東方縲絏魔 (魔妬)
しおりを挟む

第1話「異物」

「妹様…そんなに動き回って日光に当たってしまってはお体に障ってしまいます」

 

小雨くらいなら多少なり降りそうな天気の中、大して光が降り注がないのに大きな日傘を持ちながら紅魔館のメイド長、十六夜 咲夜は自分の目の前にいる小さな女の子に対してそんな些細な忠告をする

 

「えへへーだって最近あんまり外に出れなかったんだもーん」

 

そう言いながら咲夜からあまり離れない範囲で走り回ったり小躍りをしているフランドール・スカーレット

吸血鬼であるため、日光が晒される下では体に害を与えられたり行動が制限されるため、この種族は好んで昼に外に出るものは少ない

しかし彼女はは見た目には似合わない年齢なのだが、精神年齢は見た目道理の幼さで、本人が外に出たいと主張するため、お嬢様なフランドール・スカーレットは1人メイドと同行動するのと、天気が曇っている時というのを条件に昼の外出が許可されている

 

咲「そうですね…ですが程々にしてくださいね。体調を崩してしまっては姉様が悲しんでしまいます」

 

フ「む…そっか…」

 

姉様、と聞いて急に大人しくなるフランドール。とぼとぼと咲夜の持ってる日傘の中に入り、紅魔館へとゆっくり歩いていく2人

そんないつもと変わらず、微笑ましい光景に「異物」が入る

 

 

 

ガサッ

 

 

 

「…!」

 

近くの草むらから物音がする

小動物が通った音にしては少し大きく、ここら辺にいる妖怪が通ったにしては小さな音

咲夜の前を歩いていたフランドールは足を止め、羽をピクつかせながら草むらを見つめる

その揺れは次第に、ゆっくりと大きくなっていき、何かが近づいてくるのがはっきりとわかる

もし攻撃が飛んできた時のことを考え、すぐ妹様の身を守る態勢をとる咲夜。が、守られる側のフランドールも臨戦態勢に入っている

 

 

 

ガサッ…ガサッ

 

 

 

徐々に、そして確実に近づいてくる物音

静かに、落ち着きながら構える咲夜とフランドール

 

 

 

ガサガサッ

 

 

 

そして、物音がすぐそこで聞こえた時、音の正体が倒れるように姿を現した

急に現れたのにびくつきながらも、倒れているその正体をしっかりと確認する

やはり小動物や妖怪などでは無かった。見たところ敵対心があるわけでも無さそうなため、ゆっくりと構えを降ろしていく。しかし、ここにいるのは少し不思議なものだった

そこにいたのは…

 

 

 

 

咲「…おと…こ?」

 

 

そこにいたのは、血まみれでボロボロの服を着ている、青と白の混ざった不思議な髪型をした青年の様だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は…なぜあそこから抜け出して来たのだろう

 

人目がつかなかったあの場所から

 

自分から望んで閉じこもった牢屋から

 

理由もなく抜け出してしまったのだろうか?

 

光が見たくて、光を握りたくて、外に出たのだろうか?

 

…いや、違う。俺はもっと別の目的を持って出てきたんだ

 

そうだ、俺の目的はー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

目が覚めると、目の前に移ったのは真っ赤な壁。正しくは、天井

自分は人様のベットに寝かされていた。律儀に肩まで毛布がかぶされている

周りを見た感じ誰もいないようだった。しかし、綺麗に掃除されていたり、色々な物が置いてあるとこを見るあたり誰かの部屋というのは間違いないようだった

起き上がり、改めて自分の体に目を下ろす

服がところどころ突かれた様な穴が空いており、その穴の周りに血が付着している。だが自分の体が怪我をしている、という訳では無い

そんな感じに冷静に状況確認をしていると、部屋の扉が開く

 

「あ、起きてるー」

 

「…」

 

扉の向こうから出てきたのは、赤と白の可愛らしい服を着ている金髪の女の子。しかし、七色の羽が生えている為、人間じゃないのは人目で分かる

もう一人、きりっとしたメイド服を着ている、銀髪の女性。こちらは見た感じ普通の人間に見えるが、なんだか普通と違う感じがする

 

「お兄さん大丈夫?意識とかしっかりしている?」

 

近づいてきた金髪の幼女に心配される。自分より小さい子に心配されるとなんとも言えない気持ちになるような…

 

「あぁ…うん。特には問題ないかな」

 

寝起きだからか頭がぼうっとするが、支障をきたすほどではなかった

毛布をどかし、ベットに座る様な体制に直す

そして、目の前にいる2人に向かって一番最初に思い浮かんだ疑問を投げる

 

「ここはどこ?」

 

今いるここの部屋だけを見ても大分広いのだが、家具とかを見ても明らかに誰か一人の部屋

それにこの2人が入る時、扉の奥に廊下の様なものが見えた。かなり広い屋敷とかなのだろう

と、少し無愛想なメイドが前に出る

 

「ここは紅魔館です。私達が散歩をしている時に、貴方が道端に倒れていたのでここまで運んできました」

 

「あ…ご丁寧にどうも」

 

紅魔館…?どこだろう…とりあえず、この人達は恩人ってことか

銀髪のメイドは小さくお辞儀をしながら、こちらを睨みつけられる。…なんか悪いことしたかな

そんなメイドとは真逆に目をキラキラさせながら顔を近づけてくる

 

「ねぇねぇ!お兄さん名前何ていうの?」

 

「ふ、お嬢さん。人に名前を聞く時はまず自分から名乗るもんでっせ」

 

…恩人に対して、とっさに思った言ってみたかったことを口に出してしまった

と、言った直後に後悔した。メイドさんの眉がぴくぴく動いてるのが見える。…あの人怒らせたらまずい気がする…。しかしお嬢さんの方はそんな事は気にせず名乗り始める

 

フ「私はフランドール・スカーレット!吸血鬼で…えっと…よろしく!」

 

やはり背中についてる羽は偽物とかではなかった。本物の吸血鬼らしい

続いてメイド姿の銀髪さんも名乗り始める

 

咲「ここ、紅魔館にてメイド長を務めさせていただいてます。十六夜 咲夜です」

 

こちらも予想通り特に変な種族とかではなく、人間っぽい。だがやっぱり何かが普通と違う気がする

フランドール・スカーレットがこちらをじーっと見つめてくる。頭を搔きながら軽く自己紹介を始める

 

 

白「終天 白夜(しゅうてん びゃくや)それが俺の名前。まぁなんて呼んでもいいよ」

 

 

適当に言う白夜。そして、名前を聞いた途端フランドールは目をまた一段と輝かせる

 

フ「白夜お兄様!」

 

白「お兄様って…」

 

少しツッコミたかったが、本人はそれで満足したのでとりあえずそのままで放置しておくことにした

が、メイド長の咲夜さんはそれが納得いかないようで、顔をしからめフランドールに耳打ちをする

しかし、何を言われたのか知らないけど少し怒った様子でいた。…咲夜さんに怪しい人物とでも思われてんのかな俺…

 

 

…とりあえず今自分がどういう状況に陥っているか大体把握することができた

自分はあれから走り続けて、倒れたところをこの人達に介護させてもらった

ここなら。この人達なら

あそこから逃げた"目的"を果たせられるかもしれない

 

白「…1つ頼んでもいいかな…?」

 

少し声を低くして言う

その言葉ににフランドール・スカーレットは首を傾げ、十六夜 咲夜は鋭い目つきでこちらを見る

正直、見ず知らずの人にこんな事を言うのは変なのかもしれない

倒れてるところを助けてもらって図々しいかもしれない

でも、ここでチャンスを逃しては次がないかもしれない

白夜は小さく深呼吸をし、また言葉を発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「お腹すいたんでご飯ください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げられた…?」

 

神社に1人佇んでいた紅白の巫女。博麗 霊夢が、突如に現れた八雲 紫の発言に顔をしからめる

同じく難しそうな顔をしながら紫も言葉を返す

 

紫「えぇ…何重にも貼っていた結界も全部破壊されていたわ。…しかもそれを誰も気づかなかった」

 

霊「…」

 

霊夢は頭を抱え込む

面倒事が増えた。あいつが人を無差別に襲うとは思えないけど、抜け出したってことは何らか理由があったはず

しかも結界を全て破壊したってことはもしかしたら…

 

紫「…多分同じこと思ってるわね」

 

紫が全てを見透かしているような目で言う

少し腹立つが、おそらく合ってるだろう

 

 

紫「霊夢には少し悪いけど、探し出してくれないかしら」

 

いつもはどんなことがあっても落ち着いているような紫だけど、今回は少し焦っているように見えた

それだけ不味い状況なのが分かる。その状況は自分でも理解してるつもりでいる

おそらく、普段の異変より数倍めんどくさい事態になっていることが

紫は一呼吸置いて、霊夢に告げる

 

 

 

 

 

 

紫「今の状態の白夜は危険よ。…速やかにお願いね」




初めまして、魔妬というものです
今回が初投稿で、初めての小説なのでとりあえず自由に書いてみました
自分は文章力にはあまり自信が無いため、多々おかしいところがあるかもしれません
また、初めてというのもあるので、ここはこうしたほうがいい。とか、こうやった方が〜。みたいなのがあれば教えていただけると幸いです
これからも頑張って続けていきますが、間違った点とかあればどんどんご指摘していただくと嬉しいです
まだ1話目ですが、見ていただきありがとうございました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話「お嬢様」

早朝

いつもより早く起きた紅白の巫女、博麗 霊夢は昨日紫に言われた通り、人探しをしていた

ここ、幻想郷でどこにいるかすら、考えてることすら分からない奴を探さなくてはいけない。そう考えると、霊夢はため息をつく

人手が欲しいところだが、この問題は個人で解決しなくてはならない。あまり周りの奴らに知られてはならない。と、紫が言っていた

その理由は霊夢にはわからないが、なにか考えがあると踏んで1人で捜索していた

 

と、少し遠くに見慣れた人物がいる

箒に乗って飛んでおり、全体的に白黒な魔女の様な格好をしている

霧雨 魔理沙。よく神社に来るがお賽銭はあまり入れてくれない。が、霊夢の中では良い奴っていう部類に入る

魔理沙は霊夢には気付かず、長い金髪をなびかせながら猛スピードで一直線に飛んでいく。その方向を見て紅白の巫女はため息をつく

 

霊「あっちは紅魔館…てことはまた本でも盗むのかしらね…」

 

霊夢は魔理沙を無視し、別の方向へ飛んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「…ここまで世話焼いてもらっていいの…?」

 

長い廊下をメイド長の横に並び歩きながら、白夜は咲夜に質問する

白夜はあの後、大量のご飯を食べさてもらったうえに、1晩泊めてもらっていた

正直ハプニングはあった。うん。主に風呂場

あの金髪無邪気な幼女お嬢様が一緒に入ろうと迫ってきたり

風呂入ったあと変えの服がメイド服とか女物しかなかったり

まぁ…何事もなく終われたけど。因みに服は使いまわしているためまだボロボロのやつ

と、少し白夜から距離をとっているような感じに歩く咲夜が短く答える

 

咲「全て主の命令ですので」

 

白「主…?フランのこと?」

 

咲「フランお嬢様の姉にあたるお方です。今から会いに行ってもらいますよ」

 

さっきからどこに向かって歩いているのか、と思ってたけどそういう事か。にしても姉か

そういや昨日フランから姉がいるって聞いたような

優しいし強い!なんて言ってた気がする

歳は5歳離れているらしい…が、吸血鬼にとっての5歳はあってないようなものだと思っている

フランの様に見た目も中身も幼いんじゃないかなって思ってるわけだが

…てかなんで泊めてくれてまでしたんだろ

なんて考えてたら咲夜が足を止めた。目の前には大きな扉がある

 

咲「この部屋にお嬢様はいらっしゃいます。…お嬢様、先日の客人です」

 

咲夜は大きな扉を軽くノックしながら言う。そして一歩下がり、扉をずっと見つめている

すると、扉の向こうから甲高い幼げな声が聞こえてきた

 

「入ってきていいわよ」

 

短く返ってくる

隣にいるメイド長は小さくお辞儀をし、扉を押す。その間に遠慮なく入らせてもらう

中はほんの少し薄暗く、結構広い。扉から真っ直ぐ、奥側に大きな椅子がある

その玉座の様なものに、ぽつりと小さく座っている可愛い女の子…って言ったら失礼かな

カリスマ性が溢れ出しているお方が足を組んでこちらを見下すように座っている

このお方がレミリア・スカーレット…でいいよね。薄い青髪の真っ黒の羽を生やした吸血鬼

 

レ「咲夜から色々聞いたわ。空腹で倒れていたとか」

 

白「えぇまぁ…でもそちらのメイドさんにご飯とか作ってもらったので大丈夫だったのですが」

 

レ「ふふ、それはよかったわ」

 

見た目はフラン同様幼いのだが、なんていうか圧が違う

今更ながらこんな格好で来ているのがものすごく申し訳なくなってきた

 

レ「さて、貴方をここに呼んだ理由は話があるからなんだけど」

 

そう言いながらレミリアは視線を咲夜に移す

 

レ「咲夜、少し席を外してもらえるかしら」

 

咲「…!ですが…」

 

咲夜が何か言いたげな顔をするが、踏みとどまり、そして一歩引く

 

咲「…分かりました」

 

そう言うと咲夜はその場からパッと消えてしまった

白夜はその光景を見て固まってしまった

瞬間移動とかそんな事をしたのか、白夜の頭では理解出来ずただただ唖然とした

と、ずっと同じところを見ながらあほ面を晒していると、横からお嬢様が問いかけてくる

 

レ「…どう?あの子、貴方に対して冷たい態度とってなかった?」

 

白「え?あぁ…」

 

そう言われて我に戻り、さっきまでの記憶を巡る

ことある事に睨みつけられたり…主にフランと一緒にいた時とか

自分に対してだけ無愛想だったり

さっき歩いてた時も距離を置かれてたり…

思いつく節を上げていくと、だんだん難しい表情になっていく

 

白「俺って会ったばっかの人に嫌われてるのかな…」

 

なんだかそう思うと凄く落ち込むというかなんというか

 

レ「あはは!まぁあの子には貴方みたいな人にはちょっとしたトラウマがあるのよ。気にしないでくれると嬉しいわ」

 

白「…トラウマ?」

 

レ「うーん…言うなら男性恐怖症ってところかしら。…詳しい話はしないわよ」

 

レミリアは少し表情を変える

人のトラウマ話は深追いしてもいいことは無いしな…ここは大人しくスルーしておこう

男性恐怖症…なのか。じゃあ世の男性の誰もが話しかけたりしてもあの態度をとられるわけだ

そう思うとなんだかほっとする。何もしていないのに俺だけあんな綺麗な人に嫌われるなんて本気で凹むぞ

 

レ「と、早速本題に入りたいわけなんだけど」

 

気高き吸血鬼のお嬢様は組む足を変え、ボロボロで貧相な格好をしている愚民の目をじーっと見つめる

それは静寂の中しばらく続いていたが、次第にお嬢様がため息をついて目をそらす

 

レ「…貴方、なんで私の能力が効かないのかしら?」

 

白「…え?」

 

レミリアは続けて言う

 

レ「私の能力は運命を操る程度の能力…完全には使いこなせていないのだけれど、対象の運命を少し変えたり、未来が見えるわけなのよ」

 

白「は、はぁ。非常に便利そうな能力をお持ちでして」

 

レ「フランには馬鹿にされたりするけどね…それで、貴方がここに来た時から貴方の未来を見ようとしたのだけれど、全くと言っていいほど見れないのよね。…貴方そういう系の能力とか持ってたりする?」

 

白「え…いや特には」

 

レ「ふーん」

 

怪しげな目でこちらを見つめる

なんでかしら、と首を傾げるお嬢様。白夜は少し焦ってるかのように話を変える

 

白「えと、呼んだ理由はその話をするためだけ…?」

 

そう言うとレミリアはくすっと笑う

 

レ「そんなに焦らない。本題はこっからよ」

 

椅子から立ち上がり、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる

その響き渡る足音で無駄に緊張感が増す

歩みながら、話し始める

 

レ「私最近暇だったのよ。こんな平和なところで、綺麗でいつもと変わらない景色を見ながら、いつもと変わらない味の紅茶を飲み、いつもと変わらない1日を過ごす。そんな何気ない毎日が楽しかったりするけれど」

 

白「はぁ…さようでございますか」

 

レ「そんな時に貴方みたいな、他とは何かが違う。私を楽しませてくれそうな奴がここに転がってきたわけなのよ」

 

レミリアの目が紅く妖しく光るのを見て、白夜の背中に寒気がする

 

レ「私は吸血鬼。鬼、つまり狩る側。ハンターが目の前に転がってきた美味しそうな獲物を逃すわけないでしょう?」

 

白「…え?俺って食われるの?狩られる豚なの?」

 

レ「まぁ単刀直入に言うわね」

 

下等な家畜の不安そうな鳴き声を無視して、お上品なお嬢様ははっきりと白夜に告げる

 

 

 

レ「貴方、ここに住んでみる気は無いかしら?」

 

 

 

 

少し、衝撃だった

というかたった1日の時間を過ごしただけ…レミリアとは今会ったばっかしの初対面のやつにそんなこと聞くか?なんていう考えは瞬時に心の中に閉まった

 

吸血鬼だし、食料にでもされるのかと思っていたが…失礼だった。考えすぎた

 

レ「…もしかして食べられると思った?」

 

その思考がバレてた。もしかして顔に出てたりしてたかな

白夜は小さく震えつつ頷く。レミリアはそれを見て小さく笑う

 

レ「ふふ、そんなことしないわよ。私の能力が効かないなんて初めてだもの。そんな珍しい奴をただ単に食うだけなんて面白くないしね。…あ、住むって言うなら多少食料になってもらうけど」

 

白「あぁ…え?」

 

レ「食料って言ってもちょっと血を吸うだけよ」

 

その言葉を聞き、白夜はそっと胸をなでおろす

言えば、ほぼ身寄りがないという状況に、こんな豪華な館に住まわせてもらうなんて、ちょっと血を取られるだけにしては良すぎるくらいの対価

今なら血を女の子に吸われるだけ!いや、吸ってもらってこんな館に住めるのだ!こんな、主もメイドも綺麗な女の子の館に

これは流石に贅沢すぎないか。やはり少し疑ってしまうが、ここで断る、という選択をしてもメリットは少ない

白夜は少し考えるふりをしながらも、すぐレミリアに対してゆっくり頭を下げる

 

 

白「じゃあ…お言葉に甘えてお世話にならせていただきます」

 

レ「決まりね」

 

 

その言葉だけを聞くと、白夜は頭を上げる

正直不安なことが多いが、こっから追い出されて野宿を続ける、よりはかなりマシだろう

レミリアは扉の方に向かって歩き、白夜の横を通りすがる時に、白夜の肩に小さな手をぽんっと置く

 

レ「ここに住んでもらう際自由にしてもらって構わないんだけど、流石に身だしなみは整えてもらうわ。ってわけで付いてきて」

 

そう言い歩みをまた進める

流石にそうなるよね…でもこの館に男用の服ないって昨日咲夜に言われた気がしたんだけど

そう思いながら、部屋を出ていくレミリアに白夜はついていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!今の危なかったぜ…」

 

白黒の普通の魔法使い、霧雨 魔理沙は現在、紅魔館の地下図書館にてパチュリー&咲夜と交戦中

理由は今家にある魔導書じゃ飽き足らず、ここにある図書館の本を盗もうと…じゃなくて、無断で借りようとしたところを見つかり、今に至るわけだ

 

咲「そろそろ諦めて捕まってくれると嬉しいのだけれど」

 

魔「捕まってくれと頼まれて捕まるやつはいないぜ!」

 

パ「貴女は何回盗んだら気が済むの…」

 

2対1。しかも逃げ口はほぼ咲夜に塞がれる。もし少しのスキをついて逃げたとしても、スピードで咲夜に勝てるとは思えない。何しろ相手は時を止めてくるのだから

そしてここで睨みあっててもパチュリーの高火力が1度でも被弾したら一気に戦況が不利になる

もたもたしてる時間はない。早急に逃げないと。その為には本棚とかを使って咲夜とパチュリー死角から見つからないように逃げるのが…いやダメか。この2人から死角を作るのは難しい。失敗の確率のが高い

と、ほぼ積みな状況で必死になって作戦を考えていると、図書館の扉が勢いよく開く

 

レ「パチェ!少し用があるのだけれど…って魔理沙じゃない」

 

魔「げ、レミリア…」

 

そこには紅魔館では見慣れた小さな吸血鬼がいた。この館の主、レミリア・スカーレットが

状況は悪化。もはや反撃なしにただ逃げるのは不可能

仕方ない。ここは強行突破でマスタースパークを…

そう思い、ポケットの中に手を突っ込み秘策の準備をしようとした瞬間、扉の奥からもう一つ人影が見えてくる

 

「うわ…想像はしてたけど広いな…」

 

そこには見知らぬ男が、おそらく普通の人間であろう人物が出てきた

着ているボロボロの白い服には穴がところどころ空いていて、その周りには赤い何かが付着している

青と白が混ざっているような少し不思議な髪型。というか誰か知らんけどなんで紅魔館にいるんだ…それにあの格好、何も知らない魔理沙からしたら普通じゃない。何か知っていても普通じゃないと思うが

その男の登場により、魔理沙は一瞬呆気にとられてしまった。その隙は捕まえるには十分な隙

 

パ「余所見とは中々いい度胸じゃない」

 

その隙に瞬時に反応したパチュリーが高速で魔理沙の後ろに回り込む

 

魔「!?しまっ…」

 

ゴスッ

という鈍い音が鳴り、その衝撃で意識が一瞬で遠のくのが分かる。重い一撃。冗談抜きに気絶してもいいレベル。本とかで殴られたのだろう、目の前が暗転していき、床にばたりと倒れる。が、意識が朦朧とする中話し声はかろうじて聞こえた

今、この状況では流石に捕まるしかない。が、せめてあの男の名くらいは聞いておこうとしていた

 

 

咲「お見事ですパチュリー様…これはどうしておきましょうか」

 

 

パ「湖にでも捨てておきなさい。ところでレミィ、用っていうのは?あとその横にいるのは?」

 

 

こちらに向かってる足音が聞こえる。多分、咲夜の

名前はすぐに聞き出せそうな雰囲気、今にも意識が飛びそうだが、かろうじて聞こえる話を死んだフリのような倒れ方をしながらも耳を傾かせた

 

 

レ「さらっとえぐいことするわねパチェ…そうそう用って言うのはこの男のことなんだけど…」

 

 

 

ここまで話を聞いて、耳元に小さな声で、少し低くしたメイド長の声が聞こえた

 

咲「…寝といてください」

 

 

その瞬間、首元に鋭い衝撃が走る。ここで完全に魔理沙の意識は途切れてしまった




なんか無理矢理話を進めている感があるような…気のせいですかね
これが私の文章力の限界なんです泣きそう
話が落ち着いたらゆったりとした感じに書くつもりですが

あと、紅魔館内の構造のイメージがイマイチ掴めてないのでレミリアの部屋とか伝わりにくかったらすみません
調べたりしてもよく分からなかったもので…
さてと、今回もおかしい点、誤字脱字、ここはこうした方がいいというのがあったら教えていただけると嬉しいです。言われたら直していきたいと思っています
それでは、また3話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話「弾幕ごっこ」

自分でも3ヶ月サボるとは思わなかった


白「はぁ…」

 

紅魔館の庭を軽く一望できるくらいのテラスで、小さな椅子に座りながら白夜は1人ため息をつく

つい先ほど、ここに住むのが唐突ながら決まったわけだが

その話をレミリアがした時、咲夜が凄い荒れた

理由は多少なり分かっているとしても流石にあの反応は傷ついたな…とことん俺の事悪く言いながらレミリアに反論してたもんなぁ

メイドってもっと大人しいというか、ご主人様に対しては"ザ・忠実"っていう考えがぶち壊された気がしたよ

白夜はパチュリー・ノーレッジ…という魔法使いからもらった黒ずくめのパーカーのフードを深く被る

男物の服がないこの館なのだが、ないなら作ればいいじゃないというお嬢様の幼稚的な…失礼、素晴らしい発想でパチュリーに頼んだわけなのだが

魔法使いは偉大だと思った瞬間だった。どんな服が要望か、とかを言うと謎の詠唱をし始め、急に魔法陣が展開され、その真ん中から要望通りの服が出るわけなのだから

聞くと、その作り出すもの相応の物を出せば対価交換のようにできるらしい。今回の場合は素材分の糸とか生地とか置いただけらしい

 

フ「ふぁぁ…あれ?白夜お兄様?」

 

白「あ、フラン…今お目覚めかな」

 

フ「うん…なんだか図書館がうるさくて…起きちゃった」

 

後ろ側から聞こえたあくび混じりの眠そうな声の正体はフランドール・スカーレット

昨日ここに来てから妙に懐かれている。嫌な気分はしないけど、加減を知らない子だから少し危険というか

ていうかそろそろ昼だけどこんな時間でも寝るのな…吸血鬼だからか?

少しよろよろと歩きながら、白夜とは向かいの方の椅子に座る

 

フ「もしかして今日もここにいるの?」

 

まだぱっちりと開いていない目を擦りながら白夜に聞き出す

起きた頃にはもういない、なんて考えてたんだろうな。実際何も言われなかったら帰ろうとしてたし

 

白「今日も…というより今日からだな」

 

フ「?」

 

どういう意味か分かってなさそうに首を傾げるフランに、白夜はとりあえずレミリアから言われた事を大体話す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白「…んで、咲夜とかパチュリーとかにも言ったの。図書館がうるさかったのはそのせい…」

 

フ「さっすがお姉様〜♪」

 

最後らへんは聞いてないか…

住むと聞いた途端よっぽど嬉しいのか笑顔で急に小躍りし始めるもんなぁ。ほんとなんでこんな懐かれてるんだろ…というかさっきまでの眠気はどうした

1通りくるくるし終わったフランが、テーブルをバンっと叩き白夜の目をじっと見る。白夜は今ので少し倒れそうになったテーブルを焦って掴む

 

フ「お兄様!今から遊ぼ!」

 

と、世の中の男性諸君らが金髪美少女に満面の笑みでこんなこと言われたら頷く以外の行動を取る奴なんてそうそういないだろう。もちろん白夜もNOとは言わない

 

白「唐突だな…いいけど、何して遊ぶの?鬼ごっことかかくれんぼ?」

 

フランの精神年齢的な面を考えて子供っぽい遊びをチョイスしたが、金髪美少女は首を横に振る

じゃあ何して遊ぶ?と聞こうとする前に、フランは一つの"遊び"をチョイスしてくる

その遊びの名前は、ここでは主流らしい。が、白夜には全く知らない、聞いたことのない遊びだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲「あぅ…ぁ…」

 

図書館にて、ぼろぼろの状態で倒れている咲夜

先程まで主のレミリアの決定に対して、今までにないくらいに反発した咲夜。最初は反論だけだったのだが、後半あたりは弾幕ごっこまで申し込むほどに。もちろん返り討ちにあったわけなのだが

そのレミリアと言ったら、使者が反発するのに対して全部笑って流している。今も、満面の笑みで紅茶を飲んでいるのだから

と、先程までうるさかった図書館が、元凶達が落ち着いた事によりひとまず静かになったのだが、ここの図書館の所有者のパチュリーは柄にもなく頭にきていた。その理由は

 

パ「…とりあえず、これをどうにかしてくれるかしら?」

 

…と、後ろを指差しながら半ばキレ気味に2人に言う

指さす方向を見ると、本棚が軽くドミノのように倒れていたり、ところどころ破けてる本が散らばっていたりと、まぁ大変荒らされている状況だった。弾幕ごっこの時に、流れ弾でも飛んでいったのだろう

レミリアはその状況を軽く見回すと、少し苦笑いをする

 

レ「あ、あはは、ごめん…後でちゃんと片付けるわよ…」

 

パ「はぁ。全く…」

 

呆れたようにため息をつくパチュリー

一応反省はしているようなので今回は軽く見ようと心に決めておく。"今回は"

 

と、まぁ急に始まった図書館での騒動も案外早く終わったところで、パチュリーはレミリアに抱いた疑問のことについて聞く

 

パ「さっきの…白夜?って言ったかしら。なんで唐突にあの人間が住むことに?」

 

レ「ん〜…まあ、色々面白そうだったから?」

 

無邪気な笑顔でそう言われ、パチュリーはまたしてもため息をついてしまう

そんな浅はかな理由で…と思った時、レミリアが後ろで戦闘不能状態になっている咲夜に親指で指しながら言う

 

レ「あれよ、大体咲夜の事を思ってよ。過去のトラウマの払拭のためってのと…咲夜の未来で気になるものを見たからね」

 

パ「…気になるもの?」

 

レ「白夜と平然と一緒にいる姿」

 

それを聞いて、パチュリーは少し固まった

あまり知人はいないパチュリーだが、パチュリーが知ってる中でも咲夜はかなり男に対して嫌悪感を抱いている。今までに咲夜にひと目で惚れて人里からここまで来た、なんて人間達も結構いたけど、全員酷い結果に(まぁ当然だろうが)なって帰っていったものだった。その時の男達の顔といったら見るに堪えないくらいに。かなり酷い事を言われたのだろうが

そんな咲夜が男と平然と一緒にいるようになるって言うのは…確かに面白そうではある。レミリアがあの男をここに居させたのも納得いく…気がする。レミリアの未来予知は結構な確率で当たるし

そこまで思った上で、パチュリーは発言する

 

パ「でもあの男見るからに危険よ?レミリアだって普通あの姿見て怪しいって思うでしょ?」

 

レ「あの服の血のこと?」

 

パ「そう。あれはどう考えて何らかの事故で〜なんていうものではないわね。服が破けている場所が対照的だもの。腕の関節部分。手のひら。肩。胸や腹。しかもそれぞれの穴の反対側にも穴がある。そしてその破けている辺りに血が付着している。おそらく、何かに貫通するくらい刺された、って感じでしょうね」

 

レ「破けたところに赤い縁がついているっていうデザインの服っていう可能性は…?」

 

幼稚…カリスマで溢れているレミリアお嬢様はそんな拍子抜けた質問をする

 

パ「ま、ないわね、そんな趣味の悪そうな服。第一、貴方も血って匂いで分かってたでしょ?…先に言っとくと返り血ってのもないわね。だとしたらかなり飛び散るはずだし」

 

と、ここまで聞いたレミリアだが、それでも笑って言う

 

レ「ふふ、でも見たところ大丈夫そうではあるもの。それにもし本当に危なかったらそれこそ野放しにしてはいけないものだと私は思うわね」

 

パ「…そう。まぁレミィがそう言うなら別に私は異論はないけど」

 

若干諦めた感じでそう言いながら、パチュリーは口元に手を当てる

 

パ(…まぁ、本人自体に傷一つ付いてなかったってのも少し気になるけど…)

 

レ「さて…と。咲夜起こして片付けようかしらね」

 

めんどくさそうに言いながら、レミリアは重そうに腰を上げる

そして、咲夜の方に歩みだそうとした瞬間

 

 

ドッゴォォォォン…

 

 

ちょっと遠くの方から、爆発音のようなものが聞こえた

遠く、と言っても音が聞こえる範囲内での爆発。唐突にそんな音が鳴ったのなら普通は軽くともパニックになる

が、2人の反応は薄かった。パチュリーに関しては全く気にも留めない様子で本を読んでいる

レミリアは少し顔を歪ませ考え込み、小声でつぶやく

 

レ「この音…フランの弾幕…?誰かと弾幕ごっこでもしてるのかしら…」

 

だとすると、相手は誰なのかってところになる

この館でまともに弾幕ごっこできるのはレミリア、咲夜、パチュリー、美鈴。内3名はここにいるし、美鈴は門番だから外にいるはずだし、外の爆音はここまで聞こえないはず

他にもいないことはないが、妖精メイドなど、フランにとっては相手にならないような者達。そんな奴らを相手にするような子じゃない

だとしたら考えられるのはこの館の住人じゃないヤツら?いやでも魔理沙はさっき外につまみ出されたし、他に来るやつと言ったら…

と、考えてるところに1人の名前が脳内に出てくる

さっきまで話題にしてたやつ。ついさっき、自分の勝手で紅魔館の住人にしたやつが

 

レ「…あの子って弾幕ごっこできるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道も全くわからずほぼ迷子状態になりながらも紅い廊下を全力疾走する白夜

その背後から、先端が尖って細く、赤く光っている、まるで殺意の塊のようなものが飛んでくる

 

白「うお!っぶねぇ!」

 

床を思いっきり蹴り体を横に飛ばし、スレスレで光る何かを避ける

 

フ「むー…当たらない…」

 

少し機嫌を損ねてるような顔をするが、白夜にはそんなことは関係ない。すぐに起き上がり、そして走り出す

フラン曰くこの遊びは"弾幕ごっこ"というらしい。そしてフランが飛ばしている光るアレ。あれが弾幕だと思う。うん

最初はゆっくりな、丸い小さな玉が複数って感じだったのだが、急にあんなえげつないものを投げてくるようになってきた。当たったら死…ぬのか?あれは。だとしたらかなり危険な遊びじゃ…

ともかく現時点で情報量が少なすぎる。まともなルール説明もされてないため、勝敗条件も分からないのだ

おそらく弾幕を撃ち合う遊びなのだろうが、白夜には弾幕を撃つ手段も方法も分からない

よって逃げる、という選択肢しか選べず、現在状況に至るわけだ

 

フ「あ!こら待てぇ!」

 

逃げる白夜を見てそう言いながら、軽く空中に浮遊し、えげつない加速をする

先に走り出した白夜とのスタートのラグを気にさせないほど距離がすぐ詰まっていく

これが駆けっことかだったらすぐに勝敗が分かるほどの速度差

だがこれはゴールが決められていないただの追いかけっこ。どこ向きに走ろうが逃げる奴の勝手

 

白「ってことで方向転換ッ!」

 

そう言い急ブレーキをかけ、逆にフランのいる方向へ走る

飛んでいたのが仇となったか、後ろを通り過ぎて行くのを見て、フランもすぐに方向を変えようと急ブレーキしたが、うまく止まらない

 

白(空中にいる上にあの猛スピードだ…結構距離を離せるはず…それを活かして隠れたりできれば…)

 

そう考えていたが、そのプランはすぐに壊された

フランは少し傾き、横に移動すると、壁に爪をたてて急ブレーキをかける

ギギギと嫌な音をたてながらフランは止まる

 

白「…爪…折れるぞ」

 

なんて言った矢先、白夜の方向にまっすぐと早い光の玉が飛んでくる

距離はあったため、後方に下がり避けたが、地面に着弾した弾幕は爆発した

 

白「うおぉおあ!?」

 

思わず防御の姿勢をとるが、着弾地点が少し遠かった。さっきまで的確に撃ってきたフランもようやっと外してくれた

爆発したところからは軽く煙幕がたつ。こっからはフランを視認できないけど、それは向こうも同じ。今のうちに逃げよう

そう一瞬考えたが、白夜は煙幕に向かってとっさに身構える

その瞬間、煙幕の中からフランが勢いよく飛び出してきて、白夜に強烈なパンチを喰らわせる

身構えてたため大ダメージは防げたが、後方に勢いよく飛ばされる

 

白(弾幕ごっこって肉弾戦もありなのかよ!?)

 

少しの浮遊感を味わったあと、勢いよく床に尻をつく

金髪お嬢様からの無慈悲な鉄拳をくらった場所がじんじんと痛む

が、そんなことは知るかと言わんばかりにお嬢様は追い打ちをかけるようなことをしてくる

 

白「おいおい…流石にそれは死ぬって…」

 

フ「禁忌『レーヴァテイン 』」

 

尻もちをついている白夜の前でそう呟き、緋色の剣のようなものを持つフラン

明らかに「触れたらなんでもスパッと☆」なんて見た目をしてやがる。あんなの振りかざされたらひとたまりもない

避けることのできない雑魚相手にそんな物騒なもの振りかざすほど鬼な子じゃないって私は信じたいんだけど…

 

フ「…」

 

あ、ダメですわこれ。もういつでも貴方を殺せますって構えだもん振り上げちゃってるもん

しかもなんか心無しか目の色も無くなってない?そんなゴミを見るような目で見ないで欲しいんですけどー

なんてくだらないこと言ってるが事実、命の危機状態なのだ

持ち掲げてるあの剣を振り下ろすだけで綺麗に両断され逝ってしまう

なにか解決策があれば…

 

フ「」ブォン

 

フランは無慈悲に、一切の感情を持ち合わせてないかのように振り下ろす

 

白「まぁ考える時間くれませんよねちくしょおおおおおお!」

 

やけくそに叫んだ白夜。だが彼は、ただ叫んだだけではなく、行動もした

その行動とは、避けるという行動ではなく、逆に攻撃を仕掛けた

この際女の子に手を出すのは〜なんて言ってられない。明らかにあの目は殺しに来てる

避けたとしても、第2波は避けることができないだろう。そんな予感がする

 

とはいえ、フランはあの「触れたらなんでもスパッと☆」で、白夜は素手。攻撃という行動をとったところで、結果は目に見えてる

はず、なのだ。普通なら

 

白(…いけるか…?)

 

フランの剣が、白夜の胴体に届く前に、白夜の拳はフランの目の前までに届き、そして寸前で止まった

自らパンチの勢いを殺し、攻撃をやめた。フランからすれば、わざわざ無駄な傷を負わなくてすむ好都合な行動

のはずだった。だがしかし、不可解なことが起こり始める

数センチで白夜の体を一刀両断しようとしていた剣は急に弾け、消える。そして、フランが崩れるように倒れる

 

白「あっっぶねぇぇぇぇ…」

 

冷や汗が頬を伝っていくのが分かる

いったい白夜が何をしたのか。今の一連の動きを誰が見たとしても、分からないであろう

白夜的には使いたくなかった、いわゆる"秘策"を使ったのだ

 

白(…にしても)

 

白夜は倒れているフランの方に目をやる

 

白(なんか最後あたり様子おかしかったよなぁ…)

 

楽しんでいた、というよりガチで殺しに来ていたような感じがした

全身が殺気のオーラで纏われていたようなというか

…これからは遊ぶ時ちょっと危険視した方がいいかもな…

 

 

 

 

 

 

フ「ん…うぅ…」

 

と、少し呻きながら幼女な鬼畜お姫様はゆっくり起き上がる

 

フ「…あれぇ?弾幕ごっこは?フラン負けたの?」

 

まるで何も覚えてないかのようだった

あれかな。戦闘に入ったら我を忘れるタイプなのかな?…

 

白「…フランが勝ったんだよ。遊び終わったあとすぐ疲れて寝てたのさ」

 

と、軽く嘘をつく

まぁ、勝敗に関しては間違いではない。実際あれをやらなきゃ負けてたわけだし、使うつもりはなかったのだから

フランは少し気難しい顔をする

 

フ「うーん…途中までは覚えてるんだけどなー…」

 

白「まぁ終わったんだからいいじゃない。とりあえず疲れたから少し休もうか…」

 

フ「うん…」

 

ゆっくりと立ち上がり、服についた汚れを取り払いフランは歩いていく

白夜は道が全く分からないため、1人で無造作に歩き回るよりはいいだろうと、フランの後ろをついていく

そして歩きながら白夜は荒れ果てた廊下を見回す

 

白(…俺悪くないよな?)

 

壁や床がフランと白夜の長い戦い(ほぼ一方的な暴力)によって無残に瓦礫と化している

壊したのはフランだが、遊び相手になったのは白夜のため無関係って訳ではない

ここに来て1日しか経ってないやつが家の一部を酷く荒らしたんだ

こういう館だとこんだけ修復すんのにも馬鹿にならない費用が必要になるだろうし、主人の性格によっては首チョンパなんてのも有り得なくはない

…あの優しそうなカリスマお嬢様ならきっとそんなことはしないはず。笑って許してくれるはず

そう願い、若干寒気を感じながら、白夜は荒れた廊下を悠々と歩くフランについていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう簡単には上手くいかない…かァ…」




久しぶりに書いても文章力は相変わらずやなって自分でも思いましたね。むしろ劣化してないかこれ
何言ってるのか自分でも分からなくなってるところがあるけど…いいよね?(震え声)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。