ハイスクールD×D 愛狂いの転生者 (T.W.L)
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あけましておめでとうございます。(初めて~の~番外編)

新年あけましておめでとうございます。今回は初めての番外編です。急ごしらえなので会話文が多めです。今後の(ある意味での)ネタバレもあります。

それでも良ければ、今年最初の投稿であり番外編、どうぞ。


<拓海side in>

 

 

 

2018年1月1日 午前1時 来谷家 居間

 

 

「皆さん、」

 

「あけまして」

 

「おめでと~にゃ!」

 

「いや黒歌、『にゃ』は着けなくて良いから」

 

 

ドーモ、皆=サン。来谷拓海=デス。只今朱乃姉と炬燵に入っています。あ、黒歌も居るな。

 

 

「なんか私の扱いがぞんざいになった気がするにゃ…」

 

「気のせいだろ気のせい。気にするな!」

 

「そう言われると気になるのが人の(サガ)よ?」

 

 

朱乃姉、そう言わないでよ……そう言われると──

 

 

地の文(脳内)で黒歌をぞんざいに扱いました」

 

 

───何がなんでも吐かざるを得ないじゃないか。

 

 

「本当に朱乃が絡むと口軽くなるわね!?ってかやっぱりぞんざいに扱ってたにゃ!?」

 

「いやまあ……黒歌だし?適当に扱っても良いカナーって。そう思わない?」

 

「さも当たり前のように罵倒すんにゃ!嫌いになるにゃよ!?」

 

 

────ん?

 

 

「───黒歌、それ脅しか?」

 

と言って、自分の顔を傾げる。

 

 

「しまった……拓海相手だとこの台詞が脅しにならない……ッ!」

 

 

フフフ……お前程度の脅しなど塵にも等し─────

 

 

「拓海君?あまり悪口を言ってると嫌いになるわよ?」

 

「黒歌様、度重なる無礼、本当に申し訳ございませんでした」

 

「本ッ当に、朱乃に弱いわね拓海!?」

 

「むしろ何故朱乃姉に逆らえると思っていた?」

 

「あ、うんゴメン。一ミリも思ってなかったわ」

 

「ですよね……」

 

「あらあら……あら?もう1時を過ぎちゃったのね」

 

「あーマジか……紅白もガ〇使も終わったし、朱乃姉はそろそろ帰った方が良いんじゃないの?バラキエルさんに怒られるかもよ?」

 

「そうね……悔しいけど、私はここで御暇(オイトマ)させて頂くわ。悔しいけど」

 

「なんで二回言ったのさ……自分も悔しいけど」

 

「拓海君…」

 

「朱乃姉…」

 

「はいそこ、イチャイチャは朝になっても出来るでしょ?さっさと解散するにゃ!」

 

 

その一声で、朱乃姉は名残惜しそうに転移ポータルで自分の部屋へと帰っていった。自分も名残惜しいです。

 

 

 

<拓海side out>

 

 

<黒歌side in>

 

 

 

「ふわぁ……私達もそろそろ寝ようかにゃ…?」

 

「そうだな。俺はベットで寝るから黒歌はソファーな?」

 

「うっわ理不尽。それが一晩中愛し合った女に対すイタッ!?」

 

 

チョップしてきた!?軽くだけどチョップしてきた!?いつもはアイアンクローなのに!?

 

 

「うるさい───冗談に決まってるだろ…悪かったな…

 

 

「………にゃ?」

 

 

そう呟いた拓海の顔を覗いてみると、少し頬が赤くなっていた。

 

 

「───ふふっ…♪拓海ったら素直じゃないにゃあ…」

 

「───素直じゃなくて悪かったな…ったく……」

 

「流石地獄耳。よく聞こえてるにゃあ♪」

 

「猫なで声出してんじゃねーよ…さっさと寝るぞ。もう夜遅い」

 

 

にゃあ!?いきなり頭を撫でないでよもぅ…私がそれに弱いのは知ってるでしょ~…にへへ♪

 

 

「んにゃ。夜更かしは肌の大敵だしにゃあ。拓海の隣で寝させてもらうにゃあ♪」

 

「─────勝手にしろ…」

 

 

ため息を吐きながらも、拓海の口元は少し緩んでいた。

 

「(ふふっ、やっぱり素直じゃないにゃあ♪)じゃ、勝手に寝させてもらうにゃあ♪」

 

 

そして私は拓海と一緒のベットに寝たのでした。何もなかったけど…ナニもなかったけど!

 

 

 

<黒歌side out>



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始動前のチャイルドデイズ
神様に殺されました(プロローグです)


初投稿なので拙い部分があるでしょうがそこら辺はご容赦ください。…では、どうぞ宜しくお願いします。


『…という訳で君を殺しちゃったんだ。ゴメンね?』

 

「どういうことだ説明しろ」

 

 

どうしてこのような事態になったのか、それは今から少し時間を遡った時のこと…

 

 

 

都内 某コンビニ前にて

 

「じゃ、また来週遊ぼうぜ~」

 

「「「おう、じゃーな~」」」

 

 

俺の名前は『来谷 拓海(クルヤ タクミ)』、高校二年生の16歳。俺は今、自分の友達と別れて帰るところだ。来週には秋葉原に行く約束もしていた。

──だが、まさかあんなことが起こるだなんて俺は思ってもいなかった─まあ、あんなことが起こるのを分かる人なんて居ないと思うがね…

 

 

「た~ららたらら、たたたらら~♪たーらたーら、たらたらら♪た~ららたらら、たたたらら~♪た~たららたらら、たたららら♪」

 

……ガタ…ガタガタ…ガゴン…

 

「たらら~たたら~たったらたらら、ら~たらら!たらた~らたら、たらた~たらら、たらたたらら、たらたららら~♪」

 

ガゴゴゴゴゴ…ゴベギッ、ガゴンッ!

 

「…たらら~♪たらら~♪たらた~らたらた、たらたらら♪」

 

ヒュオォォォォォオオ…ッ

 

「…?たらたらたらら♪たらたらたららたら……ん?」

 

ガグォオオォォォォォォオオンッ!!!

 

 

 

『…とまあ、君は崩れ落ちた看板に潰されて死んじゃって…』

 

「…その原因が俺の寿命が書かれていた書類にアンタ…神様がインクをこぼしてブッ掛けて台無しになったから…と?」

 

Exactly(その通り)‼まあそんなところだね』

 

 

……そうなのか…ああそういうことか…そういうことなのか…

 

 

「…あの、少し叫んでも良いでしょうか?」プルプル

 

『え?あ、うん。別に良いけど?』

 

「…そうですか。ならば遠慮なく…

ゥオオ"オ"オ"オイィッ‼神ィ‼?何をしているゥ!!!?フザケルナァァア"ア"ッ!!!!!」

 

『うっわ!ちょっと!?少しって言ってたよね!!?物凄くウルサイんだけど!!?』

 

「知るか!!ってか何でインクをこぼしたんだアンタは!!」

 

『[インド人〇は繁栄しました]観てて踊っちゃったんだよ。面白かったんだから仕方ないよネ!』

 

「仕事してる最中にんなことやってんじゃねーよ!!あと面白いのは分かるよ!?俺だって時々みるしな!!?でも仕事中に踊るなよ!!!馬鹿なの!?駄神(ダシン)様なの!?そして少しは反省してる様子を見せろよ!!」

 

 

人の命を奪っておいてこの態度は無いだろマジで。来週アイツらと一緒にアキバに行こうと思って楽しみにしてたんだぞ!?返せ!俺の寿命を返せ!!このユルフワ男が!!

 

『と、取り敢えず落ち着いて、ね?元の世界には戻せないけど()()()()なら行かせられるから!あと誰がユルフワだ!!ボク結構気にしてるんだぞソレ!?』

 

 

何か心の声が読まれてるような気がするが知らん!さっさと俺を…え?別の世界?

 

 

『そ、そうだよ…元の世界には戻せないけど別の世界…アニメや漫画やラノベの世界とかなら転生させてあげるから、一旦落ち着いてくれないかな?』

 

「…分かった。でも真面目にやってくださいよ…」

 

 

流石にいきなり輪廻直行コースは嫌だからな。俺はもう少し俺のままでいたい。

 

 

『よし!じゃあまず、転生先を決めようか!…と言っても、ダーツ形式なんだけどね』

 

「…え?転生先って自分で決められるんじゃないの?」

 

『あ…ゴメンね?転生には色々規則があってね…ボク自身もこれが初めての転生作業なんだよ』

 

 

そりゃそうだ。ってかそんなの無い方が良いに決まってる。他の神は兎も角、アンタが転生作業をする=ミスをしているって事だからな…

 

 

『じゃあ、ボクはこのダーツのパネルを回すから君は矢を投げて…』

 

「待て待て待て待て待てぃ」

 

 

ダーツ!?ダーツで転生先決めるの!?結局世の中運なのか!?

 

 

『そうだよ。ダーツで決めるのさ…ああ、心配しなくても矢はパネルの何処かに絶対刺さるから。一番良いのは『自由に転生先が決められる』、だよ』

 

「はぁ…分かりました。じゃあやりますから回してください」

 

『よしきた、ソーレッ!』

 

 

落ち着け…落ち着け拓海…せめて平穏な世界でお願いシマスゥゥウウッ!!!!

 

トスッ…(ダーツの矢がパネルに刺さった音)

 

 

『お、さーて何処の世界かな…?……おっとこれは…』

 

「な、なんの世界ですか!?」

 

『えーっと、『ハイスクールD×D』…のパラレルワールドだね…』

 

 

()()()()()()D()×()D()』?なんか知らんが、ハイスクール(高校)って付いてるから平穏なのかな?

 

 

『いや、そうでも無いんだよね…』

 

「…え?」

 

『良いかい?『ハイスクールD×D』っていうのは…()()()()()ものなんだ…』

 

 

…ハアァァァァァァアアアッ!!!!?ウッソだろオイ!?バトル!?それも人外モノ!!?嫌な予感しかしないんだが!?

 

 

『で、でもパラレルワールドだから戦闘が無いかも知れないよ!?多分、きっと…メイビー……』

 

「なんでソコで自信なくすの!?不安になるんだけど!?」

 

『と、取り敢えず転生してからのお楽しみって事で…ボク自身もやってみないと分からないし…』

 

 

はあ…仕方ない、やり直しも出来なさそうだし平穏な世界であることを祈るか…そうじゃなかったら戦闘に巻き込まれるのか…やだなぁ

 

 

『だ、大丈夫だよ!戦闘が多い世界用に特典も戦闘技能を多めにしてるパネルを用意してるから!』

 

「転生特典を選ぶのもダーツかよ!!?」

 

『あ、特典を選ぶ数を決めるからちょっとダイス振ってくれないかな?』

 

「いきなりダイスロールかよ…」

 

 

ええい…こうなったら自棄糞だ!いいぜ、振ってやんよ、振ってやるよコンチクショウめ!!

 

カランカラン…(ダイスを振った音)

 

 

『えーっとダイスの出目は…5。やったね、クリティカルだよ!…卓ゲーならね。持てる特典の数は五個だよ』

 

世界一出てほしくなかったクリティカルだよ!!

 

 

なんでこんな時にクリティカルが出るの!?ファンブル出せよファンブル!クトゥルフなら結構な確率で出てくるじゃん!!だから運任せは嫌いなんだよ俺は!!

 

 

『き、気を取り直してダーツやろう?ね?ハズレは殆ど無いからさ!』

 

「……良いだろう…やってやるさ、存分に!」

 

『その意気だ!じゃあ一番良いものは

…え?パ〇ェロ!?』

 

 

何で東京〇レンドパーク!?まさかダーツにしたのってそれが目的なのか!!?

 

 

『あ、その後にそれを収納する『王の財宝(ゲートオブバビロン)』(乖離剣エアとか色々入ってる)があるらしいよ』

 

「むしろそっちが本命だろ…もういいや、回してください」

 

『分かった。ソーレッ!』

 

パジェ〇!〇ジェロ!パジ〇ロ!パ〇ェロ!

 

 

…パ〇ェロコールまで用意されてんのかよ!?と思いつつ、俺はパネルに向けてダーツの矢を投げた。

 

ヒューッ、トスッ…

 

 

『お、当たったところは…

オレカバトルの全てのアイテムとモンスター、そして全ての技を習得できる+モンスター2体を取り憑かせるだ!取り憑くモンスターは君と親和性が高い2体が取り憑くよ!』

 

 

オレカバトルか…それなら知ってる…ってかやってた。バリバリのオレカバトラーでしたよ。…まあそんなに強くなかったけどね。しかし更に王の財宝(パ〇ェロ)が欲しくなったな…

 

パ〇ェロ!〇ジェロ!パジ〇ロ!パジェ〇!

 

ヒューッ、トスッ…

 

 

『さて二つ目は…鷹の爪団レオナルド博士の技術力、開発力だ!』

 

 

おお、これは単純に嬉しいな。レオナルド博士の技術力、開発力は正にチートだ。百均のモノで宇宙船造れるとかあのクm…ヒトは頭おかしい(誉め言葉)。

 

パ〇ェロ!〇ジェロ!パジ〇ロ!パジェ〇!

 

ヒューッ、トスッ…

 

 

『さて三つ目は…自分の名前と記憶を引き継げるだ!』

 

 

…え?

 

 

「それも転生特典なのか!?」

 

『みたいだね。ちょっと不運(バットラック)に傾いてきたようだね』

 

 

えー、生憎『ハイスクールD×D』の原作知識は無いんだがな…まあ良かったっちゃ良かったのか?記憶が無くなるよりは。それにパラレルワールドって言ってたから余計な前情報は無い方が良い…のか?

 

パ〇ェロ!〇ジェロ!パジ〇ロ!パジェ〇!

 

ヒューッ、トスッ…

 

 

『さて四つ目は…Fate/Grand Orderの『山の翁(キングハサン)』のセイントグラフカードだ!限定展開(インクルード)夢幻召喚(インストール)、更には御本人を召喚出来るぞ!』

 

「完全に戦闘向けじゃないですか…」

 

 

山の翁(キングハサン)』…初代ハサン・サーバッハ、最初で最後のハサン。歴代の山の翁(ハサン・サーバッハ)達が衰えて暗殺できなくなった時に現れ、その首を断つ者…暗殺の腕だけではなく白兵戦も超一流で日中三倍のガウェイン(円卓バスターゴリラ)(ギフト付き)と互角に渡り合える程。あまり知られてはいないが事務能力もあり、『作成に一年かかる報告書を僅か40日で終わらせた』という逸話もある。……ぶっちゃけ怠けて首切られる事が一番怖いんだけどね!

 

 

『あ、『山の翁(キングハサン)』のスペックは冠位持ちの状態だよ』

 

 

……もうダメだぁ…お仕舞いだぁ…逆らえる訳が無いYO…

 

 

「…俺、生きていけるかな…」

 

『じ、じゃあこれが最後だ。戦力的には充分だとは思うけど、念のためだ。ソーレッ!』

 

 

確かに戦力的には充分だろう…文句なしだ。技術的にもレオナルド博士でいける…が、そう上手くは行かないときがあるだろう…その為にも…『王の財宝(パジェ〇)』は逃せない!

 

パ〇ェロ!〇ジェロ!パジ〇ロ!パジェ〇!

 

最後の…1投!

 

ヒューッ、トスッ…

 

 

『さあ最後の特典は…拡大解釈だ!……ナッ!?』

 

 

……は?

 

 

「…か、拡大解釈?それってどういうこt

『あ、もうそろそろ転生の時間だ!ホラホラ、早く行った行った!』

 

「え?いや拡大解釈ってどういう…

『実際に使ってみれば分かるから!分からなかったら後で念話で聞いて良いから!さあ拓海君、転生しに行ってらっしゃい!』

 

「い、行ってきまぁ~す!?」

 

そう言って俺、来谷 拓海(クルヤ タクミ)はハイスクールD×Dの世界に転生するのであった…

 

 

 

 

 

……はあ…なんて事だ…まさか拡大解釈なんてものがあるなんて…

 

 

『不味いな…拡大解釈(アレ)は一歩間違えればボク達()()()()()()()()()()()だ…絶対に悪用はさせないよ…!』




次回、『特典を付けて転生させてもらいました(赤ん坊で意識有るのって羞恥心半端無い)』

「ダブ…バブダ、アイ!?(なんで…アンタがこの世界に居るんだ!?)」

2018 2/24
規約に引っ掛かりかけてた為、修正しました


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特典を付けて転生させてもらいました(赤ん坊で意識有るのって羞恥心半端無い)

…お気に入り15件!?一昨日(おととい)投稿したばかりなのにこんなにも…ありがとうございます! by作者

こんな駄作を読んでお気に入り登録してもらえるとは…世の中分からんモノだな。 by拓海

あ、ちなみに今回は『ハイスクールD×D』成分はほとんど無いよ。ってかこのユルフワ神って止めてくれないかな!? byユルフワ神

名前を決めるまで待ってろ。 by作者


拓海side in

 

 

神様から転生特典を貰った俺がこの世界にオギャアと産まれてもう5ヶ月、大分この体に慣れたのだが…あ、腹減ってきた。

 

 

ダァイ、ダァイ!アアイ~!!(腹減った~!)

 

「はーい、あら拓海く~ん、どしたの?おなかちゅいたのかな?それともお漏らししたのかな?」

 

ダイ、アイ、ダアアイ~!!(いや、腹が減ったんだって!)」ポスポス

 

 

腹が減った、という意味を込めて今俺を抱いている女性…この世界の母親の胸を叩くと…

 

 

「あら~!おなかがちゅいたのね~!じゃあ…」ゴソゴソ

「…拓海く~ん!はーい、ママのおっぱいでちゅよ~?」ポロン

 

ダァイ!(いただきます!)

 

 

とまあ、精神年齢16歳の俺が母親とはいえ妙齢の女性の乳房を吸うのは羞恥心が半端じゃない。まぁ体が赤ん坊だからなのか母親にそういう気持ちは抱かないが。

しかし、うん。母乳というのは案外ウマイモノなのだな。

 

 

『何を言っているんだ拓海。今世では母親の母乳しか飲んでいないから比較対象が無いだけだろう』

 

『うっせ()()()()。ウマイもんはウマイんだから仕方ないだろ』

 

 

と、今俺に話し掛けてきたヤツは『シルバードラゴン』。風と雷を操るドラゴンで、俺に取り憑いたオレカモンスターの一体。前世では俺が一番気に入っていたモンスターだ。

…うん、母乳うめぇ。

 

 

『母乳なぞ啜っとる場合か拓海。我は悲しい…さっさと成長して肉を喰え』

 

『いや()()()()()()?人間はドラゴンみたいに成長早くないし今の俺は母乳吸わないと成長できないからね?』

 

 

と、上から目線で話してきたコイツは『漆黒竜ファヴニール』。闇と呪いを扱うドラゴンで、俺に取り憑いたオレカモンスターの一体だ。

このように、俺に取り憑いてるヤツは二体ともドラゴンだ。…どうやら俺はドラゴンと親和性が高いようだ。ハハッ、ワロエナイ。

 

 

「…ッパァ!(ご馳走さま!)

 

「あらあら~!良い飲みっぷりでちゅね~?」

 

あうー(眠い)…」ウトウト

 

「あら?おねむでちゅか?寝て良いんでちゅよ~?いっぱい寝て大きくなってね?」

 

…うー、あー…(おや、す…m)

ピーンポーン!ピーンポーン!ピーンポーン!

 

「あら…拓海、ちょっと待っててね?はーい!今いきまーす!」

 

 

…おい誰だウチのインターホンを三回連続で鳴らした奴は?お陰で目が冴えちまっただろうが?え?玄関には母親を含めて四人居るみたいだが…その他の三名の内一人でも妙な真似をしてみろ?俺の後ろで霊体化してる『山の翁(じぃじ)』が黙ってないぞ!?

 

 

『…という訳で宜しくお願いします初代様!』

 

『請け負った』

 

『結局人任せか拓海、少しは自分でなんとかしようとは思わないのか』

 

『いやファヴニール?俺今赤ん坊、だから動けない。OK?』

 

『というかさらっと拓海が気配察知をしたことに驚かないのかファヴニール』

 

『ぬ?…ああ、本当だな。…だがシルバー。これは察知というよりは()()()ではないのか?』

 

『フム…言われてみればそうだな、ファヴニール』

 

『俺の内側の物凄く溢れ出る何かを超音波みたいに溢れさせてみました』

 

『つまりは溢れさせ方を変えただけなのか』

 

Exactly(その通り)!』

 

『契約者よ、(くだん)の者達が来たぞ』

 

 

という山の翁(じぃじ)の念話の後に母親を含めた三人が俺の部屋に入ってきた。あとの一人は玄関に佇んだままだ。

 

 

「あらあら、どうぞお入り下さいな?拓海~、お客さんでちゅよ~?」

 

 

と、母親が言ったので少し扉の方に顔を傾けて─!?

 

 

「お!この子が和久(カズヒサ)さんの…」

 

「ええ、拓海って名前なんですよ?」

 

「へぇ…拓海君って言うんですか…良い名前ですね」

 

 

…オイ、オイオイオイオイオイ!嘘だろ?『ハイスクールD×D』っていう世界じゃなかったのか!?それなのに…それなのになんで──

 

 

ダブ…バブダアブ、アイ!?(なんで…アンタがこの世界に居るんだ!?)

 

 

 

 

 

「あら、ありがとう!拓海~、()()()()が来ましたよ~?」

 

 

 

 

 

 

──陰陽頭(おんみょうのかみ)土御門 有馬(つちみかど ありま)!!

 

 

拓海side out…

 

 

 

 

有馬side in

 

 

やあ、僕は土御門 有馬。総覇陰陽連(そうはおんみょうれん)の陰陽頭をしている29歳…いや、先月で30歳だね。いや~時が経つのは早いねぇ…

ああそうだ、今日は僕の先輩である来谷 和久(クルヤ カズヒサ)さんの子供を見に来たのさ。出産のときは陰陽頭としての仕事で忙しかったからね。仕事が漸く落ち着いたから態々(わざわざ)本土に渡って来たんだけど…和久さんの子供─拓海君に直接会いに行って気が付いたのさ…

 

──この子の呪力は多すぎる─と

 

玄関から微量の呪力を感じていたが、拓海君が居る部屋に近付くにつれてドンドン呪力の濃さが増していき、拓海君の部屋に入った瞬間──拓海君の呪力が溢れてきた!僕はなんとか表には出さずに済んだけど、付いてきた護衛の者は汗だくになっていた……当然だ。まだ産まれて5ヶ月の赤ん坊がこれだけの呪力を持て余していたのだから。そして拓海君が至る未来も見えてしまった…

 

──このままだと()()()()()()()()()()()()()─という未来に、だ。

 

 

「やあ!はじめまして、拓海君。僕は土御門 有馬。君のパパの後輩だよ!」

 

「アー、ダウ、アーイ!」

 

 

こうして無邪気に笑っている拓海君は知らないのだろう、自分がとても危うい状態だという事を。

僕の後ろで嬉しそうに笑っている()()()()和久さんの奥さんは分からないのだろう、このままでは拓海君が成人を迎えられないことを。

 

 

「…フフフ、和久さんのように大きく成長するのを楽しみにしてるよ?」

 

「……アゥァ~!」

 

 

僕もいずれは親になるだろう。もしかしたらその子が拓海君のようになってしまうかもしれない。

──でも、僕は厳しく育てようと思う。一人でも頑張れるように。そう、例えその子に嫌われようとも─

 

 

有馬side out…

 

 

 

 

拓海side in

 

 

──土御門 有馬。漫画『双星の陰陽師』の主要キャラクターの一人で、全ての陰陽師のトップにいる人物。普通なら一般人はおろか普通の陰陽師ですらあまり会えない人物──である筈なのに、そうである筈なのに……

 

 

「やあ!はじめまして、拓海君。僕は土御門 有馬。君のパパの後輩だよ!」

 

アー、ダウ、アーイ!(そういう繋がりか!)

 

 

この世界の父親の後輩ィ!?この世界の父親って陰陽師なの!?ってかこのパンツメガネが会いに来るってことはそうとう強いの!!?でもここどう見ても『島』じゃないしというかこの世界『ハイスクールD×D』だよね?トチ狂っても『双星の陰陽師』じゃないよね!?───ハッ!?そういえば─

 

『ハイスクールD×D』…のパラレルワールドだね

byユルフワ神

 

─そういう事か!つまりは『ハイスクールD×D』×『双星の陰陽師』のクロスオーバーという訳だね!?分かるとも!

…あれ?ってことは俺の内側から物凄く溢れ出る何かって…()()!?ウッソだろオイ!?確か呪力ってありすぎると早世(そうせい)するんじゃなかったっけ!?『双星の陰陽師』ならぬ『()()()()()()』ってか?笑えねぇわ!!全ッ然笑えねぇわ!!!今表面では笑ってるけど笑えねぇわ!!

 

 

「…フフフ、和久さんのように大きく成長するのを楽しみにしてるよ?」

 

……アゥァ~!(なれるかッ!)

 

 

ハハハ…大きくなったら呪力を抑制する機械を造ろう。レオナルド博士の技術力ならできる筈だ。ってか出来てください。ホントマジでお願いします。俺の将来に関わるんです。…あ、なんか眠くなってきた…じゃあお休みなさい……スヤァ…

 

 

 

──それから30分後──

 

 

 

「……では、僕はこれで失礼します。和久さんにも宜しく言っておいてください」

 

「ええ、主人に伝えておきますね。有馬さんもお気をつけて」

 

 

……んあ?ふわぁ~…よく寝た。あれ?やっと帰るのか?じゃ、さようなら。また会わないことを期待してるよ。

 

ヒュー、パタン…

 

 

『そういえば拓海?この町の名前はなんという町だっただろうか…?』

 

『オイオイ、シルバー?忘れたのか?ボケでも始まったのか?』

 

『私はまだボケてはいない!度忘れしただけだ!』

 

『あーハイハイわかりました。教えるよ。まあ言伝(ことずて)で聞いたから漢字は分からんが確か──』

 

 

 

 

──くおー(ちょう)、だったか?

 




拓海にとってのイレギュラーその1、
『陰陽師の血筋の子に転生』…これで、戦いに巻き込まれる可能性が大幅に上がりました。

拓海にとってのイレギュラーその2、
『赤ん坊にして成人した陰陽師を優に越える量の呪力を持っている』…ケガレの遭遇率上昇。二十歳になる前に何とかしないと死んでしまうハードモード。

拓海にとってのイレギュラーその3、
『転生した場所が駒王町』…『ハイスクールD×D』の戦いに巻き込まれる可能性が大幅に上がりました。

(山の翁(キングじぃじ)が霊体化してるのは拓海の呪力によるものです。)

次回、『ご近所さんに会いました(幼稚園って久しぶりだな)』

「……ん?この気配…人間とちょっと違う?」


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ご近所さんに会いました(幼稚園って久しぶりだな)

作者(以後、作)「さて、深夜のテンションと数少ない感想欄、そしてまさかの高評価を燃料にして、書き上げました第三話!」

拓海「お気に入りが徐々に増えていってるのも喜んでいたな」

ユルフワ神「今回はヒロインが決まるらしいね…で、いつになったら僕の名前を出してくれるんだい!?」

作「次回かその次に出してやるから辛抱しろ」


2017年6月8日、ルーキー日間にて39位、
同年、6月9日、同ランキングにて27位……マジで?


拓海side in

 

 

某年、3月5日

 

…月日が経つのは早いことで、俺も今年で4歳になる。──まあ俺9月産まれだからまだ3歳なんだけどネ!

 

 

『つまらない事を言ってないで早く材料を探したらどうだ?拓海』

 

『いやちゃんと探してるからね?俺自身の死活問題だし』

 

 

何故身体年齢3歳の俺が死活問題に直面しているのか、それは俺から溢れ出る呪力のせいである。今は山の翁(じぃじ)に回して安定させているが、いつかそれでも漏れ出すかもしれない…その為、一刻も早く呪力を制御する装置を造らなければならないのだ。

──幸いにも、特典の一つである鷹の爪団 レオナルド博士の技術力、開発力で造り方は解る。後は材料を集めるだけ─なので今俺は自分の家の庭で材料となるモノを集めているのだ。というか自分の家の庭でしか探せない。一人で家から出たらケガレが来るしね。というか来た。山の翁(じぃじ)が居なかったら確実に死んでた。

 

 

『あのときはありがとうございました、初代様』

 

『気にするな、契約者よ。汝が自分を鍛えられる年齢まで、我が汝を守ろう』

 

『あ、その後は守ってくれないんですね』

 

『無論だ。汝とは契約しているが、令呪の縛りはない。強さを求める修行を怠るのならば─首を断つぞ』

 

『ヒイイイッ!!!りょ、了解しました初代様!』

 

 

そう、俺には令呪がない。つまり山の翁(じぃじ)はやろうと思えば何時でも俺を殺せるのだ。キチンとやることをやっていれば害は無いが…怠けたら即、『死告天使(アズライール)』だ。山の翁(じぃじ)は怠け者が大嫌いだからね!仕方ないね!泣きたくなるけど!…あ、材料見付けた。

 

 

『お、これで終わりか?拓海』

 

『まあ後一つ残ってるけど…それは後で()()()強請(ねだ)るよ。そろそろ買い物の時間だしね』

 

 

あ、余計な事だと思うが…この世界の俺の両親を『父さん』『母さん』と呼び方を変えた。いつまでも父親母親っていうのはよそよそしいからな。そして─

 

 

「ただいまー!」

 

「おかえり、拓海。ちゃんと手を洗いなさいよ?」

 

「はーい!」

 

「うー、にぃー!」

 

「あ、練助(れんすけ)!玄関に来ちゃダメだって!」

 

 

──弟が出来た。名前は練助(れんすけ)。去年の1月位に産まれた1歳児だ。乳歯も前の方しか生えていない。…とか言う俺も乳歯が生え揃ったのはつい最近だがな。

 

 

「拓海ー?夕飯の買い物に行くから準備してー?」

 

「わかったー!ほらいこ、練助」

 

「お~!」

 

 

そういって俺と母さんと練助は近所にあるスーパーへと行った。

 

─20分後─

 

ただ今、スーパーで買うものを買って家へと戻っている最中である。俺も必要な最後の材料を買って貰って満足である。え?どうやって買ってもらったのか?…あれだよ、媚びて媚びて媚びまくったんだよ。もう二度とやりたくない。

と、そんなことを考えていると──

 

 

「─あら?あらあら、まあ…こんにちは、来谷さん。お子さん達とご一緒にお買い物ですか?」

 

「ええ、そうですよ。()()さん。今日はカレーにしようかと──」

 

「あらまあ、そうなんですか…そういえば聞きました?あの町外れの──」

 

 

ああ、井戸端会議が始まってしまった…このいかにも大和撫子という感じの美女の名前は姫島さん。

俺の家の隣に住んでいる人で、武家屋敷のような家に住んでいる。姫島という漢字も姫島さん家の玄関で確認したから間違いない。…その後にケガレに襲われたけど。ちなみに既婚者だそうだ。

──で、姫島さんの足に隠れている子は誰だろうか?

 

 

「──そういえばウチの子を紹介していませんでしたね。アケノ、お隣の拓海君と練助君よ。ご挨拶しなさい」

 

「─分かりました、母さま!」テトテトテト─

 

 

へえ…子供か居たの、か──ッ!?

 

 

「……ひ、姫島 アケノ、4歳です!あなたのおなまえを聞かせてください!」

 

 

──艶のある黒い髪、くりんとした丸い目、恥じらいで赤らんでいる頬、それらから導き出される答えはただ一つ。

 

……凄く、美幼女です…

 

うん、少し目を離してしまえばそのままハ〇エースされる事は間違いないぐらいの美幼女だ。つまり可愛い。滅茶苦茶可愛い。なんでこんなに誉めているのかって?

それは──

 

 

「…く、来谷 拓海です!3歳です!4月から幼稚園生になりますッ!」

 

 

──この子に、一目惚れをしてしまったからだ。

 

 

『待て拓海!?その道は修羅の道だぞ!考え直せ、拓海!』

 

『おい、そこから先は地獄だぞ拓海』

 

『いやシルバー!?ファヴニール!?俺身体的には3歳児だからな!!?俺はロリコンじゃねぇ!!』

 

『精神的にはロリコンだろう、このロリコンめ!』

 

『ロリコンロリコンうるせぇぞシルバー!!ちょっと黙ってろ!』

 

 

ったく、言いたい放題言いやがって…誰がロリコンだよ全く…

 

 

「─まあ、アケノと同じ幼稚園に入るんですか!4月からアケノお姉ちゃんになるのね」

 

 

──アケノ、お姉ちゃん……だとッ!?

 

嗚呼なんて─、なんて素晴らしい響きだ、とても良い─でも、もう少し親しそうな呼び方がいいな─アケノお姉さん?ちょっと固いな。アケノねぇね?これはおかしい。アケノ姉ちゃん?う~んあと一歩かな…あ。

 

 

「アケノ、(ねえ)?」

 

「──ッ!?」

 

 

───これだ。固過ぎず、親しみ過ぎず、丁度いい感じではないか?アケノ姉…アケノ姉、アケノ姉!うん!いい感じだ!

 

 

「あ、あの…」

 

「…ん?なに?」

 

「さ、さっき言ったことばを、もう一度言ってくれませんか?」

 

 

…ええっと、さっき言った言葉ってもしや──

 

 

「…えっと、アケノ姉?」

 

「ッッ!!?も、もう一回お願いします!」

 

 

─おおッ?これはまさかの好感触!?そ、そんな期待するような目をされたら断れないではないですか!良いでしょう!思う存分、気が済むまで言ってあげましょうッ!!

 

 

「アケノ姉?」

 

「ッ!!」

 

「アケノ姉」

 

「ッッ!!!」ピョン

 

「どうしたの?アケノ姉?」

 

「──ッ!!!」ピョンピョン

 

「アケノ姉?どうしてピョンピョンしてるの?」

 

「──ッッ!!!♪」ピョンピョンピョン

 

 

おおぅ、すっごいピョンピョンしとるよアケノ姉。

 

─この後、何回も『アケノ姉』と言ってアケノ姉をピョンピョンさせた。かわいい。

 

 

拓海side out

 

 

 

朱乃side in

 

 

わたしはひめじま あけの。4さい。わかぎようちえんのしんめぐみ(年少組の事です by作者)にいます。

いまわたしは、おとなりさんのくるや?さんとわたしのかあさまがはなしをしてるのをじっときいていました。

かあさまがあいさつをしなさい、といったのであいさつをしました。

 

 

「…ひ、ひめじま あけの、4さいです!あなたのおなまえをきかせてください!」

 

 

…わたしは、おとこのことはなすのはきんちょうしてしまいます。すこしへんだったかな?とおもっていると─

 

 

「…く、くるや たくみです!3さいです!4月からようちえんせーになりますッ!」

 

 

たくみくんもあいさつがすこしへんで、わたしはホッとしました。

 

 

「あらまあ、元気が良いわね。今年から幼稚園に入るんですか?」

 

「ええ、わかぎ幼稚園に入れようかと思ってまして…」

 

「まあ、アケノと同じ幼稚園に入るんですか!4月からアケノお姉ちゃんになるのね」

 

 

わかぎようちえん。わたしがいってるようちえんのなまえをきいて、たくみくんとなかよくなれるのかな─とおもったけど、それはたくみくんがちいさなこえでいったことばでなくなった。

 

 

アケノ、姉(あけの、ねえ)?」

 

「──ッ!?」

 

 

そうたくみくんがいったとき、わたしのからだに『ビビッ』ときた。もういっかいききたい、もういちどいってもらいたい、もういちどあの『ビビッ』をかんじたい──!

 

「あ、あの…」

 

「…ん?なに?」

 

「さ、さっきいったことばを、もういちどいってくれませんか?」

 

 

「…えっと、アケノ姉?」

 

「ッッ!!?も、もういっかいおねがいします!」

 

「アケノ姉?」

 

「ッ!!」

 

「アケノ姉」

 

「ッッ!!!」ピョン

 

「どうしたの?アケノ姉?」

 

「──ッ!!!」ピョンピョン

 

「アケノ姉?どうしてピョンピョンしてるの?」

 

「──ッッ!!!♪」ピョンピョンピョン

 

 

──うれしい。たくみくんに『アケノ姉』ってよばれるのがうれしい!もっとよんで!そのこえでわたしをよんで!もっとわたしに『ビビッ』をかんじさせて!

 

─と、ワクワクしすぎてたくみくんが『アケノ姉』というたびにピョンピョンした。へんなこだとおもわれちゃったかな…?

 

 

朱乃side out

 

 

 

拓海side in

 

 

いや~アケノ姉がピョンピョンしてたのは可愛かったなぁ。いやさせたのは俺なんだけど。で、その後「夕飯の準備が遅くなる」という理由で姫島さんとアケノ姉に別れを告げて家に帰ってきた。…さて、材料は整った。

 

父さんの部屋から()ってきた白紙の呪符(じゅふ)

庭で拾った直径6.5cmの小石、

同じく庭で拾った錆びた鉄のネジ×3、

そして、今日買ってきたマー〇ルチョコレート!(入れてた筒は使わない)

 

これで…これでようやく町を普通に歩ける!さあ、開発開始だ!

 

─15分後─

 

──完成だ。初めて発明品を造ったが、この出来なら心配は要らないだろう。

 

 

『…ほう?どんなモノだ?我に見せてみろ。拓海』

 

『良いだろうファヴニール。さあ刮目しろ!俺の発明品第一号、その名前は──

 

[呪力(じゅりょく)=マーブルンα]だ!!』

 

 

俺はそう言って機械的なリング─[呪力=マーブルンα]を取り出した。

 

 

『…は?』

 

『…え?』

 

『……』

 

『…ん?なんで呆けてるんだファヴニール?それにシルバーまで。初代様はなんとも言ってないけど』

 

『あ、いやうん、私達の事は気にせずともいいぞ拓海。それより続きを話してくれ』

 

『?…わかった。で肝心の機能なんだが、まず俺の腕に着ける』

 

『うむ』

 

『そして、俺の余分な呪力を吸って─』

 

『うむ』

 

『呪力をマー〇ルチョコレートに変換して…』

 

『…えっ?』

 

『腕輪のボタンをポチッと押してマー〇ルチョコレートを排出する』カラカラカラ…

 

『…そ、そうなのか』

 

『ちなみに光学迷彩もついていて、触れない限りは気付かないぞ!』

 

『………なんであんな物からこんな発明品が出来るんだ』

 

 

それに関してはレオナルド博士の発明だからね。仕方ないね。あのヒトもはや錬金術でも使ってるんじゃないかな?いやそうじゃないのは造った自分自身がよく解ってるんだけとさ。

 

 

『……呪力の問題が解決した所で、先ほど会ったアケノ、という子供についてだが─』

 

『あーはいはい分かってるよ、ファヴニール。

()()()()()()()()()()()って言いたいんだろ?』

 

『ああそうだ。ただし、半分だけだがな』

 

 

一目惚れのインパクトで忘れていたが、アケノ姉の気配に違和感を感じて、

「……ん?この気配…人間とちょっと違う?」

と、思っていたのだ。一目惚れのインパクトでそんなものは吹き飛んでいたし、どうでもいいしな。アケノ姉はアケノ姉だ。それさえ分かってれば後はどうでもいい。

 

 

 

 

 

──時は飛んで、4月某日─

 

 

 

 

「─母さんまだー?」

 

「ああ、ちょっと待っててね?もうすぐ支度が終わるから~!」

 

 

今日は幼稚園の入園式。俺は支度をもう終えてたのだが、母さんがまだ支度が整っていないので待機中である。

 

 

「─よし!支度終わったよ~!」

 

「じゃあ早く行こう!アケノ姉もそろそろ出る頃だよ?」

 

 

そう告げて家の玄関から出ると─

 

 

「おはよう!拓海くん!」

 

「あら、おはよう。拓海君。それに来谷さんもおはようございます」

 

「ああ、姫島さん、おはようございます。それにアケノちゃんもおはよう」

 

 

アケノ姉と姫島さんが居た。アケノ姉はこちらを見ると満面の笑みで挨拶をしてきた。惚れ直した。やはりアケノ姉は可愛い。

 

 

『そんなことを言ってないでさっさと挨拶を返せばどうだ?』

 

『ああ、そうだな。早く挨拶を返さないと』

 

 

そう念話でシルバーに告げると俺は笑顔でアケノ姉に向けてこう言った──

 

 

「─おはよう!アケノ姉!」

 

 




拓海にとってのイレギュラーその4、
『お隣さんが姫島家』…これが意味することは─分かるかい?

拓海にとってのイレギュラーその2、解消完了!
これによって、普段の拓海の呪力量は一流の陰陽師よりちょっと少ない程度の量になりました!

次回、『何故か神滅具(ロンギヌス)がありました!?(神滅具ってなに?ってか、戦闘回かよ!?)』

「……イヤだッ!!」


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何故か神滅具(ロンギヌス)がありました!?(神滅具ってなに?ってか、戦闘回かよ!?)前編

作「さて!やっと完成しました第四話。ですがちょっと読みずらかったようなので、分割しました」

拓海「今回と次は戦闘回…オイ待て作者。俺まだ幼稚園児だぞ?戦闘になったら真っ先に死ぬぞ?」

ユルフワ神「まあまあ、流石にそんな無茶はさせないと思うよ?──で、今回でボクの名前が出るんだよね?」

作「Exactly。それでは、どうぞ」


拓海side in

 

 

幼稚園を卒園し、朱乃姉と同じ小学校に入学して早3ヶ月。いやぁ、小学校も朱乃姉と同じとは…サンキュー神さま!あ、ユルフワ神じゃないぞ?この世界の神さまだからな?

 

 

『それはちょっと酷くないかい!?あと何時までユルフワ神って呼ぶのさ!?ボクには『ソロマ・ニィー』っていうちゃんとした名前があるんだぞ!?』

 

『え?ロマニ?』

 

『ソ・ロ・マ・ニ・ィ・ー!確かに声は似てるけどさ!?』

 

『ええ~?本当にでござるか~?』

 

『…嘗めてるよね?君、ボクのこと絶対嘗めてるよね?』

 

『インド繁栄ダンスで自分の人生台無しにしたヤツをお前は文句言わずに尊敬出来るのか?』

 

『いやそれはそうだけどさ!?そこは転生でチャラにならないのかな!?』

 

『それには感謝してますよ?でも感謝=チャラにするってのは違います』

 

『くそぅ!自分のミスだからなんとも言えないな!?』

 

『─まあ、そこら辺はどうでもいいのでそろそろ切っても良いですか?朱乃姉の家に遊びに行きたいんですが?』

 

『冷たいね!?もう少し関わりを持とうとは思わないのk──』

『ああ、うるさい。一旦切りますよ?』ブチッ

 

 

と言って、俺はユルフワ神──ソロマ・ニィーとの念話を切った。─ああ、そういえば重要な事を忘れていた。

 

まず一つ、小学生になったと同時に自分の部屋を貰った。前世では中3になってから自分の部屋を貰ったのでこれは純粋にうれしい。

 

二つ目、右腕にシルバーが、左腕にファヴニールがいる事が分かり、右腕にシルバーを鎧として呼び出す事が出来るようになったことだ。(その時には右目も変化した)

右腕に出したシルバーの力を持った鎧の事を、『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』と呼ぶ事にした。

形はかなり有機的で、手の甲にシルバーの眼と角があり、指の部分が牙のように鋭くて関節の継ぎ目が無く、かつ自由に動かせて、腕から肩の部分には大きな鱗が鎧のように付いている。

右目も瞳孔が縦に裂けて、色も黒から蒼く変わり、厨二病のヤツが見れば興奮するようなデザインだ。とかいう俺もこのデザインはかなり気に入っていたりする。

今のこの形態で使える能力は、『電撃放射』、『電気吸収』、『発電』、『雲量操作』、『電磁波や電流、生体電気の可視化』である。

前の三つはその名の通り、電気を出したり、吸収したり、電気を起こしたりする能力だ。

雲量操作は、その名の通り雲の量を操作する能力で、雲を薄くして晴れさせたり、逆に雲を集めて雨や雪を降らせたり雷を起こしたりする事が出来る。負担は結構かかるが。

最後の電磁波や電流、生体電気の可視化は、厳密には『右腕』の能力ではなく変化した右目の能力で、シルバーの右目が俺の右目と同化したモノらしい。この能力は『右腕』を展開せずとも使えて、能力のオンオフが出来るらしい。

そのシルバー自身は、『あれ?私ってこんなに多芸だったか…?』と呟いていたが、出来たモノは出来てしまったのだから仕方がない。

 

そして三つ目、特典の一つであるオレカバトルの全てのモンスターとアイテム、そして全ての技を習得できる…というヤツなのだが、まだ来ない、まだ来ない…と思って、俺が発明した超高機能スマートフォン『ポイポンΣ』! テテテーン!

を弄っていたら何故かメールが来て、こう書かれてあった。

『君の特典の一つ、オレカバトルのモンスターとアイテムをデータにして送ったよ。それをダウンロードすれば何時でもモンスターやアイテムを出す事が出来るよ!

…PS.オレカの技は自分で()()してね?

記憶には有ると思うから。

byソロマ・ニィー』

─というメッセージと共に、全てのオレカモンスターとアイテムが入っていると思われるファイルが付いていた。

技や魔法も、やりたいと思ったらちゃんと方法が思い浮かんだ。──練習しないと無理だったがな!!

ハヤテの『風車(カザグルマ)』って絶対途中で落ちるだろ!?プレス系とかどう出せばいいんだ!?電気系統の技や魔法は『右腕』を展開すれば可能だけど!

 

─最後にどうでもいい事だが、父さんから一枚の呪符を貰った。結界を作る呪符で、父さんが来るまでの時間稼ぎとして使え─と言われた。仕方がないが、今の俺は6歳の子供だ。技もあまり使えないし、前世も只の一般人。大人しく受け取って、外に行くときは必ず持っていっている。

 

─さてと、色々考えてるうちに遊びに行く準備が終わった。

ちなみに山の翁(じぃじ)は今日、セイントグラフカードになって休眠している。俺から流れる呪力を調整するのに一日位掛かるらしい。お疲れ様です初代様。俺の部屋でゆっくり休んでいてください。

 

 

「さあ遊びに行こう。朱乃姉が待っている!」ドタドタ

 

「─ん?拓海、遊びに行くのか?」

 

「あうん、そうだよ()()()!朱乃姉の家に遊びに行くの!」

 

 

この人は俺の父さん、来谷 和久(クルヤ カズヒサ)。40歳。土御門 有馬が先輩と呼んでるので、凄い陰陽師であるようなのだが…基本的に日曜日と祝日は家でだらけてるので、俺にはそうは思えない。身長はデカイけど腹出てるし。ハゲてるのに残り少ない髪を切って坊主頭にしてるし。本当に強いのか?あ、でも『島』にいないから強かった、なのかな?

 

 

「そうなのか。あ、ちゃんとお札は持ったか?」

 

「ちゃんと持ってるよ。ホラ」ピラッ

 

「ん。じゃあ良いだろう、気をつけてなー。5時半迄に帰ってこないと鍵閉めるぞ?」

 

「判ってる判ってる!じゃ行ってきまーす!」ガチャン

 

 

俺は、そう父さんに告げて玄関を出た。

 

 

 

<姫島家>

 

 

ピンポーン…

「朱乃姉~、遊びに来たよー?」

 

「─あらあら拓海君、よく来たわね~」

 

「あ、朱乃姉のお母さんこんにちは。…といっても、お隣ですけどね」

 

「でも庭の正門から家まで遠いから大変だと思うのだけれど…」

 

「大丈夫です、そこまで遠くませんし…」

 

 

─嘘だ。ぶっちゃけ家の縁側に来るまで上り坂だから地味に体力を使う…でも朱乃姉と遊びたいから登るのであった。

 

 

「あ!朱乃姉!なにして遊ぶ?」

 

「あ、拓海くんこんにちは!それは拓海くんにまかせるわ!だって私は拓海くんよりもお姉さんだもの!」フンス

 

 

ああ、可愛いよ朱乃姉!俺より歳上だからってお姉さんぶってドヤ顔してる朱乃姉可愛い!この前も

「私はお姉さんだから拓海くんより背が高いのよ!」

─って言ってたけど、その身長を俺に抜かされない為に給食の牛乳のおかわりを躊躇無く手に入れてたって言われてた朱乃姉可愛いよ!

 

 

「そう?じゃあ俺はね───」

 

 

─3時間後─

 

 

「──やったー!一着だ!」

 

「エーッ、拓海くん早すぎ!ズルい!」

 

「あらあら、二人とも元気で良いわね」

 

 

俺と朱乃姉は、朱乃姉のお母さんと一緒にダイヤモンドゲームをして遊んでいた。今は俺が二人を引き離して一番になった。

 

 

「──あら?拓海君そろそろ帰る時間じゃない?」

 

「あ、本当だ。もうこんな時間だ…」

 

「え?拓海くんもう帰っちゃうの?」

 

 

朱乃姉、その目で俺を見るのは反則です。でも帰らないと閉め出されるから帰らないといけないんです。ごめん朱乃姉。

 

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰りますね?」

 

「うー、でもまだ拓海くんと遊びたいです…」

 

「ダメよ。拓海くんも帰らないといけないし、それに朱乃はお姉さんでしょ?我慢しなさい?」

 

「……わかった。バイバイ、拓海くん…」

 

「ん、バイバイ朱乃姉」

 

「ええ、さようなら拓海く────ッ!?拓海君下がって!!」

 

 

 

 

 

───え?

 

 

ドゴォォォォオンッ!!

 

 

拓海side out

 

 

 

 

朱璃(しゅり)side in

 

 

拓海君が歩いていた場所に突如、炎の弾丸が打ち込まれた…!

 

 

「……ぐうっ…!!」ズザザザ…

 

 

…煙が晴れていくと拓海君の姿が見えてきた…どうやら無事のよう───ッ!?

 

 

「─ん?外したか?」

 

「いや、当たったには当たったな。射線上にいたガキにだが」

 

「お?じゃあ()()()()を殺ったのか!?」

 

「違うねぇ。当たったのは別のガキだぜ?…どうやら運悪く遊びに来ていたらしい」

 

「オイ待て、さっき術を受けたガキの右腕が─」

 

 

そう…攻撃を受けた拓海君の右腕は『大人の腕と同じくらいの大きさの鎧』を纏っていたのだ。

 

 

「───ほう、このガキも邪な血を引いていると見える。どうやらあの『右腕』で自分の身を守ったようだな…」

 

「へーえ?ガキなのに大した度胸と強さだなー?普通あのまま死ぬだろ」

 

「…まあ良い。殺す対象が増えただけだ」

 

「ッ…!」

 

 

やはり、彼奴らは姫島本家の…っ───何てこと……私達の問題に拓海君を巻き込んでしまった。──幸い、拓海君の右腕が身の丈に合わない大きさの銀の鎧に包まれた事で私の近くまで吹き飛ぶだけで済んだようね。

─でも状況は良くないわね、なにせ追手の数が多すぎる。見えてるだけで20人と少し、草を掻き分ける音もあちらこちらから聴こえる。この状況は──

 

 

「……完全に詰み─ということね…」

 

「ほう?出奔したとはいえやはり姫島の血筋か。─その通り。お前達はいわゆるチェックメイトに嵌まったのだよ、姫島朱璃。大人しくしていれば悪いようにはしないぞ?」

 

「お断りよ。どうせろくな目に遭わないわ──朱乃と拓海君もね」

 

「む?心配しているのか?ならば安心しろ。貴様は本家に連れ戻されるだけ。そのガキ二人も────その筋の所に送ってやるさ」

 

「─ッ!貴方達、本当に下衆ね…ッ!」

 

 

私の身はどうなっても構わない──けど、この二人に手は出させない!

 

 

「──ほう?抗うか…この状況で抗うことを選ぶのか」

 

「─この二人には手を出させない!『火焔よ』ッ!!」

 

「来たか、「「「「「『焔よ』ッ!」」」」」」

 

 

追手達は炎の弾丸を打ち出し、私はそれよりも格段に大きい炎の弾丸を打ち出した。

私が打ち出した炎は炎の弾丸を呑みこみ、追手の何人かを焼き尽くす。

 

 

「──グアァァッ!!」

「ギニャアアアァッ!!」

「か、体が焼けるゥゥゥ!!」

 

「──成る程、術の冴えは健在か…だが、いつまで持つかな?「「「「「『焔よ』!!」」」」」」

 

「…ッ!『火焔よ』!!」

 

 

私と追手達が放つ炎の弾丸が再びぶつかり合う。追手達の炎の弾丸を呑みこみまた何人かの追手を焼き尽くす…また追手が攻撃し、私が反撃する。それが何度も繰り返され、私は段々と消耗していった。

 

 

「────ハァ、ハァ、ハァ…」

 

 

…駄目ね、数が多すぎる。もう20人以上は減らしたのにまだ出てくる…

 

 

「──『火焔─ッ!?」

 

「ククク…どうやらここまでのようだな?姫島朱璃。どれ─『焔よ』」

 

 

───なッ!?そっちは朱乃が─!

 

それを認識した私は、朱乃を守るために駆け寄り、抱え込んで朱乃を庇った。

 

 

「───朱乃!ッアアッ!!」

 

「─か…母さまァァアッ!!」

 

「───ッ!!」

 

 

朱乃を庇った私は、その威力と衝撃に倒れ伏してしまう。痛みによって声も出せない。

 

 

「フッ、まさか邪な血の子供を守ってやられるとは、な…」

 

「母さま、母さま!!」

 

「─朱璃、さん…ッ!」

 

「隊長!この女をコイツらの目の前で()ってやりましょうよ!!そうすりゃこのガキ共も黙りますって!」

 

「馬鹿が、ここで()ったらあの堕天使が来てしまう。回収し、ずらかった後で好きなだけ犯してやれば良い」

 

 

ッ……ごめんなさい、あなた…朱乃達を守れなくて……朱乃、拓海君、こんなに不甲斐ない私でごめんね──

 

 

「母さまッ…母さまァァァァアッ!!!」

 

「──めろや、ろ……」

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

「さあ姫島朱璃、俺達と来てもらおうか─」

 

 

追手のリーダーらしき人物が迫ってくる。…ここで、終わってしまうの──

 

 

「た、隊長!?片方のガキの様子が!!」

 

「あ?どうし─」

 

 

「─止めろォォォッ!!!」

 

 

そう、拓海君が叫んだ瞬間、突如吹いた暴風が追手達を吹き飛ばした。

 

 

「「「「「──なッ!!?ウワァァァアッ!!!」」」」」

 

 

「…なに、が、起きて─!?」

 

 

───私が拓海君の方に目を向けると、そこには─

 

 

「──朱乃姉を悲しませるてめぇら全員…消えろッ!!」

 

 

─左腕にも身の丈に合わない大きさの黒い鎧を纏い、その周囲に小規模な竜巻をいくつも出している拓海君の姿があった。

 

 

朱璃side out




拓海にとってのイレギュラーその5、
『姫島家のいざこざに巻き込まれる』…原作乖離スタート。山の翁(キングハサン)は今回は出番なしです。


次回、『何故か神滅具《ロンギヌス》がありました!?(神滅具ってなに?ってか、戦闘回かよ!?)後編』


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何故か神滅具(ロンギヌス)がありました!?(神滅具ってなに?ってか、戦闘回かよ!?)後編

前編のあらすじ

小学生までの回想&ユルフワ神の名前決定。
  ↓
姫島家に遊びに行く。

姫島本家の追手登場。拓海、危うく死にかける。

朱乃の母、朱璃(しゅり)が抵抗するも二人を庇って倒れる。(死んでません)

拓海、覚醒? ←今ここ


拓海side in

 

 

──嘘だろ?戦闘?今?なんで?

 

俺の頭の中にはそういう言葉が何度も浮かんできた。無理もない。色々な能力を貰ったとしても、前世は一般人で今は子供。戦いの心構えなんて出来てる筈がない。そして痛い、シルバーが咄嗟に『右腕』を出して『電流操作』で俺の体を後ろに跳ばさなければ─死んでいたかもしれない。

──その事に気付いた俺は、顔を青ざめた。怖い、怖い、怖い…いつかは戦いに出るとは()()()()()()…でも、それが今だとは思いもしなかった。遊び終わって帰ろうとした瞬間に死んでいたと思うと足がすくんだ。

…今、山の翁(じぃじ)は呪力と魔力の調整でセイントグラフカードになって、俺の部屋にいる。ズレを修正するのに一日はかかるから、今回は来ない──そう考えていると──

 

──朱乃姉のお母さんが、戦い始めた。

 

無茶だ、無謀だ、勝てるわけがない。どう見ても劣勢。こちらは不利。─なんで?なんで立ち向かおうとするんだ?

──その事が顔に出ていたのか、朱乃姉が俺に向かって─

 

 

「─大丈夫、私の母さまは強いの。母さまが敵わなくても、父さまはもっと強いの。父さまさえ来れば、あんな人たちチョチョイのチョイ!ってやっつけてくれるのよ!」

 

 

─と、青ざめながらも、自信に満ちた顔で言ってきた……大方、俺を元気付かせる為なのだろう。─でも、俺はその言葉に安堵を覚えた。朱乃姉の父さんが来ればなんとかなるだろう、それまで持ちこたえれば大丈夫だろう─と。

 

 

 

 

どれくらい過ぎたのだろう、敵は確実に減っていた…だが、すぐさま他の奴等が来て無駄になってしまう。

─朱乃姉の顔にも、徐々に不安の色が見えてきた。

まだ来ない、まだ来ない、まだ──

 

『焔よ』

 

あ。──炎が、こっちに来て─

 

 

「───朱乃!ッアアッ!!」

──ドシュウッ!!ドサッ…

 

「─か…母さまァァアッ!!」

 

「───ッ!!」

 

 

朱乃姉のお母さん─朱璃さんが、俺達を、庇った。

朱璃さんが、倒れた。朱乃姉の父さんは、まだ来ない。

 

 

「フッ、まさか邪な血の子供を守ってやられるとは、な…」

 

「母さま、母さま!!」

 

「─朱璃、さん…ッ!」

 

 

朱乃姉が絶望した声で朱璃さんを呼ぶ。まだ生きている。そしてあいつらは、更に絶望を持ってきた──

 

 

「隊長!この女をコイツらの目の前で()ってやりましょうよ!!そうすりゃこのガキ共も黙りますって!」

 

「馬鹿が、ここで()ったらあの堕天使が来てしまう。ずらかった後で好きなだけ犯してやれば良い」

 

 

───え?…今、何て言った?朱璃さんを、犯す?

 

 

「母さまッ…母さまァァァァアッ!!!」

 

 

─朱乃姉が慟哭する。朱乃姉が悲しんでいる。多分朱乃姉は本能で、『朱璃さんが言うのも(はばか)れるほど酷い目にあう』と言うことを感じ取ったのだろう……

 

──ふざけるな

 

 

「──めろや、ろ……」

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

「さあ姫島朱璃、俺達と来てもらおうか─」

 

朱乃姉が悲しむ?朱乃姉が、嘆く?─朱乃姉が、絶望する?

 

──ふざけるな、ふざけるなよテメェら…

 

 

 

──その時、

 

 

「た、隊長!?片方のガキの様子が!!」

 

 

──俺の中から、

 

 

「あ?どうし─」

 

 

 

──何かが、吹き荒れた。

 

 

「─止めろォォォッ!!!」

 

 

 

ドビュゥゥゥゥゥウッ!!!!

 

 

 

「「「「「──なッ!!?ウワァァァアッ!!!」」」」」

 

 

「……拓海、くん?」

 

 

朱乃姉が俺を見る、すがるような目で俺をみる─

 

 

「大丈夫──とは言い切れないけど、頑張るから、そこで待ってて。朱乃姉」

 

 

───ああ、それだけで頑張ろうと思える。この戦いは勝つ必要はない。朱乃姉と朱璃さんを、朱乃姉の父さんが来るまで守り通せば良いだけ。だがそれでも──

 

 

「さあ──てめぇら全員…消えろッ!!」

 

 

──この感情(怒り)は、止められない。

 

 

「──連れてこい」

 

「──えっ?」

 

 

いつ目覚めたか分からないが、この『風』は俺の思い通りに動くらしい。俺はその『風』を使って、朱璃さんを朱乃姉の隣に連れてこさせる。初めてやってみたが、上手くできたようだ。

 

 

「─拓海君?いったい何が…」ドサッ

 

「──母さまッ!!」

 

「クッ…面妖な力に目覚めたか…」

 

 

喋れる迄になったか。じゃあ『コレ』を張らないとな。

 

 

「──浄め給え、護り給え─急急如律令!」

 

 

父さんが作った俺を守る為の結界の呪符、俺はそれを、朱乃姉と朱璃さんに使った。

 

 

「なっ─!?拓海君!何をしているの!これじゃあ貴方が─」

 

「拓海くん、一緒に入ろう!?お外は危険だよ!?」

 

「──アハハハ、そうは言っても、今の状態で簡単に入らせてくれないと思うし…それに、結界は二人で満員でしょ?」

 

 

俺一人なら余裕で入るが、子供と大人一人づつじゃギリギリだ。朱乃姉は戦えない、朱璃さんは背中に攻撃を受けて重症。今、まともに戦えるのは俺だけ。それなら──

 

 

「──やるしか無いじゃんか」

 

「喰らえ!『焔よ』!」

 

『走れ拓海!私達がサポートする!』

 

『呪符落とすんじゃねぇぞ、落としたら結界がパアだからな』

 

「分かってる!シッ!」ザッ!!

 

 

『右腕』の恩恵なのか、いつもより動き出すのが早い。これなら──

 

 

「─ッ…ラァァァアアッ!!」ドシュウッ!

 

「グガァッ!!?は、速い、なんだコイt」

(ほとばし)れ!」ババババッ‼

 

「アアアァァアァァァ…ッ…!!」ドサァッ…

 

「こ、このガキ、(イカズチ)を扱うぞ!!」

 

「か、囲め囲め!右には近づくな!雷を喰らうぞ!!」

 

 

─電流を出した瞬間にコイツらが恐れ始めた?電流に嫌な思い出でもあるのか?兎も角─

 

 

「──斬り刻め!」

 

─ビュオオオッ!!

 

「グアァァッ!!」ザシュザシュッ!

 

「ギニャァッ!!」ザシュザシュクッ!

 

「ァア"ア"ア"ッ!!」ザシュザシュザシュッ!!

 

 

さっき風を使ったのを忘れていたのか?油断大敵だな。

 

 

「ッラアァッ!!」ドシュグリッ!!

 

「ひっ!や、止め──」

(ほとばし)れ!」ババババッ‼

 

「アバババビビバビババ…!!」ドサァッ…

 

「……ッハア、ハァ、ハァ…」

 

 

体が重い…?──やり過ぎたか…?

──一瞬、俺の意識は戦闘から逸れていた─その一瞬が命取りだというのに。

 

 

『──ッ!拓海!気を抜くな‼』

 

「─オラァッ!!」ドゴッ

 

「ッ…グガッ!!?」ドシャッ、ドサササ…

 

 

「ハァ…ハァ…オラッ!この、糞ガキが!調子、乗ってんじゃ、ねぇ!!」ドガッ、バキッ、ゴスッ

 

「アガッ、ウグッ、ウゲッ、オグッ!」

 

 

 

 

───痛い。

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ───痛い!!!

 

未発達な自分の体に何度も何度も何度も何度も蹴りを入れてくる。

腹を蹴られる。肩を蹴られる。顔を蹴られる。足を蹴られる。胸を蹴られる。─腕を蹴られる。特に右腕を蹴られる。─でも、耐えなければいけない。俺が呪符を落としたら結界が無くなる。朱乃姉が狙われる。それだけはダメだ、朱乃姉が無事ならいい。その為ならば───

 

 

「拓海くん!拓海くん!!拓海くんッ!!!」

 

「止めてッ!それ以上は、拓海君が死んじゃうわ!!」

 

「この、この、この、このッ!!」ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!

 

「待て、一端止めろ。──さて小僧。その左手に握っている呪符を離せ…そうすれば命は助けてやろう」

 

 

…その為なら──

 

 

「……イヤだッ!!」

 

「──何?」

 

「──コレを離したら朱乃姉が狙われる…殺される…」

 

「そうなるなら、俺は──」

 

 

「たとえ、死んでもコレを離さないッ!!!」

 

──死んだ方がマシだ。

 

 

「──チッ」

 

「ああ、分かったよ。じゃあさっさと死にやがれッ!!」

 

 

「ッ…!!」

 

 

「──拓海君!」

 

「──イヤァァァアアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「──(ばく)

 

 

 

 

 

「───?」

 

 

蹴りが、来ない─?それに、今の声は───

 

 

 

「──全く、帰りが遅いと思って町中探し回ってたら、急に呪符が反応して駆けつけてみたら…家の隣にいたのか─」

 

 

「──だ、誰だお前は!?」

 

「──オレ?オレはな…」

 

 

 

「─そこでお前らがボコってる子供の父さんだ」

 

 

「───父、さん…?」

 

 

なんで、父さんがここに?

 

 

「──成る程な。大体の状況は理解できた…」ザッ、ザッ

 

「ほう?この邪な血の子供の父親か。じゃあ言ってやってくれ、さっさと抵抗を辞め──」

 

「五月蝿い。密天斬符(ミッテンザンフ)、急急如律令」

 

ビュオオオッ!!ズバババッ!!

 

「「「グアァァッ!!?」」」

 

 

父さんが投げた呪符を中心に風が吹き荒れて、俺の周りの敵が吹き飛ばされる。しかし、俺にはそよ風しか感じなかった。それを見た父さんは俺の方へと歩いてきた。

 

 

「『治天療符(チテンリョウフ)』、急急如律令。全く…こんなに無茶しやがって、死んだらどうする気だったんだ?」

 

「──っだって…朱璃さんがやられて…朱乃姉は戦えなくて、じゃあ俺が戦うしかないって……」

 

「───ハァ、この考え方は俺に似たのかねぇ…まあ兎も角──」

 

「─よく頑張ったな。後は父ちゃんに任せとけ」

 

「──うん、そうす、る……」

 

 

──そう言って、俺は気を失った────

 

 

拓海side out

 

 

 

 

和久side in

 

 

「───クソッ、なんだあの結界は!?」

「もう何十発も撃ったぞ!?いくらなんでも固すぎる!!」

「一番強い術を撃ったのにびくともしていないなんて…どんな結界だ!?」

 

 

ハァ、いくら撃っても無駄だとは気付かないのか……

俺は自分の息子──拓海を持ち上げ、左手に握った呪符を取って結界を再構築すると、頭上に気配を感じた──まあ元々一緒に来たから気付くのは当たり前なのだが。

 

 

「──和久殿。もうよろしいので?」

 

「ああ、とりあえず話は終えましたよ。──えっと…朱乃ちゃんのお父さん」

 

バラキエル、でよろしいです」

 

「あー、すみませんねバラキエルさん。ついでと言ってはなんですが……拓海を朱乃ちゃん達の結界に入れて貰えませんかね?」

 

「───あまり、減らし過ぎないで貰えると助かるのですが…」

 

「……バラキエルさんの気持ちも分かりますが──それは保証出来ませんね。何せ──」

 

「自分も、今我慢していますので」

 

「──承知しました。では早めに戻りますので─」ブァサッ!!

 

「頼みますよ。──さてと、お前らは俺の息子やあっちの朱乃ちゃんのお母さんを殺そうとしたようだな…」

 

「───い、一度落ち着いて話をしよう。そ、そもそもこちらは殺すつもりでは──」

 

 

「だが、それに近い事をしたのは事実。そうでしょう?」

 

 

「し、しかしそれはあちらが抵抗したからで──」

 

 

「朱乃ちゃんのお母さんだけではなく、子供の拓海までもが抵抗しようとするような事をしたんだろう?」

 

「で、でも──」

 

 

「言い訳は聞き飽きた──さっさと黙れ。『縛』」

 

 

「マッ、あ──ガッ──」

 

 

「──無論、永遠にだ。『(アツ)』」

 

バシュッ!!ビシャァァァッ!!!ブシュクッ!!!

 

 

──『(バク)』と『(アツ)』。俺が編み出した結界の応用術式の一つ。呪符を対象に向けて『縛』と言うだけで身動きを封じ、『圧』と言って呪符を握り潰す事で封じた対象を圧殺する術式。──自慢じゃないが、コレで婆娑羅以外の大半のケガレを祓ってきた。その婆娑羅と言えど、まともに喰らえばタダでは済まない。──それを俺は容赦なく使った。

 

 

「──『縛』」

 

「ヒギッ」

 

「『圧』」

 

ブシュクッ!!!

 

「──『縛』」

 

「ゆ、許し─」

 

「『圧』」

 

ビシャァァッ!!!

 

「──『縛』」

 

「い、嫌だ──」

「し、死にたくな──」

 

「──『圧』」

 

ビシャァッ!!!バシュゥゥッ!!

 

 

完全に頭に血が回っていた。後もう少しで拓海が殺される所だったのだ。正気でいられる筈がない。怒りに任せて、何度も、何度も、何度も、『縛』と『圧』を使い続けた。途中から雷鳴の音が聴こえたが、知ったことではなかった。

───そして、最後の一人を──

 

 

「た、助けてくれぇぇええ!!!」

 

「──『縛』」

 

「雷光よ!!」

 

ビシャアアアアンッ!!!

 

 

「───アガッ、ガガガ──」

 

「──『圧』」

 

 

──バシュッ!!

 

 

───バラキエルさんが仕留めた後、圧殺した。

 

 

和久side out

 

 

 

拓海side in

 

 

「───んん…あれ?アイツらは…?」

 

 

──俺が気を失ってからどれくらい経ったのだろう、空が赤いので、外にいることは分かる。そしてこの匂いは──

 

 

「───拓海くんッ!!!」

 

「オヴッ!?──あ、朱乃姉!?大丈夫!?」

 

「それは拓海くんの方だよバカァ!!」

 

「バッ………!!?」

 

 

バカって言われた!?朱乃姉にバカって言われた!?ヤバイ泣きそうになってきた─

 

 

「───ひぐっ、えぐっ、だぐみぐんのばかぁ……ばかぁ!」

 

「朱乃姉ェェェエエッ!!!?」

 

 

え?なんで朱乃姉泣いてんの?俺なんかやった!?

 

 

「─あ、朱乃姉!?なんで泣いてんの!?」

 

「うう…だぐみぐんのばかぁ!わだじと母さまが生ぎででもたぐみぐんが死んじゃったらダメだよぅ!!父さまどたぐみぐんの父さまが来ながったら死んでたんだよ!!?」

 

「──ッ…」

 

 

──そうだ。あの時俺は朱乃姉達の生死を考えていても、自分の生死を考えていなかった。それどころか、()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()…これは今考えてみれば少し異常だろう。──後で少し、あのユルフワ神に聞いてみなければ──

 

 

『だからユルフワ神じゃなくてソロマ・ニィーって言ってるだろう!?何度言わせれば分かるのさ!?』

 

『──丁度良い。ソロマ、アンタに聞きたい事がある…』

 

『──ああ、何故元一般人で現在小学生の君があんな行動を取れたのか、それは転生のシステムが関係しているらしいんだ…』

 

『──システム?』

 

『ああ。いくらボク達神達が創ったとはいえ、システムはシステム。バグだってあるさ…その一つが今回の行動だ。よく聞きたまえ、拓海君。今の君の魂は──』

 

 

『自分の大切なモノを護るために、一切躊躇(ちゅうちょ)しなくなっているんだ』

 

 

『──え?それはどういう事で?』

 

『簡単に説明すると、自分の事より自分の大切な人や物の方が重要になっているんだ。──それこそ、死んでしまっても大切なモノを護れたならどうでも良い、むしろそれで良いと思ってしまう』

 

『…なんでそこまで判っているのに直して無いんだ?』

 

『確かに君やボクは何故?と、思うが──そういう人間を見て愉しむ(ヤツ)もいるのさ…』

 

『──そう、なのか…後、もう一つ聞きたいんだが─』

 

『ん?なんだい?』

 

『先程の戦闘で左側のファヴニール…仮に『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』としますが…アレと同時に目覚めた()()に心当たりはないのか?』

 

『──あー、アレ、か…あの力は神器(セイクリット・ギア)っていうモノの一つで、その中でも群を抜いて強力な神器──』

 

神滅具(ロンギヌス)の一つ、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)という力さ』

 

 

『───ろ、ロンギヌス?』

 

神滅具(ロンギヌス)する道で、神滅具だ』

 

『は、はあ…で、その(ゼニ)…ゼ、ゼニ……ゼニ、テンなんちゃら──ああもう煌天(ゼニテン)で良いや。この煌天(ゼニテン)はどんくらい強いの?教えてソロえもーん』

 

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)!そんな略し方初めて聞いたよ!?後、ソロえもん言うな!!

──ンッン!とりあえず、煌天雷獄は今のところ上から二番目に強いね。何せ天候やあらゆる属性を司る事が出来るんだからね!』

 

『え、それ普通に強くないっすか?なんで俺にあるんですか?』

 

『さあ…そればかりは運だからね…ボクには分からないんだ』

 

『はあ…そうですか。じゃあ今回はこの辺で失礼します』

 

 

──そう言って、俺は念話を切った。

 

 

「─────すぅ…すぅ…」

 

「──ああ、泣き疲れて眠っちゃったのか。朱乃姉」

 

 

今だ地面に大の字になっている俺に、朱乃姉は泣き疲れて眠ってしまっていた。

 

 

「───『大切なモノを護るために一切躊躇しなくなった』、か……まあ、悪くはないかも。

──という考えが普通に浮かぶ時点で、俺の魂はもう壊れてるんだな…」

 

 

まあ良い。護りたいという考え自体は悪いものでは無いんだ…それなら、護れるようになるまで強くなれば良い。

 

 

「───父さん、あの数をほぼ一人で倒したのかな…?じゃあやっぱり強いのか……鍛えてくれるかな?」

 

 

どうせ陰陽師になって鍛える事になるんだ。それなら、早めに鍛え始めた方が良いだろう。

 

 

「───今度の日曜、父さんにお願いしてみるか…」

 

 

──俺、来谷拓海の人生観は、行き先は、目指すモノは、この瞬間に決まったのだろう。

 

 

 

『なんとしてでも強くなって、朱乃姉を護る』──と。

 

 

 

拓海side out

 

 

 

和久side in

 

 

「───ええ、そうです。今回姫島の連中が家の(せがれ)を叩きのめしまして──はい。それで貴女の力を借りたいのですよ──」

 

 

 

 

「───天照大神様」




拓海にとってのイレギュラーその6、
『魂の結構重要なところが狂っている』…神様転生でよく主人公があまり力をふるうのを戸惑わない事の原因を自分なりに解釈してみました。(あくまでも個人の考えです)

拓海にとってのイレギュラーその7、
『神滅具、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)を宿してしまっていた』…天界には行きません。禍野には行きます。


次回、『『両腕』と煌天雷獄が伝わります。(姫島家のいざこざは回想で─)』


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『両腕』と煌天雷獄が伝わります。(姫島家のいざこざは回想で──)

作「──出来なかったよ……」

拓海「ドンマイ、作者。前回お気に入り百件突破したから元気出せ」

ソロマ「次からは、書いてから予告しようか?」

作「そうします……では!第六話、どうぞ!」


拓海side in

 

 

あんなこと(姫島家の騒動)があった次の日、俺と朱乃姉は学校を休んで、その姫島邸にいた。朱乃姉は騒動の後という事で大事を取って休むため、俺については──

 

『両腕』と煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の件の為である。

 

まあそうだろう。普通だと思っていた小学生の子供があんな異能を持っていたのだ、問い詰めずにはいられないだろう。

 

いや、でもしかし、やはり怖い。

今までずっと黙っていた事をどう話すか、どうしてこの力を持っていたのか──それを聞かれて拒絶されるのが怖い。

 

 

「──で、拓海」

 

「─ッ!」

 

「あの腕はどうしたんだ?右と左で色が違っていたようだが?」

 

「………ッ…」

 

 

どうする?正直に言うか?でも転生者と言っても信じてもらえないだろうし──

 

 

「──右の方…『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』は物心がついた時に気が付いたらあった。左の方…『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』は今回が初めて出した」

 

「……そうか。じゃあ何故あるのかは分からないんだな?」

 

「………うん」

 

 

──俺は真実を織り混ぜながら嘘をついた。

まだ俺は『転生者』来谷 拓海──ではなく、『来谷家の長男』来谷 拓海、としてこの世界にいたい。そう考えていると、何処かからか大きな羽音が聴こえてきた。

 

 

「───和久殿。お待たせ致した」

 

「ああ、バラキエルさん。──そちらの方が家の倅の力に詳しい方ですか?」

 

 

バラキエルさんの後ろにいる人?は前髪を金髪に染めているちょいワル親父みたいな姿で、バラキエルさん同様に人ではない気配をしていた。

 

 

「──ん?こいつが俺に見せたいって言ってた神器(セイクリット・ギア)使いか?バラキエル」

 

「ああ、そうだアザゼル。この子が朱璃と朱乃を守ってくれた子だ」

 

「──ッ!…こいつが、か……」

 

 

成る程。このまだ厨二病を患ってそうなオッサンの名前はアザゼルというのか……アザゼル?…ってことは堕天使なのか?オレカのデザインとは違うけど。

 

 

「───オイ、坊主」

 

「いや、坊主じゃなくて禿げてない所の髪を全て剃ってるだけですが?」

 

「…スマンが、アンタじゃないぞ?ってかそれで良いのかアンタは?貴重な髪の毛を剃っていて──いや、話が逸れたな。そこのガキンチョ、とりあえず出せる力全部出してみろ。どんな神器か見てやるから」

 

 

──ああ、そうか。昨日の戦闘で使ったシルバーとファヴニール、そして煌天雷獄の力を見るために来たのか……見せてほしいってか?見せてやるよォ!!

 

 

「──シルバー、ファヴニール」

 

『承知した』

 

『良いだろう』

 

 

俺は二体の名前を呼んで『右腕』、『左腕』を展開する。

蒼い稲妻を纏わせて『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』を、

闇の瘴気を纏わせて『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を。

それぞれの腕に展開させてアザゼルに見せる──そうすると、少し驚いたような顔をしていた。

 

 

「──ッ…!こいつぁ何だ?『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』じゃねぇな。やけに有機的だ…指の部分に関節の継ぎ目が無いのに曲げれる……しかも硬い。まるで牙のようだ──手の甲が龍の頭部になっているのはそういうことか…?しかも二つとも色が違う。ということは二頭のドラゴンがいるという事か……?」

 

「あのー、もう一つあるので少し離れてくれませんかね?」

 

「ハァ!?もう一個あるのか!?」

 

 

驚いているアザゼルは放っておき、俺は『両腕』を解除し『煌天雷獄』を発動させて、風を集めて小さな竜巻を造り出す。ついでに雲を集めて雨を降らせるか試しておこう。

 

 

「──お、両立できた」

 

「───オイ、オイオイオイッ…まさかこいつは…!」

 

「…アザゼル、この力はまさか──」

 

「ああ…『煌天雷獄』の可能性が高いぜ……ハハッ、トンでもねぇ規格外野郎が生まれて来やがった……」

 

 

──まあ特典を貰ってるから規格外なのは違いないけど、でも生まれた家と『煌天雷獄(この力)』は予想出来なかったよ…説明しろソロえもん。

 

 

『いや、ボクもこんなになるなんて思ってもいなかったからね!?あとソロえもん言うな!!』

 

『呼びやすいから良いじゃないか。そうカッカすんなよ』

 

 

ソロえもんの説明になってない説明と文句を聞き流して『煌天雷獄』を使って雨を止めると、アザゼルが話し掛けてきた。

 

「──あー、ガキンチョ。名前聞いてなかったな、なんて名前だ?」

 

「──拓海。来谷 拓海」

 

「そうか……じゃあタクミ、ハッキリ言うが…

 

お前のその力、危険すぎるぜ」

「得体の知れない神器二つを持ってるだけでもヤバイのに、神滅具でトップクラスの力を持つ『煌天雷獄』まであると来た。悪魔共なら即行で『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を埋め込まれて転生させられるだろう。さっさと自衛手段を身に付けろ…将来取り返しがつかなくなるぞ」

 

「───そうですか…とりあえず、さっさと鍛えて強くなれ─という事ですか?」

 

「──?ああ、そうだが?」

 

 

そうか…正直運動とかしたくない。でも今からしないと後々ヤバくなる──朱乃姉を護れなくなる…なら───

 

 

「──父さん、お願いがあります」

 

「……何だ?」

 

「──俺を、鍛えてください」

 

「───本気か?拓海」

 

「本気。そもそも俺の家、普通の家じゃないんでしょ?多分陰陽師とかそこら辺の家系──なんだよね?」

 

「───どうして、それを…」

 

 

父さんが目を見開いて俺を見る。そりゃあ小学校に入って三ヶ月の子供から()()()なんて言葉は普通出てこない。

 

 

「図書館で読んだ事があるんだけど、陰陽師って()()()()()って言葉を言うんでしょ?俺が渡された御札を使うときの呪文も最後に急急如律令って言ってたから、そういう家系じゃないかなって」

 

「───驚いた。あんな神器を持ってやがんのに、頭の回転も速いとはな……で、どうすんだ?タクミの親父さん」

 

「……」

 

「……和久殿、気持ちは分かります。私だって朱乃に雷光の力を教えるのは戸惑います…ですが、拓海君自身が教えてくれと言うのです」

「あの様な戦闘を体験して、逃げた方が余程楽なのに、それでも覚悟を決めて戦う術を得ようとしているのです──こうなったのは私にも責任があります、なのでその為には協力は惜しみません──」

 

「─────分かった、教えよう」

 

「──ッ!!」

 

 

「……ただし、自分の子供だからといって手加減はしない。全力で鍛え上げてやる。途中で辞めるのは認めんぞ。それでも良いのか?」

 

 

───途中で辞めることが出来ない、だと?

 

 

「───上等。むしろ辞めさせないくらいが丁度良い」

 

「言ったな?男に二言は無いぞ?」

 

「ああ、撤回する気もない」

 

 

俺は元来飽き易い性格だ。それこそ強制的にやらせないと駄目だと自分でも分かってる!だからこそ自分で自分を追い込む!

 

 

「───んじゃあ、俺はそろそろ行くぜ。用は済んだからな」

 

「ああ、連れ出して済まなかったな。アザゼル」

 

「気にすんな。むしろよく連れてきた。タクミを見てなかったら色々ヤバかったかも知れなかったからな──オイ、タクミ!」

 

「──ん?」

 

「暇な時があったら『神の子を見張る者(グリゴリ)』に遊びに来い!お前と同じ神器使いが結構いるからな!」

 

「──研究と称して拓海君に変なことをさせるなよ?私は、拓海君に味方するからな?」

 

「わ、分かってるよバラキエル。ったく、信用ねぇな……──ともかく、俺は帰るぜ。じゃあまたな、タクミ!」

 

「──ヘイヘイ、暇があったら遊びに行きますよ」

 

 

別れ際にそう告げて、アザゼルは帰っていった……面倒そうな相手に目を付けられたものだ。

 

 

「さて、帰るぞ拓海。お前が鍛えてくれと頼んだんだ、弱音を吐くなよ?」

 

「ん、分かってる。じゃーねー朱乃姉。また明日!」

 

 

と、そう朱乃姉に告げると…

 

 

「───うにゅ…拓海くんバイバイ…」ウトウト

 

 

──という可愛い返事を返してくれた。可愛い。

そうして、俺と父さんは姫島家を去ったのであった。

 

 

 

<来谷家>

 

 

来谷家に帰って早々、父さんがこう告げてきた。

 

 

「──拓海、とりあえず腕立て伏せ70回、腹筋70回、その後に家の周りを二十分間走れ。終わったら俺に言ってこい」

 

 

───どう聴いても六歳の小学生にやらせるメニューじゃねえ。と、思いながらそのメニューを開始。なんとかメニューをこなして父さんに終えたことを伝えると──

 

 

「そうか。じゃあもう一度やってこい」

 

「───え?」

 

「ん?だから、今終えたメニューを、もう一度やってこい。と言ってるんだが?」

 

 

「───えっ?」

 

 

──ちょっと待って?父さん今なんて言った?もう一度?あの小学生でも到底できない鬼畜メニューを?もう一度!?もう一度(One more)!!?

 

 

「拓海、良いからやってこい。弱音は吐いても良いが、途中で辞めるのは認めん」

 

「──えっ、でも」

「認めん。良いな?」

 

 

「───アッハイ」

 

 

──その後、死ぬ気でなんとかメニューを終わらせた俺は、死に体で終わらせたことを父さんに伝えると……

 

 

「そうか……今日はもう遅いし、これぐらいにしておくか。だが───」

 

「八月までにはこのメニューを最低でも4セット、疲れずに出来るようになれよ?」

 

 

───つまり…一日で最低でも腕立て伏せ280回、腹筋280回、家の周りを80分も走っても体力を大幅に残せるようになれ、という事か…ハッハッハッ、そうかそうか──

 

 

──鬼畜過ぎるわッ!!!




拓海にとってのイレギュラーその8、
『アザゼルに目を付けられる』…拓海がそんなにアザゼルを警戒していないのは、単純にあまり知らないからです。


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また禍野に行きました。(初めての禍野は3歳だァーッ!!)

作「UA一万突破!の第七話!」

拓海「筋トレ後の話だな。あんなのが出てくるなんて思ってなかったぜ…ダイジェストだがな!」

ソロマ「ハイハイ、とりあえず落ち着いて。それでは第七話、どうぞ」


拓海side in

 

 

──あの宣言をされてからもう4ヶ月。

なんとかあのメニューを五回ほど苦もなく出来るようになった後、とある山に連れて行かれた。

「とりあえず死ぬ寸前になったら止める」と言われ、山の中に入れられた。……先に結論から言うと──

 

ここは山ではなく、YAMAだったのだ。

 

そう。YAMAである。型月(TYPE MOON)では強者をポンポン生み出しているあのYAMAである。あの小次郎擬きのNOUMINが『秘剣 燕返し』を修得した、あのYAMAである。一応、死にかけた時は父さんが助けてくれたが、助けてくれなければ軽く30回以上は死んでいたと思う。

 

疾すぎて全く見えない何か(後で(TUBAME)だと教えられた)、

辛うじて見えたが、次の瞬間には吹っ飛ばされて殺されかけた(INOSHISHI)

更には打撃も煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)も効かず、5mの巨体でありながら(INOSHISHI)に匹敵する速さを持ち、爪の斬撃を飛ばすヒグマ(HIGUMA)等々………

──ちなみに、夏と冬の2回YAMAに行くらしい。

…あのメニュー、冬までに二桁まで出来るようにしよう。さもないと死ぬ。

ってか父さんYAMA育ちだったのね。半信半疑だったけどヒグマ(HIGUMA)のパンチを片手で止めたのを見て確信したわ。

 

──父さんと言えば、6月のあの騒動(姫島家のいざこざ)の後始末のときに判明した衝撃の真実があった。姫島本家に行く際にとある神社に連れてかれたのだが、その神社は()()()()で、父さんが顔パスで神宮の中へと進むと一人の美女が居たのだが…

 

その人、いや神は天照大神(あまてらすおおかみ)だったのである。

──天照様は俺を持ち上げると抱き締めたり、頬擦りしたり、密着したままで頭を撫でたりとやりたい放題してくれたのである。

───正直なところ、天照様よりは朱乃姉にやってもらいたかった。

 

で、一番驚いたのは、俺を抱いたまま父さんと一緒に姫島本家に来た事である。

日本神話の主神が自分の父親と一緒にカチコミとか意味が分からない。当然、姫島本家は大慌て。

朱璃さんや朱乃姉達に追手を出した連中を破門するわ、目の前で当主が変わるわ、挙句の果てには天照様が直々に脅しにかかるわ、と本当に何をしたらこんな光景が観られるんだとパニックになった。

 

後で「どうして天照様と知り合ったの?」と聞いたら、

 

「外国から天照様に掛けられた呪いをたまたま解呪したら三度だけ自分とその家族に力を貸す、と約束を貰った」と言った。

──ちなみに、それを聞いた後の記憶が帰るまで無かったのは仕方ないと思う。

 

 

 

 

「────とまあ、こういう配置で呪符を張れば良いわけだ。分かったか?」

 

「あ、うん分かった」

 

 

──そして今、父さんに陰陽師の知識を教えてもらっているのだ。経験談も話してくれるから、かなり分かりやすい。分かりやすいんだけど……

 

 

「あ、そうだ拓海。明日ちょっと禍野に行くぞ」

 

「──え?」

 

 

──こういう風に重要な事をさらっと言わないでほしい。

 

 

 

<翌日>

 

 

 

自分にしてみれば二回目の禍野。

今回は、父さんのお下がりの戦闘服を着ることになったのだが───

 

 

「……袖がブカブカなんだけど…」

 

「ん?そうなのか?」

 

「父さん子供の頃どんだけデカかったのさ…」

 

「背の順で並んだ時はいつも後ろだったな」

 

「子供の頃からデカかったのか…で、今何センチ?」

 

「うーむ…190ちょっとじゃないか?」

 

「父さん本当に日本人?」

 

 

やはりYAMA育ちは違ったようだ。まあHIGUMAと張り合う力があるから妥当といえば妥当だろう。

 

「──じゃあ行くぞ。禍野門(まがのと) 開錠(かいじょう) 急急如律令!!

 

「──ッ!!」

 

 

その呪文を父さんが唱えた直後、自分の目の前に(あな)が現れて、そこに父さんが飛び込んだ。

 

 

「拓海、先に行くぞ」

 

「ちょっ、父さん待って!?」

 

 

そして自分もその孔に飛び込んだ。

 

 

<禍野>

 

 

(───二回目、だな…)

 

 

自分から来るのは初めてだが、『禍野に来る』という事自体は二回目だ。奇妙な色の空、瓦礫だらけの地面、倒壊している建築物──やはり禍野(ここ)はイヤな空間だ。

 

 

「───来たぞ、拓海。あの『両腕』でも纏っておけよ?」

 

「嘘ッ、こんなに早く来るの!?──シルバー!ファヴニール!」

 

『出番だな!』

『任せておけ』

 

 

二人の名を呼んで『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を展開した直後、二体のケガレが現れた──!

 

 

「ググググ………!」

 

「ヒャヒャヒャヒャ!!」

 

「……C級とD級か…拓海!C級──デカイ方は俺がやる!D級──そんなにデカくない方はお前が倒せ!」

 

「───ハイ?」

 

 

デカくない方……ヒャヒャヒャって笑ってる(?)ヤツか?いや無理でしょ。隣に比べたら小さいだけで十分大きいからね?俺だけじゃ無理だよコレ!?

 

 

「とりあえずこっちが終わるまで生きてろよ!」

 

 

父さんがそう告げた直後、あまりデカくない方のケガレが攻撃を仕掛けてきた。

 

「え?ちょっ、父さん!?父さぁぁん!!?」

 

「ヒャヒャヒャア!!」

 

「ゥオオオオ!!?…って、あれ?」

 

 

デカくない方の攻撃を大袈裟に避けたのだが、思ったよりも遅く、デカくない方は俺を見失っているようだ。

 

 

「ヒャヒャヒャ…ヒャア?」

 

「(うーん、何て言うか遅いな。TUBAMEはまだしもINOSHISHIより遅いとは思ってもいなかった)」

 

 

とりあえずアイツが()()()()()()()()()という知恵をつけて無ければ、攻撃は油断しない限り当たらないだろう。だが問題は───

 

 

『どうやってダメージを与えるかだよなぁ…まだ俺結界術しか習ってないし……』

 

『そういえば、普通の攻撃手段ではダメージを与えられないんだったか?』

 

『面倒なヤツだ…山の翁(キングハサン)を呼んで()()()()()()良いだろう?』

 

『それじゃあダメだ。ここで少しでもダメージを与えないと陰陽師の修行をさせて貰えないかもしれない…やるしかない!』

 

 

──といったものの、どうダメージを与える?今、俺が持ってるのは『銀竜の右腕』と『漆黒竜の左腕』、山の翁(じいじ)のセイントグラフカード、『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』、そして多大な呪力……呪力?

 

 

『………!』

 

『ん?どうした拓海、何か思い付いたのか?』

 

 

そうだ。殆どの陰陽師は呪力を呪装にして戦っている……それなら!

 

 

『呪力を両腕に纏わせて殴ればいい!』

 

『───どうした?朱乃姉朱乃姉と慕いすぎてついに頭のネジがトんだのか?』

 

『酷でぇな、ファヴニール!?とりあえずやってみなければ分かんないし、それに朱乃姉は関係ないだろ!?』

 

『………拓海、一度精神科に行ってはどうかと私は思うのだが…』

 

『シルバーまで!?もういい!俺はやるぞ‼』

 

『『えー?本当にでござるかぁ?』』

 

 

ボケに走っとる場合か!と、念話を打ち切った後に俺は両腕から呪力を漏らす。そして腕全体に纏わせ始める!イメージは腕に泥を塗りたくって固めるイメージ。満遍なく、そして強固に‼塗り固める!!!

 

 

「ヒャ!?ヒャヒャヒャヒャアッ!!!」

 

 

──気づいたか。でもなんとか工程は終えた!後は殴るだけ!『脳筋じゃないか』と言われているような気がするが、今はどうでもよし!右腕(シルバー)のブーストで勢いをつけて──

 

 

「───ッラァァァア"ア"ア"ッ!!!!」

 

 

──ぶん殴る!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴリュゥッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャ?ヒャヒヒャア"ア"ア"ア"ッ!!?」

 

 

 

────陶器に(ひび)が入るような音、風船が割れるような音と同時に、ケガレは吹っ飛ばされていった……吹っ飛ばされたケガレを見ると、顔に罅が入り、衝撃で痙攣していた。……そして、俺は確信した。

 

────コレでいける!と……

 

 

『なん……だと……!?』

 

『ウソダドンドコドーン‼』

 

『シルバー!ケガレが怯んでいる内にEX技を打ち込むぞ!!勿論呪力を混ぜてな!』

 

『くっ、出来たものは仕方ない…往くぞ!!』

 

 

───EX技。オレカモンスターの必殺技で、タイミングによっては逆転を狙える場合もある。

 

 

「『──セーフティ解除。電力集中!』」

 

 

『銀竜の右腕』を纏った俺の手の平の水晶体を、ケガレに向ける。ズレが無いように右腕を左手で固定。『右腕』の後部から風を出して反動を最低限にする。

 

 

「『此れは我が雷霆(らいてい)、我が力。天の雷を喰らうがいい!』」

 

「ヒャ、ヒヒャア!!」

 

 

ケガレが逃れようと移動し始めるが、移動した所で関係ない。右手を向けた射線上を全て()き尽くす、それがシルバーのEX技───

 

 

 

 

「『天ノ神鳴リ(アメノカンナリ)』イイイイッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

───刹那、周囲が光に包まれ、すざまじい熱量と爆音が鳴り響いた。

 

数十秒もの間それは続き、終わった時には───

 

ケガレ、廃墟、地面…全てが灼けていた。

 

拓海の正面の視界は拓けて、在るのは瀕死のケガレのみ。

そのケガレも腕を伸ばして足掻こうとするが───

 

 

「ヒャ…ヒャ、ヒャ……」

 

 

──────その前に力尽き、完全に祓われた。

 

 

 

 

「………あー、やり過ぎた?」

 

『間違いなくオーバーキルだろうよ。主に周囲がな』

 

「───全体攻撃EX技は伊達じゃない、ってことだな……」

 

『………すまん、コレではもし共闘する時には撃てんだろうな』

 

 

「……はぁ…改良するか…」

 

 

 

 

───この技を見た時の父さんの顔は、信じられないような顔をしていた。ゴメンね?




父さん「ウチの長男の出した技が想像以上にヤバかった件について」

拓海にとってのイレギュラーその9、
『父親経由で天照大神と繋がりがあった』…日本神話との繋がりができたよ。やったね拓海!
(畏れ多すぎるんだが!? by拓海)


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猫を拾いました。(あなた達は犬派?猫派?自分は猫派)

作「………すまない…投稿が遅くなってすまない…」

拓海「いや、不定期更新タグがあるからそんなに落ち込まんで良いだろ」

ソロマ「考査に模試にと悪いタイミングで重なったからねぇ」

作「そしてお気に入り登録200件突破…ありがとうございます。それでは第八話、どうぞ」


拓海side in

 

 

 

───いきなりだが、『犬と猫どっちがいいか』という質問は知っているだろうか。

飼い主に忠実で頼もしげな犬と気ままで愛くるしい猫。

どちらが自分の好みなのかという質問なのだが、多分一度は聴かれた事があると思う。何故俺がこんなことを考えてるのか、それは5分前に遡る───

 

 

 

<5分前>

 

 

 

小学三年生になった俺は、朱乃姉と公園で遊んでいた。

この公園は少し前まで変なオジサンが出没すると言われていた。俺はどうでも良かったのだが、朱乃姉がこの公園で遊びたいと言ってたのを聞いて下見に行った時──変態が居た。

その変態は、なんと近所の子供に『おっぱい』の事を事細やかに教えていたのだ。「おっぱいはいいものだ」とか「乳首はいろいろできるぞ」等、無垢な奴等には刺激の強い話をしていたのだが、こんな話は朱乃姉には聴かせられないので、すぐに通報し、お縄についた。

………本当は『左腕(ファヴニール)』の力で腹の中から裂いてから海に棄てようかと思ったのだが、それをダンゴムシで例えて朱乃姉に話したら──

「ダンゴムシでも潰しちゃダメ!」

喜んで中止した。朱乃姉の優しさに感謝しろよ?

 

で、その変態が居なくなった公園で遊んだ後に、事件が起きた。

 

 

「拓海君、楽しかったね」

 

「うん、そうだね♪朱乃姉と遊ぶ為に変態を追い出して良かった

 

「ん?拓海君今なんか言った?」

 

「いや?別に何も言ってn「ヒャッ!!?た、拓海君アレ!!」…え?いったい何が……えっ!?」

 

 

 

 

怪我をした黒猫が、電柱の傍に隠れていたのだ。

 

 

 

─────そして、俺は冒頭のシーンのような事を考えたのである。

自分はどっちかといえば猫派なのだが、目の前の猫は黒猫だ。黒猫は災いを呼ぶと言われているので、あまり朱乃姉に長く見せたくない。怪我をしていたとしても仕方ない。仕方ないのだ。本当に仕方ないのだ。

 

 

『本当は助けたいのだろう?』

 

『いや別に~?ただここで死んだら目覚めが悪くなりそうだけど、朱乃姉の方が優先ですし?まあ仕方ないよね?』

 

 

別に俺は黒猫が可哀想だなんてちっとも思って───

 

 

「黒猫ちゃん…可哀想……」

 

「朱乃姉、俺に任せて」

 

 

 

 

いやー仕方ないな~?優しい朱乃姉のために俺張り切って頑張っちゃうよ~?

 

 

『喜んでいるな』

 

『朱乃からのお許しが出たから、嬉々として助けようとしてるな』

 

『──シャラップ‼ちょっと今考えてるから黙ってろ!』

 

 

任せて、とは言ったものの、この黒猫の怪我を治した後の処遇をどうするか…

 

 

 

『───契約者よ。汝が飼えば良いだろう』

 

『それだ!』

 

『『マジで!?マジで言ってるのかアンタら!!?』』

 

 

──マジです。そもそも黒猫だからって飼ってはいけないってルールはないからね。精一杯父さんと母さんを説得しますよ。

──だがその前に、この黒猫の怪我を治さなければならない。傷をそのままにしてたら出血多量で死んでしまうかもしれないからな。

 

 

「───さて、どうしたものk「あれ?拓海そこで何してるの?」…あ、母さん!」

 

 

ナイスタイミング!買い物にいってた母さんが通りかかった!よし、この場で母さんを説得しよう、いやして見せる!

 

 

「母さん、実はね────」

 

 

 

──少年説明&説得中──

 

 

 

「────ダメよ。黒猫だし、ちゃんと面倒見きれないでしょ?」

 

「……でも、黒猫(この子)が可哀想だよ…」

 

「可哀想って理由で飼ってもその内飽きるでしょ?そもそもこんな所にいるなら完全に野良猫でしょう?引っ掻かれるわよ?」

 

 

クッ……やはり反対するか…ならば仕方ない、俺の禁じ手を使ってやる!

 

 

『待て拓海!そんな事をしたらお前の心がボロボロになるぞ!?』

 

『それに、まだその手が通じるか分からんのだぞ?』

 

『───確かに、俺の心がボロボロになるかもしれない。この手が通じないかもしれない。──だが、朱乃姉が黒猫を助けるのを望んだんだ…その程度の事で俺は止めない!俺はこの手で勝ち取る!』

 

 

さあ母さん!どっちが長く耐えきれるか、持久戦と行こうじゃないかッ!!!

 

 

 

<4分22秒後>

 

 

 

「────仕方ないわね、今回だけだからね?猫を飼うのは」

 

 

──勝った。俺は禁じ手を使うことにより、母さんからこの黒猫を飼う許可を獲たのだ。黒猫の傷は朱乃姉と母さんが見えない所で『治天療符(ちてんりょうふ)』を使ってある程度傷口を塞いでいたので、動物病院で少し診てもらう程度で済むだろう………問題は──

 

 

「───うん、ありがとうママ」ハイライトオフ

 

『─ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!』

 

『落ち着け拓海!傷は浅いぞ!!』

 

『ええい!精神分析持ちは何処だ!?』

 

 

───俺の心がボロボロになった事だ。

 

俺が言った禁じ手、それは『媚びること』。そんなことが禁じ手か?と思うかもしれないが、母さんにとっては有効なのだ。そして俺にとっての諸刃の剣でもある。

──考えてみてくれ、肉体は小学三年生とはいえ精神は20歳越えた大人がママと言って女性に媚びるんだぞ?恥ずかしすぎるわ。

 

え?なんで叫んでるのに冷静なのか?あれだよ、『並列思考』と言うやつで発狂した思考を隔離してるんだよ。

『並列思考』自体は去年から出来るようになった。HIGUMAと戦ってる時にINOSHISHIが乱入してくるようになったからな。周囲を警戒しながらHIGUMAと戦えるわけがないから必死で使えるようにしたのさ。

 

 

『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!』

 

『オイ()()β()!見てないでお前も手伝ってくれ!』

 

『無理。現在進行形で我慢してるのに、そんなことしたら俺も発狂するぞ?』

 

『よし来るな!発狂が終わるまで絶対にこっち来るなよ!?』

 

『ハイハイ、分かってるって……』

 

 

───さて、今回はどのくらい発狂し続けるのかn

 

 

 

「───拓海君、大丈夫?」

 

 

 

 

『『俺は 正気に 戻った!』』

 

 

『『ゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!!!?』』

 

「大丈夫、問題ないよ朱乃姉」

 

「そう?ならよかった…」

 

 

フッ、流石は朱乃姉。俺に声をかけただけで発狂を解くとは…

 

 

『いや拓海が自力で解いたんだろう』

 

『朱乃に声をかけられただけで正気に戻るとは…どれだけ朱乃が好きなのだお前は』

 

『『宇宙一大好きですが何か?』』

 

 

『『───うん、知ってた(白目)』』

 

 

さてと、正気に戻ったから()()するか。

 

 

『───オーイα、そろそろ統合するぞ』

 

『OKだβ。いつでもいけるぞ』

 

 

………………

 

 

『────統合完了。待たせたな』

 

『誰も待ってないぞ』

 

『そんなー』

 

『──拓海、ふざけてないでちゃんとしろ。この黒猫、悪魔の気配がするのだぞ?』

 

『──んな事ァ分かってるさ。でも()()()()()感じではそんな悪い奴じゃないだろ?』

 

 

─ファヴニールの力を宿した『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』、それを展開すると同時に、俺の左目もファヴニールのモノと同化するようになる。この時は他人の魂を視ることができ、そこからどういう事を考えているか、どういう性格なのかというのを知ることが可能で──シルバーの右目と同じく、左腕を展開してなくても使うことが出来るのだ。

 

 

『……それは理解している。だがいつ怪物の姿に成るか分からんぞ?』

 

『あー、そう言えばそうだったな…』

 

 

──悪魔。YAMAで修行している時に一度遇った事があるのだが…筋肉が肥大化し、腹に巨大な口があり、いかにも狂っているという眼をしていたのだ。

───ちなみにその時の悪魔はHIGUMAが一瞬で三枚に卸したよ……無論縦方向にズバッ、とだ。

 

 

『────とりあえず、家に帰ったら力を抑制する腕輪…I am a power saver(アイ アムア パワーセーバー) 3号』を首輪代わりに着ければ良いさ』

 

『うむ……それなら問題無いだろうな』

 

 

──その後俺は、動物病院で黒猫の手当てをした後、家に連れ帰って『I am a power saver 3号』を首輪代わりに着けて寝たのだった。

 

 

 

拓海side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒猫side in

 

 

私は元猫魈、現はぐれ悪魔である。名前は黒歌。追っ手に追われていた時に油断して怪我をしてしまい、追っ手を撒いた後に猫の姿になって電柱の影で休んでいた時、子供が二人来たのだ。

それからなんだかんだあって手当てをされて二人の片割れ…拓海って子の家に連れてかれ、首輪を嵌められたのだ。

 

 

『……にゃ、このままじゃこの子の家族を巻き込んでしまう。さっさとこの家からでないとにゃ……!?』

 

 

私はそう思って部屋の窓から出ようとしたが、出た瞬間に部屋の中に戻されてしまったのだ。

 

 

『───成る程、普通の家ではなかったようだにゃ。でも人形(ヒトガタ)になって術を破れば───にゃ!?』

 

 

そう言って私は人形に成ろうとしたのだが、何故か成れなかった。

 

 

『もしかして……この首輪のせい、なの…!?』

 

 

私はこの首輪を外そうと夜通し奮闘したのだが、結局外すことは出来なかった。

朝になって、もしかすると自分は捕まったのかと思い、家の中の会話を聞いた所──この家系は陰陽師の家系であり、私の事も只の黒猫としか見ていなかった。多分この首輪は、悪魔や猫魈の力を抑制する力があるのだと私は予測した。

────それならば、しばらくはこの家に厄介になろうと思い、この家の飼い猫になることになったのであった。

 

 

 

P.S.拓海の撫で方巧すぎにゃあ…♪




黒歌sideのP.S.は飼われてから一週間後の感想である。

ちなみに拓海が修行の時に遭遇してHIGUMAに三枚に卸されたはぐれ悪魔はS()()()()()()()でした。やはりYAMAは魔境だってはっきりわかんだね。


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朱乃姉が家出しました。(えっ?ここまで来るの!?)

作「」(脈がない。ただの作者(屍体)のようだ)

拓海「──どうした作者、なんで死んでるんだ?」

朱乃「多分、感想不足と夏バテのせいじゃないの?」

拓海「へぇ~そうなのか朱乃姉───朱乃姉!?ナゼココニイルンディス!?」

朱乃「ふふふ♪それでは第九話、今回は私からです」


朱乃side in

 

 

皆さん初めまして。私の名は姫島朱乃と言います。

今年で中学一年生で、弓道部に入っています。

 

──突然ですが、SMプレイというのは知っているでしょうか?異性同士がSとM──虐める方と虐められる方に分かれて、お互いの欲求を満たす行為……というのが一般的な認識でしょう……普通の人ならば()()が目の前で行われていた場合、嫌悪を覚えるか、新たな領域を開拓してしまうかのどちらかだと思います。

 

何故、私がそのような事を考えているのか?それは──

 

 

 

「ムグーッ!!ムグーッ!!」

 

「あらあら……躾が足りなかったようです──ねッ!!」

 

「──ヌグムーッ!!?」

 

 

 

───白昼堂々とSMプレイをしている両親(異性同士)を目の当たりにしてどうしようか迷っているからです。

 

いや、別にSMプレイが悪いとは言いませんよ?趣味嗜好も人それぞれですし、私が口出しする領分ではありませんから。でも両親が、それも夏の真っ昼間からやるのは流石にダメだと思うんです。

 

私が部活に行っている間に何があったのですか?

 

夏の暑さで服装をオーブンにするどころか性癖までオーブンになってしまったのですか?

 

そもそも何故服を着たままプレイをしているのですか?

 

───などと考えてる間に、私の準備を終えてしまったようです。何の準備かって?それはですね───

 

 

「───ム、ムググッ!!?」

 

「───あ…朱乃? ……あの、これは、お父さんとのちょっとしたスキンシップというか…なんと言うか……」

 

 

──ああ、ようやく気付いたのですか……ならば、この一言を言って行きましょう……

 

 

 

「──お父様と……ッ」

 

「ムグァ────朱乃、これには訳があって──」

 

 

「──お母様の……ッ」

 

「朱乃!ちょっと待って────」

 

 

「バカーーッッ!!!!!」

 

 

「「朱乃ォォオッ!!?」」

 

 

 

そうお父様とお母様に告げた後、自分の衣服、貯金、大事なモノ等を詰め込んだ大きなリュックサックを背負って、全速力で自分の家を出ました。

 

 

 

 

私、姫島朱乃! 今年で中学一年生の12歳! 夏休みにて人生初の家出を敢行します!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーンポーン、ピーンポーン

 

「はいはーい、どちら様で──あら朱乃ちゃん。久しぶりじゃない?」

 

「お久しぶりです、弥羽(やう)さん。あの…拓海君はいますか?」

 

 

──というわけで、今私は拓海君の家の前にいます……

し、仕方ないじゃないですか! 家出をして行く先で唯一思い浮かんだのが拓海君の家だったんです! 何故かそこ以外の案が浮かばなかったんです!

ま、まあとりあえず色々と整理がつくまで拓海君と一緒に宿題でも────

 

 

「あー……ごめんなさいね、拓海は今山に行ってていないの」

 

 

────え? 今なんて………?

 

 

「多分、八月の中旬まで帰ってこないと思うけど──」

 

「───何処ですか?」

 

「ん?」

 

 

拓海君、何処に居るんですか?

 

 

 

「───あらあら?もしかして拗ねてるのかしら?」

 

「す、拗ねてません!」

 

 

私はただ、久しぶりに二人でゆっくり出来ると思ってたら出来なくて少し機嫌が悪いだけです!

 

 

 

 

<ちょっとだけ拓海side>

 

 

「───人、それを『拗ねてる』という」

 

『どうした拓海?変なモノでも食べたのか?』

 

「いや、なんか朱乃姉が少し機嫌が悪くなったような気がして……」

 

『なんでだ……そして何故ソレを言った?』

 

「さあ?」

 

 

<ちょっとだけ拓海side out>

 

 

 

「と、ともかく!拓海君のいる山の場所を教えて下さい!」

 

「もう、そんなに焦らなくても良いのに……」

 

 

とまあ、少し弥羽さんと問答した後に拓海君がいる山を教えてもらい、その山へと向かった───向かった、のですけれども……

 

 

「…あれ?今何処だっけ…?」

 

 

───山の中で遭難しました。

いや、遭難しないように努力はしたんですよ!?コンパスを使って進む方向を決めたり、来た道に『雷光』で目印を付けたりという事をしたはずなのに、コンパスの指針がクルクルと回り始めたり、目印が無くなっていたり本当になんでこんなことに……

 

と、私がそんな事を考えていたときに突然『ズシン』という地響きが聴こえた。しかも私のいる方向に近づいてくる……

私は『雷光』を纏って何時でも攻撃できるように待ち伏せをしようとしたのです。あわよくば一撃加えて逃げよう、と考えていました……。

 

──そのような考えは、地響きの元凶を見た次の瞬間に霧散してしまいました。

 

 

「───な……ぁっ…?」

 

 

「──ブモォォオオオッ!!」

 

 

 

───3m以上はある体、私の太腿よりも太い2本の牙、大木を踏み潰す程の体重──

 

そう、地響きを起こしていた元凶は、巨大な猪だったのです。

 

私はその風貌に、本能的な恐怖を覚えました。逃げようと思っても足が動かず、私にできたのは、ただ息を潜めて猪が立ち去るのを待つだけ……の、筈でした。

 

 

 

 

「───ッドッセェェエェイッ!!!」

 

「ブモォオッ!?」

 

 

何処からか飛んできた人らしき物体が、猪に衝突して吹っ飛ばしたのです。というか、何処かで聞いた事があるような声が聴こえたような……

 

 

「オラどうしたINOSHISHI!? 理性なんぞ捨ててかかってこいよ!!」

 

「ブルル…ブモォォオオオッ!!」

 

 

そんな事を考えていると、さっき飛んできた人らしき物体が猪と突進しあい始めて──え? あの後ろ姿はまさか……!

 

 

「───拓海君!?」

 

 

「──呼んだ!?朱乃姉───朱乃姉ェ!? なんでここにいるの!?」

 

「いや拓海君の方こそ何をしてるの!?」

 

 

何で猪と突進しあって力くらべしてるの!? 今まで何があったの!?

 

 

「ごめんちょっと待っててね………おう邪魔ださっさと吹っ飛べオラァ!!」

 

「ブモォォオオオッ!!?」

 

 

そう告げると、何処からか右腕に竜を模した鎧を着けて猪を遠くへと殴り飛ばした……

 

もう私には何が何なのか分からないよ……

 

 

 

朱乃side out

 

 

 

拓海side in(11歳)

 

 

あ、ありのままに今起こった事を話すぜ!

俺はYAMAで修行の一環としてINOSHISHIと競り合っていたら、朱乃姉がYAMAに来ていた。

何を言っているのか分からないと思うが、俺にもよく分からなかった……

なので、一度競り合うのを中断して朱乃姉にここに来た経緯を話してもらう事にした。

 

 

「で、なんで朱乃姉がここにいるの?」

 

「え、えっと……話せば長くなるんだけど──」

 

 

[朱乃姉説明中…]

 

 

「──成る程。要するに、バラキエルさんと朱璃さんがSMプレイしてて居場所が無かったから俺の所へ来た、という認識でOK?」

 

「う、うん、それで合ってるよ」

 

「──と言われてもな……」

 

 

ぶっちゃけこのYAMAは朱乃姉にとっては危険過ぎる。

さっき雷らしきものを纏っていたが、あの程度の電力では到底生き残れない。朱乃姉には悪いけど、帰ってもらうしか──

 

 

「しかも現在地も分からないし…できれば、一緒に居たいんだけど───だめ?」

 

「良いですとも!」

 

『『また即決かお前は!?』』

 

 

だって潤んだ目+上目遣い+朱乃姉の懇願だぞ?即決するに決まってるだろ。むしろ即決しないと思っていたのか?

 

 

『あ、そう言われたらそうだな…』

 

『……貴様は朱乃に対しては甘いからな…』

 

 

そうか?別に朱乃姉が俺に付いてくる位なら大歓迎なんだが…

──気を取り直して、修行場所に戻るとしよう。と、その前に──

 

 

「朱乃姉、これ持ってて」

 

 

と言って一個の鈴を朱乃姉に放り投げる。ちゃんとキャッチしてくれたようだ。

 

 

「え?拓海君、この鈴って?」

 

「このYAMAで迷わないようにするための鈴だよ。それを持ってれば道には迷わないから」

 

 

今朱乃姉に持たせた鈴は、このYAMAに張っている人避けの結界を無効化する為の物である。ただし、あくまでも『人』避けなので悪魔などの人外や朱乃姉のように半分人外の血が流れてる人に対しては変な効き方になることがあるのだ。

 

 

「それじゃ、着いてきて朱乃姉。俺の修行場所に案内するよ」

 

 

 

<拓海side out>

 

 

 

<朱乃side in>

 

 

 

「─────さて朱乃姉、そろそろ到着するよー」

 

「あら?結構近いのね」

 

「朱乃姉がそれだけ迷いまくったってことだよ」

 

「……拓海君、痛い所を突いてくるね……」

 

「ああ、ごめん朱乃姉。そんなつもりで言ったわけじゃなくて…」

 

「──ふふっ、それくらい分かってるから気にしないでいいのよ?」

 

 

拓海君についていく事凡そ5分。私が予想していたより早く到着したらしい。

 

 

「ヒヤッとさせないでよ朱乃姉……ほら、見えてきたよ」

 

 

そう拓海君に促されて正面を見ると───

 

 

「───え!?山の中にこんな広い場所が!?」

 

 

かなりの広さの草原があったのです。私の目測ですが、多分サッカーコート2、3個位の広さがあるのではないでしょうか。

しかし、こんな開けた場所があるならば、山の外からも見えてしまうのでは?──と疑問を持ちましたが、拓海君が狙い済ましたようなタイミングで答えてくれました。

 

 

「朱乃姉驚いた?こんな広い場所があるなんて分からなかったでしょ?人避けの結界と一緒に、『認識阻害』の結界も張っているんだ。そうすれば山の外からはこの場所は確認できないからね」

 

 

 

「拓海君がそこまでできるなんて───あれ?そういえば、この山で修行してる時の住居ってどうしてるの?」

 

「ん?───ああ。それならあそこにあるよ」

 

 

そういって拓海君が指差した方向を見ると──

 

 

「──ほら。あれが俺のテントだよ」

 

「あんな隅っこで暮らしてるの!?」

 

 

草原と森との境界と言ってもいい場所に、一つのテントがあるだけでした。

 

 

「───というか、拓海君の住み処があそこなら、この広い草原の大部分はどうしてるの?」

 

 

そう私が問い掛けると拓海君は苦笑して、

 

 

「もちろん、修行する場所だよ?()()()()()()()

 

「師匠?でもそんな人は何処にも───」

 

 

そう。さっき教えてもらった拓海君のテント以外にこの草原には何も無い。ハーフとはいえ堕天使なので、自分自身の体のポテンシャルは高いと自負しているのだが……それでも何も無いように見える。

 

 

「──そうですか。承知しました

 

「───ん?拓海君何か言った?」

 

「え?──ああ、ちょっと師匠と話しててね。朱乃姉が無害な事を教えてたんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?朱乃姉」

 

「えっ?それってどういう───」

 

 

──私が拓海君に問い掛けようとした瞬間、突然強風が吹き荒れ始めた。あまりの風の強さに目も開けられない。

 

 

「──おー、師匠張り切ってるねぇ。俺は介入できないから、とりあえず耐えててね朱乃姉!」

 

 

強風の中で、拓海君の余裕そうな声が聴こえてきた。

 

───拓海君!? 流石にこの強風はキツいんだけど!?

──と、拓海君に叫んだが、強風に掻き消されてちゃんと言えたのかさえ分からない。

 

暫くして、強風が治まった後に草原の奥の方を見ると──

 

 

「───ほう?その女子(おなご)、なかなか骨があるではないか?」

 

 

──赤い皮膚、長い鼻に白い髭、緑と白を基調とした服を着ていて、右手には宝石が埋め込まれている大きな芭蕉扇を持つ、3m程の『天狗』がいた。

 

 

「──ええ。実際俺も驚いてますよ。手加減してるとはいえ師匠の『風』に耐えきれるとは思ってませんでした」

 

「拓海君それ酷くない!?あとあの天狗誰なの!?」

 

 

拓海君が耐えてって言ったんだよね!? それによく見たら拓海君にやけてるじゃん!

 

 

「ふむ……自己紹介がまだじゃったな…では改めて──」

 

「──我が名はナナワライ()()()()()()()()()()()()風陰の一族を束ねる者!そしてそこに()る拓海の師匠なり!!」

 

 

────────え?今、なんて?

 

 

「──あのー、ナナワライさん…で良いですか?」

 

「む?儂は別に構わんが?」

 

「あ、ありがとうございます……それで、ナナワライさん…今、()()()()()()()()()()って言いました?

 

「む───確かに言ったが、それがどうした?」

 

 

 

朱乃side out

 

 

 

拓海side in

 

 

 

「む───確かに言ったが、それがどうした?」

 

 

───不味い、非ッ常ォォォに不味い。

この前ユルフw──ソロマに聞いたんだが……

 

この世界、表の世界どころか裏の世界も別の世界の存在を知らないらしいのだ。

 

なんて言うか、()()という仮定はしてるんだけど、()()という証拠が無いのだ。まあ普通なら当然だとは思うのだが、この世界には次元の狭間という場所がある。これの存在事態が確たる証拠では無いのだろうか?別の世界が無いのならどうして()()が生まれるというのだろうか────話が逸れたが、この事を朱乃姉を含むこの世界の裏には知られてはいけないとソロマに言われてるのだ。

朱乃姉には悪いが、少し記憶を失ってもらうしか───

 

 

「(ぬ、何やら余計な事を言ってしまったようじゃな………)──ふむ、素質はある。だがこのままだとその素質が腐ってしまう。ならば……そこのお主!お主の名前は何という名前だ!?」

 

「え!? ──えっと……姫島、朱乃と言いますが……」

 

「ふむ、朱乃か……よし朱乃! ちょいとお主を一週間ほど鍛えるぞ!」

 

「───えっ?」

 

 

し、師匠!? な、なんでいきなり朱乃姉を!?

 

 

「(こういう時は勢いで流せばよいじゃろうて。まあ拓海の連れじゃし、少し手解きしても良いじゃろう。)───お主の中に妙な気配を感じてのぅ……恐らく堕ちた天使の力じゃろう。それのせいでこれから厄介事に巻き込まれるやもしれん! ならばその厄介事をも跳ね返す位とはいかんが、護身の技術の一つ二つ位は付けておかんとな!」

 

 

師匠……なんて慈悲深い…普段なら鍛えるの後に『飯や湯浴み、就寝時にも容赦なく行くぞ!』と言って休む隙を与えないのに…それがないってことは本当に護身術の範囲に留めるつもりなんだな……

 

 

「えっ?それはどういう──「さあ、行くぞ朱乃!覚悟を決めよ!」うわぁ!?ちょっ、拓海君助けて!?」

 

 

───普段ならそう言われたら即行で助けに行くんだけど……

 

 

「──ごめん朱乃姉! ここで甘やかしたら朱乃姉の為にならないから、今回、俺は心を鬼にして突き放す! ちゃんと修行は観とくから頑張って!!」

 

 

「そ…そんなぁぁぁぁぁああ!!?」

 

 

 

ごめん朱乃姉。朱乃姉の今後のためには、時に心を鬼にして突き放すことも大事なんだッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そして、この山を降りる頃には、朱乃姉は少しだけ洗練されたように見えた。

 

 

 

拓海side out




──原作キャラ(朱乃)、改造開始。


<クロ(黒歌)の来谷家(主に拓海)観察日記>

201×年五月某日 拓海12歳

朝は特に何も無し。普通にご飯食べて学校行ってたにゃ。拓海は四月から中学生になった。早く慣れるといいにゃ。

昼間はあまり覚えてにゃい。キャットフードを食べてゴロゴロしてる記憶しかない。至って平和にゃ。

そして夜。今日は珍しく拓海が遅くまで起きてたにゃ。拓海のお父さんと何か話をしていたみたいだったけど、一本の電話が入ってから真剣な顔になったにゃん。
興味があって盗み聞きをしたら、

「雛月寮でケガレが───」とか、
「子供は一人だけ───」という声が聴こえてきたにゃ。もっと聴こうと近付こうとすると、妙な黒い服──狩衣(かりぎぬ)を着た拓海とお父さんが部屋から出てきて家から出て行ってしまった。
───その後、二人が帰ってきたのは朝になってからだったにゃ。拓海は結構疲れたようで、私のお腹に顔を埋めてきたにゃ。猫の姿だからってそういうのはやめてほしいにゃん、と思いつつ前足で拓海の頭を撫でる私だったにゃん。ちゃんちゃん。


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また悪魔と出会いました。(あっれ~?前見た悪魔と姿が違うぞ?)

拓海「……お気に入り300人突破して、話数が二桁になってようやく原作メインキャラ二人目って遅すぎんだろ作者」

作「──うん。それは自覚してる」

朱乃「……それだけではないのは分かってますよね?」

作「夏休みなのに投稿が遅れた事か?」

ソロマ「その通りだよ作者君。で、その原因を言ってくれないかな?」


「FGOの水着イベにゼンリョク出してました!」


拓&朱&ソロマ「小説にゼンリョク出(せ)(してください)(そう)よッ!!」








シルバー&ファヴニ『『……それでは第十話、どうぞ』』
(↑今回出番なし)



拓海side in(13歳)

 

 

ドーモ、皆さんこんにちは。今年で中二になった来谷拓海です。俺達は今、修行場所である山で模擬戦をしています。誰と戦ってるかと言うと───

 

 

「──っぶな!やっぱり『雷光の矢(それ)』は速いな……」

 

雷光の矢(それ)を避ける拓海君も速いですけどね…」

 

 

──朱乃姉である。ナナワライsブートキャンプを経験した朱乃姉は、それはもう強くなっていた。どれくらい強くなったかというと、4m級のINOSHISHIを殺さずに生捕りにできるくらいに強くなった。

 

 

「──ならば、これならどうですか!?」

 

 

そんな朱乃姉が武器としてるのは、朱乃姉の能力である『雷光』を用いて創った弓と矢である。これが意外と強く、『右腕(シルバー)』で吸収しようとしても、吸収できるのは『雷』の方だけで、『光』の方は吸収出来ないからダメージを食らってしまい……

 

 

「何の!当たらなければどうという事はない!」

 

 

──放たれる矢の雨を避けて接近戦を仕掛けても、

 

 

「セイッ!」

 

「『変化・薙刀(ナギナタ)』!ハァッ!」

 

 

弓を薙刀へと形を変えて戦える為、決定打を与えづらい。

 

 

「オラッ!」

 

「くっ……ハッ!」

 

「ぬっ………また離されたか」

 

 

それに相手の攻撃の衝撃を活かして間合いを離すのも巧い。専守的な一撃離脱をメインとした朱乃姉の戦法はとてもやりづらい。なんてものを目覚めさせてんだよ師匠……でも、

 

 

「足下がガラ空きだよ!」

 

「え──きゃあっ!?」

 

 

──兄弟子として負けてはやれないな!

 

 

「(よしチャンス!)───縮地!」

 

「────ッ!」ヒュッ

 

「ッグ!?───まだまだッ!!」

 

「(速ッ!)──『変化・薙n「終わりだよ」───やっぱり強いわね、拓海君」

 

「いやいや、一応戦い慣れてる俺が朱乃姉にやられたら師匠に怒られるからね。……もう一度ナナワライsブートキャンプは本当に勘弁……」

 

「───確かにそれは勘弁ね……」

 

 

一番最初のブートキャンプならいけるけど、俺達に合わせて改造されてるだろうし……

 

 

「──話が逸れたけど、朱乃姉もなかなか強くなってるよ?あんな崩れた体勢から俺を狙い射てるし」

 

 

朱乃姉に止めを刺すため、縮地で距離を詰めた時に俺の頬に雷光の矢が(かす)っていた。この矢は偶然ではなく、狙ってやったと思われる。(多分本来の狙いは肩だったと思うが)当てずっぽうで射ったとしても、この正確さは恐ろしい。肩を下げていなければ確実に当たっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォッウォッウォッウォッウォッ」カタカタカタ

 

「ん?侵入者か?」

 

「───あれ?拓海君それって仮面ライダーオーズの……」

 

「……朱乃姉って仮面ライダー知ってたのね…そう、伊達さんが使ってた『ゴリラカンドロイド』だよ」

 

「……なんで現実にこんなものが──」

 

(つく)った。」

 

「──────えっ?」

 

「俺が造った。」

 

「───えっ?それってどういう──」

 

「俺が造った。OK?」

 

「───────お、OK…」

 

「うん。ならば良し……」

 

 

───ここに張ってある結界は基本的に人避けの結界だ。しかし、人外又は人外の血が混ざっている人には十分に機能しないのだ。なので、侵入者は自動的に人外かそれに近しい者となるのだ。

 

 

「───さーて、朱乃姉。多分戦闘になるかもしれないけど───一緒に行く?」

 

「──ふふっ、やっぱり拓海君は優しいわね…でも、私はあの時よりも強くなった。もう足手纏いにはならないわよ?」

 

 

───まったく、朱乃姉も頼もしくなったねぇ…でも──

 

 

「だからって前に出ないでね?朱乃姉近接戦闘苦手なんだから」

 

「いや、私でもそれくらいは解ってるわよ…」

 

「あはは、念のためだよ……じゃ、行こうか」

 

 

 

 

 

<10分後>

 

 

 

 

 

「────ん?」

 

「拓海君どうかしたの?」

 

「ああ、アッチの方向に気配を感じたんだよ。この気配は多分悪魔のモノだよ」

 

「悪魔、ですか……………………あれ?アッチの方向って確か──」

 

「────HIGUMAの縄張りだな

 

「…………今、HIGUMAは何処にいるか分かる?」

 

「────悪魔のいる方向に向かってるね。あと2分ちょっとで接触するね」

 

「………」

 

「………朱乃姉」

 

「………何?」

 

帰って修行の続きする?

 

「ここまで来て帰るの!?」

 

「だってさ~あのHIGUMAだよ?心配するだけ無駄でしょ?」

 

「いやまあそれはそうなのだけど!?」

 

「どうせ悪魔からチョッカイ出してHIGUMAが悪魔を三枚卸しにして終わりでしょ?見所なんてないよ?」

 

 

(説明しよう!HIGUMAとは、体長5m、体重6tの巨体にして、INOSHISHIを遥かに超えたスピードを出すことができ、その爪は筋肉ムキムキのS級はぐれ悪魔をも切断する!

しかも!その皮膚は拓海の現状最大火力の『天ノ神鳴リ(アメノカンナリ)』を受けても傷一つ付かない。

まさにこのYAMAの頂点に立つ動物(ヌシ)であるッ!!

by作者)

 

 

「でも、私はまだHIGUMAに会ったことがないのよ………──少しくらい…ダメ?」ウワメヅカイ

 

「良いですとも!」

 

『『────うん(うむ)、知ってた』』

 

 

そういえば朱乃姉にHIGUMAの話は聞かせてたけど、実物は見せたこと無かったよね!よし行こう直ぐ行こうさあ行こう!

 

 

「OK。じゃあ速めに移動するよ朱乃姉」

 

「ええ、分かったわ」

 

 

そう告げた後、二人で悪魔がいる方向へ向かったのであった。

 

 

 

 

<1分後>

 

 

 

 

「───確かここら辺に悪魔の気配があるはず……」

 

「──!拓海君あそこに!」

 

 

木の上をつたって行くと、そこには紅い長髪の女子が居たのだ。年齢は朱乃姉と同じくらいだろうか。顔立ちは一般的には美少女という部類だろう。朱乃姉の方が可愛くて美人だがな!……そして胸囲は──中々の大きさだ。まあ朱乃姉には敵わないがな!!

 

 

「───拓海君?今はあの子と私を比較してる場合ではないでしょう?」

 

「えっ、なんで考えてる事が分かったの朱乃姉?」

 

「ふふっ、何故でしょうかね?──それより、本当にあの子が悪魔なの?普通に遭難した人に見えるのだけど」

 

 

むう………上手くはぐらかされたな……まあ良いか。

 

 

「ああ、間違いないよ。人避けの結界は充分に働いてるし、一応左眼(ファヴニール)で確認したけど、魂の性質が前会った悪魔に()()似てるからね」

 

「ほぼ?」

 

 

そう言って朱乃姉は首をコテン、と傾げる。可愛い。

 

 

「そう。大体は一緒なんだけど、この子の方が少し魂が澄んでいる」

 

「へぇ……あっ、木の根に躓いて転んだわ」

 

「───あ。HIGUMAが近付いてきてる」

 

「え?このタイミングで?」

 

「このタイミングで。」

 

「───あの子は?」

 

「──助けないと死ぬね。あの子」

 

「………拓海君どうする?」

 

「……どうしよっか…」

 

 

───と、あの子をどうするか朱乃姉と相談して居ると、何処からかドシン…ドシン…と振動が聴こえてきた。ふとその音の方向を見るとそこには──

 

 

──濃厚な威圧感を放つ動物(HIGUMA)()た。

 

 

「あ──あれが…あの動物が……HIGUMA…!?」

 

 

──初めてHIGUMAを見た朱乃姉は、完全に気圧(けお)されている。無理もない…俺だって最初見たときは気圧されて腰を抜かしていた。むしろ初見でこの程度で済んでいる朱乃姉が凄いのだ。

……その証拠にあの女悪魔は─────

 

 

「────あ、ああ、あああ……!」

 

 

───完全に恐怖に呑まれている。後ろから脅かせば失禁でもしそうだ。

 

 

「──まあでも、あの子がHIGUMAに攻撃しなければワンチャンあるな。流石に何もしないで襲い掛かるほど短絡的じゃないし……」

 

 

──と、そう言ったその時である。女悪魔(あの子)が紅い魔方陣を展開して生成した赤黒い魔力弾を──

 

 

「────こ、来ないで!!」

 

 

──HIGUMAに投擲した。否、しやがった。

 

 

「「────あっ……」」

 

「……グルオッ」パスン

 

「───えっ?」

 

「「────あーあ」」

 

 

投擲された赤黒い魔力弾は、やけにあっさりと爪の斬撃飛ばし(ソニックブーム)で掻き消された。

あの女悪魔は、自分の造った魔力弾に結構な自信を持っていたらしく、呆然としていた。

 

───そして、HIGUMAが戦闘態勢に入った。

 

流石に女悪魔もそれは察知出来たらしく、顔が絶望に染まっていた。

 

 

「あ───ああ…そんな…『滅びの魔力』が……あんなあっさりと……」

 

 

───?『滅びの魔力』?

 

 

「──朱乃姉、『滅びの魔力』って何?」

 

「──はっ!?……えーっと、確か一部の純血悪魔が扱える魔力だと聞いたことがあるわ。今扱えるのは大王バアル家とグレモリー家の一部の者よ」

 

「───え、えーっと…バアル家は兎も角、グレモリー家って何?」

 

「グレモリー家は…今代の魔王を輩出した家系ね。紅い髪が特徴で、アザゼルさんから聞いた話だと魔王には私と同じくらいの年齢の妹がいて……結構な、シスコンらしいわ……」

 

「────え?」

 

 

──とりあえず、あの女悪魔の特徴を整理しよう。

紅い髪に、朱乃姉と多分同年代の容姿、それに『滅びの魔力』…恐らくグレモリー家の娘と思われる。

次に女悪魔の背景。さっきの推測が正しければ、多分グレモリー家の魔王の妹だろう。で、その魔王は結構なシスコン。あの女悪魔が傷を負うどころか死亡したら───

 

 

「………」

 

「………」

 

 

その時──

 

 

「………朱乃姉」

 

「……何?」

 

 

俺と朱乃姉の思考が──

 

 

ちょっとあの悪魔助けるから援護よろしく!

 

ええ!私が牽制するから拓海君はHIGUMAをお願い!

 

 

一つに合致した。

 

 

 

 

不味い不味い不味い不味いッ!!傍観なんてしてる暇なかったじゃないか!?流石に魔王相手は不味すぎる!

俺はすぐさまHIGUMAの後ろに回って、飛び掛かる態勢に入る。その直後にHIGUMAの前に『雷光の矢』が数本突き刺さり、HIGUMAの足を止める。流石朱乃姉。タイミングバッチリだ。俺はその隙を突いて飛び掛かる──!

 

 

 

 

 

 

 

 

「──HIGUMAさんごめんなさァァァいッ!!」

 

 

 

 

 

拓海side out




──次回に続きます。

拓海「さっさと書けよ作者」

作「只今一生懸命に書いております」


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紅髪の女悪魔と語り合いました。(コイツ……イジると面白い)

作「十話の続編でーす」

拓海「遅い」

作「すまんね。行事の準備で筆が進まなかったんだよ」

拓海「おう、とりあえず書ききった事は誉めてやる」


作「えー、それでは第十一話、どうぞ」


女悪魔side in

 

 

 

 

──私の名は『リアス・グレモリー』。グレモリー家の次期当主で今代の魔王ルシファーの妹よ……何故自分の肩書きを羅列したのかって?それは───

 

 

 

「──多分あの子には悪気は無いんですよ! ただHIGUMAさんの威圧に気圧されて反射的にやってしまったんですよ!」

 

「──グルゥ…グルル、グルゴゥッ」

 

「と、という事は許してくれるんですか!?」

 

「グルル。ゴゥグゥ、ゴルルゴグッ」

 

「ああ、ありがとうございます! あの子にはきちんと言いつけておきますので!」

 

「グルルゴゥ、ゴゥルル、グルグ」

 

「はい、では私達はここで御暇(おいとま)させて頂きます!」

 

 

 

 

───人間がヒグマと会話してる(目の前のあり得ない)光景に混乱しているからである。

 

つい先日、兄であるサーゼクス・ルシファーから『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を貰い、自分の眷属を探す為に人間界へと訪れた。だが、慣れない環境に戸惑い、この山へと入った途端に方向感覚を失って迷ってる時、冥界でも見たこともないくらいに巨大な熊に襲われたところをこの二人に助けられ───

 

 

 

「──ホレホレー、キビキビ歩ケー(棒)」

 

「ソウデスヨー、キビキビ歩イテクダサーイ(棒)」

 

 

───腕を縄で縛られて引っ張られている。……まさか人間界に来て虜囚の真似事をするとは思っていなかったわ……あと棒読みなのがちょっとイラっとするわね。

 

 

「……よし、そろそろ到着だな」

 

「………そう、ならこの縄を解いて貰っても──」

 

「ダメだね。そもそもコレ無いと安全地帯に入れないぞ?」

 

「──えっ?この縄って意味があったの!?」

 

「大アリです。意味が無かったら普通に『後を着いてこい』だけで済ませてますよ?」

 

 

───この二人、意外と優しいのね……もしかしたら、私の眷属になってくれるかも──

 

 

「──おーいあんた、もう着いたぞー」

 

「あ、あんた!?」

 

「いやだって、まだあんたの名前聞いてないし。とりま落ち着いてから聞くさね」

 

「さ、さね!?何よその語尾は……え?」

 

 

そう返事をした直後、正面を見ると───

 

 

「──えええええええっ!!!? な、なんでこんなに開けた場所があるの!? 外からは全然見えなかったわよ!!?」

 

 

────広大な草原が目の前に広がっていたのだ。

 

 

「おお、ナイスリアクション。朱乃姉はちょっと落ち着いたリアクションだったけど、こういう派手なリアクションも嫌いじゃないな!」

 

「………まあ、それは一度忘れて……貴女のお名前を聞かせてほしいのですが?」

 

 

──ああ、そういえばまだ名前を言ってなかったわね……悪魔という事は──隠さずに言っておく方が良いかしら?

 

 

「自己紹介がまだだったわね。私はリアス・グレモリー。種族は悪魔で、少し旅を──」

「「ダウト」」

 

「どう見ても貴族の箱入り娘なのに旅なんて出来る訳ねぇだろ」

「旅をしてると言っても荷物は何処に在るのですか? その格好で旅だなんて、自殺行為其の物ですよ?」

 

「────うぅ…」

 

 

流石に『自分の眷属探してます』なんて言えないから誤魔化そうとしたら、物凄い勢いで捲し立てられてしまった。───いくらなんでもこれは酷くないかしら?

 

 

「まあ目的は後で良いだろう。俺は来谷拓海。修行中の人間だ」

 

「なら私も──姫島朱乃。種族は……」チラッ

 

 

ん?タクミの方を見てどうしたのかしら?

 

 

「………」チラッ

 

「──!………ハーフの堕天使ですわ」

 

 

なっ!? 堕天使のハーフですって!? ──という事はタクミも私達の事情を知っているのかしら……少し聞いてみましょうか。

 

 

「───ねえタクミ、貴方h

「なんでいきなりファーストネームで呼んでんだよ?初対面なら普通名字で呼ぶだろ」……ご、ごめんなさいクルヤ、人間界の事はあまり知らないかr

「いや、何故タメ口なんですか?年上には敬語で話せって教わらなかったのですか?」──と、年上だったのですか!?そ、それは申し訳ごz

「「あ、でも年下と同い年だから別に大丈夫だぞ(ですよ)?あとアンタ(貴女)の好きな呼び方で構わないぞ(構いませんよ)」」もうヤダこの二人!!」

 

 

冥界のお父様、お母様、お兄様にグレイフィア、そしてミリキャス……初めての人間との会話がこんなのでこの先大丈夫なのかしら……泣きたくなってきたわ……

 

 

 

 

女悪魔改め、リアスside out

 

 

 

 

 

拓海side in

 

 

 

 

(……朱乃姉、この悪魔──)チラッ

 

(ええ、この悪魔は──)チラッ

 

 

………件の悪魔───リアス・グレモリーと邂逅して分かったことがある。それは───

 

 

((──(イジ)ると結構面白い──ッ!))

 

 

いやなんて言うか、プライドが高くて外面が強気そうな人をイジるとこうなるんだね? いや人じゃなくて悪魔なんだけども。

 

 

「うぅ………と、兎も角!貴方達に少し聞きたいことがあるのだけれど……」

 

「別に大丈夫だが?(仕切り直したな)」チラッ

 

「ええ、何でしょうか?(仕切り直したのね)」チラッ

 

 

 

「──貴方達、私の眷属n

「「丁重に御断りさせて頂きます」」まだ全部言い切ってないのに断られた!?そして何故急に敬語に変えたの!?」

 

 

こういう手合いは自分のペースに乗ると付け上がるからな、そういう流れを作らないようにするのが一番だ。

 

 

「せ、せめて!せめて反応だけでも! 悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が反応するかだけでも良いから!お願い!お願いします!!」

 

「必死すぎんだろコイツ(グレモリー)

 

 

あーめんどくさ。多分断り続けても喰らいついてくるだろうな……

 

 

「──へいへい、分かったよ。反応だけな」

 

「────へ?良いの?」

 

「反応を見るだけだ。その悪魔の駒(イーヴィル・ピース)ってヤツの効果を見てみたいからな。あ、変な真似しようとしたら容赦なく叩きのめすからな?」

 

「う……分かってるわよ」

 

「なら良し(……朱乃姉、監視お願い)」チラッ

 

「(……ええ、分かったわ)」チラッ

 

 

──とりあえず、コレで魔王の妹(グレモリー)が変な真似しても大丈夫だろう。正当防衛も成り立つ…よね?

 

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)はチェスの駒の動きを参考に造られたもので、騎士(ナイト)は速さ、戦車(ルーク)は攻防、僧侶(ビショップ)は魔力に長けているわ」

 

「ほうほう、良く考えられてるな」

 

「そうでしょう?じゃあとりあえずこの女王(クイーン)の駒を──」

 

「──おいちょっと待てやバカ女郎(グレモリー)

 

「────へ?」

 

「今までの話を纏めて整理して推理すると、チェスの(キング)はお前自身なんだよな?」

 

「ええ、そうだけど……」

 

「──てことは、女王(クイーン)はチェスに当て嵌めると恐らくお前の持ってる駒で一番の性能を持っている。合ってるか?」

 

「───ええ、そうよ……」

 

「そうか………じゃあなんで初対面の人間に側近ポジの駒で反応見んだよこの()レモリー!!

 

「愚…!? 貴方今私の家名を馬鹿にしたわね!?」

 

「普通に別の駒出せば良いだろうが!?」

 

「今女王(コレ)しか持ってきてなかったのよ!」

 

「他の駒も持ってこいよ愚レモリー!」

 

「別に良いじゃない! 反応を見るだけなんだから!!」

 

「あらら…なんか仲が良くて妬けちゃうわね」

 

「「良くねー(ないわ)よ!?」」

 

 

「……とりあえずさっさと反応見るぞ。これ以上は面倒だ」

 

「───ええ、それに賛成よ……コホン。それじゃあ掌を出して。そこに駒を載せて反応を見るから」

 

「りょーかい」

 

 

そう言われて右手の掌を出し、グレモリーがその上に駒を置いた瞬間───

 

 

 

 

ドシュュュュュンッッ!!!

 

 

 

 

───駒が、跳んだ。スッゴい勢いで。

 

 

 

「「「…………へ?」」」

 

 

「──わ、私の駒がァァァァア!!?」

 

「──す、座ったままの姿勢! 膝だけであんな跳躍を!?」

 

「拓海君、駒に姿勢も膝も無いわよ?」

 

「──で、あれが反応か?」

 

「あんな反応しないわよ! せいぜい駒が鈍く光るかどうかよ!」

 

「あ、駒が落ちて来ましたよ?」

 

「良かった……とりあえず一度回収しt「ほい」

 

 

俺はグレモリーが駒を回収する前に左手で駒の下に触って──

 

 

ドシュュュュュンッッ!!!

 

 

───もう一回駒を飛ばした。

 

 

「「……え?」」

 

「──あ、ごめん。勢い良く飛ぶのが面白くてついうっかり…」

 

 

無論、うっかりではなく故意である。

 

 

「うっかりじゃないわよ!? どうしてくれるのよ!?」

 

「まあまあ、落ち着いて。ほらそろそろ落ちてくるぞ?」

 

 

──まあ、また飛ばすんだけどな。

 

そうして角度をつけて飛ばしたり、グレモリーが飛ぶ前に跳んで阻止したりする事10分。強気で(一般的に)見た目パーフェクト美少女のグレモリーが───

 

 

「ヒグッ……エッグ……返じてよぉ……(わだじ)のいーゔぃるぴーす返じてよぉ……」ポロポロ

 

 

──なんということでしょう。涙をポロポロ流す(鼻)水も滴る良いオンナ(現在幼児退行中)に───

 

 

「拓海君、やり過ぎ」

 

「うん。流石にコレは申し訳ない───あ、駒落ちてきた」

 

 

流石にもう飛ばさない。可哀想だし。(やったのは自分だがな)

 

 

「おーいグレモリー。お前の悪魔の駒(イーヴィル・ピース)落ちてきたぞー」

 

「うぅぅ……もういじわるしない?」

 

「おう。もうしないぞ」

 

 

俺がそう言うと、ぺたん座りをしていたグレモリーは這い這いで駒の方に向かい、女王《クイーン》の駒を取ると──

 

 

「うう…よかったよぅ……わたしのこまもどってきたよぅ……」

 

 

──幼児退行が悪化した。(勿論その時の写真は撮った。面白そうだからね)

 

それから三分ちょっとがたった頃…ようやくグレモリーが元に戻った。

 

 

「───コホン。とりあえず、次にアケノの反応を見てみましょう。アケノ、掌を出して頂戴」

 

「ええ、良いですよ」

 

 

そう言って朱乃姉は俺と同じ右手の掌を出した。その上にグレモリーが駒を載せる。流石に駒が跳躍する事は無く、何の反応もなかった。

 

 

「──あら? 反応が無いようなのだけど……これはどういう意味かしら?」

 

「───悪魔にはなれない、という事よ…」

 

「あら……で?何故なれないのかしら?私はその駒の事はあまり知らないので、転生できない理由を聴きたいのだけど……」

 

───の──が私より───たから…

 

「え?今なんて言いました?」

 

 

嘘つけ絶対聴こえてるぞ朱乃姉。

 

 

ア──の実─が私より─だったから…

 

「んー聴こえませんねぇ……もっと大きな声で言ってくれませんか?」

 

 

あれ? なんか朱乃姉の魂が興奮してるような形になってる?(左目(ファヴニール)展開済み)

 

 

「──ッ、アケノの実力が私より上だったからよっ!!

 

 

「───あらぁ?そうだったのねぇ…」ニヤリ

 

 

──へ? もしかして朱乃姉って……

 

 

「ねぇ、リアス?」

 

「──え?ええっと、何かしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女、一度冥界に帰った方が良いんじゃないの?」

 

 

───加虐性癖(サディスト)の素質があるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────え、えーっと、アケノ?今貴女の口から罵倒が飛んだような気がするのだけど…」

 

「あら?貴女はそう捉えたのね」

 

 

そう捉えたも何もそうとしか捉えられないんですが。いやグレモリーを擁護する訳じゃないんだけどさ。

 

 

「いや、そうとしか捉えられないのだけれど…」

 

 

あ、考えてることダブった。

 

 

「私は『眷属とかそういうの考える前に冥界で一から鍛え直してこい』という意味で言ったのだけれど……分からなかったのかしら?」

 

 

ごめん朱乃姉全ッ然分からなかった。

 

 

「結局罵倒にしか聴こえないのだけど!?」

 

「あら…それくらいは理解出来るのね」

 

 

朱乃姉、罵倒したって認めちゃったよ……

 

 

「そもそも貴女、どうせ礼儀作法や魔力のコントロール位の努力しかしてないのでしょう?」

 

「うっ……」

 

「───図星のようね…ここは冥界じゃない。貴女を護っている権力や名声は無い。一度も訪れた事もない場所に()()()()()()()で来るなんて、考えが甘過ぎるんじゃないの?」

 

「どうせ女王(クイーン)だけしか持ってなかったのも『最初の眷属は自分に相応(ふさわ)しい強さの眷属がいい』とでも考えてたからなのでは?」

 

「そうしていざ眷属候補を見つけたら実力不足で転生不可……それって結構恥ずかしいと思うのだけれど…?」

 

 

おおぅ…朱乃姉の容赦ない罵倒(説教)が次から次へと出てくるな…朱乃姉も顔が艶やかになってきてるし………おや?グレモリーの様子が…?

 

 

「──朱乃姉ちょっとストップ。罵倒一回止めて」

 

「もし転移場所が悪かったら悪魔祓い(エクソシスト)達に──ん? 拓海君どうして……あっ(察し」

 

「ふぇっ…ひぐっ……うぇぇえぇええぇえええん!!!」

 

 

───コイツまた幼児退行しやがった。……今回は同情するわ、うん。

 

<幼児退行したグレモリーを放置して約10分後>

 

 

「─────コホン……アケノは兎も角、タクミに触れた駒があんな風になった原因は考えると二つ。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が受け付けないほど私と貴方の実力が離れているか、もしくは────」

 

「──()()()()悪魔の駒(イーヴィル・ピース)()()()()()()()()()()……ってことだな(仕切り直したなグレモリー)」

 

「ええ、そうなるわね……タクミ、何か心当たりは?」

 

 

───心当たり、ねえ……もしかしたら『あの竜(アイツ)』か?まあ言わんが。

 

 

「───いや、無いな。強いて言うなら『左腕(ファヴニール)』が呪詛を喰ったり、一部の魔術的なモノを反射できる程度だ」

「──とりあえず、この話は終わりだ。じゃあさっさと帰れグレモリー。修行の邪魔だ」

 

 

 

 

「………えっ?

 

えっ?

 

 

……………

 

「お前まさかまだ何か強請(ねだ)る気なのか?」

 

「ね、強請らないわよ!ただ、私も修行を「却下」なんでよ!」

 

「修行の邪魔って言ったろ。どうせ『私も鍛えて~』って言うんだろ?結局強請ってんじゃねーか」

 

「だって、ハーフのアケノは兎も角、純粋な人間のタクミがここまで強くなってるのよ!?私がその人に教われば──」

 

「無理だ。師匠は動物や妖怪以外の人外が嫌いだからな。お前が行っても門前払いされるのがオチだ」

 

「そんなの行ってみないと分からないじゃない!」

 

「い~や、無理だね。断言しよう。悪魔のお前は師匠の『最初の試煉』すら受けられない。そもそもやってくれないからな」

 

「何ですって!?」

 

「ア"? 文句あんのか?」

 

「───あらあら…」

 

 

<拓海とリアスが口喧嘩をすること10分>

 

 

「──とりあえず、師匠が鍛えるのは人間だけだ。朱乃姉も一度きりの特例という事で許されてる。お前を受け入れる余裕は、無い。諦めろ」

 

「うう……そんなぁ……」

 

 

ふぅ……やっと諦めたようだな。気付いたらもう10分も経ってるし……さっさと送り返して修行しよう。

 

───と、そう俺が考えていた時、グレモリーがトンでもない事を言い出した。

 

 

 

 

「───じゃあ、タクミが教えなさいよ!」

 

 

 

……………は?

 

 

「───ハァァァアアアア!!!?」

 

 

俺!? ナンデ!? ついに頭がトチ狂ったか!?

 

 

「──おい、どうしてその結論になったのか説明しろグレモリー」

 

「簡単よ。何も無理に貴方の師匠から教わる必要は無いわ。目の前に私より強い人物がいるからね」

 

 

まさかそう来たかグレモリー(コイツ)

 

 

「……そうだとしても、俺がお前を鍛える義理はない。さっさと冥界に帰ってろ」

 

「へぇ~?良いのかしら?教えなければ私を泣かせた事をお兄様に言いつけるわよ?」

 

 

───ファッ!?

 

 

「てめっ、それは卑怯だろ!」

 

「恥も外聞も捨てろと言ったのは貴方でしょう?」

 

「それはそうだが、これは恥でも外聞を捨てる事でもなく虎の…いや魔王(自分の兄)の威を借りただけだろうが!」

 

 

クッソ、コイツ開き直りやがった……嘘かどうかは知らんが、流石に魔王相手はヤバすぎる───

 

「────ッチ…ああ分かった、分かった! 俺がお前を鍛えれば良いんだろ!? やってやるよ!」

 

「ええ!それで良いの「たーだーしー!」ん?」

 

「俺がどんな修行(理不尽)をしても、お前の兄に泣きつくなよ?」

 

「わ、分かってるわよ!これでも悪魔よ。交わした契約は破らないわ」

 

 

───と、言い放ったグレモリーがこの言葉を後悔するのは然程遅くはなかったのであった。

 

「───むぅ、リアスばかり話しててズルいわ…」

 

「本当ゴメン朱乃姉!」

 

 

 

 

拓海side out




──その後、YAMAから家に帰った拓海は、自分の部屋に直行してクロ(猫化してる黒歌)の腹に顔を(うず)めたのであった。

拓海「魔法体系が違ったから教えるのクソ疲れた……」

クロ(黒歌)「ニャー(よしよし、お疲れ様。とりあえず風呂入ってご飯食べてグッスリ寝とくニャ。今日は一緒に寝てあげるニャ)」

拓海「一緒に寝てるのは毎回でしょクロ……」


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拓海、朱雀(双星)と邂逅す。(初めてじゃないけどね)

作「今回はちょいと逸れて双星sideだ」

拓海「(ただし戦闘描写は)ないです」

作「(拓海ともう一人以外はほとんど出番)ないです」

朱乃「それでは第十二話、どうぞ……今回は出番これだけですか…」


拓海side in(中三 14歳)

 

 

 

ドーモ、ドーモドーモドーモ。来谷拓海でございます。さて、七月某日。今俺は何処に居るのでしょーか?(イ●ト風)

 

正解は~?駒王町隣の鳴神町に来ましたー。

 

 

「………あー、やっぱテンション上がらねー。なんで俺が参加させられるんだよ…」

 

『仕方ないだろう。名指しで使命させられたんだから』

 

「だからと言ってなんで俺?普通の陰陽師やってる中学三年生だぞ?」

 

『陰陽連直々に()()使()()()()()()()()()()()技を二つ持っててA()()()()()()()()()狩ってる中学三年生は普通じゃないぞ?』

 

「というか、この石鏡悠斗(イジカユウト)討伐戦』って十二天将クラスが出張るヤツじゃんか!サポートだとしてもキツいっつーの!!」

 

 

そう、今俺が参加させられているのは『双星の陰陽師』の主人公のライバルの一人、『石鏡悠斗』を討伐する為のサポートである。

 

───なんかもう原作のタグ『双星の陰陽師』で良いんじゃないかな?(ダメです by作者) そっかー。

 

 

「──ん?彼処に居る人って……まさか」

 

 

逆立った赤い髪に青い眼、首に巻いたスカーフにヘッドフォン……そして縦長のスポーツバックを背負った人と言えば俺の中ではただ一人……!

 

 

「おーい!士門(シモン)さーん!斑鳩さん家の士門さーん!」

 

「うるせぇ…今乗り物酔いで気持ち悪いから黙ってろ拓海ぃ……」フラフラ

 

 

そう、陰陽師の中でも最高クラスの力量を持つ十二人の陰陽師、『十二天将』の一人。『朱雀』の称号を持つ天才、『斑鳩士門』さんである。

 

 

「士門さんも呼ばれたんですか?後酔い止めの薬飲みます?」

 

「ああ…他にも『青龍』の勘九郎さん、『大陰(だいおん)』の膳所(ゼセ)さん、『太裳(たいじょう)』の(アラタ)さんが来ている…酔い止めは貰おう」フラフラ

 

「そのメンバーだと、もう俺が出張る必要無いんじゃないですか?あ、コレどうぞ」

 

「悪いな……」

 

 

士門さんと知り合ったのはおよそ二年半前。土御門島で既に十体以上もA級のケガレを祓い、何故か天才だと持ち上げられていた俺は、同世代の天才で次期『朱雀』候補と言われていた士門さんに会わせられ、家の付き合いで何度か会ううちに親しくなっていったのである。

 

「───ふう、ようやくスッキリしたな…そうだ拓海、先程新さんから連絡が有ったんだが…『双星』が石鏡悠斗を討ちに行ったらしい」

 

「oh……遅かったか…(まあ知ってたけど)」

 

「とりあえず、そこら辺の裏路地で門を開いて禍野に行くぞ。『双星』が石鏡悠斗に殺られたら終わりだ」

 

「了解。あ、あの(みち)なら良いんじゃないッスか?」

 

「そうだな。そこに行くぞ」

 

 

そう言って俺と士門さんは、すぐ側にあった路地に入った。

 

 

「じゃあ俺が門を開きます。士門さんは石鏡悠斗との戦闘に備えて呪力を温存していて下さい……『禍野門 開錠、急急如律令』ッ!」

 

「ああ、行くぞ拓海!」

 

 

<禍野>

 

 

「………」ザッザッ

 

「………」ザッザッ

 

 

───会話がない。まあ話す事もないのだが。

で、俺が命じられた今回の最優先事項は石鏡悠斗討伐ではなく、『双星』の二人が戦闘に行った際の保護、又は二人を連れての脱出である。

 

……つまり、戦闘は十二天将に任せて『双星』を回収しろという事だ。

 

 

「──!呪力を確認。人数は三人で、『双星』と石鏡悠斗と思われます」

 

「そうか…急ぐぞ拓海」

 

「はい……!三人の呪力の内一人が逃走を開始してます。おそらく石鏡悠斗かと」

 

「『双星』は?」

 

「無事です。弱くなってますが、呪力はちゃんと二人分あります」

 

「そうか……なら、『双星』を回収して禍野を出る。その後の対応はお前に任せる」

 

「士門さんは?」

 

「俺も出よう。手負いとはいえ清弦さんを倒した奴だ。無闇に追撃するのは危険だからな」

 

「了解。そろそろ『双星』に接触します」

 

 

そして、俺と士門さんは『双星』に接触。二人を回収した後、救急車を呼んで二人を搬送して貰ったのであった。

 

 

 

拓海side out




備考・・・拓海の実家『来谷家』は研究職が多いため、余り戦闘に向いた家ではない設定。というか戦闘に向いてる拓海と和久(父さん)が異常。


評価、感想、お待ちしてます。


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黒猫、正体がバレる。(〇〇〇〇取ったどー!!)

作「お気に入り400人突破の十三話!」

朱乃「今回はタイトル通り──というかタイトルがネタバレですね」

ソロマ「いつもの事だから気にしない、気にしない。それじゃあ十三話どうぞー」

作「あ、関係無いが、24日にFGOでマーリンを当てたぞ」


朱&ソ「「本当に関係無い(です)ね!!?」」


クロ(黒歌)side in

 

 

 

私は元猫魈(ネコショウ)、現はぐれ悪魔兼拓海の飼い猫である。名前は黒歌。飼い猫としての名前はクロである。

九月某日。最近(というか二年前)拓海が動物と会話出来るようになったので、会ってからずっと猫の姿になっている私でも意思疎通がスムーズになったのである。そして私は今日、拓海と意思疎通出来るようになってからずっと温めてた作戦を実行するのだ。

 

 

「ニャーニャー(拓海ー、この首輪ってそろそろ買い替え時じゃないかにゃ?)」

 

「ん? そうか?」

 

 

そう、この首輪を取ってもらう作戦である。

その程度か、と思うだろう。だが今の私にとっては死活問題なのである。

何故なら、私が嵌められているこの首輪は異能を封じる力を持つようで、これを着けていると妖術や仙術、魔法どころか、人の姿になることすら出来なくなるのである。

 

 

「ニャニニャー(うん。だって首の辺りが少しキツくなってきたからにゃ)」

 

「そっかー……んじゃあ一度取って後で調整するか」

 

 

よし。拓海も私を信用しきっている。首輪を外したらすぐに催眠を掛けて、ここから立ち去ろう。これまでは追手も来ず何も無かったが、これからも追手が来ない保証はない。

───それに私は黒猫。私が居たらいつかこの家に災いが起きるかもしれない。なら私が出ていけばこの家には少なくとも追手は来ないだろう。流石に六年も暮らせば情が湧く。この家の人達……特に拓海には裏の世界に積極的に関わって欲しくないの……

 

 

「ニャ、ニャー!(ほら早く! 最近首ら辺が痒いから取ってにゃ!)」

 

「はいはい分かったから。それじゃあ取るぞ?」

 

 

だから……これで終わり。拓海、貴方と過ごす日々は楽しかった。私が居なくなっても悲しまないで、すぐに忘れてね───

 

 

 

 

 

 

 

カチャリ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ここで誤算があった。拓海が小三の頃から仙術を封じられ、身体中には気が溢れていた。本来の作戦なら首輪がとれてリラックスした姿を見せて油断させる筈だったのだが……

 

 

 

 

 

ポフン

 

 

 

 

 

 

「───えっ?」

 

 

リラックスし過ぎて人の姿に戻ってしまったのである。

 

 

 

「………えっ?」

 

「………えっ?」

 

 

………………………

 

 

「───戦略的撤退!」ダッ!

 

「逃がすか!」ガシッ

 

 

部屋の窓に駆け込もうとすると、拓海が私の足を両手でガッシリと掴んでいた。右腕に目を向けると、白銀の竜を模した鎧が装備されていた。『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』。何度も見た拓海の神器(セイクリット・ギア)。この神器一つで幾つもの恩恵を受けられて、今回使ったのは光速移動だろう。

 

 

「──クロ、どういう事か説明してもらうからな」

 

「……分かったにゃ。その前に掴んでる手を離してくれない?」

 

「ああ、良いだろう」

 

 

そう言って拓海が手を離す───今だ。

 

 

戦略的撤退part2!」ダッ!

 

「初代様確保!」

 

「請け負った」ガシッ

 

「グヘッ!?」

 

 

重ッ!? この髑髏(ドクロ)鎧重ッ!?そして怖ッ!?

 

 

「ちょっ……この式神降ろして…もう逃げないから…」

 

「じゃあ『I am a power saver 3号』(さっきまで首輪だった物)着けようか?」

 

「うう……」

 

 

───この状況、完全に詰んじゃったな…にゃはは……

 

 

 

クロ(黒歌)side out

 

 

 

 

 

拓海side in

 

 

 

あ、ありのままに今起こった事を話すぜ!

クロに着けている首輪(元々腕輪)を外したら、人の姿になった……何を言ってるのか分からないと思うが、俺にもよく分からない……今も頭が混乱している……

超能力か幻か、はたまたこれが本来の姿なのかは分からないが……何か恐ろしいモノに手を出したような気がする。

 

 

『成る程、コレがポルナレフ状態というヤツか』

 

『だが、混乱するのも無理はない…何せ今まで可愛がってた猫が人の姿になったら誰だって混乱するさ』

 

 

───とりあえずウチのドラゴン二体は無視(トランクスルー)で。

 

 

『『ハァッ☆』』

 

「──えーっとクロ? とりあえず本当の名前と性別、それに種族も教えてくれ」

 

 

と、俺がクロ(仮)に話し掛けると、諦めたように自分の事を話し始めた。

 

 

「うー……仕方ない、か……私の本当の名前は黒歌(クロカ)。性別は見ての通り女性で、種族は転生悪魔……元々は猫魈って言う妖怪だったんだけどね」

 

「いつもみたいに語尾に『にゃ』は付けないのか?」

 

「いや真面目な話してる時に『にゃ』なんて言ったら締まらないでしょ…というか私の話を聴いて感想それだけ?」

 

「他にも疑問はあるが?」

 

「じゃあそれ先に言いなさいよ……」

 

「んじゃまあ一つ……転生悪魔なのに主の所に居ないって事は、クロ──黒歌ははぐれ悪魔なのか?」

 

「───ッ!」

 

 

「転生悪魔については前にグレモリーから聞いている。チェスの駒を模した『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を使う事、その駒に応じて役割と強化される点が違う事、そして──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………」

 

「沈黙は肯定と見なすぞ……──率直に言おう。俺はクロ──黒歌が訳も無く主を裏切る奴では無いと思っている」

 

「ッ!? ……どうしてそう言えるのかな? 私が主を裏切ったのは事実だよ?現にさっき拓海から逃げようと──」

 

「じゃあクロはなんで今の今まで逃げなかったんだ?」

 

「──! そ、それは私が逃げ出すタイミングが無かったから……」

 

「嘘だね。力を封じられてたとは言え、猫としての最低限の能力は持っていた筈だ。それに夏は結構窓を開けて網戸で寝ていた。もし本気で逃げようと画策してたのなら、夜毎(よごと)網戸をずらして逃げようとするだろう。現に俺は網戸に全然触ってなかったからな」

 

 

本当にここで過ごすのが嫌ならさっさと脱走しようとする筈だ。正にどんな手を使ってでも……

 

「う……」

 

「───と、まあその件は置いといて、俺がクロから聴きたいのは()()()()()()()()()()()だ。話せるか?」

 

「………」

 

「悪いが、俺は神様じゃないから考えてる事は分からないしクロにどんな過去があったのかも知らない。だが、ここでお前の過去を知らないと正直俺はどうすればいいのか分からない………一応正気は保ってるんだろ?なら教えてほしい。なんでクロが転生悪魔になって、どんな理由で自分の主を裏切ったのか───それだけでも良いから、話してくれないか?」

 

「………はぁ……分かったわよ。転生悪魔になった理由と自分の主を裏切った理由だけならね──」

 

「……済まない。それだけでも助かる」

 

 

 

 

 

──そして、クロ──いや黒歌は二つの話をした。

 

一つは自分の妹を守るために貴族の悪魔の眷属となった事、

もう一つは、自分の妹がその貴族の悪魔に無理矢理利用されそうになって、やむを得ずソイツを殺めた事……

 

 

「──優しすぎだろお前」

 

「う、鵜呑みにするの!?ちょっとは疑わしいと思わないの!?」

 

「いや疑うも何も……ちゃんと『左眼(ファヴニール)』使って話してる間のお前の魂見てたし…嘘()いたら判るし…話し終わった時点でもう疑う必要無いんだよな……」

 

「なっ──そんな能力もあったの!?」

 

「あるんだよ。で、どうする黒歌?ぶっちゃけウチの父さんにはバレたぞ?」

 

「にゃッ!? ど、どういう事!?」

 

 

あーそっか。黒歌知らないんだっけ。

 

 

「この家には結界が張ってあってな。色々機能があるんだが、その中の一つに『結界内に立ち入った者の気配を記録する』っていうのがある。…黒歌の場合結界の中で変化したから、黒歌が変化してたクロが疑われる可能性が一番高いな」

 

「そ、そんな…せっかく元の姿に戻ったのに……」

 

 

さて…本気(マジ)でどうしようこの状況……どう打破する?コイツは指名手配、逃がそうと思えば逃がせるが、その場合飼い猫の『クロ』が居なくなる事になるから父さん達を言いくるめる必要がある…

『ゴッメーン☆クロがどっか行っちゃった☆はぐれ悪魔だったけど関係無いよネ!』…HAHAHA‼……何この無理ゲー?

一応陰陽師でも、はぐれ悪魔の存在は知られている。で、そのはぐれ悪魔をうっかり(という体で)逃がしたら…裏切り者として天若家に殺されるね。確実に。

 

とまあ難しい顔をしていた俺を見て、黒歌が呟いた。

 

 

「──こんな所で終わり、か……呆気ないなぁ…せめて、私が転生悪魔じゃなければなぁ……」ドンヨリ

 

 

──そうか、黒歌がはぐれ悪魔じゃなければ良いのか!それなら全力で父さん達を説得すればイケる!となると──

 

 

「───おい、黒歌。少し聴きたいことが─」

 

「──何? 私を引き渡すの? それとも討伐するのかな?……別に良いよ? 何処の誰とも知らないヤツに殺される位ならせめて拓海に…」ハイライトオフ

 

「おう待て黒歌さんや。俺が思考してる間に一体何があった? スッゴい絶望してんなオイ」

 

 

ってか、地味に黒歌から俺に対しての好感度が高いような気が……

 

 

「──まあとりあえず、黒歌に聴きたいことがあるからちょっと答えてくれ」

 

「ん?殺し方の要望かな? 私は拓海の胸の中で死にt「黒歌、悪魔を辞めたいか?」…へ?」

 

「だから、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を抜いて元の猫魈に戻りたいかって聞いてるんだよ」

 

 

 

「……ヘエェェエエエエエッ!!?」

 

 

 

「うわ、五月蝿いな……ただ悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を抜くだけだぞ?そんなに驚くことないだろ…」

 

「いやいやいや! 驚くに決まってるでしょ!? 悪魔の駒(イーヴィル・ピース)よ!? アレ私の魂と癒着してるのよ!?どうやって引き剥がすの!?」

 

 

なんか途端に生き生きし始めたな…大丈夫かコイツ──って、原因俺か。

 

 

「まあお前はそのままじっとしてろ。30秒あれば終わるから」

 

 

と言って俺は『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を展開させ、黒歌の正面に立つ。

 

 

「た、拓海? 一体何を───」

 

「──今から駒取り除くから動くなよ?」

 

「いきなり!? 前準備とか無いの!?」

 

「いつ父さん達が帰ってくるか判らないからな。さっさと済ませるぞ」

 

「えええ…ってちょっと待って? なんで左腕を構えたまま私の方に近づくの? まさかその手で直接掴む気じゃないよね……?」

 

「安心しろ黒歌。理論上では30秒耐えれば終わるから────ちょっとくすぐったいぞ!」

 

 

──そう言って、俺は黒歌の胸に『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を突き立てた。

 

 

「に、にゃぁぁぁあああぁぁぁッ!!? 背骨がぞわぞわする!?」

 

「五月蝿いちょっと黙ってろ。今お前の魂と駒の癒着してる部分を弄ってんだ。少しでもズレると死ぬぞ」

 

「──ッ!」

 

 

よしよし、静かになったようで何よりだ。と、軽口はここまでにして、癒着部分の切除は終わったから次は呪詛と化した悪魔としての部分を喰って──後は『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を取り除いて───

 

 

「──『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』とったどー!!」

 

「────ええええ!!? ほ、本当に取っちゃった……!?」

 

 

黒歌の中にあった『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を二個取り出した──え? 悪魔の駒が()()

 

 

「──黒歌さんやーい、なんで悪魔の駒が二個もあるんですかい?」

 

「あ、気付いちゃった?」

 

「気付いちゃった?じゃないよ。これどういう事? 説明しろ黒歌」

 

「あー、悪魔の駒には許容量があって「それは知ってる」─焦んないの、ここからが重要なんだから。──で、私の能力が普通の僧侶の駒じゃ足りなかったから、僧侶の駒を二つ使って転生したわけ」

 

「成る程ね。じゃあ駒が二つ出た事は異常じゃないのか」

 

「そうそう問題にゃし………で、その抜いた駒どうするにゃ?」

 

 

そう言って黒歌は、俺が握っている悪魔の駒に目を向ける。

 

 

「シリアルモード抜けたか。───とりあえず次にグレモリーに会ったときに渡しておくか」

 

「グレモリー? ───ああ、魔王の妹ね。良いの? 自分で言うのもなんだけど私の賞金結構高いにゃよ?」

 

「───どうしよっかな……」

 

「あ、やっぱり迷うんだにゃ?」

 

「そりゃあお金は大事ですから。あーでもその前に朱乃姉と父さん達を説得する言い訳を考えなきゃな……」

 

「朱乃ちゃんにも説明するのかにゃ?」

 

「いやなんで朱乃姉をちゃん付けして呼んでんだお前」

 

「ステイ。拓海ちょっとステイ。声色が堅気の声じゃにゃいよ? 後朱乃ちゃん高一なら私の方が年上よ?」

 

「なん……だと…!?」

 

 

──ピーンポーン、ピーンポーン…

 

 

「「──あっ」」

 

 

──この後、帰ってきた父さん達に即興で説得の言葉を捻り出して、なんとか黒歌をまたペット枠として飼えるようになったのであった。

 

 

 

拓海side out




拓海「───そういえば、駒王学園にグレモリーが居るって朱乃姉から聞いたな……そして来年からは共学になる──朱乃姉に変な虫が付くかもしれん! 俺も駒王学園に行くぞ!! 待っててね朱乃姉ェェエッ!!!」

クロ(黒歌)「ニャッ!!(拓海うるさいにゃ!)」


次回『拓海、蚊取り線香(比喩)になるようです。(仮)』

作「あ、それと黒歌さん誕生日おめでとー」

拓海「え?マジで?」

クロ(黒歌)「ニャニャ、ニャー(まあ言ってなかったからね、仕方ないにゃ)」


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拓海、蚊取り線香(比喩)になる。(駒王と杜王ってなんか似てない?)

作「テスト終わった。そしてテストオワタ/(^o^)\そんな十四話」

ソロマ「三段活用ならぬ、二段活用のつもりかい?」

黒歌「そんなことはどうでもいいにゃ。で、今回はどういう話にゃ?」

作「今回はオール拓海side。まあ、拓海の異常性の一角が見える回だと言っておくよ。それでは第十四話、どうぞ」


4月某日 拓海15歳(高一)

 

 

「──ここが、駒王学園か……」

 

 

──努力した。前世より努力した。だがこの努力は苦にはならなかった。何故かというともちろん朱乃姉の為である。

その為にわざわざ"島"の学校蹴ってここに来たのだ。有馬様を説得するの大変だった…『悪魔が統治(仮)している場所に何があるのか分からない。なので家の息子に監視をさせたい』という父さんの掩護射撃が無かったら島に行かされてただろうな……その言い訳もちょっと苦しかったけど、何とかなったし大丈夫でしょ。

 

 

「あら? 拓海君、もしかして緊張してるのかしら?」

 

「まあちょっとだけね。すぐに慣れるよ」

 

 

ああ~やっぱり朱乃姉は優しいなあ…だがしかし、

 

 

オイミロヨ。アノヒトスッゲーキレイダゼ?コエカケテミロヨ。

 

エーデモトナリニオトコガイルゾ?カレシジャナイノカ?

 

オレシッテルゼ、クオクガクエンニハ『ニダイオネエサマ』ッテノガイテ、アノクロカミロングノヒトハソノカタワレナンダト。

 

オオ!スゲーオッパイダ!アノオッパイデ……グヘヘヘ……

 

 

チッ……鬱陶しいな──それと最後の奴。何を想像したか知らんが朱乃姉で卑猥な妄想を繰り広げたな? 本来なら闇討ちで殺殺する所だが、初日からそんな事件を起こすのは朱乃姉に嫌われるのでドキツい呪いを掛けてやる。精々闇討ちで殺殺(コロコロ)されなかったことを泣いて喜ぶんだな。

 

 

「──あら?そこで何をしているのかしら?」

 

 

ムッ!?この声は────

 

 

「あ。同い年の眷属が居なくて協力者(俺たち)が居なかったら真面(マトモ)にお勤め果たせなかったこの土地の管理人((カッコ)失笑(シッショウ))(カッコ閉じ)であるグレモリーさんチッスチッス。眷属に頼れないで渋々悪魔の友人と朱乃姉に手伝ってもらってた書類整理は一人でキチンと出来るようになったのかな?」

 

「出会い頭から罵詈雑言を浴びせないでくれないかしら!? 後((カッコ)失笑(シッショウ))(カッコ閉じ)って普通自分で言うことじゃないでしょう!?」

 

「いいかグレモリー? 幻想郷では常識に囚われてはいけないのだよ」

 

「いやここ現世! ヒューマンワールド! 幻想郷は無いから!? OK?」

 

「OK!」スッ

 

「ちょっと何でアイアンクローの構えをしてるのかしら!?」

 

「安心しろ。胴体はやらねぇ。やるならフェイスだよグレモリー君や」

 

「逆!? それ逆じゃないの!?」

 

 

───ああ…やっぱりグレモリー弄るの愉しい……

 

 

「──あー拓海君? そろそろ教室に行かないと駄目じゃないかしら?」

 

「あっそうだ忘れてた! んじゃ朱乃姉、また後でね! あとグレモリーもな!」

 

 

そう言って俺は自分のクラスを見てその教室に向かうのであった。

 

「あらまあ、行ってらっしゃい」

 

「──やっぱり私は次いでなのね」

 

「あら? 何故今更そんな分かりきった事を言うのかしら?」

 

「朝からこんなのでもうやだ……」

 

 

────で、朱乃姉とグレモリーは教室に行かなくて良いのか?

 

 

 

<入学式終了後>

 

 

 

───あー終わった。しかし話が長っダルい(長い+ダルい)なあの校長……

 

入学式を終えた俺を含む新入生は、自分のクラスへと戻り担任とクラスメイトの紹介を聞いていた。

 

 

「えーっと次は──来谷だな。自己紹介頼むぞー」

 

 

ん? もう俺の番か。適当にやるか。

 

 

「……来谷拓海です。趣味はネットで小説を読み漁る事とゲーム、あまりこれといった特技はありません。というか言えない。好きなものは朱乃姉です。ボソッ一年間宜しくお願いします」

 

 

やったよ朱乃姉! 公共の場での朱乃姉への愛を抑えて自己紹介出来たよ! 趣味がニート予備軍っぽいけど!

 

 

『本当に凄い進歩をしたな……趣味はまあ、人それぞれだ、気にするな』

 

『小・中学生では大っぴらに言ってボッチ街道(ロード)を突き進んでいたからな』

 

 

うっせーやい、俺だって成長しているんですよーだ。とりあえず高校では表面上では大人しくしておくさ。朱乃姉に心配かける訳にはいかないしな。

 

俺の自己紹介が終わって暫くすると、ある一人の生徒の番になった。

 

 

「──兵藤一誠です! 好きなものはおっぱいです!」

 

 

──は?(理解不能)

 

 

「俺の夢はハーレム王になることです!」

 

 

───はぁ?(理解を放棄)

 

 

「今日一番良かった事は紅い髪と『黒髪ポニーテール』の二人の美人お姉さんの大きなおっぱいを確認出来た事です!!」

 

 

ア゙ア゙?(# ゚Д゚)(頭じゃなく魂で理解した顔)

 

 

「こんな俺ですが、一年間宜しくお願いします!」

 

 

 

 

 

──フ、フハ、フハハ、フハハハハハハハ、フハハハハハハハハハハハハハッ!!!

 

───ああ…そうか、何を戸惑う事があったんだ?何もないじゃないか?…………あんな変態を朱乃姉に近付かせてたまるか。あんな変態“達”を朱乃姉に近付かせてたまるか。

 

そんな時、俺はふと閃いた。

 

 

────そうだ、呪いかけよう。と──

 

 

『待て! 考え直せ! 考え直すんだ拓海!!』

 

『ほう? 久しぶりに我の出番か。どうする?』

 

『簡単だ。朱乃姉に手を出せなくする呪いを複数掛けるのだよ──』

 

 

今教室の雰囲気が荒れてるが、俺にはなぁんの関係もない事だ。

 

その後、何とかクラスメイト全員の自己紹介を終えた我がクラスは終了の合図をするところだった。

 

 

『──で、呪いを掛けると言っても、どうするんだ? もう下校の時間だ。先生は兎も角、生徒は帰ってしまうぞ?』

 

『そうだな………もうすぐ下校の時間だ……合図が終われば教室から出ても問題ない──そう、()()()()んだよ……』

 

『なッ!? 拓海、お前まさか!』

 

『そう………()()()()()()()

 

 

「それじゃあ連絡は終わりだ。今日は最初だから先生が号令をかけよう!起立、気をつけ───」

 

 

『(今だ!)

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)時間掌握(ザ・ワールド)』”!!
我、現世(ウツシヨ)ノ時間ヲ掌握セリ!!』

 

 

 

 

 

その瞬間───世界が、静止した──

 

 

「フフフ……フハハハハハハハ!!これが我が煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の力の一つ、“煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)時間掌握(ザ・ワールド)』”だッ!! 普通、こういった時間操作系の能力は時間制限だとか止められるものが限られるだとかそんな制約があるが、この“煌天雷獄『時間掌握』”にはそんなチャチな制約は()()()()()ッ!

 

操作時間は無制限!

止めようと思えば世界、そして同じような能力(ちから)を持つ者すら止めて見せよう!

そう、我が“煌天雷獄『時間掌握』”はッ! その名の通り、()()()()()()()力なのだよッ!!フハハハハハハハ!!」(CV.DI〇)

 

『うわぁ……拓海のテンションが血を吸ったDIOの如くハイになっているぞ』

 

『で? 今回はどういう呪いを使うのだ?』

 

「フフフフ、まあそう焦るな……そうだな。まずは──」

 

 

『姫島朱乃に卑猥な視線を向けない呪い』

『姫島朱乃の更衣を覗かない呪い』

『姫島朱乃を夜のオカズにしようと思わない呪い』

『姫島朱乃の秘所を見ることが出来ない呪い』

『姫島朱乃を襲う事が出来なくなる呪い』

『姫島朱乃に関する呪いが如何なる事をしても絶対に解けなくなる呪い』

 

 

「──とまあ、こんなモノで充分か」

 

『『最後の呪いに込められた呪力が半端ない事になっているぞ!?』』

 

「そんな些細な事はどうでもいい。さっさと()()()()()()ぞファヴニール」

 

『うむ、もう終えたぞ』

「早いな」

 

 

ファヴニールがそう言うと、俺の左腕にファヴニールを模した鎧『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』が装備されていた。人差し指と中指に禍々しい瘴気が集まり、球体が生成される。

 

 

「それならもう何も言う事はない──」

 

 

そう言って、禍々しい球体を兵藤一誠に向けて──

 

 

「殺傷力0『呪い束ねし呪弾(ガント)』ッ!!」

 

 

────打ち出した。

 

無論、時間を止めているので簡単に当たった。

 

 

『やはり簡単に当たったな。全くいきなり笑い始めた時は何を考えていたのかとヒヤヒヤしt「何を勘違いしているんだ?」──ひょ?』

 

「まさか───この俺がこいつ一人に呪いを撃つ為だけに“煌天雷獄『時間掌握』”を発動させたと思っていたのか?」

 

『…………何………だと……!?』

 

『拓海まさか、お前──』

 

「そう、俺は─────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()為に“『時間掌握』”を発動させたのだよッ!!」

 

『『ナッ、ナンダッテー!?』』

 

「さあサクサク行くぞ! 全速前進DA!」

 

 

ガント!…ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガンットォォォオオオッ!!!

ヒャッハー!ガントノバーゲンセールダゼーッ!!ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガント!ガンットォォォオオオッ!!!ガンットォォォオオオッ!!!ガントミダレウチィ!!WRYYYYYYYYY!!!!!!

 

 

 

───そして、この学園内の俺を除いた全ての男に呪いを掛けた後、俺は自分の教室に戻り、『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を解除した。

 

 

『ふぅ………さて、解除するか』

 

『──頑張れよ、拓海。“彼処(あそこ)”に着くまで私がサポートしよう』

 

『規制は我がやっておいてやろう。存分に逝ってこい』

 

『──ああ、済まない。

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)時間掌握・解除(ザ・ワールド・リスタート)』”!!

 

 

そして、時は動き出す────

 

 

「──礼!」

 

「「「「「「「さようなら~」」」」」」」

 

「サヨナラッ!」ダッ!

 

 

礼をしたと同時に、俺は近くの男性用便所へと駆け込んでいく。先程射ち回った時に確認は終えていたので、迷いなく入り、大用の便器へと顔を向けて───

 

 

「うっ……オロr《ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。ただいまお見せ出来ません。今暫くお待ち下さい。》………ふぅ……スッキリした……」

 

 

───“煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)時間掌握(ザ・ワールド)』”は、自分で言うのも何だが、とても強力だ。───ただし、その副作用が嘔吐という事に目を瞑ればの話だが。少しの時間、たとえ1秒でも使えば、その瞬間に吐くことが確定するので普段は使いたくない能力である。

 

 

「───さて、汚物も無くなったしさっさと帰るか。勿論、朱乃姉と一緒にな」

 

 

 

 

「───はあ…拓海君、遅いわね……何かあったのかしら?」

 

 

 

 

───その後、俺が遅れた理由を丸ごとうっかり話してしまい、朱乃姉に叱られたのであった。




拓海の朱乃に対する口の軽さはヘリウムより軽いです。

次回はちょっと逸れて拓海の現在のスペックと設定を書きます。お楽しみに。


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現時点(原作開始直前)の拓海のスペック設定

注意・・・設定なので、文字がこれでもかと詰まっています。それでも構わない方はどうぞ御覧ください。


2017-12/2、“煌天雷獄『時間掌握』”を『その他の能力』に追加。


<原作開始時>

 

 

来谷拓海 16歳 高校二年生 男

 

身長182cm 体重78kg

 

好きなモノ・・・・朱乃姉(姫島朱乃)、クロ(猫の時の黒歌)

 

嫌いなモノ・・・・朱乃姉に言い寄ろうとする塵芥(アホ)共、プリン、ハチ(特にスズメバチ)

 

嫌いじゃないモノ・・・・リアス・グレモリー、黒歌(人化状態)

 

 

とある神『ソロマ・ニィー』のミスで死んで転生する事になったよくある神様(テンプレ)転生者。死亡した事に関してはまだ少々未練がある。と言っても

『次回の仮面ライダーエグゼイドどうなるんだろう?』だとか、

『来月やるFate/Apocrypha見たかったナー』とか、

『ポケモン最新作買いたかった……』という感じの物欲であり、自分の人生その物に対しては未練は一切無い

 

気まぐれだが義理堅い性格で、少々面倒くさがり。オタクかというとそうではなく、ただ楽しんでいるだけのエンジョイ勢。批評は書いても叩きはしない。

 

転生する前は少しヘタレていたが、姫島朱乃に一目惚れして姫島本家からの刺客と戦い敗北寸前に陥った事から、「ヤベェこの世界ヘタレてたら死ぬぞ」と思って『島』の陰陽師であった父『来谷和久』に教えを乞い、山篭もりの最中に特典で呼び出した『魔王ナナワライ』にも弟子入りした事によりヘタレ気質をほぼ消し飛ばした。(完全に無くなったとは言ってない)

 

料理は同い年の男子よりはできる方。だが、親子丼に関しては腕前がヤバイ(誉め言葉)らしい。

 

 

 

転生特典

 

 

1.『オレカバトルの全てのアイテムとモンスター、そして全ての技を習得できる+モンスター2体を取り憑かせる』

 

文章そのまま。『オレカバトル』のほぼ全てのモンスターとアイテムを所持、(また)は活用する事ができ、研鑽を積めばオレカモンスター(※)の技を使用できるようになる。

そして、技術の補佐の為に拓海自身と相性がいいオレカモンスターを二体、拓海と同化させる特典。

 

オレカモンスターとアイテムは後述の特典によって造られた『ポイポンΣ』に内蔵されているアプリにデータとして保存され、ダウンロードする事によって現実世界に具現化することができる。

 

拓海と同化しているオレカモンスターは『シルバードラゴン』『漆黒竜ファヴニール』の二体だが、何らかのバグでもう一体モンスターがいるらしい。拓海もその存在は知っており、『あの竜(アイツ)』と呼んでいる。

(※ オレカバトルのモンスターの略称)

 

『シルバードラゴン』・・・雷電と風を司ると(オレカバトルで)言われているドラゴン。しかしゲームでの性能はイマイチである。───だが、現実(リアル)では自身が体内で発電している雷を使った破壊力のある攻撃と電気操作を生かしたトリッキーな小技で立ち回れる普通に強いドラゴンであった。

自身を武器とする『竜装(リュウソウ)』では、『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』という竜を模した鎧となる。

 

銀竜の右腕(ライト・シルバー)』・・・有機的で、手の甲にシルバーの眼と角があり、指の部分が牙のように鋭く、関節の継ぎ目が無く、かつ自由に動かせて、腕から肩の部分には大きな鱗が鎧のようになっている形状で、全体的に銀色である。

手のひらには蒼い宝玉があり、手の甲のシルバーの眼も同じ色である。

 

 

『シルバードラゴン』の力を凝縮して武器へと変化させたモノ。使える能力は、

『電気操作』・・・電気を出したり思い通りに操ったりできる。

『電気吸収』・・・自身が放ったモノ以外のあらゆる電気を吸収する事ができる。

『発電』・・・字面そのまま。電気を発電できる。一日に約50TW(テラワット)も発電でき、貯蔵量はほぼ底無しである。

『雲量操作』・・・これも字面そのまま。雲の量を操作でき、天候を晴れにしたり、雨雲を集めて雨を降らせる事ができる。しかし『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』が覚醒してからは全く使用されていない。

銀竜の右眼(アイズ・シルバー)』・・・右眼が変化して、電磁波や電流、生体電気の可視化が可能になる。

拓海は『右眼(シルバー)』と呼んでいて、『銀竜の右腕』を展開しなくても使える。

(黒目が蒼くなり、瞳孔が縦に裂ける)

 

『漆黒竜ファヴニール』・・・闇を司り、象徴ともされるドラゴン。火力が大きく、デバフも与えられる。現実世界でも同様に、高火力でそれぞれ違うデバフを付けられる三種のブレスを放つ事ができる。

こちらも『竜装』が可能で、『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』という『銀竜の右腕』の色違いのような鎧になっている。

 

漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』・・・基本的に『銀竜の右腕』の色違いで、形状はほぼ同一。銀の部分が黒く、眼と宝玉が赤くなっているが、能力は全く違うモノと化している。

 

ファヴニールが能力を凝縮して武器へと変化させたモノで、使える能力は、

暗影(アンエイ)操作』・・・闇や影などを自由に扱えて、主に影の中に潜ったり、相手の攻撃を闇で回収して相手に返したりする事ができる。

魂魄(コンパク)喰い』・・・魂や残留思念を喰らう事ができる能力。ファヴニール自身は邪悪な魂を好んで喰らう。

『暗影吸収』・・・『電気吸収』のファヴニールバージョン。能力も似たようなモノ。

呪呪与転(シュジュヨテン)』・・・自分が独自に創り出した呪いを相手に与えたり、呪いの性質を書き換えたりすることができる能力。この効果の副作用で、自身には悪性の呪いが無効化される。

呪魂剥離(ジュコンハクリ)』・・・呪いや魂を他人から引き剥がす能力。この能力を応用して、黒歌から『悪魔の駒』を摘出する事ができた。

漆黒竜の左眼(アイズ・ファヴニール)』・・・『銀竜の右眼』のファヴニール版であり、暗視、魂の可視化、思考の可視化が可能になる。此方も単体での使用が可能である。

(黒目が赤くなり、瞳孔が縦に裂ける)

 

 

2.『鷹の爪団レオナルド博士の技術力、開発力』

 

『なりふり構わず全力を出せば軽く世界征服できる秘密結社』鷹の爪団のマッドサイエンティスト、クm『レオナルド・デカ・ヴィンチ』の技術、開発に関する能力を得る特典。『プロメテウスの宮殿』も所持している。

 

現時点までで造った発明品は、

『ポイポンΣ』・・・鷹の爪恒例のiPh〇neのパチモンのポイポンシリーズ。コンドルには持ってかれません。おじさん達に破壊もされません。普通に高機能なスマホです。

呪力(じゅりょく)=マーブルンα』・・・拓海の有り余る呪力を身体に影響しないようにマー〇ルチョコにして排出する装置。排出されたマーブ〇チョコは一時的に呪力量を上げるブースターのような代物になっている。

I am a power saver(アイ アムア パワーセーバー) 3号』・・・元々は自身の能力を制限して鍛練する為のアイテムだったが、黒歌を保護した時に首輪代りとして付けた。その効果で小三から中三までの六年間、来谷家に正体(というか猫から変身できなかった)を(結果的に)隠し通せた。

『カンドロイド』・・・まんま仮面ライダーオーズのカンドロイド。オーズ本編に出てきた全種類を造ってあり、量産体制も整っている。

『■■■■■■■』・・・拓海の工房。現在の人類の技術力では不可能で、人類の夢でもある場所に存在する。

『■■■■■』・・・移動関係の発明品。現在の人類の技術力では不可能な代物。

『EXゲージネックレス&EXゲージストッカー』・・・オレカバトルの必殺技『EX技』の発動に必要な『EXゲージ』を可視化する為のアイテム。最大で十回分のEXゲージを保存できる。

 

 

3.『自分の名前と記憶を引き継げる』

字面そのままの特典。これのお陰で拓海は『来谷拓海』で要られるし、自分の過去を忘却する事ができない。

 

 

4.『Fate/Grand Orderの“山の翁(キングハサン)”のセイントグラフカード』

山の翁(キングハサン)”のセイントグラフカードを使って、『限定展開(インクルード)』や『夢幻召喚(インストール)』、更には御本人を召喚できる特典。

今回の“山の翁”のスペックは冠位持ちの状態であるが、基本的に戦闘には参加しない。

拓海だけで対処が不可能である場合のみ、全力を以て陣頭に立ち、拓海の敵を断つ。

(第五話で拓海が死にかけた時は和久(父さん)が来るのを見たので出なかったが、来なかった場合には多少の動作不良(フィードバック)を無視してでも顕れていた)

 

ステータス

 

[マスター 来谷拓海]

筋力 B

耐久 A

敏捷 B+

魔力 E

幸運 D-

宝具 A

 

クラス別能力

[対魔力:B]

[気配遮断:★]・・・自身の気配を消すスキル。かつて修得していたものの残滓。強力な呪いを帯びたこの剣士は、例え隠密行動判定を完全に成功させたとしても“これから殺す相手”に自分の存在を感知されてしまう──筈だった。

今回は冠位(グランド)の霊器で現界したので、気配遮断のランクが数値化できる範囲を超えてしまった。そのためEX(根本的な規格外)と分ける為に、★(数値的な規格外)と定義した。

このランクになると最早、初めて攻撃を受けて、その時に(カロ)うじて存在に気付くレベル。そして“山の翁”にとっては、その初撃がそのまま必殺となる。

[単独行動:B]

[境界にて:A]

 

保有スキル

[戦闘続行:EX]

[信仰の加護:A+++]

[晩鐘:EX]

 

所持宝具

死告天使(アズライール)』ランクC

■■■■(■■■■■■)』 ランクA(仮定)

 

 

5.『拡大解釈』

拡大解釈とは、言葉や文章の意味を、自分に都合のいいように広げて解釈することである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───なんて、そんな国語辞典にさらっと載ってるような説明で済む代物ではない。と言うより、これを使いこなせば神にすら影響を与える力である。

 

この拡大解釈という特典は、自身がそう認識している事を現実世界に反映する能力なのである。

だが、ただ反映するだけではない。ちゃんと根拠を──これがこうなるからこれができるという順路が成り立ってなければ、それは反映されないのである。

……逆に言えば、順路さえ成り立っているなら現実で不可能な事象だろうと実現できるのである。(その場合は盛大な誤解が必要になるが)

 

使用例(そう思い付いた経緯or誤解の仕方)

『シルバードラゴン』の戦闘力の超強化(電気を司るならそれを応用して戦えるのでは?)

『漆黒竜ファヴニール』の『■■■■■』の仕様変更無し(そもそも知らなかった)

『煌天雷獄』の機能拡張[時間操作](ソロマが『天候やあらゆる属性を司る事が出来る』と言って詳細な説明を省いたのが悪い)

『漆黒竜の左腕』の『呪魂剥離』の機能追加(悪魔への転生って呪いみたいだからイケるかもしれない)

“煌天雷獄『時間掌握』”の副作用(こんな強い能力がノーリスクで使えるわけがない)

“山の翁”の[気配遮断]のチート化(冠位を捨てたとはいえランクAで『Grand order』六章のピラミットでの首断ち(オジマン首ずれ事件)ができる訳がない)

 

ちなみに拓海自身は『拡大解釈』についてはほぼ忘れているので、使用例のほぼ全てが拓海の無意識による産物である。

 

 

 

その他の能力

 

 

『呪力』・・・陰陽師として必要な力。拓海は生まれつき膨大に有ったため、土御門有馬に『若くして死ぬ』と言われたが、『呪力=マーブルンα』で解消。ちなみに今でも量が成長している。

 

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』・・・上位神滅具(ロンギヌス)の一つ。本来は最強のエクソシストであり天界の『切札(ジョーカー)』デュリオ・ジェズアルドが所持する筈の神器。『拡大解釈』によって機能が拡張された。

禁手(バランス・ブレイク)』には至っていないが、至ったら至ったで原作よりもエグい禁手になりそうである。

 

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)時間掌握(ザ・ワールド)』”・・・煌天雷獄の派生系。拓海が『拡大解釈』にて(無意識に)創り出したモノ。時間停止、加速、減速、逆行など、時に関する事ならば何でもできる。

しかも、他の時間操作系の能力が干渉する時には、能力を強制的にキャンセルして、その後自分以外の全てを停止する。まさに時間その物を掌握しているのだ。

 

 

『地獄耳』・・・拓海は前世から耳がいい。転生しても衰えるどころか、雑踏の中で老人の独り言を聞き取れる程良くなり、朱乃に関する事ならば県が離れていても聴こえる。

 

『動物会話』・・・ランクに換算するとB。動物と意思疎通ができ、細かいニュアンスも伝わる。

 

『気配感知(朱乃&人外)』・・・ランクに換算するとB+。範囲は2.5kmで、朱乃と人外に対しては強く反応する。

 

 

 

武装

 

 

『霊刀・風雫』・・・来谷家に代々伝わる伝家の宝刀。見た目はただの木刀だが、決して折れず、燃えず、朽ちず、砕けないという性質を持っている。ただし切れ味は木刀のそれ。

 

■■■■(■■■■■■■■■■■)』・・・神剣の一つとされている。下の■■■■と元々の持ち主は同じ。

 

■■■■(■■■■■■■)』・・・これも神剣の一つとされている。上の■■■■と元々の持ち主は同じ。




ソロマ「設定に関する質問等があれば、感想欄に書いてくれ。基本的に作者が応答するから」

作者「俺に質問してくれッ!」
拓海「俺に質問するなッ!」

ソロマ「いや、拓海は関係ないんじゃないかな!?」

質問、感想宜しくお願いします!


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第一節 旧校舎のディアボロス
原作開始しました!前編(あ、■■■■■さんチッスチッス)


作「テストオワタ/(^o^)\、学校終わった、FGOのクリスマスイベ終わった。そしてお気に入りがいつの間にか500越えてた。そんな十五話です」

ソロマ「今回は三段活用出来てるね。投稿が遅かったこと以外は文句ないよ?投稿が遅かったこと以外はね?」

朱乃「やっと原作に入ったのね…遅くない?」

作「これからは頑張るから許して?それでは第十五話、どうぞ」


<拓海side in>

 

 

 

4月某日 拓海16歳(高二)

 

 

「………なんか教室がいつもより煩くなってる気がする…」

 

 

ドーモ、一週間前に高校二年生へと進級したのは良いのだがまた兵藤一誠(乳好き変態ヤロー)と同クラスとなってテンション低めの来谷拓海=デス。

 

まだ教室からは一階ほど離れているのですが、元来の耳の良さが幸い(?)して昇る途中の階段でも、教室の様子が大体分かるのだ……

 

 

「──とまあ呟いてる間に着いちゃったよ教室…いいや。入ろ」

 

 

──と言って俺は、教室の後ろの方の扉を開けて入るのであった。

 

ガラガラガラ

 

 

「おう!おはよう来谷!」

 

「──テンション高くね?」

 

「返事がそれって酷くないか!?」

 

「──朝っぱらからそんなテンションしてたら誰だってそう言うっつーの」

 

 

なんだ今日の兵藤(コイツ)の異常なテンションは?それに普段は俺より遅く登校する筈なのに、教室の状況を見たところ今日はかなり早く登校したみたいだな……

 

 

「何でこうなのか聞きたいか?」

 

「いや別にどうでm「それはだな──」オイコラ人の話を──」

 

 

「俺に、彼女が出来たからだッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

「兵藤、お前疲れてんだよ」

 

「またそれか!?松田も元浜も皆これ聞いてそう言ってくるんだけど!?」

 

 

そりゃそーだ。お前ら三馬鹿の校内の評判知ってるよな?散々だぞ?三馬鹿=変態の式が完全に成り立っちゃってるんだぞ?その一角が『彼女出来たぜ!』だなんて言ってみ?『嗚呼、ついに妄想の世界へと旅立ってしまったんだな。とりあえず顔見知りだから精神科くらいは紹介してやるか』と思うに決まって──」

 

三馬鹿の一角で悪かったなコノヤロー!なら証拠見せれば良いんだろ見せれば!!」

 

 

あら、声に出ちゃってたのね?しかも割と序盤から。

 

で、兵藤は一枚の写真を取り出し──!?

 

 

「どうだ!これが俺の彼女だ!」

 

 

──その写真に写っていたのは、世間一般で言うところの所謂美少女と分類される程の美貌を持った女性だった……朱乃姉には遠く及ばないがな。

 

そして、この写真を見た後、兵藤にこう言い放った──

 

 

 

 

「兵藤お前、騙されてるんじゃあないのか?」

 

 

「またそれかよチクショーッ!!」

 

「またそれですよチクショー。あ、そう思った理由はさっきのと同じd「そうだろうな!」──で、もう座って良いか?そろそろ授業の準備をしたいんだが…」

 

「あ、ああ(ワリ)ぃな──で、今日のデートに向けて何をすれb「とりあえず助平(スケベ)根性は隠せ。ってかそこまで俺と親しくないだろお前」……お前もエロを指摘すんのか…」

 

 

当然だろう。顔も人柄もあまり悪くないのに助平根性が全てを台無しにしているのだ。──ああいうのを『宝の持ち腐れ』と言うのだろうな…ってか今日デートすんのかよ。何回かデートしてから自慢しろよ。

 

しかし、あの女性…まさか、そんな筈は……イヤ、だがもしかしたら──

 

 

──授業が終わった放課後、俺はグレモリーに電話をかけてこう言った……

 

 

 

 

「もしもしグレモリー?……ああ、拓海だ。とりあえず先に謝っておく──

 

 

 

 

『悪い、ちょっと色々しくった』

 

「いや待って報連相はしっかりしなさいってかやらかしって何のやらかしなのそもそも色々って事は複数やらかしたって認識で良いのよねリカバー効くものなら兎も角ほぼ手遅れとかそんな状況になってないわよね貴方結構ギリギリで報告してくるからそこら辺不安なのだけど、どうなの!?」

「ごめん、俺が悪かったからマシンガントークやめて? 圧がスゴい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────今日はありがとう」

 

 

放課後。ちょいと朱乃姉に断りをいれて兵藤(あの野郎)を尾行してデートの様子を見ていたのだが……

 

──フツーにデートしてたな、兵藤(あの野郎)とその彼女。

デートの描写?そんなの彼女不在歴=年齢の作者に書けるわけねーだろ。……まあ一つ補足すると、デート中には無感動だった目がゲームを見た瞬間輝いていたとだけ言っておこう……

───て事は、やっぱりあの人(?)なのかね?でもあの人進んでこういう事をする人じゃなかったと思うんだけど……

 

 

「──ねぇ、イッセーくん…一つ、お願いがあるんだけど……」

 

 

あ、回想してるうちに佳境に入ってきたな…

 

 

「えっ……!?い、良いよ!なんでも言って!」

 

「そう?ありがとう……じゃあ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──死んで、くれないかな?」

 

 

 

 

ッ!!畜生やはりあの人か!

 

 

「え……?どういっガアァァアァァァァッ!!?」

 

 

兵藤が言われた言葉に反応出来ずに呆然としていると、兵藤の腹に──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴りが打ち込まれ、茂みの方へと吹っ飛んでいった。

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 

 

 

「───ふう、間に合ったぜ……で、ここで何してんのさ?()()()()()さん」

 

 

 

<拓海side out>




次回、『原作開始しました!後編』


おーい、大丈夫か?……大丈夫じゃないか。

落ち着いてる場合じゃないでしょう!?


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原作開始しました!後編(だが、私は謝らない。)

作「お気に入り登録600人突破…すまない、期待してもらってるのに話の進みが遅くてすまない…」

ソロマ「ハイハイ、謝罪は良いから…今回もオール拓海視点。じゃあ第十六話、どうぞ~」


「───ふう、間に合ったぜ……で、ここで何してんのさ?()()()()()さん」

 

 

俺はそう言って、人間に化けている堕天使、『レイナーレ』に話し掛ける。

 

 

「ッ!!?……このタイミングの良さ、尾行()けてきたのね?一体何時から?」

 

 

その問いに俺は笑みを浮かべながら…

 

「最初からだよ。というかナーレさんらしくないじゃん?こんな人を殺す任務受けるなんて。まあその割には戸惑ってた様だけど……」

 

──親しい人に話し掛けるように答えた。

 

 

「まあ…下っ端に落ちちゃったからね……上司が典型的な差別主義者だったのよ。──というか、イッセーくん放置して大丈夫なの?結構良い蹴りが入ったようだけど……」

 

「光の槍で刺そうとしたナーレさんには言われたくないね。──まあでも、殺すつもりは無かったんでしょ?脇腹狙ってた様だし」

 

「ええ、始末の方法は特に指定されてなかったから…それに拓海君の周囲で大きな行動を起こせば気付くだろうしね」

 

「逆に行動を起こされるまで気付かなかったんだけどな……あー、しくった。マジしくった…」

 

 

──これまでの会話で察した人も居るだろうが、俺とレイナーレ…いやナーレさんとは友人だ。まあ厳密にはナーレさんグループ全員とゲーム友達であるが。

 

 

「───で?わざわざこんな大それた行動を俺に見せつけるようにしたって事は…『アザっさん』の理念とかけ離れた任務…いや、上司の独断専行に巻き込まれたのかな?」

 

「──やっぱ気付いてるのね…で、それはお得意の直感?」

 

「いやまあ、アザっさんとか正規の命令ならほとんど殺害じゃなくて捕縛だし、捕縛するとしても致命傷になるような傷を付けてアザっさんが黙ってるとは思えないしね。……大半は勘だけど。というか今さっきこうかな~って予想した」

 

「結局は勘なの!?」

 

 

「まあそれは置いといて……他のメンバーはどうしたんだ?」

 

「……カラワーナとドーナシークは無事、だけどミッテルトが…」

 

そう言いかけたナーレさんは(うつむ)き、黙り込んでしまう。

 

 

「──その様子だと、人質として上司に捕らえられてるって事か。で?その上司の名前は?」

 

「ええ、ソイツの名前は───」

 

 

───その時、()()()()()()()が展開された。

 

 

「───なんちゅうタイミングで登場しようとしてんだ()レモリィィィイ!!?ナーレさん、さっさと帰れ!追い返した事にしとくから!」

 

 

そう言って俺は足元を踏みつけて()()させる。そして俺の意思を理解したような素振りを見せたナーレさんは翼を広げて飛び去っていく。

その直後に魔法陣の輝きが増していき、そこから一人の少女──『リアス・グレモリー』が現れる。

 

 

「──そこまでよ!ここはグレモリー「よう、遅かったなグレモリー」…家、の……」

 

「……ん?どうしたグレモリー?そんな不満そうな顔をして…こういうのは何回もなってるだろ?」

 

「ハァ……慣れたか否かの問題じゃないと思うのだけど…まあ良いわ、ここで何があったのかは教えてくれるわよね?」

 

「女堕天使が一般人殺ろうとしてたから蹴飛ばして威圧して退かせた。以上」

 

「そう、派手に威圧したようね………一応聞くけど、被害者は?」

「あの草むらの中」

 

 

と言って兵藤が飛んでいった(ってか飛ばした)茂みを指差した。

 

 

「蹴飛ばしたの被害者の方なの!?」

 

「Yes, I did it!!」ズオンッ!

 

「『ああ、俺がやった』じゃないわよ…とりあえず怪我の確認ね…死んでないと良いのだけれど」

 

 

そう言ってグレモリーは兵藤に駆け寄り、魔力で怪我の解析をする…前から思ってたが、結構万能だな魔力。

 

 

「完全に気絶してる……肋骨が折れて背骨にもヒビが入ってるわね…」

 

「あースマン、その怪我俺のせいだわ」

 

「ええそうでしょうね!むしろ全身骨折になってなくて安心してるわよッ!!」

 

「ちゃんと手加減()してるさ。前に朱乃姉の胸を服の上からチラ見した代償としては安いだろ……ほれ、『治天療符(チテンリョウフ)』急急如律令」

 

「本当に朱乃LOVEね貴方…とりあえず、この子は私が持っていくわ。堕天使に狙われたという事は神器(セイクリット・ギア)を持ってる可能性が高いからね」

 

「そうか。勝手に眷属化させるなよ?一応朱乃姉の友達だし、あまり敵対はしたくないからな」

 

「分かってるわよ……私も貴方を敵に回したくないし…じゃあまた明日、学校でね?」

 

 

そう言ってグレモリーは兵藤を担いで魔法陣に入り、去っていった。

 

 

「……じゃ、俺も帰りますかねぇ…」

 

 




次回、『一誠、旧校舎に招かれる。(Welcome to(ウェルカムトゥ) ようこそ人外の世界へ!)』


グレモリィ……、40秒で仕度しなァ!!(怒)

ヒィィィィイッ!?

あらら…これは流石に擁護出来ませんね。


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一誠、旧校舎に招かれる。(Welcome to ようこそ人外の世界へ!)

拓海「……作者、此処まで遅れた事に対して何か弁解は?」

作「FGOのイベントに掛かりきりでしt「ギルティ。『サンダープレス』」アバーッ!!?(爆散)」

朱乃「お気にいり登録700人突破…ありがとうございます。今後は少しずつショートカットして早めに目標の章に辿り着かせるようにします」

グレモリー「今回は朱乃、イッセー、タクミ、イッセーの順に視点が切り替わるわ。では、第十七話をどうぞ」


朱乃side in

 

 

どうも皆さん。姫島朱乃です。現在午前4時半過ぎですが、私は家の裏にある森の中にいます。

何故そんな早朝から起きているんだ…ですか?それは…

 

 

「ゥゥウォォオオオオオオイ゙ッッデェ!!?」

 

 

ドグシャアッ!という轟音と共に土煙が起こり、『何か』が地面に突き刺さる。……煙が晴れるとそこには…

 

エビ反りの状態で犬神家して(地面に突き刺さって)いる拓海君の姿があった。

 

 

「……大丈夫?拓海君…生きてる?」

 

「……一応…生きてる…」

 

 

拓海君は和久さん──拓海君のお父様と私のお父様に毎朝模擬戦を挑んでいるのだ。………今のところ負けた姿しか見ていないけど。

私はそれを──主にお父様との模擬戦を観ている。

それなりに『雷光』を使えるようになったとはいえ、まだ扱いはお父様の方が上。盗める技は盗んでおきたいわ。

 

 

「……抜け…たっ!さあワンモア!今度はバラキエルさん頼みます!」

 

「拓海君、いってらっしゃーい」

 

 

朱乃side out

 

 

 

兵藤side in

 

 

おっす!俺、兵藤一誠!突然だが、ありのままに起こった事を話すぜ…

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

何を言ってるのか分からないと思うが、俺自身もよく分かっていない…昨日自慢をして回ったのに誰もその事を覚えていないんだ!

 

 

「………」

 

 

俺が心の中でそうしてた時、来谷が教室のドアから入ってきた。……そういえば、来谷にも自慢してたな…

 

 

「──なあ来谷!」

 

「うおぅ……朝から一体何の用d「俺の彼女、天野夕麻ちゃんを知らないか!?」人の話聞けやオメー。──はぁ…おい兵藤、後で『オカ研』の奴らから呼び出されると思うから、後はそっちで聞け」

 

「はぁ…?なんで『オカ研』が出てくるんだy「話は終わりだ。邪魔すんな」オ、オイ!」

 

 

な、何で夕麻ちゃんの話に『オカ研』───『オカルト研究部』が関わるんだ…?

 

 

兵藤side out

 

 

 

拓海side in

 

 

「おーいグレモリー、入るぞ~?」

 

 

放課後になり、ふと嫌な予感がした俺はHRが終わった瞬間に走って『オカ研』……『オカルト研究部』の部室に向かった。

───向かった、のだが…

 

 

「あら拓海君、少し早かったわね?」

 

「ん?朱乃姉か……あれ、グレモリーは?先に来てるはずでしょ?」

 

「あー、リアスは今…シャワー浴びてるわね。昨日入れなかっただとか言って」

 

 

───あっれー?兵藤呼び出してなかったっけグレモリー?それ分かっててこの行動だったら流石に看過できんぞ?

 

 

「そういえば朱乃姉、グレモリーの最短シャワータイムは?」

 

「確か……1分半弱よね?」

 

「木場に連絡したのは?」

 

「二分前ね。それが終わると同時にシャワー室に入ったわ」

 

「──其処で息潜めてるグレモリー……俺の記憶が正しければ…『早着替え』……教えたよなぁ?」

 

 

そう俺がシャワー室の中に呼び掛けると、グレモリーの呻き声が聴こえた。

 

 

「うっ………え、ええ…そうだったわね」

 

「そうかそうか、なら良かった……グレモリー…あと40秒で仕度しろ」

 

「───え?」

 

「二度も言わせるなよグレモリィ……、40秒で仕度しなァ!!

 

「ヒィィィィイッ!?」

 

 

俺の怒号に驚いたグレモリーは、急いでシャワーを止めて自分の体を拭き始めた。

 

「何も無理難題を押し付けてる訳じゃねえだろ?ドライヤーする(髪乾かす)のは俺がしてやるから、体だけ拭いて出てこい」

 

 

≪三十秒後≫

 

……いつの間にか居た小柄な娘、塔城小猫(トウジョウコネコ)が羊羮を食べ出した時、グレモリーがシャワー室から出てきた。勿論服は着ている。

 

 

「……ほら出たわよタクミ!さっさと髪乾かしなさい!」

 

「良いだろう。約束だからな」

 

 

そう言って俺は煌天雷獄を起動させ、火傷しない程度の温風を起こす。

 

 

「あー……気持ち良いわ……」

 

「……神滅具をドライヤーの変わりに使う人は前にも後にも拓海君だけじゃないかしら?」

 

「いやいや、他にも居たかも知れないよ朱乃姉?煌天雷獄は便利で応用が効くし」

 

 

そう自分達が駄弁っていた時、部室のドアをノックする音が聴こえた。

 

 

「部長、兵藤君を連れてきました」

 

「ええ、入ってちょうだい…はふぅ……」

 

 

来客きてんのに(クツロ)ぎすぎじゃね?と考えていた後にドアが開き、二人の男子───木場祐斗(キバユウト)と兵藤一誠が入ってきた。

 

 

拓海side out

 

 

 

兵藤side in

 

 

来谷の言う通りに、放課後になって同じ二年の木場が『オカ研』の使いとしてやって来た。俺は木場に案内されるまま旧校舎の一室に入ると、そこには我が校の『二代お姉さま』の二人とマスコットの塔城小猫ちゃん!それとついでに来谷の姿があった。

 

 

「おいおい…見劣りするとはいえ、ついで扱いは酷くないか?」

 

「なんで分かったんだお前!?……あ、えっと…はじめまして!二年の兵藤一誠です!」

 

「初対面じゃねーだろ俺は」

 

「お前以外に言ってんだよ!」

 

「あらあら…拓海君、少し落ち着いて……はじめまして。私、姫島朱乃と申します。以後、お見知りおきを」

 

「……一年の塔城小猫、です」

 

「同じ二年だけど改めて、木場祐斗だよ」

 

「最後は私ね…私は、リアス。リアス・グレモリー。このオカルト研究部の部長よ…兵藤一誠君。いえ、イッセー」

 

「え、ああ、はい」

 

「私たち、オカルト研究部は貴方を歓迎するわ……悪魔としてね

 

「────えっ?」

 

「いや兵藤悪魔じゃないし俺と朱乃姉も違うだろ…人外の力があるってのは同じだが……兎も角、歓迎したくは無いがこれだけは言っておこう……」

 

 

────Welcome to(ウェルカムトゥ) ようこそ、人外の世界へ。




次回、『巻きでお送りするようです。(TASプレイの時間じゃオラァ!)』(仮)

イベント大体カットじゃオラァッ!!

これは酷い…(某ウサミミファラオ風)


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巻きでお送りするようです(カンドロイドは便利よね byリアス)

拓海「ドーモ、皆さん。来谷拓海=デス。作者は今聖杯大戦という名の周回をしています。今回は兵藤と俺視点で進行します」

朱乃「少し内容が詰まり過ぎじゃないかしら…?」

拓「作者の今できる最大限を詰め込んだらしい。それでは第十八話、どうぞ」


兵藤side in

 

 

……来谷の言葉を聞いたその後、リアス先輩から色々な事を聞いた。

悪魔や天使、堕天使等の人外や神仏が実在する事。

来谷と姫島先輩以外のオカ研部員が悪魔である事。

夕麻ちゃんが『レイナーレ』という堕天使である事。

俺の中に神器(セイクリット・ギア)というものが存在してる(これは来谷が教えてくれた)事。

夕麻ちゃんと部下の堕天使達と来谷がゲーム友達である事。

夕麻ちゃん達自体は比較的温厚で穏健派の派閥に属していた事。

夕麻ちゃんが俺を刺す前に吹っ飛ばしたのは来谷である事。

偶然持っていたチラシがリアス先輩を呼ぶマーカーになった事。

 

色々あって頭がパンクしそうだが、これだけは分かる───

 

 

「……このままだと、俺ヤバイ…?」

 

「まあそうなるな」

 

 

大した事がない一般人の俺がただ()()()()()()()()()で殺されそうになるなんて冗談じゃない。

どうしようかと頭を悩ませ始めた俺に、リアス先輩が提案を持ち掛けてきた。

 

『貴方、私の眷属にならない?』

 

俺が正式に眷属悪魔になれば少なくとも堕天使からの不当な攻撃は俺や周りには及ばず、リアス先輩の保護下に置かれる事になる…

その他にも色々メリットとデメリットを聞いたが、最も決め手になったのは──

上級悪魔になればハーレムが持てる(意訳)という事だ!

 

後、俺が悪魔になる事に対して来谷は──

 

『別にどうでも良い──ってのが俺個人の考え。本当は意地でも止めなきゃいけないんだが…まあグレモリーなら大丈夫だろ。───あ、その前に個人情報をこの紙に書いてもらうが』

 

と言い、あっさり?OKした。個人情報に出生時の体重とか出た時は『そこまでするのか!?』って驚いたが……

 

兎も角、ソレで承諾して俺は悪魔になる事になった。

 

俺の体に入った駒は8つ。兵士(ポーン)と言うらしい。

その時に神器(セイクリット・ギア)を発現させたのだが、龍の手(トゥワイス・クリティカル)というありふれた神器だったらしい。チクショウ。

 

悪魔になった後はチラシ配りの下積みをしたり、

それが終わって人間との契約(色々問題があって無理だった)をしたり、

シスター服の女の子…アーシアを教会に連れていったら怒られたりした。

 

その直後、突然入ってきたカンドロイド(!?)みたいなモノがリアス先輩…いや部長に何かを報せると、

 

『皆!はぐれ悪魔がこの町に入ったわ!討伐に向かうわよ!』

 

と言い、床にある魔法陣の上に乗った。来谷は部長達の影の上に立って姫島先輩と手を繋いで左腕を変化させると…

 

『下へ参りまーす、ご注意下さーい』『はーい♪』

 

『なんだそれェ!?』

 

影の中に入っていった。俺も魔法陣の上に立ち、それが光ると、廃工場の中に転移していた。そしてはぐれ悪魔とやらがいる部屋に入るとそこには──

 

<バイサー討伐ダイジェスト>

 

プテラカン『飛行カン、全員突撃ィィィィィッ!!』(実際は喋ってません)

 

バイサー「くっ、鬱陶しい!この町に入った瞬間に飛んで来てこんな場所まで…ッ!」

 

兵藤「なんかカンドロイド(?)が怪物に群がってるー!?」

 

拓海「アレは後戻りできる奴だ」ヒダリメマッカ

 

兵藤「お前いつの間に出たんだ!?」

 

リアス「そう…なら祐斗、小猫。二人は()()()()()使()()()戦いを。拓海はいつも通りに任せるわ。朱乃もいつも通り索敵と後詰めをして。───イッセー、いい機会だから貴方に埋め込んだ『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』、その特性を教えてあげるわ」

 

リアス「──まずは騎士(ナイト)。とにかく速いわ」

 

木場「ハァッ!!」スパスパ

 

バイサー「ギャーッ!!」

 

リアス「次は戦車(ルーク)。力持ちで頑丈よ」

 

塔城「吹っ飛んでください」バキィ!

 

バイサー「ヒギィッ!」

 

リアス「他にも魔力に長けた僧侶(ビショップ)女王(クイーン)というのもあるわ」

 

拓海「トドメ喰らえ!『呪魂剥離(ジュコンハクリ)』ィィイ!」バシュウ

 

バイサー「ンアーッ!!ち、力が抜けて…」ドサッ

 

兵藤「なんかさらっとフィニッシュ決めてる!?で、俺の駒は何なんですか?」

 

リアス「兵士(ポーン)、いわば下っ端ね」

 

兵藤「なん……だと…!?」

 

朱乃「()はぐれ悪魔バイサーの(ピース)及び、素体の回収完了」

 

リアス「そう、なら次の討伐対象の場所に向かうわよ!ダッシュで!」

 

兵藤「だ、ダッシュぅ!?何で!?」

 

拓海「その方が早いからに決まってるだろ。オラぼさっとすんな!イクゾー!」

 

デッデッデデデデッ、カーン!デデデデ!デッデッデデデデッカーン!

 

兵藤「なんだ今のBGM!?幻聴か!?」

 

<ダイジェスト終了>

 

──と、まあはぐれ悪魔達を始末したり、時には拓海が駒を抜いて人間に戻したりして俺のレクチャーを兼ねた討伐は終わった。

 

 

その数日後、俺は今回の契約者さんの家に向かっていた。門の前に到着すると何故か玄関が開いていた。

怪しく思って契約者さんの家の中に入り、その奥の部屋で俺が観たものは──!

 

「………」

 

「……ん?なんだ兵藤、野次馬か?」

 

「……なんだこれ!?」

 

 

来谷が神父服を着た白髪(はくはつ)の男を踏んでいる光景だった…なんだこれ!?

 

 

 

兵藤side out

 

 

 

拓海side in

 

 

 

「造ったバ~イクで走り出す~♪…ん?」

 

 

久しぶりに自分のバイク(自作。免許とナンバープレートはちゃんとある)で町の見回りをしていると、一軒家の玄関が開いていた。中に入って明かりが着いた部屋を覗くと──

 

 

「さぁ~て、最期に言いたいことはn「貴様を殺す」ギャーッ!!」

 

 

なんか白髪が一般人を拷問してたので思わず…

飛び蹴りで蹴り飛ばした。

 

 

「グゥ……ぉいうぉいうぉ~い!一体何してポギャッ!?」

 

「邪魔。少し寝てろ」

 

 

そういって俺は白髪(しらが)をしばいて黙らせ、住人の治療に当たった。

 

 

「……よし、これなら『治天療符(チテンリョウフ)』でなんとかなるな」

 

 

そうして治療を済ませ、止めを白髪に刺そうと踏んだ時──

 

「……ん?なんだ兵藤、野次馬か?」

 

「……なんだこれ!?」

 

 

──チッ、なんで兵藤が此処に…もしかして殺されかけてた方が呼んだのか?

 

 

「ぐえっ……あらあらあらぁ~?まさか悪魔くんと関わりがあったとh「うるせぇ死ね白髪(しらが)」ギャース!?」

 

「初対面の相手に容赦ないなお前!?」

 

 

なんか起きていた白髪がうざかったので蹴飛ばしたら文句を言われた。仕方ないだろう、ソイツがうだうだ煩いからイラッと来たのだ。

 

 

「コイツ敵意を持った。だから全力で殴った。OK?」

 

「いや全然良くないだろ!?というか、ソイツからなんか嫌な気配がするんだが…」

 

「ん…?もしかしてコイツ、祓魔師(エクソシスト)か?」

 

「エクソシスト…って、悪魔を退治するアレか!?」

 

「まあそうだな。天使や堕天使から加護を受けて『光力』を使い悪魔を狩る──身なりからして多分コイツははぐれ、所謂フリーの祓魔師だな」

 

 

そう兵藤に教えた時、上の階から階段を下りる音がした。治療した住人を『隠影蔽符(インエイヘイフ)』で隠し、何時でも襲撃できる体勢を整えて振り返ると──

 

 

「い、イッセーさん!?」

 

「あ、アーシア!?なんでここに…!?」

 

 

───いや、どちら様?

 

 

拓海side out




オリジナル用語解説

カンドロイド・・・仮面ライダーオーズのカンドロイド。タカやバッタは勿論、カマキリ、ライオン、コンドル等のオリジナルもある。ちなみに全て拓海製で、1ヶ月一万円(まとめ借り)でレンタルしている。
利用者の声
『これを使うことではぐれ悪魔の発見が迅速になりました。もうコレ無しの捜索は考えられません R・G』

呪魂剥離(ジュコンハクリ)・・・『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を使う技。本来は呪いや魂を直接抜き取る技だが、悪魔の駒を呪いと置き換えて考える事により、悪魔の駒を安全に摘出できる手段となった。
この技で摘出した黒歌の駒は一部を破損させて研究材料とした後にリアスに提出。そのせいで小猫と拓海は仲があまり良くない。

次回、『拓海、アーシアに物を投げる様です(仮)』


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拓海&グレモリー一行、撤退する。(拓海 の なげつける! アーシア は こんらんした!)

拓海「先々月で一周年到達した訳だが………さて、此処まで遅れた言い訳を聴こうか」

作「ただいま絶賛受験勉強中です!今年はメチャンコ遅くなります!」

拓海「遺言はそれで終わりだな?『天ノ神鳴リ(アメノカンナリ)』ィィ!!」

作「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!?」(消滅)

朱乃「今回はオール拓海君サイドですね。それでは第十九話どうぞ」


拓海side in

 

 

あ、ありのままに起こった事を話すぜ…!

二階からシスターが降りてきたらソイツが兵藤の知りあいだった……何がどーなってるのか解らん。

 

 

『イッセーさん、どうしてここに……』

 

 

知るか。そもそも誰だお前。そして日本語で話して?最悪英語でも良いから。

 

 

「アーシアこそ、なんで………」

 

 

あ、アーシアさんっていうのね。おk把握。

 

 

「………そりゃまあ……兵藤が悪魔稼業で呼び出されて、そこのシスターがこのはぐれ祓魔師の味方だったからだろう?」

 

「なっ!?」『ええっ!?』

 

 

あー、これお互い素性を知らなかったパターンか………ん、マジか。

 

 

「おい兵藤。此方に堕天使来てるぞ」

 

「なっ!?」

 

『そんな……イッセーさんが悪魔だったなんて……』

 

 

しかしまあ……『偶然』前に会ってたシスターと出くわすなんて……これが()()()ってヤツか………ん?なんで兵藤が主人公だって分かったのかって?

そうそれは、ソロマに兵藤の神器が何かを聞いたとき……

 

『おーい、ソロエモーン。兵藤の神器ってどんなヤツかわかる~?』

 

『ああ、その子の神器は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。拓海君が持っている『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』と同じ神滅具だね』

 

『……マジで?アイツチートかよぉ…俺が言えた事じゃないけど…で、能力は?』

 

『10秒経つ毎にパワーを二倍にする能力だよ。しかも重複可能』

 

『…………クソ厄介じゃねーか……で、なんでそんなに詳しく知ってんの?聞いた本人が言うのもなんだが』

 

『それは、この世界の主人公なんだからね。詳しい情報も分かるさ』

 

『えええ…………あのド変態が主人公なんて……世も末だな、こりゃ』

 

────とまあそういう感じで、ポロっとソロマが言ったのだ。………あんなのが主人公ってマジで大丈夫なのか?この世界……まあこれは今関係ないな。

 

 

「とりあえず、グレモリー達が魔法陣で来ると思うから、それで撤退しな………っと、良いタイミングだ」

 

 

俺と兵藤の後ろに紅い魔法陣が顕れ、その中からグレモリーとその眷属が現れる。

 

「───イッセー、大丈………夫…みたいね」

 

「おう、一応大丈夫だ」

 

「いや来谷が答えるなよ!?」

 

 

ってか朱乃姉以外全員連れてきてんじゃねーかグレモリー。心配し過ぎだろ……ん?これは……

 

 

「あ、堕天使の気配が近くなってるぞ。数は4つ、ナーレさん、ドッつぁん、カラさんに………知らないヤツ。あー、これ隠蔽無理だな、こりゃ。退くぞグレモリー」

 

「……拓海の察知、特に人外には鋭い感知ができるのは助かったわね……退くわよ、イッセー。拓海は別で離脱してちょうだい」

 

「了解。さっさと撤退するか……」

 

「ちょっ、部長!アーシアは!?」

 

「無理よ、拓海みたいに特殊な手段を持っているなら兎も角、神器を持ってるだけのシスターでは魔法陣でワープ出来ないわ」

 

「それなら来谷がアーシアを──」

 

「アホ、そのシスターを連れてくって事は高確率で戦闘をしなきゃいけなくなる。こんな市街地で派手にドンパチやれるかよ……グレモリー。ソイツは頼んだぞ」

 

「ええ………任せてちょうだい。行くわよイッセー」

 

 

そう言ってグレモリーは兵藤を連れて撤退した。

さて、それじゃあ俺も撤退するか……あ、忘れてた。

 

 

「そこのシスター、コレキャッチしな!」

 

 

シスターに御守り(細工済み)をシューッ!俺、エキサイティン!

 

 

『へ!?こ、これは一体…?』

 

「御守りってヤツだ、肌身離さずに持っておけよ?……アンタが何て言ってるのか分かんないけど!」

 

そう言って俺はバイクでその場を去った………さて、仕込みは上々。後は時が来るのを待つだけだ……

 

 

拓海side out




次回『カチコミを行うようです。(仮)』


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カチコミを行うようです。(ただし主人公は裏から攻める。by作者)

拓海「さて、コレ(作者)が受験に失敗したせいで更に進みが遅れる可能性大になってしまった……まだ見てくれる人居るのかな?」グリグリ

朱乃「本当に何て事をしてくれたのかしら、ねぇ?」グリグリ

作「痛い痛い痛い痛い痛い!?反省してます!本当に反省してますから土下座で下げた頭を踏み躙らないで!?」(誰も得しない土下座中)

拓「さて、今回もオール俺サイドだな。では第二十話をどうぞ」


拓海side in

 

 

あの夜の次の日、事件は起きた。

兵藤が廃教会にカチコミをかけると言い出したのだ。

恐らくは、あのシスターだろう。名前は………アー、アー………

 

『アーシア、ではなかったか?』

 

それだシルバー。アーシアとかいうシスター。ソイツと何だかんだで親交が出来た兵藤はソイツを助けるために弱点である『光』の力を持つ堕天使に立ち向かうらしい。

さーすが主人公。やること成すことがぶっ飛んでるねぇ?

 

『ふっ、それは皮肉か拓海?』

 

………まあ、違うと言えば嘘になるかね。後先考えずに行動できるってのは主人公の特権みたいなモノだし。俺だとまあ………朱乃姉が絡まなきゃそんな首突っ込まないし……あ、兵藤がグレモリーに頬殴られた。

 

 

「………何度言ってもダメなものはダメよ。あのシスターを救助するのは認められないわ」

 

 

そう言いつつもカチコミかける気満々じゃねーかグレモリー。魂見ててわかるぞオイ。*1

………まあ、端から観れば火種に成りかねないのは事実なので兵藤と言い合ってるが、今は此処にいない朱乃姉からバラキエルさんに連絡してるからその許可さえあれば即教会に行くだろう。

 

 

「……じゃあ、俺を眷属から外してください。それなら」

 

 

 

ん?朱乃姉が来たな……ってことは───

 

リアス、お父様からの連絡よ。『その場の裁量は拓海君と君に任せる』……つまり、私達が出張って討伐をしても構わないと言うことね

 

ッ!

 

────成る程、じゃあ出陣だな。恐らくグレモリーも俺が聴いてるのは分かるだろうし、後はどう兵藤を焚き付けるか……あ、兵藤をチラッと見た。

 

 

「………大事な用事が出来たわ。私と朱乃、そして拓海はこれから少し外に出るわね」

 

「────ッ、ぶ、部長、まだ話は終わって───」

 

 

と、兵藤が詰め寄ろうとするのを遮るように人さし指を兵藤の口に当てた……よく突き指せずにできるな。

 

 

「イッセー、貴方にいくつか話しておく事があるわ。まず────」

 

 

と言ってグレモリーは二つの事を話した。

一つは『兵士(ポーン)』が持つ能力、プロモーションについての説明。

二つ目は神器と感情の結び付き。そして言外に廃教会を()()と伝え、俺と朱乃姉を連れて部室を離れた。……あ、二つじゃなくて三つだったわ。

 

 

 

「………で、正面突破の花形は兵藤達に任せて、俺らは先に行ってアイツらの露払いをするって事か?グレモリー」

 

「ええ、そうね。小猫と祐斗が付いてるとはいえ、多くの堕天使達が居て集中攻撃されたら危ないでしょうし……」

 

「フフッ、やっぱりリアスは過保護ね♪」

 

「良いじゃないの朱乃姉。グレモリーって学校ではもてはやされ過ぎて同学年だとほぼボッチ状態らしいし」

 

「まあ確かに。私やソーナが居ないと昼休みは自分の机で一人寂しく────」

 

「二人とも私を今弄るのは止めてくれないかしら!?これ以上は泣くわよ!?」

 

 

あ、本当にちょっと泣きかけてる。

 

 

「はいはい、分かりましたよ。あ、ちなみに潜影の準備はOKだからさっさと掴まってちょ」

 

「喋らないで準備出来ないのかしら……さっさと行くわよ!」

「ええ、私もOKよ、拓海君♪」

 

 

そう告げて朱乃姉が俺の右腕に抱き付き、グレモリーが俺の服の襟を掴む。

 

 

「───んじゃまあ、頼むぜファヴニ。下へ参りま~す。足元に御注意下さ~い、ってね?」

 

 

そう軽口を叩いて、俺を含めた三人は影の中に潜っていった。

 

 

拓海side out

*1
漆黒竜の左眼(アイズ・ファヴニール)発動中




次回『知り合いを捕獲するようです。(仮)』


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知り合いを捕獲するようです。(盗ったどー!by拓海 何を!?byリアス)

作「」チーン(『自分はまだ一巻すら終わってないのに創作意欲を無くした敗北者じゃけぇ……』と、書かれた立て札を頭に刺されて乙っている。その棒の所に細かな字で
『約一年半もエタっててスミマセン、雑味がありますが第二十一話をどうぞ。by拓海』と彫られている)


拓海side

 

 

「上へ参りまーす。気配に御注意下さ~い……」

「はーい♪」

「いやまず気配にどう注意すれば良いのよ!?」

 

 

と、まあ物影から出てきた俺と朱乃姉、ついでにグレモリー。周りを視てみるとどうやら林の中らしく、恐らく教会の裏の林と思われる。

 

 

「さーて、と……早速おいでなすったようで」

「対応早過ぎない!?」

「多分、悪魔の気配を探知する結界が張られている……とか?」

「朱乃姉正解。微弱なモノでも探知できるヤツらしいよ」

「じゃあ小声で話してた意味無いわよね!?」

 

 

俺達がそう呟くと共に、隠蔽(一般人基準)していた気配が次々と露になっていく。

 

 

「さてと………雑魚の掃討をしますかね。朱乃姉、グレモリー、やるぞ」

「ええ、殲滅戦ね?」

「もう……バレてるなら堂々と暴れてやるわよ!」

 

 

そう言ってグレモリーが戦闘体勢に入る。朱乃姉も一見すると自然体だが、いつでも雷光の弓を顕現させられるようにしている。そして俺は────

 

 

ドーモ、ハジメマシテ。ヒュージシュリケンです

 

 

ニンジャのメンポを付け、背中には直径2m近くの巨大なセラミックス製スリケンを背負っていた!

 

 

「うん、ちょっと待ちなさい。タクミ?貴方何処からそんなモノ隠してたの?どう考えても隠せる大きさじゃないんだけど?」

「企業秘密です」

「そこは普通に秘密だけで良くない?」

 

「オイ貴様ら、何をくっちゃべってる!」

 

 

全く面倒な奴等め………ん、やっぱ居たか…なら───

 

 

「何でもないで────すよっと」

 

SHUPAAAAAAAANN!!!

 

「「「「「「「グワーッ!!?」」」」」」」

 

 

なんたる奇襲!拓海の空気めいたスリケン投擲により、活躍の時を待ち望んでいたはぐれエクソシスト=サン達が一斉にスライスされてしまった!おお、ブッダよ、寝ておられるのですk」

 

 

「タクミ、さっきから何をブツブツと呟いてるの?いや今の奇襲にも文句はあるんだけど」

 

「奇襲ではない、これはアンブッシュだ」

 

「そういう事を聴いてるのではないんだけど!?」

「ニンジャスレイヤー、だったかしらね。拓海君が成りきってるのは……」

「いやだからそういうのを聞いてるんじゃなくて………ああもう!」

 

「まあ、そんな事は置いといて……生きてるー?カラさんにドッつぁん」

 

 

そう気軽に()()……いや、知堕天使? 言うの面倒だし知人で良いか──に、一応の生存確認含めて声を掛けると…………

 

 

バサァッ!

「─────本ッッッッ当に何いきなり攻撃してくるんだ!私のヒールの底が切れたんだが!?あと一ミリで足裏スライスさせてたんだが!?」

 

ガサガサガサ…!

「此方はシルクハットが真っ二つだ!これじゃあ鍔が丸いサンバイザーだぞ!?」

 

 

生存確認、ヨシ!

 

ウェブシューター(はい確保)ォォォォッ!」パシュ、パシュッ!

 

「なっ───モガッ!?」「ちょ───ムグーッ!?

 

 

そうして俺はウェブシューター(スパイダーマンの糸出すやつ)で黒一点のドーナシーク(ドッつぁん)と山*1の片方担当カラワーナ(カラさん)を拘束しておく。コレで(対外的には)問題はない……んー、もう片方の山*2担当であるレイナーレ(ナーレさん)は除外しても、やっぱり一人足りないな。具体的には平地*3担当のミッテルト(ミッちゃん)。バランスって大事だよね。

 

 

「………一応知り合いへの遠慮のなさは置いといて……タクミ、なにその機械?」

 

「ん? ウェブシューターだけど? スパイダーマン知らなかった?」

 

「いや流石に知ってるわよ? というかそれって作れる物なの? 糸詰まらないの?」

「カンドロイド作ってる時点で今更かと。アメコミも特撮も大差ありませんよ?」

「二次元と三次元っていう差があると思うわよ?」

 

「まあ、それと二人はそこら辺の茂みに置いといて……っと」

 

 

そう言って俺はドッつぁんとカラさんをそこらの茂みに隠して話に戻る(放置とも言う)。

 

 

「まずは進路と人質の確保、なんかやらかす場所の発見だな。えーっとミッちゃんの居場所はーっと……テッテレテッテッテーテレー、ダウジングマシーン*4

 

 

さてとー、ミッちゃんどーこだ? あ、見付かった。二回の北西の角部屋……近いな。外壁砕けば直ぐにでも……ん?

 

「どうしたグレモリー、そんな怪訝そうな顔して?」

「いや、まさかダウジングで探すとは思ってなかったから……というかそれ何処から出したの? そもそも今気付いたけど覆ってたマスク何処行ったのよ?」

「んー、企業秘密?」

「またそれなの? というか企業じゃないでしょ貴方…………」

「疑問系で返したのはスルーなのねリアス。あ、拓海君あの手裏剣は? 回収しないの?」

「んー、多分途中でどっか刺さるんじゃないかな? 一応後で爆破するけど」

「「……爆破」」

「爆破。まあ廃材のあまりで作ったジョークグッズだからね。安い安い」

「木の幹と人の胴体を真っ二つにするジョークグッズとは……?」

「もう『タクミの技術は駒王一ィィィィ』って思えば良いんじゃないの?」

「段々俺の扱いが雑になっていく件について。とりあえず経路とミッちゃん(人質)見付けたし行くよー」

「「はーい」」

 

 

間延びした返事を返して二人が俺の後に着いてくる……一応敵地なのに気が抜けてるねぇ………俺もだけど。

 

 

 

拓海side out

*1
何処がとは言わない

*2
何処がとは言わない

*3
何処がとはry

*4
大山の〇代みたいなダミ声で




次回『詰め込むそうです。(ヤシャスィーン!by拓海 もう古いぞソレ!?by一誠)(仮)』


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