俺と先輩の同居生活 (ムラマサ 同盟)
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~第一章~妹と小説
和泉兄弟の衝突
我が家に妹がやって来た日を俺はいつも思い出す。
「初めまして、兄さん」
俗に言う一目惚れという物だった。
俺は和泉正宗、和泉マサムネという何の捻りも無いペンネームで小説家をやっている。妹は小説が好きだがこの事を俺は妹に伝えていない。
「兄さん、お腹が空いたからごはん早くして下さい」
はいよーと俺は返事をする。
こいつに好き嫌いはないが、好みの事は聞いていない。今度機会があったら聞いてみよう。
そんな事を考えながらも俺は食卓に皿を並べて行く。
「いただきます。」
食べ終わると俺は二階の自分の部屋へと向かった。
妹は先に風呂に入ってくるようだ。
部屋に着くと俺はノートパソコンを開き、執筆を始めた、もちろん、書く内容はライトノベルだ。中学生入学と同時にデビューしたが、今ではただの奇跡だと自分で思っている。一時期は俺は天才だから、と思っていた時期もあったが今思い出すと死にたくなる。
「兄さん風呂開きましたよ」
妹の声が聞こえてきた。
よし、アイデアも浮かばないからいつもの様に熱い風呂に浸かって考えよう。
脱衣所に行くと、妹のパンツなどの洗濯物があった。いつも見慣れた光景だ。意識などする訳が無い。
「ふーっ。」と声に出しながらお湯に浸かる。あぁ気持ちぃ。
俺が大体先に入るが、妹が入った後だからなんてそんな訳が無い…はずだ。
「よし!」その言葉と同時に湯船から出る。少しは書けるかも知れない。
「あれ?服が無い、おかしいあれ?」
やべぇ詰んだwwwwwとか言ってる場合じゃ無い。どうしよう。しょうがない、取りに行こう。多分一階に置き忘れているはずだ。この時間帯だと、妹は部屋に引きこもって何かをしているはずだ。バレない様に行こう。
よし、なんとかついたぞ、これで後はバレなければ完璧だ…
「にっ兄さん!?何してるんですか!?」
声の主は顔面真っ赤にしていた。
********************
声の主は、勿論妹だった。この家には俺と妹しか住んでいないのだから、妹以外だったら泥棒の類だろう。まぁ、泥棒だったとしてもこの家より豪勢なお隣、エルフの家の方に目をつけるだろうし。
ともかく俺は今から妹の誤解を解かなければならない。
「ち、違うんだ…!!!」
俺は妹の誤解を解こうとしたが、焦り過ぎて語彙力が無くなっていた。
「に、兄さんは何故そんな破廉恥な姿で…!ふ、服っ!はやく服を着てっ!」
「は、はい!!」
妹は顔を赤くして目を手で隠しながら言った。
俺は妹に言われるがままに服を着て、妹の前で正座をした。すると妹も俺の正面で正座をして座った。
ピンと張り詰めた空気の中…
「これから家族会議を始めます」
妹が真面目な顔で告げた。
********************
「まず…さっき兄さんが…は…破廉恥な格好をしていたことだが…」
何を想像したのか妹はまた赤面になってうつむいた。
「い、いくら兄妹だからといって…い、異性の裸を見るのは…は、恥ずかしぃ…」
今度は耳まで赤くしながら俺に抗議した。
「あ、あれは…!!本当に誤解だ!!!信じてくれ!!!」
俺は立ち上がって必死に弁解を試みた。
「じ、じゃあッ!!な、なんでっ!あんなカッコしてたの!!!説明してっ!」
妹も負けじと立ち上がった。
「お、俺はただっ!!だ、脱衣場に服を置き忘れたから取りにいっただけだ!!!」
「ホ、ホントに…??」
俺が説明すると、妹は上目遣いで俺を見つめた。
ドキッ…俺はふと、初めてあった時の事を思い出してしまった。
あの時、俺のことを見つめていた目にそっくりだった。
「に、兄さん…?ホントなの…?」
妹の声で俺は現実に引き戻された。そうだ。今、俺たちは家族会議をしていたんだった。
「ホ、本当です!!」
謎の敬語。更に俺への信用度が低くなった気がする。
「ふ、ふーんっ…ならいい」
そんな心配はいらなかったらしく、妹はすんなり?と信用してくれたようだ。
「あ、あのさぁ…」
「?」
俺はふと、思ったことを口にした。
「引きこもりなのに、なんでリビングにいたの??」
「そ、それは…」
妹は口ごもった。そして、
「なぁ、マサムネ先生、いつまで修羅場んのー?」
機械を通した声が妹の背後にあったタブレットからきこえてきた。
********************
その声の主はエロマンガ先生。 俺の連載している小説のイラストを書いてくれている。
「ごめん。もう少し待っててくれ、エロマンガ先生。」
「そ、そんな名前の人は知らない! そんなことより早く原稿書いて! そうしないとイラストが書けないの!」
「今は忙しいんだ。 また明日にでも書くから待っててくれ。」
「今じゃなきゃ嫌なの!!」
タブレット越しに話していると、妹の声が聞こえてきた。
「…兄さんは、私よりエロマンガ先生を優先するの…?」
妹は怒りと悲しみの混じった目でこちらを見ている。
「い、いやそういうわけじゃ…」
「言い訳しないで! もう兄さんなんて…嫌い!」
そう言うと妹は、部屋に戻っていった。
「はあ、せっかく妹がリビングにいた理由聞こうと思ったのに…」
俺はそう言いつつ、タブレットに目を向けると通信が切れていた。
「エロマンガ先生…逃げたな…。」
時計を見ると針はちょうど10時を指している。
「…今日はもう寝るか」
俺は自分の部屋に戻り、電気を消し寝る体制に入った。
「妹と明日ちゃんと話せるかな…」
そんな不安を抱きつつ俺は眠りについた。
朝、今日は土曜日だから学校は無い。ただ、俺は原稿を書かないといけないのでゆっくりする時間はない。
休日の朝は妹が朝食を作ってくれるので、食べるために1階へ降りると妹が朝食を食べていた。 しかし、よく見ると1人分しかない。
「なあ、俺の分は?」
「………」
俺が質問しても、妹は答えない。
(まだ根に持ってんのか…)
そう思いつつ俺は仕方なく自分で朝食を作った。
昼過ぎ、俺は原稿を書き終えたのでたかさご書店に来ていた。
「あ! ムネくん いらっしゃーい」
「おーす」
この声の主は高砂智恵。俺の同級生だ。因みにぼくっ娘である。
「なんかおすすめの本あるか?」
「今ならこれ!幻想妖刀伝がおすすめだよ」
タイトルは聞いた事がある。確かアニメにもなっているので結構人気らしい。 しかし、作者が妹と同じ名前とは偶然だな
「じゃあ、それ買うわ」
「まいどあり〜♪」
俺は早く読むために、急ぎ足で家に帰った。
一回なろうで投稿してたけど運営に消されたてしまったんですよねーw
そしてなろうとこれは全然違うから3人まとめての1話です。
次からはしっかりやると思います。
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和泉花の秘密
軽い足取りで家に帰った俺は家の前で立ち止まってしまった。
なぜなら2階のカーテンの隙間から妹が俺のことを見ていたのだ。
「おーい。どうしたんだ?」
ぷいっ。
妹は頬を膨らませながらカーテンを閉めてしまった。
「ただいま〜………ハッ…」
俺は言葉を失った。なぜなら、廊下にエロマンガ先生とSkypeをするために使っていた見事に粉砕されたタブレットが落ちていた。
「ど……うね…め?」
タブレットというのは壊れても壊れる直前に画面に写っていたものが破損状態によって見えることもあるのだ。そこにはチャットで
エロマンガ先生≫マサムネ先生とまた喧嘩したの?(笑)
和泉≫貴様には関係ないだろう
エロマンガ先生≫そうなの〜?じゃあ今のうちにマサムネ先生をっ♪
和泉≫貴様っ!ぶ**************
----------通話終了----------
最後は割れていて見えなかった。だが妹とエロマンガ先生が揉めていたことは確かだ。
とりあえず妹に話を聞きに開かずの前と向かう。
「おーい。開けてくれー。エロマンガ先生と何があったんだ?」
「なっ、なんでもないのっ!」
妹は困るといつもこうだ。
「どうしたんだ?お兄ちゃんになんでも相談してごらん?」
「だからなんでもないのっ!おっ、おにいちゃんぅ!?」
妹の態度はいつも変だが今日はいつもにも増してテンションが高いようだ。
「熱でもあるのかー?入るぞー」
「兄さんちょっと待ってっ、………ひゃん!」
そこには着物を着つけている最中の妹が涙目で俺を見ていた。だが俺の視線はバッチリお魚さんパンツを捉えてしまっていた。
「ごちそうさま……じゃなくてお粗末様でした?」
俺は頭天に新品の10冊入りノート攻撃を受けた。
「ぐはっ、」
「これは兄さんが悪いのっ!」
そう言って開かずの間の扉は深く閉ざされた。
「あれ?これはなんだろう」
妹の部屋からあるチラシが出てきた。
「幻刀10周年大規模プロジェクト?」
それがただのチラシだったら驚かない。だがそこには
~関係者配布用 電撃文庫~
と記されていた。
これはどういうことだ?俺、和泉マサムネは駆け出しながら電撃文庫で転生の銀狼を出した小説家だ。なのになぜ妹が関係者配布用の物を持っている。俺はダッシュで隣のクリスタルパレスに向かった。
ドンドンドン
「エルフ!山田先生!山田エルフ先生!アークノベリスト!」
「何よ!今ヤ○クック討伐中だったのよ!」
「このチラシを見てくれ」
俺はそう言い幻刀10周年大規模プロジェクトのチラシをエルフに見せた。
「え!どういうことなのよこれ!私レベルの小説家でも知らなかったわよ」
エルフも相当興奮していたようだ。なぜなら幻刀はちょうどいい所で原作のの更新が3年も止まっていたのにイベントをするようならアニメ業界にも大きな影響があるだろう。
「マサムネ。一応聞くけどこれは偽物じゃないわよね?」
「あぁ。右下を見ればわかるが、これは電撃文庫が企画書を作るときに使う専用のロゴだ。」
「じゃあなんであんたなんかがこんなものを持っているの?」
エルフは不思議そうに聞いてきた
「俺ももらったわけじゃないんだ。妹の部屋から出てきたんだ」
エルフは少しの間悩んだ顔をしていた。
「そういうことね。わかったわ。」
エルフは自信満々に語り出した。
俺だって頑張ったよ!コピペとかコピペとか!
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和泉マサムネと一千万部の妹
この小説もラストに近づいて行きます。(早すぎるけどw)
「考えられるのは一つだけしかないじゃない!」
エルフはびしっと俺に人差し指を向けて、
「あんたの妹が千寿ムラマサってことよ!」
ありえない考えを口にした。
「花ー、話があるんだけど」
開かずの間のドアを軽くノックしてから話しかける。
…………返事はない。
まあ、こうなるだろうとは思っていた。だから秘策は練ってある。
「……花、これ知ってるか?」
ドアの隙間から紙を通す。秘策って言うには大げさすぎな気もするけど。
言わずもがな、この紙は例の「幻想妖刀伝5周年大規模プロジェクト」の企画書ってわけ。
そう、もちろん堂々と「関係者配布用」って書かれた、関係者しか持ってるはずのない企画書だ。
「花の部屋から出てきたんだけど…」
そうしてまた少し時間が経ったかと思うと──
ガチャ。
──ゆっくりとドアが開き、頬を紅潮させた妹が顔を出した。
血の繋がらない俺の妹、花。
「そうだ。私が千寿ムラマサだ」
そんな彼女の正体は、俺の宿敵、千寿ムラマサだった。
今俺は、妹の部屋にいる。
妹は妹で「話がある」らしい。
「べ、別に隠していたわけじゃない。言う機会がなかっただけ……」
最初に口を開いたのは妹のほうだった。
「あ、ああ、まあ驚いたけど。それでさ、実は俺も……」
「話があるって言ったでしょ! それは後にして」
「は、はい!」
兄貴もくそもない会話である。
初めて妹の部屋に入って緊張しっぱなしなのに、あんな剣幕で怒られたら萎縮しちゃうのも仕方ない、か。
「それで、話ってのはそのことなんだけど」
妹はドアの近くの紙に目を向ける。
どうやら「幻想妖刀伝5周年大規模プロジェクト」のことで、話があるらしい。
「そこに書いてある企画……人気ラノベ作家との合作小説ってあるけど、一緒に小説を書いてほしい」
ん?
俺はそのセリフに違和感を覚える。
「妹からの、いや、ライバルとしてのお願いだ」
ぴんと伸ばした背中を曲げて頭を下げてくる。
「和泉マサムネ先生、一緒に小説を書いてください」
大人気ラノベ作家、千寿ムラマサの誠実な一声だった。
「千寿ムラマサ先生、一緒に小説を書きましょう。こちらこそ、よろしくお願いします」
合作小説。
新鮮な響きの、そして俺の創作意欲をくすぐる言葉だった。
宿敵としてではなく、同じような作風をもつ同業者として一緒に小説を書きたい。
心からそう思った。でも。
これで妹と、少しでも仲良くなって、家族に近づけたらいいな。
そんな気持ちもあったのかもしれない。
「ところで何で俺の正体を知ってるんだ?」
「!!」
妹の顔は一瞬にしてバレてはいけないことがバレたような顔になる。
実際その通りだったのだが。
「まさか、俺の部屋に置いてた小説に読んだ形跡があったのって……」
反応から察するに、妹は俺がいない隙をみはからって、俺の部屋に忍び込んでは小説を読んでいたらしい。
そりゃあ当然、正体を知ってるわけだ。
「だってっ、兄さんの小説が世界で一番面白いから仕方ないのーっ!!」
俺の妹──和泉花は、開き直って大声でそう叫んだのだった。
続きが気になりますね。
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和泉花の好きな人
その夜、俺は夕飯の準備を始めた。
妹と二人暮らしを始めて、妹が食事を作ってくれることになっている。そのはずだが、昼間の一件のせいで俺が作ることとなった。あの話には続きがあった…
********************
「もう!兄さんなんて知らない!」
「いや、ちょ…」
「もう出てって!今日は夕飯作ってあげない!兄さんが私の分まで作って!」
「まだ話が…」
「出てけーーーー!!」
俺は何も言えなかった。話したかったことがあったが妹に止められてしまった。
そして妹に身体を押されて部屋を出た。
「…ま、いっか。夕飯は作ってやるから、出来たら下に降りてこいよー」
「…」
返事はなかった。
俺は流されるままに階段を降りた。
********************
そんな事を思い返しつつ夕飯が完成した。
リビングの食卓に俺と妹の分を用意して並べ、あとは妹を呼ぶだけだ。
「花ー、夕飯出来たぞー」
…返事がない。
やはり昼間の一件があったからか、恥ずかしくて顔を合わせづらいのだろうか。あれは俺が悪いのか?と思うが、妹のことだ、仕方ない。
「俺が悪かったよー、早く食べないと冷めちまうよー」
今日の夕飯は妹の大好きなオムライスだ。
別に妹の機嫌を直そうとして作ったのではない。簡単に作れて時間も短く済むからだ。
うまく出来たかは知らない。
とにかく冷めてしまったらもったいないので、早く下に降りてきてほしい。
(ドンッ!)
天井から物音がした。
「なんだ?」
「部屋まで持ってきてェ!」
「は、はぁ…」
俺は実際何もしてないと思うが、妹には何かしら迷惑な行為をしたのかもしれない。妹のことだ、仕方ない。
出来立てのオムライスを妹の分だけ持って、開かずの扉の前まで行くことにした。
(こんこん)
「花ー、持って来たぞー」
「そこに置いといて!」
ここまで来てもやはり出てこないのか。どうしよう…このままだとこんな生活が続いてしまう。俺は勇気を出して、
「花!いや、千寿ムラマサ先生!」
「!?」
「さっきは急なことでビックリしただけなんだ!まさか妹が、俺の憧れのムラマサ先輩だったなんて知らなかったんだ!」
「なっ///」
「妹の正体が分かったからって、花に迷惑をかけることはない! 花が憧れの作家だとしても、血は繋がっていない関係だとしても、花は俺の妹だ!俺は花と家族になりたいんだ!これからも妹として大切にしていくつもりだ!だから聞いてくれ!」
「…」
「合作小説のイラストをエロマンガ先生に任せたいんだ!」
「え…」
「今、お前がアイツと喧嘩しているのは分かっている!でもどうか!アイツと一緒に最高に面白い作品を作らないか?」
「なんでそうなるの…」
(ガチャ)
扉が静かに開き始めた…
「兄さんはなんでそんな勝手なことを言うの!なんで私の気持ちを分かってくれないの!なんでそこまでしてエロマンガ先生に関わるの!」
扉が全て開き、妹と目が合った。以前味わった場面とはまた違う、少し怒りを感じるような…妹の目にはうっすらと涙が流れていた。
「せっかく兄さんと最高に面白い作品を作れると思ったのに…なんでそこにまたアイツが出てくるの!」
どうして妹は俺に反発してきてるのか分からなかった。そして妹が扉を開けた理由も分からない。
「アイツに聞いたよ…最近裏でも仲が良いらしいじゃないか!」
「そ、それは違うんだ!誤解だ!」
「うるさいうるさいうるさーい!」
「えぇ…」
いくらなんでもそれは酷すぎやしないか…
「代わりは私の担当絵師にでも頼んでおく!」
「ちょっと待ってよ…」
「とにかくそれでいいの!!」
…俺は何も言い返せなかった。
「…」
「…」
お互い無言の時間が続いた。いつもは気にしないことだが、今日は特別に長く感じた。
いつもは兄の言う事をきちんと聞いてくれる優しい妹で、多少の喧嘩でも話し合えばすぐに仲直りをするはずなのに、今回ばかりは上手くいかない…
なにか特別な理由でもあるのか?
そこで一つ気になったことを話した。
「なんでエロマンガ先生にそこまで対抗するんだ?」
「そ、それは…」
「妹のお前なら俺に仲良しの絵師が居たって気にすることないだろ」
「…」
正論を言ったはずだ。決して誤ったことを話してはいない。俺はそう思っている。
と、そこで俺はある一つの結論にたどり着いた。
「もしかして、お前エロマンガ先生に嫉妬しているのか?」
「!」
「兄がエロマンガ先生に取られたように思えて嫉妬しているのか??」
「!!」
妹は顔を赤くして下を向いていた。
「お、お前…」
「ち、ちがう!私が兄さんと近づきたいとか、そういうのではない!」
妹は赤いトマトのように顔をさらに赤くしていた。
「もう!違うと言っているだろ!決して兄さんのことが好きとかそういうのじゃないか、ら…」
自分では気づかなかったが、俺も顔を赤くしていた。それを見た妹は急に会話を途切らせて、
「に、兄さんの変態!今絶対変なこと考えた!」
「ち、違うって!痛ッ!」
俺は新品の10冊入りノートで叩かれていた。
「もう!今言ったことは忘れて!」
「ちょ、やめろ花!」
妹はやめなかった。
「いい?合作小説を執筆している間は絶対にアイツとは関わらないこと!」
「そ、そんな…」
「じゃないと兄さんとたくさん話せなぃ…(小声)」
「え、今なんて言ったの…」
「今日はもういい!出ていけー!」
「ちょ、ま…」
(バタン!)
俺はそのまま妹に部屋から追い出された。
まだ話を続けようとしたが、やめた。
今日は何を言っても無理だろう。
「あ、オムライス…」
肝心な妹の夕飯を渡し忘れてしまった。
「はぁ…ここに置いとくぞー」
妹の分を扉の前に起き、俺は階段を降りて、リビングで俺の分を食べることにした。
結局その日はもう何も無かった。
正直開かずの扉の前で起こった出来事は、はっきりとは覚えていない。俺も何を話していたのかも曖昧だ。ただ一つ、確実に分かったことがある。
俺の妹──和泉花は、エロマンガ先生を嫌っている。
(合作小説どうなることやら…)
そんなことを考えつつ、その日は眠りにつくことにした。
この話は次の章へと繋がります。
お楽しみに。
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