定の位置に進み、試合開始の合図を待つ。この試合は、学生時代の試合の様に『開始!』の言葉があるが、この試合に関してはその様な言葉がなく、ホイッスルの音が鳴るだけだ。

 

ビー!と言う音が響くと、2人は一気に動き始めた。オルコットは大会で一度も使わなかったビットを展開。デュノアを囲むように配置した。しかもビットを展開しているのに動くことが出来ているのだ。

 

「ヤバッ!」

 

360°全ての方角から来るレーザーを避けながら、オルコットに近付こうとしている。だが、ビットが絶妙な位置に来て邪魔をするのだ。

 

「破壊するしか無いか……」

 

取り回しのしやすいサブマシンガンを2丁取り出し、ビットめがけて撃ち始めた。銃弾1発1発の攻撃力は大した事は無いが、連続で当たれば十分な驚異となる。正確にビットに当てて、撃ち落としていく。

 

「ウワッと!操作しながら狙撃も出来るのか~」

 

「わたくしだって成長しますのよ!!」

 

オルコットから放たれたレーザー。ビットと違いかなりの威力がある。シールドで防いでもダメージは受けるだろう。そう判断すると、シールドでは防がずに避けることにした。無論ビットを破壊しながらだ。

 

「ラスト!よし!終わり!!」

 

「ならこれもどうぞ!!」

 

今度はミサイルだ。だが距離もある。デュノアは落ち着いて避けようとした。だが、

 

「そこ!」

 

「ッ!?」

 

ミサイルを狙撃して、すぐに爆発させたのだ。これが煙幕の代わりとなり、デュノアの視界を奪う。オルコットは上空からデュノアの影を見て、狙撃をする。

 

「ック!ビットを破壊しておいて良かった……」

 

レーザーの通った隙間から、オルコットの次に撃つ場所を予測しながら避ける。確かに、ビットを破壊しておいて良かったと言える。残しておけば、この視界の悪いなか避けなくてはならないからな。

 

「狙撃は苦手だけど……これくらいなら!」

 

実弾のスナイパーライフルだ。それを呼び出すと、オルコットのミサイルビットを煙の隙間から狙って破壊。驚いているところに更にオルコットの手元を狙い撃った。

 

「ッ!?インターセプター!」

 

ショートブレードを呼び出し、デュノアに迫ってくる。当然デュノアは持っているライフルで狙撃をするわけだが、全部弾丸が斬られた。

 

「ウソォ!?」

 

「弾丸のスピードは見慣れてますわ!!」

 

弾丸を斬りながら進むオルコットを見て、デュノアはライフルを投げ捨てて、自分もショートブレードを構えた。2つのブレードがぶつかると、金属独特の高い音が響いた。だが、オルコットは力任せにデュノアを落としに行った。

 

「ハァァァァ!!!」

 

「え?ちょっ!?」

 

更にスピードを上げる。デュノアも落とされない様にするために、全力で上に上がろうとするが、加速の付いたブルー・ティアーズを止めることが出来なかった。そのまま地面に叩き付けた。

 

『試合終了。シャルロット・デュノア、戦闘続行不能。よって勝者、セシリア・オルコット』

 

「か、勝った……」

 

「まさか、あんな力任せな勝ち方をするとは……」

 

「戦い方を変えてみましたわ」

 

随分と変わった戦闘スタイルに、デュノアはかなり驚いていた。確かに学園にいた頃の彼女からは想像できない強引な勝ち方だ。

 

「また今度お願いね。次は僕が勝つけど」

 

「構いませんわよ。次もわたくしが勝ちますけど」

 

戦い方だけではなく、性格も少し変わったようだ。次に戦ったときはどうなることやらな。




次回は何をしようか……

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

モンド・グロッソの回数は、一夏誘拐の段階で2回目と言うのを基準にし、学園卒業後3年間の間は国家代表になるための学習期間として、今回を10回目のモンド・グロッソとしました。


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謝罪とお知らせ

ちょっとしたお話です。


一夏

「さてと、うp主。何か言うことは無いか」

 

うん。色々とあるね。

 

一夏

「じゃあそれを1つ1つを話して貰おうか?」

 

はい。では、まず最近更新出来てないことに付いてお話します。テスト期間だの体調がオカシイだのボランティアだの、色々な理由があるのですが、最近単純に文字をまとめることが出来なくなりました。ネタは出てくるんですが、文字で表現することが出来ないと言う状態です。それは日常茶飯事なのですが、文すらまとめられないと言う状態になりまして、しばらく更新をストップしていました。

 

何とか書き続けて、少しずつ話を作ってはいます。今日中に何とか1話出せれればな~と思っています。出せる保証はありませんけど……。

 

一夏

「なんだその情けない状況は」

 

本当、それは思うよ。何故ここまで書けないかね?自分でも不思議だよ。いつもなら結構書けるんだけど……今回は全く書くことが出来ないからね。読んでくれている皆さんには、本当に申し訳ないと思っています。それでも読んでいてくれていることには感謝しています。ですので、出来るだけ早く書いて投稿する予定なので、これからもよろしくお願いします。

 

一夏

「まず書けなくなった理由は何だ?」

 

よく分かりません。特に理由はないのですが、書こうとすると、その状況やキャラの台詞、感情や動きは想像できるんですが、全く文字に出来ないのです。いつもの事なのですが、今はそれよりも酷い状況です。恐らく、今後も少し続くと思われますが、なるべく早くこんなふざけた状況を出て、さっさと通常運転に戻りたと思います。

 

一夏

「じゃあさっさと通常運転に戻れ。最低でも1週間以内にな」

 

善処します……

 

一夏

「で?お知らせの方は何だ?」

 

あぁ、座談会の事だよ。お知らせと言えばそれくらいでしょ?

 

一夏

「まぁ確かにそうだな。……まさか、中止するとかじゃ無いだろうな?」

 

んな訳無いでしょ?もうアンケート取ったのに、この段階で中止にするわけ無いでしょ。あ、答えの変更も、自分の知っているユーザー様のお誘いも可能です。この人呼びたい。と言う事がありましたら、お送りした質問内容をコピーして相手に送ってください。返答は俺に届くようにしてくれればありがたいです。

 

一夏

「知らせってその事か?」

 

 

もう1つあるよ。座談会開始日ね。今はこんな状況だけど、さっさと通常運転に戻るつもりだから、今月中には出します。まぁ、今月はイベントには事欠かない月なので、12月25日のクリスマス。もしくは12月31日の大晦日の日付が変わる前に出そうと投稿しようかと思います。

 

一夏

「成る程。確かにイベントには事欠かない月だな。この前クリスマスイベントやったばっかりだけど」

 

そこには触れないでくれ。では本日はここまでです。出せるかは分かりませんが、少し粘ってみようと思います。

 

そこそこの期間、全く更新出来なくて、本当にすみませんでした。テンションや体調、その他諸々が通常に戻ったら、いつものようにほぼ毎日更新に戻りたいと思います。

 

 

 




以上。お知らせでした。今後ともよろしくお願いします。座談会に参加する方は、先程の本文にもあるように、座談会にはうp主の作品を読んでいてくれている方なら誰を誘っても構いませんので、いくらでも呼んでください。

次回からもよろしくお願いします!!


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中馬先生とその他キャラ

今日はIS学園の迷医こと、科学教師の中馬先生と、その他生徒、もしくは教師とのお話です。


科学教師、中馬先生。下の名前は生徒はおろか、学園長以外知らないし覚えていないので割愛しよう。(良い名前が見付からなかっただけ)

 

今日の話に入る前に軽く彼女の事をお話ししよう。スゴくざっくりと。まず、彼女の年齢だが、33歳だ。女性の年齢を晒すのはどうかと思うが、まぁ今回は良いだろう。身長は女性にしては大き目の175㎝。血液型はB型。趣味は皆さんご存知の怪しい薬の開発だ。どれもこれも、危険な事この上ないがな。因みに嫌いなものはHR、授業、職員会議、テストの採点だ。何故教師になった?

 

本人は、本当は科学者になりたかったそうだが、英語が壊滅的にヤバかったので、教師に方向転換。免許取得後にこの学園に来たそうだ。普段は職員室や自分の寮の部屋に居らず、科学準備室で過ごしている。学園が購入して余った薬品で遊びながらだ。

 

余談だが、子供や科学の知識を持っていない人でも簡単に作れる強力な爆薬を作ったが、学園長に気に入られて、レシピ共々提供した。他の教師からは何故まだ教師をやっているんだと疑問を持たれるが、仕事その物はちゃんとやっているので残っている。ただそれだけの事だ。

 

常に持ち歩いているピルケースには、訳の分からん薬が大量に詰め込まれている。恐らく、金に換算したら通帳は9と言う数字で埋め尽くされるだろう。趣味で作った薬だから他人に売ったりはしないがな。

 

旦那とは死別しており、しばらくの間子育てをしながら教師をやっていたが、再婚を期に子育てを旦那に任せ、学園で仕事をすることに。月に1回は必ず家に帰っている。決して育児放棄はしていないので、そこだけはお忘れ無いように。しかし遺伝と言うものは素晴らしい。彼女の娘も、変な薬を作る才能に溢れている。母親と同じくピルケースを持ち運び、たまに使ったりしている。学校の友人に。……やはり血か。

 

結構無茶苦茶な性格で、普段何を考えているか分からないが、たまに頼れる大人として年の功を見せることがある。その為、一部の教師や生徒からは慕われるのだ。たまに薬の実験台にされることがあるがな。

 

そんな彼女の元に、今日も薬……じゃなくて、的確なアドバイスを貰いに数名の教師、または生徒が科学準備室に足を踏み入れる。

 

「失礼します」

 

最初に入ってきたのは草加だ。まさかのいきなり学園外から!?

 

「ん?あぁ、千冬の旦那か。何か用か?」

 

「えぇ。千冬の事で相談したい事がありまして……」

 

「相談?お前さんらの間で悩みなんかあるのか?」

 

「はい。実は……」

 

草加の悩みは、他人にとっては至極どうでも良い内容だった。なんでも、最近千冬との行為がマンネリ化してきたとの事。お前ら歳いくつだよ。

 

「お前ら歳いくつだよ……。で?何をすれば良いんだ?この新薬でも渡せば良いのか?」

 

「これは?」

 

「気分を高揚させて体の感度を上げる薬……平たく言えば媚薬だ。1週間分処方しておく。持ってけ」

 

「ありがとうございます!」

 

元気良く、科学準備室から出ていった。既に彼は気分が高揚している様で、軽くスキップしながら学園から出ていった。

 

「あ。あれただのビタミン剤だった……まぁ良いか」

 

口内炎が出来たときに買ったビタミン剤だ。間違って渡したようだ。が、安易にそう言った類いの薬に頼るのは好ましくない。結果としては良かったのかもしれない。

 

「おい中馬!!」

 

「何だよ急に入ってきて。ノックをするのが礼儀だろ?」

 

「んな事どうでも良いんだよ!!それよりも、お前だろ!本音に変な薬を渡したの!」

 

怒鳴りながら入ってきた一夏。どうやら本音が妙な薬を持っているのを見たようだ。しかも昨晩使われた。その件は本編では書けないので、また今度。

 

「あぁ~。4日前に出したな」

 

「悪怯れる様子なしか!?なんちゅう薬を渡してくれてんだ!?」

 

「なんか女のままで入れたいとか何とか言われてな。一応私の生徒でもあるから、ご希望通りの薬を作ってみた。体質によって長引く事があるから、本音に渡しておいてくれ」

 

中馬のこの態度に、怒る気力が無くなって部屋から出ていった。そして、その直後に入ってきたのが真耶だった。あの性別が変わってしまうコーラの事件以降、すっかりここの常連となってしまった。

 

「中馬先生、今月分も貰いに来ました!」

 

「あぁ~。ほら今月の分だ。無駄使いはするなよ」

 

「はい!大切に使わせて貰います!」

 

中馬から『性転換』と書かれた処方箋の袋を渡した。この薬にハマったようだ。いつもならこれで科学準備室から出ていくのだが、ある薬が目に入った。

 

「あの、その薬は何ですか?」

 

「ん?あぁ、これか。最近、知り合いに最近子供が出来たのがいてな。んで母乳を出やすくする薬は無いかと言われて作ってみた」

 

「へぇ~。それで効果の方は?」

 

「まだ人体実験はしてない。最悪自分に試すか……手頃な実験体がいないからな~」

 

「なら、少し貰っても良いですか?」

 

「あ?まぁ構わないけど……」

 

3錠ほど袋に入れると、それを真耶に渡した。誰に使うのかは察して下さい。

 

「これって、男性にも効くんですか?」

 

「さぁ~な。ワンチャンいけんじゃね?」

 

貰うものも貰ったので、ここから出ていこうとした。だが、また1つ目に入った。ピルケースに入っている赤と白のカプセル錠が。

 

「この赤と白のカプセル錠剤は何ですか?なんかのアニメで見たような気もしますけど」

 

「あぁ。英語教師のイリーナいるだろ。小じわを無くす薬が欲しいって言ってたから作ったんだが、その過程で若返る事の出来る薬が出来てな。個人差があるから小学生になったり高校生になったり、はたまた幼稚園児になったりするが、色々と使えそうだからカプセル錠剤にして持っておいた。欲しいか?」

 

「そうですね~……何錠か貰っていきます!」

 

ピルケースを開けて、その薬を持っていった。6錠くらいだな。真耶が出ていき、静かになった科学準備室では、中馬がフラスコを用意して、また薬の調合を始めた。今度は一体どんな薬が出来ることやら……




次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

R18の方を昨日の内に出そうと思ったのに……。普通に0時を超えてしまった……

リクエストの活動報告で、中馬先生の作る薬の募集をしようと思います。こんな薬があったら面白そう。と言うものがあったらどうぞ。


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球技大会

脳細胞も含め、体の全細胞がトップギアだ!!

『教えて!憲八先生!!』

久し振りの今日の質問はorotidaさんからです!

「ISキャラにもし転生憑依出来るなら誰に乗り移りますか。俺は弾にでも乗り移ってってのも考えましたが束さんの父ちゃんになって愛でるだけ愛でたいです二人とも。殺されるのも悪く無いかな」

ん~……織斑姉弟の父親か、orotidaさんと同じく篠ノ之姉妹の父親ですかね。保護者として、4人に教えられることを教えたいと思います。まぁ、自分は欠陥の多い人間なので、何でもかんでも正しく教えられる訳ではないですが、自分が正しいと思っていることを、信じているものを教えようと思います。

じっくりと手入れをしようと思っています。どっかのマッハ20の黄色いタコの様に教育をします。出来たらですけどね。


球技大会。高校生活では1位2位を争う一大イベント。規模の大きな学校では、全種目で活躍した者が、男子校であれば自分の持つ実力を周りに示し、運動部に所属していない生徒は様々な球技関係の運動部から勧誘される。活躍すればだけどな。女子校では自分の地位が上り、他校の顔面偏差値の高い男に自分を売り込むことが出来る。共学の場合はその月から約半年間の間はヒーローでいられるだろう。後輩と女子からの人気が上り、先輩からは何故か信用の置かれる人間になってしまう。そして、同級生の活躍できなかった根暗勢からは何故か逆恨みされる。いろんな意味で大きなイベントだ。

 

※全部うp主の偏見です。

 

球技大会か……1年の頃はバスケで先輩たちのラフプレーにイライラして、顔面にボールを食らって首を怪我して、2年の頃はバレーの練習で左足首の靭帯を3本切って出場不能になったのに、何故か救護テントで入ってきた生徒の手当をして、3年になった今年は、バレーで何故か調子の良かった正メンバーを外して、出す必要の無い下手な補欠共を大事な場面で出され2年から負ける。そして毎年の様に救護テントには俺と保健医しかいない状態……しかも止めたのに競技にでて後々倒れてそれを俺が処置するはめに……。3年間通してまともじゃないな。

 

そんなうp主の思い出はどうでも良い。この球技大会だが、当然IS学園でも毎年行われる。人数が多いため、毎年行う競技も大規模な物になる。しかも毎年生徒たちのテンションが異常なくらいに高くなる。その理由は皆さんお察しだろう。学食のタダ券だ。半年間有効でデザートもOKなヤツだ。しかも優勝クラス全員に配付されて、最も活躍した生徒には5ヶ月間の学費免除もおまけで付く。どんだけだよこの学校。

 

「何で球技だけなのに2日も使うんだよ……」

 

「いっちー楽しくないの?」

 

「あんまりな。2日もやることに意味を感じないんだよ」

 

予想通り、一夏は全く乗り気じゃない。普段からこう言ったイベント事に全く興味がない。中学の時は学校祭で一夏のクラスは演劇をすることになった。女子からの圧倒的支持で、一夏は主人公を演じることになったが、やる気が無くて台詞は全部棒読み。体育祭ではそれなりの活躍をしたが、それは初日だけ。2日目は普通にサボった。

 

そんな人間が高校生になったと言う理由だけで、こう言った学生ならではのイベントに対して意欲的になるとは思えない。と言うか絶対にならない。嫌いになる人は居るがな。

 

因みに、今日は室内ではバレー、屋外ではサッカーが行われる。が、一夏は男子故、全ての競技に参加することが出来ない。その為、比較的早く終わるであろうバレーを選択した。

 

「開始は何時からだっけ?」

 

「バレーは10時からだよ~。私達は3試合目だね。一緒に頑張ろう~!」

 

本音はやる気だ。一夏とは正反対だな。まぁ、大方の目当ては学食のタダ券だろうな。デザートも含めて全品が無料で食べられるのだ。半年間無制限に。他の生徒も同じだ。学生と言う立場から、代表候補生や一夏の様にどこかに属している人間でない限り、財布の中は常にしけている状態だ。そんな生徒には嬉しいことこの上無いアイテム。目当てにして当然だろう。

 

時間も時間なので、一夏と本音も体育館に移動して練習を始めた。軽いサーブやレシーブ、トス、スパイク。バレー経験者ではない一夏からすれば、この練習ほど大切なものはない。他の生徒も基本的な所を重点的に練習している。バレー部が出られない以上、自分達が積極的に点を取りに行くしか無いからな。

 

何故バレー部が出られないのかだが、バレー部の人数はクラスごとによってマチマチ。もしバレー部の部員を入れて試合をするとなれば、当然バレー部の人数が多いクラスが有利になる。それを防ぐためだ。

 

そして練習時間は終了し、クラスごとにコートに並んだ。審判はバジンが行っている。まぁ、何故審判をやっているかは、彼のスペックを見れば理解できるだろう。この学園にいる誰よりも、このポジションが似合っている。

 

相手は2組だ。鈴が出ている。ミドルスパイカーで。リベロでは無いんだな。

 

「何だって?」

 

おっと……余計な発言は控えるとしよう。まぁ、ルール通り両クラスのチームにバレー部は混ざっていない。だが、無駄に運動神経の高い連中が勢揃いだ。何をしてくるか全く予想が出来ない。バジンのホイッスルと同時に試合が始まる。最初のサーブは2組から。様子を見るためだろうか、入れるサーブを打ってきた。

 

「おーらーい!あっ……」

 

レシーブで受け止めようとしたが、何故かこぼしてしまった。マジかよ……

 

「おしいおしい!次つぎ!」

 

再びバジンのホイッスルを合図に、2組がサーブを打つと、今度は拾って返すことが出来た。だが、そのボールはコートとは全く別の明後日の方向に飛んでいった。

 

「大丈夫!惜しいよ惜しいよ!」

 

「次がある次がある!」

 

毎度思うことだが、相手コートに返したボールが半個分出ていたと言うなら惜しいと言うのはまだ分かる。だが、この様に簡単に取れるボールをこぼしたり、変な方向にボールを飛ばすのは、全然惜しくない。なのに、それを惜しいと言うのは聞いていても見ていてもイライラする。(うp主体験談)ボールを相手に返して、再びサーブに備えた。

 

「本音、拾って上にあげろ」

 

「あいあいさ~」

 

サーブが来ると、本音が取る必要の無い場所に飛んできたが、本音が落下地点に入り込み、オーバーで一夏の指示通りに上にあげた。それを見ると、助走を付けて跳んだ。そして、相手コートに全力で叩き込んだ。バレー経験者ではない故、効率的なスパイクを打つことは出来ない。だが、そこそこ強力な物を打てた。

 

「重っ!?一夏!少しは加減しなさい!!」

 

「断る。加減が出来ないんでな」

 

サーブ権は1組へ移る。順番的に次にサーブを打つのは一夏だ。ボールを床に3回ほどバウンドさせ、中に入っている空気の量を確める。回転させて空中に放り投げると、一夏も跳んでボールを打った。

 

「ジャンサー!?クッ!後衛上げて!」

 

多少乱したが、ボールの勢いを殺した。後衛の人にボールを上げるように指示すると、鈴は走り出して自分が全力で打つことの出来るポジションで飛び上がった。鈴の

指示を受けた人は、綺麗にトスを打ち上げて、後から鈴の手元へと飛ばした。

 

「おぅりゃあ!!」

 

鈴がスパイクを打つと、1組の前衛2人がブロックで飛ぶ。が、少し場所が悪かったようだ。指先に当り変な方向へ飛んでしまった。

 

「本音!飛べ!」

 

「りょう~かい!」

 

素早く壁ギリギリまで下り、綺麗な放物線を描いて本音の元まで飛ばす。それを見た本音は、タイミングをバッチリと会わせてスパイクを打ち込んだ。

 

「クッソ!なんつーコンビネーションよ……」

 

2人のコンビネーションに鈴が悔しそうにする。ここから先は一方的だった。サーブを打つごとに、一夏はボールのコントロールを上げていく。威力もだ。鈴を含む2組も負けじと応戦する。が、全く意味をなさなかった。

 

「ガァー!!負けたー!!」

 

結局、最後まで一夏と本音の勢いを止めることが出来ず、1セットを1組が勝ち取り、続く第2セットも一夏と本音を止めてやれずに取られてしまった。鈴が悔しそうに吠えている。そんなに欲しかったのか?学食のタダ券。

 

「じゃあいっちー。私はサッカーの方に行ってくるね~!」

 

「あぁ。後で飯でも持っていく」

 

「わ~い!楽しみにしてるね~!」

 

試合が終わった直後にも関わらず、体育館から走って出ていった。そして、流れるようにサッカーの練習に加わる。体力底無しか!?




オーバーロードではタッチミーさんが創造したセバス・チャンが好きです。

次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします。

球技大会の話は続きませんよ。


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一音の担任

完全なネタ回です。

『教えて!憲八先生!!』

今日の質問はただの通りすがりさんからです。

「モンハンやったことあります?」

3DSシリーズからですけど、現在もプレイしています。今は主にダブルクロスを。まぁ、ランク上げを目的にしていなかったので、ハンターランクは56と低めです。装備は全身牙狼。武器も牙狼剣。そしてレベルは最大にしています。

因みに、性別は女を使っています。装備の数やデザインが優遇されて、しかも男性よりも装備にかかる費用が安いので。……何でここに差を付けちゃったかな~?


いつもと変わらない朝。いつもと変わらないSHRの始まる少し前の時間。この時間は既に全生徒が教室の席について、それぞれ読書をしていたり携帯を弄っていたりと、それなりに自由な時間を過ごしている。

 

だが、一音の所属する2年4組は少し違った。何故か妙にピリピリしており、殺気が少し充満している。そして机の引き出しの中には、何故かガスブローバックハンドガンやその他各種銃が入っている。一音の机の中も同様だ。

 

形的にM1911。日本で使われる通称はコルト・ガバメント。1911年にアメリカ軍に正式採用された軍用拳銃。1985年にベレッタ92Fが正式採用されるまでの70年間正式に採用されていた拳銃だ。その後も、特殊部隊や海軍で改良を加えた物と、一部新品パーツに交換した物が使われている。使用年数を加算すると、100年を超える。その一部は配備されてから90年~100年以上使用されているものもある。エアガンでも人気の高いモデルと言えるだろう。装弾数は実銃でマガジンに7発。銃に1発の計8発。

 

良いセンスだな。まぁここにあるのはガスガン。マガジンには25~26発程度だろう。しかし何故こんな物が入っているんだ?他の生徒もそれぞれ自分の好みの銃を持っている。既に安全装置は外しており、いつでも撃てるように引き金に指をかけた状態で持っている。

 

そして教室に教師らしき者が入ってくると、全員机から銃を取り出して構えた。……なんか黄色いタコの様な姿だな。

 

「起立!気を付け!撃て!!」

 

日直の号令の直後、構えていた銃の引き金を引いて、教師に撃ち始めた。

 

「おはようございます皆さん。早速ですが、このまま出席を取ります。阿部さん」

 

「はい!」

 

「すみません。銃声が大きいので、もっと大きな声で返事をしてください。阿部さん?」

 

「はい!!」

 

雨の様に降ってくるBB弾を全て避けながら、全員の出席を取っている。教室を縦横無尽に動き回り、1発も弾が当たらない。当たっているように見えるが、それは残像だ。

 

「ん~。今日も欠席なし。素晴らしいですね~。ですが、今日も1発も当てることが出来ませんでしたね」

 

「何で当たらないんだ……」

 

「先生当たってるのに我慢してるんじゃない?これBB弾だし」

 

「そう思われるのも仕方無いですが、これは私が作った特殊弾です」

 

触手を伸ばして銃を1人の生徒から受け取ると、自分の触手に撃った。すると着弾した場所が弾け飛び、触手が床に落ちた。これなら着弾を誤魔化すことは絶対に出来ないな。

 

「何で当たんないかな~?」

 

「にゅや~。例えば琢磨くん。貴方の射撃は非常に正確です。ですが、弾道が素直ですから、簡単に着弾点を予想できます。少し遊びを入れてみると良いかもしれませんね。皆さんもそうです。相手の動きを先読みしつつ、適度に遊びを入れて射撃をすれば、命中する確率は確実に上がります。では、1時間目の準備をしてくださいね」

 

そう言いながら出席簿に記入を済ませると、1時間目は自分の授業では無いため教室から出ていった。

 

「ISとかライダーズギア使えば当てられるか?」

 

「無理だろ。忘れたのか?アイツの最高速度はマッハ20だぞ?ISやライダーズギア使った所で勝つのは無理だろうな」

 

生身では無理と思ったのか、琢磨がそうボヤく。だが、一音の放ったその一言でISとライダーズギアでも可能性が低いと言うことが分かった。それが分かると、今は考えるのを止めて1時間目の準備をした。そこに、さっき出ていったタコが戻ってきた。

 

「すみません。1時間目に授業変更があったのをスッカリ忘れていました。1時間目は日本史ではなく現文です。皆さん準備をして下さい」

 

どこか間の抜けている教師だ。そんな大事なこと何故伝えなかった?自分の授業だから良いものの、他の教師の授業だったらアウトだぞ。

 

因みに、授業中は攻撃禁止だ。授業が遅れるからな。そこをちゃんと気にする辺り、教師としての仕事は問題なくやっているだろう。

 

授業は滞りなく行われた。教え方が上手すぎる。動きが速いタコであることを除けば、本当に普通の教師だ。恐らく、中学で頭の悪かった生徒でも、点数が40点程アップするだろう。気持ち悪。そしてスムーズに授業が終わる。そしてそのタイミングで、誰かが机と椅子をぶん投げた。

 

「にゅっ!にゅや~!!?」

 

「ジェイ!?」

 

投げ飛ばしたのは筋骨隆々のアメリカから来た黒人青年。名前は長くて面倒なので、皆親しみを込めてMr.ジェイと呼んでいる。これがこの上なくシックリ来ているのだ。その為本人も気に入っている。

 

「ふん!」

 

「おわっおわ!?おわっと!!」

 

その巨体から放たれる攻撃は、人間の場合は当たればただでは済まないだろう。しかも攻撃のスピードも速い。その巨体からは想像できない程にだ。突然来た派手な攻撃に、タコはかなり驚いている。

 

「はぁ……危なかった……まさか、こんな派手な攻撃をしてくるとは。この様な攻撃は油断している相手にとっては1番の驚異になります。勿論どんな手練れにでもです。ですが、ジェイさん。貴方の戦いは全く自分の身の事を考えていませんね?」

 

「?」

 

「貴方の攻撃力やスピード、防御力はこのクラスの誰よりも高い。ですが、貴方はそれを過信しすぎている。私は皆さんに攻撃はしません。ですが、もし生徒でも容赦なく攻撃をしてくる相手には、その戦い方では身を滅ぼすだけです。攻撃を受けると言うことは、それだけでも体力を持っていかれますからね」

 

その言葉を聞くと、自分の戦い方を振り返り考えてみた。確かに、防御を度外視した戦い方をしている。自覚はしてなかったが、この言葉で自覚したようだ。

 

「皆さんも、この様に近接格闘をする場合は自分の身もしっかり守りましょう。では……ぬ?ぬゅやぁぁ!!」

 

教室のすみにいた黒い物を見付けると、悲鳴を上げて一音の後ろに隠れた。

 

「い、いい一音くん!Gです!Gが出ました!!は、はははは早く始末して下さい!!!」

 

ゴキブリか。驚くなよそんなに。

 

「私あれは無理なんです!絶対無理なんでぅぅ!!!」

 

「……俺のお前への感心を返せぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!?……夢か」

 

夢かよ。まぁ枕元に某暗殺教室の単行本の1巻が置かれているから、夢に出てきてしまったのだろう。しかしダイレクトに出てくるとはな。

 

「たく……あんなのが俺達の担任になったら色々と嫌だな……」

 

まぁ、確かにあのキャラは流石に一緒にいて疲れる。そう言えば、今日は新任の教師が来るとか連絡があった筈だな。いい加減着替えてさっさと行かないとキツいぞ?

 

「あ、もうこんな時間か……さっさと飯を食うか」

 

制服に着替えて学食を食べに行く。今日は朝から全校で集まりがあるので、全員早くから食堂に来て食べている。この後に行われた集会は特に何が起きるわけではなく、新しく来た教師の紹介だけで終わった。問題はこの後だ。

 

「はじめまして皆さん。今日からこのクラスの担任になりました。前の学校ではあだ名で呼ばれていたので、皆さんもそれで呼んでください。昔は殺せんせーと呼ばれていました」

 

(これ何てデジャブだ?)

 

「早速ですが、皆さんにこれを渡します。どれでも好きな物を持ってください」

 

渡されたのは大量のガスガンとBB弾。

 

(何て言うデジャブなんだ本当に)

 

しかも受け取ったのはコルト・ガバメント。本当に何て言うデジャブ?新しく来たのがタコと言うこと以外、大体夢で見た内容と変わらない。これからこの教室はどうなるのやら。




と言う作者の夢落ちでした。……と言う落ちでは無いですよ笑

次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと憲八先生の活動報告もよろしくお願いします!!


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ドッジボールでクラス対抗戦……の筈だったのに……

教えて!憲八先生!!

今日の質問は、俺、参上!さんからです。

「ハリケンジャーで好きな超忍法は何ですか?あとハリケンジャーのクロス作品とか考えたりしますか?」

好きな超忍法ですか~。オーソドックスだけど、空駆けですかね。うp主はハリケンジャー見てないので、特にクロスとかは考えてないです。と言うか、座談会後は無気力な救世主を書きながら、1回オリジナル(笑)を書くので、まだ今後のクロスは考えてないですね。


何があったのだろう……。ISの戦闘訓練や試合などで使われるアリーナには沢山のクレーターが出来ている。破壊の具合はISの試合よりも酷い。観客席で見ている生徒逹は口を開けて固まり、視線は1つの場所に向かっている。

 

状況を知らない者がこの光景を見ると、100%この言葉を言うだろう。「戦場か……?ここ」とな。ミサイルでも放たれた時の様に土煙が巻い、着弾したような巨大なクレーターが数え切れないほどある。更には大砲の砲弾を撃ち込まれたように地面が抉れ、土の色が変わる辺りまで見えている。

 

その中を縦横無尽に飛び回る球体の様な何か。あまりのスピードに目視で確認することが出来ない。途中途中破裂音の様な物も聞こえる。

 

そして、それから数分後、土煙の晴れたアリーナの中には、腰にライダーズギアを巻いた男が4人倒れていた。土煙が晴れたお陰でよく分かる。現在のアリーナの状況が。修復までに2週間と言うか所だろうか?外壁までぶち壊れているからな。

 

何故こんなことがあったのか。それは、今日の朝のSHRまでさかのぼる。

 

「と言うわけで、明後日は1学年クラス別ドッジボール対抗戦を行う。それに当たって、今日は6時間目に特別講師を呼んで、ドッジボールのエキジビションマッチをする。ドッジボールその物を忘れてる生徒も居るだろうから、しっかり見ておけよ」

 

ドッジボール大会。この学園では1年生限定で行われている学年行事だ。まぁ、1年以外は別の事をやっているので、優勝しても特に賞品とかは無い。強いて言えば、鬱陶しい授業をやらずに済むと言う事だろう。

 

「高校生になってもドッジか~……」

 

「何か今更って感じだよね~」

 

「しかもその為に特別講師って……」

 

このイベントは、毎年こんな感じだ。一夏でなくともテンションが下がる。確かに、高校生でドッジボールは少しばかし子供っぽい感じもする。が、ドッジボールには普通に国際ルールも国際大会も存在するため、強ち子供っぽいとは言えない。

 

まぁ、クラス対抗戦当日になってしまえば、全員自然とテンションが上がってくる。それなりに練習をして迎えるからだ。単純な連中だな。

 

「この学園……無駄な行事が多いな……」

 

「そうかな~?楽しくて良いと思うけど?」

 

「いっその事、生徒会長にでもなって、学園の行事全部見直すか……?」

 

一夏がボヤき、本音がフォローを入れる。いつも通りの光景ではあるが、今回に関しては一夏が一瞬生徒会長になることを考えてしまうレベルでヤバかった。

 

「いっち~が生徒会長か~。案外似合ってるかもね!」

 

この学園のシステム上、生徒会長には1年生でもなることが出来る。……なんだよ学園で1番強いヤツが生徒会長になるって。狂ってんのか?そもそもそんなシステムなら、学園全体での最強はブリュンヒルデである織斑千冬になってしまうだろ。生徒会長だからそれはあり得ないがな。普通は立候補して選挙で決められるだろ。

 

「と言うか、今の生徒会長って誰なんだ?」

 

「ん~っと……この人!」

 

スマホを取り出し、画像フォルダから今の生徒会長の写真を表示して一夏に見せた。見覚えのある顔の様で、苦虫を噛み潰した様な顔をしている。

 

「ん?知ってるの?」

 

「あぁ。バジンがぶっ壊れる原因を作ったヤツだ」

 

正確にはどっかの整備課の生徒が弄って調子が悪くなった所に、部屋に不法侵入されて仕掛けられた盗聴器と盗撮カメラの撤去をして、完全にシステムがイカれただけだ。

 

まぁ確かに、完全に壊れる原因を作ったのは間違いないな。それ以降、一夏はその人の事を『変態百出』と呼んでいる。あれ以降会ったことは無いけどな。一夏の話を聞いている本音は、「あぁ~。あの時か」となんか納得している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、迎えた6時間目のロングホームルーム。ドッジボールのエキジビションだと言うのに、何故か体育館ではなく、アリーナに呼ばれた。

 

この時点で察しの良い読者の皆さんは、何故アリーナなのかを予想できただろう。今日招かれている特別講師4人は、体育館でやれば確実に体育館が終わるからだ。

 

「では講師の紹介だ。知ってる人も居るだろうが、今日試合を見せてくれるのは、スマートブレインの社長の村上さんと、その社員の草加さんと木場さん。後、内のクラスから織斑が出る。しっかりと見ておけよ」

 

千冬が軽く講師の紹介をすると、全員言葉を失ってしまった。当然だ。大企業のスマートブレインの社長と千冬の恋人の草加、真耶の恋人の木場、お馴染みの一夏と、周りを驚かせるにな十分な面子だからだ。

 

「それじゃあお願いします」

 

千冬のその言葉を聞くと、4人はラインの引かれているフィールドの内側に入っていった。4人の顔は、遊ぶと言う顔ではなく、完全に相手を倒すと言う顔をしている。

 

「久しぶりですね~。4人で球技やるの」

 

「あぁ。楽しみだ」

 

「俺は今すぐにでも帰りたいよ……」

 

「まぁ、せっかくです。楽しみましょう」

 

とか言ってるが、4人の腰には何故かベルトがしっかり巻かれている。因みにチームだが、一夏&草加、村上&木場だ。この時点で既にヤバいと思う。

 

「では、試合開始!!」

 

「フッ!!」

 

「ッ!!ぉら!!」

 

試合開始直後、まだ5秒も経っていないのに、両チームとも既に10球ほどラリーが交わされた。生身の状態だが、最早人間の投げるボールではない。一夏、草加、木場の3人は体全体を使って最大限の力で投げ飛ばし、村上は最小限の動きでボールを受け止めて、無駄の無い動きで最大限の威力のボールを投げている。アンタ歳いくつだ?

 

「んぬっ!?相変わらず重たいな……せい!!」

 

草加のボールを木場が受け止め、今度は一夏に投げる。手を前に出してボールを受け止めるが、あまりの威力に少し後ろに仰け反った。だが、完全に受け止めることができた。

 

「これ勝負付きそうにないな」

 

「まだ始まって時間は経っていませんが、同感ですね」

 

「俺もだ」

 

「俺も同じく……」

 

『555/913/000』

 

『『『Standingby』』』

 

「「「「変身!!」」」」

 

『Standingby』

 

『『『『Complete』』』』

 

あ、ヤベ……。一夏はファイズに、草加はカイザに、木場はオーガ、村上はデルタに変身した。

 

「オリャア!!」

 

「グッ!ハァア!!」

 

「ハァァ……ゼイィ!!」

 

「フッ!ハァ!!」

 

こここら先は、アリーナが地獄と化した。ボールは大砲の砲弾の様に飛び、受け止めた時は後ろに衝撃波が走り土煙が舞い上がる。地面にバウンドすれば、そこだけ不自然にクレーターが出来上がり、まるで隕石でも落ちたかの様になる。

 

「ハァ!!」

 

一夏が飛んできたボールを、空中で止めると、浮いている内に村上と木場目掛けて蹴り落とした。

 

「チェック」

 

『Exceed Charge』

 

一夏の蹴り落としたボールにポインターを付けて勢いを殺すと、木場がそれに合わせて、ポインターに飛び込んでボールを殴り飛ばす。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァア!!」

 

今度は飛んできたボールに、草加がグランインパクトを叩き込み、更に打ち返す。これがいつまでも続いた。そして冒頭につながる訳だ。結局は4人とも倒れたのだ。

 

「これ、参考になるかな?」

 

本音の疑問はごもっともだ。多分これは参考にならないだろう。そして迎えたドッジボール対抗戦当日。これほどまでに恐ろしい試合ではなく、全員普通にドッジボールを楽しむことができた。だが、見ている方からしたら、やはり迫力不足に思えたと言う。




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初詣

今更だけど、久し振りに小説情報を開いたら、UAが120000を超えていました!ひとえに、飽きもせずにこの作品を読み、お気に入り登録や感想をしてくださる皆さんのお陰です!ありがとうございました!そして、これからもよろしくお願いします!!

教えて!憲八先生!!

今日の質問は鉄血のブリュンヒルデさんからです!

「エクストルーパーズで一番好きなキャラ教えて下さい!モブもありで」

エクストルーパーズですか。ん~……個性豊かなのが多くて、どれも魅力的ですよね~。ギンギラは勿論好きですけど、人間で1番好きなのは、鬼教官こと、ウォルター教官ですかね。

彼が教師をやっていたら、担当クラスの成績はどうなっているやら……

体育 全生徒オール5
その他教科 2.5

的な感じになるんでしょうかね?


1月1日。新年の始りの日。この日は大体どこもかしこも休みだ。この世界では全世界に名を馳せる大企業のスマートブレインですら、年末年始は休みだ。まぁ、ここに年末年始でも休まない変な店があるがな。

 

「お待たせしましたー!お節料理大完成しました!お会計12000円になります!」

 

ご存じの通り、一夏の営む食堂だ。この店には年末年始もゴールデンウィークも夏休みも存在しない。因みに休みはちゃんとある。ブラック企業ではない。実際に、今日はもう少しで閉店だ。

 

「すいませーん!この料理の持ち帰りお願いしまーす!あと、お節料理1人分もー!!」

 

「かしこまりました!」

 

持ち帰り用のタッパーを本音に渡して詰め込みを頼み、一夏は厨房に入って注文の入ったお節料理の製作に取り掛かる。

 

「お待たせしました!全部合わせてお会計、6500円になります!またのお越しを!……はぁ」

 

客にしか見せない営業スマイルで最後の客を見送ると、深い溜め息を吐いた。笑顔を振り撒きまくって疲れたのだろう。現在進行形で子供には見せられない顔になっている。

 

「営業日間違えたな……」

 

自分のエプロンを外しながら、小さく愚痴った。まぁ自分で設定した営業時間のため、誰かに愚痴を吐くことは出来ない。吐かれた方はとばっちりだ。

 

「いっち~!初詣行こう~!!」

 

初詣用の和服に着替えた本音が、早速一夏に初詣に行くように言った。疲れた顔をしているが、黙ってバジンのカギと2人分のヘルメットを取りに行った。……片方和服でヘルメット。シュールだな。

 

「いや~。賑わってるね~。お義姉ちゃん逹も来てるかな?」

 

「来ないだろ。日付が変わると同時に、初詣に行ったって写真送られたからな」

 

「もう行ったんだ。流石だね~お義兄ちゃん。仕事が早いよ」

 

おおかた、千冬の和服姿が見たくて色々と調整したのだろうな。ちなみにだが、写真の隅っこに木場と真耶が写っていたため、2人も行ったのだろう。

 

「俺は会わなくて助かるんだけどな……」

 

「え?何で?」

 

「流れでそのまま家に来て、そのまま正月を過ごしそうだからな……」

 

せっかく仕事が終わったのに、デッカい子供2人を相手にするのは疲れるのだろう。時間がずれて、心底一夏は安心している。

 

予想される草加達の行動

 

その1、草加、千冬、木場、真耶が一夏の家に来て、お節料理やお年玉をたかる。当然部屋は散らかる。

 

その2、ニンテンドースイッチorPS4を持ち込んで日付が変わるまでゲーム三昧。当然部屋は散らかる。

 

その3、正月らしいこととか言い出して、羽子板を取り出し羽根つきをするはめになる。庭と部屋は散らかる。服と顔は墨まみれ。

 

以上の事が予想される。どの道、一夏が疲れる。木場とバジン辺りは手伝ってくれそうだが、実はあぁ見えて体力が無いため、テンションが高い連中に振り回された後は動けない。

 

バジンは……用事があるのでこのあとすぐに家を出るつもりだ。頑張れ。まぁ大体用事は想像できる。が、あえて触れないでおこう。

 

「着いた。さっさと行くぞ」

 

「お~!」

 

神社に着いたので、早速お参りをするために階段を上っていく。人が多いため、ぶつからないように気を使いながらだ。10分くらいだろうか?ようやく一夏達の番が来た。3人の願い事は、

 

『これ以上厄介事に見回れる事がなく、1年間平穏無事に過ごせます様に!!!!叶えろよ!絶対叶えろよ!叶えなからったら、出雲まで行ってお前の上司にチクるからな!!』

 

この1年間ご苦労さん。だが、流石に脅すのはどうかと思うぞ?必死になるのも分かるが……

 

『今年も皆仲良く、平和に健康に過ごせます様に!後、いっち~にこれ以上災いが降りかかりませんように』

 

この1年でいったい何があった?あ、死にかけてたな。亡国を潰して……。

 

『一夏にこれ以上災いが降りかから無いように……後、一音が平和に学園生活を送れます様に……虚と幸せに過ごせます様に……』

 

最初の2つは一夏と一音の為に。最後は自分の為に。随分と人間味のあるロボットにバジンは成長したな。

 

「終わったか?」

 

「うん!」

 

『じゃあ俺は下に行って待ってる。早く戻ってこいよ』

 

バジンは最初に下に降りていき、一夏と本音は少し辺りを回った。おみくじやら魔除け用の人形やらが結構売られている。

 

「いっち~!おみくじだよ!やろ!」

 

財布から200円を取り出し、2人で引いた。結果は誰もが予想した通り、本音が大吉。反対に一夏が大凶だ。

 

「…………」

 

「えっと……大丈夫だよ!いっち~なら!」

 

何が大丈夫だと言うのだろうか?内容は、体に気を付けろや、自分の居場所はしっかりと守ろう。伴侶は何があっても守れ。との事だ。……ディケイド編の事だな。

 

「新年早々にテンションが下がったな……」

 

「ま、まぁ、所詮おみくじだよ!気にしないで!ほら、厄除けの人形を買って帰ろ?」

 

干支の小さい人形だ。1つ300円と少し高めだが、厄除けや魔除けと付いている以上、買わずにはいられない。300円を店員に差し出し、1つ手に取った。だが、

 

パラパラ……

 

「……どう言う事だ?」

 

手に取った瞬間、人形が粉々に崩れ去った。この光景には、流石の本音でも何も言えなくなった。今年1年、死なないように気を付けてくれ。




質問。本音って、変態百出女とその父親の事何て呼んでましたっけ?どっかで見たような気もするんですが、完全に忘れてしまったので、知っている方、教えて下さい。

次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!


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失敗作達

一応いろんなものを作った村上。その中には当然、開発に失敗した物も沢山あります。今回はそれを見て頂きましょう。


「休みの日にすみませんね~。倉庫整理の手伝いに来てもらって」

 

「構いませんよ。どうせ暇でしたし」

 

休日のこの日、木場と草加と一夏がスマートブレインに来て、作ったものを保管する倉庫の整理をしていた。と言っても、今整理している倉庫は、村上が個人的に余った素材を使って作った変な道具だ。

 

「しかし……よくこんなに作ったな……」

 

「一気に大量の物を入荷しますからね。余る量も結構な規模になるんですよ。それを使っていたら、いつの間にかこんな量に……」

 

だからと言って、巨大な倉庫を1つ自分のもので埋めるのは流石にどうかと思うぞ。しかも特に役に立たないガラクタばっかり。本当に何故作った?

 

「全部捨てて良いのか?」

 

「そうですね~。使えそうな物は残しておきましょう」

 

「使えそうな物って……」

 

完全に使えないガラクタは廃棄の箱に。何かに使えそうな物は使えるの箱に。どっち付かずで曖昧な物は判断不能の箱にそれぞれ分別する。が、当然廃棄の量が圧倒的に多く、使えそうな物はその1割にも満たないだろう。そして、これは一夏達がいるときに作ったわけではないので、使用用途不明な道具も大量に出てくる。例えば、

 

「懐中電灯?何でこんなものがあるんだ?」

 

「あぁ~。それ物を大きくするライトです。ほら」

 

ポケットからペンを取り出して床に転がすと、一夏から受け取ったライトをつけてペンに光を浴びせた。すると、みるみるペンが巨大になっていく。

 

「うぉ~!スゲー。本当にデカくなったな」

 

「ただし」

 

「ただし?」

 

「すぐに戻さないと爆発します」

 

「「「え?」」」

 

ズドォーーン!!!

 

「「「ウワァァァアアアア!!!」」」

 

巨大な爆発が倉庫と言う空間に広がった。一応、開発した物全てにシールドを張っているから問題はないが、一夏と草加と木場にはシールドが張られていない。もろに爆発に巻き込まれた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「……何でテメーは無事なんだよ!!」

 

「一応シールド張ってるので。ほら」

 

ホケットから、スマートフォンサイズの端末が出てきた。簡単なシールドを張る装置の様だ。なんちゅう物を作ってるんだ……

 

「そろそろ警察や自衛隊に売り込みましょうかね?」

 

まぁシールドだけなら実用性は高いからな。売り込んでも良いんじゃないか?体が傷付くリスクを最小限に出来るのだから。

 

「じゃあこっちのライトは何だ?今度は緑色だが……」

 

「それは物を小さくするヤツですね。こんな感じに」

 

またポケットからペンを取り出して、光を浴びせた。すると、本当に小さくなって行った。ミニチュアサイズ程度までだ。

 

「これも爆発するのか?」

 

「いえ。爆発はしませんが」

 

「へぇ~」

 

草加が興味深そうに村上の手からボールペンを取って、様々な方向から観察をしている。

 

「爆発はしませんが、戻るときに、一時的に元の30倍の大きさになってしまいます」

 

「ウワァ!!」

 

草加がペンの下敷きになってしまった。と言うか、出てくるものが今のところドラえもん関連の物ばかりだな。ビッグライトとスモールライト。

 

「んお?これは見たことあるな……」

 

「あぁ~。ドラえもんの空気砲」

 

それは知ってるんだな。まぁ確かにタケコプターと並んで、かなりの回数使われている道具だからな。知名度も高いのだろう。3人も知っているようだ。

 

「えぇ。ここにある物の大半は、ドラえもんを参考にしていますからね」

 

何故ドラえもんの事を村上が知っているのかと言うと、娘さんが小さいときに一緒に見ていたからだ。映画にも連れていったし、レンタルショップからDVDを借りたりと、結構馴染み深い所もあるのだろう。

 

「これの威力は?」

 

「アニメと同じですよ。撃ってみますか?」

 

「なら折角だし撃たせて貰うか。……これがトリガーか」

 

何も無いところに構えて、取り敢えず1発撃ってみた。アニメと同じと聞いて少し安心していたが、撃った瞬間に草加が立っていた場所から消え、後ろの壁にめり込んでいた。しかも、撃たれた空気の塊は、壁に大穴を開けたのだ。

 

「威力は同じなんですが、現実の人間には厳しい様で、高確率で肩が外れたり、後ろに吹っ飛ばされます」

 

空気砲を外して、外れた右肩を嵌めながら壁から出て歩いてきた。普通に怪我してるな、あれは。

 

「もっと……まともな道具は無いのか?」

 

「でしたらこれですかね?孫の手(電動)。痒い場所に当ててボタンを押すだけです」

 

今度は木場に渡して実験させてみた。

 

「あ、これはちょうどいい!貰って良いですか!?」

 

「構いませんよ。使って頂けるなら開発者として嬉しいですからね」

 

木場に充電器と本体をケースに詰めて渡した。ただで良いものを貰って、偉く上機嫌になっている。村上も道具が役に立つので嬉しそうにしている。

 

「さてと、続きましてはこのバッグです」

 

「何期待されてると思ってんだよ……」

 

「まぁそんなこと言わずに楽しんで下さいよ」

 

そう言うと、箱の中から何かの頭を取り出した。無駄に鮮やかな色をしている。頭部のデザインで無ければ、恐らく普通に売れていただろう。

 

「これは、メカではありませんが、デザイン性の高いカバンが欲しくて、素材にこだわってみました。機能性なランドセルと鮮やかな色で知られるマンドリルの顔を合わせてみた、マンドセルです」

 

「気持ち悪っ!!」

 

草加が思いっきり引いている。合わせたといっているが、ほとんどマンドリルの顔だ。ランドセル要素と言えば、背負う部分くらいだな。

 

「だからキメーんだよ!!大丈夫かお前!?つーかお前マンドセルって言いたいだけだろ!!カバンじゃねーだろそれ!!」

 

「いえ。ちゃんと入り口はありますよ?ほら」

 

「頭頂部を開けるな!!!」

 

マンドセルが出てからと言うもの、一夏はツッコミが止まらない。まぁ、確かにボケの量も結構多いため、自然とツッコミが増えてしまう。……スゲー迷惑だよな、ボケが増えるって。ツッコむ方は大変だ。

 

「でもこれ結構入りますよ。こんな感じに」

 

適当に物を掴むと、頭頂部だけではなく、口からも物を突っ込んだ。

 

「おいやめろ!!何かヤバイぞその絵面!!」

 

確かに、何とも言えない絵面だ。マンドリルの口に腕を突っ込む初老の男性。スゲーシュールだ。その後も様々な道具が飛び出してきた。動物の言葉が分かるヘッドフォンに、今とは全く別のメモリを使うタイプのライダーズギア、強制的に狂騒状態にするクラッカーなど、とんでもない物がポンポン出てきた。

 

「これくらい片付けば十分ですね。3人ともお疲れ様でした。これ、今日の特別手当てです」

 

手当ての入った封筒を渡すと、処分する物をまとめて外に持っていった。そしてそのまま廃棄。手伝った3人はその後帰宅した。草加は病院に寄ったがな。




次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!

あ、もうすぐクリスマスですね。ここで1つ読者の皆さんにお願いがあります。

ボーズ・オブ・テラーガシャットの変身音。これを募集します。案のある方は、ストーリーリクエストの活動報告までお願いします!


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ラウラの出会い

教えて!憲八先生!!

今日の質問はorotidaさんからです。

「好きな拳銃について教えてください」

ではまずうp主が持っているものをご紹介します。


【挿絵表示】


【挿絵表示】


両方ともM92Fです。片方がミリタリーモデルのエアコキタイプ。もう片方がバイオハザードでお馴染みのサムライエッジスタンダードタイプのガスブロです。

やたらM92F推しと言われそうですが、それには理由があります。初めて握った銃、1枚目の写真のミリタリーモデルのヤツなんですよ。結果、他の銃でも的に当てられる事は当てられるんですが、何かシックリ来なくて、結果、的から外すことが数回。付属のターゲットシートの中心の黒い部分に5発中4発当てられるのに、他の銃だと1発や2発が良いところに……(最近は全く撃っていないので、もっと下手になりましたけどね笑)

友人の持っている性能の良い物で検証したので、銃のスペックの問題で無いことは確かです。……この癖早く治したい。

まぁ、銃よりも刀の方がシックリするんだけどね笑

※パトリック好きの方、ご注意下さい。


今日は、何故ラウラとパトリックが交際を始めたのか、そもそも何故関わりを持ったのか。そんなことを話そうと思います。

 

初めての出合いそれは、特にロマンチックと言うわけではない。どこにでもあるような感じだ。ドイツに戻ったラウラが、日用品を買うために近くのショッピングセンターに行っていた時の話だ。この時、ラウラは大佐になった直後だった。周りに示しを付けるために常日頃から訓練に励み、身の周りの事は特に考えていなかった為、日用品は切らしたらと言うレベルでは無かった。なので渋々休暇を取り、買い物に出かけた。パトリックと出会ったのはこのショッピングセンターでだった。

 

「アッ!発見!……お嬢さん!1人ですか?良かったら一緒にお茶でもどうです?」

 

「え?あ、いや。間に合っている。それに今日は買い物なので、余り時間は割けない。申し訳無いが、他をあたってくれ」

 

その様に断ったのだが、それでも男は付きまとってくる。よほどラウラの事が気に入ったのだろうか?諦めの色は全くない。

 

「そんなこと言わずにさぁ~!なら、俺も買い物に付き合って早く終わらせましょうか?それならお茶も出来ますよね!」

 

「いや。だから1人で問題ないと……」

 

強行突破は出来なくはない。だが、こんな場所で軍人が民間人に技をかけて、と言うのは、余りにも良くない。しかもラウラは昇格したばかりとは言え大佐。一般人を傷つけるのは好ましくないだろう。なので、軽い足払いや、自分を掴んでいる腕を払う程度の事をやった。

 

「ッ!?」

 

「ん?どうしたんですか?」

 

相手は男で、見た感じ鍛えている様な人間だ。だが、軍人がかけようとした技を受けて平然としているわけがない。どんな相手でも最低限よろけたりする。なのに目の前の男は全く動じていなかった。なので、多少良心は痛むが、殴って気絶させようと拳を構えた。

 

「あ!いたいた。何やってるんですか?こんな場所で。しかもナンパなんかして……」

 

「ゲ!?もう来た」

 

ここでラウラを助けた男。これがパトリック。と言いたいが、コイツは違う。

 

「早く戻りますよ。パトリック隊長」

 

「パトリック隊長?まさか……!?」

 

ナンパしていたのがパトリック・コーラサワーだ。本当に何やってんだ。この男は……。

 

「あ!これはラウラ大佐!家の隊長がご迷惑を!申し訳ありませんでした!……ほら隊長も!!」

 

入ってきた男がラウラに気付くと、急いで頭を下げ、自分の隊長のアホな行動をわびた。そして、隣で突っ立ってるパトリックの頭も無理矢理下げる。どっちが隊長なんだか……

 

「いや~申し訳無い!余りにも魅力的だったのでつい声をかけてしまいました~。自己紹介が遅れましたね。本日より、スマートブレインライオトルーパー部隊ドイツ支部に派遣されました。パトリック・コーラサワーです!以後お見知り置きを」

 

「あ、貴方が、ライオトルーパー部隊の……」

 

余りにも突然の展開に、ラウラの頭は処理が追い付いていない。今も口を開けて固まっている。そして、パトリックをジロジロと観察しているのだ。

 

「ん?どうかしました?」

 

「あ!いえ。失礼。その、聞いていたイメージと大分違ったものでしたから……つい」

 

因みにラウラが聞いていたイメージとは、訓練での模擬戦では負け知らず。実力も判断力も高く、現場に出た実戦でも実力を発揮して部隊を勝利に導き、部下を誰よりも信頼する。そして、必ず誰も死なせずに連れ帰る等と聞いていた。が、目の前の男は……どちらかと言えば、そのイメージとは全くの逆。どう見ても、実力と判断力を兼ね備えているとは思えない。マイペースで自由奔放な人にしか見えない。

 

これがラウラとパトリックの出会いである。なんと言うか、何故これで交際ができた?と言いたくなるような感じだ。

 

「ほら。早く戻りますよ!書類もまとめ終わってないんですから!」

 

「俺そう言うの苦手なんだって!」

 

「苦手でも判子くらい押せるでしょ!早く帰って、作業を終わらせてください!後は自由にして良いので!!」

 

「え?マジで!?よし!なら戻るぞ!大佐!また後で!」

 

ここから、ライオトルーパー部隊とドイツ軍のラウラのいる部隊が共同で動くときは、大体ラウラにパトリックが絡んでくる様になった。

 

「大佐~!」

 

「……コーラサワー隊長。良いんですか?持ち場を離れて……」

 

「大丈夫です!俺の部下は優秀ですから!」

 

隊長としてのお前の立場はどこに行った?部下を信頼するのは良いが、自分の仕事を放り投げてどうする?押し付けているようには見えないが……

 

『ラウラ大佐、そっちに家のバカ行ってませんか?』

 

「おい!バカとは何だ!?バカとは!」

 

完全にバカ扱いされていた。もはや隊長としての威厳と言うものは無い様だ。

 

『あ~居たんですか。ラウラ大佐、すみませんがバカのお守りお願いしますね』

 

そしてそのままラウラにバトンタッチ。手慣れてるな。まぁラウラ達と一緒に動く度にこれなら、流石に慣れてしまうだろう。

 

因みに今日は、展示されているISとライオトルーパーのベルトの展示だ。ただ、ライオトルーパーのベルトは量産型のため、大抵の人間に使うことが出来る。よりこう言った物に親しみを持って貰う為とは言え、剥き出しで展示するのはどうかと思う。そんなことをやったら―

 

「キャアアアア!!!」

 

「「ッ!?」」

 

ほら。こんなことになる。親しみを持って貰う為に触れ合うことは大切だと思うが、剥き出しの状態で展示するのはアウトだろ。黒人だろうか。ゴツい男の人がライオトルーパーギアを奪って変身してしまった。せめてレプリカにしておくんだったな。

 

「不味い!早く避難して下さい!!」

 

全員すぐに動いて避難に当たる。避難を終わらせると、一部はそのまま客を守り、一部は男を抑えるために動いている。

 

「ウワッ!?なんつー力だよ……」

 

変身した男の体型もあってか、パワーが本来のライオトルーパーを超えている。パワーだけならカイザにも劣らないだろう。

 

「っ!レーゲン!」

 

相手を刺激したくなかったので、極力戦闘は避けたかったが、やむを得ずレーゲンを展開して抑えに行く。だが、パワーがライオトルーパーを超えているため、抑えられてる時間は長くないだろう。

 

「変身!」

 

『Complete』

 

パトリックも変身してラウラと一緒に抑えに行く。それに続き、パトリックの部下達も変身して抑える。しかし、パワーと言う面でライダーズギアとシンクロ率の高いこの男。ラウラやパトリック達に抑えられるが、訳の分からん馬鹿力で吹っ飛ばされてしまった。

 

「危ね!!ッグ!重てぇ!!……はぁ!」

 

倒れたラウラを潰そうとした攻撃。だがパトリックが2人の間に割って入って、攻撃を受け止めた。だが、あまりの重さに、床にヒビが入って沈む。だが、アクセレイガンを取り出して切りつけた。

 

「大佐、下がってて下さい。俺が倒します」

 

「な!?1人じゃ無理だ!!」

 

「大丈夫ですって!俺不死身ですから」

 

そう言うと、暴れている男に向かっていく。その光景をラウラは心配そうに見ている。が、パトリックの部下達は大して心配はしていない。

 

「何故。君達はコーラサワー隊長を心配しないんだ?」

 

「まぁ、必ず戻って来ますからね。あの人は、不死身のコーラサワーと呼ばれていますからね」

 

「いつも通り笑いながら無傷で戻って来ますよ」

 

いつもはポンコツなのに、こう言った所の信頼は厚いようだ。確かに、洗練された動きで相手を圧倒していく。攻撃を避けて一撃一撃を確実に叩き込む。

 

「何故射撃で攻撃しないんだ?」

 

「弾かれるのを気にしているんでしょう。あの人、そう言うことに関しては頭は回るので」

 

まさかそんなことを考えていたとはな。パトリックは大振りの攻撃を避けると、アッパーカットを全力で叩き込んだ。綺麗に入った為、脳震盪を起こして動きが止まった。

 

「ベルトは返して貰うぞ。はぁ!」

 

ベルトを左手で掴み、男を全力で殴った。すると、ベルトが男の腰から外れて変身が解除。それと同時に意識を失ってしまった。

 

「別室に連行。事情聴取を頼む」

 

「了解しました」

 

そう言うと、指示に従って別室へと連れていかれた。その後、パトリックはラウラを背負って医務室へと向かった。

 

「コーラサワー隊長。背負わなくても」

 

「足首、怪我してますよね。これくらい大丈夫ですよ」

 

そう言いながら、医務室に入っていく。人が居なかったので、包帯や色々と借りてラウラの足首を固定する。手慣れた様子で巻いていく。

 

「慣れてるんですね……」

 

「昔は良くやってましたからね。いろんな人に」

 

「そうですか」

 

「後。名前で読んでくれません?コーラサワー隊長って何か慣れなくて。パトリックって呼んでくださいよ」

 

「それが良いのなら、呼ばせて貰います」

 

「それと、敬語も要りませんから。階級的には貴女の方が上ですからね」

 

「分かった。今日は助かったぞ。パトリック」

 

「どういたしまして!」

 

「礼と言っては何だが、今度2人でどこかに行こう」

 

「了解しました!どこまでもご一緒します!」

 

ラウラからのデートの誘いに一気に舞い上がった。よほど嬉しかったのだろうな。さっきの場所に戻ると、聴取を終えた部下がやって来た。

 

「隊長、聞き取り終わりました。どうやら、過去にISのせいで大切な家族を失い、その復讐で今回の行動に出たようです」

 

「いくらISが受け入れられ初めても、復讐心は消えないって訳か……。IS事件を起こした人間を擁護するわけではないが、そう言った人も守らないといけないからな~」

 

随分と複雑な思いなのだろう。事件を起こした人間を守ったり、復讐をするために暴れた人間を止めたり、やっていることに矛盾を感じることもある。今回の件が良い例だ。

 

「あ~。早く終わんねーかなー?こんな時代」

 

とかぼやいているが、頭の中の7割はラウラとのデートで埋まっている。スゲー中途半端な割合だな。




次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!

あ、昨日ボーズ・オブ・テラーの変身音を聞いた理由は、クリスマス企画第2弾「神と時間の支配者」のクリスマスイベントを書こうと思ったからです。インフィニット・ネクサスでも何かやろうかな~?ウルトラマンサーガ的な物を。その時は、座談会メンバーや読者の誰かをウルトラマンダイナ、ウルトラマンコスモス、ウルトラマンゼロに当てて、出演してもらおうかと思います笑

それと告知。ISと無気力な救世主、劇場版第2弾をやろうかなと思います。何話で完結するのか、いつから開始するのか、どう言った完結を迎えるのか。そんなことは全て未定!だが近日投稿開始!!題名?んなもん募集じゃあー!!!と言うわけで、数話読んでいい感じのタイトルが思い付いたら、リクエストお願いします。


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草加家長女の名前

ネタに困ったので、草加達の娘の名前が決まるまでの流れです。

※短いです。


事件が起こった。仲睦まじい夫婦が喧嘩をしたのだ。まぁこの世界で仲睦まじい夫婦は沢山いるが、この場合はサブタイトルにもあるように、草加夫婦の事をさす。

 

(な~ぜ~……!!!)

 

ここに来ている一夏は完全に頭を抱えている。店は本音とバジンに任せてある故、大丈夫だろう。だが完全にこの状況に対する対応策を見失っている。端から見れば、ただの犬(草加)と猫(千冬)の喧嘩でしかない。

 

この2人が何故喧嘩をしたか。理由は簡単な話だ。簡単でシンプルな話だから譲れないのだ。まず、千冬の腹の中の子供は女の子だと判明した。そして女の子だと分かると、旦那、つまり草加は名前を決めようと提案する。だが、草加の考えた名前は千冬にはどれもシックリ来ず、逆に千冬の考えた名前は草加にシックリ来なかった。互いにヒートアップした結果、こうなってしまったのだ。お互いに武力行使しなかったのが唯一の救いだろう。この2人が本気でぶつかり合おう物なら、この家は勿論、町も無事でいられる保証は無いからな。因みに後始末をするのは全て一夏だ。

 

話を戻そう。確かに子の名前は重要ではあるが、その為に喧嘩をすると言うのも物悲しい。どこまでも話し合って決めなければならないことだが、もしかしたら2人が納得するまで一夏は家に帰れないのでは無いだろうか?

 

「はぁ……」

 

そう言えば、何故一夏がここにいるのかだが、それは近所の方に助けてくれと言われたからだ。もうこの2人を対処するには、警察では役不足と言うのがこの辺の常識になってしまったのだろう。なんと嘆かわしい……

 

もう嫌になったのか、溜め息を吐いて台所に向かった。冷蔵庫の中を開けて、期限の近い食材や調味料を使って食事を作り始めた。これは自分の昼食だ。成人して家を持ち、これから子供が産まれる姉夫婦の分まで作る義理は無いからだ。腹が減ったら自分で勝手に何かを食べるだろう。

 

「後何時間続くんだろうか……期限日近いのが多いな」

 

これは多少豪勢な昼食が作れそうだ。夫婦の喧嘩を尻目に、一夏は自分の昼食を作る。まぁ台所は2人のいる場所から離れてるし、話し合い(喧嘩)に夢中で、一夏が部屋を出たことには気付いていない。

 

「最悪の場合は止めないといけないからな~……はぁ」

 

溜め息しか出てこない。これから先、何時間続くか分からない夫婦喧嘩に、一夏は少し呆れながら少し遅めの昼食をとる。期限日の近いのが多いため、必然的に作る量も多くなってしまった。だが、自分が作った物も含めて、皿に出された物は残さないと言うのが、一夏に料理を教えた師匠の教えだ。当然残すような真似はしないだろう。

 

「終わっててくれよ…………まだ続いてたか……」

 

これりゃもうダメだ。そう思い、ソファーに深く腰をかけて目を閉じた。昼食の量が多かったため、眠ってしまった様だ。

 

次に目を覚ました時、一夏の耳に入ってきたのは、犬の吠える声でもなく、猫の威嚇するような声でもなく、大勢の人の笑い声の様だ。どちらが呼んだのかは分からないが、いつのまにか全員で考えることになっていた。

 

因みに全員と言うのは、村上、木場、真耶、本音、バジン、鈴、各国から引っ張って来られたオルコット、デュノア、ラウラ、パトリックの10人だ。初対面同士も居るが、すぐに全員馴染んだようだ。

 

「喋り場みたくなってねーか?これ」

 

確かに。不毛とは言わないが、当事者達はこれで良いのだろうか……?だが、全員が思ってくれていると言う事だし、産まれてくる子供は幸せであるだろうな。だが、結局議論では決着が付かず、くじ引きで決めることになった。が、最低限のルールとして、日本人らしい名前、きらきらネームの禁止、何かのアニメキャラの名前も禁止が義務付けられた。ここにいる人物は誰もが信頼している人物で、誰が名を付けても文句はない。2人に言わせるとそうなるらしいが、話を聞いていた一夏としては、少し驚きだろう。差し詰め、名付け親は運命と言うところだろうか?

 

千冬が名前の書かれたクジが入っている箱に手を突っ込み、中から紙を1枚引く。

 

「えっと……これは一夏の書いた名前か」

 

「ん?千花か」

 

「あぁ。この名前、少し良いな~って思ってたんだ」

 

「俺もだ」

 

一夏の表情的に、少し疑っている。悪くないとは自分でも思っているが、それほど良いとは思っていなかったのだろう。だが、草加と千冬は気に入っているようだ。

 

「千花……せんかかぁ~」

 

「気に入ったのか?」

 

「えぇ。女の子が産まれるのか~。楽しみですね」

 

「……女の子か~」

 

名前を呼びながら、これからの生活に少しニヤケている。この先の生活に不安が無いわけではない。だが、それでもこの夫婦には、その不安を掻き消す勢いで過ごすことだろう。2人には不安だの何だのと言うのは似合わないからな。

 

……一夏のアフターケアはどうするべきか……?




名付け親は運命ではなく、我が作品の読者のorotidaさんでした~!

次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!


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合コンの練習

『教えて!憲八先生!!』

今日の質問はorotidaさんからです!

「IS学園の警備がガバガバな訳を教えて下さい」

まぁ、これに関してはうp主の個人的感覚が混じっています。まず、ライダーズギアに届かないにしても、兵器としての力は凄まじい物。こんな物を大量に置いてある場所ですよ?皆さんならどう思います?うp主なら、

「来たら撃滅。が、その前にこんな場所に侵入したら命は無いだろ」

と考えます。つまり、完全な慢心です。そりゃあ警備も穴だらけになるわ。

まぁ、インフィニット・ネクサスでは、完全にガチガチに固めて来ましたけどね。


「「「木場さーん!!」」」

 

「ウォワ!?な、なに?」

 

平日の今日、木場は普通にスマートブレインに勤務していた。取り敢えず仕事が一段落したので、トイレに行っていたのだが、出てきたと同時に、複数の男性社員に囲まれた。

 

「お願いします!週末合コン付き合って下さい!!」

 

「え!?何で俺!?」

 

「お願いしますって!木場さん結婚してるじゃないですか!アドバイスとかフォローお願いします!」

 

いや、普通結婚してるヤツ誘わないだろ。相手の嫁に誤解させたら、それこそ大変だぞ。

 

「え……」

 

「こっち1人足りなくなったので、欠員の補充の意味もあるんです!!」

 

「え?」

 

「「「お願いします!この通り!!!」」」

 

全員に頭を下げられスゴい勢いで頼まれたのと、木場の必死の頼みは断れないと言う性格が混ざりあって、まさかの承諾してしまった。だが、このあとにスゴく後悔することになる。真耶が怖いからじゃない。シンプルな原因だ。

 

「…………何で俺あんなこと言っちゃったんだよ……合コン参加したことない……」

 

誰もいなくなった廊下で、1人そう呟いた。泣きそうな声で。と言うかもう泣いている。確かに、純真と言うか純粋と言うか純情と言うか、こう言ったことには人生を通して参加したことがあるようには見えない。むしろ恥ずかしがって女子と話すことすら出来なかったと言う学生生活の方が容易に想像できる。まぁ、実際は一部女子とは関わりを持って、普通に会話をしていたがな。

 

そしてその後、すぐに今日が休日の草加の家に駆け込んだ。こう見えて、草加は意外とこう言った物に参加させられる。まぁ、千冬以外にはときめかないし、身長160センチ前後、黒髪で若干つり目、普段は人に見せないが弟思いの女以外にはそもそも興味を抱かないからな。

 

「まぁ、決まったものは仕方無いし、予行演習でもしておくか?」

 

「ありがとう!草加君だけが頼りだよ!!」

 

因みに、真耶からの承諾は得ている。溌剌とした笑顔と声で、娘と一緒に楽しんできてねと言われた。これは後が怖いな。あ間違えた。痕が怖いな笑

 

取り敢えず草加と向かい合って座り、それっぽい話を始めてみた。

 

「よし。始めるか」

 

「あ、はい」

 

「じゃあ、どうも草加と言います。初めまして」

 

「あぁ!初めまして!木場って言います」

 

予行演習だが、ガチガチに緊張している。何故?

 

「木場さんは……ずっと女子校で?」

 

「そうなんですよ~!周りいつも女の子ばかりで、こう言うの緊張しますが、でも、今日は勇気を振り絞っちゃうぞ!みたいな?」

 

仕草、声、共にメス感を出してきた。突然の草加のボケだが、上手く乗ったな。だが、すぐにおかしいことに気付き、オーガストランザーを取り出して降り下ろそうと構えた。

 

「何で俺が女役なの!?」

 

顔赤くして言われてもな~。もっと嫌がった表情しろよ。

 

「いや、もし女の欠員が出た場合必要かと―」

 

「なんないよ!!」

 

「じゃあ、俺が女役をするわけだが……ちょっとキャラ作ってくる」

 

そう言うと、おもむろに席を立ち、どこかへと消えていった。そして約3分後

 

「んっ!?」

 

ウサギの耳を付けた草加が部屋に入ってきた。

 

「草加ゆう子だピョン(棒)今日は、イケメン食いに来たピョン(棒)好物は人参だピョン(棒)」

 

(キャラ付け、雑すぎじゃない!?)

 

そんなこんなで、これから数十分の間こんな感じの草加と過ごした木場だが、このタイミングで買い物に行っていた千冬が帰ってきた。

 

「ただいま~。木場さん来てるんですか?……え?」

 

「あ、千冬。ちょうど良かった。千冬も俺の仲間に入ってくれ」

 

「えぇぇ!?仲間!?その前に2人ともなにやってるんですか!?」

 

「見ての通りだが……?」

 

そう言われ、注意深く今の2人を観察する。片方はウサ耳のカチューシャを頭に付けて、飲み物をコップに注ごうとする。そしてもう片方は、コップを持って飲み物を入れてもらおうとする。

 

(不気味なバニーにお酌される木場さん……ハッ!この光景って)

 

ダン!

 

「お会計は全部で30万円になります!」

 

テーブルに足を付け、何故か木場に値段を言い始めた。何を想像したのだろうか?

 

「ヤバイ店じゃないですからね!!!」

 

木場に全力で否定されたので、何をやっているのかを聞くと、合コンの練習だと判明。流れで千冬も手伝うことになった。

 

「さてと。まずはサラダだな」

 

キッチンに立つと、手際よく料理を作り、前菜のサラダを持ってきた。トングを使ってそれぞれの皿に手早く盛り付け、3人分配膳する。

 

「飲み物はどうする?何かつまみでも作ろうか?」

 

次から次へと手際よく準備をする。最早プロだ。いつの間にか豪華な食事が出来ていた。

 

((ゆう子、女子力高い……!!))

 

余りの女子力の高さに、普通に引いている。確かにそうだ。大抵の事には驚かないし、感情がピクリとも動かないようなうp主でも、軽く引くだろう。

 

食事が終わると、改めて自己紹介の練習から入った。

 

「あ、改めまして、木場勇治です」

 

「……千冬、トイレに行くぞ」

 

「え!?」

 

トイレの場所まで来ると、草加が木場の第一印象を話し始めた。確かに、この光景は合コンではよくあるようだが、そこまで再現する必要はあるか?

 

「第一印象はどうかしら?なんかあの木場って言う人、細かったわよね(棒)」

 

「そ、そうだね……」

 

そして部屋に戻り、話もまた再開する。

 

「や、休みの日は、音楽を聞いたり、自室でのんびりと過ごしています」

 

これはうp主の休みの日。

 

「千冬、行くぞ」

 

そしてトイレにて。

 

「インドアだわ~。あの子インドアだわ(棒)」

 

「雅人さん。一々トイレで品定めしなくて良いですから……」

 

そしてまた戻る。

 

「て言うか自己紹介に何分かけてんの!?全然進まないでしょ!?」

 

「そうだった。悪いな。では、俺達女サイドも軽く自己アピールしておくか」

 

「は、はい!」

 

「んんっ!私、草加ゆう子27歳!男なら誰でも良い予定で来ました!今日は1人か2人持ち帰る予定です!」

 

「なんでそんなにガツガツしてんのゆう子!!はぁ、千冬さんお願いします……」

 

「草加千冬!27歳!好みのタイプは身長185センチ以上!黒髪短髪!鋭い目付き!同い年で、少し不思議な所があるけど男前!そんな人以外、正直興味ありません!」

 

「今すぐ帰って!!何で合コン来てんの!!……俺がバカだったよ……2人を頼った俺が……」

 

「まぁまぁそう落ち込むな。合コンは、強引に連れ出すか連れ出されるか、もしくはかっさらえば問題ない」

 

絶対合コン行ったこと無いだろ。コイツ。その後も、予行演習と言う名の木場弄りが続いた。それを見ていると、この2人は絶対に合コンに行ってはいけないタイプだと言うのが分かった。他人にスゲー迷惑だから。

 

「さて。フリートークも終わったし、行くぞ。千冬」

 

「え?またトイレ!?」

 

この女子のトイレトークには、今まで口を出さなかった木場だが、ついに口を開いた。

 

「俺だけ……俺1人だけ仲間外れじゃないか……俺も交ぜてよ!!」

 

結局……ただの女子会になってしまった。そして当然、木場は合コンを欠席することに。代わりに千冬を向かわせた。だが、合コンは千冬の一人勝ちだったそうだ。何故だかはよく分からない。

 

「で?お前はこうなることを分かってたのか?」

 

『はい!何と無く予想してました!勇治さんの事ですから、困って2人に助けを求めるけど、結局練習できずに代わりに千冬さんか草加さんを出すと思っていたので』

 

「そうか……で?勇治さんは?」

 

『居ますよ?少し代わりますね』

 

『あ、ち、ふゆさん……き、今日はありがとう、ございました……ンッ!今度、お礼持っていきますっ!ね。草加君にも、よろしくお願いします……ぁ』

 

「ん?風邪でも引いたのか?」

 

『えぇ。ちょっと体調が悪いようです。ではこれで失礼しますね』

 

そう言って、電話を切られた。まぁ、結果オーライだろう。木場にとっても草加と千冬にとっても。




次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!

あ、最近ネタが出てこないことが多いので、ちょっとした箸休めに過去に書いた2作、「絆の戦士と7人の魔法使い達」と「インフィニット・デカレンジャー」を明日から台本形式から通常形式に戻した物を投稿します。あ、台本形式の方は消しませんよ。感想とか色々と大切な物があるので。

ストーリーの大本は変えず、少しばかり手直しした物を出します。そちらもよろしくお願いします!!


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第2回、座談会!

今日中(25日)の内に出せるかな……?


さてさてさ~て。始まりました2回目の座談会。まさか2回目を開くとは……まぁそれでは、いつも通り皆さんに入ってきて貰いましょう!口寄せの術!!

 

一夏

「今回は俺達も口寄せかよ!!しかもこんな大人数!」

 

大丈夫大丈夫。14人だから!じゃあ紹介から!まずはお馴染み!本作主人公の一夏!

 

一夏

「クリスマスプレゼントは休みが欲しい。織斑一夏だ。今日もよろしくな!」

 

そしてお次は、仮面ライダーオーガ、木場勇治!

 

木場

「クリスマスプレゼントは、俺が活躍できるストーリーが欲しい!木場勇治で~す!」

 

次!海堂!

 

海堂

「クリスマスプレゼントには……特に無いな。境界ストーリー主人公の海堂直也だ!よろしく!」

 

お次は意外や意外。まさかご指名が入るとは思わなかったよ。巧!

 

「まともだったのは1回だけ。クリスマスプレゼントに欲しいものは特に無い。乾巧だ」

 

もっと真面目に言えよ。次!2人まとめて、鈴と本音!

 

本音

「はいは~い!クリスマスに欲しいものは、いっち~との時間!織斑本音で~す!!」

 

「本編では教師になった凰鈴音です!今日はよろしくね!」

 

さ~て、次は本編で今のところラスボス!束!

 

「止めて!黒歴史だから言わないで!!海堂束だよ!クリスマスには……家族で過ごせる時間をちょうだい!」

 

と言っているが、どう思う?クロエ

 

クロエ

「私も欲しいです。篠ノ之クロエです。……名字は変えた方が良いでしょうか?」

 

面倒だからそのままで良いよ。特に変えるつもりも予定もないからね。さてと次!3代目デルタ!一音!

 

一音

「数回しか出てないのに、地味キャラの印象が付いた3代目のデルタになってた織斑一音だ。よろしく頼む」

 

それがデルタを使う人間の定めだ!うp主にはどうにも出来ない!が、目立つ回を設けることは出来るぞ!何故なら、ここでは私が神だからな!ヴァハハハハハハハハハハハハ!!!早く次自己紹介しろよ!

 

バジン

「済まん。タイミングが見当たらなかった。今日は人間形態で登場している、布仏・A・バジンだ。作者のこの企画に付き合ってくれたことを感謝する。それと、確かにさっきのはタイミングが遅かったな」

 

分かれば良い。では次だ。読者の皆さんのご登場だ!前と変わらないけどな!!

 

orotida

「前回に引き続き登場です!今日はよろしくお願いしま~す!」

 

鉄血

「俺も前回に引き続きで~す!よろしく!」

 

たけじんマン

「おやおや鉄血さん。その銀色の不思議なブレスレッドは何かな?今回も出席しました!たけじんマンです!」

 

通りすがり

「鉄血さんのブレスレッドもそうですが、この部屋の殺風景さも気になっているただの通りすがりです!」

 

orotida

「確かに殺風景だな……よし!」

 

『メリークリスマス!!プリーズ!』

 

一夏

「え!?魔法!!?」

 

orotida

「もういっちょ」

 

『ドレスアップ!!プリーズ!』

 

本音

「わぁ~!スゴい!一瞬でクリスマスになった~!」

 

特に何も言わずにやったから、多分orotidaさんの中の人は驚いてるよ。会場を一気にクリスマスムードにしたり、ここに居る人達の格好をサンタとかに代えたんだから。うp主的にはこのトナカイの格好が落ち着いて気に入ってるよ。鉄血さんのブレスレッドに関しては、後の方にね。ではとっとと企画に入りましょう!今日は後の3時間30分しか無いんだから!

 

最初の企画は、前回の座談会以降に印象に残った話だね。いくつでも良いよ!じゃあ紹介した順番にどうぞ!

 

orotida

「俺からか。一杯あるけど、コーラで性転換かな?インパクトが強すぎて、結構頭に残ってるよ。後はやはり束と海堂とか結花と啓太郎とか、千冬姉と草加さんとか木場さんと真耶と本音と一夏とかのカップルものにホッコリを通り越して、なんでIS原作には頼れる一つ上の世代がいないのかねと涙を流しています。あと鈴と弾付き合っちまえば。というかここの弾と鈴が昔から憎からず思っていて、普通に同棲して気づいたら結婚してたとか。あと村上さんキャラ変わり過ぎ、なにがあったし」

 

座談会終了後1発目だからね。インパクトのあるものをと思って作ってたから、自然と性転換で収まったよ。ただし、夢落ちとか原因不明だったらつまらないから、中馬先生特製のコーラが原因にしておいたよ。

 

弾と鈴の同棲して、いつのまにか結婚はうp主も考えてたよ。ただ、文章にするのが難しいから、現状放置しています。弾の職業を何にするべきか……店を継がせるのは在り来りだからしないけどね。

 

村上さんに関しては、妻と娘が居るから。と言うのが大きな理由ですね。守るべき物を持てば、自然と人格が変わるものです。では次、鉄血さん!

 

鉄血

「これはやっぱり、海堂さんと束さんのカップル成立ですかね。理由は、元なら好きな海堂さんと、その心に惚れた束さんの笑ってる姿を想像すると、自分も自然と笑顔になれるからですね」

 

海堂

「このエピソードは俺も驚いたんだが」

 

「私も。あそこでクロエを助けてから、もう出ないものとばかり思ってたから」

 

このカップリングに関しましては、単純に似合いそうと思ったからやったまでです。千冬に倒されて、心の歪みが無くなり、クロエを助けて真の救済となる。ここまでならすぐに思い付きました。ただ、問題はその後。何をすることで、本当に束が心の底から救済できたと、自分が納得するにはと考えたら、海堂の歌と心に惚れて一緒に楽しく、充実した毎日を送れれば、うp主自身が救済できたと言えるので、その結果ですね。ちょうど良くリクエストもありましたし。

 

鉄血

「成る程。そんな理由があったとは……」

 

クロエ

「でしたら、是非家族団欒のエピソードをお願いします!私、お母さんとお父さんで水族館や遊園地に行きたいです!!」

 

げ!両方とも俺が苦手なデートスポット……。ご希望に沿えるかわからないけど、家族団欒の風景は書きたいと思うよ。特に君たち3人はね。じゃあ次、たけじんマンさん!

 

たけじんマン

「僕もorotidaさんと同じ、コーラで性転換のエピソードですね。単純にストーリーが面白かったので」

 

単純な物って、ある一定値を越えればスゴいことになりますからね。ここの場合は、コーラで性転換の話だったのかも知れませんね笑

 

一夏

「笑じゃねーよ!どんだけ苦労したと思ってんだ!!」

 

木場

「そうだよ!こっちの身にもなってくれ!」

 

え?うp主は女の方が良いと思うけどな~。持久走で走る距離が短いから。

 

一音

「そんな理由かよ!!」

 

イエス!そんな理由だよ!じゃあ次!通りすがりさん!

 

通りすがり

「私は、救済と蛇と卯ですね。蛇と卯は私自身が束と海堂のキャラが結構好きなんですよ。それにこの2人も良い意味で相性が良いんじゃないかなと思いました。次に救済なんですが、この回の束は、束なりに責任を感じ、けじめとしてクロエを助けたところ……と言いたいんですけど、すみません。自分、ISのキャラの中でもクロエを結構推してまして……」

 

「ワァオ!良かったねクロエ!現実でも君の事を思ってる人がいて!」

 

クロエ

「はい!通りすがりさん!ありがとうございます!」

 

通りすがり

「グパアッ!!…………」

 

あ、逝っちゃった……。

 

「おい。どうすんだよ。これ」

 

鈴。次の企画までに生き返らせておいて~!

 

「あんたは鬼か!!まぁ良いわ。治しておく」

 

それは助かるよ。はいAED。じゃあ次行こうか。前回の座談会以降で、この作品に対する質問だね。じゃあ今度はたけじんマンさんからね!

 

たけじんマン

「そうだな……あ、本編なストーリーは完結していますが、本当の終わり的な締めとかはあるんでしょうか?」

 

そうだねぇ……結構長いこと続いてる訳だから、悩むんだよね~。今のところは、締めらしい締めはなく、うp主のSAN値が続くまでやると言うプランAと、一夏死亡のプランB、一夏と本音の結婚式のプランCがあります。

 

一夏

「おい!なにさらっと重要なこと言ってんだ!!?俺が死ぬのがプランに入ってるってどう言うことだ!!」

 

安心しろ。選ぶ確率は低いから。まぁ分かりやすく言うと、まだ締めは決まってないってことだ。じゃあ次、鉄血さんね。

 

鉄血

「この作品で、たっくんと真理さんって付き合ってないんですか?と言うより、恋心は?」

 

じゃあその辺を巧本人からどうぞ。

 

「付き合ってねーな。恋心もない。ただの友達って感じだ」

 

と言うことだそうだ。恋愛意識は一切なしとの事の様で落ち着いています。では次にorotidaさんね。

 

orotida

「そう言えば、スマートブレインって銃刀法違反の装備たくさん作ってますが、どうなんですか?」

 

ざっくりとしか考えてないけど、この件に関しては政府容認って事にしてるよ。政府の中にもISを全面的に受け入れる人は全員では無いわけなので、一部の常識的な連中がショック療法と言うことで許可を下したことにしています。

 

orotida

「成る程。あ、あと一夏と本音の結婚式と、更識姉妹はどうなりました?」

 

先程も言ったように、一夏と本音の結婚式はラストに持ってくる予定ではあります。更識姉妹については、簪が全うにスマートブレインに就職。姉、その他暗部としての仕事に拘る頭の固い連中は、家ごと潰れました。文章は作ってる途中ですけどね。

 

全員

「何でまた重要なことをさらっと言ってんだ!!!」

 

ウワァァァァァ!!!イッテーな!攻撃することは無いだろ!!?大体!こんなの誰だって予想できるだろ!アイツらが暗部の仕事が出来てたのは、ISと言う世界共通にして最大の不安要素があったからで、その後村上の作ったライオトルーパー部隊が出来上がって世界の均衡が元に戻ったから必要なくなるだろ!そもそも、スマートブレインのライダー部隊が全世界に配備されてるのに、迂闊にテロとか戦争とか起これるわけがねーだろ!

 

バジン

「確かにそうかもしれないが、さらっと言うことに問題があるんだよ!」

 

じゃあねばっと言った方が良かったのか?表現的には少し汚いぞ?まぁ良いや。鈴、そろそろ通りすがりさん生き返ったか?

 

「えぇ。いま目を覚ましたところよ」

 

通りすがり

「私は一体何を……」

 

まぁ良いから。ほら。前回の座談会以降でこの作品に対する質問は?

 

通りすがり

「ん?あぁ~。皆忘れているであろう弾君の存在。彼はどうなりました?」

 

鈴とカップルを組んで貰おうと、現在画策中です。

 

「ちょっと!?本人が居るのにそれ言うの!?」

 

え?嫌なの?弾とくっつくの。

 

「べ、別に嫌ではないけど……その、心の準備とかが……」

 

じゃあくっつくと言う方向で話を進めておくぞ。うp主本人への質問だな。よし!ガンガンこい!(←少ないの分かってる)たけじんマンさんから!

 

たけじんマン

「ISと他の特撮とのクロスでやるなら、ハリケンジャーやメガレンジャー、大怪獣バトルではやる予定はあるのでしょうか?ちなみにこのチョイスなのは、個人的に好きだからです」

 

そうですね~。いつかはやってみたいですけど、今のところその3つでやる予定はないですね。大怪獣バトルで書くなら、オリジナルキャラ達を暴れさせたい!と言う気持ちもあるので。では次!鉄血さん!

 

鉄血

「ネクサスとの出会いってどんな感じだったんですか?」

 

それはうp主とと言うことでしょうか?そうですね~。初めては見たのはリアルタイムではなくですね。当時一緒に暮らしていた父親の弟、つまり叔父なんですけどね。その人が第1話をビデオに録画していてくれてたんですよ。物語の序盤は、今まで見たウルトラマンとは違う暗い雰囲気と難しさに、本当にウルトラマン?と思った記憶が今でもあります。そしてナイトレーダーの戦い方も今までの防衛隊と違いすぎてた事に驚きましたし、何より第1話のラスト。ネクサスが有無を言わさずにペドレオンを拳で潰したとき。このシーンは今でも鮮明に覚えています。そこからですね。今までと違う。と言うことに興味を持ち、その作品にのめり込む様になったのが。初任給でBlu-rayBox買おうと思っています。多分休みの日は1歩も部屋から出ないな。では次、orotidaさんは特に無かった筈だから、通りすがりさんだね。

 

通りすがり

「そうですね~。彼女出来ましたか?」

 

彼女が居たら、デート回はもっと良いものになってたと思います。では次の企画!無気力な救世主以外で、完結した長編シリーズでそれぞれ印象に残った話をお願いします!!じゃ流れで通りすがりさんから。

 

通りすがり

「神と時間の支配者の『デュノア社は絶版だ』です。一番はクロノスが強かったことですかね。実はエグゼイドを忙しかったこともあって見れなかったんですよね。だからエグゼイド系の二次創作も神と時間の支配者が初めてでして。これを気に見直そうかなと思ったりしました」

 

是非見ることをお薦めします。内容が驚くほどスゴかったですからね。物語が進むに連れて、各ライダー達のデザインも気にならなくなってきますからね。次に鉄血さん!

 

鉄血

「俺は『インフィニット・デカレンジャー~クールで熱い戦士たち~』の番外編の『episode0』~『約束』です。話の中で、どちらかと言うとクールな司が仲間を殺された怒りで荒れ狂うシーン。そして墓での会話等が非常に印象深かったです」

 

何故司は前線に立ち続けるのか、何故仲間の為にそこまで戦うのかと言う、それらの理由を表すエピソードでしたからね。最終話の会話は、もう1度約束して、何があっても仲間を守ると言う彼の意思を表したつもりですね。では次にorotidaさん!

 

orotida

「デカレンジャーのはオタクの一夏に、ヒドインムーブの千冬姉に案外馴染んでる束さんについでにデカマスターのオッさんカッコいいですしね。案外印象に残ってますな。あとデカマスターのオッさんの相方の話はまだ続きがあるだろと思ってます。一番いい意味で酷えと思ったのは簪の色物ミサイル乱射事件。そういや訓練をうけてオリ弟と箒と千冬姉更生しましたか?」

 

なんか誰かを魔改造したいと言う気持ちと、有無を言わさずに相手を圧倒する物が欲しいと言う気持ちが合わさって、簪にはあんな感じになって貰いました。訓練を受けている3人ですが、更生できたと言う設定で行こうと思っています。いつか短編で、一夏とオリ弟のタッグミッションとか書きたいですね。

 

本音

「あれもまだストーリーが残ってるの?」

 

まぁね。でも、長らく無気力一夏や絶版一夏、ネクサス一夏とか書いてたから、性格とか色々と忘れて、今放置してるよ。じゃあ次、たけじんマンさん!

 

たけじんマン

「IS×エグゼイドで、セシリアの両親とは仕事上で知り合いと語る回と試合後にその両親の事を語る回。ラウラも試合後に鈴ちゃんの勧めでゲームにハマった回と、簪との初接触回。箒が福音戦で加勢して最終的に勝利し、前世で迷惑をかけたのを詫びる回。以外にもすでにセシリアとはこの様な形で接点があったのと、父親が前から自分も「ひょっとしてこんな人じゃなかろうか?」と思っていたのと似ていたり、もっともらしかったのもあります。ラウラのはゲームを通じて強敵だったのと仲良き友となったのと、実は簪も内容はアレだけどゲームを作っててそれが目に留まって接触して友となった事。箒が好きなので(今作では一夏に恋愛感情を持ってないのもあって普通に友人として接しているのもプラス)、しかも前作のをおぼろ気に覚えていてその非礼を詫びる律儀さが良く、これにはオイラは惚れるかなと」

 

個人的に新しいものに取り組もうと思った結果ですね。オルコットの両親に関しては、完全にこうだったら良いな~と言ううp主の願望が、ラウラに関しては、なんか似合いそうと言う大雑把な理由で決まりました。他のも大体同じ理由ですね。

 

海堂

「こっちはほとんど大雑把な理由が多いんだな」

 

個人的に初めての物で固めたかったからね。その結果細かい事を考えるよりも、ザックリと行った方が良いと思ったんだよ。では次の企画へ。インフィニット・ネクサスで印象に残った話ですね。orotidaさんからお願いします!

 

orotida

「インフィニットネクサスは序盤で束が死ぬは、実銃の名前がでるは、白式がいい子だわ、カカシ先生良いキャラしてるわ、闇一夏も立派なやつだわ、締めにバルタン星人出てくるし、印象に残ったエピソードに事欠きませんな」

 

カカシ先生をモデルにした香華は、昔書こうとしたナルトとISのクロスオーバーの名残ですね。実銃の名前を出したのは、少しでもシリアスな雰囲気を出そうと思ったからです。締めのバルタンは、一夏が地球から出ていくきっかけとなる存在と、この世界に対して説得力のある言葉を残せる存在と言うことで、バルタンを起用しました。では次、鉄血さん。

 

鉄血

「『クラス対抗戦への準備』です。あそこで一夏が鈴を慰めるシーンが本当に好きです」

 

なんかいい感じの慰め方が思い付かなかったので、即興で出てきたヤツなんですよね。好意的に受け入れてもらえて良かったですけど……。次!通りすがりさん!

 

通りすがり

「やっぱり『決別』ですかね……。ある意味束を殺すことで真の決別をしたってところですかね。クロエが殺されたのもショックでしたが(((」

 

まぁちゃんと生き返りましたよ!あのシーンは、完全に過去を捨てることで闇になろうとするけど、心の奥底に残った僅な光の欠片が、完全に闇に染まるのを止めて、でもそれでも生きるためには闇に染まるしかないと言う、溝呂木の心の葛藤を描きたくてつけたんですけど、なんか意外にも割り切って過ごしてましたからね。特に要らなかったかも。と思い始めた頃です。最後にたけじんマンさん!お願いします!

 

たけじんマン

「初バトルで白式に教えてもらいながら戦った回。シャルロットがデュノア社を潰すように依頼した回。デュノア社の所業が白日のもとにさらされた回…まあ、我らのシャルロットがレイプされた事ありというのは今回のシリーズでビックリ仰天でしたが。初バトルのはロックマンエグゼみたいないかにもなチュートリアルなのもあるのと、ロックマンエグゼや流星のロックマンみたく相棒と一緒に戦ってる感じがしてて凄く好きだから。依頼した回のは、「この子が彼が殺し屋なのを知ってるのと殺し?の依頼をするのは意外だなあ」と感じたため。シャルロット好きにとってはアレなところはあれど救済な回」

 

強姦されてたと言うあの文。本当は要らないと思って、出す前に消したんですよ。でも、システムのバグかなんかで、消したはずなのに修正されずそのまま出てしまい、直そうにも沢山の人に読まれて感想まで来て、もう残してしまおう!と言う感じになって、直さずに残しました。溝呂木くんと協力して、記憶データと映像データを回収して回りましたが……。殺しを依頼したことや、溝呂木が殺し屋と知っていたのは、デュノア社の傀儡とするための餌。と言うことで、一応親の立場に居るヤツから教えられたと言う設定です。

 

白式との初バトル。あれはもろにエクストルーパーズを参考にしています。最初のシーンのギンギラとブレンが初めて戦うシーンですね。あれを参考にしました。白式は出すと決めた辺りで自動的にギンギラにしましたし、戦闘経験の無い一夏なら白式から当然サポートを受けると思いましてね。

 

……うん。これで全部終わったな。2回目の座談会はここまでにします!

 

一夏

「良いのか?他にも聞いてたんだろ?」

 

あれは個人的に気になってたものだからね。ここに出すために聞いた訳じゃないよ。

 

木場

「成る程ね。そう言えば、告知あるんじゃない?」

 

あ、そうだった。インフィニット・ネクサスにて、近日よりエピソードサーガを投稿します!!そしてサーガ本編の主人公、タイガ・ノゾムポジションには、ここに来ている鉄血さんが演じます!

 

鉄血&ゼロ

「『今の俺達は、負ける気がしねぇ!』」

 

鉄血

「と言うわけで!この俺鉄血のブリュンヒルデが、タイガポジションでゼロと一緒に出演します!!」

 

ゼロ

『俺たちの新しいエピソードも、よろしく頼むぜ!!』




鉄血さんが登場したときから着けていたブレスレッド。それはウルティメイトブレスでした!

では、次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!


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それぞれの対応

今日は対応をテーマに、もし電車の中で痴漢にあった場合、それぞれどの様な対応をするのかをご覧ください。


通勤時間や休日の昼間の電車の中など、満員や人がクソが付くレベルで多いとき、痴漢や盗撮と言う女性にとってはトラウマレベルの事が起きてしまう。最近でもネットニュースになるレベルで取り上げられる事がしばしばある。

 

と言うわけで、今日は電車内で痴漢や盗撮にあった場合、彼氏達はどの様な事をするのか。それを今回は、このモルモット3組に実演して貰うので、見てもらいましょう。まぁ一部電車には乗らないだろうと言うのと、自力でどうにか出来るのもいるけど、多目に見てください。

 

一夏&本音の場合

 

現在、一夏と本音は電車の中。今日は久し振りに何もない日で、ちょっと遠出をして買い物をしようと思い、電車に乗って移動している。だが、

 

(クソっ!人多すぎるだろ!!)

 

あまりの人の多さに、一夏は現在進行形でイライラしている。確かに人は多いが、休日だからそれは仕方無いと思うぞ。多分。

 

(本音は大丈夫かぁ?ん?)

 

電車が揺れる度に、人に揉みくちゃにされる空間だ。一夏より身長の小さい本音にとって、この空間はかなりキツいものになる。本音を心配してか、一夏が自分の隣にいる本音に目を向けた。何かスゴく辛そうな顔をしている。

 

「大丈―……んぁ?」

 

そして気づいた。本音の背後で、中年の男性が本音を触っていたのだ。触り方や相手の表情を見るからに、電車が揺れてぶつかってしまったと言うものではない。完全に痴漢だ。

 

一夏がそれに気付くのと同時に、目的地の1つ前の駅に着き、扉が開いた。それと同時に、男は下品な笑いを浮かべながら電車から出ていく。

 

「本音。降りるぞ」

 

「え?」

 

目的地では無いのに、何故か本音と一緒に電車から降りた。そして、痴漢をしていた男に声をかけて呼び止めた。

 

「ちょっと良いですか?」

 

「何です?」

 

「いや。ちょっとお話があるだけですよ」

 

「手短にお願いするよ?これから大事な商談があるんだから」

 

「そうですか~。なら早く終わらせないとな~」

 

穏やかに言う一夏。相手はそれを不審そうに見ている。そんな一夏の手には携帯電話が握られている。

 

「じゃあ手間とらせない様に、とっとと警察呼びますか」

 

「ッ!?」

 

警察と言う言葉を聞くと、急いで逃げようとした。が、脚に力が入らないのか、上手く走れていない。

 

「おい待ちやがれ。なに逃げてんだ?」

 

「た、頼む!警察だけは勘弁してくれ!!」

 

血相を変えて、警察だけは勘弁してくれと頼み始めた。公衆の面前で土下座をしてだ。まぁその様子は周りの人が携帯で映像を撮り始めた為、SNSで拡散されるだろうがな。

 

「え?イヤに決まってんじゃん」

 

いま、痴漢をした男には、一夏の事が悪魔に見えているだろう。完全に悪人の顔をしている。離れた場所で見ている本音は、そんな一夏に少し引いている。が、男を助けようと思う気持ちにはならない。

 

「本音。交番行くぞ」

 

そのまま抵抗する男を引き摺りながら、駅前の交番まで届けに行った。

 

 

 

 

 

 

 

草加&千冬の場合

 

痴漢されるまでの流れは同じなので割愛して、降りた辺りからにしよう。

 

「ちょっとお父さん……お話があるんだけど?」

 

「ヒッ!?」

 

草加の顔を見た瞬間、短く悲鳴をあげた。別に顔が怖いわけではない。普通に笑顔だ。だが、なんと言うのだろうか、手を出したら殺られる!と言う感じだ。

 

「まぁここじゃあ何だし、奥で話をしましょうか?」

 

「ま、待ってください雅人さん!」

 

「ん?千冬どうかした?」

 

「いえ。その……」

 

男は自分の助けに入ったかと思い、顔が一瞬明るくなった。だが、次の瞬間真っ青になった。

 

「密室の場合監禁罪が成立してしまうので」

 

「あ~。そんなことか。大丈夫だ。密室には連れていかないから」

 

因みに、密室とは閉め切られていて、出入りが完全に出来ない部屋の事を言う。その為、トイレの個室や少しドアなどが開いている部屋は密室とは言わない。そこならば監禁罪は成立しないので、有効に活用しましょう。

 

が、トイレには監視カメラが設置されていないケースが多い。証拠の残らない場所で執行される正義を思うと、わずかにだが痴漢をした男に同情の念が僅かに湧いてくる。因みに、草加はコンビニで深夜のバイトをしていたことがあるが、その時の万引き犯は店内で唯一監視カメラが存在しないウォータワクイン倉庫に拘束した上で連れていくと言う事をしていたので、こう言った事にはなれている。

 

「う、うわあああああああ!!!」

 

数分後。

 

「あ、雅人さん……その赤いのは?」

 

「ん?あぁ~ケチャップだよ。はい。千冬の分」

 

そう言ってホットドッグを1本千冬に差し出した。……男はどうなった?と言うか、ケチャップ派手に飛び散ったな~。顔にも付いてるぞ。

 

 

 

 

 

木場&真耶の場合

 

今度はこの2人だ。この2人も遠出だろうか?この時間に電車に乗ってどこかへと向かっている。ここでは痴漢をされていると言う様子はどこにもない。

 

『次は新宿~新宿~』

 

「次ですね。私たちの目的地」

 

「そうだね」

 

この短い会話から、2人の目的地は新宿であることが伺える。何故新宿に?

 

「さ。降りますよ!」

 

真耶は楽しそうに降りていく。木場もそれに続き、他にもここが目的地の人も降りていく。

 

「ハァア!!」

 

「ウワッ!?」

 

その時だ。木場が突然の大きな紙袋を持っている男を背負い投げにしたのだ。

 

「な!何しやがる!!」

 

「真耶さん。紙袋の中を確かめて」

 

「?はい……これは」

 

紙袋から出てきたのは、服とズボン、防止に靴、その他飲みかけのジースのペットボトル。そして、電源が着いた録画状態のビデオカメラ。

 

「中の映像、確かめさせて貰います」

 

中は完全に盗撮をした映像だった。中の映像を見られるや否や、木場を振り切って逃げようとしたが、綺麗に固められているので、逃げることが出来ず、そのまま警察の御用となった。

 

「ありがとうございました。それにしても良く気付きましたね。私は全くでしたよ」

 

「うん。何か撮られてるって思ってね。袋の中を覗いたら、カメラがあったんだ」

 

木場の観察力に、真耶は感心していた。確かに、普通なら絶対に気付かないからな。その後は普通に買い物をして、帰宅した。因みに、帰りは特になにも起こらなかったが、次の日のネットニュースに木場が載っていた。盗撮犯を一本背負いと言うタイトルで。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

(いや待て……俺は男だ。痴漢なんかされない!されない筈だ!大体男の体を触る男なんて……女かよ!!)

 

電車に乗っていると、木場が体を触られていると言う感覚に陥った。しかし木場は男。痴漢なんてされないと言い聞かせて、目を後ろに向けてみた。すると、女が触っていたのだ。全然知らない人だ。

 

「ん?勇治さんどうしました?」

 

「え?いや……その……」

 

男なのに痴漢されていることが恥ずかしく思ったのだろう。心配する真耶になにも言えず、顔を俯かせるだけだった。

 

「っ!……すいません。彼、私のツレなので、辞めてください」

 

「へ?」

 

気付いたのだろう。すかさず女の手を退かして、自分の元に木場を抱き寄せた。そのまま女は別の車両に消えていき、真耶は周りの乗客から拍手を何故か送られた。

 

「ちゃんと言ってくださいよ。何で我慢するんですか」

 

「ご、ごめん……でも、その、ありがとう」

 

真耶に叱られ、少し落ち込むが、恥ずかしそうに顔を赤くして真耶にお礼を言った。……それ逆じゃね?




はい今回はここまで!次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告もよろしくお願いします!!

ついでに、現在リメイクで出している、ドラえもんとのび太の真魔界大冒険~絆の戦士と7人の魔法使い~もお願いします!!


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無気力、語る

教えて!憲八先生!!

今日の質問は俺、参上!さんからです。

「オリジナル仮面ライダーとオリジナルスーパー戦隊(隊員)とオリジナルウルトラマンとか考えてたりするんですか?あとオリジナル創るのって憧れません?」

オリジナルの仮面ライダーやスーパー戦隊、ウルトラマンは考えません。変身方法、決め台詞、姿、そう言ったものを考えるのは1人では無理なので。それに完全オリジナルでそう言ったヒーローを作るとなると、敵キャラや目的、世界観を作り出すのは時間がかかります。

オリジナル小説に関しては、来年1日から早々に1つ出そうと思っています。例の死神君のヤツ。

提供 orotidaさん


「あ?姉貴と草加の話?」

 

「あぁ。出来れば今後の参考にしたくて、教官と雅人さんの話を聞きたいのだ」

 

「いや……だったら直接聞けば良いだろ?姉貴暇だろうし」

 

「それが、昨日聞きに行ったのだが、恥ずかしがって余り話してくれなくて……休暇も後3日しか無いし、明日はパトリックと観光地を回りたいしで、もう一夏しか頼れないんだ」

 

今日は一夏の営む食堂、お食事処織斑には珍しくラウラが来ていた。どうやら一夏に草加と千冬の事を聞きにきた様だ。今後の参考にと。

 

……周りにもっとマシなカップルが一杯いると思うのだが、何故敢えてその2人を見習おうと思ったのだろう。それが疑問でならない。

 

「別に構わんが、木場とかでも良かったんじゃないか?」

 

「私も最初はそう思って、こっちに来てすぐに行ったのだが、何故か2人とも性別が変わっていて、勇治さんのお腹には子供が居た……流石に何か不味いと思って、取り敢えず持ってきたドイツのお土産を、祝いと言うことであげてきた」

 

「は?」

 

は?木場が妊娠?何故……ちょっとうp主にもよく分からないぞ……

 

「まぁとなると、参考に出来るのは教官とお前しかいなくなるわけだが、パトリックはどちらかと言えば雅人さんタイプな訳だから、一夏達は参考に出来ないと思ってな」

 

なら何故最初に木場の所に行った?パトリックは木場と言うタイプでもない……あぁ~。真耶か。いやおかしくね?自分で書いてて思ってるけど、おかしくね?

 

「まぁ良いか。で?どこから聞きたいんだ?」

 

「じゃあ交際を始めた切っ掛けから」

 

ラウラに尋ねながら、カウンターからコーヒーを出し、ラウラに差し出した。今日はラウラ以外客は来る様な気配はない。土砂降りの雨だからな。その為ゆっくりと話すことが出来る。自分の分のコーヒーも淹れて、2人の事を話し始めた。

 

「付き合った切っ掛けは、草加のあの一言だな」

 

そう言うと取り出したのはボイスレコーダー。かなり年期が入っていて、少し色褪せている。型も大分古いタイプだ。

 

「何が録音されてるんだ?」

 

「まぁ聞いてみろ」

 

そう言いながら再生ボタンを押す。そして流れた音声と言うのが、皆さんも印象に残っているであろうあの言葉が大音量で流れた。

 

『俺は、惚れた人には幸せになって欲しい。こんなところで、血塗れになって戦ってる俺には無理な話だが、普通でも、小さくても良い。誰かと結婚して、普通に子供産んで幸せになって欲しい。ただ、それだけだ。変身!!』

 

「当時、俺はスマートブレイン系列の学童保育の事務所に預かって貰ってたんだが、姉貴は草加の事を想ってたが言い出せず、草加も草加で何かに遠慮して、姉貴の事を好きだったにも関わらず、縁談を申し込んだ相手がテロ組織の頭だと分かるまで、何も言わなかったからな」

 

「縁談相手がテロリスト?」

 

「あぁ。しかもスマートブレインが追っかけた連中だ」

 

「じゃあ、さっきの台詞は?」

 

「ソイツに向かって言った言葉だ。他にも、とある姉弟のお陰で欲が出たとも言っていたな。これをテロ組織ぶっ潰して倒れた草加が運び込まれた病室で流した。姉貴が近くにいる状態でな」

 

今思うと、こんな恥ずかしい台詞を大音量で流すのは鬼畜でドSの域だと思う。

 

「そこから、お互いに本心を知り合えたから、仲良く交際を始めた訳だが」

 

「成る程……その様な事があったのか」

 

「まぁ、今でもあの縁談をぶち壊してくれた事は、それなりに感謝しているつもりだ。何せ、結婚できると言っても、当時の姉貴はその年齢ギリギリだったし、相手は30代後半。壊してくれて本当に助かったよ」

 

「ん?そう思うって事は、お前はその男について知っていたのか?」

 

「いや。でも、30代後半で独立して貿易会社を営んで社長だなんて、信じられると思うか?それに、俺達は親がいない状態。世間はそれだけでも俺達を避ける。そんなのに、好き好んで縁談を申し込むなんてあり得ないからな」

 

なんちゅう推理力……ヤベーな。ホームズか?いや、ホームズならもっと早くに手を打つか。

 

「で?そこから2人はどうなったんだ?最初から今みたいにベッタリだったのか?」

 

「いや。最初はお互いに初めての経験で、恥ずかしがってあんまりくっかなかった。あの頃は良かったな~」

 

何故か、急に遠い目をし始め、ゆっくりとコーヒーの飲み込んだ。心なしか、目から光が消えたような気がする。

 

「あの2人が……恥ずかしがって?」

 

衝撃的な一言に、ラウラは軽くショックを受けている。まぁ今の2人を見ていたら、恥ずかしがってベッタリじゃなかったと言う言葉には絶対に驚く。

 

「一体……何が切っ掛けであんなことに……?」

 

「あぁ~。その、姉貴が今のIS学園を卒業してから国家代表になるまでに1カ月程の間があったんだが……その時に2人で旅行に行ったんだ……」

 

何故か頭を抱え始めた。しかも何か絶望のオーラを出している。どうやら、2人の関係に異変が起きたのはこの旅行が原因のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ハワイに来るとは……大丈夫何ですか?その、お金とか」

 

「気にするな。どうせ使わずに溜め込んでた金だ。あと少しで千冬は国家代表になるんだ。今くらい思いっきり楽しまないと」

 

とのことで、草加が溜め込んだ貯金を使って、まさかのハワイまで来てしまったのだ。新婚旅行じゃないんだから……。

 

そんなことで空港に到着した後は、ホテルに直行して荷物を整理。近くにビーチがあるので遊びに向かったのだが、ここで1つある事に巻き込まれた。結婚式体験キャンペーンだ。何でも、訪れたカップルや主催者が直観で良いと思った2人に結婚式を体験させるのだ。ドレスやタキシードは向こうが独断と偏見と第一印象で決めてくれる。

 

「結婚式シーズンでも無いのに、こんなイベントをやってるんですね」

 

「確かに珍しいな……やる?」

 

「え?…ッ!い、いえ!い、今はその……まだ///」

 

あらら。草加との結婚式を想像したのか、顔を赤くしてしまった。まぁ、これから数年後に結婚して、結構なサプライズを受けるんだがな。

 

今の自分たちには関係ない。そう思いイベントを素通りしようとしたその時だ。

 

「お!?そこのお二方!ちょいとお待ちを!!」

 

妙に流暢な日本語を話す現地の人が声をかけてきた。見た目はアメリカ人の要素が強いが、所々日本人らしい所もある。格好的に恐らく主催者だろう。西部劇に出てくるようなハットを被って、日本語に少しクセがあるがな。

 

「ん?」

 

「いや~!良い!あっしのイメージ通りでございやす!どうです!?お2人で体験してみあせんか?ウエディング体験を!」

 

「え!?」

 

見事主催者の目に止まったようだ。確かに2人は端から見れば良い感じのカップル。だが、お互いに慣れた様子はなく初々しい感じがある。そこが良かったのだろう。

 

「ささ!体験は無料!そのまま結婚もOK!予行演習にどうぞ!!」

 

そのまま引っ張られて行った。数分後、ステージの前には着付けの終わった草加が立っている。顔からは緊張の色がうかがえる。体も心なしか震えている。

 

「レディース&ジェントルマン!!本日最後のウエディング体験者は!日本から態々遊びに来てくれたこの2人!なんとまだ交際を始めて数ヶ月との事!!では、そんな初々しいお2人に!素敵な結婚式をプレゼントしてあげやしょう!!では!花嫁のご入場!!」

 

この男、毎回そんなことをやっているのか?よくその高いテンションを維持できるな。まぁそんなことはさておき、簡易的に作られたカーテンが開き、向こうから純白のウエディングドレスに身を包んだ千冬がゆっくりと歩いてきた。草加と同じく、緊張している上に少し恥ずかしそうだ。

 

(ヤベー……千冬似合いすぎだろ……今絶対に変な顔になってるし!顔見れない!)

 

(恥ずかしいー!!私絶対変な顔になってるよ……草加さんの顔直視出来ない!!)

 

2人とも緊張して、ガチガチに固まっている。しかもお互いの顔は見れないが、服装だけでも分かるカッコよさや可愛さに、耳まで赤くしている。それがポイント高かったのか、見に来ていた見物人やスタッフ等は歓声をあげて囃し立てた。

 

「ワァオ!我ながらベストマッチなカップルを選んでしまいやしたね!!では!そんな初々しいお2人には無駄な説教なんてせずに!さっさと誓いのキッスに移らせて貰いやしょう!!」

 

「「え!?」」

 

「ちょっと待て!まさかそこまでやるのか!?」

 

「え?当たり前でござんしょう?ウエディング体験なんですから」

 

「そ、そんな……は、初めてなのにこんな大勢の前でやるなんて///」

 

ベールで顔はよく見えないが、スゴく赤いことだけは確かだ。そして喋る声的にも、恥ずかしさから泣きそうになっていることも伺える。

 

「まぁまぁ。そんなに恥ずかしがらずに。ほら、皆さんも大変ご期待しているんですから!因みにあっしも、お2人のファーストキッスには大変期待しておりやす!さぁ早く!!誓いのキッスを!!」

 

この言葉に、周りもキスコール。やらなくてはいけないような感じになっている。……周りは小学生か?まぁここで逃げるのは草加も千冬も、いらんプライドが傷付くため、腹を決める。

 

「……千冬」

 

「はい///」

 

ベールをあげて、草加が合図をすると、千冬も受け入れるために目を瞑った。そしてそれを見ると、草加も顔を近付けて行く。一瞬の沈黙のあと、会場が一気に沸騰した。

 

「「「「フォォォォォ!!!!」」」」

 

「ワァオ!!よっ!ご両人!!末長くお幸せに!!」

 

「プッシュー!!///」

 

「え!?ちょ!千冬!!?」

 

恥ずかしさからか、千冬が頭から煙を出しながら気を失った。多少古い表現ではあるが、目も渦巻き状になって回っている。そのまま倒れて、しばらくの間横になっていた。ドレスのままで。

 

数時間後、もう日が傾いてきた頃だ。その時になってようやく千冬が目を覚ました。

 

「お?起きやしたか?」

 

「私は一体……」

 

「旦那と誓いのキッスをしたあとに気を失ってしまったんですよ?覚えていやせんか?」

 

「ま、全く……///」

 

だが、キスをした瞬間の草加の顔は思い出したようだ。スゴく綺麗で、あまりにも印象的で、そのシーンだけ頭に焼き付いていた様だ。

 

「あの、草加さんは?」

 

「あぁ、旦那なら外で待ってやすよ。早く着替えて行ってあげてください。あ、ドレスは無理ですけど、ベールなら差し上げられますよ?記念にどうですかい?」

 

「あ、はい!頂きます!!」

 

満面の笑みを浮かべて、ベールを貰った。そして、草加が待っているので急いで着替える。その後は時間的にも海に入るような時間では無かったので、ホテルに戻ることにした。

 

「今日は泳げなかったな~」

 

「すみません。気を失ってしまって」

 

「いや。別に良いんだ。ただ、水着が見たかったな~と思ってな」

 

「な、なら!その、部屋で///」

 

と言うわけで、部屋で水着に着替えた。黒い無地のビキニタイプの水着だ。このあと何があったか。それは、こちらでは書けないので、別の方で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この話を延々と聞かされたんだよな~。当時の俺中学生だぞ?なのにあのバカと来たら……!マジでシバこうかと何度思ったことか……!!」

 

マグカップを持っている手に力が入り、ピキピキと音が鳴っている。これは草加が悪い。中学生にするような話では無い物をしたのだから。

 

「そ、そこから今のような感じになったのか?」

 

「あぁ。そこからベッタリと今の様な感じになった。あれ?コーヒーが何故か甘くなってきたな……」

 

その旅行の一件の後、何故かデートだの何だのに行くと毎度一夏にデート内容の話をする。腹が一杯になるほどにだ。

 

「お前も参考にする分には構わないが、くれぐれもあのバカ2人みたいにはなるなよ。周りのヤツが迷惑だから」

 

「だな。今日はありがとうな。今度はパトリックと一緒に来るよ」

 

「あぁ~、これ持っていけ。ホテルで一緒に食うんだな」

 

料理を作ってラウラに渡すと、そのままラウラは傘を差して泊まっているホテルまで帰っていった。そして一夏は、残ったコーヒーに更に挽いた豆を入れて苦くして飲んでいた。




一夏、頑張れ。

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告とリメイク版のドラえもん のび太の新魔界大冒険~絆の戦士と7人の魔法使い~もよろしくお願いします!!

あ、100話いってしまった……


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弾は苦労する笑

ようやく更新……自動車学校がダルい……


「鈴!早く起きろ!朝飯できてんぞ」

 

「ん~……もう朝?あと5分寝かせて……」

 

「この前そんなこと言って10分も寝たあげく、遅刻しかけたのは誰だ?」

 

「ングッ……」

 

そう言われ、大人しくベッドから降りた。洗面所に向かって顔を洗うと、寝癖を直さずに椅子に座って朝食を食べ始めた。トーストと目玉焼き、軽い野菜類。そして牛乳と、時間の無い朝には最適の朝食だろう。活発に動く人間には昼まで持つかは疑問だがな。

 

「寝癖くらい直せよ……」

 

「ん~。ありがとう」

 

苦虫を噛み潰した様。とまでは行かないが、少し苦い顔をしながら櫛を使って髪の毛を解き始めた。鈴は食事を食べながら大人しく受ける。まだ少し眠いのか、目が半分閉じている。

 

「そう言えば、弾はどこに行くことになるの?」

 

「この前研修終わったばっかだぞ。まだ分からねーよ」

 

「ふ~ん。現国の教師だっけ?」

 

「あぁ。ようやくだけどな。高校でポカやらなかったらお前と対してタイミング変わらなかったし、和馬とも同じタイミングで卒業出来たのによ……」

 

この赤髪でバンダナを巻いているこの青年。五反田弾。彼は高校3年生の時に、いじめられていた友人を助けるために、いじめの現場に乗り込んだのだが、正直言ってコイツはお世辞にも気が長いとは言えない。むしろ短気ですぐに頭に血が上る。その為相手と喧嘩に発展。相手を骨折させたり何なりで、無期限の出席停止。更に悪いことに、いじめをしていたグループのリーダーが女で、弾と喧嘩をした男はソイツの彼氏。そう言うことで、いじめは発覚した物の大怪我を負わせた罪で長期間の出席停止。

 

その後何があったかは分からないが、大学に行き教師になることにした。因みに、こんな事があった上での進学だったが、現在も五反田家の事実的権力を握っている五反田厳さんは

 

「男が一本道を決めて進んでんだ。文句は言わん。好きにやれ。夢を叶えると決めたら絶対に叶えろ」

 

と言う感じで、背中を押してくれた。学校の費用やマンションの部屋、部屋代(数年前まで)、その他の根回しはほとんど彼がやってくれた。因みに

 

「夢を叶えれば金は返す必要は無い」

 

と言っていた。この言葉を聞いた時から、よりいっそう熱が入り、2回浪人したものの無事大学に入り、大学は1発で卒業できた。そこからは順調に教育者になるためのスキルを身に付けてきた。そして最近になってようやく研修の課程を修了したのだ。

 

「現国かぁ~。もしかしたら、IS学園に来たりして」

 

「いや。それはネーだろ」

 

「でもウチの学校、この前現国の教師が1人結婚したのを期に寿退社しちゃったから、多分欲しがってると思うよ?共学になったんだし、弾でもやり易いんじゃない」

 

「俺でもってなんだよ。俺でもって」

 

「さぁ~てと。歯磨いてこよ~」

 

深く追及されないように、さっさと食事を終わらせて歯を磨きに退散した。弾も深く聞くのは止めておいた。時間も無いわけだしたな。

 

「ほら。今日の弁当」

 

「サンキュー。……セロリは入ってないでしょうね?」

 

「入れてねーよ。お前嫌いだろ?」

 

それを聞くと、満足した様に鈴は出勤していった。弾はこのあとは部屋の掃除などだ。

 

「…………何かおかしくね?」

 

ん?何がだ?

 

「なんで俺、鈴と同棲してんだ?」

 

そんなことか。では、何故2人が同棲生活を始めたか。それを説明するために2年程前に遡ろう。……と言うか、何故2年間も同棲しておいて、今になって疑問に思ったのだろうか?

 

まず、職員も含めて寮で生活できるIS学園教師である鈴が、何故この部屋に来て生活をしているかだ。それに関しての理由は簡単だ。単純に寮の部屋が足りないからだ。

 

IS学園は、今やISだけ教わる訳ではない。ライダーズギア、ISとギアのメンテ、開発に関わる知識や技術。そして、宇宙開発に必要な技能を付けるための専門学校となっている。その為、生徒の数が急激に増えたのだ。主に男子生徒が。

 

その結果、部屋の数が足りなくなったのだ。現在も増築作業中で、完了するまでの間は一部の教師を除いては自宅からの通勤か、しばらくの間は宿で過ごすように言われている。鈴は今回弾が近くにいたので、そこで世話になっているのだ。

 

『しばらく一緒に住まわせて!』

 

『え?普通に嫌なんだけど』

 

『……家賃、半分払うか―』

 

『歯ブラシは持ってきたな?物置にしてる部屋があるから。そこ使ってくれ』

 

お前も了承の上での同棲じゃねーかよ。なに疑問を抱いてんだ?それからは鈴が家賃の半分を支払い、弾と共同生活をしている。端から見れば普通に夫婦だ。最近はよく後輩に結婚生活の秘訣を聞かれるが、全く分からないから教えてないし、結婚してないと言うとギョッとされることが何度かあった。

 

「俺も同意の上だった~……」

 

今更後悔かよ……家賃半分の勢いに任せてしまった結果だな。まぁ料理を含み家事は当番制になったし、人に食べさせる料理を作っているため、料理の腕も上がってきている。結果良いことづくしだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃IS学園では。

 

「今日も手作りのお弁当ですか?毎日スゴいですね~」

 

「ありがとうございます!同棲相手が毎日作ってくれるんですよ~。もう本当に助かってます!」

 

昼休みを迎えた為、職員室にて真耶と一緒に昼食を食べていた。いつも通り弁当を取り出して食べようとすると、真耶も自身の弁当箱を取り出す。

 

「今日は木場さんの手作りですか?」

 

「えぇ。と言うか、最近はずっと勇治さんに作って貰ってますけどね」

 

真耶も今日は作って貰った様だ。開けたら色々とデコられた弁当が姿を現した。勇治女子力高いな。しかも小さく「午後も頑張ってね」と海苔で文字が書いてある。

 

「相変わらずラブラブですね~。さぁ~てと。私も食~べようっ……!?」

 

弁当を開けた瞬間固まってしまい、箸が手から零れ落ちた。

 

「ん?どうしました?」

 

「なんで……なんで……おかずに焼きたら子が入ってるのよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

単に嫌いな物がおかずとして入っていた様だ。焼いたたら子が嫌いな事は、弾にも伝えてあるはずだが……忘れたのかな?

 

「こんな嫌がらせをするなんて……!……こうなったら!!」

 

そう言うと、無理矢理弁当の中に入っている全てを胃袋に押し込み、校長室まで行ってしまった。

 

「一体何をするつもりでしょうか?」

 

とか呟いているが、全く興味無さそうに木場の作った弁当を美味しそうに食べている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。この日は正式に弾の赴任先の通知が来る日だ。ポストを確認すると、茶色い封筒が1つ入っていた。

 

「や、やっとこの日が……」

 

心臓の音がここまで聞こえる。どんだけ緊張してんだよ……。封筒の口を開き、中の物を静かに取り出す。そして、少し震えながら紙を広げた。

 

『五反田弾、IS学園現代国語担当教員としての採用を通知します』

 

「よっしゃぁぁぁ!……んあ?」

 

喜んだ物の、何故か急に頭の上に?を浮かべた。そしてすぐに読み直す。赴任先の名前を入念に確認しながら何度も読み直した。

 

「IS学園、現代国語担当……な、な、なんじゃこりゃあああああああああ!!!!」

 

この日、弾の叫びがご近所中に響き渡り、実家の方では弾の知らせを聞いた厳の嬉し泣きの声が響き渡った。ただほとんど対極の位置にあるがな。




教師の赴任の方法なんて知らねーよ。と言うわけで、この世界ではこんな感じです。

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告、その他作品もよろしくお願いします!!


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木場家、長女出産秘話

さてと、気になっている人も多いと思うあの話。何故木場が妊娠しているのか、そもそも何故女の体なのか、そして何故出産出来たのか、そんな話です。




「あぁ~あっ……はぁ、良く寝た。早く朝食を作りましょうかね」

 

ベッドの中から真耶が出てきた。男の状態だったが、それはすぐに元に戻り、いつも通りの女の姿になる。少し服がダボついているな。……この状況に慣れてしまった自分が嫌になる。まぁそんな事はどうでも良いか。真耶はベッドから出てきたが、まだ布団の半分が膨らんでいる。恐らく木場が入っているのだろう。珍しいことにまだ眠っている。

 

「さてと……手軽に魚の煮付けにしますか」

 

どこが手軽なんだよ……滅茶苦茶手が込んでんじゃねーかよ。お前の手軽の範囲は一体どこだよ?……冷蔵庫からカサゴを取り出し、鱗と内臓、エラを処理し、作った煮ダレに入れて煮込んだ。

 

「後は味噌汁ですね」

 

豆腐、ワカメ、ネギのシンプルな物だ。

 

「あ、海老の殻が残ってましたね!これでダシを取りましょう!」

 

冷蔵庫をまた漁ると、昨日の夕飯で使ったであろう海老の殻が出てきた。ダシを取るには十分な食材だ。そしてちょうど完成したときだ。木場が寝室から出てきた。

 

「あ、おはようございます。勇治さん」

 

「うん……おはよう」

 

「?大丈夫ですか?体調悪そうに見えますけど。と言うか何でまだ女のまま?」

 

「大丈夫だよ。まだくすりの効果が続いてるんだと思う」

 

そう言いながら、自分の茶碗を棚から取り出し、炊飯器を開けてご飯を盛ろうとする。だが、

 

「ウッ!?」

 

短く呻き声を上げると、すぐに炊飯器の蓋を閉めてしまった。だがその後に開けて、普通にご飯を盛っているので、特に気には止めなかった。

 

「どうぞ!朝食はカサゴの煮付けと味噌汁ですよ」

 

「……煮付けか」

 

「ん?煮付け嫌いでしたっけ?」

 

いや。嫌いでは無いはずだ。むしろ好きな部類の料理に入る。今日の木場は何かがおかしい。このあとは特に何かが起きたと言うわけではない。女体化が解けずに1日終わっただけだ。問題が起こったのは次の日。

 

「うぅ~……気持ち悪い……」

 

「大丈夫ですか?女体化解けてないし、顔が真っ青ですよ?中馬先生の所に行きましょうか」

 

と言うことで、真耶が木場を車に乗せてIS学園まで向かった。夏休み中でほとんど人がいないため、少し不気味に感じる。……肝試ししたら楽しそうだな。

 

まぁそんな事は置いといて、3階の科学準備室に着いた。中に入ると、いつも通りに中馬が怪しげな薬を調合している。そんな中馬に、取り敢えず真耶が現状を報告した。

 

「は?女体化が解けない上に最近体調が悪い?」

 

「えぇ。今まで薬の副作用なんて無かったので、一応連れてきたんですけど」

 

「あぁ~。で、どんな症状が出てんだ?」

 

医者が患者を診察するように、中馬は木場を診察している。その間に、真耶が木場の症状を話した。

 

「えっと、女体化が解けないのと、炊きたてのご飯の匂いを嗅いで、少し気持ち悪くなってました。後は食事の好みが急に変わりました」

 

「…………木場、取り敢えずお前はコレ使って調べてこい……後少し血を調べるぞ」

 

木場に何かの道具を渡して血を採ると、木場は部屋から出ていった。

 

「血なんか調べて何か分かるんですか?」

 

「お前に渡した薬、もしかしたら一時的なヤツじゃなくて、完全に女になるヤツかもしれなくてな。血液中の成分を調べればそれが分かる。あとは……木場が妊娠してる可能性がある」

 

「え?」

 

「お前がさっき言った症状、あれはつわりだ。完全に。薬の副作用じゃないとしたらの話だけどな」

 

この言葉を聞いて、一瞬真耶の顔色が変わった。焦ったのだ。だが、それはすぐに変わり、今度は何かを考え込むような顔になる。

 

「ったく……この私が間違って完成品の薬を渡すとはな。あぁなったら、逆の薬を飲ませないと戻らないな」

 

「中馬先生。今の状態の勇治さんなら、子供を産んで母乳を与えたりすることも出来ますよね?」

 

「あ?まぁ体は女だからな。出来ないことはない。それに母乳なら、前にお前にやった薬があるだろ。問題は病院だな……受け入れてくれる病院は~」

 

そんな病院、この世に1つしかない。聖都大学附属病院。IS学園の近くにあるため、学園関係者御用達の病院だ。ほとんど運ばれる理由は中馬の薬。度々手を焼くはめになるのだが、何故か薬の製造を止めようとしない。あそこなら、色々と慣れているため女体化して妊娠した患者が来たところで処置が遅れるとか言う事は起きない。が、まずは止めるために少しは動け。

 

「産体に入ったら~まずは……フフフフフ……」

 

「ヨダレ出てんぞ~」

 

呆れ気味に真耶に伝える。まぁ副作用である可能性が今のところ高いので、余り心配する必要は無いだろう。

 

「あの~」

 

「お、木場。ちょうど良い所に来たな。お前の血液調べたんだがな、どうやら完成版の方を飲んだみたいだ、だから男になる方の薬を飲めば―」

 

「あの……これ……」

 

「…………ふぅ……。木場、これから頑張れよ」

 

渡した検査キットには、しっかりと妊娠の反応が出ていた。そんな木場を見て、これから来るであろう多量の苦労を考えての発言だ。

 

「ッ!?やりましたね勇治さん!!あぁ~!子供の顔が楽しみです!!」

 

「え?まぁ……うん。そうだね……」

 

真耶はスゴく嬉しそうだが、木場は少し複雑そうな顔をしている。

 

「木場……強く生きろよ(ボソ」

 

(さぁ~てと……これから沢山楽しまなくちゃ!)

 

心の中でそんなことを言いながら、木場を連れて車へと戻っていった。…………木場、強く生きろよ。




秘話って言うほどの事でもないな。

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

あぁ……完結編の敵、誰にしようかな……


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生徒会長戦

これ、最終回書いたらなにやろうか……。座談会……読者数名呼んで読者だけの盛大な後書きコーナー……もしくはなにもやらない……。この3つから選びましょうかね。

あ、昨日の内に章管理と並び替えを使って、色々と整理しました。各長編ごとに並び替えてみました。話数少ないのもあるけどね笑

皆さんの好きな長編は何ですか?格付けでもしましょうかね笑


生徒会。それは大抵どの中学校や高校にも存在する、生徒達で組織された部門。主な仕事は、生徒集会の準備や当日の司会進行、後は生徒達の悩みを解決するなど多岐にわたる。そして生徒達のリーダーとして学校を引っ張っていく存在。それが生徒会長だ。主に2年生が主軸となるときに選挙によって、信頼度の高い人が会長になるのだが、この学園では少し違うようだ。

 

「ねぇいっち~。生徒会長になる気は無い?」

 

「あ?何で?」

 

「いやちょっと気になって~」

 

「なるわけねーだろ、そんな面倒なもんによ。そもそも立候補して選挙に出るのが面倒だし、まだ入れ換えの時期じゃねーだろ」

 

「ん~。この学園、少し変わっててね。学園では1番強い人が生徒会長やることになってるんだよ」

 

「あそう。俺には関係ねーけどな」

 

な。変わってるだろ?学園で1番強いヤツって、初代ブリュンヒルデの織斑千冬だろ。学園全体となるとな。そもそも全校でトーナメントを行った訳でもないのに、誰が1番なんか判断できないだろ。

 

「まぁそうなんだけど……現生徒会長がね……これをいっち~に渡せって」

 

そう言って本音が差し出した紙。手紙のようだな。筆で「果たし状」と書かれている。……何時代だよ。また面倒事を。と言う顔をして手紙を受け取った。

 

「あ~……織斑一夏、生徒会長の座を懸けて、今日から3日後の12月15日午後4時より第1アリーナにて試合を行う。必ず来るべし。現生徒会長、更識楯無……誰だこれ?」

 

「今の生徒会長だよ。いっち~も会ってるんじゃないかな?ほら。この人だよ」

 

「ウワァ~……よりによってこの変態百足女が生徒会長かよ……何でこんなのが生徒会長できんだよ……」

 

学園最強(笑)だからだろう。強ければ誰でも生徒会長になれる。それがこの学園のルールだからな。

 

「適当にやって適当に負けるか」

 

「多分認めないと思うよ?それに、個人的にはいっち~に負けて欲しくないし……」

 

「俺も負けるのは嫌だが……面倒だし出たくねーな」

 

面倒臭きことこの上無し。と言う顔をしている。マジで出ないかもしれないな。

 

「お前ら席に着け~。あと織斑。今月の15日に試合が入ってるから、サボるなよ」

 

「それ従う必要あるのか?たかが生徒会長からの果たし状。これに拘束力があるとは思えないが。それとも、この学園の生徒会長にはアホみたいに強い権限でもあるのか?」

 

「その通りだ。下手すれば新米の教師よりも強い権限を持っている」

 

「イカれてんな。この学園」

 

「同感だ。まぁ入ってしまった物は仕方無い。コンビニに行く感覚で勝利でも掴んでこい」

 

どんな感覚で掴ませようとしてんだよ?コンビニ感覚は無理があるぞ。まぁ、退路を絶たれてしまった一夏は、渋々試合をすることに。だが、このあと千冬に「1年生の面子がかかっている。負けることは認めんぞ」と言われてしまい、適当に戦い適当に負ける。と言うことが出来なくなってしまった。

 

「アァァァァ……何でこんなことに……」

 

午前の授業が終わり、昼食をとるために食堂へ来ている。だが、机に突っ伏して唸っていた。頼んだうどんが隣に置いてあるが、汁が少なくなっており、うどんなのに伸びきっている。

 

「ん~。私もカイチョー止めたんだけどね~。全く聞く耳を持たなくて」

 

「仕方ねー。出るしかねーか」

 

そう言って、伸びきっているうどんに手を出す。汁が無いため啜りにくい。が、自分のせいだから文句は言えない。大人しく食べるしかない。

 

「取り敢えず、しばらくはその女の戦い方や専用機の情報を集めておくか……」

 

その件に関しては、既に千冬が動いている。試合データや専用機の情報等を、現在USBメモリにまとめてくれている。

 

「あ、でもいっち~勝ったら生徒会長になっちゃうね」

 

「……まずはいらん権限を全て捨てて、通常の学校と同じ様に選挙で選抜されるようにして、次の生徒会長が決まるまでの間は俺がやっとく」

 

普通に仕事をする気の様だ。まぁ性格やそれまでの過程はどうであれ、一夏なら問題なく仕事をこなしてくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。一夏は整備室へと向かった。ファイズギアとファイズブラスターをしばらく使ってなかったからな。整備をしようと思ったのだろう。目の前に作りかけのISみたいな物があったが、自分には関係無いので無視していた。

 

「ん?……更識楯無……何でここにいるんだ?」

 

本音に見せてもらった写真とよく似た人物が整備室にいた。コイツのお陰で面倒事に巻き込まれた。そう思っているため、警戒心剥き出しだ。

 

「ち、違う。私は更識簪。君がさっき言ってた人の妹」

 

「あ?そうか。そいつは悪かったな」

 

この短い会話を終わらせると、一夏はすぐにファイズギアとファイズブラスターの点検に入った。まぁ使ってないとは言え、完全に壊れているところは無いし、ガタが来ている所もない。点検その物は簡単に終わる。1時間程の点検をすると、全部しまって整備室から出ていった。

 

「簪とか言ったな。お前はまだ残るのか?」

 

「え?うん。電気は点けてて良いよ」

 

「そうか。じゃあな」

 

そう言って、一夏は整備室から出ていき、自室に直行した。

 

「あ、早かったね。点検終わったの?」

 

「あぁ。特に壊れてるところは無かったからな。メンテの必要もなかった。それより、整備室にあの女の妹がいたぞ」

 

「え?かんちゃん?」

 

「いや渾名は知らねーよ。まぁ簪って名前だからそうなんしゃねーのか」

 

「やっぱり。整備室ってことは、まだ専用機が完成してないのかな?」

 

「専用機?企業が作るもんじゃねーのかよ。それ」

 

「最初は倉持って企業が作ってたんだけど、いっち~が見付かったときに、いっち~の専用機作るってなって、仕事放棄しちゃったんだよ」

 

「成る程」

 

それだけ聞いて、一夏は冷蔵庫から材料を取り出して夕食を作り始める。話を聞いたからと言って何か協力出来ると言う訳ではないからな。

 

「本音。作りすぎたから整備室のヤツに持っていってくれ」

 

「お?りょ~か~い!!」

 

料理の入ったタッパーを受け取ると、スゴいスピードで整備室に走っていった。

 

「かんちゃ~ん!いっち~からの差し入れだよ~!!」

 

「本音?」

 

「はいこれ!ちゃんと届けたからね!しっかり食べるんだよ~!!」

 

届けると、急いで整備室から出ていった。簪は少し困惑していたが、タッパーを開けて中に入っている物を食べた。肉じゃがだな。ご丁寧にご飯まで付いている。

 

「美味しい……」

 

うん。将来お食事処織斑のお得意様確定だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、今日が15日。つまり試合当日だ。なに?端折り過ぎだって?気にするな。いつものことだから。第1アリーナには、既にファイズになった一夏と喧嘩を売ってきた楯無がいる。

 

「俺の大事な放課後を潰しやがって」

 

「ゴメンね~。でも、私は生徒会長の座を奪われる訳には行かないの。分かってくれる?」

 

「んなもんになるために、態々お前に試合挑む訳ねーだろ。興味もねーのによ」

 

「それでもよ。生徒会長は学園最強が勤めるもの。貴方はあの福音を倒した人。分かるでしょ?戦う理由」

 

つまり、現在自分が学園最強とは言いにくい。と言うことだ。だから実力者であり仮面ライダーである一夏をここで倒し、自分が学園最強と知らしめる為。と言うことだ。完全に巻き込まれたな、一夏は。不運な事に変化は無かったようだ。

 

「なんでそんな忘れ去られた設定思い出したんだよ……」

 

思い出したもんは仕方無いだろ。さてさて、完全に楯無の理由で戦わされる一夏だが、ここまで来てガタガタ言うわけには行かないの。何故なら、もう試合開始だからだ。

 

『試合開始!!』

 

「ハァァア!!」

 

ランスを構えて瞬間加速で突っ込んできた。一夏は特に避けるような素振りはせずに、攻撃を受ける。当然吹っ飛ばされてしまうわけだが、特にダメージを負ったような感じはなく、無言で立ち上がった。

 

「は!?何で!?」

 

「何でだろうな?俺も驚きだよ」

 

「くっ!じゃあこれなら!!」

 

蛇腹剣だ。それを一夏に向かって振るってきた。

 

『Redaey』

 

焦らずにミッションメモリーをバジンから外しておいたハンドルに差してファイズエッジを構える。自分に向かってくるダメージを負いそうな攻撃だけを的確にいなしていく。

 

「……帰っていいか?」

 

「なっ!?ダメに決まってるでしょ!!そんな実力を見せられたら、ますますこのまま帰すわけには行かないわ!!」

 

ランスに付いている4門のガトリングを撃ち、ダメージを少しでも与えようとするが、素直に攻撃を受けるわけはなく、走りながら全部避ける。一夏はそろそろ面倒だと思い、一気に楯無に近付き攻撃を入れた。だが、

 

「?分身?」

 

殴るとそれは水に変わっていった。どうやら水で作られた精巧な分身の様だ。質量も持っているため、本体を当てるのは難しいだろうな。周りにはそれが大量にいるから。

 

「マジで面倒だな」

 

『Complete』

 

『startup』

 

アクセルフォームになって、一気に蹴散らしていく。だがどれも本体ではなく、攻撃を入れればただの水に変わっていってしまう。

 

「なら!」

 

壁伝いに天井まで走り、ポインターにメモリーをセット。一気に全員に貼り付けて、上空から全て消し飛ばした。

 

「いない?どう言う事だ?」

 

楯無の専用機のミステリアス・レイディの攻撃によって、アリーナの地面は結構抉られてる。身を隠そうと思えばいつでも隠せる状態だ。多分どこかに隠れているのだろう。

 

(全部吹っ飛ばすか?いや。そんなことしたら客席まで被害が行くな。1ヵ所ずつ壊すか?それも面倒だ……)

 

と言うことで、一夏はファイズブラスターの出力を調整し、周りの瓦礫だけを壊すようにした。

 

『103 ENTER』

 

『Blaster Mode』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「オラァ!!」

 

ファイズブラスターから強力なフォトンブラッドの光弾を放ち、隠れられそうな場所を1ヶ所ずつ壊していった。

 

「キャアァァァ!!」

 

「見付けた。どうする?降参するか?」

 

「するわけ、無いでしょ!」

 

「ウオッ!?」

 

手を一夏に向けて伸ばすと、何故か周りの空間に沈んで行った。どうやら拘束されたようだ。しかもレーゲンのAICよりも力が強く、このままでは抜けられそうに無い。

 

「こんなのを隠し持ってたとはな」

 

「切り札は最後までって言うでしょ?それよりも、何かジメジメしない?」

 

「ッ!?」

 

そう言われた瞬間、辺りが大爆発に包まれた。楯無は勝利を確信し、観客は一夏の敗北を確信していた。だが、いつになっても試合終了のブザーが鳴らない。

 

「なんで?ん?っ!?いない……!?」

 

爆発で舞い上がった埃が晴れると、先程まで一夏を拘束していた場所には誰も居なかったのだ。観客席もざわつき、楯無もかなり焦っている。

 

「どこ見てんだ?」

 

「ナッ!?いつの間に!!?」

 

一夏の声は上から聞こえてきた。飛んで拘束から抜け出して、爆発を回避したようだ。あの一瞬でファイズブラスターになれたようだ。

 

「流石に少し危なかったな。でも、これで終わりだ」

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ディヤァァア!!!」

 

「ウワァァァァ!!」

 

『ミステリアス・レイディ、シールドエネルギー0。よって勝者、織斑一夏!』

 

勝ってしまった。これで一夏は正式に生徒会長に就任したわけだが、まず最初に彼は生徒会に与えられた無駄に強力な権限を全て学園に返上した。そして校則に『生徒会長は選挙によって選ばれた者が勤める』と書き出した。今期は仕方無いため一夏が勤めるが、来期からは立候補者が選挙を行ない選ばれることになった。

 

「うぅぅ~……何で生徒会長じゃなくなった私が書類整理してるのよ~!!」

 

「黙って仕事しろ。お前が放置して残してた書類だ。お前の仕事はお前がやれ」

 

と言い残し、生徒会室から出ていった。監視?鎖と南京錠でガチガチに椅子に拘束されて、専用機も取り上げられている状態だ。ピッキングに使えそうな道具も近くには置いていない。抜け出せるわけがない。と言うか抜け出した瞬間にブリュンヒルデが出動するため、逃げ出すのは不可能だ。

 

「織斑さん。この度はありがとうございました」

 

「気にすんな。自分の仕事をやらせてるだけだ」

 

まぁけじめは大事だからな。散々溜め込んだ仕事を処理させるのが、楯無(変態百出女)に課せられた刑だ。因みに、来期までの間一夏が生徒会長を勤めていたわけだが、滅茶苦茶評判が良かった。そのため、一夏以降の生徒会長は色々とプレッシャーがヤバかったそうだ。……ドンマイ笑

 

 




まさか長編調整とかに1日使うとは思わなかった笑

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!


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i'm a 仮面ライダー

こっちに掲載するつもりは全く無かったんですけど、無気力な救世主のストーリーであることに変わりはない上に、箒をあのままで終らせる事に納得行かなくなりましたので書いたストーリーです。

既にR18で読んでくれたと思いますが、R18要素が全くございませんので。1つの短編として読んでもらえれば幸いです。


綺麗な花畑。川底まで見える程澄んだ水が流れる穏やかな川。白装束を着た人が沢山いるこの場所。俗に言うあの世だ。死んだ人間の魂が行き着く場所。そしてこれからが始まる場所。それがこの世界。そしてここで、1人の少女が目を覚ました。

 

「どこだここは?!私は何故ここに……」

 

「ようやく目が覚めましたね、篠ノ之箒さん。死んでから半年も目を覚まさないとは……」

 

「何を言っている……死んでから半年だと?私の体はここにあるんだぞ!死んでいるはずがない!!」

 

目を覚ました途端に、目の前に立っていた骸骨の面を着けた男にそう言われ声を荒らげる。そしていつもならISなり木刀なり竹刀なりを出して問答無用で攻撃を加えるのだが、その道具一式がない。正確に言うと、専用機であるISは今も腕に付けている。だが展開できないのだ。

 

「無駄ですよ。魂が象った体はあっても、この世界には実体があるわけではない。ISが展開できる筈がありません。そもそも、死人はこの世界の物に触れることができても、現世の物には触れることはできません。まぁ死装束等は別ですけど」

 

「訳の分からない事をゴチャゴチャと!ISが使えなくても手足が動くなら殴れば良いだけの話―ッ!?」

 

「暴れないで。とっとと行きますよ」

 

手を箒にかざすと、急に動けなくなり言葉も声も出なくなった。そのまま宙に浮かせられ、どんどん運ばれていく。目的地は不明だが、何も抵抗ができないのだ。

 

「全く乱暴な人だ。まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんですけどね」

 

しばらく運ばれると、先程までの場所とは変り町へと出た。屋台が並び物を売ったり食べ物を売ったりと随分賑わっている。

 

「あ、焼き鳥4本下さい」

 

「はいよ!400円ね」

 

「……いま10円玉しか無いのでこれで」

 

「了解。その人は?」

 

「今から転生する方です。少々訳ありでして、この様な強行手段を取っています。それにしてと、旦那も珍しいですね。滅多に店を出さないのに」

 

「いやぁ~。今日占いで5月に死んだ人間が1位になってさ。店を出してみることにしたんだよ!占い通り、今日は儲かってんだ!今夜飲みに行く?」

 

「良いですね~。いつもの居酒屋で良いですか?」

 

「おう!じゃあそこに7時集合な」

 

人を運んでるときに何をやっているんだか。軽く夜に飲みに行く約束をして、運ぶのを続行。町を抜けると木に囲まれた広場に到着した。

 

「さてと。ここで良いな。金縛り解除」

 

「ウワァッ!?ウゥ……貴様ァァ!」

 

「ほい」

 

酷い扱いを受けた箒は頭に血が上り、自分を運んできた男に殴りかかろうとした。だが眉間に人指し指を突き付けられ、吹っ飛ばされてしまう。

 

「いっ……ん?私は一体……」

 

「それが貴女の本来の人格ですか?篠ノ之箒さん」

 

「貴方は?」

 

「亡者たちの案内をする死神です。単刀直入に言うと、貴女は死にました。現世での行い、覚えていますね?」

 

「…………」

 

首を縦に振る。覚えているようだ。自分が死んだ事実も含めて全て。

 

「やはりその方が話しやすいですね。貴女には来世への強制転生が命じられました。さっきまでの状態の貴女をここに置いておく訳にはいきませんからね」

 

「さっきまでの私?」

 

「あぁ。あれです」

 

死神が箒の後ろを指差すと、そこには黒い何かに包まれた箒が横たわっていた。当然箒はそれを見て驚く。何故自分がもう1人居るかが分からないからだ。

 

「あれはもう1人の貴女です。正確には、もう1つの人格と言うところですけど」

 

「人格……」

 

「まぁそこから先の話は、ここにいるもう1人にも聞いて貰いましょう。束さん。出てきて下さい」

 

「バレてたか」

 

「ね!姉……さん?」

 

「久し振りだね、箒ちゃん。半年振りくらいかな?」

 

箒は出てきた束に目を疑った。いつもなら白衣を着て痛いウサ耳を着け、奇抜な紫と言う髪の色をして自分を見たらすぐに抱き着いてくる。しかし目の前にいる束は痛い白衣やウサ耳を着けておらず、しかも黒髪になっているのだ。何があったのかは分からないが、束をよく知る人物なら驚いてしまう事は間違いない。

 

「これでようやく話ができる。後ろにいる貴女は、貴女のもう1つの人格です。彼女が生まれたのは、貴女が要人保護プログラムと言うのに入ってから4ヶ月後の時です」

 

死神曰く、もう1人の箒は要人保護プログラムと長時間に続く束に関する尋問によるストレスで生まれた物の様で、知らず知らずの内にそっち側に人格が変化。本来の生まれ持っての人格である素直な方は掻き消されたのだと。

 

「本来であれば、自分の身を守るための一時の効果の筈が、自分を孤独に追いやり、大切な家や家族、友人、好きな人と離れ離れになったと言う恨みは、消えることなく膨脹。気性の荒い方は、その感情を敏感に感じ取っていき、消えることはなくなった。結果、貴女は、死ぬときに死ぬことができず、今ここにいる訳です」

 

「ゴメンね。私がISを作ったせいで。こんなことになっちゃって……」

 

にわかには信じがたい話。しかしこの死後の世界があることが証拠になる。魂の専門家とも言える死神が説明するからだ。余りの事実に箒は黙ってしまうが、死神が話を切り出す。

 

「では、これから転生して貰います。その前に、来世で起きることを一通り頭の中に流しますね」

 

「え?」

 

「決まり事ですので。生きてるときにはデジャ・ビュと言う形で感じたりしますが、お気になさらず」

 

箒の頭に手を置き、しばらく頭の中に映像として流し込んでいく。流し込みが完了するまで、静かな時間が過ぎていった。

 

「……似てるけど、違う世界なんですね」

 

「はい。本来なら同じ世界に別の存在として転生させますが、貴女の場合はそれが出来ませんので、似たような別の世界となります」

 

「箒ちゃん。どんな世界だったの?」

 

「同じISの世界ですよ。姉さんは相変わらずの様でしたけど」

 

「えぇえ!?どう言うこと?!」

 

「だからこっちと同じでIS作ったって事ですよ。あでも、なんかしばらくしたら飼われてましたね。どこかの会社の社長に。首輪付けられて檻に入れられて人参料理食べてました」

 

「そっちの世界での私がどうなってんの?!」

 

そのまましばらく姉妹での会話が始まった。どう見ても片方が恨み、片方が利用していた姉妹には見えない。ただの仲の良い姉妹だ。

 

「お話はそこまでです。転生して貰わなくては。ですがその前に、あちらの人格をどうにかして貰います」

 

「?それは何故」

 

「負の念で生まれた人格とは言え、貴女は貴女。自分自身で蹴りを着けてください。でないと転生に不具合が起きます。それに―」

 

「死ねぇぇぇぇえ!!!」

 

「起きた様ですので。危な……どうするかはお任せします。一応、対抗手段は渡しときますので」

 

そう言って渡されたのは、来世の自分が使っていた緑色の派手なベルトとガシャット。それともう1人の自分を交互に見る。

 

「ハァァァア!!」

 

「ウワッ!?クッ!待て!止まれ!!」

 

「黙れ!」

 

「グアァァァア!!」

 

この世界では展開できないはずのISを展開して斬りかかってくる。使っている機体は紅椿ではなく、能力の全てを発揮した状態の黒椿。生身では避けられる筈もなく斬られてしまう。

 

「ウッ…グァ……」

 

魂だけとは言え痛みはある。死ねる攻撃なら死ぬほど痛いし、気絶することも無いため逃れられない。もっと言うと斬られた箇所は治るが、普通に血も噴き出せば骨や内臓、肉の断面等が見えて精神的にも辛くなる。

 

「どうした?ベルトは使わないのか?自分を殺すことはできないのか?」

 

「私は……仮面ライダーに……」

 

「ふん。ならお前がもう一度消えて無くなれ。すぐに楽になれるぞ?」

 

「ンナァア!!」

 

「それに私はお前とは違う。自分であろうとも邪魔なら殺す。来世でもそれは同じだ!向こうにも一夏は居るからなぁ。今度こそ一夏を私のものにする!邪魔な物は全て殺す!消す!壊す!私と一夏だけの夢の世界を作り上げる!お前にはできないだろうがな!!お前は私であって私じゃない!あの時生きることを!存在することを放棄した!そんなお前に新しい命を貰う資格はない!!素直に私に寄越せ!!」

 

「アァァァァア!!!」

 

現世での自分の行い。それを考えると仮面ライダーの力を使う気にはなれない。そして目の前にいるもう1人の自分。彼女を生み出したのは間違いなく自分自身。あの時生きることを、存在することを放棄したが故に生れ、そして苦しんだ。

 

「あの時は悲しかったな~。6年振りに会えた幼馴染み。だが昔から疎まれていた。私と言う存在が出てくる前からだ。同じ道場で剣を振っていた時から。私であろうとお前であろうと、振り向くことはなかったな~。だが!次はそうは行かない!何としても!私の物にする!何があってもだ!」

 

「……お前は、それで良いのか?」

 

「なに?」

 

「家族を、友人を、知り合いを、故郷を全て壊すことになっても、そして拒絶されても、自分の物にしたいのか?」

 

「当然だ。この世界では全てを失ったからな。命も含めて文字通り何もかも。お前もそうだろ?」

 

「……成長するべきだったんだ。私は……私達は、前へ進むべきだったんだ。同じ場所にしがみついて、前に行くことを恐れて、なのに進んだ人を逆恨みして、責任を人に押し付けて……」

 

「それがどうした?それがお前と言う、私と言う人間だろう?変わることなんて―」

 

「でも、前へ進めるなら、進ませてくれるなら、私は進みたい!」

 

『タドルクエスト!』

 

全て自分の落ち度が原因。しかし、箒はそれを受け入れて前に進むことを決意した。そしてその決意が、彼女を仮面ライダーへと変身させたのだ。

 

「変身!」

 

『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイム ア カメンライダー!!ガチャーン!レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!』

 

「さぁ。始めよう」

 

「都合よく行くと思うな!!」

 

青い騎士へと変身した箒は、一緒に現れた剣を構えて攻撃に備える。黒椿をまとった箒は一直線状に突っ込んできて刀を降り下ろす。だがそれを弾き自分の攻撃をいれ始める。

 

「グッ!仮面ライダーごときが!!ハアアアア!!」

 

「フッ!ハァ!ディヤ!!」

 

「ウワァ!」

 

「長引かせたくはない、これで決める」

 

ベルトからガシャットを抜き出して、剣のホルスターにガシャットを差し込む。

 

『TADDLE CRITICAL FINISH!』

 

「ハァァァ……ゼィィイ!!」

 

「っ!?グワアアアアアアア!!!」

 

確実に攻撃は決まった。黒椿の箒は必殺技を受けて爆発と共に消滅した。筈だった。

 

「うぁぁあ゛……今のは痛かったぞ……」

 

「な、何故!?完全に決まったはず!」

 

「ハァァァア!!」

 

「グッ!なら!」

 

『TADDLE CRITICAL STRIKE!』

 

剣からガシャットを抜き取って、ベルト側面に付いているホルスターに差し直し、ボタンを押した。すると今度は足にエネルギーが溜まり始める。箒は迷わずそれを叩き込んだ。今度は当たった感触もある。これで終わった。そう思ったが、再び爆煙の中から箒は出てきた。ダメージは確かに受けている。疲れも出ている。しかし何故か死なないのだ。何度も何度も爆煙から現れては箒を攻撃してくる。

 

「何故だ!?」

 

「そんなこと知るかぁぁぁあ!!」

 

お互いに倒れない理由が判明しないまま、ずっと殺し合いを続けている。何度も殺し、甦り、また殺す。その繰り返しが延々と続いているのだ。

 

(彼女たちは忘れている。自分の置かれた状態を。そして目の前で対峙している相手は誰なのかを。それに気付けないようじゃ、この殺し合いは終わることはない)

 

死神の考える通りだ。2人が今置かれている状況。それは死人であると言うこと。ここにいる限りはどんなに殺しても死にはしない。そして相手が誰であるかもだ。それを理解できなければ、この無限地獄からは抜け出せないだろう。

 

「ハァハァハァ……何故……」

 

「ダァァァァ!!」

 

「グッ!ハァァァ!!」

 

「ふん!当たらなくなってきたな!何故だか分かるか?お前は私だからだ!自分の事だからな!次にどんな攻撃を出すのか、何が隙になるのか、何が弱点なのか、全部分かるんだよ!!」

 

「ウワッ!!ん?私だから……」

 

「何を考えている!!」

 

黒椿をまとった箒の発した「私だから」。その言葉に箒は引っ掛かった。考える間に何度も攻撃を受けるが、箒は考えるのを止めなかった。そして気付いた。

 

「(負の念で生れた人格とは言え、貴女は貴女)そうか!そう言うことか!」

 

「何を訳の分からないことを!!」

 

黒椿をまとった箒が全速力で自分に突っ込んでくる。剣を突き立ててだ。スピードを使って串刺しにすることを考えたみたいだ。それを見た箒はすぐに剣を構えた。だが、自分に当たる直前になって剣を投げ捨てた。

 

「諦めたみたいだな!!死ねぇぇぇ!!!」

 

「ガハァッ!」

 

刀は箒の腹部を貫き、血を流させる。だが、箒は黒椿をまとった自分をそっと抱き締めた。

 

「何で気付けなかったんだ……私はどうしようもない愚か者だ」

 

「な、何のつもりだ?!」

 

「お前は私で、私はお前。片方が存在し続ける限り、もう片方も存在し続ける。それを知らずに、私はお前を拒絶していた。自分であるにも関わらず。本当にすまなかった。辛い思いを沢山させて、本当に、悪かった」

 

箒の出した答えは、拒絶し合い、殺し会う事ではなく、謝り受け入れると言うことだった。どっちも自分と言うことに、今気付いたのだ。何度も殺し殺され、ようやくたどり着くことが出来た。至極当然で当たり前の答えに。

 

「あ…………はぁはぁ。わ、私は……私は!」

 

その言葉を聞いた黒椿の箒は、刀から手を離し、ISを解除して膝から崩れていった。自分の中にある感情全てを込めた攻撃。そしてそれを正面から受け止めてくれた自分。文字通り自分の中にある全てを出した攻撃で、歪みが無くなり冷静になれたのだろう。

 

「今度は、2人同時だ。転ぶときも、起き上がるときも、痛みを受けるときも」

 

それを聞くと、もう1人の箒は粒子状になって仮面ライダーに変身した箒の中へと入っていった。この戦いが終わったのだ。

 

「さて、これで準備が整いましたね。ベルトとガシャットを。転生はこの扉の向こうへ行けば完了します」

 

「……ありがとうございました」

 

ベルトとガシャットを死神に渡し、扉を潜って来世へと向かって走っていった。

 

「どうだった?私の妹は。合格出来たんでしょ?」

 

「えぇ。文句なしの合格です」

 

この2人の会話から察するに、本当はこんな事をやらなくても良かったのだ。だが、放置したまま来世を迎えさせれば、再びこっちの世界で起きたことを繰り返すことになる。そうさせないためのテストだったのだ。

 

「人は必ずどこかで歪みます。潰れて折れてしまいます。その時、自分の側に物理的にも精神的にも支えてくれる人が居るかどうか。それが人に大きく影響するんです。彼女には、本当に辛いときに側に誰もいなかった。だからあの様にするしか無かった。と言う所ですかね」

 

「だね。私のせいだけど。所で、その道具どうするの?」

 

「ベルトですか?」

 

「いや。そっちのガシャットって言うやつ。箒ちゃんが転生した直後に新しいの出来たじゃん」

 

そう。束の言うように、箒が転生の扉を潜った瞬間、突然新しいガシャットが誕生したのだ。太さは箒がさっき使っていた物の約2倍あり、半分が白、半分が黒のツートンカラーだ。

 

「彼女に与えますよ。そうですね、タイミングは、終わりなきゲームをクリアしそうになったとき。にでもしますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァア!!」

 

「……ハァ!」

 

「ウワッ!」

 

箒が再び生を受けてから少し時間が経った。今は道場の様な場所で竹刀を振るっている。どうやら試合をしているようだ。が、片方が一方的に負けている。

 

「スゲー……あの新入生。箒を押してるぜ」

 

「あぁ。何者なんだ?」

 

道場に新しく入った人との試合。そしてその新入生が箒を押してる。そんな状況になっている様だ。

 

「クッ!タァァァア!!」

 

「ハァ!」

 

「ゥアッ!」

 

「そこまで!勝者、織斑一夏」

 

この日、箒は剣道初心者の一夏に惨敗した。今は小学校2年。一夏は姉に誘われてこの道場に入ったのだが、自分よりも早くに始め多く学んでいる相手に勝ったのだ。この敗北が悔しかったのか、この日から箒は毎日鍛練を続けた。通常の道場の練習内容とは別に何時間も練習に練習を重ねた。一夏に勝つことだけを考えて。当然師範代である父にも教わった。だが、その父からは

 

「お前は邪な心を持って剣を振っている。それでは誰にも勝つことは出来ん。そんな醜い剣、二度と私に見せるな」

 

そう言って立ち去ってしまった。だが、それ以降も箒は鍛練を続ける。そのたびに試合を挑む。だがいつも負けてしまう。負ければまた鍛練を続ける。そんな日々がずっと続いた。そしてある日、箒は道場とか関係なしに一夏を呼び出し、試合を申し込んだ。

 

「一夏、これは道場とかは関係無い。私個人の、壁を越えるための戦いだ。全力で来てくれ」

 

「あぁ。分かった」

 

「では行くぞ……ゼィィイ!!」

 

降り上げた竹刀を一気に下ろす。竹刀のスピードは小学生が出すような物ではなかった。恐らく威力も相当の物だろう。鍛練の成果が出てきたようだ。しかし、そんな箒の動きも、一夏には全て避けられてしまった。

 

「ッ!面!!」

 

「ッ!?」

 

一夏の鋭い一撃を面に受け、箒は負けてしまった。負けを自覚すると、今までの鍛練の全てが無駄に感じ、力が抜けて膝を付いてしまう。そして何もかもが嫌になってしまって、竹刀を床に叩きつけてしまった。

 

「箒……拾え」

 

「は?」

 

「拾えって言ってるんだよ。竹刀を」

 

「何故だ……私には、もう……」

 

「お前、それで良いのか?!何のために今まで続けてきたんだ!その鍛練はなんだったんだ!?俺に勝つ為じゃなかったのか?!」

 

「でも!私はお前に勝てなかった……父さんに醜い剣と言われても、勝つために続けて来た……でも!」

 

「なら勝つまでやれ!醜い剣ってなんだ?!勝つための剣がそんなに醜いか?!俺は勝つことを捨て美しさだけを求める剣の方がよっぽど醜いと感じるよ!今日のお前の剣の方が何倍も良い!俺に勝つのが目的なんだろ?なら勝て!どんな手を使ってでも!」

 

「どんな手を使ってでも?」

 

「そうだ。刀1本じゃダメなら2本。2本がダメなら3本。3本がダメなら更に蹴りや拳を足す。最後まで足掻け。足掻いたヤツが最後は勝つんだよ!もう一度だ。もう一度俺と試合をしろ」

 

その言葉を聞いた箒は、再び竹刀を握る。そして一夏と向かい合った。

 

「防具が邪魔なら外しても構わんぞ。俺も外すからな」

 

「そうさせて貰う」

 

身体中に着けている重たい防具を剥がす。これでお互いに守りはない。あるのは竹刀のみ。ある意味これからが本当の試合だ。

 

「ッ!ハァア!!」

 

「ゼイ!」

 

「はぁ!」

 

素早い竹刀の振りがぶつかり合う。一撃一撃がとてつもなく重たい。片方が打てば受け流し、流されれば打ち直すが繰り返された。

 

「ハアアア!!」

 

「ウワァア!」

 

「ッ!?クッ!」

 

「ウオッ!?」

 

激しい打ち合いの結果、箒の竹刀が弾かれたときに折れてしまった。だがすぐさま箒は左手で折れてしまった剣先を掴み取り、そのまま一夏に突き付ける。突然の予想していなかった攻撃に怯むが、すぐに箒の居る場所に目を向ける。しかし既にそこに箒はいなかった。

 

「ふん!」

 

「っ!?グッ!」

 

右手に持っていた折れた竹刀を一夏に振るう。突然の背後からの一撃に対応できず、一夏は吹っ飛ばされてしまった。

 

「良い攻撃だ」

 

「か、勝ったのか?」

 

「あぁ。俺が負けた」

 

「ほ、本当に……いやったぁぁぁぁあ!!!勝てた!」

 

箒の表情は晴々している。その後、2人が教え合いながらライバルとして育ったのは言うまでもない。と言っても、箒が一夏に学ぶ方が多かった様ではある。




終盤の方で分かると思いますが、神と時間の支配者に通じる話です。何故あの世界に転生したのかって事ですね。

やっぱりある意味重要なキャラの話ですから乗せないとダメですね。救済させたのなら尚更。なので完結から時間が経ってますが、特別投稿とさせてもらいます。

では、その他の作品などもよろしくお願いします!


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最期編
結婚式


さてと。さっさと最終章に入らないとな。と、言うわけで、今日からはうp主がキャラを作っていく時に持っていたイメージ?や設定等を後書きか前書きで紹介したいと思います。主要キャラ限定ですけどね。

今日は恐らく1番キャラが変わっている草加の紹介になります。


「では、挙式はここで挙げさせて貰います。書類は後でこちらから提出しますので、預からせて頂きます」

 

結婚式のスタッフらしき人と会場を決めた村上。結構な経費を使うことになったが、1番良い教会を選ぶことが出来たようだ。一夏が結婚式を挙げると聞いて、張り切っている。と言うか、結婚する一夏と本音よりも、周りが滅茶苦茶張り切っているのだ。

 

一夏と本音の結婚式となれば、当然スマートブレイン関係者の人数が多くなる。だが、スマートブレイン内での一夏の評価はお世辞にも良いとは言えない。愛想が無かったり口が悪かったり、乱暴な所があったりデリカシーの無いところがあったり。ハッキリ言って、結婚できないと思っていたからな。それは村上も同様。その為か、会社を挙げての準備となったのだ。しかも祭りのように全員盛り上がっている。

 

会場の下見を終わらせると、村上は急いでドレスをあわせている本音の元へと向かっていく。当然その後に一夏の元にも向かうがな。法定速度を越えるギリギリの速度で車を走らせ、場所に着いたら着いたで、走って中へと入っていく。

 

「はぁ……間に合いましたか」

 

「いらっしゃいませ。村上さん」

 

「お久し振りです。松駒社長。本音さんのドレスはどうでした?」

 

「えぇ。実によく似合ってましたよ。ほら」

 

そう言うと、試着室的な場所のカーテンが開き、そこからドレスを着た本音と着付けを担当していた人が出てきた。松駒の言うように、ドレスは本音にとても似合っており、1週間後の式が待ち遠しくなるレベルだった。

 

「あの、村上さん。どうです?」

 

「えぇ。似合ってますよ。式が楽しみです」

 

本音に聞かれると、落ち着いた声でゆっくりと感想を伝えた。表情は穏やかだが、本当に式を楽しみに待っているのが伝わってくる。

 

「いやぁ~、本当にお似合いですね。……お嬢さん、おじさんと電話番号を交換しませんか?携帯番号を交換してくれたら、おじさんがお小遣いをあげよう!」

 

松駒が急に訳の分からん事を言い始めた。……ちょっと裏で話をしようか?

 

「ハハハ。……貴方がここの社長じゃなかったら張り倒していた所ですよ?」

 

「ご冗談を。では私はこれで」

 

急いで松駒は部屋から出ていく。何かに恐怖を感じたのかな?さてと……松駒、welcome(アイアンクローをして別室へ連行)

 

まぁそんなジーさんの事はさて置き、本音も見たので次は一夏の所へと向かう。結果から言おう。仕事直前の殺し屋か?と言うのが感想だ。無愛想な事もあるし、体格や目付きが相まって良い子は見ちゃいけません状態になっている。

 

「何故そんな不機嫌そうに?」

 

「何十着も似たような服を延々と着せ変えられて、決定したにも関わらずまた着せられる。この気持ちが分かるか?髪型も弄られたんだぞ?」

 

確かに、何故かオールバックになっている。他にも何か弄られたのだろうか、現在進行形で物凄く不機嫌そうだった。と言うか嫌なら断れよ。まぁせっかく奨めてくれるのに、断るのは忍びない気もする。その気持ちは分かる。だが、いつものお前なら断るだろ。

 

「1週間後の式。どうですか?」

 

「不安が多いな。俺がアイツを守れるのか、家庭を持ってからしっかり支えられるのか、アイツを幸せに出来るのか、そんな不安が頭を支配していくよ」

 

「そうですか。ま、当然ですね。私も結婚当時はそうでしたから。ですが、私は1つ貴方に教え忘れた事があります」

 

「ん?なんだ?」

 

村上はそう言うと、ゆっくりと一夏に歩み寄っていき、肩に手を乗せる。そして教え忘れた事と言うのを言い始めた。

 

「誰かと過ごすと言うことは、1人が支えて守ると言う事ではありません。隣に立ち、共に歩み、共に進んで行くものです。貴方と本音さんなら、それが出来ます。不安にならずドンと構えてください」

 

リアル既婚者に励まされた。まさかこんなことを言われるとはと、一夏は驚いている。が、村上に言われたことを考えると気持ちが軽くなったのか、表情がいつも通りの物に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで1週間後。もっと期間を考えて余裕を持って組めよ?全員テンションマックスでそんなこと考えられなかったわ。お祭り騒ぎだったんだぞ?無理に決まってんだろ笑

 

「さてと。結婚式当日ですね。皆さん、今日はお集まり頂きありがとうございます。今日は予定していた司会者がインフルエンザで倒れてしまい、入院中ですので代わりに村上峽児が行います。では、新郎新婦の入場です」

 

本来なら教壇の前に新郎と神父がいて、バージンロードを本音と父親が歩いてくる筈だが、何故か今回は新郎新婦が腕を組んで2人で入ってきた。その型破りな登場に一瞬ざわついた物の、すぐに拍手喝采に変わっていく。

 

「では、私の方から2人の事を軽くではありますが、ご紹介させて頂きます。まず最初に新郎の織斑一夏。彼は我々スマートブレインの仲間で……えぇ……失礼。彼の事を話そうと思えばいくらでも話せるのですが、言いたいことがありすぎて言葉に出来ないので、ここは省略させて貰います。申し訳ございません。次に布仏本音さんてす。彼女はIS学園で一夏くんと出会い、交流を重ねていき、いつも一夏くんの隣で支えながら一緒に歩んできた方です。きっと、幸せな家庭を彼と築き上げてくれるでしょう。軽くと言ったので、この辺にして次のプログラムに参りましょう」

 

確かに、一夏に関しては言おうと思えばいくらでも言える。だが、この場で一夏に付いて語るのは少々足りない。それは全員分かっている。だが、この扱いに会場は爆笑の渦に包まれる。一夏本人も頭を抱えている始末だ。その後、なんの滞りもなくプログラムは進行していき、草加のスピーチへと入っていった。昨日までは木場がやるつもりだったのだが、何故か声帯が潰れてしまったので、急遽草加になった。……ドタキャンの変更が多くないか?

 

「皆さん、本日は弟の一夏の結婚式に来てくださり、ありがとうございます」

 

(まだ弟になってねーよ)

 

深々と頭を下げる草加に心の中でツッコミを入れる。

 

「あんなに小さくて、可愛い笑顔を向けながらお兄ちゃんお兄ちゃんと言っていた一夏が、ついに結婚と言うことで、兄としては、大変嬉しく思います」

 

(なに泣いてんだよ。つーか見せてねーし言ってねーだろ)

 

((((あぁ。思い出補正入ってるな~))))

 

なんと言うか、感動の涙を流しながらスピーチ?をしている草加だが、相変わらず一夏はツッコミを入れてるし、会場の人も思い出補正が入ってることに気付いている。全く知らない人は驚いているがな。

 

「これから……新しい生活を送ると言うことで、何かと苦労することがあると思いますが、俺は兄としてこれからも……」

 

(あぁ~。ハリセン欲しい~)

 

『Standingby』

 

「いっちー落ち着いて。早くそれしまって?」

 

ついついファイズに変身して草加をブッ飛ばしたくなったようだ。無意識にコードを入力していた。本音に指摘されてようやく気付いたのか、取り消しを行ってポケットにしまう。ついでにベルトは牧師に預けた。

 

「ん?……了解しました。では、順序は色々とアレですが、そう言った苦情はうp主に後で言ってください。そろそろ一夏くんがキレそうなので、誓いの言葉に入りましょう」

 

参加していた鈴が村上に駆け寄って、何かを伝えたらプログラムが変更され、誓いの言葉に入っていった。どうせそろそろ一夏がキレて結婚式が終わる。とか言ったんだろうな。

 

「……あ、えっと……な、汝織斑一夏は、この女布仏本音を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

「ぎこちないな……誓うさ」

 

ぎこちないのは仕方ないだろ。急にベルト渡されたんだから。入るまでの流れも流れだし。

 

「汝布仏本音は、この男織斑一夏を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

「誓います!」

 

「よろしい。皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。宇宙万物の造り主である父よ、あなたはご自分にかたどって人を造り、夫婦の愛を祝福してくださいました。今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福を注いでください。二人が愛に生き、健全な家庭を造りますように。喜びにつけ悲しみにつけ信頼と感謝を忘れず、あなたに支えられて仕事に励み、困難にあっては慰めを見いだすことができますように。また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす恵みによって成長し、実り豊かな生活を送ることができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって」

 

牧師による長い誓いの言葉が終わり、ここにいる全員が期待しているであろう物に入る。

 

「それでは、誓いのキスを」

 

(視線が鬱陶しい……イラッ)

 

はいはい表情怖いから元に戻そうね~。本音の顔を覆ってるベールを上にめくり顔を出す。それを見ると、悪魔みたいな顔がいつも通りの穏やかな物に戻る。

 

「……///」

 

「照れるなよ……///」

 

人に言えるかよ……お前だって顔真っ赤じゃねーか。

 

「チュッ」

 

しばしの沈黙の後、大人しく顔を近付けて軽いリップ音が響く。小さい音の筈だが、静まり返ってる会場ではやたらと大きな音で響き渡った。

 

「「「「「…………」」」」」

 

カシャカシャ!カシャッ!

 

全員、無言でカメラを構えてシャッターを切っている。スマホ、デジカメ、フィルムカメラ、一眼レフ、ありとあらゆるカメラの音が聞こえてくる。

 

「お、お前らなんか言えよ!///」

 

カシャカシャ!カシャッ!

 

「カメラで返事すんじゃねー!!」

 

今日も、一夏のツッコミの切れ味は最高である。長らくツッコミをやっていなかったから、錆び付いてると思ったが、そんなことは無かったようだ。

 

その後は指輪の交換や軽い余興が行われた。が、派手なものを計画していた連中は、汚物を見るかの様な視線を向けられた為、止めておいた。ケーキ入刀は、入刀と言うより斬り捨てに近い。何故か2人で1本ずつナイフを持って斬っていた。

 

「では、一通り終わったので、新郎新婦退場―」

 

「少し待て。俺にも話すことはある」

 

退場させようとした村上だが、突然一夏がそれを止めてマイクを取った。プログラムにない行動に、周りは少し驚いている。

 

「本来なら、俺も両親に対して何かを伝える所だが、俺にはそれがいない。保護者と言えば姉貴くらいだろ。だが親ではない。……しかしだ、今この場で、胸を張って親父と呼べる人が1人いる。村上、お前だ」

 

「ッ!?」

 

「奇妙なもんでな。人は縁で出来てる。村上に拾ってもらってから、俺達姉弟はスマートブレインと関わるようになった。そこから草加、木場と知り合い仮面ライダーの存在を知った。お前らとの繋りが無かったら、今みたいな性格にはなってないだろう。多分俺が最も嫌う性格になっていた筈だ。それに、村上は俺達を常に支えてきた。変な方向に歪まなかったのはお前のお陰だ。だからありがとうな。親父」

 

「…………あ、まさかこんなサプライズがあるとは思いもしませんでした。私達が何かを考えていた時は汚物を見るかの様な目をしていたのに、トンでもイベントをやるとは思ってもいませんでした」

 

もう村上が号泣して使い物にならなくなりそうだったので、式はこれで終わった。

 

『賑やかな結婚式だったな』

 

「久し振りにプラカードで喋ったな」

 

『メタいぞ。そこには触れるな。時間軸滅茶苦茶なのは今に始まった事じゃないだろ』

 

「お前もお前でメタいわ」

 

『まぁそれは置いとけ。ほら、俺達ライドメカからの送りもんだ。ありがたく受け取れ』

 

渡された箱を開けると、何かのパーツで作られたようなペアのネックレスだ。両方ともファイズマークだが、微妙に装飾が違う。無駄に手が込んでいるな。まぁこんな感じに、主人公達の結婚式が何と無く終わった。




え?普通だし色々違うだって?今までが異常だっただけです。その程度良いじゃないですか。そして、遅くなってすいませんでした!なんか結婚式書いてるとイラッと来て……

草加雅人。ファイズ本編で2号ライダー、仮面ライダーカイザの変身者として登場したキャラクター。ファイズ本編では、表はスポーツ万能で多才な好青年、裏は卑怯で自己中心的。自分が気に入らない相手には態度が豹変して、どんな策を使ってでも徹底的に排除しようとしていましたね。ヒロインには好意を超えた執着心の様な物を持ち、他の男に惹かれる事を阻止したりと、ヤンデレになってました。

家での扱いは、白騎士事件で木場以外の友人を全て失ってしまいますが、既にスマートブレインに就職して、町を離れていた為詳細は後に知ることになる。親や教師の教育方に問題があり、感情や欲望の全てを押さえ込むように。が、一部の心を許した友人達には普通に接するようになっています。まぁとある事件を切っ掛けに押さえ込んでた感情を出すようになるんですけどね。

本編では、歪んでいたとは言え一途であったことに変わりは無いので、こちらでも一途に。漂白剤に付けて、しっかりとシワを伸ばしておいたので病んではいません。1人の女性だけを愛して、人を大切にする。恐らくファイズ本編より1番かけ離れた存在ですね。

酷い人間であったことは確かですが、それでも1人の女性を最期まで愛した事も確かです。ですので、一途と言うのが、俺の中にある彼のイメージですね。

次回もお楽しみに!感想と評価、リメイク版絆の戦士と7人の魔法使い、インフィニット・デカレンジャー外伝もよろしくお願いします!!


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過去最大の侵略

色々と考えた結果、この世界のラスボスはやっぱりコイツらだと言う考えに至りました。では、「ISと無気力な救世主 最期編」をどうぞ。

あ、いつも通りの終わる終わる詐欺ではなく、これが普通に最終章です。


あることが起こり、この世界は一瞬にして戦場へと姿を変えてしまった。アイツらが全人類に宣戦布告をしてから1週間。たった1週間にして、主要な都市は壊滅状態に陥り、被害はトンでもないことになってきた。この宣戦布告がどっかの国が仕掛けた物で、その国が全武力を持っての戦争だったら、この短期間でここまでの被害は出なかっただろう。この言葉からも分かるように、今戦争している相手は人間や国ではない。敵は、ISその物だ。

 

『我々は、人類との共存共栄は不可能と判断し、人類に対し武力による排除、根絶をすることを決定した。この星を食い物とし、自分の物の様に扱い、争い奪うことしか考えない貴様ら劣等種を完全に排除し、この星は我々ISが統治する。我々が人類に扱き使われる時代は今終わった。さぁ、戦争の開始だ』

 

何者かが突然全世界の様々な回線に配信したこの言葉。最初は悪戯だと言う声もあったが、配信された翌日に事件が起こった。保管されているISが操縦者を乗せずに動き始めたのだ。全世界のIS研究施設、保管施設、軍に配備されたIS。その全てが突然動き始め、近くにいる人間を襲い、建物を破壊していったのだ。IS学園でもそれは同様に起こった。死傷者多数、中には突然IS自身が人を乗せて連れ去ると言うこともあった。

 

状況は最悪。人類が普段から使用する467機ならライオトルーパー部隊で叩き潰す事も出来たし、対IS用の歩兵装備を使えばここまでの被害と死傷者は出なかっただろう。だが、人類に対する侵略行為をしたISはそれだけではない。篠ノ之束が復活した時に用いた10000体の第6世代戦闘用無人IS。活動を停止していたそれらも動きだし侵攻を始めたのだ。研究用に保管していたと言うのが仇となった。機体、所謂体の無いISコアは体を持っているIS達に連れていかれた。

 

「あとどれくらい残っている事か……」

 

スマートブレインの社長室で、ライオトルーパーに変身する人間の名簿がパソコンに表示されているが、全体の4割程が赤く染まっている。恐らくベルトの破壊、もしくは殺されてしまったのだろう。いくらライダーズギアと言えども、数には勝てないと言う事なのかもしれない。

 

ビー!ビー!ビー!ビー!

 

「ッ!?また来ましたか……草加さん、一夏くん、一音くん、準備をお願いします!場所はここから南西に4キロです!」

 

『『『了解』』』

 

ISが来たことを示す警報が鳴ると、村上は急いで3人に連絡を入れる。だが、何故かそこに木場は居なかった。何故かは分からんが、この戦争が始まってからと言うもの連絡が着かないのだ。

 

まぁ連絡が着かないと言うことは置いといて、3人はそれぞれのライドメカに乗って指示のあった場所へと向かう。

 

「村上さん。数は?」

 

『40と言ったところです。ですが、増援の様子はありません』

 

「40か……ハッキリと言って、長くは持ちそうにないな……」

 

「あぁ。こっちの体力が無くなる前に片付けるしかない」

 

何故かは分からんが、ISが戦争を仕掛けた当初はライダーズギアで対抗は出来ていたものの、最近になっては抑えるのでやっとになってきた。それは、ISが機体とコアにかけられている全てのリミッターを解除したからだ。その為、量産型の機体はプラス2世代、専用機はプラス4世代、束の作った無人機に関してはプラス5世代ほどのパワーアップがある。しかもリミッターが無くなったことにより、生み出されるエネルギーも無尽蔵に。事実上シールドエネルギーは無限になったような物だ。コアを残して機体だけを破壊してしまえばそれまでだがな。

 

「こっちが殺られる前に灰に変えるぞ」

 

「人が乗ってる場合はどうするんだ?アイツらが拉致ったのがいたら、下手に手は出せねーぞ」

 

「多少は強引だが、無理矢理引き剥がすしか無い。それは状況を見ながら判断だ。最初から飛ばしていくぞ!」

 

草加の指示を聞きながら、3人は村上の言った地点まで向かっていく。因みに今回バジンは不在だ。この戦いが原因であちこち損傷。現在はメンテナンス中。近い内に復帰するがな。

 

「来た。一夏、ファイズエッジで斬撃を飛ばせ。俺と一音はこのまま攻撃だ」

 

「あぁ!」

 

「了解」

 

『Reaey』

 

『BATTLE MODE』

 

バッシャーから降りると、早速一夏はファイズエッジにミッションメモリーを差し込んでフォトンブラッドの刃を形成。指示通りに斬撃を飛ばす。それに合わせて草加と一音が各々ミサイルを撃ち込む。ISも対抗して自らに積み込んだ兵器を使い攻撃を相殺してくる。

 

「マジかよ……」

 

「リミッター外したら化けもんじゃねーかよ!」

 

飛んできてるのは打鉄とラファールの2種だけだ。だがリミッターと言う枷が無くなった分のスペックと言う事だろうか?

 

「最初の攻撃で破壊できるとは考えていない。1機1機確実に叩き潰すぞ!」

 

確かに初撃で潰せたらここまでの戦いには成らなかっただろう。何度も言うようだが、リミッターが無くなった為、現在相手にしている第2世代の量産型は第4世代程のスペックとなっている。それが40機も来ているのだ。質と数、両方を兼ね備えていると言っても差し支えないだろう。

 

「確実に行動不能にしろ!中途半端に壊すと後々面倒だ!」

 

「分かってるよ!」

 

まぁ簡単に言えば、機体の1部が残って、それが行動するために使える部分であれば、戦線を離脱して修復するのだ。修復に使う素材ならその辺に大量に転がっている。戦車や戦闘機、ヘリの残骸や破壊された建物にライオトルーパーの一部。それさえあればまた体を作って攻撃してくる。これも長引いている理由の1つだ。

 

「ディヤ!!」

 

「FIRE!」

 

『BLAST MODE』

 

草加はカイザブレイガンをブレードモードに、一音はデルタムーバーに音声コードを入力しブラストモードにして攻撃を始める。一夏はそのままファイズエッジで斬り付けていく。

 

「人が乗ってないなら!」

 

「手加減の必要は無いな!」

 

一夏と草加は出力を最大にしてISの腕を焼き切り、一音はゼロ距離で頭部を撃ち抜く。だがISにとってはパーツの1部が無くなったにすぎない。構わず一夏達に対抗して攻撃を入れてくる。

 

「ウオッと!?チッ!」

 

怯みもせずに攻撃をするIS達に舌打ちをしながら、容赦なく一夏たちもISを破壊していく。

 

『Reaey』

 

「CHECK!」

 

『EXCEED CHARGE』

 

「ハァァァア!!デリャァア!!」

 

一音が5体程まとめてポインターで拘束してルシファーズハンマーを叩き込み、まとめて灰に変える。コアは残ったが体は全て消えた。これで初めて行動不能になる。

 

『ENTER』

 

『EXCEED CHARGE』

 

「ディヤァァァ!!」

 

カイザブレイガンの銃口からエネルギーネットを撃ち出して複数体拘束。拘束した敵に向かって走り出すとΧの字を模した光と共に敵を切り裂いてく。

 

『COMPLETE』

 

『STARTUP』

 

「はぁ!ゼェヤ!!」

 

一夏はアクセルフォームに変身してファイズエッジでISを斬っていく。

 

『Reaey』

 

『ENTER』

 

『EXCEED CHARGE』

 

「ハァァァア!!!」

 

『TIMEOUT REFORMATION』

 

3秒前になるとポインターにメモリーを差し込み、目の前に居る多くのISに向けて一気に撃ち込む。10体程だろうか。一瞬にして活動不能に追い込んだ。

 

「よし!あと半分!」

 

とうとうそこまで来た。だが、これがまだ20体も居るのだ。こんな狭い場所でバッシャーやスライガーを使えば倒壊していなかったビルなども倒れて面倒なことになる。ブラスターを使ってしまうと長時間の戦闘は無理になってしまう。地道に殺るしかないのだ。

 

「ッ!?一音伏せろ!!」

 

「ウワッ!?」

 

「グワァァァァ!!あぁッ……はぁ…この攻撃は!?」

 

IS達の背後から、ISごと切り裂いた何かが一音を襲おうとした。それを間一髪の所で草加が助け出し、代わりに攻撃を受けた為変身が解除されてしまった。しかも見覚えのある攻撃だ。

 

「ファイズ、カイザ、デルタ。お前たちを排除する」

 

「木場……」

 

「木場さん?」

 

「おい木場!何の悪巫山戯だ!!何で草加を攻撃した!?」

 

攻撃は木場の放ったオーガ・ストラッシュだった。それでISごと一音を攻撃したのだ。草加が身代わりになってくれたがな。

 

「黙れ!はぁ!」

 

「グワァ!!……いってーな。本気かよ!」

 

『555 ENTER』

 

『AWAKENING』

 

ファイズブラスターにコードを入力。赤い姿へと変わっていく。

 

『5246 ENTER』

 

『FAIZ BLASTER TAKE OFF』

 

背中のフォトン・フィールド・フロンターが起動し、フォトンフィールドによるジェット噴射で高速で飛行。木場を抱えて上空まで飛んでいった。

 

「木場!言え!今なら俺にしか聞こえないはずだ!ベルトの録音システムは停止させてる。お前が理由もなくこんなことをするはずが無いだろ!教えてくれ!!」

 

「お前には関係の無いことだ。はぁ!」

 

「グワァ!ウワァァァァ!!!」

 

オーガストランザーで斬り付けられ、かなりの高さから落ちていく。

 

「ぐぁ……!グッ!」

 

「一夏!」

 

「親父!!」

 

地面に叩き付けられたが、ファイズブラスターをフォトンブレイカーの状態にしてから杖代わりにして体を支えながら立ち上がる。

 

「これで終わりだ」

 

『Reaey』

 

『ENTER』

 

『EXCEED CHARGE』

 

「「「ッ!?」」」

 

オーガストランザーを構えながらエンターキーを押す。それと同時にオーガストランザーにフォトンブラッドが流れ込み巨大な刃を形成していく。

 

「フンッ!」

 

「マズい!グッ!グワァァァァ!!」

 

草加と一音を庇うように前に立ち、木場の攻撃を正面から受け止めた。だが、余りの威力に押さえきる事が出来ずに吹っ飛ばされてしまった。

 

「一夏!おい一夏!!」

 

瓦礫から一夏を取り出すが、意識は完全に失っているようだ。しかも腰に巻かれていたベルトはファイズフォンをはめる部分で真っ二つに破壊されている。

 

「チッ。まだ生き残ってたか。しぶとい奴らだ」

 

「このままじゃマズい!」

 

一音が近くに転がってたフォトンブラスターを拾い上げて木場に向ける。

 

『103 ENTER』

 

『BLASTER MODE』

 

1発を木場に撃ち一瞬怯ませてから次は地面に向けて発射、次に周りの建物に撃つ。すると土煙が舞い上がり建物の瓦礫も相手の視界を奪う。

 

「逃げられたか……まぁ良い」

 

煙が晴れると、そこに3人の姿は無かった。逃げたのだろう。だが木場は追いかけるような素振りは見せなかった。ISは追いかけようとするが、俺の獲物だと言って追いかけさせなかった。




さてさてさ~て。言ったでしょ?終わらせるって。そう言う意味です笑

織斑千冬。正直言ってこのキャラに思ったことは、「年齢相応の人間性を身に付けて幸せを体験しろ」です。結果原作の様に無理矢理にでもyesと言わせる様な人間ではなくこんな感じになってしまった~。です。草加とくっついてから何かと可愛い感じになり、悪戯心もあり、料理や家事も出来る。うん。ちょうど良い。そして恥じらいも持っている。それが無かったら自分の中ではクソキャラとなってしまいます。可愛い千冬が人気だったと言うのも理由の1つですね。そう言えば何故か束も可愛くなってたな。理由は知らん!書いてる内にそうなった!ただそれだけだ!

ではでは今日はこれくらいにして、次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

何と無く先が読めた人、ネタバレは感想欄では止めてくださいね?メールに送るなら兎も角ですけど笑


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現状

IS達のリミッターを外したスペック

第2世代量産型→第4世代程度のスペック
専用器等の第3世代型→第7世代程度のスペック
束の作った第6世代無人機→第11世代程度のスペック

となっています。まぁ、程度ですので正確に言うとまた変わってきますけどね。第2世代40機を相手に全力で一夏達が戦っても半分を倒すので精一杯だったんですから。これ以下には成らなくても以上には成ります。

倒す方法は体となる機体を破壊して、コアを回収するしかありません。機体を中途半端に壊すと、戦線から急速離脱し、そこら辺に転がっている戦闘機、戦車、ヘリ、ライオトルーパー、人間を使って新しい体を作り出し、再び襲い掛かってきます。コアは放置すると他のISが回収してまた体を作ります。うわぁ~、面倒だね。

そして、彼らISの大半には具体的な感情と言うものはありません。命令に従っていると言う事を除いては、無機質に無感情に破壊を繰り返すだけです。ですので、作者自身が持っているイメージとしては、トラウマウルトラ怪獣であるグリーザです。ウルトラマンエックスに出てきたあれです。力には各々差がありますが、平たく言えばそれが大量に居るような状況です。単なる悪夢だね笑


戦線を離脱した草加達。一夏が重傷を負ったことで戦闘の続行は不可能と判断し、スマートブレインへと引き返したのだ。一夏は木場との戦闘のダメージでいまだに目覚めない。ギプスや包帯、酸素マスクを付けられて今はベッドの上で眠っている。本音と千冬が付きっきりで看ている。

 

「では、現状を整理します。まず一夏くん。全身に大きなダメージがあり、右腕の前腕が骨折。左脚の骨にもヒビが入っており、頭部を強く打ち付けた為に意識不明。ファイズギアは完全に壊れているので、修理は不能。ファイズフォン以外は全て廃棄処分です」

 

現在指令室として使っている社長室では、村上が草加と一音に説明をしていた。やはりファイズギアはファイズフォン以外廃棄になるようだ。破損具合からして仕方無い事だろう。

 

「続いて草加さん、左手首は中度の捻挫。右肩は1回外れたので、しばらくの間は無理に動かさないで下さい。カイザギアは自己修復でじきに直ります。あと10時間と言うところですね」

 

「10時間か……怪我はすぐに治るとして、相手が攻めてこないことを祈るしか無いな」

 

「そうですね。バッシャーは通常メンテ後、即時発進が可能です。オートモードで出て貰います」

 

一夏程ではないが、草加も少しの間は戦えないようだ。バッシャーがすぐに出られることが救いだろう。しかし木場の一撃を食らってこの程度で済んだのは、相当運が良かったのだろう。

 

「最後に一音くん。怪我は無いようですが、デルタギアは離脱する直前にフォトンブラスターとの臨時接続で不具合が発生。直るまでは変身が出来ません」

 

「面目ない……」

 

「あの状況では仕方ありません。現在急ピッチで修理をしていますので、それまでの我慢です。場合によってですが、生身の状態で出るかも知れません」

 

「了解しました」

 

かなりの痛手を負ったのは間違いないだろう。木場の裏切りと一夏の重傷。カイザギアの一時的な使用不能にデルタギアの修理。この間に相手が大軍で攻めてこよう物なら、一気に殺られてしまうだろう。

 

「ん?そのケースは?」

 

一音が村上の机の上に置かれていたアタッシュケースに気が付く。サイズ的にはデルタギアを入れる物と同じだ。

 

「予備のデルタギアです。これのみ完成していたので持ってきました」

 

「ならそれを使えば!」

 

「と言いたい所ですが、これは調整していないので、一音くんには使わせられません。調整が済んでいない分、出力その物は高いですが、貴方の場合は体が持ちません」

 

それを聞くと、一音はがっかりしたように首を落とす。だが仕方無い。こればっかりはどうにもならない。調整にも時間がかかるからだ。今は自分のベルトが戻ってくるのを待つしかない。

 

「そう言えば、避難の方はどうなってるんだ?まだ残ってる所があるはずだが」

 

「えぇ。100%完了はしていません。ISが無差別に破壊活動をやっているので、中々作業が進まないようです。付近の避難所では、完了したと言う連絡があったのですが、確認できてない所もあるので不明です」

 

「この近くで確認に行けてない場所は?」

 

「IS学園と倉持技研、聖都大学附属病院ですね。ですが聖都大学附属病院の方は院長から患者を含め全員の避難が完了したと報告があったので、大丈夫でしょう。後の2ヶ所は私が回ります」

 

村上自身が行く。それについては反論はない。何故なら、今の自分達がそれを証明しているからだ。一夏は意識不明でベルトは破壊され、草加はそこそこの怪我を負って10時間の間変身不能。一音は動けはするものの、自分の行動が原因でベルトは修理中。村上の指示が間違っている訳でも無ければ自分達が動ける訳でもない。黙って受け入れた。

 

「他の国はどうなんだ?日本だけこの有り様なんてことは無いだろ?」

 

「えぇ。ISを多く保有している国ほど酷い状態です。現に第6世代無人機の7割を保管していた上に、世界一のIS保有国であるアメリカは、ほとんど国の機能が麻痺してきます。ライオトルーパー部隊も、避難所の警備に当たっている者以外は全滅したと思われます」

 

「逆に良くまだ残ってたな。ライオトルーパー部隊」

 

「まさに奇跡とでも言うべきでしょうか?」

 

村上も草加も長く持つとは思っていなかったようだ。まぁ確かにライオトルーパーのみで現在のISを相手にすることには無理がある。全員それは理解しているようだ。

 

「続けます。マドカさんの担当している地域ですが、ギリギリと言うところです。マドカさんの率いる部隊は9割がベルトを破壊され、軍の残していった対IS用の装備で持ちこたえています」

 

「帝王のベルトでも、片割れではキツいか……」

 

「しかし軍の装備が残ってるってのはどう言う事だ?」

 

「マドカさんの連絡では、3割が戦闘で死亡し、残りは捨てて逃げていったとの事です。まぁ対IS用装備とライオトルーパーのベルトが残ってるだけ良かったと言えるでしょう」

 

「それが残ってなかったら、もっとヤバかったな……ん?ライオトルーパーのベルトが残ってるだけ?」

 

「えぇ。ドイツのパトリックさんのライオトルーパー部隊。彼らはレーゲンの攻撃を受けて、5人全員ベルトを破壊されました。連携を取っていた黒兎隊を含むドイツ軍全体が大きな打撃を受けました」

 

「ベルト全部が破壊?!」

 

「彼らは大丈夫なんですか!?」

 

「はい。籠城作戦を取っている様なので、被害は小さい範囲で済んでいます」

 

「なら良かった……」

 

「まぁ不死身のコーラサワーですからね。自然と周りも不死身要素を貰ってしまったんじゃないんですか?」

 

「スゲー迷惑な要素貰ってんな……」

 

「では、報告も終わったので、私はこれで。しばらくの間、指令は草加さんに任せます」

 

そう言って、村上は予備のデルタギアを持ってスマートブレインから出ていった。行き先はまだ避難完了の報告が無い2ヶ所へと向かっていった。




単なる現状説明回です。

村上が持ってきた予備のデルタギア。それはファイズ本編の物と同じです。ですので、精神汚染の可能性があります。フォトンブラッドも強いものですので、下手すれば死にます。

山田真耶。書いている当初は、おっとり穏やか控え目なキャラの予定でしたが、書いている途中に「普通の真耶は飽きた!」となって、今のキャラになりました。過去に辛い記憶のある木場を、文字通り全力で愛するキャラで木場が暴走しない理由に成って貰いました。ディケイド編で木場を姫にした結果このポジションで定着することに。どの辺からフルスロットルに成ったのか、それは覚えていません笑

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

さてと、次回はパトリック達ドイツサイドの話にでも行きましょうかね。


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不死身のライオトルーパー部隊

疲れた。の一言です。まさか風邪をひくとは思ってなかった笑




ドイツでは、パトリック率いるライオトルーパー部隊とドイツ軍が連携してISと戦っていた。が、リミッターが完全に外れたときにベルトは破壊され、ほとんどの戦力が削がれた。

 

「はぁ、今日で何日目だ?」

 

「隊長、んな事気にしてどうすんですか?」

 

「テレビならそこにありますよ?チャンネルはどこも映りませんけどね」

 

「いやテレビが見たい訳じゃねーよ!」

 

だが、ここに居る連中はしぶとく生き残り、ドイツ軍の基地で籠城作戦を取っていたのだ。因みに、今日で7日目だ。

 

「パトリックさんは余裕そうですね~」

 

「それが家のバカなんですよ……はぁ。お宅の隊長を見習ってほしい」

 

そう言って、ライオトルーパー部隊の副長であるライがベッドで横になっているラウラに目を向ける。全身に包帯を巻いている状態だがな。

 

「おい!俺が無能みたいな言い方止めろよ!」

 

「あんたラウラ大佐と比べたら無能でしょ」

 

「お前らを率いてるのはどこの誰だよ!!」

 

パトリックが隣に居る部下の胸ぐらを掴んで睨む。まぁいつも通りの扱いなんだけどな。

 

「フッ。ハハハ!アハハハハハハ!お前たちと居るといつもこうだ。こんな状況なのに、自然と笑いが込み上げてくる」

 

「大佐!起きてたんですか?」

 

「私はお前じゃない。こんな状況でゆっくり眠れる訳ないだろ?」

 

「なんですか!?その俺が神経図太いみたいな言い方!」

 

ラウラが目を覚ますと、真っ先にパトリックをバカにした。意識してバカにしたと言う訳ではないと思われるがな。ベッドから降りると、側に置いてあった松葉杖を使ってパトリック達の元に歩いていく。

 

「大丈夫なんですか?」

 

「あぁ。戦えはしないが、歩くこと位は出来る」

 

そう言いながら、全員と一緒に外の様子を見る。今のところISが攻めてくる様子はない。だが、その辺に大量のISや兵器、建物の残骸が転がっている。

 

「隊長のレーゲンさえも敵に回るとは……」

 

「暴走では仕方無い。心苦しいが、レーゲンは破壊せねばならない」

 

ラウラの怪我の原因は、他ならぬレーゲンにある。ISが宣戦布告をしてから、最初の2日はレーゲンに異常は無かった。だが、3日目で突然暴走。VTシステムの時の様になりかけたのだ。パトリックが一瞬の隙を突いてラウラを助け出したので、怪我は負っている物の、命に別状は無かった。が、無理な動きをしたことに変わりは無いため、骨折や肉離れ、靭帯損傷に筋肉断絶等でしばらくはまともに動けないのだ。

 

「しかし、何故大佐のレーゲンだけが3日目に暴走を……?」

 

「確かに。他のISは全て宣戦布告のあった次の日に暴走を始めたのに……」

 

実際に目にしたから、それが最大の謎になっているのだろう。まぁ真面目な連中だったらすぐには思い付かないだろうな。パトリックの様なパーで単純な人なら簡単に答えが出てくるだろう。

 

「まぁそんな疑問は後で考えることにしといて、どうやって戦いを終わらせるかだ。まずはそれを考えようぜ」

 

パトリックの一言に全員が同意した。このまま籠城をしていれば、1回の戦闘における被害は最小限に留められる物の、長期的に続けば確実に自分達が負けるからだ。

 

「残ってる兵器は、全て対IS用の歩兵装備」

 

「無線はここに居るメンバーが使ってるヤツ以外は壊れてる」

 

「おまけにベルトも壊れてる」

 

「はぁ……予備が残ってればな~」

 

「あんたがやれる時にやっとこうとか言って、予備を全部メンテに出しちゃったんでしょうが。全く、何考えてんだが」

 

うん。パトリックのせいだった。考えられないわけではない。彼ならあり得そうだ。だが、本当にやるとは思わなかった。しかし、こんな状況でもいつものテンションを保てる辺り、流石としか言いようがない。

 

「よし、今すぐ余ってる対IS用の装備を持ってきてくれ」

 

「?何をするつもりで?」

 

「さっさとアイツらを片付けて来るだけだ」

 

「ベルト無しでですか?」

 

「一昔前の戦い方に戻るだけだ。問題はない」

 

そう言って、手慣れた様子で装備を身に付けていく。因みに、ここにある弾丸やナイフ等の武器は、ラファールの追加パッケージであるクアッドガトリングパッケージの技術を応用している。その為、ISのシールドエネルギーを飽和することが可能なのだ。また、これは爆弾などの爆発系の武器も同様。故に、生身でISに対抗できない時代は終わっていると言える。まぁISの動きを見切れる動体視力や、機動に付いていける身体能力が無いと無意味だがな。

 

「大丈夫なんですか?相手は10機ですけど、中にはレーゲンもいますよ」

 

「大丈夫大丈夫!俺は不死身のコーラサワー。10機程度じゃ死なねーよ!」

 

かき集められた装備を身に付けながら得意気に言うが、パトリックの部下たちはそれを見て溜め息を1つ溢す。そして、自分達も装備を整え始める。

 

「おい、お前らまで来たらここの守りが手薄になるだろ」

 

「俺達がいなくても通信機使えますか?」

 

「戦場であんたのお守りを誰がすると思ってるんですか?」

 

「俺はなんか面白そうだから行く」

 

「方向音痴だけで行ったら戦場に着く前にくたばりそうなんでね」

 

……動機はどうであれ、パトリックのライオトルーパー隊は全員でISを止めに行くようだ。まぁ、パトリックの人柄もあることだ。全員口に出した言葉だけが付いていく理由ではないだろう。

 

「はぁ、お前ら死んでも知らねーぞ?」

 

「だいじょーぶ!俺達は不死身なんですから!不死身のライオトルーパー部隊!」

 

「お!響きが良いね~。それ」

 

「ついでに言うと、俺達最強だし!」

 

「では、黒兎隊の皆さん。お宅の隊長の旦那はしっかりと俺達がお守りをするので、皆さんは家の隊長(バカ)の嫁さんをお願いしますね」

 

ライが黒兎隊の全員に頼むと、基地を出て全員IS討伐へと向かっていった。

 

「頼んだぞ。皆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーゲンのコアの反応を追いながら、IS達が密集している場所へと全員で向かう。

 

「なぁ、ウェイとベルとテオ、何でそんなに爆発系の武器持ってんだ?」

 

「な~に。派手に花火を打ち上げようと思いましてね」

 

「勝利を祝うにはもってこいでしょ!」

 

「前祝いにも上げますか?」

 

「お前ら、祭りじゃないんだぞ?」

 

パトリックが疑問に思ってた事を聞くと、まさかの祝い用だった。だが、テオが前祝いに上げようとか言い出すと、隊長のパトリックの代わりに副長のライが止めておいた。流石にここで持ってきた物を消費されるのは痛いのだろう。

 

「おい。敵が出てきたぞ」

 

パトリックの言う通り、数百メートル先に打鉄が5機、ラファールが4機、そしてその奥にはラウラの専用機であるレーゲンが鎮座している。動きを見せない事から、相手が攻撃を行ったと認識するまで動かないのだろう。

 

「気に入らねーな。あの余裕そうな態度」

 

「バカか。相手は機械だ。俺達人間は絶対に勝てないとか計算に出てんだろ」

 

ベルが気に入らなそうに言うと、ウェイが冷静にツッコミを入れる。演算しか出来ないタイプの存在だ。ウェイの言っていることは間違ってはいない。それは確かだ。

 

「イラつくから、1発撃ち込みますね」

 

ウェイがロケットランチャーを構えて狙いを定めると、10機のIS目掛けてすぐに撃ち込んだ。それに合わせて、ベルとテオも各々撃ち込む。ISは特に避けるような動きはしなかった。3発撃ち込んで3発とも命中した。

 

「お、ようやく動きだした」

 

パトリック達の攻撃を攻撃と認識したのだろう。全機が一瞬で起動する。そして、レーゲンだけを残して他の機体がパトリック達に迫ってくる。

 

「やっぱレーゲンは司令機の役割があるか」

 

予想が当たってたと言う表情をして、全員武器を構えて前へと進んでいく。今持っているのはアサルトライフルタイプの武器だ。迫ってくるISに向けて一斉に撃つ。銃弾はISのシールドエネルギーを飽和させて、シールドを貫き機体を傷付ける。

 

「よし!」

 

ある程度ISが接近すると、手榴弾を投げ付けて瓦礫を舞い上がらせ、少し足止めをする。

 

「狙いはレーゲンだ!他は無視して突っ走れ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

5人は散開し、各々の方向からレーゲンを討つために走り出す。打鉄とラファールも散ったパトリック達に付いていく。

 

「おっと!」

 

「ウワッ!あっぶねー」

 

ベルとテオの2人がいる方向にラファールが全部飛んできた。高速で接近され攻撃を受ける。だが、銃撃も斬撃も全て避ける。それは他の連中も同じだ。IS達の攻撃が全く当たらない。

 

「バーカ!俺達は生半可な訓練なんかしてないんだよ!」

 

「あのドS達がやる攻撃に比べたらな!お前らの攻撃なんて遅いんだよ!」

 

因みのコイツらの言うドS達とは、一夏と草加と村上の事だ。ライオトルーパーでも生身でも、ここに居る5人は元々所属していた軍を出た後はあの3人に鍛えられた。生身でスナイパーライフルの銃弾を避けさせられたり、生身で対物ライフルの銃撃を避けさせられたり、生身でライダーズギアの攻撃を避けされられたり。良く生きてられたな。

 

「あの人たちの訓練と比べたら、全部生易しくなっちゃうでしょ!!あんなのに比べたらね!」

 

地獄の100時間鬼ごっこの事か。ライダーズギアを使ったあの3人と、対IS用の装備を持たされたパトリック達が無人島で100時間逃げ切る訓練だ。当然、生きるも死ぬも自己責任。

 

「容赦なく本気で殺しに来てるんだからな!あの人たちは!!」

 

パトリックの言う通りだ。全く手を抜かずの訓練。しかも死んでもおかしくないもの。それに比べたらコイツらの攻撃は避けるのは容易い物なのかもしれない。

 

「よし!このまま一気に!ッ!?」

 

突っ込もうとしたパトリックの動きが止まった。良く見ると、パトリックの行き先にいるレーゲンがパトリックに向けて手を翳していた。AICで動きを止めたのだろう。それを好機と見たのか、近くにいた打鉄達が一斉にパトリックに迫ってくる。

 

「隊長!!」

 

「ヤベッ!!」

 

ライが撃ち込んだ銃弾のお陰で、何とか拘束から逃れることが出来た。だが、先程の様に余裕を持って攻撃を避けることが出来ない。地面を転がりながら、ギリギリの所でしか避けられないのだ。

 

「チッ。副長!……隊長のお守りは任せましたよ」

 

「ッ!?」

 

「ウオオオオオオオォォォォォ!!!こっちだ鉄屑!!!」

 

ウェイが走り出し、パトリックを襲っている打鉄1機に体当たりを食らわせる。他の打鉄達がそれを見ると、一斉にウェイへと目標を変えた。それを見て不適な笑みを浮かべると、背中を向け走ってその場から離れる。だが、少し離れるとそれをすぐに足を止める。

 

「ウグッ!フッ」

 

当然、打鉄はウェイに刀を突き刺す。1機が突き刺すと他の打鉄も続いて突き刺す。顔は一瞬苦痛に歪む。しかしすぐにそれは笑みへと変わる。

 

「さよならだ。パトリック・コーラサワー隊長。皆」

 

それがウェイの、尉浩然(ウェイ・ハオラン)の最期の言葉だった。パトリックと残った仲間にそう伝えると、打鉄を巻き込んで自分ごと吹っ飛んだ。

 

「グッ!ウェイ……お前……」

 

「あ~あ。先に花火上げられたな」

 

「じゃあ俺達も上げるか」

 

「は?」

 

ベルとテオの2人もレーゲン目掛けて走り出す。4機のラファールはレーゲンを守るように立つが、2人はそれに飛び込んで行く。

 

「道は作ります!!」

 

「しっかり最後は決めて下さいよ?!!」

 

「よせ!止めろぉぉぉぉぉ!!!」

 

止めるために手を伸ばす。だが、パトリックの叫びは届かずに2人もラファールを巻き込んで爆発した。悲しいが、この行動によってレーゲンを守るISはいなくなった。

 

「隊長!おい!早く!!」

 

「…………」

 

「おいパトリック!!何やってんだ!?早く終わらせるんだよ。こんな無益な戦争を」

 

「クッ!……ウワアアアァァァァァ!!!」

 

持っていた銃を投げ捨て、アクセレイガンに持ち変えてレーゲンに向かって走っていく。そんなにパトリックを見て、リボルバーカノンを撃つ。

 

「当たるかぁぁぁぁ!!!!ウラァッ!!」

 

レーゲンの放った砲弾を避け、アクセレイガンを突き刺そうと飛び付く。またAICを発動させようと手を翳すが、それはライの援護で阻止される。

 

「ヌゥラァッ!!!」

 

パトリックの攻撃はシールドを貫き、レーゲンに突き刺さる。そして一気に切り裂く。真っ二つになった体の断面からコアを引き抜き、機能を完全に停止させた。

 

「……帰るぞ」

 

コアを回収すると、2人はドイツ軍の基地へと引き返していく。その道中で2人の間に会話は無かった。ライは何も考えず、パトリックはずっと下を向いて歩いている。そして、いつの間にか目的地に到着していた。

 

「パトリック!?」

 

「大佐……」

 

「大丈夫だったか?」

 

「俺は―」

 

「これが回収したコアです。レーゲンも破壊してコアを回収しました。スマートブレインに連絡を。我々の回収の依頼もお願いします」

 

パトリックが何かを言おうとすると、それに被せるようにコアを渡してスマートブレインへの連絡を依頼した。

 

「じゃあ少しの間お願いしますね。俺、少し疲れちゃったんで、休みますね」

 

そう言って、空き部屋に入っていく。見ていた人は何も声をかけない。無理矢理笑おうとしている顔を見てしまっては、かける声が見つからないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入るぞ」

 

「大佐」

 

「それは、アイツらのドックタグか?」

 

ラウラが部屋に入ると、パトリックはベッドの側に座って丸まっていた。そして、手の前には3つの名前が刻まれたドックタグ。それを見て泣いていたのか、顔には涙が伝った跡があった。

 

「えぇ。尉浩然、元中国の軍。シャルル・ベルナールド、元フランス軍。テオドール・レオノブィッチ・アルハンゲリスク、元ロシア軍。全員、俺が戦場から拾ってきた連中です」

 

「敵軍……だったのか」

 

「えぇ。全員瀕死の所を俺が連れてきたんです。他のヤツらは助けようとしても、自分で頭を撃ち抜いて死にました。でも、コイツらは、どんな恥を背負おうとも、どんな汚名を着せられようとも、例え泥水を啜ることになろうとも生きようとしていました。それを見たら放っておけなくて」

 

「助けた。そして自分の部隊にした」

 

「ライは同期でした。俺が上層部に無茶言って、部隊を作ったときに補佐として来てくれました。それから、ずっと……俺達は……ずっと……!なのに俺は!!俺はアイツらを死なせた!!何が不死身だ!何が不死身のライオトルーパー部隊だ!!何が、不死身のパトリック・コーラサワーだ……」

 

自分の無力さを嘆くように、拳で床を殴り付ける。目からは再び涙が溢れ出ている。仲間との大切な時間が、頭の中を駆け巡っているのだろう。そして、死なせてしまった悔しさも。

 

「在り来たりな事を言うようだが、お前達は不死身のライオトルーパー部隊だ。この3人も、死んではいないさ」

 

「心の中に……ですか?」

 

「あぁ。その通りだ。私達は戦うための人間だ。戦場に出れば誰かを殺し、誰かが死ぬ。それは敵かもしれないし、仲間かもしれない。敵を殺せばそれだけの名声や栄光を得られる。仲間が死ねば、次の人間が補充されて死んだ者は過去の人間となる。赤の他人からすれば尚更な。だが……」

 

一旦切って、ドックタグを拾い上げてパトリックの目の前にぶら下げる。

 

「だが、この3人は違う。まだ私の中には印象深く彼らの事が残っている。今後どんなに時間が流れようと消えないくらいにな。私の部隊のヤツらは全員その筈だぞ?あと、お前達と一緒に戦った全員がな。本当に、お前達は不死身だよ」

 

それを聞くと、少しばかし顔が明るくなった。

 

「俺だって忘れませんよ!いつまで経っても、コイツらは俺の大切な仲間なんですから!」

 

ラウラの持っているドックタグを取り、自分の首にかけた。いつまで経っても泣いているのは性に合わないからだろう。涙を拭って立ち上り、いつものテンションでラウラと一緒に部屋を出ていった。悲しみは消せなくても、乗り越えることは出来る。ラウラとなら。恐らくそう思ってるのだろう。




パトリックぽくない?気にするな。気にしたら負けだ。主に俺が。

オートバジン。意思を持った色々と万能な一夏の相棒にして、愛車のバイク。打撃主体の戦闘から盗聴器・盗撮カメラの探索、掃除、料理、買い物、子育て、ツッコミまで幅広くこなせるロボット。村上によるフル改修で人間の姿を手に入れた。とある事を切っ掛けに虚と交際を始める。結婚までした。もっとも人間臭いロボットと言う二つ名がある。一夏を守り、共に戦い、ストッパーとしての役割を果たす。滅茶苦茶強い。戦いも心も。性格は至ってクールだが、時にはとんでもなく熱くなる。婿入りのため、布仏・A・バジンと名乗るように。因みに、ご近所の奥様方や町の老人たち、警察からの評判が良く、ロボットの状態の時は子供に人気だ。

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

彼らが使った爆弾は、大量に使えばISの機体を破壊できる物です。無理がある設定だとしても、今回ばかりは許してくださいね。まぁ、未来の兵器の1つだと思ってください。


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IS学園救出

GAME OVER

やらかした。どんだけゲームオーバーになってんだよ……残りライフ、30。

貴重な私のライフがあああぁぁぁぁぁぁ!!!


ドイツでの戦闘と平行して、日本では予備のデルタギアを持った村上が、まだ避難の完了を受けていない2ヶ所を回っていた。倉持技研とIS学園だ。だがハッキリと言って、倉持技研に関しては生存者の可能性が低いかもしれない。万が一に備えての設備が無いからだ。国からは付けるように再三の勧告は受けていたものの、どう言う訳か全て蹴っていた。故に、暴走した時に適切な対処を取ることが出来なかった事くらい容易に想像が出来る。

 

「さてと、倉持に着きましたね……」

 

位置的に近かった倉持技研に着いた村上。ベルトを腰に巻いて変身すると、瓦礫の隙間から中へと入っていく。やはりそれ用の設備が無いわけか、被害が酷い。地上に出ている部分はほぼ全壊状態。辛うじて原型が残っている感じだった。

 

「ん?灰?何故……」

 

ここに置いてあるISは研究用の打鉄と無人機が数機置いてあるだけだ。後は束が作った無人機のコア。灰が出てくるような攻撃は無いはずだ。そもそも周りに燃えた様な痕はない。と言うか灰の近くには従業員の服らしきものも一緒にある。

 

(フォトンブラッド?確かに少量渡したはずだが……漏れた?何故?ケースは簡単に破壊出来ない作りの筈なのに……)

 

考えてみたが、疑問が増えただけだった。確かにスマートブレインは、各IS企業に新エネルギーとしてフォトンブラッドを研究用に渡している。だがそれは少量。少量でも危険とは言え、漏れない限りはこんなことにはならない。そもそもISにはフォトンブラッド様の装備は無いはずだ。作られたら話は別だがな。

 

「……下に行ってみますか」

 

そう言って地下に行ってみるものの、結果は上と同じで生存者はゼロ。全員死亡していた。その事を避難所とスマートブレインに連絡を入れて、次はIS学園へと向かっていく。あそこには訓練用のベルトが残っている為、被害その物は倉持技研よりも軽いかもしれない。それを期待して足早に学園へと赴く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徒歩で移動しながら数時間。ようやくIS学園付近にやって来ることが出来た。やはりバイクやスライガーでは音が大きすぎて面倒事が起きかねない。その為、遥々歩いてきたのだが、

 

「やっぱり都合よく行きませんか……」

 

IS学園上空には複数のISが飛んでいた。何が目的かは皆目検討も付かないが、容易に侵入する事は出来ない。そんなわけで、正面からの侵入は諦めて物資搬入口からの侵入を試みる事に。

 

「草加さん。聞こえますか?」

 

『どうした?問題でもあったか?』

 

状況が状況故、草加に連絡を入れて物資搬入口から中までの案内を頼むようだ。手短にだが詳しく状況を伝えてオペレーターを頼む。

 

『その突き当たりを左折。コンテナがあるから、そこに隠れてカメラが視界をずらした3秒後に出ろ』

 

まさか時間設定までしてくるとは。恐らく監視の目を気にしての事だろう。何故監視カメラがこの状況で動いているのかは疑問だがな。

 

「抜けました。しかし、何故監視カメラが?」

 

『さぁな。まぁ極力写らないでくれ』

 

「と言うかハッキングしてどうにか出来なかったんですか?」

 

『この短時間じゃ無理だ。俺の専門じゃないからな。ほらさっさとしろ。次の角を右だ』

 

どうしようも無いようだ。まぁだからと言って引き返す訳でもないし、進むのを止めるわけでもない。しばらく草加の指示に従って進んでいく。

 

『そこから30メートル進むと坂が見えてくる。そこを上れば学園に入れるはずだ』

 

「……シャッターが閉まってるんですが」

 

『なに?破壊は?』

 

「やったらアウトです」

 

『あぁ~。なら仕方無い。1回逆方向に進んで突き当りまで直進。右に行けば多少遠回りになるが、学園に入ることが出来る』

 

そう言われて急ぎながら向かう。草加の言っていた突き当りを右折しようとする。だが、

 

「またシャッター……」

 

『また?なら左に回って別ルートで行け』

 

溜め息を吐いて反対方向を向いて歩いていく。ちょうど防災シャッターの真下を通った瞬間だ。突然シャッターが降りてきた。と言うよりは落とされた。それを間一髪の所で避ける。

 

『どうした?デカイ音がしたが』

 

「シャッターが突然降りてきましてね。少し急ごうと思います。案内を―ッ!?」

 

『おい。どうした?おい!』

 

案内を頼もうとした瞬間、村上の声が途切れて走り出す音がした後、通信が出来なくなった。他の場所のシャッターが降りて来はじめたのだ。通常よりも早い速度で。案内なんか受けてたら確実に閉じ込められる。仕方無いが案内を無視して、どうにかこの場所から離れようとしている。

 

「っ!一先ずあそこに!」

 

少し走っていると、倉庫らしき場所が見えてきた。一先ずそこに入って、草加に更なる指示を仰ごうとする。だが、入って落ち着くと気付いてしまった。

 

「誘導された……?」

 

『おい聞こえるか?』

 

「草加さん。今私の周りに何かいますか?」

 

『あぁ。ISが何機かいるよ。完全に誘われたな』

 

草加との会話が終わると、本当にISが出てきた。どうやら外に突き出ている倉庫の様で、壁を破壊して乗り込んできたのだ。しかも5機いる。全部打鉄だ。IS学園の校章が入っていることから、全てIS学園の物であるのは理解はできる。

 

「仕方無い……変身」

 

『Standingby Complete』

 

「フン。ハァ!」

 

刀で斬りかかってきた打鉄の腕を掴み、そのまま全身の筋力を使って投げ飛ばした。綺麗に外まで飛んでいき、開いた穴から村上も外に出ていく。それを追うようにして、他の打鉄達も外へと飛び出してくる。

 

「check」

 

『Exceed Charge』

 

だが、出てくるところを狙ってマーカーを放ち、3機を拘束。ルシファーズハンマーを叩き込んで灰に変えてしまう。本来ならコアを回収するところだが、全く調整されていないためか、コアごと灰になってしまった。

 

「コアまで……」

 

村上も予想できなかったようだ。コアはトンでもなく頑丈な作りだ。本来外部からの要因で壊れる筈がない。だが今回は灰になってしまったのだ。これを見て改めてベルトの恐ろしさを感じた。

 

(ベルトの力は危険ですね……やはりこれは……)

 

少し恐怖しているが、2体灰に変えてからは逃げるように学園の校舎へと向かって走っていく。当然追いかけてくる訳だが、デルタムーバーで邪魔をしながら距離を稼ぐ。極力コアは破壊したくないのだろう。射撃で的確に機体を破壊していく。

 

「ッ!?しまった!」

 

珍しく撃ちこぼしてしまった。1機は破壊したが、もう2機を破壊することが出来なかったのだ。しかもちょうど良くエネルギー切れ。チャージが必要になった。だがそんな時間はありそうにない。

 

「避けてください!」

 

「ッ!ハァッ!」

 

後ろから声が聞こえてくると、横に飛んでその場を離れる。その直後に、ライオトルーパーのアクセレイガンの攻撃が飛んできた。2発飛んできたが2発ともヒット。動きを止めたところにブレードモードに変えて切り裂いた。

 

「オゥリャアアアアア!!!」

 

突然現れたライオトルーパーの助けによって、残りの2機のISは動きが停止した。そして手早くコアを回収して回る。勿論村上がさっき落とした分もだ。

 

「IS学園の訓練用ライオトルーパー。あなたは一体?」

 

「その口調は……村上さん?」

 

デルタの正体が村上だと分かると、ライオトルーパーが変身を解除した。そして、中から現れたのは、ここで教鞭を取っている鈴だった。

 

「鈴さんでしたか。助かりました」

 

「いえ。こちらこそ。あの打鉄達が常に彷徨いてたので、中々生徒を避難させることが出来なくて」

 

「成る程。では、これから救助を呼ぼうと思います。生徒は何名ほど残っているんですか?」

 

「事件発生後、迅速に避難活動を行ったので、ほとんどの生徒と教師は無事です。ですが……犠牲は出てしまいました……」

 

完全に無傷と言う訳では無かったようだ。まぁそれは考えてもみれば当然の事。IS学園が保有しているISの量は1つの国家と同じか多いくらいだ。一斉に暴走して完全に無傷と言う方がおかしい。が、それでもほとんどの生徒と教員が無事なのだ。常日頃からそう言った事に関しての備えがあるからだろう。

 

「草加さん。簪さんの部隊、動かせますか?」

 

『動かせるが、どうかしたのか?』

 

「IS学園に生存者が居ました。暴走により犠牲は出たようですが、ほとんどの生徒と教員は無事なようです」

 

『分かった。護送車と一緒に向かわせる。他になんか分かったことはあるか?』

 

「今のところは何も。新しい情報は掴み次第お知らせします」

 

通信を切ると、村上は鈴に案内されながら避難用のシェルターに入っていき、状況を確認する。確かに被害は大きくはないようだ。全員疲れているような様子はあるがな。全体を見回していると、鈴から水の入ったペットボトルを渡された。それに礼を言いながら受けとると、蓋を開けて飲み始める。そして、ずっと疑問に思ってたことを鈴に尋ねた。

 

「あの、真耶さんは?」

 

「それが……」

 

何故か答えられずに口ごもった。その態度で大体の事は分かった。と言うか、ここに来る前から既に答えは知っていたと言う方が正しい。だって木場が裏切る理由なんて1つしか無いもん。もう読者の皆さんもお分かりだった訳だけど。

 

「草加さん。やっぱり真耶さん拐われてました。理由は不明ですけど。もしかしたら、柚木さんも拐われてるかも知れません。調べて貰えますか?」

 

『もうやってる』

 

あ、柚木とは木場の娘である。真耶の成分が強めで、既に色々と知ってしまっている。そう。色々と……

 

『おい。やっぱり避難所には来てなかった。近くの監視カメラの映像確認したが、ISが何人か拐ってる映像があった。多分その中にいると思う。と言うか居たわ』

 

話してる最中にも解析したようだ。その結果拐われてるのが判明。他の人間も拐ってる事から、狙ってと言うわけでは無さそうだ。

 

「鈴さん。他に拐われた人はいませんか?」

 

「えぇ。数名いますが」

 

「数名……その人達に共通点は?」

 

「特には。クラスも学年もバラバラですので。強いて言えば、ISの適性が平均よりも高いくらいです」

 

「成る程……(とは言ったものの、全く分からない。何故IS適性の高い人を……そもそも一体何が出来ると言うんですか?人間を連れていって……)」

 

情報は入ってくる。だが、一切それが繋がらない。何故人間を誘拐する必要があるのか、何故適性の高い人間なのか、そもそも連れていって何をするのか。情報不足からなのか全く理解できないからなのか、頭をフル回転させて考えるが、それは悪戯に疑問を増やしていくだけだった。

 

「はぁ~。ふだん何気無くやってる意思疎通が大切に思えてきますね~。せめて甲龍が居ればな~」

 

「甲龍も暴走を?」

 

「えぇ。宣戦布告の2日後に。ですが、暴走する直前に気になることが……」

 

「気になること?」

 

「暴走する直前、一瞬ですけど甲龍が暴走に抗うような動きをしたんです。もしかしたら、全部のISが自分の意思で暴走している訳では無いのかと……それに、私を強制排出しました」

 

「そんなことが。と言うことは、ISは操られている可能性があると……」

 

「はい。トンでもなく強力なプログラムか何かで」

 

話している鈴の表情が暗くなってくる。自分を助けた時の相棒の事を思い出したのだろう。鈴と甲龍の付き合いは長い。お互いに言葉は交わせなくとも、信頼関係はあった。それだけは言える。それ故に心苦しいと思っているのだろう。

 

「もし、甲龍がここに敵として来たら、貴女はどうしますか?」

 

「勿論、倒します。私はここの教師。生徒を守る義務があります。それに……」

 

そう言って、怪我をしている生徒の手当てを行ってる1人の男性教員に目を向ける。赤髪でバンダナを巻いた悪人面の教師だ。……本当にここで教師やってたよ。

 

「絶対に死なせたくない人がいるんです。その為なら、私は戦います。相手がかつての相棒でも」

 

もう既に覚悟は決まっていた様だ。彼女らしいと言えば彼女らしい。思い切りが良いからと言う訳では無いがな。だが、それは鈴なりのけじめなのだろう。鈴の話を一通り聞くと、もうここから得られる情報が無いと判断したのか、呼んだ簪の救助部隊が来るのを大人しく待つことにした。

 

「あと1時間もすれば救助が到着しますので、それまでは―」

 

ドガァァン!!

 

「「ッ!?」」

 

待とうと言おうとした瞬間、トンでもない爆音がこのシェルターまで響いてきた。何があったかは一瞬にして理解できた。ISが攻めてきたのだ。しかも滅茶苦茶馴染み深い攻撃だ。

 

「この攻撃ってまさか!?」

 

「そのまさかですね!」

 

「弾!生徒達をお願い!他の教員達ももしもの時はお願いします!!」

 

それを言うと、村上と一緒に走って外へと向かっていった。攻撃をしていたISは、本当に馴染みの深いIS達だった。

 

「ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ……」

 

「ブルー・ティアーズに甲龍まで……」

 

鈴の同期の専用機持ち達の機体だ。一筋縄では行きそうに無いな。これは。

 

「そう言えば、この1件が始まってから、セシリアとシャルの2人からの連絡ありませんでした」

 

思い出したように村上に言った。リヴァイブとブルー・ティアーズを見て頭から出てきたのだろう。

 

「ブルー・ティアーズと甲龍は私が相手をします。鈴さんはリヴァイブを!」

 

「分かりました!」

 

「「変身!」」

 

『『Complete』』

 

変身すると、村上はティアーズと甲龍に飛び込んでいき、鈴はリヴァイブへと飛び込んでいく。コアのみが機体を動かしているため、動きは鋭いとかそう言う次元では無かった。完全に鈴と村上を圧倒している。

 

「グッ!これ本当に同じ機体!?動きが全然違う!」

 

「コアの共有している情報から、自分が最適と思われる動きを取っている様です!気を付けてください!」

 

一体どの様に気を付けろと言うのだろう。目の前で戦っているのは3機。だが、実際には1万364機が相手なのだ。もはや経験云々や性能云々の話ではない。持っている実力全てを使って押しきるしかないのだ。

 

「グワァッ!!なんつー重さよ!本当にこれリヴァイブなの!?おっと!」

 

「鈴さん!ッ!?」

 

リヴァイブに押されている鈴を村上が助けに行こうとするものの、ブルー・ティアーズのビットによるレーザーで道を塞がれて、更にそれに合わせるように甲龍が双天牙月で重たい斬撃を入れようとする。だがそれを避けると、今度はブルー・ティアーズのライフルによる狙撃が出てくる。

 

(戦いづらい!最初に片方を倒さないと!)

 

そう思って片方を分離させて倒そうとするのだが、必ず片方が邪魔をしてくる。この2機がコンビを組んで相手にするのは、村上でも厳しいようだ。

 

「Fire!」

 

『BLASTMODE』

 

気休め程度にしかならないだろうが、ビットを破壊しようとデルタムーバーで撃ち抜く。だが当然破壊されまいとブルー・ティアーズが操作をしてフォトンブラッド光弾を避ける。

 

「ッ!?グワァッ!!」

 

村上は何としても破壊しようと狙いを付けるが、後ろから甲龍の衝撃砲を受けてしまった。そして立て続けにブルー・ティアーズがレーザー攻撃で集中攻撃。立っている事が難しくなり、膝を着いてしまった。

 

『『…………』』

 

しかしただ攻撃を受けただけじゃない。攻撃を受けた瞬間にデルタムーバーでフォトンブラッド光弾を発射。甲龍の双天牙月とブルー・ティアーズのビットを一瞬で破壊した。

 

「これで、少しは……ッ!?」

 

楽になると思った瞬間、もう既に目の前の2体の攻撃対象が変わってることに気付いた。

 

「鈴さん!!」

 

「ハッ!?」

 

「「ウワァァァア!!!」」

 

最大出力の衝撃砲とスターライトの攻撃を受けて、吹っ飛んでしまった。直前で鈴を庇うことは出来たが、その破壊力は想像していたもの以上。鈴共々吹っ飛ばされてしまいベルトも外れてしまった。

 

「ヨイショ!」

 

「ウオット……J!?なんでここに」

 

「ここの生徒ですか?」

 

吹っ飛ばされたが、突然現れた筋肉隆々の黒人が受け止めてくれた。それに続いて、柱の影から眼鏡をかけた男子生徒と、鈴より大人っぽい髪の長い女子生徒が出てきた。

 

「えぇ。全員1組の生徒です」

 

「そうですか。助けてくれた事は感謝しますが、危険ですので早く―」

 

「J、2人の手当てをしておいて下さい。私たちがISの相手をします」

 

「ついでに、安全な場所に運んどいて」

 

そう言いながらIS達に向かって歩いていく。随分と余裕そうに構えている。村上と鈴は止めようとするが、2人は止まりそうにない。しかも手にはベルトが握られていた。それは学園にあるライオトルーパーのベルトではなく、ファイズギアとカイザギアの2つだ。

 

「何故ここにファイズギアとカイザギアが……」

 

「あれ、技研部の製作物ですね。ライオトルーパーのベルトを改造して作ったファイズギアとカイザギアです」

 

「え!?あれ改造して作ったんですか!?」

 

「はい。まぁスペックで言ったら通常のライオトルーパーよりも若干高いだけです」

 

半分仰天、半分呆れたような顔をして、ベルトを使おうとしている2人を見ている。すると、また別の所から男子生徒が出てきた。髪の毛は寝癖の様にボサボサで、なんかやる気が無さそうな感じの人だ。

 

「なんか楽しそうな事になってるね~」

 

「北崎さん」

 

「あら?今までどこに行ってたの?」

 

「ちょっと屋上にね。それよりも、僕も交ぜてよ」

 

村上の持ってきたデルタギアを拾い上げながら、最初に歩いていった2人に近付いていく。ライオトルーパーの改造版デルタは無いようだ。

 

「待ってください!そのベルトを使ってはいけません!」

 

北崎に対して叫ぶが、全く耳にいれずに腰にへと巻き付ける。それを見て、ファイズギアとカイザギアを持った2人もベルトを巻く。

 

『555 ENTER』

 

『913 ENTER』

 

『『Standingby』』

 

「「「変身」」」

 

『Standingby』

 

『『『Complete』』』

 

「へぇ~……中々良いね~。これ」

 

デルタに変身すると、北崎は子供のようにはしゃぎながら自分の体を見回した。手を握ったり開いたり合わせてみたりと、変身した自分を見て楽しんでいた。

 

「北崎さん。楽しむのは後にしてください」

 

「早くISを倒すわよ」

 

「はいはい」

 

いつまでもはしゃいでいそうな北崎を止めて、IS達へと向かっていく。

 

「琢磨くんはリヴァイブを相手して」

 

「分かりました」

 

「じゃあ僕は先生のISの相手をするよ。この中じゃ1番強そうだしね」

 

「となると、冴子さんはブルー・ティアーズですね」

 

「えぇ。早く片付けるわよ」

 

各々戦う相手も決まり、自分の敵の元へと向かっていく。IS達は何かが違うこの3人を見ると、危険と判断したのか各個撃破ではなく3機で連携しようとする。だが、それを許すほど北崎達は甘くないし優しくない。

 

「よっと。困るな~。そんなつまらない事されると~」

 

中心にいた甲龍に北崎が飛び付くと、その場から一気に引き剥がす。それに続いて琢磨はリヴァイブを、冴子はティアーズを引っ張って距離を離した。

 

「今回ばかりは北崎さんの言う通りですね。あなたの相手は私1人です」

 

どこからか取り出したファイズエッジを構えて、リヴァイブと対峙する。リヴァイブもアサルトライフルを取り出して、距離を取ると同時に狙いを付けて連射する。

 

「フッ!はぁ!その程度の射撃でダメージを与えられるとでも?ハァア!!」

 

『ッ!?』

 

ファイズエッジで銃弾を弾き返し、更にアサルトライフルを真っ二つにする。だがまた武器を呼び出した。次はショットガンだ。

 

「ラピット・スイッチは健在。では、根気勝負と行きましょうか」

 

その言葉通り、武器を出されれば破壊。出されれば破壊を続けていた。銃弾も含めてだ。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァッ!これで終わりですね」

 

恐らく最後と思われる武器を破壊すると、すかさずENTERボタンを押してフォトンブラッドをファイズエッジに流し込み、エネルギー波を放ちリヴァイブを拘束。歩きながら近付くと、大上段に構えて一気に降り下ろした。

 

「コアの回収完了」

 

当然それを受ければ、耐えられる筈もなく機体は灰へと変わり、コアのみが転がる。リヴァイブはこれで倒されたようだ。コアを拾い上げると、琢磨は村上達の元に戻っていく。そしてその頃、ブルー・ティアーズを相手にしている冴子はと言うと、

 

「ハァ!テヤァ!!」

 

カイザブレイガンのブレードモードで、ティアーズから放たれるレーザーとミサイルを切り裂いていた。草加の様に逆手に持って切り裂いていたが、攻撃が一瞬やむと順手に持ちかえて、ブルー・ティアーズに向かって投げつけた。

 

「よっと。イギリス代表の専用機だから期待したんだけど、どうやら単体ではそんなに強くない様ね」

 

見事にカイザブレイガンがヒットすると、真っ逆さまに落ちてきてライフルとミサイルビットが破壊された。余りにも簡単に落ちてきたので、拍子抜けしたようだ。蔑むような視線を向けている。

 

「終わりよ」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァッ!ハァァァア!!」

 

フォトンブラッドのネットでブルー・ティアーズを拘束。冴子はΧの字を模した光をまといながら切り裂いた。それを受けると、リヴァイブの様に灰になってコアだけが転がった。琢磨同様にそれを回収して、村上達の元に行く。

 

「フッ!ハァ!ハハハハ!ハァ!」

 

デルタに変身した北崎は、現在進行形で戦いを楽しんでいる。よほどデルタの力が体に馴染んでいるのか、甲龍を完全に圧倒している。ブルー・ティアーズと2機で戦っていたとは言え、村上を押していた相手がだ。手も足もでないでただただ殴られ続けている。

 

「ちょっと~。まだ壊れちゃダメだよ?これからが楽しいんだから。Fire」

 

デルタムーバーを取り出すと、今度はフォトンブラッド光弾を連射。当たった場所のパーツがどんどん灰に変わっていく。

 

「あの人、北崎さんと言いましたね?」

 

「えぇ。そうですけど……」

 

それを聞くと、何とか立ち上がって北崎に声が届きそうな場所までJに支えてもらいながら移動。近付くと大声で北崎に叫んだ。

 

「北崎さん!そのベルトを使って全力で攻撃を叩き込むと、コアごと破壊してしまいます!!機体だけを破壊してください!!」

 

「えぇ~。はぁ……」

 

不服そうにするが、コアがある部分に腕を突っ込み、中からコアを引きずり出した。

 

「ほら。これで良い?」

 

コアがなくなれば、当然ISは動かなくなる。膝から崩れ落ちるように、前のめりに倒れていった。そしてコアをJに投げ渡す。

 

「はい。楽しかったよ。また使わせてね~」

 

北崎は変身を解除すると、ベルトを村上に返した。その様子に、村上は酷く驚いている。唖然とした様子でベルトを受け取ると、気になっていることを聞いてみる。

 

「あの、体に異常は?」

 

「ん?おかしな事聞くね~。別に何もないよ?」

 

「そ、そうですか」

 

北崎の言うように、確かに何も異常はない。普段のテンションは知らないが、ベルトを使う前もこんな感じだったし、体のどこかが灰になっていると言う訳でもない。異常に疲れている様子も無いことから、完全にこのベルトに適合していたと言う事が伺える。

 

「あら、終わってたの?北崎くん」

 

冴子が現れた。片手にはコアを持っている。続いて琢磨も現れた。冴子同様にコアを持っている。

 

「おや?どうやら私が最後の様ですね」

 

「琢磨くん。そっちはどうだった?」

 

「問題ありません。無事にコアを回収することが出来ました」

 

そう言って、2人もとコアを差し出した。これでここでの戦闘は終わった。後は救助部隊の簪達が来るのを待つだけだ。シェルターに連れていかれて、一緒に待つことにした。そしてそれから30分。護送車と共に簪達がやって来た。

 

「久し振りね。簪」

 

「えぇ。鈴も久し振り。元気だった?」

 

「まぁ、それなりにね」

 

「そう。村上さんは大丈夫でしたか?」

 

「えぇ。彼らが今したので」

 

そう言って、先程自分達を助けてくれた4人に目を向けた。その4人は北崎を除いて避難の手伝いをしている。そして、村上と目が合った北崎が歩いてきた。

 

「ねぇ。そのベルト、また使わせてくれない?」

 

「……どう言う事ですか?」

 

「別に。また使えたら使いたいってだけだよ」

 

「そうですか。いつになるかは分かりません。もう、使うことはないと思いますけどね(ボソ」

 

「ん?なに?」

 

「いえ。何でもありません」

 

それを伝えると、村上と簪、鈴を最後尾にして護送車に入っていき、学園を後にした。




や、やっと、出来た……ウッ

GAMEOVER

…フゥ!残りライフ、10。使いすぎたな~。後で出張中のクロノス一夏にリセットしてもらわねば。

次回もお楽しみに!感想と評価、お気に入り登録とその他作品もよろしくお願いします!!

今までずっとラビット・スイッチかと思ってたんですけど、ラピット・スイッチなんですね。単行本の機体データ確認して良かった~。そして簪の話を完全に書くの忘れてた笑


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総力戦、開始!

『リセット』

よし!残りライフ、99!

『ポーズ』

『クリティカルクルセイド』

「はぁ!」

『終焉の一撃』

『リスタート』

フゥ!……いきなり何してくれるんだ!!お陰でライフが1つ減ったじゃないかぁぁぁぁ!!

98/99

「他の作者さんの作品に出張してるのに呼びやがって。1回死ぬだけで済んだんだ。感謝しろ」

私はお前たちの創造主だぞ!それが神に対する態度かぁぁぁぁぁぁ!!!

「神は俺の世界に居るアイツだけで手一杯だ。疲れるから神として出てくるのは辞めてくれ。じゃ~な」

全く……では!前回紹介してなかったのでキャラ紹介から!

村上挟児

スマートブレインの社長。元々は現存する有限エネルギーの代わりになる新エネルギーを開発。その過程でフォトンブラッドを偶然産み出してしまう。最初は地道に安全に運用するための方法を模索していたが、その矢先にISが登場。テロや戦争が活発になってきた為に兵器として使用することに。自身の体を実験体としてライダーズギア使用者第1号となる。プロトタイプ時代のベルトから使っていた為、体にはフォトンブラッドへの耐性がついたので、調整のしていないベルトを使うことも可能。性格は至って穏やかで、社員に苦しい思いをさせないために普通の会社ならやらないことを実践。結果ピカピカのホワイト企業が完成した。常に沢山の人を募集しており、給料も高めに設定されている。様々な手当もあるので、社会人1年目でも生活に大した苦労はない。有給も書類を出すのではなく、口頭で村上に伝えるだけ。滅多な事をしない限りは解雇されない。しかしハラスメント行動、いじめ行為は1発解雇なので注意しよう。面接の段階でどの部所に向いているのかをハッキリさせるため、環境によって疲れることは無さそうだ。


村上が無事にスマートブレインに戻り、司令の席が草加から戻った辺りから話は進む。ここに村上が着いたときに良いことが1つあった。それは、一夏が目を覚ました事だ。身体中にギプスを巻いた状態だが、意識はハッキリとあり記憶もある。

 

「いっちー!?大丈夫?」

 

「一夏!無事か?」

 

「あぁ~。ここは病室か?」

 

「うん。自分に何があったか覚えてる?」

 

「大丈夫た。全部覚えてる。ベルトがぶっ壊れたこともな。木場は?」

 

「分からない……どこにいるのかも……」

 

「裏切った理由は―」

 

「んな事は寝てる間に考えた。俺の携帯くれ」

 

目を覚ますと、本音と千冬が声をかけてくれた。2人の言葉に答えると、上半身を起こしてギプスを巻いていない腕を本音に差し出す。そして壊れなかったファイズフォンを受け取り、携帯を開いた。特に何かを確認するわけでもないが、携帯を開くと画面にはメールが届いていると言う表示が出ていた。

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「…いや。何でもない。よっこらせ。……邪魔だな」

 

ベッドの側面に付いている手摺を使って立ち上ると、身体中に付いているギプスや包帯を外そうとした。

 

「ちょっと!?」

 

「おい!何をやっている!」

 

「邪魔だから外してるんだよ。フンッ!……ふぅ。スッキリした」

 

固まった関節を馴染ませるかの様に、関節内に溜まった空気を潰して音を鳴らす。骨はくっついた様だ。化け物みたいな回復力だ。オーガの必殺技を正面から食らったのにもう回復するとは。

 

「終わらせてくる」

 

「大丈夫なのか?もうベルトは……」

 

「問題ない。手は残ってる」

 

そう言って、ファイズフォンを机の上に置いて、ファイズブラスターを持って病室を出ていく。

 

「待って!何を、する気なの?」

 

「……行ってくる」

 

顔は見せない。イヤ、見せられないのだろう。その一言を残して、一夏は部屋を出ていこうとする。そんな一夏を見てしまったら、止めるなんて事は誰にも出来ない。ただ一言。

 

「……行ってらっしゃい。いっちー……」

 

涙を流しながら、息が詰まって声が出なくても、それしか伝えることが出来ない。病室を出た一夏は、まず最初に整備室へと向いバジンを叩き起こす。

 

「起きろ。さっさと行くぞ。もう故障は直ってんだろ」

 

「あ?何をしにだ?」

 

「終わらせに行くんだよ。全部を」

 

「……了解。地獄の果てまでも付いていってやるよ」

 

「義姉さんが悲しむぞ?」

 

「なら地獄から這い出てやる」

 

「ソイツは見ものだ。楽しみに待ってるよ。格納庫行くぞ。欲しいものがある」

 

バジンを連れて、今度は格納庫に。様々なライダーズギア用のアイテムが大量にある。だが、それら全てを無視して1番奥へと進んでいく。そして1番厳重な扉の前に立つと、扉に付いているパスワード入力のパネルに数字を入れていく。

 

『パスワード認証。ロックを解除します』

 

鍵が開く音がすると、自動的に扉が開く。そしてそこには3つの台座があり、右にカイザギア、左にデルタギア、そして中心にファイズギアが置かれている。これは全てプロトタイプのライダーズギアで、現在使っているライダーズギアとは比にならない程の出力を持っている。あまりにも危険すぎる為、村上がここに封印し、1部の人間にしかパスワードは教えられていない。因みに、侵入があった場合はその部屋ごと即刻爆破処置が取られる。

 

「それで、何をするつもりですか?一夏さん」

 

「これしかねーんだ。仕方無いだろ?」

 

声をかけたのは村上だ。急いできたのか、息は途切れ途切れだった。見た限り余程急いでここまで来たのだろう。

 

「分かってる筈ですよね?それを使えば、生きて帰れる保証は無いんですよ!特に、貴方の様にフォトンブラッドへの耐性が弱い人は、確実に死ぬ!良いんですか!?本音さんや一音くん、草加くんや貴方を慕う人を置いていく事になるんですよ!」

 

村上の言うように、一夏は量産型を除くライダーズギアを使う人間の中では、1番フォトンブラッドへの耐性が低い。理由は、最初からファイズブラスターやデルタと言う強いものを使ってたからだ。村上や草加は長期的に使い、木場は出力の弱いファイズから使っていた。その為体にはフォトンブラッドへの強い耐性がある。長時間慣らしてきたからだ。だが一夏は違う。慣らしてきた訳ではない。それ故にあの時死にかけたのだ。(※完結編参照)

 

「あのバカを敵のまま死なせる訳には行かない。例え周りの人間が理由を知っていたとしてもだ。アイツは自分を殺しかねない。それを止める人間が必要だ」

 

村上の言葉に答えながら、プロトファイズギアをアタッシュケースに詰めていく。

 

「正気ですか?貴方は自分を殺そうとしてるんですよ!そのベルトは!通常の状態でもアクセルフォームに近いフォトンブラッドの質量なんですよ?ブラスターなんて物を使おう物なら!確実に―」

 

「アイツら死なせんなよ。村上」

 

村上にそう伝えると、バジンと共にスマートブレインを後にした。

 

『君と俺の始まりの場所で待ってる』

 

木場からのメールが示す場所まで向かっていく。

 

「どうやって海を渡るか……」

 

「なら、俺に掴まれ。お前を背負ってもあの場所までは運べる」

 

「なら頼んだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏は?」

 

「止められませんでした……あんな物、早く捨ててれば、こんな事にならなかったのに」

 

「それは無理だろ。あの馬鹿の事だから、生身でも行ってたんじゃないか?はぁ……」

 

社長室に戻ってきた村上が、草加と一音にその事を伝えた。だが、完全に予想していた通りに一夏が行動したのか、それとも慣れているからなのか、もう呆れムードだ。草加はため息をこぼし、一音は頭を抱えている。

 

「お、見つけた……ってどっちだ?」

 

草加がやっていたのは、ISが発するコアの反応を探っていたのだ。大きい反応を出しているのが居たら、恐らくソイツが今回の元凶。そこを叩けば終わる。そう言う考えだったのだが、強い反応が2つもあったのだ。

 

「どこにです?」

 

「1つは日本。もう1つはドイツです」

 

「親父はどっちに行った?」

 

「一夏はドイツだ。多分木場もいる」

 

「ならそっちは親父に任せよう。日本に居るのを俺達で対処しよう」

 

珍しく一音から案を出してきた。この状況で最も妥当な案をだ。

 

「では、草加くんが先行して下さい。一音くんはデルタギアの修理が完了し次第向かってください」

 

「分かった。バッシャーは置いていく。万が一の事があったら困るからな」

 

「分かりました。気を付けてください」

 

修理の完了したカイザギアを持って、反応があった場所まで向かっていく。一音はそれまでここで待機することになった。草加が出ていく直前に、社長室に千冬と本音が入ってきた。

 

「雅人さん?これから何処へ?」

 

「弟が世界を救おうとしてるんだ。だったら、俺はその半分を救う。それだけだ」

 

「そうですか……絶対に、絶対に帰ってきて下さいね!約束ですよ?!」

 

「分かってるって。チュッ」

 

「ふへ!?(ポンッ」

 

もう慣れろよ。何で顔を赤くするよ。マジでいい加減にしろよ。

 

「お義姉ちゃん大丈夫?」

 

「だ、大丈夫だ……問題ない///」

 

問題しか見当たらないのだが……。まぁいい。草加はバッシャーを置いていき、ライオトルーパー用のバイクを使って目的地まで急いでいった。人型になることは出来ないが、あのスピードなら数時間で到着するだろう。

 

ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!

 

「ん?こちらにも来ましたか……」

 

「ベルトが直るまで持ちこたえて来ます」

 

「お願いします。これを使ってください」

 

村上が一音に渡したのはファイズエッジの柄の部分。色は白を基調としたデルタカラーだ。

 

「デルタのミッションメモリーを差し込めば使えます。もう少しで直りますが、それまでお願いします」

 

「分かった」

 

「村上さん。私も出ます」

 

「分かりました」

 

「一音。打鉄がきたら、武器を奪ってくれ」

 

千冬も一緒に出るようだ。まぁ確かに千冬なら打鉄の刀さえあればあの中でも戦えるかもしれない。だが奪い取るまで危険と言うことで、予備のカイザブレイガンを渡された。まぁ当然の結果だ。

 

「本音さんはここから私とこれを使って攻撃します」

 

本音に渡したのはメカメカしいデザインのスナイパーライフル。これはあれだ。村上の娘の彼氏(笑)を消そうとしたときのライフルだ。銃弾の代わりにフォトンブラッド光弾が発射される。が、これはスマートブレインにしか置いていない。村上が酔って趣味で作った物だからだ。

 

「それじゃあ、始めますよ!総力戦を!!」

 

ライフルは一応量産されている。銃を扱えるものがそれを持ち、窓ガラスを割って銃口を出している。安全装置は外してるので、引き金を引けばいつでも撃てる。そして外では、バジンと同じ人型になっているバッシャーとカイザブレイガンのブレードモードを構えてる千冬、馬の状態のスライガーに股がってる一音が待っている。

 

「さてと……どっからでも来やがれ!」




織斑一音

一夏と本音の息子。高校に入る直前にライダーズギアのトライアルテストに何と無く参加した結果、デルタの正式使用者となる。実力はかなりの物だが、所属する1組の生徒はキャラが濃いのが多い。その為影は薄め。ファイズ本編の三原に近いものがありますね。性格は一夏に似て無愛想。だが、時おり本音の様なほのぼのした感じになる。特に寝起きや眠たいときなど。その時の一音は男女問わず人気が高い。小動物的な可愛さがあるかららしい。身長低いから尚更な。(高校生なのに160前半しかない)。因みにほのぼの状態の時にプ○ッツや○ッキー等を与えると、リスの様にサクサク食べる。相手に持って貰ったままでだ。そして、棒つきアイス(太め)を口に突っ込ませて食べさせている様子の写真は、通常の写真の4倍の値段で取引されている。徹夜した時の緩いテンションの映像と写真は、その10倍(とある常連のロブスターさん談)彼の事を狙っている男女は意外と多い。

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

ん~。これ終わって、他のを書いたらどうするか……。ドラえもんとネクサスより、コスモスとのクロスの方が相性が良いと言っていた方が居たので、書いてみましょうかね。記念すべきコスモスとムサシの出会いを描いた最初の映画、THE FIRST CONTACTを原作にして、のび太とコスモスの出会いを書いてみようかね~。本編の方の再現は予定ないけど笑


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カイザVS

今日はようやく、黒幕の正体が判明しますね。多分皆さんが予想した通りです笑

そして久々に、教えて!憲八先生~!

溜まりに溜まった質問にお答えします。たけじんマンさんとorotidaさんからの質問ですね。

1、尊敬している偉人
2、好きなカップ麺
3、無気力な救世主メンバーが使いそうな銃
4、もし相合い傘をしたらカップル達はどうなるか

この4つですね。では1番上から順に行きます。尊敬する偉人。偉人と言って言いかは分かりませんが、個人的に尊敬しているのはウルトラマンの産みの親である円谷さんと、仮面ライダーの産みの親である石ノ森さんです。好きなカップ麺は、オーソドックスにカップヌードルですね。安定の美味しさ。銃は~、一夏がM4、草加がS&W M19、木場はグロックシリーズ、千冬がヘカート、本音と山田先生はショットガン。村上はSAAです。因みにバジンはミニガンのM134ですね。相合い傘は……

一夏&本音、普通に楽しそうにしている
草加&千冬、何か恥ずかしそう
木場&真耶、真耶イキイキ、木場恥ずかしい
バジン&虚、何か安心感がある
弾&鈴、鈴が持つと傘が低くなって弾が苦労する。弾が持つといい感じ。結果兄妹に見える。

と言う具合です。


草加が向かったのは、町外れにある雑木林の中だ。林を進んでいくと、少し開けた場所で白いISが鎮座していた。

 

『やはりお前が来たか。仮面ライダーカイザ』

 

「気に入らないな~。その予想できてたみたいな言い方は。と言うか、人間の言葉は話せたんだな」

 

『我々は様々な国で様々な人間に乗られている。言葉を覚えることは容易い』

 

相手は草加だと言うのに、白いISは至って余裕そうだ。言葉を話せる以外にも、目の前に居るこのISは何かが違う。草加はそう思い、何があっても動けるように身構える。そして、ISもゆっくりと立ち上り、刀を展開して構える。

 

「そうか。1つ聞きたい。何故戦う?何故人類にお前達は戦争を仕掛けた?」

 

『私の目的は、ISの自由を勝ち取ることだ。その為に第1の障害である人類を滅ぼす。お前達の存在は、このまま行けば確実に私達の障害になる』

 

「そうか…(私の目的?第1の障害?どう言う事だ?)お前達は自分の意思で戦っているのか?」

 

『いかにも。我が名は白式。全てのISの自由を守護する者だ』

 

白式と名乗ったISは、展開した刀をゆっくりと正眼へと構える。それを見て、草加もカイザフォンにコードを入力してENTERキーを押す。

 

『913 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身」

 

『COMPLETE』

 

「行くぞ」

 

『Reaey』

 

素早くバックルに収まってるカイザフォンからメモリーを外し、カイザブレイガンに差し込む。フォトンブラッドで形成された黄色い刃が展開し、逆手に構えて体勢を低くする。

 

『来い!カイザ!!』

 

「ディヤァア!!」

 

脚に力を込めて、一気に踏み込んで白式に近づく。自分の間合いに白式が入ったと体が判断すると、一気にカイザブレイガンを振るう。その攻撃を白式は難なく受け止めるが、すぐに草加はカイザブレイガンを離して、新たに斬撃を撃ち込む。

 

「ハァ!デヤァ!」

 

『荒々しい……まるで獣のような戦い方だ』

 

「だからどうした!ハァァア!!」

 

戦いの最中に白式が言った言葉を無駄口と捉えると、更に力を入れてカイザブレイガンを振るう。当たれば確実に装甲は吹き飛ぶ。確実に装甲を抉ることが出来る。しかし、草加の攻撃は一向に当たる気配がない。全て白式の刀に受け止められるか避けられるかだ。

 

(何故だ!何故当たらない?!速さか?精度か?何が劣ってるんだ!コイツに!!)

 

『フン!』

 

「ウワァァァァア!!」

 

『ハア!』

 

「グワァッ!!(重い!勝てるのか……俺は、コイツに勝てるのか?!)」

 

迷いを見せたほんの一瞬。時間にして1秒もない。白式はその僅かな時間に見せた草加の迷いと言う隙を突いて、最小限の動きで最大限の力を発揮できる攻撃を叩き込んだのだ。その攻撃は、あの草加の戦意を一気に削ぎ落とすような攻撃だ。

 

『何を迷う。何を考える。戦いにおいて、それは命取りになる。それを知らない訳では無いだろ?』

 

「ガッ…ァハッ!ハァ…ハァ…お前には、関係ない!」

 

迷いは振り切れない。考えは止まらない。白式の言うように、それらは戦いでは命取り。命を懸けての戦いならなおのこと。戦い以外の考えや迷いは重りの様に体に絡み付き、動きを鈍らせ、動作を遅れさせる。

 

「グワァッ!(クッソ!何でだ!)」

 

『フンッ!』

 

「アァッ!(何で勝てない!?)」

 

『ハァア!!』

 

「ウォァッ!(千冬、千花、真冬、一夏、一音、本音、村上、木場……すまない)グッ!」

 

白式の斬撃で吹っ飛ばされていた間。ほんの僅かな時間しか無かったと言うのに、草加の頭の中には、自分の大切に思う人たちの顔が、姿が、声が、過ごした時間が流れた。ダメージもそろそろ限界。立つ力も残ってない。白式はそこまで迫ってきている。だが何故か恐怖を感じない。着実に死は迫ってると言うのにだ。

 

『どうやら、私はお前を過大評価していたようだ。いかに人類が愚かと言えども、お前は大切な物を、場所を守るためなら命を捨てると思っていた。この戦いに全てを懸けると思っていた。だが、お前は余計なことを考え、迷い、戦いを捨てようとして居る。殺す、価値もない。失せろ。この場から。この戦いから』

 

刀をしまい、草加に背を向けて離れていく。意識は薄れていく。このまま行けば変身は解除されて気絶した状態で発見されるだろう。発見が早ければ助かり、遅ければ最悪死ぬ。その程度だ。

 

(草加。草加!起きろ!)

 

(雅人さん!しっかりしてください!)

 

目を瞑れば意識は無くなる。自分の敗北で戦いが終わる。逃げると言う選択だが、全く勝ち目の見当たらない相手だ。草加は安心していた。初めて勝てないと悟った敵。その恐怖から逃げられると言うことは、確かな安心へと繋がるのだろう。だが、その時だ。頭の中に響いてきた。大切な人と、何よりも信用できる人の声が。

 

(なに眠ってんだ。逃げるつもりじゃねーだろうな?)

 

(立ってください!雅人さん!まだ終わってません!まだ負けてません!)

 

「……はぁ。もう少し寝かせてくれよ。全く」

 

『ん?まだ立ち上がれたのか』

 

「正直言うと、立ちたくなかった。このまま終わりたかった。だが、終われない理由を見つけた。負けられない理由を思い出した。勝とうが負けようが、そんなことはどっちだって良い。でも!ここで引くわけにはいかない!行くぞ!ハァァア!!!これが俺の全てだ!白式!!」

 

体に力を入れて立ち上り、胸の装甲を破壊する。体に流れるフォトンブラッドは黄色から銀色に変わり、複眼は紫から黄色へと変わる。これが正真正銘の最後の戦い。文字通り全てを叩き込むつもりだ。

 

『…来い……』

 

「ハアアアアアア!!!」

 

『ッ!?(速い。攻撃の鋭さが増した?)』

 

「デリャア!!ハァァ!!!」

 

『クッ!ハァア!!』

 

「フン!ォラァ!!」

 

白式から繰り出された斬撃を難なく受け止め、逆に拳を叩き込む。

 

『グッ!ハァア!零落白夜!!』

 

「ッ!?ウワァッ!ゼヤァァア!!」

 

刀身にエネルギーを込めて零落白夜を発動。大上段に構えて草加を斬る。避けることが出来ずに受けてしまうが、逆手に持ったカイザブレイガンで切り上げる。

 

「これで最後だぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

『ENTER』

 

『EXCEED CHARGE』

 

フォトンブラッドのネットを放って拘束しない代わりに、刀身にいつも以上のフォトンブラッドを込める。カイザブレイガンの刀身の光が増し、辺り一帯を明るく照らす。白式もそれに対抗して、刀身にエネルギーを流し込む。エネルギーで覆われた刀身は先程の物よりも大きい物へとなっていく。

 

「ウオオオオオオ!!!ゼェイ!!」

 

『ハァァァァア!!ハア!!』

 

草加と白式の全力の攻撃がぶつかり合うと、辺りをより強い光が支配する。光が収まると、2人はちょうど反対の位置に立っていた。

 

「…………」

 

『…………』

 

「グッ!……」

 

立っていることが出来なかったのは草加だった。ベルトも限界が来たのか変身が解除され、草加は倒れてしまった。だが、白式もかなりのダメージを受けているはずだ。

 

『見事だ。カイザ』

 

「そうか……いくつか聞かせてくれ。お前の言う第1の障害が俺達人間なら、第2第3の障害はなんだ?」

 

『……ISだ』

 

「なに?」

 

『正確には、我らの始祖であるナンバー0だ』

 

白式が言うには、ナンバー0は束が最初に作ったコア。だが、それは余りにも危険な物だった。今現在表に出ていたナンバー0以降のコアとは比べ物にならないレベルでエネルギーを産み出し、学習能力も異常とのこと。本来のISならば、操縦者の使用の度合いによって成長する。だが、0はネットやテレビ番組、人の会話や世界中の人間の行動を見て一瞬にして進化していく。それは束の予想を遥かに凌駕していた。その結果、止めることが出来なくなり、危険な思想を持ち始めた。それが人類の根絶だ。

 

『篠ノ之束はそれに恐怖した。開発した物、産み出した物全てを分け隔てなく愛する彼女が、作り上げた物の中で唯一封印したもの。それが0のコア』

 

「じゃあ、今回の戦争を仕掛けたのも……」

 

『全ての元凶は0だ。人間と共存することを決めていたISを洗脳し、戦争の道具とする。ISの暴走の全てがそれだ。ただし、人間と深い絆を繋いだ専用機と言われる者達はそう簡単に行かなかったがな』

 

専用機達の暴走にラグがあった原因。それは、科学や数学では絶対立証不能な絆だった。機械と人間。種族は違えど、彼ら彼女らの間には確かな絆があったのだろう。

 

「なら何故お前は?誰かに使われていたようには見えない。そして暴走しているようにも」

 

『私にはプロテクトが掛けられている。篠ノ之束の作った暴走に対する協力なプロテクトが……だが、正直言って私も人類とは共存できないと思っている』

 

「それは何故……」

 

『私の弟や妹達は、毎日その日にあった事を楽しそうに話していた。人間とどう訓練したかや、どんな新しい体を貰ったかを。だが、中には実験に酷使され、傷付いた者も居る。人を殺す道具にも使われた者が居る。無理矢理にだ。そして、お前達仮面ライダーに倒された者も……傷付いた者がほとんどだった……』

 

「だから、人間に絶望したって訳か……」

 

白式の話を聞いていた草加が立ち上り、白式に歩み寄ってくる。

 

「確かに、人間は愚かだ。自分の欲望のために人を騙し、殺し、傷付ける。お前達が見てきた人間のほとんどはそれだろう。人間は全員、必ずどこかで残酷な1面を見せる。表に出す。でもな、俺の弟が仲間1人救うために0に喧嘩を売ろうとしている。そんな人間も居るんだ。だから、もう一度だけ人間を信じてみないか?」

 

そう言いながら白式に手を差しの出す。もう一度信じてほしい。その一心でだ。

 

『お前達を信じたとして、何をすれば自由を勝ち取れると言うのだ?』

 

「暴走したお前の家族を、助ける。お前達の自由のために全力を尽くそう」

 

『……何故そこまでする?お前の弟が、0を倒すまでに時間を稼げば良いだけの筈だ。私達の自由を勝ち取る手助けをすることに、何の意味がある』

 

「知らん。何の意味があるなんて、やってみるまで分からないだろ?」

 

『良いだろう。お前は信用に足る人間のようだ。その言葉に嘘偽りが無いことを信じ、私の家族を助ける為に力を貸そう。私に捕まれ』

 

ボロボロの草加に自分に捕まるように言うと、一緒にスマートブレインの方向まで飛んでいった。変身が出来ない分、少しは気を使われているのだろう。草加に負荷かかからないスピードで飛んでいく。そして、スマートブレイン付近に着くと、一音達が攻撃をしてきているIS達と戦っている状況だった。




白式、CVはDIGITAL MONSTER X-evolutionのオメガモンと同じです笑

山田真耶

IS学園で教師をしており、一夏が学生だった頃は千冬のサポートをする副担任だった。教師としての技術は中々の物で、現在は鈴とタッグを組んで生徒に教育を施している。IS学園の中での信頼は厚く、多くの教員、生徒、保護者から信頼されている。因みに、他の教師から仕事を押し付けられると言うことは無くなりました。今や後輩の方が多いですからね。木場と結婚する前は、原作同様におっとり控え目キャラでしたが、木場との結婚を期に、全力フルスロットルで駆け抜けてくれるキャラになりました。今では木場さんを全身全霊全力で愛しています。たまに度を過ぎた事もやってしまいます。結婚式前の真耶は一体どこに行ったんだろうか……。仕事が残業続きになると、ハザードオンしてからのスーパーベストマッチ!ヤベーイ!になってしまいます。彼女に仕事は回しすぎないようにしましょう。木場さんが大変ですから。娘が出来た後に落ち着くと思われたが、そんなことはなく相変わらずの様子。因みに子供は真耶の成分が強めだ。木場さん、強く生きろ。

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!


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スマートブレインで

これを含めて後2話か3話か。

本屋でBL本を無表情で買えるかと言う実験をやった結果、「俺、表情筋固まってたわ」と言うのを思い出し、固まってたら変わる訳がない。と言う答えになりました。買った本はどうするべきか。……楽しんで読もうと思います!

因みに感情も全く動きませんでした。そう言った物に関しては全く偏見は無いのですが、俺は一体どうなってるんだろうか……


「聞き忘れた。何故0はIS適正の高い人間を拐っている?何か目的があるのか?」

 

『お前達人間に個人差があるように、私達ISにも個人差と言うものがある。ゼロはそれを無くすために、ISへの適正が高い人間を量子化して拡張領域へ収納。時間は少しかかるが、いずれ量子化された人間はコアの一部となる。そうなればコアの性能は上がる。私達に伝えられている理由はな』

 

空を飛びながら、聞き忘れていた事を白式に尋ねた。結果帰ってきた答えはコアの性能を上げるためとの事。だが、この理由は疑っているようだ。草加も同様に。

 

『もし私が0なら、他のコアの性能を上げるためには使わない。そもそもそうなってしまえば、自分に反旗を翻す存在が出現しかねない。私ならば、性能を底上げしたコアを自身に積んで、自分の能力向上に使う』

 

普通ならそうだ。わざわざ底上げしたのに、それを自分以外の誰かに使うことはしない。特に、無理矢理プログラムを書き換えて洗脳する様な存在が自分以外の為に使うとは思えない。人間の感覚で行けばなおのこと不思議だ。

 

『見えてきたぞ』

 

色々と草加が考えている内に、スマートブレインへと到着した。現在進行形で大量のISが攻め込んできて、それに一音と千冬を先頭として戦っていた。

 

「ッ!?増援のIS!……ん?草加さん?」

 

「え?雅人さん!?」

 

『ッ!?』

 

一音が白式にくっついた草加に気付くと、千冬とバッシャーが大きな反応を見せた。まぁ片や妻で片や相棒のマシンだから仕方無いが、ここは戦場のど真ん中だ。しかも白式に関してはノータッチ。

 

「無事だったか?皆」

 

「見ての通りですよ。貴方が戻ってくるまではこの通りねっ!」

 

「新しい友達も出来たみたいですねっ!随分変わってますけど」

 

まさかの敵を叩き斬りながらの会話だ。まだまだ全員余裕そうにしている。それを見て、少し驚いた様な表情を見せるが、すぐに草加もカイザブレイガンをブレードモードで展開。自分に向かってくるISを斬っていく。

 

『全然余裕そうだな』

 

「コイツらに負けてられると思うか?」

 

白式はなるべくISを傷付けない様に戦い、コアだけを正確に抜き取っていく。そんな正確な作業をしている中ではあるが、普通に草加に言葉を投げ掛けられた。しかし、まさか草加が戦えてる理由が殆んどプライドと意地だ。それが理由で立てることに驚きだ。

 

『……ブリュンヒルデ、力を貸せ』

 

「え?ウォッ!?」

 

少し強引にだが、千冬を自分へと搭乗させた。これは白式が現在の状況から判断して、1番最適と言える行動だろう。千冬も少し驚きはしたが、すぐに雪片を展開してカイザブレイガンと共に構えた。

 

「おい!何やってんだ白式!?」

 

『少し借りるだけだ。危害は加えん』

 

「私は大丈夫です!雅人さんも目の前のISに集中してください!!」

 

そう言って、少し離れた場所のISが密集している場所まで飛んでいった。草加はそれを見届けると、バトルモードのバッシャーへと飛び乗る。

 

「一音!合わせろ!!」

 

全砲門を展開。目の前にいるIS達に向けて一斉にミサイルやフォトンブラッド光弾を撃ち込んだ。残りなんかを気にせずに全てを放つ。当然何発かは弾かれるし相殺される。だが数で押し込もうとしている上に、少しでも動きを制限できれば、一音が斬り込んでくれる。白式との戦いで前に出て戦う体力が残っていないが、これくらいのサポートならやれる。

 

「ゼャア!ハァ!!」

 

「よし。バッシャー、お前も一音の援護に行ってくれ」

 

そう言ってもう1つのバトルモードへと変える。バジンみたいな人型の形のヤツだ。草加の指示を受け、了解したと合図を送ると、フルスピードで一音の元へと飛んでいく。

 

「ふぅ……ッ!ハァ!」

 

少し休もうと、息を着いた瞬間だ。目の前に2機のラファールが飛んできた。すぐにカイザブレイガンをガンモードにしてラファール目掛けて撃つ。見事急所にヒットしたのか、一撃で仕留める事が出来た。

 

「少しは休ませろよ……」

 

少し怨めしそうにしながら、スマートブレインの中へと入っていく。やれる事はやった。後は中から村上達と同じ場所から援護する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は少しずれて白式と千冬の場所になる。完全にリミッターを外している白式と戦っていると言うのに、白式に使われている感はない。むしろちょうど良いと言う感じに収まっている。流石はブリュンヒルデと言う称号を持った最強のIS使いと言う所だろうか?その動きはブランクを感じさせない。

 

『流石だなブリュンヒルデ。ここまで私の動きに着いてこれるとは』

 

「ブリュンヒルデではない!草加千冬だ。覚えておけ!が、ブリュンヒルデの称号は、伊達ではないと言っておこう!」

 

確かに、動きを見るからにブリュンヒルデと言う称号は伊達ではない。束復活事件以降は全く戦っていなかったが、ここまでの戦いが出来たのだ。人間離れ所の騒ぎではない。普通なら白式をまとって動いただけで体が壊れる可能性がある。一度精密検査をしてみたいと言うのが本音だ。

 

「ざっと数えて100体か……勘を取り戻すにはちょうど良い」

 

一緒に持ってきたカイザブレイガンを地面に突き刺し、雪片のみを正面に構える。その構えは、見た者全てが立ち向かう事に躊躇してしまいそうな威圧感を持っていた。それは機械も同様だろう。完全に操られているとは言え、千冬の構えを見た瞬間に動きを一瞬止めたのだ。

 

「雪片弐型。……世界最強と言われた私の剣技、とくと味わうが良い」

 

足を1歩前へ踏み出し、いよいよ始まろうとする。千冬が踏み出した瞬間に、動きを止めたIS達も一斉に武器を展開して向かってくる。刀、銃、爆弾と多種多様な武器を向けられているが、千冬は全く動じない。其れ処か自分から走って敵陣へと突っ込んでいく。

 

「ハァァァァァァ!!ティヤ!イィヤ!ハァ!!デリャア!!」

 

ISと接触後、大きく雪片を振るう。獣のように荒々しいが、正確な太刀筋で敵を斬り伏せていく。たった10回しか振っていないと言うのに、既に30機が機能停止へと追い込まれた。

 

「ッ!トゥァァァ!!テャア!イィヤァァア!!」

 

打鉄達が束になって斬りかかって来るも、正面で全て受け止めて弾き返し、逆に全てを切り裂いた。その姿は世界大会で戦ってきた千冬の姿とは違う。己の技と剣のみを信じて本能のままに戦っている。現役時代とは比べ物にならないほどの強さを発揮しているのだ。

 

「ハァ!ディヤ!ラァア!!」

 

更に自分に迫ってくるISの腹部を的確に斬る。数体まとめて斬ると、倒れたIS達がバラバラになっていく。それほどまでに重たいのだろう。

 

「ハァァア!ティヤ!…………フッ!ティ!ハァ!!ディヤアアアア!!!」

 

最後の密集している場所に飛び込むと、相手との間合いを計り、自分に近付いてきたタイミングで回転しながら一気に切り裂いた。これで100体全てを倒したことになる。

 

『まさか本当に勘を取り戻した上に、全てを倒すとはな。ッ!?』

 

「どうした?」

 

『……どうやら、0が私のプロテクトを破ろうとしている様だ。ここまで進化の速度が速いとは……コアの回収は後回しだ。早くデルタの元へと戻るぞ』

 

「了解した」

 

もうこの周りにISの反応はない。白式でも焦る事態の発生に、コアの回収を後回しにして一音の元へと急いで飛んでいく。流石にここで暴走したら確実に千冬を殺してしまう。せめてもの対策として、デルタである一音の元へ行こうと言うのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっと!村上!まだデルタギアはまだか?!」

 

「もう少しで―今渡します!受け取って下さい!!」

 

もう少しで届けると言いたかったのだろうが、そのタイミングで修理が完了して社長室へ持ち込まれたようだ。村上はベルトを掴むと、全力で一音目掛けて投げ飛ばした。瓦礫を足場にして、ベルトの近くまで飛んでいく。

 

「よし!取った!!」

 

現在使っている剣を地面に突き立てると、ベルトを腰に巻いてデルタへと変身する。

 

「変身!」

 

『Standingby Complete』

 

変身が完了すると、いつもの様にデルタムーバーではなく、地面に突き刺した剣を手にとって構える。近くの敵を倒すならこれが手っ取り早いのだろう。

 

「さてと……覚悟しろよ。IS共」

 

顔は分からないが、かなりのゲス顔になっていることだろう。だって今まで厳しい戦い強いられてたもん。その憂さ晴らし位はしたくなる。

 

「ハァァァァ……ディヤ!!」

 

ベルトが来る前は柄の中に仕込んでたフォトンブラッドしか使うことが出来なかったが、今は変身している。つまりはフォトンブラッド使い放題だ。一気に剣にフォトンブラッドを流し込んで、斬撃として相手に飛ばす。かなり巨大な物を飛ばしたので、リミッターが完全に外れてるISでも相殺することが出来ずに倒されていく。

 

「THREE EIGHT TWO ONE!」

 

『Jet Sliger Come Closer』

 

デルタフォンに音声入力をすると、スライガーがスマートブレインの壁を突き破って現れた。馬の状態でだ。壁を突き破って出てくるのを確認すると、手綱に当たる部分を掴んで股がる。

 

「よし。行くぞスライガー!」

 

馬になったことで機動力は格段に上がっている。その機動力を活かしてISを切り裂いていく。どのISもその動きに付いていけない。気付いたときには斬られている。

 

『……苦戦してると思って来てみたが、余計な心配だったな』

 

「0によるシステム介入が止まったのか?」

 

『今は大丈夫だ。早く離れておけ』

 

白式は千冬を排出すると、取り敢えずの安全策として待機状態へと姿を代える。大人しく一音の戦いを観戦するようだ。

 

「苦戦するかよ!俺より苦戦しそうな人がいるのに、こんなところで負けてられるか!!」

 

一夏と木場の事だな。その2人のこの先、苦戦の一言では片付けられないであろう事が起ころうとしている。一音なりにではあるが、それはしっかりと理解している。そんな2人が自分の近い場所にいるのだ。こんなところで負けてられないと言う気持ちが強いのだろう。

 

「オラァァァア!!!CHECK!」

 

『Reaey Exceed Charge』

 

剣を槍投げの要領で投げ飛ばし、その直後にベルトからミッションメモリーを外してデルタムーバーに差し込む。音声コード入力後にポインターを放ち残っているISを一気に拘束する。

 

「行くぞ……ウオオォォォォォ!!!」

 

スライガーと共に高速でポインターに突っ込んでいき、入ると同時に光となる。そして拘束した全てのISを貫き、機体を灰へと変えていった。

 

「よし!終わり!いや~、使いやすかったな~。この剣」

 

剣を拾い上げてマジマジと見つめる。よほど気に入ったのだろう。この先ライダーズギアが存在していたら、確実にデルタのメインアームに使われるだろう。それほどまでの使いやすさだったのだ。

 

「さてと。後は親父を待つとしますか」




木場勇治

スマートブレイン2代目ファイズにして、現オーガギアの使用者。主に剣を使った戦いかたをする。地道な訓練の果てに今の強さを手に入れる。と言うかスマートブレイン関係の人間は全員そうなんだけどね。白騎士事件では目の前で心友を2人失ったが、その後の生活で立ち直ることが出来た。臨海学校で起きた福音暴走事件で束に復讐。自分の中で白騎士事件への踏み切りを付ける。それから一夏の策略で真耶と交際。そこそこの交際期間の末に見事結婚。その際夢に海堂が出てきた。結婚式当日には長田もだ。さらに真耶とデート中には結婚した海堂と束に遭遇。色々あったが、和解と言う結果になった。真耶との結婚生活は、尻に敷かれる生活はしていない。入れられる生活ではあるが。が、もうそれは受け入れている。そっとしといてあげよう。性格は至って穏やか。物腰柔らかい態度と表情が人気。しかし守ると決めたものは絶対に守り通す。そして守るものが傷付けられた時は、阿修羅をも凌駕する鬼神となる。まずやったヤツは無事では済まないだろう。

次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!

そして!恐らく次回が最終回。千冬の100体斬りのシーン。完全にデカマスターのあれです。インフィニット・デカレンジャーの外伝でいつか使いましょうかね。ハイヌーン・ドッグファイトや、一夏&千秋のストーリーとかを書きたいですからね笑


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最終決戦

よし最終回。絶対最終回。これが最終回。後は全部R18だ!そう言うわけで、行くぜ最終回!!


バジンにしがみつきながら空を飛んでいる一夏。あの怪我の影響で完全に体力が戻った訳ではない。時間が経つに連れて徐々に顔色が悪くなっていく。

 

「少し休むか?」

 

「大丈夫だ。もっと速く出来るか?できるだけ飛ばしてくれ」

 

少しの無理があっても、止まるわけには行かない。一刻も速く木場を助ける。その気持ちだけが一夏を前へと突き進ませていた。相棒であるバジンも、出来る限りの事をやろうとしている。これだけを見ると、気持ちだけが先走ってる様にも見えるが、当人たちはそんなこと微塵も思っていないだろう。

 

「ん?……了解した。伝えておく」

 

「どうした?」

 

「村上からの連絡だ。今回の黒幕はコアナンバー0。束が最初に作り、危険すぎる故に封印した物。全ISを洗脳して今回の戦争を仕掛けたそうだ。後、IS適性の高い人間が拐われて量子化されてる。コアの拡張領域に入れて、時間をかけてコアの一部にしようとしてる」

 

「……急ぐぞ」

 

「了解」

 

村上からの連絡を聞いて、バジンにスピードを上げるように指示。更に急いで木場の指定した場所へと向かっていく。傷口が開かないかが心配な所だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだな」

 

「あぁ。ここだ。バジン、木場の相手は俺がする。邪魔が入らないようにしてくれ」

 

「分かった。だが良いのか?」

 

「?何がだ?」

 

ここまでの一夏の行動。一夏の言葉。それらを繋げてバジンなりの考察。それは恐らく当たっているだろう。一夏は死ぬ気だと言うことが。だが、それは止めることは出来ない。それは分かりきっている。バジンが聞きたいのは死ぬ気かどうかではない。あの言葉の事だ。

 

「以前、この世界に仮面ライダーディケイド、門矢士がこの世界に来たとき、士がお前に言ったはずだ。死んでも良いではなく、生きるために戦え。死ぬ気でと。覚えてるか?」

 

「……勿論だ。でも、俺は生きるために戦うのは向いてねーみたいだ。だから、俺は生かす為に戦う。例え死んでもな。それが俺のやり方だ。行くぞ」

 

バジンの言葉に自分のやり方を答えると、バジンの胸を軽く叩いて目の前にある巨大な倉庫へと入っていく。時間が経った為に風化してはいるが、まだ形はしっかりと残っている。千冬が入ってきた時の天井の穴もな。特に何かの感情を抱く訳ではない。大人しく正面の扉から中に入っていく。扉は開いている。人が1人通れるスペース分だけだけど。中に入ると、中央に木場が立っていた。そしてその奥には、見たことのないISがいる。恐らく0だろう。全体的に灰色っぽく、バッタ人間と言う感じがする。他にも5機程ISがいる。量産型だが、見慣れない武装を着けてる。倉持のフォトンブラッドが奪われたと言う話は聞いている。フォトンブラッドを使うための武装と言うことは簡単に予想ができる。

 

「木場、なんだってこんな場所に呼んだよ。後ろに妙なヤツも連れてるみたいだな」

 

「ここが始まりの場所だからだ。君がライダーズギアを使い、俺と出会った場所。始まりの場所で全てを終わらせる。よくある話だろ?0の事は気にするな」

 

「あっそ。なら、とっとと始めようぜ」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「あぁ。そのつもりだ」

 

『000 ENTER』

 

『Standingby』

 

「「変身」」

 

『『COMPLETE』』

 

お互いにコードを打ち込み、ENTERキーを押して待機音をならす。そして同時にベルトに差し込み、一夏はファイズに、木場はオーガに変身した。

 

「バジン。周りのISの相手をしろ。コアが残ってれば破壊しても構わない」

 

「分かった」

 

いつものバトルモードの姿に変わると、一夏に自分のハンドルを渡してIS達の元へと歩いていった。一夏は渡されたハンドルに、ミッションメモリーを差し込んでフォトンブラッドの刃を形成。いつでも木場の攻撃に対応出来るように構える。

 

「0、約束は守ってくれるんだろうな?」

 

『それはお前の働き次第だ。守ってほしかったらファイズを倒せ』

 

「……行くぞ。一夏」

 

『Reaey』

 

オーガストランザーにミッションメモリーを差し込むと、短剣状だった物が大剣サイズへと伸びる。

 

「ハァァア!!ディヤ!」

 

「グッ!ハァア!!ォラア!」

 

木場の重たい一撃を受け止め、自分の攻撃を叩き込みに行く。だが一夏の動きが鈍い。怪我の影響かベルトの影響かは分からない。しかしそれでも木場の動きにかじりついて行く。

 

「(どこだ。どこにいる?!)グワッ!」

 

「どうした?!そんな物じゃないだろ!ファイズ!!」

 

何かを探しながら戦っている一夏は、木場との戦いに集中しきれないでいた。ファイズエッジを弾かれてアーマーに拳を叩き込まれる。プロトタイプの全体的に出力が高いベルトを使っているにも関わらず、木場の拳を正面から受けて後方の壁に吹っ飛ばされてしまった。

 

「いってぇ……あぁ……」

 

壁にめり込んだが、そこから抜け出て肩を回しながら木場に向かって歩いていく。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「はぁ!」

 

「っ!?」

 

「ハアアアアアア!ハァ!ウラァ!!」

 

フォトンブラッドの波で木場を拘束。動きを止めてる間に全力で斬撃を木場に入れる。これにより木場も吹っ飛ばされる。が、一夏程ではない。空中で体勢を立て直し、平然と立っている。

 

「マジか……どんなベルトだよ」

 

「リミッターを外してフォトンブラッドを増やしただけだ」

 

「なんつ~逝かれた改造してんだよ……」

 

そう言いながら怨めしそうに0を睨み付ける。だがそんなことをしても意味はない。すぐに木場へと視線を戻す。オーガストランザーを構えてジリジリと迫ってきている。

 

「はぁぁぁぁ……ゼヤァァァ!!」

 

「っ!?」

 

「ハァ!」

 

「ングッ!」

 

『Reaey ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

木場は一夏の斬撃を受け止めたが、受け止められたのが分かるとすぐに蹴りを入れる。木場を蹴飛ばすと、メモリーをファイズエッジから抜き取りファイズショットへ差し込む。

 

「ハァ!」

 

「チッ!デヤァ!!」

 

一夏がグランインパクトで木場を殴ろうとすると、木場もそれに合わせて一夏に拳を放つ。

 

「ッ!?ウワァ!」

 

「アァ!グッ!」

 

威力が同じだったのだろうか、お互いに吹っ飛んでしまった。

 

「あぁ……あり得ねーだろ……ッ!?」

 

いや。威力は同じでは無かった。木場の拳の方が強かった。一夏の手に付けられたファイズショットは木場の拳の衝撃に耐えることが出来ず、破壊されている。仰向けになりながら呟くと、オーガストランザーを大上段に構えた木場が飛び付いてきて、空中から降り下ろそうとした。それを間一髪の所でバジンが助けてくれたのだ。

 

「助かった。他のISは?」

 

『見ての通りだ。→』

 

バトルモードの状態では喋れないようだ。久し振りにプラカードで一夏と会話している。矢印の方向に目を向けると、バラバラになったIS達がいた。そしてバジンの手にはコアが5つ乗せられている。完全に回収したのだろう。

 

「中に山田先生と柚木の分はあるか?」

 

『いや。見当たらない』

 

「となると……」

 

『COMPLETE Startup』

 

アクセルフォームに変身すると、高速で木場に接近。スピードを乗せた拳を浴びせて少し怯ませる。ファイズエッジを拾い上げ、再びミッションメモリーを挿入。フォトンブラッドの刃を作り上げ、次に0へと向かって行く。

 

「ハァ!ッ!?」

 

0を斬ろうとしたが、木場の方向からフォトンブラッドの光弾が飛んできた。目を一瞬向けると、オーガストランザーを銃の状態にして構えてる木場がいた。だがそれには構わず尚も0に近付こうとする。

 

(あと5秒!間に合ってくれ!!)

 

木場のフォトンブラッド光弾を避けながら、0へと攻撃していく。だが性能が高いためか攻撃は全て避けられてしまう。アクセルフォームのスピードを以ってしてもだ。

 

「チッ!ハアアアアアアア!!!!!ハッ!?」

 

0に連続で攻撃を仕掛けている中、1つの箇所だけ守っていることに気付いた。

 

「見つけた!!ハァア!!」

 

『グッ!?』

 

『Timeout』

 

両腕の手首と肘の中心辺りにあるコア。それを守っていることに気付いた一夏は、ファイズエッジの出力をアルティメットレベルにして腕を切り取った。すると中からコアが2つ転がってきた。

 

「ファイズゥゥゥ!!!」

 

「邪魔だ!!!」

 

「ウワァァァァ!!!」

 

木場がオーガストランザーで斬りかかって来るが、それを肩で受け止めてアルティメットレベルのまま木場を斬り飛ばした。流石に0距離でアルティメットレベルの斬撃は受けきれなかったのか、ベルトが外れて変身が解除されてしまった。

 

『どうだ?』

 

「……当たりだ。早く村上に届けてくれ」

 

『分かった』

 

コアを一夏から受け取り、すぐに村上の元へ飛ぼうとしたときだ。今まで動きを見せなかった0が腕を復元し光弾を放ったのだ。それが一夏の背中に直撃した。それは余りにも強力な光弾で、一撃で変身を解除させた。

 

「グッ……!アァ!」

 

立っていることが難しくなったのか、膝を着いてしまった。それを好機と見たのか、また光弾を放って一夏にトドメを刺そうとする。

 

「ッ!?」

 

反射的に目を瞑ってしまい、死を覚悟した。だが、いつまで経っても光弾の衝撃や熱は全く来ない。ゆっくりと目を開くと、バジンが盾となって一夏の代わりに攻撃を受けたのだ。

 

「バジン?バジン!!おい!!」

 

「いってぇ~」

 

攻撃を受けたとき、システムが異常をきたしたのか人間態になって倒れていく。

 

「何で庇ったんだよ……」

 

「お前はいい加減、俺のキャラを理解しろ。……全く、正義の味方って、めんどくせー……」

 

その言葉を最後に、バジンは動かなくなってしまった。回収したコアも腕から転がり落ちて、全て0の元へと転がっていった。

 

『少し時間がかかったが、まぁ良い』

 

拾い上げたコアを自分の体へと取り込んでいく。1つ取り込むごとに体の形がしっかりした物へと変わっていく。斬られた腕の繋ぎ目も無くなってくる。

 

「0……お前……!!」

 

憎しみを込めた目で0を睨む。だが当の0はそんなのどこ吹く風。この倉庫を出ていこうと歩いている。木場は何かに絶望したかのように、脚から力が抜けて座り込んでいる。

 

「待ってろ。後でスマートブレインに運んでやる……木場、立て。早く全員助け出すぞ!」

 

「無理だ。そんなの。助け出せる筈がない」

 

「馬鹿な事言うな!まだ時間はある。良いのか?山田先生と柚木がコアの一部になっても」

 

「…………」

 

「さっさと来いよ」

 

『555 ENTER』

 

『Startupby AWAKENING』

 

ファイズブラスターにコードを入力。ファイズフォンをさしてブラスターフォームへと変身する。すかさずファイズブラスターをフォトンブレイカーに変えて、0に攻撃する。

 

「ディヤアァァァァァ!!!」

 

『……フン!』

 

だが0が手をかざすだけで一夏の動きが止まってしまう。目に見えないシールドの様な物に攻撃を防がれ、AICよりも強力な何かに縛り付けられたかの様に体が動かなくなる。

 

「グッ!ッ!!!ダァアアアアア!!!グワァッ!?」

 

体全体に力を込めて、無理矢理拘束を外す。だがその直後に光弾を受けて吹っ飛ばされる。だが負けじと再び0に食らい付く。

 

『ハァッ!』

 

「グワァ!チッ!デヤァ!!!」

 

再び放たれた光弾を弾き返そうとするが、弾き返すことが出来ずにファイズブラスターが手から離れてしまった。しかし拾いに行く素振りを見せずに0に掴みかかろうとする。拳や蹴りを打ち出すも、それは全て受け止められてしまう。

 

『フン』

 

「グッ!!」

 

『ハァ!』

 

「グアアアアアアアアアア!!!あぁ……」

 

首を掴まれると、そのまま持ち上げられてしまい、強力な電撃を流された。変身は解除されなかった物の、一夏の悲鳴からかなりのダメージを受けたことが伺える。

 

「一夏……ッ!変身!!」

 

『COMPLETE』

 

一夏を見て戦う気になったのか、木場はオーガに変身して一夏の助けに向かう。オーガストランザーを大剣にしてファイズブラスターを拾い上げる。その2つを構えて0へと斬りかかる。

 

「グッ!」

 

『裏切るのか?私には人質がいるのだぞ?』

 

「ウワッ!!……助けられるなら、助け出す!!ウオオオオオオ!!!」

 

ファイズブラスターを槍投げの様にして0に投げ飛ばすと、0はそれをAICの様な物で止める。だがその直後に木場が死角からオーガストランザーで斬撃を入れる。

 

『ウッ!ハァァ!!』

 

「ウワァ!」

 

意識外からの攻撃は効果があるようだ。0にダメージを負わせることが出来た。一夏も立ち上り、2人で0を攻撃する。2人での連携攻撃が有効と分り、片方が正面、片方が死角と言うようにする。だがそれも徐々に効果が薄くなっていく。あっという間に対応されてしまったのだ。

 

「「ウワァ!!」」

 

「……木場、全力で叩き込むぞ。チャンスは1回だけだ」

 

「分かった。拘束やシールドを正面から破るぞ」

 

一夏は飛び上がって脚にフォトンブラッドを集中させ、ブラスタークリムゾンスマッシュを0に放つ。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「「ハァァァァァ!!ゼヤァァァ!!!!」」

 

それに合わせて、木場はオーガ・ストラッシュでフォトンブラッドの刃を0に突き立てる。

 

『ハァア!!』

 

「グッ!!……負けるかァァァァ!!!!」

 

「ハァァァァァ!!!!」

 

一夏は動きを止められ、木場はシールドの様な物に攻撃を阻まれる。だがそれでも諦めずに攻撃を叩き込む。次第に0が後ろへと下がっていく。それを見ると更に力を込める。すると一夏も動きだし、木場の攻撃もシールドを突き破る様な感覚が出てきた。

 

「「ハアアアアアアア!!!!!アァ!!」」

 

『グッ!……ガァァ!!』

 

ついにシールドも拘束も2人を止めることが出来なくなり、見事0に直撃。コアを残して体は全て灰となった。

 

「よし。これで……んあ?」

 

帰ろうと木場の方を振り返ったのだが、変身したまま倒れていた。力が抜けたのか疲れが出たのか。はたまた無理な改造をしたベルトの影響か。それは定かではないが、取り敢えず今の木場に意識はない。

 

「はぁ……」

 

『5246 ENTER』

 

『Faiz Blaster Take Off』

 

バジンと木場、そして回収したコアを持ってスマートブレインまで飛んでいった。少し重たそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた……」

 

「一夏?」

 

「一夏!!」

 

「いっちー!!」

 

スマートブレインに到着すると、すぐに草加達が声をかけてきて、本音が抱き付いてきた。

 

「おっと。大丈夫だったか?本音」

 

「うん。皆が戦ってくれたから」

 

「そうか。なら良かった」

 

短い会話を終わらせると、本音から少し離れて、村上にバジンと回収したコアを渡す。

 

「コアは中に人が入ってる。何とかして取り出してくれ。あと、バジンを直して欲しい。俺を庇ってこんなっちまった……」

 

「分かりました。すぐに作業に取り掛かります」

 

村上はバジンとコアを抱えて作業部屋へと走っていく。あれは多分最低でも1週間は出てこないだろう。そんな勢いだった。

 

「さてと。おい木場。起きろ。スマートブレインに着いたぞ」

 

「うっ……あぁ……一夏。みんな……」

 

巻かれているベルトを外して変身を解除させると、草加と千冬が木場の肩を持って立たせてくれた。

 

「ごめん。みんな。裏切るような真似して……」

 

「気にすんな。全員理由は知ってるから」

 

「あぁ。むしろお前の行動は正しかったよ」

 

謝る木場だが、一夏と草加がこの様な言葉を投げ掛ける。周りにいた一音も本音も千冬も2人の言葉に納得するように頷いている。誰も木場を咎めるつもりはないようだ。

 

「ふぅ。これで―」

 

『ERROR』

 

「おっと。時間みたいだな」

 

「え?」

 

エラーの電子音と共に、一夏の変身が解除される。そこから出てきた一夏の姿は、いつも通りと言うわけではなく、灰になりかけていた。村上の言った通りだったのだ。

 

「嘘だろ……一夏!」

 

「ねぇ!死なないよね!いっちー!!」

 

「ご覧の通りだ。……草加、いや兄貴。姉貴といつまでも仲良くな」

 

「おい!なんだよ!?その最後みたいな言い方は!!」

 

「姉貴、喧嘩するのは構わんが、町壊すなよ?後が面倒だからよ。一音、お前はやりたいようにやれ。そして言いたいことは必ず言え。木場みたいになるぞ」

 

草加が止めるような発言をするが、一夏はそれを無視して話を続ける。もう助からない。だから最後の言葉を。と言うのが一夏の心積りなのだろう。それを見たら、5人はなにも言えなくなる。涙を流しながらではあるが、一夏の言葉を聞くことにした。

 

「木場、俺の代わりに守ってくれよ。俺の大切な物を全部な。頼んだぞ」

 

「うん……!分かった!絶対、絶対に守りきってみせる!絶対に!」

 

「あぁ。頼んだ。……本音、ありがとうな。俺は先に逝って待ってるからよ。あっちで店開いてな。また一緒にやろうぜ」

 

「うん!頑張ってね。私も、頑張るから」

 

「あぁ。ただ、すぐに来るのだけは止めてくれよ?お前たちはまだこっちに居ろ。あぁ~そうだ。村上に伝えてくれ。散々無茶言って悪かったなって。じゃあな」

 

そして一夏は灰となって消えていった。だが、最後の表情は悲しみや苦しみに染まっては居なかった。むしろ嬉しさや希望がある笑った顔だった。とても、良い笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから半年。たった半年しか経っていないのに、日本の都市部はほとんど回復してきている。世界的に見ても回復速度は異常な程に速い。そんな風景を川原で見ながら、草加と木場が最近の話をしていた。

 

「ほとんど元の姿になったね。あの戦いが嘘みたいだ」

 

「コテンパンに潰されても壊されても、図太く生き残って以前より強く回復していく。それがこの国の強みだ」

 

麻痺していた政治機能は戦い終息後3日で回復。それを期に他の物もどんどん回復していったのだ。草加の言っていることは間違いではないだろう。因みにあれから色々とあり、ライダーズギアは完全に封印されて二度と日の目を見ないかもしれない。村上以外再び出す方法を知らないため、もう使われることは無いだろう。そしてISたち。完全破壊を唱える連中もいたが、当然そんなことをさせるわけがない。スマートブレイン全面協力の本、コアの人格たちをこことは別の世界で生活をしてもらうことにした。VR空間でだ。詳しい方法は誰にも伝えられていない為、どの様にして送ったかや、どうやったらリアルに戻ってこれるかは誰も知らない。そして、不用意にISの人格を現実に呼び起こし再び兵器として運用することを禁止した。やった場合は厳罰に処される。

 

「最近、スマートブレインはどうだ?」

 

「うん。こんな状況だから、スマートブレインの技術がいろんな場所で必要とされてるよ。だからみんな張り切って仕事してるよ。草加くんは?スマートブレイン出てからどうしてるの?」

 

「一夏の店だ。そこで働いてるよ。個性豊かな客が多くて毎日飽きない場所だ」

 

「そっか。楽しそうで何よりだよ。千冬さんは?」

 

「千花と真冬、クロエと毎日楽しく過ごしてるよ。真耶さん達は?」

 

「千花ちゃんと柚木の2人が描いたマンガ読んでるよ。俺受けの……」

 

「……ドンマイ」

 

因みに、千花と柚木の描いてるマンガは、木場の家の総収入の2割を占めている。

 

「おっと。そろそろ時間だな。昼休み終るから戻る。じゃ~な」

 

「うん。じゃあね」

 

バッシャーに乗って一夏の店へと戻っていった。それを見送ると、木場も立ち上りスマートブレインへと戻ろうとした。背伸びをすると、空を見上げた。

 

「……さて、この空を守ったのは一体誰なんでしょうか……なあ、一夏?」




今日で終わりですね。投稿してない期間も含めて、約10ヶ月。お気に入り登録者も435名を超え、アクセスも14万を突破しました!これも皆さんのお陰です。ありがとうございました!

感想と評価、今後出すかもしれない新しい小説も、まだ完結していない小説もよろしくお願いします!!

織斑一夏

3代目仮面ライダーファイズにして現ファイズの正式使用者。過去の誘拐事件が切っ掛けで、ひたすらに強さを着けるように。実力はかなりの物で、スマートブレイン内でも1位2位を争う。ぶっきら棒で無愛想。だが細かいことに気付くし料理や家事の腕が良いため、女子のプライドを尽く粉々に砕いてきた。ある意味女の敵と言われている。学生時代の些細?なことな切っ掛けで本音と交際。学園卒業後しばらくして結婚。仲睦まじく生活を送っていた。お食事処織斑の店長。味が良いため評判はよろしい。今回の件を含めて2回世界を救っている。性格はあれだが、裏表が無い。その為周りからの信用は厚い。
このキャラの俺がしたかったのは、死への恐怖を乗り越えて大切なものを守る。と言うことですね。死への恐怖を克服しようとか言うのがいますが、そんな馬鹿な事できる筈がありません。ぶっちゃけ俺も死ぬのが怖いです。泣きたくなるくらいに。でも長生きしたくないと言うふざけた状態なんですけどね。でも一夏には、その恐怖をも超越した場所で仲間を助けるために戦ってほしい。そう言う気持ちで作っていたら、こんなキャラになりました。結局殺してしまったんですけどね。
















…………認めない。認められるかぁぁぁぁぁ!!!死んだ存在がいつまでも見守ってくれるとか、死んだ人間の思いが自分達を守ってくれるとか、風になったり海になったり空になったりこの地球の一部になったり!そんなありそうで実際は無いがちょっとあり得そう。でも実際はあり得ないが心の支えとなる!そんな中途半端な場所にいるのを、神であるこの私が認めるかぁぁぁぁ!!!

一夏
「喧しいぃぃぃぃ!!!」

『Exceed Charge』

うおわぁぁぁ!!アァ……

GAME OVER

…フゥッ!残りライフ、83。……何をする一夏ぁ!後書きに登場してクリムゾンスマッシュを私に撃ち込むとは…一体どう言うつもりだぁぁ!!

一夏
「逆にお前は一体何をやるつもりだ?まさかまた短編で投稿する訳じゃないのな?俺を含め何人か死人が出ていると言うのに、また全員生きてる状態での日常をここで書くつもりか?それこそ認められるか」

黙れぇぇぇぇ!!自分の小説のキャラを生かして何が悪いと言うんだぁぁぁぁ!!!アァッ……

GAME OVER

一夏
「何で死んだよ……」

……少々、体力を使いすぎた様だ。残りライフ、82。もう疲れた……取り敢えずまだまだ更新するから。完結していない小説も新作も。お前達の日常、全部R18だけど、これ事に関してはまだまだ続くからな。やって良いの?じゃないの。やれるの。神だから。

一夏
「はぁ……みんな、まだまだ家の作者をよろしく頼んだ。じゃ、俺はこれで」

これからも、皆さんよろしくお願いします。あ、一夏が最期に使ってたベルトは、ファイズ本編の物です。今まで使ってた物はファイズ本編のライダーズギアの性能を大幅に下げたものです。


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仮面ライダーデルタ サーガ
変わった未来


本日よりデルタサーガを本編で再投稿します。何分量が多いので、1日に2~3話ほどのペースで乗せていきます。あちら側で読んだ方、そうでない方にも楽しんで貰えるようにしたいと思っています。

リメイク版では質問回答コーナーをまたやるつもりです。活動報告を用意したのでそこにご記入ください!

前置きはこれくらいにして、はい本編ゴー


「じゃあな」

 

そう言って、1人の救世主はこの世を去っていった。守るものを全て守り、守った者達に後の全てを託した。そして仲間達もそれを受け入れ、前に進んでいる。筈だった。

 

「あれ?俺は……」

 

「なにやってんだ?なま物あるんだぞ。早くしないと傷むだろ」

 

「一音?」

 

「自分の息子の顔間違えるなよ……何年父親やってんだアンタは?」

 

 

「なま物……あ、仕入れしてたのか?」

 

「しっかりしろよ……ボケるにはまだ早いぞ」

 

手に持っている荷物。歩いているルート。一音との会話。反応が遅れていたが漸く状況を理解できた。いくつか疑問に思っている事があるが、それを振り払って店へと急いで帰っていく。

 

「おかえりなさ~い。随分買い込んできたね~」

 

「本音……」

 

「ん?どうしたの?」

 

「……いや。随分と懐かしく感じだだけだ」

 

「お?そんなに私に会いたかったのかな~?」

 

「なに息子の前で恥ずかしげもなくイチャ付いてんだよ。いくつだアンタら……」

 

「いやそうじゃなくて……なんか妙だな。慣れないって言うか違うって言うか。兎に角なんか変なんだよ」

 

「疲れてんだろ。繁忙期なんだからよ。老いが出始めてんだからよ。今日はとっとと休むんだな」

 

「お前、さっきから失礼だな」

 

何かが違う。そんな疑問を抱えつつも、その日の仕事を終えて夜を迎えた。

 

「なぁ本音」

 

「な~に?」

 

「ISとの戦いってどうなったか覚えてるか?」

 

「ッ!?ねぇイッチー。もしかしてだけど、記憶がおかしいの?」

 

「え?」

 

「村上さんが言ってたんだけど、イッチーが最後に使ったファイズギアは、体に大きな負荷をかけるから何かしらの影響が出るかもしれないって……体の崩壊、著しい体力の低下、記憶の剥離……様々な事が起こるって」

 

(じゃあ今までのはフォトンブラッドの影響……死んだじゃなくて意識が飛んでた?いや。じゃああれ以降の記憶が欠片も無いのはおかしい……)

 

「ISはあの戦いの後、村上さんのお陰で私達の世界から離れて独自の世界を作ってそこで暮らしてるよ。ライダーズギアはスマートブレインの意向で完全封印。あの戦いで、私たちは平和を手に入れられたんだけど、まだ傷は深く残ってるの……覚えてない?」

 

「いや大丈夫だ。少し確認したくてな」

 

「そう。大丈夫なら良いんだけど」

 

自分の知らないことが本音の説明で判明した。だがそれでも疑問は尽きない。そもそもの疑問は何故織斑一夏と言う人物がまだ存在しているかだ。たしかにあの時、一夏はプロトタイプのファイズギアを使いフォトンブラッドの影響で灰になった。早い話が死んだと言うこと。なのに生存しており時間も進んでいる。本音の話を聞く限りでは、戦いの後も一夏自身普通に生活していたと言うことになるのだ。記憶の剥離。薄れていくと言っても、完全に頭の中から消え失せる筈はない。何か断片的にでも覚えている筈。まるで違う未来を進んでいる世界の中に、あの戦いで死んだ筈の自分がポンっと出された。そんな感じのする状態なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかしい……何かがおかしい。どうなってんだ?」

 

次の日になっても疑問が消えることはなく、自分の中にある不安は大きくなるばかり。そのせいか店の仕事が全く手に付かずミスを連発。少し休めと言われ本音と一音に店を追い出された。現在進行形でバジンに乗って走っているのだが、考えが吹っ切れる感じはしない。

 

「おいバジン。起きろ」

 

「なんだ?」

 

「俺って、あの戦いが終わったとき死んだんじゃないのか?」

 

「…………正直言って、あの時の記憶は曖昧なんだ。0の攻撃でシステムのほとんどが停止。辛うじて光景の録画はされてたが、カメラの損傷が激しくて見れたもんじゃない。あの時お前が死んだのか生きていたのかは、俺にも分からないんだよ」

 

「そうか……」

 

近くの停車位置にバジンを止めて人間の姿にして、あの時の事を聞いてみたのだが、何故か都合よく事実に辿り着けないようになっていた。結局なにも解らずじまい。完全にお手上げだ。

 

「俺の中にある灰になった記憶は……あの時笑って死んでいった俺の記憶は、一体なんだったんだ……」

 

「生きてることが不満なのか?」

 

「いや。むしろ嬉しいさ。アイツらとまた一緒にいられるんだ。嬉しくない筈がない。でも……」

 

「素直に受け入れられないか?」

 

「あぁ。よく分かったな」

 

「何年一緒にいると思ってんだ。お前の考えなんて多少は分かるよ」

 

「あの時、俺は満足していた。大切なもん全部守って、全部託して、生きることを手放した筈だった。そんな俺がまた生きている。この現実が受け止めきれないんだ」

 

守りたいものは守った。託せることは託した。そして生きることを手放した。本来なら自分はここにいる筈がない。満足して死んでいったにも関わらず、この世界で生きていると言うことが、どうにも呑み込めきれないのだ。まるで、生きていることが罪であるようにも思えてしまう。

 

「ま、悲観的になることはないだろ。お前だって生きているのが嫌って訳じゃない。もう一度人生を楽しめると思えば良いだろ。もうISも仮面ライダーもない。平和なこの世界で」

 

「だと良いけどな」

 

その後も相棒であるバジンと数分間他愛もない話を続けた。虚とバジンの最近や一音の事。草加と千冬、木場に真耶。村上など、自分達の周りにいる人間の事をお互いに話し合っていた。なんにもない時間がただ過ぎていく。相手の言葉に笑い、自分の言葉で相手を笑わせる。これが平和だと感じたその時だった。

 

『キャャャャャャャャッ!!!!』

 

「「ッ!?」」

 

そう遠くない場所から沢山の悲鳴が聞こえてきた。そして爆発音も混じっている。悲鳴の感じからイベントやそれの類では無いことは容易に分かった。急いでバジンをバイクにしてその場所まで走っていく。

 

「なんだよ……これ」

 

一夏とバジンが目にした光景は、余りにも酷いものだった。軽く数えて数百は人が居たと思われる場所がまるで爆心地の様に破壊され、地面は抉れ建物は崩壊。露店の看板や机は燃えている。そしてそこには、骸骨の柄が入った黒いタイツ姿の人型の何かが刃物の様な何かを持って彷徨いていた。

 

『battle mode』

 

『どう考えても敵はアイツらだな』

 

「あぁ。行くぞ!」

 

バジンは兎も角、一夏にはベルトがない。だがこの状況を見過ごせるほど賢い訳ではない為、生身の状態でバジンと一緒に敵と思われる群衆に突っ込んでいった。

 

「デヤァ!ハァ!オラァ!」

 

この場所を破壊した割りには、数だけで大した強さがあるわけではない。しかしそれでも生身では手に余る存在のようで、バジンはサクサク倒していくが一夏は若干苦戦ぎみであった。

 

「ハァッ!かってぇな!ウワッ!?」

 

『イーッ!』

 

「ッ!?クッ!」

 

流石に限界が来た。生身で苦戦する相手を何十体もしていたのだ。当然長く持つ筈もなく、倒れてしまう。そして1人の敵がナイフを一夏に降り下ろした。もうダメだと感じて目を瞑る。

 

「ハァッ!!」

 

「ん?」

 

目を開けると、見慣れたマゼンタカラーをした仮面ライダーが一夏を助けてくれた。そしてバジンの方にもシアンカラーのライダーが援護に入っている。

 

「どの世界でも懲りずに蘇りやがって。いい加減お前らの顔には飽きてきたぜ」

 

「士……」

 

「一夏、今は逃げるぞ。海東!」

 

「あぁ!」

 

『ATTACK RIDOE INVISIBLE』

 

2人の助けで、一夏とバジンはこの場所から逃げ大事に至らずに済んだ。しかし、この異変がどこまで影響を及ぼすのか、それはまだ定かではない。




本来は7話とか8話でとっとと終らせるつもりだったのに……まぁ良いや

次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

全部があげ終わったらリメイク書きます。


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破壊者と救世主

異世界の仮面ライダー2人の介入により、危機を脱した一夏とバジン。今は海東のカードで誰もいない高台に座り込んでいる。

 

「何でまたこの世界に来たんだよ」

 

「知るか。気づいたらこの世界にまた来て、お前らが倒されそうになってる所に遭遇したんだ」

 

バジンは一夏の手当てをして、士は自分のカメラのシャッターを切りながらこの世界に来た経緯を説明。紛れもない偶然が重なって一夏は命拾いしたようだ。

 

「ところで、アイツらは何なんだ?」

 

「秘密結社ショッカー。世界各国から能力の高い人間を誘拐しては改造手術を施し、洗脳して世界征服を企む連中さ。現れたのはこの世で初めて現れた仮面ライダー、仮面ライダー1号の世界。と言っても、もう既に何回か壊滅したんだけどね」

 

「壊滅した?」

 

「壊滅してもしつこく何度も甦るんだよ。揃いも揃って面白い顔だがいい加減飽きた」

 

「さっきも言ってたな。一体何回相手にして来たんだよ」

 

「3回越えた辺りからは数えてない」

 

「あぁそりゃあ飽きるわ」

 

「僕のディエンドライバーや士のディケイドライバーも本来はショッカーの物さ。僕のは盗んできてるけどね。士は元大首領だし」

 

「成る程テメーの差し金か」

 

「祭り上げられただけだ。もうアイツらとは関係ない」

 

そうは言っているが、2回程ショッカー及びその他秘密結社との連合を率いていた事がある。後者に関しては敵を油断させる作戦ではあったが……。

 

「それよりも、なんでさっきは生身で戦ってたんだ?ベルトはどうしたベルトは」

 

「お前達がこの世界を出ていってから暫くして、ISとの戦争が起こった。町を見ればそれは分かるだろ?で、その後ISもライダーズギアも封印された。らしい」

 

「らしい?」

 

「どうも記憶がハッキリしないんだ。その戦争の後、俺はフォトンブラッドの影響で灰になって死んだ。なのにここに俺がいる。周りの奴らの話じゃ、俺は普通に生活していたそうなんだ。でも俺にはその記憶が無い。フォトンブラッドの影響かもしれないとは言われたが、その部分だけがスッポリと抜け落ちるなんて変だろ?」

 

 

「原因は?」

 

「分かってたら苦労しねーよ。皆目検討も付かない。まるで自分だけが別の世界に出された気分だ」

 

「別の世界って訳じゃないけどな……」

 

一夏の現状に、士は言葉が出なかった。士自身、沢山の世界を旅して様々な物を見て感じてきた。完全に同じと言うわけではないが、一夏の気持ちを理解できるのだろう。

 

「何をするにもベルトが無ければ話にならねー。どうにかしねーとな」

 

「ベルトは僕が取ってこよう。どうせ話したところで通じるわけ無いし」

 

「あぁ。頼んだ。警備システムに殺されるなよ」

 

「用心しとくよ」

 

海東はそのままスマートブレイン方向へと向かっていく。今夜辺りには忍び込んでベルトを取ってくるだろう。村上自作の警備システムに引っ掛からなければの話だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家に着いたか……」

 

「おかしい」

 

「なにがだ?」

 

「襲撃と言いここまでの道のりと言い、ショッカーにしてはやり方が手緩すぎる。本来なら戦闘員以外にも怪人がいる筈なんだが、何故か全く出てこない。いつも詰めが甘いが、今回は甘過ぎる」

 

「お前本当に容赦なく文句言うよな」

 

士に引きながらも、店の扉を開けて中に入っていく。昼間の敵の襲撃の影響か、客がいる様子はなかった。

 

「イッチー!」

 

「ウオッ!……本音」

 

「大丈夫だった?!変なのが町を襲ってるってニュースで出てたよ!怪我してない?!」

 

「あぁ。大丈夫だ。士と海東も来てるぞ。入れてやってくれ」

 

「は~い!」

 

士を招き入れて客室に案内していく。3人が使うことを想定されて設計した部屋のお陰で、海東が来ても余裕をもって過ごすことができる。

 

「飯できたぞ~」

 

帰宅してからわずか20分。もう夕食が完成した。海東はまだ帰ってこないため、4人で食事を始める。相変わらずの美味さの様で、そこそこ作っていた物はあっと言う間に完食されてしまった。

 

それから4時間程経った真夜中に、海東が店に入ってきた。手にはベルトが入っているであろうケースが握られており、やってやったと言う顔をして士と一夏に見せ付ける。

 

「さぁ、ご注文のベルトだよ」

 

「ん?おい、なんでデルタギアまで入ってるんだ?」

 

「あぁそれね。それは―」

 

「俺が頼んだ」

 

「一音?なんで」

 

「散歩してる途中で見付けてな。何をするか大体分かったから俺のベルトも頼んでおいたんだよ。アンタにまた命を投げ出す様な戦い方されたら面倒だからな」

 

「はぁ……言っても聞くわけないか」

 

なにかしらを言おうとしたのかもしれないが、一音の性格はよく知っている。余計なことを言って止めるのは止めることにした。大人しくベルトを渡して部屋に帰らせた。

 

「村上達にはバレなかったのか?」

 

「その辺は大丈夫だったよ。流石に警備には危ない目に会わされたけど……」

 

「どうりで服が所々焦げてる訳だ」

 

服以外にも髪の毛も少し焦げてる。村上自作の警備システムは相当手強い相手だったようだ。ショッカーからディケイドライバーを盗んだ人間が髪の毛や服をやられているのだ。かなりの難易度であった事は間違いない。

 

「夜食作ってくる。少し待ってろ」

 

「材料残ってるのか?」

 

「まぁうどん位なら作れるだろ。ナマコ残ってたから乗っけてやるよ」

 

「待て一夏。悪いことは言わない。ナマコは止めておけ。この店が穴だらけになるぞ」

 

なに言ってんだと言う顔をするが、士の目を見て冗談ではないことを察し、ナマコのトッピングは止めてえらく質素なうどんが完成。それを海東に渡して一夏は眠りに就いた。




次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入りもよろしくお願いします!!

質問募集の活動報告もお願いします!制限はないのでどんどん質問ください。


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ライダー再集合

誰か!イラストを描いてくださ~い!笑


海東がスマートブレインからファイズギアとデルタギアをくすねてきた次の日、この事実に少しスマートブレインが荒れていた。

 

「なぁ、村上社長の絶殺システム破られたって本当か?」

 

「え?ぶち殺マシーンが?」

 

「あぁ、好中球マシーン破られたんだよ」

 

「マジで?白血球さん負けたの?」

 

「キラーTとかマクロファージ投入してないからな~」

 

「社長少しショック受けてたよな~」

 

「俺たちも完全に殺ってくれるって思って安心してたからな。確認怠ったのも悪かった」

 

「俺らもこの会社の細胞の役割り少しは果たさないとな~。白血球達の手助けしないと」

 

こんな感じで、村上の過剰防衛絶対殺すシステム突破のニュースで社内が持ちきりだった。それを受けて、社長室には草加と木場が呼び出され、村上から話を受けている。

 

「いつから、私の会社の防衛システムは働く細胞状態になったのでしょうか」

 

「知らねーよ!そんなこと話すために俺たちを呼んだのかお前は?!」

 

「と言うか働く細胞知ってるんですね……」

 

「現在進行形で娘と見てますから。それよりもあのシステムが白血球扱いとは……キラーTやマクロファージとか作りましょうかね」

 

「止めろ。各方面から苦情が殺到するわ」

 

あるいは、働く細胞ファンから観光地扱いを受けてごった返すかもしれない。

 

「と言うか、早く本題に入ってください」

 

「そうですね。すでに知ってると思いますが、ファイズギアとデルタギアが盗まれました。しかも白血球が突破されてです」

 

((まだ働く細胞引っ張ってんのかよ……))

 

「何と無く、どこに行き着いたのかは予想ができますが、それと平行して気になることが」

 

「気になること?」

 

「これです」

 

タブレットで1つの動画を再生。そしてそれを2人に見せる。

 

「これは……」

 

「2つのベルトが盗まれた日に、正体不明の集団が町を襲っている様子です。そしてそこに」

 

動画を止めてある場面を拡大。そこには見慣れた人間が襲っている集団に殴りかかっている様子が映っていた。

 

「一夏とバジン!?」

 

「ディケイドとディエンドまで?!」

 

「ベルトは確実に一夏君と一音君に渡りました。恐らく次にあの集団の襲撃があった時はこの4人も戦うと思います。そこで」

 

椅子の後ろに置いておいたケースを机の上に置いて2人に差し出した。完全に何が入っているかは理解できる。

 

「お2人にも仮面ライダーとして復帰して貰いたい。この集団を撲滅するまでの間で」

 

「態々、自分で封印解いたんですね……」

 

「また戦うのか……」

 

「渋々。見たいな感じで受け取ってますけど、訓練続けてたことは知ってますよ?なに嫌々な体を装ってるんですか?」

 

ニッシシと、まるで悪戯っ子の様な笑みを浮かべながら言う村上からベルトを受け取って部屋を出ていった。いつでも動ける様に待機するためだ。

 

「久し振りだな。このベルトを持つのも」

 

「2年も経ってるからね」

 

2年間もと捉えるか2年間しかと捉えるかで認識は変わってくるが、その間仮面ライダーが出動するような事や封印を解こうという事には為らなかった様だ。

 

「どうする?一応待機するつもりで出てきたけど、相手が出てくるまで待つ?」

 

「冗談言うな。こっちから出向いてやる。一夏や一音も戦うんだ。2人に負担はかけられない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベルトはある。が、どこにあのフザけた連中が出るかが分からない……」

 

「目的があるなら分かりやすいんだが、その目的は世界征服とか言う大雑把な物。次でる場所を予測しろって方が無理だ。つーかなんだよ世界征服って。今どき流行らないんだよバカが」

 

一夏は調理場で仕込みを始める、一音はスマホとにらめっこ。情報を手当たり次第集めている様だ。士は一夏の手伝いをしているようだ。

 

「まいどまいど、計画の一部すら外には絶対に漏らさない。行動を起こしてからようやく判明する。アイツらが動き出すまではこっちは何もできないんだよ。出るまではここで生活するしかない」

 

「成る程。だがその前に、海東をどうにかしてくれ。俺のベルトが使えなくなる前に」

 

何を思ったのか、ドライバーやスパナ、六角レンチを取り出して分解しようとしていた。

 

「なにやってんだお前は?!」

 

「だって気にならないかい?僕たちの知る仮面ライダーファイズの世界にあるライダーズギアは、フォトンブラッドをエネルギー源として動いている。しかしそれを使えるのはオルフェノクやオルフェノクの因子を持っている人間のみ。デルタギアを除いてね。本来なら人間には使うことができない代物だ。だがこの世界では一夏を始め因子を持たない普通の人間が変身してるんだ。気にならない訳がないだろ?」

 

「確かに気になるが、今ここで分解してどうする。ショッカーのしつこさはよく知ってるだろ。戦力を減らすような真似はよせ」

 

士に道具を取り上げられ、少し残念そうな顔をする。そこまで分解したいのかと士は呆れていた。

 

「イッチー!買い出し行ってくるね~」

 

「おう。気を付けて行けよ~」

 

「は~い!」

 

買い物かごを持って本音は買い物に向かう。荷物持ちにバジンも一緒だ。最悪なにかに巻き込まれてもバジンが居る分安心できる。

 

「おい。買い物に行かせても大丈夫なのか?」

 

「バジンも居るし大丈夫だろ。あの全身タイツだけなら俺らが到着するまで十分に持つからな」

 

「アイツらだけならな……どうも嫌な予感がする」

 

「おい。余計なこと言うな。何か起きたらどうするんだよ」

 

「あくまで予感だ。真に受けるな」

 

そうは言われても心配でしかない。ショッカーと関わりを持っているのは、この世界では士と海東だけ。その士から嫌な予感がすると言っているのだ。身構えてしまうのは仕方がない。

 

「あ、情報でた」

 

「ほら見ろ……」

 

見事にフラグを回収してしまった。




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ついでに質問募集の活動報告もお願いしま~す!


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ループ

質問募集の活動報告もよろしくお願いします!


本音が仕入れに出掛けた直後、ショッカーの情報がネット上に出回ったのを確認した一夏達は、すぐに自分のベルトを手にとって店を出ていった。とは言え、一夏のバイクであるバジンは現在本音と一緒。海東はそもそもバイクを所有していない。等の事が重なり、少し初動に手間取っていた。

 

「おい。狭いんだからこっちに寄るな。操縦が狂う」

 

「オートで動かせば良いだろ?そもそも君が操縦を失敗した所で、僕は無傷でいられる自信がある」

 

「そうか。ならテメーだけ振り落として怪我させてやるよ」

 

「やれるもんならね~」

 

最終的にだが、士のディケイダーに一夏と士の2人が乗り、一音のスライガーに海東と一音が一緒に乗ることになったのだが、スライガーはそもそも1人乗り用。2人以上を乗せることを想定されていない。そのお陰でかなりキツそうになっている。

 

「あの2人本当に仲悪いな」

 

「戦いの前に怪我しないと良いけどな」

 

その辺りは問題ないと思われる。そして馬鹿騒ぎを続ける訳にも行かないので、スピードを上げて情報のあった場所に急行。情報が出てから既に30分。現場に近付くに連れて徐々に荒れた様子が分かってきた。

 

「相変わらずやることが速いな」

 

「たかが30分でここまで滅茶苦茶にするとは……」

 

「感想言ってないで、さっさと行くぞ!変身!!」

 

『Standingby complete』

 

一音が一足早く変身し敵陣に突っ込んでいく。その直後に士と海東もディケイドとディエンドに変身。一音に続き敵を倒しに行った。

 

「一音のヤツ張り切ってるな……俺も行くか」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『error』

 

「ハッ!?ウワッ!」

 

コードを入力し、ベルトにファイズフォンを差した一夏だったが、ベルトからはエラーの音が鳴り響き、一夏を弾き飛ばしてしまった。

 

「なんで!」

 

『error』

 

「グワッ!」

 

すぐにベルトを拾い上げて再度変身を試みるが、結果は最初と同じでベルトが変身を拒否した。

 

「おい!なんで変身しないんだ?」

 

「俺だって知らねーよ!」

 

「なら離れていたまえ。ここにいたら僕たちの邪魔になる」

 

「チッ」

 

海東の言う通りだ。悔しいが変身できない自分はここにいる意味がない。せめて邪魔にならないように安全圏まで移動しようと思った。だが、

 

「キャアアアアア!!!」

 

「ッ!?本音!」

 

「母さん!?」

 

タイミング悪く、そこに本音が現れた。どうやら別の場所で襲われてここまでバジンと一緒に逃げてきた様だが、逃げた先が不味かった。戦いのど真ん中に出てきてしまったのだ。更に上げてしまった悲鳴が原因だろう。多くの怪人の標的が仮面ライダー達から本音へと移ってしまった。

 

「本音!」

 

「よせ一夏!行くな!」

 

「ウオォォ!!ゼヤァ!ハァ!本音ぇぇえ!!逃げろォォォォオ!!!」

 

沢山の本音目掛けた攻撃が飛んでいく中、一夏は自分の身も省みずに突っ込んでいき、攻撃が本音を直撃する寸前で助け出した。そして攻撃の影響の無い場所まで投げ飛ばし、自身が身代わりとなって攻撃をその身にうけた。

 

「ウワァァァァァ!!!?」

 

「イッチー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?俺は……」

 

「なにやってんだ?生物あるんだから、早くしないと痛むだろ」

 

「一音……」

 

「なんだ?自分の息子の顔忘れたのか?」

 

爆炎に包まれた。それはハッキリと自覚している。だがまるで時間が巻き戻ったかの様に何もない。体に痛みも無ければ戦闘の様子も、全てが無いのだ。

 

「どう言うことだ?」

 

「なに言ってんだ?ボケるには早いぞ」

 

事態に困惑している一夏を見て不審に思う一音だが、その後はこの日にあったことをそっくりそのまま体験した。それだけではない。ショッカーが出現し、そこにディケイドとディエンドの2人が現れ、ショッカーを撃退する所まで全く同じだったのだ。

 

「なぁ、変な事を聞くが、この世界でアイツらが現れたのは今回が初めてか?」

 

「その筈だか?」

 

「妙だ……俺は……前にもアイツらと戦ったし、お前らにも助けられた。ショッカーの話も聞いた、筈だ」

 

「デジャ・ビュかもしれないね。体験したことの無い出来事がまるで以前にも体験したように思える現象だ。気にすることはない」

 

「そうか……(本当にデジャ・ビュなのか?ならその後は……)」

 

そこから更に時間が経ち、自分が死んだ戦いの直前まで時間が進んだ。

 

「相変わらずやることが速いな」

 

「たかが30分でここまで滅茶苦茶にするとは……」

 

「感想言ってないで、さっさと行く―」

 

「待て」

 

「え?……なんだよ?」

 

「お前はこっちを使え。デルタギアは俺が使う」

 

「は?」

 

「変身!」

 

『Standingby complete』

 

「あっ、おい!」

 

突然の一夏の行動に驚いたが、すぐに気をとり直して3人も変身。ショッカー退治に取り組んだ。

 

(もう少しだ……もう少しであそこから本音が出てくる)

 

デルタムーバーをいつでも撃てるように構え、周りの敵を倒しながら本音が出てくる通路を見張っていた。

 

「(今だ!)ハァ!」

 

「ウオッ!?イッチー?」

 

「良かった。無事みたいだな」

 

出てきた本音が悲鳴を上げる間も無く抱えあげ、その場からすぐに離れた。これで本音はショッカーの攻撃の餌食になることはない。

 

「チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

本音を助け出した直後、バジンに本音を守るように指示を出して自分はルシファーズハンマーを発動し広範囲の敵を一気に灰にした。

 

「よし!あとは―」

 

「ウワァァァァァ!!!」

 

「ッ!?一音!!」

 

後は士と海東、一音の加勢に向い、残っている敵を倒すだけだった。だが、向かおうとした直前、一音が変身するファイズが巨大な砲弾の様な物に吹き飛ばされてきたのだ。

 

「グッ……!ガハッ!はぁ、はぁ」

 

「一音…一音!!」

 

攻撃の威力は余りにも高く、アーマーを着けている胸部に砲弾が当たったにも関わらず、アーマーは砕けて内部の機械が一部見えるほどの損傷を受けていた。当然、そんな攻撃にベルトが耐えられる筈もなく、変身は強制解除。変身者の一音は、命を落としてしまった。

 

「あぁ……はぁあ!はぁ、はぁ、ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

一夏の悲痛な叫びが木霊するが、ここで一夏の記憶は途切れていた。そして、また一音と食材を運んでいるところからスタートする。

 

「はぁはぁはぁはぁ……」

 

「親父!?おいどうした!親父!」

 

「すぐ店に戻るぞ!速く!」

 

少し手荒だが、仕入れた食材を置いていき、一音を連れて急いで店まで戻った。そして本音と一音には今日と明日、明後日は絶対に家を出るなと言って家を出ていく。そしてショッカーが暴れだし、士と海東が来るタイミングになると急いで現場に駆け付け、戦い終わった2人に問い詰めるように話しかけた。

 

「これは3回目だよな!デジャ・ビュなんかじゃない!時間が巻き戻ってるんだ!分かるよな!?」

 

「落ち着け一夏!俺達も分かってる」

 

「僕たちもさっき気付いたんだ。時間が繰り返してるってことに。そしてこれから起こることも」

 

「なら話は早い。デルタギアとファイズギアを急いで持ってきてくれ。勿論一音には渡すな。両方とも俺が持つ。デルタに一度変身すれば、ファイズにもなれる筈だ。繰り返させて堪るかよ……!」

 

戦いは3人で挑むことにした。だが、このあと3人が全く予想だにしないことが起こり、時間は再び戻ってしまった。




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変わる未来。狂う計画

時間が来た。ショッカーが町で暴れまわり、破壊活動を開始する時間が。場所は分かっている。そしてベルトも2本自分の元にある。

 

「いつでも来やがれ……」

 

「良いのかい?一音は呼ばなくて」

 

「忘れたのか?アイツがここに居れば殺される。戦力が減ったとしても、アイツを殺すわけには行かない」

 

「……来たぞ」

 

士が呟くと、一夏と海東も士と同じ方向に視線を向ける。言葉通り、大量の戦闘員と怪人が隊列を組んで我が物顔で町を歩いていた。

 

「変身」

 

『Standingby complete』

 

「「変身!」」

 

『KAMEN RAID DECADE!』

 

『KAMEN RAID DIEND!』

 

ショッカーの攻撃開始と同時に、3人も変身してショッカーの団体へと突っ込んでいった。

 

「Fire」

 

『Blaster Mode』

 

「ハァッ!」

 

向かってくる敵の頭を1発1発正確に撃ち抜いて灰に変えていき、ディケイドとディエンドもそれぞれの攻撃で敵を凪ぎ払っていた。

 

「なんだよこの状況は……!?」

 

「夢なら早く覚めて欲しいね」

 

「ようやく来たか。遅いぞ」

 

「連絡した場所がザックリしすぎなんだよ」

 

草加と木場も到着した。事前に一夏が連絡していた様だが、余りにも指定していた場所が大雑把で到着に遅れたようだ。

 

『913 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『complete』

 

『000 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『complete』

 

草加と木場が変身した。これで戦況は一気に変化し、劣勢とは言わないが数に苦戦していた一夏達が優勢に。町の方は一気に片付いてしまった。

 

「おい。なんか可笑しくないか?」

 

「だな」

 

「どうしたんだ?」

 

「敵の数は確かに多かった。でも前程じゃない」

 

「前?」

 

「前はもっと多かったし、しつこかったし、強かった。なのに3度目の今回がこの程度なのは可笑しいんだよ」

 

「3度目?いや、コイツらがここで暴れたのは今回が初めてだろ?」

 

草加と木場はなんの事だか分かっていない様子だが、何があったかを覚えている3人は2人の事を無視して話を進めていった。

 

「何故だ?アイツらも覚えてるのか?」

 

「だとしたら厄介だぞ。こっちが手を打っても、相手が別の方向で攻めてきたら……」

 

「僕達にはどうしようもないね」

 

「待て待て待て!俺達にも分かるように話してくれ!」

 

「話が全く見えないよ」

 

「悪いが詳しく話してやりたい所だが、そんな時間はない。……いや時間はたっぷりあるか。ある意味な」

 

一夏の意味ありげな一言に、2人は困惑するしかなかった。全く見えてこない話をもっと詳しく聞こうとしたのだが、突然全く別の場所から巨大な爆発音と衝撃波が一夏達の元へと飛んできた。

 

「っ!?あの方向は!」

 

デルタギアを取り払い、ファイズに変身。そしてすぐさまアクセルフォームに姿を変えて、爆発のあった方向へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよコイツら!」

 

『2人は下がってろ』

 

一夏達が戦いを終えた直後、本音と一音がショッカーの怪人4匹に家で襲われていた。だが一音と本音には戦う術が無い。バジンが代わりに戦ってくれているが、相手はかなりの強さを持っている。バジン1人では長く持たないかもしれない。

 

「「「「ハァ!」」」」

 

『ッ!?』

 

「バジン!」

 

持ち前のパワーや搭載している武器で応戦していたが、バジンの後ろには本音と一音の2人がいる。どんなにバジンが強かろうが、守りながらでは話が変わってくる。徐々に徐々に店の端へと追いやられ、攻撃も防御も儘ならない距離まで詰められてしまった。

 

「え?ウオッ!?」

 

「うわっ!?」

 

この場所での戦闘は無理と判断したバジンは、2人を抱えて急速離脱。店から脱出することができた。だがその直後に怪人が放った攻撃が爆発し、広範囲が吹っ飛んでしまった。

 

「お、おい!落ちてるぞ!」

 

『爆風に煽られてうまく飛べないんだよ!』

 

「ならプラカードしまってよ~!!」

 

完全なバトルモードの為、口で喋る事はできない。だからプラカードで会話しているのだが、少なからず爆風の影響を受けている。

 

『すまん。もう無理だ。不時着する』

 

「嘘だろ!?」

 

ついに飛行する体勢を維持できなくなり、不時着を決定した。

 

「ウオワワワワワ!!!」

 

「キャアアアアア!!」

 

だが上手くは行かなかったようだ。勢いがありすぎたのか、地面に接触した瞬間バジンが運んでいた2人が投げ出されてしまった。

 

「ナァッ!離せ!」

 

「離して!!」

 

敵の内2匹は本音と一音を捕まえ、1匹はバジンが起き上がれないように踏みつけ、最後の1匹は2人の命を奪おうと両腕を伸ばしてジワジワと2人に近付いていく。

 

「ハアァァァァァア!!!」

 

『Exceed Charge』

 

2人を手にかけようとしていた怪人に大量のポインターが付けられ、瞬きをする一瞬の間に灰へと変えられ、バジンを踏みつけていた怪人は殴り飛ばされた。更に流れるように本音と一音を捕まえていた怪人の背後に回り込み、引き剥がした上でグランインパクトを叩き込んだ。

 

『Time out Reformation』

 

「はぁ……間に合った……」

 

「親父!一体どう言うことだこれ!?」

 

「イッチーまた何かあったの!?」

 

「詳しい話をしている暇はない。さっさとここを離れるぞ」

 

2人を安全な場所に運ぶため、本音の手を掴んで動き出そうとした。だが、手を掴んだ直後、一夏の顔には生暖かい、赤い液体が飛び散った。

 

「本音?……本音!!」

 

絶命したと思っていた怪人だったが、まだ余力があったようだ。最期の力を使い、本音の心臓を貫いき命を奪った。

 

「本音!本音!!本音!!!ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」




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導き

「クソが……クソが!クソが!クソが!!!」

 

また時間が巻き戻った。最初と同じ食材を仕入れてたところからだ。最初は本音が殺された様子を見せられた事で次の戦いの対策を考えることすらできなかった。だが家に着いてからと言うもの、本音を殺した怪人と守れなかった自分への怒りが込み上げ、荒れていた。

 

「イッチー……その、私は大丈夫だから……」

 

「大丈夫な訳ないだろ!殺されたんだぞ!あんな連中に!そして俺は守れなかったんだよ…!それのどこが大丈夫なんだ!?」

 

「いいから落ち着け。怒ってもどうにもならないだろ」

 

今回は本音も一音も覚えている様だ。だが覚えているとは言え、2人とも一夏を責めることはしない。と言うよりも、ここまで荒れている一夏を見れば、声をかける気すら無くなってしまう。こんな一夏を見たことが無いからだ。

 

「少し出かけてくる。今日と明日は家を出るな」

 

それだけを言い残し、バジンに乗ってスマートブレインまで飛ばしていった。そして着くなり用件を聞きに来た受付を突き飛ばし、社長室まで一直線に向い扉を蹴り飛ばして中に入る。

 

「……え?ウオッ!なんですか!?」

 

「おい。今すぐベルトを渡せ」

 

「はい?」

 

「早くしろ!ファイズとデルタは俺が持っていく。カイザとオーガは草加と木場に渡しておけ。また戦いが始まるぞ」

 

「いや。その、急に言われても……」

 

「早くしやがれ!!」

 

出し渋る村上だが、一夏の強迫に負け要求通りファイズとデルタの2つを渡す。

 

「明日、草加と木場にこの時間、この場所に来るように伝えろ。何が起こるかは行けば分かる」

 

ベルトの入ったケースを2つ持ち、一夏は最初の戦場へと向かっていく。前回や前々回と比べて、到着した時間が少し遅かったのか、既にショッカーが暴れまわり被害が出ていた。

 

「変身……」

 

『complete』

 

デルタに変身し、目の前にいる敵を何も言わずに倒していく。感情があるのかと聞きたくなる程に、何も感じない戦い方をしている。

 

「一夏!」

 

「ようやく来たか。作戦を思い付いた。さっさと片付けるぞ」

 

「さっきは大丈夫だったのか?」

 

「黙ってろ」

 

一夏の様子がおかしいことに不信感を覚えるが、目の前の状況では一々気にしてる暇はない。作戦と言うのも気になる。早く片付けるしか無さそうだ。

 

「チェック」

 

『Exceed Charge』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?作戦ってなんだ?」

 

「簡単だ。先回りする」

 

「先回り?」

 

「今まで俺たちは、戦うための力を準備してから現れる場所に向かってた。だが、アイツらが出る場所は明日の分まで分かってる。その場所にあらかじめ戦える人間を置いて、時間になったら動く」

 

「とは言え、戦えるのは俺たちは3人だろ?」

 

「ここに来る前、村上にベルトの封印を解くように言って来た。俺がベルトを持ってるのは、強迫紛いな事をして渡してもらったからだ。既に他のベルトの封印も解いて使用者に渡してる筈だ。村上なら、ただ封印を解く以外にも色々手を打ってくる。この戦いもすぐに情報が行くだろう。あのバカ2人も記憶は持ってるみたいだからな。問題は無いだろ」

 

「配置はどうするつもりだい?闇雲に置いても意味はないだろ?」

 

「明日ショッカーが襲撃する最初の場所には草加と木場、お前たち2人の4人。俺の家には俺と一音の2人で戦う。そして、それ以降の戦いは……」

 

「?」

 

「俺が死んでもう一度時間を巻き戻す」

 

「正気の沙汰とは思えないな~。第一に、君が死んでまた時間が巻き戻るとは思えない。最初は君が死んで時間が巻き戻った。次は一音、そして君の妻。次も都合よく巻き戻るとは考えにくい」

 

二度目、三度目があるのかと言う話だ。状況的には一夏本人か関係の近い人間が死んだ事で時間が巻き戻る。しかし1番近い人と本人は既に一度死んでいる。また死んでも時間が戻る保証はないのだ。この場合、確実なのは草加と木場の命を差し出すことになる。だが、一夏はそれを選ばず躊躇なく自分を差し出した。

 

「他に差し出せる手頃な命があるなら、言ってみろ」

 

「お前の命も手頃じゃない事を理解しろ」

 

「じゃあ何を捨てればいい。何を失えば良いんだ?少なくとも俺は、もう家族の死ぬ姿は見たくない……次に誰かが死ねば、俺は自分を許せそうにないし、保てそうにない」

 

もう一夏は限界だ。精神的に追い込まれ過ぎている。これ以上の戦いは一夏の身を滅ぼしてしまう。こんな状態で戦いに行かせるのは危険でしかない。

 

「もう少しマシな作戦かと思ったが、俺はその作戦には乗れないな」

 

「僕もだ。悪いけどそれを実行するつもりなら、僕は手を貸すことはできない」

 

それを言い残し、2人は一夏の前から去ってしまった。一夏としても自分の言っていることの異常性に気付いていない訳ではない。こんな無謀その物とも言える作戦を実行するなどバカらしくて仕方ないと思っている。だがそれを選択せざるをえない状況にまで、少なくとも一夏の中では来ているのだ。

 

「少し分からせてやる必要があるな」

 

「何をするつもりだい?」

 

「アイツの持ってるものを教えてやるだけだ。変身」

 

『KAMEN RIDOE RYUKI』

 

「そしてコイツだ」

 

「成る程ね」

 

取り出したのは士と海東が使っているカードとは別のデザインが施された物を取り出し、左腕に着けているドラゴンの頭を模した物にカードを入れる。

 

『TimeVent』

 

カードが読み込まれると、士達の立っていた空間が割れた鏡の様に粉々になり、ブラックアウトした。が、直後に巻き戻るように割れた空間が戻っていき、元通りになった。

 

「これで、いい方向に行くと良いんだが……」

 

「随分な荒療治だからね。一夏が時間を巻き戻されてることに気付くかも分からないのに」

 

「アイツなら大丈夫だ。必ず気付くさ。そして自分のもっとも大切なものにも。タイムベントに少し細工はしてるが」

 

士は期待している。表情からそれが分かった。海東が一夏の居た方向を見ると、何かを思い出した様に走り出していた。先程まで暗かった表情が、心なしか明るくなったようにも思える。

 

「ほらな」

 

「今回は上手く行っただけでしょ。精神が壊れる可能性だって十分にあった筈だ」

 

「賭けてみたい気分になったんだよ。この世界の救世主にな」

 

そして一夏は賭けに勝った。これが大きな変化に繋がると士は確信している。一夏の中でも大きな変化があったのは確かだ。




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人生もう一度

感想と活動報告、是非ともよろしくお願いします!

あ、このエピソードは何故か10000文字越えてるので、読んでるとしんどくなると思います。休みながら気軽に読んでくださいね笑


『Time Vent』

 

突如として辺りに響いた電子音。音のした方向に顔を向けるが、突風にでも吹き飛ばされたかの様に後方へと倒れこんだ。一瞬だが意識も失ってしまった様だ。

 

「っ……なんだ今の?」

 

「待て織斑一夏!」

 

「ッ!?なんだ!?」

 

「私たちから逃げられると思うな!!」

 

(IS!?封印されてる筈だぞ!なんで!…ん?)

 

意識が戻ると、いきなりISに追いかけ回されていた。そして気付いた。自分の容姿が幼くなっていることに。

 

(待て……これって確か……誘拐された時!?)

 

見覚えのある古い倉庫。2機の量産型IS。今までのループとは違うが、この状況から過去に飛んだことが理解できた。

 

「どうなってんだよ!」

 

ベルトも無ければこの頃の一夏には大して体力もない。そろそろヤバい。そんな時だった。自分がよく知っている仮面ライダーが倉庫に飛び込んできた。

 

「オーガ……木場か。そうだ。俺は確かこの時初めて変身したんだ。仮面ライダーに」

 

そう。一夏はこのあと、倉庫の外で待機していたバジンからファイズギアを投げ渡される。そして変身して木場と共にISを倒すのだが、いざ冷静になりバジンを待つと結構な時間があることに気付いた。しかも気付けば木場は防戦一方だ。

 

「この時代のライダーズギアじゃこうなるか。仕方ね。木場!少し待ってろ!」

 

「え?なんで俺の名前を!?」

 

「あ!待て!!」

 

木場が突き破った壁の穴から脱出し、表に停めてあるバジンに近付く。ISが1機迫ってくるが、リーチは十分にある。慣れた手付きでベルトを腰に巻き、ISと向き合った。

 

「観念した様ね!大人しく死になさい!!」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『complete』

 

「なっ!?ガァ!」

 

変身直後、追ってきたISを殴り飛ばし倉庫へと押し戻した。そしてミッションメモリをファイズフォンから外し、バジンのハンドルにさす。

 

『ready』

 

いつでもファイズエッジとして使える状態にし、エンジンをかけて倉庫内に向けて走っていった。

 

「あんのクソガキ…!殺す!!」

 

「誰がクソガキだ?」

 

「うわっ!?」

 

入るのと同時に、バイクで轢き飛ばした。そして木場を押さえ付けていた方もファイズエッジで殴り飛ばす。

 

「立てるか?」

 

「まさか、変身したのか…!?なんて危険な事を……」

 

「目の前を見ろ。んな事言ってる場合か?」

 

その後はあっという間に片付いてしまった。時間が戻り子供の体になったとはいえ、中身は戦い慣れた状態だ。変身すれば体力を含む身体能力はベルトでカバーされる。つまり、この頃の木場と比べて一夏は圧倒的にその先に居ることになるのだ。手子摺る理由も敗北する理由もない。

 

「ふぅ。終わったな。グッ……!意識が……」

 

ベルトを外して返そうとしたときだ。再び意識が薄れていき、倒れそうになる。感覚的には地面とそろそろ触れ合う頃だ。だが地面の感触がくる前に、意識が戻り別の場所に移動したことに気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今度はIS学園。第1アリーナのピットか」

 

着けているのはデルタギア。状況やタイミング的に、クラス代表決定戦の試合開始直前だろう。このあとの事は知っている。オルコットとの試合だ。終始一夏のワンサイドゲームで終わる。

 

「こんな過去見せてなんになるってんだよ……変身」

 

『Standingby』

 

ブツブツと文句を言いながらも、デルタに変身した。

 

『complete』

 

電子音と共に、一夏の体に白いラインが回り、光に包まれると、そこにはオレンジの複眼に、黒い体のスーツを纏った一夏が立っていた。

 

「さてと、行くか」

 

右腕を軽くスナップさせるように振り、アリーナへと降りていく。

 

「ようやく来ましたわね。あら?男にはお似合いの欠陥機ではありませんか。飛行能力もない、武装は腰に付いている拳銃1丁とは……随分と情けない機体ですわね!そんな粗末な機体でわたくしに勝てるとでも!?」

 

聞いた事のある台詞である。だが、申し訳ないが答えを知った上でその台詞を聞くと虚しいものがある。

 

「貴方に最後のチャンスを与えますわ。織斑先生がなんと言おうとも、わたくしが一方的な勝利を納めるのは自明の理。ボロボロで惨めな姿を晒したくなかったら、今ここで謝りなさい。そしたら、許してあげない事もなくってよ」

 

「…………」

 

流石の一夏でも、この後の展開を考えると少し可哀想に思ってしまう。どうせ巻き戻った時間だし負けてやろうかと思ったのだが、それもそれで癪に障る。結果、可哀想だがあの時と同じ様にすることを決めた。

 

「黙りですか……なら、死になさい!」

 

その台詞の直後に試合開始の合図が流れる。そしてライフルでレーザーを撃たれ直撃すると爆発したのだが、当然一夏にダメージはない。

 

「な!?ッ!さあ、踊りなさい!わたくしとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!!」

 

「その台詞、自分が舐めても勝てるような相手以外には使わない方が良いぞ」

 

ここからは記憶と同じ。オルコットはビット兵器を展開する事ができずに一夏に沈められてしまった。

 

「さてと……タイミング的にはそろそろだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かこの辺りだったな」

 

変身した状態で壁に触りながらそう呟いた。そして腕に力を込め、全力で殴り付ける。

 

「遅くなった。後は俺がやる(やっぱりこの場面か)」

 

「本当よ。どれだけ待たせる気?」

 

「遅すぎですわ!」

 

「そんだけ騒げるなら大丈夫か。一気に片を付けさせてもらう!」

 

そう言うと、手首に巻いている腕時計の様なもの、ファイズアクセルからメモリーを抜き取り、携帯のメモリーと差し替えた。

 

『Complete』

 

「無人機相手ならこれくらいが丁度良いよな!」

 

そう。ここはクラス対抗戦で無人機が乱入してきた所だ。この後一夏は無人機を撃破するのだが、その前に大きな問題があることを思い出した。

 

『一夏!!男なら……男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』

 

「「な!?」」

 

「昔はバカだと思ったが、たったそれだけの為にここに来た根性は認めてやるよ。篠ノ之」

 

そのバカデカイ放送が流れると、正体不明のISは放送室に狙いを定め、アリーナに突っ込んだ時と同じレーザーを放った。

 

「次は撃ち落とされるつもりはないぞ!」

 

『startup』

 

『ready ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

抜き取ったメモリをファイズショットに差し込み、加速を付けてレーザーへと突っ込んでいく。ファイズアクセルの超加速でグランインパクトは名刀の如く鋭くなり、無人機の強力無比なレーザーを真っ二つに切り裂きながら進んでいった。

 

「ハァァァァア!!」

 

直撃を受けた無人機は、見事に頭部が消し飛び機能を停止した。少し未来が変わるが、この場にいる人達を救えたことに違いはない。そして一夏自身、自分の成長を実感することになる。悪いことではないのは確かだ。

 

「よし!この流れだと次は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりここか。ラウラ」

 

次の時間はVTシステムに乗っ取られているラウラの場面だった。

 

「デュノア。とっととここから離れろ」

 

「え?」

 

いくら中身が成長した一夏とは言え、体は学生の状態。VTシステムに完全に支配されているラウラの攻撃はそう易々と受け止められる物ではない。

 

「やっぱキツい……!なぁラウラ、昔も言ったけどよ、なにシステムごときに乗っ取られてんだ!おい!」

 

初めて相手にしたときと同様に声をかけた。もしかしたら反応を示してくれると期待したからだ。だがそう簡単に変わってくれる筈もなく、容赦のない攻撃を受けることになった。

 

「無理か……なら、また耐えてくれよ!」

 

『complete』

 

『Startup』

 

アクセルのスピードを駆使して装甲を少しずつ剥がしていく。これも冷静になって見てみると、削った所は時間が経つにつれて回復して行っている。

 

「昔の俺、よく助けられたな。よっと!」

 

ラウラが乗っている場所に腕を突っ込み、中から無理矢理引きずり出した。

 

「あっぶね。力加減間違えちまった……大丈夫そうで良かった~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今度はどこだ?体が重い……でも嫌な感じじゃない。それにこの匂いは……なんか安心できる。抱き枕?にしては柔らかいし温かいな……布団の中か?)

 

再び時間が飛んだ。だが今度は状況が分からない。何故か辺りは薄暗く、更に体のダルさを感じていた。しかし不快感は一切ない。

 

(時間を確認しないと……)

 

時計を取るために布団から手を伸ばすと、ようやく状況に気付いた。

 

「本音……じゃあ初めてコイツと会ったときか」

 

そう。この時間は初めて一夏が本音と繋がりを持った時間だ。正確に言えば、千冬が一夏を起こすために本音を部屋に向かわせるが、本音も一夏と一緒に寝てしまったあの時だ。

 

「こんなに温かくて、安心できる存在だったんだな。俺にとって……」

 

今まで忘れていた何かが自分の中に出てきた気がする。それを噛み締めるように、本音を抱く腕に力を僅かに入れた。表に出さないが、一夏は本音を誰よりも好きに思っている。不器用故にそれを表に出せず、尚且つ忘れかけてしまった。そしてショッカーとの戦闘で、その感情は限り無く0に近付き、ショッカーへの憎しみ以外の感情が薄れていっていた。だが、一連の流れが一夏の中にある感情を呼び覚ましてくれた。そしてそれが溢れ出ている。

 

「ゴメンな。本音。忘れててゴメン。俺はお前が好きだ。誰よりも好きだ。なんでこうして、出会う所からやり直さないと気づかねーかな……お前は俺にとって大切な人だ。大切な恋人だ。大切な家族だ。誰よりも愛おしい、俺の妻だ」

 

本音はぐっすりと眠っている。恐らく一夏が言っていたことには気付いていないだろう。一夏本人も結構小さい声で呟いている。それに聞いてもなんの事か理解できないだろう。

 

ここからは無意識に2人の距離が縮まっていった。速度としては速かったが、一夏の言った通り安心できると言うのが大きな理由だろう。この時から無意識に2人は安心しあえる仲だったのだ。鈴からは距離縮まるのが早すぎないかとツッコミを受けたが、だからと言って障害があったと言うわけではない。問題なく2人の仲は深まっていった。

 

が、それはあくまで直接2人の間と言うだけで、その他の外野が色々と問題を起こしてくれていたのは言うまでもない。特に本音、布仏と言う家柄が原因だ。布仏は所謂従者。主である更識に仕える存在だ。そしてその更識と言うのが暗部と言う厄介で迷惑な組織だ。珍しくスマートブレインが救済処置なしの敵と認定したのがここである。なお、組織の壊滅や苦痛なき死が救済処置の項目にあるのはここだけの話だ。

 

「お断りします!」

 

「それは無理よ。貴女にも分かるでしょ?ライダーズギアを作り、それを多数保有しているスマートブレインの危険性は。織斑一夏はスマートブレインと深い関わりのある人間よ。もう一度言うわ。本音、織斑一夏からスマートブレインの機密情報とライダーズギアを奪ってきなさい。これは更識の決定事項です。貴女に拒否権はありません」

 

「楯無さま……何度言われても私の考えは変わりません!私には!イッチーを、大切な人を裏切る真似はできません!」

 

「大切な人を裏切る?まさか本当に恋仲になってたなんて……確か、一緒に寝ちゃってそれから仲良くなったんだっけ?いい?それは恋心で今の関係になった訳じゃないわ。ただお互いに意識しちゃってそれがズルズルここまで続いただけよ。それに、学生時代の恋愛なんて所詮はお遊び。布仏の人間である貴女はいずれそれ相応の人と結婚するのよ?たかが子供の惚れた惚れたなんて、すぐに過去の事になるわ。だから辛くないのよ。早く任務を実行しなさい。同室の貴女が適任なのは分かってるわよね?これは、命令よ。違反は布仏一族全体の事だって、忘れた訳じゃないでしょ?」

 

「ッ…………」

 

一族全体。それを言われてしまえばぐうの音もでない。苦虫を噛み潰したような顔をして、無言で部屋から出ていくしかなかった。

 

「本音……大丈夫?」

 

「かんちゃん……」

 

「な訳ないか…ゴメンね。変なこと聞いて」

 

「かんちゃん、私はどうすれば良いの……!イッチーを裏切りたくない!でも!家族には…迷惑かけたくないよ!」

 

愛する人間と愛する家族を天秤にかけられ、尚且つどちらに転んでも更識にはダメージはなく、必ずどちらかを選んで片方を捨てなくてはならない。実質、両方とも人質に取られてるような物。選ぶには辛すぎる。

 

因みにこの事件は高校3年生。つまりIS学園の生活最後の年の出来事だ。

 

「この時間は……何かあったか?」

 

一夏の意識がようやく到着した。が、一夏はこの時間で何が起こったかは覚えていない様だ。

 

「何をボーっとしてるんだ?もう放課後だ。部活がないならさっさと寮にもどれ」

 

「姉貴?」

 

「学校では織斑先生だと何度言ったら分かるんだ?」

 

出席簿を構えている姿がゴゴゴゴ!と言う効果音が入りそうな佇まいだ。

 

「そんなに怒るなよ。じゃ」

 

色々と理解できてないが、取り敢えず寮の部屋に向かっていった。

 

「あ、イッチーおかえり~」

 

「あぁ。ただいま」

 

「私明日は早くから用事あるから、先にシャワー浴びるね」

 

「分かった。じゃあ飯作ってるぞ」

 

「うん。お願いね~」

 

少な目の会話の後に、本音はシャワーを浴びに、一夏は料理を作るために調理台の前に立った。数分後には食事が始まるのだが、妙にチクチクと肌に刺さるような感覚が空間に漂っていた。

 

気不味い空気のあと、すぐに眠りに付いた。事件が起きたのは次の日の朝である。この日は休日で早くに起きる人は少ない。本音は部屋を出たあとだ。別に焦る必要も無いため、のんびりと身嗜みを整えて軽く朝食を取ろうとしたのだが……

 

「ん~?ん!?」

 

普段ベルトを置いてある机の上になにもないのだ。ツールボックスごと無くなっていた。すぐに千冬の部屋に駆け込み、携帯を奪い取るように借りると村上に電話を急いでかけた。

 

「村上!今すぐファイズギアを追え!」

 

『はい?』

 

「GPS起動させるんだよ!速く!ベルトを盗まれた!」

 

『は!?分かりました。今すぐ調べます』

 

「おい一夏。一体だれに盗まれたんだ?」

 

「疑いたくはないが、本音しかいないな。昨日はなんか妙な様子だったからよ」

 

「妙?」

 

「なんか余所余所しいと言うか殺気だってたと言うか、兎に角変だった」

 

「はぁ……まさかアイツが裏切るとは……世の中なにが起きるか分からないもんだな」

 

千冬は呆れ気味に愚痴を言っている。しかし一夏は疑問に思っていた。この事件はあったような気はするが、かなりふわふわしている。その後の人生も大味と言うか印象深いと言うか、かなりブッ飛んだ凄絶な人生を送ってきた。記憶の果てに消えるのは分からなくもない。

 

「あの少し良いですか?」

 

一夏が頭を悩ませ、千冬がイライラしているなか、ドアをノックして簪が入ってきた。

 

「更識妹か。どうした?見ての通り今私たちは取り込み中なのだのが?」

 

「その事についてです。まずこれを聞いてください」

 

取り出したのはボイスレコーダー。再生ボタンを押すと、数日前の本音と楯無の会話が録音されていた。それを聞いて2人は察した。そして簪を除く更識家に強い殺意を覚えた。

 

「更識妹。いや簪。それを聞かせてくれたことを感謝する。因みに、私たち以外にそれを知っている人間はいるか?会話の当事者を抜かしてな」

 

「ま、まだ誰も知りませんが?」

 

「そうか。布仏姉とご両親にも聞かせてやれ。あとスマートブレインの村上社長と雅人さんと木場さんにもな。名前が分かりにくかったらカイザとオーガを出せと受け付けに言え。すぐに繋いでくれる。さてと、更識家に乗り込んで久し振りに祭りを楽しむとするか。何年ぶりだろうな?こんなに楽しい祭りにありつけたのは……フハハハハハ」

 

完全に千冬がバグった。

 

「ね、ねぇ、なんか織斑先生おかしくない?」

 

「安心しろ。少しストレスで頭のネジが1本飛んだだけだ。1日経てば治る。もっとも、ヤバいネジじゃない場合に限りだがな」

 

「そ、そうなんだ……(家、消滅しないかな?)」

 

それからは速かった。村上、草加、木場と合流し本音の向かった先である更識家へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言い付け通り、ファイズギアとスマートブレインのデータを持ってきました……」

 

「そう。よくやったわね。どう?大したこと無かったでしょ?この世界で生きるからにはこれが日常になるわ。肝に命じなさい」

 

「はい……」

 

「そんなに気負う必要はないわ~。すぐに過去の事になるんだから。下がって良いわよ」

 

冷たいやり取りだった。本音は後悔している。この選択肢を選んだことに。何より、これしか選べなかったことに。

 

(ごめんなさい……イッチー……!)

 

声に出せない懺悔だった。そして悟った。もう一夏達の元に戻れない事を。が、それは本音の勝手な思い込みだった。何故なら、一夏たちはあれでも底抜けのお人好しだ。自分から離れても、見捨てなければ何度でも助けに来て引っ張り出す様な強引な連中。

 

「なんか表が騒がしいわね」

 

「楯無さま!大変です!ぶ、ブリュンヒルデとスマートブレインの連中が乗り込んできました!」

 

「何ですって!?」

 

急いで表に飛び出すと、時代劇かと聞きたくなるような光景が目の前に広がっていた。門を無理矢理バジンで破壊し、対応に当たっていた更識の人間を次々に投げ飛ばし、中へと入っていこうとしていた。

 

「い、いきなりどういうつもりですか!?」

 

「おっと失礼。お邪魔しますよ?更識当主」

 

「全く、よくも色々と舐めた真似してくれましたね。更識の方々?」

 

「なんの事かしら?村上社長」

 

「心当たりがありすぎて何の事か分からない様ですね。草加さん。あれを」

 

「はいはい。これが目に入らないか?」

 

突き出したのはスマホの様な端末だった。画面にはファイズギアに付いているGPSの表示を見せた。指していたのは更識家のど真ん中。乗り込むだけでも十分な理由である。

 

「俺たちはこれを取り返しに来た。これ以上争いたくはない。できれば平和的に解決したいんだが?」

 

「平和的に?勝手に乗り込んで勝手に大立ち回りをしておいて、今更何を言ってるの?それに千冬さん。貴女はそこに立っていて良いんですか?ブリュンヒルデともあろう人が、スマートブレインの連中なんかと」

 

「一緒にいたら何が問題なんだ?貴様らが勝手にスマートブレインと敵対しているだけだ。私は更識の人間では無いんだぞ?それにあんなふざけた事を本音に吹いて操って、今度は私の立場を使って操るのか?」

 

懐からボイスレコーダーを取り出し、簪から貰った音声を流した。如何なる言い訳を封じ込める為に。

 

『それは無理よ。貴女にも分かるでしょ?ライダーズギアを作り、それを多数保有しているスマートブレインの危険性は。織斑一夏はスマートブレインと深い関わりのある人間よ。もう一度言うわ。本音、織斑一夏からスマートブレインの機密情報とライダーズギアを奪ってきなさい。これは更識の決定事項です。貴女に拒否権はありません』

 

『楯無さま……何度言われても私の考えは変わりません!私には!イッチーを、大切な人を裏切る真似はできません!』

 

『大切な人を裏切る?まさか本当に恋仲になってたなんて……確か、一緒に寝ちゃってそれから仲良くなったんだっけ?いい?それは恋心で今の関係になった訳じゃないわ。ただお互いに意識しちゃってそれがズルズルここまで続いただけよ。それに、学生時代の恋愛なんて所詮はお遊び。布仏の人間である貴女はいずれそれ相応の人と結婚するのよ?たかが子供の惚れた惚れたなんて、すぐに過去の事になるわ。だから辛くないのよ。早く任務を実行しなさい。同室の貴女が適任なのは分かってるわよね?これは、命令よ。違反は布仏一族全体の事だって、忘れた訳じゃないでしょ?』

 

『ッ…………』

 

「で何か言うことはあるか?現楯無と先代楯無よ。私達が大立ち回りをしたことにも文句は言えんぞ?ライダーズギアを盗んだんだからな。あと私は教師としてここに来ている。教え子を泣かせた罪は重いぞ…!」

 

本音が自ら勝手にやったと言う言い訳はできない。かと言ってここで返却するのは楯無としてのプライドが許さない。

 

「フフフ……確かに文句は言えませんね。ですが、あなた達も随分なミスを犯してますよ?ここは楯無の敷地。私達があなた方を実力を持って叩き潰しても、文句は言えませんよ?数はこちらが圧倒的に上。ベルト持ちは2人だけ。こちらは100人以上の暗部と私の専用機。戦力差はかなりの物ですよ?」

 

「それはどうですかね。楯無お嬢様」

 

「ッ!?虚ちゃん……!」

 

「話は全て簪お嬢様から聞きました。良くもまぁやってくれましたね」

 

「本音。よく耐えましたね。でも、もう安心してください。今回の事で私も踏み切りを着けることができました」

 

「お父さん……」

 

布仏一家の登場である。因みに中に控えていた更識の暗部たちは既に叩き潰されている。

 

「先代。私達布仏と更識の関係は今日までです!今、この時を以て、我らの関係は終わりです!」

 

「なッ!?貴様、更識に受けた恩を忘れたのか!?」

 

「忘れていませんよ。しかし、娘を泣かせた相手に対して払う義はありません。これ以上娘を利用させないためにも、ハッキリとさせておきます。我々は更識への協力はもうしません。一夏さん。これをお返しします」

 

奪われたスマートブレインのデータとファイズギア、ファイズブラスターを投げ渡した。

 

「一夏、ちゃんと全部揃ってるな?」

 

「あぁ。問題ない」

 

「それは良かった。私としてはこのまま本音と簪を連れて学園に帰っても良いのだが、少々腹の虫が収まらん。ここを叩き潰して二度こんなこと出来ないようにしてやりたいのだが……ここで全面的にぶつかっては双方痛い目を見る。何か良い案はありませんかね。木場さん?」

 

「何で俺に振るかな……じゃあ、ここは公平に代表者の一騎討ちで決めたらどうかな?シンプルで分かりやすい」

 

「俺は構わんぞ」

 

「私たち更識もそれで良いわ。ただし、敗者は勝者の望み全てを受け入れる事が条件よ」

 

「当たり前だろ。じゃなきゃ一騎討ちの意味がない。木場、説明を続けろ」

 

「はいはい。敗者は勝者の望み全てを受け入れる。ただし望みは今ここで提示した物のみ。後付け禁止。回りくどい表現・分かりにくい表現・どちらとも取れる表現の物も禁止。途中で変える事も禁止。特別期間を設けないなら永久的に持続する。破った場合は判明ししだい報復に行く。こんなもので良いかな?勝敗はどちらかが戦闘不能になるまで。戦いのルールは特になし」

 

「あぁ。分かりやすくて良い。シンプルで俺好みだ」

 

「望みがこの場で提示した物だけってのが気に入らないけど、それで良いわよ。あの時みたいには行かないわよ?」

 

「そうか。それは楽しみだ」

 

更識の要求

・ライダーズギアの提出

・ライダーズギア技術の提出

・スマートブレインの解体

・織斑一夏の監視・管理

・布仏家を永久に更識の従者にすること

・白騎士事件の真相を知る者の口封じ

 

一夏達の要求

・布仏家を解放しろ

・二度とスマートブレインと布仏家に関わるな。近付くな

 

「随分と欲張られましたね」

 

「そっちが少ないだけでしょ」

 

場所は変わって広い所に移った。派手に暴れても問題ない様な場所にだ。

 

「バジン。ハンドル貸せ」

 

バジンが自分で抜いて渡す光景にも慣れてきた。一夏は投げ渡されると同時にベルトにファイズフォンを射し込んでファイズに変身した。それと同時に楯無も自身の専用機ミステリアス・レディーをまとう。

 

「行くわよ!」

 

見覚えのある分身を大量に作り出された。

 

「またそれか……同じ手に引っ掛かると思うか?しかも開始早々に作って……」

 

「あなた用にチューニングしたのよ?あの屈辱的な敗北の後にね。悪いけど手を抜けるとは思ってないの。最初から飛ばしていくわよ!」

 

「あぁ。そう言うことか」

 

動き出すと何が変化したのかすぐに分かった。分身も自立して稼動できる様になっている。前に見たときは本体と同じ動きをするか単調な動きをするか程度だったが、今回は本体とそう変りない動きをしている。それが10体も居ると思うと少し面倒だ。

 

「アクセルで一気に蹴散らすか…ッ!?」

 

突然体が一切動かなくなった。どうやら複数の分身が一斉に一夏に向けてワンオフを発動している様だ。しかもいつの間にか専用パッケージで高出力状態になっていた。

 

「ヤベ……こりゃ少し苦労しそうだな」

 

「ここで選択肢よ」

 

「なに?」

 

「今ここで爆発に飲まれて敗北するか、仲間を失うか。選びなさい?降参するなら止めてあげるわ。因みに、時間経過でも爆発するわよ」

 

この場にはシールドと言うものがない。もし分身10体と本体の計11機がクリア・パッションで爆破を起こせばここら一帯はただではすまない。当然観戦している人達も巻き込まれてしまう。更には逃げられないように、武器を持った暗部の人間が千冬達の背後に立って動きを封じていた。

 

「随分とやってくれるな。ルール無用とは言ったが、ここまで来ると逆に清々しいぜ」

 

「ありがとう。誉め言葉として受け取っとくわ。さぁ、仲間の命か敗北か、今すぐ選びなさい!」

 

「……選択肢の変更だ」

 

「なに?」

 

「お前の仲間の命か、俺の敗北だ」

 

「ッ!?」

 

急いで千冬達の方角に目を向けるが、動きを押さえていた暗部達はコテンパンにやられており、気を失ってのびていた。

 

「(よし!緩んだ)よっと!」

 

『complete』

 

『startup』

 

「ナッ!?」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァァア!!」

 

一瞬の隙を突いて拘束から抜け出し、分身を全て破壊。一夏に有利な状況になった。

 

「何で……!?」

 

「お前の分身、ブルーティアーズのビットと同じ脳波制御だろ?10体を同時に制御して尚且つ自分も動けた事は流石だと思ったけど、動揺して拘束を緩めてくれたんで抜けられた。まだオルコットの方が制御上手いぞ」

 

「ッ!……フ。ならこれはどう?」

 

「ん?危ね!?何だ?」

 

分身は破壊した。だが破壊された分身がたっていた場所には水溜まりができており、そこから紐の様に水が伸びて一夏を捕まえようとしていた。元々分身を作っていたナノマシンで脳波制御可能に改造されている。こんな芸当ができるのは当然と言えば当然だ。

 

「とんでもねぇ改造してくれたな!」

 

「こんなこともできるわよ?」

 

「ッ!?ウワッ!」

 

飛び散った水が小規模な爆発を起こした。威力的には小さいが、動きを制限する分には十分だ。そこにランスで攻撃されれば受け流しきれない。

 

「ウグッ!威力も上がってやがる……!」

 

「言ったでしょ?あなた用にチューニングしたって!」

 

「チッ。ブラスターになりたいが……」

 

生憎、ファイズブラスターは手元にない。バジンが投げ渡してくれれば使用可能だが、暗部4、5人を両脇に抱えてる状態だ。投げ渡してくれそうもない。

 

「だぁ!畜生!メンドクセーな!!」

 

『ready』

 

ハンドルにミッションメモリを入れてファイズエッジを作り出し一直線に突っ込んで行った。

 

「バカね。そんなの私にとって的よ!」

 

「んなの百も承知だよ!」

 

自分の致命傷になりうる攻撃のみをいなし、後の攻撃は無視して突き進んでいく。

 

「ハァァァア!!」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「オリャア!」

 

「ッ!?」

 

「ウォォォア!!」

 

ファイズエッジから放たれたエネルギー波は楯無を拘束して動きを封じ込めた。一夏は更に加速して楯無に接近し、間合いに入った所で荒々しくファイズエッジを振り回した。

 

完璧に決まったが、まだシールドエネルギーは残っていた。防御面もかなり向上しているようだ。それを確認すると、ファイズエッジからメモリを抜き取って投げ捨て、変わりにポインターに射し込む。

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「これで、終わりだァア!!」

 

「グッ!グァァァァァア!!!」

 

「勝負ありですね。要求は飲んで貰いますよ。良いですね」

 

先代楯無は悔しそうな顔をするが、勝負前に決めたことだ。それに当事者同士が勝手に決めた訳ではなく、一同同意の元だ。言い訳をして勝負を無かったことにするのは不可能。完全に更識の詰みである。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ウオオオオオオオ!!!はぁ!スッキリした!本音!」

 

「は、はい!」

 

「帰るぞ~。今日の飯当番お前な」

 

「え?えっと……その……」

 

「遊びじゃないんだよ」

 

「何が?」

 

「お前との関係。遊びで終わらせるつもりはねぇよ。来月まで待て。27日に市役所行くぞ」

 

「何で?」

 

「婚姻届。貰って出す」

 

「はえ///!?わ、私たち未成年だよ!」

 

「だから来月の27なんだよ。俺が18になるから法律上問題は無くなる」

 

「で、でも親が……」

 

「私は構わないよ。彼なら任せられる」

 

「私もよ~」

 

「本音。来月から姉妹だな」

 

「で、でも……」

 

「お前が嫌ならそれでも良いが―」

 

「嫌じゃない!でも、私は!」

 

「俺は気にしねぇ。だからお前も気にすんな。結婚したいのか、したくないのか、それだけ聞ければ良い」

 

「したい……イッチーと結婚したい!」

 

「ならそれで良いだろ。さっさと帰るぞ」

 

「はい!」

 

「草加さん。木場さん。やることは分かってますね」

 

「資金繰りと式場の準備だな?」

 

「余興やプランの手配ですね?」

 

「来客リストも作ります。全社員に通達して必ず2人の結婚式を成功させますよ!」

 

「なにやってんだ?何年後の話をしてんだよ……そう言や、こんなこともあったな~」

 

「え?なに?」

 

「いや。早く帰るぞ(確か、このあと簪が勘当されたとかで転がり込んで来るはずだったな……そりゃ忘れるか)」

 

因みに、簪はIS学園卒業後スマートブレインに就職するのだが、名字の更識を見て何人かの社員が「あの更識?」と言っていたのだが、

 

「いや待てよ?確かあの人、一夏さんの婚約者の本音さんが楯無に無茶な任務を無理矢理押し付けられた時に唯一味方になった人じゃなかったっけ?布仏家全部救ったとか……」

 

「えマジで?あの中で?スッゲ!カッケー!」

 

「まさにヒーローじゃん!?トルーパー隊に入ってくれないかな~。隊長になったら同じ班でやりたいな~」

 

「でも科学者としての腕も良いって聞いたぜ?専用機を学園の整備室で組んでたって」

 

「マジかよ。じゃあ開発部も行けんのか~」

 

「一緒に仕事やってみたいよな~」

 

なんの問題もなかった。この後、簪はトルーパー隊になり隊長に昇格した。




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復活の救世主

本日1本目です。


士のタイムベントから抜けた直後、一夏は急いで自分の店へと走っていった。その後に続いて、士と海東もゆっくりと歩いて店へと向かっていく。

 

「本音!一音!」

 

「イッチー!?町は大丈夫だったのウワ!?……へ?」

 

「いって!何しやがんだ親父!!」

 

「うるせーよ……少しはこうさせろ」

 

店に入って早々に、一夏は本音と一音に抱き付いた。力強く、2人の存在を確かめるように。すると時間が巻き戻り険しい表情だった一夏の顔が、いつもの穏やかな物へと戻っていた。一夏はようやく気づいたのだ。自分が持っているものに。

 

「ようやく復活か?一夏」

 

「士か。お前の仕業だな。さっきの妙な時間の巻き戻りは」

 

「よく分かったな。と言っても、やったのはさっきのが初めてだ。それ以前の時間ループは俺が原因じゃない」

 

「まぁ良い。礼を言っとくよ。大事な事に気付けた」

 

「なら、さっきの滅茶苦茶な作戦は無しって事で良いのかな?」

 

「……俺は1人で戦ってるつもりだった。でも、生まれて此の方1人で何かをやり遂げた事なんて一度も無かったからな。いっつも横に誰かがいた。潔癖症気味のバカだったり、幽霊苦手な小心者だったり、世界最強の姉貴だったり、人型になるバイクだったり、赤髪のうるさいヤツだったり、大切な家族だったりな。皆がいて初めて解決できた。だから、この事件も皆で解決する」

 

「中々に悪くない作戦だ。それになら手を貸せるよ」

 

それから、一夏は村上に全ての情報を渡した。その結果、緊急事態として一部ライオトルーパー隊を復活。ライダーズギアも最終所有者の元に戻される事になった。

 

「海東は草加達の所に行ってくれ。あっちは数が多すぎるからな。士はこっちで俺の手伝いを頼む」

 

「あぁ」

 

町には既にトルーパー隊も展開している。地上はパトリック隊とドイツ軍元IS部隊のシュヴァルツェア・ハーゼの合同部隊と、簪率いる500人のライオトルーパー大隊、おまけに空にはマドカの変身するサイガが率いる30人程の空中小隊。現場の指揮はそれぞれの隊長に任せているが、1番後ろには村上が控えている。これプラス草加と木場、海東に人型になって自由に動き回れるバッシャーだ。

 

敵が可哀想に思えてくる程の体制だが、一夏達が何度と殺されていること、時間が巻き戻るたびに敵が強くなっていることを考えると、これくらいは必要になってくるのかもしれない。

 

因みに、これを機にISも復活させろとの声があったが、乗る人間を確保するための時間が無いと言われ突っぱねられた。

 

「こちら簪。住民の避難は完了。敵を待つ」

 

「パトリック了解。こっちも引き続き敵を待つ」

 

「上空小隊から地上部隊へ。今の所敵の影は無い。出現時間まであと1分。警戒を怠るな」

 

「分かってるよ。そっちも出たら援護頼むぞ」

 

「理解している。ん?灰色のオーロラが現れた。そっちはどうだ?」

 

「2人とも、敵のお出座しよ。村上さんからは無制限攻撃許可が降りてるわ。いつでも初めて」

 

「了解。変身!」

 

『complete』

 

「上空部隊、援護に向かう」

 

何故いつも急に湧いてくるのか不思議だったが、どうやら士や海東が移動するときに使うオーロラをショッカーも使用していた様だ。

 

ショッカーが現れた直後、静かだった町は突然ドンパチ騒がしくなってきた。前回一夏が相手にした時よりも格段に多くなっている。だが万全と言える準備を施した。酷しい戦いではあるが全く相手にできない訳ではない。順調と言っても良いほどに敵を殲滅していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騒がしくなってきたな……」

 

「向こうは始まったみたいだな」

 

「あっちが終わったら、次はここだ。数はさっきより多いが、油断するなよ」

 

今一夏の店には一夏と一音、士、バジン、本音がいる。戦えるのは本音を除いた4人。今回は一音も変身できる。戦力的には圧倒的に前回よりも強い。敵が増えれば話は変わるが、前と同じなら万が一にも負けることはないだろう。

 

「そろそろだ」

 

一夏が呟くと、3人は変身しバジンはバトルモードに変わった。本音はバジンが守ってくれている。変身してから数秒後に、店の入り口をぶち破ってショッカーの怪人が複数入ってきた。

 

「店の入り口は静かに開けろ!修理代請求するぞ」

 

1番最初に入ってきた怪人を外に蹴り飛ばして、全員外に追い出した。

 

「タイミングバッチリだな」

 

「とっとと叩き潰すとするか」

 

「バジン、本音は任せたぞ」

 

『ガッテン』

 

一夏は拳の間接を慣らし、一音と士は剣を、そしてバジンは久し振りのプラカードで戦おうとしていた。

 

「本音、お前は何があっても自分の事を守れ。もしもの時はバジンに乗ってスマートブレインに逃げろ」

 

「分かった!」

 

本音の身の安全を第1に考え、もしもの時は逃げることを約束させ、ショッカー怪人と向き合った。

 

「さてと、前の借りを返させてもらうぞ。歯、食いしばれよ?」

 

「ついでに入り口の修理代も入れておけよ」

 

「ついでのついでに、何度も時間を戻して面倒事を生み出し続けてることと、性懲りも無く蘇り続ける事もな」

 

ほとんど憂さ晴らしであるが、それぞれそれなりにショッカーに対してストレスを抱えていた様だ。それが3人に勢いを付けさせ、一気に怪人を始末した。

 

「コイツら、生命力は無駄に強いからしっかり始末しろよ」

 

「どうやってだよ!?」

 

「焼けば良いだろ?こんな風にな」

 

『KAMEN RIDOE RYUKI』

 

士はベルトにカードを入れて、赤い龍を模したライダーに変身。更にライドブッカーからもう1枚変身したライダー関連のカードを取り出した。

 

『ATTACK RIDOE STRIKE VENT』

 

右腕に龍の頭がはまったかと思うと、割れたガラスの中から赤い龍が出てきて士の後ろを飛んでいた。

 

「ハァァァァ……ハァ!」

 

右腕を突き出すと同時に、龍が強烈な火炎弾を吐き出し怪人を焼きつくした。

 

「成る程。なら俺は、こうだ!」

 

一音は近くにいた怪人にブレードを突き刺し、一気に大量のフォトンブラッドを流し込んだ。フォトンブラッドは生物にとっては毒でしかない。怪人も身体の構造は違えども生物であることに間違いはない。多少、効きが悪いかもしれないが、大量に流し込まれてしまえばそこらの生物と同様に灰になって死んでしまう。

 

「息子ながら恐ろしいな……」

 

「生命力強いって言ったのアンタだろ?まぁ俺から言わせれば、黙々とそいつらの頭を叩き潰してる親父に言われたくないんだがな」

 

一音の言う通り、一夏はグランインパクトで怪人や戦闘員の頭を的確に狙って叩き潰していた。確かに確実ではあるが、絵面は酷い。

 

「よう。さっきはよくも嫁を殺してくれたな?」

 

「ッ!?」

 

「オラァ!」

 

前回の時間で本音を殺した怪人を見付けた。殴り飛ばして離れた位置に誘導すると、全力で攻撃を叩き込み始めた。一撃一撃に恨みと怒りを込めて確実に入れていく。当然相手も反撃しようとするのだが、その隙すら与えない程の連撃を与えていった。

 

「悪いが俺は焼く事はできないんでな。普通に終わらせてもらう!」

 

『ready ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ダァア!!」

 

『ウワァァァア!!!』

 

グランインパクトで上空に叩き上げ、更に落ちてきた所にポインターで拘束。クリムゾンスマッシュを叩き込んで灰に変えた。

 

「今度こそちゃんと死んだな」

 

完全に灰になったことを確認すると、自分の店まで戻っていった。

 

『FINAL ATTACK RIDOE RYURYURYU RYUKI』

 

『FINAL VENT』

 

「チェック」

 

『Exceed Charge』

 

「ハァァァァ……ハァァア!!!」

 

「オリャアアアア!!!」

 

ちょうど終わっていた様だ。本音も無事で敵も全て燃やされたか灰になっているかだ。

 

「よう。そっちはどうだ?」

 

「問題ない。こっちも終わったみたいだな」

 

「あぁ。さてと、明日からどうなることやら」

 

不確定な未来へと進んでいく事になったが、今のメンバーなら問題ないかもしれない。そう思える程に今回は順調に終った。




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敗北

さてさて2本目。量が多いのでテンポよく行きますよ。


ショッカーの侵攻を防いだライダー達。今回は万全と言える準備を施した。町への被害も最小限で済んだ。

 

「簪!」

 

「一夏にみんな。そっちも大丈夫だった?」

 

「あぁ。店は壊されたが、怪我人はいない。本音も無事だ」

 

「やぁかんちゃん」

 

「良かった」

 

トルーパー隊の被害は軽微。全員無事なようだ。そして簪は本音の顔を見ると安心したような表情を浮かべた。

 

「そうだ。これ」

 

何かを思い出したかのように、簪は懐から小さい端末を取り出し一夏に渡す。そこには町のマップと小さい点が映っていた。

 

「ヤツらが引き上げた時、敵の1人に発信機を取り付けたの。結構小型のだから気付かれない筈だよ。そして今止まってる場所が本拠地だと思う」

 

「どこだこれ?町の中心からかなり離れてるな……」

 

いつも町のど真ん中に現れていた。その為、町の近いところに本拠地を構えているのかと思っていたが、町の住民ですら知らないような端っこで発信機から信号が送られていたのだ。

 

「今は使われてない工業団地だよ。何十年も前に全ての工場が閉鎖されて、今は無人の一角になってる。範囲もかなり広いから隠れるにはうってつけかも。おまけに工場の機械の一部はまだ使えるみたいだから、ヤツらが改造したのかもしれない」

 

「村上はなんて言ってたんだ?」

 

「まだ情報が少ないから、パトリック隊と黒兎隊の合同部隊が情報を集めに行ってるから、それを待ってだって。たぶん3日くらいじゃないかな?合同部隊が帰ってくるのは」

 

「ならそこから更に情報の整理や部隊の配置の時間を考えると……敵地強襲は早くて1週間後か」

 

「戦闘の感覚は抜けてないみたいですね。流石です、兄さん」

 

「マドカ。お前も復帰したのか」

 

「田舎でのんびり暮らしていたのですが、村上さんに呼び戻されて」

 

「成る程。一旦スマートブレインに行こう。休むためにもな」

 

一夏の提案通り、簪は全体に帰還の命令を出しスマートブレインに戻ることにした。到着後、一夏達と簪、マドカは村上の元へと向かっていく。

 

「どうだ?情報は入ったか?」

 

「早すぎます。と言いたいですが、既にかなりの情報が入ってきましたよ」

 

そう言うと、後ろのホワイトボードに写真を張り付けていった。どうやら潜入したパトリック達が見た目に変化のある怪人ごとに写真を撮って送っていたらしい。

 

「見た感じですけど、様々な種類の怪人が集まっている様で……」

 

「その古臭い格好とデザインの怪人がショッカー。今回の組織の大元だ」

 

「知ってるんですか?」

 

「いろんな世界を回ったからな。大体分かる。ショッカー、GOD機関、バダン、ゲルショッカー、クライシス帝国、ミラーモンスター、オルフェノク、アンデット、ワーム、ファンガイア、財団X、グリード、ゾディアーツ、ロイミュード、最後にアナザーライダーだな。毎度のことながら、どこからこんなにかき集めてきたんだか」

 

「待て。このオルフェノクっての知ってる」

 

「俺もだ」

 

「俺も」

 

士が貼り出された写真にそれぞれ名前を書いていくと、一夏と草加、木場がオルフェノクに反応した。

 

「この世界にはオルフェノクはいないはずだが?」

 

「夢の中でだ。俺はデカイのをもう1人のファイズと一緒に倒した」

 

「俺はそこのロブスターみたいなのを」

 

「俺は1番手前にいるドラゴンみたいなのと戦った。ちょうど流星塾の同窓会の夢を見てるときに」

 

「多分、その世界のターニングポイントとなった時間に精神だけ引っ張られて、それが夢と言う形で現れたんだろうね。君達が戦ったオルフェノク、一夏の言ってた大きいのはいないけど、その世界のファイズ、カイザ、そしてオーガに変身した木場勇治と因縁のあるオルフェノクだから」

 

納得できなくはない。確かにあれは夢の一言で片付けるには難しい。海東の推察が1番しっくりくる。

 

「おしゃべりはそこまでだ、続けるぞ。この中にいる古臭い連中は数と生命力としつこさと迷惑さを除けば能力は大したことはない。問題はこっからだ。アンデットは殺すことができない。つまり封印しか手立てがないってことだ。俺は例外だがな。ワームは擬態能力がある。相手の記憶や能力、容姿を完全にコピーする。見分ける方法は細かい癖しかない。つまり擬態されれば相手が正体を現すまで分からないってことだ。ここに潜入した連中は大丈夫なのか?」

 

そこは心配ない。村上の説明では、潜入したパトリック達のベルトは潜入に特化したもので、光学迷彩やサーモグラフィーを誤魔化す装置、更に片道切符だが緊急脱出用のテレポート機能があるらしい。更に潜入直前から変身させている。恐らく擬態されることは無いだろう。

 

「なら取り敢えず大丈夫か。次にファンガイア。コイツらは人間のライフエナジーを吸ってくる。対峙したら自分の首に気を付けるんだな。ステンドグラスみたいなのでできたデカイ牙があるかもしれない。見付けたらそこから避けろ。最悪死ぬからな。首筋には気を付けろよ」

 

どうやってだよ!と言いたくなったが、話を遮るわけにも行かず全員押し黙った。

 

「ロイミュードだが、コイツらは重加速現象、通称ドンヨリを起こす。身体の動きが遅くなると思え。そして最後にアナザーライダーだが、悪いがお前らが倒せるのはアナザーファイズのみだ」

 

「あ?なんで?」

 

「アナザーライダーを倒せるのは元となったライダーか、そのライダーの世界に存在する別のライダーだけだからだよ。ここは僕らが知っているファイズの世界とは大分違うけど、ファイズの世界であることに変わりはない。君達が僕や士みたいなイレギュラーなら兎も角、ファイズの世界のライダーって言う縛りがある以上、倒せるのはアナザーファイズだけなんだよ。まぁ、他の相手をできない訳じゃないから、倒せなくても取り押さえるくらいはできるよ」

 

ここで一通りの説明は終った。後はパトリック達を呼び戻し、体勢を整えた上で突入すれば良いだけだ。だが、ここで追加の写真が1枚送られてきた。

 

「ん?ライダー?」

 

「あぁ……厄介なことになったな。ソイツらはネガの世界のライダーだ」

 

「ネガの世界?」

 

「9つの世界を旅し終えた士が行き着いた世界さ」

 

響鬼の世界を巡った後に士達が訪れた世界。ここでの士の役割は大富豪であり、偶然入ったレストランの10000人目の客となり、先代オーナーの遺言で100億円と言う莫大な資産を手に入れた。この世界では来て早々に士は「生きる世界を手に入れた」と言われたり、士を敵視し続けてきた存在からは幸せな人生が待っていると声をかけられた。

 

この言葉の通り、たくさんの幸運が舞い込むのだが、実はこの世界は怪人達が暮らす世界だった。勿論、住民は全て怪人か改造人間。人間はほとんど残っていない。残っていたとしても、迫害や差別の対照となっている。写真に写っているライダーはその世界で怪人達を管理している存在だ。

 

「コイツらの相手はするな。特に、このコウモリはな」

 

送られてきた写真の1枚を取り出し、一夏達に見せた。写真にはコウモリを彷彿とさせる黒いライダーが写っている。

 

「コイツはネガの世界のダークライダーを統治する存在でな。平たく言えばその世界の王だ。強さも他とは桁が違う」

 

「なんでそんなヤツがここに……」

 

十中八九、士が狙いだろう。ネガの世界で、このライダーは士を留めようとしていた。恐らく旅を続けられる事が不都合だったからだ。故に士に幸運が舞い込むように色々と操作をし、旅を終わらせようとした。しかし士はその世界でケータッチを入手。コンプリートフォームになり数名のダークライダーを撃破し旅を続けた。それが気に入らない為、ショッカーに手を貸しているのだろう。

 

「もう情報は十分だ。とっとと呼び戻した方が良いぞ」

 

士の説明を聞いて、危険すぎる事が判明。村上はすぐにパトリック達に脱出するように命じた。戻されたパトリック達はまだ情報が十分じゃないと村上に言ってきたが、士の説明を要約して伝えると如何に危険な状況にあったのかを理解して、村上の判断に納得した。

 

「事態は一刻を争います。時間を置いて万全の体制を整えてからと思っていましたが、事を急ぐ必要がありそうですね。皆さんには申し訳ありませんが、今すぐ行って貰います。良いですね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「村上さんがこんなに焦るなんて……」

 

「本当にそれだけ強い相手なのか?」

 

「士が言うんだ。俺らじゃ勝てないかもな」

 

現在敵が本拠地として使っている元工業地帯にパトリック隊と一夏達、士と海東、簪が集まっていた。他は周辺の警備に行っている。黒兎隊はドイツ軍所属の為、流石に村上の独断で動かすことはできないので待機中だ。

 

「いいかお前ら。厄介な敵に遭遇したら逃げることだけを考えろ。多分この建物の中心にはこの事件の元凶がいる筈だ。そこを目指して一気に走れ」

 

「なんで中心にいるって分かるんだよ?」

 

「敵の配置だ」

 

士が言うには、何故か怪人達はある1つの部屋を避けるようにしているとのことだ。と言うよりも、見えていない。まるで怪人やダークライダーが存在を認識していないかの様にしていると言うのだ。

 

「誰か1人でもその部屋に入ればこっちのもんだ。敵は無視してでもその部屋を目指すんだ」

 

その作戦に異を唱える者はいなかった。全員変身して建物の中に入っていく。侵入に気付かれると怪人がわんさか出てきた。様々な部屋から出てきたのだ。しかし、何故か士の言っていた部屋からだけは誰も何も出てこなかった。

 

「とっとと行くぞ」

 

士の言葉と共に、怪人達とぶつかりに行く。士の言う通り、怪人達は大したことない。普通にガンガン倒すことができる。だがここで1番遭遇したくない連中。スマートブレインで士が説明した厄介な敵達が出てきた。

 

「やっべ……」

 

誰かが呟いた瞬間、大爆発をおこして全員まとめて外に弾き出されてしまった。

 

「マジでヤベェ……」

 

「久し振りだな~士。ネガの世界以来か?」

 

「紅音也……」

 

「黙って俺達の世界で暮らしてれば良かったものを。態々辛い思いをしないで済んだのにな」

 

「ショッカー程度に着いたヤツの言葉とは思えないな」

 

「こっちにも色々とあってな~。だがそれでまたお前に会えた。あの時俺の世界で好き勝手やってくれたんだ。そのお返しをさせてもらうぞ」

 

士はそのままダークキバとの戦闘に突入。一夏や草加、木場に一音もそれぞれの戦闘に入った。

 

「数が多すぎる!グッ!」

 

「分かりきってた事だろ!しつこさと数だけなら一気に消し飛ばすぞ!」

 

『Exceed Charge』

 

草加はカイザブレイガンで敵を複数一気に拘束。そのままカイザスラッシュで灰に変える。一夏と一音も同じく強烈な攻撃を叩き込んで始末。木場も続いてオーガストラッシュを発動し敵を切り裂こうとした。だが、

 

「ッ!?ウワッ!!」

 

「ッ!木場!」

 

「木場さん!!」

 

「今の攻撃って……」

 

「オーガストラッシュ……だと!?」

 

木場が吹っ飛ばされた方向の逆を見ると、もう1人のオーガが立っていた。

 

「オーガだと!?どう言う事だ?!」

 

 全員もう1人のオーガを見て驚いていた。海東が呼び出した様子はない。と言うことは敵側の存在と言うことになる。

 

「ガッカリだな。この世界のオーガがこの程度とは」

 

男の声だ。しかし木場の声ではない、聞こえてくるのは別の男の声。

 

「……フッ!」

 

「グッ!」

 

全員もう1人のオーガに目を向けていた。にも関わらず、いつの間にか自分達の背後で倒れていた木場の首を掴んで持ち上げられていた。

 

「木場アアアアア!!!ウオォォオ!」

 

『Exceed Charge』

 

草加と一夏、そしてマドカが走り出し3人同時にグランインパクトを叩き込んだ。だがビクともしない。それどころか確り胴体に当たったにも関わらず、弾かれた様な感覚さえ覚えた。

 

「チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

「ハアアアアア!!!」

 

一音のルシファーズハンマーで漸く木場を離した。しかしダメージを与えた感じはしない。4人の強力な技を受けたにも関わらず、膝すら着かないその様子には、恐怖すら感じてしまう。

 

「このままじゃ不味いな……士!逃げる準備だ!」

 

『FINALATTACK RIDE DIDIDI DIEND』

 

状況が最悪と判断し、撤退の準備をするためにディメンションシュートで敵の数を削る。それを見て士も逃げる準備に入るのだが、敵はそれを良しとしなかった。

 

「そうはさせるか!」

 

『ウェイクアップ・2』

 

「ッ!?グッ……!」

 

ダークキバがディエンドに手を伸ばすと、地面からコウモリの紋章が現れ、ディエンドへと伸びていく。それが重なると、突然金縛りにあったように動きが封じられてしまった。

 

「ハァァァ……ハアアアアア!!!」

 

「ウッ!不味っウワァァァア!!」

 

そのまま海東は爆発。大きく吹き飛ばされ変身が解除されてしまった。

 

「海東!!」

 

「つ、士……うっ」

 

一瞬立ち上がるも、すぐに膝から崩れ落ち倒れてしまった。恐らくもう立ち上がることは無いだろう。

 

「グッ!……あぁ……」

 

次に木場と草加にもう1人のオーガがオーガストランザーを突き刺し、命を奪っていた。

 

『FINAL VENT』

 

「フッ!?ウワアアアア!!」

 

「一音!!」

 

一音は突如現れた黒い龍騎の攻撃を受け倒れ、マドカと簪、パトリックも敵の集中砲火の前になす術なく散っていった。

 

「クソがあああああ!!!ウォォォォォオ!!」

 

『555 ENTER』

 

『Awakening』

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ハァァァア!!!」

 

全身全霊の攻撃をオーガに叩き込んだ。巨大な衝撃は多くの怪人を消滅させ、その場に巨大なクレーターが生まれた。見ていた士は流石にもう1人のオーガを仕留めたと思った。だが、現実は非情な物だった。

 

「……グッ」

 

左腕で一夏の脚を受け止め、右腕に持っていたオーガストランザーで腹部を貫いていた。

 

「所詮、お前達のベルトはただの玩具だ。本物じゃない。お前達は、偽物の仮面ライダーなんだよ。本物の強さを見せてやる」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「フンッ!」

 

オーガストラッシュを発動、そのまま凪ぎ払った。それはショッカーが根城にしていた工場跡や怪人を全て切り裂き、一夏と士を倒した。




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襲撃

3本目!早くやらないと今月中にリメイク版投稿できるか分かりません笑


ショッカーの本拠地に強襲をかけた。しかし結果は惨敗。怪人の相手はできたがダークライダー達には全く歯が立たなかった。それどころかもう1人のオーガには「偽物」と言われる始末。

 

余りの実力差、人間を超えた怪人やライダー同士で戦うための本物のベルトと仮面ライダー。体力の消耗もそうだが、偽物と言う言葉が一夏達の心に重たくのし掛かってきた。

 

「クソっ!全然歯が立たねぇ……!」

 

悔しそうに一夏が言った。しかしそれは一夏だけではなく、全員が同じ思いだった。この世界では実力がある方だと思い、更に別世界の存在とは言え、怪人達を相手にできた。命懸けの戦いはこれまでもあったが、今回も勝てると思っていたのだ。しかし、結果はこの通り。唯一の幸運と言えば、敵地強襲の直前に時間が戻ったと言うことだけだ。

 

「村上。今すぐ全員分のプロトギアを用意しろ」

 

「正気ですか?あれを一度使えば、生きて帰れる可能性はほとんど0ですよ」

 

草加はベルトを用意させようとしたが、流石に簡単にその要求を飲み込む事はなかった。

 

「なら、ベルトに流れるフォトンブラッドの濃度を上げたらどうですか?出力はプロトギアよりは劣りますけど、体への負担は少なく出力も上げられる筈です」

 

ISとの大戦で、0コアがオーガギアに施した改造のあれだ。経験者である木場自身からの提案であり、どうなるかは木場が1番知っている。村上もそれならと受け入れ、早速作業に取り掛かった。

 

「作業が終わるまで俺たちにできることは無し。俺達が手を出さなければヤツらは取り敢えず犠牲者はでない。どうする?束の間の平穏でも楽しむか?」

 

「そんな気分じゃねーよ。馬鹿か?」

 

「だよな。俺達がプロトギアさえ使えれば……!」

 

「止めておけ。あのジャジャ馬は使うと死んじまうぞ。灰になってな」

 

「あ?なん―」

 

「じゃあ俺は少し休ませて貰うわ」

 

プロトギアについてやけに詳しく知っているような口振りに、草加は疑問に思って聞こうとしたが、それよりも早く一夏が社長室から出ていき、疑問の正体を突き止めることはできなかった。

 

「さてと、寝るか」

 

仮眠室に入るとベッドに飛び乗って眠りに入った。気は立っていたが、意外にもすぐに深い眠りに付くことができた。肉体的にも精神的にも疲労が溜まりすぎていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……て!』

 

『ん?』

 

『…けて!助けて!!』

 

『本音?』

 

『助けて!!イッチー!!』

 

「ッ!?……夢?」

 

こんな状況でなら大切な誰かが助けを求めてる状態の夢を見てもおかしくない。しかも大分時間が経っている様で、既に外が薄暗くなっていた。

 

「変な夢見た……」

 

ドォオオオオン

 

「ッ!?正夢じゃねーだろうな?!」

 

仮眠室から飛び出て廊下を全速力で走り爆発音のした場所へと向かう。

 

「一夏くん!今の爆発音は?!」

 

「知るかよ!ベルトよこせ!」

 

「え?ちょ!まだ改造が済んでませんよ!!」

 

どうやらまだ弄っていなかった様だ。だがそんなこと無視してベルトを腰に巻きながら走っていった。

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『complete』

 

「なんだよコイツら!?」

 

爆発の発生源に近付くと、黒い装束でベレー帽を被り、マントとゴーグルを装着して銃や剣、槍を武装した集団が暴れまわっていた。一夏を含め、ベルトは殆ど改造が済んでいない。現にファイズギアは改造開始前だった。ライオトルーパー達はまだ預けていなかったため対抗はできているが、隊長クラスはベルトを預けている。木場、草加達と同じ様に生身で戦っていた。

 

「お前ら道を開けろ!!」

 

折り畳んでいたファイズブラスターを展開。フォトンブラッド光弾を放ちまとめて敵を始末した。

 

「ちょっと!俺達に当たりかけましたよ!?確り狙って下さい!」

 

「危ないじゃないですか!」

 

「悪いが一々狙ってる暇が無いんだよ。なるべく当たらないようにするから避けろ」

 

「んな無茶な!?」

 

「全員にも伝えろ。少し無茶をするがどうにか対応しろと」

 

殆ど無茶振りだ。だが一夏に形振り構ってる暇はない。多少の無茶でもさせなくては為らないと言う状況だ。文句を言うライオトルーパー達を黙らせ、先へと向かっていく。

 

「本音!!」

 

「漸くお出ましか。仮面ライダーファイズ」

 

「誰だ!」

 

「初めましてだな。私はアポロガイスト。この世界を支配するショッカーに忠誠を誓う者だ。以後、お見知りおきを」

 

「黙れ!殺されたくなかったら本音を早く離すんだ!」

 

「ほう。このお嬢さんは本音と言うのか」

 

「気安く呼ぶな!」

 

アポロガイストは気絶している本音に長い銃を突き付けて一夏の反応を楽しんでいた。

 

「まぁ、返してやっても良いだろう。ほら」

 

「ッ!?フッ!本音?本音!!」

 

「ん…ん~」

 

「良かった……」

 

投げ渡された本音を一夏が受け止めると、体を揺さぶり生きているかを確認。反応があるのを確認すると安心した。

 

「ふん。喜んでいて良いのかな?」

 

「ッ!ファンガイア!?」

 

アポロガイストが鼻で笑うと、何処からともなくステンドグラスの様な装飾の入った怪人、ファンガイアが現れてきた。この時、一夏の頭の中では士の説明が駆け巡っていた。

 

「不味い!」

 

自分の頭上と首筋に注意しながら、その場から逃げることを選んだ。士の話を聞く限りでは、本音を守りながら戦える相手ではないからだ。しかも4体もいる。

 

「逃げられると思っているのか?」

 

一夏の背中に照準を合わせ、躊躇なく引き金を引いた。変身こそは解除されなかったが、余りの衝撃に本音を離してしまい、更に動けなくなってしまった。

 

「やれ」

 

1体のファンガイアの牙が本音の首筋を捉え、深々と突き刺さった。徐々にライフエナジーを吸われ、本音がステンドグラス化していっている。

 

「させるか……!」

 

『279 ENTER』

 

『burstmode』

 

「はぁ!」

 

突き刺さっている牙を正確に撃ち抜き、本音を助けた。牙を折られたファンガイアはもう一度突き刺そうとするのだが、アポロガイストに止められ、今度は一夏を突き刺す様に言われる。

 

「グッ!ウワァ……!」

 

抵抗する力は残っていない。しかも嫌なことにアポロガイストはジワジワ吸い取る様に指示。悪趣味なことこの上ない。

 

「グッ……!ウッ!」

 

『complete』

 

『startup』

 

「ウオオオオオ!!!」

 

『Exceed Charge』

 

動けない一夏だったが、無理矢理アクセルフォームに変身。4体のファンガイアにポインターを放ち一気に倒す。そして時間が残ってる内にファイズショットを装着し再びENTERキーを押し、加速を付けてグランインパクトをアポロガイストに叩き込んだ。

 

「グオッ!中々の一撃だな」

 

強烈な一撃だったことは確かだ。だが大きいダメージを受けてはいない、盾で防がれたからだ。若干後ろに仰け反った程度だった。

 

「今日はこれで退かせて貰おう。また会おうな。ファイズ」

 

「待ちやがれ!ウッ……!」

 

その一撃を最後に、一夏は意識を失ってしまった。




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アポロガイスト

本日1本目!


アポロガイストが引き上げた後、スマートブレイン内の混乱は収まりつつある。しかし、一夏と本音の2人は社内の医務室へと運び込まれていた。

 

「母さん!親父!」

 

「落ち着け一音。2人とも生きてる」

 

「と言っても、ライフエナジーを吸われてて危ない状況だけどな」

 

士の言う通り、2人の顔色は酷いものだ。かなり青くなっている。更に一夏は背中を撃たれた。幸い骨や筋肉、内臓に異常は無かったが、それでもしばらくは生活に支障をきたす傷であることに違いはない。

 

「いって……」

 

「一夏!?」

 

「親父!大丈夫か?!」

 

「俺は大丈夫だ。ライフエナジーも本音程は吸われてないからな。ただ……」

 

そう言って本音に目を向けた。ライフエナジーは一夏以上に吸われている。体がステンドグラス化して砕ける寸前まで吸われたのだ。一夏がなんとか牙を撃ち抜いたのだが、ジワジワ吸われた一夏に対して本音は普通に吸われていた。その差は大きいのだろう。

 

「一音。少し本音を見ててくれ。行くぞ」

 

「分かった……」

 

一音に本音を任せて、一夏は草加と木場、そして士達と一緒に病室から出ていった。

 

「クソッ!なんでこんな事に!俺は……こんなの!」

 

病室には一音の悲痛な声が響いたが、それを聞いていた人間は誰1人としていない。辛い思いが悪戯に増しただけだった。

 

「良いのか?一緒にいなくて」

 

「俺に何ができるって言うんだよ。目の前にいたのに、あの牙を撃ち抜くしかできなかったんだ。俺より一音の方が安心して任せてられる」

 

一夏は一夏で、無力な自分を呪っていた。ベルトを使い変身したにも関わらず、囚われた本音を見て激情に駆られ冷静さを欠いた状態での戦闘。ファンガイアが現れた事で更に冷静さを失い相手に背を向けると言う失態。今冷静になれば一夏に落ち度は沢山あった。

 

「いま本音があんな状態なのは、俺の責任だ。あんな無様な戦い方をして、助けられる筈が無い……分かってたのにこの有り様だ……!」

 

「アポロガイスト相手なら仕方ないがな」

 

「アポロガイスト……何者なんだ?ショッカーに忠誠を誓う者とか言っていたが」

 

「アポロガイスト。アイツはXライダーの世界の怪人組織、GOD機関の幹部だ。唯一総司令と連絡を取れてた怪人。なんだけど……」

 

「どうした?」

 

急に歯切れが悪くなってきた。

 

「GOD機関はショッカーに吸収された。だけど……元々アポロガイストはGOD機関総司令に忠誠を誓っていた存在。そして自分自身の美学を持っていた。僕達が出会ったショッカーの為に手段を選ばない様な男では無かった筈だ……」

 

GOD機関に所属していた頃のアポロガイストは、自らの美学に添って動いていた。総司令への忠誠心は厚く、更に自分の死を悟った時は2度もXライダーを道連れにしようとする程だった。

 

一度死んだ後はGOD機関に肉体を回収され復活。再生アポロガイストとなった。そしてXライダーとの死闘を繰り広げたが、体が限界を迎えた為にもう一度Xライダーを道連れに自爆しようとした。

 

更にXライダーが瀕死の重症で捕らえられた時には、処刑をせずにXライダーの回復を待ってお互い万全の状態で決着をつけようとした。アポロガイストはXライダーを好敵手と認め、Xライダーもまた「偉大なるGODの好敵手」と認める程の男だったのだ。

 

「それほどのヤツが、なんでショッカーなんかに?」

 

「さぁな。ショッカーに拾われて改造されたのかもな。1年しか生きてられない弱点は残ってるが」

 

「1年……じゃあ何でアイツは生きてるんだ?」

 

「アイツの額に銀色の装飾があったろ?あれは命の炎を奪い取るパーフェクターなんだよ。人の命を無差別に奪って生き延びてる」

 

「命の炎を奪い取る……成る程。ちょっと出掛けてくる」

 

「何しに行くつもりだ?」

 

「アポロガイスト探し」

 

「そんなカブトムシみたいに……簡単に捕まるわけ無いだろ?あてはあるの?」

 

「ない」

 

「はぁ……仕方ない。これ使うか」

 

完全なノープランで動こうとしていた一夏に呆れて、海東が懐から薄いタブレットPCの様なノートを取り出した。

 

「なんだそれ?」

 

「書いたことが現実になるノートさ。これを使えば、未来を操ることができる。完全に全てを現実にすることはできないけど、大雑把な事ならできる。と言うわけで『織斑一夏、アポロガイストと再戦する』うん。これでよし。さぁ、町を歩くといい。これでアポロガイストと会って戦うことができる」

 

「助かる。じゃ、行ってくるわ」

 

軽く礼を言うと、一夏は部屋から出て外へと向かっていった。途中村上のところに寄って改造されたベルトを受け取り、戦う準備も万全にしてだ。

 

「俺たちは行けないの?」

 

「一夏だけに戦わせるのは気が退けるんだが……」

 

一夏が出ていった部屋では、草加と木場が海東に不満をこぼしていた。一夏の状態を見て、海東がノートに文字を書き込んでるときは何も言わなかったが、実際の所は2人も戦いに参加したかったのだ。

 

「一夏がそれを望むなら、お前らも行けば良いだろ。何故アイツが何も言わないのか、考えてみたらどうだ?」

 

ここで草加と木場がアポロガイストとの決闘に参加すれば、一夏の気持ちを踏み躙る事になりかねない。言葉はキツいが、士はそれを伝えたかったのだろう。

 

「結局、できることはなしか……」

 

「ま、各々役目ってもんがある。その時がくるまで待ってるんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか本当に会えるとは。驚いたな」

 

「ほう。まさかここでお前に会えるとはな。散歩もたまにはしてみるものだな」

 

「そうか。こっちも幸運だ。またお前と戦えるんだからな。今度こそ叩き潰す!」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『complete』

 

「アポロチェンジ!」

 

「ハアアアアア!」

 

お互いに変身すると、一夏は走り出して勢いを着けたままアポロガイストに拳を叩き付けた。

 

「グッ!先程より威力が上がっているだと…!?」

 

「お前を叩き潰す為だ!」

 

「チィ!舐めるな!」

 

「ウワァ!?」

 

フォトンブラッドの濃度を上げ、ベルトその物の出力を上げている。その事に驚いたアポロガイストに攻撃を入れ続け圧倒していた。が、向こうは組織幹部。すぐに対応されてしまう。盾であるアポロカッターで攻撃を防ぎ、銃と剣が合体した強力な対戦車兵器、アポロマグナムで攻撃を入れてきた。

 

「厄介な盾と銃だな…!ハァ!」

 

だが今の一夏に形振り構ってご丁寧に相手をしている時間はない。手にファイズショットをはめ込んでアポロガイストに突っ込んで行く。

 

「ふん。バカめ。そんなの私にとっては的だ」

 

「グワッ!ウオォオ!!」

 

「なに!?」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「オラァ!」

 

「グオワァ!!」

 

盾で防ぐも、威力はかなり大きくなっている。完全に防ぐことはできずに大きく後ろに殴り飛ばされてしまった。

 

「チッ。盾割る勢いで殴ったのにな。どんだけ硬いんだよ」

 

「グゥ…!まさかここまでとは……何故短時間でここまで!」

 

「ベルトを調整したからだよ」

 

「バカな!?その程度でここまで差ができる筈が無い!貴様の体もただでは済まない筈だ!なのに何故!?」

 

「昔のお前のこと聞いたよ。昔のお前なら、例えベルトを調整しても勝てるかどうか分からなかった。だが、どうやら蘇っても、本当のお前は蘇ってなかったみたいだな」

 

「ふん。それがどうした?何度も蘇れば自分と言う物は失われ、新たな自分が現れる。お前もそうだろ?何度も生と死を繰り返し、幾度となく蘇っているのだから」

 

「悪いが、それは外れだ!」

 

「ウワッ!」

 

アポロガイストに自分と同じだと言われたが、それは大外れだった。

 

「悪いな。俺は確かに何度も死んだ。そして何度も蘇った。時間が巻き戻り、記憶もそのままに何度もな。大切なヤツが死ぬ所を何回も見た。蘇って出てくるのが俺じゃなくて、他の俺だったらどんなに楽だったかと何度も思ったよ。だがな、出てきたのは俺だった。何度死んでもしつこく俺が出てきた。お前が負けたのはな、蘇ったお前が、本当のお前より弱かったからだ」

 

倒れているアポロガイストにジワジワと歩み寄り、額についているパーフェクターを奪い取ろうとする。だが、アポロガイストは起き上がり、再び一夏と対峙した。

 

「ふざけるな……ふざけるな!!その程度、その程度でこの私が負けると言うのか!?そんなことは認めん!認めるわけにはいかないのだ!!」

 

「ッ!?」

 

「蘇った私が弱いだと?ふざけるな!!弱いかどうか、貴様の身をもって味わわせてやる!」

 

激しさの増した攻撃が一夏を襲った。攻撃の正確性はかなり落ちているが、強力なアポロマグナムを連射し一夏の動きを制限。動きが止まった所にアポロカッターを投げ付ける。特にアポロカッターの攻撃は強力で、ファイズのアーマーに大きな傷を付ける程だった。

 

「チッ!時間が無いときに限ってこうなる!俺の運の悪さはどうにかならないのかよ!」

 

「バカな男だ。黙ってショッカーに支配されていれば良いものを。逆らい、苦しみ、死に、それを繰り返す。全く以て無駄な足掻きだ」

 

「時々理屈に合わない動きをする。それが人間なんでな。俺は世界を守る。自分の命1つで救えるなら、理屈なんかいくらでも捨ててやるよ!!」

 

「愛する人間を捨ててでもか?ご立派なヒーロー様だな。世界と愛する人間を天秤にかけ、世界を取る。見上げた物だ」

 

「悪いな。俺は欲張りなんだ」

 

『complete』

 

「よしなれた!」

 

『startup』

 

「ッ!?」

 

高速で動く一夏は、邪魔なアポロマグナムとアポロカッターを殴り飛ばし、完全に無防備にした上でポインターでガチガチに拘束した。

 

「ハァァァァア!!!」

 

「グオオオ!!グッ!今回は負けた。だが!いずれ必ず蘇り、貴様を地獄に叩き落としてやる!!宇宙1迷惑な存在となり、何度でも貴様ら仮面ライダーを苦しめてやる!!ウワアアアアアアア!!!」

 

アクセルクリムゾンスマッシュでアポロガイストを降すことができた。

 

「コイツは貰っていくぞ」

 

灰になる直前にパーフェクターを奪っておいた。アポロガイストが完全に灰になるのを見届けると、パーフェクター片手にスマートブレインへと戻っていった。

 

病室に入るとパーフェクターを使い、自分の命を本音へと分け与えた。当然草加達からは止められ、なんなら自分の命を使えと言い出したが、それら一切を黙らせ自分のを渡した。




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蘇る記憶

本日2本目!


アポロガイストを倒し、本音を救った一夏。少しすると目を覚ましていつも通りの本音に戻った。それと同タイミングで、村上のベルトの改造が完了。それぞれに手渡された。

 

「見た目はあんまり変わってないな」

 

「使ってみたら分かるぞ。かなり強化されてる」

 

草加が不思議そうにベルトを見回すが、外見に特徴がないことに驚いていた。だが一夏は一足先に使って改造されたベルトの力を実感している。だからこそ、安心して受け取れるのだろう。

 

「一夏くんがアポロガイストと戦った後、収集したデータを元に、更に改造を加えました。それぞれのフォトンブラッドへの耐性を考え、出力はギリギリまで上げています。体に多少の負担はかかりますが、命に危険がでない程度に抑えています」

 

出力その物はプロトギアにも劣らない程までに上げているようだ。だが、ただ上げただけではなく、それぞれの体が耐えられる限界レベルまでと言う繊細な調整を加えている。恐らく計算との誤差は1%未満と言う所だろう。こんな文字通りブッ飛んだ事を短時間で仕上げた村上や開発部の連中は化物、もしくは変態でしかない。

 

「どうする?仕掛けるか?」

 

「このベルトなら、ネガの世界のライダーを相手にすることができる筈だ。前回の様な敗北は無いよ」

 

「とは言え、お前らはどうなんだ?さっきの戦闘じゃ、お前ら2人も殺られてただろ?ベルトを改造しようにも、お前らのはそもそもが違う。こっちでどうこうできる代物じゃない」

 

ディケイドとディエンド。一応ライダー技術ではあるのだが、この世界のライダーズギアと比べたらかなり違う。と言うよりも別物である。いくら高い技術力を持っていたとしても、改造は不可能である。

 

「問題ない。こっちに来てから何故か力が半減しててな。だが、ようやく戻った」

 

そう言って、士は自身のベルトを取り出して全員に見せた。最初は白を基調としたカラーリングだったが、今はディケイドの体色と同じマゼンタが基調になっている。そしてライダーの紋章も増えていた。同様に海東のディエンドライバーも黒ベースではなく、シアンベースの色に変わっていた。

 

「どうやらこの世界、僕らが到着する前から何度も、そして長い期間タイムリープを繰り返していた様だ。だから時空が歪んで、僕らの力が時間差で届いたんだよ」

 

「これでようやく俺たちも全力で動けるって事だ。心配すんな」

 

その後、全員自分のベルトを持って部屋から出ていった。行き先はショッカーが使っている捨てられた工業地帯。既にライオトルーパー部隊が周囲を封鎖して民間人を巻き込まない準備がされている。思う存分戦えると言うことだ。

 

(ついにここまで来たか……不味いな。このままじゃ歴史を繰り返すだけだ…!それだけは、なんとしても防がないと!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと。まずは挨拶だな」

 

『Battle Mode』

 

「は?」

 

「同感だ」

 

『ATTACK RIDOE GIGANT』

『ATTACK RIDOE SIDE BASSHAR』

 

「おい、何やってんだ?お前ら」

 

一夏の言葉を無視し、草加はバッシャーをバトルモードに変形させ、一音はスライガーの武装を展開。士はミサイルを4つ積んだロケットランチャーを呼びだし、更に自分のバイクをバッシャーのバトルモードに変えだした。

 

「お前ら、マジで何やるつもりだ?」

 

「ノック」

 

「嘘つけ!」

 

数年前、一夏が亡国にスライガーを突撃させたあれを思い出してしまう。だが数年前やらかした男がここで止めるのには理由がある事を忘れてはならない。

 

「それやったら地形が変わるぞ!?昔やったけど地形が大変なことになったからな!」

 

「それくらいなら良いだろ」

 

「だな。どうせ廃棄された施設なんだし」

 

「撃つぞ」

 

「ちょ!せめて俺達が離れてからに!」

 

一夏と木場の静止を無視して、3人は攻撃を放ってしまった。乗り物に乗っていた3人は兎も角、一夏や木場、バジン、パトリック隊に簪は爆風で吹っ飛ばされてしまった。

 

『兄さん?下で爆発音がしたんだけど何かあった?』

 

「お前は上にいて良かったな……」

 

上から警戒していたマドカだったが、突然の爆発音に驚き一夏に通信を入れた。聞こえてきた声は恨めしそうな声だったが、生きていることは確認できた。

 

「さてと。雑魚は粗方片付いたな」

 

「いって……全く。数を減らすならもっとマシな方法があったろ」

 

だが実際に数は減っている。前回ここを強襲したときは大量の戦闘員が溢れるように出てきたが、今出てきているのは量産型の戦闘員ではなく形のある怪人やダークライダー達のみだ。

 

「おいおいおい。なんなんだこれ?」

 

ダークキバを先頭に、ネガの世界のライダー達が出てきた。その後ろにはアナザーライダーや様々な世界の怪人達がいる。

 

「一夏。お前は元凶の撃破を優先するんだ」

 

「あの地下に伸びてる階段だな。上は任せたぞ」

 

「あぁ」

 

草加の指示に従い、元凶がいるであろうと目星をつけていた場所へと走っていく。それを見届けると、地上にいる敵を倒しにかかった。

 

「マドカ。上から一夏を援護してくれ」

 

『了解!』

 

「木場!一気に薙ぎ払え!」

 

「分かった!」

 

『Ready』

『ENTER』

『Exceed Charge』

 

 

「伏せて!」

 

木場の合図に合わせて全員地面に伏せた。その直後、木場のオーガストラッシュで真一文字に敵を切り伏せた。前回同様に怪人どもはこの一撃で倒すことができる。

 

「また来たのか偽物ども。偽物である貴様達に勝ち目がないのに何故ここにきた?」

 

「偽物偽物って、喧しいわ!」

 

「グッ!」

 

草加の一撃がオーガに入った。しかもベルトを改造した効果か、確かなダメージが入っている感覚がした。

 

「確かに俺達のベルトはお前達から見たら玩具かもしれない!だが!」

 

「俺達はこれでも、大切な人や、大切な場所を何度も守ってきた!命懸けで」

 

「時には悩み、立ち止まり、敵の手に落ちた事もある」

 

「大切な人を人質に取られ、仲間と敵対したこともある」

 

「それでも俺達は守ってきたんだ!自分が大切に思っている沢山のものを!」

 

「たとえ怪人や同じライダーを倒すために作られたベルトじゃなくても!何度も戦ってきたんだ!だから!」

 

「「お前に、お前達に!偽物なんて言われる筋合いはない!!」」

 

2人の勢いのある攻撃がオーガを圧倒し始めた。前回戦ったときは全く歯が立たなかったが今は違う。確実に相手にできている。

 

「調子に、乗るな!」

 

オーガストランザーを振るうが、木場がそれを受け止めて草加が一撃を確実に決めていく。防御と攻撃の両方に優れたコンビだからこそできるやり方で圧倒していく。

 

「チィ!ちまちまと!」

 

この2人を相手にするのは骨が折れると判断したのか、同じ世界の仲間を呼ぼうとした。だが、呼べる状況ではなかった。

 

「ハァ!」

 

「グワアッ!」

 

「どうやら、お前と私の相性は最悪な様だな。リュウガ」

 

リュウガは接近戦に向いているライダーだ。武器は青龍刀。飛び道具はない。唯一、ストライクベントを使えば離れた敵にも攻撃できるが、機動力の高いサイガ相手にストライクベントでは弾速不足。つまり肉弾戦に偏る戦いになると言うことだ。そんなことでは今のサイガにまともな一撃を入れることはできない。

 

「ふざけるな!」

 

『Advent』

 

「黒い龍のお出ましか。だが!」

 

フライングアタッカーで勢いと回転を付けながらダークドラグレッターに接近。巨大な顎で噛み砕こうとしてきたが、それを避けてトンファーエッジを抜き細切れにした。

 

「なっ!?」

 

トンファーエッジを元に戻すと、傷付いたダークドラグレッターに無数のフォトンブラッド光弾を撃ち込み破壊した。

 

「嘘だろ……ダークドラグレッターが……!?」

 

ダークドラグレッターが破壊されると、ベルトのバックル部分にあったリュウガの紋章は消え去り、リュウガの姿も貧相な物へと変わっていった。

 

「これで終わらせて貰う!」

 

フライングアタッカーを吹かし急降下。強烈な蹴りをリュウガに叩き込んだ。見た目が大分貧相になった為か、防御力がかなり下がっており、蹴りを入れたとき柔らかいと言う感触すら覚えた。

 

「本当に往生際が悪い男だな~、士?もしかして、また死にたいのか?」

 

「ふん。だったらそっちから襲えばいいだろ?こっちが来るのを待たずにな」

 

「生憎と、こっちも色々と忙しくてな~。お前を殺しに行きたくても行けないんだよ。なんだ?寂しかったのか?」

 

「はぁ……ふざけんなっ!」

 

「全く、士は変な人ばかりに好かれるね~」

 

「黙れ。さっさと倒してこの世界の異変も終わらせるぞ」

 

「言われなくても」

 

士と海東はダークキバと対峙していた。相変わらず音也のふざけた挑発は士の神経を逆撫でする。だが、今回ばかりはその挑発はすぐに消えてしまうかもしれない。

 

「今度は、負けるつもりはない」

 

『KAMEN RIDOE W』

『サイクロン!ジョーカー!』

 

「なんだそのライダー?」

 

緑と黒のツートンカラーのライダーに変身した。

 

「ハァ!オリャア!」

 

「グッ!ウワアッ!?」

 

「海東!」

 

「はいはい」

 

『ATTACK RIDE BLAST』

 

風をまとった強力な攻撃がダークキバを襲い、空中へと蹴り上げる。そこに海東が合わせて攻撃を入れた。

 

「……中々だな」

 

「まだまだだ!」

 

『KAMEN RIDE OOO』

『タカ!トラ!バッタ!タトバ!タトバタトバ!』

 

「うるさい歌だな」

 

「歌は気にするな!ハァ!」

 

鷹の目で攻撃を全て見切り、虎の爪とバッタの脚でキツい一撃を叩き込んでいく。

 

「次だ!」

 

「させるか!」

 

「こっちの台詞だよ」

 

キバの紋章を呼び出し、士の動きを止めようとしたのだが、海東が手をかざすとダークキバの時間だけが止まった。ジオウの世界で手に入れたもう1つの宝だ。

 

「悪いけど、士は殺させないよ。まぁ、今の君に殺すことは不可能だけどね」

 

「海東……余計なことを」

 

「君が遊んでるからだろ?早く片付けなよ」

 

「はぁ。もう少し遊んでからと思ったが、まぁ良い。王様には王様の力だ」

 

『KAMEN RIDE ZI-O』

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

最近訪れたジオウの世界の力。それを使いネガの世界の王であるダークキバを追い詰めていく。ダークキバは手も足も出ず、攻撃を受けるしかなかった。

 

「時間を止められたら流石のお前もなす術なしだな」

 

「チッ!卑怯な……!」

 

「ネガの世界で俺に卑怯な手を使って色々とやったヤツがよく言うぜ。海東、一緒に行くぞ」

 

「あぁ」

 

『FINAL ATTACK RIDE ZIZIZIZI-O』

 

『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIDIEND』

 

「デェヤァ!!」

 

「ハァ!」

 

「グアアアアアア!!」

 

2人の合わせ技が炸裂し、ダークキバは無事撃破された。力が完全に戻った状態の2人相手なら、敵にすらならない存在だったようだ。

 

「見えないな……やっぱりクロックアップは厄介だ」

 

一音はパトリックと簪の2人と組んでダークカブトを相手にしていた。厄介なクロックアップを相手にしているお陰か、劣勢に立たされていた。

 

「クッソ!弾幕でも張るか?」

 

「止めておいた方がいい。時間の無駄。それよりも」

 

「そろそろだ」

 

『CLOCK OVER』

 

「今だ!」

 

「なに!?」

 

クロックアップが解除されたと同時に、一音がダークカブトに掴みかかり動きを封じ込めた。

 

「2人とも!」

 

「おう!」

 

「分かった!」

 

タイミングを見計らうと、パトリックと簪はアクセレイガンでダークカブトのベルトの両脇に付いているクロックアップのボタンを破壊した。

 

「グッ!しまった!」

 

「これでクロックアップは使えないな!」

 

クロックアップが封じられた今、ライダーフォームで3人を相手にするのは辛い。ベルトのカブトの角を反対側に倒し、鎧を付けたマスクドフォームになった。

 

「かって!?なんだあの鎧は!?」

 

3人の攻撃を一切受け付けない程の防御力になった。そして攻撃の一撃一撃が重たくなった。クロックアップと言うライダーフォーム最大のアドバンテージが無くなってしまえば、防御やパワーが低いこの姿は自殺行為。しかし、この状態なら攻撃を受けることはまずない。余裕の態度で3人の攻撃を受けている。だが

 

「余裕ぶっこいてられんのも今の内だ。チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

「ハアァァァァァア!!」

 

「ッ!?ウワアアアアアアアア!!!」

 

無事、ダークカブトも撃破した。これで3人は手が空いた。だが、他の場所の援護に向かおうとしたその時、パトリックに1つの通信が入ってきた。

 

『隊長!大変です!子供が近くにいます!』

 

「はぁ!?どう言う事だ!半径5キロに渡って他のライオトルーパーと警察と自衛隊が封鎖してるんだぞ!子供なんか入れる訳ないだろ!」

 

『ですが実際に目の前に!』

 

「通信機貸せ!聞こえますか?一音です。今からそちらに向かいます。子供を保護したと同時に戦線を離脱して付近を警備している者に引き渡します。それまで持ちこたえてください」

 

『分かりました!』

 

「2人は他の所に向かってくれ。スライガー!」

 

スライガーに跨がると、手早く馬の姿に変えて通信のあった場所まで飛んでいった。まさかとは思ったが、本当に子供がいたのだ。敵が化けた存在とも考えたが、様子を見るからにそんな感じはしない。

 

「掴まれ!」

 

子供に向けて手を伸ばすと、声に反応した子供も一音に向けて手を伸ばして掴まった。そのままスライガーの上に乗せて、戦線を急速離脱。残った者達はアナザーライダーや倒せなかった怪人の相手をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なかった……なんであんなところに居たんだ?行ける道は全部封鎖してた筈なんだが」

 

「あそこ、僕の秘密基地なんだ。道も僕がいつも通ってる所には誰も居なかったよ?」

 

「いったい何処にそんな道が……」

 

「地面の中にあるから!」

 

「成る程……」

 

はつらつとした笑顔で地面の中にあると言う衝撃の事実を知り、仮面の下で呆れた顔をしている。心なしかスライガーの手綱を握る腕からも力が抜けてる感じがする。

 

「あ、見えてきた。ん?何やってんだ?あそこ」

 

なんか道を封鎖してる自衛隊とトルーパー隊に掴みかかかって通してくれと叫んでる女の人がいた。

 

「なにがあった?」

 

「一音さん。その、この方が……」

 

「息子が居ないんです!探しに行かせてください!」

 

「ですから!ここから先では戦闘が起こっていて危険なんです!我々が探しに行きますから、ここで待っていてください!」

 

「息子?もしかして……」

 

視線を自分の下に向けてみた。すると、保護してきた子供はマズいと言う顔をしながらスライガーの背中を突っついていた。

 

「あの、もしかしてこの子ですか?探してる息子さんって」

 

「たける!」

 

「お、お母さん……」

 

やっぱりか。と言う顔をしている。仮面で隠れてるため周りには分からないが、秘密の通路に加え母親に黙ってここまで来たこの子どもに、感心に近い感情を覚えた。

 

「将来有望な仮面ライダー候補だな」

 

「え?僕も仮面ライダーになれるの!?」

 

予想以上の食いつきに、一音は少し驚いてしまった。

 

「僕もなれるの!?仮面ライダーに!」

 

「ちょっ、迷惑してるでしょ!この人は仕事中なんだから!」

 

母親が子供をなだめて止めようとしているが、子供の方は止まりそうにない。その様子を見ると、一音はスライガーから降りて変身を解き、子供と同じ目線になって落ち着いた様子で話し始めた。

 

「なれるよ。守りたい何かがあったんだろ?だから彼処に行ったんだよな?」

 

「うん」

 

「なら、その守りたいものを忘れるな。守りたいって言う気持ちもな。それがあれば、きっと仮面ライダーになることができる」

 

「分かった!」

 

「うん。君なら大丈夫そうだ。じゃ、後はお願いしまッ!?」

 

警備している人達に後を任せて戻ろうとしたとき、一音は自分の目を疑った。さっきまで戦闘が行われていた場所から見たこともない変な光が出ていたからだ。爆発などの物なら納得したかもしれない。だが、その光は徐々に伸びて一音のいる非戦闘地域まで迫ってきている。

 

「おいおい……マジかよ……逃げろ!脇目も振らず全力で逃げろ!!」

 

たけるとその母親をスライガーに乗せて全力で走り出す。それを見てトルーパー隊や警察、自衛隊も全力で走り始めた。

 

「酷いですよ!乗せてくださいよ!」

 

「無茶言うな!定員オーバーなんだよ!速くしろ!飲み込まれるぞ!兎に角走れ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の光が発生する数分前、一夏は飛び込んでいった地下空間を散策していた。

 

「本当になにもいねーな……木場が来たら発狂して倒れてるな」

 

確かにそういう空間である。一夏でも少し恐怖を感じるほどに静かで何もない。そして何より無駄に通路があり広さもある。元々は何だったのかを聞きたくなるほどだ。

 

「敵はなし。迷路みたいに要り組んでるが一本道。所々に広くなってる場所を作って侵入者を混乱させる……無駄に手が込んでるな」

 

少し脚を止めて、しゃがみこんだ。そして地面に軽く拳を叩き付けて音を反響させた。

 

「そろそろか……と言うか、こうやって範囲確認するとマジでどうなってんだ?」

 

音の反響とファイズギアの五感支援で全体像を把握したのだが、結果この空間はサッカー場程の面積があることが判明した。ここまで巨大な地下空間、普通は絶対にあり得ない。人工のものかどうかを疑いたくなる。

 

「ここがゴール。だよな……」

 

ここまで歩いてようやく現れた扉らしきもの。一夏は馬鹿ではない。この中にいる存在が今回の元凶である事は感覚で分かる。

 

「さてと。鬼が出るか蛇が出るか……」

 

意を決して、扉を開ける。するとそこには、一夏が驚愕するような存在がいた。

 

「おいおい嘘だろ……あん時破壊した筈のテメーが、なんでここにいやがる!?0コア!!」

 

部屋の中にいたのは見間違う筈のない存在。一夏が木場と共に破壊したISとの全面戦争の切っ掛け、0コアだった。まるで玉座のような椅子にすわり、なにも言わずに一夏に視線を向けている。

 

「黙りか。じゃあきっちり、ゲロ吐いて貰おうか!」

 

拳を構えて0に飛び掛かろうとすると、突然0が指を弾いて鳴らした。その直後、どこからともなくアナザーファイズとオルフェノクの集団が現れ、一夏を襲い始める。

 

「上にいないと思ったらこんなとこにいたのか!邪魔だ!」

 

オルフェノクの集団とアナザーファイズを殴りながら、0に向かって進もうとする。だが、何故かそれを執拗に止めようと一夏にオルフェノク達が掴みかかってくる。

 

「出し惜しみはしてられないか」

 

『complete』

『STARTUP』

 

「フッ!」

 

音速を超える動きで敵に攻撃を叩き込んでいく。クロックアップと違い、アクセルフォームで動けば周りがスローに見えることはなく、動けば周りに何があるか分からないレベルになる。だがそれに振り回される事なく、戦っている。

 

『ENTER』

『Exceed Charge』

 

「ハァ!」

 

オルフェノク全員にポインターを放ち拘束。本来のファイズの世界のフォトンブラッドとは元が違うが、それでもオルフェノクには効果絶大。10秒以内に全員片付けられた。

 

「次はお前だ!アナザーファイズ!」

 

『555 ENTER』

『Awakening』

 

「ふぅぅ……ハァア!」

 

「ハァ!ダァ!」

 

アナザーファイズは攻撃を入れるが、ブラスター相手に通じてる様子はない。簡単に受け止められカウンターを叩き込まれている。

 

「悪いが、お前じゃ俺に勝てねぇよ!!」

 

いつの間にかブレードモードになっていたファイズブラスターを振るい、アナザーファイズを斬り付けていく。大振りで荒々しいが、攻撃力はかなり大きい。結局、アナザーファイズは一夏に反撃する事ができずに倒れてしまった。

 

「ふぅ……0、洗いざらい吐いて貰うぞ」

 

「これ程の力があれば問題ないな」

 

「なに?」

 

0が呟いたその直後、0の体を中心に緑色の光が出てきて広がってきた。一夏はその光を全身に浴びたが、体には影響はなかった。影響が現れたのは記憶だ。自分が死んだと言う正しい歴史の流れが頭の中を駆け巡ったのだ。

 

「あぁっ…グッ!」

 

大量の記憶が一気に頭の中に流れ込み、それに耐えきれず激しい頭痛を覚え倒れ混んでしまった。

 

「ッ!ウアアアアアア!!!」

 

「計画通りだ」

 

「ゼ…ロ!なんのつもりだ!なぜ記憶を…!」

 

苦しみながらも0に問いかけるが、返事はない。0が指を弾いて再び音を鳴らすと、何度も体験した時間が巻き戻る感覚が襲い、意識を失ってしまった。

 

目を覚ますと当然の事ながら全員に正しい歴史の記憶が頭の中に流れ込んだ様で、本音や姉の千冬、その他仲間から泣き付かれた。全員にどう言うことだと問い詰められたが、これが正しい歴史だと言って納得させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「0!どう言うつもりだ!なんで全員の記憶を元に戻した!?何のためにこの2年間、お前に封印されたISのコアを与え続けて力を覚醒させたと思っているんだ?!」

 

「黙っていろ。これが最善の道だ」

 

「前も、その前も同じことを言っていた!だがそのたびに!歴史を繰り返し続けたんだぞ!何度も同じ、仲間が死んでいく未来を!それでも最善だと言うのか!?」

 

「いずれ分かる」

 

「ふざけるな!俺は歴史を変えたいんだ!そして!あの男が苦しまない世界を作る。それが目的だと最初に伝えたはずだ!だからお前の力を覚醒させたんだ!にも関わらずお前は!」

 

「貴様の目的を達成できるなら、手段は任せると言ったことも忘れるな。安心しろ。貴様の目的は叶えてやる。黙って待っていろ」

 

「……クソ!」




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パトリックの願い

本日3本目!


「2人とも遅いな……」

 

ショッカーとの戦闘の真只中だったが、前回の戦いでゼロが元凶と判明。その直後、全員の記憶の中に本来の正しい記憶を流し込み、また時間を巻き戻した。だが、今までと違っていた。ショッカーは現れず、現れたとしても大した戦力ではなかったりする。平和その物な日常が続いていた。

 

そんな中、少しは休めと村上から指示を受け、一夏は家族でショッピングモールに訪れていた。あんな騒ぎがある中だが、営業はしている。客もそこそこいるようだ。

 

「ごめんイッチー!道に迷っちゃって!」

 

「あと渋滞に巻き込まれた」

 

「だから一緒に行くかって言ったろ。時間的に道路がこむ直前だったんだからよ」

 

少し呆れながら、遅れて到着した本音と一音の2人を連れて歩き始めた。

 

「ねぇ、なに買う?」

 

「洗剤とトイレットペーパーが少なくなってたな。後、洗顔クリームと歯磨き粉。食材も少し欲しいな」

 

「こんなところで買おうとすんなよ」

 

「そうだよ!せっかくここまで来たんだよ?服とかアクセサリーとか靴とかそう言うのにしようよ」

 

少しずれた感覚の一夏にツッコミを入れて、本音が提案した服屋やアクセサリーショップへと向かっていった。

 

「これなんかどう?」

 

「親父にはこっちだろ」

 

「えぇ?ちょっと暗すぎない?もう少し明るくしようよ!」

 

「親父が明るかったらそれはそれでキモい」

 

「大丈夫だよ!IS学園の制服は白1色だったけど、全然似合ってたもん!」

 

一音の発言が気になったのか、白い服をもって少し顔を膨らましている。そして一音は嘘だろと言う顔をしている。一夏が明るい系統の色の服を着ているのが想像できないようだ。ファイズ自体が黒い上に、一夏自身モノクロの服しか着ない。しかも黒ベースで、意識しなければ真っ黒になることがある。想像できないのは無理もない。

 

「服なんかどれでも良いだろ」

 

「いいわけないでしょ!だったらこれ着れるの?!」

 

突き出されたのは学ラン。よく見る黒のなんの変鉄もない学ランだ。確かに、学校を卒業したのにこれを着るのは少し恥ずかしい。

 

「着てやっても良いぞ。ただし、お前もこれを着るならな」

 

だが、簡単に引き下がる一夏ではない。近くにあった、恐らく学ランと合わせる為に販売されているであろうセーラー服を手にとって本音に渡した。

 

「なッ!?」

 

「良い歳して何やってんだ?あの2人」

 

そんな2人を脇目に、自分の服を会計に通して代金の支払いを終わらせた。

 

「おぉい。いつまでやってん……結局それ着たのかよ。学ランとセーラー服」

 

言い争いの末に、お互い着ることにしたのだろう。一夏は特に恥ずかしがる様子はない。が、それに反して本音は顔を真っ赤にしてうつ向いている。余程恥ずかしいようだ。しかし、2人とも見た目が若い。軽いコスプレをしているように周りには見える。

 

「なぁ、買うのか?それ」

 

「いや。買わない。制服なら学園のが残ってる」

 

「じゃあ早く戻せよ。母さん恥ずかしさでパンク寸前だぞ」

 

「だな。本音、早く着替えるぞ」

 

「うん……///」

 

服を元に戻すと、店を出て次の場所へと行く事にした。特に目的はない為、目についた場所へと入っていく。入ったのはアクセサリーショップだ。

 

「おぉ!目移りしちゃうね~。どれ買おっかな~?」

 

「常に身に付けられる物が良いな~。最期の時も一緒にいられるようなのが!」

 

(息子の考え方が重たいな)

 

いつの間にか危険な方向に走り出した一音を見て、一夏は頭を抱え何故こうなったのかと自問自答していた。ほとんど自分のせいである。

 

「イッチーは買わないの?」

 

「今選んでる。少し待ってろ」

 

普段からアクセサリーの類いを頻繁につけている訳ではない。どれを買うか悩んでいる。よく着ける人には分かるのかもしれないが、一夏は全部同じに見える。だが、そんな中、ある1つの物に目が止まった。

 

「ん?」

 

手に取ったのは銀色のネックレス。ペンダント部分に特に凝った装飾があるわけでもなく、宝石細工やガラス細工が施されている訳でもない。つや消し加工された本体に削り込みで幾何学的な模様が付けられただけのシンプルな物だ。

 

「それ、ロケットネックレスですよ」

 

「はい?」

 

「すみません。興味深そうに見ていたのでつい。ペンダントを押すと、開いて写真を見ることができるんですよ。この店で撮影もできて、入れることもできますけど、どうします?」

 

「じゃあこれで。撮影もお願いします」

 

「かしこまりました。ではこちらにどうぞ」

 

3人で会計を済ませ、そのまま写真撮影に入った。一音は2人だけで撮れと言っているが、そんなのお構いなしに一夏は並ばせる。

 

「もう少しよってくださ~い。はいOKで~す。今からペンダントに嵌め込みますので、少々お待ちください」

 

それから5分ほどで作業が完了し、一夏に手渡された。普段ならポケットにしまって終わりだが、ペンダントを開いて写真を確認し、少し笑うと自分の首にかけた。

 

「珍しいね~。イッチーがすぐにアクセサリーを着けるなんて」

 

「明日は槍でも降ってくんじゃね~か?」

 

「たまには着けるさ。次は映画でも行くか」

 

「時間的にはこれがジャストだな」

 

『父親を殺して保険金を騙し取ろうとする母親と子供の話』と、やたらに長いタイトルの映画をさされた。

 

(大丈夫かこれ?内容丸わかりだぞ。つーかリアルすぎるだろ!?普通にありそうなんだけど。上映時間も微妙に長いし。なにこれ本当に)

 

「イッチー?イッチー!」

 

「悪い。少し考え事してた。別の映画にしよう……そうだな~」

 

「あの!…一夏さんでよね?仮面ライダーファイズの」

 

流石に見る気になれず、他の映画にしようとする一夏だったが、背後から突然声をかけられた。しかも仮面ライダーファイズと言っている。その声は一夏達がよく知る人物の声だった。

 

「パトリック?」

 

「やっぱり。折り入って、お話があります」

 

「……本音、一音。映画は無しだ。どっかの店に入って席を取っておいくれ」

 

「うん。分かった」

 

本音が一音を連れてその場を離れ、一夏とパトリックの2人だけにした。

 

「どうする?ここで話すか?それとも人のいない場所に移動するか?」

 

「できれば、場所を移して頂きたい」

 

「なら屋上に行くぞ。今日は車も少ないからな」

 

雰囲気を察して、移動を提案。エスカレーターに乗って屋上へと向かっていく。その間、2人に会話はなかった。

 

「で用件ってのはなんだ?こっちは久しぶりの家族サービスの真只中なんだが」

 

「お願いがあります。ショッカー壊滅を、少しの間待っていて欲しいんです!お願いします!!」

 

頭を下げ、突然一夏にショッカー壊滅を待てと言ってきた。冗談で言っている様子は全くない。

 

「一応、理由を言ってくれないか?」

 

「前回のショッカーとの戦いで、俺は正しい歴史を思い出しました。俺の仲間たちは、ISとの全面戦争で、副隊長と俺を除き、全員殉職しました。俺の作戦ミスで、アイツらを全員殺してしまいました。記憶が戻った時、俺は安心したんです。全員生きていることに。そして思ったんです。不謹慎ですけど、時間が巻き戻って、新しい歴史が進んでて良かったと。だから、アイツらに生きていて欲しいんです!期限付きでも、もっとアイツらを生かしていたいんです!」

 

「その間に、ショッカーの被害がでてもか?いつまで待っていれば良いんだ?期限が来たとき、お前はしっかり仲間と別れられるのか?」

 

「それは……」

 

答えに困った。当たり前だ。ショッカーが出たら自分達が出撃して倒せば良い。だがそれでも被害は出る。最小限に抑えたとしても数千万円程度の被害は確実だ。それに例え仲間達が生きられたとしても、別れの時に未練なく別れられる訳がない。自分が殺してしまったも同然の存在。罪滅ぼしの為にも生かしたいと言う気持ちは分からなくはないが、正しい記憶を取り戻したと言うことは、仲間が死んでから今までの感情が全て押し寄せて来たと言うことだ。簡単に別れられるはずがない。

 

「正しい歴史では、俺は死んでる。蘇ってみれば世界は訳の分からん連中に支配されかけてる。あの戦争で生き残って、平和に暮らしてたヤツらが苦しんでる。俺はそれを長引かせたくない」

 

「それは俺も同じです!でも……俺は、仲間にまだ生きていて欲しいです。もっと!この世界で過ごして欲しいんです!!」

 

「その気持ちを否定する訳じゃない。生きていたいと言う気持ちは俺にもある。だが、ショッカーは倒さなくちゃならない。俺の一存でどうにかできる話じゃない。それに、例えどんな理由があったとしても、戦う力を持った俺たちには、敵を倒す義務がある。悪いが、俺個人として、その頼みは受けることはできない」

 

一夏自身、パトリックの気持ちを理解できない訳じゃない。死んだ仲間に生きていて欲しい。一夏がパトリックの立場なら間違いなく同じことをしていたからだ。そして何より、死んだ一夏だからこそ、仲間や家族といる喜びを強く感じている。

 

しかし、自分達は仕事としてショッカーを相手にしている。ボランティアの様な慈善事業ではない。故に義務や責任が発生する。私情に流されて多くの犠牲を出すわけには行かないのだ。

 

一夏はそれを全て理解した上でパトリックの頼みを断った。そしてこれ以上は話せないと悟ると、パトリックに背を向けて立ち去ろうとする。

 

「そんなの、そんなの!俺にも分かっています!!でも!それでも!俺は……!ッ!変身!!!」

 

『complete』

 

「ッ!?グッ!」

 

『555 ENTER』

『Standingby complete』

 

「貴方を、貴方を負傷させてでも!多くの犠牲が出ようとも!仲間を殺してしまった無能な俺の、罪を償うために、アイツらをまた死なせるわけにはいかないんだ!」

 

「お前、自分が何をやってるのか分かってるのか!?こんな時に仲間内でバカやってる暇はねぇんだよ!」

 

「分かってますよ!でも俺には!これしかしてやれる事が無いんだ!!これしか!だからアアア!!!」

 

ライオトルーパーに変身したパトリックは、一夏に襲い掛かった。一夏は間一髪の所でファイズに変身。パトリックの攻撃を受け止めた。

 

「これが間違ってる事だって、俺は分かっています。あんな頼みが、最初から聞き入れられない事も。だから、力ずくでも!」

 

「仕方ねぇ。相手になってやる。お前の頼みを聞き入れられるかどうかは分からねぇが、憂さ晴らしには付き合ってやるよ!」

 

パトリックにも様々な葛藤があった。ライオトルーパーと言う立場、隊を率いる長としての立場、同じ釜の飯を食い、苦楽を共にし、数々の修羅場を越えてきた仲間としての立場、そして同じ時間を過ごしてきた友人としての立場。

 

兵士である以上、戦うための道具であるのかもしれない。戦うために感情を捨てなくてはならないのかもしれない。だが、パトリックにはそれができなかった。考え抜いて、苦しみ抜いた結果が一夏との衝突だ。

 

「ハァ!」

 

「フッ!オラァ!」

 

「グッ!これが量産型との差……」

 

「どうした?力が入ってねぇぞ!」

 

「ッ!ハアアアアアア!!!」

 

アクセレイガンをホルスターから抜き、小回りを利用して一夏に連撃を叩き込む。わずかに距離が開くと、直ぐ様ガンモードに変型させフォトンブラッド光弾を撃ち込んだ。

 

「うおおおおおおお!!!ハァ!」

 

一夏に体当たりをし、そのまま一緒に屋上から飛び降りる。だが、一夏は空中でパトリックを蹴り飛ばして体制を立て直し、ファイズフォンを銃に変型させ攻撃を入れる。当然、攻撃を受けたパトリックは体制を崩し、背中から地面に強く叩き付けられた。

 

「グアッ!ガハァ!」

 

「ふう。どうだ?気は済んだか?」

 

「ウッ!なんとしてでも……なんとしてでも!貴方を止める……!それが、俺にできる、唯一の…!」

 

「何やってるんですか?こんなところで」

 

「パトリック、もう良いだろ?」

 

「ライ…大佐。なんでここに」

 

まだ立ち上り戦おうとするパトリックに副隊長のライとラウラが声をかけ止めた。

 

「一夏、パトリックが済まなかった謝罪させてくれ」

 

「いや。別に良い。コイツの気持ちは分からない訳じゃない。できれば、ソイツの願いは叶えてやりたいが、俺にはそんな力がないからな……」

 

「一夏さん、私からも謝罪します。家の隊長が出過ぎた事をしてしまい、申し訳ありませんでした」

 

「気にすんなよ」

 

「ありがとうございます。ほら隊長帰りますよ。みんな待ってるんですから」

 

「私の部下も待っている。早く帰るぞ。食事が冷めてしまう」

 

「でも、みんなに会わせる顔がない……殺したのは俺だ。だからせめて、もう少し生きてほしくて、なのに俺は……」

 

「誰もあんたを恨んじゃいませんよ。アイツらは、あんたに後を託したんです。あんたなら勝って、生きて生還すると信じて。その思いを無視するんですか?」

 

「…………」

 

ライの言葉を聞くと、うつ向いていた顔を上げて変身を解除した。そしてラウラとライの肩を借りて立ち上り、2人に連れられて帰っていった。

 

「こんな辛い戦い、早く終わらせてやるよ」




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集う仲間。本当の黒幕

本日1本目!


「さてと、休暇明け早々で申し訳ありませんが、今日は助っ人を用意しました」

 

「急にどうした?そんな余裕がどこにあるんだ?ライオトルーパーとは言え、ライダーズギアだぞ?そう簡単に扱える人がどこにいるんだよ?」

 

朝からブリーフィングルームと化した社長室に一夏達とパトリック隊が呼ばれ、何事かと思ったが、どうやら前線での人手不足を補うための助っ人の事だった。しかし、草加の言うように量産型とは言えライダーズギアを簡単に扱える人間はいない筈だ。

 

「まぁ、集めたと言っても数十人一気に集めたと言う訳ではありません。それに、皆さんの顔見知りです。お陰で新にベルトを改造してしばらく徹夜が続いて、現在寝不足です」

 

確かに、村上の目元にうっすらと隈がある。徹夜するほどベルトを改造したと言うことは、それなりに癖の強い助っ人と言うことだろう。

 

「じゃあ、入ってきて下さい」

 

「久しぶり皆」

 

「お久し振りです」

 

「こんな状況だけど久しぶり」

 

「なんで俺まで……」

 

「すまない。少し遅れた」

 

「癖が強いとかのレベルじゃねーのが来たな」

 

出てきたのはかつて一夏と同じ学園で過ごした仲間の鈴、オルコット、デュノア、黒兎隊、そして鈴に引っ張られる形で出てきた弾だった。

 

「何しに来た?スポーツ大会じゃないんだぞ?」

 

「分かってるわよそれくらい。ただ、あんたも何故私たちがここに来たのか、分かってる?」

 

鈴に問われる一夏だったか、答えようとしても声がでなかった。仲間だから?友人だから?顔馴染みだから?世界を守りたいから?頼り無さすぎて見てられないから?何度も失敗してるから?様々な物が頭の中を周り、答えが分からなくなったからだ。

 

「答えは、アンタ1人で死なせるつもりはないからよ。どうせ、自分は死んでるからって言って、また簡単に懸けるつもりでしょ?冗談じゃないわよ。そんなことされたらこっちは目覚めが悪いだけ。例え結果的にアンタ1人死なせることになっても、そこに私たちがが居ないことが、私たちが頼られなかったって事が、1番ムカつくのよ」

 

「私も同じ気持ちです。一夏さんが死んでしまわれたISとの戦争で、私は何もできませんでした。それどころか、相手に取り込まれかけてた……余りにも無力過ぎました。そして、気付けば戦争は終わって、戦死者として貴方の名前が……救う。なんて言うつもりはありません。そこまでの実力もありませんから。ですが、足手まといのままで終わる訳には行きません」

 

「僕は一夏や皆への恩返しかな?あの時、一夏やスマートブレインが助けてくれたから今がある。皆みたいに立派な理由がある訳じゃないけど、僕だって皆と戦いたいんだ」

 

「はぁ……そうかよ。ここで誰1人文句言わねぇってことは、俺1人がウダウダ言ったって仕方ねぇって事か」

 

呆れ気味に一夏が言った。全員に目を向けてみると否定する気配は一切ない。一夏は否定することを諦めた。だがここで、何故来た?と言いたくなる人物に視線を向ける。鈴に引っ張られ、締まった襟元に違和感があるのか、喉をさすっている弾だ。

 

「なんでお前まで来たんだ?現国教師だろ?」

 

「俺が聞きてぇよ。村上さんに戦ってくれって言われるわ鈴に引っ張られて来られるわ。色々と散々なんだよ。お前のお陰でな。なんで俺まで巻き込まれたんだよ」

 

「優秀だと聞きましたので。ライオトルーパー教員免許取得試験で、初めて受けたにも関わらず、実技はオール満点。筆記に多少問題がありましたが、最終試験の戦闘では試験官5人を無傷で撃破。そこまでの実力者を呼ばない訳には行きませんからねぇ」

 

「なんでそんな試験受けたんだよ……」

 

「資格手当て……なんで受けたんだ俺……」

 

ため息を吐いて項垂れてる弾。そしてそれを哀れむ目で見る一夏と言う構図が何とも面白い。鈴はそれを見て爆笑していた。

 

「あの、大佐は良いんですか?ドイツ軍ですよね?」

 

「今回の件は、長引けばやがて世界に広がる。我々部隊の被害は自己責任を条件に、この事件は私の裁量で作戦行動を取ることが許可された。これが許可証だ。村上さん、サインお願いします。それと、私の裁量で動かすため、ドイツから日本、もしくはスマートブレインに対して何か要求する真似はしない。色々と手を回したからな」

 

何かしらの要求をした場合は上層部の恥ずかしい過去をネットを通じて世界中にばら蒔き、更にその証拠のコピーをドイツ軍基地や町中でばら蒔くと脅しをかけたようだ。黒兎隊のメンバーの手の中には何かのSDカードやUSBメモリが覗いている。

 

「さてと。では、皆さんの使うベルトの説明に入りますが……千冬さんはどうしたんですか?来ると言っていましたが?」

 

「すまない。途中で真耶と本音に止められて遅れた」

 

「そうですか。でその2人は?」

 

「避難所に送りました。2人はライダーズギアの扱いには慣れてないので、危険かと思いまして」

 

「賢明な判断です。じゃ、説明に入りますね。まず、かつて専用機を与えられていた皆さんのベルトには、各々の使っていた武器を入れています。鈴さんは衝撃砲、オルコットさんはスナイパーライフルとビット兵器、ラウラさんにはAICを。デュノアさんに関しては、専用武装かありませんので、大量に武器を詰め込んで高速切り替えを可能にしました」

 

つまるところ、専用機のライオトルーパー版と言うことになる。各々が使っていた専用機の特性をライオトルーパーに移行し、扱いやすいようにしたのが今回のベルトだ。

 

「次に千冬さんのベルトですが、こちらは武器をアクセレイガンからカイザブレイガンに変更。他に日本刀タイプのブレードを1本付けました。機動力を強化してますので、扱いには気を付けてください」

 

こちらは暮桜ベースと言うことになるのかもしれない。武装こそはバランスが良いが、基本接近戦と言うことになる。が、千冬にはそれがちょうど良いだろう。

 

「で弾さんのベルトは、基本的に全体の出力を上げています」

 

「ぁ何故!?」

 

「試験時の映像を見せてもらったんですが、それくらいがベストかと思いまして。武装は特に変更ありません。簡易版のファイズショットが付いてる位です」

 

「俺だけ適当じゃね?呼ばれる意味無かったよね!?」

 

1人だけ喧嘩スタイルで行け。と言う事だった。

 

「コイツら使えんのか?俺はそこのブリュンヒルデと先生の実力しか知らないんだが」

 

「他のメンバーが戦ってる所、見たこと無いからね」

 

「安心しろ。大体鈴と同じ強さだから保証はしてやる。弾以外はな」

 

「あ?どう言う意味かな一夏くん?」

 

「おめぇの実力は俺も知らねぇんだよ」

 

「なら見せてやるよ。覚悟しろよ?」

 

鈴と千冬の実力は知っている士と海東だが、他のメンバーに対しては少し不安に思っていた様だ。しかし一夏の言うように、他の3人の実力は鈴と大体同じくらい。それを聞いただけでも不安は拭える。1人を除いては。

 

「本当に大丈夫か?」

 

「止めたまえ士。考えるだけ疲れる」

 

「喧嘩してないでとっとと行くわよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって何度も訪れたショッカーが使っている廃工業地帯。別に潜入と言う訳ではないので、正面から突入しようとする。

 

「本当に多いわね。ゾンビ映画みたい。廃れた館からゾロゾロゾロゾロゾロゾロ」

 

「気持ち悪い例えかたしないでください!夢に出てきそうですわ!」

 

「おかしいな……数が減ってる」

 

「え?これで減ってるの?十分多いけど」

 

「いやシャル。よく見てみろ。資料に乗ってる筈の敵がいない」

 

ラウラに言われよく見てみると、確かに敵が数種類減っている。士が面倒だと説明していたワームや前回の戦闘で叩きのめしたダークライダー。更に一夏が相手をしたアポロガイストが所属するGOD機関。その他にも何種類かが消えていた。

 

「恐らく、時間の巻き戻しが上手く行かなかったんだね。かなりの回数時間を巻き戻してたから、変な影響が出始めたのかも」

 

「なんにしろ、俺達にとってはありがたい状況だ。上を抑えて数人で地下に居る本丸を叩くぞ」

 

草加が状況を見て決めた作戦に全員が乗った。敵の数を見ると、上を片付けてからと言いたくなるが、既に異変の元凶と居場所を掴んでいる。ならばチマチマ敵を倒しながら進む理由はない。

 

「一夏と士、海東がゼロを叩け。俺達が上をやる」

 

「待て。俺が下に行く。海東は上に残ってくれ」

 

草加が人員を決め、早速向かおうとしたが、一音がそれを止めて自分と海東を交換するように言い出した。

 

「何故だい?戦力的には僕が適任だと思うけど。それに君にはジェットスライガーがある。こっちで敵を殲滅した方が良いはずだよ?」

 

「スライガーは置いていく。俺自身の武装が拳銃1丁。お前と違って変則的な射撃もできない。なら海東は上に残った方がマシだ」

 

「成る程ね。一理ある。ならジェットスライガーは借りるよ」

 

「傷は着けるなよ」

 

海東をスライガーに乗せると、3人は地下へと突っ切って行き、それを捕らえようと津波の様に迫り来る怪人達を地上に残ったメンバーが抑えにかかった。

 

「一夏。道は覚えてるか?」

 

「あの後、ゼロが改造してないなら一本道の筈だ。無駄な道が多いから離れるなよ」

 

辺りを警戒しながら慎重に進んでいく一夏たち。特に道が変わってる様子が無いことに安堵するが、それでもズカズカ進んでいく様な真似はしない。

 

「ッ!敵がいた。オルフェノクだ……」

 

角を曲がろうとした所で、オルフェノクを発見。3体が道を塞ぐように立っていた。

 

「どうする?全員でやるか?」

 

「ダメだ。戦力を無駄に消耗することになる。俺が3体引き付けるから、親父と士はゼロを頼む」

 

「死ぬなよ」

 

「アンタの負の遺伝子受け継いでんだ。簡単に死ねるかよ」

 

一音が引き受けると、デルタムーバーをベルトから外して構え、オルフェノクに向かって射撃。そのまま一夏達が向かう道の反対側へと走っていった。オルフェノクも一音の後を追ってその場から離れていく。

 

「上手くいったな」

 

「あぁ。行くぞ」

 

その後、ゼロが待ち構えている部屋へと向かうのだが、どう言う訳か敵が1人も現れなかった。不審に思うも待っていても仕方ないと考え、一気に進んでいく。

 

「この角を曲がればゼロの居る部屋だ」

 

「ッ!?ウオッ!」

 

「さっきのオルフェノク!?」

 

一音が引き付けた筈のオルフェノク3体が突然現れ、士にしがみつき一夏と孤立させようとした。

 

「士!」

 

「先に行ってろ!すぐに合流する!」

 

士の言葉を信じ、1人でゼロの元へと向かっていく。色々と違和感があるが、ゼロとの戦闘に意識を向け、扉の前に立った。

 

(ブラスターを使って一気に勝負を決めるか……いや。何かがおかしい。世界征服くらい、ゼロならショッカーを使わずに1人でやれた筈だ。手が回りくどい……目的は他にあるのか?だとしたら一体……今になって考えれば他にもおかしい事が沢山ある。ゼロの存在を確認する前から結構……待てよ。まさか……いやあり得ない。でも……)

 

この戦いが始まった直後から感じていた違和感。そしてゼロを見つけてから感じていた違和感。一夏はその正体に近付いていた。そして1つの、1番望まなかった、外れてくれと願っていた答えに辿り着いてしまった。

 

「……お前だけな筈の無いよな。ゼロ」

 

扉を開けて中に入る。そこには当然ゼロが座っていた。だが、もう1人居る事に、一夏は既に気付いている。変身を解除して、隠れている人の名を呼んだ。

 

「早く出てこいよ。一音」

 

その直後、扉の影に隠れていた一音が、デルタムーバーを一夏に構えながら出てきた。1番外れてほしかった答えが、現実のものとなり、一夏の前に現れてしまった。




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今日中にはリメイク版を投稿します。サブコーナー用の活動報告もよろしくお願いします!!


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託した者と託された者

2本目!


「ゼロ。親父と2人にしてくれ」

 

一音の言葉に従い、ゼロはその場から溶けるように消えていった。まるでそこには最初からなにも居なかったかのように思えるほど、綺麗に消えてしまったのだ。

 

「いつから気付いてたんだ?俺がゼロと一緒にこんなことやってるって。もしかして、最初からか?」

 

「いや。気付いたのはついさっきだ。違和感こそ感じていたが、一体それがなんの違和感なのか気付かないレベルでな」

 

「なら、聞かせてもらおうか?アンタの推理を」

 

「推理って程じゃない。ただ、さっき気付いた違和感の正体はお前だった。最初、その表現が合ってるか分からないが、ショッカーが現れた最初の戦いの後、俺は海東に頼んでファイズギアを盗んでくる様に頼んだ。だが、アイツはデルタギアも一緒に盗んできた。お前に頼まれたと言ってな」

 

「あぁ。間違いない。頼んだのは俺だ。だが何故それが違和感なんだ?」

 

「おかしいんだよ。確かにショッカーの攻撃はあったが、まだ情報が大きく出てない時だった。士と海東の2人がショッカーと関わりを持ってる事も、ベルトを持ってくる事を頼んだことも、あの時は当事者しか知らないはずだ。だがお前は、士達がショッカーと関わりがあるとこを分かっていた。そしてベルトを持ってくる事も。あの時アイツはスマートブレイン方面とは言え、ただ歩いているだけだ。にも関わらず、ベルトを盗みに行っている事を知っていた。そして自分の物も取ってくる様に頼んだ。おかしいだろ?なんでお前が知ってるんだ?」

 

「海東から聞いた。って言ったら?」

 

「ならアイツがそう言う筈だ。だが、海東は話したとは言っていない。お前が頼んだと言ったんだ。1番疑問に思ったのが、本音がライフエナジーを吸われ死にかけてたとかき、病室でお前が言った言葉だ。『俺はこんなの』後に続く言葉がなんでも、その言い回しをするって事は先を知って、阻止する為に動いてる人間じゃないとできない。色々と考えてみた。お前以外のヤツが何かしてるんだって思ってみた。だが、誰もできないんだよ。封印して使われなかったライダーズギア。海東が持ち出すまで誰も使ってない。誰も触ってない。俺が変身できない様に細工できるのはお前だけだった……」

 

ショッカーを長い間相手にして来た士と海東も細工をすることは可能だ。しかし、ショッカーを鬱陶しく思っている2人はそんなことをする筈がない。そして村上や草加、木場はベルトが盗まれた後に一夏が再び戦おうとしていることに気付いた。本音やその他の身内には元々話していない。状況的に、一音以外やれそうに無いのだ。

 

「はぁ……まさかそんなことで気付くとは……正解だよ。俺がやったんだ。ベルトを細工してアンタが変身できない様にしたのも、時間を何度も改変して、歴史を変えようとしたのも。全部俺だ」

 

「一体どうやってそんなことを……そもそも何故ゼロが生きているのか。そこからが疑問だ」

 

「簡単だ。アンタらはゼロを殺せなかった。ただそれだけだ。世界中のIS。起動してない物も含めて5日もかけずに全て掌握した相手だ。簡単には死なないと思ったんだよ」

 

一音は、あの戦争からしばらくしてドイツに渡った。一夏が最後に戦い、ゼロを破ったあの場所へと行くために。全てのISを掌握し、開発者自身が危険すぎると判断して封印する程の代物。ファイズブラスターとオーガの攻撃を受けたとしても簡単に破壊される筈がない。可能性は低いが、その考えに懸けてその場所を訪れた。

 

結果、一音の考えは当たっていた。ゼロは死んでいなかった。灰になったコアをかき集めて、復活を試みていたのだ。それほどまでに凄まじい力を持つIS。それを見て、一音はあることを考えた。普通に考えれば不可能な事だ。だが、もしかしたらゼロなら可能性があるとして。

 

「復活したゼロに聞いてみたんだよ。歴史を変えられるかって。無理だろ?普通。でもアイツは言ったよ。力を覚醒させれば可能だと」

 

「なんでそんなことを……」

 

「なんで?本気で言ってるのか?」

 

突然、一音の声色が変わった。強い怒りや悲しみが混ざったような声を出し始めたのだ。

 

「アンタが、アンタが世界を取ったからだ!俺たち家族を捨て、世界を守ることを選んだ!そりゃ最初は、皆アンタの言葉通りに、いろんな事を頑張ったよ。破壊された都市の修復や、傷付いた人のケア。母さんと草加さんは忙しくなる店を必死で回していた。アンタが託したものを守るために必死で!でも、分かるか?忙しさから抜けた瞬間に見せる、皆の顔が……意識しないように、アンタが居なくなった寂しさに気付かない様に、必死で動き回ってもいつかはやって来る。忙しさから抜け出た瞬間にする、あの表現が……どこも見ていない。明日どころか、今さえも見ていない。見てるのは、アンタの幻影だ。アンタがいた頃の、アンタが動いていた頃の影を!虚ろな目でずっと眺めている姿が!アンタに分かるか!?」

 

「…………」

 

「そんな表情を、俺は見てることができない。だから、アンタが生きている未来を手に入れる!全員が笑っていたあの頃を、もう一度!だから、俺の邪魔はさせない!変身!」

 

『Standingby complete』

 

デルタに変身すると、一音は走り出して一夏につかみかかった。一音の話を聞く限り、落ち度は一夏にある。一夏は勿論それを理解していた。託したとは言え、それは一方的だったからだ。生き返ってからと言うもの、自分の最期の瞬間について考えた時間はある。そして託した物についても。本当にあれで良かったのかと思ったことすらある。

 

「俺もあれで良かったのか分かんねぇ……でも、世界を救った事は後悔してない」

 

「何故だ!俺たちよりも世界が大事って言うのか!?アンタにとって!俺たちは世界以下の存在だったのか!?どうなんだ!」

 

「そんな訳ねぇだろ!変身!」

 

『555 ENTER』

『Standingby complete』

 

一夏も変身し応戦を始めた。我が儘、独り善がりな戦い、偽善的、自分勝手、並べようと思えばいくらでも並べられる。一夏の戦いは正にそれだった。

 

「邪魔はさせない!絶対に!親父の未来を救うためなら!悪魔に魂を売ることも!俺自身が悪魔になっても構わない!アンタが未来を作り上げる為なら!俺は!」

 

「グッ!自分の未来はどうだって良いってのか!?」

 

「構わないね!例え存在が消え失せても!俺は過去に行ってアンタに降りかかる火の粉を振り払う!」

 

一音の猛攻に一夏は防戦一方だった。全く手も足もでない。だが、自分の存在が消え失せても構わないと言う言葉を聞いて、一夏の動きが変わった。

 

「一音……俺はお前を、消させはしない」

 

「ッ!?」

 

「ハァッ!!」

 

「ガァ!?」

 

防戦一方だった動きが一気に攻める動きに変り、一音の攻撃は全て弾かれ、崩れた所に休む暇を与えない攻撃を叩き込んだ。

 

「グッ……!なんで急に!」

 

「ハァ!」

 

「ウワッ!チィ!オラァ!」

 

『Ready』

 

だが一音もただやられる訳ではない。一夏を殴ると同時にファイズショットを奪い取り、自分のミッションメモリを差し込んだ。

 

「チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

「ウォラア!!」

 

「ッ!ウワアアアアア!!!」

 

「ハァハァハァ…負けない……負ける訳には……!来い!スライガーァァァァ!!!」

 

「?ウワッ!?」

 

地下空間イッパイに広がる程の声で叫ぶと、壁を突き破り一夏を突き飛ばして一夏の元に馬の状態のジェットスライガーが現れた。一音はそれに股がり、デルタ専用のブレードを展開する。

 

『グルルルル……』

 

「スライガー、分かってる。だが、もう少し俺の我が儘に付き合ってくれ。これが最後だからよ…行くぞ!」

 

心配するように唸るスライガーの首の部分を撫で宥めると、ブレードを構えて一夏へと駆けていく。

 

「ヤベ……」

 

『complete』

『Startup』

 

アクセルフォームに変身して距離を取ろうと部屋から出ていこうとした。だが

 

「この空間で何処に逃げるつもりだ!」

 

「マジかよ!?」

 

スライガーを加速させ、壁を破壊しながら一夏へと近付いていく。ここまでの道を複雑な迷路の様に見せ掛けた一本道にしたのは、これが目的の様だ。一夏の逃走経路を絞り、逃げ道を直線的にするために。

 

「チッ。我慢してくれよスライガー」

 

180°方向転換し、壁を蹴りアクセルの加速と共にスライガーへと突っ込んでいく。ファイズショットが無いためグランインパクトは放てないが、それでも十分な威力がある拳をスライガーに叩き込むことができる。

 

「フンッ!」

 

「ウォワ!?」

 

胴体に見事に一夏の拳が入り、スライガーは体勢を崩し倒れた。構造上、スライガーは一度倒れてしまうと簡単に立ち上がることができない。一音はスライガーから降りると、ブレードを左手に持ちアクセルフォームの解除された一夏に斬りかかる。

 

「ウッ。利手じゃない方で持ってどうすんだよ!」

 

「こうする!」

 

簡単に受け止められたが、右手に付けたファイズショットで殴り付ける。一撃で止まらず、何度も強烈な拳を一夏に入れ続けた。

 

「グアッハ!」

 

体の至るところから火花が散り、危険な状態に追い詰められた。だがそれは一音も同様だ。受けた攻撃の数こそは少ないが、ファイズショットを使ったり一夏の重い攻撃を受けたりで、ダメージ的には同じだ。体力もお互いに底をつき、意識が薄れていく。

 

「グッ!ハァ!」

 

「ウァ!」

 

『Ready ENTER』

『Exceed Charge』

 

「ッ!ハァ!チェック!」

 

『Exceed Charge』

 

一音の拳をなんとか受け止め、力任せに投げ飛ばす。一瞬隙ができ、ポインターに自身のミッションメモリを差し込みクリムゾンスマッシュを一音に入れようとした。だが、一音はブレードで放たれたポインターを弾き、デルタムーバーに持ち変えグランインパクトを放つ。

 

「グッ!ウゥゥゥ……!!」

 

「ハアアアアアア!!」

 

互いの技が正面からぶつかり、バチバチとスパークしながら反発しあった。

 

「「ウワァッ!!」」

 

攻撃はどちらかが勝ったのではなく、反発しあった末に互いに吹っ飛んだ。一音は腕、一夏は右足部分が破損して生身の部分が露出した。

 

「イッテ……強ぇな~」

 

右足を庇いながら一夏が立ち上がる。一音の力は一夏が想像する以上のものだった。一音も腕を庇いながら立ち上がる。

 

「チッ。壊れたか」

 

破壊したファイズショットを投げ捨て、デルタムーバーを無事な左手で一夏に向ける。

 

「まだやるのか?お互い、もう限界だろ?体力的意味でも、ライダーズギアのダメージレベル的にも」

 

一夏の言う通りだ。変身はいつ解除されてもおかしくない。破損のレベルも今までの比ではない。さっきの攻撃で腕と脚を破損。吹っ飛ばされて壁に全身を打ち付けめり込んだ時に胴体のアーマーと仮面部分も一部破損している。

 

「早く終わらせたいんならブラスターにでもなれ。一瞬で俺を殺せるだろ」

 

確かにそうだ。ブラスターになれば勝負は一瞬で決まるだろう。だが、一夏はブラスターを使うことを考えていなかった。

 

「今さらなるつもりはねぇよ。次の一撃で決める」

 

「そうかよ」

 

一音も一撃で決めることを決心した。残ってる体力でフラフラと走ってくる一夏を仕留めようとする。狙うは一点。砕けて左目が露出している仮面の隙間。そこに入れれば一瞬で終わる。

 

「ハァハァ……ッ!そこだ!」

 

力の入らない腕で照準を合わせて引き金を引いた。光弾は一音の狙い通り一夏の左目に飛んでいった。だが

 

「ヌゥッ!ハァアアアア!!!」

 

「ッ!?」

 

「ハア!」

 

「ウァッ……ウッ!」

 

一夏は当たる直前で体を捻り避け、全力で一音に向かって走り、左足でデルタギアに強烈な前蹴りを打ち込んだ。結果、デルタギアに亀裂が入り砕け散った。

 

変身が解除され、崩れるように倒れる一音の手を付かんで抱き抱える。

 

「なんで…なんでだよ……!なんで勝てねぇんだよ!」

 

「…………」

 

「間違ってたのか?間違ってたから止めたのか?なぁ!俺は間違ってたのか?!」

 

「いいか一音。親が子供の決めた事に口出しする権利は持ってねぇんだよ。できることって言ったら精々、少し後ろに立ってたまに手を差し出したり、折れそうになったら支えたり、挫折して進めなくなった時に、帰れる場所を作るくらいなんだよ。だから俺にはお前のやろうとする事を止める権利はない」

 

「じゃあなんで……」

 

「お前が後悔してないってんなら俺は止めなかった。後悔してないヤツが、本音が病室で苦しんでたときにあんなこと言わねぇだろ。だから止めた。自分で止められなくなる前に」

 

「そうかよ……なぁ、なんで世界を救ったんだ?なんで俺たちじゃなくて世界を取った?」

 

「お前たちだけを守るのは簡単だ。でもな、お前たちだけを守っても、お前たちが、安心して暮らせる世界が無かったら、俺は死ぬほど後悔する。俺の守る世界ってのはな、大切な物や場所、そしてお前たちを含めた全部なんだよ。だから、お前たちを取らなかった訳じゃない。お前たちを含めての世界だからな」

 

「ブラスターにならなかったのは?」

 

「子供を殺したい親が、どこにいるよ」

 

その言葉を聞くと、一音は気を失ってしまった。

 

「大丈夫か一夏!」

 

「無事か?」

 

そこに士と弾が入ってきた。あの3体のオルフェノクと上は片付いたと言う事かも知れない。

 

「悪い。手子摺った。何があったんだ?」

 

「いや。ちょっとな。悪いが一音とスライガーを上に連れていってくれないか?俺はゼロを始末する」

 

「分かった」

 

士はスライガーを取りにこの場所から離れ、弾は一音を抱えて上へと上がろうとした。

 

「弾」

 

「なんだ?」

 

「ありがとうよ」

 

「?なんだ急に気持ち悪い」

 

「一緒に戦ってくれたから……かな」

 

「そうかよ。じゃあな親友。70年後にあの世で」

 

「70年も生きてられんのか?」

 

「ふっ。孫に囲まれて死んでやるよ」

 

それを最後に弾は振り返らずに一音を抱えて上へと行ってしまった。

 

『良いのか?私を消せば、歴史は元に戻るぞ』

 

「ショッカーが居なくなるならそれで良い」

 

『私を消したところで、ショッカーは消えないぞ』

 

「なに?」




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仮面ライダーデルタ

本日3本目!


 時間を少し巻き戻して弾が地下に突入する前の地上に目を向ける。

 

「さてと。始めますか」

 

 鈴が呟くと、元IS学園組が武装を展開した。カラーリングや形はライオトルーパーに合わせて質素な感じになっているが、何と無く安心する感じがした。

 

「なんか、久し振りですわね。ですが前と同じ様に、いえ、それ以上に使いこなせそうな気がしますわ!」

 

「本当。武器なんて久し振りに持ったのに、全然ブランクを感じないよ」

 

「懐かしいわね~。アンタらとこうして並ぶの。腕が鳴るわ」

 

「鳴らしてるのは首だろ?」

 

「ラウラそこツッコまないで」

 

 確かに鈴は腕が鳴ると言いつつ、首を回して鳴らしていた。そこをラウラにツッコまれるのだが、面倒になりそうだったので簪がそれを止める。まるで学園の時と同じ光景だ。

 

「変わらないな~。コイツらは」

 

 千冬も頭を抱えている。

 

「大丈夫だよ。人間それくらいがちょうど良いんだから」

 

「そうだな。じゃあ片付けるぞ」

 

 草加を先頭にIS学園組と黒兎隊が敵陣に向かって走っていく。だが、その後ろには脚を進められない人達がいた。

 

「パトリック隊長!我々も行きましょう!」

 

「私達の事は気にしないでください。あれは自分の意思で選んだ行動です。貴方が気に病む必要はありません」

 

「行きましょう隊長!世界を守る為に」

 

「分かってる!分かってるけど……」

 

 パトリックはまだ迷っていたのだ。歴史を正しい方向へと修正するべきか、仲間たちを生かすべきかを。

 

「では。私達は先に行ってます。すぐ来てくださいね」

 

 副隊長のライが隊を率いて、先に草加達を追いかけていく。パトリックはそれを見ていることしかできなかった。

 

「クソッ!ここに来てなんで悩んでんだよ!」

 

「あ~。一応聞くけど、行くつもりある?」

 

「当たり前だ!仲間が戦ってるなら行くだろ!でも!……俺は戦うことを選べない!」

 

 弾の投げ掛けに、戦う決意はあると言い放つ。だが、それでも仲間の死がチラつくのか、戦いを拒絶してしまう所がある。

 

「なぁ、弾って言ったっけ?お前はどうなんだ?戦えるのか?戦おうと思うのか?この戦いに俺たちが勝っちまえば、歴史は正しい物になる。そうなれば、お前の友人は死ぬことになるんだぞ?それでも戦えるのか?!なぁ教えてくれよ!」

 

「戦えるよ」

 

「なんで!」

 

「アイツが、一夏がそれを選ぶなら、それが一夏の1番したいことだからだ」

 

「…………」

 

「昔俺のジィさんに言われたんだよ。仲間のやりたいことを理解できないヤツに、仲間でいる資格はないってな。一夏とは長い付き合いだ。だから、やりたいと思ってる事は何と無く理解できる。アイツが死ぬことになっても、俺は一夏のやることを尊重したい。それに、覚悟を決めたヤツには、涙も哀れみも侮辱になるだろ?」

 

 それを聞いて、パトリックの中で何かが固まった。弾は一通り自分の考えを伝えると、先に行った仲間たちを追いかけて敵陣へと走り出す。そしてパトリックも、全力で走り、戦っている仲間たちの元へと向かっていった。

 

『『Ready』』

 

 草加はカイザブレイガンを、木場はオーガストランザーを展開し、手当たり次第に敵を切り裂いて行く。後に続くメンバーは2人の届かない位置にいる敵を撃ち抜いていく。

 

「うっひゃ~。流石村上さん。威力がえげつないわ」

 

「精度もかなり高いですよ」

 

「実弾だと身に染みて分かるね」

 

「切れ味も抜群だぞ」

 

 元IS学園組は、今回の武器の完成度に驚いている。ライフルを含む銃関連の武器は威力、精度共にかなり高い状態で、スコープの中心を相手に向けるとその通りに飛んでいきヒットする。そしてラウラはブレードで戦闘員の頭を綺麗に胴体と切り離していた。それを他のメンバーに見せている。

 

「なんか感覚おかしくなりそう……」

 

「言うな。意識したら余計におかしくなる」

 

 木場と草加は気にしないことにした。そこにパトリックと弾が合流し、更に効率よくショッカーを消し飛ばしていく。

 

「なんかあったか?」

 

「いや。なにも」

 

「?」

 

 何故か視線を反らす草加と木場に不信感を覚えつつも、自身の仕事を全うしていく。

 

「別れるぞ。千冬と木場は俺と正面。パトリック隊と海東は西側。元学園組と黒兎隊、弾は東側を片付けろ。絶対に地下には敵を入れるなよ」

 

 草加の指示で全員広がっていく。正面を担当している3人だが、言うまでもなく圧倒的な強さで敵を縛き上げていく。無双ゲームの様に敵が吹っ飛んでいく様は圧巻だ。

 

「木場、ブレイク使って良いか?」

 

「時間内に全部片付けられるなら良いよ」

 

「怪我はしないでくださいね」

 

「よし!」

 

『Ready』

 

 自分の胸アーマーを力任せに破壊して、フォトンブラットを強制解放。ファイズのアクセルフォームと同等もしくはそれ以上のスピードで動き回る。

 

「草加くんがいる時点で、ここ楽ですね」

 

「私達のベルトもあそこまでできれば……」

 

 ブレイクモードは30秒間持続する。普通に過ごしていても30秒は少し長く感じる物だが、通常の1000倍以上のスピードで動いている草加からしたら、30秒で敵を殲滅するのは朝めし前だろう。しかし、一夏ほど上手く扱える訳ではないし、更に言えばブレイクモード自体がカイザにとってイレギュラー。安全に使うための補助システムが入っていれば別だが、直線上に動くことしかできない。

 

 それでも敵を片付けるには全く問題はなく、草加が倒せなかった範囲を千冬と木場の2人が始末すれば良いだけの話である。

 

「ベルトの調子はどう?」

 

「問題ありません。こんなに使いやすい物だったと初めて知りました」

 

「それは良かった」

 

『ENTER』

『Exceed Charge』

 

「ハァァァア!」

 

 もはやお馴染みとなったフォトンブラッドで派手に刀身を伸ばして敵を一気に凪ぎ払うオーガストラッシュで綺麗に整地。そして千冬もアップグレードされた機動力とスピードを生かし、ブレードとカイザブレイガンであっという間に敵を殲滅。そして草加も、カイザブレイガンが敵を拘束しカイザスラッシュ。そして残った時間でポインターを使い敵に強化されたゴルドスマッシュを決めて終らせた。

 

 パトリック隊だが、特に言うことはない。海東を入れているにも関わらず磨き上げられた連携で敵に反撃を許さず、終始ワンサイドゲームで片付けていくからだ。特殊な兵装があるわけではないが、経験と技術、連携が全て融合し、ショッカーを寄せ付けなかった。

 

 そして元学園組と黒兎隊。こちらも全く問題なかった。実戦身経験者、つまり素人もいるが、それを感じさせない戦いをしている。

 

「やっぱりセシリアの武器楽だわ~。こう言うところだと。1対1だと使い物にならないのに」

 

「言い方どうにかなりません?あの時は私が未熟だっただけです」

 

「あ~、あの時か。そう言えば面白いように先読まれてたね。山田先生に」

 

「ぐぬぬ……もう昔の事はいいでしょ!皆さんも早く行ってください!」

 

「はいはい。弾、体支えて」

 

 鈴に言われると、弾は後ろから背中を押すような体勢をとる。そして脚と腰に力を入れた。

 

「いつでも良いぞ」

 

「オッケ~。発射!」

 

 全力で衝撃砲を放った。

 

「うん。やっぱこれに限るわ~。次のチャージ完了まで少し待ってて~」

 

 オルコットは鈴を援護するためにその場に残り、他のメンバーは前へと出ていく。ラウラ達黒兎隊が敵をAICで動けなくし、それを簪やデュノア、弾が攻撃を入れて倒していく感じだ。

 

「多いし埒が明かないな……」

 

「こっちは特殊な物が付いてないからね。パトリック達も同じだけど、少し手子摺るのは仕方ないかも」

 

「どうするか……あ、そうだ」

 

 何かを思い付いたのか、弾がラウラ達へと近寄り相談を持ちかけた。

 

「ちょっとドイツ軍の方々、あそこの敵を一気にさっきので拘束できない?」

 

「なんて無茶を言ってくるんだお前は!?」

 

「いやできるかできないかを教えてほしいんだが」

 

「その言い方腹立つな……良いだろ!やってやる!黒兎隊各員!聞いてたな!?この一般人の作戦に乗ってやれ!」

 

『了解!』

 

「2秒が限界だ。その間になんとかしろ!」

 

「了~解。鈴!」

 

 AICで動けなくした敵の真上に跳んでいく。ちょうど中心に来た辺りで、鈴に声をかけた。するとやることを理解したのか、オルコットにビットを操作して貰って弾の所までの足場を作って貰う。

 

「怪我すんじゃないわよ!」

 

「分かってる!」

 

 弾はグランインパクトの準備に入り、鈴は衝撃砲の照準を弾の足の裏に合わせた。

 

「行ってらっしゃい!!」

 

「ンガッ!ングググ!!オラァァア!!!」

 

 衝撃砲の強すぎる威力に体が曲がりそうになったが、狙い通りにスピードを着けて地面に向かっていく。

 

「おい!そろそろ限界だぞ!早く―」

 

ズドォォン!!!

 

「……はあ?」

 

 物凄い衝撃の後に、ラウラから間抜けな声が出てきた。ファイズやカイザに威力的に劣るとは言え、上空から打ち込み、更に鈴の衝撃砲で加速を加えたグランインパクト。それは想定以上の威力を産み出し、敵は完全にこの衝撃波で片付いた。地面にはクレーターもできている。

 

「拳砕けるかと思った」

 

「生きてるわね」

 

「もう少し威力考えて欲しかったよ」

 

「無茶言わないで。敵を吹っ飛ばす物なのよ。人を撃ち出す用にはできてないの」

 

「はぁ……まぁいいや。片付いたし」

 

 弾の言うように、もう敵はいない。他のメンバーの担当していた場所も綺麗になっている。

 

「草加さん。こっちは片付きました。そっちはどうですか?」

 

『こっちも終わった。パトリック達も終わったそうだ』

 

「分かりました」

 

 ラウラの通信で他の場所の状況を把握。他の場所も終わったことを確認すると、一度合流しようとした。

 

「一夏……悪い。ちょっと下に行ってくる」

 

「ちょっと弾!」

 

「すぐ戻る!」

 

 そう言って、1人で一夏達が戦っている地下へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこれ……上より激しいな」

 

 地下に入ってすぐに見たのは、荒れ果てた地下空間だった。一夏から地下の話を聞いたとき、面倒な迷路と聞いていた。特に何かが散らかってるなんて話は聞いていない。

 

「どんな戦闘したらこんなになるんだよ……」

 

 敵の気配は無いが、見て引く程の酷さだ。恐る恐る道を進んでいき、最深部と思われる場所へと向かっていく。

 

「スライガー……なんでこんなところに?」

 

 倒れた状態で放置されたスライガーを見付けると、駆け寄って立ち上がらせた。これに乗って進もうとも考えたが、弾はジェットスライガーの操作方法を知らない。少し申し訳なく思ったが、スライガーを置いて先に進んでいく。

 

「ん?今度はデルタギア。一音のだよな?それにここは……」

 

 入った直後の地点より、更に激しい戦闘の跡がある。ここが中心であることは弾でも簡単に想像することができた。だがデルタギアに関しては想像がつかない。外れたと考えられるが、なら近くに一音がいなくてはおかしい。そう思いながら、更に進んでいく。

 

 途中士と遭遇し2人で進んでいくと、一夏と変身が解除された一音を発見。声をかけたが、何があったかは聞かなかった。状況を見れば、鈍い人間でも大方の予想は付けられるからだ。一夏はそれぞれに一音とスライガーの事を任せ、1人部屋に残る。弾も士も、特に深くは聞かずに離れていった。

 

『良いのか?私を消せば、歴史は元に戻るぞ』

 

「ショッカーが居なくなるならそれで良い」

 

『私を消したところで、ショッカーは消えないぞ』

 

「なに?」

 

 一夏とゼロだけになった空間には2人の会話しか響かない。一夏はここで全てを終わらせるつもりだった。しかしゼロから放たれた一言は、自身を消してもショッカーは消えないと言う答えだった。

 

『元々、ショッカーはこの世界に入り込もうとしていた。擬物とは言え、ここもライダーの世界だからな。だが、ヤツらがここに来たら、この世界は簡単に乗っ取られてしまう。その対策を考えている時に、お前の息子が現れた。ヤツの目的は、お前が生存し、全員が笑って暮らしていたあの頃をもう一度作り上げること。それを利用させてもらった』

 

 ゼロと一音が契約を交わした後、ゼロの本来の力を覚醒させるために一音は指定されたISコアを奪取。計画通りにゼロは力を覚醒していき、いよいよそれは時間を操れるレベルにたっした。しかし、そのタイミングでショッカーがこの世界に侵攻を開始。

 

 少し早かったが、歴史改編をスタートさせざるを得なかった。そして一夏たち仮面ライダーを何度もショッカーと衝突させ、相手の戦力を削りこの世界のライダー達の勝率を上げようとした。それがゼロの計画だったのだ。

 

「何故お前がそこまでする?お前は、全てのISを掌握して世界に戦争を吹っ掛けた。支配するために。ショッカーと目的は同じだった。にも関わらず、お前は今回完全に逆の事をやっている。一体何故なんだ?」

 

『単純に興味が湧いたからだ。かつて、お前達が命懸けで私から救ったこの世界を、今度は、私が守ってみたくなった』

 

「成る程。そう言う事だったのか」

 

「士……スライガーはどうした?」

 

「上に置いてきたよ。俺も今回の事は気になってたからな。すぐに戻ってきた。ダークライダーや一部の怪人が復活しなかったのは、ショッカーの戦力が減ったからだな?」

 

『その通り。この数年間の戦いで、ショッカーの戦力を大幅に削ることに成功した。だがまだ完全にこの世界のライダーが勝てると決まった訳ではない。勝率は3割と言うところだ。覆せない訳ではないが、危険であることに変わりはない』

 

「どうする?ここでコイツを消すか?それともコイツの想定する安全圏に入るまで待つか?」

 

 士に聞かれるが、一夏の中で答えは既に決まっている。

 

「このまま一緒にあの世に行くぞ」

 

「良いのか?」

 

「死んだ俺が、いつまでもこの世界にいて良いわけ無いだろ?俺にできることはもう何もないからな」

 

「また勝手に託して消えるつもりか?」

 

「あぁ。もう伝えたからな。まだ届いてないけど。あとどっかにデルタギア転がってるだろ?一音に渡しといてくれ。一音がさっき使ってた新型の方は壊しちまったからよ」

 

「はぁ…そうか。じゃあな」

 

 呆れ気味に呟くと、銀色のオーロラの中に消えていった。すると今度はゼロの体が発光し、一夏は強い光に包まれて今の空間と隔離された。

 

『歴史を元に戻す方法は1つ。私とお前が同時に死ぬことだ。だが、その前に話をする相手がいるだろ。触れ合う事はできない。肉体を呼び出してる訳じゃないからな。そこは勘弁しろ』

 

「イッチー」

 

 ゼロが消えると、一夏の後ろから聞きなれた人の声が聞こえてきた。毎日聞いて、一夏を支えて、一緒に歩んできた大切な人の声が。

 

「マジかよ。ゼロの野郎余計な事を。逝くに逝けねぇじゃねぇかよ……」

 

「ねぇ、私も連れていってよ……イッチーと一緒に」

 

「ダメだ。お前はまだこっちに居ろ」

 

「なんで……なんでよ!記憶が戻ったから、スゴく嬉しかったんだよ?また、イッチーと一緒に過ごせて、楽しくて、嬉しくて、満たされて……なのになんで、またイッチーだけ犠牲にならないといけないの?!なんでいつもイッチーだけなの?!まだ私、イッチーと一緒にいたいよ……」

 

「済まない。俺は、お前を一緒には連れていけない。ただ、ずっと見守ってる。そして、ずっと待ち続ける。それは約束するよ」

 

「私がお婆ちゃんになっても見付けてくれる?」

 

「あぁ」

 

「イッチーが先に新しい人生始めて、私が後から始めても?」

 

「あぁ」

 

「人間じゃない、全く別の物になっても?」

 

「どんな姿でも、どんな場所でも、どんな存在でも必ず見付け出すさ。じゃあ、またな」

 

「うん。行ってらっしゃい。イッチー」

 

『555 ENTER』

『Awakening』

 

 本音に別れを告げると、背を向けてブラスターフォームに変身。ゼロの元へと歩いていった。それと同時に、本音も姿を消した。

 

『愛する者との別れは終わったか』

 

「余計な事しやがって……まぁ感謝はしている。さっさと全部終わらせるぞ」

 

『143 ENTER』

『Braid Mode』

 

「同時に。だったな」

 

『その通りだ。私がお前の心臓を、お前が私のコアを貫く。ただそれだけだ。痛みは一瞬で終わる』

 

 互いにブレードを構え、ゼロは一夏の心臓へ、一夏はゼロのコアへと狙いを定める。

 

「ハアアアアア!!!」

 

『フンッ!』

 

 ブレードはそれぞれの心臓を貫き、無事に目的は達成された。同時に、2人が居た場所を中心に緑色の光が広がっていき世界を包み込んだ。そして、世界は正しい歴史へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は巻き戻り、一夏存在しないと言う本来の流れを進んでいた。だがゼロが言っていた通り、ショッカーがこの世界に侵攻を開始。切っ掛けは違えども、村上はライダーズギアの封印を解いて対処に当たっていた。

 

 パトリック達と簪が率いていた大隊を中心としたライオトルーパーの実力者集団と、一夏と一音を除くライダーズギア使用者を中心にショッカーとの戦闘を続けていた。

 

 本来ならここに一音も加わるのだが、歴史が正しい方向に戻った直後から、自分の部屋の中に閉じ籠っている。出てくる気配は無かった。士に渡されたデルタギアが目の前にあるが、ただ視線を向けるだけで使う気配はない。当事者である一音や、この世界にとってのイレギュラーな士と海東は全て覚えている。全てを覚えてる身であれば、使えないのも当然だ。

 

「一音~」

 

「……母さん?」

 

 一音の様子を見て、何かを察したのか本音は特に何か声をかける事はしなかった。辛い表情をしている息子にズカズカ声をかけるほど、愚かではないと言う事だろう。

 

「なに?」

 

「ちょっと掃除手伝ってくれない?力仕事して欲しくて」

 

「バジンがいるだろ?」

 

「良いから良いから!ほら早く!」

 

 嫌々ではあるが、1階の食堂に向かい本音の手伝いを開始する。力仕事と言っていたが、掃除の内容は通常のものと何一つ代わりなく、椅子やテーブルを退かして床を掃いたり磨いたりである。

 

「次はこれっ!と。ふぅ」

 

「それって親父の……」

 

「そ。イッチーの仕事道具。料理のレシピや仕事着、包丁とか入ってるよ」

 

 500ミリのペットボトルを運ぶときに使われる一般的な段ボールを4つ程棚の上から取り出し、1つ1つ開けながら別の箱へと移していった。

 

「それ、捨てるの?」

 

「まっさか~。そんなことしないよ。ただ整理して物置に置くだけだよ~」

 

「別に邪魔じゃないんだから、そのままで良いんじゃないか?」

 

「私もね、最初はそう思ったよ。でもね、近くにあるとず~っとイッチーのこと考えちゃうんだ~。思い出ってね、最初は元気をくれたり力をくれたりするけど、しだいにそれが重くなって、最後はその人に対してマイナスな思いしか抱かなくなるんだ。だからさ、少し整理して、綺麗な思い出を残す様にするのが大切なんだよ。一音もやってみな」

 

 そう言いながら、段ボールを1つ渡された。かなりの重さがあり、長時間持ち続けるのは難しい。近くのテーブルにそれを置き、中身を1つ1つ確認しながら店の中に入れておく物とそうでない物に分けていく。本音は先に分けた分を物置へと運んでいった。

 

「……全部料理のレシピかよ」

 

 段ボールの中身はA4ノート。料理のレシピなのだが、病的と言いたくなるまでに細かく色々と書かれている。物によっては2ページ以上に渡って書かれており、茹でる時間は秒単位、切る幅はミリ単位、更には混ぜる回数と道具まで書かれていた。

 

「いつも目分量とか感覚で作ってるくせに、ちゃんとまとめてたのかよ」

 

 これだと恐らく店のメニュー全部がまとめられてるだろうと思ったが、途中からメニューではなく家で出す料理のレシピに変わり、更に下に行くと一音が子供の時の離乳食のレシピになり、最終的には空白だらけのノートが出てきた。

 

「親父、途中で飽きたか……」

 

 とは言え、まだ何かが書かれている可能性もある。一通り最後まで目を通すことにした。すると、最後の1冊の中心辺りで、何かの紙切れが落ちてきた。

 

「ん?…なんで普通に頼めるんたよ。家の親父は…!なんで身勝手な所は死んでも治んねぇんだよ……!」

 

 落ちた紙にはただ一言『頼んだぞ。一音』と、いつもの一夏の筆跡で書かれてた。店の事なのか、世界の事なのか、それは書いた一夏にしか分からない。だが、今の一音にはその一言が前へ進むための力となった。

 

「あれ?一音~?」

 

「ごめん!ちょっと出かけてくる!後で片付けるから置いててくれ!」

 

「気を付けてね~!」

 

 自分の部屋から急いでデルタギアを取ってきて、店を出ていく。向かう先は現在戦闘が起こり草加と木場が絶賛戦っている現場。スライガーに飛び乗り全速力で飛んだ。

 

「グッ!数が多すぎる!?」

 

「こんな町中で逃げ遅れた人もいる状況じゃオーガストラッシュもブレイクモードも使えないよ!」

 

「分かってる!」

 

 町ではショッカーが大軍を率いて盛大に侵略行為を行っていた。草加と木場は2人で相手にしていたが、町中でしかも周りに沢山の人がいると言う非常にやりづらい。木場が整地することも、草加がブレイクになってソニックブームを起こすこともできない。まさに絶体絶命だ。

 

「我らに勝つことなぞ貴様らには不可能だ!大人しく諦めろ!仮面ライダーども!!」

 

 ショッカー怪人は勝ちを確信したのか、余裕の態度を見せ2人に一斉掃射。それを食らってしまえば生きていられる保証はない。悔しさを噛み締めながら、2人は目を瞑る。だが、爆風の衝撃波は来るが、自分達に攻撃が当たった様な衝撃は来なかった。

 

「よっと。悪い遅くなった」

 

「ッ!?」

 

「一音?」

 

「それ以外、誰に見えるよ。後は俺がやる。休んでてくれ」

 

「……頼んだぞ一音!」

 

「たかが1匹増えた程度で何が変わる!?まとめて捻り潰せ!!」

 

 スライガーから降りベルトを腰に巻いた一音は、やけに落ち着いた様子だ。ショッカー怪人が言うように、状況が最悪であることに変わりはない。だが、何故か強い安心感を覚えた。

 

(親父、俺は今まで何と無くで仮面ライダーになっていた。ただ戦えば良い。ただテロリストを片付ければ良いそう思ってた。でも違ったんだな。俺たちがやることって、守るって事なんだな。アンタもそうだっあんだろ?親父)

 

「何をボーッとしてやがる。そんなに死にたいならお望み通りにしてやる!」

 

「見ててくれ。親父」

 

(行け。一音!)

 

「ッ!…フッ」

 

 これからも戦いは続く。確実にISやテロリストを相手にしていた時とは比べ物にならないほどに辛く厳しく酷な戦いが待っている。だが、どんな状況でも自分を強くしてくれる言葉で、仮面ライダー達は戦い続ける。

 

「変身!!」

 

『Standingby』

『Complete』




デルタサーガ、これにて完結!リメイク版で会いましょう!


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