東方幻想奮闘記(仮) (はんちゃん)
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彼の日常
俺の名前は伊吹和真。人間である。
「和馬、5時までには帰ってくるんだぞ!母さんたちはいつもの場所で宴会してるから帰ってきたら其処に来なさい」
「は~い」
親の名前は伊吹萃香。鬼である。
「天狗や河童に迷惑かけるんじゃないぞ!!」
「は~い」
姉の名前は星熊勇儀。鬼である。
「楽しんでくるんじゃぞ」
「はい!」
小母様の名前は知らない。他の鬼からは大将と呼ばれている。世間的には鬼神。もちろん鬼である。
もう一度言おう。俺の名前は伊吹和真。人間である。そして、転生者である。
◇
お気に入りの場所。それは人間…いや、人間じゃなくても誰もが持っている場所。それは心安らぐ唯一の場所。伊吹和真。人間でありながら鬼の子供の彼は鬼の集落から離れた場所の川で一人…いや、人ではない人の形をした妖怪と二人大きな岩に腰をかけていた。
どうして転生したのかは分からない。変な上も下も分からない白い空間で神様を名乗ってるやつに会っているわけでもないし、スキマを見たわけでもない。ごく一般的な高校生だったはずだ。
「あやや?また考え事ですか。最近それ多いですよね」
「それ?」
「真剣な顔をしてため息をつくことです」
射命丸文。
鴉天狗で俺の親友の一人。年の差はかなりあるけど友情の前では年なんて関係ないと俺は思う。
「どうしたんですか?とても人間の6歳児がする顔とは思えませんよ?」
「いや、何で生まれてきたんだろうって」
何で俺は東方の世界に生まれてきたんだろう。何故ゲームの世界なんだ?転生って言うのは自分の世界に生まれて、育って、死んで、そして元の世界に生まれるとかそんな感じだと思っていたのだけれど…まぁ、あくまで予想だったしそれに、今は楽しいから転生には感謝してるからいいんだが、やっぱり何故この世界に生まれたのかを考えてしまう。
「もしかして自分はいらない子だとか思ってませんか?」
「そういうのじゃなくて、なんていうか…哲学?」
「そういうことでしたか。そんな事どうでもいいじゃないですか。バカに生きたほうがもっと人生楽しめますよ。人間なんてたった100年しか生きられないんですから。もっとバカに生きましょう」
「バカに、ねぇ…。文は毎日が楽しそうだよね」
「和真さん…バカに生きたほうが人生楽しいって言ったのは貴方ですよ?忘れましたか?」
……あれは1年前の出来事だ。
「覚えてるよ。あの後母さんにすごい怒られたんだから忘れる筈がないよ」
何を思い出したのか和真の目には涙が溜まっていた。その顔をどこか懐かしむように文は微笑みながら彼の顔を見ていた。
◇
「お姉さん何してるの?」
当時の和真は5歳ごろに前世の記憶を思い出し状況整理に戸惑っていた頃だった。そこで鬼の集落の近くで射命丸文が木の上でボーっとしているのを見つけ彼は話しかけてみた。
「人間の子供…ああ、鬼に拾われた子ですか。貴方には関係のないことです」
当時の文は真面目で天狗としてのプライドが高く人間を嫌っていてキツイ性格だった。
彼は興味本位で…いや、ただ友達になりたかっただけなのかも知れないが彼女に話かけてしまったのだ。
「人間が馴れ馴れしく話しかけないで。さっさと私の前から消えなさい。食らうわよ」
射命丸が口を開いたと同時に殺気にもにた圧力が和真のしかかって来た。彼は精神が肉体に引っ張られているせいかすぐに泣いてしまい、彼の泣き声を聞きつけ文字通り飛んできた母さんにより文は鬼の集落付近には近づかぬようお説教されてしまったのだ。
その後、罪悪感がこみ上げ謝ろうと天狗の里の付近に足を踏み入れた彼なのだが、人間を見下した目でしか見ない天狗達は彼をどうにかして追い出そうと試行錯誤していた。しかし、彼は人間だが天狗達が恐れている鬼の子。それも四天王とも呼ばれる伊吹萃香の子なのだ。だから考えるだけ無駄だと判断しゴミを見るかのような目で彼を見るしかしなかった。
彼はその視線に気づいたのか少し歩く足が速くなった。歩くこと3分。彼は文の姿を見つけ話し掛けた。
「お姉さん」
「……何」
「さっきはごめんなさい」
「……」
射命丸は答えようとしなかった。
◇
「あの時の文ってひどかったよね」
彼はクスクスと笑い文の方を見る。
「そうですねぇ、あの時の私は流されるがままでしたからね。天狗として生まれたから天狗のプライドを守って、周りの天狗が人間が嫌いだから私も嫌いになってっていう感じでしたから。社会は人を変えるんです。人じゃないですけどね」
クスクスと彼女は笑う。
「今の文は?」
彼は少し暗い表情で文に聞く。自分の生み出してしまった結果に後悔しているのか先ほどまでの明るさが消えていた。それはとても6歳の子供には似合わぬ表情で何を言いたいのか悟った文はしゃがみ彼と同じ目線で話す。
「・・・和真のお陰で変われたのよ」
「それはいいことだったのかな?」
今にも泣き出しそうな顔をして彼は俯いてしまう。
「少なくとも私にはいいことだったわよ?確かに今じゃ地位もないし出世も難しいけれど、代わりに『生きる』ということを理解でき、毎日を楽しく過ごせている。あの頃の私じゃ考えられなかった生活ね」
彼女は彼を安心させるように優しく撫でる。
「・・・でも俺がやったことって文の未来を「この話はもうやめ!もうそろそろ椛も仕事終わる頃ですし!何時もの場所に行きますよ!」・・・うん」
そして彼女は笑い、彼を肩に乗せる。
「それにもう過ぎたことです。どうあがいたって時間は元には戻らないんです。だから私たちは今をバカに生きていきましょう」
「うん!」
彼は彼女の笑みにつられ、涙で頬を濡らしながら笑顔になる。
「にとりも行きますよ」
「え!?」
「ばれてたか。なんか深刻そうな話だったし出てこれなかったよ」
にとりと呼ばれた少女は川から上がってきた。少女は川から上がって来たはずなのだが濡れてはおらず、地面に水の後をつけることなく文達に近づいていった。
「にとり…いつからいたの?」
「過去の話を始めたぐらいからかな」
「まぁ、知られて困ることじゃないからいいんだけどさ…って!まさかさっきまでの俺の顔を…」
「ばっちり!カメラにも収めておいたよ!」
にとりは親指を立て笑顔で答えた。
「最悪だ…」
「まあ和真も子供なんだからいいじゃないか!大人になったらそうは泣けないんだから今のうちに泣いとけばいいよ!」
「そういうもんかな」
「そういうもんさ。ところでさっきの話の続き聞かせてよ!」
「私も興味ありますね」
「うわっ!!」
和真の後ろには犬走椛が仁王立ちしていた。そして肩車してくれている文にはでかいたんこぶができていた。……俺に気づかれず殴るとはさすが天狗。速い。
「約束の時間に来ないから心配してきてみれば…」
「ごめんなさい」
「あはは、ごめんごめん」
ドゴンという鈍い音が辺りに響いた。
「ひゅい!!謝ったじゃないか~」
「反省の色が見えなかったので」
「ところで椛お姉さん」
「ん?」
「さっきの興味あるって…」
「文様との過去のことです。噂では知っていますがやはりこういうのは本人から聞いたほうが確実ですからね」
「まぁ、いいけ「駄目です!!」……どうしたの急に?」
話を始めようとした瞬間文が口を挟めてきた。なんか話してまずいことでもあったのかな?
「なんかまずいことでもあったかな?」
「いえ、そういうわけではないですが。萃香さんに来月の鬼の宴会に誘われていまして」
母さんが文を誘うなんて珍しいな。てっきり文のこと嫌いかと思っていたのだけれど……何かあったのかな?しかも鬼の宴会に誘うなんてどうかしているんじゃないか?天狗や河童は鬼を恐れているというのに。
「鬼の宴会に混じるとか…文、生きて帰ってきなよ」
「それと過去の話何か関係あるのですか?」
そういえば鬼を一番恐れているのはにとりだったよね。鬼の名前を聞いた瞬間に方がビクっと反応したのを見逃さなかったよ。
「それがにとりも椛も誘われてるんですよ」
「「え・・・」」
「しかもその日の宴会場所は鬼の大将の家なんです」
「「え・・・」」
「ななななな、なんで!?」
「いくら文様が一人が嫌だからって私たちを巻き込まないでください!!」
う~ん、俺的には皆が来てくれるのは嬉しいのだけれどその皆がものすごい嫌がってるし無理して来なくてもいいのに。しかも誘われただけなのだから断ればよかったんじゃないのか?
「萃香さんが和真の友達は強制参加だからと拳を鳴らしながら仰っておりました。たぶん鬼の皆さんが遊んでいる時の和真さんの話を友達から聞きたいのでしょう」
「ちょっと遺書書いてくる」
「ちょっと修行してくる」
にとりは遺書を書きに川に戻り、椛は鬼に対抗するためか山を登っていった。なんというかドンマイって奴だな。もし俺が逆の立場だったら死ぬね。
「あやや、思わぬ形でお開きになってしまいましたね」
「そうだね。にとり達にとって今の話が相当ショックだったのか、過去の話結局できなかった」
「そうそう。その過去の話なんですが宴会の時に話そうと思っていたんですよ」
「納得した」
「では私も帰りますね。こんな感じでお開きにしてすいません」
「いいよ。また文たちが暇な日遊ぼうね」
「はい!」
文は肩から俺を降ろして空を飛び、自分の家があるであろう方向に飛んでいった。俺も空飛んでみたいな…。
◇
彼女らが帰った後和真は木に囲まれ周りには大きな岩がある場所にいた。その場所は親も友達も知らない彼だけの秘密の場所。
「幻術結界も張ったし。さて、今日も頑張るか!」
彼はその場で目を瞑る。するとだんだん彼の顔が険しくなる。彼の体から赤いオーラが噴出するように溢れ出てくる。
「界王拳ッッ!!!」
彼は修行をしていた。修行動機は『せっかくバトル系の世界に来たんだからいろんな技を使ってみたい』ということで1年前から修行をしている。
「3倍…よ、4…4倍!!」
彼が今行っている技は界王拳というドラゴンボールというアニメの技で『俺も男だし界王拳ッ!!とか叫んで戦ってみたい』ということで修行している。界王拳自体は修行初めて2ヶ月目で会得しているが3倍までにしか倍率を上げれなかったので上げる修行をしている。
「くっ…プハッ」
プシュゥという風船の空気が抜けるような音を出しながら赤いオーラは消えていった。
「うっし!4倍まで出来るようになった!!」
『界王拳』
これは普通の気とは違う界王拳そのものの気を扱う身体強化である。
界王拳のそのものの気とは誰にもあるが、誰にもあるが故に気づかれない気である。界王拳そのものの気を見つけ扱うことは一流の武人でも出来ないことである。
彼は何故使えるのかというと、生前にアニメを何度も見て妄想で何回も練習していたからである。決してすごい才能とかはありません。
いや~、これできるまで半年はかかったな。
「それにしても空が飛べないのは痛いな」
何故飛べないんだ?そういや亀仙人もかめはめ破は使えるのに空飛ぶことは出来なかったよな…。やはり気を纏うだけじゃ駄目なのか。空を飛ぶイメージトレーニングは欠かしたことはないし…今度文に聞いてみるか。いや、しかし俺が修行してるのは内緒にしていることだし…どうしようか。
あれ?なんで内緒にしていたんだっけ?…ああ、そうだ昔母さんに強くなりたいって言ったら『駄目だ、和真は人間の子供だ。強くなんかならなくとも回りに強い鬼や天狗や河童がいるんだ和真が強くなる必要なんてないし絶対にならせはしない』と、くどくど説教されたけど勇儀姉さんが1回だけ修行してくれたんだ。でもすぐに見つかってしまいものすごい怒られてトラウマになりかけたんだ。他の男の鬼は賛同してくれたんだけどな~。
「はぁ…」
鬼だから強くなることには賛成してくれると思ったんだけどな。何であそこまで拒否されるんだろう。
考えていても仕方ない。修行再開するかな。
「次はどんな技を覚えようかな」
・・・。
行き詰った。
えっと今覚えている技は…界王拳とかめはめ破…あれ?2つしか覚えていない上にパクリじゃん!!やっべこれ以上パクリ技覚えるのやめよう。界王拳をなるべく使わないようにして……。
それよりも一番の問題はかめはめ破の名前だな。最終的には『破ァー!!』になっちゃいそうだけど気合入れて撃つときにフルで叫びたいから考えとかないと。
・・・思いつかねえな。名前は後回しにしてオリジナル技でも考えるか。
「おっ!いい技思いついた!!早速修行に…って、もうこんな時間か。そろそろ帰らないと怒られるな」
◇
「ただいま~」
「和真!!!」
「ひゃい!!」
突如空気を振るわせるほどの大声が家中に響く。何事かと星熊勇儀が萃香の元に近づくがすぐにため息をついた。
「今何時?」
萃香が怒りを隠しきれていない笑顔で和馬に尋ねる。河童の作った時計を横目で見て振るえる声で答える。
「…5時」
「何分?」
「…10分」
「家の帰宅時間は?」
「…5時まで…ごめんなさい!」
一瞬の静寂。次に起こる事が分かっているのか和真は涙目になり震えている。勇儀がまぁまぁ、と萃香を宥めるも意味がなく母の怒りは収まらない。
「親に心配かけるんじゃない!!!!」
萃香の大声はまたもや家の空気を震わせ、和真を泣かせる。しかし、萃香が言ったように本気で心配しているからこそ本気で怒る。和真もそのことは分かっているのだが、やはり母親は怖いのだ。
「ごめんなさい」
「まぁ、もう許してやんな。反省しただろうし!早く宴会に行くよ!」
「まだ言い足りないが…仕方ない」
まだ言うつもりだったのかよ!助かった、本当に助かった。勇儀姉さん本当にありがとう!
和真の先を歩いていた勇儀が振り返り和真に向けてニカッっと笑い親指を立てる。
勇儀姉さんかっけえ!俺、勇儀姉さんみたいな人?になりてえ!!!
少年はいつか姉の様な強くてかっこいい人になることを誓った。
文とのちょっとした過去の話がありますが。この過去のことについて和真は毎日悩んでいます。
こういう駄文が続きます。
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友達
今日は小母様の家で鬼達が集まり宴会する日。
宴会の日、和真は萃香が他の鬼と飲み比べなどをするので一人になってしまう。和真は熱いお茶を冷ましながら飲んでいるところに男の鬼が近づく。
「なんでぇ和真、また怒られたんかい」
「家に帰る時間が少し遅れただけなのに…」
「はっはっは!!次から気をつければいいさ!それに絶対なんて世の中にありゃしないんだ!こんな日もあるさ」
ガハハ、と大きく笑う鬼をみて少し元気が出てきた。笑う鬼を見ると元気になれるな。
「そうじゃぞ和真」
そういい和真の正面に鬼の大将が座る。
「大切なのは守ろうとする気持ち」
「守ろうとする気持ち…」
「そう、そして守れなかったときの謝罪の言葉。それさえあれば萃香の頑なに怒ったりはしないじゃろうて」
「うん」
そうだよな、ちゃんと誤れば母さんだって許してくれるよな。俺が間違ってたって認めれば母さんだって……あれ?俺最初誤った……よな?……きっとごめんなさいだけじゃ駄目なんだ。……そうだよな?
◇
あれから3時間半経過したが宴会は終わる気配を見せない。むしろ鬼達のテンションが上がる一方だ。その鬼達とはうらはらに和真のテンションは下がっていく一方である。
「はぁ…」
宴会は楽しい。けどそれは最初の1時間だけだ。それ以降は疲れていろいろとめんどくさくなる。それに修行して帰ってきているのでものすごく眠たい。そのいろいろと極限状態の俺に鬼達はかまわず、いつも以上のテンションで絡んでくるので困る。お酒飲めれば違ったのだけれど子供は酒飲んではいかんとのことで素面である。
「和真はよぉ~自分の事を『俺』って言ってるけどよ~『僕』のほうがにあってんじゃねえのか~?」
「え?」
「男ならやっぱ『俺』だけども和真はなんか『僕』って感じがするんだよな~」
なんだそれは!?もしかして俺は子供っぽいということか?いや、しかし実際に子供だし……周りからしたら背伸びをしているようにしか見えないということか!?しかし、前世から『俺』で通してきたらから癖でもう変えることは出来ないし…考えてるときは前世のように落ち着いた考えが出来るが発言するときは精神が体に引っ張られて子供っぽくなるし……あれ?よく分からなくなってきた。つまり俺は『俺』は似合わないということなのか?今度文達に聞いてみるか。
駄目だ。酒の匂いで具合悪くなってきた。とりあえず風に当たって来るか。そのときに新技でも考えるか。
「風に当たってきます」
「あんま遠くにいくんじゃないぞー!」
ガハハ、と笑いながら注意掛けをする鬼。酔っているのか?鬼が?まぁ、いいか。早く外に出ない吐く。
ヒュゥゥと夜の冷たい風が駆け抜ける。和真は鬼神の家の屋根の上に寝転んでいた。
彼の顔にはどこかすっきりしたところが見られる。鬼神の家の近くのモザイクは気のせいではないだろう。
「月が綺麗だな…」
彼に似合わないセリフを吐く。誰かに聞かれていたら間違いなく黒歴史となったであろう。彼はあたりを見回す。そして誰にも聞かれていないことにほっとしてもう一度月を見直す。
「月が綺麗だな…だって!ぶはっ!駄目!死ぬ!アハハハハ」
「和!今のはないわ!アハハハハ」
「うるせー」
黒歴史決定。
「で、どうしたんだよこんな夜中に。宴会中だから良かったものの普通だったら攻撃されてるんだぞ?」
「大丈夫だって、あたい等は強いんだ鬼神はわからんが四天王になら勝てるさ」
「そこは鬼神も倒せるさと自身もって言いたかったけどこれが現実なのだ!」
「いや、四天王倒せる時点ですごいけどね…ていうかチル姉もルーミアも酔ってるの?」
彼女たちはチルノとルーミア。氷の妖精と常闇の妖怪だ。
「酔ってなんかいないさ、今日は満月だからね。少しテンションが上がってるだけよ」
「あたいはその場の雰囲気に合わせてるだけさ」
何でこの二人と仲いいかって?え?それよりも何で二人が性格違うのって?そんなことは後だ。とりあえず仲良くなった経緯を聞いてくれ。
チルノとは文や椛、にとりと友達になる前に友達になった初めての友達。ルーミアは修行し始めて6ヶ月経つ頃に襲ってきたので返り討ちにしてなんやかんやで仲良くなった5人目の友達。因みに友達になった順番はチルノ・文・にとり・椛・ルーミアである。
次に何で性格が違うかとかは知らん。始めてあったときはびっくりした。チルノは身長高いし大人っぽいし、ルーミアはかなり強いしEXだし…とにかくそんな感じで知らん。
「ツッコミ遅れたけど四天王を倒せる私に勝ったのはどこのどいつよ」
「チル姉です」
「間違っちゃいないけど……」
「どうでもいいじゃないか、そんなことよりせっかく遊びに来たんだ。なんかしようぜ」
「いや、もう夜だし母さんたちに見つかったらやばいんだけど」
「なら月でも見ながら雑談でもしようじゃないか」
「それぐらいなら……」
雑談って言われてもな…雑談をしようって言われていきなり始めれるわけでもないだろうし、面白い話題もないし話のしようがないな。二人は話すことないのか?と、チラッと横目で見てみるが黙って月を見上げるだけである。この二人何しに来たんだよ。
少ししてルーミアが口を開いた。
「月が綺麗だな…」
「ぶはっ!」
「ひでぇ…」
何であんなこと口走ってしまったのだろう。周りに誰かいることを考えなかったのが駄目だったな。反省反省。
「いや~、和真って私と戦ってるときも臭いセリフ言ってたよね。あれ、何だっけ?」
「お願いだから思い出させないでくれ」
「あたいが来たのは最後らへんだったから興味があるな」
「いや、チルノも知ってるセリフさ」
ああ、こいつらたちが悪い。戦闘のときくらいいいじゃないか。戦闘だからこそ言えるセリフってのがあるわけで、ていうか戦闘くらい厨二じゃないとやってらんないよ。
「ああ、思い出した。『お前は一人じゃねえ、俺たちがいる。だから、そんな悲しい顔して戦ってんじゃねえ!』ってのがあったのよ」
「ああそれか!」
「何だよ!事実じゃねえか!しかもそれそんなに臭いか!?」
「「ああ」」
やべ、泣きそうだ。
「それとあたい達が勝ったときルーミアが安心して寝るときのあのセリフ」
「私は途中で寝ちゃったから最後まで聞いてなかったね」
「それが『起きたときには隣に俺たちがいる。だから安心して眠っていいよ』って言ったのさ」
「くっさ!」
「何だよ!駄目かよ!そんなに俺が臭いセリフ言ったら駄目なのかよ!」
「いや、だって和真は10歳でしょ?そんな小さい子供がそのセリフを吐くのよ?」
「もういい!帰る!」
和真は拗ねて帰ってしまった。
◇
「で、臭い臭い言ってたけど実際どうなんだ?」
「何がよ」
「わかってるくせに」
ルーミアは少し間を置いてから懐かしむように話す。
「まぁ、かっこよかったわ」
「惚れたんだろ?」
「…そうね。人間の10歳児に惚れるとか」
二人は月を見ながら語りあう。その中、ルーミアの顔は少し赤く染まっていた。
「あなたもなんでしょう?」
「私は弟として見てるから」
「そうなの?顔赤いわよ?」
「そうなんだ。顔赤いのは気のせいだ」
二人はクスクスと笑う。6歳児に惚れるなど普通はありえないことだ。しかも種族が違う。だが、それほどにルーミアにとって彼は特別な存在なのだ。
「守ってあげないと」
「そうだな。和はまだ弱い。ルーミアと戦ったって言ったって手加減されての話だからな、あいつとやったら瞬殺される」
「そうね、動くとしたらもうそろそろ」
「あたい達でやれるかどうか…」
「まあなるようになるわよ」
◇
同時刻。
妖怪の山から少し離れた場所。月明かりに照らされた一人の女性が向日葵に囲まれた場所に立っていた。
「…そろそろね」
女性は楽しそうに笑う。その姿は美しいというには程遠く、悪魔を連想させられる恐怖の笑みであった。
「和真」
彼女は笑う。
自分の文才の無さに鬱になってくる・・・あぁ、ルーミアに食べられて死にたい。
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非日常で日常な風景
文字数少なくてすいません。
「あー、何をします?」
今はいつものメンバー(文、にとり、椛、俺)で集まっていつもの遊び場所に集まっている。集まっているのはいいがこれといってやることが無く、何かいい遊びは無いかと考えている最中なのである。
「これといって何もないよね」
「ほとんどの遊びはやってしまいましたし」
「もう何も思いつかないよ」
この時代にはテレビゲームとかは無いから未来人の俺からしたらつまらない世の中である。前世の頃は『幻想入りしてー』とかぼやいていたけどこの世界にはパソコンとか無いし最悪だ。まぁ、その分アウトドア生活を楽しんで友達とリア充してるんですけどね。
とか考えているうちに話が進んでいたらしくにとりが話始めていた。
「もう何も思いつかないしちょっと発明品を試してほしいんだけど」
「…どんな物ですか?」
「ネタになりますかね?」
にとりの発明品は危険物ばかりでろくな物が無い。いや、一つだけちゃんとしたものを造ったけれどすぐに文のものになってしまった。その発明品『カメラ』は文の趣味で始めた『文々。新聞』という新聞を作り天狗達に売り出している。
「今回は危なくないからね」
そう言いいつも背負っている鞄から黒い何かを取り出す。
「ゴキ「違う!」…その黒くて長いのは?」
「ベルトって言ってずり落ちないようにする為の頑丈な紐みたいな物さ」
「何でまたそんなものを?もっと派手な危険物かと思っていましたが」
「にとりらしくないですね、いつものように爆発物を出してくるのかと思っていたのですけど」
「あんた等が私にどう思っているかはよく分かったよ」
どうやら文と椛はにとりの発明品に対するイメージは最悪のようだ。まぁ、それもそうだろう。発明品の被害は二人にしか行っていないからな。俺は危ないということであまり触らせてはくれないし。危ないといってもそこまで危険なものではないけど一度だけすごいものが在ったな…とりあえず5秒後に爆発するなぞの小型爆弾。略して『爆弾』という野球ボールくらいの大きさの発明品でボタンを押したら大爆発が起きる爆弾。あれはいい思い出だった。
「この間和真が空飛びたいってぼやいてたからさ。さすがに空飛ぶ道具は作れなかったけど文か椛の腰に巻きつけて文達と飛べば楽しいかなってね」
にとりさん。俺は今ものすごく感動している。ありがとうにとり。あんたは最高だ!
「ありがとうにとり!」
「はっはっは!盟友の為だ!」
それにしても腰に巻きつけるか……前世の俺だったらこれで反応しているところだったな。今の俺じゃ精通もまだだし何も感じない。
「では私と一緒に飛びましょう」
ん?文はこういう事には自分から立候補することは無かったように思えたんだけど気のせいだったか?
「めずらしいね文が立候補するなんて」
「私は鴉天狗なので飛ぶのには自信があるだけですよ。この間椛はボーっとしていて他の天狗とぶつかったことがあるので心配なだけなんです」
「あ、あの時は24時間体制で見張りをしていた後なので仕方ないかと…」
「ま、とりあえずやりましょうよ」
「そのベルトの説明なんだけど着けている人からは外れないようになっているから」
「なんで?」
「もし誤って外れたりしたら大変だからね」
なるほど。さすがにとり、抜かりが無い。
◇
あぁ、気持ちがいい。空を飛ぶっていいな…。
「どうですか?」
「すごい!」
辺りいったいを見回す。妖怪の山ってこんな風になっていたのか。前世では絶対見れない光景であろう。
……ん?あれはなんだ?妖怪の山から少し離れたところにうっすらとだが茶色いものがたくさんあるところを見つけた。
「あれはなに?」
「人里ですね。和真さん以外の人間が住んでいる場所です」
「そうなんだ…」
今度行ってみるか。
それにしてもすごいよな~空を飛ぶって…死んだら鳥になってみたいとか思ったことあるけど、この世界は人間でも空を飛べるからありがたいよな~。
……突然だけど旅に出たいと思った。こういう景色をいろいろと見て回りたい。いつか空を飛べるようになって歩いたり飛んだりして人生を謳歌してみたい。前世では出来ない…この世界でしか出来ないことがしたい。そう思った。
あれ?この世界でしか出来ないことがしたいとか思ったけど修行や妖怪との死闘とかしちゃってるよね?……こまけぇこたぁいいんだよ!
「そろそろ戻りますよ?」
「うん、ありがとう。文」
「いえいえ」
貴重な体験をした。空を飛ぶ感覚は良く分からなかったけれどもそれ以上の収穫があったので良しとしよう。
まぁ、そんなことより今更だが、突っ込ませてもらおう。文よ。
「そういえば何で俺が下なの?」
実を言うと俺は文の腹辺りに巻きつけられている。普通は俺が背中に乗るように巻かさるようになるのではないのだろうか?なのでたまに胸が当たったり見えたりってのがありました。
「特に理由は無いですけど…興奮しました?」
いえ、特には。…嘘です。少しだけど……。
「顔赤いですねぇ~」
うるせい
◇
「「おかえり~」」
にとりたちの下に戻って来たのはいいが椛とにとりが将棋をやっており、はずしてくれるのはこれが終わってかららしい。うむ、別にベルトが締まって苦しいとかは無いから別にいいんだけど、文にいつまでも迷惑をかけるわけにもいかないし……どうすればいいんだ?
「私は別にいいですよ?」
どうやら心を読まれたらしい。いや、俺が困るのだよ。地に足着くことも許されず宙にぶら下がったままというのは。
「なら座りますか?」
あ、お願いします。
文が座れば俺も座ることが出来る。
それにしても将棋か……俺も久しぶりにやってみたいな。転生してから一回もやっていないしな~、しかし俺には3人には勝てそうにないしな。もう少し頭が良くなってからやってみよう。
「よっこいしょ」
文よ、その言葉と共に座ったら年寄り臭さが――!!
そのとき!
伊吹和真に電流が走る!!
やばい!このまま文が座ったら頭に胸が当たってしまう!空での一軒もあるしこれ以上俺のイメージ的な何かをあれするのはまずい!俺はどうすれば!?
――しかし、時すでに遅し。やわらかいものがすでに和真の頭の上に乗っかっていた。
「……文」
「何です?」
文がにっこりと笑った。
ああ、これは分かっている顔だ。はぁ……あれ?別に俺は動いたりしていないのに眠くなってきた。普段とは違うことしたからか?まぁ、どっちでもいいか。文には悪いけど少し眠らせてもらおう。
「あやや?眠っちゃいましたか」
時間はもう午後6時を越えているだろう。日はもうとっくに暮れていた。
「さて、もうそろそろ帰ろうか」
「そうですね。それにしてもにとりは将棋弱いですね」
「次は勝つよ」
二人はそういい帰りその場には文と、文の膝の上で寝ている和真が残された。
文は和真にそっと抱きつき、目を閉じた。
「ベルトが無ければ膝枕してあげれたんだけどね……ん?ベルト?」
文はベルトのことをすっかり忘れていた。すぐにはずそうとするが自分じゃはずせないのを思い出し、ため息を吐く。
「困ったわ……送っていくついでに萃香さんにはずしてもらおう」
◇
その頃の萃香
「勇儀~和真が帰ってこないよ~怒りすぎちゃったかな~家出じゃないよね~?」
「はぁ…心配なら迎えに行けばいいじゃないか…」
情けない声出しながら息子の帰りを待っているのであった。
私はレミリアと永琳が大好きです。これを友達に言ったら「偏りすぎだろwwww」と言われました。それでも私は好きなんです。
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家出と出会い
日が上り始め、妖怪の山を照らし始めた早朝、彼は妖怪の山を歩いていた。普段なら寝ているはずの時間になぜ出歩いているのかというと……『家出』である。理由は昨晩に文に遅い時間に家に送り返され、時間をまた守らなかったということでものすごく怒られたからである。
「当てもなく歩き続けて3時間……疲れた」
もう上り下りを続けて長くなるな。5回くらいこれが続いているし、同じ風景のままだし、一人ポケ○ンしりとりも『ん』がついて終わってしまったし。
「家出なんてするもんじゃないね」
精神年齢があれな年して家出とかガキかよ……。あ、ガキなんだった。
それにしても同じ風景が続くっておかしくね?普通川とか見つけてゆっくりするとかあるはずだろ?……なんかこれから戦闘に入るフラグがあるような気がする。まぁ、そういうフラグを簡単に回避するのが俺という男さ。
「戦闘には入りませんよ。私は人食いではないですからね」
ほらな?簡単にフラグを回避できただろ?そして回避した後には新たな出会いがあるという王道人生をだな……。というか誰?後ろから声がしたぞ。それなんてホラー?
「私は古明地さとり。新たな出会いがありましたね」
「お、おう」
いや~、あれから古明地さんの家にお邪魔することになったのだが、どうしてこうなった?俺は普通に家出をしていただけなのになぜ?ていうか古明地姉妹って結構近く?に住んでいたんだな。
「あなたは何者なんですか?」
おっふ。そんな質問されると転生前の自分を思い出してしまうじゃまいか!あ~、これはやばい。東方とか小五ロリとかその他諸々ばれてしまう。どうしましょ。
「なるほど。把握しました」
「バレテーラwww」
「え?」
「何でもないです」
すいません古明地さん。あなたに迷惑かけるつもりではなかったのですが……どうにも自分には荷が重すぎたようです。鬱だ、死のう。
「え?え!?」
「あ~、最後にかめはめ破の打ち合いでもして死にたかったな~。」
ふへへ、孫悟飯とセルのかめはめ破の打ち合いを再現したかったな~……。いや、螺旋丸VS千鳥も捨てがたい……。やっぱ死にたくね~。
「とりあえずお茶でも出すので落ち着いてください」
「うっす」
いや~、さっきは取り乱してしまってすいません。
「いえ、こちらも勝手に心読んで迷惑かけてしまって……」
どこまでばれてしまったんですかね?
「ほとんどですね。少し、未来が楽しみになってきました」
まじっすか。
「……改めて。すいませんでした。俺のせいで未来を知ってしまうどころか不快な気持ちにさせてしまったでしょう。本当に申し訳ありませんでした」
「誤ることはありませんよ。不快に思ったことはありませんでしたし。それに不快にさせてしまったのは此方です。すいませんでした。」
……古明地さんは自分のことを知り尽くしている人に対して何とも思わないのだろうか?少なくとも俺なら気味悪いと思い近寄らないようにと思ってしまうのだが。
「何とも思わないとなると嘘になりますが、嫌悪とかそういったものは浮かびあがってきませんね。それにあなたこそ心を読まれて何とも思わないのですか?」
いや~、そこまでですかね。エロいこと考えていれば少しは嫌ですけど。そうでなかったら別に何とも思いませんね~。
「そうですか。それを差し引いても普通は気味悪がるものですけど、あなたは変な人なんですね」
へ、変とはなんぞ!?これが普通じゃないの?
「ええ、変ですよ」
そう、クスクスと笑う古明地さんに見惚れてしまった。……美しい。
「あら、ありがとう」
しまった。読まれてしまった。これは確かに危険だ。たとえるなら口の軽い友達に好きな人を教えるくらい危険だ。
「たとえがわかりやすいでわかりにくいですね」
やばい、話を変えないと変な方向へと向かってしまう。
「そ、そういえばなんで俺を連れてきたんですか?」
「それはあなたが張ってあった結界をすり抜けてしまったからです」
結界?そんなものが張ってあったのか。もしかしてずっと同じような風景が続いていたのもその結界のせいなのか?そもそも結界ってすり抜けれるものなのか?
「張ってあった結界は私とこいしで張った結界なんです。その結界は私たち姉妹を目的としていたら入れないもので、入ったとしてもずっと同じところを行き来するかのような幻術にかけられて私たちの所には来れないようにするためのものなんです」
なるほど。二人の能力の応用か。
「理解が早いですね」
まぁ、バカではないからね。昔は『永琳みたいに頭良くなりて~』なんてバカみたいなこと思って、バカみたいに勉強していたからね。
「八意永琳ですね?なるほど……あなたは何かに影響されやすい見たいですね。特に『ドラゴンボール』。あの動きを再現してみようと努力するとは普通ではないですよ?むしろバカというべきでしょうか」
いやいや、せっかくこういう世界に来たんだから何でも試してみようとだな。
「それでもです」
だってかっこいいじゃん。俺もピシュンって効果音出してみたいし、残像とか出して相手の攻撃躱してみたいし……ねぇ?
「……わからなくもないです」
おお、わかってくれるか友よ。
「友よ?」
「え?」
「え?」
ん?なんか変なこと言ったか?
「いえ、友なんて呼ばれたの初めてで」
え?友達いなかったの?……あぁ、能力のせいか。すまなかった。
「ごめんなさい」
「なんで心で言ったのに口でも言うんですか?」
「両方の母さんが言っていた。元の世界の母さんが思っているだけじゃダメと、こっちの母さんが言葉に思いを乗せて謝るから相手に気持ちが伝わるんだって」
あ、でも古明地さんはいう前にちゃんと気づいているんだっけ?まぁ、それでもちゃんと言葉にしないと俺が納得しないから言ったということで。
「……おかしな人ですね」
そうか?割と普通だと思うのだが。
「『すまなかった』なのか『ごめんなさい』、どっちなんです?」
いや、それはだな精神が体に引っ張られているというかなんというか。
「ありがとう」
え?
「そうそう、和真さんは家出中でしたね。是非、泊まっていってください」
え?いや、しかしそれは迷惑に……。
「友達なんですから迷惑ではありませんよ」
なら、少しの間お世話になります。
久しぶりだというのに駄文だし文字少ないしいいとこないですね。挫けそうだ・・・。
誤字や脱字、アドバイスなどありましたら教えてください。
5話は11月中に投稿する予定です。
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武人
そしていつも通り短くてすいません。
そしてこのままいくと矛盾という名の壁にぶつかりそうで怖い。
あ、この卵焼きうまい。
「そう思ってもらえると嬉しいですね」
「お姉ちゃんの卵焼きは本当においしいよね」
すげぇやべぇうまい。…ところで皆様もお気づきだろうが一緒に朝食をとっているのはさとりの妹であるこいしだ。一応知っているが昨日のうちに紹介してもらい俺が数日ここに住むことを伝え、友達になった。
「今のとこ男友達0・・・」
「いずれできますよ」
「ハーレムだね~」
確かにハーレム状態だろうが別にうれしくもなんともない。いや、友達がいることに対してはうれしいが女だらけっていうのがうれしくない。何というか…男だけの会話ってのができないのはかなしいのである。例えば『お前好きな人できたかよ~』とか『あの子可愛くね?』とか・・・。
「・・・誰か来たみたいですね」
「男?」
「・・・」
「漢でもいいよ?」
「……女性の方みたいですよ」
「神は死んだ・・・」
「いつかいいことあるって!」
そんなバカみたいなやり取りをしていると女性の方がノックも無しに家に入ってきたのである。いくら妖怪の家だからと言って不法侵入はいかんよ。
「すいません、食べ物を分けて貰えないでしょうか」
なんというか……すごく、中国です。
えっと……髪が赤くて胸が大きくて緑色の服を着ている人といえば誰でしょう?正解は―――
「―――紅美鈴といいます。旅をしているしがない武術家です。この山に鬼がいると聞いて来たんですが途中で迷ってしまい食糧も尽きてしまって」
「なるほど、食糧なら丁度朝食をとっていたところです。一緒にどうぞ」
「大勢のほうがおいしく感じれるしね~」
「い、いいんじゃないかな?」
鬼がいると聞いてやってくるって……修行か何かか?その息子である俺は非常に気まずいというか心苦しいというか。どうすんべ。
「ところで何故鬼の所へ?」
「私は今修行中なんですよ。それで強敵と戦うためにここに来たんです」
「し、死ぬかもしれないよ?」
「戦いとはそういうものです」
「お姉さんは変だね~」
「それが武術家です」
やべえ、もし美鈴が負けたら美鈴が死ぬ。それは何としてでも阻止せねば……しかし、どうやって?たぶん体格的に勝負するのは勇儀姐さんだろう。……やべえ、美鈴弾け飛ぶ。さとり!なんとかならないか!?
「無理です」
即答!?くっ、それ程美鈴の意思は強いというわけか。
「ところで、まだあなたの名前を聞いてないんですが何という名前なんですか?」
「……俺?」
「そうです」
あ、みんな自己紹介終わってた感じ?
「俺は伊吹和真といいます!10歳です!」
ああ、もっとちゃんと自己紹介したいのに、子供くさい感じになってしまった。
「そうですか。なら組手をしましょう」
「え?」
わけがわからないよ。
「同じ武術家として」
俺はなんちゃって武術家なんです。DBの影響なんです。まともな武術なんてやったことないんです。助けてくださいさとり様。
「無理です」
そうですか。
「え~っと、俺一人でしか修業したことないし、師もいないからまともな武術じゃないですよ?」
「大丈夫です」
何が?
「それに修業を始めて1年も経ってないですし」
「大丈夫です」
何が!?
「和真も素直じゃないですね。心ではやりたいと思っているでしょう?」
え、さとりさん?何を言っていらっしゃるのでしょうか?
「本当ですか!?」
「俺10歳なんだけど…」
「武人に身長は関係あれど年齢は関係ありません!さあ、存分にやりましょう!」
うそ~ん。
「やるなら外でお願いします」
このドSめ。
さて、どう戦おうか。美鈴が俺のためにせっかく簡単なルール付けまでしてくれたんだ。
『一発当てれば俺の勝ち』
とはいえ、俺はまだ1回しか実戦経験がない。しかもその時はほぼチル姉がやってくれた。なので1対1での戦闘はやったことがないので勝手がわからない。……悩んでいても仕方ない。やるか!
「行きます!」
和真は美鈴に向かって拳を叩き込もうと走り出す。それはもう一直線に。この行動はカウンターを貰いやすく一番危険な行為だ。美鈴は不思議に思った。修業を始めて1年も経っていなかろうと、師がいなかろうと、こんな一直線な攻撃を出せるものなのだろうか。私なら出せない。彼は人間、しかも子供。まだそのことについてわかっていないのだろうか?
「おおおお!」
だが、この山にいる人間が死闘をしたことがないはずがない!
和真が美鈴に向かって殴りかかった。それは武術というにはあまりにも荒々しく、隙だらけな拳だった。それに少々がっかりしながらもカウンターとして突きを放つ。が、それを勢いを殺さず体を捻ることで回避してそのまま殴る。
「くっ」
美鈴は何とか躱し、距離をとる。そして和真を見て考えを変える。これを狙っていた?最初から自分は弱いと思わせてから……しかし、あのタイミングはわかっていないとかわせない。一体どうやって。
「……本気で行きます」
「なら俺も本気で行きます」
その言葉に美鈴は笑った。
「「おおおおおッ!!」」
「お疲れ様です。これはどちらの勝利なんでしょうか?」
「「ひ、引き分けです……」」
地面に横たわっている二人が同時に答えた。あれから10分間の組手(?)を繰り広げていた和真たちの辺りは木が倒れ地は凹んで大惨事になっていた。二人の戦いで決まった攻撃はお互い一発ずつ。クロスカウンターで二人は倒れ今の結果となっている。それまでは躱すだけだったのだ。一瞬消えては一瞬で現れて攻撃。それを回避の繰り返し。
「強いですね。修業不足だと痛感しました」
「美鈴さんこそ。これが一発当てるだけで勝ちというルールがなければ俺が負けてました」
二人はさらに修業することをここに誓った。
「お互いいい雰囲気のとこ悪いのですが、最低限穴の開いたところは埋めといてくださいね」
「「はい」」
何回も書き直したんですが駄文になってしまいました。擬音とかつけたら楽になるんでしょうけどなんかつけたくないんですよね。
そして見ている人への質問…というかアンケート?です。
1 更新遅くなってもいいから書き溜めする。
2 このまま。
どれがいいですかね?
因みに次の投稿は今年には無理です。たぶん。
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