ツナま! (ばすけばすけ)
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1話 設定・キャラ紹介

設定

 

REBORN

代理戦争終了後、ボンゴレを継ぎ10代目として活躍中。ボンゴレギアはトゥリニセッテの関係上、ボンゴレリングに戻している。ナッツも箱ではなくアニマルリング。

カルカッサとボビーノもボンゴレ傘下に加わり、ユニと白蘭はミルフィオーレを立ち上げた。

アルコバレーノはユニと晴れを除きツナの護衛役となっている。

原作との相違点として、アリアと炎真の妹が生きている。

 

ネギま

原作開始前

二年の夏休み前からはじまる。学園長が原作と違い、ネギの受け入れに難色を示している。寮の部屋割を変更します。原作は三人部屋でしたが、二人部屋を基準にします。ハルナは夏美と同室になってます。

 

キャラ紹介

REBORN側

沢田綱吉

高校を卒業し、アメリカの大学に渡り一年で卒業する。勉学運動完璧なチートに成長。超直感の精度が上がり、もはや予知レベル。死ぬ気丸なしで超モードになることができ、機械のアシストなしでXバーナーもでき、夜の炎も習得した。

年齢21歳、身長175、髪型は金色に近くなっており腰まで伸ばしている。女性に対しては優しく人誑しで好意に対しては鈍感だが難聴ではない。

 

ユニ

大空のアルコバレーノ。アリアが生きているためγに対しての恋心はない。いま一番気になっているのはツナ。ファミリーが大好きだが、ツナと白蘭の大空三人でいる時が一番幸せ。中学二年生。

 

白蘭

大空のマーレリング保持者。マーレリングの封印が解かれて正統な保持者となる。未来編みたいに世界征服には興味がない。ツナとユニという同じプレイヤーと分かり合え、一緒にいる時間が楽しくてしょうがない。神出鬼没年齢不詳。

 

10代目守護者

骸、雲雀、クロームは登場させるかも。

 

アルコバレーノ

登場予定未定。マーモンは女の子設定。

リボーンは一般人である山本、笹川兄、ツナに対する理不尽な暴力が問題になり復讐者の牢獄に捕まっている。ツナやアルコバレーノは助ける気はない。

 

ボンゴレ

ヴァリアーは9代目直属を謳っている。チェデフはバジルが引き継いでおり、家光もリボーン同様に山本達の件で復讐者の牢獄に。家光に対しても助ける気はない。

 

沢田奈々

ツナにより真実が伝えられる。復讐者に確認し、沢田奈々は一般人扱いではないと忠告されたため。驚きはするし、リボーンと家光を恨むが、ツナの想いを聞きツナ達の帰る場所になる決意をする。沢田家は広くなり、3階建てで、ランチア・チェッカーフェイス・ビアンキ・イーピンが一緒に住んでいる。また風紀財団からの護衛もいる。

 

チェッカーフェイス

ツナ・ユニ・白蘭のことはトゥリニセッテに選ばれた人間として認めている。今回ツナに対しお願いをする。その代わりに沢田家に住み沢田奈々を護衛している。

 

ネギま側

ネギ

原作と違い麻帆良には来ない予定。

 

近衛近右衞門

原作と違いネギに対し評価厳しめ、受け入れは断固拒否の姿勢。

 

タカミチ・T・高畑

ネギを受け入れない学園長に対し不信感を抱いている。

 

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

呪いを解く研究を続けており、調和の炎というものが必要と知る。

 

神楽坂明日菜

タカミチに対しての恋愛感情はない。親としての親愛感情だと理解している。

 

桜咲刹那

原作と違い部族内でのイジメはなく、逆に白い羽と髪は神の遣いの象徴とされ大事に育てられた。幼い頃に関西呪術協会との同盟の為訪れた本山にて木乃香と出会う。楽しそうに遊ぶ二人を見て、部族の仲間と詠春が二人を離さないため交換留学という形で神鳴流を学ぶために本山に下宿させる。木乃香が川に落ち溺れた際に無力さを知り、山に籠る。中学生になる際に下山し木乃香を追いかけるが、コミュ症の為接し方がわからずにいる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6月1日追加

キャラ紹介

笹川京子

ツナがマフィアのボスだと知り理解もしている。高校卒業後、医学大学に。現在勉強中。愛人でも構わないから側に居たいと考えている。

 

三浦ハル

ツナがマフィアのボスだと知り理解もしている。高校卒業後は、経営を学ぶ為、経済学部の大学に進む。愛人でも構わないから側に居たいと考えている。

 

クローム

六道凪。ツナが好き、骸に対しては親愛感情。人付き合いもできるようになるが、男性は少し苦手。

 

 



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2話

チェッカーフェイスに頼まれてツナは麻帆良学園に来ていた。

死ぬ気の炎が使えることがバレても復讐者は関与して来ないのと、魔法や気という戦い方があることを予備知識で教えてもらった。

 

街並みを観察しながら歩いているツナ、階段を上っていると上から

 

「キャー!!」

 

「危ない!」

 

「のどかー!」

 

という声が聞こえ、上を見ると女の子が階段から落ちていた。ツナは空中で女の子を抱え着地し

 

「大丈夫?」

 

と女の子を見るが、女の子は目を瞑って震えていた。

 

「もう大丈夫だよ。怖かったよね。」

 

と女の子を強く抱く。

 

「ありがとうございます」

 

女の子は落ち着いたのか頭を下げお礼を言った。

 

上から「のどかー」と二人の女の子が降りてきてのどかという少女に抱きつく。

 

「うん。大丈夫だよ。あの人が助けてくれたから。」

 

「よかったです。助けていただきありがとうございます。」

 

「お姉さんありがとなー」

 

と二人の女の子からもお礼を言われる。

 

ツナは優しい笑顔で

 

「怪我がなくて良かったよ。でもあの量を持つのは感心しないな。」

 

と注意をする。

 

三人は「ごめんなさい」とシュンとなる。

ツナはそんな三人をみて笑いながら

 

「運ぶのを手伝ってあげる。」

 

と言い本を拾い始めた。悪いと思いながらも少し話してみたいとも思った三人は甘えることにした。

 

荷物を運びながら

 

「自己紹介をしてなかったね。俺は沢田綱吉、ごめんね男なんだ。ツナって呼んで」

 

と言うと、三人は声を出して驚く。

 

のどかは真っ赤になりながら小声で

 

「わたし・・男性と抱き合ってたの?」

 

とアワアワしだす。

 

「それにしても女性にしかみえないのですよ。」

 

「ホンマや〜。綺麗な髪やし。」

 

二人の少女も驚いていた。

 

「私は綾瀬夕映です。女子中等部二年生です。」

 

と落ち着いた感じの子が。

 

「うちは近衛木乃香や!同じ二年生なんよ。」

 

と大和撫子と言ってもいい子が。

 

「わたしは宮崎のどか・・です。」

 

と前髪で顔を隠した子が自己紹介をした。

 

「夕映ちゃんに木乃香ちゃんにのどかちゃんね。よろしく。これはどこまで持って行くの?」

 

といまさら確認する。

 

「これは図書館に返すんです。」

 

「ツナさんは高校生なん?」

 

「俺は21歳で社会人だよ。麻帆良には今日来たばかりなんだ。」

 

と言うと、また三人は声を上げて驚く。その後も世間話をし、図書館に本を返却した。図書館島をみたツナはナニコレとツッコミを入れてびっくりしていた。

 

三人はお礼がしたいと言うがツナは見返りを求めたわけではないと断るが、それでも!と言ってくるので、お店への行き方がわからないから案内を頼んだ。

当然、道がわからないのは嘘である。

 

「この場所なら女子寮の近くです。」

 

「ほんまやー」

 

と歩きながら色々な話をする。

 

お店に着きお礼を言い

 

「良かったらコーヒーくらいご馳走するよ。」

 

のどか達は断るが

 

「女子中学生の評価が気になるし、良かったら寮で宣伝してほしいかな。」

 

とお礼だけではないんだと舌を出すツナを見て、それならと笑い店内に入る三人。

 

「落ち着いた雰囲気のお店です。」

 

「なんかリラックスするわ」

 

「落ち着きます。」

 

と店の雰囲気を気にいる木乃香達。

 

お店はカウンター席が少しで、最大15人くらいで満席になる程度の大きさだった。店内はモダンな造りで窓から見える花壇が綺麗だった。

 

ツナはカップを三つ置く。

 

「美味しいです。」と三人は感想を言う。

 

「ありがとう。これはオリジナルブレンドなんだ。良かったらケーキも。」

 

とショートケーキを出す。

 

「美味しいね。ユエ。」

 

「美味しいです。これも手作りなんですか?」

 

「そうだよ。」

 

ツナも一緒の席に座る。三人は味を楽しんでいたが、木乃香が

 

「このお店は一人で回すん?」

 

「基本的には一人だけど、アルバイトを探そうか迷ってるんだ。まだ人手がいるかわからないし。」

 

と肩を竦めると、

 

「私を雇ってくれませんか?」

 

と木乃香が爆弾を投下した。

 

「ちょっと待って!中学生って働いていいの?」

 

「麻帆良では、本人達の同意があれば大丈夫なんよ。」

 

と笑顔で木乃香が答える。

ツナは木乃香の意志が固いことと、超直感が断るなと警告を出していたことから条件付きで了承した。

条件は保護者の同意を得ること。学業優先。である。

 

「ユエ〜木乃香すごいね。」

 

「でも正解だと思うです。このお店は人気が出そうですし、最初からアルバイトを雇った方がいいです。」

 

と話すのどかと夕映。



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3話

その日の夜

「あ!おじいちゃん。うちアルバイトをすることにしたんや。おとうさん達にいうといてや。」

 

木乃香は近右衞門と電話をしていた。

 

「まだ早いんじゃないかの?せめて高校生になってからでもいいのではないか?」

 

突然のアルバイト宣言に驚く近右衞門。

 

「でも決めたんや!おじいちゃんお願いや。」

 

珍しく我儘を言う木乃香に対し、近右衞門は学業優先で成績を落とさないことを条件に承諾した。

 

「喫茶トゥリニセッテ、早急に調べないといかんの」

 

電話をし今日中に調べるように指示を出す。

 

そしてその日の夜中、

 

「なるほどの。沢田綱吉くんか、一般人のようだし、経歴に怪しい部分もない。とりあえずは心配無用かのう」

 

安心した顔になる近右衞門。

 

翌日 日曜日

木乃香はおじいちゃんから許可が出たことをツナに伝えるため喫茶店に行く準備をしていた。

 

「あすな〜、あすなも一緒に行かへん?」

 

同室の神楽坂明日菜を誘う。

 

「そうね。今日は用事もないしいいわよ。」

 

木乃香は明日菜も一緒だと嬉しそうにしているとドアがノックされた。

 

「あ!夕映とのどかや。」

 

ドアを開けて二人を招き入れる。

 

ツナはチェッカーフェイスからの書類に目をとおしていた。近衛木乃香は学園長の孫で関西呪術協会の長の娘、神楽坂明日菜の同室で裏側に近い人間。綾瀬夕映、宮崎のどかも運命に翻弄される子と書類にあるのを確認し、辛そうな顔をする。

 

「お邪魔します!」

 

「今日はお休みなん?」

 

木乃香は店内を見渡し不思議そうにしている。

 

「昨日来たばかりだからね。メニューを作ったり日用品の買い物もしないと行けないから」

 

と笑顔で答える。

 

「そうなんですね。まあいきなり日曜日に開店してもお客さんが来るかわかりませんし。ちゃんと考えているのですね。」

 

と夕映が納得する。

 

「君は初めましてだよね?沢田綱吉です。ツナって呼んで。」

 

明日菜は綺麗な笑顔にドギマギしながら

 

「神楽坂明日菜です。木乃香と同室で、今日は暇だったので一緒に来ちゃいました。」

 

明日菜はなんか暖かい人だなと顔を赤くしてしまう。

 

「ツナさん!おじいちゃんから許可をもろうたんよ。だからよろしくお願いします。」

 

木乃香がツナに頭を下げる。

 

「わかった。こちらこそよろしくね木乃香ちゃん。」

 

と無意識に頭を撫でてしまう。

 

「ひゃあ!」

 

木乃香は驚き悲鳴をあげてしまった。

 

「あ!ごめん。嫌だったよね。」

 

と謝るツナに対し

 

「ちょっとびっくりしただけやから大丈夫や」

 

と顔を赤くし手を振る木乃香。夕映、のどか、明日菜は羨ましいような複雑な気持ちで見ていた。



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4話

その日はメニューやら細かな装飾品を作ったり、日用品の買い物をしたりと四人で過ごした。

 

夜ご飯を一緒に食べることになると

 

「超包子って知ってますか?」

 

と明日菜が口に出し、ツナが知らないと答えると超包子で食事をすることに決まった。

ちなみに買い物中や食事中は、男女問わずツナに視線が集まり見惚れていた。美しすぎて男女どちらかわからなかったが、服装が男物なことから男性だろうと推測された。

 

その姿は木乃香達四人を含めて撮影されて、翌日の新聞に載ることになる。

 

翌日の教室にて、木乃香・明日菜・夕映・のどかはクラスメイトに質問責めにあっていた。

 

「これは誰なのか?どんな関係なのか?」という質問が多く、また「男女どちらなのか」という質問もあった。

木乃香が代表して

 

「うち喫茶店でアルバイトをすることになったんよ。ツナさんは喫茶店のマスターさんやで。土曜日に麻帆良に来たばかりで、たまたま知り合ったんや」

 

と説明した。

 

何人かは羨ましそうにしており、まだアルバイトは募集してるのかや、お店の場所を教えて等、木乃香に群がっていた。

 

ツナは10時から喫茶店を開くが、やはり客足が悪い。お店の場所にも問題があり、表通りから一本奥になっており、周りの景観の関係で小さな看板をドアの前に置いてあるだけであり、外から中の様子を見ることができないのもお客がいない要因になっていた。

儲けるためのお店ではないため気にしていない。ツナはチェッカーフェイスから毎月数百万振り込まれてくることになっており、また麻帆良にくる前にこの世界のカジノを周り荒稼ぎしていた。

 

夕方になると

 

「こんにちはー」

 

木乃香達四人と2-Aから数人が来店した。

 

ツナは笑顔で迎え入れる。全員が顔を赤くしその場で固まってしまった。ツナは不思議に思いながらもよくあることだと割り切り追求はしない。

ツナの格好は普通のウェイターなのだが髪をポニーテールにしているため、男性には見えずに女性の様な美しさがあった。

 

ちなみにツナの周りでは、ツナが笑いかけると固まって動けなくなる人が頻繁に出てくる。ツナは自分のことをダメツナと評価しているため容姿に関しても自信がない。

 

木乃香はバイトの準備をするため更衣室に向かう。一緒に来ていたのは、明日菜・夕映・のどか・朝倉・美砂・桜子・円・あやか・千鶴である。

 

明日菜・夕映・のどかは木乃香の付き添いと店の状況が気になり、朝倉は取材のため、美砂・桜子・円は噂のイケメンを見に、あやか・千鶴は美味しいコーヒーとケーキを食べに来ていた。



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5話

一緒に来た面々と自己紹介を終えたツナはコーヒーを作りにカウンターにはいる。

 

「ツナさん。うちこんな服始めて着たえ。」

 

と更衣室からウェイトレスの格好をした木乃香が出てきた。(ごちうさのラビットハウスの制服である)

 

「木乃香可愛いじゃん」

 

「似合ってるよ。可愛いね。」

 

明日菜とツナが褒める。木乃香は恥ずかしそうにしながらも嬉しそうだ。

 

こっちを持ってくれるかい?とケーキがのせられたお盆を持ってもらい。ツナはコーヒーの方を持ちテーブルに持っていく。

 

「これはサービスだよ。初めてのお客さんだから。」

 

とコーヒーとケーキを置きカウンターに戻る。

 

朝倉は取材を申し込んだが、

 

「お客さんが増えるとお店を回せないから遠慮させて。」

 

とやんわりと言われ断られていた。さすがに勝手に記事にはできないので朝倉は引き下がるが、もしも必要になったら絶対に私に連絡してほしいと頼みこみ帰っていた。

 

美砂達はガチなイケメンに顔を赤くしており、いつものテンションを維持できなくなっていた。

 

あやかと千鶴は店のコーヒーやケーキも確かに他ではない美味しさだと感じたがお店の雰囲気とツナから感じる暖かい印象を気に入っていた。

 

夕映とのどかはゆったりと本を読み、明日菜は木乃香や美砂達と静かに話している。

 

そんな中「ガゥッ」という声が店内に響いた。

二階にある住居スペースに繋がる階段からナッツが降りてきてしまった。

 

「ちょ!ナッツ!降りてきたらダメだよ。ほら、おいで。」

 

ツナはナッツを抱えて二階に戻ろうとする。

 

「可愛いいー」

 

といいながら木乃香・明日菜がツナに近づく、ツナは苦笑いになるが、

 

「ごめんね。ナッツもいて大丈夫かな?」

 

とナッツを木乃香に託し、木乃香はナッツを抱いたままテーブルに戻った。

 

「ナッツちゃんっていうのですね。猫ですか?」

 

「ライオンと猫の雑種なんだ」

 

夕映にナッツについて聞かれるが嘘を混ぜて答える。

 

ナッツは九人から撫でられたり抱かれたりしており、美砂達三人はいつものテンションになりツナに質問を飛ばし始めた。

 

「ツナさんは彼女はいるんですか?」から始まり「好きなタイプは?」など恋バナ中心な質問が多かった。

 

さすが女子中学生だなと思いながらも

 

「彼女はいない。好きなタイプは一緒にいて安心できる人かな」

 

とはにゃりと照れ笑いをした。その笑顔を近くでみた九人は顔を赤くしてしまう。

ナッツはテーブルの上で丸くなり寝てしまっていた。

 

お店は20時で閉店となり木乃香は19時に明日菜達と一緒に帰宅してもらった。閉店間際、一人の老人が来店した。

 

「木乃香がお世話になっておる。祖父の近衛近右衞門じゃ。」

 

と挨拶をしてきた。ツナも挨拶をし学園長はコーヒーを二杯飲み雑談をして帰って行った。

 

ツナは、あれが魔法協会のトップか。監視ではなく、孫のバイト先を確認しに来たって感じかな。スパイなら抑止にもなるからいい手だね。と学園長に感心していた。



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6話

この世界でのツナの1日はボンゴレボスの時と比べると穏やかに始まる。

 

目覚ましが爆発音や銃声ではないため寝起きも最高に良い。ナッツは常に動物モードにされており、ナッツがツナの頬を舐めて起こす。

 

起きてからはお店の前を掃除する。その際にご近所さんとのコミュニケーションを忘れない。ツナの他にも数人が家の前を掃除している人がいる。

その人達は昨日の朝、ツナが掃除しているのを見て、同じ時間に掃除をすればお近づきになれるのでは?と考えた主婦の皆様だったりする。

 

掃除と世間話が終わると花壇の世話を始める。ちなみにまだ7時過ぎである。

 

花壇の世話をしながらナッツが庭で遊んでいる。御伽噺に出てくるような光景にウットリする奥様たち。

 

余談だが、ツナの髪型は掃除時は後ろ髪をそのままにしているが、花壇の世話をする際には髪を上げて地面につかないようにしていた。つまりうなじが丸見えで色気を醸し出しているのである。

 

花壇の世話が終わると朝食を食べながら新聞を読み、少し休憩した後に仕込みや開店準備を始める。

 

10時になるとお店が開く、店を開いて少しすると近所の奥様方が来店し、コーヒーとケーキを注文する。

 

ツナはお客さんと雑談をしたり、ケーキを追加で作ったりして、ゆっくりと店をまわす。お客さんも一人だとわかっているため急かしたりせずに静かに話しながら協力してくれていた。

 

お昼になると奥様方は帰り、近くにある会社のOL達がランチを食べに来た。

 

宣伝自体はしていないが、イケメンがいると噂になっているようで確認をしに来たという感じだ。

 

ランチはサンドイッチやサラダ、カレー、などの当たり障りがないメニューだが、サービスでコーヒーがおかわり無料になっている。種類の豊富さはないが、作り置きもできるメニューなため、待たせる時間も少なく一人で切り盛りする上でのチョイスである。

 

OL達は料理の味と可愛い系イケメンに満足して帰って行った。

 

お昼をすぎると暇になり、夕方に向けた軽食の作り置きを作っていた。

 

夕方になると木乃香がやってきて二人体制になる。木乃香は土曜日と月〜木曜日の夕方からの勤務であり、お店は金曜日と日曜日が休業日になっている。

 

木乃香と一緒に明日菜・夕映・のどかも来店した。他には噂を聞きつけた女子高生も数人きていた。

 

女子高生はツナに対し、

 

「アルバイトを増やす気はないのか」や「一緒に写真を撮ってほしい」

 

とお願いしていた。

 

勢いに押されながら写真を一緒に撮り、

 

「ごめんね。アルバイトは考えてないんだ。」

 

断りを入れた。女子高生は残念がるが写真を撮れたことに満足しコーヒーとケーキを食べて帰宅した。

 

他にお客さんがいないため

 

「木乃香ちゃん。他にお客さんもいないし、宿題をしてて大丈夫だよ。」

 

と木乃香に言い明日菜は達のテーブルに行くよ促す。木乃香は

 

「アルバイト中やし、悪いですよ。」

 

「遊んでるよりかは全然いいよ。勉学優先だから気にしないで。戻ってきてほしい時は声をかけるから」

 

木乃香はツナに説得されそれならとテーブルにつく。

 

「どうしたの木乃香?」

 

三人は不思議そうに木乃香を見ると

 

「お客さんが来るまで宿題をしてていいって言われたんよ」

 

と説明した。せっかくならと四人で宿題をすることにする。



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7話

まずは謝罪を。
木乃香のというか関西弁がよくわかりません。
多少おかしい部分もありますのがご了承ください。


四人は宿題を進めていくが少したつと

 

「ん〜わかんないよ〜」

 

と明日菜が頭を抱え始める。

 

たまたまツナが和菓子をサービスしようと持ってきており、そんな明日菜の手元を覗き

 

「ここはね。この公式を使ってみるとわかりやすいよ。」

 

とヒントを出してあげる。

 

「え?えっと・・・こうですか?」

 

と明日菜は答えをツナに見せる。

 

「うん。正解。じゃあこっちも解いてみて。」

 

「わかりました。」

 

ツナは違う問題に指をさして同じやり方だよ。と明日菜にヒントを与える。明日菜はスラスラと解いていき

 

「できました!これもこの公式だったんですね。」

 

と自分で解けたことに喜んでいた。

 

それを見たのどかが

 

「あの・・私も・・ここがわからなくて」

 

と顔を赤くしながらも質問をする。

 

「そこはね。」

 

とのどかが男性に対して苦手意識を持っていることを理解しているツナは優しくゆっくりと教えていく。

 

「ツナさん教えるの上手ですね。」

 

「これでも小中高の教員免許も持ってるんだ。」

 

夕映が明日菜とのどかに教えるツナを見ながら、教え方について褒めると、ツナは頬を掻きながら答える。

 

「夕映ちゃんは大丈夫?」

 

「私は勉強がきらいなんです。」

 

と夕映が言い、木乃香が

 

「夕映は頭はいいえ。」

 

と夕映をフォローする。

 

「俺も勉強は嫌いだよ。でも必要だからやっただけ。夕映ちゃんにもそういう時が来るかもだから、その時になったら頑張ろうね。」

 

と学校の先生と違い、いま頑張れとは言わないツナに笑う四人。

 

「なにやってるんですか?」

 

「なにやってるんですの?」

 

と声が聞こえ、そちらに目を向けると千鶴とあやかが来店していた。

 

「ツナさんに勉強を教わってたのよ。委員長こそどうしたの?」

 

と明日菜が疑問に答える。

 

「明日菜さんが勉強をするなんて!」

 

あやかはハンカチを目に当て泣き真似をする。千鶴はあらあらあやかはと頬に手を当てていた。

 

「ツナさん教え方、うまいんやで〜」

 

とニコニコしながら木乃香が経緯を話す。

 

「じゃあ私達もやろうかしら」

 

と千鶴が宿題を取り出し、あやかにも席に座るように促す。千鶴とあやかはツナに質問をすることはなかったが、明日菜やのどかに対しての教え方を観察しており、その教え方に共感していた。

 

ツナの教え方は丁寧で、すぐに答えを出すのではなく使う公式を教えたりヒントを出すのみで考えること自体は自分でさせていた。

 

二人の視線に気づいたツナは「どうしたの?」と首をコテンと傾けた。

 

「いえ、教えるのがお上手でしたので。」

 

「なれていらっしゃるんですね?」

 

「年が離れた弟達がいて、よく面倒を見ていたんだよ。」

 

二人は納得して、宿題も終わったことからコーヒーとケーキを頼んだ。

 

四人も宿題を終わらせたが、時間を見ると20時近くになっていたため、お礼を言って帰ろうとしたが

 

「遅くなっちゃったし、よかったら夜ご飯を食べていって。」

 

とツナに誘われた。

 

六人はもっと話したいなと思い甘えることにした。



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8話

寮の部屋割について補足。
原作は三人部屋もありましたが、二人部屋のみにしています。理由はハルナや夏美を絡ませるか迷っているからです。

ハルナと夏美が同室です。


ツナはなにを作ろうか迷っていた。食べてと誘ったはいいが冷蔵庫に碌な物が入っていなかった。

 

「手伝うえ〜」

 

と木乃香・のどか・あやか・千鶴が厨房にやってくる。明日菜と夕映は料理は苦手な様でナッツと遊ぶことを選んだようだ。

 

「なにを作るのですか?」

 

と千鶴がツナの横に立ち冷蔵庫を覗く。

 

「卵と玉ねぎ、挽肉・・・オムライスなんてどうですか?」

 

「ありがとう。じゃあオムライスと残り物で悪いけどサラダとスープを用意するね。」

 

千鶴が提案しツナが相槌をうつ。

 

ツナは木乃香とあやかにサラダを頼み、のどかと千鶴にスープを頼み、一人で七人分のオムライスを作って行く。

サラダとスープはすぐに終わったので、ツナを手伝おうと集まるが、ツナの手際が良く手伝う余地が残っていなかった。

 

完成した料理を七人で食べると「美味しい。」と其々が感想を漏らす。日頃から良いものを食べているあやかや千鶴も美味しいと感じていた。

 

雑談をしながら食事をし、千鶴がツナに

 

「ツナさんは高校を卒業してから働いているんですか?」

 

とツナの過去を聞こうと問いかけた。

 

「大学も卒業して、いまは社会人二年目なんだ。」

 

と食後のコーヒーを配りながら答える。

 

「それだと計算があわないです。21歳でしたよね?」

 

と夕映が気づき首を傾げたら、

 

「ツナさんあなた・・・本当はおいくつなんですの?」

 

「21歳だよ。大学は一年で卒業できたから。」

 

あやかはツナに詰め寄るが、ツナは身分証を見せて誤解を解く。あやかはツナとの近さに気づき飛び退き

 

「すいません。私としたことが。」

 

と恥じらうあやか。

 

「ふわ〜飛び級なんや。すごいな〜」

 

「だから勉強もできるんですね」

 

と木乃香と明日菜。

 

「どうしてそんな人が喫茶店のマスターなんかに」

 

「夕映〜マスターなんかはひどいよ」

 

と考える夕映に対して突っ込むのどか。

 

「その髪は地毛なんですか?」

 

とツナのフワフワした髪を撫でる千鶴。

 

「子供の時から爆発頭でね。大学まで茶色かったんだけど、イタリアの水があったのかイタリアにいた二年間で色が変わっちゃってね。」

 

とされるがままのツナ。

 

「さすがに恥ずかしいかな」

 

と千鶴の手を持ち撫でるのを止める。

 

「ごめんなさい。つい。」

 

と笑う千鶴。

 

その後は全員で後片付けをし、お店から寮まで10分の距離で表通りをまっすぐなのだが、夜道で危ないからと六人を寮まで送る。

 

帰り道の道中で、明日菜とのどかにもうすぐ中間テストが近いから勉強を見て欲しいと頼まれ了承した。あやかと千鶴も手伝うと約束し、六人とツナでの勉強会が開かれることになる。

 

翌日は夕方までは同じような客数だったが、夕方から女子高生のお客で満席になっていた。待つ列ができていなかったのが救いだった。

 

木乃香達は満席状態に驚き、木乃香は着替えもせずにエプロンを着用し接客に回った。あやか達も手伝うと言い、明日菜・あやか・千鶴が接客を、木乃香・のどかが調理補助、夕映がレジ打ちをやり始めた。ツナは接客とコーヒーを担当した。

昨日来た女子高生達がツナとの写真を友達に見せたらしく、ツナ見たさに来た女の子が多かったようだ。昨日の女子高生達もお店の小ささと二人で切り盛りしてるのを理解していた為、日にちをずらして行くように調整はしてくれていた。

 

嵐が去り、明日菜達にお礼を言う。もちろん勉強を教え夜ご飯も一緒に食べたが、ツナは明日からのことを考えていた。

 

「明日菜ちゃん達。アルバイトを増やそうと思うんだけど、興味ないかな?」

 

と六人に声をかける。あやかと千鶴は立場上難しいと謝罪し、明日菜と夕映・のどかはどうせ毎日くるならとアルバイトをすることに、今週は四人同時勤務で落ち着いたらローテを考えることにした。

 

ツナは超直感がまだ不安を感じていることから助っ人を数人呼ぶ決意をする。



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9話

次の日の夕方は予想した通り昨日同様の混み方だった。

 

木乃香達四人が学校から帰ってきて店に入ると

 

「いらっしゃいませー」

 

と知らない女性が三人接客をしていた。

 

「あの!貴女達は?」

 

と明日菜が声を出すと、奥からツナともう一人女性が出てきて

 

「彼女達は高校の時の同級生なんだ。みんなだけでも大丈夫だと思ったんだけど、接客の研修を頼んだんだよ。勝手にごめんね。」

 

と謝りながら説明した。

 

「私は笹川京子です。私は木乃香ちゃん担当なんだ。よろしくね。」茶髪ロングの癒し系美女。

 

「はひ!私は三浦ハルといいます。私は明日菜ちゃん担当です。ベリーキュートですー。」と黒髮ショートの活発系美女。

 

「六道凪。私は宮崎のどかちゃん。」と黒髮ロングのミステリアス系美女。

 

「黒川花よ。私は綾瀬夕映ちゃん担当。よろしくね」と黒髮パーマのキャリアウーマン系美女。

 

四人とも綺麗でツナ狙いで来ていた女子高生はツナに近寄れないでいた。比べられる対象のハードルがたかすぎるのである。ツナは最初、凪だけを呼ぶつもりでいたが、話をきいた黒川花が四人で行くべきと提案したため四人共麻帆良に来ていた。黒川花は店に来る客はツナ狙いというのを察知し、防波堤を引いたのである。

 

黒川の策略に負けた女子高生達は退散し、純粋にお店に惹かれ美味しいコーヒーとケーキを楽しみに来たお客だけが残ると研修が始まった。

 

京子と木乃香のペアはお互いにほんわかしており、木乃香自身にも接客に問題がなかったため、厨房に入りケーキ作りを教えている。

 

ハルと明日菜のペアは、料理よりも接客重視で持ち前の明るさで店内を明るくしていた。明日菜が接客が初めてなため、基礎から教えていた。

 

凪とのどかのペアは調理補助や飲み物関係を中心に、接客も多少行っていた。凪ものどかも自分から喋る方ではないため、要所要所を教えて静かに時間が過ぎて行く。

 

花と夕映は会計や備品関係を中心に教えていた。夕映がもともと考える力が強く、頭の回転も速いため覚えるのもはやかった。

 

そして19時になるとお客さんはいなくなり、あやかと千鶴が来店した。あやかと千鶴にも自己紹介し、

 

「私と花とつっくんは小学校から高校まで同じ学校だったの。」

 

と京子が笑顔で話す。つっくん呼びに驚きはしたが、それよりも

 

「まさかダメツナがね〜」

 

という花の発言が気になっていた。

 

「ダメツナってツナさんのことですの?」

 

とあやかが尋ねると

 

「懐かしいな〜、中学二年まではなにをやってもダメダメでね。ダメツナってあだ名だったんだ」

 

と笑っていうツナ。中学生組六人はいじめではないのかと思うが

 

「沢田は三年から急に成績も良くなったし、あんたをダメツナって呼ぶ奴はいなくなっていたからね。」

 

「ツナさんはすごい人です!」

 

とハルが花に食ってかかる。

 

「誰も認めてないなんて言ってないでしょ。」

 

ハイハイとハルを宥める花。

 

「ツナさんは昔から変わらない。」

 

と凪が呟く。

 

夕映が

 

「ハルさんと凪さんも昔からのお知り合いなんですか?」

 

と尋ねる。

 

「そうですよ。ハルは中学二年の時に出会いまして、溺れていたハルを助けてくれた王子様なんです。」

 

と頬に手を当てキャーキャー騒ぐハル。

 

「私も中学二年の時に知り合って、いまは同じ会社で働いてる。私はイタリアだけど」

 

と凪。

 

「皆さん私達の年の時に出会ったんですね。」

 

と千鶴が考え深そうに呟いた。ツナは遠いい目をしながら

 

「あの時が一番濃い人生だったよ」

 

といい凪が苦笑いを浮かべている。その後は京子と花がツナの昔話を暴露したり、ハルが六人に勉強を教えたりしていた。

 

次の日は、花の作戦が効いているのかツナ目当ての女子高生で満席になることはなかった。本来は土曜日も開店だが臨時で休みにすることにしたため、本日が週のラストになる。

 

京子達も今日がラストになるため、ペアの相手に教え忘れがないかの確認や仲を深めていった。

そして閉店し、京子達が帰る時間になる。

 

「ツナさん!またお手伝いが必要なら呼んでください。ハルはいつでも大丈夫です!」

 

「つっくん。楽しかったよ。また呼んでね。」

 

「沢田も頑張りなさいよ!」

 

「ツナさん。次は骸様と来る。」

 

とハル・京子・花・凪が次も協力するからと別れを告げる。

最後に凪が残り、ツナの頬にキスをして帰って行った。



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10話

「ツナさん!今のって!もしかして凪さんと付き合ってるんですか?」

 

と明日菜がツナに問いかける。他の五人は刺激が強かったのか呆然とし、千鶴は頬に手を当て固まっていた。

 

「え?いまのは挨拶だよ?あ〜日本ではしないよね。俺も凪もイタリアに住んでたから。驚かせてごめんね。」

 

と平然と答えて片付けのために厨房に消えていく。

昔のツナなら顔を赤くし叫んだが、イタリアに渡ってからはユニやブルーベルを始めとする女性陣にされてきたため慣れていた。

 

「確かにイタリアではあのような挨拶をしますけれども・・・」

 

あやかや千鶴といった常識があり海外にも行ったことがある二人は多少は納得していたが

 

「でも頬にキスをするのは本当に親しい人にしかしないかと。」

 

と凪の好意にも気づいていた。

 

「凪さん・・頬が赤くなってましたから。」

 

とのどかは思い出して顔を赤くしてしまう。

 

「やっぱりツナさんはモテるんかな〜」

 

「あの容姿と性格ですからモテると思うです」

 

木乃香と夕映。

 

「あ〜なんかモヤモヤする〜」

 

と明日菜が全員の気持ちを代弁した。

 

六人がモヤモヤした気持ちになっていたがツナが厨房から戻ってくる。

 

「テストは月曜日からだよね?土日はどうしよっか?」

 

とツナが聞いてきたため、

 

「ご迷惑じゃなければ土日もお願いできますか?」

 

あやかがお願いし、

 

「じゃあ金曜と土曜にお泊まりなんかどうやろ」

 

と木乃香が手をポンッと叩き提案する。

 

「俺は大丈夫なんだけど・・・男の家に泊まって大丈夫なの?」

 

とツナが困っていたが

 

「ツナさんなら大丈夫な気がするです。」

 

と夕映に言われ他の五人も頷いていたためお泊まりをすることで決定する。

 

金曜日は学校が終わったら学校に戻り、夜ご飯を済ませてからお店に集合、日曜日の夕方までという形になった。

 

その日は夜ご飯を食べずに帰ることにした。毎回は悪いし、明日からお泊まりだからという理由で帰宅する。

 

六人はあやかと千鶴の部屋に集まる。

 

「泊まるにあたって守らねばならないことがあると思うです。」

 

と夕映が切り出す。

 

「そうですわね。ツナさんとはいえ男性ですから」

 

と委員長が言うと。

 

「なに言ってるの委員長?」

 

と明日菜が委員長をみる。

 

「夕映が言ってるのは、クラスのみんなにバレないようにしないとって意味やで」

 

と木乃香が捕捉する。

 

「あらあらあやかったら、なにと勘違いしたのかしら」

 

ニコニコとあやかに圧力をかける千鶴。のどかは意味がわかってアワアワしていた。

 

「本屋ちゃんどうしたの?」

 

と理解していない明日菜が心配する。

 

「と、とにかく!クラスのみんなにバレないようにというのは賛成ですわ。」

 

とあやかは話の修正をする。

 

あやかの言った意味を理解しているのは、あやか・千鶴・夕映・のどかであり、木乃香と明日菜はわかっていなかった。

 

「みんなにバレたら、クラス全員が雪崩れ込んできそうやし。」

 

「少なくても勉強はできないかと。」

 

と木乃香とのどかがため息を吐く。

 

「明日はすぐに寮に帰らない方がいいかもしれませんわね。」

 

とあやかの案が採用された。

 

ちなみに、買い物は実際にする予定で、あやかと千鶴が飲み物関係を、夕映とのどかが女性物のお泊まりセット、木乃香と明日菜がお菓子を担当することになった。



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11話

次の日の教室にて。

 

「月曜日からテストかー。嫌だなー。明日菜は大丈夫なの?」

 

と佐々木まき絵が机に寝そべる。

 

「私も嫌よ。でもバカレンジャーの呼び名は嫌だから頑張るの」

 

と小さく呟く。

 

「今年こそは万年最下位を脱出しますわよ!」

 

と宣言するあやか。

 

ノリがいいメンツは一緒に手を挙げるが、エヴァや刹那などがのることはなかった。

 

クラスメイトに気づかれることなく放課後を迎え、各々が買い物をしに行き、夜ご飯を済ませた後にお店にて合流した。

 

「いらっしゃい。じゃあまずは二階に上がって荷物を置いてきて。部屋は和室に雑魚寝で大丈夫だよね?」

 

と荷物の量をみて先に置いてくるように促す。

 

和室は30畳くらいあり、15畳で分けれるように襖が間にある。六人が雑魚寝をするには十分な広さがあった。

片方にはテーブルが用意されており、そちらで勉強会をするようである。

 

勉強会の前に各自の苦手分野を確認する。

 

あやかと千鶴は特に苦手分野はなしで成績上位者。

 

木乃香は一通りできるが応用問題が苦手。

 

のどかはだいたいできる中堅クラス。

 

夕映はやる気さえあれば上位者に食い込める。

 

明日菜は全教科に難があり基礎から。

だと判明した。

 

「今日はこれをやってもらって、明日の朝に答え合わせをするね。」

 

初日から勉強ばかりだと疲れちゃうからと、ツナは作っておいた全教科の小テストをしてもらうことにした。

 

小テストを受けてもらってる間に、あやか・千鶴・木乃香・のどかからノートを借りて試験範囲を確認するツナ。

 

小テストが終わった順に二人一組でお風呂に入るように促す。あやか・千鶴、木乃香・のどか、夕映・明日菜の順番でお風呂に入る。その日はそこでお開きになるが、寝るのではなくて雑談をすることに。

 

「ツナさんの部屋は三階にあるん?」

 

「そういえば二階にはないですよね?」

 

と木乃香と明日菜がふと思い出したようにツナに聞く。

 

「俺の部屋は三階にあるよ。他には使ってない部屋が三つあるかな。」

 

ツナが答えると

 

「殿方のお部屋に少し興味がありますので、見せていただけたりできませんか?」

 

とあやかが顔を赤くしながらお願いをする。

 

「え?そうなの?」

 

とびっくりするツナ。

 

「私達はずっと女子校ですから」

 

「私もみてみたいです。」

 

と千鶴とのどかが援護する。

 

「まぁ構わないけど、見てもなんもないよ?」

 

と三階に六人を案内する。

 

三階には部屋が四つとトイレのみになっている。

ツナの部屋は階段から一番奥にあり、残り三部屋はまったく使用していなかった。

 

「はい。どうぞ。」

 

とドアを開ける。部屋にはいるとパソコン、机、ベッド、本棚、タンスのみのシンプルな部屋だった。

 

本棚の前には夕映・のどか・木乃香が集まっている。夕映が一冊を手に取るが見たことがない文字であったため

 

「これは何語ですか?」

 

とツナに尋ねた。

 

「それはイタリア語、1段目が日本語で2段目がイタリア語、3段目がフランス語とロシア語、4段目がドイツ語と中国語、5段目にスペイン語と韓国語の本があるよ。」

 

と各種一冊ずつ見せる。

 

「何ヶ国語喋れるんですか?」

 

と夕映が不思議そうにする。

 

「ん〜。12くらいかな?」

 

と指を折りながら数える。それを聞いた夕映はなにかを考え始めてのどか・木乃香の三人で話し込んでしまった。

 

「この写真は・・・」

 

と千鶴がタンスの上に飾ってある写真をみて呟く。

 

「ハルさん達と他にもいろんな人がいますね。」

 

「国籍や年齢もバラバラな感じですわね。」

 

と明日菜とあやかも手に取る。

 

「仕事仲間や友達の写真だよ。千鶴ちゃんの見てるのが母さんと居候組、明日菜ちゃんのが仕事仲間、あやかちゃんのが一番仲の良い友達かな。」

 

と説明する。千鶴の写真には沢田奈々・ランチア・ビアンキ・イーピン・フータが、明日菜の写真には守護者と京子達、あやかの写真にはユニと白蘭と一緒に撮った写真だ。

 

じゃあ下に戻るよ。とツナは六人を部屋から出し下に戻る。戻ってからは写真の件や外国語について色々と聞かれ、マフィアとバレないように嘘を交えながら話していった。余談だが、あの三つの他にはヴァリアーとの写真、γや桔梗達との写真もあったが、何人かが一触触発状態で見せられるものではなかったため、夜中の間に片付けておこうとツナは誓った。



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12話

ツナが自室に戻り布団に入る六人。

 

「あの写真、男性女性も美形な方ばかりでしたわね。」

 

「そうですね。しかもユニちゃんという方は明らかにツナさんに好意を抱いてるかと。」

 

「私達と同い年だって。」

 

千鶴・あやか・明日菜が口を開く。

 

「楽しそうにしてる写真ばかりやったな〜」

 

「だからこそ外国語を覚えたのでしょうか?家庭教師がって言っていましたが、普通ならありえないのです。」

 

「でもツナさんの周りに集まるのはわかる気がします。」

 

木乃香・夕映・のどかも続く。

 

夕映は何ヶ国語も覚えた理由に対して疑問に感じているようだ。

 

「いっそのこと夜中布団に潜り込みましょうか?」

 

と千鶴が言い出す。

 

「千鶴さん!貴女は何を言っているんですの?」

 

「あら?あやかは興味ないの?」

 

「流石にダメやと思うわ〜」

 

「なんでダメなの?高畑先生とはよく一緒に寝てたけど。」

 

明日菜は意味がわからないと呟く。

 

明日菜の発言に流石にヤバイと感じて、意味を説明する。木乃香も多少の知識はあり男性に対しての危機管理もあるが、明日菜に関しては知識すらない状況だった。

 

原作とは違い高畑に対して恋愛感情がないことから、男女関係に対して無頓着になってしまっていたようで高畑もなにも教えてはいなかったようだ。

 

明日菜は五人から合宿前にあやかが言った意味、千鶴の発言の意味を明日菜に教える。家柄の関係から身内からの注意や教育もある千鶴とあやかが一番知識があり、夕映とのどかは本での偏った知識を、木乃香は少女漫画からの知識でキス程度までしか知らなかった。

 

明日菜は顔を赤くしながらも聞いており、ときおり想像したのか悶えていた。木乃香もキス以上のことを知り大人や〜と顔を赤くし、のどかは途中で意識が飛んでいた。

 

そんな一夜を超えて翌日の朝。

五人は良い匂いで目が醒める。明日菜は新聞配達の為すでにいなく布団も畳まれていた。

 

「おはようございます!すいません。朝ご飯は手伝うつもりでしたのに。」

 

キッチンに向かうとツナが朝ご飯の支度をしていた。ちなみに和食だ。

 

「構わないよ。枕や環境が違うと寝付きにくいし気にしないで。準備できてるから顔を洗ってきて。明日菜ちゃんも帰ってきてて、いまシャワーを浴びてるから。」

 

と五人に顔を洗ってくるように促す。

 

「シャワーありがとうございます。」

 

と明日菜も出てくるが

 

「キャッ」

 

と段差に躓いてよろけてしまいツナの胸の中に飛び込んでしまう。ツナも思わず抱き締めう。明日菜はツナとの密着度に昨日のことを思い出して頭から煙を出してしまう。

 

「ありがとうございます。」

 

とお礼を言い離れるが、顔を見ることができずにいた明日菜にツナはなにを勘違いしたのか頭をポンポンと撫でる。木乃香達から見たら明日菜は耳まで真っ赤になっているがツナは気づいていない。

 

「明日菜さん。ちゃんと乾かしますから一緒に来てください。」

 

とあやかが明日菜の手を取り誘導する。

 

「委員長。私、昨日のことを聞いてからツナさんを意識すると胸が苦しいの。」

 

と半泣きで話す。

 

「明日菜さん。それが恋なんですのよ。」

 

と明日菜を抱きしめながら落ち着かせる。明日菜は落ち着きを取り戻しながら、

 

「そっか。これが恋なんだ。みんなも同じ気持ちなんだよね?」

 

「少なくても私は同じですわ。他の方々も同じだとは思いますが、私から言うことはできません。」

 

と二人はライバルだね。と笑う。

 

キッチンに戻ると食事が並べられており

 

「おかえり。じゃあ全員揃ったし食べようか。いただきます。」

 

と食べ始める。

 

「のどかちゃん髪型変えたんだ?」

 

のどかが前髪をピンでとめて目を出していた。

 

「はい。勉強するのにも邪魔になりますから。」

 

「のどかは可愛いのでその方がいいです。」

 

と夕映。

 

「うん。可愛いよ。明日菜ちゃんも髪を降ろすと綺麗だね。」

 

ツナはナチュラルに二人を褒める。二人は赤くしながらも嬉しそうに笑う。

 

朝ご飯を片付けて勉強の時間になる。

ツナは小テストの解答用紙を配り、借りていたノートも返す。

 

「とりあえず、テストは月曜日にある五教科だけだから、予想問題集を作りました。それを重点的にやりましょう。」

 

となぜかスーツ姿。

 

「はい!なぜツナさんはスーツ姿なんです?」

 

と夕映が代表してきいた。

 

「先生をやるなら形からかなってね」

 

パンパンと手を叩き、

 

「時間もないし始めるよ。」

 

と勉強を開始する。

 

ツナから配られた予想問題集は細部の部分が一人一人違うもので、それぞれの苦手部分を重点的にカバーできるように作られていた。



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13話

月曜日テスト終了後

 

「あすな〜どやった?」

 

「今回はできたかもしれない。」

 

「ツナさんの予想問題ほとんど当たってましたわよ。」

 

「今回は補習は避けられるかと。」

 

「私もできました。」

 

「あの問題集は反則ですね。」

 

と木乃香・明日菜・あやか・夕映・のどか・千鶴が集まり話す。

 

六人は話しながらお店に行く。

 

「ツナさん!テスト結構できたかもしれません。」

 

明日菜が笑顔でツナに駆け寄る。

 

「それなら良かったよ。でも今回のを忘れたらダメだよ。」

 

とツナは釘を刺す。

 

「確かにそうですね。忘れたらまたじっくり教えてください。」

 

と千鶴がツナの腕を組む。

 

ツナは苦笑いを浮かべながらされるがままになっている。

 

「あ〜うちとのどかが着替えてる間にずるいで〜」

 

と木乃香が反対の腕に抱きつく。

 

「ツナさんが困ってますから、それくらいにしなさい。」

 

とあやかが千鶴を引っ張り席に座らせる。そしていつもの時間が過ぎていく。

 

テスト結果発表日

 

「桜子はどこにかけたの?」

 

「今回はうちらが最下位脱出にかけたよ〜」

 

「それはないわ。あんたでも無理だよ。」

 

と円・桜子・美砂。

 

中等部二学年発表の番になり一位から発表されていく、2-Aの面々はまだ関係にないだろうと遊んでいる。

 

<五位 2-A>

 

と発表された。まさかの順位に声がでない面々。

 

「桜子!あんたどんだけ儲かったのよ〜」

 

「当分お昼には困らないよ。」

 

個人順位発表

 

一位 超鈴音、雪広あやか、那波千鶴。

八位 宮崎のどか

十五位 近衛木乃香 と続いた。

 

明日菜と夕映の点数も悪いものではなく、順位も二桁に入っており平均七十点超えで順位の上昇率では一番だった。

 

「ちょっと明日菜凄すぎじゃない?なにしたの?」

 

「ちづ姉と委員長も超鈴と同率一位って。」

 

「とりあえず、最下位脱出パーティだー。」

 

と騒ぎ出す。

 

同率一位になった超鈴音の心境は、最下位脱出はネギ坊主が来てからだったはずネ。しかも同率一位もありえないヨ。私が過去に来た所為でズレが生じているのか。

と事前情報との違いに驚いていた。

 

「木乃香〜ツナさんとこでできない?」

 

と明石裕奈が木乃香に確認する。

 

「ちょっと待ってや。」

 

とツナに電話をしだす。

 

「大丈夫なんやけど、急すぎて食べ物の提供は難しいみたいなんよ。ドリンクのみの貸切になるみたいや。」

 

「じゃあお菓子とかを買ってツナさんの店に集合で。」

 

と美砂が仕切り、それにのり騒ぐ2-A。

 

「ツナさん。急に申し訳ありません。」

 

とあやかはツナにお礼を言い頭を下げる。

 

「大丈夫だよ。テストの結果が良かったお祝いなんだから気にしないで。」

 

とあやかの頭を撫でる。

 

「あ!委員長の顔が赤い!」

 

と桜子とかが騒ぎ出す。

 

「うるさいですわよ」

 

と桜子達を追いかける委員長。

 

「ツナさん。見てください!私こんな点数初めてとりました!」

 

と明日菜が得点表をみせる。

 

「頑張ったね。」

 

とツナは笑顔で答える。明日菜は頭を撫でてほしそうに上目遣いでツナを見る。しかし

 

「ツナさん。こっちにも来てくださいよ〜」

 

と美砂に腕を絡まされて

 

「え!ちょっと美砂ちゃん。明日菜ちゃんまた後でね。」

 

という言葉を残して連れてかれてしまった。

 

明日菜は残念そうだが、木乃香達に呼ばれてお菓子を食べ始める。

 

「ツナさ〜ん。聞きましたよ。明日菜達に勉強を教えて予想問題集を配ったそうじゃないですか。次は混ぜてくださいよ」

 

と美砂・円・桜子に絡まされていた。美砂が腕を絡まさて胸を押し付け、桜子が後ろから抱きつき、美砂の反対側から円が抱きついていた。

 

「ん〜あれはみんなが頑張ったからだよ。」

 

とツナは照れながらも女性には優しくがモットーなため抵抗しない。

 

「あらあら。その辺にしときなさい。」

 

と千鶴が後ろから話しかける。美砂達が振り向くと圧力を振りまく千鶴の姿があった。三人は顔を青くし素早く離れて違う場所に移動する。

 

「ツナさんが抵抗しないからエスカレートするんですよ。」

 

とツナにも注意をする。

 

「ごめんね。助かったよ。ありがとう。」

 

と言いながら厨房に消える。

 

少し経つと、唐揚げやポテト、ピザ、パスタ、サラダなどを持って

 

「こんなのしか用意できなかったけど、サービスだから食べて。」

 

とテーブルに並べる。

 

「ありがとうございます!」

 

とさわがしいメンバーが料理に夢中になる一方で、カウンターで静かに話していた二人が目についた。

 

「コーヒー入れたから」

 

と桜咲刹那と龍宮真名に声をかけ目の前に置く。

 

「いえ、私は・・・「サービスなら有り難くいただくとするよ。」

 

と刹那の言葉を遮り真名がコーヒーを受け取る。

 

「ふむ。美味しいな。刹那も飲んでみなよ。」

 

と真名がコーヒーを褒めて刹那にも進める。

 

「美味しい」

 

と刹那も呟く。

 

「あ!せっちゃんもおる。」

 

と木乃香は料理を持ってこちらに向かってきている。刹那は立ち上がり逃げようとするが、

 

「刹那!いつまで逃げるつもりだい?」

 

と真名が刹那の手を掴む。刹那は泣きそうな顔で真名を睨むが

 

「せっちゃん。」

 

と声が聞こえ、振り向くと木乃香が目の前にいた。刹那は真名の手を振りほどき逃げようとする。

 

「刹那ちゃん。話したいことがあるなら気持ちをぶつけないとわからないよ。死ぬ気になればなんでもできるから。」

 

とツナが刹那を優しく抱き締める。

 

刹那はツナから感じる暖かい雰囲気に安心感を覚え、

 

「お嬢様。私は・・・」

 

と魔法のことは伏せて護衛をしていたことのみをポツリポツリと話し出す。

 

「そうやったんか。うちせっちゃんに嫌われたかと思っとったんよ。川でのことは小さかったししょうがないと思うん。うちはまたせっちゃんと仲良くしたいんやけど、ダメかな?」

 

と刹那に握手を求める。

 

「お嬢様。ありがとうございます。」

 

と刹那は泣いて手を握る。

 

真名は満足した風な顔で頷き、ツナも笑顔でいる。2-Aの面々も何人か気づいておりお祝いだーとまた騒ぎ出す。

 

「ツナさん、龍宮さんもありがとうな。」

 

「真名。すまなかった。ありがとう。」

 

と笑顔の二人がお礼を言う。

 

「沢田さん。ツナさんってお呼びしてもいいでしょうか?」

 

と刹那が上目遣いでツナを見る。ツナは笑顔でいいよと答え、

 

「ツナさんに抱き締めてもらった際に勇気をもらえた気がします。ありがとうございました。」

 

と刹那が顔を赤くしながら改めてツナに頭を下げる。

 

「そういえば、せっちゃんだけずるい!うちのことも抱き締めてえな。」

 

とツナの胸に飛び込む木乃香。

 

「お嬢様!」

 

と刹那は焦るが、

 

「昔みたいにこのちゃんって呼んでー」

 

とツナの胸に顔を埋めながら言う。

 

ツナは困りながらも

 

「木乃香ちゃん。」

 

と頭を撫でる。木乃香は

 

「うー次は抱き締めてえな。」

 

と頭を撫でられて満足したのか離れて刹那に抱きついた。

 

慌てる刹那と楽しそうな木乃香を見ながら微笑むツナ。

 

そんな光景を遠くから見ている人物がいた。



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14話

ツナはその視線に気づいていたが、悪意はなく観察されているだけだと理解していたため、気づかないふりをしていた。

 

「茶々丸。あいつの情報はあるか?」

 

「沢田綱吉。喫茶トゥリニセッテのマスターで木乃香さん達のアルバイト先の責任者になります。魔法に関わる情報は出てきません。」

 

と絡繰茶々丸が答える。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは顎に手を当てながら

 

「そうか(魔法使いではないのは別に構わんが、あいつからは硝煙と血の匂いがするぞ。私だから気づけたがジジイ達では無理だな。しかも私の視線に気づいていて無視をしているな。ククク、久々に面白い。社会的な裏側の人間の可能性があるかもな。)」

 

と不敵な笑みを浮かべながらツナを凝視している。

 

ツナはだんだん強くなる視線とは別に超直感が警報を鳴らし始めていることにも気がついた。ふと周りを見ると鳴滝姉妹の姿が目にとまる。その時、妹の史伽が転んで棚にぶつかってしまい、置いてあった食器が史伽に降りかかってきた。

 

「危ない!」

 

ツナは咄嗟に史伽を抱えるように倒れこむ。

 

「史伽!」

 

「沢田殿!」

 

と近くにいた風香と、ツナと同様に助けようとしていた長瀬楓が叫ぶ。

 

「ツナさん!史伽さん!大丈夫ですの?」

 

とあやかも近づいてくる。

 

「大丈夫!君は怪我はない?」

 

とツナは起き上がり史伽の安否を確認する。

 

「あわわ、私は大丈夫です。ツナお兄さんありがとうございます。」

 

「史伽良かったー。ツナお兄さんありがとう。あ!血が出てる!」

 

風香は史伽が無事なのを確認し安堵したが、ツナにお礼を言い顔を見ると頬から血を流しているのに気がつく。

 

「ツナさん!大丈夫?」

 

「救急箱はどちらですの?」

 

「とりあえず、ハンカチを使ってください。」

 

と明日菜・あやか・千鶴がツナを心配し近づく。

 

「こんなもの舐めとけば治る。」

 

ツナの後ろから声が聞こえたかと思ったらエヴァンジェリンがツナの頭を持ち自身の正面に向けて頬を舐め始めた。

ピチャピチャという音が響き、エヴァンジェリンは満足したのか離れて行く。ツナもびっくりしたのか放心し、明日菜は混乱し

 

「じゃあ私も」

 

とやろうとするが

 

「おやめなさい。」

 

とあやかに制止されており、千鶴はハンカチを差し出したまま固まっていた。ツナが正気に戻り立ち上がると風香や史伽に絡まれ始める。

 

エヴァンジェリンは恍惚な表情で席に着いていた。あいつの血はなかなか美味だったなと考えていると。

 

ドクンッ

 

「ッ!(なんだ?私の中で何かが鼓動している?・・・これは!呪いが反応しているのか!あいつの血が原因か?もう少し血が欲しいな。ならば次の満月の日に仕掛けて見るか。)」

 

と茶々丸を連れて帰宅する。

 

「ツナお兄さん!僕達にも勉強を教えてほしい。」

 

「ほしいです。」

 

と風香と史伽がツナの膝の上に座りながら、今回のテスト結果を伝えた。先ほどの件からみんなの注目はツナに向いており、他にも頷いているメンバーがいる。

 

「勉強を教えるのは構わないんだけど、一番大事なのは君達のやる気なんだよ?」

 

とツナは風香と史伽の頭を撫でながら話す。

 

「あの予想問題集はあやかちゃん・千鶴ちゃん・木乃香ちゃん・のどかちゃんからノートを借りたからできたものなんだ。日頃から授業を聞いていたから作れたんだよ?」

 

と諭していく。

 

やる気がある人には教えるということで収集がつき、パーティはお開きになる。



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15話

パーティの後からは2-Aの生徒が客としてくることが多く、中には勉強でわからない部分を質問している生徒もいた。

 

そんな日々が続き三日後の満月の夜。

 

木乃香達も帰り他に誰もいない中で、一人の金髪美女が来店した。カウンターに座り、

 

「お酒はないの?」

 

と美女が妖艶に笑い聞いてくるが、

 

「あっても中学生には出せないよ」

 

とツナは微笑みながら返す。

 

「貴様!気づいていたのか?」

 

「エヴァンジェリンさんだよね?」

 

とエヴァは驚きツナを見る。

 

「貴様は何者だ?」

 

とエヴァは圧力をかけるが、ツナは物ともせずに

 

「ただの喫茶店の店主だよ。俺は昔から勘が良くて幻術や変装はきかないんだ。」

 

「で、エヴァちゃんはなにをしに来たの?あの時、血を舐めてなにか感じたんだよね?」

 

とツナが圧力をかける。

 

「!!(なんだこいつの圧力は、私が汗をかいているだと。)」

 

とエヴァは自身が冷や汗をかいている事実に気がつく。

 

 

 

時は少し遡り満月の日の朝

 

ツナはチェッカーフェイスにエヴァンジェリンの情報収集を頼んでおり、その書類をみていた。

その書類には、エヴァンジェリンが吸血鬼であること。なった原因。それからの出来事。呪いの内容。解き方が書かれていた。

 

「なるほどね。魔法使いの実験で吸血鬼にされたんだ。しかも自分を殺しに来た奴を撃退していたら悪の魔法使い認定で賞金首か。クソだな。そしてこの呪い。何十年もこの地に拘束されて働かせられているとか奴隷と変わらないんじゃないかな。はあ、骸が見たら麻帆良と魔法使いを殲滅しそうだ。でも、エヴァちゃんは助けられるなら助けたいな。」

 

と書類を見ながら呟きエヴァンジェリンを助けるための準備を始める。

 

その準備も終わり、いまエヴァンジェリンとツナは対面していた。

 

「呪いが解けたらなにがしたいの?」

 

と殺気を飛ばしながら聞く。

 

「ふん。縛られてるのが嫌なだけだ。とりあえず、いの一番に京都に行く!」

 

そんな答えを聞いたツナはお腹を抱えて笑う。ツナには超直感があるため嘘は通じない、超直感が真実だと伝えてきたため可笑しくてたまらなかったのだ。

 

「貴様なにがおかしい!」

 

「ごめんごめん。いきなり一人にすると狙われそうだから一緒に着いて行くけど大丈夫だよね?」

 

エヴァは掴み掛かるが、ツナはそんなエヴァの頭撫でながら謝る。

 

「旅費は全てお前持ちならな。」

 

と顔を赤くしながら同行を許可した。エヴァはいつの間にか自身がツナに対して自然体でいることに気づき昔を思い出していた。

 

「呪いは解いてあげれるけど、いくつか条件があるんだ。まずはいまの中学生生活はきちんと卒業すること。次に俺の目的に力を貸して欲しい。あとは俺が解いたことを誰にも言わないこと。くらいかな。」

 

「そんなのでいいのか?なら構わんぞ。ここの学園長は私が研究をしているのを知っているから、自身で解いたと説明しよう。あとツナと呼ばしてもらう。」

 

エヴァはツナと握手をする。

 

じゃあ三階にとエヴァを三階に連れて行く。

 

「これから見せることは他言無用でね。」

 

とツナは額と拳に炎を灯す。エヴァはツナから魔力や気とは違う波動を感じ驚く。ツナは死ぬ気の炎について、自身の炎の特性を説明する。

 

「なるほど。その調和の力というやつで私の呪いを無効化するんだな。」

 

と説明をきいて納得するエヴァ。

 

「エヴァちゃんの呪いは吸血鬼化とは違い、魂に定着しているわけではないから不純物として壊せるんだ。」

 

ツナはエヴァにベットに横になるように促す。が、

 

「あ!ごめん。服は脱いで欲しいんだけど・・・嫌かな?」

 

「そういう趣味か?なんなら呪いが解けたら抱いてやっても構わんぞ。」

 

と顔を赤くしながらいうツナに、ニヤリと笑いながら耳元で囁く。

 

「ちょ!もっと自分を大事にして」

 

とブンブンと手を振り否定する。

 

「まぁいい。だが呪いを解くためとはいえ、私の裸をみるのだから対価はもらうぞ。」

 

と言いながら服を脱ぎベットに横になる。

 

「俺にできることなら。」

 

とツナはエヴァのお腹に手を乗せる。極力体を見ないように目を瞑り集中していた。するとエヴァの体が炎に包まれる。エヴァは一瞬驚くが、その炎は熱くはなく逆に心地良かった。

 

10分ほど経過し

 

「終わったよ。」

 

と炎を消すツナ。

 

「アハハハハ!呪いが解けた!魔力が溢れる!こいチャチャゼロ!」

 

と高笑いをしながらチャチャゼロを召喚する。

 

「ゴ主人ドウシタ。ナンデカラダガウゴクンダ。」

 

チャチャゼロは困惑しているようで、そんなチャチャゼロを抱きしめながら呪いが解けたんだ!と説明した。チャチャゼロも嬉しそうに飛び跳ねていた。

 

「トコロデ、ゴ主人ハドウシテハダカナンダ?」

 

エヴァは自身が裸でいることに気がつき、悪い笑みを浮かべながら

 

「こいつに弄ばれてな。」

 

とツナに抱きつく。

 

「ソウイウシュミカ。」

 

とチャチャゼロは頷くが

 

「違うからね!はやくエヴァちゃんも服を着て!俺は外に出てるから!」

 

と部屋から出て行く。

 

「いいぞ。」

 

と声がかかったためツナは部屋に入る。

 

「体に不調はない?」

 

「大丈夫だ。感謝する。」

 

とエヴァはツナに感謝を示した。

 

「だが裸の件は別だ。リハビリを兼ねて私と戦ってもらおう。」

 

と脚を組みながらツナに対して指を指す。

 

「オモシロソウダナ。俺モマゼロ。」

 

とチャチャゼロも乗り気だ。

 

「まぁ俺もこっちに来てから鈍ってるし、魔法使いの戦い方もわかるから助かるかな。」

 

とツナは苦笑いを浮かべるが承諾した。

 

「お酒を持ってきたから祝盃はあげない?」

 

とボンゴレ本部から持ってきたビンテージワインを数本見せる。エヴァとチャチャゼロは目が光り祝盃が始まった。



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16話

エヴァンジェリンは金曜日の朝に学園長に説明をしに行った。

 

「ジジイ。呪いを解いた。お前には多少の恩もあるからまだ麻帆良にはいてやる。」

 

「ちょっと待つのじゃ!いきなりすぎるぞい!」

 

「いきなりだと!私が長年研究していたのを知っているだろ!ボケたかジジイ!」

 

エヴァが近右衞門に殺気を向ける。

 

近右衞門は失言に気づき

 

「すまなんだ。つい混乱してしまい。関係各所への連絡はしておく。」

 

と頭を下げる。エヴァが出て行くと書類をまとめたり電話をし始める。

 

放課後になると木乃香達六人に刹那を加えた七人はツナ宅の和室で宿題をしていた。

 

「ツナさん。ここはどうしたらいいですか?」

 

と主に質問をするのは明日菜とのどかであり、刹那には木乃香が教えていた。

 

その時、

 

「ツナ邪魔するぞ。」

 

とエヴァが和室に入ってくる。

 

「あーエヴァンジェリンさんや。どうしたん?」

 

「ん?お前達もいたのか。私はツナと話したいことがあってな。少し借りて行くぞ。」

 

とツナの腕を掴み三階に上がっていく。

 

ツナとエヴァが出ていくと

 

「エヴァンジェリンさんが受け答えをしてくれるなんて珍しいわ。」

 

「そやなー 初めて話したえ」

 

「エヴァンジェリンさんとツナさんは、いつの間に仲良くなったのでしょうか?」

 

「ツナさんと二人っきり・・は!またいかがわしいことを!」

 

「ちょ!委員長!静かに。」

 

「夕映どうしよう」

 

「エヴァンジェリンさんまでもが」

 

と各々喋り出す。

 

「今度の日曜日の午後に私の家に招待してやる。戦いの道具も持ってこい。」

 

とツナに地図を渡す。

 

「日曜日の午後ね。わかったよ。」

 

と地図を受け取る。

 

「待っているぞ。」

 

と部屋から出て行き店をあとにした。

 

ツナが二階の和室に戻ると

 

「ツナさん!エヴァンジェリンさんと何をしていらしたんですの?」

 

とあやかが平常心を装いながら聞く。

 

「お店の紅茶について産地とか色々聞かれてたんだよ。エヴァちゃんはヨーロッパ出身だから懐かしい味がしたんだって。」

 

「二人っきりになる必要はあったのかしら。」

 

と千鶴がツナに近づき聞く。

 

「恥ずかしかったんじゃないかな?」

 

と少したじろぎながら言うと

 

「そっかー。エヴァちゃんにも色々あるんだねー。」

 

と明日菜が頷く。その後は何事もなく勉強を進めて解散した。

 

日曜日。

 

ツナは買い物をしてから行こうと午前中に家を出る。

街中を歩いているツナには女性達からの熱い視線がいくつも集まる。そんな中、超直感に従い路地に入ると。

 

「やめてください!」

 

という女性の声が聞こえてきた。

 

ツナは急いで声の元に向かうと女の子三人が男性六人に囲まれていた。その内の女の子一人が男性に腕を掴まれている。

 

「離して!」

 

「ちょっと亜子を離しなさいよ!」

 

「警察を呼びますよ!」

 

と女の子達は抵抗するが、男達は笑いながら、

 

「来る前に車に乗せるからいいよー。」

 

「楽しもうよー」

 

などとやめる気配がない。

 

「嫌がってるんだから、それくらいにしときなよ。」

 

ツナは女の子を掴んでる腕をひねり上げる。

そうすると男は痛がり女の子を解放した。ツナは瞬時に女の子を抱えて移動し、三人を背に隠す。

 

「なんだお前は?」

 

「こいつ男か?」

 

「なよなよしたやつがでしゃばんなよ」

 

と男達が殴りかかってくる。ツナは一人一人に手刀を入れて気絶させる。六人を制圧するのに十秒もかからなかった。

 

最後の一人を気絶させると、広域指導員がやってきて男達を警察に引き渡した。

 

ツナは

 

「大丈夫だった?」

 

と女の子三人に笑いかける。女の子三人を良く見ると、この間のパーティにもいた2-Aの生徒だった。腕を掴まれていたのが和泉亜子、残りの二人が明石裕奈と大河内アキラと自己紹介した。

 

「ツナさん。ありがとう。うち怖くてなんもできんかった。」

 

亜子が泣きながらツナにお礼を言う。

 

「ごめんね。もうちょっとはやく来ていたら良かったんだけど。」

 

と亜子の涙をハンカチで拭いてあげる。

 

「ツナさんのせいじゃないですよ!悪いのはあいつらです!」

 

裕奈は怒りを露わにしていた。

 

「私も何もできませんでした。ありがとうございました。」

 

とアキラも頭を下げ亜子を抱き締める。

 

「今度お礼をしたいんで、連絡先を教えてくださいよ!」

 

とツナは裕奈に言われ、お礼なんか要らないよと断るが、三人も譲らなかったため、携帯番号とアドレスを交換した。亜子はハンカチを洗って返すといいそのまま貰っていた。

 

三人と別れると、駅前で美砂・円・桜子とばったり出会う。

 

「ツナさん!お出かけですか?良かったら一緒にカラオケにでも行きません?」

 

と美砂が腕を絡ませながら遊びに誘う。円や桜子もノリ気で周りにまとわりつく。

 

「ごめんね。今日は用事があるからまた今度ね。」

 

と断るが、円が

 

「今度って何時ですかね?約束したいんで連絡先を教えてほしいです。」

 

と携帯を取り出す。ツナも携帯を取り出し、連絡先を交換した後に急ぐからと行ってしまったが、美砂は

 

「ツナさんの連絡先ゲットー。円やるじゃん。」

 

と嬉しそうだ。

 

ツナがエヴァ宅に着いたのは13時ちょうどだった。インターホンを押すと茶々丸が出迎えてくれた。

 

「沢田さん。お待ちしておりました。マスターがお待ちです。こちらに。」

 

と案内をしてくれる。

 

「茶々丸ちゃん。それ私服?」

 

茶々丸の格好はメイド服で思わず聞いてしまう。

 

「いえ、こちらはマスターの趣味です。」

 

「似合ってる。可愛いよ。」

 

と笑顔で言うツナに対し

 

「あの、私はガイノイドですので可愛いというのは。」

 

と茶々丸が焦って否定した。

 

「ガイノイドとか関係ないよ。茶々丸ちゃんは茶々丸ちゃんだよ。」

 

と微笑み頭を撫でる。

 

そんなやりとりを終えて茶々丸に案内されたのは地下で、目の前には水晶玉がある。その水晶玉に茶々丸が触れるとツナと光に包まれ消えていた。



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17話

戦闘描写が書けなかったため割愛しました。
次にある場合は書くようにします。


ツナが目を開けると部屋の中ではなく南国のような空間にいた。

 

「ここは?ワープではないな。さっきの水晶玉の中?」

 

と周りをキョロキョロ見渡す。エヴァが空から

 

「良くわかったな。これは魔法球というマジックアイテムの中で私の別荘だ。中での一日は外の一時間になっている。」

 

と降りて来ながら説明した。

 

「凄い技術だね。あと服をちゃんと着てくれないかな」

 

エヴァのロング丈キャミソールの上にマントという格好にツッコミをいれる。

 

「お前はいちいち気にしすぎだ。私を意識しているのか?ん?」

 

と挑発的な笑みを浮かべながらキャミソールを徐々に捲り始める。

 

「だから!やめてって!」

 

とエヴァの懐に入り手を掴む。そのスピードに驚くエヴァと茶々丸。

 

「まあいい。私は従者を使うが問題はないな?」

 

「構わないよ。俺にもナッツがいるから。」

 

とツナはナッツをバックから取り出す。

 

「ガウッ」

 

とナッツはやっと外に出れたので体を伸ばしたりしていた。

 

「これはネコか?」

 

「一応ライオンとネコの雑種。」

 

とツナとエヴァが会話をしていると、

 

「沢田さん。触っても大丈夫ですか?」

 

茶々丸がナッツを見つめながら言う。ツナが頷くと、ナッツを触り始める茶々丸。どことなく嬉しそうな顔をしている。

 

「エヴァちゃん。茶々丸ちゃんはもしかして。」

 

「気づいたか。茶々丸には魂が宿りつつある。」

 

とナッツと戯れる茶々丸を暖かく見守る。

 

その後は、エヴァ達三人対ツナ。エヴァ対ツナを何回か行う。

 

ツナは夜ご飯も食べお風呂で体を休めながら

 

「魔法使いの戦い方は面白かったな。並の魔法使いなら近接格闘はできないからそこを叩くのが一番早そうだね。」

 

と今日の振り返りをしていた。

 

背後に気配を感じて振り返ると

 

「ツナ!お前に確認したいことがある。」

 

とエヴァが裸で胸を張って立っていた。

 

「ちょ!なんで入ってくるの!前を隠して!」

 

とツナは背を向けながらタオルを差し出す。

 

「前に一度みられているのだから別に構わん」

 

とそのままツナの横に座る。

 

「お前はなんで戦いの時に、悲しそうな顔をする?」

 

と戦闘訓練でのツナの眉間に皺をよせ、祈るように拳を振るう姿が気になってしょうがなかった。

 

「俺は本当は戦いたくはないんだ。みんなを守れる強さがあればそれだけでいい。誰一人欠けることなく日常に戻りたい。相手とも分かり合えるならそれが一番いい。」

 

と悲しそうに語る。

 

「その甘さがいつかお前自身の首を絞めることになるぞ。」

 

とツナの問いに聞きたいことは聞き終えたのかお風呂から立ち去る。ツナはそんなエヴァを見ながら

 

「前に骸にも同じことを言われたよ。」

 

と苦笑いを浮かべる。

 

エヴァは寝室で

 

「いつかあいつの過去をみてみたいな。」

 

と呟き眠りについた。



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18話

茶々丸を一人として人数計算しています。


翌日魔法球から出る三人と一体。

 

「んーゆっくり休めたよありがと。」

 

「私との死闘がゆっくりか、また来てもいいぞ。しかし魔法球は老化が早まるから多用は進めんがな。」

 

ツナはまたねと言いながら家をあとにした。行きとは違いナッツを肩に乗せている。

 

「あ!ツナさんや〜ナッツちゃんもおる〜」

 

「このちゃんいまは」

 

と着物姿の木乃香と制服姿の刹那が街中を走っていた。

 

「木乃香お嬢様!やっと追いつきましたよ」

 

「刹那くんも任務に戻りなさい。」

 

「なに?どうしたの?」

 

「おじいちゃんが勝手にお見合いを組んでるんよー うちはいややって言うてるのに。せっちゃんに頼んで逃してもらってたんやけど。」

 

「このちゃん。私の後ろに。」

 

刹那は夕凪を構えようとする。

 

「へぇ、無理矢理お見合いねー。ナッツ。」

 

とナッツが刹那の前に飛び立ち「Gyaoo」といつもと違い低音の雄叫びをあげる。その雄叫びで追っ手達がたじろぐと、ツナは一瞬の隙をついて、右に木乃香、左に刹那を抱き上げて移動する。ナッツもツナの頭の上に戻ってきていた。

 

ツナは木乃香の話をきいて、ボンゴレを継いだ後に9代目や古狸達から騙されて見合いパーティに連れてかれたり、紹介されたりしたのを思い出していた。木乃香の姿が自分と被って見えたため切れかけていた。

 

追っ手を振り切ったツナは自宅にて木乃香と刹那を休ませていた。

 

木乃香と刹那はナッツと戯れて、ツナは人数分の紅茶とケーキを用意していた。

 

「お待たせ。疲れてない?」

 

とケーキと紅茶をテーブルに置く。

 

「大丈夫やえ。助かったわー ありがとう。ツナさん運動もできるん?」

 

「ありがとうございます。二人を抱えてたのに結構なスピードで走ってましたよね。あと以外と筋肉も・・・」

 

刹那はツナに抱き上げられている際の胸板や二の腕の感触を思い出し顔を赤くしてしまう。木乃香は純粋に運動もできたことに驚いていた。

 

「木乃香ちゃんはこういうことがよくあるの?」

 

ツナは刹那が赤くなった理由は、急に男に抱き上げられて恥ずかしかったからと判断し、木乃香に語りかける。

 

「そうなんよ。うちまだ中学生なのに、まだお見合いなんてはやいわー。恋をするなら普通にしたいんよ。」

 

「このちゃん。」

 

木乃香は若干涙目になりながら話し、刹那はそんな姿を見ながら拳を握りしめていた。

 

「木乃香ちゃん・・・一番いいのは実力行使をしてでもわからせることだけど。」

 

ツナは過去の見合いパーティの際に黒幕を氷漬けにしたことを思い出すが、木乃香に暴力は似合わないと首を振る。

 

「直接的な解決にはならないかもだけど、これをあげる。」

 

懐から鍵を取り出し木乃香と刹那に手渡す。

 

「これは?」

 

「なんのカギなん?」

 

刹那と木乃香は不思議そうにカギを見つめていた。

 

「それはこの家の合鍵だよ。もしも逃げる必要があったらここにおいで。」

 

ツナがそういうと意味を理解した二人はだんだんと顔を赤くし、大事そうにガキをしまう。

 

「ありがとうな〜。」

 

「大事にします!」

 

「好きな時に来ていいからね。」

 

と二人の頭にポンッと手を置き撫でる。

 

木乃香は明日菜に着替えを持って来てほしいと頼み四人で夜ご飯を食べることにした。

 

「今日はうちがつくるえ!」

 

と木乃香がエプロンをつけながらキッチンに立ち料理を始める。刹那は手伝いをしながら木乃香に料理を教わっていた。

 

明日菜はツナと二人っきりになりドキドキしながらも勉強を教わっていた。

 

「ツナさんここなんですけど。」

 

明日菜は上目遣いでツナを見ながら質問をする。頬が若干赤く口元はニヤケている。

 

「この問題は引っ掛けだね。この部分とここに気をつけてもう一回挑戦してみようか。」

 

と頬と頬が触れてしまうような距離で教える。

そんなツナに明日菜の内心は、

 

(近い近い〜〜まつ毛長いー いい匂いがするよー このままエヴァちゃんみたいに・・・恥ずかしくて無理ー)

 

とその距離感に暴走しそうになっていた。

 

明日菜の自身との戦いは木乃香と刹那が来るまで続いた。




ご指摘がありましたので少しずつになりますが、過去に投稿したものを修正します。


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19話

翌日

 

2-Aでは学園祭の出し物を決めるHRをしていた。

 

「皆さん!いい加減決めないと間に合いませんわよ!」

 

あやかが遊んでいるクラスメイトを注意するが、各々好き勝手に発言しまとまりがなかった。

 

本来であれば担任が多少は仕切るのだが、2-Aの担任であるタカミチ・T・高畑は長期出張に出ているため、源しずなが代理で受け持っていた。源しずなもずっと見ていられる訳ではないため、あやかが仕切るしかない状況になってしまっている。

 

高畑は表向きはNPO活動の一環で長期出張をしているが、関東魔法協会の認識は違う。近衛近右衞門がネギ・スプリングフィールドの受け入れに難色を示した為、反旗を起こし単身でネギの護衛に向かってしまったのである。

 

 

 

「はいはーい!超包子のメンバーもいるし飲食店は?」

 

「メイド喫茶!」

 

「ツナお兄さんに協力してもらって喫茶店は?」

 

「「「「「「それだ!」」」」」

 

風香の発言に何人かが喰いつく。

 

「木乃香さん。申し訳ないのですが、学園祭でのツナさんの予定はわかりますか?」

 

「学園祭の最中はお休みにして、見て回りたいっていっとったで。」

 

「なら早めにお願いをした方がいいと思うです。」

 

「そうね。ちょっときいてみるわ。」

 

千鶴がツナに電話をかけ始める。

 

「ツナさん。千鶴です。可能であれば学園祭に協力をしていただけないかと思いまして、はい。わかりました。」

 

「とりあえず、いまから話をしに行くことになったわ。」

 

千鶴が電話を切り注目していたクラスメイトに伝え、行くメンバーを選出した。

 

「なら合同で店舗でもやるカ?超包子も面白い企画がなくて困っていたネ。教室ではなく、それなりの施設があればの話だがネ。」

 

「それなら雪広グループで使用予定だった店舗を提供できるかと思いますわ。」

 

ツナも協力するのが確定になっているかのように場所と出し物が決まった。

 

説明するための責任者として委員長・千鶴・超

日頃からアルバイトとして交流がある木乃香・明日菜・夕映・のどか。

ジャンケンに勝利したエヴァ

 

に決まった。

 

「エヴァンジェリンさんがこういうのに混じるのって珍しいね。」

 

「私もあの男には興味があるからな。」

 

と不敵に笑い木乃香達を見る。

 

「では喫茶店を第一候補に進めて行きましょう。後はコンセプトと衣装を各自でも考えて来てください。」

 

あやかの一言でHRが終了した。

 

アルバイト組も今日は休みをもらっていたため、八人がまとまってお店に行く。ツナは他にお客さんもいないことからお店を早く閉めて八人とテーブルに着いた。

 

「千鶴ちゃんの電話の件なんだけど、ちゃんと説明してほしいかな。」

 

ツナはコテンと首を傾げる。

 

「その前にいいカ?私は超鈴音っていうヨ。よろしくネ。」

 

打ち上げパーティの際にも来ていたがきちんと自己紹介をしていなかったからと、超鈴音とツナは自己紹介をする。

 

「ツナさんは麻帆良学園祭についてはご存知ですか?」

 

ツナが首を横に振るのを確認したあやかは麻帆良学園祭について説明した。

 

「学校の学園祭に企業が絡むんだ。麻帆良学園は本当に凄いね。いいよ。一緒に頑張ろうか!」

 

ツナは話を聞いて驚いたが八人の真摯な思いに共感し引き受けることにした。

 

「準備期間もあるんだよね?来週からお昼までの営業にして、準備も手伝うから。」

 

「そこまでしていただくわけには・・」

 

「俺も楽しみだから気にしないで」

 

あやかは申し訳ないと思いながらもツナの好意に感謝した。

 

あやか達は来週までにお店のコンセプトと衣装を決めることを、ツナもメニューについて少し考えておくことを約束しその日の話し合いは終わった。

 

各々が帰る準備を進めて行く中で

 

「ツナ。今日泊めてくれないか?」

 

とエヴァが唐突にツナの膝に座り、首に抱きついた。



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20話

「エヴァちゃん!うやらま、じゃなくて私とかわりなさいよ!」

 

「明日菜さん。落ち着いてください。」

 

「そうですわ!はやくそこを私にお譲りなさい!」

 

「あやかも落ち着いた方がいいわよ。」

 

「なにやら面白そうネ。残念ながら博士を待たせているためお先に失礼するヨ。」

 

「みんな積極的やわ〜〜」

 

「エヴァンジェリンさんはどうして泊まりたいのですか?」

 

エヴァの行動に明日菜とあやかは動揺して意味深な発言をする中で、のどか・千鶴・木乃香・夕映は冷静に対応していた。超は残念そうに帰っていく。

 

「エヴァちゃん!とりあえず離れてくれないかな。」

 

とツナはエヴァを引き離し目の前に座らせた。

 

「今日は茶々丸がいなくてな、家に一人なんだ。なら、このままこいつといた方が安全だろ。なんならお前達も泊まればいい。」

 

エヴァはもっともらしい言い訳をして、明日菜達をみながら泊まることを提案した。

 

「そうですね。なら私達も泊まりましょうか。」

 

「そうやな〜 ツナさんお願いできへん?」

 

木乃香が代表してツナに確認する。ツナもエヴァだけだと身の危険を感じていたため

 

「大丈夫だよ。みんなこの部屋でいいよね?」

 

全員に許可を出す。

 

「なら私がツナの隣で寝よう」

 

エヴァがまたツナに近づくが

 

「エヴァンジェリンさん。やりすぎですよ。」

 

と千鶴に抱かれて引き離された。

エヴァは抵抗すれば脱出もできたが、千鶴の身体が無事では済まなくなるためおとなしく従っている。

 

「エヴァンジェリンさんは色々とかわりましたね。なにか心境に変化でもあったのですか?」

 

夕映はエヴァンジェリンのあまりのかわり用におもわず聞いてしまう。

 

「この男に色々とされてな。」

 

エヴァは悪い笑みを浮かべる。

 

明日菜達は「色々・・・」と呟き顔を赤くしてツナを見つめる。

 

「違うからね!エヴァちゃん意味深な発言はやめて!」

 

「ククク 良いではないか。」

 

ツナはなんとか誤解を解くことに成功するが、精神的な疲労が溜まっていた。

 

(いまなら隼人の気持ちがわかるよ。胃薬がほしい。)

 

胃薬を常備していた右腕を思い出す。

 

 

次の日の朝

 

ツナは目が覚めるが、身体が重いことに違和感を感じる。しかも視界が真っ暗だった。

 

(え?なにこの状況!なんで千鶴ちゃんが!エヴァちゃんもいるし!)

 

ツナの状況は、千鶴に頭を抱きしめられており、顔が胸に埋まっていた。しかも腰には裸のエヴァが抱きついている。

 

(鍵を閉めたよね!エヴァちゃんの魔法か?いや、それよりはやくこの状況から抜け出さないとヤバイ。)

 

ツナは超直感がかつてない警報を鳴らしていることに気づき慌てて身をよじる。

 

「ん・・アッ・」

 

ツナが動く度に千鶴が反応するが、

 

「ふふ ツナさん。朝から激しすぎですよ。」

 

千鶴は起きておりこの状況を楽しんでいた。

ツナの頭を撫でたりしていたが、少したつと頭を離して起き上がる。

 

「エヴァンジェリンさんも起きてください。そろそろ戻らないと危ういですよ。」

 

とエヴァに服を着せて部屋から出て行こうとする

 

「ちょ!説明をしてほしいんだけど!」

 

「内緒です」

 

ツナに声をかけられるが、人差し指を唇に当てウインクをして部屋から出ていく。

 

「あーーー!ちづねえ!エヴァちゃん!なんでツナさんの部屋から」

 

しかし部屋から出てくる姿を新聞配達から帰ってきた明日菜にバッチリ見られて叫ばれてしまう。

 

その叫び声をきいた面々により和室に正座させられているツナ・千鶴・エヴァ

 

「千鶴さん?どうしてツナさんの部屋から出てきたのかしら?」

 

「ツナさんもダメやで〜」

 

「.エヴァちゃんはやく説明しなさいよ!」

 

「のどか。尋問は三人に任せて私達は朝ご飯の用意をしましょう。」

 

「うん。遅刻しちゃうもんね。夕映待ってー」

 

夕映も興味はあったが時間も時間で、ツナ宅に行ったメンバーが遅刻するのはマズイと判断した。超だけが登校し他のメンバーが遅刻した時の騒動を考えたのである。

 

「どうしましょう。せっかくの秘密が。」

 

「なに、私が夜中に忍び込んだら那波千鶴が着いてきただけだ。」

 

「止めるつもりだったのですが、ツナさんの寝顔を見てたらつい。」

 

千鶴は顔を赤らめながら頬に手を置く。

 

「神楽坂明日菜。お前こそなぜ三階にいたのだ?」

 

エヴァは面白そうに明日菜に問いかける。

 

「べべ別に意味なんてないわよ!」

 

「大方、ツナを起こそうとしてあわよくばを狙ったのではないか?」

 

「そんなことは!いつもならいるツナさんがいなかったから、まだ寝てるのかなって思っただけで、寝顔が見てみたいとかあわよくば添い寝とか、キキ キスとか考えてないから!」

 

明日菜は真っ赤になりながら手をブンブン振る。

 

「あすな〜 わかりやすすぎやわ〜」

 

「明日菜さん!貴女も正座ですわ!」

 

明日菜にまで飛び火した。

 

ツナは(今日はもう店を休みにしてゆっくりしよう。癒しがほしい。)と考えていて千鶴や明日菜の発言を聞いていない。

 

そんな混沌な空間は二人の少女により打ち破られた。

 

「にゅにゅ。 ツナ!遊びに来た!にゅ?なんで正座なんてしてるんだ?」

 

「ツナお兄さん!ヤッホー。この街すごいねー!案内してよ!うわ!なんかすごい場面に遭遇した感じ?」

 

水色のロングヘアーの少女がツナに飛びつき、赤銅色の短髪で活発そうな少女が部屋の入り口でニヤニヤとツナを見ていた。



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21話

「ブルーベル!真美ちゃんも!どうしてここに?」

 

流石のツナも予期せぬ来客に驚いていた。

 

「にゅ。ユニがツナが癒しを求めてるから、この時間にこの場所に行けって言うから来た。にゅ〜どうだ癒されたか?」

 

ブルーベルはツナに抱く着く力を強めていく。抱きつくことで癒そうとしているようだ。

 

ツナはブルーベルの頭を撫でながら

 

(さすがユニ!ありがとう。でもユニ自身がやって来そうなのにどうしたのかな?)

 

ユニに感謝する。

 

「私はブルーベルちゃんだけだと心配だし、ツナお兄さんにも会いたかったから一緒に来たんだけど・・・この人達は?」

 

「先に自己紹介をした方がいいよね。じゃあブルーベルから。」

 

「にゅにゅにゅ?私からか?私はブルーベル。」

 

「私は古里真美よ。よろしくね。」

 

ブルーベルはいつも通りだが、真美の方はツナの虜が量産されていく現状に呆れていた。

 

麻帆良組も自己紹介し終えた時に、のどかと夕映が朝食を持ってくる。

 

「人が増えてるです。」

 

「足りるかな。」

 

人数が増えていることに驚き、朝食のサンドイッチが足りるか心配になる二人。

 

「二人は朝ご飯はどうする?」

 

「ユニちゃんがサンドイッチを持たせてくれたから大丈夫だよ」

 

「ツナ 一緒に食べにゅ」

 

麻帆良組は色々と聞きたいことがあったが、ツナ達が席についたため慌てて席についた。

 

ツナの横には古里真美と木乃香、ブルーベルは膝の上に座っている。

 

「青いの。そこは私の席だ。」

 

「にゅ? ここはブルーベルとユニの特等席なんだぞ。このひんにゅー」

 

「お前に言われたくないわ!自分のを見てから言え!」

 

「エヴァンジェリンさん!落ち着いください!食べないと遅刻してしまいますわよ。」

 

エヴァンジェリンとブルーベルが火花を散らす中、あやかがエヴァンジェリンを制す。エヴァ的には一人なら学校なんかどうでもいいが、この面子だと担いででも連れてかれそうな気がしたため口には出せなかった。

 

「にゅ。 ツナ、これはブルーベルが作ったやつ、食べてもいいよ。」

 

「ツナお兄さん。私のもあるよ。」

 

ブルーベルと真美はツナに自身が作ったサンドイッチを食べさせる。俗に言うアーンである。

 

「ブルーベルちゃんかわええわー。うちの膝にもおいでー」

 

「にゅ!触るなー ツナの膝がいい。」

 

「お二人はツナさんとどういう関係なんですか?」

 

「にゅ〜?一緒に遊んだり寝たりする関係?びゃくらんやユニと同じくらい好きだ」

 

「お兄ちゃんの友達で尊敬する人かな〜。」

 

「ブルーベルとは仕事仲間で真美ちゃんは親友の妹なんだ。ちなみにブルーベルはみんなと同い年だよ。真美ちゃんはいま高校三年生?」

 

「そうだよー。大学も決まってるから自由、フリーダム!あ!もう結婚もできるからツナお兄さんよろしくね♪」

 

「仲人は任せて!」

 

違うよツナお兄さんと言いたげな表情になる真美。

 

「ブルーベルちゃん同い年なの?」

 

「みえへんわー」

 

「鳴滝四号ですね」

 

「夕映三号は?」

 

「綾瀬夕映。なぜこちらを見る?三号はお前だろ」

 

「高校三年生ですか、でも胸は私が勝ってますね。」

 

「千鶴さんに勝てる人は滅多にいませんわ。それよりも!そろそろ行きますわよ。」

 

あやかは手をパンパンと叩きみんなに時間を知らせ、準備を急かし出られる状況にする。

 

「ツナさん。昨日はありがとうございました。来週お待ちしております。」

 

とあやかが代表して挨拶をし学校に向かう。

ツナ達は玄関で見送り、ブルーベルと真美にはお店の中を見せていた。

 

「今日はお店を休みにするから街を案内するよ」




古里真美については口調年齢はめちゃくちゃです。

ブルーベルの年齢も捏造。口調はアリスと蔵六の紗名に似ている感じになってます。


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22話

「にゅ〜〜」

 

「ブルーベルちゃん!走ると危ないよ!」

 

ツナはブルーベルと真美と一緒に世界樹広場に来ていた。あの後は洋服等を購入し、すでに夕方になっていた。

 

「人も増えて来たし、手を繋ごうか?」

 

「にゅ!繋ぐ!」

 

「なら私も!」

 

ツナはブルーベルが迷子にならないように手を差し出し繋ぐ、それを見た真美も手を繋ぐ。真美の繋ぎ方は恋人繋ぎである。真美は若干顔を赤らめているがツナは平然としていた。ツナからしたら真美が小学生の時から知っていて、何度も恋人繋ぎをしていたために慣れてしまったのだ。

 

「ブルーベル、真美ちゃん付けられてるね。」

 

「にゅ〜。でも気配も消せない素人。うざいから頭蓋骨ひん剥いていい?」

 

「そうね。二人組みたいだけど連携もなってないわ。確かにわかりやすすぎてうざいわね。」

 

「ちょ!ブルーベルも真美ちゃんも落ち着いて!

 

ツナ達は世界樹広場に来てから二人組に尾行されていることに気がついていた。ただわかりやすい尾行に対して、せっかくの楽しい時間を台無しにされたとブルーベルと真美は怒っていた。

 

「お店まで来られたら面倒だから、路地に入ってまくよ。もしかしたら仕掛けてくるかもだから気をつけてね。」

 

ツナはお店の場所が特定されて家に帰ってからの襲撃を嫌い、路地に入ってまくか撃退しようと考える。ツナ達が路地に入り周りに人がいなくなると、

 

「そこの貴方!その手を離しなさい!」

 

「「「え?」」」

 

振り返ると金髪であやかちゃんに似た女の子と、箒を持っている小動物っぽい女の子がいた。その二人の周りには黒いロープで仮面をした怪しい集団もいる。

 

「いたいけな幼女を無理矢理連れ回すとは言語道断です!しかも人気のない路地裏に連れ込むとは・・・破廉恥な!この高音・D・グッドマンが相手です!行きますわよ愛衣」

 

「はい!お姉様」

 

「え!ツナお兄さんそうなの?言ってもらえたらいくらでも・・・」

 

「真美ちゃん何言ってるの!?ブルーベル!真美ちゃんをよろしく!」

 

「にゅ?破廉恥ってなんだ?」

 

ツナはブルーベルに真美を託して、高音達と向き合う。向こうはすでに戦闘態勢に入っており、対話ができそうにない状況だった。

 

ツナは一瞬にして黒ロープ集団の中に飛び込み、一体を掌底で倒し、その勢いを利用したまま回し蹴りを放ち一気に三体を吹き飛ばした。

 

「残り三つ!」

 

いうと同時に一体の首に手刀を打ち、倒れる体に飛び乗り横にいたもう一体の側頭部に蹴りを叩きこんだ。側頭部を蹴られた一体は残っていたもう一体を巻きこみながら地面を転がる。

 

七体いた使い魔を一瞬で倒された高音は呆然としてしまい、ツナが目の前に来ていることに気づかなかった。気づいた時には目の前まで来たツナが腕を振り上げていた。

 

「お姉様!!」

 

佐倉愛衣はたまらず悲鳴をあげ魔法の詠唱を始める。しかし愛衣が見たものは、高音を殴るのではなく、着ていた上着を高音に掛けてあげているツナの姿だった。

 

「え?」

 

「どういうつもりですか?」

 

愛衣と高音はツナの行動を疑問に思いツナを見るが、件のツナは目を手で隠して横を向いてしまっている。

 

「にゅ〜お姉さん裸だよ。」

 

「いつ脱いだのかわからなかった。」

 

「〜〜〜〜」

 

「お姉様!私のロープを!」

 

高音は自分の姿を理解し、声にならない悲鳴をあげて座り込んでしまう。使い魔を吹き飛ばした際に高音にも衝撃波が当たってしまい、そのせいで使い魔で作った服が消えてしまったようだ。

そんな高音に愛衣はロープを渡すが、ツナの上着と愛衣のロープでは全身を隠せずにいた。

 

「ちょっと待ってて!」

 

ツナはグローブに炎を灯し、空を飛び服屋に降り立つ。ちなみに骸から霧の炎が埋め込まれたイヤリングをもらっており、飛んでいる最中は幻術で隠れていた。

 

「お待たせ!これを着てもらえるかな?」

 

「貴方は敵である私にどうして優しくするのですか?」

 

「いやいや!敵ではないからね!勘違いだし困っている女の子を放っては置けないよ。」

 

と服屋で買ってきた一式を高音に手渡す。高音はとりあえずは納得したのかお礼を言い洋服を受け取り着替える。

 

「お姉様似合ってます。」

 

ツナが買ってきた服は、薄っすらと青みがあるワンピースに上着、ショートパンツだった。

 

「にゅーツナーお腹空いたー。」

 

着替え終えたところでブルーベルがお腹を鳴らしてツナに抱きついてきた。

 

「そうだね。そろそろ帰ろうか?申し訳ないんだけど、二人も一緒に来てくれないかな?」

 

「まずは謝罪を・・申し訳ありませんでした。その様子からすると勘違いみたいですし。先ほどの力の件も気になりますのでご一緒させていただきます。私は、高音・D・グッドマン、高音とお呼びください。」

 

「あ、あの、ごめんなさい。あとありがとうございました。私は佐倉愛衣って言います。」

 

その後は、ツナ達三人も自己紹介をしながらお店へと向かう。




高音と愛衣をどうしても絡ませたくてこんな展開になりました。


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23話

高音は正義感が強すぎる反面思い込みは激しいが、きちんとした対応をすれば判断力もあり頭の良い子だと思っています。精神的に鍛えれば使い魔を使用した服もそうそう破けない。影の一部のみを使用しての攻撃も可能なのではと考えています。

愛衣に関しては、中学一年生にしては落ち着いているが、魔法学校で教わった正義を貫くために自分を押し殺している。高音といる時は少し素を出せるが、魔法先生と一緒だと感情のない機械のように淡々と任務をこなす。根は甘えん坊で可愛い物好きだと考えています。


ツナ宅にて

 

真美は夕食の支度を、ブルーベルは仲良くなった愛衣と一緒にナッツと戯れていた。一種の癒し空間が出来上がっている。そんな中、ツナと高音は向き合い話をしていた。

 

「先ほどは失礼いたしました。警備員に幼女を無理矢理連れ回しているという通報がありまして、通報された服装と合致していたためにあのような行動を。」

 

高音はツナを変質者に間違えた経緯を説明していく。

 

「誤解を招いた俺も悪いけど、次からは事実確認をきちんとしようね。」

 

ツナはそういうと高音の肩をポンと叩き、この話はお終い!と話を切り上げた。ツナは超直感から今回の通報は、以前から鬱憤が溜まっていた輩が美少女二人に囲まれたツナを見て嫉妬したのだろうと伝えてきた為、掘り下げてもしょうがないと判断したのだ。

 

「単刀直入に聞くけど、君たちは魔法使いだよね?」

 

「やはり貴方もこちら側の人間なんですね。」

 

「俺は魔法使いではないよ。気を使う人間は知ってるよね?」

 

「つまり先ほどのは気を炎に変換していたということですか?」

 

ツナは高音に死ぬ気の炎のことを話す。

(高音ちゃんは頭がいいね。一を話すとそれ以上のことを理解してくれる。超直感も味方に引き込むべきだと言ってるから慎重に話さないと)

 

「愛衣。いい加減貴方もききなさい。」

 

「ごめんなさい。ブルーベルちゃんもナッツちゃんも可愛くて。」

 

「ナッツが気に入ったならいつでも遊びに来ていいよ。」

 

「にゅー。愛衣。イタリアに帰ってもメールするからな!」

 

ブルーベルは寂しそうに愛衣に擦り寄り、愛衣も抱き寄せる。そんな二人を微笑ましく見守るツナと高音。

 

二人が落ち着いた後に、エヴァにも伝えた内容を二人にも話す。

 

「わかりました!この高音・D・グッドマンも力をお貸しいたします!何かありましたら連絡してください。」

 

「私も大丈夫です。頑張ります。」

 

高音ちゃん、愛衣ちゃんもありがとうとツナは笑みを浮かべる。その笑みに見惚れてしまう二人。

 

「あの・・お兄様って呼んでもいいですか?」

 

「愛衣!?」

 

「ツナさんといると暖かくて安心するんです。お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思って・・・ダメですか?」

 

愛衣は瞳をうるうるとさせながら上目遣いでツナを見つめて、ツナから感じた印象を語る。

 

「なんて呼んでも大丈夫だよ。」

 

ツナはそんな愛衣に庇護欲を感じ頭を撫でながら(昔の凪もこんな感じだったよなー。)と昔を思い出していた。

愛衣は嬉しそうに頭を撫でられており、高音もそんな愛衣を見て安心していた。

 

高音から見た愛衣は、大人の言うことを聞いてしまう傾向にあり、まるで機械のように任務をする印象があった。

そんな愛衣が、魔法先生ではないものの大人であるツナに対して感情を露わにしているのである。この出会いと変化か愛衣に対してプラスになればと高音は考えていた。

 

「この洋服は洗濯してお返しします。」

 

「高音ちゃんに似合いそうだから買ってきたんだ。だから貰ってくれると嬉しいな。あと愛衣ちゃんにも。」

 

「え!私の分まであるんですか?」

 

「うん。たまたま愛衣ちゃんにも似合いそうなのがあってね。つい買って来ちゃった。良かったら着てみてくれないかな?」

 

ツナは立ち上がり部屋から出ていく。残された二人はどうしようかと迷うが

 

「愛衣!私もみてみたいから着てほしい。」

 

ブルーベルがにゅーと言いながら抱きつきナッツも膝に擦り寄ってきた。高音と愛衣は断るのは逆に失礼にあたると考えて甘える事にした。

 

「にゅー!愛衣可愛い!ツナー終わったよ!」

 

ブルーベルの呼び掛けに答えてツナと真美が料理を持って入ってくる。

 

「やっぱり似合ってるね。可愛いよ」

 

「わー愛衣ちゃん可愛い!正統派美少女だね!」

 

愛衣の服は淡いピンクのワンピースに黒い上着だった。

 

「ツナお兄様ありがとうございます!真美さんもありがとうございます。」

 

愛衣は嬉しそうにピョンピョン跳ねて喜んでいる。つられてブルーベルやナッツも一緒に跳ねて喜んでいた。

 

「愛衣。嬉しいのはわかりますが、せっかくの料理が冷めてしまいますよ。早くお座りなさい。ブルーベルちゃんも。」

 

「じゃあ食べようか。」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

五人と一匹は雑談をしながら少し遅めの夕食をとり、ツナは高音と愛衣を寮まで送り、真美とブルーベルは夜の炎でイタリアに帰った。

 

高音と愛衣がツナから貰った洋服の値段を知り驚くのは別の話。



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24話

それからの一週間は早く進んで行く。

 

月〜金曜は何時もの日常で、土曜日にちょっとした事件が起きた。

 

事件は土曜日の夕方に高音と愛衣がお店に来店した時から始まった。

 

「紅茶とケーキをお願いします。」

 

「ツナお兄様こんにちは♪私はこちらのケーキがいいです。」

 

「「「「ツナお兄様!?」」」」

 

愛衣のお兄様呼びに反応する木乃香・明日菜・のどか・夕映。

 

「ツナさん妹がいたんですか?」

 

「え?一人っ子だけど?」

 

「でもあの女の子がツナお兄様と呼んでいたです。」

 

「あー愛衣ちゃんね。俺がお兄ちゃんみたいなんだって。一緒にいる女の子のこともお姉様って呼んでるから、家族と離れて寂しいんじゃない?」

 

ツナがテーブルの横を通り過ぎる時に確認するのどかと夕映。ツナが理由を説明し、紅茶の準備をしにカウンターに入る。

 

「そうか〜その気持ちはうちもわかるわ〜。」

 

「そんなもんなのかなー。それなら私もツナお兄ちゃんって呼ぼうかな」

 

「明日菜はやめといた方がええな〜」

 

「そうですね。明日菜さんのキャラではないかと。」

 

アルバイト中の木乃香と明日菜も加わり四人でひそひそと話す。明日菜が愛衣の真似をしようとするが、木乃香と夕映に止められて、のどかも同意するかのように頷いていた。

 

高音と愛衣がケーキを食べ終わりゆったりしていると、愛衣が高音と自分の空になったカップとお皿をツナの所に運び出した。

 

「ツナお兄様。美味しかったです!また来ますね。」

 

とお礼を言う。すぐ戻るかと思いきや指をもじもじさせながらツナを見つめていた。

 

「昨日みたいにお願いできませんか?」

 

愛衣は言いながら目を閉じて顔を上に向けた。顔が赤くなっており少し背伸びもしている。

 

「ちょ!あれって!」

 

「はわわわわ」

 

明日菜とのどかがいち早く気づき声を出す。木乃香は会計中で夕映は背中越しで気づいていない。

 

ツナは愛衣の言っている意味に気がつき、愛衣の頭を撫で始める。

 

「やっぱりツナお兄様暖かいです。なんか落ち着きます。」

 

と愛衣は撫でられながら抱きつく。

 

「甘え上手やな〜」

 

「あんな堂々と・・真似できないです。」

 

「すごいね」

 

「ツナさん私も撫でてください!」

 

すかさず明日菜もツナに後ろから抱きつきながら撫でてと迫る。

 

「え!明日菜ちゃん?どうしたの?」

 

「愛衣!そろそろ行きますよ。」

 

「はい。お姉様!ツナお兄様失礼します。」

 

愛衣は高音に呼ばれたからなのか、ツナ成分を補充したからかはわからないが嬉しそうに帰っていった。

 

ツナは明日菜の頭を撫でながら(明日菜ちゃん達もまだ中学生だから甘えたいのかな)と考えていた。明日菜の後ろにはニコニコ笑いながら木乃香が順番待ちをしている。

 

来店しその光景を見たお客さんがその列に並び始めてしまう。私たちにもやるよね?という無言のプレッシャーを感じ列が途切れるまで撫で続けた。

 

そこには葛葉刀子とシャークティの姿があったという噂もあるが真相は不明である。



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25話

そして月曜日、ツナはお店を午前中で閉め、あやかと一緒に職員室に向かっていた。

 

「学校の空気懐かしいなー。ちょっとだけ寄り道したらダメかな?」

 

「寄り道ですか?少しくらいなら大丈夫ですわ。」

 

「ありがとうあやかちゃん。寄り道というより軽く学校を案内してほしいんだ。」

 

「それはおやすいご用ですわ。(これはデートというやつでしょうか?)」

 

ツナとあやかはニコニコと話しながら進んで行くのだが、二人の後ろにはイケメン好きな女子生徒数人が付いてきていた。(美砂達ではない。)

 

「失礼します。2-Aの学祭の外部協力で参りました。沢田綱吉です。よろしくお願いします。」

 

「話は聞いておる。学園長の近衛近右衞門じゃ。孫も世話になっとるの。」

 

「学年主任の新田です。2-Aは騒がしいから怪我をしないように注意してください。何かあれば私に言っていただければ対応させてもらいます。」

 

「源しずなです。臨時で2-Aの担任をしています。雪広さん。なかなか参加できずにごめんなさいね。」

 

職員室に入ると学園長、新田先生、源しずな先生と自己紹介をする。新田先生は厳しい印象を受けるが憎まれ役を買って出ている印象で、極限!極限!とは叫ばないが了平さんみたいな面倒見がいい感じがした。

源しずな先生は母親の奈々を思い出すようなマイペースな感じで癒される雰囲気の持ち主だった。

 

ツナとあやかは職員室で手続きを終えて軽く校内を回る。2-Aが心配ではあったが、超や千鶴が中心となって、メニューやら内装を決めていると信じツナに校舎を案内する。

 

本来のあやかは相手がネギなら過剰なスキンシップをしていたはずではあるが、大人なツナに対してはスキンシップはなく、隣を歩きながら学校を説明し歩いていた。

 

2-Aの教室が近くなり、最後に家庭科室を軽く覗くツナ。

 

「あ!ツナお兄様!」

 

愛衣のクラスが準備で使用していたらしく、ツナに気がついた愛衣が抱きついてきた。何事ですか!とあやかは石のように固まってしまうが、

 

「「「「きゃぁぁぁーー」」」」

 

急なイケメンの登場と、そのイケメンに愛衣が抱きついたことにより他の生徒が黄色い悲鳴をあげる。その悲鳴を聞いたあやかが正気に戻り、騒がしくなる前にツナの手を取りその場から立ち去る。

 

「ツナさん逃げますわよ!」

 

「え!?ごめんね。愛衣ちゃんまたね。」

 

残された愛衣は少し残念そうだが、余韻に浸かることなく他の生徒に質問責めにあってしまう。

 

逃げたツナとあやかだが、教室が近いこともあり2-Aの教室に駆け込んでいた。

 

「あーー!委員長がツナさんと手を繋いでる!」

 

「うわ!委員長やるわね。」

 

「ホンマや〜。ずっと繋いできたんかな?」

 

あやかはクラスメイトに指摘されて、ツナの手を握っていたことを思い出す。

 

「これは!皆さんが考えているようなことではなくてですね!仕方なくですわ!」

 

照れ隠しもあり、手を上にあげて全力で否定をするが

 

「委員長ー。否定をしながら握りっぱなしだよー」

 

あやかは否定をしながらもツナの手を握っており、それを朝倉に指摘されて顔を真っ赤にしてしまう。

 

「あらあら あやかったらしょうがないんだから。皆さん。ツナさんとあやかも来たことですし。続きをしますよ。」

 

そんなあやかに助け船を出したのは千鶴で、学園祭の準備を進めるように、ニコニコと促す。しかし、あやかに対抗するためなのか、あやかの逆に立ちツナの手を握り胸の谷間に腕を押し込んでいた。

 

「千鶴ちゃん!?」

 

「千鶴さん!なにをしているのですか!?」

 

「ん・・・ツナさん動かさないでください。あやかだけ狡いですよ。私のことも愛してください。」

 

言い終わると千鶴はあやかを引き連れて戻る。ツナには刺激が強すぎて動けずにいた。そんなツナに対して鳴滝姉妹や美砂達が私も!とツナに抱きついていた。

 

千鶴がツナの耳元で囁くように言ったため、千鶴の言葉はツナとエヴァ、茶々丸にしか聞こえなかったようである。



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26話

肝心の学園祭の話し合いだが、喫茶店というよりも持ち帰りが基本のファーストフードに近い感覚で決まっていく。店内でも飲食は可能だがその場合はメニューが別にあり、持ち帰りと比べると割高になっていた。

 

「うん。いいんじゃないかな。お客さんの回転率が大事だし、持ち帰りが基本なら洗い物とかの作業も減るから。メニューは決まったの?」

 

「具体的なメニューはこれからネ。私達は中華料理を出すつもりヨ。」

 

「衣装は店舗が出来てから内装に合うものにしようと決まりました。」

 

「私がいない間にそこまで進んだんですの!さすが超さんと千鶴さんですわね。」

 

超と千鶴がツナとあやかに進捗を報告するが、あやかは自分がいない間にここまで決まるとは思っていなかったようで、目に見えて落ち込んでしまった。

 

「あやかが大体の案を出してくれていたから、後は決めるだけだったのよ。」

 

「そうネ。あやかさんがここまで頑張ってきたからみんなが協力する気になったんだと思うヨ。」

 

千鶴と超が笑いながらあやかにフォローをいれて慰める。

 

「ツナさん。メニューなんですが、いくつか考えてきていますか?」

 

あやかは本気で落ち込んでいるわけではないため、すぐに復活しツナにメニューについて尋ねる。

 

「一応は考えてきたよ。でもみんなが調理できるものを選んだから変り種はないよ?」

 

ツナが持ってきたリストには

 

持ち帰り品としてフライドポテト、唐揚げ、オニオンリング、サンドイッチ、ホットドッグ

 

店内用としてボンゴレパスタ、カレー、カレーパスタ、ピザ、ケーキ

 

となっていた。

 

「フライドポテトや唐揚げ、オニオンリングは揚げるだけでいいし、サンドイッチやホットドッグは作り置きが可能だから楽だよ。店内用はボンゴレパスタだけ調理が必要になるけど、カレーはルーを事前に作り置きができて、ピザも生地を事前に用意しておけば焼くだけだから。」

 

「超包子からは肉まんと点心、炒飯を考えてるヨ。こっちのはどうしても調理が難しのもあるから超包子のスタッフ中心でやる予定ネ。」

 

「実際の店舗の調理場も確認しないとだけど、何時ぐらいにできる予定なの?」

 

「店舗は明日には概ね完成いたしますわ。では明日は店舗での打ち合わせにしましょうか?」

 

 

 

イタリアにて

「びゃくらーん!またあっちに行ってもいい?」

 

「ハハン またボンゴレに会いに行くのですか?」

 

「バーロ!そんな簡単に行き来していいのかよ?」

 

「ん〜僕も行きたいし次はみんなで行こうか?ユニちゃんに声をかけてみるよ♪」(面白そうだし骸くんやザンザスくんにも声をかけて見ようかな〜。)

 

 

「お兄ちゃん!次はみんなで行かない?学園祭が近いんだって!」

 

「真美。ツナくんの邪魔はしちゃダメだよ。行くのはいいけど、ユニちゃん達に聞いてみないと。」

 

 

ブルーベルや古里真美からツナがいる麻帆良学園がもうすぐ学園祭を行うという情報が身内に伝わって行った。



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27話

完成した店舗に2-Aの面々とツナはきていた。

 

「内装のテーブルとイスもこのまま使用していいのですが、ここから先は私達のみでの作業になりますわ。」

 

「電気関係の配線もできているしこれ以上望むものはないネ」

 

「ちょっとやりすぎよあやか。」

 

「でもテーブルとイスの組み立ては難しいし、配線関係も専門的な知識がいるからいいんじゃないかな。」

 

店舗内はすでにテーブルとイスが完成しており、だいたいの内装は完成していた。後はメニュー表やら出し物関係の小物だけの状態だったのだ。

 

メニューは先日ツナが提案した物でほとんど決定していたため、今日は衣装を決めることから始まった。

 

衣装は飲食店ということからメイド服とウェイトレス、超包子提携なことからチャイナ服の三種類あり、各々が好きなタイプを選べることになっていた。勿論日替わりも可だ。

 

女性陣が着替えのために奥の部屋に行っている間、ツナは一人で男性用の衣装を確認していた。

 

(燕尾服?なんで飲食店で燕尾服?)

 

ツナは用意されていた衣装の中に燕尾服をみつけて戸惑っていた。

 

「あの・・・」

 

「ん?」

 

ツナは声をかけられて後ろを振り向くと制服姿のままな亜子・アキラ・裕奈が立っていた。

 

「亜子ちゃんに、アキラちゃん、裕奈ちゃんだよね?どうしたの?」

 

ツナは考え事をしてはいたが、誰かが後ろから近づいて来ていることには気がついてはいた。

 

「あの・・・ハンカチを・・・あの時はありがとうございました。」

 

亜子は顔を真っ赤にし俯きながらハンカチを差し出す。アキラや裕奈は亜子の背中を押している格好になっていた。ハンカチはアイロンがけもされており半透明の可愛い袋に入れられていた。

 

「あー別に返さなくても良かったのに。可愛い袋に入れてアイロンがけもしてくれたんだ?ありがとね。」

 

ツナはハンカチを受け取り笑顔を三人に向けながら無意識に亜子の頭を撫でる。

 

「え?ツナさん。その・・・」

 

「あ!ごめんね。つい・・・・」

 

「ツナさん!私にもしてくださいよー」

 

「亜子大丈夫?」

 

亜子はスカートを握りしめていたが、恥ずかしい気持ちが半分に嬉しい気持ちが半分で自身の気持ちに困惑していた。裕奈はツナに擦り寄りながらおねだりをし、頭を撫でられて満足気な顔をしていた。

 

「ツナヨシさん。良かったら学祭の二日目に私たちと廻りませんか?」

 

「アキラいい考え!ツナさんお願いします!

 

「うちもツナさんと廻りたい・・・です。」

 

アキラがツナに学園祭を一緒に廻らないかと誘うと裕奈が元気よくツナに頭を下げる。亜子も顔を赤くしながら自分も廻りたいと頭を下げる。

 

「大丈夫だよ。でもシフトがまだ決まっていないから、結論は決まってからでいいかな?」

 

「大丈夫!先約ってことでよろしくです!」

 

「じゃあ私たちも着替えて来ます。」

 

「ツナさんまた後で。」

 

裕奈が若干ハイテンション気味にツナの手を取り約束を取り付けると、アキラが着替えに行こうと亜子の手を取り裕奈の頭を叩く。アキラは軽いお辞儀をし、二人を連れて奥の部屋に向かって行った。



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28話

「ほわ〜 ツナさん似合うな〜」

 

「雪広家で執事として働きません?」

 

「那波家でもいいんですよ?」

 

「バカも休み休み言え。この男が働くのは家だ。」

 

「ツナお兄さん格好良いですー。」

 

「和美!惚けてないで写真!宣伝用に撮れば集客率上がるわよ!」

 

「え!?あっ!!」

 

ツナが更衣室から燕尾服を着て出てくると2-Aの生徒達が色めき立つ。

何故ツナが燕尾服を着ることになったのかというと。

 

 

衣装を用意したあやかが更衣室から出て来た時にツナはあやかに

 

「なんで喫茶店に燕尾服があるの?」

 

と聞いてしまい、それに呼応して美砂・円・桜子が

 

「絶対に似合うから着てみてくださいよ〜」

 

と身体を密着させて絡み始め

 

「私も・・・その・・ツナさんが着ている姿を見てみたくて用意しましたの。」

 

あやかが顔を赤くしながらも燕尾服を用意した理由を語ると、他のメンバーからも”ぜひ!”とお願いされてしまい、ツナは渋々燕尾服を着ることになった。

 

 

 

「執事の経験はないからできないよ。服装はコック服かウェイターがあると嬉しいな。」

 

「それは残念です。それでしたらこちらに。」

 

ツナは首を横に振り他の服を着たいとあやかに尋ねる。あやかは残念に思いながらも、一目見れただけで満足したのか服を用意し始める。

 

「待て雪広あやか。」

 

「なんですのエヴァンジェリンさん?」

 

「どうしたのエヴァちゃん?それはなにかな?」

 

そんなあやかに待ったをかけたのはエヴァンジェリンであり、彼女はメイド服を手に持ちながら妖しい笑みを浮かべていた。ツナは嫌な予感を感じながら後退りする。

 

「それを脱ぐというのであれば、次はこれを着てもらう。」

 

「いやいやいや、俺は男だからね!!誰が女装なんて!」

 

エヴァンジェリンはメイド服を掲げながら後退りするツナにジリジリと近づく。その光景を見た他の面々はツナのメイド服姿を想像したのか”ゴクリ”と唾を呑む音が聞こえてきた。

 

「そこの忍者とカンフー娘、桜咲刹那に龍宮真名。そいつを取り押さえるのを手伝え。」

 

「エヴァちゃん!?」

 

「うむ。沢田殿の身のこなしには興味がありました故、エヴァンジェリン殿助太刀いたす!」

 

「アイヤー 私も行くアルヨー!」

 

「すいません。私も見てみたいので。」

 

「おもしろそうだから参加させてもらうとするよ。」

 

エヴァンジェリンは2-A屈指の武闘派四人に命令しツナを捕まえようとする。

 

「ハイッ!」

 

「ニン♪」

 

古菲が八卦掌の構えを取りツナ目掛けて掴み掛かりに懐に飛び込み、長瀬楓が後ろから羽交締めにしようと駆け出すが

 

「アイヤ〜」

 

「ゴザ!」

 

ツナは逆に前に踏み込み古菲の腕を掴み、古菲の勢いを利用して後ろにいる長瀬楓に投げ飛ばす。

 

「後ろがガラ空きだぞ」パンッパンッ

 

投げ飛ばしたことにより体重が傾いている隙をついて真名がエアガンでツナを狙い撃つ。

 

「「!!」」

 

ツナは後ろを振り向きもせずに体を逸らして弾を避ける。驚愕する真名と刹那。

 

「エアガンは人に向けて撃っちゃダメだよ。」

 

と一瞬の隙をついて真名の持っているエアガンに手をかけて瞬きをする間もなく分解した。

 

「なに!?だが、それだけでは・・・ッ!!」

 

刹那は咄嗟のことに跳躍しツナと距離をとる。真名は隠しているエアガンを取ろうとするが、どこを探しても見当たらない。

 

「危ない物は没取です。」

 

ツナは両手から溢れんばかりのエアガンを持ちながら真名に微笑みかける。真名は両手を挙げて

 

「降参だ。」

 

とイスに座る。

 

ツナはため息をつくが、後ろから気配を感じて横に跳ぶ。

 

「流石だな。」

 

「貴方は一体?」

 

後ろには不敵に笑うエヴァンジェリンがおり、正面には刹那が迫っていた。

 

エヴァンジェリンと刹那はジリジリと間合いを詰めて行くが、不意にエヴァンジェリンの身体が浮き上がる。

 

「これ以上はダメ。」

 

大河内アキラが涙目になりながらエヴァンジェリンを持ち上げて首をフルフルと横に振っていた。

 

「あんた達、これ以上の喧嘩はご法度だよ。」

 

見兼ねた四葉五月が前に出てきて武闘派とエヴァンジェリンに喝を入れる。

 

「お前達二人に言われたらやめるしかないか。」

 

「すいません。」

 

エヴァンジェリンもアキラばかりではなく五月にまでやめるように言われては身を引くしかなく卿が冷めたと言い離れていった。武闘派の四人も調子に乗りすぎたと反省し謝罪した。

 

「ところで沢田さん。いつの間にエアガンを盗っていったんだい?」

 

ツナは ”すごい!” と言われながら傍観していたメンバーに囲まれていたが、そんなツナに真名が質問をした。

 

「武器を分解した際に一緒に・・・かな?」

 

「なるほど・・・ちなみにスカートの下や脇の下にも隠していたのだが・・・」

 

真名はスカートを軽く持ち上げて太腿に付いているホルスターを見せ、エアガンを元に戻す。また上着もめくり脇腹にあるホルスターにもエアガンを戻した。

 

「私は沢田さんに身体を弄ばれたと考えていいのかな?」

 

「ンナ!!人聞きの悪いことを言わないで!!」

 

「ツナさん・・・」

 

木乃香達が真名のホルスターの位置を見ながらツナをジト目で見つめる。

 

「だが、スカートの中に手を入れたのは事実なんだろ?」

 

「すいませんでした!!」

 

真名はもう一度スカートを捲りホルスターを見せる。ツナも、あの時には気づかなかったがホルスターの位置がきわどい位置にあり、女性に対して配慮が足りなかったと気がつき素直に謝罪をする。

 

「学園祭が終わった後の次の日曜日に私に付き合ってはくれないか?そしたらこの件は水に流そう。」

 

真名からの提案をツナは受け入れて連絡先を交換する。真名の件はひと段落ついたが、ニコニコと笑う木乃香と千鶴、真顔のあやかと明日菜が後ろに控えていた。

 

その後は、四人から説教をうけたり美砂達に私達のならいくらでも触っていいと迫られたりしていた。




武闘派四人は本気でやっていません。


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29話

衣装では多少のゴタゴタはあったが、ツナの服装は燕尾服に決まった。

 

夕方になり2-Aのメンバーは帰宅したが、ツナは昼間に慌ただしくて出来なかったことを理由に、厨房を確認したいと一人残っていた。

 

「初めまして。そんなところでどうしたの?」

 

ツナは何もない空中に向かって言葉を投げかける。

 

「相坂さよちゃんだよね?」

 

「え!?私のこと見えるんですか?」

 

ツナの目には相坂さよの姿が見えており、さよはびっくりしましたーとツナの前に降り立つ。

 

「私と友達になってくれませんか?」

 

さよはお辞儀をしながら片手をツナに差し出し握手を求めてくる。

 

「俺でよかったら喜んで。」

 

「ありがとうございます!!」

 

ツナはさよの握手に応じて手を握る。さよは嬉しそうに飛び跳ねていた。

 

ツナが何故相坂さよの姿を確認できたのかというと、調和の力を目に宿らせることによりさよを視認できるようになり、触れたのも同じ原理によるものだった。

 

「俺は帰るけどさよちゃんはどうするの?」

 

「夜の学校は怖いので、コンビニか飲食店によく行ってます。」

 

ツナは幽霊なのに怖がりなんだと苦笑し

 

「なら家に来ない?」

 

「え?いいんですか!?ぜひお願いします!」

 

自宅へと誘いをかける。さよは久しぶりに人と話せた嬉しさと、ツナから感じる暖かい雰囲気に家にいくことを即決する。

 

さよはプカプカと浮きながらツナの歩く速度と同じスピードで進んでいく。その間に麻帆良学園から出られないこと、何年も学園にいることを話していた。

 

「ここが家だよ。喫茶店をやってるんだ。」

 

「お邪魔しま〜す。喫茶店をやっているのはクラスの人達が話していたので知っていましたー。」

 

ツナはさよに家を案内してあげながら説明をしていく。三階に着くと

 

「三階は三部屋空いているから一部屋好きに使って大丈夫だよ。」

 

「え!!お部屋なんていらないですよ〜。話し相手になってもらえれば・・それだけで」

 

「使ってない部屋だから気にしないで大丈夫だよ。気が向いたらで構わないよ。」

 

さよは顔の前で手をブンブンと横に振って申し出を断る。ツナは考えといてといいお風呂へと消えて行く。

 

 

翌朝

 

麻帆良祭の準備が意外と重労働だと感じ、”麻帆良祭に向けた共同店舗準備のため臨時休業のお知らせ” と明日から麻帆良祭が終わるまで休業することが書かれた案内を貼っていた。

 

「おはよ〜ございます〜。きゃっ!」

 

「ガウッ!」

 

さよが眠気眼を擦りながらプカプカ浮かんで店内に降りてくると、ナッツが突然さよに向かって飛びかかる。

さよは咄嗟のことに悲鳴をあげてしまうが、ナッツが頬を舐め始めると笑いながら

 

「ツナさん!この子も見えるみたいです〜。」

 

と嬉しそうにナッツを撫で始める。ツナは開店前で良かったと胸を撫で下ろした。



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30話

ツナの学園祭での当番は一日目は様子見のためお店で待機、二日目は13時まで、三日目13時からになった。

 

「すいません。ツナさんの負担が多くなってしまいますが大丈夫でしょうか?」

 

「気にしないでいいよ。火も扱うから大人が見ていないといけないんだし。せっかくのお祭りなんだからあやかちゃんも楽しんで。」

 

あやかは申し訳なさそうにツナに頭を下げるが、ツナは気にしないでと手を振りながらあやかに微笑みかける。

 

ツナの予定が決まると2-Aの少女達から一緒に回らないかと誘われる。一日目は不可能なため二日目と三日目しかないのだが、二日目は亜子・裕奈・アキラ・木乃香・明日菜・刹那、三日目は夕映・のどか・あやか・千鶴と美砂・円・桜子がいるチアリーディングのショーをみることに決まった。ショーの後は三人も合流する予定だ。

エヴァンジェリンは人が多い学園祭自体に興味がないため当日の三日間は家に籠る計画を立てていた。

 

準備期間は滞り無く終わり本番一日目

 

2-Aのお店では女性客の大群が押し寄せていた。

 

「あの人やば〜い!」

 

「いくつなんだろう。」

 

「お兄さんをテイクアウトでお願いします!!」

 

「スマイルを!!」

 

最初は厨房にいたツナだが厨房が落ち着いてくるとカウンターの様子を見に厨房から外に出てしまう。すると店内にいたお客さんから悲鳴が上がり、すぐにイケメンがいるとの噂が麻帆良を駆け巡り女性客が押し寄せてきたのだ。

 

ツナの格好は燕尾服(黒執事のセバスチャンを想像してください。)で髪を後ろで一本結びにしていた。(フルーツバスケットの草摩かずまを想像してください。)

 

そんな状態で一日目の営業時間が終わると

 

「ツナさんの影響がここまでとは思いませんでした。」

 

「あの格好で微笑みかけるのは反則よね。」

 

「そうですわね。ツナさんのシフトを公開した方がいいかもしれませんわね。」

 

夕映・明日菜・あやかが疲れた感じで椅子にもたれかかりながら一日目の反響を考えて対策を話し合っている。同じテーブルにはのどかもいるがのどかは体力を消耗しすぎてテーブルに伏していた。

 

「凄かったなー。うちも見惚れてもうたわ。」

 

「すごい人気でしたね。やけてしまいます。」

 

ツナの両サイドには木乃香と千鶴がニコニコしながら腕を絡ませている。ニコニコとしているが黒いオーラが滲め出ていた。

 

「ありがと。でも二人も可愛いよ。」

 

ツナは二人の黒いオーラには気づかずにメイド服姿の二人を褒めると、黒いオーラはなくなった。

 

 

二日目

ツナの勤務時間を入口に貼り付けることにより、午前中は一日目同様に混んだが、午後は超包子のメンバーからしたら比較的に落ち着いて切り盛りできる程度の来店数だった。

 

ツナは13時になると亜子・裕奈・アキラ・木乃香・明日菜・刹那と学園祭を見て回るために着替えようとするが6人から止められてそのままの格好で見て回ることにした。6人はきっちりと制服に着替えている。

 

主に大学部を中心に回りお化け屋敷の工学部のシューティングゲームなどみんなで楽しめる系のアトラクションをしていた。

 

夕方まで楽しんだが各々部活の出し物などがあり解散をした。

 

一人になってしまったツナは高音のクラスがやっている食堂に行き食事をすることに。

 

「高音ちゃんこんばんわ。ウエイトレス姿も可愛いね。」

 

「な!!ツナヨシさん!?その格好は一体?まるでナイトみたいですね。」

 

ツナは食堂に入り空いている席に案内される。ツナの格好に女生徒や女性客から視線が集まる。ツナはオーダーを取りに来た高音に話しかける。高音はツナだと気がつかずにオーダーを取りに来てしまい、いきなりのことにテンパってしまい執事ではなくナイトと言ってしまう。

 

「お迎えにあがりました。プリンセス。」

 

「なッ・・・」

 

「「「「きゃーーー」」」」

 

ツナはγを想像してクスリと笑い、高音にひざまづきながら高音の手を取り、手の甲にキスを落とす。

高音は頭から煙を出して惚けてしまい、周りの女生徒や女性客が黄色い悲鳴をあげた。その後、写真対応や高音のクラスメートに関係を聞かれたりと騒がしい時間が続いた。

 

 

三日目

一度店舗に集合してから仕込み等の確認をして行くことになったのだが、夕映・のどか・あやか・千鶴が二日目のことを聞き、ぜひ燕尾服でとお願いされ断ることができずに燕尾服で回ることに。

 

チアリーディングのショーは11時からのため時間には2時間余裕があり、5人は女子中等部の出し物を中心に回る事にした。

 

たまたま入った家庭科室では和をモチーフにした喫茶店をやっており、和菓子を注文した。

 

「ツナお兄様!」

 

「愛衣ちゃんのクラスの出し物なんだ。」

 

5人で和菓子を食べながら談笑していると浴衣を着た佐倉愛衣が駆け寄ってきた。

 

「うわーツナお兄様格好良いです!あの・・写真を撮ってもいいでしょうか?」

 

「大丈夫だよ。」

 

ツナは上目遣いで頼んできた愛衣を邪険にはできずに写真を撮ってしまう。愛衣は嬉しそうに接客に戻っていった。それを見た他の女性客も声をかけようとするが

 

「ツナさんそろそろ行きますわよ。」

 

「そうですわね。混んできましたので長居をしてしまうと邪魔になってしまいますわ。」

 

「あの・・・そろそろ時間。」

 

「のどかの言う通りです。早く行かないと始まってしまうのです。」

 

この展開はマズイと察知した4人がいち早くツナを囲み千鶴とあやかが手を握りのどかと夕映が体育館まで先導する形で家庭科室から出た後も駆け足で移動する。




学園祭を細かく取り扱うつもりはないので駆け足でいきます。


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31話

チアリーディングのショーも見終わり美砂・円・桜子と合流し出店で買い食いをしながら回っていたが、時間になり8人はお店へと戻ることに。

 

「ッ!!」

 

ツナは嫌な予感がし思わず身震いする。

 

「どうかしましたか?」

 

ツナは周りをキョロキョロと見回していたが、7人が心配そうにツナを見つめていることに気がつき

 

「なんでもないよ。あやかちゃん。追加で材料の注文はできるかな?」

 

「??大丈夫ですが?」

 

ツナは苦笑いを浮かべながらあやかに追加注文をしたいと頼み電話を借りる。途中で最終日だからとエヴァンジェリンを回収しお店に向かう。

 

「おい!私は行かないぞ!この持ち方をやめろ!持つならお姫様抱っこにしろ!」

 

「ハイハイ。これでよろしいですか?」

 

暴れていたエヴァンジェリンだが、要望通りにお姫様抱っこをすると悪くないと言い大人しくなる。

 

お店に着いて18時まではトラブルがなく過ぎていき、20時の閉店後にクラスで打ち上げをするということもありクラスの全員が集結していたが

 

「ヴォオォォォォイーーーー!!」

 

と店内にも響き渡る声が入り口付近から聞こえてきた。

 

「なに?」

 

「すごい声!!」

 

2-Aの面々や店内にいたお客も驚き戸惑う中、入り口の方に目を向けると

 

「沢田ーーー!!」

 

「あらーツナちゃんの格好素敵ね。」

 

「フンッ ドカスが。なに遊んでやがる。肉もってこい。」

 

とてつもなくデカイ声で喋る銀髪の男。モヒカンで腰をクネクネとさせたオカマ。顔に火傷の傷があり銀髪の男が運んできた椅子に座る男がいた。

店内にいたお客は我先にと出ていき、店内には2-Aの面々とツナしかいなくなってしまう。

 

「ツナさんの知り合い?ヒッ」

 

明日菜はツナに確認をするためにツナの顔を見ると、見たこともない表情のツナがいて思わず悲鳴をあげてしまう。ツナは明日菜に気づいて頭を撫でながらごめんねと呟き入口に歩いて行く。

 

「なにしに来たザンザス。スクアーロは五月蝿い。」

 

「ハッ!腑抜けてないか見に来たんだ。その調子なら問題なさそうだな。」

 

「悪いな沢田。うちのボスさんのために肉を用意してくれないか?」

 

「はぁー ちょっと待ってろ。お前らのせいで客がいなくなったんだから責任とれよ。」

 

「それなら問題ないわよ〜。まだ増えるから。」

 

ザンザスとツナが睨み合うがザンザスが不敵に笑うと、スクアーロがツナに近づいて謝罪しながら肉を注文する。ルッスはザンザスの後ろに控えていた。

 

「増える!?」

 

ツナはルッスの言葉に冷や汗をかいて入口を見るといくつもの人影があり

 

「クフフ クハッアハハックハハハハ!!ツナヨシくん。なんですかッゴホゴホックハッ その格好は?」

 

「骸様落ち着いて。ツナさん格好良い。」

 

お腹を抱えながら爆笑している骸と、骸の背中をさすっている凪。

 

 

「ワオ 僕の屋敷で働いて見るツナヨシ?」

 

「恭さん。沢田にリーゼントは似合わないかと。」

 

ツナの格好に関心を示して働いてみないか口説く雲雀と、苦笑いの草壁。

 

 

「にゅにゅにゅ?ツナ似合ってる。」

 

「ハハン ロリコンとはボンゴレも地に落ちましたね。」

 

「バーロー。あいつに性欲なんて感じるのかよ。」

 

「ヤッホー♪遊びに来たよツナヨシくん。」

 

ツナに駆け寄り抱きついてくるブルーベルと呆れている桔梗。ブルーベルに性的な魅力なんてないだろとため息をつくザクロ。ニコニコと手を振る白蘭。

 

 

「ツナさん。遊びに来ちゃいました!」

 

「姫!」

 

「γは過保護すぎよ。」

 

ブルーベルとは逆側に抱きついてくるユニ。そんなユニに焦るγ。焦るγをみてニコニコとしているアリア。

 

 

「ツナ!久しぶりだな!おい!」

 

「ボス。沢田さんももうガキじゃないんだからあんまり撫でるなよ。」

 

ツナを見ると笑いながら頭を撫でるディーノ。そんなディーノにため息をつきながら注意するロマーリオ。

 

 

「ツナさん。ヤバイ!格好良い!」

 

「真美落ち着いて。久しぶりツナくん。」

 

抱きつきたいがブルーベルとユニがいて躊躇いながらも駆け寄る真美。そんな妹を注意する炎真。

 

 

「つっくん。来ちゃった!」

 

「はひ!ツナさん写真を!」

 

「ほー化けるもんねー」

 

ニコニコとしている京子。カメラを構えるハル。ツナの姿に頷きながら感心する花。

 

 

「つっくん。元気にしてた?」

 

「ボンゴレ。久しぶりだな。」

 

ブルーベルとユニに抱きつかれているツナを見ながらあらあら私ももうすぐおばあちゃんねーと呟く沢田奈々。奈々を守るように横に立つランチア。

 

 

「どうしてここに!?」

 

「ブルーベルと真美さんから学園祭があると聞きまして、全員では来れないので各組織から人選して来ました。」

 

「人選してこのメンツ!?何人か人選ミスだよね!!」

 

「あらあら、つっくんたら嬉しいからってあんなに騒いじゃって。大きくなってもまだまだ子供なのね。でもお客さんを待たせたらダメよ。」

 

騒いでいたツナだが奈々から注意を受けると各組織毎に席に案内をする。

①京子・ハル・花

②奈々・ランチア

③ユニ・アリア・γ

④炎真・真美

⑤ディーノ・ロマーリオ

⑥白蘭・ブルーベル・桔梗・ザクロ

⑦骸・凪

⑧恭弥・草壁

⑨ザンザス・スクアーロ・ルッス

 

①〜⑤の安全なメンバーを生徒達に託し、⑥〜⑨をツナが見ることにした。




雲雀さんはツナの仲間の場合は群れることも我慢できるようになってます。


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32話

前話のテーブル番号毎に話を進めていきます。

①京子・ハル・花
②奈々・ランチア
③ユニ・アリア・γ
④炎真・真美
⑤ディーノ・ロマーリオ
⑥白蘭・ブルーベル・桔梗・ザクロ
⑦骸・凪
⑧恭弥・草壁
⑨ザンザス・スクアーロ・ルッス


①にて

 

「「お久しぶりです!」」

 

夕映とのどかが料理を運んできて京子達に挨拶をする。

 

「あの・・・凪さんだけどうして別のテーブルなんですか?」

 

「骸さんは凪さんの保護者だからですよ!」

 

「あれじゃあどっちが保護者かわからないわね。」

 

「アハハッ。つっくんの周りはいつも賑やかだね。」

 

のどかはお世話になった凪だけが違うテーブルに座っていることに疑問を感じて理由を聞く。ハルが一緒にいる男性が保護者だと伝えるが、花は額を抑えながら首を振る。京子はじゃれているツナと骸を見ながら笑っていた。

 

「ツナお兄さんの昔話を聞かせてほしいのです!」

 

5人はツナやお店の事を話していたが、風香・史伽が京子達に駆け寄ってきて昔話が聞きたいとお願いをしてきたため、京子達はツナとの想い出を語ることにした。

 

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

②にて

 

「ツナさんのご家族の方ですか?私、雪広あやかと申します。よろしくお願いいたします。」

 

「ご丁寧にありがとう。沢田奈々でつっくんの母親なのよ。」

 

「お義母様でしたか。私は那波千鶴です。ツナさんと仲良くさせていただいております。こちらの方はお義父様ですか?」

 

「俺は居候の身で家族ではないな。」

 

あやかが料理を運び、今回のお礼も兼ねて挨拶をしていた。奈々の外見から姉と判断していたが、奈々が母親というとあの童顔は母親譲りなんですのねと納得する。千鶴も自己紹介をするが、奈々が母親なら隣の男性は父親なのかと聞くが、ランチアは護衛のことは伏せて家族ではないと言い切る。

 

「ランチアさん。私は貴方も家族と思っているわよ。だから家族ではないなんて言わないで頂戴。」

 

「・・・奥方。失礼した。」

 

「千鶴ちゃんはつっくんのことが好きなのね。あやかちゃんもかしら?」

 

千鶴のお義母様呼びに気づいていた奈々はニコニコしながら、そろそろ本当に孫ができるのかしらーと頬に手を当てて呟き、ツナの昔話を始める。その呟きを聞いたあやかと千鶴は頬を染めながらツナに関することを色々と聞いていた。ランチアはコーヒーを飲みながらツナにエールを送る。

 

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

③にて

 

「もしかしてユニちゃんですか?」

 

「そうですが、貴女達は?」

 

「うちは近衛木乃香いいますー。」

 

「私は神楽坂明日菜です。」

 

「ツナくんがアルバイトで雇っているうちの二人ね。」

 

料理を運んで来た木乃香と明日菜がユニに確認したいことがあり、ユニに話しかけていた。

 

「ツナさんからユニちゃんのことを聞いててなー。一度会ってみたかったんよ。」

 

「そうなんですか!?ツナさんは私のことをなんて言っていましたか?」

 

「一番仲が良くて安心できる二人のうちの一人だって言ってましたよ。」

 

木乃香がユニに話しかけた理由を話すと、ユニは身体を乗り出してツナが自身のことをなんて話していたのかを確認する。明日菜に悪気はなく正直に伝えてしまうとユニは目に見えて落ち込んでしまう。

 

「大丈夫よユニ。いざとなれば酒に酔わせて既成事実を作りなさい。私がそうしたようにね。」

 

「娘の前で何を言ってんだあんたは!」

 

「既成事実とはなんですか?」

 

アリアがお酒を片手に笑いながらユニを励ますが、内容が内容なだけにγが慌ててアリアの口を塞ぐ。ユニは意味がわからずにコテンと首を傾げてγに意味を問うが、γは慌てるだけで答えることができずにいた。木乃香と明日菜もどうしようと顔を赤らめて悩んでいたが、

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

④にて

 

「こんばんわー。お兄さんもツナさんの仕事仲間なんですか?」

 

「そうだよ。僕は古里炎真。こっちは妹の真美でツナくんとは中学二年生からの知り合いなんだ。」

 

炎真と真美のテーブルには裕奈・アキラ・亜子が料理を運んで来てそのまま世間話を始める。

 

「ううう〜。三人からもツナさんへのLOVEを感じる〜」

 

「「「え!?」」」

 

「また真美は・・・はぁ。告白すればいいじゃないか?」

 

「お兄ちゃんには言われたくない!」

 

真美は裕奈・アキラ・亜子からツナに対する好意的な感情を感じ取り机に伏してしまう。炎真は呆れながらはやく告白すればいいのにと呟く。

 

「うちらは好きというより、もっと話してみたいだけやから。」

 

亜子が顔を赤くしながら必死に否定をするが否定をすればするほど真美に怪しまれてしまう。

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

⑤にて

 

「おにいさん。イケメンですねー。ツナさんとはどんな関係なんですか?」

 

ディーノとロマーリオのテーブルに料理を運んだのは美砂・円・桜子で、そのままディーノに絡み始める。

 

「ありがとな!ツナは俺の弟分だからな。中学の時に知り合って色々と教えてあげてたんだ。」

 

「逆に助けられたりもしてたがな。」

 

ディーノは嫌な顔をせずにツナとの昔話を始めて、事ある毎にロマーリオから茶々が入る。その度に二人は笑いながらどつき合う。三人はそんな二人の関係を羨ましく思いながら話を聞いていたが

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

⑥にて

 

「白蘭。どういう要件だ?」

 

ツナは白蘭にマシュマロ系のスイーツを大量に用意し運んで来て、白蘭に今回の行動の意味を問いただす。

 

「理由はないよ♪面白そうだったし、ユニちゃんが寂しそうだったからね。」

 

「にゅ〜〜。迷惑だった?」

 

ユニのことを話し始めた白蘭にツナは納得し、上目遣いで不安そうに聞いてきたブルーベルに来てくれて嬉しいよと頭を撫でると席を外す。

 

「あ!ひんにゅーだ!」

 

「誰がだ!お前こそ貧乳だろうが!」

 

ブルーベルがエヴァンジェリンを発見すると指をさしながらひんにゅーと叫ぶ。エヴァンジェリンはブルーベルのテーブルに行き抗議を始める。

 

「ハハハ ブルーベルにも友達ができたんだね。」

 

「バーロー どっちも壁だろうが。グハッ」

 

「ザクロ。火に油を注いでどうするのですか?」

 

白蘭は言い争っている二人を見て嬉しそうに笑い。ザクロは無駄な争いだと鼻で笑う。それを聞いた二人は同時にザクロの腹を殴り、桔梗はそんなザクロに呆れながら紅茶を飲み始める。

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

⑦にて

 

「骸!笑いすぎだ!」

 

チョコレート系のスイーツを運んで来たツナが骸が未だに痙攣していることに気がつきさすがに怒る。

 

「ツナさん。大丈夫。似合ってる。」

 

「クフフッゴホゴホ ハー ツナヨシくんは僕を笑い殺す気ですか?」

 

凪はそんなツナにサムズアップしながら似合ってるから大丈夫と励ます。骸はやっと落ち着いたのか涙目になりながらツナに話しかける。

 

「おまえのツボがわかんないよ!!てっきり隼人と武も来るかと思ったんだが。」

 

「あの二人ならジャンケンに負けて留守番ですよ。」

 

ツナはボンゴレからは忠犬と親友が来ると考え、いない理由をきくと、骸はジャンケンで決めたと答えて来たためため息をつき、凪と少し話をしてからテーブルを後にした。

 

「クフフ そこの方。良ければ一緒に食べませんか?」

 

「大丈夫。私達は敵ではない。」

 

「気づいていたのか。」

 

「やるでござるな。」

 

骸と凪が柱の影に目を向けて話しかけると、影から真名と楓が出て来る。二人は骸から発せられている異様な雰囲気に警戒していたのだ。凪が敵ではないと明言したこととツナとのやりとりから大丈夫と判断してテーブルに付きスイーツを一緒に食べ始める。

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

⑧にて

 

「恭弥さん!草壁さん!お久しぶりです!どうしたんですか?」

 

「ツナヨシの様子を見に来たんだよ。君がいないとつまらなくてね。」

 

「沢田も元気そうでなによりだ。」

 

ツナは日本食を中心に料理を運ぶと、お互いに持っている情報を交換しだす。ツナから見た雲雀恭弥は、昔は恐怖の対象であったが一緒に仕事をする内に頼れる存在へとシフトしていっていた。お互いに必要な情報を共有するとツナは食事の邪魔をしないようにとその場を離れる。

 

「ねぇ なにか用?」

 

「いえ!身のこなしが只者ではないと思い。」

 

「ツナさんの師匠アルか?」

 

「沢田は中学の後輩だ。」

 

食事を進めていた雲雀だが、視線に煩わしさを感じ遠くから見ていた二人を哲に呼びに行かせる。連れてこられた刹那と古菲は雲雀が只者ではないと理解し、刹那は警戒、古菲は純粋に戦ってみたいと見ていたようだった。

雲雀は古菲に今度来た時に時間があったらと約束し、刹那とも戦う約束をする。

すると

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

⑨にて

 

「遅えぞ!ドカスが!!」

 

「お前が急に来るから肉を調理してたんだよ。最高級の和牛ステーキとワインだ。」

 

ツナは料理を運んで来たが、ザンザスは遅いとスクアーロに向けて置いてあった花瓶を投げつける。さすがに備品を壊されたくなかったツナがキャッチをするが、ザンザスはますます機嫌が悪くなってしまった。

 

「悪くねえな。どんどん持ってこい。」

 

しかし、ステーキを食べ進めると質のいい肉に機嫌が良くなっていく。

 

「学園祭だから現金しか扱わないんだけど・・・。」

 

ツナは料理を追加で運んでくると、ザンザス同様食べ進めているスクアーロとルッスにお金の確認をする。

 

「それなら大丈夫よ。」

 

「カス鮫!あれを出せ!」

 

 

(※以下から①〜⑨の視点が同じになります。)

 

 

「ヴォオイ これだけあれば足りるかァァ?」

 

スクアーロがザンザスに言われてアタッシュケースをテーブルの上に置き中を見せる。中にはお札がびっしりと入っており

 

「総額3千万はあるはずだァァ」

 

「多すぎだ!!」

 

「身内の分も込みだ。受け取れドカス。」

 

スクアーロが総額を伝えるとツナは頭を抱えて叫ぶ。

 

「そういえば花さん。いくら持って来てますか?」

 

「カードが使えないなんて失念してたわ。そんなにはないわよ。」

 

ハルと花がひそひそと確認し、

 

「お兄ちゃん。お金持ってきたよね?」

 

「もちろん・・・ごめん・・忘れたみたいだ。」

 

真美は炎真に確認をすると、炎真は財布の確認をするがどこを探してもなく忘れてきたと顔を青くする。

 

「骸様。お金は?」

 

「クフフ カードが使えないのならツナヨシくんが出してくれますよ。」

 

凪が心配そうに骸を見つめるが、骸は開き直りツナに出させようとしていた。

 

「ハルちゃん、花ちゃん、真美ちゃん、炎真くん、むっくん、凪ちゃん。大丈夫よ。身内の分って言っていたんだから貴方達の分も含まれてるわ。」

 

奈々がみんなを安心させるように笑い。ザンザスの方に向いて

 

「そうよねザンくん?」

 

「「「「「「ザンくん!?」」」」」」

 

「ああ構わねえ。」

 

ザンザスも奈々に対しては素直に返事をするが

 

「ちょっおまえ、ザンくんって。アハハハハハ」

 

「笑いすぎですよツナヨシくん。クハッ 確かにザンくんは クフフクハハハハ」

 

「お前らもつっくんにむっくんだろうが!!ドカスが!お前の母親だろう!なんとかしやがれ!!」

 

奈々がザンザスに対してしたザンくん呼びに衝撃が走り、ツナ・骸・ディーノ・白蘭・ザクロは声をあげて笑い、雲雀は声を出さずに机に伏して痙攣していた。反撃を受けたのは同じように呼ばれているツナと骸のみであり、ボンゴレ基地とは違い死ぬ気の炎は使われてはいないが言葉の応酬が繰り広げられていた。

 

ちなみに凪は京子達のテーブルに移動しており、京子や奈々達は久しぶりの賑やかな光景に昔を懐かしんでいた。




2-Aのメンバーが空気なのと無理矢理感はありますが、ザンザス・骸・雲雀・白蘭・ユニ・奈々を登場させたかったのでこのような形にしました。


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33話

20時近くになると

 

「そろそろ帰るよ。ツナヨシ。君がいないとつまらないからはやく帰ってきなよ。」

 

「沢田。向こうのことは任せろ。」

 

「恭弥さん。まだ帰ることはできないんです。すいません。草壁さんありがとうございます。」

 

雲雀と草壁が立ち上がりツナに一言述べる。他の面子もそんな時間かと時計を確認する。

 

「おい。戻ってきた時に腑抜けてたら容赦しねえぞ!!」

 

「ヴォオイィィ じゃあな沢田。」

 

「あんな感じだけど、ボスもスクアーロも寂しがってるのよ〜〜。」

 

「大丈夫だよザンザス。俺の覚悟は揺らがないから。スクアーロまた飲もうね。ルッスも大変だろうけどあっちを任せたよ。」

 

ザンザスがツナの胸倉を掴み忠告をし、スクアーロは声のボリュームを通常通りにし出て行くと、ルッスが耳元で囁き後を追って行った。

 

「僕も帰りますね。凪はあの子達と出て行くと思いますし。クフフ 君の写真を獄寺隼人と山本武に見せてからかうとしますかね。」

 

「骸。屋敷を壊すなよ。」

 

骸が笑いながらツナとのツーショット写真を片手に居残り組をからかうと言い席を立つ。ツナはため息をしながら暴れるなら屋敷を壊すなと忠告をする。

 

「ツナくん。僕も帰るね。困ったことがあったら頼ってくれて大丈夫だから。」

 

「ツナさん!また来ますね!これ大事にします!」

 

「もちろんだよ炎真!頼りにしてる。真美ちゃんもまたね。いつでも来て大丈夫だから。」

 

炎真がツナと握手を交わし、真美はツーショット写真を大事にしますと携帯を見せる。ツナは真美の頭を撫でながらいつでも来ていいよと笑う。

 

「じゃあなツナ!」

 

「ありがとうディーノさん!ロマーリオさんも!」

 

片手をあげて爽やかに立ち去るディーノと軽くお辞儀をするロマーリオ。ツナとディーノの関係に長い会話は必要なく目で会話をして帰って行った。

 

「じゃあつっくん。私達も帰るから身体に気をつけるのよ。ご飯はちゃんと食べてね。あといくら若いからってハメを外しすぎないでね。孫ができたら連絡してね。母さん楽しみにしてるから。」

 

「ツナヨシ。まぁ なんだ。頑張れ。」

 

「ちょ!母さん!?何言ってるの!?ランチアさんもとめてくださいよー!」

 

奈々はツナに抱きつきながらツナを心配するが、最後に爆弾を投下した。ランチアは苦笑いを浮かべながらツナにエールを送る。

 

「つっくん。私達も帰るね。私はいつでも大歓迎だからね!!」

 

「ツナさん!!ハルは愛人でも構いませんが、最初がどこの誰とも知らない女性だったら許しませんよ!!

 

「汗凄いけど大丈夫?また来るからその時は子供を作ろう。」

 

「ちょっとあんた達!!凪も!!ダメツナ!学生のうちに手を出したら許さないからね!!」

 

「ホントだよ!!花がいて良かった。京子ちゃん、ハル、凪もだけど、あれは母さんが勝手に言ってることだから気にしないで!!」

 

京子・ハル・凪が奈々の発言に動揺し普通なら言わないことを口走ってしまう。慌てて花が止めに入り三人を連れて行く。

 

「アハハ♪ツナヨシくん人気者だね♪」

 

「笑い事ではないですよ白蘭。私もお母様から許可を頂きましたのでいつでも大歓迎です!」

 

「ちょユニ!?白蘭も笑ってないでとめて!」

 

最後にミルフィオーレ組が残っており、白蘭が愉快そうに笑いながら、ユニが真剣に考えながら抱きついて来た。

 

「ボンゴレ!姫に手を出してみろ!生きて帰れると思うなよ!!」

 

「ハハン そしたらまた全面戦争ですね。腕が鳴ります。」

 

「バーロー。・・・ブルーベルはいいのかよ?」

 

「んにゅー?ツナー子供の作り方って?」

 

「ブルーベルはまだ知らなくていいことかなー。ハハハ」

 

ユニの行動に焦ったγがキューをツナに向けて威嚇する。桔梗は未来での出来事を思い出し楽しそうに笑う。ザクロは静かにしているブルーベルを心配するが、ブルーベルはツナの袖をチョコンと摘みながら問いかける。

 

「そうよねー。じゃあ帰ったら凪ちゃんとブルーベルちゃん、ユニには私から教えておくわ。」

 

「「やめろ!!」」

 

ブルーベルの発言にハッとアリアが手を叩き教えておくと言うが、ツナとγがシンクロしながらやめるように叫ぶ。

 

最後まで騒がしく色々な爪痕を残してミルフィオーレ組も店を出て行った。

 

お店にはスクアーロが用意したお金の他に、草壁が用意した分、桔梗が用意した分、γが用意した分があり、トータルで5千万近くになっていた。

 

「なんやえらい騒がしかったなー」

 

「ツナさんとの子供。ツナさんとの子供。」

 

「明日菜さん落ち着くですよ。」

 

「アワワ 凪さん達積極的です。」

 

「ウフフ ツナさんのお母様からは許可をいただきましたし、一度お父様やお母様に紹介をしなくては。」

 

「あらあら あやかも落ち着きなさい。」

 

「というよりもこのお金どうするの!?こんな大金初めて見たー!!」

 

「ツナさんって実はお金持ちなんかな?」

 

「古里さん達も社長さんらしい。」

 

2-Aの面子も我に返り各々がツナについて話していたり、置いていかれたお金を見て驚愕したりと様々な反応をしていた。



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34話

時系列がおかしいかもしれませんが、学園祭終了→夏休みと考えています。

余計に(一千万以上)置いていったお金を売り上げ換算するのは違反になるとは思うのですが、学園祭で学生に配分される分なら細かいことはなしの方向でお願いします


2-A打ち上げ中

 

「「「お疲れ様でしたー!!」」」

 

「「「騒げー!!」」」

 

打ち上げには2-Aだけではなく超包子のスタッフである女子大生や女子高生も参加していた。

 

「ツナさん。あの方々が置いていったお金は本当に貰ってしまっても大丈夫なんですの?」

 

「大丈夫だよ。気にしないで売り上げに含めちゃって。」

 

あやかは5千万ものお金をどうしようか迷いツナに相談をするが、ツナはみんなで分けちゃっていいと結論を出す。

さすがに雪広グループや超包子のようなきちんとした運営をしている場合は受け取れないが、学園祭で学生が分け合う分には問題ないだろうという結論が出て後日配分することにした。

 

「ツナさんは先ほどの女性陣だと誰がタイプなんですか?」

 

「胸は私が一番大きいので色々と楽しめますよ。」

 

明日菜が不安な表情をしながらもツナに誰がタイプだったかを質問する。それには他のメンバーも興味があるようで聞き耳を立てているが、千鶴は胸を強調しながらツナに視線を向ける。

 

「待て那波千鶴!!私に喧嘩を売っているのか!!」

 

先ほどのブルーベルやザクロの件で過敏になっていたエヴァンジェリンが千鶴を睨みつける。千鶴は頬に手を当ててあらあら困ったわというジェスチャーをしていた。

 

「やっぱり胸は大きい方がいいん?」

 

「木乃香はまだいいですよ。私とエヴァンジェリンさんと比べたら。」

 

「夕映はエヴァンジェリンさんに恨みでもあるの?」

 

木乃香は自身の胸を見て隣にいた夕映達に確認する。夕映はエヴァンジェリンを見ながらため息をつくと、のどかが慌てて夕映の口を塞ぐ。

 

「結局、ツナさんは誰の胸が好みなんですか?」

 

「なんなら触ってみます?」

 

「あ!わたしも!!」

 

「ンな!!誰がタイプからの話から脱線してる!!やるなら女子だけでやって!!」

 

円がニヤニヤしながらツナに寄り掛かるように密着する。美砂が胸を押し付けながら腕を絡ませると、桜子も逆側から抱きつく。

 

「そこまでですわ!!まったく!少し目を離すと貴女達は。」

 

雪広グループの社員にお金を預け終わったあやかが帰ってきて、胸の件で騒いでいたメンバーを叱りつける。ツナはそのドサクサに紛れて逃げていた。

 

「あの殺気・・・ツナさん貴方はもしかして・・・」

 

「刹那。気になるのはわかるが沢田さんは敵ではないと思うぞ。なんなら懐に入りこみ確かめればいい。」

 

刹那はツナがザンザスに向けて放っていた殺気に木乃香を狙うスパイではないかと不安になってしまうが、戦場を渡り歩いて来た真名がツナをフォローしてアドバイスも送ると刹那はそれに頷いた。

 

胸の話から逃げ出すことができたツナだが、超包子の女子大生メンバーに捕まり一緒にお酒を飲んでいた。

 

「沢田さんも飲みましょうよ♪」

 

「なら少しだけ・・・」

 

女子大生達が飲んでいたお酒は追加注文をした時の残りで最高級ワインだった。それを見たツナは親しい友人にあえた喜びと、友人達は飲んでいたのに一緒に飲めなかった寂しさから、久しぶりに飲みたい気分になり少しならと了承してしまう。



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35話

翌日

 

ツナは頭痛と共に目がさめる。

 

「痛ーー。久しぶりに飲むと辛いなー。」

 

「ツナさんおはようございます!大丈夫ですか?」

 

「さよちゃんおはよう。大丈夫だよ。ありがとう。」

 

ツナが部屋から出て二階に降りると、さよとナッツが起きていて遊んでいた。

 

「さよちゃんは普通の身体になれるとしたらどうする?」

 

「普通の身体ですか?そうですね〜。学校に行って、沢山お友達を作って、ご飯を食べたいです!」

 

ツナからの唐突な質問に対して、少し考えた後に笑顔で答える。そんなさよの答えにツナも笑顔で頷いていた。

 

「さよちゃんにあわせたい人達がいるんだ。いまから行く場所は二人だけの秘密でお願いね。」

 

「私にあわせたい人ですか?」

 

さよの答えに納得したツナはさよの手を取り自室へとエスコートする。そして自室のドアを開けると

 

「ほわ〜〜」

 

「ようこそ。ボンゴレへ。」

 

さよが見たものはボンゴレ技術班の研究室であり、至る所にロボットがいた。

 

「ツナヨシくん。久しぶり。」

 

「久しぶりですねボス。」

 

「ボンゴレその子が例の子?」

 

「フン 私を呼び寄せたんだ高くつくぞ。」

 

ツナが来たことに気がついた入江正一・ジャンニーニ・スパナ・ヴェルデが目の前に移動してきた。

 

「あの〜これもロボットなんですか?」

 

「それは人型だね。これがさよちゃんの身体になるんだ。」

 

「私の身体ですか?でもどうやって?」

 

さよはプカプカと浮かびながら周りをキョロキョロと見ていたが、洋服をきたマネキンにも似た物を見つける。触ってみると人肌と同じように弾力がありプニプニしていた。

 

「私とボンゴレが協力して作った人に近い人形だな。」

 

「人と同じ成分でできていまして、後は中身を入れれば完成です。」

 

「中身といっても中に入って操作するわけではないんだ。僕達と同じように電気信号によって神経や筋肉が動かすことができるんだ。」

 

「うちはもっとモスカに近づけたかったんだけど。」

 

科学者四人がそれぞれ説明していくが、さよは理解できていないのかしきりにツナに視線を送っていた。

 

「ハハハ つまりはさよちゃんがあの中に入ることで動かせることができるんだ。」

 

「すごいですね〜。魔法みたいな感じですか?」

 

「魔法ではなくれっきとした科学技術なのだがね。」

 

ヴェルデはさよが魔法みたいですと言いながら目をキラキラさせている姿を見ながらメガネを拭いて呟く。正一とジャンニーニも苦笑いを浮かべておりスパナは飴を舐め始めていた。

 

「ボンゴレ。そろそろ時間。」

 

「もうそんな時間なんだ!さよちゃんその人型の上に重なるようにしてくれない?」

 

「こうですか?」

 

「いきなりごめんね。俺を信じてほしい。」

 

ツナはタイマーを確認すると焦り始める。説明が途中だが、さよに人型の上に重なるように浮いてと指示を出すと掌に炎を灯し、さよを人型に押し込んだ。

さよはびっくりして短い悲鳴をあげるが

 

「もう大丈夫だよ。」

 

「え?あれ?浮かない?」

 

さよはいつもの癖で浮かぼうとするが浮かべないことに首を傾げていた。

 

「浮かぶんじゃなくて足を動かしてみて。」

 

「はい。あ!動きました!歩けます!」

 

「ふむ 成功かな。いいデータが取れた。」

 

「ツナヨシくん。あとは向こうで説明してそろそろ向かった方がいいよ。」

 

「ありがとう。また今度ゆっくりできるときに。」

 

「ありがとうございました。」

 

ツナは苦笑いを浮かべながらさよに足を動かしてと伝えると、さよは立ち上がり歩き始める。歩けたことが嬉しいのかツナに抱きついていた。

そんなツナとさよを見て、ヴェルデはタブレットを操作しながらデータを打ち込んでいた。ツナは正一に言われてさよを抱いたまま夜の炎で移動をする。

 

次にツナ達が向かった先は

 

「ただいま!!」

 

「おかえりなさい。あら可愛い女の子、もしかしてお赤飯の方が良かったかしらー」

 

「母さんが想像しているのとは違うからね!」

 

「そろそろ諦めて孫でも作れボンゴレ。」

 

「ンナ!!ランチアさんまで何言ってるんですか!!」

 

「お邪魔します。相坂さよっていいます。よろしくお願いします!!お義母様?」

 

ツナ達が向かった先は奈々が住んでいるツナの実家であり。リビングに入ると奈々とランチアが寛いでいて、ツナとさよの姿を見ると奈々は嬉しそうに笑いながら二人に抱きつく。

ランチアは奈々の発言に眉間を押さえながらツナに呟く。さよは二人が言っている意味がわかっていないらしくキョトンとしているが、ツナは顔を真っ赤にしながらツッコミを入れていた。

 

「さよちゃん。いきなりで申し訳ないんだけど、夏休みの間だけ、ここに住んで身体の調子や一般常識や勉強をしてほしいんだ。」

 

「え!?私はもう麻帆良には戻れないんですか?」

 

「夏休みの間だけだよ。夏休み明けには2-Aに通えるようにしておくから。」

 

「学校に・・・わかりました!!」

 

ツナはさよに身体の説明をし、慣れるまでは数週間かかってしまうこともあり、何かあった際にすぐに解決できるこちら側にいてほしいと伝える。さよは不安な表情をするが夏休み明けには2-Aに通えるときくとパッと笑顔になり、ツナに頷いていた。




科学班四人は霊視ゴーグルを装着していたためさよを視認できています。

ツナが時間を気にしていたのは次回にて。


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36話

ツナがさよに説明をしていると奥から一人の男が現れる。

 

「ツナヨシくん。久しぶりだね。」

 

「久しぶりチェッカーフェイス。まだ時間は大丈夫だよね?」

 

「こちらでの活動時間はもう残っていないが、私と一緒にいる分は問題ない。私と離れて行動すると向こうとの縁が切れるから注意するように。」

 

ツナはいまネギまの世界との縁を築いている最中であり、長い時間ネギまの世界から離れてしまうと、歴史の修正力によって木乃香や明日菜がネギとの縁が復活し魔法世界の事件に巻き込まれてしまう可能性が出てきていた。

 

「あの〜私はどうしたらいいんですか?」

 

「あ!話の途中だったよね。ごめんね。さよちゃんの身体なんだけど、慣れるまでの一ヶ月くらいは馴染んでるかどうかの経過確認をしたいんだ。その間に学校に通うための勉強や現代社会の知識も学んで欲しいし、母さんに家事も教わってほしいんだ。8月になったら迎えに来るから。」

 

「なんか花嫁修行みたいですね!」

 

「あらあらあらあらーさよちゃんみたいな娘だったら大歓迎よー。じゃあさっそく一緒に料理でもしましょ!」

 

ツナがツッコミを入れる前に奈々はさよを連れて厨房へと消えて行った。

その姿を目で追っていたチェッカーフェイスは二人が完全に見えなくなると真剣な空気を纏いながら

 

「一つ伝えないといけないことがある。」

 

「それはあの娘達の件?」

 

チェッカーフェイスの雰囲気が真面目なものに変わったため、ツナも仕事モードに切り替える。

 

「●●●を夏休み中の期間だけ京都に派遣することになった。京都で合流してほしい。」

 

「●●●を!?」

 

ツナは●●●という名前を聞いて驚き、昔を思い出したのか苦い表情をする。

 

「今回●●●にはある人物の捕縛或いは抹殺を依頼してある。ツナヨシくんにはその補佐を頼みたい。」

 

「わかりました。・・・●●●って生きていたんですね。あとあの娘達には知られない方がいいですよね?」

 

「いや、ユニくんの未来視によると一緒に京都に行くのは確定みたいだから無理に隠す必要はない。あの娘達と魔法世界とは完全に縁が切れるほどの関係性ではないという事だろう。」

 

ツナとチェッカーフェイスは保護対象に完全な平穏を望んでいたがそう簡単にはいかない事態に暗い空気になる。

 

すると

 

「つっくん、川平さーん。ご飯できたわよー!」

 

「お義母様の料理すごい美味しいですね!!」

 

沢田奈々の声と味見をしたのか口元にソースをつけたさよが顔を出した事により、暗い空気が一蹴された。

 

ツナは久しぶりの母親の料理を幸せそうに食べて、さよと再会の約束を交わして夜の炎で移動をした。




●●●は人の名前です。今は伏字にしておきます。

期末テスト→夏休み(京都編)の予定です。


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37話

ツナが麻帆良に帰ってきて一週間程が経過すると学生達はテスト勉強を開始していた。お店を閉めて明日菜・木乃香・のどか・夕映・刹那・あやか・千鶴と夕食を食べていると、明日菜が

 

「ツナさん。また勉強をみてほしいんですけど・・・大丈夫ですか?」

 

と遠慮しながらたずねてきた。

ツナが明日菜だけではなく周りにも目を向けると、他のメンバーも期待しているような表情をしており、ツナは苦笑いを浮かべながら

 

「大丈夫だよ。木乃香ちゃん・のどかちゃん・あやかちゃんに千鶴ちゃん。ノートをかりてもいいかな?」

 

「うちので役に立つならええで〜」

 

「私のもですか?」

 

「皆さんの役に立つならお安い御用ですわ!」

 

「あらあら、ノートを見られるのは少し恥ずかしいわね。」

 

四人共事前に準備をしていたようで、その場でノートを差し出してくる。のどかは何故自分のノートもと不思議がってはいるが、渡せる用意をしてきていた。

 

「ありがと。じゃあ明日の午前中まで借りるね。明日は土曜日だけどまた勉強会でも開く?」

 

ツナはニコニコと笑いながらノートを受け取り、前回みたいにするのか確認をするが

 

「申し訳ありません。今回なんですが、私達の他にも参加したいという方々が多数いまして、前回みたいにここでやるのには問題が・・勝手ながら学校の空き教室を使えるように手続きは済ましてあります。」

 

「そうなんよー。うちはまたお泊まりしたかったんやけど、さすがにクラスの半数以上はここに入らんし。」

 

「泊まり・・・って、このちゃん!?」

 

「私もまた同じ布団で一夜を過ごしたかったんですが、残念です。」

 

「同じ布団!このちゃんも!?」

 

「せっちゃん落ち着いて・・・キュウ」

 

あやかが申し訳なさそうにツナに頭を下げて現状の報告とすでに対処済みであることを伝える。木乃香は泊まれなかったことが不満なのか少し頬を膨らまし、木乃香のお泊まり発言に刹那が動揺し、千鶴は頬に手をあてて困り顔を浮かべ溜息を吐いた。そんな千鶴の発言に刹那は木乃香の肩を掴みブンブンと前後に激しく揺らし・・・木乃香は酔ったのか気絶してしまう。

 

「うわ!あやかちゃんすごいね!うちに秘書としてこない?泊まりは前回だけで次からは阻止させてもらうね。参加者は他に誰がいるの?って刹那ちゃん落ち着いて!明日菜ちゃん、のどかちゃんと一緒に木乃香ちゃんを布団に寝かせて上げて。」

 

「嬉しいですが喫茶店に秘書って必要なのですか?参加者はエヴァンジェリンさんに茶々丸さん、姉崎さん、桜子さん、釘宮さん、風香さん、史伽さん、長瀬さん、龍宮さん、まき絵さん、和泉さん、明石さん、大河内さんになります。」

 

「 お嬢様ーー!!」

 

「桜咲さん落ち着いて。」

 

「カオスです。」

 

明日菜は倒れた木乃香を抱え、のどかは慌てて布団を用意する。あやかはツナからの勧誘に笑顔で答えるが喫茶店に必要なのかと首を傾げる。

そんな中、刹那が自暴自棄になりながら叫んでいたのを千鶴が抱きしめて落ち着かせる。

そんな光景を見ながら変な名称のパックジュースを飲み夕映がポツリと呟いた。



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38話

翌日の土曜日の午前中は普通にお店を開いており、明日菜と木乃香がアルバイトとして働いていた。

ツナはお客がいないタイミングでPCに向かって作業をしていたが、

 

「ツナさん何してるん?」

 

「パソコンを使ってるの珍しいですね。」

 

後ろから木乃香と明日菜が不思議そうに話しかけてきた。

 

「お店の予定を作ってたんだ。臨時休業が多いから開店日や営業時間に関しての告知をね。」

 

ツナは苦笑いを浮かべながら作成していたチラシを印刷し、二人に見せる。それには不定休に変更することや当分の間はランチタイムまでの営業になることが書いてあった。

 

「もしかしてうちらのせい?」

 

「すいません。」

 

「いやいや!売り上げが必要なお店ではないから大丈夫だよ。元々このお店は日本で通用するかどうかの試験的な部分が大きいんだ。だから気にしないで!逆にアルバイトの時間が少なくなって申し訳ないくらいだよ。」

 

ツナからお店の状況をきいた二人は自分達が安易に色々と頼みすぎてるからだと考えてしまい頭を下げる。するとツナは慌てて二人のせいではないことを説明し、逆にアルバイトで稼げなくなっている状況に頭を下げた。

 

そんなやりとりをしていると

 

「お待たせいたしましたわ!皆さん用意はできていますか?」

 

「あ!もうそんな時間なんや!」

 

今日は午後から2-Aの教室で勉強会の予定があり、お店をお昼で閉めてあやかを加えた四人で学校へと向かう。

 

ツナはあやか達三人と教室を借りるために職員室へと向かうと学園長、しずな先生、新田先生が対応をしてくれた。

 

「ご無沙汰しております。喫茶トゥリニセッテ店長の沢田綱吉です。今日からテストまでの期間になりますが教室をお借りいたします。」

 

「ふぉっふぉっふぉ。いつも孫が世話になっとるの。」

 

「勉強会のことは雪広さんから聞いています。生徒のことをよろしくお願いします。」

 

「沢田さんは教員免許をお持ちときいたのですが、教職志望だったのですか?」

 

「そうですね。最初は教師を目指してはいたのですが・・・色々とありいまの仕事に落ち着いてます。」

 

「もし良かったらこのまま2-Aの担任なんてどうかのう?担任業務をしてくれれば専任の教科はないようにするぞい。なんなら喫茶店を続けたままでもいい。」

 

学園長や新田先生は2-Aの成績向上の件や学園祭での対応、今回の勉強会などからツナが2-Aの担任になってくれたらという考えがある。やはりいつまでも担任不在という状況はよくないのだ。

 

「私は雇われ店長ですから。勝手には決められないですよ。では失礼いたします。」

 

ツナは苦笑いを浮かべながら濁した感じで返事をすると手続きを済まして職員室を後にする。

 

「ツナさんが先生か〜それも面白そうや。」

 

「ツナさんと放課後の教室で二人だけで補習・・いいわね。」

 

「木乃香さんも明日菜さんも落ち着きなさい。ツナさんはすでに働いていますから現実的ではありませんわ。」

 

「ハハハ。(嫌な予感がするんだよな。本格的に動きがあるとすれば来年で、その時に一番近くにいられる立場だとしたら担任だろうし。チェッカーフェイスはリボーンじゃないから無茶振りはしないと思うけど・・・)」

 

ツナは三人の会話を聞きながら、先ほどのことを考えていた。

 

そして教室に到着し勉強会が始まった。



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39話

教室に入ると2-Aの生徒がほとんど参加していた。そしてお祭り騒ぎのようにお菓子を食べたりトランプをしたりと好きなように騒いでいた。

 

「はい!!片付けていつもの席に着いて!とりあえず!まずはこのテストをしてもらいます!」

 

ツナは手をパンパンと叩きながら席に着くように促し、問題用紙を教卓に準備する。

 

「えー!!勉強会じゃないんですか!?」

 

「テストなんて聞いてないですよー。」

 

円や美砂を筆頭に最初の勉強会に参加していなかったメンバーが騒ぎ出す。

 

「皆さん!最初に説明しましたわよね!?」

 

「あらあら困ったわねー。納得して参加してくれていたのかと思っていたんだけれど。」

 

「ツナさんを困らせたらダメやで。」

 

今回が初参加のメンバーも前回の勉強会に参加していたメンバーから事前に流れを聞いてはいたのだが、いざテストと言われてしまうと拒否反発を起こしてしまうようだった。

 

「前回の打ち上げ時にも話したけど、大事なのはみんなのやる気だからね。予想問題だけを受け取るのはさせないから。勉強に関しては優しくするつもりはないよ。いつまでも騒ぐならもっとハードな内容にするけど・・・ネッチョリやるか静かに席に座るか選んでくれるかな?」

 

ツナはニッコリと笑いながらも覇気をまとい淡々と言葉を紡ぐ。ザンザス達が暴れて屋敷を壊した後に氷像を作る時にも似たような笑顔で対象者を凍らしていた。

その笑顔を見た生徒達は騒ぐのをやめて速やかに席につき筆記用具の用意をする。今回はザンザス達に向けるほどではないにしろ、女子中学生を叱咤するには充分効果的だった。

 

「うん。じゃあこの用紙を後ろに回してもらえるかな?」

 

ツナは最前列の生徒達に三枚の用紙を渡して行く。全員に行き届いたのを確認すると

 

「ここに答えと解説、赤ペンを置いておくね。90分後に解説をするから終わった人から取りに来て赤ペンで自己採点をしてほしい。時間内に終わらなくても構わないから。それじゃあ始め!」

 

ツナが言い終わるとペンと紙を動かす音が教室内に響き始める。

30分ほど経過すると教室のドアがノックされた。ツナはドアを開けると高音と愛衣が申し訳なさそうな感じで立っていた。

 

「あれ?二人ともどうしたの?」

 

「勉強会の最中に申し訳ありません。できたら愛衣の勉強も見てもらえませんか?」

 

「忙しいのにすいません。予想問題がほしいわけではなく、わからない所を教えてほしいんです。」

 

「大丈夫だよ。今からする?」

 

ツナは高音と愛衣のお願いを受け入れ隣り合っていて空いている席に座ってもらった。ツナも二人の前に椅子を用意して腰を落とす。愛衣はイソイソとカバンから教科書とノートを用意していた。高音がツナと目が合うと

 

「私は愛衣の付き添いですので気にしないでください。私も高校の後輩から頼まれてしまいまして。毎回は一緒に来れませんので、次回からは一人で来させますので。」

 

「お姉様ありがとうございます。ツナお兄様・・・こちらなんですが・・・」

 

「ああ・・・ここはね・・・」

 

ニコッと笑いながら首を横に振りツナに来た理由を話す。ツナも高音ちゃんは優しいんだねと言いニッコリと笑い返す。高音の言葉を聞いていた愛衣はお礼を言った後にツナにノートを見せて、解説をノートにメモをしながらわからない部分の質問をしていった。



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40話

翌日の日曜日、ツナは夕方までは勉強会を行い店に帰宅した。勉強会では各自の苦手分野を中心にした問題集を配っていた。お店にはツナの帰りを待っていたのか龍宮真名が来ていた。

 

「お待たせ。なにか飲む?」

 

「いまは遠慮しておくよ。頼んでいたものの準備はできているかい?」

 

「出来てるけど・・・こんなにどうするの?」

 

「ふっ着いてからのお楽しみさ。」

 

ツナは段ボール二箱分のお菓子を抱えて真名に何に使うのか確認するが、真名は不敵に笑いながら段ボールを一つ持つとツナを目的地に先導し始める。話す気がない真名の様子にツナは溜息を吐いて後を追った。

 

真名の後を歩いて数十分、二人はある建物の前で立ち止まっていた。

 

「児童養護施設?」

 

「ああ、沢田さんが持っているのはここの子達への差し入れだよ。一カ月に二回くらいしか来れないけど差し入れを持ってきているんだ。」

 

ツナが入り口に書いてある看板を読むと、真名も今日の目的を説明した。真名は説明をしながら建物の中を進んでいく。受付にいた男性も真名のことは素通りで通していた。一つの扉を開けて中に入るとたくさんの子供達が自由に遊んでいた。

 

「あ!真名ねーちゃんだ!!」

 

「ほんとだー!!」

 

真名の姿を確認した子供達が真名に駆け寄ってきて一緒に遊ぼうとじゃれついていく。普段の龍宮真名からは想像できないような柔らかい表情で子供達の相手をしていた。

 

「遊ぶのもいいけど、今日はお土産もあるんだ。沢田さんお願いできるかい?」

 

「了解。数はあるから慌てないで大丈夫だよ。」

 

ツナは段ボールを椅子の上に置いて中身をテーブルの上に広げて行く。

 

「「「「わーー!!」」」」

 

「これ全部食べていいの!?」

 

「みんな慌てないで、ゆっくり選んで大丈夫だから。」

 

「真名ねーちゃん、お姉さんもありがとう!!」

 

「プッッククク。」

 

「真名ねーちゃんどうした?」

 

市販の駄菓子類の他に、ツナの手作りのマドレーヌやマフィン、マカロンなどがテーブルに並べられていく。そのお菓子に目を輝かせていく子供達。

我先に群がることはせずに年少組から選ばせて怪我をしないように見守っている年長組の姿を微笑ましい感じでツナは見ていたが、口々に言われるお礼のお姉さんという言葉に対して真名が笑いを堪えるように口元を押さえている姿には眉を寄せて抗議の視線を向ける。

 

「すまない沢田さん。みんな・・・沢田さんは男なんだ。」

 

「「「「えーーー!!!?」」」」

 

「「「うっそだーー」」」

 

「「「もしかして真名ねーちゃんの彼氏?」」」

 

「似たようなものだな。身体のあちこちを触られたこともあるし。」

 

「「「キャーーー」」」

 

「ちょっ!!その言い方は変な誤解を招くし、子供の前で言うことじゃないからやめて!!

 

年長組の耳年増な女の子達がツナと真名の関係を勘違いし、真名の発言を聞いて顔を赤くした後に円になりヒソヒソ話を始めていた。

 

その後は子供達や施設のスタッフから質問というなの尋問があり、ツナは身の潔白を証明することができた。



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41話

勉強会も順調に続きテスト当日、2-Aではツナが作った問題集と睨めっこしている姿があったが、

 

「そういえばニュース見た?」

 

「婚約者の女子高生と先生のやつ?」

 

「女の子が可哀想だよね。親が婚約者を勝手に決めて、婚約者である先生から無理矢理学校で色んなことされてたって話だし。最終的に逮捕されて親も社会的に立場がなくなったらしいけどさ。」

 

いま世間を騒がしている事件に興味津々な面子も多い。同じ女子校という共通点もあり学園内もピリピリしていた。

 

「この問題集、一人一人微妙に違うのよね。」

 

「当たり前ですわ!ツナさんが初日にテストをしたのは一人一人のことを考えるために必要だからなんですのよ!」

 

「うちもおじいちゃんに言ってお見合いを辞めさせないといかんなぁ。」

 

「大丈夫だと思いますよこのちゃん。今回の件で学園長も世間の目を気にし始めましたから。」

 

そんな空気の中でも勉強に集中しているメンバーはいて、ツナが作った問題集の違いに驚いたりしていると、あやかが自慢気に解説を始める。

事件のことが他人事だと思えない木乃香は決意を示したが、刹那からすでに学園長は他の先生達から直談判がありお見合いを組める立場にないことが説明された。

 

「真名は昨日ツナさんと一緒にいたと聞いたでござるが?」

 

「アイヤー真名は勉強は大丈夫アルかー?」

 

「フフ 私も勉強はしているよ。勉強会にも参加しているしね。昨日はあの場所に用事があっただけさ。」

 

真名は不敵に笑いながら楓や古菲からの質問を受け流す。

そしてテストが始まった。

 

 

テスト返却日

 

「今回は自信あるよー。」

 

「自信もなにも・・・あの問題集ほとんどテストと同じ内容だったじゃん!」

 

「私も本気を出しました。」

 

「え!?夕映どうしたの?」

 

「夕映も夏休みが楽しみなんよ。」

 

「このちゃんと一緒に京都に帰れる日が来るとは思いませんでした。」

 

「お盆休みにはみんな帰るのよね?つまりツナさんと2人っきり・・・」

 

「安心しろ神楽坂明日菜。私と茶々丸がお盆休みに毎日顔を出す予定だ。」

 

「な!なら私も寄りますわ!」

 

「あやかも行くなら私も行こうかしら〜。」

 

生徒達は来たる夏休みに向けて各々やりたいことを話しながら順位の発表を待っていた。

 

女子中等部の発表が始まり

【三位 2-A】

と前回よりも早く名前が呼ばれた。

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

「あの問題集があるんですから当然ですわ!!」

 

個人順位

1位 超 鈴音、雪広あやか、那波千鶴

5位 宮崎のどか

9位 綾瀬夕映

10位 近衛木乃香

 

明日菜は順位は下がってしまっていたが平均点は上がっていた。また勉強会に参加したメンバーもみんな平均点が上がっており、今回2-Aで補習になったのは古菲のみで、勉強会に参加しなかったことを後悔していた。

 

勉強会に参加したメンバーも問題集を参加してない人に見せるのを禁止されていたため、頼まれても見せることはせずに一緒に参加しようと誘ってはいたのだが古菲に勉強をする意識がなくテスト当日を迎えていた。

 

「テスト終わりの打ち上げだー!!」

 

「またツナお兄さんのお店だよね?」

 

「ツナお兄さんに褒めてもらうんです!」

 

今回はあやかがツナに迷惑をかけないように勉強会の最中に打ち上げの予約を入れていた。



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42話

ツナは夕方になるとお店の入り口に貸切の看板を立てて打ち上げの準備を始めていた。

今回は予約時に「食材は雪広グループから提供いたしますわ!!」とあやかが提案して来ており、午後一には多彩な食材がお店に到着していた。

ツナはその食材を前にどうしようかと悩んでいると

 

「私と皐月も手伝うネ。」

 

「お任せください。」

 

「助かるよ。ありがとう。」

 

超鈴音と四葉皐月が料理の手伝いをするために学校帰りに直接お店に顔を出した。ツナは笑顔で二人を厨房に招き入れて調理を開始する。

 

打ち上げ開始の時間が近づいてくると人も集まり始め、だんだんとお店の中が騒がしくなっていった。開始時間になり全員にドリンクが到着すると

 

「「「「「カンパーーーーイ!!!!」」」」」

 

明石裕奈が我先にと音頭を取り打ち上げが始まった。

 

乾杯が終わるとツナと超鈴音、四葉皐月が厨房から料理を運び始め、それを見た明日菜や木乃香といったアルバイト組も運ぶのを手伝い始める。

 

「これで全部なん?」

 

「また沢山作ったんですね。」

 

「いまので最後だよ。あやかちゃんが用意した食材が良いものが多かったし、超包子の二人も手伝ってくれたからね。」

 

木乃香達四人が他にも手伝えることはないかとツナの元に集まる。ツナは四人にもう大丈夫だからみんなも楽しんでと飲み物を手渡して背中を押した。

 

「ツナさんはどこで料理を覚えたのでしょう。」

 

「このスイーツも美味しい。これも手作りだよね。」

 

「ほんまや〜。しつこくない甘さがええな。」

 

「のどかと木乃香、もうデザートを食べてるの!?」

 

四人は分担して料理を取ってくると同じテーブルへと再度集まり会話を始めた。夕映はツナの料理のレパートリーや美味しさに首を傾げつつも堪能しており、のどかと木乃香はデザートから食べ始めていたため、それを見た明日菜が驚き声をあげるが店内の賑やかな声に掻き消されていた。

 

ツナの元にはあやかと千鶴が挨拶に来ており、ドリンクサーバーに補充をしながら会話をしていた。

 

「あやかちゃん。食材の手配ありがとう。結構いい食材が多かったけど、あれは注文とかもできたりするの?」

 

「今日はありがとうございます。いつもお世話になっておりますのでそのお礼ですわ。注文はできますので後日カタログをお持ちいたしますわね。」

 

「ツナさんも食べてますか?今日はツナさんへのお礼も含まれてますから遠慮しないでくださいね。せっかくですし・・・アーン。」

 

「「千鶴(ちゃん ウワ!、さん)!?」」

 

「なにをやっとるんだ那波千鶴!そしてお前はどこを見ていた!!」

 

「マスター落ち着いてください。」

 

千鶴がツナに食べさせようと身を乗り出して口元にフォークを持っていくが、エヴァンジェリンが横からツナに体当たりをし場所を移動させる。

 

「エヴァンジェリンさん!?」

 

「あらあら、ツナさん大丈夫ですか?」

 

「ツナならあれくらい大丈夫だろう。それで那波千鶴・・・その体勢は私に対する挑戦か?」

 

エヴァンジェリンの視線の先には前のめりになり、カウンターの上に胸を乗せて胸を強調させている姿勢の千鶴がいた。さすがのツナも胸に視線がいってしまっており、その瞬間をエヴァンジェリンが見逃すはずがなかった。

千鶴は「あらあら困ったわー。」と言いながらその場を離れてエヴァンジェリンがそれを追いかけて行ってしまった。残されたあやかと茶々丸はツナの状態を確認しようとカウンターの中に入り、ツナを助け起こした。

 

「あやかちゃん、茶々丸ちゃんありがとう。」

 

「お気になさらずに。それで・・見ていたんですか?」

 

「ンナ!ワザとではないよ!」

 

「約5秒ほど視線が固定されていたのを確認できています。」

 

茶々丸の補足説明であやかはツナをジト目で見て胸を腕で隠した。表情が読み取れない茶々丸も微妙に怪訝な視線を向けている雰囲気を出していた。

 

「いやいや!常日頃から見ているわけではないよ!茶々丸ちゃんもそんな目で見ないで!」

 

「冗談ですわ。ツナさんのことを信用していますから。では私も戻りますわね。茶々丸さんもエヴァンジェリンさんを止めに行きますわよ。」

 

「わかりました。」

 

「怪我はしないようにね。」

 

ツナは服を整えながら立ち上がり二人を見送ると溜息を漏らす。

 

そんなツナの元には先ほどのやり取りを見ていた新たなる刺客が迫って来ていた。



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43話

あやかと茶々丸が離れていくと

 

「ツナさん見てましたよ〜。」

 

「見たいなら私達が見せてあげますから遠慮しないで言ってくださいよ。」

 

「私も!!」

 

ニヤニヤと笑いながら円と美砂、桜子が話しかけてきた。先ほどの千鶴達とのやり取りを見ていたらしく、美砂と桜子は千鶴の体勢を真似していた。

 

「あ〜うん。今回悪いのは俺だけど!!見ないからね!!」

 

「減るもんじゃないしいいじゃないですかー。大丈夫です。責任は取りますから!」

 

「そのセリフ男子が言うことだよ!!」

 

「円はやらないの?」

 

「私がやってもねー」

 

美砂がツナとじゃれている傍らで桜子はポーズをとらなかった円を見るが、円は胸に手を当ててため息をついていた。

 

「ツナお兄さん遊べですー!!」

 

「お姉ちゃん待って。走ったら危ないよ。」

 

美砂達からどうやって逃げ出そうか考えていると、鳴滝風香と史伽が駆け寄ってきた。

 

「風香ちゃん。走らないで!俺がそっちに行くから!美砂ちゃん達ごめんね。俺は向こうに行くから。」

 

ツナはそれを好機と捉えて不自然にならないように鳴滝姉妹がいる場所に向かいその場から逃げ出す。

 

「ちぇっ もうちょっとな気がするんだよなー」

 

「結構本気で狙ってるの?」

 

「んー告白してくる男どもよりかは好印象かもね。」

 

美砂が指をパチンと鳴らしながら残念と言っていると円が疑問に感じていたことを口にする。美砂はチア部に入っていることと中学生にしては発育もよく高校生や大学生の男子から告白されることが多かった。だが、その告白も下心ありきなものが多くウンザリしていた。

 

「ツナお兄さん。褒めるですよ!」

 

「頭を撫でて欲しいです。」

 

「二人共よく頑張ったね。」

 

ツナは鳴滝姉妹を膝に乗せながら二人の話を聞いており、二人はテストで良い点を取れたから褒めて欲しい、頭を撫でて欲しい等ツナに甘えてきていた。ツナは二人の要望に応えながら、甘えてくることが少なくなったランボやイーピンのことを思い出していた。

 

鳴滝姉妹が満足すると

 

「ツナさんも楽しんでますか?」

 

「美少女な女子中学生達に囲まれて嬉しいですよね?」

 

「裕奈!ツナさんはそんな人やあらへんよ!」

 

「三人共お疲れ様。テストはどうだったの?」

 

大河内アキラ、明石裕奈、和泉亜子が話しながら近づいてきた。ツナは三人にテストの結果を聞くと三人共笑顔で答えてきた。そのまま他愛もない話をして三人と別れて違う場所に移動する。

 

移動した場所には

 

「やぁ 先日は助かったよ。また時間があったら顔を出してくれたら子供達も喜ぶ。」

 

「ツナさん。このちゃんのお見合いは今後なくなりそうです。心配おかけしました。あれはご返却した方がいいでしょうか?」

 

「行くときに声をかけてくれたら調整するよ。ん〜あれは持っててもらっていいかな。非常時の逃げ場にして構わないよ。」

 

龍宮真名と桜咲刹那が静かにコーヒーを飲んでおり、ツナが近づくと、自然にスペースをあけて二人の間に座らせて会話を始める。

 

それをみたまき絵などはあれができる女の動き方かと尊敬の眼差しを向けていた。



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44話

終業式も終わり夏休みに入ると木乃香、明日菜、夕映、のどか、あやか、千鶴、刹那はツナ宅にお邪魔して一緒に夏休みの宿題に取り掛かっていた。

 

「ツナさんは夏休みにどこかにでかけるん?」

 

「人に会いに京都に行くくらいかな。」

 

「京都!ならうちとせっちゃんと一緒に行かへん?」

 

「このちゃん流石にそれは迷惑かと・・・」

 

「夕映ちゃん達は?」

 

「私は実家に帰るくらいです。」

 

「私もです。」

 

「京都かーいいなー。いいんちょと那波さんは海外に行くのよね?」

 

「そうですわね。いつも家族で海外に行っていますわ。」

 

「夏休みを口実にしか家族サービスができないだけですよ。」

 

千鶴の辛口な発言に一同が苦笑いになると

 

「ツナ!京都に行く日程は決まったか?なんなら明日からでもいいぞ!」

 

エヴァンジェリンが部屋に入ってきて、流れるようにツナの膝の上に座った。

 

「行くとしたら来週からかな。」

 

「来週だな!待ちに待った京都だ!楽しみだな!」

 

 

 

 

 

「ちょっと待って!!ツナさんエヴァちゃんと京都に行くんですか!?」

 

「ならうちとせっちゃんも大丈夫やな!」

 

「そうですねこのちゃん!」

 

「エヴァンジェリンさん貴女いつの間にそんな羨ましい約束を!」

 

「あらあら〜ツナさん。この日程を空けといてもらえますか?パスポートはお持ちですよね?」

 

「む・・・なら私も京都に行くです。」

 

「夕映?なら私も行きます。」

 

ツナとエヴァンジェリンとのやり取りを聞いた一同は一瞬呆気にとられて固まるが明日菜がいち早く復活して声をあげた。それを合図に木乃香と刹那は目的地が同じなら一緒に行くのは問題ないはずだと言い張り、あやかは羨ましいと叫び、千鶴はスケジュール帳をツナに見せながらこの日は家族と海外に行く日ですので一緒に行きましょうと詰め寄り、夕映とのどかまでもが一緒に京都に行くと言い出した。

 

「羨ましいか?うん?」

 

エヴァンジェリンはその光景を愉快そうにしていたが、勝ち誇った表情をしていた。

 

 

「あ〜〜それなんだけど、エヴァちゃん、みんなも誘っていいかな?」

 

「むっ 私だけだと不満か?同じ部屋で温泉に入る約束はどうする?」

 

「「「「「「「え!?一緒にお風呂!?」」」」」」」

 

「そんな約束してないよね!?みんなも誤解だからね!」

 

「ツナさんはペッタン子が好きなのですか?」

 

「那波千鶴!またお前は私に喧嘩を売るのか!?」

 

「エヴァンジェリンさんの相手は千鶴さんに任せて、ツナさん!!どういうことか説明をお願いしますわ!!」

 

エヴァンジェリンがツナを困らせる為にした発言に7人は動揺する。しかし、千鶴とあやかが目配せをし頷きあうと千鶴はエヴァンジェリンの関心を引く発言をしてツナから引き離す。そのタイミングですかさずあやかがツナに詰め寄り説明を求めた。

 

ツナの説明により一緒にお風呂は誤解だと判明したが京都に行くことには変わりなかった。

 

「エヴァンジェリンさんの保護者として京都旅行に付き合うのは納得いたしますが、それなら私達も一緒に行って大丈夫ですわよね?」

 

「京都案内ならうちとせっちゃんに任せといてや!」

 

「いえ、私は山育ちなので名所などは。」

 

「エヴァちゃんは俺が説得するよ。」

 

「京都旅行ってどれくらいするのかな?」

 

「そうですね。泊まる場所にも寄りますが、交通費だけでも麻帆良から京都まで往復3万円はかかるかと思うです。」

 

「学園祭のお金はあるけど・・・使いたくない・・・でもツナさんとの旅行・・・一夜の過ち・・・そして二人は・・・」

 

あやかはこの場にいる全員で行くべきだと提案した。ツナも了承しエヴァンジェリンを説得すると約束する。木乃香と刹那は帰省のため問題はないが、明日菜と夕映、のどかは旅費の心配をしていた。

 

「お金は気にしないでいいよ。全員分俺が出すから。あやかちゃんや千鶴ちゃんもお店を手伝ってくれるし、夏のボーナスってことにしてね。」

 

「え!それは悪いですよ!」

 

「気にしないで。泊まるホテルは知り合いのホテルでタダで泊まれる約束をしてあるから。」

 

ツナからの申し出に話を聞いていた6人は必死で断りを入れたがツナも一歩も引かなかった。

 

「お前達。せっかくだから甘えておけ。そうやって甘えられるのも今のうちだけだ。そんなに気になるなら身体で払えばいいだろう。」

 

「男性の場合、見栄とかもありますから。ましてやツナさんは年上ですし時には素直に甘えるのも必要ですよ。」

 

「そうですわね。ツナさんありがとうございます。」

 

千鶴とのじゃれ合いが終わったエヴァンジェリンと千鶴が話に入ってくる。エヴァンジェリン、千鶴の発言にあやかは納得し他のメンバーも渋々だがツナからの提案に頷いた。



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45話

「おじいちゃん、うち来週から京都に行くことになったんや。」

 

「フォッ!!お盆の時期と言ってなかったかのう?」

 

「明日菜達も行くことになってな、せっちゃんと案内するん。そのまま実家に来てもらって明日菜達は一泊、うちとせっちゃんはそのまま残るつもりなんよ。」

 

「刹那くんとか、子供だけじゃ心配じゃのう。そうじゃ!葛葉くんも里帰りすると言っておったからタイミングがあえば引率に頼んでみるかのう。」

 

「刀子先生?わざわざ先生に引率してもらうんわ悪いわ。子供だけじゃなくてツナさんも一緒やから無理矢理頼むのはあかんえ。」

 

寮に戻った木乃香は祖父に帰省する時期が早まったと連絡をいれていた。近右衛門は子供だけだと不安だからと同郷の葛葉刀子を引率に付けようとするが、木乃香からは引率はすでにいるから無理矢理はダメと言われてしまう。

電話が終わると近右衛門は眉間を揉みながら葛葉刀子に連絡を入れる。

 

「刀子くんか?すまなんだが、来週から京都に行ってはくれないかのう。木乃香と明日菜くん達が旅行で行くらしいんじゃ。刹那くんもいるが一人だとちと心配での。」

 

「来週からですか?急ですね。」

 

「大人は喫茶店の沢田綱吉くんも行く「絶対に行きます!明日詳細を教えてください!!」・・・明日待ってるぞい。」

 

近右衛門が最初に切り出した時は電話越しでも不機嫌さが伝わってきたが沢田綱吉の名前を出した途端に掌を返して即答した刀子に選択を間違えたかもと冷汗をかく。

 

「邪魔するぞじじい!!」

 

「なんじゃ!!・・エヴァか、どうしたんじゃ?」

 

「来週から京都旅行に行く!いなくなったと騒がれたら困るからな、一応報告だけはしておこうかと思って来てやっただけだ。」

 

「は?・・・・・待ってくれエヴァ!!来週から京都とな?」

 

「そうだがボケたのかじじい?」

 

「ボケてはおらん。さっき木乃香から来週京都に行くと連絡があっての。まさか木乃香達と一緒ということは?」

 

「そのまさかだじじい。安心しろ。私も魔法を使ってせっかくの京都旅行を邪魔されたくない。たかが京都に行くくらいで魔法を使う事態にはならないとは思うがな。」

 

「しかし関西呪術協会からちょっかいがあるかもしれんぞ。」

 

「それはお前と詠春がどうにかする立場だろ。私には関係ない。」

 

唐突に学園長室のドアが開かれてエヴァンジェリンが入ってくる。エヴァンジェリンは言いたいことだけ言うと直ぐに部屋から出て行ってしまった。

 

「まぁエヴァもいれば護衛面では大丈夫じゃろ。うむ沢田綱吉くんは裏のことも知っているのかのう。経歴には問題なかったが、エヴァが執着するなにかがあるのか?」



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46話

葛葉刀子は学園長から頼まれて木乃香達の京都旅行へ同行することになった。刀子は挨拶をするために喫茶店へと足を運ぶ。

 

「いらっしゃいませ。」

 

「いつも生徒がお世話になってます。女子中等部で教員をしている葛葉刀子です。」

 

時間が閉店ぎりぎりということもあり他にお客さんはおらずツナ一人がカウンターで紅茶を飲んでいた。刀子は狙い通りだわと内心でほくそ笑む。何回か喫茶店を利用したことはあるが、きちんと話したことはなかったため自己紹介をした。

 

「あのね。来週から木乃香さん達と京都旅行に行くのよね?学園長に頼まれて私も一緒に行くことになったの。」

 

「そうなんですか!?ご迷惑をおかけしてしまったみたいですいません。」

 

「気にしないでいいのよ。私も京都出身で帰省する予定だったし、来年はハワイだけれども。次の修学旅行の下見も兼ねているから。」

 

「それなら・・・良かったです。正直大人が増えてくれるのは助かります。刀子さんってお呼びしていいですか?来週はよろしくお願いします。」

 

「よろしくね。私もツナヨシくんって呼ばせてもらうわね。」

 

「じゃあお近づきのしるしにお酒でも奢りますよ。」

 

「そう?なら頂こうかしら。」

 

刀子とツナはお酒を飲みながらその後も宿泊するホテルの事や当日の集合時間から移動方法その他諸々の確認を行った。刀子はここで酔いつぶれたらどうなるのかしらという期待と軽い女に見られるのは嫌というプライドの板挟みになっていたが、軽く飲んで何事もなく帰宅した。

 

 

 

 

〜 一週間後 〜

 

「ツナさんおはようございます!」

 

「ツナヨシくんこっちの準備は大丈夫よ。」

 

「みんなおはよう。刀子さんよろしくお願いします。全員揃ってるね。じゃあ行こうか。」

 

ツナの喫茶店には京都旅行に向かうために朝早くから私服姿の木乃香、明日菜、夕映、のどか、刹那、あやか、千鶴、エヴァンジェリン、茶々丸、刀子が集まっていた。

 

朝早いこともあり麻帆良の街も静かで駅には人がいなかった。そのまま電車で東京駅に向かい新幹線で京都へと行く予定になっている。

 

「ツナ!麻帆良から出られたぞ!やったぞ!」

 

「エヴァちゃん落ち着いて。木乃香ちゃん達が不思議がってるから。」

 

「ツナさんとエヴァちゃん仲ええなー。」

 

「なにやら二人だけの秘密もあるようですね。」

 

「ツナさん!東京駅に着いたら駅弁買ってもいいですか?」

 

「良く言った神楽坂明日菜!私が美味しい駅弁を教えてやる!」

 

「エヴァンジェリンさんは東京駅に詳しいのですか?」

 

「マスターは三日ほど前から美味しい駅弁の情報をネットからリサーチしていましたので。」

 

「あらあら普段は大人びているけど、こうしていると歳相応に見えるのよね。」

 

「刹那さんは今日も竹刀を持ってきているんですか?」

 

「え!これはですね!あれです!京都に剣の師範がいますので日頃の成果をですね!」

 

「せっちゃんどうしてそんなに慌ててるん?」

 

「刹那少しは落ち着きなさい。のどかさん、私のもそうだけど刹那のも師範から借りているの。私と刹那は同じ道場に通っていたのよ。師範にメンテをしてもらわないといけなくて持ってきているのよ。」

 

電車に乗って東京駅に向かっている最中、麻帆良から出るとエヴァがツナの肩を叩きながら喜びを表現し出す。その光景をキョトンとした感じで他のメンバーは見ており、ツナは苦笑いを浮かべながらエヴァに耳打ちして注意する。しかし、その耳打ちする行為も二人の距離の近さを強調してしまい木乃香や夕映はなにがあるんだろうかと疑ってしまう。明日菜が東京駅で駅弁を買いたいと言うと、エヴァが目を光らせて私に任せておけと高笑いを始め、そんなエヴァの様子に千鶴は生暖かい視線を向けて茶々丸も嬉しそうにあやかの疑問に答えていた。

別の席では刹那が旅行にまで竹刀袋を持ってきていることに疑問を感じたのどかが刹那に質問をすると、刹那は手をわちゃわちゃさせながら慌てた様子で言い訳をしていた。その様子に呆れながら刀子はのどかに説明をする。

 

そのまま東京駅に到着し、エヴァおすすめの駅弁を購入すると新幹線に乗り込んだ。

席は三人席でクジ引きの結果、エヴァ・ツナ・木乃香。その前に夕映・あやか・明日菜。通路を挟み、のどか・千鶴・茶々丸、刹那、刀子という配置になった。

 

「ツナこの駅弁も美味しいぞ!!」

 

「奢ってもらってよかったん?」

 

「そうですわ!まさか新幹線のチケットまで用意してくださっているなんて。」

 

「ツナさんの稼ぎはどれくらいになるのですか?お店もちょくちょくお休みしていますし。」

 

「こうなったらエヴァちゃんの言う通りお礼は身体で・・・」

 

「気にしないで、女の子に出させるわけにはいかないし。明日菜ちゃん、エヴァちゃんのは冗談だから真に受けないで。稼ぎは・・・内緒かな。そしてエヴァちゃんは落ち着いて食べようか。」

 

席に着くといそいそとエヴァが駅弁を用意し食べ始める。その駅弁や新幹線の費用は全てツナがカードで支払ってしまった。明日菜は先日エヴァンジェリンにお礼なら身体ですればいいだろと言われたことを思い出してブツブツと呟き始めた。ツナは気にしないでといい自身も駅弁を食べ始める。その会話の間にもエヴァはすでに3つ目の駅弁に突入していた。

 

「あら!確かにこの駅弁は美味しいわね。」

 

「のどかさんどうかしたのですか?」

 

「すいません・・・このメンバーは初めてで緊張を・・・」

 

「刹那は京都の街に詳しかったかしら?」

 

「私は山育ちですので市街地はちょっと。」

 

隣の席でも駅弁を食べ始めており、夕映と木乃香と離れてしまったのどかは恐る恐るではあるが周りと会話をしていた。




原作とは違いエヴァ以外は名前で呼び合う仲にまでなっております。
のどかに関しては内気な性格から木乃香・夕映以外には緊張してしまう感じです。

刀子先生、原作では生徒に対して名字呼びだった気もしますが、名前呼びにしております。


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47話

京都に到着した一行はさっそく観光に出発した。

 

「これが清水寺・・・なんて美しい。」

 

「マスター・・・」

 

「泣くほどなの!」

 

「明日菜さん少しは空気を読んであげなさい。」

 

「そんな喜んでもらえたらうちも嬉しいわ〜。」

 

「本当に高いんだね。こんな所から落ちたら・・・」

 

「大丈夫ですよのどか。意外に死亡率は高くないという話です。」

 

「楓がいたら飛び込んでそうだな。」

 

「あらあら・・・想像できますね。」

 

一番最初に向かったのは清水寺でエヴァンジェリンは清水寺から見える景色や本堂を見て静かに涙を流しており、明日菜を除いた他のメンバーは静かにエヴァンジェリンを見守っていた。

 

「ツナヨシくん、そろそろお昼だけどどこで食べるか決めてるの?」

 

「人と会う約束をしてて、清水寺で待ち合わせをしてるんですが、その人がお店も予約してくれてる予定です。ちょっと先に行きますね。」

 

刀子は時計を確認するとお昼近くになっており、新幹線で駅弁を食べたとはいえ若い少女達のはしゃぎようからそろそろ食事のことも考えた方が良い思いツナに声をかける。ツナは刀子の質問に答えると、人と先に合流しとくねと言い集合場所を決めて一人で先に進む。

 

待ち合わせ場所は決めていないが京都に着いてから視線を感じていたこともあり超直感の赴くままに歩き進める。

するとベンチに座る一人の男が目につき横に腰掛けた。

 

「お久しぶりです。幻騎士。」

 

「久しぶりだな。ボンゴレ。」

 

「・・・すいません。こっちではボンゴレはやめていただけると。あと貴方の名前を知らないのですが。」

 

「うむ。ならば、沢田と呼ばせてもらう。私のことは岸とでも呼べばいい。」

 

「岸さんですね。まさか貴方とこんな風に話す日が来るとは思いませんでした。」

 

「未来ではγ達と違い最後まで白蘭様に忠誠を誓い、死んでいったからな。」

 

「今は・・・」

 

「心配する必要はない。白蘭様にもユニ様にも仕えていないが恨んでもいない。未来での記憶が流れた日に己の未熟さを知り修行の旅に出た。その途中でチェッカーフェイスから御二方からの手紙をもらい。頼まれてこちらに来た。」

 

「そうですか。良かったです。」

 

ベンチに座っていた男は未来での戦いの際に苦戦を強いられ、そして白蘭に捨てられて死んでいった幻騎士であった。

ツナからしたら幻騎士は怖いと思える存在でもあるが、過去に戻った後に白蘭やユニの陣営にも存在していなかった為、どうしたのか気になっていたのだ。

幻騎士から白蘭やユニを恨んでいないという発言にも超直感が反応せずにいたので安心して笑顔になる。




原作を見直したのですが、幻騎士の口調がいまいちわかりませんでした。基本、相手を見下してるような感じがしましたが、今作ではツナ達年下には見下さない程度のタメ口にします。

名前は幻騎士の騎士から岸さんにしました。


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48話

「こちらが今回旅館を提供してくれている岸さん。俺の昔の知り合いで白蘭とユニの部下にあたる人かな。」

 

「よろしく頼む。俺が一緒に居るのは今回だけだから気にせず楽しんでくれ。」

 

「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」

 

「こちらこそよろしく頼む。(この男はツナよりも濃く血の匂いがするぞ。しかもあの指輪からは禍々しい気配も。)」

 

「旅館の件ありがとうございます。(この佇まいに気配・・・只者ではないわね。)」

 

ツナ達一行は清水寺にて幻騎士と合流した後に自己紹介より先にお店へと向かって行った。お店に着くとツナは幻騎士を紹介し少女達も自己紹介を始める。

その中でエヴァンジェリンと葛葉刀子は岸と名乗った男の異常さに気がついていた。

 

「沢田、後程連絡をする。私はここで失礼させてもらおう。(あの娘っ子と女は一般人ではないな。)」

 

「了解です。また夜にでも。」

 

「え?岸さん行ってしまうん?」

 

「すまないな。私にも仕事があるんだ。」

 

「このちゃん。仕事ならしょうがないですよ。」

 

「このようなお店を紹介していただきありがとうございます。この料亭とは思いませんでしたわ。」

 

「ガイドによると一度は食べてみたい京料理のお店にランクインしてるです。」

 

「こちらのお店は隠れた名店で有名なのよ。しかも一見さんお断りだから、そのガイドの紹介はあまり良くないわね。」

 

「ここってそんな凄いお店なの?」

 

「舞妓さんきれい。」

 

「そうだろう。宮崎のどか・・・。おい!神楽坂明日菜!おさわりは禁止だぞ!!」

 

「マスターがあんなに目を輝かせて。」

 

「エヴァンジェリンさんは聞いていた印象とは違うわね。」

 

幻騎士は自己紹介が済むと早々に立ち去ってしまった。幻騎士が連れてきたお店は京都でも格式が高くて有名なお店であり、雪広家や那波家でも利用したことがないお店であった。その話をきいた明日菜は踊っている舞妓に触れようとしている手を止めて驚いて反応する。明日菜の行動にのどかと一緒に目を輝かせて観ていたエヴァンジェリンが明日菜に飛び掛かり舞妓から遠ざける。その光景を茶々丸が涙を拭く動作をして感動し、刀子は前情報と違うことに安心していた。

 

 

 

「いい仕事だぞ。ツナ!岸という男にも満足したと礼を言っておいてくれ。」

 

「ははは。どういたしまして。旅館も期待していいからね。」

 

「そうなのですか?」

 

「そういえば部屋割りを決めていませんでしたね。」

 

「うちはツナさんと一緒の部屋がええな!」

 

「このちゃんさすがにそれは!」

 

「木乃香大胆。でも私も一緒がいい・・・です。」

 

「のどかちゃんまで!!さすがに部屋は別だからね。三部屋かりているはずなんで、刀子さんも安心してくださいね。」

 

「そう?でもさすがに一人は寂しいから夜、お酒にでも付き合って頂戴ね。」

 

「俺でよければ。」

 

「ぐぬぬ。私も酒なら付き合うぞ!!」

 

「マスター落ち着いてください。」

 

「エヴァンジェリンさんは何を言っているですか?私たちはまだ未成年ですから飲めないですよ。」

 

「ヨーロッパではワインを水代わりに飲むんだ!私がいた地域もそうだったから問題ない!」

 

「ここは日本ですし、そんな昔の話をしても駄目ですわ!」

 

「あらあら だからそんなに小さいのかしら。」

 

「あー千鶴ちゃんもこれ以上混乱させるようなことを言わないで。茶々丸ちゃんエヴァちゃんをそのまま抑えていて、とりあえず旅館に移動しよう。部屋に関してはその後で。」

 

千鶴の発言に暴れているエヴァンジェリンを茶々丸が後ろから抱きしめている間に一行は旅館へと移動を開始した。




幻騎士はヘルリングを装備しています


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49話

旅館に着いた一行は温泉に入り、食事をした後に部屋へと戻る。

 

「それにしても今回の旅行はツナさんと岸さんに感謝しなければなりませんわね。」

 

「そうね。この旅館もそう簡単に泊ることができないはずですもの。」

 

「そうなの!?」

 

「ここは私でも知ってるです。たしか政府関係者や他国からの来賓が来た際に使用されている旅館です。」

 

「宮崎さん。椅子から降りて床に座らないでも大丈夫だから。」

 

「でも先生、壊したらと思うと怖くて。」

 

「大丈夫やでー。そんな簡単に壊れたりしないやろ。」

 

「作りがしっかりしていますから大丈夫ですよ。」

 

「ふう。庭にある日本庭園も素晴らしいな。中々見ることができるものではないぞ。ちゃんと見ているか茶々丸?」

 

「そうですねマスター。記録に残しております。」

 

部屋に戻ると備え付けの椅子とソファーに腰かける。するとあやかがポツリと呟き、千鶴もそれに同意した。その内容に明日菜が目を見開くと夕映が補足し、のどかがいつの間にか床に座っており刀子に心配されていた。また、エヴァンジェリンは窓から見える庭に目を奪われており、お茶を飲みながら椅子に身を任せていた。

 

「そういえばツナさんはどこに行ったんやろ。」

 

「ツナさんなら岸さんにお礼を言い行くと言って出て行きましたが。」

 

「刹那さんにだけ言うあたり、邪魔されたくない話なのかもしれませんわね。」

 

「どういう意味?」

 

「明日菜さんやエヴァンジェリンさんに言ったら着いて行きたがると思われたです。」

 

「納得行かない!!」

 

少女達が部屋でまったりしている最中、ツナは別館にある一室で幻騎士とあっていた。

 

「まず白蘭様とユニ様からはお前のサポートをしてほしいとは言われているが、お前と一緒に行動しろとは言われていない。俺は俺で好きに動かさせてもらう。」

 

「いきなりだと連携も取りにくいだろうし構わないよ。でも対象の情報共有だけはしたいかな。」

 

ツナと幻騎士の会話は和やかなものではなく、幻騎士は馴れ合うつもりはないという雰囲気を隠すつもりはなく事務的な会話のみをしていた。

 

「対象は犬上小太郎、月詠、天ヶ崎千草の三人。生死は問わないと言われているけど俺は捕縛を優先したいかな。」

 

「相変わらず甘いなボンゴレは。捕縛したいなら勝手にすればいい、だが俺が先に見つけた場合は抹殺させてもらおう。」

 

書類と写真を見ながら話を進めていく二人だが対処法にて考え方の違いが出てきてしまう。ツナは幻騎士から抹殺するという言葉を聞くとニコリと笑いながら幻騎士を見るが、幻騎士は涼しい顔をしてツナからの怒気を受け流していた。

 

「ハァ・・・・わかりました。」

 

「俺はお前みたいに甘くはないのでな。」

 

ツナはこれ以上しても無意味だと理解して溜息を吐く、幻騎士はそれに満足そうに頷くと霧となって消えていった。

 

「あの人は相変わらずか・・・。しょうがない・・・・この二人は諦めないといけないけど・・・・この人は助けられるかな。」

 

ツナはもう一度写真を見た目後に瞑った。超直感では写真に写っている二人に警報が出ていたが、助けられないと知ると眉間に皺を寄せてお酒を口に入れた。



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50話

幻騎士との話を終えたツナが部屋へと戻ると、全員でパンフレットを見ながら話し込んでいた。

 

「どうしたの?」

 

「明日の行動を決めていたです。」

 

「東大寺、金閣寺、伏見稲荷大社には行きたいねって話してました。」

 

「そや!明日は家に泊まらへん?お父様には許可をもらっとるんよ。」

 

「木乃香さんのご自宅ですか。」

 

「この人数で行っても大丈夫なんですの?」

 

「大丈夫やで!」

 

「木乃香の実家は初めて行くわね。」

 

「刀子さんよろしいのでしょうか?」

 

「近衛さんのご実家ですか・・・詠春さんの許可があるのなら大丈夫でしょ。」

 

「マスター大丈夫ですか?

 

「うむ・・・詠春か。あいつとあうのも久しぶりだな。」

 

どうやら翌日の行動と泊まる場所を決めていたようで、有名どころの三か所を回り、夜は木乃香の実家に泊まることで決定した。

エヴァンジェリンが呟いた言葉はツナと茶々丸にしか聞き取られることなく流されていった。

 

その後は、中学生組は疲れていたのか眠ってしまい。ツナと刀子は二人で旅館内にあるバーで静かにお酒を飲み各々の部屋へと帰って行った。

 

 

翌朝、ツナが目覚めると手紙が一通枕元に置いてあった。

 

その手紙を読むと

【ツナヨシくん。京都の件が終わったら、魔法世界にて一仕事頼みたいことができてしまった。情報の共有をしたいので一度戻ってきてほしい。】

というチェッカーフェイスからの業務連絡だった。

 

ツナは手紙を読みながら、魔法世界には極力係わりを持たない方針だった気がするけどと疑問に思うが、読み終わると手紙を燃やして部屋を後にする。

 

すでに宴会場には食事の用意もされており空席が四つあるが、他のメンバーはすでに食べ始めていた。

 

「遅いぞツナ!やはり私が一緒に眠るべきだったな。」

 

「まだ言ってますの!昨日あれだけ夜中に騒いでおいて!止めていたこっちの身にもなってください!」

 

「この焼き魚美味しいわね。ほらあやか、せっかくの料理が冷める前に食べないと。」

 

「ちづねえも同罪のはずなんやけど。」

 

「え!昨日の夜になにかあったの?」

 

「エヴァンジェリンさんと千鶴さんがツナさんの部屋に行こうとしてみんなで止めていたんですけど・・・。」

 

「明日菜さんには驚いたです。あの騒ぎで起きないとは・・途中で刀子先生が注意しに来たくらいですよ。」

 

「そんなことがあったなんてー!!」

 

「そういえば刹那ちゃんとと刀子さんに茶々丸ちゃんは?」

 

「せっちゃんと刀子さんはもう食べ終わって朝の鍛練中や、茶々丸さんは手伝いにいってるえー」

 

「朝の日課と言っていたが、旅行の最中くらいゆっくりできんのか。」

 

「まあまあ 鍛練は継続が重要なんだから。10時にはここを出発で大丈夫?」

 

「最後に来た人がなにを言ってるですか?私たちはもう準備はできてるです。」

 

「ごめんごめん。朝はどうしても弱くて・・・。」

 

他の空席の3つはすでに片付けた後で、まだ食事に手を付けていないのはツナのみの状態だった、寝坊をしたわけではないが、手紙を読んだ後に考え込んでいた為遅れてしまっていた。

そんなツナにエヴァンジェリンがニヤリと笑い、夕映が明日菜とツナにあの後になにがあったのかを説明した。明日菜はそんな面白そうな時に寝ていたのかと悔しがっていたが、のどかは別室にいた刀子先生まであの騒ぎに駆け付けたのに同じ部屋にいた明日菜がぐっすり寝ていたことに衝撃を受けていた。

その話を聞いたツナは明日は気を付けないとと考えながら食べ始めた。

 

 

 

 

ツナ達が旅館を出発しトラブルもなく三か所を回っている時間、幻騎士はというと

 

「グハ!!」「キャインッ」「助けてくれー!」「お前だけでも逃げろっ」「わかっギャーーー!」

 

「獣人と聞いて期待していたが呆気ない。所詮は犬畜生か。」

 

狗族の隠れ里で狗族相手に蹂躙をしていた。本来であれば対象だけでも良かったのだが、下手な復讐心を残さないために目撃者を根絶やしにする道を選択していた。立ち向かってくる相手には二本の剣で切り伏せ、逃げる相手には斬撃を飛ばしていた。

 

「なんなんや!!いったい何が目的でうちらの里を襲ってきたんや!」

 

「お前如きが知る必要はない。死ね。」

 

「ちっくっしょーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

最後に幼いながらも果敢に飛び掛かってきた獣人の首を切り飛ばし、書類に×印を付けると、生き残りがいないことを確認し、身体を霧に変えて消えていった。



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51話

一行は予定通り名所をまわると木乃香の案内で山道を進み実家がある神社へと到着していた。

 

「ここがうちの家やえー」

 

「まじですかー。失念していましたが木乃香もお嬢さまでしたね。」

 

「ここ全部敷地なのかな。」

 

「そうですね。ここから見える一帯は全て近衛家の敷地になっています。」

 

「刹那さんそれ本当!!でも木乃香はいいんちょみたいにお嬢様っぽくないわよね。」

 

「お嬢様っぽいってなんなん明日菜?」

 

「そりゃあ勿論。〇〇ですわ~。とか笑い方が おーほっほっほ みたいな。」

 

「明日菜さんバカにしていますの!?」

 

「明日菜ちゃんもあやかちゃんも人の家の前なんだから落ち着いて。」

 

「いま思うとおじい様が麻帆良学園の学園長なのですから当たり前なのよね。」

 

「どうかしましたかマスター?」

 

「なに・・・あの女は元気にしているか気になっただけだ。」

 

「こんな所で話してたら迷惑よ。木乃香さん中に案内してくれる?」

 

「そうやね!じゃあ着いてきてな~」

 

 

 

 

「「「「「おかえりなさいませお嬢様。」」」」」

 

「「「「「お客様方もようこそおいでくださいました。」」」」」

 

「ただいまや~~」

 

木乃香が門の前に立つと門が自動で開き、門の中では一列に並んだ何十人もの巫女達が笑顔で木乃香達を待っていた。

巫女達に驚いているツナ達であるが、巫女達の中から一人の男が近づいてきた。

 

「お帰り木乃香。少し身長も伸びているね。元気そうで良かった。・・・ご友人の方々もゆっくりしていってください。」

 

「お父様ただいまや。伸びてるんかな~。それなら嬉しいわ!」

 

「はじめまして沢田綱吉といいます。この度はお招きいただきありがとうございます。今晩お世話になります。」

 

「「お久しぶりです長。」」

 

「木乃香の父の近衛詠春といいます。気にしないでください。木乃香がいつもお世話になっておりますので、よければ後程、お酒を飲みながらでも色々とお話ができればと。刀子くん刹那くんもお久しぶりです。いつまでも外にいるのもあれですので、どうぞ中にお入りください。お食事の用意はできております。」

 

「「「「「お邪魔します!」」」」」

 

男は木乃香の父親の近衛詠春で娘の帰省に待ちきれず門まで迎えに来ていた。木乃香と会話をしツナと軽い挨拶をすると、まずは中へと近くにいた巫女に案内をするように促し、ツナ達はその後に着いていった。

 

「久しぶりだな詠春。」

 

「エヴァ・・・お久しぶりです。」

 

「紫はどうした?あの女なら門をあけた瞬間に可愛い娘に抱き着いてきそうなものだが。」

 

「妻は・・・5年前に性質の悪い呪いにかかり・・・・眠っております。」

 

「!!!・・・そうか。呪い・・・か。後で確認したいのだが構わないか?」

 

「ええ構いませんよ。妻も喜ぶでしょう。」

 

後方にてエヴァンジェリンが詠春と木乃香の妻である近衛紫について話しており、茶々丸は黙ってその会話を聞いていた。近衛紫はエヴァンジェリンとも面識があり、エヴァンジェリンの正体を知っても恐れずに抱き着いたりと接触をしてきていた人物でもあり、その人当たりの良さと恐れない態度を気に入っていた。

 

 

 

 

食事を終えた一行は用意された部屋で寛いでいた。もちろんツナは別室である。

 

「そういえば木乃香、お母さんは?」

 

「お母様は5年前から植物状態なんよ。」

 

「え!・・・ごめん木乃香。」

 

「明日菜さん!!空気を読むとかできませんの!!」

 

「いいんよ明日菜、いいんちょも。うちは目覚めてくれると信じてるんや。だから泣くのはお母さんの目が覚めてからって決めてるんよ。」

 

「このちゃん。」

 

「・・・そういえば葛葉先生は?」

 

「エヴァンジェリンさんと茶々丸さんも見てないわね。」

 

「葛葉先生は道場に、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんは敷地内にある神社に行くって言って巫女さんに案内を頼んでましたよ。」

 

「敷地の神社か~。あそこは湖がすごいきれいなんよ!夜もいいんやけどうちは朝方に見るのがお勧めや。」

 

明日菜は食事の際に母親が姿をみせなかったことが気になり、木乃香に母親はと尋ねてしまう。他の面々も気にはなっていたが訳ありかもと聞かずにいた。

木乃香は一瞬悲しそうな顔をし、母親がいない理由を説明するが、信じてるから大丈夫だと謝る明日菜と怒るあやかに笑顔を向ける。その笑顔を見ながら刹那は涙ぐんでしまう。

そんな空気を変えようとのどかと千鶴が部屋にいないメンバーのことを話題に出す。

その話題に夕映が答えを示して敷地内にある神社と湖に話は変わっていった。

 

 

 

 

「こちらです。では私はここで失礼します。」

 

「邪魔するぞ。詠春。」

 

「エヴァと茶々丸くんですか。」

 

「マスター私もいていいのでしょうか。」

 

「茶々丸。紫をスキャンしてみろ。」

 

「かしこまりました。」

 

エヴァンジェリンは巫女に案内された部屋に入ると、その中には詠春がベットの横にある椅子に腰かけていた。来訪者を確認した詠春は立ち上がると椅子をエヴァンジェリンに譲る。茶々丸はなぜこの場に自分もいるのかわからずに困ったような雰囲気を出していたが、紫の状態をスキャンするように命じられると全身を確認し始めた。

 

「スキャン完了いたしました。申し訳ありません。呪いの状態までは不明です。しかし臓器類の衰弱が酷いことが確認できました。」

 

「そうか。・・・詠春!!これから私がすることは他言無用にすることを約束できるか!?救えるかどうかは確認しないとわからないが・・・」

 

「エヴァ?・・・わかりました。妻が助かる可能性があるのであれば、私はここで見聞きした情報は漏らさないと約束しましょう。」

 

「(さて、ツナには悪いが私が紫がこのまま死ぬことはおもしろくないんだ。)少し待っていろ。」

 

エヴァンジェリンはツナへと自身の影の中へと消えていった。




木乃香の母親についての記述を探しましたがどこにも情報がない為、名前等ねつ造しております。

原作ではすでに亡くなっているとは思いますが、生きているのはご都合主義ということで。


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52話

ツナは案内された部屋にある椅子に座りながらチェッカーフェイスから追加で送られてきた書類を机に広げて睨めっこをしていた。

 

「ツナ、すまないが椅子を少し引いてくれないか。」

 

「え?・・・・うわ!エヴァちゃん?そんなところで何を!?」

 

「お前の影に転移したらこの場所しか出てこれる空間がなかったんだ。」

 

ツナは唐突に響いたエヴァンジェリンの声に驚き椅子を引いて違和感がする下を向く、するとエヴァンジェリンが股の間から顔を覗かせていた。その光景を見たツナは椅子を倒し尻餅をつく。

 

「驚かしてすまない。」

 

「ん?(なんかエヴァちゃんの態度が変?いつもならこのまま咥えてやろうかとか言いそう・・・って何を考えてるんだ俺は!!)・・・・ふぅ。雰囲気がいつもと違うけどどうしたの?」

 

「私も頼み事と謝罪をしなければいけない時くらいはきちんとした態度で誠意をみせるさ。・・・・すまない。ツナの力で近衛紫を助けてはくれないだろうか。東洋の呪術に侵されているようで寝たきりになっている。紫は近衛木乃香の母でもある。ツナの力は隠す約束だったが、私は紫をいま失いたくないんだ!」

 

「木乃香ちゃんのお母さんか・・・。このことは詠春さんは?」

 

「ツナのことはまだ話していないが、これから起こることに関しては他言無用にてと約束している。」

 

「わかった。あのエヴァちゃんにそこまでして頼まれたら動かないわけにはいかないよ。でも、解けるかは見て見ないとわからないからね?」

 

「それは大丈夫だ。すまないな。では私に掴まれ。影転移で案内する。」

 

ツナはエヴァンジェリンが差し出してきた手の上に自身の手を重ねた。するとエヴァンジェリンが強く手を握り締めて世界が暗転する。

 

 

「着いたぞ。」

 

「君は!?」

 

「エヴァちゃんから話はきいています。詠春さん少しばかり奥方に触れても大丈夫ですか?」

 

「そうか・・・君がエヴァの呪いを解いたのか。ああ構わないよ。」

 

「詠春!!この事は他言無用だぞ!茶々丸もこれからのことはメモリーに残すな。ツナよ。服は脱がした方がいいのか?」

 

「わかりました。マスター。」

 

「・・・このままで大丈夫だよ。」

 

詠春は影転移にて戻ってきたエヴァンジェリンが連れてきた人物を見て驚愕の声をあげた。事前に調べていた情報だと沢田綱吉は裏の人間ではなく魔法や気についても関与していない表の人物という評価だったのだ。

 

「うん。呪いは解けると思います。」

 

「そうか!!」

 

「本当ですか!?なら妻を・・・妻を助けてください!!」

 

ツナは近衛紫の頭に手を置いて大空の炎の波動で身体に違和感がある場所を感じ取る。本来であれば即死系の呪いだが、近衛紫の強い魔力によって呪いと戦うことができ、全魔力をそのために使用している反動で生命維持機能を残して眠りについていることがわかった。だいたいのことはチェッカーフェイスからの事前情報で判明していたことであった。

 

ツナは額と拳に炎を灯し人差し指に炎を集め近衛紫の額にその炎を当てた。すると炎は近衛紫に吸収されるように頭の中へと消えていった。

 

少し時間がたつと、近衛紫の身体が激しく痙攣し始める。詠春は慌てて近づこうとするが、ツナに手で制されて立ち止まる。すると、近衛紫の身体から黒い靄のようなものが飛び出してきて天井へと吸い込まれていった。それと同時に痙攣も収まり場は静まり返った。

 

「あの黒い靄が呪いの正体です。もう近づいても大丈夫ですよ。」

 

「あれは消えたのか?」

 

「いえ、古くから呪いが失敗するとかけた相手に返ってくるといいます。おそらくはその相手方に向かっていったのでしょう。」

 

「そうですね。・・・・いるんだろ幻騎士。」

 

ツナが黒い靄の正体を説明すると納得したように詠春が頷き近衛紫の頭を触りながら呪いについての補足説明をする。ツナはその説明を聞きながら誰もいないはずの壁に向かって声をかけた。

 

 

「さすが史上最高と謳われるブラッド・オブ・ボンゴレの持ち主だ。」

 

 

なにもないはずの壁から一人の男が姿を現した。

 

「何者だ!」

 

「お前は!」

 

「二人とも落ち着いて。味方です。幻騎士、今回の呪術師は天草千草で、首謀者は関東と関西の友好関係を認めない一派で間違いない?」

 

「その通りだ。」

 

「な!!」

 

急に現れた男は幻騎士であり、警戒態勢に入った詠春とエヴァンジェリンを横目にツナと幻騎士は会話を続けていく。二人から語られていく内容に詠春は驚きを隠せずにいた。

 

「幻騎士。お前に指示を出す。天草千草は今回の呪い返しを受けて死んでいると思う。指示した一派を皆殺しにしろ。できるな?」

 

「ッ!!フフ ハハハ!!いい!いいぞ!沢田綱吉!それでこそ白蘭様と並び立ちユニ様を守るに相応しい!いいだろう。今回はお前の命令を聞いてやる。」

 

詠春が途中で言葉を挟もうとするが、ツナから発せられる絶対的王者の雰囲気に気圧されてしまう。傍観していたエヴァと茶々丸もツナの迫力に冷や汗を掻いており、幻騎士だけが狂気にも似た笑い声をあげていた。ツナは今回の首謀者に対しての処罰を命じて幻騎士はそれを受け入れて消えていった。

 

「詠春さん。今回の件は俺に任せてもらいます。いいですね?」

 

「・・・・ああ、妻を助けてもらった恩もある。今回は黙認しよう。」

 

「ツナよ。さきほどのがお前の本当の姿か?私と並び立つのに相応しいな。・・・紫の件感謝する。あのまま首謀者を生かしていたらまた同じことが起きていただろう。呪術師の件もお前が気に病む事ではない。全て私が頼んだから起きたことだ。私のせいにすればいい。」

 

「エヴァちゃんは優しいね。俺なら大丈夫だよ。これは俺が背負うべき繰り返されてきた業だから。」

 

幻騎士が消えるとツナの雰囲気も元に戻る。苦虫を噛み締めたような表情をしている詠春に対してツナは有無を言わせないという感じで許可をもらう。詠春も今回の件は身内を助けてもらったということと、ツナの表情を見て黙認することを選択した。

 

ツナの悲しそうな表情を見たエヴァはツナに近づいて励ます様に茶化そうとするが、途中からは感謝の言葉とストレートな励ましの言葉に変わっていた。




沢田綱吉について補足
童貞ではありません。リボーンと家光に「マフィアのボスがいつまでも童貞じゃ立つ瀬がない」と言われて、無理矢理娼館に拉致軟禁される。守護者や他のアルコバレーノが助けに来るまでの三日間にあらゆる経験をしている。
相手が妊娠しないように技術班が手を尽くした。

ボスになったこととリボーンと家光を断罪した際に身内以外に対しての甘さは捨てています。


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53話

短めです。


翌日の早朝、木乃香・明日菜・のどか・夕映・あやか・千鶴・刹那は昨日の夜に木乃香が話していた神社の湖を見に来ていた。

 

「・・・」

 

「朝陽が湖の水面に反射してとても幻想的な景色ですわね。」

 

「まるで絵本の中にいるみたい。」

 

「ふふふ のどかさんの言う通りね。京都でこんな景色を観れるとは思わなかったわ。」

 

「これは祠と祭壇ですか?どうしてこんな場所に?祭壇はなんのために?」

 

「このちゃん落ちないでくださいね。」

 

「大丈夫やよ。せっちゃんは心配しょうやな。明日菜どうしたん?」

 

「・・・え!?なんか似たような景色を見たことあるような感じがしたんだけど・・・気のせいかな。」

 

朝陽が湖に反射している光景に見惚れている中、明日菜は幼い姿の自分が男の人と一緒に似たような光景を見ている映像が頭の中に流れ込んできて混乱していた。また夕映は、設置されている祭壇に興味を示して色々と調べ始めていた。

 

「あら、誰か来ますわね。」

 

「ほんまや。眩しくて見えへんけど・・・・車椅子?」

 

「男性の方はご当・・詠春さんかと。車椅子の方は・・え!そんな・・・。」

 

「ちょ!刹那さん大丈夫!?」

 

「夕映。あんまり弄らない方がいいよ~~。」

 

「・・・そうですね。気にはなりますが、この辺でやめておきましょう。」

 

そんな中、逆光で顔までは見えないが、車椅子に乗っている人と車椅子を押している人の姿が目に入った。どうやら木乃香達の方に向かってきているようで段々と近づいてきていた。刹那は気配を読んで男性は詠春であることがすぐにわかり木乃香に伝えるが、車椅子に乗っている女性の気配を感じると驚き口を押えながら座り込んでしまった。

 

「せっちゃ・・・・え・・・お・・・母・・さま?」

 

「木乃香・・・・大きくなったわね。」

 

「あぁ お母さ・ま・・・おはよう。 ふぅ うちな・・・せっちゃんとな・・・仲直りしたんよ。他にも話したいことや・・・東京で・・・できた・・紹介したい友達が沢山おるんよ。ひぐっ でもな・・・うち・・・ずっと我慢しとったんや。・・・えっぐ だからな。いまだけは・・・許してほしいんよ。」

 

座り込んだ刹那を心配していた木乃香だが、人影が近づいてきて顔を見ることができると、車椅子に乗っている人物が母親である近衛紫であることがわかると目を大きく開いて口を手で押さえながらゆっくりと前に歩き出して母親に向かって込みあげてくる想いを呟いていた。母親の紫は木乃香の目を見ながら優しく微笑み腕を大きく広げる。

 

「あああぁああ お母様!お母様!ひぐっ 」

 

「フフ 大きくなったけど泣き虫さんなのは相変わらずなのね。寂しい思いをさせてごめんね。」

 

すると木乃香はその腕の中に飛び込み母親のことを呼びながら泣き出してしまう。近衛紫も泣きながらそんな木乃香を抱きしめて頭や背中など、娘の存在を確かめるように色々な場所は撫でていた。車椅子を支えている詠春もそんな二人を見ながら静かに涙を流していた。




感動させる表現って難しいですよね。ここは泣かせたい!って思ってても上手く表現できない自身の表現力のなさに萎えます。


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54話

時が少し遡りツナが紫の呪いを解呪した後。

 

ツナは寝ている紫の上に一つの指輪置くと部屋に戻ろうとしたが、詠春に紫が目覚めるまではいてほしいと頼まれ、それならばとエヴァや高音達にしたのと同じ話を詠春にしていた。詠春は木乃香がナギの息子であるネギの運命に巻き込まれるであろう可能性に顔を青くし頭を抱えていた。また過去を忘れて幸せに暮らしている明日菜に関しても魔法世界のことに巻き込むべきではないと思っている。魔法世界の崩壊は危機的状況では、やるならば大人たちと魔法世界の住人が立ち上がるべきだと考えツナの計画に賛同することにした。

 

「ツナヨシくんには助けられてばかりだね。ハハハ ボクも腕が鈍っているだろうから修行し直さないと。ツナヨシくんが動くときには力を取り戻しているようにするよ。」

 

「それでお前と幻騎士とやらが追っている残りの一人はどうするんだ?居場所が掴めていないなら私も手をかすぞ。」

 

「詠春さんありがとうございます。修行相手に関しては此方にもあてがありますので。残りの一人の居場所もわかっています。月詠ってわかりますよね?明日の朝一番に神明流の道場にお邪魔せてもらいます。」

 

「月詠・・・確か鶴子さんと素子くんから危うい子がいるという報告で名前をきいた気が・・・紹介状と鶴子さんに連絡を入れておくよ。」

 

「データベースには京都神明流の若手で実力はトップクラスとなっております。」

 

「なるほどな。今回は私も行くからな!!」

 

詠春は自身の衰えを自覚しており、全盛期の力を取り戻すために修行をし直すことを心に誓い愛刀を強く握りしめた。エヴァは京都で暗躍する三人の情報を聞き残りの一人については私も全面的に協力するとツナの膝の上に座りながら寄りかかった。ツナはすでに居場所は掴んでいることを告げて詠春に確認すると怪しまれないように道場の責任者に対し事前に連絡を入れてくれていた。

 

その後にも様々な情報を共有していたが、

 

「ン・・・」

 

「!!」

 

近衛紫が寝ているベットから声が聞こえると詠春は急いでベットを覗き込み。するとゆっくりと瞼が持ちあがり、その瞳には詠春の姿が映っていた。

 

「あぁ 詠春さん。・・・私はどれくらい寝ていたの?」

 

「ざっと5年程だよ。身体は大丈夫かい?」

 

「意識ははっきりとしているのだけど。身体は思うようには動かないわね。呪いの解いたのは詠春さん?犯人はわかったの?木乃香は?身体の機能も衰弱しているはずなのにどうしてこんなに口が回るのかしら?」

 

「ふん 相変わらずだな近衛紫。まずは感動の再会を味わったらどうだ。」

 

「まぁ!!エヴァじゃない!!相変わらず可愛いー!麻帆良から出てるってことは呪いを解いたのね。おめでとう!!じゃあエヴァが私の呪いも解いてくれたの?」

 

「ええい!うっとおしい抱き着くな! 私ではない。お前を助けたのはこの男だ。お前がさっき詠春にした質問の大半もこいつなら答えられるだろう。」

 

「はじめまして近衛紫さん。俺は沢田綱吉といいます。」

 

「はじめまして近衛紫よ。こんな格好でごめんなさいね。」

 

紫が目覚めると詠春は涙を流しながら手を握り締めるが、そんな詠春に笑顔を向けながらも紫は眠っていた時の状況を把握する様に詠春を質問責めにしていた。

さすがに詠春を不便に感じたエヴァが助け船を出す。エヴァの姿を確認した紫はエヴァを近くまで来させるとそのままベットの中に引きずり込んでもみくちゃにしていた。エヴァは口では抵抗をしているがされるがままになっており、その状態でツナを紫に紹介しツナは苦笑いになりながらも自己紹介と事の経緯を説明しだす。

 

まず身体については転がり落ちて枕元にある指輪が関係しており、回復用のマジックアイテムと説明した(本当は晴れの炎が埋め込まれている指輪であるが炎についての全容は伏せているためマジックアイテムとしていた)。

 

犯人についてももう対処が済んでいて問題ないことと木乃香の学園生活での様子も簡潔に説明し、いま帰省しているから詳しくは本人から聞いてほしいと伝えた。

 

「つまりツナくんは私と木乃香両方の恩人というわけね。ねぇ 良かったら家に婿入りしない?木乃香も貴方なら納得すると思うわ。」

 

「ちょっと待ってくれ!!まだ木乃香に結婚云々の話は早すぎる!!ツナヨシくん、いくら君でもそう簡単に木乃香をあげることはできない!木乃香と付き合いたいならば私の事を倒してからにしてもらおうか。」

 

「詠春。今のお前ではツナの足元にも及ばないぞ。私と何度も模擬戦を行っているがこいつはまだ本気を出していないからな。」

 

「えっと。本人の意見を無視して話していい内容ではないかと。申し出は辞退させていただきますね。木乃香ちゃん達は朝方に湖に行くみたいなので早く会ってあげてください。では俺はここで失礼させていただきます。」

 

それでも紫の勢いは止まることなく、ツナに対してのお礼は木乃香との結婚はどうかしらと提案すると詠春が愛刀を構えながらツナにジリジリと近づくが、そんな詠春を鼻で笑いながらエヴァが力の差を伝える。それを聞いた紫と詠春は驚くが、ツナは木乃香の気持ちが大事だからと断ると、明日の木乃香達の居場所を伝えて部屋から退室してしまう。エヴァと茶々丸もその後に続いて退室した。

 

「あら?木乃香はOKすると思うわよ。ふふ つまり木乃香が良いと言えば構わないのね。でもそうなると木乃香にも裏について話さないとダメね。」

 

と妖艶に笑う紫と違う問題が発生したことに頭を抱えている詠春の二人の姿を様子を見に来た巫女に目撃された。




近衛紫について
容姿は黒髪ロングで木乃香の外見で目の形は刹那。
第一印象ではおっとりしている木乃香と違い厳しく近寄りづらい雰囲気。
中身は気の許せる相手に対してはお喋り好きで可愛いもの好き。
特にエヴァに対しての可愛がりは半端ではない。ゴスロリ服を着たエヴァを京都に持って帰って一年中鑑賞していたいと言いエヴァをドン引きさせた過去を持つ。言葉に引いたのではなくその時の表情に引いていたのはエヴァしかしらない。


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55話

木乃香と紫が再会している頃、ツナとエヴァ、茶々丸は同敷地内にある道場へと足を運んでいた。

 

「お邪魔します。詠春さんから紹介してもらいました沢田綱吉といいます。見学のみになるかとは思いますがよろしくお願いします。」

 

「邪魔するぞ。久しぶりだな青山鶴子。そう睨むな、悪さをしにきたわけではない。」

 

「久しゅうな。エヴァはん。相変わらず可愛らしい容姿をなさって羨ましいわ。」

 

「青山鶴子。神鳴流の剣士の中でも1,2を争うほどの強さでマスター達とは旧友でしたか。」

 

「ふん。こいつは近衛紫の護衛だったからな。今の近衛木乃香と桜咲刹那のような関係だ。あそこまで拗らせてはいないがな。お前は小皺が増えたんじゃっぁ!ツナ!なぜ頭を叩く!」

 

「なんで出会い頭に喧嘩腰なの!あっちの子なんて驚いて固まっちゃってるじゃん!!」

 

「あらあら ほんまに紫の言う通りやわ~。あのエヴァはんが楽しそうに笑っておる。久しぶりに腕試しでもと思いましたが、うちはその表情をみれただけで満足です。素子呆けてないで挨拶。」

 

「はっ!!すいません。青山素子といいます。よろしくお願いいたします。」

 

「素子はうちの妹で高校までは京都にいたんやけど、今は東京に住んでて大学生なんです。良かったら修行の相手に付き合ってあげてくれまへんか。」

 

「それは妖刀ひなか?なるほど・・・ならば詠春の相手でもしてやれ。あいつもその方が早く勘を取り戻すだろ。」

 

「ほう いまの詠春はんと素子が同格と判断しますか。良かったな素子、褒められたんよ。」

 

「え?そうなのですか?」

 

「マスターは素直ではありませんので、素子さんと修行をするには魔法球がないと周りへの被害が計り知れないと判断したようです。」

 

「茶々丸!余計なことを言うな。こうか!これがほしいのか!?」

 

「アァァア マスターいけません ン そんなに 巻いてはーー・・」

 

「ちょ!茶々丸ちゃん大丈夫!?エヴァちゃんなにしたの!?」

 

「なに、こいつの動力源であるネジを魔力を込めて巻いてやっただけだ・・・、お前でもできるだろう今度やってられ。」

 

「素子見てはいけまへんよ。」

 

「はわわわわわわ」

 

道場の前には責任者である青山鶴子と、その妹である素子がツナ達の到着を待っていた。エヴァと鶴子は旧知の仲だったらしく、エヴァの変わりように嬉しそうに微笑んでいた。妹の素子は緊張しているのか固くなっていたが、ツナとエヴァや茶々丸の会話を見て次第に緊張が解れていった。

 

「月詠はんのことはうちも懸念しておりました。うちでは強くすることはできても道を正すことはできひんから詠春はんにも相談しとったんどす。」

 

「そうですか。月詠ちゃんはいまはどちらに?」

 

「いまは道場にいると思います。他の門下生と手合せの時間ですから。此方です。」

 

ツナと鶴子は月詠についての情報を交換しながら稽古をしている場所まで進んでいく。次第に竹刀がぶつかり合っているのであろう パシッ という音が廊下に響き渡っていた。



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56話

ツナ達が稽古場に入ると月詠以外の門下生が血を流しながら床に倒れこんでいる姿があった。

 

「師範おはよう~ございます~~。遅い到着ですね~~~。」

 

「なんやこの状況は!?素子はんは倒れている子達の手当てと医者に連絡をお願いします!月詠はん 説明してもらいましょか。」

 

「説明もなにも~~いつも通り素振りをしていたら~~この人達が~~つっかかってきただけですよ~。」

 

「ククク 思っていたよりも面白い奴ではないか。よかったではないか青山鶴子。あいつはまだ後戻りできる位置にいるぞ。」

 

「そうですか。でももう我慢の限界どす。うち自ら引導を渡してあげるのが師範としての務めどす。」

 

「師範が戦ってくれるんですか~~?それは~~嬉しいですね~~。本当は~~素子さんや刹那センパイに興味がありましたけど~~、これはこれで~~ゾクゾクします~~。」

 

月詠はおっとりとしながらも頬を染めて歓喜に満ちた様な表情をしていた。そんな月詠をみた鶴子は怒りを覚えるが、エヴァから見るとまだ目が暗闇に堕ちていないことから引き戻せる段階にいた。月詠と鶴子はそんなエヴァとツナを無視して戦い始める。

 

「ッハ!」

 

一瞬で懐に入り込んだ鶴子は掌底で月詠を庭へと吹き飛ばした。そしてそのまま自身も庭へと飛び出す。

 

「ハン 今の一瞬で終わらせておけばいいものを。」

 

「足元にいた門下生達のことを考えたんでしょ。でも、月詠ちゃんもきちんと反応して防御していたね。しかも吹き飛んだのも自分から後ろに跳んで衝撃を殺してたよ。」

 

「そこまでわかったお前もお前だな。生半可な手加減をするからだ。茶々丸!お前も青山素子と一緒に手当をしてやれ、私とツナはあの二人の後を追う。行くぞツナ!!」

 

「了解しました。マスターお気をつけて。」

 

「よろしくね茶々丸ちゃん、素子ちゃん。」

 

「はい。姉さんと月詠ちゃんをよろしくお願いします。」

 

ツナとエヴァはこの場を二人に任せて庭へと移動する。庭では刀を持った鶴子と刀と小太刀を構えた月詠が向かい合っており、月詠は全身を浅く斬り刻まれたのか服があちこちと破れて薄っすらと血が滲んでいた。そんな状況であるにもかかわらず月詠は恍惚とした表情を浮かべていた。

 

「ウフフ ・・楽しいですね〜〜心ゆくまで殺しあいましょう〜〜。」

 

「うちは月詠はんに付き合う気はありまへん。これでお終いにしましょう!・・・・神明流奥義 雷光剣!!」

 

鶴子が縮地にて月詠に斬りかかろうとするが

 

「ストップです。鶴子さん。それ以上痛めつける必要はないでしょ?」

 

「「!!!」」

 

ツナが鶴子が振りかぶっていた腕を掴んで止めており、また月詠が持っていた武器も奪いとっていた。

 

「私の武器〜〜いつのまに盗ったんですか〜〜?それよりも〜邪魔〜しないでほしいです〜〜。」

 

「沢田さん・・・うちの雷光剣を素手で止めますか。そこまでするならお手並みを拝見させてもらいましょか。」




投稿が遅くなりそうだったのでここで一度投稿します。


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57話

「月詠ちゃんはどうしてあんなことをしたの?」

 

「ん~???私からは何もしてませんよ~~?」

 

「ならどうして?」

 

「あの人達は自分達とは違う考えを持っている私のことが気に食わなかったんじゃないんですか~~?襲われたからやり返した、それだけですよ~~。それよりも!いまは師範やお兄はんと闘いたくてしょうがないんです~~。」

 

ツナは月詠と交流をしようと会話を続けていくが、月詠は会話よりも闘いを優先したいらしく目をキュピーンと光らせてツナから武器を奪おうと襲いかかる。

 

「武器ならちゃんと返すから慌てないで。」

 

「いいんですか~~?お兄さんは素手ですよね。神鳴流は無手でも戦えるんですよ~~。」

 

「俺のスタイルは近接格闘が主体だから気にしないでいいよ。今回は一撃で終わらせるつもりだけどね。」

 

ツナは月詠が近くにくると持っていた二刀をッポイ!っと投げて後ろに跳躍する。月詠は刀を受け取ると可愛らしく首を傾げるが、ツナの返答を聞き嬉しそうに舌なめずりをした。

 

「ちょ!!なんなんですかこの状況は!?まさか道場に襲撃!?素子さん!鶴子師範はどちらに?」

 

「待ってください刀子さん!!いまそちらには!」

 

「刀子はんかー。またタイミングが悪い時に来ましたね。」

 

「ふん。いまさらどうすることもできないだろう。いざとなれば記憶を操作すればいい。」

 

「鶴子師範!!それに・・・・エヴァンジェリンさんに・・・ツナヨシくん?」

 

「刀子はんとりあえず落ちついてこちらに来なはい。」

 

「二度も説明はせんぞ。ツナもこちら側の事情を知っている。そして道場で暴れたのは倒れていた門下生とあの小娘の喧嘩だ。少々やりすぎではあるが、あの小娘の話が本当なら門下生どもの教育もする必要があるぞ。」

 

「聞いても本当のことを言うかはわかりませんし、どちらにしても一から鍛え直しをするつもりどす。」

 

「な!!いつからツナヨシくんはこちら側のことを!学園長はこのことを知っているのですか!?」

 

「あのジジイにはいうなよ葛葉刀子!!いまは静かに見ていろ。この戦いに水を差すことは私が許さん!」

 

ツナと月詠が向き合って対峙している中、道場の方が騒がしくなり、勢いよく開けられた襖から葛葉刀子が飛び出してきた。飛び出した葛葉刀子は庭の状況を確認し、いるはずのない二人の存在が目に入ると驚いて動けなくなってしまう。すると鶴子は刀子を呼び寄せ、エヴァと一緒に状況の説明をして、手出しは無用だと釘を刺した。

 

「あら~~またお一人美味しそうなお人が、お兄はんもいいんですが、うちはどちらかというと強い女性の方が大好きなんですよ。だからすぐに終わりにしましょう。」

 

「そうだね。・・・お喋りはこれで終わりだ。」

 

ツナは一言呟くと手袋を装着し目を閉じた。すると手袋はガントレットに変化し綺麗な橙の炎を額と拳に灯し、隠していた闘志を剥き出しにした。すると闘志を向けられた月詠は倒れ込み、手では必死に立ち上がろうとしているが身体が言うことをきかないのか地に縫い付けられたように起き上がることができずにいた。

 

「ッ!!お兄はんやりますね~~。立つこともできないなんて初めての経験です~~。うちの首を取るならいまがチャンスですよ~~。」

 

「なんて圧力・・・・ツナヨシくん。」

 

「ふふふ 直に向けられていないうち達ですら足が震えて立っているのがやっとです。素子はんは・・・あかん月詠はんと同じようになってしまってますな。まさかこれほどとは・・・。エヴァはんは知っていたん?」

 

「ふん そこまで口が回れば十分だろう。前に一度だけ殺気を出したのを見たことがあるがこの比ではないぞ。あいつも相当な修羅場を潜っているんだろう。ん?手に炎を集めてツナのやつ何をやるつもりだ?」

 

ツナは柔の炎を集め両腕をクロスさせながら掌を月詠に向ける、背中からも炎が溢れ出し、その光景を正面から見ていた月詠は場違いにもまるで天使の羽のように綺麗だと感じていた。

 

「少し怖いかもしれないが我慢してくれ。・・・・・・・ XX BURNER!!」

 

ツナから放たれた炎は無慈悲にも月詠をのみこんでいった。



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58話

ほとんど会話文になります。


「さぁ、お前がなにをしたのか話してもらおうか。」

 

「そうですな~~。私達は確かにあの炎に月詠はんが呑み込まれていくのをみております。なのに煙が晴れたら無傷で気絶しているだけ。なにもありまへんでしたでは納得できません。」

 

「あれは俺の奥の手の一つなんだけど・・・・まぁ別に話したところで困らないかな。素子ちゃんと刀子さんは?」

 

「あの二人なら門下生たちに喝を入れてもろうてます。」

 

「私との模擬戦で使用していたのは片手打ちだったな。あの時はきちんと怪我も負ったはずだが。」

 

「俺の炎には柔の炎と剛の炎の二種類があるんだ。エヴァちゃんとの模擬戦で使用したのは剛の炎。今回は柔の炎からさらに炎圧を低くして攻撃性をなくし、大空の属性である調和の力だけを放ったんだ。エヴァちゃんには説明してるし、実際に体験しているからわかると思うけど、調和とはバランスが取れていて綻びがないということ。だから闇に堕ちかけた心を元に戻すために使用したんだ。俺は背中を押す作業をしただけだから、後は月詠ちゃん次第じゃないかな。」

 

「なるほどな。つまりはあの炎は見せ掛けだけの張りぼてということか。」

 

「見せ掛けではないんだけど・・・説明が難しいしそういう認識でいいかな。」

 

「炎圧やら柔の炎、剛の炎と新しい言葉も出てきましたが検索はここまでにしときましょか。神鳴流にも言えない部分はありますし。さて月詠はん・・・起きてるんやろ。いい加減、タヌキ眠りはやめなさい。」

 

「あらら、ばれてましたか~~。さすが師範です~~。お兄はんの秘密を知れるかと思ってたんですけど~。」

 

「手荒な真似をしてごめんね。体調が悪かったり、怪我はしてないよね?」

 

「お兄はんはほんまに変わってはるな~~。うちはさっきまで戦っていた相手ですよ~?それに師範と戦った時にできた傷がほとんどですから~~気にしないでください~~。」

 

ツナ達は道場の一室に移動しており、その部屋には月詠が布団に寝かされていた。エヴァと鶴子はツナの技が気になっていたが、月詠が起きていることに気が付いておりこれ以上の検索はしない方がいいと判断して早々に質問を取りやめた。

ツナはツナで気が付いてはいたのだが、別に知られたとしても問題はないだろうと判断して質問に答えていた。月詠が鶴子に声をかけられて起きあがると身体に異変がないが心配しだす。そんなにツナを見た月詠は毒気が抜かれたかのような笑みを浮かべた。

 

「それで、月詠はんはこれからどうしたいん?」

 

「ツナのいうこととお前の様子を見る限り、すでに闇には囚われてはいないのだろう。」

 

「そうですね~~。ぽっかり穴があいてると言いますか~戦闘衝動がなくなったわけではないんですけど~~。いままでは血と戦いを求めていたんですが~~。むやみやたらに血を見なくてもいいかな~~って思っている感じですかね~~。」

 

「まぁ 戦闘狂は俺の周りにはたくさんいるし、おかしいことではないかな。後は血の代わりになるものを探せばいいんじゃない?月詠ちゃんの誇りと覚悟をさ。」

 

「誇りと覚悟ですか~~?お兄はんは・・・いえやめときます~~。師範、すいませんがうちは今日で道場をやめさせていただこうかと思います。」

 

「ここにいて再教育したいのが本音ですが・・・沢田さん、お願いがあります。月詠はんを預かってはもらえまへんか?月詠はんは刹那達の一つ下になります。麻帆良学園に行けないか長に交渉してみます。月詠はんもそれでええですか?」

 

「うちはそれで大丈夫です~~。お兄はんもいるし、なにより麻帆良に行けば刹那センパイとも戦えますから~~。」

 

「住む場所は寮でいいのか?こいつを寮に住まわせたら四六時中刹那に戦いを挑んでそうだぞ。それも秘匿も何も気にせずにな。」

 

「なら俺の家に来ればいいよ。幸い部屋は空いてるし、エヴァちゃん達には言っていないけど、地下に訓練場があるんだ。夏休み明けならさよちゃんもいるから俺と二人っきりではなくなるしね。さよちゃんも年の近い子がいれば安心するでしょ。」

 

「それは羨ましいな。だが一番妥当な案か。爺には私からも説明してやる。鶴子よ!詠春にも言うが決して爺にツナの名前は口外するなよ。お前もだ月詠。」

 

「お兄はんは力を隠してはるんですか~~?うちは戦えれば満足なんで言いふらしたりしませんよ~~。」

 

「わかりました。素子はんにも口止めしときます。刀子はんはどうしましょか?」

 

「葛葉刀子か。まったくあの女もタイミングの悪い時にきたもんだな。いっそのこと記憶を消してしまおうか。」

 

「大丈夫だよエヴァちゃん刀子さんには俺から話して協力者になってもらうよ。鶴子さんもありがとうございます。月詠ちゃんもこれからよろしくね。」




死ぬ気の炎の部分は私の想像もありますので忠実ではないと思います。


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59話

「まさかツナヨシくんがこちら側の人間だったなんて。月詠ちゃんだったかしら?あの子と模擬戦をするときは私も呼んでちょうだい。剣術の修行なら力になれると思うわ。」

 

「ありがとうございます。今まで黙っていてすいません。」

 

ツナは刀子にエヴァ達にした説明をして協力を取り付けていた。刀子からしたら魔法を知らない一般人と付き合うよりも、同じ秘密を共有する者同士なら弊害もないだろうと喜んで協力することを了承していた。

 

「問題は刹那ちゃんか。俺は話してもいいかと思ってはいるんだけど。エヴァちゃんはどう思う?」

 

「あいつになら話しても問題はないと思うぞ。お前や私よりも近衛木乃香や神楽坂明日菜に近い位置にいる分、敵対する相手が来ても時間くらいは稼げるだろう。あれが相手にできないほどの異変があればお前や私が気付くしな。」

 

「それもそうだね。じゃあ旅行から帰ったら話そうと思う。刹那ちゃんに話す時は刀子さんも同席してもらっても大丈夫ですか?」

 

「私は大丈夫よ。まだ交換していなかったし、連絡先を聞いてもいいかしら?協力関係になるなら今後も必要になると思うのよ。」

 

「ああ そういえば交換していませんでしたね。じゃあ改めてよろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくね。」(やったわ!やっと連絡先を聞けた!今日道場に来て正解だったわ。)

 

「じゃあ俺は木乃香ちゃん達のところに戻りますね。」

 

「刀子はん。うかれているとこ悪いんやけど、あんさんはこのまま休みの間、月詠はんと道場に籠ってもろいます。うちから最終奥義を伝授しましょ。いまのままだとあんさんは足手まといになりますから。終わったら月詠はんを麻帆良まで頼んます。」

 

「はい。分かりました。よろしくお願いします。」

 

「すいませんが、後のことはよろしくお願いします。」

 

「構いません。ついでに詠春はんと素子はんの修行にもなりますから。」

 

ツナ達は刹那にも話すことを決めて道場を後にした。月詠は詠春への説明もしないといけないため、鶴子の元に残してきており夏休み中に麻帆良での再会を約束した。特訓を言い渡された刀子の瞳には光が感じられずに呆然としていたが、反対に月詠は戦いたいという欲求から瞳がギラギラとしていた。

 

 

 

 

 

~~~その頃の麻帆良学園では~~~

 

「学園長!!いい加減ネギくんの引受けを了承してください!彼には安住の地が必要なんです!我々大人が子供を守らないでどうするんですか!!」

 

ツナ達が京都に行っている間に高畑・T・タカミチが麻帆良学園に一時帰国しており、学園長に詰め寄っていた。その場には他の魔法先生の姿もある。

 

「高畑先生、何度も言っているようにネギくんの状況には同情をするが、ここに受け入れる事はできん。あの子は起爆剤でもある。それに大人がというのであれば、まずは祖父がきちんと動くべきじゃろ。あの子の問題行動はわしの耳にも入っておるぞ。問題児を押し付けられて一般人にまで迷惑をかけるわけにはいかんのじゃよ。守らんといかんのはネギくんだけではない。」

 

「でも!!ネギくんはナギの息子ですよ!英雄の息子の為に動くのが僕たちの役割でしょ!」

 

「その考えはおかしいのぅ。高畑くんわしから見たらナギは英雄ではないよ。あれは傲慢で自己のことしか考えず、戦う事しかできない、暴力での解決を選択した只のバカじゃよ。」

 

「あなたって人は!!なら僕は麻帆良から籍を抜いて向こうでネギくんの護衛に専念します!」

 

学園長と高畑・T・タカミチの話し合いは白熱し、と高畑は尊敬しているナギを馬鹿にされたことで頭に血が上って逆上し、ドアを荒々しく開けて出て行ってしまった。

 

「良かったのですか学園長?」

 

「いいのじゃよ。それが高畑先生が選んだ道というのであればわしは何も口にはせん。問題は明日菜くんへの説明かのぉ。京都にいる間で良かったわい。あの感じだと無理やり魔法世界に連れて行くという強硬手段にでる可能性もある。監視を付けて行動を見張らせようと思う。人選は任せた。京都にはわしから連絡をいれておく。」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

その場にいた、瀬流彦、ガンドルフィーニ、弐集院 光、明石、シスター シャークティ、神多羅木の面々は頷いて高畑を追うように部屋から退出した。



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60話

「あ!ツナさんや。おかえり〜エヴァちゃん達と一緒やったんや?」

 

「ちょっと道場の見学に行かせてもらってたんだ。みんなはこれからどうするの?」

 

「木乃香さんと刹那さん、葛葉先生以外は今日帰る予定ですし、見たい名所は回りましたから今日はお土産を見に行くくらいですわ。」

 

「夕映さんとのどかさんはこのままご実家でしたっけ?」

 

「はいです。私とのどかはこのまま実家に帰らせていただくです。」

 

「私と夕映の実家は麻帆良を経由するよりも直接の方が近いので。」

 

「いいんちょとちづねえは関西空港に迎えが来るんだっけ?」

 

「ええ。せっかくならツナさんを両親に紹介したかったのですが残念です。私はそのまま北海道にある別荘を経由してから海外に。あやかも最初はいつもの島に行くのよね?」

 

「そうですわ!!今度、みなさんを島に招待いたしますわね!!」

 

「それはそうと近衛木乃香。いい加減こいつをなんとかしてくれないか。鬱陶しくて構わん!!あぁーもう離さんか近衛紫!」

 

「いいじゃないエヴァ。久しぶりなんだから、減るもんじゃないし?」

 

道場から戻ってきたツナ達は大広場で寛いでいる木乃香達と合流し、最終日の予定を確認した。

木乃香と刹那、刀子はそのまま京都に残り、夕映とのどかは直接実家に帰宅、あやかと千鶴は家族がプライベートジェットで空港まで迎えに来てそのまま旅行の予定となっていた。

麻帆良に戻るのは、ツナとエヴァに茶々丸、明日菜の四人になる。

そんななか、近衛紫はエヴァが部屋に入ってきた時から、どうやったのかは不明だが車いすを高速移動させてエヴァを膝の上に抱え込んでいた。

エヴァも最初は無視を決め込んでいたが周りからの視線に耐えきれなくなり暴れ始めた。

 

「お母さんとエヴァちゃんは知り合いだったん?」

 

「木乃香は知らないかもしれないけど、エヴァの後見人ってお父さんなのよ。10年位前かしらエヴァが日本に来た時に一緒に挨拶をさせてもらったの。」

 

「そうやったんか~~。エヴァちゃんも一言いってくれればええのに~~。」

 

「後見人ってことはエヴァンジェリンさんのご両親は・・・・」

 

「同情などいらんぞ。雪広あやか!那波千鶴!その胸を私に近づけ ムギュっ!」

 

そっか・・・エヴァちゃんもなんだ。高畑先生はどうしてるんだろう。あいたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで全員か。最後の最後まで泣け叫び命乞いしかしないとは・・・情けない。」

 

あれから幻騎士は呪いをかけるように指示をしていた一派を皆殺しにしてまわっていた。

 

「・・・シッ!」

 

キンッ

 

「気づかれるとはね。君は何者だい?魔法使いではないようだけれど。」

 

「貴様に答える名前などない。生身のない人形風情が!!」

 

「へぇ どうやらこっちのことは知っているみたいだね。君は危険だからここで石になってもらおうかな。」

 

視線を感じた幻騎士は近くにあった水溜りに刀を突き立てる。すると刀が刺さる前に少年が飛び出してきた。

少年は幻騎士に探るような視線を向けて一つ二つ会話をすると右手を挙げて呪文を唱え始めた。

 

「千刃黒耀剣(ミッレ・グラディー・オブシディアーニー)、万象貫く黒杭の円環(キルクルス・ピーロールム・ニグロールム)、小さき王(バーシリスケ・ガレオーテ) 八つ足の蜥蜴(メタ・コークトー・ポドーン・カイ) 邪眼の主よ(カコイン・オンマトイン) 」

 

「フッ」

 

幻騎士は向かってくる無数の石の剣を二本の刀で捌きながら、後ろに跳躍する事で石化の針を避ける。

 

「空中では逃げ場はないよ。時を奪う(プノエーン・トゥー・イゥー) 毒の吐息を(トン・クロノン・パライルーサン) 石の息吹(プノエー・ペトラス)!!」

 

呪文を途中まで詠唱していた少年は、空中に避けることを狙っていたかのように、近くまで跳んできており幻騎士の胸に両手を当てて石化の呪文を唱える。

 

「悪いけどこのまま砕かせてもらうよ。」

 

石になった幻騎士の頭を踏み砕くために、脚を高く挙げて振り落とした。




次回「幻騎士死す」。デュエルスタンバイ!


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61話

すいません。
投稿があいてしまったので、調子を取り戻すための投稿になります。
前話の予告は今回は関係ありませんので。


「ッツ!!」

 

「ツナさんどうしたん?」

 

「ちょっとだけ嫌な予感がしたんだけど・・・気のせいみたい。」

 

「すごい汗ですわ。よかったら拭いてください。」

 

「ありがとうあやかちゃん。でも大丈夫。すいません詠春さんお風呂をお借りしてもいいでしょうか。」

 

「構わないよ。どうせなら一緒に入ろうか。男同士の裸の付き合いと行こう。すまないが日本酒を用意して持ってきてくれ。」

 

ツナは悪寒が走り身体をビクッと震わせる。その瞬間をみた木乃香やあやかから心配されるがツナは笑顔で心配ないことを告げると詠春と一緒に汗を流すためにお風呂へと向かった。

偶然ではあるが男性陣と女性陣にて分かれたことにより紫はいい機会とばかりに手を叩き

 

「そうだわ木乃香。あなたいま付き合っている人はいるのかしら?」

 

「ひゃっ!お母さん!突然なにを言いだすん!?」

 

「その反応は好きな人はいるのね?ほら お母さんに話してみなさい。みんなも恋バナしましょうか。」

 

「なにを言い出すかと思えば、この色ボケばばあめ。恋バナに現を抜かす歳でもないだろう。 アダ イタイ!イタイ! ええい! 旋毛に全体重をかけるなバカ者が!!」

 

「いやね エヴァったら私はまだ若いし軽いわよ。」

 

木乃香やあやか達に笑顔を向けながら恋バナをしようと提案した。驚く面々だがエヴァが歳を考えて発言しろと言うと、旋毛に親指を突き刺しながら笑顔を浮かべて周りを引かせていた。

 

「そういうエヴァはいるのかしら?フフ エヴァはまだお子ちゃまだからいないわよね~~」

 

「フン ツナにきまっているだろう。あいつ以上にいい男など知らんからな。」

 

「「「「「「「!!」」」」」」」

 

「お前たちが動かないのなら私は私の好きなようにさせてもらうぞ。いくぞ茶々丸!私達も風呂だ!!」

 

「ハイ マスター 目指すのは男湯ですね。」

 

「ダメよエヴァ。綱吉くんだけじゃなくて詠春さんもいるんだから、うちの人をロリコンにするわけにはいきません。」

 

「おい茶々丸、なぜ男湯と限定する?さすがに入らんわ!!お前はいつからそんな冗談を言うようになった!?」

 

「まあエヴァは置いておいて、みんなはどうなのかしら?」

 

「私は好きですよ。ツナさんのお義母様にもお伝えしてあります。」

 

「そうですわね。私と千鶴さんは学園祭の時にツナさんのお義母様に気持ちを伝えていますので、あとはツナさんのお気持ち次第・・・というよりも私たちがツナさんに気持ちを伝えることですわね。」

 

「ちょっ!いいんちょ達あの時にそんな話をしてたの!?いち早くあのテーブルを選んだと思ったら抜け駆けしてたなんて!私だってツナさんのことは好きよ!」

 

「お待ちなさい明日菜さん。きちんとみなさんのこともお伝えしてありますわ。ちょうどいい機会ですし、お義母様に言われたことをみなさんにもお話いたしますわ。」

 

「あの時あやかと一緒に確認したのは、私達の年齢のこととお義母さんの考えを聞くことだったのよ。お義母様は年下でも問題なく、身体の関係を持つのはいいけど妊娠は高校を卒業してからにしなさいということは言われたわ。あとはあの時にいた女性達もツナさん狙い、いまはあなた達の方が一緒にいる時間が長いから有利ではある。でもツナさんはいつまでもこっちにいるわけではない、最短でも私たちが中学を卒業するまでだから後悔だけはしないように動きなさいと。」

 

「つまり長く見てもツナさんは2年しか麻帆良にいないということですか。」

 

「そういうことですわ。エヴァさんは知っていらしたようですわね。」

 

「私は一緒に向こうに着いていくぞ。あいつからも中学だけは卒業するように言われているがその後のことについては言われていないし、学園長にも高校には行かないと言っているからな。」

 

木乃香たちはあやかと千鶴が学園祭の時にツナの母親から聞いたことを伝えられて、一緒にいられるのが後2年もないことに衝撃をうけていた。



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62話

女性陣が恋バナをしている最中、男性陣も同様の話題が詠春から切り出されていた。

 

「ハッハッハ さあ 綱吉くん。腹を割って話そうか。君は木乃香のことを、いやエヴァも含めてあの子達のことをどう思っているんだい?」

 

「ンナ!なにを言い出すんですか詠春さん!?」

 

「ウブな学生ではないんだ。彼女達からむけられている感情には気づいているのだろう?ここには私達二人しかいないから遠慮はいらないよ。」

 

「はぁ 二人というわけではないんですけどね。幻騎士いるんだろ?」

 

ツナが湯船の奥の方に目線を向けて声をかけると一人の男が姿を現した。

 

「ふ 静かに風呂にも入れないのかお前は。」

 

「いやいや幻騎士こそ なんで当たり前のように風呂に入ってるの?」

 

「返り血を流したかったのと少し汗もかいたからな。それくらい察しろ。」

 

「理不尽!!というか幻騎士とこんなふうにやりとりできるとか新鮮すぎて逆に怖い!」

 

「いい湯だろう幻騎士くん?」

 

「岸でいい。一般人の前ではそう呼ばせている。あの場に入るわけにもいかず勝手ではあるが、湯を借りていたことを謝罪させてもらう。」

 

「構わないよ。あの子達に返り血姿を見せるわけにもいかないからね。」

 

「沢田綱吉。それよりも報告だ。呪いを指示していた一味は殲滅した。その帰りに完全なる世界のフェイト・アーウェルンクスと遭遇したが、今回の対象ではないのもあり殺さず撤退してきた。」

 

「完全なる世界だと!!しかもアーウェルンクスとは・・・あの組織はいまも魔法世界に存在しているのかい?」

 

「前と同じではありませんが、残党はいますよ。今回の紫さんの件もなんらかの目的があって手を組んでいた可能性があります。倒さず撤退というけど大丈夫だったの?」

 

「必要以上にこちらの力を見せるわけにもいかないのでな。今頃、公僕と格闘している所だろ。」

 

幻騎士は今回の結末をツナ達に報告を始め、詠春が過去からの因縁のある完全なる世界の名前がでると見るからに動揺するが、ツナはこれで詠春さんも本格的に修行に力を入れるだろうと予想していた。

アーウェルンクスとの出会いは今回予期せぬことであり、チェッカーフェイスからの指示にもなかったため、幻騎士独自の判断で戦わずに撤退を選択していた。

 

 

~~~~その頃のフェイト・アーウェルンクスは~~~~

 

「そこの少年待ちなさい!!こんな夜中にゴミ箱を蹴って暴れている少年というのは君のことだね。」

 

「な!人払いはしていたはず!?しかもゴミ箱だと!くそっ!」

 

「待て!逃げるな!なんて足が速い少年だ!本部応援願います。通報があった〇〇町の路地で暴れていた少年が逃走中、服装は~~~~~~~」

 

「我々テレビ〇〇のカメラは捉えた!非行にはしる少年と熱血警察官の逃走劇を~~~~」

 

~~~~side out~~~~

 

「先ほどは面白い話をしていたな。おまえはユニ様のことはどう思っている?まさかとは思うがあのお方を悲しませるようなことは言わないだろうな。」

 

「そうだね。その話に戻ろうか。おや木乃香達の他にもいるようだね。これは詳しく聞かないといけないようだ。」

 

「話が戻った!!はぁ、別にはぐらかす気もないからいいんですけど。ユニに関しては血の問題もあるからノーコメントで、正直な話、俺は後2年も麻帆良にいる気はないんですよ。遅くてもあの子達が卒業したら元いた場所に戻る気でいます。中途半端な関係にでもなったら余計にあの子達を悲しませますし、別れにくくなりますからね。ここまでの仲になるのも俺としては想定外だったんですから。エヴァちゃんに関しては本人から着いていくとは言われていますし、身寄りもないわけですから、すべてを話した後に最終的な判断はエヴァちゃん本人に任せようかと思っています。詠春さんは木乃香ちゃんと二度と合えないと言われたら送り出せますか?」

 

「うむ。二度とあえないと言われてしまうと親としては抵抗せざるを得ないが、君たちと共にという選択をするとそういう未来になるということか。あの子達にそのことを打ち明けることはないのかい?」

 

「今の状況ではないですね。魔法世界にも関わっていませんし好き好んで裏のことは知らなくてもいいんですよ。表で生きていけるならそのままの方がいい。」

 

「わかった。もう私からは余計なことは言わないでおこう。だけどね、木乃香達が決意したときにはただ跳ね除けるのではなく向き合ってくれると嬉しい。君が思っているほど弱くはないよ。」

 

ツナは考えていることを語り始め、それを聞いていた詠春はツナの瞳に炎が揺らいでいるのを感じ、余計なことをいうのは無粋なことと判断してこの話を終わらせた。



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63話

幻騎士はもう用はないと一足早く向こうに帰り、ツナ達も部屋に戻ると少女達の微妙な空気を感じとるが、女性だけの場の話に対して質問をするのも悪いと思いスルーする綱吉、時間も遅いためお喋りもお開きにし就寝のために各々が部屋へと戻っていく。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜その頃のフェイト・アーウェルンクス〜〜〜〜〜

 

「ふぅ なんとかなったか。・・・それにしてもいつからが幻覚だったんだ?今回はあれほどの実力者が近衛家にはいることがわかっただけでも収穫か。だが、京都での計画は白紙にしないと駄目だ。」

 

そう呟くと川に飛び込んで消えていった。

 

 

 

 

そして翌日、近衛家の面々に駅まで送ってもらい、綱吉は未だ少女達が悩んでいることを察するが、相談されるまでは土足で踏み込んでいいことではないため気づいていないことにして、詠春達に挨拶を済ます。

 

「詠春さん。今回はありがとうございました。おかげで有意義な旅行ができました。」

 

「こちらこそお礼を言わせてほしい。これからも木乃香のことをくれぐれもよろしく頼むよ。」

 

「そうね。でも木乃香だけではなくて刹那ちゃんのこともよろしくね。この娘も私達の娘と同じだから。それに周りの女の子のことも・・・ね。」

 

「もう!お父様もお母様も心配しすぎやわ。じゃあみんなまたお盆明けに麻帆良で。」

 

「私も娘ですか!」

 

「ハハハ 紫さんもお元気で。木乃香ちゃんと刹那ちゃんもまたね。」

 

ツナ達は木乃香達と別れて駅へと向かう、そこであやかと千鶴は関西国際空港に向かうため実家から別途迎えが来ていたためそこで別れて、のどかと夕映も実家方面の新幹線乗り場に、綱吉と明日菜・エヴァに茶々丸は麻帆良へと戻るために新幹線乗り場へと別れた。

 

「神楽坂明日菜よ。その荷物はなんだ?」

 

「ん?これは高畑先生へのお土産。いま麻帆良に帰ってきてるみたいなのよ。明日までは居るみたいだから少し話がしたいって連絡があったの。久しぶりだし嬉しいな〜。」

 

「む・・・あいつが帰ってきているのか。(めんどくさいことにならなければいいが。)」

 

「高畑先生って明日菜ちゃんの保護者だよね?明日菜ちゃんが問題ないなら挨拶したいんだけど同席したらまずいかな?」

 

「え!?挨拶って、え?いや、もちろん大丈夫ですよ!もしかしてテレビでよく見る娘さんを僕にくださいってやつ?

 

「ところで茶々丸よ。お前のその大量の荷物はなんだ?私が買うように言ったのはツナが持っているのだが。」

 

「これは博士達へのお土産になります。」

 

新幹線の中で明日菜がタカミチ・T・高畑に呼び出されていることを知ったエヴァと綱吉は“これは一波乱あるな”と危機感を募らせながら会話をしていた。



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64話

「やあ 明日菜くん。久しぶりだね。元気にしてたかい?」

 

「久しぶりです。高畑先生!はい!元気にしてましたよ。先生は少し痩せましたか?」

 

「ハハハ 少し忙しくてね。エヴァも久しぶり。まさか明日菜くん達と一緒に京都に行っていたとは驚いたよ。」

 

「ふん。じじいに動いてもらってな。」

 

「学園長か・・・・それに君は?」

 

「あ!私、喫茶店でもアルバイトを始めたんですよ。そこのマスターの沢田綱吉さんです。勉強も教えてもらっています。」

 

「初めまして、沢田綱吉と申します。明日菜ちゃん達にはよくしてもらっています。」

 

麻帆良に帰ってきた四人はそのまま高畑が待ち合わせ場所に指定してきた世界樹広場にあるカフェのオープンテラスにて高畑と合流する。

事前に綱吉の情報を得てはいた高畑ではあるが、明日菜が嬉しそうに紹介している姿を見て戸惑いを隠せずにいた。

 

席についた五人は飲み物を飲みながら会話を続ける。続けるといっても話をしているのは高畑と明日菜であり、ツナとエヴァに茶々丸は黙って話を聞いていた。

 

高畑は明日菜からテストの順位や成績があがったこと、麻帆良祭でのこと、京都旅行のことを楽しそうに説明しており、高畑もそんな明日菜の話を笑顔で聞いていた。

 

「明日菜くん。急で申し訳ないのだが、僕はイギリスで暮らすことにしたんだ。」

 

「え!!イギリスですか!?どうして急に?先生はどうするんですか?」

 

「向こうでのボランティア活動に本腰を入れたくてね。教職は昨日でやめてきたよ。」

 

「そうなんですね・・・・・」

 

「明日菜くんには僕と一緒にイギリスについて来てもらう。今日には麻帆良をたつから準備を進めてほしい。もうここには帰って来れないから忘れ物はないようにしてくれたまえ。」

 

「え・・・・そんなこと・・急に言われても・・・」

 

「僕は明日菜くんの保護者だからね。親は子供を育て導く義務があるんだ。明日菜くんだけを残してはいけないんだよ。」

 

「高畑さん。ちょっと待ってください。」

 

高畑と明日菜のやり取りを黙って聞いていたツナだったが、泣き始めた明日菜のことを軽視するような高畑の態度にさすがに口を挟むことにした。

 

「これは僕達家族の問題だから部外者は黙っていてくれないか。」

 

「タカミチ お前の都合で振り回されるこいつの身にもなってやれ。」

 

「子供には子供の言い分があり、言いなりにならないものです。親はこの点を肝に銘じて振る舞わなければならない。子供たちは親の所有物でもペットでもない!高畑さん 貴方がしていることは明日菜ちゃんのことをきちんと考えての行動ですか?」

 

「君になにがわかる!!明日菜くんはイギリスに連れて行く。これは決定事項だ!!」

 

「きゃっ!」

 

高畑は若いツナからの殺気を含んだ説教ともとれる言葉に余裕をなくしたのか明日菜の手を取り席を立とうとするが

 

「はぁ 待つのじゃ高畑くん。まさかこんなことになるなんて思いもしなかったぞ。」

 

「学園長!何の用ですか!?」

 

「話をする前に落ち着いたらどうじゃ。明日菜くんの手を離して座りなさい。」

 

いつのまにか後ろに立っていた近右衛門により肩を押さえられて無理矢理座らされる。明日菜への力が緩んだ隙をついてツナは明日菜を抱き寄せていた。

 

「ツナさん・・・私・・行きたくない。行きたくないよ〜。みんなと急に別れるなんて。木乃香や夕映、本屋ちゃんに刹那さん、ちづねえにいいんちょとあれでお別れなんて嫌なの。まだみんなと一緒にいたいよ。」

 

「そうだね。さっき高畑さんにも言ったんだけど、子供だからって親の言いなりになる必要はないんだよ。明日菜ちゃんが行きたくないなら俺が明日菜ちゃんを守ってあげる。」

 

「明日菜くん・・・」

 

「高畑くんや。あれが君が望む未来なのか?明日菜くんを泣かすことが正しいというのであれば、儂はお主を軽蔑するわい。」

 

「タカミチ私も神楽坂明日菜やじじいの味方をさせてもらう。今回のお前の行動は身勝手過ぎる。」

 

明日菜がツナに抱かれながらポロポロと本音を話し始めると、それを聞いていた高畑は唖然とした様子で明日菜のことをみており、近右衛門とエヴァンジェリンから自身を否定する言葉をかけられると周りからの殺気にも気が付き始めた。

 

遠くの建物の屋上にはガンドルフィーニ、シスター シャークティ、神多羅木が会話を聞いており、近右衛門に連絡をしたのもこの三人である。特にシスター シャークティは明日菜を泣かせた辺りから臨戦態勢に入ってはいたが、高畑は近くにいたツナの気配によりかき消されており監視に気がついてはいなかった。

 

「近右衛門さん 以前いただいてお話ですが、正式に受けようかと思います。それに明日菜ちゃんの保護者の件ですが、問題がないなら俺がなりますよ。」

 

「なにを勝手に!」

 

「フォッ それはありがたいのぅ。夏休み明けから頼むわい。明日菜くんの保護者は高畑くんではなく、雪広くんのとこの祖父になっているから気にせんでも大丈夫じゃよ。」

 

「え?いいんちょのおじいちゃんですか?」

 

「そんな!まさか戸籍を!?」

 

「バカなことは言わんでくれ。最初からそういう手続きにしておるわ。さすがに若い君を保護者にすることなどできなかったんじゃよ。学園の費用も雪広家からもらっておる。君は明日菜くんになにをしてきた?ボランティア活動にかまけて年に数日しか一緒にいなかったではないか。それで保護者を名乗られても困るのじゃよ。」

 

「いくぞツナ。ここはじじいに任せておけばいい。神楽坂明日菜お前もだ。」

 

「え?・・・うん。・・・・高畑先生・・・今までありがとうございました。一緒には行けませんが、高畑先生は私からしたら大切な家族です。いつか・・・会いに行きます。」

 

高畑から覇気が消えたのを確認したエヴァはツナと明日菜に行くぞと声をかける。ツナは無言でエヴァに続くが、明日菜は高畑に頭を下げながら自身の思いを伝えるとツナ達の後を追っていった。



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65話

四人はお店に戻り、二階にある和室へと移動をする。さすがのエヴァンジェリンも明日菜に気を遣っており、ツナと明日菜を二人残して茶々丸と違う部屋へと移動をした。

 

「ツナさんすいません。でももう大丈夫ですから。ありがとうございます。」

 

「明日菜ちゃん。・・・ここには俺しかいないから泣いてもいいんだよ。泣きたかったら・・・泣いていいんだよ。我慢なんてしなくていい。無理して笑わなくたっていい。一人で泣きたくなかったら俺の胸であればいくらでも貸すから。」

 

その言葉をきいた明日菜は声をあげながらツナの胸の中で泣いて泣いて泣き叫び、泣き疲れたのかそのまま寝てしまった。

眠ってしまった明日菜を布団に寝かせたツナは、静かに部屋から出ていき、一階の喫茶店まで下りていく。

 

「ん?ツナか。」

 

「明日菜さんはどうですか?」

 

「エヴァに茶々丸ちゃん。気を遣ってくれてありがとね。明日菜ちゃんは落ち着いたのか眠っているよ。」

 

「そうか・・・・それにしてもあいつには困ったものだ。じじいから連絡があった。タカミチはあの後麻帆良から出ていった。じじいが空港まで見送ったそうだ。」

 

「マスター、沢田さんにもお酒と軽食を用意してきます。」

 

「助かるよ茶々丸ちゃん。学園長は他になにか言ってた?俺が裏の事について知っていることをばれた気がするんだよね。」

 

「他にはなにも言ってなかったぞ。・・・・大方、はぐれ魔法使いか東洋系統の隠れ術師という認識ぐらいはしているかもな。あいつも長年ここを支えてきているからな。わざわざ敵を作るような動きはしないだろう、藪をつついて蛇を出すほど馬鹿ではないぞ。ところでじじいと話していた夏休み明けの件とはなんことだ?」

 

「そうだよね。ミスったな~。でもそういう考えならいいか。その時がきたら必然的にばれるでしょ。夏休み明けの件はまだ内緒。危ない事ではないから大丈夫だよ。楽しみにしてて。」

 

喫茶店にはカウンター内には茶々丸がおりエヴァに軽食とお酒を提供していた。ツナの姿を見ると茶々丸は勝手に使ってますと会釈する。エヴァは酒を飲む手を止めずに学園長からの連絡をツナにも共有するが、一番の興味は夏休み明けのことであった。ツナは笑顔でエヴァの追及を躱すと茶々丸が持ってきた食事に手を伸ばす。

 

「明日、魔法世界に用事があるから朝から不在にすると思う。明日菜ちゃんのこと頼んでもいいかな?」

 

「魔法世界にか?関わりたくないと言っていたはずだが何をしに行く?」

 

「ちょっと野暮用かな。夜には帰ってくるよ。」

 

「ふん いまの神楽坂明日菜を一人にもできんか。仕方ない。夏休み明けの件はともかく、この件は帰ってきたら説明してもらうからな。今夜は私も泊まらせてもらうぞ。」

 

 

翌朝、明日菜は目が覚めると横にはエヴァと茶々丸がおり、時間を確認すると新聞配達の時間を大幅に過ぎていることに気が付き慌てて布団から飛び出す。

 

「朝から騒がしいなお前は、新聞配達なら安心しろ。ツナが事情を説明してお前の代わりに配達をしに行ってすでに帰宅している。いまはシャワー中だがな。」

 

「おはようございます。マスターは明日菜さんが心配で添い寝をすると言うので「お前は!」・・・ぁぁぁあlいけませんマスターそんなに巻いては・・・・」

 

「あはははは 私は大丈夫。昨日のですっきりしたから。でもエヴァちゃんにもそんな優しい一面があるんだね。」

 

「ふん!ツナは用事があって外出をするらしいがお前はどうする?ここに居てもいいそうだが。」

 

「そうなんだ。じゃあこのまま夏休みの宿題でもしてようかな・・・。」

 

「それなら私も付き合おう。わからないことがあったら茶々丸にでも聞け。」

 

「そっか。うん 二人ともありがと。ツナさんにもお礼を言わないと。」

 

エヴァに事情を茶々丸からは隣にいた理由も聞いた明日菜は笑顔を浮かべながらもう大丈夫だと説明し、出てきたツナにもお礼を言って四人で朝ご飯を食べツナは外出をした。 



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66話

「ここが魔法世界・・・・」

 

「遅いですよ。まったく、僕を待たせるなんて良いご身分になったものですね。これだからツナヨシ君は、わびとして最高級のチョコをよこしなさい。」

 

「うるさい骸。夜の炎で身体の中に直接ぶち込んでやろうか。」

 

「クフフ 今の【身体の中に直接ぶち込んでやろうか】の部分だけ録音させてもらいました。このデータをばら撒かれたくなければ・・・わかりますよね~~?」

 

「クソッ パイナポーのくせに、終わったら好きなだけ食べさせてやる。」

 

「誰がパイナポーですか!おっと叫んだせいで間違えて凪に送信してしまいました。クフフ これは事故ですからしょうがないですね。」

 

「ンナ!! でも凪なら問題ないかな。うん。大丈夫。」

 

「クフフ(甘いですねツナヨシくんは、凪も有効活用すると思いますよ。ついでにあの吸血鬼にも送信しておきましょうかね。)」

 

麻帆良から魔法世界へと夜の炎で移動したツナの近くには、六道骸が岩に座りながら待っており遅れてきたツナに対して文句を言っていた。

 

 

 

 

 

side 凪

 

「骸様からメール?音声データ?・・・・・・・・うん。どうしよう。・・・京子ちゃん達にも共有しといた方がいいよね。えっと・・・京子ちゃんにハル、ユニとブルーベルに真美ちゃん・・・くらいかな。」

 

side エヴァ

 

「は?なぜあの男が私の連絡先を知っているんだ?教えた記憶はないぞ。・・・・な!この音声データは!アハハ よくやった!誉めてやるぞ!茶々丸この音声データを複製しろ!」

 

 

side out

 

 

 

「ブルッ!?(寒気?)」

 

「ところでどうして今回は凪ではなく僕なのですか?幻術士が必要なのであれば凪でも良かったと思うのですが。」

 

「今回は凪には見せられないことがあるからね。」

 

「相変わらず甘ちゃんですね。凪もすでに覚悟はできているはずですよ。まぁ今回はそのおかげで面白いものが手に入ったのでよしとしましょう。」

 

「いや!消せよ!?」

 

「嫌ですよ。ほら目的はあのトラックですよね。さっさと用事を済ませて帰りますよ。この世界は胸糞悪いですからね。」

 

じゃれ合っていた二人は目的であるトラックと護送車を発見すると、意識をそちらに集中し

 

「果てろ。」

 

「巡りなさい。」

 

ツナは護送車に向かってイクスバーナーを放ち、骸はトラックの周りに大量の巨大な蓮の植物を出現させて、運転席を潰していた。

 

「クハ いきなり殲滅とは珍しいですね。ツナヨシ君がやっていなかったら僕がやっていましたけど。」

 

「奴隷商人とその護衛に慈悲を与えるつもりはないよ。捕まっている子達を助けに行こうか。」



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