とあるグラップラーの肉体言語 (自然薯)
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1話

処女作です。
今回はうp主の拙い言語能力を鍛えるため小説執筆をはじめてみました。
毎回、誤字、脱字、文法的なミスなどあるかも知れないですが、その時は遠慮なく指摘して頂けると嬉しいです。
アンチはしないつもりですが、そう聞こえてしまう表現があったら、それは主の文章能力が低いということで、察して頂けると幸いです。


「はい、というわけで、これから君には転生して貰うよっ」

白衣で羽のはえたお姉さんが唐突にそういった

「あぁまたテンプレな…まぁ別に文句はないですけど」

というのも、ここはいつもの四方八方真っ白な空間、この人が天使だっていうのも大体察しはつく。

大方、僕はトラックかなんかに引かれそうな幼女やら動物やらを助けようとして死んだのだろう。

「いいねぇ〜最近は物分りが良い子が多くて助かるね」

腕を組んで神妙な顔をしながらウンウン頷く天使様。

またテンプレな威厳のない天使様である。

「もう事前に行く世界と能力は決めてあるから、後は送り出すばっかりなんだけど、君の能力上最後にやっとかなきゃならんことがあるもんでね」

そういうと天使様は懐から轟々と燃える異常に赤い火の玉を取り出した。

それは前に絵でみた人魂そのものであった。

「まっまさか、その熱そうなのを僕にくらわせようとかそんなんじゃないっすよね?」

天使様は無言で指をパチンと鳴らした。

刹那!ぼんやりプカプカ謎空間に浮いていた僕の身体が微動だにしなくなる。

「ちよっと内臓焼けそうになるけど、痛かったら手をあげてくださいねー」

口の中に強引に捻じ込まれる人魂

生きたまま内臓を焼かれたのは始めてだが、成る程昔の人が、熱した青銅を口から流し込まれる地獄を作るわけだ。

即座に手をあげようとしたが、さっきの指パッチンの影響でか身体がガッチガチに硬直して動けない。

どういうわけか声も出ない。

この女のことを最初に天使といったが、違ったこの女は鬼とか畜生とかの類だ。

その思考を最後に俺の意識は暗くなっていく。

転生するのも楽じゃないね。

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真っ暗な空間だった。

だが不思議と嫌じゃない、奥行のある暖かい暗闇。

その中で俺と、俺がさっき飲み込んだ人魂らしき物体が浮いていた。

さっきは余裕がなかったので深く観察することはできなかったが、改めてみるに轟々と燃える炎の毛先がまるでライオンのたてがみのようで、大きさはそれほどないのに、まるで肉食獣のような威圧感、なにか鬼気迫るものを感じざるおえなかった。

それにしても、この人魂さっきから微動だにしない。

仮にコイツが本当に人魂だったとして、俺がコイツの立場だったら、急に現れた有象無象に自分の全てを託そうなんて思わない。

この人魂はきっと見定めてるのだ、俺を。

自分自身を託すのに相応しいか、それに値するのかどうか。

それには納得いくし、異論もない、タダ問題があるとすればひとつ、さっき天使様もとい悪魔がいってた、<君の能力上>という言葉だ。

これから察するに、この魂こそ俺の能力なのだろう。

そう考えると、この状況は非常に不味い、能力はそのままその後の人生に影響する、特に転生なんかだと安全な世界である筈がない。

この人魂の選択次第で俺が楽できるか楽できないかが決まってしまうのだ。

ならば、ここで選ぶ選択肢はひとつだ。

「ずっと見つめあってるのもなんですから、僕の身の上話しでも聞きませんか?」

人魂は相変わらず無表情であった。

 




余分が多い気がする。
1伝えるのに10書いてしまう癖はどうにかしたいね。


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2話

……温い……。 液体………?

…なんか 押されてね?……

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<<いってぇええええええ!!!

優しくッ!!もっと優しくッ!!!>>

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その時の助産師であった遠藤マチ子(78)はこう語る。

「彼は、それはもう雄弁に私に語りかけてきました…。私自身50年近く助産師やってましたが、あんなことはあの時の一度きりです」

そう言うと彼女は思わず、尻餅ついちゃったんですよと微笑み混じりでおちゃらけた。

「しかも身体の硬いこと、硬いことまるで鉄でも触ってるような錯覚すらありました」

「でも……」

先程までの和やかな表情が嘘の様に険しくなる。

「その子、なにかチグハグだったんですよね…」

「中身と外身があってないような、上手く説明できませんが、なにかおかしな違和感があったんですよ…。それがいい方向の予感だといいんですけどね」

助産師は無理に笑顔を作る。

「でもあんな違和感の塊みたいな子はあの子が最初で最後ですよ」

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転生と大層なことをいっても終わってしまえば、そう大したことじゃない。

喉元過ぎればなんとやらというやつだ。

「あっ今瞬きしたよ!!凄い!!か〜〜わ〜〜い〜〜い〜!!」

無論まだ喉元を通り過ぎる前、むしろ喉元ごと俺の胃を溶かされてる際中だが…。

死んで神様に会って、妙な火の玉とお話ししてると思ったら急に暗転して気付いたら赤ん坊になってて、やたらベタベタしてくる母親がさっきから激しいスキンシップを交わそうとしてくる。

な・・・なにを言ってるのかわからねーと思うが、

おれも何が起きたのか分からないぜ。

「おいおい江珠落ち着きなさい」

「あっあなた!」

声からして父親だろうか。

良かった、父親はマトモそうだ。

「遅かったわね、なにかあったの?」

「いやいや、へその緒をペロペロしてたら夢中になってしまってね」

前言撤回。

やっぱり変態だった、しかも母親よりレベルが高い。

「あなたズルいわよ!私もへその緒ペロペロしたい!!」

「じゃあ一緒にペロペロしよう。ほら朱美はこっち側で、僕がこっちだ」

「あっあなた/////」

そういって俺のへその緒でポッキーゲームを始める両親。

喉元を過ぎるのはまだ当分先になりそうである。

……転生ってリセットマラソン機能はついてないのかな…。

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どうやら俺の名前は範馬刃鬼というらしい。

そして驚いたことに前世の記憶とは別に武術やマナー、育児などその他諸々が知識として、記憶に残っていた。

それも筆舌にしくし難い内容と量である。

無論、俺は前世で一般人をやっていたので武術なんか小学生の頃にスポーツとして伝統派空手を多少かじってた程度である。

この知識もとい記憶は、多分転生する前、妙ちくりんな悪魔に飲まされた魂のものだろう。

魂は誰のものか察しがつかないが、この知識を棒に振るつもりはない。

まずはここが、どんな世界で自分がどんな境遇なのか調べようと思う。

 

 

 




短いのはみんなが読みやすいように試行錯誤した
結果だから(震え声)


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3話

主人公にはやく上条さんをぶん殴って貰いたいんだけど話書くのって難しいね


みんな俺です。

「刃鬼ちゅうぁ〜ん、ママ久しぶりにお休み貰えたから一緒に遊ぼぉ〜」

この鬱陶しいのが母です、今日は俺が個人的に決めた人格矯正の日だからシカトを決め込む。

産まれてからすぐに情報収集を開始して分かったことが二つ。

ここはとあるの世界だったということ。

「刃鬼ちゃん、おいでギューしてあげる」

俺の家がメイドやら豪華な裏庭やらを普通に所持してる程度の世界的な富豪だったということ。

このメイドさんの存在は非常に役に立った、メイドさん同士の世間話はイイ情報源になったし、なにより目の保養になる。

うん、ナイスおっぱい。

こんな死亡フラグ満載の世界に転生させるとは、神様もといファッキン悪魔野郎は、よっぽど俺を苦痛のどん底に叩き込みたいらしい。

「なんだぁ〜照れてるのか〜コノコノ〜」

ひとまず両足で立てるようになった生後6ヶ月頃から魂さんの記憶を元に修行を開始した。

前にも述べた通り物凄い量と質だった。

近代格闘技の粋から果てには琉球王国の秘伝まで、おそらくこの世の全ての格闘技術がそこにあった。

「あれ?いつもの冷めた目は?」

そしてなにより驚いたのは、その技術体系を6ヶ月でマスターしてしまった自分だ、しかしマスターと言っても対人経験なしでひたすらシャドーを繰り返していただけなので、そこは心配だが、それでもお釣りがくるほどの技術量だ。

いくらとある世界でも余程強いやつが来ない限り大丈夫だろう。

「お〜いなんの反応もないと寂しいゾ〜☆」

そしてそれに準じて身体も恐ろしいまでの発展を遂げている。

身長100cm

体重40キロ

ベンチプレス最大270キロ

100mを裸足で11秒フラット

チンパンジー並みの能力である。

念のために言っておくが、この記録は一歳児のものである。

な、何を言ってるか分からねーとおもうが俺も分からねー。

勿論あの変態共(両親)には内緒にしている…ってかこんなこと言っても誰も信じちゃくれねェッて。

「ノォックしてもォしもォ〜し」

さて俺が高校生になるまで後14年も残ってるわけだが正直暇すぎる。

後俺に足りないのは実戦経験とコネクション位だろうか、純粋な身体能力に関しても確かに一歳児にしては化け物クラスだがまだ心許ない、とは言ってもこればかりは時間をかけて変えていかなければ仕方がないだろう。

実戦経験とコネクションはどうしようか…うーん、いや案はあるんだが……まぁ物は試しだ聞いてみるだけ聞いてみよう。

「お母さん寂s「母さん俺傭兵になりたい」やっと反応してくrファ!?」

「で、でも傭兵って大変なお仕事だよ〜…危ないしぃ〜…」

さっきまでの表情から一転その端正な顔を焦りに染めた母さん。

こういう時は大体認めてくれないんだが

「ダメぇ……?」

世の中にはなににも抜け道というものが存在する。

必殺の涙目上目遣いである。

「うっ……」

一瞬たじろぐ母さん。

ここで畳み掛けるが吉!!

「ダメっていったら母さんのこと嫌いになるからっ!」

プイッと可愛らしく顔を背けることも忘れない。

「あばばばばば!!くぁwせdrftgyふじこlp」

白目をむいてガタガタ震えだす母親、こう改めて見てみるとくっそ気持ち悪いな。

早く折れろ、こんなこと自分でやってても気持ち悪い。

「わわわ分かったは、ひひひとまずパパと話し合いましょう、ね?ね?」

流し目でチラリと母さんの顔を見る。

一瞬母さんの表情がパァッと明るくなる。

それを確認してすぐにパッと顔を逸らす。

「!?分かったわ!!母さん刃鬼の味方をしてあげるわ!!」

落とし所としては十分だろうか。

「母さんだいすきー(棒)」

「ふへへへ母さんも刃鬼のこと好きー」

ちょろい(確信)

後はこの要領で父さんをおとすだけだ。

我が野望の実現も近い!

「話は聞かせてもらったぞッッ!」

そういって傍らに設置してあったさプラスチック製の馬が弾け、中から

父親が四つん這いで飛び出す。

これじゃあまるで夜這いだッ!

「オォン!息子の冷たい目が最ッ!高ォ!に気持ちいいッ!!」

最高に気持ち悪いです、父さん。

母さんもお願いだからその手があったかってメモし出すのやめて下さい。

「そうと決まれば家族会議開始だッッ!!」

長い戦いが幕を開けた。

〜〜〜〜〜〜〜

「まぁ座れ」

父さんはポンポンと自分の膝を叩くが、勿論無視して向かいの席に腰下ろす。

「息子よ、何故傭兵になりたい?」

「…強くなりたい」

「なぜ強くなりたい?」

勿論自衛のためですよ。

「そんなの当たり前じゃん、……世界最強の雄になるためだッ!」

あれ?口が勝手に?

「この世に漢として生を受けたからにはッ!譲れぬものがあるッ!!」

身体が燃えるように熱い。

まるで、あの悪魔に魂を無理やり飲み込まされた時みたいだ。

てか十中八九あの魂が原因だろ、これ?

きっとオーバーソウル的なサムシングに違いない。

「うぬ、それが世界最強ってわけか…」

父さんは腕を組み、静かに目を閉じる。

「よし認めよう。だがこちらからも条件だ、傭兵になるのは小学校卒業からそれと毎日パパにおはようのチューだ」

ガタッ!?

母さん落ち着いて。

てかしれっと気持ち悪い条件追加すんなや糞親父、絶対嫌だからな。

「刃鬼ちゃんがチューを許してくれるわけないzy「小学校入学からにするならば、おやすみのチューも追加だ」ファッ!?」

おいコラ

これは俺の本意じゃない!!魂が!!勝手に!!

「うぬぬ、ではチューは3回ずつだ」

「よかろう交渉成立だな」

「あばばばばば」

こ れ は ひ ど い

「異議あり!!異議ありなんだよ!!」

手をブンブン振り回して母さんが叫んだ。

まさか母さん俺を助けてくれるのか?

これまで戯れに母さんを無視してみたり、メイド達に根も葉もないアホみたいな噂を流しまくったり散々酷い扱いをしてきたのに、それでもなお親子としての責務を果たそうとしてるのか!?

俺これからの母さんとの接し方を考え直そうと思う。

「私へのキスも追加で!!」

あの程度じゃ足りなかったのだ、これからはもっと本気で迫害しにいこう。

「まぁ良かろう、減るものではないしな」

減る減らないじゃねぇんだよアホか!!

もうどうにでもなーれ。

「……フッフッフッ…パパ?確かパパはチューでいいんだよね?」

「えっお前なにいってるんだ、それ以外ないだろ……ッッ!?お前まさかッ!!」

「そう私はしっかりキスといったわ」

「き、貴様ァ!!」

「フッフッフッ…恨むなら自分の浅はかさを恨むことね」

もういいや、いつのまにか身体の熱さを引いてオーバーソウルま終わったから、俺もう今日は休む、うん、そうしよう。

「じゃあ、おやすみなさい」

ドアに手をかけた、その時。

「待つんだ刃鬼」

「んん、ん?」

「なにか忘れてないか?」

くっそ後少しでバックれられたのにッ!!

「ほらおいで、パパとチューをしよう」

ヴォエ‼︎(嘔吐)

言いたいことは色々あるが、ひとつだけ、柔らかかったとだけいっておく。

〜〜〜〜〜〜〜

さきほどまで家族会議が行われていた部屋。

あの喧騒が嘘のように、我が物顔の静けさの中に浮かぶ、寄り添いあった二人の男女。

「あの子はこれからもっと大きくなる」

「ひょうね(そうね)」

「このシリアスな状況でふざけるのは、どうかと思うんだよ」

「ひや、ばきひゃんにひたかまれひやって(いや、刃鬼ちゃんに舌噛まれちゃって)」

決してふざけてるわけではない。

何を隠そう、この女さっきのキスの時、キスだけでは飽き足らず舌を入れようと試みたところ案の定刃鬼に舌を強めに噛まれたのであった。

「うぬ、なら仕方ないね」

さっきから冷静な顔をしてるが、唇をパンッパンッに腫らしている。

この男もこの男でキスの時腹いせとばかりに刃鬼に思いっきり吸われたのであった。

「まだ一歳の子が傭兵になりたいだなんていうか?普通」

半分面白がってるような優しい顔でそういった。

「まっ!約束しちゃったんだ、僕達は僕達にできることをしっかりやろう」

パンと手を叩く。

「お呼びでしょうか鋭一様」

最初からそこにいたような錯覚さえ覚える程の迅速な対応であった。

「栗谷川、来週の予定を空けといてくれイギリスの旧友に会いに行く」

「了解致しました」

そうとだけ言った後栗谷川と呼ばれた男性は軽く一礼をしその部屋を後にした。

「世話のかかる息子だよ、まったく」

「ばきひゃんはかくひてるつもひみたいひゃけひょ、みんなにないひょでとっくんひてるみたいひゃしね(刃鬼ちゃんは隠してるつもりだろうけど、みんなに内緒で特訓してるみたいだしね)」

「えっ!?マジ??」

「まひゃかひらないなんてことないとおもふけひょ(まさか知らないなんてことないと思うけど)」

「…あ、あ〜あれねあれね、ハイハイハイいや、でもあっちかな〜?どっちかな〜?ま、まぁ確認のために一応どんなことやってるか聞こうかなぁ〜…」

「ひや、ひゃっひゃりいまのはひかなかったひょとしにて(いや、やっぱり今のは聞かなかったことにして)」

そういって席を立つ江珠。

「まっ、待ってよ!」

それを追うように急いで席を立つ鋭一。

「ひや〜こんひゃはひゅっしゅりねむへほー(いや〜今夜はぐっすり眠れそうー)」

「僕はこのままじゃ寝れないよぉぉお!!」

夜の屋敷の中に彼の声が響いた。

 




文章力はパロディでカバーだぜ


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4話

メインヒロインは佐天さん。
異論は感想欄で聞こうか。


木々の合間から漏れる日光と、豊かな土壌からくる土の香り、そして若干のすえた落ち葉のニュアンス。

木々の隙間を吹き抜ける風が心地いい。

ここはうちが所有してるちょっとした山だ。

外部の人間はおろか、うちの人間ですら殆ど使わないので、修行をするのにもってこいだったのだが

 

「おにーちゃーん、みてみてー!」

 

青みがかったショートヘアをサラサラと揺らして、ゆらりゆらりと軟体動物のような動きをしてる幼女は、初春いじりで有名な佐天涙子ちゃんである。

 

「うんうん、いい感じ!いい感じ!」

 

管理は甘いが整備だけはしっかりされた、この山を佐天さんは日頃から遊び場として利用してたのだろう、ここで修行してるところを偶然目撃されてしまったのだ。

そうなると後は一直線。

ねぇねぇなにしてるの?ねぇ涙子もやっていい?ねぇ?ねぇ?こうなったらどうしようもない。

なし崩し的に佐天さんは俺の弟子第一号となったわけだ。

 

「うーん…こお?」

 

「そうそう、後はこうやって…腕全体が重い水だと信じて……振るッ」

 

振られた腕は音すら出ない一瞬の内に振り終えられた。

 

「ぉー」

 

佐天さんは小さく唸りながら、その小さな両手でパチパチと拍手を送ってくれた。可愛い。

 

察しのいい方はもう分かってると思うが、今佐天さんに教えてるのは日本武術の空道に伝わる秘伝鞭打だ。

なんか色々考えたら、この技が1番都合が良かったのだ。決してテレスティーナおばさんの顔芸を痛みに歪ませてやりたいとか、そんなことは考えていない。

ただこの技機械には滅法弱いが…まぁそこは連れのビリビリさんだとかお花畑の人がどうにかしてくれるだろう。

 

能力の才能こそ無かった彼女だが武術に関しては天才だった。佐天さんの練習は大体1年位前から始めたのだが今では半端な能力者相手ならば善戦できるレベルにまで到達しつつある。

 

 

「ふるっっ!!ふるっっ!!」

 

可愛らしい掛け声とは裏腹に鋭い鞭打。

この鞭打も惜しいところまで来てる、習得は時間の問題だろう。

 

「じゃあ俺もそろそろ始めるか」

 

フゥと息を強めに吐いて身体から力を抜き意識を集中させる。

 

今からやるのは俗に言うシャドーというものだ。

簡単に説明すると相手を仮想してやる模擬戦的なやつである。

 

今日はだれにしようか…

〜〜〜〜

気づけば夕暮れ。

いつのまにか練習に蹴りをつけていた佐天さんが手頃な切り株に座って此方を熱心に観察していた。

軽く腕を伸ばして筋肉をほぐしていく、この程度で疲労を感じてるようじゃまだまだだな、やっぱり今のままじゃ駄目だ。

もっと強くなりたい。

 

「おにーちゃん…」

 

いつになく真剣な目。

 

「るいこ、おにーちゃんみたいにつよくなる!みててね!おにーちゃん!!」

 

自然と頬が上がる、やっぱり佐天さんは可愛い。

 

「じゃあ、お兄ちゃんよりも強くなったら一つだけなんでも言うこと聞いてあげるよ」

 

「ほんとぉっ!!?」

 

やっぱり目標は必要である。

ご褒美があれば今よりもっと練習に身がはいるだろう。

とは言っても勝てるようになった頃には、この約束を忘れてるだろうしな。

 

「よしっ!!るいこ、いまよりもっとがんばる!!」

 

やっぱり子供は扱いやすい。

俺も追い付かれないように頑張らないとな。

 

「そろそろ暗くなるし帰ろうか佐天ちゃん?」

 

「うんっ!!」

 

こんな日常も、もうすぐ終わると思うと寂しいなぁ。

 



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