ラブライブ!ウルトラ伝説!私たちの光! (海神アグル)
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キャラ設定



キャラ紹介です。



天青竜司《てんじょう りゅうじ》

 

モデルは「サーヴァンプ」のクロ。

 

身長は170㎝

左目に眼帯をしていて、右目の瞳は赤で髪が白い。

口調がどこぞの一方通行っぽい。

ヒロインは穂乃果。

性格はかなりの面倒臭がり屋で無責任。

だが自分に無いヒーロー像を持っているウルトラマンや仮面ライダーに憧れている為、困っている人をついつい助けてしまう。

穂乃果の最初にできた友人にして、初恋の人。

姉が6人、妹が3人いる。

 

CV:福山潤

 

 

 

 

土方盾《ひじかた しゅん》

 

見た目は「黒子のバスケ」の紫原敦。

 

身長は210㎝

竜司と同じくらい面倒臭がり屋。

海未が唯一初対面で怖がらなかった希有な人物。

お菓子大好き

ヒロインは海未。

 

CV:鈴村健一

 

 

 

 

 

朱雀恭弥《すざく きょうや》

 

見た目は「家庭教師ヒットマンREBORN」の雲雀恭弥。

 

身長は170㎝

性格は、モデルとなった雲雀と同じ。

でも群れ嫌いではない。

ことりに甘い。

ヒロインはことり。

 

CV:近藤隆

 

 

 

 

 

雨崎蒼燕『あめさき そうえん』

 

見た目は「ブリーチ」の一護の髪の色を蒼黒くした感じ。

 

身長は190㎝

性格は大雑把だが頭は良く、何気に成績は絵里を超えるほど。

海が好き。

絵里の幼馴染み。

絵里をからかうのが趣味になりつつある。

 

CV:森田成一

 

 

 

緋村茜『ひむら あかね』

 

見た目は「黒子のバスケ」の赤司を絵里より若干短いポニーにした感じ。

 

ヒロインは希。

 

身長は169㎝

希とは中学以来の友人で、孤独だった希にめげずに話しかけた事が切っ掛けで友人になり得た。

絵里とは、蒼燕を通じて知り合う。

将棋が得意で、その腕前は一流の棋士レベル。

後のマネージャー組の裏リーダー。

怒ると絵里や海未よりも恐い。

 

CV:神谷浩史

 

 

 

 

氷川 氷麗(ひかわ ひょうら)

 

見た目は「僕は友達が少ない」の小鷹。

 

身長は187㎝

髪の色は水色を基調に、側面が金髪。

性格はバカ&無鉄砲。

真姫の幼馴染み。

両親をそれぞれの仕事場の事故で失い、真姫の家で厄介になっている。

 

CV:木村良平

 

 

 

 

寺獄嵐助《じごく らんすけ》

 

見た目は「家庭教師ヒットマンREBORN」のGを茶髪にした感じ。

 

身長は170㎝

凛と花陽の幼馴染み。

料理上手。

凛のストッパー役で、そのせいで凛と花陽からは兄のように慕われる。

 

CV:小野友樹

 

 

 

 

 

火神イクス

 

見た目は「家庭教師ヒットマンREBORN」の10年後XANXUSそのもの。

 

身長は190㎝

嵐助と同じ、凛と花陽の幼馴染み。

顔に大きな傷があり、凶悪そうに見えるが、その実、花陽に対し異常に過保護。

よって嵐助同様に2人から兄のように慕われる。

 

CV:池田政典

 

 

 

 

地白虎亜《ちしろ こあ》

 

髪型がDEATH NOTEのニアで、目はパッチリ二重瞼の碧眼。

 

身長は170㎝

面倒見が良く、頭の回転も早いので、空気もそれなりに読める。

ニコとは小学校からの幼馴染みで、良き理解者。

 

CV:KENN



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プロローグ

ごゆるりとお楽しみにください
ちなみに第三者視点はこれで→◎、表します

尚、この小説は台本形式です。



◎side

 

 

暗い夜道を一人の少年が歩いていた。

 

その少年の見た目は、かなりのイケメンだが髪が真っ白で、瞳は血のように赤く、左目は眼帯をしている。

 

髪型は若干パーマがかかっている。

 

「ああ、すごく眠い…」

 

少年は愚痴を言いながら、左手にはコンビニで買ったと思われる苺牛乳の入った袋を下げて歩いていた。

 

しばらく歩いて少年は自分の家の前につくと、おもむろに顔を上げた。

 

「今夜は荒れてるな……さっさと家の中に入ろう」

 

そう言って少年は自分の家に入った。

 

彼の名は、「天青竜司」

 

この家の主である。

 

竜司の言うとおり、今夜の天気はおかしかった。

 

空にはブラックホールのようなものが渦巻いていた。

 

まるで、近い未来に不吉なことが起こるのを予言しているかのように。

 

 

 

 

竜司side

 

 

翌日。

 

「ふああぁぁぁ~~~。よく寝た」

 

俺は小鳥の囀ずりが聞こえるなか、大あくびしながら起きた。

 

朝日の光が俺を照らす。

 

「鬱陶しいほどに眩しいなぁ~」

 

俺は忌々しいそうに言う。

 

朝に強い奴はそうでもないのだろうが、俺みたいに弱い奴にとっては鬱陶しい。

 

「さて…、二度寝するか…」

 

そう言って俺は、もう一度瞼を閉じる。

 

今日は学校だが、そんなのは俺の眠気の前では無意味だ。

 

どれくらい無意味かというと、どこかの怪盗の兄が「いい台詞だ。感動的だな。だが無意味だ」っていうくらい無意味だ。

 

それに今日はどうせ始業式だけだし、別にいいだろ…。

 

そう思って夢の中にダイブしようとしていると、

 

「りゅーーーーちゃぁぁぁあああん!!」

 

ドタドタと騒がしい声と音が、一階から聞こえてきた。

 

こんな事する奴は、あいつしかいない。

 

しばらくすると、バンッ!! という音ともに俺の部屋のドアを開けてきたのは、明るい茶髪を右にちょんまげのようにサイドテールにした、俺の幼なじみの女の子。

 

 

 

 

 

 

 

音ノ木坂の制服に身を包んだ「高坂穂乃果」がいた。

 

 

 

 

「竜ちゃん、おっはよ~う!」

 

そう言いながら、俺の上にダイブしてきた。

 

「グハッ!?……おい…何しやがる…穂乃果?」

 

「えっ?何って、竜ちゃんを起こしに来たんだよ」

 

「そうか……。それは分かった…。だが、なぜ俺の上にダイブしてきた?」

 

「うーーーん?」

 

俺の質問に考える穂乃果。

 

「………その場の勢い…?…………テヘペロ☆」

 

ブチッ!!

 

その瞬間、俺のなかの何かがぶちギレた。

 

ガシッ!と、右手で穂乃果の頭を掴み、力を入れる。

 

「よう…穂乃果。やって良いことと、悪い事があるのは分かるよな…」

 

「ごめんなさいゴメンナサイごめんなさい!!!!」

 

ギリギリという音がするほど力をいれると、穂乃果は必死に謝ってきた。

 

なのですぐに離す。

 

「うぅぅー…。頭が痛いよぉー」

 

穂乃果は頭を抑えながら泣き言を言うが、それに構わず俺は「お前が悪い」と言う。

 

だが穂乃果は、

 

「でも、穂乃果が起こさないと、竜ちゃん今日は二度寝する気だったでしょ」

 

と、涙目の上目遣いで聞いてくる。

 

それに対して俺は全くその通りなので反論出来ない…。

 

仕方ない。

 

こうなった以上、二度寝は諦めよう。

 

「はぁ~~~。分かった分かった。起きて学校行きゃあいいんだろ?行きゃあ」

 

そう言うと穂乃果は「うん!!」と元気よく返事する。

 

全くこいつは…。

 

 

ーーーーー

 

 

今、俺は穂乃果と一緒に登校している。

 

俺達が通う音ノ木坂は、数年前までは女子高だったのだが、少子化に伴い共学になった。

 

しばらく道を歩いてると、見覚えのある四人の男女を発見した。

 

同じく穂乃果も気づいたようで大きな声で挨拶する。

 

「おーーーい!! 海未ちゃぁぁぁん!ことりちゃぁぁぁん!恭弥くーーーん!盾くーーーん!」

 

「あっ♪穂乃果ちゃん!おはよう」

 

「おはようございます穂乃果」

 

「あっ…おはよう…穂乃ちん」

 

「………」

 

四人それぞれの反応をする。

 

最初に穂乃果に反応したのは、「南ことり」

 

ベージュの髪で甘々な脳トロボイスが特徴の美少女。

 

次に、「園田海未」

 

青いロングの髪で、凜とした雰囲気の大和撫子な美少女。

 

3番目に、「土方盾」

 

紫色の髪で身長が2mもある男。

 

最後に、「朱雀恭弥」

 

線の細い黒髪の美少年だが、これでも中学の時は最強の不良と呼ばれていた。

 

しかも、音ノ木の風紀委員長。

 

その証拠に上から羽織っている音ノ木の上着の腕部分に腕章を付けている。

 

朱雀曰く、「面白そうだから」という理由でなった。

 

ちなみに俺含めて全員幼なじみだ。

 

「竜司もおはようございます」

 

「おはよう♪竜くん」

 

「おう…」

 

「おはよう…竜ちん。なんか相変わらず眠そうだね」

 

「いつもの事だ。…つーか、朱雀。お前挨拶くらいしろよ」

 

「やだ」

 

「コイツ……」

 

一瞬、朱雀にイラつきを覚えたが、すぐにことりが注意する。

 

「ダメだよ、キーくん。ちゃんと知ってる人ぐらいには挨拶しなきゃ」

 

「ふん…」

 

プッ!

 

ザマァ。

 

昔から、何故かことりには甘い朱雀。

 

何故かは知らんが、俺や盾、穂乃果と海未にはツンとした態度なのに、ことりには態度が軟化する。

 

あれか…?

 

「ことり」と「朱雀」。

 

どちらも鳥繋がりだからか?

 

「天青竜司…。今失礼な事考えてた?」

 

「いや、そんな事はない」

 

ヤベェェ…。

 

思い切り考えバレてるし…。

 

コイツ…変に勘がいいんだよなぁ~。

 

そんな会話をしていたら、学校に着き、教室に入る。

 

 

ーーーーー

 

 

朝のSHR

 

担任の話を半分聞き流し、始業式のために講堂へ。

 

そこでことりの母親、もとい理事長から聞かされたのは、来年度で音ノ木坂を廃校にするという話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジで……?

 

 

 

 




いかがでした?
ちなみに、まだウルトラマンたちは出てきません
多分、穂乃果がUTXへ行くときかな。


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1st Season Battle 叶え!私たちの夢――#1

今回も頑張ります…

後、台詞の前に誰がしゃべっているか分かりやすい印を付けます



「廃校」

 

 

 

そう書かれ印刷され、掲示板に貼られたプリントの前にいるのは、俺、天青竜司と穂乃果、海未、ことり、盾の五人。

 

朱雀は風紀委員の書類とかを片付けるためにいない。

 

穂「嘘……廃校…?」

 

海「本当になってしまうんですね…」

 

こ「そんな………」

 

廃校のプリントを見た三人は驚愕に顔を染める。

 

まあ、仕方ないか。

 

俺や盾はともかく、この三人はこの学校が好きだからな…。

 

すると、突然穂乃果が後ろに倒れてきた。

 

竜「うおっ!? おい、どうした穂乃果!?」

 

たまたま後ろにいた俺が穂乃果を受け止める。

 

海「穂乃果!?」

 

こ「穂乃果ちゃん!?」

 

海未とことりも驚いて穂乃果に心配げに声をかける。

 

すると穂乃果は、

 

穂「わ…私の輝かしい高校生活がぁぁぁ~!!」

 

と言って、気を失った…。

 

えっ…ちょっと待って?

 

これどうしたらいいの?

 

海「気を失ったようですね……。すみませんが竜司。穂乃果を保健室に運んでくれませんか?」

 

海未がそう頼んできた。

 

竜「えっ?何で俺?」

 

わかっていても、つい聞いてしまう。

 

こ「竜くんが穂乃果ちゃんを丁度支えてるからだよ♪」

 

糞っ!!

 

予想通りの答えが返ってきた。

 

つーか、ことり。

 

語尾に♪が付くくらいのトーンで言わないでくれ…。

 

竜「別に盾でもいいんじゃあ…」

 

そう思って隣を見るが………いない。

 

何故!?

 

すると海未が

 

海「盾なら、お菓子を買いに行くと先程メールが来ましたよ。」

 

そう海未に言われた…。

 

うそん……。

 

こ「それじゃあ、竜くん♪お願いね」

 

竜「ウソダドンドコドーン」

 

糞っ!!

 

何で俺がこんな面倒くさいことを!?

 

おかげでついオンドゥル語が出てきちまった!!

 

俺は膝をついて項垂れた。

 

穂乃果を抱えたまま…。

 

するとことりが顔を近づけてきて、

 

こ「それにね…。竜くんに運んでもらった方が、きっと穂乃果ちゃん、喜ぶと思うの」

 

竜「はぁ…?なんだそれ?」

 

疑問に思った俺はことりに聞くが、ことりはただ微笑むだけだった。

 

海「それじゃあ、竜司。お願いしますよ」

 

こ「お願いね♪」

 

竜「はぁ……。分かった。連れていくよ…」

 

仕方ないので、穂乃果を保健室に運ぶ。

 

お姫様抱っこで…………

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

保健室に穂乃果を送り、ベッドに寝かせた後。

 

俺は教室に戻り、そのまま授業を受け、今は休み時間。

 

しばらく海未とことりと駄弁ってると、穂乃果が戻ってきた。

 

しかし何だか落ち込んだ様子だ。

 

そんなに廃校がショックだったのか?

 

いや待て……。

 

あの穂乃果だ。

 

それもあるが、他にも理由がありそうだ。

 

こ「あ、穂乃果ちゃん、お帰り。大丈夫……穂乃果ちゃん?」

 

穂乃果が帰ってきた事に気づいたことりが声をかけるが、そのまま気づいてないのか、はたまた聞こえてないのか知らんが、スルーして自分の席に座る穂乃果。

 

次の瞬間、顔を手で覆い「学校が無くなる…」とブツブツ言っている。

 

あぁ…これは。

 

おおよその察しがついた。

 

こ「穂乃果ちゃん、そんなにこの学校が好きだったんだ…」

 

竜「いや、違うな…」

 

海「竜司の言うとおりです」

 

こ「ふぇ?」

 

どうやら海未も俺と同じ考えのようだ。

 

竜「多分、廃校が夢だと思ってたのに、気がついて教室に戻ろうとしたら、廃校のプリントが大量に貼ってあるのを見てしまい、現実を突きつけれた…。さらに、廃校がすぐだと思い、編入試験の事に頭を悩ませている。ってところだ」

 

こ「ふぇぇ~。すごいね竜くん」

 

海「すごいです竜司!! 寸分違わず私と同じ考えです」

 

竜「こいつほど考えの分かりやすい奴はいない」

 

俺がそう海未とことりに自分の考えを披露してると、突然穂乃果は頭を上げ、

 

穂「どうしよう!? 私、全然勉強してない!!」

 

と言う。

 

突然の事に俺達は面食らう。

 

そして穂乃果は続けざまに言う。

 

穂「廃校になるって事は、他の高校に行かないといけないんだよね!? そうなったら、編入試験とかしないといけないんだよね!? うわぁーん!どうしよぉぉぉう!!」

 

とまあ、わんわん泣きわめく。

 

そんな俺の考えが見事に的中した穂乃果に対して俺は、「ほらな…」という目線を向け、ことりは苦笑い、海未は「はぁ~」と呆れに近い溜め息。

 

海「穂乃果、落ち着き…」

 

穂「海未ちゃんやことりちゃん、竜ちゃんはいいよ!! 頭いいし、成績もそこそこいいし…。でも、穂乃果は…穂乃果はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

海未が落ち着かせようとするが、穂乃果は逆にさっきよりもわんわん泣きわめく。

 

なんか捨てられた仔犬みたいだ。

 

竜「俺はともかく、海未やことりはかなり成績いいだろ。後、朱雀も。ああ見えて、盾もなかなかいいしな」

 

海「竜司も今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」

 

何故か海未に怒られた…。

 

解せぬ。

 

するとことりが俺に耳打ちする。

 

こ「あのね竜くん。穂乃果ちゃんを落ち着かせる方法だけど…コショコショ…」

 

竜「はぁ…?そんな方法で本当に落ち着くのか?」

 

こ「いいからいいから♪やってみて♪」

 

ことりは俺に穂乃果を落ち着かせるための方法を伝えてきた。

 

ただ、それでいいのか?とは思う作戦だが…。

 

こうしている間も穂乃果はわんわん泣きわめている。

 

そして俺は、穂乃果に近づき、穂乃果の肩を持ちこちらに向かせる。

 

今、俺と穂乃果の顔はすぐ間近。

 

キスをしようと思えばできる距離。

 

そのせいか、穂乃果の顔は若干赤い。

 

海未は「ハレンチです!」とか言いそうな雰囲気で、顔を手で覆い、ことりはニヤニヤしている。

 

そして俺は、ことりから言われた作戦の言葉を言う。

 

竜「穂乃果。大丈夫。ずっと俺が面倒見てやるから。何も心配するな」

 

それを真顔で言った。

 

その瞬間、穂乃果は顔を真っ赤にしながら

 

穂「す、す、末長くお願いします///。……うへへへ///」

 

と言い、海未は「ハレンチです!」と言う。

 

ことりは相変わらずニヤニヤしている。

 

というか…穂乃果。

 

最後何故、嬉しそうに笑うんだ?

 

そして、海未に至ってはついに「ハレンチです!」って言っちゃった。

 

やはり、色々と解せぬ…。

 

盾「ナニコレ……?どういう状況?」

 

やっと盾が帰ってきた。

 

遅いぞ…。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

穂「なぁんだ。そういうこと」

 

そう言いながらラ〇〇〇ックなるものを食べている穂乃果。

 

あの後なんとか廃校の詳細を詳しく教えたら落ち着き納得した。

 

ただ、あれから妙にくっついてくる。

 

ナジェナンディスカ!?

 

そして今は中庭の大きな木の下のベンチで昼食中。

 

竜「お前…またパンなのか?」

 

穂「だって、美味しいんだもの!竜ちゃんも食べる?」

 

そう言って、一つ渡してこようとするが、

 

竜「いや、慎んでお断りします」

 

穂「そっかぁ…残念」

 

俺には、カップ焼きそばがあるから…。

 

ちなみに、電気ポットを持参して湯を沸かしている所を見た穂乃果たちは、「そこまでして食いたいか?」という目線を向けてきたが、そんな事は知った事ではない。

 

そんな時、「ちょっといいかしら?」と声をかけられた。

 

そこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美しい金髪をポニーテールにした、上級生と思われる女生徒がいた。

 

 

 

 

 

誰……?

 

そう思っているのは俺だけじゃないみたいで、穂乃果と盾もそんな顔をしていた。

 

金髪の人の後ろには、盾と同じ紫髪でお下げっぽいツインテールをした女生徒と、身長が180㎝もある青っぽい黒髪の男子、そして赤い髪を金髪の人と同じくポニーテールにした男子の3人がいた。

 

赤髪のヤツは165㎝くらいか…?

 

なんか目付きがどこぞの天帝みたいだ。

 

つーか……女生徒の方はともかく、男子は二人とも知ってる奴だ。

 

むしろ知り合いだ。

 

穂「誰?この人たち」

 

海「知らないのですか?金髪の方が生徒会長で、その隣の方が副会長です。……後ろの男子の先輩方は知りませんが…」

 

小声で海未に質問する穂乃果。

 

海未は女子の先輩方は知ってるようだが、男子の方は知らないようだ。

 

なるほど…この金髪が生徒会長か…。

 

「南さん。あなた理事長の娘さんよね?何か今日の事で聞いてない?」

 

こ「い、いえ。私も今日知ったばかりなので」

 

「そう、ならいいわ」

 

「ほな~」

 

質問するだけして、生徒会長はその場を去ろうとする。

 

しかし、穂乃果が呼び止めて、質問する。

 

穂「あ、あの!その、本当に学校無くなっちゃうんですか?」

 

「…あなた達には関係ないわ」

 

そう言って今度こそ去ってゆく。

 

なんかかなり厳しい人だな。

 

一番面倒なタイプだ。

 

「「「…………」」」

 

三人は落ち込んだ。

 

それもそうか。

 

自分達もこの学校の生徒なのに、ああ言われたらな…。

 

すると、この場に残っていた赤髪の男子が近づき、

 

「気にしないでくれ。絢瀬も気が動転してるんだ」

 

と言ってきた。

 

青黒髪の男子も

 

「本当はすごく優しい奴だから、悪く思わないでやってくれ」

 

と、フォローしてきた。

 

穂「あ、いえ大丈夫です」

 

赤髪の男が微笑んで言う。

 

「ん、なら良いんだが…」

 

竜「それより、何でお前ら……ここにいるんだ?」

 

穂乃果達に対するフォローが終わったのを見計らい、声をかける。

 

竜「なぁ、『蒼燕』、『茜』」

 

穂「知ってるの?竜ちゃん」

 

竜「まぁな…。盾と朱雀もこの二人と知り合いだ」

 

海「そうなのですか?盾」

 

盾「まあね」

 

俺の問いに答えたのは、赤髪ポニーテールの男子『緋村茜』だ。

 

茜「何でって…俺達二人も生徒会の人間で、この学院の生徒だからだ」

 

竜「へっ?お前ら、違う高校に行くんじゃなかったのか?」

 

俺の高校への質問に答えたのは、青黒髪の男子『雨崎蒼燕』だ。

 

蒼「それなんだが、絵里…あっ、生徒会長の名前な。絵里に誘われてな……」

 

なるほどな……。

 

蒼「ちなみに、虎亜もいるぜ。一年の方は、寺獄や火神に氷川がいるぜ」

 

竜「そうか…あいつらも」

 

盾「へぇ~、すごい偶然だね~」

 

いや、偶然すぎるだろ。

 

まさか、あのメンバーのうち六人もいるとは。

 

蒼「じゃあ、そろそろ俺達も『蒼えーーん!何してるの!? 早く来なさぁぁぁい!!』…呼び出しだ。じゃあな」

 

竜「おう、じゃあな」

 

茜「ああ」

 

盾「じゃあね~」

 

俺達は別れを言い、それぞれの場に帰る。

 

穂「竜ちゃん…あの先輩達とはどこで知り合ったの?」

 

竜「………とあるネトゲのオフ会」

 

「「「……へっ?」」」

 

三人は唖然とした。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

竜司達と別れた後、急いで緋村と一緒に絵里の元へ戻った。

 

絵里はこの学院の生徒会長をしている俺の幼なじみだ。

 

絵「何してたの?蒼燕」

 

戻ると、なんか不機嫌になっている。

 

というか………膨れっ面?

 

何故?

 

すると副会長の東條が

 

希「蒼燕くんが、あの子達と仲良く話してたから、エリチ嫉妬してるんよ」

 

と言ってくる。

 

なるほど…。

 

すると絵里は慌てて

 

絵「ち、違うの!違うのよ、蒼燕!! べ、別に嫉妬とかしてないから!! そんなんじゃ無いから!! もう!希もなんて事言うのよ!!」

 

と弁明してくるが、俺には分かっている。

 

蒼「大丈夫だ…絵里。俺は全部分かってるから」

 

絵「そ…蒼燕///」

 

絵里は若干頬を赤くしている。

 

俺はそんな絵里の頭に手を乗せ

 

蒼「ごめんなぁ~~絵里ぃ~~寂しい思いをさせちまったなあ~~」

 

思いっきり、からかう事にした♪

 

絵「ち、違っ!!」

 

蒼「大丈夫だ!! 俺はずっとお前の味方だからな!! 安心しろ!! あっ、なんなら今すぐ抱きしめてやろうか?」

 

と、冗談で言うと、絵里は顔をうつむかせプルプル震え、次の瞬間…

 

 

 

絵「蒼燕のバカァァァァァアアア!! エリチカもうおうち帰るぅぅぅぅうう!!!!」

 

 

 

と言って、逃げ出した。

 

俺はというと

 

蒼「グオォォ………」

 

鼓膜が破れそうになっていた。

 

そんな俺を、緋村と東條は憐れみの眼で見ていた…。

 

クソッ!!

 

これも全てゴルゴムのせいだ!!

 

茜「いや…100%お前のせいだよ」

 

希「そうやね」

 

バカな!?

 

心を読まれた…だと…?

 

 

 

蒼燕side off

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

さて、あれから色々あって、穂乃果の発案で廃校を阻止するために音ノ木坂のいいところを探しだして、今は教室。

 

とりあえず、各々でいいところをそれぞれ挙げようという所だ。

 

穂「じゃあ、穂乃果から!うーんと、歴史がある!」

 

竜「なるほど」

 

海「他には?」

 

穂「他?伝統がある!」

 

海「それは最初と同じです…」

 

穂「えー!? じゃあ、ことりちゃん~」

 

こ「うーん?強いていうなら、古くからあるって事かな~?」

 

朱「ことり、園田海未の話、聞いてた?」

 

ことりの天然スキルボケに朱雀のツッコミが入る。

 

あの後、学校内のいいところを探すために探索してる内、風紀委員の仕事が終わった朱雀を発見した。

 

そして無理矢理、俺達のパーティーに加えた。

 

露骨に不機嫌な顔になったが、ことりが涙眼の上目遣いで胸元を強調した、通称:ことりのお願いを受けて、かなり悩んだ挙げ句、渋々協力してくれた。

 

ちなみに、これの余波を受けた海未が気絶したが、盾のおかげで無事復活した。

 

こ「あ、でもキーくんと一緒に調べてみたら部活動でもいいところ見つけたよ~」

 

朱「まぁ……ね」

 

なんだか、朱雀にしてはやけに歯切れが悪い。

 

ことりも苦笑いしながら

 

こ「といっても、あまり目立つ内容じゃないんだけど~」

 

そう言って資料を取り出す。

 

こ「珠算関東大会6位」

 

穂「失礼かもしれないけど…」

 

竜「微妙過ぎだろ」

 

こ「合唱部地区予選奨励賞」

 

海「もう一声欲しいですね…」

 

こ「ロボット部、書類審査で失格」

 

盾「そんな部があったんだ~」

 

穂「てか、最後ダメじゃん!!」

 

朱「そもそも目立つ部活があれば、廃校になんかならないよ。それに、共学になっても全校生徒あわせて男子はたったの九人だよ」

 

朱雀の正論に、穂乃果、海未、ことりは溜め息をつく。

 

穂「私…この学校好きなんだけどな…」

 

こ「ことりも…」

 

海「私もです…」

 

そう言って落ち込む三人。

 

…ったく、仕方ねぇな。

 

竜「なあ、穂乃果」

 

穂「ん?」

 

竜「元気出せよ…。俺に出来ることあるなら、手伝ってやるから。だからな、そんなに落ち込むな。俺も、こっちの方で何か無いか調べてみるから…」

 

メンドクセェけど、穂乃果の笑顔を守れるならやるしかない。

 

そんな俺の言葉に穂乃果は

 

穂「竜ちゃん…。竜ちゃああああああん!!!!」

 

竜「ウオッ!? おま…急に抱きつくなよ…」

 

穂「えへへ~ごめぇぇん」

 

よほど感動したのか抱きついてきた穂乃果。

 

それを見たことりと海未は

 

海「相変わらずですね、この二人の仲は」

 

こ「そうだね~」

 

微笑ましそうに見ている。

 

朱「じゃあ、そろそろ僕は帰るよ」

 

盾「俺も~」

 

こ「そうだね」

 

海「時間も時間ですし」

 

竜「そうだな…。穂乃果、俺達も帰るぞ」

 

穂「うん!わかった!!」

 

とりあえず今日の所は全員帰ることになった。

 

そして六人とも、それぞれの帰路につく。

 

といっても、俺と穂乃果は家が真正面。

 

海未と盾はお隣さん。

 

朱雀とことりも一緒なもんだ。

 

なので、結果的に俺達男子組が女子組を送るようなものなのだ。

 

 

 



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叶え!私たちの夢――#2

これで決める!!……第1話を…


その夜

 

俺は、晩御飯を食べて、風呂にも入り、後は寝るだけなのだが、まだ時間的にもまだ早いために、再放送のウルトラマンを観ていたのだが、途中で俺のスマホが鳴り響いた。

 

しかも丁度いいところでかかってきたので、不機嫌さ丸出しで出てしまった。

 

竜「あ゛ぁ゛…もしもしぃ…?」

 

穂「ひっ!?」

 

穂乃果からだった。

 

ただ、俺の不機嫌な声を聞いて、小さく悲鳴を上げたが…。

 

竜「なんだよ…穂乃果?」

 

穂「あっ…あのね、竜ちゃん、今いい?」

 

竜「…どうしたんだ?」

 

穂「うん…あのね…」

 

穂乃果の用件はこうだ。

 

穂乃果はあの後、家に帰ったのだが、穂乃果の妹雪穂が音ノ木ではなく最新の進学校UTXを受けることにショックを受けて、雪穂に音ノ木を受けるように言うが、雪穂曰く「廃校になる学校を受けてもしょうがない」との事。

 

まあ、そりゃそうだな。

 

穂乃果の母親である、夏穂さんもそれを認めているとのこと。

 

しかし夏穂さんもやっぱり自分の通っていた母校が無くなるのはちょっと悲しいみたいで、アルバムを懐かしそうに、でも悲しげに見ていたこと。

 

それで、穂乃果の廃校を阻止したい気持ちがますます上がったとの事。

 

で、ここからが本題。

 

穂「竜ちゃん、明日UTX行ってみない?」

 

竜「はっ?」

 

穂「UTXがどうやって生徒を集めているのか、行けば何か分かるかもと思って…」

 

竜「なるほどな…」

 

穂乃果の考えはいいと思う。

 

UTXは最近建てられた私立校だが、何かしらの人気のある事をしなければ、あそこまでの人気にはならない。

 

見学すれば何かしらヒントを得られ、そこから解決策を見いだせるかもしれない。

 

俺は了解の旨を伝える。

 

竜「いいぜ…穂乃果。明日行ってみるか?」

 

穂「竜ちゃん、いいの!?」

 

竜「ああ」

 

穂「やったぁぁぁ!! 竜ちゃん、ありがとぉぉぉ!!」

 

竜「わかったから、耳元で叫ぶな…」

 

穂「うん!じゃあ、おやすみ竜ちゃん!!」

 

竜「ああ…」

 

そう言って穂乃果は電話を切った。

 

さて……明日はどうなることやら?

 

あっ……ウルトラマン……終わってんじゃん…。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

翌日。

 

海未たちに先に行ってて欲しい旨を伝えて、UTXに来た。

 

来たはいいが、これは本当に学校なのか…?

 

見た目はただのでかいビルだ。

 

さすが、人気の進学校。

 

金かけてるな……。

 

しかも設備も充実している。

 

中に入るのに学生証を切符みたいに翳して入るみたいだ。

 

これで部外者は簡単に入れないな…。

 

その凄さに穂乃果は顔をくっつけ凝視している。

 

………とりあえず、みっともないので引き離す。

 

竜「おっ?穂乃果ちょっと来い」

 

穂「ヘッ?なに?」

 

竜「あれ……」

 

俺は穂乃果を手招きして、UTXの入り口についてる大画面のモニターを見るよう促す。

 

そこには、UTXにようこそ的にアピールしている三人の女の子が移っていた。

 

この学院が大人気になった大元…スクールアイドルのA-RISEが移っていた。

 

しかし、穂乃果は「何あれ?」的な感じで俺を見る。

 

こいつ…なにも知らないのか…?

 

俺でもそれなりに調べて来たんだか……。

 

そう思っていると、沢山の人だかりが歓声を上げる。

 

どうやら、A-RISEが新曲を披露するようだ。

 

すると、穂乃果の隣に春先とはいえ暑いはずなのに、コートにグラサン、マスクをした小柄なツインテールの女の子が来た。

 

 

 

 

 

……ナニコレ?不審者?いや、確実に不審者だ。

 

正直…怖い。

 

穂乃果も絶句している。

 

しかし、そんな不審者少女に穂乃果は

 

穂「あのぉ~」

 

と話かけやがった。

 

……嘘だろ、穂乃果。

 

話かけられた少女は「何!? 今忙しいんだけど」と不機嫌に返してくる。

 

それに対し穂乃果は質問する。

 

穂「あの、質問なんですけど……あの人達芸能人か、何かなんですか?」

 

すると少女は「はぁ!?」と驚きの声をあげ、穂乃果は思わず「ひぃ!?」と怯えた声をだす。

 

「アンタそんな事も知らないの!? そのパンフレットに書いてあるわよ!どこ見てんの!?」

 

穂「す、すみませぇーん!」

 

「A-RISEよ、A-RISE。スクールアイドル」

 

穂「アイドル?」

 

不審者少女の言葉に穂乃果は不思議そうに首を傾げた。

 

その行動に俺は思わず

 

竜「穂乃果。お前本当になにも知らないんだな」

 

と言ってしまった。

 

それを聞いた穂乃果は「竜ちゃん知ってるの?」と聞いてきた。

 

仕方ないので、簡単に説明する。

 

竜「まあ、要するに学生で結成されたアイドル、それがスクールアイドルだ」

 

そう教えると穂乃果は「へー」と感心の声をあげ、A-RISEのPVを観る。

 

しばらく観ていると隣でパサッという音がした。

 

見ると隣の穂乃果がパンフレットを落としたらしい。

 

その顔が衝撃に彩られていた。

 

俺は「穂乃果?」と声をかけるが返事が無く、代わりに聞こえてきたのは穂乃果の「これだ」という声…。

 

次の瞬間、穂乃果は俺に向かって

 

穂「これだ!! 竜ちゃんこれだよ!?」

 

と、見惚れる程の満面の笑顔で言ってきた。

 

この時、俺は悟った…。

 

ああ…絶対メンドクセェ事に巻き込まれるな、と。

 

 

そう思ってたのも、束の間。

 

 

 

 

ズドン!!

 

 

という何かが落ちた音の後に、地面が激しく揺れる。

 

その揺れの大きさに俺だけではなく、穂乃果も不審者少女も、他の人達も皆立つことが出来ず、倒れる。

 

竜「うおっ!」

 

穂「キャッ!」

 

しばらく続いたが、やっと収まる。

 

少し様子を見てから穂乃果に声をかける。

 

竜「穂乃果、大丈夫か?」

 

穂「うん、何とか」

 

幸い怪我はないみたいだ。

 

不審者少女も「なんなのよ、もう!!」と言って立ち上がる。

 

「かよちん、嵐兄、イクス兄、大丈夫?」

 

「ああ、何とか」

 

「大丈夫だよ。凜ちゃんは?」

 

「大丈夫にゃ!!」

 

という声もする。

 

……なんかさっき知り合いの名前が聞こえたが……まあ、いい。

 

穂「一体何が『ギギィィィィイイ!!』……えっ?」

 

穂乃果が周囲を確認しようとすると突然聞こえた謎の鳴き声。

 

それに他の人達も固まる。

 

ゆっくりと俺は鳴き声が聞こえた方向、後ろを確認する。

 

ここから、数キロの地点。

 

落下地点と思われる場所に

 

 

 

 

ヤツはいた…。

 

 

 

 

 

 

頭から背中にかけて、無数の突起物。

 

腕は脚に比べて、極端に短い。

 

凶暴な顔つきの巨大な生物。

 

 

 

 

 

 

 

いわゆる怪獣がいた。

 

 

 

 

 

穂「な…何で怪獣がいるの!?」

 

穂乃果は唖然としている。

 

穂乃果の気持ちも分かる。

 

怪獣は空想の産物。

 

テレビのなかだけの存在。

 

それがこうして現実にいるわけだから。

 

しかも、あれは。

 

竜「宇宙怪獣…ベムラー」

 

そう、空想の特撮ヒーロー「ウルトラマン」に出てきた最初の怪獣。

 

「ギギィィィィイイ!!」

 

ベムラーは再び叫ぶ。

 

その声に我に返った人達が一斉に逃げ出す。

 

たちまちUTXの前は悲鳴と怒号の嵐になる。

 

しかも、ベムラーはよりにもよって、こっちに向かってきた。

 

それがより人々に混乱を招く。

 

「どけぇぇぇ!!」「押さないでよ!!」「早く行けぇぇ!」

 

などと荒れ狂う状況に。

 

俺も穂乃果の手を引っ張り逃げようとするが、なかなか前に進めない。

 

穂「うぅ……竜ちゃぁぁん……。やだよぉぉ…怖いよぉぉ…」

 

竜「穂乃果……。大丈夫だから。俺がずっとそばにいる……」

 

涙目の穂乃果を気休め程度だが、元気づける。

 

そんな時、俺の眼に中学生くらいの女の子が転んでいる姿を発見した。

 

しかもベムラーとは1キロの距離。

 

竜「糞っ!!」

 

穂「竜ちゃん…?」

 

俺の様子に疑問を持った穂乃果が聞いてきた。

 

女の子の事は誰も構わない。

 

皆ただ逃げ続けている。

 

分かってる…皆、死にたくないから…。

 

俺だって、メンドクセェし、できれば穂乃果だけを守る方に費やしたい。

 

でも……

 

 

 

 

 

 

「お母さーん!どこぉ!? お母さーん!!」

 

 

 

 

 

見過ごす事なんてできない。

 

 

 

 

竜「はぁ~、最悪にメンドクセェ…」

 

穂「竜ちゃん…?」

 

竜「穂乃果。お前は先に逃げてろ。俺はあの転んでる子を助けに行く」

 

俺は穂乃果に先に逃げるよう伝える。

 

穂乃果は俺が顔を向けてる方に、同じく顔を向けると

 

穂「ダ、ダメだよ、竜ちゃん!! もう怪獣がすぐそこまで来てるんだよ!! 今行ったら竜ちゃんが死ぬんだよ!?」

 

竜「それでも!!……助けられる命があるなら、俺は助けたい」

 

穂「竜ちゃん……」

 

穂乃果は俺が行くのを反対するが、俺の決意を聞き黙ってしまう。

 

竜「大丈夫だ…。言っただろ?お前のそばにいるって。必ず帰ってくるから…。約束する」

 

穂「…………分かった…。絶対だよ。約束だよ」

 

竜「ああ」

 

穂乃果は最後まで心配そうな顔で見ていたが、なんとか納得してくれた。

 

穂乃果のためにも約束守らないとな…。

 

俺はすぐさま全力疾走で女の子の元へ走る。

 

 

竜司side off

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 

穂「竜ちゃん…」

 

私は、女の子を助けるために怪獣ベムラーの近くへ行く、白い髪を靡かせる大切な幼なじみの背中を見送る。

 

竜ちゃんは昔からそうだ。

 

人一倍面倒臭がり屋なのに、困ってる人を見過ごす事ができない人。

 

私も昔から何かあると、竜ちゃんに助けてもらってた。

 

私は、そんな竜ちゃんにいつの間にか恋心を抱いていた。

 

でも、いざ告白しようとすると、なかなか言い出せなかった。

 

今はまだ大丈夫。

 

必ずちゃんと伝えよう。

 

そう思って、ずるずる引っ張っていたら、こんな事になっちゃった。

 

そして、今度は竜ちゃんをわざわざ死に向かわせるような事をしてしまった。

 

穂「私って、ホント…ダメだなぁ~…」

 

そんな事を思い、ネガティブ思考になるけど、

 

穂「って、こんな事じゃダメだよ私!! 必ず竜ちゃんは帰ってくるって、約束してくれたもん!!」

 

すぐに自分を鼓舞して、前向きになる。

 

大丈夫。

 

竜ちゃんなら大丈夫。

 

信じよう。

 

そう思い、私は竜ちゃんに言われた通り、先に避難する。

 

 

 

穂乃果side off

 

 

 

 

竜司side

 

竜「はぁはぁ…いた!!」

 

俺は全力疾走して、中学生くらいの女の子の元へたどり着く。

 

息を整え、女の子に声をかける。

 

女の子は、膝を抱えて泣きじゃくっていたが、俺が来た事で、顔を上げる。

 

顔立ちは、将来美人になる事が約束された可愛い顔。

 

髪はワインレッド色のストレート。

 

俺は膝を着きながらその子に質問する。

 

竜「はぁはぁ…君、大丈夫?」

 

「うん…。お兄さんは?」

 

竜「俺は天青竜司。君は?」

 

「梨子…。桜内梨子です…」

 

女の子は梨子ちゃんというらしい。

 

俺は梨子ちゃんを立たせる。

 

竜「梨子ちゃん。ここは危ないから向こうへ避難しよう。ね?」

 

梨「うん!」

 

梨子ちゃんは俺が来た事によって安心したのか、笑顔になる。

 

良かった。

 

俺は梨子ちゃんをお姫様抱っこで抱える。

 

その際梨子ちゃんが「ええぇぇ!!!?////」と顔を赤くして恥ずかしがるが、俺は気にせず言う。

 

竜「じゃあ、行こうか?」

 

梨「は、はい!」

 

そして、いざ避難しようとしたら梨子ちゃんが

 

梨「お兄さん危ない!!」

 

と言って、俺の後ろを指差す。

 

何だ?と思って振り向くと、そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

ベムラーの吐いた熱線が迫ってきていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

竜「糞っ!!」

 

俺は咄嗟に、梨子ちゃんの体を、制服の上着で包み、熱線が当たらないビルとビルの隙間に放り込んだ。

 

これで梨子ちゃんに怪我を負わせる事はない。

 

後は……………

 

 

 

振り向いた俺の目の前に熱線の光が映る。

 

 

 

ごめんな………穂乃果。

 

約束守れそうにない。

 

 

 

竜司side off

 

 

 

 

◎side

 

 

ベムラーが、竜司と梨子に向かって熱線を吐いた時、竜司達の真上遥か上空に、ソレはいた。

 

ソレは赤い光の球だ。

 

赤い球はまっすぐ梨子を突飛ばした竜司に向かっていた。

 

『なんて勇敢な少年なんだ…。このまま彼を見殺しにはできない!…それに、彼ならば私と共に戦ってくれるかもしれん』

 

そして赤い球はベムラーの熱線が、竜司に到達する前に竜司を包み込んだ。

 

 

◎side off

 

 

 

 

穂乃果side

 

 

穂「竜ちゃん!!!!!?」

 

私は焦っていた。

 

竜ちゃんに向かってベムラーの熱線が迫ってきていた。

 

もうダメだ……。

 

私のせいで竜ちゃんが死んじゃう。

 

こんな事になるなら、私も竜ちゃんについていけば良かった。

 

ううん…………。

 

例えついていっても、竜ちゃんなら私をどんな手を使っても守ろうとしたと思う。

 

穂「竜ちゃん……」

 

もう諦めかけていた、その時。

 

私の目に赤い輝きが入ってきた。

 

穂「あれって……………?」

 

他の避難していた人達も唖然としている。

 

それを見た時、私の心は希望に満ちた。

 

 

穂乃果side off

 

 

 

 

竜司side

 

 

竜「……あれ、ここは…?あっ、もしかして俺は死んだのか?」

 

そこは一面真っ赤な空間だ。

 

時折、光の瞬きもある。

 

まあ、そんな事はどうでもいい。

 

あの子は、梨子ちゃんは、大丈夫なのか?

 

穂乃果は無事なのか?

 

俺の頭にはそれしか浮かばない…。

 

そんな事を考えていると、誰かに声をかけられた。

 

「やあ、気がついたみたいだね」

 

その方向を見ると…そこには、

 

「無事で何よりだ」

 

赤と銀の二色のシンプルカラーで、人の目にあたる部分は乳白色に輝き、何より一番目を引くのは円形の青い水晶のようなものがついてる。

 

言わずと知れたヒーローで、俺が今でも尊敬していて、再放送でも観ているくらいの存在。

 

竜「ウルトラ…マン…?はあぁぁぁぁぁあ!?」

 

俺は思わず後退りした。

 

だって、有名なヒーローがそれっぽい空間で喋りかけてくるもん!!

 

驚きすぎるよ!!!?

 

「まずは落ち着いてくれないか?竜司」

 

竜「えっ?あっ…はい…」

 

ウルトラマンの一言で落ち着いた俺。

 

何で名前知ってるの?とか、何であんたがここにいるの?とか、色々言いたい事があるが、そんなのどうでもいいくらいに落ち着けた。

 

さすがは歴戦の勇士ってところか?

 

「まずは私の事を知っているようだが、改めて自己紹介をさせてほしい。私はM78星雲・光の国からきたウルトラマン。よろしく」

 

竜「天青竜司…です……」

 

「うむ…。では、次に君の力を貸してほしい。頼めないか」

 

竜「それって、要するに戦わない時は俺と一体化して、エネルギー消費を抑えるってヤツか?」

 

「その通りだ。どうだろう…?」

 

竜「……いくつか質問があるんだが、何でテレビの中だけの存在であるアンタがこの世界にいるんだ?それと、何で俺なんだ?」

 

俺はそう質問する。

 

だって滅茶苦茶気になるから。

 

「まず1つ目の質問だが、確かにこの世界では我々は存在しない、テレビの中だけの存在だ。だが、この平和な世界にバルタン星人が多くの怪獣や宇宙人を連れて、侵略しにきた。それを我々は次元の壁を越えて来たのだ」

 

「二つ目の質問だが、君を選んだのは、君のベムラーを相手にしても、全く怯まず勇敢に小さな女の子を助ける勇気に感動したのだ!」

 

と右腕を立てて、力説するウルトラマン。

 

竜「ウルトラマン。俺はかなりの面倒臭がり屋だぜ。……いいのか?」

 

「大事なのは、誰かのピンチにすぐさま動ける勇気だ」

 

ウルトラマンはそう言ってきた。

 

こんな面倒臭がり屋じゃあ…ヒーローは無理だと思ってたんだが……。

 

竜「フッ……。いいぜ、ウルトラマン。俺は俺の力をアンタに貸す。だから、アンタもアンタの力を貸してくれ」

 

「交渉成立だな」

 

そう言って、ウルトラマンは俺に何かを光に載せて、送ってきた。

 

それはカプセルのようなものだ。

 

竜「これは………ベーターカプセル!!」

 

そう…ウルトラマンの変身アイテムを、わざわざウルトラマンは俺に渡してくれた。

 

「私から君への信頼の証だ」

 

竜「そうか……。ありがとな」

 

そして俺は、ベーターカプセルを上に掲げ、ボタンを押す。

 

瞬間、100万ワットの輝きが溢れた。

 

 

竜司side off

 

 

 

穂乃果side

 

 

穂「竜ちゃん…どうなったの?」

 

竜ちゃんの上に赤い光の球が到達して、早数分…。

 

以前、なんの変化もない。

 

ベムラーは、自分の放った熱線が途中で赤い球に遮られ、しかも自分に跳ね返ってきたので、地面に揉んどり打っていたが、すぐに立ち上がり、後ろに下がって様子を見ている。

 

でも、なんの変化もないから、ついに叫び声を上げて突進しようとする。

 

「ギイィィィィィイ!!」

 

その時、赤い球が徐々にその形を人形に変える。

 

「ギ!? ギギイィイ!!」

 

ベムラーは、驚き突進を中断する。

 

一方、赤い球から出てきたのは、

 

赤と銀の二色のシンプルカラーの、右腕を上に伸ばし、左腕を曲げて頭の横につけてる、誰しも知ってる光の巨人……

 

 

 

 

「ヘァッ!!」

 

 

 

 

 

 

穂「すごい……。本物のウルトラマンだぁぁ!!」

 

私は思わず興奮して叫んでしまう。

 

でもそれは私だけじゃなく、他の人達もそれぞれみんな、興奮の言葉や感動の言葉、安心の言葉を叫んでいる。

 

ウルトラマンは構えを解くと、おもむろにとあるビルとビルの隙間に手を突っ込み、何かを握っている。

 

そして、こっちに来て何かを握っている右手を地面につけ、その手を開く。

 

そこには中学生くらいの女の子がいた。

 

穂「あの子…竜ちゃんが助けに行った……」

 

すると、その女の子の母親と思われる女性が走って来て

 

「梨子!!」

 

「お母さん!!」

 

女の子を抱き締める。

 

良かった。

 

あの女の子、無事だったんだね。

 

はっ!!

 

そうだ。

 

私は竜ちゃんの事をウルトラマンに聞く。

 

穂「ウルトラマ~ン、竜ちゃんは!?」

 

それに対し、ウルトラマンは大丈夫という感じに頷く。

 

良かったぁ~。

 

竜ちゃん無事なんだ…。

 

ウルトラマンはすぐにベムラーのいる方へ、体を向けて数歩ほど歩き、腰をどっしり落とした前傾姿勢のポーズをとる。

 

ついにウルトラマンの戦いが始まるんだ…。

 

ウルトラマン、頑張って!

 

「ヘァッ!!」

 

「ギイィィィイ!!」

 

 

穂乃果side off

 

 

 

 

◎side

 

 

(BGM:ウルトラマン戦闘曲『勝利』)

 

「ヘァッ!!」

 

「ギイィィィイ!!」

 

ウルトラマンとベムラーは睨みあう。

 

そして両者同時に走る。

 

二体はそのまま力士のように取っ組み合いの戦いを始める。

 

「ダァァッ!!」

 

「ギイィィィイ!!」

 

二体はその場で一回転してから、ウルトラマンは攻撃に出る。

 

ウルトラマンは右手、左手、両手合わせてのチョップをする。

 

「ヘァッ!ヘァッ!ダァッ!!」

 

「ギイィィィイ!!」

 

ベムラーは痛がり、長い胴を生かしてのタックルをしようとするが、ウルトラマンに抱え込まれ、その場で三回ほど回され、UTXとは逆の方向へ投げ飛ばされる。

 

「ダァァァ!!」

 

「ギイィィン!!」

 

ウルトラマンは追撃に移ろうとするが、ベムラーの吐いた熱線をまともに食らい、後ろに倒れる。

 

「ホエァァ!!」

 

ベムラーは立ち上がり、ウルトラマンにそのままのし掛かる。

 

「ギイィィン!!」

 

そして頭突きや熱線を吐いて、攻撃する。

 

「ギイィィィイン!!」

 

「ホエァァ!!」

 

ウルトラマンは何とか頭を抑えつけ、抵抗するが拮抗状態に入り、なかなか反撃できない。

 

竜『糞っ!このままじゃ、時間切れになっちまう!!』

 

ウルトラマンに変身している竜司は焦る。

 

そう、ウルトラマンは地球上では3分間しか活躍できない。

 

それを過ぎれば、二度とウルトラマンは戦えなくなる。

 

竜司は考える。

 

どうすればいいかを。

 

その時、竜司の耳に穂乃果の声が聞こえた。

 

穂「頑張ってぇぇぇ!! ウルトラマーーン!!」

 

穂乃果に感化され、他の人達も応援する。

 

その声は、ウルトラマンに力を与える。

 

ウルトラマンはベムラーの首に両手チョップを3発入れる。

 

「ダァァ!! ヘァッ!ダァッ!!」

 

そして、ベムラーの腹に右足を添えて、上に一気に押し上げる。

 

「ダァァァァァ!!」

 

「ギイィィィイン!!」

 

ベムラーは吹っ飛ばされ、地面に落下する。

 

すかさずウルトラマンは立ち上がり、両腕を十字に構える。

 

そこから、水色の光線が発射される。

 

ウルトラマンの必殺技『スペシウム光線』だ。

 

ベムラーにスペシウム光線が見事に当たり、ベムラーは爆発。

 

ウルトラマンの勝利だ。

 

穂「ありがとぉぉー!ウルトラマーン!ありがとぉぉー!」

 

穂乃果はウルトラマンに礼を言う。

 

他の人々も感謝の言葉を口々に言う。

 

ウルトラマンは人々に頷き、ベムラーによって壊された街を復元する光線を発射。

 

街はみるみる内に元に戻る。

 

それを見届けたウルトラマンは大空へ飛び上がる。

 

「シュワッチ!!」

 

こうしてウルトラマン、もとい竜司は初の戦闘を勝利で飾った。

 

◎side off

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

あの後、変身を解き穂乃果のところへ戻ったのだが、思いっきり穂乃果に抱き付かれ泣かれた。

 

穂「穂乃果がどれだけ心配したと思ってるの!!!? 竜ちゃんのバカァァァァァ!!」

 

とまあ、こんな風に怒られています。

 

竜「いや、まあ……悪かったとしかいいようがないかな」

 

穂「グス…ホントに悪いと思ってる?」

 

竜「はい、もちろんです」

 

何とか早くこの場を治めないと、さっきから視線が痛い。

 

多分、穂乃果という美少女を泣かしている俺は相当悪いヤツに映っていると思う。

 

美少女って、いいよなぁ~。

 

色々と。

 

さっきまで俺はみんなを守ったヒーローなのに……。

 

ハァ~……。

 

穂「聞いてるの竜ちゃん!!!? ちゃんと反省しているの!?」

 

竜「勿論です、ごめんなさい」

 

穂「もう…………」

 

竜「まあ、心配させて悪かった…」

 

穂「っ!! えへへへ~♪」

 

俺は穂乃果の頭を撫でる。

 

こうしていたら、大体穂乃果は機嫌を治してくれる。

 

楽でいいぜ。

 

そういえば何か忘れてるような………。

 

あっ!?

 

竜「穂乃果。学校」

 

穂「あっ!? ヤバいよ、竜ちゃん!! 早く行こう!!」

 

竜「おいおい!! 引っ張んなよ!?」

 

俺は穂乃果に手を引かれ、音ノ木に向かった…。

 

途中で穂乃果が、色々なスクールアイドルの雑誌を漁っていたせいで、着いたのは2限目の始まりだった。

 

担任の先生や、海未たちには事情を話すと大いに心配された。

 

 

 




さて、後書きの時間だ。

今回で第1話は終わらせるつもりだったが、



スマン…無理だ。

なので次回に持ち越します

それでは、サラバ!!

あっ、何か質問があるなら、気軽にどうぞ


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叶え!私たちの夢――#3

さて、今回で第1話は終わるはずです

終わる………よね


さて、あの怪獣騒動の後、何とか音ノ木に着き、授業を受け、今は休み時間。

 

俺、穂乃果、海未、ことり、朱雀、盾の6人で集まっているところだ。

 

こ「それにしても穂乃果ちゃんも竜くんも災難だったね~」

 

海「ですね…。ホントに怪我はしてないのですね?二人とも」

 

穂「大丈夫だよ~。海未ちゃんもことりちゃんも心配性だなぁ~。確かに、怪獣が現れた時はびっくりしたし、怖かったけど、ウルトラマンが来てくれたからね♪全然だよ!!」

 

こんな風に過保護ともいえるくらいの心配の言葉をさっきからかけられている。

 

正直、耳にタコだ。

 

ちなみに、本物のベムラーや、ウルトラマンが現れた事は早速ニュースで取り上げられていて、テレビでもスマホのチャンネルでも、全部ウルトラマンの事ばかりだ。

 

まあ、とてもありえない奇跡だとは思うが、何も全てのテレビ局がウルトラマン一色にしなくても…。

 

穂「それよりも、解決策見つけて来たんだよ♪聞いて聞いて!!」

 

ジャーン!!とか言いそうな顔で、机の上に広げたのは、登校途中にあるだけ持ってきたスクールアイドルの雑誌やチラシだ。

 

穂「まずはみんなにこれを見てほしい」

 

盾「何これ?」

 

穂「スクールアイドルだよ!! 最近有名じゃん?」

 

朱「スクールアイドル?へぇ…そんなのがあるんだ…」

 

意外にも盾や朱雀が、興味を持った。

 

海「竜司…もしかして…穂乃果の考えた解決策というのは……?」

 

竜「Yes!! その通りだ、海未」

 

海「何でちょっとテンション高いんですか!?」

 

だって穂乃果は一度決めたら絶対に止まらないし、やめないから。

 

もう諦めたんだ。

 

穂「それでね、私達でスクールアイドルをやろう!」

 

竜「ほらな…」

 

海「…………」

 

海未は反応しない。

 

ただの屍のようだ。

 

海「誰が屍ですか!? 誰が!?」

 

おっ、生き返った。

 

つーか、海未、俺の心読んだよね?

 

そんな事は気にも止めず穂乃果は喋っている。

 

穂「こっちは大阪のスクールアイドルで、こっちは福岡のスクールアイドルなんだって!!」

 

とまあ、しゃべくりまくる。

 

盾「何て言うんだっけ、この話し方」

 

朱「マシンガントーク?」

 

盾「あっ、それそれ」

 

この二人は二人で、余裕な態度。

 

自分たちには関係無いと思ってるな。

 

しかし、ここで穂乃果が急に話を止め

 

穂「あれ?海未ちゃんは?」

 

と聞く。

 

あれ?

 

確かにいない。

 

こ「あれ?ホントだ」

 

ことりも周りを探すがいない。

 

が、ここで盾が

 

盾「ああ…海未なら廊下に出て行ったよ」

 

海未の行方を暴露。

 

アイツいつの間に…?

 

穂「海未ちゃん!!」

 

海「ひっ!!」

 

穂「まだ話は終わってないよ!!」

 

海未は振り向くと、露骨に嫌な顔をしている。

 

まあ、海未の性格を考えれば分かるが。

 

海「はぁ、『私達でスクールアイドルをやる』とか言い出すつもりでしょう?」

 

穂 「うわ!? 海未ちゃんエスパー!?」

 

海 「誰でも想像つきます!!」

 

だよな…。

 

穂「だったら話は早いね。今から生徒会に行ってアイドル部を…」

 

海「お断りします!」

 

盾「まあ、そうなるよねぇ~」

 

穂「なんで!?」

 

海「思いつきで始めたところで、状況が変わるわけが無いでしょう!」

 

あーあ、喧嘩おっ始めやがった…。

 

穂「だってこんなに可愛くてキラキラしてて楽しそうなんだよ!こんな可愛い服着て、みんなの前で歌うとか普通はできないんだよ!?」

 

はぁ~…メンドクセェ…。

 

朱「……ねぇ、ことり」

 

こ「なぁに~?」

 

朱「 風紀の仕事があるから、もう行くよ」

 

こ「うん♪頑張ってね、キーくん」

 

朱雀は呆れて、自分の用事をしに、この場を去る。

 

それに、ことりはエールを送る。

 

盾「俺も。…ちょっと飲み物買いに行って来るよ」

 

竜「オイコラ待て、盾。あれどうにかしろよ。海未と一番付き合いが長いの、お前だろ?」

 

俺は、盾に二人の喧嘩を止めるように言う。

 

盾「やだよ。めんどくさい。それに、その法則だと、穂乃ちんと一番付き合いが長いのは竜ちんじゃん。だったら竜ちんが止めなよ…」

 

竜「むぐっ!!」

 

盾に俺の代わりに止めるように言うが、盾は拒否。

 

しかもド正論をぶつけてきたので、俺は反論できない。

 

そして海未も穂乃果に正論をぶつけてきた。

 

海「私はそんなことを言ってるんじゃありません!こんな事で本当に生徒が集まると本気で思いますか!」

 

穂「そ、それは…。人気が出ればだけど……」

 

海「その雑誌にあるスクールアイドル達もプロと同じ努力をし、真剣にやってきた人たちですよ。穂乃果のように好奇心だけで始めても上手くいくはずがありません!」

 

穂「うぅぅぅ…」

 

穂乃果は唸る。

 

まあ、海未のはかなりの正論だしな…。

 

しかし、ここでまさかの盾。

 

盾「まあまあ、落ち着きなよ海未。俺は穂乃ちんの案いいと思うよ~」

 

海「なっ!! し、盾!? 本気で言ってるんですか?」

 

盾が穂乃果の味方に付いたことで戸惑う海未。

 

当の穂乃果も驚いている。

 

盾「うん。本気だよ~。確かに、穂乃ちんの案は、半分は失敗の可能性がある。でも、もう半分は当たりの可能性がある。確立は50/50《ヒフティーヒフティー》。要は乗るか反るかじゃん」

 

海「…ですが……」

 

盾「海未。そんな考えじゃあ、当たるものも当たらないよ…」

 

海「…………」

 

盾の言い分に黙り込む海未。

 

思うところがあるのだろう…。

 

こういう時の盾は凄い。

ふつうに海未を言い負かしてしまう。

 

盾「まあ、好きな方を選びなよ。別に今すぐ答えを出せってわけじゃないからさ。ことちんも…。後悔しない道を選びなよ。じゃあね~」

 

そう言って、盾は去ってゆく。

 

 

 

竜司side off

 

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 

穂「やっぱりアイドルはダメなのかな~。」

 

放課後、私は屋上で肩を落とす。

 

海未ちゃんとことりちゃん、竜ちゃん達に一緒にアイドルをやろうって言ってみたけど…5人ともなんか余り乗り気じゃなかったな……。

 

そんな事を考えていると、屋上の扉が開く。

 

出てきたのは竜ちゃんだった……。

 

竜「なんだ…ここにいたのか?」

 

穂「竜ちゃん……」

 

私は思いきって聞いてみた。

 

穂「ねぇ、竜ちゃん…。竜ちゃんは、スクールアイドルをやるのは反対………?」

 

正直、竜ちゃんだけには賛成してほしい。

 

海未ちゃんやことりちゃん、盾くん達よりも最初に友達になって……私が初めて好きになった人。

 

そんな竜ちゃんには賛成もしてほしいし、積極的に応援もしてほしい。

 

竜ちゃんは、暫く考えていたみたいだけど、ポツポツと話始める。

 

竜「そうだなぁ~…。俺は穂乃果の好きなようにしたらいいと思う。スクールアイドルになるって言っても、要は本人の頑張り次第だろ?盾も言ってたが、まさに博打。半分半分の確立だ。そして、その半分の当たりを確実にするには、やっぱり本人の頑張りなんだよ」

 

と答えられた。

 

竜「まあ、結論でいえば、俺は穂乃果が本気でやるってんなら、メンドクセェけど応援くらいはしてやる」

 

さらに、そう付け加えられた。

 

穂「…うん。やっぱり、竜ちゃんは頼りになるよ。ありがと…」

 

竜「そうかぁ~?」

 

穂「うん!!」

 

そんな事を竜ちゃんと話していたら

 

「~~♪~~~♪」

 

穂「ん?」

 

竜「あん?」

 

音楽室からピアノの音が聴こえる。

 

穂乃果と竜ちゃんは気になったので階段を下りて音楽室に向かった。

 

 

穂乃果side off

 

 

 

 

 

海未side

 

 

私は弓道場に来ているのですが集中できません……。

 

原因は穂乃果がスクールアイドルを一緒にしようと言ってきた事。

 

………それともう一つ。

 

盾『海未そんな考えじゃあ、当たるものも当たらないよ…』

 

盾に言われた事が頭から離れません。

 

ごく稀に的確な言葉を言ってくるんですから…。

 

盾は私が、穂乃果やことり達と友達になる前の最初の友達で、男性が苦手な私が初めて会ってすぐに、仲良くなった特殊な男性です。

 

何故だか、盾は他の男性ほど怖くないのです。

 

何故でしょう……?

 

海「い、いけません。集中しなくては……」

 

『みんなのハート打ち抜くぞぉ~♡ばぁ~ん♡』

 

海「わ、私は今なにを…///」

 

集中です。

 

園田海未!!

 

『ラブアロ~シュ~ト♡』

 

海「あぁ~…こんなのでは全然ダメです!!」

 

結局、一度もできなかった…。

 

すると…

 

こ「海未ちゃ~ん、海未ちゃ~ん!」

 

誰かが呼んでます。

 

ことりと、盾?

 

海未side off

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

 

俺と穂乃果は歌声が聞こえてきた部屋、音楽室にきた。

 

そこには、二人の男女がいた。

 

女子の方は赤髪で勝ち気なつり目。

 

ピアノを弾いて、歌っていたのはコイツか…。

 

男子は水色の髪に、左右の方に少しだけ金髪があるヤツ…。

 

あっ…コイツ知り合いだ。

 

氷川氷麗《ひかわ ひょうら》。

 

それがコイツの名前だ。

 

氷麗は、赤髪の女子が弾いているピアノを楽しげに聞いている。

 

ピアノの演奏が一段落したところを見計らい、穂乃果が滅茶苦茶早い拍手をしていた。

 

音…でかすぎ…。

 

それに気づいた赤髪の女子は『ヴエエエェェェ!?』と言いながら、びっくりしている。

 

てか、なんだよ…その悲鳴。

 

氷麗はなんかキョトンとしている。

 

穂乃果はそのなかに堂々と入り、赤髪女子を誉めちぎる。

 

穂「すごいすごい!! とても綺麗な歌声だね~!ピアノも上手だし!! それに何より、アイドルみたいに可愛い!!」

 

「えっ!? まあ……それほどでも」

 

満更でもなさそうに言う赤髪。

 

竜「よう…氷麗」

 

氷「久しぶり…。何の用なんだ?」

 

竜「いや……いい歌声が聞こえてきたからな」

 

氷「フフーン♪だろう!? 真姫の歌やピアノは一流だからな!!」

 

そう自分の事のように自慢する氷麗。

 

成る程… この赤髪女子は、「真姫」って言うのか…。

 

名字は知らんが…。

 

そんな真姫に穂乃果は、

 

穂「ねぇ、あなた!! アイドルやってみない!?」

 

と聞くが

 

「ヴエェ!?……ナニソレ?イミワカンナイ!!」

 

そう言って、音楽室を出て行った…。

 

まあ、そりゃそうだな。

 

初めて会ったヤツにアイドルにならないかって言われて「はい!やります」って言うヤツなんかいない。

 

断られた穂乃果は、

 

穂「あはは……だよね…」

 

と落ち込んでいた。

 

そんな穂乃果に氷麗がフォローを入れる。

 

氷「真姫は、ちょっと素直じゃ無いだけなんで気にしないでください」

 

氷麗はそう言って、真姫を追いかけるように出ていく。

 

残った俺は、穂乃果に取り敢えず

 

竜「スクールアイドルになるなら、それの練習でもするか?」

 

と声をかける。

 

穂乃果は「うん……そうだね…」と言って音楽室を出る。

 

 

 

竜司side off

 

 

 

 

 

海未side

 

今私は、ことりと盾と一緒に穂乃果がダンスの練習をしている場所へと向かっています。

 

竜司から『ちょっと来てみろ 』というメールをもらったので、気になるというのもありますが。

 

海「まったく、穂乃果には困ったものです」

 

こ「あはは……でも海未ちゃん、後悔した事ある?」

 

海「それは………………」

 

私は考えます。

 

確かに穂乃果は、私やことりだけじゃ尻込みしてしまう場所でも、穂乃果は私達を無理矢理連れていってくれます。

 

そして、その素晴らしい景色を見せてくれます。

 

そして今回も………

 

こ「海未ちゃん、盾くん、私………スクールアイドルやってみようかな」

 

海「ことり?」

 

こ「海未ちゃん、あれ見て」

 

ことりの視線の先には穂乃果が竜司の手を借り、ダンスの練習をしていました。

 

穂乃果が転ぶと竜司が『大丈夫か?』と穂乃果をフォローしていました。

 

海「盾、ことり…私もやってみようと思います」

 

こ「海未ちゃん」

 

盾「まあ、好きにすれば」

 

海「はい!だからその時は、盾も応援してくださいね♪」

 

 

海未sideoff

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

穂乃果と一緒にダンスの練習をしていると海未とことり、盾がやって来た。

 

海「全く。1人で練習しても意味ありませんよ? やるなら…3人…いえ、6人でやらないと」

 

穂「海未ちゃん……。うん!!」

 

竜「良かったな…穂乃果。……ん?6人?」

 

海未とことりが入るから3人なんじゃないの?

 

それは盾も疑問に思ったみたいで

 

盾「ねぇ、海未?なんで6人なの?」

 

と聞く。

 

すると海未から衝撃的な言葉が

 

海「それは私と穂乃果とことり、盾と竜司、そして恭弥の6人に決まっているじゃないですか?」

 

はっ?

 

はぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!?!?

 

竜「おい海未、何だよそれ!? 聞いてねぇぞ!?」

 

俺は猛抗議した。

 

海「今言いましたからね」

 

竜「ふざけんなぁぁぁあ!? おい、穂乃果もことりも何か言え!!」

 

穂「いいね!! それ!じゃあ、竜ちゃん達はマネージャーかな?」

 

こ「そうだね♪」

 

竜「ダメだ!こいつら!!」

 

くそぉぉ!!

 

ここには俺の味方は……あれ?

 

そういえば盾は?

 

海「おや?盾は………って、盾!! 何帰ろうとしてるんですか!?」

 

みると盾は、足音を消してこの場から去ろうとしていた。

 

しかし、海未に見つかってしまった。

 

見つかった盾は

 

盾「帰ってもいいよね?答えは聞いてない!!」

 

と、若干下の方を向いた人差し指を突きつけて言う。

 

海「あなたはどこのリュウタロスですか!?…って、あ、こら!! 待ちなさい盾!!」

 

海未は呼び止めるが、その巨体からは考えられないほどのスピードで走り去る。

 

しかし、盾のヤツ滅茶苦茶リュウタロスに声似てたな…。

 

しかし、盾がいなくなった事で標的が再び俺に向く。

 

穂乃果達は口々に説得という名の文句を言う。

 

穂「竜ちゃん言ってたよね!! 私の事、応援してくれるって!! あの言葉は嘘だったの!?」

 

こ「ひどいよ、竜くん!!」

 

海「あなたはそれでも男ですか!?」

 

竜「ああ、もう!! 分かった分かった!! 入ればいいんだろ、入れば!?」

 

結局、俺が根負けして入る事になった。

 

3人は「やったね!!」とハイタッチしていた。

 

はぁー、メンドクセェ……。

 

『竜司、君も大変だな…』

 

ウルトラマンがテレパシーで話かけてきた。

 

そう思うんなら、助けてくれよ。

 

穂「じゃあ、4人で申請書を提出しに、生徒会室に行こっか」

 

穂乃果は満面の笑顔で言った。

 

 

ーーーーーーー

 

 

現在、生徒会室

 

絵「これは?」

 

穂「アイドル部設立の申請書です」

 

生徒会長の第一声。

 

絵「それは見れば分かります」

 

穂「では認めていただけますね?」

 

絵「いいえ。部活は最低でも5人以上の部員が必要です」

 

穂「えぇ!そうなんですか?」

 

海「待ってください。部活動は5人以下でも活動しているところもあります!」

 

海未が疑問に思った意見を言うが

 

絵「設立した時は、みんな5人以上いた筈よ」

 

蒼「裏を返せば、5人揃えれば設立できるな」

 

茜「あと1人だな」

 

穂「後1人………。分かりました。みんな行こ?」

 

穂乃果がそう言って退出しようとすると…

 

絵「待ちなさい。どうしてこの時期にアイドル部を始めるの? あなた達2年生でしょ?」

 

穂「廃校をなんとか阻止したくて!スクールアイドルって今すごく人気があるんですよ?だから…」

 

絵「だったら尚の事、部員が5人以上集まっても認める訳にはいかないわね」

 

「「「えぇっ!!!」」」

 

竜「それはまた、なんでだ…」

 

絵「部活は生徒を集めるためにやるものじゃないの。思いつきで行動したところで状況が変わるとは思わないわ」

 

そして申請書を、穂乃果達に突き返す。

 

絵「こんな事を考えてないで残りの2年、自分の為に何をするべきかちゃんと考えるべきよ」

 

竜「……あんたに、一つ言っておく」

 

絵「何かしら?」

 

俺は右手の人差し指を天に向け

 

竜「お婆ちゃんが言っていた、『たとえ世界を敵に回しても守るべきものがある』ってな…。あんたが穂乃果達の邪魔をするなら、俺はあんたを許さない」

 

穂「竜ちゃん………」

 

海「竜司……」

 

こ「竜くん……」

 

絵「…何なの…あなた?」

 

生徒会長は若干苛つきながら聞いてくる。

 

竜「天の道を往き、総てを司る男……かな?じゃあな。行くぞ、お前ら……」

 

そうして俺たちは生徒会室を後にした。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

◎side

 

 

絵「なんなのよ、あの子?」

 

蒼「気にするな、絵里。竜司はああいうヤツだ。それよりも、さっきのお前の言葉。誰かさんにブーメランだぜ」

 

希「そうやね。ホンマ誰かさんに聞かせたいわぁ~」

 

絵「蒼燕も希も、一言多いのよ」

 

希「それが副会長の仕事やから」

 

蒼「幼馴染みの特権だ」

 

絵「まったく…」

 

竜司たちが出た後、こんな会話をしていた三人である。

 

 

◎sideoff

 




やった!第1話終わったよぉぉ!!


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アイドルを始めよう#1



エリチカ編まで長い


今、俺たちは生徒会室を出て、とある空き教室にいる。

 

そこには、生徒の風紀に関する書類をまとめている朱雀がいる。

 

生徒会長に言われた通り、最後の1人を入れるため、まずは朱雀のところへ訪れた。

 

朱「ふーん…スクールアイドルやるんだ…。3人共」

 

ここでいう朱雀の3人とは、俺、海未、ことりの事だ。

 

穂乃果に関しては言い出しっぺなので、除外している。

 

こ「そうなの。だから、キーくんにもマネージャーとして入ってほしいの」

 

説得には、ことりが担当している。

 

人の話を聞かない朱雀も、ことりの言葉には耳を貸すからな。

 

相変わらず、ことりには甘いな。

 

朱「ことりはともかく、園田海未と天青竜司が入るなんてね…。意外だよ」

 

海「はい…」

 

竜「まぁな…」

 

まぁ、海未は恥ずかしがり屋だし、俺は面倒臭がり屋だからな。

 

朱雀が意外に思うのも無理もない。

 

こ「それで、どうかな…?キーくん」

 

朱「うん。別にいいよ」

 

こ「ホント!? ありがとう~、キーくん!」

 

穂「やったね!! ことりちゃん!!」

 

朱雀はあっさり了承。

 

穂乃果とことりは、ハイタッチして喜ぶが

 

朱「ただし、条件があるよ」

 

こ「ふぇ?」

 

朱雀の条件という言葉に、?を浮かべることり。

 

俺も、海未も、穂乃果も同じ気持ちだ。

 

朱雀は大体、ことりのお願いは損得抜きで引き受ける。

 

だからこそ意外だ。

 

朱雀がことりに見返りを求めてくるのは…。

 

朱「アイドルになるなら、ライブをいつかはするんだよね?」

 

こ「うん」

 

朱「なら、そこで良い結果を見せてよ」

 

穂「良い結果?」

 

朱「そう。分かりやすく結論を言えばライブを必ず成功させること。これが最低条件。分かるよね?それが出来ればマネージャーとして協力してあげる。それまでは、精々助言くらいかな」

 

コイツ…。

 

穂乃果達を試してやがるな…。

 

朱「要するに、君たちの覚悟を見せてほしいの。スクールアイドルをやるうえでのね…」

 

朱雀の挑発じみた言葉に、穂乃果達は

 

穂「分かった!! 必ず成功させるから!」

 

こ「だから、その時はキーくんも必ず約束守ってね!!」

 

海「首を洗って待っててくださいね、恭弥!!」

 

そう言って、3人はやる気のある笑みを浮かべる。

 

それを見た朱雀は

 

朱「期待してるよ」

 

同じく笑みを浮かべる。

 

3人は教室を出て、俺も出ようとすると、朱雀が声をかけてくる。

 

朱「天青竜司」

 

竜「なんだ?」

 

朱「ことり達をお願いするね」

竜「……ああ。乗り掛かった舟だ。最後まで面倒みてやるよ」

 

そう言って今度こそ俺も出る。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

朱雀side

 

 

朱「ふぅ~」

 

天青竜司が出ていった後、僕は溜め息をつく。

 

本当なら、すぐに協力してあげたいけど。

 

やっぱりね……不安だからね。

 

途中で投げ出さないか。

 

僕も、それなりにアイドルの事は知ってる。

 

アイドルの世界は残酷な格差社会。

 

弱肉強食。

 

それに彼女達が耐えられるかどうか…。

 

そんな思考に耽っていると、後ろから気配がする。

 

誰だ?

 

ことり達は今出ていったし、その後は誰も入って来てない…。

 

僕の後ろには少し離れているが窓がある。

 

だから余程のバカじゃない限り、そんなアクロバティックな入り方はしてこないはず。

 

そう思った僕は後ろを振り返る。

 

するとそこには…

 

 

 

 

 

 

光の球が空中に浮いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………えっ?

 

 

 

 

 

その光の球は喋りだす。

 

『おかしい…。確かに、ここにマン兄さんの気配があったのに…。あっ、君。もしかして、私の事が見えているのかい?』

 

そう聞いてきた。

 

朱「まあ…ね。それより君ダレ?」

 

『すまない、紹介が遅れたな』

 

光の球は、その姿を人形に変えてゆく。

 

完全に変えた時、そこに立っていたのは、赤と銀の二色で構成された身体で、頭に前方へ伸びているトサカ。

 

そのトサカには穴が空いている、ウルトラマンらしき存在がいた。

 

『私の名は、ウルトラマンエース。M78星雲・光の国から来たウルトラ兄弟No.5の戦士だ』

 

 

 

らしきじゃなくて…ホントにウルトラマンだった……。

 

 

朱雀sideoff

 

 

 

 

竜司side

 

 

翌日。

 

俺と穂乃果、海未、ことりの4人はまた生徒会室にいる。

 

今度は講堂の仕様許可を取りに来てる。

 

生徒会長の顔が昨日と同じ顔になってるのに、デジャブを覚えた。

 

そう思ったのは、俺だけじゃないみたいで蒼燕が

 

蒼「なんかデジャブだな…」

 

と呟いていた。

 

絵「………これは?」

 

穂「講堂の仕様許可を取りに来ました」

 

海「講堂は部活動関係なく使えると、校則に書いてあります」

 

希「日にちは、新入生歓迎会の時間やな」

 

そう。

 

あの後、4人でいつするか話合い、新入生歓迎会の時にやろうと決めた。

 

ちなみに、盾には海未が電話をかけてマネージャーに誘ったのだかが、『少しだけ考えさせてほしい』との事。

 

絵「何のために?」

 

海「それは…………」

 

穂「ライブをする為です!」

 

このア穂乃果……。

 

生徒会長に色々言われるかもしれないから、ライブの事は伏せて許可を求めに行こうって話たのに……。

 

あっさり暴露しやがった。

 

こ「まだやるって決まったわけじゃ……」

 

穂「えぇぇぇ!! やるよぉぉ!!」

 

ことりが注意するが、それに異を唱える穂乃果。

 

それを見かねた会長は

 

絵「そんな状態で大丈夫なの?歓迎会は遊びじゃないのよ?」

 

と聞いてくる。

 

ごもっとも…。

 

しかし、蒼燕と副会長が

 

蒼「まあ、落ち着けよ絵里」

 

希「そやでエリチ。それに生徒会は生徒のやる事まで口出しはできひんよ」

 

という副会長の言葉で承認され、俺達は生徒会室を後にする。

 

竜司sideoff

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

竜司達が出ていった後、絵里が俺と希に言ってくる。

 

絵「蒼燕も希も、何であの子達の肩を持つの…?」

 

蒼「肩を持った覚えはないがな…」

 

これは本心だ。

 

俺の気持ちは昔から何一つとして変わらない。

 

絵里の為ならなんでもやる。

 

それが例え、絵里に恨まれることであっても。

 

東條は席から立ち、窓に近づきながら言う。

 

希「何度占っても、同じ答えが出るんよ」

 

そして東條は窓を開ける。

 

絵里は、机に置かれているタロットカードをみる。

 

その瞬間、突風が部屋の中に吹き流れる。

 

東條はカッと目を見開き、

 

 

 

 

 

希「カードがウチにそう告げるんや!!」

 

 

 

 

 

と叫ぶ。

 

カードは、風のせいでバラバラと壁の方へ散らばるが、一枚だけ表を見せて、緋村の顔面にあたる…。

 

パシンッ!!という音を立てて。

 

緋村はカードを、顔から取り一言。

 

 

 

 

 

茜「希……窓、閉めろ」

 

希「あっ………うん」

 

 

 

 

 

緋村の表情はいつも通りだが、逆にそれが怖い。

 

東條は勿論、俺も絵里も何とも言えない雰囲気になった。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

海「ちゃんと言ったじゃないですか!アイドルの事は伏せて、借りるだけ借りておこうと!」

 

穂 「ふぁんふぇ?」

 

穂乃果がパンをかぶりつきながら、海未の方に振り向いた。

 

今、俺と穂乃果、海未は中庭のベンチにいる。

 

海「……またパンですか」

 

穂「ほら、うち和菓子屋だからパンが珍しいの知ってるでしょ?」

 

竜「こいつのパン好きは今に始まった事じゃないだろ」

 

海未の呆れ気味な質問に答える穂乃果。

 

そんな時、穂乃果達に声をかける者が。

 

「3人とも、ポスター見たよ!」

 

クラスメイトのヒデコ、フミコ、ミカのヒフミトリオだ。

 

フ「穂乃果ちゃんはともかく、海未ちゃんや天青くんもやるなんてね」

 

ミ「頑張ってね!」

 

その言葉に海未は間抜け面を晒す。

 

海「…………へ?」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

海「勝手過ぎます!!」

 

海未は憤慨していた。

 

穂乃果が勝手にライブ宣伝のポスターを貼っていたからだ。

 

まあ、これに関しては穂乃果が悪いので、庇うような事はしない。

 

だって、俺も聞いてないからだ。

 

そうこうしているうちに、教室につく。

 

教室では、ことりが何かをしている。

 

こ「う~ん……こう……かな?」

 

自分の席で何やら描いていた。

 

竜「なにしてんだ?ことり」

 

こ「あっ、竜くん!あのね、ライブで着る衣装を考えてたの♪」

 

竜「ほ~う」

 

こ「出来た!見て、ほら」

 

見るとアイドルらしい可愛い衣装のイラストが描かれていた。

 

相変わらず凄いな。

 

ことりのアイディア。

 

穂「ことりちゃん凄い!! これ可愛いよ!!」

 

こ「ありがとう!頑張って作るね!」

 

2人のやり取りを見ていると、俺の隣にいた海未が浮かない顔をしていた。

 

…どうしたんだ?

 

海「こ、ことり?」

 

こ「なぁに~?」

 

海未、歯切れ悪いよ?

 

海「こ、このスーッと伸びているものは?」

 

こ「足よ♪」

 

海「す、素足にこの短さですか?」

 

こ「だってアイドルだもん♪」

 

海未の疑問の声に当然と言わんばかりのことり。

 

海未はしきりに自分の足を見てモジモジしていた。

 

……トイレに行きたいのか?

 

穂「大丈夫だよ!!」

 

海「ひゃあ!?」

 

穂「海未ちゃん足綺麗だし!!」

 

あっ!

 

そういう事…。

 

海「穂乃果は人の事、言えるのですか!?」

 

海未がそう言うと、穂乃果は自分の足をムニムニして

 

穂「よし!! ダイエットしよう!!」

 

と言う。

 

それに、ことりは苦笑いしている。

 

竜「大丈夫だろ?お前ら全員、どこからどう見ても美少女だから。問題無いだろ?」

 

そう言うと、ことりと海未は顔を赤くし、穂乃果に至っては、気持ち悪いくらいのニヤケ顔で

 

穂「エヘヘへへ、竜ちゃんに褒められたぁ~///」

 

と、手を頬にあてて身体をくねらせていた。

 

竜「?…まあ、そんな事より決めなくちゃいけないこと、あるだろ?」

 

俺がそう言うと、穂乃果は「え?何だっけ…?」と聞いてくる。

 

コイツはホントに…………。

 

こ「ほら、グループ名。決めてないでしょ」

 

ことりが言い、海未と穂乃果は「あっ?」と気がつく。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

そして現在、図書室。

 

ここで俺達は名前を考えていた。

 

こ「う~ん…なかなか思いつかないね~」

 

穂「だねぇ~」

 

が、難航している。

 

穂「あっ!じゃあ、私と海未とことりちゃんの名前を合わせて…」

 

《少女想像中》

 

穂乃果たちは、スーツを着て

 

穂「どうも~。穂乃果!」

 

海「海未!」

 

こ「ことり!」

 

三味線の音に合わせて名乗る。

 

 

《終了》

 

 

竜「…………いや、ダメだろ?どこの漫才トリオだよ」

 

即座に却下。

 

穂「じゃあ、これは?」

 

 

《再び少女想像中》

 

 

穂乃果たちは、それぞれの軍服を着て言う。

 

穂「海未ちゃんは海!ことりちゃんは空!穂乃果は陸!」

 

「「「守れ!! 市民の平和!!」」」

 

 

《終了》

 

 

竜「…………いや、さっきより有り得ねぇよ!!!?」

 

こ「アイドルらしく無いかな~?」

 

再び却下。

 

穂「じゃあ、竜ちゃんも考えてよう~」

 

まあ、さっきから却下してばっかりだしな。

 

そう思い、俺は考えて意見を言う。

 

竜「………ここは適当に、テキトーズとか」

 

穂「竜ちゃんこそ有り得ないよ!!!?」

 

海「穂乃果よりも酷いですよ!?」

 

こ「竜くん真面目に考えてよ~」

 

大バッシングを食らった…。

 

 

ーーーーーー

 

 

穂「これでよし!!」

 

穂乃果は廊下に置いてある机の上の投票箱を見て頷く。

 

竜「結局、丸投げか…」

 

海「ですね…」

 

あの後、全然決まらず、この形に落ち着いた。

 

まあ、これでいいかもな。

 

 

ーーーーーーー

 

 

次に、練習場所として空き教室を借りるため、職員室に来た。

 

担任にその事を伝えると

 

「空き教室を?なんに使うんだ?」

 

穂「えっと、スクールアイドルの練習に…………」

 

少し言いづらそうに穂乃果が説明すると、担任は穂乃果達を見て

 

「お前等が………アイドル…………?」

 

と首を傾げたあと「フッ」と鼻で笑った。

 

穂「あぁ!? 鼻で笑った!?」

 

竜「ま……そりゃそうか…」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

結果、空き教室は借りられず、屋上で練習する事に。

 

雨が降れば練習出来ないが、この際贅沢は言えない…。

 

そして穂乃果、海未、ことりは先ずは歌の練習をするために3人並ぶのだが………。

 

「「「……………」」」

 

竜「……………?」

 

こ「………曲は?」

 

海「私は知りませんよ?」

 

穂「……………私も…」

 

竜「俺もだが……?」

 

どうやら曲がない。

 

はぁ~、ダメかも。

 

コイツら……。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

土方side

 

 

どうも~、久しぶりの盾だよ~。

 

ここからは俺視点で進めるね。

 

そっちに答えは聞いてない!!

 

海「何やってるんです?…盾」

 

なんか海未が変な人を見るような目で見てくるけど、そんなのは気にしない!

 

盾「別に」

 

海「はぁ~、それじゃあ穂乃果の家に行きますよ」

 

俺と海未は今から穂乃ちんの家に行くところだ。

 

なんかスクールアイドルのことで作戦会議をするみたい。

 

それに俺も何故か呼ばれた。

 

ホントは嫌だったんだけど、海未が「来てくれますよね?盾?」と、凄い顔で迫ってきたから頷くしかなかった。

 

海「盾、まだ決めてくれないのですか?」

 

盾「………ごめん」

 

海「いえ…別に責めているわけではないんです。これは、私の我が儘ですから…」

 

そう言って、海未は俯く…。

 

海未がスクールアイドルをやる事になり、俺も海未に入るよう、誘われるけど何だかなぁ~。

 

気乗りしないんだよねぇ~。

 

そう思っていると、穂乃ちんの家につく。

 

穂乃ちんの家は、老舗の和菓子屋で「穂むら」という。

 

海未はここの和菓子が好きなのだ。

 

海「お邪魔します」

 

盾「お邪魔しま~す」

 

「あら、いらっしゃい」

 

出迎えてくれたのは、穂乃ちんのお母さん。

 

いつ見ても二人の子持ちとは思えないほど若い…。

 

何故?

 

まあ、それはことちんと海未のお母さんもだけど…。

 

「盾くんも久しぶり。あっ!穂むまん食べる?」

 

穂乃ちんのお母さん、もとい夏穂さんが名物の穂むまんを薦めてくるが

 

海「いえ、ダイエットしますので」

 

海未は断る。

 

盾「え?海未ダイエットしてんの?」

 

海「はい!穂乃果たちもやってますよ」

 

盾「ふ~ん…。でも、ダイエットするほどじゃないと思うよ。海未、相変わらず綺麗だし」

 

そう言うと海未は熟れたトマトみたいに顔を赤くして、「盾はずるいです……」と呟き、夏穂さんは「青春ね~」と言っている。

 

何が…?

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

海未と一緒に穂乃ちんの部屋に入ると、そこでは思いっきりお菓子を食べている、穂乃ちんとことちん、そして竜ちん。

 

盾「ねぇ~海未。ダイエットしてんじゃなかったっけ?」

 

そう俺が聞くと海未は二人を睨みながら

 

海「あなたたち…ダイエットは?」

 

と聞く。

 

すると二人は「あぁぁぁ!?」と言う。

 

忘れてたんだ…。

 

竜ちんはそんな二人に

 

竜「バカなやつら…」

 

って言ってるけど、海未に

 

海「あなたもですよ!! 竜司!! 何で二人を止めないんですか!?」

 

と怒られた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

なんかやかんやで作戦会議中。

 

盾「それで、ライブするのは分かったけど、曲や歌詞はどうするの?」

 

穂「それは音楽室で歌とピアノがすごく上手くてキレイな1年生の子がいたから、明日作曲ができないか聞いてみようと思ってるんだ」

 

盾「ふ~ん…」

 

穂「それでね!もし作曲してくれるって言ったら作詞の方も何とかなりそうだよねって海未ちゃんと盾くんが来る前に竜ちゃんとことりちゃんと話してたの!ね、ことりちゃん。竜ちゃん」

 

竜「あぁ」

 

こ「うん!」

 

作詞?

 

まさか穂乃ちんの友達に詩人か何かに伝がある人がいるの?

 

何て考えていると穂乃ちんとことちんは徐々に海未に詰め寄っていた。

 

……あっ。

 

このあとの展開読めたわ。

 

けど分からないフリしっとこ~う。

 

面白そうだしぃ~。

 

穂「海未ちゃんさぁ……中学の時ポエムとか書いたりしたことあったよねぇー……?」

 

海「えぇっ……!?」

 

穂乃ちんが海未の中学時代の黒歴史を掘り起こそうとしていた。

 

海未のポエムか…。

 

昔はよく見せてくれてたなぁ~。

 

最近めっきりだけど。

 

こ「読ませて貰ったことも……あったよねぇ~?」

 

ことちんが超ブラックな微笑みで徐々に海未を追い詰めていく。

 

海「…………。……ッ!!」

 

穂「あっ!! 逃げたっ!!」

 

穂乃ちんとことちんの口撃に耐えきれなくなった海未は、部屋のドアを無言で開けて逃走した。

 

穂「盾くん!捕獲して!」

 

盾「はいはい♪」

 

面倒臭いけど、もっと面白いことになりそうだから捕まえてくるか…。

 

海「離してください!! 盾!」

 

盾「やだよ」

 

海未は逃げようとジタバタするが、俺とは体格がかなり違うし、海未を後ろから抱っこしている形なので、すぐに部屋に戻れた。

 

 

土方sideoff

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

盾が海未を部屋に連れ帰ってすぐに海未が

 

海「お断りします!!」

 

と拒否。

 

まぁ気持ちは分からなくはない。

 

黒歴史を掘り起こされてなお、作詞してくれなんて頼まれちゃ誰だってそうなる。

 

俺だってそうすると思う。

 

穂「えー!? 何でなんでー?」

 

海「ぜっっっっっったい嫌です!! 中学の時のだって恥ずかしすぎて思い出したくもないくらい何ですよ!?」

 

盾「えぇ~。海未のポエムは好きだよ~。例えば~」

 

海「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 言わないでください盾!!!」

 

盾が暴露しようとすると、慌てて盾の口を塞ぐ海未。

 

穂「いいじゃんいいじゃん!アイドルの恥は掻き捨てって言うし」

 

海「言・い・ま・せ・ん!!!」

 

俺も初めて聞いた。

 

海「それなら穂乃果が作詞をすればいいじゃないですか!!」

 

穂「あー…それはー…」

 

海未の抵抗に穂乃果は頬をポリポリと掻きながら、余所見をする。

 

きっとあの時の事を思い出しているのだろう。

 

俺も鮮明に覚えている。

 

あれは小学2年生の国語の授業参観の時だった。

 

先生に当てられ、作文を読み始めた穂乃果。

 

その第一声が

 

穂『おまんじゅう、うぐいすだんご、もう飽きた』

 

あれにはメチャクチャ吹いて、俺と盾は笑い転げた。

 

あの後、穂乃果は夏穂さんにメチャクチャ怒られ、泣きながら俺の家の部屋に籠城して、挙げ句の果てに

 

穂『穂乃果はもう竜ちゃんの家の子になるぅぅぅぅぅ!! 竜ちゃんのお嫁さんになるぅぅぅぅぅぅ!!』

 

とまあ、天青家と高坂家の両家を巻き込んだ大事件になった。

 

こ「無理だと…思わない?」

 

海「………………」

 

思い出したのか、押し黙る海未。

 

しかし、めげない海未は今度は俺に振る。

 

海「では……竜司が…………!!」

 

竜「俺がやると適当な歌詞になるが、それでもいいのなら」

 

海「…………」

 

自分で言っといてあれだが、こういう事に関してはかなり適当になる。

 

最悪、一文字で終わる可能性もある。

 

海「だったら……ことりが……!!」

 

こ「ごめんね海未ちゃん…。ことりはきっと衣装を作るので精一杯になると思うから…」

 

海「では…盾!」

 

盾「お菓子の歌でいい?」

 

海「……………っ」

 

八方塞がりとはまさにこの事だ。

 

これで嫌が応にも海未が作詞を担当しなければならなくなった。

 

穂「おねがいっ!海未ちゃんしか頼れる人がいないんだよ!」

 

こ「ことりも時間があるときは、手伝うからぁ!!」

 

竜「俺も、何ができるかは分からんが手伝うからさ…」

 

盾「海未が力を貸してほしいなら俺も貸すよ」

 

海「うぅぅぅぅ…!!」

 

まだ渋る海未。

 

しかしここで、ことりが唐突に着ていた制服のブレザーを脱いでから目に涙を貯め、頬は少しだけ赤くなっている。

 

握られた小さな右手を自分のふくよかな胸元に持っていく…。

 

まさか……!!

 

あれを繰り出す気か……!?

 

朱雀ですらも頷くしかない、ことりの奥義。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん……おねがぁいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海「んなぁっ!?……………もう、ことりはずるいです…」

 

海未はやっと頷いた。

 

これが、ことりの奥義、通称ことりのお願いだ。

 

受けた者は強制的に何でも言う事を聞く。

 

それがどんな堅物でも。

 

それは余波でも凄い威力だ。

 

どれくらいかというと…

 

竜「ヤッダナ!! ハノケ!!」

 

穂「うん!! でも竜ちゃん。ちょっと何言ってるか分かんない…」

 

竜「ナジェナンディスカ!?」

 

強制的にオンドゥル語になるくらいだ。

 

海「但し、練習メニューは私が作ります」

 

そう言った海未は穂乃果たちにノーパソの画面を見せる。

 

画面にはA-RISEの動画が映っている。

 

海「見てください。楽しく踊っているようでも、かなりの体力を使うんですよ。穂乃果、ちょっと笑顔で腕立てしてみてください」

 

そう言われて穂乃果はやるが、次第に笑顔が歪んでくる。

 

遂に、体勢が崩れ床に顔からダイブ…。

 

痛そう…。

 

穂「いったぁーい!? 痛いイタイいたい!? 竜ちゃん痛いよぉ~~」

 

そう言った穂乃果は俺の服に顔をグリグリ擦りつけてくる。

 

……いや、何で?

 

海「これから穂乃果とことりには何曲も笑顔で歌って踊れる体力をつけてもらいます。いいですね!?」

 

こうして作戦会議は終了した。

 

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

◎side

 

 

穂乃果の家での作戦会議が終了して、竜司はことりを、盾は海未を送っていた。

 

その帰り。

 

盾は道端で妙なオーパーツを拾う。

 

盾「これって…ティガの変身アイテムに似てるなぁ~」

 

盾の言う通り、そのオーパーツはティガに変身できるアイテム『スパークレンス』の閉じた時の形に似てる。

 

何故似てるという表現なのか?

 

それは、石化した状態だからだ…。

 

盾「まあ…一応拾っておこう」

 

盾はそう言って持ち帰る。

 

それが自分が戦う運命にさせるとは知らずに。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

翌日。

 

穂乃果、ことり、海未は神田明神で朝練をしていた。

 

そこで俺はストップウォッチを持ち、測定していたが……。

 

まあ二人の体力の無さ…。

 

海未は部活やらなんやらで体力は付いてるが、やっぱり二人はダメだった。

 

神田明神の無駄に高く長い男坂を走り終えて、穂乃果は地面に大の字で寝転び、

 

穂「はぁーはぁー…もう、ダメ……」

 

ことりも尻をつけて

 

こ「私も………もう……無理…」

 

と弱音を吐くが、海未は容赦なく

 

海「何言ってるんですか!? これを朝と放課後にやります!! さらに、ここで歌と踊りの練習の他にも、二人には基礎体力をつけるための特訓をしてもらいます!分かったら、もうワンセットです!!」

 

穂「はぁ~い」

 

文句を言う穂乃果とことりに、俺は水筒を渡しながら言う。

 

竜「まあ、頑張れ」

 

穂「うぅ~~…竜ちゃんは他人事だと思ってぇ~」

 

竜「実際、他人事だからな」

 

穂乃果の言葉を一蹴する。

 

そこへ、

 

希「君たち」

 

副会長が話かけてきた。

 

巫女服を着て…。

 

何故?

 

こ「副会長さん?」

 

穂「その格好は?」

 

希「ここでバイトさせて貰っとるんよ。神社は色んな気が集まるスピリチュアルな場所やからね。それに、この坂を使わせ貰っとるやきん、お参りぐらいしとかんとね」

 

副会長の言葉を聞き、穂乃果たちはお参りする。

 

穂(初ライブが成功しますように)

 

こ・海(しますように)

 

かなり真剣にお参りしてる。

 

俺?

 

する訳ねぇじゃん。

 

穂乃果たちの後ろでボーッとしてる俺に副会長が話かけてくる。

 

希「あの子たち…本気みたいやな」

 

竜「まあな」

 

希「君はしないの?」

 

竜「俺は神様ってやつを信じない…。運命は自分の手で掴みとるものだ」

 

希「そっか…。まあ、そういうのもえんとちゃう」

 

そう言い残し副会長は去ってゆく。

 

さて、本番はどうなることやら………。




次回でヤツがくる


ヒント:「本当の戦いはここからだ!!」


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アイドルを始めよう#2






真「お断りします!!」

 

初めらこの第一声。

 

まあ、分からない人の為に説明しよう。

 

朝練を終えた俺たちは学校に着き、俺と穂乃果たちは別行動をしていた。

 

穂乃果、海未、ことりの三人は一クラスしかない1年の教室へ行き、目当ての生徒、つまり今目の前にいる赤髪、西木野(生徒名簿で調べてみた)を探していたのだが見つからず、帰ろとしたところで丁度西木野が入ってきたので、屋上に連れてきて作曲をしてくれるよう説得をしているという状況だ。

 

ちなみに俺はそれまで屋上で苺ミルクを飲んでいたのだが、穂乃果に一緒に説得してくれるよう頼まれた。

 

メンドクセェ~…。

 

穂「お願い!あなたしかいないの!」

 

真「お断りします!!」

 

頑なに断る西木野。

 

竜「もしかして歌うだけで、曲は作れないんじゃね?」

 

真「なっ!? そんな訳ないでしょ!!」

 

俺が煽ると見事に反応した。

 

こういうタイプは一番これが楽な方法だ。

 

真「ただ…やりたくないだけなんです…」

 

穂「どうして!? 学校に生徒を集めるためだよ!? その歌で生徒が集まれば…」

 

真「興味無いです!!」

 

そう言って西木野は屋上を出た。

 

穂「お断りしますって…海未ちゃんみたい…」

 

海「あれが普通の反応です」

 

まあ、そう事は簡単にいかないって事だ。

 

穂「あ~あ、せっかく海未ちゃんがいい歌詞作ってくれたのに…」

 

海「ちょっ…!! 何で持っているんですか!? 返して下さい!!」

 

穂「えぇ~!? 何で!? どのみち歌って知られるんだからいいじゃん!!」

 

穂乃果と海未が歌詞が書かれた紙を巡って、争っている。

 

海未が歌詞担当に決まったその日に完成したらしい…。

 

すげぇ~。

 

そう思っていると、屋上のドアが再び開き出てきたのは、生徒会長だった。

 

絵「ちょっと、いいかしら?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

授業中、俺の前の席に座る穂乃果は考え込んでいた。

 

生徒会長の言葉を気にしてるんだろう。

 

会長は、『スクールアイドルが今まで無かったこの学校でやってみたけどやっぱりダメでしたとなったら、みんなどう思うかしら?』と言ってきたのだ。

 

会長もこの学校を本気でなんとかしようと考えている。

 

だからこそ、穂乃果たちに簡単に考えてほしくないんだろう…。

 

穂「やっぱり、甘かったのかなぁ…」

 

海「やっと気づいたのですか?」

 

穂「でも、ふざけてやろうって言った訳じゃないよ?海未ちゃんのメニュー全部こなしてるし、おかげで足は筋肉痛だけど」

 

海「確かに頑張っているとは思いますが、生徒会長が言ったことはちゃんと受け取らないと」

 

落ち込む穂乃果に、俺はこの言葉を送る。

 

竜「穂乃果、お婆ちゃんが言っていた。『自分が望めば、運命は絶えず自分に味方する』ってな。そう簡単に諦めるな…。俺も最後まで付き合ってやるから」

 

俺は人差し指を天に向ける、「仮面ライダーカブト」でやってた所謂『天道ポーズ』で同じく『天道語録』のひとつを送る。

 

海未はとことりは苦笑いしているが、穂乃果は明るい笑顔で

 

穂「うん!! ありがと、竜ちゃん」

 

と礼を言う。

 

笑顔が戻って何よりだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

穂「あったよー!! 1枚!!」

 

教室に戻った後、穂乃果は一人グループ名投票箱のところへ行ってたみたいで、紙をひとつ手に持って帰ってきた。

 

海「何が書いてあるんですか?」

 

穂「えっとね~…何これ?ユー…ズ?」

 

紙にはμ’sと書かれている。

 

なんて読むの…ホントに?

 

海「たぶんミューズかと」

 

「「ああ…石鹸の?」」

 

海「違います!」

 

俺と穂乃果の思考がシンクロし、同時に声に出すが、海未に即座に否定される。

 

海「恐らく、神話の女神からつけたのだと思います」

 

穂「へぇー………………」

 

竜「ミューズね……」

 

こ「良いと思う!私は好きだな!」

 

穂「よーし、今日から私たちはμ’sだ!!」

 

こうしてグループ名が決まった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

さて、今俺と穂乃果は西木野にもう一度作曲を頼むために、1年の教室に来ているのだが………

 

既に放課後ということもあり、教室には誰もいなかった。

 

穂「あぁ~、誰もいない」

 

竜「一足遅かったかもな」

 

すると穂乃果と俺の後ろから「にゃん?」という声が聞こえ、振り返った。

 

そこには、オレンジの短髪少女と眼鏡をかけた少女。

 

さらに、茶髪でどこぞのタコヘッドみたいな髪型の男子と、顔を横断するぐらいの傷を負っている180㎝ぐらいの黒髪の男子がいた。

 

またもや男子二人は知り合いだ。

 

世間は狭いとはよく言ったものだ。

 

穂「ねえあなた、あの娘知らない?」

 

「あの娘………?」

 

するとオレンジ少女の後ろにいた眼鏡少女が、

 

「西木野さんのことですよね?歌の上手い」

 

と穂乃果の質問に答え、穂乃果は眼鏡少女に、

 

「もう流石に帰っちゃったかな?たは~っ」

 

と問いかけると今度はオレンジ少女が、

 

「音楽室じゃないですか?」

 

と答える。

 

「あの娘…いつも氷川君としか喋らないから」

 

成る程…。

 

確かに氷麗しか友人いなさそうだしなぁ~。

 

穂「そっか…ありがと、じゃあね~」

 

穂乃果はオレンジ少女に礼を言って去ろうとするが、眼鏡少女に、

 

「あの……アイドル…、頑張ってください……」

 

と小声で言われる。

 

かなり聞き取りにくいが。

 

穂「うん!! ありがと!!」

 

穂乃果は眼鏡少女にも礼を言い、今度こそ去る。

 

俺も行こうとするが、

 

「竜司」

 

茶髪の男子、『寺獄嵐助』に声をかけられる。

 

竜「…………何だ?」

 

嵐「何で、面倒臭がりのお前が積極的に、あの先輩の活動を手伝ってんだ?」

 

と聞いてくる。

 

それは大きな古傷のある黒髪の男子、『火神イクス』も疑問に思ってるようだ。

 

まあ…知ってるヤツからしてみれば、そう思うか。

 

竜「……見てみたいのさ……。あいつが夢を叶えるのを…」

 

嵐「………」

 

そう言い残し、俺も穂乃果のところへ行く。

 

穂「竜ちゃあぁぁぁぁぁん!はやくぅぅぅぅ!!」

 

竜「分かってる」

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

氷麗side

 

 

俺、氷川氷麗は今日も今日とて真姫のピアノを聴く為に音楽室にいる。

 

真姫のピアノをいつもみたいに聞いてる時だ。

 

突然いつかの凄い拍手の音が聞こえた。

 

真姫も、それに気づいたようで「ヴェェェェ!?」と昔からの癖みたいな驚きを口にする。

 

そこには、いつかのオレンジサイドテールの先輩と、竜司がいた。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

真「何の用です?」

 

穂「やっぱり、もう1回お願いしようかと思って」

 

真「しつこいですね!」

 

そう言われて高坂先輩は

 

「あはは、海未ちゃんにもよくそう怒られるんだー」

 

と苦笑いしてしまう。

 

真「私、ああいうアイドルみたいな曲一切聴かないから。聴くのはクラシックとかジャズとか」

 

穂「へぇー、どうして?」

 

真「軽いからよ!なんか薄っぺらくて………遊んでるみたいで」

 

それを聞いた俺は、(まあ、確かに真姫からしてみればそう思うのは仕方ないかな)と思う。

 

また高坂先輩も、

 

「私も最初はそう思ってたんだー」

 

と真姫に言い、高坂先輩はスクールアイドルはお祭りみたいにパーッと盛り上がって楽しく歌ってれば良いかな、と自分も思っていたと真姫に伝える。

 

穂「でもね、結構大変なの。ねえ、腕立て伏せできる?」

 

唐突にそんなことを言われ、真姫は「はぁ!?」と声をあげるが高坂先輩に

 

穂「あっ、できないんだー」

 

というニヤけ顔で言われ、それにイラついた真姫は

 

「それくらいできるわよ!」

 

と言って上着を脱いで腕立て伏せをすることに。

 

真「1、2、…どう!? これでいいでしょ!!」

 

この先輩…真姫の扱い心得てるなぁ~。

 

そして腕立て伏せをする真姫を見て先輩は

 

穂「おぉー、すごい私よりできる!」

 

と感心の声をあげ、真姫も

 

「当然でしょ!これでも私は…」

 

と自慢げな表情を見せるが、

 

穂「ねえ、それで笑ってみて?」

 

真「えっ?なんで?」

 

突然不思議な事を言い出した。

 

それは俺も疑問に思ったので、近くにいる竜司に視線で聞いてみるが

 

「まあ、見てろ」

 

と言われた。

 

穂「良いから!」

 

言われて真姫は笑いながら腕立てをやるが、次第にその笑顔が崩れてくる。

 

穂「ね?大変でしょ」

 

真「なんのことよ!?」

 

と、真姫は聞くが俺は分かった。

 

成る程…アイドルの大変さを身を以て知らせたのか…?

 

先輩は真姫に園田先輩が作詞した歌詞を(竜司に聞くと、そう答えられた)「一度読んで見てよ?」と真姫に差し出す。

 

真「だから私は………!」

 

穂「読むだけなら良いでしょ?今度また聞きに来るから!その時ダメって言われたらスッパリ諦める!」

 

真「……………答えが変わることはないと思いますけど」

 

真姫はそう言って一応歌詞を受け取り、先輩は

 

穂「だったらそれでもいい!そしたらまた歌を聴かせてよ!」

 

と言い、真姫は「えっ?」と首を傾げる。

 

穂「私、西木野さんの歌大好きなんだ」

 

竜「まあ、確かに綺麗な歌声だったしな。俺もすぐに興味を示したぐらいだからな…」

 

穂「だよね!あの歌とピアノを聴いて感動したから、あなたに作曲お願いしたいなぁーって思ったんだ!」

 

それから竜司と高坂先輩は毎日、朝と夕方で神田明神でトレーニングしてるから、良かったら遊びに来て欲しいと言い残して、2人は音楽室を出て行った。

 

真「……………」

 

真姫は2人が出て行ったのを確認するとジッと歌詞が書かれた紙を見つめていた。

 

真「ねぇ…氷麗。あなたは、どう思う?」

 

と聞いてくる。

 

氷「そうだな……」

 

俺は考える。

 

数秒考え、そして答える。

 

氷「俺は真姫の好きなようにしたらいいと思う」

 

真「……そう………」

 

真姫は難しそうに考える。

 

そんな真姫に、

 

氷「取り敢えず帰るか?」

 

と促し、真姫も「そうね…」と言い、帰る準備をする。

 

それに、まだ俺の言い分はあるから…。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

真姫の家への帰り道。

 

俺は真姫と一緒に帰っている。

 

俺には両親がいない。

 

母さんは婦警だったのだが、犯人の凶弾に当り死に、父さんは空軍のエースパイロットだったのだが、謎の光の中に消え行方不明になった。

 

どちらも俺が幼い時で、家族ぐるみで付き合いのあった西木野家に引き取られた。

 

最初の頃は、俺は部屋の中に引き込もっていたが、それを見かねた真姫が得意のピアノをよく弾いてくれた。

 

その甲斐もあって、俺は立ち直る事ができた。

 

ホントに真姫には感謝してる。

 

だからこそ…真姫には楽しい高校生活を送ってほしい。

 

俺は音楽室での話を再び振る。

 

氷「なあ、真姫。作曲の話だけど…」

 

真「何よ?」

 

氷「俺はしてもいいんじゃないかなと思ってる」

 

真「はぁー?あなた…さっきは私の好きにしろって…」

 

氷「言ったけど、やっぱり個人的には真姫の作曲した曲が聞きたいんだ…」

 

(BGM:邂逅)

 

氷「だって…俺は真姫の曲が一番好きなんだ。どんな一流の作曲家よりも、俺にとっては真姫の曲が一番なんだ」

 

真「氷麗……」

 

氷「それにほら、俺…昔は引き込もってばっかで、録に学校生活送らなかったから、楽しい思い出なんか無いし……。ネトゲで友人は出来たけど………。でも、真姫はそんな俺を救ってくれた。だからこそ…真姫には楽しい思い出を…学校生活を送ってほしいんだ」

 

真「…………」

 

氷「なあ、先輩たちの活動見てみないか?それで決めてもいいんじゃないか」

 

真「……ちょっとだけよ……」

 

氷「ああ…」

 

そう言って、先輩たちが練習している神田明神へ行く。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

神田明神へ着き、先輩たちがどんなアイドルの練習しているのか、こっそり陰から見る俺と真姫。

 

そこでは、階段の上でへばっている二人の先輩と、それに渇を入れる、長い髪の先輩…あの人が園田先輩かな…?

 

そして、三人に水筒やタオルを渡す竜司と紫髪の背がかなり高い男子…あれ?

 

土方?

 

何で土方も?

 

まあ、そんな事よりも……先輩たちかなり真剣なんだな。

 

真姫も、その様子を見ていたが、突然その真姫が大声をあげる。

 

真「きゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

氷「うぉっ!? えっ…何!? どうした真姫!?」

 

後ろを振り向くとそこでは、

 

 

 

副会長が真姫の胸をわし掴んでいた……………。

 

 

 

 

なんで……………?

 

 

 

 

希「まだ発展途上ってところやな」

 

氷「いや、あんた何してんだよ?」

 

思わずツッコム。

 

階段の方で先輩たちが「えっ?今の何!?」と言っていたが、そんなのが気にならないくらい目の前の衝撃的光景に呆気にとられた。

 

真「ホ…ホントに……何すんのよ!?」

 

と言って、真姫が自分の胸を抑えながら俺の後ろに隠れる。

 

しかし、副会長は軽くスルーして、

 

希「けど大丈夫。望みは捨てなくてもええ。大きくなる可能性はある」

 

とか言ってる。

 

真「なんのことよ!!」

 

希「恥ずかしいんやったら、こっそりという手もあると思うんよ」

 

真「だから、なんの……」

 

希「わかるやろ…」

 

真姫が再び聞こうとするが、副会長はそれを遮り諭すように言う。

 

そして、階段の方へ行く。

 

真「…………何よ?ホントに……」

 

そう呟き考える真姫。

 

これはもう見学どころじゃないな…。

 

氷「帰るか?真姫」

 

俺がそう聞いた時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きく地面が揺れて、遠くの街の方で、大きな土煙が上がり、次の瞬間。

 

 

 

 

 

「グビャアアァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

怪獣が地面から這い出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

氷麗sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

 

真「ヴェェェェェェ!? なっ何よ、あれ!? 怪獣!?」

 

真姫は驚き叫ぶ。

 

氷麗も絶句している。

 

階段の上にいる、穂乃果、海未、ことり、盾、希も唖然としている。

 

その怪獣は手足はヒレになっており、身体の色は黄、黒、クリーム色に彩られている。

 

何より特徴的なのは、鼻先にドリルがある。

 

希が呟く。

 

希「深海怪獣…グビラ…」

 

希の言う通り、その怪獣は初代ウルトラマンに出てきた敵怪獣…グビラだ。

 

グビラが出てきた事により、街の人々は逃げ惑う。

 

グビラは鼻先のドリルを回し暴れまわる。

 

竜司はこっそりと、その場から離れ、神社の林の中へ入る。

 

竜「……………行くぞ、ウルトラマン」

 

『うむ』

 

竜司はベーターカプセルをポケットから取りだし、ボタンを押し、ウルトラマンへ変身する。

 

そして、グビラの前に地響きを立てて、舞い降りる。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

(BGM:ウルトラマン戦闘『勝利』)

 

「へァ!!」

 

「グビャアアァァァァァ!!」

 

ウルトラマンはグビラの前に立ち、前傾姿勢の戦闘ポーズをとる。

 

穂「ウルトラマンだ。…………ウルトラマンが来てくれた」

 

海「あれが……本物のウルトラマン……」

 

こ「大きい~」

 

ウルトラマンの登場に、穂乃果は喜び、海未は唖然、ことりはその大きさに感心している。

 

「ダァッ!!」

 

「グビャアアァァァァァ!!」

 

ウルトラマンはグビラの突進を抑え、背中に連続チョップする。

 

「へァ!! ダァッ!! へァ!!」

 

さらに背中に跨がり、グビラの身体にパンチを叩き込む。

 

「ダァッ!! へァ!! へァ!!」

 

「グビャアアァァァ!!」

 

グビラはウルトラマンを背中に乗せたまま、その場で暴れまわる。

 

「グビャアアァァァ!!」

 

「へァ!!」

 

なんとかウルトラマンを身体から振り落とすグビラ。

 

グビラは振り落としたウルトラマンに向かってドリルを回転させながら突進する。

 

ウルトラマンはそれを右へ地面に転がりながら避ける。

 

そして、両腕を胸の前で水平にし、右腕を後ろに回し、一気に降りおろす。

 

その腕から、光の回転ノコギリがグビラに向かう。

 

希「八つ裂き光輪や!!」

 

希は興奮気味に叫ぶ。

 

八つ裂き光輪はグビラに真っ直ぐ向かうが、グビラのドリルで弾かれる。

 

ウルトラマンは立ち上がり様子を見るが、その瞬間ウルトラマンの背中に光線が当たる。

 

「ホエァァ!?」

 

何だ!? と思い、倒れながら後ろを振り返るウルトラマン。

 

そこには………もう一体の怪獣がいた。

 

全身岩のようにゴツゴツした岩そのものな怪獣。

 

「ネオダランビア」がいた。

 

「グルルル……」

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 

海「そんな…もう一体いたなんて!?」

 

こ「2対1だなんて……無理だよぉ~!? どうしよう穂乃果ちゃん!!」

 

海未ちゃんは愕然とし、ことりちゃんは悲観するが、私は

 

穂「大丈夫だよ!! 海未ちゃん、ことりちゃん!! ウルトラマンは絶対負けない!!」

 

そう信じてる。

 

穂「ねっ?そうでしょ、竜ちゃん!!………あれ?竜ちゃん?」

 

後ろを振り返ると、竜ちゃんはいなかった……。

 

どうして……!?

 

 

穂乃果sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷麗side

 

 

俺は真姫と一緒にウルトラマンの闘いを見ていたが、もう一体現れて、挟み撃ちにされた。

 

最初はウルトラマンも二体の攻撃をかわし、チョップやパンチ、キックを叩き込んでいたが、次第に劣勢になっている。

 

氷「糞ッ!! このままじゃ、ウルトラマンが…」

 

歯噛みする俺。

 

そんな時、俺の耳に

 

『氷麗………氷麗………!』

 

不思議な声が聞こえた。

 

氷「誰だ…!? どこにいる!?」

 

俺は叫ぶ。

 

それを不審に思った真姫が

 

真「どうしたの、氷麗?」

 

と聞いてくる。

 

氷「いや…今、声がしたんだ。真姫には聞こえないのか?」

 

真「?……いえ、全然」

 

真姫はそう言うが、まだ声が聞こえる。

 

俺にしか聞こえないのか?

 

『氷麗………氷麗……氷麗!!』

 

今度は、はっきり聞こえた。

 

氷「………っ!」

 

俺は、声の聞こえる方角…怪獣のいる方へ行く。

 

真「ちょっと氷麗!! どこ行くの!?」

 

真姫がそう言ってくるが、無視して走った。

 

 

氷麗sideoff

 

 

 

 

 

 

 

真姫side

 

 

真「氷麗!? ああ……もう!!」

 

氷麗が突然走り出した。

 

しかも怪獣のいる方へ…。

 

私は放っておけるはずもなく、付いていく。

 

しばらく走ると、やっと氷麗を見つけた。

 

怪獣とは離れてるけど、はやく離れないと、ここも危ない。

 

真「氷麗!!」

 

氷「真姫!? 何でついてきた!?」

 

真「氷麗のこと放っておけないからよ!!」

 

氷「っ!まあ…いい。とにかく、この子を助けるのを手伝ってくれ!!」

 

そう言われて見ると、瓦礫の中に一人の幼い男の子が埋まっていた。

 

それを氷麗は一つ一つ瓦礫をどかしていた。

 

真「分かったわ!!」

 

そう言って私も瓦礫を退かし始める。

 

多少、時間はかかったけど、何とか助けて出せた。

 

男の子の状態を見ると

 

真「………大丈夫。気を失ってるだけね…」

 

氷「そうか!よし、はやくここから非難しよう!!」

 

真「ええ」

 

そう言って非難しようと走り出した時

 

氷「真姫!! 危ない!!」

 

真「ッ!!!?」

 

突然、氷麗に男の子共々突き飛ばされた。

 

 

 

 

その後、ドグシャッ!!という音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

真「いたた……ッ!? 氷麗ッ!? 氷麗ッ!!」

 

私が振り返ると、そこには男の子の上にあった量の倍以上の瓦礫の下敷きになった氷麗がいた。

 

氷「へへ……っ!見たか?…俺の超ファインプレイ…」

 

氷麗は弱々しいけど、私に心配させないように笑顔で言う。

 

真「そんな事、言ってる場合じゃ無いでしょ!? 待ってて!今助けるから!!」

 

私はそう言って氷麗を助けようとするが

 

氷「いいから!! 先にその子を連れてはやく逃げろ!!」

 

氷麗の怒声に足が止まる。

 

真「でも……ッ!!」

 

氷「いいから!! 俺は必ず生き延びるから!! だから先に真姫は逃げろ!!」

 

私は氷麗のその目を見て、そして上を見上げる。

 

そこには岩の怪獣が迫って来てた。

 

真「ッ!!…分かった!! 後で必ず助けに来るから!! だから、必ず生きてて!! 死んだら許さないから!!」

 

そう言い残し、私は俺の子を抱え、その場を離れる。

 

氷麗、待ってて…!!

 

 

真姫sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷麗side

 

 

真姫が非難した後、俺は自分で動ける範囲で動き上を向く。

 

そこには岩そのものな怪獣ネオダランビアがいた。

 

どうやら、グビラ一匹でもウルトラマンを倒せるところまで追い詰めたのか、街を破壊する行動に移ったみたいで、俺のすぐ目の前にいる。

 

(BGM:邂逅)

 

氷「悪いな…真姫。俺もうダメみたいだ」

 

ああ…どうやら、ここが俺の死に場所みたいだ。

 

俺はそう悟った。

 

ネオダランビアはもうすぐ側にいる。

 

恐らく簡単に踏み潰されて終わりだろ…。

 

でも…どうせなら…最後に。

 

氷「父さん…俺も光が見たいぜ………。」

 

父さんの同僚から聞いた話じゃあ、父さんの操縦する戦闘機の前に、突然キレイな光の渦が現れたらしい。

 

同僚の人は避けるように言ったが、父さんは

 

「あの光は、俺を呼んでいる。きっとこの先、この光は人類の救世主になる」

 

と言い、自ら突っ込んで行ったらしい。

 

俺は自分の死を受け入れる。

 

もう俺にやりたい事はないから…。

 

俺は目を閉じる。

 

 

 

 

真『氷麗!』

 

 

 

 

 

だがその瞬間、脳裏に真姫の笑顔がよぎる。

 

そうだ…。

 

俺には、まだやりたい事がある……っ!

 

真姫がこの先やる事を見届けたい。

 

それまで…っ!

 

氷「それまで死ねるかぁぁぁぁぁああ!!!!」

 

俺は右手を伸ばす。

 

その瞬間、光の柱がネオダランビアを破壊して、俺に降り注ぐ。

 

俺は光の柱に包まれる。

 

そして目の前に琥珀石みたいなのが素材で、人面の彫刻がされたアイテムが浮いていた。

 

俺はそれを手にとり、叫ぶ。

 

 

 

氷「ダイナァァァァァァ!!」

 

 

 

瞬間、俺は光と共に巨大化する。

 

 

氷麗sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真姫side

 

 

私は氷麗に言われて男の子を抱え、非難していた。

 

しばらく走ると後ろが急に明るくなった。

 

今は夕方なのに、昼間みたいに明るくなっている。

 

真「今度は何よ!?」

 

私は勢いよく後ろを振り返る。

 

そこには、大きな光の柱があり、すぐ側にいたはずの岩の怪獣が粉々に破壊されていた。

 

その光の柱は徐々に萎み、そこから現れたのは

 

 

 

 

 

 

 

「ダアッ!!」

 

 

 

 

 

赤と青と銀の身体で、背中から恐らく胸にも走る金のライン。

 

頭の方には、菱形のクリスタルが付いてる。

 

 

真「ウルトラマン………ダイナ……?」

 

 

そこには、本物のウルトラマンダイナがいた。

 

嘘でしょ…?

 

イミワカンナイ……。

 

 

真姫sideoff

 

 




遂にダイナがキタァァァァァァァ!!


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アイドルを始めよう#3

今回かなり短いです



◎side

 

 

ウルトラマンは苦戦していた。

 

グビラだけなら普通に戦えた。

 

手の打ちようもあった。

 

だが、突如現れたもう一体の怪獣ネオダランビアが出現したことにより状況は一変。

 

二体の猛攻にあう。

 

ネオダランビアの光線に怯んだところを、グビラの突進を受け、再び転ぶ。

 

「ダァッ!!」

 

すぐさま立ち上がりスペシウム光線を撃つが、

 

「シュワッチ!!」

 

ネオダランビアのバリアーに阻まれ防がれる。

 

そしてなんと、グビラが鼻先のドリルをミサイルのように撃ってきた。

 

普通のグビラなら、こんな能力はない。

 

唖然としたウルトラマン、もとい竜司はまともに食らう。

 

「アーーーーッ!!」

 

後ろに吹っ飛ぶウルトラマン。

 

そのままドリルを次弾装填したグビラは再び放ち、ネオダランビアも光線を撃つ。

 

避ける間も無いまま受け続けたウルトラマンは遂にカラータイマーが赤に点滅し、倒れる。

 

「ホエァァ…」

 

竜『どういうことだ?グビラにあんな能力は無いはずだ』

 

『恐らくバルタン星人に改造されて、あの力を手に入れたんだろう』

 

ウルトラマンがそう説明する。

 

そう、ウルトラマンの言うとおり、バルタン星人はグビラの鼻先だけを改造し、送り込んできたのだ。

 

神田明神にいる穂乃果が叫ぶ。

 

穂「ウルトラマン!! 頑張って!!」

 

海「立ち上がってください、ウルトラマン!!」

 

こ「頑張れーー!!」

 

海未とことりも応援する。

 

希と盾も声には出さないが、同じ気持ちだ。

 

しかし、

 

竜『クソッ!! 力が入らない…』

 

カラータイマーが点滅している事により、なかなか立ち上がる事が出来ないウルトラマン。

 

それを見たネオダランビアは、後の事はグビラに任せるように背中を向け、街を破壊するため歩き始める。

 

竜『ちっ!! 待ちやがれ!!』

 

竜司、もといウルトラマンは手を伸ばすが届くはずもない…。

 

その時、竜司とウルトラマンの耳に

 

「それまで死ねるかぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

という声が聞こえた。

 

次の瞬間、ネオダランビアの真上に極太の光の柱が降り注ぎ、ネオダランビアは断末魔をあげる暇もなく、粉々に破壊された。

 

そして、光の柱が次第に萎み、そこにいたのは赤と青と銀の体色の光の巨人…ウルトラマンダイナがいた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

(BGM:ヒーロー登場!)

 

「ダアッ!!」

 

本物のウルトラマンダイナが現れた。

 

この事実に人々はどよめき、歓声をあげていた。

 

一方、神田明神の方でも穂乃果たちがそれぞれの反応を示していた。

 

穂「ダイナだ……。本物のウルトラマンダイナだ!!」

 

海「これで形勢逆転ですね!!」

 

こ「うん!!」

 

穂乃果たちは大いに喜んでいる。

 

一方、ダイナになっている氷麗は

 

氷『うおっ!? マジか……俺、ダイナになってる!!』

 

とても驚いていた。

 

グビラやウルトラマンも驚いていた。

 

グビラはダイナに威嚇し、ウルトラマンに変身している竜司は

 

竜『おっふ……。マジかよ……』

 

呆然としていた。

 

しかし、いち早く自分のやるべき事を思い出した氷麗は、ウルトラマンの近くに降り立ち、ダイナのエネルギーを分け与える。

 

エネルギーを与えられたウルトラマンのカラータイマーは赤から青に戻る。

 

竜『力が戻った…。サンキュー』

 

氷『いいって、いいって。困った時はお互い様って…その声、竜司か!?』

 

竜『そういうお前は氷麗なのか!?』

 

氷『うん、そうだけど……何で竜司がウルトラマンに?』

 

竜『ベムラーが現れた時に出会って、成り行きで一体化したんだ。そういう氷麗は?』

 

氷『俺はさっきの光の柱の中で、ダイナになったんだ…』

 

竜『そうなのか~』

 

こうやって互いを指で指しながら会話しているが、穂乃果たちや人々には会話の内容が聞こえないので、?を浮かべていた。

 

「グビャアアァァァァァ!!」

 

そうこうしている内に、グビラが威嚇しながら此方へドリルを回転させながら突進しようとしてきたが、粉々に破壊されたネオダランビアの破片がグビラの身体を覆い始めた。

 

「グビャアアァァァァ!!」

 

苦しむグビラ。

 

その状況に困惑するウルトラマンとダイナ。

 

氷『な………何だ!?』

 

竜『合体か……?』

 

竜司の言うとおり、二体の怪獣は合体しようとしていた。

 

と言っても…ネオダランビアが一方的にだが…。

 

そして完成したのは、ネオダランビアの身体にグビラのドリルが鼻先に付いただけの姿。

 

いわば、「ネオグビラ」の誕生だ。

 

「グオオォォォォォン!!」

 

ネオグビラは産声をあげる。

 

だが、竜司と氷麗はそんなものには怯まない。

 

氷『はっ!たかがさっきの岩石野郎にドリルが付いただけだろ?全然問題無いぜ!!』

 

竜『とっと終わらせるぞ……』

 

『二人共。油断はするな』

 

ウルトラマンは二人に釘を刺す。

 

竜『分かった……』

 

氷『ああ…本当の戦いはここからだぜ!!』

 

そう言って、二人のウルトラマンは構える。

 

「ダアッ!!」

 

「へァッ!!」

 

(BGM:光の巨人、ふたたび)

 

先ずはダイナが仕掛ける。

 

ネオグビラに向かって走り、前蹴りを入れる。

 

「ダアッ!!」

 

「グオオォォォン!!」

 

ネオグビラは後退し、右の鎌を入れるがウルトラマンに止められ、逆に右パンチを叩き込まれる。

 

「へァッ!!」

 

見事にヒット。

 

ネオグビラは左右の鎌を交互に振るうが、右はウルトラマンに、左はダイナに止められ、逆にパンチやキックの反撃を許す。

 

「へァッ!! ダアッ!! へァッ!!」

 

「ダアッ!! ハッ!! ショワッ!!」

 

「グオオォォォン!!」

 

最後に二人同時のドロップキックを受け、後ろに吹っ飛ぶネオグビラ。

 

氷『よし!決めるぜ!!』

 

そう言った氷麗もといダイナは、両腕を弧を描きながら、素早く十字にクロスして放つ必殺技『ソルジェント光線』を射つ。

 

光線は真っ直ぐネオグビラに向かうが、ネオグビラが尻尾を上に振り上げると、ネオダランビアの時よりも強力なバリアーに阻まれる。

 

氷『えっ?マジか…』

 

光線は当たらず、バリアーの前で霧散する。

 

呆然とする、ダイナとウルトラマンにネオグビラはドリルミサイルを放つ。

 

それを受けたダイナは後ろに吹っ飛ぶ。

 

「グワァッ!!」

 

ウルトラマンも爆発の余波で吹っ飛ぶ。

 

「アーーーッ!!」

 

更にネオグビラは目から光線を放つ。

 

「グオオォォォン!!」

 

「へァッ!!」 「グワァッ!!」

 

光線が当り、膝をつくダイナとウルトラマン。

 

二体の巨人のその様を見て、バカにするように鳴き声をあげるネオグビラ。

 

「グオ!グオ!グオ!グオ!」

 

氷『っの野郎!! バカにしやがって!!』

 

ダイナは右手を左の掌に添えて、素早く前に伸ばして射つ『ビームスライサー』を放つ。

 

「ハッ!!」

 

しかし、バリアーに阻まれる。

 

諦めず、今度は両腕を水平に胸の前で重ね、前に素早く拡げて放つカッター状の光線『フラッシュサイクラー』を射つ。

 

「ショワ!!」

 

またもや、バリアーに阻まれる。

 

その間、ウルトラマンはネオグビラを観察していた。

 

竜『アイツ…バリアーを張るとき、尻尾を上に振り上げてる…。まさか!?』

 

そしてウルトラマンは、上空に回転しながらネオグビラの後ろへ回り込み、素早く八つ裂き光輪を放つ。

 

「へァッ!!」

 

見事にネオグビラの尻尾を切り裂き、ネオグビラはバリアーを張れなくなった。

 

「グオ!? グオオォォォン!?」

 

竜『今だ!氷麗!!』

 

氷『ああ!!』

 

ダイナは再びソルジェント光線を放つ。

 

今度は命中し、ネオグビラは断末魔をあげ、爆発した。

 

「グオオォォォン!!」

 

ウルトラマンはダイナの前へ降り立つ。

 

竜『やったな…氷麗』

 

氷『ああ!!』

 

ウルトラマンとダイナは互いの右拳を軽くぶつける。

 

下を見ると、人々が歓声をあげていた。

 

穂乃果たちも手を振りながら礼の言葉を言う。

 

穂「ありがとーーッ!! ウルトラマーーン!ダイナァァァ!!」

 

海「ありがとうございまーーす!」

 

こ「ありがとーーッ!!」

 

希「やっぱり、凄いなウルトラマンたちは…………」

 

希はそう言って、その場を後にする。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

この後は例の如く、街を治して飛び去るウルトラマンとダイナ

 

竜司は神田明神に、氷麗は真姫を探し、その近くに降り立つ。

 

穂「竜ちゃん!! 今度はどこ行ってたの!?」

 

竜「あーー、実はその林の中にコーカサスオオカブトが飛んで行ったから、つい追いかけちゃって……」

 

穂「竜ちゃんのバカァァ!! 穂乃果がどれだけ心配したと思ってるの!? また危ない事をしてるんじゃないかって、ハラハラしたんだから!! それに追いかけるなら穂乃果を追いかけてよ!!」

 

海「いや、何言ってるんですか!?」

 

こ「穂乃果ちゃん…ズレすぎだよ?」

 

穂乃果のズレた一言にツッコム、海未とことり。

 

一方、盾は

 

「何で…光ってんの……?」

 

前に拾った、石化状態のスパークレンスが光っている事に戸惑っていた。

 

海「盾……?」

 

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

氷麗side

 

 

氷「おーい、真姫ぃ~~!!」

 

真「氷麗!!」

 

俺は真姫を見つけ合流していた。

 

氷「真姫、あの子は?」

 

真「無事に親御さんのところへ送ったわ…。それより氷麗は大丈夫!? どこも怪我してないの!?」

 

真姫がそう聞いてきたので

 

氷「当たり前だろ?俺は不死身の氷麗様だぜ?」

 

元気良く返した。

 

これで真姫も安心するだろ。

 

そう思ってたら、真姫に怒鳴られた。

 

真「バカ!! 私が……私が、どれだけ心配したと思ってるのよ!? 先に逃げろって言われて、どれだけ自分の力の無さに私が悔しくなったと思ってんの!? そういう無鉄砲で後先考えない行動するのやめてよ………。バカァァァァ!!」

 

真姫は泣いていた……。

 

泣きながら、俺に抱きついてきた。

 

………ホント……俺はバカだな。

 

一番守りたい幼馴染みの女の子の笑顔を守れなかった…。

 

氷「ゴメンな……真姫。ゴメン……」

 

真「ッ!! グスッ!!………ホントよ……バカ…」

 

その後、真姫が泣き止むまでずっと抱き締めていた。

 

真姫が泣き止んだ後は、そのまま家へ帰っていた。

 

無言で………。

 

俺はその雰囲気に耐えられなくなり、明るく真姫に話しかける。

 

氷「しかし、あそこまで真姫が心配してくれるとは……。感謝感激だな」

 

真「なっ!?///…元はと言えば誰のせいよ!! だ・れ・の!?」

 

氷「ハイハイ、申し訳ありません…」

 

真「まったく……。ねぇ……氷麗。私……アイドルの………あの先輩たちの曲を作曲してみようと思うの」

 

氷「いいんじゃない?俺は応援するぜ」

 

真「うん……。だからね、氷麗も手伝ってよ」

 

氷「えっ?……けど、俺はギターは弾けるけど作曲は…………」

 

真「分かってる……。だから、あなたはただ意見してくれればいいの。何がいいか…どうすればいいかをね…」

 

氷「…………ああ、分かった」

 

俺は真姫の願いを叶え……、真姫のやりたい事を精一杯応援しよう。そう決めた。

 

 

氷麗sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

竜「ふぁぁぁ~~…。穂乃果~~まだか~~?」

 

穂「もうちょっと待ってて~~」

 

二回目の怪獣騒動の日から翌日。

 

俺は穂乃果の家、和菓子屋「穂むら」の前で待っていた。

 

朝のニュースでは、早速ウルトラマンの事で、どこのチャンネルもウルトラ一色だった。

 

まあ…ウルトラマンに続きダイナも現れたからな…。

 

ちなみに、ウルトラマンの玩具やDVDがここ最近バカ売れしているらしい。

 

本物のウルトラマンの力すげぇ~。

 

穂「行ってきま~~す!お待たせ、竜ちゃん。行こう!」

 

竜「おう…」

 

いざ行こうとしたら、二階にいる雪穂が、

 

「お姉~ちゃ~ん!これ~~」

 

と呼びかけてきた。

 

穂「なにそれ~~?」

 

雪「分かんないけど、ポストに入ってたの~~!なんか、μ’sって書いてるけど?」

 

ん?…それって?

 

竜「雪穂!! それちょっと、こっちに投げて寄越せ!!」

 

雪「うん、分かったよ~~!竜兄ぃ~~!!」

 

雪穂から投げられたのは、なんかのCD。

 

穂「これって………」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

穂「じゃあ…かけるよ」

 

海「はい!」

 

こ「うん!!」

 

今は屋上で差出人不明のCDをかけているところだ。

 

まあ……大体検討はつくが…。

 

そして聴こえてきたのは、海未の書いた歌詞に合わせて流れてくる曲と歌声だった。

 

穂「これって………この歌声と歌詞…」

 

穂乃果も気付いたようだ。

 

こ「私たちの………」

 

海「私たちの………曲」

 

そして穂乃果はますますやる気を出し、勢い良く立ち上がる。

 

穂「よし、練習しよう!!」

 

こ・海「うん!!」

 

頑張れよ…。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

◎side

 

 

ダイナが初めて現れたその日の夜。

 

火神イクスは奇妙な夢を見ていた。

 

周りはジャングルが生い茂り、その中にイクスはいた。

 

暫く進むと、目の前に変わった形の遺跡みたいなのがあった。

 

火「何だ?これは?」

 

すると遺跡が光り、イクスを包み込んだ。

 

火「ぐっ!?」

 

イクスはあまりに眩しいため、腕で目を隠す。

 

光が収まり、イクスが腕を退けると、

 

そこには…

 

 

 

 

 

赤いY字の結晶が胸にあり、頭は兜のような形、両腕には鋭い刃の付いた籠手を装着した銀色の巨人がいた。

 

火「ウルトラマン……?」

 

イクスが疑問に思ってると、その巨人は右腕をイクスに向け、何かを差し出した。

 

それは巨人と同じく赤いY字の結晶と青い水晶が付いた白い短刀のようなもの、名を「エボルトラスター」という。

 

イクスはそれを受け取り、巨人の方へもう一度、顔を向けたが、そこにはもう巨人はおらず、代わりに自分の部屋の天井が映っていた。

 

火「何なんだよ…?……ったく……」

 

イクスも光の戦士として選ばれた瞬間であった。

 

 

◎sideoff

 

 

 




第2話、終わりました。

何か質問があれば、どうぞ!


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ファーストライブ!#1

これより、この作品をリメイクする事を重点的に活動していきます。

勿論、再開するに当たってちゃんと新話も投稿していくので、どうか見捨てないで!!



竜司side

 

 

俺たちはいつも通り朝練をしていた。

 

今は階段ダッシュをしていた。

 

穂乃果と海未が走り、ことりが計測担当をしていた。

 

その後はダンスの練習を始めていた。

 

じゃあ、俺は何をしているかというと…

 

竜「なあ…ウルトラマン」

 

『何かな?』

 

竜「お前らって、別の世界から来たんだよな?」

 

『ああ、そうだが…?それがどうかしたのかい?』

 

ウルトラマンと心の中で話し合いをしていた。

 

気になる事があるから。

 

竜「前にダイナが現れたよな?あんただけじゃないのか?」

 

『そうだ』

 

竜「ぶっちゃけ…誰が来てんだ?」

 

『私と、セブン、A、マックスだ』

 

竜「はっ…?たった四人?じゃあ、あのダイナは?」

 

『分からん…。もしかしたら、私や君たちが知らないだけでこの世界にもウルトラマンはいるのかもしれないな…』

 

そういうウルトラマンの話で、俺はどうにも引っ掛かる事が出来た。

 

竜「なら、マックスやセブン、エースはどこにいる?」

 

『それも分からん…。だが、近くにいることだけは分かる』

 

成る程、じゃあもしかしたら、いずれそのうち現れるという事か?

 

竜「最後に一つ。お前らは、一体どうやってこの世界に来れたんだ?」

 

これが核心的な質問だ。

 

俺の知る限りウルトラシリーズのなかでも、平行世界を自ら行き来出できるのは、ゼロ、コスモス、ネクサス、そしてダイナだ。

 

ガイアもしてたけど、あれは機械の力でやってたから除外。

 

つまり、光の国の戦士で唯一平行世界を行き来できるゼロがいないのに、どうやって来れたのか?

 

それが大きな疑問だ。

 

ウルトラマンはこれに対して

 

『うむ。実は光の国のすぐ近くで灰色のオーロラのようなものが現れたんだ』

 

竜「灰色のオーロラ?」

 

『ああ。我々ウルトラ戦士総出で調べていたんだ。何せ今までに無い現象だったからな。そしたら急にそのオーロラは動き出し、私とセブン、エースとマックスを取り込んだのだ』

 

竜「ふぅん……」

 

成る程……大体分かった。

 

灰色のオーロラか……俺の知ってる限りアレしか無いが、まさかな……。

 

そんな風に、ウルトラマンの話を聞いていたら、穂乃果たちが来た。

 

俺は水筒とタオルを三人に渡す。

 

竜「お疲れ」

 

穂「うん。ありがと、竜ちゃん。ふぅー。終わった~」

 

海「まだ放課後の練習がありますよ」

 

こ「でも、随分とできるようになったよね♪」

 

海「二人がここまで真面目にやるとは思いませんでした」

 

竜「だよな~。穂乃果は寝坊ばっかりすると思ってたんだが」

 

穂「大丈夫!! その分授業中ぐっすり寝てるから!!」

 

穂乃果はそう言って寝転ぶ。

 

竜「いや、ダメだろ…?」

 

それじゃあ本末転倒だろ。

 

そう思ってると、階段のところに西木野と氷麗がいるのを視界に捉えた。

 

なんか「ほら、行かないのか」とか、「ちょっ!? 押さないでよ!!」という会話が聞こえた。

 

かなり小声で言い合っているが、バッチリ聞こえた。

 

これもウルトラマンと一体化した影響か?

 

穂乃果も気付いたようで、急いで氷麗の腕を引っ張って逃げようとした、西木野に声をかける。

 

穂「おーい、西木野さーん!真姫ちゃ~ん!!」

 

そこフルネームで言う必要あるか?

 

まぁそれはともかく、穂乃果の声がデカくて恥ずかしいのか、当の西木野は顔を険しくしながら階段を上がってきた。

 

「大声で呼ばないで!!」

 

ま、そうなるな。

 

赤い髪に負けず劣らず顔も真っ赤な事で。

 

穂「ほぇ?どうして?」

 

うわーお、あざといなぁ穂乃果さんよ?

 

ほぇ?とか、あざとい。

 

後、普通なら分かるだろ?

 

真「恥ずかしいからよ!」

 

穂「そうだ!! あの曲……三人で歌ってみたから、聴いて!」

 

スルーかよ。

 

穂乃果はイヤホン付きの音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンの片方を西木野に渡す。

 

真「は~?何で?」

 

穂「だって、真姫ちゃんが作ってくれた曲でしょ?」

 

真「っ!!」

 

どうやら図星のようだ。

 

氷麗が小声で西木野に、「バレたな♪」と愉快そうに言う。

 

真「うっさいわよ氷麗!……だから私じゃないって何ど…」

 

海「まだ言ってるのですか?」

 

否定しようとしたが海未に遮られる。

 

すると突然、穂乃果が「クカカカカ…」と言いながら身体を震わせ、次の瞬間。

 

「ガオーーーッ!!」

 

と叫びながら西木野に抱きつく。

 

西木野の耳元に顔を近づける穂乃果。

 

そのせいで西木野は恐怖を覚える。

 

真「はぁ!?…何やってんの!?」

 

穂「うっひっひっひっひっひっひ……」

 

悪い笑顔で笑う穂乃果。

 

真「いっ…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

叫ぶ西木野だが、次の瞬間、穂乃果にイヤホンを耳につけられ「えっ!?」と呆気にとられる。

 

そしてその時の顔を氷麗にスマホで撮られていた。

 

穂「よぉし!作戦成功!!」

 

真「っ!?……?」

 

穂「結構上手く歌えたと思うんだ。いくよ~~」

 

海「μ’s…」

 

こ「ミュージック…」

 

「「「スタート!!」」」

 

そう言って、プレイヤーの音楽を再生する穂乃果。

 

西木野は暫く聞き、音楽が終わった後、

 

真「まだ若干ズレがあるわ…」

 

と言い残し、氷麗と共に立ち去った。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

朝練が終わった後、学校に登校。

 

穂「ふぁぁぁ~~…」

 

海「眠る気満々ですね…」

 

正直、俺も眠い…。

 

すると後ろから「ねぇ?あの子たちじゃない?」という声が。

 

後ろを振り向くと、先輩二人がいて、

 

「あなたたちって、もしかしてスクールアイドルやってるっていう…」

 

と、質問をされる。

 

それにことりが答える。

 

「あっ……はい!μ’sっていうグループです」

 

「μ’s…?ああ~石け…」

 

海「違います!」

 

海未が即座に否定。

 

反応がハエーイ!

 

「そうそう。ウチの妹がネットであなたたちの事見かけたって…」

 

穂「ほんとですか?」

 

「明日ライブやるんでしょ?」

 

こ「はい!放課後に」

 

「どんな風に踊るの?ちょっと、ここで見せてよ!!」

 

こ「えっ…!? ここでですか…?」

 

戸惑うことり。

 

まあ、ここは校門。

 

生徒も沢山いる。

 

恥ずかしいだろうに…。

 

隣を見ると、海未が凄い顔になってる。

 

しかし、ここで穂乃果が穂むらの看板娘としての実力を遺憾なく発揮する。

 

グーにした手を頬につけ、若干ムカつく笑みを浮かべて言う。

 

「うふふふふふ……。いいでしょう…。もし来てくれたら、ここで少しだけ見せちゃいますよぉ~~。お客さんだけに特別に~…」

 

こ「お友達を連れてきてくれたら、さらにもう少し………」

 

「ホント!?」「行く行く!!」

 

穂「毎度ありぃ~~!!」

 

飛び跳ねる穂乃果。

 

こいつのこういう所は素直に尊敬するよ…。

 

穂「では、頭のところだけ…」

 

そう言って踊ろうとする穂乃果とことり。

 

しかし、ここで先輩が

 

「あれ?もう一人は?」

 

と訊いてくる。

 

見ると海未がいない。

 

アイツ……逃げたな…。

 

穂「ふぇ…?」

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

海未は屋上で座り込んでいた。

 

竜「ここにいたのか…?海未」

 

海「竜司……やっぱり無理です……」

 

弱々しい声で言う海未。

 

穂「えぇ!? どうしたの~?海未ちゃんなら出来るよ~!」

 

そう穂乃果が励ますと、

 

海「出来ます……」

 

「「「えっ?」」」

 

予想外の返答が返ってきた。

 

海「歌もダンスもこれだけ練習してきましたし……。でも、人前で歌うのを想像すると…」

 

こ「緊張しちゃう…?」

 

海「…………(コクン)」

 

海未は力なく頷く。

 

穂「どうしよう?竜ちゃん…」

 

竜「どうするって、荒療治してみるか……?」

 

穂「でも………。そうだ!! そういう時はお客さんを野菜だと思えって、お母さんが言ってた!!」

 

海「………野菜?」

 

海未は想像する。

 

 

《少女想像中》

 

 

かなり大きめの野菜たちに囲まれ、その中で海未が叫ぶ。

 

海「みんな~、いっくよ~!!」

 

その瞬間、海未の真上にジッパーのようなものが開き、そこから色々な野菜をくっつけたような物が海未の頭に落ちる。

 

そして

 

『野菜アームズ!花道・栄養・オンステージ!!』

 

という音声が鳴った。

 

 

《終了》

 

 

海「私に何するんですか!?」

 

穂「えっ!? 何言ってるの、海未ちゃん!?」

 

竜「一体、何想像したんだよ……」

 

意味不明な事を口走る海未。

 

海「大体…何ですか!? 野菜アームズって!? オンステージって!?」

 

穂「ホントに何想像したの!?」

 

ホントにな…。

 

野菜アームズって……鎧武じゃねぇか……。

 

穂「はぁ~、困ったなぁ~…」

 

こ「でも…海未ちゃんが辛いんだったら、何か考えないと…」

 

海「ひっ、人前じゃなければ大丈夫なんです!! 人前じゃなければ……」

 

頭を抱えて蹲る海未。

 

竜「人前じゃなければって……人前じゃないと意味無いだろ…?」

 

海「ですが…!!」

 

海未が俺に反論しようとすると、穂乃果が海未の手をつかみ立ち上がらせた。

 

「色々考えるより、なれちゃった方が早いよ!………じゃあ行こ!!」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

そしてやってきたのは秋葉原。

 

ここで海未にチラシを配りをさせて、慣れさせようという作戦だ。

 

まあ、それは分かる。

 

だが……

 

竜「なあ…穂乃果。何で俺までやらなきゃならん?」

 

「だって竜ちゃん、穂乃果たちのマネージャーでしょ?だったら当然だと思うんだけど」

 

竜「……………」

 

こいつ、正論言いやがって……。

 

竜「はぁ~、メンドクセェ~…」

 

穂「お願い竜ちゃん。ね?」

 

穂乃果に上目遣いで手を合わせてお願いされる…。

 

ったく……しょうがねぇなぁ~。

 

竜「分かったよ。ただ…」

 

穂「?」

 

俺は後ろのガチャガチャに指を向けた。

 

穂乃果もその方向に顔を向ける。

 

竜「海未がな……」

 

海「……あっ、レアなの出たみたいです……………」

 

そこには現実逃避気味にガチャガチャをしている海未。

 

ことりは苦笑いをしている。

 

穂「海未ちゃぁぁぁぁん!!」

 

穂乃果が呼びかけるが、海未は

 

「無理です………無理です………無理です………」

 

どこぞの自虐ネタ芸人みたく、「無理です」を連呼している。

 

こ「さすがにハードルが高過ぎたんじゃ……」

 

穂「はぁ~、そうだね……。ほら、海未ちゃん行くよ」

 

ことりの意見に穂乃果は納得し、海未を連れて行こうとした時。

 

突然、地面が激しく揺れ、アスファルトにヒビが入る。

 

そして、次の瞬間遠くの方でアスファルトの地面が割れ…

 

 

 

 

「ゴガアァァァァァァァン!!」

 

 

 

 

地底から怪獣が現れた。

 

白いとぐろのような物に頭を覆われ、ゴツゴツとした白と藍色の肌の怪獣。

 

古代怪獣ゴルザだ。

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

海「ひっ!? か、怪獣!?」

 

ゴルザの登場にさすがの海未も現実に戻る。

 

竜「ちっ!とにかく逃げるぞ!! 穂乃果、ことり、海未。早くしろ!!」

 

穂「う、うん!!」

 

こ「海未ちゃん早く!」

 

海「はっ、はい!!」

 

俺は三人を連れて逃げる…。

 

ここは人が沢山いるから、ウルトラマンに変身するわけにはいかない。

 

だから今は逃げることに専念しよう。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

土方盾は、穂乃果たちが秋葉原でチラシ配りをしている頃、同じく秋葉原にいた。

 

秋葉原の裏路地にある駄菓子屋に来ていたのだ。

 

買い物を済ませ、表通りに出ようとしたところ、突然地面が揺れた。

 

「うお!?………何だ何だ!?」

 

盾はすぐ近くの壁によりかかる。

 

「いってぇな……。何だ『ゴガアァァァァァン!!』……はぁ?」

 

突然の雄叫び。

 

表通りを見ると、大勢の人が逃げていた。

 

その中には長年の付き合いである幼馴染みの海未に、穂乃果やことり、竜司がいた。

 

「一体…何が?……うそん…」

 

盾がビルの陰から覗くと、遠くの方で古代怪獣ゴルザが暴れていた。

 

盾はしばらく茫然としていたが、制服のポケットが光っていることに気づく。

 

中を探って取り出し見てみると、石化しているスパークレンスだった。

 

「何で……何なんだよこれ!?」

 

盾の脳内はキャパオーバーしていた。

 

いつか海未を家に送った帰りに拾った変わった形の石。

 

………石だったはずのスパークレンスが、ゴルザに呼応するように光る。

 

まるで自分に変身してゴルザと戦えと言ってるかのように。

 

「俺は………どうしたら……」

 

盾がそんな風に迷っている時だ。

 

海「キャッ!?」

 

盾「っ!?」

 

盾の目の前で海未が転んだ。

 

逃げてる途中に小石につまづいたようだ。

 

しかし、海未の声は周りの人々の悲鳴にかき消され、竜司たちが気づいたのは、しばらく進んだ後だった。

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

ゴルザはその場に転び、蹲ったままの海未に狙いを定めて、頭から破壊超音波光線を撃つ。

 

穂「海未ちゃん!?」

 

こ「海未ちゃん!!」

 

竜「海未!」

 

急いで三人は戻ってくるが、間に合わない。

 

死刑宣告のように迫り来る光線を見た海未は

 

「すみません…。穂乃果、ことり、竜司」

 

そう呟き目を閉じる。

 

それを見た盾は、

 

「あーもう!! めんどくさいなぁ!!」

 

やけくそ気味に石化しているスパークレンスを天に掲げる。

 

その瞬間、スパークレンスの石は砕け散り、本体が姿を表すとカバー部分が開き、盾は光に包まれた。

 

 

◎sideoff

 

 



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ファーストライブ!#2


もう基本は地文の加筆か、変更ですね。



海未side

 

 

海「キャッ!?」

 

怪獣が現れ逃げてる内、私はアスファルトの小石につまづき、転んでしまいました。

 

穂乃果たちは気付かずに逃げ続けていましたが、やっと気づいたくれたようで、こちらに戻ってきています。

 

穂「海未ちゃん!?」

 

こ「海未ちゃん!!」

 

竜「海未!」

 

私も起き上がろうとしましたが、どうやら足をくじいたようで、立ち上がる事が出来ません。

 

ふと、怪獣の方を見ると、怪獣の光線が私に向かって吐かれました。

 

瞬間、私は自分の死を覚悟しました。

 

脳裏に今日までの事が再生されます。

 

アイドルを始めた事…。

 

穂乃果たちに出会った事…。

 

なにより…盾に出会えた事…。

 

これが走馬灯なのでしょうか?

 

私は、穂乃果たちの方へ向き

 

「すみません…。穂乃果、ことり、竜司」

 

あなたたちとアイドルをする事が出来ない私を許して下さい。

 

そして盾………。

 

出来ることなら、あなたにもう一度会って伝えたかった…。

 

好きです、と。

 

この瞬間になって気付くとは、私もまだまだですね…。

 

私はゆっくりと目を閉じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

盾「あーもう!! めんどくさいなぁ!!」

 

えっ?

 

なぜ盾の声が………?

 

すると私の後ろに綺麗な光の柱が現れ、光線を弾き返していました。

 

(BGM:TIGA!)

 

そこから現れたのは、赤と紫と銀の体色に、二本の金のラインがある光の巨人でした。

 

穂乃果とことりが私に近づき心配の言葉をかけてくれます。

 

穂「大丈夫!? 海未ちゃん!!」

 

こ「ごめんね海未ちゃん!! 気づけなくて……」

 

竜司は包帯を出し、私の足首に巻いてくれます。

 

竜「わりぃ海未!大丈夫か!?……足は、捻っただけみたいだ…」

 

こ「ホント!? よかったぁ……」

 

竜司が私の足を見てそう診断し、ことりが安堵します。

 

海「すみません三人共…」

 

穂「ううん!いいよいいよ!! 海未ちゃんが無事でよかったよ♪……それより…」

 

穂乃果は私の後ろを見て、その顔を輝かせます。

 

「本物のウルトラマンティガだぁ~!」

 

私も竜司におんぶされ、上を見ます。

 

そこには特撮に詳しくない私でもよく知ってる、平成ウルトラシリーズ初のウルトラマン。

 

右腕を上に伸ばし、左腕は曲げて頭の横につけて、背筋を伸ばして立っている……

 

 

 

 

 

『ウルトラマンティガ』がいました。

 

 

海未sideoff

 

 

 

 

 

◎side

 

 

「チャッ!」

 

ティガは登場時の構えを解き、海未たちの方へ顔を向ける。

 

『よかった。海未は無事みたいだ』

 

ティガに変身している盾は安堵する。

 

海未に光線が当たる前にティガに変身した盾が、その身を呈して海未を守ったのだ。

 

ティガの顔を見た海未は、

 

「盾……なのですか?」

 

と、何故か盾の名前を口にした。

 

それが不可解だと思ったのか、首を傾げた穂乃果は海未に尋ねる。

 

「海未ちゃん、どうしてティガが盾くんだと思うの?」

 

「あっ、いえ……何となくそう思っただけです」

 

それは盾と一番付き合いが長い幼馴染み故の直感なのかもしれない。

 

『相変わらず凄い勘の良さだな。まあそれより……』

 

盾はティガの中で海未の勘の良さに舌を巻いたが、すぐにゴルザの方へ顔を向ける。

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

ゴルザは因縁のある敵と出会えた事で、歓喜の雄叫びをあげる。

 

「チャッ!!」

 

ティガは、右手をチョップの形に握り、左手はグーに握る戦闘ポーズをとる。

 

(BGM:光を継ぐもの)

 

ティガはゴルザに向かって走り、手始めに右手のチョップを繰り出す。

 

「チャッ!!」

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

すかさずティガはゴルザの頭部にもう一度チョップ。

 

「チャッ!!」

 

さらにゴルザの胸部にもう一発チョップ。

 

「ハッ!!」

 

ゴルザが怯むと、ティガはゴルザの頭を押さえて膝蹴りを叩き込んだ。

 

「チャッ!!」

 

「ゴガアァァァン!!」

 

ゴルザはティガに超音波光線を放とうとチャージするが、ティガに光線を出す部分と口を閉じられ、発射出来なかった。

 

「ゴガアァァァァァ!!」

 

ゴルザはティガの腕を解き両手を掴むと、自前のパワーでティガを抑えこむ。

 

『なっ!? なんてバカ力だよ!!』

 

盾は毒づくが、ゴルザはそれがどうしたと言わんばかりに、ティガを左右に振り回し、投げ捨てる。

 

ティガは遠心力により背中から地面に落ちる。

 

「ヂャアア!!」

 

ゴルザはすかさずティガに超音波光線をはなち、ティガは膝立ちで起き上がったところにまともに食らう。

 

「ヂャアアッ!?」

 

ティガは座り込み、肩で息をしている。

 

『ヤバいな……。まだ時間も体力もあるが、あの怪力をなんとかしないと…』

 

盾は打開策を考えるが、なかなか思い付かない。

 

そんな時、海未が声を張り上げて応援した。

 

「ティガ!頑張ってください!!」

 

『海未……』

 

それを聞いた盾、もといティガはゆっくり立ちあがる。

 

その様子を見たゴルザは一瞬ビクつく。

 

そしてティガは、額のクリスタルの前で腕をクロスさせる。

 

「ンンンンン……ハッ!!」

 

瞬間、クリスタルが赤く光り、ティガの体が赤と銀に変わる。

 

(BGM:甦る巨人)

 

「チャッ!!」

 

穂「赤くなった!!」

 

竜「パワータイプか。成る程…」

 

穂乃果は驚き、竜司は納得している。

 

ティガの『パワータイプ』はスピードが下がる代わりに、パワーがかなり上がる。

 

これでゴルザとも充分やり合えるだろう。

 

「ハッ!!」

 

ティガは構え方を両方とも拳に握る形に変える。

 

ゴルザは構わず光線を撃つが、ティガのウルトラバリアで防がれる。

 

「ハッ!」

 

「ゴギィァァァァァ!」

 

ティガはゴルザにタックルを叩き込む。

 

「チャッ!!」

 

すかさずゴルザの背中を掴むと相手の背骨を折る『ウルトラバックブリーカー』でゴルザの背骨を折る。

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

ゴルザはあまりの痛さに叫び、ティガはゴルザの頭部を掴むと、背負い投げをして、ゴルザを地面に叩きつけた。

 

「ゴガア……ァァァン」

 

ゴルザはもう立ちあがる事が出来ない。

 

ティガは再び、赤と紫と銀の体『マルチタイプ』に変わり、両腕を腰に当ててから体の前でクロスさせて、左右に拡げてからL字にして放つ『ゼペリオン光線』を撃つ。

 

「チャアァァァァ!!」

 

「ゴガアァァァァァン!!」

 

光線は見事にゴルザに当たり爆発。

 

ゴルザは後ろに倒れてから消滅した。

 

穂「ティガァァ!! ありがと~!」

 

こ「ありがと~!」

 

穂乃果とことりは大きな声で礼を言う。

 

海未は小さな声で、でも確かに思いを込めて礼を言う。

 

海「ありがとうございます。ティガ…」

 

ティガは頷き、上空に浮かぶと街を治してから飛び去っていった。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盾side

 

 

ティガの変身を解いた後、俺は海未たちの方へ向かっていた。

 

盾「おーい、海未!みんな!」

 

海「盾!」

 

「「盾くん!!」」

 

竜「盾か?」

 

俺の姿を視認した竜ちんは、ゆっくり海未を背中から下ろした。

 

下ろされた海未は足を挫いてるのか、ひょこひょこ歩きながらこっちに来る。

 

海「盾、なぜここにいるんですか!?」

 

盾「まあ、ちょっとね……。それより、海未聞いて。穂乃ちんと竜ちん。ことちんも」

 

ティガになっている間に決めた事を四人に言う。

 

盾「俺もμ’sのマネージャーになるよ。いいかな?」

 

それを聞いて海未は、

 

海「はい!! よろしくお願いしますね、盾!!」

 

笑顔でそう言うと俺に抱きついてきた。

 

穂「よかったね、海未ちゃん!!」

 

こ「海未ちゃん、おめでとう!!」

 

とまあ、穂乃ちんとことちんは海未を祝う。

 

何で…?

 

こ「あのね、盾くん。海未ちゃん、盾くんが入らないって、ずっと寂しがってたんだよ」

 

海「ちょっ!? ことり!!」

 

疑問に思ってるのが分かったのか、ことちんが俺に海未の秘密を暴露してくる。

 

成る程、海未がね~…。

 

俺がニヤニヤと海未を見てると、海未は顔を赤くし、両腕をワタワタ振りながら弁解する。

 

海「ちっ…違うんですよ盾!これはですね……!あーもう!! そう言うことりだって、恭弥がちゃんと入ってくれるかどうか不安がってたじゃないですか!?」

 

こ「うっ、海未ちゃぁぁぁん!? それは言わないでよぉぉぉ!!」

 

思わぬ反撃にことちん赤面涙目。

 

これをザクちんに見せたらどう反応するかな~?

 

穂「ほらほら!! 喧嘩しないで、一回学校に戻ろう!! チラシ配りもあるし、今度は5人でね?」

 

そう言う穂乃ちんの言葉により、音ノ木に戻った。

 

 

盾sideoff

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

あの後、四人から五人になったμ’sで学校でチラシ配りするにも一悶着あったが、何とか終わった。

 

1年の眼鏡少女も必ず見に来ると約束してくれたしな。

 

そして今は穂乃果の家でA-RISEの動画を見ているところだ。

 

穂「う~ん…やっぱり動きのキレが違うよねぇ~…」

 

そう言って穂乃果は立ち上がり

 

「こう?……こう?……こう!?」

 

とか言いながら、色々ポーズを取る。

 

なんか…バカみたいだな。

 

するとパソコンの画面に変化が現れた。

 

それに最初に気づいたのは穂乃果。

 

「あっ!?」

 

海「どうしました!?」

 

穂「ランクが上がってる!!」

 

なんだと?

 

興味を持った俺と盾も、横から覗き見る。

 

竜「あっ……」

 

盾「ホントだ…」

 

確かに順位が上がっていた。

 

登録した時は最底辺だったのにな……。

 

穂「きっとチラシで見た人が投票してくれたんだね♪」

 

海「嬉しいものですね!!」

 

こういう地道な努力が評価されている。

 

コイツらの頑張りは無駄ではないのだ。

 

そこで、ガララッと部屋の引き戸が開かれる音がした。

 

こ「お待たせ~」

 

ことりが衣装の入った袋を持って入って来たのだ。

 

穂「あっ!ことりちゃん!」

 

それに気づいた穂乃果は、自分達のランクが上がってる事をことりにも見せる。

 

穂「見て見て!!」

 

こ「わっ!凄い!!」

 

盾「あれ?それ、衣装?」

 

こ「うん♪さっきお店で最後の仕上げをしてもらったの」

 

そう言いながらことりは、折り畳まれた衣装を袋から出す。

 

この前ことりに見せてもらった衣装のイラストがあったが、気になるのはそれをどこまで再現出来てるかだな。

 

穂「ワクワク♪」

 

穂乃果も早く見たいのか感情を思いっきり口に出している。

 

分かり易過ぎだろこいつ。

 

逆に海未はゴクリと喉を鳴らす。

 

こ「じゃーん♪」

 

ことりの声と共に明らかにされた衣装の全貌は、十分アイドルとして可愛らしい、桃地のミニスカートの衣装だった。

 

流石は裁縫が得意なだけはある。

 

穂「わぁ~」

 

海「なっ…」

 

「「ほぉ~」」

 

穂「可愛い!! 本物のアイドルみたい!!」

 

穂乃果の言う事ももっともだった。

 

ホントによく出来てる。

 

アイドルが着ているものと言われたら即信用してしまうくらいに。

 

それ程までの完成度だった。

 

竜「相変わらず手先器用だなぁ~」

 

こ「ありがと~」

 

穂「凄い、凄いよ!! ことりちゃん!!」

 

穂乃果は手を振って喜んでいるが、海未はなんか口が開きっぱだ。

 

盾「どうしたの~海未?」

 

それに逸早く気づいた盾が尋ねると、海未はことりに対して指を指しながら尋ねる。

 

「ことり」

 

「ん?」

 

「そのスカート丈は?」

 

「ん?……あっ…」

 

あっ…成る程…大体分かった。

 

あれは衣装を決める時だ。

 

 

 

海『いいですか!? スカート丈は最低でも膝下でなければ履きませんよ!! いいですね!?』

 

こ『はっ…はいぃぃぃぃぃぃ!!』

 

盾『ちょっと落ち着きなよ…海未』

 

朱『そうだよ…。ことりが怯えてるからやめて』

 

盾と朱雀に止められていたが、ことりの肩を掴んで顔を近づける海未の顔には、鬼気迫るものがあった。

 

そしてそれはここでも、

 

海「言いましたよね……!? 最低でもスカート丈は膝下でなければ履かないと!!」

 

こ「ひぃぃぃぃ……」

 

再開されていた。

 

こう言うのをデジャブって言うんだろうな。

 

穂「だ、だってしょうがないよ。アイドルだもん!」

 

“だもん”って何だよ……。

 

可愛いからいいけど。

 

海「アイドルだからといって、スカートが短いといけない決まりはないはずです!!」

 

盾「海未、落ち着き…「盾は黙っていてください!!」……はい…」

 

弱ぇ~…。

 

もうちょっと足掻けよ。

 

穂「それはそうだけど…」

 

海未の言う通り、アイドルだから絶対にスカートは短く履かなければならない、という決まりはない。

 

別にちゃんと歌って踊ればズボンでも構わないのだ。

 

まぁ、アイドルは短めなスカートが印象的なのは否めないが、海未の言う事も筋は通っている。

 

しかしだ。

 

こ「でも、今から直すのは、さすがに…」

 

穂「うん!!」

 

もう衣装は完成している。

 

今さらチェンジなんて言っても無駄なのだ。

 

時間的にも間に合わないだろうしな。

 

穂乃果とことりが説得すると、海未は立ち上がり言う。

 

「そういう手に出るのは卑怯です!! なら私は一人だけ制服で歌います!!」

 

竜「それはそれで恥ずかしいだろ…」

 

滅茶苦茶浮くぞ……。

 

こ「えぇ!!」

 

穂「そんな!?」

 

海「そもそも四人が悪いんですよ!! 私に黙って結託するなんて…!!」

 

盾「待って海未。俺今日入ったばっかりなんだけど!?」

 

盾があまりにも理不尽すぎる言葉にもう抗議する。

 

竜「俺も衣装に関しては何も聞いてないんだが…?」

 

これで黒と決めつけられるなんて理不尽すぎる……。

 

穂「だって……絶対成功させたいんだもん!」

 

すると、何やら真剣な思いを口に出すかのような表情で、穂乃果は口を開いた。

 

「歌を作って、ステップを覚えて、衣装も揃えて、めんどくさがりの竜ちゃんも手伝ってくれて、ここまでずっと頑張ってきたんだもん…」

 

竜「なあ…俺今軽くDISられたよな?」

 

「五人でやってよかったって、頑張ってきてよかったって、そう思いたいの!!」

 

盾「俺、つい最近だけどね…」

 

しかし、俺たち二人の文句は女子三人にスルーされる。

 

いい加減泣くぞ?

 

穂乃果は何を思ったのか、部屋の窓を開けて叫ぶ。

 

穂「思いたいのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

竜「穂乃果、近所迷惑」

 

海「何をしているのですか!?」

 

叫ぶのは結構だがな、時間帯考えろ。

 

そして後の事を考えろ。

 

怒られるのはお前だからな?

 

俺は知らんぞ。

 

こ「それは私も同じかな……」

 

「「えっ?」」

 

俺と海未の言葉を流すかのように、ことりから呟きが聞こえてきた。

 

彼女は続ける。

 

「私も五人でライブを成功させたい!!」

 

ことりも、本音を言った。

 

衣装を作ったのだから、一緒に着たいのは当たり前の考えだろう。

 

海「ことり……」

 

続行派は2人、拒否派は海未一人、んで無回答なのが俺と盾な訳だが、もう答えは決まってるようなものだ。

 

盾は海未の頭に手を乗せると、やんわりと言う。

 

「まあ、こうなるのは分かってたでしょ?海未」

 

俺もそれに続く。

 

「腹決めようぜ……」

 

海「盾、竜司…。はぁ~、いつもいつもズルいです」

 

多数決で完全敗北し、根負けした海未は穂乃果の方へ顔を向ける。

 

海「分かりました」

 

肯定の意味での言葉を、口に出した。

 

それを確かに聞いた穂乃果は、途端に満面の笑顔になって海未に勢いよく抱きつく。

 

穂「海未ちゃん………!だぁい好きぃぃぃ!!」

 

海「ひゃあ!?」

 

こういう百合展開……嫌いじゃないわ!

 

でも2人を見てると分かる。

 

そこにはもう、何もわだかまりはなかった。

 

明るい笑顔が、その場を包んでいた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

今俺たちは神田明神で神頼みをしている。

 

と言っても、してるのは穂乃果とことりと海未の三人だが……。

 

穂「どうかライブが成功しますように!いや…大成功しますように!!」

 

海「緊張しませんように……」

 

こ「みんなが楽しんでくれますように!」

 

穂「よろしくお願いしまーーーーーす!!!!」

 

穂乃果は元気よく真剣に、海未もことりも真剣にお願いしている。

 

そんな中、俺と盾は穂乃果たちの後ろで明日のライブについて話していた。

 

盾「竜ちんは明日のライブ、どう思う?」

 

竜「…………成功は、しないだろうな」

 

盾「……………何で?」

 

竜「よく考えてみろ。つい最近出来たばかりのグループだぜ…。そんな奴らを見に来ると思うか?」

 

盾「……………」

 

盾は黙ってしまった。

 

盾も内心思うんだろう。

 

竜「けど、俺はそれでいいと思う。片手で数えられるほどしか来ないと思う。……最悪0もあり得る。でも……失敗する事で得られるものもあると俺は思う」

 

盾「……そっか」

 

そう言って、俺と盾は夜空を見上げる。

 

満点の星空だ。

 

穂「竜ちゃん!! いよいよ明日だね!!」

 

そうこうしている内に、穂乃果たちが来た。

 

竜「……ああ。明日……頑張れよ…」

 

穂「うん!!」

 

さて、どうなることやら…。

 

 



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ファーストライブ!#3





竜司side

 

 

絵「以上で新入生歓迎会を終わります。各部活とも体験入部を行っているので興味があったらどんどん覗いてみてください」

 

歓迎会の時間が終わり、今俺たちは講堂の前でチラシ配りをしているのだが、昨日に比べたら数段に落ちている。

 

手に取る人もかなり減ってきている。

 

穂「むむむ……。他の部活に負けてられないよ!ねっ! 竜ちゃん!!」

 

竜「ああ…」

 

穂「もう!! もうちょっと元気出していこうよ!! ほら海未ちゃんだって…」

 

穂乃果がそう言って、講堂の入口を指差す。

 

そこでは海未が、昨日のチラシ配りの時とは別人みたく、堂々と元気にチラシを配っていた。

 

海「お願いしまーす!! 午後4時からでーす!! お願いしまーす!!」

 

穂「ねっ!」

 

竜「…仕方ないだろ…。俺は元々こういうテンションなんだ…」

 

常にローテンションのヤツに、はっちゃけて元気に配れと言うのは、無理があるんだよ。

 

盾「それより、そろそろ講堂に行ったら~。リハーサルとかもあるでしょ?」

 

確かに盾の言う通り、時間も押し迫ってるし、リハーサルはかなり大事な事だ。

 

ライブをするのはコイツらなんだから、チラシ配布をするのはここらで切り上げて貰うか。

 

穂「そうだね!じゃあ…竜ちゃん、盾くん。後はお願いねっ!海未ちゃん、ことりちゃん、講堂に行こう!!」

 

海「はい!」

 

こ「うん♪」

 

そう言って、穂乃果たちは行った。

 

さて、もう少し頑張るか……。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

少しして、ヒフミトリオの一人ミカが来た。

 

どうやら自分たちも手伝うとの事。

 

なのでチラシ配りをミカに任せ、俺と盾も講堂に向かう。

 

アイツらだけじゃ心配だからな。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

穂乃果たちのいる更衣室に着いた俺たち。

 

礼儀正しくノックをする。

 

穂「はーい!!」

 

竜「入るぞ…穂乃果」

 

穂「うん!いいよ!!」

 

穂乃果からの返事をもらったので、更衣室に入る俺と盾。

 

そこには、アイドル衣装を身にまとった穂乃果とことりがいた。

 

穂乃果はピンクの衣装で、ことりは緑色の衣装だ。

 

穂「どう?竜ちゃん。似合ってる!?」

 

穂乃果はそう言いながら、その場でくるりと回る。

 

竜「……ああ。とてもよく似合ってる。可愛いぜ、穂乃果」

 

俺は柄にもなく素直な誉め言葉が出た。

 

それくらい、今の穂乃果は可愛いかった。

 

俺に誉められた穂乃果は、頬を赤くして、手を足のところでモジモジさせながら「えへへ~♪」とはにかむ。

 

そんなに俺に誉められたのが嬉しいのか?

 

こ「よかったねっ!穂乃果ちゃん!」

 

穂「うん!……えへへへ~♪」

 

ことりに誉められ、さらにはにかむ穂乃果。

 

頬緩みすぎ……。

 

そこへ扉をノックする音が。

 

朱「入っていいかい?」

 

やって来たのは朱雀だった。

 

こ「キーくん!来てくれたの!?」

 

途端に顔をパーッと輝かせることり。

 

本当に朱雀のこと好きだよな、この娘。

 

朱「まあ…暇だったしね…」

 

こ「そっかぁ~。あっ、ねぇねぇキーくん。私の衣装どう?似合う?」

 

そう言って、ことりも穂乃果と同じように、その場でくるりと回る。

 

朱「うん…可愛いよ。よく似合ってる。天使みたいだ」

 

朱雀はいつも不機嫌な顔が嘘のように、優しく微笑んでそう誉める。

 

……こいつ、天使っていう誉め言葉使うんだな…。

 

一方、誉められたことりは、

 

こ「えへへへ~~~♪。キーくんに誉められたぁぁ~//////」

 

赤くなった頬に手を当てて、体をくねらせる。

 

穂乃果以上にデレデレだった………。

 

朱「じゃあ…先に席にいるよ」

 

竜「ああ…」

 

朱雀はそう言って席に行った。

 

盾「あれ?そう言えば海未は?」

 

確かに、海未の姿だけが見えない。

 

穂「あっ、海未ちゃんはね~…。おーい!海未ちゃーん!いつまで着替えてるのー!?」

 

海『今着替え終わります!』

 

カーテンが閉まったドレスルームにいるようだ。

 

海「どうでしょう!?」

 

シャッとカーテンが開き、海未らしい青い衣装に身を包んだ海未がポーズを決めて出てきた。

 

 

 

 

 

 

……スカートの下にジャージを履いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

竜「海未………往生際が悪いぞ……」

 

穂「そうだね……」

 

ジト目で海未を睨む俺と穂乃果。

 

海「竜司に盾!? いるならいると言ってください!! それにやっぱり恥ずかしいです!!!!」

 

いやいやいや…。

 

俺や盾、朱雀と穂乃果とことりの会話くらい聞こえるだろ…。

 

海「やっぱり制服で踊ります!」

 

そう言って、再びドレスルームに入ろうとするが、盾に肩を掴まれ振り向かされる。

 

海未の顔を真正面から捉えた盾は、真顔でこう言った。

 

「大丈夫。よく似合ってるよ海未」

 

ドストレートな感想。

 

誉められた海未は顔を赤くした次の瞬間、

 

「あうぅぅ……し、盾に誉められました……グヘへへへへ♪」

 

とまあ恥ずかしがりながらも、普段の海未からは想像つかない気持ち悪い笑い声をあげる。

 

一方、盾は

 

「じゃあ、穂乃ちん。後は頼むねぇ~」

 

手を振りながらそう言って、海未から離れる。

 

コイツ策士だな。

 

穂「分かった!海未ちゃん!! さあ脱ぎなよ!!」

 

盾からのバトンタッチを受けた穂乃果は、海未が履いてるジャージを脱がそうとする。

 

オイ、ここに男子高校生二人いること忘れるなー?

 

海「何するんですか!? やめてくださいぃ!」

 

遂に穂乃果にジャージを脱がされる海未は、

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

 

とか叫ぶ。

 

穂「隠してどうするの!? スカート履いてるのに…」

 

海「で…ですがぁぁぁ!!」

 

こ「海未ちゃん、さっき盾くんも言ってたけど可愛いよ」

 

海「…えっ?」

 

穂乃果は海未を鏡の前に連れていき、自信を持たせる為の言葉を紡ぐ。

 

「ほらほら!! 海未ちゃんが一番似合ってるんじゃない?」

 

「うぇぇ?」

 

さらに穂乃果は海未の後ろから隣に移動する。

 

穂「どう?こうやって並んで立っちゃえば、恥ずかしくないでしょ?」

 

海「……はい。確かにこうしていると……」

 

穂「じゃ、最後にもう一度練習しよう!!」

 

こ「そうね♪」

 

そう言って、穂乃果とことりはステージへ走る。

 

海未も行こうとするが、鏡の前で立ち止まり、

 

「やっぱり恥ずかしいです……」

 

と呟く。

 

それを見かねた盾が、海未の手を取り、赤子をあやすようにやんわりと言う。

 

「大丈夫だよ海未。自信持って?俺が可愛いって思ってるんだから」

 

それを聞いた海未は頬を赤くしながらも、盾に感謝の気持ちを述べた。

 

「………何だか盾に言われると安心します。ありがとうございます盾!…では行ってきます!!」

 

海未よ……お前チョロすぎじゃね?

 

主に盾がらみになると。

 

盾「うん。いってらっしゃい…」

 

手を振り、見送る盾。

 

以外と面倒見がいいのかもな。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

生徒会室。

 

そこには、絵里、希、蒼燕、茜の四人がいた。

 

絵里は窓から外の景色を見ていた。

 

何を思って窓の外を見ているのだろうと思うなら、それは絵里にしか分からないだろう。

 

気になる事があるから。

 

気に食わないが、どうしてもそれが頭から離れないから。

 

こうやって物思いに耽る。

 

自分は否定した。

 

でも彼女達はやろうとした。

 

そして今日という日がやってきた。

 

彼女達の結果がどうなるかなど、絵里は分かっていた。

 

分かっていたからこそ、敢えて止めなかった。

 

非情な現実を理解して貰うために。

 

希「気になる?」

 

絵「希……」

 

希の質問の意味を考える。

 

考えなくとも、意味は分かっていた。

 

恐らくはμ'sの彼女達の事だろう。

 

彼女達がどうなるかは予想はできている。

 

ただそれを、その結末を絵里が見に行くか、そうでないかという事を希は聞いているのだろう。

 

希「ウチは帰ろうかな…」

 

茜「俺も帰ろう」

 

そう言って、希と茜は生徒会室をあとにする。

 

最近の希は思考が読めなくなっている、というのが絵里の正直な感想だった。

 

元々分かりにくい所も多々あったのだが、最近ではそれがどんどん大きくなっていく。

 

彼女だけでは無い。

 

茜も、自分の幼馴染みである蒼燕も、絵里に内緒で何処かコソコソ動き回ってる節が感じられた。

 

その事に絵里は心の片隅に寂しさに似た何かを燻らせていた。

 

そんな絵里に蒼燕が声をかける。

 

蒼「俺は行くけど…絵里も一緒に行くか?」

 

これは蒼燕なりの救済措置である。

 

何かに意固地になり、自分に素直になれない、面倒な幼馴染みの少女に対する救済の手。

 

それを知ってか知らずか、絵里は席を立ち、相変わらず剣呑で冷たい顔のまま、こう言った。

 

絵「……最後のライブになるかもしれないしね」

 

絢瀬絵里は、静かに足を進ませる。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

穂乃果たちがリハーサルをしている頃、竜司と盾はミカと一緒にチラシ配りを再開していた。

 

朱雀もついでで手伝っていた。

 

竜「そろそろ時間だ。俺たちも行くか?」

 

「そうだね」

 

盾「うん」

 

朱「…………」

 

朱雀は一人、チラシを見ながら黙りこんでいた。

 

その頭で考えてるのは、彼女達のライブの安否。

 

もうすぐライブの時間は開始間近。

 

だと言うのに、チラシを手に取る人は減り、講堂の方に足を進める生徒を朱雀は一人も見ていない。

 

何となく、嫌な考えが朱雀の頭に浮かんだ。

 

何処か思い詰めたようなその表情に気づいた竜司が声をかける。

 

「どうした朱雀?」

 

「いや……何でもないよ」

 

朱雀はそう言って嫌な思考を無理矢理振り払うと、講堂に向けて足を進めた。

 

 

 



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ファーストライブ!#4





◎side

 

 

結果から言うと、講堂に着いた竜司達は落胆と達観の狭間に立っていた。

 

何故なら観客席に……講堂には竜司達以外に誰もいないから。

 

時刻はライブ開演定刻。

 

にも拘らず誰もいない。

 

竜「…………やな予感的中…」

 

盾「竜ちんの言った通りになっちゃったね…」

 

竜司はうんざりした感じで呟き、盾は落胆したように言う。

 

朱雀も僅かにあった胸騒ぎの正体がこれなのだと認識すると、静かに瞑目した。

 

しかし時は残酷に進み、ステージの幕が上がる。

 

観客席を見た穂乃果たち三人は、茫然としていた。

 

非情とまで言える静寂に支配された講堂のステージにポツンと立っている3人。

 

この場に置かれた状況を目の当たりにした3人は徐々に困惑し始めている。

 

瞬きをして、嫌でも自分が置かれている状況を理解した。

 

いや、理解せざるを得なかった。

 

そして理解した真実を受け入れざるを得ない状況に追い込まれた。

 

「ゴメン……頑張ったんだけど……」

 

謝るミカの言葉も、今の彼女達の頭には入らない。

 

三人の胸の中には、いろんな感情がごちゃ混ぜになっていた。

 

無関心という毒、無音という凶器。

 

それらが悲しみにうちひしがれる3人に追い討ちをかける。

 

我慢の限界なのか、遂にはことりと海未の目に涙が滲む。

 

こ「穂乃果ちゃん……」

 

海「穂乃果…………」

 

声をかけられた穂乃果の脳内に、今までこの日の為に練習を頑張ったことが再生される。

 

真姫が曲を作ってくれ、花陽も必ず見に来ると言ってくれたのに……結果はこうだ。

 

竜「…………」

 

竜司もかける言葉が見つからないのか、静かに無言で穂乃果を見つめる。

 

当の穂乃果も俯いてはいたが、この空気を破るように顔を上げて笑顔で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃそうだ!! 世の中そんなに甘くない!!」

 

 

 

 

 

 

 

だがそれは、誰がどう見ても空元気なのは明らかだった。

 

次第に穂乃果の目にも涙が滲む。

 

ことりと海未も言葉にこそ出さないが、いつも以上に細く華奢に見えた。

 

悔しそうに唇を噛みしめる穂乃果に、遂に見かねた竜司が声をかける。

 

「……なあ、穂乃果。歌ってくれないか?」

 

穂「……………へっ?」

 

盾「竜ちん?」

 

朱「?」

 

竜司の言葉に疑問を浮かべる、穂乃果と盾と朱雀。

 

海未やことり、ヒフミトリオの三人もだ。

 

竜司は元々この結果を予測していた。

 

だけどifの可能性を考慮して、敢えて止めなかった。

 

それが起きなくてもいいこの不幸を招いた。

 

ならそのケジメを着けるのは自分だと竜司は考え、このような発言をしたのだ。

 

竜司は階段を下りながら言う。

 

「確かに客は一人も来なかった…。それは変えようのない事実だ。だったら俺が………俺たちが客になる。だから、俺たちの為に歌ってくれないか?」

 

穂「竜ちゃん…………」

 

穂乃果は驚きの顔になる。

 

それはただの自己満足かもしれない。

 

なんの解決にもならないありふれた言葉なのかもしれない。

 

それでもそれは、心が壊れかけていた少女の心に僅かな炎を灯した。

 

徐々に涙に濡れた穂乃果の瞳に光が挿す。

 

盾や朱雀も言う。

 

盾「俺も聞きたいな、海未たちの歌。だって、正式に入ったのはつい最近だから。そんなに詳しく知らないし。やっぱり曲がかかってる中で踊るのは、練習の時とは一味違うと思うし」

 

海「盾………」

 

朱「これでも今日まで楽しみにしてたんだよ?なのに僕の期待を裏切るの?……それに、僕を絶対マネージャーにするって息巻いてたのは何処の誰だっけ?ことり」

 

こ「キーくん…………」

 

盾と朱雀の言葉で、海未とことりの瞳にも光が挿す。

 

そしてトドメに、講堂の入口がバァン!! と勢いよく音を立てて開く。

 

花「はぁ、はぁ………」

 

現れたのはいつぞやの眼鏡少女、小泉 花陽だった。

 

穂「花陽ちゃん……」

 

花「あ、あれ?ライブはぁ~~!? あれ~?あれぇ~!?」

 

息を切らす花陽はまだ状況が理解できず、困惑しているようだ。

 

竜「さぁ穂乃果………こっから先は、お前達のライブの一方通行だぁ!!」

 

“やりきれ”という意味を含んだその遠回しな言葉は、穂乃果の心に強く突き刺さる。

 

先程とは違う。

 

ちゃんと理解できる。

 

心がザワつく。

 

高揚感に襲われる。

 

いつの間にか、震えは止まっていた。

 

そして、いつもの高坂 穂乃果が舞い戻る。

 

穂「っ!!…やろう!!」

 

こ「へっ?」

 

穂「歌おう!! 全力で!!」

 

海「穂乃果……」

 

穂「だって、そのために今日まで頑張って来たんだから!! 竜ちゃんたちだって、一生懸命手伝ってくれたんだから!!」

 

その目は、いつもの輝きを放っていた。

 

「「…はっ!!」」

 

それに感化された海未とことりの2人も、ハッとしたような顔をする。

 

穂「歌おう!!」

 

こ「穂乃果ちゃん……。海未ちゃん!」

 

海「……ええ!」

 

ことりの声に呼応するように、海未も反応を表した。

 

もうそこには、絶望に暮れるか弱い少女達の姿はなかった。

 

穂乃果も、ことりも、海未も、来てくれる誰かにこの歌を届けるための声を発していた。

 

 

(♪:START:DASH!!)

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果たちのパフォーマンスを一生懸命見ている花陽。

 

その横に、凛、嵐助、イクスが並び、一緒に見る。

 

途中から来た、三人も見入っている。

 

火「これは…………」

 

嵐「すげぇぇ…」

 

講堂の入口から少し離れたところに希と茜。

 

真姫も氷麗と一緒に来ていた。

 

音響室には、蒼燕と絵里…。

 

他にも、いつかの不審者少女と、その近くに立つ、若干ウェーブのかかった銀髪碧眼の少年。

 

 

 

 

 

 

今ここに、近い未来に『9人の女神』と呼ばれる少女たちと、彼女たちを支え、守っていく『9人の光の戦士』たちが集った…。

 

 

 

 

 

曲がラストに入る頃、ウルトラマンが話しかけてくる。

 

『素晴らしいものだな……竜司』

 

竜「だろ…?なんせ俺の自慢の幼馴染みたちだからな」

 

竜司は穂乃果たちを見ながら、

 

(なあ…穂乃果。これから先も、辛いことや苦しい事がある。でも、そんな時は必ず俺が、お前のところへ駆けつけて助けるからな…)

 

心にそう決めた。

 

面倒臭がりの竜司が少しだけ変わった瞬間だった。

 

そして曲が終わり、パチパチと少ないが、今の講堂にはよく響く拍手が鳴る。

 

穂乃果たちは肩で息をしているが、満ち足りた表情だ。

 

拍手が鳴りやんだ後、絵里と蒼燕が降りてくる。

 

穂「生徒会長…」

 

絵「どうするつもり?」

 

穂「続けます!」

 

穂乃果は迷いも躊躇いもなくハッキリと続行を宣言した。

 

絵「何故?これ以上やっても意味なんて無いと思うけど……?」

 

氷のような冷たい言葉は鋭さを増して穂乃果に襲い掛かる。

 

穂「やりたいからです!」

 

絵「っ!?」

 

即答だった。

 

氷の鋭さを含んだ言葉を吹き飛ばす程に。

 

あまりの即答ぶりに、絵里は少々面食らっていた。

 

穂「私、もっと歌いたい!もっと踊りたい!そう思ってます!こんな気持ち初めてなんです!! きっと、ことりちゃんも、海未ちゃんも……。やってよかったって、本気で思ってるんです!!」

 

穂乃果の純粋で無垢な気持ち。

 

技も飾りもない、ドがつくほどストレートな言葉。

 

純白とも言えるそれを、この広い空間に響かせながら絵里にぶつける。

 

穂「だから今はこの気持ちをそのまま真っ直ぐに信じてみたいんです!確かにこのまま見向きもされないかもしれない、誰からも理解されないかもしれない。……でも!一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って、この想いを届けたい!! 今、私たちが届けたい……この想いを!!!」

 

それに共感した者は少なからずいただろう。

 

穂「いつか……いつか私達、必ずここを満員にしてみせます!!」

 

そう穂乃果は断言した。

 

絵「でも結果は…「やめろ絵里」ッ!?」

 

絵里がまだ何かを言おうとすると、蒼燕が腕を出してそれを止める。

 

絵「な…何よ蒼燕!?」

 

絵里は蒼燕に食って掛かるが、それを蒼燕は意に返さない程に据わった目で言う。

 

「これ以上言えば、お前の評価に関わる」

 

「でも私は……!」

 

「俺たちがこいつらの気持ちを……覚悟を壊す権利は何処にもねぇよ…」

 

「っ!!」

 

口論で口をつぐむのは敗北に等しい。

 

蒼燕の言うことに一理あることを感じた絵里は歯噛みし、苛立ちをぶつけるように講堂を出る。

 

それを見送る蒼燕は溜め息を1つ吐く。

 

「ふー……邪魔したな?じゃあな…これからも頑張れ」

 

そう言い残し、蒼燕は絵里を追いかけるように出る。

 

こうして、μ’sのファーストライブは決して成功とは言えないが、ある意味成功した。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

穂「ええぇぇぇぇ!? 恭弥くん、入ってくれるの!?」

 

朱「うん」

 

あの後、ライブが終わり、穂乃果たちが着替え終わった後に、朱雀から正式にμ’sのマネージャーになる旨を伝えられた。

 

海「ですが…恭弥はライブが成功したら、入ってくれるんですよね?今回のライブはお世辞にも………」

 

成功とは言えない。

 

そう海未が言おうとすると、朱雀はそれに便乗するように自分の気持ちを述べた。

 

「確かに、成功とは言えないね。むしろ失敗だ。でも……」

 

朱雀の言葉に、一瞬落ち込む三人だが、朱雀の次の言葉で笑顔になる。

 

「個人的には、入ってもいいかなって思うくらいよかった。それに、失敗しても続けるという覚悟。あれに惹かれたからかな?」

 

その言葉を聞いた三人は、顔をパーッと輝かせて大きく喜ぶ。

 

特にことりが……。

 

こ「ありがとーー!! キーくん!!」

 

朱「おっと…。危ないよ、ことり」

 

朱雀に抱きつくくらいに喜ぶ。

 

こいつら、三人が三人共すぐに抱きつく癖があるな……。

 

穂「やったぁ!! これで六人だよ!! 六人♪やったぁぁぁ!!」

 

穂乃果は跳び跳ねて喜ぶ。

 

それを横に、朱雀はことりを自分から離れさせて俺と盾に近づき、ボソリと耳打ちしてきた。

 

朱「ちょっと、話があるんだけど…」

 

「「?」」

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

穂乃果たちから離れた場所にて、俺と盾は驚いていた。

 

何故かって?

 

それは……

 

『エース!! こんなところにいたのだな!!』

 

『はい!心配をかけて、申し訳ありません!! マン兄さん』

 

ウルトラマンと、ウルトラマンエースが光の球状態で再開の喜びをあげていた。

 

竜「しかし…。朱雀にエースがついていて、盾がティガとはな…」

 

盾「だね~、驚きだね~」

 

朱「僕も君たちがウルトラマンとは思ってなかったよ」

 

俺たちは、朱雀の中からエースが出てきた事により、互いの近況を話していた。

 

どうやら、朱雀は穂乃果たちにマネージャーに初めて誘われたその日に、エースと出会い体を貸していたらしい。

 

ちなみに、氷麗がダイナという事も伝えている。

 

朱「まあ、とりあえずは怪獣が出た時、その怪獣と戦った事のあるウルトラマンが戦う。これでいいね」

 

竜「そうだな…」

 

盾「うん」

 

そういう取り決めをして、穂乃果たちのところへ戻った。

 

あれ?

 

もしかして今俺が抜けても大丈夫じゃね?

 

そんな事を少しだけ、頭の片隅で考えた。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

蒼「おい絵里!待てって!おい絵里!!」

 

絵「何よ…」

 

俺が講堂から出ていった絵里に声をかけると、不機嫌な感じで返して来た。

 

「何そんなに怒ってんだよ?」

 

「別に、怒ってないわよ…」

 

「いや、明らかに怒って…」

 

「怒ってないわよ!!」

 

「………怒ってんじゃん…」

 

講堂から出てきてから、ずっとこの調子だ。

 

何度聞いても、「怒ってないわよ」の一点張り…。

 

本当にめんどくさい幼馴染みだ。

 

俺が少しだけ憂鬱になっていると、

 

「………ねぇ……蒼燕は一体どっちの味方なの…?私?それとも……」

 

突然絵里はそう尋ねてきた。

 

その顔は物凄く不安そうだ。

 

多分、自分の拠り所が無くなると焦ってるのだろう。

 

自分で言うのもなんだが、絵里は少しだけ俺に依存してる所がある。

 

コイツは無自覚だろうがな……。

 

「安心しろ。俺は昔から何一つとして変わらない。お前の味方であり続ける。そう約束しただろ?」

 

昔から絵里が落ち込んだ時や、不安になった時に、言っている言葉を言う。

 

「でも……だったらどうしてあの時、私の言葉を遮ったの?」

 

なんだ……そんな事で拗ねてたのか?

 

「そんなの決まっているだろ?あのままじゃ、お前が悪いやつだと思われる。そんなの、お前の事が好きなヤツとしては嫌だからな…」

 

俺がそう言うと、絵里は顔を真っ赤にして尋ねてくる。

 

「そ、それって…どういう意味なの?もしかして……異性としてなの///?」

 

「……………さぁな♪自分で考えて見ろ」

 

そう言って俺は絵里の横を通り過ぎる。

 

「えっ……?ちょ、ちょっと待ってよ蒼燕!! 蒼燕ってばぁ~~!!」

 

絵里は手を伸ばしながら、俺を追いかけて来る。

 

今の俺に出来るのは、こうやって絵里をリラックスさせてやることだけだ…。

 

今はな…。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 



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まきりんぱな#1


多分お気づきの人もいるかもしれませんが、少しだけ台本形式なのを止めてます。

例えば台詞の前に、それを誰が話しているのか明確にしている場合は、「」の前に名前は付けていません。

それ以外は代わらず台本形式ですけどね。



朱雀side

 

 

ファーストライブから翌日。

 

僕、朱雀恭弥が正式に入り、今は校舎の裏側にあるアルパカ小屋に来ている。

 

何故ここにいるのかと言うと、理由は目の前の状況にある。

 

こ「うわぁ~。ふぇぇぇ~♪」

 

モッサモッサと草を食っているアルパカに見惚れていることりがいるのだ。

 

穂「……アルパカだよね」

 

そう、ことりは最近毎日ここに来てはこのアルパカに夢中になっているのだ。

 

休み時間に来ては、こうして見惚れに来る。

 

高坂穂乃果と園田海未は微妙な顔してるけど。

 

朱「ちなみに白いアルパカがオスで、茶色のアルパカがメスだよ」

 

穂「えっ!? 恭弥くん性別分かるの!?」

 

朱「直感」

 

海「直感で分かるものなんですか?」

 

朱「なんとなく茶色のアルパカからメスの匂いがする」

 

竜「メスの匂いって何だよ……?」

 

天青竜司が難しい顔で訊ねてくるが、知ったことでは無い。

 

実際にそういった感じの匂いがするのだから。

 

穂「ことりちゃん、最近毎日来てるよね?」

 

竜「そうだな…」

 

海「急にハマったみたいです」

 

穂「ねぇ、チラシ配りに行くよ~」

 

高坂穂乃果がことりの肩を揺さぶって声をかけるが、

 

こ「後、ちょっと~♪」

 

ことりは頑なに動かない。

 

はぁ~ダメだね。

 

これは動かないパターンだ。

 

穂「もう~…」

 

海「5人にして部として認めてもらわなくては、ちゃんとした部活は出来ないのですよ」

 

うん…?

 

確か僕も入れて6人になってるから、部として認めて貰えるのでは?

 

そう思っているのは僕だけ?

 

こ「う~ん。そうだよねぇ~」

 

盾「海未。聞いてないパターンだよ、これ…」

 

海「はぁ~。困りましたね…」

 

園田海未が嘆息する。

 

まぁ気持ちは分かるよ?

 

竜「オイ朱雀、お前の嫁だろ?何とかしろよ」

 

朱「うるさいよ?咬み殺すよ?」

 

僕は鋼鉄製のトンファーを取り出して脅す。

 

そういう冗談は嫌いなんだよね。

 

ことりが嫁と言うのは、悪くないけどね。

 

穂「う~ん…可愛い…かなぁ?」

 

言いながら高坂穂乃果も、園田海未も、奥の方にいる茶色いアルパカを見る。

 

すると、

 

「ンィィィーッ!」

 

茶色のアルパカが反応し、威嚇なのか唸る。

 

「「ひっ!!」」

 

高坂穂乃果と、園田海未が一瞬ビクつく。

 

見事に怒られたね。

 

ことりが高坂穂乃果の言葉に抗議する。

 

「え~!? 可愛いと思うけどな~。首の辺りがフサフサしてるし~♪」

 

「「う~ん……?」」

 

やっぱり納得出来ない二人。

 

因みに僕と、天青竜司と土方盾は興味がないので、虚空を見て暇潰し。

 

アルパカより、この空の方が個人的には落ち着くよ。

 

こ「はぁ~。幸せ~♪」

 

そう言いながら、アルパカの首をなで回すことり。

 

うん、その緩んだ顔が可愛いから撮らせてもらうよ。

 

そう思った僕はスマホでことりの横顔を撮る。

 

穂「ことりちゃん、ダメだよ!!」

 

海「危ないですよ!?」

 

こ「ええ~?大丈夫だよ~はぁう!?」

 

しかしそう言った側からアルパカがことりの頬を舐め、舐められた事に驚いたことりは尻餅をつく。

 

ビキッ!

 

落ち着け……落ち着くんだ僕。

 

相手は動物畜生。

 

なんかムカつくから咬み殺したいなんて考えちゃダメだ。

 

ことりを舐めた上に、尻餅つかせた事に殺意が湧いたなんて認めないよ。

 

穂「ことりちゃん!?」

 

海「あぁ!? どうすれば……あっ!ここは一つ弓で…」

 

穂「ダメだよ!!」

 

盾「落ち着いて海未」

 

パニックになったら本当に何しでかすか分からないね、キミは。

 

でも本音で言うとそのまま殺してよ。

 

しかしここでまた茶色のアルパカがさっきより大きく唸る。

 

「ブルルルルルルルルル!!!!」

 

穂「ほら!変な事言うから!!」

 

ことりは舐められた所を拭いてるし、高坂 穂乃果も園田 海未もパニック状態になっている。

 

仕方ないね。

 

ここで僕が目の前に出る。

 

口の端をつり上がらせ一言。

 

「………咬み殺すよ…?」

 

「ブルゥゥゥ!?」

 

瞬間、茶色アルパカは小屋の端へ下がり、体を震わせる。

 

別にキミに恨みは無いけど、白アルパカの分まで存分に恨みと嫉妬をぶつけさせて貰ったよ。

 

海「恭弥…?何をしたんですか?」

 

朱「さぁね…」

 

僕は飽くまで笑顔で『宥めた』だけだよ。

 

花「よぉし、よぉし……うふふ…」

 

そこへ体操着を着た眼鏡の少女、確か小泉花陽だっけ?が来た。

 

茶色のアルパカを優しく宥めている。

 

穂「大丈夫?ことりちゃん」

 

こ「うん…。嫌われちゃったかな?」

 

ことりを嫌うヤツがいるなら僕は即咬み殺そう…。

 

花「平気です。ただ、楽しく遊んでただけだから」

 

そう言ってアルパカの水を替えている。

 

穂「アルパカ使いだね~」

 

花「あっ、私飼育委員なんで…」

 

穂「ふーん…。ん?あー!? ライブに来てくれた花陽ちゃんじゃない!!」

 

竜「今気付いたのかよ?」

 

ホントね。

 

遅すぎるよ。

 

花「ふぇ?あの、その……」

 

こ「駆けつけてくれた一年生の!」

 

ことり、君もなの?

 

花「ふぇ、あっ、はい…」

 

しかしこの子……声小さいな…。

 

正直、聞き取りにくい。

 

すると高坂穂乃果が彼女の肩を掴み、

 

穂「ねぇ!」

 

花「は、はい!」

 

穂「アイドルやりませんか?」

 

こ「穂乃果ちゃん、いきなりすぎ……」

 

いきなり勧誘した。

 

あっ……小泉花陽が怯えてる。

 

高坂穂乃果はそれにも関わらず、顔を近づけながら勧誘する。

 

「君は光ってる!大丈夫!悪いようにはしないから!」

 

竜「悪いことするヤツの言葉だよ…」

 

確かにね。

 

一言一句違わず、詐欺とかで使われてる文句の1つそのものだよ。

 

穂「でも、少し位強引に行かないと…」

 

花「あ、あの西木野さんが……」

 

穂「ごめんね。もう一回いい?」

 

どうやら高坂穂乃果は小泉花陽の声が聞こえづらかったようだ。

 

かくいう僕も聞こえなかった。

 

花「に、西木野さんが、いいと思います。すごく、歌、上手なんです」

 

穂「そうなんだよね!私も大好きなんだ!あの娘の歌声!」

 

竜「だったらスカウトしに行けよ?」

 

穂「行ったよ~。そしたら『オコトワリシマスッ』って言われたんだよ!っていうか、こういうのは竜ちゃんたちの仕事でしょ!!」

 

へー、行ったんだ……。

 

竜「ああいうタイプは苦手なんだよ…」

 

確かに、天青竜司にとって西木野真姫は面倒なタイプだろう…。

 

花「え?あ、すみません……私、余計な事言っちゃいましたよね……」

 

穂「ううん!ありがとっ!」

 

そう言って高坂穂乃果はいつもの、誰もが見惚れてしまうような、誰をも陰から輝かせそうな笑顔を小泉花陽に向けていた。

 

彼女もその笑顔をずっと見ていた。

 

凛「かーよちーん!早くしないと授業遅れちゃうよー!」

 

声がしたほうを見ると、オレンジ短髪の少女が同じく体操服を着て、小泉花陽に手を振っていた。

 

あれは彼女と同じく一年の星空凛だね…。

 

花「今行くね。し、失礼します」

 

そう言うと、そそくさと小泉花陽は星空凛の元に行った。

 

朱「僕達も教室に戻ろう…」

 

こ「そうだね」

 

こうして僕達も午後の授業に向かった。

 

 

朱雀sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

凛「かーよちーん!決まった部活?今日までに決めるって、昨日言ってたよ?」

 

時は放課後。

 

凛が帰りの準備をしていた花陽に質問する。

 

花「そ、そうだっけ?…明日決めようかな?」

 

凛「そろそろ決めないと、みんな始めてるよ?」

 

花「う、うん…」

 

凛の言葉に花陽は狼狽える。

 

周りはもう既に何かしらの部活に入っていたり、決めてたりするのだが、花陽だけは未だに決めあぐねていた。

 

いや、正確にはあるにはある。

 

それはこのオトノキで生まれたスクールアイドル、μ'sの仲間になること。

 

花陽はアイドルが好きで、アイドルに憧れている。

 

しかしどんくさい自分では無理だと決めつけ、いつも諦めてきた。

 

それでも諦めきれないものがあった。

 

今回もその類だった。

 

そこへ、後2人の幼馴染みの少年である、嵐助とイクスがくる。

 

嵐「凛、余り急かしてやるな」

 

火「花陽には花陽のペースがあるんだ…」

 

凛「嵐兄。イクス兄。でも、早めに決めないと、かよちんだけ遅れちゃうよ!」

 

嵐「それはまあ、分かるけど…」

 

火「花陽は何かやりたい事はないのか?」

 

花「う、うん…。えっと…凛ちゃんはどこに入るの?」

 

イクスの質問を何気なく反らし、凛に質問する花陽。

 

その事にイクスは、ムッと顔をしかめる。

 

「凛は陸上部かな~?」

 

花「陸上…かぁ~。イクスお兄ちゃんたちは、どこに入るの?」

 

「「帰宅部一択」」

 

花「そ、そうなんだ…」

 

二人同時に同じことを言われ、若干顔がひきつる花陽。

 

中学の時でもこの2人は帰宅部だったが、ここでも帰宅部になることに、花陽は2人の将来に一抹の不安を覚えた。

 

そこへ凛が閃いたように花陽に質問する。

 

「あっ、もしかして~。スクールアイドルに入ろうと思ってたり?」

 

花「ええぇぇぇぇ!?」

 

図星をつかれ、慌てる花陽。

 

花「そんな事……無い…」

 

指先を合わせる花陽。

 

しかしそれは花陽が嘘を吐く時の癖なので、それを見たイクスは、

 

「花陽………」

 

と呟き、眉を潜めて何処か悲しそうにする。

 

凛もそれに気づき、追い込みをかけに来る。

 

「ふーん…やっぱりそうだったんだね」

 

花「そんなこ…」

 

凛「ダメだよかよちん。嘘つく時、必ず指を合わせるから。すぐ分かっちゃうよ~」

 

花陽の口を人指し指で塞ぎ、花陽の本音を言う凛。

 

凛「一緒に行ってあげるから、先輩たちのところに行こう!」

 

花「ええぇぇ!?」

 

花陽の腕を引っ張り、連れて行こうとする凛。

 

しかし心の準備が出来てないのか、花陽は必死に抵抗した。

 

「あっ、ち、違うの!ホントに……私じゃ…アイドルなんて…」

 

凛「かよちんそんなに可愛いんだよ?人気出るよ~」

 

火「そうだぜ花陽。やるだけやってみろよ」

 

そう言ってイクスは後押しし、凛は連れて行こうとする。

 

だが、花陽は足に力を入れ、

 

「待って………待って!!」

 

強めに叫んで凛を止める。

 

その理由が分からない凛は首を傾げた。

 

「う~ん?」

 

花「あっ、あのね…三人にわがまま言ってもいい?」

 

凛「しょうがないな~。何?」

 

火「花陽の頼みなら」

 

嵐「無理な頼み意外なら」

 

あの花陽が我が儘を言うことが珍しいのか、それぞれの理由を述べて3人は快諾した。

 

花「もしね……私が……アイドルやるって言ったら、一緒にやってくれる?」

 

それは花陽の道連れに近かった。

 

一人では何も出来ない、臆病な花陽の我が儘に似た道連れ。

 

凛「ん…?凛が?」

 

火「それ、俺たちも?」

 

花「うん…」

 

嵐「俺たちは無理だろ~?凛ならいけるだろ?」

 

そう言って嵐助は凛に話を振るが、凛は手を素早く振って拒否する。

 

「凛だってムリムリムリムリ!! 凛はアイドルなんて似合わないよ~!ほら…女の子っぽく無いし、髪だって、こんなに短いし…」

 

嵐「そうか?俺は凛も充分可愛いと思うぜ」

 

凛「そんな事無いよ!ほら昔も…」

 

凛がそう言うので、四人は朧気ながらも昔の事を思い出す。

 

 

《回想中》

 

 

それはまだ四人が小学生の時だ。

 

花「うわぁ~!凄い可愛いよ!スカート似合ってるよ!凛ちゃん!!」

 

凛「そうかな?」

 

嵐「ああ!! とてもよく似合ってるぜ、凛!」

 

凛「えへへへへ……ありがと、嵐兄♪」

 

頬を赤くして、恥ずかしそうに後頭部を掻く凛。

 

この頃から、凛と花陽は嵐助とイクスの事を兄のように慕っていた。

 

同い年なのに、何故だか兄みたいだ、という理由で。

 

その時、後ろから来たクラスメイトの男子に、

 

「あっ!? スカートだぁ~!」

 

「いっつもズボンなのに!!」

 

「スカート持ってたんだぁ~!」

 

スカート姿をからかわれた。

 

嵐「オイお前ら、ちょっと顔貸せや?」

 

嵐助は凄味のある声音でクラスメイトにブチ切れる。

 

そもそも凛にスカートを履いてくるように勧めたのは嵐助なのだ。

 

本気で凛に似合うと感じた嵐助だからこそ、それが冗談だとしても許せなかった。

 

嵐助はクラスメイトの一人に殴りかかろうとしたが、それは被害者である凛本人に止められた。

 

凛「やめて嵐兄!!……や、やっぱり着替えてくるね?」

 

そう言って、凛は家に帰った。

 

嵐「凛ッ!!」

 

花「凛ちゃん!?」

 

火「凛ッ!!」

 

 

《回想終了》

 

 

凛「アイドルなんて…凛には絶対無理だよ…」

 

凛は頭をかきながら言う。

 

花「凛ちゃん……」

 

凛もまた、花陽と同じ自分の殻を破れない少女なのかもしれない。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

氷麗side

 

 

この日、俺は真姫とは別行動で学院を歩いていた。

 

そこに何か辺りを見回している不審な少女を見つけた。

 

…って、あれは同じクラスの小泉花陽さんじゃん。

 

ちょっと話しかけてみよう。

 

「小泉さん」

 

「は、はい!?…って、なんだ氷川くんか~。ビックリした~」

 

「酷いな~…。で、どうしたの?」

 

「あ、あのね…これ…」

 

そう言って、小泉さんは手に持ってるのを見せてくる。

 

「これは……真姫の生徒手帳…」

 

小泉さんが持っていたのは、真姫の生徒手帳だった。

 

どうやら落としたらしい。

 

しかもμ’sのポスターが貼ってある場所で…。

 

もしかして真姫は……。

 

いや、それよりは今は生徒手帳だ。

 

「小泉さん。小泉さんが良ければ一緒に真姫に届けに行かない?」

 

「え、ええぇぇ!? で、でも私じゃ…」

 

「いいからいいから!ねっ?お願い!」

 

俺が手を合わせて頭を下げてお願いすると、彼女はビックリしたのか慌てふためく。

 

「え、ええぇぇ!? あ、あの、氷川くん!頭を上げて。ねっ?」

 

「じゃあ、一緒に来てくれる?」

 

「うん……分かったよ…」

 

よし!!

 

落ちた!

 

ここで小泉さんを真姫と会わせて、会話すれば、真姫の友達になってくれるかもしれない。

 

常々、真姫に俺しか友達がいないのは、どうかと思っていたからな。

 

真姫にその事を尋ねると、真姫は、

 

『別にいらない。欲しくもないし、それに私には氷麗さえ……ゴニョゴニョ…///』

 

顔をトマトのように赤くしてこう言っていた。

 

最後の方は聞き取れなかったが。

 

ともかく、俺は彼女を連れて真姫の家に向かった。

 

歩くこと数分。

 

やっとこさ真姫の家の前に着いた。

 

花「ふぇぇぇ…! 大きい……」

 

小泉さんが真姫の家の大きさに驚く。

 

まあ、それが普通の反応だよな。

 

真姫は『別に普通じゃない?』とか抜かしてたが、これが普通の反応なんだよ。

 

氷「ここだよ。真姫の家は…」

 

花「へ~。氷川くん、迷う事なく着いちゃったよね?よく来てるの?」

 

小泉さんがそう訊ねてくる。

 

「まあ、幼馴染みっていうのもあるけど……俺さ…ガキの時に親無くして、今は真姫の家に世話になってんだ…」

 

俺が暗い経緯を伝えると、彼女はワタワタと慌てて謝ってきた。

 

「え…あっ…!?……ごめんね…」

 

「いいよいいよ!もう吹っ切れたし。じゃあ、入ろっか?」

 

「……うん」

 

優しい子だな、小泉さんは…。

 

そして俺はインターホンを鳴らす。

 

するとすぐに若い女の人の声がした。

 

真姫のお母さんの美姫さんだ。

 

『は~い』

 

氷「美姫さん、ただいま帰りました。それと…」

 

花「同じクラスの小泉花陽です……」

 

『あら、氷麗くん。お帰りなさい。ちょっと待っててね』

 

インターホンが切れると門が開く。

 

「じゃ、入ろうか」

 

「は、はい」

 

そうして俺と小泉さんは家に入った。

 

 

 



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まきりんぱな#2



こうしてリメイクでもμ'sの奇跡をもう1度書けてる。

少しだけ楽しくて、思い出すと目が潤む。

皆さんはどうですか?



氷「ただいまー」

 

花「お邪魔します……」

 

「いらっしゃい」

 

出迎えてくれたのは、美姫さん。

 

相変わらず若いよなこの人…。

 

俺や真姫がガキの時から全然見た目が変わってない。

 

美姫さんは「さ、入って入って」と上がらせてくれた。

 

花「トロフィーとか沢山あるね…」

 

氷「それ全部、真姫のだよ」

 

花「え!? そうなの!?」

 

氷「うん」

 

まあ…驚くのも無理ないか…。

 

そう思いながら、リビングのソファーに座る。

 

すると、美姫さんが紅茶を入れてくれる。

 

氷「あ、有り難うございます」

 

花「……すみません」

 

「いいの、いいの♪でも良かったわ♪あの子、高校に入ってから全然友達一人連れて来なかったから、心配してたのよ。氷麗くんがいるから、一人になる事は無いと思ってたのだけど」

 

真姫のヤツ……美姫さんにも心配されてんじゃん…。

 

そうこうしている内に、真姫が帰って来た。

 

真「ただいま~」

 

「あら。真姫おかえり」

 

真「ママ、誰か来てるの……って」

 

真姫はアホ面に近い、驚いた顔をしていた。

 

これは結構珍しい。

 

真姫の驚いた顔はよく見るが、ここまでのは無い。

 

小泉さん、礼を言うぜ!

 

氷「真姫、おかえり」

 

花「こ、こんにちは……」

 

「真姫の紅茶淹れてくるわね?」

 

美姫さんはそう言ってキッチンの奥に消えた。

 

さて……。

 

真「何の用?」

 

真姫の鋭い目線が小泉さんに突き刺さる。

 

やだ怖い♪

 

見てる俺すらもチビりそうだよ。

 

氷「真姫。そんな言い方はダメだぜ。せっかく落とし物を拾ってくれたんだから」

 

真「落とし物?」

 

花「これ、落ちてたから、西木野さんの、だよね?」

 

そう言うと小泉さんは真姫に生徒手帳を手渡す。

 

それを見た真姫は初めて生徒手帳を落としたことに気付き、驚きの表情を見せる。

 

真「な、なんであなたが持ってるの?」

 

花「ご、ごめんなさい……」

 

真「なんで謝るのよ。あ、ありがとう………」

 

氷「おお…。あの真姫が素直にお礼を言えるとは…」

 

真「氷麗……私をバカにしてるの?」

 

俺が本気で驚いてると、真姫に凄まれる。

 

怖いよ真姫ちゃん!

 

胃に穴が空くから止めて真姫ちゃん!

 

花「μ’sのポスター見てた、よね?」

 

氷「え?…そうなの?」

 

真「ひ、人違いなんじゃないの?」

 

花「でも、手帳もそこに落ちてたし」

 

小泉さんは更に追い打ちをかけるように、真姫の鞄から覗いてるモノを指摘する。

 

「それμ’sのチラシだよね?」

 

「ち、違っ!これは!」

 

真姫が小泉さんに攻められムキになり、ソファーから立ち上がろうとしたが勢いが強すぎて膝をテーブルにぶつけてしまった。

 

真「えっ…!あっ…わぁぁっ!?」

 

更にバランスを崩して後ろへソファーごと倒れこんだ。

 

氷「あーあ、何やってんだよ真姫。ほら、大丈夫か?」

 

俺は倒れた真姫に手を差し出す。

 

真「だ、大丈夫。ありがと…」

 

真姫は素直に俺の手を取ったので、引き上げる。

 

花「プっ……クスクス……」

 

見ると小泉さんが笑ってた。

 

真「も、もう!笑わないの!!」

 

花「ご、ごめんね…。プっ……クスクス……」

 

真「むぅ~」

 

なんか二人の距離が近づいたようだ。

 

で……やっとこさ小泉さんの笑いが止んだところで、別の話題に切り替える。

 

それは真姫がスクールアイドルに興味があるかどうかの話。

 

真「私がスクールアイドルに?」

 

花「うん、私、いつも放課後に音楽室に行ってたんだ。西木野さんの歌、聞きたくて」

 

真「私の?」

 

花「うん、ずっと聞いていたいくらい、好きで、だから……」

 

真「私ね、大学は医学部って決まってるの」

 

花「そうなんだ…」

 

真「…だから、私の音楽はもう終わってるってわけ…」

 

真姫はそう言う。

 

確かに、真姫の家は大病院を経営している。

 

だから真姫がその後を継ぐのは道理ではあるが……だからってそれがやらない理由になるとは俺は思えない。

 

真「それより、あなた……アイドル、やりたいんでしょ?」

 

真姫は自分の話題を打ち切り、小泉さんの話に移る。

 

花「ふぇ?」

 

真「この前のライブの時、夢中で観てたじゃない」

 

花「え?…西木野さんもいたの?」

 

真「うぇ!?…いや、私はたまたま通りがかっただけで……」

 

氷「たまたまで通りがかる道じゃないんだが…」

 

真「煩いわよ!氷麗!!」

 

氷「このような台詞で、大変申し訳ありません(^∪^)」

 

真「ム~カ~ツ~ク~!!」

 

花「お、落ち着いて…西木野さん。氷川くんもダメだよ」

 

俺がニーサン顔で真姫の揚げ足を取ると、真姫は足をジタバタさせて文句を言い、小泉さんがそれを宥める。

 

真「はぁ~…まあいいわ。あなた、やりたいんならやればいいじゃない。そしたら少しは応援……してあげるから…」

 

花「……うん、ありがとう」

 

ッたく、このお姫様は相変わらず素直じゃない。

 

氷「俺もそれは思う。やりたい事があるなら積極的にやった方がいい。やらずに後悔より、やって後悔の方が断然いい」

 

花「…氷川くん」

 

氷「それにさ……俺にはやりたい事や、夢って物がないからさ……正直、真姫や小泉さんが羨ましいんだよ…」

 

恥ずかしい話だが、俺は両親を失ってから自分のやりたい事や、夢を持つことに意義を見出だせなくなっちまったからな。

 

真「……氷麗…」

 

事情を知っている真姫は悲しみに満ちた瞳で俺を見る。

 

なんか気ぃ遣わせちまったな……。

 

氷「だから真姫も小泉さんも。二人が心の底からやりたい事があるなら、俺はそれを全力で応援するよ」

 

真「氷麗……ありがと♪」

 

花「ありがとう、氷川くん♪」

 

俺がそう言うと、真姫は微笑み、小泉さんははにかんで礼を言ってくれた。

 

 

氷麗sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

花「みんな色々あるんだな~」

 

真姫の家からの帰り、花陽は考える。

 

真姫の事情を知り、自分はどうしたいかを今一度考える。

 

しかし答えはやはり見つからず、現実逃避気味になっていた時、目の前に老舗の和菓子屋『穂むら』を見つける。

 

花「お母さんにお土産買って行こうかな…?」

 

ここは気分を変えて和菓子でも買っていこう。

 

そう思った花陽は、いかにも和風と感じさせる看板の下にある引き戸をガラガラッと開ける。

 

中に入ると、ほんのりと和菓子特有の優しい甘い香りが漂ってくる。

 

そんな優しい匂いに気を取られながらも奥へ進むと、そこにいたのは、

 

穂「あっ、いらっしゃいませ~!ってあれ?」

 

花「あっ!先輩……」

 

割烹着姿の穂乃果と、

 

竜「つーかよぉ、なんだって俺がこんなクソめんどくせぇ事しなきゃいけねぇんだぁ~?穂ォォ乃果ちゃんよォ~」

 

花「天青先輩も……」

 

ダランと、カウンターに身体を預けてだらけている竜司だった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

何故か家の中へ通された。

 

花「お邪魔します…」

 

穂「私、店番があるから上でちょっと待ってて♪」

 

そう言って、穂乃果は上にある自分の部屋を指す。

 

花「あっ、はい」

 

そう言って上がったはいいものの、花陽は穂乃果の部屋を知らない。

 

と言うか母へのお土産を買うはずが、何故か家にお邪魔してる事に、花陽は戸惑いを隠せなかった。

 

大人しすぎるのが裏目に出てしまった。

 

花「えっと……」

 

階段を上がれば見えたのは2つの引き戸。

 

しかし、どっちの部屋かまでは聞いていなかったため、ここで花陽は止まってしまう。

 

花「えっと……こ、こっちかな……」

 

迷った挙げ句、一番近い部屋の入口を開ける。

 

そこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっにににににに!! こ、これくらいになれれば……」

 

 

 

 

 

 

裸の上にバスタオル一枚の雪穂がいた。

 

顔にパックを付けて胸をよせながら……。

 

 

 

 

 

 

その状況認識が出来た瞬間の花陽の行動はとても素早かった。

 

ただシンプルに素早く引き戸を閉めた。

 

花「ま、間違ってた……」

 

やらかしてはいけない間違いを引き当ててしまう自分の不運さに少しだけ頭を悩ませつつも、花陽は気分を切り替えて隣にある部屋を見る。

 

「ララララ~♪」

 

そこからは誰かの歌声が聞こえる。

 

必然的にその部屋に行かなければならないので、花陽はさっきと同じようにそっと引き戸を開けた。

 

そこには

 

 

 

 

 

 

 

海「ラララララ~ン♪……ジャーン!! ありがと~~♪」

 

 

 

 

 

 

 

姿見の前で歌い、アイドルの決めポーズまでしていた海未がいた。

 

 

 

 

 

 

花陽は引き戸をバッと閉める。

 

花「ど……どうしよう……?」

 

あまりの光景にパンク寸前の花陽。

 

その花陽に追い打ちをかけるように、閉めた引き戸の奥からダダダッ!と何かが迫ってくるような音がして、次の瞬間にはダンッ!と勢いよく引き戸が開いて海未が出てきた。

 

隣の部屋からは一拍置いて、雪穂が勢いよく出てきた。

 

花「ヒィィィィィィィ!?」

 

怯える花陽に二人は揃って

 

「「見ました?」」

 

と訊ねてきた。

 

花陽はあまりの威圧感に腰を抜かし、座り込む。

 

花「あわわわわわわわ……」

 

二人揃ってゆらゆら揺れながら迫りくる光景は、かなりのホラーだ。

 

そこへ文字通り天の助けが来る。

 

 

 

竜「オイ……なんなんだぁ?この状況はぁ?」

 

 

 

しかめっ面をした天青竜司がやって来た。

 

後ろには盾もいる。

 

盾「何してんの?海未………」

 

盾のジト目付きの言葉に二人は我に返ったのか、そそくさと部屋の中へ戻っていった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

花「ご…ごめんなさい…」

 

穂「ううん、良いの良いの。こっちこそごめん…」

 

竜司と盾が来たことで、穂乃果も戻り、今花陽を含めた5人は穂乃果の部屋にいる。

 

穂「でも、海未ちゃんがポーズの練習していたなんてね~♪」

 

海「ほ、穂乃果が店番でいなくなるのが悪いんです!」

 

竜「いや、穂乃果のせいにしちゃダメだろ…」

 

海未の文句に正論を言う竜司。

 

花「あっ、あの…」

 

こ「お邪魔しま~す♪」

 

花陽が何かを聞こうとした時、引き戸を開けてことりと朱雀が入って来る。

 

花「あっ、お邪魔してます!」

 

こ「えっ!? もしかして本当にアイドルに!?」

 

ことりが花陽のことを見つけ、花陽が軽く頭を下げるとキラキラした表情で詰めよってくる。

 

それを朱雀が止める。

 

「ことり、落ち着いて…」

 

穂「たまたまお店に来てくれたから、ご馳走しようと思って。穂むら名物の穂むら饅頭、略して『穂むまん』!美味しいよ?」

 

穂乃果が穂むまんを差し出し、花陽も穂むまんを食べようとするが、ことりが何かを取り出すのを見て動きが止まる。

 

こ「あっ、穂乃果ちゃん、パソコン持ってきたよ」

 

穂「ありがとう!肝心な時に壊れちゃうんだ~。竜ちゃんも直せないって言うし…」

 

竜「あぁ?俺が直せる訳ねぇだろうがぁ…」

 

海「そんな威圧気味に言うことでは無いのでは?」

 

言いながらも各々がテーブルを片付けていく。

 

花陽もそれに従うかのように自身の目の前に置かれている穂まんと煎餅などが入っている皿を両手で持ってどかせる。

 

こ「あっ、ごめん…」

 

花「いえ……」

 

海「それでありましたか?動画は?」

 

こ「まだ確かめてないけど、多分ここに…」

 

海未の問いにことりは答えながらも、起動したPCを慣れた手付きでどんどん操作していく。

 

カチッカチッと、マウスの音が続いてしばらくすると、

 

穂「あった!」

 

竜「おっ…ホントだ」

 

海「どこですか!?」

 

様々な反応をしながら、花陽以外の全員がことりの周囲に集まっていく。

 

花陽も一応画面が見える位置にまで移動し、同じく画面を凝視する。

 

そこには紛れもないμ'sのファーストライブの動画が映っていた。

 

こ「誰が撮ってくれたのかしら?」

 

海「すごい再生数ですね!」

 

盾「だね~」

 

穂「こんなに見てもらったんだ~。あっ、ここのところ綺麗にいったよね!!」

 

穂乃果たちはファーストライブの動画を見て、感想を言う。

 

再生数もそれなりに多く、好調な出だしだった。

 

一方、花陽はそんな彼女達の言葉など耳に入らないのか、画面を集中して見ていた。

 

器用に両手で穂まんと煎餅の入った皿をバランス1つ崩さず持ちながら。

 

穂「あっ、ごめん花陽ちゃん。そこじゃ見辛くない?」

 

それに気付いた穂乃果が慌てて声をかけるが、花陽には聞こえてない。

 

その様子に6人は数秒の間だけ思考に耽てから、アイコンタクトをとる。

 

海「小泉さん」

 

花「は、はいぃっ!?」

 

海未が声をかけ、花陽の意識はパソコンから現実に引き戻される。

 

穂「スクールアイドル、本気でやってみない?」

 

穂乃果が花陽にアイドル活動の誘いをかける。

 

しかし、引っ込み思案な花陽はやんわり断る。

 

「嬉しいですけど、私アイドルに向いてないし…」

 

自分の気持ちに嘘を吐き、言い聞かせ、蓋をする。

 

こんな事をするのももう慣れた。

 

いつだってそうだった。

 

いつだって自分の気持ちに蓋をしてきた。

 

地味な自分には程遠い場所、臆病でどんくさい自分が入っても迷惑なだけ、足を引っ張るだけだと。

 

だけど、

 

海「それをいうなら私は人前に立つことが苦手です。とてもアイドルに向いているとは思いません」

 

こ「ことりも歌忘れちゃうところもあるし、運動も苦手だし…」

 

穂「穂乃果もすごくおっちょこちょいだよ!」

 

竜「穂乃果は何で自慢気味なんだ?」

 

彼女達は自らの欠点をさらけ出した。

 

他ならぬμ'sである彼女達が。

 

朱「小泉花陽」

 

ここで今まで静かだった朱雀が唐突に口を開いた。

 

朱「もし彼女らがプロのアイドルなら、きっと失格の烙印を押されてるだろうね。でも、スクールアイドルなら自分がやりたいという気持ちがあれば、誰だってやることができる。それがスクールアイドルってやつなんじゃないかな?」

 

穂「だから、ほんの少しでもやりたいっていう気持ちがあるならやってみようよ!」

 

朱雀に続くように、穂乃果がもう一度誘う。

 

海「もっとも、練習は厳しいですが…」

 

穂「もぉ…海未ちゃん!」

 

海「おや、失礼」

 

自分には向いてない。

 

それは彼女達も思っていた事だった。

 

それでも尚、彼女達はあのライブをやり遂げた。

 

やりたいという気持ちが強かったから。

 

だからこそ、それを聞いた花陽の心中にも少しだけやりたいという気持ちが強まった。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽side

 

 

先輩たちの言葉を聞き、私は考えながら、夜の帰り道を歩いてました。

 

花「やりたいっていう気持ち…か~」

 

穂乃果先輩たちの躍りはA-RISEに比べると色々と拙いですが、それでも何故だか引き込まれました。

 

確かに朱雀先輩の言う通り、プロのアイドルとしては失格かもしれません。

 

ですが、スクールアイドルなら。

 

花「やって……みようかな……」

 

そんな気持ちになっていた時でした。

 

花「キャッ!?」

 

私は何かにつまづきました。

 

花「うぅ~~、なぁに?」

 

つまづいた場所を見ると、私の足に何かが絡まっていました。

 

それは大人の男性の腕くらいはある触手でした。

 

花「へ…?何…これ?」

 

私は恐る恐る触手の元を見ました。

 

そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

「クギシュォォォォォォォォン!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫色の体全体が膿みたいに膨らんだ、生理的嫌悪感を催す、気持ち悪い生物……いえ、怪物がいました。

 

花「ひっ!?」

 

私は慌てて近くにあった街灯に掴まりました!

 

「クギシュオォォォォォン!!!!」

 

その瞬間、怪物は触手を引っ張って、私を引っ張ります!

 

花「いっ…嫌!! だっ…ダレカタスケテー!!!!」

 

私は精一杯助けを呼びますが、誰も来ません。

 

うぅーっ、こんな事なら朱雀先輩が送ってくれるって言う言葉に素直に甘えれば良かった。

 

そんな事を思っても、後の祭りだというのは分かってます。

 

花「あっ!」

 

ついに私の腕に限界が来て、街灯から手が離れてしまいました!

 

このままじゃ、あの怪物に食べられる!

 

私の本能がそう告げます。

 

でも、他に掴まるものも無いし、人も周りにいません。

 

怪物はわざと触手を遅く引っ張ります。

 

それが私に益々恐怖を植え付けてきます。

 

怪物の後ろを見ると、鞄や靴などの荷物が所々に散乱しています。

 

まさか、他の人もこの怪物に……!?

 

私…ここで死んじゃうの?

 

まだやりたい事だってあるのに…。

 

やだよ……誰か……凛ちゃん、嵐助お兄ちゃん……イクスお兄ちゃん!!

 

助けて!!

 

私は目を瞑って、死を覚悟しました。

 

せめて死ぬなら、怖い思いはしたくないから。

 

そう思ったその時でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諦めるな!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花「えっ?」

 

聞き覚えのある、安心できるような声が聞こえました。

 

瞬間、私の後ろでズドン!! という音がしました。

 

その後には私を引っ張る力が無くなり、私は何があったのか気になって後ろを振り返ると……そこには、

 

(BGM:NEXUS.encounter)

 

鋭い刃がついた籠手をつけた腕でさっきの怪物を殴って、圧死させたと思われる銀色の巨人がいました。

 

その目は乳白色で、頭は兜を被ったみたいな形。

 

胸には、赤いY字の結晶があるその姿は、まるで…

 

 

 

花「ウルトラマン…?」

 

 

 

紛れも無いウルトラマンがいました。

 

そのウルトラマンは、私の方を向き、じっと見つめた後、蜃気楼のように消えました…。

 

 

花陽sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

花「一体あのウルトラマンは?」

 

花陽が銀色の巨人、ウルトラマンネクサスの事を考えていると後ろから、

 

火「オーイ、花陽~!!」

 

イクスがやって来た。

 

「イクスお兄ちゃん!!」

 

「何してんだ!? こんな暗いところで!心配したんだぞ!?」

 

「ご…ごめんなさい…」

 

「まあ、花陽が無事ならそれでいいんだ。帰るぞ」

 

「うん……」

 

そう言って、花陽の左手を掴んで帰るイクス。

 

一方、花陽の手を掴んでない左手には、赤く光る白い短刀のようなものがあった……。

 

 

◎sideoff

 



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まきりんぱな#3





「輪郭をぼやかせていた靄も――」

 

翌日の最後の授業中の事だった。

 

他の生徒が教科書を読んでいるのにも関わらず、小泉花陽は授業とはあまり関係ない事を考えていた。

 

(やりたいって思ったらやってみる。そうだよね……)

 

昨日の事を思いだしていた。

 

勧誘されて、悩んで、親身になって考えてくれて、後押しをされて、後は自分で決める。

 

あれから色々考えた。

 

ずっと憧れていたアイドル。

 

そんなものにはなれないと分かっていながらも今まで焦がれてきた。

 

でもスクールアイドルなら自分でも出来る。

 

そう言ってくれた人達がいた。

 

何より花陽にとって身近な、人に誤解されがちな古傷を持つ少年はいつも、自分を応援し、励ましてくれた。

 

この間だって、彼は『花陽なら出来る』と励ましてくれた。

 

であれば、花陽はその想いに応えたいと思った。

 

思い始めたその矢先。

 

「――じゃあ次を、小泉さん」

 

花「え?は、はい」

 

不意に先生から教科書を読めという意味での指名を受ける。

 

「読んで」

 

花「は、はい」

 

ここ数日は声が小さかったから、読んでいる途中に止められる事もあった。

 

でも今は違うはずだ。

 

少なくとも心境に変化はあったのだと自分でも分かる。

 

それを確認する為に、今一度己を奮い立たせる為に、彼女は一歩踏み出す。

 

花「遠い山から、この一文が示す芳郎の気持ちはい、一体なんでぁ、あぅ……」

 

クスクスと周りのクラスメイトの笑い声が聞こえる。

 

それが、花陽が決めた決意を揺るがすには十分だった。

 

やってしまった。

 

決意は失意に変わり、自信は危惧に変わり、自らが自らの評価を落としていく。

 

一度深みに落ちてしまえば、あとは戻る事を知らずに沈んでいくだけだった。

 

だがそれを良しとしない者も、確かにいた。

 

火「花陽……」

 

少なくとも一人は……。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

火「花陽のやつ、何処に行った?」

 

火神イクスは今、授業が終わって早々に教室から逃げ出した花陽を探していた。

 

授業中、珍しく花陽が大声を出そうと張り切っていたのは、幼馴染みで後ろの席に座っているイクスには良く伝わっていた。

 

だけどそれが失敗して、またいつもの花陽にマイナス方向で萎縮したのも、痛いほどに伝わっていた。

 

だからこそ花陽を元気付ける為に、イクスは学院を奔走していた。

 

イクスは花陽を溺愛している。

 

花陽が守りたくなる程の庇護欲オーラを出してるのもあるが、それが拗れに拗れて竜の逆鱗になるほどに、イクスの中の花陽は大きい存在になっていた。

 

それに昨日、花陽はヤツに襲われた。

 

その恐怖は未だに花陽に根付いており、厄介な事にヤツはその恐怖を喰らう。

 

どんな時でも目を離したくないのが、イクスの正直な心境だった。

 

そんな事を思ってると、イクスは中庭のベンチの所で花陽を見つけた。

 

だが誰かといる。

 

特徴ある赤髪に、勝ち気そうなつり目。

 

(アイツは……西木野か…)

 

花陽と一緒にいたのは真姫だった。

 

イクスはそこへ近づき、声をかける。

 

「花陽ッ!!」

 

花「あっ!イクスお兄ちゃん!」

 

見なくても分かるほどに、花陽は満面の笑みをイクスに向ける。

 

火「花陽、何してんだ?」

 

花「西木野さんに声を大きくする方法を教えてもらってたの」

 

火「そうか……ありがとな、西木野」

 

真「べ、別に!そんな礼を言われる程じゃ……」

 

礼を言われるのが照れくさいのか、真姫は顔を赤くして、髪の毛をクルクル回して弄る。

 

その様子にイクスが真姫をツンデレ属性の持ち主なのかと疑問に思ったのは、仕方ない事なのかもしれない。

 

真「はい、もう一回…」

 

照れ臭い気分を紛らわすために、もう一度真姫が発声を繰り返そうとしたその時だ。

 

新たな訪問者がやってくる。

 

凛「かーよちーん!イクスお兄ちゃーん!」

 

今度は少女の声。

 

振り返ると凛だった。

 

凛「あれ、西木野さん?どうしてここに?」

 

いつも1人か、氷麗としかいない真姫を知っているからか、何故自分の親友である花陽やイクスと一緒にいるのかという当然の疑問を凛はぶつける。

 

花「励まして貰ってたんだ」

 

真「わ、私は別に…」

 

花陽の言葉に何故か反射的に腕を組んで、否定するかのような自然なツンデレを無意識にやってしまう真姫。

 

火(あ、コイツはツンデレだな)

 

そしてこの瞬間に、イクスは真姫をツンデレ少女と確定し、そう認識した。

 

凛「それより、今日こそ先輩たちのところに行って、アイドルになりますって言わなきゃ!!」

 

そう言って、花陽の右腕を引っ張る凛。

 

花「う…うん」

 

真「そんな急かさない方がいいわ、もう少し自信をつけてからでも…」

 

しかしそれを看過できない真姫が止めにかかる。

 

凛「何で西木野さんが、凛とかよちんの話に入って来るの!?」

 

敵意剥き出しで言う凛。

 

火(また凛の悪い癖が出たな……)

 

凛は余り親しく無い者には、無意識に壁を作る癖がある。

 

それにイクスは溜め息を吐き、真姫は一瞬驚くが、すぐに言い返す。

 

「っ!? 別に、歌うならそっちの方がいいってだけ!!」

 

凛「かよちんはいつも迷ってばかりだから、パーッと決めてあげた方がいいの!! ねぇ、イクス兄!!」

 

火「俺に振るな…」

 

イクスはこういう口論による揉め事には弱い。

 

それはイクスが揉め事を肉体的に解決するのが得意で、無口がそれを助長させているからだ。

 

真「そう?昨日話した感じじゃ、そうは思えなかったけど?ねぇ…あなたもそう思うでしょ?」

 

火「だから俺に振るな…」

 

この女は自分の話を聞いていたのか?

 

僅かながらにイクスの中にイラつきと呆れが貯まる。

 

凛「むっ…!!」

 

花「あの…喧嘩は…」

 

間に挟まれた花陽が止めるが、

 

凛「むーっ!!」

 

真「んーっ!!」

 

花「ああぁぁぁ……」

 

無意味に終わる。

 

流石に花陽が可哀想と思ったのか、イクスは助け船を出しにかかる。

 

「おい、お前ら喧嘩は止め…」

 

「「イクス兄(あなた)は黙ってて!!」」

 

火「テメェら……ッ」

 

散々意見を求めてきた癖に、止めようとしたら蚊帳の外扱い。

 

これには元々沸点の低いイクスも遂にぶちギレそうになる。

 

しかしそんなイクスの事など露知らず。

 

凛は花陽を引っ張りながら言う。

 

「かよちん行こう!先輩たち帰っちゃうよ!!」

 

花「えっ…でも…」

 

真「待って!」

 

が、反対の手を引っ張って止めた真姫がそれに反論する。

 

「どうしても行くってんなら、私が連れて行くわ!音楽に関しては私の方がアドバイス出来るし、μ’sの曲は私が作ったんだから!!」

 

花「えっ!? そうなの?」

 

真「んぇ!!……いや…えっと………」

 

そこで真姫は正気に戻る。

 

わざわざこれを言う必要はなかった。

 

墓穴を掘ってしまった彼女だが、無理矢理それを振り払うと花陽を引っ張っていく。

 

「っ!! とにかく行くわよ!!」

 

負けじと凛も。

 

「待って!連れてくなら凛が!」

 

「私が!」

 

「凛が!」

 

火(コイツら自分が連れてく言い合いしているが、肝心な花陽の意思はどうした?)

 

イクスは無駄な論争を繰り広げている2人を冷やかに見つめるが、その間にも花陽はズルズル引っ張られて行く。

 

花「イクスお兄ちゃーーん!! タスケテーーっ!!」

 

最後の希望と言わんばかりに、花陽はイクスに助けを求めて来た。

 

イクスはそれに溜め息を吐き、花陽を助けようと一歩踏み出すが、ふとある考えに至る。

 

(待てよ?この状況使えるんじゃ?)

 

イクスは前々から花陽の気持ちを知っていた。

 

花陽がどれだけアイドルに憧れ、アイドルが好きなのか。

 

それを夢見る度に、どれだけ自分の弱さを突きつけられ、絶望に打ちのめされたのかを。

 

それを知っていたからこそ、イクスはあえて、

 

火「先に、行ってろ。寺獄と氷川も連れて行くから」

 

彼女の夢を叶えさせる為に、彼女を突き放した。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イクスside

 

 

 

現在、屋上。

 

俺は花陽達を見送ると、校内に戻って寺獄と氷川を見つけ出し、この2人も連れて花陽たちの後ろにいる。

 

屋上に行くと、まだμ'sのメンバーは残ってたので丁度いい。

 

現在、花陽は両腕を掴まれて『宇宙人、ついに捕獲!』みたいな感じになっており、そんな花陽の腕をそれぞれ凛と西木野が掴んでいた。

 

嵐「なぁ?何があった?」

 

火「見てりゃ分かる」

 

いちいち説明すんのも面倒だ。

 

穂「つまり、メンバーになるってこと?」

 

凛「はい!かよちんは昔からずっとアイドルになりたいって思ってたんです!」

 

真「そんな事はどうでもよくて!この子結構歌唱力があるんです!」

 

凛「どうでもいいってどういう事!?」

 

真「言葉通りの意味よ!!」

 

テメェら一体何をしに屋上に来た?

 

氷「ちょっ、落ち着けって真姫!」

 

嵐「凛もだ。頭を冷やせ」

 

話が進まないと判断した寺獄と氷川が、二人をそれぞれ宥める。

 

花「わ、私はまだなんというか…」

 

花陽のヤツ、ここまで来てまだ決心できてなかったのか…。

 

花陽とは長い付き合いだし、花陽の性格も理解しているが、そこまで優柔不断なのもどうかと思う。

 

凛「もう!! いつまでうじうじしてるの!? 絶対やったほうがいいのっ!!」

 

真「それについては賛成!やりたいと思っているなら、やってみた方がいいわ」

 

確かにそうだ。

 

やらないで後悔するよりも、やって後悔した方が断然良い。

 

花「で、でも…」

 

真「さっきも言ったでしょ!? 声に出すなんて簡単なことだって!あなたならできるわ!」

 

凛「凛、知ってるよ!かよちんはずーっと、ずーっと昔からアイドルになりたいって思っていたこと!」

 

花「凛ちゃん、西木野さん…」

 

火「俺からも一つ…」

 

俺はそう言って、振り向いた花陽に近づく。

 

花「イクスお兄ちゃん…?」

 

花陽は首をかしげている。

 

凛も西木野もだ。

 

それを無視して、俺は花陽の目を見て言う。

 

「花陽……諦めるな」

 

花「あっ……」

 

この言葉に聞き覚えがあったのか、花陽は目を驚きに見開く。

 

まぁそうだろう。

 

なんせ俺はこの一言を、昨日も花陽に送ったのだから。

 

火「花陽、そろそろもういいだろ?いい加減すぐに諦めるのはやめろ。お前はやれば出来る娘だ。俺はそれを知っている。だから諦めるな、花陽」

 

花「イクスお兄ちゃん……」

 

火「今からお前は生まれ変わる。大丈夫だ。花陽なら出来る」

 

そう言って花陽の頭を撫でると、花陽は嬉しそうな顔になる。

 

相変わらずいい触り心地だ。

 

凛と西木野も思ったことがあるのか、更に花陽に言う。

 

凛「大丈夫!凛もずっとかよちんのこと、応援してるから!」

 

真「言ったでしょ?少しくらいは応援してあげるって…」

 

そう言って2人は花陽の腕を解放する。

 

俺も花陽の頭から手を退かす。

 

頑張れ、花陽。

 

「あ、あの…。私、小泉…」

 

 

 

 

 

 

トンッ…

 

 

 

 

 

下を向いてモジモジしていた花陽の背中を、俺と凛と西木野の三人で優しく押した。

 

言葉のないエールは花陽の決意をより強固なものとした。

 

花「……っ!私!小泉花陽と言います!1年生で背も低くて声も小さくて人見知りで得意なものも何も無くて…。でも!アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!! だから私を……μ'sのメンバーに入れてください!!!!」

 

想いの言葉を言い切った。

 

花陽、変われたな…。

 

穂「こちらこそ」

 

高坂先輩たちは花陽のもとに歩み寄り、代表して高坂先輩が手を差し伸べた。

 

花陽は高坂先輩の手を握り、握手を交わす。

 

凛「ぐすっ…。よかったね、かよちん…」

 

真「まったく、人騒がせな人ね…」

 

凛と西木野の瞳は涙で潤んでいた。

 

凛「あ!西木野さんも泣いてるー!」

 

真「泣いてなんかないわよ…!」

 

涙目でツンデレしてても説得力ねぇよ。

 

けどまぁ……もう大丈夫だな。

 

俺はそう思い、その場からゆっくり立ち去った。

 

 

イクスsideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐助side

 

 

花陽が無事にアイドルになり、それを見届けたイクスは屋上から去っていった。

 

あいつは自分のやるべき事をした。

 

俺たちも自分のやるべき事をしよう。

 

俺は氷川とアイコンタクトをする。

 

こ「それで、2人は?」

 

南先輩が後ろ手を組んで凛と西木野を見る。

 

「「え?」」

 

海「まだまだメンバーは募集中、ですよ?」

 

南先輩と園田先輩も凛と西木野に手を差し伸べる。

 

凛「凛は、その……髪も短いし、女の子っぽくないし…」

 

真「わ、私は別にアイドルなんて…」

 

この期に及んで…この二人は。

 

嵐「凛」

 

凛「にゃ?」

 

嵐「やってみても、いいんじゃね?」

 

俺は軽い感じで言う。

 

凛「な、何言ってるの嵐兄!? 凛じゃ…」

 

嵐「そんな事は無い!!」

 

凛「っ!?」

 

俺が急に怒鳴ったから凛はビクッとする。

 

でもこれも凛の為だ。

 

俺はそれを無視して続ける。

 

「俺はずっと凛のことを可愛いと思っていた。大丈夫だ!凛の事をバカにするヤツがいるなら俺が黙らせる。だからアイドル……やってみろよ」

 

彼女を勇気づけるように、俺は両手を優しく凛の肩に乗せる。

 

凛「………ホントに?凛の事、可愛いと思ってる?」

 

嵐「俺が今まで凛に嘘ついた事、あったか?」

 

凛「ううん…。無い」

 

嵐「なら、もう分かるよな?」

 

そう聞くと、凛は不安げな顔から一転、何かを決心した顔に変わった。

 

凛はもう大丈夫みたいだ。

 

一方、氷川の方では。

 

「真姫…」

 

「何よ…」

 

「もう、素直になってもいいんじゃないか?」

 

「な、何の事よ?」

 

「惚けるなよ。俺が気づいてないと思ってたのか?何年お前の幼馴染みをやってると思ってんだ?スクールアイドルやりたいんだろ?」

 

「氷麗……」

 

「言ったろ?お前が心の底からやりたい事があるなら全力で応援するって。親父さんは俺が説得しとくから」

 

氷川はそう言うと、西木野の頭を撫で、その直後に花陽の方に振り向かせた。

 

俺も凛を花陽の方に振り向かせ、氷川と同じタイミングで背中を押した。

 

二人が数歩ほど歩いたところに花陽が来て、

 

「凛ちゃん、西木野さん。一緒にスクールアイドル、しよ?」

 

微笑んだ。

 

「「………うん」」

 

凛と西木野はとても優しい笑顔で頷いた。

 

二人ももう大丈夫だな。

 

俺と氷川も、火神みたいに屋上を去ろうした瞬間…。

 

 

ヤツは来た。

 

 

 

 

 

 

「クギシュオォォォォォォォォン!!!!」

 

 

 

 

 

 

紫色の膿だらけの体に、触手を両腕に数本ずつ持つ、生理的嫌悪感を覚える怪獣が、音ノ木から少し離れたところにいた。

 

 

嵐助sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イクスside

 

 

俺が屋上から去って数分。

 

突然、懐のエボルトラスターが光った。

 

この反応があるという事は、昨日の怪物…正しくは『スペースビースト』が近くにいるという事だ。

 

それは正しかったようで、音ノ木から少し離れたところに、昨日のスペースビースト『ペドレオン』が現れた。

 

「丁度いい。花陽を襲ったテメェだけは絶対に殺す」

 

俺はそう言って、エボルトラスターを鞘から一気に引き抜き、青白い光に包まれた俺は外に飛び立った。

 

 

イクスsideoff

 

 



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まきりんぱな#4

昨日が花陽ちゃんの誕生日だったのに、それ相応の新話を投稿するのを忘れたバカです。

海未ちゃんの誕生日には必ず投稿します!



◎side

 

 

ペドレオンが現れた事により、屋上は騒然となっていた。

 

真「ヴェェ!? 何よ、あのキモチワルイ怪獣は!?」

 

真姫がペドレオンの見た目に文句を言う。

 

凛「気持ち悪すぎにゃ~…」

 

凛も同じ感想のようだ。

 

しかし2人がそんな感想を漏らしても誰も責めはしない。

 

文字通りペドレオンは気持ち悪い姿をしているのだから。

 

海「とにかく、ここから逃げないと!」

 

こ「うん!」

 

穂「そうだね。ねぇ竜ちゃん。あの怪獣って…」

 

穂乃果が竜司に質問する。

 

ペドレオンに思うところがあるのだろう。

 

竜「ありゃスペースビーストだな。他の怪獣よりも質の悪い怪獣で、人間の恐怖を餌にしてるヤツらだ」

 

竜司の簡単で簡潔な説明に、穂乃果はペドレオンに畏怖の視線を向ける。

 

ペドレオンに限らず、スペースビーストという存在は他の怪獣とは一線を隠す生命体。

 

他の生物を捕食する事によって成長・進化を行う性質を持ち、特に人間などの知的生命体を捕食する事を好む。

 

つまり人間にとっては普通の怪獣よりもおぞましく、天敵の部類に入る存在なのだ。

 

しかしそれよりも、一同は花陽の方が気になった。

 

気にせざるを得なかった。

 

花陽が床に尻餅を着き、身体を抱き締めて震えていたのだ。

 

異常なくらい。

 

花「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!?」

 

しかも軽く過呼吸になりかけてる。

 

ペドレオンに殺されかけた恐怖が甦ってきたのだ。

 

凛「かよちん!? 大丈夫!? かよちん!!」

 

真「しっかりして!! どうしたの!?」

 

凛と真姫が呼びかけるが、花陽の状態はさらに悪化する。

 

花「やだ……やだよ……死にたくない!!」

 

その症状に感づいたのは朱雀だ。

 

「まさか……スペースビーストに一度襲われかけたの?」

 

それに凛と真姫が驚く。

 

「「ええぇぇぇぇぇ!?」」

 

朱雀の考えは的中していた。

 

何故ならこのペドレオンは、花陽の深層意識にある恐怖から復活した存在だからだ。

 

竜「ちっ!! とにかくここから逃げるぞ穂乃果!」

 

穂「うん、分かった!!」

 

竜司が判断し、穂乃果が実行に移そうとしたその時!

 

突然、ペドレオンの前に青白い光が降り立った…。

 

真「何?」

 

凛「…光にゃ?」

 

氷「あれは…もしかして?」

 

11人の前で、その光は徐々に小さくなり、そこから現れたのは

 

(BGM:ネクサス.Appearance)

 

「シェア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸に赤いY字の結晶がある銀色の巨人、ウルトラマンネクサスが降臨した。

 

ネクサスは右手と右膝を地面に着け、左膝は立てている立ち方をしていた。

 

穂「ネクサスだ!ウルトラマンネクサスだよ!!」

 

海「これで助かりましたね!!」

 

こ「うん♪」

 

二年生組はネクサスの登場に喜ぶ。

 

『何と…!ネクサスまで来ていたのか!?』

 

竜司の中にいるウルトラマンは驚く。

 

M78星雲出身のウルトラマン達からすれば、ネクサスがいることはかなり稀少な事なのだ。

 

なまじ彼の正体が伝説のウルトラマンなだけに。

 

そして花陽は

 

「あの時のウルトラマン…!来てくれたんだ!」

 

ネクサスが現れたことにより笑顔を浮かべ、それを見た凛と真姫も安心する。

 

ネクサスは立ち上がり、花陽たちの方を見る。

 

花陽達が無事なのを確認すると頷き、今度はペドレオンの方を見て、左手を握り拳にして前に出し、右手は手刀にして胸の前に持ってくる戦闘ポーズをとる。

 

「シェアッ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!!!」

 

今ここに、ウルトラマンネクサスVSペドレオンの戦いの火蓋が切って落とされた!

 

(BGM:ネクサス.heroic)

 

「シェアッ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

ネクサスとペドレオンは互いに睨み合い、その場から90度ほど動く。

 

暫しの睨み合い、先に仕掛けたのはペドレオンだ。

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

頭の短い触手から火球を放つ。

 

それを見たネクサスはジャンプ!

 

「ヘェアッ!!」

 

ペドレオンの頭に強烈な飛び蹴りを叩きこむ。

 

「シェアァァッ!!」

 

ズドン!! というヒット音と共にペドレオンは倒れこみ、ネクサスはそのペドレオンに跨がると追撃に右のパンチを3発いれる。

 

「ヘェアッ!! デェヤァ!! シェアァ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

ペドレオンはネクサスの攻撃から抜け出そうと、左の触手を振り回す。

 

「フワアァァ!?」

 

それはネクサスの背中に当たり、ネクサスはペドレオンから退かされる。

 

ペドレオンは追い討ちをかけるように立ち上がり、火球を3発放つが、ネクサスは膝立ちになって腕の籠手アームドネクサスで防ぐ。

 

「ハァァァァァァ……ヘェアッ!!」

 

アームドネクサスで最後の火球を切り払うように防いだ後、ネクサスは空中に浮かび、左のアームドネクサスに右手を添えて放つ『パーティクルフェザー』を撃つ。

 

「シェアァ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!?」

 

見事ペドレオンに当たり、ネクサスは空中で左手を左腰に、右手は左手の上に少し間を空けるようにして置く。

 

すると両手の間にエネルギーが迸る。

 

「ハァァァァァァ……」

 

ネクサスはその両手を十字にして撃つ、『クロスレイ・シュトローム』を撃とうとしたが中断した。

 

いや……中断させられた。

 

「フワアァァ!?」

 

ネクサスの背中に三日月状の光線が当たったのだ。

 

それによりネクサスは空中から地上に落とされる。

 

花「ネクサスさん!?」

 

花陽がネクサスを心配して叫ぶ。

 

「フアアァァ……」

 

ネクサスは倒れ伏しながらも、そちらを見る。

 

そこには…

 

 

 

 

「キィィィィィィィィィン!!」

 

 

 

目の部分に黒い三日月状のアンテナ、身体は黒い稲妻の模様が走るクリーム色。

 

尾は相手の身体に巻き付けられるくらい長い。

 

放電怪獣・エレキング

 

その名を持つ怪獣がそこにいた。

 

竜「あァ…?なんでエレキングがここに居やがる?」

 

竜司は忌々しそうに、不思議そうに言う。

 

恐らくネクサスに光線を当てたのはエレキングなのだろうが、それでもこのタイミングで現れるのは疑問に思う所である。

 

「ハッ!?……シェア…」

 

ネクサスは立ち上がり、エレキングとペドレオンの二体を見る。

 

「キィィィィィィン!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

いくらネクサスとはいえ、二体同時に相手は難しい。

 

不利なのは免れない。

 

穂「あわわわ……! どうしよう竜ちゃん!?」

 

海「落ち着きなさい穂乃果!」

 

穂乃果が慌てて竜司に訊ねるが、海未に抑えられる。

 

竜(………行くか、ウルトラマン)

 

エレキングならなんとかなる。

 

竜司はネクサスを助けに行こうとしたが、ウルトラマンに止められる。

 

『待て竜司。何かもう一体の気配がする。これは……セブンか!?』

 

(はァッ!?)

 

テレパシーでそう言われた竜司は慌てて、周りを見る。

 

すると空の方から何かが来ている。

 

竜「あれは………」

 

竜司の呟きに全員が竜司の方へ向き、その視線を追うように続いて空を見る。

 

「キィィィィィィン!!」

 

エレキングはネクサスを攻撃しようと、歩きだしたその瞬間。

 

 

 

 

 

 

「ナアァァァァァ!!」

 

「キィィィィィィン!?」

 

背後から誰かの飛び蹴りをくらい、ペドレオンの方へ吹っ飛ぶ。

 

「デュワ!!」

 

先程までエレキングがいた場所に着地したのは、赤い身体に銀のライン、胸や肩にある光を集めやすくするプロテクター、そして頭にブーメランが備わっているボクシングのような構えをした戦士だった。

 

 

 

ウルトラセブン

 

 

 

彼の巨人がそこにいた。

 

穂「ウルトラセブンだ!!」

 

凛「すごいにゃ!本物のウルトラセブンにゃ!」

 

凛と穂乃果が興奮しながら喜ぶ。

 

ウルトラシリーズの事をあまり知らないものでも、初代ウルトラマンとウルトラセブンは知っているくらい、この二人のウルトラ戦士は有名だ。

 

ましてや穂乃果と凛は、どちらも竜司ほどではないが殆どのウルトラ戦士は知っている。

 

本物のセブンを目にしたことで、二人の目が輝きまくっている。

 

セブンはネクサスに近づき頷く。

 

共に戦おうという合図だ。

 

「デュワ…」

 

ネクサスもそれに応える。

 

「シェア…」

 

二人の戦士は、二体の怪獣と向かい合う。

 

「シェアッ!!」

 

「デュワ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

「キィィィィィィン!!」

 

ネクサスはペドレオンに、セブンはエレキングと相対する。

 

そして4体とも同時に走り出す。

 

タッグマッチ戦として、第2ラウンドが開始された。

 

(BGM:ウルトラセブン戦闘曲)

 

セブンはエレキングと取っ組みあいをして、その場で回り続ける。

 

「デュワ!!」

 

そして遠心力を利用してエレキングを思いッきり投げ飛ばす。

 

「キィィィィィン!?」

 

投げられて倒れ伏すエレキングに近づき、その身体を掴むと背負い投げをする。

 

「デュワッ!!」

 

叩きつけ、さらにもう一回背負い投げ。

 

「デュワッ!!」

 

さらにもう一回。

 

「デュワッ!!」

 

「キィィィィィン!!」

 

セブンは一度離れるが、それが仇になり、エレキングの尾に巻かれる。

 

そして尾から高圧電流を流される。

 

「デュワァァァァ!!!!」

 

高圧電流に苦しむセブン。

 

その隙にエレキングは立ち上がり、さらに強める。

 

凛「セブン!?」

 

凛が心配するが、セブンはその場で自ら倒れて転げ回り、エレキングの尻尾から離脱する。

 

そしてすぐさま立つ。

 

エレキングは振り返り、口から何発か光線を放つが、セブンはバク転しながら避ける。

 

そして片膝立ちになり、右腕は右の腰に、左腕は胸の前に持ってくる。

 

その体勢のまま頭のビームランプから『エメリウム光線』を撃つ。

 

エメリウム光線はエレキングのアンテナを破壊し、その活動を停止させる。

 

その瞬間を狙ってセブンは頭のブーメラン『アイスラッガー』を放つ。

 

「フッ!!」

 

アイスラッガーはエレキングの尻尾、胴、首を切り裂き、爆発させる。

 

アイスラッガーを頭に戻したセブンは、ガッツポーズを決めた。

 

一方ネクサスは、

 

(BGM:ネクサス.Heroic)

 

ペドレオンに走って近づき、牽制の飛び蹴りを食らわす。

 

「ヘェアッ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

そしてその場からバク転して離れ、左腕を胸の前に持ってきた後、降り下ろす。

 

瞬間、ネクサスの身体を青い波紋が覆い、赤い姿に変わる。

 

戦闘形体『ジュネッス』だ。

 

「ヘェアッ!!」

 

再び戦闘ポーズをとるネクサス。

 

走ってペドレオンに近づくと、強烈なパンチを連続して打つ。

 

「ハァァァァァァァァァ!!」

 

最後にその場でジャンプし、後ろ回し蹴りを放つ。

 

「シェアッ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!?」

 

着地すると仰け反ったペドレオンに対してサマーソルトキックを叩きこむ。

 

「デェヤァ!!」

 

「クギシュオォォォォォン!!」

 

吹っ飛ばされ、地面に倒れ伏すペドレオン。

 

しかし立ち上がり直ぐ様火球を連発する。

 

だがネクサスは空中に浮かび、それらを避ける。

 

何度も出される火球を空中を飛びながら避けまくる。

 

穂乃果たちは、ネクサスの華麗な空中機動に呆けていた。

 

余りの凄さに舌を巻いてるのだ。

 

ペドレオンは火球を一旦撃つのを止める。

 

その隙にネクサスは、両腕を胸の前に水平に重ね、左右に広げて放つ『ボードレイフェザー』を撃つ。

 

それはペドレオンの頭の触手を切断する。

 

「クギシュオォォォォォン!?」

 

攻撃手段の1つを失ったペドレオンは動揺する。

 

その隙にネクサスは地上に降り立ち、両腕を身体の前で左、右の順に重ねる。

 

そしてガッツポーズをすると、両腕の間に強力なエネルギーが充満する。

 

「ハァァァァァァ……」

 

万歳するように上に上げた後、L字にして撃つジュネッスの必殺技『オーバーレイ・シュトローム』を撃つ。

 

「フッ!デェヤァァァァ!!」

 

ネクサスの光線はペドレオンに見事に当たり、ペドレオンは、

 

「クギシュオォォォォォン!?」

 

断末魔を上げながら爆発した。

 

それを見届けていたネクサスに、セブンが近づいて1つ頷く。

 

その後、二人の戦士は飛び去った。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

イクスside

 

 

火「ふぅー」

 

俺は校舎裏でネクサスの変身を解いて夕焼けを見ていた。

 

初戦闘とは言え、ホントに疲れた。

 

何も考えずにポーッと夕焼けを見ていると、誰かの足音がする。

 

火「誰だ?」

 

俺がそちらに振り向くと、そこにいたのは寺獄だった。

 

火「寺獄……お前なんでここに…?」

 

持って当然の疑問をぶつけると、寺獄は予想外の答えをしてきた。

 

嵐「連れねぇな。さっきまで一緒に戦ってた仲だろ?」

 

そう言って、寺獄は懐から赤い縁取のサングラスのようなものを出した。

 

火「ッ!! お前がウルトラセブンだったのか?」

 

嵐「そうだ。まあ、今日は帰ろうぜ。疲れた」

 

火「その前に一ついいか?」

 

嵐「なんだ?」

 

火「どこでセブンの力を手に入れた?」

 

俺がそう聞くと、寺獄はしばし考え、アホな回答を口にした。

 

嵐「コンビニの帰りに出会って、その時にな……」

 

火「……は?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

翌日。

 

俺は凛を叩き起こした寺獄と共に、神田明神の階段を登っていた。

 

因みに花陽は先に出ていたみたいで、迎えに行った俺は無駄足を喰らった。

 

氷川もここにおり、どうやら西木野に叩き起こされたらしい。

 

すごく眠そうだ。

 

凛も眠いのか、瞼を擦る。

 

凛「うぅ…朝練って毎日朝早くからやらなきゃ行けないのー…?」

 

真「当たり前でしょ?しっかりしなさいよ」

 

氷「つーか、何で俺まで連れてこられてんの?」

 

相当不満なのか、氷川は西木野に文句を垂れる。

 

対して西木野はあっけらかんとして言う。

 

「あら、私の事を全力で応援してくれるんでしょ?私は氷麗が私のマネージャーをするのが、全力の応援だと思うのだけど?」

 

氷「ええ……」

 

極論とも言える西木野の言葉に押し黙る氷川。

 

下手な口約束するからそうなるんだよ。

 

尚、俺は自分の意思でここにいるし、寺獄も凛が心配なのか、自らの意思で凛のマネージャーになった。

 

そんな事をしている内に、神田明神の境内の入り口に着く。

 

凛「あっ、かよちん!おはよう!!」

 

凛が先にいた花陽に挨拶する。

 

そこには、

 

 

 

 

 

 

 

花「凛ちゃん、西木野さん。イクスお兄ちゃんたちも!おはよう」

 

凛の挨拶で振り向いた花陽は眼鏡を外し、コンタクトにしていた。

 

凛と西木野は驚きを隠せない表情になった。

 

それもそうだ。

 

俺たちだって驚いている。

 

凛「かよちん……メガネ外したの?」

 

花「うん。コンタクトにしてみたんだけど………変、かな?」

 

凛「ううん!すっごく似合ってるにゃ!ねっ、イクス兄たちもそう思うでしょ!?」

 

嵐「あっ、ああ。よく似合ってる…」

 

火「可愛いぞ。花陽」

 

もうな、天使だよ。

 

ガチの天使!

 

真「そうね。いいんじゃないかしら…」

 

花「ありがとう、凛ちゃん。西木野さん、イクスお兄ちゃん、嵐助お兄ちゃん」

 

すると西木野が、何やらエナメルバッグの肩ベルトをキュッと掴み、顔を赤くする。

 

何を言い出す気だ…?

 

真「ねぇ、その……。私のこと名前で呼んでよ…。私もあなたたちのこと、名前で呼ぶから…。凛、花陽」

 

そんな西木野の言葉に氷川が、

 

「真姫がデレた…だと……!?」

 

衝撃を受けていた。

 

そんなに意外か?

 

いや、結構意外だな。

 

花「うん!よろしくね、真姫ちゃん!」

 

真「……!うぅ…」

 

凛「まーきちゃーん!真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!!」

 

すると凛は名前を連呼しながら西木野に近付く。

 

凛「真姫ちゃん!真姫ちゃん!!」

 

西木野に近付いたと思ったら、西木野の頬を猫がじゃれるように頬をスリスリする。

 

真「う……うるさいっ!」

 

西木野も恥ずかしがりながら、でも満更でもないような表情で顔を赤く染めながら、凛を引き剥がす。

 

花陽はその様子を微笑んで見ていた。

 

俺はそんな花陽に近づき、話しかける。

 

「花陽」

 

「何?イクスお兄ちゃん?」

 

「勇気出して入ってよかっただろ?」

 

そう訊くと花陽は満面の笑みで、

 

「うん!!」

 

答えた。

 

ああ……花陽マジ天使。

 

この後、竜司たちが来たので、俺と寺獄は花陽たちが練習している間に離れたところで自分たちの正体を明かした。

 

竜司たちはビックリしていたが、

 

竜「まあ、頑張ろうぜ」

 

この一言で終わった。

 

まあ、竜司や氷川たちもウルトラマンっていうのは寺獄の中にいるセブンから教えてもらってたので、俺と寺獄はさほど驚かなかった。

 

 

イクスsideoff

 

 



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ニコ、襲来!#1






◎side

 

 

メンバーが6人から12人になってしばらくたった日。

 

境内の中でことりは準備体操をしていた。

 

朱雀は本殿の柵に寄り掛かり、それを見ていた。

 

こ「んっ!…んっ!…んしょ……」

 

朱「頑張るね…ことり」

 

こ「うん、だってメンバーが増えて、これからだもん!頑張らなくちゃ♪」

 

朱「そう…」

 

朱雀は優しげに微笑む。

 

普段は無愛想な朱雀だが、ことりに対してのみ、普通に笑ったり、心配性を発揮する。

 

それはことりと一番付き合いが長いからかもしれない。

 

そんな時、ことりが不審そうに後ろを見る。

 

朱「どうしたの?ことり」

 

こ「なんか視線を感じたんだけど…」

 

朱「視線?」

 

言われて朱雀はことりが向いていた方を見るが、

 

「……なにもいないけど?」

 

「う~ん…?」

 

そこには誰もいない。

 

そこへ穂乃果と竜司が来る。

 

穂「ことりちゃ~ん、恭弥く~ん!ごめんごめん、お待たせ~!!」

 

こ「ううん、私たちも今来たばかりだから。海未ちゃんは弓道の朝練があるんだって♪盾くんは海未ちゃんの付き添いだよ♪」

 

穂「あは~、そっかぁ~」

 

こ「…!?」

 

ことりはまた嫌な視線を感じたのか、再び後ろを向く。

 

穂「ことりちゃん?」

 

こ「穂乃果ちゃん、さっき後ろに誰か居なかった?」

 

穂「後ろ?」

 

そう言うと穂乃果は忍者みたいに壁に背をつけて、誰かが居ると思われる場所に行く。

 

「ささっ!…ささっ!…さささっ!」

 

そして顔だけ見せるが、そこには誰もいない。

 

「あれ~?」

 

頭に疑問を浮かべつつも穂乃果はしばらく歩く。

 

その瞬間、誰かに足を掴まれる。

 

「あわわ!? あわわわわ……!?」

 

穂乃果は転げそうになるが、腕立て伏せの要領で踏みとどまる。

 

しかしそれは手首に負担がかかり、痛みを誘発する。

 

「ぐぐ……ッ!! いったーーーい!!!?」

 

穂乃果は痛みに手を振りながら、ふと横を見てギョッとする。

 

それはもう間近だった。

 

自分のすぐ目の前に迫ってきており、穂乃果はやがて来る衝撃に目を瞑る。

 

しかし、いつまで立っても衝撃が来ない。

 

目を開けると、デコピンの形にされた誰かの手。

 

そしてそのデコピンの衝撃が今度こそ、穂乃果を襲う。

 

「ふがっ!ふああぁぁぁぁぁぁ………」

 

たった一撃で穂乃果はドサッと倒れる。

 

こ「穂乃果ちゃん!!」

 

竜「穂乃果ッ!?」

 

慌ててことりと竜司、朱雀が来る。

 

朱雀は穂乃果の様子を軽く診察し、判断を下す。

 

「気絶してるみたい」

 

そうしてると、三人の前に誰かが立つ。

 

竜「あァ?」

 

そこにいたのは、今日は暑い気温なのに厚着のコート、サングラスにマスク、そしてツインテールの不審者少女がいた。

 

余りの不審者ぶりに、ことりは怯え、竜司は唖然とし、朱雀は考えることを放棄していた。

 

そんな三人に不審者少女はマスクを取り、こちらを指差した。

 

「あんたたち…」

 

こ「は…はい!」

 

「とっとと解散しなさい!!」

 

そう言って、そこから去っていった。

 

こ「えっ……今の、誰?」

 

竜「さぁ…?」

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

時は淡々と進み放課後になった。

 

授業中の記憶はあまりない。

 

いつも通り興味の無い所は寝てたから。

 

さて、俺達μ'sのマネージャーとμ'sのメンバーは練習着に着替え廊下に立っている。

 

穂「それでは!新しくメンバーを加えた新生スクールアイドル、μ'sの練習を始めたいと思います!」

 

海「……いつまで言ってるんですか?それはもう2週間も前ですよ?」

 

確かに、この2週間ずっと穂乃果は飽きもせずに練習のある日は絶対にこれを言っている。

 

流石にしつこいンじゃないですかねェ?

 

穂「だって嬉しいんだもん!」

 

まぁ、こいつの気持ちが全く分からないって言う訳でも無いがな。

 

穂「なので恒例の!1」

 

こ「2!」

 

海「3!」

 

真「4!」

 

凛「5!」

 

花「6!」

 

それぞれ番号を言う。

 

これが穂乃果の言っている『恒例のやつ』というものだ。

 

俺たちもこれにいつも付き合わされてる訳だが、今日は絶対に言わねぇぞ?

 

穂「もう!竜ちゃんたちも言ってよー」

 

竜「はァ?今日もかよ?」

 

穂「当たり前だよ!」

 

穂乃果は当然という感じで言うが…

 

盾「もうやだ~」

 

朱「意味が分からないね」

 

火「バカみてぇ…」

 

嵐「パスで…」

 

氷「もう勘弁してください」

 

盾たちは穂乃果にそれぞれ文句を言う。

 

まぁ同じ事を毎回やられたら愚痴の1つでも出てくるわな。

 

それを聞いた穂乃果は

 

「ぐす…竜ちゃぁん………」

 

涙目で俺にすがりつくような顔になる。

 

ああもう、メンドクセェ……。

 

竜「なァ穂乃果。番号を言うのはスクールアイドルであるお前達だけだ。本来マネージャーである俺達は関係ないンだよ。だから今日から気持ちだけありがたくくれ」

 

頭に手を置いて言ってやる。

 

穂乃果を説得する際はこれが1番効果がいいのだ。

 

すると穂乃果は途端に頬を少しだけ赤くして、はにかむ。

 

「えへへ♪竜ちゃんがそう言うなら、そうするね?」

 

よし、これで面倒な事をしなくて済む。

 

なンか周りから微笑ましいものを見るような視線を感じるがな。

 

さて、機嫌を直した穂乃果は体をくねらせる。

 

穂「くぅぅ!12人だよ、12人!メンバーが6人で、マネージャーも6人!! アイドルグループみたいだよね~!いつか穂乃果たちが神6《シックス》とか、仏6《シックス》だとか言われるのかな~?」

 

花「仏だと死んじゃってるみたいだけど…」

 

火「やっぱこの人バカだろ?」

 

小泉がツッコミ、イクスが穂乃果に確信の言葉を送る。

 

確かに話が飛躍しすぎだし、どンだけ年を重ねれば神だとか仏になれるのか聞きたい。

 

凛「毎日同じ事で感動できるなんて、羨ましいにゃ~」

 

星空がそこはかとなく穂乃果をバカにする。

 

対する穂乃果は指を数えながら言う。

 

「私、賑やかなのが大好きでしょ?それに沢山いれば歌が下手でも目立たないでしょ?後、ダンスを失敗しても……」

 

海「穂乃果…」

 

穂乃果の途中からさぼろうとする言葉に、海未がツッコミを入れる。

 

穂「じょ、冗談、冗談…」

 

こ「そうだよ!ちゃんとやらないと…。今朝言われたみたいに怒られちゃうよ」

 

穂「ああ……」

 

ことりの言葉に穂乃果は今朝の事を思い出す。

 

 

 

『解散しなさい!!』

 

 

 

海「って、言われたんでしたっけ?」

 

盾「何様なんだろうねぇ~、その人」

 

凛「でもそれだけ有名になった、って事だよね!」

 

まぁそれもあるかもな…。

 

真「それより練習……どんどん時間なくなるわよ」

 

凛「おー?真姫ちゃん、やる気満々!!」

 

真「べ、別に!私はただとっととやって、早く帰りたいの!」

 

何だ何だよ何ですかァ!!

 

生ツンデレって最ッ高じゃねェか!

 

凛「またまた~、お昼休み見たよ~?1人でこっそり練習してるの」

 

真「あ、あれはただ!この前やったステップが格好悪かったから、変えようとしてたのよ!あまりにも酷すぎるから」

 

あ、西木野のやつ地雷踏んだ……。

 

海「そうですか……。あのステップ、私が考えたのですが……」

 

髪をいじりながら、そして表情も軽くいじけている海未だった。

 

真「ヴェェッ!?」

 

盾「ダメだよ~真姫ちん。海未はこれでも一生懸命考えてたんだよ」

 

あまりに情けないいじけ方だからか、見かねた盾が海未の頭を後ろから撫でながら注意する。

 

一方、撫でられている海未は盾に抱きついている。

 

なんだか「盾…盾…盾…ウフフ……」って言う声が聞こえるが。

 

氷「すいません、園田先輩。真姫はちょっと素直じゃないだけなんで。ほら真姫…」

 

氷麗がフォローしながら、西木野に謝るよう促す。

 

真「わ、分かってるわよ!ご、ごめんなさい…」

 

そんな時、朱雀がふと呟いた。

 

「雨……」

 

朱雀の視線を追って外を見ると、確かに雨がかなり降っていた……。

 

こ「梅雨入りしたって言ってたもんね」

 

穂「それにしても降りすぎだよ、降水確率60%って言ってたのに~」

 

竜「……その確率だったら降ってもおかしくねぇよ…」

 

むしろそういう中途半端な方が高確率で降るンだよォ。

 

穂「でも昨日も一昨日も降水確率60%だったけど雨降らなかったよ~?」

 

竜「だからって今日も降らないとは限らないだろ…」

 

少し考えりゃ分かる事だろうが。

 

こ「あ、すこし雨、弱くなったかも」

 

ことりの呟きに、穂乃果は屋上のドアを開ける。

 

穂「やっぱり確立だよ~、よかったー」

 

凛「このくらいなら練習できるよ~」

 

海「ですが、床が濡れていて滑りやすいですし、それにまたいつ降り出すか……」

 

海未の説得も聞かず、穂乃果と星空は「大丈夫大丈夫!」と言いながら外に飛び出して行った。

 

凛「うー、テンション上がるにゃ~!」

 

おー…星空のヤツ凄いアクロバティックな動きしてやがる。

 

すげェな。

 

そして星空がポーズを決めた瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザーッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

また降ってきた。

 

そのタイミングの良さに俺とイクスは、腹を抱えて笑ってやる。

 

「「アハハハハハハハハハッ!!!!!!」」

 

朱「今日は帰ろう。その方がいい」

 

そんな朱雀の一言から、それは次々と続いていった。

 

真「私も朱雀先輩に賛成」

 

花「わ、わたしも今日は…」

 

こ「そうだね♪明日にしようか」

 

西木野、小泉、ことりに合わせて、盾、氷麗、嵐助も帰ろうとする。

 

穂「えぇー!! 帰っちゃうのー!?」

 

凛「それじゃ凛達バカみたいじゃん!!」

 

海「バカなんです」

 

嵐「バカなんだよ」

 

嵐助と海未がツッコミを入れる。

 

いい感じにハモってたぞ?

 

海「ですが、これからずっと雨が続くとなると、練習場所をなんとかしないといけませんね…」

 

花「体育館とかダメなんですか?」

 

海「講堂も体育館も他の部活が使っているので…」

 

ホント…練習場所をどうするか…。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

真姫が階段を下りた廊下の角に、希はいた。

 

希は階段とは反対方向から来た一組の男女に言う。

 

「どうやらあの子たち……辞める気はないようやで?ニコっち、虎亜っち」

 

女子の方は今朝の不審者少女こと、矢澤ニコ。

 

男子の方は、銀髪碧眼で毛先にウェーブがかかった男子、地白虎亜だ。

 

虎「へぇー、意外と根性あるじゃん」

 

ニ「…………フン!」

 

虎亜はニヤッと笑って感心し、ニコは不満気に鼻を鳴らした。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

某ハンバーガー店にて。

 

俺の隣で穂乃果が不満気な顔でポテトを食べている。

 

それを海未に注意される。

 

海「穂乃果…ストレスを食欲にぶつけると、大変な事になりますよ?」

 

穂「雨…なんで止まないの!?」

 

海「私に言われても……」

 

まあ、そうだな…。

 

ふと横を見ると、席と席を分ける壁の上にピンクのウ〇〇があった。

 

…………いや、みたいなのか…?

 

どちらにせよ何だあれ……?

 

ウルトラマンの聴覚で聞くと、「今日はちょっと派手すぎたかしら?」という台詞が聞こえた。

 

………どんな服装なのか見てみたいな、逆に。

 

しかも近くに来たガキに「ウ〇〇ウ〇〇」って言われてるし…。

 

食べ物屋でそンな発言してンじゃねェ。

 

「うるさい!!」

 

穂「ん~?」

 

穂乃果も気になったのか隣の席を見る。

 

すると丁度、ことりと朱雀、小泉とイクスが戻って来た。

 

こ「穂乃果ちゃんー。さっき予報を見たら、明日も雨だって」

 

穂「えー!」

 

穂乃果はことりの言葉に落ち込む。

 

………おい、隣の客、今穂乃果のポテト取ったぞ。

 

穂「はぁ~」

 

しかし穂乃果は気づかずに残念そうにポテトを食べる。

 

穂「あれ?無くなった……。海未ちゃん食べたでしょ!!」

 

ポテトが全部無くなってから気づく穂乃果。

 

しかも海未のせいにしてる。

 

海「自分で食べた分も覚えてないんですか!? って、穂乃果こそ!」

 

隣の客、今度は海未のポテトを取る。

 

いい加減注意した方がいいか?

 

穂「わ、私は食べてないよ!」

 

竜「ほら、落ち着け穂乃果。俺のやるから」

 

盾「海未も。俺のあげるから」

 

穂「えへへ♪ありがと、竜ちゃん!」

 

海「すみません、盾」

 

俺と盾がそれぞれのポテトを穂乃果と海未にやる。

 

……隣でやいのやいの騒がれるよりかはマシだからな…。

 

真「そんな事より練習場所でしょ?教室とか借りれないの?」

 

西木野が疑問の声をあげる。

 

こ「うん、前に先生に頼んだんだけど、ちゃんとした部活じゃないと、許可できないって」

 

すると朱雀が言う。

 

「ねぇ、ことり」

 

「なぁに?キーくん」

 

「僕らマネージャーも部員として数えてるんだよね?」

 

「うん、そうだよ」

 

「なら、今は12人いる訳だけど?」

 

「…………ぁ」

 

朱雀の言葉でことりが気づく。

 

そういえばそうだよ。

 

忘れてた。

 

すると穂乃果も気づいたのか、ガタッと勢いよく席を立つ。

 

穂「あ!忘れてた!部活申請すればいいんじゃん!」

 

「忘れてたんかーい!」

 

なンか隣から声が聞こえた。

 

真「それより忘れてたって、どういう事?」

 

穂「いや~。メンバー集まったら安心しちゃって」

 

真「はぁ~…朱雀先輩以外ダメかも……」

 

西木野はそう言いながら頬杖をついた。

 

返す言葉もない……。

 

穂乃果は安心したのか、再び席に座る。

 

穂「よぉし!早速明日に部活申請しよう!そしたら部室が貰えるよ~。はぁ、ホッとしたらお腹空いてきちゃった~、さぁて……?」

 

穂乃果のハンバーガーを取ろうとした隣の客が、みんなに目撃される。

 

はい、現行犯。

 

そして何事もなかったように去ろうとする。

 

穂乃果は追いかけ、その客を捕まえる。

 

穂「ちょっと!!」

 

「か、解散しろって言ったでしょ!?」

 

花「解散!?」

 

小泉が驚く。

 

穂「そんな事より食べたポテト返して!!」

 

花「そこぉぉ!?」

 

小泉のキレのいいツッコミが入る。

 

お前にとってはポテトが大事なのかよ…。

 

穂乃果のポテトを食べた女は「あーー」っと口を開けて見せる。

 

その服装は……………見たいと思ってたが前言撤回。

 

やはり見たくなかった。

 

穂乃果は女の頬を引っ張って

 

「買って返して!!」

 

と言う。

 

まだポテト食べたいのかよ…。

 

「あんたたち歌もダンスも全然なってない!プロ意識が足りないわ!!」

 

スクールアイドルにプロ意識って必要なのか…?

 

穂「へ?」

 

変な服装の女は、穂乃果の手を払いのけ

 

「いい!? あんたたちがやってるのはアイドルへの冒涜…恥よ!! とっとと辞める事ね!!」

 

そう言い残し、その場を逃げようとしたが、

 

「はいストップ。ニコ、お前は一体何をしてんだ?」

 

「ひっ!? こ、虎亜…」

 

目の前に現れた銀髪碧眼の男に、肩を掴まれ止められる。

 

あいつは……。

 

竜「虎亜…」

 

またもや知り合いだった。

 

虎「よう、竜司。久しぶり。盾も嵐助も朱雀も、イクスも氷麗も久しぶり」

 

盾「あっ、虎亜ちんだ。久しぶり~」

 

火「雨崎からいるって聞いていたが…ホントにいるとは…」

 

虎亜の再開の挨拶に、盾とイクスが返す。

 

朱雀と氷麗、嵐助も呆然としている。

 

穂「竜ちゃん、知ってる人?」

 

竜「まぁな…」

 

虎「それより……ウチのニコが迷惑を掛けたみたいで済まないな…」

 

虎亜が謝る。

 

因みに、女の方は力いっぱい虎亜から逃げようとしたが、虎亜の方が力が強かったみたいで、バテていた。

 

 

竜司sideoff

 

 

 



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ニコ、襲来!#2



ここは割かし変わってません


虎亜side

 

 

ハンバーガー店での一件から現在。

 

俺、地白虎亜とニコは雨の中、傘をさして一緒に帰っていた。

 

隣を見ると、ニコは頬を膨らませている。

 

まだ拗ねてるのかよ。

 

ニコは俺から逃げようとしていたが、断然俺の方が力が強いので、バテたところを見計らって竜司や高坂たちμ’sの前で謝罪させた。

 

主に人のポテトを盗み食いした件について。

 

解散云々はニコの気持ちなので、そこは謝らせてはいない。

 

因みに、あのセンスの悪い服は脱がせて、制服に着替えてもらった。

 

あの服装で一緒に帰るのは勘弁願いたいから……。

 

虎「なぁ、ニコ。まだ拗ねてんの?」

 

ニ「別に……」

 

虎「どうみても拗ねてんだろ?」

 

そう言ってニコの頬を突く。

 

すると、プスーという音と共に空気が抜けて、ニコが「何すんのよ!?」って言ってきたが俺は構わず、

 

「人のポテトを食べたニコが悪い」

 

と言って黙らせる。

 

ニ「だって、解散しろって言ったのに、解散しないあの子たちが悪い」

 

虎「それとこれとは関係ないだろ?」

 

ニ「むぐっ…」

 

俺が正論を言うとニコは押し黙る。

 

全くこいつは……。

 

虎「なぁニコ。お前もμ’sに入れよ。あの子たちなら、お前の理想にも着いていける筈だぜ」

 

俺はμ’sに入るように言う。

 

俺はニコとは小学校2年からの付き合いだ。

 

だから、こいつがどれだけアイドルへの思いが強いのかを知っている。

 

しかしニコは、

 

「嫌よ。あの子たちはプロ意識が足りないわ。虎亜も観たでしょ?あの子たちのパフォーマンスを…」

 

頑なに断る。

 

はぁ……変なところで頑固なやつだ。

 

俺が溜め息をついてると、突然誰かが、

 

「お、おい!! 何だあれ!?」

 

と叫ぶ。

 

周りにいた人たちも、俺もニコも、その方向を見る。

 

そこには上空から青い繭のような結晶が降りてきていた。

 

ニ「何よあれ!?」

 

ニコも驚いている。

 

だが俺は大体検討がついてたので、

 

虎「ニコ、早くここから逃げろ!!」

 

ニコに逃げるよう促す。

 

ニ「え、何でよ!?」

 

虎「いいから早く!!」

 

俺の必死な態度に戸惑うニコ。

 

だが俺は構わずニコの背を押して、ここから逃げる。

 

その瞬間、青い結晶が割れて中から、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キシャオォォンキシャオォォンキシャオォォォン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

両手が鎌になっていて、金と茶色の体、腹の辺りに青い宝石がついている怪獣、

 

 

 

 

 

『宇宙戦闘獣・コッヴ』が現れた。

 

 

 

 

「逃げろぉぉぉぉ!!」

 

「いやぁぁぁぁ!! 怪獣よー!!」

 

誰かの大声を皮切りに、たちまちその場は混乱の渦になる。

 

コッヴはそれを楽しむように暴れ回る。

 

鎌を振り回し、近くのビルを壊す。

 

「キシャオォンキシャオォンキシャオォォォン!!」

 

俺はニコを連れ、遠くへと避難する。

 

ニコが毒づく。

 

「もう何なのよ、今日は!?」

 

まあ、気持ちは分かるぜ。

 

そんな時、

 

「ママ!どこ!? ママ!」

 

と叫ぶ子供がいた。

 

幼い女の子だった。

 

ニコは女の子を見つけると、躊躇なくその子の元へ走り出した!

 

虎「おい、ニコ!?」

 

くそ!!

 

こんな時に!

 

……………いや、こんな状況だからか。

 

あの子を助ける為にニコは自分の身の危険も省みず、一直線に向かったのだ。

 

虎「ったく!」

 

俺もニコを追いかける。

 

近づくと、ニコが丁度女の子を立ち上がらせていた。

 

ニ「大丈夫!? どこか痛くない?」

 

「……うん…」

 

女の子はぐずりながらもニコの質問に答える。

 

虎「ニコ!!」

 

ニ「虎亜!この子をお願い!」

 

虎「分かった」

 

まあ、ニコの身長と力じゃ無理か…。

 

すると女の子が俺とニコに質問をする。

 

「ねえ、どうしてウルトラマンたちは来てくれないの?ねえ、どうして?」

 

その質問に、ニコと俺は俯き、答えることが出来ない。

 

どうしてって言われても……。

 

するとニコが顔をあげ、

 

「大丈夫。きっと来てくれるから。大丈夫よ」

 

母性を感じさせる笑顔で言う。

 

「ホント!?」

 

ニ「うん!ホント」

 

ニコの言葉に女の子は笑顔になる。

 

さすが、人を笑顔にする事が出来るアイドルへの思いが強いだけの事はあるな。

 

その時、俺のズボンのポケットが光る。

 

俺は女の子を下ろし、ニコたちに背を向け、こっそりとポケットから『それ』を取り出す。

 

それはウルトラマンガイアの変身アイテム『エスプレンダー』だ。

 

これは玩具ではない。

 

正真正銘の本物だ。

 

俺がエスプレンダーを手にしたのは、中学2年の時。

 

家族と山へ遊びに行った時、山で遭難し、途方にくれていた時だ。

 

突然、俺が立っていた地面が円形に抜けて、俺はそのまま落下していった。

 

普通ならすぐに底へ着くのだがそうはならず、代わりに俺の目に飛び込んできたのは広大な空間で、そこに本物のウルトラマンガイアがいた。

 

巨人サイズで。

 

ガイアは無言のまま、俺に両手を伸ばしてきた。

 

何となくその意思を察した俺もガイアに両手を伸ばす。

 

その瞬間、俺はガイアと一体化した。

 

その後は覚えてない。

 

気がついたら両親と妹の前にいた。

 

妹に聞いたら『突然、お兄ちゃんが空から降ってきた』と言われた。

 

それはともかく、俺はガイアと出会い、力を手にした。

 

だったら俺がやることは1つ。

 

俺がコッヴと戦う。

 

それだけ。

 

俺はニコの方に振り向き言う。

 

「ニコ、その子を頼む。俺は俺のやるべき事をしに行く」

 

「ちょ!? 何言ってんのよ虎亜!怪獣がすぐ近くにいるのよ!?」

 

ニコは当然止めてくるが俺は構わず、

 

「大丈夫。この世界は滅びたりしない」

 

そう言って雨の中、コッヴに向かって走る。

 

ニ「ちょ!? 待ちなさい虎亜!虎亜ぁぁぁ!!」

 

 

虎亜sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

虎亜がコッヴに向かっていた後、ニコは悲しそうな顔で呟いた。

 

「何で行っちゃうのよ…バカ…」

 

しかしすぐに気を引き締め、女の子を連れてそこから逃げる。

 

一方、虎亜はコッヴの前につき、右手にはめたエスプレンダーを左肩に当ててから上に伸ばして叫ぶ。

 

 

 

「ガイアァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

瞬間…虎亜は赤い光に包まれる。

 

その体が赤い巨人に変わっていく。

 

赤い光は上空に舞い上がり、やがて人のシルエットを形成しながら土煙を上げて地面に着地する。

 

コッヴは突然の事に、後ろへと後ずさる。

 

土煙が止んだ後、そこにいたのは赤と銀の体に、金縁の黒いプロテクター。

 

乳白色の瞳に、頭には金のラインが4本ある光の巨人。

 

赤い大地の巨人『ウルトラマンガイア』が降り立った。

 

 

 

 

「ジョワッ!!」

 

 

 

右手は開手にして、左手は握り拳にして腕を立てる戦闘ポーズをとる。

 

「ウルトラマンガイアだ!!」

 

ニ「………嘘…」

 

女の子は喜び、ニコはガイアの登場に驚く。

 

「ディア!!」

 

「キシャオォンキシャオォォンキシャオォォォン!!」

 

虎『行くぞ!!』

 

虎亜は気合いを入れ、ガイアとしてコッヴに向かって走る。

 

(BGM:逆転のクァンタムストリーム)

 

「ディア!!」

 

ガイアはコッヴにぶつかり、後ろへと押し戻す。

 

「キシャオォォォォォォン!!」

 

コッヴも突っ張ろうとしたが、ガイアの力には敵わない。

 

ある程度押し戻したガイアは、コッヴに連続パンチを打つ。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

さらに右回し蹴りを放ち、

 

「ディア!!」

 

そこから勢いをつけた右キックを繰り出す。

 

「ジョワァ!!」

 

「キシャオォォォォン!!」

 

コッヴは吹っ飛び、地面にうつ伏せで倒れる。

 

しかしすぐに起き上がり、鎌を合わせて頭から光線を連続で撃つ。

 

ガイアはそれを腕で弾くが、四発目を防げず、胸に当たり吹っ飛ばされる。

 

「ディアァァァァァァ!!」

 

ドズン!と倒れるガイアに覆い被さり、両手の鎌で攻撃するコッヴ。

 

「キシャオォンキシャオォンキシャオォォォォォン!!」

 

そこに頭突きもいれてくるコッヴ。

 

ガイアはコッヴの頭突きを両手で捕まえ防ぐ。

 

「グゥオォォォォォ……」

 

徐々に押されるガイア。

 

そこへ…

 

ニ「ガイア!! 頑張って!!」

 

「ガイアー!! 頑張れー!!」

 

ニコと女の子から声援をもらう。

 

それを聞いたガイアは腕に力を入れ、コッヴの頭を押し戻す。

 

「オォォォォォォォォ……」

 

そしてコッヴの腹に左足を添えて吹っ飛ばす。

 

「ディアァァァァァァァァァ!!」

 

コッヴは空間をアーチ型に飛んでいき、地面に突っ伏す。

 

その隙にガイアは腕の力だけで起き上がり、戦闘ポーズをとる。

 

「ジョワァ!!」

 

コッヴは再び頭から光線を撃つが、ガイアはウルトラバリヤーを張って防ぐ。

 

「ディアッ!」

 

コッヴが何発か撃ち終わったのを見計らい、走って近づく。

 

そしてパンチを再び連続で打つ。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

「キシャオォォォォォン!!」

 

さっきより威力の上がったパンチに怯むコッヴ。

 

ガイアはその隙を見逃さず、強烈なキックを見舞う。

 

「ディアァァ!!」

 

再び後ろに吹っ飛ばされるコッヴ。

 

すでにグロッキー状態だ。

 

「キシャオォ…オォ……ン」

 

ガイアは両腕を胸の前に水平に合わせてから左右に拡げ、頭に両腕を立てる。

 

すると赤い光が集まり、光のムチとなる。

 

ガイアはそれをしならせ、コッヴにぶつける。

 

ガイアの必殺技『フォトンエッジ』だ。

 

「ディアァァァァァァァ!!」

 

フォトンエッジがコッヴに当たると、赤い刃のエフェクトが現れる。

 

「キシャオォンキシャオォンキシャオォォォォン!!」

 

コッヴは断末魔を上げながら爆発した。

 

人々はガイアが勝ったのを確認すると、大声で喜んだ。

 

ガイアはそちらに振り返ると頷き、壊された街を治してから、

 

「ジョワァ!!」

 

大空へと飛び立った。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎亜side

 

 

翌日。

 

ガイアの変身をといた後、ニコのところへ戻ると『どこに行ってたの!?』とか『心配したのよ!!』とか言われ怒られたが何とか宥め、その日は帰路についた。

 

で、今現在。

 

何故か俺とニコの前に、μ’sのメンバーがいた…。

 

何で……?

 

ニコも予想外なのか口をひくつかせている。

 

竜「虎亜……何でここに?」

 

虎「それはこっちの台詞なんだが?」

 

竜司の問いに答えてると星空と高坂がいきなり驚きの叫びを上げやがった。

 

凛「ああああああ!!!」

 

穂「じゃあ…もしかして…お二人が……お二人がアイドル研究部の部長と副部長!?」

 

いや、うるさっ!!

 

けど大体分かったぜ。

 

めんどくさい事になりそうだが…。

 

 

虎亜sideoff

 

 

 



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ニコ、襲来!#3



ここまで読んでくれた皆さん、お気づきでしょうか?

竜司の口調に変化があることを。



竜司side

 

 

今、俺たちはアイドル研究部の前にいる。

 

そこで昨日の変な服装を着ていた女と虎亜がいた。

 

さてと、ここまでの経緯をざっと説明してやる。

 

さっき生徒会に部活申請書を出しに行ったところ、拒否されてしまった。

 

理由を聞くとこんな理由だった。

 

穂「アイドル研究部?」

 

絵「そう、すでにこの学校には『アイドル研究部』という、アイドルに関する部が存在します」

 

希「まぁ、今は2人なんやけどね」

 

じゃあなんで最初に言わなかったこのクソアマァ。

 

結果、アイドル研究部と話をつけてくれば?と東條副会長に言われた訳で現在、アイドル研究部部室前。

 

虎「さて…どうする?ニコ」

 

虎亜がアイドル研究部部長にどうするか質問している。

 

すると部長は、

 

「フニャアアアアアアアアア!!!!!!」

 

と猫みたいな声で威嚇しながら拳を勢いよく縦に振り回し、その隙に虎亜の手を引いて部室の中に入る。

 

虎「うおおおお!?」

 

虎亜が突然のことで驚いていたが。

 

部長は部室に入った後、鍵を閉めやがった。

 

蹴ってぶち壊すか?

 

穂乃果がドアを叩きながら、

 

「部長さん、開けて下さい!!」

 

と言ってる。

 

何かドアの向こうで荷物を重ねてる物音がする。

 

虎『何してんだよニコ……』

 

ニ『いいから!虎亜も何でもいいからドアを塞ぐのよ!!』

 

虎『そんな事しても、無意味だと思うが…』

 

そんな会話が聞こえてくる。

 

確かに虎亜の言うとおり無意味だ。

 

なんせ窓から入ればいいだけだからなァ。

 

まァ…それよか蹴ってぶち壊す方が手っ取り早いが。

 

そんな事を思ってると、

 

穂「開けて!開けて!開ーかーなーいー!!」

 

凛「外から行くにゃ!」

 

星空が外へ出る。

 

中もそれに合わせてガタガタ音がしている。

 

多分窓から逃げたんだろうな。

 

しかしそれも束の間。

 

少ししてゴソゴソという音がしばらくした後、ドアが開いた。

 

中から虎亜が出てきて促してくる。

 

「とりあえず入れ」

 

穂「えっ!? いいんですか?」

 

穂乃果が当然の質問をする。

 

それもそうだ。

 

部長が閉めたのを虎亜が勝手に開けたのだから。

 

虎「いいんだよ。俺はここの副部長だし……しばらくしたらニコも帰ってくるさ」

 

と言って入らしてくれた。

 

つーか、虎亜ってアイドル研究部の副部長なんだ。

 

クソ似合わねェな。

 

虎「さて……じゃあ俺はニコを迎えに行くわ」

 

そう言って部室を出て行った。

 

しばらくすると虎亜が部長を肩に乗せて、星空と一緒に戻ってきた。

 

穂乃果たちはその光景に苦笑いしていたが……。

 

後、アルパカ臭い……。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

現在、アイドル研究部部長は上座に座り、不満そうな顔で頬杖をついていた。

 

虎亜はその左に座っている。

 

で、俺たちはそれぞれ部室の中をキョロキョロ見回している。

 

竜「あァ?何だ何だよ何ですかァこれは?」

 

さすがアイドル研究部という名前の事はある。

 

見渡す限りアイドルグッズでいっぱいだ。

 

凛「A-RISEのポスター!」

 

真「あっちは福岡のスクールアイドルね」

 

星空でも流石にA-RISEは知ってるか。

 

つーか西木野、お前も結構詳しいな。

 

海「校内にこんなところがあったなんて…」

 

盾「すげぇ…」

 

朱「ここまできたら逆に感心物だよ」

 

朱雀たちがそれぞれの感想を言っている。

 

ニ「勝手に見ないでくれる…?」

 

虎「嫌でも目につくんだから、それは無理な相談だろ?」

 

ニ「うっさいわよ虎亜!あんたが勝手に部室を開けなければこんな事には……」

 

虎「体力尽きて、アルパカ小屋に突っ込んだヤツには言われたくない」

 

ニ「ぬぁんですってーーー!?」

 

部長が立ち上がって虎亜に怒鳴るが、虎亜はどこ吹く風だ。

 

花「こ…これは…!?」

 

隅の方では何か小泉の様子がおかしい。

 

その手には、何かのボックスを持っている。

 

不意に部長の方に向くと、興奮した感じで言う。

 

「伝説のアイドル伝説DVD全巻ボックス!!」

 

そしてズカズカと部長に近づく。

 

花「持ってる人に初めて会いました!!」

 

おいおい……キャラ変わりすぎじゃね?

 

部長も引いてるぞ。

 

ニ「そ……そう?」

 

花「すごいです!!」

 

ニ「ま……まぁね…」

 

穂「へぇ~そんなに凄いんだ~」

 

穂乃果が能天気に言うと小泉は穂乃果に詰めより勢いよく訊ねる。

 

「知らないんですか!?」

 

穂乃果は詰め寄られて驚いている。

 

ああ……コイツは自分の大好きな趣味の事となると途端に饒舌になるタイプか。

 

言うや否や、小泉はササッとパソコンを起動し、カタカタと操作しながら流暢に説明していた。

 

花「伝説のアイドル伝説とは、各プロダクションや事務所、学校等が限定生産を条件に歩みより、古今東西の素晴らしいと思われるアイドルを集めたDVDボックスで、その稀少性から伝説の伝説の伝説、略して伝伝伝と呼ばれる、アイドル好きなら誰もが知ってるDVDボックスです!!!!」

 

穂「は……花陽ちゃん?キャラ変わってない?」

 

笑えるくらいキャラ変わりすぎだ。

 

見ろよォ……イクスと嵐助は顔に手を当てて溜め息ついてるし、朱雀と虎亜は口が開いてるぞ。

 

何気に珍しい光景だな。

 

花「通販、ネットに注文が殺到するボックスを2つも持っているなんて……尊・敬☆」

 

ニ「家にもうワンセットあるけどね」

 

そう自慢する部長に虎亜が文句を言う。

 

「それ俺が徹夜で落としたヤツ……」

 

花「ホントですか!?」

 

類は友を呼ぶってなァ。

 

穂「じゃあ、皆で見ようよ」

 

穂乃果がそう言うが

 

ニ「ダメよ!それは保存用」

 

花「がーん……!」

 

部長が一蹴し、小泉がテーブルに突っ伏す。

 

保存用って……これがオタクっていうヤツか…。

 

花「で……伝伝伝……グス……」

 

小泉は本気で落ち込んでいた。

 

凛「かよちんがいつになく落ち込んでいるーー」

 

火「そんなに見たかったのかよ……」

 

イクスはげんなりしていた。

 

ふと、ことりの方を見ると上の方に顔を向けている。

 

ニ「ああ…気づいた?」

 

こ「あっ……ふっ…!!」

 

……何か様子がおかしい。

 

それは朱雀も気づいたようで、ことりをじっと見ている。

 

ニ「秋葉のカリスマメイド・ミナリンスキーさんのサインよ」

 

朱「ことり?知ってるの?」

 

こ「あ……いや……」

 

ニ「まあ、ネットで手にいれた物だから、本人の姿は見たこと無いけどね…」

 

虎「それも俺が落としたヤツだろが!」

 

若干キレてる虎亜。

 

こ「あ……ふぅ~」

 

一方のことりは胸を撫で下ろして、安心している。

 

朱「ことり?」

 

朱雀は益々疑惑の目を向けている。

 

少し気になるが、ことりの事は朱雀に任せよう…。

 

こ「と、とにかく、この人、凄い…!」

 

ニ「それで……何しに来たの?」

 

その言葉で全員席に着く。

 

アイドル部部長から見て、右に穂乃果、俺、海未、盾、ことり、朱雀。

 

左に、小泉、イクス、星空、嵐助、西木野、氷麗の順に座っている。

 

穂乃果が切り出す。

 

「アイドル研究部さん」

 

「ニコよ」

 

穂「ニコ先輩!実は私達、スクールアイドルをやっておりまして…」

 

ニ「知ってる、どうせ希に部にしたいなら話つけてこいとか言われたんでしょ?」

 

穂「おお!話が早い!」

 

ニ「ま、いずれこうなるんじゃないかって思ってたからね」

 

穂「なら……」

 

ニ「お断りよ」

 

穂「えっ?」

 

ニ「お断りって言ってるの」

 

穂「いや…あの……」

 

はっきりと断られた。

 

何でだ……?

 

海「私たちはμ’sとして活動できる場所が必要なだけなんです。なので、ここを廃部にしてほしい訳では無く……」

 

ニ「お断りって言ってるの!!」

 

にべもなく断り続けるニコ先輩。

 

ニ「言ったでしょ。あんたたちはアイドルを汚してるの!」

 

穂「でも、ずっと練習してきたから、歌もダンスも………」

 

ニ「そういう事じゃない」

 

ニコ先輩の言葉に全員が首を傾げる。

 

するとニコ先輩は

 

「あんた達、ちゃんとキャラ作りしてるの?」

 

そう聞いてきた。

 

…………はァ?

 

キャラだと?

 

ニ「そう!お客さんがアイドルに求めるものは楽しい夢のような時間でしょ!だったら、それに相応しいキャラっていうものがあるの!! いい?例えば……」

 

ニコ先輩が後ろを向いて何かをしようとした時、虎亜が急に立ち上がって、

 

「おいやめろニコ!絶対滑るから!」

 

そう言ってニコ先輩を止める。

 

……滑る?

 

ニ「ちょっ、滑るって何よ!? 私はいつものを…」

 

虎「それをやめろって言ってんの!!」

 

ニ「そんなのやんなきゃ分かんないじゃない!!」

 

虎「やらなくても分かるよ!!」

 

おい、何なんだこの夫婦漫才は?

 

ニ「ああもう!いいから黙って見てなさい!」

 

そう言って虎亜を座らせるニコ先輩。

 

虎「どうなっても知らねぇぞ……」

 

虎亜は苦い顔をして座る。

 

ニコ先輩は気を取り直して再び後ろを向き、次の瞬間。

 

ニ「にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこに~♪笑顔届ける矢澤にこにこ~♪にこに~って、覚えてラブにこっ♪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごいのをぶっこんできた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部室の空気が氷河期みたく冷たくなる。

 

俺は唖然とし、虎亜は頭を抱えている。

 

穂乃果たちの反応は

 

穂「…………」

 

海「これは……」

 

こ「キャラというか……」

 

真「私無理」

 

凛「ちょっと寒くないかにゃ?」

 

花「ふむふむ……」

 

火「花陽、何でメモってんだ?」

 

このように様々。

 

因みに、盾はお菓子を食べ、氷麗と朱雀と嵐助は無言でスマホを弄っている。

 

見ることすらしてねェ…。

 

ニ「そこのあんた、今寒いって……」

 

星空の言葉を、目敏く聞きつけるニコ先輩。

 

それに慌てる嵐助と星空。

 

嵐「バカ、凛!早く謝れ!!」

 

凛「えっ、あっ、いえ!すいません!凄く可愛いかったです!最高です!」

 

朱「もう遅いでしょ…」

 

他のメンバーも必死にフォローするが、結局「出ていって!!」の一言で追い出された。

 

穂「あ~ニコ先輩~」

 

穂乃果がすがるように言うが返事はこない。

 

そこへ副会長がきた。

 

希「やっぱり追い出されたみたいやね」

 

竜「おい……テメェこうなる事分かってただろ?」

 

希「さあ?」

 

この女狸がァ!!

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎亜side

 

 

ニコが竜司や高坂たちを追い出した後の部室。

 

俺はニコに質問をした。

 

虎「何であいつらを追い出したんだ?上手くやれば、もう一度アイドルになれたのに。お前が満足出来ないなら、満足できるレベルになるまで教えてやればいいじやん」

 

ニ「そんな事……私が一番分かってるわよ……」

 

全く……この幼馴染みはめんどくさい。

 

特にこういうことに関しては物凄く。

 

虎「まあ、ニコの好きにしろ。お前が決めたことなら文句は言わないし、そこに俺が必要なら、付き合うからさ」

 

ニコの家庭は複雑だ。

 

それ故にこの娘は何かと一人で背負い込むような性格になってしまった。

 

俺はそれを緩和してやりたい。

 

それが俺がニコの側にいる理由。

 

ニ「虎亜……ありがと。こんな私にいつも付き合ってくれて……」

 

俺の言葉を聞いたニコは微笑んで礼を言ってくる。

 

……こいつ、普段は子供っぽいのにこういう時は大人っぽいんだよな。

 

虎「どういたしまして……そろそろ帰るか?」

 

ニ「そうね…」

 

そう言うと、俺とニコは部室を後にする。

 

 

虎亜sideoff

 

 

 



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ニコ、襲来!#4


リメイクと言いつつ、なんら変わりない流れですいません。



竜司side

 

 

 

まだまだ梅雨の時期は終わらず、今もこうしてザーザーと振り続ける雨を眺めながら、今日は解散して1年生だけを先に帰してから俺達は副会長の話を聞いていた。

 

穂「スクールアイドル?」

 

海「ニコ先輩が?」

 

希「一年生の時やったかな……。虎亜くんと一緒に、同じ学年の子と結成してたんよ。今はもうやってないんやけどね……」

 

そして、副会長は語り出す。

 

矢澤ニコの過去を。

 

こ「辞めちゃったんですか?」

 

希「ニコっちと、虎亜くん意外の子がね……。アイドルとしての目標が高すぎたんやろうね。虎亜くんはともかく、他の子はついていけないって、一人辞め、二人辞めて……。だから、あなたたちが羨ましかったんとちゃうんかな?歌にダメ出ししたり、ダンスにケチつけたりできるって事は、それだけ興味があって、見てるって事やろ?」

 

副会長はそう言って、戻っていった。

 

俺と穂乃果、盾と海未、朱雀とことりの6人は傘をさして帰る途中、話し合っていた。

 

こ「なかなか難しそうだね、ニコ先輩」

 

朱「そうだね……」

 

海「先輩の理想は高いですから……。私たちのパフォーマンスじゃ、納得してくれそうにありませんし。説得に耳を貸してくれそうにありませんし…」

 

盾「だよね~」

 

海未やことりたちは悲観的な中、穂乃果だけは

 

「そうかな~?ニコ先輩はアイドルが好きなんでしょ?」

 

そうでもなかった。

 

竜「そうだなァ」

 

穂「それでアイドルに憧れてて……。私たちにもちょっと興味があるんだよね?」

 

こ「うん……」

 

穂「それって、ほんのちょっと何かあれば、上手く行きそうなんだけど…」

 

海「具体性に乏しいですね…」

 

穂「それはそうだけど…………ん?」

 

竜「どうした?」

 

穂「竜ちゃん、あれ…」

 

そこには、階段のところに見慣れたツインテールが急いでその場を去る光景が……。

 

こ「今の…多分」

 

海「もしかすると…」

 

穂「……………」

 

こ「声かけると、また逃げちゃいそうだし…」

 

朱「そうだね……」

 

穂「う~ん…。あっ…フフ」

 

穂乃果は唸っていたが、すぐに何かを思いついたのか、不敵に笑う。

 

竜「何か解決策でも出たか?」

 

穂「うん!これって海未ちゃんと一緒じゃない!?」

 

そう聞いてきた。

 

いや……さっぱり意味が分からん……。

 

海「へ…?」

 

穂「ほら、海未ちゃんや盾くんと知り合った時…」

 

穂乃果がそう言うので、思い出してみた…。

 

あっ…あれか?

 

あれは俺たちがまだまだ小さなガキの頃、公園で鬼ごっこをしていた時だ。

 

 

《過去回想》

 

 

穂『いえ~い、今度はことりちゃんが鬼~』

 

こ『う~…、悔しいぃ~!』

 

ことりが地団駄を踏んで悔しがる。

 

穂『竜ちゃん、逃げよう!!』

 

竜『うん!』

 

穂『あはは!……ん?』

 

竜『どうした?穂乃果』

 

穂乃果が急に立ち止まって、木の方を見る。

 

『ひゃう!?』

 

そこから誰かが見ていて、すぐに隠れる。

 

隣には俺らと同い年くらい紫髪の少年がいた。

 

木に隠れているのは、これまた俺らと同い年くらいの少女がいた。

 

この少年と少女が、現在の盾と海未だ。

 

 

《終了》

 

 

盾「あー、あったね」

 

盾も思い出したみたいだ。

 

対する海未は分からないようで、首を傾げる。

 

海「そんな事ありましたっけ!?」

 

穂「あの頃の海未ちゃん、盾くんにべったりの、恥ずかしがり屋さんだったから~」

 

穂乃果がからかうように言う。

 

盾も続くように言う。

 

盾「今はもうべったりじゃ……あっ、そうでもないか…?」

 

海「盾っ!!」

 

海未が恥ずかしがって盾に怒鳴る。

 

海「それと今の状況が関係あるんですか!?」

 

穂「うん!! ねっ!? ねっ!?」

 

穂乃果が俺とことりに同意を求めてくる。

 

こ「あー、あの時の!?」

 

穂「そうそう!!」

 

二人して笑う。

 

海未は?を浮かべているが。

 

まあ、何か解決策見つけたみたいだし、明日まで待ってみるか……。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

その日も雨だった。

 

虎亜は荷物をまとめてるニコに声をかける。

 

虎「ニコ、部室行こうぜ」

 

ニ「分かってるわよ!そんな急かさないで」

 

ニコと虎亜は教室を出て、部室に向かう。

 

そして部室の前に着いてドアを開けると、

 

 

 

 

「「「「「「「お疲れ様でーす!!」」」」」」

 

 

 

穂乃果たちμ’sのメンバーがいた。

 

昨日無理矢理追い出して、本来ならもう来ないはずの彼女達がだ。

 

急な展開についていけないニコと虎亜。

 

それを無視して穂乃果は口を開く。

 

「お茶です。部長!」

 

ニ「部長!?」

 

次にことりが。

 

「今年の予算表になります、部長」

 

ニ「なっ!?」

 

凛が机に大きく両手を添えながら口を開いた。

 

「部長ー、ここに置いてあったグッズ、邪魔だったんで棚に移動しておきましたー」

 

ニ「あ、こら!勝手に……」

 

ニコの声を遮るように、真姫が何の気なしに手を差し出し呟いた。

 

「さ、参考にちょっと貸して。部長のおすすめの曲」

 

今度はニコが反応する前に、花陽が『伝伝伝』をこれ見よがしに喋り出した。

 

「な、なら迷わずこれを!!」

 

ニ「あー!? だからそれは……!!」

 

目を剥いて身を乗り出すニコ。

 

虎亜はなんとなく察したみたいで、竜司に訊ねる。

 

「ずいぶんと強引だな…」

 

「言っとくが、発案者は俺じゃないからな…」

 

「成る程な…高坂か?」

 

「あァ…」

 

こういう時に突破口を開くのは、いつだって穂乃果だった。

 

その穂乃果はニコの肩に手を乗せて言う。

 

「ところで次の曲の相談をしたいのですが、部長!」

 

海「やはり次は、さらにアイドルを意識した方がいいかと思いまして…」

 

こ「それと~、振り付けも何かいいのがあったら…」

 

穂「歌のパート分けもよろしくお願いします!!」

 

ニコはしばらく口を開けて呆気にとられていたが、彼女達の目論見が分かったのか睨むように見つめながら訊ねる。

 

「こんなことで押し切れると思ってるの?」

 

きっと、彼女達は強引に押し切る事で合併を成功させようとしている。

 

ニコはそう思っていた。

 

昨日追い出して、もうダメかもしれないなら一層の事強引にいってやろう。

 

そう思ってこんな事をしているに違いない。

 

だがそんなニコの思いは、次に発せられた穂乃果の発言で杞憂として終わる事になる。

 

「押し切る?私はただ相談しているだけです。音ノ木坂アイドル研究部所属の、μ'sの7人で歌う、次の曲を!」

 

ニ「………7人?」

 

穂乃果たちから笑顔を向けられたニコは、一瞬で頭の中の思考が真っ白になった。

 

あまりにも予想外で、虚を突かれたような錯覚に陥る。

 

ニコはしばらく穂乃果たちを見回していたが、虎亜に肩を叩かれ、正気に戻る。

 

虎亜は言う。

 

「ニコ、今ここにはニコと同じ意識を持ってる奴らしかいない。もう我慢なんかしなくていいんだ。自分のやりたいように自分のアイドル像を掲げればいい。それが出来る場所なんだろ?ここは」

 

ニ「虎…亜……ッ」

 

別に虎亜と2人っきりでも楽しかった。

 

それでも何処か空虚だった。

 

ずっと、同じ志を持つ者が欲しかった。

 

ずっと、もう1度アイドルとして活動したかった。

 

ずっと、賑やかさのある雰囲気が欲しかった。

 

それが今叶いそうになっている。

 

だから涙が出そうになったのは仕方の無いこと。

 

穂「ニコ先輩!」

 

穂乃果が声を漏らす。

 

しかし、その前にどうしても言っておかなければならない事がある。

 

ニ「……………厳しいわよ」

 

穂「わかってます!アイドルへの道が厳しいことぐらい!」

 

ニ「わかってない!」

 

確かに仲間に入る事はもう決めた。

 

しかし、それとこれとは話が違う。

 

新しくμ'sに入ったからこそ、言っておかなければならない。

 

ニ「あんたも甘々、あんたも、あんたも、あんた達も!」

 

そう言って、ニコはμ'sの面々の1人1人の顔を見ながら真っ直ぐと言い放つ。

 

何故か竜司たちまで指差して。

 

竜「何で俺たちまで…」

 

虎「それは言うな……竜司」

 

文句を垂れる竜司にフォローをする虎亜。

 

ニ「………いい?アイドルっていうのは、笑顔を見せる仕事じゃない、笑顔にさせる仕事なの!それを、よーく自覚しなさい!」

 

それを聞いて、穂乃果達は微笑んだ。

 

ニコの表情が今まで見た事もない活気に満ち溢れていたから。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

生徒会室。

 

アイドル部が1つになった紙を見て、渋い顔をする絵里。

 

そんな絵里に、窓から外の景色を眺めていた希は言う。

 

「エリチ………見てみ」

 

それに絵里は振り向き、蒼燕と茜も何気なく振り返る。

 

希「雨……止んでる♪」

 

疎ましく降り続けていた雨はいつの間にか止んでいた。

 

立ち塞がっていた問題が崩れるかのように。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ニコと虎亜を加えたμ’sは現在、屋上にいる。

 

穂乃果たちはとある特訓中。

 

竜司たちマネージャーは柵に寄りかかり見ていた。

 

ニコは穂乃果たちに指を差す。

 

ニ「いい!? やると決めた以上、ちゃんと魂込めてアイドルになりきって貰うわよ!分かった!?」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

ニ「声が小さい!!」

 

「「「「「「はい!!!!」」」」」」

 

そしてニコが後ろを向いて喋っている中、穂乃果たちはコソコソ話す。

 

こ「上手くいって、よかったね♪」

 

穂「うん!」

 

海「ホントにそんな事ありましたっけ?」

 

こ「あったよ!あの時も、穂乃果ちゃんと盾くんが………」

 

 

《過去回想》

 

 

小さな頃の盾が、木の影に隠れた海未に話かけてる。

 

盾『ほら、あの子たちなんでしょ?海未が仲良くなりたいって言ってたのは。話かけないと…』

 

海『で、ですが~』

 

半泣きで盾にすがる海未。

 

そんな時に、穂乃果が

 

穂『あー!!』

 

海『ひゃう!?』

 

穂『みーつけた!』

 

海『あうあう……』

 

海未に声をかける。

 

海未は涙目になり、無意識に盾の服の裾を掴んでいる。

 

そんな海未に穂乃果は笑顔で

 

穂『次…あなた鬼だよ!!』

 

海『え!?』

 

穂『一緒に遊ぼう♪』

 

と誘う。

 

海未はポカンとし、盾の方を見る。

 

盾は『行ってきなよ』と微笑みながら言う。

 

海未は穂乃果と盾を交互に見ていたが、次第に笑顔になり、『はい!』と元気に頷いて穂乃果と一緒に行った。

 

盾『よかったね…海未』

 

そう言って帰ろうとした盾に、今度は竜司が話しかける。

 

竜『なあ…お前も一緒に遊ぼうぜ』

 

盾『……………え?』

 

今度は盾が唖然としていたが、そこへ海未が来て

 

海『盾も一緒に遊びましょう!!』

 

笑顔で誘う。

 

盾『…………ああ!』

 

こうして、幼馴染み6人組ができた。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

虎亜side

 

 

今、屋上で高坂たちが、ニコの特訓を受けているのだが、その内容がなんとも……

 

ニ「にっこにっこにー!……はい」

 

「「「「「「にっこにっこにー!」」」」」」」

 

ニ「全然ダメ!もう一回!! にっこにっこにー!……はい!」

 

「「「「「「にっこにっこにー!!」」」」」」

 

ニ「つり目のあんた!気合入れて!!」

 

真「真姫よ!!」

 

…………この、「にっこにっこにー!」の練習ばかりしている。

 

いい加減アイドルのダンスとか、歌の練習をしろよと思うが、ニコが楽しそうならそれでいいか……と思う放課後だった。

 

 

虎亜sideoff

 

 



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センターは誰だ!?#1






竜司side

 

 

穂「あ、あの~…」

 

希「はい、笑って♪」

 

穂「え、えへ…」

 

穂乃果は副会長の指示に従い、笑う。

 

星空にビデオカメラを向けられて…。

 

今俺たちが何をしているかというと、部活動紹介のPVを作るために、中庭に出て、撮影されている。

 

メンバーは俺、穂乃果、海未、盾、ことり、朱雀、星空、嵐助、副会長だ。

 

凛「じゃあ、決めポーズ!!」

 

穂「え、えええ!?………んじゃあ…」

 

星空に言われ、律儀に決めポーズをする穂乃果。

 

希「これが音ノ木坂に誕生した、μ’sのリーダー…高坂穂乃果。その人だ」

 

ナレーターは副会長だ。

 

凛「はい!オッケー!!」

 

星空のOKテイクにポーズを解き、ため息を吐く穂乃果。

 

こ「あの~…これは?」

 

凛「じゃあ次は……海未先輩ね!」

 

海「え………な、何なんですか!? ちょっと待ってください!! 失礼ですよ!いきなり!!」

 

星空にカメラを向けられて、慌てる海未は盾の背中に隠れる。

 

盾「ちょっ、海未?」

 

凛「おっ、その恥じらう姿もいいね♪」

 

星空のやつ、ノリノリだな…。

 

希「ごめんごめん。実は、生徒会で部活動を紹介するビデオを製作する事になって、各部を取材してるとこなん」

 

穂「取材?」

 

成る程な…。

 

事情は分かった。

 

凛「ね!ね!面白そうでしょ!?」

 

希「最近、スクールアイドル流行ってるし、μ’sとしては悪い話では無いと思うけど?」

 

副会長はそう言うが、海未はまだ盾の背中に隠れたまま、顔だけを出して言う。

 

海「わ、私は嫌です!そんなカメラに映るなんて…!」

 

すると穂乃果が、

 

「取材……なんてアイドルな響き…」

 

心を踊らせている。

 

まあ、こいつはこういう反応するだろうな。

 

海「穂…穂乃果!?」

 

海未が盾の背中から出て、穂乃果に異議を申し立てる。

 

穂「オッケーだよね!海未ちゃん!これ見た人がμ’sの事覚えてくれるし」

 

こ「そうね、断る理由は無いかも!」

 

海「こ…ことり!?」

 

二人の賛成にうろたえる海未。

 

凛「取材させてくれたら、お礼にカメラ貸してくれるって」

 

希「そしたら、PVとか録れるやろ?」

 

穂「…………PV?」

 

凛「ほら、μ’sの動画って、まだ3人だった時のしか無いでしょ?」

 

あ、言われてみれば…。

 

あれから全然撮ってないな……。

 

穂「あ~。あの動画って撮ってくれたの誰か、まだ分からないままだし」

 

こ「海未ちゃん、そろそろ新しい曲やった方がいいって言ってたよね?」

 

海「ぁ~……」

 

ことりの言葉に目を泳がせる海未。

 

詰んだな…。

 

穂「決まりだね!」

 

盾「海未。観念しなよ」

 

盾の言葉に海未は、

 

「あぁ……もう!」

 

自棄になったように叫んで観念した。

 

穂「よーし、他のみんなにも言ってくる~」

 

そう言って、穂乃果はことりと海未と一緒に走っていった。

 

チッ、また面倒な事になりやがった、クソッタレ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

現在、部室にて、ことりが隠し撮りをした穂乃果の動画を見ていた。

 

しかしまあ、何ともだらしない事で。

 

ビデオカメラには、穂乃果が授業中だと思われる時間に涎を垂らして眠っているシーンが写し出されていた。

 

『スクールアイドルとはいえ、学生である。プロのアイドルとは違い時間外で補修を受けたり、早退が許されるという事はない。故にこうなってしまう事がある』

 

そのシーンに乗せるように副会長のナレーションもついていた。

 

『昼食を摂ってから、また熟睡』

 

今度は堂々と寝ている。

 

しかも午前中と同じで机に伏せてまた涎を垂らしながら寝ていた。

 

『そして先生に発見されるという1日だ』

 

先生に肩を叩かれ、驚いた拍子にイスから転落したシーンで一旦映像は終わっていた。

 

希「これが高坂穂乃果のありのままの姿である」

 

穂「ありのまますぎるよ!?」

 

竜「自業自得だろうがァ…ア穂乃果」

 

穂「竜ちゃん酷い!? 慰めてよ!!」

 

竜「いや何でだよ?」

 

意味が分からん…。

 

穂「っていうか何時の間に撮ったの!?」

 

どうやら穂乃果もこれは初見だったようで、驚いていた。

 

誰が撮ったか…。

 

凛「上手く撮れてたよ~ことり先輩!」

 

こ「ありがと~。こっそり撮るのドキドキしちゃった♪」

 

朱「ことり……変な扉、開かないでね…」

 

ことりがうっとりしながら言うもので、朱雀が釘を刺す。

 

っていうか、犯人ことりだったのかよ。

 

穂「えぇ!? ことりちゃんが…!? 酷いよ~!!」

 

海「普段だらけているから、こうなるんです」

 

海未が注意するが、穂乃果はそんな事はお構い無しに、

 

「流石、海未ちゃん♪」

 

海未のビデオを見ていた。

 

ホント穂乃果は犬っぽいなァ。

 

何て思っているとビデオカメラは教室から弓道場に移り、弓道着に身を包んだ海未が真面目に練習しているところだった。

 

バシュンッ!という音と共に矢を放った。

 

穂「真面目に弓道の練習を…」

 

しかし次の瞬間、海未は矢を発射した後、鏡に向かって笑顔の練習をし始めた。

 

穂「これは?」

 

こ「笑顔の練習?」

 

そこまで見たところで顔を真っ赤にした海未の手によって止められた。

 

海「プライバシーの侵害です!!」

 

盾「海未のそういうところ、嫌いじゃないよ」

 

海「そういう問題ではありません!!」

 

盾がフォローするが、効果はなかった。

 

穂乃果は席を立ち

 

「よーし、こうなったら……」

 

ことりの鞄を漁る。

 

穂「ことりちゃんのプライバシーも………ん?なんだろこれ?」

 

こ「ひう!?」

 

穂乃果が何かを見つけた瞬間、ことりは一瞬で鞄のジッパーを閉めて鞄を背に隠し、部室の隅に逃げる。

 

……なんかヤバイものでも入ってたか…。

 

穂「ことりちゃん、どうしたの?」

 

こ「何でも無いのよ」

 

穂「え、でも…」

 

こ「何でも無いのよ、何でも」

 

メチャメチャ早口だな…ことり。

 

穂「ふーん…そう言えば、竜ちゃんたちのは?」

 

穂乃果が聞くと、ことりは残念そうに言う。

 

「それが、竜くんも盾くんも、キーくんも、いたり居なかったりするから、撮れなかったの…」

 

穂「えぇーー!?」

 

俺たちのも撮ろうとしたのか…。

 

まァ、俺達はその授業に遅れたら、仮病使ってどっかで暇潰ししてるくらいだしな。

 

そして穂乃果、お前は残念がるな。

 

希「完成したら、各部にチェックしてもらうから、問題あったらその時に…」

 

穂「でも、その前に生徒会長が見たら…」

 

 

『困ります。あなたのせいで音ノ木坂が怠け者の集団に見られるのよ』

 

 

穂「ううぅぅぅ…」

 

涙目になる穂乃果。

 

まあ、あの生徒会長なら言いそうだな。

 

希「まあ、そこは頑張って貰うとして」

 

穂「えぇー!? 希先輩、何とかしてくれないんですか!?」

 

希「そうしたいんやけど、残念ながらウチが出来るんは、誰かを支える事だけ」

 

穂「支える…?」

 

なんか訳有りだな…。

 

希「まあ、ウチの話はええやん。 さあ、次は…」

 

副会長がそう言った瞬間ドアが開き、そこから、

 

ニ「はぁ…はぁ…」

 

虎「ニコ、大丈夫か?」

 

ニコ先輩と虎亜が入ってきた。

 

穂「ニコ先輩?」

 

ニ「取材が来るって………ホント?」

 

こ「もう来てますよ。 ほら!」

 

ことりが副会長を手のひらで示す。

 

するとニコ先輩は、

 

ニ「にっこにっこにー♪みんなも元気にニコニコニーの、矢澤ニコでーす!えっと~、好きな食べ物は~」

 

ぶりっ子しながら、そう言ってくる。

 

しかし副会長に

 

「ごめん、そういうの要らないわ」

 

バッサリ止められる。

 

穂乃果たちも頷く。

 

ニ「ええ…」

 

凛「部活動の生徒たちの素顔に迫る感じにしたいんだって!!」

 

ニ「素顔……。ああ、OK、OK。そっちのパターンね…」

 

竜「どういうパターンだよ?」

 

ニ「ちょっ~と待ってね~」

 

そう言った瞬間、ニコ先輩は後ろを向き、しゃがんで頭のリボンを解き始めた。

 

………なんか嫌な予感がした俺は穂乃果たちに、

 

「先行くぞ穂乃果」

 

穂「え、でも……」

 

竜「この後の展開分かるだろ?」

 

穂「そうだね……。じゃ、みんな行こっか?」

 

「「「「「「うん…」」」」」

 

そう言って部室を出る。

 

後から「って、いないし!?」というツッコミと、「みんな先に言ったぞ」という虎亜の冷静な台詞が聞こえた。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

花「た、助けて…」

 

アイドル研究部の部室から場所を変えて中庭にやって来て、今度は西木野、星空、小泉、イクス、嵐助、氷麗の1年生組だ。

 

そして1年生組のトップを勤める小泉のインタビューが始まって、開口1番の言葉が助けを求める台詞だった。

 

ちなみにカメラマンは俺。

 

火「花陽?別に緊張しなくても大丈夫だ。インタビュアーの質問に答えるだけでいいからな」

 

さすがに不憫だと感じたイクスが小泉に助け船を出す。

 

希「それに編集もするから、どんなに時間がかかっても大丈夫やし…」

 

イクスに続いて副会長も援護する。

 

花「で、でも…」

 

凛「凛もいるから、頑張ろっ!」

 

隣にいた星空も小泉を励ましながらカメラに写り混む。

 

凛「真姫ちゃんもこっち来るにゃー!」

 

渡り廊下の手すりに肘をつけて髪の毛先をクルクル回している西木野にカメラのレンズを向ける。

 

真「私はやらない」

 

氷「そんな事言わずに、行けばいいじゃん」

 

真「嫌よ」

 

凛「もぉ…」

 

真姫が断ると氷麗は促し、星空は不満そうな声を出す。

 

希「ええんよ、どうしても嫌なら、無理にインタビューしなくても…」

 

副会長は俺にウインクをしてくる。

 

何となく副会長の考えを察した俺は、無言で録画ボタンを押した。

 

希『真姫だけはインタビューに応じてくれなかった。スクールアイドルから離れれば、ただの多感な15歳。これもまた自然な…』

 

真「って何ナレーション被せてるのよ!」

 

副会長がノリノリでナレーションを被せてきたのだが、西木野が撮られているのに気付き、撮影をストップさせられた。

 

氷「よし、真姫も来たところで、改めて1年生組を撮り直そうぜ!」

 

氷麗の一言で諦めたかのように溜め息をついてから、小泉の隣に立った。

 

星空はカメラに向かって、「イエーイ♪」とか言いながらピースをしてる。

 

希「ではまずはアイドルの魅力について聞いていきたいと思います」

 

やっとこさインタビューらしいインタビューができる。

 

希「ではまずは花陽さんから」

 

花「え、えっと…」

 

副会長が小泉に話を振り、緊張した顔で答えようとした時、

 

凛「かよちんは昔からアイドルが好きだったんだよね~」

 

花「は、はい!」

 

星空のアシストのお陰で詰まりながらも答えた。

 

希「それでスクールアイドルに?」

 

花「はい、えっと…」

 

続く副会長の質問に答えようとカメラに向いたが、質問の答えではなく、何故か堪えるような笑いが返ってきた。

 

小泉と同じ方向を向いていた星空と西木野、側で見守っていたイクス、嵐助、氷麗も何故笑い出したのか原因が分かったようで、星空も小泉と同じように笑い出してしまった。

 

イクスたちは溜め息をついている。

 

何だ?

 

俺の見えないところで何が起きてるんだ?

 

真「ちょっと止めて!!」

 

西木野はそんな2人とは対称的に、少し怒った表情を露にしてカメラのレンズを手で覆い隠した。

 

竜「西木野?いったいどうしたんだ?」

 

真「天青先輩…後ろ」

 

いきなりカメラのレンズを覆い隠されたので、カメラから顔を外してから聞くと、西木野は俺の後ろを指差した。

 

それを見た俺が後ろを振り向くと、そこには口をεにした穂乃果が立っていた。

 

穂「いやぁ……緊張してると思って解してあげようかなぁと思って…」

 

真「ことり先輩も!!」

 

こ「頑張っているかね?」

 

この学校のどこにあったのか、ひょっとこのお面を被ってることりの姿があった。

 

元女子校でひょっとこは無いだろう…。

 

真「全く、これじゃμ'sがドンドン誤解されていくわ!」

 

穂「おぉー…。真姫ちゃんがμ'sの心配をしてくれた!?」

 

真「なっ…!べ、別に私は………」

 

おっ、生のツンデレありがとうございます。

 

珍しかったので、カメラに収めようとしたら、

 

真「撮らないでっ!!」

 

数秒で止められてしまった。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

あの後、だらしないところばかりだという事で、練習風景を撮ってもらった。

 

竜「ほら、穂乃果、レモンの蜂蜜漬けだ。海未とことりとニコ先輩も食べろ」

 

嵐「凛も。たんとお食べ。花陽と西木野も」

 

穂「ありがとう竜ちゃん♪ん~、美味しい!」

 

海「流石ですね…」

 

こ「ん~、疲れが抜けるよー」

 

凛「やっぱり嵐兄の料理は美味しいにゃ!!」

 

真「料理……なのかしら?」

 

花「モグモグ…」

 

ニ「あんたたち、凄いわね…」

 

俺と嵐助が作ってきたレモンの蜂蜜漬けを、それぞれ感想を言いながら食べるメンバー。

 

そこへ副会長が

 

「天青くんも寺獄くんも料理出来るんやね…」

 

驚きながら声をかけてくる。

 

竜「俺は簡単な料理は出来るけど、嵐助はもっとすごいぜ」

 

嵐「ご要望とあらば、凝った料理も作れますよ」

 

希「へぇ~、凄いな~」

 

副会長は感心している。

 

かと思えばその態度をコロッと変えて、

 

「なあ…リーダーって誰なん…?」

 

と聞いてきた。

 

それに対し全員押し黙る…。

 

そこへ触れてきたか…。

 

 

 



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センターは誰だ!?#2



この次の話はリメイクせずに、その次の話に行きます。



その日は解散し、俺と穂乃果と星空と副会長で、穂乃果の家へ行き、部屋でインタビューの続き。

 

途中で夏穂さんの化粧中の姿や、雪穂の見てはいけないものを見ちゃったりしたが…。

 

副会長に歌詞は海未と盾が、衣装と振り付けはことりと朱雀がしているのを言うと、「じゃあ、穂乃果ちゃんは何をしてるの?」と聞かれ…。

 

今現在、リーダーを改めて決める会議をしている。

 

ニ「リーダーには誰が相応しいか。だいたい、私が部長についた時点で考え直すべきだったのよ」

 

こ「私は穂乃果ちゃんでいいと思うけど~」

 

ニ「だめよ!今回の取材ではっきりしたでしょ?この子はリーダーにまるで向いてない」

 

真「それは……そうね」

 

ことりは穂乃果を推すが、ニコ先輩と西木野が却下する。

 

ニ「この際、はっきり決めましょ。PVの撮影だってあるし」

 

朱「それもそうだね…」

 

ニ「リーダーが変われば、必然的にセンターも変わるでしょ?次のPVは新リーダーがセンター…。虎亜!」

 

虎「はいはい…」

 

ニコ先輩の指示に虎亜が渋々立ち上がり、ホワイトボードに手をかける。

 

そこには『リーダーとは?』について書かれたリーダー論が。

 

そしてニコ先輩は語り出した。

 

ニ「リーダーとは!まず第一に、誰よりも熱い情熱を持って、みんなを引っ張っていけること!次に!精神的支柱になるだけの懐の大きさをもった人間であること!そしてなにより!メンバーに、尊敬される存在であること!この全ての条件を兼ね備えたメンバーとなると!」

 

なんか自分しかいないみたいな感じで言ったぞ。

 

しかし星空が、

 

「海未先輩かにゃ?」

 

虎「ブハッ!!」

 

ニ「なんでやねーん!!」

 

海未を推し、ニコ先輩がそれにツッコミを入れる。

 

そのコントみたいなやり取りに虎亜が吹いて、笑いまくる。

 

虎「アハハハハハハハハハハハハハ!!!! ニコ、残念だったな!ブハハハハハハハハハハハ!!」

 

ニ「うっさいわよ虎亜!しかも、笑いすぎ!!」

 

海「わ、私ですか!?」

 

虎亜たちは放っといて、海未か…。

 

向いてないってことは無いだろうけど…。

 

穂「そうだよ海未ちゃん!向いてるかも、リー ダー」

 

なンか乗り気になっている穂乃果。

 

おい、それでいいのか発起人よ。

 

海「それでいいのですか?」

 

穂「えっ、なんで?」

 

海「リーダーの座を奪われようとしているのですよ?」

 

穂「ふぇ?それが?」

 

また自然にあざとい返事しやがって。

 

これだから穂乃果はやめられねェ!

 

海「……何も感じないのですか?」

 

穂「だって、みんなでμ’sをやっていく事には一緒でしょ?」

 

花「でも!センターじゃなくなるかもですよ!?」

 

穂「おー、そうか。ま、いっか!」

 

「「「「「「ええーー!?」」」」」」

 

結論出すのハエーイ。

 

竜「穂乃果はこういうヤツだ」

 

海「そんな事でいいのですか!?」

 

穂 「じゃあ、リーダーは海未ちゃんということにして」

 

海「ま、待ってください!」

 

海未がリーダーに決まろうとした瞬間、海未自身がストップをかける。

 

「私には無理です……///」

 

だろうな。

 

練習でよく指導してはいるが、いざ自分がリーダーという立場になってそういう風景を想像でもしたのだろう。

 

空回って屋上の隅で体育座りしてるのが目に浮かぶ。

 

真「面倒な人」

 

やめろ西木野。

 

そういう事言うとコイツ拗ねるから。

 

海「うぅ……盾~…」

 

盾「よしよーし、海未は悪くないよー」

 

隣に座っている盾の膝に顔をうずくめるようにしてグスグスと軽く泣いている海未。

 

ほら見ろ、いじけちまっただろうがァ。

 

最近の海未は少しいじけると、すぐ盾のとこにすり寄って行き、その度に盾が海未の頭を撫でてやるのがセオリーになりつつある。

 

花「じゃあ、ことり先輩?」

 

こ「え?私?」

 

朱「ことりはリーダーってより、副リーダーでしょ」

 

確かに朱雀の言うとおりだ。

 

ことりは熱血と言うより、おっとりとしている娘だ。

 

ことりの脳トロボイスで『みんな~♪気合い入れて行こ~♪』なんて言われたら気合いなんて入らない。

 

むしろ力が抜けていく。

 

凛「じゃあ、天青先輩?」

 

星空が俺にふってくる。

 

竜「あのな~、マネージャーがリーダーっておかしいだろうがァ」

 

盾「俺も」

 

朱「同じく」

 

盾と朱雀が予防線を張る。

 

凛「じゃあ、虎亜先輩!」

 

今度は虎亜にふる。

 

虎「星空、竜司の話ちゃんと聞いてたか?ダメに決まってんだろ」

 

虎亜もあっさりと却下する。

 

花「でも…一年生がするって訳にもいかないし……」

 

ニ「仕方ないわね~」

 

こ「やっぱり、穂乃果ちゃんがいいんじゃない?」

 

ニ「仕方ないわね~」

 

真「私は海未先輩を説得した方が早いと思うけど?」

 

ニ「仕方ないわね~」

 

氷「投票にする?」

 

ニ「し~か~た~な~い~わ~ね~!」

 

虎「ニコ、うっさい…」

 

ニ「なっ…!?」

 

こいつら…ワザと無視してんのか?

 

ニコ先輩、ついに拡声器まで使い始めたぞ…。

 

虎亜に注意されたが…。

 

凛「……で、どうするにゃ?」

 

嵐「どうする?」

 

結局、放課後に秋葉でリーダーを決めようって事になった。

 

メンドクセェ……。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そして放課後。

 

やって来たのは、カラオケ店。

 

………何故?

 

ニ「分かったわよ!! 歌とダンスで決着をつけようじゃない!」

 

こ「決着…?」

 

凛「みんなで得点を競うってことかにゃ?」

 

成る程…そういうこと。

 

ことりと星空の疑問に、

 

ニ「そのとおり!一番、歌とダンスがうまい者がセンター。どう?これなら文句ないでしょ?」

 

ニコ先輩はマイクを手にし、歌う気満々である。

 

一方で海未と西木野は、

 

「でも私、カラオケは……」

 

「私は特に歌う気はしないわ」

 

乗り気ではない。

 

そんな二人にニコ先輩は

 

「なら歌わなくて結構。リーダーの権利が消失するだけだから」

 

そう言った後、ニコ先輩は後ろに向いてしゃがみこみ、腹黒発言をした。

 

「クックックッ……こんなこともあろうかと、高得点が出やすい曲は既にピックアップ済み。これでリーダーの座は確実に……」

 

聞こえてるんだが……。

 

虎亜もニコ先輩に近づき、その肩を叩いて言う。

 

「ニコ?どういうことかなぁ…?」

 

草加みたいなスマイルを浮かべてやがる。

 

それを見たニコ先輩は

 

「さ、さあ、始めるわよ」

 

冷や汗をかきながら言う。

 

しかし他のヤツらは「カラオケに来るのは久しぶりだよね~」とか、「なに歌おうかな~」とか話していた。

 

ニ「あんたら緊張感無さ過ぎ!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

そして、全員歌い終わる。

 

得点を記録しているのは朱雀だ。

 

朱「全員90点以上だね」

 

穂「おおー、凄い!!」

 

こ「みんな毎日レッスンしてるものね♪」

 

花「ま、真姫ちゃんが、ちゃんと苦手なところアドバイスしてくれるし…」

 

凛「気づいてなかったけど、みんな上手くなってるんだね!」

 

みんなが楽しそうにしてる中、ニコ先輩は口をひきつらせ、

 

「こいつら……バケモノか…!?」

 

戦慄していた。

 

竜「じゃあ、次行くか?」

 

俺がそう言って席を立ち、盾や朱雀も立とうとした瞬間、穂乃果が、

 

「ええ!? 竜ちゃんたちも歌おうよー!!」

 

爆弾を投下してきやがった。

 

竜「………あァ?」

 

俺は口をひきつらせ、穂乃果の方に向く。

 

盾や朱雀も珍しく冷や汗をかいている。

 

イクスや嵐助、虎亜と氷麗は絶賛苦笑い中。

 

そんな俺たちの気も知らず、穂乃果たちは話に花を咲かせる。

 

海「いいですね!」

 

こ「キーくん!一曲だけ歌って♪」

 

凛「凛も賛成にゃ!」

 

真「私も久し振りに氷麗の歌を聴きたいし、天青先輩たちの歌も聴きたいわ」

 

ニ「マネージャーにも歌唱力は必要よ!」

 

とか言ってくる。

 

ってか、最後のニコ先輩の言葉だけは意味がわからん。

 

小泉も言葉には出さないが、チラチラ俺たちを見てくる。

 

人前で歌うとか冗談じゃない。

 

穂乃果のヤツ、余計な事言いやがって…。

 

ふぅー、こうなったら仕方ない。

 

俺は虎亜や嵐助、盾にアイコンタクトをする。

 

盾たちも理解したようだ。

 

そして次の瞬間。

 

 

 

 

 

竜「Go!!」

 

 

 

 

 

俺の合図に、朱雀がドアを蹴破り、俺たちマネージャー組は一斉に逃げた。

 

穂乃果たちは呆気にとられていたが、すぐに、

 

穂「逃げたよ!! 追おう!!」

 

という穂乃果の言葉で、μ’sのメンバーも追いかけてきた。

 

この逃走劇は、丁度ダンスゲームのある店で終わった。

 

ちなみに金は俺が払いました。

 

あー、天は遂に俺を見放したか…。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

あの後、逃げた事について軽く説教されました。

 

チッ、これもゴルゴムの仕業に違いない…。

 

そんな事はさておき。

 

今度はダンスゲームの得点で競うことになった。

 

ニ「次はダンス対決よ!!」

 

ニコ先輩がダンスゲームの機体の説明をしているみたいだが、そんな事は耳に入らず、俺と穂乃果と朱雀とことり、嵐助と星空はクレーンゲームをしていた。

 

穂「竜ちゃんそこ!そこだよ!!」

 

竜「分かってる!あはぎゃはッ!俺の計算式に狂いはねェ!」

 

一通さんやってる内に見事モフモフしてるドラゴンのぬいぐるみをGET!

 

穂「やったー!!」

 

こ「やったね♪穂乃果ちゃん、竜くん!」

 

俺はドラゴンのぬいぐるみを手に取り、それをことりとハイタッチしてる穂乃果に投げる。

 

竜「おらよ……」

 

穂「おっと……えへへ♪ありがとう。竜ちゃん♪」

 

穂乃果は嬉しそうな顔でそう言って、ぬいぐるみを頬擦りする。

 

そこまで喜ばれるとは驚きだな。

 

凛「凄いにゃ~」

 

嵐「竜司はクレーンゲームが得意だからな」

 

朱「ある意味、誇れるよ…」

 

ニ「あんたたち聞きなさいよ!!」

 

あァ、何だよ?

 

「凛、運動は得意だけどダンスは苦手だからなぁ~…」

 

こ「これ、どうやるんだろう?」

 

各々がどこか不安を感じながらおそるおそるプレイしていく。

 

ニ「プレイ経験ゼロの素人が挑んで高得点なんて取れるわけがないわ。くっくっく…。カラオケの時は焦ったけど、これは貰ったわね…」

 

また黒にこ先輩が出てきたよ…。

 

そしてまたもや虎亜が、

 

「ニコ…よくないなぁ…こういうのはぁ…?」

 

草で始まり、人で終わる名前で最後は首をポキッと折られる人…要するに草加スマイルで、ニコ先輩の肩をたたく。

 

凛「なんか出来ちゃった~」

 

ニ「なっ!?」

 

星空が何気なくやると、最高ランクのAAAの1つ下のAAを叩き出していた。

 

いや、これはマジでスゲーイ。

 

カラオケ店から脱走した詫びとして、何故か俺たちまで参加させられ、ダンスゲームは終わった。

 

結果は、

 

穂乃果 A

海未 A

ことり B

小泉 C

星空 AA

西木野 B

ニコ先輩 A

 

俺B

嵐助、朱雀、イクス、氷麗 A

虎亜 AA

盾 AAA

 

という事になった。

 

盾が一番すげぇ…。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

次はチラシ配りになったのだが、これについては、ことりが圧勝。

 

何故か、俺たちマネージャー組もやることになったのだが、俺、朱雀、虎亜は配ってもないのに、するする減っていった…。

 

なんか向こうから、取りに来てくれた。

 

ふとニコ先輩を見ると、その背中に哀愁を感じた…。

 

虎「ニコ……ドンマイ…」

 

虎亜がニコ先輩の肩に手を置いて、慰める。

 

そんなこんなで、一旦解散することに。

 

 



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センターは誰だ!?#3

この話は今回で終わります



翌日、部室にくると再び会議。

 

朱「はい、集計結果」

 

朱雀が穂乃果たちに結果を書いたノートを見せる。

 

穂「はぁ…結局みんな同じだ…」

 

海「そうですね…。ダンスの点数が悪い花陽は歌が良くて、カラオケの点数が悪いことりはチラシ配りの点数が良く…」

 

要するに、お互いがお互いをカバーしてるような結果だ。

 

こ「結局、みんな同じって事なんだね♪」

 

凛「ニコ先輩も流石です。みんなより、全然練習してないのに、同じ点数だなんて!」

 

ニ「……ハハハハ……当たり前でしょ……」

 

渇いた笑いを出すニコ先輩。

 

顔…ひきつってるぞ。

 

真「でも……どうするの? これじゃ決まらないわよ?」

 

花「そ、そうだよね。で、でもやっぱりリーダーは上級生の方が………」

 

ニ「仕方ないわね~」

 

凛「凛も、そう思うにゃ~」

 

真「私はそもそもやる気無いし…」

 

ニ「……あんたたちブレないわね…」

 

虎「ニコ、あきらメロン…」

 

虎亜がふざけながら、ニコ先輩に言う。

 

竜「おい、どうするんだァ?このままだと無限ループになるぞ…」

 

俺がそう言うと、穂乃果が衝撃的な事を言った。

 

穂「じゃあ、いいんじゃないかな?なくても」

 

「「「「「ええっ?」」」」」

 

竜「穂乃果?」

 

こいつ、もしかして……。

 

穂「リーダー無しでも、全然平気だと思うよ。みんな、それで練習してきて、歌も歌ってきたんだし…」

 

海「しかし……」

 

ニ「そうよ!! リーダー無しのグループなんて聞いたこと無いわよ!?」

 

真「大体…センターはどうするの?」

 

海未たちの戸惑いの言葉に穂乃果は言う。

 

「それなんだけど、私考えたんだ!みんなで歌うって、どうかな!?」

 

「「「「「「ん?」」」」」」

 

ニ「みんな?」

 

穂「家で、アイドルの動画とか見ながら、思ったんだ~。なんかね、みんなで順番に歌えたら、素敵だなって!そんな曲、作れないかなって」

 

花「順番に?」

 

穂「そう!無理かな?」

 

穂乃果はメンバーに聞く。

 

海「まあ、歌は作れなくないけど…」

 

真「そういう曲、無くはないわね!」

 

穂「ダンスはそういうの無理かな?」

 

こ「ううん、今の7人ならいけると思うけど」

 

穂乃果はそれを聞くと、立ち上がり両手を上げながら言う。

 

穂「じゃあ、それがいいよ!! みんなが歌って、みんながセンター!! 竜ちゃんはどう思う?」

 

俺にふってくるか…。

 

まあ、答えは決まっているが。

 

竜「俺はそれで構わない。 お前らはどうだ?」

 

盾「別にいいけど…」

 

朱「どちらでも…」

 

火「面白い」

 

嵐「賛成」

 

氷「俺も…」

 

虎「斬新でいいんじゃないか?」

 

こ「私も、それでいいと思う!」

 

真「好きにすれば…」

 

凛「凛もソロで歌うんだ~」

 

花「わ、私も!?」

 

海「作るのは大変そうですけどね…」

 

ほぼ満場一致。

 

ニコ先輩以外から了承を得る。

 

そして俺たちはニコ先輩をみる。

 

ニコ先輩はため息をつきながら

 

ニ「しょうがないわね…。ただし、私のパートは格好よくしなさいよ」

 

こ「了解しました♪」

 

了承してくれた。

 

全くよォ、穂乃果はいつも面白い事を言ってくれる。

 

こうして屋上への階段を勢いよく駆け上って行く、穂乃果の後ろをついて行きながら

 

竜「でもまあ、やっぱりリーダーは…」

 

真「不本意だけど」

 

海「何事にも囚われないで、1番やりたいこと、1番面白そうなものに、怯まず真っ直ぐに突き進んでいく。それは、穂乃果にしかないものなのかもしれませんね!」

 

盾「そうだね~」

 

穂乃果はこちらに振り返り

 

「さあ!練習しよう!」

 

そう言ってくる。

 

そして俺たち全員が屋上にでた時、街の方で何かが落ちてきた。

 

その場所からは土煙が上がっている。

 

ニ「な、何!?」

 

海「もしかして、また…」

 

真「怪獣?」

 

海未と西木野とニコ先輩が身構える。

 

しばらくして、そこから出てきたのは……

 

 

 

 

 

 

「キシュウオオォォォォォォン!!」

 

 

 

 

 

茶色の肌に、両手の大きなハサミ、海老のような体。

 

宇宙海獣レイキュバスがいた。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

「キシュウオオォォォォォォン!!」

 

 

レイキュバスが現れた直後、穂乃果たちμ’sの後ろにいた竜司たちの行動は早かった。

 

氷麗がテレパシーで竜司に伝える。

 

(竜司!俺が行く!)

 

(分かった。 気をつけろ、レイキュバスは火炎と冷気を自在に操る)

 

(分かった!)

 

コクリと、アイコンタクトで頷いた氷麗は、ゆっくりと屋上から出て行く。

 

階段の踊り場にきた氷麗は、内ポケットからダイナの変身アイテム『リーフラッシャー』を取り、上に掲げる。

 

「ダイナァァア!!」

 

瞬間、氷麗は光に包まれダイナになる。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

レイキュバスは依然、暴れている。

 

こ「どうしよう穂乃果ちゃん、キーくん!!」

 

ことりが穂乃果と朱雀に慌てたように訊ねる。

 

穂乃果はすぐに

 

「大丈夫だよ!! きっとウルトラマンがすぐに来てくれるよ!! ねっ、竜ちゃん!」

 

竜「ああ…」

 

即答し、竜司に同意を求める。

 

穂乃果の言うとおり、レイキュバスが現れてから数十秒たった頃に、光の柱がレイキュバスの前に出現。

 

(BGM:ヒーロー登場!)

 

そこから、ウルトラマンダイナが現れた。

 

「ダァッ!!」

 

真「ダイナ!」

 

ダイナの登場に、真姫が柄にもなく喜ぶ。

 

本来なら真姫はこの態度についてからかわれるのだが、生憎、穂乃果たちもダイナの登場に真姫同様安堵していたりするので、そんな暇は無い。

 

竜(頼んだぞ…氷麗)

 

「ダァッ!!」

 

ダイナは、初代マンと同じ戦闘ポーズだが、やや腰が高めのポーズをとる。

 

「キシュウオオォォォォォォン!!」

 

レイキュバスはハサミを振り上げ威嚇する。

 

(BGM:光の巨人、ふたたび)

 

「ハッ!!」

 

「キシュウオオォォォォォォン!!」

 

ダイナはレイキュバスに向かって走り、それに合わせてレイキュバスは右ハサミを振るう。

 

「キシュウオオォォォォン!!」

 

ダイナはそれを受け止め、右キックを当てる。

 

「ハッ!!」

 

そのまま連続で右キックを3発入れる。

 

「デヤァ!! ハッ!! ダァッ!!」

 

レイキュバスは怯み、火炎を吐いてくるが、ダイナはバク転して避ける。

 

何発もダイナの側に当たるが、ダイナは上手く避ける。

 

レイキュバスからかなり離れた場所に立ち、さらにそこから側転し、レイキュバスにビームスライサーを撃つ。

 

「ハッ!!」

 

全部で3発の光弾がレイキュバスに向かうが、レイキュバスは上手く火炎弾を放ち、相殺する。

 

ダイナはそこから体をひねりながらジャンプし、

 

「ダァッ!!」

 

レイキュバスの後ろに立つ。

 

そしてレイキュバスの体を掴み、後ろへ思いッきり投げる。

 

「デヤァ!!」

 

「キシュウオオォォォォン!!」

 

レイキュバスは地面に叩きつけられ、ゴロゴロしながらダイナから距離をとる。

 

「ハッ!!」

 

ダイナはレイキュバスを追いかけ、サッカーのように蹴り続ける。

 

「ハッ!デヤァ!ダァッ!ハッ!ダァッ!!」

 

レイキュバスは蹴られながらも何とか立つ。

 

そこへダイナがレイキュバスの体を掴んで肩に持ち、後ろへ倒れる。

 

「ダァッ!!」

 

「キシュウオオォォォォン!!」

 

頭から落ちたレイキュバスはフラフラだ。

 

ダイナはそこからバク転して、一定の距離を空ける。

 

そして腕を十字に組み、ソルジェント光線を放つ。

 

「ショワ!!」

 

その時レイキュバスの目が赤から青に変わる。

 

ダイナはそれを知らずにソルジェント光線を放ち続け、そこへレイキュバスが冷却ガスを吹き掛ける。

 

「ハッ!?」

 

ダイナは驚くが、ソルジェント光線がそのまま凍らされ続けている事に危機感を感じ、そこから側転する。

 

レイキュバスは再び目を青から赤に変え、ダイナが避ける場所を予測して、そこに火炎弾を吐く。

 

そこへダイナが見事につき、火炎弾があたる。

 

「グワァ!!」

 

ダイナは吹っ飛ばされる。

 

そこへレイキュバスが近づき、ダイナの首をハサミで挟み、絞め上げる。

 

「グワァ!!」

 

絞められ、苦しむダイナ。

 

そうしている間にカラータイマーが赤に点滅し、鳴り響く。

 

ダイナのピンチに穂乃果たちは

 

穂「あわわわわわ!? どうしよう、竜ちゃん!?」

 

竜「……………」

 

パニクり竜司に聞く穂乃果。

 

それに竜司はしばらく黙り混んでいたが、屋上の隅に行き

 

「ダイナ!タイプチェンジしろ!」

 

ダイナに指示する。

 

それを聞いたダイナは、竜司に顔を向け頷く。

 

ダイナはレイキュバスの体に足を添えて、巴投げをする。

 

「ダァッ!!」

 

「キシュウオオォォォォン!!」

 

ダイナは起き上がり、腕を胸の前でバツ字にクロスさせる。

 

「ウゥゥゥゥゥゥゥン……ハッ!!」

 

それを左右に拡げると、ダイナの額のクリスタルが輝き、ダイナの体が青と銀に変わる。

 

超能力の『ミラクルタイプ』である。

 

(BGM:ミラクルタイプのテーマ)

 

ダイナ・ミラクルタイプはレイキュバスに光弾を当てる。

 

「ダァッ!!」

 

光弾が当たり、レイキュバスが目を赤から青に変える。

 

再びレイキュバスはダイナに冷却ガスを吹き掛けるが、ダイナはバリアで防ぎ、レイキュバスに押し返す。

 

「キシュウオオォォォォン!?」

 

自身の冷却ガスが返ってきた事により、氷漬けになるレイキュバス。

 

ダイナは頭の前で腕をクロスさせる。

 

するとダイナの右手にエネルギーが集まり、それを右腰に収束させたダイナは一気に放つ。

 

「ダァッ!!」

 

ダイナミラクルの必殺技『レボリウムウェーブ』だ。

 

レイキュバスに当たると、後ろに疑似ブラックホールが現れ、レイキュバスを吸い込み、圧殺した。

 

ダイナはレイキュバスを倒したのを確認すると、穂乃果たちの方に顔を向け、サムズアップをする。

 

「ダァッ!!」

 

穂乃果たちも釣られてサムズアップする。

 

ダイナは上空を見上げ、飛んでいった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

レイキュバスの事件から、数日…。

 

新生μ's7人のPVが完成した。

 

曲名は「これからのSomeday」。

 

 

 

その後。

 

部室で、竜司は穂乃果、海未、ことり、朱雀、盾の5人と喋っていると……

 

花「た、たすけて…!」

 

穂「ど、どうしたの?」

 

花「じゃなくて!大変です!」

 

そこには真剣な表情をした花陽がいた。

 

 

◎sideoff

 

 



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エリーチカ#1




初めて読む感覚で読んでいくと、ちょっとはマシかもしれません。



竜司side

 

 

花「大変です!ラブライブです!ラブライブが開催される事になりました!!」

 

部室に駆け込んで息切れしながらも確かな言葉を放つ小泉。

 

助けてじゃ無いのか。

 

良かったなと言いたい所だが、紛らわしいわ。

 

それよりも小泉の気になるこの一言、ラブライブ。

 

遂に来たかァ……スクールアイドルの甲子園とも言えるイベントが。

 

穂「ッ!!!? ラブライブ!? ……って何?」

 

コイツは……ッ。

 

竜「お前……何で意味深な驚き方したんだよ…?」

 

俺は呆れながらツッコミを入れる。

 

火「花陽、出番だ」

 

花「うんっ!!」

 

イクスが言うと、その意味を理解した小泉はいつもの大人しくて控えめな態度とは打って変わってとてつもない声の張りと素早さに変わり、パソコンを起動した。

 

というかたった一言で意味を理解するとは、流石は幼馴染み。

 

花「スクールアイドルの甲子園。それがラブライブです!エントリーしたグループの中から、このランキング上位20組までがライブに出場。ナンバーワンを決める大会ですっ。噂には聞いてましたけど、ついに始まるなんて……!」

 

穂「へぇ~」

 

海「スクールアイドルは全国的にも有名ですし…」

 

凛「盛り上がる事、間違いなしにゃ~!」

 

スクールアイドル自体は世間的に有名だが、こうやって公式に一番を決めることは初めてだ。

 

花「今のアイドルランキングから上位20組となると、1位のA-RISEは当然出場するとして……2位3位は…。ま、正に夢のイベント…!チケット発売は何時でしょうか!? 初日特典は…」

 

等と行く気満々の小泉。

 

そんな小泉に穂乃果が質問する。

 

「って、花陽ちゃん見に行くつもり?」

 

その瞬間、小泉の目付きがカッ!! という擬音がつくくらいに変わった。

 

勢いよく椅子から立ち上がった小泉は、

 

「当たり前です!! これはアイドル史に残る一大イベントですよ!?……見逃せません!!」

 

穂乃果に顔を近づけながら言う。

 

相変わらずのキャラ崩壊っぷりだな。

 

真「アイドルの事になると、キャラ変わるわよね…」

 

氷「『アイドル大好き小泉さん』だな」

 

「凛はこっちのかよちんも好きだよ!」

 

西木野は頬杖をつきながら言い、氷麗は苗字繋がりだからか何処ぞのラーメン巡りマンガみたいに言い、星空はいつもの事みたいで慣れた感じだ。

 

穂「なぁんだ…。 私てっきり出場目指して頑張ろうって言うのかと思ってた…」

 

花「えええぇぇぇぇぇ!? そ、そ、そそ、そんな私たちが出場だなんて、恐れ多いですー!!!!」

 

穂乃果の言葉に小泉は部室の隅に瞬時に移動して、慌てて否定する。

 

真「キャラ変わりすぎ…」

 

「凛はこっちのかよちんも好きにゃ!」

 

嵐「凛、業が深いぞ…」

 

火「俺だってどっちの花陽も好きだ」

 

星空、お前小泉なら何でも好きだろ?

 

後イクスはサラッと告白するな。

 

こ「でも!スクールアイドルやってるんだし、目指してみるのもいいかも!」

 

穂「っていうか、目指さなきゃだめでしょ!」

 

真「そうは言っても、現実は厳しいわよ」

 

朱「西木野真姫の言うとおり。上位20っていうのは、簡単そうに見えて簡単じゃないよ」

 

真姫と朱雀がその厳しさを説く。

 

出場できるのは上位20組。

 

そこにμ'sが入るのが前提条件なのだ。

 

しかし前回見た時はかなり下位の所だった筈。

 

海「ですね……。確か、先週見た時はとてもそんな大会に出られるような順位では……」

 

海未も思ったのか、パソコンで順位を調べる。

 

しかし次の瞬間、海未が穂乃果たちを呼ぶ。

 

「あっ!穂乃果、ことり、盾たちも来てください!」

 

呼ばれて穂乃果たちがパソコンを覗くと、

 

穂「あっ!凄い!」

 

こ「順位が上がってる!!」

 

竜「マジで…?」

 

順位が上がってる事に驚く。

 

コイツはスゲーイ。

 

モノスゲーイぞ。

 

真「ウソ!?」

 

凛「どれどれ…?」

 

そう言って西木野と星空も覗く。

 

イクスたちも後ろから覗く。

 

花「あっ……!」

 

こ「急上昇のピックアップスクールアイドルにも選ばれてるよ!!」

 

穂「ホントだ!! ほらコメントも!『新しい曲格好よかったです。』『7人に増えたんですね。』『いつも一緒懸命さが伝わってきて大好きです!』」

 

穂乃果がコメントを読み上げる。

 

凛「うわあ~、もしかして凛たち人気者!?」

 

嵐「だな…」

 

真「そのせいね…」

 

凛「えっ?」

 

真「最近、氷麗と帰ってると…」

 

そう言って西木野は話してくれた。

 

 

《◎視点回想》

 

 

学校の帰り、真姫と氷麗が一緒に帰ってると、

 

「あの!写真いいですか!?」

 

真「えっ!?」

 

そう声をかけられた。

 

所謂、出待ちだ。

 

声をかけられた真姫は言い淀む。

 

「い…いや…」

 

真姫が断ったと思ったのだろう…。

 

声をかけた音ノ木中学の女の子は目に見えて落ち込む。

 

真「……あー……」

 

真姫はそれを見て罪悪感で気まずくなる。

 

見かねた氷麗が音ノ木中学の女の子に、「携帯貸して」と言って女の子から携帯を取る。

 

そして真姫に指示する。

 

「真姫はそこに立って」

 

「ヴエエェェ!? な、何でよ!?」

 

「いいから」

 

そう言って真姫と女の子を並ばせ、氷麗は写真を撮る。

 

そして携帯を返す。

 

氷「はい、どうぞ」

 

「あっ、ありがとうございます!! あの!お兄さんも一緒に撮っていいですか!?」

 

氷「えっ?」

 

まさか自分に来るとは思わなかったのだろう…。

 

間抜けな顔になり、真姫の方へ向く。

 

真姫は何故か焦った顔になり、

 

「ダメよ!氷麗だけは絶対にダメ!!」

 

と言って氷麗の手を取り、早足でその場を去る。

 

その顔は少し赤くなっていた。

 

残された女の子たちはポカーンとしていた。

 

勿論このくだりは穂乃果たちには言わず。

 

 

《終了》

 

 

こ「出待ち!?」

 

穂「ウソ!?」

 

屋上でことりは驚き、穂乃果はショックを受ける。

 

穂「私、全然ない…」

 

花「そういう事もあります!アイドルというのは残酷な格差社会でもありますから」

 

これは驚いた。

 

まさか出待ちまで発生しているとは。

 

まァ西木野のあの容姿に美声ならなくはないか。

 

それ言ったら穂乃果たちも何だがな。

 

にしてもこの落ち込みよう……仕方ねェな。

 

竜「大丈夫だ穂乃果。俺だけはお前のファンで居続けるから」

 

穂「うぅ…竜ちゃぁん…」

 

あからさまに元気無くしてる穂乃果を不憫に思ってフォローすると、穂乃果は俺に抱きついてくる。

 

なので頭を撫でてやる。

 

竜「よしよし」

 

あ、意外と大きい……。

 

何処がとは言わない。

 

一方、これを見た西木野がことりに訊ねる。

 

「この二人って、いつもこんな感じ?」

 

「たまに……アハハ……」

 

苦笑いして答えることり。

 

文句あっか?

 

凛「でも、写真を撮らしてくれるなんて、真姫ちゃんも変わったにゃ!」

 

再び西木野の話題に戻る星空。

 

真「わ、私は別に…!」

 

凛「あっ!赤くなってるにゃ!」

 

真「むう……」

 

からかわれた西木野は腹いせに星空にチョップを食らわせ、その威力に星空は尻餅をつき頭を押さえる。

 

凛「にゃ!? 痛いよぉ~…ふえぇぇぇん!」

 

嵐「よしよし凛。傷は浅いぞ」

 

軽く泣く星空の頭を撫でながら宥める嵐助。

 

真「あんたが悪いのよ」

 

暴力はダメだぞ西木野ォ。

 

そんな時、バンッ!! とドアが思いっ切り開いたので、穂乃果たちが振り返ると走って来たであろうニコ先輩がいた。

 

その後ろから虎亜がゆっくり姿を現す。

 

ニ「みんな!聞きなさい!重大ニュースよ!」

 

穂「あっ、ニコ先輩…」

 

ニ「ふっふっふ、聞いて驚くんじゃないわよ。今年の夏、ついに開かれることになったのよ!スクールアイドルの祭典!」

 

こ「………ラブライブですか?」

 

ニ「あ、知ってんの……」

 

ことりにラブライブの事を言われ、テンションが下がるニコ先輩だった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

今、俺たちは生徒会の前にいる。

 

ラブライブに出るための許可を貰うためだ。

 

………なのだが。

 

穂「……………」

 

真「どう考えても答えは見えてるわよ」

 

穂乃果がノックしようすると、西木野がそう言う。

 

確かに、あの生徒会長は首を縦にふらないだろうな。

 

凛「学校の許可ぁ?認められないわぁ」

 

嵐「なにげに似てるぞ、凛」

 

そこまで似てねェだろ?

 

なんなら本人に見られたら即逃げるレベルだな。

 

穂「だよね~…。 でも、今度は間違いなく生徒を集められると思うんだけど…」

 

穂乃果がそう言うと、後ろの空き教室のドアが開き、ニコ先輩が顔を出す。

 

ニ「そんなの…あの生徒会長には関係無いでしょ。私らの事、目の敵にしてるんだから」

 

花「ど、どうして私たちばかり……」

 

火「だな…」

 

ニ「それは………。あっ!もしかして学校内での人気を私に奪わるのが怖くて…!」

 

真「それは無いわ」

 

虎「ああ、無いな」

 

ニコ先輩の見当違いな言葉に、即ツッコミを入れる西木野とそれを肯定する虎亜。

 

ニ「ツッコミ速ッ!!」

 

二人を指さし叫ぶニコ先輩を無視し、西木野はドアを閉めた。

 

無情だな。

 

真「もう、許可なんて取らずに勝手にエントリーしてしまえばいいんじゃない?」

 

氷「俺もそっちの方が早いと思うぜ」

 

西木野と氷麗がそう提案するが、

 

花「ダメだよ!! エントリーの条件に、ちゃんと学校に許可を取ることって書いてあるもん!」

 

小泉に却下される。

 

アイドルとは言ってもスクールアイドル。

 

めんどくさい事に学校の許可がいるらしい。

 

真「じゃあ、直接理事長に頼んでみるとか?」

 

穂「えっ!? そんなこと出来るの?」

 

西木野の提案に穂乃果が質問する。

 

それは俺も気になる。

 

海「確かに、部の要望は原則生徒会を通じて、と書いてありますが、理事長のところに直接行くことが禁止されているという訳では……」

 

成る程……。

 

ならそれも手だな。

 

真「でしょ♪何とかなるわよ。親族もいる事だし…」

 

西木野はそう言ってことりを見るので、自然と俺たちもことりの方を見る。

 

こ「ほぇ?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

現在、理事長室。

 

穂乃果はそのドアを前にし、生唾をごくりと飲み込む。

 

穂「さらに入りにくい緊張感が…!」

 

竜「そんな事言ってる場合じゃないだろ?」

 

そう言って俺がドアに手をかけ開けようとすると、向こう側からドアが開き、

 

ガンッ!!

 

竜「グハッ!!!?」

 

穂「竜ちゃん!?」

 

ドアが無慈悲に顔にぶつかってきて俺は倒れる。

 

希「あれ?お揃いでどうしたん?…って…ごめん…」

 

副会長が謝ってくるが、正直それどころではない。

 

不意討ちで来たので痛すぎる。

 

穂「うわ、生徒会長…!」

 

何だァ?

 

生徒会長もいるのか?

 

ニ「タイミング悪っ」

 

後ろでニコ先輩が呟く。

 

絵「何の用ですか?」

 

真「理事長に話があってきました」

 

西木野が前に出て、絢瀬会長に強気な発言をする。

 

っていうか、俺の心配は誰もしてくれないの?

 

絵「各部の理事長への申請は、生徒会を通す決まりよ」

 

真「申請とは言ってないわ!ただ、話があるの!」

 

氷「真姫。気持ちは分かるけど、相手は上級生だ」

 

真「うぅ…」

 

西木野がタメ口を聞いたのを、氷麗が肩に手を置き宥める。

 

そこにコンコンと、ドアをノックする音が。

 

「どうしたの?」

 

理事長が微笑みながら立っていた。

 

こ「お母さん…」

 

「話は中で聞くわ。それと、天青くんの心配もしてあげなさい」

 

「「「「「「「「あっ……」」」」」」」」」

 

穂「ご、ごめん竜ちゃん!!」

 

理事長の言葉で全員が俺の方へ向く。

 

未だに俺は痛みに悶絶していた。

 

竜「く…か……くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかかーーーーーーッ!!!!」

 

穂「竜ちゃんが壊れたッ!?」

 

そうは言うが穂乃果ちゃんよォ、それくらい痛かったンだぞ。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

理事長室には、俺達2年生組6人と、会長と副会長と蒼燕と茜の生徒会組、ニコ先輩と虎亜が入った。

 

1年生6人は外で待機。

 

「へぇ~。ラブライブね~」

 

理事長は映像を観て驚いた表情だった。

 

海「はい、ネットで全国的に中継されることになっています」

 

こ「もし出場できたら、みんなに学校の名前を知ってもらえる事になると思うの!」

 

絵「私は反対です」

 

案の定というか、生徒会長が反対してくる。

 

蒼「おい絵里…」

 

蒼燕が宥めるように言うも、生徒会長は止まらない。

 

絵「理事長は学校のために、学校生活を犠牲にするようなことはすべきではないとおっしゃいました。であれば」

 

「そうねぇ~、でもいいんじゃないかしら?エントリーするくらいなら」

 

穂「本当ですか!?」

 

「えぇ」

 

それに喜ぶ穂乃果たち。

 

やけにあっさりだな?

 

絵「ちょっと待って下さい!どうして彼女達の肩を持つんです!?」

 

「別にそんなつもりはないけど?」

 

絵「なら、生徒会も学校を存続させるために活動させてください!」

 

「ん~…それはダメ」

 

絵「意味が分かりません!!」

 

「そう?簡単な事よ?」

 

絵「……………」

 

生徒会長はしばらく理事長を見るが、やがて部屋を後にする。

 

希「エリチ…」

 

蒼「ったく…アイツは…」

 

蒼燕がその後を追いかける。

 

ニ「ふん!ザマァ見ろっての」

 

虎「ニコ…」

 

虎亜がニコ先輩の肩に手を置きたしなめる。

 

そんな中、唐突に理事長が言う。

 

「ただしエントリーには条件があります!」

 

条件?

 

なんだ?

 

「勉強が疎かになってはいけません。今度の期末試験で1人でも赤点をとるような事があれば、ラブライブへのエントリーは認めませんよ?いいですね?」

 

それを聞いた穂乃果は、

 

「ふえぇぇぇぇぇ!?」

 

と驚く。

 

……いや、こいつの場合焦っているな。

 

こ「ま、まぁ!流石に赤点はないから、大丈夫かと~……。あれ~…?」

 

ことりが呟いた瞬間、ズーンという効果音が似合いそうな程に、穂乃果と星空とニコ先輩が暗い雰囲気で床に突っ伏していた。

 

それを見た朱雀が、

 

「一年、二年、三年それぞれから見事にバカが排出されたね」

 

呆れの目で見ながら言った。

 

 

 



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エリーチカ#2




後半がガラリと変わっています。



穂「申し訳ありません!」

 

凛「ません!」

 

現在、部室の机に三つ指をついて謝る穂乃果と星空のバカ二人。

 

海「小学校の頃から知ってはいましたが……穂乃果…」

 

穂「数学だけだよ!ほら、小学校の頃、算数苦手だったでしょ?」

 

竜「自慢気に言うな…」

 

今は算数じゃなくて数学だぞこのアホ。

 

花「4×7?」

 

穂「……26?」

 

穂乃果の答えに全員、(≡‐≡)←こんな顔になる。

 

朱「壊滅的だね」

 

全くだ…。

 

呆れて物も言えねェな。

 

花「凛ちゃんは?」

 

凛「英語!凛はどうしても英語だけは肌に合わなくて~」

 

嵐「肌に合わないってなんだ、肌に合わないって…」

 

火「化粧品じゃねぇんだぞ…」

 

花「た、確かに難しいよね」

 

凛「そうだよ!だいたい凛達は日本人なのにどうして外国の言葉を勉強しなくちゃいけないの!」

 

星空が屁理屈を訴えると、西木野がイライラして机を叩いて立つ。

 

真「屁理屈はいいの!」

 

凛「にゃ~。真姫ちゃん怖いにゃ~……」

 

そんな星空にこんな言葉を送ってやる。

 

世界共通語だからと。

 

それに付け加えて成績に関わるぞ?

 

氷「真姫、落ち着けって…」

 

真「これでテストの点数が悪くてエントリー出来なかったら恥ずかしすぎるわよ!!」

 

凛「そうだよね~…」

 

まァ、あれだけ息巻いて点数悪かったからエントリーできませんでした!なんて確かにクソダセェわな。

 

真「やっと生徒会長を突破したって言うのに!!」

 

ニ「ま、全くその通りよ~」

 

ニコ先輩の方に全員顔を向けるが、すぐにその目は全員ジト目になる。

 

なンせ持ってる教科書を逆に持っているからだ。

 

ニ「あ、赤点なんか絶対取っちゃダメよ!」

 

虎「ニコ、教科書逆だ」

 

海「動揺しすぎです…」

 

愉快に素敵に3バカ決定おめでとう。

 

海「とにかく試験まで穂乃果には私とことり。凛には花陽と真姫がついて、弱点教科を何とか底上げしていく事にします」

 

真「まー…それはそうだけど………ニコ先輩は?」

 

虎「ニコに関しては俺が担当するよ」

 

希「それとウチがな……」

 

虎「東條……いつの間に」

 

うん、確かにいつの間にだな。

 

気配すらしなかったぞ。

 

ともあれ、ニコ先輩には虎亜と副会長がつくようだ。

 

穂「いいんですか?」

 

ニ「い、言ってるでしょ!にこは赤点の心配なんて…」

 

すると副会長は両手をあげ謎の構えをとり、ニコ先輩の胸を掴ンだ。

 

ニ「ひっ!」

 

希「嘘つくと、ワシワシするよ?」

 

ニ「わ、わかりました…。お、教えてください……」

 

希「はい、よろしい♪」

 

盾「もはや脅迫だね…」

 

竜「ああ…」

 

これも力技の一つかな…。

 

そんな事を思ってると、穂乃果が

 

「竜ちゃんたちの成績はどうなの?」

 

と聞いてきた。

 

俺たちも巻き込もうと考えているのだろうが、甘いな。

 

竜「いつもどの教科も70点台」

 

盾「同じく」

 

朱「オール100点」

 

嵐「少なくとも赤点は採った事がないな…」

 

火「ああ…」

 

氷「俺も分からない所は真姫に教えてもらってるから問題なし」

 

虎「言わずもがな」

 

俺たちマネージャー組がそう言うと、穂乃果と星空は項垂れる。

 

ザマァ見ろ。

 

しかしすぐに穂乃果は顔を上げ、ハツラツと言う。

 

「よし!これで準備はできたね!明日から頑張ろー!」

 

凛「おー!!」

 

海「今日からです!」

 

「「うぅぅぅ……」」

 

この二人、やる気あるのか……?

 

いや……無いだろうな…。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

盾side

 

 

さて、只今試験勉強中なのだが…。

 

凛「うぅ~これが毎日続くのかにゃ~」

 

真「当たり前でしょ!」

 

星ちんの愚痴に真姫ちんが怒鳴る。

 

すると凛ちんは窓を指さして言う。

 

「あ~!白いご飯にゃ!!」

 

花「ええっ!どこ、どこ!?」

 

火「花陽……」

 

星ちんの逸らし攻撃にまんまと嵌まるカヨちん。

 

火神がそれに呆れる。

 

真「私がそんな手に引っ掛かると思う?」

 

真姫ちんは星ちんに軽くチョップを入れてた。

 

カヨちんはまだ探しているし……。

 

一方、穂乃ちんの方を見てみると、数学の教科書と睨めっこしていた。

 

穂「ことりちゃん……竜ちゃん……」

 

こ「なあに?あと1問よ。頑張って!」

 

竜「なんだ?」

 

穂「おやすみ……」

 

こ「あっ!? 穂乃果ちゃん!穂乃果ちゃぁぁん!!」

 

竜「チッ…起きやがれア穂乃果ァァァ!!」

 

寝たふりだね穂乃ちん。

 

竜ちんが怒鳴ったり、ことちんが起こそうとするが起きる気配はない。

 

すると海未が席を立ち上がりながら言う。

 

「はぁ……全く。ことり、竜司。私は弓道部の方に行かなければいけないので、後はお願いします」

 

こ「うん!分かった!穂乃果ちゃん起きて~」

 

竜「ほら起きろ穂乃果!」

 

ニコちんはというと、

 

希「じゃあ、この問題の答えは?」

 

ニ「えっとぉ~、に、にっこにっこに~?」

 

虎「………東條」

 

希「了解…覚悟っ!!」

 

ニ「や、やめて希………。虎亜助けて…!それはだめ~」

 

やっぱり2人と同じ結果に終わった。

 

この状況に俺は海未に言う。

 

「カオスだね?」

 

「そうですね……」

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

あれから、鞄の中を漁るとお菓子の残量が無かったのと、帰るかという気持ちで部室を出て校門に向かうと、弓道帰りの海未が立っていた。

 

盾「どったの?海未」

 

海「あっ、盾…」

 

俺に気づいた海未は、無言である方向を見る。

 

そこには金髪の中学生が門に寄りかかっており、音楽プレイヤーを片手にリズムを取りながら、くちずさんでいた。

 

その曲は、μ'sのファーストライブ曲『START:DASH』だ。

 

しかも音楽プレイヤーに映っている動画はネットにアップされていないシーンが殆どだった……。

 

海「サイトに上がってないところまで……」

 

プレイヤーを覗き込む海未。

 

そんな海未に気づいたのか、金髪ちゃんは一瞬「うわぁ!?」と驚いた後すぐに、

 

「あ!貴方達はμ'sの園田海未さんと、そのマネージャーの土方盾さんですか!?」

 

そう聞いてきた。

 

海未はともかく、何で表舞台にいない俺の事まで?

 

海未はいきなりだったのかパニクり…

 

「えっ!? いえ!ひ、人違いです!」

 

そう答えた。

 

するとその中学生は見るからに悲しそうに落ち込む。

 

盾「海未、落ち着いて。後、嘘ついちゃダメ、絶対」

 

海「は、はい。すいません、私が園田海未です……」

 

「ですよね!?」

 

海「うぅ…。いえ、そ、それより…その映像…」

 

「はい!ライブの映像です!亜里沙は行けなかったんですけど、お姉ちゃんが撮影してきてくれて!」

 

元気よくそう答えられた。

 

海「お姉ちゃん?」

 

「はい!」

 

へぇ~、この子……亜里沙こと、アリちんのお姉ちゃんか~…。

 

なんか遺伝的に一人だけ思い当たる人物がいる。

 

その予想は正しかったようで……。

 

「亜里沙~!」

 

「あ!お姉ちゃん!」

 

アリちんが向いた方向を見ると、そこには…

 

絵「あなた達……」

 

海「生徒会長……」

 

生徒会長がいた。

 

 

盾sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

海未side

 

 

話がしたいということで生徒会長に連れられ、私と盾は近くの公園にやってきました。

 

ベンチに座ると、生徒会長は亜里沙ちゃんにお金を渡して自販機に向かわせました。

 

亜「お待たせしました!」

 

4人分の缶を抱えながら走ってくる。

 

亜里沙ちゃんから缶を受け取り礼を言う。

 

盾「ありがとうね」

 

海「ありがとうございます」

 

そして缶を見てみると私と盾は驚いた。

 

海「おでん?」

 

盾「何で……?」

 

何故これを選んだんでしょう……?

 

盾も苦い顔をしていました。

 

絵「ごめんなさい、向こうの暮らしが長かったから、まだ日本に慣れてない部分があって」

 

海「向こう?」

 

絵「えぇ、祖母がロシア人なの。亜里沙、それは飲み物じゃないの」

 

亜「えっ?…ハラショー」

 

これまで見せた事のないような顔つきで、自分の妹を諭していました。

 

それは、普段の生徒会長ではなく、1人の姉としての優しさに溢れた顔でした。

 

しばらくしてから生徒会長から口を開きました。

 

絵「それにしても、あなた達に見つかってしまうなんてね」

 

私も疑問に思ったことがあったので尋ねる。

 

海「前から穂乃果達と話していたんです。誰が撮影して、ネットにアップしてくれたんだろうって。でも、生徒会長だったなんて……。 あれがなければ、私たちは今こうしていなかったと思います。あの動画があったから、見てくれた人も増えたし、だから…」

 

感謝しようと思った瞬間でした。

 

絵「やめて」

 

海「……え?」

 

絵「別にあなた達の為にやった訳じゃないから。むしろ逆。あなた達のダンスや歌が、いかに人を惹きつけられないか、活動を続けても意味がないか、知ってもらおうと思って。だから、今のこの状況は想定外。なくなるどころか、人数が増えるなんて」

 

その言葉に、私は胸が痛くなります。

 

絵「とても人に見せられるようなものになっているとは思えない。そんな状態で学校の名前を背負って欲しくないの。だからこれ以上邪魔しないで。話はそれだけ」

 

私は何も言う事ができなかった。

 

何故そこまで言われなきゃならないのだと…。

 

そんな事も気にせず鞄を手にかけ、ベンチから立ち上がった生徒会長が去ろうとした次の瞬間……

 

 

 

 

 

盾「分からないな~」

 

 

 

 

 

今まで黙っていた盾が、そう言いました。

 

絵「何ですって…?」

 

その言葉に生徒会長は立ち止まります。

 

盾「だってそうでしょ~?そりゃ、最初は俺だって無理だろと思ってたよ。けど今は人気になっている。着実に成果は出てんだよ…?あんたがどう思うと勝手だけど、俺から言わせればただの嫉妬にしか聞こえないんだよね~」

 

絵「あなたに…………あなたに私の何が分かるのよ!!!!」

 

盾の言葉に生徒会長は激昂します。

 

昔から盾はそうです……。

 

無自覚に人の心の本音を言い当て、そのくせ無邪気に人の心を抉る言葉を吐く。

 

私もそれに救われた事もありましたが、同時に傷つけられた事もあります。

 

それが何とも心地よく……ゲフンゲフン。

 

ともかく、盾の言葉に生徒会長は怒り、盾を睨み続けます。

 

盾は構わず言います。

 

「は?分かる訳無いじゃん。俺はあんたじゃ無いんだから」

 

「「……えっ?」」

 

その言葉に、私も生徒会長も呆気にとられます。

 

盾「何?理解して欲しかったの?しないよそんな事。面倒臭い…」

 

絵「なっ……なっ……なっ……」

 

生徒会長は何かを言い返そうとしますが、言葉が出ません。

 

そんな時、続けて言葉を紡ごうとした盾が急に

 

盾「大体……ッ!! 危ない海未!!」

 

海「えっ?……キャッ!?」

 

私を抱え、生徒会長の方に飛んで避けます。

 

すると今まで私たちがいたベンチが強烈な突風により吹き飛びました!

 

ベンチはそのままガシャン!! と近くにあった建物にぶつかり、地面に落ちていきました。

 

一体……何が?

 

突然の事に、私も生徒会長も、自販機から帰ってきた亜里沙ちゃんも口を開けて驚きます。

 

しかし不意に、私達の上に巨大な影が被さりました。

 

私も生徒会長も自然と上を向き、そして仰天しました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、翼竜のような怪獣がいたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クゥエエエェェェェェェン!!」

 

 

 

 

 

盾「メルバ……」

 

不意に盾がそう呟きました。

 

あの怪獣の名前でしょうか?

 

盾は私を地面に下ろすと、生徒会長に言います。

 

「生徒会長…」

 

「なっ…何?」

 

「海未とアリちんを連れて、ここから逃げて。俺はアイツの気を引く」

 

なっ!?

 

何を言ってるんですか盾はッ!?

 

勿論、私は盾を止めます。

 

「何言ってるんですか!? 盾も一緒に逃げましょう!!」

 

亜「そうですよ!明らかに危ないですよ!」

 

亜里沙ちゃんも一緒に止めてくれますが、盾はイラついたような大きな声で、

 

「いいから逃げろつってんの!! 死にたいの!?」

 

そう言ってきました。

 

その言葉に、私も生徒会長も亜里沙ちゃんもビクッとします。

 

しかし盾はすぐに微笑み、私の頭を撫でながら、

 

「大丈夫。ちゃんと帰ってくるから…」

 

そう言います。

 

………もう、盾はズルいです。

 

そんな事を言われたら、頷くしかないじゃないですか…。

 

海「わかりました。必ず帰ってきて下さいね…」

 

盾「うん。じゃあ、生徒会長」

 

絵「分かったわ。あなたには色々思うところがあるけど、とにかく無事でいなさい…」

 

生徒会長が言い残し、私たち3人は公園から出ます。

 

その後、すぐに爆発音が鳴り響き、私は公園の方に振り向きます。

 

海「盾ッ!!」

 

私が盾の名前を叫ぶと、盾のいた地点から光の柱が現れそこから、

 

 

 

「チャッ!!」

 

 

 

ウルトラマンティガが現れました。

 

 

 

海未sideoff

 

 



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エリーチカ#3







◎side

 

 

盾「行ったな…」

 

盾は海未たちが公園を出たのを確認すると、メルバに視線を移し言う。

 

「じゃあ来なよ…」

 

そう言った瞬間、メルバは目から放つ『メルバニックレイ』を3発放って来た。

 

「うおっ!?」

 

なんとか全弾避けた盾はスパークレンスを掲げる。

 

「ティガァァァ!!」

 

その瞬間、スパークレンスのカバーが開き、盾は光に包まれ、巨人へと姿を変える。

 

(BGM:ティガ!)

 

「チャッ!!」

 

ウルトラマンティガの登場だ。

 

海「ティガ!!」

 

亜「ハラショー!」

 

絵「あれが……今確認されている6体のウルトラマンの内の一人、ティガ……」

 

海未はティガの登場に歓喜し、亜里沙は驚き、絵里は驚きつつも冷静に状況を確認している。

 

ティガはメルバに向かっていつものファイティングポーズを取る。

 

「ハッ!」

 

「クゥエエエェェェン!!」

 

そして両者は激突する。

 

(BGM:光を継ぐもの)

 

最初に繰り出したのはティガ。

 

牽制に前蹴りをメルバの胸に当てる。

 

「チャッ!」

 

後退するメルバ。

 

更にティガは右回し蹴りを3発当てる。

 

「チャッ!チャッ!ハッ!」

 

そこから回転しながらジャンプしての右後ろ回し蹴りをメルバの首に当てる。

 

「チャァァッ!!」

 

「クゥエエエェェェン!!」

 

倒れるメルバ。

 

元々メルバはスマートな体型をしている為に防御力や耐久力が弱い。

 

ゴルザと比べると遥かに戦い易いだろう。

 

しかしその代わり、メルバはある一点に優れている。

 

メルバは起き上がると、大きな翼を広げて飛び立つ。

 

遥か高くまで飛んでいくと、そこから下に向かってターンし、ティガに向かってメルバニックレイを連発してきた。

 

「ヂャッ!?」

 

雨霰のように降ってくる光弾にティガは体を丸めて防御に徹する。

 

背中や肩から火花が散りまくる。

 

メルバはメルバニックレイを撃ちながらティガに近づくと、ティガのすぐ頭上で再び空高く飛んでいく。

 

ティガは光弾が止むのと同時にメルバを見据え、ファイティングポーズを取る。

 

「チャッ!」

 

そんなティガにメルバは猛スピードで向かって行き、ティガが上段回し蹴りを繰り出すと、それを容易に避ける。

 

そのまま通過するとUターンして、また真っ直ぐ猛スピードで向かって行く。

 

ティガも待ち構えて再び上段回し蹴りするも、やはり容易に避けられた上に、Uターンしてきたメルバのメルバニックレイを3発胸に貰う。

 

「ヂャッ!?」

 

背中から倒れるティガ。

 

メルバが優れているもの、それは空中機動力だ。

 

大きな翼で飛翔し、空から光弾を撃つ。

 

それがメルバの得意とする戦法である。

 

膝をついて、肩で息をするティガは、未だに大空を飛翔するメルバを睨みつける。

 

盾『うっざいな~もう』

 

盾はメルバの空中機動戦法に悪態を吐く。

 

そんな時だ。

 

海「ウルトラマンティガ!負けないで下さい‼」

 

海未の声援が聞こえた。

 

海未だけでは無い。

 

絵里や亜里沙の声援も聞こえる。

 

絵「ウルトラマンティガ!頑張って!!」

 

亜「頑張れ!!」

 

それを見たティガは1つ頷いて立ち上がる。

 

そして両腕を額のクリスタルの前でクロスさせ、

 

「ンンンン……ハァッ!!」

 

一気に降り下ろしたその瞬間、額のクリスタル部分が青紫に輝き、ティガの体は紫を基調とした姿『スカイタイプ』へと変わった。

 

亜「姿が変わった!」

 

海「今度は紫ですか…」

 

地上から戦いを見ていた亜里沙と海未がタイプチェンジしたティガに驚きを隠せなかった。

 

ティガはマルチタイプとは違う両手を手刀にした戦闘ポーズを取ると、高く飛び上がり、強烈な飛び蹴り『ティガ・スカイキック』を喰らわせた。

 

「チャアァァァァァ!!!」

 

「クゥエエエェェェン!!」

 

それを頭に受けたメルバは地面に落下、粉塵を巻き上げる。

 

逆にティガは宙返りしながら着地した。

 

ティガはすぐに立って振り向くと、両手をカラータイマーの前で水平に重ねてから左右に広げ、頭の上に両手を持っていきながら光エネルギーを集めて左腰に収束させ、一気にメルバに放つ。

 

「チャッ!!」

 

スカイタイプの必殺技『ランバルト光弾』だ。

 

ランバルト光弾は真っ直ぐメルバに当たり、メルバを粉々に爆発させた。

 

亜「やったぁ!!」

 

絵「ハラショー…」

 

海「やりました!!」

 

3人はそれぞれの反応をし、喜ぶ。

 

ティガも一息つき、飛び去ろうとしたが、突如ティガの周りに金属の槍が数本降ってきて、ティガを取り囲む。

 

盾『何だ、これ?』

 

盾、もといティガは驚き、槍を壊そうとするが電撃が走り、ティガは膝をつく。

 

「グワァ!?」

 

海「ティガ!!」

 

海未がティガを心配して、声を上げる。

 

電撃は走り続け、ティガにダメージを蓄積させていく。

 

「グワァァァァァァァ!?」

 

スカイタイプは素早さが上がる代わりに、パワーや耐久力がかなり下がるのだ。

 

やがてティガのカラータイマーが赤に点滅する。

 

そんなティガの前に銀色の泡がたち、それが集合すると、

 

「ギュウイイィィィィィンン!!」

 

金属が擦り合うような鳴き声を上げながら、金属生命体『アルギュロス』が現れた。

 

絵「もう一体いたの!?」

 

亜「ティガが危ないよ!」

 

絵里は驚き、亜里沙はティガの身を案じる。

 

アルギュロスは右手に槍を作り、ティガに降り下ろそうとする。

 

盾『うわ、ヤベェ……』

 

盾は逃げようとするが、エネルギーが少ないため、避ける気力も無い。

 

海「ティガ、逃げてー!!」

 

海未が叫ぶも、ティガは動けない。

 

その槍の穂先を見据えるばかりだ。

 

そしてアルギュロスは、槍をティガに向かって降り下ろす。

 

海未たちはその後に待つ凄惨な光景を見たくないために目を瞑る。

 

盾自身も、もうダメだと思ったその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青色の光弾が、アルギュロスを直撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルギュロスは断末魔を上げる暇もなく、消滅した。

 

絵「一体、何が……?」

 

突然の爆発音に、絵里たちは顔を上げる。

 

ティガ自身も、周りにある槍をどけながら、周りを見る。

 

ふと、後ろに気配を感じたティガは後ろを振り返る。

 

そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼い巨人がいた。

 

(BGM:アグル降臨)

 

海「青いウルトラマン……?」

 

海未が呟く。

 

絵里と亜里沙も呆然とする。

 

そこには、全身鮮やかな青と銀の体色で、胸には、金縁の黒いプロテクターをつけ、頭に菱形の青いクリスタルがついたウルトラマン。

 

ガイアと対をなす青き海の巨人『ウルトラマンアグル』がいた。

 

アグルは左手は握りこぶしにして腰につけ、右手は振り払うように下ろしたポーズをしていた。

 

アグルはその構えを解くと、ゆっくりティガに向かって歩く。

 

ある程度の間を開けて、ティガをしばらく見た後、絵里たちの方に顔を向ける。

 

海未も絵里も呆然としていたが、亜里沙だけは輝いた目で見ていた。

 

アグルはすぐに後ろを向いて歩き去り、やがて光になって消えていった。

 

盾『何なんだよ……?』

 

盾も呆然としていたが、すぐにティガの変身を解いた。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盾side

 

 

ティガの変身を解いた俺は、何食わぬ顔で海未たちのところへ戻る。

 

盾「海未!」

 

海「盾!」

 

俺が戻ると海未がその綺麗な顔を心配そうに歪めて駆け寄ってくる。

 

海「大丈夫なんですか!? 怪我はしてませんね!! もう!心配したんですからね!!」

 

海未が俺の体をベタベタ触りながら聞いてくる。

 

本当に心配性だな~。

 

盾「大丈夫だよ。ティガが助けてくれたからね」

 

まあ、ティガは俺なんだけど…。

 

絵「土方くんも無事みたいだし、私たちは先に行くわね」

 

俺がそんな事を思っていると、生徒会長がそう言って背を向ける。

 

その背中を、黙って見送る俺と海未。

 

するとアリちんが駆け寄ってきて『おしるこ』を渡してくれながら、

 

「あの、亜里沙、μ’s、海未さん達のこと、応援してます!」

 

そう言い残し生徒会長を追いかけていった。

 

だからさ……何でおしるこ…?

 

 

 



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エリーチカ#4

後編です。

すこし駆け足になるかもです。



盾side

 

 

あの後、海未と話し合い、副会長の東條希こと、のんたん先輩のところへ行く事に。

 

のんたん先輩なら、生徒会長の事を何か知っていると思ったからだ。

 

ホントなら雨ちんが生徒会長の幼馴染みだから、雨ちんに訊けばいいと思うが、生憎電話に出なかった。

 

なので消去法でのんたん先輩になった。

 

何故生徒会長が、あそこまで海未たち……ひいてはスクールアイドルを嫌うのかを知りたいから。

 

ついたのは某ハンバーガー店。

 

ここにいるらしい。

 

店内を捜すまでもなく、すぐ近くにいた。

 

ニ「ニッコニッコニー♪」

 

希「だから、次ふざけたらワシワシMAXだって、言ったはずやん」

 

虎「お前も学習しないな~」

 

ニ「待って!違う!ふざけてるんじゃなくて、こうすると答えが思いつくの!」

 

希「本当に?」

 

ニ「そ、そうなの!キャラチェンジすると脳が活性するって言うか…。ニコで~す♪よ~し、今日はこの問題を解いちゃおっかな~♪えーと、これにこれを代入して~ーー……」

 

そう言ったきり、机に突っ伏すニコちん。

 

相変わらずバカやってるね~。

 

希「…して?」

 

虎「どうした?解かないのか?(^∪^)」

 

ニ「えーと、えーと……。ニコ分かんないよ~」

 

そう言った瞬間…

 

ニ「ひっ!?」

 

のんたん先輩に胸をワシワシされ始めた。

 

希「お仕置きやね♪」

 

ニ「ひっ!? や、やぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

何やってんの?

 

ホント……。

 

虎亜ちんも止めずに、その光景をスマホで撮影してるし。

 

するとやっと気づいたのか、こっちを見る3人。

 

海「聞きたい事があるのですが…」

 

そう言った海未に何かを感じたのか、のんたん先輩は席を立ち

 

希「虎亜っち、ニコっちの事、お願いね…」

 

虎「任された」

 

そう言って、俺たちのところへ来ると微笑む。

 

希「場所…変えようか…」

 

そう言われたので、大人しくついていく俺と海未。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

現在、神田明神。

 

希「そんなことがあったんやね。」

 

俺達はのんたん先輩に公園での出来事を話した。

 

因みにのんたん先輩は巫女服にチェンジしてる。

 

盾「ごめんね~。急に…」

 

希「ええんよ、別に。それよりもエリチについてやったっけ」

 

海「はい…」

 

希「口で説明するより、これを見て貰った方が早いかな?」

 

のんたん先輩が巫女服の袖口から取り出したのは1つのミュージックプレーヤー。

 

その中の動画ファイルの1つをタップし、俺と海未に見せてくれた。

 

そこに写し出されたのは1人の小柄な金髪の少女。

 

バレエの衣装を着て無邪気に笑い、縦横無尽に踊る姿が写し出されている。

 

これが生徒会長だということをすぐに理解できるのに、そう時間もかからなかった。

 

希「……これで分かったやろ?」

 

海「はい……」

 

海未は相当ショックを受けたみたいだ。

 

盾「海未。今日はもう帰ろうか…?」

 

海「はい……」

 

ダメだ。

 

かなり来てるな…。

 

まあ、今まで手探りでながらも一生懸命ダンスを考えてきた海未にはキツイかな。

 

盾「じゃあ、今日はこれで…」

 

希「うん、じゃあね」

 

俺は海未を連れて帰路についた。

 

 

盾sideoff

 

 

 

 

竜司side

 

 

竜「おかしい……」

 

太陽がカンカン照りの真夏日。

 

俺は現在部室にいる。

 

他にもことり、西木野と小泉、そして虎亜がいる。

 

昼休みの間は、俺とことりと海未で穂乃果を、星空には小泉と西木野が、ニコ先輩には虎亜と副会長が勉強を教える事になっているのだが……。

 

竜「何故来ないんだ?……そう思わないか?ことり」

 

こ「あはは……」

 

俺の問いに、ことりは苦笑いを返す。

 

勉強が出来ない3バカに勉強を教えようと思ってここに来たのに、一向に来ない…。

 

海未と副会長も来てないが、まあ…あの二人はなんか用事があるとして……。

 

虎「逃げたな……あいつら…」

 

虎亜が呟く。

 

西木野に至ってはイライラしてる雰囲気がまあ、こっちにもよく伝わる。

 

小泉はそれに怯えてる。

 

すると部室のドアが開き、そこから穂乃果たちが現れる。

 

竜「何やってんだ穂乃……果?」

 

俺は言葉に詰まる。

 

ドアを開けて入ったきた穂乃果、星空、ニコ先輩の3人が何やら疲れきった様子でやってきた。

 

西木野も小泉もことりも虎亜も、その様子に唖然としている。

 

後から海未と副会長が入ったきたが、なんか副会長の肌がツヤツヤしてる。

 

………これは聞かない方がいいな。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

希「今日のノルマはこれね♪」

 

そう言って、副会長は机にドスン!! という音がするほどの大量の課題を出してきた。

 

………多すぎだろ?

 

「「「………鬼」」」

 

それを見た、穂乃果と星空とニコ先輩がジト目で副会長を見る。

 

副会長は手をワシワシと動かしながら

 

希「あれ?まだワシワシが足りてない子がおる?」

 

そう穂乃果たちに訊いてきた。

 

これに対しバカ3人は、

 

「「「まっさか~…♪」」」

 

と同時に言う。

 

ホントに何があった…?

 

その時、海未が立ち上がり、

 

海「ことり、竜司…。穂乃果の勉強をお願いします…」

 

こ「ヘ……?……うん…」

 

竜「あ……ああ…」

 

そう言って部室を出る。

 

なんかあったのか…?

 

やけに思い詰めてたが……?

 

真「海未先輩、どうしたんですか?」

 

こ「さあ…?」

 

竜「まあ…俺たちは俺たちのやるべき事をやろう。ほら穂乃果。やるぞ…」

 

穂「は~い…」

 

俺は穂乃果の勉強を見る。

 

西木野たちもそれぞれのやるべき事にとりかかる。

 

ふと周りを見ると、副会長がいない。

 

…………どこ行った?

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

しばらくすると部室のドアが勢いよく開き、そこから海未が来た。

 

なんか吹っ切れた顔で穂乃果を呼ぶ。

 

海「穂乃果!!」

 

穂「……海未ちゃん…?」

 

さっきより疲れきった様子で海未に答える穂乃果。

 

まあ、さっきまで俺がペース配分考えずに穂乃果に勉強を叩き込んだからな。

 

ことりが止めるのも聞かずに…。

 

ニコ先輩と星空も似たようなものだ。

 

さっきより疲れ果てている。

 

そんな事にも構わず海未は穂乃果を指さし、

 

「今日から穂乃果の家に……泊まり込みます!!」

 

そう宣言した。

 

それを聞いた穂乃果は驚く。

 

穂「ええっ!?」

 

海「勉強です!!」

 

穂「鬼ぃ~…」

 

涙目になりながら、指をツンツンする穂乃果。

 

なんか分からんが、取り敢えず穂乃果を応援しよう。

 

竜「穂乃果、ファイトだぜ!」

 

穂「えええぇぇぇ!? 竜ちゃん助けてよ!! っていうかそれ私のセリフ!!」

 

竜「知るか…」

 

こうして、海未による地獄の猛特訓が始まった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

それから数日。

 

今日ですべての試験結果が帰ってくる。

 

結果は穂乃果以外は今のところセーフ。

 

後は穂乃果だけだ。

 

そう思ってると、穂乃果が俺たち全員が集まっている部室にくる。

 

真「どうだった?」

 

海「今日で、全教科帰ってきましたよね?」

 

花「…………!」

 

こ「穂乃果ちゃん!!」

 

海未たちがそれぞれの言葉を穂乃果にかける。

 

凛「凛はセーフだったよ!」

 

そう言いながら、星空はピースする。

 

ニコ先輩は席から立ち上がり

 

ニ「あんた!私たちの努力を水の泡にするんじゃないでしょうね!?」

 

穂乃果に食い付き気味に言う。

 

最後に全員で声を揃えて訪ねた。

 

「「「「「「「「「どうなの!?」」」」」」」」

 

それに対し穂乃果は鞄から試験用紙を出しながら、

 

「う……うん…。もうちょっといい点だとよかったんだけど…。じゃーーん!!」

 

ピースして笑う。

 

その点数は53点。

 

赤点ギリギリセーフだった。

 

それを見た全員は喜び、俺は目を細めて、

 

「ゴミみたいだ……」

 

心の声をついつい出してしまった。

 

穂「酷いよ!竜ちゃん!!」

 

竜「あっ…わりぃ…。そういう意味じゃないんだ」

 

語呂合わせ的にな…。

 

それはともかく、穂乃果たちは練習着に着替える。

 

その瞬間、俺たちマネージャー組は一気に外に出る。

 

女子が着替えてる中で平気でいれる程、俺たちは肝が座ってない。

 

穂「よ~し、今日から練習だー!!」

 

花「ラ……ラブライブ!」

 

真「まだ早いわよ。目指せるって決まっただけよ」

 

火「そうだぜ、花陽。俺たちはまだ始まってすらいないんだぜ?」

 

そう言いながら、理事長のところへ走って行く。

 

赤点回避の報告をするためだ。

 

そして着いた瞬間、

 

絵「そんな!説明してください!」

 

切羽詰まった会長の声がした。

 

気になった俺と穂乃果が室内を覗く。

 

「ごめんなさい、でもこれは決定事項なの。音乃木坂学院は来年度より生徒募集をやめ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃校とします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

what?

 

理事長、今なんて?

 

穂「嘘………今の話、本当ですか!?」

 

穂乃果が声をあげながら理事長室に入って行く。

 

絵「あなたたち…」

 

会長が俺たちの入室に驚いていた。

 

中には蒼燕もいた。

 

穂乃果は真っ直ぐに理事長の机の前に立った。

 

「……本当よ」

 

こ「お母さん!そんな話聞いてないよ!!」

 

ことりも理事長に詰め寄った。

 

穂「お願いします!あともうちょっとだけ待ってください!! あと1週間…いえ!あと2日でなんとかしてみせますから!!」

 

穂乃果の必死なお願いを聞いて、理事長が目をパチクリさせていた。

 

それを見た蒼燕が穂乃果を落ち着かせにかかる。

 

「落ち着け高坂!そんなすぐにって訳じゃない」

 

「そうよ高坂さん?廃校にするというのは、オープンキャンパスの結果が悪かったらという話よ?」

 

穂「オープン……キャンパス?」

 

理事長の言葉にピンと来なかった穂乃果は首を傾げた。

 

竜「要するにあれだ…。見学に来てもらった近隣の中学生にアンケートを取ってもらって、結果が芳しくなかったら廃校にするって事だろ?」

 

「そういうことよ」

 

俺が言ったことに異を唱えず、理事長は肯定する。

 

穂「なぁんだ、よかったぁ……」

 

絵「安心している場合じゃないわよ?オープンキャンパスは2週間後の日曜日。そこで結果が悪ければ本決まりなのよ?」

 

成る程、そこで結果を残せなかったら、本当の意味での終わり。

 

穂乃果たちはどうしようと慌てている。

 

穂「竜ちゃん!! 何かいい考え無い!?」

 

こ「キーくん!!」

 

朱「落ち着いて、ことり」

 

竜「そんなすぐに出る訳無いだろ?」

 

絵「理事長!! オープンキャンパスのイベントの内容は、生徒会で決めさせて貰います!」

 

俺たちがそんな事を言っている間に、会長が理事長の真っ正面に立ち、目を見つめながら言った。

 

会長も廃校から守ろうと必死なのだが、どうも俺からすれば、その行動が本心からの行動には思えない。

 

「……止めても聞きそうにないわね」

 

理事長が折れ、会長に許可を出した。

 

絵「ありがとうございます。蒼燕、行くわよ…」

 

蒼「ちょっ…!? 待てよ絵里!」

 

会長は小さくお礼を言ったあと、蒼燕と共に理事長を出る。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 

まさかオープンキャンパスの結果で廃校になるかどうか何て聞かされるなんて思ってもみなかった。

 

あの子たちはホッとしていたけど、オープンキャンパスの話になった途端どうしようと取り乱していた。

 

やはりあの子たちには、生徒を集めることなんて出来やしない。

 

だからこそ、私が何とかしなくちゃいけない…。

 

そんな事を思っていると蒼燕が

 

蒼「なぁ…絵里」

 

絵「何?蒼燕」

 

蒼「お前……今、自分に正直か?」

 

絵「えっ…?」

 

そんな事を訊いてきた。

 

どういうこと?

 

自分に正直か……ですって…?

 

蒼燕が言った言葉が頭から離れてくれない。

 

何を言っているのか意味が分からなかった。

 

私は今『音ノ木坂学院から廃校の危機を守る』ために動いているつもりだし、実際、現に動いている。

 

なのに何故、蒼燕の言葉がこんなにも突き刺さるのだろうか…。

 

見ると、蒼燕は私に悲哀の目を向けてくる。

 

やめて……。

 

どうしてあなたがそんな目を、顔をするの?

 

私はあなたに…蒼燕にそんな顔をしてほしくない!!

 

あなたには……いつも笑顔でいてほしいのに…!

 

希「どうするつもり?」

 

絵「……!希?」

 

そんな考えをしていると、突然声をかけられる。

 

そこには希と茜がいた。

 

希はいつも彼女が持ち歩いているタロットカードのうちの1枚を私に見せた。

 

星の逆位置…。

 

いろんな意味があるけれど、総括するなら『考えすぎ、不安』だったかしら…。

 

そんなの決まっている。

 

絵「私は学校を存続させる」

 

私が音ノ木坂学院を守ってみせる。

 

廃校を阻止してみせる。

 

そう決意し、ふと蒼燕の方を見ると、いつものヤル気のない顔をしていた。

 

さっきの……あの悲しそうな表情は何だったのかしら?

 

 

絵里sideoff

 




どうでしたか?

駆け足すぎたでしょうか?

まあ、そんな事より、次回は絵里加入編。
そしてアグルが本格参戦します。

では…


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やりたいことは#1

やっとここまできたな……。(長い目)


◎side

 

 

穂「なんとかしなくっちゃ!!」

 

そう言った穂乃果であったが、実際穂乃果たちに出来ることは2週間後に控えたオープンキャンパスに向けてベストなパフォーマンスをするための練習をすることぐらいだ。

 

そして、竜司たちは穂乃果たちが円滑に練習出来るためのサポートをするぐらいだ。

 

穂乃果たちは一年生組にこの事を言う。

 

花「そんな…」

 

凛「じゃあ、凛たち下級生がいない高校生活!?」

 

ニ「そうなるわね…」

 

花陽と凛の問いに答えるニコ。

 

真「まっ、私はそっちの方が気楽でいいけど」

 

髪の毛をクルクルしながら言う真姫。

 

穂「とにかく、オープンキャンパスでライブをやろう!それで、入学希望者を少しでも増やすしかないよ!」

 

竜「そうだな…。それしか、今のところ方法が無いしな…」

 

穂乃果の意見に賛同する竜司。

 

一方、生徒会では。

 

絵「これより生徒会は独自に動きます。なんとかして、廃校を食い止めましょう」

 

絵里がそう言うが、少し言いにくそうな生徒会メンバーたち。

 

希「ん?」

 

絵「何か?」

 

「あっ…いえ…」

 

希「言いたい事があったら、言った方がいいよ」

 

茜「今はどんな意見も貴重だからね」

 

希と茜が促す。

 

その言葉で徐々にいい始めるメンバー。

 

「はい…」

 

「あの、これって、この学校の入学希望者を増やすために何をするかの話し合いですよね…?」

 

絵「ええ」

 

「だったら!楽しい事を一杯紹介しませんか!? 学校の歴史や先生が良いっていうのも大事だと思うんですけど、ちょっと今までの生徒会は堅苦しい気がしていて」

 

蒼「それもそうだな」

 

後輩の言葉に絵里をチラ見しながら言う蒼燕。

 

絵「っ………!」

 

それに対し、蒼燕を睨む絵里。

 

しかし蒼燕はどこ吹く風の態度。

 

「例えば、ここの制服って、可愛いって言ってくれる人、多いんですよ!」

 

「それいいね!そういうのアピールしていきましょうよ!」

 

「スクールアイドルも人気あるよね!?」

 

「いいね!うちらの学校にもいるし!」

 

「μ’sだっけ?その子たちに頼んで」

 

「ライブして貰おうよ!」

 

「「「いいね!!」」」

 

そう言って盛り上がった後輩メンバーたちだが、絵里の

 

絵「他には!?」

 

ピシャリとした一言で黙り、「…………他には…?」と口を揃える。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

そして来たのはアルパカ小屋。

 

それを見た絵里は

 

絵「これ………ですか…?」

 

と芳しくない反応。

 

蒼「アルパカね~」

 

蒼燕はあまり興味の無い態度。

 

「はい!他校の生徒にも意外と人気あるんですよ!」

 

絵里はアルパカを見続けるが

 

絵「これでは………」

 

という絵里の却下的な言葉に、茶色のアルパカが唸り、絵里に唾を吐く。

 

蒼「うわぁ~…」

 

「あわあわあわあわあわあわ…」

 

蒼燕は引いて、後輩たちが絵里を懸命にハンカチで拭く。

 

そこへ、アルパカの餌を持ってきた花陽と凛が来る。

 

花「生徒会長……さん?」

 

蒼「おっ…」

 

蒼燕がそれに気づく。

 

絵「あなたたち…」

 

「ああ!? スクールアイドルの!!」

 

花「は…はい」

 

他のメンバーも花陽たちに気づき、声をかける。

 

「今度オープンキャンパスがあるんだけど、よかったら……」

 

絵「待ちなさい!」

 

生徒会の一人が花陽にライブをして貰おうと頼もうとしたが、絵里がそれを止める。

 

絵「まだ何も決まって無いでしょ!?」

 

「………はい」

 

蒼「絵里、落ち着け…」

 

そう言って蒼燕が絵里を止め、この場を去る生徒会たちだった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

今、穂乃果たちはオープンキャンパスに向け練習をしている。

 

海未が手でリズムをとり、穂乃果が声を出してダンスの練習をしているところだ。

 

穂「1、2、3、4、5、6、7、8……よし!」

 

そしてラストの決めポーズが決まり、ガッツポーズをする穂乃果。

 

穂「おー!! みんな完璧ー!!」

 

こ「よかった!これならオープンキャンパスに間に合いそうだね♪」

 

真「……でも、ライブなんてホントに出来るの?」

 

真姫が手で汗を拭きながら聞く。

 

真「生徒会長に止められるんじゃない?」

 

こ「それは大丈夫。部活紹介の時間は必ずあるはずだから」

 

真姫の質問に、ことりが答える。

 

こ「そこで歌を披露すれば……」

 

海「まだです…」

 

しかし海未が遮る。

 

その言葉に穂乃果たちメンバーも、竜司たちマネージャー組も海未の方を向く。

 

海未は俯きながら

 

海「まだタイミングがずれてます……」

 

そう言う。

 

穂「海未ちゃん……。分かった!もう一回やろう!」

 

穂乃果は頷き、もう一度やる。

 

穂「完璧!!」

 

真「そうね」

 

ニ「やっとニコのレベルにみんな追い付いたわね!」

 

真姫が頷き、ニコがはしゃぐが、海未がさっきと同じ表情だった。

 

海「……ダメです、これじゃ」

 

海未の口から告げられたのは、またしてもダメ出しだった。

 

「「「「「「えっ!?」」」」」」

 

凛「うぅ、これ以上上手くやれる気がしないにゃあ……」

 

あまり弱音を吐かない凛が思わず弱音を吐いてしまった。

 

海「ダメです……。それでは全然…」

 

それに対して真姫が海未の所に歩み寄った。

 

真「何が気に入らないのよ!? ハッキリ言いなさいよ!!」

 

氷「真姫……」

 

氷麗が真姫の肩に手を置き、諌める。

 

竜「何がそんなにダメなんだ?教えてくれ…海未」

 

竜司が海未に理由を聞く。

 

海未は言う。

 

海「感動できないんです。今のままじゃ……」

 

穂「海未ちゃん……」

 

その日は結局、解散となった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

その夜、竜司たちはラインの電話機能を使い、話していた。

 

そして海未は絵里が昔バレエをしていた事を語る。

 

そのダンスが、いかに凄かったかを…。

 

それを聞いた穂乃果の意見に

 

「「「「「「「えええ!? 生徒会長に!?」」」」」」」

 

一年生組が驚く。

 

穂乃果は続ける。

 

穂「うん。生徒会長にダンスを教わろうと思うの!海未ちゃんも同じ意見でしょ?」

 

海「はい…」

 

ニ「話があるって、そんな事?」

 

花「でも、生徒会長…私たちの事……」

 

凛「嫌ってるよね~、絶対!」

 

ニ「っていうか…嫉妬してるのよ、嫉妬!」

 

ニコの言葉に盾が

 

盾「俺もさ~、そう思って生徒会長に言ったんだ~。でも、生徒会長のダンスを見たら、なんかね…」

 

そう言う。

 

こ「そんなに凄かったんだ…」

 

盾「うん」

 

真「私は反対!潰されかねないわ!」

 

真姫が反対する。

 

ニ「そうね。3年生ならニコや虎亜で間に合ってるわ」

 

虎「俺も入ってるんだ…一応…」

 

花「生徒会長、ちょっと怖い……」

 

凛「凛も楽しい方がいいなぁ……」

 

海「そうですよね……」

 

口々に反対意見をいうメンバーだが、穂乃果だけは違う事を言う。

 

穂「私はいいと思うけどな……」

 

「「「「えぇっ!?」」」」

 

ニ「何言ってんのよ!?」

 

穂乃果の発言に1年生6人組とニコと虎亜は驚いた。

 

竜「どうしてだ?」

 

竜司は電話の向こうで冷静な、だが楽しそうな声音で問う。

 

穂乃果は至って普通の顔で言い放っていた。

 

穂「だって、ダンスが上手い人が近くにいて、もっと上手くなりたいから教わりたいって話でしょ?」

 

竜「そうだな…」

 

穂乃果の確認の質問に、肯定する竜司。

 

穂「だったら私は賛成!」

 

こ「穂乃果ちゃん…」

 

穂「頼むだけ頼んでみようよ!!」

 

穂乃果が海未の提案を飲んだ。

 

ニ「ちょっ!待ちなさいよっ!!」

 

こ「でも絵里先輩のダンス、ちょっと見てみたいかも……」

 

花「あっ、それは私も!」

 

ニコが異を唱えようとするが、ことりと花陽が穂乃果の意見に賛同した。

 

穂「よし!じゃ、さっそく明日聞いてみよう!竜ちゃんもそれでいい!?」

 

竜「俺は、いつも同じだ。お前の決めたことなら、それでいい…」

 

竜司も賛同し、盾たちも電話の向こうでクスリと笑う。

 

ニ「どうなっても知らないわよ…」

 

 

◎side

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

俺…雨崎蒼燕は、今絵里の部屋でオープンキャンパスの時に絵里が話す音ノ木の説明文を聞いている。

 

しかしまあ……正直言って眠いくらいつまらない。

 

俺の他に、亜里沙やその友達の高坂雪穂ちゃん、あと一人の計3人が聞いている。

 

絵里の説明に亜里沙は不満顔。

 

雪穂に至っては、居眠りをしている。

 

だが、俺は責めない。

 

それが当然だ。

 

それに気づかず絵里は

 

絵「このように、音ノ木坂学院の歴史は古く、この地域の発展にずっと関わってきました。さらに、当時の学院は音楽学校という側面も持っており、学院内はアーティストを目指す生徒に溢れ、非常にクリエイティブな雰囲気に包まれていたと言います」

 

とまあ、長ったらしい文章を長々と言う。

 

その間、雪穂が段々と頭を後ろに傾け、今にも転げ落ちそうだ。

 

………正直、こっちを見てる方が断然面白い。

 

そうやって見続けていた、次の瞬間

 

 

 

雪「わあっ!! 体重増えた!!!!」

 

 

 

そう叫んで起きた……。

 

どんな夢見てたんだ…?

 

雪穂は、今が説明の途中だということに気づき、

 

雪「あっ…………すいません………」

 

顔を赤くしながら謝る。

 

絵「…………ごめんね…。退屈だった?」

 

雪「いーえ、面白かったです!後半凄い引き込まれました!!」

 

席を立ち言うが、無意味だろ…。

 

絵「オープンキャンパス当日までに直すから、遠慮なく言って」

 

絵里がそう言うと、亜里沙が立ち上がり

 

亜「亜里沙はあまり面白くなかったわ…」

 

はっきりと言う。

 

その物言いに、雪穂が「ちょっと!?」って言って驚いている。

 

亜「何でお姉ちゃん…こんな話してるの?」

 

絵「学校を廃校にしたくないからよ…」

 

亜「私も音ノ木坂は無くなってほしくないけど…。でも……」

 

亜里沙は一旦区切り、次に絵里の顔色を変える一言を放つ。

 

亜「これが、お姉ちゃんのやりたいこと?」

 

絵「……………」

 

流石、妹だな…。

 

姉の事をよく分かっている。

 

俺も絵里に、あの時言った問いをもう一度投げかける。

 

蒼「絵里、もう一度聞くぞ。お前は今……自分の心に正直か?」

 

俺がそう聞くと、絵里は顔を俯かせた。

 

……ちょっとやり過ぎたかな…。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

翌日、俺と茜が生徒会室に行くと、竜司や高坂たちがいた。

 

蒼「入るぞ…」

 

茜「同じく」

 

そう言って入る。

 

竜「あぁ…蒼燕と茜か…」

 

蒼「どういう状況?」

 

そう聞くと朱雀が

 

朱「まあ、見てなよ…」

 

そう言うので、隅の方で茜と共に見守る。

 

穂「生徒会長!お願いがあります。私たちにダンスを教えてください!」

 

絵「私に……ダンスを?」

 

穂「はい!お願いします!」

 

6人を代表して高坂が用件を切り出し、頭を下げた。

 

成る程…バレエをやっていた絵里にダンスを教われば、確かにμ’sのパフォーマンスは飛躍的に上昇するだろうな……。

 

そう考えてると、絵里がこっちを見てた。

 

その目は俺に意見を求めているような感じだった。

 

おいおい……。

 

自分に頼まれたことだろ………ったく。

 

蒼「教えてやれよ。それで、お前自身の目で見極めてやれ」

 

そう俺が答えると、絵里は息を一つ吐き言う。

 

絵「……分かりました。あなたたちの活動には理解できませんが、人気があるのは間違いないようですし、引き受けましょう」

 

穂「本当ですか!?」

 

高坂や南は、絵里からダンスを教われることに対して喜びの表情を浮かべる。

 

絵「ただし、引き受けるからには私が許せる水準まで頑張って貰うわよ?」

 

絵里がそう言うと、高坂、南、園田の3人が同時に

 

「はい!!!」

 

と元気よく返事をして、生徒会室から出ていった。

 

希「星が動きだしたみたいやね…」

 

東條がそう呟いていたが、意味が分からんのでスルーする。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 

私は今、屋上で彼女たちμ’sのダンスを見ているところなのだけど……。

 

凛「にゃっ!? うわわわわっ!?」

 

嵐「凛!? 大丈夫か!?」

 

凛「痛いにゃ~…」

 

ダンスを教えている上に当たって、どのくらい踊れるのか見る必要があったので、踊ってもらっている途中で1年生の星空さんって言ったかしら…、オレンジ色のショートカットの子が転んでしまい、そこに茶髪の男子、寺獄くん?が駆け寄る。

 

何よこれ…、全く基礎ができてないじゃない。

 

絵「全然ダメじゃない……!よくここまで来れたわね!!」

 

凛「昨日はできてたのにー!」

 

昨日はできたのに今日はできない。

 

そんなものは勝負の世界では通用しない。

 

そう、蒼燕が言っていたわ。

 

私も、その考えには賛同ね……。

 

絵「基礎ができてないからムラが出るのよ。足を開いてみて?」

 

凛「こう?」

 

星空さんが座って開脚の姿勢をとったのを確認した私は、星空さんの背中を押した。

 

凛「うぎっ!? 痛いにゃー!!!!」

 

星空さんは恐ろしいくらい身体が固かった。

 

それを見ていた地白くんたちマネージャーの男子たちが引いていたが、そんな事は関係ない。

 

絵「これで?少なくともお腹が床につくくらいじゃないと話にならないわよ」

 

凛「えぇー!?」

 

絵「ダンスは一旦中断。みんなの柔軟性を見せて!!」

 

それぞれがダンスを中断し、屋上の床に座って柔軟体操を始めた。

 

みんな比較的に身体が固い。

 

合格ラインを上回っているのは…、

 

こ「ほっ」

 

穂「ことりちゃんすごーい!!」

 

こ「えへへ…。家で毎日お風呂上がりにやってるんだ~」

 

照れくさそうに笑っている南さんくらいね。

 

高坂さんは南さんを見て、感心していたがそんな場合ではない。

 

絵「感心してる場合じゃないわよ。ダンスで人を惹き付けたいのでしょう?」

 

人によっては意地悪を言ってるように聞こえるかもしれない。

 

でも、学校を救うということを知るためにはこのくらいでないと伝わらない。

 

絵「残り10分!!」

 

筋力トレーニングを挟み、片足平行立ちをやらせる。

 

最初こそよかったものの今はみんなが苦しそうな表情を浮かべていて 、みんなの足が笑っている。

 

花「あっ!?」

 

すると1年生の一人、小泉さんがバランスを崩し、倒れた。

 

凛「かよちん!!」

 

火「花陽!? 大丈夫か!?」

 

小泉さんに、星空さんと顔に大きな傷のある男子、火神くんが駆け寄る。

 

……もうこれで分かったはずよ。

 

絵「もういいわ。……今日はここまでよ」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

あなたたちでは人を惹き付けることはできない。

 

音ノ木坂は救えない。

 

火「おい、あんた…!!」

 

ニ「ちょっと!」

 

真「いくら何でも、そんな言い方は無いんじゃない!?」

 

絵「私は冷静に判断しただけよ」

 

火神くんや西木野さん、矢澤さんが文句を言ってくるが、一言だけ言い私は戻ろうとする。

 

何故、蒼燕が彼女たちに期待してたのか見極めようとしたけど……時間の無駄みたいだったわね。

 

穂「待ってください!!」

 

ドアに手をかけたところで高坂さんが私を呼び止める。

 

恨み言を言われるのかと思い、後ろを振り返るとアイドル研究部のメンバーはアイドル側が前に、マネージャー組が後ろの2列に並んでいて…

 

穂「ありがとうございました!! 明日もよろしくお願いします!!」

 

「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」

 

私に向かって一礼をした。

 

だけど、私にはメンバーの人に何の言葉も言えなかった。

 




次回に持ち越します。


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やりたいことは#2


ゆっくりしていってね♪



私は今日も屋上へ行く。

 

でもなかなかドアを開ける事が出来なかった…。

 

何故だか分からないが、日が経つにつれてこのドアを開けるのに躊躇いを感じてしまう。

 

真「覗き見ですか?」

 

後ろから西木野さんと氷川くんがやって来た。

 

絵「あっ……いえ……」

 

凛「あぁーー!!」

 

私が躊躇っていると、星空さんたちにも見つかってしまった。

 

凛「そんなところにいないで早く行っくにゃー!!」

 

星空さんが有無を言わさずに私の背中を押した。

 

凛「にゃんにゃにゃんにゃにゃーん♪」

 

絵「あっ!? ちょっと!!」

 

押し込まれるように入った屋上では、メンバーが歓談しながらウォーミングアップをしていた。

 

竜「あ…生徒会長…」

 

穂「おはようございます!」

 

こ「まずは柔軟ですよね?」

 

天青くんが私に気づき、高坂さんが私に挨拶をし、南さんが練習内容の確認を取ろうと私に聞いてきた。

 

絵「……辛くないの?」

 

「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

私が溢した呟きに全員が反応した。

 

絵「昨日あんなにやって、今日もまた同じ事をするのよ…。第一、上手くなるかどうかも分からないのに…。どうして?」

 

穂「やりたいからです!!」

 

高坂さんは間髪を入れずそう答えた。

 

絵「…………っ」

 

答えた彼女の目は一点の曇りもなく、澄んでいた。

 

穂「確かに練習は凄くキツいです。竜ちゃんがマッサージしてくれても身体中痛いです!! でも廃校を阻止したい、音ノ木坂学院を救いたいという思いは生徒会長にも負けません!! だから、今日もよろしくお願いします!!」

 

「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」」」

 

高坂さんが言うと、他のメンバーも私に頼んでくる。

 

亜『私ね、μ'sのライブを見てると胸がカーッて熱くなるの!一生懸命で、目一杯楽しそうで!』

 

亜『そりゃ…お姉ちゃんに比べると、そうだけど……でも、すごく元気がもらえるんだ!!』

 

あぁ、亜里沙が言っていた意味がやっと分かった。

 

何故彼女たちがここまで人気があるのか…。

 

何故、蒼燕が期待しているのか…。

 

その真っ直ぐな気持ちに私は何も言えず、屋上を黙って出た。

 

 

絵里sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

蒼「でさ~」

 

希「学校を存続させようって言うのも、生徒会長としての義務感やろ!? だから理事長も、えりちの事認めなかったんと違う!?」

 

茜と歩いてると、突然東條の大きな声が聞こえた。

 

何事かと思い、咄嗟に茜と共に角に隠れる。

 

見ると東條が、こちらに背を向けて絵里に何かを言っている。

 

悪いと思いつつ聞く耳を立てると…

 

希「エリチの、エリチの本当にやりたいことは?」

 

東條がそう絵里に聞いていた。

 

東條も絵里が義務感で学校を守ろうとしてたのに気づいてたんだな。

 

絵「なによ………。なんとかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!!」

 

本心をつかれたのか、今まで黙っていたと思われる絵里が東條に怒鳴る。

 

絵「私だって!好きなことだけやって、それだけでなんとかなるならそうしたいわよ!自分が不器用なのはわかってる。でも!私が今更アイドルを始めようなんて、言えると思う?」

 

絵里は涙を流していた。

 

すると絵里は東條に背を向けて、走り出してしまった。

 

希「エリチっ!!!!」

 

東條の制止の声を振り払うように、走り去ってゆく。

 

あれが絵里の本音か……。

 

成る程……大体分かった。

 

俺と茜は角から出て、東條に声をかける。

 

蒼「東條…」

 

希「雨崎くん…。茜くん」

 

振り向いた東條は、悲しげな顔になっていた。

 

希「ごめんね……。ウチじゃ、エリチを説得出来なかった…。逆に…」

 

その先を言おうとした東條の肩に手を置き、無理矢理止める。

 

だってお前のやったことは無駄じゃないから。

 

蒼「そんな事はない。少なくともお前は絵里の心の鎖を引きちぎって、扉をこじ開けた。だから、後は俺に任せてくれないか?」

 

そう聞くと東條は頷く。

 

蒼「よし!じゃあ、行ってくるか。茜!」

 

茜「分かってる。希、俺達は俺達のやるべき事をしよう」

 

希「やるべき事?」

 

茜「ああ…。高坂たちを絢瀬の元に連れてくる。それが俺達のやるべき事。じゃあ雨崎……それまでに」

 

蒼「分かってる」

 

俺が絵里を素直にさせる。

 

そして俺は絵里の元へ、茜と東條は竜司たちの元に行った。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

蒼「おっ、いたいた」

 

さっそく空き教室で絵里を見つけ、近づく。

 

絵里は席に座り、頬杖をつきながら外を見ている。

 

蒼「なーに黄昏てんだ?」

 

絵「蒼燕……」

 

俺が話しかけると、絵里はこちらを振り向く。

 

絵「何故、蒼燕があの子達に期待してたのか、よく分かったわ」

 

蒼「ほー、というと?」

 

絵「あの子達は好きでスクールアイドルをやっている…。だからこそ、あんなに人気があるんだって分かったわ…。同時に……蒼燕が期待している事にも」

 

蒼「そうか…」

 

絵里はそう言うと、俯く。

 

蒼「なあ、絵里。何で理事長が高坂たちの活動は許し、絵里の活動は許してくれなかったか、今のお前なら分かるだろ?」

 

高坂たちの心に触れ、東條の言葉に気づかされた、今の絵里なら分かるはずだ。

 

そう思い俺は訊ねる。

 

絵「私が……生徒会長としての義務感でやってたから?」

 

蒼「そうだ。ならもう一度聞くぞ…絵里。今のお前は、自分の心に正直か?そして、今のお前は何がしたい?」

 

俺は二度聞いた質問に付け加え、新たに今の絵里が何をしたいかを聞く。

 

すると絵里は途切れながらも答えた。

 

「私は……今の私は……スクールアイドルをやりたい……。あの子達と一緒にアイドルを………やりたい」

 

蒼「なら……」

 

絵「でも!」

 

俺がやればと言おうとしたら、絵里が遮る。

 

絵「私、生徒会長なのよ?学校の責任は……」

 

蒼「んなもん、理事長にあると思うぜ?生徒会長はあくまで生徒の代表。だから絵里まで責任を感じることはない」

 

絵「生徒会と部活動、両立できるかしら……?」

 

蒼「そのために俺や茜、東條がいるんだろうが…」

 

絵「今さらアイドルやりたい、仲間に入れてくださいって言ったら、あの子たち怒るかしら……?」

 

蒼「あいつらはそんなに心は狭くない。だってほら…」

 

そう言って、教室の入口を指さす。

 

そこには高坂たちがいた。

 

高坂たちμ’sのメンバーはこっちにやって来る。

 

竜司たちマネージャー組は、教室の外で待機。

 

空気を読んでくれたのだろう。

 

高坂が絵里の前に来て、手を差し出す。

 

もう大丈夫だな。

 

俺はそう思い、教室を出ていった。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 

蒼燕が指さした方には、高坂さんたちμ’sのメンバーがいた。

 

そして高坂さんが私に手を差し出し、

 

穂「生徒会長…いえ、絵里先輩!μ’sに入ってくれませんか!?」

 

そう言ってきた。

 

それに対し私は、

 

絵「あの………今までごめんなさい!! あなたたちにキツイ態度ばかり取ってきて…。こんな私でよければ、入れてくれないかしら?」

 

席を立ち、彼女たちに謝る。

 

穂「はい!! こちらこそ、よろしくお願いします!!」

 

それに対し高坂さんはそう言って、許してくれた。

 

こ「これで8人だね♪」

 

希「いや…9人や……。ウチを入れてな…」

 

南さんが喜ぶが、希が自分を入れて数え直す。

 

穂「えっ?希先輩が?」

 

希「占いに出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって。だから付けたん。9人の歌の女神……μ’sって…」

 

「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」

 

希の言葉にみんなが驚く。

 

穂「じ、じゃあ、あの名前付けてくれたのって希先輩だったんですか!?」

 

高坂さんの問いに、希は「ウフフ」と笑う。

 

絵「希……全く、呆れるわ…」

 

そう言っても、私の顔は自分でも分かるくらい笑っていた。

 

そして私はみんなの横を通りすぎる。

 

海「どこへ…?」

 

園田さんの質問に私は笑顔で答える。

 

絵「決まってるでしょ!練習よ!」

 

それに高坂さんたちも笑顔で喜んだ。

 

「「「「「「「「やったぁー!!」」」」」」」」

 

地白くんや天青くんたちマネージャー組のみんなも、静かに笑っていた。

 

そんな時、遠くの方でズドン!! という何かが落ちる音がした。

 

希たちは慌てて外を見る。

 

私も窓際に駆け寄ってみると、そこには昨日の金属の怪物が立っていた。

 

絵「そんな!?………あの怪物はあの時に青いウルトラマンが倒したのに!?」

 

私は驚いていた。

 

隣の園田さんも同じ表情だ。

 

 

 

 

「ギュウイィィィィィィィン!!」

 

 

 

怪物は、金属が擦り合うような鳴き声をあげる。

 

希「金属生命体……アルギュロス…」

 

希が忌々しそうに言う。

 

そうしてる間にも、金属の怪物……アルギュロスは、右腕を銃のような形に変えて、私たちの方に向かって撃ってきた。

 

絵「みんな逃げて!!」

 

私はそう叫んだが、もうアルギュロスの撃ってきた光弾はすぐそこまで来ていた…。

 

あっ……もう、ダメ…。

 

私がそう諦めた時、突然青い光が現れ、光弾を弾いた。

 

 

絵里sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

俺は高坂たちが絵里のところへ来たのを確認すると、黙って教室を出るが、実は入口の陰で立ち聞きしていた。

 

結果は、絵里が加入するということで万々歳のはずだったんだが…。

 

突然現れた、この前の金属の怪物がやって来たことでその雰囲気がブチ壊される。

 

俺は隣の空き教室に入り、金属の怪物アルギュロスを見る。

 

蒼「行くぞ…アグル…」

 

俺は右手首に着けたブレスレット型の変身アイテム『アグレイター』を展開する。

 

俺はそのまま腕を立てると、アグレイターが回転して俺を青い光で包み、外へ出る。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

(BGM:アグル降臨)

 

絵里たちの前に現れた青い光は徐々に消え、代わりにそこから現れたのは、前にティガを救い、絵里たちを助けた青い巨人『ウルトラマンアグル』がいた。

 

絵「あの時の………ウルトラマン…」

 

絵里や他のメンバーはアグルの神々しさに呆然となっていた。

 

だが穂乃果だけは大きく喜んでいた。

 

「アグルだ……アグルが来てくれた!! しかもV2だよ!? 格好いい!」

 

竜「ガイアが現れたから、もしかしてとは思っていたが……」

 

竜司は表情は変わらずダルそうだが、内心は凄く驚いている。

 

アグルは片膝立ちで両腕を立てた、お馴染みのポーズをしていた。

 

そしてアグルは顔を穂乃果たちの方へ向ける。

 

穂乃果たちを……正確には絵里を見ていた。

 

絵里は首を傾げていたが……。

 

その後、ゆっくりと立ち上がり、アルギュロスの方へ体を向けて、右腕を真っ直ぐアルギュロスの方へ向ける。

 

そして青い光弾『アグルスラッシュ』を放つ。

 

「ギュウイィィィィィン!?」

 

アグルスラッシュはアルギュロスに当たり吹き飛ばす。

 

それを見たアグルは手でかかってこいという挑発をする。

 

それにアルギュロスはまんまと乗り、右腕を強く振るった後、アグルに向かって駆け出す。

 

アグルも同じく駆け出す。

 

(BGM:アグルの戦い)

 

アグルとアルギュロスは互いに接近し、素早い攻撃を繰り出す。

 

アルギュロスの左パンチを、アグルが左腕で弾き、アグルの右回し蹴りを、アルギュロスはしゃがんで避ける。

 

アルギュロスの右蹴りに、アグルも右蹴りで合わせる。

 

アルギュロスは今度は左の蹴りを繰り出すが、アグルも左蹴りで防ぐ。

 

アグルは右の裏拳を繰り出すが、

 

「ディア!!」

 

それをアルギュロスはしゃがんで避ける。

 

アグルは続いて右蹴り、

 

「オワッ!!」

 

そこからの左蹴り、

 

「オワッ!!」

 

最後に右裏拳を繰り出すが、

 

「ディア!!」

 

アルギュロスはそれら全てを腕を使って防ぐ。

 

そしてそのまま腕を互いに押し合い膠着状態に入るが、突然アルギュロスに変化が起きる。

 

アルギュロスの体が目の色が赤意外、アグルV2そっくりに化けたのだ。

 

そして口をニヤリと笑わせる。

 

「フッフッフッフッ…」

 

その現象にアグルは驚き、その隙を突かれ、右パンチを顔に食らう。

 

「オワァァァ!!」

 

絵里たちもアルギュロスの変化に驚く。

 

絵「嘘でしょ!?」

 

花「ソックリニバケチャッタノォ!?」

 

希「あれがアルギュロスの厄介な能力なんや…」

 

穂「希先輩…凄く詳しいですね…」

 

希「ウチ、ウルトラファンなんよ♪」

 

ニ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!! アグルは勝てるの!?」

 

ニコが焦り気味に訊くと虎亜が、

 

「大丈夫だ。アグルなら勝てる」

 

そう言って、ニコを落ち着かせる。

 

一方、アグルの方は防戦一方だった。

 

アルギュロスの右、左のパンチに交互に合わせて防ぐアグルだが、左パンチを腹に食らう。

 

「オワァァァ!!」

 

さらにアルギュロスは右蹴りを決め、左蹴りでアグルを吹き飛ばす。

 

「ウオワァァァァァ!!」

 

背中から倒れるアグル。

 

そこへアルギュロスが、アグルの技『リキデイター』を放つ。

 

立ち上がったアグルに次々と当たり、爆発する。

 

「ウオワァァァァ!!」

 

絵「アグルゥゥ!?」

 

思わず絵里は窓から身を乗り出し叫ぶ。

 

「ギュウイィィィィィン!!」

 

アルギュロスはガッツポーズをしながら雄叫びを上げるが、すぐにその顔が驚愕に変わる。

 

煙が晴れたそこには、無傷で悠々と立っているアグルがいたから。

 

しかも手でクイクイと挑発までしてる。

 

これにはアルギュロスも悔しがり、すぐに手を頭のところでクロスさせて、右腕は上に、左腕は下に拡げる。

 

アグルも同じく頭のクリスタル…ブライトスポットで両腕をクロスさせて、右腕は上に、左腕は下に拡げる。

 

「オワァァァァ………ディアァァァァ!!」

 

「ギュウイィィィィィン!!」

 

そして、両者同時に頭からの必殺技『フォトンクラッシャー』を撃つ。

 

互いのフォトンクラッシャーが激突した瞬間、物凄い勢いでアグルのフォトンクラッシャーがアルギュロスのフォトンクラッシャーを押し返し、アルギュロスに直撃。

 

木っ端微塵に爆発させる。

 

「「「「「やったぁー!!」」」」」

 

それを見た穂乃果たちは喜び、アグルも胸の水晶『ライフゲージ』を光らせ消えた。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

アルギュロスの一件から数日。

 

俺と茜は、絵里と東條に半ば強引にマネージャーにさせられ、μ’sの練習に付き合った。

 

そして今はオープンキャンパス当日。

 

アイドルの衣装に着替え、『9人』になったμ’sがグラウンドに立てたステージの上にいる。

 

穂「皆さん、こんにちは!私たちは音ノ木坂学院のスクールアイドル…μ’sです!! 私たちは、この音ノ木坂学院が大好きです!この学校だから、このメンバーと出会い、9人が揃ったんだと思います!そして、私たちを支えてくれる人が同じく9人も揃いました!これからやる曲は、私たちが9人…いえ、18人になって出来た曲です!!」

 

高坂が、それなりに来ている来賓に説明している。

 

俺たちマネージャーは隅の方で見守る。

 

穂「私たちのスタートの曲です!!」

 

そう高坂が締め括ると、メンバー全員で曲名を言う。

 

『聞いてください。「僕らのLIVE 君とのLIFE」!!』

 

 

 

 

(♪:僕らのLIVE 君とのLIFE)

 

 

 

 

絵里たちが歌い、踊っている間、黙って聞き続ける。

 

そしてライブが終わった後には来賓から盛大な拍手を貰った。

 

結果は火を見るより明らかだ。

 

成功を通り越し、大成功だ。

 

絵里たちは肩で息をしているが、その顔は全員満ち足りた表情だ。

 

蒼「よかったな。絵里」

 

俺は静かに呟く。

 

その時、アグレイターが一瞬だけ光ったような気がした。

 

 

蒼燕sideoff

 

 




9人の女神揃い編がやっと終わりました。

次は、ワンダーゾーン…いわゆる、ことり編ですが、何のウルトラマンが出るかは、大体察しがつくと思います。

後、蒼燕とアグルの出会いが書かれていませんが、それは番外編で書こうと思います。


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ワンダーゾーン#1



ここをリメイクするに当たっての注意事項です。

5パートに分けることになるかもです。



竜司side

 

 

翌日の放課後だった。

 

オープンキャンパスが終わった翌週の月曜日。

 

退屈な授業が終わり、今日はμ'sの練習があるからそのまま部室へ行こうとした時、

 

穂「竜ちゃーん!!」

 

竜「あァ?ぐっ……何しやがンだ穂乃果ァ」

 

後ろから穂乃果が飛びついてきた。

 

痛いし重いしそして柔らかい。

 

ヤベェよヤベェよ!!

 

興奮するじゃねェかァ!!

 

穂「まあまあ!海未ちゃんとことりちゃん達とも合流して、部室に行ってからのお楽しみだよー!」

 

竜「だったら退きやがれ」

 

後、周りの視線が痛い。

 

何だか「またあの2人か~」とか「いつもの光景だね~」とか聞こえるのは気のせいだろうか。

 

穂「あっ!2人共いたっ」

 

俺の文句を気にしない穂乃果は、海未とことりを見つけたらしく、俺から離れて2人の元へ駆けていく。

 

タイミングが良いのか、側には盾や朱雀もいた。

 

穂「ことりちゃーん!海未ちゃーん!」

 

穂乃果は2人の肩を抱きながらくっつく。

 

穂「すっごいよー!ビッグニュース!!」

 

いいから早くそのビッグニュースってのを言えや。

 

大体の予想はできてるけどよォ。

 

竜「いいからとっとと部室に向かうぞ」

 

穂「うわわわ、分かったから押さないでよ竜ちゃん~!」

 

穂乃果の背中を押しながら、俺は残りの四人と共に部室に向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

花「オープンキャンパスのアンケートの結果、廃校の決定はもう少し様子を見てからとなったそうです!」

 

部室に花陽の明るい声が響き渡る。

 

海「それって……!」

 

こ「見に来てくれた子達が興味を持ってくれたって事だよね!」

 

穂「うん!……でも、それだけじゃないんだよ~!」

 

盾「そうなの?」

 

廃校延期は予想してたけど、他に何かあるとは思ってなかった。

 

何やら穂乃果がニマニマしながら部室の奥の方の扉へ歩いて行く。

 

穂「じゃじゃーん!部室が広くなりましたー!!」

 

竜「ほォー……ホントに広いな…」

 

俺はその広さに感心する。

 

雨の日とかの練習には丁度いいんじゃないか?

 

俺がそんな事を考えていると、

 

絵「安心するのは早いわよ」

 

蒼「そうだぜ」

 

絢瀬先輩と蒼燕がやって来た。

 

穂「あ、絵里先輩、蒼燕先輩…」

 

絵「生徒がたくさん入ってこない限り、廃校の可能性はまだあるんだから頑張らないと」

 

蒼「確かにオープンキャンパスは上手く成功したが、それはあくまで廃校を延期するという意味でだ。生徒が入って来なければ廃校の確率はまた上がる事になるぞ?」

 

言われてみればそうだな。

 

ちなみに、絢瀬先輩と東條先輩の二人がμ'sに入った時に、二人から役職呼びをやめてほしいと言われ、この呼び方に変えた。

 

そう思っていると、突然海未が泣き始めた。

 

一体どうした?

 

海「……ひっく。ぐすっ」

 

盾「海未、どうしたの?」

 

盾が若干慌てながら訊ねる。

 

すると海未は絢瀬先輩と蒼燕に顔を近づけながら言う。

 

「嬉しいです!やっとまともな事を言ってくれる人達が入ってくれました!!」

 

絵「えぇ!?」

 

蒼「そんなに酷かったのか?」

 

あー、絢瀬先輩どうしていいか分からないぐらい戸惑ってるし、蒼燕は引いていた。

 

悪かったな……まともじゃなくて…。

 

これには星空や嵐助も同じ意見みたいで愚痴を溢す。

 

凛「それじゃ凛達がまともじゃないみたいだけどー」

 

嵐「園田先輩から見れば、俺たちはまともじゃないんだろ……」

 

まァ、グループ全体で見ても絢瀬先輩と蒼燕がまともなのは明白だわな。

 

希「ほな、練習始めよか」

 

東條先輩がそう言った時、

 

こ「あ、ごめんなさい。私ちょっとこれから用事が……。今日はこれで!」

 

ことりはそれだけ言うと帰ってしまった。

 

穂「どうしたんだろ?ことりちゃん、最近早く帰るよねー?」

 

海「ええ、オープンキャンパスも終わって、今までずっと練習ばかりしていましたから。何か用事が溜まっていたりしてたのかもしれませんね」

 

すると朱雀が不機嫌そうに呟いた。

 

「気に入らない…」

 

「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

穂乃果たちはこれに首を傾げる。

 

朱「ことりが僕に隠し事をしているのが、気に入らない」

 

出たよ……朱雀のことりにのみ発揮される過保護属性。

 

絵「そんな……ことりにだって、秘密の1つや2つはあるでしょ?」

 

絢瀬先輩がそう言うと朱雀は、キッと睨んで、

 

「あなたには分からないよ…」

 

突き放すように言う。

 

絢瀬先輩はムッとするが、それを蒼燕がフォローする。

 

「朱雀はああ見えて独占欲が強いんだ」

 

海未も絢瀬先輩に言う。

 

「特にことりに関しては過保護って言えるくらいですから……」

 

そんな時に小泉が爆弾発言をする。

 

「ことり先輩…彼氏でも出来たんじゃ…」

 

その発言に朱雀は、人を射殺すような目で小泉を睨みながら言う。

 

「縁起でも無いこと言わないで。そんなヤツがいたら全力で噛み殺せる自信があるね」

 

花「ひっ!? ご、ごめんなさい!!」

 

睨まれた小泉はイクスの背中に隠れる。

 

あれはまァ、仕方ないわな。

 

気弱な小泉からしたら怖いわな。

 

イクスはそんな小泉の頭を「よしよし」と撫でながら、

 

「おい朱雀。花陽を泣かせてんじゃねぇぞ……かっ消すぞ?」

 

これまた射殺すような目で朱雀を睨みながら、ドスの効いた声で言う。

 

朱「やれるものならやってみなよ…」

 

朱雀も朱雀でトンファーを出して殺る気満々の様子。

 

たちまちその場は緊迫した空気になる。

 

穂乃果と海未、星空と小泉は怯え、絢瀬先輩と東條先輩はガタガタ震えながら冷や汗をかいている。

 

俺と盾と嵐助と蒼燕は、とばっちりを受けたくないのでスルーしながら見守る。

 

さっき来たばかりの西木野とニコ先輩、氷麗と虎亜は本能的にドアを閉めて外へ出る。

 

待てや!!

 

ここでウルトラマンがテレパシーで俺に言う。

 

『竜司!彼らを止めるんだ!さっきからエースも朱雀にやめるよう言ってるんだが、聞かないみたいなんだ』

 

やだよめんどくせェ…。

 

それに下手に関われば死ぬって。

 

『何を言ってるんだ!彼らは君の友人で、同じウルトラマンなんだぞ!第一、怪獣と戦っているぐらいなのにこの程度で怯えてどうする!?』

 

怪獣と一緒にするな!!

 

あれより怖いんだぞ!!

 

俺が断固拒否していると、今まで静観していた茜が止めに入る。

 

「お前たち、そろそろやめろ。こんな所でムダな争いはするな」

 

しかし朱雀とイクスは聞かず、逆に茜に矛先を向ける。

 

朱「緋村茜は黙っててくれない?噛み殺すよ?」

 

火「俺は今、機嫌が悪いんだ。関係無いヤツはスッこんでろ!!」

 

二人がそう言ったその瞬間、茜の雰囲気が変わる。

 

茜「これ以上続けるようなら、『僕』もそれ相応の態度を取らなければならない……」

 

そう言った茜の手には、いつの間にか鋏が握られていた。

 

雰囲気もいつもの穏やかな茜から一変して、無慈悲で冷酷なオーラが感じ取れる。

 

それを真正面から向けられたイクスと朱雀は、一気に殺気が引っ込む。

 

その顔からは冷や汗が垂れていた。

 

そういや初対面の時も、こんな茜を見たことがあったな。

 

一体どっちが本当の茜なンだ?

 

希「茜……くん?」

 

ふと、恐る恐る東條先輩が呟く。

 

多分東條先輩もこんな茜を見るのは初めてなのだろう。

 

茜はすぐに雰囲気をいつもの穏やかな雰囲気に戻す。

 

茜「さあ…早く練習するよ」

 

その一言で、俺たちマネージャー組は先に屋上に行き、穂乃果たちは練習着に着替えて来た。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

穂「ふわぁ~あ、50位!? なにこれ!? 凄い!!」

 

屋上での練習の休憩中、穂乃果がノーパソの画面を見ながら興奮したように叫ぶ。

 

どうやらランキングのランクが上がったようだ。

 

花「夢みたいです!!」

 

穂「20位に大分近づきました!!」

 

絵「凄いわね」

 

海「絵里先輩が加わったことで、女性ファンもついたみたいです!」

 

絵「えっ?」

 

穂「確かに…」

 

穂乃果は絢瀬先輩の頭から、つま先までを見ながらうっとりする。

 

「背も高いし、足も長いし、美人だし、何より大人っぽい!流石、三年生!!」

 

絵「やめてよ…///」

 

穂乃果に褒められ、照れる絢瀬先輩。

 

にしても女性ファンもついたのか。

 

まあ絢瀬先輩くらいの容姿なら男子だけじゃなく女子のファンもつくか。

 

世に言う、同性からも憧れの的として見られる理想的な女の子なのだろう。

 

蒼「そりゃ、絵里くらいの美人になると女の子のファンも増えるだろ?」

 

絵「ちょ、蒼燕まで何言ってるのよ……」

 

蒼「事実だろ?実際お前は“超絶”綺麗で可愛いんだ。スタイルも抜群だしな」

 

絵「も、もう!////」

 

公然と、俺達の前でいちゃつく2人。

 

多分、爆発しろと思ったのは俺だけじゃない筈。

 

不意に、俺と穂乃果の視線はニコ先輩に向く。

 

この人はまァ……アレだな。

 

ニ「ん?………何?」

 

穂「ああ……いえ…何でも」

 

ニ「フン!!」

 

コメントしづらいわな…。

 

虎亜は口を押さえて笑ってるし…。

 

希「でも、おっちょこちょいな所もあるんよ♪この前なんて、玩具のチョコレートを本物と思って食べそうになったり…」

 

何それ、その瞬間チョー見たい…。

 

絵「希!」

 

絢瀬先輩が止めるが、蒼燕がスマホをこちらに向けて見せてくる。

 

蒼「これが丁度録れたその瞬間」

 

絵「蒼燕やめてーー!!」

 

しかし絢瀬先輩が蒼燕からスマホを取ったので、見ることは叶わなかった。

 

蒼燕は多分アレだな……絢瀬先輩の恥ずかしがる顔が見たいだけなンだろうな。

 

さっきの称賛もそれだろう。

 

穂「でも、ホントに綺麗!よし、ダイエットだ!!」

 

凛「聞き飽きたにゃ~」

 

穂乃果のダイエット宣言に星空がげんなりしながら言う。

 

確かに何かと言ってるからな。

 

俺も正直うんざりだ。

 

一時期、ダイエットに協力してやった時があったが、物の見事にすぐに辞めたからな…。

 

あれには殺意が沸いてキレそうになった。

 

そこへ校舎の中からヒフミトリオが話かけてくる。

 

「オーイ、穂乃果ー!」

 

穂「ん?」

 

穂乃果と星空と海未が、何事かと思い柵越しに教室を見る。

 

「頑張ってね~!」

 

「ファイト~!」

 

「応援してるからね~!」

 

見るとヒフミトリオが、教室から手を振りながら応援の言葉をくれていた。

 

あの三人…見るの久し振りだな…。

 

穂乃果は手を振りながら「ありがとー!!」と返す。

 

絵「知り合い?」

 

穂「はい!! ファーストライブの時から、応援してくれてるんです」

 

ホントにあいつらには助けられた。

 

ファーストライブの時だってそうだ。

 

本当にあいつらには感謝しないといけない。

 

いつも裏方を手伝ってくれてるからな。

 

真「でも、ここからが大変よ」

 

西木野が突然そんな事を言うので、全員西木野の方に向く。

 

真「上に行けば行くほど、ファンも沢山いる」

 

穂「そうだよね~……20位か~…」

 

茜「それならば、何か思いきった方法を取るのが一番だな」

 

思い切った手。

 

それが何なのか思案する。

 

パフォーマンス?

 

場所か?

 

どれも必要そうだな。

 

印象に残って、且つファンも増やせそうなアイデア。

 

それを思案していると、唐突にニコ先輩が言う。

 

「その前にしなきゃいけない事があるんじゃない…?」

 

「「「「「「ん?」」」」」」

 

ニコ先輩の言葉に全員首を傾げる。

 

しなきゃいけない事…?

 

 

 

 



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ワンダーゾーン#2


今回は地文以外にもキャラの台詞を変えたり、追加したりしてます。



現在秋葉原の通りに、サングラスにマスク、この暑い中でコートとマフラーをした集団がいる。

 

実はこれ穂乃果たちだ。

 

ニコ先輩のしなきゃいけない事とは街中での変装であった…。

 

だがこれでは逆に目立ちまくる。

 

正直あまり側にいたくないし、何だか泣けてくる。

 

すると虎亜が手を叩き、穂乃果たちを向かせる。

 

虎「はい注目!ニコの考えた変装が『暑い』『逆に目立つ』『バカバカしい』の一つでも思ったヤツは遠慮無く脱いでいいからな!」

 

虎亜の言葉で、ニコ先輩以外全員すぐに脱いだ。

 

躊躇ねェな。

 

まァ、俺が逆の立場でも即脱ぐがな。

 

ニ「ちょっと!? 何で脱ぐのよ!?」

 

ニコ先輩が抗議するが、虎亜がニコ先輩に近づき言う。

 

「いいかニコ。この変装では一般人に紛れる所か、逆に目立つ。最悪、不審者として警察に通報されても可笑しくないレベルだ」

 

「ぐっ…!」

 

虎亜の説明に詰まるニコ先輩。

 

ぐぅの音も出ないとはこの事だな。

 

虎「それに変装するなら、髪型を変えるとか、ウィッグを被るとか、そういうちょっとの小細工で意外とバレないもんなんだぜ」

 

ニ「…………」

 

虎亜の懇切丁寧なアドバイスで、ニコ先輩も不審者コーデを辞める。

 

そんな時だ。

 

凛「凄いにゃぁぁ!!」

 

遠くの方から星空の声がした。

 

いつの間にか勝手に移動して店の中に行ってたみたいだ。

 

ホント猫みたく自由だな。

 

周りを見てみれば小泉とイクスと嵐助もいないし、おそらく星空と一緒にいるとは思うが。

 

とりあえずイクス達の方へと向かうと、そこにあったのは色々なアイドルのグッズだった。

 

花「うわああぁぁぁぁぁぁ!! …うわあああふわぁぁぁぁ!!」

 

小泉があまりの喜びように凄い声を出している。

 

凛「かよちん!これA-RISEの!?」

 

A-RISEのグッズか。

 

つーか、よくよく見れば周りのグッズの全てがテレビに出ているアイドルとかのグッズではなく、スクールアイドル限定のグッズだという事に気付いた。

 

差し詰、スクールアイドルの専門店ってところかァ?

 

穂「何ここ?」

 

そういうことに疎い穂乃果が疑問を発すると、ニコ先輩が食い付き気味に説明する。

 

「近くに住んでるのに知らないの!? 最近オープンしたスクールアイドルの専門ショップよ!」

 

なァンでそンな物が出来てンだよ。

 

絵「こんなお店があるなんてね…」

 

希「ラブライブが開催されるくらいやしね」

 

蒼「つくづくすげぇな、スクールアイドルってのは」

 

スクールアイドルの甲子園とも呼ばれるラブライブがあるからこそ、こういう専門の店が出来たのかもなァ。

 

ニ「とは言え、まだ秋葉に数軒あるくらいだけどね…」

 

虎「えっ?ここだけじゃねぇの?」

 

ニ「私、虎亜には前に説明した筈なんだけど?」

 

虎「そうだっけ?」

 

軽く記憶喪失してる虎亜にニコ先輩はジト目を向ける。

 

早くも耄碌してンのかァ、天才科学者さんよォ。

 

しっかし、見るからにA-RISEだらけじゃねェか。

 

何処もかしこもA-RISE、A-RISE、A-RISE。

 

けどよォ、これなら穂乃果達のもあってもおかしくねェよな?

 

なンせ50位にいるくらいなンだからなァ。

 

凛「ねぇ、みてみて!この缶バッジの子、可愛いよ!! まるでかよちん!そっくりだにゃ~!」

 

急に星空がこれ見よがしに缶バッジを見せてきた。

 

そこにはある人物がプリントされていた。

 

嵐「つーかそれ……」

 

火「花陽だよ…」

 

嵐助とイクスが指を指しながら言う。

 

確かにそこに写っているのは小泉みたいではなく、小泉そのものだった。

 

凛「ええぇ!?」

 

いや、お前幼馴染みなんだろ?

 

何故気づかない…?

 

で、そのコーナーを見るとやっぱりあった。

 

竜「ここμ’sのコーナーみたいだな…」

 

俺がそう言うと、全員「ええぇぇぇ!?」と驚く。

 

穂「嘘っ!? う、うううう海未ちゃん!こ、ここここれ私たちだよ!!」

 

海「お、おおお落ち着きなさい!!」

 

盾「まず海未が落ち着いて…」

 

竜「動揺し過ぎだろ……」

 

穂「ミュ、ミュミュミュμ’sって書いてあるよ!! 石鹸売ってるのかな!?」

 

竜「何でアイドルショップで石鹸売らなきゃならねェンだよォ」

 

俺達がそんな会話をしているとニコ先輩が、

 

「退きなさーーい!!」

 

と言いながら俺たちを掻き分けて前に出る。

 

身長低いから今まで見えなかったのか。

 

ニ「あれ!? 私のグッズがない!! どういうこと!?」

 

そう言いながらグッズを掻き分けて漁るニコ先輩。

 

必死すぎだろ。

 

虎「落ち着けニコ。ほら、ここにあるぞ」

 

ニ「あ、あった!!」

 

虎亜が落ち着かせながら、ニコ先輩に自分のグッズを指差す。

 

ニコ先輩はそれをスマホで撮りながら、目に涙を貯めて喜んでいる。

 

まァ、この人はアイドルに憧れて、途中で挫折したンだ。

 

感極まるのも無理はねェな。

 

虎「良かったな、ニコ。Get chance&lack♪」

 

ニ「ええ…!でも今それを歌う必要は無いと思うわ」

 

夢を取り戻せたっていう意味では合ってンじゃね?

 

それに虎亜のイニシャル『T.K』だし。

 

穂「ん?………ことりちゃんの写真?」

 

上の方を見上げていた穂乃果が急にそンな事を言った。

 

竜「どうした穂乃果?」

 

穂「竜ちゃん、これ……」

 

そう言いながら、穂乃果はある写真を指差す。

 

俺と朱雀がそれを見ると、そこに写っているのは、メイド服を着たことりだった。

 

竜「あァ?……何だこれ?」

 

朱「どうしてことりの写真が?でもとりあえず……」

 

疑問に思う俺と朱雀だが、すぐに朱雀はスマホの写真機能でメイド服を着たことりの写真を撮る。

 

写真になっているものをまた写真撮影するっておかしくねェか?

 

朱「値段は……買えるね」

 

50000円を買えるとか、相変わらずのボンボンだな。

 

海「こうやって注目されていると勇気付けられますよね!!」

 

絵「ええ…」

 

花「うぅ……嬉しいねぇ」

 

凛「かよちん、また泣いてる!泣き虫だにゃ~」

 

普段はこういうのにクソうるせェ海未まで素直に喜び、最近入ったばかりの絢瀬先輩も本当にそう思っているようだ。

 

小泉と星空はニコ先輩同様にうっすらと涙を見せながらも喜んでいる。

 

そンな時だ。

 

 

 

 

 

こ「すみません!!」

 

 

 

 

 

その甘ったるい、周波数が高い声で、店内にいるメンバー全員の視線が外へと向く。

 

外で商品の整理をしている店員に、たった今写真で見たばかりのメイド……ことりが話し掛けている。

 

「ここに写真が、わたしの生写真があるって聞いて。あれは駄目なんです。今すぐ無くしてください!」

 

朱「ことり?」

 

朱雀が声を発した瞬間、ことりは「ひゃあっ!」と奇声に似た短い悲鳴をあげて硬直した。

 

海「ことり………何してるんですか………?」

 

海未が戸惑い気味に尋ねるも、ことりはこちらに背を向けて硬直したまま。

 

やっと振り返ったと思えば、ことりは両目にガシャポンのカプセルを当てて笑顔を取り繕っている。

 

こ「コトリ? ホワッツ? ドナタディスカ?」

 

おいおい……それで誤魔化す事が出来ると思ってるなら愉快通り越して哀れだぞ?

 

凛「うわ!外国人?」

 

嵐「んな訳ねぇだろ…」

 

訂正。

 

どうしようもねェバカがいた。

 

穂乃果はことりに歩み寄る。

 

穂「ことりちゃんだよね?」

 

こ「チガイマース」

 

ことりは目にカプセルを当てたまま、ぎこちなく歩き出す。

 

こ「ソレデハ、ゴキゲンヨウ。ヨキニハカラエ………さらば!」

 

そしてスカートを掴んで走り出した。

 

穂「あっ!逃げた!!」

 

穂乃果と海未が後を追いかける。

 

だが穂乃果はすぐに立ち止まり、振り返る。

 

穂「竜ちゃんたちも追いかけて!!」

 

竜「あァ?それなら朱雀がすぐに行ったから、直に連れてくるだろ…」

 

穂「へっ?」

 

ことりが地面を走るのに対し、朱雀はビルの屋上を飛び移りながら移動してたからな。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

ことりは裏路地をジグザグに進みながら逃げていた。

 

こ「はぁ…はぁ……脱出ルート決めておいてよかった…」

 

ことりは後ろを振り返りながら言うが、すぐ上のビルの屋上では、朱雀がことりを見下ろしながら追っていた。

 

そして、ことりが裏路地の出口で立ち止まり、一息ついた所にバサッ!! という音ともに朱雀が舞い降りた。

 

こ「ひぃ!?」

 

朱「見つけたよ……ことり」

 

朱雀のニヤリ顔に、ことりはびくつき怯える。

 

ことりの心境は、さながらホラー映画で逃げ切って安心したところに、不意討ちで襲われた人そのものだ。

 

こ「キ、キーくん……?どうやって……?」

 

朱「ビルとビルの隙間を飛びうつりながら追いかけてたんだ。さあ……話してくれるよね?」

 

こ「アハ……アハハ……はい…」

 

渇いた笑いを浮かべていたことりだが、すぐに観念した。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

朱雀がことりを連行して来ると、俺達はことりが働いているメイド喫茶に場所を変え、そこでことりから事情聴取していた。

 

因みに朱雀のヤツ、あのメイドことりの写真マジで買いやがった。

 

それはともかくだ。

 

ことりはこのメイドカフェでバイトしていることを白状し、店で使っている源氏名を明かすと、メンバー達が「えー!」と驚愕する。

 

花「こ、ことり先輩が……この秋葉で伝説のメイド、ミナリンスキーさんだったんですか………?」

 

小泉が興奮気味に問うと、「そうです…」とことりは対照的に沈んだ口調で返した。

 

メンバー達の反応が怖いのか、俯いた顔を上げようとしない。

 

穂「酷いよことりちゃん!そういう事なら教えてよ!」

 

こ「うう~……ごめんなさい……」

 

穂乃果がそう言うと、ことりは顔を更に俯かせる。

 

穂「言ってくれれば遊びに来て、ジュースとかご馳走になったのに!」

 

竜「お前はそこしか頭にねェのかよ……」

 

たかるつもりだったとは……。

 

穂乃果の能天気さは、これ以上突き詰めないことにしよう。

 

すると、コルクボードに貼られている写真を見ていた絢瀬先輩がことりに訊ねる。

 

「じゃあ、この写真は?」

 

「店内のイベントで歌わされて………撮影…禁止だったのに………」

 

俺達にバレた事がダメだったのか、撮影禁止だったのに撮られて、しかもそれが店で売られていた事に怯えていたのか、それは俺には分からない。

 

肩を落とすことりの隣に穂乃果が座る。

 

穂「なんだ。じゃあ、アイドルってわけじゃないんだね?」

 

こ「うん、それは勿論」

 

すると朱雀がこのタイミングでメイド写真の事を訪ねた。

 

「じゃあ、この写真は捨てた方がいいのかな?」

 

ピラッと写真を見せる朱雀に、ことりは首を振る。

 

「ううん。キーくんさえ良ければ、持っててもいいよ?」

 

「いいの?」

 

「うん♪ 知らない人の手に渡るより、キーくんに持っておいてもらった方が安心だし、キーくんがお金払ったんだし、それに……私の写真持っててくれたら……私も嬉しいし……」

 

そう言って顔を赤らめることりに、朱雀は「そう…」とだけ返して、写真を内ポケットに仕舞った。

 

チッ、リア充爆発しろ。

 

海「でも何故です?」

 

海未が尋ねると、ことりは所在なさげに答える。

 

「丁度4人でμ’sを始めたばかりの頃……」

 

 

 

『そんな私…アルバイトなんて…』

 

『うわあ!! 可愛い!!』

 

『いらっしゃいませ♪』

 

 

 

断るつもりがメイド服の可愛さに負け、働くうちに伝説にまでなっていたらしい。

 

チョロすぎだろ。

 

それを聞いた朱雀も俺と同じ事を思ったのだろう。

 

朱「ことり…………チョロすぎるよ……」

 

声に出して呆れと憐れみの目で見ていた。

 

ことりは「うぅ…」と言うだけ。

 

こ「自分を変えたいなと思って。わたし、穂乃果ちゃんや海未ちゃん、キーくんたちと違って何もないから………」

 

さっきとはまた違う暗い表情。

 

まるで自分だけその場に取り残されているような、そンな寂しそうな表情をしていた。

 

穂「何もない?」

 

こ「穂乃果ちゃんみたいに皆を引っ張っていくこともできないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしていない。キーくんたちみたいに強くもないし…」

 

穂「そんなことないよ。歌もダンスもことりちゃん上手だよ」

 

海「衣装だって、ことりが作ってくれているじゃないですか」

 

朱「ことりがいるから、衣装も何とかなってるんだよ?」

 

穂乃果と海未と朱雀が立て続けに言う。

 

ことりのμ’s への貢献度は高い。

 

それは誰の目から見ても明らかなんだが…。

 

真「少なくとも、2年の中では一番まともね」

 

竜「あからさまにクソめんどくせェツンデレ女にだけには言われたくないなァ…」

 

真「ちょっ!? 何なんですかそのアダ名は!?」

 

俺と西木野がケンカになるが、

 

茜「落ち着け、二人とも」

 

茜に止められ、落ち着く俺と西木野。

 

チッ、いけすかねェ後輩女だ。

 

朱「ことり……どうやっても自分に自信が持てないの?」

 

こ「わたしはただ、5人に着いていってるだけだよ」

 

ことりはそう答え、もどかしそうに唇を結んだ。

 

それを聞いた朱雀は、

 

「そう…………なら、とことんやってみれば?」

 

「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

そう提案した。

 

その言葉にことりも含め、全員が朱雀の方に向く。

 

意外だな。

 

朱雀はことりに過保護だから、てっきり『こんなところでバイトなんて許さないよ』とか言うもんだと思ってたんだが……。

 

ことりも意外に思ってたようで、朱雀に訊ねる。

 

「いいの?キーくん…」

 

「別にいいよ。ことりがやりたいなら、とことんやってみればいいよ。それで答えが見つかって自信が持てるならいいし、出来なかったら仕方ない…。ただ、今度からは隠し事はしないでね」

 

そう言って、朱雀は優しく微笑む。

 

それを見たことりは笑顔で元気よく「うん!」と頷いた。

 

茜「じゃあ…今日はもう帰ろうか?」

 

茜のその言葉で全員、外に出る。

 

そして出た時だ。

 

突然、空がガラスのように割れ、そこから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キゴォォォォォォォン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭や背中に赤い房を沢山つけた怪獣……いや、超獣がいた。

 

竜「ミサイル超獣・ベロクロン…」

 

俺は、その超獣の名を言う。

 

ベロクロンは、街中に降りて身体中からミサイルを飛ばす。

 

ミサイルは周りのビルにあたり、連続した爆発を起こす。

 

たちまち周りは悲鳴の渦に巻き込まれた。

 

 

竜司sideoff

 

 



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ワンダーゾーン#3




エースの戦闘後を主に大きく変えています。



◎side

 

 

ベロクロンが現れてからの穂乃果たちの反応は様々だった。

 

ニ「また怪獣!?」

 

穂「違いますよニコ先輩!あれは超獣ですよ!!」

 

ニ「そんなの違いが分からないわよ!!」

 

穂乃果の指摘にニコは叫ぶ。

 

確かに素人目からではどっちもどっちだろう。

 

希「ニコっち、超獣っていうのは怪獣よりも強い存在で、異次元人ヤプールに作られた生物兵器なんよ」

 

ニ「そうなの?」

 

希がニコに説明する中、朱雀はテレパシーで竜司や盾、イクスたち一年生のマネージャー組に自分が行くことを伝える。

 

朱(超獣なら、エースである僕が行くよ)

 

竜(分かった)

 

盾(気をつけてね~)

 

朱(誰に言ってるの…)

 

そう残し、朱雀はその場からゆっくり離れる。

 

丁度一番後ろにいたので、離れやすかった。

 

ビルとビルの隙間に朱雀は入っていく。

 

しかし、それを見ている者が一人。

 

茜だ。

 

茜は口元を意味深にフッと笑わせていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

朱雀は周りに誰もいない事を確認してから、エースに呼び掛ける。

 

「行くよ…エース」

 

『よし!行くぞ恭弥!』

 

朱雀は腕をクロスし、斜め上に万歳してから、外側へ腕を回しながら、体の前で両方の握りこぶしを合わせる。

 

その瞬間…朱雀の両方の中指に填められたAの文字が型どられた指輪『ウルトラリング』が輝き、朱雀を光に包み『ウルトラマンエース』に変身させる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ベロクロンが秋葉の街を破壊しながら、突き進んでいた時、突然ベロクロンに誰かの飛び蹴りが炸裂した。

 

「テエェェェェン!!」

 

「キゴォォォォォォン!?」

 

ベロクロンは倒れこんで転がる。

 

穂乃果たちは竜司たちの指示で逃げていたが、別の声が聞こえた為にそちらを振り向く。

 

そこには『ウルトラマンエース』が立っていた。

 

こ「穂乃果ちゃん…あれって…」

 

穂「うん!ウルトラマンエースだよ!!」

 

「トワァァァァァァァ!!」

 

(BGM:ウルトラマンA)

 

エースは側転しながらベロクロンに蹴りをいれる。

 

「トワァァァァァ!!」

 

「キゴォォォォォォン!!」

 

再び倒れるベロクロン。

 

そんなベロクロンに、エースは馬乗りになり、容赦なく殴り倒す。

 

何度も何度も執拗に……。

 

「テエェェェェン!! トワァァァァァ!!」

 

ドゴッ!! ドゴッ!! という鈍い音が何回も鳴り響く。

 

20発ほど殴ったあと、エースはベロクロンを掴んで起き上がらせた後、膝蹴りを叩き込む。

 

「テエェェェェン!!」

 

そして頭を抱え込み、3回ほど回転した後ブン投げる。

 

「トワァァァァァ!!」

 

「キゴォォォォォォン!!」

 

ベロクロンは地面に落ちて転がり、立ち上がるが、フラフラだ。

 

苦し紛れにミサイルを手から撃つが、エースは胸をはり、平気な様子を見せる。

 

そしてエースはベロクロンに向かって走り、ドロップキックをかます。

 

「トワァァァァァ!!」

 

「キゴォォォォォォォン!!」

 

ベロクロンは再び転がる。

 

エースは両腕をクロスし、右手を上にあげる。

 

そこからエース専用の刀『エースブレード』が出る。

 

エースはエースブレードをベロクロンに投げ、見事エースブレードはベロクロンの胸に突き刺さる。

 

「キゴォォォォォォン!?」

 

ベロクロンは余りの痛さに蹲る。

 

その隙にエースは体を左に大きく回して、両腕をL字にして撃つ必殺技『メタリウム光線』を放つ。

 

「テエェェェェン!!」

 

メタリウム光線はベロクロンに直撃!

 

「キゴォォォォォォン!!」

 

ベロクロンは断末魔を上げて後ろに倒れると、爆発した。

 

ドガァァァァァァァァン!!

 

人々は両手を上げて喜ぶが、穂乃果たちはエースの荒々しい戦い方に疑問を感じていた。

 

穂「エースって、あんな感じの戦い方だっけ…?」

 

こ「さあ…?」

 

希「なんか……どこぞの赤い通り魔を思い出すな……」

 

そして竜司は頭を抱えていた。

 

ウルトラマンたちの戦い方は、変身している者の戦い方に直結する。

 

朱雀の容赦のない戦い方が、ダイレクトにエースに反映されたのだ。

 

エースはそんな事は露知らず、街を治し飛び去っていった。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

エースが戦いを終えて朱雀に戻った後、茜から大事な話がマネージャー組にあるとのことで、穂乃果たちには先に帰ってもらった。

 

穂乃果が最後まで「一緒に帰ろうよ~!」と駄々をこねていたが、手作りのプリンを奢ってやると言ったら即答して帰った。

 

あいつ、俺の手作り料理全般が好物なんだよな。

 

それはともかく、俺たちは裏路地に入り、茜の話を聞く。

 

茜「さて……回りくどい話は嫌いだから単刀直入に言おう。朱雀、お前がエースだな?そして竜司やイクス、蒼燕たちもそれぞれウルトラマンだな?」

 

そう訊ねてきた茜に俺たちは一瞬ビクリとしたが、続けて言った茜の言葉に耳を疑う。

 

「隠さなくていい。俺もウルトラマンだからな」

 

竜「どういう事だァ…茜?」

 

蒼「何で俺たちがウルトラマンだって言える?」

 

茜「それは簡単だ。俺は『ウルトラマンマックス』と一体化している。それにどうしてお前たちがウルトラマンだと言えるのか……?それはオーラで分かる。一度ウルトラマンに変身した者が発する独特のオーラでな……」

 

茜は小さな子供に説明するように、丁寧にそう言った。

 

それは本当か?

 

俺はそンなオーラ検知出来てねェぞ?

 

鎌かけてンじゃねェだろうなァ?

 

そう思ってるとウルトラマンがテレパシーで伝えてくる。

 

『竜司。彼の言ってる事はすべて本当だ。彼からマックスのオーラを感じる』

 

チッ……そうかよォ。

 

竜「………分かった。茜、確かにお前の言う通り、俺たちはウルトラマンだ」

 

俺の肯定に嵐助たちは異論を言わない。

 

こいつらも、セブンやエースから肯定の言葉を言われたのだろう。

 

蒼「それで?わざわざ自分の正体を明かして、俺たちのもう1つの姿も暴いたんだ。何か理由があるんだろ?」

 

蒼燕の言う通りだ。

 

茜は無意味にこんな事を言わない。

 

茜は頷き、次の瞬間には俺たちの度肝を抜く言葉を言う。

 

「そうだ。今ここにいる、俺たち全員がウルトラマンだ。これは偶然じゃない。必然だと俺は思う」

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

はァ?

 

必然だと?

 

続いて茜は氷麗に問う。

 

「氷麗。俺たちの共通点は何だと思う?全員ウルトラマンやネトゲで知り合った以外で……」

 

「えっと……μ'sのマネージャー…?」

 

氷麗が恐る恐る言うと、茜は肯定した。

 

「そうだ。全員付き合いの長さはあれ、それぞれがμ’sのメンバーとそれぞれ深い交流がある。俺が思うに、こうして俺達が1ヶ所にウルトラマンとして集められたのは、誰かの思惑があると踏んでいる」

 

竜「誰かって誰だよ?」

 

茜「そこまでは分からないさ。ただ、前にマックスに訊いた事があるんだ。何故俺を選んだのかと……。そしたらマックスはこう言ったよ。『何故か君じゃないといけない気がした』ってな……」

 

竜「……はァ?」

 

なンだよその曖昧な理由は?

 

俺の中にいるウルトラマンが、茜の中にいると思われるマックスに問う。

 

『それは本当か?マックス』

 

『はい。自分でも分かりませんが、何故か彼じゃないといけない気がしたのです。セブンやエースはどう思います?』

 

嵐助の中にいるセブンが言う。

 

『私もだ。何故か嵐助じゃないといけない気がしたのだ』

 

エースが答える。

 

『私もです。上手く説明が出来ないのですが、何かに吸い寄せられるように、そこへ行くと恭弥と出会い、本能的に恭弥と一緒に戦いたいと思ったのです』

 

おいおい……ますます訳が分かンねェぞ。

 

何かに吸い寄せられたって、その何かが分かンねェと不気味過ぎンぞ。

 

『竜司、実を言うとだな、私も最初から君に目をつけていたんだ。ベムラーでの成り行きや、君の精神面もあるが、君の中にある何かに第一に惹かれたのは確かだ。例えるなら……こことは違う何処かで、一緒に戦っていたような……そんな感じだ』

 

おいおい……いつからお前はそンなロマンチストになったァ?

 

少しばかりウルトラマンの言葉に引いたが、それよりもだ。

 

俺達が自覚出来てない“何かに吸い寄せられた”か………。

 

確かによくよく考えりゃ、何故俺なのか?

 

何故氷麗や盾までウルトラマンに選ばれたのか?

 

気になる点は確かにある。

 

言っちゃなンだが、他の奴等はヒーロー気質でもねェし、俺も憧れちゃァいるが、そこまででは無い。

 

………茜の言う通り、誰かの思惑が絡んでるのか?

 

茜「まぁ、もしかしたら俺の考えすぎかもしれないしな。今日はここでお開きにしよう」

 

茜がそう言ったので、結局その日は各々帰路に着いた。

 

けど、心の中にあるモヤモヤは晴れないままだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

茜から衝撃的な事を言われてから翌日。

 

俺、穂乃果、盾、海未、朱雀は廊下からある教室を覗いていた。

 

何故俺達が廊下から教室の中を覗いてるかと言うと、ことりを見ているからだ。

 

教室にはことり1人だけが残っている。

 

授業でヘマをやらかして宿題を出された訳でもなく、ただ一心不乱にノートとにらめっこをしていた。

 

そして急に目を開けたかと思うと、

 

こ「チョコレートパフェ、おいしい……生地がパリパリのクレープ、食べたい……ハチワレの猫、可愛い……五本指ソックス、気持ちいい……キーくんの匂い、最高……」

 

朱「ねえ…意味が分からないんだけど?」

 

竜「安心しろ。俺も分からん…」

 

この意味不明な単語の羅列。

 

なンかの呪文かァ?

 

こ「ふえぇぇん~」

 

あ、壊れた…。

 

こ「思いつかないよ~!」

 

そう言って、机に突っ伏すことり。

 

何故こうなったかと言うと、それは昼休みにまで遡る。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

絵「秋葉でライブよ!」

 

それは部室内での絢瀬先輩の一言から始まった。

 

穂「えっ…それって…」

 

こ「路上ライブ?」

 

絵「ええ…」

 

路上ライブね~。

 

斬新っちゃ斬新か?

 

ニ「秋葉と言えば、A-RISEのお膝元よ!?」

 

希「それだけに面白い!」

 

真「でも、随分大胆ね…」

 

絵「秋葉はアイドルファンの聖地。だからこそ、あそこで認められるパフォーマンスが出来れば、大きなアピールになる!」

 

成る程…。

 

確かにそれもそうだな…。

 

この提案に勿論、穂乃果とことりは賛成する。

 

穂「良いと思います!!」

 

こ「楽しそう!!」

 

穂乃果とことりは顔を見合わせて笑うが、

 

海「しかし、凄い人では……」

 

恥ずかしがり屋の海未が乗り気じゃない。

 

最近ライブで緊張する事が少なくなってきたようにも見えるが、それはあくまで校内でのライブだから。

 

今回は校外で、それも秋葉のど真ん中。

 

海未が臆してしまうのも無理はない。

 

ニ「人がいなかったら、やる意味ないでしょ?」

 

盾「そうだよ、海未。尻込みしてちゃダメだよ」

 

けど、こういう時に頼りになるのがニコ先輩と盾だ。

 

ニコ先輩はアイドルへの思いが強いからこそ、こういう場面でハッキリと意見を言う事ができるし、盾は海未専用のリーサルウエポン。

 

盾が説得すると大体海未は落ちる。

 

流石にこれは正論だと思ったのか、海未は「うう…」と唸るだけだった。

 

凛「凛も賛成!!」

 

花「じゃあ私も!」

 

朱「いいんじゃない?」

 

茜「賛成だ」

 

蒼「俺もいいぜ」

 

絵「決まりね!!」

 

続々と賛同し、絢瀬先輩が締める。

 

穂「じゃあ、早速日程を…」

 

絵「その前に」

 

穂乃果の言葉を絢瀬先輩が遮る。

 

まだあるのか…?

 

絵「今回の作詞はいつもと違って、秋葉の事をよく知ってる人に書いてもらうべきだと思うの」

 

そう言って、ことりの方を向く。

 

絵「ことりさん…どう?」

 

こ「えっ!? 私?」

 

絵「ええ」

 

絢瀬先輩はことりに作詞ノートを渡し、それをことりは戸惑いながら受けとる。

 

絵「あの街でずっとアルバイトしてたんでしょ?きっと、あそこで歌うのに相応しい歌詞を書けると思うの」

 

穂「それいい!! 凄くいいよ!!」

 

こ「穂乃果ちゃん…」

 

これはことりの成長を促す為のものなのだろう。

 

だからこそ強制はしないし、ことりがそれを断るなら無理強いはしない算段だな。

 

そんな事をしても成長にはならないから。

 

海「やった方がいいです!ことりなら秋葉に相応しい良い歌詞が書けますよ…」

 

凛「凛もことり先輩の、甘々な歌詞で歌いたいにゃ~!」

 

こ「そ…そう?」

 

ニ「ちゃんと良い歌詞作りなさいよ」

 

真「期待してるわ」

 

氷「俺も!」

 

希「頑張ってね♪」

 

こ「う…うん!」

 

見事にみんなから応援され、ある意味逃げ場を失ったことり。

 

星空に関しては煽りに近いがな。

 

ことりは不安そうだが、朱雀が顔を自分に近づけ、

 

「ことり。一人でダメだったら、僕も手伝ってあげるから」

 

「キーくん……うん!分かった!!」

 

手伝いを申し出たことで、完全に引き受けた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そして現在。

 

こ「ふ~わふ~わし~たも~のか~わい~な、ハイ!あとはマ~カロンた~くさ~ん並べたら~、カラ~フル~で、し~あ~わ~せ!……ル~ル~る………やっぱり無理だよー!」

 

書いては消し、言っては嘆きを繰り返して大いに苦戦中。

 

海「なかなか苦戦してますね…」

 

穂「うん…」

 

竜「まあ、今までやったことの無い分野だからな…」

 

盾「仕方がないよ」

 

こ「うう……ひっく…ぐすっ…キーく~ん、穂乃果ちゃ~ん…」

 

余りの苦戦さに泣きながら、穂乃果と朱雀の名前を呼ぶことり。

 

朱「ッ……!」

 

ガンッ!ガンッ!という音が後ろからする。

 

穂「竜ちゃん、恭弥君が無言で壁殴ってるよ……」

 

竜「無視しとけェ…」

 

無言で壁をトンファーで殴ってる朱雀。

 

ガンガンガンガンうるせェなァ…。

 

どうせ今すぐことりの元に行って、助けてやりたい衝動にでも駆られてンだろ。

 

それを我慢してる結果がこれだァ。

 

こ「うぅ~……そうだっ、今日は帰りにクレープ食べて帰ろうっ。そしたら何か浮かぶかもしれないもんね!」

 

 

 

 

 

……………ダメだこりゃ。

 

 

 

 

 

 

 




茜の意味深な言葉。

多分正体分かってる人は分かってると思います。


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ワンダーゾーン#4






ことりの作詞活動は苦戦を強いられていた。

 

例えば授業中の時。

 

「ではこの問題を……南さん」

 

「はぁ……」

 

先生に当てられた筈のことりは、それが聞こえていないのか、ずっと俯いたまま溜め息を吐いていた。

 

「南ことりさん!」

 

「は、はいっ!」

 

ようやっと先生の声に気付き慌てて立つことり。

 

そこにはいつもの余裕さはなくなっていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

例えば体育の時。

 

こ「うぅ~……何書いたらいいのか分かんないよぉ~……」

 

穂「考え過ぎだよー。海未ちゃんみたいにほわんほわんみたいな感じで良いんじゃない?」

 

誰か1人とペアになって準備運動をしている時に、ことりは嘆いた。

 

因みに俺は盾とペア、朱雀は欠席。

 

海「それ褒めてるんですかぁ!?」

 

穂「褒めてるよ~!」

 

竜「褒めてねェだろそれ……」

 

何だよほわんほわんって。

 

バカにしてるとしか思えねェ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

その後もことりは図書室に行っても難航、授業中でも歌詞作りに悩んでいるのか、終いには山田先生に呼び出されて注意を受けていた。

 

そして現在とある空き教室。

 

そこでことりは一人、作詞に没頭していた。

 

しかしいい単語が浮かばないのか、ことりはここまで「うんうん」唸ってるばかりだった。

 

そろそろ助けねェと不味いかもな。

 

これではいつまで経ってもライブができない。

 

西木野だって作詞が来ないと作曲はできないし、ダンスの振り付けも決められない。

 

こ「やっぱり私じゃ……」

 

そう言って、ことりはノートを閉じる。

 

もう今日はダメだと思ったのだろう。

 

朱「はぁ~…」

 

しかしここで、ついに朱雀がことりに助け船を出す。

 

朱「ことり」

 

こ「うう……ぐす……キーくん…?」

 

朱「言ったでしょ?困ったら手伝ってあげるからって。忘れたの?」

 

朱雀はことりの前に来て言う。

 

穂乃果もことりの所に行き、

 

「そうだよことりちゃん!! 一緒に考えよう!とっておきの方法で!!」

 

共に作詞を考えることを提案してきた。

 

とっておきの方法?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

穂乃果が言ったとっておきの方法。

 

それは、

 

こ「お帰りなさいませっ♪ご主人様っ♪」

 

穂「ぅお帰りなさいませ!ご主人様!!」

 

海「お、お帰りなさいませ…。ご主人様…」

 

穂乃果の考えたとっておきの方法とは、実際にメイド喫茶で働きながら考えると言うことだった。

 

そして俺と盾と朱雀はと言うと、

 

竜「お帰りなさいませェお嬢様ァ。チッ」

 

盾「帰ってきたね。お茶でいい?答えは聞いてない!」

 

朱「お帰り……」

 

何故か執事服を着せられ、一緒に働かせられている。

 

なンでこうなった?

 

俺たちは最初こそ丁重に断ったのだが、ここの女性店長がしつこいのと、穂乃果たちに無理矢理着せられ、店に立たされている。

 

故に俺は舌打ちしながら、盾は紫のイマジンみたいな事を言いながらふざけていて、朱雀に至ってはタメ口。

 

何でメイド喫茶に執事服があるんだよ……。

 

まァいい。

 

そンなことより、それぞれのメイド服を着ている穂乃果たちの様子を紹介しよう。

 

まずはことり。

 

メイド喫茶でアルバイトをしているだけあって、様になっている。

 

『メイド服』という史上最強の装備の1つを身に付けていると言うこともあって、可愛さがかなり増している。

 

あの朱雀も無言で写メっている。

 

続いて穂乃果。

 

何だか江戸っ子みたいな居酒屋の店員さんみたいなしゃべり方だ。

 

まァこっちの方が穂乃果らしいし、むしろ…ッエーイ☆……俺好みだ♪。

 

おいコラ、今「元気っ娘萌え主人公」つったヤツは誰だァ!?

 

そして最後は海未。

 

恥ずかしがりやな海未が、精一杯振り絞った『お帰りなさいませ』。

 

今もメイド服の裾をギュッと握り締め、恥ずかしさのなかにある、どこかそそられる危険なギャップ…。

 

それを見た盾は、無言で海未の頭を撫で、海未もされるがままになっている。

 

その光景を見た穂乃果は俺に、ことりは朱雀にそれぞれ自分にもしてほしい的な目を向けてくる。

 

朱雀は無視しようとしたが、ことりが朱雀の執事服の裾を掴み、涙目の上目遣いで見てきたため、あえなく朱雀は轟沈。

 

ことりの頭を無言で撫で、一方のことりは満足そうな笑みだ。

 

一方、俺の方にも穂乃果がすりよってきて無言の撫でてアピール。

 

おいやめろ。

 

そンな期待に満ちた目で見てくるな!

 

俺はせめてもの抵抗として顔を背けるが、その方向に回り込んで見てくる始末。

 

結局、俺もあえなく轟沈。

 

竜「チッ…」

 

舌打ちしながら穂乃果の頭を撫でる。

 

するとまあ……それはそれは嬉しそうにする。

 

「えへへ…」と口に出しながら。

 

それを見ている男性客は嫉妬の目で、女性客は羨ましそうな目で見てくる。

 

はァ、めんどくせェ…。

 

そこへカラーンッと、店の来店音がすると同時に見た事のある面子がやってきた。

 

凛「にゃ~!遊びに来たよー!!」

 

絵「秋葉で歌う曲なら、秋葉で考えるってことね」

 

メイド服を着た3人を見て、絢瀬先輩が納得したように言う。

 

蒼「何でお前らも執事服着て働いてんだ?」

 

竜「好きでやってンじゃねェよ…」

 

こっちは今すぐにでも辞めたいンだ。

 

東條先輩は面白そうに穂乃果たちメイドや、俺たち執事にビデオカメラを向けてくる。

 

希「ではではー、早速取材を」

 

海「やめてください!」

 

顔を赤くした海未がレンズに手をかざす。

 

海「何故みんな……」

 

穂「わたしが呼んだの」

 

だろうな。

 

穂乃果が言うと、海未の文句は穂乃果へと移る。

 

それを遮るように、席で頬杖をつくニコ先輩が憮然と言った。

 

ニ「それよりも早く接客してちょうだい」

 

虎「そうだそうだ!! こっちは腹がへってんだ!」

 

ニコ先輩の隣に座る虎亜が机をバンバン叩いて言う。

 

こいつ……面白がってるな……後で殺す!

 

仕方がないので働く俺たち。

 

俺や朱雀、盾、穂乃果はそれなりにやれてるが、海未は狼狽して視線を店内のあちこちへと泳がせている。

 

接客業の経験はないらしい。

 

まあ、恥ずかしがり屋の海未だからな。

 

その内に、キッチンに引っ込んだ。

 

すっかり仕事に慣れていることりは、新しく来た客に対応している。

 

その仕事ぶりの一部がこちら。

 

 

「いらっしゃいませ。お客様、2名様でよろしいでしょうか?」

 

「それではご案内いたします♪」

 

「こちらのお席へどうぞっ」

 

「こちら、メニューになります♪」

 

「ただいま、お冷をお持ちいたしますっ。失礼いたしました」

 

 

以上をお送りしました。

 

感想、完璧かよ!

 

花「さすが伝説のメイド………」

 

凛「ミナリンスキー………」

 

見ろよォ、小泉と星空までことりに尊敬の眼差しを向けてるくらいだ。

 

店は混んできたのだが、慌てることなく仕事をこなすことりは楽しそうだ。

 

ことりが客に向ける作ってない笑顔がそれを証明していた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

太陽が夕日に変わる頃、ようやく忙しかったのが落ち着き、他のみんなも帰っていった。

 

海未と盾はフロアでテーブルを拭き、俺と穂乃果がキッチンで皿を拭いていると、ゆるりとコップを拭きながら朱雀が口を開く。

 

「ことり、ここにいると楽しそうだね」

 

こ「え?そ、そうかな……?」

 

すると近くで接客していた穂乃果も会話に加わってくる。

 

「うん!別人みたい!いつも以上に活き活きしてるよ!」

 

少しだけ驚いた顔の後、ことりは「うん」と穏やかな笑みを浮かべる。

 

こ「何かね、この服を着ていると、できるっていうか……この街に来ると、不思議と勇気が貰えるの。もし思い切って自分を変えようとしても、この街ならきっと受け入れてくれる気がする。そんな気持ちにさせてくれるんだ。だから好き!」

 

ことりの楽しんでいる様子が嬉しいのか、穂乃果も楽しそうに笑う。

 

朱雀も珍しく微笑みを浮かべる。

 

さっきまで無愛想だったのに……。

 

まあ、それは俺もか……。

 

つーかことり、そんなにハッキリと言えるなら、もう心配する必要は無いよな?

 

穂「ことりちゃん、今のだよ!」

 

こ「え?」

 

穂「今ことりちゃんが言ったことを、そのまま歌にすれば良いんだよ。この街を見て、友達を見て、色んなものを見て、ことりちゃんが感じたこと、思ったこと。ただそれをそのまま歌に乗せるだけで良いんだよ!」

 

流石は穂乃果…。

 

歌詞の問題はなンとかなりそうだな…。

 

さてと……あとはお前次第だぞ、ことり?

 

 

 

 

 



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ワンダーゾーン#5



ラストが衝撃だった♪(U.S.A.並感)



海「ほ、本当にやるんですか……?」

 

明るい街の喧騒の中、不安げな海未の声が小さく呟かれる。

 

絵「もちろん。次の日曜日、この場所で!」

 

対して張り切った声で返したのは絢瀬先輩。

 

そう、今週の日曜日、ライブをする事が決まったのだ。

 

海「ですが、ここでは人がたくさん――」

 

こ「面白そう!」

 

海未の言葉を遮るように声を張ったことり。

 

どうやらもう悩みは昨日の件があったおかげで大丈夫のようだ。

 

茜が海未に言う。

 

「園田、人が多いからこそやるんだろ。そうじゃないと思い切った手とは呼べないんだ」

 

「うう……分かってます、分かってはいるのですが……」

 

まァ、今までのように学校内でやっていたライブとは違い、本当の意味で知らない人達の前でライブをするのは今回が初めてだ。

 

オープンキャンパスの時ともまた勝手が違う。

 

初見も初見。

 

そりゃ海未が不安がるのも仕方ない事だ。

 

それでもやるしかない。

 

穂「よーし、やろう!!」

 

穂乃果の声と共に、他のメンバーの声も上がる。

 

海未も諦めたようだ。

 

毎回何だかンだ言いながらもやってのけるンだ。

 

今回も大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

絵「この衣装で秋葉にっ!?」

 

花「うん!ことりちゃんのお店の人に言って貸してもらったんだ!」

 

翌日の屋上。

 

教室で作詞をしていることり以外の女子メンバーは全員メイド服を着ていた。

 

小泉の言った通り、メイド服という『衣装』でライブをするのだ。

 

朱雀が言う。

 

「ことりの店で思いついた事なんだ。ことりが秋葉で、働いている店で思った事や感じた事を歌詞に乗せる。だったら衣装もそれに関連したものが合っているんじゃないかと思ってね」

 

そういう訳でのメイド服か。

 

穂「うんうん!みんな似合ってるよー!!」

 

穂乃果の言う通り、元の素材が良いからか、メイド服を着た彼女達はとても可愛い。

 

ニ「にっこにっこにー!! どう?似合ってる?」

 

虎「おー、いいじゃんニコ。いいじゃんいいじゃんスゲーじゃん!」

 

ニ「でしょー?ふふん、流石は虎亜ねっ♪」

 

あのバカップルは放っておいてやる。

 

穂「おー……!!」

 

絵「そ、そんなに見ないでちょうだい……」

 

穂乃果の感嘆とした声と、絢瀬先輩の照れた声でそちらを振り向くと、金髪超絶美少女がメイド服を着て恥じらっていた姿がそこにあった。

 

蒼「目線!目線ください!!」

 

そしてそれをパシャパシャと撮っているバカがいた。

 

絵「も、もう!こんな所でやめてよ蒼燕!……帰ったら、たくさん撮らしてあげるから……」

 

蒼「なん……だと……!?」

 

絢瀬先輩の照れながらの素敵発言に、某死神代行みたいに固まった蒼燕。

 

ここにもバカップルがいたか……。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

それから事は順調に進んでいった。

 

相変わらず授業中は歌詞を書く事に変わりはなかったが、以前のように悩む事はなく、歌詞を書く手も止まる事はなかった。

 

そのおかげもあって真姫&氷麗による曲作りも開始され、難なく完成に至る事もできた。

 

振り付けも曲に合わす事がスムーズにでき、今までにないほど手際よく進ませる事ができた。

 

そして、当日の日曜日がやってきた。

 

夕焼けの中に佇むメイド喫茶の前方で、俺と虎亜とイクスは、ビデオカメラでライブの様子を撮影し、他のマネージャーメンバーは遠目から離れてライブを見守っていた。

 

そしてセンターを務めることりが歌い始める。

 

 

(♪:Wonder Zone)

 

 

 

 

 

 

 

 

作詞したことりならではの、可愛らしくも元気が貰える曲に仕上がった。

 

普段は海未が作詞をしているが、ことりのような可愛らしい詞も嫌いではない。

 

曲名だが、みんなで話し合ってもなかなか決まらなかったのだが、朱雀がふと漏らした言葉にみんな賛成し、この曲名に決まった。

 

『Wonder Zone』……不思議な場所……と。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

神田明神。

 

夕日が静まりかけた階段の上で、俺と穂乃果たちの幼馴染み6人はいた。

 

ライブが成功したのは言うまでもなかった。

 

これでまた知名度が上がったな。

 

盾「よかったね~ライブ成功に終わって」

 

穂「そうだね~、ことりちゃんのお蔭だよ!」

 

こ「そ、そんなことないよ…。みんながいてくれたから、みんなで作った曲だから…」

 

ほんのりとだけ夕日の赤みが顔に差し掛かる中、穂乃果の言葉にことりは謙遜の意味でそれを返す。

 

朱「いいや、ことりのお蔭だよ。ことりがありのままの気持ちを歌詞に乗せたから、あの曲…『Wonder Zone』が出来たんだ。それは胸を張って、誇ってもいいくらいだよ」

 

こ「キーくん。そ、そうかな…」

 

朱雀に褒められ、照れることり。

 

もうお前ら付き合っちゃえよ。

 

穂「ねぇ、こうやって並んでいるとあの時のこと思い出さない?」

 

あの時のこと……?

 

竜「ファーストライブの時か?」

 

穂「うん」

 

海「そうですね。あの時は穂乃果や私、盾にことりに竜司しかいませんでしたからね……」

 

こ「竜くんに盾くん、キーくんがいなかったら、穂乃果ちゃんがやろうって言ってくれなかったら、あそこで終わってたかもしれないもんね」

 

1度挫折しかけたあの日。

 

でもあれを乗り越えたからこそ、今のμ'sがある。

 

クソッタレな壁を壊して、前に進んだからこそ、今のメンバーが集まって来たのだ。

 

こ「……私たちって、いつまで一緒にいられるのかな……?」

 

不意に、ことりが言葉を漏らす。

 

海「ことり……?」

 

穂「ことりちゃん?どうしたの急に……?」

 

こ「だって後2年も経たないうちに高校生活も終わっちゃうでしょ?」

 

海「それは仕方のないことですが……」

 

ことりの言いたい事は分かる。

 

高校を卒業したらどうするかなんて、まだ考えていない。

 

考えてないから、分からない。

 

誰がどのような道を選ぶかなんて分かる訳が無い。

 

現に俺だって将来どうしたいのか、それすら曖昧なのだ。

 

なのに、穂乃果は海未とことりの肩を抱いて、

 

「大丈夫だよ!ずーっと、一緒だよ。だって私、これからもずっとずっと、ことりちゃんや海未ちゃん、竜ちゃんや恭弥くん、盾くんと一緒にいたいって思ってるもん!大好きなんだもん!」

 

そンな心配なンていらないと言わんばかりに、明るく言ってのけた。

 

こ「……穂乃果ちゃん」

 

海「穂乃果……」

 

竜「穂乃果…」

 

穂「これからもずーっと一緒だよっ!!」

 

こ「……うんっ!」

 

海「はいっ!」

 

なかなか嬉しいことを言ってくれるな…。

 

ウルトラマンもテレパシーで、

 

『彼女たちの友情は素晴らしいな』

 

そう言ってきた。

 

ああ……。

 

俺だって、この関係がずっとずっと続いてくれたらいいなと、思っている。

 

だが、その考えは甘かったことを思い知ることになるとは、この時はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

海未と盾、ことりや朱雀と別れて、俺は穂乃果と一緒に帰っていた。

 

丁度いい。

 

俺は前から穂乃果に聞いてほしい事があったので、穂乃果に訊ねる。

 

竜「なあ…穂乃果」

 

穂「なぁに、竜ちゃん?」

 

竜「俺にも……夢や、やりたいことって見つかるかな?」

 

ずっと思っていた。

 

俺は穂乃果のやりたいことに付き合っているばかりで、俺のやりたいことは一切無かった…。

 

その内、いつしか穂乃果のやりたいことが、俺のやりたいことになっていた。

 

このままじゃ俺はダメになるンじゃないか?

 

ずっとそう思っていた。

 

穂乃果は微笑みながら答える。

 

穂「大丈夫だよ。竜ちゃんならきっと見つけられるよ」

 

竜「何でそう思う?」

 

穂「だって、私の自慢の幼馴染みだもん!!」

 

向日葵が咲くような、満面の笑顔で答えられた。

 

竜「………チッ、何だよそれ……」

 

口ではそう言ったが、俺の顔は少し笑っていた。

 

なンか穂乃果にそう言われると、本気でいつか見つかりそうだな。

 

そう思っていると、穂乃果が顔を赤くしながら、

 

「そ…それに……もし見つからなかったら、穂乃果と……その………ずっと一緒にいない…?」

 

指をツンツンしながら、そう訊いてきた。

 

俺は意味がよく分からなかったが、取り合えず「ああ、その時は頼むな」と答えた。

 

その瞬間、穂乃果は頭から湯気を出して顔を真っ赤にした。

 

穂「ふええぇぇぇぇぇっ!?」

 

そして終いには俯き、何やらブツブツ言っている。

 

竜「おい穂乃果?どうした?おーーい!」

 

大声で呼び掛けるが、穂乃果は幸せそうな顔でニヤニヤしたまま無反応。

 

おいおい、マジかよ……。

 

『竜司……君も鈍感だな…』

 

はァ?

 

どういう意味だよ?

 

『いや……こればっかりは、君自身で気づかなければならない』

 

ウルトラマンがそう言ってくるが、全く分からん。

 

仕方がないので、穂乃果をだっこしようとしたその時だ。

 

ふと視界の隅に、誰かを見つけた。

 

そいつは全身黒ずくめだが、頭は肌色でハートのような形をしていた。

 

こいつは……バド星人かっ!?

 

俺は一瞬で警戒したが、それも無意味に終わった。

 

「お前がウルトラマンと一体化してる人間か。悪いがここで死んでもらおう」

 

そう言ってヤツは、その手に持っている黒光りする拳銃の引き金を弾いた。

 

そしてバンッ!! という音の直後、俺は頭に響いた痛みと共に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に穂乃果が泣き叫ぶ顔を見てから……。

 

 

 

 

 

 

 




最初に言った通り、ちゃんと新話投稿しますよ?


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堕ちた竜



本当に正真正銘、新話です。



穂乃果side

 

 

穂「い…いやぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!?」

 

私の目の前で、竜ちゃんが撃たれた。

 

その変えようの無い事実に、私は辺りに響くほどの悲鳴を轟かせた。

 

頭を抱えて震える私の足元にまで、赤黒い血の池が広がる。

 

紛れもない竜ちゃんの血だ。

 

いつもの日常だったのに、平凡な会話だったのに、変わらない家路だったのに、ちょっといい雰囲気漂う一日の最後だったのに、最後の最後で突然現れたこの宇宙人のせいで、全て最悪の悲劇に変わってしまった。

 

穂「竜…ちゃん…しっかりして竜ちゃん!! 死んじゃ嫌だよ!!」

 

私は無意識の内に涙を流しながら、長年片想いしていた人の体を揺する。

 

でも……返事は無い。

 

それが認められなくて、夢だと信じたくて、尚も私は叫んだ。

 

「目を開けてよ竜ちゃん!! お願いだから!!……お願い……だから……もう……迷惑かけないから……いい子になるから……だから……死なないでよ…ぐすっ」

 

必死のお願いを私は届けた。

 

届けようとした。

 

でも、現実は無情だった。

 

「感動的だな~。でももうソイツは死んでるよ。なんせ脳をぶち抜いたんだ。まず助からねぇよ」

 

目の前の宇宙人は嘲笑うようにそう言うと、今度は私にその拳銃を向けてきた。

 

「ひっ…!?」

 

「悪いな~地球の嬢ちゃん。目撃者は全員殺せと依頼されてるんだわ」

 

それだけで全てを悟った。

 

ああ……私も死ぬんだって。

 

恐怖は感じる。

 

でもそこまで強くはない。

 

欲を言えばもう少し、ううん、もっともっと海未ちゃんやことりちゃん達と一緒にスクールアイドルしたかった。

 

でも、竜ちゃんのいないそこに意味はあるのかなって、やっぱり考えちゃって、でも未練はあって……。

 

結局、私はどっちも捨てきれなかった。

 

それでも時は止まらない。

 

「じゃあな?」

 

そして引き金が退かれた。

 

パァンッ!! という音がした。

 

何故か弾がゆっくり見える。

 

確かな死がそこまで来てるのに、思い出すのは雪穂やお母さんとの思い出、海未ちゃんやことりちゃん達との思い出、そして竜ちゃんとの思い出。

 

これが走馬灯なのかな?

 

そんな事をぼんやり考えながら、目を閉じて竜ちゃんの所に逝くのを待っていた。

 

…………。

 

…………………。

 

…………………………。

 

でも、いつまで経っても痛みは来ない。

 

流石に疑問に思ってたら、「ぎゃあぁぁああああっ!?」という宇宙人の叫び声が聞こえた。

 

驚いて目を開けると、私の目の前には誰かの左腕。

 

そして更にその向こうに、弾が当たって苦しんでるのか、痛みに転げ回っている宇宙人がいた。

 

一体何があったの?

 

逆に怪我した宇宙人は、その左腕の主に叫ぶ。

 

「な、何故生きている!?」

 

生きている?

 

その言葉に疑問と微かな希望を持って、左腕の付け根を目で追っていくと、死んだ筈の竜ちゃんが右手で額を押さえて立っていた。

 

血は止まってないのか、ポタッ、ポタッと滴り落ちている。

 

穂「竜……ちゃん?」

 

未だに信じられなくて、私は思わず声をかけた。

 

だって確かに頭を撃たれたのに。

 

確かに血を流してピクリともしなかったのに。

 

私は絶望してたのに、それでも彼は、それを鼻で笑うように、私の方を向いてこう言ってくれた。

 

「お前を守るのが今の俺がやるべき事だ。お前を残して死ねるかよォ…」

 

その言葉に、私はまた涙を流した。

 

今度は悲しみの涙じゃない。

 

嬉しさから来る涙だ。

 

「良かった……良かったよぉ……竜ぢゃぁん……」

 

「あァ?ひでー顔だなァ?」

 

相変わらずの憎まれ口だけど、今はそれすらも嬉しい。

 

竜ちゃんは私から顔を背けると、目の前の宇宙人を睨み付けた。

 

「よォ……スクラップの時間だぜ?クソ野郎……」

 

「なっ、何故だっ!? 何故動けるっ!?」

 

「あァ?知らねェなァ……」

 

竜ちゃんはそう言うと、一歩一歩確実に宇宙人に近づいていく。

 

「くっ、来るなっ!!」

 

宇宙人は拳銃を乱射するけど、竜ちゃんはユラユラ動いて弾を全てかわしきった。

 

す、すごい…!

 

その内、空になったのかカチカチという音がする。

 

それを見た竜ちゃんは左拳を握りしめた。

 

「よォクソ野郎ォ……俺を殺すならまだ分かる。けどなァ……こいつは関係無いだろ!? 俺はめんどくさがり屋で、割りと無責任な人間だ。とてもじゃねェがヒーローには向いちゃいねェ…」

 

そんな事無い……そんな事無いよ竜ちゃん。

 

「あァ分かってる。そンなヤツが今更ヒーロー面なンて、バカバカしいって事ぐらいはよォ。全く……甘過ぎンだよなァ……自分でも虫酸が走る」

 

今竜ちゃんは、立派なヒーローだよ?

 

「でもだからってなァ、今ここでこいつを見捨ててのうのうと死んでいい筈がねェンだ!あァ、綺麗事だってのは分かってる……。でも違うンだよ。例え俺がどれほどの無責任な人間だとしても、どンな理由を並べても、それでこいつの笑顔が消えていい事には、ならねェだろうがっ!!」

 

穂「竜ちゃん………!」

 

ズルいよ……そんな事言われたら私……ますます好きになっちゃうじゃん……。

 

そして竜ちゃんは、その左拳を宇宙人の腹に食い込ませ、そのまま貫いた。

 

「げぶっ!?」

 

一瞬だけ宇宙人は硬直して、すぐに光の粒子になった。

 

竜ちゃんはそれを見届けると、すぐに後ろに倒れそうになった!

 

「竜ちゃん!!」

 

私はそれを支えようと走り出し、なんとか竜ちゃんを受け止める。

 

改めて見ると酷い傷だった。

 

私を守るためにこんな……。

 

「竜ちゃん大丈夫っ!?」

 

「うるせェ……とりあえず……病……院……」

 

「竜ちゃん?竜ちゃん!!」

 

力尽きたのか、竜ちゃんは意識を手放してしまった!

 

マズイよどうしようっ!?

 

と、とにかく救急車呼ばないとッ!!

 

私は急いでスマホを取り出して救急車とお母さん達に電話した。

 

詰まりながらも何とか説明し、その場にいるように指示された。

 

数分後、救急車が来ると竜ちゃんは運ばれ、私も現場に来たお母さんや、竜ちゃんのお母さん、竜ちゃんの一番上のお姉さんの『天青 環』さんと一緒に西木野総合病院に向かった。

 

 

穂乃果sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未side

 

 

竜司が突然現れた宇宙人に頭を撃たれた。

 

私は盾とお茶をしていましたが、その事実を聞いて盾と共に事情を説明した上で母に運転して貰って、搬送された西木野総合病院へ向かいました。

 

海「竜司ッ!!」

 

私が行く頃にはメンバーの全員が、脳外科の診察室の前にいました。

 

海「竜司はっ!? 竜司はどうなったのですかっ!?」

 

穂「海未ちゃん待って!竜ちゃんは大丈夫だから」

 

盾「そうだよ海未。ちょっと落ち着こう?」

 

気が動転してメンバーの誰かに状況を聞き出そうとしましたが、穂乃果と盾に諭されました。

 

何とか落ち着いてイスに座ると、そのタイミングでト字トンファーのような現代的デザインの杖をついた竜司が、彼のお母様と姉である環さんと一緒に出てきました。

 

穂乃果のお母様が、竜司のお母様や環さんと話してる間、穂乃果が竜司に駆け寄ります。

 

穂「竜ちゃん!ごめんね?私のせいで……」

 

竜「なァンでお前が謝るンだよ?気にすンな」

 

私達も続いて竜司に近づき、容態を確認します。

 

海「竜司、大丈夫なんですか?」

 

竜「一応はな?」

 

盾「頭撃たれたって~?」

 

凛「でも傷跡見当たらないにゃ」

 

凛の言う通り、確かに竜司の額に銃痕は無く、それどころか包帯を巻いてすらいませんでした。

 

花「回復凄いね……」

 

ニ「それで済む問題なの?」

 

絵「ハラショー……」

 

希「スピリチュアルやね……」

 

確かにこれは異常です。

 

そう思ってたら、ふと視界の隅で真姫と氷川君が、担当医である真姫のお母様と話していました。

 

耳を澄ませるとこんな内容でした。

 

「ねぇ真姫ちゃん、氷麗君。彼の頭を調べたんだけど、確かに撃たれた痕が彼にはあった。でも自然治癒力がすごいのよ。彼は前頭葉を傷つけられている。本来なら言語機能、運動機能、計算機能は全て絶たれてる筈なのに、それを問題なく行使できるくらいに。おまけに撃たれた痕が綺麗サッパリ消えてるのよ」

 

真「じゃあ、天青先輩は問題なく生活出来るってこと?」

 

「一応はね?でも僅かな後遺症がまだ残ってて、しばらくは杖が必要になるかもね」

 

氷「ふむ……」

 

そこまで聞くと氷川君は顎に指を当てました。

 

何か思い当たるものがあるのでしょうか?

 

そんな時、緋村先輩が手を叩き、みんなの注意をひかせました。

 

茜「どうやら竜司も大事には至って無いようだし、俺達はここらで帰ろう。後は竜司のご家族にお任せして」

 

環さんも言います。

 

「そうよ。後は私達に任せて?竜くんが心配かけてごめんね?」

 

絵「いえそんな……」

 

環さんのほんわか口調に絵里先輩が手を振って謙遜します。

 

結局、この日は解散になりましたが、気にかかることがあります。

 

ここまで盾達が無言だった事。

 

そして竜司の異常な回復力。

 

何か隠されてる。

 

私にはそう思えてなりませんでした。

 

 

海未sideoff

 

 

 

 




簡単な感想でもいいので、是非ください。

じゃないと作者は泣きそうです。


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先輩禁止!#1

素直に申し上げますと、これ以降の昔の話はあまり当てにしない方がいいと思います。



竜司side

 

 

あの一件から数日が過ぎた。

 

穂乃果を守る為に俺は頭を撃たれ、杖が必要な生活に陥った。

 

本来なら死んでる所だが、ウルトラマンによって内側から治療され、今も生きている。

 

それでも完治はしておらず、言語機能やその他諸々はウルトラマンに任せっきり。

 

完治には四年かかるそうだ……クソッタレ。

 

逆に言えば、それまでの間にウルトラマンがいなくなれば、俺は言語機能や運動機能を失うという事だ。

 

ともあれ、この数日は穂乃果にベッタリつかれていた。

 

余程俺の事が心配だったのか、泊まりに来るほどだった。

 

そンな日々を過ぎた現在。

 

陽が暮れても暑さの抜けない季節になった。

 

ニュースの天気予報は連日猛暑を伝え、今年に入ってからの熱中症患者の数を伝えるのに忙しい。

 

炎天下の中、夏休みに入ったにも関わらず屋上で練習するμ’sメンバー達の熱中症リスクは高い。

 

いくら俺たちが効率よく練習出来るよう、サポートしても暑さが拭え無いのでは意味が無い。

 

ニ「あっつ~い……」

 

穂「そうだね~………」

 

ニコ先輩と穂乃果が屋上の入口で、余りの暑さに引きつった笑みで猫背になっている。

 

ニ「っていうか、バカじゃないの!? この暑さの中で練習とか!?」

 

ニコ先輩が最もな文句を言う。

 

まァ、確かな文句だな。

 

絵「そんな事言って無いで、早くレッスンするわよ!!」

 

室内じゃ大きな音量までは出せないから、結局外になるンだよなァ。

 

花「は…はい……」

 

そンな絢瀬先輩の言葉に反応したのは、ニコ先輩ではなく、イクスの後ろに怯えながら隠れる花陽だった。

 

何故怯える?

 

絵「あ………花陽、これからは先輩も後輩もないんだから。ね?」

 

花「はい…」

 

そうは言っても、そういうのはなかなか抜けきらないもの。

 

俺たちマネージャー組みたいにはいかないもの。

 

まあ、そもそも俺たちは先輩後輩の概念が曖昧だからな。

 

呼び捨てでいいって言われたら即呼び捨てで呼べるぞ?

 

にしても、怯える花陽を見て少しショックを受けてる絢瀬先輩も不憫だなァ、おい。

 

蒼「絵里、ドンマイ」

 

絵「うう……」

 

蒼燕に肩を叩かれた絢瀬先輩は余計に惨めになった。

 

穂「そうだ!! 合宿行こうよ!!」

 

ニ「はぁ?何急に言い出すのよ?」

 

突然の提案だった。

 

ホントに何を急に言い出してンだこいつはァ?

 

いや、いつものことか。

 

穂「ああ!! 何でこんな良いこと早く思いつかなかったんだろ~!」

 

手を合わせながら言う穂乃果。

 

つーかよォ、まず思いつかねェぞそンなの。

 

せめて夏休みに入ってからだろうがァ。

 

凛「合宿か~…。面白そうにゃ~!」

 

希「そうやね」

 

茜「この連日炎天下じゃ、体調にも関わるからな。いい案なんじゃないか?」

 

茜たちも賛同する。

 

意外と賛同意見多いな。

 

花「でも、どこに?」

 

穂「海だよ!夏だもの!!」

 

即答かよ。

 

まァ無難っちゃァ無難か?

 

海「費用はどうするのです?」

 

穂「それは…………っ」

 

海未のお金の問題に対する問いには詰まってしまい、目を背ける穂乃果。

 

竜「お前……考えて無かったのか?」

 

相変わらずその場の勢いだけのヤツだなァ。

 

呆れの目で見ると、穂乃果はことりの手を掴んで隅へ連れていくと、ことりに小声で訊ねる。

 

「ことりちゃん。バイト代いつ入るの?」

 

「ふぇぇぇ!?」

 

竜「ことりにたかってンじゃねェよ……」

 

朱「大体バイト代じゃ、合宿は無理だよ」

 

ことりのお金を当てにする発言をするが、俺と朱雀で却下する。

 

氷「あっ、真姫なら別荘持ってるし、いけるんじゃないですか?」

 

真「ヴェェェ!?」

 

ここで氷麗が代替案を出し、矛先を向けられた西木野は特徴的な驚きの声を出す。

 

別荘持ってるなンて、とことン規格外なお嬢様だな。

 

穂乃果はすぐさま西木野の所へ行く。

 

穂「えっ!? ホント!? 真姫ちゃんお願~い」

 

西木野に頬擦りしながら言うアホ。

 

真「ちょっと待って!何でそうなるの!?」

 

がめつい、がめついぞ穂乃果。

 

どンだけ合宿行きたいンだよ。

 

絵「そうよ。いきなり押し掛ける訳にはいかないわ」

 

流石は会長。

 

今や立派なまとめ役でありストッパー役だな。

 

しかし何処かに電話をかけていた氷麗が、そのブレーキを簡単にぶち壊す。

 

「おじさんに聞いたら良いってさ」

 

「「やったぁ(にゃ~)!!」」

 

氷麗が西木野の父親から許可を貰い、それを聞いた穂乃果と星空が喜ぶ。

 

真「ちょっ!? 何勝手にやってんのよ氷麗のバカ!!」

 

氷「そうは言うけど、ほら……」

 

抗議をあげる西木野に、氷麗は穂乃果の方を指差す。

 

そこには、捨てられた子犬のように目をウルウルさせている穂乃果が。

 

これは穂乃果お得意の諦めに見せた遠回しの懇願攻撃。

 

しかもよく周りを見たら、他の奴等も何気に期待している目ェしてるぞ。

 

あの絢瀬先輩まで、少し気が引けるけどお願いできないかしら的な視線を送っているぞ。

 

それを見た西木野は遂に、

 

「うぅ~……もう!分かったわよ!!」

 

観念した。

 

哀れなり、西木野。

 

絵「フフ♪あっ、そうだ。……この機会にやった方がいいわね♪」

 

その言葉を聞いた全員が、絢瀬先輩の方に向くが、絢瀬先輩はただ「フフ♪」と微笑むだけだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

旧い時代を感じさせる赤煉瓦造りの東京駅丸の内駅舎は、中に足を踏み入れれば雰囲気が外装とは様変わりする。

 

自動券売機や自動改札機といった日々進歩していく技術が詰め込まれ、古めかしさは一切感じない。

 

そんな奇妙なドームの中で、俺たちは集まっていた。

 

穂「えぇぇぇぇ!? 先輩禁止!?」

 

穂乃果がうるさいくらい叫ぶ。

 

いやホントうるさい。

 

もうちょっと声を抑えろや。

 

他の人に迷惑だろうがァ。

 

絵「前からちょっと気になっていたの。先輩後輩は勿論大事だけど、踊っているときにそういうことを気にしちゃ駄目だから」

 

海「そうですね。わたしも3年生に合わせてしまうところがありますし」

 

まァ、部活をやっている以上はそうなるだろうな。

 

この上下関係は中学、高校、大学、社会と上がるにつれて重要な事になってくる。

 

だが、スクールアイドルにとっては少し障害でもある。

 

歌って踊っている最中にもそれを意識してしまえば、先輩に当たらないようにとか、そういう変な気遣いのせいで集中力が乱れる場合もある。

 

特に1年は3年に気を遣ってしまうだろう。

 

ニ「そんな気遣い全く感じないんだけど?」

 

凛「それはニコ先輩が上級生って感じがしないからにゃ~」

 

ニコ先輩の不満に、星空がさらりと言ってしまう。

 

せっかく皆が今まで口に出さなかったというのに。

 

当然その言葉はニコ先輩の癇に障る。

 

ニ「上級生じゃなきゃ何なのよ?」

 

「んー」と考えた後に星空は答える。

 

「後輩?」

 

穂「ていうか、子供?」

 

希「マスコットかと思ってたけど」

 

虎「アハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

その言葉に虎亜は腹を抱えて笑う。

 

つーかよォ、穂乃果も東條先輩も容赦ねェなァおい。

 

ニ「どういう扱いよ!っていうか虎亜は笑いすぎ!!」

 

言いたい放題言われ、しかも笑われたニコ先輩は当然のごとく怒る。

 

絵「じゃあ早速、今から始めるわよ。穂乃果」

 

上手い感じに本題を戻しつつ、それを実施させる絢瀬先輩。

 

1番の上級生からの振りなら、穂乃果もやりやすいだろう。

 

穂「あ、はい!良いと思います!え、絵里ちゃん!」

 

そう言った穂乃果は、おそるおそる目を絢瀬先輩に向ける。

 

絢瀬先輩は「うん♪」と満足そうに笑った。

 

穂「ほぉ……何か緊張……」

 

穂乃果は胸を撫で下ろす。

 

竜「穂乃果でも緊張するんだな。初めて知った」

 

穂「失礼だよ竜ちゃん!!」

 

だってお前はいつだってポジティブ溢れだすヤツだからよォ、そンなのに無縁だと思ってたンだよ。

 

別にバカにはしてない……してない筈。

 

凛「じゃあ凛も!」

 

挙手した星空は深呼吸する。

 

凛「ことり……ちゃん?」

 

こ「はい、よろしくね。凛ちゃん。……真姫ちゃんも」

 

ことりが言うと、メンバー全員の視線が西木野へと集中する。

 

西木野は気恥ずかしそうに顔を紅くしながら腕を組む。

 

真「べ、別に、わざわざ呼んだりするもんじゃないでしょ?」

 

強気な口調が苦し紛れに聞こえる。

 

それもそうだが、だからと言ってそこまで呼ぼうとしないとか照れてンのかよ。

 

相変わらずのクソめんどくせェツンデレっぷりだな。

 

ここで無理強いはしないようで、絢瀬先輩の視線は西木野から離れて俺たちへと移る。

 

絵「じゃあ、天青くんたちも。苗字でも名前でも、どっちでもいいわよ?」

 

チッ、俺達もかよ。

 

竜「チッ、絵里ィ…」

 

絵「えっ?なんで私今舌打ちされたの?」

 

一々気にすンなよめんどくせェ……。

 

盾やイクスも言う。

 

盾「絵里ちん?」

 

火「カス絵里……」

 

絵「なんで私『カス』って呼ばれたのっ!?」

 

おー、中々のツッコミだな。

 

地味に動揺する絵里を蒼燕が宥める。

 

蒼「まぁ落ち着け絵里。お前の聞き間違いだ」

 

絵「いや聞き間違いじゃないわよね!? 明らかにカスとか舌打ちされたわよね!?」

 

蒼「お前は疲れてるんだよ間抜けエリーチカ」

 

絵「今『間抜け』って言った!! 絶対言った!!」

 

いい反応だ。

 

感動的だな。

 

蒼燕がからかうのもよく分かる。

 

しばらくムスッとした顔で蒼燕を睨んでいた絵里だが、やがて諦めたのか溜め息を吐いてから咳払いする。

 

絵「んっん……それでは、今から合宿に行きます。部長の矢澤さんから一言」

 

ニ「えっ!? ニコ!?」

 

仕切り直した絵里からの予想外な一言で、自身を指差して固まるニコ。

 

一応部活の合宿なんだから、部長が何か言わないとな。

 

虎亜はそんなニコの背中を押す。

 

「ほらニコ……」

 

ニコはとぼとぼと中心に歩いてきた後、

 

「しゅ、しゅっぱーつ!!」

 

それだけ言って、後は黙った。

 

数秒、俺達のいる空間だけ、時間が止まったような沈黙が生まれた。

 

穂「……それだけ?」

 

ニ「考えてなかったのよ!」

 

だろうな…。

 

こんな感じで電車に乗り込んだ。

 

 

 



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先輩禁止!#2


書けば書くほどお気に入り登録してくれた方が逃げていき、リメイクってダメなのかな~と、後悔してます。

でもそんな事は気にせずどうぞ。



電車に揺られ数時間。

 

別荘に着いた感想だが、でかい……。

 

とにかくでかい。

 

他のメンバーも同様で、唯一氷麗が驚いてなかった。

 

西木野……真姫の家で居候してるって話だし、馴れたんだな。

 

「「「「「「「おぉ~」」」」」」」

 

氷「相変わらず、すげぇよな…」

 

ニ「ぐぬぬぬぬぬ……」

 

ニコは何故かぐぬぬっていた。

 

そんなに悔しがる必要ないんじゃね…?

 

穂「すごいよ真姫ちゃん!」

 

凛「さすがお金持ちだにゃー!」

 

真「そう?普通でしょ?」

 

真姫は穂乃果と凛の賞賛を何でもないと言わんばかりに返す。

 

何でもなくはないだろ…。

 

目の前にプライベートビーチがある別荘なンて、そうそうお目にかかれるもンじゃねェぞ。

 

氷麗も思ってるようで、

 

「何が普通だよ?こんな別荘は普通じゃあり得ねぇよ……」

 

とぼやく。

 

真「何言ってるのよ。昔はよくパパとママと私とあんたの四人で一緒に来てたんだから、もう馴れたでしょ?」

 

氷「そりゃそうだが…」

 

幼馴染みだからこそ出来る体験か……。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

次に来たのは寝室。

 

しかしまァなンつーか……ベッドがでかい。

 

とにかくでかい。

 

無駄にでかい。

 

そのでかさに穂乃果と凛と海未は思わず「わぁ~!!」という声を出していた。

 

何でもかンでも大きくすればいいってものじゃねェだろうがァ。

 

穂「こことーった!!」

 

そう言ってベッドに勢い良く飛び込んだ穂乃果。

 

オイオイ、愉快にケツ振りやがって!

 

誘ってンのかァ!?

 

そしてそンな穂乃果に続くように、凛もベッドにダイブする。

 

「凛はこっち~!」

 

竜「お前ら……」

 

盾「ふかふかだし、広そうだね~」

 

盾や海未はともかく、このバカ2人はよくこンな事ではしゃげるな。

 

オイ穂乃果、ベッドの上でゴロゴロしてンじゃねェ!

 

凛「海未先輩たちも早くとった方が……あっ」

 

海「……やり直しですね」

 

あの絵里がいきなり言った事だ。

 

急に先輩禁止と言われても中々慣れないのが普通か。

 

凛「……うんっ!海未ちゃん、盾君、竜司君、穂乃果ちゃん」

 

1年でもノリが軽い凛なら、慣れるのに時間はそうかからないだろう。

 

穂「竜ちゃん!一緒に寝よ!」

 

竜「ほざいてろアホが」

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐助side

 

 

竜司達は二階に行ったが、俺は西木野の別荘に着くとすぐにキッチンの方に向かった。

 

理由は俺が恐らく料理当番になると思うから。

 

側には南さんや西木野、ニコさんもいる。

 

そんな彼女達に構わず、俺は調理器具やら調味料の場所を確認していく。

 

って………あれ?

 

思ったより少ない……。

 

包丁とか最低限のものはあるみたいだが……。

 

そんな時だ。

 

ニ「りょ、料理人っ!?」

 

ニコさんの仰天声が聞こえた。

 

そちらに振り向くと、西木野にニコさんと南さんが向かい合っており、それを遠目から朱雀と氷川が見ていた。

 

真「そんなに驚く事?」

 

こ「驚くよ~。そんな人が家にいるなんて……凄いよね!」

 

朱「一般家庭に料理人がいる事自体が普通におかしいんだよ……」

 

西木野の家には料理人とかがいるらしい。

 

何故こういうお金持ちお嬢様は一般の人と少し感覚がズレているのだろうか?

 

ニ「……へ、へえ~、真姫ちゃん家もそうだったんだ~!にこん家も専属の料理人、いるのよねえ~!だからにこぉ、ぜ~んぜん料理なんかやった事なくて~」

 

こ「へえ~!ニコ先輩もそうだったなんて~!」

 

ニ「にこにーでしょ」

 

こ「え?」

 

ニ「ニコ先輩じゃなくて、にこにー!」

 

こ「あ……うん!!」

 

………なんかいい感じに終わろうとしてるけど、ニコさん、あんた絶対それ見栄だろ?

 

まぁ、後で虎亜に聞けばいいか。

 

 

嵐助sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

全員が練習着に着替え、外に集合したところで練習メニューを考えてきた海未の説明が始まった。

 

「これが練習メニューになります!」

 

海未は窓に貼った練習メニューを指しながら言う。

 

練習メニューには遠泳10kmにランニング10km、精神統一や腕立て腹筋20セットと書かれていた。

 

何ですかこれはァ?

 

トライアスロンの選手の練習メニューかァ?

 

遠泳10kmって何だよ…。

 

穂乃果と凛とニコはそれぞれ水着に着替えていて、既に海で遊ぶ気満々。

 

まさかこれから練習するなんて思っても見なかった3人の表情は実に不服そうだ。

 

穂「って海は!?」

 

海「……私ですが?」

 

穂乃果の言葉に海未がキョトンとした顔で返す。

 

ナニイッテンダ!! フジャケルナ!!

 

盾が海未のボケにツッコム。

 

盾「違うよ…海未。海未じゃなくて海ね…」

 

海水の海を指差しながら言う盾。

 

海「それでしたらここに」

 

海未は満面の笑みで遠泳10kmと書かれているところを指差した。

 

穂「え、遠泳10キロ……!?」

 

ニ「そのあとランニング10キロ……!?」

 

それを見た穂乃果とニコは10kmという数字と、その後に書いてあるランニング10kmに顔を引きつらせていた。

 

そりゃそうなるよな。

 

俺だって絶対やだ。

 

朱雀やイクスすら、顔を引きつらせていた。

 

海「最近基礎体力をつける練習が減っています。折角の合宿なんですし、ここでみっちりやっといた方が良いかと」

 

盾「それ……みんなの体力は持つの?」

 

海「大丈夫です!熱いハートがあれば!!」

 

竜「お前はどこの超熱血テニスプレイヤーだ」

 

何?練習中誰かがへばっていたらその人そっくりに応援するの?

 

いくら大和撫子の海未でも暑苦しいこと極まりない。

 

正直ンな事をされたらイラッとくる。

 

ニ「やる気スイッチが痛い方向に入っちゃってるわね……。ちょっと、どうにかしなさいよ」

 

穂「分かったよ……凛ちゃん!」

 

凛「わ……分かったにゃ!」

 

3バカトリオは何やら相談して、海未を説得しようとしていた。

 

すると凛は海未の手を引き、

 

「海未ちゃん!あそこー!」

 

「ええ!何ですか!?」

 

そう言って空を指差していた。

 

穂「今だー!」

 

凛「行っけー!」

 

その間に穂乃果とニコ、ことりに花陽は砂浜の方へ走っていった。

 

海「ちょっ……!! 待ちなさーい!」

 

絵「仕方ないわね……」

 

海「えぇ……?良いんですか?絵里先ぱ………あ」

 

絵「……禁止って言ったでしょ?」

 

海「すみません……」

 

謝る海未に絵里は優しく言う。

 

絵「μ'sはこれまで部活の側面も強かったから、こうして遊んで先輩と後輩の垣根を取る事も重要な事よ?」

 

盾「それにまだ合宿は始まったばかりだよ。1日くらい許してあげよう?海未」

 

絵里の言葉に海未がイマイチ納得いってない表情をしていたが、盾が海未の頭をポンポンと撫でると、海未はコロッと「分かりました」と態度を変えた。

 

朱「まあ……遊ぶなら勝手にして。僕は寝てるから」

 

朱雀が昼寝をしようとしたので、俺とイクスも便乗する。

 

竜「じゃあ…俺も…」

 

火「俺も…」

 

そう言って俺たち3人は別荘の中に入る。

 

絵「あっ、コラ!3人とも待ちなさい!!」

 

絵里が止めにくるが、

 

蒼「好きにさせてやれ。あいつらには、あいつらのペースがあるんだ」

 

蒼燕が絵里を止める。

 

絵「でも……」

 

蒼「第一、先輩後輩の垣根を取るのは、お前らμ’sのメンバーの方だろ?」

 

それでも絵里はまだ不服そうだ。

 

蒼「俺と虎亜と茜、寺獄と氷川と土方で充分だろ?」

 

蒼燕がそう言うと、絵里は渋々納得した。

 

それを聞いた俺とイクスと朱雀の3人は今度こそ、昼寝をしにいく。

 

つーか、杖を使ってるヤツが海で遊べるかよォ。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼燕side

 

 

竜司と朱雀と火神の3人が昼寝をしている間、俺たちは水着に着替えて、ビーチに出る。

 

絵里たちμ’sのメンバーは、海ではしゃいだり、水鉄砲で遊んでいた。

 

虎亜と茜がカメラで、その様子を録っていた。

 

なんでも次のPVで使うとか……。

 

唯一、西木野……真姫がパラソルの下でイスに座って読書をしていて、氷川は隣でだらけている。

 

寺獄と土方は、スイカ割りの用意をしている。

 

俺はというと、砂浜に座り海を静かに見ていた。

 

そこへ絵里が来た。

 

ロシアのクォーターっていうだけあって、スタイルは抜群で、水着になると色気が溢れ出る。

 

絵「何してるの?蒼燕」

 

そう言って俺の隣に座る。

 

蒼「いや、ちょっとな……。昔の事を思い出してた……」

 

絵「そう……」

 

それだけ呟くと、絵里も俺と一緒に海を見る。

 

しばらくの静寂が流れたが、不意に絵里が口を開く。

 

「あの時はすごく心配したのよ?」

 

「そういや、あの時の絵里はめちゃめちゃ泣いてたな」

 

「も、もう!茶化さないで!! ホントに心配したのよ!? 私のせいで蒼燕が死ぬんじゃないかって……」

 

顔を赤くしながら睨む絵里だが、すぐにその顔を暗くする。

 

ああ、よっぽど心配かけてたみたいだな。

 

蒼「悪かったよ…」

 

俺は茶化した詫びに絵里の頭を撫でる。

 

まだ幼い時、絵里の家族と俺の両親で海に行った事がある。

 

その海はとても綺麗で、絵里が物凄くはしゃいでいた。

 

それが仇になったのか、準備体操をしなかった絵里は足をつり、溺れかけた。

 

それにいち早く気づいた俺が絵里を担いで助けたのだが、今度は俺が急に来た大波にさらわれ溺れた。

 

何とか火事場のバカ力で絵里だけでも浅瀬に放り込めたが、急な事だったので息を満足に吸えず、深いところまで溺れた。

 

このまま死ぬんだなって、その時やけに冷静だったのを覚えてる。

 

諦めていたその時、海の底から青い光が俺にせまり包み込んだ。

 

そこで俺はアグルと出会った。

 

その後の事はよく覚えてない。

 

気づけば絵里が俺に抱きついて、泣きわめいていた事だけは覚えている。

 

両親に聞くと、俺が青い光に乗って現れたとの事らしい。

 

そしてその時から、俺の右手首にはアグレイターが装着されていた。

 

絵「あの時の青い光って、結局何だったのかしら?もしかして、あれってアグルなのかしら!!」

 

絵里は目をキラキラさせながら聞いてくるが、俺はそれを「さぁな……」と言ってあえてぼかす。

 

こいつをこっちの危険な世界に踏み入れさせる訳にはいかないからな……。

 

その時、穂乃果と希が大声で呼んでくる。

 

穂「おーーい!! 絵里ちゃーん!蒼燕さーーん!!」

 

希「二人ともー!そんなとこでイチャついてないで、こっちに来なよーー!!」

 

絵「イ、イチャついてなんかいないわよ!!」

 

大声で否定する絵里。

 

俺は立ち上がり、絵里に言う。

 

「行くか?絵里」

 

そして歩き出すと、

 

「あっ、待ってよ!蒼燕!!」

 

絵里も手を伸ばしながら慌てて俺の後を着いてくる。

 

俺と絵里は並んで歩くがその途中、俺は不意打ちで絵里の水着を褒めた。

 

「あっ、絵里。その水着よく似合ってるぞ」

 

「っ~~~~!?///」

 

すると絵里は面白いくらいに顔を真っ赤にしながら俯く。

 

やっぱ可愛いな、絵里は。

 

 

蒼燕sideoff

 

 

 



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先輩禁止!#3







竜司side

 

 

竜「あァ?」

 

しばらく昼寝をしていた俺が現代的デザインの杖をつきながら下に降りると、どうやら全員海での遊びを終えてリビングに集まっているが、何やらお困りの雰囲気だった。

 

ちなみに、朱雀やイクスはとっくに起きていて、俺が最後だったみたいだ。

 

俺は近くにいた穂乃果に話し掛けてみた。

 

「どうかしたのか?」

 

「あっ、竜ちゃん!! 何で海に来なかったの!? 穂乃果ずっと待ってたんだよ!!」

 

「いい歳して誰が海ではしゃぐかよ……。それより何があった?」

 

それにこっちは杖ついてンだぞ?

 

遊べる訳ねェだろうがァ。

 

穂乃果の文句を一蹴すると、穂乃果は「むー」と頬を膨らませていたが、やがて訳を話してくれる。

 

どうやら厨房にいる嵐助の話だと、何でも買い出しに行かないといけないらしい。

 

竜「食材が足りなくなったのか?」

 

希「無いことはないんやけど、どうしても今日の晩御飯だけで無くなっちゃうみたいで……」

 

希が近くにきて、説明のフォローをしてくれる。

 

希「そんでな?真姫ちゃんの話やと、ここからスーパーが遠いらしくて……」

 

あー…成る程な……。

 

真「別に、私一人で行ってくるからいいわよ。それにみんなスーパーの場所、誰も分からないでしょ?」

 

すると真姫が一人で行くと言い出す。

 

何も一人で行かなくても……。

 

希「じゃあ、ウチがお供する!」

 

真「うぇえ?」

 

希「たまにはええやん?この組み合わせも」

 

希は少々強引ながらも真姫に提案した。

 

真姫は少し戸惑いつつも、小さく頷いた。

 

希「それじゃ、行ってくるね」

 

氷「ちょい待ち。俺も行くぜ!」

 

茜「荷物持ちくらいにはなるだろ?」

 

氷麗と茜が席を立ち、提案してくる。

 

真「なっ……!? 氷麗たちも来るの……?」

 

氷麗と茜も着いていこうとするとしたら、希が行くと言った時よりも驚いていた。

 

氷「当たり前だろ?いっぱい買い込まなきゃいけないんだから、荷物が重くなるだろ?それに、女の子だけで行かすのは不安だ」

 

真「……勝手にすればっ」

 

顔を赤くして一足先に玄関へ行ってしまった。

 

希「もしかしてウチ、お節介?」

 

氷「いえいえ、そんなことは。あれは好意の裏返しってやつです」

 

希「幼馴染が言うんやったらそうなんやね……。あと敬語」

 

氷「あー…善処します…」

 

氷麗と希は話をしながら、茜と共に素直じゃない後輩の後を追いかけた。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茜side

 

 

希「おぉ~、夕日がキレイやんなぁ……」

 

茜「そうだな」

 

スーパーから別荘への帰り道。

 

俺は買い物袋を持って希と並んで歩く。

 

氷麗と真姫は俺たちよりも少し先を歩いていたが、突如立ち止まって振り返った。

 

真「……ねぇ」

 

希「ん?どうしたん?」

 

真「どういうつもり?」

 

希「別に?ただ真姫ちゃんは面倒くさい人やなぁって…」

 

真「……氷麗や茜先輩は、なんでそんなに私に構うの?」

 

真姫は隣にいる氷麗と、斜め後ろにいる俺に聞いてくる。

 

茜「何でだと思う?」

 

氷「俺は昔真姫に助けられたから、その恩返しがしたいだけ。要するに、自己満足かな」

 

俺は質問に質問で返し、氷麗ははっきりとその理由を言う。

 

真「何よそれ……。私なら別に普通に……」

 

希「そうそう。そうやって素直になれないんやね……」

 

真「っていうか!なんでそんなに私にばっかり絡むの!?」

 

希に立て続けに攻められ、反撃と言わんばかりな言葉を荒げた。

 

希「放っておけないんよ。ウチも真姫ちゃんみたいなタイプ、よく知ってるから」

 

…絢瀬………絵里のことか…。

 

真「……何それ」

 

まさかのカウンターを喰らった真姫は、何も言えなくなってしまった。

 

希「まっ!たまには無茶してみるのもええんとちゃうん?なっ、茜くん?氷麗くん?」

 

氷「えっ!?」

 

ここで俺たちに振るか…。

 

氷麗なんか突然のことで驚いてるぞ。

 

茜「そうだな…」

 

氷「まあ……偶になら………」

 

残念ながら、歯切れ悪くしか答えられない。

 

だが希は満足したようで、伸びをしながら言う。

 

「立ち話もこの辺にして、そろそろ戻ろっか。もしかしたら、みんなお腹空かせて待ってるかもしれんしな?」

 

氷「俺たちも行こっか…真姫」

 

真「………うん」

 

夕日のせいもあってか、心なしか顔が赤い真姫。

 

そんな真姫に優しく声をかける氷麗。

 

俺も「フッ」と微笑して一歩歩み出したその時。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

突然地響きがして、後ろから大きな獣の咆哮が聞こえた。

 

「グゴオオオオオオ……!!」

 

希「あれは……」

 

真「また怪獣!?」

 

俺たちの遥か後方に現れたのは、四足歩行で溶岩のように煮えたぎった体を持つ怪獣だった。

 

希は見覚えがあるのか顔を険しくさせ、真姫は嫌気が差したような声を出す。

 

まぁ真姫の気持ちも分かる。

 

合宿に来てまで怪獣の脅威に晒されるのだから、堪ったものじゃない。

 

とは言え、ここにいたら危ない。

 

茜「とにかくここから逃げるぞ!!」

 

希「そうやね……」

 

真「あーもう!! 最悪!」

 

氷「確かにな……」

 

俺はすぐに指示を出し、3人を先頭にして走らせる。

 

しばらく走ると俺は徐々に3人から距離を取り、横の路地に入る。

 

周りに誰もいないのを確認すると、懐から『マックススパーク』を取り出す。

 

茜「マックス……力を貸してくれ」

 

そう言って俺はマックススパークを掲げ、左腕に装着。

 

瞬間、俺は胸から徐々に変わっていき、完全にウルトラマンマックスになると巨大化した。

 

 

茜sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

溶岩怪獣・グランゴンは未だに暴れていた。

 

辺りの林を踏み潰し、前進する。

 

しかしそんなグランゴンの前に一体の光の巨人が降り立つ。

 

「シュワッ!」

 

ウルトラマンマックスだ。

 

(BGM:ウルトラマンマックス2)

 

マックスはボクシングのようなポーズをとる。

 

「ゴオオオオオオ……!!」

 

グランゴンは威嚇すると真っ直ぐマックスに向かってくる。

 

しかしマックスはそれを瞬間移動で後ろに回り、グランゴンの尻尾を掴み、持ち上げる。

 

「シュオォォォォ……!!」

 

そして三回ほど振り回し、海の方に投げる。

 

「シェヤァァァァァァ!!」

 

グランゴンは海面に顔から突っ込み、一瞬沈むが直ぐに浮上した。

 

「ゴオオオオオオ……!!」

 

グランゴンは口から火炎弾を乱射する。

 

マックスは頭に付いてる武器『マクシウムソード』を取り、正確にグランゴンの火炎弾を切り裂いて防ぐ。

 

それでもグランゴンはめげずに火炎弾を吐くが、マックスは余裕で切り裂いて防ぐ。

 

その時だった。

 

希「茜くん!何処!? 何処におるん!!」

 

茜がいないことに気づいた希がここまで戻って来ていた。

 

しかも運の悪いことにマックスが弾いた火炎弾が希に降り注いでいた。

 

希「あ……っ」

 

「フッ!?」

 

それに気づいた希は襲い来る衝撃に備えて両腕で頭を覆い、目を瞑るが、いつまで経っても痛みはおろか衝撃も来なかった。

 

なので希はおそるおそる目を開くと、そこにあった光景に驚愕で目を見開いた。

 

希「………ウルトラマンマックス……」

 

そう、マックスが希を火炎弾から庇っていたのだ。

 

マックスは希に頷くと、立ち上がりながらグランゴンの方に振り向く。

 

そしてマックスは左腕を胸の前に持っていき、天に掲げる。

 

すると左腕のマックススパークに光が集まる。

 

そして逆L字にして撃つ、『マクシウムカノン』を放つ。

 

「シュワァァァァ!!!!」

 

「グゴオオオオオ……!!」

 

マクシウムカノンはグランゴンに当たり、グランゴンを爆散させる。

 

それを見届けたマックスはゆっくりと構えをとき、希の方に顔を向け頷く。

 

希「ありがと。マックス」

 

希は微笑む。

 

それを見たマックスは、上空に飛び去る。

 

「シュワァァ!!」

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

茜side

 

 

マックスの変身を解いた俺は、希の元に向かう。

 

茜「希ぃーー!!」

 

希「茜くん!!」

 

茜「希!何でここにいるんだ!? 危ないだろ!?」

 

俺がそう言うと、希は俯きながら言う。

 

希「だって……急に茜くんいなくなって…それで……」

 

茜「そっか……すまない…」

 

結果的に俺が希を危険な目に合わせたのか…。

 

最低だな……俺は。

 

希「えっ?……あ、茜くん!?」

 

希は驚いたような上擦った声を上げる。

 

俺が頭を撫でているからだ。

 

茜「心配かけてすまない。後、怒鳴って悪かった」

 

希「………ん~ん。ええんよ……////」

 

そう言ってはにかんだ希の頬は赤くなっていた。

 

普段大人っぽいのに、こういう所では年相応な女の子だ。

 

そう思いつつ、俺は話題を変える。

 

茜「そう言えば、氷麗と真姫は?」

 

希がいるのに、あの二人がいないので希に訊くと

 

希「あっ!! しまった!! あの二人待たせとんや!!」

 

はっとしたように言う。

 

どうやらここにいるよう指示して待たせていたようだ。

 

茜「なら早く行かないとな…」

 

希「そうやね!」

 

そう言って俺と希は、並んで真姫と氷麗の元へ走った。

 

 

茜sideoff

 



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先輩禁止!#4


今回のリメイク点は、枕投げでの竜司の言葉、皿洗いの部分での会話を変えてます。



竜司side

 

 

嵐「もう少しで完成するから、もうちょい待ってろよ~」

 

茜たちが買い出しから帰ってきたちょうどに、嵐助による夜メシの準備が整ったようだった。

 

こ「ごめんね~。私がもたついてたから…」

 

嵐「いいって、いいって。料理は俺の得意分野なんで♪」

 

ことりの謝罪に気にすることも無く、踊るように料理を作っている嵐助。

 

ニ「………なかなかやるわね…」

 

ニコが爪を噛みながら、悔しがる。

 

何で?

 

ちなみに今日の夜メシの献立はカレーライスとサラダ。

 

お好みでシーザードレッシングやゴマだれドレッシングのボトルがテーブルの上に置かれていた。

 

ただ、花陽だけはカレーとご飯が別々で装っていた。

 

絵「何で花陽だけお茶碗にご飯なの?」

 

花「気にしないでください」

 

蒼「いや気にするだろ…」

 

花陽の気にしない発言にツッコム蒼燕。

 

穂「それじゃあ!みんな手を合わせてー!!」

 

穂乃果が号令を出すようで、他は穂乃果に従って手を合わせる。

 

「「「「「「「「「いただきまーす!!!!」」」」」」」」」

 

嵐「御上がりよ!!」

 

全員で礼儀正しく声をそろえた後、嵐助がどうぞ的なことを言うと、みんな目の前のカレーを口にした。

 

穂「美味しい!」

 

希「嵐助くん、これホントに美味しいんやけど!」

 

凛「当然にゃ!! 嵐兄にかかれば、ラーメンだって朝飯前にゃ!」

 

嵐「フッ……次の飯も期待しとけ!」

 

みんなが嵐助を褒めると、何故か凛が胸を張る。

 

嵐助も誇らしげだ。

 

確かにめちゃくちゃ美味い。

 

すると虎亜が不思議そうにニコに訊く。

 

「そういえばニコも料理上手いんだが、ニコは作らなかったのか?」

 

瞬間、ニコはギクッとする。

 

こ「あれ?でも昼に料理なんてしたことないって言ってましたよ?」

 

虎「は?どういうことだ?」

 

ことりの答えに虎亜が眉を潜めると、さらにニコの顔が引きつる。

 

真「言ってたわよ」

 

と真姫がことりの証言を補足する。

 

真「いつも料理人が作ってくれるって」

 

あっ、察した。

 

虎亜も同じようでニコに憐れみの目を向ける。

 

どうせ真姫の家に料理人がいるっていうことに、便乗したとか、そんなところだろう…。

 

ニ「いや……」

 

一瞬歯切れ悪くなったニコは、膝元に降ろしたスプーンを両手で握る。

 

ニ「ニコ、こんな重いもの持てなーい」

 

虎「何言ってんだお前」

 

虎亜だけではなく、俺も含めたメンバー全員がニコに呆れたような困ったような視線を送っている。

 

虎亜の言葉が癇に触ったのか、目つきを鋭くして立ち上がる。

 

顔の横には、重いとかほざいていたスプーンが片手で掲げられている。

 

ニ「五月蝿いわね!! これからのアイドルは料理のひとつやふたつ作れないと生き残れないのよ!」

 

穂「開き直った!」

 

ニ「大体!虎亜が余計な事を言うから!!」

 

責任を擦りつけようとするニコに対し虎亜は、

 

「フッ…。嘘をついた…お前が悪い……」

 

と何時もイライラしてる、どこぞの蛇男みたいな感じで言う。

 

そんなこんなで食事が終わり、すぐに穂乃果はソファに横になる。

 

それを見た海未が言う。

 

「太りますよ?」

 

穂「お母さんみたいな事を言わないでよ~」

 

文句を垂れる穂乃果。

 

凛「よーし!じゃあ花火をするにゃー!」

 

2人目のバカ、凛がおもむろに立って何を言いだすかと思えばこれだ。

 

花「その前にご飯の後片付けしなきゃ駄目だよ」

 

花陽がそう言うと、ことりが控え目に挙手をする。

 

こ「それならわたしやっとくから、行ってきていいよ」

 

花「え、でも………」

 

朱「ダメだよ」

 

絵「そうよ。そういう不公平は良くないわ。皆も自分の食器は自分で片付けて」

 

朱雀はともかく、花陽も絵里もやはりそういう事は気にしてしまう傾向があるらしい。

 

誰か1人に押し付けるのは良くないのだと。

 

蒼「なら片付けは俺達がしとくよ」

 

絵「でも蒼燕……」

 

蒼「絵里、ここはマネージャーである俺達に任せてくれ」

 

虎「こういうのも俺達の役目だろ?」

 

確かに練習じゃ殆ど役に立たないしな、俺達。

 

いや、茜や朱雀は別か?

 

海「ここは雨崎さん達のお言葉に甘えさせてもらうとして、まず花火よりも練習です」

 

このムードにとんでもない爆弾を落としたぞこの熱血娘。

 

夜に練習とか正気かよ。

 

ニ「うえ……これから?」

 

ニコが眉を潜め、凛が口をとがらせる。

 

海「当たり前です。昼間あんなに遊んでしまったのですから」

 

こ「でも……そんな空気じゃないっていうか……特に穂乃果ちゃんはもう………」

 

おそるおそる意見したことりが目配せした先で、ソファに座る穂乃果が寝返りを打つ。

 

穂「竜ちゃーん、お茶まだー?」

 

竜「自分で淹れろよ。めんどくさい」

 

何で俺が淹れなきゃならン……。

 

寝言かもしれないが。

 

海「家ですか!?」

 

真姫は自分の食器を持って立ち上がる。

 

真「じゃあ、これ片付けたらわたしは寝るわね」

 

凛「え~真姫ちゃんも一緒にやろうよー花火」

 

氷「そうだぜ。やろうぜ」

 

海「いえ。練習ですっ」

 

ニ「本気……?」

 

どンだけ練習したいンだこいつ。

 

体力あり余ってンのかァ?

 

凛「そうにゃ。今日は皆で花火やろう?」

 

海「そういうわけにはいきません」

 

凛「かよちんはどう思う?」

 

この討論に花陽を参加させるのは酷だろう。

 

花陽は気まずそうに主張する。

 

「わ、わたしは……お風呂に」

 

ニ「第三の意見出してどうするのよ」

 

この意見のぶつかり合い、いつ終わるんだ?

 

穂「竜ちゃーん、お茶ー」

 

竜「あー、分かった分かった…」

 

穂乃果は本当に寝ているのだろうか。

 

俺がそう思っていると、希が第四の意見を投じる。

 

希「じゃあもう今日はみんな寝よっか。いっぱい遊んだし、みんな疲れてるでしょ?練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜する事にして」

 

凛「そっかぁ!それでもいいにゃ」

 

海「確かに、練習もそちらの方が効率が良いかもしれませんね」

 

ようやく凛と海未は納得し、ニコは安心したのか胸を撫で下ろした。

 

あのストイックな海未を説得できるのは、盾とこの人くらいだろう…。

 

穂「お茶ー」

 

竜「うるせえぞ!いい加減にしないとお茶ぶっかけるぞ!!」

 

俺の怒鳴り声に全員苦笑いする。

 

場を総括した希は言った。

 

希「じゃあ決定やね」

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

μ’s組が風呂に入っている間にマネージャー組で食器を洗って片付け、交代でお風呂に入って上がるとリビングに布団が敷かれていて、その上で穂乃果と凛とニコがコロコロ転がっていた。

 

朱「なにこれ?」

 

こ「今日はみんなでここで寝ようってことになったんだー」

 

朱雀が訊ねると、ことりがこの状況を説明してくれた。

 

布団はきっちり18枚敷かれていた。

 

チッ、これは逃げられないな。

 

話し合った結果、寝る場所は窓側から見て、

 

ニコ ことり

凛 穂乃果

花陽 海未

希 絵里

真姫

 

真姫の下に、嵐助、イクス、氷麗、盾、俺、朱雀、虎亜、蒼燕、茜が1列に並んで寝ることとなった。

 

蒼「電気消すぞー」

 

蒼燕が電気を消す。

 

はぁー……疲れた。

 

昼寝したけど、意外と疲れが残ってたりするんだな。

 

そう思い、その身の疲れをそのままに委ねようとする。

 

ドンドン深みに沈んでいき、あと少しで夢の中へダイブになったところで顔にモフッとした衝撃を感じた。

 

………あァ?

 

枕を取り、目を開ける。

 

海「どういうことですか……?」

 

どうやら海未も俺と同じ状況になったようだ。

 

こ「えぇっとぉ……」

 

ことりがこの惨事を誤魔化そうとしていた。

 

ゆっくり立ち上がり見渡すと、盾、朱雀、イクス、嵐助、茜は寝ていた。

 

逆に起きてるのは、虎亜と蒼燕、氷麗。

 

後は穂乃果たちμ’sのメンバーか……。

 

竜「チッ……こンな夜遅くになにやってるのかなァ?氷ィィィィ川君よォォォ!!」

 

氷「えっ!? えっと……うぷっ!?」

 

とりあえず氷麗を処刑。

 

竜「あは……ッエーイ☆」

 

虎「………マジかよ。後ろ、見えてんのかよBA☆KE☆MO☆NO☆」

 

真「ち、違っ……!狙って当てたわけじゃ……!!」

 

穂「そうだよ!! そんなつもりは全然……っ!」

 

俺の容赦のない行動に虎亜は青ざめて木原みたいな事を言い、真姫と穂乃果が言い訳をし始めた。

 

海「明日朝から練習するって言いましたよね……?」

 

こ「う……うん……」

 

ことりが声を震わせて、返事をする。

 

竜「さァてェ!スクラップの時間だぜェ!!」

 

穂「えっと……竜ちゃんもしかして涙ぐんでる?」

 

竜「涙ぐンじゃいねェェェ!!」

 

検討違いな事を言った穂乃果を怒鳴る。

 

決定、こいつを先に伸ばす!

 

人の眠りを妨げやがって!

 

穂「待って竜ちゃん!お願い待って!」

 

穂乃果が命乞いをしてくるが知ったことかァ。

 

海「それを……?こんな夜遅くに……?」

 

俺は足元に置かれている枕を2つ拾い、その1つを微動だにしない海未にパスする。

 

すると虎亜がこっちに駆け寄ってくる。

 

虎「待て竜司!! 話せば分か………ぐは!!」

 

そンな虎亜の顔に、ウルトラマンの筋力を上乗せした枕を思いっきり押し当てて、気絶させる。

 

蒼「虎亜っ!? ぐはっ!!」

 

続いてその枕を蒼燕にもぶつけて気絶させる。

 

一方、パスを受けた海未は枕をキャッチし、ニコが寝ていた方向に向かって投げつけた。

 

ニ「ぐぁぁっ!?」

 

凛「ニ、ニコちゃん!?……ダメにゃ。もう手遅れだにゃ……!」

 

花「超、音速枕……」

 

絵「ハラショー……」

 

凛や花陽、絵里が戦慄する。

 

穂「生き残るには戦うしか……あう!!」

 

龍騎のキャッチコピーを言いながら迎撃しようとした穂乃果に、海未の枕が当たる。

 

絵「ごめん海未、竜司……むぐぅっ!?」

 

絵里には俺が蹴った枕が当たる。

 

残るは4人か……。

 

竜「あはぎゃはっ!! ヤベェよヤベェよ!楽しすぎンぞォォォォ!!」

 

俺の顔はさぞかし恐ろしいぐらいに笑っているだろう…。

 

凛と花陽は海未に任せ、真姫と希を仕留める。

 

真「くっ…!!」

 

希「ヤバイやん……」

 

花「凛ちゃん……」

 

凛「かよちぃん……」

 

「「だれか助けてー!!」」

 

海「ぐっ!?……ぬぅ」

 

あァ?

 

なンだァ?

 

助けが来たのか、海未が俺の後方から投げられた枕を受け、海未が呻き声を上げて倒れた。

 

そこで振り返ったのが運の尽きだった。

 

俺にも枕が当たり、強引に寝かされた勢いで夢の世界へと誘われた。

 

最後に見たのは、緋色の髪だった。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希side

 

 

希「ヤバイやん……」

 

ウチと真姫ちゃんは、竜司くんと海未ちゃんに挟まれて反撃出来ない状況に陥った。

 

切っ掛けは、真姫ちゃんのためにウチが始めた枕投げ。

 

でも、それが海未ちゃんと竜司くんに当たり、絶対に起こしてはならない者を起こしてしまった。

 

さながら、鬼と竜。

 

二人には悪いけど、化け物に挟まれて状態だ。

 

凛ちゃんと花陽ちゃんが助けを求めてるけど、今のウチらには無理や。

 

そんな時に、

 

海「ぐっ!?……ぬぅ」

 

海未ちゃんに誰かの枕が当たり、海未ちゃんを沈めた。

 

続いて竜司くんも。

 

誰が投げたんやろうと思って振り返ったそこには、

 

茜「全く、お前たちは何をやっているんだ……」

 

呆れた目で見てくる茜くんが立っていた。

 

「「茜くん!!」」

 

真「茜……先輩…」

 

希「どうして?どうして……茜くんが……?」

 

ウチは戸惑いを隠せなかった。

 

だって茜くんは、さっきまで寝てたのに…。

 

茜「あんなに騒がしければ、誰でも起きるだろう?まあ、それが功を成したようだが…」

 

茜くんは息をつきながら言う。

 

茜「で?誰が始めたんだ?」

 

凛「それは真姫ちゃんにゃ!!」

 

茜くんの質問に凛ちゃんが素早く答える。

 

茜「ほぅ……」

 

真「ち、違うわよ!!」

 

真姫ちゃんは慌てた様子で言う。

 

けど、茜くんはすべてお見通しみたいで、隣に立っているウチを見ると

 

茜「君もまだまだだな」

 

フッと笑いながら言う。

 

真「だから違うって言ってるでしょ。あれは希が……」

 

希「うちは何にも知らないけどね」

 

真「あんたねえ……!」

 

希「えい」

 

ウチは文句を続けようとする真姫ちゃんの顔面に枕をぶつける。

 

顔の枕を退けた真姫ちゃんは噛み付くように言う。

 

真「って何するの希!」

 

希「自然に呼べるようになったやん。名前」

 

ウチが微笑みながら言うと、

 

真「べ、別に……そんなこと頼んでなんかいないわよ!」

 

真姫ちゃんの投げた枕が、ウチの顔面に直撃した。

 

希「いたた……」

 

真「フン!!」

 

そっぽを向いた真姫ちゃんは、そのまま布団に入ってしまった。

 

茜「希も随分と荒っぽい方法をとるね」

 

ウチの側に来て、耳打ちする茜くん。

 

希「これが最適やと思ったんや…。それより茜くん、さっきはありがと」

 

茜「何がだい?」

 

希「何がって…。分かってる癖に…。状況も分からんのにウチに合わせてくれたり、ウチらのピンチを助けてくれたり…。ホントにありがと♪」

 

ウチが礼を言うと、

 

茜「どういたしまして。希が助けを求めるなら、いつでも駆けつけるよ」

 

茜くんは微笑みながらそう言ってきた。

 

その言葉に、自分でも分かるくらい赤くなるのが分かる。

 

希「う……うん……その時はお願いな?」

 

茜「ああ……。じゃあ、俺も寝るよ。おやすみ」

 

希「う……うん…。おやすみ」

 

茜くんはそう言って布団に入る。

 

気づくと、凛ちゃんと花陽ちゃんとことりちゃんも布団に入っている。

 

ウチも電気を消して、布団に入る。

 

けど、ウチの顔はまだ赤いままだった。

 

ウチ……もしかして茜くんの事が……?

 

そんな事を考えながら、ウチも眠りについた。

 

 

希sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

朝起きると、俺以外誰もいなかった。

 

竜「…………行くか…」

 

モソモソと布団から出て、杖をつきながら別荘を出ると、目の前のプライベートビーチに穂乃果たち9人が仲良く手をつないでいた。

 

その後ろに俺を除いたマネージャー組が全員いる。

 

ナニコレ………。

 

えっ?

 

……どういう状況?

 

すると穂乃果が大きな声で宣言する。

 

「よーし、ラブライブ目指して、頑張るぞーー!!」

 

「「「「「「おーっ!!」」」」」」

 

それに他のメンバーも気合を入れる。

 

………なんか分からんが、取り合えず良しとしよう。

 

じゃないと、この胸の中の疎外感が拭えない。

 

 



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太陽と竜の出会い







竜司side

 

 

絵「竜司くんって、どうして白髪なの?」

 

竜「あ?」

 

砂浜でのμ’sの練習が終わり、休憩中に絵里が急にそんな事を聞いてきた。

 

真「そういえば気になるわね…」

 

ニ「どうして誰もそこに触れなかったのかしら?」

 

真姫とニコも言う。

 

嵐「ことりさんたちは、何か知らないのか?」

 

こ「ううん……気づいたらいつの間にか竜くんの頭が白くなってたような……」

 

海「そういえばそうですね…」

 

盾「あまりにも自然すぎて、逆に気にならなかったよね」

 

嵐助の質問に、答えることりたち。

 

幼馴染みなのに関心無さすぎかよ。

 

みんなが俺の頭に疑問を持つなかで、唯一喋らないやつがいた。

 

穂乃果だ。

 

暗い顔をして俯いている。

 

そんな穂乃果に海未が気づく。

 

海「どうしました?穂乃果」

 

穂「私の………私のせいなの……」

 

海未の質問に、ぽつりぽつりと答える穂乃果。

 

竜「穂乃果……止めろ」

 

俺は静かに止めるが、穂乃果は罪悪感を感じている顔で言う。

 

穂「だってそうでしょ!? 私のせいで竜ちゃんは…!!」

 

竜「チッ、あれは俺の意思でやったことだ。穂乃果のせいじゃない」

 

俺と穂乃果の言い争いに茜が割って入る。

 

茜「落ち着け二人とも。とにかく、昔何があったか、よかったら教えてくれないか?」

 

茜の言葉に俺と穂乃果は黙るが、やがて穂乃果の方から話し始める。

 

穂「あれは、私と竜ちゃんが出会った頃かな……」

 

そう言って昔の事を話し始めた。

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 

私、高坂穂乃果は、老舗の和菓子屋『穂むら』に生まれた。

 

性格は自分で言うのもなんだけど、今とあまり変わらない。

 

3歳の頃からお店の手伝いをしていて、4歳になった時だ。

 

その時に竜ちゃんと出会い、後からことりちゃんと友達になった。

 

それはともかく、その日は部屋でゴロゴロしていたのだが、突然お母さんに呼ばれた。

 

「穂乃果ー!ちょっと来なさーい!」

 

穂「なーにー、お母さーん?また店番?」

 

ちょっとだけ不機嫌になりながら出ていく私。

 

「違うわよ。お母さんの親友が来たから、挨拶しなさい」

 

そう言われて、お母さんに手で示された方を向くと、綺麗な和服の美人な女の人がいた。

 

その人は私の前に屈み、にこやかに挨拶してきた。

 

「初めまして。私は天青桜子と言うの。あなたが穂乃果ちゃんね?」

 

女の人…桜子さんはそう聞いてきたので、私は元気よく言った。

 

「はい!高坂穂乃果です!よろしくお願いします!!」

 

「あらあら…。元気な女の子ね♪可愛い♪」

 

穂「えへへ♪」

 

可愛いって言われちゃった♪

 

頬に手を宛てて喜ぶ私。

 

お母さんが桜子さんに言う。

 

「もう、来るなら来るって言ってくれれば良いのに……。そしたら思いっきり歓迎したのに」

 

「家が真正面なんだから、良いでしょ別に?」

 

「全く……桜子は相変わらずね」

 

「うふふ♪」

 

お母さんと桜子さんは、そんな会話をしている。

 

ふと、桜子さんの後ろに私と同い年くらいの男の子がいるのに気づいた。

 

眠そうな目で、退屈そうな顔をしている。

 

私は何故だか、無性にその男の子に声をかけたくなった。

 

穂「こんにちは!私、高坂穂乃果って言うの!! あなたは?」

 

私がいきなり声をかけたからか、ビックリして目をパチクリさせている。

 

そして桜子さんと私の方を交互に見る。

 

桜子さんは、男の子を私の方に押してくる。

 

「ほら竜司。自己紹介しなさい」

 

竜「ん……天青竜司。よろしく…」

 

男の子…竜司くんはダルそうに答える。

 

穂「竜司くんか~…。じゃあ、竜ちゃんだね!!」

 

何を思ったのか、私は竜司くんの事を竜ちゃんと呼ぶことにした。

 

竜「いや…何でだよ?」

 

竜ちゃんの疑問は最もだと思うけど、この時の私はそう呼びたかった。

 

穂「だってそう呼びたいもん!」

 

竜「ふざけんな…。絶対やだね…」

 

穂「えー!? 呼びたい呼びたい呼びたい呼びたい呼びたい呼びたぁーいー!!!!」

 

私はその場で駄々をこねる。

 

するとお母さんが、

 

「こら穂乃果!竜司くんが嫌がってるんだから、やめなさい!!」

 

注意してくる。

 

私は涙目で「うー…」と唸る。

 

それを見た竜ちゃんが溜め息を吐いてから、

 

「はぁ~……勝手に呼べ…」

 

そう言って許してくれた。

 

穂「いいの!? やったぁー!!!!」

 

私は両手を上げて喜んだ。

 

それくらい嬉しかった。

 

「ごめんね竜司くん。穂乃果の我が儘で…」

 

お母さんが竜ちゃんに謝るが、竜ちゃんは「別に…」と一言だけ言う。

 

「珍しいわね…。竜司が譲るなんて…」

 

「そうなの?」

 

「えぇ…。この子、物凄く面倒臭がり屋だから…。絶対にこういう事に関しては譲らないのに。今日だって、真正面のここに来る事にも、面倒臭がるくらいなのよ」

 

「そうなのね……」

 

お母さんたちがそんな会話をしている中、私は竜ちゃんの手を握り、

 

穂「よろしくね!! 竜ちゃん!」

 

笑顔でそう言う。

 

対する竜ちゃんは、

 

「はぁ~…。めんどくせぇ…」

 

ため息をつきながら言った。

 

これが、私と竜ちゃんの出会い。

 

この時の竜ちゃんはまだ黒髪だし、眼帯もしてなかった……。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

竜ちゃんと出会い、数週間が経った。

 

あの日から私は竜ちゃんの家に頻繁に出入りするようになった。

 

竜ちゃんのお母さん……桜子さんも公認なので、勝手に出入りできる。

 

竜ちゃんには6人のお姉さんと、3人の妹さんがいるのだけど、詳しくはまた今度。

 

この数週間でことりちゃんとも出会い、友達になった。

 

そして竜ちゃんが私やことりちゃんと同じ幼稚園だと言うことが分かった。

 

なのに、何故今まで幼稚園で竜ちゃんと会わなかったのかと言うと、竜ちゃんが面倒臭がって来なかったからだ。

 

今までも桜子さんが連れていこうとしたらしいが、頑として行こうとしなかった。

 

だから日曜日に私が説得することになった。

 

そしてその日曜日に、私は竜ちゃんの部屋で、テーブルを挟んで竜ちゃんの真正面に座っていた。

 

気分は家庭訪問の先生だ。

 

私は礼儀よく正座をして言う。

 

穂「竜ちゃん!」

 

竜「何だよ……?」

 

穂「幼稚園に行こう!!」

 

竜「……………直球だな」

 

穂「えへへ♪」

 

竜「褒めてねぇよ」

 

穂「じゃなくて、幼稚園に行こうよ!!」

 

竜「やだね…」

 

穂「何で!?」

 

竜「面倒臭いからだ」

 

穂「ホントに?………ホントにそれだけ?」

 

竜「……………」

 

私には、どうにもそれだけじゃないように見える。

 

きっと他にも何か理由があると思う。

 

竜「何でそこまでお前に話さなきゃならん?別にどうでもいいだろ?」

 

穂「どうでもよくない!!」

 

竜「っ!?」

 

私はテーブルから身を乗り出し言う。

 

竜ちゃんは私の突然の行動に驚く。

 

穂「どうでもよくないよ!! 穂乃果の初めての友達なんだよ、竜ちゃんは!どうでもよくなんかない!!」

 

私は鼻息荒くして言う。

 

思わず一人称が変わちゃったけど……。

 

竜「……はぁ~。分かった分かった。分かったから、顔を戻せ。近い…」

 

穂「あっ!ごめん……///」

 

竜ちゃんに言われて顔を戻す私。

 

でも、何故だか顔が熱い。

 

何で……?

 

私がそんな事を考えてると竜ちゃんが、

 

「いないんだよ…。俺と趣味の合うやつ…」

 

そうぽつりと言う。

 

穂「趣味?…趣味って好きなことだよね?…竜ちゃんの好きなことって何?」

 

私は気になり訊ねる。

 

竜「………トラマン……」

 

穂「えっ?」

 

聞こえなかったのでもう一度聞くと、

 

竜「だから、ウルトラマン!! ウルトラマンだよ!! 何か文句あっか!?」

 

穂「ううん!! 全然無いです!!!! はい!」

 

竜ちゃんが半ばヤケクソになりながら言うので、私は手を降りながら否定する。

 

ビックリしたー…。

 

あの竜ちゃんが大きな声で言うものだから、思わず敬語になっちゃった。

 

竜「同じ年代なのに、いるのは仮面ライダーか、戦隊もののやつばっか…。ウルトラマンが好きなやつは一人もいない。そんな中で、わざわざ我慢して行く必要は無いだろ……」

 

竜ちゃんは頬杖をついて言う。

 

それを聞いた私は、

 

「なぁ~んだ。それなら大丈夫だよ♪」

 

笑顔で言う。

 

竜「何が大丈夫なんだよ…?」

 

憮然として言う竜ちゃんに私は、

 

「だって、穂乃果もウルトラマン大好きだもん!カッコいいよね!?」

 

笑顔でそう言った。

 

竜ちゃんは呆気にとられてたけど、私は構わず続ける。

 

穂「確かに仮面ライダーや戦隊ヒーローもカッコいいけど、穂乃果はウルトラマンが一番好き!!」

 

これは私の本心だ。

 

それが分かったのか、竜ちゃんはフッと笑い、

 

「お前……おもしろいな」

 

と微笑む。

 

その微笑みに、私は見惚れてしまった…。

 

私と同じ4歳なのに、ここまで綺麗な微笑みができるんだなと思った。

 

竜「どうした?穂乃果」

 

穂「あっ……ううん!! 何でもないよ!何でも…///」

 

竜「?……まあ、いいや…。穂乃果も俺と同じ幼稚園なんだよな?」

 

穂「うん…」

 

竜「お前がいるなら、俺も行くよ」

 

穂「ホント!?」

 

竜「ああ…」

 

竜ちゃんはそっぽを向きながら言った。

 

私はそれに両手を上げてピョンピョン跳ねながら喜ぶ。

 

穂「やったぁー!! やったやったやったぁ~!!」

 

竜「全く………」

 

次の日から、竜ちゃんは幼稚園に来た。

 

その日は凄く喜んだのを覚えてる。

 

それからは、竜ちゃんとことりちゃんと一緒に遊んで、休みの日は竜ちゃんの家で色んなウルトラマンを見た。

 

その内、竜ちゃんは仮面ライダーにも興味を持ったみたいだけど……。

 

小学校に上がり、一年生になった頃に恭弥くんとは、ことりちゃんの紹介で出会い、二年生になった頃に海未ちゃんと盾くんに出会った。

 

悲劇が起こったのは丁度その時だ。

 

その日は、私と竜ちゃん、ことりちゃんに恭弥くん、海未ちゃんと盾くんの6人で遊び、帰っている時だ。

 

竜「穂乃果。ちょっとジュース買ってくるな」

 

穂「うん、分かった!あっ!私も……」

 

竜「分かった分かった…」

 

竜ちゃんが私の分まで飲み物を買っているのを待っていた時だ。

 

私の目の前に突然、野良犬が現れた。

 

「グルルル…」

 

穂「ひっ!?」

 

その野良犬は牙と牙の間からダラダラと涎を垂らし、私に近づいてくる。

 

私は怖くて尻餅をついてしまう。

 

穂「竜ちゃぁぁん……たすけてぇ…ぐすっ」

 

怖くて怖くて仕方がなく、私は泣いてしまう。

 

竜ちゃんに助けを求めるけど、竜ちゃんのいる自販機とここは遠い。

 

聞こえる訳がない。

 

 

 

 

でも……届いた。

 

 

 

 

 

野良犬が私に飛び付こうとした時、

 

 

 

 

 

 

竜「穂乃果!!」

 

 

 

 

 

 

 

竜ちゃんが私の前に入ってきて、代わりに野良犬の前足の爪が竜ちゃんの左目を引っ掻く。

 

竜「ぐっ……ああ……っ」

 

穂「竜ちゃん!?」

 

竜ちゃんの左目から、沢山の血が流れる。

 

穂「竜ちゃん!大丈夫!?」

 

私は急いで竜ちゃんに近づくが、

 

竜「来るな!!」

 

穂「っ!?」

 

竜ちゃんに止められる。

 

竜「いいから…。そこで待ってろ…」

 

そして竜ちゃんは野良犬の方に向くと、

 

「……失せろ」

 

地の底から響くような声で言う。

 

その瞬間、野良犬はビクリとし、震える。

 

竜「…………」

 

竜ちゃんは無言で野良犬を睨む。

 

私の方からじゃ見えないけど、きっと凄く恐い顔になってると思う。

 

野良犬はすぐにそこから素早く逃げた。

 

竜ちゃんは私の方に振り向き、

 

竜「大丈夫か?穂乃果」

 

優しい顔で言う。

 

私はその顔に安心感を得たのだろう。

 

竜ちゃんに抱きついて、

 

「竜ぢゃぁぁん!怖がっだよぉー!!」

 

泣いた。

 

竜ちゃんは無言で優しく頭を撫でてくれた。

 

この時からだと思う。

 

私が竜ちゃんに無自覚な恋心を確信したのは……。

 

 

穂乃果sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

穂乃果を野良犬から助けた後、近くを通りかかった人に病院に連れていかれた。

 

その後、左目を縫ったのだが、あの野良犬が何かの病原菌を持っていたみたいで、そのせいで左目は失明。

 

眼帯をする羽目に。

 

しかも右目と髪から色素が抜け、赤目の白髪になるアルビノ状態になった。

 

穂乃果は自分のせいだって泣いて謝ってきたが、何故か俺は穂乃果を責める気になれなかった。

 

むしろ、穂乃果には感謝してる。

 

一瞬だけでも、ヒーローにしてくれた穂乃果に。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

竜「これが事の真相だ…」

 

俺の白髪の原因を聞いたμ’sのメンバーは一斉に、

 

「「「「「「あの面倒臭がりの竜司(くん)が……」」」」」」

 

と言った。

 

竜「うるせぇぞコラァ……」

 

今のはキレてもいいよな?

 

穂乃果は俺に近づくと、

 

「ホントにごめんね…。竜ちゃん…」

 

顔を俯かせて、改めて謝ってきた。

 

俺はそンな穂乃果の頭に手を乗せ、撫でながら言う。

 

「だから、お前のせいじゃないって言ってるだろ?あんましつこいと怒るぞ?」

 

それを聞いた穂乃果は嬉しそうに微笑みながら、「うん…」と返事をする。

 

竜「じゃあ、さっさと練習再開するぞ……」

 

「「「「「「「「はーい」」」」」」」」

 

俺の言葉に、皆練習に戻る。

 

その途中で穂乃果が、

 

「ねぇ竜ちゃん。これからも側にいていい?」

 

顔を赤くしながら訊ねてくる。

 

竜「………好きにしろ」

 

俺はいつもの言葉を言ってみんなのところに、穂乃果と一緒に行った。

 

 

 




番外編考えるのも、楽じゃない…


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最高のライブ#1



今回は地文以外変更はありません。



竜司side

 

 

合宿から帰って来た次の日。

 

朝起きると、穂乃果が部屋に入ってきて、

 

「見てよ竜ちゃん!! これ!!」

 

そう言ってスマホの画面を見せてくる。

 

竜「あー何々?……19位?……なにこれ?」

 

穂「スクールアイドルのランキングだよ!! 20位以上になったんだよ!? ラブライブだよ!?」

 

顔を近づけながら言ってくる穂乃果ちゃん。

 

おい離れろ。

 

いい香りさせンな。

 

竜「ふーん…」

 

穂「ふーん…って。何かあまり感動してないね…」

 

竜「寝起きだからな…」

 

穂「それ関係あるの?」

 

穂乃果と朝からそンな会話をしつつ、朝飯食って杖つきながら登校。

 

海未やことりたちと合流し、学校に向かう。

 

当然、穂乃果はランキングのことを海未たちにも言う。

 

海「凄いじゃないですか!?」

 

こ「うん!!」

 

穂「でしょでしょ!? なのに竜ちゃんったら「ふーん」だよ!? 反応薄すぎでしょ!?」

 

うるせェなァ。

 

こ「アハハ…」

 

海「まあ、竜司や盾、恭弥は元からそういう事に関する反応が鈍いですから」

 

穂乃果の言い分にことりは苦笑いし、海未はフォローっぽい事を言う。

 

ちなみにランキングの事は朱雀と盾も聞いていたのだが、俺と同じ反応だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

学校に着くと、俺が杖をついて歩く姿に少なからず動揺があるのか、周りから好奇心に満ちた目を向けられた。

 

まあそれ自体は気にならねェ。

 

ヒフミトリオからも心配の声をかけられたが適当にあしらって過ごしていた。

 

そンな俺が教室で窓から外を見ながらボーッとしていると、前の席に座っている穂乃果にヒフミトリオがサインをねだってきた。

 

穂「えっ?サイン?」

 

「これから有名になるんだから、記念に一枚書いてよ♪さっき園田さんにも書いて貰ったんだけど……」

 

そう言ったミカの色紙を、盾と共に穂乃果の横から少し凝視する。

 

サインならすぐ見つかると思ったが、パッと見じゃ分からない。

 

サインって真ン中にデカデカと書くものじゃないのか?

 

穂「………どこに?」

 

いや、よくよく見ると隅っこの方にあった。

 

竜「穂乃果、ここだ」

 

穂「え?…うわっ!? ちっちゃ!?」

 

穂乃果の真っ当なツッコミが響き渡る。

 

盾「海未……」

 

盾は呆れの目を海未に向ける。

 

海「し、仕方ないでしょう!そ、そういうのにまだ慣れてないのです!……恥ずかしいですし」

 

最後のが本音だろ。

 

ミ「でしょ…?恥ずかしいからこれが限界だって。だから穂乃果は大きく書いて!」

 

穂「えっ、じゃあ…」

 

そう言って、穂乃果は色紙いっぱいに書いた。

 

穂「ごめん……入りきらなかった~」

 

頭をかきながら言う穂乃果。

 

海未とは真逆に穂乃果のサインはでかすぎて、最後まで字が入りきっていない。

 

穂乃果の『果』だけがとても小さくなっている。

 

「ホントあんたたち極端よね…」

 

ヒデコが呆れた声を出す。

 

いいぜ、もっと言ってやれ。

 

フミコが言う。

 

「さっき矢澤先輩にも頼んだんだけど…」

 

『すいません。今プライベートなんで』

 

と言われたそうだ。

 

徹底しすぎかよ、あの自称エリートアイドル。

 

竜「穂乃果たちは芸能人じゃ無いだろ?」

 

穂「アハハ……そうだね…」

 

苦笑いする穂乃果。

 

盾「あれ?ことちんとザクちんは?」

 

穂「そういえば…」

 

ニコさんのアイドル像に呆れていると、盾が思い出したように呟いた。

 

あ、何故『さん』付けなのかと言うと、合宿中に呼び捨てで呼んでる間にどうにもそれがしっくり来なくなり、結果として3年女子には『さん』を付ける事にした。

 

それはやめてほしいと3人から言われたが、俺は絶対にこれで通す。

 

じゃないとなンか気持ち悪い。

 

それはともかくだ。

 

確かにあの2人は今ここにはいない。

 

一体どこに行ったんだ?

 

 

竜司sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

朱「それで、話って何?……ことり」

 

「うん……あのね…」

 

朱雀とことりは屋上にいた。

 

ことりから大事な話があるとの事で、朱雀は屋上に呼び出されたのだ。

 

「キーくん、変な質問してもいいかな?」

 

「僕が答えられる範囲なら」

 

それを聞いたことりは、真面目な表情で朱雀に訊ねる。

 

「もし……どうしても叶えたい夢が叶うかもしれないチャンスが来たら、キーくんなら、自分の夢を追いかけますか?それとも、今いるその場所や、友達を選びますか?」

 

「………どういう事?」

 

朱雀が聞き返すと、ことりの顔は暗くなる。

 

まるで抱えきれない何かを背負ったような、そんな顔。

 

朱雀はふと、ことりの手にある謎の封筒を見つける。

 

どうにも気になったのでことりに近づき、ことりから封筒を無理矢理に取るとマジマジと目を通す。

 

ことりは「あっ!」と言って取り返そうとするが、すぐにその手を引っ込める。

 

内容を見られたからにはもう隠せないと悟ったから。

 

朱雀がことりから引ったくった封筒、その内容は留学案内だった。

 

内容を理解した朱雀は全てを悟った。

 

「成る程……」

 

封筒を黙ってことりに返す朱雀。

 

そして静かに口を開く。

 

「結論を言うよ。ことり」

 

封筒を返されたことりは朱雀の顔を見る。

 

何かを期待したような目を向けて。

 

「僕には夢が無い。だから、ことりにアドバイスは出来ない。でも1つだけ言える。ことりが後悔しない道を選んだらいい。ことりが今の場所に残るだけの価値があると見出だしたなら残ればいいし、そうでないなら行けばいい。それに、少なくとも夢っていうのは迷うこと無く突き進むものだと、僕は思う。今のことりみたいに迷わずにね…」

 

「キーくん……」

 

「ごめんね?下手なアドバイスで」

 

「ううん。何だかキーくんらしくて、逆によく分かったような気がする」

 

「そう?」

 

「うん!!」

 

笑って返事した今のことりには、当面の重荷は下ろされたような、そんな明るさがあった。

 

とは言え、根本的に解決された訳では無い。

 

朱「じゃあ…そろそろ戻ろう。あとこの事は高坂穂乃果たちには?」

 

こ「まだ。でも私から言うから…」

 

朱「そう……」

 

それを最後に二人は屋上を後にするが、朱雀は見逃さなかった。

 

穂乃果の名前が出た途端、ことりの顔が再び陰ったのを。

 

 

◎sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜司side

 

 

放課後の部室にて。

 

穂「うわあぁぁ~!! 出場したら、ここで歌えるんだ~」

 

凛「凄いにゃ~」

 

部室の床に寝そべり、頬杖をついたポジティブ組二人がPCの画面を見てうっとりしている。

 

画面に映っているのはラブライブに出た場合、そこでスクールアイドル達が踊るであろう会場。

 

パッと見ただけでもスクールアイドルの大会という規模がどれだけ凄いのか分かってしまう。

 

ニ「何うっとりしてるのよ!」

 

そう言うニコさんも次第にウルルってくる。

 

「ら…ラブライブ出場くらいで……うぐぐ」

 

泣き顔を見られたくないのか後ろに向く。

 

「ぐすっ……やったわね!……ぐすっ……ニコ!」

 

虎「お前もかよ…」

 

本音漏れてンぞ、矢澤パイセン。

 

虎亜のツッコミをものともしないニコさんは、すぐに穂乃果たちの方に振り向く。

 

「まだ喜ぶのは早いわ!決定したわけじゃ無いんだから!! 気合い入れて行くわよ!!」

 

虎「切り替え早っ!?」

 

テンポいいな。

 

絵「その通りよ」

 

ニコさんの言葉に同調したのは、今来たばかりの絵里さん。

 

絵「みんな、ちょっとこれを見てくれるかしら?」

 

絵里さんが両手でノートパソコンを操作し、全員に見えるようノートパソコンのディスプレイを見せる。

 

映されていたのはUTX高校のトップページ。

 

そこにデカデカと書かれていたのは、驚くべき内容だった。

 

穂「『7日間連続ライブ』!?」

 

凛「そんなに!?」

 

嵐「ストイックだな」

 

A-RISEの公式ページには、ラブライブ出場に向けた最後の大詰めとしての活動が詳しく記載されていた。

 

希「ラブライブ出場チームは2週間後の時点で20位以内に入ったグループ。どのスクールアイドルも最後の追い込みに必死なん」

 

絵「20位以下に落ちたところだって、まだ諦めていないだろうし……今から追い上げてなんとか出場を勝ち取ろうとしているスクールアイドルもたくさんいる」

 

真「つまり、これからが本番って訳ね…」

 

絵「ストレートに言えばそういう事。喜んでいる暇は無いわ」

 

絵里さんは立ち上がってそう言った。

 

ここで20位以内になれたからといって、気を抜いたら簡単に順位を抜かれる。

 

むしろ際限なく上を目指さないといけない。

 

穂「ぃよぉっしっ!もっと頑張らないと!!」

 

絵「とは言え、特別な事を今からやっても仕方ないわ。まずは目の前にある学園祭で、精一杯いいステージを見せること。それが目標よ」

 

絵里さんの言うように、穂乃果達は学園祭の日にライブをやることになっているのだ。

 

そこで良いライブを見せようという訳だ。

 

ニ「よし!そうと決まったなら、早速この部長に仕事を頂戴!!」

 

ニコさんがいつにも増してやる気になっている。

 

部長として何かしたくて仕方ないんだろう。

 

絵「じゃあ、ニコ。うってつけの仕事があるわよ」

 

ニ「えっ?……何?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「居合道部!!午後2時から1時間の講堂の使用を許可します!」

 

「「やったぁー!!!」」

 

居合道部の代表と思われる女の子は、2人で手を握り合って喜びを分かち合っていた。

 

竜「……おいおい、何なンですかァこれはァ?」

 

そんな風景に軽く引きながら、絵里さんに訊ねる。

 

絵「昔から伝統らしくて……」

 

絵里さん曰く、来る音ノ木坂学院の学園祭での講堂の使用権は毎年くじ引きで決めているらしい。

 

そして講堂を使用するには、くじ引きで金のボールを引き当てないといけないらしくて、それ以外の色はハズレで講堂が使えないんだとか……。

 

さっき金のボール出たんだけど?

 

連続して出るのか?

 

そンでアイドル研究部の代表は、部長のニコさんだ。

 

絵里さんの言っていた仕事とはこの事らしい。

 

穂「ニコちゃん!がんばって!」

 

虎「絶対引き当てろ!!」

 

穂乃果と虎亜に激励され、ニコさんはズンズンとくじ引きのところへと歩み寄る。

 

「それではアイドル研究部!どうぞ!!」

 

ニ「見てなさい……」

 

そしてガラガラを回すニコさん。

 

行けニコさん!

 

運命のボールを引き当てろ!!

 

ウェイク、アッープ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念!アイドル研究部、学園祭で講堂は使用できません!!」

 

 

 

 

 

 

 

それを合図に、9人の女神と9人の光の戦士は崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

竜「チッ、使えねェ貧乳がァ…」

 

ニ「ちょ!? 泣くわよ!?」

 

 

 

 

 

 



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最高のライブ#2




今回も地文変更が主ですが、よくよく見るとキャラの台詞が変わってる所もあります。



穂「どーーしよー!!!!!!」

 

太陽が屋上を熱く照り付けるそんな放課後。

 

バカの代名詞、穂乃果が頭を抱えながら叫ぶ声が響いた。

 

というかほぼ全員が落ち込んでいる様子である。

 

というのもだ。

 

先程学園祭で講堂を使用するために生徒会室で恒例行事だという講堂使用権をくじ引きで決めていたのだが、我がアイドル研究部部長の矢澤パイセンは見事に驚きの白さと言わんばかりのハズレ玉を当ててしまったのだ。

 

ホント使えねェ……。

 

ニ「だってしょうがないじゃない!くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから!」

 

腕を組んだニコさんが言い訳染みたことを言いながら開き直る。

 

凛「あー!開き直ったにゃぁっ!!」

 

ニ「うるさーい!」

 

花「ううっ……!なんで……!? なんで外れちゃったのぉっ!?」

 

花陽はフェンスを掴みながら涙を流していて、

 

真「まぁ、予想されたオチね」

 

希「ニコっち…ウチ、信じてたんよ……?」

 

真姫は髪の毛先をクルクル回しながら素っ気なく返し、希さんも珍しく両膝を抱えていた。

 

ニ「うるさいうるさいうるさ〜いっ!!!! 悪かったわよーっ!!」

 

ここまでくると流石のニコさんも謝罪するしかなかったか。

 

蒼「ニコ。さあ…お前の罪を、数えろ…」

 

盾「ニコちん、捻り潰してもいいよね?答えは聞いてないけど!」

 

蒼燕はニコさんに指をさし、体を半分ずつ見せながら言って、盾は軽快なダンスをしながらリュウタロスの名言を言う。

 

コイツら言動はあれだが、敵意が半端無い。

 

ニ「ちょっ!? 待ちなさいよ!?」

 

ニコさんも薄々感じ取ったのかビビっている。

 

虎「ニコ……」

 

そんな時、虎亜がニコさんに話しかける。

 

ニ「虎亜…!あんたならニコの気持ち、理解してくれるわよね!?」

 

ニコさんは虎亜に希望を持った眼差しを向ける。

 

それに対して虎亜はいい笑顔でこう言った。

 

「さぁニコ、お前の体で実験を始めようか?」

 

ニ「ちょっ…!?」

 

信じていた虎亜に裏切られたニコさんであった。

 

と言うか言い方が卑猥だな。

 

女の子の体で実験をするとか。

 

絵「気持ちを切り替えましょう。使用できないのにいつまでも悲観してもしょうがないでしょ?」

 

絵里さんが手を叩いて、沈んだ気持ちに手を差し伸べる。

 

蒼「……本音は?」

 

絵「ニコに運命を託した私がどうかしてたんだわ……。出来ることならハイパークロックアップして『ウンメイノー』をしたい気分よ」

 

ニ「ちょっ!? 絵里!?」

 

本音をぶちまけた絵里さんはメンバーの中で最も悔しそうで、カブトのネタをぶっこんでくるほど。

 

俺?

 

俺はどっかでこうなることが分かってたから。

 

決して一方暴力《ボコラレータ》したいとは思ってない。

 

海「それでどうするんです?グラウンドも体育館も運動部が使用すると思いますし……」

 

絵里さん以外のメンバーの中でも、気持ちの切り替えが早かった海未が方針を訊ねる。

 

それに対しニコさんが言う。

 

「……部室とか?」

 

部室の中で踊るニコさんが『いっくよー!!』と言う、情景を想像する。

 

虎「狭いだろ…」

 

ニ「むぐぐぐ……」

 

虎亜が却下する。

 

確かに狭い。

 

9人で踊るとなると相当キツイ。

 

しかも客もそんなに入らない。

 

宣伝も兼ねてるンだ。

 

狭くて客足が見込めないのは無しである。

 

今度は穂乃果が案を出す。

 

「あっ!じゃあ、廊下は?」

 

廊下でブラスバンドみたいなことをする穂乃果たちを想像する。

 

穂『μ’s…ミュージックスタート!!』

 

竜「バカ丸出しだな」

 

侮蔑を込めて却下する。

 

ニ「そうね」

 

ニコさんが俺の意見に同意すると、穂乃果が文句を言う。

 

穂「ニコちゃんがクジ外すから、必死に考えてるのに!?」

 

うるさい穂乃果はほっといて俺は考える。

 

9人が充分に踊れて、客もたくさん呼べて、それなりに広い場所。

 

………あったわ。

 

たった1つだけ確実なとこが。

 

竜「ここでやるか?」

 

俺が屋上の床を指差して言うと、意図が理解できたのか、それに穂乃果も乗る。

 

「竜ちゃんの言う通りだよ!ここで簡易ステージを作ればいいんじゃないかな!? お客さんもたくさん入れるし!」

 

希「屋外ステージって事?」

 

こ「確かに人はたくさん入るけど…」

 

ことりが渋るが、穂乃果はめげずに言う。

 

穂「何よりここは、私たちにとってすごく大事な場所!ライブをやるのに相応しいと思うんだ!」

 

茜「穂乃果の言う通りだな。ここでやろう」

 

朱「なら、ステージを作るのは僕らの役目だね」

 

茜と朱雀も賛同する。

 

希「確かにそれが一番μ’sらしいライブやね」

 

凛「よーし!凛も大声で歌うにゃ~!」

 

絵「それじゃあ、各自歌いたい曲の候補を出してくる事。それじゃあ練習始めるわよ!」

 

他のメンバーも賛同する。

 

客を呼ぶのには苦労するだろうが、そこは俺たちが頑張ればいい話だ。

 

こうして学園祭のライブの場所は屋上でやる事になった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

絵「え、曲を?」

 

翌日の部室での打ち合わせの席で、穂乃果からの提案を絵里さんが反芻する。

 

穂乃果は「うん」と応え、続ける。

 

「昨日真姫ちゃんの新曲聴いたら、やっぱり良くって。これ、1番最初にやったら盛り上がるんじゃないかなって」

 

絵「まあね。でも振付も歌もこれからよ。間に合うかしら?」

 

穂「頑張れば何とかなると思う」

 

絵里さんの問いに穂乃果は迷うことなく答える。

 

それに対し、絵里さんは苦笑を浮かべる。

 

海「でも、他の曲のおさらいもありますし」

 

花「わ、わたし、自信ないな……」

 

穂乃果なら何とかなるかもしれないが、それとこれとでは問題が違う。

 

海未の言う事も間違っていないし、花陽みたいに精神面でもそう思うのも無理はない。

 

それでも穂乃果の勢いは止まらないようで。

 

「μ’sの集大成のライブにしなきゃ。ラブライブの出場が懸かってるんだよ」

 

希「まあ確かに、それは一理あるね」

 

穂「でしょ!? ラブライブは今のわたし達の目標だよ!そのためにここまで来たんだもん!!」

 

竜「……穂乃果?」

 

何故だ?

 

穂乃果の言っている事は決して間違いではないのだが、何故か今の穂乃果の発言に少し引っかかりを覚えた。

 

なンだァ……この違和感は?

 

花「ラブライブ…」

 

穂「このまま順位を落とさなければ、本当に出場できるんだよ!たくさんのお客さんの前で歌えるんだよ!」

 

俺の感じた違和感とは裏腹に、話はどんどんと進んでいった。

 

穂乃果は立ち上がり、メンバー達を見渡して続ける。

 

「わたし頑張りたい。そのためにやれることは全部やりたい!駄目かな?……ねぇ、竜ちゃん」

 

穂乃果は急に俺に訪ねてくる。

 

竜「お前……覚悟はあるンだろうなァ?」

 

穂「うん!!」

 

チッ……明るい顔で即答しやがって。

 

竜「なら好きにしろ。他に反対のやつは?」

 

俺は穂乃果の意見に賛同し、メンバー達に尋ねる。

 

誰も異を唱える者はいない。

 

竜「だってよ」

 

俺は穂乃果を見上げる。

 

穂「皆……ありがとう」

 

メンバー達は少し呆れたような、でも嬉しそうに笑みを零している。

 

これでこそμ’sだな。

 

そンな雰囲気が部室を満たしている。

 

ここで絵里さんが穂乃果に念を押す。

 

「ただし、練習は厳しくなるわよ。特に穂乃果。あなたはセンターボーカルなんだから、皆の倍はきついわよ。分かってる?」

 

「うん!全力で頑張る!」

 

竜「頑張りすぎて、体を壊すなよ」

 

穂「分かってるよ!!」

 

ホントかよ…。

 

結局変な違和感の正体は分からなかったが、そこはしっかり俺が穂乃果の監督をすりゃ良い話。

 

めンどくせェがな……。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

学園祭のライブで歌う曲を決めてから、穂乃果の頑張りようが目覚ましい。

 

暑苦しいくらい張り切っていて、授業中は眠そうなくらいだ。

 

海未にちゃんと寝てるのかどうか、聞かれるくらいに。

 

それに比例して、段々ことりの元気が無くなってるような気がする。

 

そして学園祭前日の練習の時。

 

虎「じゃあ、一旦みんな休憩取れ」

 

穂「ダメだよ!もう1回やろう!」

 

虎「はぁ!?」

 

虎亜の休めの言葉に、異を唱える穂乃果。

 

ニ「ふわぁぁぁぁぁ…!もう足が動かないよ~」

 

穂「まだダメだよ!! さあ、もう一回!!」

 

ニ「ええぇぇ!? まだやるの!?」

 

穂「いいからやるのー!!」

 

ニコさんは柵にしがみつき、穂乃果がニコさんを立たせようとする。

 

いつもと逆だ。

 

見かねた俺が、穂乃果をニコさんから引き離し言う。

 

「おい穂乃果。いいから休め」

 

穂「大丈夫!私燃えてるから!」

 

竜「そう言う問題じゃない。周りを見ろ。みんな疲れてる」

 

周りを穂乃果に見させる。

 

海未達も肩が上下していた。

 

1年の中で体力がある凛ですら、座り込んでしまっている。

 

穂「…………」

 

それを見た穂乃果は、少し冷静になる。

 

竜「分かったなら、休め…」

 

穂「うん…」

 

それを確認したメンバーも休憩に入る。

 

竜「なあ、穂乃果」

 

穂「竜ちゃん、どうしたの?」

 

竜「ことりの様子が最近おかしくないか?」

 

俺でも分かるくらい最近のことりの様子が変だ。

 

穂乃果なら気づくはずだが……。

 

穂「そうかな?いつも通りだよ?」

 

竜 「……はっ?…お前……それ本気で言ってンのか?」

 

穂「うん。なんかおかしかった?」

 

竜「…………」

 

おかしいだろ…。

 

俺でも気づくのに、なんで俺よりことりと付き合いの長いお前が気づかない?

 

そう思ってると、朱雀と盾が来て、

 

朱「ちょっと、いいかな?」

 

俺を連れて3人で隅の方へ行く。

 

そこで朱雀から言われた話は、ことりの留学の件についてだった…。

 

竜「マジ……?」

 

盾「嘘でしょ…?」

 

朱「ホントだよ…。僕から言うのは何だったけど、一応君たち二人にはね…」

 

俺と盾はただただ驚くばかりだった。

 

同時に、何か嫌な予感がした。

 

主に穂乃果とことりに関して……。

 

 

 

 



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最高のライブ#3


後半に新シチュを入れました。



俺は自分の部屋から雨の降る風景を見ながら、あることを考えていた。

 

朱雀から聞かされた、ことりが留学するかもという話。

 

「まあ、俺がどうのこうの出来る事じゃないな。そういや穂乃果は知ってるのか?」

 

そう思い、ふと窓から穂乃果の家を見ると、ちょうど穂乃果がこの雨の中傘もささずに出ていくところだった。

 

「あァ?あいつ、この雨の中何やってンだァ?」

 

俺は急いで黒い毛がフードの縁についてる水色のコートを羽織り、傘を持って家を出る。

 

「ウルトラマン、身体貸せ」

 

『分かった』

 

まだ運動機能は回復してないから走る事は出来ねェ。

 

だがウルトラマンに自分の足の主導権を与えれば、走ることなど容易い。

 

俺は傘をさすと、ウルトラマンに自分の足を動かさせ、地を蹴った。

 

 

 

 

 

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穂乃果を後から追って行き着いたのは神田明神。

 

足の主導権を返してもらい、神田明神を見上げると、穂乃果はそこにある階段を駆け上がったり降りたりしているところだった。

 

チッ……このアホはァ……!

 

竜「穂乃果ァ」

 

穂「うわぁっ!?」

 

後ろに近づき、穂乃果を呼ぶと飛び上がるように驚いた。

 

穂「竜ちゃん!? ビックリさせないでよー!!」

 

竜「何してンだァこンなとこで?」

 

服装や履いているシューズから察するにランニングをしているようなのだが、何故ランニングをしているのか理由がサッパリ分からない。

 

穂「ラブライブに向けて走り込みをしてたとこだよ!」

 

竜「あァ?……この雨の中でか?」

 

答えを聞いて少しばかりイラついてしまった。

 

学校での練習でも人の言うことを聞かずに一人練習をぶっ続け、学園祭のライブ前日で雨だと言うのに傘もささず走り込んでいる…。

 

穂「ちょっとだけならいいかなーって思ってさ…。ランキングを見たら、いてもたってもいられなくなっちゃって!」

 

その答えを聞いた瞬間、我慢の限界がきた。

 

竜「チッ…ふざけてンじゃねェぞォ?あ゛ァ!?」

 

俺は石階段をドゴン!! と踏み抜いて怒鳴る。

 

穂「っ!?」

 

石階段に軽くクレーターが出来たことに穂乃果がビクッとするが知ったこっちゃねェ。

 

竜「ちょっとは自分の体を心配しやがれェ!! それで学園祭のライブ当日に倒れたら元も子も無いだろ!!」

 

穂「………ごめんなさい」

 

俺の説教に項垂れ、素直に謝る穂乃果。

 

俺は無言で傘を肩にかけ、穂乃果をおぶる。

 

穂「ちょっ!? 竜ちゃん!?」

 

竜「黙ってろォ。足、フラついてンぞ?分からないとでも思ったか?」

 

穂「っ!?」

 

図星をつかれ、押し黙る穂乃果。

 

雨に当たって濡れてるのにも関わらず足はフラつき、少し顔も赤い。

 

そんなバレバレな状態で隠し通せる訳がない。

 

竜「帰ったら今日は明日に備えて