女神と姫騎士とガンダムと・・・ (エルシオンガンダム)
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番外編
番外編:宇宙(そら)を駆ける者達


皆さんこんにちは。


今回はむさいオッサンがいる宇宙艦隊の回です。


高性能な機体に有能すぎる人達、完全にチートです。


それでは、どうぞ。


キラ達がクラス代表を決めている間、月の軌道上では2機のISが飛んでいた。

 

 

「これは凄い!サザビーの10倍の機動力がある!」

片方はシャア・アズナブル。操るISは、試作段階で開発が中止された『百式』の改良型で、さらに増加装甲を取り付けた『フルアーマー百式改』である。勿論女神製のISなので、性能は前世で彼が最後に乗った『サザビー』以上もある。

「こっちもだ。『ディジェ』の発展強化型とはいえ、νガンダムよりも性能が格段に上だ!」

もう片方はアムロ・レイ。操るISは、これまた彼がグリプス戦役で乗った『ディジェ』の、発展強化型である『ディジェSE-R』である。

「それにしても、ふざけた世界に来てしまったものだ」

「まったくだ、一人の女が狂わせた世界など」

「パプティマス・シロッコ。奴が見たらどう思うだろうか?」

「女を道具にしか見ていない奴らしいな?」

アムロとシャアは、機動性を確かめながらも今の世界についてと、前世で戦った男のことを話し合っていた。

「シャア・・・」

「解っている、もうあのようなことはしない。今の私は一人のパイロットだ」

「だが、それだけじゃないんだろ?」

アムロが尋ねると、シャアはそうだなと言って頷く。

「・・・もう一度、賭けてみようと思う」

「彼らにか?」

「あぁ」

一度は絶望し、地球を滅ぼそうとした。しかしシャアは、この世界に来てキラ達と出会い、もう一度人類の可能性に賭けることにしたのだ。

「未来は、若い者達が切り開いてくれるさ。俺達がやるべきことは、それを後からカバーすることだ」

「ふっ。とはいえ、まだまだ私達も若いさ」

「シャア!いくらなんでも、お前はもうすぐ30だろ!?」

「なにを言っている?20も30も若さに入るはずだ!」

「そんな理屈!」

『中佐、大佐、喧嘩は止してください』

二人の喧嘩を、通信越しからの声が止める。

「ヤン元帥」

「すまないな」

『まあ認めたくないのは解りますよ。私なんて、子供達からお爺ちゃんなんて呼ばれていますから・・・』

「その・・・本当にすまない元帥」

「大人気なかったな」

喧嘩のないように同情するヤンに、アムロとシャアは謝罪する。

『・・・それよりも、そろそろ帰投してくれませんかね?』

「「了解」」

ヤンの指示で二人は『艦隊』に戻ることにするのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『ヘイムダル級大型戦艦 ヒューべリオン』

 

少し前にキラ達がやっていたゲームを見ていたガイア達が、なにかあったときの為に作った大型戦艦。それと同時に、この世界で唯一の宇宙艦隊『女神艦隊』の旗艦でもある。

その艦隊の司令官は、

 

「う~ん、やっぱり紅茶はこれが最高だね」

 

前世では『不敗の魔術師』と呼ばれたヤン・ウェンリーである。

「ヤン提督、中佐と大佐が帰投しました」

「あ~解った。とりあえず休憩して良いと伝えてくれ」

「了解」

ヤンはクルーに指示すると、また紅茶を口に含み、今度はサンドウィッチも一口かじる。

「やれやれ、転生したのにまた司令官か。これは給料はずんで貰わないとね」

そう言ってヤンはまた紅茶を飲む。

『ヤン・ウェンリー、卿等の艦はどうかね?』

「驚きましたね。機動力もそうですが、火力もなかなかですよ」

『その割には、余り嬉しくはなさそうだが?』

「それはそうですよ、一度死んでまた提督なんて。家で彼女達の話を聞いてる方が、ずっとマシですよ」

『ふっ、卿らしいな』

ヤンもロイエンタールも同じ星に転生されて、お互いどういう人間なのかを知った。前世ではお互い敵同士だったが、どのようなことがあったのかを、自分達が目にしたことを話し合い、次第に友人とも呼べる間柄にまでなったのである。

『・・・卿は、敵が来ると思うかね?』

「来ます。彼女が私達を敵視する限りは」

『自分よりも先に宇宙に来たからか?』

「でしょうね」

『ふん、自分勝手な天災がいたものだ』

「まったくですよ」

二人して篠ノ之束に対して愚痴る。

「・・・ん?レーダーに反応あり!」

「大型のシャトルの様なのが1隻!」

「!?さらにシャトルからISの反応が!」

「数は?」

「6です!」

シャトルとISの反応が出ると、ブリッジが慌ただしくなる。

『噂をすれば、なんとやらか』

「そうですね。総員第1戦闘配備、ISの発進準備を急げ!」

『了解!』

ヤンの指示にクルー達が各々に動く。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『総員第1戦闘配備!ISの発進急げ!』

「まさかこうも早く来るとはな」

「彼女も焦っているのだよ」

アナウンスを聞いたアムロとシャアは、誰が仕向けたのかを瞬時に理解した。

「久しぶりの実戦だ、上手く出来るか?」

「出来なくてもやるさ」

お互いISを展開すると、カタパルトに脚部を接続する。するとハッチが開き、整備員が退避する。

 

「アムロ、行きます!」

 

アムロの合図と共に、カタパルトから彼が纏ったディジェSE-R(以下ディジェ)が発進する。

 

「シャア・アズナブルだ。百式、出るぞ!」

 

シャアのフルアーマー百式(以下百式)もまた、アムロ同様カタパルトから発進する。

「相手はIS6機と大型シャトルか」

「ウォーミングアップには最適だな。それに殺気がない」

「無人機というわけか、やりやすい!」

そう言うと同時に、アムロとシャアは6機のISに突っ込む。

「そこだ!」

アムロはまず、左端のISにビームライフル(MK-Ⅱ版)を2発放つ。ISは1発目をかわしたが、2発目がボディに直撃。さらに左手にビームサーベルを持ち、縦に一閃し爆散する。

「一つ・・・!」

何かを感じ取り、アムロは瞬間加速を使う。すると、先ほど居た場所に桃色の閃光が通る。アムロは、ビームを放ったISに狙いを定め、バルカンを撃ちながら瞬時加速で迫る。バルカンですらも威力が高いため、ISは全体に傷を負う。そして通り抜け座間にビームサーベルを横に振り、上半身と下半身を分裂させる。さらにおまけとばかりにISを後からビームライフルで打ち抜く。

「二つ!」

続いてバズーカをコールし、もう1機のISに向かって2発放つ。ISは迫るロケットを肩のビーム砲で打ち落とし、ロケットは爆発する。すると、爆風の中からロケットが現れ、反応できなかったISの頭部に直撃する。

「これで!」

今度はアムロが纏うディジェが爆風から現れ、ビームライフルを急所に放つ。頭部センサーが無くなったISは、なす術もなく直撃し爆発した。

「三つ、シャアは?」

3機撃墜したのを確認し、アムロはシャアの方に機体を向ける。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「先ずはこれで!」

ISからのビーム攻撃を、シャアは最小限の動きでかわしていく。そして前面にあるパネルを前に倒し、背部にあるビームキャノンを展開し、1機のISに放つ。二つの黄色いビームは、瞬く間にISの両肩を破壊する。その際腕も爆発する。両腕が無くなったISにビームライフルを2発放つ。頭部と胴体に直撃し、ISを破壊する。

「次だ!」

破壊を確認したシャアは、2機目のISに狙いを定める。

対するISはもう1機と共に、両腕のビーム砲をシャアに向けて連射する。その弾幕の中を、シャアはバレルロールでかわしながら、ライフルをマウントしビームサーベルを持つ。そして片方のISに瞬時加速で一気に近づき、飛び蹴りをかます。直撃したISは吹っ飛ばされ、シャアはもう片方のISにミサイルを放つ。ISはそれを振りきろうとするが、4発中2発が右腕と左足に当たる。

「当たれ!」

損傷したISに、シャアは胸部のメガ粒子砲を放つ。極太いビームは容易くISを飲み込んだ。

「よし・・・!」

何か来ると感じたのか、シャアは後を振り向く。すると先ほど吹き飛ばしたISがシャアに向かって来る。ISは大きな右腕でストレートを放つ。

「甘い!」

シャアはISからのストレートを紙一重で避け、ビームサーベルで突き出した右腕を切断。さらに左腕のアーマーの一部が、まるでナックルガードのように展開する。すると左手にスパークが走り、電撃を帯びた状態でISのボディに叩きこんだ。

「中身が機械なら、この炸裂ボルトの電撃に耐えられまい!」

シャアの言うとおり、百式の武装の一つである『炸裂ボルト』をモロに食らったISは、全身からスパークが走り、最後には爆発した。

「ISは全滅したか」

ISが全滅したのを確認すると、アムロが纏ったディジェが近づく。

「やったか?」

「私を誰だと思う?」

「そうか」

前世から長い付き合いの二人にとって、それだけの会話で理解できた。

「残るはシャトルだけだな?」

「あぁ」

そう言って二人は、こちらに向かってくるシャトルに顔を向ける。よく見るとシャトルの上部分に主砲の様な物が取り付けられている。

「アムロ、私に任せてくれないか?」

「あれを沈められるのか?

「ロングメガバスターの試し撃ちもかねてだ」

「了解した」

作戦が決まり、シャアは『ロングメガバスター』をコールする。『メガバズーカランチャー』よりも小さく、手持ちでいながら強力な兵器である。

「あの時の私は、プレッシャーに押し負けてしまったが・・・」

呟きながらシャアはシャトルに狙いを定める。ロックオンされているのがわかったのか、シャトルからビームの弾幕が放たれる。しかしどれもシャアには当たらない。

「沈め!」

トリガーを引き、ロングメガバスターからメガ粒子砲よりも大きな閃光が放たれる。その閃光はシャトルを容易く飲み込む程であった。本来なら此処まで威力はないのだが、神様と一緒に作ったということで、威力はメガバズーカランチャーの比ではないのだ。

「流石だなシャア」

「私自身も驚いているさ。まさか本当に当たるとは・・・」

「若い連中に感化されたからか?」

「・・・かもしれんな」

ニュータイプのいない二つの世界。その二つの世界もまた、余りにも行き過ぎた戦争が起こっていた。それでも彼らは、ただ平和の為に抗い戦って来た。そんな彼らを見て、シャアはもう一度希望を見ることにしたのだ。

「シャア・アズナブルだ。敵IS部隊を殲滅した、これより中佐と共に帰投する」

『了解しました。くれぐれも気をつけてください』

「「了解」」

ヤンに連絡し終えると、2機のISは母艦に戻って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

同日の某所では、自分の力作が破壊され怒り狂っている兎が居たとか・・・。

 

 

 

 

 

 




因みにシャアはロリコンでシスコンでマザコンのまんまですが、情けなくはないです。


次回はデュオVS一夏です。



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番外編:ヤン提督と神姫と・・・

やったァァァァァァァーーーーーーー!!

愛宕を手に入れたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!

というわけで、今回は番外編を書きました。

ヤン提督と神姫さんとのお話です。



それでは本編どうぞ。


 

 

ヤマト家宅

 

 

「はいヤンさん、紅茶ですわ」

「ありがとうガイア」

 

 とある休日、ヤンはリビングで紅茶を読みながら本を読んでいた。

 

「何を読んでらっしゃるのですか?」

「今は天使関連の本を読んでるんだ」

「天使ですか?」

 

 ガイア達神姫に出会ってから、ヤンもまた様々な経験をしてきた。その中には天使や悪魔などにも出会い、その度にいろんな話を聞かせてもらったりして来たのだ。

 

「元々英語である『ANGEL』はギリシア語の『アンゲロス』に由来していて、その原義は『伝令』『使いの者』とされているんだ。そのあたりは君も知っているね?」

「えぇ。ミカエルさんもガブリエルさんも、皆さん我々神の声を聞き、それに従って色んな人達を導いておりましたわ。・・・・・・ヒイロさんは特別ですが」

「彼は天使泣かせだからね」

 

 ヒイロが神姫と出会ってから数日、余りにも神を信じていない彼にミカエルが、『何故神の言葉を聞かないのですか!?』と叫んだが、『俺たちに神など必要ない、ましてや人が作り出した神等・・・』と返された。それからもヒイロから正論を言われ、何も言えないミカエルが涙目になり、今にも泣きそうになったのは記憶に新しい。しかしヒイロから『それでも聞いて欲しいなら・・・・・・俺に命令するな』と言われ、つまりお願いなら良いと理解すると、彼女は笑顔を取り戻したのである。

 

「だけど彼にはミカエルだけじゃなく、ラファエルにウリエル、本来彼女達と敵対していたサタンまでもが彼の味方だからね」

「しかもサタンさんに至っては、本人も負けたと言ってましたからね。神や天使、そして人間の敵対者とまで言われた彼女ですらも勝てない人間が居たとは・・・」

「そうだね。ただ、彼は少し自分の命を他の子達よりも軽く見ているのがちょっとね」

「そうですわね。ヒイロさんが自爆しようとする度に、彼の神姫達やキラ様達が止めますが、いくらなんでもやりすぎですわ」

 

 実はヒイロ、サタンから『貴方私の物になりなさい、でないと殺しちゃうわよ♪』と脅迫されたのだが、『了解した』と言って彼は予め用意していた自爆スイッチを押そうとした。その際ヒイロは『強力な爆弾にしてある、離れていないとお前でも吹き飛ばされるぞ』と忠告して自爆したのだ。吹き飛ばされた彼は頭から血を流し、瀕死の状態になっていた。

 それには魔王と呼ばれたサタンも顔を真っ青にし、ガイア達の元へ来ては『この子を助けてあげて!』とお願いする始末。彼女達のおかげでヒイロは復活し『何故助けた』とサタンに問うと、『私の目の前で良い男が自殺されたら、寝覚めが悪いのよ!』とミカエルの時と同じ様に涙目になりながら答えたのだ。その後は『・・・このサタンちゃんの目が黒い内は、あなたを死なせないから!』と、ツンデレの如く宣言してヒイロの神姫になったのだ。因みに契約はヒイロが寝てる内に気配を殺してやったらしい。

 

「はあ・・・思い出すだけで残念に思うよ。君も含めて皆かなり過激な服装をしてるから、眼のやり場には困るよ」

「ハデスさんみたいに恥ずかしい神姫もおりますわよ?それに神姫の中には、史実通りに清らかな方もおりますわ」

「それに関しては嬉しいさ。オーディンの様な史実の影響を受けた神も居るのは確かだよ。・・・性格はちょっとあれだけどね?」

「それは確かにそうですわね。オーディンさんは一応神姫の王ですから、ちゃんと仕事はしていましたし、ポセイドンさんも何時もはギャンブルとかしていますが、仕事の時はちゃんと真面目にこなしておりましたわ」

「うん。中には史実と同じ通りのことをやった人も居るしね」

「アテナさんのことですね。メデューサさんのことは私もポセイドンさんも本当に知りませんでしたし、何よりあんなに怒ったキラ様は初めてでしたわ」

「・・・キラ君も彼女の気持ちは理解してたから、相当頭に来たんだろうね」

 

 ヤンは紅茶を飲みながら、ガイアと共にその時のことを思い出した。

 

 彼女達と出会ってから初めてのゴールデンウィーク、皆で関西へ旅行に行くことになったのだ。そして旅行2日目、とある街に散策していた際にキラが、眼鏡を掛けた女性とぶつかってしまう。それがキラ達とメデューサ(達)との出会いだった。

 

「あの時は魔眼を抑える眼鏡を掛けていたけど、彼女の魔眼は直視したものを石に変えることが出来る。何故そうなったのかは、彼女が彼氏であるポセイドンとアテナの神殿で交わして、それで嫉妬したアテナは彼女を醜い怪物にしたからなんだ」

「それはキラ様に聞きました。そして『あちらの世界』のメデューサさんは、神々の策略と狂った人間達によってとある島に逃げ、大切な姉達を守るために人を殺し続け、最終的には崩壊して姉達をも殺し、史実どおりにペルセウスに殺されたと・・・」

「・・・此処まで聞けば、彼女とキラ君は共通点が多いね」

「そうですわね。平和という幸せを奪われ、狂った人間たちに酷い目に遭わされ、周りからは化け物と呼ばれて、好きでもない人殺しをし続けてきた。そして自分達の幸せを奪った者達は周りから崇められる始末。そしてこちらのアテナさんも史実と同じことをしていただなんて・・・」

「こちらのアテナさん曰く『まだ若かった頃』らしいけど、それも含めてキラ君は彼女のことが許せなかったんだろうね」

「・・・ただ、マウントポジションを取って殴ったのは幾らなんでもやりすぎですわよね?」

 

 それはキラ達が5年生の時の夏だった。アテナと出会った彼らは、彼女の拠点でしばらくの間休ませて貰うことになったのだ。アテナはキラに好意を寄せ始め、少しずつ彼との距離を近づかせた。

 

 そして4日目の夜、事件は起こった。

 

 アテナはキラを探していると、庭で月を見ながら泣いている彼を見つけたのだ。なんで泣いてるのか問い掛けた際にアテナは『こ、恋の相談であれば私も力になりますよ。悩んでいる人を救うのが女神ですから』と勘違いなことを言ったのだ。

 

 しかし、それがいけなかった。

 

『ふざけるな!なにが人を救うのが女神だ!?メデューサさんを化け物に変えた人が、メデューサさん達の幸せを奪った人が、救うなんて言うな!!』

 

 キラの放った怒号に、アテナは理解できなかった。何故彼がそのことを知っているのか、何故彼から怒られているのか、色んなことが一瞬で起こり彼女は何も言えなかったのである。だがそれだけではなかった。突如キラは彼女を押し倒すと、なんと彼女を殴り始めたのだ。それからもさらにキラは彼女への不満を爆発させる。

 

『どうして貴方が崇められて、メデューサさんが絶望のどん底に落とされなければいけないんですか?!』

 

『貴方なら、メデューサさんを元に戻せたはずだ!』

 

『なのにメデューサさんのお姉さん達まで化け物に変えて、自分ではなくペルセウスさんに殺させて・・・・・・』

 

『貴方には解らないんだ!大切な物を奪われた悲しみが、化け物と言われる苦しみが、人を殺すという重さが!』

 

『返して・・・返してよ・・・メデューサさん達の幸せを返せェェェェェェェェェーーーーーーー!!』

 

 涙を流しながら叫ぶキラを見て、彼女はただ聞くことしか出来なかった。後日アテナは、ガイア達からキラの過去と前世、そして別の世界のメデューサと出会っていたことを聞かされて、改めて自分の行ったことを後悔したらしい。

 その後はキラの叫び声で駆けつけたアスラン達が、キラを止める形で終わったのだが、そのこともあってかアテナはキラに『強制契約』して欲しいと頼まれた。契約してから2週間後、アテナはキラ達に連れられあちらの世界のメデューサに出会い謝罪したのだ。世界は違えどやったことには変わりは無いと言うことで、償わせることにしたのである。その結果は彼女の魔眼を取り外すのと受肉、その他色々あってアテナとメデューサとの蟠りは終わったのだった。

 

「改めて思い返してみると、キラ君本当に恐ろしいことをやってたんだよなぁ」

「継承者とはいえ、神姫を殴るなんて前代未聞ですわ」

「そうだね。今回はアテナ自身も思うところがあったから良いけど、あんまり女の子を殴るのは勘弁して欲しいよ」

「キラ様もあの後は『殴ったことは後悔しています』と仰っておりましたわ」

「はぁ・・・とりあえず、紅茶のお代わりを貰えるかい?」

「はいはい、ブランデーもありますわ」

「ありがとう、君もアモンさんらしくなって来たね」

「うふふっ、これもキラ様やヤンさんを守る為ですわ♪」

「そう言ってくれると私も嬉しいよ」

 

 

 

 ヤンはお代わりをした紅茶を口に含み、再度本を読み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 




次回はクレヨンしんちゃんの話とかをしようと思います!



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番外編:蒼天使達の未来

みなさんこんにちは。

今回は未来の話です。

前からやりたかった話なのですが、結構ネタバレしています。



それでは、本編どうぞ。



 カタカタカタカタ・・・・・・

 

 此処は火星の都市にある一つの会社。

 

 その会社の社長室で、彼はパソコンをタイピングしていた。

 

 彼の名前は『キラ・ヤマト』。この『アークエンジェル社』の社長兼プログラマーで、嘗て『IS大戦』と呼ばれる大戦を戦い抜いた英雄の一人である。そんな彼に、一人の女性が近づいた。

 

「キラさん、コーヒーをお入れいたしましたわ」

 

「ありがとうセシリア」

 

 彼女は『セシリア・O・ヤマト』、社長であるキラの秘書の一人であり、キラの妻の一人であり、IS大戦を戦い抜いた英雄の一人である。

 

 セシリアは机にコーヒーを置き、キラの横に立つ。

 

「・・・うん、美味しいよ」

 

「ありがとうございますわ♪」

 

 キラに上手いと言われて、セシリアは嬉しくなった。

 

 ガチャ

 

「キラ、君が作った最新のOSの売り上げが更新された」

 

「連絡ありがとう、スィーリア」

 

 書類を持って入って来たのは、『スィーリア・K・E・ヤマト』。キラのもう一人の秘書で、もう一人の妻である。彼女もまた、IS大戦の英雄の一人だった。

 

 因みにスィーリアはグレーのタイトスカートタイプのスーツで、セシリアは紺色のタイトスカートタイプのスーツである。どちらもガーターを着用している。

 

 コーヒーを少し飲んだキラは、窓の景色を見ながら呟いた。

 

「あれから、もう300年以上も経つんだね?」

 

「・・・そうですわね」

 

「・・・あぁ」

 

 IS大戦終結後、キラ達は神姫達と共に生きることを選び、不老長寿の身体になったのである(あくまで死ににくい身体になっただけで不死というわけではない)。そして火星に移住し、300年もの間ソフトウェアを作る会社を運営していた。結果は成功し、家庭のパソコンから艦隊のシステムまでの殆どは、キラの作ったソフトが使われているのだ。会社自体はそんなに大きくはないが、セシリアにスィーリア、アスラン達もいてにぎやかなので、あまり気にはしていないのである。勿論300年も平和で居られたわけではないが、大きな戦争にはなっていなかった。

 

 地球の方は篠ノ之姉妹と織斑姉弟が死んだため、IS委員会は切り札を失い、女性権利団体も鎮圧され、実質ほぼ壊滅した。しかも宇宙へ行くためのロケットも、IS大戦の時に使い果たしたらしく、新しく作ろうにもロケットの発射場も宇宙開発基地も、IS委員会が宇宙に上がる際全て破壊しのだ。行こうとしてもIS委員会の者達が、宇宙へ行くのを放棄したために、宇宙関連の資料も研究所も焼いてしまい、行く気がない者達では作ることも出来ない。仮に行けたとしても、第5世代でもないISでは宇宙空間での活動など短く、到底キラ達に敵うことなどできはしないのだ。それだけでなく月にはキラ達同様不老長寿になった(というよりもさせられた)ヤン・ウェンリー率いる宇宙艦隊がいるので、即効全滅させられるのが関の山である。

 

 詰まる所IS委員会にとって、IS大戦が最初で最後の宇宙への進出だったのだ。本部はヒイロが消滅させて、他の支部も宇宙艦隊の衛星軌道上からの攻撃により全滅。もはや地球側は宇宙へ行くことが出来なくなってしまった。しかも神様達の怒りを買った所為もあり、文明は殆ど衰退してしまったのである。

 

 不老長寿ということなので、今も一部の人間からは化け物と呼ばれてはいるが、それでも大半の人間はキラ達を受け入れてくれている。というのも、その大半は先祖代々キラ達にお世話になっている人や、先祖がIS大戦の際に命を救ってもらったからだ。それだけでなく、キラ達は人間だけでなく人外をも助けているので、あらゆる種族から友好関係を築いている。

 

「ありがとうセシリア、スィーリア。こんな僕を、好きになってくれて」

 

「ふふっ、どういたしましてですわ♪」

 

「君をずっと守ると決めたんだ、このくらい当然だ」

 

 お礼を述べたキラに、二人は嬉しそうにそう返事をした。

 

「所でキラ、そろそろ休憩時間か?」

 

「そうですね。一通りの仕事も終わりましたし」

 

「そうですの」

 

 セシリアはそう言うと、スィーリアを見てお互いに頷きあう。

 

「キラさん、此処最近溜まっておいでですわね?」

 

「うぅ・・・」///

 

 キラは転生してから、回りに女性が多くなっていた。その所為か色々我慢してしまい、同じく性的に溜まってしまうことが多くなっていたのである。

 

「・・・二人とも、ごめん」///

 

「仕方ないさ、キラは皆のために頑張っているんだからな」

 

「そうですわ・・・」

 

 ですからと言って、セシリアはブラウスのボタンを外し、スィーリアはスカートたくし上げ、二人共キラを誘い出す。

 

「私達と」

 

「いたしましょ♪」

 

「・・・うん」///

 

 その日の休憩時間、社長室では3人の喘ぎ声が聞こえて来た。

 

 

 

 社員食堂

 

「・・・で?昼食になるまでヤッていたと」

 

「「「・・・はい」」」///

 

 ただ今社員食堂で、キラ達は部下であるデュオと楯無と話し合っていた。因みに食事はもう全員済ませている。さらにセシリアとスィーリアがつやつやしていた。

 

「キラお前、それ今月6回目だぞ?」

 

「知ってるとはいえ、いくらなんでも溜まるの早すぎよね?」

 

「そりゃぁ魅力的な妻がいれば溜まりもしますよ」

 

「・・・プライベートでは?」

 

「ガイアさんやガブリエルさん達を入れれば今月46回ですわ」

 

「このやり○ンが!」

 

 ポカ!

 

「あいた!」

 

 なにが悲しくて親友の回数を聞かねばならないのか?

 

 そう思いながら多すぎる回数にデュオはキラの頭を叩いた。

 

「お前いい加減にしろよな?これ以上チートすぎる子供が生まれるなんて、溜まったもんじゃねえぞ!?」

 

「幸い皆良い子ばっかだから良いけど、これ以上は身内としては勘弁願いたいわね」

 

「その子供達の親の前で言う台詞ではないがな」

 

 突っ込んでくるデュオと楯無に、スィーリアは呆れる。

 

「でもそれ言ったら、デュオ達はどうなの?楯無さんだけじゃなくて、ハデスさんとかポセイドンさんとかとも、いっぱいエッチやってるらしいし」

 

「ここ最近はタナトス様にマザーエレミアとも・・・」

 

「こっちはお前等と違って、ちゃんと分を弁えとるわ!」

 

 キラの言葉にデュオが叫ぶ。

 

 すると、

 

「ここにいたのか皆・・・」

 

「アスラン・・・・・・なに抱えてるの?」

 

 廊下からアスランがなにかを抱えてやってきた。正確にはしがみ付かれているのだが。

 

「私だ」ムフー

 

「ラウラさん!?」

 

 そう。アスランにしがみ付いていたのは、アスランの妻の一人であるラウラであった。しかもなにやら鼻息が荒い。

 

「どうしてザラにしがみ付いているんだ?」

 

「実はな、先ほど社長室の前を通ろうとしていたのだが、その際中からキラ達の喘ぎ声が聞こえて来たのだ。それで私もやりたくなってお願いしたのだが、失敗に終わった」

 

「それで部下達の前で『セックスしてくれ!出なければしがみ付く!』と言って今に至るんだ。しかもそれを聞いて部下たちは何処から出したのかカメラとか機材までだして止めるのに大変だったさ・・・」

 

 それを聞いてデュオ達は呆れて何も言えなかった。一体なにを撮影するつもりなんだその部下たちは?

 

「餓鬼かお前は!?」

 

「何を言っている、私は大人だ!もうアラサーだぞ!」ムフー

 

「威張ることじゃねえし300歳超えたアラサーなんて見たことも聞いたこともねえよ!?」

 

「そもそも300歳以上生きている私達が異常なんだけどね・・・」

 

 ラウラに突っ込んだデュオに、楯無がそう呟く。

 

「それとキラ、さっきガブリエルさんから伝言を頼まれた。午後の仕事が終わったら情報管理室に来てほしいと」

 

「おまえ本当になんなの?エロゲの主人公みたいなガンダムのパイロットなんているか!?」

 

「そう言われましても、デュオさん達も知っているはずですわ?」

 

「キラはあいつ等の打った薬の所為で、性的な行為をしなければ激しい激痛に見回られる病気になってしまったんだぞ?」

 

「それは解るが、いくらなんでも多すぎだろ?」

 

「貴方のその病気、確か1週間に一度位で充分でしょ?」

 

「うん、そうなんだけど・・・・・・」

 

「核兵器や虐殺事件の事を思い出してしまうらしくてな、私達が癒してあげないと壊れそうで怖いんだ」

 

「キラさんは、この中で一番心のダメージが大きいですし」

 

 スィーリアとセシリアの言葉に、デュオ達はあきれ果てていた。

 

「それは知ってるけど・・・」

 

「つうかあれはお前だけの所為じゃねえだろ?これもう200回以上言ってるだろ?」

 

「それ以上言ったらもう親友の縁切るぞ?」

 

「そんなぁ!?」

 

 アスランから縁を切ると言われて、キラはこの世の終わりと言わんばかりにショックを受けた。

 

「嫌ならもうそんなことを言うな。俺たちだって忘れられないんだからな・・・」

 

「・・・・・・うん」

 

 キラは渋々ながら頷く。因みにこのやり取りも数十回やっている。

 

「ほら社長、昼食取ったなら早く仕事に戻った戻った」

 

「午後も頑張って下さいねキラ社長」

 

「解った」

 

「お供いたしますわ社長」

 

「それなら私も同行しましょう社長」

 

 キラ達は席を立ち、それぞれの仕事場に戻った。

 

 因みに、

 

「ヒイロ、またカロ○ーメイトばっかり食べて!」

 

「折角お弁当もって来ましたのに・・・」

 

「・・・すまない」

 

 屋上で昼食しているものもいたとか・・・。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふぃ~疲れた~」

 

「お疲れ様ですわ」

 

 仕事も終わり、キラはセシリアにスィーリア、先ほど合流したガブリエルと一緒に列車で帰る途中だった。

 

 アスラン達は残業、デュオ達はヒイロ達と合流して別の仕事に行ったので、今回は4人で一緒に帰ることになった。

 

「・・・皆、本当にありがとう」

 

「どうしたのですかキラさん?」

 

「いや・・・皆が居てくれて、僕は本当に幸せ者だなって・・・」

 

 前世でも、転生してからも、キラの目の前では沢山の人が死に、キラもまた多くの命を奪った。その罪はもはや、一人では背負いきれない程である。だが、彼女達が共に背負ってくれた。二人でだめなら、三人、四人、五人と増えて、キラは本当に一人ではなくなった。

 

「私も同じだ。セシリアや君達に出会い、今の平和に満足している」

 

「私もですわキラさん。ホーリーライブラリーと呼ばれた私は、貴方と言う未知の存在に出会えたことを誇りに思いますわ。それはきっと、ガイアさんもシヴァさん、ニケさん達も同じだと思います」

 

「皆・・・うん」

 

 涙を流しながら微笑むキラ。

 

「まったく、本当に治りませんわねその泣き虫な癖は?」

 

「そうだな、だがキラらしくて私は好きだぞ?」

 

「私もですわ」

 

 相変わらず泣き虫なキラに、3人は呆れながらも嬉しそうだった。

 

 ゆっくり、ゆっくりとだが、キラの心が少しずつ回復して来たというのが彼女達にとっては嬉しいのである。

 

「さてと、帰りましたら今度はガイアさんとシヴァさん達もいれて乱交しましょうか」

 

「そうですわね」

 

「先に私達でヤってしまったんだ。彼女達も入れないとフェアじゃないな」

 

「え・・・えぇ!?」///

 

 3人の言葉にキラは顔を赤くした。

 

 

 

「そういうわけだキラ」

 

 

 

「今日も沢山」

 

 

 

「貴方を癒して差し上げますわ」

 

 

 

「「「覚悟してくれ(くださいまし)♪」」」

 

 

 

「う・・・うん!」///

 

 

 

 

 

 顔を赤くしながらも、キラは笑顔で頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

【ED:beloved ~桜の彼方へ~/spanky】

 

 

 

 

 

 

 

 




末永く大爆発しろ!!

というわけでネタバレしました。

次回は本編に戻ります。

大変申し訳ございませんでした。


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番外編:守るための覚悟


機体名:ドラグーン(セシリア機)
パイロット:セシリア・オルコット
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
ロングライフル
リベリオンビームサーベル×2
攻守ラミネートビームシールド

ジェットストライカーB
5連マイクロミサイルポッド×4基
ロングビームキャノン カラドボルグ
小型レドーム

備考:
先行して量産されたドラグーンを、セシリア専用に改造した機体。中・遠距離用に特化されており、ガーベラストライカーのロングライフル等を使った狙撃・砲撃だ出来る。EWACも積んでいる為、強行偵察などにも使える。


機体名:ドラグーン(スィーリア)
パイロット:スィーリア・クマーニ・エイントリー
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
ビームライフル
リベリオンビームサーベル×2
対艦用ビームランス グングニル
伸縮型ラミネートビームシールド

ジェットストライカーA
5連マイクロミサイルポッド×2基
空対空ミサイル フルンディング×12発

備考:
先行して量産されたドラグーンを、スィーリア専用に改造した機体。対艦用ビームランスが装備されており、ジョストで鍛え上げられた彼女の槍術とも相まって近接戦闘能力が高い機体になっている。








 

 

―宇宙空間―

 

 

「大分慣れてきたね二人共」

「これもキラさんのおかげですわ」

「あぁ」

 

 月に近い宙域で、キラ達は訓練を行っていた。最初の時よりも二人は宇宙に適応して来たのだ。今ではセシリアもスィーリアも、8機ほどならビットを使った同時攻撃などが出来るようにまで成長した。

 

「・・・・・・」

「?どうしたのですかキラさん?」

 

 ISの状態で何かを考えているキラに対して、セシリアは尋ねる。

 

「・・・そろそろ二人も、実戦を経験した方が良いかなって?」

「実戦・・・」

「経験・・・」

 

 キラから発せられた言葉に、セシリアもスィーリアも先ほどとは打って変わって真剣な表情になる。なぜならキラが言う『実戦を経験』とは、試合と違い本当の命を賭けた戦いと言うことになる。

 

「二人も知ってると思うけど、此処最近無人のISが女神艦隊によく襲撃に来るんだ。先ずはその無人機から、小手調べとして戦って貰おうと思ってるんだ」

「・・・ついに私達も、本当の意味で戦う時が来たのだな?」

「怖いですか?」

「・・・正直に言えば怖いですわ。キラさん達の言葉が正しければ、相手は本気で殺しに来るのですから」

「うん。セシリア、その思いは絶対に忘れないでね。僕達が引き金を引けば、相手だって引き金を引いてくる。向こうだってただやられるために来たんじゃないからね」

「確かにそうだな。なんせこちらを一方的に憎んでいるのだからな」

 

 これまで篠ノ之束は、5回も女神艦隊を襲撃していた。それも日に日に機体の数は増えていくのである。無人機を宇宙に飛ばせるのだからいい加減自分自身で来いよと言いたくなるのだ。

 

「とりあえず、一旦艦に戻ろう。何時来るか解らないし、ペイント弾じゃ対抗できるわけないしね」

「そうだな」

「わかりましたわ」

 

 キラの提案に同意した二人はすぐさまヒューベリオンに帰還するのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『ヒューベリオン ブリッジ』

 

 

「先ほど君達の会話を聞いたけど、キラ君は何時位に来ると思う?」

「おそらく、もうそろそろだとおもいますよ」

「そうか・・・」

 

 ヒューベリオンのブリッジで、キラ達はヤン達と先ほどのことで話していた。

 

「それで、君達は良いのかい?」

「どの道ISを扱うのですから、遅かれ早かれこうなることは解っておりましたわ」

「私自身も完全とは言えませんが、人を撃つ覚悟は出来ています」

「・・・・・・・・・・・・まったく。君たちみたいな女の子が、人殺しなんてするもんじゃないんだが」

 

 ヤンの言うことにはキラ達も理解できた。セシリアもスィーリアも、本来ならこのような場所にいる存在ではない。彼女達の様なお穣様は、平和()な世界で生きているべきなのである。それでも彼女達は、自分達の大切な人の過去を知ってしまった以上、絶対に後戻りする気はないのだ。

 

「・・・とにかく、彼女が何をしてくるのかが解らない以上、こちらは待機するしかない。キラ君の言うとおり、そろそろ来ると思うけどね」

「解りましたわ」

「セシリア、スィーリア。俺たちも出来る限りサポートはするが、今回は二人の初陣だ。二人でやって見せてくれ」

「敵の数は多いと思うが、こちらには地の利がある。二人なら出来るはずだ」

「ありがとうございます中佐、大佐」

 

 先ほどまで黙っていたアムロとシャアが、二人に忠告をする。ヤンと同じ位戦争を見てきたため、二人の言葉には重みがある。

 

「それじゃあ、解散」

 

 ヤンの号令でキラ達はブリッジから出ていった。

 

 

 

 

 

 

ヒューベリオン 休憩所

 

「はい」

「・・・ありがとうございますわ」

「スィーリアさんも」

「助かる」

 

 キラは自販機から飲み物を買い、セシリアとスィーリアに渡す。ただ何時もと違い渡す際に彼女達の手は震えていた。

 

「情けないな。ジョストの時は少し緊張するとは言え、ここまで怖がることはなかったのだが・・・・・・」

「私もですわ。今ままで何度もISでの戦いはやって来ましたのに、本気で命を奪いに来るとなると・・・・・・」

 

 今まで平和な世界で暮らして来た彼女達にとっては、初めて行う命の奪い合いに恐怖することしか出来なかった。しかしそれは仕方のないことだ。何せ死ぬのだから。自分の命が奪われるかもしれない。それと同じ様なことを自分もするのだ。ISはただの兵器ではない。彼等彼女等から見れば人と同じ意思を持った存在。それが彼女達にはプレッシャーになっていた。

 するとキラは、ゆっくり口を開いた。

 

「・・・僕も、最初の時は怖かった」

「「え?」」

「そりゃあそうだよ。突然戦いに巻き込まれて、MSで戦えるのが実質僕だけだったから」

「「あっ・・・」」

 

 その一言を聞いて、セシリアとスィーリアは思い出した。キラは前世で、今よりももっと過酷な状況で戦って来たということを・・・。幼馴染であるアスランと殺し合い、守りたいと思った者達を目の前で殺され、それでも大切な人達を守るために目の前の少年は戦って来たのだ。

 

「大丈夫だよ二人共。本当に危なくなったら、僕達が助ける。だからそれまで、二人で頑張って欲しいんだ。これから先の戦いのためにも、ね」

「キラさん・・・」

「ヤマト・・・」

 

 自分達は、一体どれだけ恵まれているのだろう。目の前の少年は、そう言ったことすら出来ない場所に居たのに、自分達は本当に余裕をもって戦える。それが余りにも嬉しく、悲しいのだろうか。

 

「ありがとうございますキラさん。少しだけ楽になりましたわ」

「君にそこまで言われたら、期待に応えないといけないな」

 

 キラの思いを聞いた二人は、少しばかりだが楽になった。

 

 

ビーン!ビーン!ビーン!ビーン!

 

 

「「「!!」」」

 

 艦内に警報が鳴り響き、ついにそのときが来た。

 

「・・・いよいよですわね」

「二人共、がんばってね」

「あぁ」

 

 キラに応援された二人は、その思いに答えるように頷きキラと別れた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

カタパルトデッキに着いた二人は、瞬時にドラグーンを纏うとカタパルトに脚部を接続する。

 

『良いかい?敵の数は10機近くいる。君達の任務はこの10機を破壊、または戦闘不能にするんだ。君たちは今回が初の実戦だ、こちらも出来る限りサポートするから』

「「了解」」

『今回俺たちは後で待機だ』

『・・・死ぬなよ』

「お任せくださいまし」

「君達の出番がないようには頑張るよ」

『はは、そこまで言ったんだ。絶対に帰って来いよ?』

 

 ヤンの指示やデュオ達からの応援に二人はそう返事をする。するとこんどは頭部の画面にキラの幻獣であるサンダルフォンとアポカリプスが現れた。

 

『お二方。マスターの命令(お願い)により、今回私達はお二方の補助を努めさせてもらいます』

「キラさんから?」

『お前たちが死ねば、それこそキラの心が傷つく。それはキラの『心』を守っている私としても、黙っては居られないからな』

「アポカリプスさん・・・」

 

 キラと契約した幻獣は、サンダルフォンだけではない。ラグナロクの混沌から生まれた幻獣『アポカリプス』は、何時もはその力を使ってキラの『心』を守っているのだ。

 

「・・・ありがとうございます」

『礼は帰ってからにしろ』

「わかりましたわ」

『全システムの調整、完了。何時でも発進できます』

「「了解」」

 

 サンダルフォンから調整が完了したことを聞き、二人は一度深呼吸をする。

 

『進路クリア D01 発進!』

「こちらスィーリア、D01行くぞ!」

 

 CICからの指示を聞き、一番機を纏うスィーリアが射出された。

 

『続いて D02 発進!』

「セシリア・オルコット、D02参りますわ!」

 

 スィーリアに続き、セシリアもCICからの指示を聞いて射出された。

 

『お二方、敵は無人機のISが10機、並びに母艦が1隻です』

「・・・これを全て篠ノ之博士がお作りになられたのですね?」

「あんなのを作れるのだから、早く宇宙に来ればよかったものを」

『まったくだ。おかげでキラ達の大切な家族が死に、世界は腐敗の道に進む一方だ』

 

 白騎士事件の影響は、余りにも大きく悲惨だ。女性しか扱えないということもあり、IS委員会や女性権利団体ができてしまい、男を老若構わず良くて家畜悪くて虐殺するようになった。しかも二つの組織は連携し、千冬の弟である一夏だけを残す形で男たちを葬ろうとしているのだ。まったくもって不愉快極まりない。

 

『・・・敵機確認。有効射程範囲まで、あと30秒』

「こちらでも確認いたしましたわ」

「あれがヤマトが言っていたゴーレムか?」

『そうだ。どうやら2機、改良型が居るようだがな』

 

 アポカリプスの言うとおり、ゴーレム部隊の一番奥に2機の改良型と思われる機体が止まっていた。

 

『お二方、解っているとは思いますがISには意思があります。無人機とはいえ、あれには私達と同じ生きた存在がいることを忘れないで下さい』

「あぁ・・・」

「そう思うとさらにプレッシャーが増しますわね・・・」

『ならやめるか?』

「今更ですわ!」

 

 そうセシリアは叫び少し前に出ると、周りに付いているアポジモーターを使いその場に止まる。

 

「先ずは一発、打ち落として見せます!」

 

 セシリアはD02の右腕に持っていたロングライフルを構え、サブグリップを左腕で掴む。

 

ブッピガン!

 

『射角調整完了 ターゲットスコープ オン』

「ターゲット・・・ロック」

 

 サンダルフォンの声と同時に、ヘルメット内のモニターにターゲットスコープが映し出され、1機のゴーレムをロックオンする。

 

『チャージ完了』

「喰らいなさいな!」

 

ドシュゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 完了した合図と同時に、セシリアは一気に引き金を引いた。砲身から放たれた太い桃色の閃光は、なんとゴーレムを1機どころか3機丸ごと飲み込んだ。

 

「す・・・凄い威力ですわね?」

「関心している場合ではない・・・来るぞ!」

「っ・・・はい!」

 

 余りの威力に呆然としていたセシリアにスィーリアが渇を入れる。スィーリアの言葉に気を取り戻し、こちらに向かってくる敵を睨み次の行動に移るセシリア。スィーリアはビームライフルをマウントし、腰につけていたビームランスを取り出す。

 

「行くぞ!」

 

 スィーリアは先ず一機のゴーレムに向かって突っ込む。対するゴーレムはスィーリアに向かってビームを乱射するが、キラ達からの超絶鬼畜弾幕を避ける訓練を何度もしているスィーリアにとっては、何の苦もなくかわせた。

 そしてバルカンで牽制しながら一気に懐に飛び込み、

 

「ハアッ!」

 

 強烈な一突きをお見舞いした。

 手ごたえを感じたのか、ランスを引き抜きすぐさま離れるとゴーレムは機能を停止する。すぐさま別のゴーレムを見つけると、一度ランスを腰に付けビームライフルを取り出す。そしてビームライフルを撃ちながら、マイクロミサイルを10発発射。ゴーレムはライフルから放たれた桃色の閃光を避けるが、後から来たミサイルに全弾命中して爆発する。

 

『後方から2機来るぞ!』

「!?」

 

 アポカリプスの言葉にスィーリアは振り返る。そこには、確かにゴーレムが2機こちらにビームを放ちながら向かってきた。しかも片方は例の改良型だ。スィーリアは盾を構えて、ビームを防ぐ。因みにスィーリアが持っているのは、ガーベラストライカー等が使っている、伸び縮みできるタイプのラミネートビームシールドだ。

 

「それなら!」

 

 スィーリアはまたビームランスを展開すると、今度はシールドを構えながら突っ込む。その際マイクロミサイルとフルンディングを一斉に放った。改良型は回避しながらも5発命中し、1型は10発命中して爆散する。改良型と言うこともあってか、威力の高いマイクロミサイルとフルンディングを受けてもまだ動いている。それだけではなく背部に装備しているブレードを握ると、なんとブレードが青白く光りだした。

 

『なるほど、零落白夜か』

「さすがは博士だ!」

 

 驚きはしたがあれを作ったのが、篠ノ之束だと思えば納得して再度集中する。改良型ゴーレムが零落白夜を振り下ろした瞬間、スィーリアはシールドを手放しアポジモーターを使ってバク宙する形で避けた。改良型がシールドを斬っている隙に、瞬時加速で一気に突っ込んだ。

 

「はあぁぁぁぁぁーーー!!」

 

 その雄たけびと同時に、彼女のビームランスが改良型の胴体に大きな穴を開けた。そしてスパークを起こし改良型のゴーレムは機能停止した。

 

ティキーン!

 

『後方!』

「解っている!」

 

 何かを感じたスィーリアは、咄嗟にビームライフルを展開し後ろにむかって放つ。ビームライフルから放たれた閃光は、吸い込まれるかのようにゴーレムを直撃した。

 

「あ・・・当たった?」

『どうやら、お前も覚醒しようとしているのだな・・・』

「覚醒・・・もしや、神姫にか?」

『おそらくはな』

「そうか・・・」

 

 神姫に覚醒しようとしている。それは今のスィーリアにはあまりピンと来なかった。そんなことよりも、ISを殺したことによる罪悪感しかなかった。

 

「・・・これが本当の戦争ならば、私はもっと多くの命を奪っていたのだな?」

『・・・後悔しているのか?』

「・・・いや」

 

 スィーリアはビームライフルを持っている手を、おもむろに見る。そこにはただ銃があるはずなのに、まるで血が付いているようにも思えた。そして今度は地球の方に顔を向ける。

 

「・・・貴弘、皆。私はもう、君達の元には行けない・・・・・・すまない」

 

 ISに触れる前まで共に居た、大切な仲間達。その仲間達の元にもう戻れないことに、スィーリアは静かに嘆く。しばらくすると、セシリアのドラグーンが近づいてきた。

 

「お姉さま!」

「セシリア、終わったか?」

「はい」

『レーダーに敵影なし。ステルスの類も感知されません』

『奴等の母艦も、ヒューベリオンが落としたしな』

 

 そう、彼女達二人がISと戦っている間、無人機達の母艦はヤンが操るヒューベリオンが落としていた。

 

「これで、もう後戻りはできないな」

「そうですわね」

 

 ISを殺してしまった以上、もはや彼女達に逃げる道は無くなった。これでもう彼女達はキラ達と同じ道を行くことしか出来なくなった。しかし後悔はしない。これが自分達が選んだ道なのだから・・・。

 

「こちらスィーリア。目標の殲滅を確認した。これより帰艦する」

『了解。はじめてにしてはいい戦果だね』

「皆さんが生き残るための技術を教えてくださったからですわ」

『そうかい。それじゃぁ待ってるよ。特にキラ君がね』

「「はい!」」

 

 二人はそう返事をすると、旗艦ヒューベリオンに向かって飛び立った。

 

 

 

 

 

 因みに例の如く、どこかの島では怒り狂う兎がいたとか・・・・・・。

 

 

 

 

 





というわけで、二人の実戦回でした。時系列はクラス対抗戦前です。
次回はまた本編に戻ります。


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本編
プロローグ



皆さんこんにちは。

あらすじにも書いたとおり、これはキラ・ヤマトの異世界転生記の別ルートになります。

具体的にはキラ達4人は白騎士事件の時に家族を亡くし、銀英伝の有能さん達に引き取られた感じです。

さらに各々に一人神様とかがついています。

そんなわけで本編どうぞ。


 

 

 

 

神様は本当にいるのだろうか?

 

 

 

 

転生した僕は、何度もそう思った。

 

 

 

 

平和に暮らしていた僕は、1発のミサイルによって、両親を失った。

 

 

 

 

だけど政府は、この事件をなかったことにした。

 

 

 

 

それからすぐにISと呼ばれる篠ノ之束博士が作った『兵器』が現れた。

 

 

 

 

そして僕は瞬時に理解した。

 

 

 

 

僕の両親は、彼女達に殺されたんだと・・・。

 

 

 

 

でも僕は、憎もうとしなかったし恨もうとも思わなかった。

 

 

 

 

そんなことをしても、父さんも母さんも戻ってこないし、そういう戦いを何度も見てきたから。

 

 

 

 

その後僕は、とある人の養子になった。

 

 

 

 

「初めましてキラ君。私はヤン・ウェンリー、君の保護者になる者だよ」

 

 

 

 

僕はその人が信用できる人だと、瞬時に理解できた。

 

 

 

 

僕はヤンさんに自分が転生者であることと、呼ばれるようになった『白騎士事件』の真実を。

 

 

 

 

するとヤンさんも、自分のことを話してくれた。

 

 

 

 

自分も転生者であることと、僕の世界よりもさらに未来から転生されてきたことを。

 

 

 

 

そしてヤンさんは僕にこう言ってくれた。

 

 

 

 

「よく頑張ったね。相手を憎もうとせず、恨もうとせずに生きてきたなんて、そうそうできることじゃないよ」

 

 

 

 

その言葉に、僕は嬉しくて泣いてしまった。

 

 

 

 

それから1年、僕はアスランと再会した。

 

 

 

 

なんでも、アスランはジェネシスの内部で自爆したらしい。

 

 

 

 

そしてアスランもまた、白騎士事件で両親を無くして、今はシェーンコップと言う人の所で暮らしているみたい。

 

 

 

 

それから数日後、僕とアスランは、ヒイロとデュオに出会った。

 

 

 

 

彼らは僕達とは違う異世界で、ガンダムに乗って戦っていたらしい。

 

 

 

 

ヒイロは無口だけど、僕やアスランのことを心配してくれる。

 

 

 

 

デュオは陽気で、よく貧乏くじを引くムードメーカー。

 

 

 

 

他にも、赤いロリコンさんに白い機械弄りさんにも出会いました。

 

 

 

 

そんなこともあって小学3年の夏休み、僕達は噂であることを耳にしました。

 

 

 

 

富士山の近くに変わった遺跡がある。

 

 

 

 

二度目の人生なんだから、みんなで楽しいことをしたいと思い、僕達はその遺跡に行くことにした。

 

 

 

 

僕達はそこで、とてつもない奇跡に出会うことになるとは、そのとき誰も思いませんでした。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

河口湖駅前

 

 

「着いた~」

「中央線と富士急空いてて助かったぜ」

「そうだな」

8時の河口湖の駅前にキラ達4人は立っていた。

「・・・キラ、その遺跡は何処にある?」

「なんでも、青木ヶ原のどこかにあるって聞いたよ」

「あの樹海のなかだろ?大丈夫なのか?」

「大丈夫・・・だと思う」

しまりのない言葉にデュオとアスランはため息を吐く。

「・・・まあ此処まで来た以上、行かない訳にはいかねえよな?」

「そうだな」

「・・・そういうわけだ。いくぞキラ」

「皆・・・うん!」

そう言うと4人は、青木ヶ原の樹海までのバスに乗り込み、目的のバス停に着くまで雑談をしていた。

そして目的のバス停に降りて、4人は樹海の入り口まで来た。

「んで?着いたは良いが、何処から探すんだ?」

「とりあえず、中心に向かって歩いていけば良いんじゃないかな?」

「それが妥当だな。ヒイロ、ドローンは?」

「・・・何時でも動かせる」

中心に向かうということで、アスランはヒイロに尋ねる。今回樹海ということで、なにかあったときの為にドローンを持ってきた。しかもキラ達4人の手作りで、稼働時間は通常のドローンの10倍はあり、太陽電池も備わっている。勿論ドローンだけでなく、食料も水もありったけ持ってきているのだ。

「よし、そんじゃあ行くか」

「そうだね」

「あぁ」

「任務了解」

そして4人は、広大な樹海に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「なかなか見つからないね?」

「そりゃあ樹海の中にあるからな」

青木ヶ原の樹海を歩くこと4時間、キラ達は道もわからない場所で遺跡を探していた。

本来なら子供達だけで行くのははっきり行って自殺行為なのだが、キラ達は転生者。しかもアスランの保護者であり、現陸上自衛隊1等陸佐であるシェーンコップから色々教えられているので、樹海で死ぬことは先ずないのだ。ちなみにキラ達はサバイバル訓練もちょくちょくやっており、虫や動物を食べることもできる。

「・・・このまま探し続けるのは無謀だ。一旦休むぞ」

「おっ、奇遇だなヒイロ。オレもそう思ってた」

「そうだね、今は食事にしよう」

「あぁ」

そう行ってキラ達は、洞窟になっている場所を見つけ、そこで食事を取ることにする。

「・・・それにしても不思議だよね?前世ではガンダムに乗って戦ってたのに、今はこうやって皆でいろいろ探検してるのって」

「そうだな。俺とキラ、ヒイロとデュオは違う世界なのに、ガンダムと戦争だけは共通している。なんだか運命みたいだな」

「まあ良いんじゃねえか?これも神様の導きってことで」

「・・・神か」

「僕的にはどっちかいうと、火の鳥がやったと思うんだ」

「そっちの方が近いな」

「・・・あれは輪廻転生を表しているからな」

キラ達は食事をしながら、そんなことを話し合っていた。

「神様って、本当にいるのかな?」

「どうしたんだ急に?」

「もし神様がいたら、言いたいことがあるんだ。どうして僕達は、あんなところまで来てしまったのかって」

キラの言葉に3人は黙る。どちらの世界も、強大すぎる戦争になってしまい、果てには大量虐殺兵器まで投入してきた。

「・・・それは俺たちにも解らない。だが、これだけは言える」

「ヒイロ?」

「強者など何処にもいない、人類すべてが弱者だ。だからこそ俺たちは確かに争いを起こすが、手を取り合えば、平和への道は開く」

「ヒイロ・・・そうだね」

「そうだな」

「お前もたまに良い事言うよな」

ヒイロの言葉にキラ達は同意する。どちらの戦争も余りに悲惨すぎたが、それでもキラ達は戦争を止めるために戦い続けた。そして死んでしまい、今この世界に転生されてしまったが、どちらも大丈夫だろうと信じているのだ。

「にしても、こんなところに洞窟があったんだね」

「風が来てるということは、奥まで続いているのか?」

「どうする?」

「・・・なにも手がかりがない以上、確かめる価値はある」

「ヒイロの言う通りだな」

意見が決まると、キラ達は食事を終えて洞窟の奥に向かった。

奥に進むにつれて、4人はなにかを感じる。

「・・・気をつけろ。この感覚、普通ではない」

「あぁ。殺気じゃないのは確かだがな」

「でもなんだろう?なんといか・・・暖かい感じがする」

「そうだな。これは一体?」

そんな不思議な感覚にとらわれながらも、4人は奥に進む。

しばらく歩くと光が見え、4人はその光に向かって進む。

「これは・・・」

「どうやら、当たりらしいな」

キラたちの目の前には遺跡が立っており、目の前には機械の様な物が浮いていた。

「コイツは・・・スマホか?」

「でもド○モでもA○でもソ○トバンクの奴でもないし・・・」

「いやキラ、機種より先ず浮いてるとこから疑問に持てよ」

少し見当違いなことを喋るキラにデュオが突っ込む。

「それにしても、丁度4つあるな?」

「う~ん・・・折角だしとってみよう」

「そうだな」

「・・・あぁ」

「よし、じゃあ俺はこの黒で」

「俺は紅だな」

「・・・白か」

「僕はこの蒼で」

そう言って4人は各々の色をしたスマホを手に取る。

 

 

すると、

 

 

カッ!

 

 

「!?」

「うわ!?」

「これは!?」

「なんだ!?」

スマホから眩しい光が現れ、キラ達は目を瞑る。

しばらくして光が収まり、4人は目をあける。

そしてそこには、

 

 

 

「初めまして、ご主人様」

「・・・ふえ?」

 

 

 

 

4人の女性が立っていた。

 

 

 

 

 

それから数分後、キラはこう呟いた。

 

 

 

 

「神様って本当にいたんだ」

 

 

 

と・・・。

 

 

 

 

 

 

 






次回から本編です。


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第1話:始まりは何時も突然

 

 

ちゅんちゅん

 

 

「zzz・・・ふえ?」

朝の日差しによって、キラは目を覚ました。

「ふわ~・・・」

起き上がったキラは、大きなあくびをする。そしてベッドから出ようとして、左手をベッドにつけようとした。

ムニュ

「はう♥」///

「え?」

左手に柔らかいものの感触と、なにやらいやらしい声がキラの耳に響いた。キラは恐る恐る声のした方に顔を向ける。

「あ・・・朝からだなんて、キラ様はエッチな方ですわね」///

「が、ガイアさん!?」///

そこに居たのは、ギリシャ神話で創造神と言われた女神『ガイア』である。

「ど、どうして此処に?」///

「お忘れですの?昨日キラ様が切なそうにしておられたので、私がお相手を」///

「そういえば・・・」///

キラは昨日のことを思い出し、さらに顔を赤くする。

「・・・ガイアさん、ありがとうございます。こんな僕を、好きになってくれて」

「良いのですよ。私はキラ様の『神姫』、キラ様の為なら全てを捧げる覚悟ですわ」

「ガイアさん・・・」

 

 

彼女達に出会って早6年、キラ達4人はガイアたちから神姫と呼ばれる存在のことを知らされ、一緒に暮らすことになった。ヤンにガイアのことを紹介したら、興奮しながら彼女のことを詳しく話してくれた。その後キラはガイアに自分のことを話した。大切な人達を目の前で殺されて、沢山の命を奪い、何度も泣いたことを・・・。

それを聞いたガイアはキラを優しく抱きしめ、頭を撫でながらキラにこう言った。

 

「よく頑張りましたねキラ様。大丈夫です、貴方の思いは間違ってはいませんわ。創造神である私が保証します」

 

それを聞いたキラは、ヤンの時と同じ様に泣いてしまった。

少しして泣き止むとガイアが『頑張ったご褒美にエッチをしてあげます♪』と神様らしからぬことを言い放ち、最終的にキラは彼女を抱いた。

それからもなにかあればキラは彼女を抱いている。

因みにヤンは「なんとういか・・・残念だ」と色々ショックを受けていたが、それでもガイアから色んな話が聞けたので満足しているらしい。

 

 

「と、とりあえず起きないと」///

「そうですわねキラ様♪」

そう言って二人は起き上がり、キラは着替えをする。その際ガイアがジッと見つめており、キラは顔を赤くしながら着替えた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

リビングに着くと、やはりヤンがソファで本を被せながら眠っていた。

「ヤンさん、起きてください」

「ヤン様、朝ですわよ」

「う~ん・・・後5・・いや4分・・・・3分40秒寝かせてくれ」

「そんなこと言わずに起きてください!」

大声で言い放つキラに、ヤンは「やれやれ」と言いながら起き上がる。

「それでは私は、朝食の準備をいたしますわね」

「頼むよガイア」

因みにガイアは、戸籍上は『ガイア・ヤマト』と言う名前で、キラの姉ということになっている。料理の方は最初こそは恐ろしい兵器状態だったが、キラ達の教えによって、他の神姫同様見る見る内に上達した。

 

数分後

 

「そういえば、今日は受験の日だったね?」

「はい、皆で同じ高校に受験するんですよ」

キラ達はテーブルで朝食を取りながら、今日のことを話す。今は2月の受験シーズン。なので今日は4人で同じ高校に受けることにしたのだ。

『続いて次のニュースです。昨日アメリカ、ニューヨーク市男女平等を掲げる団体が、女性権利団体に制圧されたとの情報が入りました』

『まったく馬鹿ですね?ISは私達の希望、女神から与えられた存在だというのに』

 

 

ダン!

 

 

「「!?」」

テレビから聞こえる女性アナウンサーがなにやら話していると、キッチンの方から何かを叩きつける音が響いた。音の方に顔を向けると、そこには洗い物をしていたガイアからドス黒いオーラが漂っていた。

「・・・私達が何時、そのようなことをしたのですか?」

「ガイアさん?」

「私達が何時、この様な世界にしろと言ったのですか?」

「ガイア?」

よく見ると、ガイアの瞳には涙が溢れ出ていた。

「私達は誰も、女尊男卑にしろだなんて言った覚えはありませんわ!どうしてあの方たちは笑っていられるのですか!?人が死んだというのに、男と女、両者がいないと世界は成り立たないというのに!?」

「ガイアさん・・・」

「キラ様達はあのお二方の所為で、ご両親がお亡くなりになったのに、どうしてあのお二方はあがめられておられるのですか!?こんなの理不尽ですわ!!」

「ガイア・・・」

涙を流しながら、テレビに向かって叫ぶガイア。その姿が見ていられなかったのか、キラは彼女に近づき優しく抱きしめる。

「キラ様・・・」

「ガイアさん、僕は大丈夫だから」

「キラ様・・・」

「確かに、父さんと母さんが居なくなって悲しいよ。でもね?僕にはガイアさんがいる、ヤンさんがいる、皆がいる。だから、寂しくないよ、辛くないよ?」

「キラ君」

抱きしめるキラの瞳からも、涙が流れている。それは自分の為に泣いてくれる、ガイアのためにだ。

「ありがとうガイアさん。僕のために、泣いてくれて」

「!!キラ様・・・キラ様!」

「うん・・・うん・・・」

「やれやれ、君達は優しすぎだよ」

泣きあう二人に、ヤンは少し呆れながら見ていた。

 

 

 

数分後

 

 

 

「それで、落ち着いたかい?」

「「はい」」///

ヤンが見ていることを忘れていたので、二人は顔を赤くしながら返事をする。

「ところでキラ君、そろそろアスラン君たちが来る時間だよ?」

「おっと!早く準備しないと!」

と言いキラは急いで受験に行く準備をする。

 

ピンポーン

 

「はい?」

「俺です」

「アスラン様」

ブザーが鳴ったので、ガイアが玄関に行くと、アスラン達が立っていた。

「・・・キラは?」

「もうすぐで来ますわ」

ガイアがそう言うと、後ろからキラが慌てながらやって来る。

「皆おはよう!」

「おはよう」

「大丈夫か?」

「ちょっと色々あってね」

デュオに尋ねられたキラは、色々あったと誤魔化す。

「受験票は?」

「ちゃんと持ったよ!」

キラはバッグに受験票を入れたことを確認する。

「それじゃあヤンさん、ガイアさん、行ってきます!」

「行ってらっしゃいませキラ様」

「うん、気をつけてね」

「はい!」

キラは二人に挨拶をして、3人と一緒に受験会場まで向かった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

数時間後

 

 

「どうだった皆?」

「まあ手ごたえありだな」

「この程度なら大丈夫だ」

「そうだな」

キラ達4人は受験会場に間に合い、全員なんの苦もなく終わらせた。

「それじゃあ終わったことだし、なんか食べて帰ろっか」

「・・・良いだろう」

「「賛成」」

キラの意見に3人は同意し、近くにあったサイ○リアに入る。平日ということもあり、そこまで人は居なかったのですぐに席に案内された。少ししてメニューを選び、店員を呼んで各々メニューを注文する。

「そういえばさっき、女尊男卑関連のニュース見てたら、ガイアさんが凄く怒ったんだよ」

「キラんとこもか」

「俺たちも同じだ」

「・・・あいつ等の言葉には俺たちも同意する」

「だよね。実際僕もあの時アナウンサーの言葉にムスッて来たから」

戦争という地獄を見てきたキラ達にとって、今の世界は平和そのものだ。しかしそれと同時に、女性権利団体などと呼ばれたふざけた組織まで出来上がった。その所為で今の世界は、少しずつだが男性の死亡率が上がっているのだ。それも大人だけでなく子供や赤ん坊までもがである。

「平和に越したことはないけど、これは酷いよね」

「まったくだ。あいつ等はISの恐ろしさを知らなさ過ぎる」

「言っても無駄だぜ。たとえ兵器として見てても、あいつ等は男を殺すためにしか見てないだろうさ」

「だがキラの言うとおりだ。形はどうあれ、平和なのに越したことはない・・・が」

「アラスカ条約があるとはいえ、このままだとぜってぇ戦争は起きるな」

「うん」

「そうだな」

そんなことを話し合っていると、注文した品がキラ達の前に置かれる。

そしてキラ達は互いに注文した品を食べながら、今後のことを話し合う。

「・・・先ほど、IS適正検査と呼ばれるものがあったが、どうする?」

「あ~少し前にIS適正者が出たらしいからね」

「確か織斑一夏だったな」

「あのブリュンヒルデの弟か。これはなにか裏があるぜ?」

「・・・篠ノ之束」

「だろうね」

こういうことには慣れている4人、織斑千冬の弟と言うだけで答えを瞬時に見つける。

「まあ今のうちにやっとくか」

「そうだね」

「それじゃあ行くか」

「・・・そうだな」

食べ終えた4人は、それぞれ会計を済ませて適正試験の会場に向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

会場に着くと、ISが4機鎮座されているが予想外に空いていた。

「そんなに居ないね?」

「午前で大体は来たのか?」

「どんだけ行きてぇんだよ?」

「・・・さあな」

4人はそこまでIS学園に興味がない。というのも前世みたいなことになるのはごめんだからだ。

「・・・触る前に考えよう。もし起動したらどうする?」

「とりあえずキラん家に集合な?」

「神姫たちも連れて行ったほうが良いな」

「後はロイエンタール達も居た方が良いだろう」

「確かにな。あのオッサン達は元は元帥だって言うしな、なにか策くらいはあるだろう」

ヒイロの口から出たロイエンタールは、ヤン達と同じ世界から来た転生者だ。今は会場自衛隊で海将として働いている。

「そんじゃあ行くか」

「うん」

「「あぁ」」

4人はそれぞれの列に並び、順番が来るまで待ってた。とはいえそんなに人はいなかったのですぐに出番が来る。

(なんでだろう・・・)

(本当に・・・)

(嫌な予感が・・・)

(・・・)

そう思いながら、4人は同時にISに触れた。

 

そして、

 

『!?』

 

 

突如4人の頭にISに関する情報が流れはじめ、気がついた頃にはISを纏っていた。

 

 

『・・・・・・』

 

 

その日、4人のIS適正者が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 





次回は皆で集まってどうするか決めます。


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第2話:神様がガンダムを作るとこうなる


みなさんこんにちは。

この小説を書いた理由は、ある意味『ストレス』です。

此処最近マイナスなことや胸糞悪いことばっかり受け入れてしまい、話もマイナスな方向に考えてしまうようになってしまいました。

この話は千冬と篠ノ之姉妹とその他が屑過ぎます。一夏と鈴は比較的マシなのでこっち側ですが。山田先生もキラ達側です。

それでは、本編どうぞ。


 

 

 

 

日常と非日常は、常に絶妙なバランスで成り立っている。

 

 

 

 

 

何時もと変わらない日常は、一歩踏み出すだけで非日常に変わる。

 

 

 

 

 

だが非日常に変われば、日常に戻ることなど容易くない。

 

 

 

 

 

彼らはそれを知っていた。

 

 

 

 

 

だからこそ策を練っていた。

 

 

 

 

 

自分たちがどれほど、『普通じゃない』のかを理解していたから。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

「う~ん・・・」

キラはリビングで、アスラン達が来るのを待っていた。

先日ISを動かしてしまい、色々話し合った上で4人ともIS学園に行くことになったのだ。勿論受験を受けた学校には行けなくなり、家の周りにはテレビや新聞記者が囲んでいる状態だ。キラ達はISに触れる前に言ったとおり、キラの家に集合ということになった。そのことは神姫たちやヤン達には伝えてある。

「ヤンさん、ガイアさん、本当にすみません」

「気にすることはないよキラ君。世の中なにが起こるか分かったもんじゃないからね」

「そうですわキラ様。それどころか、私たちにもっと頼っても良いですわ」

「二人とも・・・」

二人の言葉にキラは心から感謝した。

するとリビングの真ん中に魔方陣の様な物が浮かび上がる。

少しして、魔法陣の上に数人の男女が現れる。

「おっす、来たぜ」

「・・・お邪魔するわ」

まず出てきたのはデュオと、その神姫である冥府の神ハデスだった。

「・・・来たぞ」

「お邪魔しますね」

「邪魔するぞ、ヤン・ウェンリー」

次に出てきたのはヒイロと、彼の神姫である大天使ミカエル、そしてヒイロの保護者的存在であるオスカー・フォン・ロイエンタールである。

「来たぞキラ」

「こんにちはキラさん」

「朝からすまんな」

3番目に出てきたのはアスランとその保護者、ワルター・フォン・シェーンコップ、アスランの神姫で太陽の神のアマテラスである。

さらに、

「着いたか」

「おはようキラ」

「シャア大佐、アムロさん!」

最後に出てきたのは、宇宙世紀という世界から転生されてきた、アムロ・レイとシャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンである

「昨日テレビで君たちが出てたのをアムロが見てね、アスランの家に来たのだよ」

「俺たちも出来る限りサポートはするつもりだ」

「ありがとうございます」

集合したのを確認すると、ガイアが紅茶とコーヒー、ならびにお茶菓子を持ってきた。全員受け取ると、今後のことに関して話し合うことになった。

「それでまずISなんだが、どうするつもりだ?」

「昨日ISのスペック見ましたけど、今の専用機でも到底僕達に追いつけません」

「前世でキラ達の乗っていた機体はオーバースペックらしいからな」

「それに加えて、こちらに転生した影響かは知らねえが、前世の時よりも人体のスペックもかなり上がってるからな」

そう。キラ達転生者は、前世の頃よりも人としてのスペックが上がっているのだ。これに関しては神姫たちにもわからないらしい。

「・・・ISのコアにも限りがある。男のIS操縦者は少ないが、おいそれと政府が渡すわけには行かないだろう」

「ロイエンタールさん、シェーンコップさん。それに関して政府の方はどうでしたか?」

「ヒイロ・ユイの言う通りだ。奴等は専用機に関しては、織斑一夏だけにするつもりらしい」

「あんな素人にあげるよりも、こっちの経験者にあげた方が楽なんだがな」

「それに関しては、私達神姫も同意します」

「ISのコアと話しましたところ、織斑一夏様に授けられる専用機には、なんでも白騎士のコアを使うとか」

神姫は文字通り神、意思を持っているISと会話することなど造作もないのだ。

「きっと篠ノ之博士の仕業だね?」

「あの天災以外の人物が浮かびあがりませんしな?」

「まあ十中八九彼女だろう」

有能提督達は瞬時に推測し、キラ達もそれに同意する。

「話は戻って、ISをどうするかですね」

「そこなんだよな?」

う~んとキラ達が考えていると、ガイアが手を挙げる。

「それなら、私達が作れば良いのですよ。コアと専用機を」

『え!?』

ガイアの言葉にキラ達は驚愕する。

「私達は神姫、特に私は世界を作りだした創造の神ですわ。意思を持つISのコアを産み出すことなど造作もありません」

「なるほど・・・」

「それに此処には、大天使様に冥府の神、そして太陽の神といったこれほどにない人材がおられますわ」

その言葉に転生者たちは納得する。神話でも超有名で強大な力を持った存在が4人もいるのだ。それだけでコアを作ることなど造作もないのだ。

「コアの方は解ったが、専用機はどうするんだ?」

「専用機の方は、キラ様達が前世で乗っていた『ガンダム』を作ってみようと思いますわ」

「ガンダムをだと?」

シャアの問いにガイアは縦に頷く。

「キラ様とアスラン様、ヒイロ様とデュオ様、アムロ様とシャア様、そしてヤン提督様方。各々の世界の技術を結集させ、私たち神姫の力も加えたガンダムを作るのですわ」

「もうそれチートなんじゃ・・・」

キラの呟きに全員同意する。元の世界の技術の良いとこ取りをし、尚且つ神様たちの力も入ったガンダム、これをチートと言わずして何と呼ぶだろう。

「・・・それが良いだろう」

「ヒイロ?」

「ISに選ばれた以上、団体に委員会の奴等が狙ってくることは確実だ。それならば、こちらもそれ相応の力が必要になるだろう」

「でも、強大な力は争いを生むことになる」

「それなら、リミッターをつければ良いんだよ。試合専用に制限かければ、そこまで脅威じゃないと思われるだろうし」

「なるほど。とはいえ男が乗っててガンダムみたいな強力な兵器は、リミッターをかけても脅威になるだろうけどな」

アムロの言うことは尤もだった。此処にいる者達の世界の技術と、神姫たちの力をあわせたガンダムだ。リミッターをかけてもかなりお釣りが来るほどの力を持っている。

「おおよそのことは解った。だが作るにしてもここだと人目につくがどうする?」

「それなら、火星で作れば良いのよ」

『火星?』

ロイエンタールの問いに答えたのは、ずっと黙っていたハデスだった。

「地球のどこかだとあの兎に感付かれると思うわ。でも月だと空気がないし、コロニーを作ってもいいけどそれだと時間が掛かる。それなら火星で作った方が早いわ」

「さすがハデスさん!」

「ナイスアイデアだぜ!」

「ふ、ふん!別に、あなた達のためじゃないんだからね!」///

褒められたハデスは顔を赤くし、そっぽを向きながらデレる。

一応言うが、彼女は冥府の神である。

「それじゃあ早速行きましょう!」

「そうですわね!」

そう言って神姫達は先ほどのように、大きな魔方陣を展開する。

そして瞬く間に、リビングには誰もいなくなった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

火星

 

 

「ここが火星か・・・」

「直接来るのははじめてだな」

火星に来て一番に口をあけたのは、アムロとシャアだった。

「俺たちも来たことはなかったからな」

「前世で死ぬ前に、リリーナからテラフォーミング計画のことは聞いていたがな」

「俺たちの方も同じだ。戦争が起こる前は父がテラフォーミングのことを話していたよ」

と話し合うアナザー組。

「私たちの力を使えば、火星に行くことくらい朝飯前ですわ!」

「ということはだ。俺たちが居た惑星オーディンや、ヤン・ウェンリー達が居た惑星ハイネセンにも行けるということか?」

「座標さえ解れば、行けなくはないですね」

「なんともまあ、女神らしいことで」

「やれやれ、流石は神様だ。私達人間が何千年も掛けて見つけた星に、容易に行くことが出来るなんてね」

「別に容易というわけではないですよ?距離や座標を常に計算しなければいけませんし、なによりあるかどうかも解りませんから」

アマテラスの言葉にヤン達は理解する。この世界は自分たちのいた世界とは違うパラレルワールド。それならば、ハイネセンやオーディンがないという可能性もある。

「ところで、さっきからキラが何も喋ってないんだけど?」

『え?』

ハデスに言われて、キラの方に全員振り向く。火星に来る前は色々話し合っていたキラが、明後日の方向に身体を向けているだけである。

「どうしたのですかキラ?」

気になったのでミカエルが代表して尋ねる。

「・・・此処って、火星なんですよね?」

「ええ」

「火星って、英語でマーズなんですよね?」

「まあそうだな?」

「キラ?」

アムロはキラの名前を呼ぶが、キラは返事をしない。少し間を置くと、キラは両手を空高く掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガイアアアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『!?』

突如ガイアの名前を言いながら、雄たけびを上げるキラにヤン達は驚く。勿論一番驚いているのは、自分の名前がでたガイアである。

「き、キラ様?突然どうしたのですか?私は此処にいますが?」

そのガイアの質問にも答えず、キラは両手下げて腰につける。

 

 

 

 

「やっぱり爆発もしなければ、ロボットも出てこないか」

 

 

 

 

『だあ!?』

そのキラの一言にヒイロ以外全員ずっこける。

「貴方はこの状況でなにをしているんですか!?」

「え?折角火星に来たんだから、一回やってみようと」

「それどっちかというと地球でやった方が良いんじゃぁ・・・」

「それだともし爆発した時皆巻き込まれて終わりですよ?」

「どの道爆発したら皆死んじゃうでしょ!?」

「まあ爆発しなくてもロボットでれば良いかな?って」

「この小説ガイアーも出なければ、ウラヌスもミロもウラエヌスもタイタンもシンもラーも出ませんわ!?」

「つうかあんた等よくマーズ知ってるな?」

キラのボケに神姫たちが各々突っ込む。因みに神姫たちは、それなりに漫画やアニメを見ていたりする。

「はあ・・・とりあえず、はじめますわ」

と言って神姫たちは輪になり、全員瞳を閉じ意識を集中する。すると真ん中に複数のISのコアが生み出された。

「あれ?2個多いですよ?」

「これはアムロ・レイとシャア・アズナブル、貴方方の分です」

「俺たちにもか?」

「今は持っているだけで構いませんよ?もしもの時のためですから」

「それは助かる」

アムロは感謝すると言って受け取り、シャアはなにやら凄く喜びながら受け取った。大体察しはつくが・・・。

「それでは皆さん、一箇所に集まってください」

ミカエルに言われて、キラたちは一箇所に集まる。そして神姫たちは、今度はキラ達を囲むように輪になる。

「今から皆様の記憶にある機体のデータと技術を読み取り、私たちの力と共にコアにインプットさせますわ」

もう本当に次元が違いすぎることにキラ達は、驚きを通り越して呆れていた。神姫たちの力は何度も見てきたのでもう驚く気力もないのだ。

「それでは、行きますわ!」

ガイアの合図と共に、キラ達は全員目を閉じる。

思い出すのは自分たちが乗っていた機体、ならびに戦艦。どんな力を持っていたのか、どんな技術を使っていたか。

そして5分後、キラ、アスラン、ヒイロ、デュオの前に、『剣』が現れた。

「これは・・・フリーダム?」

「ジャスティス・・・なのか?」

「・・・ゼロ?」

「相棒・・・だよな?」

目を開けたキラ達の前には、嘗て自分達が乗っていた機体とはかなり違っていた。

「それが貴方達の、新たな力よ」

ハデスがそう言うと、4人の前に名前が表示された。

 

『機体名:エルシオンガンダム』

 

『機体名:ペルセウスガンダム』

 

『機体名:サリエルガンダム』

 

『機体名:タナトスガンダム』

 

さらに各々のデータを見てみると、キラ達は驚愕した。

「すごい!フリーダムの10倍以上の能力がある!?」

「機動性は勿論、出力も装甲も段違いだ!?」

「・・・火力、射程距離、推進能力、どれもゼロを凌駕している」

「すっげえ・・・単機で大艦隊を相手取れるほどだぜ!?」

「勿論、奪われても自分の元に戻ってくるようにされていますし。纏わなくてもISの攻撃を防ぐバリアも展開できますわ」

「宇宙空間でも問題なく動かせるし、空気や水の心配もいらないわ」

「それに、ほぼ永久機関のエンジンですから、試合でもSEは減りませんよ」

もはややりすぎなスペックに全員引いた。

「・・・これがもし同盟軍にいたら、アムリッツァで惨敗することはなかっただろに」

「まったくですな。それもこの機体に乗る彼らも加えてね」

「中将の言う通りだ。こんな機体、無能どもが使えば取り返しのつかないことになるだろう」

ロイエンタールの言うとおりである。ハイスペック過ぎるこの4機を、政府や委員会の者達が使えば、確実に地球は崩壊する。それほどにまで恐ろしい機体になったのだ。とはいえ、この機体を扱えるのは多分キラ達だけだろう。他の者達だと動かすことすらできないはずである。

「よし!この機体を早く扱えるようにするためにも、今此処で練習しよう!」

「そうだな。ここなら俺たち以外誰も居ない」

「今回ばかりは団体の奴等に感謝しないとな?」

「・・・奴等の影響でISによる宇宙開発はストップ。火星や月を観測していた衛星もなくなった」

「つまり、今なら思う存分動かせるわけだな」

「見せてもらおうか、神の力が宿ったガンダムの性能とやらを・・・」

そして4人は前に立ち、各々の機体を纏う。

 

「これが、エルシオンガンダム!」

 

「ペルセウス、凄い力を感じるな」

 

「・・・いけるな?サリエル」

 

「宜しくな、相棒!」

 

感想を述べた4人は、一斉に空へ飛ぶ。

 

 

「キラ・ヤマト、行きます!」

 

「アスラン・ザラ、出る!」

 

「・・・ヒイロ・ユイ、行くぞ」

 

「デュオ・マックスウェルだ、行くぜ!」

 

 

 

 

 

 

その日、火星の周りで複数の閃光と、巨大な何かが複数現れては消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 





次回、IS学園に入学します。


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第3話:IS学園入学

機体紹介その1


機体名:エルシオンガンダム
パイロット:キラ・ヤマト
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
胸部機関砲×2
ヴァリアブルライフル
リベリオンビームサーベル×2
ハイパークスフィアスレール砲×2
ドラゴニクスプラズマ収束砲×2
トライデントビームクロー×2
ヒートテール
バスターランチャー
イグナイトドラグーン×4
テュルソスドラグーン×4
プライウェンシールド
光の翼
バリア

ワンオフ・アビリティ:ハイパーミーティア

備考:
キラ専用の女神製ガンダム。見た目は頭部と肩アーマーがフリーダムフレイムフェーダーで、翼はアイオスフェースの翼にバラエーナ取り付けた感じになっている。さらに尾の部分にはヒートロッドの様な尻尾があり、腕には鉤爪に展開するビームクローが展開できるようになっている。脚部はストライクフリーダムに近い。他の女神製ガンダムもそうだが、あらゆる世界の技術と神様の力が宿っているだけあり、たった1機で1個艦隊(銀河規模の)を殲滅できる力を持っている。これまた他の女神製ガンダムにはオルゴンエクストラクターの様な永久機関兼複合機関を搭載しており、バリアフィールドや距離は限られているが空間転移もできる。余りにも強力すぎるためリミッターを掛けてもキラ以外に操れる者がいない(いるとしたら同じ女神製ガンダムを操れる者)。マルチロックオンシステムによって一対多ができ、最大100機以上、ハイパーミーティアを使えば200機以上ロックオンできる。火力も何十倍にもアップされており、バスターランチャーは島一つ吹っ飛ばすことができる。







 

IS学園 校門前

 

 

「着いたね」

「あぁ」

「そうだな」

「・・・」

IS学園の校門前に4人の少年が立っていた。

キラ・ヤマト、アスラン・ザラ、ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェルである。

『大きいですわね』

『まあ今一番金を掛けてるところらしいしね』

『もっと別に金を掛ける場所があるはずですのに・・・』

『仕方ないですよ。ISは現状最強の兵器ですから』

とキラ達のスマホという名のデバイスから、神姫たちの声が聞こえて来た。3年間も学園に居なくてはいけないということで、自分のマスターと離れ離れになるのは嫌だったのだ。勿論人目のつく場所では出ないようにしている。

『キラ様、校門で教師が待っていると聞きましたが、おられますか?』

「えっと・・・あ、こっちに来た」

キラの指を指した方向から、緑色の髪をした眼鏡を掛けた女性?がやって来た。

「お、お待たせしました!」

「ど、どうも・・・」

「貴方が俺たちの教師ですか?」

「はい!皆さんのクラスの副担任をします、山田真耶って言います」

「はじめまして、キラ・ヤマトです」

「アスラン・ザラです」

「・・・ヒイロ・ユイだ」

「デュオ・マックスウェルだ、よろしく」

「はい!よろしくお願いします!」

珍しい男だからなのか、それとも他になにかあるのかは知らないが、真耶は嬉しそうに挨拶する。そんな彼女を見てキラ達は苦笑いしならだが、別のことを考えていた。

《強い・・・》

戦争を経験したキラ達だからこそ解る、彼女はかなり強いと・・・。

「それでは早速、皆さんが通う教室に案内しますね?」

「はい」

真耶が教室に案内するということで、4人は真耶に付いていくのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

1組教室前

 

 

「此処が皆さんの通う教室です」

少し待っててくださいと言い、真耶は教室の中に入る。

「なんかこう、ドキドキしてきた」

「俺も少し・・・」

「まあ女子高だからな」

「・・・」

キラの言葉にアスランとデュオも同意する。

ISという兵器を学ぶ以前に此処は女子高。

男は織斑一夏を含めて5人という極限の状態な場所に、3年間も居なくてはいけないのだ。

『大丈夫ですわキラ様!いざとなれば私がお守りしますわ!』

「でも前回そう言って、地球もろとも破壊しようとしてたよね?」

『うっ・・・』

「あん時はマジでヒヤヒヤしたな」

キラとデュオの言葉に残りの二人も同意する。実は2年位前に、キラが女性権利団体に誘拐されたことがあったのだ。その際にガイアはキラがズタボロにされている光景を見てブチギレてしまい、危うく地球を崩壊されかけたのだ。幸いヒイロが「キラも死ぬぞ?」と言ったため、団体を達磨にする形でことは収まった。

 

ガララ

 

「皆さん、入ってきて下さい」

真耶に言われて教室に入ると、まず4人の目に映ったのは白騎士事件の主犯の一人であり、最強の称号ブリュンヒルデとして持て囃されている女性織斑千冬だった。その千冬を少し見た後、キラ達は教卓の横に立ち自己紹介する。

「初めまして、キラ・ヤマトって言います。好きなものは甘いもので、嫌いなものは女尊男卑の風潮に染まった人達です」

「アスラン・ザラです。キラとは幼馴染です。特技は機械弄りで、嫌いなものは同じく女尊男卑の風潮に染まった人達です」

「・・・ヒイロ・ユイだ。好きなものはカロリー○イト、嫌いなものはキラ達と同じだ」

「デュオ・マックスウェルだ。好きな物はエビフライで、嫌いな者はこれまたキラ達と同じだ。よろしくな」

 

『・・・・・・』

 

4人の自己紹介が終わると、目の前の生徒達はシーンとなった。自己紹介の仕方を間違えたのかと思っていると、

「き・・・」

《き?》

 

 

『キャアアアアアアアーーーーー!!』

 

 

「「「「うわぁ!?」」」」

「・・・」

生徒達の黄色い悲鳴に、織斑一夏含め4人は倒れた。因みにヒイロは、もしもの為に耳栓を持っていたので平気だった。

「男!しかも4人!」

「織斑君に続いて男が4人も!?」

「しかも全員イケメン!?」

「最高にハイってやつだ!」

「今年のコミケは良いものができるわ!!」

『それは私も思います!』

「アマテラス、出てくるな・・・」

イケメンの男が4人も来たということで、女子生徒達はテンションMAXだった。なにやら腐女子もいたが。

「しずかにしろ馬鹿ども!!」

千冬の渇により教室はすぐさま静かになった。

「お前たち4人は織斑の近くだ、早く席に着け!」

(どこの鬼軍曹?)

 

ヒュン

 

「なにか言ったか?」

「いえ別に」

突如後から殺気の様なものを感じ取り、キラは少ししゃがむ形で千冬からの出席簿アタックを回避する。そして4人は席に座ると、千冬が前に出てくる。

「さあ、SHRは終わりだ!諸君等には半月でISの基礎を学んでもらい、実動訓練を行う。解ったか?解ったなら返事をしろ!解らなくても返事をしろ」

『はい』

生徒達はそう返事をし、1時間目の授業が始まった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「よう!ヤマトで良いか?」

「あ、織斑君。キラで良いよ」

「じゃあ俺も一夏でいいぜ」

休み時間早々、件の織斑一夏がキラに近づいてくる。

それに続くようにアスラン達もやってくる。

「確か織斑だったな?」

「数少ない男同士、よろしくな」

「・・・」

「おう!こっちこそ宜しくな、ザラ、マックスウェル、ユイ」

「俺たちも名前で良いさ」

「俺の方こそ、一夏で良いぜ」

一夏とキラ達はお互いに握手をする。

「いや~俺以外の男がいて本当によかった~」

「そりゃあ此処女子高だからね~」

「俺たちだって、一人だったら結構キツかったさ」

「そうだよな~」

キラとアスランの言葉に一夏達は同意する。ヒイロはともかく、デュオも女子高に一人放り込まれればテンパる。

そんなことを思っていると、一人の少女が一夏に近づく。

「少し良いか?」

「ん?箒か!」

「知り合い?」

「あぁ、幼馴染なんだ」

「・・・少しコイツを借りていいか?」

「いいよ」

キラがそう言うと、箒と呼ばれた少女は一夏を連れて教室を出て行く。

「・・・あれが、篠ノ之箒」

「あの天災の妹か・・・」

勿論キラ達は、彼女のことはそれなりに調べたので知っている。

「彼女、色々危険だね」

「あぁ・・・なにかやらかすぞ?」

「だが何もしていない以上、今は様子見だ」

「それしかないな」

それから数分後、千冬が入ってくると同時に一夏と箒も戻ってきた。

そして二人は千冬の出席簿アタックを食らうのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

放課後 屋上

 

 

「あっ!皆さん此処に居たんですね?」

「山田先生?」

放課後、キラ達4人は屋上で話し合っていると、扉の方から真耶がやってきた。

「皆さんが住むことになる、部屋の鍵を渡しに来ました」

「ありがとうございます」

4人はお礼を言うと、真耶から鍵を貰う。

「すみません。急なことでしたので、ヤマト君は3人部屋になってしまいました」

「つまり僕は、女子と一緒ということですか?」

「はい、3年の子と1年の子がいます」

「・・・オーマイガー」

「まあドンマイだな」

ショックを受けるキラに、デュオが慰める。

「それと、マックスウェル君も、女子と相部屋になってます」

「俺も?」

「ザラ君とユイ君は同じ部屋になってます」

「俺とヒイロだけか」

「本当にすみません。少し経てば部屋の準備が整うんですけど・・・」

「山田先生、別に謝らなくても大丈夫ですから」

「そ、そうですか?」

「そうだぜ山ちゃん先生、此処は女子高なんだ。こうなることぐらい解ってたよ」

「や・・・山ちゃん?」

なにやら自分にあだ名が付けられたことに、真耶は困惑していた。

「ちなみに、大浴場はまだ入れません」

「まあさっきも言いましたけど、此処女子高ですからね」

「はい。皆さんの荷物は大丈夫ですか?」

「それなら大丈夫です。必要なものはISの拡張領域に入れて来ましたから」

「ば・・・拡張領域にですか?」

アスランの言葉に真耶は拡張領域(バススロット)にまたも困惑する。キラ達の機体は何処ぞのネコ型ロボットよろしく、拡張領域がかなり大きい。

「それじゃあ、寄り道しないでくださいね」

「「はい」」

「おう」

「・・・」コクリ

そう言って真耶は、また校舎の方に去って行った。

『キラ様が女子と一緒・・・これは見極めなければいけませんわ!』

「なにを?」

真耶が居なくなったことを確認すると、ガイアは突如叫ぶ。キラはガイアから放たれた言葉に疑問符を浮かべる。

「キラもそうだが、デュオも女子と同じ部屋か・・・」

「・・・まあ心当たりはあるけどな」

「そういえば、彼女も此処の生徒だったな」

キラ達は脳裏に、水色の髪をした姉妹の姉を思い浮かべ、ため息を吐く。

「・・・僕達も行こっか」

「・・・そうだな」

そして4人もまた、寮に向かって歩くのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

IS学園 寮

 

 

「んじゃあ俺は此処なんでな」

「うん、それじゃあ」

「なんかあれば連絡してくれ」

「おう」

「・・・迷惑かけるなよ?」

「かけねえよ!」

そう言ってデュオはキラ達と別れ、自分が住む部屋の前に立つ。

「あ~なんか嫌な予感がするんだが」

『まあ十中八九彼女よね?』

「だよな~」

デュオはため息を吐きながら扉を開ける。

 

ガチャ

 

「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも~わ・た・し♥」

「ぶほぉ!」///

扉を開けて目にしたのは、裸エプロンでテンプレ発言をした、今回4人が住む部屋に関しての張本人『更識刀奈』だった。

「お前開口一番になんちゅうことしとんのじゃ!?」///

「ふふーん♪こんなことをするのは君たちだけだよデュオ君♪」

刀奈が扇子を開けると、『ドッキリ大成功』という文字が書いてあった。

デュオ達が神姫達と出会った日から数ヶ月後、休日に4人で出かけていたところ、彼女とその妹である簪が誘拐されるところを見つけ、二人を助け出したことが切欠でちょくちょく会うことがあった。因みに姉妹共々神姫達のことは知っている。

「それでデュオ君、どっちにする?」

「まだ続いてんのかよ・・・・・・とりあえず飯で」

「了解♪」

「つうかお前生徒会長なんだろ?んなことして大丈夫か?簪がまた怒るぞ?」

「大丈夫よ。簪ちゃんには伝えてあるし、なにより下にはスク水を着用してあるわ」

と言って刀奈は後を向く。彼女を良く見ると、確かに紺のスク水が着用しているのが見えた。因みに彼女、最初こそ妹の簪とは距離を取っていたがデュオ達のおかげでまた仲良くなっている。

「なんつうマニアックな・・・」

「デュオ君こういうの好きかなって」

「なんでだよ!?そりゃまあ嫌いじゃないが!?」///

「それならよかった♪」

嬉しそうな刀奈を見て、デュオはこんなのが会長で大丈夫なのか不安になってきた。とはいえ、デュオも彼女の能力や家柄に関してはとっくに知っているので信頼はしているが。

「勿論ハデスさんの分もあるわよ」

「・・・んじゃあ飯食う前に一つ確認するが、監視カメラは?」

「もうダミーを送ってるわ。盗聴器の類もないわよ」

『準備万端』の文字が書かれた扇子を開く刀奈。それを確認したデュオは、スマホをタッチする。するとデュオの前にボンと小さな爆発が起き、ハデスが二人の前に現れた。

「ふう、ようやく外にでれたわね」

「久しぶりですねハデスさん」

「ええ、久しぶりね刀奈」

「はい、とは言っても今は楯無ですけどね」

「っつうことは、もう当主を継いだのか?」

「そうよ。でも、プライベートの時は刀奈って呼んで欲しいわね」

刀奈の家は対暗部用暗部であり、楯無という名前はその家に代々襲名された当主のことである。

「・・・貴方が此処にいるのは、デュオの護衛かしら?それとも監視?」

「半分護衛みたいなものですけど、監視はないですよ」

「じゃあもう半分はなんだよ?」

「それは勿論、デュオ君と一緒にいたいからよ♪」

「おまえ生徒会長だろ?んなことして大丈夫か?」

「大丈夫よ、問題ないわ!」

「大有りだ!!」

どこかで聞いたことがある台詞にデュオは突っ込む。

「はぁ・・・俺のことは解った。だがもう一つ疑問に思うことがあるんだが?」

「?なにかしら?」

「キラはどういうことなんだよ?しかも3人部屋ってよ」

「あ~それは、私の先輩がキラ君に興味をもったのよ」

「「は?」」

刀奈の口から出たワードに二人はまた疑問符を浮かべる。

「ほら、少し前にキラ君があの馬鹿達に誘拐されたことあったでしょ?」

「・・・あぁ、胸糞悪いがな」

「そのときのことを先輩が聞いたら、『その子の護衛をさせてくれないか?』って言ったのよ」

「・・・その先輩ってどんな奴なんだ?」

デュオがどんな人間なのか尋ねると、刀奈は真剣になる。

「イギリス代表で、腕は私以上の実力よ。私の機体にランスがあるんだけど、その先輩から教わったのよ」

「刀奈の戦闘記録は見せてもらったが、あのカウンターの入った槍術はかなりのもんだぜ?あれを教わったってことは、どんだけすげえ女だよ?」

「なんでも、幼い頃からジョストって呼ばれる競技に勤しんでたらしいわよ」

「ジョスト・・・聞いたことあるわ。確かヨーロッパで広まっている、騎士同士で一騎打ちをする競技よね?」

ハデスの言葉に刀奈は縦に頷く。

「因みに、もう一人の女の子はイギリス代表候補生よ」

「・・・二人の名前は?」

デュオが名前を尋ねる。刀奈は少し間を置くと、二人に聞こえるように口を開く。

「スィーリア・クマーニ・エイントリーとセシリア・オルコットよ」

「・・・なんだって?」

刀奈の言葉にデュオは驚く。

「エイントリー公爵家の娘とオルコット財閥の娘かよ・・・」

「そうよ。まああなた達からすればどうってことないでしょうけどね」

「・・・さあな。なんせあのキラだかんな」

「そうね。下手したらある意味大変なことが起きるわよ」

「・・・でしょうね」

「「「はぁ・・・」」」

そう言って3人はため息を吐いた。

 

 

 

 

 

そして数分後、彼らの言ったことは本当に起こるのだった・・・。

 

 

 

 

 

 




次回は、キラの部屋でのお話です。


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第4話:蒼き騎士と蒼き雫



こんにちは。


タグとか設定とか色々変えました。


一夏は比較的こっち側ですが、それでも色々拒絶したりします。


それでは本編どうぞ。


 

 

「えっと、ここだよね?」

『そうですわ』

キラは今、自分が住む部屋の前に立っていた。

「・・・大丈夫かな?」

実は4人の中でキラは、よく女性権利団体に虐められたり誘拐されたりすることが多々ある。アスラン達の前では笑顔で居られるのだが、一人でいると恐ろしく不安になるのだ。それなりに訓練してきたとはいえ、精神的なダメージは大きく残っているのである。今回もまた、女尊男卑派の人間なのかもしれないという恐怖があるのだ。

『大丈夫ですわキラ様。私が付いておりますわ』

「ガイアさん・・・うん」

キラは覚悟を決めると、部屋の扉をノックした。

『・・・はい?』

「今日から此処に住むことになったキラ・ヤマトです」

『!?・・・少しお待ちください』

キラは言われたとおり、少し待つことにした。

そして扉が開き、中から金髪の少女が出てきた。

「・・・お入りくださいまし」

「ありがとう・・・あれ?」

「?どうかいたしましたの?」

キラは少女の顔を見ると、どこかで見たようなと考える。数秒すると彼女が何者なのかを思い出した。

「・・・君、もうしかしてイギリス代表候補の、セシリア・オルコットさん?」

「あら?私のことご存知ですの?」

自分の名前を知っていたことに少女、セシリア・オルコットは少し嬉しくなった。

「此処に来る前にIS関係のことを色々調べたから、その時にね」

「そうですの」

とりあえずキラは、セシリアに言われた通り入ることにした。とはいえ、目の前に綺麗な少女がいると、キラだって緊張する。しかも、目の前の少女の他にもう一人いるとなるとキラは内心震えていた。

「?どうかなさいましたの?」

「え?ああごめん。はじめてのことばっかりだから、緊張しちゃって」///

「・・・はあ。スィーリアお姉様から男が来ると聞いておりましたが、このような方が来るとは・・・」

とセシリアはため息を吐く。

すると、

「どうやら、君がキラ・ヤマトだな?」

「え?」

後から声が聞こえて来た。

キラが振り向くと、そこにはセシリアのような金髪の女性が立っていた。というよりもセシリアの姉妹かなにかにも思えた。

「私はスィーリア・クマーニ・エイントリー、イギリス代表だ」

「・・・キラ・ヤマトです」

「君の事は更識から聞いている。なにかあれば相談に乗ろう」

「ど、どうも」///

「ん?どうした?」

「あぁいや、その・・・凄く綺麗だったので・・・」///

スィーリアを見たキラは、余りの美しさに顔を赤くしてしまう。実際彼女はガイアとは別のベクトルで美しい。キラにとっても初めて会う女性なのだ。

「ありがとう。ところで、君の荷物が見当たらないのだが?」

「あ、えっと!荷物は全部、拡張領域に入れて来ました」

「拡張領域にですの?」

セシリアもまた真耶と同じ様に驚く。

そんなセシリアをよそにキラは拡張領域から先ず取り出したのは、PCとディスプレイ、マウスにキーボードだった。

「・・・なぜディスプレイが3つも?」

「それにキーボードも2つありますわね?」

「必要だからですよ」

一体なにが必要なのだろうかと思う2人。ふとセシリアはPC本体に目を向けた。

「あら?このPC見たことありませんわね?」

「これ、僕が作ったんだ」

「君の自作?」

「はい、市販のだと容量が足りませんから」

「・・・どの位あるのですか?」

「100Pだよ」

「有りすぎですわ!!??」

テラを超えてペタもあることにセシリアは驚愕する。

「・・・私はあまりパソコンに関しては素人だが、それはやりすぎだということはわかった」

スィーリアもまたキラのPCの容量を聞いて呆れていた。そんな二人をお構い無しに、キラはPCをセッティングする。

「よし、付いた」

「手馴れたものだな?」

「昔からアスラン達と一緒にいろんなことをしてましたから」

「ザラさん達とですの?」

「うん」

実際キラ達転生者は、幼稚園の頃からPC関係のことはやっていた。小学生の時に再会と出会いを果し、4人で力を合わせればスーパーコンピュータを作ることくらい簡単なのだ。

セッティングし終えたキラは、とある装置を取り出しPCに取り付ける。取り付けた装置の上に、待機状態の自分のISを置く。

「・・・なにをするのですか?」

「自分のISの調整だよ」

「君も専用機を持っているのかい?」

「はい」

「・・・まあ貴方も男でありながらISを操縦したのですから、そのデータ取りのためでしょうね?」

「セシリア、それは言い過ぎだ」

「あ、申し訳ありませんわ」

「大丈夫だよ、実際そんな感じだから」

謝罪するセシリアにキラはそう応える。

「・・・そういえば、オルコットさんとエイントリーさんは仲が良いですね?」

「私とスィーリアお姉さまは、古くからの親戚ですわ。スィーリアお姉さまは、私にとって本当の姉の様な存在ですわ」

「私にとっても、セシリアは本当の妹みたいな存在だ」

「お姉さま・・・」///

スィーリアから妹みたいと言われて嬉しかったのか、セシリアは顔を赤くしてしまう。

「・・・お姉さんか・・・」

「ヤマト?」

そんな光景を見たキラは、今デバイスの中にいるガイアと前世にいた姉カガリのことを思い出した。

「・・・なんだか、オルコットさんが羨ましいな」

「あら?羨ましいのですか?」

「・・・うん。僕にはもう、本当の家族は居ないから」

「・・・え?」

「どういうことだ?」

キラの言葉にセシリアとスィーリアは尋ねる。

「・・・此処に監視カメラは?」

「更識に頼んで取ってもらった。盗聴器の類もない」

「そうですか・・・」

キラは少し顔を俯かせると、少しして口を開く。

「僕やアスラン達の本当の家族は、ある事件に巻き込まれて死んでしまったんです」

「事件?」

「・・・白騎士事件です」

「「!?」」

そのキラの口から出たワードに、二人はありえないというような表情になった。

「どういうことですの!?白騎士事件での死傷者は0だと・・・」

「・・・まさか、政府の者たちか?」

スィーリアの推測にキラはなにも言わず縦に頷く。

「そんな・・・」

そんなキラの表情を見たセシリアは、キラの言ったことが本当だと理解した。昔からあらゆる人間を見てきたため、その人が本当のことを言っているのかが解るのだ。だからこそありえないと思ったと同時に、ある種の共感ができた。彼女もまた、事故で両親を亡くしてしまい、頼れる存在がスィーリアとドイツにいる疾風の異名を持つ元帥、そして世界有数の巨大企業のお坊ちゃまくらいなのだ。とはいえ、後者二人はたまにしか会えないので、実質スィーリアしかいなかったのだ。

「でも、それだけじゃないんです」

「それだけではない?」

「なんでかわからないんですけど、僕はなんども女性権利団体に襲われているんです」

「「!?」」

キラの口からでた、女性権利団体のワードに二人は苦虫を噛み潰したような顔になる。二人も女性権利団体のことは聞いているし、彼女達を敵だと認識している。

「・・・今は、僕の保護者の様な人達やアスラン達のおかげでなんとかなってます。・・・だけど、いつも思うんです。どうして、こんな目に遭うんだろうって」

「ヤマトさん・・・」

『・・・・・・』

「僕は、皆と平和に暮らしたいだけなのに、ISなんて乗りたくないのに、どうしてこんなことになるんですか?」

「ヤマト・・・」

二人に問いかけるキラの瞳に、沢山の涙が溢れでてきた。

正直なところ、ガンダムを託されたとはいえ、キラはもう戦いたくなかったのだ。

だが、白騎士事件が起きてから、キラには色んなことに巻き込まれてしまうようになってしまったのだ。

先ほども言ったが、キラは小学生の頃から、女尊男卑の者達によく虐められてたのだ。そのたびにアスラン達が助けてくれたのだが、中には誘拐されて拷問に近いことまでされたこともある。その所為もあってか、キラの心にはさらに大きなダメージが蓄積されたのだ。ガイアやヤン、アスラン達のおかげでなんとか自分をたもっていられるのだが、それでも苦しいのだ。

「僕は・・・」

「・・・やはり、君にして正解だったな」

「・・・え?」

スィーリアの言葉にキラは理解できなかった。

「私の家では『騎士たるもの強くあれ』という家訓があってな。君の様な者を守るために、私は騎士として色んな技術を学んだ」

「・・・・・・」

「そして、更識から君の話を聞いて、私は君を守りたいと思ったんだ」

「・・・僕を?」

未だ涙を流しているキラの手を、スィーリアが優しく握る。

「守らせてくれないか、君を?」

微笑むスィーリアを、キラはただただ見つめる。

「・・・僕といたら、貴方まで巻き込まれるかもしれませんよ?」

「なに、最初からそのつもりだ」

「・・・もしかしたら、人を殺してしまうかもしれませんよ?」

「ISという力を手にしたんだ、それくらい覚悟は出来ている」

「・・・本当に、僕を守ってくれますか?」

「あぁ」

その瞬間、キラは声を殺しながら泣き始めた。

その姿を、二人はただ見つめていた。

 

セシリアはキラを見極めるという形でスィーリアと一緒になったのだ。今まで見てきた男たちの影響で、男に少し不快感があるからである。だからこそあの時、キラを守りたいと言ったスィーリアには本当に驚いたのだ。

だが目の前の少年をみれば、反論することは出来ない。白騎士事件の時に両親がなくなっただけでなく、女性権利団体にも襲われている。それだけでもキラは自分以上に辛い思いをしてきたんだと理解できるのだ。

 

(ヤマトさん、あなたは一体・・・)

「・・・すみません、みっともないところを見せて」

「いや、君が泣き虫だということは更識から聞いてるよ」

「うぅ・・・」///

顔を赤くしているキラを、少しからかってみるスィーリア。

「・・・それで、オルコットさんはどうしてエイントリーさんと?」

「それは、貴方を見極める為ですわ」

「見極める?」

「セシリアは少し男に対して嫌悪感があるんだ。君が信用できる存在なのか」

「・・・・・・そうですか」

少し考えると、キラはセシリアの方に真剣な顔を向ける。

「・・・オルコットさん」

「なんでしょうか?」

「僕自身、泣き虫だって自覚はあるし弱い存在だって理解している」

「・・・・・・」

「だけど、僕頑張るから。君に信用されるように、頑張るから」

そのキラの瞳は、先ほどまでとは違い真剣で、どこかまっすぐだった。

「・・・ヤマトさんは、専用機はおありですの?」

「え?うんあるよ」

「そうですか・・・でしたら」

「?」

「1週間後、その力を私に見せて貰いますわ。私と貴方と、1対1で」

「・・・わかった」

「っ!?」

「僕も全力でいくよ」

力を見せると言われて、キラは戦う時と同じ目をする。

(な・・・なんですのこの方の目は!?まるで・・・今この瞬間からでも、私を殺せるという程の目ですわ!?)

セシリアはキラのその目を見た瞬間、寒気と恐怖に震えるが、そこはプライドと精神でなんとか抑える。

キラは確かに戦いを嫌っている。だが、ガイア達からガンダムを託された以上、負けるわけにはいかない。そう思うと、キラもヤンと同じ『矛盾』な存在なのである。

「・・・話は決まったな。改めて、私はスィーリア・クマーニ・エイントリーだ。宜しく頼む」

「セシリア・オルコットですわ」

「キラ・ヤマトです。宜しくお願いします」

 

 

 

 

そう言ってキラ達は、改めてお互いを自己紹介した後握手をするのだった。

 

 

 

 

 

 





もうキラ主人公というよりヒロインですよね?

なんかもうグダグダですみません。


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第5話:敵意


機体紹介2


機体名:ペルセウスガンダム
パイロット:アスラン・ザラ
武装:
ミトゥムビームバルカン×4
胸部機関砲×2
ヴァリアブルライフル
リベリオンビームサーベル×4
グリフィネス脚部ビームブレイド×2
アクィラビームブーメラン×2
プライウェンシールド
プルマ
ルーメンビーム砲×2
フェザードラグーン×4
インベルマシンキャノン×4
グリフィネスビームブレイド
光の翼
バリア

ワンオフ・アビリティ:ハイパーミーティア

備考:
アスラン専用の女神製ガンダム。見た目はインフィニットジャスティスに近いが、脚部と腕はエクストリームガンダムゼノンフェースに似ている。背部にあるリフター兼大型遠隔操作兵器『プルマ』には、ファトゥムに似た兵装にドラグーンとV2の光の翼の様な兵装がある。リベリオンビームサーベルは連結することが出来、2刀流の『ツインハルバート』に出来る。アスラン専用のため、近~中、格闘特化になっているが、ヴァリアブルライフルに専用パーツとケーブルを取り付ければ、強力なバスターモードになる。尚リベリオンとグリフィネスは、応用を利かせれば光波を放つことも出来る。




 

1年1組

 

 

「おっすおはようキラ」

「おはようデュオ。アスランもヒイロもおはよう」

「今日はちゃんと起きれたようだな?」

「うん、ガイアさんに起こしてもらった」

「・・・そうか」

朝の教室で、キラ達はかなり早めにやって来た。

「ってキラ、お前の後にいるのは?」

「はじめまして、セシリア・オルコットですわ」

「おっす、デュオ・マックスウェルだ」

「アスラン・ザラだ」

「・・・ヒイロ・ユイだ」

「宜しくお願いしますわ」

セシリアはデュオ達と自己紹介し終えると、あることを小声で言い始める。

「ヤマトさんから皆さんのことをお聞きまいたしました。あの事件で皆さん・・・」

「・・・あぁ、本当だ」

「・・・皆さんは白騎士の正体をご存知ですの?」

「すこし調べれば簡単だ。あんなことができるものはそんなにいない」

「・・・そうですの」

ヒイロ達の言葉にセシリアは信じ難かった。セシリアもスィーリアもかなり頭は良い。だからこそ信じれらなかったのだ。

 

自分の担任が、白騎士事件の犯人の一人だということに。

 

「とはいえ、その織斑教師が知らない可能性もあるからな。なんも言えないしな」

「知ってたとしても、彼女を憎んだところで、家族が戻ってくるわけじゃないしな」

二人の言葉を聞いたセシリアは、彼らが『強い』ということがわかった。本来なら憎んでいても可笑しくないのに、キラも含めて彼らは全く、織斑千冬を恨みもしなければ憎んでもいない。それだけでも彼らは強いとわかったのだ。

「・・・皆さんは、お強いですわね」

「そんなことはない。俺たちはただ、他の奴より理不尽を見てきただけだ」

「それでも、私が知っている方々に比べれば皆さんお強いですわ。・・・ヤマトさんは少しあれですけど」

「まあキラは優しすぎるからな」

「それに甘ったれで泣き虫だもんな」

「うぅ・・・言い返す言葉もありません」

「・・・だがキラは俺たちにない強さを持っている」

「ヒイロ・・・」

色々言われて落ち込むキラに、ヒイロがフォローする。それにはセシリアも苦笑いするのだった。

「・・・昨日キラから聞いたが、1週間後にお前たちで模擬戦をするらしいな?」

「ええ。この目でヤマトさんを見極めるためにも、ヤマトさんと戦いますわ」

「・・・・・・なら一つ言っておく。大切なものを託され、大切なものを守ろうとするキラは強いぞ。油断すれば一瞬で終わる」

「・・・肝に銘じておきますわ」

ヒイロからの忠告にセシリアは記憶にとどめておく。真剣なヒイロの顔をみればそれが本当だと解ったからだ。

「おっと、そろそろ時間だな?」

「まあ続きは後でだな」

そう言って5人は各々の席に座り、教師達がくるのを待っていた。

その際一夏がまた遅れてきて、千冬に出席簿を食らわされたのだった。

 

「それでは1時間目の授業を・・・その前にクラス代表を決めないといけないな」

千冬は何かを思い出すように言う。

「クラス代表はそのままの意味だ。クラス対抗戦だけでなく、生徒会が行う会議や委員会への出席。まあクラス長だな」

「もうそれ学級委員長ですよね?」

「・・・まあそうだな」

キラが言うと、千冬は少し嫌そうな顔になる。それはある意味キラを敵視しているようにも見える。

「誰か居ないのか?自薦他薦は問わないぞ」

「はい!織斑君が良いと思います!」

「えっ、おれ!?」

「私はヤマト君に推薦します!」

「僕!?」

「ザラ君が良いです!」

「俺もか・・・」

「マックスェル君に1票!」

「マジかよ!?」

「ユイ君に推薦します!」

「・・・・・・」

生徒達はそれぞれ、男子生徒を推薦する。これに対して、一夏以外の4人はまずいと思った。ただでさえ狙われているというのに、さらに狙われる羽目になるのはごめんである。

「お待ち下さいまし!」

そんなことを4人が思っていると、セシリアが大声を上げ立ち上がった。

「みなさん、まさか男だからという理由で推薦しておられるのですか?」

『うっ・・・』

「そのような理由で選ぶのでしたら、いますぐ撤回してくださいまし!!」

「それは無理だ」

『!?』

撤回を要求するセシリアを千冬が否定する。

「推薦された以上、撤回することはできない」

「どうしてだよ千冬姉!?」

スパン!

「織斑先生だ」

「はい」

抗議しようとしていた一夏は、千冬の出席簿アタックを食らってしまう。

「とはいえお前たちも不満があるだろう。1週間後、放課後に試合をしてもらう」

「よっしゃ!望むところだ!」

一夏は意気揚々と喋るが、キラ達は逆に不安になっていた。これは明らかに狙っている、そう感じたのだ。

「話は以上だ、それでは授業を開始する」

結局キラ達は何も言えず授業が開始された。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

「見て、スィーリア様よ!」

「何時見ても凛々しいわ!」

「カッコいい!!」

IS学園のとある道を、スィーリアは歩いていた。というのも、朝方キラがサンドウィッチを作ってくれたので、どこかで食べようと思っていたのだ。

「ふむ・・・どこで食べようか・・・?」

食事をしようと辺りを見回すと、スィーリアはある場所に視線が止まる。

 

カタカタカタカタ・・・・・・

 

そこには、メモを片手にノートパソコンをタイピングしているキラが映っていた。

「・・・・・・」

その姿をスィーリアは声をかけることなく、ただただ見つめていた。

「スィーリアお姉さま?」

「む?セシリアか」

キラを見つめていると、後からセシリアが現れた。

「どういたしましたの?」

「いや、彼を見ていたんだ」

そう言ってスィーリアは、またキラの方に顔を向ける。同じ様にセシリアもキラの方に顔を向けると、彼女と同じようにキラを見つめる。

昨日の泣き虫な彼とは全く違かったからなのか、はたまた真剣にノートパソコンをタイピングしているキラに見惚れたからなのか、二人はキラに声をかけることが出来なかった。

すると、

「お二人さん、なにを見てるんだ?」

とまたもや後から声が聞こえて来た。今度は男の声で。

また後を振り向くと3人の男が弁当を持って立っていた。

「君達は、更識の言っていた?」

「デュオ・マックスウェルだ、よろしく」

「アスラン・ザラです」

「・・・ヒイロ・ユイだ」

「初めまして、スィーリア・クマーニ・エイントリーだ」

とデュオ達はお互いに自己紹介をする。

「やっぱりあのエイントリー公爵家の令嬢だったか」

「私の家を知っているのか?」

「・・・それなりにはな」

「そうか」

「ところで、一体なにを見ていたんですか?」

「それは・・・」

そこまで言って、スィーリアとセシリアはキラの方に顔を向ける。

「なんと言いますか、絵になりますわ」

「まあ俗に言うイケメンだからな」

「・・・それを君が言うかね?」

周りから見てもイケメンなデュオは皮肉めいたことを言う。

「おーいキラ!こっちで飯食おうぜ!」

「デュオ、皆も。解った」

デュオに呼ばれたキラは、こちらに気付くとパソコンを閉じてこちらに向かってくる。

「ヤマト、なにをしていたんだ?」

「機体の調整です」

「自分の機体をですか?」

「そうだよ」

そう言ってキラ達は近くにあったテラスに座り、自分達の昼食を開ける。因みに言うが、キラ達は自分で作ったほうが安いということで、4人とも自作の弁当である。セシリアとスィーリアは折角だからということで、キラから貰ったのだ。

「それと、紅茶とコーヒーも持って来たよ」

「二つも?」

「どっちもキラの自作だ。味は勿論保障するぜ」

キラは鞄から2種類の水筒を取り出した。

「二人は、どちらが良いですか?」

「それでは、紅茶を」

「私も同じく」

「解りました」

キラは人数分のコップを取り出し、セシリアとスィーリアのコップに紅茶を注ぐ。

「どうぞ、桃のティーですけど」

「いただきますわ」

「こちらもいただこう」

そう言って二人は、キラが入れた紅茶を一口飲む。

「deliciousですわ!」

「本当だ、Greatな味わいだ」

余りの美味しさに二人共は母国語で発音するほど驚いた。

「キラの義父が紅茶好きで、よくキラが淹れてたんですよ」

「こいつ自身はコーヒー派なんだが、ちょくちょく紅茶の方も嗜んでるんだぜ」

「すごいですわねヤマトさん」

「君はなんでもできるんだな?」

「なんでもは出来ませんよ。出来ることだけです」

(羽○翼かよ!?)

照れるキラをデュオは内心突っ込む。

「ところで、セシリアから先ほど聞いたのだが、1週間後にクラス代表を決める試合をするらしいな?」

「はい」

「ザラさん達は、専用機は?」

「勿論持ってるぜ」

「・・・織斑千冬は、それも含めて俺たちと戦わせる気だ」

「あの目、明らかに俺たちに敵意を示してる」

「そんな・・・」

いくらなんでも酷すぎる、セシリアとスィーリアはそう感じた。特にセシリアは、千冬に憧れていたのだから尚更である。キラ達は何もしていないのに、何故敵意を向けているのかが解らないのだ。

「エイントリーさん、織斑先生は前からあんな感じなんですか?」

「いや。確かに厳しかったが、生徒に敵意を向けるような人ではなかった」

キラの問いにスィーリアは、顎に手を当てながら答える。彼女も1年の頃は千冬のクラスだったために、今回の千冬にはかなり疑問があるのだ。

「・・・とにかく、織斑千冬は警戒するべきだ」

そのヒイロの一言に全員頷く。

「・・・仕方ない。オルコットさん、今回はマント羽織って良いかな?」

「マント・・・ですの?」

「俺たちが作った、IS用のマントだ。俺たちの機体はかなり特殊でな?今は余り見せたくないんだ」

「そういうことなら、解りましたわ」

アスランの説明に、セシリアは納得する。

知っての通り、キラ達の機体は余りにもチートすぎる。いくらリミッターを掛けているとはいえ、今は余り人目に付きたくないのだ。

「悪いなオルコット。余り人目に付かないところなら、お前にも見せられるんだけどな」

「いえ。見せてもらえるだけでも充分ですわ。それほどまで強力なISということですのね?」

「・・・そうだ。下手をすれば1機で国一つを滅ぼせるほどの力を持ってる」

「「国一つを!?」」

ヒイロの口から出た言葉に、二人はまた驚愕する。いくらISが現状最強の兵器とはいえ、国一つを滅ぼすほどの力を持っているとなれば、見せたくないのも納得がいく。それどころか政府の者達が、我先にと奪いに来る可能性が高い。

「ま、リミッターを掛けているし、俺たち自身その気はないから安心しな」

「そもそも僕達は戦争自体嫌だからね」

「は、はぁ・・・」

もはやスケールがでかすぎて、セシリアはグロッキーになってしまう。

「というよりも良いのか?私達にそのようなことを話して?」

「二人なら大丈夫だと思ったから言いました」

「そうか・・・」

「・・・ありがとうございますわ」

自分達を信頼してくれたことに、セシリアとスィーリアは感謝した。

「おっと、そんなことよりも早く飯を食おうぜ」

「そうだな」

 

 

 

その後は雑談をしながら、昼休みが終わるまで昼食を堪能するキラ達だった。

 

 

 

 




参戦する作品追加しました。


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第6話:クラス代表戦

皆さんこんにちは。

スパクロのイベントで、クロスアンジュがでて結構興奮しました。

特にロム兄さんが出たときは本気で笑いました。

それでは、本編をどうぞ。


第1アリーナ ピット

 

 

「大丈夫なのかキラ?」

「うん」

あっという間に1週間後、キラ達はピットで準備をしていた。まず最初に戦うのはキラとセシリアのため、キラはカタパルトに近づく。

「ヤマト君、オルコットさんが出ました。ヤマト君も発進お願いします」

「解りました」

真耶に言われてキラは、首に掛けている蒼い羽のペンダントを取り出す。

「・・・行くよ、エルシオン」

キラはそう呟くと、全身をマントで包まれた。

「・・・袖付きのマント?」

「というよりも、ローブみたいですね?」

「今はあんまり見られたくないんだ」

「へぇそうなのか」

「それじゃあ僕は、織斑先生が来る前に行くね」

そう言ってキラはエルシオンを動かし、脚部をカタパルトに接続させる。

《キラ様、大丈夫ですわ》

(ありがとう、ガイアさん)

キラは彼女達から教わった『念話』と呼ばれる者で、お互いと話すことができる。今回もそれを使って、ISを纏いながら彼女と会話をしているのだ。

『進路クリア、発進どうぞ!』

司令室から発進の合図が出ると、キラは前世のように叫ぶ。

 

 

「キラ・ヤマト ガンダム、行きます!」

 

 

その掛け声と共にキラはカタパルトから出ると、バレルロールを見せながら飛び立つ。

「あんな綺麗なバレルロール、初めて見ました!!」

「まあこのくらいは俺たちでも出来るぜ真耶ちゃん」

「山田先生だ」

ヒュン

「おっと」

デュオは後から殺気を感じ、キラと同じ様にしゃがむ形で攻撃を避ける。

そして後を振り向くと、そこには千冬が立っていた。

「千冬姉!?」

スパアン!

「織斑先生だ」

「す、すみません」

「まったく、教師には敬意を示せ」

「そこまで硬くなることはねえだろ?」

痛みに悶える一夏を横目に、デュオ達は呆れていた。

「・・・お前たちには色々と疑問がある。お前たちのこと、そしてお前たちの持っているISもだ」

千冬はまたも、デュオ達を敵視していた。

《デュオ、この女・・・》

(解ってるぜハデス。目の前の女は俺たちに敵意を向けてるな・・・)

千冬がデュオ達を敵視していることは、ハデス達神姫にも伝わっているのだ。

「・・・お前たちは何者だ?」

「・・・それを聞いて、どうするつもりだ?」

「それはお前たち次第だ。場合によってはお前たちを拘束する」

「先輩!?」

「千冬姉!?」

スパン!

「織斑先生だ」

またも一夏は千冬から、出席簿アタックを食らわせられる。

「俺たちはただの一般市民です。戸籍や学歴を見れば解るはずですが?」

「ただの一般市民なら、先ほどの攻撃をかわせないはずだが?」

《鋭いですね・・・》

「・・・武に心得があるだけだ」

痛い所を突いてくる。6人はそう思いながらも彼女を警戒する。彼女の言うとおり、常人では先ほどの攻撃はかわせないし防げない。

「それに、貴様等のISもだ。政府達は貴様等に、専用機を渡した覚えはないと聞いたぞ?」

《耳が早いこと・・・》

流石ブリュンヒルデだと6人は思った。

「そればっかりは言えねえな。俺たちだって託された責任があるからな」

「ふざけるな!試合終了後、お前達の機体を調べさせてもらうz――」

 

ドクン

 

「「「!?」」」

千冬はデュオ達の機体を調べると言おうとしたが、最後まで言うことが出来なかった。それどころか、近くにいた一夏と真耶も怯んだ。

その理由は、目の前にいる3人から発せられる殺気だった(正確には6人だが)。

今にも殺されそうな程、底知れない闇。それは、平和な世界にいた者では絶対に出来ない、まさに闇のような殺気だった。

「・・・言ったはずです。このISは俺たちに託された、大切な『剣』です」

「もし奪うと言うのなら、それ相応の覚悟をしておけ」

その瞬間千冬は生まれて初めて自分よりも、『上の存在』を感覚で感じた。

スポーツとして、世界最強の称号を手にした自分よりも、圧倒的に力の差が有りすぎる。目の前の少年達は、自分の弟と同じ歳でありながら、一体どれだけの修羅場を潜って来たのだろうか?そう思ってしまう程に千冬は戦慄する。

「とはいえ、このまま教師達に睨まれるのは勘弁して欲しいからな。真耶ちゃんくらいは見せてやっても良いぜ」

「わ、私ですか!?」

突然話を振られたことに真耶は焦る。

「何故山田先生だ!?私がいるだろ!」

「なら質問で返すが、俺たちの機体を預かってどうするつもりだ?」

「そんなもの決まっている。機体を調査して、危険なら政府に明け渡すつもりだ」

「だからですよ。貴方よりも山田先生なら信用できるからです」

今の話し合いでデュオ達は確信した。織斑千冬は完全にこちらを「敵」と見ているのだと。逆に真耶ならば信用しても大丈夫だとわかった。というのも、この1週間真耶とよく話したり、資料や書類を一緒に運んだりして彼女がどんな存在なのかを理解できた。彼女は俗に言うドジっ子なのだが、生徒のことをちゃんと思っている教師の鑑なのだ。

「それと俺達の機体だが、ちょっと特殊でな?自身が認めた者以外が奪ったり悪用しようとすると、それに反応して操縦者である俺達の下に戻ってくるようにされてるんだぜ?」

「なに?」

「・・・簡単に言えば、山田真耶以外の者には見ることが出来ないということだ」

「政府に明け渡そうとしても、無駄ですよ?」

「・・・チッ」

《生徒の前で舌打ちしましたよ?》

《本当に教師なのでしょうか?》

デュオ達の説明に千冬は舌打ちをする。そして一夏は、初めて此処まで敵意を持つ姉を見たのだった。

「それよりも、今はキラとオルコットの試合を見ようぜ?」

そう言ってデュオ達は、ピットから外を眺める。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「来ましたわね、ヤマトさん」

「待たせてごめん」

「いえ」

セシリアは自分のIS『ブルーティアーズ』を纏いながら、空中で停止していた。キラはセシリアと同じ様に、自分の機体を空中で停止し同じ目線で話す。

「あれがヤマト君のIS?」

「マントで見えな~い!」

「ふん!男のISなんて雑魚同然よ」

観客席では色々と言われているが、キラは無視してセシリアを見る

「・・・戦う前に、一つお伺いいたしますわ」

「何かな?」

「ヤマトさんは、ワルツは踊れますの?」

「ははっ、戦いを踊りに見立てるとはね」

「ご不快になられたのでしたら、謝罪いたしますわ」

「いや・・・そうだね・・・・・・」

 

 

 

 

「君みたいな綺麗な女の子を、満足させる程度にはできるよ」

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

「!?」

キラが戦闘態勢に入った瞬間、セシリアに異常な寒気が襲う。しかしセシリアも自分に渇を入れる形で耐える。

《キラ様の殺気を耐えるとは、強い方ですわね》

(うん、出来ればこんな人殺しの世界に居させたくはないな・・・)

二人は自分達が放った殺気に耐えるセシリアに感心した。

 

『それでは、試合開始!』

 

試合開始の合図と同時に、先に動いたのはセシリアだった。

「行きますわ!」

そう言ってセシリアは、スターライトMK-Ⅲを構えキラに放つ。高速で迫るレーザーは、まっすぐにキラを捕らえていた。なにも知らない者達から見れば、普通に直撃を食らうと思うだろう。

 

キラが普通に当てはまるのならばだが。

 

「・・・」

キラは右手で左脇のビームサーベルを引き抜き、迫るレーザーを切り裂いた。

『え!?』

これにはセシリアだけでなく、観客席にいた者や司令室にいた者も驚愕する。

目の前の少年は何をした?

レーザーを切り裂いた?

まだ触れたばかりの素人が?

ありえないと揃って言うだろう。

(なんて方ですの!?高速で迫るレーザーを切り裂くだなんて!それもさぞ当然と言う様に・・・)

レーザーを放ったセシリアもまた、焦りと理解でいっぱいいっぱいだった。

「っ、まだですわ!」

セシリアは気を取り直すと、またスターライトを構えキラに連射する。

しかし全て避けられるか、先ほどみたいにビームサーベルで切り裂かれる形で失敗する。

《良い腕ですわね》

(うん、でも教科書どおりだね。フェイントも予測射撃もないよ)

キラとガイアは、彼女の攻撃を避けながら分析していく。

「さてと、次はこっちの番だよ」

キラはサーベルを戻すと、今度はヴァリアブル・ライフルを取り出した。そしてセシリアに向けて、少し溜めてから放つ。

 

ドシュン!

 

「なっ!?」

迫り来る桃色の閃光は、咄嗟に身体をずらしたティアーズの右腕を掠める。

(そんな!掠めただけですのに、SEを多く持っていくなんて・・・)

掠めた瞬間SEが多くもっていかれたことに、セシリアは戦慄する。

 

ドゴン!

 

「キャア!?」

セシリアが戦慄していると、今度は黄色い閃光がセシリアに直撃する。今度は先ほどよりもSEを消費する。なにが起こったのか、セシリアはキラの方を見る。

「余所見は厳禁だよ、オルコットさん?」

そこには、マントの両脇から2門の砲身が現れていたのだ。

「まさか、それはレールガンですの!?」

「まあね、これ位なら見せても良いかなって」

セシリアは二門のレール砲を見て驚く。ISがあるとはいえ、レールガンの様な兵器はまだ小型には出来ていないのだ。

 

 

ここでリミッターを掛けているキラ達の機体を説明しておこう。

 

先ず一つ目に、キラ達の機体は背部の武装が一時的にオミットされているのだ。4人が使う女神製ガンダムは、翼型の背部武装があるため、オミットしなければマントをしていても見えてしまう。そのため使える武装は本体に付いてる固定武装と、ビームライフルと言った基本武装しかないのである。

二つ目に、武装の出力が大幅に下がっているのだ。女神製のガンダムのビーム兵器は、素でSEと絶対防御を貫通して相手を殺せるほどの出力がある。先ほどのヴァリアブルライフルも、本来の10分の1程の出力に調整したのだが、少しだけチャージして放ったビームは、掠めただけでティアーズのSEを大幅に削ったのだ。まだ調整をしなければいけないと、この時キラが思うほどである。

三つ目に、ワンオフ並びに特殊兵装もオミットしたのだ。ワンオフは勿論、ステルスシステムやマルチロックシステム、ビットの様な強力な武装も大勢の前では見せられないのだ。翼をオミットしたのも、特殊兵装が翼に多いからである。

最後は、機体自体である。武装もそうだが、それを扱う機体自体が化け物であるため、機体の全性能を試合用に調整したのだ。

 

このようにキラ達が扱う女神製のISは、女神が作ったということもあり現存のISよりも、遥かに強力な機体になっているので、機体全体にリミッターを掛けないと簡単に人を殺してしまう恐れがあるのだ。

 

 

「オルコットさん、その機体まだ色々あるよね?」

「っ!良いでしょう、ブルーティアーズの奏でるワルツをとくとお見せいたしますわ!」

するとブルーティアーズから4機の羽の様な物が、キラに向かって放たれる。

「ビット兵器・・・」

ビット兵器だと解った瞬間、キラは前世でのことを思い出してしまう。

 

あの時守れなかった、彼女のことも・・・。

 

《キラ様、まさか・・・》

(大丈夫、僕は大丈夫だから)

キラはガイアにそう言いながらも、迫ってくるビットを見つめる。

「これで終わりですわ!」

キラを囲んだビットは、その言葉と共に一声にレーザーを放つ。

「・・・」

しかしキラは瞬時加速を使い、上昇して避ける。さらに千冬ですらも、数回しか使ったことのない瞬間加速で方向転換をして、両脇からビームサーベルを引き抜き一気にセシリアに迫る。

「まだですわ!ブルー・ティアーズは、6機ありますの!」

セシリアはミサイル型のブルー・ティアーズを、キラに向かって放つ。

「甘い!」

「なっ!?」

キラはそのブルー・ティアーズを通り抜け座間に切り捨てる。

「くっ!」

セシリアはインターセプターをコールし、キラを迎え撃とうとする。今までスィーリアと共に訓練をしていたため、本来なら出来なかった近接戦闘もできるようになったのだ。

しかしキラは、その攻撃すらも宙返りする形で避け、

 

「はあ!」

 

2刀のビームサーベルで、ティアーズのSEを全部持っていくのだった。

「キャアアアアーーーー!!??」

 

 

『勝者 キラ・ヤマト選手!』

 

 

 

 

 

 

キラの初めてのISでの戦いは、圧倒的な勝利で幕を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 





次回は番外編でも書こうと思います。


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第7話:白き騎士と黒き死神

機体説明



機体名:タナトスガンダム
パイロット:デュオ・マックスェル
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
ビームマシンキャノン×2
ビームショットライフル×2
対艦ビームサイズ デスイーター
対艦ビームランス デススピア
十字架型バスターキャノン カタストロフィ
スフィアビット×8
ステルスシステム ステルスヘルム
光の翼
バリア


ワンオフ・アビリティ:インビジブルキル


備考:
デュオ専用の女神製ガンダム。見た目はEW版のデスサイズヘルの翼が一回り大きくなり、腕や足、ボディの一部が特殊なクリアパーツで形成されている。デスサイズよりも優れた機動性と装甲、ビットやビームショットライフル等あらゆる距離にも対応できる。ハデスの持っている冠を元に、ハイパージャマーとミラージュコロイド、そしてハデスの力が融合したステルスシステム、『ステルスヘルム』はあらゆるセンサーやレーダー、視界に気配ですらも無効にするほどの力を持っている。対艦型ビームサイズ『デスイーター』は、先端部分を変えることで対艦型ビームランス『デススピア』になる。背中には十字架の様な形をしているバスターキャノンがあり、ビットと連携することによってさらに強力な砲撃が可能になる。





 

俺という存在は、一言で表せば『死神』だ。

 

 

2回も生まれてすぐに孤児になって、2回も目の前で殺された。

 

 

俺の周りでは沢山人が死んで、俺自身も数え切れねえ程人を殺した。

 

 

だから俺は、自分自身を死神だと称した。

 

 

しかも俺の機体も、前世と変わらず相棒だった。

 

 

まっ、色々変わっていたけどな。

 

 

冥府の神であるあいつを呼び出したのは、そのことが関係しているのかもな。

 

 

そう言ったら、あいつは違うと言った。

 

 

「良いデュオ!?私が召喚されたのは、あなた自身を守るために来たのよ!死神って呼ばれていたからとか、そんなふざけた理由じゃないわ!そんなこと二度と言わないで!!」

 

 

泣いてるあいつを見て、俺は少しだけ救われた気がした。

 

 

そりゃそうだ。

 

 

『俺自身』の為に泣いてくれたからな。

 

 

だからこそ、この機体を託してくれたあいつのためにも、今日の試合は勝たなくちゃいけねえ。

 

 

わりいな一夏、ちぃっとばかし全力で行くぜ!

 

 

 

 

・・・・・・・そういえば、あの後あいつ顔を赤くしてて可愛かったな。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

デュオが反対側のピットで準備していると、キラがセシリアをお姫様抱っこした状態でやってきた。

「よう二人共、お疲れさん」

「デュオ」

「マ、マックスウェルさん!?」///

「デュオで良いぜ。にしても面白いことしてるな?」

「SE0になって落っこちちゃってね、結果こうなっちゃった」

ニヤニヤしてるデュオに、キラはそう答える。

「それとキラ、終わったんだったら真耶ちゃんにIS渡しに行けよ?」

「どうして?」

デュオはキラに、先ほどのことを説明した。それを聞いてセシリアは、さらに千冬に失望したのである。

「んじゃあ次は俺なんでな」

「頑張ってねデュオ」

「おうよ。っつうことだ、頼むぜ相棒!」

デュオがそう言うと、キラの時と同じ様に全身がマントに覆われる。そして対艦ビームサイズタナトスを両手に持つ。その姿を見たセシリアは、思ったことを呟く。

「・・・死神?」

「まあデュオの機体を見れば誰だってそう言うよね」

「俺自身は気に入ってるけどな」

数年間ずっと自分といてくれたハデスから託された機体、それだけでデュオはやる気が出てくるのである。カタパルトに脚部を接続し、デュオはキラと同じ様に喋る。

「こちらデュオだ、タナトス出るぜ!」

その掛け声と同時に、カタパルトから射出される。

「デュオさん・・・」

「大丈夫だよ、デュオは強いから」

発進したデュオの後姿を見て、少し心配するセシリアをキラは大丈夫だと言う。

「っと、いい加減降ろさないと。ごめんねオルコットさん」

「・・・セシリアですわ」

「え?」

「セシリアとお呼びくださいまし、『キラ』さん」

「うん、セシリア」

「っ・・・はい」///

名前を言われたセシリアは、顔をトマトのように赤くするのだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「よっと、一夏はまだみてぇだな?」

先にアリーナにでたデュオは、準備運動などをして待っていた。

「あれがデュオ君のIS?」

「なんか死神みたい」

「もうしかして厨二病?」

と観客席ではデュオのISに対して各々の感想を述べていた。

すると、前の方から白いISが飛んでくるのがわかった。

「わりいデュオ、遅れてごめん」

「気にすんな。それよりもそいつがお前の機体か?」

「あぁ、名前は『白式』って言うんだ」

「なるほどな・・・」

デュオは一夏のISを見て納得する。名前からして確かに白騎士のコアだと理解したのである。

「なあ一夏、その機体まだ初期状態なのか?」

「あぁ。千冬姉が「時間が無いから、フォーマットとフィッティングは今やれ」って」

「はぁ・・・」

デュオは余りのことでため息を吐いた。いくらなんでも馬鹿にも程がある。これが本当の実戦だったら、確実に殺されても可笑しくはないのだから。

「まったく・・・一夏、待ってやるから一次移行しろよな」

「すまねえデュオ」

デュオは後を向き、一夏はブレードを出して色んな動作をする。その間デュオはハデスと念話で話し合う。

《あの教師は馬鹿なのかしら?なにも知らない馬鹿にいきなり実戦をやらせるなんて・・・》

(まあそれを言えばキラもそうだったらしいしな)

《でも本当にどうするの?》

(そこは俺たちがなんとかするしかないだろ)

兵器を持つことの意味、それがどういうことかを一夏に教えなくてはいけない。それも踏まえて、デュオは一夏と戦うのだ。

そうこうしていると、どうやら一夏が一次移行を済ませたらしい。

「漸く出来たか?」

「あぁ」

終わったのを確認し、デュオは再度一夏に向き直る。

そこには、先ほどとは違った白い機体が立っていた。

「そんじゃあま、はじめるとするか」

「おう!」

 

『試合開始!』

 

開始の合図と共に、一夏はデュオに突っ込んできた。

「うおおおおおおーーー!」

一夏はブレードのレンジに入ると、上から振り落とす。

しかしその大振りな攻撃を、戦争という過酷な世界で生きてきたデュオが当たる道理はなかった。

「よっと」

「なっ!?」

「そんな大振りな攻撃じゃ、俺にはあたらねえぞ?」

「なにを!」

一夏は連続で攻撃するが、まったく持ってデュオには当たらない。

「さてと、そんじゃあ俺からも行くか!」

そう言うとデュオは一夏の攻撃を横に避ける。そこから一回転して、ビームサイズを振るう。

「おらぁ!」

「うわ!?」

調整されているとはいえ、デュオのビームサイズは白式のSEを持っていく。

「ちょっ、デュオ!?お前初心者なんだよな!?」

「悪いな、俺も生き残るために色々やって来たんだ。こん位で音を上げるのは早いぜ!」

デュオはビームバルカンとビームマシンキャノンを至近距離で放つ。モロに食らった一夏は、一度体制を立て直しデュオに迫る。すると、白式のブレードが光りだした。

「そいつは・・・」

「零落白夜、千冬姉が使っていた技だ!俺はもう、守られるだけの男じゃない!」

「なるほどな・・・・・・だが」

 

スカッ

 

「なっ!?」

「それだけで変わるわけじゃねえ!」

そう言ってデュオは零落白夜を紙一重でかわすと、

「オラ!」

柄でみぞおちを突き、

「てやぁ!」

今度は柄を頭に振り落とし、

「これで止めだ!」

最後にビームの鎌でSEを刈り取った。

 

 

『勝者!デュオ・マックスウェル選手!』

 

 

本日2度目の試合は、デュオの圧勝という形で終了した。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「お疲れデュオ」

「お疲れ様ですわ、デュオさん」

「おう」

デュオがピットに戻ると、キラとセシリアが待っていた。

「ヒイロはどうしたんだ?あいつもやるんだろ?」

「ヒイロならアスランと一緒に、山田先生にISを渡して部屋に戻ったよ」

「どちらも山田先生に『クラス代表は辞退します』とおっしゃっておりましたわ」

「逃げたなあいつ等・・・」

大体察しが付いたデュオは、二人に対して怒りがこみ上げてきた。因みにキラもその時にISを渡している。

そんなことをしていると、廊下の方から真耶がやって来た。

「お疲れ様ですマックスウェル君」

「ありがとな真耶ちゃん」

「いえ」///

お礼を言われた真耶は照れてしまう。

「・・・それで、マックスウェル君」

「解ってるぜ、ISだろ?」

頼むぜと言ってデュオは、待機状態のタナトスガンダムを渡した。

(たのむぜ?)

《解ったわ》

「ついでにコイツも」

「これって、マックスウェル君のスマホですか?見たこともない機種ですけど?」

「俺達の自作だ。そいつにもISのデータがあるからな、調べるんだったらそれと繋げてやってくれ」

「何から何までありがとうございます。でも、私が調べて本当に良いんですか?」

「俺たちは真耶ちゃんなら信用できると思ってるんだ」

「でも、もし先輩が・・・」

「・・・あの教師は昔からああだったのか?」

「いえ。先輩は確かに厳しい人ですけど、生徒のことは大切にしている優しい方です」

だからこそ、彼女を尊敬していた真耶も、今回の彼女を見てかなり動揺しているのだ。

「・・・まあ真耶ちゃんが気に病むことはねえぜ」

「そ、そうですか?」

「そうですよ山田先生」

「そうですわ山田先生」

「みなさん・・・」

「それにさっきも言ったが、そいつは悪用されそうになると俺達の所に戻ってくる。万が一あいつが奪いに来ても、すぐ俺たちのところに戻ってくるさ」

ニヒッと笑うデュオを見て、真耶も自信が付いた。

「解りました。確かに受け取りました」

真耶はデバイスも受け取ると、すぐさまピットを出た。

「うし、んじゃあ俺も部屋に戻るか」

「じゃあ僕達も戻ろっか?」

「そうですわね」

そう言って3人も、各々の部屋に戻るのだった。

 

 

因みに一夏は、負けたということで千冬と箒に説教されているのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

その日の夜 とある研究室

 

 

「こ・・・これは・・・」

4人の約束通り、真耶は一人で4人のISを調べていた。一応最高機密のデータは無理でも、一通りのスペックは見ることができた。

全身装甲(フルスキン)にビーム兵器、実弾兵器と一定の出力のビーム兵器を無効化するVG(ヴァリアブル・ガンダニウム)装甲。さらに完全な永久機関に宇宙での機動が可能だなんて」

そう言いながら真耶は、さらにカーソルを動かす。

「そんな・・・これじゃあ、現存するISどころか・・・」

 

『そう、国一つ壊すこと位造作もないわ』

 

「え!?」

突如作業していたディスプレイから、黄緑色の髪をした女性が現れた。

「あ、貴方は一体?」

『私はハデス、デュオの持ってるデバイスのAIみたいなものよ』

「え・・・AIですか!?」

真耶はAIと呼ばれた女性を見て、驚愕と興奮の表情になる。

「すごいです!このISだけでも凄いのに、女性型のAIを見るなんて初めてです!」

と真耶は興味心身でハデスをまじまじと見る。

『そ、そんなに見ないでよ、恥ずかしいじゃない』///

「すごい。私が見えているのも解るんですね?」

『そりゃあそうよ』///

ハデスは恥ずかしながら言う。

「それで、この機体はやはり・・・」

『えぇ。この機体達は1機1機が、国どころか大陸一つを破壊することができるわ』

「た、大陸をですか?」

『そうよ。まああの子達は皆優しいから、そんなことをする気はゼロよ』

その言葉を聞いて、真耶はホッと胸を撫で下ろした。

「でもヤマト君達の行為は正解でしたね。こんな危険な機体、おいそれと見せるわけには行きませんから」

『・・・貴方は本当に優秀ね』

「いえ」

『・・・ねえ貴方、専用機欲しくないかしら?』

「・・・えぇ!?」

突然専用機が欲しいかと言われて、真耶は驚いた。

『ここの教師である以上、弱いって訳にはいかないでしょ?腕は確かだし、勿体無いわよ』

「で、でも良いんですか?」

『あの子達が信頼しているし、私も信用するわ。貴方なら絶対に間違いを起こさないって』

 

 

目の前の高性能なAIからも信用されて嬉しかった真耶は、少し考えてから首を縦に振ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『というわけで、彼女の専用機を作ることにしたから、今度の土日月に行くわ』

『どういうこと!?』

 

 

後日ハデスから聞かされて突っ込む7人だった。

 

 

 

 

 

 




みなさんお待たせしました。
最近書く気になれなくて遅れてしまいました。

というよりもスランプになっています。

次回はキラの部屋での話です。


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第8話:月面訪問

みなさんお久しぶりです。

かなり短いですが、なんとか書けました。


因みに大阪の方で、ポケモンの映画を見てきました。


無印の頃からアニポケを見て来たので、なにから何まで懐かしくて泣いてしまいました。

あれは本当に見る価値はあります。

それと神姫でやっとガイアさんが降臨なされました!!

それは置いといて、本編はじまります。



土曜日の朝6時 IS学園校門前

 

「はぁ・・・ヤンさんにまた迷惑掛けちゃうな・・・」

『悪いわねキラ。あなた達まで巻き込んじゃって』

「良いですよ。なんか神様達から頼ってもらうって、そうそうないですから」

「そうだな」

キラ達4人とデバイスに入った神姫たち4人は、とある人達を待っていた。

「にしても本当に作るのか?真耶ちゃんが大丈夫なのは解ってるが・・・」

「織斑先生がなにをしてくるのかだな?」

「・・・・・・」

「まあそこは僕達の機体と同じ様にすれば良いけど」

「あのドジッ子属性だからな、なにが起こるか・・・」

2週間も彼女を見てきたが、あれは典型的なドジッ子だった。よく書類を落としたり、段差に引っ掛かったり、他にも漫画か!と言うほどにドジをかましていたのだ。

『それこそ私達が、山田先生に合うようにすれば良いのですわ』

『問題はそれだけではありません』

ミカエルの言葉に4人はヒイロのデバイスに顔を向ける。

『オルコットさんにエイントリーさんもです』

「セシリアとエイントリーさんには、僕とガイアから説明するよ」

『良いんですか?』

「本当は知らない方が良いんだろうけど、この先のことを考えるとね」

「それが妥当だな」

そんなことを話していると、校舎の方から3人の人影がこちらに向かってきた。

件の人物である真耶と、今回キラ達のことを知るために来たセシリアとスィーリアである。

「お待たせしました」

「おはようございます山田先生」

「おはようございます。今日は私のために協力してくれて、本当にありがとうございます」

「良いですよ。僕達も、山田先生にはお世話になってますし」

「そうだな」

勿論これは本当である。真耶の教え方は丁寧で解りやすい。そのおかげでキラ達もそれなりに授業には付いてこれるのだ。

少し真耶と話すと、キラ達は次にセシリアとスィーリアに顔を向けた。

「そんで、あんたらも良いのか?」

「・・・こちらの世界に来ると言うことは、多くの命を奪うということだ」

「それに狙われる可能性も高くなるぞ?」

「元々ISと言う力を持ったんだ。覚悟は出来てるつもりだ」

「そうですわ。キラさんのことを聞いた以上、後戻りなど致しませんわ」

「エイントリーさん、セシリア・・・」

二人の決意を聞いて、キラ達は彼女達が強いと理解した。

 

 

これから彼女達が見るのは、自分達の知らない世界だ。

この世界の裏で、なにが起こっているのかを見るのである。

それでも彼女達ならば、現実を見ても大丈夫だろうと彼らは思った。

 

 

「そんじゃあ今から目的の場所に行くが、その前に忠告するぜ?」

「忠告?」

「・・・今から行くところは完全なトップシークレットだ。今回のことは絶対に他言無用だ」

「・・・わかった」

「それ程に危険なのですね?」

「うん」

「わ、私本当に大丈夫ですかね?」

決意した二人と違って、ハデスに「専用機作るから来て」と言われた真耶は、今から行く場所に恐怖した。

「大丈夫ですよ山田先生。確かに危険な場所ですけど、俺達の指示に従えば安全です」

「まあ一歩間違えれば、本気で命の危機はあるけどな」

「ううぅ・・・」

デュオの最後の言葉に、真耶はさらに震えだす。

「ところで、私達の機体も改造すると言うのは本当ですの?」

「うん」

そう、今回二人が来たのも、それだった。

キラ達と同じ場所に立つのなら、それと同じ、そうでなくてもそれに近いスペックの機体にしなくてはいけない。勿論彼女達の努力しだいだが。

「この先のことも考えれば、改造・・・と言うよりは、俺たちのと同じ機体にした方がいいな」

「それはどういうことだ?」

「まあそれはあっちに着いてからだ」

「うん、それじゃあ行こっか」

キラの言葉に全員同意し、セシリアとスィーリア、真耶はキラ達に付いていく形でIS学園を後にするのだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

とある遺跡

 

 

「此処が目的の場所ですか?」

「まあ目的の場所に行くための入り口ですね」

「・・・入り口?」

電車に揺られて30分、さらにバスに揺られて10分、キラ達はとある遺跡に着いた。

「・・・ついて来い」

ヒイロに言われて、女性陣はまた男性陣に付いて行く。少し歩くと、大広間みたいな場所に着いた。

「そんじゃぁ御三方、その中心に立ってくれ」

「中心に?」

「はい。その後、僕達が良いというまで目を閉じてください」

「わかりましたわ」

セシリア達は大広間の真ん中に立ち、言われた通りに瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いですよ」

 

キラの合図にセシリア達はゆっくりと目を開ける。

 

 

 

「「「・・・え?」」」

 

 

最初に目に映った光景を見た3人は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。

なぜならそこは、先ほどと違って倉庫の様な場所だった。

「あれ?私達さっきまで遺跡でしたよね?」

「はい・・・」

「此処は一体?」

辺りを見回す3人。

「えっと・・・マックスウェル君、此処は何処ですか?」

「此処は月だぜ」

 

 

「「「・・・え?」」」

 

 

3人はまたしても、鳩が豆鉄砲を食った様な顔になる。

「ま・・・またまた冗談を」

「証拠ならあります」

そう言ってアスランは、壁に付いてるボタンの一つを押す。

『無重力モードに入ります』

そんなアナウンスがなると、突如浮遊感が彼女達を襲う。

「な、なんですかこれは!?」

「私達浮いていますわ!?」

「まさか、本当に無重力なのか!?」

「そうですよ」

驚いている3人を見てなにが可笑しかったのか、キラ達は笑っていた。

 

 

数分後

 

 

「どうでしたか?」

「はい、まだ少し信じられませんが・・・」

「そうですわね。無重力になれるなんて宇宙でしかできませんわ」

「セシリアの言う通りだ」

まだ納得できない3人は、アスランの問いにそう答えた。

「・・・そろそろ来るな」

ヒイロのその呟きと共に、近くにあったドアが開いた。そこから軍服らしき服を着た男たちがやって来て、ヒイロ達の前で綺麗に隊列を組んだ。

「貴方方がキラ君たちが言っていた方々ですね?」

そう言いながら一人の青年が、真耶達の前にやって来た。

「あ、貴方は?」

「はじめまして、私はヤン・ウェンリー。キラ君の保護者で、階級は元帥です。ミス山田、ミスオルコット、ミスエイントリー」

『我々女神艦隊は、貴方方を歓迎します』

 

「「「・・・・・・」」」

 

盛大な歓迎に女性3人は唖然としており、何も言うことが出来なかった。それはそうだ。来ることはないと思っていた月に来たと思いきや、目の前に軍服を来た男たちが来て、盛大な歓迎をさせられれば言葉が出るわけがない。

 

「それじゃあキラ君、彼女を呼んであげなさい」

「解りました」

そんな彼女達をお構いもせず、キラ達4人はポケットからデバイスを取り出した。

「は!?私たちは一体?・・・ってキラさん?」

「君達、一体何を?」

なんとかフリーズから戻ってきたセシリアとスィーリアは、何かをしようとするキラ達に尋ねた。

「はっ!?私は一体?」

 

ピっ

 

カァ!

 

「「キャア!?」」

「今度は一体!?」

突如キラ達の前に光が現れ、3人は目を瞑ってしまう。少しして光が収まり、セシリア達は目を開けた。

そして彼女達の目に映ったのは、

 

 

「はじめましてみなさん」

 

 

神秘的なオーラを纏った、4人の女性であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これだけ待たせたのに短くてすみません。


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第9話:天使のガンダム



機体名:サリエルガンダム
パイロット:ヒイロ・ユイ
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
マシンキャン×2
ヴァリアブルバスターライフル×2
リベリオンビームサーベル×2
ヴァリアブルバスターランチャー×2
フェザードラグーン×8
メッサーツバーグ×9
ヒートクロー×2
バードシールド
ビームキャノン
光の翼
バリア



ワンオフ・アビリティ:ゼロドライブ



備考:
ヒイロ専用の女神製ガンダム。見た目はウイングゼロ(EW)の翼が6枚になり、腕にはクロー、背部にヴァリアブルバスターランチャーが付いた。女神製ガンダムの中で一番火力が高く、それに見合うほどの装甲と機動力を有している。ワンオフ・アビリティであるゼロドライブは、ヒイロの世界にあった『ゼロシステム』のような未来予測システムであり、発動すれば頭部と胸部の装甲が一部スライドし、性能が最大まで出せるようになる。ヴァリアブルバスターライフルは連結することにより、『ツインヴァリアブルバスターモード』になる。さらにメッサーツバーグを3つ接続すれば『ドライツバーグバスター』、さらに3つ付ければ『ドライツバーグバスタードッペルト』になる。内側のウイングにはフェザードラグーンが内蔵されており、広げることでドラグーンを展開し、光の翼も出せるようになる。そしてゼロドライブモードになった状態で、ヴァリアブルバスターランチャーとドライツバーグバスタードッペルトの同時展開で出来る、『ゼロドライブバスター』は、最大出力でトゥールハンマー並の威力をたたき起こす。
余りにも威力があり過ぎるため、いつもはリミッターを掛けている。





 

 

「――ということですわ」

「「「…………」」」

前回の話の最後から数分後、ガイアたちはセシリア達に自分達のことを解りやすく説明した。もともと彼女達に自分達神姫のことを説明するつもりだったので、後はどういう経緯でキラ達と知り合ったのかも教えた。

「……それでは皆さんは、本当に神様に大天使様なんですか?」

「そうよ真耶。まあそんな簡単に信じてもらおうとは思わないわ」

「……もう訳が解らなくなりましたわ」

「私もだ……」

グロッキーになっている彼女達の言葉も一理ある。いつの間にか月に来たと思いきや、宇宙艦隊の元帥に会って、挙句の果てには神様に出会うという、たった1日で余りにも濃すぎる出来事が起きたのだから。

「あっ!そういえば僕達のIS見せてませんでしたよね?」

「そういえば、そうだったな」

キラ達は思い出したかのように言い合うが、3人はもうそれどころではなくグロッキーになっていた。

「あの…少し休ませてくれませんでしょうか?これ以上はフリーズしてしまいます」

「まあそうだよな?色んなことが一気にありすぎたし」

「すまない」

「いえ。それじゃあキラ君、彼女達を休憩所まで案内してくれ」

「了解しました。ガイアさん、一度ISを渡しておきますから、リミッターを解除しておいてくれませんか?」

「わかりましたわキラ様」

キラ達はISをガイア達に渡すと、真耶達に「こっちです」と言って彼女達を案内するためにその場から去った。

その途中で、地球が見える場所まで行って、さらに3人が驚愕する。

「ほ、本当に此処は月なのだな?」

「まああれだけじゃ信用できませんよね…」

「いえ、無重力を体験できただけでも凄いですわ」

スィーリアとセシリアは少し余裕が戻ってきたのか、そう感想を述べた。

「……あれ?よくよく思えば、月の重力は地球の6分の1ですよね?どうやって無重力に?」

「あれは他の神様と一緒に作った『無重力装置』で、一定の距離にある空間を無重力にすることができるんですよ」

「な……なるほど」

少しずつではあるが、なんとか耐性を持つようになってきたセシリア達。

少し歩くと、休憩室と書いてある部屋に着いた。中に入ると、どうやら先客が居たようである。

「ん?キラ達か」

「アムロさん、こんにちは」

「アムロ中佐、お疲れ様です」

「あぁ」

そこに居たのは、ここ最近たまに神姫達の入浴を見ようとして、とある神姫に殴られ『親父にもぶたれたことないのに!』と叫ぶのがお決まりになってきた、この小説で最強の人物の一人であるアムロであった。因みに彼が着ているのは、白を基調とした蒼いラインを帯びた、女神艦隊の制服だった。

アムロはキラ達に挨拶をすると、後にいる女性達に視線を向ける。

「キラ、彼女達が?」

「はい」

「そうか。俺は『女神艦隊第1IS部隊所属アムロ・レイ』だ」

「え!?ヤマト君、もしかしてこの人も?」

「はい、ISを使えますよ」

「というよりも、この艦隊のISは男でも乗れるように作られています」

キラとアスランの言葉を聞いた真耶達は先ほど以上に驚いた。それはそうだ。キラ達以外の男たちも、皆ISを纏うことが出来ると聞けば驚くなと言う方が無理である。

神様が居るよりも、ISに乗れる男がいるという方が、ISを身近に感じている彼女達には驚きなのだ。

「それでキラ、山田真耶という女性は誰なんだ?」

「えっと、私ですけど…」

突然自分の名前を呼ばれた真耶は、少し震えながら答える。

「はじめまして、貴方のことはハデスから聞いてます。貴方の担当は俺がすることなってますので、宜しくお願いします」

「そうなんですか!?」

「はい」

キラ達の教師ということもあってか、珍しく敬語で真耶と話すアムロ。

「ちなみにアムロさん、僕達よりも強いですよ」

「なに!?」

「ほ、本当なのですか?」

「おう、歳だけじゃなくて戦闘技術も上だ」

「歳は余計だデュオ」

キラとデュオの言葉に、女性陣は唖然とした。特にキラとデュオの戦いを間近でみたセシリアと真耶は、二人よりも強いと聞いてスィーリア以上に驚いていた。

「おっと、それじゃあ俺は先に戻ってるぞ?」

「解りました」

頼むぞと言ってアムロは休憩室から去り、キラ達は女性陣を座らせる。そして各々自販機の前に立つと、キラとヒイロは缶コーヒー、アスランとデュオはスポーツドリンクを買う。

「なにか飲みますか?」

「では、スポーツドリンクを」

「私は紅茶を」

「私もだ」

「解りました」

キラは自販機にあるボタンを押し、出てきた飲み物を3人に手渡す。

「はい、真耶さんはアク○リアスで、オルコットさんとエイントリーさんは午後○ィーです」

「「「どうして月にあるんですか?!(ですの?!)(だ?!)」」」

月という場所にどうしてあるのか?

思わず3人は突っ込みを入れて、少しして各々手に取った飲み物を口に含む。

「んく……喉を通る際の感覚にも違和感がありますわね」

「重力の影響だね、すぐに慣れるよ」

飲み物を飲んだお陰か、セシリア達は段々と落ち着いて来た。すると、扉の方からミカエルが入って来た。しかも先ほどとは違い、アムロと同じ様なデザインでスカートタイプの制服を着ている。

「ミカエルさん?」

「…解除が完了したのか?」

「ハイ……とはいえ、まだマスターのだけですが」

ミカエルはヒイロに待機状態のサリエルを渡す。

因みにサリエルの待機状態は、白い天使の羽のペンダントである。

「まあ俺たちの機体は、何重にもリミッターを掛けているからな」

「えぇ、特にキラさんのは私達ですら手を焼く程のですから、一番最後になりますの」

「神でも手を焼く程のプロテクトとは……」

一体どれほど強力な機体なのだろうか?

3人はそう思わずには居られなかった。

「折角だヒイロ、3人に見せてみろよ」

「それ良いかも♪僕らのとは違ってヒイロの機体はカッコいいし♪」

「お前が言うな……まあ見せるだけならここでも出来るし、良いんじゃないか?」

「…そうだな」

3人からの提案に乗り、ヒイロはミカエルから渡された待機状態のサリエルを胸に当てる。そして瞳を閉じて、起動するための合言葉を口にする。

 

 

「行くぞ、ゼロ」

 

 

その言葉を放った瞬間、ヒイロの身体が光に包まれた。

 

光が収まると、彼女達の目の前にはISを纏ったヒイロが立っていた。

 

「これは…白い天使?」

「綺麗な翼ですわ!それに全身を覆う装甲……まさか『全身装甲』ですの!?」

「こんなIS、見たことありません!?」

ヒイロのISを初めて見た女性陣は、驚愕と感動が入り混じっていた。

全身を覆う装甲。

白い大きな翼。

ツインアイにブイアンテナ。

どれをとっても今まで見たことがない、最新鋭の機体なのだ。

「…機体名は『サリエルガンダム』だ」

「サリエル?たしか神の命令と言う名の大天使ですわね?」

「はい、ですが『ガンダム』とは?」

ガンダムという単語に女性陣は疑問符を浮かべた。

「ガンダムは、僕達の機体の総称であり『平和への希望』なんですよ」

「『平和への希望』……」

「まあ大抵はツインアイでブイアンテナの顔が特徴なんだがな」

「それは言うなデュオ」

 

とキラ達は軽い感じで説明したが、その中にある『平和への希望』は決して軽くないと3人は思った。

彼女達は人口何億人の中から選ばれた、ISの国家代表、代表候補だ。文字通り血の滲むほど努力してきたし、自ら進んで軍事関係の事柄まで調べ学んだ。セシリアもまた、スィーリアと出会ったことによりISを『女性達の希望』ではなく、『現状最強の兵器』とちゃんと認識している。だからこそ、目の前に立っているISがどれ程強力で、それ程の思いを込められているんだと理解できたのだ。

 

「ガンダム……それが君達の『剣』なのだな?」

「!?」

「……そうです」

 

そのことを含めてスィーリアは、ガンダムを『剣』と称し、アスランとキラは少し懐かしさを感じた。

 

「確かに、このような機体をおいそれと出すわけには行きませんわね」

「あぁ。下手をすれば、世界中から狙われるな」

「昨日も見ましたが、これは良くも悪くも異常な機体です」

 

3人は改めてキラ達の機体が、表で見られたくないのかを納得したのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「それじゃあ、今から今後のことを3人に説明します」

「「「はい」」」

ヒイロのガンダムを見たり触ったり(主に羽を)した後、キラ達は彼女達に今後のことを説明する。

「まず、山田先生は新しく作る専用機、二人は改造する機体を扱うための訓練をしてもらいます」

「もしかして、宇宙でですか?」

キラとアスランの説明を聞いた真耶は、少し不安になりながら質問する。その問いに二人は首を縦に振る。

「元々ISは宇宙での活動を目的に作られた『者』だ。俺たちのガンダムは全て、あらゆる地形で対応できるようになっている。それには勿論、宇宙も当てはまっているお前たちの機体も、宇宙で戦えるようにするつもりだ」

「そんで真耶ちゃんはさっき会ったアムロ中佐が、お穣様方には蒼い翼の騎士様が担当することになるぜ」

 

ヒイロが目を閉じながら自分達の機体のことを話すと、デュオはキラに顔を向けながら担当する人物を説明する。その際キラは少し照れ笑いした。

因みにヒイロがISを『物』ではなく『者』と言ったのは、ISが生きているからであった。いくらヒイロでも、生きている存在を自爆に使おうとは思わない(昔ならやっていたが)。

 

「一通り慣れてきたら、今度は3人に新しい専用機を使って貰います」

「それからは調整を加えながら、宇宙空間に適応するようにさらに訓練をすることになっています」

「「「………」」」

 

再び彼らの口から出た内容に彼女達はまたもや言葉が出なかった。

いくらなんでもレベルが違いすぎる。

目の前の少年たちは、このようなことを平然とやって来たのか?

余りにも自分達とは歳が近いとは思えない。

 

「……貴方達は、一体何者なんですか?」

恐る恐る聞く真耶に、キラ達はすぐには何も言えなかった。

しかし誰よりも早くヒイロが答える。

「……お前達は『転生』を知っているか?」

「転生?輪廻転生のことか?」

「そうだ。……そして」

「僕達がその転生された存在、『転生者』です」

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

この日3人は、何度目かの驚愕をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 






皆さんお久しぶりです。
最近アズールレーンをやり始めました。
それでイラストリアとか高雄が出てちょっと興奮しています。

それと神姫ではまた恋姫とコラボしました。
しかも今度は自分の大好きな雪蓮さんが来るとなると、これは絶対にやらねばとおもいます。

次回はキラとお穣様二人の話です。


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第10話:キラを守りし者達


機体名:ストライクガンダムF
パイロット:キラ・ヤマト
固定武装:
ミトゥムビームバルカン×2



外付け選択武装:
ビームライフル
ビームサブマシンガン
バズーカ
新型ラミネートビームシールド
攻守ラミネートビームシールド:
ミサイル×2
対艦刀 シュベルトゲベール
ビームライフルシューティー×2
リベリオンビームサーベル×2
クスフィアス改レール砲×2
三連装ミサイルポッド(最大2基)
ガトリングガン(最大2基)


ジェットストライカーA:
選択武装:
空対空ミサイル フルンディング×3(最大12発)
五連マイクロミサイルポッド(最大4基)
誘導ロケットポッド(最大4基)
小型対艦ミサイル(最大4発)


ジェットストライカーB
上記同様の選択武装
折りたたみ式ロングビームキャノン カラドボルグ
小型レドーム


ジェットストライカーC
上記同様の選択武装
ロングビームキャノン×2


ガーベラストライカー:
プラズマ収束砲 バラエーナ改×2
ロングライフル
伸縮型ラミネートビームシールド


備考:
エルシオンガンダムとは別でキラに用意された女神製IS。キラが前世で最初に乗った『ストライクガンダム』に、色んな世界の技術が詰め込まれたトンでも機体になっている。ハードポイントはストライクの時と同じに加えて、両脇・腰・脚部にも追加されている。動力は核分裂エンジンになっており、これもストライクの時よりも稼働時間が大幅に増えている。新しいストライカーパックの一部は、キラ達が此処最近見たアニメやゲームを基にして造られている(その際ヤン提督達から少し呆れられた)。


ストライカーパックや武装はまだあります。









 

宇宙空間

 

 

「ほらセシリア、動きがまた単調になってるよ?」

「そ・・・そう言われましても・・・ひゃあ!?」

「エイントリーさん、もっと突っ込んでください」

「り、了解した!」

 

 あれから1週間、キラ達はデバイスの力で宇宙に来ては、今のように宇宙空間での適応訓練を行っていた。

 セシリアとスィーリアはデータ収集も兼ねて、キラ達が開発した初の量産型第5世代IS『ドラグーン』を纏っているのだが、PICがあるとはいえ無重力の世界は初めてなのでてんてこ舞いになっているのだ。

「うぅ・・・所でキラさん、『ストライク』の調整はいかがですの?」

「まあこっちは大丈夫かな?」

 

 五日前まではエルシオンを使っていたが、今キラが纏っているのはエルシオンガンダムではなく、嘗て自分が乗っていた『ストライクガンダム』を色んな世界の技術を使って作り出した、『ストライクガンダム改』であった。これは表の場でも出せる様にと、部隊での戦いにおいてのバランスを保つために作ったのだ。

 そして今のストライクの装備は、前世でアムロがアナハイムのデータバンクから偶然見つけた『ガンダム試作4号機』を元に作られた、『ガーベラストライカー』となっている。性能的にもフリーダム以上になっているため、並の人間ではまともに動かすことが出来ないようになっている。

 

「ほらまた動きが読まれやすくなってるよ?」

「「キャアアアァァァァーーー!?」」

 

 そして今日もまた、彼女達の悲鳴が響いた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

翌日

 

 

「うぅ・・・」

 

 朝のHR前、セシリアは机に伏せていた。どうやら相当訓練が響いたらしく、余り力が出ないのである。そんな彼女にデュオが近づいてきた。

 

「ようセシリア、昨日も大分扱かれたらしいな?」

「・・・これでも最初の時よりはマシになってますわ。キラさんがエルシオンを使っ

た時なんて、自分がそこら辺に落ちてる石ころみたいに思えましたもの」

「あ~あれは恐ろしいよな?通っただけで武装だけを破壊していくとか、マジでいかれてやがるぜ」

「ですが終わったあとはちゃんと褒めてくれますわ。それに何処が良いのか、何処が悪いのかも的確に解りやすく教えてくれますし、おかげでまだ2基だけですがビットを使いながら他の攻撃も出来るようになりましたし、キラさんは本当にお優しい方ですわ」///

「お、おぅ・・・」

 

 いきなりヒートアップしたセシリアにデュオは苦笑いする。

 

 五日前キラがエルシオンを使った訓練をした後、ヒイロやデュオ、アスランも一度だけ訓練に加わったのだ。その際彼らのガンダムとも戦ったのだが、文字通り『次元が違いすぎた』の一言に尽きる。いくら神様が作ったガンダムであろうと、それを扱う彼らも異常なのだから。

 しかし訓練が終わった後、キラは二人にドリンクやタオルを渡したり、何処が駄目だったか、何処が良かったかを二人にもわかりやすく説明したりしてるのだ。おかげで彼女達の好感度も上がっている。

 

「・・・・・・デュオさん達もそうですが、キラさんは本当にお強いですわね」

「まっ、実戦経験の差だな。おっ、噂をすれば王子様の登場だ」

 

 デュオの言葉にセシリアが反応し、後ろ側の扉に顔を向けた。そこには噂どおりの人物が教室に入って来た。

 

「おはようセシリア」

「おはようございますわキラさん」

「結構疲れてたけど大丈夫?」

「えぇ、大丈夫ですわ」

「そっか」

 

 セシリアから大丈夫と言われて、キラはホッと胸を撫で下ろした。キラ自身も少しやりすぎたかなと自覚しているので、セシリアとスィーリアのことが心配だったのだ。

 

「お二人さん、そろそろSHRが始まるぜ」

「そうだね」

「解りましたわ」

 

デュオの言葉に二人は同意し、キラは自分の席に戻りセシリアは気を引き締めたのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

放課後

 

 

「この先の牧場にいるの?」

「えぇ」

 

 今日は4時間授業ということもあり、キラはセシリアと一緒にIS学園にある馬の牧場へ向かっていた。

 

「それにしても、IS学園って本当に凄いね?馬も居ればジョスト専用の場所まであるなんて」

「IS学園は世界各地から色んな方が来られておりますから。その中には、ジョストが盛んなヨーロッパから来る方も当然おりますわ。スィーリアお姉様は、幼い頃からジョストをやっておられましたの」

「へ~。ていうことはエイントリーさんの他にも、やってる人はいるの?」

「勿論ですわ」

 

 そんな話をしていると、二人は件の馬小屋に着いた。

 中を見ると沢山の馬がおり、どの馬も速く走れそうに思えるほど鍛えられているのが解る。

「凄い・・・どの馬も速そうだね?」

「キラさんは間近で馬を見たことは?」

「競走馬とかペガサスとかは見たことあるんだ」

「前者はともかく後者は何処で見た事ありますの?!」

 

 普通の馬よりも特殊な馬の方を見ているキラにセシリアは疑問に思った。そもそも幻獣と呼ばれしペガサスを見ると言うことが異常なのだ。しかし神姫と呼ばれる存在がいる時点で、ペガサスがいても可笑しくないというのがセシリアの感想なのである。だからこそ、何処で出会ったのかが気になるのだ。

 

「えっと、結構前に旅行で関西に行ったことがあるんだ。その時にであった女性に乗せてもらったんだ」

「そ・・・そうですの(・・・ん?ペガサスに、女性?)」

 

 楽しそうに話すキラにセシリアはどういえば良いのか解らなかった。だがそれと同時にセシリアはペガサスと女性と言う単語に少し心あたりがあったのである。

 

「・・・えぇ!?」

 

 するとセシリアはペガサスと女性の正体を思い出したのだが、少しずつ顔が真っ青になってきた。

 

「き、キラさん。まさか貴方がお会いになったのは・・・」

「・・・うん、メデューサだよ」

 

 キラの回答にセシリアはやっぱりと思った。

 

『メデューサ』

 

 その名前を言えば誰もが知るだろう、ギリシャ神話の『怪物』。そのような存在と出会えば普通なら絶対生きては帰れないはずだが、キラは普通に生きてる。

 

「キラさん良く生きておられますわね?」

「まあ話せば解る人だからね」

 

 話せば解るの者なのか?

 彼女の話を読んだことあるセシリアは、頭の上で?文字を浮かべていた。

 

「・・・キラさんはガイア様以外にも、神姫にはお会いになられたのですか?」

「うん。勿論英霊や幻獣にも会ったよ」

「あの、よければ聞かせてくれませんか?」

「う~ん・・・あまりいい話じゃないよ?」

「世の中はいい話ばかりではありません。それ位は大丈夫ですわ」

「・・・解った、僕でよければ話すよ」

 

 

「それなら、私も入れてくれないか?」

 

 

 キラがセシリアに話そうとした瞬間、後の方から聞いたことのある声が聞こえて来た。二人が声のした方に顔を向けると、そこには騎士甲冑を身に着けたスィーリアが立っていた。その姿はまさに『姫騎士』という言葉がぴったりな程である。

 

「・・・・・・綺麗」///

「ふふっ、ありがとうヤマト」

「流石にキラさんも、スィーリアお姉さまの美しさには敵いませんわね」

「茶化さないでよ!?」///

 

 顔を真っ赤にしたキラを見て、セシリアとスィーリアは口に手を当てながら笑う。彼女達からしてみれば、ISを使っているときとは違う彼の一面を見れただけでも嬉しいのである。

 

「それで、私も君が出会った神様達に興味があるのだが、聞いても良いかな?」

「・・・はい」///

 

 諦めたキラは彼女も入れて、彼女達との出会いを語り始めた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

セシリア side

 

 

 皆さんこんにちは、セシリア・オルコットですわ。私とスィーリアお姉さまは、キラさん(ガイアさんも)のお話を聞くために馬小屋から少し離れた丘で座っております。私も暇がある時はお姉さまと一緒に神話を読んだりもしており、キラさんがお会いになられた神々にも興味がありますわ。

 

「それじゃあ話しますけど、先ずはなにからが良いですか?」

「そうですわね・・・・・・キラさんがガイア様以外で、最初にお会いになられた方は?」

「まあ無難だな」

 

 私は先ず手始めに、ガイア様以外で最初にお会いになった方と答えました。あまり難しいことを聞いても、キラさんが困るだけですからね。

 

「それだったら『シヴァ』さんかな?」

『そうですわね』

「・・・いきなり凄い神に出会ったのだな?」

 

 お姉さまの言うとおりですわ。

 シヴァ様と言えば、確かヒンドゥー教で最も影響力が高い主神のお一人でしたわね?前にインドの神話の本を読んだ際、その神は『破壊と再生、或いは創造を司る神』と書いてありましたわ。

 

「シヴァ様とは、何処でお会いに?」

「10歳の時の秋、自然が多い世界で会ったんだ。アスラン達も一緒だったんだけど、魔獣に襲われた際にはぐれちゃったんだ」

「大丈夫だったのか?」

「最初は怖かったですよ。一応サバイバル訓練は受けていたんですけど、やっぱり異世界ですから」

 

 その歳でよくサバイバル訓練をしておりましたわね?

 

「みんな見つからなくて、あたりが暗くなってきて、偶然着いた池で蹲りながら泣いてたんだ」

「君は昔から泣き虫だったのだな?」

「否定はしません。そんな時に出会ったのがシヴァさんなんです」

 

 それから話を聞きますと、シヴァ様は自然が大好きなお方で、嘗てラグナロクと呼ばれる異変の際、同じく世界を破壊しようとしたらしいです。理由を聞きますと、科学技術の進歩に伴い多くの自然が滅んで行くのを、怒り、悲しんだからだと聞きましたわ。それで力を使い果たした後、自然が戻るまでずっと眠りに尽き、丁度眠りから覚めた時にキラさんにお会いになられたらしいですわ。

 その話を聞いた私とお姉さまは、何も言うことが出来ませんでした。今まで科学技術は、私達の生活をより良く支えて来ましたわ。それは今も変わりません。しかしその度に私達は多くの自然を破壊し、植物も動物も絶滅させて来ました。自然を愛するシヴァ様がお怒りになるのも仕方無いのかもしれませんね。

 話は戻り、キラさんとお会いになったシヴァ様は、色んな話をした後一緒にアスランさん達を探して下さり、無事に合流できたらしいですわ。

 

『恐ろしい方ではありますが、彼女はキラ様のことを気に入っており、何度もキラ様を救ってくださいましたわ』

「うん。確かに少し怖いけど、自然が大好きでとっても優しい人なんだ。魔物やいろんな組織に襲われた時も、僕やアスラン達を守ってくれたんだ」

 

そう言うキラさんの表情は嬉しそうでしたわ。

 

「破壊神シヴァか、一度会ってみたいな」

「私もですわ」

『それでしたら、今度の休日に会わせてあげますわ』

「よろしいので?!」

「会えないわけじゃないからね」

『シヴァさんはキラさんと『契約』しましたものね』

「「・・・・・・・」」///

 

 私とお姉さまは、ガイア様が言った『契約』という言葉を聞き、まるでAppleのように顔を赤くいたしましたわ。少し前にガイア様達から聞きましたが、なんでも神姫は契約することで、契約者とのパスが繋がり、より強大な力を使うことができるようになるらしいですわ。

 ここまで言えば、ゲームやアニメなどでよく聞いたりしますが、その契約方法がかなり特殊ですわ。

 

 それは、エッチをすることですわ。

 

 正直な話、最初に聞いた時は『貴方は神話の神様に何をしてらっしゃるのですか!?』と怒りもいたしましたわ。ですがガイア様が『これは私達が望んでやったこと、そしてキラ様の心を癒し守る為にやったことですわ。どうかキラ様を責めないでくださいまし』とおっしゃりましたので、私はそれから怒ることはいたしませんでした。

 アスランさん達から、キラさんは4人の中でも色んな組織から狙われる確立が高いとお聞きになりましたわ。おそらくシヴァ様も、キラさんを守るために契約したのでしょう。

 

「・・・あっ!でも今会える人ならいますよ」

「なに?」

「どういう方ですの?」

「ちょっと待ってください」

 

 言うが速いか、キラさんはスマートフォンの様な機械であるデバイスを取り出し、なにやら操作し始めましたわ。そういえばデバイス内には、神姫に幻獣に英霊が入れるスペースがあると聞きましたわ。

 

「う~ん誰にした方が良いですかね?」

『何処に目があるか解りませんし、サンダルフォンさんがよろしいかと』

「そうですね、今のうちに二人のことも知っておいた方が良いですね」

 

 ガイア様の口からとんでもないお名前が出ましたわ。サンダルフォンって・・・もしやあのサンダルフォンですの?!

 

「あの!もしやそのサンダルフォンとは、大天使サンダルフォンですか?!」

「え?うんそうだけど、知ってるの?」

「シヴァ様もそうですが、私とスィーリアお姉さまは良く神話などの書物を読んでおりますの」

「サンダルフォンといえば、確かメタトロンの双子の兄弟――こっちでは姉妹か?――或いはメタトロンの異名の一つとされている、ミカエル様と同じ七大天使の一人だったな?」

「はい、僕も神話とかはヤンさんから聞いてますからそれで合ってます(ヤンさんはもっと詳しく説明するけど)」

『因みにメタトロンさんもおりますし、ちゃんと双子の姉妹ですわ。彼女はヒイロさんの神姫でもあるます』

「何故でしょうか?納得してしまいましたわ」

「私もだ」

 

 ガンダムもそうですが、ヒイロさんには何故か天使が似合うのです。彼と訓練した時も、ガンダムを纏う際一瞬だけ彼の背中に白い翼が見えた気がしました。お姉さまもキラさん達も見たと言っておりましたし、皆さんが同意しておりましたわ。

 

「それよりも、サンダルフォン様はおられるのですか?今までの話を聞いた限りですとまったく一度もおりませんでしたが?」

「セシリアごめん、この状況でメタいこというのやめて」

『あの方はキラ様の護衛役みたいなものですわ。キラ様が呼ぶか、キラ様が襲われない限りは自分から出ることはありませんの。決して作者が最近サンダルフォンさんを見つけて、『これは出そう』と思ったとかそういうことではありませんから』

「ガイアァァァァァァァァァァーーーーーーー!!」

 

 ガイアさんもかなり危ないことを言っておりますけど・・・?それとキラさん、あなたはマーズか何かなのですか?と私は初めてキラさんが叫んだところを見ながらそう思いました。

 

「はあ・・・はあ・・・とにかく!サンダルフォンさんはちゃんといるから、あまり前の話とか作者のこととか余り言わないで下さい!タダでさえ作者、最近精神的に辛いんだよ?」

「そ、そうなのか」

「申し訳ありませんわ」

「いや良いよ。・・・ガイアさん、周りに結界を張ってください」

『解りましたわ』

 

 キラさんがガイア様にそう指示すると、周りに透明な膜の様な物が半径10mに展開されましたわ。なんでもあれは、周りの認識を阻害する結界らしいですわ。この中に入れるのは、神姫などの特殊な存在にキラさんの様な継承者だけらしいですわ。しかもヒイロさんにヤン提督達はそうでなくても、この結界を見つけて中に入ることができると言うのですから驚きですわ。

 

「それじゃあ、サンダルフォンさんを呼びますね?」

 

 キラさんは再度デバイスを操作し、目的の人物に声を掛けました。

 

「サンダルフォンさん、ちょっと出てきて下さい」

『了解しました、マスター』

 

 デバイスからガイア様とは違う女性の声が聞こえた瞬間、私達の目の前に光が起きましたわ。私とお姉さまは余りの眩しさに目を閉じてしまいましたわ。しばらくして光が収まるのを感じ取り、私達はゆっくりと瞳を開けましたわ。

 

 

 

「サンダルフォン、召喚されました」

 

 

 

 そして私とお姉さまの前に現れたのは、所謂バニーガールと呼ばれる衣装を身に着け、機械の翼を持った女性でしたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さん、少し遅れましたが明けましておめでとうございます。

アズレンで何度も10連ガチャを引いても愛宕さんが出なくて泣きそうになってます。

次回はまた番外編をいたします。

それでは。


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アフターストーリー:嵐を呼ぶ出会い


皆さんこんにちは。

今回はクレヨンしんちゃんの回です。

時系列はGWになっています。

こちらではギャグとエロを重視に書いていこうと思います。

それではどうぞ。




【OP:アンバーワールド/佐藤ひろ美】


 

 

埼玉県 とある山

 

「此処が新たに発見された遺跡だよね?」

「あぁ。デバイスの反応も目の前のゲートから来ている」

 

 キラ達は今回、ガブリエルから新しい遺跡が現れたとの報告を受け、その調査にやって来たのだ。因みにメンバーはキラとアスラン、ヒイロとデュオ、そして初めて同行するセシリアとスィーリアであった。他にもデバイスを通して、アムロやシャア、そしてヤン達に神姫達も見ていた。

 

『それじゃあ皆、ゲートを開いてくれ』

「了解しました」

 

 アスランが返事をすると、デバイスを持った4人はゲートに向かってデバイスを掲げた。するとゲートが光りだし、向こう側へ続く道が開いたのだ。

 

「このようにして異世界に行くのだな?」

「なんだかSF映画を見ているようですわ」

 

 初めて見る光景にスィーリアもセシリアも興奮していた。それと本編ではまだなので書くが、彼女達は神姫の力を持っている。二人共水属性と光属性の二つを宿しており、二人共キラとの契約は完了しているのだ。

 

「よし、それじゃあ行こっか」

『了解』

 

 キラの言葉に全員同意し、ゲートの中に入って行く。

 

 

 

 そしてこれが、新たなる戦いの始まりでもあった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

春日部山

 

 

「それでは、春日部防衛隊の作戦会議を行います」

「「は~い」」

「ほっほ~い!」

「ボー・・・」

「たいや!」

「アン!」

 

 此処は、埼玉県春日部市にある春日部山のとある場所。そこには、幾多の修羅場を潜り抜けた少年少女+赤ん坊と仔犬が輪になって作戦会議をしていた。

 

「しんのすけ、ちゃんとひまわりとシロの面倒を見ろよな?」

「ポチとコンだぞ!」

「それを言うなら勿の論だろ!?」

「そうとも言う~」

 

 しんのすけと言われた少年の間違った返事に、『風間トオル』が突っ込む。

 

「それで、今日はどんな会議をするの?」

「それは勿論、リアルおままごとn」

「最近噂の『関東怪物事件』のことだよ!」

「ちょっと、そんなのよりもリアルおままごとでしょ!?」

 

 春日部防衛隊の紅一点『桜田ネネ』がリアルおままごとのことを話そうとすると、それを被せるようにトオルが話題を変えた。

『関東怪物事件』とは、此処最近関東周辺で起きている謎の殺人事件である。殺された者達は、皆なにか巨大なものに食べられたかの様な状態で発見されており、中には上半身が無いもの、下半身がないもの等、様々である。目撃者の発言によると、なにやら大きな『鳥』のような怪物だったとされており、政府は警察と連携して関東全域で捜査を続けているらしい。

 

「ほ、本当に怖いね」

「いままで色んなことがあったけど、こういう死傷者がいっぱい出る事件は初めてよね」

「確かに・・・」

「大丈夫!」

 

 不安になっていた彼らを前に、『野原しんのすけ』は立ち上がり大丈夫だと叫ぶ。

 

「オラ達が力を合わせれば、どんなことだって出来るゾ!」

「なに言ってんだよ!?僕達子供が出来ることなんて高が知れてるだろ!?今までのことだって、偶々運が良かっただけなんだよ」

「しんちゃん。しんちゃんの言いたいことは解るけど、こればっかりは私達子供じゃ手に負えないわ」

「そ、そうだよ。こういうのは警察とか、自衛隊の人に任せよ?」

「もぉ~みんな意気地ないんだから~」

 

 そう言う問題じゃないだろ?

 しんのすけ以外全員が彼の言葉にそう思った。

 

 そもそも彼らは、普通の幼稚園児だ。なのに今までとんでもない事件に何度も遭遇し、その度に解決して来た。ある時は宇宙から来た異星人、ある時は生きた食ガン達、ある時は夢の中、ある時は謎の組織、ある時はジャングルのサル達とその王者、ある時は子供に戻った大人達、ある時は未来の春日部、他にもあげれば際限が無いほどに彼らは異常なほど遭遇しているのだ。

 その中でも、野原しんのすけは異常だった。過去や未来、はたまた平行世界や遠く離れた惑星、あらゆる場所に来てはそこにいる人物たちに出会い、絆を深めてきたのだ。それも公になれば、欲に満ちた人間たちから狙われるであろう程にである。

 

「・・・ボー?」

「おっ?どうしたのボーちゃん?」

「・・・なにか、あっちから音がする」

 

 春日部防衛隊の中でも、人一倍こう言ったことに優れている少年『ボーちゃん』の言葉に、全員が頭に?文字を浮かべる。

 

「行ってみようよ!」

「ボー!」

「たいや!」

「アン!」

「ちょっ、しんのすけ!?」

「ちょっと待ちなさいよ!」

「皆~、置いて行かないでよぉぉぉぉーーーーー!!」

 

 しんのすけは妹である『野原ひまわり』を担いで、ボーちゃんが言った音が聞こえた場所に向かって走り出した。それに付いていくように春日部防衛隊の面々が走り出したのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―キラSide―

 

 

 皆さんこんにちは。トラ○エイジではよく作者の主力になってるキラ・ヤマトです。

 唐突ですが僕達、

 

『ジー』

 

通路の先にいる子供達に凄く見られてます。しかも仔犬や赤ちゃんもいます。

 なんでこうなったんだっけ?確かゲートから潜り抜けたあと、此処がどういう場所なのかを話し合ってたらヒイロから『あそこに誰かいるぞ?』って言われて、ヒイロが指を指してる方向を見たらそこに子供達がいたんだよね?

 というかジーって自分達で言うんだ。

 

「えっと・・・・・・怪しい人じゃないよ?」

「おいキラ。それじゃあ俺たちが本気で怪しい奴等みてぇじゃねぇか?」

「え?」

 

 僕達ってそんなに怪しいかな?

 そんなことを思っていると、水色の服を着た男の子が顔を出した。

 

「あ、あのっ!あなた達は何者なんですか?」

「もしかして、通りすがりの仮面ライダー?」

「残念だけど、僕達ディケイドじゃないよ」

 

 と僕は赤い服を着た男の子の質問にそう返事をした。まぁ似たようなことはしてるけどね?

 それにしても、見た目と言い今の言葉と言い、ここはどうやら日本みたいだ。

 

「君達、此処は一体何処かな?」

 

 とスィーリアさんが前に出て、子供達に質問をした。確かに日本なのは解ったけど、それでも日本だと解っただけだ。

 すると、

 

「ねえねえおねいさ~ん、今からオラと一緒にデートしな~い?」///

『な!?』

「え・・・えぇ!?」

 

 突如赤服の子が、まるど瞬間移動の如くスィーリアさんの前に出てナンパしだした。それには僕達も驚いたし、スィーリアさんもたじたじだった。

 

「えっと、君は?」

「オラ、野原しんのすけ5歳!好きな物はチョコビとちょっと山葵を載せたマグロのお刺身です!」

 

 うわすごい。スィーリアさんまだ名前も聞いてないのに自分から名乗ったよこの子。しかも好きなものがちょっとおじさんくさい。

 

「そうか・・・私はスィーリア・クマーニ・エイントリーだ。スィーリアと呼んでくれて構わない」

「はい!『スイーリア』おねいさん!」///

「・・・まあ良いか」

 

 しんのすけ君、ちょっと発音違うよ?スィーリアさんも子供だからなのか、納得しちゃったよ。

 それじゃあ僕も名乗るか。

 

「それで、しんのすけ君・・・で良いかな?」

「え!?どうしてオラの名前を知ってるの?」

「君がスィーリアさんに名乗ったじゃないか、まだ名前も聞いてないのに」

「ほうほう。っで、おにいさんは?」

「僕はキラ・ヤマト。スィーリアさんの後輩で、好きなものは甘いものだよ。キラって呼んでくれると嬉しいかな?」

「じゃあキラ君で。オラのことはしんちゃんって呼んでイイゾ!勿論スイーリアおねいさんも♪」

「あ・・・あははは」

 

 おもしろいなしんちゃんって。初めて会った僕達にこんなにまで接してくるなんて。

 

「んじゃあ次は俺だな?俺はデュオ、逃げも隠れもするが嘘は言わないデュオ・マックスウェルだ。よろしくなしんのすけ」

「え!ディオ!?」

「ちげえよ!デュオだって!」

「ゴゴゴゴゴゴ」

「おめえも悪乗りするなキラ!?」

 

 流石デュオ、ツッコミなら誰にも負けないね!

 

「私はセシリア・オルコットですわ。スィーリアお姉さまとは義理の姉妹で、キラさん達とは同級生ですの。日本の文化を知るために、イギリスからやって来ましたわ」

「日本語ぺらぺらですな~?」

「これでもちゃんと練習いたしましたわ♪」

 

 しんちゃんの問いにセシリアは胸を張りながら答えた。・・・・・・何時見てもおっきいなぁ・・・。///

 

「俺はアスラン・ザラ、キラ達とは昔からの幼馴染だ」

「・・・ヒイロ・ユイだ」

「う~ん・・・アスラン君は女難がありそうだね?」

「なっ!?」

「しんちゃんって本当に凄いね?まったくもって大当たりだよ」

「キラ!?」

「諦めろアスラン」

 

仕方ないよね。ラクスだけじゃなくカガリとも仲が良かったし、アマテラスさんや色んな神様とも唾つけてるからね。そんなことを思っていると、小さな赤ちゃんが僕達目掛けて走り?出してきた。

 

「たたたたたっ!」///

「うわっ!?」

 

その赤ちゃんは何故か僕の足元にしがみ付き、しんちゃんみたいなニヤケ顔になった。えっと・・・どういうこと?

 

「しんちゃん、この子は?」

「オラの妹のひまわりだゾ」

「エヘヘヘヘ」///

「・・・凄くニヤケておりますが?」

「ひまはイケメンが大好きなんだゾ」

「この子本当に赤ちゃんですわよね!?」

 

 本当に変わった子達だね?

 そんなことをしていると、今度は白いわんちゃんがやってきた。

 

「アン!」

「こっちはシロ!オラ達の家族だゾ!」

「たいや!」

 

 しんちゃんはシロを抱っこすると、本当に仲良さそうにしていた。

 

「家族か・・・」

「普通はペットっと仰りますのに、堂々と家族と仰るとは・・・」

「それだけシロとしんのすけとの絆があるのだな」

 

 なんでか分からないけど、しんちゃんはシロのことを本気で家族なんだって、僕達は理解できた。そんなことを思っていると、他の子達もやってきた。

 

「あの、僕は風間トオルって言います。しんのすけ達とは同じ幼稚園にいます」

「風間君はオラと将来を誓い合った仲です!」

『え!?』///

「そんなわけないだろ!?」///

「しんのすけ。それはあまり人の前では言ってはいけない言葉だぞ」

「つうかそんな言葉一体何処で覚えたんだよ?」

 

 しんちゃんのトンでも発言にスィーリアさんとデュオが突っ込んだ。まあそりゃあ5歳の男の子がホモ発言なんてすれば誰だって驚くよね?・・・・・・まあ僕とアスラン達には敵わないけど。

 

「僕、佐藤マサオって言います。将来の夢は漫画家になることです!」

「てことは、目指すは横○先生?」

「違うぞヤマト、狙うなら手○先生だ」

「お二人とも違いますわ!そこは藤○不二雄先生ですわ!」

「・・・石○森先生じゃないのか?」

「そ、そこまではいけませんよ・・・」

「幾らなんでもハードル高過ぎだろ!?」

 

 そうかな?島○先生だってあの人達を目指して漫画家になったって言うし。

 

「私は桜田ネネ。趣味はおままごとで、ふたば幼稚園のアイドルでーす♪」

((((それはない))))

「なんか言った?」

「「「「なんでもありません!」」」」

《怖い・・・》

 

 シヴァさんやガイアさんも凄いけど、ネネちゃんは別のベクトルで凄いね。

 

「ボー」

「この子はボーちゃん!鼻水がトレンドマークで、これがないとバランスが悪くなるんだゾ」

「なんですのその一種の発達障害は!?」

「・・・むん!」

「え?ハート?」

「ボーちゃんは、鼻水で色んなことが出来るんだゾ!」

「凄い、鼻水でそんなことが出来る子初めて見た!」

「・・・やるな」

 

 あのヒイロが認めるなんて、それだけこの子は凄い実力者なんだね。

 

「さてさて、自己紹介も終わりましたし、それじゃあ皆さんで乾杯しましょうか?」

「おまえこの状況をなんだと思ってるんだよ?」

「おっ?合コンじゃないの?」

『全然違う!!』

 

 ヒイロ以外のみんなで突っ込んだけど、しんちゃんって本当に面白い子だね。

 

「そんなことよりも、キラさん達は何処からやって来たんですか?」

「えっと・・・信じてくれるとは限らないけど、僕達は異世界から来たんだ」

『異世界!?』

「それって暗い海の底のこと?」

「それは深海」

「疲れたり越えられないこと?」

「それは限界」

「病院とか会社で人に会うこと?」

「それは面会」

「バスケットボール部の監督のこと?」

「それは安西」

「ものの見事に離れていきますわね」

 

 セシリアの言うとおりだ。

 

「そっか、異世界か」

「それなら後の変な機械から来た理由も納得できるわね」

 

 あれ?なぜか納得してる?

 

「あんまり驚かないんだな?」

「そりゃあこう言うことには慣れてますし」

「オラ達、色んな冒険をして来たんだゾ!」

「冒険?」

「はい、未来に行ったり、ジャングルに行ったり」

「街どころか、地球を救ったり」

「宇宙人と出会ったり」

「・・・一味違った人生を歩んできました」

「えっへん!」

『・・・・・・』

 

 ・・・・・・普通だったら、子供の戯言だって切り捨てるだろうね。でも僕達にはわかる、目の前の子供達が嘘を言ってないことに。僕達だって色んな神様や英霊、幻獣に出会ってきたんだもの。なにより彼らの眼が訴えているんだ。彼らもそれなりに修羅場を潜って来たんだね。

 

「・・・・・・そっか、君達も凄いことをしてきたんだね」

「信じてくれるんですか?」

「そりゃあ俺たちが異世界から来たって言っても、あんまり驚かないしな」

「それに君たちの目を見れば解る。君達は凄い体験をして来たんだとね」

「いや~それほどでも~」///

 

 本当に変わった子達だね?

 

「ところで、此処は一体何処なんだ?」

「此処は埼玉県春日部市にある、『春日部山』です」

『春日部山?』

 

 春日部にそんな山ってあったっけ?・・・・・・まあ異世界なんだから所々変わっているところもあるんだろうね。

 

「それとオラ達、春日部防衛隊なんだゾ!」

「春日部防衛隊?」

「僕達が作った、春日部の愛と平和を守る組織なんです」

「最近はまったく活動してないけど~」

「余計なことを言うな!」

 

 所謂ごっこ遊びかな?でもさっきの話を聞く限りだと、きっとごっこ遊びじゃないんだね?

 

「・・・それならば、助けて欲しいことがあるのだが」

「スィーリアさん?」

「おねいさんの頼みなら、例え火の中水の中でもお助けします!」

「・・・ケッ」

 

 あはははっ、しんちゃんは女の人が弱いらしいね?それとひまちゃんが赤ちゃんが到底しないようなことしてるよ。

 

「別に良いではないか?此処は私達のいた世界じゃない。それならば、この世界の住民に教えてもらうしかないだろ?」

「それもそうですわね」

「たしかにな」

「・・・そうだね」

「・・・あぁ」

「一理あるな」

「それで、なにをすれば良いですか?」

「そうだな・・・・・・・では、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産屋がどこかを、探してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして僕達は、この世界の春日部に住む事になった。

 

 

 

 

 

 

 そしてこれは、僕達としんちゃん達との新たな冒険の始まりでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 





【ED:うたをうたおう/大事MANブラザーズバンド】


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アフターストーリー:彼らの朝は時として遅い


皆さんこんにちは。

今回はちょっとエロいです。


それでは、本編どうぞ。



 

 

―デュオside―

 

「zzzz~・・・・・ふぁ?」

 

 ぁ~あ・・・おぅ、おはようさん。昨日やっと生活に必要最低限な物を揃えたところで眠ったデュオ・マックスウェルだ。

 あれから俺達は、しんのすけ達に不動産屋を案内してもらい、春日部で一番大きい5LDKのマンション『チーターズマンション』を拠点に生活していくことになった。金はハデスや他の奴等から結構貰ってるから心配はいらねえし、戸籍に関しても問題は無かったぜ。調査するならそこら辺の準備も必要だってヤン提督が言ってたし、前世からそう言ったことは慣れてたから楽勝だったぜ。

 IS学園の方は良いのかって?それも大丈夫だ。こちらに居る間はあっちの時間は止まってるらしいぜ?ヤン提督達もこっちの時間に合わせるために、異次元空間に入ったらしいしな。ホント神様様だよな~。

 ・・・お?なんかいい匂いがして来たな?

 

「・・・起きたか」

「おっすヒイロ。なに作ってんだ?」

「グヤーシュとイングリッシュ・ブレックファーストだ」

「おめえそんなもん作れたのか?」

「グヤーシュはパーガンから、ブレックファーストはヘスティアから教わった」

 

 そういやヒイロが偶に他の奴から料理教わってるとこ何回か見たな?あいつも結構変わったよな~。

 

「・・・・もうすぐ出来る、キラ達を起してこい」

「へ~いへい」

 

 確かアスランは和室で寝てたよな?・・・・・・此処か?

 

「アスランいるか?」

「zzz~・・・」

 

 ・・・・・・相当疲れてるのか、まだ寝てるな?普通だったらもうとっくに起きてるハズなんだがな。

 

「おーいアスラン、朝だぞ!」

「うぅ・・・・・・デュオか」

「珍しいな?お前がまだ寝てるなんてよ?」

「ちょっとな。夜遅くまでこの世界のことを色々調べていたんだ」

「あんま宵っ張りはやめろよな?まっ俺が言うのもなんだけどな」

「出来る限り早く寝るさ」

「そうしてくれ」

 

 その後俺はアスランに朝食が出来たことを知らせて、キラの部屋に向かう。あいつ確かお穣様達二人と一緒だったよな?なんか嫌な予感しかしねえよ。と考えてるうちにキラ達の部屋の前に来た。

 

「はあ・・・」

 

 ここに突っ立ってるのもあれだし、覚悟を決めて入るか。

 そう思って部屋に入ると、予想はクリティカルヒットしやがった。

 

「「「zzz~」」」

 

 キラを真ん中にして、右にセシリアが、左にスィーリアのお穣がキラの腕に抱きつきながら眠っていた。これだけならば、二人のお穣様のファンじゃなければたいしたことは無いだろう。キラは普通に蒼いパジャマだ。しかもちょっとぶかぶかの。それもまだ普通だから良い。

 だが問題は左右の二人だ。お穣様方はなんと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼いバニーガールだった。(しかもなんかイカ臭い)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・起きろ馬鹿ども」///

「「「・・・ふぇ?」」」

 

 なんて馬鹿みたいに可愛い声を出して起きると、俺はすぐさま部屋から出て行く。ったく、契約してからこいつ等よくヤるようになって来たな?これでもう一人の金髪お穣様まで加わったらどうするつもりなんだよ?

 

「ヒイロが朝食作ったから、着替えてから来い」///

 

 そう言って俺はその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

数十分後

 

 

 

 

 

「新20世紀博?」

「あぁ。なんでも一度は閉鎖されたテーマパークらしいんだが、とある人物が買い取り改築したとニュースなどで取り上げられているんだ」

 

 俺達はリビングで朝食を取りながら、アスランの報告を聞いていた。因みにキラ達は私服に着替えている。するとアスランは一枚の写真を取り出して、俺たちの前に見せる。・・・・・・なんだこの昭和臭漂うファッションの男は?

 

「名前は『子供似戻流(こどもに もどる)』。名の知れた資産家であり、かなりのレトロマニアらしい」

「安直な名前だね?」

「それは言うな。20世紀博は前に事件を起こし、その影響で閉鎖されたと書いてある。そこを買い取って改築するということは、何かよからぬことを企んでいるかもしれない」

「見た目を見る限りでも、ただのマニアとは思えませんわ」

「セシリアの言うとおりだ。この手の男は裏で何かをしている可能性があるぞ」

 

 お穣様がたもこう言ってるわけだし、またなんか変な事件に巻き込まれるなこれは?

 

「それとは別に、今関東で騒がせている怪物の件も調べた」

 

 そう言ってアスランはもう一枚の写真を見せる。そこには大きな鳥の様な生き物が写っていた。・・・・・・コイツは心あたりがあるぞ?

 

「コイツは・・・・・・『グリフォンか』?」

「なんで幻獣がこんなところに?」

「誰かが召喚した・・・としか考えられませんわね?」

 

 そう、キラの方にいるサンダルフォンにアポカリプスのお穣、俺の方にいるエキドナの姉御みたいな幻獣は、誰かに召喚されない限りは来ることは出来ねえ(今挙げた奴等は特別で自分達の意思で出てくることも出来るけどな)。

 

「う~ん・・・今は様子見だな」

「そうだな。異世界に来た私達は、まだこの世界がどういう場所なのかを理解できていない」

「ですから私とお姉さまとキラさんは、しばらくこの街と近辺を見て回りますわ」

「頼む」

 

 その後も色々話し合った後、各々にバラけて行動することになった。さてと、俺はこのことを提督に報告しますかねえ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―セシリアside―

 

 

「それにしても、平和な街だね?」

「そうだな。あの世界みたいに女尊男卑もなく、街も活気に溢れている」

「えぇ。わずかながら変わった方もおりますが」

 

 皆さんこんにちは。昨日キラさんのクン・・・前戯で何回も天に昇りました、セシリア・オルコットですわ。今私はキラさんとスィーリアお姉さまと一緒に、この春日部市を見て回っておりますわ。ただ、この世界の春日部市はおそらく、私たちがいた世界よりも確実に大きいですわ。それなりに大きい春日部山もあればかなり広大な森もあり、まるで八王子みたいですわね。それだけでなく、至る所から神秘に近い魔力が感じ取れることから、本当にただ大きい平和な町というわけではありませんわね?

 

「あっ!あそこに公園がある!」

 

 と言ってキラさんは目の前にある公園に向かって走りましたわ。ふふっ、キラさんったら子供みたいなんですから。

 

「えっと・・・『傘がない時に限って雨が降ってくる公園』?」

「なんですのその名前は!?」

 

 そんな名前の公園なんて見た事も聞いたこともありませんわ!?確かに傘が無いときに限って雨が降ってくることはありますけど・・・・・・。

 

「でも中は至って普通の公園だな?」

「そうですわね」

 

 私とお姉さまも公園に入り、辺りを見回しましたわ。周りにはドームの様な物に砂場、ジャングルジムにブランコ、他にも様々な遊具がありますわ。花壇には蝶がおりますし、あそこにある木にはとても大きな繭が――

 

「ってなんですのこ繭は!?」

「大きい、モスラでも生まれるのかな?」

「キラ、洒落にもならないからやめてくれ」

 

 本当に、この繭はなんなのでしょうか?

 

パカ

 

「「「!?」」」

 

 私たちが何なのかを考えておりますと、突如繭が割れました。一体何が出てくるのでしょうか・・・・・・と言っても蛾なのは解りますが。

 

 

 

「ヒラヒラ~♪」

「「だぁー!?」」

「しんちゃん?」

 

 出てきたのは、蛾のコスプレ?をしたしんのすけさんでした。余りのことに私とお姉さまはずっこけてしまい、キラさんは不思議そうにしんのすけさんを見てますわ。

 

「なにやってるの?」

「繭から生まれたちょうちょごっこだゾ」

(((いや蛾だから・・・)))

「因みに粉も出せるゾ!」

 

モクモク

 

「キャア!?」

「鱗粉とは、芸が細かいな?」

「クオリティ高いねしんちゃん」

「いや~それほどでも~」

 

 この方は仮装大賞にでも出るおつもりなのでしょうか?

 

「ところで、スイーリアおねいさん達は何してるの?」

「私達は今、春日部の周りを散策しているところだ。この町には来たばかりなのでな?」

「ほうほうそうでしたか~。それなら、オラが案内するゾ!」

「良いのしんちゃん?」

「お餅と損だゾ!」

「それを言うなら勿の論だよ?」

「そうとも言う~」

 

 そうとしか言えませんわ。

 

「それではお願い致しますわしんのすけさん」

「んも~お水くさいゾセッちゃん!キラ君とおんなじ様にしんちゃんって呼んでほしいゾ!」

「せ・・・セッちゃん?」

「それってセシリアのあだ名?」

「そうだゾ!」

 

 あ・・・あだ名ですの!?私本音さん以外から余りあだ名で呼ばれたことがありませんわ。

 

「あははっ、だってさセッちゃん♪」

「キラさん!?」///

「よかったじゃないか、セッちゃん」

「お姉様まで!?」///

 

 な、なんでしょうか?恥ずかしいはずですのに、不思議と悪くはありませんわ。

 

「ゴホン!貴方が私のことをあだ名で呼ぶのでしたら、私も『しんさん』とお呼びいたしますわ」

「お、おう・・・」

 

 私としたことが、後先考えずに言ってしまいましたわ。ですがしんさんですか・・・それも良いですわね。

 

「改めてしんちゃん、お願いしていい?」

「ほっほ~い!それじゃあさっそく、しゅっぱつおしんこ~!なすのおしんこ~!」

 

 何故漬物なのでしょうか?

 

 そして私達は、しんさんに付いていく形で、春日部の町を案内してもらいましたわ。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

以下ダイジェスト

 

 

 

「此処がマサオ君のお家だゾ」

「いやしんちゃん、マサオ君の苗字からして逆だよね?」

「おーそうだった」

「・・・わざとではありませんよね?」

 

 

 

「バラクーダ写真スタジオ?」

「オラのかーちゃんの妹さんが働いているんだゾ」

「へぇそうなんだ」

「写真の出来は?」

「まあまあだゾ」

「・・・何店の前で上から目線な話をしてんのさ?」

 

 

 

「此処がサトーココノカドー。オラ達が良くお買い物に来るところだゾ」

「なるほど、買い物をするなら此処だな?」

「因みにかーちゃんはよくバーゲンセールの時を狙ってるゾ!」

「「バーゲンセール?」」

「お?知らないの?」

「ごめんねしんちゃん?この二人結構な地位にいる『世間知らず』なお穣様なんだ」

「ほうほう」

「あのキラさん・・・」

「私達君に何かしたのか?」

「え?」

 

 

 

「・・・・・・・」

『アクションビーム!』

『KO!』

「お~キラ君すごいゾ!」

「初めてやった格闘ゲームですのに、イキナリ20連勝とは・・・」

「しかも相手に攻撃の隙を与えずに、10割も削るデスコンを叩きつけるとは・・・」

 

 

 

「此処がオラ達、春日部防衛隊が通ってる幼稚園だゾ!」

「なかなか良い所だな?」

「いや~それほどでも~」///

「なぜ貴方が喜ぶのですか?」

「おや?しんのすけ君ではありませんか?」

「お~『組長』!」

「「「え!?」」」

「だから園長ですって!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―キラside―

 

 

「此処がオラん家だゾ!」

「立派なお家だね?」

「ローンはまだまだだけど」

「・・・貴方は本当に5歳児なのですか?」

 

 皆さんこんにちは。あれから僕達は、しんちゃんに連れられて春日部の色んなところに行きました。

 

「かーちゃんおかえり~♪」

「それを言うならただいまでしょ?」

 

 しんちゃんが扉を開けると、一人の女性が廊下からやってきた。どうやらあの人がしんちゃんのお母さんみたい。

 

「・・・てあなた達は?」

「はじめまして、キラ・ヤマトって言います。少し前にこの春日部に皆と引っ越してきました」

「あらやだイケメン♥っとはじめまして、しんのすけの母の『野原みさえ』です」

「よろしくお願いします。それでこっちの二人が・・・」

「はじめまして、私はスィーリア・クマーニ・エイントリーと申します。こちらは義妹のセシリアです」

「はじめましてですわ。私はセシリア・オルコットと申します。スィーリアお姉さまとは義姉妹ですの」

「ど、どうも(外国の方かしら?凄い美人ね?)」

「オラ野原しんのすけ5歳!」

「「「「それは知ってる(ますわ)」」」」

 

 やっぱりおもしろいな、しんちゃんは。

 

「よかったら、家の中でゆっくりするかしら?」

「え?良いんですか?」

「良いのよ、息子がお世話になったんだし」

「なんにも無いとこだけど」

 

げんこつ

 

「おめぇが言うなおめぇが!!」

 

 うわ~痛そう?

 

「かかぁ天下ってこういうことを言うんだね?」

「そうですわね」

「そうだな」

「と、とりあえず入って」///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、僕らはしんちゃんのお家に訪問することになりました。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

一方その頃、ヒューベリオンでは

 

 

 

「ふふふふふ・・・・」

 

 ヒューベリオンのとある部屋で、キラの神姫である『ガブリエル』があることをやっていた。

 

「む?何をやっているのだねガブリエル君?」

「あらシャア大佐、アムロ中佐も?」

「なにやら君が笑っているのが聞こえたのでね」

 

 ガブリエルは女神艦隊における調査班の隊長であり、女神艦隊がほぼ無傷で居られるのは彼女のおかげでもあるのだ。そんな彼女が笑っているのには、それなりに理由があるのだと二人は思った。

 

「少し面白い物が見れたので・・・そうですわ」

 

 ガブリエルは取り出したCDを二人に手渡した。

 

「折角ですし、お二人も観賞してくださいまし」

「これはなにが入っているんだ?」

 

 アムロはガブリエルにCDの中身が何なのかを尋ねた。するとガブリエルは、とんでもない爆弾発言を投下するのだった。

 

「それはですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日キラさんが、あのお二人といやらしいセックスしている時の動画ですわ♥」

 

 

 

「「なに!?」」

 

 ガブリエルのトンでも発言にアムロとシャアは、ある種の紳士的な表情に変わり始めた。

 

「勿論音声も入っておりますわ」

「待て、一体どうやってそのような物を!?」

「キラさん達がセックスをしてらっしゃる際に、私が開発課の方々に頼んで置いた、ステルスヘルムとカメラ搭載型ビットを使い、あらゆる場所から撮影しましたわ。時間も2時間はありますし、幾らでも抜けますけどどうですか?」

 

 とガブリエルは二人に見るかどうかを尋ねる。

 

「・・・・・・・・悔しいが、俺も男なんだな」

「邪な天使の策略にはまるのは不愉快だ・・・だが」

 

 

 

 

「「1万で手を打とう!!」」

 

「毎度ありがとうございますわ♪」

 

 

 

 

 

 その日の夜、二人の英雄は自分の後輩達の淫行動画を見て抜いたそうな・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談ではあるが、彼女もその動画を見てリフレッシュをしたらしい・・・。

 

 

 

 





今度からその人目線も入れて話を作っていこうとおもいます。

次回は・・・どっちにしよう?


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第11話:少年が背負うもの

みなさんこんにちは。

10話の続きです。

今回は結構シリアスで、エロとグロがあります。

それでは本編はじまります。


 

「サンダルフォン、召喚されました」

「「・・・・・・」」

 

 突如現れたバニーガールの女性に、セシリアとスィーリアは何も言うことが出来なかった。というよりも、どう言えば良いのか解らなかったのだ。

 

「なんというか。ある意味驚いたな?」

「僕も最初に見たときは驚きましたよ。後の機械の羽が無かったら、ただの水商売している女性にしか見えませんからね」

「・・・・・・やはり、マスターもそう思いますか・・・」

「あっ!?ごめんサンダルフォンさん!」

「本人も気にしていたんだな?」

「それはまあ、あのような格好を好き好んで着る人なんておりませんわ」

 

 キラに自分の格好のことを言われて、サンダルフォンは落ち込んだ。

 

「あの・・・僕はサンダルフォンさんのその格好・・・好きです」///

「ま・・・マスター」///

 

「「・・・・・・」」

 

 急に二人の周りにピンク色の空間が出来てしまい、二人はさらになにも言えなくなった。

 

「あの・・・キラさん」

「おっと、ごめん。サンダルフォンさん、二人に自己紹介してください」

「了解しました。はじめまして、私の名はサンダルフォンです」

「はじめまして、セシリア・オルコットですわ」

「スィーリア・クマーニ・エイントリーだ、よろしく頼む」

 

 セシリアとスィーリアが自己紹介をすると、ふとサンダルフォンは瞳を閉じて呟き始めた。

 

「セシリア・オルコット、スィーリア・クマーニ・エイントリー、ライブラリー登録完了」

「登録?」

 

 サンダルフォンから発せられた言葉に、二人は頭に疑問符を浮かべた。

 

「サンダルフォンさんは自らを機械化して、驚異的な戦闘能力を手に入れたんだよ」

「なに!?まさか・・・サイボーグなのか!?」

「さ・・・さすが異世界ですわね」

「似た様な物です。とはいえ、涙も出ますし血もでます」

「なるほど・・・」

 

 サイボーグだと聞いて驚いた二人に、サンダルフォンがさらに指摘する。

 

「それで、キラさんとサンダルフォンさんは、どのようにお会いしたのですか?」

 

 話を戻したセシリアは、キラとサンダルフォンがどうやって会ったのかを尋ねる。

 

『あれはキラ様が、11歳の時でしたわ』

「最初は、とある大きな遺跡だったんだ。その時はガイアさんとヤンさんと一緒に、どんなところなのか調べていたんだけど・・・・・・突然現れたサンダルフォンさんが僕達を攻撃して来たんだ」

「大丈夫でしたの?」

『私が咄嗟に防御魔法を展開したので、キラ様とヤン様には傷一つありませんでしたの』

「その時の私は、マスター達が神域を荒らしていた者だと勘違いしていました」

 

 思い出しながら話すキラとガイアに、サンダルフォンは申し訳なさそうに言う。それを見たキラは「気にしてないから大丈夫ですよ」と声をかける。

 

「ですが、どうしてキラさんを襲ったのですか?先ほど勘違いをしたとも言っておりましたが?」

「私は本来、神の代行者として神域を守護しておりました。しかし何時からか、その神域を荒らす者が現れました」

「だからヤマト達を、犯人と勘違いしたのか?」

 

 スィーリアの問いにサンダルフォンは静かに首を縦に振った。

 

「それでガイアさんが説得してくれて、なんとか誤解が解けたんだ。その後事情を聞いて、僕達と一緒に行こうって言ったんだけど・・・」

「先ほども言った通り、私は神の代行者として神域を任された身。下手に神域を離れることはできません。とはいえ、ガイア様からも来て欲しいと言われたので、その時は考えて欲しいと言って分かれました」

 

 ですが、と言ってサンダルフォンとキラは少し表情を暗くした。

 

「その日の夜でした。何時も通り神域を巡回していると、彼らが現れました」

「もしや、神域を荒らしていた犯人達か?」

「・・・そうです」

 

 今まで隠れていた者達が、突如サンダルフォンの目の前に現れた。それはつまり、隠れる必要が無くなったということだ。

 

「私はすぐさま攻撃態勢に入ろうと思いました。ですが突如荒らした犯人達は持ち出したであろう機械を取り出し、半径1キロに特殊な結界を張りました。すると私は飛行できなくなり、魔弾を撃つことも出来なくなりました」

「そのようなことが可能なのですか!?」

『神姫・英霊・幻獣などが生まれて数千年、私達の力を恐れた研究者達が、理解者の神姫達と共に力を封じる道具を開発したのです。その一部は善ある者達に託し、悪意あるものが現れるまで封印したのですわ。因みにキラ様達が持っている最新鋭のデバイスにも、私達の力を封印する機能がありますわ』

「そうなのか?」

「うん」

『とはいえ、キラさんがその機能を使う時は、決まって説得する時位ですわ』

 

 ガイアからの説明に、スィーリアとセシリアは納得した。

 

「話を修正します。犯人達はさらに私を『封印の鎖』で拘束したのです」

「『封印の鎖』?」

『先ほど言った、私達の力を封じる道具の一つですわ。私達三つの種を拘束するのに一番使われている拘束具ですわ』

「なるほど。ですがどうしてそのようなことを・・・・・・・・・まさか!?」

「け、契約のため・・・か?」

 

 恐る恐る開いたスィーリアの質問に、またサンダルフォンが「そうです」と首を縦に振った。

 

「三種と契約するには性的な好意、所謂エッチをしなくてはいけません。その中でも一番非人道的なのがその三種を洗脳し奴隷にする『強制契約』、つまり・・・」

「強姦や調教・・・ですの?」

「はい・・・」

「なんと下衆な」

『それだけではありませんわ。キラ様と契約した方の殆どは、強制契約とは関係なく強姦された方々ばかりですわ。そうでなくても、心に深い傷を負った者も多いのです』

「「なっ!?」」

 

 デバイスの中に居るガイアから発せられた言葉に、セシリアとスィーリアはまたしても驚愕し、キラの方に顔を向ける。

 

「そうなのですかキラさん!?」

「・・・うん。現に僕と契約した、『アモン』さんに『サタナキア』さん、『シヴァ』さんに『イシス』さんに『ガヴリエル』さんに『アリアンロッド』さん、英霊の『オリヴィエ』さんに『ローゼンクロイツ』さんに『アーサー王』さん、幻獣の『スレイプニル』さんに『ヨルムンガンド』さん『メデューサ』さん達は皆強姦されたり辛い過去があったりする人ばかりなんだ。中にはその所為で人間不信になった人も・・・」

「けっこうおりますわね・・・・・・」

「知らない者から見れば後から刺されるな。しかも中には最高クラスの神様がいるとなると、完全に罰当たりも良い所だ」

「僕自身そう思ってますし、地獄に堕ちる覚悟は出来てますよ(鬼灯さんも言ってたし)」

((私達はその気はさらさらありませんし、キラ様(マスター)ならハーレムでも構いません(わ)))

 

 余りにも多すぎる数に二人は苦笑いしながら感想を述べ、キラも自覚があるのか地獄に行く覚悟は出来てると言った。しかしガイアとサンダルフォンは、キラの考えを完全否定した。因みに他にもアテナやオーディンもいるが、アテナは自らキラに強制契約を持ちかけており、オーディンも本人がマゾと認めており、たまにキラに会っては「私をもっと滅茶苦茶にして♥」と言っているのでノーカウントである。

 

「また話を修正します。お二人が言った通り、犯人達は・・・私を強姦しました」

 

 その時のことを思い出したのか、サンダルフォンは震えていた。

 

「私が暴れようとすると、持っていたスタンガンを浴びせて・・・・私の胸や秘部を、乱暴に・・・私が嫌と叫ぶ度に彼らは笑って・・・」

「サンダルフォンさん・・・」

「なんということを・・・」

『「・・・・・・」』

 

 話す度にサンダルフォンは震えていき、更には眼から涙が流れ始めた。その姿を見てセシリアは悲しくなり、スィーリアは怒りを覚えた。そしてキラとガイアも苦虫を噛み潰したような顔になっていた。大きな力を持っていてもやはり彼女達は女。そのようなことをされれば恐怖しないわけがない(但し一部の者を覗いてだが)。

 

「そして犯人たちの頭と思われる者のソレが、私の女性器に入ろうとした時、マスター達が助けに来てくれました」

「さすがキラさんですわ」

『キラさん自身「なにか嫌な予感がする」とおっしゃっておりましたわ。それで予感は的中し、下衆な方々がサンダルフォンさんの秘部に入れようとしていた場面でしたわ』

「殆どギリギリだったか」

『とはいえ、結界が張られていたので。単純に身体能力でしか戦えませんですが・・・』

「それでも間に合ったのですわ。まだ良い方ですわ」

「強姦されている時点で良くは無いがな・・・」

 

 キラ達が間に合ったことにスィーリアとセシリアはホッと胸を撫で下ろした。

 

「・・・・・・」

「ヤマト?」

「キラさん?」

 

 しかしキラの顔は晴れては居なかった。それどころか爪が食い込んでおり、更に悲しそうな顔になっていた。何故なのか二人は解らなかったが、ガイアとサンダルフォンからとんでもないことを口にしたのだ。

 

 

 

 

『確かに私達は間に合いましたわ。・・・・・・ですが、その光景を見たキラさんが・・・』

「私を犯そうとした犯人達を、皆殺しにしたのです」

 

「「!?」」

 

 

 

 二人の口から放たれた言葉に、セシリアとスィーリアは何度目かの驚愕をするのだった。

 

『キラ様の両手には、いつの間にかシヴァさんとオーディンさんの槍が握られており、気が付いた時には犯人達の頭であろう方の胴体を切り裂いておりましたわ』

「あれはもう、ただの人間が出来るような動きではありませんでした。相手の銃弾や魔力弾を、まるで呼吸をするかのようにかわしては、首を切り裂き、腹部を狙って投擲し、命乞いをする者も容赦なく血しぶきが出るほど槍を叩きつけていました」

『そして終わった頃には、地獄絵図でしたわ。キラさんの服には返り血で濡れており、目からは涙が流れておりました』

 

 その時の様子を思い出しながら話すガイアとサンダルフォンに、二人はありえないと言わんばかりに驚いていた。あのキラがそのようなことをしていたとは。

 

「な・・・なぜですの、キラさん」

 

 セシリアは恐る恐るキラに、どうしてそんなことをしたのか質問をする。

 

【BGM:あんなに一緒だったのに athrun zala feeling】

 

「・・・・・・許せなかったから・・かな」

「それだけですの?」

「僕にとっては充分だよ」

「ヤマト?」

「この世界も含めて、今も僕らが生きていられるのは、皆ガイアさん達が頑張ってくれたからだ。それには僕だけじゃない、ヤンさんやアスラン、ヒイロにデュオ、アムロさんやシャア大佐、ロイエンタールさん達女神艦隊の皆も感謝してる」

「マスター・・・」

「なのに・・・なのに僕達人類は、そんな人達を傷つけてばかりじゃないか!」

 

 キラの中で我慢していた何かが爆発して、叫びながら立ち上がった。

 

「神様達は僕達の平和の為に戦ったのに、僕達人類は争ってばかりじゃないか!人を殺して、犯して、壊して、傷つけて、憎しみばっかりが生まれて、無抵抗な人を虐殺して、捕まえた人を強姦して、自分の利益のために他人を利用してる!!それで今度は神様や幻獣や英霊の人達を化け物って罵倒して、捕まえてはレイプして奴隷にするなんてあんまりじゃないか!」

「キラさん・・・」

「ヤマト・・・」

「どうして・・・どうしてガイアさん達が、そんなことされなくちゃいけないんですか!?だからシヴァさんが世界を破壊しようとしたんだ!だから一部の神様や幻獣の人達が世界を壊そうと考えてしまったんだ・・・」

 

 そう叫ぶキラの瞳からは涙が流れており、それには今は人間であるスィーリアとセシリアも何も言えなかった。それは勿論キラの言うことが正しいからだ。彼女達の話を聞けば聞くほど、完全にこちらに非があるとしか思えないのだ。前に彼女達の世界では数千年前、世界の終末と呼ばれたラグナロクが起ころうとしていた。そのラグナロクを阻止したのが、彼女達神姫だ。それなのに今では彼女達を強姦し、自分達の物にしようとする輩まで出てきてしまった。

 

「だから・・・許せなかったのだな?」

「今でも思い出します。クズな人達に騙されて、ドロドロにされて、「助けて」って言いながら泣き叫んでいたオリヴィエさん。人質になった僕の代わりに犯されて、泣きながら「見ないで」って叫んだシヴァさんやアモンさん達が・・・うぅ・・」

 

 一体この少年は、どれだけの狂気を見てきたのだろうか。知り合った人達が皆目の前で犯された。優しい彼からしてみればある種の拷問だ。そのようなことを彼は何度も見てきたのだ。

 

「・・・・・・それで犯人達を皆殺しにした後、マスターは私を抱きしめ「ごめんなさい、ごめんなさい。僕達の所為で、ごめんなさい」と泣いて謝っておりました。それで結界は解除したのですが、鎖を解くことはできませんでした」

『封印の鎖は、確実に契約を完了しない限り解くことができませんの』

「ということは・・・」

「はい・・・契約しました」///

 

 先ほどとは打って変わって、顔をトマトの様に赤くするサンダルフォン。機械で強化されようと、やはり感情はあるのだ。

 

『ヤン様は「私は神域の方を調べてみるね」と、空気を呼んでその場から離れて行き、私は『もしも』のことも踏まえてその場に残り、キラ様のお手伝いを・・・』///

「たまに思うのですが、ガイアさんは本当に創造神ですの?」

「そのことに関してはヤンさんもショック受けてたよ」

『失礼な!』

 

 セシリアとキラの言葉にガイアが突っ込む。

 

「それで契約が完了し、何とか鎖を解くことは出来ました。しかしマスターとの契約が気持ちよく感じてしまい、「天使失格です」と言いました。するとマスターが――」

 

 

 

『それなら、僕の天使になって下さい!もう神様の天使は無理でも、僕にとっては貴方が天使に見えるから!』

 

 

 

「――と泣きながら言ってくれました」

「なんという口説き文句ですの?」

「これが泣き落としというものか?」

「・・・・・・」///

 

 サンダルフォンから発せられたキラの言葉に、セシリアとスィーリアは各々感想を述べる。そしてキラはこれまた顔をリンゴのように顔を赤くする。

 

「あの時は本当に救われました。私のために泣いてくれて、さらには私を天使として見てくれたのが・・・」

『アスラン様達は、キラ様のことを泣き虫と称しますが、キラ様と契約した方々は皆さん、キラ様の涙で救われた方々ばかりなのですわ』

「キラさんの涙で?」

『先ほどキラ様は後から刺される自覚は持っていると言いましたが、みなさんその気はまったくありませんわ。人質になった際もキラ様はもう、ボロ雑巾の様な状態で・・・シヴァさんもアモンさんも、自分のために泣いてくれたキラ様が、これ以上痛めつけられるのを見たくないがために、下衆な方々に・・・・・・』

「・・・そうか」

 

 

 サンダルフォン達の話を通して、スィーリアとセシリアは改めてキラが優しい人間なのだと理解した。他人のために泣くというのは簡単に出来ることではない、ソレなのに目の前の少年はそれを平然とやり、そして多くの者達を救ってきたのだ。それはある意味強さでもあり、弱さでもあるが・・・。

 

 

「おっと、私はそろそろ練習に戻る」

「あの、僕も見学して良いですか?」

「かまわないよ」

「それでしたら私も!」

「それでは私は戻ります」

「ありがとうサンダルフォンさん」

「ありがとうございますわサンダルフォンさん」

「私からも礼を言う、為になる話を聞けた」

「いえ」

 

 それでは、と言ってサンダルフォンはデバイスの中に戻った。すると張られていた結界は解除されて、キラ達は馬小屋に向かった。

 

 すると、

 

 

 

「キャアアアアアアアアアーーーーーーーー!?」

 

 

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

 突如悲鳴が聞こえ、3人は悲鳴が聞こえた場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は・・・ちょっとエッチかも。///


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第12話:光とわんわんお!

みなさんこんにちは。

今日は早く投稿することが出来ました!


前回のあとがきでも言いましたが、今回はちょっとエロイです。

まあ何がとはいえませんが。

それでは本編どうぞ!


――IS学園 馬小屋近くの森――

 

 

「キャアアアアアアーーーーー!?な、なんで私がこんな目にイイィィィィィィィィィーーーーーー!?」

 

 ジョストの競技場の近くで、彼女『ベルティーユ・アルチュセール』は逃げていた。

 何にからというと、

 

「グオオォォォォォォ!!」

 

 白い翼を生やした大きな『狼』からだ。

 

(い、一体なんですのあれは!?たしか私はアンとエマと一緒に休憩していましたわ。そしたら後ろから迫ってきている、得体のしれない狼のような生き物が私目掛けて襲って来たのですわ!っというよりも私は一体誰に説明しているのでしょうか?さらにこの展開、前にもどこかで・・・?)

 

 と視聴者にもわかる様に説明をしながらも、一体あれはなんなのかを考えている。

 

(そういえば、少し前からセシリアさんやスィーリアさんから「神様に会った」と聞きましたが、まさかそれが関係しているのですか!?)

 

 いつもは短絡思考な態度を取っているが、今回ばかりは頭の回転がよかったようで、知り合いから聞いた話に関係するのかと結構当たりに近い推測を立てるのだった。とはいえ、推測したところでどうにもならない状況なのだが・・・。因みに言うが彼女達は半分冗談のつもりで言ったのである。

 

「ってキャア!?」

 

 するとベルティーユは道端に落ちていた石ころに躓き、転んでしまう。

 

「いたたた・・・はっ!?」

 

 ベルティーユが咄嗟に振り向くと、あの狼が飛びつこうとしている場面だった。そして一気に狼はベルティーユの上を取り、ジッと彼女を見つめた。

 

「ななななな、なんなのですか!?私を食べても美味しくはありませんわよ!?」

「グルルルルル・・・」

 

 ベルティーユは説得を試みるが、その狼はベルティーユの胸の部分を見ていた。

 

「ガウ!」

 

ビリビリ!

 

「キャアアアーーー!?」///

 

 突如狼はベルティーユの服を破き始めた。あらわになったその二つの果実は、同年代の娘達から見ても大きすぎるほどの代物だった。

 

「グウゥ・・・」

「ひっ!?」

「ガアアァァァァーーー!!」

 

 

「キャアアアアアアアアアーーーーーーーー!?」

 

 

 目の前の狼の咆哮に、ベルティーユはただ悲鳴を上げることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「今の声は!?」

「森の方からですわ!」

「よし、急ごう!!」

 

 そう言ってキラ達は再度悲鳴が聞こえた場所に向かった。少し走って数分、森の空けた場所に出ることが出来た。

 そして3人が見たものは。

 

「グルゥ♪」

「ひゃん♥ど、何処に顔を埋めているのですか!?」///

 

 いろんな意味で美女が狼に襲われていた。しかも上半身は裸で、よく見たら下の方の下着まで脱がされていた。

 

「う、ウワアアアァァァァ!!なんか変な展開になってるぅ!?」///

「な、なんなのですかあの大きなモフモフしていそうな可愛くてカッコいい生き物は!?」

「狼!?だが翼が生えている!?というよりも一体どこから!?」

 

 三者三様であり、キラだけ顔を赤くしている。

 

「ん?良く見たらベルティーユお姉さまではないですか!?」

「なに?・・・確かにアルチュセールだな?」

「二人の知り合いですか?」

 

 襲われている美女の顔を見て、セシリアとスィーリアは知人だと気付いた。初めて聞いた名前にキラは二人に尋ねた。

 

「えぇ、スィーリアお姉さま同様、昔から一緒に遊んでくれた方ですわ」

「さらに『ドイツ代表』で、私と同じジョストをやっている者の一人だ」

「ドイツ代表!?」

 

 目の前で襲われている美女がドイツ代表だと言うことに驚いたキラは、「そういえば」と言って右手を顎に当てる。

 

「確かロイエンタールさんが言ってたような・・・・・・」

「それって月に居た際に、私達のシャワーを覗いていた方ですの?」

「あの秘部に向かって石鹸を投げたら、『ブルルルァァァァァァァァァァ!!』と叫んだ変態な元帥の方か?」

「あぁはいそれで合ってます。っでその変態元帥さんが、親友の人から連絡があって「なにかあればドイツ代表にも相談してみろ。意外と面倒見の良い娘だ」って、股を押さえながら言ってましたよ」

「なるほど」

「まさか二人の知り合いだったとは、思いもしませんでしたよ」

 

 今もベルティーユが狼に襲われていると言うのに、それをスルーして変態だのなんだのボロクソ言っている元帥のことを話した。ちなみになぜロイエンタールがそのような行為をしたかというと、ある種のムードメーカーになる為だった。前世から彼は女嫌いだったのだが、女付き合いもそれなりにしている『プレイボーイ』な存在だった。しかし何時までもそのままでいるわけもなく、手始めに萌えアニメやギャルゲーエロゲーを体験したのだ。しかしベクトルが変な方向に向いてしまい、今じゃどっかの鷹のような生き物の様な性格になってしまったのだ。とはいえ戦術戦略的センスは、衰えるどころかさらに磨きを掛けており、キラ達からも信用も信頼もしているのだ。

 

「っとそんなことよりも、早くあの人を助けないと!!」///

 

「グルゥ」

「あぁん♥も・・・もうらめぇですわぁ♥」///

 

「二人共、なんとかしてあの狼さんをひっぺ剥がして!」

「「なんで!?」」

 

 幾らキラでもあのピンク色の状況は少し耐えられないらしく、すぐさまその場から少し離れた。

 ・・・やり○ンのくせに。

 

「おい作者、てめえ後で覚えてろ?」

「キラさんキャラが壊れてますわ!」

「・・・どうしたものか」

 

 助かなくてはいけないのになんなのだろうかこの状況。そう思ったスィーリアだった。

 

「とはいえこのままでは埒があかない!行くぞセシリア!」

「わかりましたわ!キラさんはバックアップを!」

「了解!」

 

 そう言ってスィーリアとセシリアは、あの大きな狼に近づいた。

 

「お待ちなさい!」

「グルゥ?」

「貴方は・・・セシリアさん!?それにスィーリアさんも!?」

「偶々近くを通った時に、悲鳴が聞こえてきてな?」

「今お助けいたしますわ!」

 

 そして二人はドラグーンを腕だけ展開し、狼をベルティーユからひっぺ剥がそうとした。しかし彼女達の腕以外が毛皮の部分に触れて、上手く力が入らなかった。

 

「も、モフモフしておりますわ」///

「くぅ・・・上手く力が入らない。・・・出来ることならもっと触りたい」///

「セシリアァー、エイントリーさーん、頑張ってくださーい!」///

「・・・あの方どうしてあんなに離れているのですか?」

「君の今の格好が原因でこっちに来ることができないんだ」

「なっ!?これは好きでこうなったのではありませんわ!」///

「それなら今のうちにパンツだけでも穿いて下さいまし!」///

「ガウガウ!」

「おとなしくしてくださいまし!別に貴方を殺すわけではありませんわ!」

「そうだ!教師陣が来る前に君を助けたい!」

「グゥ!?ガアアァァァァァァァァーーーーーーーー!!」

 

 殺すと言う単語を聞いて、突如狼は暴れだした。

 

「グラァ!」

 

ビリ!

 

「ひゃあ!?」///

 

「ガアァ!」

 

ビリ!

 

「なぁ!?」///

 

 狼が暴れた反動で、セシリアとスィーリアの制服までもが破かれた。しかも二人も上半身だけが裸になってしまった。

 

「ガウガウガアアアアアア!!」

「キラさん!」///

「そっちに行ったぞ!」///

 

 二人も手であらわになった胸を隠し、キラに向かって叫ぶ。

 

「くそっ!こうなったらこれを使うしかない!」

「グルアアアァァァァァァァーーーーー!!」

 

 キラとの距離が近くなりと、狼は大きくジャンプしてキラに飛びつこうとした。

 

「ストライク、起動!」

 

 するとキラは即座に自分のISであるストライクを全身に、最新鋭の特殊加工カーボン装甲『ガンダニュウム・フルフェイス(GF)装甲』を瞬時に展開した。

 

ガキン!

 

「ぐぅ!?」

 

 キラは即座に腕を交差し、狼の攻撃を防いだ。防がれたのが理解したのか、狼は翼を羽ばたかせ空に避難する。

 

「・・・やっぱり、あれは『白翼狼』だ!」

「ヤマト、あれを知っているのか!?」

「不動明王さんから聞いたことがあります」

「あなた本当に交友関係広いですわね?」

「すすすすすスィーリアさん、これは一体どういうことですの?」

「後で説明する、少し落ち着いてくれ」

 

 なにがなんなのか解らない状況にベルティーユは頭がパンクしそうになるが、スィーリアが説明すると言って落ち着かせる。

 

「グアアアアァァァァァァァ!!」

 

 そんなことをしていると、空に避難していた狼がスピードを上げてキラに特攻をかけた。

 

「くそっ、それなら!」

 

 するとキラは特攻してきた狼の両前足を掴み、後に倒れながらストライクの右足を狼の右太ももの付け根に当て、後に向かって投げた。所謂巴投げだった。投げられた狼はついにお腹を見せ、その隙を突いてキラは一気に上に乗った。

 

「ガウ!?」

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!」

 

 ストライクを解除したキラは、雄たけびを上げながら右手を振り下ろした。

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナデナデナデナデ

 

「うわぁ、本当にモフモフしてる♪」

「クゥーン・・・」

 

 

 

 

 

「「「だぁー!?!?」」」

 

 

 ズデーン!

 

 キラは狼のお腹を優しく撫で始めた。撫でられている狼は気持ち良さそうにしており、その光景を見た3人はど派手にすっころんだ。

 

「き、キラさん何をやっておられるのですか!?」

「え?狼さんを説得するにはこうした方が良いかなって?」

「確かにそうだが、もう少しやり方が・・・これはこれで」///

「もうなにがなんだかわかりませんわ・・・」

「皆もやる?モフモフしてるよ?」

「「やらせて貰おう!(もらいますわ!)」」

「ええ!?セシリアさん!?スィーリアさん!?」

 

 キラからやらないか?と言われたセシリアとスィーリアは、先ほどのモフモフな感触が良かったのかキラの提案に同意する(勿論胸を隠しながら)。それをみたベルティーユはありえないと言わんばかりに驚いていた。セシリアならまだ良いにしても、まさか嘗ての学園で生徒会長をしていながらジョストの腕も最高クラスだったスィーリアが、あのモフモフしていそうな狼に触りたい等と、一体誰が思ったのだろうか?

 

(このような場面を貴弘さんや美桜さん達がお見えになったら、一体どう思うでしょうか?今日ノエルさんが用事で助かりましたわ)

 

 ベルティーユは内心で嘗て学園で出会った者達のことを思い出し、今の状況を見たらどう思うだろうかと考えた。

 

「ベルティーユお姉さまもどうですか?」

「なんで襲われた私までしなければいけないのですか!?」

「良いのかアルチュセール?モフモフしているぞ!?ふさふさしているぞ!?テディベアとまではいかないが可愛いぞ!」

「貴方本当にスィーリアさんなのですか!?完全にキャラが壊れておりますわよ!?」

「クゥーン・・・」

「何故貴方までこちらを見るのですか!?私にされたいのですか!?」

 

 ベルティーユは珍しく、彼女達にツッコミを放った。しかし狼を見ると、彼女にも触って欲しそうに見ていた。

 

「・・・はあ」

 

 とため息を吐きながら、ベルティーユは狼に向かって足を動かした。

 

 

 数十分後

 

「えっとはじめまして、キラ・ヤマトと言います」///

「初めましてですわね。私はベルティーユ・アルチュセールと言いますわ。貴方のことは、セシリアさんとスィーリアさんから聞いておりますわ」///

 

 我に戻ったキラは何とか狼を説得した後、顔を赤くしながらベルティーユと自己紹介した。なぜなら彼女達は今上だけ裸になった状態なのだ。一応キラが拡張領域から予備のブレザーをあげたのだが、彼女達は二つの実が比較的に大きいのでそれが強調されて目のやり場にこまるのである。

 

「それでこの狼さんは一体何故、私を襲ったのでしょうか?」

「そうですわね。それにキラさんが先ほど白翼狼と言っておられましたが、一体どのような生き物なのですか?」

「僕も聞いた限りですけど、心のある悩める人を助ける幻獣だって聞きました。逆に心が汚れている人には完全に見向きもしないとも」

「優しい幻獣なのだな?」

「ですが私悩みなどありませんわよ?確かに此処最近はISのことばかりでジョストをすることが少なくなって来ましたが、それでも自分の意思で此処にいるのですから悩むことでもないですわ」

「でしたら一体?」

「クゥーン・・・」

「・・・え?」

 

 何故ベルティーユの元にやって来たのかは解らない状況で、狼は切なそうに鳴いた。

 

「『ご主人を見つけた』?」

「「「え!?」」」

 

 突如キラが放った言葉に、三人は驚いた。

 

「キラさん、まさかその狼さんの言葉が解るのですか!?」

「うん。この狼さんみたいな幻獣さんにも沢山会ってきたから、次第にわかるようになってきたんだ」

「無茶苦茶ですわね貴方は?」

「よく言われるけど、アスラン達もできるよ?」

「・・・私も出来るだろうか?」

 

 普通の人間じゃ出来ないことを平然とやるキラに、セシリアとベルティーユはあきれ果てていた。因みにスィーリアは自分の馬であるリヒトを思い出しながら、自分も出来るかと呟いていた。

 

「どうして私が貴方の主なのですの!?」

「クゥーン・・・」

「『光を見つけた』って言ってます」

「光?」

「『優しい光が、宿ってる』っと」

 

 狼が言った光に、ベルティーユとセシリアはどういうことなのか解らなかった。するとスィーリアが「もしや・・・」と推測を立てた。

 

「アルチュセールも、私達と同じ力が宿っているのでは?」

「力?」

「ガウ!」

「『そう!』って言ってます」

「どうやら正解みたいだな」

「ちょっ、一体どういうことですの!?」

「はい。実は・・・・・・」

 

 キラとスィーリアとセシリアは、ベルティーユに詳しく迅速に神姫達のことを説明した。勿論それだけじゃ信じることは出来ないので、一時的にガイアを呼び出して見せることにした。それにはベルティーユも驚いたが、今日だけでありえないことが沢山起きたので信じるしかなかった。

 

「・・・まだ色々納得できてはおりませんが、とりあえずはわかりましたわ」

「今はそれで良いですよ。でも困ったな、こうなった以上ベルティーユさんもなにかに巻き込まれる可能性がありますよ?」

「そうなのですか?」

「私達は自分の意思でこちらに来ましたが、ベルティーユさんはある意味知ってしまったということですから」

「まだ目覚めてないとしても、力があると解った以上何らかの組織に狙われる可能性も高いな」

「ど、どうするのですか!?私が狙われてしまうということは、アンとエマも狙われるのと同意なのですよ!?」

「えっと・・・?」

「ベルティーユお姉さまのご友人達ですわ。前に居たウィンフォード学園からずっと、お姉さまを慕っておられているのですわ」

「そっか・・・。とはいえベルティーユさんが力を持ってるって知ったのは今日だし、僕の機体のレーダーで探りましたが誰も見ていませんでした。ステルスの類もありません」

「・・・それを聞いて安心しましたわ」

 

 この状況を自分達以外に見られていないと聞いて、ベルティーユはホッと胸を撫で下ろした。

 

「ですがこの狼はどうしましょうか?最初に出てきた際に、私以外でアンとエマにも見られておりますから・・・」

「敵意がないのは確かなので、なんとか上手く誤魔化すしかありませんね。楯無さんやアスラン達にも連絡して、彼の身を隠せる場所を探すか、後は・・・・・・」

「どうしましたのキラさん?」

「いえ一応この場でも何とかできる方法があるんですけど・・・」///

「・・・まさか、契約か?」

「・・・はい」///

 

 スィーリアの問いにキラは顔を赤くしながら首を縦に振る。

 

「どうしたのですか?その契約すれば彼をどうにか出来るのですの?」

「できるっちゃあ出来るんですが、多分今の状況だと難しいですよ?」

「は?」

「・・・実はな、契約をするには性的行為をしなくてはいけないんだ」///

「性的・・・まさか!?」

「そうですわお姉さま、お姉さまとあの狼さんがセックスをするのですわ」///

「!!??」///

 

 理解が追いついた途端、ベルティーユもまたトマトのように顔を真っ赤にした。

 

「む、無理ですわ!!私の処女は愛した殿方にしか捧げませんの!」///

「だから難しいって言ったんですよ。そのことに関しては狼さんとも相談しなくちゃいけないし」

「そうだな。身を隠すにしても、最低でも織斑女史に見つからない場所が良いのだが・・・」

「織斑先生に見つからない場所なんて、この学園にありますの?」

「あの方勘は鋭いですから、此処では無理ですわね」

 

 何だかんだ言って織斑千冬はある意味最強の存在。何か隠し事をすればすぐに感付いて探そうとする。いま此処に来ないだけでも奇跡に等しいのだ。

 

「・・・狼さん、その翼は畳むことができる?」

「クゥン!」

 

 キラに翼は畳めるかと言われて、狼は元気良く首を縦に頷き、その白い翼を畳んだ。するとまるでただの白い狼のように翼は無くなっていた。

 

「よし!これならある程度は隠すことが出来る!」

「万が一見つかったとしても、迷い込んだところを生徒会が保護して、飼い主が見つかるまでアルチュセールが世話をしていると言えば」

「わ、私が世話をするのですか!?」

「お姉さまを主と言っておられますし、敵意がないので大丈夫ですわ。勿論会長さん達にも話は通しますわ!」

「・・・・・・私と居たいのですか?」

「ワン!」

(もう犬と同じになったな?)

「はあ・・・わかりましたわ。アンとエマにも言わなくてはいけませんね」

「クゥーン!」

 

どすん!

 

ペロペロ

 

「ひゃん♥何処を舐めているのですか」///

 

 一緒に居て良いと言われて狼は嬉しくなったのか、ベルティーユを押し倒すと彼女のその豊満な実を舐めるのだった。

 

「な・・・なんといやらしい狼さんなのですか!?」///

「なんでも、狼さんまだ子供らしいんだ。生まれたのも昨日で、頭の中で「光を持った、心良き主人を見つけよ」って言われたんだって」///

「・・・つまりあの大きさでまだ子供なのか!?」///

 

 

 

 

 大人になったら、一体どれだけ大きくなるのだろうかと思った3人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでこっちのことを知っちゃった、ベルティーユさん達です」

 

「「「宜しくおねがいします(わ)」」」

 

「ワン♪」

 

 

 

『本当にどういうこと!?』

「・・・・・・そうか」

 

 

 

 

 

 

 




次回はついに、彼女が出てきます!


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第13話:襲来(したわけじゃないけど)中国代表候補生!

機体名:ドラグーン
主なパイロット:セシリア、スィーリア、ベルティーユ、ノエル、ポプラン、コーネフ、フォルセティ、タナトス等
固定武装:
ミトゥムビームバルカン×2


基本兵装:ほぼストライクと同じ


備考:
女神製の量産型第5世代IS。性能はストライク等に匹敵する程の高性能で、男でも乗れるように改良されている。量産型ということでやられ役だと思われ勝ちだが、乗ってる者達は皆充分すぎるほど練度があり、その力を最大限に発揮している。ちなみにモデルはドラグナーのドラグーンとSEEDのウィンダムとなってる。


ロングレンジストライカー:
連装ミサイルランチャー×4
精密標準用センサー
サーモスコープ
ロングレンジライフル レーヴァテイン


ポセイドンストライカー:
フォノンメーザー砲
三叉槍 トリアイナ
テイルエクステンション
魚雷キャニスターポッド
エネルギー偏向装甲ゲシュマイディッヒパンツァー
偏向ビームライフル ヒュドラ
誘導魚雷ポッド×2基
ビームピック×2




他にもあります。




 

―翌日―

 

「あ~なんかすっげえ久しぶりな感じがする」

「そうだな」

 

 朝の教室内で、デュオとアスランはそうぼやいていた。

 

「それにしても白翼狼か。不動明王から聞いたことはあるが、まさかこんなところで出会うとはな」

「しかも惚れたのが、ドイツ国家代表のベルティーユ・アルチュセールと来たもんだ。あの元帥曰く腕は確からしいしな」

 

 あのロイエンタールの友人が認めた人物、おそらくソレ相応の努力をして来たのだろう。でなければドイツ代表、それも前世からロイエンタールの親友である彼が認めるはずがないのだ。

 

「それでデュオ、会長はなんて言ったんだ?」

「とりあえずはキラ達が言った通り、生徒会が保護してあのベルティーユのお穣が世話するってことにしたらしいぜ」

「そうするしかないな。あながち間違いではないのが幸いだが・・・」

 

 とアスランとデュオが話していると、ヒイロとキラとセシリアが教室に入って来た。

 

「おはようアスラン、デュオ」

「おはようございますわ」

「・・・」

「おっす!」

「おはよう」

 

 お互い挨拶をすると、各々自分の席に着いた状態で話し合うことになった。

 

「しっかしキラ、お前の周り段々と金髪のねえちゃんが増えていくな?」

「確かにな。セシリアとスィーリア先輩もそうだが、今度はベルティーユ先輩も含めて結構な数だな?」

「そうですわね?」

「そうかな?僕はあんまり考えたことは無かったけど?」

「いやいや、他にもいるだろ?ガヴリエルとかサンダルフォンとかアリアンロッドとかいるじゃねえか!」

「・・・・・・よくよく思えばそうだね」

 

 自分の周りには結構金髪の人が多いと初めて知ったキラ。

 

「それでキラ、あの狼とお穣たちはどうなったんだ?」

「ルームメイトがアンさんとエマさんだってこともあって、狼さんもなんとか受け入れられたよ」

「色々驚いておりましたが、大丈夫ということで心を開いてくれましたわ」

「適応能力あるな?」

 

 キラとセシリアの話を聞いて、デュオはベルティーユの友人達にそう感想を述べた。

 すると、

 

「その情報、古いよ!」

 

『?』

 

 突如廊下の方で声が聞こえて来たが、もうすぐ教師達が来るので準備をした。

 その数秒後、千冬が教室に入りSHRが始まった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―IS学園 食堂―

 

「さてと、何処で食べよっかな?」

「余り空いているところがないからな」

 

 食堂のおばちゃんから昼食を受け取った後、キラ達は何処に座ろうかと席を探していた。しかし混雑していたためか、何処を探しても満席状態だった。

 

「おーい皆!こっちだ!」

「ん?一夏!」

 

 自分達を呼んだ方向に向くと、そこには一夏と箒、ツインテールの少女が座っていた。すかさずキラ達もそちらに向かい、全員座ることが出来た。

 

「そういやなんだかんだで自己紹介出来てなかったな?こいつは篠ノ之箒、俺の幼馴染だ」

「・・・どうも」

「はじめまして、僕はキラ・ヤマト」

「アスラン・ザラだ」

「・・・ヒイロ・ユイ」

「デュオ・マックスウェルだ」

「セシリア・オルコットですわ」

「よろしく。私の事は名前で呼んでくれ、それと敬語も要らない」

「わかったよ箒。それで一夏、そっちの子は?」

「はじめまして、今日付けで2組に転校してきた『凰鈴音』よ、鈴で良いわ。これでも中国代表候補生で2組のクラス代表よ」

「んで俺のセカンド幼馴染なんだ」

「セカンド?」

 

 何故セカンドなのか頭に?を浮かべるキラ達。

 

「箒の入れ替わりで来たんだよ。だからセカンド幼馴染なんだ」

「そうなんだ。あっ因みに凰さん、セシリアはイギリス代表候補生なんだ」

「へ~、じゃあ強いの?」

「勿論ですわ!っと前の私なら言っておりましたが、キラさん達と戦って自分等まだまだだと痛感いたしましたわ」

「え、なに?もしかしてヤマト達って強いの?」

「あぁ、おれもデュオにボコボコにやられたからな・・・」

「まあ俺たちも色々経験して来たからな。それなりにはできるつもりだぜ」

「なにそれ怖い」

「大丈夫だよ。クラス代表は一夏だから」

「なにが大丈夫なんだよ?!」

「それと一夏」

「ん?」

「絶対優勝してデザートフリーパスを手に入れてよ。じゃなきゃ筋○バスターかけるから」

「それなんて脅迫!?」

 

 クラス対抗戦で優勝した組はデザートフリーパスが貰えるということを思い出し、キラは一夏に漫画界でも有名な必殺技をかけると一夏に脅迫した。キラは大の甘党であり、自分が食べようとしたケーキが食べられたら例え神様であろうと地獄を見せる程好きなのだ。実際にキラが楽しみに取っていたチョコレートケーキを食べてしまった、破壊神Sさんは『あれは本気で死ぬかと思った』と震えながら語った程である。

 

「キャースィーリア様よ!」///

「嘘でしょ!?」///

「本物だわー♥!」///

 

『ん?』

 

 突然黄色い悲鳴が響き、全員その方向に向いた。そこには多くの女生徒達が集まっており、その中心にはこれだけの野次馬が出来るほどの美貌を持った女性、スィーリアが食堂に入って来た。

 

「なんだエイントリーさんか」

「知り合いか?」

「私の義理の姉妹ですわ。イギリス代表なのですよ」

「うそ!イギリス代表!?」

「えっと・・・それってすげえの?」

「オイオイオイ」

「・・・素人だな」

「何処のグラップラーネタよ!?」

 

 国家代表なんだから普通はその国の代表だと解るはずなのに、一夏はそれって凄いのと質問した。それに対してキラとヒイロは某格闘漫画に出てくるモブみたいなことを言い、それに反応した鈴がツッコミを入れた。

 

「そりゃあすげえだろ。国の代表なんだから」

「へえ・・・つうかキラ達も知り合いなのか?」

「キラはセシリアとスィーリア先輩と同室なんだ」

「なっ!?大丈夫なのか?」

「ソレに関しては分をわきまえているから大丈夫だよ」

「そうですわね。仮に私達の着替えを見てしまってもちゃんと謝罪いたしますし、レディの扱い方も慣れておられるようですし、邪な気持ちもまったくありませんわ。顔を赤くしておりましたが」

「どっかの誰かさんとは違うわね?」

「そうだな・・・」

「ん?」

「「はあ・・・」」

 

 セシリアの口から出たキラとの生活に、鈴と箒は一夏を見ながらため息を吐く。

 

「・・・凰さんって一夏のことが好きなの?」

「なっ!?そそそそそんなわけないでしょ!?」///

《納得した》

「そうだぜ?俺と鈴はただの幼馴染だぞ?」

「・・・・・・ふん!」

 

 一夏の鈍感さに鈴は頬を膨らませながら顔を逸らした。これだけでもうヒイロ以外は気付いた。

 

「君達、ここに居たか」

 

 そんなことを話していると、昼食を持ったスィーリアがキラ達の元にやってきた。

 

「エイントリーさん」

「隣良いだろうか?」

「おう、キラの隣が良いなら代わるぜ?」

「良いのか?」

「かまいませんよ」

「・・・・・・」

「ヤマトは良いか?」

「はい、大丈夫です」///

 

 キラからも許可を貰い、スィーリアはデュオと代わる形でキラの隣に座った。

 

「キャー!!スィーリア様が男性操縦者達と一緒にいるわ!?」

「スィーリア様の隣にいるのって、ヤマト君じゃない?」

「羨ましいわ!スィーリア様の隣にいられるなんて!!」

 

 スィーリアのファン達は皆、彼女の隣にいるキラ達を見て羨ましがっていた。

 

「それとヤマト、私のことはスィーリアで構わない」

「えっ、良いんですか?」

「名前で呼ばれる方が慣れているからな、前の学校でも親しい者達は皆私を名前で呼んでいたしな」

「解りました。それなら僕も名前で呼んでください」

「あぁ、ありがとうキラ」

「それなら俺たちのことも名前で呼んでくれ」

「解った」

 

 周りのことはお構い無しに、キラ達はスィーリアも入れて話し合った。

 

「それとスィーリアさん、こちらが一夏と箒で、向こうに居るのが今日2組に転校して来た鈴です」

「どうも、織斑一夏です(すっげえ美人だな)」

「篠ノ之箒です(この人、強い)」

「えっと、中国代表候補生の凰鈴音と言います。今日2組に転校してきました」

「よろしく頼む。君達の事はキラ達から聞いてる。凰は生徒会長からだがな」

「そうですか」

 

 スィーリアが鈴のことを知ったのは一昨日、キラ達との訓練をする前だった。その際に楯無から中国から転校生が来ると伝えられたのだ。

 

「なあキラ、スィーリア先輩って強いのか?」

「何言ってるのですか一夏さん?代表なのですから強いに決まってるでしょ?」

「悪い、言い方間違えた!キラ達から見て、先輩はどう強いのかなって?」

「あっ、そういうこと」

 

 一夏の言いたいことが解り、キラは「う~ん」と頭を捻りながら考えた。それを見たスィーリアは、どういう質問が返ってくるのか緊張していた。

 

「・・・・・・僕が言うのもなんだけど、『化け物』だね」

『!?』

「昨日(僕のストライクと)一度だけ模擬戦をしたんだけど、(慣れない宇宙でありながら)段々と僕の動きに付いてきて怖かったよ(リミッター付けてたけど)。セシリアもそうだけど、スィーリアさんは天才でありながら努力家だ。(このままいけば)僕じゃ勝てないかな」

「キラ・・・」

 

 実は昨日、狼をベルティーユに預けた後、キラはスィーリアと宇宙で模擬戦をしたのだ。その中で一番キラが驚いたのは、彼女のキラに対しての対応の早さだった。キラの戦闘スタイルは、高機動で動き、どんな距離でも戦う全距離対応型だ。それは一対一であろうと一対多であろうと変わりは無い。実戦経験に関してもあからさまにキラに軍配が上がる。そんなキラをリミッターを掛けたストライクとはいえ、スィーリアはキラに食らい付いたのだ。しかも彼女だけじゃない、セシリアもそうなのだ。神姫や機体の性能云々で、彼女達は異例の速さでキラ達に追いついているのだ。このままいけば本来の機体に乗ったキラ達とも一緒に戦えるぐらいになるだろう。

 

「へ~、やっぱり代表って凄いんだな?」

「当たり前だろ一夏?代表候補生もそうだが、代表は国そのものを背負って日本に来ているんだぞ?」

「そう。血の滲むほどに努力して、他の者達と競い合い、国や政府の偉い人達から信用も信頼もしたからこそ専用機が託されて、こんな風に色んな人から慕われたり憧れの対象になったりするんだ」

「男性のIS操縦者だからっていう理由で、専用機を貰ったお前とは見てる世界が違うんだ」

「うっ・・・」

 

 デュオから事実を言われて、一夏はグゥの音も出なかった。

 

「なあキラ、俺にISの使い方を教えてくれないか?」

「う~ん・・・そうしたいのは山々なんだけど、今ちょっと用事が出来ててね。たまにならば良いけど」

「本当か!!」

 

 たまになら良いと言われた一夏は、嬉しそうに立ち上がる。

 しかし、

 

「何を言ってる!?一夏は私が鍛えるといったハズだ!」

「専用機を持ってないあんたがなに言ってるのよ?一夏の面倒は私が!」

「君2組でしょ?クラス対抗戦がある前に機体を見せるのは不味いんじゃない?」

「うっ・・・」

 

 キラの言うことはもっともだ。鈴は2組の代表であり、中国代表候補生だ。勿論専用機だってあるし、実力は折り紙付きだ。対する一夏はISに触れたばかりの素人であり、キラ達が辞退した所為もあり一組の代表になっただけ。専用機も実験的な意味で貰った機体だ。それがクラス対抗戦の前から一緒に訓練したとなれば、敵情視察かスパイだと勘違いされても仕方が無いのである。

 

「そうだヤマト。先ほど山田先生が、新型パッケージが届いたと言っていた」

「完成したんですね?解りました、後で行きます」

「パッケージ?」

「IS専用の換装装備だよ。量産機には全部、一部の専用機にも取り扱われているんだ」

「へ~、じゃあ鈴やセシリアの機体にもあるのか?」

「勿論あるわ。と言ってもまだ開発してる途中だけど」

「私のブルーティアーズにもありましたが、今はある理由でお姉さまの機体と一緒に手元にありませんの」

「え!?大丈夫なのそれ?」

「大丈夫ですわ。代わりに私達は、キラさん達の企業が作った量産機を持ってますので」

「なんですって!?」

 

 セシリアの言ったことに、鈴は立ち上がりながら叫ぶ。それはそうだ、国家代表と代表候補生が、別の国の企業が作ったISに乗るなんて非常識にも程があるのだから。

 

「勿論イギリス政府の方々には許可を貰っておりますし、私達の専用機も技術を提供する代わりに此方と合併し、委員会には報告しないことを条件にキラさん達に見てもらってますの」

「キラ達の企業で造られた機体は、例え量産機であろうと現状の専用機以上に強力だからな。私たちも最初は振り回されていたが、やっと慣れてきたところだ」

「うそでしょ!?量産機が専用機より強力なんて・・・」

「・・・凰鈴音、専用機と言えば聞こえは良いが、実際は試作機だ。試作機というのは量産機を作る際の過程に過ぎない」

「で・・・でも、アニメとかじゃ量産機ってやられ役みたいな扱いでしょ?」

「まあやられ役っていうのはあながち間違っちゃいねえが、その言い方はやめろ(量産機に乗ってた俺たちもいたたまれねえ)」

 

 鈴の言ったことも間違いではないが、その量産機たちに乗っていた人達も大切な者の為に戦って来たのだから、悪く言われたらデュオ達もいい気にならない。

 

「確かにそう思われても仕方ないけど、量産機は試作機で得られたデータを元に、新しい技術を取り入れながらも大量生産できるように、出来るだけコストを削減して色んな工程をクリアしてできるんだ」

「おもな奴が打鉄とかラファールだろ?」

「あれ等は確かに第3世代には劣るが、元々は第1世代の機体のデータを生かして作られたんだ」

「・・・言われてみれば、確かにそうよね」

 

 中国代表候補生になってから鈴は、ISに関して色んなことを学んだ。その中にはもちろん専用機と量産機の違いも載っていたが、詳しいことまでは見なかったので、彼女の中では『量産機=弱い』という方程式になっていた。

 

「それに量産機だって乗る人しだいで強くなるしね。ヒイロもデュオもそうだし、今ならセシリアやスィーリアさんもそうだからね」

「・・・・・・なにがなんだか解んないだが?」

 

 ずっと置いてけぼりだった一夏は、キラ達が何を言ってるのかちんぷんかんぷんだった。

 

「速い話が、量産機だからって別に専用機に負けるわけじゃないってことだ」

「は~、なるほど」

(ぜったい解ってないなコイツ)

「さてと、それじゃあ僕達は先に行ってるね」

「って何時の間に!?」

 

 自分たちよりも遅く来たのに、いつの間にか昼食を終えていたキラ達。ふと時計を見ると、もうすぐで昼休みが終わることに気が付き、一夏達も急いで食べることにした。

 

 

 

 

 

 結局時間ギリギリで来てしまい、一夏と箒の頭に千冬の出席簿が振り落とされた。

 

 

 

 

 

 




みなさんこんにちは。


金曜日にダイバーシティに行って、ガンダムのプロジェクションマッピングを見て涙を流し、土曜日にクレヨンしんちゃんの映画を見て、その後仕事で忙しい父を置いて家族みんなでカラオケ(しかも全部アニメ・ゲームソング)を、夜の1時くらいまで歌っていた作者です!

今回は鈴ちゃんが登場しました(なんか無理やり感があるけど)。

次回はまたしんちゃんの方になります。

それでは。


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アフターストーリー:英雄以上に英雄な5歳児

皆さんこんにちは。

此処最近喘息とか風邪が出てきつかった作者です。

今回は前回も言ったしんちゃんの方です。

それではどうぞ。


 

―キラside―

 

「はいどうぞ。粗茶ですが」

「ありがとうございます」

「いただきます」

「これが俗に言う緑茶ですのね?」

「そんな良いもんじゃないけど~」

 

 げんこつ!

 

「余計なことを言うな!」

 

 みなさんこんにちは、キラです。今僕はしんちゃんの家でお茶を貰ってます。

 

「たや!」

「お~ひま起きたか~」

「たたやたや」

「おはようひまちゃん」

「た?たやー!」///

 

 僕を見たひまちゃんが、まるで短距離走の金メダリストも顔負けな程のスピードで僕に抱きついた。

 

「こらひまわり!」

「大丈夫ですよみさえさん。ひまちゃん、今日も可愛いね」

「えへへへへ」///

「もはや赤ちゃんとは思えないような顔をしておりますわね?」

「兄であるしんのすけもそうだが、妹もただの赤ん坊ではないな?」

「いや~それほどでも~」///

 

「「「褒めてない(ですわ)」」」

 

 しんちゃんに対してセシリア達が突っ込みを入れてる間、僕は部屋の周りを見ていた。テレビに飾り棚、玩具箱にテーブルと他の家でも普通に見られるものばかりだ。

 

「・・・ん?」

 

 ふと僕は飾り棚の上にあるものを見つけた。そこにあったのは、一振りの短刀だった。

 

「どうしたのキラ君?」

「あの棚の上にある短刀が気になってね」

「!?」

「そういえばそうですわね?あれだけは何故か他のものとは雰囲気が違いますわ」

「そうだな。はっきり言って失礼だが、今の時代武家ならともかく普通の民家に刀、それもあのような短刀は無いはずだ」

 

 スィーリアさんの言うとおり、今の時代刀なんて武家屋敷や士郎さん達の家にある道場くらいでしか見れない。それにセシリアも言ってたけど、あの短刀には雰囲気が違う。というか神姫や英霊の人達が持ってる武器みたいな神秘が、少なからず宿ってる。しかも玩具箱の方を改めて見れば、沢山の神秘があの中に入ってる。なんで玩具箱の中に神秘があるのかは解らないけど。

 

「ほうほう流石キラ君、お目が高いですなぁ」

「なんですのその商売人みたいな言い方は?」

「あれはオマタのおじさんからもらったんだゾ!」

「お・・オマタ!?」///

「なんですのそのいかがわしい名前は!?」///

「違うでしょうが!又兵衛さんでしょう!」

「そうともいう~」

「そうとしか言わん!・・・ってしまった!」

 

 さっきまで怒っていたみさえさんは、我に戻ると両手で口を塞いだ。

 

「又兵衛さん・・・それがあの短刀、いや馬手差しをくれた人なのだな?」

「ほい!オラ達が戦国時代に行った時に会ったんだゾ!」

「「「!?」」」

「こらしんのすけ!」

 

 しんちゃんからとんでもないワードが飛び出し、みさえさんはすぐにしんちゃんの口を両手で塞いだ。

 

「・・・なるほど、戦国時代か」

「も・・・もうこの子ったら、一体なにを言ってるのかしら?そんな夢物語じゃあるまいし」

「大丈夫ですよみさえさん、僕達もそっちには慣れてるんで」

「・・・え?」

「あの馬手差しには、とてつもない神秘が宿っています。それも私やセシリアがもっている武器と同じ神秘を・・・」

「他の方なら子供の戯言だと言いますが、私達自身も体験しておりますし、なによりしんさんの言っていることに嘘が見受けられませんわ」

「っ・・・・・・」

 

 僕達の話を聞いて、みさえさんは少し震えながらしんちゃん達を守るように此方を睨んでいた。・・・・・・うん、家族想いのいい人なんだ。しんちゃんが羨ましいよ。

 

「心配しないでくださいみさえさん。別に聞いたところでなにもしませんよ。あの馬手差しだって、しんちゃん達にとっては大切な物なんですよね?」

「そうだゾ!おじさんがくれた大切な物なんだゾ!」

「たやや!」

「・・・えぇ、そうよ」

「やっぱり、僕もセシリアもスィーリアさんも同じ様に、大切な人から大切な物を託されてますから、気持ちはわかります」

「・・・本当になにもしないの?」

「いたしませんわ。それは私もスィーリアお姉さまもそうですし、神々に誓ってもいいですわ」

「・・・そう」

 

 僕達が敵じゃないと解ったのか、みさえさんは警戒心を解いてくれた。

 

「もう母ちゃんは心配性なんだから」

「そりゃあいろんな人達から狙われたらそうでしょ?」

「すみません、失礼なことを言って」

「・・・大丈夫よ、もう慣れたから」

 

 それだけしんちゃんが規格外なんだね?

 

「ねえしんちゃん、しんちゃんがどんな体験をして来たのか、聞かせてくれない?」

「お餅をポンだぞ!」

「勿の論ね・・・」

「その代わり・・・」

「ん?」

「お話料いちおくまんえん!ローンも可!」

「このお馬鹿!」

「う~ん今手持ちが少ないからな~、ローンで良い?」

「え!?」

「ん?」

「オラ、冗談のつもりで言ったんだけど?」

「うん、知ってる」

『だぁー!』

 

 あれ?なんで皆ずっこけたの?誰だって今のは冗談だと思うけど?

 

「う~ん・・・じゃあハイグレ魔王のことから!」

「ハイグレ魔王?」

「またいかがわしい名前ですわね?」

「一体どんな人なの?」

「いい質問ですね?」

「池○彰ですか貴方は!」

 

 おぉ良いツッコミだねセシリア。

 

「ハイグレ魔王は、ハイグレ星人って言う宇宙からやって来たオカマの宇宙人なんだゾ!」

「「「オカマの宇宙人!?」」」

 

 えぇ!?魔王だからサタンさんとかみたいな人かと思ったら、まさかの斜め上から攻めてきた!?宇宙人ってだけでも凄いのに、さらにそれでオカマなんて、ヤンさん達が聞いたらある意味驚くよね?

 

「でね、ハイグレ魔王は地球にいる人達を皆ハイグレ人間にする為に、宇宙からやって来たんだゾ!」

「そもそもハイグレとはなんですの?」

「・・・簡単に言えばハイレグのレオタードのことよ」

「それって水着や下着に使うものの?」

「そうよ」

「ハイグレ人間になった人達は皆『ハイグレ!ハイグレ!』ってしちゃうんだゾ」

「なんだそのショボイ野望は?」

「まあジュ○ル星人よりかは何十倍もマシですけど」

 

 世の中には士郎さん達の世界みたいに、救いようの無いクズが嫌というほどいたり、あの時は言えなかったけどガイアさんや色んな神様を奴隷にして、世界を崩壊させようとする人間だっていた。それに前世のあの世界だって、もう核やそれ以上の殺戮兵器を使った戦いになって、危うく地球に撃たれようとしていた。はっきり言ってそのハイグレ魔王の方がどれだけ優しいだろうって、この時僕は思った。

 それからもしんちゃんの話を聞いていくと、とんでもないことばっかりだった。

 

 しんちゃんと瓜二つの王子と、ぶりぶり王国に隠された二つの魔人。

 

 ドラえもんよりも先の30世紀から来た、タイムパトロールと一緒に歴史の修正。

 

 ヘンダーランドと呼ばれるテーマパークと、地球を侵略するためにやってきた魔法使い。

 

 ひまちゃんが飲み込んでしまった、魔神を封印するためのタマをめぐる戦い。

 

 二つの組織としんちゃんが作った、救いのヒーロー『ぶりぶりざえもん』を使ったウイルス。

 

 温泉が大好きな組織と温泉が大嫌いな組織、そしてしんちゃんと一緒に入った『金の魂の湯』の精霊さん。

 

 大人たちを救出するためにやってきたジャングルと、ジャングルの支配者であるパラダイスキングと猿達。

 

 大人だけの組織『オトナ帝国』と20世紀博、イエスタディ・ワンスモアのリーダーであるケンとチャコ。

 

 歴史の修正とは違い、何故かやってきてしまった戦国時代と、そこで出会った侍とお姫様。

 

 有限会社『スイート・ボーイズ』の陰謀と、焼肉が食べたいが為に駆け抜けた熱海。

 

 西部劇の映画の世界と、そこで出会った少女『つばき』ちゃん。

 

 カップラーメンとかムスカとかウルトラマンみたいな、たった3分だけの怪獣退治。

 

 『春日部都市伝説』と『世界サンバ化計画』。コンニャクで出来たクローン人間とサンバが大好きな女性。

 

 シロのお尻に付いた、地球を破壊するほどの強力な爆弾。

 

 暗黒の世界から来た『アセ・ダク・ダーク』と『金の矛』と『銀の盾』。謎の少女『マタ・タミ』とシロそっくりの犬『クロ』。

 

 新しい町長になった『四膳守』による『人類動物化計画』と、動物になった野原一家。

 

 隕石によって海が出来た、ウラ○マンみたいな名前の未来の春日部『未来都市ネオトキオ』。そして未来のしんちゃんとその花嫁である『金有タミコ』。

 

 スパイとなったしんちゃんと、ヘーデルナ王国が作り出した『メガヘガデルⅡ』とスカシぺスタン共和国の文字通り臭い陰謀。

 

 地球の兄弟星である『ヒマワリ星』と、そのお姫様になったひまちゃん。

 

 B級グルメとA級グルメ、そして秘伝のソースと焼きそば。

 

 『ロボとーちゃん』としてロボットになってしまった『野原ひろし』さん。家庭での立場が弱くなってしまった日本の父親達の復権を目論む『父ゆれ同盟』。

 

 メキシコへの引越しに、人食いサボテン『キラーサボテン』。

 

 夢の中に現れた不思議な世界『ユメミーワールド』と、友達になった『貫庭玉サキ』ちゃん。

 

 宇宙から襲来した宇宙人『シリリ』と、父親である『チチシリ』の『人類バブバブ化計画』。

 

 人を凶暴化させる『ブラックパンダラーメン』と、伝説のカンフーである『ぷにぷに拳』。

 

 

「・・・これでおしまいだゾ!」

「「「・・・・・・」」」

 

 本当にしんちゃんはすごい。下手な英雄よりも英雄だ。こんなの士郎さんや切嗣さんが聞いたら絶対羨ましがるよ。というよりもしんちゃんがあの世界に行ったら、間違いなく『封印指定』される。・・・・・・いや、それよりも・・・。

 

「・・・すごいねしんちゃん。それほどにまで色んな人達と戦って、救って、友達になってきたなんて」

「いや~それほどでも~」///

 

 そうだしんちゃんの話を聞いて思ったこと、それはこの歳で『人の死』を見てきたんだ。それなのに今もこうやって笑っていられるのは、それだけ心が強いってことだ。

 

「それにしても、20世紀博の事件の中心にしんちゃん達がいたとはね」

「ということは、20世紀博を改築したのも・・・」

「おそらくはな」

「・・・どゆこと?」

 

 僕達の話を聞いたしんちゃんが、頭に?マークを浮かべながら質問して来たので、僕達は新20世紀博のことを教えた。

 

「やぁねえ?またそんなこと考えてる人がいるの?」

「まだ解りませんが、しんちゃんの話を聞くとおそらく戻流って人もそれを踏まえて買い取ったと思います」

「・・・キラ君達はどうするの?」

「今のところはこの街を散策して、とりあえずどこか仕事にでも就くつもりだよ」

「大丈夫なの?見た感じでまだ高校生みたいだけど」

 

 みさえさんの言うことももっともだ。此処はどうなのか解らないけど、高校生で職を探すというのはそれなりに大変だ。それに関してはヤンさんも言ってたし、やるとしたらアルバイト位しかない。とはいえ、ずっと家にいるというのは少しあれだし、かといってまた学校に行くのも少し酷だ。

 

「そこはまあ何とかしますよ。お金は色んな人達から貰ったから大丈夫ですけど、それでも何もしないのはちょっと・・・」

「私は今年で20になるから、仕事を探すことは出来るだろう。キラとセシリアからパソコンの扱いを教えてもらったから、事務作業は出来るはずだ」

「あとは何かの免許も必要ですわね?」

「・・・結構考えてるのね?」

 

 そりゃあヤンさんから色々教わりましたからね。

 

「そろそろ夕方ですし、僕らはこれで失礼しますね?」

「そうなの。ごめんなさいね、なにも用意できなくて?」

「いえ、しんちゃんの話だけで満腹ですから」

「えっへん!」

「あんたは威張るな!」

「うふふっ、こんど来た時は何かお菓子でも持って参りますわ」

「おぉ!セッちゃん太もも~!」

「なっ!?失礼ですわね!」///

「それを言うなら太っ腹でしょ!」

「しんのすけ、それは他の女性には絶対に言ってはいけないぞ?」

「ほほ~い!」

 

 それではと言って僕達は野原家を後にし、なにか買い物をしてから家に帰った。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―チーターズマンション―

 

 

「ということがあったらしいです」

『マジか・・・・・・』

「・・・なるほど」

 

 あれからキラ達は家に帰り、リビングに集まり今日あったことを話した。その中にはデュオ達だけでなく、大きなディスプレイからヤンやアムロたちもいた。

 

『五歳児でありながら、なんという経歴だ』

「カンフーを習いスパイ活動まで・・・鍛えれば恐ろしい兵士になるな?」

『それに未来のしんのすけ君は、タイムマシーンまで作ったのか。政府やIS委員会の連中が聞けば飛びつきそうだな』

「わかると思いますが、このことは秘密にしておいてください」

 

 こんなこと悪い連中が聞いたら絶対にしんちゃんが狙われる。

 

『勿論言わないよ。というよりもこんな話信じる方が少ないけどね』

『確かに』

 

 普通に考えて五歳児の少年が体験することじゃないしね。

 

《それにしても、まさかあのマカオとジョマを倒したのが、あの少年でしたとは・・・》

 

 今まで黙っていたガイアの言葉に、キラ達は疑問符を浮かべる。

 

「ガイアさんは知ってるんですか?そのオカマ魔女のこと?」

《えぇ。私は会ったことはありませんが、彼らは強力な力を有した『魔法使い』として有名でしたわ》

《それにヘンダーランドも、本来はとある異世界にある一つの国なのよ。ただある時から突然無くなったって聞いたんだけど・・・》

「ということは、そいつ等もデバイスを持ってたのか?」

「いや、魔法を使って異世界に来たのだろう・・・」

《そう考えると、魔法だけならばガイアさん達と同じクラスかもしれませんね》

「魔術じゃなくて魔法か・・・」

 

 キラ達は魔術と魔法がどういったものなのかを知っている。魔術とは、現代科学でもできることを指す。例えば火を使いたいならライターを、水を使いたいなら水道といった様なことを、自らの魔力を使って行うものだ。

 対する魔法は、どんなに金と時間があってもできない、まさに奇跡というもの。例えばガイアの様な『無からの創造』、未来のしんのすけが作った『タイムマシーン』、キラ達がたまに呼ぶアンドロメダの『死者蘇生』、そして『並行世界の運勢』がそれに当てはまる。

 しんのすけの話を聞いた限りだと、そのオカマ魔女は後者である魔法使いだ。それもかなりの規模のテーマパークと一緒に転移したとなると、かなり強大な力を有していたのだろう。

 

「そんな魔法使いを倒したしんちゃんって凄いね」

「あぁ。確かにこんな話あの世界にいる魔術師どもが聞いたら、ぜってえ封印指定にあうな」

「封印指定ってなんなのですか?」

 

 あちらの世界のことを知らないセシリアは、デュオ達に尋ねる。

 

「封印指定っていうのは、とある世界にある魔術教会が決断した、希少能力を持つ魔術師のことだよ」

「・・・奴等は希少な力を永遠に『保護』するというが、実際は名目上だ。下手をすれば、良くてホルマリン漬け、最悪バラバラに解体するだろう」

「「なっ!?」」

 

 それは本当に人間のやることなのだろうか?キラとヒイロからの説明に、セシリアとスィーリアは絶句してしまう。だが確かにこんなことおいそれと言えるものではない。聞いた限りだと彼は、宇宙人と友達になったり、過去や未来にまで行ってる。ということはその魔術教会じゃなくても、悪い人間達から見れば鴨がネギどころか色んな野菜を背負っているように思えるのだ。

 

「・・・・・・とりあえずこの話は内密にね?」

『了解!』

「それじゃあ晩御飯にしようか!」

「そうだな」

「私もお腹が空きましたわ」

「色々まわったからな」

 

 話し合いが終わると、キラ達は早速晩御飯の準備をする。

 

『あっそうだ、大切なことを忘れてた』

「ん?どうしたんですかヤンさん?」

『明日そっちに増援を送るから、彼女達のこともよろしくね』

「え?・・・わかりました」

 

 そう返事をすると、ヤン達との通信は切れた。その後は皆で夕食を食べた後、各々の調べ物をしてから眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―東京 どこかの街―

 

 

 

「・・・やはり動くか」

「・・・どうするの?」

「あの坊主に言うしかない」

 

 東京都のとある街のビルの屋上で、レトロチックな服装をした二人の男女が話し合っていた。

 

「・・・この時代も、悪くはないからな」

「・・・そうね」

 

 

 そして二人は屋上から居なくなり、北の方に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 




次回はまた本編に戻ります。


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第14話:南極とテスト


タイトル思い浮かばなかった・・・。


 

 

―南極―

 

 

『寒い!』

 

 周りが銀色の世界である南極の上に、キラ達は立っていた。あれから授業が終わり、真耶からストライクの新パッケージを貰うと、何処で訓練するか悩んでいた。一応ストライクは見られても大丈夫な機体として作られたのだが、今見られるのも少し不安があるので、ガイアに頼んでこの南極に来たのだった。南極は日本より3時間進んでおり、放課後になったのは4時位なので、此方では午後7時になっているのだ。寒いにも仕方が無い。その言葉を聞いてガイア達は特殊な結界を張り、内部は暖かくなった。

 

「ま、まさかこのような形で南極に来るとは・・・」

「私も南極に来るのは初めてだな」

「私もです・・・」

 

 そもそもよほどのことが無い限りは此処にはこれないだろう。それなのに来れたのはやはり神であるガイア達のおかげだ。

 

「よし、それじゃあ山田先生、データ収集お願いします」

「は、はい。でも、本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。南極にはガイアさん達に頼んで何度か来ましたし」

『私達の力を使えば、それこそドラえもんのどこでもドアの様にどこへだって連れて行くことができますわ』

 

 ガイアの言葉に改めて彼女が神様なのだと理解した女性陣。

 

「・・・わかりました。それではキラ君、機体の方と新パッケージの展開をお願いします」

「了解。ストライク、起動!」

 

 掛け声と同時に、キラはストライクを纏った。その瞬間灰色だった機体色が、白を基調とした青と翠のカラーリングになった。

 

「トリコロールじゃないんだな?」

「丁度良い電圧でこの色なんだ」

「なるほど。本当に変わった装甲だな?」

「・・・よし。次は新型パッケージの換装をお願いします」

「了解」

 

 キラが端末を操作すると、ストライクの背部に大型のバックパック、脚部にハイドロジェット推進ユニット、両脇に誘導魚雷ポッド、右腕にはハンドアンカー、左腕にはビームピックが2本付いたホルダー、腰部には偏向ビームライフルが付いた。そして最後には両手で三叉槍を持った。

 

「換装完了です」

「このパッケージはなんなのですか?」

「これは水中専用のストライカーパック、通称『ポセイドンストライカー』だよ」

「俺たちの世界の技術と、アムロ中佐達の世界の技術を統合して作ったんだ」

「見るからに武装が豊富ですわね?」

「後、キラ君のストライクだけでなく、量産機専用のもあります」

「私達の分もですか?」

「勿論です」

 

 どうぞと言ってセシリアとスィーリアに、ポセイドンストライカーのデータが入った端末を渡す。

 

「所で、ポセイドンストライカーの両端にある、この盾の様な物は一体なんだ?」

「これはポセイドンストライカーの特殊兵装で、『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』って呼ばれる偏向装甲なんだ」

「偏向装甲?」

 

 初めて聞く言葉に女性陣3人は首を傾げる。

 

「僕達の世界にある『ミラージュコロイド』っていうコロイド状の微粒子を応用した、対ビーム防御システムなんだ。原型機とは形状は異なるけど、このシールドの中にある磁場で、ビームを曲げることができるんだ」

「そのようなことが可能なのですか?」

「僕も実際見たときは驚いたけどね」

 

 キラとアスランがこの技術を知ったのは、ヤキン・ドゥーエでの最終決戦の前である。因みにこのゲシュマイディッヒ・パンツァーを、アムロやヤン達に見せたら『この発想は無かった』と言っていた。

 

「勿論この盾自体は実体弾でも防げるようにしてあるよ。深海の水圧にも耐えられるから、このパックに採用したんだ」

「なるほど」

「よし!それじゃあ僕は準備が出来ましたから、先に海に潜って来ますね?」

「そんな体操が終わった後の小学生みたいなノリで南極海に入るな!」

 

 デュオに突っ込まれながらも、キラは南極海に向かってジャンプし、ダイブする形で海に潜った。

 

「私たちも準備をしなくてはいけませんね」

「そうだな」

「・・・着替えるならここでやれ」

「って何時の間に!?」

 

 声を掛けたヒイロの方に顔を向けると、そこには何時の間にかテントを張っていたヒイロがいた。

 

「ありがとうございますわ」

「助かる、ヒイロ」

 

 そう言ってセシリアとスィーリアはテントに入っていった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「凄いですわ!水の中でもこれだけの機動が出来るなんて」

「まるで宇宙空間を飛んでいるときと同じだ!」

「このパックはそう言う風に作られてるんだ」

 

 あれからセシリアとスィーリアも加わり、キラ達は海中での機動テストを行っていた。結果は予想以上に良く、まるで宇宙を飛んでいる時みたいに泳ぐことが出来るのだ。

 

「本当に凄いですわ。南極の海の中ですのに、ISの中は暖かいですわ。それにバックパックを被っただけで、水中でもこれだけの機動が出来るとは・・・」

「さっきも言ったけど、このポセイドンは水中戦を想定したパックになってるんだ。中が暖かいのは、機体が海中の水温を計算して、内部を丁度良い温度にするんだよ。後はこれに換装すると、自動的にOSも変換される仕組みになってるんだ」

「そうか、道理で海の中なのに動きやすいと思ったが、君のOSのおかげなのだな」

「さすがですわキラさん」

「あ、ありがとう」///

 

 自分の作ったOSで喜んでくれた。それはキラにとってはかなり嬉しく、だがそれと同時に恥ずかしくなった。

 

『みなさん、どうですか?』

「予想以上に使いやすいですよ」

『よかったです。それでは、武装のテストをお願いします』

「了解」

 

 真耶の指示を聞いたキラ達は標的になりそうなものを探すと、100m程ある氷山を見つけた。

 

「えっと・・・動物はいないね?」

「ペンギンさんもおりませんわ」

「アザラシやオットセイも居ない、近くに鯨や他の鳥類の反応もない」

「よし、大丈夫だね」

 

 氷山の上と、その近くに生き物が居ないことを確認すると、キラ達はバックパックを被り、氷山にロックオンする。

 

「先ずは誘導魚雷ポッドと魚雷キャニスターポッドから」

「どちらも魚雷みたいですが、何が違うのですか?」

「誘導魚雷ポッドはその名の通りで、相手を追尾する魚雷を発射して、キャニスターポッドの魚雷は無誘導だけど、誘導よりも弾速は速いんだ」

「つまり必要に応じて使い分けることが出来るのだな?」

「はい。それじゃあ試してみよっか」

 

 そう言って、キラ達はロックオンした氷山に向かって、両脇にある誘導魚雷ポッドと、バックパックの両側に付いている魚雷キャニスターポッドの魚雷を発射する。すると100m程あった氷山はたちまち粉々になってしまった。

 

「威力も申し分ないな」

「次はフォノンメーザー砲です。セシリア、ゲシュマイディッヒ・パンツァーを展開しながら動きまわってくれない?」

「展開しながらですの?」

「うん。その方がテストのしがいがあるから」

「わかりましたわ」

 

 キラの指示に答え、セシリアはゲシュマイディッヒ・パンツァーを前に展開しながら、動き回り始めた。するとキラはセシリアにロックオンした。

 

「発射!」

 

 バックパックを被ったストライクの先端から、赤白い閃光がセシリアのドラグーンを『追尾』しながら迫る。

 

「なっ!?」

「追尾するビームですの!?」

 

 曲るビームにスィーリアとセシリアは驚いたが、セシリアのドラグーンはG・パンツァーを展開していたので、メーザー砲は防がれた。

 

「曲るビームなんて初めてですわ。まるで『偏光制御射撃(フレキシブル)』ですの!」

「ビームじゃなくてメーザー砲なんだけどね。これもG・パンツァーの技術を応用して砲身に誘導装置を設置することで、磁場干渉でビームを自在に偏向することができるんだ」

「だが、それだけでは追尾することはできないのでは?」

「後はサンダルフォンさんの技術も借りて、追尾できるメーザー砲を作りました」

「「納得だ(ですわ)」」

 

 サンダルフォンの技術を取り入れたと聞いて、セシリアとスィーリアは納得する。キラ達は神姫達の技術の一部を貰って、一緒に作ったISの設計図を『とある企業』に渡しているのだ。因みに量産機であるドラグーンを作ったのも、その『とある企業』である。

 

「次は偏向ビームライフルだな?」

「こっちはアムロさんの世界の技術を取り込んだ、水中戦専用のビームライフルになってるんだ。アムロさんの世界のビームは、大気圏内では減衰することが多いらしくて、水中では使用不可能に近かったんだ」

「ということは、このビームライフルは水中でも使えるように、ライフル事態の収束率を上げたのだな?」

「そうです」

 

 流石生徒会長の先輩ということもあって、頭の回転は本当に速いスィーリア。彼女は今、三叉槍トリアイナのテストを行っていた。槍を回したかと思えば高速の乱れ突きに薙ぎ払いなど、地上や宇宙と変わらず素早く動きまわっている。これを見ていたキラは、彼女の対応の早さに改めて驚いていた。

 

(凄い・・・なんて対応の速さなんだ。やっぱりスィーリアさんは天才だ。それでいながらいつもやってる鍛錬の成果でもあるんだ・・・)

 

 前の模擬戦でもそうだったように、彼女は本当に凄い存在だとキラは思った。

 

「それじゃあ今度は僕が動き回るから、セシリアは僕に当ててみて?」

「解りましたわ」

 

 それからもキラはセシリアとスィーリアと一緒に、ポセイドンストライカーのテストを続けた。キラは心の中で(スィーリアさんもすごかったけど、セシリアも結構成長してるのが解った。このままいけば、二人はもっと凄い存在になる。だから僕も、二人を守るためにももっと強くならなくちゃ)と決意を固めた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―IS学園 庭―

 

「いや~キラが言ったとおり、お穣は化け物だな?」

「初めての水中であれだけ動けるのはすごいな」

「君達の訓練のおかげだ」

 

 あれから訓練は順調に進み、ほぼ全てのテストはクリアした。その後IS学園に戻ると真耶と別れ、キラ達は今学園近くの庭を歩いていた。

 

「・・・あら?」

「どうしたセシリア?」

「いえ、あそこに誰か蹲っておりますわ」

 

 とセシリアが指を指した場所に全員が顔を向けると、彼女の言うとおり誰かが蹲っていた。近くに来てみると、蹲っていたのは・・・・・・、

 

「鈴?」

「ですわね」

 

 先ほど出会った転校生の、凰鈴音であった。よく見ると、瞳から大量の涙が溢れ出ていた。

 

「どうしたんだ鈴?」

「・・・ひっぐ・・・・スィーリアさん?それに・・・皆も」

「一体どうしたの?泣いてたみたいだけど?」

「それは・・・」

「一夏だな?」

「・・・うん」

 

 アスランの予想に鈴は静かに首を縦に振った。

 

「・・・鈴さん、話してくださいませんか?」

「え?」

「話せば楽になると思いますし、私たちも力を貸すことが出来るかもしれませんわ」

「そうだな。同じ女として、先輩として君の力になりたい」

「僕も」

「俺もだ」

「・・・」

「まっ、美少女が泣いてるのに無視するのは、男としてはあれだしな」

「皆・・・」

 

 

 

 

 

 それから少し考えた鈴は、セシリアの提案に首を縦に振るのだった。

 

 

 

 

 





次回、キラがキレる。


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第15話:涙と怒り


 みなさんこんにちは。

 色々キラとスィーリアさん達とのエッチなシーンを妄想しています。

 それでは本編どうぞ!


 

 

「はい、ココアだよ」

「・・・ありがとう」

 

 あれから鈴達はキラ達の部屋に移動し、事情を説明することにした。といってもすぐに説明できるわけもなく、彼女のタイミングで話した方が良いと思いキラは彼女にココアを手渡した。

 

「・・・おいしい」

「カカオポッドから取って来たのを自作したんだ」

「何処の男性アイドルグループよ!?」

 

 一から自作したと聞いて、鈴は思わずキラにツッコミを入れた。

 

「ありがとう、おかげで元気が出たわ」

「そっか」

「それでは、話してくれますか?」

「うん」

 

 ココアを飲み干した鈴は話せるくらいに元気になり、キラ達になにがあったのかを話すことにした。

 

「・・・あたしね、小学5年の時に一夏の居る小学校に転校して来たの」

「そういえばさっき一夏が言ってたね?」

「うん。でも当時は転校してきたってこともあって、学校では結構いじめられてたの・・・」

「その時に助けたのが、彼だな?」

 

 スィーリアの推測に鈴は「そうです」と頷く。彼というのはいうまでもなく一夏だ。

 

「最初はあんまり仲良く出来なかったけど、あいつと段々接していくにつれて、他にも友達ができて、次第にに好意を寄せるようになったんです」

「そうなんだ」

「でも・・・中学2年の時、お父さんとお母さんが離婚しちゃって、それが原因で中国に引っ越すことになっちゃったんです」

「離婚?」

「あたしの家、中華料理屋なんです。でも女尊男卑の女性を怒らせちゃったってことで、あたしとお母さんを養えなくなっちゃって・・・」

「・・・離婚する形で二人を安全な中国に離したということか」

「そうよ」

「確かに中国は、女尊男卑の世の中で数少ない『男女平等国』だからな」

 

 鈴の言葉でアスラン達は納得する。

 今の世の中ISの影響により、世界は女尊男卑に変わり始めていた。その中でも中国は数少ない男女平等の国なのだ。因みに中国以外ならアメリカとドイツが当てはまる。

 

「それで引っ越す前に、一夏にあたしの思いを言ったの。『料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれる?』って」

「それって・・・」

「味噌汁プロポーズのアレンジ?」

「うん」

「すごいな鈴」

「ありがとうアスラン。中国に帰った後はIS適正が高かったってこともあって、一夏を驚かせることも含めて、中国代表候補になりました」

「だが代表候補になるのにはかなりの実力が必要だ。よほど頑張ったのだな、君は」

「スィーリア先輩・・・」

 

 自分達よりも上に居る存在である、国家代表のスィーリアに褒められて鈴は嬉しかった。

 

「それで少し前に、一夏がISに乗ったって聞いて、あたしもIS学園に行くことにして、漸く一夏に再会して・・・あの時のことを話しました・・・・・・でも」

 

 そう言って鈴は顔を俯かせた。

 

「あの馬鹿・・・『毎日酢豚を、タダで奢る』って・・・あたしの思いを、忘れてて・・・」

「鈴さん・・・」

 

ムギュ

 

「ふぇ?」

 

 涙が溢れ出ていた鈴を、スィーリアとセシリアが優しく抱きしめる。

 

「大丈夫です鈴さん、あなたは悪くありませんわ」

「そうだ鈴、君は悪くない。ずっと思い焦がれた人に、勇気を出して告白した。君は良くやった」

「セシリア・・・スィーリア先輩・・・」

 

 二人の名前を呼んで、今度はキラ達の方に顔を向ける。キラもアスランもデュオも、鈴に「大丈夫」と頷き、ヒイロは腕を組みながら壁にもたれているが、彼も心配していると言うのは理解できた。でなければこんなところにはいない。

 

「皆・・・あたし、頑張ったんだ・・・」

「はい・・・」

「いじめから助けてくれて・・・・一夏が好きになって・・・思いを伝えたんだ・・・」

「そうか・・・」

「今までも・・・・・・辛いこともあったけど・・・・一夏のことを思うと・・・頑張ることができたの・・・」

「うん・・・」

「なのに・・・こんなのってないよ・・・こんなのって・・・・ううぅ・・・うわあああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーん!!」

「鈴さん・・・」

「鈴・・・」

 

 それから鈴は、セシリアとスィーリアに抱きつきながらも、彼女達の胸の中で泣き叫んだ。その姿を見た二人の女性は、優しく彼女の頭を撫でていた。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 そんな中、一人の少年だけは拳を強く握っていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「・・・ありがとうセシリア、スィーリア先輩も」///

「このくらいたいしたことではありませんわ」

「先ほども言ったが、私は同じ女として力を貸したい」

「二人共・・・」

 

 数十分後、自分の悲しみを受け止めてくれたセシリアとスィーリアに、鈴は恥ずかしがりながらもお礼を述べた。その後キラ達の方にも顔を向けて、お礼を言う。

 

「キラ達もありがとう」

「良いさ別に」

「おう」

「・・・・・・」

 

 アスランもデュオも、男として複雑な思いをしながらも鈴からのお礼に答える。ヒイロは無言だったが、お礼は聞こえただろう。

 

「それにしても、織斑ってひでぇ奴だな?」

「まったくですわ!女性の心を傷つけるなんて最低ですわ!Guiltyですの!」

「鈴、彼は昔からそうなのか?」

「・・・はい。実はあたし以外にもあいつのことを好きになった娘はいて・・・でもあの朴念仁まったく気付いてなかったんです。中には「好きです!」ってストレートに言った娘もいるんですけど、「なにが好きなんだ?」って言って・・・」

「なんて男だ・・・」

 

 

 

『・・・すみません先輩。俺、解ったんです。美桜のことが、好きなんだって』

 

 

 

(貴弘も鈍感だと言われていたが、私の思いには気付いてくれた。結果的に振られてしまったが、それでも貴弘の方がマシだな)

 

 鈴の話を聞いてスィーリアは思い人へ告白した時のことを思い出した。

 

 

「・・・・・・」

 

 

 スゥ

 

 

「ヒイロはともかくアスランでもそれ位は解るぞ?」

「あぁ・・・・・・?」

「どうしたアスラン?」

 

 突如アスランは周りを見渡す。それに疑問を持ったデュオがアスランに尋ねる。

 

「キラはどこだ?」

「あり?」

「え?」

「あら?」

「何処にもいないな?」

 

 デュオの質問に答えたアスラン。その言葉にデュオ達も辺りを見回すが、当のキラがいなかった。するといままで黙っていたヒイロが口を開いた。

 

「・・・キラなら先ほど出て行ったぞ?」

「それ早く言えよ!」

「だが一体どこに・・・・・・まさか!?」

「おそらく一夏のところだろう」

 

 ヒイロがキラの言った場所を予想すると、アスランとデュオは顔を真っ青にした。

 

「不味い!キラを止めなければ!!」

「しまった、あいつのことをすっかり忘れてた!!」

「「「?」」」

 

 突如慌てだした二人に女性陣は疑問符を浮かべた。しかし二人の慌てっぷりを見て、尋常じゃないということは理解したらしい。

 

「とにかく行くぞ!」

「そうだな!」

「お二方お待ちくださいまし!?」

 

 セシリアの制止を無視して、アスランとデュオは部屋から出て行った。それを見たスィーリアたちも二人を追いかけるように部屋を後にした。

 

「・・・・・・」

 

 一人残ったヒイロは、ポケットからデバイスを取り出し、ある場所に電話をしたのだった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 部屋から出たスィーリア達はアスランに追いつくと、先ほどからの慌てようを尋ねる。

 

「君達、一体どうしたと言うんだ?」

「そうよ二人共、キラがどうしたの?!」

「なにか恐ろしいことでもあるのですか?」

「あぁ、下手をすれば一夏の命がマジであぶねえ!」

「どういうことですの!?」

 

 デュオの口からとんでもない言葉が飛び出し、セシリアは再度問い掛ける。

 

「キラは昔から人の心を傷つける奴が大嫌いなんだ」

「今までも人の心を傷つけてあざ笑うようなクズを見て、そいつの悪行をツイッターやらなにやらネットにアップして、追い詰めてから『達磨』にして警察に叩き込むんだ」

「だ・・・達磨?」

「四肢を打ち抜いたり切断することだ」

「「「なっ!?」」」

 

 更なるトンでも発言に女性陣は驚くしかなかった。あの少年がそんなことをするのか?まだ出会って間もないが、彼という存在は大体把握したと思っていた、セシリアとスィーリアもありえないと思った。しかしよくよく思えば昨日の話を思い出し、確かにキラならやりかねないと思い始める。

 

「そ、そういえば昨日キラさんがおっしゃっておりましたわ。あの方の知り合いは心に深い傷を負っている方が多いと・・・」

「おそらく鈴の話を聞いて、その者達と重ねてしまったのだろう?」

「っていうかキラってそんなことするの!?」

「俺たちはいままで胸糞悪いことをする奴を何度も見てきたかんな。特にキラは女性権利団体とかに狙われてる存在だから尚更だ」

「まあその所為でキラのことが好きな奴等までキレて、危うくIS委員会ごと消滅させそうになったけどな」

「キラの知り合いってそんなに強いの?!」

「というよりもキラの含めて俺たちの身内がチートなんだよ」

「あんた達って本当に何者なの?」

「今は俺たちのことよりもキラだ!」

 

 そう言ってアスラン達は急いで一夏がいる部屋に向かう。

 

 すると、

 

 

ドオン!

 

 

「ギャアアアアアアアアアーーーーーー!!??」

 

 

『!?』

 

 大きな銃声と一夏の悲鳴が廊下中に響き渡った。

 

「今のは!?」

「あの角の方か!?」

 

 そう言って廊下の曲がり角を曲るアスラン達。

 そこに居たのは、

 

 

「た、助けてくれええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!!??」

 

 

 逃げ惑う一夏と、

 

 

「Fall into hell(地獄に堕ちろ)」

 

 

ズドン!

 

 

 グラサンを掛けながらショットガンをぶっ放しているキラだった。

 

《もっと可笑しいことになってたァァァァァァァァァァーーーーーーーー!!??》

 

 その光景を見たアスラン達は、心の中で叫んでいた。

 

「ってなにをしているんだ彼は!?」

「ター○ネーター!!?ターミ○ーターですの!?」

「ありゃぁ『M870』だな。しかもM4ストックにスコープまでつけてるぜ?」

「それに転がってるのを見ると、どうやらゴム弾を使ってるらしいな」

「さ、さすがに殺生はするつもりはないのでしょうね?ですがゴム弾でも当たり所が悪ければ・・・」

「それよりも早くキラを止めねえとな」

 

 そう言ってデュオ達はキラと一夏の間に入る。

 

「やめろキラ!」

「・・・皆どいて、そいつ殺せない」

「何処のヤンデレ電波女だ!?」

 

 キラの言葉にデュオが突っ込む。

 

「皆!」

 

 一夏はまるで正義のヒーローが来てくれたかのように喜ぶが、デュオ達は無視する。

 

「やめるんだキラ!こんなことをしても何も変わりはしない!」

「でも・・・一夏は大勢の人を傷つけたんですよ?しかも無意識に色んな人達の好意を踏みにじって、あまつさえ自分が悪いとは思っていないですよ?そんな奴を放って置くんですか?ふざけないでください!一夏のやったことは最低なんですよ!?どうして止めるんですか!?」

「キラ!私のことは良いの!だから一夏を殺すのはやめて!」

「鈴・・・」

「それにキラさん、これは鈴さんと一夏さんの問題であって、私達は関係ありませんわ!」

「っ!」

「キラ。俺達は力を貸すとは言ったが、必殺仕事人みたいなことをしてくれって言われてねえだろ?」

「冷静になれキラ。先輩の言った通り、こんなことをしても何も変わらないことぐらい、お前だってわかるだろ?」

「大方泣いてる鈴を見て、姉御達のことを重ねたんだろ?」

「・・・」

 

 デュオ達の言うとおり、キラは泣いていた鈴の姿を見て、彼女達のことを思い出したのだ。今も瞳を閉じると、その時のことを思い出す。

 

 

 

『私・・・もう誰を信じれば良いのか、わかんなくなっちゃった・・・・・・・』

 

 

『イヤ・・・見ないでください・・・・見ないでェェェェーーーー!!』

 

 

『ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい・・・』

 

 

『うぅ・・・ウゥアアアアァァァァァァァァーーーーーー!!』

 

 

『やめろ・・・やめてくれ・・・』

 

 

『イヤ・・・い、イヤアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーー!!??』

 

 

 

 目の前で白くドロドロになった彼女達を・・・・・・。

 

 そしてなによりも、

 

 

『冗談じゃないわ!止めてよねそんなの!なんで私が!あんたなんかに同情されなきゃなんないのよ!』

 

 

『辛いのはあんたの方でしょ!?可哀相なのはあんたのほうでしょ!?』

 

 

『可哀相なキラ・・・独りぼっちのキラ・・・戦って辛くて・・・守れなくて辛くて・・・すぐ泣いて・・・だから・・・だから!うぅ・・・なのに!なのになんで私が!あんたに同情されなきゃなんないのよ!うっうっうぅぅ・・・・・・』

 

 

 あの時傷つけてしまった彼女を・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

 キラは歯を食いしばりながらも、持っていた銃を拡張領域にしまう。

 

「・・・ごめん皆」

「キラさん・・・」

「僕、鈴の話を聞いて・・・それで、色んな事を思い出しちゃって」

「キラ・・・」

「君の言いたいことは解るが、だからこそアスランの言った通り冷静になるんだ」

「はい・・・」

 

 スィーリアの言葉にキラはそう返事をする。因みにキラは本来の年齢は30歳以上だ。はっきり言えばいまのキラは年下の少女に注意されているのである。

 

「さてと、大丈夫か一夏・・・っていねぇ!?」

「あいつ逃げたな?」

 

 キラが落ち着いたところを見たデュオとアスランは、一夏が居る方向に顔を向けるが、そこには当の本人がいなかった。

 

「みなさん大丈夫ですか!?」

「一体何があったのかしら?」

「山田先生、それに楯無生徒会長?」

「如何して此処に?」

「ヒイロ君から連絡があったのよ。『キラが暴走するかもしれないから止めてくれ』って」

「あんにゃろ~いねえと思ったら連絡を入れてたのか」

 

 デュオはやって来た二人の言葉で、此処にはいない無口な少年に悪態を突く。

 

「それで、一体なにがあったのかしら?」

「・・・ここではちょっと話せません。私達の部屋で話します」

「この際だからベルティーユさん達も交えた方が良いよね?」

「そうですわね。ベルティーユお姉さまなら大丈夫ですわ」

「すまないが鈴、また話してくれないか?」

「・・・解ったわ」

「えっと・・・どうして凰さんが?」

「実は今回の件は、私が原因でして・・・」

 

 

 

 

 それから数分後、再度キラ達の部屋で真耶と楯無、それからベルティーユたちも加わって、今回の事件の話をするのだった。

 

 

 

 





 次回は・・・どうしよう。


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