遠山金次は静かに暮らしたい (rockzero21)
しおりを挟む

設定等

禁書の方は此方の事情で滞りそうです。ストーリーは有るんですが文字に起こすのが…大方台詞と進行がネックなんですよ。少なくとも四話まで流れは考えてありますんで。


1.コラボにおける設定

 コラボする過程での、設定の矛盾の解消等

 1-1.緋弾のアリア

  学園島が完全な浮島ではない。ジョジョ側のオリキャラがいる。

 1-2.ジョジョ

  1〜6部と7,8部が統一されている。此れによってディオとディエゴは遠い親戚、七部ジョースター家は一部の分家、四部東方家は八部の分家、四部と八部の吉良は遠い親戚。6部ラストは、エンポリオを残して相打ちという形。其々の施設等については知らない、言及していない体 で。又、幽波紋は幽波紋使いしか見えない。

 1-3.艦これ

  ゲームが主で、アニメ少々。深海棲艦の迷信は飽くまでも迷信。

 1-4.仮面ライダー

  総てのライダーが同じ世界観、ディケイドのみ世界を渡って来た設定。

 

2.時制

 原作より遅い、2017〜を想定。

 

3.法整備

 3-1.武偵法

  原作と同じ

 3-2.銃刀法

  現実とほぼ同じ。但し武偵は例外とされ、取引も行われるため、結果原作みたいになっている。

 3-3.軍隊

  現実と同じ。深海棲艦については別作品で。

 3-4.仮面ライダー関連

  別作品で。

 

4.呼称

 基本キャラ其々の相手の呼び方は原作準拠。地の文は、原作と違い感じ表記を原則用いる(アリア等外国名は例外)

レキは、正体が分かった後、蕾姫とする。又、金女と金三はジー〜読みは片仮名且つ最小限にする。

 

5.幽波紋のルール

 原作のルールの内、例外について話す。但し、ルールそのものは原作通りで、前話にて玄神が話した内容も、原作の其れである。

 5-1.幽波紋は一人一種類

  例外として、憑依型が幽波紋使いにくっついた時(ポルナレフの銀の戦車とアヌビス、露伴の天国の扉とチープトリック等)、二人分の体を持つ場合(DIOの世界と隠者の紫、本作の金次のキラークイーンとヒステリックジャスティス等)、ホワイトスネイクのディスクによるもの、本作オリジナルの『マルチスタンド』(後述)能力者の一部が挙げられる。

 5-2.幽波紋は幽波紋使いしか見えない

 5-3.幽波紋は幽波紋しか攻撃できない

  此れについては原作通り。但しかなり強調されている。

 5-4.幽波紋は本体の意のままに動く

  原作通りで、ヒステリックジャスティスは自律との中間。

 5-5.幽波紋が傷付けば、本体も同じ箇所に傷を受ける

  原作と同様

 5-6.幽波紋は射程距離があり、本体からの距離とパワーは反比例する

  原作と同じ。独自解釈として、上にあるように距離が二倍になればパワーは二分の一となり、いづれも最大値以上にはならない。

 5-7.幽波紋は一つ一能力

  キラークイーンやヒステリックジャスティス等例外が存在。

 5-8.幽波紋は成長する

  原作と同様。

 

6.遠山金次について

 前回の後書きで書けなかった内容を。

 6-1.遠山金次

  2017年時点で高校二年生の武偵高生。元々彼も優秀な武装探偵(最終的に武装検事)を目指していたが、半年ぐらい前に身内に起こった事件で平穏な暮らしを望む様になった。其の数日後、玄神の力が覚醒している。

  何事にも争いを好まない性格であり、又目立つことも嫌う性格である。其のため重要な事件には関わらない体をとるが、他人から誘われた場合は快く受け入れることが大半。今は平社員志望であり、参考として経済本やプレゼンの本を好んで読んでいる。又前述の経緯から白雪とは恋人関係だが、相も変わらず悪口は絶えない。

  基本親しい者には俺の原作口調、他には私の敬語掛かった口調となる。その他可成吉良吉影っぽい面はあるが、根は金次である。

  HSSは原作通りだが、スタンドの能力もアップさせる。

 6-2.キラークイーン

  破壊力-A/スピード-B/射程距離-E/持続力-B/精密動作性-C/成長性-A

  4部吉良吉影と同型のスタンド。本家に比べ能力は高いがステータスが低い

  6-2-1.第一の爆弾

   原作と違い、一時に複数設置可能。又、爆発を傷を与えられるかどうかまで下げられ、爆発の指向性も操作できる。

  6-2-2.シアーハートアタック

   8部吉良のように複数召喚可能。又学習装置を与えられるが、其の分精神を使う。学習装置を解除するとただの熱に飛び込む馬鹿になる。あと、オリジナルより威力が控えめ。

  6-2-3.バイツァダスト

   自分を含めスタンド使いに憑依可能となっている。

  6-2-4.プロテクト(仮称)

   自分以外の誰かに対してつけられる。体に触れることで発動可能となり、発動すると対象に致命傷を負わせるもの(銃なら銃弾、剣なら刃、殴るんだったら拳)を小爆発させる。一方で力で押し切られたらどうにもならない。

 6-3.ヒステリックジャスティス

  破壊力-A/スピード-A/射程距離-A/持続力-A/精密動作性-A/成長性-A

  玄神の姿でありスタンド。所謂クロメーテルのような容姿を持っている。金次には常に丁寧語を使う。またサブカルチャーには、一般的な知識を持っている他、たまに其れについて金次と意見が合わないことにもなる(彼曰くキャラ崩壊)

  一応の神でもあるため能力はチート気味。ただ金次としては余り其れらしい能力を使いたがらないため、ラッシュにしか使われない。能力は前話の通り(一々見るのが面倒臭い、ストーリーを考える上で出たものの為、いずれ使うだろう)。

 

7.マルチスタンドについて

マルチスタンドとは、通常一人一体のスタンドを二体以上持てる能力、及びその人物の呼称。該当人物は可成り少ない上、殆どは一体ずつしか発現せず、マルチスタンドの中でも文字通り複数のスタンドを持つ者は極少数。但し、マルチスタンドにはスタンドの数の上限はなく、三体までしか無理ということも無い。

遺伝はしないが、何らかの原因で二種類のスタンドを持った者(ポルナレフ、DIO、岸辺露伴等)は、子がマルチスタンドに成り易い傾向がある様(尤も偏りが生じている可能性もあるが)。又マルチスタンドを持つ者は遺体一つで一体スタンドを発現できるが、この時スキャンとスケアリーモンスターズは一つと考える(マルチスタンドを持たない者は左手と右目なら最初に取った方が発現するが、両目を取ったら二つが発現する。マルチスタンドなら其々両方発現する)。

 

8.補則

此れは飽くまでプロローグまでの説明であり、今後の説明は其の都度していく事とする。

舞台設定についてはスピンオフ系統の方も参考のほど。スピンオフで別の作品がコラボした場合、其の決定の時点からこの作品でも其の設定が適用される。其れにより矛盾が発生した場合其の話の後書きで解説をする。

この項は飽くまで作者の設定を頭の中から引き出した物であり、因って不全な点もあるが御理解頂きたい。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始動
第0弾『装塡』


色んなmadを見ると吉良が味方のものがあったりします。ただ、遠山とであれば素数の人が良かったかも。


 此の世界というものはとてもうまくできている。此の世界は幾らかの数式でできているという話はよくあるが、其れは物理法則がうまくできている以上に世界がそういう数式の元にあるということもあるだろう。

 然し何事にも例外というものがある。異常現象、魔法、超能力etc... ただし普通の人なら見間違いで済ませてしまうかもしれない。

 とまあ考えてみたが俺が何故こんな話をしているかといえば、その『例外』とやらに遭遇してしまったからである。しかも()()は何時経とうとずっと動かず、自身が見間違えによる産物ではないことをしっかり伝えていた。そして知らないふりをして逃げようかとも思ったが、逃げようとすれば声をかけられ逃げればつきまとわれ、どうにもコンタクトをとるしか助かる方法はないようだ、と、とりあえず声をかけてみる。

「あの…何方でしょうか。」

「そうですね玄神とでも言いましょうか。」

と、彼女はそういった。然し姿の其れはどう見ても女子高生以外の他ならない。

「あくまで姿は仮と言いますか…まあそんなものです。触れればおそらく違いに気付くでしょうが。」

こいつ、心を読んだのか。

「いえ、大体そんな感じですが読んだというよりは思ったといったところですね。」

「…あ、あぁ…」

意味はわからないがとりあえず納得し、その体に触れてみた。なるほど、彼女に着いた手は何の反動もなく彼女の体を通過していった。

「霊とも言えるかもしれませんね。どうです、信じる気になりましたか。」

「あぁ。だが何故俺の前に現れた。」

「其れには先ず私の本体について話しましょう。私は所謂石、もっと言えば隕石です。私は更新世に地球に落ちました。いえ、更新世の隕石なら幾らでもあるでしょう。私が特別なのは()()を持つこと、そして触れた者に()()を与えることです。」

「能力…だって…?」

「はい、其れについては後々話しましょう。其れで何故貴方の前に現れたか。其れは単純、貴方が私の『所有者』だからです。貴方は自覚していないかもしれませんが、貴方の中には私の(コア)が入っています。其れによって件の如くなった訳です。」

「…突拍子もなさすぎてよくわかんねえな。ともかく俺が御前を自由にできる、といった感じか。」

「其れには少し訂正が必要ですね。あくまで私の主導権は今のように私が握っています。其れを所有者である貴方に渡すという形です。」

「それじゃあ、若し俺が其の力を自分の意思とは違う方向に使ったらどうするつもりだ。」

「どうもこうもありません。そもそも私が資格者に選ぶのは正義の道を行く『黄金の精神』を持つ人だけ。仮にそうでなくとも私はその人に従う…其れが私の()()ですから。」

成る程、自分が誰かについていく…リュークと似た感じがする。そう思いつつ、もう一つの疑問を投げかけてみた。

「其れで…『能力』って何なんだ。シャーマンとかと何か違うのか。」

「其れを話すのであれば、少々昔話から始めないといけません。私が地球に落ちた、旧石器時代の頃の話です。私が落ちた翌朝原住民が私に触れました。たったそれだけ、触れただけで大半の人が死んでしまったんです。そしてその代わり、生き残った人は特殊な能力を身につけた、其の能力は『スタンド』、幽霊の『幽』に『波紋』と書いて『幽波紋(スタンド)』と呼ばれています。尤も此の呼称ができたのは、平成初期の頃ですが。」

「平安京ができたのが794年だから…んっ、平()。だったら本の数十年前のことじゃないか。」

「寧ろ漢字がついているのが異常だと思いますが。まあ其れはいいとして、此の能力は一つ特徴があります。其れは…」

 

「其れが(ヴィジョン)を持つということです。」

 

「ヴィジョン…だって…?」

「はい。其の超能力には姿()()()()のです。例えば木箱か何かを空中に浮かばせたとしましょう。普通の人は能力者が浮力を加えた…といった解釈をするでしょう。然し仮に『見えない誰かが木箱を持ち上げた』のだとしたら。此れはそういう能力です。少なくとも形は人や生物、無機物に環境までいろいろありますが。また、スタンドには……といったルールがあります。」

取り敢えず記憶に留めておいた。極当たり前のことだったし。然し此の内容からすると…

「じゃあ俺もスタンドを持ってるってことか。」

「話が早くて助かります。という訳で其のスタンドを見せては頂けませんか。少し闘志を高めてみてください。」

言われ、俺は気合を入れた。すると…

「俺の腕から…別の腕が…!」

俺の『スタンド』は俺から幽体離脱でもするかのように出てき、立ち上がった。其の姿は猫のようであり、手には髑髏を模したグローブと人差し指のスイッチが其の存在を主張するかのようにあった。

「此のスタンドは…キラークイーンか。また随分と物騒なのを…」

「キラークイーン…何かすっごい怖いんだけど…」

「さっきも説明したはず、其れは『貴方』よ。貴方が自虐衝動に陥らない限り危害は加えてこないわ。其れからキラークイーンの能力の説明をするわね。一言に言えば『爆破を操る程度の能力』かしら。」

そう言われて記憶を探る。すると見事にキラークイーンに対する知識があった。自分のことと同じ、いや其れ以上に。

「あら、見慣れない能力があるわね。四つ目の爆弾…」

「人を守る爆弾か。一つだけ実用的だな。」

「へぇ、殺し屋が生かすとは、一見矛盾であるようで筋が通っているわね。」

そう言った後、玄神は思い出したように俺に向き直った。

「其れはそうと、此の私…というより此のスタンドに名をつけて下さい。」

「スタンド?一人に一つずつじゃあないのか。」

「スタンドにも色んな種類があります。其の中の一つに憑依型スタンドというものがあり、独立したスタンドがある人物のスタンドとなり、操る、若しくは脅すといったことをします。若し此れが元々スタンドを持つ者に取り付いた場合、二つのスタンドが同時に扱えることになります。また()()()()()()()()場合其の両方にスタンドが芽生え、結果一人で二人分扱えます。此れはどちらかと言えば後者の方で、私の力と貴方の力が混ざって生まれたものでしょう。能力といえば、『武器を召喚する程度の能力』で、さらに私の力として『物事を客観的に見れる程度の能力』と『魂を食らう程度の能力』…あ、此れを使うと先ず自分が食われます。またHSS(ヒステリアモード)が私とキラークイーンにも反映される様ですね。」

「成る程。なら…よし、()()()()ッ!お前は『狂乱の正義(ヒステリック・ジャスティス)』‼︎」

「私の力の強さ、飽くまで客観的なものですが、や黄金の精神、厨二心を擽られる感じが何とも言えませんね。其れでは、何ぞと宜しくお願い致します。」

 

 こうして俺、遠山金次は力を手に入れた。然し其れが嬉しいとは、少なくとも其の時は思わなかった。なぜなら、此の平穏を静かに暮らしたかったから。

 




遠山金次(とおやま きんじ、Toyama Kinji)
原作設定の通りだが、サラリーマンスキルが高く、親しくない間柄は吉良の様になる。
幽波紋
キラークイーン
第一の爆弾:射程圏内なら幾らでも作れる様に。他は原作通り
シアーハートアタック:原作通り
バイツァダスト:原作通り
第四の爆弾他詳しい情報:次話

ヒステリックジャスティス:次話に


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

双剣双銃の独唱曲(前編)
第一弾(1) Meet girl with gunpowder smoke and bombs.


名札なんてあるんですね。私の高校時代は寧ろなくて戸惑いましたが。
禁書の方は原典がなく進んでいません。 主にルビと呪文と旧字体とインデックスの口調の所為です。
今後投稿予定の小説
艦これ✖️ジョジョ(同世界観)
艦これ✖️仮面ライダー(同世界観)
東方✖️エグゼイド(同世界観)
リゼロ✖️アマゾンズ
デアラの五河兄の代わりにオリ主
男の娘っぽい主人公と彼に勝るとも劣らないラッキースケベな二形神様が魔法の世界に転生
結構ありますね。あと編集に当たり、類語辞典さまさまでした。
感想及び評価、お願いします。特に評価は今後の参考とさせて頂く為、感想欄に詳しく書いて頂ければ幸いです。未ログインの方でも大歓迎です。


 寮のベッドで目覚めた俺は、寝惚け目でリビングに出窓から眼下の海を一望した。この自分一人には有り余るほどの部屋から見る東京湾は、近頃の公害問題等全く意に介す程で無いくらい澄んでおり朝日を受けて輝いていた。然し其の様な景色とは裏腹に、いや寧ろその所為か、俺の心は曇っていた…と、ドアベルの音が慎ましく鳴り響いた。その心当たりのあり過ぎる程の音に、俺は若干の期待に懐疑も混ざった気持ちでドアの方へ向かった。が、杞憂だった様だ、ドアの前の人物は我が友人、星伽白雪だった。

 俺が彼女を迎え入れると、春休み中の俺の食事が不安だったらしく、何と態々朝御飯を作ってくれた様だった。作って貰っていらないというのは気が引けるし、実際休みの間は殆ど一階のコンビニの弁当で済ませていたので有難く頂くことにした、がその量は重箱サイズ、おまけに彼女のことだから、毒で無い何かが入っていそうで困る。

「そう言えば、」と白雪が口を開いた。「最近武偵殺しが横行しているらしいよ。」

「武偵殺し?奴には捕まったんじゃ無いのか。」

「いや、模倣犯なの。其れも殺すというよりは悪戯っぽい感じなんだって。」

 白雪の言葉を聞きつつ、俺は武偵という言葉を頭の中で反芻した。

 武偵、正式に言えば武装探偵、其れは文字通り凶悪犯罪者に対し合法的に武力を振るえる武装した探偵のことである。日本に於いても近年導入され実際効力を見せている。然し、と俺は思う、決して武偵は正義とは限らない。抑探偵というのは所謂情報やであり相手の善悪を考えない。更に其れがあることで武偵殺しなんかの新しい事件も増え、武装しているが故に武器の流出もある。そして何より兄さんは武偵に殺された。武偵ではなく、"武偵"に。

 まあそんなこと駄弁ってたって如何にか成る訳でも無い。俺が出来るのは其れを参考にし、前に進むことだけだろう。そう再度心に決め、飯も終わったので席を立とうとした。すると、

「キンちゃん、今日は入学式だからちゃんと名札つけないと。」

と、白雪が近寄って来た。流石は生徒会長、バレー部主将その他諸々をこなす優等生である。然し俺は一つ、この清楚な八方美人には似つかわしくない部分を発見した。制服である水兵服の胸元から見える下着なのだが、其れが所謂オトナの下着。水商売の子達も吃驚である。

 然し其れとは別に自身はある種の不快感に襲われていた。否、其れ自体がどうという訳じゃあない。ただこの感覚、血液がどっと出る様な感覚は、其れ自体は悪影響を及ぼす物でなくとも、自身の理性が其れに苦手意識を持っていた。其れを見て白雪も心配した様子になる。

 …良し、今回は如何にか治った様だ。

「ごめんね、キンちゃん。また()()()()()にならなかっただけ良かった…」と白雪が詫びてくるので其れに答える。

  ここで、今になって始めてチャイムが鳴っていたことに気付いた。少なくとも席を立つ前はなかったので、ここ数秒の間に来たのだろう。然し此の乱暴でありながら且つ慎ましやかな音と繰れば該当者は彼奴の筈。斯くして予想通りの人物が扉の先にいた。

「お早う御座います、まさか朝っぱらからいちゃついているとは。」

「お早う。あ、此れ鑑賞代ね。」

などと言いつつ入ってきたのは、ブロンドのロングに白雪と張り合える程の胸、砕けたお嬢様言葉と如何にもお嬢様といった風で、実際令嬢なジョセフィーヌ、そして金銀のメッシュを三箇所で三つ編みにしフリルのカチューシャをつけた名実共にメイドな出渚である。何方も俺の友人で特に出渚なんかは学科が同じこともあってか、白雪とは馬が合うらしい。因みに制服もメイドっぽくしている出渚に対しジョセフィーヌはでかい鎖に明らかに女の子がつける様なものではないアクセサリーが大量についており、如何にも一昔前の不良の様なスタイルである。此の学校が改造制服可だったことに感謝しろ。

「其れで態々乳繰り合っているのを見に来た訳じゃあないだろ。」

「いえ、曲解すれば強ち間違いじゃあありませんのよ。ただ、誘いに来ただけというか…」

「詰まり、友人の顔を拝みに来たらこうなっていたという事。あんたらはまだ用事があるみたいだから、先ぃ行ってるぞ。遅刻すんなよ〜。」

 今行くところだから、と返答し俺も出ようとした。が白雪に呼び止められた。

「キンちゃん、まだ名札つけてないでしょ。」

此奴を撒くのはレベルX(未知数)の至難の技の様だ。俺は素直に名札をつけた。

「あと()()()()も持っていかないと。」

 やはり普通じゃない事を実感させられる。其れに対して不満げに返事をすると、先に準備していた白雪は、二人のあとを追うかのように玄関へ行き、其処で振り返って、

「キンちゃんは嫌かもしれないけど、武偵高に入ったならそうしないと。」

と言い出て行った。此れは詰まり携行せず学校に行ける訳だが、いざ着いてどうなるかは先程学習した。俺は愛用のベレッタM92Fと兄さんの形見であるバタフライナイフを装備した。そして家の家具やセキュリティ等を確認し、我が学校に向かった。

 

 武偵高…()()()()()へと。

 

 

 武偵高、其れは文字通り武偵を育てる学校であり、『高』と言う文字からも分かる通り、日本の教育課程に於ける高等学校に相当する。その実態は実業高校の其れと似ているが、その学科は探偵らしく、調査や推理、更に武装してるだけあり武器の扱いも学習する。然し、以上の事から教諭はその各々に長けた存在となるのは自然の事だろう。…お気づきだろうか。武器の扱いに長けた人物、即ちヤクザや軍人、果ては犯罪者予備軍に至る異常人物が教師なのだから、速攻戦争状態である。武偵高が東京湾の人工島を半ば学園都市化して隔離されるのも理解できる。校則に於いてもなるべく撃たない、詰まり撃っていいという事だ。元々兄さんを追って入った俺だが、今は平和に生きる事が第一の望みだ。例えるなら、そう、植物の様に。

 だが少なくとも、教師勢の手でEFランク校にまで下がっている此の学校から転校するならば、相応の成績と学力を納めなければならない。そうなると此の異常地帯で真面目に生きていく他、其れを叶えるアテはない。

 そう考えつつ、俺は目的のバス停に多少の余裕を持って辿り着いた。然し乍ら、予定より早く辿り着いたバスは已に満員だった。よく見ると友人、武藤もいる。御前は車輌科(ロジ)なんだから自分のに乗れ。まぁ乗れなかったなら仕方ないと、俺は時刻表を見る。どうやら次のバスでは間に合わなそうだ。歩いて行ってもやはり遅刻。となると、自転車しかない。幸い自転車なら余裕で辿り着ける。

 今思えば、此のバスに乗れなかった事を一生悔やむだろう。何故なら、此れがあの、独唱曲との出会いだったから。そんなことはいざ知らず俺は自転車に跨った。

 

 以上が数分前の俺である。現在俺は得体の知れない機械音声(VOCALOID)に追い回されていた。曰く此の自転車に爆弾を仕掛けた、スピードを落とす、通報するなどで爆破する、との事。乗る前に見慣れない筐体を見つけたが恐らくそれだ。兎も角周囲への影響はできるだけ避けなければなるまい。少なくとも此方は軽症じゃ済まされないだろう。然し、俺の頭にある方が浮かんだ。

 突然爆弾が爆発した。前に提示された条件の何れも満たしていないのにである。其れに爆発も搭載された薬物の量に対して、精々擦り瑕程度のものだ。そう此れが俺の()だった。

 然し一難去ってまた一難というべくか、セグウェイ二体が追っかけてきた。秒間十発もパラベラム弾をぶっ放すUZIまで付いている。逃げ切るか、迎え撃つか、そう考えているうちにビルの上の少女が目に入った。その少女がパラグライダーを背負い…こっちに向かっているだとォォッ

「其処の君!ここは危ない‼︎逃げてください‼︎」

と俺は警告したが、

「其処のバカ!さっさと頭を下げなさいよ!」

 何たる屈辱だろうか!一応全国平均程度の学力なら有する俺が、餓鬼何ぞにバカ呼ばわりとは。若し彼女が其れを言うに相応しい存在ならば彼女に敬服する前にあさましく思うだろう。そう感じる間に彼女は2丁拳銃をセグウェイ一体にぶっ放した。パラグライダーという不安定な場から過たず撃つ姿は、正に圧巻の一言に尽きただろう。そのまま彼女は白いスニーカーで俺を踏みつけ、

「行くわよ!」

 俺にどうしろというのだ。少なくとも此奴(セグウェイ)を抑えていれば、助かるのだ。謝礼については後日出すし、彼女がやろうとする事よりもずっと楽だろう。

「こっちはどうにもなってないから、あのセグウェイを破壊、いや止めるだけでいい!」

「黙って従いなさい!武偵憲章1条『仲間を信じ、仲間を助けよ。』!」

その仲間を信じたからだろうか。パラグライダーは桜の木に引っかかり、俺たちはそのまま縺れて転んだ。擦過傷に籠変形で助かったのは運が良かったからだろうか。ただ一つ言えるのは、此の原因が十割少女の不注意だったということだ。

 

 軽い脳震盪を起こしていたらしい俺は数秒の気絶の後、意識を戻した。そして丁度覆いかぶさる様に先程の少女が倒れているのが見えた。此の様な時に言い出すのは不謹慎に思われるかもしれないが、とても可愛かった。其の途端自身の顔が何かに挟まれているのに気づいた。その『何か』は紛れもない、少女の肌だった。

 込み上げる性的興奮を抑えつ此の状態を改善しようと試みるものの上手くいかない。其処で少女のブラが見えた。タグ曰く『65A→B』。寄せて胸をでかく見せるやつか。然し可成り小さい。フルフラットだった四ヶ月前の出渚よりマシか。まぁ胸が何事にも関わってくるかと言えばそうでもないだろう。

 然う斯うしているとついに少女まで目覚めてしまった。

「へ、へへへ、ヘンタイ〜〜‼︎」

 その叫びたい気持ちが分からないでもない。然しだからどうしろというのだ。抑も俺だって此の状況は嫌だ。でなければ忌々しいあの『モード』になってしまう。

「蟬なんかどこにもいませんが。」

「あああ、アンタよアンタ‼︎ほんっとサイテー!」

と言って出ようともがく。然し、その結果は実証済みだ。お陰でもっと露出が…ヤバい。体の芯に熱くなった血液が集まるような此の感覚。白雪の時なら理解してくれていたから助かったが、今はこういうのを避けれない。寧ろ状況は悪化している。そう思っている間にも、少女ーー名札に依れば『神崎・H・アリア』だったかーーはもがきつつ俺に幾度となくハンマーパンチをしてきた。力が入らなかったのが幸いだろう。

「このチカン!恩知らず!人でなし!」

「此れは不可抗力であり、少なくとも私の意志でそうなった訳じゃあない。其れに日本の社会が御恩と奉公により成り立つことも重々承知している。何より私は二つのヒトゲノムを持つホモサピエンスだ。」

「知らないわよそんなこ…うっ!まだいたの!」

『いた』とは何か尋ねつつ前方を向くと、成る程、先のセグウェイが七体もいた。するとアリアは行成俺にあるようで無い胸を押し付けてきた。此れの所為で痴漢扱いされたらとんだとばっちりだ。そう思う間に彼女は射撃をしていた。どうやら夢中で胸部の間隔には気づいてないらしい。お陰でで俺はーーなってしまった。あの忌々しいモードに。

 サヴァン症候群をご存知だろうか。脳の障害により一部機能が低下する代わりに記憶力が優れる病。原理は異なれど俺のモードも同じようなものだ。ヒステリアモード、正式にはヒステリア(Hysteria)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome )。この症状を持つ者は、性的興奮でβエンドルフィンが常人の約三十倍の神経伝達物質を媒介、能力が格段に向上するのだ。

 然し、俺がこの能力を嫌うのはその本質にある。抑もHSSとは遺伝形質であり、本能と直結している。何が言いたいかと言えば、ヒステリアモードは『モテる』為のもので、結果言動もそういうものになってしまうという事だ。其れに加え、女に優しくなり傷つけられないという欠点も存在する。中学時代はよく其れで周囲に揶揄されていた。其れからこの能力が嫌いになり、使わなくなった。高校で転校した事もあり、知るのは白雪やジョセフィーヌ等、極一部に過ぎない。

 然しなってしまった以上このままいくしかない。俺は神崎をお姫様抱っこして立ち上がった。

「ちょちょちょっと!何するのよアンタ!」

「いや、アリアさんのような可愛い子に重労働をさせるのは気が進まないのでね。謝礼金であれば払おう。奴らを、始末してからね。」

 そのような気障ったらしい台詞を吐くや否や、俺は七発の弾丸を放った。其れは過たず合計七体のセグウェイ全てに当たり、UZIを吹っ飛ばした。そして俺は仕事が終わったとばかりに俺は自転車に戻ろうとするが、セグウェイは意地悪く追いかけてきた。然しその後ろから髑髏のついた小型戦車が近づいている事に気付く者は誰もいない。

 此れがヒステリアモードとはまた違う俺の能力、スタンド。漢字では幽波紋(スタンド)と書き、生命力を具現化した存在である。其れが普通の超能力と違うのは、(ヴィジョン)があるという事、即ち物を浮かせたり急に壊れたりではなく、()()が持ち上げたり殴って破壊しているという事だ。此の像はスタンド使いにしか見えない為知る者は更に少ないだろう。

 俺はその能力ーー『キラークイーン』の『シアーハートアタック』にセグウェイを追撃するよう指示を出した。そしてセグウェイは爆発。はなから見れば勝手に爆発したとしか見えないだろう。

 俺は神崎を座らせ自転車を立てた。そして交通手段を持たない彼女に気付き、話しかけた。

「このままじゃあ遅刻する。連絡しておこう。中等部かい。」

「何よ、胸見といてそのまま立ち去るつもり⁉︎責任とんなさいよ此の強猥犯!それにあたしは中学生じゃない‼︎」

「神崎さんが暴れたから見えたのではないのでしょうか。ならば自分の責任は自分で持ってこそ一人前のレディと言えるでしょう。然し小学生で此の度胸とは、見上げたものだ。」

すると神崎は頭を下げて太腿を叩き、

「こんなヤツ…助けるんじゃ、なかった!」

と言うが否や二丁拳銃を構え

 

() () () () () 2() () !」

 

放ってきた。

 然し此方はヒステリアモード。一発撃って全て落としてやった。尚も撃とうとしてくるが、

ガキンガキンッ!

弾切れのようだ。然し更に徒手格闘で突っかかってくる。

「逃げられないわよ!あたしは逃走する犯人を逃したことは一度ウァッ!」

怒りの余り足元の弾丸を踏んで転けたようだ。

「一度も…何だって?それに俺は実の()ない人間だ。無実の人間なんかしょっぴいたら其方の汚点となるのでは。」

そして俺は、未だ刀を二本出して応戦体勢からまた転んだ彼女を尻目に、武偵高に向けて自転車を走らせた。

 兎も角時間迄に辿り着いた。その後白雪から女難の相が出ているとメールに来ていた。もう少し早く伝えてはくれなかっただろうか。

 




星伽白雪/ほとぎ しらゆき
何故か苗字が出てこない人物。原作と同じだが、HSSやスタンドについて知っている。ただしスタンドは見れない。また若干ヤンデレ気質が抑え気味だが、外的要因によるものの為本質的には変わらない。超能力捜査研究会、通称SSR所属。

東方・ジョセフィーヌ・ジョースター/ひがしかたーー
ジョジョのジョセフと仗助をイメージしたオリキャラ。祖父が不動産王で、所謂お嬢様である。その割に大衆文化に詳しかったりなど庶民の匂いがする。また人種差別が激しい。彼女の意見は私の意見ではないので御理解頂きたい。
髪は金、目は緑がかった黒で、前髪を立たせている。私服ではメッシュキャップを愛用し表生地にだけ穴の空いたシャツ(仗助ASBスペシャルコスチュームを参照)をよく着る。肌は白だが乳頭は茶色(本人談)。
先祖に貴族の末裔、北米大陸横断レース準優勝者がいる。
車輌科所属だが、狙撃科や装備科にも入り浸っている。

十六夜出渚/いざよい いづな
DIOをイメージしたオリキャラ。ただし外道かというとそうでもない。親にマフィアのボスを持っているが、可成り温厚。またメイドの親も持つ(どちらも実親)。HSSについて知っている。料理が上手いが何を作っても和食になる。但しカステラなんかは例外で、カレーは合わせ出汁のものとなる。また、アキバ系女子。あとジョセフィーヌと同部屋の幼なじみ。
髪は金銀メッシュで前方左右と後ろの三箇所で三つ編みにしている。目は瞳孔側が金で、白目側が紺と、虹彩の内側から外にかけグラデーションが出来ている。私服は基本、メイド服か痛T。また寝間着は浴衣(ジョセフィーヌも同様)。
SSR所属で、同じ科の白雪とは馬が合う。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1弾(2)Disasters makes me mad.

原典でヒステリアをhisteriaとありましたが、英独はhysteria 。原典の方は何語なんでしょう、分かった方、教えて頂ければ幸いです。そして此の拙著に、微々ながらもお気に入り登録が…有難う御座います。できれば評価の方や感想もお願い致します。
前に言った艦これ✖️ジョジョとのコラボ回を15〜24巻辺りで作りたいのですが…何時にしましょうか。


追伸 2017年十二月二十五日の零時から日中にクリスマスプレゼントとしてサンプルみたいな感じで艦これの小説をあげます。期間限定なのでご注意ください。好評だった場合や次話の催促をされれば公開&連載いたします。また同時刻にデアラの更新もします。こっちはずっと見れます。

ad2017/12/29-08:47…後書きの追加、及びそれに関する文書の削除


今日は本当に災難な日だった。

先ず俺が教室を確認すると、ジョセフィーヌと出渚は同じだが白雪とは別れてしまった。だがそれ程問題ではない。と教室に着くと先行していた二人に武藤、強襲科(アサルト)の不知火、俺と同じ探偵科(インケスタ)の理子といつものメンバーが勢揃いだった。

「おい武藤、テメーの所為でバスに乗れなかったんだよ。自分のに乗りやがれ。」

「乗れねぇ方が悪いんだぜ。オマケに切符切られっちまってるし。」

「法律無視したお前はどうなんだ。」

「後ろに掴まってれば、タダで乗れますの。」

「其れこそ犯罪だろ。何だ、車輌科は気狂いしかいねぇのか。」

などと他愛のない会話が流れる。此処までは良かった。問題は始業式の直後だった。何でも三学期から新しい生徒が入ったとのことで…

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい。」

そう、此れこそ()()()()の正体だったのだッ!同じ2年A組だったこと。誰が此のような事を予想できようか。もっと言えば、彼女は不可避だったとはいえ痴漢行為をされたのである。だとすれば復讐に来たのだろうか。若しくは奴の色んな意味での標的に置かれたか。

何れにせよ無視に限る、理子を筆頭として騒ぎ立てる周囲を尻目にファイナンシャル本を開いた。然し武藤も武藤だ。自由席なんだから先に坐った者勝ちだ。譲らなければ幸福とは言わないまでも平和に生きれたのに、あ、神崎の奴撃ちやがった。此れで怒られないのが流石武偵高だ。他なら停学どころか警察沙汰だ、持ってるだけで。

その日は何とか彼女から逃げ果せ、帰路に着いたが…つけられている。恐らく神崎だろう。其処でわざと路地裏に入り爆弾を仕掛けると、気持ち良いぐらいに吹っ飛んで行った。頑丈な彼女のことだ、威力も抑えてあるし大丈夫だろう。そのまま家に帰り白雪やらと駄弁っていたが、乱暴なドアホンに中断された。相手を伺うと、件の彼女。どうやら意地で此処を見つけたらしい、流石強襲科には恐れ入る。然し距離的にも時間的にも俺たちの声は聞こえてなかったようだ。そのまま俺たちは黙りを決め込むことにしたが、鍵を掛けていなかったのは迂闊だった、戸を開けた神崎に見つかった。

「居るんならあたしがチャイムを押したら五秒以内に出なさい。」などといわれたが、此方は命令される理由もなければそれを守り通す義理もない。無視しておこうかとも思ったが、当の本人はとっくに部屋に上がりこんでトイレを探している。さらに今度はトランクを入れるよう言ってきた。成る程、玄関先の明らかにブランド物と分かるロゴのついたトランプ柄のそれのことだろう。というか彼女物をブランドで選んでないだろうか。ブランドは自身が気に入っている場合と体裁の場合があり、例えばジョセフィーヌはグッチの物を持っているが彼女は前者に当たる。それに並ぶのがしまむらやらユニクロやらなのは報われないがそれはそれで匹敵する何かがあるということだろう。一方俺は後者に当たる、ならばイミテーションでも十分可能ということだ。そして神崎は後者だが、おそらく品質と言うよりは数が対応しているのだろう。これだから貴族社会は嫌いだ。平社員で生きていければ十分だろう。などと考えていると神崎が手水から帰ってき、なぜかこの部屋に住む人の人数を聞かれた。この部屋は本来四人用に作られており、それ相応の広さはEランク武偵一人には勿体ない。だがそれなりに人の目を気にせず過ごせるのは利点かもしれない。ともかくこの部屋に住むのは俺一人であると答えると、何故か彼女は居間に行き窓をバックにこう宣言した。

 

「ーー金次、アンタ、あたしのドレイになりなさい!」

 

……あぁ

………………言いやがったな此奴。一回リンカーンに謝ってきてほしい。然し、今回すべきなのは()()()心配だ。ほらドタドタと『お淑やかなアイツ』には似つかわしくない音が…

「キンちゃんに何をしたァーッ!」

「ちょっと何よアンタ、一人しかいないんじゃなかったの!」

「住んでいる人数を聞かれたまでなので。来客が来てない保証はありませんし、彼女らも就寝時は各自の部屋へ帰りますよ。」

「うるさ「キンちゃんを奴隷にするなんて、でも私だったらそういうことキンちゃんにしてほしいけど…そんな事絶ッ対、絶ッ対、絶ッ対、絶ッ対、絶ェェ〜〜〜〜〜〜〜ッ対許さないんだから!」何よ!兎に角コイツを止めなさい。」

嫌だ。勝手に俺の平穏を侵しておいて其の言い草はないだろう。とりあえず白雪の鬱憤が晴れるまで放っておいた後、彼女の要件を聞くためソファーに座る事を進めた。ちなみにこの時エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオというコーヒーを頼まれたので、腹いせにジョージアを出したら満足したように飲んでいた。大丈夫か彼女。それかジョージアがすごいのか。

 

 

「まずは礼を言っておきましょう。今朝の事ですが私をて助けていただき有難うございます。また同時に不可抗力とはいえあなたに恥辱を晒させてしまったこと謹んでお詫び申し上げます。さて、本題に移りましょう。あなた、神崎・H・アリアさんは私が先ほど申し上げたような非礼を働いたためかそれこそ執着するように付きまとわれていたようですが、それだけの事でここまでするとは、些か不自然ではないでしょうか。とすると私に何か別件があるという事ですが。」

他社と商談を交わすように神崎に話すと当の彼女はコーヒーカップ(ジョージア入り)を持ったまま目だけを動かし、

「わかんないの?あとアリアでいいわ。」

と、さも当然のように言ってきた。少なくとも会ったのは今日が初めてであり、そんな奴と一心同体になれる、もしくは何かを匂わせる、などという事ができるだろうか。できるとすれば俺の隣に座る付添人ぐらいだろう。

「失礼しますが我々の接触は今回が初めてであり、相手の状況もわからない中で察しろ、というのは困難な事でしょう。」

「そんな論理的な説明なんて必要ないわ。それにそのうちわかるでしょうし、まあいいわ。」

「御言葉ですが、主観的な認識と客観的な認識とに差があった場合、其れが後々大きな歪みとなってプロジェクトの阻害になりかねません。ここで双方の認識を合致させたいのですが。」

「おなかへった。何か食べる物ないー?」

恐らく頭は弱い方だから論理的な話は苦手なのだろう、話題を変えてきた。まぁそろそろ晩飯時だ。

「白雪、冷蔵庫の中身はどんな感じだ。」

「キンちゃんがコンビニ弁当で済ませてたから空っぽだよ。でもキンちゃんのためだったら今すぐにつくってくるから。」

「ねぇ松本屋のももまんはないー?」

「待て、白雪。アリアさんのご所望のももまんは下のコンビニにあるからそこでついでに買ってこよう。」

などといって飯を買いに行ったが、あいつ大量に、しかも俺の金から買いやがった。貴族とはなんだったのかと言いたいが、平気で野糞し平気で蟋蟀やら甲虫やら人肉やらを食う貴族が居るんだから今更だろう。

 

「成る程、自分に見合うパートナーつまり奴隷を探しており、私が丁度適正気質だったためそのまま奴隷となり、また戦力をつけるため強襲科に戻って欲しいと言うことでよろしいでしょうか。」

飯を終えた後、会話を避球か何かと勘違いしているアリアの為に一旦二人で相手の欲求を聞き、その上で俺と白雪で異論や質問を出す、という形式にした。心なしかうまく行っている気がする。それはそうと、

「それでは此方から幾らか指摘させて貰います。先ず奴隷になれという言葉は世界人権宣言第4条や日本国憲法第18条による奴隷の禁止に違反する可能性があり、若し貴女が其れ相応の扱いをした場合、周囲が、国が、そして何より白雪(隣のやつ)が黙ってないでしょう。」

「別に生活を拘束しようなんて考えてないわよ。」

「ならば言い方を変えていただければ幸いです。そして次、私が約4ヶ月前に強襲科から探偵科に移ったのは御存知でしたよね。」

「もちろん、さっき言ったはずよ。」

「でしたら、私は何故移ったのか。全過程修了した訳でもありませんし、楽そうな方を選んだ訳でもありません。」

「さぁ、むしろ移るヤツの気がしれないわ。」

「そうでしたか。ならば納得と言わざるを得ません。私が移ったのは、単に強襲科に嫌気がさしたからです。そもそもこの学校が、というべきでしょうが、あのような常に命の危険にさらされているようなところでは、ストレスが溜まりに溜まる一方でその時はだいぶうなされましたね。今になっては何故入ったのか疑いたくなります。来るたび来るたび死ねと言われるくらいなら、安全な内地でのんびり暮らす方があってますし、それを弱虫だとか家畜以下だとか罵られようと、事実のため潔くそれを肯定するに至るでしょう。」

「そんなバカなことやってないであたしと強襲科で練習しなさい!」

「その宣言は個人の意思を無視しているように思われますが。そして最後、何故私なのでしょうか。まぁぴったりだと感じた、と言われればそれだけなのですが、御存知の通り頭の方も体の方も全国の高校生の期待値あたりとなっています。例えば不知火などなら全て可能なオールラウンダーでとてもいいと思うのですが。」

「あたしはキライな言葉が三つあるわ。」

人の話を聞け。転換の接続詞を使わずに別の話題を持ってくるとは、今までどうやって生きてきたのだろう。特に疑問文という形で相手に応答を迫ってるんだからうんとかすんとか言ってもらいたい。横目で見ると白雪もイライラしているのが目に見えて分かる。

「『ムリ』『つかれた』『めんどくさい』これらはすべて人の可能性を奪う言葉よ。」

「それは分かったから何でキンちゃんになったの?」

「二人とも、太陽はなんで昇る?月はなぜ輝く?」

「「質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているの(か)?私(キンちゃん)が「理由」はと聞いているんだッ! 」」

もう限界だった。小坊の餓鬼でも間違えないようなことを一々間違えるこいつがうっとおしい。

「な、何よ?あたしは『自分で考えろ』ってことを指摘したまでよ!子供じゃないんだからそれくらいできるでしょ⁉︎」

「さっきも言ったはずだッ!『双方の理解が食い違っていてはいけない』となッ!…フゥ〜…兎も角、此の計画に於ける理解の支障が双方で起こると判断し、此の相談は決裂となります。ただ、情報提供などについては此方からもさせていただこうかと思います。」

いけないいけない、少々感情的になりすぎたか。何はともあれこれでひと段落…とは行かなかったようだ。

「じゃあ、金次が強襲科であたしのパーティーに入るっていうまで帰らないわ。」

「いえ、もう夜ですしお帰りになられた方が…」

「私には時間がないんだからわざわざ帰るなんてもっての他よ。若し言わないんだったら泊まっていくから。」

どういう神経してんだ此奴。まぁだからと言って此方が首を縦に振る気はさらさらない。その代わり此方も切り札(ジョーカー)を切らせてもらおう。俺は白雪に肘で小突くと彼女も分かってくれたらしい。突然アリアに襲いかかるとそのまま抜刀して振り回し、さらにどこから持ってきたか某人間武器庫のような重機関砲を持って射撃体勢に入った。その殺気溢れる姿にアリアは何やら叫びながら部屋を出て行き、二人だけとなった。

「すまないな、白雪。」

「大丈夫、キンちゃんだったら掃除や洗濯、炊事からお世話まで、全部私がやってあげるから…」

 

 さて、一日目はアリアを巻いた俺だったが、彼女が執念深い借金取のように家まできていたことを忘れていた。彼女なら昇降口前で待つなど、

「キーンジ」

朝飯前のはずだ。

「何ですか? ストーカーならお引き取り願いたいのですが。」

「あんたの武偵活動を見に来たのよ。」

「ほっといてください、別に協力した訳じゃありません。」

「あんたはあたしの奴隷なんだから上の指示には従ってもらうわよ。」

「何だコイツ! ライダー助けて!」

「ん、君達、どうかした?」

「あ、すいません。少し此方の事情でですね。どうかお気になさらず……」

エスニック調の服を来た通行人さんに呼び止められてしまいもう構っていられるかと歩き出す。今回の仕事は猫探し。然も五匹ときた。此れは賞金の額も相応といえよう。そして前方には何故か地主面したアリア。商店街をあちこち行きながら歩く姿は、まるで子供だ。何かマネキンを食い入るように見ているが……あ、幼児体型か。まあ悔やむだけ悔やめばいいさ。結果でかくなった奴もいるんだし。そういえばいつもの連中は皆巨乳だな、理子やジョセフィーヌは兎も角、一月にはつるぺただった出渚についても現在CとDの間とのこと。白雪も隠れだ。

 その後、腹が減ったというので飯をやり、猫を捕まえ、ゲームセンターに行きライオンのぬいぐるみをとってやり、五匹目を見つけたころには既に夕刻だった。何だろうな、本人は必死で猫を捕まえようとしているのだがただ猫と戯れているようにしか見えない。何だか和やかな気分になってきて平生の彼女なんか忘れてしまう。さて、と

「いるんだろ、出てこい。」

其の言葉を聞いて木の陰から少女が出てくる。アリアと同じ幼児体型だが彼女は一年生なんだろう。とするとアリアの得意さがわかりそうだ。体型で縁があったのかは知らないが、確か彼女の戦姉妹の奴だな。然し一体()()()は何をしてたんだ。

「撒けてねーじゃあねーか、彼奴(風魔)の奴。で、お前はアリアのとこの……」

「はい、間宮あかりと言います。」

間宮ねえ、家の関係か。そう考えると此れも因縁かな。

 俺が間宮と聞いて真っ先に考えるのは遠山家の家臣だった奴らだ。確か数年前に襲われて分解したとか聞いてたが、其の遠山の雇い主の戦姉妹となったのはなかなかに面白い出来事だ。

「何故尾けるんだ。」

「だってやっとの事でアリア先輩にお近づきになれたのに、遠山先輩はひっつかれてるじゃないですか。そんなのズルいです。」

おい、切っておいたから其の地雷から足を離せ。一番言われたくなかったことなんだよ!

「そうだな、あんたは神崎さんにひっついて欲しいのかもしれない。だがな、彼女がヒーローなのは飽くまで武偵の間だ。俺は特に武偵になりたいと思った訳でもないし、武偵高もしばらくしたら出て行くつもりだ。」

どうにか納得したみたいだ。まあ何を指摘するんだという話があるが。然し彼女の観察眼は別のところを捉えたらしい。

「金次先輩、何か『隠して』ますね。」

やばい、中学の時のことをすっかり忘れていた。俺はベレッタを構える。何時の間にか風魔もいた。

「おい、お前、何処中だ。」

「……一般出身です。中学三年の二学期に転校しました。」

緊張が音がたつ程に緩んだ感覚があった。どうやら若かりし頃のことは封印されたようだ。さて帰路につこう。アリアは犬と戯れて本来の目的を忘れてるし。そうだ、伝言を……

「まあ、此れからもうまくやっていこうや。あと彼奴(アリア)に連絡宜しく。」

 

 

 そして、数週後俺は思ってもみない事件に当たることになった。いや、十分推理できたことかもしれない。然し此れらの話はもう少し先。一年の奴らのこともちゃんと語るべきだろう?




間宮 あかり(まみやーー)
 主人公である金次の家系、遠山家に仕えていた幕府隠密の一族。樺太と大陸が陸続きでないことを発見した間宮林蔵とも血縁関係にあるが、別に冒険家でもない。元々間宮一族として技を訓練させられていたが、最終的に人殺しを嫌う彼女は殆どを放棄している。然し乍ら昔取った杵柄というか体が覚えているというか、未だにその習慣が抜け切れていない。神崎アリアの戦姉妹である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。