風刃使いのダーウィンズゲーム (ko21)
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ダーウィンズゲームマニュアル、FAQ

こちらはDゲームのマニュアルになっています。

本編読書前に読んで頂けると分かりやすいかもしれません。


ダーウィンズゲームを始めよう!

 

ダーウィンズゲームは完全無料のソーシャルゲーム!

ゲームに勝利してポイントを集めれば、様々な豪華特典やお金と交換出来るよ!

 

ポイントとクラス

 

ポイントを集めると、あなたの所属クラスがどんどん上がるよ。クラスが上がると、様々な機能が解除されて行くよ。お楽しみに!♪

所属クラス毎に、定期ポイント支給もあるぞ。

 

沢山のポイントを集めるには、誰かにクラスマッチを挑んだりするのが早道。クラスマッチに勝利すると、対戦相手の所属クラスに応じた勝利ポイントをゲット!

もし、相手に完全勝利すれば、相手のポイントを残らずゲット出来る大チャンス!完全勝利を目指せ!

 

勝利ポイント

 

Dクラス 10pt、Cクラス 30pt、Bクラス 120pt、Aクラス 600pt

 

生存報酬ポイント(1ヶ月)

 

Dクラス 1pt、Cクラス 3pt、Bクラス 12pt、Aクラス 60pt

 

必要累計ポイント

 

D4 〜9、 D3 10〜29、 D2 30〜49、 D1 50〜99、

 

C4 100〜199、C3 200〜299、C2 300〜599、C1 600〜999、

 

B4 1000〜1999、 B3 2000〜2999、 B2 3000〜5999、B1 6000〜9999、

 

A4 10000〜19999、 A3 20000〜29999、 A2 30000〜59999、 A1 60000〜99999

 

クランについて

 

【クラン】とは、家族・一族・血族・などを意味するものでプライヤーはクランに所属する事で、対戦で助け合えたり、特別なクランバトルに参加出来たりと、様々な特典がもらえるぞ!

 

クランの加入は、所属クラスに関係なく可能だが新たなクランを結成できるのはクラスB2以上のプレイヤーだけだ。クランリーダーには特別な特典も…?

 

ダーウィンズゲーム

FAQ

 

Q、お金でポイントを買いたい。

 

A、残念ですが、ポイントはお売りできません。

Q、このゲームは非合法ですよね。なぜ運営できているんですか?

 

A、ダーウィンズゲームは、非合法行為を推奨していません。

Q、ふざけんな!こんなクソゲー辞めさせろ!

 

A、ゲームのシステム上、途中解約は出来かねます。ご了承ください。

Q、このゲームは政府が関与しているって噂は本当ですか?

 

A、運営組織に関する質問はお答えしかねます。

Q、「エイス」ってクランの連中が、ゲーム以外でも異能を使って、好き勝手暴れてるんだけど、なんとかしろ!

 

A、ダーウィンズゲームの運営に悪影響を及ぼさない限り、運営側からプレイヤーに介入する事はありません。

Q、「保険屋」って規約違反だろ!なんとかしろ!

 

A、ダーウィンズゲームの運営に悪影響を及ぼさない限り、運営側からプレイヤーに介入する事はありません。

Q、ガチャで銃器が出ないんだけど、確率はどうなってるんだよ。

 

A、銃器はレア以上から出現します。出現率は8%程度になっております。

Q、異能がカスだったから強いのに変えたいんですけど?

 

A、プレイヤーを最初から作り直して下さい。

 

 




もっと知りたい方は原作を買って読んでいただけると一層楽しめるかと思います。


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柏木レインのDゲーム異能解説コーナー(出張版)

こちらは異能と主人公についてレインが少しだけ解説するコーナーです。風刃を既に知っている、と言う方は飛ばして貰っても構いません。


このコーナーは解析屋こと、この私、柏木レインが質問にお答えしていくコーナーです。

 

ではまず最初の質問から、カナガワのラジオネーム、キングウルフさんから、

 

Dゲームの異能(シギル)ってばらつきが多すぎて不公平じゃ無いでしょうか?

 

俺の異能「狼の鼻(ウルフズハート)」、名前は気に入ってるんですが、能力は鼻が狼並みに効くだけです。

 

この異能で今後もやっていけるか大変不安です。

 

−仰る通りDゲームの異能は大変不公平ですよね。

 

実際私が解析したところ大体の異能の分布は四つに分けられるようになっています。

 

「神話級」 1%以下、神の名を冠する本当に稀な能力

 

「王級」 4%以下、王や姫など貴族の称号が入るタイプ、強力な念動系が多い

 

「超人級」 20%以下、機能そのものが名前になるタイプ、個性的なものが多い

 

「獣級」 75%、動物の名を冠するタイプ、大体は身体変化系や五感拡張系

 

ちなみに、私のゲフンゲフン、今作の主人公ユウの異能は神話級で、「風刃」と言います。自らの意思で鍔のない日本刀の形状の刀を出すことが出来、身体強化などは全く有りませんが、

 

・一度に10本の残弾を光の帯という形で刀に装填する。

 

・この帯は一本につき一発あらゆる物を伝播し、目に見える範囲全てに斬撃による攻撃ができると言う特殊性を持つ。

 

・再装填は10本全てを使い切ってからしか出来ない。

 

・風刃は普段は絶対に壊れない刀というだけである。

 

・特殊能力使用時に触れたものに物理的影響を及ぼさない。

 

・また、正確な座標が把握出来れば目の届かない範囲でも攻撃が可能。

と言った感じの事が出来ます。特に最後の解説は私の異能との相性が抜群なのです。

 

異能は個人が所有する切り札の一つ彼の異能はここだけの話でお願いします。

 

まあ要するに、強いのは滅多に居ないのであったら逃げるのが良いでしょう。

 

次に、スドウカナメさんからの質問、「初めての人の為に対戦について詳しく教えて欲しい」です。

 

彼はかなりのお人好しのようですね。解説はしますが。

 

まず対戦は二種類あってクラスマッチバトルとエンカウントバトルに分かれます。

 

クラスマッチバトルは、画面のマッチングリストから対戦相手を指定するものです。

 

対戦が決定した後、速やかにプレイヤーのどちらかが、相手の近くに転送(テレポート)されて対戦が開始されます。

 

こちらの対戦では、Dゲームにあるショップでシェルターを買うことで一週間リストに載らなくすることができます。

 

ちなみにこれは一個10pt、百万円するのでお気をつけて下さい。

 

そして、目の前にいるプレイヤーに直接対戦を挑むのがエンカウントバトルです。

 

こちらはシェルターでは防ぐことができません。

 

Dゲームでポイントの全損は死と同義ですので、無駄遣いしないようにしてください。

 

ポイントについてはDゲームのマニュアルを見てみると良いでしょう。

 

おや、これ以上は原作、今作のネタバレが含まれそうなので出来なさそうです。

 

また質問があればこちらのコーナーでお答えしていきます。

 

では、生き残って楽しいDゲームライフを。

 

 




いや、このコーナーやりたかったんです。

普通に解説して欲しかった方がいたらすいません。


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プロローグ

初投稿です。クソみたいな駄文です。あと、風刃カッコいいですよね。


ガタガタと上から電車の通る音がする。スマホを見るとちょうど午前2時を回ったところだった。時間を確認すると同時にあるアプリから勝利宣告がされた。

 

Time is UP!

Thespten judges win or defeet!

 

ユウ

YOU WIN!

 

その文字を見てユウこと俺はため息をつく。画面から出て来た蛇に噛まれて以来、このアプリは俺に恨みでもあるのかとそう思はずにはいられなかった。

 

「まぁ、下手にクソみたいなシギルを貰ってるやつよりかはましか。」

 

誰が聞いてるわけでもないのだがつい呟いてしまった。この頃独り言が多くなった気がする。

 

「帰るか…。」

 

俺は瞼を閉じ、足下に転がっているバラバラになった、元は人だった肉の塊に手を合わせる。

 

「化けるんなら、俺じゃなくて運営の方に出てくれよな。」

 

俺はそう言うとその場から立ち去る。明日も学校があると思うと憂鬱になる。

 

 

誰もいなくなった地下道でまたガタガタと電車の通る音がした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

二万数千年前に絶滅したと言われるネアンデルタール人。

絶滅なんて言うと、大げさに聞こえるけど、別に珍しい話じゃない。

 

今だって毎日200種類以上の生物が絶滅していて国際自然保護連合って所が出してるレッドデータブックって本には今まで絶滅した。

そしてこれから絶滅しそうな生物が、それは長大なリストになっている。なにせ地球上に生命が誕生して40億年、今まで生まれた生物種の99%は

 

既に滅んだ

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

初めて殺したのはクラスの友達だった。

 

いや、友達だと思ってたやつだった。そいつから進められたアプリ「ダーウィンズゲーム」これをなんの躊躇もなくインストールしたのが間違いだった。あの時、やめていればと今でも夢に見る。

 

アプリを起動すると、突然蛇が出て来て俺の首筋に咬み付いた。すると、すぐにバトル画面に進み近くにいたそいつは俺のことをバットで殴り殺そうとして来た。

咄嗟になって手で払うと俺の手には17年生きてきて一度も見たことのない白く輝いている日本刀が握られていて、それに切られてそいつは頭と体が完全に離れていた。

 

それ以来、俺はこの糞ゲーに巻き込まれっぱなし、その他にも沢山あるが思い出したくもない。人殺しはいけないことだ、それは俺も理解してる、だけど止めることはできない、殺さなければ殺される、この世の中は元からそういうルールだったのだ。

 

平和な日常にいてその事を俺は忘れていた。俺はこの先も生きていたい。死ぬまでそう思うのを止めることはないだろう。だから俺は今日も刀を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとなく書いて見ました。続きは貯めてないので頑張ります。


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一話

ほんと遅れてすいません。お気に入り増えてて嬉しかったです。


手に今朝作ったカレーの入った弁当箱を持って人混みを抜けていく。歩いて行くと徐々に人混みが無くなっていき住宅街へと入っていく。

このゲームに巻き込まれてからというもの安心して寝過ごせる場所なんてものはどこにも無くなったように感じる…いや、安全な場所なんてものは実はゲームに巻き込まれる前からなかったのかもしれない。

 

俺としても外出は必要以外は避けたいところだが〝アイツ〟から潜在能力(ポテンシャル)Aの新人が現れたと聞いては確認しに行かないわけにもいかない。

 

「ほんと、面倒くせぇ。」

そんなことを考えているうちに、目的地に着く。

 

がちゃりと、インターホンも鳴らさずに中へと入っていく、中は黒いゴミ袋とうまい棒お徳用パックと書かれた袋が散乱している。

 

奥のパソコンの前に座っているフードを被ったそいつは俺に気づくとこちらを向いて話しかけてきた。フードの中にはショートボブで左目の下にほくろがある整った女の子の顔がある。

 

「遅かったですね。遅すぎたのでもうお腹と背中がくっつきそうです。」

 

そう言って俺の弁当箱を素早く奪い取ってきた。

 

「じゃあお前その口にくわえてる棒はなんだ…。」

「うまい棒は納豆味が至高なんですよ?」

うまい棒が喋ることで上下に揺れている。

 

「んなこたぁ誰も聞いてねぇんだよ。レイン、てめぇ人に飯作ってもらっといて礼も言わずにひったくるなよ」

 

そう言って深くため息を吐く。

 

「私とあなたの仲じゃないですか、そんな寂しいこと言わないで下さい。」

弁当箱を嬉々として開けながら言うことでは無いと思うのだが。

 

「まぁいい、そんなことより例のルーキーのことを教えろ。」

 

そういうと、レインはパソコンに向き直って一枚の画像を出してきた。そこにはごく平凡な男子高校生が映っている。間違っても人殺しなんかは考えもしないような印象だ。

 

「こいつがそんな大層な奴には見えないけどな。」

 

「フフェフオぁふぇふふあははて。」

 

「何言ってんのかわかんねえよ!食ってから喋れ汚い!」

 

レインはごくんとカレーを飲み込むと、画面の少年、スドウカナメについて話し始めた。

 

「驚くことにですね。彼はアプリをダウンロードしてからたった2日の間に〝新人狩り(ルーキーハンター)〟とあの女王様を土につけたんですよ。」

 

「はぁ?レインそれガセじゃねぇだろうな。あの色物やろうならまだしも、あのシュカのやつまで倒したってのは普通ありえんだろ。」

 

そう言うと、少しムッとしたように返答してくる。

 

「そんな1円にもならない嘘付きませんよ。第1私の解析屋としての腕はあなたも知っているでしょう。」

 

確かにレインの解析屋としての腕は信頼しているし、そもそもレイン自体を信頼してなければこんなとこには来ていない。

 

「だよな悪い、大人しそうな顔してとんでもねぇ新人だな。異能(シギル)についてはなんか分かってるか?」

「手から銃などを出している映像は有りますが、引き寄せ(アポーツ)ではありませんね。念動力系でもないし身体変化系でもないし明白な物理的影響を確認もしたから精神操作系や化学錬成系の幻覚でもありえない。要するに未確認の新系統の可能性が高いです。」

「また、めんどくさいのが来たなぁ。」

 

「私的には久々に高ポイントで売れそうでホクホクなんですけどね。」

 

「俺はお前みたいな引きこもりじゃないんだよ。」

師匠の訓練メニューどんだけ辛いと思ってんだ。一ヶ月で三回は死にそうになるんだぞ。

 

「あなたも殆ど必要な時以外は出てこないんだから似たようなもんでしょう。」

一緒にしないで欲しいとは思ったが話を戻す。

 

「コイツの情報しばらく見せてもらっていいか、ついでに監視カメラの映像も合わせて。」

「良いですよ。私昨日からそのまとめ作業で一睡もしてないので、暫くほっといてくださいね。」

そういうと、椅子に座ったままぐうぐうと寝息を立て始めた。

 

「いくらなんでも、油断しすぎだろ…。まぁ、いいけどさ。あっ…あの事聞き忘れた…。」

 

俺のスマホを見ると全く可愛くない蛇に宝探しゲームと書かれた画面が表示されていた。表示された開始時間まではまだ二十時間以上あり、大丈夫かとまたパソコンへと俺は向かい直った。

 




ヒロインはレインです。正直言うとヒロインは固定なのでハーレムは多分しません。…きっとしません(震)


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二話

ちょっと読みやすいようにプロローグ改変しました。読みやすいですかね?
あと題名も変えました。




閉まっているカーテンから日光が差し込んでいる事に気付いた。

 

「やべ、集中して見過ぎた。」

 

いつのまにかレインも起きており、後ろで誰かとマイク付きヘッドフォンで会話している。どうやら今さっきまで見ていたスドウカナメについて話しているようだ。

 

「むぐ、げほげほっ。」

 

急にレインが食っていたうまい棒でむせた。

いや…うまい棒食いながら会話するなよ…。

 

「そんなことより 私はあなたの元に届いた[宝探しゲーム]の招待メッセージの方が気になりますね。」

 

レインが電話相手に話した事に耳を傾ける。

 

宝探しゲーム、俺の他にも送られてた奴がいるのか。とするとDゲームプレイヤー全員に送られているのか?

 

レインは電話の向こうから切られたのか話をやめた。そして俺の方に顔を向けてくる。

 

「俺のところにも宝探しゲームってのが届いてたんだが、他にも届いてる奴がいるみたいだな。」

 

「そうっぽいですね。呑気な人が多いです。Dゲームで文字通りの宝探しとか考えにくいとは思わないのでしょうか。」

 

レインが呆れたように目を閉じてそう言う。

 

「だな、でも今重要なのはそっちじゃない。それお前にも届いてんのか?」

 

届いてないでいてくれていると有難いのだが。

 

「も、と言うことはユウにも届いてるんですね。」

 

やはりそう甘くはいかないよなぁ。

 

「凄く嫌そうな顔をしてますね。そんなに私が心配なんですか。」

 

顔に出ていたらしい、ここで否定してはまたコイツにからかわれるだけなので今回は正直に返してみる。

 

「あぁ、お前が死ぬのは俺にとって絶対に避けたい事態なんでね。出来れば届いて欲しくなかったんだよ。」

 

「ふあっ! そっそうですか…。それは嬉しいですね…。」

 

レインは顔を真っ赤にして黙ってしまった。そして部屋に静寂が訪れる。

 

えっ、何この雰囲気。

 

「ま、まぁ届いた後でそんなこと喋ってても仕方ない。もっと建設的な事をしようぜ。」

 

このままではまずいと俺はなんとか話題を変えようとする。

 

レインもその提案に乗ってきた。

 

「そうですね。ではさっき私が話していたイヌカイさんにスドウカナメがどうやって戦うのか見ましょう。今このイベントに参加する予定が分かっていて一番の情報不足なのが彼ですから。」

 

…確かにそうだがそれではこのイベントへの対策が全くない状態で臨むことになる。

 

スマホを見ると既に開始時間3分前を切っている。

 

「いやそれはレインが見とけ。俺は半日かけてしっかり見たからな。俺はイベントに向けて荷物まとめとくわ。」

 

「分かりました。では、タンスの奥にあるライフルと、リボンのついたバックを出しといてください。」

 

軽く相槌を打ち、タンスの奥から一メートルはありそうなケースと、リボン付きのバックパックを引っ張り出す。

 

その時突然右手に光のラインが流れる。確信する。

 

コレはまずい。転移させる気だ。

 

「レイン!!受け取れ!」

 

まだ光のラインが届いていない左手で頼まれた荷物をレインに向かって投げる。

 

レインはそれを何とか腕で挟んでキャッチした。

 

「レイン向こうで同じ場所とは限らん!もし離されたら…。」

 

「えぇ、連絡します。必ず来てくださいね。」

 

俺の叫び声とは裏腹にレインは心配などまるで無いかの様に笑顔でそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




いや、まだ宝探し編入んねえのかよ、と思わせてしまってすいません。次は、次は宝探し編なので…。感想できれば欲しいです。励みになりますので。


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三話

宝探し編突入です。あと作者は東京には某遊園地にしか行ったことがないので舞台設定がガバガバです。ご了承ください。


気づけば何処かのビルの屋上にいた。見た感じ渋谷のようだが。

 

詳しい状況確認の前に素早く物陰に身を隠す。

 

やっぱ別の場所に転送されたか。身を隠した後見渡してもレインの姿はない。

 

それどころか今一番会いたくない奴がいた。

 

「んー つまりあれかなー?俺様が得意な「奪い合い」って奴かな コレー? しかも舞台は俺の庭シブヤときたか!」

 

蛇のような鋭い目、あの人を煽るような独特の口調に蛇が八の字になっている絵が印刷されたジャケット。

 

間違いない、クラン「エイス」のリーダー(ワン)だ。

 

「もうサイコーだぜ、Dゲーム‼︎愛してるぅー‼︎」

 

クソッ、アイツも参加してるとか最悪にツイてない。確かレインの解析だとアイツの異能(シギル)は…。

 

「あぁん⁈何だこのゴミぃ?」

 

王から見えない位置で様子を伺っていると王の足元に丸められた紙くずが転がってきた。

 

それと同時に学生服を着た女の子が給水タンクの陰から出てくる。相手を全く恐れていない足運びだ。

 

「なんだお前ぇ…!イベント開始早々自殺志願者かぁ?」

 

大手クランのリーダーを前にあの余裕、よっぽど自分の得た新しい力(シギル)に自信があるんだろう。

となるとあの紙くずはその布石、恐らく設置、一撃必殺のタイプか。

 

「残念だけど今から死ぬのはそっち、いや、もう既にあんたは終わってる。」

 

「ハァ?」

 

王がそう言ったところで、先ほどの紙くずが急にもえはじめた。

 

その火は一気に大きくなり王の周りを取り囲む。

 

「アチイイイ⁈」

 

「乱戦になる前にアンタを殺れたのはラッキーだったよ。」

 

直後大きな爆発音と共にビルの屋上一体が吹き飛んだ。

 

成る程、初見殺しな異能だ。あれなら普通の奴らなら骨も残さず約かれるだろう。

 

だが王に姿を見せたのは明らかに悪手だった。

 

こちらから見ると奴は既に爆心地におらず、ビルから飛び降りる形で空中にいる。十中八九奴の異能のテレポートで回避したのだろう。

 

ここまでは予知していた事態だが、王の位置が突然女の子と入れ変わったのに目を疑った。

 

突然起こった出来事に動揺しながら女の子はなすすべもなく地面に激突した。

 

アイツ、他人の位置すらも瞬時に入れ替えられるのか…?

 

この情報はアイツと出くわした時にアドバンテージになりそうだな。

 

名も知らぬ女の子が地面に落ち死んだことで人が集まってきている。まぁ、その女の子の死体はゲーム運営の手によって消失しているのだが。

 

スマホを見ると参加人数が300人から299人に減少していた。他にも三件メールが届いている。

 

 

特別イベント

宝探しゲーム

 

シブヤの街に隠された宝を見つけ、一気に大量ポイントをゲットしよう!ゲームの制限時間は二十四時間!参加プレイヤー300名は、全員バトルロイヤルモードに設定されるから、もちろん攻撃OK!

ゲームに出現する[リング]はトパーズ・ペリドット・ラピスラズリ・ルビー・サファイア・エメラルド・ダイヤモンドの7種類。[リング]はゲーム終了後、それぞれ、以下のポイントと交換されます。

 

トパーズ100pt ペリドット150pt ラピスラズリ300pt ルビー500pt サファイア800pt エメラルド1200pt ダイヤモンド2000pt

 

もし、ゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合、[リング]の所持数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバーです。

 

[リング]は、地図と新機能[異次元カメラ]を使って探そう!(イベントエリア内では、プレイヤーサーチは無効化されます。また、いべんときかんちゅうにイベントエリア外に出た場合ゲームオーバーです。)

 

さあ、みんなで仲良く楽しく宝を見つけよう!

 

 

新規情報

 

第一回リングら配布時間です。

リング300個がイベント全域に配置されました!地図と異次元カメラを使って探しましょう!

 

 

シブヤセントラルタワー

byレイン

 

単純計算で100人しか生き残らない、いや、リングを奪い占める奴も出てくるだろう。そうなると50人生き残るかも怪しい。

 

地図を開くと、画面にはリングの位置が大まかに表示されている。

 

これだと細かい位置までは把握できないな、異次元カメラってのも使ってみるか。

 

異次元カメラは勝手にアプリとして追加されていたようで、すぐに発見した。

 

カメラを見ると渋谷の街が廃墟に見え、そこら中に光っている点がある。

 

恐らくこれがリングの細かいありかなのだろう。

 

それにしてもまずい。不幸なことは続くようで、このゲームはどう考えても俺が不利だ。

 

俺の風刃は位置がバレると一気に弱体化する。

 

勿論近接戦でも戦えるよう鍛えてあるが、それは全く別の話だ。

 

今回のイベントの詳細を確認している内に王は普通にドアを通って屋上から出て行った。

 

とにかく、今はレインと合流しよう。

 

周りに注意しつつ俺はビルを一気に降っていった。

 

 

 




戦闘描写むずいです。原作と合わせて女の子の倒され方を詳しくして見たんですが、合ってますかね。てか、戦闘してませんねこれ。


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四話

ここから戦闘描写が多くなると思います。…たぶん。


ここからレインのいるビルまではかなり時間がありそうだな。

 

王はヤンキーの様な雰囲気をして実はかなり頭がキレる。

 

大胆に行動し始めるのは“このイベントに参加してないエイスのメンバー”が集まってからだろう。

 

それまでには合流しないとレインの身が危ない。レインの“世界関数(ラプラス)は戦闘に特化してるわけじゃない。一人でこのイベントのクリア条件を満たす確率はかなり低い。

 

「久々の強行突破だな。」

 

俺の右手に淡い緑に光る鍔のない日本刀、風刃が出現すると、同時に目的地へ向かって走り出す。

 

走っていると、スナイパーの射線が通る位置まで来る。

 

右のビルの屋上と正面の四階の窓から人影が見える。いつもなら迂回して安全策を取るところなのだが。

 

「悪いが無理矢理通してもらう。」

 

今回は悠長なことはしていられない。

 

風刃の根元からたなびく帯のような光が10本生まれる。

 

風刃の刃を走ったまま地面に切りつける。すると、刃は吸い込まれるかのように地面を通過する。地面に全く傷は付いていない。

 

いつ見ても物理法則もクソも無い現象だな。

 

そんな事を考えていると先程目をつけた二箇所から何か液体が吹き出すような音が聞こえた。勿論弾丸は飛んでこない。

 

「命中。」

 

悪いが、俺の通行進路に居た自分の運命をうらんでくれよな。

10本あった光の帯は8本へと減っていた。

 

〜〜〜〜〜

 

20分ほどたった頃帯の数は既に一度使い尽くし2セット目のラスト2本に突入していた。

一度残弾を10本全部使い切らないと再装填(リロード)出来ないってのは厄介だよなぁ。

 

そんで、このタイミングで出て来んなよな。女王様。

 

「さっきからずーっと私の進行路にいたスナイパーを全員殺してたのはあなたかにゃー。目的地が同じみたいだけど、もしかして私と同じ人の所に行こうとしてるんじゃないよね?」

 

そう言って“無敗の女王(シュカ)は空から降ってきた後、手についているワイヤー付きの刃物の先端をまるで生き物の様にこちらに向けてくる。

 

「いやいや、それはアンタの勘違いだろ。俺はただ一直線に走ってただけだぜ。」

 

シュカの顔を正面から見返しながらそう答える。

 

「それが一番おかしいんだけどにゃー。倒した相手のリングどころか近くに落ちていたリングにも目を向けないなんて、クリアする気が無いのか、ただの殺人好きなのか、…何か他に目的があるんだと思うんだけど。」

 

明らかに俺のことを怪しんでいる、戦闘は絶対に避けたい。勝てない訳ではないが確実に此方も痛手を負う。

 

そうなると王が動き出す前にレインに合流するのが難しくなる。

 

「まぁ、百歩譲ってアンタの行き先が同じだったとしても、同じ人物というのはあり得ん。」

 

話しながらも注意は怠らない。目を離せば確実に此方がやられる。

 

「でもさ、一緒じゃないとしてもその後、殺りあう事になるんならここで殺っておいた方が早くない?私はそう思うんだけどなー。」

 

殺したくてしょうがないって感じだな。まだ子供っぽいのに殺気出すぎだろ。

 

「戦わないならそれに越したことは無いんだが、どうしてもやりたいって言うんならこっちも本気を出さなくちゃいけなくなる。」

 

そう言って風刃を構え直す。

 

「…うーん。こっちもカナメと会う前に死にたい訳じゃ無いし。いっか。もし、カナメに手を出そうとしたらそん時は容赦無く殺すからね。まぁ、カナメなら助けなくてもあなた程度に負けないと思うけど。」

 

少しの沈黙の後、またワイヤーで空中を飛んで俺を先行して行ってしまった。

 

本当に生きた心地がしなかった。アイツと顔を合わせるのはこれきりにして欲しいもんだ。

 

それにしてもあの言い方だとスドウカナメのいる場所はレインのいる場所と同じみたいだな。

 

スドウカナメは確かに機転が利いて万能な異能を持っているが、好んで人殺しをしてる様な奴では無いのは映像でよく見た。口ぶりからしてシュカの手綱を握ってるっぽいしレインが鉢合わせて戦闘になってるって事は無いだろう。

 

こっちも早く迎えに行かないとな。

 

ビルに向かって再度走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いや、シュカと戦闘になるなんて言ってませんもん。あんなん普通勝てませんよ。勝つ方法はいくつか考えましたがまた別の機会に使うことにします。それにここで戦わせると後々問題なので…。でもこれじゃ戦闘じゃなくて狙撃かなぁ。


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五話

この日から作者はスマホを持っていけない旅行に行くので感想の返信が週末になると思います。どうかご了承下さい。それでは五話です。


目的のビルの一階に着いたところで、植物に覆われて一歩も入り込めなそうな入り口を眺める。

 

いや、実際入れない場所が無いわけでは無いのだが。

 

どう見ても罠なんだよなぁ。

 

命の危機があればレインなら直ぐにヘルプコールする筈だからそうでないと言うことはまだ命の危機ではないと言うことだろう。

 

Dゲームチャットで連絡を取ると、罠を解除するから正面から入ってきて欲しいと返事が返ってきた。

 

レインではこんなことは出来ないし、誰か別のプレイヤーと手を組んだのだろう。

 

それにしても、こんなスゲー異能持ってる奴と手を組むとかどんな魔法使ったんだアイツ…。

 

エレベーターを使い指定された部屋に行くとスドウカナメ、レイン、ウェットスーツを着た30代くらいの男、そして、手を縛られた骸骨のマスクをする大柄の男?座らされてがいた。

 

「遅いおつきでしたね。もうひと段落終わったとこです。」

 

レインはこちらを向いて不服そうにそう言ってきた。

 

「悪かったよ。これでも最短距離で走ってきたんだ。許してくれ。」

 

俺は素直に頭を下げる。守ると“約束”したのに間に合わなかったのでは怒るのも当然だ。

 

「ふふっ、冗談ですよ。一所懸命に走ったことくらい分かりますよ。ありがとうございます。」

 

どうやら怒ってはいないようで、そう言ってくすくすと笑っていた。

 

「あのー、仲よさそうなとこ悪いが、これからの予定と関係性について話したいんだがな。」

 

スドウカナメがそこに割って入る形で俺に話しかけてきた。

 

そういえばそうだった。

 

「悪いな、時間を取らせた。スドウカナメ、俺はユウ、まぁレインの相棒ってとこだな。よろしく。」

 

そう言って握手を求めるように手を伸ばす。

 

「宜しく頼む、あれっまだ俺名前言ってないよな?」

 

躊躇せず握手に応じながら不思議そうに首を傾げる。

 

「お前さんは有名だからな。レインから詳しく聞いておいたのさ。」

 

「成る程。あと、カナメでいい。」

 

納得したように手を叩く。

 

「分かった。カナメ。」

 

そしてカナメから視線を外し、男の方へ向ける。

 

「アンタはさっき思い出したぜ。“花屋”だろ。植物を使って多種多様な殺し方をし、高ポイント所持者から根こそぎ奪っていくので有名だもんな。」

 

「君に覚えてもらえているとは光栄だね。“鎌鼬(カマイタチ)”君のことは良く知っているよ、私が知っている中で一番戦いたくない男だ。」

 

俺のことは最低限の情報しか残らないようにレインに調節してもらってるんだが、よっぽど相手をよく品定めする相手のようだ。

 

「そんなに怖い顔をしないでくれ、もう君達を襲うつもりは無いよ。」

 

おっと、顔に出てしまっていたようだ。嘘はついていないようなのでここら辺で話を戻す。

 

「それで今回この豪華なメンツがここに集まった理由は?」

 

「“エイス”に対抗する即席のクランを作る。全員でバラバラにしぬか、協力して生き残るかって相談だ。」

 

カナメが代表して俺に返答した。

 

「それでユウお前は乗ってくれるか?」

 

正直怪しいとこが多すぎるし、カナメは悪い奴ではなさそうだがそれは映像で見たイメージの話だ。

 

話に乗るには不確定要素が多すぎる、…だが

 

「レインが乗るって言ったんだろ。それなら付き合おう。レインと俺が死ななくなるんならそれでいい。」

 

「フゥ、意外とアッサリ乗ってくるんだな。」

 

カナメは安心した顔でそう言ってきた。

 

さて、次はこの骸骨マスクについて聞かなきゃな。

 

 

 

 

 

 




今回短いです、すいません。後今回は貯めてるやつを送ってるだけなんで前書きでも言いましたが、返信することができません。感想を送ってくれている方がいましたら本当に申し訳ありません。


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六話

はい、遅れてすいません。旅行から帰って来て少し執筆意欲が低下しておりました。今回は長めに。


「そんで漸く話は終わったか?」

 

俺たちの話が終わったところで骸骨マスクから男の声がカナメに向かって話しかけて来た。

 

「あぁ、丁度終わったところだ。そしてアンタには相談がある。まずはさっきの借りを返す。」

 

そう言ってカナメは骸骨マスクの膝の上に三つのリングを置いた。

 

「借りだぁ?情けをかけたつもりはねぇんだけどな。」

 

骸骨マスクが嫌そうに呟く。

 

「もしアンタが俺たちに敵対しないと誓うんなら、縄を切って銃を返してもいいぜ。」

 

「なんだ、そりャ?何を企んでやがる…と言いたいところだが要件はさっきの会話で分かってる。俺に手ェ組めってんだろ。」

 

表情はマスクで分からないが若干声が高ぶっているように聞こえた。

 

「察しがいいな。そんで返答は?」

 

「その返答をする前にまず俺の質問に答えてもらう。あのクソは本当にこのイベントに参加してやがんのか?」

 

声がまた低くなりこちらへ質問して来た。

 

「あのクソとはひょっとして王の事でしょうか。それなら間違いなく参加してますよ、私の“相棒”が直接見て来ていますからね。」

 

相棒の所で胸を張りながらそう答える。

 

気に入ったんだなその呼び方…。

 

「そうか、奴がホントに参加してやがんのか。…いいぜ、その即席クランの話俺も噛ませて貰うぜ。」

 

何かを思い返すかのように少しの間黙った後、そう言って承諾の返事をした。

そろそろ話は纏まったみたいだな。

 

「それじゃあこれから打倒エイスについて作戦会議といこうぜ。」

 

俺が話を区切って先へと進める。

 

「まずはアンタ顔のマスクは脱いでくれ。表情が見えないのはソロなら強みになるがチームプレイをする上では邪魔になるからな。」

 

「あぁ、分かった。」

 

そういうと男は骸骨のマスクを脱ぐ。

 

中から出て来たのは外人系のイケメンだった。

 

カナメもレインも意外なものを見た顔をしている。

 

「なんだよ?」

 

俺達が、呆然としていると痺れを切らし話しかけて来た。

 

「いや 何でもねえ…、ちょっと知り合いに似てたから…。」

 

カナメがそう言う。

 

「私は もっと凶暴な面構えを想像していたので。」

 

「ハァ⁈」

 

おいおい、レインはぶっちゃけ過ぎだろ…。

 

俺も思ったけど。

 

拗ねたのか又マスクをかぶろうとする。

 

「いや、今更かぶんなよ、話しにくいし。」

 

それをカナメが制す。

 

「それでこれからの話だけど、アンタ–」

 

「リュージだ。Dゲームではそう名乗ってる。」

 

リュージはカナメのセリフを遮りそう言う。

 

「ところで、俺以外の連中はどうした。そっちは戦力にしないのか?」

 

コイツ以外にもまだ生き残ってるやつがいたのか。

 

「あなた以外の方は私がそれなりに負傷させてしまいましたから、リング3個だけ渡して解放しました。」

 

どうやらレインの異能補助付きの射撃にやられたらしい。

 

「はっ、温情主義だなオイ。」

 

リュージがやれやれとそう言う。

 

「リングの数があったって目立って敵を引きつけるだけだろ。これでいいんだよ。」

 

確かにカナメの言う通り現時点でリングを持つのは敵に見つけて下さいと言っているようなものだ。

 

持っていられるのは襲われても平気なくらい強い奴か、チームを組んで集めてるやつぐらいだろう。

 

「そのリングですが結局残ったのは15個です、内訳はトパーズ8、ペリドット2、ラピスラズリ2、ルビー1、サファイア2、エメラルドとダイヤは0…合計で3800pですね。」

 

俺たちにレインが現在此処にあるリングを数える。

 

「約束通りヒイラギのオッサンに金額の半分は渡す、残りの半分は俺たち四人で分ける。」

 

おっとここは話をしておかなければいけない事が有る。

 

「いや、その分け方はやめてくれ。」

 

「やはり、私が貰うのも変な話だな、君が文句を言うのも当然だろう。今回は命があっただけでも運が良かったと言うべきか。」

 

ヒイラギさんが残念そうにため息をつく。

 

「いやいやいや、そういう事じゃないんだ。取り分に俺のはリング3個だけでいい、俺の残りの分はレインにやってくれ。」

 

「それは別に良いがなんでそんな事をするんだ?」

 

カナメが不思議そうに聞いてくる。

 

「レインは逃げることが多くてな、本当に逃げ切れないときは何時も降参しているんだ。今後のためにポイントが切れちゃいけないからな。」

 

「成る程、よっぽどレインのことが大切なんだな。」

 

カナメが納得する。

 

「何だ、テメェら出来てやがんのか、お熱いこった。でもよ、それじゃあオマエ…ユウとか言ったか、お前はまるで逃げずに勝つことができるって言ってるみたいだぜ。」

 

リュージがからかうように笑う。

 

「いや、俺もレインと同じで逃げ専さ、降参はしないけどな。」

 

話をしているとレインが真剣な顔でスマホの画面を見ている。

 

俺は顔を近づけて画面の中を覗き込む。

 

「何みたんだ、レイン。」

 

「ヒャツ!ちょ、ちょっとユウ!顔いきなり近くに置かないでください。」

 

レインは可愛い声を出して飛び上がった。

 

「もう…、見てたのはこれですよ、イベントルール。このポイント表が変だと思っていたんです。」

 

そう言われて全員がレインのスマホを覗く。

 

「いや、別に。」

 

「なんかあるかァ?」

 

「レインにゃ悪いが俺にも分からんな。」

 

しかしレイン以外に気づける者はいなかった。

 

「まぁ、男性は宝石の事などあまり興味がないのかもしれませんが…トパーズのポイントがラピスラズリより低いのは変です。」

 

「ラピスラズリは半貴石と呼ばれる格の落ちる石で貴石であるトパーズとは本来比較になりません、それに通常四大宝石と言えばダイヤ、ルビー、サファイア、エメラルドの順になります。この表、一見すると宝石の序列でポイントが決まって居るように見えますが、実際の宝石とは全くいっちしていません。」

 

俺にはチンプンカンプンだが女性のレインが言うならばそうなのだろう。

 

「そんなのDゲームの制作者が適当に決めただけなんじゃねぇの?実物はただの金属の輪っかにペンキが塗ってあるだけだしよォ。」

 

リュージがそう言うが何かあるような気がするし、それにこんな単純なミスを運営が犯すだろうか?

 

「それに、このルールの文章も変ですよ、かなり不自然です。」

 

それは俺も気になっていた。

 

「もしゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合[リング]の所有数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバーですの部分だろ。これじゃあ何を持ってゲームのクリアとしてるのかが分からんくなってる。」

 

「そうなのですゲームクリアをリング3個を集めることならゲームクリアできずに制限時間が過ぎた場合などと限定する意味もありません。」

 

読み返すとどうもおかし過ぎる。どういうことなのだろう。

 

「確かに言われてみると他にも変な所があるなこの文章、改めて読み直すと、」

 

カナメがそう言って、

 

「[リング]が[シブヤの街に隠された宝とは一言も書いてなくねぇか?」

 

核心に迫る考えを口にした。

 

「でもよォ、正直こんな話今はどうでも良くねぇ?今はエイスをどう潰すのかが先じゃねえか?」

 

数秒の静寂の後リュージが話始める。

 

「ところでカナメ君、そろそろ君の友人がホテルに到着する頃ではないのかね?」

 

ヒイラギさんも話を変える。

しかし、カナメの友人…って。

 

「シュカのことか?」

 

「シュカを知ってるのか?」

 

カナメが聞き返す。

 

いやでも、

 

「シュカは俺より先にこのホテルに向かったはずだ、このホテルの少し前で空飛んで先行していったからな。何でいないのかは着いた時に気になってたんだが。」

 

チャララチャチャチャ〜♪

 

そこまで言ったところでカナメのスマホにメールが届く。

 

「え…助けてって…何かの冗談…だよな?」

 

それは不穏なカナメへのヘルプコールだった。

 

 

 

 

 

 

 




主人公喋りませんね…。私の力じゃ大幅な原作改変は厳し過ぎます。
精進していきたいです。

あと、お気に入り二桁越えたの嬉しいです。感想もいつもありがとうございます。


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七話

アニメ化したので
救出シーンは大幅カットで(書き方を忘れている)


 シュカからヘルプコールが届いてから数時間、俺はレインと一緒にビルの窓から今にも入ってこようとしているエイスの人間達を見下ろしていた。数十階あるようなビルから見ていると蟻が大量に群がっているように見える。実際はそんなかわいらしい状況ではないだろうが…。

 

 「君たちもそろそろ降りたほうがいい。カナメ君には結局協力できず済まなかったと伝えてくれ。」

 

 先ほどまでこのビルのあちこちに罠を張りなおした花屋が促すように言ってきた。いかに花屋の異能が強力であったとしてもあの数は厳しいものがある。そこに俺たちに逃げろとはかなりの覚悟が決まっているらしい。

 

 「やはり残るつもりですか…。」

 

 「私には心臓の悪い娘がいてね。大金が必要なんだ。はっきりしないポイントよりも確実にリングのポイントが欲しいのさ。 そういえば娘は今12歳でね。ちょうどレイン君くらいの背丈なんだよ。」

 

 金で買える命はないが俺たち二人の心情ではあるがどうやらそれは花屋には当てはまらないようだった。その証拠かどうかはわからないが娘の話をし始めた花屋は幾分か先ほどよりも表情が柔らかい。

 

 「私は13ですけど。」

 

 「そいつは失礼した。確かに、娘はだいぶ君より子供っぽいがね。」

 

 なんでもないように話しているのはこの数時間である程度お互いのことをわかりあったからなのか。

 

 「ヒイラギさん、もし私がその子の立場だったとしたら自分の知らないところで父親が命を落としもう2度と会えないと知ることはそれは自分の病気よりも悲しいことです。」

 

 レインがおせっかいを焼くくらいには親しくなったらしい。

 

 「ユウ、私は準備をしてきます。ヒイラギさんはご武運を。」

 

 そういってレインは振り返らずに自分の武器を取りに行った。

 

 「ははは…、娘と変わらない年の子供に諭されてしまうとはまいったな…。君の相方は予想以上に聡明なようだ。」

 

 レインの知能は確かに人並みを外れているが今回の件に関してはきっとそうではないだろう。

 

 「レインは確かに優秀ですけど、さっきのはただ自分の気持ちを遠回しに言っていたんだと思いますよ。あなたに死んでほしくはない…と。」

 

 すると花屋は少し驚いたような顔をした。

 

 「じゃあ、レインが待っているんでこれで。俺はあなたが死のうが死ぬまいがあまり興味はないですけど…。自分の命よりも大切な娘さんなら、悔いのない選択をしてくださいね。」

 

 そう言って俺は部屋から出た。

 

~~~~~

 

 エイスの連中の目をかいくぐるために下水道を利用して移動するとビルはかなり離れていた。話は下水道を通っている間に聞いていたが半分くらいは理解できなかった。しかし、要約する宝石の番号は渋谷駅を指しているらしい。この間レインと会話することはなかった。人数が減ってきているとはいえバトルロワイアル下の状況で下手に音を出すと誰かに感ずかれる可能性がある。

 

 しばらくしてレインの携帯にカナメからダイヤの番号が連絡されたころにはすでに渋谷駅に入り込んでいた。なるべく足音を立てないようにしつつも早く移動して宝を探す。

 

 しかし、エスカレーターの上に人影が見えたところで俺たちは立ち止った。エイスのジャケットにショットガンのような銃を持っている。

 

 さらに、奥に目を向けると今一番会いたくない男()がそこには立っていた。




 久々に書くと非常につらい。いろんな意味で


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八話

 感想が励みの小説。


 このⅮゲームにおいて最も重要なこととは何であろうか。あるものは何よりも特異な異能の強さ、あるものは生まれ持った相手をねじ伏せる身体能力、あるものは敵を出し抜く頭の良さだという。このどれもが間違った考え方ではない。しかし、これら一番になりえない。

 

 俺は”思い切りの良さ”こそがこの常識外れなゲームにおいて最も重要だと思うのだ。人を殺す、という行動を何のためらいもなく起こせる、今までの積み上げてきた日常をすべて否定できるような行動をためらいもなく起こせる、そんないかれた人間こそがこのゲームの勝者になる。

 

 

 

 

 その点において王はぶっちぎりで頭のねじが飛んでいた(いかれていた)。初めてのⅮゲームにおいても相手を殺すことに何のためらいもなく、むしろ高揚感を感じていた。王は持ち前の強力な異能とその風貌からは考えられないほどの頭の切れ味を使って渋谷をすぐに自身の支配下に置いたのであった。

 

 

 「なんか今そこに誰かいなかったかァ?」

 

 「え?…誰もいませんけど。王さん何か気になったことでもあるんすか。」

 

 「いやいねぇならいいんだ。それよりしっかり探せよォ!この渋谷駅に新お宝ちゃんは眠ってるはずなんだからさぁ!宝を見つけたやつには千ポイント、情報持ってるやつを連れてきたら百ポイント、俺からプレゼントしちゃうからねぇ!」

 

 「わかりました!王さん!」

 

 「俺はちょっとやることできたからはなれるわぁ。みんな頑張ってねぇー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 渋谷駅まで来たのはいいが、予想以上にエイスが人間が多すぎる。俺の風刃もレインの世界関数もどちらかといえば暗殺向きの異能だ。例えうまく王一人やったとしてそのあと残りの連中に銃でいっせいに攻撃を受ければ十中八九死ぬ。世界関数もあくまで予測ができるだけでそれを全てかわせるかどうかは別問題である。

 

 相手に物量で負けている以上、こちらも仲間を増やさなければ勝ち目はないだろう。宝を探すよりもまずはカナメ達との合流を優先することにした…のだが。どこに行ってもエイスの見張りばかり。

 

 

 「だから、レインお前だけ先に合流しろ。このままじゃじり貧だ。俺が少し騒ぎを起こして連中を引き付ける間に外に出ろ。」

 

 「だからどうしてそういつも短絡的な思考になるんですか。それではあなたの危険度が高すぎます。」

 

 「んなこと言ってる場合か、ここにもすぐ見張りが来る、長いことしゃべってる時間はないんだぞ!」

 

 「わからずや!」

 

 「どっちがだ!」

 

 この強情娘が!

 

 「いい加減長い付き合いだ。これ以外方法がないのはわかってんだろ。二人そろってはそれよりリスクが高いってことくらい。」

 

 「………………なら死なずに帰ると約束してください。」

 

 どうやら花屋の一件は彼女にとってもかなり堪えているらしい。

 

 「わかった、約束する。だからさっさと逃げろ。こうしてる間にも時間がーー」

 

 

 「おい!こっちだ!男の匂いと女の匂い、俺の狼の鼻(ウルウズハート)がしっかりとらえてる。近くにいるぜぇ!」

 

 まずい!感知系の異能持ちがいたのか!もう戸惑ってる時間はない。

 

 

 

 

 

 「風刃…起動だ…。」

 

 その言葉に呼応するかのように俺の手に一振りの白く輝く刀が生まれる。同時に、先ほど先導していた男の体が袈裟斬りになる。

 

 

 「なっっ…。誰だ!ぶっ殺してやる!出てこい!」

 

 異能の攻撃に対してやることが挑発とは…。

 

 「エイスってのは随分アホの集まりなんだな。仲間が一人死んだんだぜ。警戒してしかるべき場面だろ。明日は我が身って言葉を知ってるか?」

 

 「なんだと!てーー。」

 

 言い終わることはなくそいつの首は体から切り離された。そのままエイスの連中を斬りながら出口と反対のほうへ走り出す。

 

ここまで大っぴらに挑発しているのに銃を向けてくる奴は少数であった。銃よりも使い勝手のいい戦闘系の異能を持っているのか…それとも殺せない事情があるのか…どっちにしろ囮が役割の俺にとっては好都合である。ここにいるエイスの全員が俺を追ってくるのと、レインが出口のほうへ動き出したのを見て、さらに足を速める。

 

 

 再装填(リロード)まであと八発…。

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 走り回って数分もうそろそろレインもこの駅から抜けたころだろう。このまま駅から俺が出ることができれば完璧なんだが。

 

 「いたぞ!!逃がすな!」

 

 「足を狙え!宝のありかを知ってるかもしれねぇ!千ポイントだ!殺さず捕まえろ!」

 

 近くに王の姿は見えないし、前には誰もいない、エイスの射撃も足狙いばかりでタイミングを合わせれば何とか回避できる。

 

 このまま問題なく地上までーーーーー。

 

 「バァ!」

 

 「ちッ!」

 

 風刃を横に薙ぐことで目の前に現れた王を遠ざける。最後の最後にラスボス登場かよ…。嫌になってくるな、おい。

 

 「君が俺の仲間を何人もぶった斬ったやつかぁ。随分疲れてるみたいじゃーん。」

 

 「そういうお前は部下ばかりこき使って随分余裕そうだな。」

 

 「でも、その分お前油断してただろォ!逃げ回ってる間ずーっと俺の異能に気ぃ使ってたもんなぁ!」

 

 まるで見てきたみたいに言いやがる…。

 

 「お前さぁ、まるで見てきたみたいだなって思ってるでしょぉ~。……それ、大正解。この王さんにかかれば”お前らの行動”は一から十まで丸っとオミトオシなんだよ!」

 

 今こいつは何と言ったのか。聞き違いでなければお前らといった。嫌な予感が頭をよぎる。いつからこいつに見られていたのか、もしそれがレインと別れるよりも前からなら……。考えれば考えるほど悪い考えばかりが頭を覆う。

 

 「おやおや、すっごい顔してるね~、じゃあこの辺でゲスト!呼んじゃおっかなぁ!!後ろ見てみなァ!……………君の相棒のレインちゃんで~す。この子がなかなか口を割らないから代わりに君にしゃべってもらうことにしましたぁ~!」

 

 「…すいません……………ユウ、あれだけ言っておいて…。」

 

 

 

 

 

 

 

 そこには両耳があった場所から大量の血を流したレインがエイス達に拘束されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 なんかぐろくね?と書き終わってから思った。
 レインファンの皆様ごめんなさい。
 でもこれDゲームだから…。


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