スカイリム~邪眼士として戦乱の地へ~ (元気玉)
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第1話─ブリーク・フォール墓地潜入─

はい、始まりました!
思いつきで始めたので着地点とか考えてませんww
とにかくスカイリムの世界を冒険していきます!
理不尽なサブクエとかを独自解釈で進めたりしたいなぁとか考えてます。
それではとりあえずどうぞ!


 

 

「ほんとにここにあんのか?金の爪は」

 

「そうだとルーカンは言っていたわ。事実、この辺りはつい最近山賊がウロつき始めたらしい」

 

ロイの独り言に律儀を返事をするリン。

"元日本人"であるロイは寒さに弱く、ブルブルと体を震わせている。

一応ロイもリンも毛皮で拵えた軽装鎧を身に付け、厚手のマントを羽織ってはいるが、それでもこの寒さはロイにはかなりこたえる。

ノルドであるリンは、ツヤのある銀髪をかきあげて平然とした表情をしているところを見ると、どうやら平気そうだ。

主に寒冷地に住むノルドは元々寒さへの耐性が高い。

それに女であるリンは男のロイと比べて体を包む脂肪が比較的多いのも、寒さに強い理由の一つだろう。

 

「そんな情報どこから手に入れるんだよ。さすが、元盗賊は違うね」

 

鼻水を啜りながらロイが軽口を叩く。

 

「もう足を洗った。今は盗賊じゃなくて傭兵」

 

そんな軽口に真面目に返すリン。

あと少し山道を登れば目的地であるブリーク・フォール墓地へ到着する。

なぜロイとリンがこんな所へ来ているかというと、まぁ仕事だ。

ロイ達は傭兵団ARMS(アームズ)を結成し、スカイリムのか弱い民を山賊や盗賊等の魔の手から守っているのだ。

時には危険な山賊の住処に出向いて成敗し、時には奪われたものを盗賊から取り返したりと、弱い者ではどうにも出来ない問題を金銭等の報酬を受け取る代わりに処理するのを生業としている。

 

「ふぅ~。やっと到着か」

 

「人の気配がするわ。隠れて」

 

肩で息をするロイを尻目に、リンは背負っていた弓を構えて警戒する。

長年盗賊をやってきたリンは気配や物音に敏感で隠密行動に長けている。

弓矢の扱いにも腕に覚えがあり、夜目も効くので多少の悪天候でも遠方からの狙撃が出来る。

 

「わかった。念の為ストーンフレッシュかけとくよ」

 

「ん、ありがと」

 

ロイが右手に魔力を集中させると光が集まってきた。それを放出させると、光が弾けてリンの体に吸い込まれた。

このストーンフレッシュは変性魔法に分類される魔法で、術者又はターゲットの鎧や皮膚を薄い膜で包み込み、防御力を底上げできるのだ。

効果時間はさほど長くはないが、それでも一時間は持つ為、白兵戦のみならず弓矢の撃ち合いでも効果を発揮する。

 

「これでよしっと」

 

自分にもストーンフレッシュをかけて体制を整える。

リンが弓に矢をつがえて辺りを見回す。すると、その優れた視力で敵を発見した。

 

「門の横に一人と、あそこの岩場の上に一人」

 

「よし、なら門の方は任せた。俺は岩場の奴をやる」

 

「じゃあいつものように合図をよろしく」

 

ロイとリンは二人とも軽装鎧を着ている上に腕力に自信がなく、白兵戦はあまり得意ではない。

なので主にこのような奇襲作戦で敵を制圧する戦法を取っている。人数が多い場合でも、向こうがこちらを見つけられなければ、かなりの人数を楽に減らすことが出来るからだ。

リンは左に迂回しロイは右に。二人とも見つからずに山賊との距離を徐々に詰めていく。

位置についたリンは必ずロイを視界に入るようにし、合図が来るのを待った。

リンの構えた弓の弦がギリギリと音を立てる。

視界におさめたロイの手に魔力が集中するのがわかった。

ロイは左手を上げて一拍置き、魔力を込めた右手から炎の玉を放った。

火球が凄まじい速度で山賊を丸焼きにし、それとほぼ同時にリンの放った矢がもう一人の山賊胸を射抜いた。

 

「外はこれで終わりか?」

 

「ええ。他に気配はしないわ」

 

「なら中に入るか。寒くて死にそうだ」

 

中に入るとすぐにリンが人の気配を感じ取った。

しかしブリーク・フォール墓地の入り口の扉は分厚く、更に二重扉になっている為外の音や扉を開け閉めする音は聞こえていなかったようだ。

気配を殺して弓を引くリンと、手にマジカを集中させるロイ。

 

「ぐおあっ!」

 

「し、侵入者か!?」

 

リンの放った矢は的確に山賊の頭を射抜いたが、もう一人の山賊へ放ったロイの火球は横にそれてしまった。

 

「よくも仲間を!」

 

「ちィ!悪ぃなリン!」

 

「気にしてないわ。私が前衛を、ロイは後衛をお願い!」

 

リンは弓を背負いダガーを構えて前に出る。

ロイも腰の剣を抜いてリンの斜め後ろに下がった。

左手に盾、右手に片手斧を持ち突進してくる山賊。

 

「うるぁあ!」

 

山賊は怒りに任せて片手斧を振るうが、リンのスピードにはついていけず攻撃を当てられない。

しかし山賊もさるもので隙がなく、リンのダガーの切りつけを盾で防ぐ。

 

「殺ったぁ!」

 

「きゃっ!」

 

一瞬の隙をつき左手の盾でリンを押し返す。

バッシュによってリンは体勢を崩してしまい、山賊はそこに片手斧を振り下ろした。

 

「俺を忘れてねぇか!?」

 

間一髪のところでロイの片手剣が山賊の胸を貫く。

心臓に風穴を開けられた山賊は状況を理解する間もなく絶命した。

 

「あ、ありがと」

 

「危なかったな。俺が魔法をちゃんと当てられてりゃあ・・・」

 

「ミスは誰にでもある。気にしないで」

 

「ああ、ありがとな。しかし先は長そうだ」

 

「そうね、気を引き締めて行きましょう」

 




最初なんで短めです!
この後は文字数にバラつきが出ると思います。
ある程度進めたら設定とかをまとめて投稿したいと思ってます。
ゲームの設定そのままだと物価とか通貨とか、スキルとかレベルとか、そーゆーのがややこしいというかよく分からない上に、なんか非現実的過ぎるんで色々独自に改変させて貰ってます。
その辺は後で投稿して、必要に応じてまた設定を追加していくつもりです。
なるべくリアルにしたいなーと思ってるんで、敵がドラウグル程度なのに結構強かったりします。
なのでプレイした事のある方は違和感を覚えたりすると思いますが、どうか大目に見てやって下さい!

これからどうぞよろしくお願いします!


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第2話─デカい蜘蛛が弱いワケが無い─

第2話です!
ブリーク・フォール墓地編は書き終わっているので、後で纏めて投稿しようかなと思ってます。


 

入口から入ってすぐのところで山賊を倒した2人は辺りを物色していた。

 

「この山賊とそっちにいた2人の山賊は別のグループだな」

 

「そうね。この元々あった死体は殺されてから間もないし、形跡から見ても仲間割れとは考えにくいわ」

 

「多分金の爪を持ってるグループと、ここを根城にしてたグループだろう」

 

「あ、あそこに宝箱!」

 

「じゃあそれは任せた。俺は山賊から金目の物を頂戴するよ」

 

リンは鍵のかかった宝箱を見付け開錠に取り掛かった。

ロイは3つの死体から金と軽くて金になりそうなものを回収する。

 

「スタミナ回復の薬と金貨50枚程、それと銀の指輪ね」

 

「結構な収穫だな。コイツらの金庫変わりだったのかな?」

 

「何にしてもラッキーね。じゃ、先に進みましょ」

 

回収した物を腰のポーチに入れて先に進む2人。

しばらく進むと人の気配を感じ取ったリンが姿勢を低くし、ハンドシグナルを出した。

ロイも頷きで返事をしてから姿勢を低くする。

階段を降りた先に見えたのはレバーを引こうとする山賊だった。

 

「ぐうぅっ」

 

レバーを引いた山賊は四方から発射された矢によって絶命。

それを見たロイ達はあのレバーが何らかの罠であると理解した。

 

「これは古代ノルドの仕掛けね」

 

「解き方わかるか?」

 

階段を降りた2人は辺りを見渡し、状況を把握していく。

この仕掛けは古代のノルド達がよく施す仕掛けで、何枚かの絵柄を合わせてレバーを引かなければならない。もし間違った絵を選択すれば、その瞬間罠が作動はし先程の山賊のように蜂の巣になる。

 

「このくらいなら簡単よ」

 

「なら頼むわ。うわ!この山賊金貨20枚も持ってやがる!」

 

リンが仕掛けを解いている間、死体の懐を探っていたロイはホクホク顔だ。

 

「これでレバーを引けば扉が開くわ」

 

「おっしゃ、引くぞ」

 

レバーを引くとギギっと鈍い音が漏れる。

少し遅れて目の前の鉄の格子で出来た扉が開いた。

 

「失敗したかも?ってビビったろ今」

 

にひひと笑って言うロイにリンは顔を赤くして反論する。

 

「そんな事ない!私は失敗しないもん!」

 

「焦ってる焦ってる、図星だったか?」

 

「う、うるさい!私はロイが死んだら生きていけないんだから焦って当然でしょ!」

 

「大袈裟だよお前は、ったく」

 

からかっただけだよと言ってリンから目線をそらす。

からかわれたリンは先程の発言の恥ずかしさから綺麗な白い肌を耳まで赤くさせていた。

 

「お、あそこにも宝箱あんぞ」

 

「え、どれどれ!?」

 

「ほらあそこ」

 

「中身は・・・と」

 

「早いなオイ」

 

「金貨23枚と矢が11本と鋼鉄の兜ね」

 

「金貨は回収、矢も補充して残りはそのまま置いとけ」

 

「兜は重いもんね」

 

ロイ達は背嚢を背負っているが、それ程容量に余裕はない。

なのでこういったダンジョンでの戦利品は厳選しなければならないのだ。

何でもかんでも持って歩けば荷物は重くなり、音も増すので隠密行動や戦闘に支障が出る。

 

「そこの螺旋階段から降りてくみたいだな」

 

「下からスキーヴァーの臭いと鳴き声がするわ」

 

「ただのスキーヴァーなら火炎で十分だな。下がってろ」

 

螺旋階段を降りていくとリンの言った通り何匹かのスキーヴァーがロイに襲い掛かる。

しかしスキーヴァー程度、ロイ程の魔術師ならば一瞬で黒焦げに出来るので大した脅威ではない。

あっという間にスキーヴァーの丸焼き3人前の完成である。

 

「誰か・・・こっちに来るのか?ハークニール、お前なのか?それともビョルン?ソリング?」

 

螺旋階段を降りるとどこからか声が聞こえてきた。どうやら火炎の音とスキーヴァーの悲鳴が聞こえたようだ。

2人は息を殺してそちら近付いていく。

周りには蜘蛛の糸が張り巡らされており、ここはフロストバイト・スパイダーの巣であることは明確だった。

声のする方を見ると、蜘蛛の巣に雁字搦めにされた男が目に入った。

 

(ここ、蜘蛛の巣、アイツどうする?)

 

リンはハンドシグナルでロイに問い掛ける。

2人は隠密行動の際は声を出さず、ハンドシグナルだけでやり取りをするように前もって決めている。

あまり複雑な会話は出来ないが、ある程度ならばハンドシグナルだけで意思疎通が可能だ。

 

(俺、前出る、援護頼む)

 

(了解)

 

リンが弓を構え、ロイが火炎で道を塞いでいる蜘蛛の巣を焼き払う。

 

「またあの蜘蛛だ!助けてくれ!頼む!」

 

隠密行動も虚しく、蜘蛛の巣に囚われている男が叫ぶとほぼ同時に、上から巨大な蜘蛛、ジャイアントフロストバイト・スパイダーが降ってきた。

 

「ちっ、見付かったか!毒に気を付けろ、俺が撹乱するから頭を狙え!」

 

「任せて!」

 

火炎で蜘蛛を焼きながら横に回り込む。

蜘蛛はロイに気を取られリンは視界に入っていないようだ。

しかしリンに対して横を向いたことで、蜘蛛の長い足が邪魔して矢で頭を狙う事が出来ない。

 

「ロイ!一旦下がって!」

 

「それじゃあこの男が殺されちまう!」

 

リンは蜘蛛の頭を狙えず、ロイが下がれば男を見殺しにする事になる。

このままではロイが蜘蛛の毒牙にかかるのは時間の問題だった。

 

「仕方ねぇ、アレを出す!」

 

「でも!」

 

「離れてろ!それしかねぇ!」

 

ロイは皮の兜を脱ぎ捨てると額に指を当てた。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

額に力を込めると、そこにもう1つの目が浮かび上がった。

ロイの持つ特異体質、邪眼である。

ロイは額にもう1つの目を持っており、それを開くことで魔力を大幅に上げる事が出来る。

この邪眼状態で使う魔法は消費マジカが増え疲労が増す変わりに、凄まじい威力の魔法を放つ事が出来るのだ。

 

「食らえ!邪王炎殺煉獄焦!」

 

ロイの両拳から黒い炎の玉が拳を突き出す度に飛び出し蜘蛛を焼く。

この黒い炎は普通の炎の威力の比ではなく、厚い皮膚に覆われた蜘蛛にも凄まじいダメージを与えた。

 

「トドメだ!」

 

両拳を重ねて同時に突き出すと、先程より一段と大きな黒炎の玉が蜘蛛の頭に直撃する。

頭を焼かれた蜘蛛はきゅうと鳴いてから呼吸をやめた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ロイ!大丈夫!?」

 

膝に手をついて肩で息をするロイの背中を、兜を渡しながらさするリン。

 

「やっぱこれは疲れるわ・・・」

 

「あんまり無理しないでよ、お願いだから」

 

「はは、悪ぃ悪ぃ。ついな」

 

邪眼を閉じて兜を被るロイに魔力回復ポーションとスタミナ回復ポーションを手渡す。

それを飲み干すとロイは空き瓶をポーチにしまう。すると蜘蛛の巣に囚われた男に話し掛けられた。

 

「アンタ凄いな。さっきの魔法・・・ありゃ何なんだ?」

 

「教えねぇよ爪泥棒のコソ泥野郎」

 

「なっ!この爪は盗んだんじゃねぇ!拾ったんだ!」

 

「アッサリと白状してくれたわねコイツ」

 

ロイのカマかけにあっさりと引っかかった男は全てを白状しようと決めたようだ。

 

「バレちゃあしょうがねぇ。俺は韋駄天のアーヴェル、お前の言う通り泥棒さ」

 

「随分素直だな。で、爪はどこだ?」

 

「ここにはない!だがどこにあるかは知ってる!」

 

「へぇ。それを信じろって言うの?」

 

「どのみちこのままじゃ何も教えられない、ここから降ろしてくれ!」

 

「ふざけんなよ。お前降ろしたらソッコーで逃げる気だろ」

 

「いいわロイ。降ろしてあげて」

 

「はぁ?そんな事したら逃げられるぞ?」

 

「逃げられないわよ。だって私が弓を引き絞っているんだもの」

 

「じゃ、そういう事だから。逃げようとしたらお前の頭が矢とキスする事になるからな」

 

「わ、わかったよ。とにかく降ろしてくれ!」

 

リンが弓に矢をつがえて引き絞る。

剣で丁寧に蜘蛛の糸を切っていくと、徐々にアーヴェルの拘束が緩んだ。

アーヴェルが自力で出れるところまで糸を切ってから2歩後ろに下がる。

 

「助かった・・・ほら、約束通り爪は渡すから逃がしてくれ」

 

「そうだな。リン、殺れ」

 

「ま、待ってくれよ!話が違う!」

 

「あら、爪を渡したら助けるなんて誰が言ったかしら?」

 

「ち、ちくしょう!」

 

アーヴェルは慌てて走り出すが時すでに遅く、リンの放った矢がアーヴェルの胸を貫いた。

 

「あ、悪党・・・が・・・」

 

「盗人を生かしておくわけねぇだろ」

 

「衛兵に引き渡してもどのみち死刑よ」

 

ロイとリンは正義の傭兵、これだとどちらが悪党かわからないが盗人を生かして帰す程彼らは甘くはない。

このスカイリムで生きていくにはこうするしかない。悪党は殺さなければ自分が殺されてしまうのだ。

 

「生かしていつか復讐でもされたらたまらねぇからな」

 

「悪事を働いた自分を恨むのね」

 

2人は殺しが好きな訳ではなく、人を殺す事を何とも思っていない訳ではない。

だが正義の為、か弱い市民の生活の安寧を守る為にはやむを得ないのだ。

重ねて言うが彼らは悪党ではないし、人を殺す事に喜びを感じる訳でもない。

しかし、悪党に情を持ってはいけない事を誰よりも理解している。

奪われないように殺す、殺されないように殺す。

人を殺す事は良いことではないが、この乱れきったスカイリムという土地では、これが生きていく術である事もまた事実なのである。




今回主人公の転生要素が出てきました!
スカイリムなんて土地じゃ普通の人間がデカい蜘蛛やドラウグルの群れ相手に生きて帰ってくるなんて難しいですからね。
チートじゃねぇの?って思われちゃうかもですが、このくらいは許してください。
あくまでも魔法の強化版とか、魔法強化MODくらいに思っていただければ(笑)
一応ブリーク・フォール墓地編が終わったら、設定集を投稿しようと思ってます。
それではまた次回!


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第3話─謎の男─

 

アーヴェルから受け取った金の爪を見ると、何やら装飾が施してあった。

 

「なんじゃこりゃ」

 

「これも古代ノルドの仕掛けね。多分この先にノルドの宝があるのよ。だからアーヴェルはこの爪を持ってここに来た」

 

「うへぇ、よく知ってんなお前」

 

「私もノルドだから。それに盗賊の時、お頭に色々教えてもらった」

 

「ま、その知識には助けられてるからな。お前がいて良かったよ」

 

「え、ほんと!?」

 

「ホントもホント。お前は最高の相棒ですよ」

 

「へへ、えへへへへへ」

 

(なんだよその笑い方!照れるとモロ分かりだなコイツ)

 

「ま、まぁとにかく先に進むか」

 

「そうしましょう」

 

ようやく我に返ったリンにため息をつきながら進むロイ。

すぐ隣の部屋は何らかの儀式場だったのか、少しひらけていた。

埋蔵壺もいくつかあり、2人で物色していく。

 

「指輪やら金貨やら、結構入ってんな」

 

「埋蔵壺は死者の臓物なんかを入れる壺なのだけど、ソブンガルデに行った時に困らないよういくらかのお金と装飾品を入れるの。ノルドの古い風習ね」

 

「ソブンガルデねぇ。言ってみりゃ天国みてぇなもんなんだろ?」

 

ノルドの中でも特に勇猛であった者が死ぬと、ソブンガルデと呼ばれる戦士の楽園に魂が運ばれるという。

勇猛さを美徳とするノルドにとってソブンガルデはまさに天国であり、多くのノルドがソブンガルデに行く為に戦いに赴く。

 

「ノルドにとってはそうね」

 

「でもショールを悪魔だって言ってるエルフからすりゃ地獄みてぇなもんだな」

 

ショールとはソブンガルデを取りまとめるリーダーのような存在だと言われ、ノルドの伝統的な信仰においては主神であった。

しかしエルフはショールを悪魔だと考えており、その考え方の違いもあってノルドとエルフは仲が悪い。まぁ他にタロス信仰等の理由もあるが。

 

「それはエルフが間違っている」

 

ロイの呟きに答えたのはリンではなかった。

 

「誰だ!?」

 

ロイが声を荒げて振り向く。リンは即座に弓を構えた。

リンの感知をすり抜けた人物だ、相当腕が立つのだろう。ロイとリンはすぐさまそれを理解した。

 

「待て、俺は敵じゃない」

 

「何モンだ!?」

 

ロイ達の視線の先には1人のノルドがいた。

鋼鉄の鎧を着込み左手には鋼鉄の盾、右手には鋼鉄の斧が握られている。

 

「俺はバルグルーフ首長とファレンガー殿の依頼でここに来た。少し話をしないか?」

 

「ホワイトランの首長直々の依頼?」

 

「信用出来ない。このまま聞く」

 

ロイは少し警戒を緩めるが、リンは構えを解かずに警戒を続けた。

ノルドの男は斧を腰に収めると手を前に出して戦闘の意思がないことを示す。

 

「俺はドラゴンストーンと呼ばれる石を探している。ファレンガー殿の話ではこの墓地の一番奥にあるらしい」

 

「ドラゴンストーン?聞いたこともねぇな」

 

「ヘルゲンにドラゴンが出たのは聞いたか?」

 

「なんだと!?」

 

「ウソよ。ドラゴンなんておとぎ話だわ」

 

2人が信じないのも無理はない。

ドラゴンはおとぎ話や吟遊詩人の歌に登場する伝説上の生物だという認識が殆どだ。

事実、ここ何百年もドラゴンなど目撃もされていない。

 

「本当の話だ。俺はこの目で見た。信じるかどうかはお前達次第だがな」

 

「・・・信じよう」

 

「ロイ!」

 

「ここでそんなウソをつく理由がない。リンも構えを解け。コイツは悪い奴じゃ無さそうだ」

 

「・・・っ!わかった」

 

渋々ながら構えを解くリンをよそに、ロイは話を進める。

 

「で、ドラゴンが出たってのが本当だとして、そのドラゴンストーンとやらが必要な理由は?」

 

「お前達も言っていた通りドラゴンは最早おとぎ話、伝説上の存在。倒し方はおろか、存在そのものが謎なんだ。だからとにかく情報が欲しいらしく、ドラゴンストーンに何かしらの情報が無いかとファレンガー殿が俺に依頼してきたんだ」

 

「なるほど。何となくだが飲み込めた」

 

「ロイ、本当に信用していいの?」

 

リンはまだ信用出来ないようだが、ロイは完全に警戒を解いていた。

 

「さっきも言ったろ、ここでウソをつく意味が無いって。殺す気ならその背中の弓で殺してる、そうだろ?」

 

「ああ。それにお前達の噂は聞いてる。俺も元々傭兵だからな」

 

「ちなみに聞くが他に仲間は?」

 

「俺1人だけだ。真のノルドは1人で戦う」

 

「そうか。これから俺達は奥へ行くが・・・お前も一緒に来るか?」

 

「そうさせてもらう。俺も奥に用があるからな」

 

「なら行くぜ。俺はロイだ、よろしくな」

 

そう言って手を差し出すロイ。

 

「クーガーだ」

 

ノルドの男、クーガーも手を差し出しロイと握手を交わす。

 

「リンよ。言っておくけど私は完全に信用してないからね」

 

クーガーがリンにも握手を求めるが、リンはそれに応じず距離を取った。

 

「ったく。悪いな、コイツのこれは性分なんだ」

 

「気にしていない。むしろ当然の反応だ」

 

クーガーは傭兵経験が長いのか、簡単に信用されない事を何とも思っていないようだ。

リンは盗賊時代の癖もあるが、ロイの人に対する警戒心の無さを知っているが故、余計に人を信用しないようにしている。

ロイが寝首をかかれないよう気を張っているのだ。

ロイもそれを知ってか知らずかそれ以上咎めはしなかった。

 

「俺が先頭をいく。重装だし接近戦には自信があるからな」

 

「それなら頼んだぜ。俺は魔術師でコイツは盗賊系だ、援護は任せてくれ」

 

クーガーが頷き先頭に立つ。

その後ろをロイとリンが続く形となった。

パーティ編成的に見れば重装の近接系、中距離系の魔術師、遠近両方の盗賊系のバランスの良い組み合わせとなったが・・・果たしてこの先何が待ち構えているか。

ロイとリンは一層気を引き締めるのだった。




プレイ済みの方は正体がわかると思います!(笑)

ではまた次回!


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第4話─協力者は脳筋?─

 

「静かに。ここから先はドラウグルの巣窟のようだ」

 

「確かに気配がするわ」

 

「どうする?相手がまだ起きてねぇなら俺の魔法とリンの弓矢で殺るか?」

 

クーガーの言葉にリンが同意し、ロイが打開策を提案する。だがロイの策はクーガーのお気に召さなかったようで、首を横に振った。

 

「ドラウグル如きに隠密はいらない。俺が突っ込むから援護を頼む」

 

「生粋のノルドだなアンタ」

 

ロイの皮肉とも取れる言葉にフッと笑ってから腰の斧を手に取るクーガー。

リンは隠密行動の大切さを知っているので、クーガーの行動は少々浅はかだと思っているようだ。

 

「よし、準備いいぜ。クーガーが先鋒で突っ込む、そこを俺とリンで援護だ」

 

「わかったわ」

 

「では・・・行くぞ!」

 

クーガーが斧と盾を打ち合わせて音を鳴らしながら突っ込む。

すると眠っていた1体のドラウグルが目を覚まし、片手剣を抜いてクーガーに襲い掛かった。

ドラウグルは葬られた後にアンデッドと化した古代ノルド人達であり、普段は眠っているが物音や気配を感じると起き上がり襲い掛かってくる。

体は殆どミイラ化し打たれ強さはさほどではないが、武器や盾を使用する者や魔法を使う者など、様々な攻撃方法を持っている。

更にドラウグルには上位種がおり、最下級は大した脅威ではないものの上位種になるとかなり厄介である。

 

「ぬぅうん!」

 

クーガーの斧の一撃がドラウグルを一瞬で葬り去った。

やはりこの男相当腕が立つようだ。

しかしもう2体のドラウグルが目を覚ましクーガーの方を見た。

 

「右は任せろ」

 

「ええ、お願い」

 

ロイは右のドラウグルへ火球を、リンは左のドラウグルへ矢を放った。

ドラウグルはミイラだけあって炎に弱いので、あまり魔力を込めずとも焼き殺せる。

しかし矢などの部位破壊がしにくい武器ではそれ程ダメージにならない。

そこでリンは胴体ではなく足を狙い、ドラウグルの機動力を奪った。

 

「でぇあ!」

 

片膝をついたドラウグルへ斧を振り下ろす。

クーガーの斧による一撃を受けたドラウグルは、胴体と首が別れを告げる事となった。

 

「噂通りなかなかやるな」

 

「お世辞はいいよ。アンタこそかなりの腕だな」

 

斧についたドラウグルの肉を払ってから腰に収める。

ロイは少し照れ臭かったのか、誤魔化すようにクーガーを褒めた。

 

「世辞ではないのだがな。俺は1人で旅をしていたからな、このくらい出来なきゃとっくに死んでいたよ」

 

「ははは、それもそうだな」

 

「ロイ、終わったよ」

 

クーガーとロイが話している間、リンはドラウグルから金目の物を頂戴していた。

埋蔵壺と同じく、ドラウグルもいくらかのお金と装飾品を身に付けている事が多く、武器や矢も装備しているので補充も出来る。

もっとも古代ノルドの武器は重い割に売値段が安く、持ち帰ってもあまり得はしないので捨てていくが。

 

「そう言えば言ってなかったな。ここでの収穫物は俺達が持っていく。ドラゴンストーンが出りゃそれはアンタにやるよ」

 

「それで構わない。ここは元々お前達の獲物だ」

 

「話が早くて助かるぜ。まぁ怪我したらポーションくらいは分けてやるさ」

 

「それは有難いな。ツバの節約になる」

 

「「HAHAHAHAHA!」」

 

軽口を叩き合いながら先へと進んでいく。

リンは内心少しホッとしていた。

こういう場合、収穫物の配分で揉める事が多々あるからだ。

さっきの戦闘もあれだけ楽だったのはクーガーの実力によるところが大きい。

隠密行動をせずとも3体のドラウグルをいとも容易く打ち取れたのだ。

クーガーにも分け前があって当たり前なのだが、今彼の目的はドラゴンストーンのみ。

ここで無用な争いをするよりも、ドラゴンストーンだけを求めた方が合理的だと判断したのだろう。

更に言えばクーガーは先程ロイ達が金の爪を手に入れたのを見ていた。

その上でブリーク・フォール墓地の最奥へ行くには、そのロイ達の持つ金の爪が必要だと考えたのだろう。

だからこそロイ達と協力する事を選択したのだ。

 

そこからはしばらく最下級のドラウグルしか出てこなかったので、戦闘は比較的楽なものであった。

クーガーが先頭で切り伏せ、群がろうとしたところをロイの魔法とリンの弓で打つ。

ほんの僅かの間しか共に戦っていないが、3人の連携は見事なものであった。

 

「振り子の罠か」

 

「リン、イケるか?」

 

「問題無いわ」

 

先へ進むための通路には振り子の罠が施してあった。

左右から研ぎ澄まされた斧が振り子のように暴れ回るこの罠は、一度食らったが最後2度と太陽を拝む事が出来ないと言われる凶悪なものだ。

もっとも、リンは動きが素早く、この罠の対処法を熟知しているので大した問題ではないが。

リンが振り子の罠を抜けて鎖を引くと罠が止まる。

このタイプの罠は渡りきったところに作動スイッチがあるので、1人がクリア出来れば良いのだ。

 

「またドラウグルだ」

 

「みたいだな。これは・・・油かな?」

 

「そうね。どうするの?」

 

この先は狭い通路のようになっており、中にはドラウグルが眠っているのが見て取れた。

正確な数はわからないが少なくはないだろう。

下には油が水溜りのようになっていて、その上には壺がぶら下げてあった。

 

「俺が中を走り回ってここにドラウグルを集める。その後はロイの火炎で丸焼きにしてやれ」

 

「それが一番楽そうだな。気を付けろよ」

 

「うむ、心得た」

 

クーガーは盾と斧を構えて走った。

すると3体のドラウグルがそれに釣られて目を覚まし、クーガーの後を追ってきた。

ドラウグルの攻撃をかわして油の床へと誘導する。

 

「よっしゃ、離れてろ!」

 

クーガーが安全地帯へと離れたのを確認し、火球をぶら下げてあった火炎壷に当てる。

凄まじい勢いで爆発した火炎壷から漏れた火が油に引火し、ドラウグルを焼く。

更に爆風がドラウグルを吹き飛ばし、3体は物言わぬ死体になった。

 

「これは痛快だ」

 

「だな。怪我はないか?」

 

「ああ、平気だ」

 

「そろそろ俺達のストーンフレッシュが切れるな。クーガーもかけるか?」

 

「む、では頼む」

 

「あいよ・・・っと。最初にかけときゃ良かったな。気が付かなくて悪かった」

 

「気にしないさ。助かる」

 

リンが回収を終えてから、ロイがストーンフレッシュを全員にかけ直す。体制は万全だ。

狭い通路を進んで行くと滝のある場所へ出た。

 

「おっ、宝箱」

 

「待ってロイ!」

 

ロイが目に入った宝箱へ歩み寄るのをリンが制止する。

すると突如横にあった棺からドラウグルが出現した。

 

「シッ!」

 

リンの投擲したダガーがドラウグルの額に刺さった。

一瞬動きを止めたその隙をクーガーは逃さない。

斧で右手を切り落とし武器を持てないようにし、更に左肩へと斧を食い込ませた。

 

「ギギギッ!」

 

ドラウグルが悲鳴と共にバッシュを繰り出しクーガーの顔面に直撃。

1歩下がり体勢を崩すがドラウグルは武器を持っておらず、追撃は来なかった。

 

「脅かしやがってこの野郎!」

 

ロイが後ろから首を切り落とすと、ドラウグルは静かになった。

 

「ロイ!気を抜かないで!」

 

「わ、悪かったよ。クーガーもすまねぇな」

 

「宝に目がいくのは仕方ない。気持ちは分かる」

 

リンがロイの軽率な行動を叱責し、クーガーがフォローする。

ロイはバツの悪そうな表情で謝罪した。

 

「これ、ポーションだ。助かったぜ、2人共ありがとな」

 

クーガーにポーションを手渡す。

クーガーはそれを傷にかけてから残りを飲み干した。

 

「約束を忘れたの?ダンジョンでは私の感知が最優先だって」

 

「悪かったって。許してくれよ」

 

転がったドラウグルの首からダガーを引き抜きながらロイを見る。

両手を合わせウインクをするロイを、リンはそれ以上責める気になれずにため息を漏らした。

 

「もう・・・危なっかしいんだから」

 

「まぁ助かったのだから良しとしよう。さ、先を急ぐぞ」

 

「うむ!いざゆかん!」

 

「調子いいんだから・・・」

 

ロイのあっけらかんとした態度に少し頬が緩むリンと、それを微笑ましく見つめるクーガー。

ロイが宝箱を開けると中身は金貨25枚だった。

それを見たリンもホクホク顔だ。

 

「これを引くのかな?」

 

ロイが鎖を引くと鉄の格子が開き道が出来た。

そのままそこを進むと洞窟のような場所に出た。

光るキノコが群生している洞窟は、何とも幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 

「キレイね」

 

「あ、あそこにも宝箱!」

 

「中身はファイアボルトの巻物とスタミナの薬、魔術の薬よ」

 

「巻物は売るか。あとは今後の足しにしよう」

 

「下にドラウグルがいる。弓で射れるか?」

 

ロイとリンが宝箱を物色していると、クーガーが滝から見下ろしたところに敵がいるのを発見した。

 

「ええ、この距離なら平気」

 

リンが放った矢はドラウグルの頭に刺さり、地面に倒れて動かなくなった。

 

「上手く眉間を射ったな」

 

リンの弓の腕前を分析するクーガー。

ロイは、まぁこのくらいは普通だよと呟いた。

そのまま先へと歩を進める。

横穴を抜けると分かれ道になった。

 

「下・・・はやめとくか。先を急いでるんだしな」

 

「そうしてくれると助かる」

 

「えっ?お宝があるかもしれないのよ?」

 

「まぁそれはまた後で来た時に見りゃいいさ」

 

「ちぇっ。仕方ないなぁ」

 

先を急ぐクーガーの事を考え、全てを見て回るのを諦めたようだ。

リンも渋々ながらロイの決定に従う。

洞窟を抜けた先には扉があり、少しひらけている。

そこには1体のドラウグルが待ち構えていた。

隠密行動をとる間もなく気付かれてしまい、両手斧を振りかざして襲い掛かってくる。

 

「援護を頼む!」

 

そこへクーガーが突進し、両手斧の一撃をかわしてバッシュを繰り出す。

 

「ウォーカーか!」

 

このドラウグルはウォーカーと呼ばれる上位種で、体力、腕力共に通常のドラウグルを大きく上回る強敵だ。

 

「私も前衛に行くわ!」

 

「わかった、詠唱が終わったら合図する!」

 

リンもクーガーの戦列に加わり、ロイは魔法の詠唱を開始する。

リンのダガーがウォーカーの足や腕を切り裂き、クーガーの片手斧が腹を叩く。

しかしウォーカーは鋼鉄の鎧を着込んでおり、大したダメージは見られなかった。

 

「よし、離れろ!」

 

「お願い!」

 

「でやぁ!」

 

リンはバック転で距離を取り、クーガーがバッシュでウォーカーの体勢を崩す。

ロイは2人が離れたのを確認しウォーカーに突進。距離が2m程に縮まったところで両手から地面に向けて魔法を放った。

 

「ファイアストーム!!」

 

するとロイを中心に爆発が起こり、凄まじい爆炎と熱風がワイトを襲う。

ファイアストームは破壊魔法の達人魔法で、誰でも使えるものではない。

仮に普通の魔術師が呪文書を読んだとしても、マジカが足りずに不発となるのが関の山である。

最大マジカが多く、炎の魔法が得意なロイの体質によって発動が可能なのだ。

 

「グウゥ・・・」

 

達人魔法を至近距離でぶつけられたウォーカーは唸り声を上げて絶命した。

ファイアストームは術者との距離が近ければ近い程威力が上がる。

至近距離で食らったウォーカーに耐える事は出来なかったようだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫かお前ら?」

 

「私達は平気、ロイは!?」

 

「少し疲れたけど大丈夫だ。1発だけだしな。いやー、まさかウォーカーが出るとはなぁ・・・」

 

「あれは達人魔法か?若いのに大した男だ」

 

「おいおい、俺はもう23だぜ?子供扱いはやめてくれよ」

 

「はは、すまなかったな」

 

達人魔法を使い疲れているというのに、この期に及んで軽口を叩くロイを見てリンもほっと胸を撫で下ろす。

リンに手渡されたポーションを飲み干しマジカとスタミナを回復させ、息を整える。

リンとクーガーは岩の後ろに身を隠したお陰で、火傷一つ負わずに済んだようだ。




はい、第4話でした!
難易度ハード以上だとウォーカーでもかなり苦戦しますよね!
というわけで、ウォーカーは現時点のロイ達ではかなりの強敵とさせていただきました!

このままじゃスカージなんかとの連戦では話にならないので、この後修行パートがあります。嫌いな人はごめんなさい。

あと2話くらいでブリーク・フォール墓地編は終わりますので、もう少しお付き合い下さい!

ではまた次回!


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第5話─最奥の間─

ボス戦です!


 

ウォーカーを倒し少し休んでから扉の先へ向かう。

通路を進んでいくとまたも振り子の罠があり、リンが解除する。

その先は天井が高い広間になっており、床には油の水溜りが出来ていた。

広間に入ってすぐに、横にあった棺桶からドラウグルが這い出してきた。更にそれを合図とするかのように2体のドラウグルが奥から表れ、その内階段の上にいた1体の射手が、クーガーに向けて矢を放ってきた。

 

「大丈夫か!?」

 

「盾で防いだ、怪我はない」

 

「来るわ!」

 

クーガーへと放たれた矢は盾に防がれて地面へと落ちた。

近くにいる1体がクーガーへ斧を振り下ろし、もう1体はロイへと向かってくる。

クーガーは斧をかわしてバッシュを放ち、ロイは腰の剣を抜いて身構えた。

リンは弓に矢をつがえて階段の上から狙ってくる射手へと向け戦闘を開始。

 

「射手は任せたぞ!」

 

「ええ!」

 

「ちぃ!近接は苦手なのによ!」

 

3対3と数的には互角だがロイは近接戦闘に不慣れであり、形勢は若干不利であった。

更に不運な事にクーガーの相手のドラウグルは最下級だが、生前は名のある戦士だったようでなかなか手強く、ロイの救援に向かう事が出来ずにいた。

 

「私も突貫するわ!」

 

リンの放った矢は射手の肩に刺さり、射手は弓を落とす。

これを好機と見たリンもダガーを抜いて突貫し、各々1対1の近接戦闘へとなった。

 

「くっ!」

 

ドラウグルの剣撃を辛うじて防ぎ何とか体勢を保っているロイ。

 

「──っの野郎!」

 

渾身の切り上げがドラウグルの盾を弾き飛ばす。

これでドラウグルはバッシュも盾によるガードも出来なくなった。

 

「ギギッ!」

 

ドラウグルの振り下ろしをすんででかわし武器を持つ腕を切り落とす。更に回転しながら首目掛けて剣を振った。

 

「はぁ・・・はぁ・・・何とかなったか・・・」

 

ロイがドラウグルを倒し辺りを見ると、クーガーもトドメをさしたところだった。

 

「ふっ!やぁ!」

 

リンも両手のダガーによるラッシュでドラウグルを倒したようだ。

 

「3人で良かったとつくづく思うぜ」

 

「ああそうだな。1人では俺も少々手こずったろう」

 

「油断せず行きましょう。最奥の敵は間違いなく強敵よ」

 

3人とも息を整えてから階段を上り、廊下を進んでいく。

すると広い廊下の奥に仕掛け扉があった。

3枚の絵が描かれた3枚の扉は古代ノルドの典型的な仕掛け扉だ。

 

「ここに爪をはめ込むのか?」

 

「ええ。爪の装飾が答えよ」

 

「なるほど。奥には余程大切な宝があるのだな」

 

「熊、蛾、梟の順か」

 

ロイが金の爪に施された装飾の通りに仕掛けを回転させる。

そして爪をはめ込んで左右に回すと、リンの言った通り扉が開いた。

 

「随分手の込んだ仕掛けだな」

 

「古代ノルド人はよく考えてるのか単純なのか分からないわね」

 

ロイの皮肉にリンが言葉を返す。

実際仕掛け自体はごく単純なものだ。

しかし対応した爪が無いと扉が開かないので、まぁセキュリティとして問題は無いように思える。

 

「広いな」

 

階段を上って最奥の間へ踏み入るとクーガーが呟いた。

広さや向こうに見える祭壇から考えても、ここが最奥で間違いないだろう。

 

「何か聞こえないか?」

 

奥の祭壇の方へ近付くとクーガーがロイ達に問い掛けた。

 

「いや、特に何も聞こえねぇけど?」

 

「私にも聞こえないわ」

 

「そうか・・・なんと言っているかは俺にもわからんが・・・何となく呼ばれている気がする」

 

「おい、怖い事言うなよ」

 

「あの壁は何かしら?」

 

3人が祭壇へ上り横を見ると文字の彫られた壁があった。

ロイとリンには何の文字かはわからなかったが、クーガーだけは反応した。

 

「ぬう!なんだ!?」

 

壁の文字から風のような何かが吹くと、それはクーガーの体に吸い込まれていく。

ロイもリンも、もちろんクーガーにも何が起こっているのかわからなかった。

 

「な、なんなんだそれは?」

 

「俺にもわからん・・・何か言葉のような、知識のようなものが体に流れ込んできたが・・・」

 

「2人共、お客よ」

 

クーガーに風が吸い込まれると、少し遅れて祭壇の棺が開く。

リンの言葉でクーガーは斧を抜き、ロイも手にマジカを集中させて戦闘準備を整えた。

 

「グオアアア!」

 

「お、オーバーロードかよ!?」

 

棺から出てきたのは盾と片手斧を持ったドラウグルだった。

しかしただのドラウグルではない。

ロイの驚きからも分かるようにこのドラウグルはかなりの強敵、ドラウグル・オーバーロードだった。

先程3人が苦戦したウォーカーよりも3つも階級が上だと言えば、どれだけ難敵かわかるだろう。

 

「ここにきてオーバーロードか・・・」

 

「ロイ、どうするの!?」

 

普段のロイ達ならば勝てない相手からは逃げる。

戦わない事も戦術の1つなのだ。

しかし・・・

 

「真のノルドは退かない!お前達は行け!」

 

クーガーは逃げない。

このオーバーロードがドラゴンストーンを持っているかもしれないのもあるが、彼は生粋のノルドだ。

戦闘において、たとえ勝てない相手だろうとも逃走の二文字はない。

 

「俺達もやるぞ!覚悟決めろ!」

 

「あーもう!クーガー、帰ったら奢りなさいよ!」

 

2人は意を決した。

ここまで短い間とはいえ死地を共にした者を置いてはいけない。

リンは弓を構え、ロイは邪眼を解放した。

 

「恩に着る!うおぉぉぉ!!」

 

クーガーはロイ達を一瞥するとオーバーロードに突貫する。

だがクーガー渾身の一撃は盾でガードされてしまった。

今度はオーバーロードの斧の一撃がくる。

 

「ぬうぅん!」

 

しかしクーガーもさるもの。

それを盾でガードしバッシュを繰り出す。

 

「この斧、氷系の付呪がされているぞ」

 

そう言うクーガーの盾を持つ腕は氷に覆われていた。

それを斧の柄で叩いて砕く。

 

「そいつぁお宝だ。死体から剥ぎ取ってやるぜ!」

 

「私も突っ込むわ!」

 

「俺も行くぜ!3方向からの波状攻撃だ!」

 

リンも両手にダガーを持ちオーバーロードに肉薄する。

斧の一撃をかわしざまに横腹を斬りつけ離脱。

怯んだ隙にクーガーの斧が背中を捉える。

しかし大したダメージは与えられていないようだ。

さすがにオーバーロードの体力は凄まじい。

その間にロイは邪眼を解放した。

 

「とっておきだ。邪王炎殺剣!」

 

ロイの手から溢れた黒炎が剣の形を成していく。

斬ると焼くを同時に行える、ロイの隠し玉だ。

 

「うらぁ!」

 

「ヌウゥ・・・!」

 

低く突っ込んだロイの炎剣がオーバーロードの太股を斬り付ける。

炎の付呪とは違う、本物の炎で斬られるのはさすがのオーバーロードにも堪えたようだ。

 

「ロ・・・ダ!」

 

「なんだ!?」

 

オーバーロードが何やら叫ぶとロイの体勢が崩れた。

 

「何かに押されたような、何かの魔法か!?」

 

「得体の知れない力だ、気を付けろ!」

 

「やっ!」

 

クーガーがロイを支えて立ち直す。

その隙をつかれないようリンがダガーで斬り付け牽制し、何とか事なきを得た。

それから連携を駆使し何度も攻撃を加えるが、オーバーロードが倒れる気配はなかった。

 

「このままじゃジリ貧だな・・・」

 

「しかし打つ手がない」

 

「まさかロイ・・・あれをやる気?!」

 

3人ともオーバーロードから距離をとる。

棺を挟んですぐに攻撃されない位置に移動して対策を練った。

 

「それしかねぇだろ。2人とも離れてろよ?」

 

「何か考えがあるのか?」

 

「クーガー離れて!私達は巻き込まれない事を第一に考えるの!ロイ、無茶しないでよ!?」

 

リンに手を引かれてクーガーもその場を離れる。

ロイだけを残して戦線を離脱する形となった。

ロイはリンの言葉に頷きだけで返すと、全身にマジカを行き渡らせ魔力を高めていく。

 

「俺の全マジカとスタミナをくれてやる。頼むからくたばってくれよ?」

 

リンはクーガーを連れて岩陰に身を隠し、ロイの技が及ばないよう身を屈める。

クーガーもそれに習って大きな体を精一杯縮め

、ロイは全身にマジカが行き渡ったの感じて詠唱を始めた。

 

「行くぜ、邪王炎殺獄炎爆焦!!」

 

詠唱を終えたロイが技名を叫ぶと同時に全身から黒炎が溢れ出し、火柱のように上へ立ち昇った。

その黒炎は半径10m程に広がると一気に収束し、1本の熱線となってオーバーロードに向かっていく。

黒炎に貫かれたオーバーロードの胴体は丸く穴が空いており、そのまま前に崩れるように倒れ込んで生命活動を止めた。

 

「ロイ!」

 

「なんだ今の魔法は?!見た事が無いぞ!」

 

リンはロイに駆け寄りすぐさま抱き抱えてポーションを飲ませる。

ロイは腕を動かすスタミナも残っていないようだ。

そんな様子をただ呆然とクーガーは見つめていた。

10歳の頃に傭兵となって戦地に出てから、早20数年。未だかつて見た事も無い魔法を目にし戸惑いと驚きで立ち尽くす。

 

「ぷはっ・・・!はぁ・・・はぁ・・・」

 

「無茶しないでって言ったのに・・・!」

 

ロイは呼吸をするので精一杯のようだが、目から涙を零すリンを見て微笑んだ。

 

「し、死なねぇように・・・加減はしたよ・・・」

 

額の邪眼もロイの意思とは無関係に閉じており、ロイの満身創痍さを物語っていた。

リンは手で涙を拭うと、ようやく笑った。

 

「その魔法は禁止じゃなかったの?」

 

「後でばあちゃんに怒られるな、こりゃ」

 

「聞かせてくれ、今の魔法なんなんだ?黒い炎など見た事も聞いた事も無い」

 

我に返ったクーガーがロイに問い掛ける。

ポーションで多少なりとも回復したロイは体を起こし、リンに背中を預けて語り出した。

 

「これは邪眼の力なんだ。黒い炎はこの世の炎じゃない、この額の邪眼で魔界の炎を召喚したんだよ」

 

「魔界の炎だと・・・?」

 

「スタミナをマジカに変換する魔法も同時に使ってようやく呼び出せるんだ。黒炎を召喚するには今の俺のマジカだけじゃ足りないからな」

 

「そんな魔法が存在するとは・・・大学にもお前程の魔術師はそういないだろう」

 

「まぁな、俺の魔法は人間仕込みじゃねぇからよ。話せるのはここまでだ」

 

ロイはそう言ってリンの手を借りつつゆっくり立ち上がる。

 

「いや、答えてくれて礼を言うよ。少しだが理解出来た」

 

クーガーがこれ以上聞いてこなかったのはロイに対して感謝の気持ちがあったからだろう。

好奇心は尽きないが、恩人を困らせる真似もしないのはノルドの男気の表れだ。

 

「しばらく休んでいかないと・・・ロイ、無理しないで」

 

「それなら心配ない。歩けるならば町まで護衛しよう」

 

「急いでるんじゃないのか?」

 

「恩人を放っていけばノルドの名が廃る。それに、約束があるからな」

 

そう言って微笑むクーガーの視線の先にはリンの目があった。

 

「な、なに?」

 

「生きて帰ったら奢る、そう約束しただろう?」

 

クーガーは戦闘前のリンの言葉を覚えていた。

もちろん下心など一切ないとクーガーは続ける。

 

「はははは!気に入ったぜアンタ!」

 

「光栄だ。さて、ドラゴンストーンを探すとしよう。お前達は休んでいろ、お宝も持って来てやる」

 

ロイとリンはお言葉に甘え、休む事に専念した。

リンはそれ程疲れてはいないがロイを放っておけないのだろう、ロイから離れようとしなかった。

しばらく待っているとクーガーが袋を持って戻ってきた。

 

「お宝はこれで全部だ。付呪された武器も入れておいたぞ」

 

ドサっとロイ達の前にその袋を置く。

金貨の音もしたのでかなりの収穫なのは確実だ。

 

「目当てのモンはあったのか?」

 

「ああ。棺の中に入っていたよ。どうやら古代ノルド人の一番の宝はこれだったらしい」

 

「ちっ、譲るんじゃなかったぜ」

 

「付呪された片手斧という喉から手が出る程欲しい物を我慢するんだ、そう言わないでくれ」

 

「ま、生きてただけ良しとするか!」

 

「「HAHAHAHAHA!」」

 

「まったく、男ってのは・・・」

 

リンのボヤきは2人の笑い声にかき消された。

 




チュートリアルダンジョンみたいなここでこんなに手こずってたら、この先話にならないですよね(笑)
なのでそのうち修行パート入れますww

ではまた次回!
お気に入りありがとうございます!!


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