イナズマイレブン ~『必殺技』に憧れて~ (@ドラゴン)
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前世設定 ~閲覧に注意~





ここにある内容は、読まずとも本編になんら支障をきたしません


イナズマイレブンの内容は一切含まれていません



それでも良い、という方で、更に下記の《注意点》を読んだ上でお読みください


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※注意※※※

 

 

 

 

・ここに書く"前世"はあくまで"モチーフとなった"ものなので、この作品の主人公とは違った部分があります

 

 

 

・基本的には、以下の設定を取り上げた物語を~、というような事は考えていません

よって必ずしも読む必要はありません

 

 

 

・クトゥルフ神話TRPGをご存知でないと話についていけない可能性が高いです

 

 

 

・何時でもブラウザバック出来る態勢でお読みください

 

 

 

以上の事項に留意して下さい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前:常闇 銀蠱(とこやみ ぎんこ)

 

職業:医者(後に探偵助手)

 

 

STR 6

CON 7

POW 15

DEX 16

APP 12

SIZ 8

INT 17

EDU 21

 

HP 8

MP 15

SAN 75

アイデア 85

幸運 75

知識 99

db -1d4

 

投擲 50

回避 77

応急手当 90

目星 80

聞き耳 70

精神分析 70

生物学 66

医学 86

薬学 66

心理学 85

 

 

 

容姿は「蟲師」の「ギンコ」で、白髪の所々に黒髪が混じっている

 

 

 

 

 

技能からも判る通りの回復要員(ヒーラー)

HP,CONが低く、クリティカルとか出てしまえば《武道》なし《こぶし》で死にかける貧弱っぷり

戦闘中で負傷者が出るまでは《投擲》で「メス」等を投げて援護するスタイル

(ただしdbのせいでしょっぱい威力しか出ない

相手が装甲持ちだった日には……)

 

 

幼少期にある難病に罹り、病室で治療(延命)を受けながら育つ

その為、やれる事自体が少なかった事や病院で過ごしていた事もあり、勉学を一種の娯楽として励む

本来ならば20歳まで生きられないと言われていたが、13の頃、世界中から天才と称される程の凄腕医師の施術により、齢15にして見事完治

しかし、それまでろくな運動が出来ていなかった事、病の経過観察に3年を費やし、退院出来た頃には18になっていた

 

もう助かる事は無いと諦めていた自らの病を治した医師に憧れ、医師の道を目指す

幸いにも彼のいた病院には図書館が設置されており、それら資料や、長い治療期間に親しくなった医者関係者からの教授もあり、一度も学校に行かなかったにも関わらず日本有数の医療大学を首席で合格

その後も成績を維持し続け、期待の逸材として卒業

学生時代に世話になった恩師の勧誘を受け、大手の大学病院へ就職

 

就業後も培った知識・技術を存分に発揮し、数々の難病・難手術を成功させ活躍、しかしそれで上から目をつけられ派閥争いに巻き込まれてしまう

 

大学時代では本人の(人との関わり自体が少なかった事による)純真さに惹かれた者たちが周囲の悪意から守っていた事もあり、問題は無かった。

が、ここではドラマにある様な泥々とした世界に巻き込まれてしまう

 

今まで無菌室の様に世間と隔絶され、殆ど悪意に触れて来なかった人生を過ごしていた者が突然、膨大かつ濃密な負の感情が渦巻く場所に出てしまえば……

 

それで精神的に参っていた状態の時に同期・先輩による嫉妬等による悪意に耐えられず、仕事も手につかなくなっていく

 

更に、例の恩師がそんな彼にあっさりと見切りをつけた事から、勧誘してくれた真意が"自身の出世の為だった"という事実を知り、人間不信に陥ってしまう

 

 

それに気付き彼の身を案じた大学時代の友人が療養も兼ねて、とある離島の診療所へ移る事を薦める

 

大学病院で既に居場所がほぼ無くなっていた彼を留めようとする者はなく、離島行き(左遷)は簡単に承認

 

派遣された離島で彼は心優しい島民との触れ合いで、傷付いた精神を少しずつ回復させていく

 

これまでの経緯から(特に負の)感情に敏感になり、初対面の人物には必要以上に警戒するといった疑心暗鬼な一面が残ったものの、ほぼ完治し「ばらかもん」的なゆったり島民ライフを送る

 

そんな日々が続く中、この島に来た友人が行方不明になったと告げる者達が現れる

 

その人物に心当たりのある彼は、その者らと行動を共にし、知られざる世界の真実に対面する(シナリオ開始)

 

 

 

 

キャラを作成した当初はこんなバックストーリーは無かったのですが、セッション開始間際にTRPG経験者の方が急遽参加出来るようになり、その時点で卓を囲んでいたメンバーが全員初心者だったのもあって参加してもらう事に

 

その人物が来る1,2時間の間に暇潰しも兼ねてキャラ設定をもっと練ろう、という事で以上の設定が出来あがりました。

 

 

PCの内最低でも1人は舞台となる離島に最初からいる事が望ましかった事、全PCの中で最も舞台と関連付け難かったのが私のキャラである為に、離島住まいさせよう→左遷の流れ、と設定が生えました

 

 

完成させた時はかなり盛りすぎたな……と思っていたのですが、他のPCの設定もこれと同等レベルに盛られてて、心底ビックリしました

 

他の設定はステータス・技能値から考えた設定です

 

 

 

低いSTR,CON,SIZ→幼少期の病弱設定

 

 

高いDEX→素早さ、というよりは医者としての器用さ

 

 

目星、聞き耳→病の兆候等を見抜く為にこれが低いのは不味いだろう、という考えから

 

生物学、薬学→幼少期の図書館通い&高EDUから(&ギンコっぽいから)

 

心理学→周囲を信じられないという疑心暗鬼設定から

 

心理学(相手の考え、狙いを読む)→回避

 

(本音:回避取らないとステータスのせいですぐロストするから取ってくれ、とKPからお願いされたから)

 

 

 

信用が無い→かなりの実力を持つ医者で一時期相当有名にはだったが、左遷の件でぱったりと姿を消した事から、腕の割に信用されづらい

(本音:KPのサポートNPCの参加があり、そのキャラの信用が高かった為)

 

 

 

大体こんな感じでステや技能の説明は終わりです。

投擲、精神分析、何よりもPOW等、説明出来ない部分もありますが………

 

 

 

 

 

 

 

前述にもありましたが、当作品の主人公と探索者には所々差異があり、特に顕著なのが名前と容姿です

 

本編主人公の「天願 想叶」の名前・蟲師ギンコに似た容姿はイナイレ世界に転生してから

前世の名前は「常闇 銀蠱」ではありませんし、容姿は黒目黒髪と、一般的な日本人のものです

 

 

また、本編主人公の動きと、探索者のステータス値から判る様に、転生後(本編)では力が弱かったり、身長が低かったり、という様な事はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職業の探偵助手は、このキャラを使ったあるセッションにて、とある動画の影響を受け爆弾魔・放火魔と化したPL×2のロールにより(その時の状況的に仕方無かった点もあるが)シナリオ終了間際で自PCの自宅が消滅

 

その折りに何を失ったかの確認(幸運)ロールでファンブル、追加の幸運ロール(救済処置)で更にファンブルし、必要最低限の所持品や金品すら無くなってしまうという結果に

そこにその回にいたキャラ(職業:探偵)が、主人公の観察力(目星・聞き耳)知識量と機転の良さ(高アイデア&知識+その他知識技能)優れた医療技術(応急手当&精神分析)に目をつけられ、助手として雇われるという経緯からです

 

メタ視点としては、このキャラがシナリオに入れる理由が弱くなってきたので、それを強めようとした結果です

(その探偵キャラがオカルト等の不思議・面白そうな事が大好きな性格だった事、KPが途中で死亡させる犠牲要員でシナリオ終了時の宛てに迷っていた事から

イメージは「東方project」の宇佐見菫子)

 

 

 

キャラロスト時の状況

 

《転移》の魔術で元の世界に帰るという流れで、本来ならば何の問題も無く(ダイスロール無しで)帰れる筈だったのですが、とあるミスから《転移》の魔術が安定しなくなり、ロールが必要になってしまいました

そして当該ロールでファンブル→キャラロストという流れです

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに

 

私達のは一から考えたキャラ(オリキャラ)を想像・ロールするのが苦手というメンバーが多い卓で、二次キャラをモチーフにしたPC,NPCばかりで、初めてやったセッションは

 

職業:カメラマン

土屋康太 「バカとテストと召喚獣」から

仕事兼観光に

 

職業:学生

大神さくら 「ダンガンロンパ」から

行方不明となった友人を探しに

 

職業:漫画家

岸辺露伴 「ジョジョの奇妙な冒険」から

漫画のアイデア等を求めて

 

この3人とKPのサポート要員NPC

 

職業:警察

ヨーコ・リットナー 「天元突破グレンラガン」から

行方不明者の捜索に

 

による5人パーティーでした

 

 










本編に関係が無いのに、何故書いたのか


私は、当作品を書いている当初から、主人公のモチーフとなった上記の内容を書くか迷っていました

完全に蛇足であり、書かずにいたのですが、執筆仲間から
「迷ってるのは、心の何処かでやりたいという気持ちがあるから
それならいっそ思いきってやった方がいいし、書きたい事書かなかった、ってのは後々で響いてくる」
という助言を頂いたためです


まあ、結局の所は私の自己満足に帰結します


お目汚し失礼致しました








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序章
第1話 転生……?


うぅ…書いてしまった。
衝動に駆られ筆を執った結果、こんな駄作ががが
非常に拙い作品ですが、どうぞ!



注意!

作者は物語に出さない設定・展開ではっちゃけ、結構盛る癖があります。


唐突だが、『神様転生』という言葉を聞いた事はあるだろうか。二次創作等でありがちな展開の一つである。

どうやら自分はその『ありがちな展開』という物を経験したらしい。

らしい、というのは記憶が曖昧で本当にあったのか判断に困るからだ。

 

転生の方は、まぁしたのだろう。自分には―――何の変哲もない、とは言えないが―――一社会人として生きた記憶がある。死んだ記憶こそ無いのだが、実際に身体が子供に戻っているのだ。それこそどこぞの黒い組織に謎の薬を飲まされでもしていない限り起こり得ない現象だ。

 

神様から特典を受ける、という奴は…正直微妙だ。

自身の影形も上下左右すらも判別出来ない不可思議な空間で、声だけが聞こえた。

「何を望むか」

自分はどう答えたのだろう。いや、そもそも本当にその声が聞こえたのか、幻聴に過ぎなかったのでは……今となっては判らない。

唯、その時に強く願った事がある。

「必殺技を、使いたい」

 

子供の頃から憧れていた。漫画やアニメやゲーム、時には二次創作のキャラクターが繰り出す必殺技。

あれらを自在に使えたならば、そんな事を社会人となり、現実を知ってからもずっと心の何処かにそんな想いがあった。

故にだろうか。安寧を約束された生涯でもなく、使い切れない程の金でもなく、そんな事を願っていた。

 

少し時間を跳ばそう。

転生してからサブカルチャーに手を出した時、自分の元の世界に合った作品が無い事に気付いた。

 

似た作品こそあるもののストーリーや世界観、登場人物位で自分の知る能力、必殺技を持つ作品には一切出会わなかった。

それに気付いた瞬間、思い出せる限りの単語を検索した。

もしかしたら、自分は何らかの作品の中に転生したのではないか?という考えに行き着いたからだ。

果たして―――新たな世界ではそれらに該当するものは無かった。

職業:ヒーローなんてないし、化け物が蔓延ってもいない。ガス爆発の頻発する市も前世にすらあった名状し難き物ばかり集めていそうな大学も無かった。

 

熱が冷めた。あれは自分の都合の良い夢だったのだろう。

転生?何かの作品を見てそれを自分に当て嵌め妄想した産物なのだろう、という考えが浮かぶ程度には自棄になっていた。

 

幸い身体能力は高い様で、大体の事なら出来そうだ。

バヌケやテニヌを本格的に狙えそうだと真面目に考えれる程の肉体だった。

どうやらこの世界ではそれらの競技は余り注目を受けている訳では無さそうだが、それなら寧ろ好都合。世界に通じる日本人選手第一人者としてより有名になれるだろう。

 

そう考えて運動に励んでいたある日の事。

「凄いなお前!サッカーやろうぜ!」そんな風に声を掛けられた。

見れば、オレンジ色の布を頭に巻いてタイヤを受けとめる一人の少年。

強烈な既視感を感じるもそれを無視して会話を続けた。

 

彼の名前は円常守。フットボールフロンティア優勝を目指し練習している中、今まで見たことのない動きをしている奴がいたから思わず声を掛けたそうな…。

 

おま、これ、イナイレかよ…。




イナイレ要素ほとんどねーじゃねーか!?
そんな事がキコエターキガーシター
批評、感想待ってます!


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第2話 邂逅

全然書けねぇ!
読み専だった時に1話3000文字位?ちょっと少ないかな?なんて考えてすんません!

因みに主人公は前の世界の必殺技を優先に記憶してます。
そこから繋がって使用キャラ、原作名、(有れば)修行内容、技を出した状況
の順に覚えてます。

原作の内容なんてものは、後回しです。
よくある、こんなキャラがあんな必殺技使ってたのは覚えてる、でもどんな話だった?を極端にしたもの、と考えていただければ。

肝心のイナイレはRCシュートやガニメデプトロン辺りのぶっ飛び技を除けば超主要キャラぐらいで、ストーリーどころか必殺技も結構ぼろぼろです。

そしてgo知識はもっと無い


じわじわと心の奥底に燻っていた熱が大きくなっていく、そんな感覚があった。

必殺技はバトル系の物、というイメージに引き摺られ過ぎた為だろう。それ以外のジャンルの物は一切調べていなかった。

…恋愛系の登場人物と早い段階で知り合って…なんて雑念が頭を過る。

待て待て、取り敢えずはこの世界の事について考えるべきだ。

 

イナズマイレブン

超次元サッカーとして呼ばれ、数多くの登場人物に比例する様に、多彩な必殺技を繰り広げていた話だった筈だ。

 

何気に自分を中二病に引き込んだ最初の切欠かもしれない物語である。自分の中ではスポーツ漫画というよりバトル漫画に近い認識だったからだ。なにせやっている事は必殺技のぶつけ合いみたいなものだった気がする。

 

そう、必殺技があるのだ。都合の良い事に前の世界で有名だった数々の作品は消えている。仮にあの世界の技をこの世界で使ったとして、パクり等と言及される事も無いのだ。

 

胸中にある熱い想いは今にも噴火しそうな勢いだ。身体はまだまだ子供である。転生してからの身体能力を以て努力に打ち込めば憧れる数々の必殺技を、他ならぬ俺自身が再現出来るやもしれぬのだ。

 

雷門の面子が必殺技を漠然としたイメージで捉え、行き詰まっていた記憶があるが、それに引き換え自分にはイメージは勿論、物によっては知識もある。

ならば形にもしやすくなるだろう。

 

「お~い、急にボーッとしてどうした。大丈夫か?」

そんな声を掛けられハッと意識を現実に戻した。思い付いた事に夢中になりすぎてフリーズしていた様だ。

 

「悪い。ちょっと考え事してて…それで、サッカーだっけ?」

「ああ!お前位に動ける奴を見たのは初めてでさ、一緒にサッカーしたら楽しくなると思ったんだ」

 

転生してから身体が軽いとは感じていたし周囲の反応からも分かっていたが、こうして主人公から言われると嬉しくなるものだ。

「サッカーか…。やった事が無いんだが、それでも良いか?」

 

因みに自分のスポーツ歴はほぼ無かったりする。

ほぼ、というのは、前の世界では身体が弱く運動が厳禁だった。

この世界では運動こそしているものの、自分の身体をどの程度まで動かせるのか?という考えに基づきしている為、一通り把握し終えてからはやっていないからだ。

 

それにあの夢の様な出来事を真に受け、漫画等の修行や出来る頃からトレーニングは重ねていたからスポーツ歴を無理矢理つけても格闘技や剣道、それもかじった程度だ。

 

因みにただ鍛えられただけで、大きな成果は得られなかった。とある呼吸法とかのせいで一時期『深淵卿』(この世界のベーダー様らしい)なんて呼ばれたりしたが。

…どうしよう、もう黒歴史が創られてる。

 

「そうなのか?分かった、じゃあ俺がサッカーについて教えるよ!

…人数揃ってないし、俺はキーパーだから知識だけになっちゃうけど…どうした?

なんか暗くなってるけど」

 

少し陰鬱になったのを察知されたようだ。そんなに表に出していただろうか?

話の最中にまた別の事を考えてそっちの方に集中してました、なんて言ったら印象は悪い筈だ。

いや、実際やってる訳だが…。

取り敢えず、当たり障りのない事を言って誤魔化さなければ。

「あー、何と言うかだな。初対面のなのにそんな教えてくれるなんて、ちょっと悪いかな、なんて思ってさ。」

 

どうだろう?これで大丈夫か?

 

「別に良いよ、気にするなって!それに誘ったのは此方なんだし。

それに、皆でやった方が楽しいからな!」

 

よし!上手くいった様だ。

にしても、皆でやった方が楽しい…ね。何というか陽キャ。眩し過ぎるぜ…。

ただ、声を掛けてくれたのが円堂で本当に良かったと思っている。

円堂ならサッカーに関する事なら多少面倒な事でも放り投げる事はしないだろう。

そんなキャラだった気がする。メタいとか言うな。

 

それと風丸だったか?別の競技の奴を凄いからと、ずっと勧誘してた気もする。

もしここで断っても逃げられなかったかもしれん。

 

「そっか、ありがとな!じゃあ色々頼むよ。まず何人でやるものなんだ?」

 

「ゑ?そこから!?」

 

スポーツ観戦なぞした事がないし、学校でやる機会位あるだろって?諸事情あって小~高まで通えてねぇんだよ……。

俺の知識はボールを相手のゴールにシューッ!超!エキサイティン!位なもんだ。大雑把なルールは兎も角、細部までは知らん。

バトルドーム?ポケモン?え、サッカーじゃなかったのアレ?

 

こうして、円堂にサッカーについて教えて貰い、俺の必殺技修得への道程が本格始動するのだった。

 

 

 

 

「ボールを挟んでるからって相手を蹴り飛ばしても良い訳じゃないぞ!」

 

え、駄目なん?




Q.主人公の名前出てなくね?
A.考えてないからです

いや、どんな名前にしようかめっちゃ悩んでる。どうしよ

これから出す必殺技も悩んでる。
出したいんだが、序盤で出すと後々の展開で必然的に打ち破られ、あの技こんなに弱くねーから!とか思われたくない、でも早く出したいってジレンマ


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第3話 タイヤと必殺技

出せる必殺技の選択肢を拡げる為に、色々理屈こねて一番目をこれにしたのにこの有り様だよ!

いや、まさかいきなり被るとは思わんかった…。
Goや必殺技集見て書きゃあ良かった。

幼少期編というか、まだ原作入りせんのか…という感想の方、もう少し我慢をお願いします。
そもそもそんなに読んでる人いない?
やめろ、その言葉は俺に効く、致命傷です。

序章を書いた手前、急に俺は沢山の技を覚えたぜ!ってのも味気ないと考えてます。
自己満足?言うな……!

文が少ねぇ…一先ずは3000文字超えを目標に頑張っていきたいです

あ、主人公の名前決定しました
天願想叶(てんがん そうや)です


致命的な問題が発生した、ハンドだ。

サッカーは基本足しか使ってはならない競技なのだ。

何言ってんだコイツ?な目はやめてくれ、俺自身何を今更な事をとか思ってる。

だが必殺技を出す上では割と洒落にならないのだ、このルールが。

 

古今東西あらゆる必殺技で手を使う技を思い浮かべてくれ、結構あるだろう?しかも格好良かったりと有名なのが。

例えば某海賊漫画に忍者漫画の主人公のメイン技、あれ思いっきりハンドになってしまう。

 

7つの龍球を集める話における最も有名な『かめはめ波』あれの案を出して円堂に聞いてみた(ついでにとゴムゴムのバズーカと螺旋丸も)

 

帰って来た返答がこれである

「シュートを弾き返すカウンター寄りのキーパー技か?俺の熱血パンチより強そうだ!

あれ?こんな技を3つも考えてるってことは、もしかしてキーパー志望なのか?

えっと、シュート技?いやいや流石にハンドだって。こんなシュート技持ってる人居ないと思うぞ」

 

ガニメデプトロンという技があってだな…と言いたくなったわ!

バズーカと螺旋丸はまだ良いとしよう。だが解せぬ。

なんでや!あれアリならかめはめ波もアリだろ!気を使う~とか類似点ばっかりやねんぞ!

 

まぁ駄目な物は駄目なのだ、諦めて他の技を考えよう。

但しガニメデプトロンを使う奴に会ったら俺の八つ当たりに付き合って貰うぞ…!

 

ここで新たな問題が発生した。どうにもこの一件で俺がキーパーもやりたいと思われたらしく、キーパーの動きとかも練習に組み込まれてしまった。ストライカーで十分ですよ?断れない日本人メンタルがぁ…。

結論だけ先に言おう、ゴムゴムのバズーカを修得してしまった様だ。

なんでぇ…?

 

 

 

 

時は遡り4,5時間前………

 

 

「キーパーの練習ならコレが一番なんだ、ちょっと待っててくれ」

と言われ、待つ事数分。あのデカタイヤを転がして来る円堂の姿が…!

悪い事は言わない。ちょっとそれ捨てて来なさい、お願いだから。

 

手際よく練習台作ってんじゃねぇよ、俺も手伝ってるけどさ!

完成したそれを使い、手本を見せる円堂。あれ、この世界ならコレが普通?と間違った認識で練習を始め…

 

人はね、あんなデカイタイヤがぶつかって来たらぶっ飛ばされるんだよ円堂君。

なんで受け止められんのこの子?俺中々の身体能力あると自負してるけれど、普通に森崎ったんだが。

 

「最初はそんなもんだから、努力は裏切らないぜ!」

うん、こんなん続けてたらそりゃ、いずれ止めれるかもしれんが、精神が逝きそうなる。よく今まで続けられたなぁ、お前…俺辞めたいよ…言い出せないけど。

 

あれは始めてから36万…いや、1万4000回だったか

嘘です、そんなやってない。でも3桁には達してると思う。

 

ぶっ飛ばされる続ける事に慣れ暫く経ち、俺は騙されているのかも知れない…そんな考えが脳裏を過る中、怪我をしない様にかめはめ波とかバズーカのポーズを取っているとある時、妙な感じがした。

力が無限に湧いてくる様な、全能感とも言えば良いのだろうか?上手く言い表せない。

 

そして聞こえてくる円堂の「腕が、伸びた!?」発言

気付けば俺は受け止めるのではなく、タイヤを押し返していた!

腕が、伸びてるぅ!気持ち悪っ!?

いや普通に怖いって、自分の腕がビヨーンて伸びる様は想像以上に悪夢だぜ?

あれ?でもこの技って確か…っ!

 

タイヤをぶっ飛ばした事に喜んだのも束の間、物理法則に従い振り子の様に反ってくるタイヤ。

冗談抜きで

「強…… 速…… 避…… 無理!!受け止める無事で!?出来る!?

否―――――――死」

ってなったよ。

生きてるって素晴らしいね、本当に。

後、円堂テメェ!

「止めろ天願……でもやっぱ無理?」

とか言ってんフラグ建ててんじゃねぇ!

 

まぁ、過程こそ色々あったが嬉しかった。自分の願いが叶ったのだ。

しかも今回の必殺技『ゴムゴムのバズーカ』

あれは悪魔の実を食べ、能力を得た身体で始めて出せる技だ。

それを特殊能力などない身体で修行(あれを単なる練習とは認めない、絶対だ)のみで発現させたのだ。

これは自分の視野を大きく拡げる事になった。これで動物キャラの持つ必殺技にも目を向ける事に繋がったからだ。

例えば、○○キングとかのスーパー技とか尻尾を持つキャラの攻撃などだろうか。

 

嬉しさの余り興奮し、子供のように(実際子供だが)飛び上がった。

夢は叶い、可能性も大きく拡がったのだから。

「今までサッカーをやって無かったのにたった1日で…!凄いな!おめでとう!」

と、円堂に言って貰えた事もまた、この喜びを増幅させているのだろう。

 

次はどんな技を、興奮冷めやらぬままそんな事を思いながら俺は円堂と練習を続けた。

円堂と一緒にフットボールフロンティアを目指し戦っていけば、強い奴ら立ち向かう時が来るだろう。

そして、試合を乗り越え強くなった時、今の必殺技は強くなり、新しい必殺技の修得に繋がる筈だ。

必殺技をただ修得するだけではない、その先へ

その時には、今の自分の様により広い視点で、必殺技を見る事も出来るだろうから。

 

あぁ、そうだ。俺は夢を叶えこそしたが、まだまだ夢の途中なのだから。

 

 

 

 

 

「2つ連結させて、シュートチェイン対策も良いかも…っておい!どこ行くんだ!?」

 

止めて下さい死んでしまいます、俺は逃げ出した。

 

 

 

 

 

ん、どうした円堂?

なになに?腕が伸ばしたり身体が膨らんだりする技使う奴はたまに見るって、この世界どうなって―――超次元でしたね…………。




最終回じゃないよ、ホントだよ!

さて、色々疑問はあると思いますが、取り敢えず3つだけ
「何故、ゴムゴムのバズーカ、というチョイスになったのか?」
これは、選択肢を拡げる為、というのが主な目的です。
悪魔の実の能力者の様に、特殊な身体だからこそ繰り出せる必殺技、というものが多々存在します。
そういった物も使いたい、ならば途中で急に出すより、最初にそういった技を持ってきた方が違和感が生まれにくいのでは?という私の考えによるものです。
勿論、こういった特殊な身体作用が出せるのは必殺技発動時限定です。
技を発動させてもいないのに、特異な身体作用を引き出す事の無いようにしていく予定です。
「何故バズーカから?弱い技からならピストルでは?」
主人公の練習風景を描写する中、あんなデカイタイヤが迫って来て、片手だけをぶつけようという気にならないだろう、と考えました。
まだ、両手を突き出し、掌で押し出すバズーカの方がマシと思い、似た形式のかめはめ波は試し、ピストル同様の理由で螺旋丸は避けました。
「主人公ってキーパー?」
いえ、ストライカーです。これからもキーパー技を覚えさせて行きますが、主人公には数多の必殺技を使い、ガンガンシュートしてもらいます。
当初の予定は『SAO』のスラント、ホリゾンタル、バーチカルの様な超初歩技でシュート技にする予定でした

こんな色々理屈こねてっけど
全部意味無くなったんだけどネ(´・c_・`)


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第4話 シュート技

この話はあんまり面白くはないと思うし、読み飛ばしても物語には影響与える訳でも無いので差し障りは無いと思います。

私自身書いてて消すか迷ってるし……書き直そうにも上手く書ける気がしないし……

何コレおもんなキッツいわー、と感じたら直ぐに飛ばすのをお奨めします。


原作ありきのssを書いてるにも関わらず、その主人公のキャラすら掴めていない奴がいるらしい

そうだ、私だ。

会話文が少ない理由だネ!
朝からずっとイナイレを流し続けてるのに、全然掴めてないって、これマジ?

今回で序章終了、次話から原作入りさせていきたい
…いきたいなー(;・ω・)

前述の通りホントにかなりぐだってます。いつも以上に酷い…すみません


さて唐突だが俺はサッカー、必殺技ときて足技の事しか考えていなかった。

故に練習していたのが某黒足の料理人の技だったり、足を振るう事で衝撃波等を出す技を思い起こしていた。しかし、先日の件で自分の身体には本来無い能力を使った必殺技を繰り出した事で、ここで能力をモノに置き換えたならどうだろう、という発想が浮かんできた。

 

本来人に無いモノ、尻尾、翼、角と動物ならば色々浮かぶが、これを道具として受け取ったらどうだろう。

 

剣、槍、銃や少しファンタジーが入るが魔力、氣、霊力などだ。

足を様々なキャラクター振るう剣や槍に見立てて振るう事で再現出来る技の選択肢が増えるのだ。

イナイレ自体にもエクスカリバーなどヒントはあったのになぜ思いつかなかったのか…。

 

銃はボールを銃弾に見立てて蹴れば良いのではないか?そもそもの銃を持たない為、手を使う必要性は無い。足を砲身、いや飛ばす以上撃鉄と見るべきだろう。

 

霊力等の不思議な力だが、これらの技は態々手から出す必要の無い技を選べば良いのではないだろうか。

例えば、死神漫画の『虚閃』は使用者により、角に手や口、背中などバリエーションが多い。

そういった技は足から出せると考えても良いだろう。

 

漫画によっては手が力を繊細に扱えるなどといった解釈があるが、そもそもこの世界に於いてそんな不思議な力自体無いと思うのだ。いやまぁ、氣とかはあるかも知れないが。

 

それにだ、もしあの夢が実際の事で俺に特典があるのなら、そういった技が足で出せる様に調整されている可能性もある。

 

長々と自分の推測を垂れ流してしまった。要はやってみればいいのだ。

 

因みに今日は円堂は居ない。バズーカを覚えた際に

「俺もキーパーとして負けてられないな!よし、俺の必殺技をもっと強くさせないと…!」

と、ゴールキーパーとして自分とライバル的な発言をしていたのだ。

これは困る。自分はあくまでストライカー辺りでガンガン必殺技を撃ちたいのであって、キーパーを目指している訳ではない。

このままだと、第2のキーパーとして仕立上げられると謎の直感をした俺は用事があると今日の練習を断ったのだ。

明日にシュート技の1つでも撃てれば、キーパー路線を逸れる事が出来るかもしれない。

勘違いならそれに越した事はないが、今の俺がシュート技を身に付けるのはこれからの方向性を決める上で極めて重要なのだ。

 

それにだ、円堂は原作開始時点において練習は一人でしていた筈。時折他のチームの練習に加わっていた~、という話を聞いた気もするが、部外者を入れるとなるとそこまでしっかりとしたものだとは思えない。

 

それと、あのデカタイヤを止める練習だが確かに効果はあるだろう。

だがそれは例えるならバッティングセンターで豪速球を打ち続ける事の繰り返しに過ぎず、実戦とは大きく違うのだ。

 

しかも前提としてあれはボールではない。

あれを受け止めるだけの筋力が付いても、肝心のボールは形状も速さも違う。同じ速さで迫ってきた際は大きい物の方が受け止め易い(受け止めれるかは別とする)為、あの黒ボールでも使っていない限り、タイヤでは不適格なのだ。

 

そこでだ、シュート技を修得すれば俺はシュートの練習が、円堂には受け止める練習が出来る訳だ。

序でに俺のキーパー路線を逸らせる事が出来る。うん、これぞwinーwin良い事尽くめじゃあるまいか。

 

第2のキーパーは立向居君に頑張って貰おうではないか。

ああ、決してあのタイヤがトラウマになった訳じゃないとも。

 

という訳で先ずは有名な技よりも初歩的な技を練習しようと思う。

簡単な作りの必殺技……そういや『SAO』にはソードスキルという技があったな。これも必殺技と言っていいだろう。

その中のでも特に単純な縦斬の『バーチカル』横斬の『ホリゾンタル』の2つを練習だ。

何故同じ単発の軌道が違うだけの技を2つやるのかって?

一つ気になった事があって、その実験の為だ。今は置いておこう。

 

練習を始めて大分経った訳だが、どうしよう…発動する気配が無いぞ。

『バーチカル』は踵落とし『ホリゾンタル』は水平蹴りの要領でやっている。イメージは十分、ひと蹴りに全力を込めて振っているが、うーん出ないな。

 

完全に行き詰まった為、バズーカの時を思い出し………いや駄目だって、あれは参考にならんわ。

そう、よく考えるとあの時は毎回毎回死に物狂いだった。

―――――瞬間俺の脳裏に嫌な閃きが走る。

バトル漫画にはよく、本来なら長い年月を掛け修得に至る技があるが、主人公は時間の都合とかでリスクが跳ね上がる代わりに短時間で修得する、という展開がある。

もしや昨日の俺が後者で、俺は今前者をしているのでは…?という考えだ。

いやリスクって確かにあのタイヤは死ねるけどさ。でも、えぇ…もっとなんかあったろ他に、と思わなくもない。

 

ホントにね、あのタイヤを蹴るって大分洒落になんないんだよ。

それに今あのタイヤの所で円堂が特訓してるの見えたし、今日は用事があって来れないって言った事もあり、行き難い。

だが、他にアイデアが浮かばないものだから代替案として、学校に言ってサンドバッグを使わせて貰った。

うわぁ、さっきまで円堂のタイヤ効率悪いよな~とか考えてたのに、俺がボール使ってない件。こんなブーメランが発生するなんて予想出来るか!?

 

都合の良いことに本来練習する方々は今日休みの様で、サンドバッグに限り貸し切り状態だ。

複数のサンドバッグを束ねて振り子の様に揺らす。

あ、これダメなやつだわ。あのタイヤ同様に人殺せるよ、これ。

今この場には俺以外にも結構人がいて、皆ドン引きしてる空気が伝わってくる…。

だが、これを試さないとさっきの仮説の真偽も判らない為、やるしかないっ!

 

 

 

 

 

天願君、ふっ飛ばされたー!

 

アイ キャン フラーイ!始めました。

 

くそ、思考が纏まらない、ホントに痛かった。なんか変な事を一瞬考えたのは気のせいだろうか?

 

周りの制止を促す声が聞こえる、でも、そんな事に構わず、何度も何度も蹴り続ける(ぶっ飛ばされる)

 

…俺って自殺志願者でもドMでもなかったよな?この世界で死んだら元の世界に帰れるかも、的な事を考える奴でもない筈だ。

なんで続けてるんだっけ?あ、なんかイライラしてきた。

 

特典くれるんならしっかり伝えろよ!てか、努力とかせずに出せる様にして欲しかったわ!クソが!

なんて考えて怒りが爆発した瞬間、足が蒼い軌跡を描いた気がした。

こ、これは……!怒りで新たな力に目覚めるとかあるけどさぁ…うーん怒りの内容がなんとも…まぁ発現したっぽいから良いのか?

 

それから後も何度か繰り返し、2つ共成功率が7割強を超えた時点で、片付けて撤収した。

 

そして、周りが俺を見る視線、あっヤベェ…なんだあの化け物、みたいな目だ。

 

というかこんな滅茶苦茶な事してんのに、怪我という怪我をしてない自分の身体にビビるわ、此方が特典て言われても納得出来る程だ。

 

家に着いて、やっぱ一回位は試しといた方が良いかな~と軽く足を振って……ん?

普通に発動したけどナニコレ?ボール有ってシュートとして撃って始めて成立するもんじゃないのか!?

家にある木の枝をスパッ!っていったんだけど…。

なんか怖くなってきたから、実験とか明日で良いかな?今日はもう寝よう、そうしよう。

きっと今のは悪い夢だったんだ…。

 

その夜

「円堂、これが俺の新しい技だ!『バーチカル!』」スパッ!

「来い、天願!って、俺のボールゥゥ!!」

…これ正夢とかだったら俺泣くからね?

 

 

 

 

「なぁ、天願聞いたか?ウチの学校にサンドバッグを幾つ纏めてもなんなく蹴飛ばす不死身の怪物が居るんだってよ!

学校中で噂になってるんだ!

そんなキックが出来る奴と一緒にサッカーしたいな!」

 

「へ、へぇ~。そうか、凄い奴も居たもんだな…」

 

ああいうのは人目につかない所でやろ…。




雷門ではグラウンドは複数の部がシフト決めてやってる…とかいう設定があったような気がしたので、今回の武道場も同様にしました。
主人公が練習した日は剣道部とかが使ってたという事で…

うわぁ、結構ぐだってしまった…。
必殺技発現の件とか終わりの所とか後で書き直すかも…

でも自分の文才じゃ、どこまでやれるか…

こんな文でも最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


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第5話 始まり

こんな技は無いだろって思ったら普通にあった件

イナイレより俺の方が視野が狭いと発覚したよ…!

文字数マジで少ないな…なんで皆あんな書けるん…?


俺は2つの技を修得した。シュートじゃなくても使えたんだが、まあそれは置いておこう。

 

この2つの技『バーチカル』と『ホリゾンタル』はぶっちゃけ軌道が違うだけでほぼ同じ技だと考えていい。

にも関わらず何故どちらも修得したか、それはこの技の持つ特性に興味が湧いたからだ。

 

『SAO』ではアリシゼーション編において、この初歩中の初歩とも言えるソードスキルについての説明がある。

それによると、この技は軌道さえ変えていなければ向きの変更が出来るようだ。

 

普段は片方のモーションを多用しつつ、折りを見て別パターンを繰り出す、といった引っ掛けを行えると考えたからだ。

この世界では――技というものは大体そうなのだが――予備動作で何の技なのか判断出来るものもある。繰り出す技には判っていれば、引き返す、立ち止まる、寧ろ突っ込むなど案外簡単な方法で突破出来るものもあるのだ。

ならば相手に態と予備動作を覚えさせフェイントとして使う、という選択肢もアリと考えたのだ。

 

この2つの技は威力が弱い。シュート技と言ってはいるが、下手をすれば熱血パンチにも弾かれるだろう。

 

だが、その弱さを利用してパスとして使う、シュートチェインに利用する、といった方法で工夫すれば良いのだ。

要は使い方だ。弱い分発動後の隙も少なく別の行動に移れる為、自分がシュートチェインの起点とフィニッシュを同時にこなす事も可能なのだ。

 

そして、もう1つこの2つには上位版があるという点だ。

『バーチカル・スクエア』『ホリゾンタル・スクエア』

この2つは初動こそ変わらないが、四連撃になっている。

 

捕らぬ狸の皮算用かもしれないが、これらを修得した場合、取れる選択肢が大きく増える。

 

『バーチカル』でパス、シュートチェイン、若しくはそう見せ掛け『スクエア』を撃ちこむと場に応じ臨機応変に動けるのは相当な強みになると思うのだ。

パスにしても『バーチカル』は上下『ホリゾンタル』が左右と差別化も可能だ。

故に将来性の強いこの2つを修得を決めた。

 

学校に着くと、

「あれが…例の」

「おい、誰か声掛けて来いよ」

「噂じゃなく、実在したのか…!?」

なーんて、会話が聞こえるけど気にしない。気にしないったら気にしない、俺は噂の不死身の化け物とやらではないのだ…!

「おはよう、天願!今日もサッカーやろうぜ!」

と円堂が声を掛けて来る。

…円堂守、第一声に必ず「サッカーやろうぜ!」入ってる説、なんて浮かんだが……そんな事ないよな?

 

「おはよう。サッカーやろうぜって、まだ学校始まってないぞ。

少し気が早いんじゃないか?」

 

それにしても、俺と円堂はまだ知り合って3日目だ。昨日は会ってないから実質2日目である。

それなのにこの気さくさ、何というコミュ力、俺には一生真似出来んな…と戦慄していると

 

「分かってるって、じゃあまたな!」

 

と言って去って行った。目を泳がせている様な、ギクリという表現がピッタリだったのだが、アイツにとってのサッカーは俺にとっての必殺技みたいなものか、と考えると納得出来るものだ。

 

あっ、今日小テストがあった。この休みは必殺技関係で全く勉強してなかったが…転生してて良かったわぁ、ホント。

 

学校の授業は終わり放課後、夕陽が校内に差し込み人が疎らになってきた。円堂に会うまではゲームや漫画の為に自宅まっしぐらだったが、今は夢を追い掛けるスポーツマン(笑)なのだ。

…おかしいな、妙な悪意を感じる。

 

場所はあの鉄塔広場、原作と違い2つのタイヤが吊られている…。

いや、俺は今日円堂にストライカー宣言をするんだ!だからもう、アレと関わる事はない!

 

「悪い!遅れた!」

そう言って円堂が駆け寄って来る

「何か用事でも有ったのか?なんか無理に来させたみたいで、悪い」

と謝ると、目を逸らしながら、乾いた笑いを溢す

…あー、こいつさては…

 

「今日のテストはそんなに難しかったか?」

言って、悪どい笑みを浮かべてみる。

するとギクリと体を震わせてから項垂れていく

母ちゃんに怒られる、なんて声が聞きとれた。

 

「悪かったよ、そんなに落ち込むとは思わなかった。

気分転換も大事だぜ」と言ってボールを投げ渡し、

 

「やるんだろ、サッカー」と言うと

さっきまでのが嘘の様に

「ああ!そうだな!気分、転換?は大事だからな!」

途端に元気を取り戻した。

 

…小学校低学年は気分転換という言葉を、まだ習ってないのだろうか?

転生した弊害か、俺の性格の問題か、余り友達がいないためそういう事に疎い。

教師からも聞き分けの良い子扱いこそされているが、内心気味悪がられているのが透けて見える。

 

まあ関係ないな。

 

準備運動を済ませ、軽く動いた後

「円堂、今からシュートを撃つつもりだが、止めてみるか?」

と軽く挑発してみる。

「シュート?ああ、良いぜ、来い!」

挑発には気付いてないみたいだが一応、念を押しておこう

「全力で撃つぞ、だから気を抜くなよ?」

俺の気迫か、雰囲気か、何かを読み取ったのだろう。円堂は笑みを消して真剣に向き合ってくれた。

 

…ああ、これは怖いな。もしかしたら、とかそんな事さえ思えなくなった。

多分、いや、確実に止められると、そう直感した。今は、または未来なら抜ける日が来るだろう。

だが、最終的には俺は円堂守というゴールキーパーに勝ち越す事は無いのだろうと、そんな漠然とした、しかし妙に納得出来る確信があった。

 

 

「行くぞ!『バーチカル!』」

 

「止める!『ゴッドハンド!』」

 

だがまぁ、そうだなぁ…。

転生する、なんて予想外の出来事があるんだ。

だから、この確信すらも越えて、俺はコイツに勝ちに行こう。

 

決められた未来も運命も無く、先の事なんて誰にも分からないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!キーパー練習始めるか!」

 

!?

 

「円堂?俺はストライカーを目覚しててな…?」

 

「えぇ~、やろうぜ!天願は才能あるって!あんな技直ぐ使えたんだし。

そうだ!全ポジション極めるとかどうだ!?」

 

「キーパーも含めた、パーフェクトオールラウンダーだと…!?

お前天才かよ!?良いな、それ!」

 

この後滅茶苦茶後悔した

 

天然って怖ぇ…いや、俺が馬鹿なのか…

 




よっしゃあ!これで次こそ原作入り出来るか…!?

と言っても覚えてない原作こそが最大の鬼門という罠

キャラも増えて、その辺の動かし方、主人公の立ち位置とか考えなきゃ…!

因みに、この時の円堂はゴッドハンドを完成させていません。
主人公は不発したにも関わらず技を止められて、心に深い傷を負います。
まぁ、それで何か変わるといった事なんざ無いので忘れていいです。


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第6話 回想

パーフェクトオールラウンダーって言葉ワートリの造語なのかな?
つい使ってしまったけど

原作入りした…のかなこれ?

円堂が雷門中入学時点でサッカー部が無い事に大分後になってから気付いて無理矢理書き直し、もとい大幅削除しました。

無くなった過程は13話の回想にあります。

次の話と結構時間あったから、この話の改訂だけで済んでホント良かった…。


あれから数年経ち、俺は雷門中に進学した。

色々、本当に色々あったなぁ…。

 

FF連勝中らしい名門からスポーツ推薦受けたり

 

俺の身体能力を知られ、色んな部活の助っ人に呼ばれて、気付けば俺争奪戦が起こってたり

 

冗談かと思ってたが円堂の奴、割と本気で俺に全ポジション極めさせたいみたいで、練習の密度凄い事になったり

 

富士登山に行った時、なんか凄い衣装来てる奴らと一緒にサッカー(?)して、餞別に妙に重いサッカーボール貰ったり

 

未来から来た、とか言ってる奴らとサッカーして、新しい力を手に入れたり

 

俺の『必殺技全集』という黒歴史書が円堂に見つかってしまい必死にはぐらかしたり

 

円堂には教えてないだけで既に結構な数の必殺技を再現出来てたり

 

…うん、所々ヤバい思い出があるのは自覚してる。

 

FF連勝中の名門って確かゴーグル付けた頭の良い奴がいる最初の敵校だし。悪いな、俺は雷門に行くと決めたんだ。

だからそこ、神の水だか知らんが得体の知れないモノを渡して来るんじゃねぇ!

 

 

 

円堂はどうやら俺が色んな技術を身に付けていくのが楽しいらしく、アイツの知識全部を俺に詰め込んで来てる。うん、わかる。俺だって教えてる奴がぐんぐん成長出来たら凄い嬉しく楽しくなるしな。

 

ただね?キーパー練習がどんどん過激になってるのはなんとかなりませんかね?既にタイヤの数がゴッドハンド破られて追い詰められてた頃より多くなってそうなのは気のせいか?

 

 

 

富士山の奴らアレだろ、エイリアン学園だったか?宇宙人を名乗る奴らだよね。

奴らのファッションは凄かったよ…うん。

いや、あんな服をリアルで着てるのを見たらね…開口一番に「変態だーっ!」って叫んでしまった俺を責めないで欲しい。

 

だって、富士登山中だぜ?結構高い所で寒いのに全身タイツ風のを着てる奴らもいるんだよ?しかもそれなりの人数が。

いや、悪い事したとは思ってる。

女の子とか涙目になってたし、付き添いっぽい女性の方が、赤い髪の少年に震え声で「そうなのか?」って訊かれて、そっと視線を逸らしたときは居たたまれなかった…。

 

ぶちギレたアイツらに少林サッカーばりの試合と言う名の処刑を受けた時はどうしようかと…。

俺のシュートがヘボ過ぎたから、避けに徹してたら、あんな雑魚シュート野郎がこんな動きを!?って全員が言ってきた時は心折れるかと思った。

その後、この特製ボールで少しはマシなシュートにするがいいって……エイリアン編入ったら覚えてろよ、ガニメデプロトンの奴!(※この時の面子にゼルは居ない)

 

………その時から()()()のヤツが、此方の予定とかガン無視して突然現れて、色々付き合わされる様になって…………その度に中々痛い出費ががが。

 

 

未来から来た奴?

俺がイナイレ卒業してから続編があったのは知ってる。

観てなかったけど次世代の雷門イレブンが化身とかいう新たな力引っ提げて戦ってるんだろ?

 

俺を指して『化身王』とか『オリジン』とか言ってたけど…。

 

天馬君?俺が世界最高のオールラウンダーになったって、それマジ?ゑ?円堂監督に相当しごかれてる映像が世界中に放映されて、ドン引きされてる?何やってんだ未来の俺達?

あんなメニューこなすとか人間辞めてる?ホント何やってんの!?

 

円堂、お前は目を輝かせて未来の俺に課してるメニューを聞き出すな、天馬君も教えるんじゃねぇ!

まぁ、これを試合に化身とか言うの手に入れたんだが…円堂の課す訓練が一段と厳しくなってるのは気のせいだよな?

 

 

 

円堂に『必殺技全集』を見られた時は恥ずか死ぬかと思った…。アイツが厨二じゃなくて本当に良かった。

『必殺技全集』は文字通り前の世界の必殺技を思い出せる限りを書き込んだノートだ。

良く覚えてる物は技の裏設定とかも乗ってる上、詠唱付きの奴も多い。こんな物誰かに読まれた日には…おいコラ円堂!探してんじゃねぇ!出禁にすっぞ!

 

 

 

必殺技?ノリノリで練習してたら本当に結構な数修得してたよ。

数年前に2つの技をベースに撹乱とか考えてたのに必要ないレベルで色んな技身に付けちゃったよ!いや、嬉しいけどさ。

しかも、1つの技で色々出来る、もうこれだけで良いんじゃないかな?って技もあるし。

そんな技には当然デメリットもある訳だが、皇帝ペンギン1号程じゃないから良いか…。

 

 

そろそろ回想も終わりにしておくか。

 

なにせこれから俺の輝かしいサッカー生活が始まるんだ。こらそこ!俺はサッカー部に入るんだ、邪魔するんじゃねぇ!

 

俺の事を知っているらしい奴等が「是非ウチの部に!」なんてしつこく勧誘してくる。

 

そんな時、職員室から円堂の叫び声がし、物凄い勢いで此方に走りながら

「大変だ、天願!ここサッカー部が無いんだ!」

 

え、それマジ?

 

俺が目当ての部が無いも気付いた連中の勧誘が余計にエスカレートしていく中、俺と円堂は呆然としていた…。

 

 

 

「なぁ、天願!」

 

「なんだ?…おい、お前そのほn」

 

「『癖になってんだ、音殺して歩くの』これってどんな技なんだ?」

 

「▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂ うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ」




Q.時系列バラバラっぽいけどどうなってんの?
A.仕様です。納得してください。
数々の必殺技を再現する上で、化身があった方がやりやすいものもあるので、無理矢理捩じ込みました。

非力な私を許してくれ…。

Q.前回、あんなに技のフェイントとか独自理論垂れ流してた癖に、沢山技覚えたから必要ないってどゆこと?
A.上位版や類似の技がある物で、前回の事をやろうと考えてます。
急にパッと出して、え、何それ?ってなるよりは、前以て説明してた方が良いかな、と考えた結果です。
要は保険です。


だがその瞬間、俺は○○を発動していた!
(技を)すり替えておいたのさ!

とかがやりたいだけ。

フハハハ!何とでも罵るが良い!俺のガラスハートは既に罅まみれだぞぅ!


いや、ホントすみません。


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原作開始
第7話 炎のストライカー


雷門中って帰宅部とかありましたっけ?
アニメ見てても良くわからん。
メガネが他の部活に入ってるイメージが無いのだが…。

すまない
まだ、なんだ。
まだ試合に入ってないんだ…

次こそやるから…


最近は1人で練習する事が多くなった。

理由はサッカー部の廃部の危機に伴い円堂がやる気のない部員達を説得により力を入れている事、足りない部員集めの活動に精を出しているからだ。

ん?何故俺は手伝わず、練習を続けているのかって?

あぁ、それには深い訳があってだな…。

 

~回想~

 

「どうする円堂?アイツらサッカーをする気はサラサラ無いみたいだが」

 

ストーリーなんて大雑把にしか覚えていない俺は、まさかあんなレベルで壊滅的だとは思って無かったのだ。

せめて部員は弱い、数はギリギリ、心では優勝を目指していても、強くないからと諦めかけていた頃に円堂参上!的な流れかと思っていた。

 

「いや、そんな事は無いって!

だってサッカー部に入ってるんだ!興味ないならそもそも入ってないかも知れないのに、アイツらはまだサッカー部に残ってるんだ!

なら、まだサッカーしたいって心があるに決まってる!」

 

確かに、一理ある。

別に態々サッカー部の部室で時間を潰す必要もないのだ、にも関わらず集まっている。

それはまぁ、そういう事なのだろう。

 

やる気が全く無い訳じゃない事は分かった。相変わらず人を良い所を見る目が良い。

 

「そうか、ならなんとかしないとな。

つっても、どうするかねぇ…?どうした、円堂?」

 

何か、そわそわしている。まるで、言いづらい事を打ち明けるかの様な…。

 

「その、だな…天願は練習に集中した方が良いんじゃ無いか?

ほら、相手はあの帝国だ。ちょっとでも強くなっておかないと!」

 

意外だな。コイツならよし、今から説得に行こう!位なら言いそうなもんだが。

 

「いや、勿論練習には集中するが…強くなるって、それはお前も同じじゃねぇか?」

 

すると、円堂は意を決したようで渋々ながらこう言った。

「でもさ…天願ってこういうの苦手だろ…?」

 

グサッ!

中々に強烈な一撃が突き刺さった。

「い、いやいや、苦手だからって手は抜かねぇよ!?」

 

「違う違う!それについては心配してないって!

ただ、さぁ、天願って………その、人付き合いとか苦手だろ?

特に余り知らない奴とかと話す時、変な風になってる事あるしさ…」

 

「」

 

何という事でしょう!円堂と長くいる内に、俺のコミュ力の低さ事に気付かれていました!

俺は話し掛けるのは良いんだが、突然話掛けられる様な場合が苦手だ。

恐らくそこを何度も見られ人付き合いが下手と思われたのだろう。

いや、実際下手だしな…。

 

「ほら、河川敷で子供達との会話の時も、なんかビビってたっていうか…どこで驚いた?みたいな所あったしさ…」

 

「」

 

嘘だろ…!?あれ見られてた!?

つーかもう止めろ円堂!俺のライフポイントはもう0だ!

今の俺、きっと金魚みたいに口をパクパクさせて呆然としてるから!

 

「お~い、大丈夫か天願…?

いや、ゴメン。ちょっと言い過ぎたかも…」

 

だ、駄目だ。まだ崩れ落ちるな、堪えるんだ…し、しかし…

 

「いや、大丈夫だ。そ、そうだよな、適材適所って言葉もあるしな。

すまない円堂、非力な俺を許してくれ…」

 

これ以上は限界だっ…早く立ち去らねば…!

 

「お、おい、天願?何処いくんだ?そっち壁しかないぞ!?」

 

~回想終了~

 

とまあ、こんな事があってな…

苦しくなんか無いよ、苦しくなんか…

 

それにしてもこれからサッカー練習を本格的に始めるっぽいのに、そんなんでもFF優勝、果ては世界に出れるって…皆才能凄すぎない?

 

因みに部員募集の件なんだが、ビラ配り位出来るだろうって思って看板持った円堂と一緒に回ってたんだが…

 

「あ、アイツは!?」

「とてつもない動きが出来ると噂の…?」

「あれは即戦力になる!なんとしてでもウチに引き入れるんだ!」

「待ってくれ!天願はもうサッカー部の一員で…」

「サッカー部…まだあったの?そんな弱小にいるより、此方の方が活躍出来るぞ!」

「に、逃げてくれ天願!」

 

という一幕があってな…。

部員集めしてんのに逆に勧誘されちゃ叶わんと、これも円堂に止められた。

 

そんで今日も1人で鉄塔広場でやってる訳だが…誰か来たな

円堂は基本走って来るから…取り敢えず声を掛けてみるか

 

「誰だ?もしかして円堂に呼ばれて来たのか?」

 

そう言いながら振り替えると…っ!コイツは確か…

 

「驚いたな…結構距離もある。しかも、此方を見もしないのに気付けるのか」

 

まぁ、必殺技修得の副作用みたい物で、自然と身に付いたんだが…言う必要も無いか。

 

「ま、色々あってな」

 

制服のままって事は、サッカーをしにきた訳じゃないのだろう。

 

「そうか。円堂っていうのは……ああアイツの事か。」

俺が気配察知について話す気がないと理解したのだろう。

 

しかし、円堂の名を出したら少し機嫌が悪くなったか?

 

当然、声を掛けられてるよな。コイツは原作においてエースストライカーとして大活躍するキャラだ。

 

そんな推測をせずとも円堂が朝から「凄いキックをした奴が居たんだ!」ってはしゃいでたから面識はあるだろうとは思った。

 

?ああ、この感じは…

 

「噂をすればってヤツかね?」

 

「どういう意味だ?…成る程、本当に鋭いな」

 

そして、円堂が階段を駆け上がってきた。

 

「待たせたな天願…って豪炎寺!?」

 

「知り合いか?円堂」

 

大体察してるけど一応聞いてみる。

 

「言ってたろ凄いシュートを蹴る奴がいるって、それが豪炎寺なんだ!

なあ豪炎寺、考え直してくれないか?

帝国学園と練習試合する事になったんだけど…まだメンバーが足りて無くてさ…。」

 

円堂が帝国の言葉を言ったその一瞬、豪炎寺の表情に変化があった。驚きと……憐れみだろうか?よく分からん。

 

「なんで、サッカー辞めたんだ?良ければ話してくれないか?

理由があると思う、でもあんなキックが出来るんだ!勿体ないじゃないか!」

 

…一言を喋らない豪炎寺に畳み掛ける様に言葉を掛けていく円堂。

 

そして完全に空気と同化した俺。何か喋った方が良いのかな…?

でも俺は豪炎寺とはこれが初対面、円堂の言うキックとやらも見ていない。何か話そうにも話題が…

 

「お前、良く喋るな」

鬱陶しそうに豪炎寺が言う。

 

「俺に、天願に、そして豪炎寺。俺達が組めば最強のチームが出来ると思うんだ!」

 

あ、忘れられてなかった。天願を俺の名前と推測したのだろう、一瞬だけ豪炎寺が目線を向けた。

 

だが

「もう俺に話し掛けるな」

そう言って話を切り、帰ろうとする豪炎寺に円堂が言う

 

「じゃあ、なんであの時ボールを蹴った!」

それを聞いた豪炎寺は強い感情の籠った表情と視線をこちらに向けた。あれは…怒りか、後悔か。

 

あの時って何だ、ヤベェ全く話についていけねぇ!

 

「お前、しつこいよ」

そう言って今度こそ帰っていった。

 

気まずい、何の話してるかさっぱりだ。空気を変えるには…

「始めようぜ、練習」

 

サッカーで釣る!

 

「そうだな…よし!やるか!」

 

上手くいったか……にしても複数の視線を感じるな。

俺よりも円堂に集中してるみたいだし、今度こそ円堂が声を掛けた奴らか?

 

隠れてるのもあるが様子見というか見定めてるような感じがするから教えないでおこうか?

 

あっ、目があった。内緒に~みたいなジェスチャーだし、どうせ原作の流れは覚えてないし彼方側に合わせるとするか。

 

 

 

…何故こんな日に限ってキーパー練習するんですかね?

いや円堂じゃなくて、俺がやる意味って…。

 

何?アイツらがやる気を出した時に、俺もキーパーしたらシュート練習の効率が良くなる?

 

納得は出来るけど…俺が吹っ飛ばされる所そいつらに何度も見られてて…情けなくなってきたんだけど…。

 

お?誰か近付いてきたな。

 

「無茶苦茶だなぁ、その特訓」

一般的な感性…だと!?心底同意するぜ!

「風丸!?」

 

「変な特訓、してるんだな」

 

「ま、普通そう思うわな」

 

「そう言う割には熱心にやってたけど?」

折角やるんなら、手は抜きたくねぇしな…それに、

 

「昔雷門イレブンの監督だった円堂の爺さんが残した練習法らしくてな」

 

「ああ、このノートだよ」

円堂はそう言い、ベンチにある一冊のノートを風丸に手渡した。

 

ノートを開き、顔をしかめた風丸は、

 

「これ、読めるのk「無理」…そうか」

やっぱりそう聞くよな。

予想してたし、同感な事もあって、食い気味に返答してしまった。

 

「帝国学園の強さは俺の想像なんかよりもずっと上の筈だ。なら爺ちゃんの技をマスターする必要がある、そう思ったんだ」

 

「って事は、え~っと

 

「天願 想叶だ、天願でいい」

 

天願も円堂と同じ技を?」

 

「いや、そう言う訳じゃねぇよ。只お生憎様、俺はコレ以外の練習を知らなくてね」

うん、本当にこれしか知らないんだよな…。

 

風丸は少し考え込んでから、

「お前達、本気で帝国に勝つ気なのか?」

 

そう聞いてきた。それに対する答えは決まっている。

「ああ!」「当然」

 

それを聞くと、俺達に手を差し出してきた。これは…

 

「ん、え…何?」

 

「お前達のその気合い、乗った!」

 

少しの間の後、その言葉を理解した円堂は笑顔を浮かべ

 

「ありがとう、風丸!」

「助かる、力を貸して貰うぜ」

 

そうして握手を交わした後、後ろを向いて

 

「俺はやるぜ。お前達はどうするんだ?」

そう声を掛けると、茂みや木の後ろに隠れていたサッカー部員が現れた。

 

「お前達!」

思わず駆け寄る円堂だが、流石にこんだけ疲労が溜まってたら、バランスを崩しそうになる。

 

倒れる前にバランスとってやらねぇとな、怪我したら元も子も無ぇ訳だし。

 

「おい、大丈夫か?気を付けろよ。」

 

「コイツら、俺が来る前からお前達の事見てたみたいだぞ、天願は気付いたみたいだけど。」

まぁ、あれだけバッチリ目があえばね…。

 

「え、そうなのか?」

 

「さて、どうだったか…」

この感動の場面で、何で教えてくれなかった、とか聞かれるのもアレな気がするのではぐらかしておこう。

 

コイツらは円堂が学校で勧誘を頑張る姿に心打たれた様だ。

 

「俺も…一緒に練習させてくれませんか!」

「「俺も!」」

 

その言葉に感極まったように円堂は

 

「当ったり前じゃないか、大歓迎だよ…!」

喜色満面の表情で、そう言った。

 

意識を変えるってのは難しい事なんだが…本当に凄ぇもんだ。

「良かったじゃねぇか、円堂」

「ああ…!俺、スゲー嬉しくなってきた!」

 

やっぱり、スタートを切るのは、一番の功労者であるこいつの役目だろう。

 

「円堂…いや、キャプテン。練習、やるんだろ?」

なら、俺はその背中を押すとしよう。

 

「うん、そうだな!やろうぜ!」

 

「「「やろうぜ!」」」

 

さて、此方の士気は十分。後は帝国のレベルだが…いや、今は練習に集中するか。

 

本気になった仲間達とやるってのは最高に楽しいもんだ、それから気を逸らすなんて勿体ないからな。

 

 

 

 

 

 

 

「天願がまた吹っ飛ばされされたでやんすー!?」

 

「あ、直ぐ戻って来た」

 

「アイツのタフネスさって下手したら俺以上かもな…。」

 

「なぁ、不死身の化け物ってアイツじゃ…?」

 

「いやいや、アレは噂だろ?そんな訳…」

 

「「「ない…よな…?」」」




よし、次話で漸く試合だ…
長かった、本当に長かった。

必殺技もガンガン出していく予定です!


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第8話 最初の1点

急ピッチで仕上げたから、誤字が多くなってるかも知んない…

批判の多い展開かもしれん。
だが、書きたかったから書いた!

相変わらずの駄文だけど、どうぞ!


「皆、紹介しよう。今日の助っ人に入ってくれる松野空介だ!」

 

「僕の事はマックスって呼んでいいよ。君達のキャプテン見てたら退屈しなさそうだと思ってさ」

この軽さに、他の部員達は少し不満気だ。

「退屈って、遊びじゃ無いんだぜ、試合は…!」

その気持ちも分からなくもないが、人が揃わねば土俵にすら立てない以上、あまり文句は言えない。

 

「心配いらないよ。サッカーは未だやった事ないけど、こう見えて器用なんだよね」

 

「ということだ。期待しようぜ」

 

「しかし此でもまだ10人だぞ?」

ん?気付いてないのか?

 

「いや、11人揃ってるぜ」

 

「え?何言って「…驚いた」!?」

 

「影野も入部したんだっけな」

 

「俺に気付ける奴はそう居ないと思ってたんだが…」

 

別に気配を隠していた訳ではないのな。

 

「天願は気配察知が凄いからなぁ…」

 

「そういや練習でボールが後ろから来ても普通に捌いてたっけ」

 

そうこうしている内に、帝国のバスがやって来た。

…なんだ、この登場演出は…?

レッドカーペットに敬礼って、こいつら軍人かVIPか何かかよ…?いや、帝国サッカー部でのVIPではあるかもしれんが…此処までやるか?

 

「鬼道さん、なんでこんなチームと試合を?ウチのスキルが上がるとは思えませんけど」

 

……聞こえるように言ってやがるな、事実ではあるが、こうも嘲る様な言い方をされるとな。

 

「面白いものが見られるかも、と」

その視線の先は…豪炎寺か。

 

「面白い物?」

 

「まぁ、楽しみにしてる事だ」

すると、バスの上部から椅子に座った男が…金掛けてんな。

 

あ、円堂が挨拶しに行って………すぐ戻ってきたな。

 

「初めてのグラウンドだから練習したいんだってさ…。」

 

それだけを聞けば良くある事だが…奴等から感じるこれは、悪意か?

 

ただの練習、には収まらんかもな…。

 

アイツらの練習はウォーミングアップの意味もしっかりあるのだろうが、これはどうやら力の差を見せ付けてるって感じか。

 

ウチの部員どころか円堂すらも萎縮し始めている。

弱小相手と知って尚、ここまでプレッシャーを掛けてくるか…。

 

アイツは…確か途中から仲間になる帝国のキャプテンだったよな。

 

何故1人だけ動かず此方を見て…何かを探している…?

 

俺と目があったにも関わらず動き続けた視線が円堂の所で止まった。そして感じられる悪意が急激に…っ!

 

「円堂、構えておけ」

 

俺の発言に、ポカンとした表情を浮かべる円堂

 

「は?何言っ「此方に、いや、お前に撃ってくるかもしれん」何だって…!?」

俺が言い切ったと同時に何らかのサインを出したのが見えた。

 

そして、予想通りアイツ自身が撃ってきた。

 

心構えは出来ていたからか、しっかりと受け止める。

それでも予想以上だったのだろう、両手を見て呆然としていた。しかしそれも一瞬、いつもの好戦的な笑みを浮かべて

 

「面白くなってきたぜ!」

今の状況で啖呵を切る…か、アイツらしいな。

 

だが良かった、精神的支柱なアイツが弱気になれば他の部員に影響があるからな。

 

「燃えてきたー!皆、一週間の成果をコイツらに見せてやろうぜ!」

 

他の面子は相当ビビってるんだが。あ!壁山がトイレ(セーフティ・ハウス)に逃げた!

 

「アイツが抜けたら10人になるが、どう埋める?他に居るのかな?」

 

そう言って露骨に視線を豪炎寺へ視線を向ける。

 

その時だった。

「円堂く~ん!」

 

誰かが円堂の名を呼び走って来る、マネージャーの木野と…誰だ?

「この人も参加してくれるだって!目金君って言うのよ」

 

すると、そいつは俺達を見渡し

「目金欠流だ、宜しく」

 

周りの反応から、余り運動出来る奴では無さそうだが…。

「ああ、宜しく」

 

目金は円堂の差し出した手に目もくれず、辺りを見渡し、

「どうやら、本当に僕が最後の1人になったようだね…」

 

壁山がエスケープしてるだけなんだが…嫌な予感がする、言わないでおこう。

 

念のため、円堂にも身振り手振りでそう伝えておこう。

 

「入部するにさしあたって、条件があるんだけど」

 

うん、中々プライドが高そうだ、壁山の事が発覚したら面倒な事になりそうだ。まぁ、誰かが口を滑らせない限り分からんだろう。

 

…あいつ試合前に戻って来るよな?

一応、練習試合という名目でウチまで態々足を運んで来ているのだ。余り待たせてしまうというのも良くない。

 

何人か連れて探しに行っておくが、あいつの事は…円堂に任せるとしよう。

 

 

壁山発見。どうやってロッカーに入ったんだ…物理的にどうやんだよ、これ。

このロッカーはたけし城ならぬ壁山城と名付けよう。

 

見付けたは良いが、このまま誰かを待つには時間が…仕方ない運ぶか。

 

円堂side

 

「すいません、今すぐ準備します!すぐ探してきます!」

マズイ!壁山何処行った!?

 

「ちょっと」

 

天願が探して来るって合図してきたけど…6人位連れてったのにまだ戻ってこない…!

 

「あの、聞いてます!?」

あ、戻って来た!あれ?天願の奴なんで片手にロッカー抱えてんだ…?

 

「どういう事ですか!僕は一番最後じゃないって…

なんですかあれ、本当に人間ですか?」

 

ここでロッカーを降ろした天願は

「円堂、過程は知らんが壁山はこのロッカーに入っちまったらしい!

取り敢えず、ロッカーごと持って来たが、何とか出来るか!?」

 

ツッコミ所は多々あるけど、天願はこういう事良くやる。

 

気にしないでおこう、サッカー部の皆だって

 

「ああ、いつもの…」

「俺、物理の勉強不足かもしんねぇ…」

 

慣れてるしな!

 

これを何とか出来そうなのは…

「キャプテン!自分がやってみます!」

 

「少林!頼むぞ!」

 

おお!良いキックだ!

壁山も脱出出来たし、何とかなったか!

 

Side out

 

ふう、間に合って良かった。

 

「鬼道さん、あれが貴方の言う、面白い物か…?」

「…いや、違う。」

「あのサイズの人間を、ロッカーごと持って来る様な奴だぞ!?」

「しかも、片手で、走ってだ!あれよりも凄いのか…!」

「……確認してきていいか…?」

「「「鬼道さん!?」」」

 

帝国の奴ら何を話し合ってる…?俺達相手に作戦会議なんざ必要ないだろうに…。

…距離が遠い上に声量も落としてる…徹底してるな…!

 

どうやら、円堂は上手く壁山を奮い立たせる事に成功したようだ。

 

さて、試合か…。

 

漸く始まるのか…ん?

アイツ、コイントスもやらずに何を…

 

「鬼道君!コイントスを…」

 

「必要ない、好きに始めろ。」

 

何だと?舐められるだけの実力差があるのが分からない程、俺は弱くないつもりだ。

 

だが流石に今のはムカついた。

ポジションに着く前に円堂と軽い打ち合わせをしよう。

 

「よう円堂、緊張してるか?」

 

「いや、むしろワクワクしてる!天願こそ頑張れよ!」

 

楽しそうで何よりだ。さて、これは死亡フラグだから使いたく無いんだが…

 

俺も久しぶりの試合で大分興奮してる様だ、もうこの衝動に任せよう!

 

「ああ、頑張るのは良いが

―――別に、開幕直後に得点してしまっても構わんのだろう?」

 

打ち合わせと言うよりは俺の勝手な宣誓だがな…!

 

円堂は一瞬呆けた表情をしたものの

 

「―――ああ、遠慮はいらないぜ!

アイツらの度肝を抜いてやれ、天願!」

 

…おお、まさか此処まで完璧な返しが来るとは思わなんだ。

なら、俺も最後までやりきるか。

 

「そうか。ならば期待に応えるとしよう。」

 

 

 

唐突だが、俺はこの試合の結末が分かっている。

 

いや、分かっているというのは語弊があるな。正確には予想出来ている、が正しい。

 

別に物語の内容を覚えているって訳じゃない。

 

原作では、敵と余りに実力差のある場合、競技間違ってない?と言いたくなる程に点差が広がる。

 

そういった場合、大体敵のスペックが強すぎて味方はボロボロになって地に倒れ伏し、一点も入れられない事が殆どだ。

 

大概その試合の終わりに誰かが来る、新しい必殺技の予兆などで逆転の可能性が出て終わるのだ。

 

この試合はそうなってしまうだろう。

恐らくは豪炎寺と円堂の二人が必殺技が炸裂、相手のシュートを止めた上で一点入れる。

そこで試合終了、といった具合に違いない。

 

流石に今の状況じゃあ勝ち目が0だって事は分かる。

例え豪炎寺が最初からいたとしても勝てないだろう、チームプレー、サッカーという競技はそういうものだ。

 

だが、そんなの悔しいじゃないか。

あんなに舐められていたのに何も出来ず豪炎寺と円堂の二人が希望を見せた事を慰めとする?

 

そんな事になってみろ、俺が俺を赦せなくなる…!

 

だから、決めた。

最初だけでも良い、竜頭蛇尾と嗤われ様が構わない。

舐め腐っている奴らに一泡吹かせてやる、そう決めたのだ。

 

キックオフになったら俺にボールを寄越して貰う様に伝えた。

後は俺が磨いてきた必殺技を駆使して、奴らに目にもの見せてやる…!

 

開幕を告げる笛が聞こえる、打ち合わせ通り俺にボールが来た。

 

行くか。

 

後の事なんて考えずトップギアで敵陣に突っ込む。

 

最初の相手は…お前か、鬼道。

「まさか1人で突っ込んでくるとはな。それともプレーの仕方すらろくに知らないのか?」

 

「何、アンタらのその態度が気に入らない。

だからそのゴーグルの下にある目を此でもかって位に見開かせたくなってな」

 

「弱小風情が、大言壮語にも程がある。今までの奴ら同様、蹴散らしてやろう」

 

「やってみろよ、やれるもんならなぁ!

 

 

固有時制御 二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』!」

 

 

急にコイツが遅くなった気がするがそうではない、俺が速くなったのだ。

ゴーグルごしなので判りづらい筈の表情がみるみるうちに驚愕へ変化していか様が見える。

 

この技は負担が大きい、だから抜き切ると同時に即座に解除する。

 

鬼道を抜いた先にはキーパー以外誰もいない。大方、鬼道が抜かれるなんて想像もしていなかったのだろう。

 

だが流石は最強、驚愕による硬直からの立ち直りが早い。

俺への警戒レベルを一気に上げたのか、その表情には油断の一つもない。

 

このままではシュートへ行き着く前に妨害に入られるだろう、そう"このままでは"。

 

 

「『瞬歩』」

 

 

瞬間移動とも呼べる速度で、ゴール迄の距離を一気に詰める。

 

ディフェンスやキーパーの顔が驚愕に染まっていく。

 

瞬歩は移動距離に応じて消耗率が大きく変わる技。

結構な距離を詰めたのと、さっきの技の反動が重なった事でかなり苦しくなってきた。

 

大技のシュートを使うと失敗してしまうかも知れない。

ここは燃費が良く、威力も十分且つ後押しとして初見殺しの技にするとしよう。

 

 

「『5連 釘シュート』!」

 

 

パンチがシュートになっているのはご愛嬌。

驚愕から立ち直れていない様子だが身体がしっかりと反応しているのは流石と言うべきか。

 

「通さんっ!『パワーシールド』」

 

シュートが力場の盾にぶつかった瞬間、苦悶の表情を浮かべたが、暫くしてニヤリと笑った。

 

5「色々と驚かせて貰ったが、残念だったな」

 

「その台詞を吐くには…少し早いんじゃねぇか?」

 

4「フッ、何を言う。確かに強力なシュートである事は認めてやるがこのてい…っ!?何だっ…!?」

 

「聞こえなかったか、"5連"ってな」

 

3「まさか…グゥッ!?」

 

「後2回だ、耐えてみせろよ?」

 

俺は今、相当酷い悪人面をしていることだろう。

奴の盾に罅が入っていく。

 

2「クソォッ!後、少し…!持ってくれ!」

 

罅はどんどん広がり、もう無傷な所の方が少ない位だ。

 

「よくもったな、次でラストだ」

 

1「ウワァァッ!」

 

硬質的な音が響き、ゴールを守る盾は粉々に砕け散る。

 

直後、俺のシュートがネットに突き刺さる音が聞こえた。

 

「取り敢えず溜飲は下がったか」

 

まだ始まって1分も経っていないけど、得点を告げる笛の音と一瞬遅れて沸き上がる歓声に、俺はもう報われた様な気がした。

 

まだ、試合(地獄)は始まったばかりだというのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「1位だ!1位がいる!」

 

「何の1位なんだよ」

 

「人気投票だよ」

 

「(何言ってんだ、コイツ)へぇー、誰が?」

 

「五条さん」

 

「あれが!?他にも居るだろ、色々と!

……てめえも嬉しそうにしてんじゃねぇ!」

 

 

 

 

 

「あのバス、スゲー金掛けてんな…。

ん?椅子が出て来て、なんだあの、グラサン掛けたモアイ像?」

 

「貴様!総帥に向かって何て事を!(駄目だ、まだ笑うな…堪えるんだ…いや…しかし…)」

 

「……おい、これが終わったら、訓練メニューのレベルを上限まで引き上げろ。

後、あの小僧は徹底的に潰せ」

 

「気にしてたんだ…俺もそんなイメージだったなぁ

(はっ!了解しました!)」

 

「」ビキビキ




仕事という現実から逃避したくて仕上げた。

お気に入りが順調にふえて来て嬉しい…!

『固有時制御 ◯重加速』
引用「fate」
使用者「衛宮 切継」

任意の時間、自身の速度を◯(重の前の数字)倍にするという単純故に強力な技。
ドリブル、シュート、ブロックどの様な局面にも有用。
しかしその反面、発動中に恐ろしい勢いで体力を消耗する上、技の終了時に使用した倍数に応じた反動が生じる為、使い勝手は非常に悪い。


『瞬歩』
引用「BLEACH」
使用者「死神であるキャラクターの多くが修得している」

任意の地点までの距離を高速で詰める技。
その速度は瞬間移動と表現しても差し支えなく、例えコートの端から端という超長距離間であっても一瞬で移動出来る。

但し、体力の消耗は距離に比例して加速度的に上昇する為、コートの半分以上の距離間における使用は現実的ではない。

技の発動には移動方向へ体を向けている事、使用距離の直線上に人が居ない事、この2つの条件を満たさねばならない。

また、技の発動直前と終了直後に短いとはいえ、硬直時間が存在する事もあり、使用時と移動予定の場所の付近に敵がいる時に使うのはリスクが大きい。


『◯連 釘シュート』
引用「トリコ」
使用者「トリコ」
本来の技は『釘パンチ』又は『レッグ釘キック』
シュートしたボールには時間差で◯(連の前の数字)回、"ボールをキックした時の威力がそのまま"後押しされる。
この特性により◯の数によっては超長距離から放たれても最高威力を保ちつつゴールを狙う事が出来る。
◯の数に応じ消耗も大きくなるが、1発の消耗自体が少ない事もあり、相当な回数にでもしない限りかなり使いやすい技となっている。

敢えて弱点を上げるならば、1発には威力上限が存在している事。使用者の膂力や技量がどれだけ上がろうとある一定以上は同じ回数での威力が変わる事はない。

◯の回数を一撃に込めた『ネイルガン』が存在する。


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第9話 弱点

うう…展開がちょっと雑かもしれん。

でも、これ以上上手く書けねぇ…

もっと勉強が必要だなぁ。


後書きに、使った必殺技の内容、原作、使用キャラを追記していこうと思います。
※ここに書く"技の内容"はあくまでこのssに適応、変化させたものです。
本来の仕様まで記述すると、後書きの文字数凄い事になってしまうので…

本当に申し訳ない byブレイク博士

需要ない? 知ってる(泣)


今回、後書きが 滅茶苦茶長いです。

書きたい事詰め込みました。


敵も味方も呆然としているのが目に映る、まるで現状をまだ認識しきれていない様だ。

 

それも当然の帰結だろう、最強のチームの筈だった帝国が弱小、いや、それ以前の問題だったチームに1分と経たない内に得点を許したのだ。

 

自陣に戻る最中、此方をじっと観察している鬼道とすれ違う

 

「末恐ろしいものだ、まさかお前の様な奴がいるとは」

 

独り言の様な言い方だったが、それは明らかに俺へと掛けられたものだった。

 

何故だろう、振り向きこそしなかったが思わず立ち止まっていた。

 

「その様子……やった事は効率的とは言い難いな。どんな意味があったのかも理解できん……だが、その技の完成度は称賛に値する」

 

きっと心底からの言葉だったのだろう、今まで感じていた悪意がまるで嘘のようだった。

 

「……その言葉は、素直に受け止らせて貰おう」

 

恐ろしい?それは此方の台詞だ、もう少し位誤魔化せると思ったんだがな…。

 

「そうしておけ。

称賛ついでにもう1つ。お前は特例だ、油断などしない。

覚悟しろ」

 

「ハッ………中々イイ趣味してんのな」

 

強がってみせたが、乾いた笑いと共にそう溢すのが精一杯だった。

 

「お前の様な奴を泳がせておくのは危険と判断した、それだけの事だ」

 

もう話す気は無いのだろう、そう言うや否や俺から遠ざかって行った。

 

やれやれ、さっきまでなら兎も角、今の俺を知って尚そう言うか…。

 

 

自陣に戻ると

「凄ぇな天願!何だよアレ、全部始めて見る技だったぞ!」

 

「急に速くなってから瞬間移動してシュートって、夢でも見てるのかと思ったぜ」

 

「正直な所、今でも信じられないな」

 

皆が駆け寄って来て、口々に褒め称えてくれる。

 

「まさかあの帝国から先制点をもぎ取るなんて!」

 

「さっきまで怖くて堪らないかったけど、これなら…!」

 

「もしかしたら、勝てるでやんすか!?」

 

この空気に水を差す様で心苦しいが、ハッキリ言った方が良いな…。

 

「いや、それは無理だ」

 

 

 

帝国side

 

「おい、アイツが誰なのか、誰も知らないのか?」

 

「あんな技を持ってるのに、無名の選手?そんな事があるのか?」

 

「業腹だが、次またやられて、止めれるとは言い切れねぇぞ」

 

 

 

「その心配は必要ない」

 

「鬼道さん?アンタすらも抜かれたんだぞ、その言葉の根拠はあるんだろうな」

 

「何、極めて単純な話だ。奴はもう必殺技を使えない。

ただそれだけの事だ」

 

「何!?それはどういう…?」

 

「抜かれてから、俺は奴をずっと観察していた。

 

シュートを撃った後だが、奴の息は絶え絶え、足を震わせているその姿は、まるで全てを出しきったかの様だった。

 

そこから平静に戻るまでの早さから、回復力が相当優れているのが理解出来るが、それでも技を出せたとして後2回程、少なくとも連発は不可能と見て良いだろう。

 

仮説だったが奴との会話で確信した。奴自身それを理解している様だったしな」

 

「驚いた…相変わらずとんでもない観察眼だな」

 

「つまり、その2回をシュートに使わせなければ良いって事だな?

じゃあ誰が奴を押さえる?話を聞く限りスタミナ切れらしいから適当に…」

 

「いや、奴は俺が直々にマークする」

 

「鬼道さん?」

 

「久しぶりに現れた"敵"だ、一切の容赦なく徹底的に潰す」

 

 

sideout

 

「そんな…つまり、さっきみたいな事はもう出来ないのか!?」

 

「交代して後半戦終盤まで回復に努めれば、やれなくはないが、それでもさっきの奴には及ばないだろうな」

 

「仮にそうしても、代わりに入ってくるアイツが天願のいない分をどこまて埋められるか…」

 

「待てよ、普通にプレーするには問題無いんだろ?なら、精神的に奴らにプレッシャーを与えられるんじゃ…」

 

「恐らくだがそれも無理だ。驚く程勘の良い奴が居てな、俺の状態を察してやがる」

 

「手詰まりって訳かよ…!」

 

「悪い……俺の独断のせいで…」

 

「いや、天願は点を入れて来たんだ。謝る必要はない」

 

「すまん……。」

 

皆が静まりかえっている時だった。

 

「なぁ、なんでそんなに落ち込んでるんだ?」

 

円堂…?

 

「だって、自分たちの中で一番強いシュートを撃てた天願が…」

 

「俺達は!この1週間頑張ってきたじゃないか!?

俺達はチームだ、天願だけじゃなくても、皆の力を合わせれば帝国にだって負けない、そうだろ!」

 

場の空気が変わっていくのを感じる。

 

「ああ、そうだ…!僕だって一生懸命やってきたんだ!」

 

「なんだか、弱気になってたのが、馬鹿みたいでやんす!」

 

「それに、天願だけに格好つけさせる訳にもいかねぇしな。」

 

「その意気だ!このまま勝つぞ、皆!」

 

皆、意気揚々と持ち場に戻っていく。

呆然としている俺の背中に軽い衝撃が走る。円堂が背中を叩いたようだ。

 

「天願はさ、俺達が舐められてた事に怒ってくれたんだろ?

ありがとな、だから、後は任せてくれ」

 

そう言ってゴールに向かって行く…俺はその背中に向けて

 

「何さらっと頭数から外してんだよ。

技が出せねぇだけで、プレー自体は出来るっての、戦力外通告してんじゃねーよ」

 

そう冗談めかして声を掛ける。

アイツの顔は見えないが、なんとなく笑っている様な気がした。

 

 

試合が再開される。

あっちのキックオフだが、相変わらずの悪意を感じるが、先程と違い油断の1つも見当たらない。

 

「さぁ、帝国のサッカーを始めよう」

 

そんな声が聞こえた。

 

蹴り出されたボールは……いきなりシュートだと!?

 

円堂は…良し、何とか反応出来ている…!

 

相当な威力があるのだろう、しっかりと受け止めたにも関わらずじりじりと押し込まれていた。

 

ゴールこそ守れたものの、円堂は片膝を付いたまま動きを止めている。

 

DF陣が駆け寄って…良かった、心配はなさそうだな。

 

だが……これから始まる蹂躙劇は、俺の予想なんて比較にもならない、そんな予感がした。

 

 

 

 

前半は終了し、点差は9対1

俺達の戦意をへし折りに来る様な怒涛の攻めを皆が受ける中、俺はボールに触ることすら出来なかった。

 

鬼道、アイツは終始俺をマークし、ボールに触れさせない様に動いていた。

 

俺は必殺技こそ威力や効果が強いものの、持ち前の技術は他の皆を少し上回る程度しかない。

 

ボールを捕れるチャンスが巡っても、奴のテクニックには歯が立たずどうすることも出来なかった。

 

前半終了時に奴の放った言葉が今でも耳に残っている。

 

「先程も言ったが、つくづく末恐ろしい。あれだけ消耗してなお、此だけ動けるとはな。

 

だが、其れだけだ。ろくな技術を持っていなければ、そんな物は意味を成さん。その無尽蔵のスタミナでさえ、あれ程消耗の激しい技の前では役に立つまい。

 

お前の事は、どうやら買い被り過ぎだったらしい」

 

何も、言い返せなかった。

 

俺が知識だけで知っていたこの世界はパワーやスピードといった、持ち前のステータスがどれ程高い奴がいても、強力な必殺技を繰り出した側が勝っていた。

 

だからだろう、我欲を優先して必殺技の修得に重きを置いていた。

 

俺は、この世界を甘く見ていたのだ。強い技を持つ方が勝つ、そんな単純な世界では無かった。

 

超次元サッカーだから、普通のサッカーとは違うのだと高を括っていた。

 

後半戦が始まってなお、気持ちは沈んでいた。

 

ただのシュートなら止められる、だが、それが必殺技となるとどうにも出来なかった事が拍車を掛けた。

 

鬼道は俺の体力を回復させない様なプレーをしていた為、もう技を出すことが出来ない。

 

気付けば円堂と俺以外は倒れていた、そういう俺達も限界寸前だ。

 

補欠の目金も気付けばいない、俺1人のキックオフだ。

 

ボールに触れた、だから何だ?技量差が有りすぎる、直ぐに 取り返されて、さっきまでの繰り返しをしているだけだ。

 

「無様だな」

 

「諦めろ」

 

「技に頼らねぇと、ボールの保持すら出来ないのか?」

 

ああ、正しくその通りだ。だけど

 

「まだ……諦めねぇ!」

 

勘違いばかりで誰よりもサッカーを舐めていたこんな俺と今まで一緒にやってきてくれた、円堂が諦めてないんだ。

アイツが立ち上がり続ける限り、俺が諦めていい資格は無い!

 

……!

その時だった。10番のユニフォームを来た誰かが、コートに入ってくるのが見えた。

 

「豪炎寺…!遅いよ!」

感極まった表情で円堂が声を掛ける。

 

豪炎寺…来てくれたのか…?

 

審判や帝国に認められ、正式にメンバーとして入った豪炎寺は、キックオフが始まるや否や、脇目を振らず一直線にゴールへ向かう、俺も豪炎寺に少し遅れて駆け出す。

 

豪炎寺は円堂がシュートを止めると確信しているのだろう。

 

円堂と一番長くサッカーをしていた筈の俺は、其が出来ていただろうか…今更、本当に今更だが、今からでも信じよう。

 

帝国は容赦なく円堂にシュートを浴びせる

 

『デスゾーン』

何度も俺達を吹き飛ばしたあの技、それに対し円堂は…!

 

あの動き、あの構え、これだけ離れても感じるあの力強さ……この土壇場で完成させたのか…!

 

円堂が長い時間を掛けて漸く修得した伝説のイナズマイレブンの技『ゴッドハンド』

 

もうボロボロなのにも関わらず、アイツは難なく止めてみせた。

 

……あぁ、本当に……凄いなぁ、アイツは。

 

直ぐ様、豪炎寺へパスをしようとするが、今までの負荷からか、少し不自然な姿勢から放られてしまう。

 

其に気付いて戻ろうとする豪炎寺に

 

「何としてでも俺が繋ぐ、アンタはシュートの事だけ考えてくれ」

 

それを聞いた豪炎寺は、此方へ頷きを返し、先へ進んで行った。

 

恐らく、これが俺のラストプレーになるだろう。立っている事すら限界な俺に出来るのは、それ位しかない。

 

……全く、どうしようもなく度し難い野郎だよ、俺は。

ついさっきに円堂を信じるなんて考えておきながら、"円堂のミス"を想定して動いていた…。

 

円堂の放ったパスは鬼道が奪ってしまう。

 

即座に反撃を仕掛けるのだろう、あれだけ注目していた豪炎寺に目もくれずドリブルして進む、その先に立ち塞がった俺に対し、

 

「もう立っているのがやっとだろうが、まだ技を出せるかもしれんからな。

最初の礼がまだだったな、お前には俺の技で倒れて貰う。」

 

技の撃ち合いか……いや、そんな事は考えるな、俺はただ豪炎寺に繋げる事にだけを意識すればいい。

 

今から繰り出すこの技は、非常に強力であるにも関わらず、驚く程に消耗が少ない。

 

しかしその代償か、技の難易度が恐ろしく高く、意識の乱れやほんの僅かに態勢を崩すだけで不発になる。

 

今の俺では即座に出す事は到底不可能、故に雑念を振り払うと共に左足を前に出し"構え"を取る。

 

「『イリュージョン ボール』」

 

奴の保持するボールが複数に別れた上、予測不可能な軌道で動き回る、もうどれが本物かなんて判別出来ない。なら"全て落としてしまえば良い"。

 

 

「『秘剣・燕返し』」

 

 

左足を軸に、全力で右足を振り抜く、それとは全く別の方向から突如発生した2閃が本物の1つを残し、全ての幻影を消し去る。

 

本来なら自分が振り抜いた足でボールを奪うのだが、残った余力全てを右足に込め、蹴り飛ばす…!

 

「行け……豪炎寺!」

 

ああ、もう意識を保つのも限界だ…せめてこの試合の結末位、見届けたかった…

 

「『ファイアトルネード』!」

 

初めての試合で気絶とは締まらねぇもんだが…今までサッカーを舐めていたツケが回ってきたのかもしれない。

 

既に意識は無かった筈だが、ネットを揺らす音と試合終了の宣言、そして沸き上がる仲間達の歓声が聞こえた気がした。









イナイレ技と他原作技のぶつけ合い…一番書きたかった事がやっと書けた…!

『秘剣・燕返し』

引用「fate」
使用者「佐々木 小次郎」

片足を引いた構え(原作やアニメ見て下さい)を取り、接近した相手のボールを奪う技

足を振り抜くと同時に、虚空から相手のボールを狙う2閃が発生する。

本来ならこの3つは全てパスコースを塞ぎつつボールを奪う軌道を描く。2つなら避けれる安全地帯は複数あるが、その全ては本命の1閃の範囲内にある。

この3つは全く同時に発生している為、対処は不可能。
技を受ける事がボールの奪取に直結する。

消耗が非常に少ない為、乱発が可能だが、(現時点では)構えを取る必要があり、構えている際は身動きが取れない。必然的に用途はカウンターに絞られる。

また、この技は難易度が非常に高く、ほんの僅かな心及び態勢の乱れで不発してしまう。

その為、敵からすれば技の発動範囲まで近づかない、何らかの手段を以て精神、構えのいずれかを揺らがせるだけで封殺出来る。



なんか超長くなったな…。
どうしよう、技解説の専用話でも作っておくか…?

(後書きは)もうちょっとだけ続くんじゃ

主人公について

speck

主人公のスペックはパワーやスピードといった身体能力がカンストしている様なものです。
素の身体能力だけで張り合ったなら、どのキャラであろうと勝てません。
それ故、技を使わない普通のシュートでは―――それこそ神のアクアやエイリア石等でドーピングでもしない限り―――突発出来ません。
それでもまだまだ発展途上、鍛える程成長を続けます。
ただし技量は今のところ全然ダメです。
また、スタミナの総量、回復速度も尋常ではなく、試合時間中をずっと、全力で走り続ける事が可能です。
ただし、一部例外を除き、所有する必殺技の消耗もまた尋常でなく、スタミナは直ぐ底を尽き、回復速度も追い付きません。
チート、というより、ピーキーなキャラにしていこうと考えてます。

technique

主人公は作中でも語られた通り必殺技の修得に傾倒していました。
円堂の課す練習以外知らなかったのは必殺技の修得が最優先で、技術については一切関心が無かった事によるものです。
円堂はそれを無意識下、本能レベルで察知し技術の教導に励みました。主人公を訓練させる描写が多めだったのはこの為です。
ですが、円堂自身はキーパー。故に円堂より上手くなっても、帝国にはまるで通用しませんでした。

長々と申し訳ありません。

読了、有り難う御座います。


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第10話 贖罪

何と言うか…ですね、クサイ展開と言うか、まぁ、そんな感じになってしまいました。

私としてはあの試合にて主人公が今までの事を自覚して尚、すんなり円堂達とサッカーを続ける事にどうしても納得がいかないのです。

たった数行位で纏める事もまた同様で、しっかりとけじめをつけてからでないとどうにも…。

という訳で今回もまた「あ、こういうの嫌い」と感じたら、ブラウザバックを推奨します。

こういうのがつまらない、嫌いだという方にとっては反吐が出る様な内容ですので。


余談

もしあの試合で開幕得点を決めなかった場合

鬼道にマークされず、弱点の指摘も受けない為、より必殺技に傾倒する事になっていきます。
その√ではエイリア学園編にて風丸ら同様、エイリア学園側に着くのですが、ダークエンペラーズではなく、ジェネシスのキーパーになって敵対します。


俺の意識が覚醒した時、時間は既に放課後で、場所は保健室の様だった。

 

俺の胸中を満たす思いは1つ。

 

 

 

うあああああ!!スッゲェ悔しい!皆と一緒に勝利(?)の余韻を味わいたかったよおおおお!!!

 

あれだけの苦難を乗り越えたのだ、その喜びは格別のものと言えよう。

 

意識を失う寸前に帝国の試合放棄、解説の実質的に雷門の勝利~的な言葉が聞こえた気がする様なしない様な。

 

ただ1つ、俺の耳には一緒に戦ってくれた仲間達の喜色に彩られた声だけは確実に届いていた。

 

何であの時意識を保ち続けれなかったのか…!そんな事を悶々と考えていると、突如扉が開き…

 

「天願…?どうした!何処か痛むのか!?」

 

「天願君!?大丈夫?」

 

頭を抱えて「うごぉぉ…」とか言いながら踞る俺の姿を見た円堂と木野が慌てた様子で駆け寄って来る。

 

や、ヤバい…悶えてたとか恥ずかしくて言えねぇし、身体の不調と嘘を吐いて心配させるのは心が痛む…

 

「い、いや、大丈夫だ。あれだよ、えっと…そう!俺が気絶した後どうなったのか不安になってさ…」

 

少し苦しいか、これは…?

 

「良かったぁ~、大丈夫なんだな?」

 

「天願君が気絶するなんて事、想像もしてなかったから本当に心配したのよ?」

 

ヨシ!なんとか誤魔化せたみたいだな。

 

「安心しろよ。ほら、怪我なんざ殆どしてねぇだろ?」

 

ベッドから起き上がり、全身を使ってアピールしてみる。

 

「お、おお、凄い回復力だな…。」

 

「途中から円堂君よりシュートを受けてたのに、部員の誰よりも傷が少ない…」

 

あれ…なんか引かれてねぇか…?ま、心配掛けさせたままよりはマシだろ。

 

「そうだ!試合の事なんだけど、豪炎寺が決めた後、帝国が試合放棄してきたの!」

 

「点差も結構つけられて酷い試合だったけどさ、廃部撤回の条件はクリアしたんだ。

俺達、これからも雷門でサッカーを続けられるんだよ!」

 

円堂も木野も凄く嬉しそうに話してくれるから、つられて俺も自然と笑顔になれる。

 

「そうか、俺達のサッカーは此処から始まるんだな…」

 

……なら、始めるにあたって、言っておかなくちゃいけない事があるな。

 

「なぁ、円堂、木野、謝らなきゃいけない事がある」

 

そう言って二人へ頭を下げる。

 

「て、天願?急にどうしたんだ…?」

 

「えっと…何か謝られるような事があったかしら…?」

 

「俺さ、今まで必殺技の事だけ考えてきたんだ。」

 

「あぁ…それは知ってるよ。だって今まであれだけ一生懸命修得に励んでたんだ」

 

「だけど、それが何か謝る事に繋がるの?」

 

「そうだ。何せ俺は本当に必殺技の事しか目に入って無かった、サッカーなんてまるで見て無かったんだ。

 

円堂の練習に付き合ってたのだって、それが必殺技の修得に都合が良かっただけで、もし他に効率の良い事があったら…きっと今の今まで練習なんて続けて無かった筈だ」

 

二人は俺の告白を黙って聞いている。

それはあまりに静かで、この空間に自分以外誰も居ないと錯覚してしまいそうな程だった。

 

「円堂は真摯にサッカーについて教えてくれて、木野はこんな俺なんかの為に色々してくれたってのに……。

俺が許せないのなら、何だってする。お前達に近付くなと言われたら、そうする。

サッカーを辞めて欲しいんなら……それに従う。

本当に、すまなかった。」

 

……何れ程、時間が経ったのだろう。

 

1時間かそれ以上か、否、1秒と経っていないかも知れない。時間なんてそんな些事気にする事も出来なかった。

 

アイツらにどんな目で見られるのか、何を言われるのか、想像するだけでも恐ろかった。

 

「天願、頭を上げてくれ。」

 

円堂と木野の顔には悲しみの感情が色濃く残っている。

 

「正直に言うとさ…結構ショックだった…。

けどさ、嘘は言うなよ」

 

「…?俺は嘘なんて」

 

「サッカーを!本当に見て無かったんなら、今まで笑ってプレーしてたのは何だったんだよ…!

 

お前と初めて会った時、必殺技なんて持ってなくて、タイヤに何度も飛ばされたあの日、それでも楽しそうに笑ってた…サッカーがどうでも良かったなら、あの笑顔は何だったんだよ…!?」

 

あんなに前の事…まだ覚えたのか……

 

円堂がもう言う事が無いと察したのだろう、木野がポツリポツリと

 

「天願君さ、気付いてる?サッカーを辞めるって言った、自分の事。

凄く辛そうだったよ、もしサッカーがどうでも良いなら、そんな反応しないよね?」

 

「だから、さ。上手く言えないけど、許すとか許さないとかそんなんじゃなくて」

 

「私達が天願君に言う事があるとするなら」

 

二人は俺に手を差し伸べて、

 

「「これからも、宜しく!」」

 

そう言い切った後、それでも、と付け加えて

 

「もし、此で天願が納得とかいかないんなら……

天願の事は許す!ハイ、これでこの話は終わりな!」

 

感謝で声が震えるのを、必死で抑えながら

 

「ああ、ありがとう、本当に、ありがとう…!

此方こそ、宜しく頼む…!」

 

この二人の手をとり、強く握りしめた。

 

例え、何が起きようと、この日、この瞬間を忘れる事はないだろう。

 

 

 

夕陽は沈む事無く、笑いあう3人を暖かく染め上げていた。




凄く短いですが、これからも主人公を動かし続ける上で、どうしても書かなきゃ気がすまなかった…。

木野に関しては描写して無かったので、なんで急に?と思われるでしょう。

一応、捕捉(言い訳&後付け)しますと、雷門中に入る少し前に知り合ったという設定でした。
まあ、部のマネージャーとして円堂と3人で頑張ってきた、というのもありますが。
今まで一切描写出来ずに此処まで来てしまったので、急に出張ってしまう形になりました。
私の未熟故、困惑させてしまい、本当にすみません。

今までss読んでて、こういう展開とか良いから、早く進めてくんねーかな、なんて考えてた自分が恥ずかしい。

書くかどうかでモチベが全然違う、書き手に回るってこういう事なのかな…。

それでもやはり、こんな展開いらねーとか思う人は居ると思います。それに関しては、本当にすみません。

読み専だった自分にはその考えもまた理解出来る事なので。



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第11話 染岡の苛立ち

一応ちょこちょこ加筆してたりするけど、活動報告とかで書いた方が良いのかな?

後、主人公の設定とかを纏めて投稿した方が良いのだろうか…?

目下最大の問題はヒロインをどうするか、居た方が良いのか…でも灰色の青春を送った私にそんな物が書けるとは思えん…。

……こんな事考えるより文の上達とか投稿頻度とか改善しなきゃいかん事ばかりなんだけどネ!

必殺技をガンガン出していきたいって考えて書き始めたのに
まだ1試合しかやってないという……


場所は部室、ホワイトボードを背にして円堂がミーティングを始めた。

 

「帝国戦で俺達の問題は分かった、それで――」

 

「問題点も何も、まず体力無さすぎ」

 

円堂の言葉に食い込む形でマックスが横槍を入れる。

それを聞いた皆の気分が沈んだ、うむ…俺にとっても全くの他人事という訳ではない。

 

「あ、ゴメン。今のへこんだ?」

マックスは思った事をそのまま口に出してしまうのかな?前世のトラウマが刺激されて胸が苦しい…!

 

「…円堂、話を続けてくれ」

場の澱んだ雰囲気に耐えかねたのか、風丸が円堂に促す。

「まあ、体力作りは勿論なんだけど、こんなフォーメーションを考えたんだ。」

「えぇー!?僕フォワード……ていうか、そもそもスタメンですらないのぉ!?」

 

「交代すらせずに逃げた奴が何言ってんだか。」

呆れた様子で反論する半田に

 

「戦略的撤退と言って欲しいね」

眼鏡を掛け直しつつ開き直る様子の目金に呆気にとられる。

 

うん、あれ普通の人だったら逃げると思うよ?寧ろ、あの惨劇を見て「こんなもんだよな」とか言ってる観客に引いた。

 

「あの~キャプテン、こないだの豪炎寺さん呼べないんですかね?」

宍戸が言いづらそうにしながらも問い掛け、それを皮切りに

 

「そうだよね、何と言っても帝国を退けたのは、結局の所豪炎寺君のシュートだったんだからねぇ」

 

「天願さんは兎も角、今の俺達じゃあんな風にはなれないっス」

 

他の面子もそう続けると、

 

「あんなっつうのは何だ…?俺が本当のサッカーを見せてやる!」

 

「「染岡(さん」?」」

 

染岡の急な激昂に皆は呆気にとられている。

 

「豪炎寺はもうやらないんだろ?」

 

「それは……分からないけど。」

 

「円堂までアイツを頼り過ぎだ」

 

「そ、そんな事は「俺達だって出来るさ!もっと俺達を信じろよ!」

 

染岡の剣幕に円堂が押されている。

そんな時、扉が開けられ

 

「皆~!お客さんよ……何かあったの?」

 

木野は入って来るなり、部内のギスギスした空気を感じたのだろう、そう聞いてきた。

 

「ああ、ちょっとな…………ゑ?」

 

木野の後ろに見えた人影に、円堂は戸惑いの声を漏らす。

 

「…臭いわ。」

 

コイツは…ウチの学校の生徒会長だったか?

第一声がそれって…運動部の部室の匂いなんて大体こんなもんだろ…え、違うの?

 

「こんな奴、何で連れて来たんだよ?」

 

「話があるって言うから…」

 

「染岡、気が立ってるのは分かるが、そう当たるな」

実際、染岡の言いたい事も分からんでもないからな。

 

「帝国学園との練習試合、廃部だけは逃れたわね」

 

「お、おう!これからガンガン試合していくからな!」

 

「次の対戦校を決めてあげたわ」

嫌な予感しかしない。

 

「次の試合…?」

 

「凄いでやんすね!もう次の試合が決まるなんて!」

 

「やったな、円堂」

 

「ああ!夢みたいだよ、もう試合が出来るなんて」

 

「今度こそ、僕の出番だろうね」

 

「俺も…次こそ目立つよ」

 

コイツら皆浮き足立ってるが…

 

「それで…生徒会長サマ?次の対戦相手は何処なんだ?」

 

先日まで廃部にしようと画策していた奴が善意でこんな事をやるかね?

何か裏がありそうだ。

 

「尾刈斗中、試合は1週間後よ」

 

その発表を聞いても、ピンと来てそうな奴は居ない。またどっかの強豪校って訳じゃ無さそうだ。

 

にしてもオカルトねぇ…?探索者や狂信者の集う学校じゃないよな?

試合中に詠唱や発狂してきたら逃げて良いかな。

 

「勿論、ただ試合をやれば良いという訳ではないわ。

 

今度負けたらこのサッカー部は直ちに廃部、但し勝利すればフットボールフロンティアの参加を認めましょう。

 

精々頑張ることね」

 

言う事はもう無くなって帰って行ったが、たった其だけを伝える為に態々出向くとは…意外と律儀な奴だな。

 

少し遅れて最後の言葉を意味を理解し始め、さっきまでの揉め事が嘘の様に、だんだんと活気付いていった。

 

 

 

練習が始まってもまだ、染岡の苛立ちは途絶えていないようだ。

少し離れて観察しているが、ファウルギリギリなラフプレーの連続や、全身に力が入り過ぎて一つ一つの動作にキレがない。

常にあれほど力んでいれば、直ぐに疲れきってしまうだろう。

アイツが何を考えているのか、大体の想像はつく。

帝国との試合の前までは俺を除けば、一番シュートが強かった染岡がストライカーになっていた。

 

たが、あの試合中に豪炎寺が現れた。豪炎寺は染岡と同じストライカーであり、あの強敵相手にしっかりと得点を決めたのだ。

 

俺も同じく得点を決めたが、普段はMFでオールラウンダーとして動いている以上、FWの染岡とは求められている役割が違う事もあり立場を脅かす事は無かった、それが豪炎寺には同じ立場で有りながら全てに於いて上を行かれている。

 

その上、仲間達も豪炎寺を求めているとなればその劣等感は凄まじいものだろう。

 

フォローするにも何と声を掛ければ良いものか…。

 

そうやって悩んでいると、木野のいる辺りから気になる会話が聞き取れた。

 

「尾刈斗中について、何か知って「わあっ!?」…驚かせたようで悪いな…」

 

気配を殺してた近付いたつもりはないんだが、さっきまで練習してた奴が急に声を掛ければ驚くよな。

 

……にしてはやや反応が過剰だった気もするが。

 

「…あ!こちらこそ、ごめんなさい。私、新聞部の音無です」

 

「初めまして音無さん、天願 想叶だ。さっき尾刈斗中って聞こえた気がしてな、気になって話に割り込んじまった」

 

「いえ!気にしないで下さい、それと、音無で大丈夫です。(あれ?さっき見た時は結構距離が有ったような…?)」

 

「そうだった!音無さん、尾刈斗中について何か知ってるみたいなの!(天願君については余り気にしない方が良いわよ)」

 

「……お前ら、聞こえてるからな?

取り敢えず皆を集めてくる。染岡があの調子じゃ、続けても効率は悪そうだしな」

 

 

 

「天願さんって色々聞いてたけど、本当に凄いんですね」

 

「今の内だけよ、その内慣れて気にならなくなるから…」

 

 

 

 

音無から聞いた噂は、高熱で寝込む、負けそうになると強風や動けなくなるといった、俄には信じがたいものばかりだった。

 

他の奴等の反応も、偶然だと思ったり、呪いなんて怖がったりとバラバラだった。

 

俺も信じている訳じゃないが、この世界の事を考えるとなぁ…。もしかすると、そういう類いの必殺技なのかもしれない。

 

「何だお前ら!豪炎寺なんかに頼らなくても俺がシュートを決めてやる、FWならここに居るぜ!」

 

あれ、また誰か豪炎寺の話でもしたのか?

 

「おお!その意気だ。

なんか豪炎寺豪炎寺ってそりゃ染岡も怒るって」

 

「半田の言う通りだな。それにだ、もし豪炎寺が仲間になったとしても、豪炎寺が試合に出れなかった時はどうする?

一人欠けたから負けましたって、そう言うのか?」

 

「そうだな…

皆!誰かに頼ってたって、強くなんかなれないぞ。

さあ、練習だ!」

 

どうにも上手く取り成せないな、尾刈斗中よりも染岡にビビってチームの纏まりが良くない、どうしたもんか…

 

 

~鉄塔広場~

いつもの場所に今日は風丸もいる、練習は中断して目下の問題について風丸から切り出した。

 

「染岡、焦ってるんだろうな」

 

「アイツの性格から予想出来なかった訳じゃないんだが、此処までとは酷くなるとはな…」

 

「え……天願は、こうなるのが分かってたのか…?」

 

「一応はな。風丸だって、理解は出来るだろ?」

 

「ああ、あんなの見せられたら誰だって負けられないって思う。もっと頑張って力をつけなきゃって」

 

話を聞く内に、とある疑問が浮かび上がったのだろう

 

「なぁ、点を決めたのは天願も同じじゃないか。ならどうして豪炎寺だけが「弱さだよ」天願?」

 

「そうだな、天願には悪いけど同じ得点を決めた者同士でも、その弱さを目の当たりにしたお前と豪炎寺じゃどうしても、な…」

 

「そんでもって、豪炎寺が見せたあの技、あれは完成されていた。俺は強い技こそ持っていても、それら全てが洗練されているとは言い難い。

アイツらはそれに気付いたのかもしれねぇな」

 

「でもさ円堂、お前だってこのままじゃ駄目な事は分かってるんだろ?」

 

「俺と風丸はさ、今この状況を改善させは出来ても、アイツらの意識を変えるまでには至らない。

それが出来るのは、キャプテンであるお前だけなんだよ」

 

それを聞いて少しの間黙っていたが

 

「皆、今は豪炎寺さえ居れば簡単に勝てると思い過ぎてる、サッカーは11人でやるって事を忘れてるんだ」

 

「俺、豪炎寺の事は、もう無理に誘おうとは思ってないんだ。今の俺達で強くなれたら良いなって、そう思うんだ」

 

「キャプテンだからって全部一人で背負うなよ、でねぇと、いずれお前が潰れるからな」

 

「俺達に手伝える事があったら言ってくれ、出来る限りフォローするからさ」

 

「その時は宜しく頼むよ。よし!明日からも頑張って行くぞ!」

 

円堂の意識は何とか出来た、これなら仲間達の考えも徐々に変えていけるだろう。

 

俺自身抱えている問題がない訳じゃない、その辺の課題をこれからどうするか、だな。




主人公と豪炎寺で何故こんなにも差がついているのか

その最大の理由は帝国の行動にあります。

主人公が得点を決めても、試合は継続したのに対し、豪炎寺が得点を決めると試合放棄した、というのが大きいです。

そこに、主人公は帝国の様子から目をつけられていなかった為、油断している隙をついた、豪炎寺は帝国の目的であり、警戒された上でゴールを奪った、という印象を持たれているのもあります。

前にも書いた気はしますが念のため。

主人公の原作知識はあってないようなものです。
例に出すと、子供の頃見ていた特撮物が一番近い感じです。
主人公側の主要キャラ……円堂や鬼道、豪炎寺辺り
一番インパクトのあった敵の親玉……影山
大体こんな感じで覚えてます。
必殺技も同様です。

ヒロインや敵キャラとなると大分薄れています
夏美を覚えていなかったのはその辺によるものです。

回想にてエイリア学園の事を覚えていたのは、エイリアン学園編が長かった事、共通して妙なコスチュームを来ていた事等により、他の敵より印象が強かった為です。

position

主人公はその多様な必殺技による万能性を生かすためMFのポジションとなりました。
シュートブロック、敵FWのカットにも対応する為、基本的にはセンターハーフかセントラルMFをやります。


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第12話 尾刈斗戦

ギャグ回(嘘)


昨日新聞部の音無がサッカー部のマネージャーになった、のは良いんだが…思ってたよりも溌剌とした性格なのかな?

昨日情報を伝えていた時と打って変わってガンガン来たので皆も驚く…というよりは呆気にとられてたしな。

 

 

一人で練習をしていた染岡と合流、染岡の事は円堂に任せて俺は皆の練習を……どうしよ。

 

そういえば俺って必殺技の特訓ばかりで、サッカーの練習って普段どんな事してたっけ?

 

あれだ、普段は分かるけど、クイズとかになると全然浮かんでこないアレだよ、だからそんな目で見ないでくれぇ!

 

早く染岡を連れてこの空気を変えてくれ、円堂。さっきから皆のじっとりとした目線が辛いんだ…。

 

あれから少しして、いつもの調子を取り戻した染岡が戻って来た。

 

それは良いんだが…

 

「なぁ、天願。必殺技だけじゃなくてちゃんと普通の練習の内容を覚えような?」

 

「す、すまん。ちゃんと身を入れてやってるつもりなんだが、いざ始めようとすると何をやってたっけ?って思って「だから、ちゃんと、覚えような?」……気を付ける」

 

あ、これ駄目な奴だ。顔こそ笑ってるが目が全く笑ってねぇ。

 

俺が悪いのは重々承知だが、如何せん覚える事が多過ぎてちょっと追い付いてないし、仕方ないよね!

 

そう考えている事も読まれたのか、笑顔の裏の威圧が段々強まってる。

 

「わ、分かった。しっかり覚えるから!練習しようぜ!」

 

も、もう耐えられねぇ!逃げるんだよぉ~!

前世でもそうだったが、怒鳴られるより、こういう静かに威圧を受けるのが苦手なんだよ…。

 

 

端から練習を見てて染岡のシュートは段々と威力を増していってる。完成までもう一押しってところか?

ん?そう言う俺は何をやってるのかって?基礎練習だ。

 

もう一度言おう。

皆が実践練習をやっている中、コート外で一人基礎練習をしている。

 

円堂曰く、本気でオールラウンダーやるのを考えると今の技量じゃ中途半端にしかならない、との事らしい。

 

言いたい事も分かるし理解も出来る…が、疎外感が半端ねぇ、これ私怨入ってないよね?

 

そうこうしている内に、染岡のシュートが完成したみたいだ、気のせいかもしれんがドラゴンが見えた様な気がした。

 

ふと、誰かが近付くのを感じて視線を向けると、そこには豪炎寺が立っていた……もの凄く気不味そうな顔をしている。

 

具体的には「あんな技を持っていた奴が、1人離れて基礎練を延々と…」みたいな事を感じとれる。

 

…お互いに見なかった事にしよう、誰も(特に俺が)幸せにならない。そんな感じで皆の方へ送り出した。

 

染岡は必殺技を完成させ、豪炎寺も加わった、これで大体の問題は解決したな。

 

「これで豪炎寺は雷門中サッカー部の一員だ、皆仲良くやろうぜ」

 

「豪炎寺 修也だ」

こ、これは無口、クールキャラがやるイケメンにのみ許される自己紹介…!?

俺が転生してからは容姿が良く成った事で調子に乗り、ついやってしまったあの…!

 

「豪炎寺さんが俺達と一緒に」

 

「これで怖い物無しだね」

 

喜びの感情を浮かべる1年、それに反して

 

「待てよ、そいつに何の用がある?雷門中には俺の必殺シュートがあるじゃないか、それに天願だっている」

 

豪炎寺への確執が消えない染岡。

予想通り参加には不服そうだが、これは呑んで貰わないと困る。

 

「だが、逆に言うとそれだけだ。決め手が多いに越した方が良い、違うか?」

 

「何?」

 

「俺がFWじゃない以上、ゴールを狙う役割は染岡、お前だけになるが、お前が封じられたらどうする?

必殺技があるから勝てる訳じゃない。帝国との試合に於ける俺が良い例だ」

 

傷口を掘り返すみたいで、余り自分から言いたい事じゃねぇんだがな。

 

「それはっ…!そうだけどよ…」

 

「皆、居る?」 「これ、見て下さい!」

 

二人が持って来たのは尾刈斗中の試合映像だった。

だが、何だこれは。

 

「一時停止してる訳じゃ…ねぇな。」

 

「何でアイツら止まってんの?」

 

「多分、動けないんだと思うんです。

噂では尾刈斗中の呪いだとか!」

 

「「「呪い?」」」

 

呪い…か。俺の存在自体オカルトみてぇなモンだし、否定しずらい訳だが、映像を見てる限りじゃ誰かが必殺技を使ってるようにも見えねぇ。

 

本当に魔術師の仕業だったらどうしよう…レッド覚悟で詠唱止めれば良いかな?

 

 

 

 

~試合当日~

 

あれが尾刈斗中…どっかで見たホラー映画の影響に引き摺られ過ぎじゃないっすかね?

 

APP3の魚人面とか何かの紋章が付いたの奴はいないな…一先ず安心した。

 

「豪炎寺君も天願君というのは君たちですね?

帝国戦で撃ったシュート、見せてもらいましたよ。いやはや、全く以て素晴らしかった、今日は御手柔らかにお願いしますよ」

 

コイツ、良く見ると豪炎寺の方しか見てなくね?

 

「ちょっと待て、あんた達の相手はその二人だけじゃない、俺達全員だ」

 

「はぁ…?我々は豪炎寺君と戦ってみたいから、この練習試合を申し込んだのですよ?

弱小チームである雷門中など、興味はありません」

 

あれ、さらっと俺抜かれたんだけど。

 

「精々豪炎寺君の足を引っ張らない様にしてくださいね」

 

おいコラ、最初に態々言うんなら最後まで言い通せや、全く見られない方がマシだったぞ!

 

「言ってくれるじゃねぇか…!」

 

「見せてやろうぜ染岡、お前の必殺シュート」

 

誰かが俺の肩を叩く…影野?

 

「……漸くその領域に至ったか…」

 

え?コレ俺の存在感が薄かったとかそういうモン?

 

お前何ポジなんだよ…つーか普通慰める所じゃねぇの…?

 

すっと視線を逸らした先に居た豪炎寺と風丸の二人と目が合った、何とも言えない表情にいたたまれなくなった俺は逃げる様にその場を立ち去った。

 

 

 

試合が始まると…凄ぇなアレ、豪炎寺に3人マークとは。

さて、どう動いたものか。味方を上手く交わし此方に向かってくるFWに対し、技を使わずに取ろうとするが中々難しい。

 

俺を突破出来ず焦れったくなったのか、パスで避けられてしまった。

 

パスも取りにいける様になれば良いんだが、技を使わねぇとまだ難しいな…

 

パスを受け取った奴はそのままシュート、しかしゴッドハンドを物にした円堂は難なく受け止めた。

 

反撃開始か…相変わらず豪炎寺には複数人のマークが付いているが、その分染岡がフリーだ。

 

ボールを受け取り、新技『ドラゴンクラッシュ』でゴール……何と言うか、思ったよりも呆気ない。

 

そう思ったのは俺だけでは無いようで、皆も体の力みが無くなり、プレーが一段と良くなっている。試合再開して間もなく二点目が決まった。

 

にも関わらず、敵は全く動じていない。

例の動きを止める呪いとやらにそれだけ自信があるのか?なら何故使わない?

 

そんな事を考えていると、相手チームの監督が、誰?

雰囲気全然違ってんだけど、急に口汚くなって……オイ、本当に詠唱し始めたんだけど。

 

すると急に相手のメンバーが入れ替わる様に見え始めた。

何故か芦戸が俺にマークしたと思ったら、見間違えたらしい。どうなってやがる…!

 

「『ゴーストロック』」

 

そんな言葉が聞こえた途端、足が…!?

 

俺だけではない、全員が止まっているらしく、そのまま点を入れられてしまう。

 

此方のキックオフで試合再開だが、染岡!?人の事言えねぇけど一人で突っ込むな!

 

そして放たれた『ドラゴンクラッシュ』だが、相手KPの『ゆがむ空間』に止められる。

 

何故最初から使わなかったとか聞いちゃいけないのかね?

 

そして、先の繰り返しの如く『ゴースト ロック』で止められ同点へ…。

 

…落ち着け、冷静に考えろ。

何があってからこうなった?それは分かりきっている、相手監督が何らかの詠唱を始めてからだ。

 

あれは何と言っている?「ま~れ ま~れ ま~れ 止まれ」

……馬鹿らしくなってきた。いや、まさかね?

 

そんな簡単な言葉で動き止まるんなら誰でもサッカー勝てるわ、いや、でも…。

……試してみる位なら良いよね?

 

「ご~け ご~け ご~け 動け」

恥ずかしい、誰にも聞かれてないよな、こんなモンで動けるなんてそんな訳……あれ?

 

世界が停まったかの様に急に静かになった、俺の方へ視線が集中するのを感じる。

 

何だろう、この変身中の敵に攻撃した奴に向ける、空気読めみたいな空気は。

 

いかん、気不味いってレベルじゃねーぞこれ、周りに合わせておくか。

 

「う、動けねぇ…!」

次のキックオフから動けばいいや。

 

「「「嘘だッ!!!」」」

 

敵味方全員から全く同じ言葉を言われたでござる。

 

「動けるんだな?天願!頼む、何とかしてくれ!」

 

後ろからそんな声が聞こえてくる。

 

「任せろ、一点決めてくる。」

取り敢えずサムズアップして、そう言っておく。

 

一度動いてから態と動きを止めたからだろうか、円堂以外からの胡散臭い物を見る様な視線が突き刺さる。

 

まだショックから立ち直れていない敵からボールを奪いゴール目掛けてまっしぐら、最初に気付いた通りコイツらの練度自体はそれほどでもない為、技を使う事なく交わしていき、気付けばゴール前。

 

「『ゴーストロック』を破ったのには驚いた。

だが、どんなシュートだろうと『ゆがむ空間』の前には無力…!」

 

「気を付けろ!そいつの技は何かおかしい!」

 

豪炎寺が注意を促す、か。なら

 

「成る程、じゃあシュートしなければ良い訳だ。」

 

「「は?」」

 

目前のKP、後ろの豪炎寺の疑問には答えず

 

「『疾風突き・縮地』」

 

一瞬の溜めの後、青紫の光を纏い、ゴール枠内まで一気に突き進む。

 

ゴールと前半終了を告げる笛の鳴り響いた後、振り向いた俺を迎えたのは、選手観客全てを含めた「何やってんだアイツ?」みたいな瞳だった。

 

 

 

 

「ドリブルの件とか問い詰めたい事は沢山あるけど、先ず一つどうして天願だけ動けたんだ?」

 

当然聞かれるよな、だがあれが本当に正しかったのか、実際の所わからない。

もし、此で大丈夫とか言って、やっぱ無理、なんてのは…。

 

「動けない間色々試してみたんだが、それで突然動ける様になってな。

後半が始まってから、さっきやったと思う事を一通り試して、それで確信が持てたら話す。」

 

そうぼかしておく、実際の理由は後半で一度試してみたい事があるからだが。

 

 

 

 

「さっきのは何かのまぐれだろ?今度こそ決めてやる」

 

やはり開幕来るか、これが通るか分からんが試してみる価値はあるからな。

 

あの動きは何度も見た、それを思い出して模倣(トレース)する。

 

「「『ゴーストロック』」」

 

「何故貴様がその技を…!?」

 

「馬鹿な…動けん…!」

 

………いや、流石に通じるとは思わんかった。

 

俺の仮説はこうだ。

相手の監督が詠唱をして動きを止める切欠を作っておき、相手キャプテンの『ゴースト ロック』という言葉と動きでそれを表面化させる。

 

監督が催眠術に掛けて、選手が命令をするといった具合だろうか。

 

監督の声はコート全域に聞こえていた、なら利用してやれば良いのでは?と考えた訳だ。どうせ自分の技だから何か対策してるだろ、一瞬でも効けばラッキー位に考えてたんだが、監督が「な、何が起こっている!?」とか口走ってるしなぁ…

 

という訳でさっきと同じ方法を使って、俺以外誰も動かないコートでのんびりとゴールを決める。

 

「フフフ、ハーハッハッハ!

人の事忘れてガン無視して舐め腐ってやがるからこうなるんだよ!

 

笑えるよなぁ?自分達が使う技で何も出来ずに失点。

 

一方俺はその中でも自由に動ける、随分と差が付いたよなぁ?悔しいだろうねぇ」

 

試合開始前の事を忘れたとは言わせんぞ…!俺はやられたらきっちりやり返す性質(タチ)なんだよ。

 

…序でにここ最近基礎練習ばかりで必殺技の練習が出来なかった憂さ晴らしも入ってるがな。

 

「アイツ、根に持ってたのか…」

 

「余り天願は怒らせない方が良いかもな」

 

豪炎寺と風丸の声の他に

 

「人がしていい顔じゃないっす…」

 

「と、とんでもない外道でやんすね」

 

「自分がされてる訳でも無いのに結構クるね、あんな煽りは初めて見るよ」

 

「あー、なんか豹変してるなぁ…」

 

そんなチームメイトの声に

 

「「「テメェ……!」」」

 

敵の選手と監督に至っては親の仇でも見る様な目付きだ、少しやり過ぎたか?

 

 

 

 

この試合は結局、8対2という結果に終わった。

 

唐突だって?あの後、尾刈斗中はもう『ゴースト ロック』を使わないで試合を挑んで来るが、それは前半の焼き直しにしかならなかった。

 

染岡と豪炎寺を全力でマーク、点を入れさせまいとしていたが、俺が前に出てシュートを決めるとそれも一変、もう俺にだけは何もさせたくなかったのだろう。

 

豪炎寺が『ゆがむ空間』のタネを見抜き、染岡との新必殺技『ドラゴントルネード』等で得点を入れられ続けても最後まで俺をマークし続けていた。

 

俺は俺でマークを外す為、ノンストップかつ全力疾走を終了時まで続けた事もあり、マークをローテで回していたにも関わらず尾刈斗中の選手全員が息を切らしていた。

 

正直やり過ぎたかな~とは思っている。元を正せば俺の怒りの対象は監督であり、選手に対しては何も無い。

 

完全に怒りの矛先を間違えたと気付いた時には試合終了していた、罪悪感で心が押し潰されそう…。

 

「天願 想叶!FFでは小細工無し、純粋にサッカーで貴様を倒す…それまで首を洗って待っていろ!」

 

最後にそんな事を言って帰って行った。雷門じゃなくて俺個人への戦線布告なんですが、それは。

視線で人を殺せるとはああいうのを言うんだろうな…本気で呪殺されないか不安になってきた。




『疾風突き・縮地』
引用「GOD EATER」

僅かな溜めの後、青紫に輝く光を纏いながら、一瞬で距離を詰めるドリブル技。
威力、消耗共に普通の為、使い易い。



主人公は今、円堂に全ポジションの練習を、木野にサッカーのあらゆる知識を教わっています。
気を入れ換えたにも関わらず、練習内容を思い出せ無かったのはこの為です。


Looks

主人公の容姿は普通に良いです。イメージは「蟲師」の「ギンコ」に所々黒髪が差している感じです。
背丈とかその辺は各自で補完して下さい。

私の脳内では一切補完出来て無い為、中学生に交じって大人がサッカーやってるので、絵面が酷い…。

最初は容姿に惹かれる人も居るのですが、たまに見せる尋常でない身体能力とかでドン引き、敬遠されています。
「カッコいいけど、人外はちょっと…。」みたいな。

character

主人公は転生してから周囲から浮かない、目立たない様に性格だけは気を付けてます。

ごく一般的な普通の子供を全力で演じていましたが、それを長い間続けてしまった事でどれが素の自分か、どれが演じていた自分かはもう自分自身ですら判別出来ません。

それ故、酷いキャラブレ、印象深いキャラクターの台詞や性格が出て来る事もしばしば。

円堂はたまにそういう所を見ているのでもう馴れています。
色々重たい事書いてますが、ぶっちゃけ此れから物語が進む上で、この設定が出て来る予定はありません。




Past

主人公の前世は全くの普通という訳ではなく、元探索者です。
故に幾つかの呪文、神話生物を知ってたりします。
この世界では使えませんし、この設定を物語に出すつもり一切なく、限りなく没案に近い裏設定みたいなものと捉えてください。


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FF編
第13話 秘伝書


円堂入学時って雷門中にはサッカー部無いって事、この話書いてる時に知って、雷門中入学辺りの話をどう修正しよう…って悩んでる。

調査不足過ぎっぷりが酷い…。

漸く化身に漕ぎ着けた…!


「皆!分かってるな!?」

円堂の声に応じ、部室に雄叫びがこだます。

「とうとうフットボールフロンティアが始まるんだ」

 

「で、相手はどこ何だ?」

 

「相手は……知らな「リサーチ位やっとけ」痛っ!?」

 

そんなこったろうとは思った、コイツは朝寝坊寸前で学校に来てからもフロンティアって叫び回ってて、何かを調べてる素振りは一切無かったし…

 

「対戦相手は野生中だ、音無」

 

「はい、昨年の地区予選の決勝で帝国と戦っている所ですね」

 

「スッゲェ!そんな凄いチームと戦えるのか!」

 

突然、顧問の冬海監督が、1人の生徒を連れてやってきた。

 

「初戦大差で敗退、なんて事は勘弁して欲しいですね。

それから――」

 

「チーッス!俺、土門 飛鳥、一応DF希望ね」

 

「君も物好きですね、こんな弱小クラブに態々入部したいなんて」

 

嫌味だけ言って去って行く冬海先生に向けて、あの人何?みたいな顔してる土門に木野が声をかける。

 

「………もしかして、土門君?」

 

「あれ、秋じゃない。お前雷門中だったの?」

 

「何だ、知り合い?」

 

「うん、昔ね」

 

「兎に角、歓迎するよフットボールフロンティアに向けて一緒に頑張ろう!」

 

円堂の勢いに押されながら土門は

 

「相手、野生中だろ、大丈夫かな?」

 

「何だよ、新入りが偉そうに」

 

染岡、お前は見た目と声が怖いから新入部員に強くあたるのはやめてあげてなさい。

 

「前の中学で戦った事あるからね。瞬発力、機動力共に大会屈指、特に高さ勝負には滅法強いのが特徴だ。」

 

へぇ、結構経験者みたいだな、それに実際戦った戦歴があるってのは心強い。

……だが、こんな時期に転入、か……いや、流石に勘繰り過ぎか。

 

「大丈夫だ、高さならファイアトルネードが「どうかなぁ、アイツらのジャンプ力、とんでもないよ?ドラゴントルネードだって上から抑え込まれちゃうかも。」

 

「んな訳ないだろ」

 

「土門の言う通りだ、野生中となら俺も戦った事がある。

空中戦だけなら帝国をも凌ぐ、あのジャンプ力で上を取られたら…」

 

対峙した事のある二人に言われたからだろう、全員の不安が増していく中―――

 

「新、必殺技だぁ!新しい必殺技を生み出すんだよ、空を制するんだ!」

 

円堂がそう振り切って皆を鼓舞する。

 

これから試合する度に技を覚えていくのだろうか…?

 

それから空中戦に向けた練習をしていると、伝説のイナズマイレブンという存在についての話を聞く流れになった。

 

話を聞いてから俺達が今代のイナズマイレブンへ、と盛り上がっている、その気持ちも分からなくはない。

俺だってその話を聞いてからやる気が湧いてくるしな。

にしても……あの先生、相変わらず俺達に見付からない様に見てるな、いつも何してんだ?

 

 

 

練習再開だが、例の話を聞いて浮き足立ってるコイツらは新必殺技を求めて色々試してる訳だ。それが実を結びそうにはまるで見えねぇけど。

 

これじゃ時間を無駄に浪費するだけだ。

 

「野生中との試合までに、新必殺技出来るのかしら…」

 

「必殺技を完成させようにも、その練習方法が分からねぇって所か、今のままじゃ無理だな」

 

俺と木野が現状に溜息をついていると

 

「……そう言えば、天願さんって沢山の技を持ってますよね、まだ見せてない技もあるらしいですけど、もしかして、その中に空中で使えるのって…?」

 

音無がそんな事を聞いてきた

 

「あるよ」「「あるの(んですか)!?」」

 

「でなけりゃ俺も今頃アイツら同様、意味があるのか分からん練習やってたろうよ」

 

「1人でまた基礎練やってるな~って思ってたけど、それって…」

 

自主的にやってるのは確かだが、俺も必殺技の練習したいんだよな。

俺は部活の練習時間の時は円堂の指示の下、基礎練しかやってないからな。

プライベートでは必殺技の練習をしてはいるが、それでも時間はかなり減ってるし…そろそろ許可貰えないかな?

 

「帝国の時と同じだ。幾らそんな技持ってても、使ってバテるなんざ話にならん。

だから極力技を頼らずボールを奪える様に、今こうやって練習してる訳だ」

 

アイツらが必殺技を覚えてくれた方が良いんだが、何か切欠でも見付からないものか…。

 

 

 

何と、円堂達に雷々軒の店主が必殺技の秘伝書があると教えてくれたらしい。

何で拉麺屋の店主がんな事知ってるのか聞いて欲しかった。

そして、その必殺技は理事長室の金庫にある、と…

 

「此れから、理事長に忍び込「待てコラ、見付かったらどうすんだよ、バレたらそれこそ廃部モンだアホ」

 

「だからバレない様にこっそりやるんだろ?」

 

「そのこっそりの方が問題なんだよ…!」

 

「天願は必殺技が修得出来なくても良いのか!」

 

「そういう訳じゃねぇ、物事には順序って奴が…オイ、待ちやがれ!」

 

「…行ったな……お前も行くのか?」

 

良かった、豪炎寺まで行ったらどうしようかと思ってた。

 

「風丸あたりなら分かってくれそうな気がしたんだがな。

 

生徒が学校の金庫を無断で開けよう、なんざ洒落で済むもんじゃねぇから、手遅れになるかもしれんが手を回しておくに越した事はねぇだろ」

 

 

 

 

 

あの馬鹿どもマジでやりやがった…しかもあんなに音立ててバレないとでも本気で思ってんのか…?

 

「スマン生徒会長、一足遅かったみてぇだ…。」

 

「全く伝えずにやられるよりマシ、と言った所ね。

それに、いつか来るだろうとは思っていたわ。

にしても貴方、前回の試合や普段の行動とは違って意外と常識的なのね」

 

 

 

そうして見つかったノートなんだが、字が汚すぎて読めない、よくこんなものを残しておいたな…。

字に関しては円堂の持つ特訓ノートも同じ様なもんだし大丈夫だろ、と思っていたのだが…。

 

解読結果、擬音語が多過ぎて全然伝わらねぇ…。

 

皆が沈んでいる中、ふと、円堂が何かに気付いた様に…あの顔、まさか…!?

「なぁ、天願。お前の必殺技ノート、見せてくれないか?」

 

「え、必殺技ノート?天願、お前そんなもの持ってたのか?」

 

「確かにあれだけの数の技があるんだ、あっても不自然じゃない」

 

や、ヤバい…

 

「今までなんやかんやで見せて貰えなかったけどさ、野生中に勝つ為だ、頼む!」

 

ど、どうする?俺の黒歴史をここで盛大に露見させる…?

は、恥ずか死ぬ…だけど、ここで見せなかったらコイツらに何て言われるか…

 

「俺達もあんな技使ってみたいっす!」

 

「どうか、お願いします!」

 

腹を…括るか…

 

 

 

 

「凄い…ここに書いてる技、全部お前が考えたのか!?」

 

「技の内容だけじゃない、修得の為の練習まで…」

 

「この僕をもってしても、このネーミングセンスには脱帽せざるを得ない…!」

 

「でも、この技の前の呪文?みたいなのは何なんですか?」

 

「意味は分からないけど、カッコいいでやんす!」

 

…死にたい。殺せぇ!いっそ殺せよぉ!

 

「だが、この技の数々には問題があるんじゃないか?」

 

最初に気付いたのは、やはり豪炎寺か。

 

「お前の試合を見て明確に分かる異常とも言える消耗量は勿論、この技を使う者に求める身体能力か」

 

 

「正解だ。ここに書いてある技の多くは使用者がかなり動ける事を想定している。

自画自賛みたいで嫌なんだが、最低でも俺か豪炎寺と同様の動きが出来ないと厳しい。」

 

「技を使う為に、人間辞めなきゃいけないのか…」

 

「待て、天願は兎も角、俺は人間を辞めてない」

 

Oh……お前ら俺をそんな風に考えてたのね…。

 

「この2つの問題をどうにかする方法はあるんだが、それはどうしても間に合わないからな。

……なぁ円堂、そろそろアレを使おうと思う」

 

「アレって……漸く使う目処が立ったのか!?

でも、まだ必殺技だけでも消耗が激しいじゃないか」

 

「必殺技の消耗を減らす方法も分かってな」

 

俺は必殺技を修得してすぐ次の必殺技へ、を繰り返していく、まるでコレクター紛いの事をしていたから、一つの技を修練させていなかった。

最近になって、同じ必殺技を繰り出していると段々消耗の改善、威力が上昇する事に気付けたのだ。

 

それがアレにも共通するなら…!

 

「待てよお前達、さっきからアレって一体何の話をしているんだ」

 

 

「そうか、皆はまだ知らなかったな。

天願が使える、必殺技よりもっと強力な力、『化身』だ!」

 

 

~回想~

 

あれは雷門中に入学して直ぐの事だった。

沢山の部活動に勧誘されるのを交わしていると、円堂がサッカーが無い、なんて事を叫びながらやって来たのだ。

 

無いなら創ろうという事で許可を取って、部室として貰った部屋を掃除していると「サッカー部など出来ない」なんて言ってくるコスプレ集団が現れた。

 

円堂と何やら言い争っていると、突然サッカーコートに転移 「おい、サッカーしろよ」との事らしい。

「このコートは拾ったのか?」と聞くとアホを見る目を向けられた、円堂からも。

 

そこへ駆け寄って来る松風 天馬という少年、俺達と対峙するアイツらはサッカーを消そうとしているらしい。

 

超速理解を発揮する円堂に対し、全くついていけてない俺は、天馬君に色々聞いてみる事にした。

 

「なぁ、アイツら俺の事『オリジン』って呼んでたけど何それ?

君も最初に『化身王』の天願選手とか言ってたよな、化身って何なんだ?」

 

「化身とはプレーヤーの気が具現化したものです」

 

 

………………え?

 

化身の説明それで終わり?今ので理解しなきゃいけねぇの!?

 

「天願さんは世界で初めて化身の具現に成功したプレーヤーで、初めての化身使いでありながら、化身の進化、融合、アームド、と完璧に使いこなした上、数多の化身を使い分けている事からそう呼ばれているんです!

 

ただ『オリジン』は今日初めて聞きましたね……フェイは何か知ってる?」

 

「僕も初めて聞いたなぁ。

でも天願さんが初めての化身使いだから原点って事じゃないかな?」

 

サッカーに関する円堂みたいに話している内にどんどんテンションが上がっていくから、天馬君もフェイ君も本当にサッカーが大好きなんだって事が伝わって来る。

 

にしても、融合って俺以外にも使える様になる奴が出てくるのか?

そんな考えが表情に浮かんでいたのだろう。

 

「天願さんが使う化身が、何故か他の人も使える様になる事があるんです。

それ以外にも、世界中に散らばった天願さんの奥義書を読んだ人が化身を使える様に「はぁ!?それどういう事だよ!」

 

「え、えっと、天願さんの持っていた必殺技が書かれたノートが紛失して、その後何故か、世界各地で発見される様になったんです。

貴重な資料として世界中に公開されてるんですよ?」

 

悲報、俺の黒歴史ノートが世界中に流出してる件

 

それ、サッカーやってたから見付けた奴が棄てず、世界中に閲覧されてるんだよな…。

サッカーなんて滅びてしまえ……敵と同じ思考に陥っていたら…円堂からなんか人型の何かが出た、何だアレ?

 

「因みに化身ってアレの事?」

 

「え?そうです!あれが化身……って、えええぇぇ!?

何で円堂さんが化身を!?」

 

みたいな事があった。途中で俺も化身を出したが、俺に関しては化身を使うのが早まったらしい。円堂は化身はおろかゴッドハンドも未完成の状態になるかもと言われ、事実その通りになった。

 

 

~回想終了~

 

「強力な分、消耗もまた酷いから使わなかったんだが、何とかやれそうだ。試合までの間、俺はそっちに専念しても良いか?」

 

「分かった。お前の力、頼りにしてるぞ」

 

円堂の承諾も得た、対空戦に長けた相手だ。『空の王者』と呼ばれた奴の力、それをどこまで物に出来るか、だな。

 

 

 

余談だが

 

この日から、音無には「沢山の種類の技があるなら、しっかり使い分けられる様に相手の事を知っておきましょう!」

とこれから戦う可能性のあるチームの勉強を、

 

豪炎寺と染岡からもっと強いシュートを撃つには、というシュート談義を

 

風丸や後輩たちに必殺技を使える様になる為には、と質問責めにされて…

 

ただでさえ円堂と木野の奴があるってのに…最早円堂よりもサッカー漬けの生活を送ってないか俺…。




主人公の必殺技ノート

前世の数多くの必殺技が記載され、一部の技はサッカーで使える様にアレンジ、修得する為の練習内容の考案まで書いてある。

ここまでなら、必殺技を考えたノートと言い張れば良いが、主人公が見せたくないのは、一部の技につく"詠唱"(&必殺技を使うキャラの有名な台詞)にある。
例「BLEACH」の鬼道とか藍染のアレとか。

詠唱無しでも技は出せるが、詠唱をする事での技のイメージをより強まる為、威力の上昇、消耗を抑える事が可能。
「トリコ」やゴルフのプリショット・ルーティーンで調べると早いかもです。

悲しい事に、他の誰かに詠唱有りの技を覚えさせても、詠唱の有無で変化は起こらないから、主人公以外は基本詠唱なんてしない。

天馬の居た未来において、このノートはエイリア学園編で下っ端に盗難され、紛失してしまう。
主人公はどうせ誰かの書いた妄想日記として棄てられると考え、拾得した者の好きにして良いと公言。
その後、経緯等は一切不明だが何故か世界中にバラバラになって拡散、それを読んで化身、 偉人とのミキシマックスを修得したプレーヤーが世界編で立ち塞がる。

主人公が世界的に有名なプレーヤーとなってから、サッカーの奥義書としてとある資料館が収集・保存し全世界に公開している。
主人公は何とか取り戻したいが、中学の頃とはいえ前言を撤回するのは嫌なので渋々放置している。

因みに、未来の主人公について調べると、『厨二王』~世界中の純粋な子供達に厨二病を拗らせさせた大戦犯~という情報も出てくる。

これのせいで天馬の世代では、化身使いが増加するが、それらは主人公のデッドコピーである為、自分の力で発現させた者には劣る。

ここで天馬と遭遇した事により、このノートを紛失する事が無くなる、という何気に規模の大きい歴史改変が起こっている。


没案

イギリス代表のエドガーがプロトアーサーとミキシマックス
拘束条件の内容に少し変更を加え、完全解放カリバーを使用

イタリア代表のフィディオが化身【極神聖帝 オーディン】を発現
シュート技『ヘヴンズ・ジャッジメント』
ブロック技『インフルエンス・オブ・ルーン』を使用

みたいな感じで出す予定だった。

何でミキシマックス出来んの?とか考えてはいけない。

どうせ没案だし、といういつものはっちゃけです。


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第14話 野生戦

やっと化身出せた!

いつ出すか本当に悩んだよ…

書き終わって気付く、文字の少なさ…


~試合当日~

 

学校で見掛けた時、やけに怪我が目立つ様な気がしたが気のせいなんかじゃ無かったか。

 

「よう豪炎寺。大分無理な練習してたみたいだな、傷だらけじゃねぇか。」

 

「天願か?そっちは上手くいって…人の事言えるのか?」

 

かく言う俺も、ここまで無茶やらかしたのは何時ぶりだろうな。

 

「なに、身体は無駄に頑丈でな。多少無茶した位で勝てるなら幾らでもするさ。

イナズマ落としはどうだ、やれそうか?」

 

「いや、悪いが未だ出来てない」

 

未だ、ね。その心意気があるなら、この試合中にでも完成させるだろう、コイツらなら不思議とそう思える。

 

「それで、お前の方はどうなんだ」

 

「化身の具現には成功した。だが、使い所を誤ればそれで終いだ。

もう少し早く発現出来る様になれば、消耗を抑えれたかも知れんがな…」

 

化身の具現化に成功したのが昨日の昼過ぎだ。そこから何度練習しようにも流石に時間が足りなかった。

 

過度な特訓で今日の試合に疲労や怪我を残したまま戦うなんざ、本末転倒もいいところだからな。

 

 

 

長い時間移動して、野生中に到着したのは良いが…

 

「なぁ、俺達はサッカーしに来たんだよな?」

 

何だ此処は、未開の地に開拓に来たって言ってもまだ現実味があるレベルだ、本当に日本なのか?

 

生徒もかなり野生化してるぞ、ここ卒業してからやってけんのかよ……あれ?選手だけなのか、観客は至って普通に見える。

 

サッカーがアイツらを野生に返してしまったのだろうか…。

 

試合が始まる様だが、何だろう、奴等の姿や言動でどうにもやる気が…試合開始の笛が遠く聞こえる…。

 

 

 

 

 

 

 

試合開始から僅かな時間だったが、それでも分かる程奴等は強かった。

 

音無から見せて貰った過去の試合データから実際に強いのは分かっていたつもりだったが、これは想像以上だ。

 

豪炎寺が撃とうとしたファイア トルネードの高さに届いたのは予想通りだったが、映像と実際に見るのとではまるで違う。

 

何より驚いたのは攻撃の連繋だ。一発は大した威力の無いシュートだが、それを畳み掛ける様に繰り出して来る。

何とか防いだ円堂だが、あれは相当危うかった。

 

考えを巡らせ、注意が散漫になっていたからだろう、"それ"に気付くのが遅れた。

 

「染岡、避けろっ!」

 

何だあの肉弾戦車!?

 

「大丈夫か、染岡!?」

 

「足首を捻ったみてぇだ。

プレーは出来るが、もうドラゴン クラッシュは撃てねぇな」

 

「悪ぃな、もう少し早く気付けたら…。」

 

「お前が声を掛けてくれたから気付けたんだ、もしあのままやってたらどうなってたか。

俺の事より、代わりは誰を出すんだ。」

 

今控えにいるのは、目金、栗松、土門か。

 

「土門、お前確か野生中とは戦った事があるって言ってたよな、DF頼めるか」

 

「りょーかい、俺がDFって事は…」

 

「壁山がFWで行く、そうなるよな円堂」

 

「ああ、この試合はもうイナズマ落としの完成に懸かってる」

 

「あれ?天願の化身って奴はどーなってんの?」

 

すかさず土門が聞いてくる。1人ずっと別で練習やってたんだ。その疑問は当然のものだろう。

 

「悪いが、それは一発きりだと考えておいてくれ、恥ずかしい話だがそう何発もってのは厳しい」

 

交代とポジション変更が終わり、試合が再開する。

 

ファウルだと思っていたが、審判的にはセーフだったらしい。

 

野生中のスローインで始まる…土門が即行必殺技で奪いに行ったがキラースライド?最近何かで見た様な…。

 

考えてる暇は無ぇな、イナズマ落としの為か、かなり高めのパスが出た。

 

それに合わせて二人が飛び上がるが…

 

途中で下を見たのだろう、壁山が急に体勢を崩してしまい失敗に終わる。

 

得点源である染岡の負傷、そしてイナズマ落としの失敗、これ以上士気を下げさせる訳にはいかねぇからな。

 

…少し早い気もするが出すならここしかない、か。

 

「何を狙ったのか知らないが、空中なら負けないッケ!」

 

「へぇ、その言葉、此処()の王者を前にしても尚言い張れるか?」

 

壁山と豪炎寺の影に隠れて跳躍した甲斐があった、敵と向かい合った状態で力を解放…!

 

「コケッ!?」 「天願!?」

 

このチームの猛攻は脅威だ、今の内にインパクトのあるコイツで、プレッシャーを与えておく!

 

「来い、化身!」

 

赤い鱗と甲殻に身を包んだ、炎の竜が俺の背後に飛翔する。

 

「【火竜 リオレウス】!」

 

「こ、これはまさか…ドラゴン!?」

 

「あの時の化身と違う…?」

 

【リオレウス】が羽ばたき、天に向かうと連動して俺も上昇、鶏井を超えてなお上へ…

 

「喰らえ…」

 

そして遥か上空からボールを全力で蹴り落とす!

 

更に化身である【リオレウス】の火炎ブレスと俺のシュートが融合し、巨大な火球となってゴールへ飛んで行く。

 

「『ラグナブラスト』!」

 

少し距離はあったものの、反応の遅れたKPでは止められず豪快にネットへ突き刺さった。

 

呆然としていた鶏井だがそれも束の間、俺に向かって

 

「…まさかあんな隠し玉があるとは思わなかったッケ。

それでも次こそは俺が空を制するッケ」

 

アレを見ても勝ちに行くと宣言する、か。

最初こそふざけている連中かと思ったが、その闘志は本物らしい。

 

「空を統べる王はアイツ(【リオレウス】)だけ、次に勝つのも俺だ」

 

そう言葉を交わして自陣に戻る。

 

点を決めたのは良いが、確実にマークされるよな…。

 

それにさっきのアイツ、威圧を掛けておいたが化身はもう出せないし、純粋な技量での真っ向勝負となると…俺が上を取れて漸く5分って所か。

 

イナズマ落としを完成させて欲しいが、壁山の精神は限界っぽいし、このままじゃジリ貧、詰むのは時間の問題だな…

 

 

 

前半ではこれ以上点の動きは無かったが、どちらが優勢なのかは素人目にも分かる程、野生中が圧倒していた。

 

俺と豪炎寺にボールが渡っても、得意の瞬発力と機動力で即座に厳重なマークがつき、攻めあぐねていた。

 

野生中はその動きを生かしてDF陣を翻弄、複数人で息もつかせぬ怒濤の攻めにより、円堂を着実に消耗させていた。

 

「円堂、手は大丈夫か?一応GK練習は欠かしてない、いつでも代われるぞ。」

 

「大丈夫だ、まだやれる。

それに天願は野生中にとって無視出来ない存在だ、俺と代わった所で攻撃が激しさを増すだけになる、同じ理由でDFに下がるのもダメだ!」

 

それは薄々気付いているが、そうでもしないと先に円堂の限界が来るしな…。

 

「分かった…。だが、俺が限界だと判断したら無理矢理にでもDFに下がるし、最悪GKを交代する。

まだ一回戦なんだ、敗けられないのは当然だが、かといってここで無理して後に響かせる訳にもいかない。

分かるよな?」

 

「ああ、分かった…。」

 

円堂は渋々ながら、そう返した。

 

まるで真綿で首を絞められているかの様にゆっくりと、しかし着実に俺達は追い詰められていた。

 

 

 

円堂の激励でも壁山が立ち直れないまま、後半が始まってしまう。

 

豪炎寺は仕方なく1人でイナズマ落としに挑むが、あっさりと鶏井にボールを奪われ、反撃を受けてしまう。

 

そこには、前半終盤で見た光景が広がっていた。

唯一違うのは、円堂に触発された仲間達がゾーンプレスをかけ、堅実に守れている事だが、前半で野生中の動きに対抗する為に随分と動き回ったのだ、スタミナ切れまでもう間もないだろう。

 

俺もとっくにフォローへ回っているが、1人、また1人と限界に達した事で出来た穴を塞ぐには至らない。

 

だからって諦めてたまるかよ…!

 

「『ゴッドハンド』!」

 

円堂、お前まだ技を使える力が残っていたのか。

 

「壁山!豪炎寺!」

 

二人の名を呼び、長距離のパスを出す、それを受け取った時の壁山の瞳は恐怖こそ健在だが、それを塗り潰す程の強い熱意に満ちていた。

 

…あれなら大丈夫そうだな。

 

壁山は下を見る行為を仰向けの姿勢になる事で封じ込め、豪炎寺は肩や腕に比べると十分に安定する腹部を足場に出来た為、より強力なキックを繰り出す。

 

土壇場で完成した『イナズマ落とし』がゴールに突き刺さると同時に試合終了のホイッスルが鳴り響き、2対0で俺達は初戦に勝利した。

 

 

 

 

 

 

試合が終わって俺は豪炎寺にどうしても聞きたい事があった。

 

「…なあ、豪炎寺」

 

「どうした、急に呼び出して」

 

「土門の使ったあの技、確か帝国の技だったよな?」

 

最近見たと思ったあの技、あれは音無と他校の情報の勉強で試合映像を見ていた際、帝国の守備陣が使っていた物だった。

 

「!…気付いたのか」

 

「時期外れの転入、そして帝国の技。思い過ごしならそれに越した事はねぇが…気を付けておいた方が良い」

 

「そうだな…取り敢えず今は様子を見ておくか…」

 

折角勝てたってのに、後味の悪い事が分かってしまうか…




化身
【火竜 リオレウス】
引用「MONSTER HUNTER」
空の王者と呼ばれ、非常に優れた空戦能力を発揮する竜

化身アームドが可能。
アームド状態はリオレウスの防具一式

化身進化で【蒼火竜】【銀火竜】に変化出来る。
【黒炎王】は合体技限定

必殺技
『ラグナブラスト』
リオレウスと共に遥か上空へ飛翔、蹴り落としたボールにリオレウスがブレスをぶつけて融合、巨大な火球となり、ゴールは降り注ぐ。

技の名前はガンランスの「リオ=ラグナブラスト」から。

技の名前がブレス、とかだと味気ないと思い武器から取る事を決定。
ブレスという事でガンナー系から取ろうとしたが、どれも微妙だった所に見付かった。

因みに2体目の化身で、

主人公が初めて出した化身は
青い瞳を持つ、社長(sea horse)の嫁


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第15話 コピー

今回、アンチ・ヘイト要素があります

……でもアレって誰でも怒るよね?どうなのかな。


いつもの河川敷で練習をしていると、ふいに何人かが足を止め出した。

 

橋の上の人だかりが気になっているらしく、自分達にファンが出来たんじゃ?と、浮かれている。

 

ファン……か、あれ?橋の上の奴等の様子を見ると、確かに此方に手を振っている者も確認出来るが…。あー、成る程ねぇ?これはちと不味いか。

 

急いで練習を取り止める様に進言しようとしたその時、突然黒塗りの高級車がサッカーコートに侵入してきた。

 

この車は確か生徒会長の乗ってる奴だったか?今の結構本気で危なかったんですけど…!?

 

降りて来るなり

「必殺技の練習を禁止します。」

と言ってくる訳だが、流石に説明が足りなさ過ぎるな。

 

当然、事情の分かっていない円堂が食って掛かるので、それを豪炎寺に押し留めて貰い、代わって話をする。

 

「その件については全面的に同意するが、他に練習出来る場所があるのか?

学校のグラウンドが恒常的に使えるなら問題は無いが、あそこの使用予定日はまだ先だ。

だが、それまで練習しないって訳にもいかねぇ。此処以外で使える場所が無ぇんだ。」

 

ウチの学校は生徒が多く、それに伴って部活も多い。

他の部活とローテーションを組んでいる以上、強引に使う訳にもいかない。

 

「それは……そうですが。かといって此処で行う訳にもいかないでしょう?」

 

「待てよ!天願、一体何の話をしてるんだ?その話し方、まるでお前も必殺技の練習を取り止めるのに賛成してるみたいじゃないか!」

 

「みたい、じゃない。円堂、ここじゃ必殺技の練習は出来ないんだ。」

 

「豪炎寺まで…急にどうしたんだよ!?」

 

しまった…先に円堂に説明した方が良かったか。

 

「よく聞け円堂。それに皆、あの橋の上にいる奴等は俺達のファンじゃねぇ。寧ろその逆、敵だ」

 

「あそこに居るのは他の中学の偵察隊で、俺達の練習を見てそのデータを取りに来てるんだ」

 

「無名のチームが帝国学園に勝ち、そのまま連勝を続けているのよ?当然起こりうる事だわ」

 

「こんな状況で必殺技の練習なんざやってみろ、初めて使った筈の技なのに、全て通用しなくなっちまう」

 

「けど!必殺技無しでどうやって」

 

「円堂、必殺技だけがサッカーじゃない、パス回しにトラップ、シュート、やる事は山程ある」

 

そ、そうですね……ホント盛り沢山だよ…。

 

後、豪炎寺?

 

円堂に語り掛けてるのに、練習内容の所で俺をチラ見して来るのやめてね、円堂も豪炎寺に釣られて俺を見て納得するなよ……自覚してんだからさ…。

 

だが、諦めきれなかったらしい円堂が誰にも見付からない練習場なんて物を生徒会長に聞いてる。

 

普通に考えて、そんな都合の良すぎる場所なんて在る筈が無いんだが……アイツが聞くって事は見付かる気がするから困る…あるなら助かるけど。

 

 

 

日に日に偵察の数は増えていく。必殺技の練習が出来なくて皆不満が溜まってるな……かく言う俺も、そろそろ色んな化身の具現や、今ある必殺技の熟練を進めたい。

 

「必殺技だけがサッカーじゃないさ、肩の力抜いて、きっちり基本練習だ!」

 

今日もまた、偵察隊が居るから基本練習だけだ。

 

「おい、何か変なのが来たぞ!」

 

土門の声に反応して河川敷沿いの道を見上げると、大型の車両が複数停車、様々な機材が展開していき、同時に二人の人間が出て来る。

んー?あれは……

 

「なぁ音無、あの車両から出て来た二人に見覚えがあるよーな」

 

「もう、忘れたんですか?次の対戦相手の御影専農のメンバーです」

 

先日教えたばかりじゃないですか!と不満げな表情を浮かべる音無に謝罪し

 

「ああ、思い出した。KP兼キャプテンの杉森と、FWの下鶴だったか。

にしても随分派手な設備だな、あれ幾ら掛かってんだ?」

 

明らかにサッカーに使うには採算の取れないと思うが。

 

 

 

 

 

気にしていても仕方がない、無視して練習を続けているとアイツら、何の断りもなくコートに立ち入って来やがった。

 

円堂が思わず抗議に行くが

 

「何故必殺技の練習を隠す」

 

駄目だありゃ、日本語が通じてねぇ…

 

「今更隠しても無駄だ、既に我々は君たち全員の能力を解析している」

 

あ、良くあるデータキャラかな?

 

「だが1つ、不確定要素がある。天願 想叶、お前だ」

 

「俺1人の為に態々足を運んだのか?随分と暇な事で。

それは、練習中に無断で入り込み邪魔をする程の用件か?」

 

「お前の持つ全ての必殺技、そしてあの化身という謎の力のデータを取りに来た」

 

「手の内を明かせと…馬鹿かお前は?それで俺に何のメリットがある?

まさか、交渉すら知らん訳じゃねぇだろ」

 

「交渉?お前の方こそ何を言っている、これは害虫駆除作業の一環に過ぎない。」

 

害虫か……中々酷い事を言う。

 

これといって悪意を感じる訳でもねぇ、挑発してる様でもないし、本気でそう考えてるのか……

 

「初対面の人に対して、害虫だと?随分常識がなってねぇんだな。

データしか頭に入ってないせいで、一般常識が抜け落ちてるらしい。

お前らの言う害虫ですら出来る事が出来てない訳なんだが、自分で害虫以下の存在って示してる辺り、どう考えてるんだ?」

 

「我々がお前達に劣るだと?理解出来ない」

 

試しにキツめの挑発を掛けてみたが…感情に一切の揺らぎが感じられねぇ、どういう事だ?

 

それにさっきから考えてるが、コイツらの特徴が良く判らん。

 

かなりメタいが尾刈斗がオカルト、野生(のせ)野生(やせい)と名前から判り易かったが、御影専農はどう繋がる?

 

「…まあいい、それよりもお互いに有益な話をしようぜ。

一つ勝負をしねぇか?それでアンタらが勝ったら、害虫ってのを撤回、謝罪してもらう」

 

「断る、我々はその必要を認めない」

 

「せっかちが過ぎるな、話は最後まで聞くもんだ。

お前らの目的は未だ見ぬ俺の必殺技にあるんだろ?

この勝負を受けるんなら、それを見せてやっても良いって言ってんだよ。

但し、これを受けねぇんなら、俺は意地でも必殺技も化身も見せねぇぞ」

 

「成る程、それは確かに此方に利がある。

その勝負、受けよう」

 

「ルールは、<ボールをゴールに入れる>その一つだけ、延長は無し、良いか?

先攻はそっちな。負けるなよ、円堂」

 

「ああ、任せろ!」

 

「了承した、では始め。」

 

さて、どんなシュートを出して…っ!あれは…

 

下鶴の繰り出したシュートは、豪炎寺のファイアトルネードそのものだった。完成度たっけぇな、オイ。

 

「いや、驚いた。まさかあのシュートをコピーしてくるとはな、言うだけの事はある」

 

そう言って拍手をする俺に、皆が信じられないものを見る目を向けてくる。

 

「天願……?お前、何を」

 

「落ち着けよ円堂、それと動揺し過ぎだ。

あんなヘボいシュートを止められないなんてらしくねぇぞ?」

 

「ヘボいシュートってあれは豪炎寺の必殺技なんだぞ…!」

 

直接受けたのだ、少し切欠さえあれば気付くだろう。

 

「あれが?あんなものがか?

確かにファイアトルネードだったな、見た目は。

1つ聞くが、本来の豪炎寺が使うファイアトルネードを熱血パンチで受けたらあんなもんで済むのか?」

 

「!?

そうだ、豪炎寺のだったら、あんなギリギリの敗けなんかにはならない…!」

 

技を受けた右手を見て、ハッとした表情になる。

 

「必殺技はな、使える様になるだけじゃ意味ねぇんだよ。

何度も繰り返して、無駄を削ぎ落として、そうやって強くしていくもんだ。

下鶴だったか、お前のそれはただの張りぼて、豪炎寺の技にはまるで及ばない」

 

偉そうに宣ってこそいるが、俺がそれに気付けたのは最近、他人に言える立場には無い。

 

発言がブーメラン過ぎて心が折れそう。

 

だが、あの光景を見た仲間達の弱気になった心象をそのままにさせておきたく無かった、そして何より

 

「豪炎寺、お前は誰かが真似して直ぐ上回れる程度にしか技を磨いてないのか?」

 

それに誰よりも早く気付ける筈の豪炎寺自身が、未だ動揺しているのに納得がいかない。

 

「そんな訳がないだろう、技の練度で負けているつもりはない…!」

 

胸を張ってそう言い切る姿にはもう、一切の揺らぎは無かった。

 

円堂と豪炎寺、雷門の精神的支柱である二人をぐらつかせたままにはしておけない、自身の心を抉りながらでも指摘すべきだった。

 

……これ絶対、後で何か言われるよなぁ。おま言うってレベルじゃねーもん。

 

 

 

 

 

次は俺の番だが馬鹿正直に戦ってやる程優しくはない。

 

というか、悪気があろうが無かろうが害虫発言には相当頭にきてるんだ、何がなんでも勝つ。

 

しかし他校の偵察組も来ている上、俺の番と分かった途端、向けられるカメラや視線が一気に増えた。

 

大技や化身を出せばそりゃあ勝てるが、此処でそんなの出して解析されるのも面倒だ。

 

後で皆に色々を言われるのは分かりきってるが、この為に"ルール"を指定し了承させたのだ、もうやってしまおう。

 

「じゃあ行くぞ」

 

あぁ、皆の勝ってくれ!とかの応援が心苦しい……。

 

「[自壊せよ ロンダニーニの黒犬 一読し・焼き払い・自ら喉を掻き切るがいい]

 

『縛道の九 撃』!」

 

「!?これは……!」 「「「……え?」」」

 

杉森の身体を赤い光が縛り動けなくなった、その隙にシュートを放つ。

 

KPが動けない以上、遮るものは何も無いため当然ゴール。

 

「……何の真似だ。」

 

今までのロボットの様な態度はどこやった?と言いたくなる様な表情で睨んでくる。

 

「何の真似?ルールに基づいて勝負をしただけだが。

言ったろ、<ボールをゴールに入れる>その一つだけって」

 

背中に突き刺さる視線は無視、後で嫌でも向き合う事になる。

 

「それに望み通り、必殺技を使ってやったんだ。感謝して欲しい位だよ」

 

それを聞いて、暫し無言だった杉森だが、

 

「いや、もう貴様のデータは必要ない、今の勝負で程度も知れた。

元より対策自体は出来ているのだ、これ以上は時間の無駄でしかない」

 

そう言って帰って行った。

 

……にしても最後の最後で、僅かだが感情の揺らぎが見えたが。

 

御影専農、みかげせんのう…洗脳?まさかな…。

 

 

 

 

 

現実からの逃避も此処が限界か、うーん、振り向きたくねぇなぁ………

 

ようやく振り向いた俺を待っていたのは、バリエーション豊かな罵詈雑言の嵐だった。

 

散々な扱い(自業自得)を受けた俺の両肩に手が置かれる。

 

そこには、恐ろしく綺麗な笑みを浮かべる円堂と豪炎寺が…

 

「あれだけ言うんだ、当然お前はしっかり技を磨いているんだよな?」

 

「必殺技と化身だけじゃ勝てない、なら何をするのか教えてくれないか?天願」

 

ヒェッ…

 

思わず周囲を見渡すが、誰も助け船を出してくれそうに…

 

あ、マネージャー3人組が満面の笑みで……「ギ ル テ ィ(有罪)

 

 

 

おいおいおい、死ぬわ俺。

 

 

 

この日から、俺のサッカー練習・勉強はより過酷さを増して行った。

 

サッカー>人生になるのも時間の問題かもしれない……。




主人公は芯こそ善性ですが、その思考回路はそんなに………

影山、不動の行為を見て、そうまでするか!?という感想を抱いても

それは、なんて卑劣な!とかでは無く、これ所詮サッカーだろ…?ていう呆れによるものです。

せいぜいこういう手段もあるのか、と感心する位です。






円堂をサッカー馬鹿とするなら、主人公は必殺技馬鹿です。


最近は鎮まっていましたが、化身の具現により再燃、一応、基本練習に重きを置いていますが、必殺技・化身の練習に傾倒しやすくなっています。

円堂、豪炎寺が基本練習の所で見てきたのはこれが原因です。




前世の件で観察眼が優れているのもありますが、一部必殺技の修得の為に、より人の感情(特に悪意)に機敏になっています。


具体的には目星、心理学、アイデア80台後半ですね。


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第16話 御影専農戦

主人公の特性である"必殺技の再現"はイナズマイレブンの技も対象内です、

その気になればファイアトルネード、ゴッドハンドを使う事が可能です。

しかし、練度が足りない事による威力や効果の低下が発生するので余り使う事はないです。

それらを実用(原作キャラと同じ)レベルに持っていくには、それこそ他の多くの技を捨て、一部に限定して磨き上げる必要があります。

ただ、使う事は出来る為、その技の練度・完成度を判断することが出来ます。

また、技への執心から発現した(拗らせた)審美眼の様なものがあり、前回豪炎寺よりも先にファイアトルネードの状態を理解したのはこれによるものです。

ヒロインが書きたい、でも安易にハートマークとか///みたいなの使うのは嫌いだからどんな描写すりゃ良いのか勉強中です。
一応、現時点で候補は2人居るんですがね。



投稿の遅さを何とかしたい……私以上の文字数の人でも更新ペースが凄いのに……。


「今まで御影専農中と戦ったチームによると、彼らは常に冷静で正確なサッカーをしています」

 

「そんで、あの杉森って奴がKPになってからは何処にも点を譲らずに勝ち進んでいる」

 

あの時、既出の技でもいいから何かしら撃っとけば良かったな、奴の使う技がどれ程の物か、映像だけじゃよく判らん。

 

「ここにある試合の映像全てを見るに、対戦相手の動きだけだけじゃない、癖まで見切っているのか。

俺達のデータを全て知っている、あの発言の信憑性は高い」

 

「今まで使った技全てが通用しないと見ていいだろうな」

 

事態の深刻さに皆表情が沈んでいく。

 

「それなら、新必殺技「それが出来ないから困ってるんじゃないか!」

 

円堂の呑気とも取れる発言に風丸が思わず、といった具合で噛み付く。

 

「河川敷や鉄塔広場で練習したら、あっという間に広まっちまう」

 

「天願は未だ必殺技を残してるけど、相手もそれを知っている以上、集中してマークされたらどうなるか……」

 

打開策が見付からないまま、時間だけが経過していく中、突然、木野が現れ

「皆、夏美さんが呼んでるわよ」と伝えてくる。

 

そうして夏美が全員を召集しているらしい場所へ向かうが、肝心の本人が居ない。

 

目金によると、ここは雷門七不思議の1つ「開かずの扉」と言うらしい。

 

誰も寄り付かない、ねぇ? もしかして此処が……。

 

そんな事を考えていると、扉は独りでにゆっくりと開き、中に居た夏美が

 

「皆揃っているわね、着いて来なさい」

 

そう言って階段を降りていくと……開けた空間に辿り着いた

 

ここは伝説の稲妻イレブンの特訓場、名をイナビカリ修練場というらしい。

 

皆の驚きの声が木霊する……今の反響具合、どんだけ広いんだよ?

 

何でも、校舎の設計にあった不自然な場所を調べて分かったそうで、改修までやってくれたらしい。

 

円堂の真っ直ぐな感謝に対し、見事なツンデレを発揮している……え、マジ?イナイレってヒロイン居たんだな、全然覚えてねぇよ。

 

此処なら、密度のある特訓が出来《バタンッ!》……はい?

 

呆けている暇なんて無かった。何の合図も無しに突如動き出した機材が…危なっ!おお……これは中々……!

 

他の所でも似た様な状況が起きているらしい、慌てる声、悲鳴が四方八方から聞こえて来た。

 

 

 

 

 

 

 

どれ程時間が経ったのだろう、機会の駆動音が鳴り止み、扉が開くと、呻き声を漏らしながら倒れている仲間達の姿があった。

 

それにしても何だよこの練習場は……!?

 

―――――最高じゃねーか!超面白いんですけど!

 

確かに当たったら痛いけど、当たらなければどうという事はないのだ、寧ろそのスリルが楽しさを引き上げている。

 

今までの俺がやってた、気ぃ抜いたら冗談抜きに死にかねない上、それが確実に必殺技へ漕ぎ着けるかも分からない阿保みたいな特訓と違って、必殺技の練習は勿論、基本の動作の向上だって出来るんだろ!?

 

スタミナなんざまだまだ有り余る程ある、ここまで滾ってきたのは初めて必殺技を出した時か、化身を具現した時以来だ。

 

さぁ…俺を満足させてくれよ!

 

俺の満足はこれからだ!

 

 

 

 

「おい、アイツ今まで見た事ない位の満面の笑みで突っ込んでったぞ…」

 

「天願とは結構な付き合いになるけど、あんな表情何時ぶりだっけ…?」

 

「ていうか、息一つ乱して無かったんだけど」

 

「頭おかしいでやんす……」

 

「こんな事やって、何になるってんだよ……あれやっぱ人間じゃねぇって……」

 

 

「イヤッッホォォォオオォオウ!!!」

 

 

 

 

 

 

気付いたら試合当日になっていた。

 

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!俺はイナビカリ修練場で特訓していたと思ったら、いつのまにか試合会場に立っていた。

 

な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何がどうなったのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

 

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

 

序でに言うなら、試合始まる寸前なんだけど。あ、笛鳴った。

 

開幕速攻を仕掛ける豪炎寺と染岡だが敵の対応が早い。いや、早いというのは正確じゃねぇな。

 

指示を出した様子が無いにも関わらず、背を向けている奴等まで反応、そんな事はあの二人がどう動くか最初から分かっていなければ出来ない動きだ。

 

染岡がシュートを放つが、敵DFが連なる様なフォーメーションを取り、少しずつだが確実に勢いを削いでいく。

 

杉森の手に渡った時には、最初の威力など全く残っていなかった。

 

敵の反撃が始まるが、此処は…

 

「豪炎寺、染岡、そのまま其処で待機!壁山は上がれ、俺が繋ぐ」

 

自分の能力がどれ程上がったか、あの日から仲間達に引き摺り出される今日迄、稲光修練場で寝泊まりしてたから分からん。

 

ボールを受け取った下鶴に向かって走るが…既に相当驚いた顔をしてらっしゃる、どしたん?

 

「なんだこのスピード…どうなっている!?」

 

そこまで驚くレベルで変わってんのか?

 

だが、そんな敵の様子を気にする必要は無い、アイツらに指示を出した以上、俺は俺の仕事をこなすだけだ。

 

「『ビームザンバー』」

 

脚先から伸びた蒼白の光刃を振り払ってボールを奪い、空中に放るようにパスを出す。

 

それを受け取った豪炎寺がシュートを撃つ、杉森は必殺技で止めこそしたが、受け止めるには至らずボールはまだ生きている。

 

直ぐ様染岡がボールを拾い即座に豪炎寺との合体技を出すが、得点にはならない。

 

だが、辛うじて止めたらしく態勢を大きく乱し、先程同様ボールを取り損ねている。

 

FWに合流した壁山と豪炎寺のイナズマ落としだが、さっきまでとは違う技に弾かれた。

 

得点をゆるしてはいないが、この一連の流れは敵からすると予想外の事態らしく狼狽を隠せていない。

 

「データにはこんな動きも、これ程の威力もインプットされていない……。」

 

「当たり前だ、データデータってお前ら一体何時の話をしてんだ、古い(おそい)んだよ」

 

三回も技の応酬があったんだ、それだけの時間があれば余裕でゴール前に辿り着ける。

奴の弾いたボールも敵より先に奪っている。

 

「!?イレギュラー(U N K N O W N)……天願想叶…!」

 

「悪ぃが、あの日からどれ程成長したかそろそろ知っておきたいんだ、加減なんざ出来ねぇぞ。

最初っからするつもりも無ぇがな!」

 

俺の背後に全身に純白の装甲を纏い、額に一本の角を持つ巨大な人型の機械が顕れる。

 

「化身、しかも今度はロボット!?」

 

「いきなり過ぎんだろ…後の事考えてんのか!?」

 

「やはりデータには無い技……だが、DFフォーメーションγ3!」

 

敵DF陣が染岡が最初にシュートした時と同じ陣形を取る。

 

「さっきの陣形か……だが、その動きも込みでコイツを出したんだ。

俺の声に応えろ!【RX-0 Unicorn】」

 

Unicornが背中にマウントしている一挺の銃を構え、引き金を引き、銃口の先にエネルギーの塊が出現したのを確認し、そこにボールをぶつける。

 

「『ビーム・マグナム』」

 

チャージが完了し、発射されたエネルギーの奔流が真っ直ぐに突き進む。

 

DFが威力を減衰させようと立ち塞がるが、シュートに纏わりつく様に迸るプラズマの如き紫電が近付く事さえさせない。

 

「馬鹿な!こうなれば『ロケットこぶ――――!?」

そして、それは技を出しきる事すら許さずに、杉森ごとゴールに押し込んだ。

 

……驚いた。

 

シュートの威力もそうだが、それ以上にこの身体の軽さ、今まで化身を使った直後は動くのも億劫になる様な倦怠感に襲われていたのが嘘みたいだ。

 

勿論、いつもの激しい消耗はしている。だが、それを上回る程にスタミナの総量、それだけじゃない、あらゆる身体能力が上昇しているのを感じる。

 

とはいえ、肝心のサッカーの技量がそんなに上がってないのはどういう事なの……?

 

うーむ、稲光修練場は筋トレの意味が強い施設なのかもしれん、実はまだ使ってない所があって……とかないかな?帰ったら探してみよう。

 

そういえば、豪炎寺や染岡のシュートが入らなかったのは身体の動きを探ってる段階だからかもしれないな、見てた感じでは自分の動きに戸惑ってる様にも見えたし。

 

「おい!いきなりあんなの撃って大丈夫なのかよ?」

 

染岡が声を掛けてきた、長考して動きが止まったのをスタミナ切れかと思われたのかも知れない。

 

「おう、問題ねぇよ。

イナビカリ修練場の成果を試したくてな、のっけから飛ばしたのは確かだが、まだまだやれるぜ?」

 

「ならもたもたしてねぇでさっさと戻れ!試合はまだ始まったばっかなんだぞ」

 

 

敵キックオフで始まる訳なんだが、何だ、急に動きが悪くなったぞ?

 

一部選手の目線を追うと、あっちの監督帰ってんだけど……?

 

コイツらもコイツらで「終わった」だの「我々は敗北する」ってしかも棒立ち!?メンタル弱えええ!

 

そんな絶好のチャンスを逃す訳もなく、一気に敵陣深くまで切り込んだ染岡がシュートを……お?

 

杉森が雄叫びをあげ技を出す、シュートポケットだけでは止めきれなかったみたいだが、それでも必死に食らい付いて見事、止めきってみせた。

 

そしてチーム全員へ激を飛ばすと、今までの淡々とした動きが嘘の様に、強い気迫をもってチーム一丸となって攻めこんで来る。

 

監督が居なくなってこれか、もしかしたら本当に洗脳的な事やってたのかも知れない―――っと考えてる暇は無ぇな、俺の苦手とする必殺技に頼らない、純粋な技術によるサッカーが始まっちまった。

 

泣き言言ってても始まらねぇ、アイツらの動きから勉強して自分のものにしていかねぇとな。

 

そこからは両チーム共に積極的に攻撃に移り、熾烈な得点争いが始まった。

 

敵の必殺技に対して円堂と豪炎寺の新たな技が炸裂、そのままカウンターで得点したり、敵の必殺技は囮で本命は弾いた所を押し込んで得点といった、そういう技の使い方もあるのか!と勉強させられたり、僅かな気の緩み、些細なミスが失点につながりかねない緊張感と、とても密度の濃い時間だった。

 

そんな中俺は、何故かアイツら全員が必ず俺を視界に入れる、余裕がある場合は態々確認に振り向く、常に二人くらいでマーク、といった動きをとっていたから、最初の一点を入れた後はあんまり何も出来てない…。

 

試合終了時に相手に聞いてみたら「眼がギラギラしてて、何時必殺技出すか気が気でなかった」とのこと……ポーカーフェイスの練習もやった方が良いのか…?

 

終盤で豪炎寺のファイアトルネードを下鶴が強引に止めた後、その下鶴から直後ボールを受け取ったKPの杉森自らのシュートを円堂がゴッドハンドで止めて試合終了した訳だが……あの時試合続行してたけど、あの高さから落ちて大丈夫なんだろうか…?

 

 

 

 

「ええ!?ドクターストップ!?」

 

「済まない、次の準決勝には出場出来ない」

 

「あの高さから落ちりゃあな…」

 

「いや、必殺技を止められた時の怪我だけだが…?」

 

まともなのは俺だけか……!?




『ビームザンバー』

引用「英雄伝説 零(碧)の軌跡」

使用者「ティオ・プラトー」

脚先から蒼白に輝く光刃を展開、ボールを奪う軌道で水平に斬り払う。

範囲は広いが、来る事が分かればボールと共に空中へ逃げるだけで対処可能。

化身
【RX-0 Unicorn】
引用「機動戦士ガンダムUC」
全身を純白の装甲で覆われ、額に一本のブレードアンテナを携えた機体。

「NT-D」を発動する事で消耗の激化を代償に、能力を一時的に大幅に向上させる。

但し、主人公はまだ未熟故「NT-D」の任意移行は出来ない。

※「NT-D」は本来の作品で使われた用語をそのまま用いているだけで、この世界にはNTなんて居ないし、主人公もNTではない。

一応、この化身の具現化時に、何らかの必殺技が出されている場合、それに反応して強制的に「NT-D」起動、という案はあるが、その場合"NT"部分をどう変化させるか決まってないので保留。

『ビーム マグナム』
ユニコーンが銃を構えている時、エネルギーを銃口先に充填している場所へボールを蹴り上げた後、発射する。

本命のエネルギーの奔流とは別に、周囲に迸る紫電が横合いからの介入を阻む。

KP技はどんな技でも問題はないが、横、斜め、上からといった、真正面からぶつかるブロック技以外に耐性を持つ。

Q.これ、技なんですか?

A.この辺は私の嗜好が反映されます。
引用作品において、これ皆使えるから必殺技ってレベルじゃねーよ、的な技でも必殺技扱いで取り上げたりします。


主人公は今まで必殺技の練習として、相当過酷なものを課していました。

それは前世で見たアニメ、漫画で強力な必殺技の修得に過酷、命懸けな修行が多く、そのイメージに引き摺られた事によるものです。


最近、クイズ番組とか見てると普段は解るのに、その時だけ出てこないアレが執筆中に発動して、必殺技が一部作品に偏ろうとしてしまう……。


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第17話 秋葉名戸戦

活動報告に技についての募集があります。

良ければ見て、アイデアを分けて下さい。


「地区予選準々決勝の尾刈斗中vs秋葉名戸学園戦、この試合に勝ったチームと準決勝に戦う事になるわ。

尾刈斗中だけど、猛特訓の上に相当戦力を強化した様よ。」

 

「アイツらが更に特訓を!?」

 

「ある選手が切っ掛けになって催眠や暗示を使わなくなったけど、それを補ってあまりある程に強くなっているそうよ。」

 

ある選手の件から、全員が俺の方へ顔を向ける。

は、話を変えなければ…!

 

「い、良い事じゃないか、搦め手を使わないなら、俺達が強くなる分だけ、勝利に近付けるんだから!

 

そ、それで、もう1つの秋葉名戸学園ってのはどんなチームなんだ?」

 

「学力優秀だけど、少々マニアックな生徒が集まった学校、FF出場校中、最弱の呼び声が高いチームで………な、何コレ!?」

 

急に顔をを赤らめてどうした?

 

「お、尾刈斗中との試合前もメイド喫茶に入り浸っていた…ですって!」

 

「め、メイド喫茶ですと!?」

 

てめぇは何処に反応してんだ。

 

「よくそんな連中が勝ち進んで来れたね?」

 

「こりゃあ、準決勝の相手は尾刈斗中で決まりでやんすね。」

 

「だけど今回は豪炎寺がいないんだ、前みたいには…。」

 

そんな時、音無の慌てた声が聞こえて

 

「尾刈斗中が…負けた!?」

 

尾刈斗ォ!何でそんなチームに負けた?俺にリベンジするんじゃねぇのかよぉ!?

 

「フッ…此処は行ってみるしかない様ですね、メイド喫茶に…!」

 

学校の方じゃねえのかよ、おい、円堂に言いくるめすんな……あーあ、乗せられちゃったよ…。

 

「そっか、なら情報収集頑張ってくれよ。」

 

前世でもメイド喫茶なんて行った事はねぇが、テレビで取り上げられたり、読む漫画の中で出て来たりと、どんな場所かは知ってるからな、行く必要がねぇ。

 

そんな事より新しい必殺技に取り組んだり、稲光修練場に篭ったりと、やる事には事欠かねぇんだ。

 

「何を言っているのですか天願君、君も一緒に行くのですよ!」

 

「知識だけだがメイド喫茶がどんな所かは知っててね、それに情報収集に全員ってのも無駄過ぎんだろ。

ただでさえ豪炎寺がいねぇんだ、点を取るための練習をやるに越した事はねぇよな?」

 

「し、しかしですね「なら、俺が行く代わりに稲光修練場で」分かりました!君は君の役目を果たす為頑張ってください!」

 

言いくるめ完了♪明日は休み、そして円堂達を連れてってくれるみたいだし、帰ってくるまでの間全部を必殺技練習に費やせる…先ずは稲光修練場からだな……!

 

 

 

 

 

稲光修練場に行く準備をしていると、染岡と風丸がやってきた、はて、コイツらは円堂達と一緒にメイド喫茶に行ったんじゃ?

 

「どうしたよお前ら、そろそろ出発の頃合いじゃねえのか?」

 

「少し気になる事があってね、皆には悪いけど抜け出して来たんだ。」

 

「気になる事…ね。で、何だ?俺の所へ来たって事は、俺に関する事なんだろ?」

 

表情が固ぇな…真面目な話っぽいが、なんかあったか?

 

「天願、野生中との試合前の事覚えてるか?あの時、お前の必殺技を俺達が修得する事は難しいって言ってたよな。」

 

「まあ、ね。稲光修練場とかで特訓を続けてたら、その課題もクリア出来そうだがな。」

 

コイツらの現状じゃもう少し体力の方が欲しいからな。

 

「俺達が聞きたいのは、その後の事だよ。お前、その課題をどうにか出来なくもないって言ってたよな?

 

あの時は時間が無いから無理って言ってたが、まだ試合までそこそこある、今なら出来るんじゃないのか?」

 

…へぇ?あの時は態と流す感じに言ったが覚えてたのか。

 

てことはコイツら、結構キテるな……。

 

染岡は野生中の試合以降で単独での得点が出来ていない、そこから豪炎寺には及ばない、という劣等感が

 

風丸は元陸上部から来る速さ、という最大の強みを帝国、野生中において上回られた事からくる無力感が

 

焦燥・ストレスとして表れ、それが新しい必殺技があれば…という考えに繋がっている、ってところか。

 

これがふと思い出して、とかなら気にしないんだが、他の用事を差し置いて、態々俺の家にまで来るってなると話は別だ。

 

「可能・不可能で言うなら、可能だ。「「本当か!?」」

 

……少し落ち着け。先ず修得する時間だが、これは恐らく何とかなると見ていい。

 

次に俺達の息を合わせる時間だが、これも大丈夫だろう。

 

問題は、あのノートに書いてあった技は全部一人用で作られている事だ、それを二人で合体技で繰り出せる様に構成を練り直す事だが、そもそもの話をするとあのノートに書いてある修得方法自体確実じゃないんだ、そこへ更に手を加えるとなると……完成出来るかは五分ってところか。

 

徒労に終わるかも知れんが、それでもやるか?」

 

「本来なら俺1人じゃ新しい必殺技を作れるかも分からねぇんだ。」

 

「お前とやる方がまだ可能性があるしな。だから…」

 

「「頼む!」」

 

「……分かった、なるべく早く考えを纏めておく、念のために稲光修練場には行っておいてくれ、どれだけ消耗を減らせるかは分からねぇからな。」

 

此処へ来た時よりかは幾分か軽くなった表情で学校へ走っていった。

 

他の奴の事を気に掛けてられる程、俺も余裕がある訳じゃねぇが、あれ以上思い詰められても困るしなぁ……しゃあないか。

 

風丸と染岡で1つずつ、2つの技を覚えられるし、そろそろ合体技も使える様になっておかないとな。

 

 

 

 

 

メイド喫茶組が帰って来たみたいだが、何だありゃ?大分気が抜けてるな。

 

話しを聞いて、そんな事だろうとは思ったが、同時に何故そんな奴等が此処まで勝って来れたか、というのが気になる。

 

音無に教えてもらった時、俺達と戦った後の尾刈斗中についても調べたが、あれは野生中や御影専農にも劣らないレベルで強くなっていた。

 

それをどうやって降したのか……注意こそしておいたが、皆話半分で聞いてるな、どうしたもんか……。

 

 

 

 

~試合当日~

 

マネージャーがメイド服着用ってどんな規則だよ……夏美は兎も角、木野と音無はノリノリだな。

 

「で、豪炎寺の代わりは誰にする?

 

やっぱり土も「ここは、切り札の出番でしょう。」

 

寝言は寝て言え。」

 

「酷くないですか!?」

 

すまん、つい。

 

「昨日の視察で彼らのサッカーは理解出来ました。

 

この試合、僕が勝利に導いてあげましょう!」

 

えぇ~?本当にござるかぁ~?

 

「良いんじゃないか、目金で。」

 

馬鹿な、まさかお前が賛同するとは、自棄になってる訳じゃないよな…もしかして…!

 

「豪炎寺……お前やっぱり頭を打ったんj「怒るぞ?」

 

―――すみませんでした!」

 

「天願、今日のコイツのやる気は本物だ、俺には分かる!」

 

「お前らが言うんなら、大丈夫か。頼んだぜ、目金。」

 

「何か釈然としませんが……大舟に乗ったつもりでいて下さい。」

 

「脱出用の小舟完備を最優先で良いな?」

 

「沈みませんよ!?」

 

あまり話さなかったけど、打てば響く楽しい奴だな。

 

「……新しい玩具を見る様な目で見ないで下さいね…?」

 

 

 

 

 

 

 

前半終了、展開が雑だって?俺もそう思う。

 

アイツら一向に攻めて来ないしボールを奪いに行っても、あの痛い言動のせいで集中力が…。

 

にしても流石にこれはどうなんだ……?

 

「音無、ちょっと良いか?」

 

「何のご用件でしょう?ご主人様。」

 

楽しんでるなぁ……。

 

「すまん、真面目な話で、アイツらの今までの戦績ってあるか?」

 

「ありますけど……どうかしたんですか?」

 

「いや何、気になる事があって……っ!成る程、ね。

 

助かった、ありがとな。」

 

「どう致しまして、またのお越しを~♪」

 

「お、おう。……そういやその服似合ってるぞ。」

 

適当に言葉を濁して来たが、アレにはどう返すのが正解だったんだろう……。

 

「お前ら、ちょっと良いか。」

 

「どうしたんだ天願、って何だソレ?」

 

「これまでの秋葉名戸の戦績だ、それで点の動きなんだが…」

 

「おいコレ、全部後半だけで一点って……!」

 

「序でに言うと、後半開始に一点取った後は全員で守備を固めてるらしいぜ?

 

今までの試合の動きはアイツらの思惑通りだった訳だ。」

 

「つまり……こっからが正念場な訳だ…!

 

皆、気を引き締めて行くぞ!」

 

 

後半開始、予想通り攻撃を仕掛けて来た。

 

って何だありゃあ!?ボールとスイカを入れ換えるとかありかよ!?

 

おい審判、仕事しろ!

 

ど根性バット……直立姿勢を保つアイツも、片手で人1人支えるアイツも凄いんだが、一点取られた!?

 

油断すんなとは言ってたが、俺も人の事言えねぇな…!

 

「皆、俺達の考えが正しいなら、アイツらは守備を固めるはずだ!

ガンガン攻めるぞ!」

 

円堂が全員に激を飛ばす……アイツ自身、来ると分かっていながら止められ無かった事の責任を感じてるのかもな。

 

此方のキックオフだが、普段から練習をしていないと言うのは本当らしいな、全員で守備を固めてこそいるが、技量自体は大したこと無いから、染岡はもうゴール手前まで切り込めている。

 

ん?何だアイツら……目眩ましか?だが、染岡のシュートはそんなもんでどうにか出来る様なモンじゃ……何だと?

 

砂煙がはれると、染岡の撃ったシュートが枠内にあるのが確認出来た。

 

GKが強くてボールを止められるんなら納得出来るが、それなら何故『五里霧中』で砂煙を起こす必要がある?

 

あっちのGKが疲れてるから、何らかの技を使ったのは分かるが……それはどんな技だ?

 

俺が考えている間に皆立て続けにシュートを撃ち込んでいくが、全て同じ結果に終わる。

 

このままじゃ無為に時間が過ぎるだけだし……仕方ない、あれをやるか。

 

「風丸、染岡!同時にアレをやるぞ!」

 

「アレって…新必殺技の事か!?」

 

「つってもお前、アレは別々の技だろ!同時にってどうやるんだよ!?」

 

「染岡はタイミングを見てシュートに来てくれ!

 

風丸はあの通りの動きでいい、いけるな!?」

 

「やるしか無いんだろ?任せろ!」

 

「そのタイミングってのは分かりやすいんだろうな?

 

良いぜ、やれ!」

 

風丸と俺が『五里霧中』を使っている奴等全員を円で囲む様に走り、その中央上空に染岡がボールを放る。

 

最初は何とも無かったが、俺と風丸が描く円の中に出来た空気の渦が次第に大きくなり、そして雷光を孕む巨大な竜巻へと変化する。

 

「「『サンダーシクリオン』!」」

 

この竜巻から発せられる風圧で砂煙は完全に散った、GKも暴風のせいか動けずにいる。

 

っておい!?ゴールの位置が変わってんぞ、あれは駄目だろ!?

 

審 判 仕 事 し ろ

 

笛が鳴らないなら続行だ。

 

この技は本来ならこの後二人でシュートしに行く技だが、今回は…

 

「今だ、来い染岡!」 「言われなくても!」

 

三人同時にシュートする……っ!?何だこれは…化身が勝手に!?

 

蝶の翅脈のような紋様が浮かぶ翼

 

鋏の様な二股の尾、頭部に存在する巨大な刃

 

これだけなら【電竜 ライゼクス】だがコイツは違う…!

 

【ライゼクス】はこんな青白い輝きを放つ事は無かったし、何より、感じられる力が比べ物にならない程だ…!

 

「色々予定は狂ったが、行くぞお前ら!」 「「応ッ!」」

 

【青電主 ライゼクス】

 

「「「『ライトニングブレード』!!!」」」

 

【青電主】が刃の様な鶏冠に莫大な電気エネルギーを収束させたそれを、巨大な大剣の如く降り下ろした。

 

自分のせいでゴールを遠くに飛ばした為GKには何も出来ず、突き進むシュートはゴールネットを揺らした。

 

得点したし新しい必殺技も出来たけど、あれ見ちまうと釈然としねぇよなぁ……。

 

そんな事を考えている俺とは違い

 

「お前が必殺技に拘る理由が分かる気がしたよ……あれは凄いな、病みつきになりそうだ。」

 

「別々の技を即興で組み合わせよう、なんて聞こえた時には正気を疑ったがな。」

 

コイツらがあの時よりは憑き物が落ちたというか、スッキリした表情をしているし、まあ良いか。

 

 

目金が抗議しに行って、オタクとはなんたるかを説いているが、あれはアイツに任せた方が良いかな?

 

そして、目金がなんか覚醒した。

 

説教しながら相手の意気を失墜させて単独でゴール前まで進んでいく、五里霧中の面子の動きも止め、後はGK1人、あ、GKまで落としやがった!

 

敵チームの全メンバーを意気消沈させ、ゴールまで決める……まさか単独で得点に漕ぎ着くとはなぁ。

 

それと同時に試合終了……審判、こういう時しか仕事しねぇのな……。

 

それとも、俺が知らないだけでこの世界には反則が存在しないのだろうか…?

 

試合が終わった絶望してるアイツらに目金が近寄って……

 

聞きたく無かった……此処まで勝ち進んで来た理由が海外の限定商品が欲しいからだなんて……。

 

尾刈斗中ェ……真面目に戦うより、あの催眠戦法使ってた方が勝率が高かっただなんて……超次元サッカーでは常識を投げ捨てないと勝てないのだろうか…?

 

「天願さん!俺にもカッコいい必殺技を伝授して下さい!」

 

「合体技なんてあったでやんすね!」

 

「俺にもあんなのが出来るっすか!」

 

後輩達が今回のを見たからか、興奮して語り掛けてくる。

 

やっぱりこうなるよなぁ……おい、元凶二人!そっぽ向いてねぇで何とかするの手伝いやが……あれ、皆離れてく?

 

「なぁ、天願?こないだ俺達がメイド喫茶に行った時、基本練習を疎かにしてた、って聞いたんだけど?」

 

バレテーラ……馬鹿な、何処で洩れた!?

 

「帰ったらサボった分しっかりやるからな!」

 

おい、服が伸びる!首の後ろを引っ張るんじゃねぇ!

 

風丸ぅ!染岡ぁ!お前達から何とか言ってやってくれぇ!

 

「引き摺られて行っちゃったな……。」

 

「アイツ、あんな意気揚々としててバレてないとでも思ってたのかよ……。」

 

 

 

俺の目下最大の問題は、ポーカーフェイスを何とかする事だと思った。




心理学持ちの主人公は一応仲間のメンタルを気にして動いてます。
仲間達がどっかで闇落ちしてた記憶が残ってるので、出来る限り何とかしようとはしてます。
(それで止めれるとは言ってない)



『サンダーシクリオン』

引用「英雄伝説 零(碧)の軌跡」

ボールを持った相手を風丸と二人で円を描く様に敵を囲み、円周の軌道を走り、雷を内包した巨大な竜巻を生成しボールを奪う。

その後、空中にあるボールの地点で交差しながらシュートを放つ。(クロスファイアを斜めにした動き)

ボールを奪うと共にシュートへ繋げる攻防一体の強力な技。

範囲もかなり広いが、竜巻が生成される前に範囲外へボールを出す事で回避出来る。

【青電主 ライゼクス】

引用「MONSTER HUNTER」

主人公の使う【電竜 ライゼクス】の進化形。
合体技等の特定条件下でのみ発現可能。

『ライトニングブレード』

主人公と風丸の『サンダーシクリオン』にオーバーヘッドキックで染岡が、鶏冠に雷電を迸らせた【青電主】が雷刃を、同時に3人(と化身)でボールをキック(斬る)する技。
(3人の動きはイナズマブレイクの逆さver)


今回、【青電主】が発現したのも、『ライトニングブレード』を使えたのは上手く噛み合った偶然によるもの。

【青電主】『ライトニングブレード』は態々この2つの必殺技を組み合わせなくとも出せる。



今回出せなかった染岡との合体技

『バオウ・ザケルガ』

引用「金色のガッシュベル!!」

使用者「ガッシュ・ベル」

主人公が後ろから『ザケルガ』、染岡が『ドラゴンクラッシュ』を撃つ。
(サンダービーストの動きで、染岡はドラゴンクラッシュのまま、ドラゴンがバオウに変化)



余談

当初の予定は『バオウ・ザケルガ』に別の必殺技を加えるため、上位技の『シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ』だったが、こんな早い段階で出すか……?と迷った結果、【青電主】になった。


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第18話 裏切りと新監督と

この辺の話って、頑張って主人公動かそうにも原作をしっかり覚えてるキャラでなければ、介入させようが無いんですよね……。

土門をこっそり着けるのも、バスの細工現場に居合わせるのも、予め知っておかないと不自然極まりない事になって……偶然で片付けるのもありかと思ったんですが……書くのが難しいです。

という訳で、色々動こうとしてたけど、全て後手に回ってしまい何も出来ず、物語に翻弄される主人公となってしまいました。






そして後半、奴は弾けた。


FF地区大会決勝に向けて日々の練習が激しくなっていく、ついでにスパイ疑惑のある土門の表情も悪くなってる。

 

何処かで訊こうとは思ってるんだが、あっちも俺が気付いてるのを察してるっぽいよなぁ……切り込もうとしたら上手く避けられて、何とかしたいのは山々だが……そんな矢先

 

「ば、バスをですか!?」

 

何だ?急に大きな声で。

 

夏美と冬海先生が何かを話しているな……バスの動作確認をして欲しいらしいが、そんな事で何故あれほど狼狽している?

 

バスに乗り込んでからは、それが更に激しくなっている…?

 

夏美に追い詰められた冬海は今までの態度が嘘の様に豹変し、自分の行った事を包み隠さず話してきた。

 

バスのブレーキオイルを抜いたぁ!?何の為だよ!?

 

「君達が決勝に出ると困る人がいるんですよ、その為に私はやった。」

 

他にもっと色々あったろ……死ぬっつーの。

 

「帝国の学園長か!

帝国の為なら、生徒がどうなっても良いと思ってるのか!」

 

豪炎寺は知ってるみたいだな……影山だったか?

 

なんでサッカーでそこまでやるの?とか考えてはいけないのだろう。

 

「君達は知らないんだ!あの方がどんなに恐ろしいかを…。」

 

それは傷害、下手すりゃ殺人罪を問われるより恐ろしいんですかね……?

 

「ああ!知りたくもない!」

 

「あなたの様な人間はこの学校を去りなさい!

 

これは理事長の言葉と思って結構です。」

 

「クビですか、それも良い。

いい加減こんな所で教師やってるのも飽きてきた所です。

しかし、この雷門中に入り込んだスパイが私だけとは思わない事だ、ねぇ?土門君。」

えげつねぇ事しやがる。

 

最近アイツから感じる罪悪感がとんでもねぇ事になってて、此方もいつ動けば良いか様子を探ってたんだが……この野郎、ここでバラすとか性格腐ってんな……!

 

「では、私はこれで失礼します。」

 

え……誰もアイツ追わねぇの…?追って何が出来るか、とかは別にしても……マジか。

 

そんな事より土門だ。

 

皆、土門が本当にスパイじゃないかって疑ってる、実際スパイなんだろうけど、アイツはアイツで苦悩してたみたいだし……あ、あれ?これって俺にはどうにも出来なくね?

 

皆が土門を責める中、円堂が庇うも自ら告白して走り去って行った……どうしよ。

 

「コレを見て、この件を告発した手紙よ。」

 

おや?

 

「この字は……土門の字だ!」

 

流れ変わったな……いや、ふざけてる場合じゃねぇか。

 

「木野、円堂、行ってこいよ。今ならまだ引き止められるし、こういうのは早い方が良い。」

 

「分かった、行ってくる(ね)!」

 

「お、おい天願!本当に大丈夫なのか…?」

 

「お前らだって冬海があんな酷ぇ奴だったから場の流れで責めたかもしんねぇが、土門が本当に悪い奴と心底思ってる訳じゃねぇだろ?」

 

「それは!…そうっすけど。」

 

「でも、もしかしたらって思うと怖くて…。」

 

「冬海の豹変具合を見りゃ、そんな気持ちになるのも分かるがな……円堂は人の良い面ばかりを見るきらいがあるが、それでもアイツが大丈夫ってんなら大丈夫だ。」

 

主人公であるアイツが信じたってのもあるけどな。

 

「お前、ちょっと円堂に感化され過ぎじゃないか?」

 

豪炎寺がそんな事を言うが顔は笑っている。茶化してるって感じか。

 

「でも確かに、ショックな事が連続して動揺してたってのも大きいな……皆、土門を信じてみよう。」

 

風丸も賛同してくれた事もあり、場の空気も変わり始めている。

 

「なら練習再開すっぞ!

 

アイツらが戻って来るまで練習してなかったら、俺が円堂に何言われるか分からん…!」

 

「「自分の都合かよ(っすか)(でやんすか)(なの)!?」」

 

 

 

 

「そう言えば、FFは監督が居ないと出場が認められない、とありますが…?」

 

「「「え゛!?」」」

 

 

一難去ってまた一難、かぁ……。

 

 

 

「こうなったら、皆で監督を探すんだ!

 

こんな事でFFを諦められるか、皆やろうぜ!」

 

土門がチームの一員として皆に認められた後、問題を解決する為に円堂が張り切っている。

 

「他の教師に新しい顧問を勤めて貰う様、雷門夏美が頼めば一発じゃねえのか?

 

そもそもそいつが冬海を追い出さなけりゃ、こんな事にはならなかったろ、責任取って貰おうじゃねぇか。」

 

染岡、それを素でやってんのか?演技と思う程ガラ悪ぃぞ。

 

「冬海先生を顧問にしたままで、皆試合なんて出来て?」

 

煽りよるわ、この二人仲悪いなー。

 

「とはいえ、些か短絡的でしたねぇ?せめt

 

「どっちにしろ冬海が続けるのは無理だったぜ」

 

天願君?この間から僕の発言遮り過ぎじゃないですか!?」

 

「天願、それどういう事なんだ?」

 

「いや、流石にあれは度が過ぎるだろ?

 

例え夏美がクビにしなくても、誰か他の先生の耳に入った時点で学校に居場所なんかなくなるさ。」

 

あの日、他の先生に報告、その後警察へ通報したけど…漫画とかのこういう話で直ぐ捕まらない、敵ならではのご都合展開が働きそうだし、期待は出来なさそうだけどな……。

 

もしかしたら、後々にまた悪いキャラで登場するってパターンかもな。

 

「まぁ、そんな事は兎も角だ、手分けして新監督を探すんだ!」

 

「そうは言うがな、誰でも良い訳じゃねぇだろうが。

 

手当たり次第も良いが、それは最後の手段にとっておけ。

 

皆、やってくれそうな人、サッカー経験者だと思われる人は居ないか?」

 

そうして皆が考え込んでいると、豪炎寺が

 

「円堂、雷々軒のオヤジはお前の爺さんを知っていた、という事は…」

 

雷々軒……皆の行き付けのラーメン屋だったか?

 

俺の家と反対の方にあるから、あんまり行った事無ぇんだよな。

 

 

雷々軒に着いたは良いが…営業中に話する為だけに入って大丈夫か…?

 

「仕事の邪魔だ。」

 

一言でばっさり切り捨てられた……デスヨネー。

 

「すいません……あの!俺の爺ちゃんの事知ってるんですよね、秘伝書の事も知ってた。

 

なら、サッカーも詳しいんじゃないんですか!」

 

「或いは、円堂の爺さんとサッカーをやってたんじゃないですか?」

 

あの反応……アタリだな。

 

「あの時俺の言った事を忘れたのか?

 

イナズマイレブンは災いをもたらすと言ったろう、恐ろしい事になるだけだ。」

 

これは何かを思い浮かべて語ってるな……もしや実体験か?

 

「それは、貴方の時にもサッカーと関係ない事が原因で試合に出れなかった"恐ろしい事"が起きたから、ですか?」

 

「その歳で人の顔色窺って、大変なもんだな小僧。」

 

あー、少し踏み込み過ぎたか?不機嫌になってるし、皮肉まで返されちまった。

 

とはいえ試合に出れなくても困るし、何とか説得しねぇと

 

「……俺達は後少しで全国まで行けるんです。

 

此処まで来てこんな理由じゃ諦めきれないんですよ。」

 

それを聞くと、店主は暫く黙り

 

「あのな、注文しないならとっとと出て行け!」

 

営業妨害、それを出されちゃ何も言えんな

 

「分かったよ、だったら注文すりゃ良いんだろ!

 

ラーメン一丁!」

 

そう言った円堂だが少しすると、顔がどんどん青くなっていく。

 

おおっと?これはマズイかな、今の内に退散しておくか。

 

外で待機していると、案の定皆が叩き出されてきた。

 

駄目だったかぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

河川敷で練習していると、壁山が試合に出れないならやる意味が無い、と落ち込み、それが周囲に伝播して皆のやる気を著しく下げていた。

 

あれ、視線?土門も気付いたみたいだ、これは橋の上から……アイツは帝国のキャプテンか、何で此処に?

 

円堂が駆け寄って話し合っている……二人には悪いが盗み聞きさせてもらおう。

 

ふむふむ、成る程ねぇ…。敵には敵の苦悩があるって訳か。

 

というか影山って奴が居たのは覚えてるがどれ程の権力をもてばそんな好き勝手出来るんだ?

 

この世界におけるサッカーってそこまでやる価値あるものなん?

 

そして円堂の一緒に練習しよう、の一言か。これはフラグですね、間違いない。

 

原作では仲間だったし、何時になれば雷門に来て一緒にプレー出来るのだろう。

 

 

 

 

皆やる気無くて練習してねぇな……その分必殺技の練習に充てれるからいいから、別に良いか。

 

ぶっちゃけ、何とかなるんじゃねーの?って気持ちが心の奥底にある。

 

この世界が元は二次元の物と知っている為、ご都合主義でどうにかなるんじゃね?といった具合で楽観してしまう。

 

ん?誰か来たな……え、監督決まったんですか、そうっすか……考えてる傍からこういう事が起これば、駄目な考えとは分かっちゃいても捨てられない、どうしたもんかねぇ……。

 

 

 

地区大会決勝

 

 

帝国学園に着いたが、響監督の警戒具合がヤバい。

 

これまでの経緯から帝国が何をやってくるか分からんと俺も警戒してるのは同じなんだが……アレだ、自分より慌ててる人を見て落ち着けた感じに近い。

 

「ここが俺達の更衣室か。」

 

うん?誰か居るな、扉の正面で待ち構えてるのか?

 

「円堂、扉の直ぐ近くに誰か居る。」

 

「……開けrって、えええ!?」

 

伝えるのが遅かったか、開ける寸前でよろめいた円堂の動きで扉が開いてしまった。

 

中にいた鬼道は崩れ落ちた円堂を何とも言えない表情で見ていたが、俺に視線を向けて

 

「随分と耳が良いんだな、この部屋の防音性はかなりのものだった筈だが?

 

…いや、お前を常識で測るのが間違いだったか。」

 

円堂の件は見なかった事にしてくれてる、コイツやっぱ良い奴だわ。

 

で、今のは褒め言葉なのかな?

 

少しすると場の空気が張り詰めていき、部屋の中で何をしていたのかと染岡が問い詰めるが

 

「落ち着け染岡。悪いな鬼道、色々あった上に決勝って事で緊張もしてるから、皆ピリピリしてんだ。

 

この部屋はもう使って大丈夫なのか?」

 

今のコイツからは悪意を一切感じない、寧ろ鬼道は鬼道で別の何かを警戒してるみたいだ、この前の円堂との会話から考えると、逆に俺達の更衣室に細工されてないか確認していた、といった所か。

 

円堂は兎も角、俺からそんな対応をされるとは思っていなかったのだろう、少し動揺していたが

 

「…ああ、大丈夫だ。勝手に入って済まなかった。」

 

「鬼道!試合、楽しみにしてるからな!」

 

円堂の言葉を背に受け、立ち去って行った。

 

 

 

……鬼道と出くわすと、土門もだがそれ以上に音無も動揺してるんだよな、何かあるのか…?

 

ってオイオイ、音無が影山が何か仕掛けて来るか分かんねぇのに独りで鬼道に着いてった……監督の方も気が付いたら居ねぇ。

 

監督は考えがあっての事と信じよう、何があるか分からん、尾行するみたいで気は引けるが音無の方に着いてくか…。

 

漸く追い付いたと思ったら、グラウンドを調査しているらしい鬼道に音無が何かを問い詰める場面に出会した、どうやら二人は知り合いらしい、鬼道は少し言葉を交わすと直ぐ出ていった。

 

あ、音無が帰って……ヤバい、無断で着いてったのバレる!

 

どっか別の方へ逃げねぇと!

 

 

 

……迷った。無駄に広すぎんだよ此処。

 

暫く悩んでいたその時、ふと円堂の声が聞こえ藁にもすがる思いでその方向へ行くと…あれは影山?アイツと円堂が、一体何を話しいる?

 

角に隠れて話しを聞いていたが、あんな境遇の話を聞かされて真っ直ぐな円堂がいつも通りに戦える筈がない……

 

響監督が偶然通り、影山は話す事はないと去っていく、そして俺の一番近い所を通る瞬間

 

「君も、知り合いが不幸な目に遭うのは辛いだろう?」

 

そんな悪魔の囁きが聞こえた、死角に居た筈なんだが気付いてやがったな。

 

俺が殆ど最初から聞いていたのも知っているのだろう、その一言だけ告げ去って行った。

 

誰かが何とか出来る範疇を超えているが、原作じゃどうやって解消したんだ?

 

ここにきて初めて、原作知識の無さを恨めしく思った

 

 

 

 

 

 

 

グラウンドでアップをしているが、予想通り円堂は心此処にあらずといった具合だ。

 

途中で抜け出すのに俺も着いていく、何とか出来るとは思わないが俺も迷っている以上、何もしない訳にもいかない。

 

少し出遅れたらしく、円堂と木野が話していた。

 

ここが円堂が迷いを抜け出すだったら、この試合で俺独りが迷ったままになってしまう……二人の間に飛び入るか、何とかなるさの精神で試合に望むか……そんな事を考えていると、再び鬼道兄妹が衝突していた。

 

急いで隠れる場所を探すも、円堂と木野が居た場所しかない、仕方なくそこに入り鬼道兄妹の様子を窺う俺の背中にさっきの話を盗み聞きしてたの?とじっとりとした視線が突き刺さる。

 

話を聞いていると、どうやら二人の認識に齟齬が生じているらしい。

 

音無の為、頑張っている鬼道だが家のせいで連絡を取れなかった事を、音無が誤解してしまった様だ。

 

この時、俺にある閃きが浮かんだ「二人に腹割って話させりゃ解決するんじゃね?」という考えだ。

 

本当なら他に良い方法があるんだろうが、冬海の件から数々のトラブルが重なり、帝国に来てからもやけに重い話を聞いてテンパり、混乱の極みにあった俺には、それが最善だと信じ込んでしまった。

 

音無はヒートアップし、今にもこの場から去りそうなこともあり、ここで動かなければチャンスはもう来ない!と考え、行動に移す事への躊躇いは無かった。

 

「貴方は私達が別々の家に暮らしてから、一切連絡を取ろうとしなかった……どうして?私が邪魔だから!?

 

貴方はもう優しかったお兄ちゃんじゃない、他人よ!」

 

そう言って涙をこぼして走り去ろうとする音無の襟首を掴む

 

「グゥエッ」と女の子が出しちゃいけない声を気にせず、鬼道の方に向く。

 

丁度此方に振り向いた鬼道の「え、これどういう状況?」という表情に構わず、赤いマントを引っ張り、円堂達が居る所まで二人を強引に連れていき、二人を外に出すと同時に鬼道兄妹を部屋の中へ押し出し

 

「お前らの考えですれ違いがあるみたいだから、腹に抱えてるモン全部吐き出しちまえ!」

 

そう言って扉を閉めた。

 

扉越しに伝わって来る二人の困惑した声と、円堂と木野の「は?…コイツ何やってんの…!?」みたいな視線を受けて、漸く自分が何をやらかしたのかに気付いた。

 

かといって今更後には引けない、何やってんだ俺……と後悔しながらも扉を絶対に開けなかった。

 

その内、部屋の方から声は聞こえなくなり安心していると、目の前に二人の魔王が佇んでいるのに気付いた。

 

「ねぇ天願君?色々…本っ当に色々聞きたい事あるから、そこに正座してくれる?」

 

「そうだなぁ、先ずは何処から知ってるのか、全部教えてくれないか、天願?」

 

「ま、待て!そういえば試合が始まるぞ?コートに行かねぇと」

 

「何処かの誰かさんが相手のキャプテンを閉じ込めちゃったしなぁ~、それに私達のキャプテンも此処に居るのよね?」

 

「ああ、両チームのキャプテンが戻らない以上、試合を始められないしな。

 

天願自身が時間をたっぷりと作ってくれたんだ、大丈夫さ。」

 

俺終了のお知らせ、次の俺はきっと上手くやってくれるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が真っ白になっていると、鬼道兄妹が屈託のない笑みを浮かべて出て来た……地獄の時間は終わりだ……大袈裟かもしれねぇが、俺は救われたんだっ…!

 

正座を続ける俺を存在しないものとし、四人はそれぞれに何があったか等を話し、その原因が解決された事を知り、朗らかに笑い合っている。

 

あの……足痺れて辛いんですけど…もう良いかな?

 

「天願 想叶、お前には感謝している……が、他にやり方は無かったのか…?」

 

ぐうの音も出ねぇ……

 

「そういえば、前の試合の借りがあったな……この試合で纏めて返してやる……!」

 

マントを翻し去っていく鬼道の周りに炎が揺らめいてるよ……。

 

此方の問題を解決する為だけにとはいえ、敵に塩を贈るかたちになっ痛ァッ!?

 

「天願さ~ん、さっき襟首捕まれた時、本当に苦しかったんですけど?」

 

そう言いつつ、イイ笑顔で俺の足をつついてくる音無。

 

「ご、ごめんなさ痛ぇ!ゆ、許しヘグァ!?」

 

「鬼道も言ってたけど、取った方法が悪いよ。」

 

「そうよ、今回は上手くいったから良かったけど、もし悪化してたらどうする気だったの?」

 

「まあまあお二人とも!あまり試合を遅らせる訳にもいかないですし、急いで戻りましょう!」

 

音無がそう二人を宥めてくれる、助けてくれるのk……ん?

 

音無が俺の肩に手を回し、立ち上がらせて……あっ(察し)

 

「ねぇ、天願さん?い・そ・い・で、行きましょうね♪」

 

足がまだまだ痺れまくってガクガクの俺に、今までで最高に可愛い笑顔でそんな宣告を下した。

 

「ハイ、ソウデスネ。」

 

当然、俺に抗える筈もない。

 

 

 

 

 

 

 

「円堂!何処に行ってたん……天願はどうしたんだ…?」

 

「おーい天願?駄目だ、灰みたいに真っ白だ…。」

 

「天願は大丈夫、それより皆、身体は温まったか?

 

この試合、絶対に勝つぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼道!やっと戻っ……どうかしたのか…?」

 

「なんか…凄い燃えてるけど、一体何が…。」

 

「何、絶対に倒さなければいけない奴が居てな…。

 

お前達、この試合勝つぞ…!

この試合こそが、俺達の本当のスタートだ!」




サービス残業は悪い文明。

執筆時間が全然取れないよぉ……

結構無理矢理仕上げた事もあり、誤字多いかも……

一応、更新後も調べてるんですけど、それでも誤字報告があると本気でビビる

誤字報告をしてくださり、ありがとうございます!


書けない分

休みの間にGo見た事もあり、コナンの如く若返った主人公が天馬達と一緒にサッカー

行方不明の大人主人公は何処へ?と探している時、若返った主人公を見た大人雷門は……?

みたいな書きたいアイデアばかりが浮かぶ


ただ浮かんだアイデアの殆どが大分後にならないと書けないっていうね……



今回の話は、円堂・鬼道・音無(序でに主人公も)の蟠りを試合開始前になんとかして、全力を尽くした試合をさせたい、そんな私の願望により作られた話です。

そのせいで強引かつ駆け足な展開になってしまった…

え?いつもの事だって……ごめんなさい!


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第19話 帝国戦

フフフ……この遅筆でこの駄文だぜ……!

仕事怠いよぉ……安西全然―――執筆時間が欲しいです。

こんな駄作をお気に入り・評価して下さりありがとうございます!


試合の実況のヤツ書いたら思いの外書きやすくてビックリした。


 地区大会の決勝とはいえここまで観客が集まるのか…影山の策略はあれど、40年間の無敗は伊達ではない、という事の表れだろう。

 

 その驚く程の多さに萎縮する者もいるが仲間同士でフォローし合っている、少なくとも場の空気に呑まれて思った通りのプレーが出来ない、なんてことにはならなそうだ。

 

 1番心配な壁山には宍戸が気を掛けている、ボールが凄い飛んだなぁ……?…何だ、今の音は……。

 

 音の方向に目を向けると、暗闇で見通しの悪い天井から何かが落ちて……不味い!

 

 全速力で壁谷と宍戸の二人のもとへ向かい、スピードを一切緩めず二人を引っ張る。

 

「う、うおおおお!?」

 

「き、急に何するんすか!?天g「ズドンッ!」……え?」

 

 さっきまで二人が居た場所には、複数のボルトが散らばっていた。

 

「あ、危ねー!助かりました天願さん!」

 

「帝国はちゃんと整備して――」

 

「お前ら、今すぐそこから離れろ」

 

 「…どうした、天願?」

 

 皆は俺からただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、何も聞かず言葉に従った。

 

 何も知らなかった俺ならば、サッカー(ただのスポーツ)なんかにそんなんやる?と一笑に付しただろうが、今までの事を思い返すと考え過ぎと言われても嫌な予感が頭から離れない。

 

 直ぐに円堂を連れて、会場の異変を探している鬼道の方へ向かう。

 

「鬼道、天井からこれが落ちてきた、何か思い当たる事はあるか。」

 

「何?……ッ!…一つ、心当たりがある、聞いてくれるか?」

 

 そうして鬼道は影山のある発言と、これから起こるであろう災厄を回避する術を語り出した。

 

 

 

 

 整列が終わり、全員がポジションについてから試合開始の笛が鳴る。

 

 その直後、頭上から複数の鉄骨が降り注いで来た。

 

 ………いやいやいや、死ぬって。

 

 鬼道の指示通りにして、何が起こるか予想出来ててもこんなんトラウマなるわ!

 

 即座に試合中断、俺達は影山の元へ向かった。

 

「総帥、これが貴方のやり方ですか…!」

 

「私が何かをしたという証拠があるのかね?」

 

 白々しい……雷門側だけに落ちた事といい、状況証拠は十分だぞ。

 

「証拠ならあるぜ!このボルトと、お前からの依頼で請け負ったとコイツが白状した。」

 

 け、警察が動いた!?審判同様に機能しないもんと思ってた…。

 

 …にしてもアイツ、この期に及んで余裕を……この状況から逃げきれる手段を残しているのか?

 

「俺はもう、貴方の指示では戦いません。」

 

「俺達も、鬼道と同じ意見です!」

 

「勝手にするがいい、お前達はもう必要ない。」

 

「影山、お前には聞きたい事が山程ある。

 

 40年前の事、そしてプロジェクトZについても洗いざらい白状してもらうぞ…!」

 

 プロジェクトZ?近くにいる刑事に聞くと、帝国のデータベースにアクセスした際に見つけた情報らしい……聞いた俺も俺だが、ガキにんな事教えて良いのか?

 

 ん?なんかデジャブ……巨悪を追い詰めた矢先に判明した謎の情報、そして未だに崩れない余裕……これ、ヤバくね?

 

 逃げられるor脱獄or釈放、もしくは、新しい巨悪の出現みたいな、悪の黄金パターンじゃねーか!

 

 かといって俺じゃどうにも出来んよなぁ、これ。

 

 新たな懸念が生じてしまい、円堂に声を掛けられるまで、俺は影山が連行されて行った扉を見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度こそ本当の試合開始だ。開幕早々、豪炎寺・染岡が一気にゴール前まで切り込みドラゴントルネードを放つが、源田のパワーシールドに止められてしまう。

 

「あの練習試合の時、油断があったとはいえパワーシールドを破られてから俺はこの技に更なる磨きをかけた。

 

 どれほどのシュートであろうと、今のパワーシールドには通常しない!」

 

 自信満々にそう言うだけの事はある、確かにあの日見た技とは比べものにならない程強くなっている。

 

 帝国の反撃だ、稲光修練場で特訓したチームメイトをものともせず進んでいく鬼道の前に立ち塞がる。

 

「春奈の件、そしてあまり話していない仲だが俺を信用してくれた事に感謝している。」

 

 少し立ち止まりやや頭をさげた、試合中だが流石に空気を読んで俺も動かないでおく。

 

 この兄妹の事や信用した事の殆どは俺の盗み聞きに起因するものなんだが……それ言うのやめとこ。

 

「だがそれはそれとして、お前には俺の怒りをぶつけさせてもらう、段取りという物を考えろ!さっきのは急過ぎて緊張したんだからな!」

 

 そう言ってからドリブルで抜きにかかる。

 

 私怨丸出しじゃねーか!?このシスコン!」

 

「こんなに人の多い所で大声でバラすなぁっ!」

 

 あっれぇ?声に出てたぁ!?

 

 本当にシスコンだったのか……というかお前が勝手に自白(自爆)してんだよなぁ……。

 

 音無を見てみろ、顔真っ赤にして「私のお兄ちゃん像がぁ……」って涙目になってんぞ。

 

 ふざけたやり取りこそしていても、プレー自体はかなり激しく一進一退の攻防が続いている。

 

……やっぱり上手いな、かなり上達したと自負しているが

 あと一歩の所でかわされる。

 

「驚いたな、あの日からここまで上達するとは。だがそれで俺を止められるか?」

 

 無理だな、鬼道がパスを選んでいないからこそ足止め出来ているのであって本来ならとうに抜き去っているだろう。

 

 恐らく鬼道は俺に必殺技を出させ、その上で勝つつもりなのだ、そして鬼道を止めるならば、俺に技を出さない選択肢はない……やるしかねぇか。

 

 鬼道との距離はかなり近い為、動きの大きい技、それに隙のある技も出しずらい。

 

 考えた結果、この状況に適する技は奇しくもあの日と同じものだった。

 

「『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』」

 

「それは、あの日の……確かにその技は脅威だが、倍速で動くと分かったならば、それを見越した上で動けば良いだけの事だ!

 

 それに強力な反面、消耗も激しい事も分かっている、そう長くは使えまい。」

 

 えぇ……理屈は合ってると思うけど、普通は分かってても対応出来ねーから、それにコレ使ったのは、あの試合除けば1人で練習やってる時だけだからな!?

 

 そんな一回見ただけの技をそこまで分析出来るって凄過ぎだろ!

 

「ここで技の時間切れを待てば確実に抜けるが、あの日の借りを返すのを優先させてもらう!

 

『イリュージョンボール改』」

 

 鬼道が繰り出した技もあの日出した技、違うのは俺が燕返しでない事、そして何より技が強化されている……!

 

 速ぇ…!ただでさえ加速状態の俺に匹敵する速度のボールだってのに、数多の幻影も加わって……

 

「まずは、一つだな。」

 

 そう残し、翻弄される俺を抜き去ってゴール前へ…そのままシュートか…?

 

「行くぞ、円堂!」 「来い!」

 

 鬼道はボールを天高く蹴り上げ……んん?あの動きどっかで…?

 

「天願には悪いが一つ気に入った物があってな、使わせてもらうぞ。」

 

 落下するボールを蹴る態勢に入った鬼道がそう呟いたのが聞こえる……まさか!?

 

 不味いなんてもんじゃねぇ!俺の想像通りの技なら

 

「『暴王の(メルゼズ)

 

 今の円堂じゃ()()()()()()()()()

 

 流星(ランス)!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 誰も反応すら出来なかった。

 

 GKである円堂さえ、自分の()()()()()ボールを見て 呆然としている。

 

 

<い、今のは……何が起きたんだー!?

 

 鬼道選手が必殺技を出した次の瞬間、ボールはゴールに入っていたぁ!?>

 

 解説の驚きの声を聞いた審判が、今頃になって得点を告げる笛の音を鳴らす程だ。

 

「天願、まさかとは思うがこのシュートの存在を教えていなかったのか?

 

 ならこの反応も頷ける、俺も初めてこの技を使った時は戦慄した。

 

 どんな発想があればこの技に行き着くのか、そして、これ程の消耗があって尚プレーを続けられるそのスタミナに。」

 

 いつの間にか俺の近くに来ていた鬼道がそう告げる。

 

 俺は湧き上がる衝動を抑えきれず、掴み掛かり……

 

「鬼道、お前……………スッゲェな!?あの完成度!あそこまで仕上げるのにどれだけ練習した!?」

 

 点を取られた、という事実も忘れる程に興奮し、鬼道を揺さぶっていた。

 

「落ち着け!ゴーグルがズレる!

 

 思っていた反応と随分違うな……お前、円堂と同じバカなのか?」

 

「違ぇよ、円堂はサッカー馬鹿だが、俺は必殺技馬鹿だ。」

 

「自分が馬鹿だという自覚があるのか……まあいい、そろそろチームに帰らせてもらうぞ。」

 

 そう言って鬼道は俺を振り払い自陣へ戻って行くと、入れ替わるように土門と風丸が近付いて来た。

 

「ごめん!鬼道さんが興味を示すのが珍しくて、つい記憶に残ってた奴教えてて、それに伝え忘れた事も……ホントにゴメン!」

 

 土門が謝ってくるが

 

「気にすんなよ、そんな事よりも見たか今の!凄ぇよな!」

 

「そんな事って……お前の技じゃないのかアレは!?」

 

 風丸が理解出来ない、といった風に聞いてくる。

 

 ()()()ねぇ…あれらは前世にあった奴のパクりだから違うんだが……それを教える訳にはいかんし、仕方ねぇ、俺考案って事にしとくか。

 

「確かに考えたのは俺だが、さっき鬼道が繰り出したのを見たか?

 

 俺みてぇな半端者が使う紛い物と比較するのが烏滸がましい程に完成されてたんだ……あんなもん魅せられちゃじっとしてらんねぇ!

 

 

 燃えてきたぞ……今までで最高にだ!」

 

 

 あの技は俺にも使える、だというのに技を見て尚、鬼道があのレベルまで鍛え上げるのに、どれだけ特訓を積み重ねてきたか予想がつかなかった。

 

 あの光景に、俺が棄てた"究極の一"の一端を垣間見る事が出来た、それがとても嬉しい。

 

 もし、少数に絞って技を磨けば俺も―――なんて考えてしまうが、分不相応にも俺は全ての技を欲したのだ、一度棄てた夢を欠片とはいえ見せてくれた鬼道には感謝こそすれ、憤る理由がない。

 

 風丸はやはり納得していない様だ、土門も似たような表情だし……この辺りは価値観の違いだからしょうがないか。

 

 それよりも、だ

 

「円堂、さっきの技なんだが、あれはお前じゃ止められねぇ、また撃ってくる様なら俺が止める。」

 

「は?ちょっと待ってくれ!次はちゃんと――」

 

「なら聞くが、お前はあのシュートが見えたか?」

 

「いや……気付いたら入ってた。」

 

「だろうよ、そう落ち込むな円堂。あれはそういう技だ。

 

 他のシュートはきっちり守ってくれ、頼んだ。」

 

 

 

 

 

 

 雷門のキックオフ、先ほど同様にFW陣がゴール前まで一気に詰めて猛攻撃を繰り出すも、あのGKに尽く跳ね返されている。

 

 俺も攻撃に参加したいが、鬼道にあのシュートを出させない為、マークを外す訳には………鬼道が下がっていく?

 

「源田もお前に勝ちたいんだ、行ってシュートしてくるといい、最も、今回は決められないだろうがな。」

 

「言ってろ、俺にシュートさせた事を後悔させてやる。」

 

 ゴールに向かう俺に源田が気付くと、戦意を強める

 

「やっと来たか……俺の進化した技で止めてみせる!」

 

「決めろ、天願!」

 

 染岡からパスを受け取った俺は、源田の使う技を考慮して確実に決めれるシュートを放つ。

 

「『氷造形(アイスメイク) 白竜(スノードラゴン)』!」

 

「『パワーシールドV2』!」

 

 

 氷の身体を持つ白き竜が突き進んで行くが、衝撃波の盾に触れると粉々に砕け散った。

 

「V2……まだ上を隠してやがったか…!」

 

 弾かれたボールが帝国へ渡ったのを確認次第、全速力で戻る。

 

 何とか敵がゴール前に到達する前に戻る事が出来たが、敵の速攻によりもう少しでシュートに漕ぎ着けるだろう。

 

 ゴール前まで来てパスを回してDFを翻弄していたが、遂に鬼道にボールが渡り………あのモーション、来るか!

 

 あの技は一度ボールを上に出す必要がある、よって空中でボールを奪う事で止めれ――――何だと!?

 

「技を考案したのはお前だ、ならその対策も当然知っているだろう?そう動くと信じていたぞ。」

 

 鬼道がボールを蹴り上げようとしたのはフェイントで、俺はそれにまんまと釣られてしまった。

 

「『皇帝ペンギン2号』!」

 

「すまん円堂、頼んだ!」

 

「任せろ!『ゴッドハンド』」

 

 3人の合体技が円堂のゴッドハンドにぶつかる。

 

 あれは……ゴッドハンドの指先一つ一つにペンギンが嘴を突き立てている?

 

 まさか、対ゴッドハンド用の技なのか?

 

 ジリジリと押し込まれ、そして、ゴッドハンドが砕かれ……土門!?

 

 ゴッドハンドが破られ、ゴールに入る寸前に土門が捨て身の守備で止め、同時に前半終了の笛が鳴った。

 

「助かった土門!少し考えればフェイントするには打ってつけの技だってのに、あっさり引っ掛かっちまった。」

 

「いやぁー止めれて良かったよ。でも次はどうなるか分からないけど、大丈夫か?」

 

「分かってるさ。

 

 円堂、あれはお前のゴッドハンドに相性が悪そうだが、止めれるか?」

 

「ああ、勿論!次は絶対に止めてやる!」

 

 しかし、源田のセーブ力に、鬼道のシュート……どちらも厄介だな。

 

 一点とはいえ負けている以上、攻撃に参加する必要があるが、それだと守備が疎かになる、鬼道に『暴王の流星(メルゼズ・ランス)』を撃たせない為には……

 

「少林、頼みたい事がある。」

 

 

 

 

 後半戦、帝国はより勝利に近付く為に点差を広げようと攻撃の手を強めてきた。

 

 ここで点を取られるのは望ましくない、鬼道の対策は一応しておいた、攻めるなら此処か。

 

 コォォォ……と独特な呼吸法を行い、全身に満ち溢れるエネルギーを右拳へ送り込み、全霊をもって地面に叩き付ける!

 

「大地を伝わる『山吹色の波紋疾走(サンライトイエロー・オーバードライブ)』!」

 

 稲妻の様に迸るエネルギーは地面を伝わり、ボールを持った佐久間の足元で噴火の如く爆発した。

 

 波紋により痺れて動けない佐久間からボールを奪い

 

「今度は此方のペンギンを見せてやるぜ!」

 

「何をやる気だ……!?」

 

「来い、【白兎獣 ウルクスス】!」

 

 全身を柔らかそうな純白の毛皮で覆われ、長く発達した耳が特徴の獣が顕れる。

 

「あれが奴の使うペンギンか……ペンギン?」

 

「耳が長くて羽根も無くて真っ白なペンギン…?」

 

「思いっきり白兎って聞こえたでやんす……。」

 

 敵味方問わず困惑の声が上がる。

 

「今に分かるさ『ペングルスカイザー』」

 

 背中に乗るとウルクススがゴール直前まで途中で立ちはだかる相手を吹き飛ばし滑走する。

 

「「「……滑走(そこ)だけじゃねーか!?」」」

 

「何!?滑走するならばペンギンではないのか!?」

 

 なんて冗談を交えつつ、シュートモーションに入る。

 

「コイツ……ふざけた態度で油断させるとは、何て野郎だ!」

 

 いや、勝鬨ったりしたけど油断させるつもりは無かったよ?

 

「そう怒るなよ源田、今度は真剣(ガチ)だ。

 

 飛翔せよ【スターダスト・ドラゴン】!」

 

 星屑の様に繊細な光の粒子を放つ穢れなき竜を顕現させる。

 

「化身を連続で!?」

 

「綺麗でカッコいいっす……。」

 

 ウルクススの時とは正反対の見惚れる空気を感じる……

 

「響け『シューティング・ソニック』!」

 

「例えどんなシュートだろうと止めてやる!

 

『フルパワーシールド』!」

 

 大きく息を吸い込んだスターダストが放った音撃の奔流は源田の全力をいとも容易く貫いた。

 

<雷門、天願選手の怒涛の必殺技で帝国に得点、同点に追い込んだぁ!

 

 これで試合の行方は分からなくなったぞー!>

 

 

 

 やっぱ技の連続運用、しかも化身技ってのはやり過ぎたな、ここからは技を使う場面を慎重に選んでいかねぇと……。

 

 キックオフからは帝国と雷門の熾烈な点争いが始まった。

 

 少林に暴王の流星(メルゼズ・ランス)の止め方を教えている為、俺も攻撃に参加しているが、一連の流れで警戒されているからシュートを打つには至らない。

 

 残り時間も少なくなり全員の息が上がっている。

 

 クソッ!どうする?PK戦になってしまえば、鬼道がシュートを打つ時点で敗北は確定する、此方のメンバーで源田の技を破れるのは現状俺だけだ。

 

 但し必殺技が使えても二回目は怪しい……やはり時間切れになる前に得点しねぇと。

 

 そんな考えで焦った俺は、敵の突入を許してしまった。

 

 あのシュートの構えは……!

 

「これで俺達が勝つ!『皇帝ペンギン2号』!」

 

「絶対に点は入れさせない!『ゴッドハンド』!」

 

 前と違うのは突然のカウンターになって誰もフォローに行けていない事、つまり円堂が破られた時点で失点は確実だ。

 

「このシュートだけは、絶対に…絶対に!――――止めるんだぁぁ!!!

 

『ゴッドハンドW』!」

 

 土壇場で円堂は両手のゴッドハンドを繰り出し、皇帝ペンギン2号を止めてみせた。

 

「行くぞぉ!」

 

 ボールを投げると共に自分も攻撃に上がる円堂。

 

『疾風ダッシュ』(このボールだけは)」「『竜巻旋風』(絶対に)」「ゴール前まで繋いでみせる!」

 

 円堂からボールを受け取った皆は、この試合1番の動きでボールを繋いでいく。

 

 それは豪炎寺まで繋がり、イナズマ落としの態勢に入る

 

「もうゴールを割らせはしない!

 

『フルパワーシールドV2』!」

 

 そこへ壁山と同時に上がっていた円堂が豪炎寺と共に飛び

 

「「『イナズマ1号落とし』!」」

 

 その一撃は更に強化されたフルパワーシールドをも破り、ゴールネットを盛大に揺らした。

 

 そして―――試合終了を告げる笛が鳴った。

 

 

 勝利した俺達を祝福するかのような歓声が浴びせられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこへ――

 

「「天願(さん)。」」

 

「?どうしたお前ら。」

 

 鬼道兄妹が俺の所にやって来た。

 

「色々文句を言ってしまったが、お前のお陰で」

 

「私達は昔の様な、仲の良い兄妹に戻る事が出来ました。」

 

「「本当に、ありがとう(ございます)。」」

 

「………礼なんざ要らねえよ、お前らはずっと互いの事を想い合ってた。

 

 なら、俺なんかが居なくてもいずれこうなる日が来ただろ。」

 

 俺はただ、怖かっただけだ。

 

 俺の存在によって、原作が壊れてこの二人を取り返しのつかない事に陥らせてしまうのが恐ろしくて……だからあんな悪化しかねない愚策を強行した。

 

 そんな俺が礼を受け取る資格なんざ「そんな事ないです!」

 

「少なくとも、天願さんは私達が元に戻る時間を早めてくれたじゃないですか!」

 

「それに円堂から影山に揺さぶりを掛けられていた事も聞いた、もしお前が居なければ、アイツがそれを気に病んで真剣勝負が出来なかったかも知れなかった。」

 

 

 

 

「―――そうかよ、そんじゃ今までの分を取り戻す位に仲良くな、シスコン&ブラコン兄妹。」

 

「「違う(います)!」」

 

 そんな顔真っ赤にしてシンクロされてちゃ、説得力ねぇっての。

 

 でもまあ、誰かの役に立てたんなら、俺もまだまだ捨てたもんじゃねぇのかもな。

 

 

 

 

 

 

「天願、早く来いよ!祝勝会行こうぜ!」

 

 必殺技を使う為の舞台、位にしか考えてなかったサッカーがこんなに楽しめる様になって……大分コイツに感化されてきたみたいだ。

 

「――――――――――――――ああ、直ぐ行く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはそれとして、次はどの必殺技から覚えていくかな♪




主人公はただ模倣しただけなのは嫌い(同族嫌悪)ですが、模倣から抜け出した技は大好きです。

当初、主人公には少数の技に絞って技を鍛え、極めていく、という"夢"がありました。

ただ、他の多数の技を切り捨てる選択が出来ず、「究極の一」より「千の凡庸」を選びました。

主人公の使う数々の技は、使う技のポテンシャルの高さ・主人公自身の身体能力、この2つの要素でゴリ押ししてるから、自身を半端者・自分で出す技を紛い物と表現してます。

初期のスラントでも然るべき特訓の末磨き上げてさえいれば、ファイアトルネードに匹敵する程です。

主人公自身それが分かっている為、今回の鬼道にかつての"夢"の一片でも見れたことで感謝、褒め称えていました。






『暴王の流星』

引用「PSYREN -サイレン-」

使用者「夜科アゲハ」

ボールを天高く蹴り上げ、落ちて来た所に回し蹴りの要領でシュートする技。

消耗自体はそれほどでもないが、足への負担がとてつもなく大きい。

最大の特徴はその速さと正確さ。

蹴った次の瞬間にボールは射程距離に到達している為、シュートしてから真正面でもない限り止めるのは困難。

シュートの位置もかなり緻密に狙え、ゴールポストにわざと当てる事も容易。

シュートの威力自体は大したことはなく、技を使わずに止めれるレベルだが、前述の速さと正確さのせいでシュートに触れる事が難しい。

GKで止めるなら、ゴール全体を覆う技をシュートと同時に出す事で止められる。
作中にて円堂では止められないと言ったが、円堂に限らずそういった技を持っていない限り止めるのは不可能に近い。

但し、GK以外の選手が止めるなら話は別。

ボールが上空にある時に狙いを定め、力を溜めているのでこの間は完全に無防備、その隙に空中でボールを奪える。

ジャンプ力のある選手なら、少々離れていようと、見てから一度深呼吸それでも反応余裕でした、なレベルで対処出来る。

また、射程距離があり、最大距離に達するとその速さが嘘の様に停止、その場で真下に落下する。
射程はあまり長く無いのでかなりゴールに寄らないと意味がない。

その球速故にシュートチェインを行うのも困難。

ジャンプ力に優れているのと、身体が小さく小回りがきく為、少林にこの技を止める事を頼んだ。

致命的欠点こそあれど、それでもGKにとっては非常に脅威的な技、邪魔の入らないPKでは(相手の技にもよるが)無敵。

主人公が使うと、鬼道と比較して溜めの時間・射程・正確性が著しく劣化する。

鬼道はこの技の脅威度を利用し、この技を出すと見せ掛けるブラフを織り交ぜたプレーを行えると判断、興味を抱き修得、そして足に掛かる負担のせいで使うかどうか相当迷った。
―――――――――――――――――――――――――――
『氷造形・白竜』

引用「FAIRY TAIL」

使用者「リオン・バスティア」

白氷で構成された竜がボールと共に突っ込む。

ぶっちゃけドラゴンクラッシュの竜が氷竜へ置き換わっただけ。

パワーシールドを破れる筈だったがV2になっていた為、惜しくも破れなかった。

このシュートが止められる場合は氷の竜が跡形も無く砕け散るという特徴がある。

―――――――――――――――――――――――――――

『山吹色の波紋疾走』

引用「ジョジョの奇妙な冒険」

使用者「波紋戦士達」

独特な呼吸法を使い生み出したエネルギーを拳に収束、地面を伝導させ対象の足元から放出、波紋によって麻痺した相手からボールを奪う技。

波紋が地面を伝わる際に電気が走るエフェクトがあるので、それを見れば回避できる。

Jスターズビクトリーバーサスにてジョナサンが使った遠距離技を参照した。

主人公はサッカー技じゃなく日常においても使えるのは内緒。

―――――――――――――――――――――――――――
化身
【白兎獣 ウルクスス】

引用「MONSTER HUNTER」

全身を白い毛皮で覆われ、長い耳を持つ兎。

腹にある特殊な溝を使って滑走する、という特徴を持つ。

Q.なんで氷の上じゃないサッカーコートで滑れるの?

A.サッカーコートはモンハンの闘技場と同じく摩訶不思議故に。

『ペングルスカイザー』

滑走するウルクススに乗っただけであって実は技じゃない。

化身の力に頼ったただのゴリ押し。

ウルクススで使う技は別にあるので、今回のはネタとして出した。

技名は皇帝ペンギンをイメージしたヘヴィボウガンから。

―――――――――――――――――――――――――――
化身
【スターダスト・ドラゴン】

引用「遊戯王」

星屑の様な光の粒子が集う中から顕現する、純白に輝く竜

『シューティング・ソニック』

スターダストが放つ音の奔流に併せてシュートする技。

化身技は化身に任せきりになりやすいので、どうしても雑になるな……


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第20話 蘇る伝説

今回は繋ぎ、なんで短い&駆け足展開です。

普段が3000前後のヤツが何言ってんだ?と思うかもしれませんが………。

因みに風丸回はカット、あれは主人公が関わっても何も変わらないので。


活躍報告にて、アンケート?技等の募集があるので、良かったら目を通してみて下さい。




後書き結構ふざけちゃった(;・ω・)


場所は雷々軒、俺達はそこを貸し切りで祝勝会をしていた。

 

……帝国戦との試合後もやったんだが皆ヘトヘトで飯食いながら寝る、なんて事になった為、今日改めてやっているのだ。

 

最初は円堂がやるって言ったんだが、俺は昨日の祝勝会で皆が食いきれなかった分を食って満足してるから、アイツを座らせて代わりに厨房に立っている、やってんのは皿洗いや配膳だけどな。

 

「しかし、帝国学園も全国大会に出られるとはな。」

 

「大舞台でまた戦えるなんて、今からワクワクするぜ!」

 

帝国といえば、鬼道は度重なるシュート技のせいで足を痛めてしまったらしい。

 

暴王(メルゼー)技は消耗はマシだが身体の負担がヤバいからな、それに加え皇帝ペンギンもかなりキツいらしいし、鬼道には暫く療養に努める様に言っておいた。

 

「それは決勝まで勝ち進むという宣言と伺って宜しいかしら?」

 

それを聞いて疑問顔になる円堂……オイ、何でだ。

 

「前年の優勝校と同地区の優勝校はトーナメントの組み合わせが別ブロックになんだよ……パンフレットに書いてあったろ?」

 

お前パンフレット片手に「フロンティアー!」って叫んでる時があったろ、あれ握ってただけかよ。

 

「そうね、だから彼らと戦うなら決勝以外では有り得ないわ。」

 

「また、帝国と決勝戦か!」

 

「おいおい、気が早過ぎるぜ?」

 

「先を見据えるのも悪かねぇが、あまり遠くばっか見て足元疎かにすんなよ?」

 

おっと?木野と音無がなんでそんな詳しいかを聞いてるが、あれは藪蛇っぽいな、顔引きつらせてら。

 

というかコイツら食うなー、やっぱ育ち盛りって凄ぇや。

 

あっという間に残り一人分、誰が食うか話し合いになってる時に土門が夏美をちゃん付けで呼んだ瞬間、さっきまで騒がしかった室内が嘘の様に静まりかえった。

 

本人が真剣なのか、からかってるのかは分からんが理事長代理としての敬意を込めていればいいそうな、自分の言葉は理事長の言葉も同義ねぇ……子とはいえ代理、それも結構な権限を与えられていたのか……俺なら責任重すぎて胃に穴開くよ。

 

「それじゃあ、理事長ならどんな言葉をコイツらに贈るかね?」

 

急に顔つきが代わった……理事長modeか。

 

皆も空気の変化に気付いて真剣な面持ちになっている。

 

「貴方達サッカー部は雷門中の名誉を背負っています。

 

必ず全国制覇を成し遂げて頂戴。」

 

「おう!任せとけ!

 

よーし、やろうぜ皆、絶対に、全国制覇!」

 

「「「絶対に、全国制覇!!!」」」

 

 

 

 

 

「「「伝説のイナズマイレブンと練習試合!?」」」

 

あの日、俺達が帰った後に訪れた客の一人が40年前のイナズマイレブンの一人だったらしく、練習試合をする事になったらしい。

 

ただ……

 

「何で今言うんだよ!?」

 

「サプライズさ!驚いたろ?」

 

「当日に言うなよ!心の準備とか出来てねぇよ!」

 

そう、俺達は今日凄い事がある、と聞いて集まっただけで何があるのかは今知らされたのだ。

 

「え?つまり何か、向こうでユニフォーム着てる喫茶店・服屋・理髪店の主人や生活指導の先生、他にもこの街のどっかで見掛けた事のある、あの人達が――――」

 

「そう、伝説のイナズマイレブンだ!」

 

マジかぁ……にしても大丈夫か?40年前ってのもあるが、この町で俺達と稲妻KFC以外でサッカーをしているなんて聞いた事が無い。

 

つまり、今のあの人達は少なくともここ数年サッカーをやっていない可能性が高い……試合どころか練習にすらならないんじゃ……?

 

 

俺の懸念は的中してしまった。

 

彼らはミスをしても仕方ない・こんなものといった仕草が見えるし、そもそもどのプレーをとってもやる気が感じられない。

 

唯一やる気のあるのが響監督だが、GKである以上此方のプレーに関わる機会が少ない為、どうしてもダメな方へ目がいく。

 

皆も落胆し始めていたその時

 

「お前達、なんだそのザマは!

 

伝説のイナズマイレブンを夢見た子供達がいる、なら俺達はその責任を背負う必要があるんだ、その思いに答えてやろうじゃないか!

 

()()()()()()()()()()()()()()!」

 

響監督の発破を受けると、大人達から発せられる空気が変わっていく。

 

「――――俺達は無敵の、イナズマイレブン!

 

証明しようぜ、伝説は真実だと!」

 

それを皮切りに今までの動きとは大違いの魂のこもったプレーを始まった。

 

 

 

おいおい、気持ちの変化だけでここまで変わるかよ、油断してると直ぐボール盗られ―――おお、スッゲェ鮮やかなパスカットだ。

 

ボールを取った民山選手が放った必殺技『クロスドライブ』は円堂の熱血パンチをものともせずゴールに入った。

 

今度は此方の番と染岡がドラゴンクラッシュを放つも、響監督の元祖ゴッドハンドに止められる。

 

「さあ浮島、見せてやれい!」

 

放られたボールは浮島選手の元へ行きそこへ合流した備流田選手との合体技『炎の風見鶏』が炸裂、円堂のゴッドハンドを破るあの技、あれが元祖イナズマイレブンの最強シュートらしい。

 

と、今の技を受けた円堂が、本来は無いタイムまで要求して俺達を集合させた。

 

何でもさっきの技は円堂の持つ秘伝書にあった技の一つで、お手本もあるから修得してしまおう、という事らしい。

 

「で、やるにしても誰がするんだ?」

 

「えっと……この技はスピードがビューン、ジャンプ力がビヨヨーンか。」

 

いつもの擬音語、しかし前よりは分かりやすいな、ん?風丸が一瞬此方を見たな、直ぐに逸らしたが

 

「スピードとジャンプか、陸上部の出番だな!」

 

「なら、もう一人は豪炎寺が適任だな。」

 

そうやって話が進んでいき、試合が再開する。

 

しかし、何度も繰り返すが一向に技が完成しそうにない、何か足りない要素があるのか…?

 

二人の手助けに大人達は再び炎の風見鶏を出してきた、お!今度はゴッドハンドWで止めたか。

 

―――影野?

 

「……この技の鍵は、二人の距離にある!

 

二人がボールを中心に同じ距離、同じスピードで合わせないとダメなんだ。」

 

へぇ……影野が存在感が薄いのは知ってたが、観察眼も優れてるのか、これは嬉しい誤算だ……!

 

俺は影が薄くないから使えなかったアレだが、影野ならやれるか……?

 

俺がそんな事を考えている間に試合は開始され、豪炎寺と風丸は一発で成功させた。

 

………へ?いくらコツが分かったからってセンス凄過ぎね?

 

その技がゴールに入ると、試合終了の笛が鳴った。

 

……この世界って本当にタイミング図ってんじゃないのかって位、ゴールと同時に試合終了するなぁ。

 

 

「よーし、次は全国大会だぁ!」 「「「おう!!!」」」

 

 

 

 

 

さて、影野はっと……いた!

 

「影野、お前の影の薄さを強みにしたプレーがあるって言ったら……どうする?」

 

「!?……そんな物が存在するのか……?」

 

「まあな。だが、それを身に付けられる保証は無い、徒労に終わるかもしれねぇ。」

 

「それでも……!可能性があるなら……やらせてくれ!」

 

よし!黒子ならぬ"影野のサッカー"始動だ!

 

 

 

 




影野の運用については、炎の風見鶏の件で観察眼に優れてると考えて幻の6人目の真似事をしてもらいます。

感想でも見掛けたし、察してる人は居たかもしんないですね。

―――――――――――――――――――――――――――

ちょっと番外

一度思いついたら、書きたい衝動を抑えられなかったんだ……。








俺はプロリーグで活躍している天願 想叶。

久々に日本へ帰り、飲み屋で酔い潰れ、近くのホテルに泊まり……何故か実家で目が覚めると

―――身体が縮んでいた!

家の中には俺が半年前から行方不明になったという新聞や雷門中の入学証が!?

なんやかんやで雷門中サッカー部へ行く事を決め、家を飛び出すと、其処にはかつて出会った松風少年が!

しかし、俺達と一緒にサッカーをする前の頃の様だ。

馬鹿正直に天願 想叶と言うと、見た目が似てるから自分を天願選手と思い込んでいる痛いヤツだと思われる事を危惧し、正体を隠す事にした俺は、自分の見た目のモチーフと思われるキャラ「ギンコ」と名乗り、天馬と一緒に雷門中へ向かった。

雷門中に着いた俺は天馬と別れ、かつての部室へ向かった。

もし、今の俺と同じ状況のヤツがいるなら、此処に集まる可能性が一番高いと考えて来たのだが、どれだけ待とうと誰も来る事は無かった……。


部室前で項垂れている時、此方にとてつもない勢いで飛んでくるボールが―――

以下ダイジェスト


「危ねぇな……人が居たらどうすんだよ?

わざとじゃねぇなら良いが、あれはイナズマイレブンが使ってた大切な場所だ、意図的に壊すのは許さねぇぞ……!」

銀蠱(ギンコ)!?」

「アイツが今のシュートを……!?」

「え!?天願さんの子供の頃にそっくり……!」





「『デスソード』!」

「何だ………強そうなのは見た目だけか?」

「あれを技を使わずに片手で!?」

(ホントはこっそり技使ってるけどね!久遠監督は気付いてるっぽいなぁ……。)

「(『鋼皮(イエロ)』だと?)あの少年、まさか……!」






「【剣聖 ランスロット】」

「化身!?噂じゃなかったのか……!」

「へぇ……なら【No.23 冥界の霊騎士 ランスロット】!」

銀蠱(ギンコ)も……化身を…!」

「馬鹿な……シードでもないヤツが化身を、しかも姿は違えど俺と同じランスロットだと!?

消えろ……『ロストエンジェル』!」

「―――――『縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)』」

(消耗ヤベェェェ!?体力は中学時代に戻ってるぅ!)

「俺の化身がいとも容易く……!?」

「あの化身、それにあの技……もしかして本当に……?」



これは天願 想叶が新たな仲間達と織り成す未来の物語。











続かない


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第21話 戦国伊賀島戦

「code vein」の発表で「GOD EATER」シリーズの続編が絶望的になり、悲しみに暮れていた時に

「MONSTER HUNTER WORLD」

「英雄伝説 閃の軌跡3」(今更)

「ACE COMBAT SKIES UNKNOWN」

の発表………嬉しさのあまり発狂するかと思った………!

ARMORED COREの続編も出ねぇかなぁ……。


主人公の前世の設定書いてたら、イナイレどころか、この作品すら関係ない、ただの探索者の設定になったからやめました。

まぁ、元々このキャラってTRPGのPC流用だしなぁ。


更新遅くて申し訳ない!

相変わらずの駄文ですが………




因みに今回技がいつも以上に偏っております。

技募集に協力して下さった方々、出したいタイミング、場面を吟味させてもらいます、本当にありがとうございます!


FFの開会式、俺達雷門中の名前が呼ばれるのを今か今かと待っている。

 

皆も興奮を抑えきれない様だ。

 

「とうとう来たぞ!

 

此処まで来たら、思いっきり暴れてやろうぜ!」

 

「「「おう!」」」

 

その後も円堂が仲間達を激励する中、ついに俺達の番が来た。

 

<続いて関東ブロック代表、雷門中学!>

 

「よし、行ってこい!」

 

俺達の整列が完了し、次に帝国学園が呼ばれる……名門というか、強豪は出揃ったと思うが、後一校は何処だ?

 

そんな事を考えていると、

 

<そして残る最後の一校、推薦招待枠として世宇子中学の参戦が招門されております!>

 

……世宇子中学、そんな学校あったか?音無の情報にはそんなもんは無かった。

 

一応、過去のFF全国大会に参加した事のある学校、FFにこそ出ていないが強いと噂の学校は確認した。

 

読みだけだがゼウス、なんて神の名を称する所があれば嫌でも目につくと思うが、俺の記憶にはないし、周りを見渡しても、ピンと来てそうなヤツはどこの学校にもいない。

 

そもそも推薦招待枠?そんなもんパンフレットに書いてあったか?此処に来ているのは、自らの力で各地方の予選を勝ち抜いたチームの筈だ。

 

帝国が前優勝校という名目で参戦するのはまだ納得出来る、だが推薦・それも招待を無名の学校にするってのはどうなんだ?

 

選手・観客全員が注目する世宇子中学だが、現れたのはプラガールだけだった……は?

 

<えー世宇子中学は本日調整中につき、開会式は欠場との事>

 

なんてアナウンスが流れるが、開会式を欠場?確かに前世でオリンピックとかで聞いた事はあったし、大会規則にも駄目とは書いて無かったが………

 

「おい鬼道、こういう事はよくあるのか?」

 

こういうのは経験者に聞いた方が早ぇよな。

 

「遠方の学校で交通機関の都合で、という理由でならたまにあるが……調整中というのは始めてだ。」

 

だよな、会場の雰囲気からしてもそう感じるし、他全ての学校が出ている中、自分達だけ調整してるってのはどうなんだ?

 

勝ちたいのは皆同じだが、そこまでやって勝ちを狙うなんて………勝利への執着?

 

……あの日、扉が閉まる寸前に影山の見せた笑みと、プロジェクトZという2つからなるフラグがどうしても気にかかる。

 

………待て、プロジェクトZ?

世宇子中……ゼウス……Zeus……Z……まさか、な。

 

気にし過ぎ、激しい妄想と断じても、俺はこの考えを切り捨てる事は出来なかった。

 

誰も気付かぬ様ひっそりと会場には暗雲が押し寄せていた。

 

 

 

 

 

「戦国伊賀島中の監督、伊賀島 仙一は忍者の末裔と言われています。

 

秘伝の忍術で選手達を鍛えている様なのですが、戦い方がよく分からなくて……。」

 

かつては戦いにおいて猛威を奮った技が、一介のスポーツの為に使われているとはな……。

 

子孫が血に濡れた人生を送らなくて良かったと安堵するのか、自分の磨いた技がそんな事に使われて落胆するのか……あらゆるキャラの技を使う俺が言える事ではないが。

 

「真正直からぶつかるのは得策じゃねぇかもな、忍者の戦いってのは搦め手・奇襲・不意討ちってのがセオリーだ、例外はあるがな。」

 

忍べよ、って物申したくなる奴らもいるし。

 

「じゃあ、どんな戦い方が良いんだ?」

 

「……ペースを乱されない、か?

 

油断しないってのは大前提だが、忍ってんなら相手が警戒してる状況の対策はある筈、慎重になり過ぎるのも悪手だ。

 

信じがたい事が起こって驚いたとしても、冷静さを取り戻すのを心掛ける……こんな所か。」

 

とはいえ、これを聞いたからって出来るんなら苦労は無ぇよな……現に皆も微妙な表情をしている。

 

「いやいや、そんな事言われたって難しいって。」

 

「気を付けて何とか出来るなら、パニックなんて起こらないしな。」

 

「そんな芸当が出来るのは天願さんだけっすよ。」

 

「確かに天願はどんなに驚いても直ぐ冷静になってるよな。」

 

前世で色々と経験してるし、正気を削る様な光景に出くわさなきゃ、そう長い時間取り乱す事は無いと自負してるつもりだ。

 

「んな事ぁ分かってるよ、だが、そういう心構えがあるだけでも意外と変わるもんだぜ?

 

話は変わるが、今日試させて欲しい事があるんだ………聞いてくれるか?」

 

 

 

 

俺が作戦を話した後に、夏美からメールがあった、応援とも命令ともとれる、いかにもアイツらしい激励を受けて更に気合いを入れた皆はいつも以上に気迫のこもった練習をしている。

 

……そんな俺達をずっと上から見ているアイツは、戦国伊賀島のキャプテンか?

 

忍者だから諜報ってのはわからなくもないが、もっと上手く気配殺してしてくれねぇと視線が気になってしょうがない。

 

そんな呆れた顔の俺と目が合い驚きの表情を浮かべた後、結構速いスピードで降りると、半田から豪炎寺に渡るパスを掠め取って登場した。

 

何がやりたいんだ?バレたから自棄になったにしては随分と得意気な顔をしてるが……。

 

「誰だ!?」

 

「お前に名乗る名は――

 

「霧隠 才次。戦国伊賀島中のキャプテンだな、何の用だ?」

 

ありがちな展開を察したので、勝手に乱入し練習を中断させた事へのささやかな反撃として出鼻を挫いてみると、ムッとした顔つきになり、此方を見て

 

「お前、何処で俺の事を知った、俺の隠形を見破った事といい……何者だ。」

 

あれ遠見じゃなくて隠れてるつもりだったのか……。

 

「お前に名乗る名は――

 

「天願 想叶、雷門(ウチ)のMFだ。」

 

「………覚えておけ。」

 

相手が最初にやった事をしようとしたら、円堂(仲間)に止められたでごさる……。

 

俺と同じく憮然とした表情をしていた霧隠は、豪炎寺の方に向きつつボールを蹴り

 

「豪炎寺 修也、俺と勝負しろ、噂は聞いているぞ、天才ストライカーだってな。

 

俺も足には自信がある、どっちが上か決めようじゃないか。」

 

そんな事を言ってドリブル勝負を叩き付けている。

 

話は読めた、しかし霧隠の言う(スピード)とストライカーの(得点能力)は違うと思うのだが?

 

「断る、練習の邪魔だ。」

 

「何?逃げるのか、腰抜けめ!」

 

忍者から真っ向勝負を仕掛けてくる……これもうわかんねぇな。

 

もしや、此方がどれだけ動けるのか探りに来たのかと考えたが、それならさっきの様に練習を見続ければ良かったし、何より霧隠から感じられる純粋な闘争心がそれを否定している。

 

自己顕示欲が強そうだけど、それって忍者としてどうなん?

 

因みにこの手の話で一番感情的になりそうな円堂は俺が抑えている、実際、仲間を腰抜け呼ばわりされて怒ってるしな。

 

こういうのは冷静を保ったままあしらうにかぎr――

 

「一番足が速いのは俺だ……俺がやる……!」

 

か、風丸ぅぅぅ―――!?なんでお前ぇ!?

 

「誰だ、お前は?」

 

「お前に名乗る名は無い!」

 

霧隠がちゃんと通ったのを羨まそうにしている……。

 

風丸も風丸で通ったのにホッとしてるな。

 

そんなこんなで始まったドリブル勝負だが、終わる間際に戦国伊賀島のメンバーが介入して止め、乱入した事を詫びて去って行った。

 

 

 

 

 

 

~試合開始~

 

雷門のキックオフから始まったが、霧隠がパスをカットし一気に切り込み、風丸を『残像』でかわしてシュートする。

 

円堂が受け止めたが自信に見合ったプレーだ、やはり今までの相手とは格段に動きが違う。

 

反撃に移るも、統制の取れた陣形でFWをマーク、追い込んでから技で止めた………四股踏みの術って、忍術としてアリなのか?

 

その後も互いに激しい攻防を繰り広げるが、やはり雷門は相手の動きに翻弄されっぱなしだ。

 

唯一通ったドラゴントルネードも止められてしまう………何となく察していたが、そろそろドラゴントルネードが通用するレベルじゃ無くなって来たか。

 

イナズマ落としは不発に終わり、得点出来ない状況に焦れた風丸が上がって行った、炎の風見鶏を出す気だろうが、途中でボールを奪われDF陣が減りがら空きとなったゴールに霧隠が『土だるま』を放つ。

 

………良し、皆には悪いが()()()()()()()()

 

空中に飛び上がって雷を纏わせた足を大きく振り上げ――

 

『吹き飛べ、必殺!黄金衝撃(ゴールデンスパーク)!!』

 

渾身の踵落としを叩き込む!

 

回転しながら土を巻き込み巨大になった土塊は放出された稲妻によって呆気なく砕け散った。

 

「な、何だと!?」

 

「驚いてる暇は無ぇぞ……かっ飛ばすぜ……!」

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待てぇ!!」

 

「幻術使いか……!?」

 

「あんなんアリかよ!」

 

<な、何と天願選手のボールが2つに分裂したかに見えると、それをタイヤにした()()()()()()()()()()()!?>

 

やっぱ驚くヨネ♪溢れる驚きの声が、会場を埋め尽くしていく。

 

それに構わずバイクへ跨がり、フルスロットルで走らせる。

 

「ベアハウリング……『夜狼死九・黄金疾走(ゴールデンドラァァアイブ!!―――グッナイ!)』」

 

「や、ヤツを止めるんだ!」

 

予測不可能な事態に慌てながらも守備の陣形を作るが、この技は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!

 

立ち塞がるDFを難なく蹴散らし、ゴール前に辿り着く。

 

「『影分身の術』!」

 

3体の影分身をボールを囲む配置で作り出す。

 

四人の俺は蹴りの風圧で発生させたボールを中心に回転する軌道の風でボールを包み込み、圧縮させていく。

 

「馬鹿な!何故ヤツが忍術を!?」

 

「アイツ……本当に何なんだ!」

 

「何処で学んだか知らんが止める……伊賀島流忍法『つむじ 改』!」

 

先程ドラゴントルネードを止めた技の強化版みたいだが…

 

「そんな微風じゃあ……止められねぇよ!」

 

乱回転するボールを核に、巨大な手裏剣の形状を取り、空中に浮かぶそれが完成すると同時に分身は消え去る、そのボールをオーバーベッドで蹴り抜く……!

 

「『風遁・螺旋手裏剣』!」

 

それはつむじ風を触れる前に掻き消し、ゴールに勢いよく突き刺さった。

 

<こ、この膠着状態を打破したのは雷門中!

 

天願選手の怒涛の連続必殺技により、失点の危機から得点に持ち込んだぁー!!

 

余りの展開の早さに、驚きを隠せません!>

 

 

 

き、キッツぅぅぅ――!

 

やっぱ三連の消耗はえげつねぇな……だが、これで状況は整った。

 

上手くやれよ、影野。

 

 

 

 

戦国伊賀島は、キックオフ早々

 

「伊賀島流蹴球戦術、偃月の陣!」

 

8人でV字型の隊列を組んで突撃してきた。

凄まじい突破力を誇るそれは雷門の守備を容易く突破し、あっという間にゴール前へ、そこから飛び出した霧隠が『土だるま』を放つ。

 

熱血パンチで迎え撃った円堂だが、止めきれず得点を許してしまう……いや、そんな事よりもあの倒れ方は不味いんじゃないか……!?

 

<今度は戦国伊賀島が速攻で得点、ここで前半終了ぉーー!

 

1対1、勝負はまだまだ分からない!>

 

 

 

直ぐ様円堂の手を見ると酷く腫れ上がっていた、GKを代わりたいが、俺はさっきので消耗し過ぎて、とてもじゃねぇが守りきれない……。

 

皆で守備を固めるにしても、あの陣形で攻められたら不味いな……。

 

「影野、前半は出来なかったが、頼んだぜ。」

 

「ああ、頑張ってやってみる……!」

 

 

 

後半は戦国伊賀島のキックオフ、ここで決める気か再びさっきの陣形で突撃、俺を含め壁山以外全員が突破された。

 

クソ……ここで失点は痛い!

 

霧隠の土だるまがゴールに猛進するが

 

「絶対に通さないっす!うおりゃあああ!!!」

 

突如、壁山の後ろに巨体な岩壁が出現し、霧隠のシュートを見事跳ね返した。

 

「なっ……!?だけどボールは此方に……何!」

 

霧隠の方へ跳ね返る筈のボールは、影野が取っていた。

 

「アイツ、さっきまで居なかった筈だぞ……!?」

 

良し……上手く機能してる………!

 

<ピンチを凌いだ雷門の反撃……おぉっーと!戦国伊賀島が雷門に翻弄され、今までと真逆の展開になっているぞ!>

 

「まただ、またヤツが虚空から現れた……!」

 

「どこだ、確実に居る筈なのに探しても見つからない!」

 

「消えた……我等を以てしても捉えきれんとは、なんという隠形だ。」

 

きっと戦国伊賀島には影野が消えて・現れてを繰り返している様に見えているのだろう。

 

染岡がゴールに向けてボールを蹴る

 

「いっけぇぇ!!」

 

「点はやらない……!」

 

「!?―――百地それはシュートじゃない!」

 

ボールの行く先に影野が居た事に気付いた様だがもう遅い、影野は豪炎寺へパスを出し

 

「『ファイアトルネード』!」

 

GKが向いていた真逆の方向から、繰り出された豪炎寺のシュートがゴールネットを揺らした。

 

 

誰が見ても明らかな劣勢に痺れを切らした霧隠が

 

「だったら、ボールを持ってる時をねらえば良い!

 

見当違いの場所にボールが行った所にいるんだろ!」

 

ボールを持った影野に接近する、が

 

「………『バニシング(消える)ドライブ』」

 

当然、その対策も考えてある。

 

「目の前から………消えた!?」

 

全く反応させぬまま影野が抜いて行く。

 

このままガンガン攻めて行きたいのは山々だが想定以上に対応が早い、事を重く見たアイツらはほぼ全員で守備を固めるという手段を取った。

 

守りの姿勢こそ取ってはいるが、偃月の陣を思わせる隊列を組んでいる、恐らくボールを奪った途端一気に突っ込んでくる算段だろう。

 

皆もそれを理解し、攻撃の手が慎重になっている。

 

本来なら積極的に攻めていただろうが、円堂の負傷、リードしている事もあって、無理に攻める必要はない。

 

「今度こそ!」

 

時間も残り僅か、霧隠が再び影野に近付きボールを奪おうとするが、先程同様バニシング(消える)ドライブで抜かれて……!アイツ……。

 

俺と目が合った霧隠は、焦りに焦っていた態度が嘘の様に静まり、冷静にコートを見回し、時折現れる影野と()()注視し………そして

 

「漸く分かったぞ、この技のカラクリが!」

 

三度目、影野に近付いた霧隠は、()()()()()()()()()()()

 

「どうした、さっきの技で抜いてみろ!……出来ないんだろう?

 

さっきから影野(お前)が消える度に天願(アイツ)が必ず視界に入っていた、つまり、お前は何らかの方法で俺達の視線を天願(ヤツ)へ誘導させ、消えた様に見せた……それがこの技の正体だ!」

 

そう言いつつ、影野からボールを奪う。

 

正解だ、本来のこの技術の使用者は、目の前に居ても気付けない程に影が薄かった、影野もまた影は薄いが、それには至らない為、これを再現させるには敵全員の注目を集める存在感の持ち主が、常に相手の視界に入り込む事が必要だった。

 

最初はその役目を豪炎寺にさせるつもりだったが、最初のドラゴントルネードが止められた時点で、豪炎寺の脅威が薄れてしまった。

 

天願(お前)が必殺技を連続で使ったのは、得点を決めるだけじゃない、お前1人に全員の意識を集中させる目的も有った、隠れ、隠すのに長ける俺達忍にその技で挑むのは間違いだったな!」

 

まるで、推理物で巡らせた策謀を暴かれる犯人の気分だ。

 

「タネが分かれば此方のものだ、逆転は無理でもPK戦に持ち込む……!」

 

ああ、予想以上だ……俺が予想した以上に()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!

 

「影野!」

 

「……分かっている、『ミスディレクション・オーバーフロー』……!」

 

「今更何をした所で仕掛けが分かった技には………!?

 

何故だ、何故天願(お前)が消えている!?」

 

「逆の事をしたんだよ、影野が俺に誘導した視線、これを俺から影野に寄せただけだ。

 

お前達忍なら見破るだろうと思って、切り札を残しただけの事だ!」

 

そして、霧隠が持っているボールを奪い返す。

 

「だが、お前の事は俺達全員がマークをしている、そうそうゴールは「何勘違いしてやがる。」……何?」

 

「そもそも雷門(ウチ)のストライカーは誰だったよ?」

 

そう言って、ハッとした表情の霧隠が視線を豪炎寺に向けた瞬間、()()()()()()()()

 

「なっ!?……クッソォ!このままじゃ、終わらせない!」

 

「ああ、勝負だ!」

 

風丸と霧隠が走りながらボールの奪い合いをし、一瞬の隙を突いて風丸が抜き去った、

 

「豪炎寺、行くぞ!」 「応!」

 

「させはしない!」

 

負けじと戦国伊賀島が総力を上げて妨害に行く。

 

「待てお前達!()()()()()()()()()()()!」

 

「霧隠?何をっ………!?」

 

風丸達を止めようとしたメンバーが地を走る炎に囲まれる。

 

「いやぁ、|今の呼び掛けがもう少し早かったらどうなったか……。

 

豪炎寺、風丸、気にせずシュートだ(やれ)

 

即ち此処は阿鼻叫喚・・・大炎熱地獄!『不滅の混沌旅団(イモータル・カオス・ブリゲイド)』!! 」

 

「「『炎の風見鶏』!!」」

 

俺の巻き起こした炎の渦の中から羽ばたき現れた3対の羽根を持つ炎鳥は、GKの抵抗をものともせずゴールに突き刺さった。

 

<試合終了ぉ―――!

 

一回戦を制したのは雷門中、互いに巧みな攻防を繰り広げたこの試合は、名勝負の系譜に刻まれる事間違いなしだぁ!>

 

 

試合が終わり、コートの至るところで各々の健闘を称え合っている。

 

そんな中、風丸と握手をしていた霧隠が俺の方へ向かって来て

 

「やられたぜ、忍の術を使ったあのシュートから考えてたが、最後のあの術で分かった……お前達は風魔の末裔だったんだな!」

 

いっけね、勘違いされてら。

 

「いや、それはだな――」

 

「隠す必要はない、思い返せば最初に使った2つの技、あれは風魔の総本山である足柄山にいた、雷神の子と謂われる坂田金時をモチーフにしたんだろう?

 

雷門という校名もそれが由来なんだな!?」

 

わぁ、この子凄い饒舌になったなぁ……仕方ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

'``・ 。

             `。

       ,。∩          もうどうにでもな~れ

      + (´・ω・`) 。+゚

      `。 ヽ、  つ ゚

       `・+。・' ゚⊃ +゚

       ☆   ∪~ 。゚

        `・+。・ ゚

 

「そうだ、良く分かったな、流石だ。」

 

「フッ……次勝負する時、勝つのは俺()だ!

 

お前達全員の忍術を暴いてみせる!」

 

そう言って立ち去って行った………よし、何も無かったな!

 

 

にしても、俺()……か、独り善がりなヤツだと思ったが、この試合で何か変わったのかね?

 

 

 

 

 

「なぁ天願、戦国伊賀島のやつらから、同志って言われたんだけど……。」

 

「俺、土遁使いって言われたっす!」

 

「あの……天願さん?雷門は風魔の末裔って情報が入ってくるんですけど……?」

 

 

 

………俺、知ーらね♪

 




主人公の必殺技を使った際のデメリット

主人公はスタミナの回復速度も凄まじく

全力のプレー≧スタミナ回復

となっており、どんなに激しいプレーでも、必殺技を使わない限り余程の事が無ければスタミナ切れにはなり得ない。

だが、必殺技を使うと使った技に応じた時間、自然回復がなくなる。

※ベンチ等で動きを止め、回復に努めている時は別だが、それをしても普段の半分の回復速度となる。

また、必殺技を連続で使うと、ただでさえ大きい消耗が回数に応じて大きくなっていく。

2回目の技が1.5倍、3回目で2倍といった具合。

勿論、スタミナが回復しない時間もどんどん加算されていく。


必殺技の連発は、基本的にデメリットしかない。
―――――――――――――――――――――――――――

黄金衝撃(ゴールデンスパーク)

引用「Fate」

使用者「坂田 金時」


空中へ飛び上がり、雷を纏わせた足を大きく振り上げ、全力の踵落としを叩き込む技。

今回はシュートブロックとして使ったが、シュート技・ボールを奪う技と、あらゆる場面で使える。

欠点は空中に飛び上がっている時にタメが発生する事。

―――――――――――――――――――――――――――
夜狼死九・黄金疾走(ゴールデンドライブ・グッドナイト)

引用「Fate」

使用者「坂田 金時」

ボールが2つに分裂、それをタイヤとしてバイクを創造する(RCシュートのイメージ)

そのバイクに跨がり、一気に駆け抜けるドリブル技。

走行距離に応じて、突破力が加速度的に向上していく、但し消耗も同様。

『瞬歩』は意表を突く技とするなら、こちらは真正面からぶつかっていく技。

技発動後の隙が少なく、直ぐ別の行動に移れる。

欠点は技発動までの時間が長い事と、その消耗具合。

―――――――――――――――――――――――――――

『風遁・螺旋手裏剣』

引用「NARUTO疾風伝」

使用者「うずまき ナルト」

3人の影分身を作り出し、ボールの四方を囲んだ後、蹴りでボールを中心に回転する風を生み出し、ボールに幾重にも纏わせ、乱回転・圧縮させていく。

分身が消えると同時にボールは浮かび上がり、巨大な手裏剣を象ったそれをオーバーヘッドで蹴り出す技。

技を出すのに時間が掛かり過ぎる点、多大な消耗が欠点だが、それを考慮しても過剰ともいえる圧倒的威力を誇る。

―――――――――――――――――――――――――――

不滅の混沌旅団(イモータル・カオス・ブリゲイド)

引用「Fate」

使用者「風魔 小太郎」

対象を地を走る炎で囲み、炎の渦を発生させてボールを奪う技、今回は足止めとして使った。

本来の仕様ではなく、FGOのエフェクト仕様。

『サンダーシクリオン』に似た欠点を持つが、これは1人技の分、範囲が狭くなり避けにくくなっている。

―――――――――――――――――――――――――――

『ミスディレクション』

バニシング(消える)ドライブ』

『ミスディレクション・オーバーフロー』

引用「黒子のバスケ」

使用者「黒子 テツヤ」

本来の使用者なら持ち前の影の薄さと視線誘導のテクニックで出来たが、影野単独では効果が薄くなる為、存在感のある誰かとペアにならなければ十全に使えない。

相方が必ず対象の視界に入らなければいけない。

オーバーフローはその逆を行うが、消せるのは相方となった人物のみ、但し、この技の特性上、単独でも試合を動かせる人物が消える事になる為、その脅威は大きい。

オーバーフローを使った相手には、もうこの技が使えなくなるというデメリットがあるが、このミスディレクション自体タネが分かるだけで効果が無くなるので、実質的にはデメリットにならない。


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第22話 新しい仲間、千羽山戦

1日(+昨晩)掛けて1話

……それで1万行かないとかウッソだろ、俺?

この休みで4話位イケるか?とか思ってました。

人の夢と書いて儚い、とは良くいったモノです。

「Fairly Tail」の作者の様な、早さが欲しい……!





この話を書いてる時、とあるごちうさの音MADを思い出しました。

トリビアって懐かしいなぁ……。


次の試合に向け俺達はイナビカリ修練場で特訓している、そろそろ帝国の初戦が終わる頃だ。

 

帝国の相手は例の世宇子だったよな……鬼道には念のため釘を差しておいたが……嫌な予感が拭いきれない。

 

そんな事を考えていると、音無が酷く焦った様子で修練場へ飛び込んで来た。

 

「て、帝国学園が……!」

 

音無は行き絶え絶えに伝えてくるその声には悲痛の感情が乗せられている。

 

それに気付かず、帝国が勝ったものと考えている円堂達を止め

 

「先ずは息を整えろ。

 

単刀直入に聞く………帝国は負けたのか。」

 

「何言ってんだ、アイツらが初戦で負けるハズ無ぇだろ。」

 

暗い顔をした音無は、やがて口を開き

 

「帝国は………10対0で、世宇子中に完敗しました……。」

 

それを聞いた途端、場が水を打ったように静まる。

 

「嘘だろ………?」

 

「10対0って、帝国が1点も取れないなんて……!」

 

「音無、どんな試合だったのか分かるか。」

 

「見た事も無い技が次々決まって……帝国は手も足も出なかったそうです。」

 

円堂がうわ言の様に

 

「……そんな訳ない、帝国と戦った俺達だからこそその強さは知ってる……!

 

鬼道だっているんだぞ!」

 

その発言に、音無はより一層顔を暗くする。

 

「お兄ちゃん、出なかったんです。

 

私達との試合で負担の大きい技を乱発して足を痛めたのと、ノーマークの学校だった事もあって、大事を取って控えに回ったんです。

 

そしたら相手が圧倒的で……!お兄ちゃんが出ようとした時には……。」

 

それを聞いて呆然としていた円堂は、取り乱した後に飛び出して行ってしまった。

 

世宇子……当たるなら決勝、つまりはラスボスだ。

 

そして、かつての帝国の様な圧倒的な勝利……影山の隠していたというプロジェクトZは世宇子と見ていいだろう。

 

しかし、鬼道がいなかったとはいえ、帝国相手にこの点差……もっと強くなる必要があるな。

 

 

 

 

 

 

 

「皆!次の俺達の対戦相手は千羽山中だ!」

 

「千羽山は山々に囲まれ、大自然に鍛えられた選手達が特徴です。」

 

「きっと自然に恵まれた環境なんすね~。」

 

「のんびりしてそう~。」

 

壁山と少林はそんなイメージを持ったみたいだが、大自然って聞いた時点で野生中が浮かんでくる。

 

校名から推察しようにも千羽山って何がモチーフなんだ?

 

「彼らは無限の壁と呼ばれる鉄壁のDFで未だ得点を許していません。」

 

「全国大会まで!?」

 

「シュート力が難点ですが、そのDFでここまで勝ち抜いてきたみたいです。」

 

戦績を見る限り、全て一点取っての勝ち逃げってスタイルか……強いシュートがあるなら一点じゃ終わらないだろうし、ここのシュートは『土だるま』の様な初見殺し系を警戒した方が良いか?

 

「わかった!その無限の壁とかいう鉄壁のDFを破れば良いんだな!」

 

「簡単に破れないからこその、鉄壁なんじゃ……?」

 

円堂の発言に皆呆れ顔だ。

 

「鉄壁って鉄の壁だろ?

 

なら此方はダイヤモンドの攻めをすれば良いんだよ!」

 

ダイヤモンドが鉄壁にぶつかっていくイメージが浮かぶが、衝撃に弱いダイヤが砕け散っていく光景が……ダイヤって、ハンマーで割れるのよ………。

 

「鉄壁の守りを崩せるまで攻め続ける、これがダイヤモンドの攻めだ!

 

そのために特訓だ!」

 

皆、一瞬は乗ったが、イメージが固まってないのか乗り切れていなかった。

 

 

そして練習を始めたは良いが……パスミス・タイミングが取れていない・合体技が不発と悪い部分が目立つ。

 

調子が悪い訳じゃない、寧ろ各々の動き自体は格段に良くなっている……注意深く観察してみると、全員の動きがうまく噛み合っていないようだ。

 

それもそうだ、イナビカリ修練場で個々の身体能力は大きく上がっている、それを勘定に入れず今まで通りの動きや力の入れ方をしていれば、連携が機能しないだろう。

 

そのことを説明するも、意識するとかえって難しくなった様でさっき以上に連携が酷くなっていく。

 

パスが通らないのはまだいい、いや良くないけど、しかしDFの強い千羽山相手に合体技が機能しないのは不味いな…。

 

 

休憩が終わり、響監督と夏美が隠れて話している所に行く。

 

「響監督、世宇子についてどう思いますか。」

 

「天願?練習はどうした、それに世宇子がどうかしたか?」

 

今俺が懸念している事の全てを話してしまおう。

 

どうせ1人で抱え込んでいたって何も変わらないし、響監督はあの時の刑事と関わりがあるから何か変わるかもしれん。

 

「帝国との試合の件で、選手達が立ち上がれない程の状況、あれが影山が支配していた頃の帝国の噂に似通っている様に感じて……影山はプロジェクトZという計画を残している、と聞きました。

 

もしかするとZとは、世宇子の事かと思いまして。」

 

それを聞いて、少し硬直したものの

 

「……考えて過ぎだろう、ヤツは警察に捕まった、仮に計画があったとしても何を出来る筈もない。

 

早く練習に戻れ、他の事に気を割いて千羽山のDFを破れるか?」

 

これは、俺がサッカーに集中出来る様に気をつかった対応だな……実際、俺の考えて過ぎかもしれないし、最終的には戦う事になるのだ。

 

なら目の前の相手に集中するべきか。

 

「そうですね……練習に戻ります、失礼しました。」

 

そう言って難しい顔をしている監督と夏美から離れた。

 

 

 

練習に戻ろうとすると、外に出ていく豪炎寺の姿が。

 

気になって後をつけると、豪炎寺の前に音無と鬼道が見える。

 

豪炎寺に声を掛け、共に二人で尾行、河川敷で止まった兄妹が話しこんでいる。

 

ん?……豪炎寺、お前何やって、えええええ!?!?

 

どんな発想に至ったのか、豪炎寺は鬼道へファイアトルネードを放った、お前風丸と同じ常識人ポジじゃねぇのかよ!?

 

全く見えない位置から飛んで来た筈の、不意の一撃を鬼道は見事に蹴り返してきた。

 

そこへ躊躇いなく近付いていく豪炎寺に俺も続く。

 

「豪炎寺先輩、天願さん!お兄ちゃんはスパイをしてた訳じゃないんです!」

 

「う、うん、それは分かってるが……」

 

「お兄ちゃん、か。」

 

豪炎寺は鬼道を連れて下へ降り、ボールの蹴り合いを始める。

 

「何がどうなってこうなったんだ……?」

 

「え?………あの、天願さん?」

 

アレか、「一流同士の戦いなら、拳を交えただけで互いの心の内がわかる」とかいうヤツのサッカー版なのだろうか。

 

……隣に居る音無が「当事者なのに状況を把握出来てないんですか?」と目で語ってくる……。

 

それを気にしない様にしていたら、再び豪炎寺がファイアトルネードを放った……それは鬼道を通り過ぎ、堤防へクレーターを作った、ボールも破裂している……ボールって壊れるんだな……。

 

アレを蹴る豪炎寺もだが、それを受け止める奴等も凄すぎない?

 

そして、あの威力を受け止め微動だにしないゴールと、破れないネット……サッカーが超次元ならゴールも超次元なのか。

 

豪炎寺の説得を受け、鬼道は立ち直ったみたいだ、そして円堂に背中を任せるというあの会話……成る程、此処から鬼道が仲間入りすんのか!

 

……それってルール上アリなの?

 

 

 

 

 

 

~試合当日~

 

 

「監督、なぜ試合を始めないんです!?」

 

響監督試合を始めない事に事情を知っている豪炎寺・夏美・音無に加え、何故か落ち着いている円堂以外の全員は困惑の声をあげている。

 

にしても後30秒、知ってるとはいえここまで落ち着いているその胆力には脱帽せざるを得ない、俺なんか知ってるのに皆と同じく動揺しっぱなしだぜ?

 

そしてついに雷門のユニフォームを着た鬼道がその姿を現す……やっぱりマントは着けるのか……。

 

当然、その姿に雷門(ウチ)だけでない、会場中が騒然とする。

 

ま、そうなるよなぁ…大変だったぜ、流石にパンフレットに載って無かったから、あの分厚い大会規則から例の一文を探し出すのは。

 

<ああ!有りました!

 

大会規定第64条第2項、プレイヤーは試合前に転入手続きを完了すれば、大会中でのチーム移籍が可能である!>

 

探しておいてなんだが、本当にあるとは思わんかった、ルールすらも超次元だったとは……。

 

「あのままでは引き下がれない、世宇子には必ずリベンジする!」

 

「鬼道!俺には分かってたぜ、お前が諦める筈無いってな!」

 

鬼道が入る代わりに宍戸が抜ける様だ……より勝利に近付く為とはいえ、今まで一緒に苦難を乗り越えてきた仲間が……これは辛いな。

 

<FF全国大会、2回戦第1試合は、鉄壁のDFで無失点を誇る千羽山中と、あの全国伊賀島中を脅威的な攻めで下した雷門中!

 

果たして鬼道を加えた雷門オフェンス陣は、千羽山のDFを崩す事が出来るのかぁーーー!

 

雷門ボールで試合開始!>

 

此方の攻撃で始まったが、タイミングが合っていない。

 

皆は注意、調節しているが、それもまた噛み合わない原因になってしまっている。

 

先程、鬼道に話をすると、どうやら響監督とこの件についての対策をしていると聞いた、しかしそれが機能する迄の間、守りも脆くなっている雷門の守備を固める為、俺は後ろに下がっておく。

 

いくら、千羽山のシュート力が弱いとはいえ、ここまでパスが通らない今、攻撃のチャンスを与え過ぎて防戦一方の状況で得点を許すのは時間の問題だからな。

 

<おおっと!アレは千羽山の必殺技『ラン・ボール・ラン』だぁ!>

 

「オラんとこの牛より遅いっぺぇ!」

 

そんな事を言いながら味方をかわしてどんどん上がってくる……お前んとこの牛、速過ぎね?闘牛か何かか?

 

土門の『キラースライド』をかわす為に『ラン・ボール・ラン』を解除したかと思えば、それはそのままゴールへ、ドリブル兼シュート技だったのか。

 

それは壁山が『ザ・ウォール』で弾くが、それは千羽山中へ渡り

 

「『シャインドライブ』!」

 

うおっ、眩しっ!なんてやってる場合じゃねぇな、さっきのといい、予想通り初見殺しのシュートが来たか。

 

円堂は目を瞑って対応出来そうにない、後ろに下がってて良かった。

 

シュートの軌道が分からず、狙いが読めない?だったら全体を守れば良い!

 

「『SISTEMA C.A.I.』」

 

俺の周囲に骨を模したパーツで構成された円環の中央に透明な障壁が張られているシールドが複数浮かび上がる。

 

それらでゴールを覆い尽くす様に展開させてシュートを止める。

 

さて、鬼道の方は……!あの自信に満ちた表情から察するに……ボールを鬼道に渡す。

 

さて、お手並み拝見といこうか……!

 

 

 

 

味方がパスをする直前、鬼道が指示を出す、それに従うとさっきまでのが嘘の様に鮮やかに繋がっていく、この僅かな時間で全員の身体能力を見切ったのか……!

 

あっという間にゴール前まで辿り着き、染岡がシュートを放つも止められてしまう、狙いは良かったんだが、あのGK結構動けるな。

 

 

 

 

試合が再開され、千羽山がボールを持ったマックスを3人で囲み、必殺技『かごめ かごめ』で奪われる、しかしその直後鬼道が奪い返し染岡へパス、ファイアトルネードを撃つが……

 

<出たぁーー!!未だ無失点を誇る千羽山の必殺技『無限の壁』!

 

そして前半終了、まだどちらも得点が無い以上、後半がどうなるか見物です!>

 

無限の壁ってのはDFの動きじゃなく3人で使うKP技だったのか、さぁて、どう攻略するかね?

 

「後半は染岡の1トップで行く。

 

それと天願、もう遠慮する必要は無い、存分に暴れてこい。」

 

やっぱ気付かれてたか。

 

「じゃ、遠慮なくそうさせて貰うぜ。」

 

「ちょっと待て、1トップで?」

 

「ああ、確かに無限の壁は脅威だが、あれは3人の連携技、なら誰か1人を引き剥がせば容易く崩れる。

 

染岡には4番のDFを5番から遠ざけて欲しい。」

 

「なあ、本当にそれで良いのかよ!豪炎寺を下げるなんて、そんなの俺達のサッカーじゃない!」

 

半田?

 

「分かってないな、良いか?ここはFF、多くの強豪が雌雄を決する全国大会、そしてお前達は今そのピッチに立っている。

 

もうお仲間サッカーなぞしてる場合じゃない、お前達は全国レベルなんだ!」

 

「鬼道、少し言い方キツイぜ。

 

その言い方だと帝国はお前の言うお仲間サッカーに負けたって事になるがそうじゃねぇだろ?

 

後、半田。俺達のサッカーってのはフォーメーションの変更位じゃ変わらねぇよ。」

 

「天願……じゃあお前の言う俺達のサッカーって……。」

 

んー、それ聞かれると弱いな。

 

「語っといて悪ぃが、上手く言葉に出来ねぇ。

 

だが、フォーメーションとかじゃない、目に見えない所にあるもんだ、そうだろ、円堂?」

 

一番()()を持っている円堂に聞くが……ピンときてねぇっぽいなぁ……しまった。

 

「あ、ああ!半田、やってみようぜ!」

 

 

 

後半が開始され、作戦通りに染岡が引き付けて、豪炎寺にシュートさせるが……アイツ中々速いな、あの距離をすぐ詰めやがった。

 

その後も何度かシュートを撃っているが、一向に破れそうにない。

 

アイツらPK戦に持ち込む気か?あの『シャインドライブ』の防ぎ方が分からん以上、そうされると困るな……。

 

うーん、なんかムズムズしてきた……ああいう絶対とかそんなワード聞くとどうにも破りたくなって仕方がない。

 

化身技なら破れるとは思ってやろうとしたんだが、化身を出そうとすると『かごめ かごめ』を使われてしまう……。

 

現にボールを持っている今、『かごめ かごめ』の面子が目を光らせている、これじゃ化身出すより先に阻止されるだろう……。

 

そういやアイツら、化身出そうとしなきゃ反応しないな……よし、アレやるか……!

 

右足に青白い光を纏わせ、腰を落として体を捻り、右足を左後ろに大きく寄せ、力を溜める。

 

「『月牙―――――――

 

力が溜まっていく程に青白い輝きが増し……全力で振るう!

 

――――――天衝』!!!」

 

三日月のような形をした巨大な斬撃が『無限の壁』にぶつかる、それは少しだが、確実に斬り込んでいき、やがて……

 

 

<―――――や、や、破ったぁぁぁーーー!!!

 

雷門中、あの『無限の壁』を破り、点をもぎ取ったぁぁぁ!!!>

 

 

よっしゃあ!爽快感パナイの!ウキウキ気分で自陣に戻って行くと、鬼道がすれ違い様に

 

「天を衝く、か。普段なら大それた名だと思ったかも知れんが、単独で『無限の壁』を崩すとは……相変わらず、お前は恐ろしい奴だよ。」

 

「そんな恐ろしい奴でも今じゃ味方だ。

 

知っての通り、まだまだ隠している技がある俺だが……お前は上手く使いこなせるか?」

 

「誰に物を言っている、お前の力も十全に活かしたゲームメイクをしてみせる……!」

 

「そうかい、なら楽しみにしてるさ。

 

あ、この試合中、月牙はもう全力(フルパワー)じゃ使えねぇからヨロシク♪」

 

うん、この技やっぱ使い辛ぇわ。一気にスタミナ持ってかれたよ。

 

そう告げて過ぎ去っていく。

 

「……は?

 

本当に、敵でも味方でも面倒な奴だよ、お前は。」

 

背後から、一瞬愕然とした様子が、その後苦笑と共にそう溢したのが聞こえた。

 

 

さて、仲間達の様子だが……あれ?

 

「天願さんが1点決めたし、後は守るだけでやんす!」

 

「無理に無限の壁を破る必要も無くなったしね。」

 

「これなら今まで通りで良かったんじゃないか?」

 

なんか士気が上がる所か下がってるんですけど……。

 

戦略的には正しいんだが、今までのコイツらならそんな消極的な方法なんてしない……やはり鬼道や宍戸の件が引っ掛かってんのか?

 

「お前ら、気ぃ抜き過ぎだ。

 

点を入れられたらどうすんだ、俺はもうさっきの威力じゃ撃てねぇぞ。」

 

「だからその為に全力で守るん「お前達!」キャプテン?」

 

「お前達はそんなサッカーで良いのかよ!?

 

どんな状況でも一生懸命ぶつかっていく、それが俺達のサッカーだ、そうだろ!」

 

「でも天願じゃなきゃ『無限の壁』は破れないし、他に必殺技なんて……。」

 

「必殺技ならある!

 

今なら、ハーフタイムの時に天願が言いたかった事が解る。

 

俺達の必殺技は、『炎の風見鶏』でも『イナズマ1号』でもない、俺達の本当の必殺技は、最後まで諦めない気持ちなんだ!

 

帝国・尾刈斗・野生中・御影専農・秋葉名戸・戦国伊賀島、どんな時も諦めなかったから此処まで来れたんだろ!

 

俺は『無限の壁』を破るのを諦めない、諦めたらそこで終わりなんだ!

 

そんなの俺達のサッカーじゃない!

 

俺達のサッカーは、絶対に最後まで諦めない事、だろ?

 

ならやろうぜ!俺達のサッカーを!!!」

 

円堂の鼓舞を受け、皆の士気がどんどん上がっていく。

 

俺が全然言葉に出来なかった事を完璧に言ってくれた、だが俺が言った所でこんな空気に出来るとは到底思えん、アイツだからこそ、なのだろう。

 

「凄ぇだろ?あれが円堂、俺達のキャプテンなんだ。」

 

背後にいる鬼道にそう声を掛ける。

 

「ああ、凄いな。

 

円堂と一緒に戦うという事、お前達の強さとはコレにあったんだな。

 

………よし!残り5分、全力で行くぞ!」

 

「「「応!!!」」」

 

<なんと雷門、1点リードしているにも関わらずGKである円堂も加った全力攻撃を始めたぞ!?>

 

FW・MF・DF・GKポジションに関係なく全員がゴールを狙っていく。

 

目まぐるしい程にパスとシュート入り乱れる中、俺にボールが回ってきた。

 

豪炎寺・円堂・鬼道をマークしているのは……よし!

 

再度、足へ青白い光を纏わせ、鬼道に合図を送る。

 

「あの光……さっきの!」

 

「絶対に止めるぞー!」

 

「天願…?もう全力では……!そういう事か、円堂!豪炎寺!」

 

あの3人をマークしていた奴等が、俺を囲んだのを確認して、光を纏う足で勢いよく地面を踏みつける!

 

「同じ技だからって一つの使い方しか無い訳じゃねぇんだぜ?『月牙天衝』!」

 

月牙が全方位へ拡がり、俺を囲んでいた3人が吹き飛んだのを見て、鬼道へパス

 

「「「いっけぇぇぇ!!!」」」

 

鬼道を起点に豪炎寺と円堂の3人で放ったシュートは『無限の壁』を撃ち破り……

 

<雷門中、またも『無限の壁』を破ったぁぁぁ!!

 

ここでホイッスル、無限の壁を破り、雷門2対0で勝利だぁ!!!>

 

半田とも和解出来て、本当にの意味で鬼道は雷門に認められた様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの鉄塔広場で練習をしていると……

 

「円堂、それに天願も?」

 

「やっぱりここに来てたか。」

 

 

 

「お前達、いつもあんなトレーニングやってたのか。」

 

「ああ、KP力をつけるにはこれが一番なんだ、それに今日だって天願が居なけりゃ決められてたかも知んない、もっともっと力つけなきゃな!」

 

「何が起きるか分からねぇし、それにこの練習も悪くはねぇからな。」

 

「程々にしておけよ、試合前に怪我でもしたら事だ。」

 

「大丈夫だって、爺ちゃんみたいなKPに成りたくって、いつもやってんだからさ!」

 

「天願は……お前はKPじゃないだろう。」

 

「俺は……円堂(コイツ)にサッカー勧められて、始めた場所が、練習がコレだったからな。」

 

「此処が……お前達の原点なのか。」

 

 

円堂と鬼道が暫く話合っている中

 

「お前がいきなり鬼道にシュートした時は驚いたよ。」

 

「ん?ああ、なんとなくあれが一番だと思ってな。」

 

「鬼道をここに連れて来たのは?」

 

「円堂と話をさせたら良い方向へ向かう、そう感じた。」

 

意外と世話焼きなのか……?あっちも話は終わりみたいだな。

 

 

 

「お前達、これから宜しく頼む。」

 

「ああ!こっちこそ!」 「頼りにさせてもらうぜ?」

 

 

鬼道(コイツ)が加わって、これからの戦いがどう変わっていくのか楽しみだ。




無限の壁を独りで破るのはやり過ぎたかな?

でも月牙ならイケる気がした。

私のダメな所は、好きな技は破らせまいという意識が働く事

しかも出してる技の多くは基本気に入ってるので、主人公の技は大体破れない………。

相手からすると出す技全てが、初見技なので攻略しにくいってのもあるんですけど……言い訳ですね、すいません。

―――――――――――――――――――――――――――
『SISTEMA C.A.I.』

引用「家庭教師ヒットマンREBORN!」

使用者「獄寺 隼人」

空中に浮遊する骨を模した黒いパーツで構成された輪の中央に透明な障壁が張られている盾を展開させる。

複数存在するため、別々に展開して広範囲を守る事も、重ねて1つにする事で、範囲を狭める代わりに防御力を向上する事も出来る。

―――――――――――――――――――――――――――
『月牙天衝』

引用「BLEACH」

使用者「黒崎 一護」

腰を落とした姿勢で後ろを向く様に体を捻り、右足を左後ろへ大きく寄せ、力を溜め、一気に振り抜く。

(下から居合の様に振り抜いた時のイメージ)

発動から足に青白い光が集っていき、力を溜める程にその輝きが増していく。

青白く輝く三日月を象った巨大な斬撃となってゴールへ突き進む。

化身技で無いにも関わらず、それに匹敵、或いは凌駕する威力を持つ。

但し、その姿勢・溜めの時間から妨害され易く、消耗も激しい為、そうそう使えないのが難点。

ボールが無い時でも、ブロック技として使える。

但し動作が遅いのでボールを持っている相手からは簡単に避けれるし、シュートにぶつけるにも間に合わない可能性が高い。



シュートせずに、地面を踏みつける事で、全方位の敵を吹き飛ばせる。

発動までの時間は短いがこれも消耗が激しいので、基本的に使った後はパスへ移行する。

(地面か何かに突き刺したまま月牙を撃った時のイメージです。
ゲームかアニメかは忘れました。)


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第23話 天駆けるペガサス、喧しい三兄弟

話数から考えて、世宇子戦迄まだある大丈夫とか考えてたらもう準決勝……円堂に使わせたい技があったのに油断しすぎた……。

強力なシュート技に使わせたかったんだけど、帝国戦過ぎてからのシュートって初見殺し系ばっかで強力なシュート誰も使って来ない……木戸川清修戦では別にやりたい事あるしで……。

それに、エイリア編で主人公どうするかまだ迷ってる……。

身体能力・必殺技からすると、エイリア側からは豪炎寺以上に危険な存在なんだけど、豪炎寺と一緒にした時のシナリオが全く浮かばないし……。

やっぱプロット位は作っとくべきだったなぁ……今更になって後悔。


今回アンチヘイト強めなので、嫌いな方はすみません。


次の試合へ向けて今日も練習だ。

次が準決勝、そこに勝てば世宇子か……。

 

鬼道が雷門に加わってから、俺はアイツに応用動作を教えてもらっている。

 

最近になって漸く円堂から基本から応用への移行を許可されたのだが、俺より上手く、且つ教導出来そうなのは豪炎寺だけだった。

 

豪炎寺も凄いプレイヤーなのだが、ストライカーとしての得点を決める方に寄っている技術は、数々のシュート技を持っている俺にはあまり必要ないと判断、ボールを取られない動き・技を使わないシュート技術を教えてもらっていた。

 

鬼道は俺なんかより断然上手く、技を使わずにボールを奪う・ドリブルで抜く術に長けている、それらを学んでモノにしていかなければ、必殺技頼りじゃ何処かで躓くだろう。

 

すると、私服姿の少年がコート外に出たボールをドリブルして入って来た……上手いな、アイツ。

 

そして、円堂と技をぶつけ合い――ゴッドハンドを押し込んだか、シュートの威力も凄そうだ。

 

にしても、練習中に乱入するのは最早様式美みたいなものなのだろうか?

 

話を聞くとアメリカから来たみたいだが

 

「聞いた事がある、将来アメリカ代表入りが確実だろうと評価されている、凄腕の日本人選手がいると。」

 

ほほぅ、でもそんなプレイヤーが何故此処に?

 

皆が話を聞こうと囲んでいると、木野と土門が戻って来たらしい、すると―――ヒュゥ!大胆だな。

 

木野にいきなり抱き付いた、アメリカならハグは良くある事って聞くけど………あ、知り合いなのね、此方に来た理由は再開する為、と。

 

暫く3人で話していたが、円堂の誘いに乗って練習に参加してきた。

 

しかし本当に上手い、何も出来ずに抜かれてしまった、鬼道とサシでやり合ってるが、互角以上か!

 

次に円堂とPK対決をやってるが、結構な威力があるにも関わらず狙いは正確だ、FWとしても動けそうだな。

 

ただ、それって何時まで続けるんですかね、練習……。

 

 

 

かれこれ一時間以上続けた後

 

「円堂、仲良くなった記念に一緒にやりたい事がある。

 

『トライペガサス』だ!」

 

『トライペガサス』?円堂は知ってるみたいだな。

 

へぇ、シュート技なのか………円堂が組み込まれるシュート技ってこれで何個目だ?

 

このタイミングで覚えるって事は、これから、特に次の試合で使うんだろうし……円堂の絡む技は強力な技ばかり……かといってゴールをがら空きにするのはいただけない。

 

いっその事、前線に送り込んだ方が良い気がしてきた。

 

 

 

それから何度も練習するが一向に完成しそうにない、惜しい所迄は行ってんだがなぁ……。

 

それにしても、ああいう技の出し方もアリ、か……ふむ、これは新しい必殺技を出すのに参考になるかもしれん。

 

アイツらの練習を見続けて時間潰す訳にもいかん、此方も必殺技の練習しておくか。

 

最近覚えたのが消耗激しいのばかりだから慣らすか、合体技にして負担減らす努力しねぇといけないんだよ。

 

 

 

その日の夜は皆で円堂の家に集まり、一之瀬からアメリカの話を聞かせてもらった。

 

アメリカね、確か名戸秋葉がFF優勝校にはアメリカ遠征があるとか言ってたっけ?

 

なら、今度は俺達がアメリカに行って、なんて事を話したら円堂も一之瀬も凄くはしゃいでいた、コイツら似てるなぁ。

 

 

 

 

一之瀬が俺達の練習に加わってから、遂に帰国の日が来てしまった、しかし『トライペガサス』は未だ未完成のままだ。

 

タイムリミットまであと僅か、ラスト一回のチャレンジとなった時、木野が目印付近に立つというアイデアを出して来た。

 

失敗時の吹き飛ばされ方から考えてその位置はかなり危険なんだが、過去に完成させた時も全く同じ状況だったらしい。

 

立ったな、(成功)フラグが。

 

念のために、皆で対策をしていたが………上手くいったな、イナズマブレイクに勝るとも劣らない素晴らしいシュートだった。

 

「円堂、君たちに会えて本当に良かったよ!」

 

そう言って一之瀬は帰って行った。

 

 

 

 

夕暮れ時、飛行機が飛ぶ空を見上げて

 

「あの飛行機かな……一之瀬!また一緒にサッカーやろうぜ!」

 

一之瀬が帰るんじゃ、あの技って御蔵入りだよな、誰かが代わりにや「うん、やろう!」………はい?

 

 

「あんなに胸がワクワクしたのは初めてだ、だから帰るに帰れない!

 

もう少しここで、一つの事に熱く燃える円堂達とサッカーがしたいんだ!」

 

「雷門に来てくれるのか!?」 「うん、宜しく!」

 

「「「此方こそ、ヨロシク!!!」」」

 

心強くはあるんだけど、そんなドタキャンで向こうのチームや、此方での滞在費とかは大丈夫なんだろうか……。

 

 

 

「皆さーん!」

 

音無?

 

「次の対戦相手が決まりました、準決勝の相手は……木戸川清修です。」

 

木戸川清修……豪炎寺が居た所か。

 

 

 

 

 

「うーん、よりによって木戸川清修が準決勝の相手か。」

 

「豪炎寺が居たとはいえ、去年もそこまで勝ち上がって来たのは伊達じゃない、か。」

 

「もし、俺が転校して雷門と戦うってなったら……考えるだけでも嫌になるな。」

 

「何処が相手だろうが関係ない、サッカーはサッカーだ。」

 

「それもそうだな、よし!練習だ!」

 

 

一之瀬が練習に加わったがあのボールコントロールは凄まじいな、昨日まではシュートや突破力にしか目がいかなかったが、あれが連携に加わるのは本当に頼もしい。

 

豪炎寺の方は……若干の迷いはあったみたいだが、プレーには影響してない様だし大丈夫か、その辺の気持ちの切り替えが出来てる点、雷門の面子と比べてメンタルが強いな。

 

練習の帰りに

 

「円堂は守備の確認を徹底してくれ、相手はオフェンス重視のプレーをしてくる、となると此方の攻撃はカウンター主体で組み込んだ方が良い、か。

 

天願は下がってシュート妨害や反撃の用意を、豪炎寺は攻守の切り替えのタイミングに注意してくれ。」

 

「了解、任せておけよ。」

 

「ああ………。」

 

サッカーから離れるとコレって、プレーの時との落差凄いな。

 

そんな豪炎寺の姿を見て、円堂が

 

「よーし、作戦会議は休憩だ、来いよ!」

 

そう言って走ってく円堂に続くと

 

「うっわ、懐かしいな!今日誘ったのはコレか?」

 

「「駄菓子屋……。」」

 

「なんだ、豪炎寺と鬼道は来たこと無かったのか?

 

天願はあまり来れてないと思って久しぶりにな!」

 

雷々軒もそうだが、こういう場所に限って悉く家と反対の方向にあるからな……今日も円堂に誘われなけりゃ一緒に帰って無かった。

 

どれにするか……。

 

「おや、サッカー少年いらっしゃい!

 

そっちの子は久しぶりだね。」

 

前に来てから結構経つが覚えてくれてたのか……。

 

「どうも、お久しぶりです。」

 

さて、どれにしようか「どけよ。」……あ?

 

子供達の前に割り込んでいる連中が居た、こういう輩は何処に行ってもいるもんだな。

 

「3対2で俺達の勝ち、みたいな?」

 

「人数の問題じゃないだろ!」

 

「頭大丈夫かよ、人数にしても3対5だろうが。」

 

「小学生は頭数に入れてないですし?」

 

「俺達は常に三位一体なんだよ!」

 

最後の奴は何が言いたいんだ?

 

「三位一体ならお前ら3人で1人扱い、2対1になるぞ。」

 

言い返すも、コイツら人の話を聞く性質じゃねぇな、面倒くせぇ。

 

「ん?……豪炎寺!」

 

「久しぶりだな、決勝戦から逃げたツンツン君。」

 

「誰?知り合いか?」

 

円堂が聞くと……あ、これガチでダルい奴だ。

 

「俺達は!」

 

「武方勝!」「友!」「努!」「「「3人合わせて!」」」

 

「「「武方3kイタタタタタ!!!」」」

 

両手を大きく広げようとした下二人をアイアンクロー、真ん中の奴を二人の頭で挟んで屋外へ引き摺り出してから解放する。

 

「店の中で暴れんな、棚が倒れたらどう責任取んだ、外でやれ。

 

悪ぃおばちゃん、迷惑掛けちまったみたいでゴメンな。」

 

全く、あのおばちゃんも高齢なんだ、お前らの行為で腰抜かしたらどうすんだよ。

 

「そいつらは去年、豪炎寺の代わりに決勝に出場した、木戸川清修の3トップだ。」

 

鬼道は、頭を抑えて蹲る3人に哀れな物を見る目を向けながら解説する。

 

「さ、流石は鬼道 有人、有力選手の名前は全てインプットされてるみたいじゃん。

 

クソ、アイツ握力ゴリラかよ、まだ痛いじゃん!?」

 

店の迷惑を避ける為とはいえ俺から攻撃したのは事実、ゴリラ呼ばわりは嫌だが、甘んじて受けておこう。

 

鬼道はフッ、と鼻で笑って

 

「三つ子のFWが珍しくて覚えていたに過ぎない。」

 

その言い方から察するに、本当にそれ以外特筆する事は無さそうだ。

 

「なんだ三つ子で終わりかよ、つまらん。

 

十一つ子の大江戸アンビバレンツ見て出直して来い。」

 

「そんなチーム聞いた事ないんですが!?」

 

「というかだ、お前らの事・活躍なんて知らんし興味も無い、言いたい事があるなら兎も角、お前らの凄さって奴を証明したいんなら試合でやれよ。」

 

こういう手合は此方の話はろくに聞かんくせに、自分は語りまくる奴が多い、嫌な奴ら(狂信者)を思い出して苛々してきた。

 

「言いたい事ならある!」

 

「準決勝の相手が雷門中じゃん?」

 

「だから、ご挨拶として宣言しに来たんですよ。」

 

「「「俺達が豪炎寺 修也を叩き潰すとな!!!」」」

 

コイツら、雷門の挨拶なんて言ってるが豪炎寺しか見てねぇのな、サッカーは1人で勝敗が決まらねぇってのが分かってないとは……こりゃ危険には成り得ないな。

 

「言いたい事は言ったな?じゃ、行くぞお前ら。」

 

既にそうなんだが、これ以上は時間の無駄だ。

 

「どういう事だ、なんでお前達は!」

 

あ、円堂を止めるの忘れてた、コイツなら当然食い付くよなぁ……。

 

「豪炎寺 修也を叩き潰し、僕達の恨みを晴らしたい…。」

 

「それは……」 「それは……」

 

「「「豪炎寺が知っているから聞いてみて!」」」

 

「分かった分かった、後で聞いとくからそれで良いな?」

 

「「「おい!?」」」

 

「いちいちハモるんじゃねぇよ、五月蝿ぇな。

 

大方、去年の決勝で豪炎寺が居なかったから負けた~とかそんなんだろ?在り来たり過ぎて言わんでも分かる。

 

一つだけ言っとく、その試合で負けてしまえば、豪炎寺が居たとしてもお前らは豪炎寺を責めるぞ。

 

"なんで勝てなかったんだ"そんな風に文言を変えてな。」

 

「は、はぁ!?んな訳無――」

 

「テメェらみたいな連中は見飽きてんだよ、どんな思考をするか大体読める程には。

 

そもそも、決勝戦なんて大事な戦いに居なかったなら、まず第一に何があったかを心配するだろうが、豪炎寺が出れなかった理由をお前らは聞いたのかよ?

 

つーか、豪炎寺が抜けたから負けた?恥ずかしく無ぇのか、俺だったら勝てなかった事を謝るがな。」

 

「う、うるせぇ!お前に俺達の何が――」

 

「分かりたくもねぇよ。

 

一緒にプレーしてきた仲間の事を信じられない奴の気持ちなんざ。」

 

「……チッ、折角挨拶に来たんだし、偵察だ。

 

今の豪炎寺君の力を見てみたいな~、みたいな!」

 

これでも説得のつもりで色々言ったんだが、態度は変えない、か……。

 

「悪いが、その気はない。」

 

「おやぁ、また逃げるつもりですかぁ?」

 

「やっぱりお前はぁ……臆病者の卑怯者だぁ!」

 

武方勝が背を向けている豪炎寺に向かってボールを蹴る。

 

「背中を向けた奴にボールを蹴り出す……アンタの方が余程卑怯者に見えるがね。」

 

「クッソォ……もう我慢ならない!

 

お前達の偵察、俺が代わりに受けて立ってやる!」

 

「何言ってんの?」

 

「チョ~意味分かんないんですけど、みたいな。」

 

「分かんねぇならそれで良い、さっさと帰れ。

 

豪炎寺が受けないと言った以上、此方はお前らの偵察に付き合う義理なんざ無い。」

 

本来ならこの偵察を受ける必要もないのだから。

 

「さっきからお前、マジムカつくんですけど、みたいな。」

 

それは此方の台詞でもあるんだが。

 

「此は互いに5分の偵察だ、何故なら、此方はGK力・そっちはFW力を見せ合うんだからな。」

 

「卑怯者の豪炎寺君と違って、俺達は逃げも隠れもしない、みたいな。」

 

「よし、ついて来い!」

 

 

 

河川敷に着いて――

 

「これはまた、面白くなってきましたね。」

 

「偵察っていうか、決闘って感じ?」

 

「「「俺達武方三兄弟の力、見せつけてやりましょうか!」」」

 

3人でゴールへ走って……あ?あの2人なんでボールを……おいおい、卑怯者はどっちだよ。

 

「これは!?」 「ファイアトルネード!?」

 

「いや、回転が逆だ!」

 

「これがファイアトルネードを超える俺達の必殺技!

 

『バックトルネード』!」

 

 

俺は円堂の前に素早く降り立ち

 

「天願!?」

 

「悪いな円堂。

 

あっちはまともにやる気が無いらしい、だったら此方も真面目に付き合う必要はねぇだろ。

 

ブレングリード流血闘術117式『絶対不破血十字盾(クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ)』!」

 

ゴール前に血の様に赤い巨大な十字型の盾が顕れ、飛んで来る3つのボールを弾き返す。

 

「ボールを3つも使って撃ったのに、GKでもない奴に止められて、どんな気持ちだ?」

 

「テメェ!勝手に乱入しといて何言ってんだ!」

 

「1度に3本同時に撃ってくるなんて、お前らの方こそ何考えてんだ!」

 

「落ち着けよ円堂、今のショボいシュートでアイツらの程度は知れた。

 

卑怯な事でもしなけりゃゴールを奪えない雑魚に構ってやる程、俺達も暇じゃねぇ。」

 

「何だと……!?」

 

「この野郎……止めたからって調子に乗りやがって!」

 

「絶対許せねぇ、みたいな!」

 

そんな一触即発の状況で

 

「やめろーーー!!!」

 

風丸が何人か連れて走って来た、どうしたんだ?

 

「円堂、喧嘩は不味いぞ!」

 

「……え?喧嘩って何の事?」

 

「決闘だって聞いて来たけど。」「誰がそんな事を?」

 

あー、もしかしてあれを誰かが見てたのか?

 

あの時は苛ついてたのもあって、周囲の気配に鈍かったから気付けなかったな。

 

「サッカーの勝負だよ、サッカーの。」

 

誤解が解けた様で何より、にしても夏美まで来てたとはな。

 

「ギャラリーも増えて来た事だしぃ」

 

「俺達の必殺技を見せてやりたい所だが……おい、そこのお前!」

 

アイツらの視線の先……俺か?

 

「ああ?何だよ。」

 

「バックトルネードを止めたからって良い気になるなよ!

 

このシュート、お前が受けろ!」

 

何を言い出すかと思えば……

 

「GKじゃない俺にシュートが止められたら、お前らがかく恥が酷くなるぞ。」

 

「この必殺シュートが止められるなんて、有り得ないんですけど、みたいな。」

 

「それとも怖くなって逃げるのか?」

 

その自信は一体何処から来るのだろう。

 

「お前ら、今度は天願まで……!

 

天願、アイツらのシュートを止めてやれ!」

 

仲間から言われてしまえば、流石に逃げらんねぇしな…。

 

「分かったよ。ほら、さっさと撃って来い。」

 

ポケットに手を入れたまま挑発する。

 

「何処までも舐めやがって……!」

 

「「「見せてやる!これが武方3兄弟最強の必殺技だぁぁぁ!!!」」」

 

やっぱ3人の合体技か……。

 

「「「『トライアングルZ』!!!」」」

シュートの軌道は俺の真正面、動く必要はないとなると……こいつを使うか。

 

「ん?……彼の後ろに出て来たあのバッタみたいな奴は何なんだ?」

 

「あれは天願の使う化身っていう力だ、でもアレは初めて見るな、マントみたいに纏ったけど……。

 

……おい、なんで天願は動かないんだ。」

 

「どうしたんだ天願?動け!」

 

「ハッ!ビビって身動き一つ取れねーみたいじゃん!」

 

違うな、動けないんじゃない。

 

この技は()()()()()()()なんだよ。

 

顔面にシュートが直撃するが、それは俺の身体を一切揺らす事なく――――止めた。

 

目の前の事実が信じられない様に、呆然としていたが

 

「は……!?嘘、だろ?」

 

「こんな事、絶対に有り得ない………みたいな。」

 

「お前、一体何をしやがった!!」

 

「俺の化身【20th Century BOY(トウェンティース・センチュリー・ボーイ)】……動けないが、どんなシュートも効かねーよ。」

 

「そんな技まで……!」

 

「凄いな彼は、まるでビックリ箱だ!あんなものは見た事がない!」

 

「クソクソクソクッソォ!!!

 

こんなの何かの間違いだ!おいお前!試合じゃ絶対にぶっ飛ばしてやる!」

 

試合じゃって……俺GKじゃねぇんだけど。

 

すると堤防から

 

「お前達、一体何をやっている!

 

サッカー選手ならば、試合で正々堂々と戦え!

 

先に帰って反省してろ。」

 

「「「分かりました………。」」」

 

そう言いながら、此方へ走ってくる人が……あの人の姿が見えた途端、急にアイツらの態度が変わったな。

 

「君達もそれで良いな?」 「「はい、すみません」」

 

「二階堂監督!」

 

豪炎寺がそう呼ぶってことは木戸川清修の監督か、あの3人と違って豪炎寺がサッカーしてるのを嬉しそうにしてるって事は……事情も知ってそうだな。

 

その後、西垣という少年が一之瀬達と感動の再開を果たした様だが……俺には関係ないし、これは別にいいか。

 

 

 

 

 

「で、どうするんだ?」

 

帰りに鬼道がそう聞いてくるが……

 

「どうするって何の事だ?」

 

「お前が今回GKをやるのかどうか、という事だ。」

 

「何言ってんだ……?そんなもん聞くまでも無いだろ。」

 

「円堂、トライアングルZを見てどう思った?

 

あの技を止められるか。」

 

「……正直分からない

 

あんな威力のシュートだとは思わなかった。」

 

ここまで弱気になった円堂は見た事がないな……。

 

「ああ、まさかあれ程のものとはな……そこでだ、止められる事が分かった天願をGKにして、円堂を攻撃に回すのはどうだ?」

 

いや、確かに俺もそれを考えなかった訳じゃないが……

 

「そうか……!それなら円堂が攻撃に参加した時、ゴールががら空きになるというデメリットがなくなる!」

 

豪炎寺も納得してるし……大丈夫なのか?

 

別にGKが嫌な訳じゃないが、ここは円堂が挫折して、立ち直って新たな力を手にする、といった展開だった場合、俺がやるのは非常に不味い……。

 

悩んでも仕方ない……円堂に決めてもらおう。

 

「円堂、お前の決定に従う。

 

GKをやるのなら俺が2人を説得する、試合に勝つ為とかは抜きにして、お前がやりたいと思った方を素直に言ってくれ。」

 

「俺は―――――――うん、決めた。

 

天願、次の試合ゴールを頼めるか。」

 

「―――――分かった。

 

なら俺の分も得点して来いよ!」

 

 

俺としては円堂が不在の時の代役位にしか考えて無かったんだが……まさか円堂がいる時にやる事になるとはな。

 

頼まれたんだ、何がなんでも守ってやるさ。




かなり無理矢理感ありますが、木戸川清修戦では主人公にGKをして貰います。

エイリア戦でもGKやる予定があるのですが、そこで突然やると仲間の方から困惑されるし、やるならここかな?と思いました。

丁度トライペガサスも覚えて、この頃はイナズマブレイクにイナズマ1号落としと、染岡よりシュート技豊富かつ全部が強力だから、主人公の抜けた穴は円堂に埋めて貰えますし。


一応補足

主人公と一之瀬の差ですが、最初乱入してきた時にかわされた皆の様に、一之瀬が簡単に抜ける位には差があります。

必殺技使わない主人公はまだそんなもんです。

―――――――――――――――――――――――――――
ブレングリード流血闘術117式
絶対不破血十字盾(クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ)

引用「血界戦線」

使用者「クラウス・V・ラインヘルツ」

地面を殴り付け、そこから血の様な赤色をした巨大な十字盾を生成する。

ブロック技にしようかと思ったけど、パワーシールドやイジゲン・ザ・ハンドと挙動が似ている為、GK技にしました。


―――――――――――――――――――――――――――
化身

20th Century BOY(トウェンティース・センチュリー・ボーイ)

引用「ジョジョの奇妙な冒険」

使用者「マジェント・マジェント」

バッタの様な姿をしていて、マントの様に身に纏う事で効果を発動する。
化身アームドではない。

効果発動中はどんなシュートだろうと止めてしまう、とてつもない防御力を発揮するが、その間は一切動く事が出来ない。

その為使う状況を選び、今回の様に真正面から来るのが確定して、何処に当たるかも予測している時でないと使えない。

例えば、身体に当たっても際どい位置の場合、軌道を変えるだけでゴールに入りかねない。

また、動けるまで時間が掛かる為、シュートを止めてもボールを取るのに時間が掛かってしまうので、ゴール付近に敵がいる時に使えばその隙を突かれてしまう。

実戦的な技ではない。


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第24話 木戸川清修戦

仕事ヤベエよおおお!!!

自由時間削るどころか睡眠時間削って……執筆時間取れなくても週に一回は投稿したかった……。


お陰で展開とか誤字とか酷いかも

後で修正めっちゃ入れるだろうな……

来週投稿出来るかなぁ?

因みに主人公は円堂が一時期GKじゃないポジションにつくこと(そこから立向の存在)は覚えていますが、何処のポジションにつく、とかは覚えてなかったりする。


「「「えええぇぇぇ!?」」」

 

皆の驚きの声が響き渡る、やっぱこうなるよねぇ……。

 

「ど、どういう事っすか!キャプテンがGKじゃないって!」

 

「しかも代わりが天願って、どういう風の吹き回しだ?」

 

「天願が円堂と一緒にGK練習したり、シュート練習の時、GKやってるのは知ってるけど、大丈夫なのか?」

 

「まあまあ、お前ら落ち着けって!」

 

円堂が場を鎮めようと頑張っているが、効果は薄そうだ。

 

「安心しろ、今回こうした方が良いと判断しただけで、これから続けていく訳じゃない。」

 

「勝算があってのポジション替えだ、急遽伝える事になったのは謝る。」

 

豪炎寺と鬼道の2人も加わると、徐々に冷静さを取り戻していった。

 

「あの……そもそも何でそんな事になったんですか?」

 

困惑から抜け出せない皆に代わって、思案顔の音無が聞いてくると

 

「まさか、昨日の決闘が原因で!?」

 

宍戸が思わずといった感じで声を上げる。

 

「決闘?おい、それどういう事だ!」

 

決闘という言葉に反応した染岡が問い詰めてきた、隠す程のものではないし、包み隠さず話しておく。

 

 

 

「そうか……そんな事が。

で、実際の所はどうなんだよ?勝算があるって言ってたからには、その3兄弟の発言に乗った訳じゃないんだろ。」

 

話を聞いて落ち着いた皆を代表し、染岡が聞いてくる。

 

「天願をGKにする理由は2つある。

1つは昨日の件で奴らの『トライアングルZ』を天願なら確実に止めれるのが分かった事。

もう一つは、円堂の攻撃技だ。」

 

「キャプテンの攻撃技……でやんすか?」

 

「ああ、現時点で円堂が絡んだ必殺技はどれもが強力で『無限の壁』の様な強固な守備を持つ相手には決定打と成り得るが、『イナズマ落とし(壁山)』『炎の風見鶏(風丸)』『トライペガサス(土門)』とシュート技持ちのDFも多い現状で更にGKの円堂ゴールを離れるリスクは計り知れない。」

 

「確かに、あれって結構危ないんだよな……天願が抜けた分の攻撃力を円堂が攻撃に加わる事でカバー、天願の守備力はこれまでのシュートブロックから十分信頼出来る。

 

うん、良いんじゃないか?」

 

風丸が今までの試合を思い返して賛同の意を示す、すると土門が

 

「なぁ、これって円堂のポジションは何処になんの?

やっぱ天願のやってた所なのか?」

 

「いや、円堂にはリベロをやって貰う。」

 

「リ、リベロ?」

 

皆聞き慣れない言葉に疑問顔だ、俺も聞くまで知らなかった……というか実は俺にピッタリのポジションだろそれ、とすら思った。

 

「リベロっつーのはイタリア語で「自由な」って意味の言葉だ。

ポジション関係なく「自由な」動きで機を見て攻撃にも参加する守備的プレーヤー、攻撃的DFとでも考えてくれ。

そんで俺が居た所は風丸、宜しく!」 「えっ?」

 

「そういえば円堂って天願に全ポジションの動きを一通り教えてたからある程度は出来るのか。」

 

「いやいや、知ってる動き方教えただけで、実際に動ける訳じゃないぞ!?

それにDF様の技だって持ってないし!」

 

「分かってるよ、んな事ぁ。

ただ動き方(それ)知ってるかどうかで結構変わるもんだから確認だ。

つーか技って……ゴッドハンドじゃ駄目なのか?」

 

「「「………はあ?」」」

 

ヤベ、円堂に返した発言の後、全員が「まーた変な事言ってる」って目で見てくる。

 

「あー悪い、言葉が足りんかった。

俺が言いたかったのはな、ゴッドハンドを応用させてシュート技やブロック技に変化させれねぇか、って事だ。

俺が前に使った月牙天衝みたいにな。」

 

「……成る程、そういう手もあるのか!

お前って必殺技関連になると本当に頼もしいな!」

 

えっ……これ誉められてんの?

円堂って無意識に毒吐くキャラだったっけ?

 

「よーし皆、特訓だー!」 「「「おお!」」」

 

そして皆を引き連れて特訓しに行った、よし、俺も―――

「自分の弱点は治しておけよ。」――鬼道?

 

 

 

 

鬼道side

 

「俺の弱点……ああ、消耗の事か。

MFの時みたいに動き回る訳じゃねぇから大丈夫だ。」

 

「そっちじゃない……まさか気付いていないのか?」

 

「消耗じゃない?なら、技術の方か?」

 

「自覚が無かったのか……。

天願、お前の弱点はな必殺技に弱い事だ。」

 

「必殺技に……弱い? 悪い、意味が分からん。」

 

「お前は必殺技使わずに技を受ける時、身体能力を十全に使えなくなっている。

初めて戦った時、それ以降の試合でもお前の力ならば止められた技、技を使わずとも決められた場面があった。」

 

宍戸のグレネードショット、寺門の百烈ショット、円堂の熱血パンチ等ならば、止める・打ち破るだけのスペックがあるにも関わらず出来なかった。

 

「相手は攻撃重視のチームだ、あのシュートを止めれるだけの技があっても回復が追い付かないペースで撃たれたら意味がない。

もし技に対する苦手意識やトラウマがあるなら、これを機に克服しておけ。」

 

「………分かった。」

 

Side end

 

 

 

 

 

 

俺の弱点か……必殺技には必殺技で、って考えがいつしか固定概念と化していたのだろう。

 

…………これ、どうやって克服しようか……。

 

 

 

 

 

~試合当日~

 

コートに向かう途中

 

「豪炎寺……!」

「今回は逃げなかった様ですね。」

 

ゲッ……コイツらとは出会したく無かった…。

 

「正々堂々と戦う、ただそれだけだ。」

「ま、精々楽しませてくれよ、みたいな。」

「この一年でお前の力が鈍ってなければ良いけどな。」

 

「それと、そこのお前!

前回みたいに止められると思うなよ、みたいな!」

「ハッ!テメェらなんぞに一点もやらねぇよ…………む、む、無髪(むかみ)三兄弟。」

「「「武方だ!」」」

 

だってお前らの薄毛にどうしても目がいくんだもん……。

 

 

 

コートへ到着し、ポジションに着くと

 

<昨年逃した優勝のためにも負けられない木戸川清修、そして40年ぶりの決勝進出が掛かった雷門中………な、なんと!?

今までの試合で多彩な活躍を魅せた天願選手がGKに、そして雷門のゴールを守ってきた円堂選手はDFへ、風丸選手と新しく入った一之瀬選手がMFと大きな変化が!?>

 

実況だけでなく会場中からも驚きの声が聞こえてくる。

 

<これはどんな試合になるか予想がつきません。

さあ、キックオフだ!>

 

試合開始と同時にあの三兄弟が一気に攻め込んでくる、個々の技術、連携が上手くあっという間にゴール前まで……言うだけの事はある、か。

 

「『バックトルネード』!」

 

前回見た時より威力上がってる、あっちもあの日は本気じゃ無かったらしいな。

鬼道の方を見ると――首を振っている、これ位なら止めてみせろという訳か。

あの後、対策として必殺技を受け止める練習をしたが物に出来なかった、しかし俺は必殺技の時は全力を出せているらしい。

そこで思い付いたのが、ただ全力を出すだけの必殺技だ。

 

「必殺マジシリーズ『マジ殴り』!」

 

本家の威力には到底及ばないが、無意識下で掛けているリミッター位は外せんだろ……!

 

「ちょ、嘘だろ、みたいな!?」

 

<おおっと天願選手、武方選手の必殺技に対し技を使わずに弾き返したぁーーー!

そしてボールを受け取った円堂選手が切り込んでいく!>

 

土門・一之瀬も一緒に上がっている、いきなり飛ばすなぁ。

 

「「「『トライペガサス』!!!」」」

 

三人のシュートに相手のGKはビビり、技を出す事もなく吹き飛ばした。

 

<円堂がGKからDFになったのはこれが理由か!?

鮮やかなカウンターから凄まじい威力のシュートで雷門中が先制点を取ったーー!>

 

 

 

「クソッ!さっさと点を取り返さなければ!」

 

焦りつつもさっきと同じように駆け上がってくる、あの性格さえ無ければ尊敬できる選手なんだよなぁ……。

 

「俺達のバックトルネードが、豪炎寺を超えると言った理由を見せてやる!」

 

ん?2人同時に跳んだ?

 

「「『バックトルネードMS(ムカタ・スペシャル)』!!」」

 

へぇ、ファイアトルネードにはこんな可能性が―――円堂?

 

「ここは通さない!『ゴッドヘッド』!」

 

円堂の頭上にゴッドハンドと同じ掌型のオーラが出現すると、握りしめて拳の形になったそれがバックトルネードMSを迎撃、受け止めた。

 

「円堂、お前それって――」

 

「ああ!お前のアドバイスを元に完成させたんだ!」

 

円堂はすかさずボールを前へ出し、先程同様トライペガサスの構えへ……っておいおい、流石に同じ技の連発は警戒され

「―――――『スピニングカット』!」

 

不発に終わる。『トライペガサス』を知っている西垣に対策を取られているな。

 

しかしボールは鬼道が取っている、あの動きはこうなる事を予測し「『暴王の(メルゼズ)――――」

 

ん!?その距離じゃ届かな―――

 

流星(ランス)V2』!」

 

 

<入ったーー!雷門中との試合で見せた鬼道選手の進化した技が炸裂ぅーー!>

 

いつ間に技の進化を…………V2の響きカッコいいなぁ!

 

「俺達が押されてる……!?有り得ねぇ……。」

 

「ここから巻き返してやる、みたいな!」

 

キックオフ後、同じように攻めて来るが

 

「そう何度も通させはしない『二の型《疾風》』!」

 

風丸が恐るべきスピードですれ違い様にボールを奪い、突然の事態に呆然とした武方らを風の刃で吹き飛ばし反撃すらさせない。

 

持ち味のスピードを生かして上がっていくと

「炎の風見鶏です!豪炎寺をマークしなさい!」

武方の1人が注意を促してくる。

 

「やれやれ、やっぱり炎の風見鶏(それ)だけだと思われてるんだな。」

 

豪炎寺に厳重なマークが付き、風丸はフリーな状況に苦笑しつつ立ち止まったのも一瞬、すぐにゴール目掛けて駆け抜ける。

 

「取り敢えず、後一点貰うよ。『風の傷』!」

 

力を溜めながら身体を1回転させ、その勢いを乗せて水平に踵で蹴り出すと、強烈な風の衝撃波がゴール目掛けて突き進み―――

 

<ゴーーーール!!!

カウンターからの怒涛の猛攻、更に風丸選手の新必殺技が決まり差を広げたぁ!

先程の円堂選手といい、新しい必殺技とポジションによるものか雷門の攻撃力が大きく増しているぞ!!!

 

ここで前半終了だぁー!>

 

風丸は炎の風見鶏1つじゃボール持って上がっても警戒されにくいからな、意表を突く為に黒歴史開帳した訳だが……予想してたけど、さっきの『疾風』といい『風の傷』といい、俺が使うより強いんだけど……。

 

「このまま行けば勝てるっす!」

 

「風丸さんもキャプテンも必殺技を物にして、凄いでやんす!」

 

「トライアングルZも天願さんなら止めれるし、勝ったも同然じゃないですか!」

 

浮わついてるなぁ……いや、これは仕方ないか。

 

「勝負は何が起こるか分からん、暴王の流星(メルゼズ・ランス)にトライペガサス、風丸の単独シュート技がバレた以上、前半の様にはいかねぇ筈だ。」

 

前半の得点は相手の意表を突いたってのが一番大きいからな。

 

「確かにバックトルネードMSがあったんだ、他に隠し玉があるかもな。」

 

「皆!後半も気合い入れて行くぞ!」「「「おう!!」」」

 

 

あ、そうだ。

 

「影野、後半アレ出来るぞ。」「本当か……!分かった。」

 

「それと豪炎寺、奴等がトライアングルZを出したら一気に上がってくれ。」

 

 

 

 

 

後半が開始すると、直ぐ様ボールを奪った三兄弟が突っ込んでくる。

 

「これ以上は!」「やられっぱなしにはさせません!」

「俺達の必殺技で直ぐに逆転してやる、みたいな!」

 

漸くか、来る事が分かってる技なら……!

右手を額に持っていき、左手を後ろに向ける。

左掌から火炎放射の様に炎を噴射、右手に籠める炎を強めていく。

 

「「「『トライアングルZ』!!!」」」

 

<おおーっと!木戸川清修、武方三兄弟の必殺シュートが雷門ゴールに突き進む!

対する天願選手は……背後に向けて莫大な炎を!これは大技の予感だぁーー!!>

 

よし……!

 

「喰らえ……『X BURNER(イクス バーナー)』!」

 

此方へ飛んでくるボールに右掌を向け、溜め込んだ炎を射出、噴火の如き勢いで放たれた炎の奔流はトライアングルZを呑み込み――

<と、と、止めた、いや、トライアングルZをものともせず吹き飛ばしたぁーー!?

まるで溶岩弾の様に飛んでいくボールは……木戸川清修側へ奥深く突き進み―――こ、これは!?>

 

ただ止める・弾く技なら他にもあるが、態々これを選んだ理由は

「そのまま行け………()()()!」

 

「「「な、何ぃ!?」」」

 

「うぉぉぉ!!!『マキシマムファイア』!!!」

 

<き、決まったぁぁぁーーー!!!

天願選手と豪炎寺選手の新必殺技、その2つの炎が合わさり業火と化したボールがゴールに突き刺さる!

雷門の流れは後半になっても途切れていない!!!>

 

戻って来た豪炎寺とハイタッチをし

「ナイスシュート、凄ぇ技だな。」

「そっちこそ、良い技だ。

それに今のはトライアングルZの牽制にもなった。」

 

三兄弟を見ると、シュートを止められた事、シュートが反撃の機会に繋がってしまう事に激しく動揺している。

「と、トライアングルZが……」

「しかもあの日と違う技に……」

「撃てばシュートチャンスを与えるって……。」

 

キックオフで木戸川清修の攻撃だが消極的になり、さっきと比べてあの三兄弟の動きは明らかに精細を欠いている。

木戸川清修の攻撃はあの三人頼りだったのか他の選手が攻めて来る、なんて事は無く此方の一方的な攻撃になっていた。

 

その上――――「あ、アイツどこから!?」

 

今、誰が強烈なシュートを撃って来るか分からない為に、雷門(ウチ)のメンバー全員に気を配っているが、そう意識を広げていると影野に気付けなくなる。

 

影野のミスディレクションは視線を惹き付ける誰か共に行動する必要があるが、FWからDFまでその対象が増え、範囲も広がった今、()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()

 

武方三兄弟へのパスをカットすれば攻撃に発展しない事もあり、防戦一方の状態から抜け出せない様だ。

そしてまた――――「『ゴッドキャノン』!」

あ、円堂もシュート技を修得したのか。

 

その後、西垣の『スピニングカット』を突破した事でトライペガサスが『ザ・フェニックス』に進化させ、試合時間は残り僅か。

 

 

「………ままじゃ……れ…い………いごに…あ…ざを……」

 

ん?時間的に恐らく最後になるがあの三兄弟の様子……ふむ、何かしてきそうだな。

 

「豪炎寺、一応ゴール付近まで下がっといてくれるか?」

「?どうかしたのか。」「いや、なんとなく。」

不思議そうな顔をしていたが、了承してくれた。

 

 

キックオフが始まると三人が同時に飛び上がり……トライアングルZじゃない!?

 

「ああそうだ……俺達は豪炎寺に憧れていた――」

「これは、その思いから生まれた――」

「トライアングルZを超える、俺達の――」

「「「真の最強技!!!」」」

「「「『バックトルネードMTS(ムカタ・トリニティ・スペシャル)』!!!」」」

 

ここで真打ってか、確かに感じられパワーはトライアングルZより上だ………さて

 

「なあ豪炎寺、アレやってみねぇか?」

「アレ……出来るのか!?」

「贋作が真作を超えるって展開は俺好みだが、それに触発された真作が超え返すってのも好きでね。

ファイアトルネードは何度も見たし、手本もさっき見せてもらった、後は再現するだけだ。」

「……見ただけで再現されるのは、複雑な心境なんだがな――しっかり合わせろよ、行くぞ!」

 

「あ、あの動きは!?」「まさか!?」

「だとしても―――超える!」

 

「「『ファイアトルネードDD(ダブル・ドライブ)』!!」」

 

2つの炎の渦が交差し、より激しさを増した紅炎とボールに纏わる蒼炎とが互いを喰らい尽くすかの如く燃やし合う。

 

最初は押されていた俺達だが、次第に押し返していき――

 

「「いっけええええ!!!!!」」

 

赤と青、2つの炎から織り成された色鮮やかな竜巻は威力を衰えさせる事なくゴールへ突き進み

 

<ゴーーール!!!

最終局面、お互いに繰り出された新必殺技の応酬に打ち勝ったのは雷門中!

そして試合終了のホイッスル、雷門中40年ぶりの決勝進出だあああーーー!!!>

 

 

試合が終わった後、豪炎寺と木戸川清修の監督が話し、その後で武方三兄弟と握手している、和解出来たみたいだな。

 

「ついに此処まで来たな。」

後ろから鬼道の声が聞こえる。

「次は世宇子との決勝戦だ」「そうだな。」

すると円堂が自の手を見ながら―――

 

「なぁ、天願。GKを………いや、なんでもない。」

 

一瞬、円堂が何やら不穏な雰囲気を醸したが……大丈夫なんだろうか、次の相手は世宇子、万全の状態で挑みたいが……。

 

 

「強く、ならなきゃ…………もっと……!」

 

微かに聞こえた円堂の声から、今回の事(GK交代)が致命的な失敗になったんじゃないか、そんな思いが胸中に渦巻いていた。




今回のオリ技もどきも一緒に紹介します。

『マキシマムファイア』『ゴッドキャノン』
これで気付かれた方も居ると思われますが、オーガ襲来の映画見ました(今更)

世宇子は他にもやりたい事あるし、どうせなら今回の内に出しとこ、そんな感じで出した為に木戸川清修は「嫌な事件だったね」状態に……当初なら接戦の筈だったのに。
あの映画を見るのがもっと早かったなら……武方三兄弟よ、すまない、本当にすまない。

風丸は足速いし、他DFと比べたら主人公の穴を埋めるには一番だった為MFに、それでシュート技も修得させました。

前書きにも書いたけど、いつも以上に展開とか酷いと思う……。


Spec

主人公自身は気付いていないが、身体能力は現時点で既にエイリア学園と拮抗・凌駕出来るレベルにある。

無意識下で周囲に合わせて動きが調整されていて、上限内においてリミッターが変動し、現状に"適応"させている。

現状において、全力運動≧自然回復なのもこの為、物語が進み上限に近付く程に技の消耗は減るが、通常の運動における消耗が増えていく。
(回復速度が向上しないとは言ってない)

消耗が激しいのも技使用時にこのリミッターを突如極端に変動させているから。
(運動してない状態→急な全力疾走→急停止のイメージ)

無限の壁を単独で破ったのは技の威力もあるが、あの瞬間において身体能力を急激に引き出した事の方が大きい。
(BLEACH初期の一護が大虚(メノス)を倒した時みたいな)

―――――――――――――――――――――――――――
『マジ殴り』

引用「ワンパンマン」

使用者「サイタマ」

必殺技に素で対抗する事への弱点(苦手意識)を克服する為に修得した技………なのだが、主人公がオリジナル(サイタマ)に到底及ばない身体という事もあり、その威力は本家の100分の1すらも再現出来ていない。

作中にもある通り、身体能力を100%発揮させる為のもので、厳密には技ではない。

最大の特徴は消耗が無い事。

現状における"適応"の全力である為、真の意味での100%ではない。

GK技・ブロック技を技を使わずに打ち破る用に『マジシュート』『マジ体当たり』を考案しているが、出すかは不明。

―――――――――――――――――――――――――――
『二の型《疾風》』

引用「英雄伝説 零(碧)の軌跡」

使用者「アリオス・マクレイン」

対象の後方へ一瞬で移動、それと同時にボールを奪う。

その後間を置かず、対象の周囲に出現した複数の風の刃が襲いかかり吹き飛ばす。

主人公が使う時には「八葉一刀流」の言葉も言わなければ威力が落ちる。
―――――――――――――――――――――――――――
『風の傷』

引用「犬夜叉」

使用者「犬夜叉」

身体を1回転させて回し蹴りの要領で踵でシュートする。
(動き的には『真空魔』が近い)

身体を回転させた瞬間に発生した風が足→足先(踵)→ボールへと移動し、ボールは地を裂きながら突き進む。

―――――――――――――――――――――――――――
X BURNER(イクス バーナー)

引用「家庭教師ヒットマンREBORN!」

使用者「沢田 綱吉」

後ろに向けた左掌から炎を噴射、右手は額で炎圧を高め、チャージが完了すると右掌をシュートへ向け凄烈な程の炎を放つ。

時間と共に加速度的に威力が向上するので、シュートまでの時間長い技、確実にシュートが来ると分かった場面での使用が効果的―――というか、この技の発動に掛かる時間自体が長い為、そういった限定的状況でないと使えない。

これはシュートを止めるのではなく、相手のシュートの威力を上乗せして飛ばすカウンター技であり、互いのゴール間というかなりの飛距離をものともせず、相手のゴールへ突き進む。

返す技が基本的に高威力技になる事もあり、生半可では止められない。

大技であるため、消耗が激し(ry

―――――――――――――――――――――――――――
『ゴッドヘッド』

『ゴッドハンド』を拳の形にした弱体化『メガトンヘッド』。

メガトンヘッドとの相違点はブロック技であり、シュートを受け止める事は出来るが弾き飛ばせず、シュートには使えない事。

―――――――――――――――――――――――――――
『バックトルネードMS(ムカタ・スペシャル)

『バックトルネードMTS(ムカタ・トリニティ・スペシャル)

バックトルネード版
『ファイアトルネードDD(ダブル・ドライブ)
『ファイアトルネードTC(トリプル・クラッシャー)
それ以外に言う事ないです。

ファイアトルネードDD(ダブル・ドライブ)の出し所に迷っていた時に、丁度良い踏み台があったから思い付いた、破られる事前提の技。


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第25話 迷える円堂


漸く……漸く俺は残業三昧の過酷ゾーンを乗り切ったぞおおお!!!

よーし、執筆だーーー!!!………ん?

【亜種特異点Ⅱ 伝承地底世界 アガルタ 開 幕 !!!】

嬉しいけどタイミングぅぅぅ………(友人から電話)うん?ダブルクロス始めた?しょうがない、手伝ってyモンハン楽しいーーー!!!

FGO新シナリオにモンハンの熱が再燃………

▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂ うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ
俺は、俺はどうしたら良い!答えろ、答えてみろルドガー!

(ss投稿仲間)さっさ書けや…………………はい。



更新遅くなって申し訳ないです。


「東方サッカー猛蹴伝」の動画見て、イナイレって普通にサッカーしてるじゃないか!と錯覚してしまった……。



でも『twilight spark』と『ラストジャッジメント』はやってみたい……!!

最近東方vocalにハマって、聴きながら執筆するのが楽しい




眠ぃ……新しい必殺技の出し方考えてて、気付いたら朝日が見えた時の絶望感ときたら……。

 

昨日は久しぶりにアイツが来たからなぁ……嫌な訳じゃねぇが来る予定位教えて欲しいもんだ。

 

脳が半分以上眠ってる様な状態でなんとか学校辿り着くと、円堂を中心にウチの主力が集まっていた。

 

俺達サッカー部は校内でも相当な知名度になって、特に豪炎寺や風丸、鬼道らにはファンクラブも出来てるらしい、それが人通りの多い正門から玄関口の中間で登校中に集まってると否が応でも周りの目を引き付ける。

 

「よう、こんな所で集まって何し……って、どうした円堂?」

 

それまで見えなかった円堂は、目の隈が酷く、いつもの溌剌とした態度が嘘の様に沈んでいた。

 

「天願……ダメなんだ、ダメなんだよお……。

俺、ゴッドハンドで世宇子のシュート止められるかなぁ……。」

 

「らしくねぇな、いつものお前なら"やってみなくちゃ分からない"と真正面からぶつかっていくじゃねぇか。」

 

「この決勝――――絶対に負けられないんだ!

"やってみなくちゃ分からない"じゃあダメなんだよ!」

 

「それは………これまでの試合もそうだったろ?

どの試合でも負ければ其処までだったし。」

 

廃部の懸かった試合の時よりも追い込まれてる様に見える。

 

「木戸川清修との試合で自信を無くしたのか?」

 

!?…………やっぱGK代わるのは不味かったか?

 

「トライアングルZにバックトルネードMTSを見てから不安なんだよ……あの時俺がGKだったら止められたか分からない。

世宇子はあれよりも強いシュートを撃ってくるって考えたら、どうしたら良いか眠れなくなって頭ん中ぐちゃぐちゃになって……!」

 

そんな事をうわ言の様に言って、とぼとぼと校舎へ歩いて行った。

 

あんな円堂を見るのは初めてなんだが、大丈夫なのかコレ?

今円堂が使える技ではあの2つは止められなかったのは確実だ、あの試合で新必殺技が創られる、というのが本来の流れだったらどうしよう……。

 

 

 

 

 

 

放課後

 

一年の練習は染岡と風丸に任せて、部室にて豪炎寺・鬼道と共に本人を交えた円堂の解決策を練っているのだが――――空気がっ……重いっ…………!

 

ガラガラっと扉の開く音がすると、一之瀬と土門が入って来た。

 

「ゴメン!遅くなった―――ってアレ?」

 

「お、おお、珍しい――否、初めての空気だな……。」

 

二人が来ても机に突っ伏したまま動かない。

 

「鬼道、世宇子の強さを目の当たりにしているのはお前だけだ。

奴らのシュートにゴッドハンドは通用すると思うか?」

 

「分からない、としか言えない。

俺だって世宇子の力を完全に把握している訳じゃない……が、世宇子のシュートは武方三兄弟のそれより強く、恐ろしい、それだけははっきりと言える。」

 

「そのシュートを止める自信がない、そういう事か……なら、また天願がGKや「ダメだ!」……どうして?」

 

つい反射的に叫んでしまい、全員から驚きの視線を向けられる。

 

あれは見て分かる、明らかな噛ませだから受けたのであって、ラスボス戦みたいな円堂の成長に直結しそうな要所での試合ではやりたくない。

ただでさえ、円堂が落ち込むという正史にあったか分からない状況が起きているのだ。

世宇子中戦で円堂に代わってGK?そんな原作ブレイクの基点(見えている地雷)をつつく勇気はない。

 

と、そんな本音を言う訳にもいかないので―――

 

「これまでの世宇子の試合が全て一方的だった以上仕方のない事だが、俺達はまだ奴らのシュートがヤバいって事しか知らねぇ。

そんなシュートを撃ってくる様なチームだ、他の事、例えばGKの守備力なんかも半端じゃない筈だ。」

 

適当に思い付いた事を言うと、皆がハッとした顔つきになる。

 

「確かに……あの圧倒的な強さに目が行ったせいで、奴らの守備力……考えてもいなかったな。」

 

よし、食い付いた!このまま畳み掛ける!

 

「自画自賛してるみたいでなんだが、化身もあって雷門(ウチ)で一番シュートが強いのは俺だ。

それ以外にもドリブル技での突破・ブロック技での防御とやれる事も多い、相手の動き方が未知数な以上、臨機応変な対応が出来るからGKやるのは、ちょっとな…。

 

仮に俺がGKをやって止められたとしても、消耗を考えればそう何度も止められるモンじゃない、威力によっちゃ、一回でスタミナが切れる可能性もある。

 

それなら円堂が強くなってゴールを守る方が安定する、そう考えているんだが、どうだ?」

 

最悪、本当に最悪の状況になるが、円堂にGK放棄させてノーガード戦法の点取り合戦って選択肢もある。

 

上手く誤魔化せた事に胸を撫で下ろしていると――

 

「そうなると『マジン・ザ・ハンド』を覚えるしか……。」

 

そんな呟きが聞こえてくる。

 

「「『マジン・ザ・ハンド』?」」

 

「爺ちゃんが編み出した最強のGK技、ココポイントって書いてあるんだけど、それ以外には何も書いてないんだ。」

 

円堂が指し示す部分には、人の様な絵の胸部、そのやや右側に◯がある。

 

「胸部のやや右ってなると、普通に考えたら心臓……だよな?」

 

余計分からん、心臓を活用する……どうやって?

 

そうして悩んでいた所に

 

「キャプテン!早く練習来て下さいよー!」

「皆待ってます!」

「決勝戦までこの勢い!止めたくないんですよね~♪」

「俺達1年、絶対優勝するって誓ったでやんす!」

「今の俺達は誰にも止められないっすよ!」

 

皆が飛び込んで来た、やる気満々って所か。

 

「……よし、やろうぜ!作戦会議に夢中になっててさ、な!な!」

 

心配を掛けない様、皆に笑顔を見せるが……大分無理して取り繕ってるな。

 

「……ああ。」

 

「世宇子なんか、ぶっ飛ばしてやろうぜ!」

「「「おお!」」」

 

走り去っていくアイツらを見て鬼道が

 

「円堂の奴、壁にぶち当たったか。」「みたいだな。」

 

「誰でもレベルアップするほどに、大きな壁にぶつかる。

乗り越えたとしても、もっと上のレベルに行けば……底無し沼だ。

あの諦めの悪い奴がそう簡単に沈むとは思えないが……。」

 

「なら俺達でバックアップしていこうよ、ココがポイントってのはそういうのも指してるんじゃない?」

 

「お前今、上手く纏めたって思ったろ?」「まあね。」

 

バックアップ……か。

そうだな、今の円堂の状況が原作崩壊だったとして、それを悔やんでも何か変わる訳じゃねぇ……だったら良い方向へ持って行ける様に支えてやればいい話だ。

 

二次創作でよく見掛けた"良い方向への原作崩壊"って選択肢もあるしな。

 

 

 

 

 

 

日はとうに沈み、外灯や星明かり位しか光源が無い時間帯だが、円堂はひたすらに無茶な特訓を続けている。

 

いつものタイヤ特訓なのだが―――――

 

 

 

それはタイヤというにはあまりにも大きすぎた。ぶ厚く重くそして大雑把すぎた。

それはまさにゴムの塊であった。

 

どういう事なの……!?

 

円堂の不安に比例しているかの如くタイヤが巨大化してんだけど……!

 

あれ?俺が忘れてただけであって、あのタイヤってあんなに大きかった?既に円堂の身長よりデカイんだけど!?

 

んなもんどっから拾って来たよ……その内「59/80R63 V-STEEL E-LUG S」とか持って来ないだろうな……?

 

コイツが怪我しない様、見守って…………え、ナニソレ?

何でもう一個……俺も……やれと!?何でぇ……?

木野、一之瀬と一緒に帰っときゃ良かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の夕暮れ時、昨日と同じ事をやっていると……

 

「やっぱりここだったか。」

「それでマジン・ザ・ハンドがマスター出来るのか?」

 

やってきた鬼道と豪炎寺の、一瞬俺の方を見た「あ、また付き合わされてるな」って感じの哀れみの視線が痛ぇ……。

 

「俺にはこれしかないからさ。」

 

「手伝おう。」 「ホントか!?」

 

手伝う……一体どうやっ……まさかコイツらもタイヤを!?

 

「サッカー馬鹿になってみるか。」

「世宇子に勝つ秘訣になるかもな。」

 

そして始まったのは豪炎寺と鬼道がシュートし、円堂が受け止めるという物だった。

 

……そうだよ、普通こういう練習だよな………なんで俺は一緒にタイヤ特訓してたんだ……。

 

シュート練習も兼ねて俺も参加するが、振り子の様に吊るされた3つのタイヤには何の意味があるん?

 

それを続けていると途中で夏美が止めに来るが――

「無駄だよ。」「制止して素直に止まる様な男か?」

 

うーん、円堂の事を良く理解し(分かっ)てる、そんな簡単に止まる奴ならここまで来れなかっただろうし、そもそもこんな無茶な練習だってしない。

 

その後も練習は続き、豪炎寺のファイアトルネードがタイヤごと円堂を吹き飛ばした所で中断、ふらつく円堂を支え雷雷軒に連れて行った。

 

診た感じでは大丈夫だが、念のために氷嚢をもらっておく。

 

「随分と無茶をしたんだな。」

 

「無茶じゃないよ、特訓だよ。」

あれが無茶じゃないなら、お前の無茶は一体どうなるんだ?円堂の認識に戦慄していると

 

「新しい技を編み出していると聞いたぞ。」

 

「うん、マジン・ザ・ハンド。」

 

「ああ、お前もついにアレに挑戦し出したか。」

 

「知ってるの!監督は出来た!?」

 

「俺には無理だった……が、お前ならやれる筈だ、頑張れよ。」 「おう!」

 

丁度二人の話が終わったタイミングで扉が開き

 

「おいおい、どうしたお揃いで?」

 

驚いた顔で鬼瓦刑事が入って来る。

 

「ヒッデェ格好だな。」「世宇子に勝つ為ならこの位なんでもない!」

 

「威勢が良いのは結構だが、勝利に拘り過ぎると影山みたいになっちまうぞ。」 「影山に?」

 

「刑事さんは冬海先生に会ったそうよ。」

 

……へぇ?漸く捕まった訳か。

 

「例のバスへの細工の件もあるが、影山を探す為にもな。

40年前の悲劇から地区予選決勝の鉄骨落下事件まで、一連の不可解な事件を解決するには影山の過去を知る必要があると思ってな。」

 

「何か分かったんですか?」

 

鬼道が聞くが、話すのを渋っているな。

そこまで聞かされて話を中断されても、消化不良で余計気になる。

 

「コイツらも知りたがっている、話してやったらどうだ。」

 

響監督に促され、鬼瓦刑事は訥々と影山の過去を語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――成る程、あの影山にそんな事が………重いわ!?

 

これ(イナイレ)ってそんなに対象年齢高いヤツじゃ無かったろ……?

豪炎寺・鬼道兄妹の件といい、40年前の件といい、やっぱ色々と認識が甘過ぎたか、これから出てくるキャラも深刻な悩みを持ってるんだろうなぁ……。

 

因みに豪炎寺の妹さんの件も影山の関与が疑われているらしいが、帝国戦前で起きたという事件と聞いた時点でそんな気はしてた。

 

……全国のサッカーチームの情報を集めていた時に、ダークホースとか期待の新人、みたいなチームに限ってFFの棄権率が高かったのは……そういう事なんだろうな。

 

「許せない……どんな理由があってもサッカーを汚すなんて間違ってる!」

 

円堂も豪炎寺もこみあげてくる怒りを抑えきれない様子だ。

 

「影山は今何処に?」

 

「まだ分からんが冬海がおかしな事を言っていてな、『空から、まるで神様の様に私達を見下ろして嘲笑っている』だそうだ。

プロジェクトZという計画と影山が空にいるってのは繋がっているそうなんだが……帝国に居たお前さんは空と聞いて何か思い付く事があるか?」

 

「いえ、俺にはさっぱり……。」

 

ふと、視線を感じ、それを辿ると響監督と目が合い

 

「天願、そういえばお前以前にプロジェクトZと世宇子、そして影山の繋がりを示唆してきたよな、何か気付いてるんじゃないか?」

 

「プロジェクトZと世宇子が?どういう事だ。」

 

人の事言える立場じゃねぇけどこの人の察しの良さも大概だよなぁ……。

 

「その件は、世宇子と帝国のやり口が酷似していた事、世宇子の頭文字(イニシャル)がZだったというこじつけに近いもんだったけど………空、と来たからな……。」

 

「空が、どうかしたのか?」

 

「ゼウスを知ってるか?決勝戦の相手の世宇子中の事ではなく神として有名な方を。」

 

「神でゼウスというと確かギリシャ神話で全知全能とされる主神で……そういう事か!」

 

「話が早くて助かる、まあ、お前の考えた通りの事だよ。」

 

「ちょっと待て!天願に鬼道、俺達に分かる様に説明してくれよ!」

 

「ああ、悪い円堂。

ゼウスの概要の大体はさっき鬼道が言った通りだが、ゼウスには全宇宙や天候を操る天空神という側面があるんだよ。」

 

「天空神……天空……空!?」

 

「成る程、やはり世宇子には影山がついていると見て間違いないか……!」

 

俺の意見聞いても余り驚いてる様子は無いし、やはりって……この人絶対気付いてたろ。

俺の視線からその気持ちを読み取ったのか

 

「これでも長く刑事やってんだ、特に影山の悪事に関する勘と嗅覚は誰にも負けねぇよ。

だがその意見は参考になった、警察(こっち)でも色々と動くから、お前さんらは心置き無く自分のサッカーを貫き通せ、優勝楽しみにしてるぜ。」

 

そう言って店から出て行っ………あの人水飲んだだけで帰ったんだけど響監督的にあれは………アウトみたいっすね。

怒りの矛先が此方に向くかもしれんし、もう帰るか。

 

 

 

にしてもサッカーを憎んでる割にはサッカーから離れず勝利を求める?

 

 

………影山は本当に心の底からサッカーを憎んでいるのだろうか?

 

俺にはどうしてもそんな風には思えない、寧ろ……いや、これ以上は邪推だな。

いずれ分かる事だろうし、機会さえあれば本人に直接聞くとするか。

―――世宇子に勝たなければ、それすら知る事も出来なくなるだろうから。




推薦欄にしおりを挟んだ作品があって、そこでつい最近に完結したのを知ったが……俺もあんな
「どんな結末を迎えるのか物語の続きが早く読みたい、でも読めなくなるのが辛くて完結して欲しくは無い」
そんな風に思われる物を書ける様になりたい……。

それにヒロインの描写も凄かったなぁ……どれだけ経験を積めば、あれほど魅力的に書けるのだろう……。



あ、前回の後書き追記しました。

Q.GK主人公ってどんな感じ?

A.相手にするとウザいです。
御影専農の前書きでちょこっと触れた、主人公の技に対する観察眼、これが面倒で、一度見た技ならその威力を正確に見抜き、最小の疲労で確実に止めれる技で止めてきます。
改とかV2、G2にしてもその進化分を見越して調整してくるので世界編の様な進化のインフレでも無意味です。

その上、試合が同点、1点差で終わりそうな場合、終了ギリギリの時間に瞬歩等で距離を詰めシュート撃ち込みに来るわ、それをカウンターしようにも移動技で一瞬で戻られるわと厄介極まりないです。

色々書いてますが攻略は簡単、ガンガンシュート技撃つ、これだけでその内スタミナ切れになります。

ただ、シュート技を使わなければ、無尽蔵のスタミナにより敵対側がひたすらに消耗するだけです。
シュート技でも威力が半端なものでは、マジ殴り(ただのパンチング)で止めてきます。

理想は次々と別の技を撃つ、次点で超強力なシュート技の連発です。

前者は、初見なら流石に分からないので、ど根性バットに怒りの鉄槌、みたいな非効率な事して直ぐスタミナ切れが起きます。

後者は、威力の大きな技ならその分強力な技で対抗、その分消耗も激しくなるからです。ただ、属性有利な技で対抗してくる為、シュート側の消耗にもよりますが効率は少し落ちます。





とある質問があったので、その回答をここにも書いときます。
本当は帝国戦の時に書きたかったのですが、忘れてしまってました。

主人公以外のキャラが他原作の技を使う場合、相性が良い技なら基本的に主人公が使うよりも強くなります。

理由は2つ。

1.主人公の属性
主人公には属性が無く属性一致も起こりませんが、どの属性(無も同様)の技であっても1.5倍の強さになります。
(主人公の倍率を基準にして)原作キャラの属性一致だと3倍、主人公とは実に2倍の開きがあり、先ずここで差が出ます。


2.主人公の思考回路
主人公の思考は『技を使って勝ちたい』のではなく『多数の技を使いたい』に寄っていて、大体は技修得後、実用レベルに達すると他の技の修得に移ります。
(100を上限として)技の完成度が主人公は60~70で妥協するのに対し、他キャラは80以上、更に上を目指して練習してます。

要は『主人公より強い』のではなく『主人公が努力が足りてない』のです。


勿論、主人公とて技の練度向上は続けていますが、それは現在修得している全ての技も同様です。
更に新しい技の修得、自身の弱点であるテクニックの向上を"並行"して行っている為、どうしても時間が足りていないというのが現状です。

膨大な数の技を使うが故の弊害、といった所ですね。

因みにここでいう属性、とはイナイレの"風林火山"に準ずる物ではなく、私の独断と偏見により設定した独自の属性で考えています。

例えば、鬼道なら闇・黒
吹雪なら氷・狼
染岡なら竜といったイメージです。

水や氷、雷、金属、竜、宇宙、光と闇、時・空・幻を風林火山に当て嵌め……どれにすりゃええねん!?ってなったので好き勝手やる事にしました。
ええ、いつもの事ですね、すんません。


因みに今回の話は原作崩壊への恐れを克服する、という主人公にとっても割りと重要な局面だったりします。




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第26話 カチコミに来たのは、神だった


やっと更新出来た!遅くなってすみません!
それとアンケートに技のアイデアくれた方々も返信出来なくて申し訳ない……。

誤字修正して下さった方々、ありがとうございます!




本当はガンガン進めて次話で世宇子戦に……と考えていたのですが、思ったよりアイデアが湧き出て……あとFGO楽しいれす。

アガルタの女に付きっきりで、気付けば休み終わってた。

各キャラの"歪み"の所とか面白かったのは確かなんだけど、文章(テキスト)の所々に「うん?」ってなる様な箇所が多かった気がしたのって自分だけかな?
特に選択肢が、ええ………この場面でぇ?みたいな、いつもよりギャグ寄りというか、ふざけてたというか………。

こんな駄文書く私が言える事じゃないけどネ!

それとレジスタンスのライダー、お前は惜しいヤツだったよ、もう少しで好きになれたのに………。
まあ、cvであっ察し感あったけど。



マジン・ザ・ハンドがマジン・ザ・バンドになってるのに気付いた時には腹筋が崩壊した……………修正箇所の多さに絶望もしたけど。


ソウルを出したいのは山々、でもソウルがどんな状況で出たのか調べても出て来ない……。
仮に見つかってもミキシマックス的な特別な措置がいるヤツだったらどうこじつけて出そうか………。
(今までソウルが化身の動物・幻獣版だと思ってて、漸く調べた今、選手自身が動物化するのを知らなかったなんて言えない)


円堂がマジン・ザ・ハンドの修得に向けて奔走し、胸筋・肺・呼吸、次々と部位や方法を変えて手当たり次第にぶつかっている。

 

うーん、俺にもあんな時期があったなあ……今も似たようなモンだが。

 

以前に【青電主】を出した時の様に、化身の進化・変化をどうすれば出来るのか考えてるが上手くいかねぇ。

 

何度か染岡と風丸で試したのだが、あれ以来成功していない。

 

あの日と違う事といえば、2人の精神状態だが―――――あの時の感情に呼応して顕れた?

もしそうなら化身に意思がある可能性が微レ存……?

 

普段は【リオレウス】よりも【スターダスト】の方が出しやすいが、空中戦になった途端【リオレウス】が出て来やすくはなるけど、いやいや、まさか………天馬少年にもっと聞いとくんだった………。

 

なんて事を考えながらおにぎりを頬張る。

 

今は休憩中で、マネージャー3人がおにぎりを作ってくれたのだ………が、こっそり周りを見渡すとたまにとてつもない表情をするヤツがいて、円堂のしょっぱいという呟きから、塩の付け過ぎ(ハズレ)が混在しているのは分かっている…………これだっ!邪眼の力(目星力)を舐めるなy………凄く……しょっぱいです……(ファンブル)

 

後、鬼道がなんか浸ってるというか、おにぎりを口にする度に動き止まってんのが目につく、意外と脳内で食レポなんかやってたり………ま、アイツに限ってそんな訳ないか。

 

 

 

休憩が終わって、化身の力を強くするのを考える途中、ふと豪炎寺と鬼道に目が行った。

 

そういや必殺技を俺以外の誰かに教えた時、特定の属性だけやたら強くなったりするよな……化身発現中、又は化身技の時に合体技の要領で力を合わせれば…………試す価値はあるか。

 

「鬼道、豪炎寺!ちょっと良いか?」

 

さて、これが吉と出るか凶と出るか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日、あの後2人に協力してもらうと、当初の予想通り豪炎寺は炎系、鬼道は闇系の特徴を持つ化身の力を今までに無いほど引き出す事が出来た。

 

出来たのだが………それが想定より遥かに強力すぎて力の制御が困難、ありゃあ強化ってより最早凶化と言って差し支えないレベルだ。

 

消耗が激しい為、化身は日に練習できる回数が限られてしまう、失敗の原因を突き止めてからじゃないと必殺技の様にただがむしゃらにやり続けても効率が悪いから、2人には円堂の方へ行って貰った。

 

一之瀬が俺も俺も!とやって来るが………スマン、螺旋(スピニング)天馬(ペガサス)、不死鳥とお前の属性のイメージがまだ掴めて無いんだ、また今度な。

 

 

 

 

 

暫く考え込んでいると、コートの方からどよめきの声が、目線をやると―――まーた誰か乱入してるよ………どうせ世宇子なんだろうな、流れ的に。

 

乱入者の近くに走り寄ると、ソイツは円堂、次に俺へ視線を向け

 

「君が円堂守君………それと天願想叶君だね?

私の名前はアフロディ、君たち2人の事は影山総帥から聞いているよ。」

 

うん?影山からって……円堂は兎も角、俺は影山に目を付けられて無いモンだと思ってたんだが………あ、化身かな。

 

 

「テメェ、宣戦布告にでも来やがったのか!」

 

「フフフ……宣戦布告というものは戦う為にするもの、私には君達と戦うつもりなどない。

戦わない方が良い、それが君達の為になる。」

 

「………どういう意味だ。」

 

「神と人間の戦い、勝敗は言わずとも分かるだろう?」

 

今自分の事を神って言った?この試合が終われば黒歴史確定ですね……。

 

「神様にでも成ったつもりか?」「さあ、どうだろうね。」

 

「試合はやってみなくちゃ分からないぞ!」

 

「そうかな?林檎は木から落ちるだろう。

世の中には逆らえない事実という物があるんだ、鬼道有人君、彼ならその事を良く知っているよ。」

 

「さっきから回りくどいな、何が言いてぇよ?」

 

考える時間がある小説やゲームなら兎も角、実際に対面して話すと迂遠な(こういう)言い回しは怠いんだよ。別に理解できない訳じゃねぇが、そういうのは暇な時とかにやって欲しいし何より

 

………………化身について徹夜で考えたり、その練習による疲労で眠くなってZzz………。

 

「君達の練習は無駄な物だ、もう辞めたまえ。」

 

そう言うだろうと思った、というかこの展開でこういうのじゃないパターンなんて俺は知らん。

 

「五月蝿い!

練習が無駄なんて誰にも言わせない!練習はおにぎりだ!

俺達の血となり肉となるんだ!」

 

「ああ、ハハハ♪上手い事を言うね!」

 

円堂の怒気混じりの発言をクスクスと笑って流しているが――――

 

「おい、笑う所じゃないぞ………!」

 

怖ッ!?円堂ってこんなドスの効いた声出せたのか……眠気なんざ吹き飛んだわ……。

 

「しょうがないなあ……なら、見せてあげるよ!」

 

そう言うや否や、上空へ飛び上がりシュートを放ってきた。

 

それは必殺技でこそ無かったが相当な威力を孕んでいる事が見てとれる、一方、円堂は怒りで冷静さを欠き、全身に力が入り過ぎている、あの状態では………。

 

「「「円堂!?」」」

 

シュートを止められず吹き飛んばされてしまった円堂に皆が駆け寄っていく。

 

………ダメ、か。

予想出来ていようと、その光景を見て思う所がない訳じゃない。

 

暫くは怒りに身を任せてアフロディに立ち向かうが、ダメージが大きいのだろう、動きが鈍い。

 

円堂達とやや離れた位置で傍観に徹していた俺に視線を移したアフロディは

 

「それで、君は円堂君の方へ行かなくても良いのかな?

まるで動じていない様に見える、こうなる事が最初から解っていたみたいだね?」

 

そう言ってくるが、それを無視して問いかける。

 

「1つ聞かせろ、影山から俺の事を聞いたとはどういう事だ。」

 

影山のヤツが俺に興味を持つとすれば化身だけだと思うが

 

「今のは質問のつもりだったんだけど……まあ良い。

影山総帥が君に目を付けたのが数年前に遡る。」

 

「数年前……?覚えが無ぇな、その頃は影山の名なんざ見た事も聞いた事もねぇ。」

 

「いや、知っている筈だよ。

君が中学に入る前の帝国学園からのスポーツ推薦、覚えているかな?

それには影山総帥の名があった筈、何故なら、それが総帥の意思によるものだったからね。」

 

「帝国からの推薦……?天願、それは本当なのか!?」

 

鬼道が思わず、といった体で聞いてくるが、

 

「………………ああ。」

 

そういえばそんな事があったよーな、無かったよーな。

スポーツ推薦なんて色んな学校から来てた事もあって、ぶっちゃけ覚えてないでござる。

 

上の空での返事だが周囲はイエスと判断したらしい、ざわめきが広がっていく。

 

アフロディは動揺する雷門の皆など目に入っていないかの様に、話を続けてきた。

 

「それに私達と共に神に至るという選択を蹴った者、とも聞いているし、個人的に興味があって、総帥に話を聞いたのさ。

私達の先駆け、又はキャプテンになる可能性があった君のね。」

 

 

神に至る選択を蹴る?一体何の事――――ああ、アレの事か。

推薦に混じって怪しげな水を勧めて来る明らかに異質な輩が居たのは覚えている。

もし、あの誘惑に抗っていなければ、ゾッとしねぇなぁ………。

 

「そういう事かよ、漸く合点がいった、それで?(そんなの)を見た感想は?」

 

「期待以上、かな。

視線とはいえ、まさか初見で私の動きが捉えられるとは思わなかったよ。

――――――うん、君なら良さそうだ。」

 

何やら1人で勝手に納得していた後、俺に()()()()()()

 

「天願想叶君、私達と共に来る気は無いか?君にはその資格がある。」

 

――――瞬間、場が一気に静まりかえった。

先程まで騒々としていた皆の声も聞こえない、世界の静止した、というのはまさに今の様な状況なのだろう。

 

「……ハッ、勝手に何処の馬の骨とも知れねぇ奴なんざを独断で勧誘して影山が許すのかよ。」

 

「それに関しては問題ないさ。

君は総帥から一度勧誘を受けている身、少なくとも君の言う表現(馬の骨)には程遠い。

そして総帥は私達()に届きうるとの見込みがある者ならば、勧誘しても構わないと仰られている。

 

この手を取れば、人ならば避けられない限界という軛から解放されて、君が保有する技や化身を制限無く出せる様になる。」

 

必殺技・化身を制限無く、ね。

俺の弱点は把握済みってか。

 

「そんな誘いでその手を取るとでも?随分と安く見られたもんだな。」

 

そう返すと、アフロディは心底から不思議そうな表情で

 

「意外だね、こう言えば乗ってくると思ったんだけど。」

 

「何を根拠にそう思ったのか知りてぇな。」

 

「だって、君は別に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

影山総帥がそう評していたよ。」

 

………それを知っているのは円堂と木野だけで、豪炎寺・鬼道・一之瀬辺りの、結構なサッカー好きじゃないと気付けないと思っていたんだが………影山がだと?

 

偶然………それとも、好きと嫌いは紙一重って奴か?

 

「天願がサッカーを好きじゃない?んな訳無ぇだろ!」

天願(アイツ)が何れだけ楽しそうにサッカーしてるか、知りもしない癖に!」

「そうやって俺達の心を乱す、影山の策略なんだろ!」

 

皆が俺の事をフォローしてるが、アイツの言う事を完全には否定出来ないだけに辛い……。

 

そんな皆に視線すら向けず、

 

有象無象(君達)の意見なんて聞いていない、それで、結局どうす――――

「断る。」

…………どうしてその結論に至ったのか、訊いても?」

 

「お前の言う話に惹かれたのは事実だ、が、それは雷門を裏切る理由には成り得ない。」

 

何より、あの2人(円堂と木野)だけは絶対に裏切らない、あの日そう誓った。喩え、何れ程叶えたい願望や理想を物に出来るとしても、その誓いを違える訳にはいかない。

 

そして―――

「それとだ、お前らに付けば必殺技も化身を使い放題の上、絶対に勝てるんだろうが……………そんなサッカーが楽しいのか?」

 

帝国との地区予選決勝で、漸く()()()()()()()()を理解出来た、互いが全力を出し尽くして、薄氷の上にある勝利を掴み取ったあの瞬間、あの言葉に出来ない想いが、世宇子に行って経験出来るとは思えない。

 

ゲームでチート等を使って、好き勝手していく特有の爽快さや楽しさを経験した事がある、だが時間が経つ内に飽き、いつしか作業の様な、まるで面白味の無い物に転じてしまった。

 

「技の事を含めても、お前らのやり方でサッカーをする事に一切の魅力を感じられない。

喩え勝てずとも、技を出せなくても、俺がしたいのは()()()()()()()なんだよ。」

 

これ(楽しさ)を知らずに話を聞いていれば、多少は揺らいだかもしれんがな。

 

「サッカーの楽しさ………フフッ、アハハハ!!!

本当に面白いね、君達は。そうか、そういう考えもあるのか……それで後悔しないといいね。

 

こうして対面出来たのは良かった、お陰で――――決勝が楽しみになって来たよ。」

 

一頻り笑った後に、それまでとは違う獰猛な笑みを浮かべたと思えば、奴は霞の様に姿を消していた。

 

 

それまで片膝立ちだったが、アフロディが去った事で気が抜けたのか、尻餅を付いた円堂に近付き

 

「立てるか、円堂。」

 

手を差し伸べる。

少し呆けた表情をしていたが、直ぐに手を取り立ち上がりながら

 

「………ああ、悪い悪い!

アイツのシュートは凄かったけど、今のでマジン・ザ・ハンドの完成に近付いた気がするよ。」

 

そう言った………チームの士気を下げない為ってのは分かるが、んな強がった表情見せられても説得力が無ぇ。

 

 

つっても円堂の心配ばかりしてる訳にもな……俺の弱点は掌握されてる様だし……やはり化身の合体技といい、切れる手札を増やしておいた方が良いか。

 

 

勝つための課題は山積み、しかしそれを何とかする術が見付からぬまま、刻一刻と世宇子戦までの時間が迫る。

 

ただ、俺達の感じる焦燥感が膨れ上がる一方だった。




化身の意思云々ですが没設定にするか迷ってて、取り敢えず出しておこう、位の気持ちで書いたので深く考えなくて良いです。



主人公のスポーツ推薦について

主人公は小学時代にその身体能力から数々の部活から助っ人を頼まれ、時には公式戦等にも出場していました。

他の競技ならば、必殺技に時間を割く事もなく基本練習に集中した分しっかりと強くなり活躍、それを複数の競技でもしていた事で、他校は優良な選手と見てスポーツ推薦を出した、という具合です。

尚、必殺技にかまけていた分、基本動作がダメだったのが目立ち、サッカーでの推薦は何処からも貰えなかった模様。

影山はその身体能力に注目、もし推薦・神のアクアの話を受けていれば、被験体(モルモット)として利用、成功すれば世宇子のキャプテンにしていました。

ほんの少しの分岐ズレで、帝国・世宇子・エイリア堕ちする、割りとハードモードな主人公。

雷門中の裏設定
雷門中としては主人公が来て「第3部、完!」状態だったのに存在しないサッカー部入りした事で意気消沈、只、そのままにしておくのも惜しかった他部活顧問勢はサッカー部の存続・部費・グラウンドローテの組み込みを餌に助っ人化。
(普通なら試合の人数分すら集まってない状況じゃ、部の存続そのものが困難だろうし………そんな深く考えずとも、っていうのは禁句)
そんな状態にも関わらず、中々の成績を残していた所に帝国の練習試合の話が舞い込み、サッカー部の廃部を見越した熾烈な主人公争奪戦が繰り広げられた。




アフロディを通した影山の勧誘ですが

勧誘成功
・円堂と長い付き合いの主人公を裏切らせるという精神攻撃を兼ねた雷門の戦力低下。
・主人公の加入、主人公の技を世宇子メンバーに覚えさせる世宇子の戦力強化。

勧誘失敗
・アフロディ越しに主人公の強さを測り、アフロディが勧誘=完全なる勝利の障害、と見なし主人公への対策を取る。

そもそも勧誘しない
・障害にはなり得ない、円堂同様ここで叩いて心を折りにいく。

と、主人公への対応をアフロディの動き次第で変える為にさせました。

元々目を付けていた存在が次々と別の必殺技を出し、更には化身という謎の力を使ってれば……多少はね?

主人公の必殺技≧サッカーが好きなのを見抜いたのは、世界編とかGo見て実はサッカー大好きな人、というイメージを受けたからです。

普通に見る分には楽しそうにサッカーしてるので、かなりのサッカー好きでもなければ、疑いを以て観察でもしない限り、先ず気付けません。
原作開始時点では必殺技>越えられない壁>サッカーだったので相当マシになってます。

主人公が円堂とアフロディの勝負に割り込まなかったのは、これを(敗北)イベントと判断したのと、一度相手のシュートを受けさせ力量差を実感させた方が良いと考えた為です。






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第27話 好敵手

マタ…マモレナカッタ(週一投稿)

凄い難産だった……展開とか色々不安だけどコレ以上はまだ難しかった……。

結構進めたから次で世宇子戦行ける筈……!




水着イベどうしよ………弓王欲しいけど、これからに控える新水着キャラががが。


アフロディが去って直ぐ、響木監督が現れたが、その時「今の雷門(俺達)では()()に勝てない」と言い切った。

 

それに反発した円堂が今まで以上に無茶な特訓を続けている、直ぐにでも止めたいが、響木監督に考えがあるそうなのでもう少しだけ様子を見ておこう。

 

後輩達はアフロディのシュートに吹き飛ばされた円堂の姿が焼き付いているのか、風丸達が声を掛けても今一やる気が見られない。

 

俺は午前に根を詰め過ぎたせいで化身技の練習が出来る様になる迄暫く掛かる、かといって何もせず時間を無駄にする訳にもいかないので、鬼道・豪炎寺と繰り出せる合体技の練習をしている。

 

化身技の強化が世宇子戦までに完成出来る保証も無い以上、保険を掛けておいた方が良いだろう。

 

 

 

 

すると急に、響木監督が俺達を集め

 

「お前達、合宿をやるぞ。」

 

「合宿……?」

 

合宿か………え、今合宿って言った!?

 

「ああ。学校に泊まって、皆で飯でも作ってな。」

 

「学校の許可は私の方から取ってあるわ。

誰かさんは、以前から休みの度にイナビカリ修練場(此処)に独りで泊まって特訓漬けだったみたいだけど。」

 

夏美がそう言って、俺の方を流し目で見てくる。

は、はて、ナンノコトダロウナー。

 

「休日潰してアレを……?いや、いつもの事か。」

 

「ああ、天願ならやりかねないな。」

 

「それを聞いて納得する自分がいるっす……。」

 

染岡、風丸、壁山の呟きや、チームメイトからのドン引きの視線を感じる……が、そんな事はどうでもいい!

 

合宿、前世では一度も経験出来なかったから心が躍る……!

 

俺の内心と同様に舞い上がっている一年組だが、円堂が待ったをかける。

 

「待って下さい監督。

飯でもって、そんな呑気な事言ってる場合じゃない……世宇子との試合は明後日、時間なんて無いんです。

其までにマジン・ザ・ハンドを完成させないと。」

 

「出来るのか?

今の練習で必殺技を完成させる事が。」

 

「だ、だから!それはやってみないと―――「無理だ。」

 

円堂の咄嗟の反論を言い切る前に、響木監督が断言した。

 

「マジン・ザ・ハンドは、大介さんが血の滲む様な努力で創り上げた幻の必殺技。

闇雲に練習して完成出来る様な柔な技じゃない。

 

それに………今のお前は必殺技の事で頭が凝り固まっている、そんな状態で完成させる事など不可能だ。」

 

響木監督の弁は正しい。

あんな練習で完成させれるんだったら苦労はしないし、寧ろそんな方法・心理状態で完成出来る様な技で自信なんてつけたなら、そんな半端な技も自信も完成直後にぶち破ってやるつもりだ。

 

響木監督が何も言わなければ、とっくの昔に止めている。

円堂が続けていたのはそういう(何も得られない)練習だった。

 

「そんな事言ったって……。」

 

だが、そういうのは当人が一番気付けないものだ。

それに指摘されて直ぐ止める様な奴でもない、現に不服そうな表情を隠せていないし、外堀から埋めていく必要があるか。

 

「俺は響木監督の案に賛成だ。」

 

「天願……!?」

 

円堂が信じられない物を見る様な目を向けてくる。

 

「今のお前は誰が見ても分かる位に焦り過きだ。

そのままじゃどれ程特訓を続けてもマジン・ザ・ハンドどころか他の必殺技すら完成できない。

進もうと足掻くのを悪いとは言わねぇ、だが、今お前に必要なのは立ち止まって現状を見つめ直す方だと思うぜ。」

 

「ああ、一度マジン・ザ・ハンドの事を忘れてみるのも良いかもしれないな。」

 

「俺も賛成かな。

ほら、ゴキブリを捕る時以外は急ぐなって言うし!」

 

「ゴキブリ?蚤じゃなかったっけ?」

 

「………そうとも言うよね!」

 

察したのか鬼道や一之瀬も続いてフォローに回ってくれた。

 

それでも円堂は難しい顔してるが。

 

「それじゃあ、合宿で決まりね。」

 

「皆、5時迄に準備をして集合だ。」「「「はい!!」」」

 

さぁて、合宿か…………何持っていきゃ良いんだ、宿泊学習や修学旅行の時と同じで良いのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は4時半、少し早めに来たか?そう思って体育館の扉を開けると――――おお、皆揃って……いや、円堂と豪炎寺がまだか。

 

既に枕投げに興じてる奴らも居るし、俺も混ざりに行くか!

 

 

 

集合10分前に豪炎寺が、5分程遅刻して円堂が来た頃、一年組と俺は染岡に枕ぶつけた件で説教されていた。

 

お前ら何しに来たんだよって視線が痛いなぁ。

 

「漸く全員揃ったな、よし先ずは飯だ!」

 

響木監督の号令で料理を始めるが、この人数なら相当な量になりそうだ。

 

さて、俺は何処を手伝おうか……見るからに玉ねぎの所は人手が足りてないな。

 

「よう、手伝うぜ。」

 

「た、助かるでやんす……うう、目が……。」

 

あー、成る程それでここだけ人が寄りついて無いのか。

 

「鬼道は大丈夫なのかよ。」

 

「やっぱゴーグル(それ)有ると違うでやんすか?」

 

「まぁな。」

 

………玉ねぎのは目じゃなくて鼻からじゃなかったか?

 

栗松との違いは、鬼道は玉ねぎを氷水に浸けてる事だが。

 

鬼道の発言を真に受けゴーグル完備の一年組だが―――

「「「目が、目がぁぁぁ!!!」」」見事ムスカっていた。

 

ふと、視界の隅に一人離れているのが映った、あれは―――円堂か、しょうがない。

 

「おい円堂!サボってねぇで手伝いやがれ!

じゃねぇと飯抜きにすんぞ!」

 

焦ってもろくな結果にならねぇし、強引にでもサッカーから離すか。

 

円堂は不満たっぷりの表情で此方を見てから

 

「別にサボってる訳じゃ……マジン・ザ・ハンドを修得しないと――――――て、天願が、食材を……切断している……!?」

 

―――おい円堂、なんだその顔は。

 

「だってお前独り暮らしなのに、家に行ってもカップ麺とか冷凍食品ばっか食べてるし。」

 

ひ、否定出来ない。

 

「舐めんな、その気になりゃ料理位出来るっつーの!」

 

そう苦し紛れに言うと横合いから鬼道が

 

「そうか、じゃあ玉ねぎが皮付きなのはどう説明するんだ。」

 

「野菜って皮の近くが一番栄養あるって耳に挟んだ事あるし、別に食えりゃ良いんじゃねーの………?」

 

そう言い切った途端、皆が頭を抱えてしまう。

 

「ちょっ、何してるんですか先輩!?」

 

「そうだ、天願(コイツ)食えれば何でも良いんだったチクショー!」

 

「どうしてこうなるまで放っておいたんだ……!」

 

「っていうか独り暮らしでコレって………マジかぁ……。」

 

「なんて事だ……退け天願、俺が代わりにやる!」

 

「天願君、皿の準備、それが終わったら調理器具洗ってて、それだけで十分だから!」

 

音無、円堂、鬼道、一之瀬、豪炎寺、木野が慌ただしく畳み掛けてくる、うん?どっかミスったかな。

しかし懐かしい反応だ、前世(むかし)も似た様な光景を見たな。

ちゃんと栄養バランスを考えて食ってんのに、医者の不養生とか色々言われてたっけか、何が駄目だったんだろ?

 

 

食器の数を確認しているとスプーンやコップが少し足りない、監督に言って、調理室から借りて来て戻ると――あれ?

 

「なぁ、皆何処行ったんだ?」

 

夏美以外には大人組しか残っていない。

 

「さっき壁山君達が御手洗いから帰って来た時、人影が見えて、もしかしたら影山の差し向けた刺客かと思って皆で探しに行ったの。

天願君は何処に行ってたの?」

 

「監督から聞いてねぇか?食器を取りに調理室まで行ったが、大人だと?

元イナズマイレブンの人ならすれ違ったが……影山の野郎……!」

 

「………ねぇ、ちょっと良いかしら。

元イナズマイレブンって、あの人達が校舎内に居たの?」

 

「ん?ああ、そうだが………そういやサプライズだから内緒にって言われたな。」

 

取り越し苦労で良かったが、なんかどっと疲れが……。

 

「「…………ハァ。」」

 

二人して溜息を吐くと、丁度皆が帰って来る所だった。

 

 

 

 

彼等の話を聞くと、円堂がマジン・ザ・ハンドに苦戦している話を聞き、サプライズでその養成マシンを運び込んでくれたらしい。

 

側面に3対あるハンドルを回す事で動かす様だが40年前の機械、所々に目につく錆びからメンテナンスが為されていそうにはない、使えるのか?

 

取り敢えず位置について回そうと試みるが……その気になりゃ動かせはするが、錆びつきのせいでぶっ壊れるなコレ。

 

先生がこんな事もあろうかと、と油を取り出すが、油を差してもどうにもならn………あぶらのちからってすげー!

 

ま、動いたから良いか。

この機械は、障害物を乗り越えて端から端まで踏破する、と言葉だけなら簡単そうに聞こえる代物だ。

しかし上下左右前後斜め、全方向から襲い掛かる木棒をかわしきるのは至難の業、障害に気を割きすぎていると流れる床のせいで一向に前に進めないし、急いで注意を散漫にするなど論外だ。

 

何度もトライ&エラーを繰り返していると、鬼道が皆の疲労具合について問い掛ける、つられて周りを見渡すと相当疲弊している様子が窺える。

 

円堂も皆の状態に気づき下りて

 

「ちょっと休憩にするか?」

 

そう言うと

 

「だったら、俺達が回すでやんす!」「お前ら――」

 

「先輩達が頑張ってるのを見ながら俺達だけ休むなんて出来ないっす!」

 

「俺達にも手伝わせて下さい!」

 

「キャプテン、私達も手伝います!」

 

「此処まできたら完成させたいもんね!」

 

「皆……………何やってたんだ俺は!

こんな仲間が居るのにマジン・ザ・ハンドが出来ないからって独り焦って―――――俺は世界一の大馬鹿者だ!」

 

やっと、いつもの顔に戻ったか。

 

「頼むぜ皆!絶対完成させてみせるから!」

 

 

 

 

それからさっきよりも上達速度が上がっていき、あっという間に端まで辿り着き

 

「よし円堂、次のステップだ!」

 

次と言っても、俺達のシュートを円堂が止めるだけなのだが、俺と豪炎寺、鬼道の3人でイナズマブレイクを撃ち込む。

 

円堂の身体から凄まじい力を感じるが、技は不発に終わった様だ。

 

それを幾度も繰り返すが、マジン・ザ・ハンドは完成しない、原因は分かっているが……。

 

「クソッ!何でなんだ!」

 

「何か、根本的な何かが欠けているが………マジン・ザ・ハンドは大介さんにしか出来ない幻の必殺技なのか。」

 

響木監督がそう呟くと周囲に落胆の感情が伝播し、場の雰囲気がみるみる落ち込んでいく。

 

やれやれ、士気上げなんざガラじゃねぇんだけどな。

 

ガシガシと後頭部を掻きながら

 

「……ったく、始まる前から気持ちで負けてどうすんだよ。

顔上げろお前ら、こんな雰囲気で試合に望めば、勝てるもんも勝てねぇだろ。」

 

 

「天願先輩……でも相手のシュート止められないんじゃ……。」

 

「だったら、点を取れば良いじゃない!」

 

木野?

 

「10点取られたら11点を、100点取られたなら101点。

そうすれば勝てるじゃない!」

 

「そうですよ皆さん!相手よりも多く点を取るんです!」

 

木野と音無に言いたい事を全て言ってくれた、俺はこういうの向いて無いから正直助かる。

 

二人の発言を皮切りに皆の士気が上がっていくのが分かる。

 

「10点取られたら11点。」「100点取られたら101点。」

 

「フッ……ああ!取ってやろうじゃないか、101点!」

 

「俺達だって守って守って、奴らにシュートを撃たせない!」

 

「俺もやるっす!」「意地でも守りぬくでやんす!」

 

「やろうぜ円堂、俺達なら力を合わせれば出来るさ!」

 

「よっしゃあ!皆、俺達の底力、見せてやろうぜ!」

 

「「「おうっ!!!」」」

 

 

 

 

そういや、伝えておきたい事が残ってたな。

練習が始まる前に円堂の肩に手を載せ

 

「マジン・ザ・ハンド、諦めんなよ。

あの技はお前の爺さんだけの技じゃねぇ、絶対に完成させられる技だ。

完成に足りないものは――――「待ってくれ天願。」

 

俺の言葉を遮った円堂の眼にはある強い意思が宿っていた。

 

「………安心しろ、伝えるのはあくまでヒントだけだ。

この技を完成させる為の全てのピースは出揃っている、それを見落とすな。」

 

それを言って円堂から離れる、アイツが止めずとも本来伝える予定だったものは言えた。

 

俺も化身技を世宇子戦までに間に合わせねぇとな。

 

 

 

 

 

 

 

グラウンドにて豪炎寺と鬼道と特訓だが、やはり化身の力が強く成り過ぎて暴走してしまう、制御(抑制)の方に力を割けば何とかなるが、そうして繰り出した時の威力・消耗を考えると二人でやる必要性が薄れる。

 

試行錯誤を繰り返す内に化身を顕現させるだけのスタミナなんて尽きてしまい、グラウンドに大の字で倒れ込む。

 

何かが足りねぇ、いや、足りない物は分かってるが、それをどうすれば良くなるかが掴めない。

 

「大丈夫か、天願。」

 

「ああ、疲れただけで問題ねぇよ。

にしても、結局完成出来ず仕舞いか……。」

 

「だけど他の合体技は創れた、やった事は無意味じゃないさ。」

 

「いやまぁ、そうなんだが……円堂のマジン・ザ・ハンドといい、俺達の化身技といい、根本的な何かが欠けてるって状況は同じなんだ、それで此方だけ無理でした、ってのは悔しいからなぁ。」

 

俺がそう言ってから暫くの間沈黙が続く、急にどうしたんだ?

 

疑問を覚えて少しすると鬼道が口を開く。

 

 

「天願、マジン・ザ・ハンドの助力を円堂にしないのか。」

 

「…………まあな。」

 

「やはり、マジン・ザ・ハンドに足りない物が何か、もう分かっているのか。

 

なら―――「円堂に教えるつもりは毛頭無ぇよ、例えアイツ自身が聞きに来ようとな。」

 

「………それは何故だ。

 

円堂があれほど苦悩しているにも関わらず教えない、その理由(ワケ)は――――」

 

「アイツが、()()()()()()()()だよ。

 

俺はな、悩んで苦しんで、それでも歩みを止めず、挫折や絶望にぶち当たっても諦めず前に進んで……そんな経験にこそ価値があるって、そう考えてる。

 

確かに此所でマジン・ザ・ハンドの最後のピースを教えてやれば、直ぐに修得出来るだろうよ、若しくはマジン・ザ・ハンドより強い技を教えるって手もあるな。

 

だけど、それじゃ意味が無ぇ。

 

簡単に解決させて、ろくな苦労もせずに乗り越えちまえば、これから先、更なる困難にぶつかった時に心が折れやすくなるし、それにアイツが今やっている努力を無意味に貶めちまう。

壁ってのは自分で乗り越えてこそ意味がある、心配なんざしなくてもアイツなら何とかするさ、俺達はさっきの通り点を取りに行くだけだ。

 

 

勿論、この試合は絶対に負けられねぇって事は理解してるさ。

これは俺の勝手な言い分だ、だから負けそうに成ったら、俺が何とかする。」

 

 

 

「………結果よりも過程が重要な時もある、という事か。」

 

「随分と円堂の事を信頼してるんだな。」

 

「雷門イレブンの面子じゃ一番長く付き合いだし自然とな、それに円堂ならマジン・ザ・ハンドがなくたって問題ねぇさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――同時刻、イナビカリ修練場

 

円堂、土門、一之瀬の3人が休憩中、一之瀬が

 

「ねぇ、円堂はさ、天願に聞いてみないの?」

 

意を決した様子で訊く、そんな一之瀬とは対照的に円堂は

 

「………『マジン・ザ・ハンド』の事をか?」

 

少し間こそあったものの平静を保った、否、その問いがいずれ来ると予想していた様だった。

予想した反応との差違に疑問を持ったが、それに構わず話を続ける。

 

「うん、彼は必殺技に関してなら誰の追随をも許さない、そんな選手だ……俺達や今まで戦って来た選手が使った技の全てを使える、そう言われても驚かない程に。」

 

「おいおい、そりゃ流石に―――――

「合ってるよ。」………嘘だろ?」 「やっぱりか。」

 

半ば確信を持った問い掛けだが、内容が突拍子も無い事もあり、信じられなかった土門だが、円堂の肯定に唖然としている。

その反面、思った通りだ、と納得する一之瀬。

 

「木戸川清修戦の後、豪炎寺と天願が話してる時に聞いた。

なんでも、完成度や威力が度外視になるけど()()()()()()()()()()()()()()()そう言ってた。」

 

「予想はしてたけど、いざ聞くととんでもないな……。

なあ円堂、そんな彼ならマジン・ザ・ハンドに足りない何かを知ってるんじゃないか?」

 

語られた事に驚きを隠せないが、自分が聞きたいのはそれでは無い、思いきってこの話を始めた核心を訊くが

 

「うん、天願なら知ってる筈だ。」

 

何でもない事の様に、さらりと答えた。

 

驚きの余り思考が止まり、場を沈黙が支配する、漸く頭が働き始めた土門が

 

「なら!直ぐに教えてもらお―――「いいよ、別に。」

 

思わず食って掛かるも、依然として円堂は冷静なままだ。

 

「それを分かってて……聞きに行かないんだね。」

 

また訪れた暫しの静寂の中、今度は円堂から語り始めた。

 

「………天願がどう思ってるかは知んないけどさ、俺にとって天願(アイツ)は唯一のライバルなんだ。

 

最初、ストライカーを目指してた天願に軽い気持ちでGK薦めてみたら意外と直ぐ乗ってきて、その日に必殺技も編み出して………他のポジション・必殺技の練習もあるのに、それからも止めず、今までずっと続けてくれてどっちが強いシュート止めれるか、なんて競い合ったりして楽しくて………豪炎寺に鬼道、色んな凄いヤツと会ってきたけど俺の中で本当のライバルだ、って思えるのは天願だけだった。

 

………この間の決闘と試合、トライアングルZやそれより強い技をあっさり止めたり弾き返したのを見て"格の違い"みたいなのを感じてさ…………凄く悔しかった………!」

 

「円堂………。」

 

「今みたいに負けたままじゃ嫌なんだ……。

俺の我が儘なんだけど、天願に追い付く為にマジン・ザ・ハンドはアイツの力を借りずに修得したい………!」

 

「………そうだな、俺だって負けたくない奴もいるしよく分かる……よし!練習やろっか、ライバルに勝つ為にさ!」

 

「うん………天願だって直ぐ追い抜いてやる、燃えてきたぞーーー!!!」

 

テンションを上げていく二人に、土門が気になった事を聞く。

 

「……なぁ、仮にお前らの予想が正しいとして、なんで天願はマジン・ザ・ハンドを教えに来てくれないんだ?」

 

「多分だけどさ、俺がマジン・ザ・ハンドを―――いや、マジン・ザ・ハンドを使えなくてもゴールを守れるって、そう信じてくれてるからだと思う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が信じる円堂(アイツ)は」「天願(アイツ)が信じる俺は」

 

 

「「絶対に諦めない、そんな選手(ヤツ)だから、壁なんて幾らでも超えていく」」

 

「「だから」」

 

「「何処までだって強くなってやる、円堂(天願)にだけは負けたくねぇからな。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして夜は更けていき、遂に試合当日

 

しかし会場には閉鎖の看板が付けられていた。

実際、中には誰も居ない様で意識を凝らすも、会場内からは何の気配も感じ取れない……。

 

夏美の方に電話が掛かり、通話を終えると困惑の表情を浮かべ

「大会本部から………急遽、決勝戦の会場が変わったらしいわ。」

 

「変更?一体何処………に………は?」

 

スタジアムに隠れて見えなかった()()が姿を現した。

 

円盤の様な形の下部に、両手を広げ翼の生えた人の像がある。

 

地震とかに悩まなそうで羨ましい……そんな場違いな感想が浮かぶ位に俺も動揺しているらしい。

 

周囲からも驚きの声が上がっている。

 

 

 

この世界の科学力、影山の資金源が実に気になる所だが、今は世宇子に集中しよう、流石にこんなの見たら、もう何が来ようと驚かねぇ筈だ。

 

各々の覚悟を胸に俺達はスタジアムへ上がる道を踏み出して行った。




二人での化身は二人とも力を引き出す→力が強まり過ぎて暴走、で失敗しています。
今は片方だけに力を引き出させる→主人公が化身の制御に力の大半を割く→実質一人分のパワー
↑二人でやる必要なくね?って状態です。


主人公は料理出来なくは無いし、美味しい物は好きで味音痴って訳でもないです。
前世では何かと身の回りの世話をしてくれる人間に恵まれ、基本的には栄養さえしっかり摂れてりゃ味や食感を気にしないのでその辺が雑になってます。
カップ麺とかの時はコンビニで買ったカット野菜やサプリメントで栄養だけは調整してます。

因みに前世での職は医者→探偵助手だったりする。





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第28話 神の洗礼


今更になって私の作品にはポジション表記が無いのに気付きました。

今の所はメンバーもそこまで多くないから大丈夫だったけど、これからキャラの入れ替え多くなってくるから書く習慣つけないと……!


以外と長くなったので、分けました。
まさか前半終わってないのに6000超えるとは………。




弓王欲しいぃぃぃ!!!だけど、新水着鯖もいて………そもそもイベ自体進めてねぇ!

せめて種火とマナプリだけでも………!


会場へ入ってから、夏美の解説から此処は世宇子の学校である事がわかった。

 

俺達が行けない場所に変更し、不戦勝にされないだけマシなんだろうが………当日の急な会場変更が認められたって事は大会本部は完全に抱き込まれたと見て間違いないか。

 

理事長の事故は本人が影山にとって邪魔だったのと、それを他の運営委員に対する脅しに用いる為にしたのだろう。

 

コートに到着してから、皆は隅々まで見て回っている、帝国の件があるから警戒は緩めない方が良いだろう。

 

ふと、視線を感じた。

それにはとびっきりの悪意が含まれている、こんなのをぶつけて来る奴を俺は一人しか知らない――――影山……!

 

会場を見回していた円堂も影山に気付き、その声に反応して皆も一斉にそちらを見る。

 

影山の姿を確認してから、見渡さずとも様々な感情が伝わってくる。

 

何をしてくるのかという―――恐怖

 

姿を見せた事に警戒する―――猜疑

 

一線を画す程強く感じる―――怒り

 

目線だけ向けると、血が滲まんとする位に強く拳を握り締める豪炎寺の姿があった。

 

無理もない、寧ろ良く耐えていられるものだ。

 

こちらを見て嘲笑を浮かべる影山と睨み合っていると

 

「円堂、話がある。」

 

響木監督?

 

「大介さん、あの人の死には影山が関わっている可能性が高い。」

 

………そんな気はしていたが、今それを話すのか。

 

「爺ちゃんが……………影山に?」

 

円堂は溢れだす憤怒・憎悪を必死に堪えている。

 

段々と呼吸が荒くなっていき感情が爆発する寸前、豪炎寺が円堂の肩に手を置き、夏美が名前を呼んで落ち着かせようとする。

 

豪炎寺と夏美もまた、影山によって大切な家族を傷付けられた痛みを持つ。その二人を見た円堂は少しずつ落ち着きを取り戻していく。

 

「円堂君」

 

「円堂!」

 

「キャプテン!」

 

「「「円堂」」」

 

それに続いた皆の声を聞いてから大きく息を吐き出し、力を籠めていた拳を開き

 

「監督。

こんなに俺を想ってくれる仲間に会えたのは……サッカーのお陰なんだ。

影山は憎い!………だけど、そんな気持ちでプレーしたくない。

サッカーは楽しくて、面白くて、ワクワクする、1つのボールに皆の熱い気持ちをぶつける最高のスポーツなんだ!

だからこの試合も、俺はいつもの()()()()()()()で皆と優勝を目指す、サッカーが好きだから!」

 

――――やっぱ円堂(コイツ)には敵わねぇな……。

もし、俺がコイツと同じ立場だったら………考えるだけ無駄だ、どうせ復讐に走るのだろう。俺には、円堂の様な確固とした芯など無い。

 

 

「よし、お前達、試合の準備だ!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

ユニフォームに着替え終えた俺達を出迎えたのは割れんばかりの拍手だった。

 

 

<雷門中、40年ぶりの出場で遂にこの決勝戦まで登り詰めた!

果たしてフットボールフロンティア優勝の栄光を掴む事が出来るのか!?>

 

 

「いよいよ始まるんだな、決勝が!

皆とこの舞台に立てて、信じられない位嬉しいよ!

 

俺、このメンバーでサッカーが出来て本当に良かった、皆が俺の力なんだ!

さぁ、アップを始めるぞ!」

 

「「「おお!」」」

 

円堂の掛け声で一斉にコートへ向かった途端、世宇子側のベンチに突風が吹き荒れたと思えば、その場に世宇子のメンバーが現れていた。

 

<この戦い最も注目を集めている世宇子イレブンの登場だ!

決勝戦まで圧倒的な強さで勝ち続けて来た彼らは、この決勝でもその力を見せつけるのかーーー!?

 

さぁ―――間もなく試合開始です!>

 

開始直前、円陣を組み

 

「いいか皆!全力でぶつかれば、なんとかなる!

――――勝とうぜ!」

 

「「「おおーーー!!!」」」

 

 

俺達が気合いを入れたその直後、世宇子のサポーターが貴重な物を取り扱う様子で、人数分の水を運んで来た。

 

「………天願、もしかするとあれが?」

 

鬼道が隣に来て訊いてくる。

 

「恐らくな。俺が世宇子に勧誘された折に話題にされた、神のアクアって奴だろうさ。」

 

「普通に考えれば身体能力増強の作用のある物………違反だが……。」

 

影山(ヤツ)が一度釈放された事、当日という急過ぎる会場の変更…………警察の一部と、運営委員には今から言っても試合中に対処して貰えるか、微妙だな。」

 

「例えアイツらがどんな事をしていても、俺達が全力をぶつけて勝つ、それだけだ!」

 

「円堂――――ああ、そうだな。」

 

 

 

 

 

FW 染岡 豪炎寺

 

MF 一之瀬 天願 鬼道 少林寺

 

DF 風丸 壁山 土門 栗松

 

GK 円堂

 

<いよいよフットボールフロンティア全国大会決勝、雷門中vs世宇子中の試合が始まります!>

 

開幕を告げるホイッスルが鳴ると、世宇子はアフロディにボールを渡すだけで誰も動かない。

 

「クソッ、舐めやがって!」

 

染岡と豪炎寺がボールを奪いに接近すると、右手を上げ

 

「君達の力は僕には通用しない、『ヘブンズタイム』」

 

指を鳴らす動作が見えたかと思えば、一瞬で二人を抜き去っていた。

 

「消えた……!?」「抜かれた、いつの間に!?」

 

アフロディが腕を鳴らすと、豪炎寺と染岡の居た所に強烈な風が発生、二人を吹き飛ばす。

 

何だ今のは、捉えきれなかった……!

 

それは俺だけではないらしく、他の皆や実況、観客からも驚きの声が聞こえてくる。

 

アフロディは走りもせず悠々と歩いてゴールに近付いて来る。

 

考えろ、思考を止めるな、奴の間合いに入る前に打開策を練り上げろ………!

 

『瞬歩』の様な高速移動技……いや、其ほどの速さを予備動作(タメ)無しでってのは考え難い………。

 

幻惑でも見せて動きを止めた……それだとあの高速移動の説明がつかない。

 

『ヘブンズタイム』……タイム、時間?もしや……。

 

「さて、天願君。

これこそが、君が選らばなかった人間を超える神の力だ。」

 

―――時間切れ、か。

 

奴の必殺技(ヘブンズタイム)の特性を暴くのに最適な方法は……!

 

「来い、【法皇の緑(ハイエロファントグリーン)】」

 

全身がメタリックグリーンに輝き、網目状の模様を持つ人型の化身を出現させる。

 

「へぇ、それが君だけが使える"化身"かい?

面白い、それが神に届く物か見せて貰うよ。」

 

「コイツで見極める………『法皇結界』!」

 

アフロディの正面に立った俺は、先ずアフロディの周囲を、そして俺から全方位へ放射状に隈無く結界の糸を張り巡らせる。

 

「『ヘブンズタイム』」

 

それに構わず指を鳴らすアフロディ。

 

これで止めれるに越した事は無いが、もし俺の予測が正しかったなら……

 

果たして―――背後で指を鳴らす音が聞こえた時、結界はアフロディが通り過ぎたと思われる部分のみが千切れていた。

 

問題は、アフロディに密接していた物と俺の周囲にあった結界が破られた事で作動する(トラップ)、その全てが()()()()()()()()()()()()()()という事だ―――考え過ぎであって欲しかったが……

 

「テメェ……まさか本当に時を……ぐぅっ!?」

 

俺が吹き飛ばされる寸前に発した言葉を聞き取ったアフロディは、一瞬きょとんとした表情をし

 

「……フ、フフフ……アハハハハ!!!

ほんの僅かな時間で、この技を見抜くなんて……影山総帥の言った通り、最高に危険(イレギュラー)だよ、君は……!」

 

腹を抱えて哄笑し出した、その隙を突こうと一之瀬・鬼道・少林寺が突っ込むが

 

「今はとても気分が良いんだ、水を差さないでくれるかな?

『ヘブンズタイム』」

 

やや苛ついた様子のアフロディによって一蹴されてしまう。

 

「彼の言う通り、神へと昇華した僕は時間という世界の法則すらも操れる様になったんだ。」

 

淡々と自分の手にした力を話しながら歩むアフロディの前に、壁山と土門が立ち塞がるが、恐怖による震えを隠せずにいる。

 

「怯えを恥じる必要は無い、決して敵わないモノを前にすれば、当然の反応だ。」

 

怯える二人を容赦なく蹴散らし、円堂を除いて遮る者は誰もいなくなったゴールへ辿り着く。

 

 

「来い!全力でお前を止めてみせる!」

 

「天使の羽ばたきを聞いた事はあるかい?」

 

そう言うと、アフロディの背中に3対の白い翼を出現させ、それを用いて翔び上がり

 

「『ゴッドノウズ』これが神の力!」

 

奇しくもアフロディが乱入したあの日を思い起こす構図で強烈なシュートが繰り出された。

 

「『ゴッドハンドW』――――!?」

 

「本当の神は、どちらかな!?」

 

全力で対抗する円堂だが、ゴッドハンドは呆気なく砕かれ

 

「うわぁぁーー!!」

 

 

<恐るべきシュート、ゴッドノウズが炸裂、先制点を取ったのは世宇子中だぁーーー!

 

そして驚くべきは雷門イレブンに一切ボール触れさせる事なく得点をした世宇子キャプテンアフロディ!

これが神の領域のプレーなのか!?>

 

「これで君が愚かにも勝とうとしていた神との実力差が分かったかい?」

 

「「「円堂(キャプテン)!!!」」」

 

蹲ったままの円堂に皆が駆け寄っていく、何とか、といった様子で立ち上がる円堂だが、その両手には隠しきれない程のダメージが見受けられる。

 

「たった一度のシュートで……!」

 

「ああ、凄いシュートだった……でも!次は止めてみせるさ!」

 

そうは言うものの、それが虚勢である事は全員が分かってしまった。

 

その空気を払拭せんと、一之瀬が声を上げる。

 

「よし!次は此方の番だ、取られたなら取り返そう!」

 

「点を取るぞ!」「「「おおーー!!」」」

 

 

 

<先制された雷門のキックオフで試合再開…………どういう事だ!?世宇子イレブン、全くディフェンスをしない!

雷門FW陣はゴール前まで到達した、それでも世宇子は動かない!>

 

「舐めやがって……『ドラゴントルネード』!」

 

染岡と豪炎寺の合体技が放たれるが

 

「『ツナミウォール』!」

 

膨大な量の水が地面が噴き出し、ゴールを守る壁となる。

 

水の無い所でこれ程の水遁を……!?

 

二人のシュートは水壁によって容易く止められてしまった。

 

……ゴール全域を守る技、か。

鬼道の暴王の流星(メルゼズ・ランス)も対策されてる様だな。

 

<なんと!?世宇子GKポセイドン、ドラゴントルネードを止めたぁ!?>

 

実況だけでなく、観客、雷門メンバーも驚いている。

 

確かにドラゴントルネードはFF全体で見てもかなり強力な技だ、それは認めるが、あの技って止められてる記憶の方が多くて全然驚けない………。

 

するとポセイドンはボールを此方に返し、人差し指を自分の方に数度折り曲げて見せた。

 

<おおっーと?ポセイドン、雷門にボールを渡しシュートを撃って来いと挑発、何という自信だ!>

 

「ボールを渡した事が失敗だと思い知らせてやる。」

 

「「「『皇帝ペンギン2号』!!!」」」

 

今度は鬼道を起点にした豪炎寺、一之瀬による皇帝ペンギン2号が放たれる―――が

 

「『ツナミウォール』!」

 

ペンギンさんがぁぁぁーーーー!?

 

<なんとポセイドン、また止める!>

 

再びボールは渡され、一之瀬の元へ

 

「なら――――これでどうだ

 

「「「『ザ・フェニックス』!!!」」」

 

円堂、土門を加えた3人の必殺技がゴールへ迫る、あの威力なら『ツナミウォール』は突破―――さっきと違う!?

 

「『ギカントウォール』!

これじゃあ、ウォーミングアップにもならないな。」

 

ポセイドンが繰り出したもう1つの技は『ザ・フェニックス』すらも止めてしまった。

 

だが、それを使った事で底は見えた、次はボールを返さない様だが……そのパスを奪う!

 

「今度こそ決めやるよ……喰ら「『メガクエイク』!」――――うわらば!」

 

着地狩りはヤメロォ!受身取れんねんぞ!

 

俺からボールを奪ったディオはFWのデメテルへパス、そこへ向かって

 

「ゴールには近付かせない!」

 

「キャプテンだけじゃない!」「俺達皆で守るっす!」

 

風丸、少林寺、壁山の3人が向かうが

 

「『ダッシュストーム』!」

 

荒々しいドリブル技で突破されてしまう、そしてそのままシュートへ

 

「うぉぉぉ!『リフレクトバスター』!」

 

「『ゴッドハンドW』!」

 

<円堂、ここは止めたぁ!雷門も負けてはいない!>

 

確かに止めはした……しかし、ゴッドノウズのダメージが響いているのだろう、止めた後に膝をつく―――いや、それよりも

 

「少林!大丈夫か!?」

 

先程のプレーで足を痛めたのだろう、立ち上がれずにいる。

 

「天願!少林は大丈夫か?」

 

ボールを外に出した円堂が急いで駆け寄って来る。

 

「………軽く診たが、プレーを続けるのは無理だ。

交代させた方が良い。」

 

音無が持って来た救急箱を使い、応急手当を施していると

 

「すみません、天願さん、キャプテン……止められなかった……!」

 

「そんな事気にすんな!」

 

「お前の頑張りは無駄にしねぇ、後は俺達に任せろ。」

 

 

 

<雷門中、少林寺に代わり松野が入り試合再開です!>

 

世宇子のスローインから始まる、ボールを取ろうとしても、他の選手に遮られて取りに行けず、ボールを持つ選手に近付けない……!

 

「好き勝手させるかよ!」

 

「全員サッカー!」「それが雷門のサッカーでやんす!」

 

土門、マックス、栗松がボールを保持するデメテルに突っ込むが先程同様、ダッシュストームで突破した後、もう一人のFWであるヘラにボールが渡り

 

「『ディバインアロー』!」

 

「『ゴッドハンドW』―――ぐうっ………しまった!」

 

受け止めた、かに見えたのも束の間、強力なシュートの連撃によって積み重なったダメージによる痛みでゴッドハンドは解かれ、得点を許してしまった。

 

 

<ゴォーーール!

世宇子の雷門をものともしない怒涛の攻めで2点目を取った!

何という力の差!その強さは、正に人を超えている!>

 

「マックス!栗松!」

 

クソッ!レベルが違い過ぎて、彼方が技を繰り出す度に怪我人が出ている。

 

 

<ああっーと!?また負傷、松野と栗松、動けない!

 

栗松に代わって影野が、松野に代わって半田が入ります。>

 

影野が入ったが世宇子(アイツら)にとって脅威となる者が雷門(ウチ)に居ない以上、ミスディレクションによる撹乱は期待出来ない……。

 

 

 

「これ以上好き勝手させっかよ!」

 

仲間を傷つけられ、我慢の限界に達した染岡がキックオフ後、一気に突っ込み得点を狙うが

 

「『メガクエイク』!」

 

ディオに阻まれてしまう、そして――

 

「がぁぁぁ!!!」 「染岡!?」

 

遂に染岡までもが負傷してしまう。

 

<FWの染岡も負傷か?雷門絶対絶命ーー!!

 

染岡に代わって天願がFWに、MFに宍戸が入ります。>

 

 

 

 

ここで点を取りに行くか………?

士気上げとして余り良いタイミングじゃないが、ここまでボロボロにされて「勝てないかも」という不安を持たせたままにしておくのも宜しくない……。

だが……さっきから俺がボールに近付こうとする度に妨害が入る。

 

<雷門イレブン、世宇子中のスーパープレーに次々倒れていく、あまりにレベルが違い過ぎる!>

 

仲間の負傷、敵の技に気が向いて気付けなった、2人が密着、1人がやや離れて、といった具合で常に3人以上が俺をマーク、ボールに触れさせない様に動いてやがる……!

 

 

3人が密着してマークしているなら一気に複数人を薙ぎ払う技を使えば良いが、それらの技は総じて発動前に少しのタメがあるのが問題だ。

 

今の様な状況でそんな技を使おうとすると、その僅かなタメの時間に1人が効果範囲外に出て、技を放ち終わった俺に再度接近、そこで稼がれた時間で他の奴、若しくは技を受けてから復帰した奴に再度マークを掛けられれば、消耗損だ。

 

打開する方法は2つあるが、どちらも使えない理由がある。

 

1つは化身

 

化身を使えば多少強引にでも突破は可能だ。

 

だからこれは何度も試みようとしたが、俺が化身を出す素振りを少しでも見せれば、急激に当たりが強くなり、それで集中を乱され不発に終わってしまった。

 

 

もう1つが技の連発

 

技の連発をすれば突破出来る筈だが、残った交代要員は目金だけ、他の部員よりも丈夫でないアイツが、俺が回復する迄の時間『ダッシュストーム』『メガクエイク』を受けて、負傷しないとは考えにくい……。

 

試合時間はまだまだある、ここでスタミナを使いきるのは得策ではない。

 

 

 

気付いてからは全力疾走を続け、マークの外れる隙・スタミナ切れを狙っているが、上手くいかない。

 

それもそうだ、ドリブル・ブロック技で雷門イレブンをここまで追い詰めたアフロディ・デメテル・ディオの3人とヘラ・ポセイドンの2人を除いた他の6人全員が俺をマークしていれば、そんな隙などそうそう出来はしない。

 

スタミナは神のアクアに依る物なのか、一向に疲れる素振りを見せない。

 

それでもと、打開策を考え、少しでも奴等のスタミナを削ろうと足掻いて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていつしか―――――コートに立っている雷門イレブンは()()()()()()()()()()()

 

 




円堂が影山に怒りを感じたあのシーン、豪炎寺を主人公にすり替えようと思ったけど、特に何かを奪われた訳でもない主人公じゃなぁ………と思って、結局豪炎寺にしました。

文字数って多いのが良いのか、サクッと読める2~4000で良いのか分からなくなってきた………どうしよ。



化身

法皇の緑(ハイエロファントグリーン)

緑色に輝く身体に、網目状の模様を持つ人形(等身大)の化身
全身を紐(帯)状に分解して伸ばせる、という特徴がある。

引用「ジョジョの奇妙な冒険」

使用者「花京院 典明」

必殺技

『法皇結界』

法皇の緑(ハイエロファントグリーン)】の特徴を活かし、紐状にした法皇(ハイエロファント)をワイヤートラップの要領で張り巡らせる。

これに敵が触れる事で『エメラルドスプラッシュ』(宝石型のエネルギー弾)が自動発動、敵を吹き飛ばすブロック技。





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第29話 覚醒

時停め対抗になんで法皇の緑(ハイエロファントグリーン)?みたいな感想が浮かんだ方が多い様で……デスヨネー。

まあ、そんな展開見れば、誰だってそー思う、私だってそー思います。

一応理由があるにはあるんですが…………その理由以上にあのシーンが大好きでやりたかったんだ………!

後悔はない………。
こんな駄作とはいえ私は、『自分のやりたい事』を書いていたい!

これからもパロディ?オマージュ?(こういうの)やるかもしれないから、一応ソレっぽいのは付けたけど………このタグで良いのかしらん?

弓王引けたヤッター!と思ったのにね……

FGOテメェェェ!!!!

あの47?枚から選べるのが1枚とか巫山戯ろやぁぁぁ!!!
選べる訳ねーだろ!(# ゜Д゜)

後、ガチャが闇鍋過ぎて怖い……クラス別ならアサシン選んだのにぃ………!

シャーロックは兎も角、あの概念礼装は絶対引きたい。
あの3人は卑怯だぜ………( ;∀;)


さて、心情を吐露した所で本編どうぞ!
いつも通りの駄文ですがね……。

お気に入り登録・誤字報告・感想・アンケート回答、ホントにありがとうございます!

アンケートの方は、出すタイミング測っててあんまり出せてなくて………本当にごめんなさい!


アフロディのシュートを受け、遂に円堂までもが倒れたまま、立ち上がらない。

 

他の皆は、その様子からすると俺が気付く前から倒れたままらしい。

 

<FF決勝、世宇子中が雷門中を圧倒しています!>

 

 

 

 

 

 

……………この世界に来てから、俺の身体は前世を考えると信じられない程に強くなった。

 

他の選手よりも身体能力が優れているのは気付いたが、それでも、皆と比べれば隔絶する程の差はないだろうと思っていた。

 

影山に警戒されている分、他の皆よりも俺へのラフプレーは一層過激だったにも関わらず俺自身は()()()()()()()()為に、ここまで酷くなる(誰も立ち上がれない)程では無いのだろうと、楽観し過ぎていた。

 

負傷で退場していった仲間達の事を考えれば、予想は出来た筈なのに。

 

 

 

 

 

アフロディが倒れ伏したままの円堂に問い掛けている言葉が耳に届く。

 

「では質問を変えよう、チームメイトが傷付いていく姿を、まだ見たいのかい?」

 

………一切怪我をしていないし、技を使ってから時間が経った今、スタミナなんざほぼ全快だ。

 

俺だけなら続行しても問題ない。

 

だが、このまま続行した所で一体俺に何が出来る?

 

完璧に抑え込まれている現状を無理矢理に打破して得点―――――それをした結果、世宇子のラフプレーが過激になれば………

 

 

 

「円堂、天願、何を迷っている!

俺は戦う………そう誓ったんだ!」

 

豪炎寺………!

 

「豪炎寺の言う通りだ………もし俺達の為に、なんて考えてるなら、大間違いだ!」

 

「最後迄諦めない、それが俺達のサッカーだろ!」

 

風丸、鬼道……………クソッ、俺は何をしていた?

 

アイツらも各々の覚悟を以てこの試合に臨んでいる―――――それなのにこの体たらく。

 

不山戯るな……これは皆の覚悟を踏み躙ったと同義だろ!

 

 

 

 

 

 

気付けば、身体が勝手に動いていた。

 

さっきまで心が折れたかのように呆然としていた俺が動くとは思っていなかったのだろう、対応が遅れた世宇子のマークから外れ、アフロディの前に立ち塞がる。

 

「………まさかあの厳重なマークを振り切って来るとは、見直しが必要かな?

だけど、それに何の意味がある?

君の持つ化身の力は通用しなかった、それを知って尚挑むのかい?」

 

「そっちこそ、あの一度だけで俺の底を見抜いたつもりかよ。」

 

「君はもう少し賢い人間だと思っていたんだけどね…………ここで引導を渡してあげよう。」

 

 

「勝利への道を……ここで切り拓く!

星の白金(スタープラチナ)】!」

 

青銅色の逞しい身体に所々装飾のある人型の化身が現れる。

 

「さっきとは違う化身か……だが、手段を変えようと神には届かない『ヘブンズタイム』」

 

アフロディが指を鳴らした直後―――この瞬間!

 

世界が灰色に染まって見える、そして………()()()()()()()()()()

 

「な、何故だ…………何故動けな―――!

どうして、どうしてお前が動いている!?」

 

どうやら動けないだけで意識はあるらしいアフロディは、その表情を驚愕で歪ませている。

 

「時間を停める技は、何もお前だけの特権じゃねぇ。

お前が時を停めたその直後に『スタープラチナ・ザ・ワールド(俺が時を停めた)』ただそれだけだ。」

 

「馬鹿な……あり得ない!

もし時を停められるなら、何故あの時ソレを使わなかった!?」

 

「あの時に言った筈だぜ、()()()()と、法皇結界(あの技)はヘブンズタイムの正体を見抜く為の捨て石だ。」

 

 

 

ヘブンズタイムには時間停止の他に空間転移・高速移動・幻覚の候補があった。

 

空間転移又は高速移動で抜かれた際の距離次第では『スタープラチナ・ザ・ワールド』で停めた時間では間に合わない可能性があり、幻覚に至っては本体の位置を把握出来なければ正に無駄打ちで終わってしまう。

 

時間停止だった場合は、此方も時間停止でなければ対抗すら出来ない可能性が高いが、俺が時間を停めていられる時間は短い上に消耗も激しい。

 

今はアフロディの時を停めた状態(ヘブンズタイム)に便乗した事で使いやすくなっているが、俺から始動する場合、どれ程の消耗になるか………。

 

タイムという言葉から時間に纏わる技の可能性は高かったが、もしもそうでなく、挙げ句止められなかったら…………無駄打ちを防ぐ為にも、ヘブンズタイム(この技)が本当に時を停める技なのかを明確にする必要があった。

 

そしてその何れであっても正体を見抜ける、見抜けずとも止めれる技が『法皇結界』だった。

 

結界が一切反応せずに抜かれれば、空間転移

 

破られた結界にほんの僅かでも時間差があれば、高速移動

 

アフロディの位置と結界の反応地点が噛み違えば、幻覚

 

そして、結界の破られた瞬間に一切の時間差が無ければ――

 

 

破られる事を前提としても【法皇の緑(ハイエロファントグリーン)】と、その化身技である『法皇結界』は他と比べ格段に燃費が良く、最小のリスクで最大の成果を得るには最適だった。

 

「技を見抜く、ただそれだけの為に……!?」

 

「そろそろ時間停止(これ)を維持するのも辛いんでな―――――オラァッ!」

 

星の白金(スタープラチナ)】が腕を振るい、アフロディを吹き飛ばした瞬間、時間が動き出す。

 

<い―――一体何が起こったーーー!?

ここまで圧倒的な力の差を見せ付けたアフロディが吹き飛ばされたかと思えば、ボールは天願が奪っているぞ!?

流石は『ビックリ箱(ジャックボックス)』!予想がつかない!>

 

………ジャックボックス、なんだそれ?

 

 

 

 

「キャプテン!?」 「一体どうなって………!?」

 

「それは後だ、今は奴を止めろ!」

 

俺を止める為に世宇子イレブンが集まって来るが

 

「さっきまでの礼だ―――【星の白金(スタープラチナ)】!」

 

化身技を使った為か、既に薄れかけている【星の白金】。

しかしそんな状態でありながら、腕が複数に見える程に速い殴打で一蹴………それも束の間、他の奴等が迫って来るのを確認次第――――直ぐ様鬼道へパス。

 

俺が直接シュートに行くと予想していたのか、動揺で動きが止まったその隙を突いて抜き去り、鬼道の元へ走る。

 

「よし……天願、豪炎寺、いくぞ!」

 

口笛を吹いた鬼道の足元から5匹のペンギンが顔を出すと、()()()ボールを蹴り上げる。

 

<あれは『皇帝ペンギン2号』………いや、違う!

シュートチェインだぁぁぁーーー!!!>

 

それを炎の渦を纏った豪炎寺と俺が交差しながら蹴り落とす!

 

「「「『皇帝ペンギン―――FD(フレアドライブ)』!!!」」」

 

渦炎を宿した5匹のペンギンは、螺旋の軌道を描く様にボール周りの空を泳ぎ、ゴールへ突貫する。

 

「『ツナミウォール』!」

 

分厚い水壁にぶち当たった瞬間、ペンギン達がボールを後押し、ペンギンが纏っていた炎の渦がボールへ移り、貫通力を増したシュートは――――

 

<ご、ゴーーール!!!

雷門、あの世宇子から得点をもぎ取ったーーー!!!

これで2vs1、さらにここで前半終了のホイッスル!

この勢いで雷門が逆転するのか、それとも再び世宇子が差を見せ付けるのか、勝負はまだまだ分からない!!!>

 

 

 

 

俺達が支え合いながらベンチへ戻ると、そこにマネージャー達の姿は無かった。

 

一体何処へ行ったのか、監督やベンチに居る皆に聞くと、夏美の携帯が鳴り、通話を終えれば急用があると告げ、木野と音無の3人で何処かへ走って行ったとの事。

 

余程重大な事態が起きない限り、あの3人がマネージャーの仕事を放り出すとは考えられない。

 

まさか電話の相手は影山で3人に何か仕掛けて来たのか……不吉な考えを誰かが呟き、緊迫した雰囲気になったその時、息を切らしながら建物から3人が飛び出して来た。

 

「嘘っ、もうハーフタイム!?ちょっと待ってて!」

 

「わああっ!ごめんなさい!直ぐに水の用意をしますっ!」

 

「ちょっと時間が掛かり過ぎたかしらね……。」

 

タイムボードと此方を見て前半が終わった事に気付き、慌てて準備を始め出す3人。

 

「落ち着けよ、水の用意位なら怪我してたって出来るから問題ねぇ。」

 

「そうです!僕だって雷門の一員、皆の為にサポート位ならこなせますよ!」

 

それを、染岡と目金が落ち着かせ

 

「怪我の処置なら、豪炎寺と俺で十分対応出来る。それよりも―――」

 

「春菜、怪我は無いか!?一体何があった、まさか影山に何k――」

 

「………鬼道、少し落ち着け。」

 

シスコン全開の鬼道を俺と豪炎寺の2人で止める、夏美達の方も漸く呼吸が整ってきたのを見て、円堂に話を訊くよう目で促す。

 

「それで、一体何をしてたんだ?」

 

「実は――――」

 

 

 

 

 

夏美が言うには、影山の事を探っていた鬼瓦刑事が世宇子イレブンの圧倒的過ぎる強さに疑問を抱き、手当たり次第に捜査していたらしい。

 

そして、丁度試合をしている俺達だからこそ気付ける事が無いかと電話を掛けた所、俺の話から神のアクアを思い出し、世宇子の全て試合で開始直前に飲んでいる水を怪しいと睨んだ鬼瓦刑事が調査に赴こうとした折り、夏美達の方から協力を申し出た……とのこと。

 

 

 

鬼瓦刑事と合流後、スタジアムの中を探索する内に1ヵ所だけ極端に警備が厳重な(あからさまに怪しい)場所を発見、付近で待機し様子を窺う最中、警備員の会話等から神のアクアである可能性が高いと見て、警備員へ変装した鬼瓦刑事と一芝居、夏美らを囮にして警備員を扉から引き離し、後は鬼瓦刑事に任せて警備員を撒く為に走り周り――――そして今に至る、との事だ。

 

 

 

神のアクア、皆にはアフロディが練習中に割り込んだ時にも話している。

 

既に事情を知っている円堂だが、何度も聞こうとサッカーを汚す行為を許せず、怒りに身体を震わせている。

 

「円堂君……。」

 

夏美が円堂へ声を掛けるも、そこから先の言葉が出てこない。

 

言葉こそ発していないが、その表情からはこのまま試合をさせたくない、そんな想いが透けて見える程に良く分かる。

 

そんな夏美に対し、

 

「大丈夫!俺はやれる、いや、やらなきゃならない。

世宇子(アイツら)のサッカーが間違っている事を示す為にも。」

 

覚悟を決めた顔でそう言う、その言葉にある者は頷きで、毅然とした態度で、揺らぎなき眼差しで応える。

 

チーム全員の強い決意を感じた響監督は、顔を上げ

 

「よし、行け!

最後までお前達のサッカーを貫いて……勝って来い!」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

 

 

 

 

後半戦が始まると同時にボールを持ったディオに豪炎寺・鬼道・一之瀬の3人が力を合わせて挑むが、それでも押し負けメガクエイクで吹き飛ばされる。

ボールはデルメルに渡り、ダッシュストームで宍戸・風丸・半田が、その次にアフロディのヘブンズタイムで土門・壁山・影野がやられてしまう。

 

前半で受けたダメージが響き、開始して間もないが皆は倒れ伏したまま立ち上がらない。

 

 

 

前半の様に円堂とアフロディの1vs1になる

 

「君が倒れれば、天願()も諦めがつくだろう。

終わらせてあげるよ。」

 

 

技こそ使っていないが、かなりの威力を秘めたシュートが円堂に突き刺さり、そして倒れ込む。

 

 

横たわった円堂を確認したアフロディは

 

「これで終わりだ、君も諦めて「サッカーは……」何………!?」

 

俺の方を向こうとした途中に聞こえた円堂の声に、ゴールへ向き直る。

 

「馬鹿な………。」

 

「大好きなサッカーを汚すなんて…!」

 

何度も、何度も円堂にシュートを繰り出す、その中には先程よりも威力の高いものがあるが………今度は倒れなかった。

 

「そんな事は………許しちゃいけないんだ!」

 

その叫びに呼応し、倒れていた仲間達が立ち上がる。

 

円堂の気迫を受け、無意識的に後退り、それを自覚しアフロディは

 

「神たる僕が、恐怖したというのか?

そんな事………あるものか!」

 

 

「これは、大好きなサッカーを守る為の戦いだ。」

 

「「「円堂(キャプテン)!!!」」」

 

「神の本気を知るが良い『ゴッドノウズ』!」

 

激昂したアフロディがゴッドノウズの構えを取ると同時に、自分の両手に視線を落とした円堂はハッとして

 

「『この技(マジン・ザ・ハンド)に必要なピースは出揃っている』………俺が見落としていたのは心臓(この事)だったんだな、天願!」

 

――――身体を捻り、背を向ける。

 

一見、臆病風に吹かれた動作に見えるが、次の瞬間に円堂から湧き上がる凄まじい力が、そうでない事を物語る。

 

 

アフロディに負けたあの日から、特訓ノートにある唯一のポイントを焦りで忘れている様だったが………漸く気付いたか。

 

しかし、俺がノートからイメージして作り上げた『マジン・ザ・ハンド』は左手で出す技だったが―――――

 

 

「これが俺の『マジン・ザ・ハンド』だあああ!!!」

 

()()()()()()()()とはな………利き手で行使する分、より強力になっているのが分かる。

あれは円堂大介の技(オリジナル)を越えた――――――()()()()()()()()()()()()()だ。

 

マジン・ザ・ハンドはゴッドノウズをものともせず受け止める。

 

「天願、いっけぇぇぇ!!!」

 

円堂からボールを受け取り前を向くと、世宇子イレブンが前半同様に立ちはだかるが―――

 

「そうはさせない……!」 「ここは俺達が抑えます!」

 

「行ってこい、天願!」

 

影野・宍戸・半田が身体を張って止めている。

 

「お前ら…………ああ、任せろ!」

 

地力の差か、体に残るダメージか、3人が持ち堪えていられる時間はそう長くはない………が、それだけあれば十分だ。

 

 

 

 

闇を思わせる色合い・流線形の体躯・外套の様に靡く翼膜、亡霊の如き様相で不吉を抱かせる盲目の竜、その化身の名は―――

 

「【黒蝕竜 ゴア・マガラ】!」

 

世宇子イレブンが集まって止めに来る前にその速さを以て鬼道と合流し

「鬼道―――――やれるな?」

 

「ああ、やってやろうじゃないか!」

 

 

俺と鬼道、2人で化身の力を引き出していく、が…………練習の時と同じく、増幅していく化身の力を制御(コントロール)しきれない。

 

「やっぱキツイか………鬼道、いつも通り化身の制御は俺がやる、出来る限り力を引き出して「待て、天願。」

………どうした?」

 

かといって他の策がある訳でもない、仕方無しに今までの方法を取るつもりだったが、それを鬼道が止める。

 

「上手く行くかは分からん、だが試したい事がある。」

 

どうやら他の考えを思い付いたらしい、このやり方だって何度も失敗している、それならば―――

 

「俺は何をすれば良い。」

 

「即答か………お前は普段通りに化身の力を扱ってくれ。」

 

それは初めて試みた時に失敗した方法だ、それを鬼道が分かっていない筈がない。

 

「…………分かった、任せる。」

 

鬼道を信じて、1人で化身を出す時と同じ流れで化身の力を引き出していく。

 

鬼道の方を見ると、化身の力に圧し負けない様に苦悶の表情を浮かべ、必死に抑えている………すると―――

 

 

 

突然、化身の力の流れに新たな動きが加わった。

最初は探る様だったが、次第に本格的な介入になり、それに比例して化身の状態が安定していく。

 

 

「ああ、そうだ!

化身の力を引き出せて(操れて)いるんだ、その力を制御出来ない道理は無い!」

 

化身使いでない鬼道が化身の力を制御しているのか……!

 

2人で並列してコントロール出来る様になったからか、化身が暴走する兆しは見えない、寧ろこれは―――

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「鬼道!」

 

「言われずとも分かっている!」

 

「「うおおおおお!!!」」

 

最初は紫色だった翼の裏は、気付けば濃い青色に――

 

「凄い、技を使ってもいないのに……。」

 

「溢れ出すパワーがビリビリ伝わってくる……!」

 

「―――!何だ?化身の様子が……!?」

 

 

 

やがて赤紫に変化したその時、頭部に1対の角が展開し、肩にあった翼脚を拡げ6本足になり、天に向かって咆哮―――より禍々しい姿となる。

 

「な、何だ、アレは……!?」「まるで悪魔だ……。」

 

 

「……悪魔が、化身がなんだ!神である我等に敵う筈がない!

『メガクエイク』!」

 

臆さずにディオが必殺技をぶつけてくる、メガクエイクで発生した地割れが迫り、足元の地面が隆起するが

 

「「『パワーofグレア』!!!」」

 

力を溜めながら上体を起こした【ゴア・マガラ】はその反動と溜めた力を用い、翼脚を迫り上がる地面に叩き付ける!

 

それは隆起した地形に留まらず、周囲の大地すらも破壊し、世宇子イレブンを蹴散らしていく。

 

「豪炎寺!」

 

豪炎寺へパスしながら鬼道は

 

「化身技の練習で感じた、あの力を思い出せ!」

 

「あの時の、力…………!

天願、お前の化身()、使わせて貰うぞ!」

 

豪炎寺へアドバイスを出す、それを受けて僅かな瞬巡の後ハッとして―――

 

「あの光、それにあのオーラ!」

 

「馬鹿な………化身使いは天願(ヤツ)だけじゃないのか!?」

 

「ああ、存分に使え………ソイツはもう、お前の化身()だ!」

 

「ありがとう天願――――来い!

【琰魔竜 レッド・デーモン】!」

 

豪炎寺の背後の空間が爆発したかと思えば、悪魔を想起させる角と翼、煉獄という言葉を体現させた様な姿の竜が、爆炎を撒き散らして顕れる。

 

 

「行くぞ【レッド・デーモン】お前の力、見せてみろ!

極獄の裁き(アブソリュート・ヘル・ジャッジ)』!」

 

【レッド・デーモン】が放つ獄炎のブレスが重なった豪炎寺のシュートは、空を灼きながら―――。

 

「『ギガn――――」

 

ポセイドンが技を放つ余裕すら与えずにゴールに突き刺さった。

 

<ゴーーーール!!!

瞬きする時間すら惜しい程のもの凄い攻防!

 

あのアフロディの『ゴッドノウズ』を止めたのは、かの円堂大介が使ったという伝説の『マジン・ザ・ハンド』!

 

次は鬼道と天願による2人の化身技で世宇子DF陣を圧倒したかと思えば、豪炎寺が今まで見た事が無い程に強力な化身技のシュートが炸裂!

これで2vs2、試合時間もまだまだ残っている今、この勝負がどう転ぶのか、全く目が離せない!>

 

 

 

 

 

「やったな円堂、『マジン・ザ・ハンド』遂にモノに出来たか。」

 

「天願こそ!化身技の強化、凄かったじゃないか!」

 

円堂はそう言うが………

 

「いや、あれは鬼道の機転あってこそだ………俺は何も出来てねぇよ。」

 

「だがその機転も、お前の発想やそもそもの化身が無ければ出来なかった。」

 

「ああ、それに俺も化身の力に目覚める事が出来たのも、今までの練習があったからだ。」

 

鬼道、それに豪炎寺も………。

 

「そうだって!天願のやってきた事は無駄にはならない、もっと自信持てよ!」

 

「そうか………そうだと良いな………。

――――ああ、お前達も、あの時フォローしてくれて助かった、ありがとな。」

 

宍戸・影野・半田が居なけりゃ化身出せたか分かんねーしな。

 

「いやいや、そんな礼言われる程の事じゃないですよ!」

 

「………全員サッカー、お互いが助けあって行けば良い。」

 

「天願には今までの試合で何度も助けらた部分はあったんだ、なら今度は俺達が助ける番だ、次も任せろって!」

 

「ああ……ありがとう………!」

 

やっべ、なんか涙腺ぐっときた………しっかりしろ俺!

せめて試合が終わる(エンディング)迄、泣くんじゃない。

 

「ほらお前ら、まだ試合は終わってないんだ!

漸く同点に持ち込んだんだ――――勝つぞ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

 

 

 

 

持ち場に戻る途中―――

 

「そういや天願、アイツら何かあったのか?」

 

―――半田?

 

「?どうした、何かあったのか。」

 

「なんていうか………前半よりも動きが悪くなってる様な気がして……いや、気のせいかも知れない、忘れてくれ。」

 

そう言って走り去って行ったが………ほーう?

これはもしかしたら………。

 

 

 

 

 

世宇子のキックオフで始まるが………同点になったからか、全体の士気がガタ落ちだ。

 

ボールを受け止ったアフロディも俯いて――

「……らない」――ん?

 

「僕達が負けるなんて事…………あってはならない!」

 

アフロディから途轍もない圧力を感じ……あのオーラは!?

 

 

 

「おいおい、お前も覚醒すんのかよ………そう簡単には勝たせて貰えない、か。

流石に冗談キツイぜ………!」

 

 

これから巻き起こる波乱の予感に、冷や汗がタラリと流れ落ちて行った。

 




(茶番)

影山「だが、世宇子が此処で終わる筈がない!」

BGM『空色DAYS』

(音楽のタイトルってそのまま載せて良いのかな?念の為少し変えたけど)






化身・技設定


オリ技
『皇帝ペンギンFD(フレアドライブ)

口笛を吹き、ペンギンを喚んだ鬼道が上方へ蹴り上げたボールを、豪炎寺と天願の二人がファイアトルネードDDで蹴り落とす『皇帝ペンギン2号』と『ファイアトルネードDD』のオーバーライド

ペンギン達は炎の渦を宿し、ボールの周囲を竜巻の様に回転して突き進み、ゴール直前で『皇帝ペンギンX』(1号かも?)の様にボールへ突撃、その時にペンギンが纏う炎の渦をボールに付与し、貫通力と威力を向上させる。


―――――――――――――――――――――――――――

化身

星の白金(スタープラチナ)

引用「ジョジョの奇妙な冒険」

使用者「空条 条太郎」


青銅色の逞しい身体、所々に装飾を付けたの人型(等身大)の化身

パワー・精密性・敏捷性に優れているのが特徴で、この化身を出している間は、使用者もその能力や動体視力が向上する他、相手が使う時属性の技を無効・被害を抑える事が出来るなど、化身技を使わなくとも十分なポテンシャルを持っている。




必殺技

『スタープラチナ・ザ・ワールド』

スタープラチナの動きは特に無いが、発動すると時間を停める事が出来、ドリブルで抜く・ボールを奪う・シュートを止めるor撃つ、と応用の利く便利な技。

しかしその強さに比例するかの如く、消耗の激しさもまた尋常でない上、停めれる時間自体がそこまで長くはない事もあり、乱用は厳禁。

相手が時属性技を使っている際、それに便乗して使う事で消耗や効果時間が改善される。

―――――――――――――――――――――――――――

化身


【黒蝕竜 ゴア・マガラ】

引用「MONSTER HUNTER」


闇を思わせる色合いに流線形の体躯、外套の様に靡く翼膜と亡霊の様な姿をした竜の姿をした化身

力が強まる程、翼の裏側が紫→濃い青→赤紫へと変化

赤紫になると、肩に乗せて使わなかった翼脚を拡げ6本足となり、頭部から2本の触角を展開、天に向かって咆哮すると同時に黒い瘴気を撒き散らして、狂竜化へと移行する。

この黒い瘴気にはとある効果がある様だが………

今回、鬼道と天願が力を合わせる事で【狂竜化】状態へ移行したが、本来は1人でこの状態まで持っていける事もあり、実は不完全。

籠める属性により、進化先に2つの分岐がある。

フロンティアじゃ、武器が闇属性だから闇属性にしてます。



必殺技



『パワーofグレア』

【ゴア・マガラ】が上体を上げ、その反動と全体重を翼脚に乗せて勢い良く地面を叩き砕く技。

今回はボールを持った状態で放ったが、ドリブル技ではなくブロック技である。

名前はハンマーから




―――――――――――――――――――――――――――

化身

【琰魔竜 レッド・デーモン】

引用「遊戯王」

使用者「ジャック・アトラス」


悪魔を想起させる角と翼に、煉獄を体現したかの如き赤の黒に染まる身体を持つ竜の姿を取る化身

顕れ方が特殊な化身の1つで、突如背後の空間が爆発、そこへ残り続けた巨大な火球の爆炎を掻き消しながら顕れる。

レモンにするか、スカーライトにするか非常に迷った…。

「ガザードが仲間(化身)にして欲しそうに豪炎寺を見ている!」


必殺技

極獄の裁き(アブソリュート・ヘル・ジャッジ)

空中に飛び上がり放つシュートと【レッド・デーモン】の放つ業火の息吹が重なってゴールに突き進む。








この試合の捕捉

・『切り札(ジョーカー)

主人公の異名、みたいなもの


どんなポジションでも実力を発揮、無理矢理でも得点を決めにいけたり、試合の流れを変えれたりするが、使い所を誤れば効果が薄い、下手をすれば不利になる事から。


7並べ・大富豪のジョーカーから。
基本的にはあると有利だが、考え無しでいると…………と、デメリットも含む為。

他に『司令塔絶対殺すマン』『情報・偵察班の天敵(データキラー)』等



・この試合で影山は主人公を容赦なく潰す様に指示してます。

しかし規格外過ぎる主人公の耐久力は世宇子イレブン渾身のラフプレーでもノーダメージと、試合映像(ディスプレイ)を見ていた影山は開いた口が塞がらなかったり。




・この試合で主人公が受けた3人マークについて。

雷門がFW2人、DF1人でボロボロに出来る事を確認してからは6人体制ですが、それでも神のアクアありきのプレーです。


主人公の言う全力疾走は50~100m走でやる様な速さです。
それを一切の休み無しで、更に急停止や方向転換を織り混ぜて、必殺技で下手に消耗していなければフルタイムでやってきます。

世宇子は神のアクアで身体能力が主人公に匹敵するレベルまで引き上げられ、更にスタミナ制限が無いからこそ成立しています。

一応、同様に3人で抑える事も出来ますが、普通の選手なら主人公のスピードに追い付くのもやっとで、止めれません。
故に、()()()()豪炎寺・鬼道レベルの選手が要りますが、そんな動きについていけば前半だけでスタミナ切れ、後半にまた3人………試合の勝敗を左右するレベルの選手を計6人使い潰す事になります。

必殺技を使わせていれば、勝手に疲れ、疲れた主人公なんて脅威にならないので、必殺技によるリスクを考慮しても、放置安定です。

鬼道は勿論、他校の監督もソレに気付いているので、この手法は取りません、というか、それだけの人材が揃えば普通に勝てますし。


・化身のコントロール

二人で横に長い荷台の両端を持ち上げるイメージをして下さい。

化身の力を引き出す=荷物が増える

制御に力を入れる=持ち上げる力が増える

これが、鬼道だけ化身の力を引き出して、主人公は制御だけ、右だけに荷物が偏っているのに、左だけを全力で持ち上げている………って感じです。

頑張ってみたけど………うーん。

まあ、敢えて説明するならって話で、捨て置いて良い設定です。



おかしいな、2話で終わる予定だったのにどうしてこうなった?









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第30話 神を超えて



誤字探しで前話を読み返して、後書き物足りん……と思い、結局技の解説付け足しました。

興味ある方はどうぞ。

これで世宇子戦は決着……ここまで3カ月、意外と掛かったなぁ……。

突っ込みどころ満載でいつも通りの駄文ですが……どうぞ!



激昂するアフロディから溢れ出るそのオーラを、目を瞑っていても分かる圧倒的な力の奔流を――――――間違える筈がない。

 

 

 

《《アレは、化身の力だ》》

 

 

 

反応は様々だった。

 

待ち受ける未来に備え気を引き締めて直す者

 

強者が手にした新たな力の兆しから身を竦める者

 

更なる高みへ昇らんとする仲間の姿に瞠目する者

 

 

―――そして

 

 

一切の逡巡すら無く突撃する者

 

 

 

化身の脅威を身を知っている俺()は、それを止めんとアフロディの元へ駆け出す。

 

「天願、やはりあれは………!」

 

「まだだ!まだ、モノには出来てねぇ!」

 

「なら、化身が完全に発現する前に叩くまでだ!」

 

 

そう、アフロディはまだオーラを出しているだけ。

 

俺の化身技を受けた時に力の一端を掴んだのだろうが、それなら力の扱い方までは知らない筈。

 

完全に化身へ目覚める前に……!

 

鬼道・豪炎寺の3人係りでボールを奪いに行く。

 

 

「邪魔だ―――――どけぇ!!!」

 

 

怒号を発するアフロディと俺達の蹴りは全く同じタイミングでボールにぶつかり動きが止まる、それは宛ら鍔迫り合いの様な光景だった。

 

一見互角にも見えるその鬩ぎ合いだが―――

 

「ッ!?勘弁してくれねぇかな……。」

 

「これで本当に化身が発現していないのか!?」

 

「なんてパワーだ、一瞬でも気を抜けば直ぐに……!」

 

――3vs1であるにも関わらず、俺達は圧されていた。

 

そして、アフロディの力は徐々に強まり、今この瞬間にも力の引き出し方(化身の扱い)が上達しているのが分かる。

 

 

 

………ったく、鬼道に豪炎寺といい、俺が長い時間掛けてモノにした化身をこうも容易く………自信無くすぜ。

 

 

アフロディの成長は留まる事なく、やがて拮抗が崩れ大きく後退させられる。

 

だが吹き飛ばされた訳じゃない、再度突貫を試みようと態勢を整え直している最中………

 

 

 

―――遂に、その時は訪れた。

 

 

「ここまでやられるとは思っていなかった………だけど、今はそれに感謝すらしているよ。

この戦いで、()はより高次の存在へと昇華する!

来たれ我が化身………【The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)】!」

 

アフロディの背後から眩いばかりの強烈な光が放たれ、思わず目を瞑る。

 

光が収まり、漸く目を開けるとそこには―――

 

 

背には2対の巨大な純白の翼、黄金に光輝く鎧に身を包み、同じく黄金の錫杖を手にした、神・天使どちらにも見える華麗なる姿の化身が佇んでいた。

 

 

 

「これがアフロディの化身………。

(あっるぇー!?なんでアイツがアレ使って………?)」

 

「止められなかったか……!」

 

「ならば此方も化身で「―――させるとでも?」

 

「「「ぐああああ!!!」」」

 

化身の羽ばたき、ただそれだけなのに俺達は成す術もなく吹き飛ばされる。

 

「さて、一息に終わらせよう。」

 

アフロディがそう言うと、【VENUS】が翼をはためかせて巻き起こした風は

 

「「「うわああああああっ!!!」」」

 

凄まじい勢いで吹き荒れる、まさに天災というべき暴威により、仲間達は成す術もなくやられてしまう。

 

 

「みっ…………皆ぁ!」

 

「この試合、君と同じく僕もまた強くなった、再びどちらが上か、この勝負ではっきりさせよう。

『ホーリー・フェザー・シャワー』!」

 

天高く錫杖を掲げた【VENUS】の頭上から無数の穢れなき純白の羽根が雨の如く降り注ぐ、しかしそれらは1つとして地に落ちる事なくボールを覆い隠す様に包み込む。

 

それをアフロディがオーバーヘッドで蹴り抜き、瞬間、一斉に羽根は舞い散り、夢か現か、この世の物とは思えない程の幻想的な光景が広がると同時に、輝かしい神聖な光を宿したボールが一直線にゴールへ突き進んで行く。

 

 

「負けない……!

マジン・ザ・ハンドォォォ!―――――ッ!?」

 

マジン・ザ・ハンドで対抗する円堂だが、突き出した手は少しずつ押し戻され………

 

「グゥッ!………うぅ、うわああああ!!!」

 

魔神は消し飛び、円堂諸ともシュートはゴールネットを揺らした………。

 

<や…………破ったあああ!!!

アフロディ、化身に覚醒!?

あのゴッドノウズを容易く止めたマジン・ザ・ハンドをものともしない強烈なシュートで世宇子が再びリード!

消耗の激しい雷門にこの一撃は重い!!>

 

 

「ハァ………ハァ……これが化身………まさか、これ程とはね………!

(恐るべき力だ………神のアクアがあって尚、息が乱れる、か。)

だがこの勝負は僕の勝ち―――」

 

荒い呼吸になりながらも、アフロディが勝利を確信したその時

 

「まだ!………負けちゃいない!

俺達は最後まで絶対に諦めない!」

 

ふらつきながら、それでも確りと円堂が立ち上がる。

 

 

 

「ああ、そうだ………!」

 

それにに合わせて

 

「最後まで諦めない……それが!」

 

倒れていた仲間達もまた立ち上がり

 

「「「俺達のサッカーだ!!!」」」

 

熱い闘志を漲らせ、強い気迫をもって立ち向かう。

 

 

 

「あれだけの差を見せつけられ……頼みの綱のマジン・ザ・ハンドを破られて……それでも立ち上がる、とはね。

 

面白い………化身に覚醒した(あの瞬間の)様に、君達に打ち勝って僕は更なる高みへ登り詰めよう!」

 

一瞬、気圧されたアフロディだがそれも束の間、歓喜ともとれる表情を浮かべ奮い立つ。

 

「来い……!

お前が強くなるんなら、俺達はもっと……もっと強くなって勝ってみせる!」

 

 

 

 

雷門のキックオフから始まった―――その時

 

「終わらせよう

The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)】!」

 

<な、なんと―――!?

アフロディ!いきなり化身!?ここで追加点を決め、一気に勝負をつけるつもりかぁーー!?>

 

 

ボールを持った豪炎寺に向かって、全速力で進んで行く。

 

「なら、此方も化身で対抗だ……!

【琰魔竜 レッド・デーモン】!」

 

<そして豪炎寺も化身を………こ、これは――!?>

 

【レッド・デーモン】の炎を纏った拳が、【VENUS】の振るう錫杖が、激しくぶつかり膠着状態に陥る。

 

<私は夢でも見ているのか………美神と魔竜の戦い、まさに神話の如き光景……2体の化身による一進一退の攻防、姿は違えどその力は互角だぁぁぁ!!!>

 

確かに、()()()()()()()、だがその使用者は……。

 

積み重なったダメージで豪炎寺がふらつく、時間にして1秒と無い僅かな隙、化身の力が緩むその一瞬をアフロディは見逃さなかった。

 

「ここで……押し切る――――

「させないっす!『ザ・ウォール』!」――何!?」

 

突如として【VENUS】から【レッド・デーモン】を守る様に巨大な壁が迫り上がる。

 

「壁山!?」「俺だけじゃないっす!」

 

「「『サンダーシクリオン』!!」」

 

動きが止まった【VENUS】を雷鳴響く竜巻が囲い込んだ。

 

「一之瀬に風丸……!」

 

「1人じゃ無理でも……!」

 

「俺達………皆の力を合わせれば!」

 

「お前達……行くぞ!これで止める!」

 

壁を飛び越え、上空から押し潰す様に【レッド・デーモン】が襲い掛かる。

 

その一撃をなんとか錫杖で受け止める【VENUS】だが、竜巻で身動きが制限された上、迸る雷を受け本来の力を発揮出来ないでいる。

 

「いっけぇぇぇぇ!!!」

 

化身の力が次第に弱まっていき、アフロディ自身も膝を付いた、その時

 

「そんな………僕が負け―――「『メガクエイク』!」

―――この技は……………!」

 

【VENUS】を打ち倒せる後一歩、という所で急に大地に亀裂が走る。

 

それは竜巻の発生源(一之瀬と風丸)を抑え、岩壁(ザ・ウォール)を砕き、ゴール迄の道を作る。

 

「キャプテン!決めてくれぇ!」

 

アフロディが周囲を見渡すと、今の攻防に居なかった雷門イレブンを世宇子イレブンが止めているのが見える。

 

「この試合に勝ちたい、それはボク達も同じだ!」

 

「だから、立ち上ってくれ……キャプテン!」

 

「「「キャプテン!!!」」」

 

目を閉じたアフロディが静かに立ち上がり、ゆっくりと瞼を上げたその瞳に一切の揺らぎはなく、強い光を湛えていた。

 

豪炎寺とアフロディの視線がぶつかり、それまでの空気が嘘だったように静寂が訪れる。

 

 

 

 

――――まるで、嵐の前の静けさの様に

 

「勝負だ、豪炎寺修也!」「来い、アフロディ!」

 

「【The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)】!!!」

 

「【琰魔竜 レッド・デーモン】!!!」

 

 

 

化身の力を引き出しながら、2人は示し合わせたかの如く、同時に動き出し―――

 

「「うおおおおおお!!!!」」

 

――――その余波だけで周りの者の動きが阻害される程の勢いで、激しくぶつかり合う。

 

「「負けるかああああ!!!!」」

 

 

どれ程の時間が経ったのだろう、否、もしかすると一瞬にも満たない出来事だったのかも知れない、この試合を見る者全てがずっと見ていたいと思える光景は―――

 

 

 

<凄まじい化身の衝突!これを制したのは―――――

 

 

アフロディだあああ!!!>

 

 

――燦然と輝く神を前に、獄炎の魔竜がその身を光の粒子と変える事で、終わりを告げた。

 

 

 

そのまま真っ直ぐに駆け抜けるアフロディだが、ゴール直前に辿り着いた瞬間―――化身の姿が消えていく。

 

<こ、これは………まさかアフロディ、絶好のシュートチャンスを前にスタミナ切れかぁ!?>

 

 

 

「………仲間達から託されたのに………こんな所で、終わる訳には…………!」

 

よろめくアフロディの後ろから

 

「「ボールを!!」」

 

「お前達………!?」

 

デメテルとヘラが駆け上がってくる。

 

「『リフレクトバスター』」「『ディバインアロー』」

 

アフロディからボールを受け取るとデメテルの『リフレクトバスター』により浮かび上がった土塊に向けて、ヘラが『ディバインアロー』を放つ、それは反射を繰り返す程に威力を増し―――

 

「「キャプテン、今だ!!」」

 

「そういう、事か!

『ゴッドノウズ』!!!」

 

そこへ更にアフロディの『ゴッドノウズ』が炸裂する!

 

「これ以上、点はやらない……!

マジン・ザ・ハンドォォォ!!!!」

 

円堂のマジン・ザ・ハンドと世宇子の全てが籠ったシュートがぶつかる。

 

「な、なんて………パワーなんだ……!?」

 

「勝つのは………僕達だぁぁぁ!!!」

 

「ぐぅぅぅぅ!!!ここで、点を取られる訳には……そんなっ!?」

 

世宇子のシュートはマジン・ザ・ハンドを打ち破り………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――よぉ円堂、梃摺ってるみてぇだな、手ぇ貸すぜ!」

 

 

 

「な、何故お前がそこにいる……!?」

 

 

 

 

「――――天願!?」「――――天願 想叶ァ!」

 

 

 

 

「さあ来い!【スターダスト・ドラゴン】!」

 

星の様に煌めく光を溢れさせながら白き竜が顕れる。

 

「その化身は帝国との試合に出した………!」

 

 

 

「止めるぜ【スターダスト】!

『ヴィクテム・サンクチュアリ』!」

 

俺の声に応じる様に嘶くと、その身体を光の粒子に変えていく。

 

それは、世宇子のシュートを覆い隠し――――俺の前にボールが来るとその光は霧散、ボールへ籠められていた全ての力は消え去っていた。

 

<と、止めたーーー!!!

世宇子のシュート技を1つにした強烈な一撃を、円堂とゴール前まで下がっていた天願の2人で、止めて見せたーーー!!!>

 

「とはいえ間一髪、流石に肝が冷えたぜ……。」

 

アフロディ達は驚愕に目を見開いて此方を見ている。

 

否、此方ってのは正しくないな

 

正確には――――――俺の背後か。

 

 

 

「……僕らの目を掻い潜ってゴール前まで戻ってシュートを止めたのはまだ良い……。

だが―――技を使ったスターダスト(化身)が顕在なのは何故だ!?」

 

「悪ぃな、そりゃ企業秘密って奴だ。

 

さて、次は此方の番(反撃開始)!『《シューティング・ソニック》』!」

 

「シュートだと?一体何を考えている!?」

 

 

【スターダスト】から放たれたシュートは一直線にゴールへと向かって飛んで行き―――

 

 

<なんと天願、そのままシュート!

幾ら化身技が強力だとしても、この距離では―――いや違う!これは、シュートチェインだーー!!!>

 

 

「豪炎寺、鬼道!見せてやれ、もう1つの新必殺技………!」

 

「フッ……相変わらず、無茶振りが激しいな。」

 

「人使いの荒いヤツだ………!」

 

豪炎寺と鬼道がボールを中心に向き合い回転する、その度にボールから放たれる光が増幅し、輝きが最大に達した時、2人が蹴り抜く!

 

「「『プライムレジェンド』!!」」

 

 

「『ギガントウォール』………ぐああっ!」

 

光の粒子を溢れさせ、碧い輝きを放つシュートはポセイドンの技でも勢いを全く衰えず、そのままゴールに突き刺さった。

 

 

 

<決まったぁーーー!!!

雷門、絶体絶命のピンチを切り抜け、更には両ゴール間を突き抜けるミラクルシュートで息をも吐かせぬ反撃!!!

そして3vs3、時間はもう残り少ないぞ!?

勝利の女神は、一体どちらに微笑むのかーー!!>

 

 

 

 

チッ………そろそろ不味いか……。

 

「――天願!?お前、大丈夫なのか……?」

 

片膝を付いた俺に皆が駆け寄ってくる。

 

「ハハ……流石に化身を使い過ぎた。

多分、今ので最後だ。走れはしても化身どころか必殺技も使えねぇだろうな……。」

 

「天願………そうだな、この試合で4回も化身を使ったんだ………寧ろ良く持った方、か。」

 

「なら、豪炎寺さんの化身「――――それは無理だ。」

……ええっ!?どうしてっすか!?」

 

「壁山、化身どころか必殺技でも消耗のヤバい俺しか使って無かったから、分かり辛かったかもしれんが、化身ってのは本当に消耗が凄まじいんだ。

 

……俺としちゃ、修得したばかりなのにあんだけ使って、それでも立ってられる豪炎寺に吃驚なんだが。

 

それよりも、次は世宇子からのキックオフだ。

 

先ずはそれをどうにかして凌がねぇとな……。」

 

 

 

「そうだな……皆!

 

泣いても笑ってもこれが最後!

 

それに今までのピンチも何とかなったんだ!最後まで全力を出しきって――――勝とうぜ!!!」

 

 

「「「おお(はい)っ!!!」」」

 

 

 

 

<さあ、残り時間も後僅か!

恐らくこれが最後のプレーになることでしょう!

この激戦を制するのは雷門か、世宇子か………世宇子からのキックオフで、試合開始だーー!!!>

 

 

ボールが蹴り出された直後、全員で一気に上がり、パスを織り交ぜて着実にゴールへ接近してくる。

 

「FW陣を集中的に抑え込め!

あの連携技は何としても出させるな!」

 

「MF,DFはFWのフォローだ!

焦るな、時間を十分に使っていくんだ!」

 

 

鬼道とアフロディの采配で、戦況は目まぐるしく移ろっていく。

 

そして―――「『ダッシュストーム』!」

 

デメテルの必殺技によって、DFが突破される。

 

デメテル(ヤツ)に注意だ!

ヘラとアフロディのマークも外すんじゃないぞ!」

 

「この機を逃すな!

全力で駆け上がるんだ!」

 

 

「これ以上ゴールに近付けさせないっす!

『ザ・ウォール』!」

 

「貰ったぁ!『キラースライド』!」

 

壁山がデメテルを止めたその瞬間、土門がスライディングでボールを弾く。

 

弾かれたボールはアテナが奪取する。

 

デメテルとヘラには確りとマークが付いているこれなら―――!?

 

アテナはボールを天高く蹴り上げた、まさか、ここに来て新たなシュートか!?

 

違う!ボールを空中で受け止ったのは―――アフロディ、あれはパスか!

 

「この瞬間を…………待っていた!!!」

 

嘘……だろ……!まだ、化身を使えるってのか!?

 

「【【The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナスゥゥゥ)】!!!】」

 

空中で化身を顕現させたアフロディは、そのままシュートへ……!

 

「『ホーリー・フェザー・シャワー(これで………終わりだあああ)』!!!!」

 

光輝くシュートが円堂に迫りゆく。

 

「絶対に…………絶対に守り抜く!!!

 

ここで、止めるんだああああ!!!!」

 

円堂の雄叫びが響き渡る………そして――

 

「あ……あの光は………!」

 

「まさか………君は、一体どこまで!?」

 

 

 

 

 

 

 

あの化身は………!

 

 

かつて、雷門に入学直後にあった試合が終わった時、フェイと名乗る少年から、円堂は歴史の修正力を受けてその時に使えた技は恐らく使えなくなる、そう言っていた。

 

未来において、俺が使った化身を円堂が使えていた事はあったらしい、しかしその中に"例の魔神"は存在していないそうで、仮に化身を使えても、あの時の化身は出せないだろう、とも。

 

事実、彼らが帰ってから暫くすると、化身はおろか『ゴッドハンド』すら使えなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

もう見る事は無いと思ってたんだがな……。

 

「円堂、見せつけてやれ!お前の化身を!!!」

 

マジン・ザ・ハンドの時に顕れる時よりも、荘厳で、荒々しさを増した、魔神の真なる姿を見せる。

 

「【魔神 グレイト】

 

グレイト・ザ・ハンド(これが……俺の化身だぁぁぁ)』!!!」

 

 

こりゃあ、俺も負けてらんねぇな………。

 

 

<と、と、止めたぁぁぁぁぁ!!!

この土壇場で円堂も化身に覚醒!

そして………アフロディの化身シュートを受け止めたぁぁぁぁ!!!>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アフロディside

 

 

 

僕のシュートは、進化した魔神によって止められてしまった………だが、止まってなどいられない!

 

まだ、試合は続いている、この窮地を乗り越えれば勝利への道は………!

 

 

「皆ぁ!行くぞぉ!」

 

今度は雷門全員での攻撃、ボールを持った者を中心に囲い、基本的には外側の面子で抑え、強引に内側へ来られれば誰かへパス、受け取った者をまた全員で囲い直す………これを繰り返してチーム一丸となって駆け上がって来る。

 

そこへ………

 

「此処から先へは、通すものかぁ!

メガクエイクゥゥゥ!!!」

 

立ちはだかったディオが必殺技を繰り出し、遂に雷門を止めるが――――

 

「まだまだぁ!」「な、何だと!?」

 

技を受けた時にボールを持っていた鬼道は吹き飛ばされながらも、ボールを一之瀬へと繋げる。

 

「さぁ、フィナーレだ!行くよ!」「「おう!!」」

 

ボールを受け取って直ぐに、円堂・土門の3人で―――

 

「「「『ザ・フェニックス』!!!」」」

 

あれは………既にポセイドンが止めきった技だ、そんな技を何の策も無しに撃ち込んで来る筈がない!

 

「『ファイアトルネード』!」

 

ボールを蹴り抜いたのは豪炎寺、炎の不死鳥の身体は、更に勢き良く燃え盛り、ゴールへ迫り来る。

 

このままなら、幾らポセイドンであっても止められないだろう―――そう、()()()()()()

 

「キャプテン!」

 

「な………!アフロディ!?」

 

「一体何をする気だ………!?」

 

 

「僕1人では止められずとも、威力を削ぎ落とせば……!

 

ポセイドン、後は任せる!」

 

 

 

強く頷き返すポセイドンを見て、『ゴッドノウズ』の構えを取り―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――『世界(ザ・ワールド)』」

 

 

突如、世界は停止した。

 

 

 

 

「………なん……だと…………!?」

 

時間を、世界を停める、そんな真似が出来るのは僕以外に1人しかいない。

 

その姿は見えないが……そんな事は関係ない!

 

ただ全力で蹴り返すだけだ!

 

だから、頼む………動け、動いてくれ!

 

 

「動けぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

身体が、動く……!これなら――――!?

 

停止した筈の世界で動ける様になった身体に目を落とした時、自分の身体が黒く染まっている事に気付いた。

 

いや、これは…………影……?

 

ハッとして上を見上げると―――

 

 

円堂(アイツ)世界の修正力に打ち勝った(限界を超えた)んだ、そんなアイツと肩並べるんなら、俺だって限界位を超えて見せねぇとな………!

 

行くぜ、アフロディ。最終ラウンドだ!」

 

 

時を停めたであろう張本人の姿と―――その横に

 

三角形のマスクを被ったような顔、手の甲にある時計を思わせるマーク、背中にあるタンクの様な物体、【星の白金(スタープラチナ)】を思い起こさせる逞しい身体を金色に彩る化身が、大質量の()()()を持ち上げて此方を睨み付けていた。

 

 

 

真っ白になった思考に………そういえば、戦国伊賀島中との試合でバイクを出現させていたな、なんて呑気な考えが浮かぶ。

 

 

ゆっくりとその影を生み出している()()を此方に向ける。

 

重力に身を任せ、始めは緩やかに、しかし、加速度的に落下スピードが速くなる。

 

その時になって、漸く我に返る―――

 

 

「『ロードローラーだッ!!!!!』」

 

「『ゴッドノウズゥゥゥ!!!!!』」

 

 

先に僕の蹴りがボールに触れ………その直ぐ後、車両(ロードローラー)が降って来た。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

僕ごとゴールに押し込むつもりなのか?と思える程の質量攻撃に、負けじと押し返す力を強めると

 

 

「『無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!』」

 

 

―――その上で、化身による目にも留まらぬ殴打の連撃が更なる過重を掛けて来る。

 

「「勝つのは………()だぁぁぁ!!!」」

 

単に自分の錯覚なのか、それとも本当にそれだけの時間が流れたのか、気が遠く感じられた力の応酬は、遂に終わりを迎えた。

 

 

ボールのあった中心部からひしゃげ、亀裂が入り、砕けて飛散した部品が霞みの様に消えて行く。

 

同時に灰色に染まっていた世界は色を取り戻し、動き始めた。

 

シュートの威力は、当初の予定程は抑えられていないが、それでも十分だろう。

 

 

 

――――押し勝ったのは………僕だ!

 

 

 

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

エネルギーか、気か、何らかの力で創り出した車両(ロードローラー)がその要素であろう、光の粒子になって霧散していくのを、落ちていきながら眺める。

 

ハッ…………限界超え(スタミナ切れ)で、漸く出せた化身の力を全開にして、それでこのザマ………。

 

気付けば化身の姿は見当たらず、それ以前に身体は指先すら動かせず、真っ逆さまに落下する、その時

 

 

「この勝負……僕の勝ちだ!」

 

アフロディの勝利宣言が耳に届いた。

 

 

「………そうだな、この勝負は俺の負けだ。

 

 

 

 

―――そしてこの試合、()()()()()()()()!」

 

 

「何を………言って……!?」

 

 

 

「梃摺ってるみたいだな、天願!」

 

 

「円堂、後は頼んだ……!」「ああ、任せろ!」

 

円堂はボールを両足で踏み付ける様な状態で力を溜め

 

「『ゴッドォォォ―――

 

 

「そんな………僕達が、負け………。」

 

 

―――キャノン!!!』」

 

全力で突き飛ばす事で放たれたシュートは黄金に輝きながら、真っ直ぐにゴールへと突き進み―――

 

 

 

 

<ゴーーーール!!!

更にここで、試合終了のホイッスル!

 

FF決勝戦、4vs3でこの激戦を制したのは

 

――――雷門だぁーーー!!!>

 




悩んだ……アフロディに他原作の化身を何の切欠もなく使わせるか………マジで悩みました。

そんな事を執筆仲間や友人に相談した結果

「うるせー馬鹿」

この一言をリアルで貰うとは思わんかった……。

なんやかんやで吹っ切れ、結局出す事に。

Q.どうしてアフロディが他原作の物を?

と、考えた方には

A.細けぇ事ぁ良いんだよ!

と最低な返事を返す事になり、すみません、いや、ホントごめんなさい。



さて、今回アフロディが使った
The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)】ですが

最初はアフロディーテをどっかから持って来ようと思ったのですが、全く見つからず………。

調べる内にアフロディーテと同一視されてるVENUS(ウェヌス)という存在を知り、これだ!と思い最初に考えた化身が







――――ウェヌスモン







無理。









ピースとかラブとか、今のアフロディに全く合わない要素しかねぇ!

――そんでエロ過ぎぃ!


という事で、VENUS(ヴィーナス)の方向で調べて見つけ…………という経緯です。

これは金星の意味だから、神の方じゃねーから、という質問は無しでお願いします………。

私もこのモンスターの別名が『華麗なる金星』って知った上で使っていますので………。



という訳で(どういう訳だ)
これからも、他原作の技等を主人公と接点の無いキャラが出ても………寛容な心で見逃して下さい。


―――――――――――――――――――――――――――

化身

The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)

引用「遊戯王」

使用者「レジー・マッケンジー」


背には2対の巨大な純白の翼、全身に黄金に光輝く鎧に身を包み左手に錫杖を持つ化身。


化身技

『ホーリー・フェザー・シャワー』

【VENUS】が天高く錫杖を掲げると、その上空から降り落ちる無数の羽根がボールを覆い、それをオーバーヘッドで蹴り抜く技。

余談だが、蹴り抜いたその時の、花弁が散る様に羽根は舞い散るその瞬間が非常に美しく、GO世代(後世)において、その映像は相当な高値が付いていたり。

―――――――――――――――――――――――――――

『ヴィクテム・サンクチュアリ』

引用「遊戯王」

使用者(?)「スターダスト・ドラゴン」

化身【スターダスト・ドラゴン】のシュートブロック技。

【スターダスト】がその身体を光の粒子へ変換、ボールを覆い隠し籠められていた力を奪い去る技。

最大の特徴は、この技でシュートを止める事に成功した場合、【スターダスト】が直ぐに復帰する点。

これにより、シューティング・ソニック(シュート技)で撃ち返す時より、そのまま化身で突破、シュートの方向を精密にシュートチェインを狙える、と選べる選択肢が豊富になる。

勿論、化身をそのまま消す事も可能。

―――――――――――――――――――――――――――

化身

世界(ザ・ワールド)

引用「ジョジョの奇妙な冒険」

使用者「DIO」


三角形のマスクを被ったような顔、手の甲には時計を思わせるマーク、背中にあるタンクの様な物体、金色に彩られた逞い身体が特徴の化身。

化身技

世界(ザ・ワールド)

星の白金(スタープラチナ)】同様、時間を停める技。

【スタープラチナ】に比べ、自発的に時を停める際の消耗が控えめで、その時間も僅かながら長い。

(時間停止中に限り)地味に空中移動など、物理法則を無視した動きが出来る、という長所もある。


相手が時属性技を後出しで使って来た場合に弱く、そのまま停められてしまうという欠点がある。





先制・奇襲に有利で(スタープラチナに比べれば)使い易い
世界(ザ・ワールド)

カウンター等の限定的状況においては絶対的な力を誇る
星の白金(スタープラチナ)



と、使い分ける。


『ロードローラーだッ!』

謎の力で無からロードローラーを創り出し、相手を押し潰す技。

【ザ・ワールド】が車両の上からラッシュを掛けて後押し出来る。

本来ならブロック技なのだが、今回は豪炎寺が(ファイアトルネードで)上からシュートを落とした事を利用し、後押しとして使った。

この技が破られる=ロードローラーの破壊、となっている。





エイリア編、何も考えてねぇ!







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第31話 戦いを終えて






あっという間の夏休みだった…………連休のど真中に仕事入れんの絶対許さん


更新遅くなって申し訳ないです

出張関係の引き継ぎとかFGOの礼装が落ちなかったりとかで手がつけられなかった……

林檎100以上かじって素材も全部交換し終えても尚落ちないってどういう事なの……

気付けばお気に入り登録が300超えててビックリ、ありがとうございます!

よく見たら評価もあがってて………いや、ホントすみません



閃の軌跡Ⅲの新アーツにFGO水着鯖の新宝具………やりたい事が増えた!

『セヴンス・キャリバー』に『ゼルエル・カノン』
スクショだけど、あれはイイ……!


早くgo編にいって、信長の目の前で『燃え尽きる程、本能手!』させたい!




主人公のエイリア編介入は後1,2話位挟んだり、主人公の前世設定(cocキャラシート&経歴)を投稿してからの予定です

完全な番外編になるのは次話だけかな?




これだけ投稿に時間が掛かっておいて、今回も駄文力が天元突破している模様


<この激戦を制し、FF優勝の栄光を掴んだのは

―――雷門だぁぁぁ!!!>

 

 

 

試合終了を告げるホイッスル、実況の興奮具合が伝わるアナウンス、会場中に響き渡る歓声。

 

いまいち実感の湧かなかった俺達だが、その全てを認識して漸く―――

 

「勝った……?」

 

「本当に?夢じゃないよな……!」

 

「夢なんかじゃない……俺達、勝ったんだ!!」

 

円堂の歓喜の声に、勝利を実感し

 

「「「やったぁぁぁーーー!!!」」」

 

他の皆も喜びの感情を爆発させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな雷門と少し離れた所で

 

「神の力を手にした僕達に勝つなんて………なんて奴らだ

 

いや、神のアクア(そんなもの)に頼ってしまったから、か」

 

 

アフロディが眩しい物を見る様な目で円堂達の方を見る。

 

「僕達の手に入れた力は……所詮、まやかしに過ぎなかったのか……」

 

「あまり自分を卑下し過ぎるのもどうかと思うぞ」

 

流石に見ていられなくなり、つい言葉が漏れた

 

「!……しかし、僕が勝てていたのは神のアクアがあったから……」

 

「確かにそれもあるだろうさ

だが、別に練習を怠っていた訳でもねぇだろ?

 

たとえ、身体能力が俺と同じレベルに引き上げられて、無尽蔵のスタミナを持ったからって、それで簡単に抑え込まれる程、俺は弱くねぇ」

 

 

 

 

そう言った途端、急にアフロディが頭を抱え出した

 

「………神のアクアがあって同等?

いやいや、そんな馬鹿な………でも、そういえば…」

 

 

 

アフロディからの視線に「え?コイツなんなん?」という思いが混じるが………無視無視

 

「お前らのプレーを、技を見りゃ、しっかり練習してきた事ぐらい分かる

 

それに化身だって、あんな簡単にモノに出来ないっつーの。

………円堂はまだ良いとしても、豪炎寺とお前の才能おかしいだろ……俺がそのレベルに持ってく迄どんだけ時間掛けたと……!

…………ハァ。」

 

鬼道もあっさりと化身の力をコントロールしてたし、遅かれ早かれ、いずれ化身に目覚めるのだろう

 

原作キャラの成長おかしくね?

 

 

「それは……その、何というか、ごめん」

 

俺の愚痴を聞き取ったアフロディが目線を落として謝ってくる

 

 

 

 

「……いや、悪い。お前が謝る事なんかねぇよ……ったく

勝手に嫉妬して、その上八つ当たりなんざみっともねぇ真似を………最低じゃねぇか………」

 

自己嫌悪に苛まれている俺へ、アフロディが言葉を選ぶ様に

 

「誰にだってそんな事はあるさ………きっと!」

 

 

 

 

……アレ、気ぃ使わせてる?俺が慰められてる感じ?

 

「そ、それは兎も角として、だ!

 

別に神のアクアがお前らの全部だった訳じゃねぇだろ?

それに、神のアクアの効果は後半には大分薄れてただろうしな。」

 

逆転した立場を戻す為、やや強引に話を切り替える。

 

「………え?

それは、一体どういう……!?」

 

「とある刑事がな、色々捜査して前半の時、神のアクアを保管した場所を突き止めたらしい。多分その時に何かしたんじゃねぇか?

 

お前、化身使った後にスタミナ切れ起こしてただろ。」

 

 

「それは、神のアクアを上回る程に化身の消耗が激しいからじゃ……。」

 

「なんだ、気付いて無かったのかよ。

豪炎寺が化身に目覚めた頃合いだったか?

あの辺から、()()()()()()動きが悪くなってたんだよ。」

 

俺とて、半田に言われなきゃ気付けなかったのだが。

 

「そんな、事が……。」

 

「つっても、これは俺の推測に過ぎん。

実際の所がどうなってんのかは知らねぇ。」

 

仮にただの水にすり替えられていたとして、その効果が本当に切れていたか、なんてのは分からない訳だし。

 

そこで一旦話が途切れ、暫くしてアフロディが訥々と問い掛けてくる。

 

「1つ、良いかい。

………君は、どうしてそれを僕に伝える?

 

サッカーを汚し、仲間を傷付けて―――そんな事をした僕に、どうして………。」

 

何故―――か。

 

何でだろうか、落ち込んでいるコイツが見てられなかった?

 

確かにそれもある、たけどそれ以上に―――

 

「そりゃあ―――――()()()()()()()、だろうなぁ。」

 

「楽し、かった………?」

 

「……色々、特に前半は本当に酷かった……仲間達を傷付けられた時なんかは、本当に許せなかったさ。

 

それでも、この試合を振り返って、仲間達と力を合わせて、お前らと死力を尽くして戦って。

 

………あの時は無我夢中で勝利を目指してたから、分かんなかったけどさ、今になって振り返って――――ああ、そうだな。

 

お前達との試合が、俺は楽しかったんだ。

 

そして、またお前達と、今度は神のアクアも影山も関わらない、本当のお前達と戦いたい、そう思ったんだ。

 

お前はどうなんだよ、アフロディ。

 

この試合、楽しくはなかったか?」

 

 

「―――――僕は……そうだね、僕も楽しかった。

そして、それと同じ位に、負けた事が悔しいな……!」

 

拳を力強く握り締めるその姿から、心底から悔しい事が見てとれる。

 

「そう、か。

なあ、アフロディ。お前達はさ、これから神のアクアなんて代物を使った、その事で世間から、そして打ち倒して来た奴等から……きっと、厳しいバッシングを受けると思う。」

 

話を聞く内に自責の念から俯き出すアフロディ。

 

「そうだね。それは、僕が受けるて然るべき罰だ。」

 

確かに許されない事をした、それは最早変えられぬ事実だ。

 

だけど、俺はコイツらに、ここで終わって欲しくはない

 

「ああ。けどな、お前が今感じているその"悔しさ"が本物なら、どんな事を言われようと、()()()()()()()()

 

少なくとも俺は、神のアクアなんかじゃない、お前達の実力を知っている。

 

だから!今度は、他ならないお前達自身の実力で、その強さが本物だって証明しに―――――来年また、決勝戦(ここ)まで勝ち上がって来い!」

 

「―――!」

 

 

 

 

 

驚愕に目を見開いて惚けていたアフロディだが、やがて()()()強気な表情に切り替わり

 

「………良いのかい?

敵に、ましてやこの僕に塩を贈る様な事をして。」

 

「どうって事ねぇよ、次に勝つのも俺達だからな。」

 

「また勝てるとは思わない事だ、来年は僕達が優勝させて貰う!」

 

「言うじゃねぇの。大口叩いて割に、俺達とぶつかる前に負けて、恥かいても知らねぇぜ?」

 

獰猛な笑みを浮かべ、睨み合い――――やがて

 

 

 

 

 

「――――フフッ」「――――クハッ」

 

 

 

「「アハハハハッ!」」

 

 

先程の剣呑な空気が嘘の様に、澄んだ笑みでどちらともなく笑い出していた。

 

一頻り笑い合った後

 

「君のお陰で進むべき()が見えた

ありが―――

 

「礼なら要らねぇさ。

ただ、どうしても言いてぇってんなら……また来年、この会場で会う迄取っとけ。」

 

「……そう、か。なら、そうしておくよ。」

 

 

 

 

 

 

「「それじゃあ――――また、この舞台(フットボールフロンティア)で」」

 

 

それを最後にチームの元へ戻り行く一瞬に見えたアフロディの横顔には、神のアクアを使っていた時よりも、自信に満ちた笑みが浮かんでいた

 

 

 

 

 

 

 

「――あ、姿が見えないと思ったらここに居たのか!」

 

「ん?おお、円堂か」

 

 

「何時になっても来ないから探しに来たんだけど…………天願、()()()()()()()()()()何やってるんだ?」

 

「ああ、これか。さっきの無理のせいか、身体がまるで動かせねぇんだよ」

 

スタミナ切れ(あんな状態)で化身を繰り出したのはやはり無茶だったな

まさかここまで反動がキツいとは思わなんだ

 

「え………それって大丈夫なのか!?」

 

「正直分からん。動けないだけで痛みとかがある訳じゃねぇしな。」

 

今しがた指先位なら動かせる様になってきたが、後遺症とかねぇだろうな?

 

「何、(テメェ)の身体くらい把握出来る。問題があったら直ぐに教える。

折角優勝したってのに、んなしけたツラしてんなよ。お前がそんなんじゃ、アイツらが心底から喜べねぇだろうが。」

 

そう言いつつ笑って、泣いて、思い思いにその嬉しさを発露している雷門の皆がいる方を視線で示す

 

「だから、今はこの瞬間ぐらいはそんな些事忘れて、勝利の余韻に浸ってりゃ良いんだよ。

 

………つー訳で、俺をアイツらの所に連れてってくんない?

此処で皆と喜び合えないってのが流石に辛ぇんだけど……」

 

皆の声だけ聞こえて、それに混ざれないこの疎外感、結構堪える……。

「お、お前なぁ………いや、この上げて落とす感じはらしいっちゃあらしいけど」

 

いつもの溌剌とした表情になったのも一瞬、続けた俺の言葉に肩を落として溜息を吐く円堂……ゑ、コイツ今何てった?

 

「ちょっと待てや!周りから見た俺ってそんな感じなのか!?

 

……オイ、円堂テメェ!無視すんなやゴラァァ「五月蝿い」アッハイ」

 

流石に耳元で叫ぶのはアウトだったか…

 

 

 

 

 

その後円堂に支え(引き摺)られて皆と合流してからは、身体の事を心配されたり、皆と一緒にこの感動を分かち合って…………

 

 

 

「お前達、本当によくやった………さぁ、雷門に帰るぞ!」

 

「「「ハイ!!!」」」

 

「弱小だった俺達が、優勝か……今でも夢みたいだぜ」

 

「ああ、最初は円堂と天願と染岡と俺の四人だけだったのに、まさかここまで来れるなんてな」

 

「俺、先輩達と一緒にやってきて本当に良かったです!」

 

「帰ったら弟に自慢出来るっす!」

 

「オレもでやんす!それに優勝祝いで今夜はきっと栗ご飯でやんすよ!」

 

「俺達、西垣の所に優勝したこと伝えてくる!」

 

「そーいう訳で、また後でな!」

 

「浮かれ過ぎて怪我しないよう、二人とも気を付けてね!」

 

「もしこの目出度い日に何かあったら……そうね、音無さんに面白可笑しく書いて貰おうかしら」

 

「え゛、私ですか!?」

 

「春奈、程々にしておけよ」

 

「お兄ちゃんまで!?そんな事しないもん!」

 

 

会場を出てからも皆の興奮は冷めず、これまでに、これからに思いを馳せながら賑やかに迎えのバスに乗っていく

 

 

 

 

「なあ、俺達成れたかな。

伝説のイナズマイレブンに!」

 

「いや、伝説はこれから始まるんだ。」

 

「面白ぇじゃねぇか、これから創ってやろうぜ。

誰もなし得ない、俺達だけの伝説って奴を!」

 

 

 

「お前達、早くしないと置いていくぞ!」

 

「すみません監督!――って、扉閉めないで下さい!

 

ほら行くぞ天願、豪炎寺!」

 

 

「そう急かすなっての____________ん?」

 

メール? 一体誰かr………へぇ?こりゃ珍しい事もあったモンだ

 

「天願?おーい、どうしたんだ?」

 

「………悪ぃ、先帰っててくんねぇか?

ちょっと急用が出来た。皆にはまた後でって伝えといてくれ」

 

 

「?

わかった、また後でな!」

 

 

 

不思議そうな顔をする円堂やバスの皆を見送り、もう一度メールの文面に目を通す

 

そこには、ここから直ぐ近くの場所に来て欲しい、という内容が書いてあった。

 

 

…より正確には、「●●に来い」という命令な訳だが、コレの送り主はいつも何の連絡も無しに突如現れ、半ば強制的に俺を付き合わせ振り回す為、こんな事は初めてでかなり戸惑っている。

 

事前連絡位してくれって言ってたのをやっと実行してくれたのか?

……そういやアイツ、俺の連絡先どうやって知ったんだ?

今まで教えようとしてもスルーしまくってたしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また聞きたい事が増えた―――――なあ?()()

 

 

 





閉会式頃にはやっと身体を動かせる様になったけど、結構ギリギリで杖ついてプルプルして参列してます。

最後の台詞ラッシュは皆様で補完して下さい
一応、言い方に差分つけてるから分かりやすくしてるつもりですが………





アフロディは、アレス編ではアウターコードの救済?というか心境変化の基盤がありますが、エイリア編では分からんので、主人公がおばあちゃんの代わりにアフロディを励まさせました。

ただし、主人公は大の字に寝転がったままである

にしても、円堂よりかなり仲良くなってるなコレ……







幼少期は兎も角、原作知識がかなり薄まっている主人公はエイリア編開始時期を覚えていません。

暫く時間開いてからだろうな~、位に考えてます





そんで、ちょこちょこ(言っても2回)伏線って程でも無いですが存在を匂わせていたキャラ登場

イッタイダレナンダー






前書きでもありましたが、長らくお待たせして申し訳ありませんでした。

お気に入り・評価・アンケート回答してくれた方々、本当にありがとうございます。






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番外編 ~とあるスポーツ板~





一度はやってみたいと思ってた掲示板風でつい書いてしまった

独自解釈・設定が入ってるかも


さぁ、BOXガチャ開けるんじゃあ……!





【速報】今年のFFが頭ヤバい件

 

1:名無しのサッカーマン

今年のFFがホント頭オカc

 

2:名無しのサッカーマン

例年通り、の間違いだろ

サッカーがおかしいのは今に始まった事じゃない

 

3:名無しのサッカーマン

なんだ、Finally Fantasiaの新作情報じゃないのか

 

4:名無しのサッカーマン

>>3

ここスポーツ板だから。ゲーム板行け

どうせ必殺技を初めて見たんだろ

 

5:名無しのサッカーマン

お前ら辛辣過ぎw

でもあの光景見ればね、しょうがないね

 

6:名無しのサッカーマン

もう何が来ても驚かん自信があるよな

 

7:名無しのサッカーマン

いやいや、マジでヤバいんだって!ホラ!

【野生中vs雷門中】

 

8:名無しのサッカーマン

>>7

………え、何このドラゴン?

 

9:名無しのサッカーマン

>>7

へ、へぇ。良く出来たCGじゃないか(震え声

 

10:名無しのサッカーマン

>>7

6だが、何が来ても驚かんと言ったな。あれは嘘だ

 

11:名無しのサッカーマン

>>7

今までにも何か動物が一瞬フワッと見える時があったけどこれは……

 

12:名無しのサッカーマン

>>7

サッカーは変わった……

 

13:名無しのサッカーマン

>>1はこれをリアルで観てたの?

 

14:名無しのサッカーマン

>>13

いや、ウチのサッカー好きの奴がヤバいヤバいって騒いでたから、>>7の映像見せてもらっただけ

他ん所観ても、明らかにコレだけおかしかったからスレ立てした

 

15:名無しのサッカーマン

野生中は兎も角、雷門中なんて聞いた事ないんだけど?

 

16:名無しのサッカーマン

野生中って事は帝国がいる所の予選だよな……雷門?

 

17:名無しのサッカーマン

え、雷門?

あそこってサッカー部無かったよな?

 

18:名無しのサッカーマン

>>17

あるにはある、っていうか去年出来た

ただ、部員が11人揃わず廃部寸前って聞いてたけど

 

19:名無しのサッカーマン

よくそんなんで申請通ったな………

 

20:名無しのサッカーマン

>>18

結構詳しいけど、もしかして雷門の方?

 

21:名無しのサッカーマン

>>20

いや、近くの中学の陸上部

あの風丸っていう足の速いイケメン、アイツ陸上のエースだったんだけど最近見なくなった事を聞いてみたら、サッカー部に移籍したらしい

 

22:名無しのサッカーマン

>>21

陸上からって……どんだけ切羽詰まってんの

 

23:名無しのサッカーマン

そういや数人を除けば素人に毛が生えたレベルの奴しかいない……

 

24:名無しのサッカーマン

思い出した

雷門って練習試合で帝国と引き分けたとかって噂があった所じゃん

 

25:名無しのサッカーマン

そういえばそんな噂があったな

……いや、こんな素人丸出し集団がどうやりゃ帝国と引き分けれるんだよ

 

26:名無しのサッカーマン

そこでこのドラゴンを繰り出した天願って奴がなんとかしたんじゃないの?

 

27:名無しのサッカーマン

>>26

……無理じゃね?

 

28:名無しのサッカーマン

>>26

無理だろ

 

29:名無しのサッカーマン

この技?に目がいくけど天願ってやつ、そんなに上手くないしな

 

30:名無しのサッカーマン

中の上、良くて上の下って所か

 

31:名無しのサッカーマン

だよな

鶏井より上取ってる癖してボールキープミスって結局奪われてるし

 

32:名無しのサッカーマン

やっぱ豪炎寺が何とかしたんだろ

 

33:名無しのサッカーマン

>>32

……豪炎寺?

 

34:名無しのサッカーマン

炎のストライカー?

え、なんでこんな弱小に!?

 

35:名無しのサッカーマン

お前ら気付いてスルーしてた訳じゃないのか

 

36:名無しのサッカーマン

いや、似てる奴がいるとは思ってたけど、あの壁山って奴とぴょんぴょん跳ねてんの見て、別人かと思ってた

 

37:名無しのサッカーマン

ファイアトルネードしなかったしな

 

38:名無しのサッカーマン

>>37

豪炎寺さんがファイアトルネードしかないみたいな言い方はやめろよ

 

39:名無しのサッカーマン

それよりもあのドラゴンはなんなんだよ

 

40:名無しのサッカーマン

今までにあんなの見たこと無いしな

 

41:名無しのサッカーマン

俺の厨2心を震わせる素晴らしいデザインだ

 

42:名無しのサッカーマン

あの時何か言ってたよな、誰か分かる?

 

43:名無しのサッカーマン

「かりゅう りおれうす」でその後に「ラグナブラスト」とか聞こえた

 

44:名無しのサッカーマン

>>43

よくやった

 

45:名無しのサッカーマン

>>43

お前がナンバーワンだ

 

46:名無しのサッカーマン

火を吐いてたから多分「火竜 リオレウス」?

そんで後者が技名か

 

47:名無しのサッカーマン

>>46

つまりあのドラゴンにはまだ別の必殺技を隠している可能性が微レ存?

 

48:名無しのサッカーマン

夢が広がるな

 

49:名無しのサッカーマン

俺もあんなの出してみてぇ…

 

50:名無しのサッカーマン

よく見りゃドラゴンの咆哮に伴って会場が揺れてたり…完全に具現化してるよな、アレ

 

51:名無しのサッカーマン

実際、どんな事すりゃアレ出来んだ?

 

52:名無しのサッカーマン

>>51

脳内でイメージしたのを強く念じる…とか?

 

53:名無しのサッカーマン

>>52

妄想を具現化させるとかどんだけ拗らせてんのw

 

54:名無しのサッカーマン

あんな造形の奴ゲームでも見た事ないけど、完全なオリジナルなら凄いよな

 

55:名無しのサッカーマン

完成度高いし、模型欲しいレベル

 

56:名無しのサッカーマン

名前とか姿からしてかなり厨2入ってんな

 

57:名無しのサッカーマン

>>56

いや現役の中2だから

 

58:名無しのサッカーマン

必殺技なんて使ってみろ、誰だって厨2発症するだろ

 

59:名無しのサッカーマン

クソッ!

なんで俺はサッカーやってなかったんだ…

 

60:名無しのサッカーマン

>>59

ほんとそれ

俺も必殺技使いたかった

 

61:名無しのサッカーマン

>>59

>>60

そんな簡単に編み出せるモンじゃねーからw

 

62:名無しのサッカーマン

>>61

そうそう、仮に創れてもショボい技になるだけ

 

63:名無しのサッカーマン

ソースは?

 

64:名無しのサッカーマン

>>63

 

65:名無しのサッカーマン

>>64

許してくれ…

 

66:名無しのサッカーマン

>>65

別にいいよ

…誰もが通った道だしな

 

67:名無しのサッカーマン

優しい世界

 

68:名無しのサッカーマン

それに格好いい名前付けといてあっさり破られた時の周囲の視線……

 

69:名無しのサッカーマン

>>68

想像しただけで吐きそうになった

 

70:名無しのサッカーマン

そこ考えるとコイツかなり度胸あんな

それに見合うだけの強さはありそうな技だけど

 

71:名無しのサッカーマン

確かに

 

72:名無しのサッカーマン

まぁ、名前負けはしてないと思う

 

73:名無しのサッカーマン

見た限りじゃ、俺の知る技のどれより強い

 

74:名無しのサッカーマン

ゴールからあんだけ離れて撃って尚、GKの反応が遅れるってのは相当

 

75:名無しのサッカーマン

この選手は期待出来…出来る?

 

76:名無しのサッカーマン

いや~どうだろ?

コイツ1人に言えた事じゃないが、もう少し素のテクが上手くないとな

 

77:名無しのサッカーマン

あの程度なら俺だってボール奪えるし

 

78:名無しのサッカーマン

>>77

嘘乙………って言おうと思ったけど、うーん

 

79:名無しのサッカーマン

>>78

冗談抜きでそんなに上手くないんだよな

 

80:名無しのサッカーマン

これからに期待……つっても帝国がいるから全国には来れんか

 

81:名無しのサッカーマン

面白そうな選手だっただけに残念だね

 

82:名無しのサッカーマン

それより他の所の話もしようぜ

今年良いとこ行けそうなのって何処がある?

 

83:名無しのサッカーマン

今年の木戸川のFW3人には期待出来る

3人とも結構動けるし

 

84:名無しのサッカーマン

千羽山かな?あのDFはヤバい

去年の3位相手に無失点だったし

 

85:名無しのサッカーマン

いや、白恋って所も中々

詳しくは知らんけどかなりの選手がいるらしい

 

86:名無しのサッカーマン

ど う せ 帝 国 が 優 勝 す る

 

87:名無しのサッカーマン

>>86

どうしてそんな事言った!言え!

 

88:名無しのサッカーマン

>>86

でもそれが真理というね

 

89:名無しのサッカーマン

>>86

まぁ、そうなるな

 

90:名無しのサッカーマン

今年の帝国はピッチの絶対指導者こと鬼道にKOG(キング オブ ゴールキーパー)源田もあって歴代最強だからな

少なくとも3年間は負け知らずだろ

 

91:名無しのサッカーマン

じゃ、今年の優勝も帝国で決まりだな

 

92:名無しのサッカーマン

もう帝国は殿堂入りでもさせてやればいいんじゃないかな

 

(2位以下を予想する雑誌が続く)

 

……………………………………

 

 

196:名無しのサッカーマン

とんでもない事になってしまった……

 

197:名無しのサッカーマン

まさかこんな事が起こりうるとはな

 

198:名無しのサッカーマン

これは予想出来んかった

 

199:名無しのサッカーマン

いや、予想出来るかこんなん

 

200:名無しのサッカーマン

今北

何があったん?

 

201:名無しのサッカーマン

>>200

は?まだ知らんの?

 

202:名無しのサッカーマン

>>200

FF史に残る大事件だと言うのに…

 

203:名無しのサッカーマン

ほらよ

【雷門中vs帝国学園】

 

204:名無しのサッカーマン

何度観ても信じられん…

 

205:名無しのサッカーマン

情報が出た当初はガセ扱いされてたしな

 

206:名無しのサッカーマン

帝国が負け……ちょっ、これマジ?

 

207:名無しのサッカーマン

>>206

でなきゃここまで騒ぎにならんわ

 

208:名無しのサッカーマン

誰だよ雷門が弱小とか言ってた奴

 

209:名無しのサッカーマン

>>208

野生との試合時点じゃマジに弱小だったろ

 

210:名無しのサッカーマン

俺としてはカットされてる鉄骨落下事件のがヤバいと思う

 

211:名無しのサッカーマン

>>210

とても物騒なワードが出て来たんですがそれは

 

212:名無しのサッカーマン

>>210

Kwsk

 

213:名無しのサッカーマン

この映像ではカットされてるが、実際の試合では開始直後に雷門陣だけ鉄骨が落下して一度中断してる

死人が出なかったのが今でも信じられない

 

214:名無しのサッカーマン

検索したら画像出て来た……うわあ

 

215:名無しのサッカーマン

怖ぇ……

 

216:名無しのサッカーマン

一番ヤバいのはこの事件の後に監督が変わった事だと思う

 

217:名無しのサッカーマン

>>216

マジだった

 

218:名無しのサッカーマン

うっわぁ

 

219:名無しのサッカーマン

サッカーには、貴方の知らない闇girl

 

220:名無しのサッカーマン

>>219

この事件後じゃ洒落にならんからヤメロ

 

221:名無しのサッカーマン

たかが一スポーツごときで闇深すぎだろ

 

222:名無しのサッカーマン

昔ダチが言った超次元サッカーってのが良くわかる

 

223:名無しのサッカーマン

超w次w元w

 

224:名無しのサッカーマン

なんか納得した

 

225:名無しのサッカーマン

思い付いた奴天才かよ

 

226:名無しのサッカーマン

よし、これからは超次元サッカーと呼称しよう

 

227:名無しのサッカーマン

そういや雷門の試合全部あるけどどうする

 

228:名無しのサッカーマン

>>227

早く貼ってくれ!

 

229:名無しのサッカーマン

>>227

その言葉を聞きたかった

 

230:名無しのサッカーマン

>>227

お前の様な奴を待っていたんだ

 

231:名無しのサッカーマン

>>227

はよ!はよ!

 

232:名無しのサッカーマン

そらよ

【御影専農~帝国戦まで】

 

233:名無しのサッカーマン

>>232

やっほう!

 

234:名無しのサッカーマン

>>232

素晴らしい…!

 

235:名無しのサッカーマン

お前ら雷門の試合観てなかったのか

 

236:名無しのサッカーマン

どうせ帝国が勝つと思ってました

 

237:名無しのサッカーマン

例の噂があったとはいえ、野生での素人っぷり見たらね…

豪炎寺のワンマンチームと思ってた

 

238:名無しのサッカーマン

そんな弱小の地区予選なんて見る価値無いと…

 

239:名無しのサッカーマン

それに今年は他の所もレベル高かったし

 

240:名無しのサッカーマン

あれ、コイツらこんな上手かった?

 

241:名無しのサッカーマン

おかしい、どんな練習すりゃここまで変わるんだよ

 

242:名無しのサッカーマン

二次元なら主人公がいるってレベルの成長

 

243:名無しのサッカーマン

それよりもさ、アイツこの予選で一度も同じ技使ってなくね?

 

244:名無しのサッカーマン

天願だろ?俺も同じ事思った

つーかロボットまで出て来たんですけど

 

245:名無しのサッカーマン

これ経験者的にはどうなん?

 

246:名無しのサッカーマン

あり得ん

 

247:名無しのサッカーマン

異常

 

248:名無しのサッカーマン

意☆味☆不☆明

 

249:名無しのサッカーマン

普通におかしい

試合毎に新技繰り出してる雷門もだが、単独でこれだけの技を扱うってのは……最早理解不能の域

 

250:名無しのサッカーマン

弱い技を沢山ならまだわかる

だけど実用レベルどころか普通に強力な技を沢山ってのが信じられん

 

251:名無しのサッカーマン

そんなにか…

 

252:名無しのサッカーマン

>>251

若干拘ってる感はあるけど、あの豪炎寺ですら単独技はファイアトルネードだけなんだぞ?

 

253:名無しのサッカーマン

世界レベルの選手なら同系統というか、似た感じ・派生の様な技を複数持ってる事はあるんだよ

…まぁ、実際に使うのは1,2個だが

 

コイツみたいなバラバラなイメージの技が複数、そのどれもが強い、なんてのは世界にも居ない筈

 

254:名無しのサッカーマン

必殺技っていうのは使う奴の集大成、みたいなものなんだよ

 

255:名無しのサッカーマン

>>254

同意

アイデアもあるけど、ソイツ自身のプレーだったり、特徴だったりの延長線に必殺技があるケースは多いよな

 

256:名無しのサッカーマン

>>253~255

サンクス、凄い勉強になった

ガキの頃、プロの使う技を真似ても出来なかったり、成功しても全然威力出なかったのはそういう事なのか…

 

257:名無しのサッカーマン

>>256

成功した事あるのかw

それはそれで凄い才能あるぞ

 

258:名無しのサッカーマン

>>256

別のパズルから持ってきた本来嵌まる筈のないピースを削ってまで無理矢理押し込んだのに、本来のなら埋められた筈のスペースが空いてる感じ

上手く例えられたか分からん

 

259:名無しのサッカーマン

技のアイデアがあっても、それを形に出来るかは別なんだよ

 

260:名無しのサッカーマン

思い付き・即興で技出来たとか言う奴いるけどさ、あれってそれが自分に合ってたとか、何らかの下地あってこそだしね

 

261:名無しのサッカーマン

レスが進む程に天願の異常さが浮き彫りになってく…

 

262:名無しのサッカーマン

百…いや一万歩くらい譲って、アイツが何でも出来る完全無敵な選手なら理解出来なくもないんだよ

なのに本人のテクニックはそれほど……訳わからん

 

263:名無しのサッカーマン

繋がらないんだよな、本人と必殺技が何一つとして

 

264:名無しのサッカーマン

必殺技と天願の考察スレと化してて草

 

265:名無しのサッカーマン

お前ら必殺技専用板行ってこいよ

あっちは試合の度に1,2スレ消費してんぞ

 

266:名無しのサッカーマン

ちょっと覗いてみたら過去にないレベルの盛り上がりで引いた

論文みたいなレスもあるし…

 

267:名無しのサッカーマン

サッカーで初めて必殺技が誕生した日以来の盛り上がり、懐かしい…

 

268:名無しのサッカーマン

>>267

今何歳だよw

 

269:名無しのサッカーマン

そういや帝国の鬼道もヤバい技あったな

 

270:名無しのサッカーマン

ベルゼズランスだっけ?

あれはビビッた

 

271:名無しのサッカーマン

シュートしたと思ったらもうゴール入ってたアレか

審判も実況も反応遅れてた奴

 

272:名無しのサッカーマン

しかもその後でブラフとして使ってたし

反応すんなってのが無理だろ

 

273:名無しのサッカーマン

タメがデカイって弱点はあるがPK戦なら……

 

274:名無しのサッカーマン

チート過ぎてワロエナイ

 

275:名無しのサッカーマン

帝国負けたとはいえ、本選には出場するんだろ?

あのシュートを織り混ぜた策略……相手が可哀想になってきた

 

276:名無しのサッカーマン

本選といえば、白恋は残念だったな

地区予選決勝で不戦敗なんて

 

277:名無しのサッカーマン

雪崩かなんかで会場迄の道が塞がったんだっけ?

除雪車もぶっ壊れてたとか

 

278:名無しのサッカーマン

確実に優勝候補だったのにね…

去年の本選出場校相手に6-0だったし

 

279:名無しのサッカーマン

仮に本選来てもどうだろ

とある兄弟の活躍が主で去年の木戸川みたいだったって噂あったけど

 

280:名無しのサッカーマン

例えどんな奴が居ても千羽山の無限の壁は破れんよ

 

281:名無しのサッカーマン

そういや聞くな、無限の壁

そんな強いの?

 

282:名無しのサッカーマン

今の所無失点貫いてる

相手が攻撃一辺倒で有名な●●相手にも

 

283:名無しのサッカーマン

それはマジに凄いな…

あそこは帝国にも点取った事で有名なチームだったろ

 

284:名無しのサッカーマン

いや、木戸川のFW3兄弟のトライアングルZならいけそう

 

285:名無しのサッカーマン

あそこの3兄弟だろ?

3人ともかなり強いよな

 

286:名無しのサッカーマン

惜しむらくは他の選手と連携が上手く噛み合ってない所か

 

287:名無しのサッカーマン

予選で戦ったよ、かなりレベル高かった

ただ、性格がなぁ…あのノリはキツイ

 

288:名無しのサッカーマン

今年は本選どうなるんだ

 

289:名無しのサッカーマン

遂にFF優勝校が変わるか……!

 

290:名無しのサッカーマン

トーナメント表はよ!

オラ、もう待ちきれねぇ!

 

(以下、今年の優勝校について熱い議論が交わされる)






FF本選の掲示板風はやるか未定
気が向くか、もしも要望あれば書くかも?です



うーん、カオスやジェネシス、世界編の話は思い付くのに……ジェミニストームやイプシロンはあまり話が浮かばん……

他にもオーガや無印雷門vsGO雷門、ドリームマッチ辺りばっかが浮かぶ……



前者は兎も角、後者はどうしよう、先に書いてしまおうか……






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エイリア学園編
第32話 その日、俺は宇宙人と出会った





1日が24時間じゃ足りない、なんて思う今日この頃

あ゛あ゛あ゛週一更新したぁぁあああい!!!

回想回です、遅くてすまない……すまない……

原作がある話はまだしも、オリジナルで話考えるのはやっぱ難しいな……





―――――八神玲名

 

つい先程、「FFスタジアム周辺の■■まで来い。今すぐだ。」というメール(命令)を送ってきた者の名前だ

(彼女と共にいた者からは別の名前で呼ばれていたので、もしかしたら偽名かも知れないが)

 

青いロングヘアーに白いモミアゲ、その髪と同じ色に染まった瞳をしている少女である。

 

時期こそ覚えていないが、この少女を含めた、嘘か誠か自らを異星人と自称し、原作でエイリアン学園……?とやらの組織下にいる彼ら彼女らが突然襲来してくるその日迄、出会う事はないと思っていた………のだが、何の因果か俺は原作が始まるよりも先に邂逅を果たしている。

 

しかも、偶然街で見掛けたとかではなく、多くの人数に、よりにもよって敵認定までされてんだよな…。

 

何故そんな事になってしまったのか、今でも鮮明に思い出せるその日まで遡らせて貰おう。

 

あれは天馬少年とのなんやかんやを終え、サッカー部を立ち上げた後に円堂が染岡と半田を引っ張って来てからそう間もない頃――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ、富士登山に行こう」

 

 

 

 

 

 

 

「――――――あ、円堂君。そこの問題間違ってるよ」

 

「えーっと……あっ、ホントだ」

 

一瞬の停滞の後、何も無かった様に動き出す木野と円堂

対照的に呆気に取られたまま未だにフリーズし続けているのが染岡と半田

 

「つー訳で悪ぃけど明日の練習休んで良いか?」

 

「明日は兎も角、明後日は久々に休日にグラウンド借りれるんだから、それまでに戻って来いよー」

 

「気を付けて行って来てね~」

 

「おう、そんじゃ――――

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待てやあああああ!!!!!」

 

再起動と同時、勢い良く立ち上がった染岡のシャウトが昼休みの教室に響き渡る。

 

「どうしたよ、急に大声出して」

 

「は、え、何コレ?俺達がおかしいの?」

 

遅れて動き出した半田は絶賛混乱中だ。

 

「落ち着けよ二人とも。とりあえず染岡は座れ、皆見てんぞ」

 

時間帯と窓際という場所もあり、屋内・外を問わず多くの生徒からの視線を集めている。

俺の発言受け周囲を見回し、状況に気付いたのだろう、赤い顔で納得いかねぇなんて溢しながら渋々といった様子で座り

 

「誰のせいでこうなったと思ってんだゴラァ……!」

 

怒りに身体を震わせながら、睨み付けてくる染岡。

その顔立ちもあいまって、最早ヤ◯ザの領域だ。

おお、こわいこわい

 

「天願お前……

今全然関係無いこと考えてるだろ」

 

「HAHAHA!まさかそんな事ある訳ないじゃまいか!」

 

 

 

 

 

あれ?

 

俺の発言が終わると同時に染岡を除く3人が露骨に距離を取ってヒソヒソと話し始めた。

 

 

「……なぁ、隠す気あるのかアレ」

 

「たまにあるけど、もしかしてわざとやってるのかな?」

 

「天願って本当に隠したい事でもなきゃ、あんな風にバレバレだかんなー」

 

「それより、お前らもなんであんな突拍子も無いことスルー出来るんだよ…」

 

「天願の突然の奇行は今に始まった事じゃないからなぁ」

 

「なんていうか、慣れちゃったのよね」

 

「苦労、してるんだな…」

 

アイツら、そんな風に思ってやがったのか……

 

ふと視線を戻せば、そこには般若もかくやという程の表情の染岡が――

 

「ま、待て、冷静になれ。えーと、登山に行くワケだったか?

ちゃんとした理由があるんだよ」

 

そう言うと、少し落ち着いた様で話を聞く態勢に入った

「納得のいく理由なんだろうな……?」

 

ただ、表情がそのままなのは心臓に悪いから止めて欲し……いや、なんでもねっす。

だからな、その、表情を般若化させないで貰いたい。

 

「以前本で読んだのをふと思い出したんだが、高地トレーニング、なんてものがあってだな、それによると標高の高い過酷な環境で運動する事によって、より身体を鍛えられるらしい」

 

まあ、昔斜め読みしたのをうっすらと思い出しただけで詳しくは知らんのだが。

それに必殺技とか特訓なら山籠りだよな、なんて考えが先にあったし。

 

半田のまだ身体を鍛えんのかよ、なんて戦慄の声は聞こえない。

 

「……確かにテレビでそういうのを見た事はある

言ったタイミングとか理由を先に言えとか、他に言いたい事はあるが、納得は出来た」

 

おお!これは怒りを静められ――

 

「だけどよ、なんで富士山なんだ?」

 

……うん?

 

「なんでって……そりゃあ、富士山が最も過酷そうだと思ったからだが……?」

 

「発想がおかしい。やっぱ馬鹿だコイツ……って、いや。そうじゃなくてだな……」

 

なんだ、何処か話が噛み合ってないな?

この世界でも日本で最も高いのは富士山だった筈だが。

 

 

「ねぇ天願君、富士山って()()()()()()()()なんだけど…」

 

 

「えっ」

 

「えっ」

 

「えっ――――マジ?」

 

 

「嘘なんか言う訳ないじゃない

前に富士山頂の原因不明の岩崩れで日本の観光名所が閉鎖されたって……知らないの?」

 

し、知らねぇ…。

木野の発言から回りも見渡すも、誰一人としてその言葉に違和感を覚えている者はいない。

 

 

「どーせまた必殺技にかまけてたんだろ」

 

言葉を詰まらせている俺にじっとりした目を向けつつ、呆れを多分に含ませた声で言ってくる円堂―――――ぐうの音もでねぇや。

 

「納得いかねぇ…こんなのより成績下なんざ……!」

 

「世の中不思議だよなあ……これで生徒会長と首席争い出来んだから」

 

「もうやめよーぜこの話、悲しくなるばっかで誰も得しねーよ」

 

「ア、アハハ……」

 

円堂らが愚痴を溢し合い、それを見た木野は苦笑いを浮かべる。―――天願が奇行を行った後で割りとよく見受けられる光景だったりする。

 

 

「じゃあ……俺はどの山で特訓すりゃ良いんだ……!」

 

「「「(あ、山に行くのは決定実行なんだ)」」」

 

 

……しかし、日本有数の観光名所をそのままにしておくかね?

好奇心ついでに少し見てくるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――という訳で、やって来ました富士山へ!

 

封鎖は一切されて無かったが、本当に人居ない。写真家とかなら居そうだと思ったのだが。

 

取り敢えずは山崩れの痕跡がある所まで行って、その状態を見てから特訓するか決めようと思っていたのだが、登れど登れどそんな事があった様な光景は見当たらない。

 

もう息が白くなる位の所まで登って来たってのに。

……にしても毎度無茶苦茶な事試す度に思い知らされるが、この身体ホントどうなってんだ?

ガキの身体で大した装備や休憩も無しにここまで来たにも関わらず、高山病の兆候はおろか、息切れすら起こっていない。

やっぱあれか。気やら波紋やらを修得したからか。

 

自分の身体の異常さを再認識し、どんな事まで出来るのか、これも良い機会だと色々試し、白い息を出さない呼吸法を修得した辺りで

 

――――人の、声?

 

若い、明らかに子供の物であるそれが、複数。それも相当な人数が足音から察するに走り回っているときた。

まず間違いなく、迷い込んだ、人目を忍んで登山に、なんてものではない筈。

カルデラっぽい感じの大きめの窪地でやってるのか、ここからは見えない。

どれ、ちょっと覗いてみようか。

 

そろりそろりと足音・気配を隠して接近していくと突然、目の前に何かがドゴッ!と相当な重量感のある音と共に飛来した。

 

眼前に落ちてきた()()()()()()()()()を目にして、俺の思考はある一言で埋め尽くされた。

 

―――――なんでさ。

 

思わず某正義の味方志望の口癖が出てしまったが、それくらいショックの衝撃だった。

確かに何かが跳ねる様な音がしていた気はするが、ズシンやらズドンやらサッカーボールに似つかわしくない音だから予想がつかなかった。

にしても何故こんな高所まで来てやる事がサッカーなのか…。

 

え、俺?俺は鍛練目的だからセーフ。

 

それは兎も角、どうやらコレには落下時の音からしてかなりの重さがあるようだ。

 

―――さて、平時であればこのボールの持ち主が取りに来る、当然の帰結に頭が回るのだろう……が、ボールへの好奇心で、持ち主が来るから隠れるなんて考えは、その時の俺には浮かんでいなかった。

 

おっ、予想以上に重いなーなんて呑気にボールへ夢中になっていた俺は、前方から近付いて来る

ソイツに気付けなかった!

 

「あ、あったあった!

おーい!そのボール此方に……………誰?」

 

「(しまった!ボールに夢中で……どうする!?)」

 

「(お日さま園にこんな奴いたっけ?それに()()()()()()を着てないし……)

えっと……新しくウチに来る人かな?

あれ、そうすると連れ添いの人は………?」

 

抹茶色の髪をした少年に、良い感じで勘違いされてるようだ。

少し危ういが、下手に嘘を吐いてボロを出すより真実で上手く誤魔化していくか。

 

「あ、いや。俺はちょっと登山に来たんだよ」

 

「え?でも園長がここには人が来ない様になったって……」

 

園長だって?

この言い方からすると自然現象じゃなく故意に封鎖したのか?

 

「あー、そうなのか?

よそから来たもんでそういう情報知らなくてさ

悪かったよ、直ぐ降りるから他の人には秘密に―――

 

 

 

 

 

「おーい、そんなに遠くまで飛んでったのかー?」

 

「もしかしてどっか怪我したのかな」

 

「んん?アイツ誰だ?」

 

「新入りかな?何やってるんだろ?」

 

 

…………この場から上手くフェードアウトしようとした矢先にコレだよ!

中々戻って来ない目の前の少年を探しに姿の見えなかった者達が次々と出てくる。

 

「あちゃー、見つかっちゃったね。どうしよう……って、おーい。どうしたの?」

急に固まって動かなくなった俺を訝しんだ彼が、顔の前で手を振っているが、とてもそんな事を思考を割ける状況では無かった。

 

一瞬前までは見つかった事をどう誤魔化そうかと余裕が無かったのだが、冷静になった今、彼らの服装に、容姿の奇抜さに気付いた―――気付いてしまった。

 

「……………………へ」

 

「へ?」

 

変態だーーー!!!

 

「「「………は?」」」

 

思わず叫んでしまったが、俺は悪くぬぇえ!

 

だって想像してくれよ。目の前に全身タイツみたいなピチピチのコスチュームを身に付けたのが少なくとも30人以上居る光景を。

よく見りゃ人としての骨格がおかしそうな奴とか、まず人間なの?って奴まで居るし、何なんだコイツr――ズドン!

 

………へ?

 

「………誰が、変態だぁッ!!!」

 

何かを蹴ったかのように足を振り切った青髪の少女から音のした方へ目を向けると、土煙を上げている出来立てホヤホヤのクレーターが…………ヒェッ。

 

「「「ぶっころ」」」

 

感情を無くした様な声の重なりが聞こえ、前を向けば、そこには俺に向かって飛んでくる数々のボールが!

 

スドドドドドドッッッ!!!

 

「うおおおおおお!?」

 

あ、危ねぇッ!

 

「な、何だと!?」

 

「アレを、全て避けきるか………!」

 

「ただ者ではないらし―――「何の騒ぎかしら」

―――瞳子さん!」

 

……また人が増えたな。あんだけ音が鳴り響いちゃ当然か。

 

新しく現れた面子は一人を除いてやはり、意匠こそ違えど例の全身タイツ染みた服を身に付けていた。

(恐らくは)唯一の大人らしい普通の服装の女性に、先程まで話していた抹茶髪の少年が駆け寄って行く。

どうやら今までの経緯を説明しているらしい。

 

「……成る程、事情は分かりました。

ここに立ち入った事に関しては不問します、速やかに下山なさい。」

 

お、なんかお咎め無しで帰れそう?

 

「すみません、以後気を付け――「待って下さいッ!」

俺の発言を遮ったのは、先程真っ先にシュートを撃って来た少女だった。

 

「せめて、私達の事を変態と侮辱した、その理由と謝罪をヤツの口から聞かねば気が収まりません!」

 

そう言って俺をキッと睨みつける。

 

ウゲ……マジかよ。

勢い余って酷い事言った覚えはあるから謝罪は元々やる予定だったが、理由か……。

何て言う?馬鹿正直に、屋外で全身タイツ似の衣装を素面で着てるなんて、コスプレ野郎か痴女か、そういう性癖の人か、いずれにせよ一般常識でいえば変態でしかない、なんて……言えんな。

言ってしまえばさっきみたいに俺の命が危ういかやもしれん……」

 

どう誤魔化そうか考えを巡らせていると、周りがやけに静かな事に気付いた。

 

発言(謝罪等)を求められて、黙している俺が言えた事ではないが、誰も何も言わないのは何故だ?

俯いている奴らは皆心無しかプルプル震えてる様に見える。

そういや寒くなってきたか?特に背筋辺りが。

 

「…………私は、痴女でも、おかしな性癖持ちでもないッ!!!!」

 

……What?

なんで俺の思考が!?

「考えが口に出て……いや、そんなまさか…!」

 

「思いっきり口に出してた……」

 

「そのまさかなんだけど……姉さん、彼が言った事は本当なのか……?」

 

赤い髪が特徴の少年に問い掛けられた女性の方はすっと目線を逸らして

「……何度か、デザインの変更を上申しているわ」

 

あっ(察し)

 

周りから、嘘だぁとかうわぁぁやら絶望の呻きが上がっている。

 

「製造元のセンスが無かったのか……悪かった、変態なんて言って。

これからデザインが変わる事を祈ってるよ、それじゃ――ズドォッ!…………なんでぇ……?」

 

上手い事帰ろうとしていた矢先、俺の進行方向にさっきよりも威力のあるボールが撃ち込まれた。

 

「私達の―――この、やり場のない憤りをぶつけさせてもらう!」

 

 

 

え、ソレって要は

 

 

「………………八つ当たりじゃねーか!?

ちょっ、そこの人ー!そっちからも何とか言ってやってー!!」

 

俺が呼び掛けたその人は、顔ごと逸らし

 

「無意識とはいえ、流石に女の子相手に痴女や変態は……ちょっと、ね。

………大丈夫、本当に危ない時は止めるし、怪我した時の責任は負うわ」

 

止まらない前提で話進めてんじゃ……あれ、なんか囲まれてる?

 

「「「喰らえぇぇええ!!!」」」

 

――――どひゃあぁぁあああ!!!

 

複数のボールが360°から同時にシュートが迫る、避けた先からも回り込んで撃ち込む奴が居る、気を抜く暇もねぇ!

 

「アレを避けるのか……!」

 

「空中で身を捻って、なんて奴だ」

 

「避け方というか、動きが人のソレじゃない――変態ってアイツの方じゃね?」

 

――――酷い謂われようである。

 

「チッ、やられっぱなしは性にあわねぇな、ここだッ!」

 

俺が初めて覚えたシュート技の強化型!

 

「気を付けろ!アイツ、撃ってくるぞ!」

 

「『バーチカル・アーク』!」

 

………なんじゃこれ、重ぉッ!?

いや知ってたけどッ!奴らのシュートが合わさって尋常じゃなく重いッ!

 

それでも何とか蹴り返せたボールは、ポスッと、ボールの重量を感じさせない軽い音を立てて黒髪の少年の胸に収まった。

 

「………何だ今のは、俺達のシュートを悉く避けたからと期待してみれば、ショボすぎて話にならん!」

 

「弱いな、弱過ぎる」

 

「こんな雑魚にムキになってたのかよ」

 

「その程度の威力で必殺技……恥を知らんのか?」

 

「あれだけ動けるのは評価出来るけど……それだけだね」

 

「えっと……シュート練習、してく?」

 

もうやめて!俺のライフはとっくに0だ!

 

キック力の足りなさに、絶望から四つん這いになった俺の目の前にボールがコロコロと転がってきた。

見た目は普通のサッカーボールだが、持ってみるとアイツらの使うのと同じ位の重さがある。

 

「興が醒めた、さっさと帰れ。

特別にくれてやる、ソレを使ってシュートを少しはマシにしておくんだな」

 

気付けば、あれだけ居たにも関わらずいつの間にか誰も居なくなっていた。

 

これが、後に異星人を名乗り、サッカーを仕掛けてくる集団との邂逅であった。

 

 

 

 

因みに、その悔しさから、翌日特製ボールを使ってのシュート練習やシュート技に1日を費やし、翌々日に円堂の言っていた練習の事を忘れてしまった事でかなり絞られたのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――もっとも、冒頭で名を出した少女に関しては、それからも何度か会っていたりする。

 

あれは確か、下山してから2,3週間程経った頃か。

突如として奴は、前置きもなく――

「どうだ!これが私本来のセンスだ、もう痴女などとは言わせない!」

―――あの日とは違ったしっかりとした服を身にまとい、ふんす!と胸を張って自信に満ちた笑みでそう告げに現れたからだ。

 

 

俺の居場所がわかった理由は、例のボールにある謎仕様より位置情報が筒抜けとのこと………プライバシーェ……。

まあ、ボールを渡した真意はこうして現れ、俺を見返す為らしく、その際回収する予定だったそうなのだが。

 

さて、ここで困るのは俺だ。

確かにボールの仕様こそアレだが、その重さからトレーニングとサッカー練習を同時に出来るなど、あれほど有用な物もなく、失うのは痛い。

 

どんな技術を使っているのか、スポーツ店に持っていってもあれと同等の重量のボールを複製してもらうのは不可能だった。

 

と、ここで彼女が周囲を興味深そうに見回している事に気付いた。まるでここにある全てを初めて目にしたかのように。

 

もしかして、山に居っぱなしで娯楽を知らない…?

後に聞いた話だが、自由行動が許されている者は余り居らず、ここまで自由に動けるのはマスターランクという上位チームかつ、その中で更にトップクラスの能力を持っている者くらいだそう。

 

あれ……………実はこの娘ってラスボスクラスなんじゃあるまいか?

 

話が脱線した。

まあ、ここまで語れば大体察する者も居ると思うが……

 

ある時は、スイーツ店に連れて行き

 

「甘い!?これが噂に聞いたパフェ……!」

 

ある時は、本屋に連れて行き

 

「園の図書館よりも広い、多い……」

 

ある時は、呉服店に連れて行き

 

「これが、今の流行のファッション……!」

 

と、要は物で釣った訳だ。等価交換ともいう。

 

そんなこんなで、時折ふらっと現れては俺()連れ回している。

ボールの回収なんて完全に忘れている気がしないでもないが、そっちの方が都合が良いから何も言わない。

 

 

――――おっと、そろそろ待ち合わせ場所に着くな。

 

にしても、ふらっと目の前に現れるアイツが、前以て連絡、しかも場所指定だなんて、どういう風の吹き回しなのだろう。

 

最後の曲がり角を通り、漸く見えた待ち合わせの場には

 

 

輝ける頭(スキンヘッド)に燈色のレンズの水眼鏡っぽいゴーグルが目につく男が3人佇んでいた。

三つ子?鼻、唇の形くらいしか見た目の差異がない。

 

何かを探す様に周囲を見渡している奴らの1人と目が合ったかと思えば、ずんずんと近付いて来て……へ?

 

「天願想叶だな?貴様を待っていたぞ。」

 

 

ふむ…………え、本格的に誰?

 

 

 






捕捉


・主人公の成績
前世持ちのINT:17 EDU:21 ならこーなる
ただしニュースとかあんまり見ないから、時事問題等で落として基本的に次席


・白くならない呼吸法
「トリコ」のセンチュリースープ編のアレ


・サッカーボールの機能
原作でもオーバーテクノロジーだったし多少はね?


・マスターランクの上位者位しか自由行動権がないってのは独自設定



・黒ボールを主人公に蹴ってる?
エイリアメンバーはアレ使って練習してる思うから、感覚麻痺してる感じで
瞳子先生は主人公が帰った後で、もし当たってたら……!とガクブルして、あのシュートの嵐避けきったアイツ、人間じゃねぇ!とさらにガクブルしてる

因みに主人公がシュートを撃った後のセリフは、各チームキャプテン+八神のつもりで書いてたり





・富士山の侵入禁止の件
放置してたら、登山家・写真家が絶対気付くからしゃーない
エイリア石の利用価値に気付いた国の上層部とか仏爺が手回してくれてると信じて……!



・主人公の金銭
株とかやってるとか特典で黄金率持ってるとかテキトーに流していただければ――――というか流してください

仮に黄金率あっても多分ランクはE-以下
生活に必要最低限の金が手に入る位
それでも子供なら余程な浪費でもしなきゃ充分


↑書いてこそいるけど、見も蓋も無い事言えば"ご都合主義です"で片付ける気満々な作者

許してヒヤシンス








原神さんとの相違点

お土産として本や菓子やゲームやらを持ち帰ったり、主人公と接して雰囲気とかが柔らかくなり、皆から姉御・オカンと皆から慕われている模様
色んな娯楽を知ったり、皆との交流が増えたからか、ハイライト先生が仕事再開
お父様の忠誠に全振りしていた心が、他の事も知った事でやや分散している



『バーチカル・アーク』

引用「ソードアート・オンライン」

使用者「キリト、他片手剣使い」

垂直に踵を振り落とし、その流れで後ろに振り切った足ですかさず垂直に蹴り上げと、計2回蹴るシュート技





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第33話 休んでる暇もねぇのかよ!



感想って凄い――貰えるとやる気が全然違う
ありがてぇ……!

な―――の――――に
繋ぎ回で短いぜぇ!
これ書くのにどんだけ時間掛かってんだ俺ェ!
すまねぇ……




ちょっとキャラ崩壊あるかも……?





閃の軌跡3、碧や閃1に負けず劣らずの鬱エンドってマジっすか………?
これじゃ俺、怖くてやりたくなくなっちまうよ……

TGSのエスコン面白かったれす
巨影都市もあるし、FGOイベント全然やってないし、俺のゲーム生活はどうなるんだ……!?




「天願想叶で間違いないな?」

 

スキンヘッド3人組が問い掛けてくる。問いという形式こそとっているが、まず間違いなく確信した上で訊いている。

 

誰だコイツら。それにこの場所、まるで俺を待ち受けているような……いや、それよりも

 

「誰だテメェら、それに八神の奴はどうした」

 

アイツを騙って俺を誘き寄せたり、人質に(利用)して俺をどうこうって心算なら―――

 

「八神?……おい、知ってるか」

 

ん?

 

「何処かで聞いた気もするが……」

 

あっるぇー?

「そんなのは後回しだ。

天願想叶、我々はお前に用件があって来た、他の奴の事など知らん」

 

……嘘は吐いてねぇ、か。

 

まあ、アイツならそこらのチンピラ位簡単に追っ払えそうな気がしないでも―――止めよう、本人に聞かれりゃしばかれる。

 

にしても俺に用、ねぇ?

 

「そうかい、俺はここで知り合いとの待ち合わせしててな。

悪ぃけど手短に済ませてくんねぇか」

 

「では単刀直入に、我々と共に来い天願想叶。貴様にはそれだけの価値がある」

 

 

一瞬、高校の推薦かと思った。小学生の頃にもこんな風に突然、今の様な感じで勧誘を受けた事が幾度もあるからな。

だけどそうじゃない、とさっきからコイツらの奥底に見え隠れする粘つく様な悪意と脳内に鳴り響く警鐘がそう告げている。

 

「………お前らは、何だ」

 

「ほう、鋭いな。その察しの良さ、先程の試合で見せた神のアクアを使用した奴等と互角以上に渡り合うその身体能力に数々の必殺技や謎の多い化身――――成る程、あの方が目を掛けるのも頷ける」

 

神のアクア、だと?いずれ明らかになるだろうが、幾らなんでも情報が速すぎる。

すると、影山関係か?―――いや、流石に無い筈だ。

たった今世宇子の件の片がついたんだ、こんなにも早く手を回せるとは思えない。

 

ふと、本来ここで会う予定だったアイツのいる組織が思い浮かんで―――――――いやいやいや、ちょっと待て

 

導入にしても早すぎんだろ。ついさっきFF、物語で言うところの一つの章や大敵との区切りがついたばっかなんだぞ?

普通は祝勝会とか日常回とかを挟むモンじゃねーの!?

頼むから外れt―――

 

「その才覚、我らエイリア学園の下で存分に振るって貰おうか」

 

………うん、まあ、こういう嫌な予感って大体的中するまでがテンプレだよなー(白目)

流石イナイレ、展開も超次元って訳ね。

仕方ない―――――切り替えていくか。

 

「断る。

俺は雷門中の天願想叶だ、他の所でやって行く気はないし――――何よりも、俺が頷くのを前提で語るテメェらの上から目線が気に入らねぇ」

 

そう言い切った途端、奴等の顔にニヤニヤとした笑みが浮かび出した。

 

「………何が可笑しい」

 

「そうだな、■■■。お前の家族が住んでいる所だったか?

もし断れば……フフフ」

 

―――――あ?

「さあどうする?まさか、拾われた恩を仇で「おい」――――ッ!?!?」

 

スゥ…っと頭が一気に冷めていく

 

「今、なんつった……」

 

連中の顔が途端に青ざめていくが、そんなのはどうでもいい

 

「あの人達に何かしてみろ、只じゃおかねぇ……!」

 

睨み合い、という表現は最早相応しくなかった。身長差、大人と子供、本来有利な立場である筈の3人組がただ気圧されていた。緊迫した状況は続き、ただ時間だけが過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな一触即発の空気を破ったのは

 

「―――――何をしている」

 

当初ここで待ち合わせをしていた

 

「お前達は確か……成る程、そういう事か」

 

エイリア学園でも屈指の実力を持つと推察される友人() だった。

 

 

 

此方を一瞥するや否や、頭に手を当て大きな溜息を吐くと

 

「エイリア学園マスターランクチーム"ガイア"の()()()()だ。

状況は理解した。そいつは()()の1人、勧誘の方法は私に一任されている。

お前達は手を引け。」

 

いつもより険のある表情を向けてそう告げた。

 

「し、しかし……!」

 

「手を引けと、そう言った筈だが?」

 

「……………………………分かりました」

 

何処か焦りのあるように見えたが、八神――いや、ウルビダの忠告を受け、渋々ながらその姿を消した。

 

 

 

 

奴等が消えてからどれ程時間が経ったのだろう、ほんの数秒だったのか、数分だったのかは判らないが、先に口を開いたのはウルビダだった。

 

「………さっき言った通りだ。

私はエイリア学園のウルビダ。そしてもう察しているとは思うが、お前を勧誘しに来た」

 

クソッタレ……冗談でもお前の口からは聞きたくなかったよ。

 

「ハッ……俺の家族をダシにしてか?」

 

卑屈な笑みと共にそう溢し――

 

 

 

 

「それだけは絶対にさせない」

 

 

 

 

力強い、気迫の籠ったその声に顔を上げ、その顔を見て息を呑んだ

 

「安心しろ、私は奴等の様な卑劣な真似はしないし、手出しもさせない。

我等がチーム"ガイア"の名と、お前と過ごした日々に掛けて誓う。私を、信じて欲しい。」

 

―――――こりゃあ、参ったな。

 

初めて会った時とは比べるべくもない輝きを孕む瞳で宣言されては、信じてみたくなるじゃねぇか。

 

「……………わかった。学園は兎も角、お前は信じよう。」

 

俺の言葉にわずかに笑みを浮かべ

 

「―――そうか。

それで、一応聞くが此方に来る気は「無い」

……即答か、まあ分かっていた事だが」

 

喰い気味の返答に憮然とした表情に変わるが、そこまでは譲れんなぁ。

「それとだ、もうひとつ重大な報せがある。」

 

「ん、何だ?

結局そのユニフォーム変えて貰えなかった事か?」

 

いつもの雰囲気についからかうと、羞恥と怒りで顔を真っ赤にする。

 

「人が気にしている事を……!

そうではない、お前に関係ある事だ」

 

が、それも束の間、冷静を取り戻し真剣な顔つきで衝撃の事実を言い放った。

 

「――――落ち着いて聞け、エイリア学園は、たった今から雷門中へ襲撃(サッカー)を仕掛ける。

そこで我々に勝てなければ、校舎を破壊する。」

 

 

 

 

 

瞬間、脳が理解するのを拒んだ。

何を言われたのか、漸く理解出来た時にはとても落ち着いてなどいられなかった。

 

「――――な、に……?

嘘だろ……俺達はついさっき優勝したばっかで皆疲れ切って――――ちょっと待て、たった今だと?!雷門にサッカーが出来る奴なんて残ってねぇ……何でこんなタイミングで!?」

 

思わず食って掛かるも

 

「あの方が決められた事だ、私にはどうにも出来ない。」

 

目を伏せるその仕草から、もう変えようが無いという事を察せてしまう。

 

……絶望するのは後だ、考えろ…今成し得る最善の行動を……!

 

今すぐ雷門中へ向かうか?いや、今試合が始まったと仮定すれば、どれだけ急ごうとも間に合わない。

となると―――

 

「その襲撃ってのは、その一回切りなのか」

 

「いや、雷門への攻撃が成功すれば、それからも続行するだろうな」

 

「そうか。なら――――雷門の次と、その次の襲撃予定地は何処だ」

 

仕方ない、()()()()()()()

 

「それは……………木戸川清修、そして傘美野になる」

 

俺の意図を察したのだろうか、力の無い声だった。

………こいつも随分と変わったな。初めて町へ繰り出した時はここまで感情を揺らす事はなかったろうに。

 

 

 

木戸川までは……駄目だな、行く間に2試合分の時間が過ぎるし、何よりアイツらだって間に合わない。

傘美野……稲妻町の隣だったな、あそこならギリギリ間に合うか……?

 

―――悩んでる時間が勿体無ぇな。

 

「行くのか?」

 

円堂達(アイツら)なら、そうするだろうからな。

だったら俺がこんな所で止まってる訳にはいかねぇ

 

 

………次会う時は敵同士かもしれんが……また、な。()()

 

最後にそう言い、傘美野へ向かって走り出す

 

「――!

ああ、そうだな。また会おう、天願」

 

 

背中越しにその言葉が聞こえた後、ウルビダの気配が忽然と消えた、例のボールによる移動だろう。

 

 

 

 

振り返らず、速度を落とさず走り続ける。

俺が加わる事で何かが変わるのか、そんな事は分からないが、その場に居られなかった、なんて後悔だけはしたくないから。

 

 

――――――頼むから、間に合ってくれよッ!

 

 

 

 

 

遥か遠く、届く筈のない場所からのホイッスルが、聞こえた気がした。

 

 

 

 








今回の捕捉

・特例
マスターランク等、上級チームのキャラが目を付け、直々に勧誘する事―――独自設定

円堂も豪炎寺な負けず劣らずの活躍をして、数々のエイリア側のシュートを受け止め、グランからも目を付けられたにも関わらず勧誘(脅迫)されなかった理由を考えてみた(こじつけた)結果

豪炎寺は目を付けられても、エイリア側のプライドの高さから「俺が撃った方がつえーし」って感じで特例化されず、ハゲ3にお鉢が回ってきた。

今回のハゲ3による主人公勧誘は独断


・ユニフォーム
結局変えてはもらえなかった模様、お父様や研究員は変態


・雷門も諦めた時の主人公に対するやがみん
自分のいるお日さま園を破壊されたら……という同情から


・襲撃の順番
雷門→木戸川→傘美野、の予定
雷門倒して、木戸川倒した後で、本来の雷門チームが帰って来たのを確認して、また戻って来たイメージ


・走る主人公
尚、数秒後に「HEY! taxi!」



八神っちゃんのキャラが………これ、キャラ崩壊タグ付けた方が良いのかしらん?







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第34話 未知との遭遇



評価、お気に入り、ありがとうございます!
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にしても話が進まぬぇ………






閃の軌跡3……辛い……
つーかあいつの裏切り見ると誰も信じられなくなるんだけど。後、モブや敵は兎も角、主要味方キャラのロストはマジで……

もうこの際、GE2RBみたいな無茶苦茶なやり方でも良いから復活しねぇかなぁ……

軌跡シリーズssもっと増えて
俺も書きたいけど零・碧は閃にどう絡めるか全貌が明らかにならんと難しいし、Ps3なかったから閃1,2の内容知らなくて書けねぇ。書くならやっぱ1からにしたいし……早くPs4版出ねぇかな


悪霊の家side:c……クリア出来るかは別として中々面白そうだな

あの卓の方々の悪霊の家周回とか面白そうな事思い付く発想のぶっ飛びが欲すぃ………


時を同じくして天願が三人組と接触していた頃、円堂一行は

 

 

「俺達が~~~」

 

「「「日本一だぁ――――!!!」」」

 

帰りのバス内で、円堂の音頭に続き優勝の喜びを噛み締めていた。

 

「全く、何回同じ事をやってるのかしら」

 

「まあまあ、折角優勝出来たんだし良いじゃない」

 

呆れた様子の夏美を木野が宥めている。

もっとも、夏美の顔色からは心底から呆れている訳ではないことが見てとれる。

 

後部座席では一年組が集まって円堂から渡されたトロフィーを持ってはしゃいでいる。

 

「まさか優勝トロフィーを抱える日が来るなんて……!」

 

「落とさないでよ!落とすと大顰蹙だからな!」

 

「分かってるって―――あっ」

 

「「「わぁぁあああ!?!?!?」」」

 

バスの突然の揺れに驚き、手を滑らせてしまった様だ。

幸いにも壁山の咄嗟の反応によりトロフィーは無事に済んだ。

 

「ははは―――アイツら大丈夫だろうな………?」

 

「大丈夫大丈夫!浮かれきった天願よりは安心出来るって!」

 

「お、おう………それ、天願に言うなよ?」

 

その様子を心配そうに眺める風丸と当人が聞けば憤然としそうな事をさらっと言う円堂。

試合中や普段はとても頼りになる割には、本人の気質や行動からか同年代どころか後輩達からも結構雑な扱いを受けている友人に同情の念を送る。

…………まあ、風丸とて分からなくもないので否定はしない。

 

「そういえば、一之瀬も土門もなんで急に飛び出して行ったんだ?」

 

「ほら、試合が終わって直ぐに木戸川の西垣から電話があったじゃないか」

 

「そうそう、それで二人とも報告に行ってくるって言ってたわ」

 

「なんだ、そういう事か」

 

「けど勿体ねぇよなぁ。

天願や豪炎寺みたいに、インタビューとか写真とか全部やってから行きゃ良かったのによ」

 

「良いじゃないか、アメリカの頃からの親友なんだ。

一番に優勝の喜び、伝えたいって事だよ」

 

「そうだな、俺も陸上部の皆に報せる事にするよ」

 

「そういえば、豪炎寺先輩は妹さんだとして……天願さんは誰の所に行ったんでしょう?」

 

「うん?そりゃあ…………誰だろ?」

 

「円堂でも知らないのか?」

 

「天願は昔っからプライベートの事になると全然分からなくてさ、自分からは教えてくれないんだよ。

アイツの家に行くまで独り暮らししてるなんて知らなかったし」

 

「そういえば合宿の時に言っていたな」

 

「独り暮らし……なんでそんな事をしてるんですか?」

 

「そういえば聞いた事無かったな、なんでなんだろ?」

 

「アイツの事だぜ?どーせ必殺技関係なんじゃねーのかよ」

 

「それ聞いて違和感とか無いのがな………にしてもさ!

誰がここまで行けるって想像した!?

俺達、初めはたった8人だったんだぜ?」

 

「廃部廃部って、馬鹿にしてた奴もいたよな?」

 

「それを言うなら鬼道君だって初めは豪炎寺君以外相手にしてなかったわよ?」

 

「最初はな。

だがあの練習試合がお前達全員を目覚めさせる切欠になった」

 

「おやおや皆さん?

一番大事な人を忘れてませんか?」

 

ここぞとばかりに目金が流れに乗るが、誰1人としてピンときていない。

 

「お前なんかしたっけ?」

 

「あの日ベンチからも逃げてたろ」

 

「ななな!?

でも僕には数々の必殺技の名付けという功績が……!」

 

「ネーミングセンスだって天願に負けてないか?」

 

「そうそう!天願先輩に名付けして欲しかった技も……」

 

「グヌヌ……こんな所でも立ちはだかるとは。

やはり僕の最大の敵は天願君だったようですね……!」

 

預かり知らぬ所でまさかの身内から敵扱いされようとは思いもしまい。

……別に当人の耳に入ろうと「あっそう」で済ませそうではあるが。

 

 

 

 

 

 

「………私ね、この日が来るのをずっと信じてたよ!」

 

唐突に吐き出されたそれは、2番目に円堂との付き合いが長く、雨の日も、猛暑の日も、雪の日もずっと手助けしてきた木野だからこそ言える、そして万感の思いが込められた言葉だった。

 

「――――ありがと、秋!」

 

それを受け、より深く優勝の実感が深まった円堂は、満たされた笑みで応える。

 

「それで、これからの戦いは?

日本一になったら、次に目指すのは何かしら?」

 

「次……?」

 

「次か、面白いじゃないか。

きっと強い奴はまだまだいっぱいいるからな」

 

「いっぱいって、何処に?」

 

「世界さ!

もっともっと俺達の想像を超える位に強い奴がいる筈だ」

 

風丸の言葉を聞いた皆が、まだ見ぬ強敵達との戦いに胸を踊らせていく。

 

「よーし!世界目指して皆で大特訓、頑張ろうぜ!」

 

「「「おおーーー!!!」」」

 

 

 

「お前ら!そろそら雷門中に――――何だ?」

 

学校が見えて来た事を伝えようとした響が言葉を句切る。

 

「監督?」

 

反応の帰って来ない響の視線に釣られて見ると……

 

「なんだあの黒いの?」

 

「おい、何か学校に落ちてないか―――」

 

黒い小さな点に見える何かが学校に落下した直後、激しい破砕音と地響きが伝わって来る。

あれだけ遠くで起こったにも関わらず衰える事なく伝播した衝撃が、その威力を物語っていた。

 

「お前達、何が起こったのか見に行くぞ。

しっかり座ってろよ!」

 

不安と驚愕に心を揺り動かされながらも、アクセルを踏み込み雷門に向かう速度を上げていった。

その目で真実を見定める為に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漸く着いた雷門中、いや、そこにはもう校舎の面影はなく、ただの瓦礫の山と化していた。

あの衝撃から暫く経ってそれでも尚、霧の様に立ち込める砂塵から、あの黒点は恐ろしい程の破壊力を持っていた、という事だけが理解出来た。

 

「なんて事………!」

 

「一体、何があったんだ……」

 

視界悪さから慎重に歩みを進めていくと、人の輪郭した影がこちらに近付き………

 

「君達、なのか?」

 

 

「校長先生!何があったんです!?」

 

「………宇宙人だ」

 

予想もつかない単語に虚をつかれた。

 

「――――――え?」

 

「本当なんだ、宇宙人が攻めて来たんだよ!」

 

「そんな……冗談でしょう?」

 

普段であれば一笑にふす話だが、無惨に破壊された校舎や校長の切羽詰まる顔から信憑性が増している。

それでもにわかには信じ難い話に動揺している間に砂煙が少しずつ晴れ、地面に倒れ伏す人影が見えてくる。

 

「おいおい、あれって……!?」

 

「イナズマイレブンの、おじさん達!」

 

 

 

「酷い……」

 

「どうしてこんな……!」

 

凄惨な光景に呑まれていたが、直ぐ様我を取り戻し、負傷した彼らを助けに駆け出す。

その傍ら、唯一イナズマイレブンでは無かった人物へ響が歩み寄る。

 

「古株さん、あんた………」

 

「おお……響か。

昔とった杵柄、久しぶりにキーパーの名乗りを上げたんだが、奴等には敵わなかったよ」

 

「本当に宇宙人と……?」

 

「ええ、サッカーで戦いを挑んで来たんですよ」

 

「サッカーで!?どういう事ですか!」

 

円堂が聞いた直後、突然地鳴りの様な音が聞こえ始めた。

 

「――――?」

 

「な、なんだ?」

 

 

「ッ!?円堂ぉぉ!!!」

 

鬼道の咄嗟の呼び掛けに反応して見れば、凄まじい速さで不規則な軌道を描きながら向かって来る3つの黒いサッカーボールが。

此方を通り過ぎたそれは、遥か上空で正三角形の形で回転し、緩やかに落ちて来る。

間隔が狭まり、1つになったかと思ったその時、紫色の妖光が放たれる。

その光が収まった場所には3つの人影が存在していた。

 

「う、宇宙人だ―――!」

 

「お嬢様、奴等です!

奴等が攻め行って来たのです!」

 

「お、お前達が、宇宙人なのか?」

 

「我々は遠き星"エイリア"よりこの星な舞い降りた星の使徒である。

我々はこの星の秩序に従い、自らの力を示すと決めた。

 

その秩序こそ―――サッカー。

サッカーはお前達の星に於いて戦いで勝利者を決める手段であろう?

サッカーを知る者に伝えよ!サッカーに於いて我々を倒さぬ限り、この地球に存在出来なくなる、とな」

 

「だから……だからイナズマイレブンのおじさん達と戦ったっていうのか!

だったら次は―――――俺達と勝負しろ!」

 

「見よ、この学校は既に崩れさった。

即ち、勝負を終えた証。もっとも、あれを勝負と呼べるかは別だがな。

フフ、フハハハ……」

 

「宇宙人だろうが何だろうが、学校壊されて黙ってられっか!」

 

「染岡……皆も……!

よし、俺達のサッカー、見せてやろうぜ!」

 

雷門イレブンを一瞥する宇宙人の視線が、円堂で止まると興味深そうな表情を浮かべ―――

 

「ふむ、お前は確かあの方の………面白い。

少し試してやろう」

 

軽い、膝下だけを使っただけのキックで黒いボールを蹴り飛ばす。

 

「マジン・ザ―――――ぐわぁぁあああ!?」

 

そんなお遊びの様な蹴りから放たれたとは思えない程の速さと威力を秘めたボールは、その余波だけで全員の動きを止められ、円堂が技を使う猶予も与えず突破、その真後ろにあった部室を跡形もなく破壊した。

 

「―――なんだ、こんなものか」

 

宇宙人の嘲笑と共に放たれたその言葉を拾う余裕すらなく、円堂の意識は闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 円堂

 

 

「円堂君!?」

 

「円堂!」 「キャプテン!」

 

 

――――皆の声が聞こえる。

俺達は確か世宇子との戦いに勝って、FFを優勝して、学校に帰って来てそれから………何でこんな所で寝てるんだっけ?

そうだ、確か黒い何かが学校に落ちて―――――

 

「……………ッ!?

皆大丈夫か!?宇宙人は!?」

 

「良かった、直ぐに目が覚めて……!」

 

秋の口振りからすると、気を失っていた時間は短いみたいだ。

でも、それならどうして宇宙人の姿が見えないんだ?

 

「アイツらは何処だ……あれからどうなって―――」

 

「消えた……」

 

「消えた?」

 

「奴等が現れた時同様にボールが光出したかと思えば、次の瞬間には……」

 

そんな、それじゃあアイツらに接触する手掛かりは……

……そういえばこの位置、俺の後ろにあった建物は……!

 

――――――嘘、だろ?

 

「俺達の部室が……」

 

「あの黒いボールで……」

 

「恐ろしいシュートだったな。

スピードもパワーも、あれ程のものは見たことが無い」

 

「ああ、あの世宇子ですらさっきのに比べれば霞んで見える」

 

「マジン・ザ・ハンドでも止められないなんて……」

 

「いや、技を出す間も無かった。

違うか、円堂?」

 

「ああ……!」

 

――もし、俺が止めていれば

 

天願と秋の3人から始めた、大切な思い出の詰まったこの場所が、壊れる事も無かった。

 

――もし、俺が止めていれば

 

宇宙人達の気が変わって、勝負をして、おじさん達の仇を取れていたかもしれないのに。

 

 

 

俺が、止めてさえいたならば―――!

 

 

 

――Prrrrr

 

背後で秋と夏実の携帯が同時に鳴り響く。

 

「一之瀬君よ」 「此方はお父さんからよ」

 

「「えぇっ!?」」

 

「木戸川にも襲撃って……実は、雷門中にも宇宙人が――」

 

「お父さん今何処に―――宇宙人が傘美野中に?」

 

―――!?

 

「………奴等、傘美野中に行ってるのか?」

 

「ええ、今度はそこのサッカー部に勝負を挑んでるそうよ」

 

「傘美野っていやあ、隣町じゃねぇか」

 

「行こうぜ、助っ人に行くんだ!

やられっぱなしで終われるもんか!」

 

―――ああそうだ。

あんな事をされて、このまま終われる筈がない!

 

 

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~傘美野中~

 

 

「―――どうした、何故返事をしない。

我等の勝負を受けるのか、返答なくば直ちにお前達の学校を破壊する」

 

 

 

 

そこでは例の宇宙人と傘美野中サッカー部一同が対面していた。

 

怯えたメンバーの前に立つ、キャプテンと思わしき少年が雷門にも現れた抹茶髪の宇宙人と会話を――いや、嘆願を試みている。

 

「待って下さい!

学校を壊すなんて……それだけは止めて下さい!」

 

「ではどうする?」

 

「僕らこないだやったサッカー同好会から正式に部活への認可が降りたばかりで、他の所みたいに強くなんて……」

 

「他の所、か?

我等はつい先程、雷門を。続いて木戸川清修を破壊し終えた所だ」

 

その言葉の意味を理解した彼らの顔が青ざめる。

 

「雷門中が負けたのか……!?」

 

「それに木戸川清修だってFF準優勝じゃないか!」

 

「そんな強豪ですら叶わないなんて……」

 

「無理だよ、棄権しようキャプテン!」

 

「……ッ、そうだな。学校を守る為なんだ……!」

 

情けない、そんな思いが胸中を巡るも、敗北し学校を破壊される、そんな未来を受け入れる訳にはいかない。

 

「決断は出来たか?」

 

「―――はい!

僕ら、棄権します。試合はしません!」

 

そんな少年の覚悟に返されたのは――――明らかな嘲り。

みっともない、そんな風に嗤う者達を抹茶髪の宇宙人が手で制したかと思えば、おもむろに足を振り上げ―――

 

「弱き者め……」

 

「な、何するんだ!?」

 

「勝負を捨てる、それは自らを弱き者と認めるも同じ。

それに"不戦敗"だったか。地球にはそんな言葉があるのだろう?

よって貴様らを敗者と見なし、破壊する――!」

 

「「「やめろーーー!!!」」」

 

悲鳴にも似た叫びが木霊し、ボールが蹴り抜かれる寸前―――

 

「待て!」

 

聞き覚えのある声を受け、宇宙人が動きを止めた。

 

「貴方達は、雷門中の……!」

 

「俺達が、傘美野中に代わって勝負する!」

 

「ほう……?」

 

「すみません。

本当は俺達が守らなきゃいけない筈なのに……俺達は棄権して、逃げようとしたんだよ……!」

 

自責から圧し潰されそうな声を張り上げる。

 

「学校を守る為に選んだんだ、何も恥じる事はないさ。

お前達はお前達のやれる精一杯の事をやった、だから後は俺達に任せてくれないか?」

 

「――――ッ、宜しく、お願いしますっ……!」

 

風丸に諭され、安堵した彼らは、その表情を和らげていく。

 

 

 

 

 

「―――さあ、始めようぜ。」

 

「いいだろう。おい、そこのお前、ボールを取って来い。

早くしろ!」

 

宇宙人に一喝され、恐れからたじろぎつつボールを取りに行く出前(傘美野キャプテン)

 

「そのボールでやるんじゃないのか?」

 

円堂が黒いボールを指して言うと

 

「お前達のレベルに合わせてやってやる」

 

「何だと……!」

 

「―――落ち着け円堂!

敵のペースに乗せられるな、現状は余り良くはないんだ」

 

これまでの経緯から、感情が昂りやすくなっている円堂を響が諌める。

それに続くように、この場に居ない者の状況をマネージャーが報告する。

 

「豪炎寺君は連絡したけど、間に合うかは分からないのよ!?」

 

「言わなくても分かると思うけど、ここからの距離。一之瀬君と土門君はまず間に合わない筈よ」

 

「天願さんはそもそも携帯に繋がらなくて、連絡すら取れて無いんです」

 

「―――!(春奈が何故天願の連絡先を……?

連絡網か、そうに違いない。もしそうで無ければ……)」

 

「となると、染岡のワントップになる訳か」

 

「問題ねぇよ」

 

「バックアップは任せておけ」

 

「よし、頼むぞ皆!」

 

 

 

 

 

「お前達の名を聞こうか。

俺達は雷門中サッカー部。そのキャプテンの円堂守」

 

「お前達の次元に合わせ、敢えて名乗るとすれば―――――エイリア学園とでも呼んで貰おう」

 

「エイリア、学園……?」

 

「そして、我等はジェミニストーム。我が名はレーゼ!

それでは、始めるとしよう」

 

「待て、審判はどうする」

 

「………あ、あの!良ければなんだけど、俺がやるよ」

 

「ああ、頼んだぞ!」

 

おずおずと名乗りを上げた傘美野のキャプテンは、憧れの者からの頼まれたからか、嬉そうな表情で親指を立てて返した。

 

 

 

 

 

雷門、ジェミニストーム、どちらもポジションに着き――

 

 

試合開始のホイッスルが鳴り渡る。

 

「よぉし!行くぞ、宇宙人!」

 

勢い良くドリブルで駆け上がる染岡。

対して余裕に溢れた表情の宇宙人は誰1人として動きを見せない。

 

「チッ、舐めやがって―――ドラゴンクラッシュ!」

 

そうして放たれた染岡の渾身のシュートは―――

 

「マジン・ザ――――ぐぁッ!!」

 

レーゼの膝であっさりと威力を殺され、そのままシュート。

待ち構えていた筈の円堂が、それでも対応出来ない程の速さでゴールに叩き込まれた。

 

「―――え?」

 

「なん、だと――!」

 

「円堂!?」 「キャプテン!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――惨劇が、幕を開ける

 

 

 

 





宇宙人を目にした貴方、SANチェックの時間だぜぇ!
失敗で1d6、成功で1の減少だぁ!




イケメンムーヴが止まらない風丸に、シスコン大爆発の鬼道がヤバい。
どうしてくれよう。

何気に最も扱いに困ってるキャラは栗松。
陽花戸での円堂を落ち込みって要るかなぁ……?


主人公絶賛爆睡中
(到着まで)起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる








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第35話 蹂躙



やっとこさ更新できた………
お気に入りありがとうございます!


イナイレ新PV?来ましたね
豪炎寺の新技!と思ってたらファイアトルネードだった
円堂の新技!と思ってたらマジン・ザ・ハンドだった
まるっきり別物にしか見えない………

あと、皆のスラッとした身体に違和感あったり、一之瀬の顔が別人過ぎて、名前呼びされてなきゃ分からんかったのは俺だけじゃない筈




ヤバい
今季アニメが豊作過ぎてヤヴァイ
英霊剣豪七番勝負面白すぎヤッヴァイ
何がヤヴァイってキャラが皆良すぎて欲しいって辺りヤヴァイ
プルガトリオもエンピレオもパライソもインフェルノも武蔵もセイバーもロボッ娘も皆最ッ高ー!!!

え、リンボ……?うーん、あれは学士殿やレフを想起させるし……仮に高性能で実装されてもどうかなぁ……

新茶やメイヴみたいな愉快犯っぽいのや、レジライダーみたいな格好良さがあれば別だけど

今回ので俺はくノ一が好きだって事に気付いた

PU2、新星5来なかったですね……まあ、その分星4が粒揃いなのは救い





主人公無双色が色濃い回となっております。
批判覚悟じゃ………


それと、会話文とか未だに模索中
読み辛い様なら変更しておきます。



突如消えたボール、自陣のゴールネットを揺さぶられる音、そして得点を告げる音色から事実を認識して尚、今起きた事実を信じられない。

 

「な、何が起こった!?」

「シュートしたのは此方だったのにどうして……!?」

「染岡のシュートを受け止めて蹴った……問題は一連の動きの速さ……!」

「まるで見えなかったっす……」

「また、マジン・ザ・ハンドを出す事すら敵わなかった……いや、まだ始まったばかりだ!

今度こそ―――」

 

「地球にはこんな言葉がある『弱い狗ほどよく吠える』」

 

巻き返そうと意気込む雷門イレブンを嘲笑う宇宙人。

雷門ボールで試合は再開、風丸が失点を取り戻そうと息巻くも――

 

「負けてられるか!疾風ダッ――――そんなッ!?」

 

またもや必殺技をあっさりと破られるどころか、あまつさえ、抜かれた際の余波だけで吹き飛ばされてしまう。

 

それは風丸だけに止まらず、鬼道やマックス、他の皆も触れてさえいないのに通り過ぎた風圧だけで抵抗すら許してもらえない。

 

防戦一方――――否、宇宙人の前には守備すらまともに機能せず、失点が積み重なっていく。

 

「奴等、なんつう動きしやがる……!」

「しかもあの余裕はなんだ……」

 

失点に気付ければまだ良い方で、時には得点のホイッスルが鳴るまで円堂を含め、誰1人として反応出来ずに得点を許してしまう場面もあった。

 

其れほどの力量差。

FFを優勝した雷門ですら同じ土俵にすら立てていないと、否が応でも理解させられ、そして遂に……

 

「ぅぅ………足、がぁ……!」

 

負傷が出てしまった。

無理もない、身体能力に差が有りすぎて、宇宙人からすると体が当たっただけでも、此方は大きく撥ね飛ばされている状態。

寧ろ、怪我人が1人で済んでいる現状が奇跡というレベルだ。

 

「大丈夫か宍戸!?クソッ!どうすれば………」

 

交代させたいのは山々だが、ベンチには目金1人のみ。

仮に交代させたとして、目金では何れ程持つか……

より敗色が濃くなり、皆の気力が落ち込んだその時

 

「―――選手交代だ!」

 

その一声でコートの陰鬱な雰囲気は一蹴された。

 

「この声は、豪炎寺!」

「立てるか、宍戸」

「豪炎寺さん、来てくれたんですね!」

「良くやった宍戸、後は任せろ。目金、宍戸を頼んだ。

―――行くぞ円堂!」

「ああ、やってやろうぜ!

よーし皆!反撃行くぞ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

豪炎寺が来た事でチームの士気が急激に高まり、その勢いがある内に一気呵成に畳み掛ける。

 

「円堂、豪炎寺、決めに行くぞ!」

「「ああ!!」」

 

そうして訪れた逆転の芽は………

 

「「「イナズマブレイク!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわ~ぁ」

 

あっさりと摘み取られた。

 

「……………な!?」

「アイツ、ボールを見てすらいなかったぞ!」

「それどころか、欠伸してたでやんす……」

「嘘だろ………アレは、無限の壁をも撃ち破ったんだぞ!?」

 

「ハ、随分のんびりしたシュートだ」

 

驚愕から硬直する仲間達を他所に放り投げられたボールは、そのまま空中でシュートされる。

 

「させないっす、ザ・ウォ――――ングッ!?」

 

相手DF陣から放たれた超ロングシュートにも関わらず、壁山の必殺技はあっさりと破られ、身体ごとズルズルとゴールに押し込まれてしまった。

 

「―――しまった!」

「壁山!」 「だ、大丈夫!?」

「しっかりしろ壁山!」

「だ、大丈夫っす、キャプテン……」

 

そこからの試合はより悲惨なものと化した。イナズマブレイクを受けて底を知ったからか、今までとは打って変わって、ボールをぶつける、積極的になったチャージやタックル、と直接的に痛め付けるプレーに変化していた。

 

「チクショウ………豪炎寺ィ!」

 

「ハアァッ!―――ドラゴントルネード!!」

 

残る力を振り絞って繰り出したシュートは、レーゼに容易く蹴り返されてしまう。

 

そして、不幸にも延長線上にいた影野にぶつかる――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――『JET(ピストル)』!」

 

 

―――その直前、あらぬ方向へ弾き飛ばされた。

 

「……………何だと?」

「あ、あの技は――――!」

 

 

 

「間一髪……無事か、影野!」

 

声のする方向を見れば、左掌を前に突き出し右拳を引き絞る、弓を引く様な独特の構えをとった―――

 

「「「天願(さん)(先輩)!!!」」」

 

天願の姿があった。

 

「悪い、大分遅くなっちまった。影野、もう限界だろ。休んでな」

「………うん、ありがとう………」

 

現時点で負傷の激しかった影野を下がらせて、と。

 

「天願、よく来てくれた!アイツらは―――」

「宇宙人、だろ?

そんでこの勝負に負けたら校舎か破壊される。

現時点で雷門と木戸川が破壊済み、だろ?」

「知ってるのか!?」

「まあ、な。

にしてもこりゃ……酷ぇな。

………目金、これに書いた通りの内容を電話しといてくれ」

「えーとこのメモは―――って、コレ!?

………一体、何時()()書いたんですか」

「たった今、だな。じゃ、任せた」

 

状況は相当に悪い。得点差と残り時間を見るに逆転は不可能、それ以上にマズイのが皆の身体だ。全員が既に限界で、立っていることすらやっとな者もチラホラ。

取り敢えず連絡は目金に任せて………

 

「ほう、我らのシュートを弾くか。存外、見所のある奴がいるかと思えば……もう一度貴様の顔を見るとはな」

「え、天願……?」

 

ん?誰だアイツ?あんな髪型の奴なんざそうそう忘れねぇとは思うが……待てよ?

あの特徴的な髪色……いやいやいや、まさかそんな……マジでか。

 

「そっちは随分と様変わりしたじゃねぇか。

髪色位しか面影が残ってねぇぞ?」

 

いやホントに。えっ、初めて会った時はもっとおどおどしてて……うーん、なんだろうこの感じ?アイツと話してるとモヤモヤしてくる。

 

「ちょっと待て!どういう事だ天願、もしや以前にも奴等と……!?」

 

円堂と鬼道、それと豪炎寺が視線で問い掛けてくる。

うーん、どういう風に説明したものか……。

 

「ほう?お前達は知らないのか。

かつて我らがこの星の環境に身体を馴染ませていたその地に、そいつが偶然居合わせただけの事だ。

我等のシュートを避けるばかりで手も足も出ない様子は、実に滑稽だったがな」

 

なんか語り出したんですけど……ふむふむ()()()()()()()()()()のな。

背景を一から考えるのも、否定してややこしくすんのも面倒だし、乗っからせてもらおう。

 

「―――とまあ、そういう訳だ。

あの頃は変な服来た連中だとしか思わなかったが、まさか宇宙人だとは……予想外だった」

「いや、予想出来る方がどうかと思う」

 

……それもそうか。

 

「それで、話は終わったな?

試合再開だ。もっとも限界の見えたお前達に今更1人変わった所で、先程の焼き直しになるだけだ」

「俺達に限界なんてない!」

「諦めの悪い……その遠吠えは破滅を招く」

「諦めの悪さだって俺達の必殺技だ!俺達は今まで、そうやって勝ってきたんだ!」

「……いいだろう、二度と刃向かえない様にしてやる」

 

雷門イレブンの気勢を見ても顔色一つ変えないレーゼ。

唯一読み取れた面倒だ、という思いだが、それはまるで蹴飛ばす石ころが増えた位のものだった。

早急に終わらせるつもりなのだろう、再開すると同時に繰り出したドリブルは、これまで見せた以上のスピードで……

 

 

 

 

 

 

 

(成る程、確かに速い………って()()()()?)

 

「―――――何ィッ!?」

 

拍子抜けする程あっさりと、ボールは天願に奪取されていた。

 

「………ま、マジで?」

「う、宇宙人から、あの宇宙人からボールを奪ったでやんす!」

「すげー、スゲーよ天願!

よぉし、皆!今度は此方の番だ!」

「「「おお!!!」」」

 

「驚かせてくれる……"下手な鉄砲数撃ちゃ当たる"という事か」

「下手?確かに俺はそんなでもねぇが、それはテメェらも同じだろ」

「なんっ……紛れ当たりの分際で調子に乗るな!」

 

レーゼが直ぐ様ボールを取り返しにチャージを掛け………()()()()

 

「す、凄い……あの宇宙人と渡り合ってる!?」

「本当に規格外だなぁ、天願は……どうした鬼道?」

「………いや、何でもない。」

(本当にあれを規格外で済ませていいのか?

確かに必殺技を使っていない時や木戸川戦と世宇子戦での動きが違うのは解っていた。

だが、それを鑑みてもこれは異常に過ぎる……!)

 

レーゼのチャージをものともせず、遂には跳ね返し……

 

「馬鹿な……まさか、ここまで……!」

「豪炎寺、行くぞ!」 「おう!」

 

交差する2つの火渦から放たれたシュートは……

 

「ファイアトルネードDD……!」

「やった、あれなら……」

「いっけぇぇぇーーー!!!」

 

「は、やらせるかよ。

 

ブラックホ―――――――あん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きく左側へ逸れて行った。

 

「「「……………え?」」」

 

「ファイアトルネードDDが、不発?」

「惜しい、やっぱり連戦の疲れが……」

「でも、これで流れは変えられ―――――」

 

 

Piii――――――……!

 

 

漸く勝利への可能性が見えたその時、無情にも試合終了を示すホイッスルがフィールドに響き渡った。

 

「そんな、俺達……負けたのか?」

「嘘だろ、これからって時に………!」

 

 

「"珠玉の瓦礫に在るが如し"見通しが甘かった、か………ゲームセットだ。勝敗は決した、よって破壊を実行する」

 

「なっ!?待て、止めろっ………!」

 

「「「やめてくれ―――――!!!」」」

 

円堂の、傘美野イレブンの絶叫に眉一つ動かさず、黒いサッカーボールを呼び寄せ

 

「ふん、我々にすら勝てぬ、弱き己を憎むことだ」

 

一切の躊躇いなく蹴り飛ばした―――その先に

 

 

 

「「「――――――て、天願(さん)(先輩)!?」」」

 

「やはり立ちはだかるか。愚かな」

 

「かもな……だからって、黙って見てられる程終わってもいなくてね」

 

天願の背後に顕れた、中心に蒼く輝く球体を持つ白い塔を思わせるソレは、変形を始め

 

「守る為の、力を貸してくれ―――――」

 

背中には一対の翼、左肩に39に見える赤き紋章、二振りの剣を携える金と白に煌めく戦士の姿へ(かたち)を変えた。

 

「――――――――【No.39 希望皇ホープ】」

 

「それが…………化身か!」

 

「『ムーンバリア』!」

 

【ホープ】の翼が盾の様に前面に展開、黒いボールを受け止める――――が

 

(重いッ!?レーゼの蹴りが想像よりも強ぇってのもある。が、なんだ……このボールの重さは!?)

 

「だから愚かと言ったのだ。

お前と以前会った時のままだと思っていたのか?

"日進月歩"、強くなる為の努力をしているのはお前だけではない、()()はあの日お前と会った時より重さを増している」

 

盾にひび割れが走り限界を知らせている、このままでは数秒と持たず砕かれるだろう。

 

受け止められないのなら

 

「―――――せめて、逸らすッ!」

 

今にも崩壊しそうな盾が壊れきる前に、可能な限り被害を減らせる角度まで慎重に変えていく。

 

 

 

―――そして遂に

 

盾から致命的な音が鳴り響き、それに伴って【ホープ】もその身を光の粒へと変える。

 

僅かに角度を変えたボールは体育館やプール等の施設を破壊して進んだ。

 

果たして肝心の校舎は――――

 

「…………凄い。全くの無傷じゃないけど、それでも!」

「良かった。本当に、良かった……!」

 

端を掠めた様だが半壊には至っておらず、崩れたのは精々2~3割で済んでいた。

 

「貴様ァッ!!」

 

その事実を確認したレーゼは眦を吊り上げた顔を向けてくる。

 

「ハッ、そんな顔で睨むなよ。

憎むべきは俺なんぞ(格下風情)に阻まれる、弱いテメーだろ?」

 

あお、睨むだけで人殺せそうなスッゲェ目してら。

 

「~~~ッ!!

確かに、貴様の甘く見ていた私の失態だ。

良いだろう、ここは見逃してやる。だが、次も同じように行くと思わない事だ」

 

そう言うと、手元のボールが発光し始める。思わず目を瞑り、再び開いたその時、奴等の姿は何処にも無かった。

 

本当に去ったと確認した途端、コート内の俺を除く雷門の皆がドサリと倒れ込む。

 

「円堂君……それに皆!?」

「お兄ちゃん!?」

「どうすれば……そうよ、救急車!」

 

慌てて病院に電話しようとする夏美を止める。

 

「病院への連絡ならもう済ませた、もう間もなく来る筈だ。

それまでは、最低限の処置を施しておく、ぐらいの時間はあるか…?」

 

「俺達にも手伝わせて下さい!」

「俺達がちゃんと戦えていればこんな……」

「それに学校を守ってくれて……」

 

「お前達は傘美濃完野の……完全には守りきれなかったがな……。

手伝ってくれるなら助かる。まずは救急セットを持ってきて貰えるか?」

「はい、急いで持ってきます!」

 

世宇子戦やおじさん達の分で立て続けに使ったしな。

救急セットはとっくに空……取り敢えずは負傷した箇所に負担が掛からない様に体勢を変えておくか。

 

「天願君……円堂君、他の皆も大丈夫かな……?」

 

ぐったりとまるで死んだ様に動かない皆を見て、木野が不安そうに問い掛けてくる。

 

「………ただでさえ激しかった世宇子戦との後でコレだ、大体は試合が終わって気が抜けた時、一気に反動が来たんだろうな」

 

円堂や鬼道達はまだマシな方……問題は一年勢の殆どだ。正直、俺が辿り着いた時点で試合を放棄させて病院に行かせてやりたかった程だ。

 

そうして、間もなく到着した救急車により皆は搬送されて行くのを見送る。

 

()()、だ。

また俺は何も出来やしなかった……。

 

 

 

 

 

 

「あの………」

 

立ち尽くしていた俺におずおずとした声が掛かる

 

「ああ、音無か。

どうした、鬼道の方に着いて行かなくて良かったのか?」

 

木野は一之瀬と土門と合流しに、夏美は理事長に呼ばれて、目金は病院へ、もう誰も残っていないものだと思っていた。

 

 

「天願さんこそ、大丈夫なんですか?

世宇子戦後で立てない程だったのに、それであんなシュートまで受けて……」

「………ま、今までと変わらず、俺は身体()()が取り柄だからな。

だから、俺なんか気にせず、鬼道の方へ行ってやれ」

「はい………天願さんも気をつけてくださいね」

 

何か言いたげだったが俺と顔を合わせると口をつぐみ、その一言だけを言って音無は走り去って行った。

 

 

 

 

………ああ、本当に。()()()()()()()()()()()

今までの様に、俺だけが無傷で………

 

 

 

 

 

見上げた空は暗雲に覆い尽くされ、一筋の光さえ差してはいなかった。

 

 





まだ直接ぶつかってないから書いてませんが、イナイレ化身と他原作化身では異なる点があり、更に他原作化身でも、ロボ系化身、遊戯王化身、モンハン化身等その元気で少し差違が存在させる予定です。
その辺はいずれ設定として書くつもりです。

そしてソウル…………これはもう出すか怪しいです。

最初は化身・ソウル・ミキシマックスで三竦みさせる予定でしたが、後者2つが面倒…ゲフンゲフン、難しいし、どういう経緯で発現させるかを考えてもアイデアが出ませんから。




そういえば、ゲームとアニメでは演出が大分違う技もあるんですね。
旋風陣とかアニメじゃ逆立ちして回転してるだけと思ってたのに、ゲームの見てビックリしました。

帝国との練習試合で主人公が『秘剣・燕返し』で『イリュージョンボール(アニメイメージ)』破ったけど、ゲーム演出の見てから「あ、コレ無理だわ」感凄い。

色々技見てると『アトランティスウォール』『ハンターズネット』のブロック技、『エレキトラップ』『ライジングスラッシュ』がGK技……うーんわからなくなってくる

『タマシイ・ザ・ハンド』も最後手で掴まなきゃ実質胸トラップだし………ホントどういう基準なんだろ

………もうある程度なら手を使ってもブロック技で出そうかな?主人公がGKする機会はあんまり無いし、手を使う必殺技の大半をお蔵入りさせるのも勿体ないし



アニメ未登場技ってどれくらいあるんですかね?
ゲームの方はやってないから分からなくて……
他ssや数字飛び飛びの◯◯コマンド、グレートブラスター(見た事のない必殺技)で、そんな技もあるのを知ったけど、多いのかな?


《技紹介》


『ゴムゴムのJET(ピストル)

使用者「モンキー・D・ルフィ」

引用「ONE PIECE」


左の掌を前に突き出し、右の拳を引き絞るという、弓を引く時と似た構えをし、拳を高速で放ちボールを弾くGK技

元に『ゴムゴムの(ピストル)』があり、それと同様に腕を伸ばしているが、伸びた・戻った瞬間を視認が出来ない程速くなっている。


―――――――――――――――――――――――――――

化身

【No.39 希望皇ホープ】

白と金とカラーリングが眩しい人型の化身
背中の華奢な翼、と左肩の赤い39の数字、そして最大の特徴が、出現時は塔状の象から変形する点
腰に二振りの剣を携えている


『ムーンバリア』

【ホープ】の翼が前面に展開させ盾とし、シュートを受け止めるブロック技

使用者「九十九 遊馬」

引用「遊戯王」







今回の捕捉

・黒ボールの重さ増加の経緯

大仏「何かあったのかね?」

ひとみん「外の子が混じってました。後あのボール蹴り返してました」

大仏「ファッ!?
(アレ蹴り返すって……嘘やん。それとも実は案外軽かった―?)」

ひとみん「あ、ボールプレゼントしてましたね」

大仏「( ; ゜Д゜)ボール複製されたら計画に支障が……
やむを得まい、増量させよう」

エイリア生徒「アイツ帰ってから練習辛くなったんですけど」

大体こんな感じ




・ギア2

タクシーの精算と同時に移行、車内をサウナ化させた
運ちゃん涙目





主人公に違和感を覚えた鬼道の詰問はいずれやります、早ければ次回辺りで

ご読了ありがとうございました






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第36話 衝撃の真実

更新が随分と遅れて申し訳ないです………

待って頂いた方、更新がない間にお気に入りして頂いた方に感謝を。

超難産だった……

世宇子以来試合が全然無くて必殺技も出せなくて、待たせた上でのこの駄文ぷり…………酷評の嵐が見えるぜぇ…

評価やお気に入りの減少なんか怖くねぇっ……!

さぁ来い!ほんの些細な事で俺のメンタルは死ぬぞぉ!










茶番はここまで、本編をどうぞ



 

 

 

学校の破壊、か……何もかも壊されちまってるな。

 

宇宙人と戦った翌日、俺は瓦礫の山と化した雷門中へと訪れていた。

呼び出されたのもあるが、それ以上に学校の現状をこの目に映しておきたかった。

昨日は直接傘美野に行き、その後も雷門へは帰らなかった事もあり、どんな姿になっているか見ていなかったからだ。

 

 

 

もし、俺が皆と一緒にバスで帰っていれば、そんな後悔が募るが………いや、結局何も変えられないんだろうな。

 

そんなものは俺の思い上がりだ。

 

帝国の時も、世宇子の時も、いつも傷だらけなのは皆だけだった。

そんな皆を守ろうと奮起して、動き回って―――そして俺は一体何が出来た?

俺の思いも行動も、全て無意味で無価値で………そして今回もまた不様に……

 

分かっている、分かってはいても………それでも、あの時あの場所に共にいられたら――、そんな傲慢が湧き上がる自分が…………嗚呼、本当に嫌になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらいそうしていただろうか………ふと、ザッザッ、と俺の元へ近付いて来る音が聞こえる。

 

「……よぉ、身体の方はもう大丈夫なのか?」

「お陰様で、な」

「親父が驚く顔を見るのを久しぶりだったな、何せ完璧な応急処置だったそうだ」

「そうか、役に立てたんなら良かった。

――――で、話ってのはなんだ。鬼道、それに豪炎寺」

 

「そうだな、単刀直入に聞こう。

天願、お前―――――()()()()()()()()()()()()?」

 

「…………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼道side

 

 

 

 

鳩が豆鉄砲を食ったよう、とは今の天願みたいな事を言うのだろう。

何を言われたのか分からない、そんな風に呆然としている。

 

「勘違いされない為に先に言っておくが、必殺技の時と普段の動きの()の事もじゃない。

お前の、()()()身体能力の事だ」

 

「ちょっと待て、意味が分からねぇ。

本当のって………まるで俺が全力じゃないみたいな言い方じゃ―――」

 

「そう言っている」

 

混乱している天願の言葉を遮って断言すると

 

「なん、で……」

 

この様子、以前奴の弱点を告げた時と同じ―――いや、あの日と比べものにならない程激しく狼狽している。

前回の件もあって予測はしていたがやはり無意識か……

 

 

「お前は途中から来たから知らないだろうが、あの時俺達は宇宙人に手も足も、それどころか反応すらさせて貰えなかった。

世宇子と渡り合った俺達が、だ」

 

「豪炎寺の言う通り、奴等の能力は世宇子よりも遥か上のものだった。

つまり、その世宇子相手に互角の立ち回りを見せていたお前でも太刀打ち出来る筈は無かったんだ………本来ならば。

 

なのに昨日の試合で張り合う所か、凌駕すらしてみせた。

それもお前が余力を残している(必殺技を使っていない)状態で、だ」

 

そもそも世宇子との時だって本当に互角だったのかすら怪しい。

今思い返すと世宇子イレブンに集中的なラフプレーを受けて尚無傷だった事の異常さが分かる。あいつと競り合った者が擦り傷程度とはいえ、怪我があったにも関わらず、だ。

本当に同等の身体能力を持つ者同士で打つかり合って、それで怪我をしたのが一方だけなんて……偶然にしては出来すぎだ。

 

イナビカリ修練場の頃の話を聞くに全く成長がなかった訳ではないのだろうが、恐らく今までは無意識下で対峙した相手に合わせて出す力を変化させていたのだろう。

こう考えると木戸川のFWよりやや上だった身体能力が、世宇子イレブンに匹敵するレベルまで一気に上がった事の辻褄も合う。

 

「昨日の『ファイアトルネードDD』の失敗、あれはお前の急激に上昇した身体能力によって、力が不安定になりインパクトのタイミングもズレたから事によるものだ」

 

「お前の性格やプレーを見ていれば、意識して手を抜いていた訳じゃないのは予想できる。

だが、これから宇宙人と戦うにあたってお前の本当の実力を出しきれるかどうかが勝敗を分ける鍵の一つである事は間違いない」

 

「…………」

 

相当ショックだったのだろう、目の焦点は合わず顔は青ざめて絶句したままの天願に声を掛けようとして……

 

 

「ん――――あれは……」

 

 

 

Side out

 

鬼道と豪炎寺から告げられた事実が、耳に貼りついたまま離れない。

 

全力を出していなかった………?

なんだ、それは―――――つまり俺は、仲間が傷付いて倒れていくのを見て、それでも手を抜いていたのか?

仲間を守る為に奮闘しようとしていたのも、全てはフリだったと………そうなるのか。

 

エイリア学園との試合で分かったって事は、世宇子戦では確実に手を弛めていた訳で……

 

今入院しているアイツらは世宇子とエイリア、2つの試合の負担が積み重なった為によるものだ。

 

もし俺が世宇子戦で全力を出しきれていたなら、アイツらの負担もずっと少なくなって、入院しなくて済んだんじゃないか?

 

「……―――!」

 

エイリア戦もだ、昨日のアレが俺の底だという保証はない。

本当は更に上があって、それさえ出していれば黒いボールを受け止めて、校舎を完全に守れていたかも………

 

おい……―――ん!」

 

無意識だったから、だから?

入院しているアイツらを見て、どの面下げてそんな台詞を吐け――――

 

 

「――――天願!」

 

 

「どうしたんだ、天願?」

 

気付けば円堂が顔を覗き込んでいる。

 

「………円……堂。

いつから、ここに?」

 

「いつからって、さっきからずっと声掛けてたじゃないか……大丈夫か?」

 

周りを見渡すと円堂だけじゃない、今動ける雷門イレブン全員が集まっていた。

 

「まさか、宇宙人との戦いでどっか怪我でも!?」

 

円堂の問い掛けと同時に驚きが、それよりも大きい不安を含んだ空気が広がる。

 

「いや、大丈夫だ、問題ない。

……俺の事は気にしなくていい」

 

そう返すとすぐにその空気は払拭され、場に安堵の思いが満ちる。

 

―――――ふと、思った。

皆が揃っているこの場で全てを打ち明けてしまおうと。

どんな言葉を浴びせられようと、それは受けて然るべき罰。

ここでひた隠しにして後で今より酷な状況で発覚するかもしれない。

なら、その憂いはここで絶ってしまった方が良いはすだ。

そう思い至り口に開こうとして―――――

 

「良かったっすーー。

半田先輩や皆に加えて天願さんまでいなくなるかと思うと……!」

 

「天願さんがいるなら心強いでやんすね!」

 

「何せあの宇宙人と互角にやりあう程だしな」

 

「あの決勝が終わったばかりなのに、お前の非常識っぷりがここまで頼もしく思える日がこんなに早く来るとは思わなかったな」

 

「次こそは宇宙人のボールを止めてみせる!

頼りにしてるぜ、天願!」

 

…………掛けられた声から気付いた。()()()()()()()()

 

それに程度の差はあれど、()()()()()()()()と期待している事に。

 

それはそうだ、誰にもどうにも出来なかった盤面を唯一人で動かせる奴がいれば―――――()()()に向けられる期待を、思いを想像する事は難くない。

 

自らの勇気の発露か、円堂に鼓舞されたからかは分からないが、昨日の出来事を思わせない程に活気付いているその姿を目にした俺は―――――

 

 

 

「ああ、やられっぱなしは性に合わない―――次は負けねぇ!」

 

 

―――――普段の自分を演じた

折角持ち直したばかりのアイツらを崩す真似など、到底出来るものではなかったから。

 

………大丈夫、真意を隠し通すのは慣れてる、いつも通りの俺を演じ続ける―――いずれ、真実を打ち明けるその日まで。

 

…………問題の先送りでしかないのは分かっているが、他に取る手なんざ浮かばねぇしな。

 

より活気付く皆を見ながら、いずれ訪れる破綻、その瞬間への覚悟を固めていくその背に、憐れみと遣る瀬無さを含んだ悲しげな2つの視線が向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、次は天願だけじゃない、俺達全員の力を見せ付けてやろうぜ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

再びチームの勢いがついた所へ

 

「――――待って、時間がないわ。

怪我してる皆を待てる?

それに、まだ全員が全快と言えない現状を交代無しで戦い抜けるの?」

 

夏美が待ったをかける。

人数こそ足りているものの、怪我が完治している訳ではないのだ。

今の状態で宇宙人と戦えばより怪我が悪化してしまうだろう。

皆の回復に加え、宇宙人との能力差は埋める為の時間も必要だ。

俺達には絶対的に時間が足りていなかった。

 

「だけど、やらなきゃ………!」

 

かと言って、その間宇宙人が侵攻しているのを黙って見ている訳にも………

 

「――――そうだ、やらねばならん!」

 

 

「監督!」

「校長先生!?」

 

思考が埋没していたその時、響監督と校長先生が現れる。

監督は一言、着いて来いとだけ言って足早に立ち去って行く。

 

 

説明のない監督の発言に困惑しつつも着いて行くと……

 

「イナビカリ修練場?」

 

「良かった。ここは無事だったんだな……」

 

「そうか!次のエイリア学園との対戦に向けて特訓するんですね!」

 

円堂が合点がいった、と問い掛けるも監督は沈黙を貫いている。

 

―――もしや、まだ目的地に着いていない?

 

黙したままの監督が歩く先にはエレベーターが………こんなものあったか?

 

 

赤い光に満ちているエレベーターに乗って少し、停止の音声が鳴り、扉の開いた先には………

 

何かの映像が映されているモニターや用途不明の機材が置かれた部屋が――――見た感じでは、会議室が一番近いか?

 

モニターの前に立っているのは………

 

「ここは一体………それに理事長!?」

 

俺達一人一人を見渡した理事長は良く来てくれた、と前置きして話し始めた。

 

「君達だけでも無事で良かった。

最早一刻の猶予もない、エイリア学園はこれからも破壊活動を続ける事だろう。

奴等の侵攻を阻止するには地上最強のサッカーチームを作らねばならんのだ!

そして、エイリア学園を倒す為には」

 

発言の途中だが、理事長が言わんとしている事を察した円堂が先んじて口を開く。

 

「―――――理事長、俺達にやらせて下さい。

いえ、俺達がやります!

皆、やろう!日本一の次は、宇宙一だ!」

 

「「「おお!!」」」

 

…………一応、アイツらが本当の宇宙人でない事は知っているんだが―――まさか、日本から一気に宇宙とはな。

 

ん?これは……昇降機の作動音か?

 

「準備が出来次第出発だ。

円堂、それに天願、頼んだぞ」

 

「えっ………頼んだぞって、監督は?」

 

「俺は行かん」

 

きっぱりと言いきった響監督の発言に皆が唖然とした様子になる。

 

それと同時にエレベーターが降りて来たが………来ないな?

気配があるから人が居るのは間違いないんだが。

 

「響監督には私から頼んでいる事があるんだ。

これもエイリア学園と戦う為に必要な事でな」

 

「ちょっ……もしかして俺達、監督無し?」

 

「理事長………!」

「監督が居ないなんて、そんなぁ……」

「そんなの勝ち目が無いでやんす!?」

 

「落ち着け、響監督が行かないって事で、監督不在とは言われてない。そうでしょう、理事長?

差し詰め、たった今到着された方が新しい監督、という事ですか?」

 

 

言いながら振り向くと、機械的な音声と共に昇降機の扉が開かれ――――――――っ!?

あの姿、俺の記憶が正しいなら………!

 

「話が早くて助かるよ、紹介しよう!

これから君達の監督を務めてくれる、吉良瞳子監督だ」

 

そこには腰まで届く黒い髪に暗めの青い瞳が特徴の女性が立っていた。

俺達を見定めるその姿は、クールというより冷徹な雰囲気を醸し出している。

 

――――何故、彼女がこの場にいるのか……

 

目が合った瞬間、驚愕から目を見開くも一瞬で取り繕い、此方へ……俺達へ目もくれずに理事長の元へ歩み寄る。

 

「ちょっとガッカリですね、理事長。

監督が居ないだけでここまで取り乱すお子様の集まりだとは思いませんでした。

本当にこの子達に地球の未来が託せるんですか?

彼等は既にエイリア学園に負けているんですよ?」

 

紹介を受け、歩きながら流し目で観察した彼女から下された評価は辛口なものだった。

 

「だから勝つんです。

俺達が負けたのは確かです。そしてそれは次の勝利へと繋げられる―――!」

 

 

 

「そう、頼もしいわね。

でも私のサッカーは今までとは違うわよ、覚悟しておいて」

 

感情を感じさせなかったさっきまでとは打って変わり、挑戦的な表情で俺達に告げて来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理事長から解散が言い渡されて、皆が帰り行く中

 

「……………天願想叶君。

エイリア学園に唯一引けを取らなかった選手は貴重です。

後で話を聞かせて貰えるかしら」

 

横に立った時、他には聞こえない声量で告げられる。

 

「そうですね、貴女の下す采配に興味がありますし、此方としても色々とお聞かせ願えますか―――――()()()()?」

 

最後の言葉に僅かな反応を示した彼女に、ある住所の書かれた紙片をすれ違い様に渡す。

 

 

何が狙いで此処に居るのか、宇宙人と偽る訳は、そして―――彼等は何の目的でこんな事を仕出かしたのか。

 

聞きたい事を整理しながら、その場を後にした。

 

 

 

 

 




なんだかイナイレssがじわじわと増えてる気がして嬉しい
いい感じだ………もっと増えろー!


背中と肩打撲したり、仕事がクソ忙しくなったり、FGOが剣豪終わってすぐハロウィンイベして来たり、面白いss増えてたり、巨影都市がバカゲーだったり、今期アニメが豊富過ぎたり、色々あって気付けば執筆途中のを放置して、どんな感じだったか自己作一から読み直したり、10回書いて9回主人公が闇堕ちしてヤバかった………

しかも復刻クリスマス始まっちゃったよ………





もうね、主人公の心がズタボロ過ぎてヤバい。
こんな展開は予想してなかっただけに筆がまるで進まなかった………

こうなった原因は彼が自身の特典を把握する前に原作入りしてしまった事。
無限の剣製とか王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)とか、貰っても肝心の中身が無いってケースもあるし、しっかりと全容を把握しておけとあれほど………(言ってない)


尚、完全に把握したところで、相手にもよるが(主人公にとっては)軽い接触でも、大怪我を負わせかねないから結局手を抜く(調整する)必要があったり……

また、遠慮なしにチートを発揮した世界線の主人公はあらゆる可能性(全ての平行世界)の中で最強にこそなれるものの、その分周囲の成長機会を奪ってしまい、結果としてチームとしての総合力が大きく下がってしまう模様。


どう転んでもハードモード――――誰だよこんな面倒臭い設定考えた馬鹿は!

書きづらくてしゃーないから、もうちょっと色んなパターン考えて設定から練り直したけど、その案で行った主人公が全てFFI辺りで要らない子or誰かの下位互換になってしまった………

迷走してる感があるのは分かってるけど―――

開き直って現行の設定で進める事にしたぜ!

一から書き直しても今以上に面白くできる自信無いし、もう突っ切ってやらぁ!



……今までだってアドリブとかノリで書いてたし今更か。

ネタバレ?になるのかは筆者でも分からんけど、本編は『主人公の()()()()()()()()()が最強になる世界線』です。







今回の捕捉


・決勝後、なんやかんやで円堂達と行動を共にしていた場合

ジェミニストームと雷門イレブンの中間位の実力で戦う為、あまり疑われずに済みこのイベントは起こらない。が、原作にて風丸が脱退した辺りで発生、本編以上に心折れます。
その世界線では、原作吹雪の様にジェネシスとの最終決戦の最中に覚醒する事に。
同一試合にて、二人同時に治療を施す豪炎寺医師は流石である。

・豪炎寺と鬼道の視線

この二人は主人公にそのつもりが無く、本当に無意識でいた事を察しました。
その上で、主人公が苦悩の上に取った選択(チームを気遣って隠した事)を理解しています。
しかし余りに特殊過ぎる事例の為に掛ける言葉もフォローすらも出来ず、ただ主人公が苦しんでいるのを見る事しか出来ない、そんな無力感故にです。

・円堂は主人公の様子に気付かないの?

主人公が本気で隠し通そうとすれば、今回の豪炎寺&鬼道の様に苦悩の全貌を知ってでもいない限り、まず気付けません。
それにFFIの韓国戦で結構な鈍感描写があったからそれを加味すればこんなもんかな?と。
原作でもエイリア編でも痛みで露骨に顔をしかめる染岡に気付けてなかったからね、仕方ない。





前書きにもありましたが、本当に遅くなって申し訳ないです。
段々と忙しくなってきて、亀更新になるかもしれないですが、エタる事はせず続けていく所存ですので、更新遅い時は「別の事に現抜かしてんなー」位に思って、気長に待っていて貰えると幸いです。


ご読了、ありがとうございました。



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第37話 旅の始まり



シンゴジ見て思った








RCシュートがありなら無人在来線爆弾もありだな



パンジャンもいけるか………?
















お久しぶりです………

まずは…………更新遅くなって本当にすみませんでした!

ようやっと仕事が落ち着いてきたよ………


更新停止中にお気に入り、評価してくださり本当にありがとうございます!

一瞬オレンジバーになった時期があってすごく嬉しかった……!
直ぐ戻ったけど……まあ、こんな出来のssが一瞬でもオレンジになれただけでも十分ですかね

目指すは低評価を高評価に覆す事……!もっと精進していくぞぉ!







あっでもセイレムもまだ手付けれてないし………アビー呼べてないし……

地球防衛軍5が予想以上に面白そうだし……クソゥ!
俺はどうすればっ!






先に言っておきます、全然話進みません。
しかも瞳子監督との会話は全カットです、その辺期待してた人はすみません………

後でやるかもしんないけど、ぶっちゃけ未定です。

そんで謎の毒電波が受信して出来たナニカがあります。

………こんなもん書くならさっさと話進めろってモンですよねすみません………でも書かずにはいられなかった

頭空っぽにしてお読みください







 

 

 

限界まで引き絞った足を全力で振り抜き、ボールを蹴り飛ばす。

 

かなりの勢いのついたソレが木に打つかると、ピシィッ!と甲高い音を鳴らし網の様な亀裂を拡げて止まった。

 

……これは、全力を出せているのか。

そもそもを言えば、自分の真の全力がどれ程のものか知らない以上、考えても答えは出ない。

 

どれくらい続けていたのだろうか、何となく気になり上を見上げれば、始めた頃は茜色に染まっていたはすの空は、いつの間にか墨を溶かした様に真っ黒に染まっていて―――

よくよく見れば東の空からうっすらと光が射し込んできているのも確認出来る。

 

思いの外、随分と夢中になっていたらしい。

そろそろ切り上げて帰るか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――エイリア石、その特性を利用した『強化人間』

帰路に着く間に、昨日の瞳子新監督との話した事について考えを巡らせる。

 

富士山で会ったから本当の宇宙人――そんなのがいるかは知らんが――でない事は知っていたが、まさか育てていた子供達を兵器として使おうとしているなんてな……。

 

 

 

エイリア学園―――いや、お日さま園の子供達をなんとかしたいと語った時の想いの籠った眼差し、あれは演技などで出来るものでは無いし、冬海の様なスパイでは無さそうで安心出来た。

 

ただ、話をして感じたのだが……何というか、少し言葉が足りない所が気にかかる。

そこにあの冷徹な印象を抱かせる目や態度が相まって………なんだろう、実は俺達の事を想っての行動だったのに、反感を持たせてしまう、とかやってしまいそうだ。

 

 

普段の俺達ならばまだしも、エイリア学園の襲撃等で心に余裕がない現状ではよろしくない。

出来る限りフォローしていった方が良さそうだな。

 

 

 

それに、FF会場周辺で俺を引き込もうとしたハゲ共。

アイツらは吉良星二郎(黒幕)の部下である"研崎"という男の指示で動く者達らしい。何をやっているのか詳しい事は知らないそうで、家族をだしに引き込まれそうになった事を話すと驚かれた。

 

何故人を集めているかは不明だが、なんにせよ俺以外にも脅しを掛けている可能性がある以上は皆を注意深く観察して、違和感があったら教えて欲しいとの事。

鬼道や豪炎寺辺りを特に警戒しておくか……。

 

 

……俺自身、周りをそんなに気にしていられる立場ではないのだが、かといって不安の種をそのままにしてはおけない。

 

 

 

因みに、瞳子監督の方からも俺の事を疑っていた事が分かった。

エイリア石で強化された者に互角に立ち回れる筈がないと思っていたらしく、そんな中で聞いた俺の事をエイリア学園の回し者では?と考えていたそうだ。

予め将来有望なチームに取り入っておき、エイリア学園に惨敗して心が弱まった隙につけこんでエイリア石をちらつかせ……的な感じの。

確かにありそうな展開だな。

 

 

この時に無意識で力をセーブしてしまい、まだ全力を出しきれていない事を伝え、今の身体能力を見てもらうと……いつも(ドン引き)の視線を受けた。

 

というか、エイリア石の力が人の潜在能力を引き出すだけと仮定するならば、既にそれを顕在化させている者なら対抗出来るんじゃなかろうか、そんな旨を呟くとハッとした様子で

 

「少し見込みが甘かったようね……あなた程には望めないでしょうけど、即戦力になりそうな人は何れくらいいるかしら

貴方の力を引き出す特訓については此方でも考えておくわ」

 

とか何とか言って既にリストアップしている選手以外のデータを探しに帰って行った。

 

 

 

 

 

しかし、色々と話をしたものの、その中で皆に伝えても良さそうな情報は余りにも少ない。

 

例えば、今表に出ているジェミニストームはセカンドランクチームというエイリア学園で最も下のチームでまだまだ上が存在する、なんて……今のアイツらに伝えるのは余りにも酷だ。

 

円堂ならまだしも、他の皆は心が折れてしまうかもしれない。

 

 

つーかセカンド―1,ファースト―1,マスター―3って、何で上のランク程チームが多いんだ、普通逆じゃないのか。

 

 

 

 

 

本当に、周りに気を割いてられる余裕なんざないってのに、雷門イレブンの心の揺らぎ、ハゲ共の脅迫、余り語らない瞳子監督と雷門イレブンの仲合―――何も見なかった事にして進んで行ける様な器用さは生憎と持ち合わせていない。

 

 

気付かず、知らなかったならばどれだけ楽だったんだろうか。

 

 

……気のせいか、思考がマイナスな方向へ向かっている気がする。

丁度家に着いた事だし先ずは眠って、それからまた考えるか。

 

 

 

 

そうして自宅の鍵を開けた瞬間――――RRRRR!!!

 

懐にある携帯がけたたましく鳴り響いた。

 

 

呼び出し先は……理事長で、一斉通知?

 

「はい、天願で―――

 

『諸君、奈良でエイリア学園による襲撃が発生した。

この電話は一方的な通信によるものだ、詳しい事は後で、今は可及的速やかに支度を整えて修練場まで来て欲しい!』

 

………チッ、思ったより早く動いたか」

 

昨日、解散間際に伝えられて用意した荷物を引っ提げ、修練場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が着いた頃には豪炎寺を除いた全員が揃い、今まさに説明が始まる所だった。

 

「すいません、遅くなりました」

 

「いや、君の家は確かこの中で最も遠かったし仕方ないさ。

…?寧ろ良くこの何時間で着けたものだな………。

 

豪炎寺君がまだ来ていないが、説明を始めるとしよう、これを見てくれ」

 

点灯したモニターの映像には何かの銅像が映し出された。

これは――馬辺りだろうか?無惨にも上半身が破壊されている為に判別しにくい。

が、直ぐにアナウンサーと思わしき音声が流れてきた。

 

『先程襲撃現場で中学校連続破壊事件の際に、宇宙人が使用したものと同一と思われる、黒いサッカーボールが発見されました』

 

「あのボールは……!」

 

忘れたくても忘れれる筈のないボールが画面に映る。

 

「更に最新情報として、エイリア学園は財前総理を連れ去った事が判明している」

 

「総理を……?一体何で――――豪炎寺!」

 

ここで漸く豪炎寺が到着し………少し表情が暗いか……?

いや、こんな事態だしやっと目覚めた妹さんの件もある……疲れて勘繰り過ぎてるかもな……

 

「ああ、遅れてすまない」

 

「揃ったな諸君。

情報に寄れば総理は謎の集団に連れ去られたという。

この集団はまず間違いなくエイリア画像に縁のある者のはずだ」

 

 

 

理事長の言葉を引き継ぎ瞳子が告げる。

 

「出発よ!

エイリア学園と直ぐに戦う事になるかもしれないわ」

 

 

「瞳子君、この子達の事を頼む。

情報は随時、イナズマキャラバンに転送しよう」

 

「宜しくお願いします」

 

「イナズマ、キャラバン?」

 

聞き覚えのない言葉に首を傾げると理事長が「着いてきたまえ」と―――そう案内される、着いた部屋は真っ暗で何も見えない。

 

が、突然照明が点き、隠されていたその姿が目の当たりになる。

 

そこには雷門のユニフォームを思わせる青と黄色の配色で塗装されたバスが存在していた。

 

「イナズマキャラバン――――それはココ、地下理事長室と繋がる前線基地であり、君達の拠点となるものだ!」

 

「か、カッコいいっす!」

 

「すげぇ………ってあれは!?」

 

円堂が思わず、といった様子で駆け寄り手に取ったのは、部室に掛けられていたサッカー部の立て札だった。

 

「ここは言ってみれば新しい部室、ならコイツは必要だろう?」

 

そういって響監督は親指を立てて笑みを浮かべる。

 

「しっかりな!

お前達なら、エイリア学園にだって負けない。

必ず勝てると、そう信じているからな!」

 

「「「はい!!!」」」

 

監督の言葉を受け、全員がバスへ乗り込んでいき―――

 

「イナズマキャラバン、発進だー!」

 

 

円堂の掛け声と共にバスが勢い良く飛び出して行った。

 

これからどれだけの苦難が俺達の前に立ちはだかるのだろう……そしてその時俺は何が出来るのか……

 

各々の思いを胸に、俺達の宇宙人を倒す旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~何か飛んできた謎電波~~~

 

これからのネタバレや設定バレが見え隠れしてます

 

 

 

それは、本来とは致命的にかけ離れた世界での物語。

 

《決まったーー!

イナズマジャパンの強烈なシュートがリトルギガントのゴールに炸裂!

そしてこのタイミングで試合終了のホイッスル………今大会の優勝を手にしたのは―――――日本代表イナズマジャパンだあーーー!!!》

 

 

激しい勝負の末、遂に優勝を果たしたイナズマジャパン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった………のか……?」

 

「勝った………勝ったんだよ俺達!」

 

「よっしゃああああああ!!!」

 

成し遂げた功績に歓喜に震える彼等の元に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達、遂に世界一になれたんだな………!」

 

 

「「「やったぁぁぁ【ドゴンッッ!】―――!?」」」

 

時間を、世界を越えた魔の手が差し迫る。

 

 

 

 

 

 

 

「なっ、なんだ一体!?」

 

「スタジアムが急に……」

 

「おい、巻き込まれた奴は…………よし、居ないみたいだな」

 

 

《えー、突如としてスタジアム中央で発生した原因不明の爆発、巻き込まれた者は居ない事の確認が取れました》

 

《一体何が起きたのでしょ―――あれは?

砂煙の中から人影が……!》

 

 

 

「テメェら、一体誰だ!

今の爆発はお前らが起こしたもんなのか!」

 

「―――!?な、お前は!」

 

「あの日、俺達の前に現れた………!」

 

「「「アルファ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩壊が、姿を持って現れた。

 

「………あの時とメンバーが違う?」

 

 

 

 

「おや?どうやら彼等は君を知っているみたいだよ?」

 

「知らないな。私が彼等と対面した事はない筈だ」

 

「もしかすると、何処か別の世界のアルファが任務を受けて来たのかもしれませんね~」

 

「しかし、こうしてサッカー続けている時点でその任務の失敗が推察される」

 

 

「――――無駄口は其処までだ。

プロトコル・オメガ所属、バダップ

「アルファ」「ベータ」「ガンマ」「レイ・ルク」

これより任務を実行し、サッカーを消去する!」

 

 

 

「クソがッ!一体なんだってんだ!」

 

「天馬達、何かあったのか……。

未来の俺は何やってやがる………!」

 

「どうしてこう最高の瞬間に………。

宇宙人の時といい、何か呪われてるんじゃないか?」

 

「やるぞ皆!サッカーを消そうなんて言う奴等に負けてやるもんか!」

 

奮起するイナズマジャパン――――しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、コイツらが強いのは知ってたが、ここまで差は無かった筈だろ………!?」

 

 

《イナズマジャパン………プロトコル・オメガを前に手も足も出ず………》

 

《まさか、信じられない………》

 

「そんな………!?」

 

「こんなの嘘です………悪い夢ですよ……」

 

「酷い……皆、世界一になれたばかりなのに……!」

 

「あの試合の後で疲労が残ってるのは分かる……それでも、ここまで差があるものなのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圧倒的な力を前に一人、また一人と倒れていく。

 

 

 

「歴史上サッカーが最も注目を浴びたこの瞬間、このタイミングに介入すればサッカーに多大な打撃を与えられた筈。

そして最後の後押に円堂守、天願想叶の二名の封印を実行する」

 

「「「キャプテン!!!」」」

「「「天願(さん)!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望に全てが覆い尽くされるその直前

 

「―――――曾爺ちゃん!」

「―――――天願さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間という楔すら越えて

 

 

「お前達は―――!」

 

「お前達の思い通りになんかさせない!」

 

「皆さん、俺達が食い止めている間にあの乗り物へ!」

 

 

最後の希望が辿り着いた………!

 

 

 

 

 

「アイツらは一体……それに天馬、サッカーを守る戦いは……?」

 

「……それが、よくわからないんです。

途中まで上手く行っていたのに、あのバダップって選手が現れてから急激に強くなったプロトコル・オメガが現れて……」

 

「そこで負けてしまった時に気付けば全く知らない空間に居て、その空間から抜け出せなくて……そんな状況に――」

 

「そこにいるカノン―――円堂監督の曾孫と言ってるソイツに助けて貰ったんです」

 

「「「―――円堂(キャプテン)の………曾孫ぉ!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「で、アイツらを倒す為に………」

 

「――――時空を超えた最強のイレブンを作っている、という訳か。

妄想の産物で終わるかと思っておったが、まさか実現出来ようとはな」

 

「――――爺ちゃん!?なんで此処に!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが、ミキシマックス……………!」

 

「そう!天願想叶が使っていた技の一つ、■■■■を参考にして作り上げた技術!

過去の偉人や別の誰か・何かの力をその身体に宿し、爆発的なパワーアップが可能となるのだ!」

 

「いや、円堂監督の世代の人で化身を、それもアームドまで出来るって事にビックリなんですけど………」

 

「それに天願さんしか出来なかった筈の■■を豪炎寺さんや吹雪さんが使って………本当に俺達の歴史とは別の道を辿ってるんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束の間の平穏、その間に新たな特訓や力を得て互いに高め合っていき、そして――――

 

 

「勝負だ、プロトコル・オメガ!」

 

「今度は負けねぇ……!」

 

「サッカーを消させてなんかやるもんか!」

 

 

 

「漸く見つかったかと思えば……」

 

「待ち構えていた、という訳か」

 

「わぁ!凄い気迫ですね♪

――――捻り潰してやるよ!あの時みたいにな!」

 

「計測………以前より遥かに強さを増している模様」

 

「――――関係ない、どちらにせよやる事は変わらない。

サッカーは、ここで終わらせる!」

 

 

 

 

 

激戦の果て――――その先に………

 

 

 

 

「何やら面白い事をしているじゃないか―――俺達も混ぜてくれないか?」

 

「―――クッ、遂に来るか………SARU!」

 

「そんな………あのプロトコル・オメガが………!」

 

 

更なる強敵が立ちはだかる

その目的は――――

 

 

「遂に見つけた………俺達の源流(オリジン)―――天願想叶!」

 

「………あれが俺達の………ねぇ?」

 

「興味ないのかい?()()()

 

「元々俺の目的は俺達を研究に使う奴等への復讐………そして、実験の最中行方不明になった姉さんを見つける事だけだからな」

 

「やれやれ、彼は俺達の欠点を克服する鍵になるかもしれないのに…………」

 

 

 

 

 

 

新たなる敵、そして―――――心強い仲間(ライバル)

 

「ラグナロク、か。神としては外せない戦いだね」

 

「サッカーの、そして未来の危機を日本だけに任せる訳にはいかないな」

 

「同じチームで戦うのは、ジェネシス戦以来かな?」

 

「マモル!今度は仲間として、一緒に戦おう!」

 

 

 

 

全ての決着を付けるラグナロクが始まる………!

 

 

 

 

「皆!この戦いに勝って――――サッカーを、未来の平穏を取り戻すぞ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、あれだけのライフエナジー………使えるな」

 

「どうだっていい…………全て、消えてしまえ………!」

 

 

 

しかしそれも、更なる戦いへの幕開けに過ぎない…………

 

 

 

時間を、空間を、世界を超えた戦いが始まる………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まらない

 

 

 

 










なして俺はこんな物を書いてしまったのか……これがわからない




次こそは絶対試合させるんだ………!!!










友人が「異端なるセイレム」を大元にしたシナリオのクトゥルフTRPGをやるって言ってたが、シナリオ化出来そうなのか?
まだやってないからわかんねぇ……取り敢えずクリアしなきゃ……!

最凶クラスの鬼畜難易度になるから今までに使ったPCの全盛期持って来て良い言われた!
久々にこの主人公の大元になったPCを使える!
ロストキャラだけど一応キャラシ取っといて良かったよ……!





年内になんとか1,2回は更新したいなぁ……




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第38話 それでも僕らはやってない



お久しぶりです。
先ずはご挨拶をば。

後れ馳せながら、明けましておめでとうございます


そして……







遅くなってすみませんでしたっ!!!

更新が止まっている中、お気に入りをしてくださった方、感想を頂いた方に感謝を。
ありがとうございます

待たせてしまった方に謝罪を。
本当に申し訳ありません

EDF5が楽し過ぎるのがイケナイ……
fgoもboxイベ連発でラフム化しちゃった……
この時期の会計職仕事多過ギィ!

気付けば1月も下旬、前回から1ヶ月以上経ち―――本当にごめんなさい……!


短い上に久々の執筆でアレかもですが、どうぞ!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスに揺られて暫く、俺たちは例の襲撃現場に到着した。

総理が拐われたという近年類を見ない大事件、当然辺り一体は警察の手により完全に封鎖され、厳戒な警備体制が敷かれている。

 

つい先程、瞳子監督が中に入れて貰えるよう交渉に向かったのだが――――どんな説明をするつもりなんかね?

 

冷静に考えてこの件と何の関係もない集団―――しかも大多数が子供―――が関わる、なんてどうやりゃ承諾させられるのか。

俺達がエイリア学園と戦った事を話しても、事情聴取されるのが関の山だろう。

理事長の計画にしても、あの人の立場や権力って雷門中と全国サッカー協会の理事って位だろ?

……いや、ここで頓挫したら物語進まねぇから多分何かしらの方法で入れるんだろうけどさ。

 

さて、どんな理由で通して貰えるだろう?

 

本命は、やっぱ理事長のコネかな。

 

対抗で、たった今飛び出した円堂の説得が奇跡的に通じる(クリティカル)

 

………大穴は、鬼瓦刑事が近くに来て居て、実は階級が高いor上の人に顔が利く人でした、って所?

 

 

 

さてさてどうなる事や――――――――あっ、着く前に終わった。

 

円堂の飛び出してった意味ぃ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー、入れてよかったっすねー」

 

「というか、良く通して貰えたものだな」

 

ホントにな。

この短期間であのバスを用意したり、警察の動きに干渉出来たり、何者なんだあの人。

そんでもって捜査官全員引き上げちゃってるよ。

 

 

宇宙人の手掛かりを見つけようって事で、皆は散策し始める。

 

俺はどうしよ……おっ?

近くに壁山と目金が歩いててその後ろに…………ちょっと面白そうだな。

 

あいつらに着いて行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エイリア学園は何処からやって来たと思います?」

 

「さあ?」

 

「急にどうしたよ?」

 

何か見付からないか探索して回ること暫くして――――探索といっても別に草の根を掻き分けたりなんて事はなく、殆ど散歩してる様なものだが―――――唐突に目金が口を開いた。

 

「相手の事が分かれば、それだけ何らかの対策を講じられます。

練習は勿論のこと、今ある情報を分析していくのも大事ですからね!

因みに僕は、彼らの重力を感じさせない脅威的な運動能力からするに、地球よりも遥かに重力が強い星から来たのでは?と考えています!」

 

現実は富士山なんだけどな、なんてロマンの無い。

 

「へぇ~、そんな所じゃ煎餅なんか粉々っすね。

食べるっすか?」

 

せんべいを差し出す壁山、完全に聞き流しているな。

……そろそろ仕掛けて来るか?

 

「壁山君!僕達は遠足に来たんじゃ……あれ?」

 

一瞬、二人の間を何かが通り抜けたかと思えば、壁山の手にあった煎餅が消えている。

 

俺は()()()が最初からずっと壁山の煎餅を狙って着いてきたのを知ってるが、どんな反応をするか見たくてわざと言っていない。

 

恐る恐るといった様子で何かが入り込んだ藪を覗き込んだ二人は

 

「「ひぃやぁぁぁ!!!!

宇宙人んんんーーー!!!!」」

 

目撃と同時にパニックを起こし、止める間もなく走り去って行った。

あいつらの視界には一体何が見えていたんだ…。

 

 

「お前も災難だったな、間近であんな大声上げられてビックリしたろ」

 

宇宙人と勘違いされてしまった鹿()に語りかける。

当の本人(本鹿?)は何事も無かった様に煎餅を食んでいた。

 

今更だが、壁山が食ってた鹿せんべい(アレ)、人が食っても大丈夫なのかね?

 

壁山が落としていった残りの鹿せんべいを与えると、匂いを嗅ぎ付けたのか偶然か、多数の鹿達が群がって来る。

 

こっ、コイツら!凄い勢いで食い付いて来やがる!

 

鹿の群れと格闘する傍らで、エイリア学園の手掛かりとやらに思考を巡らせる。

正直、長時間ではないにしても捜査のプロたる警察が調査した後で、目ぼしい物が見つかるとは思えないんだよなぁ。

 

だから、少し位サボってても大丈「あったっすーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………あっちゃったかー――――――無能かな?

 

いやさ、こういう物語で警察が機能してたら展開が進まないとか、キャラクターが事件に絡めないとか、そんな事態に陥るのは分かってるんだけどさ……それでも言わせて欲しい―――――――警察仕事しろ、と。

 

 

とりあえず、せんべいを全部食わしてやってから向かうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壁山の大声が聞こえていたからか、皆が続々と集まり、最後に此方へ駆けて来る円堂が転がっているモノを見て驚きの顔を見せた。

 

「どうした壁山……ってそれは!?」

 

「あいつらが使っていた…」

 

「―――――黒い、サッカーボール!」

 

「これを何処で?」

 

壁山はすぐ近くの木橋を指差し

 

「あそこの壊れた木橋の下、そこに流れる川の中にあったっす!

ってキャプテン!それってすんごく重いっすよ!?」

 

壁山の注意を振り切り円堂がボールを持ち上げるも中々上がらず、終いには落としてしまう。

 

「お、重いっ!

あいつらこんなものを軽々と蹴っていたのか…」

 

僅かな落下からでも、ズシン…と周りの地面を揺らすボールに、改めて宇宙人の尋常ならざる膂力に戦慄する一同。

 

……それよりも俺は此方へ走って来る集団が気になっている。

足音からするに大人、エイリア学園じゃなさそうだが、ボールを見付けた俺達が集合したのを見計らったかの様なタイミングで動き出したっぽいんだよな。

 

ちら、と足音のする方向に目を向けると、スーツ姿の大人達が橋の上で止まり―――

 

 

 

 

「――――全員動くな!

 

もう逃がさんぞ、エイリア学園の宇宙人!」

 

 

 

ダニぃ!?

 

彼らから発せられた予想外の発言に、思わず硬直してしまう。

 

「えっ?」

 

「俺達の事?」

 

まさか自分達が宇宙人呼ばわりされるとは思わず、皆もきょとんとしている。

 

「我々は総理大臣警護のSPだ。

答えろ、財前総理を何処へ連れ去った!」

 

しかし、そんな俺達の様子など知った事かと言わんばかりに詰問してくる。

 

「あの、ちょっt「黙れ!その黒いサッカーボールが何よりの証拠だ!」

 

円堂の反論に被せて、俺達が宇宙人であると言い張ってくる。

 

「ちがっ、違います!これは池に落t「惚けても無駄だ!ここ一体は既に警察の手が入っている!

そんな重要証拠、残っている筈がないだろう!」

 

あー、それ言われちまうと分が悪いな……。

特に、見つからない様な所にあったのなら兎も角、丁度破壊痕のある地点で見付けちまったのが不味い。

常識的に考えて、そんな場所に手を入れない筈がないし。

 

「それでも、いきなり宇宙人呼ばわりなんて失礼じゃありませんか!」

 

風丸が反論をぶつけ、睨み合う。そこへ再び橋の方から鋭いの声が投げ掛けられた。

 

「宇宙人は何処だ!」

 

見ると、また一人SPが此方へ向かって来ている。

いや、SPの格好をしているだけか?やけに若く見えるが。

 

「だから!俺達は宇宙人じゃなくて、FFで優勝した雷門中サッカー部で、エイリア学園に勝つ為にここまでやって来たんだ!」

 

どれだけ言っても信じてくれないSPの態度に円堂の反論に険がこもりだす。

 

にしても妙だな。

どうして彼らは俺達を宇宙人と言い続けるのか。

後からやって来た赤髪の少女は円堂の言った「雷門中サッカー部」の辺りで合点のいった表情をしていた。

大人のSPの方も上手く隠してはいるがそれと似た様子がある。

 

俺達が宇宙人でないと知るも、敢えてそう決め付ける理由……駄目だ、情報が足りん。

 

そう考えている間にも、円堂とSPの喧嘩染みた口論はヒートアップしていき――――

 

「そこまで言うなら、証明してもらおうか!」

 

「ああ!望む所だ!」

 

売り言葉に買い言葉、止める間もなくSP少女の挑発に乗ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって公園内のサッカーコート。

 

 

「――――――それがどうしてサッカーになるのか、コレガワカラナイ」

 

奈良鹿公園にサッカーコートある事もビックリだわ。

 

「急にどうしたんだ天願?」

 

「いや、何でもない」

 

考えいた事をそのまま口にしていたらしい、風丸にツッコまれる。

某カードゲーム世界における決闘(デュエル)みてぇなものと無理矢理納得して作戦会議に耳を傾ける。

 

「向こうが大人だからって怯むな!

ピッチに立てば同じサッカー選手だ!」

 

「ああ!ガンガン得点してやらぁ!」

 

「問題は体力的差だな。

ペース配分に注意する必要しないと」

 

「それに身体能力もだ。

相手のスピードやパワーに対抗するだけでも、普段とは比べものにならない程消耗する筈」

 

「でも11人丁度だし、交代なんて出来ないぞ」

 

「大丈夫!負けてる所でも全員でカバーし合えば良い!」

 

「気になるのはどんなプレーをしてくるか、だな」

 

「SPフィクサーズ、それが彼らのチーム名みたいです」

 

鬼道の言葉に、すかさず音無が反応した。

 

「「「――――――SPフィクサーズ?」」」

 

 

皆の疑問の声に、パソコンの情報を読み上げていく。

 

「大のサッカーファンである財前総理のボディガードで結成されたチームですね」

 

「サッカーで体を鍛えてるって訳か」

 

サッカーである必要性を感じないんですがそれは。

上司の趣味に合わせてとか、世知辛い理由が真実だと思う。

 

つーか、あの人ら着替えんのな。

それとも、あのスーツがユニフォームなのか……?

 

休めだったり、気を付けだったり、妙に統制の取れていない姿勢で待機している相手を見ていると、監督が自由にやれ、との指示を出して離れて行くのが見えた。

 

俺達のプレーを見なければアドバイスのしようもない、そういう意味も含まれているんだろうが……もうちっと口数を増やしてくれればなぁ。

 

 

「―――――だとよ。

で、どうする?守りを固めるか?」

 

「いや、オフェンスを強化すべきだ」

 

「攻撃型の布陣に?」

 

「そうだ、こういう時こそ先取点が大事になる。

それに相手はSP、守備のスペシャリストである以上、守りの堅さは相当なものと見ていいだろう」

 

「半端な攻めじゃ崩せないかもしれない、か」

 

皆の疑問に答えていく鬼道だが、一端俺を見て

 

「―――――ただ、天願には守備に回って貰う」

 

そう言い放った。

 

「攻撃を重点にするのに、か?」

 

 

「ああ。

体力差が大きいこの試合、一点一点がより重くなる。

攻撃に重きを置いた結果、守りが疎かになっては意味がない。

そこで、限りなく少ない人数で守備を磐石に近付けるに打ってつけなのが――――」

 

「天願になる、そういう事か」

 

豪炎寺は納得したみたいだが、俺一人加わっただけでそんな変わるかね?

 

「確かに、思い返して見れば円堂が間に合わなかったり抜かれそうになった時、天願が止めてる事って多いな」

 

風丸もそう言ってくる。

そういや、そんな場面もあったような無かったような……。

 

「天願と並んでゴールを守る、か。

偶々DFラインまで下がってた時と違って、最初から守備に専念した天願と並べば……!

いける、いけるって!どんなシュートだって抑えられる!

 

よーし!頼むぜ皆!

俺達の力、見せ付けてやるんだ!」

 

「「「おおーーー!!!」」」

 

 

 

 

――――――さて、今回はイナズマイレブンのおじさん達とは違う、日頃から体を鍛えている万全な状態の大人達。

 

不安要素はあるが、俺達なら―――「フィアアアアア!!!」

 

 

………ゑ?

 

「間に合いましたね!

雷門イレブン在るところ、常に角馬の実況ありです!」

 

あの距離をチャリで来やがったのか……!?

 

「さあ、雷門イレブンに対するはSPフィクサーズ!

子供対大人、どんなプレーで立ち向かうのか、目が離せません!」

 

 

 

SPフィクサーズも急に乱入してきた角馬に呆然としている。

 

実況がプレーヤーを置いてけぼりに……キックオフを告げる笛の音が鳴るその時まで、場の空気を支配していたのは紛れもなく角馬だった。

 

 

 

 

 






締めが雑……久しぶり過ぎて試行錯誤しながらの執筆。
今までの何度も読み返して、かれこれ10回近く書き直した……やっぱ難しいわ………

前書きにもありましたが

皆様、本当にすみません……
そして、ありがとうございます!

正月が終わってふと見たらお気に入りが10近く増えてたのにはビックリ
更新中にもそんなことは起きなかったのに……正月ぱぅわーってスゲー……



これからも、宜しくお願いします!




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第39話 それゆけ、エンドウマン!

お気に入りが増えてる………ウレシイ、ウレシイ………!

感想も貰えて………こんなの何時ぶりであろうか?

何より、待ってくれていらした方が居てくれた、というのが一番嬉しかった――――ありがとうございます!

100重の塔、1週間で何処までいけるか………って所に
edf5のフォボスZ プラン4
ドララン・トライ、星屑F、スプフォ・マキシマムといったこれからが楽しくなる強武器を入手し、その上モンハンワールドまであってヤバい。

やっと陸珊瑚まで辿り着いた……休日が待ち遠しいです。


あ、それと主人公の異名?みたいなの変更しました。
前のが不動のと被ってたのを今更ながら気付きまして………。

ちょっと短いですがどうぞ!


両チーム共にポジションへ着き、いつ始まっても良い様に各々で最後の調整をしている中に、角馬が声を張り上げる。

 

 

〈間もなく試合が始まります!

 

雷門イレブンのポジションは―――おや?

 

FW 豪炎寺 染岡

 

MF 土門 一ノ瀬 鬼道 風丸

 

DF 栗松 天願 壁山

 

GK 円堂

 

 

普段はDFの土門と風丸がMFに上がったのに対して、逆に天願はDF―――それも栗松と壁山の二人より大きく下がっている!

 

どんなプレーを繰り出すつもりだー?!〉

 

試合前の実況が終わり、敵味方全員が気を引き締め場の緊張感が最高潮に達した瞬間――――ホイッスルが鳴り響く。

 

ボールが豪炎寺から一ノ瀬へ渡る間に、染岡が一気に切り込んで行く。

 

にも関わらず、SPフィクサーズは誰一人としてFWに目が向いていなかった………まあ、それもしょうがない。

 

「な、なんだと!?」

 

〈こ、これはどういう事だーーー!?〉

 

 

ま、それが普通の反応だろうよ。

 

何せ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~時間は遡り、ミーティング終了間際~~~

 

「………勢い付いた空気を崩したくないから余り言いたくはないんだけどさ。

本当にこれで大丈夫かな?」

 

準備運動を終えた皆がポジションに赴く直前、一ノ瀬が難しい顔で鬼道に問う。

 

「それは俺も考えている。

相手は防衛のプロ、それもSPとくれば不足事態の対処こそ奴らの十八番、動揺がどれだけ続くか……。

かといって、これ以上リスクを負うのも不味いだろう」

 

鬼道自身、それを感じ取っていたらしいが、しかし打開策も無い為に苦し気な表情だ。

 

「でももし、これで得点が獲れなかったらそれこそ不味い」

 

「――――何か策があるのか?」

 

「ああ、思い付きだけどね。

それにこんな場面にこそ、意表を突く事に定評のある彼が輝く時だろ?」

 

そう言って此方を見る一ノ瀬。

それに釣られて目線を移し、目が合った鬼道は苦笑いしながら

 

「そんなに使い勝手の良い駒じゃないぞ、アイツは。

―――フ、【フィールドの魔術師】その作戦家としての実力、見せて貰おうじゃないか」

 

「おぉっ?久し振りに一ノ瀬の采配が見れるのか!」

 

「たまには自分が指揮を執るのも良いだろ?

じゃあ皆、試合か始まったら――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈――――なんとなんと!

開始同時に円堂と天願を除く全員が()()()()()()()()()()()()()ーーーーー!?〉

 

 

 

誰かが思い付いいたとしても、実行にまで移すチームなんて普通はいねぇ。

 

 

 

ボールは一ノ瀬に渡り、動揺で隙が出来たSPを次々と抜き去って行く――――が。

 

「…………成る程、先ずは確実に先制を獲りに来たって訳か!

けどね、総理のSPなんて大役を担う私達の守りは!その位の策で崩せる程柔じゃない!」

 

少女の声に呼応するかのように、他のSPも次々と落ち着きを取り戻していく。

 

「(――――もしあのままに試合が始まっていれば……かなり危うかったな…………だが!)

――――――一ノ瀬!」

 

「ああ!皆、フェーズ2開始だ!」

 

「「「おお!!」」」

 

 

一ノ瀬の呼び掛けにチームが2つ、左右へ別れていく。

 

「今度はチームを左右へ別けて来た……?」

 

「中央のラインをがら空きじゃないか」

 

他のSPが困惑の顔を見せる中、考え込んでいる少女が

 

「(何で真ん中を空けて来た?……待て、今攻撃に参加してないあのはDF……!

そういうことか!)

中央へ誰か配置!ゴール前のDFは【ビックリ箱(ジャックボックス)】油断するな!」

 

突如ハッとし、直ぐ様指示を飛ばす。

 

「了解!」

 

それを聞いた他のメンバーは、ある一言で一斉に此方を見詰めると共に迅速に行動していく。

 

 

「―――――なぁっ!?」

 

「気取られたか―――!」

 

「おいおい、俺達を宇宙人と思ってるんじゃなかったのかよ!?」

 

「サッカーしてる理由が消えたぞ……」

 

……俺の異名はっきり言ってる、やっぱ雷門と知ってて試合しに来たな――――ってそんなん言ってる場合じゃねぇか。

 

コート両端から攻め、中央ががら空きになった瞬間に瞬歩か何かで距離を詰めてor詰めながらシュートって策が筒抜け、作戦が読まれてしまったという思いが皆の動きを鈍くする。

 

土門と風丸は別の所に驚いた様だが。

 

 

「―――大丈夫!こんな事もあろうかと別の案を同時進行させてる、そのまま続行だ!(―――――頼んだぞ、天願!)」

 

その不安を払拭するように声を張り上げる一ノ瀬。

どちらにせよ、全員が敵陣深くまで上がってしまった現状、後戻りなんて出来ない。

俺へ目配せしてから―――――

 

 

「ここでセンタリング!?」

 

「しかしこれは――――高い!」

 

先程、少女の指示で中央へ位置取っていた選手の頭上高くへボードを蹴り上げる。

 

 

「―――!?アイツ、動き始め………ん?」

 

流石にボールへ視線が移った彼女だが、直ぐに俺()の方を確認し、戸惑いの声を漏らす。

 

「「「「何やってんだアイツら???」」」」

 

それに気付いた全員が視線を追い、彼らが見たのは――

 

片足を上げた俺と、地面と水平にしている脛の上に立つ円堂の姿だった。

 

 

「な、なぁ、天願?

ほ、本気でやるのかコレ、怖いんだけど!?」

 

――――――円堂は超ビビってる。

 

「ヘーキヘーキ、超次元だから問題ねぇって。

それに、イナズマ1号落としの時よりは低いから大丈夫だって!―――――――多分

 

 

 

「あ、それ聞いたら大丈――――今、多分って言わなか――

 

聞く耳持たん!

 

「舌噛みたくなきゃ口閉じてな!

空軍(アルメ・ド・レール) パワーシュート』!!」

 

そのまま一気に円堂を全力で振り飛ばす――――!!!

 

「うわぁぁぁぁ!!!!????」

 

「「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!????」」」

 

円堂とその光景を見ている全員の絶叫が木霊する。

 

〈え、円堂がボール目掛けて一直線に―――こ、これはセンタリングされていたボールへ…………!?〉

 

やがて、センタリングされたボールに近付き―――

 

「ゴッドォォォ――――――キャノン!!!」

 

〈直接シュートだぁぁぁ!!!〉

 

只でさえ威力重視の(パワー技の)ゴッドキャノンに上空からの落下と空軍(アルメ・ド・レール)の速さが加わったシュート。

そんなものを驚愕で動きの鈍くなったGKでは止められる筈もなく―――

 

〈ゴーーーーール!!!

雷門、怒涛の展開でSPフィクサーズから先制点をもぎ取ったぁーーー!!〉

 

 

これで、理想通り先制した状態で始められるな。

 

円堂は…………無事着地したけど、カンカンな様子。

こりゃあ、かなりどやされちまうな。

 

()()()()()()()も、今んところは大丈夫そうだが――――まだまだ問題は山積みかぁ……。

 

試合はまだ、始まったばかりだ。




技解説は、後日編集で追記します。



モンハンワールドが楽しすぎて、このままじゃまた待たせてしまうと危惧して、大分短いですが急遽更新。
誤字脱字、下手したら脱文とかもあるかもなので、近日再編集するかもです。

――――――すいません





空軍(アルメ・ド・レール) パワーシュート』

引用「ONE PIECE」

使用者「ヴィンスモーク・サンジ」

ボールを乗せた状態で足を振り上げ遠くへ飛ばす、蹴るというより投げるの表現が似つかわしいロングパスの技。
パス以外にもボールの威力を殺さずに軌道だけを変える、なんて芸当も可能。

主人公は当技が引用元にて人を飛ばすシーンがあったのを覚えていたから実行したが、この世界ではそんな真似出来ないししようとも思わない
やろうと試みるのも、実際に出来ちゃうのも主人公だけである
"力自慢の大人と軽めの子供の組み合わせでもゴールからペナルティアークまでは飛ばせない"


今回のコンビネーションを『空軍(アルメ・ド・レール=)砲撃(キャノンショット)』と目金が名付けたが、多分二度と使われない




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番外編 世界への挑戦ver.リローデッド 前編




どうも………お久しぶりでございます……

GWに更新しようと頑張ったけどこのザマ……。

本当に申し訳ありません


リアルの事情やスランプ、執筆出来なかった期間が長く書き方を忘れて……続きよりも書きやすかった為「リローデッド」の方で試しに書かせていただきました。

エタったかと思われてしまったでしょうが、そんなつもりはこれからもありません――――まぁ、説得力はないですよね

更新停止期間中にお気に入り・評価・感想をいただいた方々、ありがとうございます!



今話の後書きは前話と同じく後で追記する予定です。


誤って消してしまったため再投稿となっています

後書き追記しました




「「「優勝だぁぁーー!!!」」」

 

「雷門がぁ――――?」

 

「「「日本一ぃぃぃぃ!!!!」」」

 

「……なんだ、まだやってたのか。

飽きねぇなアイツらも」

 

車内に響く歓声で目を覚ます。

決勝戦後、指一本動かせないまでに疲れきっていたからか座席に着いた途端に睡魔に呑まれ眠ってしまっていたらしい。

時計を見る限りかなり時間は経ってるんだが、その間ずっとはしゃぎ続けてたのか……?

意識の半分がまだ微睡んでいる中、監督の声が届く。

 

「おいお前達、はしゃぐのも良いがアレを見てみろ」

 

「監督?何かあったんで――――おぉ!

見ろよお前ら、俺達の学校が……!」

 

円堂と監督の言う通り校舎へ目を向ければ、そこには俺達が乗るバスに手を振る人々の姿があった。

皆がその顔に満面の笑みを湛え、正にお祭り騒ぎといった具合だ。

 

「どうしたんですかキャプテン?―――――うわぁ!」

 

「こりゃあ凄ぇな……」

 

「ああ、クラスの奴も宮坂達も……もしかしなくても全校生徒揃ってるんじゃないか?!」

 

「俺達、本当に優勝してきたんスね!」

 

「あっ!イナズマイレブンのおじさん達でやんす!」

 

「それだけじゃない、商店街の人達もいますよ!」

 

学舎の皆だけでない、雷門町に住む様々な人の姿がそこにあり、彼等は俺達の優勝を祝福する為に此処へ集まってくれている、それがひどく喜ばしい。

 

何より、校舎の至るところに施されている装飾、【祝!FF優勝】【伝説のイナズマイレブン、ここに再誕!】といった掛け軸等、俺達が優勝してから準備したのでは間に合わないものだってある。

それは―――

 

「試合前からずっと、俺達の勝利を信じてくれてたのか……」

 

「帝国で優勝した時と比べるべくもないな、これは」

 

「ああ。本当は夕香の所へ先に行くつもりだったが、これはこれで良いものだな」

 

やがてバスはグラウンドの中央に停車し、周りは俺達が降りて来るのを今か今かと待ちわびる人に囲われる。

 

1人、また1人と下車し、マネージャーと監督を含め、最後の1人が地に足を着けた瞬間―――

 

「「「「「FF優勝、おめでとう!!!」」」」」

 

空気が爆発したかと錯覚する程の大喝采が沸き起こる。

それに続いて

「いい試合だったぞー!」

「お前らサッカー部は、雷門の誇りだ!」

といった様な賛辞の嵐は衰えるどころか、更に燃え上がっていく。

 

キャプテンの円堂はあっという間に人だかりが出来、質問攻めにあっていた。

それはエースストライカーである豪炎寺、司令塔の鬼道も同様で、隣の二人は今まさに此方へ押し寄せて来るの人の波を見て顔をひきつらせている。

 

「これは……大変だな」

 

「ま、有名税みたいなモンだろ」

 

「お前だって他人事じゃないだろう」

 

「かもな。けど、流石に疲れた……先に部室で休んどくよ」

 

そう言うと共に気配が希薄になった天願は雷門イレブン目掛けて走り寄って来る彼等の間をスルリと縫って歩いて行った。

まるで天願だけが見えていない様に思える歪な光景を見た二人は

 

「アイツ、日に日にヤバくなっていくな」

 

「影野ですら人の渦に飲み込まれてるんだが、どういう訳だ……」

 

試合が終わった時以上に、酷く疲れた顔をしていたという。

 

 

 

 

 

「―――い、おい!起きろ天願!」

 

「……んぁ?」

 

部室で少し寛いでから戻る予定だった筈なのだが試合の疲労が思っていた以上に残っていたらしい。

椅子に腰掛けて数分と経っていなかったが、どうやら眠ってしまっていたようだ。

目を擦ると呆れた表情をした豪炎寺と鬼道、そして円堂がいた。

 

「……完全に熟睡していたな」

 

「良いのか?そろそろお前が居ないって騒ぎになってきたぞ」

 

「っていうか質問攻めから上手く抜けれるやり方があったら教えてくれよ……疲れた……」

 

グラウンドの方から「天願何処行った?!」といった声が響いてくる。

しまった、5分位で戻る筈だったのに……。

 

「あー……大丈夫じゃね?」

 

「すっげーテキトーな返事……まぁ、大抵の事なら【天願だからな】でなんとかなる様になってきたし今更か?

 

でも"雷門イレブン"じゃなくて純粋にお前と話したそうな奴もいたし、喜んでる皆に水差すのもなんだ、そろそろ戻ってやれよ?」

 

「ああ、分かったよ。

―――にしても俺達が日本一、か」

 

「なんとも言えない気分だな」

 

「でも鬼道はこれまで優勝した事があるだろ?」

 

「確かにそうだが、今回は違う。

俺にとって特別な意味があるんだ」

 

「それを言うなら、俺達全員にも意味はある」

 

「ああ、人数すら足りなかった俺達がここまで来れるなんてな」

 

昔を思い返しながら円堂が呟く。

 

「人数っていえば、天願の引き抜きが一番怖かったよなぁ」

 

「ほう?そんな事があったのか」

 

「色んな部活が"天願はウチに居てこそ輝ける"とか"サッカー部みたいな弱小に引き留められて可哀想だ"って具合に迫ってきて、ホント大変だったよ」

 

「生徒だけじゃなく顧問や、時には生徒会まで……お陰で気配遮断が滅茶苦茶上達したんだよな……」

 

俺の姿が見えなくなった分、円堂への皺寄せも増したけど。

 

「「(ああ、さっきのはそういう……)」」

 

……豪炎寺と鬼道が納得と呆れを含んだ目で見てくる……なんかしたっけ?

 

「そんな俺達が、気付けば日本中からスゲーって言われる奴等になったんだな」

 

「ああ!雷門は凄いチームになった!」

 

「皆、どのチームにも負けない位の特訓を積み重ねてきた。どんな困難すらも乗り越えれる程にな」

 

「そうだ。個々のテクニックでも強力な必殺技でもない。メンバー全員が培ったその精神こそが雷門の強さだ!」

 

「諦めない事。それこそが俺達の必殺技。何時だったか、そんな事を言ってたな」

 

「このまま来年も優勝目指すか!」

 

「だがこの前に!俺達は次のステップに進まねばならん」

 

「「次のステップ……?」」

 

「分からないか?二人とも」

 

次……そういやいつ来るかは知らんが、ストーリーじゃエイリアン学園(?)が来るんだったか?

宇宙一→世界一なんて、変な順序だから覚えてたが、それまでの繋ぎの話までは記憶にねぇな……。

 

「世界だ!」

 

へぇ、ここで世界編への伏線張ってたのか。

エイリアン前に世界との試合があった、そんな記憶はないからそれまでに来ておじゃんになるんだろうなぁ……。

 

「…………うぉぉおおおぉぉぉおおお!!!!!

世界か!?」

 

「世界、ね。

レベルが上がれば、それだけ必殺技も凄まじいモンになんだろうし――――面白ぇ……!」

 

とはいえ、それはそれとしても世界編辺りは全然覚えてねぇからマジで楽しみだ!

まだまだ再現出来てねぇ技が山程ある!

俺が考えもしない発想から生み出された必殺技、それを見て生まれたアイデアが、新しい技の完成に繋がる―――やっべぇ、想像するだけでゾクゾクしてきやがる……!

 

「―――――やはり、お前達ならそう言うと思ったぞ」

 

「監督!?」

 

「早速だが、今のお前たちにとって丁度良い話があるんだ」

 

そう言った監督は、突然現れた彼に呆けている俺達を見てニッと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈遂にこの日がやってきました!

日本とスペインの親善な意味を持った、記念すべき試合です!

 

日本一となった雷門中と、スペイン少年リーグの優勝チーム、バルセロナ・オーブの世界を股に掛けた試合に、日本中が注目しています!〉

 

「おぉーい!」

 

「やっほー!」

 

「いぇーい!」

 

円堂と一年組は観客に向けて手を振ったり、ポーズを決めたりと思い思いに楽しんでいる。

 

〈おお、雷門の選手達が大きさアピール、日本のサポーターは大興奮だぁ!

今や伝説のチームとなった雷門、日本を代表して世界の強豪と戦うぞ!〉

 

「円堂、それにお前たちもはしゃぎ過ぎだ」

 

「そうか?良いだろ、たまには」

 

「気持ちは分からなくもないけどな」

 

「しょうがねぇよ。この間まで誰にも見向きされなかったのが、今じゃこんな大歓声の中だ。

少しは大目に見てやろうぜ」

 

「影の薄さで悩んでた筈の影野のアピールにだって、ちゃんと反応があるんだ。

そりゃ悪ノリだってするさ」

 

「偵察に来た奴等をファンと間違える位だったしな。

まだ応援慣れしてねぇのに、気付きゃこんなバカデカイスタジアムの全方向から、だ。

ただ――――――お前ら!程々にしとけよ!」

 

「「「はいッッ/はいッス!!!」」」

 

染岡の喝を受けた一年組は、ビシッと姿勢を正して返事をする。

 

「俺達が何処までやれるのか、楽しみだよな」

 

「世界ともなりゃ、俺なんかよりヤベェ奴等がいっぱい居るだろうな……」

 

「お前みたいなのがそう何人もいてたまるか……」

 

「「「うんうん」」」

 

風丸がボソッと漏らした声に全員が示し合わせたかのように一斉に頷いている。

世界ともなりゃいそうだけどな、この世界。

 

「しかし、こんな直ぐに世界を相手にする機会が巡ってくるとはな」

 

「スペインの名目、バルセロナ・オーブだ。

相手にとって不足なしだな。

雷門の――――いや、日本の力を魅せてやるか!」

 

「ああ!」

 

「なんかトイレ行きたくなってきたっス…」

 

「ただのエキシビションだってのに、この雰囲気はヤバいね」

 

「良いじゃねえか、声援は多い方が燃えるってモンだ!」

 

「久しぶりに味わってみるか、世界のレベルを!」

 

「行くぞ皆、相手は世界だ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

 

 

 

 

〈さぁ!待望の親善試合――――開幕だぁぁぁ!!!〉

 

キックオフと共にボールを受け取った染岡は豪炎寺と共に前進、ワンツーを挟んで立ちはだかる相手を躱していく。

パスコースを遮られると同時にカバーリングされるが、直ぐ様隣まで走り込んでいた一ノ瀬にパス。

 

その間に豪炎寺がシュートレンジまで侵入すると同時にマークを振り切っていたのを確認した一ノ瀬は受けたボールをダイレクトで繋げる。

 

「豪炎寺!」

 

「任せろ―――ファイアトルネード!」

 

しかし、アロンソはシュートが迫り来るのを見ても特に構えた様子はない。

左右に体を揺らしながら呑気に眺めていたかと思えば、ふと人差し指を立てた右手とシュートを見比べ出す。

 

ボールがゴールに近付くにつれ、1本また1本と指を開いてゆき、ついに平手となった腕を突き出した。

片手の上、技を使ってすらいないにも関わらず、燃え盛るシュートを受けたその腕は微動だにしない。

 

アロンソの手のひらで勢い良く回転するボールだが、やがてその勢いは完全に殺されてしまった。

 

〈………な、なんと!豪炎寺のファイアトルネードを片手で止めきったーー?!

まさかの展開にスタジアム中に動揺の声が――――こ、これは!?

GKアロンソ、豪炎寺にボールを返し………ちょ、挑発だとぉーーー?!〉

 

「円堂ぉ!」

 

瞬間、一気に事態が動き出した。

鬼道の呼び掛けとほぼ同じタイミングで前へ飛び出す円堂に代わり、天願が大きく後退。

他DFはいつでもラインを変えれる様に敵の動きに注視、前線を押し上げていたメンバーはセンターライン付近まで下がり、敵の反撃に備える。

 

 

 

 

「いくぞ!イナズマ――――

 

「「ブレイク!!!」」」

 

轟音を響かせながら、紫電入交じる一筋の稲妻が落ちていく。

 

それを見ても余裕を崩さないアロンソは、その巨体からは想像もつかない軽やかな動作で跳躍する。

大きく跳び上がった体は重力に引かれ出し、始めはゆったりと、しかし確実に勢いを増し―――ズシンと腹に響くような重い音を鳴らし、シュートを押し潰す。

 

ボールは未だ辛うじて回転を続けているが、アロンソの過重で地面に抑えつけられ、その力はみるみるうちに衰えていった。

 

 

「―――なっ!?」

 

「あんな止め方……!」

 

「ッ!?不味い、戻るぞ!」

 

「――――いや、待て」

 

ボールはMFクラリオへ、バルセロナ・オーブの反撃が始まる。

とはいえ、雷門はこの事態を予測し対応出来る様に固めていた、のだが……

 

「速いっ――!?」

 

「でもこの位ならっ……ってあれぇ?!」

 

想像を上回る動きに追い付けない、なんとか喰らいつくも、今度は洗練されたその技術に翻弄され、相手の思うがままに動かれてしまう。

 

「おい鬼道!本当に良いのかよ!?」

 

「今、いや相手の攻勢を受けてから戻ってもどうにもならなかっただろう……だから、アイツに懸ける!

それよりも、お前たちこそ準備をしておけよ」

 

〈先程とは一転、バルセロナ・オーブの反撃!!

雷門はまるで手も足も出せず、あっという間にシュートレンジへ入られる!

しかしどうした事だ、GKの円堂は戻らない!何を考えているーーー?!〉

 

既にクラリオは目の前、ゴールを守るのは俺しかいない。

円堂と豪炎寺が戻ってないのは鬼道の指示だな。

俺が止めて彼処まで繋げんの信じてんだろうが……責任重大だなオイ。

 

「あまりプレッシャーかけてくれるなよ―――っと!」

 

クラリオから放たれたシュートから推測した軌道に足を差し込んで受け止めて―――これは……。

 

「ほう?」

 

止めた事への感心、もしくは意外にも、ととれる声が聞こえてくる。

動揺を悟られぬよう冷静な様を装ってこそいるが、上手く隠せている自信はない。

 

さっきまでのプレーを見て彼我の実力差が離れているとは気付いたが、その程度の認識ではまるで足りない。

今の随分と手心を加えていただろうにこのシュートでアフロディのゴッドノウズに匹敵――――凌駕する。

 

必殺技さえ伴わなければどんなシュートだろうと止められる、そんな自負があったがMFでこれだ。

 

鬼道の狙いは超ロングシュートからのシュートチェイン。

俺も同じ事考えてたんだが、恐らくはこのままやったところで得点には至らないだろう……参ったな。

 

化身ならいけそうだが、格上相手に序盤から大きな消耗は避けたい。

かといって、得点は出来るうちにしておきたいのも事実。

限りなく疲労を抑えた上で強力、そんな都合のいい技―――無くはないが、ほとんどギャンブルなんだよな。

 

「でもまぁ、何のリスクも負わず勝てる様な勝負じゃねぇか―――『ザグルゼム』」

 

呟くと共に、膨大な電気が発生し足先へ充填し始める。

その脚で踏みつけると足からボールへ雷光が移動する。

が、それだけで何も変化が起こらない事にクラリオが眉をひそめている。

 

そりゃそうだ。シュートやドリブル、ブロックでもパスですらない、その上単体では何の効果もないしな。

 

勿論、本当に効果が無い訳じゃない。

この技の真価は――――

 

身体を捻り1回転させ勢いをつけた脚、その踵を浮かせていたボールへぶつけ、全力で打ち出す!

 

「―――――『ザケルガァァァ!!!』」

 

――――雷の性質を持つ技の強化!

偶然とはいえよく再現出来たよなこれ、我ながら今でも不思議だぜ。

 

ボールは踵と衝突した途端に閃電を瞬かせ、爆発的な加速を得て突き進んで行く。

 

「は、速ぇっ!?」

 

「あれは確か染岡との合体技で使ってた、けど……」

 

「あんな威力はなかったぜ?!」

 

バルセロナ・オーブの面々がシュート放たれた事に一拍遅れて気付いた時には、センターラインなど当に過ぎ去っており――

 

「あれ程のシュートでもまだ足りない、そう判断したか…」

 

「やはりこの試合はかなりの苦戦を強いらそうだな」

 

「ところでアレ、一直線に飛んでくるけど『イナズマブレイク』で上に蹴り上げたら逆に威力が減るんじゃないか?」

 

「「……………」」

 

その疑問を聞いた二人が顔を見合わせて天願の方を見れば円堂の指摘した事に遅まきながら気付いたらしい、青ざめた顔で掌を合わせて幾度となく頭を下げている。

本来の流れならばある程度の高度をもたせたシュートを蹴り落とす筈だったのだが、今飛んでいるシュートは余程小柄な者であっても3人で蹴るには厳しい高さだ。

シュートはもう間もなく円堂らの元へ差し掛かる、迅速に判断しなければ間に合わない――!

 

「あのバカ……!

仕方ない、アレでいくぞ!」

 

「この3人でやるのって初めてだけどどうする?!」

 

「イナズマ1号のタイミングで合わせろ!」

 

「わかった!」

 

「『皇帝ペンギン――――』」

 

「「『2号』!!!」」

 

それは『ザケルガ』のシュートチェインの影響だろうか、鬼道が口笛を吹くと地面から5条の稲妻が立ち上った。

瞬く間に消えた雷樹の下には金色の輝きに身を染めたペンギン達はシュートを追って飛び、正5角形の状でボールを囲う。

そこへ円堂と豪炎寺のキックが乗せられた瞬間、その身に更なる雷光を迸らせ、尚一層の加速を得てゴールへ突撃する。

 

「『未完の尖塔』!」

 

シュートの脅威を正しく認識したのか、先程が嘘の様に真剣な面持ちをしたアロンソの必殺技が繰り出された。

 

ゴゴゴと地鳴りを思わせる音と共に大地から天を衝かんとばかりに切り立った、重厚な威容を醸す連塔がシュートを阻まんと聳え立つ。

 

程無く、何かが軋み崩れる様な重い音とバチバチと硬質的な放電の音、2つの異なる音はフィールドに鳴り響かせ、2つの必殺技の激しさを物語る。

 

やがて――――ペンギン達は雷を喪うと共にその姿を消失させていく一方、塔は初めの威容が見る影もない廃墟を想起させる様相となっても尚壁として立ちはだかり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の刹那、激しい破砕音に連れ立って一条の稲妻がゴールネットを灼いた。

 

 

 

 





化身ぽく見せたくないって思惑があるのは知ったけど……

マジン・ザ・ハンド→×

爆熱ストーム→×


フランケン守タイン→◯


相変わらずの謎基準過ぎる………
それに、そんな風に扱うならなんで化身なんて設定出したし………

オーバーライドは正直、この作品でもやろうとしてたので、名称がついてよかった。
そんで早速取り入れました。


個人的に『スピニングカット』がスピニング(回転)要素も出来て、カッコ良くなったのが良かった。


閑話休題(それはそれとして)



まず今話の前提として、描写から察されたかもしれませんが正史(原作)と比べて全員の身体能力が大幅に向上しています。
響から親善試合の話を聞いた天願がはしゃぎ()()()結果、チーム全員に無茶振りともいえる超特訓を施しました、決勝時の世宇子と同等以上の膂力となっていた彼が。
結果、円堂や豪炎寺、鬼道に一ノ瀬辺りは世宇子に匹敵、その他の面子も僅かに劣る程度までになり(させられ)ました。


但し、あくまでも上がったのは身体能力のみで個々人の技量については正史とそんなに変わっていません。
バルセロナ・オーブの攻勢時、食い付けは出来れど止めるまでには至らなかったのはこの為です。

※個人的にリローデッド(アニメ版)で『イナズマブレイク』を止められた後、身体能力差よりも連携や各々のテクニックで水を開けられていた、と思ったからこうしています。


尚、主人公も更に特訓を重ねてそれ以上になっています。

そこまでにしておけよ天願(S S T)




エイリア学園から全然試合出来てなかったから久しぶりの必殺技設定・解説(作者の自己満)コーナーだッ!


滅茶苦茶長いから興味が無い人は飛ばさないと苦痛だぞっ!








技設定
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『ザケル』

引用「金色のガッシュベル!!」

使用者「ガッシュ・ベル」

今話どころか今までにも登場していないが、後述の『ザケルガ』の解説・比較の為に記述する。

リフティングの要領で浮かせたボールに突き蹴りを浴びせる。
一番近いのは『デスソード』だが、『デスソード』が2回蹴るのに対し『ザケル』は始めの突き蹴りの時点で撃ち出す為、技の出が兎に角速い。
そのくせ威力・スピード共に高く『ファイアトルネード』にも匹敵する程である。
そこを切り取れば優秀に見えるが、距離による威力減衰が激しいという一面があり、ペナルティエリアの外から撃ったところで得点源たりえない。
とはいえ、マークにつかれてもほんの僅かな隙であっても狙っていける程の出の速さは脅威の一言。
シュートチェイン割り込み、シュートをパスなど使い手が良ければ多彩な活躍が出来るだろう――――使い手が良ければ。




『ザケルガ』

『ザケル』同様につま先で浮かせたボールへ後ろ回し蹴りを叩き込む技。
前述の『ザケル』と比べ射程・スピードが向上し、貫通力が付与されロングシュートとしても有用。
その一方で威力はそこまで変化していなく、端的に言ってより使い勝手を良くした『ザケル』といった具合。
ただ、シュートに要する時間が増えた上、一度振り向く必要もあって隙が大きくなり『ザケル』と同じ感覚で運用すると痛い目を見る。




『ザグルゼム』

『マジン・ザ・ハンド』をヒントに生体エネルギーを一箇所に集中して!という思いつきを実行したら、偶然(なんか)出来ちゃった技。
主人公的には『念』の『凝』又は『硬』を通して『ジャジャン拳』『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』を習得したかったらしい。

実はこれ、電気ではなく波紋エネルギーが凝縮されて出来ているのだが練習時に当人は「バチバチしてる――さては電気系だな!」と勘違いした(思い込んだ)結果、本当に電気技になっちゃったモノである。
このエネルギーは足先・掌・頭などの末端部分及びその帯電箇所に接触したものへ自在に移す事が可能である。

作中にもある通り雷・電気系統の技に反応し、その技の全性能を爆発的に向上させる技。
強化対象は『ザケル』等に限らない為、『イナズマ1号』など雷技がそこそこある雷門では結構役に立つ……かもしれない。
この効果は敵味方問わず作用するため、『ザグルゼム』が付与されたボールを奪われて利用され―――なんて事態も起こりうる。
ボールの帯電状態はボール保持者が何らかの技(この技を除く)を使った時点で解除される。
消耗はあまりなく重ね掛けも可能な為、何重にも掛けたボールに弱い技をぶつけて、といった節約戦法が可能だ――――が、この技で強化される、という点が最大にして唯一の欠点である
極端に言えば、つま先が触れただけなのに全力で蹴った時の状態で飛んでいく、という事が起こりうる。

早い話、コントロールがまるで効かなくなってしまう。
普段はボールが足に触れている間に威力や方向といった微細な調整を行っているのに、この技が反応した場合ではボールに僅かでも触れた瞬間、想定以上の速度で(制御する間もなく)飛んで行ってしまう、といった具合だ。

この技を御するには普段から『ザグルゼム』のかかったボールで練習する、"『ザグルゼム』本体"を飛ばせるまで特訓するなど、何らかの工夫を凝らさねばならない。


※今回、主人公が真っ直ぐ飛ばせたのはただ運が良かっただけである。
尚、今回は『イナズマブレイク』のシュートチェインに問題ない高さを狙っていたため、実質失敗している。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オリ技

『未完の尖塔』

バルセロナで未完成かつ先の尖っている塔、とくれば分かる通り、サグラダ・ファミリアをモチーフにした必殺技。

『ザ・ウォール』や『アトランティス・ウォール』の様に地面から教会がせりだして来るイメージ。

技が進化する程に『ルパン三世 お宝返却大作戦』の光の(←ネタバレ注意――反転で見れます)塔が増築されていきG5で完成。
究極進化になると全体が光の線で描かれ、より壮麗な技として完成する。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『雷帝ペンギン1号』

『皇帝ペンギン2号』と『イナズマ1号』のオーバーライド

口笛を吹き、鬼道がボール蹴る迄は普段通りだが、ペンギン達は正面から見て、ボールを中心に正5角形の形を取る様に囲って飛ぶ。
その後、円堂と豪炎寺の『イナズマ1号』を受けて身体を金色に輝くと同時に、ボールを守る様に雷の匣を構築して飛んでいく。

この技のコンセプトは2段攻撃。

ペンギンと中のシュートでそれぞれ独立しており、ペンギンが必殺技に阻まれ消失してしまっても、顕在である中のシュートで突き崩す。
ペンギンで構成される雷の匣は電磁バリアをイメージ、どれだけバリアが削られようと中身には一切影響が及ばない仕様。

この性質上、シュートチェインとの相性が非常に良く、それが雷系の技だとペンギン側の強化も出来より強くなる。

金色に光るペンギンはGガンのハイパーモードかポケモンAG編のトクサネジム戦での自分に雷したアレをイメージ。

雷技にチェインした場合最初からこの状態となり、顔を出す時に地中から天へ雷が立ち上るエフェクトが発生、イナズマ1号を受けた際にボルテッカー状態になる。




感想やアンケート回答、お気に入りが続々と増えてきて、凄い嬉しいです。

ご読了、ありがとうございました!


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番外編 世界への挑戦ver.リローデッド 後編






なんとか1ヶ月以内に投稿出来たか……?

趣味が執筆一本の方もですが、それとは別の趣味も持ってて仕事と共に並立させてる方ってホントに凄いよなぁ、って思います。


EXTELLA LINK、NEWガンブレとやりたいゲームが続々出そうな中、ゼノをやっと倒したばかり……ジョーとかマムやりたかった……

来週のぐだイベだってあるのにどうしようか
取り敢えず人斬り以蔵は宝具5にしたい。やっぱ和鯖ってええわぁ……



無駄話は此処まで


今週に入ってからお気に入り件数の伸びがあって驚きました。何かあったかなぁ?

感想・お気に入り、ありがとうございます!

たけもこ様、誤字報告感謝です!


 

 

 

ポン…ポン…と随分遠くにあるボールの弾む音が聞こえる、そう錯覚させる程にスタジアムはひどく静まりかえっていた。

それは長く続かず何処かからざわざわとした声がすれば、それは瞬く間に会場全体へ伝播しやがてドッ!と洪水の様に歓声が溢れ出す。

 

 

 

〈決まったぁぁぁああ!先制は我らが日本、雷門中!!

天願の超ロングシュートから繋ぐ円堂・豪炎寺・鬼道のシュートチェインが炸裂、バルセロナ・オーブGKアロンソの必殺技を打ち砕いたーーー!!!

 

それにしても何と目まぐるしい展開でしょう!?

息をつく間もない攻防の切り替わり、試合開始直後とは思えない怒涛の動きは観客を置き去りにする程だーーー!〉

 

興奮冷めやらぬといった様子の解説の放送が終わり、尚一段とボルテージが盛り上がる。

 

「やったな、天願!」

 

「イナズマブレイクが止められた時はヒヤッとしたけどな」

世界への緒戦、その第一点目に貢献し且つ会場の雰囲気に当てられ、仲間からの称賛も受けて気分を高揚させた俺はつい呟いてしまったのだ。

 

「おお!真っ直ぐ飛んで良かったぜ!」

 

「ん?」

 

「えっ」

 

「それって……あ」

 

口に出してから空気が一変した事に気付いたがもう遅い。

微妙な雰囲気の中、今の失言をどう言い直そうか悩んでいた俺は背後に迫る気配と皆の意識がそちらに移っていることに気付けなかった……!

 

「ほう?」

 

ポン、と肩に手を置かれる。

 

「なぁ天願」

 

特に力も入っていないはずのそれがやけに重く感じるのは何故だろう。

 

「どういう事か」

 

ギギギ…と錆び付いた機械の様に鈍い動きで振り向く。

 

「詳しく聞かせて貰えるんだろうな?」

 

ヒエッ……鬼道お前、初めて練習試合した時並に邪悪な顔しとるで?

 

試合の勝敗によらず、鬼道の説教が確定した瞬間である。

 

 

一方、皆は触らぬ神に祟りなしとばかりに俺達に触れる事なく話し合っていた。

 

「通りで低い位置に来た訳だ」

 

「皇帝ペンギンを初めてやる組み合わせにチェインするシュートの速さも相まって、上手く行ったのってホント奇跡だよなぁ」

 

「キャプテン達が焦ってたの気のせいじゃなかったんですね……」

 

「『ザケルガ』のオーバーライドの特訓してたけどよ、いきなりあんなのが来りゃ……」

 

「ま、良いじゃないの。過程はどうあれ先制獲れたって事で!

それはそうと……」

 

「ああ。この試合どう見る」

 

豪炎寺の一言を皮切りに空気が引き締まり、その問いに鬼道が応じる。

 

「さっきのプレーで皆気付いたとは思うが、敵は個人技から連携まで全ての面で俺達を上回っている。

特に今までに戦った相手と一線を画すあの連携。

ボールを奪われたが最後、取り返すのは極めて困難と見ていいだろうな。

それに……天願、相手と俺達の能力差はどう見る」

 

ん?俺に聞くのか。

 

「つっても現状、大分手ぇ抜かれてるしな……。

全力を出しきった末でギリ追い縋れる…って所か」

 

「それは加減をされた上でか?」

 

「相手の平常の動き想定してだな。

ま、推測に過ぎない分あてにならんが…」

 

一度周囲を見渡しそこで話を打ち切る。

相手の平常と此方の全力が同等、それは全力を出されれば到底太刀打ち出来ない事を意味している。

 

「お前自身ならどうだ?」

 

「わかんねぇな。

相手の全力を見ないことには何も言えねぇ」

 

そう言った途端、主に一年組を中心にした驚愕の叫びがあがる。

 

「なっ……!」

 

「天願さんでもダメっすか!?」

 

「仮に上回れたとして、それが奴等の高度な連携の前でどれ程の意味を為すか……」

 

「勝ちの目は薄い、だがチャンスが全くない訳じゃない!」

 

「壁が高い程燃えてくる……皆、全力でぶつかっていくぞ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

 

~その頃ベンチでは~

 

「ふぅー、ヒヤッとしたけど何とか凌いだか」

 

「これが世界、やっぱり強い………!」

 

「…………でも、先制は獲れた。これなら………」

 

「そうだね、皆だって負けてない!」

 

「はい!この調子でいけば――――「それは無理だ」え?」

 

危うい場面こそあったものの、何とか立て直し得点まで漕ぎ着けた事に安堵し勝利への希望を見い出した所へ水を差される。

 

「響監督?それはどういう……」

 

「この試合は現実を、日本と世界の歴然とした実力差を知る為のものだった。

俺の見立てじゃアイツらには万に一つたりともチャンスは無かった……筈だったんだがな。

 

……天願、いや雷門を見くびっていたな」

 

 

そこで一度言葉を打ちきった響はニッと口角を吊り上げ

 

「―――――嬉しい誤算だ。

アイツら、世界の足元には及んでいたらしい!」

 

獰猛に見える笑みを浮かべてそう言った。

 

 

~~~~~~

 

バルセロナ・オーブのボールで試合が再開、すかさずボールを奪いに行く雷門だが

 

「クソッ、やっぱり速い!」

 

「いや、これはさっき以上に――」

 

「止められない……!」

 

雷門の必死のディフェンスをいとも容易く抜き去り、あっという間にゴールまで辿り着かれてしまう。

 

一対一となった円堂にバルセロナ・オーブのシュートが迫る。

 

「『マジン・ザ・ハンド』!」

 

シュートは魔神が突き出した手に阻まれ、円堂の手中に収まった。

 

「まだ手がビリビリする、こんなシュート初めてだ……!

いくぞ皆、反撃だぁッ!」

 

ボールを受け取った風丸は

 

「(一度ボールを持たせたらロクに手出しが出来なくなる、なら―――)奪われる前に『疾風ダッシュ』!」

 

直ぐ様必殺技を使いゴール付近にいた相手から距離を取る。

しかし、その距離すら直ぐに埋められたトランシーに……

 

「させないでやんす『スピニングカット』!」

 

栗松からその動きを止めんと空色の刃を放つも軽い動作で躱された。

だが、風丸が染岡にボールを繋げるのにはその僅かな時間で十分だった。

 

「喰らえ!ドラゴンクラァァッシュ!!」

 

〈FWの染岡までボールが繋がったぁ!

染岡の『ドラゴンクラッシュ』は……豪炎寺の元へ!

ドラゴントルネ―――いや違う!これは……〉

 

「やっちまえ、豪炎寺!」

 

「出し惜しみは無しだ!

【琰魔竜 レッド・デーモン】!」

 

「ああ?!」

 

「なんだこれは……!?」

 

「日本はこんな力を持っていたのか。

まさか2度も驚く事にはなるとは」

 

世界には化身の存在が無かったのか、豪炎寺の背後に現れた炎の竜を見たバルセロナ・オーブ、そのサポーターにどよめきが起きる。

 

「『極獄の裁き(アブソリュート・ヘル・ジャッジィィィッ)!!!』」

 

青き竜は獄炎を受け、その身を紅く染め上げるに留まらず、身体そのものを炎へと転じさせる。

 

「ドラゴンクラッシュの力が加わった豪炎寺さんの化身シュートなら!」

 

「いっけぇぇぇ!」

 

それを、バルセロナ・オーブか黙って見過ごす筈が無い。

 

「「でりゃああああ!!!」」

 

DFのフェデリコとグレゴリオの二人がボールを蹴り掛かるが、流石に蹴り返すには至らず二人は弾かれた。

 

「不味い、下がるぞ!」

 

途端、その様子を見ていた天願が踵を返し、守備を固めるよう呼び掛ける。

 

「天願?まさか!?」

 

いち早くその意を察したのは鬼道。

もしやとは思いつつも、周囲へ指示を出しこれからに備え始める。

 

そして―――

 

「『未完の尖塔』!」

 

アロンソの必殺技と燃え盛るシュートが激しくぶつかり合う。

炎の竜は塔を形作る外壁に牙を突き立て、その熱で以て砕き、溶かし、亀裂を深めていくが……

 

「嘘だろ……?」

 

「3人がかりとはいえ、技を使ったのはGKだけだぞ!?」

 

「気持ちは分かるが落ち着け!反撃が来るぞ!」

 

ついぞ崩しきる事は敵わず、火の竜をその身を儚く散らしていった。

 

 

〈と、止めた……GKアロンソ!必殺技と化身技のシュートチェインという恐るべき威力のシュートを見事、止めきってみせましたーーー!!!〉

 

 

皆の気持ちもよく分かる。

化身技は基本的に強力無比で対抗するには同じく化身技か、そうでなければ必殺技を何重にも重ねるしかない。

アロンソと豪炎寺の一騎討ちならば此方に分があっただろう、しかしその前に入ったブロックがこの結果を作り上げた。

それでも、必殺技でもないブロックであそこまで威力を落とされるとは思わなかったが。

 

 

「『スピニングカット』!」

 

「『キラースライド』!」

 

「『フレイムダンス』!」

 

敵の攻撃を止めに必殺技を次々と繰り出していくが、あるものは簡単に躱され、またあるものはまるで堪えておらず、動きを止めることすら敵わない。

すると、何を考えたかゴール前で立ち止まったキャプテンのクラリオに、それを見たバルセロナ・オーブのメンバーもまた立ち止まる。

 

 

「何だ……?」

 

「ここに来て止まった?」

 

常に動き続け隙らしい隙を見せなかった相手が突如動きを止めた事に困惑する雷門。

それを他所にクラリオの視線はゴールにのみ向けられていた。

 

「今度は、此方の手番といこう」

 

「――ッ!?円堂ォォォ!!!!」

 

その仕草・言動から次の取る行動を悟った天願が警鐘を鳴らす。

 

「わかってる!【魔神 グレイト】!」

 

円堂も同じ思いを抱いたのだろう、焦りを多分に孕んだ天願の言葉が届く前に行動を起こしていた。

 

「やはり使えるのか。

では、全力でいくとしよう―――『ダイヤモンドレイ』」

クラリオがボールを削る様に一閃。

それに連なって光の線が宝石のカッティングの如く刻まれ、回数を重ねる毎にボールから放たれる光量と純度を増していく。

その煌めきが最大まで達した時、足裏全体で押し込む様に蹴り出された。

一切のブレ無く凄まじい速度で突き奔る極光と

 

「グレイト・ザ・ハンドォォォ!!!」

 

――――――魔神の豪腕が激突する!

 

 

燦然と輝く金剛石はその光を鈍らせ、荒々しき魔神はその存在を薄れさせていく。

 

やがて、何かが砕けるような硬質な音がフィールドに響き渡り……

 

 

〈なんという………何という熾烈な戦い!

両チームのキャプテン同士が織り成す全力の打つかり合い、それを制したのは――――雷門中、円堂守だぁぁぁ!!!!〉

 

スタジアムは得点の時以上の盛り上がりを見せ、実況のアナウンスすら霞ませる。

そんな音の洪水に紛れ甲高い笛の様な音が聞こえたのに気付き、審判に目を向けると真っ直ぐ手を挙げているのが見えた。

前半は終了らしい。この大歓声と先程の凄烈な一騎討ちに呑まれ、フィールド上の選手―――特に雷門側は―――は気付けていないが。

 

アイツもそうなのだろうと思い、未だ右手を突き出しボールを握り締めたその姿勢を解かない円堂に声を掛けようとして―――「天願、世界ってすげぇな」

 

キラキラと目を輝かせて楽しそうに笑う、その()()()()()の姿を見て

 

「ったく、敵わねぇなぁ……」

 

思わず、そんな言葉を漏らしていた。

 

「ん?なんか言ったか?

周りの音が凄くて全然聞こえない!」

 

「別に、何も言ってねぇよ。

んな事よりもう前半終わってんだ、さっさと戻るぞ」

 

「ええっ!?いつ鳴った?全然気付かなかった!」

 

はい?

 

いやお前、続行だったら6秒ルール取られんだろ……

 

 

 

~~~~~~~

 

 

後半が始まる。

ハーフタイムでの作戦会議に様々な意見が出されたが全ての面において大きく差をつけられている以上、殆どの案が棄却された。

残ったのも俺達が全快の状態なら或いは、といった物ばかりで、休みなく全力で動き続けた上、必殺技や化身を繰り出した皆にはそれを遂行するだけの体力など望むべくもなかった。

 

後半始まって直ぐにバルセロナ・オーブの猛攻が繰り広げられ、前半より動きの悪い雷門がそれを止められる筈もなく容易くシュートに持ち込まれてしまう。

 

1回目は円堂の『グレイト・ザ・ハンド』

続く2,3回目は俺の化身で対処、4回目は豪炎寺が化身技で打ち返しどうにか守れた。

5回目は3人が化身を出せはしたが技までは使えず、それでも3人がかりで何とか抑えこんだ。

 

―――それが限界だった。

それ以降は化身はおろか必殺技すら出せずに得点を重ねてられていき……

 

 

5-1

 

 

 

 

「ハァ………ハァ………皆、やれるか?」

 

「時間がない――これが、ラストプレーだ!」

 

「でももう無理っす……」

 

「ああ……とっくの昔に限界だ……!」

 

最後のワンプレーを全うしようにも、そんな体力など残っておらず諦観の念が場に満ちていく。

 

 

そこへ

 

「諦めるな!最後の一点、これだけは守るぞ!」

 

陰鬱な空気を一蹴する様に円堂が声を張り上げる。

 

(そうだよな、お前が諦める筈がねぇよな!)

 

「キャプテン……」

 

「でもどうやって――――「1つだけ、考えがある」

……天願?」

 

「最後にもういっぺん、一泡吹かせてやりたくねぇか?」

 

「……やれるのか」

 

なんとか大技を1度放てるだけのスタミナが回復した。

けれど―――

 

「俺独りなら無理だ。

だから、お前らの力を貸してくれ」

 

「はっ、言われる迄もない……!」

 

「やるならとことんまでだ!」

 

「よし―――やるぞ、皆ぁ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

ここに来て折れるどころかここ一番の闘志を燃やす雷門に予想外だと目をみはるバルセロナ・オーブ。

 

「へぇ、まだやる気なのか、どうするクラリオ?」

 

「つっても、どう来るか大凡の予想はつくけどな」

 

「乗ってみよう。

俺達の想像を超える()()がまた見れるかもしれない」

 

雷門が策を巡らせている、それを織り込んだ上でこの試合何度目ともなるクラリオの『ダイヤモンドレイ』が炸裂する。

 

幾度も技を放ったというのに技のキレは一切衰えず、一点の曇りも無い輝きを放ちながら雷門のゴールへと迫る。

 

その直進方向に立ち塞がった―――

 

「いくぞ、先ずはこれを止めるんだ!」

 

「「ああ!!」」

 

「「「でりゃああああ!!!」」」

 

土門・風丸・一ノ瀬の3人がほんの僅かでもボールの威力を削ぐ為にこの試合に間に合わせて習得した『ザ・フェニックス』で対抗する、が

 

「クソッ!やっぱダメか」

 

「いいさ!最初からこれで止めれるなんて思ってない!」

 

「後は任せたぞ!」

 

それだけでは止めることは出来ない。

しかしその意思を次に託す。

 

 

 

「ああ!壁山、栗松頼んだぞ!」

 

「わかったっす!」

 

「はいでやんす!」

 

「『マジン・ザ・ハンドォォォ!!!』」

 

最後の力を振り絞り『マジン・ザ・ハンド』を繰り出す円堂と、その背中を支える壁山と栗松。

3人の力が合わさりより強大を力を従えた魔神がその掌をボールに打ち付ける。

 

「「「はぁぁぁあああ!!!!」」」

 

2つの技が衝突し、シュートの輝きが潰えると同時に魔神の姿もかき消えた。

ボールにかけられた回転までは消しきれず、円堂の手から零れ落ちてネット側へ転がり……

 

「「――――まだだぁっ!!!」」

 

ラインを超える寸前、豪炎寺と鬼道の足が差し込まれた。

2人はその勢いのまま蹴り出しクリア、ボールは緩やかな弧を描き一気にセンターライン付近まで達したそれを追って1つの人影が跳び上がる。

 

「「「いっけぇぇぇーーー天願!!!」」」

 

「月牙――――――

 

宙高く飛び上がった天願が蒼白の輝きを宿した右脚を振り上げ、踵落としの要領で蹴りつけた。

 

天し「やはり、そう来ると思っていた」―――!?」

 

 

 

 

 

side-天願

 

 

巨大な岩山を動かそうとしている、どれだけ力を込めてもこれ以上進まない脚を見てそんな事を考えた。

 

「パスやドリブルが通じない以上、そちらが得点をする手段はカウンター、それしか残っていないからな」

 

どこまでも冷静に自然体で語るクラリオは本当に力を込めているのか疑わしくなる程に、力んでいる様子など露ほども見えない。

 

 

「あの状態から此処まで繋げたのは素晴らしい―――が、それはそれとして、2度も同じ手を喰らう姿を本国に見せる訳にもいかないのでな、止めさせて貰う」

 

グッとクラリオが力を強めるに連れ、徐々に押し戻されていくのを感じる。

それに連動して脚に宿る燐光は明滅を始め、一度消える毎に弱まっていく。

技が打ち消されるのも最早時間の問題だろう。

――――が、()()()()()()()()()()

 

 

――――ありがとよ

 

 

「?」

 

「アンタが止めに来てくれなきゃ、この作戦は失敗だったろうからな――――はぁぁぁぁああ!!!!!」

 

「これはッ――――技の出力が上昇していく……!」

 

時間が巻き戻るかの如く後退していた分を取り戻す様に少しずつ押し返して行き、同時に数瞬前には淡かった光が美しい月色の輝きを取り戻す。

 

急に力を増した事に瞠目しながらも直ぐに力を強めるクラリオだが、さっきまでの様にいかず焦りを見せ始めた。

 

「最後に一点、獲らせて貰うッ!」

 

今この瞬間にも月牙の威力は上がり、クラリオを押しきる迄あと僅か。

 

 

 

(よしっ!このまま押しきっ

 

「『ダイヤモンドレイ』!!!」――――んなっ!?)

 

 

そんな時、急に脚に掛かる抵抗が大きくなる。

今しがた聞こえた声にハッとしてクラリオを見れば……

 

 

「嘘、だろ……?!

(コイツ、あの態勢から……!)」

 

左脚で無理な姿勢から、しかし確実に技を発動させている奴の姿があった。

これまでと比較にならないパワーで再び押し込まれてしまう。

 

「がっ、あああああ!!!!

まだだッ!アイツらがここまで繋いでくれたんだ……まだ、やれる!!

(なんだ?良く分からんねぇがスゲェ力が出てくる!)」

 

 

「ッ!?まだ、上がって――なんだ、その、姿は?!」

 

「ぜりゃあああぁぁぁぁ!!!」

「ぐ、ぬおぉぉぉおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他に思考を割く余裕など無かったからだろう。

技の応酬の刹那、自身に起きていた変化に気付く事はついぞ無かった。

 

 

side out

 

 

 

 

 

長く続くかと思われた激突は、思いの外呆気なく()()()()()()

空中で脚を振り下ろした天願、対象的に大きく姿勢を崩したクラリオの2人の姿を見れば一目瞭然だった。

 

 

だというのに、肝心のボールが見当たらない。

皆が一様に周りを見渡そうとしたその直後、静まり帰るフィールドにボゴッ、と何かが凹む様な音が響き渡る。

 

予想だにしない方向から聞こえた音に誰もが視線を向けると、バルセロナ・オーブのゴール、揺らめくネットのその奥の壁に()()残滓を散らしながらボールがめり込んでいた。

 

それが確認されたのに少し遅れて試合終了のホイッスルが鳴り渡る。

 

「な、何だ……どうなったんだ?」

 

「わかんねぇ、ボールを目で追えなかった」

 

「天願がやった……のか?」

 

困惑するプレーヤーや最後のプレーを捉えきれなかった観客へ説明する様に実況の声が轟く。

 

〈試合終了ーーー!

雷門の見せた最後の意地(チームプレー)、その果てに起きたクラリオと天願の一騎討ち!

それを征したのは―――――――天願だぁぁぁ!

目にも留まらぬ漆黒のシュートがゴールネットすらも突き破り、土壇場でゴールを決めたぁぁぁ!!!

 

しかし結果は5-2、この試合の勝者は

 

―――バルセロナ・オーブだぁぁぁ!!!〉

 

 

 

試合の健闘を讃える様に割れんばかりの喝采が沸き上がっている――――筈なのに、それがどこか遠くの出来事の様にまるで耳に入ってこない。

 

倒れ込む様に崩れ落ち荒く息を吐く仕草、呆然として現実を受け入れられない様子、悔しさに顔を歪めるその表情。

 

そんな皆の姿を見てやっと実感した

 

―――――――自らの敗北を。

 

 

 

 

 

 

 

…………そうして俺達(雷門)は、自分たちの弱さを思い知った。

 

 

 

 

 

 

 

 





オーバーライドって4人以上の協力って条件があるかもしれんのか……。
ま、その時はその時で考えればいっか。


今回最後に出したあの要素、書くかどうかギリギリまで悩んだなぁ……
本来なら沖縄で初出の予定だったんだけど、此処で出さなきゃアレス√で出す切欠無くなっちゃうし。




しかしうーん……何て言うかなぁ。
文才もだけど、それ以上に展開力のなさが酷い。
ゴール前から強力シュートで速攻カウンター!これ多過ぎてなぁ。
現実のサッカー見るとか色々勉強しないと……





アニメの新しくリファインされた技、全部良い感じになってきてて嬉しい。
リローデッドのがちょっと残念だっただけなんや……。

アニメといえば風丸がまた闇丸してますね……。
まあ、豪炎寺や鬼道みたいに生粋のサッカープレーヤーでもなかった人が教育側へ、ってのも大分無茶な話か。
FF直前に陸上から転向だから、長くても2ヶ月位だろうし。
とはいえ、精神性位はなぁ……これじゃ何の為の強化委員?ってなってしまう。次話でどうなるのか。


そして伊那国雷門の強さがよくわかんないです。
必殺技持ちも増えて成長してるのは分かるけど、それを踏まえても監督が有能ってイメージしか出てこないし……監督抜きの実力が知りたいところ。




今回の補足

Q.バルセロナ・オーブって5点しか取れなかったの?

A.通常シュートなら全て天願が止めれます。
それを見たオーブ側が必殺技へシフトしていくのですが、化身によって止められた6回と最後の2回、計13回も必殺技を使う事に。

クラリオ以外の他FWが撃ったにしても流石に多いかな?と思っのに加え、アニメで試合中に1選手が5回以上技を使った記憶があまり無く、GO以降は更に(特にGK)技なしで~、といった印象が強い為こうしました。
私が覚えてないだけな気もしますが……。

実際、1試合中に最も多く技を使った選手って誰になるんでしょう?
ジェネシス戦のグラン・立向や、FFIのロココ辺りが凄く連発してたイメージがあるんですが、記憶が朧気で微妙……。


Q.『月牙天衝』って溜めの長い技だったんじゃ?

A.はい、その通りです。
月牙を含めた、化身技に匹敵する威力を有する必殺技は長大な溜めがあっ(隙を晒し)たり、普通の技より消耗が多かったりと何らかの欠点を有します。
現時点では戦国伊賀島戦の『風遁・螺旋手裏剣』、木戸川戦での『X BURNER(イクス バーナー)』等も
これに該当します。

後者2つは何らかの手法で溜め()を減ったとしても威力に然程変化が出ないのに対し、月牙は溜めの時間に比例して威力が変動が起こるもので、実の所一切の予備動作なしに繰り出す事が可能です――――その場合威力はお察しですけど。

敢えて例を挙げるなら、前者がモンハンでいう大剣の溜め斬り、後者がスラアクの属性解放フィニッシュみたいな感じです。

本来なら蹴る前に出力を上げきるこの技を、クラリオと蹴り合いになった状況を利用し、蹴りながら威力を増幅させていきました。

こういった運用も出来る為、月牙はシュートよりもシュートブロックの方が向いてたりします。

まだ斬魄刀の銘も知らぬ一護が大虚(メノス・グランデ)虚閃(セロ)を受けて霊力が解放され初めて月牙を撃った時をイメージしてます。


それはそうと最近、ふと軌跡ss書きたくて仕方ない日が出てくる………なんでだろ?
どうせ書くなら閃Ⅳで物語の全容が判明してからの方が書きやすいし、今書くにしてもイナイレが中途半端になるからする予定はまだないですが。




ご読了、ありがとうございました!






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