問題児と力を受け継いでしまった者が異世界から来るそうですよ? (皐月の王)
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YES!ウサギが呼びました
プロローグ


プロローグです


春風が吹き新しい生活を祝う、しかし今年の春は一段と肌寒く感じる、そんな中、河原で赤いコートを着てイアホンをつけて音楽を聞きながら寝ている少年がいた。

 

「あー、卒業式かぁ、まぁいいよな、なんにも面白くないし」

 

彼は神薙竜輝、都内の中学校に通っていた少年だ。肌寒い風が吹き抜ける、が竜輝にはどうでもいい、本当に心の底からどうでもいいと思っている。

 

「周りと同じだったら面白いだろなぁ。あーあー面白くないなぁ」

 

電車の音がきこえ、風が吹く、音楽は鳴り止まず耳に入る。しばらくすると

 

「おい!いたぞ!神薙だ!ここであったが100年目覚悟してもらうぜ!」

 

不良20人あまりが、周りに集まる、金属バットや、材木などを持っている。奴らは、半年前に竜輝に因縁をつけてきた連中だ

 

「はぁーーーーー本当につまんねぇ」

 

盛大にため息をつき、立ち上がる。

 

「めんどうだな」

 

数秒後

 

「す・・・すみませんでした。・・・もう・・・このようなこと・・・二度と・・・しません」

 

全身をフルボッコにされ、不良は謝罪の言葉を吐く

 

「そんな事言って今日で5回目だ。どうせまた喧嘩を振ってくるんだったら、言わないでくれ」

 

不良の腹部に"軽く"蹴りを入れ気絶させる

 

「・・・・・・面白くないなぁ、買い物でも行こ」

 

お気に入りのコートを整えスーパーに向かう

 

「あっ・・・安売りの時間が・・・・すぎている・・・」

 

スーパーでの買い物を終え家に帰宅している。

 

「ただいまー」

 

誰もいない部屋に、返事が返ってこない部屋のテーブルの上に買い物袋を置く、するとある物が目に入る。それを手に取る

 

『神薙竜輝殿へ』

 

手紙だった、しかし不可解なことがある。部屋の鍵は閉めていた、窓もしっかりと鍵をしていた。それなのに、竜輝宛に手紙が部屋に来ている。怪盗気取りの仕業かと思ったが、警報がなった後がない、侵入した痕跡はない。ちょっとしたミステリーだ、侵入方法不明、おまけに手紙を置いていく所業。そこに退屈から一つの幸福が生じる。どこの誰かは知らないが、感謝する。そんな気持ちになった。神威は胸を躍らせる。高鳴る気持ちを抑えて手紙の封を解き手紙の内容を見る。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』

 

読み終えると同時に浮遊感が襲う。下を見ると、急転直下、上空4000メールほどの位置で投げ出されていたのだ。落下に伴う圧力に苦しみながらも、笑がこぼれた。あの手紙は怪盗気取りの手紙では無く、完全に未知なるものからの未知の招待状だったのだ。

 

「はっ!…楽しみだ…」

 

そう思い、上空4000メールから、落下し、緩衝材のような幕を幾つか通り、湖に投げ出される

 

「きゃ!」

 

「わっ!」

 

「うわっ!」

 

ばしゃん、と4つの音を湖は立てた

 

 




初の作品ですw
ほにゃーさんの問題児作品を見て書く気になりました。

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第1話:異世界で問題児と知り合うようですよ?

やっと第1話・・・出来た


俺と二人の少女、一人の少年が同時に湖に落ち、全員が濡れる

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によったらゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「……。いえ、石の中に呼び出さては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

「三毛猫……大丈夫?」

 

『じぬかとおぼった……』

 

「不幸だ‥‥‥着水前の自分を殴りたい気分だ」

 

「此処……どこだろう?」

 

三毛猫を抱えた少女が言う。

 

「さあな。世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

 

此処が俺達にとって知らない未知の世界だと言うのは明らかだ。服を絞り終えたヘッドホンをつけた少年が顔を向ける

 

「一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

ヘッドホンをつけた少年が髪をかき上げながら聞く。

 

「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方訂正して。ーーーーー私は久遠飛鳥よ。以後気を付けて。それでそこの猫を抱き抱えている貴女は?」

 

飛鳥は猫を抱えた少女に質問をする。

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく、春日部さん。それと、耳になにかつけている白髪の貴方は?」

 

耀の自己紹介が済み、今度は俺に矛先が向いた。

 

「俺は神薙竜輝。神薙でも竜輝でも呼びたい方でいいよ」

 

無難の自己紹介でいいだろう。冒険する必要は無いと俺は思った

 

「分かった」

 

「分かった。よろしくね。竜輝君。最後に野蛮で狂暴そうなそこの貴方は?」

 

「見たまんま野蛮で狂暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ」

 

すごい自己紹介する奴だな…いや本当に

 

「取扱説明書をくれたら考えてあげるは十六夜君」

 

「すごい自己紹介だな、竜輝だよろしく十六夜」

 

「おう。よろしくな、竜輝。後、今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

心からケラケラ笑う十六夜

 

傲慢そうに顔を背ける飛鳥

 

我間せず無関心を装う耀

 

すごい個性の塊のメンバーだ。ついでに、そこにいる、誰かが気になり始めた。

 

「で、呼び出されたのはいいけどなんで誰も居ねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明する人間が現れるもんじゃねぇのか?」

 

「そうね。なんの説明も無いままでは動きようがないもの」

 

「………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「それには同感だけど、耀も人のことを言えないくらい落ち着いているよ?」

 

「えっ?」

 

耀が俺を見て不思議そうな表情をし疑問の言葉を発した。

 

「ん?どうかした?」

 

「名前。どうして名前で呼ぶの?」

 

もしかして、男の人に名前に呼ばれるのは嫌なのかな?

 

「あ〜ごめん。もしかして嫌だった?ならやめるけど…」

 

「ううん。嫌じゃない。ただ、気になっただけ」

 

まぁ、初対面で自己紹介しただけの相手にいきなり名前で呼ばれたな気になるよな。

 

「まぁ、なんていうか、友達てさ、名前で呼び合うものじゃない?だからかな」

 

「えっ、友達?」

 

あれ、嫌だったかな……すごい恥ずかしいだけど……

 

「もしかして嫌だった?」

 

「ううん。むしろ、嬉しい。ありがとう、竜輝」

 

耀がほんの少し微笑んだ。感想を言うと可愛かった。

 

「取りあえず、そこに隠れている奴に話を聞くか?」

 

十六夜の言葉に反応して振り返る。やっぱり十六夜も気づいていたようだ。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

飛鳥も気づいていたようだ

 

「当然。かくれんぼじゃ、負けなしだぜ。竜輝と春日部も気づいてんだろ」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「まぁね、あんなに出るタイミングを伺われたらね、気づくよ」

 

俺達の言葉に反応したのか、隠れていた人物が現れた。

 

「や、やだな~、御四人様、そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?」

 

現れたのは、ミニスカートにガーダーソックスを履き、うさ耳を生やした15~16歳位の少女だった

 

「なんだ?バニーガールか?」

 

「うさぎ人間かしら?」

 

「……コスプレ?」

 

「新手の変態?」

 

上から順に十六夜、飛鳥、耀、俺の順番だ。

 

「ちょっと待って下さい!御四人様方、好き放題にいい好きです!」

 

うさ耳少女は怒りを露わにし切れる

 

「俺達は前振り無しに呼ばれた挙句に湖に叩き落とされ全身がびしょびしょだ?………どう思うかな、十六夜君?」

 

「全くだぜ。これじゃ~怒りが収まらないなぁ~」

 

「同感ね。ちゃんと説明はしてもらうわよ」

 

「同じく」

 

俺達の悪巧みに気づいたのかうさ耳少女はたじろぐ

 

「そ、それに関しては黒ウサギのミスです。申し訳ありません。」

 

ウサ耳少女がウサ耳をへにょらせて謝るが………

 

「それで許すと思うか?」

 

十六夜が許しませんでした。正直俺もあれで許す気は少ししかない

 

「ま、待ってください!ここは一つ穏便に黒ウサギの御話をどうか聞いていただけませんか?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「何言っているんだお前は?」

 

「あっは、取り付くシマもないですねって最後のお方に関しては酷すぎません!?」

 

うさ耳少女こと黒ウサギはバンザーイ、と降参のポーズをしながらもツッコミを入れた。気づけば隣にいた耀が居なくなっていた。少し見回すと、黒ウサギの後ろにいた、狙いは耳、次の展開が読めた……

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

力ない声で遠慮なく耳を引っ張る

 

「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心のなせる技」

 

「自由にも程があります!」

 

耀を怒るのに夢中で背後から来る十六夜に気付いていない。黒ウサギ……もう一回遊ばれるドン

 

「へえ? このウサ耳って本物なのか?」

 

十六夜は黒ウサギの右耳を掴み

 

「なら私も」

 

飛鳥は左耳を掴み、引っ張る

 

「ちょ、ちょっと待――――――」

 

黒ウサギの言葉にならない悲鳴が森中に響き渡った。

 

十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギ。ここにいるメンバーは個性の塊だと、俺は思った。引っ張られる光景を見ながら

 

 

 




第2話はまだまだですので、気長に待ってください


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第2話:黒ウサギの説明会だそうですよ?

今日はテンションMAXです(すぐにテンションは戻る)


黒ウサギいじりからはや1時間、話だけは聞くことになった。

 

「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

全員で黒ウサギの前の岸辺に座る。

黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、両手を広げ

 

「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ? 言いますよ?さあ、言います!ようこそ“箱庭の世界”へ!我々は皆様にギフトを与えられたものたちだが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

 

黒ウサギの説明に飛鳥は質問の為に挙手する

 

「まず初歩的な質問からしていい? 貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者(ホスト)”が提示した商品をゲットできると言うとってもシンプルな構造となっております」

 

十六夜のセリフに怒りながら説明を続ける

 

「主催者って誰?」

 

耀が控えめに手を上げ聞く

 

「様々ですね。修羅神仏が人を試すための試練と称して行われたり、コミュニティの力を誇示するために独自に開催するグループもあります。前者は自由参加ですが、“主催者”が修羅神仏のため、凶悪かつ難解で中には命を落とす物もありますが、その分見返りは大きいです。場合によっては新しい“恩恵(ギフト)”を手に入れることもできます。後者は、参加にチップが必要です。参加者が敗退すれば“主催者”のコミュニティに寄贈されます。」

 

「後者は俗物ね。チップには何を?」

 

「様々です。金品・土地・利権・名誉・人間……そして、ギフトも賭けることができます。新たな才能を他人から奪えればより高度なギフトゲームを挑む事も可能です。ただし、ギフトを賭けた場合、負ければご自身の才能も失われるのであしからず」

 

そういう黒ウサギの顔には黒い影があった。怖いなあのウサギ

 

「そう。なら最後にもう一つ。ゲームそのものはどうやって始めるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、期日内に登録すればOK!商店街でも商店が小規模のゲームを行っているのでよかったら参加してください」

 

「……つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」

 

お? と驚く黒ウサギ。話を聞く限り確かにそうだと思う。

 

「ふふん? 中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか! そんな不逞の輩は悉く処罰します。しかし!先ほどそちらの方がおっしゃった様に、ギフトゲームの本質は勝者が得をするもの!例えば店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればただで入手することも可能だと言うことですね」

 

「そう。中々野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし“主催者”全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

黒ウサギは一通りの説明を終えたと思ったのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが……よろしいですか?」

 

黒ウサギが俺達に確認を取るように聞いて来る。そんな中、十六夜が手を挙げた

 

「待てよ。まだ俺が質問してないぜ?」

 

その声は威圧的でいつもの軽薄な笑顔が無かった。真剣ということだ

 

「……どういった質問でしょう?ルールですか?それともゲームそのものですか?」

 

「そんなのは"どうでもいい"。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃない。俺が聞きたいのは……たった一つ、手紙に書いていたことだ」

 

十六夜が目を細めて、俺達三人を見まわし、天幕に覆われた都市を見上げる。そして、何もかも見下すような視線で一言尋ねる

 

「この世界は・・・・"面白いか?"」

 

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』

 

手紙にはそう書いてあった。俺達は全てを捨てて箱庭に来た。それに見合うだけの催し物はあるのか?それは、ここにいる俺達四人には重要の何者でもない。

十六夜の質問に黒ウサギはニッコリ笑いながら宣言する。

 

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

最後に小さく呟いた

 

「それは・・・少し楽しみだ」

 

 

 

 




次回はいつか不明です!


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第3話:コミュニティリーダーに会うそうですよ?

レポートが・・・・レポート


「ジン坊ちゃ―ん!新しい方を連れてきましたよ―!」

 

黒ウサギが元気一杯に手を振りながら一人の少年に近づく。見た感じ小学校5年から中学校1年くらいだろうダボダボのローブに跳ねた髪の毛が特徴的だ。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの3人が?

 

「はい、こちらの御四人様が――」

 

・・・ジン言った人数と黒ウサギの言った人数が会ってない。俺は周りを見渡すと、十六夜が迷子になっていた

 

「……え、あれ?もう一人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている殿方が」

 

「ああ、十六夜君のこと?彼なら『ちょっと世界の果てを見てくるぜ!』と言って駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

あっちの方に。と指さすのは上空4000mから見えた断崖絶壁。

飛鳥の言葉に黒ウサギがウサ耳を逆立てる。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「『止めてくれるなよ』と言われたからだ」

 

「なら、どうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「『黒ウサギには言うなよ』と言われたから」

 

「嘘です!絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御三人さん!」

 

「「「うん」」」

 

打ち合わせをしたかのような息の合い具合がいい。

黒ウサギは前のめりに倒れ、ジンはというと顔面蒼白になって叫ぶ。

 

「大変です!世界の果てにはギフトゲームのために野放しになっている幻獣が!」

 

「幻獣?」

 

「ペガサスやユニコーン、ヒュドラでもいるのか?」

 

「は、はい。世界の果てには強力なギフトを持った幻獣がいます。出くわしたら最後、人間じゃ太刀打ちできません!てか、ヒュドラなんでそこまでの幻獣はいませんよ!」

 

そうなんだ。いない方がいいかもな

 

「あら、なら彼はもうゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?……斬新?」

 

「十六夜、短い間だったがありがとうな」

 

「冗談を言ってる場合じゃありません!」

 

ジンは必死に事の重大さを訴えるが、俺達は肩をすくめるだけだ。黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。心無しか怒っているように見える

 

「…ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギどうする?」

 

「問題児を捕まえに参ります。ついでに――――“箱庭の貴族”と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります!」

 

その瞬間、黒ウサギの青い髪が桜色に変わった。感情が昂ると髪の色が変わるのか・・・すごいな箱庭は。髪を緋色に染めた黒ウサギは空中高く飛び上がった

 

「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくり箱庭ライフを御堪能ございませ」

 

淡い緋色の髪を戦慄かせ踏みしめた門柱に亀裂を入れる。全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛びさり、あっという間に4人の視界から消え去った

 

「………。箱庭のウサギは随分はやく跳べるのね。素直に感心するわ」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女ならよほどの幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが…」

 

黒ウサギはそんなにすごいのか、怒らしたら凄いことに成りそうだ。

 

「取りあえず、十六夜君のことは彼女に任せて、箱庭に入りましょう。貴方がエスコートしてくださるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。三人の名前は?」

 

「久遠飛鳥よ」

 

「春日部耀」

 

「神薙竜輝だ。よろしくジン」

 

飛鳥と耀はジンに一礼し、俺はジンに握手を求めた

 

「それじゃあ、箱庭に入りましょう。まずは、軽い食事でもしながら話聞かせくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取り笑顔で箱庭の外門をくくった。

 

「へぇーこれが箱庭かぁ」

 

箱庭に入って驚いたことが天幕で覆われていたのに、太陽が見えることだ

 

『お、お嬢!外から天幕の中に入ったはずなのに、お天道様が見えとるで!』

 

「……本当だ。外から見たときは箱庭の内側は見えなかったのに」

 

そう言えばそうだ。上空から見た時は箱庭の様子なんて見れなかった。だが入っても太陽が見える

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんです。この箱庭には太陽の光が受けられない種族もいますし」

 

「あら、それは気になる話ね。この都市には吸血鬼でもいるのかしら?」

 

「はい、いますよ」

 

「……そう」

 

正直に言うと俺も驚いている。実在する吸血鬼がどんな生態かは知らないけど、同じ街に住むことが出来るなんて。しばらく歩いて“六本傷”の旗を掲げるカフェテラスに入り、そこで軽食を取ることになった。

注文をとるために店の奥から素早く猫耳の少女が飛び出てきた。

猫耳?黒ウサギと同じタイプかな?

 

「いらっしゃいませー。ご注文はお決まりでしょうか?」

 

「えーと、紅茶と二つと緑茶一つ。あと軽食にコレとコレと」

 

『ネコマンマを!』

 

「飛鳥あとネコマンマ二つ」

 

「え?竜輝君二つ食べるの?」

 

「俺の分と、三毛猫の分だよ」

 

俺はそう言って、耀の三毛猫を指さす

 

「ちょ、竜輝君!貴方猫の言葉分かるの?」

 

「竜輝、三毛猫の言葉、分かるの」

 

飛鳥と耀が驚く。耀に関したら、目が凄く輝いているように見える

 

「まぁ、大体の動物と会話は出来るよ。君も分かるんだろ?店員さん?」

 

猫耳店員に聞くと

 

「そりゃ、猫族ですからね。分かりますよ。それにしても、お歳の割に綺麗な毛並みの旦那さんですね。ここは、少しサービスさせてもらいますよ」

 

猫族……じゃあ黒ウサギはウサギ族に入ると言うのかな?

 

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鉤尻尾やな。今度機会あったら甘噛みしにいくわ』

 

「やだもー、お客さんったらお上手なんだから♪」

 

猫耳店員は鉤尻尾をフリフリと揺らしながら店内に戻る。

 

その後ろを見送った耀は嬉しそうに笑って三毛猫を撫でた

 

「箱庭ってすごい。私以外に三毛猫の言葉が分かる人いたよ」

 

『来てよかったなよかったなお嬢』

 

「ちょっと待って、春日部さんも猫と会話できるの?」

 

珍しく動揺した飛鳥に耀は頷く。

 

「もしかして、竜輝君は春日部さんが猫と話せることに気づいてたの?」

 

「まぁね、さっきから三毛猫との会話が成立していたみたいだから、薄々そうだろうなぁと思った」

 

「なら、言ってくれればいいのに……

 

「も、もしかして、お二人は猫以外にも意思疎通は可能なんですか?」

 

ジンが興味深く質問してくる。

 

「うん。生きているなら誰とでも話はできる」

 

「まぁな、幻獣は話したことないから話せるか分からないけどな」

 

「それは素敵ね。なら、あそこに飛び交う野鳥とも会話が?」

 

「うん、出来……る?ええと、鳥で会話したことがあるのは雀や鷺、不如帰ぐらいだけどペンギンがいけたからきっとだいじょ」

 

「「「ペンギン!?」」」

 

「う、うん、水族館で知り合った。他にもイルカとも友達」

 

まさかここでペンギンが出てくるとは思ってなかった…ペンギンと話出来るんだ。スベッ〇ムとか言うのかな?

 

「全ての種と会話可能なら心強いギフトです。箱庭において幻獣との会話は大きな壁ですし」

 

「そうなんだ」

 

「一部の猫族や黒ウサギのような神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同一種か相応のギフトがなければ意思疎通は難しいと言うのが一般です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも全ての種とコミュニケーションをとることはできないはずですし」

 

「そう……春日部さんと竜輝君は素敵なギフトを持ってるのね。羨ましいわ」

 

「(素晴らしいギフト?俺からしたら、動物と話す以外は迷惑なギフトだよ)」

 

俺は少し苦笑いした、そうだある意味疫病神からの押し売りのようなものだし

 

飛鳥に笑いかけられ、困ったように頭を掻く耀。対照的に、憂鬱そうな声と表情で飛鳥は呟く。会って数時間だが、飛鳥の表情は飛鳥らしくない。

どこかそう思えた。

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?

 

耀の質問に更に顔を曇らせた・・・それほど自分の力が嫌いなのかな?

 

「私?私の力は……まぁ、酷いものよ。だって」

 

「おやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュニティ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

品の無い上品ぶった声がジンを呼ぶ。

振り返ると二メートルは超える巨体にピチピチのタキシードを着た変な男がいた。

 

「(誰だよ、こいつ)」

 




ファントムソードってかっこいいですねw

リヴァイアサン戦を見ながら思いってます


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第4話:コミュニティの現状の説明だそうですよ?

レポートなんて大っ嫌いだ(大泣き)


「僕らのコミ二ティは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」

 

ジンは顔を顰めガルドに言う。余程ガルドの事が嫌いなのだろう

 

「黙れ、この名無し。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミ二ティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュ二ティ

を存続させるなどできたものだーーそう思わないかい、御三人」

 

ガルドと言われたピチピチのタキシードを来た人物は俺達が座っているテーブルの空いている席に腰を下ろし、俺達に愛想笑いを向けるが、相手の失礼な態度に俺達三人は冷ややかな態度で返す

 

「席に座るのなら、名前ぐらい名乗るものだろ?」

 

「そうね。それと、一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

「おっと、これは失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ

“六百六十六の獣”の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!」

 

「ゴホゴホ!」

 

ジンが横槍を入れてガルドが烏合の衆のリーダーだと名乗るハメなった。不覚にも面白かったため、ネコマンマでむせてしまった。

 

「竜輝、大丈夫?」

 

「大丈夫、少しむせてしまっただけ」

 

「口慎めや小僧ォ……紳士で通っている俺にも聞き逃せえ言葉はあるんだぜ……?」

 

「森の守護者だったころの貴方なら少しは相応の礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一○五三八○外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうがッ

 自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてるのかい?」

 

「そこまでだ」

 

険悪ムードの二人に割って入り喧嘩を止める。聞きたいことも出来たからだ

 

「お前達が仲が悪いのはよくわかった。それを踏まえて聞く。………ジンお前のコミュニティの現状を教えてくれ」

 

「そ、それは・・・・」

 

ジンは言葉につまり顔には明らかに動揺の色が見える。やはりなにか隠しているようだ

 

「ジン、お前は、コミュニティのリーダーだろ?だったら同士として呼んだ俺達にコミュニティがなんなのか説明する義務がある。そうじゃないのか?」

 

ジンは黙ったままだ、拳を握り震えている

 

「あくまでも仮説だ。ジンがコミュニティの現状を言わないのは何か言えない事情があるんじゃないか?それは、ジンのコミュニティは何かしらの影響を受け衰弱したコミュニティなんじゃないのか?」

 

その言葉にジンの肩がビクッとなった。

 

「理由はさっきガルドが言った過去の栄華に縋るって部分だ。察するにジンのコミュニティは元々、名が知られたコミュニティだった。だが話からするに今は違う。そのため、異世界の俺達を呼び出しコミュニティの再建をしようとしている。そのことを言わないのは、言ったら俺たちがコミュニティに入らないかもしれない可能性が出てくるからだ。多分だが、黒ウサギもグルだな?十六夜がコミュニティに入るのを断った時、怒ってたからな。

それと、俺達にはまだ、他のコミュニティを選ぶことができる。何か違うところはあるか?ジン?」

 

「いやはや、頭が良い方だ。その通り、貴方の推理通りですよ。ジン君のコミュニティは数年前までこの東区最大手のコミュニティでした。最もリーダーは別人でしたけどね。ジン君とは比べようもないぐらい優秀な男だったそうですよ。ギフトゲームの戦績も人類最高の記録を持っていた、東地区最強のコミュニティだったそうですから。彼は東西南北に分かたれたこの箱庭で、東の他に南北の主軸コミュニティとも親交が深かった。南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭上層にくい込むコミュニティだったというのは嫉妬を通り越して尊敬してやってもいいぐらいにすごいのです。ーーーまあ先代は、ですが」

 

ガルドはそう言いながらジンを見る。

店員が持ってきたフルーツ牛乳を飲み質問をする。

 

「名と旗印というのは?」

 

「コミュニティは箱庭で活動する際に、“名”と“旗印”を申請しなくてはいけません。特に旗印は、コミュニティの縄張りを示す重要なものです。この店にも大きな旗が掲げられているでしょう?あれがそうです」

 

ガルドが示す先には六本の傷が描かれた旗が飾られていた。

 

「もし、自分のコミュニティを大きくしたいと望むのなら、あの旗印のコミュニティに両者合意でギフトゲームをすればいいのです。実際に私のコミュニティはそうやって大きくしました」

 

「つまり、お前の胸元にあるマークと同じ旗が掛かってる店はあんたのコミュニティの支配下ってわけだな?」

 

この店を除く、あちらこちらにガルドの胸元にある虎の紋様をあしらったマークがあるのはそういう事か、大きくするにこう言う方法もあるんだな…

 

「ええ。残念な事にこの店のコミュニティは南区画に本拠地があるため手出しできませんが。

残すは本拠が他区か上層にあるコミュニティと奪うに値しない名もなきコミュニティぐらいですよ」

 

「じゃあ話を戻そう。つまり、ジンのコミュニティには旗印と名が無い。故に“ノーネーム”ってわけなんだな?なら、どうして、名と旗印がないんだ」

 

「奪われたんですよ、"人間"の立ち上げたコミュニティではまさに快挙とも言える数々の栄華を築いたコミュニティはしかし!……彼らは敵に回したらいけないモノに目をつけられた。そして彼らは一夜のうちにとある天災のギフトゲームに滅ぼされた。『ギフトゲーム』が支配するこの箱庭の最悪の天災にね」

 

「「「天災?」」」

 

俺達は同時に聞き返した。それほど巨大な組織を滅ぼしたのが天災というのはあまりにも不自然に思えた。

 

「此れは比喩にあらず、ですよ御三人。彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災ーーー俗に"魔王"と呼ばれている者達です」




UAが1000を超えました!

皆さんありがとうございます!


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第5話フォレス・ガロに戦線布告するそうですよ?

長い・・・ガルドのところは


「なるほどね。大体理解したわ。つまり"魔王"というのはこの世界で特権階級を振り回す神様 etc.を指し、ジン君のコミュニティは彼らの玩具として潰された。そういうこと?」

 

「そうですレディ。神仏というのは、古来、生意気な人間が大好きですから。愛しすぎた挙句に使い物になら無くなる事はよくあることなんですよ」

 

ガルドはカフェテラスの椅子で手を広げて皮肉げにいう

 

「今や名誉も誇りも失墜した名も無きコミュニティの一つ。名乗ることを禁じられたコミュニティに、一体どんな活動ができます?商売ですか?主催者ですか?しかし名も無き組織など信用されません。ましてやギフトゲームに参加しようにも優秀な人材が失墜したコミュニティに加入すると思いますか?」

 

「そうだな、思わないだろうな」

 

「そう。彼は出来もしないコミュニティ再建を掲げている過去の栄華に縋る亡霊でしかない。もっと言えば、彼はリーダーとは名ばかりでリーダーらしい活動はしていません。そのコミュニティの実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」

 

ピチピチのタキシードを破きそうな品のない、豪快な笑顔でジンとコミュニティを笑う。ジンは顔を真っ赤にして両手を膝の上で悔しそうに握りしめていた

 

「………っ」

 

「私は本当に彼女の不憫でなりません。ウサギと言えば"箱庭の貴族"と呼ばれるほど強力なギフトを数々を持ち、何処のコミュニティでも破格の待遇で愛でられるはず。コミュニティにとってウサギを所持しているという事はそれだけで大きな"伯"がが付く。

なのに彼女は毎日毎日糞ガキどもの為に身を粉にして走り回り、僅かな路銀でやりくりしている」

 

「………そう。事情は分かったわ。それでガルドさんは、どうして私達にそんな話を丁寧に話してくれるのかしら?」

 

飛鳥は明らかに含みのある声でガルドに問を投げた。ガルドもそれを察して笑う

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

 

「な、何を言い出すんですかガルド=ガスパー!?」

 

ジンが怒りのあまりテーブルを叩いて講義するが、ガルドは獰猛な瞳で睨み返す

 

「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが最低限の人材は残っていたはずだろが。それを、お前の我儘でコミュニティを追い込んでおきながら、異世界から人材を呼び寄せた」

 

「そ………それは」

 

「何も知らない相手なら騙せれると思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら・・・・・・こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねぇ仁義があるぜ」

 

先ほどと同じ獣の瞳に似た鋭利な輝きに貫かれて、ジンは僅かに怯む。だが何も言い返さない、おそらく、俺達への後ろめたさがあるのだろう。

 

「どうですか?返事は直ぐにとは言いません。あなた達は箱庭で三十日間の自由が約束されます。1度、自分達を呼び出したコミュニティと私達"フォレス・ガロ"のコミュニティを視察し、十分に検討してからーーー」

 

「その必要は無いぜ?俺はジンのコミュニティに入るつもりだからな」

 

「「はっ?」」

 

ジンとガルドの声が重なる。

 

「耀と飛鳥はどうする?」

 

紅茶を飲んでいる耀と飛鳥に聞く。

 

「私もジン君のコミュニティで間に合ってるわ。春日部さんは?」

 

「私はどっちでもいい。私は友達を作るためにここに来たから。でも、竜輝がジン君の所に行くのなら私もそっちにしようかな」

 

「あら、随分、竜輝君と仲が良いのね。なら、私とも仲良くしてもらえるかしら?もちろん、友達としてね。」

 

恥ずかしかったのか髪を触りながら言う。耀は少し考えた後、小さく笑って頷いた

 

「・・・うん。飛鳥は私の知る女の子と少し違うから大丈夫かも」

 

『よかったなお嬢……お嬢に友達できてワシも涙が出るぐらい嬉しいわ』

 

ガルドは全く相手にされなかった事に顔を引き攣られ、それでも取り繕う様に大きく咳払いをし俺達に問う

 

「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」

 

「私、久遠飛鳥は、裕福だった家庭も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる全てを支払って箱庭に来たのよ。

それを小さな一区画を支配してるだけの組織の末端として迎えてやる、などと慇懃無礼にと言われて魅力を感じると思ったのかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直してきてほしいものね、紳士さん」

 

「お、お言葉ですがレディ

 

「『黙りなさい』」

 

ガチン!とガルドは不自然な形で、勢いよく黙り込んだ。これが飛鳥のギフトか

 

「私の話はまだ終わっていないわ。貴方からはまだまだ聞き出さない事があるの『大人しくそこに座って私の質問に答え続けなさい』」

 

ガルドは椅子にひびが入るぐらいの勢いで座る。その様子に驚いた猫耳の店員が慌ててやってくる。

 

「お、お客さん!当店での揉め事は控えてくださ―――」

 

「ちょうどいいわ。猫耳の店員さんも第三者として一緒に聞いて。多分面白いことが聞けるはずよ」

 

飛鳥は悪そうな顔をして言う。

十六夜然り、飛鳥然り、耀然り、そして黒ウサギ然りここには面白い奴が多い。本当にそう思った

 

「さっきこの地域のコミュニティに両者合意で勝負をしたと言ってたけど

コミュニティのゲームとは"主催者"とそれに挑戦する者が様々なチップを賭けて行うもののはず。コミュニティそのものを賭けるゲームはそうそうあるのかしら?そのへんはどうかしら、ジン君」

 

「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、コミュニティの存続を賭けたゲームなんてかなりのレアケースです」

 

「そうよね、訪れたばかりの私達でさえそのぐらいわかるのも。なら、どうして貴方はコミュニティを賭ける大勝負ができたのかしら。『教えて下さる?』」

 

「相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫し、徐々にほかのコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」

 

「まあ、貴方のような小者らしい堅実な手です。でも、そんな方法で吸収したコミュニティが貴方の下で従順に働いてくれるのかしら?」

 

「各コミュニティから数人ずつ子供を人質にとってある」

 

ピクリと飛鳥の眉が動く。飛鳥の雰囲気には顔言葉や表情には出さないが嫌悪感がにじみ出ている。耀も不快そうに目を細めている。俺も表情を表に出していないが拳を握り我慢しているが

 

「………そう。ますます外道ね。それで、子供たちは今どこに幽閉されてるの?」

 

「もう殺した」

 

瞬時に空気が凍りつく。俺も、耀も、ジンも、店員も、そして、飛鳥も一瞬耳を疑って思考が停止する。ただガルドだけは命令のまま言葉を紡ぐ

 

「始めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。けど身内のコミュニティの仲間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食」

 

「『黙れ』」

 

ガチン!!とガルドの口は先ほど以上に勢いよく閉ざされた。飛鳥の声は凄みをまし、まるで魂ごと鷲掴みにする勢いだ。

 

「素晴らしいわ。まさしく絵に描いたような外道ね。さすがは人外魔境の箱庭ね」

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「いたらもっと酷い事になってるだろうさ。んで、ジン。今の証言でコイツは箱庭の法で裁けるか?」

 

「厳しいです。吸収したコミュニティから人質をとったりするのは違法ですが、裁かれるまでに箱庭の外に出られたらそれまでです」

 

「そう、なら仕方がないわね」

 

飛鳥が指を鳴らすとソレを合図にガルドの体を縛り付けていた力が解かれた

 

「こ・・・小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ガルドの体が激変し、タキシードは弾け、体毛が黄色と黒の縞模様になった。ガルドバはワータイガーなんだ

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが・・・・俺の上に誰が居るかわかってんだろうなぁ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!

俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が」

 

「『黙りなさい』。私の話はまだ終わってないわ」

 

先ほどと同様にガルドの口が閉じられる。しかしガルドの怒りはそれでは収まらずガルドの腕が飛鳥を襲う。

耀と共に飛鳥とガルドの間に割って入った。

 

「喧嘩はダメ」

 

「安いメッキが剥がれたな、虎紳士」

 

ガルドの手を捻り回転させ、そのまま地面に押し倒す。

 

「さて、ガルドさん。私は貴方の上に誰が居ようと気にしません。きっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した“打倒魔王”だもの」

 

飛鳥の言葉に驚きつつも、しっかりと決意をした目でジンは答える。

 

「・・・・・・はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。いまさらそんな脅しには屈しません」

 

「そういうこと。つまり貴方には破滅以外のどんな道も残されていないのよ」

 

「く・・・・・・くそ・・・・・・!」

 

俺と耀のせいで身動きが取れないガルド。やつはもうこうして悪態をつくぐらいしかできない。

 

「だけどね。私は貴方のコミュニティが瓦解する程度の事では満足できないの。貴方のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよーーーーーーそこで皆に提案なのだけれど」

 

飛鳥の言葉に頷いていたジンや店員達は、顔を見合わせ首を傾げる。

飛鳥は悪戯を思いつた少女のような笑みを浮かべている。

 

「私たちと『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と“ノーネーム”の誇り と魂を賭けて、ね」

 

 




疲れたーwwww


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第6話:サウンドアイズの支店に行くそうですよ?

長い間更新開けてすいません!

明日からテストと入試勉強のためだいぶ開きます!


話を聞いた黒ウサギは案の定ウサ耳を逆立てて怒った。突然の展開に嵐のような説教と質問が雨霰のように飛んでくる

 

「な、なんであの短時間で“フォレス・ガロのリーダーに接触してしかも

喧嘩を売る状況になったんですか!?」

「しかもゲームの日取りが明日!?」

「それも敵のテリトリーで戦うなんて!準備する時間もお金もありません!」

「一体どういう心算でがあってのことです!」

「聞いているんですか四人とも!!」

 

「「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

誰が言い出したのか、まるで口裏を合わせたかのような言い訳に激怒する黒ウサギそれをニヤニヤと笑って見ていた十六夜が止めに入る

 

「別にいいじゃねえか。見境無く選んで喧嘩を売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

 

「十六夜さんは面白ければいいと思っているかも知れませんが、このギフトゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この"契約書類"を見てください」

 

"契約書類"とは"主催者権限"を持っていない者たちが"主催者"となってギフトゲームを開催するのに必要なギフトである。そこにゲーム内容、チップ、賞品が書かれていて"主催者"のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。内容は俺たちが勝てばガルドは全ての罪を認め箱庭の法の下に正しく裁きを受け、その後、コミュニティを解散する。自己満足極まれりだ。

 

「はぁ、仕方がありませんね。まぁ、いいです。 "フォレス・ガロ"相手なら十六夜さん一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだ。俺は参加しねえよ」

 

「あら、分かってるじゃない」

 

「今回は参加させないぞ十六夜」

 

十六夜と飛鳥、俺の発言に黒ウサギが慌てる。

 

「だ、駄目ですよ!御三人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「そういうことじゃねぇよ黒ウサギ」

 

十六夜が黒ウサギを制す

 

「これはなこいつらが"売って"ヤツらが"買った喧嘩"だなのに俺が手を出すのは無粋だぜ?」

 

「あら、わかってるじゃない」

 

「・・・・・。ああもう、好きにしてください」

 

振り回され続けて疲弊したのか肩を落した

 

「あはは・・・それじゃあ、今日はコミュニティに帰る?」

 

「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰り下さい。ギフトゲームが明日なら

"サウザンドアイズ"にギフト鑑定をお願いしないと。水樹のこともありますし」

 

「"サウンドアイズ"?コミニティの名前か?」

 

「YES。サウザンドアイズは特殊"瞳のギフトを持つ者達の群体コミュニティで、箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」

 

「ギフト鑑定というのは?」

 

「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定することデス。自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります」

 

検討はついているが、正直言うと知りたくない。突然こんな力を得て・・・でも分からないところもある。知ってたら使い方もわかる。

 

"サウンドアイズ"に向かってる最中町の様子を眺める。途中桜の木があり飛鳥は不思議そうに眺め呟く。

 

「桜の木・・・ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても

咲き続けるはずがないもの」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合いの入った桜が残っていてもおかしくないだろ」

 

「・・・・?今は秋だったと思うけど」

 

「あ?春先だから桜があるのは普通でしょ」

 

会話が成り立ってない。

 

「皆さんは」

 

「もしかしたら、別の時間軸から呼ばれたのかもしれないじゃないのか?」

 

「なるほど、だから季節がちがうのか」

 

「多分もしかしたら、時代も違うかも知れないな、黒ウサギ?」

 

「うぅ~、セリフを取られました。

はい、その通りです。竜輝が言う通り皆さんは、別の時間軸から呼ばれました。元いた時間軸で歴史や文化、生態系など所々、違いがあるはずですよ」

 

落ち込みながらも黒ウサギは説明する

 

「パラレルワールドか?」

 

「正しくは立体交差並行世界論というものですけど、説明はまたの機会に」

 

黒ウサギの説明が終わると"サウザンドアイズ"の支店に到着、今まさに店の店員が暖簾を下げるところだった。

 

「まっ」

 

「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

「なんて、商売っ気のない店なのかしら」

 

「全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句があるなら他所の店へどうぞ。あなた方は今後一切出入りを禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」

 

文句を言う黒ウサギに対し、冷めたような目をする店員。取り敢えず黒ウサギを退かし前に出る

 

「唯の店員さんにそんな権限あるのか?店長と話させてくれ」

 

「私が一応店長ですが」

 

「・・・ならオーナーを出してください」

 

「なら、コミュニティの名前をどうぞ」

 

「俺達は“ノーネーム”ってコミュニティなんだが」

 

十六夜が躊躇無くそう名乗るが

 

「どちらの"ノーネーム"様でしょう。

旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか」

 

旗印が無いことをわかってて聞くとは、これが名前が無いことがここで不便になるとは、そう考えていると店の奥から

 

「いぃぃぃぃぃやほおぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィィ!」

 

着物を着た真っ白の髪の幼女が黒ウサギにボディーアタックして転がりながら、街道の浅い水路に着水

 

「おい、店長。この店にはドッキリサービスがあるのか?俺も別バージョンで是非」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

 

十六夜の表情は真剣そのもの、店長のの目も冷静。黒ウサギに飛びついた(強襲した)白髪幼女は黒ウサギの胸に顔を埋めてなすり付けてる。

 

「し、白夜叉様!?どうしてこんな下層に!?」

 

「黒ウサギが来る予感がしたからに決まっとるだろうに!フフ、フホホフホホ!やっぱり黒ウサギは触り心地が違うの!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

見た目は子供、中身は変態親父って某探偵みたいだな

 

「ち、ちょっと、離れてください!」

 

白夜叉を無理やり引きはがし、頭を掴み投げ飛ばす、投げ飛ばした先に十六夜がおり、白夜叉を足で受け止めた。

 

「てい」

 

「ゴバァ!お、おんし、飛んできた美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」

 

ヤハハと笑い自己紹介をする十六夜。一連の流れを呆気に取られていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかけた

 

「貴女はこの店の人?」

 

「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしの年齢の割に発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー。それでは売り上げが伸びません。ボスが怒りますよ」

 

この時の俺は、奇しくも店長に「苦労してんだな」と言う眼差しを向けた、店長は「わかりますか?」と言う目だった。それはそうと、何やら耀が落ち込んでいる

 

「耀、どうかした?なんだか落ち込んでいるみたいだけど」

 

「・・・・まだ成長途中なだけ・・・・」

 

「?」

 

耀の言ってる事は分からないが、そんなこんなで白夜叉の計らいで店の中に入ることができた。

 

「改めて、私は、四桁の門、三三四五外門に本拠を構える"サウザンドアイズ"の幹部白夜叉だ。黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりに受け流す黒ウサギ。その隣で耀が小首を傾げて問う

 

「その外門って何?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心に近く、同時に強力な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

黒ウサギが描いた図をみて、それが、あるものに似ていることに気付いた。玉ねぎだしかもデカイ

 

「・・・・超巨大玉ねぎ?」

 

「どちらかと言えばバームクーヘンだ」

 

「そうだな。何方かと言えばバームクーヘンだ」

 

「え・・・デカイ玉ねぎに見えたんだが」

 

結論バームクーヘンになりました。黒ウサギはがっくり来ている

 

「ふふ、うまいこと例える。

その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番皮の薄い部分にあたるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は

"世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が住んでおるぞーーーその水樹の持ち主などな」

 

そう言って黒ウサギの持っている水樹の苗に視線を向けた。話を聞いたところあの苗は十六夜が世界の果てで蛇神を倒しゲットしたものだそうだ。

十六夜は人外ではないのだろうか…神様倒すって、化物かよ…

 

 

「ところで、白夜叉。あんたの口振りからしてその蛇と知り合いみたいだが、どうなんだ?」

 

「知ってるもなにも、あれに神格を与えたのは私だぞ。もう何百年にもなる話だがの」

 

「へぇ?じゃあお前はあの蛇より強いわけだな」

 

十六夜の目が物騒に瞳を光らせてる。

 

「当然だ。私は東側の"階層支配者"だぞ。この東側の四桁以下では並ぶものはいない、最強の主催者だ。」

 

そうか、道理で少し牽制していたが全て見透かされていたわけだ。俺は完敗だな

 

「つまり、貴女のゲームをクリアすれば私たちが東側最強ってことになるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう。」

 

「そりゃ、景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

十六夜達は闘争心むき出しで立ち上がり白夜叉を見る

 

「抜け目が無い童たちだ。依頼しておきながら私にギフトゲームを挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手に飢えている」

 

「ノリが良いわね。そう言うの好きよ」

 

「ふふそうか。しかしゲームの前に確認しておくことがある」

 

白夜叉は着物の裾から"サウザンドアイズ"の旗印の紋が入ったカードを取り出だし、壮絶な笑みで言う

 

「おんしらが望むのは"挑戦"かもしくは、"決闘"か?」

 

その瞬間、白夜叉の部屋が崩壊し別のところに投げ出させる。投げ出されたのは白い雪原と凍る湖畔そして水平に太陽が廻る世界。

 

「今一度名乗り直し、問うかのう

私は"白き夜の魔王"―――太陽と白夜の星霊白夜叉。 おんしらが望むのは試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」

 

「(白夜の星霊・・・そして夜叉なんて名前が気になったが、まさか神霊もあるなんてな、誰かにそっくりだ)」

 




次回の更新はだいぶ遅れます!


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第7話:試練のギフトゲームだそうですよ?

遅れてすいません!
失踪スレスレでしょうが、待っていたのならありがたいです!

あとは今回は長いですね(遠い目)


「水平に廻る太陽……そうか、"白夜"と"夜叉"。あの水平廻る太陽やこの土地は、お前を表現しているってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」

 

この土地全部がゲーム盤だと白夜叉は事も無げに言う。笑えない話だ、しかもこのゲーム盤は他にあるゲーム盤の一つというのが一段と笑えない

 

「これだけの莫大な土地が、ただのゲーム盤!?」

 

「如何にも。して、おんしらの返答は?"挑戦"であるなら、手慰み程度に遊んでやる。ーーーだがしかし"決闘"を望むなら話は別だ。魔王として、命と誇りをかけて戦おうではないか」

 

もし決闘を挑めば命はない、それほどに実力の差は一目瞭然であるが、十六夜達は自分達がが売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔をしていた

 

しばらく沈黙が続き、諦めたように笑う十六夜が挙手し、

 

「参った。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく試練を受けるということかの?」

 

「ああ、これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタにはその資格がある。ーーーーいいぜ。"試されてやるよ"魔王様」

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は堪え切れず高らかに笑い飛ばした。プライドが高い十六夜にしては最大の譲歩なのだろうが『試されてやる』とはかわいい意地の張り方だといって白夜叉は笑う。

 

「く、くく・・・・・して、他の童達も同じか?」

 

「・・・・ええ、私も試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じく」

 

「……おんしだけじゃな?他の奴らと違って勝負を仕掛けてこなかったのは。試練と決闘おんしはどっちじゃ?青いコート」

 

その時、一瞬白夜叉の目が面白いものを見つけた子供のような目をして、苦手なヤツを見るような目もした。極めて後者は一瞬だ

 

「勿論試練を受ける、と言うか、あんたは俺の答えを知ってたんだろ?全部の牽制を見透かしていたし」

 

「いつそんなことをしていたのでございますか!?」

 

黒ウサギはびっくりして竜輝に聞く

 

「座って話を聞いている最中に3回、3回で勝てないどころか、遊ばれるのがわかったから手を引いた」

 

「そうか」

 

白夜叉との会話を終えると黒ウサギがまた文句を言い始めた。

 

「も、もう!お互い相手を選んで下さい!竜輝さんは違いますが"階層支配者"に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う"階層支配者"なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのはもう何千年も前のことじゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさてどうだったかな?」

 

元魔王、今の姿は仮の姿の確率が高いな。ケラケラと悪戯ぽく白夜叉が笑っているその時山脈の遠くから甲高い声が聞こえた。いち早くその声に耀は反応した。

 

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ、あやつか。おんしら三人にはうってつけかもしれんの」

 

3人?1人足りない、多分メンバーは飛鳥、耀、俺だろう。十六夜は見学じゃないかな?蛇神倒したんだから試練なくともいい気がする

 

「グリフォン!?嘘っ・・・本物!?」

 

「如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王 "力" "知恵" "勇気" の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

白夜叉がグリフォンを手招きするとグリフォンは白夜叉に近づき深く頭を下げた。

 

「され、肝心の試練だがの。おんしら3人とこのグリフォンで"力" "知恵" "勇気"

のいずれかを比べ合い、背にまたがって、湖畔を舞う事ができればクリア、という事にしよう」

 

『ギフトゲーム名:"鷲獅子の手綱"

 プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

         久遠 飛鳥

         春日部 耀

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 "力" "知恵" "勇気" の何れかでグリフォンに認められる。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、

ギフトゲームを開催します。

       "サウザンドアイズ"印』

 

・・・あれ?俺の名前がない

 

「白夜叉、俺の名前が無いんだけど。気のせいかな?」

 

「おんしには特別なギフトゲームを用意してやる。そこでゆっくりと見学でもしとれ」

 

嫌な予感しかしないのは気のせいなのか?とりあえず白夜叉の言う通りに見学する。

 

「私がやる」

 

読み終えると、ピシ!と指先まで綺麗に挙手したのは耀だった。

 

『お、お嬢・・・・大丈夫か?なんや獅子の旦那より遥かに怖そうやしデカイけど』

 

「自信があるようだがこれは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我ではすまんが」

 

「大丈夫、問題ない」

 

耀の目は真っ直ぐにグリフォンを見ている。その目は探し続けた宝物が目の前にあるような子供の目である

 

「OK。先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

「気を付けてね、春日部さん」

 

「うん。頑張る」

 

呆れたように苦笑いを浮かべ十六夜と飛鳥は耀を応援する。

 

「耀」

 

「うん?」

 

「このコート貸すよ、春のやつだけど、無いよりはマシだと思うから。流石にその恰好で山頂付近は寒すと思うから」

 

「ありがとう」

 

耀にお気に入りのコートを渡し離れる。耀は俺のコートを羽織、グリフォンに近づき、幻獣へのファーストコンタクト、初めての経験。慎重に話しかけた

 

「えっと初めまして、春日部耀です」

 

『!?』

 

ビクンッ!!とグリフォンの四肢がはねた。その瞳からは警戒心が薄れた

 

「ほう……あの娘、グリフォンと言葉を交わすか」

 

「私と誇りを賭けて勝負しませんか?」

 

『・・・・何・・・・!?』

 

グリフォンの声が聞こえた…幻獣の声も聞こえるらしい

 

「貴方が飛んできたあの山脈。あそこを白夜の地平から時計回りに大きく迂回し、この湖畔を終着点と定めます。

その間に背に乗った私を振るい落せば貴方の勝ち、落とせなければ私の勝ち……どうかな?」

 

グリフォンは如何わしげに大きく鼻を鳴らして尊大に問い返す。

 

『娘よ。お前は私に"誇りをかけろ"と持ちかけた。確かに娘一人振るい落せないならば私の名誉は失墜するだろう。だが娘よ誇りの対価としてお前は何を賭す?』

 

「命を賭けます」

 

即答だった。余りに突飛な返答に黒ウサギと飛鳥から驚きの声が上がった

 

「だ、駄目です!」

 

「か、春日部さん!?本気なの!?」

 

「貴方は誇りを賭ける。私は命を賭ける。もし、転落して生きていても私は貴方の晩御飯になります。それじゃ駄目かな?」

 

『………ふむ』

 

耀の提案に黒ウサギと飛鳥はますます慌てる。それを白夜叉と十六夜が制す

 

「双方、下がらんか。これはあの娘から切り出した試練だぞ」

 

「ああ。無粋なことはやめとけ」

 

「そういう問題ではございません!同士にこんな分の悪いゲームをさせるわけにはーーー」

 

「黒ウサギ、少し黙っててくれ」

 

「りゅ、竜輝さん!このゲームは一歩間違えれば耀さんが死んでしまうんですよ!そうなってはからでは遅いんですよ!」

 

「自身がなけりゃ、自ら言わねぇと思うし、同士と言うのであれば、耀を信じてやれ、それとも、耀が負けるとしか思って居ないのか?悪いが俺は耀が勝つと信じてるぜ?」

 

俺の言葉に黒ウサギは、渋々と納得して下がる。その間に耀は、グリフォンに跨り手綱を握っていた。

 

「始める前に一言だけ・・・私、貴方の背中に跨るのが夢の一つだったんだ」

 

『ーーーそうか』

 

そして、ゲームが始まった。

大地より離れて数十m。グリフォンの持つ翼は大きく広げたままで固定されている。グリフォンの翼は推進力にしているわけではないことに驚いた。

グリフォンが山を迂回し、戻ってきた。湖畔の中心まで疾走したグリフォン。耀の勝利が決定したその瞬間、耀の手から手網が外れた。

 

『何!?』

 

「春日部さん!?」

 

安堵の声を漏らす暇も、賞賛をかける暇もない。耀は慣性にのまま落ちていく。助けに行こうとした黒ウサギを十六夜が掴む。

 

「は、離し――」

 

「待て!まだ終わってない!」

 

十六夜の言う通りまだ終わっていなかった。耀の体が翻る。慣性を殺すような緩慢な動きはやがてゆっくりと落ち始め、空から見えない階段を使って降りて来る感じだった。耀のギフトは動物との対話意外にその動物の特性を貰うことが出来るようだ。だが、疲労していたのか、まだ、慣れていないのかバランスを崩し、落下し始める、地上まであと約15m、間に合う。黒ウサギや飛鳥が慌てる中俺は冷静に駆け出し、跳んだ・・・第1宇宙速度を優に超え、途中で減速し空中の耀に向かいお姫様抱っこで受け止める。しかし、俺の体は、重力に従わず、その場に立つ、空中に浮いている状態だ。

 

「へ~」

 

「ほう」

 

「「はっ?」」

 

上から十六夜、白夜叉、黒ウサギと飛鳥だ。

 

「大丈夫?」

 

「う、うん・・・・・ありがとう」

 

地面に降り立つと三毛猫が駆け出して飛びついてきた。

 

『お嬢!怪我はないか!?』

 

「大丈夫。竜輝のコートのお陰で平気だよ」

 

『小僧!感謝するで!』

 

「おっ、おう。気にするな」

 

耀からコートを返してもらうと十六夜が近づいてきた。あとコートがパッキパッキに凍りついていた。

 

「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

 

軽薄な笑みに、むっとしたような声音で耀が返す。

 

「……違う。これは友達になった証。けど、いつから知ってたの?」

 

「ただの推測。お前、黒ウサギと出会った時に“風上に立たれたら分かる”とか言ってたろ。そんな芸当は人間にはできない。だから春日部のギフトは他種とコミュニケーションをとるわけじゃなく、他種のギフトを何らかの形で手に入れたんじゃないか……と推察したんだが、それだけじゃなさそうだな。あの速度で耐えられる生物は地球上にいないだろうし?」

 

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

 

「うん。大事にする」

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。……ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

 

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品でワシらとお嬢は話せるんや』

 

「ほほう………彫刻家の父か。よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 

頷いた耀は、ペンダントにしていた木彫りの細工を白夜叉に渡す。

白夜叉は渡された手の平大の木彫りを見つめて、急に顔を顰める

 

「複雑な模様ね。何か意味があるの?」

 

「意味はあるけど知らない。昔教えてくれたけど」

 

「・・・・・・これは」

 

白夜叉だけでなく、十六夜、黒ウサギも鑑定に参加する。表と裏を何度も見直し、幾何学線を指でなぞる。

 

「材質は楠の神木・・・?神格は残っていないようですが・・・この中心を目指す幾何学線・・・そして中心に円状の空白・・・もしかしてお父様の知り合いには生物学者がおられるのでは?」

 

「うん。私の母さんがそうだった」

 

「生物学者ってことは、やっぱりこの図形は系統樹を表しているのか白夜叉?」

 

「おそらくの・・・ならこの図形はこうで・・・この円形が収束するのは・・・いや、これは・・・これは、凄い!本当に凄いぞ娘!!本当に人造ならばおんしの父は神代の大天才だ! まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!これは正真正銘"生命の目録"と称して過言ない名品だ!」

 

白夜叉はこれでもかと興奮している

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?でも母さんが作った系統樹の図は、もっと樹の形をしていたと思うけど」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、すなわち世界の中心を目指して進む様を表現している。中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、世界の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成の作品だからか」

 

なるほど、円形にはそんな意味があったのか。そう考えるとウロボロスの絵も円形に見えなくはないな、あれの意味も死と再生の筈だから

 

「うぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されとるぞ! 実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

 

「いやいや、ダメだろ」

 

白夜叉の手から耀のペンダントを奪い取り耀に渡す。

 

「それじゃあ次は俺かな?」

 

「そうじゃ、その前におんしだけは移動じゃ」

 

直後俺の足元に穴が開く

 

「なぁ白夜叉もっといい移動はないのか?」

 

「good luckじゃ」

 

「ふざけんなぁああああああ」

 

俺はその穴へと落ちていく、穴も塞がった・・・え?俺どうすればいいの!?そう思っていると、出口が見えなんとか着地した

 

「ここはどこだ?」

 

『到着したようじゃの、内容はコレじゃ』

 

『ギフトゲーム名:視線と死線の幻獣を討て

プレイヤー一覧:神薙竜輝

・クリア条件バジリスクとコカトリスの討伐

・クリア方法 ギフトを駆使して、2体を倒す

・敗北条件 プレイヤーが棄権した時、上記の条件を満たせなくなった場合

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

"サウンドアイズ"印』

 

直後強烈な悪寒が走り抜ける。本能がいち早くその場から逃げろと

 

「(バジリスクとコカトリスだと!?)」

 

そう心で叫びながら、全力で第1宇宙速度を超える速度で離脱し身を隠す、俺がいたところには、バジリスクとコカトリスと思わしき幻獣がいた。

 

耀side

 

ゲーム内容とゲームが始まった瞬間黒ウサギは白夜叉に抗議をした

 

「白夜叉様!!どんな考えがあるかは知りませんが今すぐギフトゲームを中止してください!このままだと竜輝さんが死んでしまいます!!」

 

「黒ウサギそんなに危険なの?そのバジリスクとコカトリスは」

 

飛鳥が尋ねると、十六夜が答える

 

「バジリスクは毒が強力で匂いだけで他のヘビを殺し、息に含まれた毒は石を砕く。見ただけで死をもたらすことも出来るそうだ。コカトリスも似たようなものだな、人に槍で襲われるとその槍を伝って毒を送り込んで逆に殺したり、水を飲んだだけでその水場を長期間にわたって毒で汚染したりとな。なんて楽しそうなヤツを相手にしているだよ竜輝俺がやりたいくらいだぜ」

 

それを聞いた飛鳥は黒ウサギと一緒に止めるように言った。

 

「竜輝・・・大丈夫かな」

 

『きっと大丈夫やでお嬢』

 

「聞いているのですか白夜叉様!」

 

「少し黙らんか黒ウサギ。私の感が当たっているのなら、やつはあの幻獣どもには遅れはとらん」

 

白夜叉はそう言った、黒ウサギはそれでは納得出来ないと言おうとした、それを止めたのは

 

「黒ウサギ、待って止めないで」

 

「耀さん!?何を言っているのですか!?このままでは」

 

「私は竜輝を信じる。竜輝が私が勝つのを信じたように、私は竜輝を友達が勝つのを信じる」

 

その言葉を言われ黒ウサギは黙った

 

「でも竜輝になんとか出来る策があるのか?まぁ当事者のやつは考えているみたいだが」

 

竜輝side

 

考えれば考えるほど、泥沼に入りそうだ。バジリスクとコカトリス・・・・無茶がすぎる・・・視界に入ってもダメだ、石を投げつける?息に含まる毒があるのに投げても意味は無いだろう、接近も遠距離も打つ手が無い。

 

『ハッ!情けないな、俺の力はあんな奴らに遅れをとるわけねぇだろ』

 

頭に声が響いた、頭が痛くなる、だが余計な思考が消えていく、声は続く

 

『ヒントをやる、俺が与えたギフトは奴らの伝承を通さない、前を向いて戦え、それでもわからねぇなら目を瞑れ、そしたらなにか得られるだろ』

 

声はそれっきり消える。言われたように目を瞑る。そして目を開ける、ギフトが少し理解出来た気がする。なら次は奴らに挑むだけだ。

 

耀side

 

しばらく経って、竜輝が出てきた、その表情には恐怖は無く、まっすぐに幻獣と対峙していた

 

「竜輝さんまさか!」

 

「ああ、竜輝のやつは真正面から対峙するみたいだな」

 

十六夜がそう言う。私は何も言えない。話を聞いた限り今の行動は自殺行為・・・だけどその表情は勝ちしか信じていない。バジリスクが竜輝に気付き、死の光を目から放つ

その光はまっすぐ竜輝を仕留めるために向かい竜輝に命中する

 

「竜輝さん!」

 

「竜輝君!」

 

 

その光は命中した・・・そう命中したが

 

 

竜輝は死んでいない、減速することなくバジリスクに向かい走っている

 

 

「「うそ!」」

 

黒ウサギと飛鳥驚愕する、私も驚いている。話を聞いていた限りでは、バジリスクの恩恵はあの光は死を与えるものだ、だけど竜輝は何事もなく走っている

 

竜輝side

 

「なるほどな!」

 

全力でバジリスクに接近し、鶏冠をつかみコカトリスの方にその光をぶつけた。直後コカトリスはバジリスクの光によって絶命した。バジリスクは怒り襲ってくるが、寸前で躱し、一撃一撃を入れていく。バジリスクは苦しそうにうめき声をあげる。外皮があるのにダメージが通るみたいだ。

 

「でもこのままじゃ、決め手がない」

 

攻撃を紙一重でかわしてダメージを与えているが、向こうの一撃は俺の致命傷になりかねない。早く決着を付けたい。使えるものはないか探す。・・・また頭に声が響く

 

『探すんじゃなく、自身のギフトを使うんだよ、たわけが』

 

直後、バジリスクの影に目が動いた。それからは早かった。距離を取り、左手をバジリスクに向けた、バジリスクの影がバジリスクの動きを封じた。

 

「これなら!」

 

右手を胸の近くに持ってくる、手の甲から光が出てきて剣となる。俺は走り出し、バジリスク切り抜ける、光の剣は消えた。バジリスクは青く光り、爆散した

 




光の剣のイメージはシュトロームソードですwww

次は今回より少し早いかな・・・そんな気がする


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第8話:ギフトネームと新事実が分かるそうですよ?

FF15泣けた、剣神バハムートかっこよすぎだろ



やっぱ辛えわ




耀side

 

コカトリスはバジリスクの恩恵で絶命し、バジリスクは竜輝の光の剣で爆散した、残っている事実はこれだけ。ただ今わかるのは、竜輝がバジリスクの恩恵を何らかで防いだことだ

 

「竜輝さんのギフトは他のギフト無効化でしょうか?それとあれほどスピードやパワー、それらと関係するギフト・・・見当つきません」

 

「それもあるだろうが、バジリスクの動きを止めた影の動きと、あの光の剣・・・面白そうじゃねぇか」

 

黒ウサギと十六夜は何かを言っている。私は、竜輝がとりあえず無事でよかったと思った

 

『お嬢、小僧が無事でよかったなぁ』

 

「うん。よかった」

 

「(あのギフト無効化・・・・やはりあやつのギフトはあいつが絡んでいるというのか…)」

 

竜輝をモニター越しから見ていると、竜輝は座り込んだ

 

竜輝side

 

「はぁはぁはぁ」

 

体力の消費が激しい…殺るか殺られるかの戦いってこうも消耗するのか?いやそれだけじゃない、ギフト使用の疲労もあるのだろう。初めての使用で調整もあったもんじゃない。ただ闇雲にやっただけ・・・言われるままに、汗が出ている…未だに手が震えている。大きく深呼吸をして立ち上がる。

 

「ゲームクリアでいいんだよな?白夜叉」

 

『勿論じゃ。おんしはギフトゲームにクリアした』

 

その後、白夜叉は俺をみんなの所に戻すために、また足元に穴を開ける……またかよ

 

「おっと、はぁ疲れた」

 

「随分びびってたな?竜輝」

 

十六夜はニヤニヤしながら茶化すように言う

 

「そりゃビビるよ。バジリスクやコカトリスのことを知っていたら」

 

「その割には、お前真正面から挑んでいたな?あいつらの恩恵が自分には通用しないと理解できてなかったらできない芸当だぞ?なのに、最初は思いっきり、距離をとった何故だ?」

 

「なんか、考えているうちに、ギフトの使い方が分かって・・・それで行けるかなぁと」

 

「ふーん」

 

十六夜はなっとくできなさそうな感じで適当に返し、元の居た位置に戻り入れ替えに耀が来る

 

「竜輝、怪我ない?」

 

「ああ、少し疲れたけど、怪我はないよ」

 

「うん、よかった」

 

一通り落ち着くと、白夜叉が言う

 

「ふむ、何にせよ"主催者"として、グリフォンの試練とコカトリス・バジリスクの試練を受けて見事クリアしたおんし達に"恩恵"を与える。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度好かろう」

 

白夜叉が柏手を打つ。すると4人の眼前に光り輝く4枚のカードが現れる

十六夜はコバルトブルーで飛鳥はワインレッド、耀はパールエメラルド、俺はシルバーホワイト。それぞれのカードに

 

逆廻十六夜・ギフトネーム"正体不明"

 

久遠飛鳥・ギフトネーム"威光"

 

春日部耀・ギフトネーム"生命の樹"

"ノーフォーマー"

 

神薙竜輝・ギフトネーム

"天威の夜叉の力" "光と闇の操者"

 

と書かれている。なんだろうこのカードと気になっていると黒ウサギがまた声を上げて驚く。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「贈り物の引換券?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が会っているのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの"生命の目録"だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは"ノーネーム"だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

「ふぅん………もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

十六夜は黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。

見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、ギフト欄の"正体不明"の下に"水樹"の名前が並んでいる。

 

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 

チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。

 

「そのギフトカードは、正式名称を"ラプラスの紙片"即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった"恩恵"の名称。鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

十六夜のカードには“正体不明”の文字。なんだこれ?白夜叉は驚き十六夜のギフトカードを取り上げる。

 

「いいやありえん、全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 

十六夜がカードを取り上げる。だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。

 

十六夜のギフトはギフトの無効化?だが十六夜は神格を倒したと言っていた、ギフトの無効化だけでは到底無理だろう確かに正体不明だな

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むものだもの」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」

 

「いつか、その時が来たら、戦ってもらうとするよ」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。………ところで」

 

白夜叉は微笑を浮かべるがスっと真剣な表情で俺達を見てくる。

 

「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、

よく理解しているか?」

 

「ああ、名前と旗の話か?それなら聞いたぜ」

 

「なら、“魔王”と戦わねばならんことも?」

 

「聞いてるわよ」

 

「……では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

横目で黒ウサギがを見てみると黒ウサギの目は俺達から視線をそらしていた。

 

「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」

 

「"カッコいい"で済む話ではないのだがの………全く、若さゆえなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが………そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ。」

 

予言をするかのように言う。サウザンドアイズは特殊な瞳のギフトを所有する奴がいるコミュニティらしい

その言葉は、信憑性がある

 

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。小僧と神薙はともかく、おんしら二人の力で魔王のゲーム4は生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ」

 

今、俺の事は姓で言った?十六夜のことは小僧なのに・・・

 

「……ご忠告ありがとう。肝に銘じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい」

 

「ふふ、望むところだ私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。………ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの

 

「嫌です!」

 

「つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

それはもうペットだな

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」

 

そして、ノーネームの本拠に向かう時に白夜叉が言う

 

「神薙よ、おんしは少し残れ」

 

「?ああ、良いけど」

 

白夜叉が帰り際に俺を呼び止めたので

十六夜たちには先にコミュニティの本拠に向かってもらった。

 

「それで、要件は何だ白夜叉」

 

「そう畏まるな。二、三聞きたいことがあるだけだ」

 

そう言って白夜叉は目を細める

 

「おんしの父親の名前、神薙辰希、母親が神薙輝夜違うか?」

 

「なっ!なんでそれを知っているだ!?」

 

思わず大声を出してしまった、それもそうだろう。初対面の人物が父さんと母さんの名前を知っているなんて

 

「やっぱりそうだったんか、道理でおんしはあのふたりの面影があると思った。おんしの両親とは旧知の仲での、おんしを見てあのふたりの息子だと一目でわかったわ」

 

白夜叉は懐かしむように言う

 

「して、2人は今どうしている?」

 

「・・・・・・五年前の大火事で死んだ」

 

「そうか。惜しい人物を亡くしたな」

 

「白夜叉。父さんと母さんのことについて教えてくれ。知っていることを全部」

 

「わかった、教えてやろう。

おんしの父と母は、ノーネームにまだ名前と旗印があった頃のメンバーで、父は軍師、母は剣士じゃった。あるギフトゲームで負けて箱庭に去る事になったが、いやはや、それにしても懐かしいの。おんしと話しとるとあのふたりをよく思い出すわ」

 

白夜叉はケラケラと笑い両親について話してくれた。その後も武勇伝やお馬鹿エピソードなども聞いた。

 

「おっと、忘れん内に、これを受け取っておけ」

 

白夜叉は一本の剣を出した、刃は金色でその内側は黒、中心の色は銀色で文字が掘られている、柄の最後尾には竜の爪の様な装飾が施されている。片手剣の様だが少し刃が長い

 

「白夜叉この剣は?」

 

「戦極の剣《アルテマソード》おんしの母親が使っていた剣だ、箱庭を去る際に、『もし私の子が箱庭に来ることがあるとしたら、これを渡して』っと言って私に預けたものじゃ」

 

「母さんの剣・・・ありがとうございます。白夜叉」

 

「いいんだよ、さて、そろそろ本題に入るとするかの」

 

一転、白夜叉は真面目な表情になる

 

「今度"サウザンドアイズ"の傘下であるペルセウスがギフトゲームを行う。

それに、"ノーネーム"に参加してほしい」

 

「その理由は?」

 

「そのギフトゲームの賞品・・・っというのは少しおかしいがそれが、元"ノーネーム"のメンバーで元魔王だあやつが戻れば"ノーネーム"の戦力は確実に増加できる。どうじゃ?」

 

「うん、わかった。ノーネームの元メンバーならジンも知っているだろうし、多分取り戻したいと思っているだろうさ」

 

「そうか。なら、よろしく頼む。さて、もう夜じゃ。今夜はここに泊まってゆけ。あの2人が異世界でどのように過ごしておったのか気になるしの。黒ウサギたちにはわしから連絡しとく」

 

「お言葉に甘えて、お世話になります」

 

「よいよい、所で竜輝よ、おんしもいける口か?」

 

そう言い白夜叉は少しにやけた。俺は少し嫌な予感がしたが、まぁいいかと思った

 

ノーネーム本拠地

 

『黒ウサギよ。もう遅いし今日は竜輝をこちらに泊める。事情はきいとる。

明日のギフトゲームまでには返すように心掛ける。それではさらばだ。

PS今から竜輝と酒盛りじゃ!

白夜叉』

「・・・・なるほどね。楽しそうじゃねーか」

 

大広間で寛いでいるといきなり手紙が入ってきた。双女神の紋で封蝋された手紙で中には白夜叉からの手紙だった。竜輝のやつ、俺が御チビを担ぎ上げて"ノーネーム"を盛り上げる作戦考えているのに1人だけ楽しむなんていい度胸じゃねぇか。今度奢らせるか…

 

「……十六夜?」

 

名前を呼ばれたからソファーに座りながら首だけ動かすと春日部がいた。

 

「よう、春日部。どうした?突っ立てないで座ったらどうだ?」

 

「うん。そうする。」

 

そう言って春日部は前のソファーに座る。

 

「さっきジン君の声が聞こえてたけど何してたの?」

 

「なあに、別に大したこじゃない。

今後の進路について話してただけだ」

 

 

「・・・そう。・・・そういえば竜輝は?」

 

「アイツは酒盛りだとよ」

 

春日部に白夜叉からの手紙を渡す、その手紙を読み少し残念そうな顔をした

 

「竜輝、帰って来ないんだ。」

 

「そうみたいだな。なんだ帰ってこないから寂しいのか?」

 

茶化すように言うと、春日部は真っ赤にした

 

「な!?ななな何を言っているの!?」

 

絵に書いた様に動揺しているな、もう少し遊ぶか

 

「いや~、そうだったか、春日部は竜輝に惚れてたのか~気づかなかったなぁ〜」

 

「~~~///わ、私、もう寝る///」

 

そう言って、春日部は慌てて部屋を出ていった、これは春日部のやつ

 

「図星だったな、さて俺も寝るか」

 

そう思い、背伸びして、割り当てられた部屋に移動して、ベットに寝転がった、眠る一瞬手紙の事を思い出したが、明日でもいいかと思い寝た

 




そりゃ、辛えでしょ

ちゃんと言えたじゃねぇか

聞けてよかった


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第9話:ガルドとのギフトゲームだそうですよ?

勢いと、勢いが交差する時たまに早くなる

まえがきのネタ尽きそうな予感


ノーネームメンバーはフォレス・ガロの居住区画を目指し歩いていた、すると飛鳥がふと気がついた

 

「あら?そう言えば竜輝君は?」

 

「あ、そう言えば言い忘れてたが、あいつなら、サウザンドアイズに泊まったぜ」

 

「ど、どうしてそれを言わなかったんですか!?」

 

「今言い忘れてたって言ったろ」

 

お嬢様と黒ウサギに言うのを忘れていた、寝る前に思い出した時に言えばよかったのだろうが、まぁいいかと思ったから仕方ない

 

「大丈夫だろ。白夜叉もゲームに間に合うように帰すって言ってんだしよ」

 

「なら、いいですが・・・あっ、見えました。あれが居住区画です・・・」

 

黒ウサギが絶句した。

ガルドとか言うやつは所有してる舞台区画ではなく居住区画をゲーム盤に使うらしいがその居住区画はジャングルに覆われていた。

 

「ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだ。おかしくないだろ?」

 

「いや、おかしいです。フォレス・ガロの本拠は普通の居住区でだったはずです。それにこの木々まさか」

 

ジンはそっと木々に手を伸ばす。その樹枝はまるで生き物の様に脈打ち肌を通して胎動の様なものを感じさせた。

 

「やっぱりーー"鬼化"している?いや、まさか」

 

「虎の住むコミュニティとは聞いていたけど。よもやこんなにジャングルだとは思わなかったな」

 

「竜輝さん!?」

 

「ああ」

 

いつの間にかに御チビの後ろに竜輝が立っていた。竜輝の顔色が悪いように見える

 

「よぉ、間に合わないかと思ったぜ」

 

「間に合う様には、出たから間に合うさ」

 

そんな会話をしてると春日部が竜輝に近づきいきなり頬を引っ張り出した

 

「痛い痛い、どうしたのさ?」

 

「…別に」

 

拗ねたように言う。これはなかなかに面白い

 

「そう言えば竜輝、お前顔色悪いけど大丈夫か?」

 

「そんなに悪い?」

 

「言われて見ればそうですよ!竜輝何があったのですか、顔が青いですよ」

 

「竜輝君昨日何があったらそうなるの?」

 

「何があったの?」

 

「実は、昨日の記憶が少し無いんだ、白夜叉がお酒を勧めてきて、それを飲んでしばらくは覚えているんだけど…それ以降の記憶が無いんだ。おまけに頭が痛いんだまぁ、ギフトゲームには支障は出ないと思うから心配しなさんな」

 

「二日酔いかよ」

 

そうは言うが、面白いくらいに顔色が悪い、まぁ本人が大丈夫だと言うのなら、大丈夫だろうけな

 

「それより、ジン君。これを見て」

 

『ギフトゲーム名:"ハンティング"

プレイヤー一覧:久遠 飛鳥

        春日部 耀

        神薙 竜輝

        ジン=ラッセル

・クリア条件 ホストの本拠地に潜むガルド=ガスパーの討伐。

・クリア方法 ホスト側が用意した特定の武具でのみ討伐可能。

      指定武具以外は"契約"によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武具 ゲームデリトリーにて配置。

 

先生 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

"フォレス・ガロ"印』

 

「ガルドの身をクリア条件に・・・・指定武具で打倒!?」

 

「こ、これはまずいです!」

 

御チビと黒ウサギが悲鳴のような声を上げる。確かにこりゃ、厄介だ。

 

「ゲームはそんなに危険なの?」

 

「ゲーム自体は単純です。ですか、このルールに問題があります。これでは、飛鳥さんのギフトで操ることも耀さんと竜輝さんのギフトで傷つけることもできません!」

 

「どういうこと?」

 

いまいち理解が出来てないお嬢様に竜輝が丁寧に説明をする。

 

「"恩恵"じゃなく"契約"でガルドは自身の身を守ったんだ。"契約書類"のルールは絶対だからな。そのルールは神々の"恩恵"でも破ることは不可能なんだ。つまり今のガルドを倒すには、ギアスロールに書いている"指定武具"でダメージを与えるしか方法が無いんだよ」

 

「すいません、"契約書類"を作った時にルールも決めるべきでした。僕の落ち度です。すみません……」

 

自分の不手際に落ち込み謝罪する御チビに竜輝は御チビの頭に手を置く。

 

「気にするなよ、リーダー。人は誰しも失敗する、今は悔やむより、どう勝つかを考える方が先だ」

 

竜輝の言葉に春日部、お嬢様が頷く。ただ何度もいうが、竜輝は二日酔いを起こしてる

 

「それじゃあ、行くか」

 

そう言って竜輝たちは門をくぐった。

 

十六夜side End

 

竜輝side

 

「かなり生い茂っていますね。これでは、隠れていても分かりません」

 

「大丈夫。近くから何の匂いもしない」

 

「俺の耳にも特に怪しい音は入ってこない、見あたす限り何も無さそうだな」

 

門をくぐると目の前は木や草で覆われており道も分からない状況だった。

だが、耀の犬の嗅覚と俺の並外れた五感のお陰で問題ないのがわかる。あと、頭が痛い、胸も気持ちわりぃ、記憶がないのが辛い、昨日断れば良かったと後悔している

 

「風上にいるのに匂いがしないから建物の中に潜んでいる可能性が高いと思う

 

「じゃあ、まず指定武具探そうか」

 

飛鳥とジンに指定武具を探してもらい俺と耀は周りの警戒に当たった。耀は樹の上に立ち、俺は空中から見渡す

 

「駄目ねそれらしい武具やヒントも見つからないわ」

 

「もしかするとガルド自身がその役目を担っているかもしれません」

 

「なら方針を変えましょう。春日部さんのギフトと竜輝君の五感でガルドを探して」

 

「それなら」

 

「もう見つけた」

 

俺の目には森を抜けた先のツタが絡みつき廃墟みたいになった屋敷の中にガルドと思わしき、虎?が居るのが見える

耀を見ると目が金色になっていた。おそらく鷹の力の影響だろう、とても綺麗だと思った。地上に降りたち4人で屋敷を目指す。遠くから見たのと同じで屋敷全体をツタで覆われている

 

遠くから見たのと同じで屋敷全体をツタで覆われている

 

「ガルドは2階に居るから入っても大丈夫」

 

内装は酷いものだ。贅沢を尽くして作られた家具は打ち倒され散財している。おかしい、疑問を覚えた

ほかの3人も疑問に思った

 

「リーダー、この奇妙な舞台は、本当にガルドが作ったものなのか?」

 

「・・・わかりません。"主催者"側の人間はガルドに縛られていますが、舞台を作るのは代理を頼めますから」

 

「それにしても、罠がないのはおかしい気がする」

 

「うん、森は虎のテリトリー。有利な舞台を用意したのは奇襲のため・・・・・・でもなかった。それが理由なら本拠に隠れる意味が無い。ううん、そもそも」

 

「そもそも本拠を破壊する必要が無いだろ?」

 

「・・・うん」

 

耀は最後のセリフを取られたのが気に入らないのかムスッとした

 

「とりあえず戦力を分けよう。飛鳥とジンは1階で待機。俺と耀が2階に向かいガルドの様子と指定武具の情報を探ってくる」

 

「ちょっとなんで私が待機なの!?」

 

「そうです!?僕だってギフトはあります!足手まといには」

 

「「それに、二日酔いの竜輝君(さん)より大丈夫だと思うわ(ます)」」

 

「泣くぞ?じゃなくて、いいから聞いてくれ。ジンと飛鳥には退路を守って欲しいんだ。退路がないと撤退が出来ない。それと今回のギフトゲームは指定武具での討伐、これだと飛鳥のギフトは効かない。なら、ジンと一緒に退路を守るほうについてもらう方がいい。分かった?」

 

俺の説明に飛鳥とジンは不満そうだったが結局は納得してもらった。俺の心は斬り抉られたけど

 

「じゃあ、行きますか」

 

「うん」

 

耀と一緒に階段を上り終えると目の前に大きな扉があり両脇に立ち扉を上げると

 

「GEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAaaaaaaa!」

 

虎の怪物が白銀の十字剣を背に守るように立ち塞がっていた。

 

「飛鳥!ジン!今すぐ逃げろ!」

 

1階に居るジンと飛鳥に聞こえるように叫ぶ。ギフトカードから戦極の剣を出し構える、眼前に居る虎は恐らくガルドだろう後ろには白銀の十字剣

吸血鬼絡みなのか?

 

「耀!俺がガルドを引き付ける、その間にあの剣を回収してくれ!あれが指定武具だ」

 

「わかった!」

 

耀はすぐさま剣に向かって走り出した。

 

ガルドが爪で耀を襲おうとしたが俺が間に入り剣で受け止める。

 

「悪いが、ここは通すわけには行かないな」

 

爪での攻撃を剣で弾く、体調が悪く体が付いてこれてない、剣で防ぐのがやっとだ。ガルドの爪を受け止めてる間に耀が十字剣を回収した。そして、そのまま剣をガルドに突き刺そうとする。しかし、耀が剣を回収した瞬間俺は気が緩みガルドが俺を突き飛ばした。壁に強く叩きつけられる

 

「ぐはっ・・・ゴホッゴホッ!」

 

息が詰まる、呼吸がしにくくなる。

俺を突き飛ばすとガルドはそのまま耀に襲いかかった。耀が振り下ろした剣はガルドの爪に弾かれ勢いよく飛ぶ。

 

「あっ」

 

爪が耀を襲い右腕を切り裂く。

 

「耀!」

 

飛ばされ床に刺さった剣を抜き、ガルドの腕を切りつける、相打ちになるように、ガルドの爪は片腹を爪で引裂く

 

「ああ・・・ぐっ」

 

耀を抱き抱え、剣をギフトカードに直し逃げる。その際に、追い打ちと言わんばかりに、背中にもう一撃もらった

 

「あっ・・・」

 

意識が飛びそうになるが、歯を食いしばりそのまま走りだす。

 

「ごめん・・・耀」

 

味覚以外の五感を研ぎ澄まし、出せる最高スピードでジンと飛鳥を見つけ出した

 

「飛鳥、ジン、すまない仕留め損なった」

 

「竜輝君!」

 

「竜輝さん!」

 

血まみれの俺と耀を見て飛鳥とジンは驚く。

 

「耀を頼んだ」

 

耀をジンに渡し、傷口を抑えながらガルドのとこへ向かおうとすると飛鳥に止められた。

 

「どこにいくつもり?」

 

「ガルドの所だ」

 

「そんな怪我で行っても返り討ちにあうだけよ」

 

「けど、俺のせいで耀に怪我を負わせた…俺が奴を仕留めないと」

 

「それで、あなたが死んだら春日部さんは自分の怪我であなたを死なせたと思うわよ?」

 

「なっ・・・」

 

何も言い返せなかった、俺が耀に怪我を負わせた事をこう思っている。ならもし、俺が死んだら耀は自分のせいでと思うのだとしたら・・・そう思うと言い返せなかった

 

「私たちはコミュニティの仲間であると同時に友人よ。少しは私たちを信じなさい」

 

「・・・そうだな・・・わかった、なら、頼んだ」

 

ギフトカードから十字剣を取り出し飛鳥に渡す。

 

「これがが指定武具だ。ガルドは今虎になってる。動きが素早い。倒すには動きを封じないといけない・・・だが弱点がある」

 

「私もそれはなんとなくわかるわ」

 

「「今のやつには理性がない、ただの獣」」

 

「だから勝算はあるわ。ジン君、竜輝君と春日部さんをお願い」

 

「・・・はい、分かりました」

 

飛鳥の言うことに従いジンは耀と俺の応急手当を始めた。

 

「飛鳥、無事で帰って来いよ」

 

「ええ、竜輝君も私が帰って来た時に出血多量でご臨終ですなんてやめてよね」

 

「努力はするよ」

 

飛鳥が剣を片手に森の奥に進むのを見送ってから直ぐに出血と痛みから来る眠気に襲われた。取りあえず、後は飛鳥に任せようか、怪我人の俺は出ばれない。それにしても、耀にはとんでもない怪我を負わせちゃったな。

 

謝らないと・・・いけ・・・ないな・・・

 

そう考えていると。意識は闇の中に落ちていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カルナ、エミヤ、クラウド、ドラクエ


次回はまた遅れるかもです!


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第十話:開幕ペルセウスとのギフトゲームだそうですよ?

こんばんは、夏休みだから少し早く更新することが出来ました


夢を見た。街は炎に包まれて、その中を自分が歩く夢、あの日僕の心は、音もなく崩れ去った。壊れて叫んでも、あの記憶は消しされない。みんな死んだあの日の・・・僕だけが、助かり・・・でも死ぬ寸前まで行って・・・大きな青い炎の塊が出て、そこから記憶が・・・

 

「・・・酷い・・・夢だな・・・ここは?」

 

目覚めると視界には見知らぬ天井と、そして俺はベットに横たわっていた

 

「気が付きました?」

 

寝たまま顔だけを横に向けるとジンがいた。

 

「ジン・・・ここは?」

 

「"ノーネーム"のコミュニティの本部です」

 

そうか、あの後、俺寝ちまったんだっけ。・・・よく生きているな・・・俺

 

「ジン、耀は大丈夫か?」

 

「はい、耀さんは回復しました。今は飛鳥さんと黒ウサギの部屋にいるはずです」

 

それが聞けて安心した。

 

「良かった・・・そういえばジン、白夜叉からお前たちの仲間が賞品になってるギフトゲームについて聞いたんだが、それはいつなんだ?」

 

「そ、それが・・・そのギフトゲームは中止になってしまったんです」

 

「どういうことだ?」

 

ジンから順を追って説明を聞かされた。レティシアのことと現状のコミュニティの状態も含めて。

 

「なるほどな、レティシアと黒ウサギの交換か・・・"ペルセウス"ってのはギリシャ神話に出てくるゴルゴーンを倒した英雄なんだろう?そんなに腐った連中なのか?」

 

「それは二代目のルイオスさんの方です。先代のペルセウスさんはとても立派なお方です」

 

よくある話だな、先代は良いけど、今の代の人はさほど良くないと言うのは

まぁ人それぞれといえばおしまいなのかな・・・そんなことを考えてベットから這い上がる。

 

「だ、ダメですよ、まだ、体調が良くないですよ!」

 

「悪いな、二日酔いの時より遥かにマシだ頭がスッキリしてるし、気分は・・・耀に申し訳無い気分だが・・・」

 

取りあえずジンを連れて黒ウサギの部屋に行く。黒ウサギの部屋に着くと何故か扉が壊れていた。何があった?・・・直後すごい勢いでドアノブが飛んでくる、不意を疲れたので、回避出来ず

 

「イッテーーーー!!!」

 

おでこに命中しのたうち回る

 

「「「竜輝(さん)(君)!?」」」

 

「おい、黒ウサギお前が投げたドアノブは竜輝に命中したそうだが」

 

「あわわわ、すいません!!竜輝さん!!」

 

十分後

 

俺のデコにはドアノブの跡が残ってる

 

「もう起きて大丈夫なのか?竜輝」

 

「ああ、この間の二日酔いより遥かにましだけど、ところでこれ何?」

 

取りあえずテーブルの上にある奇妙なマークが描かれた丸い宝石みたいなのかあった。

 

「"ペルセウス"への挑戦権だ。こいつを使い奴らから旗印を奪い、レティシアの交渉条件に使う」

 

なるほど・・・ってえぐい事考えるな・・・十六夜のやつ

 

「それと、竜輝。今回お前は留守番な」

 

「・・・どういうことだ?」

 

「決まってんだろ。病み上がりを連れていくほど俺は外道じゃないぞ?」

 

「心配する必要はないぜ?十六夜、さっきも言ったが、この間より遥かにマシだと」

 

「心配じゃねーよ、足手まといを連れてっても意味が無いだけだ」

 

「・・・言ってくれるじゃないか、なら試すかい?」

 

「おもしれぇ」

 

腕を鳴らしながら十六夜が構え、俺は

右手を近く、左手を突き出すかのように構える、そして

 

「いい加減にしなさ!このお馬鹿様方!」

 

十六夜の頭に炸裂する黒ウサギのハリセンが炸裂する

 

「喧嘩しちゃダメ」

 

そう言って耀が俺の頬を引っ張る。

 

「痛い痛い、耀痛いって」

 

「竜輝さんは病み上がりなんですから喧嘩して傷口が開いたらどうするんですか!十六夜さんも乗らないでください!」

 

「分かったよ。でも、俺もギフトゲームに参加するぞ。」

 

引っ張られた頬を抑えながら言う

 

「理由でもあんのかよ?」

 

「あるっちゃある」

 

「なら、説明してもらおうか」

 

説明・・・か・・・白夜叉から聞いた話だし、本当かどうかも確証持てないけど・・・助けたいと思った気持ちに嘘がないになら

 

「そ、それは本当のことなの?」

 

「ビックリ」

 

「竜輝さんの御父上が神薙辰希様で

御母上が神薙輝夜様って本当でございますか!?」

 

「まさか、レティシアがお前の従姉とはな」

 

上から飛鳥、耀、黒ウサギ、十六夜、の順番でそれぞれ色んな驚き方をする

 

「まぁ、レティシアの話だが、白夜叉に聞いた限りの話だから、確証は無いけどな、五年前・・・父さんが言ってたことも関係あると思う、父さんが、

『お前には、義理だが姉もいるんだぞ』とか言ってたけど、イマイチ話半分で聞いていたしな。後は、黒ウサギ、ジンこの剣見たことないか?」

 

そう言って、俺は戦極の剣を出す

 

「これは、輝夜様が使っていた剣です!!」

 

「あの人が使っていた剣です!」

 

「白夜叉に預けてたらしい、それでこの間これを俺が貰った・・・まぁ以上で俺がどうしても今回のギフトゲームに参加したい理由だ。なんか異論あるか?」

 

「・・・仕方がねえな。いいぜ、連れてってやる。体に異変が出たらすぐにでも言う。いいな?」

 

「わかった」

 

「よし、じゃあ、早速行くか。"ペルセウス"のコミュニティに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々、ノーネームはペルセウスに決闘を申し込みます!」

 

「何?」

 

取りあえず"ペルセウス"のリーダーであるルイオスの第一印象はあまりいい印象を受けない、黒ウサギを舐め回すかのように見ている。特に足と太腿、胸など。

 

「何?そんなつまらないこと言いに来たの?決闘ならしないって言ったじゃん」

 

ルイオスは拍子抜けしたように、つまらなそうに言う

 

「それが用件ならとっとと帰れよ。あーマジうぜぇ。趣味じゃねぇけど、あの吸血鬼で鬱憤でも晴らそうか」

 

俺は大きくため息をつきたくなった・・・現在のペルセウスのリーダーこんな人だとは思わなかった

 

そんなルイオスに黒ウサギはあるものを見せる。"ペルセウス"の旗印が描かれた宝石を。

 

「こ、これは、ペルセウスへの挑戦権を示すギフト・・・・・!?まさか名無し風情が、海魔とグライアイを打倒したというのか!?」

 

十六夜が1人で行ってきたそうです。

ルイオスの側近の男が驚きの声を上げる。

 

「あぁ、あのババァと大タコか?確かに面白かったがあれなら蛇の方がマシだったぜ?」

 

「ハッ・・・・いいさ、相手してやるよ。元々このゲームは思い上がったコミュニティに身の程を知らせてやる為のもの。二度と逆らう気が無くなるぐらい徹底的に・・・・徹底的に潰してやる」

 

「我々のコミュニティを踏みにじった数々の無礼。最早言葉は不要でしょう。“ノーネーム”と“ペルセウス”。ギフトゲームによって決着をつけさせていただきます」

 

『ギフトゲーム名:“FAIRYTAIL in PERSEUS”

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          神薙 竜輝

 ・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

 ・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 ・敗北条件  プレイヤー側ゲームマスターの降伏・失格

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 ・舞台詳細 ルール

  *ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

*ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない

 

*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない

 

*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

 

"ペルセウス"印』

 

現れた契約書類を読むと視界が代わり白亜の宮殿の門の前に居た。

 

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろという事か?」

 

白亜の宮殿を見上げ、心を躍らせる様な声音で十六夜がつぶやく。

 

「伝説通りならルイオスは宮殿の最奥で睡眠中。最もそこまで甘くないと思うけどね」

 

取りあえず必要なことはジンを連中に見つけられないようにしないと行けないということだ。

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはず。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません、不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

「となると、必要な役割は3つだな」

 

「ジン君と一緒にルイオスを倒す役割、見えない敵を感知して倒す役割、そして、失格覚悟で囮と露払いをする役割だね」

 

「春日部は鼻が利く。耳も目もいい。竜輝も五感が優れているから不可視の敵は任せる」

 

「分かった」

 

「了解した」

 

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加する事が出来ません

ですから、ルイオスさんを倒す役割は十六夜さんにお願いします」

 

「なら、私は囮と露払いかしら?」

 

飛鳥が不満そうに文句を言う。だが、十六夜から聞いた話によると飛鳥のギフトはルイオスにはあまり効果が無かったらしい。

 

「悪いな、お嬢様。譲ってやりたいが勝負は勝たなきゃ意味が無い。あの野郎を倒すのは俺が適任だ」

 

「ふん、いいわ。今回は譲ってあげる。ただし、負けたら承知しないわよ。」

 

飛鳥の言葉に十六夜は任せろと言う。

 

「皆様に一つご注意があります」

 

黒ウサギが神妙な面持ちで話しかけてくる。

 

「いえ、ルイオスさん自身そこまで強くありませんが、問題は彼が所持するギフトです。黒ウサギの推測が正しければ彼のギフトは」

 

「隷属させた元・魔王様」

 

「そう、元・魔王・・・え?」

 

十六夜の補足に黒ウサギは一瞬言葉を失う

 

「神話通りならゴーゴンの首は戦神アテネに献上されたはずだ、だからこの世界にないはず。にも関わらず、奴は石化のギフトを使っている。ーーー星座として招かれたのが、箱庭の"ペルセウス"。ならさしずめ奴のギフトは」

 

「アルゴルの悪魔って言うわけか?十六夜」

 

「そういう事だ」

 

「・・・まさか、箱庭の星々の秘密に・・・・・?」

 

「まぁな、星を見上げっときに推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した」

 

「俺は十六夜の話を聞いて最後だけ分かっただけ」

 

「もしかして、十六夜さんってば意外に知能派でございます?」

 

「何を今さら、俺は根っからの知能派だぜ。黒ウサギの部屋もドアノブを回さずに扉を開けたしな」

 

「なるほど、だからそのドアノブが俺にとんできたのか」

 

「いえ、そもそもドアノブは付いていませんでしたから。扉だけです」

 

冷静にツッコミを入れる黒ウサギ。

十六夜はそれに気づき補足する。

 

「そうか。でも、ドアノブが付いていても、ドアノブを回さないで開けれるぜ」

 

「お約束だから、聞いておくけど、その方法はどうやってするんだ?」

 

「決まってんだろ」

 

ヤハハと笑いなが十六夜は宮殿の門の前に立つ。

 

「そんなもん、こうやって開けるに決まってんだろ!」

 

十六夜の蹴りが門に当たり、そのまま破壊する。それが戦いの狼煙となる




リリカルなのはのSSも始めました、そちらもよろしければ見てください お願いします


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第11話:決戦ペルセウスだそうですよ?

メイドオルタ出ないよぉーーーーーーーー


遠くから水が流れる音と多くのペルセウスの騎士の悲鳴が聞こえる。

どうやら首尾よく囮はうまく行ってるようだ。

 

 

「竜輝、状況はどんなもんだ?」

 

「飛鳥が順調に事を成しているようだ」

 

「流石だな」

 

今回、俺の役割は耀と共に不可視のギフトを持つ兵士を倒しハデスの兜(レプリカ)を奪う役割だが、それはフェイクだ本当の役割は十六夜の保険だ。

万が一、十六夜の姿が見られた時、俺が十六夜の代わりにルイオスと対峙する事になってる。今の所、十六夜以外でルイオスに勝てそうなのは俺ぐらいらしい。その為、十六夜が俺を保険という形で温存することになった。

 

「ぐっ!」

 

ドサッと地面に何かが倒れ、急に男が現れる。どうやら耀が不可視のギフトを持つ騎士を倒したらしい。

 

「不可視のギフト、ゲットだな」

 

「やっぱり匂いと音は消せないみたいだね」

 

ハデスの兜とは言え、レプリカなら対策は立てやすいものだ

 

「このゲームはこのギフトが鍵になる。最奥に続く階段に数人も護衛をつければ、どうやってもクリア出来ない」

 

「連中が不可視のギフトを使っているのを限定しているのは、安易に奪われないようにするためだろうけど」

 

「この兜で御チビだけ守っても俺が見つかれば勝ち目はなくなる。となると作戦変更だ。もう一つ兜を奪う。前哨戦をちまちまやっていても埒が明かない。春日部には悪いが―――」

 

「気にしなくていい。私が敵を引き付けるから透明になったまま叩いて」

 

不可視のギフトは最低でも2つ必要。

欲を出せば俺と耀の分も欲しいが欲を出し過ぎて失格になるのは得策では無い。取りあえず十六夜とジンの分を確保できれば大丈夫だ

 

「良いとこ取りみたいで悪いな。これでもお嬢様や春日部、竜輝にはソレなりに感謝してるぞ。今回のゲームなんかは、ソロプレイで攻略出来そうに無いし」

 

「大丈夫、埋め合わせはしてもらうから」

 

「安心しな。埋め合わせはする。竜輝がな」

 

・・・・・・いやちょっと待て、何故俺が十六夜の埋め合わせをしないといけない!?

 

「期待してる」

 

こっちに親指を立てて耀が言ってくる。俺じゃなく十六夜に言って

 

 

「よし、御チビは隠れとけ。死んでも見つかるなよ」

 

「はい!」

 

兜を被り、十六夜の姿が消える。

物陰から飛び出して宮殿を駆け回る。

暫く廻ってると騎士達と遭遇した。

 

「いたぞ!名無しの娘だ!」

 

「これで敵の残りは四人だ!」

 

兵士が一斉に襲い掛かってくる

 

「邪魔だ!」

 

見えない十六夜の拳が炸裂し、騎士達は悲鳴をあげながら壁を幾層も突き破り、飛んでいく、容赦が無い・・・

 

「春日部、こいつら以外に敵は?」

 

「今の所何も聞こえない・・・わ!?」

 

突然、前触れなく、耀が吹き飛んで壁に叩きつけられる

 

俺と耀が気づけないってことはオリジナルのハデスの兜か。こいつは厄介だ、一つ策を試してみるか…俺は地面に手を当て仕掛けを作る

 

 

「おい、春日部、竜輝一度引くぞ!」

 

十六夜が耀を抱きかかえて逃げようとすると十六夜も殴り飛ばされた。姿の見えない敵はその瞬間を待っていたと言わないばかりに、十六夜を殴だろう、耀を抱き抱えれば自然と位置が把握されるからだ。殴られたときに十六夜の被ってる兜が壊れたらしく十六夜の姿が現れる。

 

「くそ!兜が壊れちまった!」

 

姿が見られたため十六夜は失格になってしまった。仕掛けを仕掛けるには時間は十分だった、俺は突っ立っている

 

「竜輝何してんだ!?」

 

「竜輝!」

 

何も無い場所から

 

「ぐ、ああああ」

 

苦痛の声が聞こえた

 

「そこだな!」

 

俺はボディーブローを虚空に放つ、手応えはありだ、兜剥ぎ取った

 

不可視の騎士はルイオスの側近だった

 

「まさか・・・自らをエサにするなんてな」

 

「賭けの領域だったけどな、あんたが早く攻撃してくれてよかったぜ」

 

「竜輝一体何をしたんだ?」

 

「竜輝私も気になる。自らエサってどういう事?」

 

十六夜と耀は不思議そうに聞く

 

「俺のギフトの光と闇の操者の応用で、俺の周りに、影の地雷の様なものを作ったんだ。判別までは時間が無いから、無差別式だけどな、今は解除してあるというか、ひとつ引っかかれば消えるようにセットしてある、後はさっきの声のする方に攻撃するだけ」

 

そう言うと十六夜はヤハハと笑い、耀は少し何か考え始めた。

 

「取り敢えず、ハデスの兜のオリジナルが手に入った。後は最奥まで行くだけ・・・十六夜、護衛を頼める?」

 

「おう、まかしとけ。連中が竜輝を見る前に黙らしてやるよ」

 

「相手が死なないようにな」

 

いつの間にか居たジンにハデスの兜を渡すと耀が話しかけてきた。

 

「竜輝・・・必ず勝ってきてね」

 

「・・・勿論、勝ってくるさ」

 

拳を互いに合わせ俺は先に進む

 

 

 

 

 

 

「さっきぶり、黒ウサギ」

 

「竜輝さん、十六夜さんにジン坊ちゃん!」

 

宮殿の最奥に着くと黒ウサギがいた。

俺たちの姿を確認すると安堵したかのように息をもらす。

 

「ふん、使えない部下共だ。これが終わったらまとめて粛清しないとね

ともあれようこそ白亜の宮殿・最上階へ、ゲームマスターとして相手しましょうあれ?この台詞言うの初めてかも?」

 

それは思うに騎士達が優秀だったからだと思う、準備が伴わない、突然の決闘出なければ、俺達に勝ち目は無かった

 

ルイオスは翼の生えた靴で空に飛びあがる。あれは、ペルセウスがゴーゴン退治で神から授かった武具、ヘルメスの靴か。となると、ハデスの兜を除けば神霊殺しの鎌"ハルパー"とアテナの盾か。黒ウサギが言うにはアテナの盾は箱庭で失ったそうだ。ルイオスはギフトカードから炎の弓をだして構える。

 

「炎の弓?ペルセウスの武器で戦うつもりは無い、という事でしょうか?」

 

 

 

「飛べるのにどうして同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ。それにメインで戦うのは僕じゃない。僕はゲームマスターだ。僕の敗北はそのまま"ペルセウス"の敗北になる。そこまでリスクを負う様な決闘じゃないだろう?僕の代わりに戦うのはコイツさ」

 

ルイオスは首のチョーカーについてる装飾を引き千切ると投げ捨て、獰猛な表情で叫んだ

 

「目覚めろ。アルゴールの魔王!」

 

装飾が光を放ち、その中から拘束具に縛られた女性と思しき者が現れた。

あれが精霊アルゴール。

 

「GYAAAAAAAAAAaaaaaaa!」

 

アルゴールの絶叫が響き渡る。

その直後、空から何かが落ちてきた。

 

「飛べない人間は不便だよね。落ちてくる雲も避けれないんだから」

 

雲が石化したと言うのか、あの落石は雲だと雲まで石化するとは恐ろしい。

アルゴルとはペルセウス座のゴーゴンの首の位置にある恒星でアラビア語でラス・アル・グルを語源とする"悪魔の頭"という意味がある。

ゴーゴンの首の位置にあるから石化のギフトを持っているというのが十六夜の推測らしい。

 

「今頃君たちの仲間と部下どもは石になってるだろうさ。ま、無能にはいい体罰さ」

 

俺達が石になっていないのは、ルイオスの遊び心だろう、ようやっと訪れた初めての挑戦者。すぐに終わらせては勿体無い。吐く軽口より、内心の闘志は遥かに高まっているのだろう

 

 

「目論見は外れたな。レティシアが戻れば魔王に対抗できると思ったんだろうが、肝心のレティシアは使えない。どうする、例の作戦止めるか?」

 

「・・・・ですが、僕たちにはまだ十六夜さんと竜輝さんの2人がいます。貴方達が本当に魔王に勝てる人材だと言うのなら、この舞台で僕達にそれを証明してください」

 

 

「OK。よく見てな御チビ」

 

十六夜の言葉に黒ウサギは期待するような目で十六夜を見る。

 

「と言いたいが、残念なことに俺はあいつに挑む資格が無い」

 

「え・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

アルゴールの次は黒ウサギの絶叫が響く。

 

「なら、どう戦うんですか!?」

 

「落ち着けよ、黒ウサギ。後は、竜輝がやるから黙って見物しようぜ」

 

「ああ、後は任せてもらうよ」

 

ギフトカードから戦極の剣を取り出し構える。

 

「見とけよ、黒ウサギ、何も魔王に対抗できるのは、十六夜だけじゃないんだ」

 

そう言い、剣を握りしめ、力を入れる、直後、青白いオーラのようなものがほとばしる、上限の枷が一個外れた

 

十六夜も何かを感じたようで、楽しそうな表情で見ている。その表情は獰猛だが

 

「さ、それじゃあ準備いいよなゲームマスター」

 

「ん?2人で来ないのかい?後ろの子がリーダーなんだろう?」

 

直後、十六夜が竜輝にサインを出した

 

「(了解)いくら、ペルセウスのリーダーだかって自惚れないでくれ、あんた程度に、うちのリーダーが手を出すわけないだろ」

 

「(ナイス)」

 

十六夜は満足そうな笑みを浮かべ、ジンは十六夜の寒い悪意が感じる

 

「はっ!名無し風情が、後悔するがいい!」

 

ルイオスが切れ炎の弓を放つ。が

 

「この程度」

 

剣の1振りで全てたたき落とす

弓が無駄だと分かるとすぐさま仕舞い、今度はハルパーを取り出す。

 

「押さえつけろ!アルゴール!」

 

アルゴールと挟み込んで俺を追い詰める。アルゴールは俺に襲い掛かって来てねじ伏せようとする。だが俺は真正面からアルゴールを見据えて迎え撃つ。

 

「くらえ!」

 

アルゴールのリバーに拳を叩き込み、更にテンプルに拳を叩き込み、アッパーでノックダウンさせる

 

 

「くっ、調子に乗りやがって!」

 

後ろからハルパーで斬りかかってくるルイオスの鎌を剣で止め、腹の鳩尾に拳を叩き込む、ルイオスは吐きそうな表情になる

 

「大分堪えているみたいだぜ?ゲームマスター」

 

「はッ、あれでアルゴールが終わったと思うなよ。今だ!押しつぶせ!アルゴール!」

 

アルゴールはかなりタフらしくすぐさま意識を回復させ後ろから俺に殴りかかる。

 

「残念だったな!これで僕たち"ペルセウス"の勝利だ!」

 

「そりゃどうかな?」

 

「な!?」

 

アルゴールの一撃は俺に当たらず地面を砕いただけだった。

俺は空を飛びアルゴールの攻撃を躱しルイオスの背後に着いた。

 

「そら!」

 

「がは!」

 

下からルイオスを蹴りあげる。

ルイオスは第三宇宙速度で飛ばされる

そして、すぐさまそれに追いつき再度攻撃をする。

 

「羽があっても不便そうじゃないか」

 

もう一度ルイオスの腹にかかと落としをしてアルゴールに重なるように叩きつけられた

 

「まだだ!」

 

空中で剣を斜めに振る、直後ガラスの様な色の剣が無数に展開される、俺は狙いを定め、剣を振り下ろす。無数の剣はステージに向かい突き刺さる

 

 

ルイオスとアルゴールは急いでそれらを交わすが幾らからかすり体制を崩し倒れ込む

 

 

「ぐ・・・がは・・・・・・・なんだよ!?なんなんだ!?お前は!?

本当に人間か!?いったいどんなギフトを持っている!?」

 

 

「ギフトネーム天威の夜叉の力・・・これだけじゃ意味がわからないか、言っとくが俺は夜叉じゃないからな」

 

「・・・・・・もういい、アルゴール。どんな手を使っても構わない。

奴を――――――――殺せぇ!!」

 

ルイオスの命令に従うようにアルゴールは絶叫する。すると黒いしみがアルゴールを中心に広がり、あたりからいろんな魔獣を生み出す。

 

「確か伝承じゃゴルゴーンにはそんな力あったな」

 

「そうだ!これが数々の魔獣を生み出したゴーゴンの特性!お前の相手は魔王とこの宮殿そのものだ!逃げ場はないものと知れ!」

 

「そうかい・・・ならこの宮殿ごと壊せばいい話だな?」

 

 

「「え?」」

 

ジンと黒ウサギは嫌な予感がした十六夜は面白そうな予感していた

 

俺は力を込める、拳は青白くひかり、黒く染まった魔宮に叩きつける、直後宮殿全体が震え、闘技場が崩壊し、瓦礫は4階を巻き込んで3階まで落下する

 

 

「・・・馬鹿な、どういう事だ、奴の拳は山河撃ち砕くほどの力があるのか?」

 

「どうした?もうネタ切れか?」

 

ルイオスは悔しそうな顔を浮かべるがすぐに真顔に戻った。

 

「もういい、アルゴール。終わらせろ」

 

石化のギフトを解放した。星霊・アルゴールは謳う様に不協和音と共に、褐色の光を放つ。これこそアルゴールを魔王に至らしめる根幹。天地に至るまで全てを褐色の光で包み、灰色の世界へと変えていく星霊の力、褐色の光に包まれた俺は軽く

 

「・・・ゲームマスターが狡い真似するなよ」

 

右手を振るい、褐色の光を霧散させた

一気に距離を詰め、戦極の剣を再度無数に展開し、アルゴールを切り裂き、元魔王アルゴールを完全に沈黙させた

 

「まぁ、こんなもんか。さぁ、次はどんな手を使うんだ?」

 

「竜輝さん、もうこれ以上のものは出ないと思います。アルゴールが拘束具で繋がれてる時点で察するべきでした。ルイオス様はアルゴールを支配するにはまだ未熟すぎるのです」

 

ルイオスは悔しそうにした俯く。

十六夜の方を見ると凶悪そうな顔でサインを出してきた、まじかよ、それを俺が言うのかよ

 

「なぁ、このまま終わっていいのか?」

 

俺の言葉にルイオスは反応する。

 

「このゲームでお前たちの旗印を手に入れたら、今度は旗印を盾にもう一戦申し込む。そうだな、次は"ペルセウス"の名前を頂こうか」

 

ルイオスは恐怖に顔を歪め怯える。

大方、"ノーネーム"になった自分たちを想像したんだろう。

 

「その二つを手に入れたあと"ペルセウス"2度と箱庭で活動出来ないように、徹底的に、ぶっ潰す」

 

「や、やめろ!・・・・」

 

「そうか、なら戦うしかないよな、最後まで、貴方がリーダーとしてゲームマスターとして挑戦者を迎え撃て。ゲームはまだ終わってない」

 

ルイオスはゆっくりと立ち上がりギフトカードからハルパーを出す

 

「いいだろ。やってやる。やってやるさ!アルゴールがいなくても、僕の力でやってる!」

 

ルイオスは鎌を構え突っ込んでくる。

俺は剣を構え

 

「よくやったぜ、ペルセウスのリーダーさん」

 

鎌を弾き飛ばし、右拳をルイオスの顔面に叩き込んだ




最近暑いですが、皆さんお体に気をつけてください

熱中症は危ないですから


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エピローグ

第一巻終了!


今回は、かなりの無茶&無知&無謀な話が出ますが、寛容に受け止めてください!


現在進行形で服を作っている、理由はレティシアをメイドにするという事で、服の制作を買って出たのだ。採寸は黒ウサギに頼み、そのサイズを聞いて作業に取り掛かっている、何故か、未完成の女の子用のワンピースの服があったので改良している。あと何故か執事服も

 

「ここはもう少し長いほうがいいのかな?」

 

など独り言を繰り返しながら、制作中である。ここに来るまでにバイトで、裁縫やお菓子作りやお茶の入れ方を教わり、修めるレベルじゃなく、極めろと言われ、厳しい教育を耐えて認められた、ただ経験を語ってくれと言われると寒気がするので遠慮したい

 

格闘する事数時間で完成した、部屋には『入るな危険』の立てかけをしてあるから誰も入ってこない、後は執事服を仕上げるのみ

 

耀side

 

「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」

 

「え?」

 

「え?」

 

「・・・え?」

 

"ペルセウス"とのギフトゲームが終わり、レティシアを助けて目を覚まして私達の開口一番はこれだった。

竜輝は今部屋にこもって何やら、作業をしている。話はメイドにしようと言ったら

 

『じゃあ、俺はする事が出来たから、少し部屋に籠るよ』

 

といい、姿を表していない、何しているんだろう

 

「え?じゃないわよ今回のゲームで活躍したの私たちだけじゃない?あなた達はくっ付いてきただけだもの」

 

「うん、私なんて力一杯殴られたし、石になったし」

 

「あ、それ私も」

 

「つーか挑戦権持ってきたのおれだろ?あーでもルイオスとアルゴール倒したの、竜輝だな、というわけで所有権は3:3:2:2で話は付いた」

 

 

ちなみに竜輝と十六夜が3、私と飛鳥が2

 

「何を言っちゃってんでございますかこの人達!?」

 

黒ウサギとジンは混乱している。

そんな中、当事者であるレティシアは冷静だった

 

「んっ・・・・・・ふ、む。そうだな。今回の件で、私は皆に恩義を感じている。コミュニティに帰れたことに、この上なく感動している。だが、親しき仲にも礼儀あり、コミュニティの同士にもそれを忘れてはならない。君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」

 

「レ、レティシア様!?」

 

黒ウサギはすごい焦っている。

 

「私、ずっと金髪の使用人に憧れていたのよ。私の家の使用人ったらみんな華も無い可愛げの無い人達ばかりだったんだもの。これからよろしく、レティシア」

 

「よろしく・・・・・・いや、主従なのだから『よろしくお願いします』の方がいいかな?」

 

「使い勝手がいいのを使えばいいよ」

 

「そ、そうか。・・・・・・いや、そうですか? んん、そうでございますか?」

 

「黒ウサギの真似はやめとけ」

 

するとドアがノックされる、すると十六夜が

 

「竜輝か?入ってきていいぜ」

 

「やっと、人仕事終わったよ、黒ウサギが未完成の服を渡してくれなければ、間に合ってないところだったよ」

 

そこに立っていた竜輝の服装は、執事服だった

 

「十六夜、レティシアのメイド服仕上げたよ」

 

「おう・・・それでお前のその服装は?」

 

「うん?まぁ、執事服だね、俺も色々したいし。この服装で行こうかなぁと、何故かあったし」

 

思考が止まっていた、執事服が似合う竜輝を見て固まっていた

 

「ん?君は・・・・どこかであったかな?」

 

「うん?俺は神薙竜輝だ、父さんが神薙辰希、母さんが神薙輝夜、その2人の子供だよ、レティシア姉さん」

 

「そうか。御父様と御母様の子だったか。どうりで似てるわけだ。だが、私はもうメイドだ。姉さんはやめてくれ」

 

「まぁ、俺もギフトゲーム参加する時以外は基本使用人みたいな感じに動くから、姉さんと呼ばしてもらうよ」

 

「そうか」

 

そんな風に楽しそうに会話する俺達をみて黒ウサギは肩を落としていた。

 

耀side end

 

竜輝side

それから三日後

俺達は黒ウサギ主催の歓迎会に参加させらた。子供達を含めた“ノーネーム”総勢一二七人+一匹は水樹の貯水池付近に集まり、ささやかながら料理が並んだ長机を囲んでいた。

 

「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」

 

「うん。私も思った」

 

「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねえか?」

 

「それじゃあ、明日から頑張らないとね、はい、次の料理だよ」

 

ジンに聞いた話によるとコミュニティの財政はかなり危険らしい後数日で底が付くとのことだ。俺達4人でフル活動すれば何とかなるかもしれないが100人を超える子供たちを養うのはきついものがある。黒ウサギ使用許可がおりた食材で、料理を作り運んでいる

 

 

「無理しなくていいって言ったのに・・・・・・馬鹿な娘ね」

 

「そうだね」

 

飛鳥の苦笑に耀も苦笑で返す。

 

「それでは本日の大イベントが始まります!みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」

 

黒ウサギに言われて天幕を見ると大量の流れ星が流れていた。

 

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群の切っ掛けを作ったのです」

 

「「「「え?」」」」

 

十六夜までもが驚く。

 

「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒した“ペルセウス”のコミュニティは、敗北の為に“サウザンドアイズ”を追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」

 

そ、それって、まさか星座をあの空から

 

「・・・・・なっ・・・・・・まさか、あの星空から星座を無くすというの!?」

 

「今夜の流星群は“サウザンドアイズ”から"ノーネーム"への、コミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし、皆で鑑賞するもよし、今日は一杯騒ぎましょう♪」

 

 

飛鳥の驚きに黒ウサギは笑みを浮かべて返す。とんでもない話だ

 

「こいつはいい目標ができたな」

「目標?なんでございますか?」

 

「あそこに俺達の旗を飾る」

 

その言葉に黒ウサギは絶句するが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「それは・・・とてもロマンが御座います」

 

「だろ?」

 

「はい!」

お、なにやらいい雰囲気。

 

お邪魔虫は退散しますか。

笑い合ってる十六夜と黒ウサギに背を向けて耀と飛鳥のとこに戻る。

 

「さぁ、お嬢様方、自分手作りのデザートは如何でしょうか?」

 

「様になってるわね、竜輝君」

 

「うん、すごい」

 

「ありがとうな」

 

 

それからしばらくして

 

「なぁ、竜輝、ひとつ聞いていいか?」

 

「どうしたの姉さん」

 

「白夜叉からどんなふうに聞いたんだ?」

 

「それは説明するよ、俺が聞いた話は

 

回想

 

遡ることガルドとのギフトゲーム前夜

 

「なぁ、白夜叉、その元魔王って名前なんて言うんだ?」

 

「ほう、やはり気になるか?」

 

そりゃ、気になる、元魔王と言われる人物だ・・・人じゃないかもしれないけど

 

「その言葉を待っておったぞ竜輝!まぁそやつの名前はレティシア・ドラクレア。吸血鬼の純血種じゃ」

 

「純血種?まぁそれで、何故待っていたんだ?」

 

「まぁ、楽しみの一つでもあったからなぁ、やつは、一応、形式上お前の姉に当たる」

 

「・・・は?いや、少し待って、吸血鬼が俺の姉さん?俺は人間だし、両親も人のはず、話が分からない」

 

白夜叉も少し困った顔をする

 

「まぁ、何じゃ。辰希と輝夜が1人だったレティシアと関わり、娘のように接してて、養女にならないかと声をかけていたんだ、レティシア自身も、その2人の事を好いていたが、時間が欲しいかったから、考えさせてほしいと言ったのじゃ。2人は二つ返事で了承した。だが、数日後、辰希と輝夜はとあるギフトゲームに敗北し、箱庭とは違う別世界に行くことになった、辰希と輝夜はレティシアに別れを言って去った、レティシアはその時、御父様、御母様と言ったんじゃよ、2人は元気でな!達者でなと泣きながら去ったよ」

 

「・・・そんなことがあったのんだな・・・義理の姉さんかぁ」

 

「湿っぽい話じゃな、さぁさぁ飲め飲め」

 

回想終了

 

「こんな感じ、だけど、間違いとかあった?」

 

「いいや、無い、さぁパーティーに戻るぞ、竜輝」

 

「うん」

 

 




次回からは、火竜生誕祭です乞うご期待(適当に期待しておいてくださいwww)


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あら、魔王襲来のお知らせ?
第1話:問題児たちが脱退するかもだそうですよ?


原作2巻開幕!


俺の1日は早い、早朝に起き、ノーネームの菜園とは別に、規模は同じくらいの菜園を作っている、主に、玉ねぎやトマト、ピーマン、茄子を栽培中だ、気を切って、枝を燃やし、養分にして、作っている。現在は、雑草抜きと、成長を見ている

 

「ふぅ・・・あとは水やりだな」

 

「お疲れ様です!竜輝さん」

 

後ろから、声が掛かる、後ろを見ると、割烹着に狐耳が特徴の子の年長組

 

「朝早いんだね、リリ、もう一つの菜園も世話はしてあるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

朝の農作業を終え、執事服に着替える。子供達と一緒に朝食を作り上げた

 

「よし、じゃあ俺は耀達を起こしてくる」

 

ドアをノックする

 

「誰?」

 

「執事の神薙竜輝でございます。朝食が出来上がったので及びにまいりました」

 

少し気取った風に言う、耀は驚いた様子で

 

「まっ、待ってて!今用意する」

 

「慌てなくていいから」

 

そんなこと言って、待ってる昨日の話を思い出す、北側で行われる大祭の話、俺を含めた四人で話し合って、この話は黙っておこうと言っていた話だ。

 

「お待たせ」

 

「うん大丈夫、飛鳥も起こそう、朝ごはんが冷めたら美味しくないから」

 

「うん」

 

その後、飛鳥は、4ラウンドのTKO負けを喫したのは別の話である、耀の根気のある?ドアノックが飛鳥を身支度へと駆り立てた…

 

 

「用意出来たわ。どうぞ」

 

「「失礼します」」

 

「し、失礼します」

 

「ごめんね、飛鳥。せっかく作った朝食が冷めたら勿体ないと思って・・・」

 

「い、いいのよ春日部さん」

 

その後、4人で雑談と農園について話した

 

「じゃあ、目下の目標は土地の再生ということにしましょう。黒ウサギも相談をーーー」

 

話がまとまりかけた時。ヒラヒラと手紙が降ってきた、封蝋には向かい合う双女神の紋"サウンドアイズ"の旗印が刻まれていた。リリは大きく息を呑んで叫んだ。

 

「す・・・凄いです!"サウンドアイズ"の印璽が押された封蝋なんて始めた!コレは白夜叉様が直々が印を押した、ギフトゲームへの招待状ですよ!」

 

「白夜叉から?」

 

「あのフロアマスターの?」

 

耀と飛鳥は嬉々として封を切った、内容は北側で行われる、大祭の事だった

 

「これ、黒ウサギとジンと姉さんと話してたヤツだ・・・はっ!?」

 

自分の発言で、悪寒が走るしかし時すでに遅し、後頭部に痛みを感じた時には遅かった…ああ言うんじゃなかった

 

竜輝side end

 

飛鳥side

 

今は竜輝君には眠ってもらうしかない、そう判断した私は、春日部さんにお願いと言うか、春日部さんも乗り気で竜輝君を気絶させた、まぁ私達に黙ってたことだし、許してもらいましょう。

 

「これからどうする?」

 

「とりあえず、十六夜君の所に行きましょう」

 

探すこと十数分、地下の書庫にいた

 

「十六夜君何処にいるの!?」

 

十六夜君は眠たそうに

 

「・・・うん?ああ、お嬢さまか・・・」

 

と二度寝しようとする十六夜君に、本を踏み台にして、側頭部に膝蹴りをじた

 

「起きなさい!」

 

「させるか!」

 

「グボハァ!?」

 

私の蹴りは、ジンくんが盾に使われ防がれてしまった、ジンは三回転半して吹き飛んだ

 

「ジ、ジン君がグルグル回って吹き飛びましたよ!?大丈夫!?」

 

「側頭部に飛び膝蹴りを食らって大丈夫な訳ないと思うな」

 

状況は私がいて、眠そうな十六夜君、混乱しているリリ、無表情の春日部さん、そして、春日部さんに担がれている伸びた竜輝君、だけど気にもとめず言う

 

「十六夜君、ジン君!緊急事態よ!二度寝してる場合じゃないわ!」

 

「そうかい。取りあえず、側頭部にシャイニングウィザードは止めとけ。

俺はともかく御チビの場合は命に関わ」

 

「って僕を盾に使ったのは十六夜さんでしょう!?」

 

復活したジン君が十六夜にツッコミを入れる。

 

「大丈夫よ。だってほら、生きてるじゃない」

 

「デッドオアライブ!?というか生きてても致命傷です!飛鳥さんはもう少しオブラードにと黒ウサギからも散々」

 

「御チビも五月蠅い」

 

十六夜君が投げた本の角が的確にジンの頭に当たり、加えて先ほど以上の速度で後ろに飛ぶ。

 

「それで?人の快眠を邪魔したんだ。相応のプレゼントがあるんだろうな」

 

睡眠を邪魔されて不機嫌な十六夜君、だけど、気にしていられない。二度寝を邪魔されたのは私も一緒なのだから

 

「いいからコレ読みなさい。絶対に喜ぶわよ」

 

不機嫌な表情のまま十六夜君は手紙を読む。

 

「何々?北と東の“階層支配者”による共同祭典“火龍誕生祭”の招待状?」

 

「そう!よくわからないけどきっと凄いお祭りだわ。十六夜君もわくわくするでしょ?」

 

「おい、ふざけんなよ。こんなことで人の快眠邪魔して側頭部にシャイニングウィザードを決めようとしたのかよ!?それに、なんだよこのラインナップ!?『北側の鬼種や精霊達が作り出した美術工芸品の展覧会および批評会に加え、様々な"主催者"がギフトゲームを開催。メインは"フロアマスター"が主催する大祭を予定しております』だと!?クソが!少し面白そうじゃねえか、行ってみようかなオイ♪」

 

「ま、待ってください!北側にいくにしてもせめて黒ウサギのお姉ちゃんに相談してから、ジン君も起きて!皆さんが北側に行っちゃうよ!」

 

「・・・・北?・・・北側だって!?」

 

気絶していたジン君が目を覚まし飛び起きた

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!北側に行くって本当ですか!?」

 

「ああ。そうだが?」

 

「何処にそんな蓄えがあると思ってるんですか!?此処から教会壁までどれだけあると思っているんです!?リリも、大祭の事は皆さんには秘密にと――――」

 

ジン君はどうやら北側の大祭の事を知ってたらしい。

 

「そっか。こんな面白そうなお祭りを秘密にされてたんだ、私達。ぐすん」

 

「コミュニティを盛り上げようと毎日毎日頑張ってるのに、とっても残念だわ。ぐすん」

 

「ここらで一つ、黒ウサギ達に痛い目を見てもらうのも大事かもしれないな。ぐすん」

 

ジン君は失言に気づいたようで、竜輝君を探すが、お生憎、竜輝君はこっちの手の中、ジン君は汗をダラダラにながし青ざめている。

 

黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁぁん!大変―――!」

 

「リリ!?どうしたのですか!?」

 

「飛鳥様が十六夜様と耀様と気絶した竜輝様を連れて・・・・・・・・あ、こ、これ、手紙!」

 

『黒ウサギへ。

北側の四〇〇〇〇〇〇外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。貴女も後から必ず来ること。あ、あとレティシアもね。

私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合"四人ともコミュニティを脱退します"。死ぬ気で探してね。応援しているわ。

P/S ジン君は案内役に連れて行きます、あと竜輝君もこっち側です』

 

「な、―――――何を言ちゃってんですかあの問題児様方ああああ――――――!!!」

 

 

 



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第2話::交渉に行こう。だそうですよ?

大変お待たせしました!


現在、十六夜、飛鳥、耀、竜輝、ジンは六本傷”が経営するカフェの一角に陣取り今後のことを話し合っている。

 

「毎回噴水広場の近くに来ると思うのだけど、ニ一○五三八○外門のあの悪趣味なコーディネートは、一体誰がしているの?」

 

悪趣味なコーディネートとは外門と箱庭の内壁の繋ぎ目である石柱には、巨大な虎の彫像が掘り起こされており門上には今はもう潰れて存在しない旗印フォレス・ガロの旗印が存在する。ジンはため息混じりに説明する

 

「箱庭の外門は地域の権力者が"階層支配者"の提示するギフトゲームをクリアすることでコーディネートする権利を得ます。コミュニティの広告塔の役割もあるんです」

 

「そう・・・それであの外道の名残が残ってるのね」

 

フンッ、と不機嫌そうに髪を掻き上げる飛鳥。気を取り直したようにカフェテラスの席に向き直る。

 

「それで、北側まではどうやって行けばいいのかしら?」

 

飛鳥の服装は、黒ウサギから貰った真紅のドレスだ、普段着にドレスはどうかと思ったが慣れてしまえばどうということは無いらしい。

 

「んー・・・でも北にあるなら、とにかく北に歩けばいいんじゃない?」

 

無計画にも程がある意見を言った耀の服装は代わり映えしない、シャツ・ジャケット・ショートパンツ・ニーハイソックス・ブーツと、色気の無い組み合わせである。唯一のお洒落はブーツのアンクレットと埋め合わせで竜輝から貰った、水色と青色のブレスレット

 

「で?我らのリーダーは何か素敵な案はないのか?」

 

ニヤニヤと見下ろす十六夜も着た時と変わらない紺の制服と壊れたヘッドホン首にかけた格好だ。かなり簡単だな。

 

「で?我らのリーダーは何か素敵な案はないのか?」

 

ニヤニヤと見下ろす十六夜も来た時と変わらない紺の制服と壊れたヘッドホン首にかけた格好と一番簡易な服装だ、着古したダボダボなローブを着たジン。そして執事服を着て気絶している竜輝

 

「予想はしてましたけど・・・・・もしかして、北側の境界壁の距離を知らないのですか?」

 

「知らねぇよ。けどそんなに遠いのか?」

 

「やっぱり何も知らずに出発してたんですね、説明する前に言いますが、箱庭の表面積が恒星級だという話を知ってますか?」

 

「え?恒星?」

 

素っ頓狂な声を上げる飛鳥と表情を変えずに瞳を三度瞬きする耀。首肯しながらも、ジンの言葉に眉をひそめた十六夜、未だに気絶している竜輝

 

「それは黒ウサギに聞いて知ってるが、箱庭の世界は殆どが野ざらしにされてるって聞いたぜ。それに、大小は有っても町もあると」

 

 

「有りますよ。ですが、それを差し引いても箱庭は世界最大の都市。箱庭の世界の表面積を占める比率は他の都市と比べ物になりません」

 

「比率?」

 

「まさか、恒星の1割ぐらいを都市部が占めている・・・なんて言わねえよな?」

 

「そ、それは流石にありませんよ。比率と言ってもその数字は極少数になります」

 

「そ、そうよねそれで、ここから北側の境界線までどのぐらいあるの?」

 

安堵した息を漏らし飛鳥はジンに聞く

ジンは天を仰ぎながら思考し

 

「ここは少し北寄りなので大雑把でいいのなら・・・・・980000㎞ぐらいかと」

 

「「「うわお」」」

 

3人は様々な声音で呟く

嬉々とした、唖然とした、平淡とした声をあげた、約1名はそれで目を覚ます

 

~その頃のコミュニティ~

 

「食堂にはいなかったよ!」

 

「大広間、個室、貴賓室、全部見てきた!」

 

「貯水池付近もいないっ!」

「お腹すいた!」

 

「それはまた後でな。・・・・・・金庫の方は?」

 

「コミュニティのお金に手を付けていません。皆さんの自腹では境界壁まで向かうことができませんから、外門付近で捕まえれることが可能です!」

 

「なら、黒ウサギは外門へ向かえ。

捕まえれなくとも"箱庭の貴族"のお前なら境界門の起動に金はかからない。私は"サウザンドアイズ"の支店に向かう。招待状の贈り主が白夜叉なら無償で北の境界壁まで送り届ける可能性もあるからな」

 

黒ウサギとレティシアは行動を確認し合い、頷き動く

 

「あの問題児様方・・・・・!今度という今度は絶対に!絶対に許さないのですよ!」

 

黒ウサギの目にはかつて無いほどの怒りの火花が散っていた。怒りのオーラで髪を淡い緋色に染め、土埃をあげ爆走する

 

〜end〜

 

「いくらなんでも遠すぎるでしょう!?」

 

「遠いですよ!箱庭の都市は中心を見上げた時の遠近感を狂わせるようにできているため、肉眼で見た縮尺との差異が非常に大きいんです!」

 

「う・・・ううん・・・あれ俺何してんだろ・・」

 

「おっ?竜輝が起きたな」

 

「おはよう、竜輝君」

 

「おっおう・・・おはよう(何があったか思え出せない・・・後頭部が痛い気がするけど)」

 

「まぁ話を戻すけど、なら、"ペルセウス"のコミュニティに行った時みたいに外門と外門を繫げてもらいましょう」

 

「"境界門”"のことですか?断固却下です!外門同士を繫ぐにはお金がかかるんです!"サウザンドアイズ"発行の金貨で一人一枚!五人で五枚!コミュニティの全財産を上回ります!」

 

「(コミニティの全財産?いったいなんの話ををしているだ?境界門・・・どこか行くつもりなのだろうか? )」

 

気絶した際に軽く記憶が飛んでいる模様の竜輝、ジンに反論され苦々しい顔で黙り込む飛鳥達。

 

「今なら笑い話ですみますから・・・皆さんも、もう戻りませんか?」

 

「断固拒否」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

ガクリと肩を落とすジン

 

「竜輝何かいい方法無い?」

 

耀が竜輝意見を求める

 

「とりあえず、状況教えて」

 

十六夜達は竜輝に現状のことを説明する、挑発的な手紙を出したことも

 

「・・・なるほど・・・境界門を使いたい理由が分かったよ、北の大祭に行きたいんだよね?・・・普段なら帰ろう、て言いたいけど。僕も皆に黙ってたし・・・方法は無くもないよ?」

 

「竜輝さん!?この間の話で黙っとくと言うことで、竜輝さんは止める側なのでは!?」

 

ジンは動揺している、それはそうだろう、現状味方になりうる、人物が向こう側につこうとしているのだから

 

「ジン・・・ごめん、俺も火竜生誕祭気になっていたんだ」

 

「で?その方法はなんだよ竜輝?」

 

十六夜は軽薄な笑を浮かべ竜輝に聞く

 

「白夜叉が招待状送って来たんだから、北側に連れていってくれんじゃないかな?」

 

竜輝の一言で皆が黙り・・・

 

「それよ!その方法があったわ!早速行くわよ!」

 

「おう!こうなったら駄目で元々!"サウザンドアイズ"へ交渉に行くぞゴラァ!」

 

「行くぞコラ」

 

ハイテンションな十六夜と飛鳥に続き、ノリで声を上げる耀だった。

魂が抜けたジンを励ましながら、引っ張る竜輝はサウンドアイズに向かうのであった…

 

 




皆様のおかげでお気に入り100人超えましたありがとうございます!


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第3話:北側に着くそうですよ?

オリキャラの設定に四苦八苦している大馬鹿者ですどうも・・・(´・ω・`)


俺達5人は噴水広場のぺリベッド通りを走り抜けサウンドアイズの支店の前で止まる。桜に似た並木道の街道に立つ店前を、竹ぼうきで掃除をしている。店長に一礼され

 

「お帰りください」

 

と、要件も言わぬ前にこれである。苦笑いせざるを得ない

 

「そこそこ常連客なんだし、もう少し愛想良くしてもいいと思うのだけれど?」

 

「常連客とは店にお金を落としていくお客様と言うのです。毎度、毎度、換金しかしない者は取引相手と言うのです」

 

ギフトゲームで得た金品はこの店でさばいてもらってもらっている、まぁ店長の言う通り取引しているのだ

飛鳥と店長が言い争っていると空から何かが降って来た。

 

「やっふぉおおおおおお!ようやく来おったか小僧どもおおおおおお!」

 

「ゴフ!?」

 

それは俺の腹部を強襲し、俺が端側の溝に転がり落ちる・・・嬉しそうな声を上げ空中でスーパーアクセルを繰り出し荒々しく登場する。誰かというと白夜叉だ。というより白夜叉しかこんなことしない。おかげでびしょ濡れだが

 

「ぶっ飛んで現れなきゃ気が済まないのか?ここのオーナーは」

 

「・・・・・・、」

 

痛烈に頭が痛そうな店長は頭を抱えた

白夜叉は溝に落ちた俺のところまでくる

 

「また荒々しいお出迎えですね」

 

「このぐらいインパクトがある方がよいと思ってな」

 

「インパクト次いでに、気おつけてください」

 

「それはすまんかったな」

 

着物についた埃を払いながらケラケラ笑う白夜叉。

 

「おんしらよく来たな、店の中に入ってくれ、話もあるしな」

 

俺はとりあえず、服を絞ってから、店の中に入った、客室に招かれ、サウンドアイズの支店に置いてある着替えに着替えて

 

「一つ質問いいかな?白夜叉」

 

「何じゃ?」

 

辺りが静かになる。全員が息を呑み誰一人として喋ろうとはしない。理由はわからないことも無いが、意を決して、真面目な表情の白夜叉に問を投げる

 

「どうして、俺の膝の上に乗ってるの?」

 

そう、白夜叉は現在俺の胡座をかいた膝の上に堂々と座っている。

 

「おんしの膝の上は座り心地がよくての。暫くそのままでおってくれ」

 

「・・・いつ調べたのかな?」

 

「おんしがここに泊まって酔っ払った時に膝の上に乗せて頭を撫でてくれたんじゃよ」

 

そんな事があったのか・・・通りで座ったままで寝て、足が痺れていたわけだ

 

十六夜は新しいおもちゃを手に入れた子供のように笑顔で

 

「よかったじゃねぇーか。せっかくだから思う存分楽しめよ竜輝」

 

と言ってきた、耀は何やら黒いオーラが出ているような気がして成らない

 

「さて、本題に入る前にジンよ。おんしに聞きたいことがある。フォレス・ガロとのギフトゲーム以降おんし達が魔王に関するトラブルを引き受けるとの噂を耳にしたのだが、真か?」

 

白夜叉は厳しい表情を浮かべ、ジンを見据え問う、それに飛鳥は

 

「ああ、その話なら本当よ」

 

飛鳥は正座したまま首肯する。白夜叉が小さく頷くと、視線をジンに移し再度問う

 

「ジンよ、それはコミニティのトップの方針か?」

 

「はい。名も旗印が無い僕たちにはこうしてコミュニティの存在を広めていくしかありませんから」

 

「リスクは承知の上なのだな?」

 

「覚悟の上です。それに仇の魔王からシンボルを取り戻そうにも、今の僕たちでは箱庭の上層に行くことができません。ですから僕たちの名と旗印を奪った魔王に出向いてもらい迎え撃つつもりです」

 

「無関係な魔王もくるかもしれんぞ?」

 

「それこそ望むところだろ。倒した魔王を隷属させ、より強い魔王に挑む・・・さらに打倒魔王を掲げてる、箱庭世界でもこんなにもかっこいいコミニティは無いだろ」

 

十六夜は不敵な笑みを浮かべていた

俺は白夜叉の頭を撫でてた

 

「ふむ」

 

頭を撫でられながらしばし瞑想すると、呆れた笑みを浮かべる。

 

「そこまで考えとるなら良い。では、打倒魔王を掲げたコミュニティに東のフロアマスターとして正式に依頼をしよう。よろしいかな、ジン殿?」

 

「は、はい!謹んで承ります!」

 

白夜叉がいつになく真面目な表情で言ってくる白夜叉に慌てながらもジンが引き受ける。

 

「まず、北のフロアマスターの一角が世代交代した。急病で引退とか。まぁ、亜龍にしては高齢だったからのう。寄る年波には勝てなかったと見える。此度の大祭は新たなフロアマスターである、火龍の誕生祭での」

 

「「龍?」」

 

龍の部分に十六夜と耀が反応した。

十六夜のことだから火龍と戦いたいと思っているのだろう・・・耀は火龍と友達になりたいのかなぁ・・・火龍の特性・・・口から・・・想像するのはやめておこう

 

「ところでおんしら、階層支配者についてどのぐらい知っておる?」

 

「私は全く知らないわ」

 

「私も全然知らない」

 

「俺はそこそこ知ってる」

 

「右に同じく、簡単に言うと、下層の秩序をと平和を見守る守護者ですよね」

 

階層支配者(フロアマスター)とは下層の秩序と成長を見守る連中で箱庭内の土地の分割や譲渡、コミュニティが上位に移転できるかを試すのにギフトゲームを行うなどの役割がある。そして秩序を乱す、天災・魔王が現れたら率先して戦うといった義務がある。それと引き換えに"主催者権限(ホストマスター)"が与えられてるそうだ。

 

「しかし北は鬼種や精霊、悪魔といった種が混在した土地なのでそれだけ、治安が良くないのです。そのため、マスターは複数存在します」

 

「けど、そうですか。"サラマンドラ"とはかつては親交はあったのですが、頭首が替わっていたとは知りませんでした。今はどなたが頭首を?やっぱり、長女のサラ様か、次男のマンドラ様」

 

「いや。末の娘のサンドラだ」

 

その名前にジンが身を乗り出して驚く。

 

「サ、サンドラが!?そんな、彼女はまだ十一歳ですよ!?」

 

「ジン君だって十一歳で私たちのリーダーじゃない」

 

「それはそうですけど・・・・いえ、ですが」

 

「なんだ?御チビの恋人か?」

 

「ち、違います!」

 

十六夜がジンを弄って遊んでるうちに話を進めてもらう。

 

「で、それで俺達に何をすればいいんだ?」

 

「そう急かすな、今回の誕生祭は次代マスターのサンドラのお披露目も兼ねている。じゃが、まだその幼さ故、東のフロアマスターの私に共同の主催者を依頼してきた」

 

「北には他のマスターもいるのでしょう?なら、そのコミュニティにお願いして共同主催すればいい話じゃない?」

 

「うむ。まぁ、そうなのだが」

 

白夜叉が歯切れ悪く話す。

 

「幼い権力者を良く思わない組織がある・・・・とか、在り来たりにそんなところだろ?」

 

「まぁ、そんなところだ」

 

十六夜のセリフに肯定も否定もしない白夜叉。飛鳥の表情は不愉快そうに歪んでいた

 

「そう・・・神仏集う箱庭の長たちでも、思考回路は人並なのね」

 

「うう、実に手厳しい。だが全くもってその通りじゃ。実は東のマスターである私に共同祭典の話を」

 

「ちょっと待って。その話長くなる?」

 

耀が急に何かに気付いたのかそんなことを聞いてくる。

 

「ん?そうだな、短くとも後1時間ぐらいかの」

 

1時間か・・・そんぐらい・・・待て・・・これ話聞いていたら北側に行けないのでは?十六夜と飛鳥も気づいたらしく少し慌てる。ジンも気が付き立ち上がる。

 

「白夜叉様!どうかこのまま」

 

「ジン君『黙りなさい!』」

 

飛鳥のギフトがジンの口を無理やり閉じる

 

「白夜叉!今すぐ北側へ向かってくれ!」

 

「構わんが内容を聞かずによいのか?」

 

「構わねぇ!事情は追々話すし、何よりそっちの方が面白い!保障する!」

 

十六夜のセリフに白夜叉はニヤリと笑う。

 

「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!ジンには悪いが面白いなら仕方ないのぉ?」

 

白夜叉は悪戯ぽい横顔に、声にならない悲鳴をあげるジン。暴れるジンを抑える十六夜達、白夜叉が両手をパンパンと二回叩く。

 

「これでよし。北側へ着いたぞ」

 

「「「「・・・・・・・は?」」」」

 

9800000㎞の距離を、今の僅かな時間で?白夜叉を膝から降ろし、十六夜達と共に外に出る。ちなみに外に出るまで耀に頬を引っ張られた・・・・なんでさ

 

 

 

 

 




次回またお会いしましょう!


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第4話:"造物主の決闘"だそうですよ

一週間以内に出来たァwww


サウンドアイズの店を出ると、熱い風が頬を撫でた。いつの間にかに高台に移動した店から街一帯を見ることが出来る、その街は俺達が知る街並みじゃない。赤壁の境界壁、鉱石で彫像されたモニュメント、ゴシック調の尖塔群のアーチ、巨大な凱旋門、色彩鮮やかなカットグラスで飾られた歩廊。

 

「すごい・・・98000kmを離れたら世界が変わったように文化様式も違う・・・本当にすごい!」

 

テンションが上がってきた。初めて見る光景に心が踊る

 

「ふぅん。厳しい環境があってこその発展か。ハハッ、聞くからに東側より面白そうだ」

 

「・・・むっ?それは聞き捨てならんぞ小僧。東側だっていいものは沢山ある

。おんしらのところ所の外門が寂れているだけだわい」

 

拗ねるように口を尖らせる白夜叉、飛鳥は美麗な街並みを指差し

 

「今すぐ降りましょう! あの歩廊に行ってみたいわ!」

 

「そうだの。まぁ、続きは夜に話そう。それまで、遊んでくるとよい。」

 

白夜叉からの許可がおり飛鳥は今にも飛び出しそうだった。すると空からなにかが降って来た。

 

「見ィつけた―――――のですよおおおおおおおおおお!」

 

ドップラー効果の聞いた絶叫と爆撃のような着地で現れたのは俺達の仲間黒ウサ――――

 

「ふ、ふふ、フフフフ・・・・!ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児方・・・・!」

 

ギ・・・・・だよね?

淡い緋色の髪を戦慄かせ、怒りのオーラを振りまく黒ウサギは帝釈天の眷属より、悪鬼、羅刹の類にしか見えない・・・

 

「逃げるぞッ!」

 

「え、ちょっと、」

 

十六夜はすぐさま飛鳥を抱きかかえて高台から飛び降りる。俺も逃げるに空に飛ぶ、耀も旋風のギフトで空に逃げようとするが一足遅く、黒ウサギによりブーツを掴まれた。

 

「耀さん、捕まえたのです!!もう絶対逃がせません!!」

 

どこか壊れたように笑う黒ウサギ、耀を引き寄せて、耳元で

 

「後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。御覚悟シテクダサイネ♪」

 

「りょ、了解」

 

それを聞いた瞬間、背筋が凍るような感覚を味わった、逃げようとすると

 

「余所見とは随分余裕だな」

 

後ろから声が聞えたので振り向くとそこには義理の姉のレティシアがいた。

 

「な、ど、どうして!?"境界門"を開くほどの蓄えは無いはず!?」

 

「お前の貯金と私のポケットマネーから金貨を出して"境界門"を開いた。お陰で財布が少なくなった、あ、貯金も少し残ってるぞ。さて、今はメイドとしてではなく、貴様の義姉としてお仕置きだ」

 

まじかよぉ・・・俺が配布分のお金を貯めていたのにあっさりバレるなんて・・・それによく見ると、口元から血がてでる

 

「もしかして、誰かの血を吸った?」

 

「ああ、ジンからな」

 

下を見るとジンが青ざめた顔をして仰向けに倒れていた。

 

「リーダー!?」

 

「だから余所見をして大丈夫か?」

 

気が付くとレティシアはもう目の前にいた。

 

「はぁ!」

 

どこからか出したハリセンで出し、殴りかかってきた、俺は寸前でガードしたが、純血の吸血鬼がフルパワーで殴られた

 

「うっ!?」

 

勢いよく地面に叩き落とされる

 

「うっ・・・ああ、腕が痺れる」

 

咄嗟に防いだからよかったがノーガードなら大怪我必死だ

 

「さて、それっじゃ、私は黒ウサギと共に飛鳥と主殿を捕まえに行くとする。白夜叉、耀と義弟を頼む」

 

「うむ」

 

そう言ってレティシアは再び空に飛びあがり黒ウサギを探しに行った。

 

「まぁ、なんじゃ、大丈夫か?」

 

「大丈夫?」

 

「・・・大丈夫じゃないかも・・・」

 

耀に手伝ってもらいながら、立ち上がりサウンドアイズの店に入る

 

 

「なるほどのう。おんしららしいがコミュニティの"脱退"とは穏やかではないの。ちょいと悪質ではないかのう?」

 

「まぁ、確かに冗談にしてもタチが悪い」

 

「私も少しそう思ったけど説明してくれれば私達だってこんな強硬手段に出たりしなかった」

 

「普段の行いが裏目に出たとは思わんのか?竜輝も止める側だと思ったんだがな」

 

「それはそうだけど、それも含めて信頼の無い証拠。少し焦ればいい」

 

「最初は反対だったが、気になっていたし、少しならいいかなぁって」

 

拗ねたように耀は言い、お茶と一緒に出された和菓子を食べる。

 

「そう言えば、大きなギフトゲームがあるらしいけど本当?」

 

「本当だとも。特に耀、おんしに出場して欲しいゲームがある」

 

着物の裾からチラシを取り出し耀に渡す。

 

『ギフトゲーム名:"造物主達の決闘"

・参加資格、及び概要

 ・参加者は創作系のギフトを所持

 ・サポートとして、1名までの同伴を許可

 ・決闘内容はその都度変化

 ・ギフト保持者は

創作系のギフト以外の使用を一部禁ずる

 

・授与される恩恵

 ・階層支配者の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。

                            "サウザンドアイズ"印

"サラマンドラ"印

 

創作系ギフト・・・確か、耀の"生命の目録(ゲノムツリー)"は確か父親さんが創ったものだから創作系に分類されるんだな、確かにあのギフトならこの程度のゲームなら勝ち抜くことはできるはず

 

「ねぇ、白夜叉」

 

「なにかな?」

 

「この恩恵で・・・・・・黒ウサギと仲直りできるかな?」

 

幼く端正なかおを、小動物のように小首を傾げる耀。その言葉に白夜叉は驚いたような顔をした。俺達は確かにノーネームの中でも問題児かもしれない、だけど、ノーネームが嫌いじゃない、むしろ、好きだ。だからこそ、黒ウサギと仲直りがしたい。耀も、飛鳥も、十六夜も・・・・・・多分十六夜もいい人だよね、きっとそのはず

 

「出来るとも。おんしにそのつもりがあるのならの」

 

優しく温かい笑みで白夜叉は言う

 

「そっか。それなら、出場してみる」

 

そして耀は頷いて立ち上がる。

 



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第5話:決勝枠と飛鳥が襲撃に合うそうですよ?

最近やる気あるのかなぁ、自分

あとFGOの佐々木氏のスキルがmaxになりました


現在、俺はギフトゲーム、造物主の決闘の決勝の出場の最後の枠をかけたゲームを観戦している。

耀が相手にしてるのは"ロックイーター"というコミュニティに属する自動人形、石垣の巨人だ。勝負は耀が優勢で

俺は、姉さんたちに付いてきた三毛猫と共に客席にいる。

 

『お嬢おおお!!そこや!今や!後ろに回って蹴飛ばしたれぇぇぇ』

 

「相手はスキだらけだ!いっけえええ!!」

 

「これで、終わり・・・・!」

 

鷲獅子から受け取ったギフトで旋風を操る耀は、巨人の背後に回り後頭部を蹴り倒す。その時に、自分の体重を象に変幻させて落下の力を加えて巨人を押し倒した。巨人が倒れると観客席から割れるような観衆が起こった。

 

『お嬢おおおおおお!うおおおおお!お嬢おおおおおお!」

 

三毛猫は溢れんばかりに大声を上げる。傍目にはニャーニャーとしか聞こえないが。耀は三毛猫の声が聞こえたらしくこちらを向いて片手を上げて微笑を浮かべる。そのその様子に俺は微笑んだ。すると耀は慌てたようにそっぽを向く。あれ?どうしたんだろう?

 

「最後の勝者は"ノーネーム"の春日部耀に決定した。これにて最後の決勝枠が用意された。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールに関してはもう一人の“主催者”にして今回の祭典の主賓から説明願おう」

 

白夜叉がそう言って現れたのはジンとそんなに変わらない背の少女だった。

あれが"サラマンドラ"の新しい頭首サンドラか。彼女は鈴の音の様な凛とした声音で挨拶をした

 

「ご紹介に与りました。北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎えることが出来ました。然したる事故もなく、進行に協力してくださった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様にはこの場を持って御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましては御手持ちの招待状をご覧ください」

 

招待状を取り出し見ると書き記された文字が直線と曲線に分解され、別の文章になった。

 

『ギフトゲーム名:"造物主達の決闘"

・決勝参加コミュニティ

 ・ゲームマスター・"サラマンドラ"

 ・プレイヤー・"ウィル・オ・ウィスプ"

 ・プレイヤー・"ラッテンフェンガー"

 ・プレイヤー・"ノーネーム"

・決勝ルール

 ・お互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う

 ・ギフトを十全に扱うため、一人まで補佐が許される

 ・ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う

 ・総当たり戦を行い勝ち星が多いコミュニティが優勝

 ・優勝者はゲームマスターと対峙

・授与される恩恵に関して

 ・"階層支配者"の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します

"サウザンドアイズ"印

'サラマンドラ"印』

 

ルールが書かれた紙をしまい俺は三毛猫と共に席を離れる。

そして、三毛猫と共に耀を迎えに行く。

 

「耀、お疲れ」

 

「り、竜輝」

 

『お嬢、決勝進出おめでとう』

 

「うん、ありがとう」

 

三毛猫を抱きかかえ耀は俺を見る。

 

「今日は疲れたでしょ?"サウザンドアイズ"に帰ろう」

 

「うん、あれ?白夜叉は?」

 

「あー、なんでも十六夜と黒ウサギが何かやったみたいだから、会ってくるって」

 

俺は遠い目をしながら、壊された時計塔を見る

 

「そっか、じゃあ行こっか」

 

耀と歩きながら、サウンドアイズの支店に向かっているが、会話の一つもない。流石に気まずい、何か話さないと。耀はこっちを横目で見てきたり何かを言うおうとしては、ためらってるように見える。もうしばらく歩くと

 

グゥーーー

 

漫画であるような感じで、誰かのお腹がなった。隣の耀を見ると、足を止め、顔を恥ずかしさのあまりか、真っ赤になっていた

 

「・・・プッ・・・アハハハハ」

 

なんだかおかしくなり笑ってしまった。笑うと耀は顔を真っ赤にしながら涙目で睨みつけてきた。

 

「し、仕方がないじゃん。ゲームで動きすぎてお腹か・・・・・・」

 

「分かってるって。少し待ってって」

 

耀を近くのベンチに座らせて少し来た道を戻った。

 

「これでいいかな」

 

屋台で焼きそば(特大サイズ麺4玉くらい)を買って耀のところへ行く

 

「お待たせ、これ」

 

「焼きそば?」

 

「そうだよ、祭りには焼きそばは定番じゃん?」

 

ちなみに耀が満足できるように一番特大サイズパック(麺4玉ぐらい)にしてもらった。

 

「ありがとう」

 

「うん」

 

お礼をいうと耀は焼きそばを食べ始めた、耀の食べてい姿が可愛く見えた。そんなこんなんで僅か3分で山盛りにあった焼きそばを耀は完食することが出来た。

 

「ごちそうさま」

 

手を合わしてごちそうさまを言う耀を見ると口元にソースがついていた。

 

「耀、少し動かないで」

「ん?な・・・!?」

 

取り出したハンカチで耀の口元を拭うと耀は再度固まりだした。

 

「これでよし、ソースが付いていたよ?うん?どうかした?」

 

「わ・・・」

 

「わ?」

 

「私・・・先に・・・帰る」

 

顔を真っ赤にしながら耀はグリフォンのギフトで空に飛びあがりふらふらと危なげな様子で店に戻った。

 

「どうしたんだろう?」

 

耀の様子に疑問を持ちながら飛び上がり、店に戻ろうとしたら義姉のレティシアがいた。不思議に思い、レティシと合流した。

 

「姉さん、どうかしました?」

 

「竜輝!ちょうどよかった!実は飛鳥とはぐれてしまって、探すの手伝ってくれないか?」

 

どうやら飛鳥とはぐれたらしい、飛鳥もここに来てテンションが高かったし、展示会場に居そう

 

「もしかしたら、展示物の多いところにいるかもしれない。観光ならそういう所を回ると思う」

 

「なるほど、となるとあそこが怪しいな」

 

姉さんの後を付いて行くと洞穴の展示会場についた。

 

「ここには“ウィル・オ・ウィプス”の展示物がある。飛鳥はあそこのコミュニティの歩くキャンドルに興味があったからな。いるとすればここの可能性が」

 

「あるかもしれないね、ろうそくかぁっ気になるなぁ」

 

「ぎゃあああああああああああああああ」

 

急に洞窟の中から劈くような悲鳴が聞こえ大勢の参加者達が飛び出してきた。

 

「おい!中で何があった!」

 

レティシアが近くの男を捕まえ問い詰めた。

 

「か、影が・・・真っ黒い影と紅い光の群れが・・・」

 

「影?」

 

「そうだ。その影が長い髪の女の子と小さい精霊を追いかけて」

 

それだけの情報で十分だった、マッハ25で洞窟内に突っ込む

 

「・・・・・・・・・っていなさい。落ちてはだめよ!」

 

飛鳥の声が聞こえ、さらに進むと飛鳥の姿が見えた。そこにいた飛鳥は帽子を被った小さな精霊を守りながら白銀の剣で何万といるネズミと闘っていた。

 

「人の仲間に手を出すな!ネズミが!」

 

周りに光の玉を展開し、レーザーの様に放ち、ネズミを撃ち抜き、貫通しさらのネズミに当たる。次は影が這いより、無尽の刃が迸る、刃の竜巻は、ミキサーのように魔性の群れを飲み込みこり裂いていく

 

「ーーーネズミ風情が、我が同胞に牙を突き立てるとは何事だ!?分際を痴れこの畜生共ッ!!」

 

頭のリボンを取ると姉さんの姿は急激に変わった。愛らしい少女から、妖艶な香りを纏う女性へと、メイド服は深紅のレザージャケットに変わり、拘束具を彷彿とさせる。影を操っていたのはレティシアだった

 

「術者は何処にいる!?姿を見せろ!往来の場で強襲した以上、相応の覚悟はあるのものだろう!!ならば、我らの御旗の威光、私の牙と爪で刻んでやる!コミュニティの名を晒し、姿を見せて口上を述べよ!」

 

レティシアの一喝が洞窟に響くが誰一人として返事を返すものはいなかった。気配も無い、閑散とした静寂を満たす。どうやら術者は逃げ去ったらしい

 

「貴女、レティシアなの?」

 

「ああ、それより、飛鳥。何があったんだ?多少数がいたと言え、ネズミ如きに遅れをとるなんてらしく無いぞ」

 

飛鳥の質問にレティシアは普通の口調で答える。

 

「・・・。こんなに凄かったのね」

 

小首をかしげてるレティシア。多分飛鳥は褒めているのだろう。レティシアもそれを理解すると

 

「あ、あのな主殿。褒められるのは嬉しいがその反応は流石に失礼だぞ。私はこれでも元・魔王で純血の吸血鬼!誇り高き"箱庭の騎士"だ!神格を失ってるとはいえたかだか、ネズミごときに遅れをとるはずがない」

 

拗ねたように言うレティシアはまるで子供のようだ。

 

「それより、飛鳥怪我が大丈夫?」

 

「ええ、服についている、防御の恩恵があるから大きな怪我はないわ、服のないところは噛まれちゃったけど」

 

「あすかっ!」

 

キュポンッ!とさっきのとんがり帽子の黄色い精霊が出て来て飛鳥に抱きつ

「あすか!あすかぁ!」

 

「ちょ、ちょっと」

 

精霊は今にも泣き出しそうな、だけど嬉しそうな声を上げて飛鳥に抱き付いている。よく分からないけど懐かれている

 

「やれやれ。日も暮れて危ないし、今日の所はその精霊も連れて帰ろう」

 

「そ、そうね」

 

「そうだね」

 

レティシアの提案に反論もなく、そのまま、精霊を連れて店に戻ることにした。飛鳥がネズミ対して手こずっていた・・・飛鳥のギフトなら操れるはず・・・しないわけがない、自身の危機にギフトを使わないなんて、ネズミが飛鳥より格上とは考えられないなら考えられるのは、術者が、飛鳥より格上だという事・・・そんな事考えながら、歩いた

 

 




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第6話:竜輝危機一髪だそうですよ?

タイトルはほとんど適当です、分からないよぉ


「お風呂へ駆け足ッ!今すぐです!は、なんです?生傷?そんなものはお風呂に入れば治ります!」

 

"サウザンドアイズ"の店に着くなり女性店員は飛鳥の姿を見るや否や、形相を変えて大一喝。半ば無理やりな形で飛鳥を風呂場まで連行されていった。その後、耀、黒ウサギ、レティシア、白夜叉達が風呂場に向かった。俺はそれを見届けて、十六夜達と合流するために客間に向かう最中、スパァーン!!と快音が響いた。誰かが何かを投げたのだろう。合流した、十六夜達はお風呂に行くそうだから、それについて行きお風呂に入った。その後、俺、十六夜、リーダー事ジンが、来賓室で女性店員(店長)と話していた、海苔せんべいを食べながら

 

「そういえば、この店は、どうやって北側に来たの?」

 

「ああ、この店ですか?別に移動した訳じゃないです。"境界門"と似ているシステムと言ってわかりますか?」

 

「「いや全然」」

 

十六夜と共に即答した。ため息をして、女性店員が説明してくれる

 

「要約すると、数多の入口が全ての一つの内装に繋がっているのです。蜂の巣、ハニカム型を思い浮かべたらわかりやすいと思います。あと付け加えると、出入口は各層に一つずつあるのです。それが境界門と違うところです」

 

「要するに"七桁のハニカム型支店""六桁のハニカム型支店"って感じだな?」

 

「そうですね。無論、本店の入口は一つしかありません」

 

「なるほど」

 

「ふーん」

 

俺と十六夜は納得した。因みに俺の手にはイチゴ牛乳、十六夜はコーヒー牛乳、ジンはフルーツ牛乳を飲んでいる

 

「あら、そんなところで歓談中?」

 

話が一段落つくと耀たちが風呂場から出てきた。

 

「・・・おお?コレはなかなかいい眺めだ。そう思わないか、竜輝、御チビ様?」

 

「「はい?」」

 

「黒ウサギやお嬢様の薄い布の上からでもわかる二の腕から乳房にかけての豊かな発育は扇情的だが相対的にスレンダーながらも健康的な素肌の春日部やレティシアの髪から滴る水が鎖骨のラインをスゥッと流れ落ちるさまは自然に慎ましい誘導するのは確定的にあ」

 

 

スパァーン!!

本日2度目の快音・・・耳まで紅くした飛鳥と、うさ耳まで紅くした黒ウサギがお風呂桶を十六夜の顔面めがけ投げつけた、速いつっこみだった

 

「変態しかいないのこのコミュニティは!?」

 

「白夜叉様も十六夜さんもみんなお馬鹿です!!」

 

「ま、まあ、二人とも落ち着いて」

 

飛鳥と黒ウサギは怒っている。レティシアはそれを宥めてる・・・そんな光景を見ていると耀が近づいてきた

 

「ねぇ、竜輝」

 

「どうしたの?耀」

 

「私のってそんなに小さい?」

 

「・・・え?」

 

「だから、私のって小さいかなぁって」

 

どどどどどうしよう!?、どう返せばいいんだ!?バカ正直に返せば、周りから批難と、耀が傷つく・・・かと言って気を使って言っても、駄目だ・・・耀を傷つけず、この場を乗り切らないと・・・!!!でも改めて見ると・・・変に意識してしまう。こうなったら胸の話題から、少しずらすことしか

 

「竜輝?」

 

「ええと、可愛いと思うよ?」

 

「か、可愛い?」

 

「うん、浴衣がよく似合あってるし、あと髪をちゃんと乾かした方がいいよ!風邪ひくし」

 

「うん、分かった。ありがとう」

 

なんとか切り抜けたのかな…ああ顔が熱いよ・・・全く・・・

 

そして部屋を移動して皆が神妙な顔になり、白夜叉が言う

 

「それでは皆の者よ、今から第一回、黒ウサギの審判衣装をエロ可愛くする会議を」

 

「始めません」

 

「始めます」

 

「始めません!」

 

当然のごとく白夜叉の提案は却下され、さらに悪乗りをする十六夜に速攻で断る黒ウサギ、やりとりに呆れながら聞いている

 

「ま、衣装は横に置いておいてだな。実は明日から始まる決勝戦の審判を黒ウサギに依頼したい。訳はおんしらが起こした騒ぎで"月の兎"が来ていると公になってしまっての。明日のギフトゲームで見られるのではないかと期待が高まっているのじゃ。噂が広まれば隠すわけにも行くまい。黒ウサギには審判・進行役を依頼したい」

 

「分かりました。明日のゲームの進行と審判黒ウサギが承ります」

 

白夜叉はうむうむと頷き

 

「感謝するぞ。それでは審判衣装じゃがシースルーの黒いビスチェスカートを」

 

「着ません」

 

「着ます」

 

「断固着ません!いい加減にしてください!!」

 

定番のようなやり取りをまた見ていた

 

 




UAが1万超えました!皆様のおかげです!ありがとうございます!これからも頑張ります!

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第7話:魔王の襲来だそうですよ?

20話目到達!


日が昇りきり、決勝戦の開幕を心待ちにする人々が今か今かとそわそわしている。

 

「すごい賑わいだね」

 

現在耀を除く俺達はバルコニーの特等席で見ている、隣の飛鳥は落ち着きがない

 

「どうした、お嬢さま。落ち着きないぞ」

 

「昨日の話を聞いて心配しない方がおかしいわ。相手は格上なんでしょ?」

 

昨日の話、耀が白夜叉に自分の対戦相手を聞いた話だ、コミュニティの名前は、"ウィル・オ・ウィスプ"と"ラッテンフェンガー"・・・六桁の外門、一つ上に本拠を置くコミュニティのようだ。さらにラッテンフェンガーはドイツ語で"ネズミ捕りの男"つまりネズミ捕りの笛吹き道化・・・ハーメルンの笛吹き道化が相手かもしれないと、十六夜と俺が反応した、俺は単純に童話のハーメルンの笛吹きが好きで調べていただけだが、そして、ハーメルンの笛吹きは俺達が召喚される前に負けた魔王の下部コミュニティだったものの名前らしい、そしてネズミ撮りの男、グリム童話の魔書にあるハーメルンの笛吹きをさす隠語である、隠語の理由はグリム童話の道化師がネズミを操る道化師とされていたから・・・そしてそこから推測するのに火竜生誕祭に魔王の残党のコミュニティが忍び込んでいる可能性が高いという事だ。ただルールで主催者権限を持ち込めないようにしているらしいので、ある程度安心ということだ。魔王のこともあり、さらに相手が格上、心配なのは分かる、仮に魔王関係なくとも相手は格上一筋縄では行かないだろう

 

「白夜叉から見て、春日部さんの優勝は?」

 

「ない」

 

即答する白夜叉、苦虫を潰した顔をする飛鳥・・・

 

「大丈夫だよ、ジャッジマスターが取り仕切っているゲームでは殺しは御法度だから、耀にも無理しないように言ってあるし。大事には至らないはずだよ」

 

と言ってみるが、不安は拭いきれない・・・

 

『長らくお待たせいたしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・"造物主達の決闘"の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は"サウザンドアイズ"の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお勤めさせていただきます♪』

 

「うおおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああああ!!」

 

「黒ウサギいいいいいいいい!お前に会うために此処まで来たぞおおおおおお!!」

 

「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

うおぉ・・・凄まじい情熱を迸らせる観客がすごい・・・あとはカオスだ・・・黒ウサギも笑顔だがへにょりとうさ耳を垂れさせている

 

「・・・・・・・・・・・・・・随分人気者なのね」

 

「そういえば白夜叉、黒ウサギのミニスカートを見えそうで見えないスカートにしたのはどういう了見だオイ。チラリズムなんて古すぎるだろ。昨夜語り合ったお前の芸術に対する探究心はその程度のものなのか?」

 

「そんな事を語っていたの?」

 

何を語っていたんだよ・・・飛鳥も馬鹿じゃないの?といった感じで十六夜と白夜叉を見ている。

 

「フン。おんしも所詮その程度か。それではあそこの有象無象と変わらん。おんしは真意芸術を理解する漢だと思っていたのだがの」

 

「へぇ、言ってくれるじゃねえか。つまりお前には、スカートの中を見えなくすることに芸術的理由があるというのか?」

 

「考えてみよ。おんしら人類の最も大きな動力源はなんだ? エロか? なるほど、それもある。だがときにそれを上回るのが想像力! 未知への期待! 知らぬことから知る渇望!! 小僧よ、貴様ほどの漢ならばさぞかし数々の芸術品を見てきたことだろう! その中にも未知という名の神秘があったはず! 例えばそう! モナリザの美女の謎に宿る神秘性! ミロのヴィーナスに宿る神秘性! 星々の海の果てに垣間見えるその神秘性! 」

 

もう聞くのは辞めておこう・・・いい事は決してない・・・話についていけない

 

「旧友の辰希とは三日三晩語り明かしたものじゃ! そして、私たちは気づいた!何者にも勝る芸術とは即ち――――己が宇宙の中にあるッ!!」

 

「ぶっ!?」

 

なんでそこで父さんの名前が出てくんの!?そして父さんと何を語り明かしたんだ!?駄目だ想像したくない・・・

 

「辰希の押すニーソックスから見える地肌でも無く!私が押すブルマから見える下着でも無い!真の芸術とは内的宇宙に存在する!乙女のスカートの中身も同じなのだ!見えてしまえば下品な下着もーーーーー見えなければ芸術だ!」

 

本当に何語っているんだよ・・・あの父さん・・・もうやめてぇ・・・俺の中の父さんがおかしくなっていく・・・

 

「この双眼鏡で、今こそ世界の真実を確かめるがいい。若き勇者よ。私はお前がロマンに到達できる者だと信じておる。そして、ともに信じよう。奇跡が起きる瞬間を」

 

「白夜叉…」

 

もう勝手にやっててください・・・しばらく放っておいてほしい

 

「大丈夫?竜輝君?」

 

「ごめん・・・放っておいて」

 

「白夜叉様……?何か悪い物でも食べたのですか……?」

 

「見るな、サンドラ。馬鹿がうつる」

 

その判断は正しいよ・・・絶対に

 

そして決勝戦が始まった

ギフトゲーム名は"アンダーウッドの迷路"というもので、大樹の根の迷路より野外に出る。最初は耀が風の流れを読み、相手の炎を最低限の風でそれを誘導し避けていた、次に三つ放つが鷲獅子のギフトを使わずに回避した、出口目指して優位にゲームを進めていたが、ウィル・オ・ウィスプ所属のアーシャという娘の補佐についていたジャックが不死のギフトを持っており、そのジャックが轟々と燃え盛る炎の壁を作り出し耀の足止めとなった。アーシャが先行した、耀に残された道はジャックの破壊・・・だがジャックは不死、耀は勝てないと判断し、ゲームを降参した。

 

竜輝 side end

 

耀side

 

『勝者、アーシャ=イグニファトゥス!』

 

負けちゃった、大丈夫ってジンやレティシアに大丈夫って言ったのに、情けないなぁ

 

「一つお聞きしても?」

 

先程戦っていたジャックがやって来て私に声を掛けてきた。

 

「………何?」

 

「今回のゲームは一人まで補佐が許されています。同士に手を借りようと思わなかったのですか?」

 

「……………………」

 

「余計な御節介かもしれませんが貴方の瞳は少々者寂しい。コミュニティで生活していくうえで誰かを頼るシチュエーションというものは多く発生するものです」

 

それはわかっている。

動物しか友達はいなかったけどそれでも集団で生活していく上で必要なものだとは理解している

 

「でも、私にはどうやって頼ればいいのか・・・・・」

 

「簡単なことですよ。貴方が信頼できる人に一言言うのです、心から。『手伝って下さ』いと言うだけです」

 

「信頼できる人・・・」

 

 

飛鳥や十六夜に黒ウサギやレティシア、ジン君と白夜叉・・・私にとって信頼のできる人達だ・・・でも、1番最初に思い浮べたのは竜輝だった。

 

「どうやら、信頼出来る人が居るようですね」

 

「え?」

 

「そういうふうな顔をされてましたよ」

 

そうなんだ・・・自分じゃわからない

 

「おい!オマエ!名前はなんて言うの?出身外門は?」

 

声に振り向くとさっき戦ったアーシャが話しかけてきた。

 

「・・・最初の紹介にあった通りだけど」

 

「そうかい。なら、私の名前だけでも覚えとけ!六七八九〇〇外門出身アーシャ・イグニファトゥス!次はこそは私が勝つからな!」

 

そう言ってアーシャは去っていった。

あれ?負けたのは私なのに………

 

「あの子は同世代の子に負けたことが無い子でしたから。勝っても自分の力で勝ったとは思ってないのでしょう」

 

「それこそ強調の勝利がうんたからだと思うけど」

 

「ヤホホ!いや全くその通り」

 

耀side end

 

「負けてしまったわね、春日部さん」

 

「ま、そういうこともあるさ。気になるなら後で励ましてやれよ」

 

飛鳥は気落ちして、十六夜は軽快に笑っている。

 

「シンプルなゲーム盤なのにとても見応えのあるゲームでした。貴方達が恥じることは何も無いです」

 

「うむ。シンプルなゲームはパワーゲームになりがちだが、中々堂に入ったゲームメイクだったぞ。あの娘は単独の戦いより、そちらの才能があるかもしれん」

 

サンドラと白夜叉は耀の戦い方を称賛している。確かに、敵の挑発を受け流し、逆に相手の冷静さを奪い、最低限のやり取りでもっと効果的な情報を獲得していた。そう思い空を仰ぐと何かが降って来た。不審に思い空へと飛びあがり一枚回収し、その場で読む。

 

『ギフトゲーム名:"The PIED PIPER of HAMELIN"

 

・プレイヤー一覧:現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台画

         区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。

・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター:太陽の運行者・星霊 白夜叉。

・ホストマスター側勝利条件:全プレイヤーの服従・及び殺害。

・プレイヤー側勝利条件:一、ゲームマスターを打倒。

            二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

 宣誓、上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                       

                        《グリムグリモワール・ハーメルン》印』

 

グリムグリモアール!?これはもしかして!その時観客席から叫び声が上がった。

「魔王が・・・・・・魔王が現れたぞオオオォォォォ―――――!」

 

 




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ps. インド神話が難しい!


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第8話:竜輝と飛鳥が誘拐されたそうですよ

「魔王が現れたぞ!」

 

俺は急いで白夜叉達の近くに行くと、十六夜は既にいなかった。おそらく魔王に向かったのだろう、白夜叉の近くには耀とジンと飛鳥がいた

 

「なんだこれ、黒い風?」

 

黒い風のようなもので覆われていた。

 

「竜輝君!大変よ!どうやら白夜叉の参戦条件がクリアされてないらしいの!」

 

急いでもう一度黒い契約書類を見直す・・・だがそれらしいことは書かれてない・・・まさかわざと参戦条件を書かなかった?いや、箱庭の貴族の黒ウサギがいるのにそんな真似はしないはず・・・何かあるはず・・・だが情報が少ない

 

「よいかおんしら!今から言うことを一字一句そのまま黒ウサギへと伝えるのだ!間違えは許さん!おんしらの不手際は、そのまま参加者の死につながると思え!」

 

緊迫した声、いつもの白夜叉からは、想像もつかない、今がそれほどの事態ということだ

 

「第一にこのゲームはルール作成段階で"故意に説明不備を行っている可能性がある!"これは一部の魔王が使う一手だ!最悪の場合、このゲームにはクリア方法がない!第二に、この魔王のコミュニティは新興のコミュニティの可能性が高いことを伝えるのだ!第三に、私を封印した方法は恐らく――――」

 

「はぁい、そこまでよ♪」

 

声に反応して後ろを振り向くと露出度が高い白装束の服にサラマンドラの火蜥蜴がいた。

 

「あら本当に封じられてるじゃない♪最強のフロアマスターもそうなっちゃ形無しね」

 

火蜥蜴たちの様子がおかしい。

まるで、操られてるかのように行動がおかしい。

 

「おのれ・・・・!サラマンドラの連中に何をした!」

 

「そんなの秘密に決まってるじゃない。如何に封印が成功したとしても貴女に情報を与える程驕っちゃいないわ。それより、邪魔ね貴方達は」

 

火蜥蜴たちが一斉に俺達に向かい剣を振り下ろしてくる。耀がグリフォンのギフトで火蜥蜴を吹き飛ばす。俺は、首筋に当身をして気絶させる、殺さないようにするには少し難しい

 

「あら、今のグリフォンの力かしら?それに、そちらの男の子は何者かしら?女の子の方は顔が端正で中々可愛いし、男の子の白髪と灰色の瞳もいいわね。よし、気に入った!貴方たちは私の駒にしましょう!」

 

「させるか!耀は飛鳥とリーダーをお願い!」

 

「任せて」

 

俺はギフトカードから戦極の剣を出し2本に増やし切りかかるが

 

「その剣!まさか!なら」

 

直後白装束が笛を吹く。その瞬間俺は失速し、ラッテンに地面に叩きつけられた

 

「あっ・・・くう・・・なんだ・・これ」

 

甘く誘うような音色なのに頭の中を掻き混ぜられてるようなこの感覚は・・・ダメだ、力が入らない

見ると、耀と飛鳥、ジンも同じらしいが飛鳥とジンは俺と耀ほどひどくなさそうだが・・・状況は良くない

 

「アイツが来る・・・竜輝。飛鳥とジンを連れて逃げて……」

 

「ごめん・・・俺も無理・・・飛鳥、ジンと一緒に逃げろ・・・」

 

「バカ言わないで!ジン君!」

 

「は、はい!」

 

「先に謝っておくわ。・・・ごめんなさいね

 

「一体何を?」

 

「コミュニティのリーダーとして『春日部さんたちを連れて黒ウサギの元へ行きなさい』」

 

「………分かりました

 

ジンは耀を抱えたそれを見て自分の力を振り絞り闇で姿を隠した対象を見失ったのでジンはそのまま耀だけを連れて消えた。ジンがいなくなったのを見て、再び姿を現す

 

「竜輝君、どうして……」

 

「仲間を一人を置いていけないさ」

 

ふらつきながらも二刀を構える、叩きつけられたダメージも浅くない

 

「飛鳥、俺がアイツを足止めするから、その隙に」

 

「何言ってるのよ!それこそできないわ!」

 

「あらあら、予想以上に根性があるわね。さっきの子もいいけど貴女もいいわね。予想外に良い人材が居るじゃない!目移りしちゃう、貴女も私の物にするわ」

 

白装束の潮路で火蜥蜴たちが動き出す。

 

「全員『そこを動くな!』」

 

飛鳥のギフトにより白装束と火蜥蜴たちは動きを止めた

 

「今だ!」

 

その隙を見逃さずに剣でで白装束に切りつける

 

「――――ッ!甘いわ小娘共!」

 

しかし、すぐに白装束は動き出しそのまま、鳩尾を殴る

 

「ぐっあ!」

 

戦極の剣が右手から零れ落ちその場に倒れる。

 

「竜輝君!」

 

「余所見してていいのかしら?」

 

「!?」

 

白装束は笛を吹き飛鳥の動きを封じ、腹部に蹴りを入れる。

そして、飛鳥もその場に倒れる。

 

「く・・・そ・・・」

 

薄れゆく意識の中最後に聞いたのは雷鳴と黒ウサギの声だった。

 

「“審判権限”の発動が受理されました!これよりギフトゲーム"The PIED PIPER of HAMELIN"は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します――――――」

 

どうやら、リーダーは辿りついたみたいだ、良かった・・・そこで意識が途切れた

 

 

 

 

 

 




竜輝がラッテンに倒された理由は笛の音色で五感が狂い普段通りに動けなかったのと、現状の状態は打たれ強くないからです


告知(笑)問題児作品もう一作品書くか検討中


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