「ん……ここは……」
目が覚めると自分の知らない場所にいた。一体ここはどこなんだろう。あたりを見回すが何もない。
「確か俺は……」
最後に覚えているのはゲームショップにガンダムVSが出るので予約しに行ったことだった。それから……それから?確か久しぶりにOOを見ようと急いで帰ったはずだ。昨日は珍しく会社が休みだったから。その帰りに……
「ああ……確か轢かれたんだっけ」
信号が点滅してるけど大丈夫だろ。それに車も止まってないし。そんな考えをしたのがダメだった。わたっている途中に遠くから減速せずに走ってきたトラックに轢かれた。なんともあっけない終わり方だった。けどまあ死んでしまったものは仕方ない。未練は……まあガンダムVSができなかったことぐらいか。
「ここは天国か地獄か。はたまたその両方がない死後の世界なのか」
そんなことを考えていると上から紙が降ってきた。それをキャッチしてみると
『あなたの考えている通りあなたは死んでしまいました。しかしあなたは選ばれました。幸運なことです。あなたの好きな物語の世界へ転生させることが可能です。また、転生する際にある一定の願いも叶えましょう」
と書かれていた。まじか……ということはガンダムの世界でもいいわけだ。いやーMSを操縦してみたかったんだよね。ガンダムといってもいくつもシリーズがあるし……まあどうせだから帰って見ようとしてたOOの世界でいいか。
「じゃあ転生先はOOの世界で。願いはMSの基本的な扱い方とNTの能力。それに機体は……」
どうしよう、好きな機体が多すぎてどれにするか選べない。フリーダムにしようかな。けどX2とかも使ってみたいし……どうせなら好きな機体全部持っていけたらなぁ。そんなことを考えているともう一枚紙が降ってきた。
『選べるMSは1機までです』
一機かまあ多すぎても俺一人じゃ全部使えないしな。それにしても悩む。そうだ、せっかくだからGジェネで好きだったあの機体にしよう。
「じゃあMSはザンスパインでお願いします」
機体を決めたところでまた紙が降ってきた。
『了承しました。転生先は機動戦士ガンダムOOの世界。願いはMSの操縦方法、NTの能力。持っていく機体はザンスパインに設定します。最後に問います。本当にこれでいいですね?」
「これでいいです」
そう答えるとともに俺の目の前は真っ白になった。次第に意識も薄れていき……
次に起きると私は子供になっていた。いや、まさか子供からやり直すことになるとは。まあそこら辺のことは願いに入れてなかったから自動的に決まってしまったのだろう。とりあえず自分の状況を調べることにした。着ている服のポケットを探ると手紙が入っていた。まさか……手紙を開けてみると、
『あなたの要望に沿いました。その他のことはこちらで自動的に設定されました。当面一人で生きていくだけの資金は財布の中に入っています。また、要望された機体はもう1枚の紙に描かれています。ではもう一度の人生を満足に生きてください』
うん。まあどういう自分にするかは設定するかは願ってなかったから仕方ない。そう、仕方ないんだ……だけどこれから身寄りなし、職なしでどうやって生きていけばいいんだよ!幸い一月は何とかなるだろうお金は財布の中に入っていた。けどこれを使い切れば無一文だ……つまりその時点でなんのあてもない私は死ぬ。
「とりあえず……子供でも雇ってくれそうな職を探すか」
前向きにいこう、前向きに。せっかくガンダムの世界にこれたんだ。そう思って俺は町の中を職を求めて彷徨い始めた。
思い付きで始まります。頑張って完結までしたいなぁ……
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二話
転生者。転生するときにMSザンスパインと操縦方法、ニュータイプの力をもらっている。
MS ザンスパイン
Gジェネオリジナル機体。V2と同じくミノフスキードライブを搭載している。詳しくはWIKIで。
「おはようございまーす」
「あら、おはよう。いつもありがとね」
この世界にきて数か月がたった。あれから資金が尽きる前に必死に仕事を探して雇ってくださいと言い続けた結果新聞配達の職に就くことができた。どこに配達するかなど見知らぬ土地だったため最初は苦労したが今では普通に配達できている。あ、あとここはアイルランドらしい。日本じゃないことに最初気落ちしていたものの住んでみれば意外と住み心地は良く次第に気にならなくなった。しかし日本が恋しく思わないわけでもなく当面の資金が溜まれば日本に行こうと思っている。
「お疲れ様です、今日の配達終わりました」
「お疲れー」
事務所に戻り報告を終える。俺に任されているのは早朝の新聞配達のみ。
「今日はどうする?また記者についていくのか?」
早朝に仕事が終わるため基本的に昼からはフリーだ。その時間を有意義に使おうとこの頃は取材に行く記者に一緒についていくことにしている。取材の様子などを見てそこから対話の仕方やどうすれば取材ができるのかなどを学ぶためだ。ここにいるうちは新聞配達だけしていようと思ってるが日本に行ったら記者として働こうと思っているからだ。
「いえ、今日はちょっと友達と遊ぶ予定があって」
「ふーん、そうか。まあお前はまだ子供だからな。子供のうちはしっかり遊ぶといい」
「じゃ、行ってきます」
事務所をでて自転車に乗り目的の場所に向かう。この街中も慣れたものだ。目的の公園につくとそいつはもうたどり着いていたようだった。
「すまん、またせたかニール?」
「いや、俺も今着いたところだマサユキ」
いや正直転生したとき自分からかかわっていかない限りソレスタルビーイングの人たちとは接点ないだろうなと思ってたのよね。まさかニールと会うことになるとは思っていなかった。しかも子供の時に。公園で知り合ったやつらと遊んでいるときに妙にロックオンみたいなやついるなと思っていたけどまさかほんとにロックオンだったとは。気づいた時には一緒に遊んでいたやつらの中で一番親しくなっていた。今日は一緒にゲーセンに行ってその帰りに飯でも食べるつもりだ。
「今日は何のゲームをするんだ?」
「今日は……レースゲームでもするか。負けたほうが夕食でデザート奢るってことで」
「う、レースか……ガンシューティングにしないか?」
「それはこの前一緒にやって俺がぼろ負けしたじゃん」
「く、今日もこの前みたいにいろいろ奢ってもらいたかったのに」
「お前なぁ!」
ニールはガンシューティングをやりたいようだがそうはいかない。前に興味本位で子供のころのニールの射撃のセンスはどんなもんだろうと思って賭けをしてやったらえらい目にあった。ハンドガンやアサルトライフルを模したやつだったらまだそこそこの勝負になったんだがスナイパーのやつになると点差が開きすぎた。それを見てそりゃデュナメスが搭乗機になるわと思ったもんだ。
「ちぇ、仕方ない。レースゲームでも勝ってまたデザートを奢ってもらうことにするぜ」
「ふん!前回のようになると思うなよ?」
前世の時にゲーセンで鍛えた腕を見せてやるぜぇ!
「いやー、ありがとねマサユキ。今日もおいしいデザートごちそうになってさ」
「く、こんなはずじゃ……」
うん、負けました。いやなんでレースゲームも普通にうまいの?5回やって最初の2回は勝ったんだけどそこからすべて負けた。結構前世ではゲーセン行ったときにレースゲームやって勝ててたと思うんたけどなぁ。やっぱり対人はCOMとは違うってことか。
「そんなに落ち込むなよ。ほれ一口やるからさ」
「うう……ありがとう」
そういって一口スプーンを使ってもらう。うん、甘い。気持ちが少し和らぐよ……
『ご覧ください。我が国が開発したヘリオンの姿を!』
そんな言葉が店の備え付けのテレビから流れてきた。
「おお、MSだぁ……」
テレビの向こうではAEUが開発したヘリオンが映っていた。やっぱり生のMSをみると興奮するものだ。俺も早く自分のMSのもとに行ってザンスパインを実際に見て動かしてみたいと思っているのだが所在地をみるとここからだと遠くてある一定の金がないといけないと知りひそかに泣いた。正直もっと自分にいい設定を願ってたらなとここにきてから思うことが多くなった。まあ生活できてるからいいんだけどさ。それに今ザンスパインに乗る必要性もあんまりないしなぁ。やっぱりガンダムが出てきてからだよ!さすがに武力介入の時に生身はやばいからな。MSに乗って直に生ガンダムを見に行くぜ!
「お前はMSを見るといっつもそんな反応するよなぁ」
「いやするよ、しないニールのほうがおかしいんだって」
ニールはMSにあまり興味が内容だった。将来乗るのに。
「いやだって軍に入らない限り乗ることはないだろ?それに戦闘になったらもしかしたら自分が死ぬんだぜ?」
「そうだけどさ……」
正論で返されるとなにも言い返せない。まさか自分はMSのない世界から来ましたともいえるわけがないしな。微妙な空気になりながらもとりあえず店をでて今日は帰ることにした。
「来週はどうする?」
「すまん、来週は家族と街のほうへ出かけることになってるんだ。だから二週間後にまた会おう」
「了解!んじゃまた今度な」
「おう、またな」
そういってニールと別れた。
あれからニールとは会えなかった。遠くの場所に行く、元気でなという手紙が送られてたことを最後に。そしてニュースで自爆テロが行われたことを知った。犠牲者の中にはニールの家族がいた。なぜ忘れていたのか。なぜ忘れてしまっていたのか。俺は後悔に苛まれた。俺が覚えていればニールは家族を失わずマイスターになることもなかったのだ。それから数か月は落ち込んでいた。あの時職場のみんながいなければ自分はずっと落ち込んだままだったんじゃないだろうか。
ニールと会えなくなってからも数年は働いていた。途中からは配達だけじゃなく記者の仕事もするようになっていた。このままここで記者をするのもいいがそろそろ資金も貯まってきていたので日本に行くことにした。
「これがザンスパイン……かっこいい……」
そして今自分はザンスパインの隠し場所に来ている。ザンスパインは輸送可能なように輸送艦と一緒に隠されていた。輸送艦の隠密性も完璧だ。ここら辺は紙の主のサービスなのだろう。生で見るザンスパインは素晴らしかった。あの特徴的なカメラが完全に再現されている。なにより立体なのだ。
「まあ、まずは日本に向かうとしますか」
久しぶりの日本だ。まずむこうに行ったら何をしようか。そんなことを考えながら輸送艦を発進させるのであった。
もう少しなにか考えつかなかったのか……話の流れが適当過ぎない?
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三話
現在俺はAEUに来ている。なんでも新しいMSを発表するらしいのでそれを取材しに来たわけだ。……というのは建前で実際は生でガンダムを見たかったというのが本音である。本当は別の記者が行く予定だったんだが無理を言って俺が行けるようにしてもらった。会場を見ると見知った(といってもこっちが一方的に知っているだけだが)顔がいた。すげぇよ……グラハムがいるよ。あれが後々ガンダム大好きな人になるのか……)
「てめぇ!今なんつった!?」
お、コーラサワーがコックピットから顔を出しこちらに向かって声を上げた。確かカタギリが猿真似っていったんだっけか?まあいいか。それよりそろそろか。
軌道エレベータが続くその先を見る。まだ正確に姿は見えないが光が落ちてきていた。それはこちらに近づくにつれて明確な姿を現していき俺たち観客席の前に降り立った。
(おぉ……本物のエクシアだ……)
そう思うもつかの間、避難誘導が始まった。それと同時にコーラサワーがコックピットに戻り戦闘が始まる。まあ、戦闘といってもエクシアがぼこぼこにするだけなんだけどね……案の定イナクトはぼこぼこにされていた。エクシアは仕事が終わったとばかりに飛んでいく。それを追撃するためにヘリオンが出撃していた。しかしエクシアはそれらも余裕をもって撃墜していく。それにしても性能の差ってこれだけひらいていたのか……これじゃあワンサイドゲームだ。
(確かもうすぐエレベーターのほうから増援がはいるはず、それで……)
原作の通りエレベーターから増援が来た。エクシアを囲むように旋回し始める。すると一筋の光が走りヘリオンは撃墜された。俺は光の筋が発生したところを見るがここからでは遠すぎて何も見えない。ただ、あそこにデュナメス……ロックオンがいるのだ。
「ただいま戻りましたー」
「おうよく戻ってきたな。心配したぞ。あっちではいろいろあったそうだからな」
日本に戻り、取材を終えてきたことを会社に伝える。いやーあれからごたごたしてたけど何とか帰ってこれた。当分は何も仕事をせずゆっくりしていたい。
「まあ、それでも記事はまとめて来週までに提出してくよ」
ですよねー……はぁ。けど今日はもう休む!そして明日から仕事だ!
「大丈夫ですか?戦闘になったって心配していたんですよ?」
「ああ、絹江さんか。正直目の前で戦闘がおこり始めたことには死んだかなって思ったけど何とか生きてるよ」
今から家に帰ってゴロゴロしようとした時に話しかけてきたのは絹江・クロスロード。4年前ぐらいに自分が働いているところに入社してきた。新入社員紹介の時に彼女を見たときああ、ここ沙慈のお姉さんが務めることになる会社だったのかと思ったもんだ。
「良かった……。あ、あと聞いてください。あの演説していた老人がどんな人物かはわかったんですけどどうしても解けない部分があって……」
「ん、なんだい?」
「あの老人、もう死んでるはずなんですよ。それになんでいまさらこんなことを始めたのということがちょっと……」
それはあまり考えないほうがいいんだけどなぁ。それを調べたから死んでしまったのに。まあ後輩でさらに結構飯食いにいく仲だから死しんでほしくないから忠告しときますかね。
「あの老人の考えていることはわからないけどこれだけは感じてるよ」
「なんですか?」
「あまり深入りせずに表面で分かったことだけで満足したほうがいいって」
「え、それはどういう……」
「そこらへんは自分で考えて。それじゃ今日は家帰って休むから。また一緒に飯でも食べに行こうねー」
話を切り上げて退社する。はあ……それにしてもこれからガンダム見に行くにはさすがにもう生身で見に行くわけにはいかないよねぇ……原作介入は……謎の存在としてソレスタルビーイングの手助けもしようかな。やっぱりザンスパイン動かして戦ってみたいし。けどさすがに今から一緒に行動し始めるといろいろとめんどくさいしなぁ……俺は彼らと違って日常生活あるし。それに機体のこともあるしなぁ。……決めた。スローネ出て来るあたりから俺も活動しよう。ビームライフルとミノフスキードライブの色的にザンスパインも疑似GNドライブ搭載型みたいに思われるかなぁ。そんなことを思いながら家に帰りしまってあった酒を飲んで寝た。
ザンスパインの機体性能はOOセカンドシーズンのガンダムとほぼ同等ぐらいに考えております。ただ長距離移動する場合にはミノフスキードライブを持っているザンスパインのほうが上です。トランザム時は……ニュータイプの力とザンスパインの性能があればなんとかなるでしょう(投げやり)
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四話
あれから順調……かどうかはわからないがソレスタルビーイングは介入を続けている。原作の知識なんて30年近くたてばさすがに詳しいところまで覚えてはいられない。ただこれだけはわかる。
「仕事がつらい……」
「何言ってるんですか?早く記事を書いてください」
隣で絹江さんが何か言ってる……いやまあ聞こえてはいるんだけど聞いたことにしたくない。
「なんでこんなに仕事あるの!?前はもっとゆっくりできてたじゃない!」
そう、仕事が増えた。ソレスタルビーイングの話題は今皆が追っている事柄なのだ。それを記事にするのは当たり前のこと。
「仕方ないですよ。どこにも属さない組織でありながら所持しているMSは三国のMSの性能を上回る。しかも今までしてきている武力介入は全て成功してる。これで追わなかったらその人はどれだけ無関心なんですか」
「でもさぁ……休み欲しくない?」
この頃、記事しか作ってない気がする。前は週に2回ほど行けた輸送艦にも近頃行けていない。
「私は休みより自分の調べたいことを調べる時間が欲しいですよ。それに確かあなたは来週あたりに有休とってたじゃないですか……あ、そうだ。今日の夜久しぶりにどこかへ食べに行きませんか?ちょっと聞きたいこともありますし」
「お、いいね。じゃあ今日の分の仕事なんかさっさと終わらしていきますか!」
外食。普段は出費のことを気にして家で作るか総菜を買っているのであまりしない。最近は仕事が多いからストレスもたまってたところだ。たまにはパーっと行きますか。せっかく絹江さんから誘ってきてくれたんだしね。
「私は思うんですよ。ソレスタルビーイングはただのテロ組織じゃないって」
仕事を終わらし、これから絹江さんとお話でもしてゆっくり食事を楽しもう……そう思っていた時が私にもありました。絹江さんが聞きたいことがあるって言ってた時点でどんなことになるか想像すべきだった。とりあえず今どこまで考え付いているのかだけでも聞きますか……
「どうしてそんなことを?」
「私がガンダムに助けられたときのこと覚えていますか?」
ああ、軌道エレベータへ出張ってた時だったか。
「あの時のことか……心底肝が冷えたよ」
「そうです。その時の……え?」
「その話を聞いた時ほっとしたよ。無事帰ってきてくれたんだから」
死ぬ時のことが分かっているから死ぬことはないとわかっていても死ぬかもしれなかったと聞いた時には本当にぞっとした。これまで一緒にいた人が、慕ってくれていた人が急にいなくなったら……いけないな、入れ込みすぎかな。ただあの時のことで分かった。俺は絹江さんには死んでもらいたくない。
「そ、そうですか、私のことを心配してくれてたんですね。ありがとうございます」
「え?もしかして心配しないと思ってた?」
「はい。あなたにとって私は手のかかる後輩だったと思うので……」
「そんなことはないよ。確かに手のかかる後輩で自分が行くなって言ったところにも平気で取材をしに行くいったり記事にするなっていうことも記事にして後で上に俺が大目玉食らったりしたこともあるよ」
「す、すいません……ですが」
「だけど、だからこそその本当のことを伝えたいって気持ちは伝わってくる。俺は、今の仕事はどちらかというとお金のためにやってるからね。だから知らされたことを記事にするってことしかしない。そこを深く追求したりはしないよ。けど、仕事にひたむきにしている絹江さんを見るのは眩しいよ。」
「買いかぶりすぎですよ。あなただって真面目にやってるじゃないですか。私の心意気は父から貰ったものですが、ジャーナリストの心得は全て、あなたから教えられたものなんですよ。私は良い人に巡りあったと思っていますよ」
「絹江さん……」
まさか絹江さんがそこまで思ってくれていたなんて。いけない。ちょっと、いや結構顔がにやける。切り替えねば……
「そういって貰えると先輩冥利に尽きるってもんさ。そろそろ本題に戻ろうか。それで?ガンダムに助けられてどう思ったの?」
「は、はい。それでですね……」
そうしてソレスタルビーイングについて意見を交換しながら夕食を食べた。もちろん最後にあまり入れ込みすぎないようにと忠告もして。
「到着っと」
深夜、我が家に到着。あれからお酒も入っていたため絹江さんを家まで送り届けた。と言っても沙慈君のところなんだけど。彼に会うのは初めてだったけどなかなか人柄がよさそうな青年だった。絹江さんといたからか、姉さんに恋人!?と驚いていた。まあすぐに絹江さんに叩かれていたが。恋人……ねぇ。絹江さんと知り合ってから結構立つけど端から見るとそんな関係に見えるのかなぁ。時々社内でもからかわれたりするけど。まあ四年も一緒に仕事をしてたらそんな風にみられることもあるか。本当に恋人になれたらあの楽しいんだろうけど。絹江さんは俺のこと先輩として尊敬しているとしか思ってなさそうだしなぁ。
まあ今は来週のことを考えよう。そのために有休もとったんだ。カレンダーを確認する。自分の記念となる日だ。原作介入の一歩目。
タクラマカン砂漠合同軍事演習
絹江さん好きなんで助けようかと。
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五話
起動する。初の実戦。シミュレータでの訓練も一通りした。目的はデュナメスの救助。
「あとは自分の力を信じるのみ……ミノフスキードライブ起動!ザンスパイン、発進!」
おお、はやいはやい。もう着いちゃったか。さすがミノフスキードライブ。
さて、一体デュナメスはどこにいるんだろうか。見渡す限り砂漠ばっかりでわかんねぇ……ん?あれはユニオンのフラッグ?しかも編隊組んでその場でとどまってるってことはもうデュナメス包囲されてる?
「やべぇ!」
すぐさま編隊を組んでいるうちの一機にビームライフルを向ける。
「頼むから当たってくれよ」
トリガーを押す。狙った通りにビームは頭部を破壊した。コクピットはあまり狙いたくないね。人殺しってのは慣れたくもないし。このまま撤退してくれりゃいいんだけどさすがに一機だけ狙っても無理だと思って続けて撃つ。
そうしていると相手のフラッグ部隊は最初に狙った一機を庇いながら戦域を離脱していく。これでとりあえずは大丈夫か。さて、久しぶりのニールとの会話だ。ボロが出ないようにしなきゃね。通信をサウンドオンリーにしてと。
「大丈夫か、ガンダムのパイロット?」
「あんたは?」
「俺は……この機体、ザンスパインのパイロットだ」
「ザンスパイン?そんな機体は聞いたことがない。それになぜ俺を助ける?」
「それは……くっ!」
くそ!今から敵じゃないってことを伝えようとしたのに邪魔が入る!どこのどいつだ!俺に向かって撃ってきたのは!?敵が戻ってきたのか?
そう思って撃たれた方向を見る。あるぇ?なんでスローネアインがここにいるの?確かヴァーチェのところに救助に向かったんじゃ……あ、そうだった。確かその後にロックオンの救助に向かってましたね……ん?けどなんで撃ってきたんだ?もしかして俺って敵に思われてる?そう考えているとまたビームが飛んでくる。
「おいおいおい!また、撃ってきやがった!」
とにかく誤解を解かなければ。迫りくるビームを避けながらスローネに通信を送る。するとビームの雨は止みこちらに通信を送ってきた。しかし依然銃口はこちらに向けられたままだ。
「……何者だ?何の目的でガンダムを助ける?」
どうしようかな。何者とか言われても特に考えてないしなぁ。それっぽいこと言っておくか。
「目的か……強いていうなら君たちの計画に賛同したから……だからガンダムを助けた」
「それを本当に信用するとでも?」
「多少は信用してくれてもいいんじゃないかな?じゃなきゃまずこんなとこにわざわざ来てガンダムを助けたりしないよ」
「ふむ……」
どうだ?うまくやれたか?たぶん大丈夫だとは思うが……これが来たのがツヴァイとかドライだったら話し合いの余地はなかったかもしれないけど来たのはあの3人の中で一番まともに話し合うことができる人物が乗っているアインだ。
「とりあえずこの場では撃墜しない。ガンダムを助けたことから敵意はないというのも信じよう」
よし!なんとかなった。じゃあさっさと後でソレスタルビーイングにコンタクトをとるための回線渡して帰りますか!
「信用されてなによりだ。では俺はこの戦域から撤退させてもらう。最後に……ガンダムのパイロット」
「ん?なんだ?……これは秘匿回線?」
「ではまた今度。君たちの計画がうまくいくことを願っているよ」
そうして俺は日本に向け進路をとりとんでいった。
「帰ってこれたぁ……疲れた……」
深夜、ようやく日本に帰ってきた。
実際に戦闘をして思ったことはシミュレータと実戦の違いはなかなか大きいものということだ。なんといっても緊張感が違う。自分の一発で人が死んでしまうのだ。俺は不殺をしようと思っていないがやはり可能な限り人は殺したくない。慎重に狙って行動しなければ……
それにしてもニールは声が変わっていたなぁ。久しぶりに話すから当たり前なんだけど。もっと話したかった……あのテロの後どうやって過ごしていたのか。元気にやっているのか。しかしそれを話すと俺の正体がすぐにばれて俺は殺され機体は接収なんてことになりかねない。俺は部外者なのだ。それに俺は組織じゃない。組織……そうだ!俺も組織を作ろう!そうすればもっと本格的に俺も動けるようになるはずだ。しかしだからといって誰も彼も誘っていたらどうしようもない……というか俺には人脈が新聞社ぐらいしかないから集めようがない……どうしたものか……
考えようとしても疲れからか良い考えが浮かばない。とりあえず今日は寝よう。そして明日に備えるんだ。明日は……仕事じゃん……
戦闘描写難しい……全体的に短くて申し訳ない……
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六話
「ああ、やっと通信できるのね。私は、スメラギ。あれから何度もメッセージを送ったのにそれにちっとも反応しないからどうしたものかと思ってたわ」
「本当に申し訳ない。しかしこちらはそちらと違っていろいろやることが多くてね」
目の前には呆れてるような、もしくは怒っているようなソレスタルビーイングの面々……いや確実に一人は怒っているな。まあ仕方ないよね。あれから4日も経っているんだから。しかもその間向こうから結構な通信が向こうからかかってきていた。いや私も次の日の夜には通信しようと思ってたんだよ?それがどうよ……次の日会社に行ってみれば新たなガンダムと謎のMSのことで仕事量が増加。それに伴う事務所での連勤……やっと一段落がついて輸送艦までこれたのだ。
「言い訳など聞きたくない。こちらから聞きたいことは貴様の所属とMSに関することだ」
言い訳を自分の中でつらつら並べているとティエリアが話しかけてきた。ずいぶんとイライラしてるご様子だ。
「あなたは組織で動いているのかしら?」
「俺は……そうだな、組織としてはこれから動くつもりだ。組織名も教えておこう。蛇の足だ」
クロスボーンガンダムから組織名は借りてきた。いやいい名前思いつかなかったんだよね。それに今から作る組織にはぴったりな名前だと思うし。
「蛇の足……そんな組織は聞いたことがないわ」
「それはそうだろう。今まで全く活動していなかったからな」
「なぜ今活動を?」
「それはあなたたちを助けるためだよ。あんな見え見えの罠でも君たちの理念上武力介入せざるを得ないと思ったからね。急いで助けに行ったわけさ。ま、まだ3機もガンダムがいたんじゃ助ける必要もなかったかもしれないけど」
嘘です。それっぽいことを並べたけど実際はロックオンのところだけスローネ行かないんじゃね?と思ったから急いで助けに行きました。あとこのタイミングくらいで接触しておかないとマジで原作に介入できなさそうだから……
「あなたの機体は何なの?スローネと同じ赤い粒子を撒いていたようだけど……あなたの機体も太陽炉を搭載しているの?」
「スローネ?それに太陽炉とは?」
知っているけど知らないふり。ソレスタルビーイングに関する組織でもないのに知ってたら話がこじれるからね。時には嘘も必要なのよ。
「お前を攻撃したガンダムのことだよ。太陽炉ってのは俺たちが乗ってるガンダムの動力源だ。あとあの時はありがとな。お前に助けられたパイロットだ。ロックオンと呼んでくれ」
「無事でよかったよ……本当に」
「ロックオン!まだ敵か味方かはっきりしない人物に我々の情報を教えるなど!」
「いいじゃねぇか。俺を助けたってことは少なくとも敵じゃねぇってことは確かだ。それにトリニティのやつらよりずっと印象がいい」
「それはそうだが……」
「でお前さんは味方……と考えていいのかい?」
一期のころのティエリアはやっぱり固いなぁ。まあイノベイドだししょうがないよね。
「そうだな。この際はっきりさせておこう。私は敵になるつもりはない」
「そりゃ良かった」
「……だが今は完全な味方というわけでもない」
「なに?」
「俺はイオリアの計画には賛同している。しかし俺にも目的があってね。そのためにも今は組織として力をつけたい。これからは私は忙しくなる。だから君たちが助けが必要だとしてもとっさに動くことができない。しかし可能な限りイオリアの計画のため……いや君たちの助けになれるように努力はしよう」
正直俺がむやみやたらに原作介入すると大きな齟齬が生まれそうで怖いんだよなぁ。それに言ったことは本当だし。組織の人員集めとか資金とか……
「話が逸れたな……俺の機体は太陽炉は積んでいない。そちらの機体とは別方向に進化した機体だ」
「太陽炉でもないのにあれほどの性能……そんなもの聞いたことがないぞ……」
でしょうね、イアンさん。俺の機体は宇宙世紀の中で進化した機体だからなぁ。
「質問はそれだけですか?」
「そうね……まだまだ聞きたいことはいろいろあるけどお終いにするわ。必要最低限聞きたいことは聞けたからね」
話はこれで終わりなようだ。もっと聞かれるかなと思ってからホッとした。
話は終わりになったが俺はこれからのためにソレスタルビーイングに頼まなければいけないことがある。
「スメラギさん、蛇の足として頼みたいことがあるのだが」
「……私たちがそれを聞く理由は?」
「そちらを一度助けたんだ。一つくらい頼みをしてもいいのでは?何もそんなに難しいことを頼もうとしているわけではない」
「……いいでしょう。今回はそちらの頼みを聞き入れましょう。それで要件は?」
「それは……」
(私の仮説通り、ガンダムのエネルギー発生機関がトポロジカル・ディフェクトを利用しているなら、全ての辻褄が合う。ガンダムの機体数が少ない理由も、200年以上もの時間を必要とした事も……。あのエネルギー発生機関を作れる環境は木星……しかしあの新しい機体は何だ?これまでのガンダムとは全く違う……ガンダムだけなすべて辻褄が合うのだが……!な……何だ……?)
唐突にパソコンが勝手に文字を打ち始める。
{I will go back to you now.〈今、あなたの元に行きます〉}
「ん?どういう……ことだ?」
「観測室より通達!謎のMSが当基地に向けて凄まじい速度で進行中!全モビルスーツ部隊に通達!」
「何と……!」
驚いた次の瞬間窓の外にあのドグウのような形のセンサーを持つ機体がいた。
(ここまでか……私は知りすぎてしまったようだ……)
「離れていてください。そこにいると危険です」
(外部音声?それに離れてとはいったいどういう……私を殺すのではないのか?)
とりあえずいわれたとうりに部屋の後方に下がる。すると目の前のMSは天井を壊しこちらに手を差し伸べてきた。
「初めまして、エイフマン教授。突然ですがあなたには俺と一緒に来てもらいます」
なお主人公が送ったメッセージの数分後に原作のメッセージが届く模様。
遅くなってすみません。
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七話
「初めまして、エイフマン教授。突然ですがあなたには俺と一緒に来てもらいます」
現在俺はソレスタルビーイングからもらった情報を元にユニオンのエイフマン教授のもとに来ている。目的はもちろん勧誘のためだ。この人は死んでしまうには惜しすぎるんだよね。原作じゃ知りすぎて殺されてしまったらしいけどそれもしょうがないように思える。一期の時点でイオリアの計画の大部分を見抜いたうえでGNドライブの全容まで把握しかけるとか……なんていうかチート過ぎないかな。
「なぜわしを連れて行こうとする?知りすぎたものは殺すが普通ではないかね?」
「いや、あなたにはここで死んでもらっては困る。技術者でありながらイオリアの計画をおおよそ見抜くんですからね。死なせるには惜しい。というわけであなたが何と言おうと連れていきます。ここにいてもあなたは殺されるだけですからね」
「どうやら拒否権はないようじゃな……よかろう。私を連れていくがよい。少し待ってくれ、ビリーに書置きを残す」
「できるだけ、早くしてください。終わり次第すぐに出発します」
よし、了解(強制)は取れた。さっさと連れ帰ってしまおう。こんなとこに流暢にいたらフラッグファイターと戦闘になってしまう。万が一にも負けないとは思うが可能な限り戦闘は回避したい……
「より、準備は完了じゃ。それでわしをどこに乗せてくれるんじゃね?ソレスタルビーイングよ」
「何か勘違いをしているようですが今は会話をしている場合ではありません。狭いですがコックピットに乗ってもらいます」
マニピュレータでエイフマン教授をコックピットに誘導する。エイフマン教授は私に少し関心を見せたがそれ以上にこの機体のコックピットに興味があるようだった。
「あとでいくらでも見ていいですから今はおとなしくしておいてください。ではここから離脱……」
その瞬間だった。脳の中で危険な信号が伝わる。すぐさま回避行動をとると自分がいた場所にビームが走っていく。その赤いビームに……というかこの時にビームを使えるのは……それも深紅のビームを使えるのは彼らしかいない。
「ザンスパインのパイロット、直ちに収容した人物をこちらに差し出せ。差し出さなければこちらに敵意があるとみなし対応する」
やはりトリニティか……彼らより早くエイフマン教授と接触して助けるつもりだったがどうにも重なったようだ。なんとも運が悪い……
「おい、君らは味方ではないのかね?なぜガンダムが君を攻撃してくるのじゃ?」
「あとで全部説明します。スローネのパイロット聞こえるか?俺はこの人をそちらに渡すつもりはない」
「それはこちらと敵対すると思っていいのかな?君はガンダムマイスターではないが世界の変革を共に目指すものだと思っていたのだが……」
「そちらがソレスタルビーングと行動を別にして自分たちの考えで武力介入をするように俺も自分の考えで武力介入をしようと思うんでね。そして俺の考えではこの人を殺す必要はないと考えた」
「そちらの考えは理解した。こちらに対して敵対すると判断しそちらを攻撃する。ミハエル、行け」
「おうよ、兄貴!」
やっぱり戦闘になるか……しょうがない。躊躇してたらこっちがやられてしまう。それに……ここらで俺とザンスパインの力を見せつけておいたほうが便利になりそうだしな……厄介なことにもなりそうだけど。
「ガンダムでもねえ奴なんか敵じゃねえんだよ!」
ツヴァイがビームライフルを撃ちながらこちらに接近……そのまま格闘戦に持ち込むつもりだろう。ビームライフルを避けつつこちらの格闘兵装をいつでも使用可能にする。
「へ!これで終わりだぁ!」
「これで終わりとか……俺相当なめられてるんだな……まあそれもそうか、この世界じゃいまだにガンダムが最高の性能を持っているって言われているんだし……だけどね」
背中のミノフスキードライブユニットを取り外し即座に応戦する。
「なにぃ!俺の動きについてこれるだと!?」
「ただの機体性能に頼り切ったやつに負けるほど俺は弱くはないんだよ!」
「背中の推進器が武装にもなるなんて……なんて機体じゃ……」
「ち!舐めんな!それがどうしたっていうんだ、こちとらガンダムに乗ってんだ!」
もう一度向かってくるがこちらはそれを上手くいなす。しかしそれにイラついたのかさらに攻撃をしかけてくる。これじゃ埒が明かない……ここで悠長にしていたらユニオンの機体が出てくる。さっさと終わりにしよう。いったん距離をとりビームファンを元に戻す。そしてザンスパインの機動性を最大限発揮し動き回る。
「な、なんだ!この速さは!?どこだ!?」
こちらに向かってビームライフルを撃ってくるがそんなものはかすりもしない。ここでスローネを撃墜しても構わないがそれだとまだこちらを様子見しているソレスタルビーングの連中に敵対したと思われるかもしれない……もう戦闘になってる時点で思われるかもしれないけど。そのためにも撃墜せずにこの場を撤退しなければいけない。どうしたものか……そうだ!今の状況なら俺も某赤い彗星のような真似事ができる。
そう思い立ち即座に実行。ツヴァイの下に回る。そしていまだにきょろきょろしているツヴァイの真正面に唐突に踊り出てやる。
「うお!目の前に!」
そして狼狽しているうちに思いっきりコックピットを蹴りつけてやる。相手はそれをもろに受けて後方に下がった。それを成功した瞬間俺は達成感に包まれた。あの赤い彗星が実行したことと同じことをやれたんだ。
「ミハエル、ガンダムでもないのにこれほどの性能とは……」
「どうする?まだやるのか?こちらはもう撤退したいんだけど」
ツヴァイが圧倒されたのを見たせいかこちらには攻撃は仕掛けてこない。
「くっ!了解した……」
「そんな!兄貴、俺はまだ……」
「反論はきかん。私たちの力ではあの機体を仕留めることはできない……」
「理解が早くて助かるよ。では俺は撤退させてもらう。……あ、そうだ最後に聞きたいんだけど」
「……何が聞きたい?」
「どうしてお前たちは武力介入するの?」
答えは知ってはいるが一応聞いてみる。
「そんなことか……もちろん戦争根絶のためだ」
ヨハンが自信をもって答える。
「なぜ戦争根絶をしようと思うようになった?」
「それは……それは世界を変革のためだ。そのためにはたとえ非難されようとどんなことでもしよう」
ふむ……この調子であるならやはりヨハンは自分が何のために生まれたのかをやはり知っているな。それがヨハンのアイデンティティになっている。これなら後に助けたとしても上手くケアして説得すれば俺の仲間になってくれるかもしれないな……
「そうか……わかった。今回はお前たちと敵対してしまったが俺も可能な限り俺も敵対したくはない。今後は君たちの動きに文句はつけないようにしよう。ではこちらは撤退させてもらう」
そうして俺は自分の拠点に向かって急ぐのだった。
……というか急がざるをえなかった。隣のエイフマン教授がザンスパインの機動性を最大限発揮したことによりかなり気分が悪そう……というか悪かったからだ。
「エイフマン教授!ほんとすいません!急いで帰っているのでそれまで頑張ってください!」
「あぁ……静かにしてくれ。老体にさっきの戦闘は厳しかったのだ。うっ!」
「教授!諦めないで!教授!」
何とか輸送艦にたどり着いたがその頃には教授の顔は真っ青だった。とりあえず簡易ベットに寝かせて話は次に起きたときにでもしようと決めた。
グラハム率いるフラッグはこの後に駆け付け原作の通りに交戦してハワードは死んでしまいます。
なんかUA数が一気に伸びてるの見て驚きました。閲覧していただき感謝を。
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八話
エイフマン教授はかなりお疲れのようで次の日の夕方まで寝ていた……まあ俺のせいなんだけど。そして教授との話が始まった。
「いろいろ聞きたいことはあるのだが説明してくれるのだろうな?」
「ええ、もちろんです」
「ではまず君の組織はなんなのだ?ガンダムと交戦したところを見るとソレスタルビーイングではないと言っていたのは本当だろう」
「それを話す前に俺のことを話さなければいけません。実をいうと私はここの世界の生まれではありません」
教授にはすべてを話すことにした。といっても俺がこの世界の知識をもって転生したといってもさすがに信じられないからそこらへんはぼかして説明することになるが。
「……それはどういうことかな?」
「言葉どうりの意味です。俺は目が覚めるとこの世界……正確にはアイルランドにいました。この艦と機体……それにこの世界の未来をの知識を持って」
「……それを私に信じろというのかね?」
到底信じられることではないだろう。俺だって目の前に異世界からきたよー、とか急に言われても何言ってんだお前としか思わない。まあ、今なら俺という実例がいるから頭ごなしに否定はしないけど。
「あなたもみたでしょう?私の機体を。あれがこの世界で作れると思っているんですか?それにこの艦も」
「……未来の知識とは?」
「それも同じです。……といっても全てを知っているわけではありません。漠然とした未来しか知りません」
転生する前に最後に見たのは結構前だった。それに加えて転生してから生きるのに忙しかった。誰がどこで死ぬかはおおよそ覚えている。しかしそういった出来事がいつどこで起こるかまでは覚えていない。
「それに……あなたを誘拐したのもあなたが死ぬとわかっていたからですよ」
「何……?」
「あなたはあのままあそこにいたらあの新型のガンダムに殺されていました。それはあなたもわかっているでしょう?」
「……」
「あなたを誘拐したときに話した内容は俺の本心です。あなたをあんな奴らに殺させるのは惜しい。だから助けたんです……まあ、できれば俺の組織に加わって欲しかったからというのもありますけど……あ、組織のことを話してませんでしたね。俺の組織は蛇の足です。まだまだ無名ですがこれからは名を挙げていこうと頑張ります。ですから私の組織に参加していただけませんか?もちろん強制はしません」
できれば一員になって欲しい。これからのことを考えると俺一人じゃどうにも手が足りない時が出てくるだろうしそれにこれから加わってもらう予定の人物にメカニックを専門的にできる人はいない。
無言のまま数分がすぎる。
「……なるほど、わしを助けて組織に加わって欲しい理由は君が言った理由のほかにわしが死ぬ存在だったからか」
「えっ?」
「蛇に足はない。過去はいたかもしれんがな。その組織名にしたのはあれだろう?君の持つ未来の知識とやらで死ぬ予定の人物で構成しようとしているからだろう?本当なら死ぬ、つまり君の知っている未来では私を助ける存在などいなかった。それなのにわしは生きておる。君は存在しないもの……そして死ぬ人物で構成される組織……蛇の足とはそういうことではないのか?」
おいおい、俺の考え全部ばれてるわ。やっぱり教授ってチートだわ。いや俺の考えが稚拙なだけか……いやそんなことはどうでもいい……別にばれてもいい。問題は参加してくれるかどうかだよ。
「そんな不安そうな顔をするでない。別に参加しないとは言っておらんだろう?」
「参加していただけるんですか?!」
良かった!正直言うと無理やり誘拐して参加しろとか拒否されると思ってた。
「わしは義理堅いのでな。助けてもらったままというのは性に合わん。あのままだとわしはあのガンダム達に殺されておったろう。それに君の機体やこの艦は私の知る技術でできておらんこともわかる。にわかに信じがたいことではないが君の言うことを信じ、君の組織に参加させてもらおう」
「ありがとうございます!」
やった!チート教授が仲間に加わってくれた!これで機体の整備とかを任せられる!
「それと頼みたいことがあるのじゃが」
「なんです?」
「君の機体を見せてもらいたい。ガンダムを見たときも思ったのだがこうも私の知らないものが出てくると研究者の性で気になってな」
なんだそんなことか。それくらいならどんどんやってもらいたい。そして持てる技術でこれから手に入る機体を魔改造していって欲しい。
「いいですよ。というかここの設備は自由に使ってもらって構いません。私は基本いないので」
「何かしておるのかね?」
「仕事です……」
「……は?君は、いやこの組織はパトロンなどがいるのではないかね?」
「私の全財産で動いています……明確に組織の一員なのは今のところ俺とあなただけです」
動くために可能な限り金は使わずこれまで働いてきた給料は貯めてきた。パトロンは一回か二回ほど動いたら誰かが俺に目をつけて動いてくれるんじゃないかなって思ってるんだけど……
「残りの予算は?」
「これだけです」
残金を教授に見せる。教授がそれを見た途端険しい目をしたあとジト目をこちらに向けてくる。
「だ、駄目でしょうか?」
「いや、君だけ動くならこれだけでも数年は持つだろう。だが私が研究するとなると話は別だ。これでは足りん」
ああ!研究費用!馬鹿みたいに金がかかる。しかしその金はない!こうなりゃあまりしたくはなかったが銀行強盗でも……
「その様子だと全然考えてなかったみたいだな……まあいい。研究資金はわしの資金でなんとかしよう」
「面目ありません……」
「だがパトロンのことは考えておいたほうがいい。何かあった時にこれではすぐに底をついてしまうぞ?」
「パトロンにはあてがないことはないです」
具体的には王留美とか。あの人確か世界が変わるのならどんなところにもそれをできる力があるところには資金
出すはず……力は示したし接触してうまく交渉すればパトロンになってくれるんじゃないかなと思っている。
「ならいいが。では私はもう一度寝らさせてもらう。まだ気分が少し優れないのでな。調べるのは明日からさせてもらうよ」
そういうと教授は奥に引っ込んでいった。このままここにいても仕方がないので俺も家に帰ることにした。
「お疲れ様でーす」
「お、久しぶりだな」
次の日、俺は会社に久しぶりに出勤した。
「そうですね、結構な間休んだからこれからはバリバリ働きますよ。新しいガンダムと謎のMSも出たらしいですね?」
「そうだよ。おかげでこっちはてんてこ舞いだ。早速で悪いがこれらの情報を元に記事にを作ってくれ」
そういうと編集長はドカッと紙の束を俺の机に置いてきた。……これ全部まとめなくちゃいけないの?
「おう、お前が休んでいる間に仕事が一気に増えたからな。今は社員を合同軍事演習とエイフマン教授が攫われた場所に派遣する予定だ。そのための準備をして貰っているから人が少ないんだ。しかしことがことだ。あまり深入りせずに適当に帰ってくるように命令するつもりだ」
「俺もそれに入ってたりします?」
今はあまり外に出たくない。いざとなったらすぐにガンダムのいる場所に駆け付けることができるようにしておきたいからだ。
「いやお前は入ってない。お前には現地で手に入れた情報を元に記事を仕上げて欲しいからな」
ならよかった。……ん?現地に派遣?
「絹江さんってその中に入っていますか?」
確か絹江さんは軍事演習の場所に行ってラグナ・ハーウェイがガンダムに関わっていると知って彼に会いに行った折にサーシェスに殺される……はず。そんなことならないようにするため、もし現地に派遣されるようならそれを止めてもらわないといけない。
「いや、あいつは入っていない。派遣に入っていないと知ったら直談判しに来たがそれでも却下した。あいつは真実をとことん追求しようとするからな。ストッパーとしてお前がいるなら大丈夫なんだが一人だと深入りしすぎる」
良かった。これで絹江さんが死ぬことはない……これからも一緒に仕事できるんだ。
「そういやお前等はどこまで進んでんだ?」
「えっ?」
「えっ、じゃねえよ。お前等付き合ってるんだろ?」
「つ、付き合ってませんよ。ただ彼女とは先輩後輩の関係で仕事仲間なだけです」
「嘘だあ。俺らの中じゃお前等もう引っ付いてると思ってるぞ。しかしじゃあなんで恋人でもないのに一緒に飯食いにいってんだよ」
「相談事とか愚痴聞いてるだけですよ。結構長く俺が絹江さんに仕事教えたり一緒にしてたからそういうことを話しやすいんじゃないですかねぇ」
まさか会社の中で俺たちが付き合っていると思われていたとは……俺自身絹江さんのことは、数年一緒に仕事をしてきた中で彼女に惹かれている。死んでほしくないと思っている。正直好きだと伝えたい。しかし……もしそれを話して絹江さんとの関係がぎくしゃくしたものになったらと思うと二の足を踏んでしまう。
「馬っ鹿、お前本当にそういった関係だけなら相談事、ましてや愚痴まで話さねえよ」
「話しやすいから話してるだけですよ、きっと」
「俺が思うに……お前から切り出してくるのを待ってんだよ」
「そうですかねぇ?あの絹江さんですよ?言いたいことはズバズバ切り込んでくる人ですよ?」
「そりゃお前、あいつだって女性だぜ?そういったことは男のほうから言ってくれることを期待してんだよ」
そうだろうか……絹江さんは指導した仲でそういったことを話しやすいから話してるだけなのではなく俺のことを好いて話してくれているんだろうか……
「まだ疑ってるようだな……じゃあ言うがあいつはお前意外とは仕事関係以外で飯食いに行ったりしてねえぞ。それに相談事ならまだしも愚痴を吐くなんてことは誰もされてない」
「それは……」
「それにお前、ガンダムが出始めた頃あいつと一緒に飯食いに行って帰り送っていっただろ。見てた奴がいるんだ。好きでもない男の前で酒飲んで送ってもらう女がいるかよ。お前もあいつのことが好きなんだろ?最初は仕事があぶなっかしくて手伝ってたようだが途中からあからさまにお前自身が進んで手伝いに行ってたぞ」
「それは……好きですが」
「だったら自分の思いをぶつけて見ろって。なに、もし降られても俺が慰めてやるよ。仕事を減らすことは無理だがな」
「編集長……」
そういわれると自信がついてくる。自分の気持ちを閉じ込めておいても相手に気持ちは伝わらない。だったら自分から伝えるしかないじゃないか。
「ありがとうございます。おかげで自信が持てました」
「おお!」
「明日にでも、いや今日にも絹江さんに俺の気持ちを伝えに行きます!」
「その意気だ!って、しまった……」
「どうしたんです?」
「いや焚きつけておいてすまん。そういえばあいつお前と入れ替わりで有休をとったの忘れていた」
「えー……」
そんなやっと自身がついて気持ちを伝えようとしていたのに……いったいこの気分の高揚をどうすればいいんだ……それにしても珍しいな。絹江さんが有休をとるなんて。何かあったんだろうか。まあいい。帰ってきたら俺の思いをぶつけよう。
エイフマン説得の部分もう少しなんとかしたかったなぁ……いい考えだ浮かびませんでした。
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九話
あれから一か月が経った。その間に起こったことを説明しよう。まず俺は……軍に追われていた。まあ正確には俺の機体が追われている。エイフマン教授を誘拐したのも理由だがガンダムと交戦して打ち負かしたのもあるだろう。さらにハレヴィ家を救ったのも関係している。
仕事をしている途中にルイスなんで敵側着いたんだっかを考えているとトリニティに親殺されたからだ、と思い出した。そうはさせんと沙慈君に連絡してルイスが出席したパーティがどこで行われているかを聞き、急ぎ会場に馳せ参じた。いやギリギリだったね。会場にドライがライフルを発射したところに突っ込んでいってシールドをはり何とか助けることはできた。しかし邪魔をされて苛立ったのかそこからドライとの戦闘になった。さらにこの前のお返しとばかりにツヴァイまで介入してくる始末。まあ……すぐに撃退したけど。あ、あとそのあとヨハンに通信を送ってお前の兄妹ちゃんと制御しろと送っておいた。
ここまではいい。ルイス一家を助けたからルイスが軍入りせずに沙慈君とイチャイチャし続けることができるだろう。アロウズに資金提供なんてしないはずだ。つまりアロウズの弱体化に一役買えたというわけだ。……しかしここからが問題だった。助けられたハレヴィ夫妻が記者会見を開き俺の事をまるで英雄のように持ち上げてしまった。ここまでトリニティの連中は武力介入を行い、ソレスタルビーイングの連中と違って民間人まで時々攻撃していたため世間からのヘイトが溜まっていた。しかし軍の機体は抵抗するが歯が立たない。そんな中対抗することができる人物を各国が見逃すはずがない。それにその人物は教授も誘拐している。ユニオンは今回の件で教授の返還、さらに国に加入すればその罪を許し、大尉の階級まで与えるとまで発表した。階級がわからない人がいるかもしれないが簡単に説明するとグラハムの上司になれるということである。
「というわけでなんかいい考えないですか、教授?」
まず見つかることはないがこのような状況になっては万全の状態にあっても心なしか不安になる。そこでわれらがエイフマン教授にご助言をいただくことにした。
「いや放っておいても構わんだろう。この艦は戦闘能力をほぼ捨てている代わりに隠密性に優れておる。まず見つかることはない。それは君もわかっておるだろう?」
「それは……そうなんですが……」
心配性なのよね、俺。
「そんなことを心配する暇があったら資金のほうを心配したらどうだ?今はわしが様々な場所に金を渡して必要なものを取り寄せて研究しているがいずればれるはずじゃ。……そうだ、いい考えが思いついたぞ」
「なんです?」
「お主、ハレヴィ家に行って支援を取り付けてくるのじゃ」
「さすがに……犯罪者を支援しないでしょ」
「今はお主を助けてくれた恩人としてみておる。可能性は0ではない。……まあお主が実際に会ってどう説得するかが肝じゃがな。訪問に関する約束は隠密にやっておく」
「……了解しました。何とか協力者になってもらえないかお願いしてみます」
というわけでハレヴィ家に協力をダメ元で頼みにいったらなんと本当に協力をしてくれることになった。元々俺に好意的だったのもあったからか俺の話す真実(ソレスタルビーングの目的、追加の3機のガンダムについて)を信じてくれたのだ。まあもちろん話した内容は口外しないようにしてもらうが。その結果、資金に加え俺たちの補給兼研究基地、宇宙への道まで手に入れることができた。
これで今後はもっと効率よく活動できるようになるだろう。仕事をしなくても大丈夫になった。……だというのに。
「おい、またガンダムが基地を襲ったってよ。今度はAEUのとこらしいぜ?」
「また、ですか……ということは……」
「ああ、また残業だよ!ちくしょうが!」
同期がまた悲しげに机に向かっていく。そう、俺はまだ仕事を続けていた。いやね?何か習慣のようになってるんですよ。会社に行くのが。あとは、まあ俺にできることってないんだよね。今も過激な武力介入をトリニティ達がし続けている。ソレスタルビーイングはそれを静観中。各国はまだ太陽炉を手に入れていない。といっても結構な回数をトリニティはこなしてきてヘイトはかなり集まっている。そろそろ黄金大使から太陽炉が提供される頃合いになってきている。俺が動き出すのはジンクスが出てきたころからだ。まあそれまでは仕事を続けていようかなと考えている。さすがに3年後くらいにはアロウズが出てきてこんな仕事をしていたらいつしょっぴかれるかもわからないしね。
それにまだ絹江さんとも会えていない。かなりの長期休暇を取ったらしく、いまだに会えていないのだ。こっちは覚悟決めていつでも告白できるんだけど肝心の本人がいないんじゃお話にならない。
「……上手くいかないもんだねぇ」
そうしてまた作業に取り掛かる。こうなったら最高の記事を書いてやる。題して謎のMSは救世主!?だ。ガンダムに逆らい対等に戦ったことやトリニティ達のこともありこの記事はうけるはずだ。よし、絹江さんが帰ってきたときにあっと驚かせてやる。
「ヴヴヴゥゥ」
意気込んでいるとポケットの中の携帯が振動した。どうやらメールが来たらしい。取り出してみると差出人は絹江さんだった。なんだろう?彼女からメールが来るなんて珍しい。基本的に職場で話して飲みに行くときも帰りにさっと行くから業務関係でしかやり取りしかメールではしない。しかし彼女は今は有休中でそういったことを連絡してくることはないはずだが……そう思いメールを開く。
「は?」
俺はそこに書かれたことをもう一度読み直した。何かの間違いだ。彼女は今休みを取っている。そんな場所にいるわけがない。しかし書いていることは変わっておらず元のままだった。
「何やってるんだよ!」
そう言って俺は立ち上がる。
「ど、どうしたんだよ。何か失敗したのか?」
「ごめん、編集長に俺は当分休むって言っておいてくれ!頼んだぞ!」
「お、おい!どこ行くんだよ!」
そう同期に告げ俺は会社を飛び出した。そのまま空港に向かいある場所に飛んだ。そう、ラグナ・ハーヴェイの元に……
原作との相違点 描写しなかったけどルイスの家族が助かったよ!けどトリニティ(主にミハエルとネーナ)の関係はさらに悪化したよ!
ご都合主義なところあるかもしれませんが許してください……
現実が私を責め立てるのでこれから投稿がさらに不定期になるかもしれません。一応一期終わりの構想は立てているので頑張ってそこまで書いてそこからは気合で完結に向かおうと思います。
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十話
宛先 マサユキ・イケダ
件名 情報入手
お久しぶりです。私は今***空港に来ています。……これからリニアトレイン事業の総裁であるラグナ・ハーヴェイ氏と会うためにAEUに向かいます。それはなぜか。私は会社から砂漠での新型ガンダムについての現地での情報収集班に配属されませんでした。もちろん編集長に抗議しに行きましたが許可されることはありませんでした。……理由は薄々わかっています。あなたと出会って多少改善されたといっても私は調べてはいけないところまで踏み込もうとするからだと。だから外されたんでしょう。今回の件はあなたが言っていた通り首を突っ込めばただではすまない内容だと思えます。ごめんなさい。だけど私は真実を知りたい。そしてそれを世間に伝えたいのです。いや、この際真実を知ることだけでも出来たらいいのです。……話が逸れました。そこで私は有休を使い単身で取材を行うことにしました。その結果、新型のガンダムのパイロットがラグナ氏と関りがあることが判明しました。AEUに到着後、何とかアポをとりラグナ氏に直接この件を伺いたいと思います。
P.S 取材が済んで日本に帰り着いたらあなたに話したいことがあるので予定をあけておいてください。
私は数日前に送ったメールを見直す。返信は来ていない。当然よね……あんなに深く調べるなって言われてたのに単身でここまでやってるんだもの。でも私は真実を知りたいの。そのために情報も集めた。今回のラグナ氏への取材でさらに真実に近づけるはず……もしかしたら真実を知ることができるかもしれない。……いや、それだけじゃないわ。それもあるけど彼に認めてもらいたいっていうのある。
最初のうちはただ先輩と思うだけだった。彼は仕事に関して丁寧に教えてくれていたし私が悩んでいるときも親身に付き合ってくれた。最初のうちは酷い失敗もたくさんあった。それでも私をただ叱責するだけじゃなくなぜかを教えてくれた上で今後はどうすればいいかまで教えてくれた。いつからかふと彼を目で追うようになった。なぜかは特に考えなかった。数年一緒に仕事をしてきたから目に留まるだけだと思っていた。今思うと無意識に彼に惹かれていたからだろう。ある日私は、彼が取材対象の女性と話し込んでいるところを目にした。私はその風景を見て心がもやもやした。そして同時に思った。なぜ彼がほかの女性と話しているとこんな気持ちになったのかを。その時からだろう。私がはっきり彼に好意を抱いていると確信したのは。それからは私は彼ともっと彼と一緒にいたいと思い仕事後に飲みに誘ったり今まで以上に彼と取材をしに行ったりした。その結果多少は彼も私のことを意識してくれるようになったと思う。同僚には冷やかされたりもして冷静に振舞ってはいたけど内心は嬉しかった。ただ、私と彼の関係は一向に変わらなかった。私はどうしてだろうと悩んだ。もしかしてまだ私は独り立ちできないと思われてるんじゃないか。そう思って今まで以上に働いた。しかしいつまでたっても彼の対応はあまり変わらないものだ。そんな時だった。彼が珍しく真剣に忠告してきたのだ。ソレスタルビーイングの件には関わるなと。いつもだったらしょうがないな、と言って一緒に調べてくれるのに。
私は真実を知りたい。彼にも認められたい。今回の件はいい機会なのではないか。彼の手を借りずに真実にたどり着く。そうすれば彼も認めてくれるかもしれない。メールの最後に追伸を入れたのは今回の件が終わったら私は彼に告白するつもりだ。
「そのためにも、ラグナ氏とお会いしなきゃね」
そして今日ようやく会えるはずだ……といっても会社に直接赴くんだけどね。どうやっても許可取れなかったから。
「さ、行くわよ。真実を知るために!」
数時間後……
「今日一日面会だなんてそんな……せっかくここまで来たのに」
私は会社の前で茫然としていた。勢い込んでいったのに空振りに終わったのだ。早く終わることを祈ってギリギリまで会社にいたのだけどもう終わりだと言って締め出されてしまった。
「いったいどうすれば……」
そう途方に暮れていると会社からスーツ姿の背の高い男性が出てきた。彼はいったい誰かしら。さっきまで面会中って言ってたのに……もしかして彼が面会の相手?それとも会社の役員かしら。……この際どっちでもいいわ。少なくともラグナ氏に関係のある人には間違いないんだもの。
「あの、すいません」
「何かご用かな?」
「私、ジャーナリストなんですが2、3お聞きしたい事があるんです。よろしいでしょうか?」
お願い、できれば話を聞かせて!
「構いませんよ」
「本当ですか?!」
私の願いが通じたのか男は了承してくれた。
「しかし私は少し急いでまして。車中でよろしければ」
「あっ、いえ、それは……」
「やめておきますか?」
どうしようか。さすがに忙しいところに無理やり話を聞くのも悪い……だけどこの機会を逃すと今後は話を聞けないかもしれない。
「……ではお言葉に甘えて」
悩んだ末私は彼の車に乗り話を聞くことに決めた。彼は車を回してくると言って駐車所に行った。本当にこれでよかったんだろうか……やっぱりまた明日ここにきて面会を頼んだほうが……けど会ってくれるかもわからないし……
そう考えていると彼が車を回してきた。ぱっとみて高級車だとわかる車だった。
「さあ、どうぞ」
「……失礼します」
「お構いなく。ああ、シートベルトは締めてくださいね。近頃うるさくてね」
「あ、はい。わかりました」
そうして彼は車を発進させようとした。
その瞬間だった。
私の体を衝撃が襲う。いったい何が……運転席を見ると彼も何が起こったのかわからないようであった。しかしすぐに調子を取り戻し、声をかけてきた。
「大丈夫ですか?」
「えぇ、なんとか」
「それは良かった。とりあえず外にでましょう」
私と彼は車の外にでる。そして何が起こったのかを目の当たりにした。
「これは……ずいぶんときれいに当たったものですね」
さっきの衝撃の正体、それは後ろから追突されたからだった。
「いやーすいません。少しよそ見をしていたらぶつかってしまいました」
そういってぶつかってきた車の主がやってきた。
「えっ?」
「うわ、これはひどい。弁償させていただきますんで連絡先を教えていただけますか?」
彼はこちらを見ないで隣の男と話し始める。
「いえ、大丈夫ですよ。この車はそろそろ買い替えようかと思っていたので。いい機会になりました」
「そうですか……本当に申し訳ないです」
「なんで……」
それはこの場所には本来いない、いるはずのない男だった
「ん?」
「なんであなたがここにいるんですか、マサユキさん……」
原作キャラ視点……しかも女性キャラを書くの難しい……そしてしたこともなく書いたこともない恋愛要素が私を苦しめる。
感想は諸事情あって返信はしていませんが見ています。感想は次の話を書く励みになります。これからも頑張ります。
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十一話
「なんでって……」
そりゃ、あなたが死ぬかもしれなかったからですよ!……と言いたいところではあるがそんなことを言っても絹江さんはなんのことかわかりはしないだろう。というか言えるわけない。
「お知合いですか?」
目の前にサーシェスがいるんだから。やばい。多分選択失敗したら一緒に連れていかれて殺されてしまう。上手いこと言って絹江さんと早急にここを離れなければ……俺は武闘派じゃないから戦闘なんかになったりしたら絶対負ける。
「ええ、そうなんです。彼女と一緒にいるということは……もしやあなたはラグナ氏の会社の方ですか?」
「いえ、私はこの会社の人物ではございません。ただ彼とは商売の話で時々話に来ているんですよ」
「っ?!本当に申し訳ございません!この度はうちの馬鹿が突然取材をかけて!ほら!絹江さんも頭を下げなさい!」
「え?ちょ、ちょっとマサユキさん?」
そういって彼女を俺のほうに引っ張り一緒に頭を下げさせる。よし、とりあえずサーシェスと引き離すことはできた。
「ラグナ氏や会社の方とならまだいいでしょう。あなたの事だから一応のアポぐらいはとっているでしょうから。それを……アポもとっていない!しかもラグナ氏の会社と関係もない人に取材してどうするんですか!」
「それは!そうですが……」
とりあえずうかつなことを言わせないようにしなければ……ガンダム関係を堂々と言ってたら会社の中からもやばいやつとか出てきそうだし。
「まあまあ、そこまでにしてあげてください」
絹江さんを叱っているとサーシェスが仲裁にきた。
「彼女はただ話を聞きたかっただけですよ?記者さんなんだ。訝しい点があれば取材をかけて真実を知りたい……いい記者根性してますよ?それに私が話をしてもいいって言ったんです。あ、そうだ。彼女と知り合いならあなたも記者さんでしょう?どうです?あなたも彼女と一緒に話を聞きませんか?」
普通に誘われているだけだけどそれが彼女と一緒に死にませんか?に聞こえるのはこの後の展開を知っているからだろうな……というわけでさっさと言い訳してここを去らせてもらおう。
「大変魅力的な申し出ですが私は相手に取材する場合は正規の手段を踏んでからにしていますので今回はお断りさせていただきます。それに私は彼女を連れて早急に日本に帰らなければならないので……」
「はあ、そうですか。それはそれは残念ですね。せっかくいろいろとお話、してもよかったんですが……ではまたの機会をお待ちしております」
そうしてサーシェスは背を向けて車に向かう。そうだ、このまま帰ってくれ!
「ああ、そうだ」
そういってあいつは立ち止った。そして振り返ると俺のほうに歩いてくる。そして俺にハンカチを差し出してきた。
「これを差し上げます。よければお使いください。顔に汗がついていますよ」
無意識のうちに自分の顔を拭う。確かに彼の言うとうりだった。
「あなたは今まであった記者の中でも随分優秀なようだ。それに運がいい」
「……へえ。見ただけでわかるんですか?」
「ええ。これまでいろんな人を見てきたもので……そういった目はあるんですよ、私は」
あ、これやばいな……最悪ここで殺されるかな?何とか絹江さんだけでも守らないと……そう思っていつでも動けるようにしていたがあいつはそのまま俺たちから離れていった。
「では次が押しているので私はここらへんで……では、また」
そうしてサーシェスは車に乗って消えていった。
「ま、マサユキさん?」
絹江さんがおずおずと話しかけてくる。
「……とりあえず車に乗って。日本に帰るよ。話はそれから」
「……はい」
そうして車に乗って空港に向かった。空港に到着するとハレヴィ家の人がいて壊れた車の回収をしてくれた。俺たちは日本へ向けて旅立った。フライト中に流れているニュースではガンダムを撃退したことが報じられていた。それを見て、ああ、サーシェスが急いでいたのは、運がいいと言っていたのはこれだったのかと漠然と感じていた。
「とりあえず座って」
「お邪魔します……」
俺は絹江さんを連れて自宅に来ていた。俺たちは互いに向き合った。
「何がいいたいかわかるよね?」
「……ごめんなさい」
「なんで俺が君のところに駆け付けたかわかる?」
「……私が勝手に個人で取材をかけたから。……それとあなたからの警告を無視したから」
ああ、違う。それは違うんだ。
「……違うよ」
「違う?」
「俺は君に死んで欲しくないから向かったんだよ……」
「えっ?それはどういう……」
「君は踏み込みすぎたんだよ。君だけだと思った?ラグナ氏とソレスタルビーイングの、ガンダムとの関係までたどり着いたのは。あそこに取材をかけた人物の数名は行方不明になってるんだよ」
「そんな……じゃあそれを公表してなおさら真実を広めなきゃ……」
「わかるでしょ?そんなことしたら口封じされてしまうよ」
「……」
「これに懲りたらもうやらないようにね。もしくはやりたかったら事前に俺に教えて。サポートするからさ。あ、あと会社には君は行方不明になっていると伝えておく。君は今回の事で向こうに顔を覚えられてるはずだから見つからないようにしておかなければいけない」
絹江さんはうつむいていた。俺はそれをただ見ていた。
「どうして……」
「ん?」
うつむいたまま彼女は口を開いた。
「どうして私なんかを助けてくれたんですか?」
何言ってんだ。絹江さんは俺の大事な仕事仲間だからだ!仲間を助けに行くなんて当然だろ。これからも一緒に仕事をして時々一緒にご飯とか食べに行こうよ!
……やめよう。もう自分の本心を隠すのは。
「わからないかな?」
「わかりませんよ……殺されてもそれはあなたの警告を無視して真実を知ろうとしたからなのに……当然の事なのに……」
「好きだからだよ」
「えっ?」
「好きな人のために頑張ることはおかしくないでしょ?……どうしたの?鳩が豆鉄砲くらったような顔して」
「ご、ごめんなさい。ちょっと耳がおかしくなったのかしら……もう一度言ってくれる?」
「だから俺は絹江さんのことが好きだからだよ」
「嘘……本当に?」
「本当だよ」
信じられない……と小言でつぶやいている。
「いつから……?」
「そうだな……研修が終わって君と一緒に仕事をし始めてからかな。君と仕事をしていくうちに惹かれていったんだよ」
そういうと絹江さんはまたうつむいた。俺は気恥ずかしくなってちょっといたたまれない気分だった。
「なんで……なんでもっと早く言ってくれなかったんですか?!」
「ええ?!」
絹江さんは唐突に席を立ち前のめりになって僕をつかんできた。
「私もあなたのことが好きなんです。だからあんなに勇気を出して一緒にご飯とか飲みに誘ったりしてたのに……」
「ご、ごめん。てっきり信頼してくれてるからだと……」
「……ごめんなさい。もっと早く自分から言うべきでした。もし告白して今の関係が壊れたらと思うと怖かったんです」
「それは……俺もだよ」
「お互い同じ思いだったんですね……て、提案があります」
「な、何?」
「お互いの気持ちも分かったことですし……えと、そのこれからは恋人という関係になりませんか?」
魅力的な提案だった。すぐさまこの提案にのり俺は絹江さんと甘い生活を送りたい。だが……
「それはまだ無理かな……」
「えっ……そんな、どうして」
絹江さんの目にしずくが溜まっていく。
「いや、違うから!俺も絹江さんと恋人になりたいの!ただその前に俺は絹江さんに自分のことを全て知ってもらいたいから……」
「すべて?」
「……一緒に来て。俺の真実を見せるよ」
「あの、マサユキさん?ここは?」
「ちょっと待ってね……教授、俺です。開けてください」
「ぬ、マサユキか。今開ける」
「教授……?」
「疑問にはあとで答えるよ。まだまだ増えると思うしね」
そうして俺たちは輸送艦の中に入っていった。
「ん、久しぶりじゃなマサユキ。なにやら連れがいるようじゃが?」
「お久しぶりです、教授。こちらは俺の仕事仲間です。絹江さん、この方は……って絹江さん?」
「嘘……エイフマン教授じゃない。確か謎のMSに拉致されたって」
「こんな美しいお嬢さんにまで名前が知られているなんてな。有名人の役得じゃな。初めまして。儂はレイフ・エイフマン。訳あってここに協力しておる」
「こ、こちらこそ。あえて光栄です。私は絹江・クロスロードです。マサユキさんの後輩で記者をしています。」
「そう気負わんでいい。これからここにいるのならたびたび顔を合わせることになるじゃろ。これからよろしく」
「こちらこそよろしくお願いします!」
「では。ああ、マサユキ。あとでお前に話がある。結構重要なことじゃ」
「わかりました。あとで伺います」
そうして教授は格納庫のほうに向かっていった。話とはなんだろう。……そういえばハレヴィ家からの支援が決まってから教授は何かいろいろしていたような……そのことかな?そう考えていると背後から肩をつかまれた。
「マサユキさん、全部話していただけるんですよね?」
「あ、うん。全部話すよ」
そうして俺は教授に伝えたように自分のすべてを伝えた。話始めると絹江さんは真面目に話を聞いてくれた。俺は内心信じてもらえるかどうかひやひやしていた。
「まさかマサユキさんがこんな秘密を持っているなんて思いもよりませんでした。それに人類統一にイノベイダー、宇宙生命体ELS……人類統一は想像はできたけどそれ以外は途方もなさ過ぎて想像できません……」
「信じてくれるの?自分で言っておきながらなかなか信じられることじゃないと思うけど」
「赤の他人ならともかく自分が好きになった人がいうことですよ。信じます」
「そ、そうか。良かったよ」
面と向かって好きと言われると照れるな……違う違う、それよりも聞きたいことがあるんだ。
「どう?こんな秘密を持っている人でもまだ好きでいてくれる?」
「別に秘密なんて誰でも持ってることですよ。まあ、マサユキさんの秘密はとてつもなく大きかったですが……そんなことでは嫌いになることはないです」
「じゃあ……今度は俺からお願いするよ。俺の恋人になってくれないかな?」
「……!はい!」
こうして俺たちは結ばれた。まあこれからが大変なんだけどさ。とりあえず数日の間はイチャイチャしてもいいよね?
決めました……今度新しい小説書くときは恋愛描写は入れないようにしようと。なんでみんな出会い→発展→告白→二人は幸せに、の流れをあんなにうまく描写できるんだ……こちとら無理やりですよ!話の展開壊れちゃう!
次回からは恋愛してる暇は無くなります。この後の一期の展開がかなりの駆け足だから仕方ないね。あと二期では宇宙世紀のMSを何とかOOの世界で再現したものを一機だけ捏造しようかと思います。その機体はまあ後々救済する人物に乗ってもらうんですが多分非難くるだろうなあ……キャラクターの乗っているMSのイメージが違うとか。
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一二話
「マサユキさん、それでいつになったら私達は元の生活に戻れるの?」
「そうだなぁ……」
あれから数日、絹江さんがそんなことを聞いてきた。あ、恋人になった際に敬語はやめてもらいました。せっかく恋人になったんだしどうせならと思ってさ。あれから俺たちはずっと一緒にいるようになった。今までお互いに溜まっていたものを吐き出すかのようにずっとイチャイチャしているのだ。まあ、それは今は置いといてと。
「あと数年は難しいかな」
「それってやっぱりこの前話してくれたアロウズっていう治安維持部隊のせい?」
「まあそう思ってていいよ。正確には前に話したイノベイドを倒さなきゃならないんだけど……俺達の仕事の性質上いつ冤罪かけられて逮捕されるかわからないからね」
「そうなることがないようにマサユキさんはソレスタルビーイングに協力してのよね?」
「初めはそうだったかな」
「初めは?」
「そう初めは。この世界に来たときは。けどこの世界で暮らしていくうちに俺はこの世界の様々な人と知り合いになった。そうした人たちがもしかしたらアロウズに捕まってしまうかもしれない。そうなることが嫌だなって思ったから俺はソレスタルビーイングに協力することにしたんだ。そしてさっさと世界を変える。これが今後の目標かな」
それとあとはニールを助けることかな。あいつはこの世界でできた初めての友達だ。むざむざ死なせはしない。ELSに関しては俺も協力できることがあればするけどたぶん俺の出番はないだろうな。ザンスパインはあんな大量の相手ができるような機体じゃないし。
「そう……」
「ん?なにか納得いってないような感じだね」
「それはそうでしょ?誰が好き好んで死ぬかもしれないことを恋人にやらせたいと思うの?」
「……ごめん。でも」
「でもあなたはそれをやりたいんでしょ?だったら私はあなたのやりたいことを私のやれることでサポートするだけよ。あなたが私にしてくれたみたいにね」
「絹江さん……!」
「きゃ!ちょ、ちょっとマサユキさん?!」
俺は絹江さんの発言に嬉しくなって絹江さんを抱きしめていた。
「ありがとう、俺のしたいことを尊重してくれて……」
「当然のことじゃない。だからあなたは絶対帰ってきてね?」
「うん、絶対帰ってくるよ。約束だ」
そうして俺達は見つめ合う。
「マサユキさん……」
「絹江さん……」
目を閉じる。このまま俺達はキスをするんだ。だんだんと近づく二人の顔……
「おっほん!」
その声が聞こえた瞬間俺達は即座に離れた。
「その、なんだ。いいところを邪魔してすまんがマサユキ、お主に連絡が入っておる」
「れ、連絡ですか?」
せっかくいいところだったのに……
「ここに連絡してくるとなると……ハレヴィ家ですか?」
「いや違う」
ということは……
「ソレスタルビーイングじゃ」
「お久しぶりね、蛇の足のリーダー。」
「ああ、本当に久しぶりだな。あと俺の事は適当にマサとでも呼んでくれ。そっちのほうが呼びやすいだろう?」
「ではそうさせてもらうわ。Mr.マサ、そちらの状況はどうなっていますか?」
「状況といってもこちらは何もないよ。エイフマン教授を返して今から各国に投降しても無駄かなって思う今日この頃かな」
「ではそちらに新MSの部隊の襲撃はされてないようですね」
「とするとそちらはされたってことか。被害は?」
「何とか撃退はしたけど今後は難しいでしょうね」
「だろうね。下のガンダム達も苦戦をしているようだ。それで?まさかそれを報告するためだけに連絡してきたわけじゃないだろ?」
救援要請かな。ニールを助けるために宇宙には絶対上がれるように昔から用意はしていたけど。
「ええ、そのとおり。地上に残っているガンダムと国連軍との間に武力介入を行います。あなたにはその武力介入の手助けをしてほしいの」
なるほど。刹那のバックアップをしてほしいのか。まあいいだろう。下の二人はともかくヨハンは今後組織に入れようと思ってたからちょうどいい。スメラギさんにいわれるまでもなくそろそろ助けに行こうと思っていたところだ。だけどその前に聞いておくことがある。
「一つだけお聞きしたい」
「何でしょう?」
「介入した後あの三機のガンダムはどうするつもりなんだ?」
「私達は武力介入を行うだけよ。そのあとのことは当人たちで解決してもらうしかないわ。こっちも正直手が一杯だからね」
それならこっちの好きなように動けるな。よし。
「ならいいですよ。そちらの手助けをします」
「ありがとう。では彼らの現在位置を送るからその場所に向かってこちらのガンダムと共闘してください」
そうして通信は終わった。
「じゃ行ってくるよ」
「気を付けるんじゃぞ。今や相手が全員太陽炉搭載機じゃ。フラッグなどとは比べ物にならん」
「わかってますよ。今は恋人もいます。絶対生きて帰ってきます」
「ほう、いいよるな」
そうして俺はザンスパインのコックピットに乗り込もうとする。
「マサユキさん!」
乗り込む前に絹江さんが駆け寄ってくる。
「絹江さん……」
「行ってらっしゃい。……これはお守りよ」
そういって絹江さんは俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
「絶対帰ってくるように。ここで待ってるわ」
そうして俺に恥ずかしがった笑顔を向けてくる。
「うん、絶対帰ってくる!それじゃ行ってくるよ!」
「さてと、座標によるとここら辺のはずだけど……ん?よく見ると戦闘始まってるじゃないか!」
遠くではツヴァイとアインが戦闘を行っていた。ドライはいないようだ。
「まずい!」
急にアインの動きが雑になりその隙をついてツヴァイの攻撃をもろに受けてしまう。そのまま動作が停止しているアインに向かってライフルを向ける。
「させるかぁ!」
その間に急いで入りビームシールドを起動させライフルを防ぐ。動作停止したアインはライフルの直撃を受けて爆散することはなく地表に落ちていった。
「てめぇは確か……こいつらと反発してたやろうじゃねぇか。いったいどういう風の吹き回しだぁ?」
「何、別に君の雇い主がこいつらを切り捨てようというなら俺がこいつを雇おうかなと思ってね」
「へ!捨てる神あれば拾う神ありってか?まあいい。あいつじゃ物足りなかったんでな。こいつの性能実験に付き合ってもらうぜぇ!」
そういって奴は俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。俺は片方のドライブを取り外しビームファンとして使えるようにし応戦する。これほんとに俺が一度戦ったのと同じ機体なのか?というぐらいミハエルが乗っていたころと動きが違った。やはりパイロットの差は大きい。某赤い彗星さんも言ってたしなぁ。MSの性能の差が云々って。時には切りあい、時には射撃を行う。一見対等に戦えているようだがそれは全く違う。上手く攻めることができずこちらは相手の攻撃を避けることしかできていない。
「避けんのは上手いが攻めるのはいまいちのようだなぁ!」
「暴力は嫌いでね!そういうわけでここはおとなしく引かせてもらえないかな?」
出来ればここでサーシェスを倒したい。そうすればニールを殺す存在はいなくなりあいつは生き残ることができるはず……だが俺一人では無理だ。俺もシミュレーションをやってそこそこ強くなったつもりだがやはりまだまだ力が足りない。せめてピットが使えさえすればまだ違うはずなんだが……ファングと違ってこっちは大気圏内では使用できない。
「じゃあその機体置いてけよ!ガンダムでもいいがそいつでも戦争のしがいがありそうだぁ!」
GNバスターソードとビームファンがかち合い閃光が走る。
「お前になんか誰が渡すか!これは俺の機体だ!」
くそ!このままじゃ時間の無駄だ。ヨハンを連れてさっさと撤退するか……いや目の前の奴が簡単に撤退させてくれるとは思えない。
そんな時だった。俺たちの戦闘に割って入る奴がいた。ツヴァイめがけてビームが走る。
「ちっ!」
サーシェスはすぐさま俺から離れそれを回避した。
「すまない、遅れた」
エクシア……そうだ。俺はこいつのサポートするはずだったな……もっと早く来て欲しかった……
クリスマスは一人寂しく小説を書くものだと私は信じています。
酒に酔った勢いで書いたので誤字あるかもしれません……はあ……一人は寂しいよ……
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一三話
「それでこれはいったいどういう状況なんだ?見たところトリニティの仲間割れに巻き込まれたように見えるが」
「あー……違うんだよ。もうあのツヴァイに乗ってるのトリニティじゃないんだよ」
「何?それはどういう」
「邪魔すんなよ!クルジスの小僧が!!」
「アリー・アル・サーシェス!?何故貴様がガンダムに!!」
さてどうしたものか……このまま刹那と一緒に戦っても勝てるかどうか微妙なところだろう……まだこのころの刹那はサーシェスを倒せるような実力をもっていなかったはず。イオリアの爺さんが殺されてトランザムが発動するまでの時間もわからない……なら、よし、決めた。
「エクシアのパイロット、聞こえるか?……っておい!待て!」
返事もせずにエクシアはツヴァイに向かっていく。
「なんだぁ!?先にやられてぇのか、クルジスの小僧!」
「貴様のような男が、ガンダムに乗るなど!」
そのままエクシアとツヴァイは俺をそっちのけで戦闘を開始する。……えい。
俺はツヴァイの隙を狙ってビームライフルを撃つ。が、あっさり躱されてしまった。なんであいつこっちをろくに見てないのに避けれるんだよ……ここはヨハンを連れて撤退させてもらおう。どうやらサーシェス一人だけのようだし少なくとも刹那がここで死ぬことはないだろう。俺がいてもいなくても特に問題はあるまい。
「エクシアのパイロット、こちらはスローネを連れて撤退させてもらう。あとは頼んだ」
撤退している間にもサーシェスは撃ってきたけどさすがに刹那がしつこく絡んでたから無事撤退できた。
「ほれ、ヨハン。降りるぞ」
「私達は……私は……」
「あー、これはかなりきてるな……」
母艦に戻った俺は、コックピットからヨハンを連れ出した。彼はサーシェスに知らされたガンダムマイスターではなくただの黒幕の駒だったという事実にかなりショックを受けているようだ。
「おかえり、マサユキさん」
「ただいま絹江さん」
「その人は……ってガンダムのパイロットよね?思ったより若い……もっと年がいってると思ったわ」
「まあ、こいつもいろいろあるんだよ。今はちょっとショックを受けてるから寝かせといてやってくれ」
「わかったわ。またすぐ出るんでしょ?今度も無事帰ってきてね」
そういって絹江さんはヨハンを船室に連れて行ってくれた。それと入れ替わってエイフマン教授がやってきた。
「まさかガンダムを連れて帰ってくるとは思わなかったぞ」
「これからのことを考えると戦力は欲しいですからね。それに教授の願い事もありましたから」
「まだ本体の完成に時間がかかるからそこまで急ぎはしなかったのじゃが……せっかくの機会じゃ。ソレスタルビーイングのガンダムがどんなものか調べさせてもらおうかの」
「ご自由にどうぞ。では俺はすぐにここを出て軌道エレベーターに向かい宇宙に上がります」
俺はハレヴィ家に頼んで宇宙に上がるために軌道エレベーターでの工作を頼んでいたのだ。これで刹那より早く宇宙へ上がりロックオンの援護に向かうことができる。途中でサーシェスが出てきても二人で倒せるだろう。
「ああ、それなんじゃがな。ダメになった」
出ていこうとすると教授が何食わぬ顔をしてそんなことを言ってきた。
「はっ?」
ふざけんな!その思いが俺の中でいっぱいだった。
宇宙での国連軍の作戦が終了するまで軌道エレベーターの運航を停止することになったらしい。そんな予定は本来なかったのだが……原因はエクシア。あれが地球に降りたからだ。国連軍はエクシアを宇宙へ上がらせないために軌道エレベーターの運航停止、それに加えてMSを積むことができ宇宙へ打ち上げることができる施設の完全封鎖を起こったのだ。まずは宇宙のソレスタルビーイングを排除してその後単騎になったエクシアを撃破する計画をたてたらしい。
そんな情報を知らさせれて絶望していた時にさらに嫌なことがおこった。原因であるエクシアから通信が入ったのだ。なんでもツヴァイを撃退したらしい。そして30時間後には宇宙へ上がると。
このままではまずい。いやまずいなんてものじゃない。つかふざけんなよ。今通信入ったってことはあの後トランザム発動してすぐ戦闘が終了したということだろ。それならそのまま俺もいて一緒にサーシェス倒せたのでは?そうすればロックオン死ぬ原因消えて生き残るのが確定したんじゃ……くそ!……まあ仕方がない。済んだことを考えるのは無駄だ。それにもしサーシェスがいなくてももしかしたらあいつは別の要因で死んでしまうかもしれない。俺が直接出向いて行って無理やり死ぬ場所である宇宙から連れ出さなければ……
ツヴァイは最寄りの軌道エレベーターに向かって国連特権でさっさと宇宙へ上がるだろう。そして宇宙ではソレスタルビーイングを排除する作戦が始まる。間に合わない。エクシアと一緒に宇宙へ上がることも考えたがそれではロックオンの助けることなんてできやしないしなによりエクシアを乗せる強襲用コンテナはMS一機しか載せられない。
このまま俺は何もできないのか……いや……いや!何かあるはずだ。考えろ……実現可能な大気圏離脱方法を。
……仕方ない。
「大丈夫か?」
「はい何とか!」
現在、大気圏離脱を試みている。かなりきついがギリギリ耐えれるレベルだ。……結局俺は悩んだ末に当初考えていた方法を使うことにした。
「機体は?」
「えっと……大丈夫です!」
そう、ザンスパイン単体での大気圏離脱だ。ミノフスキードライブは理論上なら亜光速まで加速が可能だ。なら大気圏離脱も可能じゃないか。漫画では確かミサイルを使いビームシールドを展開して宇宙に行くシーンがあった。……可能なら安全に軌道エレベータを使って行きたかった。漫画ではすげえって思うけど実際に自分がそれをやるってなるとやっぱり怖い……けどもうこれしかロックオンを助けるためには方法は無かった。
掛かる重力に必死に耐えていた。そうしていると急にのしかかっていた物が急に消え去った。
「まさか本当にMSで大気圏を離脱するとは……」
教授の声から無事離脱できたことがわかる。
「これが……宇宙」
前世でも今世でも宇宙に来たことはなかった。重力から解放される感覚は俺にとってなんとも言えない解放感をもたらした。……だけどそれに浸っている場合じゃない。すぐさまスメラギさんに連絡を取る。
「こちらマサ、現在宇宙にいる。援軍にきた。ソレスタルビーイング、そちらの状況と座標を教えてくれ」
「Mrマサ!?援軍って……それにどうやって宇宙に……いえ、今はそんなことを言っている場合ではないわね。現在こちらは国連軍との戦闘中よ」
「もう始まっていたか!すぐにそちらに向かう!」
「待って!こちらは何とか持っているから大丈夫よ!それより今から送る座標にすぐに向かって!そこにいる機体の援護をお願いするわ。あなたが一度見たことがある機体だからすぐにわかるわ」
一度見たことがある機体!発進していたか……!
「どこだ……どこにいるんだ?!」
全力で座標に向かう。急がなければニールが死んでしまう。……!ビームが飛んでくるだと!
とっさに回避する。
「交戦してる暇なんかないのに!こんなところで!」
すぐさま撃ってきた方向を見る。
「ほう、こいつはおもしれえ……あの時はクルジスの小僧の相手をしてやってたから逃がしてやったが今度はにがさねぇぞ!えぇ!」
そこには銃口をこちらにむけたツヴァイがいた。
本来考えていた話の流れからずれてきている……ミノフスキードライブ搭載機に大気圏離脱能力があるかどうかは調べても出てこなかったのでオリジナルです。クロスボーンの漫画を見るとできそうだとは思うのですがどうなんですかね?
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一四話
ついてない……いや逆についているのか?こいつがまだいるってことはニールは生きてるってことだ。……いや安心するのはまだ早い。確かにまだ生きてるけどデュナメスから降りた時点でかなりの怪我を負っていたはず……すぐに見つけなければまずい。
「よそ見してる暇があんのかぁ?!」
ツヴァイが切りかかってくる。ビームファンを起動し応戦する。しかし俺はおかしなことに気づいた。確かアニメじゃここでツヴァイはバスターソードを失っていたはず……鍔迫り合いをしてる間に相手の状況を確認する。見る限りわかることは片腕破損のみ……ファングも切れているようだ。
「勝てると思ってるのか?そんな状況でぇ!」
「おうよ!下で戦った時に腕は大したことないってわかってるからなぁ……片腕ありゃ十分よ!」
「くっ!」
隙をついて蹴りを入れてくる。一旦距離を離そうと牽制にビームライフルを放つがバスターソードで防ぎながら距離を詰めてまた切りかかってくる。
「ほらほらどうしたぁ!こっちは手負いだぜぇ?」
なめられている……まあ仕方ない。所詮実戦もろくに経験していない素人だ。MS戦のセオリーなんて知らない。ただシミュレーションをやれるだけやった経験とニュータイプの勘と機体性能を頼りに戦っているだけだ。もし同じ機体で戦っていたら当然勝てないだろう。しかし……
「そんなに余裕ぶっていてもいいのか?」
「なに?」
「地上で戦ってた時がこの機体と俺のすべてと思わないでもらいたい!」
俺は力任せにビームファンをなぎ払って距離を取り新しい武装を起動させる。
「行け!ティンクル・ビット!」
両肩から射出されたビットは奇妙な軌跡を描きながらツヴァイに向かっていく。
「っ!ファングか、そんな武器を隠し持ってたなんてなぁ……だがよ」
ビットから放たれるビームをツヴァイは器用に避けていく。
「狙いが正直すぎじゃねぇのか!?」
「……いやこれでいいんだ」
ビットは俺の脳波に正確に従ってツヴァイを追い立てているが元からビットが当たるとは思っていなかった。相手が人外じみた技量の持ち主だし。このままいけば隙をついてツヴァイは俺にまたきりかかってくるはず……
「そらいくぞぉ!」
やはり!俺はツヴァイが横に逃げられないようにビットから照射ビームを放つ。そしてさらに向かってくるツヴァイに向けて最後の武装を放った。
「ビームストリングス!」
回避行動はとらせない。防御させるように仕向けた。
「ライフルでも撃ってくると思ったが……なんだぁこの武器は。こんなものでおれをやろおって思ってたのかぁ?」
ツヴァイはこちらの考え通り防御してくれた。
「そのとおりだ!くらえ!」
「ぐあぁぁぁぁぁ!一体何が?!」
俺はビームストリングスを起動する。その瞬間紫電が走り激しい電撃がツヴァイを襲った。この武装は電撃を浴びせることにより機体、そしてパイロットにダメージを与えるものだ。いくらサーシェスといえどこれを食らえば無事ではすむまい。
ある程度電流を浴びせたところで解除する。ツヴァイは沈黙しているように見える。適当に撃ちまくった上に最後の照射でエネルギーが切れてしまったビットと一緒にビームストリングスも機体に戻した。その瞬間だった。咄嗟にビームシールドを張る。
「へっ……完全に……隙をついたと……思ったが……」
「まだ動けるのかよ……ほんとおかしいな」
危なかった。もしニュータイプの力がなかったら攻撃を察知することができずに死んでいただろう。
「まだだ……まだ俺は……戦えるぜ!」
再度バスターソードを構えてこちらに踏み出してくるその瞬間だった。
ツヴァイの下半身が消え去った。遠距離からのビーム射撃によって。一瞬何が起こったのかわからなかった。しかしすぐに誰が撃ったか思い当たりすぐさま撃ってきた方向へ機体を走らせる。
「生きていてくれたか……良かった……」
破壊されずに残っていたGNアームズのビーム砲の上にあいつはいた。近づいてコックピットをあけそいつを収容する。
「大丈夫……じゃないな」
「おまえは……」
「何も言うな。……まずいな。傷が酷い……おい意識をしっかりもってろよ!」
俺は急いでスメラギさんに連絡をする。
「こちらマサ、応答してくれ!」
「Mrマサ!良かったわ!今すぐにその宙域でパイロットを探して!こちらのガンダムのパイロットがその宙域にいるはずなの!」
「それはもう収容している!だがかなりまずい状態だ。すまないが俺はこのまま地球に降りる!そうしなければ助からない!」
「MSで大気圏を突破するなんて無茶よ!それにプトレマイオスには整備された治療設備が整って」
「この機体ならできる!それにな、もう少しでそちらには国連が大型MAと一緒に再度攻撃を仕掛ける!そっちに連れて行ってもすぐに脱出させなければいけない!あなたたちの艦ではもう逃げ切ることはできないからすぐに脱出の用意をして脱出するんだ!」
必要なことを伝えると俺はすぐさま地球に向けて進路を取った。すぐに治療できるようにエイフマン教授に連絡を取る。
「教授?これから地球に帰ります!重体の人物がいるのですぐに治療ができるようにしておいてください!」
「無事じゃったようだな。了解した。治療ポッドの準備をしておく」
俺は全速力で地球に帰っていった。
「死ぬなよ……ニール!」
「教授!すぐにこいつを!」
「あいわかった。準備はできておる。すぐにスーツを脱がしてこの中にいれるんじゃ」
指示通りにパイロットスーツを脱がしすぐにポッドに入れる。
「これでとりあえずは大丈夫じゃ。疲れたろう?あとはわしに任せておけ」
そういってエイフマン教授はポッドを別の場所に運んでいった。
「無事に帰ってこれたのね」
「絹江さん……うん、何とか帰ってこれたよ」
絹江さんがこちらに向かってくる。俺も近づこうと一歩踏み出した瞬間崩れ落ちそうになるも絹江さんが慌てて駆け寄り支えてくれる。
「大丈夫!どこか怪我とかしてたの?!」
「……ごめんね?心配かけちゃって。大丈夫……だよ。ちょっと疲れが……」
「良かった……とりあえず部屋に連れていくわ。今日はもうやすみましょう」
絹江さんに連れられて部屋に行き、そのままベッドに入る。
「おやすみ、マサユキさん……」
もうそろそろ一期が終わる……遠隔兵器描写難しい……アニメじゃツヴァイはロックオン撃破後片腕バスターソード損失、すべてのファング全部ロスト(たぶん)してたのでそれではいくら主人公の腕がそんなに良くないことを知っていたとしてもビームライフル一つじゃ撤退するかなと思いバスターソードを持っていると捏造しました。他にもさらっと捏造してるかもしれませんが許してください……
閲覧、感想ありがとうございます。
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一五話
「そんな……ロックオンまで……」
話し合いが始まった直後だった。あれから何とか脱出できたもののこっちは死んだ奴が一人、重傷者二人、行方不明者三人。それだけでもあいつにとっちゃこたえるのにここでさらに追い打ちときた。
「すまない……なんとか助けたかったんだが……傷が深すぎた……」
「そうか……ちょっと部屋を一つ貸してくれんか?いろいろありすぎてさらにこれだ。ショックで倒れちまう前に寝かせておきたい」
「了解だ。絹江さん、スメラギさんを休憩室に案内してあげてくれ」
傍に控えていた女性があいつを連れ出していく。
「何とか……ならんかったのか?」
「……すまない」
「そうか……」
こいつでも無理だったということは助けるのは不可能だったんだろう。あの後わしらもすぐに脱出することになったからあの状態でロックオンをこちらが収容しても満足な治療を受けさせることができずに死なせてしまっただろう。
「そちらは全員脱出できたのか?」
「いや……一人死んだ」
あの野郎……勝手に逝っちまいやがって……
「そうか……死んでしまったか……ん、一人だと?」
「ああ、といっても脱出できたうち二人は重傷だ。復帰は難しいだろう」
「そうか……良かった……」
「心配してくれるのは嬉しいんだが今後のことについて話そう……と、自己紹介してなかったな。わしはイアン、イアン・ヴァスティだ。よろしくMr.マサ」
「これから長い付き合いになるんだ。マサでいい」
「そうか、ならわしもイアンと呼んでくれ」
そうしてこれからのことを話し始めた。ソレスタルビーイングは身内の裏切りによって実質壊滅状態だ。かといってこのまま終わろうとはわしは思っていない。だがこれからはこれまでよりシビアだ。碌な協力が得られそうにないからな。そのために蛇の足とは協力関係を明確に結ぶことにした。
「これからはわしたちはいつたちあがってもいいように残ったメンバーで準備を行う。そこでお願いがあるんだが……蛇の足が持つMSを、データを見せてくれないか?」
現状で蛇の足が所持するMSは強力なものだ。GNドライブもついていないのにガンダムより上の性能を持っている。新しいガンダムに何か取り入られる技術があるのなら使いたい。
「そういったことなら専門家を呼んだほうがいいな。ちょっと待っててくれ」
そういってマサは電話を取り出した。
「ああ、教授。ちょっとザンスパインの事で話がしたいって……すぐ行くって?わかりました……すぐくるんでちょっと待っててくれ」
あの機体はザンスパインというのか……おっかない名前だ。それにしても教授って多分あのお方だろうな……待つこと数分。
「君の名前を聞かなくなったのでおかしいとは思っていたんじゃが……ソレスタルビーイングに協力していたとはな」
「エイフマン教授、お久しぶりです」
そうして握手する。
「え、二人とも知り合い?」
「ああ、といってもヘリオンが完成したときに会話したぐらいだが」
「懐かしいの……一見リアルドに似せたように見えて中身は完全に別物じゃった。……それで、MSに関してじゃったか?」
「はい、ソレスタルビーイングはもう一度立ち上がります。そのために新型を作るんですがその際に新しく取り込める技術があればと思いまして」
「そうじゃな……」
教授は一瞬悩む素振りを見せたがすぐに解決したのかこちらを向いた
「やめておいたほうがいい。それよりも新型のガンダムの強化に専念したまえ」
まあ、そうだよな。あのアドバンテージは易々と失いたくないだろう。
「別にこちらの優位がなくなることを懸念しているわけではない」
「じゃあ一体何を懸念しているんですか?」
「これを見て欲しい」
教授が差し出してきた紙には数字が書かれていた。
「これは?」
「あの推進器の再現に使った資金じゃ……一機しか作っておらんのじゃぞ?パトロンの支援金を使ってもまだ足りなくなっての……わしの資産もすべて出した。おかげでわしは文無しじゃ……」
そういって教授は遠い目をした。
「さらにじゃ……それだけの資金を使っておきながらいまだにあれを再現出来ておらん……だがいずれは完全に再現して見せよう」
あの教授がこれだけの資金を使っても再現できないものなのか……確かにそれなら新型の性能向上に力を入れたほうがいいな。未知の技術には惹かれるがそれを研究していて解明できずに新型が完成しなかったら大変だ。それに資金的な問題もある。……四機分作るのは今のソレスタルビーイングには不可能だろう。
「……わかりました。ではわしは新型に専念することにします。マサ、これから頼みたいことがあったら連絡する。これからよろしくな」
そうして話は終わり、わしはスメラギを連れて帰った。
「それではわしはまた実験に入る」
そういってエイフマン教授は格納庫(という名の実験場)に向かっていった。俺はというとそのまま医務室に向かった。
まさか死人が一人だとは。誰が死んだのかは聞いていないためわからないが本来四人の所を一人まで減らせたのだ。避難を促したかいがあったというものだ。
医務室に入り、治療ポッドのそばに近づく。
「ごめんな。お前を死んだことにしちゃったよ。けどそれはお前のためでもあるんだ。……まあお前の事だからそれについて怒るんだろうけど……けどそれでもお前には生きてて欲しいんだよ。この世界に来て初めての友達だからさ……だから早く起きろよ、ニール」
~二年後~
「ではこれより試作兵器実験を始める。マサ、起動するんじゃ」
「了解です」
GNドライブを起動させる。そしてさらにミノフスキー・ドライブを起動させる。各噴出孔からミノフスキー粒子が漏れ始める。このまま限界まで起動させ続けるのだ。
「ヨハン、どこかに異常はないかの?」
「現状、各噴出孔に問題ありません。今までで一番いい結果がでています」
「そうか、ではマサ。そのまま限界まで起動し続けてくれ」
「了解です」
起動すること15分。ついに限界がやってきた。それと同時にミノフスキー・ドライブの展開を終える。
「これが限界か……これにて実験を終了する。ヨハンは後で起動中のデータをまとめて出してくれ」
「わかりました」
ふう、やっと終わった。コックピットからいそいそと出るとエイフマン教授が出迎えてくれた。なんだか申し訳なさそうな顔をしている。
「すまんな、マサユキ……完全に再現できるといっておきながら結果はこれじゃ……」
「大丈夫ですよ教授。ザンスパインに負けない十分に強力な機体ですよ」
「ありがとう……だが技術者としては納得できんのじゃよ」
そういって彼は格納庫から出ていった。入れ替わりに絹江さんとニールが入ってくる。
「おかえり、絹江、ニール」
「ただいま、マサユキ」
お互いに近寄って軽く抱きしめあう。
「ヒュー、いつもあついねぇ。お二人さん」
ニールが茶化してくるがそんなものはどうでもいい。好きな人と一緒にいられるのに何で遠慮しなければならないのか。
「それにしても……ようやく完成したのか」
「ああ、やっとだ」
絹江と離れニールと向き合う。
「これからニールにはこの機体に慣れていってもらう」
「可変機をまさか俺が動かすことになるなんてな。アレルヤにどんな感じか教えてもらっといたらよかったぜ」
目の前にある本来なら存在しないはずのMSを眺める。
「名前はもう決まってるのか?」
「ああ、決まっている」
そう、このMSの名前は……
「本来なら存在しない機体……ファントムだ」
これにて一期終わりです。長かった……いろいろ突っ込みたいところはあると思いますが許してください(いつもの)
当初はクリスもリヒティもうまいこと助けて蛇の足の一員にしようと思っていたのですが……その……私の文章構成能力の問題で助けることができなくなってしまって……生き残っているのはその名残です。といっても作中では多分もうでません。怪我がひどすぎるので。あとイアンさんの口調がわからない……一応主人公にはタメで教授には敬語です。教授と知り合いというのは捏造です。あながち面識あっても不思議じゃないと思うんですけどね。
そして宇宙世紀の機体で捏造しようとしていた機体はファントムでした。……例のごとく趣味です。だってかっこいいんですもの。さすがに技術系統が全く違うにも関わらずに教授が完全再現させたらチート過ぎだなって……まあ違うのに二年でそこそこ再現できる時点でチートかもしれないけど。ロックオンははたしてこの機体になれることができるのか。デュナメスと全然違うのに。ロックオンにこの機体は合わないんじゃとお思いの方がいるかもしれませんが堪忍してください。近接でサーシェスと戦えていたなら可変機だって行けると信じてます。(関係なし)一応武装はGNスナイパーライフルIIとフレイムソード×2 を予定しております。あと完全にクロスボーンガンダムのファントムと同じというわけではありません。設定に関しては下に記します。本小説では漫画のようなかっこいい描写を活字で表現するのは難しい。みんな、クロスボーンガンダムゴーストを買ってファントムの勇姿を見よう!
今後は閑話(ロックオン、ヨハンの話)を書いて二期を始めようと思います。閲覧、感想ありがとうございました。
機体解説
ファントム
クロスボーンガンダムゴーストに登場するMS。この世界での変更点は動力、可変形体、武装である。まず動力に関しては熱核融合炉からGNドライブへ。次に可変形体は製作者がエイフマン教授ということもありフラッグ式(あそこまで細くはなく大体原作ファントムと似たような形でフラッグのように、想像力でカバーお願いします)に武装はGNスナイパーライフルIIとフレイムソード×2 。トランザムは秘密。
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閑話 ヨハン
「初めてだな。面と向かって話すのは」
「……」
き、気まずい……
宇宙から地球に戻りひと段落ついたころに、俺は助けたヨハンの様子を見に来ていたのだが、彼はひどくやつれているように見えた。それも仕方のないこと。なんせ世界を変えるためのガンダムマイスターとしての宿命を背負い生まれてきた事を信じて与えられた任務を実行していたところに実際はただの道具に過ぎなかったことを知らされたのだ。
「あー……その、とりあえず生きててよかったよ」
「生きてて……よかった……?」
ヨハンの目が俺をとらえる。
「私は……あのまま死ぬべきだったのだ……この身はガンダムマイスターとしてではなく……ただの都合のいい道具だったのだからな……なぜ私を助けたのだ?私を利用するためか?それともガンダムが欲しかったのか?」
「利用って……云い方悪いな。手伝ってくれるんなら手伝ってほしいけど嫌っていうのなら別に無理強いしないよ。ガンダムは……別にどうでもいいかな。あ、太陽炉は欲しいけど」
「ガンダムではなく太陽炉だと?それに手伝うとはいったい……」
「んー、じゃあ最初から説明していこうか。まず俺はお前を助けたかったから助けた」
そういうとヨハンの目は驚愕に開かれた。別にそんなおかしなことは言っていないと思うのだが……
「信じられない……なぜ私をよく知りもしない者が……敵対行為までしたようなものが助けたいと思うのか……利用したがっているようにしか思えない」
あー、そうか。確かにヨハンの視点からすると俺は唐突に表れたイレギュラーで自分たちの作戦を妨げた人物だ、そのうえ碌にコンタクトもとっていないどんな人物かも知らない。それなら俺が利用するために助けたとしか思えないだろう。
「信じられないかもしれないけどさ、お前のことは前から知っていたんだよ。お前たちが動き出す前から」
「嘘だな……私達トリニティの情報は極秘裏に扱われていた。ソレスタルビーイングのメンバーにも知らされないほどに」
「まあそうだよなぁ……けど知っていたからこそお前だけは助けたいと思ったんだよ」
「……」
「別に知らされるまでは自分が道具とは思っていなかったんだろう?」
「ああ……だが実際は……」
「ガンダムマイスターとして世界を変革するために闘ってきた。誇りをもってね。その事実があったからこそ俺は助けたんだよ」
あの弟や妹のような性格だったら絶対助けてなかったね!
「……ありがとう……少しは救われたよ……」
「ちょっとは元気になってくれたようでなにより。それで?これからどうする?」
「そうだな……まずはあれからどうなったか教えてくれないか」
というわけで手っ取り早くこれまでのことを伝えることにした。ソレスタルビーイングの壊滅、ヨハン達を操っていた黒幕、大使の死亡。
「な、なぜ私達を操っていたものが死んだのだ?」
大使の死亡について理解が追い付かないのか理由を俺に聞いてきたのだど……
「MAで出撃してソレスタルビーイングと相打ちのような形で死んだよ」
それを聞くと信じられない様子だった。
「なぜ自ら出撃を?そんなことをしなくてもそのMAを各国の兵士に扱わせればよかったのでは?」
その疑問はもっともだ。セルゲイさんあたりにでも使わせておけばもっと国連軍の犠牲者を減らしつつソレスタルビーイングの壊滅に持って行けたと思うんだが……
「なんというか……どうも自分で始末をつけたかったみたいで」
そうして俺は大使の野望やイオリアに対する考え方をヨハンに説明する。あとついでに大使も操り人形だったことを言うとヨハンはそんな人物に私は作られたのか、と嘆いている様子だった。
「決めたよ。私は貴方の手伝いをしよう」
立ち直ったのかヨハンはこちらを向いてそんなことを言ってきた。
「いいの?」
「ああ。私で良ければ」
「歓迎するよ」
そうして俺たちは手を握り合った。
「ああ、そうだ。ヨハン、スローネの太陽炉を貰うね。後々また新しく作るかどこかから強奪してくるかそれまでは待っていてくれ」
「そういえばガンダムは必要ないが太陽炉は欲しいと言っていたな……いったい何に使うんだ?」
「それは……完成してからのお楽しみだ。あ、別に無下に扱うわけじゃないから心配しないでくれ」
生存させたはいいけどヨハンの扱いに困っている作者がいるらしい……私です。ヨハンって他の二人より影が薄いかもしれないけどあの中じゃ一番まともでマイスターとしての責務を果たそうと頑張っていたのに殺されてしまったから何とか生き残らせてあげたかったんです……なんかご都合展開過ぎない?てかご都合展開だよね(主に仲間になる展開)と作者である私自身も思います。一応小説はそこそこ読んでいるはずなのですが……やはり小説をただ読んでいるだけでは文章力を鍛えることは難しいということですかね……
不定期投稿などとタグを付けておりながら最低でも月に一回は投稿をしてきた作者ですが今後はさすがに厳しくなってくると思います。まずパソコンが壊れました。これにより現状家で執筆作業が出来なくなり執筆する場合は近場のネカフェか大学へ向かわなければならなくなりました。さらに作者は今年から就活が始まりそちらにも時間を取る必要が出てきました。待っている方々には申し訳ありません。
閲覧、感想ありがとうございました。
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閑話 ニール
「患者が目を覚ましたぞ」
あれから二年がたった。それでも目を覚まさないニールのことを半場諦めかけていたが教授からそれを聞くと俺はすぐさま医務室へ向かった。扉を開けるとそこには回復したニールの姿があった。入ってきた俺の姿を見て目を見開いた。
「お前、もしかしてマサユキか?」
その言葉を無視してニールに抱きつく。
「良かった・・・・・・このまま起きないかと思った・・・・・・」
「マサユキ・・・・・・」
俺達は少しの間、お互いに話さず体を預けあった。
落ち着いた後に俺はニールに自分のことを全て話した。
「へえ・・・・・・まさかそんな秘密があったお前にあったなんてな」
「・・・・・・怒らないのか?」
「何をだ?」
「その・・・・・・家族のことだ」
俺は未来を知っていた。そのことを幼少期にニールに伝えていたら家族は死ななかったかもしれない。俺はこのことを伝えた時に殴られるんじゃないか、最悪殺されるんじゃないかと思っていた。ニールは家族を大事に思っていたから。
「ああ、それか・・・・・・別になにも思わないわけじゃない」
「なら・・・・・・」
「だがな、あの頃に言われても俺は自分がテロに遭うなんて信じられなかったと思うのさ。自分の周りは平和で家族は元気でお前や他のやつと一緒に成長していくんだと・・・・・・お前のことは信じられても子供心にそんなものは自分とは無縁で大丈夫だってな」
「ニール・・・・・・」
「それにお前だって子供だった。いや、精神的には大人だったかも知れないが回りはお前を子供だと思うだろう。大人に言ったとしても所詮子供の戯言、最悪の場合KPSAの耳に入って殺されてたかも知れないしな」
「・・・・・・」
「だからな、お前がそれを心配する必要はないんだ。俺は、お前やライルが平和に暮らしていけたらそれでいいんだ」
といっても、お前は平和とは程遠いこっちに入って着ちまったんだがな。そういって悲しそうな顔に笑みを浮かばせながら俺に顔を向けてくる。だが気を取り直し今後のことをどうするのかを聞いてきた。もちろん俺はニールを再び戦場に出したくはなかったのだが・・・・・・
「俺はまだ戦うぞ」
と、言われてしまう。
「だけどニール、俺はお前に死んで欲しくない」
「お前がそう思うように俺もお前に死んで欲しくねえんだ。それに俺が行かなかったらライルがマイスターになっちまうんだろ?」
確かにこのままニールがマイスターに戻らなければライルがマイスターになるだろう。ライルは最後まで生きてるから大丈夫だ!死ぬことはない!・・・・・・なんてことは決して断言できない。俺という異分子がいるんだ。その所為で最後まで生きている人たちだって死んでしまうかもしれない。死んでいる人が生きているように。
「俺はお前がマイスターに戻ってしまうほうがライルが死んでしまうように思うんだ」
「何?それはどういうことなんだ?」
「別にこれはお前に死んで欲しくないからそういっているわけじゃないことを念頭において聞いてくれ」
俺が思うにライルはこのままマイスターにならずともこれからの連邦の施政に疑念を持ち反連邦組織カタロンに入るだろう。そしてそのままカタロンに入っていたらいずれMSで戦う時がくるだろう。しかしカタロンにあるのは非太陽炉搭載MSである。太陽炉搭載MSとの性能の違いなどはニールが良く知っているだろう。それによしんばMSに乗ることがなくても反連邦組織に属するのだ。見つかって殺されてしまう可能性は十分にある。
「確かにあいつならそれに入るかもな・・・・・・俺がそれに反対すると尚更入りそうだ」
「だからこのままソレスタルビーイングに入れてしまったほうが危険かも知れないが安全だと思うんだ。もちろん俺が彼を死なせないように援護する。それにお前は目を負傷している・・・・・・これからの戦いは激しくなるだろう。そんな中に十全でないお前を送るわけにはいかない」
「・・・・・・そうかもな」
「なら・・・・・・」
「ああ、マイスターに復帰するのは諦めるさ」
「良かった・・・・・・」
これでニールは戦うことはない。しかしニールはそれでも俺は戦うことはやめないと言って来たのだ。
「まだ片方の目があるんだ。戦えないわけじゃない。それになマサユキ、これは俺達が始めたことなんだ。だからこそ俺だけ生きてるのに退場するわけにはいかない。あいつらだけに任せるわけにもいけねえんだ」
それを聞いてこれは無理だと思った。もし無理やりとめてもこいつは勝手に出て行ってしまうだろうと。
「・・・・・・」
「わかってくれたか?」
このままではニールは俺の元を去ってしまう。そうなるとこれからは本当に死んでしまうかもしれない。本来なら死んでいるのだ。これからどうなるかなんて誰にも分からない。だからこそ自分のそばにいて欲しい。しかしニールは最後まで戦いたがっている。その理由も分かる。できれば尊重したい。・・・・・・そうか!
「ああ・・・・・・」
「そうか、それで」
「だけど頼みたいことがあるんだ」
「・・・・・・何だ?」
「ソレスタルビーイングじゃなくて俺と一緒に戦って欲しい」
「お前と一緒に?」
「歪んだ世界・・・・・・いや、いまだとこれから歪む世界か。俺はそれを元に戻そうと思っている。俺はさ、この世界で暮らしていくうちに世界の様々な人と知り合いになった。そうした人たちがもしかしたら捕まってしまうかもしれない」
「俺達の、いやイオリアの計画を乗っ取ったイノベイドの手駒の治安維持部隊とかいうやつにか・・・・・・」
「そう。だから俺はソレスタルビーイングに協力することにしたんだ。そうすれば黒幕であるイノベイドも早く倒せるはず」
「それは・・・・・・そうだな」
「けど俺の組織は圧倒的に人員不足なんだ!」
リーダー兼戦闘員、俺。救護班、絹江さん。そしてオペレーター、救護班、整備主任、作戦考案、その他etc、我らがエイフマン教授である。教授の負担深刻である。まああまりにも負担がひどいからヨハンが助手になり多少ましにはなったのだが・・・・・・
「これからのことを考えるともう一人メインで戦ってくれる人が欲しいんだ。頼む!ニール、俺と一緒に戦ってくれ!」
そうして俺は土下座をした。本当は戦って欲しくない。けど意見は尊重したい。傍にいてほしい。それらを解決する案がこれだ。仲間になってくれれば俺がニールを守ることができるし、ニールは最後まで戦うことできる。そして少し問題になっていた人員不足も解決できる。完璧な案だ・・・・・・
「・・・・・・くくっ、いいさ。お前の仲間になるよ」
「本当!?」
そうして俺は勢い良く顔を上げる
「むしろ俺はそう頼もうと思ってたんだぜ?できれば俺もソレスタルビーングで戦いたいがあいつらと一緒に戦うのは無理だろう。俺の機体はライルが乗るしな」
「ああ、一応も4機のガンダムは開発されているけどそれぞれの搭乗者は決まっている」
ついでに言うとすでにクルーも決まっていた。なぜそこまで知っているかというと今後はソレスタルビーイングと協力していくために正式な同盟を組んだのだ。そのために向こうの情報も技術的なことはともかくある程度のことは知れるようになった。
「さっきの口ぶりからすると予備の機体があるんだろ?」
「ああ、まだ開発中だが・・・・・・」
「その機体に乗るさ。何、どんな機体でも相手を狙い撃って見せるさ」
そういって手で銃の形を作り俺に撃つ真似をする。
「・・・・・・ふっ、わかった。じゃあ回復したら機体を見に行こうか」
現状ニールは完全に動けるようになったというわけではない。これから数ヶ月はリハビリをしなければいけないだろう。
「そうするか・・・・・・ふー、さすがに起きてすぐに長話はきついか・・・・・・少し疲れちまったよ」
そういってニールは横になった。
「ああ、ゆっくり休んでくれ」
俺も部屋から出ることにする。
「マサユキ」
「ん?」
「ありがとな、助けてくれて」
「・・・・・・友達を助けるのは当たり前だろ?」
そう言って俺は部屋を出て行った。
「何だと!俺は向こうじゃ死んだことになってんのかよ!」
後日、自分が死人になってることにひと悶着あったのだがまあ何とか説明したら納得していただけた。
もっと上手く話しを書けるようになりたいと思う今日この頃です・・・・・・お久しぶりです。何でこんな雑なんだよ!もっと説得の仕方あっただろ!もうちょっと上手く書いて・・・・・・話の粗が目立つ・・・・・・などいいたい事があるかもしれませんが本当に申し訳ありません。作者の限界でございます。何度も言っていますがもっと上手く書きたいと自分自身思っているんですが小説書いてる暇も書く勉強する暇もない。だけど時折唐突に書きてえ!ってなる。そんな感じで今日も書いております。
さてこれにて完全にファーストシーズン終わりです。年内に終わらせることができてよかった・・・・・・ここまでお読みくださった方、評価をしてくれた方、感想を下さった方、まことにありがとうございます。これからも暇があれば書きたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
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