ファントムオブキル 〜The school story〜 (進撃のムラサキ)
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1話
拙くても暖かくみてください
僕が天川高校からユグドラシル高等学校に転校して、1年と数ヶ月が経ち、3年生へと進級した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
頭の近くで目覚まし時計が鳴り響く。
「うぅーーん…」
僕はその耳障りな音に目が覚める。
寝ぼけた頭で頭の近くに置いている目覚まし時計を止める。
時間を見ると、時計の針は7:30を差していた。
「んん…あと10分」
そう呟きながら魅惑の惰眠を貪ろうとすると下から僕を呼ぶ声が聞こえる。
「零ー‼︎起きなさーい‼︎玄関先でロンギちゃんが待ってるわよー‼︎」
母さんのシェキナーが言っている言葉を理解して、僕は昨日の約束を思い出す。
「ヤッバイ…‼︎」
僕はベッドから飛び上がり、下着を着替え、ハンガーにかけているワイシャツを急いで着て、すぐさま学校指定のズボンを履き、ブレザーとスクールバックを走りぎわに取り、階段を駆け下りる。
「母さん‼︎今日7時には起こしてって言ったよね⁉︎なんで起こしてくれなかったの⁈」
「何回も起こしたけど起きなかったのよ」
「それは起こしたって言えないんだけど⁉︎」
僕はローファーを履きながら母さんに突っ込む。
起こしてって起きなきゃ起こしたことにならないんだけどなぁ…
「つべこべ言わない‼︎はい、これお弁当」
「うぅ、腑に落ちない…まぁいいや。行ってきまーす‼︎」
そう言いながら、またいつもの騒がしい1日への扉を開ける。
「おはよう、零くん…えぇっと、大丈夫?」
僕と幼馴染で近所のロンギヌスが挨拶と同時に慌てて出てきた僕を心配している。
「おはよう、ロンギ。あははは…昨日一緒に行く約束していたの忘れてたよ。ほんっとにごめん‼︎」
パンッと手を合わせてロンギに謝る。
ロンギはキョトンとした顔だったが、クスクスと笑い始めた。
「大丈夫だよ、零くん。ちゃんと約束は守ってくれたから。じゃあ、行こう」
ロンギはクルリと振り返り、僕と2人で通学路を歩いていく。
他愛もない話をしながら歩いているとーー
「ドッカーーン‼︎」
後ろから強烈な体当たりをかませられる。
「ガッハ‼︎⁉︎」
僕はそのまま前のめりになって、こけそうになるがなんとかこらえる。
そして僕は後ろを向き、僕に体当たりした人物に口調を強めて言う。
「あのさぁ、ミトゥム‼︎なんでいきなり体当たりしてくんの⁉︎君の体当たりほんとうにシャレにならないくらい威力高いんだが⁉︎」
「おぅ、おはよーだぜ、零‼︎朝から元気だからそれをお前にそれをぶつけたんだ‼︎まだまだ元気だぞ‼︎」
ミトゥムは両手を上げて、元気が有り余るアピールをする。
僕は頭を抱えてため息をつく。
ロンギに関してはアハハ…と苦笑を浮かべている。
そして、僕はミトゥムの姉であるシタがいないことに気付く。
「あれ?そういえば、ミトゥム。シタは?」
「んぁ?姉ちゃんなら今日日直だから先に学校に行ったぜ?」
軽く体を動かしながら僕とロンギと一緒に学校へと向かい、学校に着く。
「赤羽 零さん。ロンギヌスさん。ミトゥムさん。おはようございます」
校門に立っている生徒会長のアロンダイトが綺麗かつ礼儀正しい挨拶をしてくる。
「おはよう、アロンダイト会長」
「おはようございます、アロンダイトさん」
「よう、アロンダイト‼︎」
1人だけかなりラフな挨拶をしているが気にしたら負けだと思い、そのまま教室へと向かう。
教室に入ると、1人の少女がこちらに気付き、手を振ってくる。
「ヘェ〜イ!3人とも朝からヘァッピィしてる〜?」
英語交じりで元気いっぱいに挨拶してくるこの子はフライクーゲル。
僕らのクラスのムードメーカーかつハイテンションの塊。
いつもと変わらずのフライクーゲルに僕はいつも通りに
「うん、朝からヘァッピィだよクーゲル」
と返す。
満足そうにウンウンと頷き、ロンギとミトゥムに話しかけていく。
僕はそのまま自分の席に座り、ふぅ…とひと息つく。
「おう、零。朝から両手に花ってか?」
そう言いながら僕をいじってくるのは僕の親友その1の火白 城。
見た目は少しチャラい感じがするけど、とても仲間思いでとても頼りになるやつだ。
「いや、違うでしょ。あれは多分2人でいたところにミトゥムがズドーンってところじゃないかな?」
そう言いながら僕を肘で小突くのは僕の親友その2の青野 ナルミだ。
こいつはまぁ1回隣の席になった時に意気投合して友達になり、いろんなことを相談しあううちに親友になった。
「そういうナルミはラグナロクと一緒に来たんでしょ?」
「まぁ同じ寮で出るタイミングも同じだからまぁ必然的に一緒になるわな」
城とナルミと話していると、HRのチャイムが鳴る。
教室の前の扉が開き、僕らA組の担任であるマサムネ先生が入ってくる。
「さぁ、皆の者。席に着いてくれ。HRを始めるぞ」
ほとんどのクラスメイトは自分の席に着くが、どうやら数名の男子が話に夢中になって聞こえなかったのか席に着かずに談笑している。
すると教卓がダァーン!と両手で叩かれる。
「…私は席につけと言ったはずだが?」
その男子達は、“は、はい‼︎”と萎縮しながら席へと戻る。
僕とナルミは“おぉ、こっわ”という顔をしていたが、城はケラケラと笑っていた。
さて、いかがでしたか?
誤字・脱字や感想を頂けると幸いです‼︎
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2話 Strat to Session
投稿します。
「さて、ではHRを始める。今日は特別日課の5限授業だ。1、2限はいつも通りの授業で3、4限は全校生徒とのレクリエーションだ。そして5限は部活動紹介だ。まぁ、新年度の恒例日課だ」
そしてマサムネ先生は教卓の中から箱を取り出す。
「今回のレクリエーションは3年は一部でペア行動になる。よってそれをくじ引きで分ける。さぁ、出席番号順に引いていってくれ」
僕はちらっと隣の席のロンギを見る。
まぁ出来ればロンギとペアになれればいいなと思いながらクジを引く。
ーークジを引いた結果、僕はロンギとはペアにはなれなかった。
「僕のペアはーーシタか。よろしくな」
「はい、よろしくお願いしますね」
「うん、よろしくねシタ。一緒に頑張ろう」
シタはいつも通りの笑顔で答える。
ーーいや、少しばかり機嫌が良さそうに見えるな。
ナルミはラグナロク、城はスイハとペアになったようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
1限目は眠くなる英語だ。
僕の席の配置は真ん中から右に2列目で前から3番目の席だ。
右側にはロンギ。左側はナルミ。前は城で後ろはティルフィングだ。
僕は姿勢を綺麗に保ったまま寝ていた。
すると額に激痛が走る。
「っ⁉︎痛ったぁ⁉︎」
「赤羽ぇ‼︎私の授業で寝るとはいい度胸だなぁ‼︎あぁ⁉︎」
…おぅ、マズイ。
そういえば今日の英語の先生は僕にとって天敵のブラフマー先生だったのを忘れていた。
僕は助けを求めてナルミのほうを見る。
だが既にナルミは静かに合掌していた。
いや、せめてフォローしてよ⁉︎諦めるの速すぎでしょ⁉︎
ーーーー数分後、勿論僕は廊下に立たされた。
先生に廊下行けと言われる直前、ロンギはアハハ…と苦笑いしていた。
まぁ英語は大体平均点取れるから問題ないねー★
休み時間。
教室に戻るとすぐにナルミに言う。
「おいナルミ‼︎南無三する前にフォローしてくれよ⁈」
ナルミは大爆笑しており、そんな僕とナルミを見て少しオロオロとしているロンギ。
はたから見たらもはやギャグに近いだろう。
だが僕らのクラスメイトは、“あぁ、いつものか”という顔をしている。
「アッハハハハwいやだってさwwwあれはwフォローのしようgブフゥwww」
「ハァ…お前ってやつは…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2限目は国語で古典の授業だ。
古典の授業は古典の話が面白いし、興味があるから全然眠くならない。
隣をちらっと見るとナルミが完全に顔を伏せて寝ている。
そこに満面の笑みを浮かべながらも影を落としているバルムンク先生がやって来て、肩にポンと手を置く。
ナルミはぴくっと反応すると顔を上げ、あっヤベェ…という顔をする。
ナルミはさっき俺がしたように僕にフォローを求め、僕を見るがーー
「( ° ▽ ° )」
んなこと知るかと言わんばかりの顔をする。
絶望感が漂う表情になるが知ったことではない。
「ろ・う・か・に…ついて来い♪」
いやまぁそうでしょうね。
今やってるのバルムンク先生の好きな古典の物語だしな。
そのあと、廊下から授業が終わる10分前まで説教の声が聞こえて来たのは言うまでもない。
そして休み時間。
移動するために準備をするがそれと同時にナルミが
「お前、お返しでもあれはないだろ…」
「知らんな。僕はやられたことをやっただけSA★」
「それでも釣りが来るわ‼︎」
そう叫ぶナルミに僕はアハハーと笑いながら流す。
そして3-4限目。
全校生徒のレクリエーション。
現在僕は僕の右足とシタの左足が布で巻かれている。
つまり二人三脚の状態だ。
「なるほど、ペアってこういうことね」
僕はちらっとロンギの方を見る。
ロンギは頰を少しだけ膨らませていた。
シタに関しては、鼻歌を歌っていてかなり機嫌が良さそうだ。
「…んと…ょ…ったなぁ」
ろんぎが小さくだが何か呟いたように聞こえた。
「…?ロンギー、何か言ったー?」
「ふぇ⁈なな、何も言ってないよ⁉︎」
…⁇何か焦っている感じがするけどまぁ何も言わないならいいか。
〜ロンギside〜
「ハァ……びっくりしたぁ…」
私はペアになったアスカロンちゃんが聞こえないくらいの声で呟いた。
まさか零くんに“零くんと一緒が良かったなぁ”聞かれそうになっていたのはびっくりしたなぁ。
それを思い出して急に恥ずかしくなってきた…
ーーあれ?なんで私零くんと一緒が良かったなと思ったんだろう
私は胸のモヤモヤは何かはまだわからないままだった。
さて、第2話どうだったでしょうか?
誤字・脱字、感想などいただけるとうれしいです‼︎
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3話 activity to tag
鬼ごっこを英語でいうとーーtag(タグ)って言うんだね。知らなかった!!
ーーうん、どうでもいいね!では3話目どうぞ!
〜零side〜
「さぁて…と」
腕と脚を僕は二人三脚で出来る範囲でストレッチしながらこれから始まる
今から始まるのは鬼ごっこ。
僕ら3年と2年の半分と残りの2年と1年の2チームに分けられる。
まずは僕らのチームが鬼。
因みに3年は鬼の時は二人三脚で追いかけることになる。
そして鬼をやる時間は1限丸ごとの50分。
結構長いがまぁ時間いっぱいまで全速力でやるわけじゃないからね。
そして10分間の休憩時間を挟んで次は逃げる時間。
ここでも僕ら3年はハンデとして学校内全体ではなく校庭のみになっている。
「さぁて…本気出そうかな?」
審判はマサムネ先生を筆頭とした教師陣。
更に隠れて反則をしないように学校の校舎裏にはカメラを設置してあり、監視をしている。
勿論反則行為と見なされたら即失格となる。
「さて、皆の者!!準備は良いか!!」
オォー!という歓声が両陣営から聞こえる。
「さぁて、シタ。“合わせろよ”」
「ふふっ、わかってますよ」
「では行くぞ!試合ーー開始!!」
その合図と共に僕ーーいや、『俺』とシタは地面に手をつける。
目線は散り散りに逃げ始める逃げ側の塊だ。
零/シタ「せーの!!」
それを合図とし、2人でクラウチングスタートで走り出す。
勿論、肩なんか組む必要が無い。
肩を組まない方が腕を振れるから推進力が出る。
逃げている1年生、2年生関係なく次々と捕まえていく。
「さぁて、楽しい楽しい狩りの時間だ!!」
〜ナルミside〜
「うーん、張り切っているねー。皆」
「まぁ、ウチの一大行事でもあるからね。これ」
ボクはラグナロクと肩を組みながら走る。
目の前を肩を組まないで猛スピードで捕まえていく零&シタコンビはもう無視する。
うん、あれはマジで意味がわからない。なんで肩組まないであんなに足並み揃うわけ?1つ間違えればあれ大怪我になりかねないんだけど。
そんなことを考えつつも、ボクは標的を絞っていく。
「よし、決めた。ラグ」
「なぁに、ナルくん?」
僕はあっちを見てとアイコンタクトをする。
ラグナロクがそちらを見ると、クスっと笑う。
「はっはーん…なるほどね?確かにいい判断かも。じゃあーー行こっか」
ボクとラグナロクは駆け出す。
そしてーー標的こと、ボクの妹であるシユウは、それに気付く。
「あ、お兄ちゃんとお兄ちゃんと仲がいいお姉さんだー!!シユウはお兄ちゃん立ちから逃げ切るぞー!」
シユウは踵を返し、怒涛のスピードで走る。
よし、ここまでは予想通り。
この先は校舎側になっており、そのまま校舎裏に先に行かれると、シユウの脚力じゃ、撒かれる。
だからーーーーボクとラグナロクはパルクールを応用し、校舎を横断する。
校舎裏側に着地し、シユウが逃げてくる方向に向かうと、猛スピードで走るシユウがいる。
ボクらに気付いて、驚きながら踵でブレーキをかけるがなかなか止まることが出来ずーー
「はい、タッチ」
と、ラグナロクに捕まった。
「お、お兄ちゃん達どうやって来たんだ!?さっきまでシユウの後ろにいたのに」
「あぁ、うん、パルクールで渡った」
するとシユウは目をキラキラさせる。
「パルクールってあの忍者みたいなやつだ!!お兄ちゃん、今度シユウにも教えて欲しいのだ!」
「おっけ、わかった」
“約束だから〜!!”といいながらシユウは捕まった人の待機所へと元気よく走って行った。
「よし、じゃあどんどん捕まえていこ!」
〜白side〜
俺とペアになったスイハは走り続け、結構な人数を捕まえた。
そして残り時間も10分程度になっていた。
「あー…スイハ。まだ行けるか?」
「え、えぇ。大丈夫、です(実は結構疲れているけど…楽しいし、何より白さんに迷惑かけたくない…)」
俺とスイハはあたりを見回しながら軽く走る。
その時ーー目の前にヒラリと挑発でもするかのように1人の小柄な女子生徒が横切る。
「へぇ、上等じゃねぇか!」
「ふん!お前ら如きにこのタスラム様が捕まるわけないだろ!!」
その挑発にスイハも乗ったようで、
「いいでしょう、貴方を捕まえてみせます!!」
と、闘志を燃やす。
ーーその後はタスラムを追いかけていたが、素早さと軽快さ、更に機転をきかせた動きに翻弄され、捕まえきれずに時間切れとなった。
ーーーーーーーーーーーー
〜零side〜
3時間目の終わりのチャイムが鳴る。
前半戦ーーつまり俺らが鬼の時間が終わる。
フゥと息を吐き、戦闘モード、もとい、試合のスイッチを元に戻す。
「やっぱり性格がガラリと変わりますね」
クスクスとシタが笑う。
「いやぁ、面目ない」
自分が先程まで言っていた言葉を思い浮かべながら謝罪らしき言葉を言う。
いや、ねぇ。
“さぁ、もっと楽しませろ!!こんなんじゃまだまだ足りねぇんだよ!!”
って言っていた『俺』ーーいや、僕の素がコレだからね。うん。
「よし、次は逃げる側だね。頑張るぞー!!」
はい、サラッと凄いことをしてるけど気にしちゃダメだよ?オケ?
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4話 run away from チミっ子
「皆の者、続いて後半戦だ‼︎前半戦とは違い持久力と判断力が勝利の鍵へと繋がるぞ!前半戦は鬼が9割捕まえていた。後半戦も期待しているぞ!では、始め‼︎」
マサムネ先生の開始の宣言と共に開始のチャイムが鳴る。
それと同時に俺は足元を爆裂させる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
後半開始してから30分。
逃げ側の人数がざっと見て約60%ほどになっていた。
さっき城が捕まっているのは見た。
しかもあいつ途中でつまらなくなって捕まっていたし。
ナルミは今も無事で逃げている。
他に確認できたのはアスカロンとティルフィング 。それにシタ…あいつうまく校庭内にある木の上に隠れていたしなぁ。まぁルールは違反してないから大丈夫だろう。
確認できてないのはロンギとラグナロク。あとはアロンダイト会長とうちの部長だな。
ーーと、思考を巡らしていると前から白銀の髪を靡かせ、俺を捕まえようと手が迫る。
俺はそれをスピードを上げて真横を突っ切る。
「おいお前‼︎このタスラム様の手をわずらわせるな‼︎」
「悪いなぁ、ちみっ子。今忙しいから後でな〜」
後ろから怒号が聞こえるがきっと気のせいだ。気のせいじゃなくても無視する。
何故なら目の前には4方向の内3方向は数人の鬼、背後は壁というまさに四面楚歌状態のロンギが少しアワアワしながらそこにいた。
俺は先程と同じ要領でトップスピードで鬼の間をすり抜け、ロンギをお姫様抱っこで抱き上げる。
「ーーえ?ふぇ⁉︎」
「じゃあ鬼さん方ララバイ‼︎」
ロンギの背後の壁を蹴り、鬼の頭上を飛び越え、危機的状況を脱した。
「ひゃあぁ⁈ちょ、零くん⁉︎」
俺は未だにロンギをお姫様抱っこしながら走っている。
なぜなら先程囲んでいた1年軍団がタスラムとか言っていたやつ筆頭に俺を追いかけて来ている。
今ロンギを下ろしても多分速攻で捕まるだろう。
「れ、零くん‼︎これ、すっごい恥ずかしいんだけど⁈」
「んなこと言われても困る‼︎多分今下ろしたら捕まるしこの状態なら脚に圧迫かけないから脚の回復が早いから我慢して!」
ロンギはあうぅ…と唸っていたが内心俺は心臓が口から飛び出そうなほど緊張している。
いや、だってさ…好きな人をお姫様抱っこしているんだよ⁉︎
そりゃあ緊張もするわ
ーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから10分。
なんとかちみっ子軍団をまいて、今は校庭の木の影に隠れて息を整えている。
「よし…ロンギ、今から俺が飛び出すから、それとは、逆方向に、逃げて、くれ」
「う、うん。わかった」
俺はフゥーっと息を吐き、脚に力を入れる。
そしてーー俺は木の影から飛び出す。
ちみっ子軍団はそれに気付き、こちらに向かってくる。
ちらっと後ろを見るとロンギが誰にも追いかけられない状態になっていたので安心しつつ、今逃げているほうに集中する。
-数分後-
俺は息を切らしながらも逃げている。
あとどれくらい時間があるかはわからない。
いや、はっきりいうと気にしていられる状態じゃない。
さっきからーーロンギを逃すために囮になった後からずっとちみっ子軍団に追われている。
そんな時、右側から危険を感じて飛び込むように前に突っ込む。
その直後、俺のいた場所に白銀の髪の少女、タスラムが突っ込んでいく。
「あっぶないなぁ、ちみっ子‼︎」
「うっさい、ちみっ子言うな‼︎お前は絶対に捕まえる!」
「やれるものならやってみろ‼︎」
俺は足元を爆裂させるほどに力を込めて踏み込む。
「逃すか‼︎絶対に捕まえる‼︎」
俺は運動用具や校庭の木を利用し、次々とタッチを避けていく。
ーーだが遂に逃げられないように追いつめられた。
「はん、チェックメイトだ!残念だったな」
「あぁ、全くもってーーお前らちみっ子は惜しかったな」
そう呟くと共にチャイムが鳴り響く。
タスラムと言っていた白銀の髪の少女が驚いた顔をして振り返り、時計を見る。
勿論時計は4限の終わりの時間を寸分狂わず指していた。
「なっ⁈まさかお前、これが狙いで…⁉︎」
「さて、なんのことやら。まぁ、久々にここまで追いつめられたから楽しかったよ。またな、ちみっ子軍団」
俺ーーいや、僕は集合場所へ向かう。
後ろから何か怒鳴り散らしているような声が聞こえている気がするが、多分きっと気のせいだ。面倒なことはいやだ。
あ、面白そうなのは例外ね♪
集合場所の朝礼台前に来るとそこには噂や悪戯の達人というあだ名を持っているオティヌスとナルミがニヤニヤしてそこに立っていた。
「…何?なんか用あるの?」
僕は嫌な気分を表情に出しながら問う。
何故ならこの2人がこのような笑みを浮かべている時は大体ろくなことがないことが多い。
というか十中八九ろくなことない。
そんなことを頭で巡らせていると2人は肩に手を置き、耳元に口を近づける。
「いや〜、ピンチに颯爽と現れて助ける王子様!いやぁ〜カッコよかったよ〜★」
「お姫様抱っこか〜♪あっついね〜ヒューヒュー♪」
「だあぁぁもう‼︎てか、そ、そういうのじゃないっての!脚の回復とか捕まるリスク考えてお姫様抱っこになったの‼︎」
ハァ…とため息をつき、“それに…借りもあるしな”と誰にも聞こえない小さな声で呟く。
そんな時ーーカシャっていう音とフラッシュがたかれる。
僕はすかさずフラッシュがたかれた方を向くと、隣のクラスの写真部兼新聞部の雑賀がカメラを構え、ニコニコした表情をしている。
「いやぁ〜零の赤面した写真。かなりのレア物っすね〜♪」
「ちょ、おま、今すぐ消せやああぁぁぁぁ‼︎」
因みに。
この直後に雑賀の写真を消すために追いかけ、消したのだが既にバックアップ取られていたのを知ったのはまた別の話である。
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