千の呪文の男の義息子!? (さむでい)
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プロローグ

さて、お久しぶりの方もいらっしゃると思います。ふじそーです。
前は、12月頃に更新再開すると言っていましたがそこが一番のピークでした......orz
くわえて、筆が進まない......

ってなことで、新しく小説を投稿します!
気晴らしがてら完結までいきたいと思います!


 魔法世界のある森林地帯では、ここ最近毎日大きな音が響いている。

 その原因というのが......

 

 

「避けねえと死んじまうぜ〜?いくぞ!オラァッ!!“千の雷”!!!」

 

 

 そう言って、とてつもない規模の雷を放つ男。

 

 

「ちょっ!?嘘やろ!?」

 

 

 そう言いながら必死の形相で避けようとする5歳くらいの男の子。

 その瞬間、子どもの周辺一帯に男の放った雷が着弾する。その場所にはさっきまでは無かった巨大なクレーターが作られており、その規模は未だ砂埃のせいで全て見えていないほどの大きさである。本来であれば、たかが5歳の子どもが雷系最大の呪文を生身で耐えられるわけもなく消し炭となるだろう。

 

 

「あちゃ〜、ちょっと強すぎちまったか?おーい!生きてるか〜?」

 

 

 男が声をかけるが返事はない。

 

 

「......え?嘘だろ?」

 

 

 男は最悪の事態を思い浮かべ、冷や汗でビッチョリである。そうしていると、次第に砂埃が晴れてきた。

 

 

「はぁ...はぁ...し、死ぬとこやった......」

 

 

 そこにはクレーターの真ん中で四つん這いになり、息を切らしながらも怪我一つない男の子の姿があった。

 

 

「お〜、無事だったか!はっはっは!さすが、俺が見込んだだけのことはあるな!」

 

「お前アホやろ!?どこの世界に5歳くらいのか弱い男の子に“千の雷”ぶちこんでくる奴がおんねん!」

 

 

 男の開き直り具合も凄まじいが、この男の子ただ者ではない......

 

 

「か弱いだ〜?どこにそんなガキがいるってんだよ?にしても、どうやって俺の魔法防いだんだよ?言っちゃあなんだがかなり本気だったんだぜ?」

 

「え?あぁ...こないだ習った“最強防護”でなんとかいけた。って俺はどう見てもか弱いやろ!」

 

「マジか!?お前もうそこまで魔法習得してんのかよ!?俺なんて5、6個しか使えないのによ〜」

 

「か弱いはけっきょくスルーかい......そこはほら。俺とナギとでは()()が違うから」

 

 

 そう言う男の子は、自分の頭を指差しながらナギと呼ばれた男を小馬鹿にする。

 

 

「ほほぅ...てめぇは言っちゃならねえことを......ぶちころ「阿呆かー!」ップゲラ!?」

 

 

 ナギが男の子に鉄拳制裁を加えようとしたその時、思いっきりビンタをくらい回転しながら吹っ飛んだ。

 

 

「主は阿呆か!いったいこれで何回目だと思っておる!?それに、対軍勢用の広範囲呪文を個人に放つどころか幼子に放つとは何を考えておるのじゃ!?」

 

 

 突然現れたと思ったらナギへの説教をし始めた女性。

 

 

「つつぅ...おいおい、何だよアリカ痛ぇじゃねえか」

 

 

 ビンタされた頬をさすりながら文句を言うナギ。自業自得である。

 

 

「いや、アリカさん。俺は本気やってて言うてたんやし、まぁそのへんに......」

 

 

 幼児にフォローされるナギ。なんとも情けない話である。

 

 

「ギンジは黙っておれ。今日という今日はこやつにガツンと言ってやるのじゃ」

 

「あ、はい」

 

 

 美女のひと睨みでギンジと呼ばれた男の子はすごすごと退き下がる。

 

 

「あ!?てめぇ裏切るのか!?」

 

「裏切るも何も主が悪いんじゃろうが!よいか?いつも主は...」

 

「あ、これ長くなるやつや。帰って体休めよ......」

 

 

 こうなってはしばらく説教モードは終わらないため、ギンジは拠点に帰るのであった。

 

 

「あ、ちょ、ギンジ!待てよ!ズリィぞ!っちょ、アリカ、タイム...アーーーー!!!」

 

 

 遠くで誰かの叫び声が聞こえた気がするが気のせいにして、ギンジは拠点へと向かうのであった。

 

 

「あ〜、腹減った。今日の晩飯なにかな〜?」

 

 

 これは、大戦の英雄に拾われた一人の男の子の物語......

 

 

「キレイに終わってんじゃね〜!!!」

 

 

 




と、いうわけで新しく始めました義息子の物語。

今回はギンジ君が主人公です。けっして奪還を生業にしている人とは関係ありませんのでよろしくお願いします。


感想、ご意見お待ちしております!


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1話

立て続けにもう1話いっちゃいます。
早く原作に入りたい!


 こんにちは、ギンジ・スプリングフィールドです。え?あの英雄と同じファミリーネームだって?そうです、奴の息子です。義理やけどね!

 3歳くらいの時に紅き翼連中に拾われまして、どうなったか知らんがいつのまにかスプリングフィールド姓を授かっておりました。

 実の父母?顔も知らねえwwwってなこともなく、強盗に入られた時に殺されました。ほんで、半年くらいワイルドな生活を続けてたら拾われたっていう感じやね〜。

 

 まぁ、変態特攻隊長ことアルビレオ・イマ曰く、魔法の才能に関してはトップクラスらしい。気に関しても少なくともラカンクラスは確実とのこと。......それ何て言うチート?

 それを聞いた馬鹿親父(ナギ)筋肉達磨(ジャック)は張り切って俺を鍛え出した。それからというものの、毎日が特訓の嵐、10歳にもなってないのに死にかけたことは軽く3桁......

 

 あれ?人生で死にかけることって1回あれば十分やない?え?それは一般の人だけ?俺は逸般?......はぁ、もう慣れたからええけども普通は考えられんよね。そんな感じで今まで過ごしてきました!あ、あとはちょっと前に義弟ができました!ネギって名前です、皆さん可愛がってあげてください!

 

 でも、そのネギも旅に同行させるのは危ないからって親父の地元に預けたらしい。ん〜、俺は危なくてもええんかな?そう考えると涙が......(お前はぜってー大丈夫だろ!by紅き翼)

 

 まぁ、そんなこんなでなんと明日は俺の10歳の誕生日です!はい、拍手!何かプレゼント用意してくれるらしいから楽しみである。プレゼントが欲しかったら早めに寝なさいと言われたんで、今日は早めに寝たいと思います。それでは皆さんグッナイ!

 

 

 

 

チュンチュン

 

「zzzzzzzz」

 

チュンチュン

 

「zzzzzzzz」

 

チュン!チュン!

 

「zzzzzzzz」

 

グルルァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

「おわぁ!?何や!?ん?鳥か......ビックリした〜」

 

 

 ギンジの朝は早い。......いつもは。

 今日は誕生日ということで、特訓は休みだと言われていたのでいつもよりグッスリ寝ていたようである。

 

 目を覚ましたギンジは顔を洗い、歯を磨く。そして朝食を食べようと皆が待つであろうリビングに行くとそこには誰も居なかった。

 

 

「あれ?誰もおらんやん。おやじ〜?おか〜ん?」

 

 

 両親を呼ぶも返事は無い。

 

 

「筋肉達磨〜?変態特攻隊長本〜?」

 

 

 他の仲間からも返事は無い。

 おかしく思いつつも、朝食が用意されているテーブルに目をやると紙が1枚と箱が3個置いてある。

 

 

「お?何や?書き置きやな」

 

 

 ギンジに残された書き置きを読むとそこには衝撃の内容が書かれていた。

 

 

『ギンジへ

 

 ちょっと敵さんとドンパチやってくるから、あとはテキトーにやっとけ!

 

 その拠点も、もう使わねえだろうし好きにしてもいいぜー

 

 あ、もし予定が無いんだったら旧世界の日本の麻帆良学園ってとこに行ってみな!

 

 P.S 箱はお前へのプレゼントだ!ありがたく受け取れ!

 

 

クールでかっこいい親父より』

 

 

 

「......は?はぁぁぁ!?」

 

 

 書き置きで済ますような内容ではなかった。

 

 

「いや、それなら直接言えばええやんけ......あの親父のことやし、面倒とかそんなんやろうな......」

 

 

 ぶつぶつ言いながらも、プレゼントでるあるという箱に手を伸ばす。

 

 

「さて、プレゼントてなんやろうな〜。いざ!オープンセサミ!」

 

 

 まずは1つ目の箱を開ける。中身は親父からのようだ。ギンジは発動媒体をねだっていたのでおそらくそういったものであろうと予想する。

 

 

「親父のはたぶん発動媒体やろな〜。紙にくるんだるこれやな」

 

 

 少しワクワクしながら紙を丁寧にはがしていく。

 棒状のそれは初心者の使う簡易的な杖であった。先端には星が付いている。

 

 

「え?マジで?え?ホンマに?」

 

 

 ギンジはそれを握ってみる。

 

 

「握ってわかる、やっすいやつやん!」

 

 

 もしかしたら、すごく高性能かもしれない......

 淡い期待を持ち呪文を唱える。

 

 

「シルバ・シルビア・シルバース“火よ灯れ”」

 

 

 そう唱えると、杖はギンジの魔力に耐えられずに木っ端微塵になる。

 

 

「使ってわかる、やっすいやつやん!」

 

 

 あまりの義父のアホさに思わず崩れ落ちる。

 

 

「まだや、まだ終わってへんで!あと2個もある!次のは...アルのか...アルのかぁ......」

 

 

 優秀な魔法使いではあるが、普段の行いのせいで全てを台無しにする男のプレゼントである。あまり期待するのは後のショックが大きくなるのでやめておくギンジ。

 

 

「アルのは何かな?ん?これは本か?レアな魔導書やったらええなぁ」

 

 

 キレイに包装されている布を開いていくと......

 

 

『これであなたもコスプレマニア〜初級編:スク水セーラー〜』

 

 

「“火よ灯れ”」

 

 

 何も言わず一瞬で灰と化した(ゴミ)

 にしても、スク水セーラーはかなり上級者向きではないのだろうか......

 

 

「アカン...マジで紅き翼終わっとる......」

 

 

 またもや、崩れ落ちるギンジ。ラスト1個は果たしてまともなプレゼントなのか......

 最後の1個を開けるギンジ。どうやらアリカからのプレゼントのようだ。

 

 

「頼む、オカン!オカンは唯一のまともな人!」(ギンジは詠春、ガトウ、タカミチとは会っていません)

 

 

 箱開けると小さな箱がもう一つ入っていた。

 

 

「ん〜、指輪?おぉ...おぉ!さすがオカン!大好き!」

 

 

 中身はギンジがずっと欲しがっていた発動媒体であった。ギンジは格闘も行うので邪魔にならないように指輪タイプという配慮まで行っている。さすが女王。これにより、ギンジのオカン尊敬メーターは振り切った。......どう考えても前2つのせいでハードルが下がっていることは否めない。

 

 

「にしてもジャックは何もなしかい。あの甲斐性無し男め」

 

 

 すさまじく不名誉なあだ名を付けられているラカン。哀れである。

 

 

「はぁ〜。また一人になってもうたな〜......ま、俺は俺で元気にやりますか。そのうち、皆にも会えるやろ!まずはどうしよかな...魔法世界でブラブラするか」

 

 

 そう言って、瞬動でその場から消えるギンジ。

 彼が魔法世界で一躍有名人になるのはまだ誰も知らない......

 

 

 




以上2話でした!
少し短めでしたかね。次からは一気に時間が進みます。

できれば、本日中に投稿したいと思います。
時間がある時になんとか進めます!では!


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2話

今回でかなり時間を跳ばし7年後になります。
ギンジ君17歳です。
ネギが麻帆良にくる少し前になります。

そういえば、最近ネギまのリメイク?版が出版されましたね。
内容は一緒ですよね、たぶんw
買おうかな......


 あの、両親や仲間達との衝撃的(?)な別れから早7年......

 その7年間は色々あった、両親が行方不明になったり、義弟の住んでいるところに悪魔が襲撃してきたり......義弟であるネギに関しては助けに行けず申し訳なく思っているギンジであるが、両親に関しては特に心配はしていなかった。あの親父が死ぬとは思えん。ギンジはそう思っていた。

 他にも魔法世界で色々やらかしているのだが、それはまたいずれ......

 

 そんなギンジ君(17)は、今、旧世界は麻帆良学園に来ていた。

 と、いうのも以前のナギからの手紙に書いてあったからである。8年間すっかり忘れていたようだ。魔法世界の現地妻ポジションの女性に、

 

「そんなに暇なら麻帆良に行ってみたらどうじゃ?」

 

 と、言われて思い出したのがきっかけらしい。

 そんな感じで、麻帆良に来たはいいものの学園長の居場所がわからないときた。

 

 

「ちょ、マジでここ広すぎん?こんだけ広いんやから案内板くらい出しといてほしいて......」

 

 

 麻帆良学園のあまりの敷地の広さにくじけそうになっていた。とりあえず、その辺の人に聞くと女子校エリアに学園長はいるらしいので目指すことにする。

 

 

「女子校エリアにおるって、スケベじじいかいな......」

 

 

 そして電車に揺られながら、その女子校エリアに到着する。今日は日曜日なので、遊びに街を歩いている学生が多いので道を聞く分には困らない。

 しかし、さっきから周りからの視線がすごい。それもそのはず、女子校エリアに男性がいたらすごく目立つのは当たり前である。くわえて、ギンジは身長185cmはあり、細身ながらも服の上からでもわかるくらい鍛えられた身体をしている。それだけでも十分目立つ理由になるのだが、ギンジはとても顔が整っていた。そのため、周りの女子生徒は気になって仕方ないのである。

 

 

「おおう...わかってはいたけど、視線がすごいな......早いとこ学園長のとこ行こ。っと、すいません。ちょっと道聞きたいんですけど?」

 

 

 気まずさからとにかく早く目的地に到着したいギンジは、ちょうどすぐそばを通りがかった女子に声をかける。

 

 

「はい?なんでしょう?」

 

「ごめんやけど、学園長室がどこにあるか教えてくれへん?」

 

「あら、学園長に御用ですか?」

 

「そんな大した用ではないんやけどな」

 

「では、案内致しましょうか?」

 

「ええの?どっか行くとこちゃうの?」

 

「いえ、ちょうど用事も終わりましたし帰るところでしたのでかまいませんよ」

 

 

 ギンジはその言葉に甘えることにした。

 

 

 

 

 道案内をしてくれている女子生徒は那波千鶴というらしい。ボランティアで行っている保育園からの帰りだったようだ。そして、まだ中学2年生らしい......ずいぶんとご立派な......どこがとは言わないが、ギンジの知る女性の中でもトップクラスのサイズであることは服の上からでもわかる。

 

 

「そうか〜、千鶴ちゃんはボランティアで保育園の手伝いしてんねや。えらいな〜」

 

「い、いえ。そんな...好きでやっていることなので」

 

「そんな謙遜せんでもええやん。ええことしてるんやし、もっと胸はりや?」

 

「あら、ふふふ。ギンジさんにそう言っていただけるならもう少し自信をもってみます」

 

 

 普段あまり年下扱いされない彼女は、ギンジから年下扱いされることに思いっきり照れていた。会って間もないのにも関わらずここまで親睦を深められるギンジのコミュ力は大したものである。そうこう話しているうちに、学園長室の前まで来ていた。

 

 

「お?もう到着かー。千鶴ちゃんと話してたらあっと言う間やったな」

 

「いえ、私もギンジさんとお話できてすごく楽しかったです。......あの、よれしければ千鶴と呼んでください」

 

「ん?そんな初対面の男に呼び捨てさせてええの?」

 

「普段ならこんなことはないんですが、ギンジさんになら大丈夫です。それに、またすぐに会えるような気がして...」

 

「そういうことなら遠慮なく千鶴って呼ばせてもらうな?休みやのに案内してくれて、おおきにな。また会えるとええな」

 

「はい!私も会えるのを楽しみにしてますね?」

 

 

 そう言って、千鶴は自分が住む寮へと帰って行く。麻帆良に来て数時間でフラグを立てるとは......ギンジ、恐ろしい子!

 

 

「っと、ここが学園長室か......ノックしてもしもーし」

 

 ‘どなたかの?’

 

 ギンジがノックをするとすぐに中から返事があった。

 

 

「失礼しまーす......ぬらりひょん?」

 

「ひょっ!?違うからの!?」

 

「え?ちゃうん?その後頭部はどうなってんの?レントゲン撮ってもええ?」

 

「ダメに決まっておるじゃろう!?」

 

 

 何かお決まりのような流れがあったが、気にせず話しを進める二人。

 

 

「それで、君はどちらさんかの?」

 

「あ、申し遅れました、ギンジ・スプリングフィールドいいます。どうぞよろしくぅ」

 

「ひょ!?お主、スプリングフィールドと言ったかの!?」

 

「ええ、ナギ・スプリングフィールドの息子です。義理の」

 

 

 そのファミリーネームに驚愕する学園長。自分の知るあの英雄と同じ名であり、息子だというのだ。しかも義理の。そこで、どういった経緯で息子になったのかを説明するギンジ。

 

 

「そうか、そのようなことが......大変じゃったの」

 

「ええまぁ。と、いうよりナギ...親父の息子になってからのが大変やったような気はしますけどね〜」

 

「それも含めてじゃよ。ふぉふぉふぉ。それにしても、彼奴に息子が二人おったとはのう......」

 

 

 

 そう言いながら髭を触る学園長。一人は今度、修行として麻帆良に来ることがわかっていたが、まさか二人いるとは思ってもみなかったようだ。

 

 

「して、ギンジ君は何用でここに来たのかのう?」

 

「いや、特に用という用はないんやけど、しいて言うなら暇やったからです」

 

「ふぉふぉふぉ、そうかそうか。それならば、この学園で働いてみる気はないかのう?教師は無理でも警備員という形でどうかの?」

 

「え?ええの?たしかに今無職やし、テオのところも辞めてきたようなもんやし...」

 

「ふぉふぉ。かまわんよ。ナギの息子なら戦闘に関しても期待できそうじゃしの」

 

「そんなら、よろしくお願いしますわ」

 

 

 迷わず行けよ、行けばわかるさを地で行くギンジ。即断即決である。

 ともあれ、仕事なので学園長からその内容を細かに聞いておく。

 

 

「ふーん。夜の警備ねぇ。そんなに侵入されんの?ガバガバなん?」

 

「まぁの。どうしてもゼロにはならんのじゃよ。だから期待しておるよ、ギンジ君。

 お、そうじゃ今日中に他の職員との顔合わせもしておくかの。そこでギンジ君の実力をある程度確かめておこうかの」

 

「顔見せ?ええでー。何時からです?」

 

「そうじゃの...23時に広場に来てくれるかの?」

 

「了解です。ほなら、それまでは暇つぶしときますわ」

 

「ふぉふぉ、よろしくの」

 

 

 そう言って、学園長室から出て行くギンジ。その後ろ姿を見て学園長は懐かしそうな目をする。

 

 

「血は繋がってなくとも、そっくりな息子じゃのう...ナギ」

 

 

 学園長こと、近衛近右衛門は感慨深そうにギンジを見送った。

 

 

 

 

「何かえらい真面目に終わった気がする......」

 

 せっかくの雰囲気を台無しにするギンジであった。

 

 

 




というわけで、ギンジ君警備員になるの巻。
さすがに教員は無理だろうということで、警備員にしました。

教員よりも自由が利きそうですしねw

にしても、現地妻ことテオさん...
いったいどこの皇女さまなんだ!?


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3話

ご無沙汰しております......
2年以上も期間が空いてしまい申し訳ありません......

久しぶりの投稿ということで、文体等が以前と少し違ってくる可能性もあります。
ご容赦のほど......



 さて、時間は流れ現在23時10分前である。

 ギンジは約束通り、顔見せのため広場前に来ていた。......気配を消して......かつ、変装をして......本当に普通には行動できないギンジである。

 

 

 そうこうしている間に魔法関係者の生徒・教師が集まってきた。

 

 

「ふむ、全員揃っておるようじゃの?今日皆に集まってもらったのは新しい警備員を紹介しようと思っての」

 

 

 ぬらりhy...学園長の突然の発表に周囲はざわつく。生徒・教師を代表してか色黒の教師が声をあげる。

 

 

「学園長。その人物は信用に足る者なのでしょうか?」

「うむ、それを確認するためにも皆に集まってもらったのじゃ」

「しかし学園長、その人物は来ていないようですが?時間も守れないような者を信用できるのでしょうか?」

 

 

 色黒教師...もとい、ガンドルフィーニの発言に周りも同意の声があがる。とは言っても、やいのやいの言っているのは、いわゆるガチガチの立派な魔法使い(マギステル・マギ)至上主義の者達のみであるが......

 

 

「まぁまぁ、落ち着くのじゃ。約束の時間まで10分あることじゃしの」

 

 

 学園長がそう嗜めてもなかなか静まってはくれない。

 そんな様子をある人物の横から気配を消して傍観していたギンジは......

 

 

「なんか血圧高そうな人らばっかりやなぁ......降圧剤服用者の集まりか?ここ?」

 

 

 なんともマイペースである。

 現在進行形で自信のことをボロクソ言われているのにも関わらず飄々としているのは、さすがのメンタルとしか言いようが無い。

 

 

「ふん。じじぃが絶対に来いと言うから来てやったものの、この私を待たせるとはいい度胸をしているのだな。新人とやらは」

 

 

 先ほどから不機嫌オーラを隠そうともしないギンジの横の人物がそうつぶやく。

 実を言うとこの人物、魔法界では知らぬ者はいないくらい有名な人物である。魔法界のなまはげこと、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。......しかし、そのなまはげも渦中の新人が自分の横にいるとは気がついていない。したがって、ギンジの隠密レベルはかなり高い。

 

 

「お、23時やな。よっしゃ顔出すかー」

 

 

 約束の時間になったこともあり、ギンジは気配遮断を解く。

 

 

「ぬお!なんだ貴様は!?貴様が例の新人か...っぬわぁぁぁ!!!?」

「ん?っッキャー!!!?」

「どうかしたのか...ひぃ!?」

「お、来たかの?...っひょ!!?」

 

 

 突然のギンジの登場に場は騒然となる。どうにもおかしなことに、驚愕だけでなく恐怖の声も混じっている。

 

 

「敵襲か!?」

「あんなモンスターみたことないぞ!?」

「悪魔か!?」

 

 

 なんとも酷い言われようである。が、それもそのはず、ギンジの変装に問題があった。

 ギンジはなんと変装にペストマスクを着用し、真っ黒の全身コートで登場したからだ。シュコーシュコーいっている。

 

 

「落ち着くのじゃ!......さて、お主は何者かの?敵であるならば容赦はせんぞ?」

 

 

 さすがの学園長。いち早く落ち着き警戒態勢にはいっている。

 

 

(あるぇ〜?顔見せ言うたから一発ネタ仕込んできたのに、なんかすっごいシリアスになってる......)シュコーシュコー

 

 

 なんとこの男ネタでこのような奇想天外な格好をしてきたようだ。馬鹿である。

 

 

「して、お主は魔の者かの?」

「あ〜、学園長?俺ですけど?」

「ひょ?もしかして、ギンジ君かの?...なんちゅう格好で来とるんじゃ!」

 

 

 正体に気付いた学園長は一気に脱力からのツッコミである。

 

 

「おー、さすが京都出身。ええツッコミしますね!」

「ひょ?そうかの?やはり関西の血は抜けきらんの〜」

 

 

 なぜか照れる学園長。悠長な二人に周囲はポカーンとしている。

 

 

「が、学園長!?一体何者ですか!?」

 

 

 正気に戻ったガンドルフィーニが物申す。

 

 

「ひょっ!?そうじゃった!この者が新しく警備に携わることになったものじゃ。さて、自己紹介といこうかの?」

 

 

 完全にギンジに長されていた学園長が正気に戻ると、ギンジに自己紹介を促す。

 

 

「は〜い。今日から新しい警備員になります春野ギンジですぅ。よろしゅう頼んます」

 

 

 未だにペストマスクを装着しながら挨拶をするギンジ。魔法生徒はまだ立ち直れていない。

 本名を名乗ると大騒ぎになるため、偽名にしたようだ。とは言っても、ファミリーネームを直訳しただけであるが......

 

 

「ふざけているのか君は!?早くそのマスクを取らないか!」

 

 

 ガンドルフィーニがキレるのも当然のことである。

 ギンジ自身、そろそろ飽きてきたな〜なんて思っていることもあり、ペストマスクを外す。

 

 

「ふい〜。アツ〜。あ、どうも改めまして、春野ギンジです」

「あ、あぁ......よろしく」

 

 

 凄まじく警戒されているのにも関わらず、全く態度を変えないギンジに毒気を抜かれたのか、ガンドルフィーニも挨拶を返す。

 

 

「ん?まだ何か怖がってる子いるなー。ごめんね〜」

 

 

 本当に緊張感のない奴である。

 そうこうしているうちに、だいぶん周囲が落ち着いてきた。

 

 

「学園長。春野君の人となりはなんとなくわかりました...危険はないでしょうが...しかし、実力の方はどうなのでしょう?」

 

 

 ここで初めて発言したのは、男性教師の明石である。その発言に皆が賛同する。

 

 

「そうじゃの〜。では、模擬戦を行おうかの。誰がよいかの〜?......ふむ、高畑先生頼めるかの?」

「僕ですか?えぇ、僕でよければ喜んで」

 

 

 学園長の指名に魔法生徒だけでなく、教師もざわつく。

 指名された男性、高畑・T・タカミチはこの学園でも5本の指に入るほど強い。くわえて、魔法界でもかなり有名であるのだ。

 そんな彼を指名するほど、新人警備員は手練なのかと周囲は息を飲む。

 

 

「お?お兄さんが相手しくれんの?お手柔らかに〜」

 

 

 手練......なのか?

 だれ〜っとお辞儀をする当の本人の緊張感の無さに周囲も疑念を持ちはじめる。

 

 

「ほな、ぼちぼちやろかー」

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

 

 このまったりした空気の中、模擬戦が開始される。

 

 

 

 

「おい!私を放置して勝手に進めるなー!!」




はい、今回は自己紹介回でした。

久しぶりの投稿なのにほとんど進まず申し訳ありません......

今後も不定期更新となるかと思われますが、よろしくお願いします。


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