1人の男と武士娘の川神学園 (龍仁)
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少年期
プロローグ


初めて投稿です。
よろしければ読んでください。


『生きて……幸せになりなさい』

 

『嫌だ……母さん……嫌だ!!!』

 

 

 

『龍樹……お前が俺の息子で本当に良かったよ…… ありがとう………』

 

 

 

『父さん!!……嫌だ……離せ!離せーー!!!!』

 

 

 

1人の小さい男の子が椅子に縛れられた状態で 叫んでいた。

 

 

 

『龍樹…俺は幸せだったよ……お前のお兄ちゃんだったことが……もっと遊びたかったけど……ごめんな……』

 

 

 

 

『にいちゃん……嫌だ!嫌だ!嫌だーー!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして辺り一面に残ったのは赤い血の海だった。

 

 

ザァーザァーザァーと雨が降っている中1人の少年が立っていた。

 

 

『うぅう……アアアアアアアアーー!!!!!』

 

 

少年は後悔した、自分が弱いことを脆いことを、それを表すように少年は身体の水分がなくなるほど泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧……何を泣いている?どうした?」

 

 

そこには刀を持っている男が立っていた

 

「えぐ……グス……グス」

 

 

 

「泣いてたら相手に伝わらないぞ」

 

 

 

「……グス……1人になっちゃったの……グス」

 

 

「そうか……小僧お前の親はどうした?」

 

 

「みんな……グス………死んじゃったの……グス……ぼくを助けるために……お父さん、お母さん、お兄ちゃんが身代わりになって……えぐ……グス」

 

 

「そうか・・・辛かったな・・・」

 

 

 

ふと周りを見てみるとおかしなことに気づく

 

 

「小僧……これはお前がやったのか?」

 

 

周りにはおかしな光景が広がっていた、 辺りには数メートルのクレーターが出来、鉄骨や柱などは粉々になっていた。折れた鉄パイプには人が突き刺さり死体の山があった。

 

 

「……?……わからない……」

 

 

 

「(いやっ・・・おそらくこの小僧だ、小僧の姿をよく見てみると血が付いてる、それも小僧の血ではない、おそらく相手を殺した時に付いた返り血だろう)」

 

「小僧・・・お前の名前は?」

 

「……ぼくの名前は ???龍樹だよ」

 

 

「なに?!それは本当か!」

 

男は驚いたその名前に

 

 

「?……本当だよ」

 

 

少年は首を傾げながら答える

 

 

「(そうか……そうだったのか……このような出来事も納得できる)」

 

 

「小僧一つ提案なんだか……」

 

 

「なに?」

 

 

「俺の息子になる気はないか?」

 

「え?」

 

 

「(この子はまだ子供だ、こんな子供にもう辛い思いはさせてはいけない、それにこの子は狙われるかもしれない。その強靭な力故にきっと狙われる。 こんな罪もない子供にこれ以上辛い思いをしてはいけない!)」

 

 

 

予想外の提案にまだ驚いている少年は口を開けたまま固まっている。

 

男は驚いている少年を突然抱きしめた

 

「辛かったよな」

「え?」

 

「辛かったよな、泣きたいよな、 悔しいよな……でも大丈夫だからな。」

 

抱きしめられている少年はまた涙を流し始めた。

 

 

「大丈夫だからな・・・お前は1人じゃないからな、俺がいるからな?俺がお前を守ってやるからな、安心しな」

 

 

そんな優しい言葉に少年はまた大声で泣いた。そんな少年を男はより一層強く抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

 

「うん」

 

 

そう言って男は抱きしめていた手を離し立ち上がる。

 

 

「俺の名前は 神道 刃 (じんどう やいば) だ。そしてお前の名前は神道 龍樹だ。これからよろしくな」

 

 

「うん」

 

 

少年は元気よく答えた

 

 

「それと龍樹、お前に言っておくことがある。」

 

「なに?」

 

 

「お前の前の名字は軽々しく名乗ったらダメだぞ」

 

 

「えっ、なんで!?」

 

 

「そうしなければお前に危険及ぶからだ」

 

 

「わかったよ・・・」

 

 

「 よしっ、改めてこれからよろしくな龍樹」

 

 

「うん、お義父さん」

 

 

そして、ここから彼、神道 龍樹の物語が初まろうとしていた。

 

 

 




初めて投稿なので上手く出来ていないと思います。
こんな私の小説でよければ次回も読んでください。
アドバイスとかも是非お願いします。


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1話 修行と日常

お気に入りありがとうございます
これからも頑張っていきます


「せい! ハッ! でやーーー!」

 

森の奥の大きな道場から子供の声がする。

そこには少年が拳を振るい、剣を振っていた。

あの少年は 龍樹、彼は家族を失い刃の息子になってから3年がたった。

 

「踏み込みが甘えーぞ!龍樹!」

 

「うぉおおおおおおおー!」

 

ガキン!キン!ガキン!

 

二つの木刀がお互いの剣を弾き合っていた。

 

「オラァ!」

 

ガキン!、刃は龍樹の正面に入り込み龍樹の持っている木刀を弾き飛ばした。

 

「しまった!」

 

「そーら!」

 

ドゴッ!!!

 

刃はそのまま龍樹に回し蹴りを喰らわした。

 

「グハァ!!」

 

ズザザザザーーーー

 

そのまま地面に転がる

 

「うう.....クッソーーー!また負けたーー」

 

そんな悔しがってる龍樹に対し

 

「ハーハッハッハ、まだまだ俺には勝てんな」

 

そんな余裕ぶってる刃は内心こう思っていた.....

 

「(龍樹のヤツ、この短期間で驚くほどのスピードで成長してやがる。最初の頃は開始10秒で倒れてたのに最近の龍樹は数十分間俺の剣技と武術と渡り合出してきている....)」

 

「(下手するとあと二、三年で俺を超えてくるだろうな)」

 

 

そんな龍樹の成長に寂しさと同時に嬉しさも感じだ

 

 

 

 

 

 

「えっほ、えっほ、えっほ、えっほ、えっほ」

 

 

 

 

「せい!ハア! でやーー!」

 

 

刃との模擬戦が終わったあとは、龍樹はいつもトレーニングをするのが日課だ。ランニングをし、剣の稽古をし、拳を突き出していた。

 

だが、龍樹のトレーニング内容は異常だった....

 

ランニングのコースは川神市を3周往復し、剣の稽古は腕、足に70キロの重りをつけ剣を振っている、体術は全身に70キロの重りをつけ蹴りや突きを繰り返しそして70キロの重りをつけた状態で滝をよじ登るのが日課だ

 

 

トレーニングが終わると...

 

 

「龍樹〜飯だぞ〜」

 

 

夕食の時間なのだ。

 

 

「あっ、はーい」

 

 

刃と一緒に食事を食べる、龍樹はこれが大好きなのだ。

大切な人といる時間がもっとも長く感じられるからだ。

 

「「いただきます」」

 

「ふあー、トレーニングの後のご飯は美味いなぁ」

 

「そうだなぁ」

 

2人はそんな会話を交わしながら食事をしている。

その風景は本当の親子のような感じだった。

 

 

 

 

 

 

食事が終わり龍樹は森の中にいた。

そして手に持っているのは木刀ではなく真剣だ。

 

「ふぅーーーーー……」

 

龍樹は刀をゆっくりと引き抜きそして構える

 

「一刀流……三十六煩悩鳳!!!!」

 

そしてその言葉と同時に剣を振りかぶった。

 

すると剣から斬撃が飛び出し前方に飛んで行った。

 

 

ザク、ザク、ザク、バキバキバキバキ、ズドーンズドーンという音が辺りに響き渡った。斬撃の影響で近くの木が切られ、倒された。

 

「……よし、いい感じだ……」

 

龍樹はそう言いながら刀を鞘に戻した。

 

「よし....次はこれだな」

 

龍樹は刀を近くの木に立てかけた

 

そして、かめは◯波と同じような構えをとった。

 

「ふぅーーーーー……」

 

そして、両手を勢いよく突き出し

 

「波動拳!!!」

 

すると、手から青い玉が飛んで行き、木に当たった瞬間周りの木と一緒に吹き飛んだ。

 

「よし、いい感じだ」

 

そう言いながら龍樹は戻って行った。

 

 

 

 

 

 

翌日、朝から鍛錬をしていた龍樹に刃は声をかけた。

 

「おい、龍樹」

 

「なんだ?親父?」

 

「今日、俺の知り合い達が来るからな」

 

「知り合い?親父の?」

 

「ああ」

 

「へぇ〜、どんな人たちなの?」

 

「ああ、2人来るんだけどなその2人は俺のライバルなんだ」

 

「親父のライバル?っていうことはその人達って強いの?」

 

「ああ、強いぞ!ものすごくな!そんな俺たちは若い頃死闘を繰り広げ、決着をつけようとしたが勝負はつかなかったんだ」

 

「お、親父みたいな強いひとがまだいるんだね」

 

「そうだ、おっ……もうそろそろくる時間だな……おっ……来たぞ!」

 

2人の男がこちらに向かって歩いてきていた。

 

1人は白い着物のような服を着た白くて長い髭をもったお爺ちゃんともう1人は、精悍な顔付きと肉体を持ち、常に威圧感があるような存在をした執事服を着た金髪の老人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「一刀流・・・・三十六煩悩鳳」
ONE PEACE(ゾロの技)

「波動拳」
ストリートファイター、リュウなどが使う技

初めて技を出してみました
アドバイスなどをいただけたら幸いです。
よろしければ次回も見て下さい。


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2話最強との出会いと実力

自分が書いた作品で間違いなどがあれば行ってください
続きをどうぞ!!!



「久しぶりじゃの、刃」

 

「久しぶりだな」

 

「久しぶりだな2人とも元気にしてたか?」

 

 

「儂はいつも元気じゃよー」

 

「俺も普通に元気だ」

 

「そうか、元気そうでよかった」

 

「オヌシも元気そうで良かったわい……ん?刃……その子は誰じゃ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹side

 

2人の男と親父が懐かしそうに話をしている

 

「(あの2人が親父のライバル...)」

 

見た感じだと風流な服を着たお爺ちゃんとスーツを着たおっさんにしか見えない。.....あとスーツのおっさんめっちゃ

怖えー!

 

「....ん?刃...その子は誰じゃ?」

 

白い髭のお爺ちゃんがこっちを見ていた

 

「ああ、こいつは俺の息子の龍樹だ」

 

「ん?...刃...そなたに息子なんていたのかの?」

 

「いや、龍樹は俺の本当の息子ではないんだ。龍樹は小さい頃家族を失ってしまってな、1人になってしまったコイツを息子として迎えたんだ」

 

「そうか……そんなことがあったのか…… 君、龍樹君というんじゃな。」

 

 

「ハイ、神道 龍樹と言います」

 

そう言いながら俺は自己紹介をした

 

「儂の名前は、川神 鉄心 (かわかみ てっしん)じゃ、よろしくの龍樹君。」

 

「俺の名前はヒューム・ヘルシングだ、ヒュームさんでもヘルシングさんでも好きな方で呼べ赤子よ」

 

「えっ...なんですか?...赤子って」

 

 

「お前の実力を見ると中々いい闘気が感じられるが俺にとっては赤子の様な存在、つまり赤子よ」

「は...はあ...」

 

 

「赤子よ、俺と戦え」

 

「……は?」

 

急すぎる話!今なんとおっしゃいました?あなたと戦えと、親父のライバルのあなたと?うん、確実に死ぬね(泣)

 

「大丈夫だ、手加減はしてやろう流石の俺も子供をいたぶる趣味はないのでな」

 

おっさんが笑顔を見せながら言った

やめろ!その笑顔怖い!死ぬ気しかしないから!

 

龍樹「いや、遠慮しm「おお!やってやれ!」クソ親父テメーーー!!!」

 

何を言ってんの!?お前は息子を殺す気か?

 

「大丈夫だって、手加減してくれるって言ってんだから、それにいろんな人達と試合もしなきゃダメなんだぞ?」

 

 

「それはそうだけどさ〜...」

 

確かにそれは一理ある。俺は親父とばっかり鍛錬をしているから他の人がどんな戦い方をするか知らない。

 

「...わかったよ、俺やるよ!ヒュームさん、よろしくお願いします!」

 

「ふん、ではやろうか」

 

「では、儂が審判をしよう」

 

そして俺たちは広い平原まで移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは決闘を開始する!東方 ヒューム・ヘルシング!」

 

「ああ」

 

「西方 神道 龍樹!!」

 

「おう!」

 

 

「始めぃ!」

 

 

 

 

「行くぞ!」

 

鉄心さんの開始の合図を言い終わった同時に俺はヒュームさんに詰め寄りそして勢いよく刀を振る。だが、それは当たることはなく簡単に避けられる

 

「ほお...中々のスピードだなヒヤヒヤしたぞ」

 

「涼しげな顔して言われても嬉しくねえよ!」

 

俺は一気に畳み掛ける

 

「おら!おら!おら!」

 

「フン」

 

素早い振りを繰り返すがヒュームはいとも簡単に避ける

 

「アンタは攻撃しないのか?」

 

「そうだな、ではこちらからも行くとしよう」

 

ヒュームがその言葉を言った直後ヒュームの姿が消えた

 

「なっ!....どこに..ぐあ!」

 

姿を消したヒュームは突然目の前に現れ俺に蹴りを喰らわした。ヒュームの蹴りを喰らった俺は後ろに吹き飛んだ。

 

ドン!、ズザザザザー

 

俺は地面に体を打ち付け転がった。

 

転がった回転が止まると俺はヨロヨロと立ち上がった

 

 

「はあ、うっ...ハア...(なんつー蹴りだ、まだ体が痺れてやがる。手加減をしてあの威力かよ、肋骨折れたかと思ったぜ)」

 

「俺の蹴りを喰らって立つとは赤子の中でお前が初めてだぞ」

 

「ハア...ハア...そりゃ...どうも...ハア...」

 

 

 

 

 

 

刃・鉄心side

 

「刃よ...あの子は何者じゃ?ヒュームの蹴りを喰らって立つ子供なんてありえんぞ...」

 

「…………今は黙って見てろ………」

 

刃の顔はいつもより真剣だった

 

「.....わかったわい」

 

そう言い鉄心はヒュームと龍樹いる方に再び顔お向けた

 

 

 

 

 

 

 

「小僧中々のタフだな、俺の蹴りを10発以上喰らってるがまだ倒れんとはな」

 

「ゲホ、ゲホ、ゲホ、....ハア、ハア(ヤバイ、苦しい、体のあちこちが痛い!...これは...一気に決めにかかるしかないな)

 

俺は苦しみながらも俺はなんとか息を整え刀を構える

 

「一刀流....」

 

 

「(なんだ...あの構えは...それにこの闘気...)

 

ヒュームは咄嗟に構えをとる

 

 

「三十六煩悩鳳!!!」

 

俺は刀を振り斬撃を飛ばす

 

 

「なに!?」

 

ヒューム咄嗟に蹴りを繰り出した

 

 

「フン!!!」

 

ヒュームは蹴りで斬撃を消し飛ばしドーーーーーン!!!っという音がなり周りに砂煙がたちこめた

 

「...今のは驚いたぞ...飛ぶ斬撃とは面白い...(何故だ?...赤子の気配が消えた...)

 

龍樹の気配が突然消えたヒュームは疑問に思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹「旋風脚!!!」

 

突然背後から現れた龍樹は空中で回転をしながら蹴りを放つ。

 

 

「なに!?っがあっ!」

 

 

突然不意に現れた龍樹にヒュームは判断できずに龍樹の蹴りを喰らった。

 

「どうだ!!!」

 

俺はケリを喰らわして着地をする

 

 

「.....ふっ...ふっ...ハッーハッーハッーハー!」

 

突然ヒュームは大声で笑いだす。

 

「見事だ!赤子よ、俺に一本入れるとはお前が初めだ!」

 

 

「それはどうも(今のでは決められなかったか...)

 

 

「赤子よ、俺に一本入れた礼として俺の本気を少しばかり見せよう....」

 

 

そう言いながらヒュームはスーツを整え、構えた

 

 

「フン!!!」

 

 

するとヒュームから突風の様な風が起きた

 

 

「な!?」

 

ヒュームの殺気に驚く龍樹は初めて震えた【恐怖】というものを初めて感じた

 

 

「フン!」

 

今までに経験したことがないスピードでヒュームは龍樹を攻撃する。先程とは比べられないスピードに龍樹は付いて行けずヒュームになすがままにされる。

 

 

「ガハっ!おぐっ!ガっ!」

 

 

「これで終わりだ!」

 

そしてヒュームは今までよりも最大の一撃を喰らわす。

 

ドガァッ!!!!っという音が鳴り龍樹は吹き飛ぶ...

 

 

 

「ガハっ」

 

20メートル程吹き飛んだ龍樹は意識を失った...

 

 

「勝者! ヒューム・ヘルシング!」

 

 

「楽しめたぞ、赤子よ...いや、小僧!」

 

龍樹vsヒューム・ヘルシングの勝負はヒューム・ヘルシングの勝利となった....

 

 

 

「あの小僧には驚いた...まさかこの俺に一撃をいれるとはな」

 

 

「なんという子じゃ...」

 

 

「ああ」

 

そう言いながら3人は気を失った龍樹に近づこうとすると、

 

 

 

 

 

 

 

ゾォ!!!!!

 

 

 

 

 

「「「!!!!!!」」」

 

あたり一面信じられないほどの殺気が溢れた

 

 

「なんだ....今のは....」

 

 

「物凄い殺気を感じたのぅ...」

 

 

「どこから....まさか...龍樹からか?...おい...龍樹...大丈夫か?」

 

 

 

 

 

ムクリ

 

 

 

 

龍樹は不自然な起き上がりをした

 

 

「……龍樹?」

 

 

 

 

 

 

 

「グガアアアアアアアア!!!」

 

 

突然龍樹は雄叫びを上げる、すると周りには衝撃が走る

 

 

「うお!」「な!」「なに!」

 

 

「こいつは本当に、龍樹か?」

 

刃は目の前にいるのが自分の息子とは思えなかった。

龍樹の様子は、髪は黒から赤黒くなり、周りに赤いオーラが立ち込めており、顔には赤と黄色の様な光る傷の様なものが一本あり目は血の様に赤かった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「旋風脚」ストリートファイター技

次回も頑張って書きます


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3話 正体と決意

風邪を引いてしまって書けませんでした、ごめんなさい
初めて投稿してからお気に入りが50件もきてました
みんなありがと。続きをどうぞ


「グガアア!!グガア!」

 

龍樹は3人に向かって威嚇する様に吠えている。

 

「刃...これはどういうことだ...」

 

「龍樹君は....何者なんじゃ....?」

 

「.....あいつの....龍樹の正t「ガァ!!!」くっ!」

 

刃は2人に説明をしようとした直後龍樹に拳を振るわれるが紙一重でよける

 

「話は後だ!今は龍樹を止めるぞ!」

 

そう言いながら刃は剣を構える

 

 

「ああ!」

 

「そうじゃな!」

 

そして2人も構える

 

「ハッ!!!」

 

刃は龍樹に向かって刀を振るが....

 

 

 

 

パシッッ!!!!!

 

 

龍樹は刃の刀を指で掴み取った

 

 

「なっ!!!マジかよ!!」

 

刃はすぐ刀を龍樹から引き離そうとするが

 

「(!!!....全くうごかねぇ...なんつー力だ)」

 

 

「川神流 無双正拳突き!!!」

 

 

「ガァ!!」

 

龍樹は鉄心の突きに吹き飛ばされた

 

「無事かの?刃?」

 

「ああ大丈夫だ」

 

2人は龍樹に向き直る

 

 

すると龍樹から異常な気が膨れ上がった

 

「ガア!」

 

龍樹は腕を地面に突き刺した

 

ドゴォ!ドゴォ!という音がなり地面から棘の様な岩が飛び出してきた

 

「「「な!!!」」」

 

3人はなんとか避け、岩が襲ってこない範囲まで逃げた

 

「これは...一気に決めないとマズイぞ!」

 

「そうじゃの」

 

「ああ」

 

3人は集中し今まで出した事がない以上の気を出し始める

 

「一刀流 居合...

 

「ジェノサイド..

 

 

「顕現の参・毘沙門天!!」

 

刃は刀を鞘に収め構えをとり、ヒュームは蹴りの体制をとり鉄心は気で具現化した毘沙門天をだす

 

 

「獅子歌歌!」

刃は目にみえぬ程のスピードで龍樹を斬りつけ

 

「チェンソー!」

ヒュームは龍樹の体に蹴りを喰らわし

 

 

鉄心は具現化した毘沙門天の巨大な足で龍樹を踏みつぶした。

 

「グギャアアアアアア!!!!」

 

3人の強烈な攻撃に耐え切れなかった龍樹は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍樹!!!」

刃はすぐさま龍樹に駆け寄る。

 

「気を失ったみたいだな」

 

「すぐに龍樹を運ぶぞ!」

 

「そうじゃの」

 

刃は龍樹を抱え、ヒュームと鉄心は刃の家へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて.....刃」

 

「説明してもらおうかの...」

 

刃、ヒューム、鉄心は、布団で寝ている龍樹を囲む様に座っている。

 

 

「..................龍樹は......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.................【覇道一族】の子供なんだ...」

 

 

 

「「なに!!」」

 

 

「まさか....そんなはずは....」

 

 

「【覇道一族】は確か...」

 

 

 

「ああ、【覇道一族】は...心技体を極めた世界最強の一族でまたの名を、【龍の一属】や【呪われた一族】とも言われている。」

 

 

「【龍の一族】の始まりは、ある男から始まった、男は武術と剣術の達人でとても優しくてたくましい男だった。ある日、男はある生き物と出会った。その生き物とは【龍】だった。龍は人間を嫌ってはいたがある男だけは心を許したのだ、それがその男だった。龍は男にこう話したと言われている。「そなたの優しい心は人々を幸せにする事が出来る、我のように全ての人に幸せを与えてやっほしいのだ。その力を今此処で其方にやろう...」とそして龍は男と一体化し、力を手に入れたと言われている。男は龍との約束を守るためにその力を人の為に使った。そして、男はある女と恋におちた。男と女は子供を産み大切に育てた。そして大切に育てた子供にある変化が起きた。子供が重たいものを持ち上げ、疾風の如く速く走ったという。子供は男の力を受け継いだのだ。

 

 

ここから【龍の一族】の始まりだった...」

 

刃の話を聞いていたヒュームと鉄心はだまったままだった。鉄心は刃に質問をする

 

「刃...儂は【覇道一族】と【龍の一族】は知っていたが最後の【呪われた一族】とはどういう意味じゃ?」

 

 

「....【龍の一族】は代々受け継がれ長く続いたがその名前が変わる出来事が起こってしまった。【龍の一族】の力は、人の為に使う力だったが、ある男によってそれは急に変わってしまった。その力を"兵器"として使う物が現れた。強い力を持った子供だけを残し、弱い子供は殺すという残酷なことをしたんだ。強い子供は無理矢理人体実験をさせられさらに力を得ようとさせられた。人体実験をさせられた子供は恐怖や痛み、そして無理矢理投与された力に耐えきれなくなり死んでいく。そしてある人間がこう言った「【龍の一族】は呪われているんだ...龍の力を持つ者は強い者だけが生き残る、弱い者は死ぬ運命なんだ、龍の力があるからこんな事になったんだ!」と、ここから【龍の一族】は【呪われた一族】だと言われ始めたんだ」

 

 

 

「…………」

 

鉄心は刃の話を聞いたままだった、喋りたくても酷すぎて喋れなかった...

 

「そして...【呪われた一族】が後に【覇道一族】と呼ばれる日が訪れた。人体実験を繰り返し、幾つもの子供の命が消えてしまうのが、当たり前になってしまったある日、1人の男が動いた。その男の名前は【覇道 玄武】「はどうげんぶ」という男だった。玄武は【龍の一族】だったが自分の子を人体実験の対象にはさせたくなかった。そして、玄武はある決意をした。

 

 

 

 

 

 

【龍の一族】を滅ぼそうと...玄武は龍の力で今まで人体実験をした施設を破壊し【龍の一族】を皆殺しにした...

 

 

玄武は自分の息子を連れて遠い地に訪れ、息子を育てた。

その地で玄武は自分の息子を鍛え上げた。心技体を極限に鍛えられ、龍の力を本来あるべき使い方を教えた。

その力は龍の力ではなく、覇者の道を極めた力と言われるようになり後に【覇道一族】と呼ばれるようになった。

 

 

これが【覇道一族】のすべてだ。...」

 

 

「…………」

 

「…………」

 

鉄心とヒュームは黙ったままだった。

 

 

 

「鉄心...ヒューム...頼む!!!」

 

刃は2人に頭を下げた

 

「刃!!...何を」

 

「…………」

 

「龍樹の正体は他の人には言わないでくれ...こいつはまだ子供だ!!!俺は龍樹を守らなくてはいけない。俺は龍樹と約束したんだ、必ず守ると...」

 

 

『………』

 

「この通りだ!!!」

 

刃はさらに頭を下げた。

 

 

 

「何をいっておるのじゃ?刃?」

 

 

「???」

 

「その子はたとえ血は繋がってなくてもお前の息子じゃ、誰にも言うわけないじゃろ!」

 

 

「ああ」

 

 

「それにの刃...儂らにも龍樹君を守らせてくれぬか?」

 

鉄心の言葉にヒュームは頷いた。

 

 

「えっ...」

 

 

「儂らもな、龍樹君の話を聞いて龍樹君を守りたいと思ったんじゃよ」

 

 

「ああ、小僧はもっと生きるべきなんだ!もっと大切なものを知るべきだ!」

 

 

 

「ヒューム....鉄心....すまねぇ....」

 

 

刃は2人の言葉に涙を流した。

 

 

 

 

 

 

龍樹side

 

「う!...ここは?...」

 

 

「龍樹...目が覚めたか...」

 

目を開けたらそこには親父、鉄心さん、ヒュームさんがいた。

 

 

「何があったか覚えているか?」

 

 

「確か俺はヒュームさんと戦ってそれから....そこから覚えてない...」

 

 

そこから記憶が全くなかった

 

 

「龍樹...今からお前に何があったのかを説明するそして、お前が何者なのかもな」

 

 

親父の顔はいつもより真剣だった...

 

 

「わかった...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が...【覇道一族】...?

 

「残念だか、これは本当の話だ」

 

親父の言葉に鉄心さん、ヒュームさんは頷いた

 

 

「………」

 

 

「龍樹...お前に提案があるんだが」

 

 

「なに?」

 

 

「龍樹、お前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュームに修行をつけてもらえ」

 

 

 

「え?」

 

「小僧、お前の力は強力だ。制御出来なければあの時の様に暴走してしまうかもしれん。だから俺が修行をつけてやろう」

 

 

「でも...俺は...」

 

俺はまた人を攻撃するかもしれない、それが怖かった自分が人ではなくなってしまうのが

 

 

 

「龍樹...お前の"夢"はなんだ!!!」

 

 

「え?急にどうしたんだよ?」

 

 

「お前の"夢"はなんだと聞いてるんだ」

 

 

俺の...夢は...

 

 

 

 

 

「俺は...世界最強になる!」

 

 

俺は親父の目を真っ直ぐ見つめながら大きな声で答えた

 

 

 

「そうか、それがお前の"夢"なんだな」

 

 

「とても大きくて、立派な夢じゃのう」

 

 

鉄心さんは俺に優しく微笑んでくれた

 

 

そして、俺は

 

「親父...俺...やるよ!!!もっと強くなって世界最強になってやる」

 

「そうか」

 

 

親父は俺の目を真っ直ぐ見つめながら笑ってくれた

 

俺はヒュームさんに向き直り

 

「ヒュームさん、これからよろしくお願いします」

 

「ああ」

 

俺は自分の正体を受け止め前に進む事を決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




だいぶ長くなってしまいました
面白かったらお気に入りと評価お願いします


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4話 九鬼家に挨拶

お気に入りが80までいきました
みんなありがとう
続きをどうぞ


龍樹side

 

チュンチュン、チュンチュン

 

鳥の鳴き声が聞こえ、寝ている俺の体に日差しの光が当たる。

 

「朝か...」

 

俺はまだ眠い体を起こし布団を片づけた、すると、ガラガラーっと扉が開き親父が入ってきた

 

「龍樹〜起きてるかー?」

 

「今起きた」

 

「そうか、丁度良かった、ヒュームが迎えに来たぞ」

 

「早くねぇか?!まだ起きたばかりだしまだ5時半なんだけど!?」

 

5時半なんて普通の人はまだ寝ている時間だ。

 

 

「仕方ねぇだろ、ヒュームが「ワクワクして早く来てしまった」って言ってんだよ」

 

「マジかよ、まあ修行をつけてくれるのは嬉しいけどね」

 

ヒュームさんが修行をつけてくれるのは、仕事が休みの日や、仕事の合間になった。

 

「ほら、早く準備しろ!」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒュームさんお待たせしました」

 

「遅かったな、小僧」

 

「お前が早すぎんだよ!」

 

「ふん、ところで小僧、そろそろ行くとしようか」

 

「ハイ」

 

「では、刃行ってくる」

 

「ビシバシ鍛えてやってくれ」

 

「ああ、任せろ」

 

「親父、行ってきまーす!」

 

「おう!行ってこい」

 

 

龍樹の背中を優しく笑顔で見送った刃だった...

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュームと龍樹は九鬼家の門の前まで来ていた。

 

 

 

「デケェェェェェ!!!」

九鬼家は世界一を誇る財閥で門だけでもとてつもなくデカイのだ

 

「当たり前だ、九鬼家だからな、さて、お前に修行をつける前に、お前を九鬼家に紹介しておかなければならない」

 

 

「なんで?」

 

「よく考えてみろ...お前に修行をつけるのはいいとして、場所を提供するのは九鬼だぞ...」

 

 

「あっ......そっか....」

 

ヒュームの頼みで九鬼家は龍樹に修行場所を提供してくれるのだ、因みに龍樹はヒュームの弟子という風に説明しており、龍樹の素性は刃との約束で内緒にしている

 

「ほら、早く来い」

 

「ハイ」

 

ヒュームの後について行き中に入って行った

 

 

 

 

 

龍樹side

中に入るとヒュームさんと同じ、執事服を着た白髪の眼鏡を掛けた老人が話しかけてきた。

 

「ヒューム、おかえりなさい」

 

「ああ、今戻った」

 

「ヒューム、その子が刃様の息子さんの...」

 

「ああ、刃の息子の神道 龍樹だ」

 

ヒュームさんに言われ、俺は慌てて自己紹介をする。

 

「初めまして、神道 龍樹と言います」

 

「初めまして、私の名前はクラウディオ・ネエロと言います」(この子...とても真っ直ぐな目をしていますね....それにとても優しく、全てを包み込むような...そんな感じがしますね...)

 

 

クラウディオさんは笑顔で挨拶してくれた、九鬼家の執事ってヒュームさんみたいな人ばかりだと思ってたから少し怖かったけど優しそうな人で安心した

 

「クラウディオ、帝様は?」

 

「帝様なら部屋に居ますよ」

 

「わかった、小僧、行くぞ」

 

「あっ、ハイ!」

 

俺はクラウディオさんに礼をしてヒュームさんについて行った。

 

 

 

 

 

 

「龍樹君ですか...彼がこの先どの様に成長するのか楽しみですね」

 

 

クラウディオはヒュームの後をついて行った龍樹に笑みを浮かべながらそんな事を考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ」

 

龍樹とヒュームは部屋の前まで来ていた

 

 

「ねぇヒュームさん」

 

 

「なんだ?」

 

「ヒュームさんが言ってた帝さんてどんな人なんですか?」

 

 

「帝様は、九鬼家当主であり、元々有力な財閥だった九鬼家を世界最高と呼ばれるほどに成長させたお方だ」

 

 

「へぇ〜スゴイ人なんですね」

 

こんなにデカイ屋敷を持っているし、世界最高までに成長させた人だ、スゴイ立派な人なんだろうな...

 

ヒュームさんがドアの前まで行きノックをする

 

 

「帝様、ヒューム・ヘルシング、ただいま戻りました」

 

 

「入れ」

 

 

「失礼します」

 

 

ガチャリとドアを開け、俺は部屋の中に足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

帝side

 

今日ヒュームが弟子を連れてくるらしい

 

「あのヒュームが弟子をとるなんてな...相当優秀なやつなんだろう...(もし...将来有望であればスカウトしよう)」

 

確か聞いた限りだとそいつは確か刃の息子だったか?

あいつに息子なんていたか?...まあ、あいつの息子だ、相当優秀だろう。刃かぁ〜久しぶりだなぁ〜、久しぶりに刃と飲みてぇなあ〜...仕事サボって刃の家行こうかな...

 

そんな事を考えていたらドアをノックする音が聞こえてきた

 

「帝様、ヒューム・ヘルシングただいま戻りました」

 

「(おっ、きたな!)入れ」

 

ガチャリ!っと音がなりヒュームと子供が入ってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹side

 

俺は部屋の中に足を踏み入れた、中にはおでこにバッテンが入ってる1人の男が椅子に座りながらこちらを見ている、俺はヒュームさんの隣に並び姿勢を正す。

 

「ヒューム、そいつがお前の弟子か?」

 

「ハイ」

 

俺は少し前に出て

 

「初めまして、神道 龍樹と言います!よろしくお願いします!」

 

俺が挨拶をすると周りにいるメイドや執事達が騒ぐ「こんな子供が?」「あんなに小さい子が?」という声が聞こえてくる、その中には「可愛い」などという声が聞こえた。(可愛いっていうな!)と心の中で思っとこう。

 

「お前ら、静かにしろ」

 

男の声でメイドと執事達は静かになる。

 

「騒がしくして悪かったな、俺はこの九鬼家当主の九鬼 帝(くき みかど)だ。」

 

帝さんは椅子から立ち上がり自己紹介をしてきた、帝さんは俺の事をジッと見ている、...俺の顔になんかついてるのかな?

 

「お前...刃の息子らしいな」

 

 

帝さんは俺の顔を見ながら聞いてくる

 

 

「あっ、ハイ(この人親父を知ってるんだ...)」

 

 

「いや、それにしてもあいつに似てないなと思ってな...」

 

「帝様、龍樹は3年前に家族を事故で失い1人になった龍樹を刃は息子として迎え入れたのです」

 

 

ヒュームさんは俺の事情を説明してくれた

 

 

「そうか...悪いな龍樹...辛い事を聞いてしまったな...」

 

「いえ、気にしないで下さい。確かに辛かったですが、親父は1人だった俺を家族として...息子として迎えてくれました。親父に出会ってなければ俺はきっと死んでいました。だから、俺は辛くないです!」

 

 

俺は帝さんの目を真っ直ぐ見つめながら答える

 

帝「...そうか」

 

帝さんは俺に笑みを見せながら言った

 

「龍樹、ヒュームとの約束でお前に修行する場所を与える事になっている」

 

「ハイ」

 

「それでお前に一つ聞きたい事がある」

 

「聞きたい事ですか?」

 

帝さんは俺にそんな事を聞いてくる、なんだろう?っとそんな事を考える

 

 

「龍樹...お前の...

 

 

 

 

 

 

 

 

夢はなんだ?」

 

 

帝さんは俺の夢を聞いてくる、でも、俺は迷わなかった

前に言った親父の前で言ったあの夢を...俺はそのまま答える

 

 

 

「俺の夢は、世界最強になることです!!!」

 

 

俺は一切の迷いなんてなかった

 

「...くっ...」

 

帝さんがお腹に手を当て

 

「あーはっはっはっはっは!!!」

 

腹を抱えて笑い出した

 

「???」

 

あれっ?俺おかしなこと言ったかな?

 

「はっはっはっは、ハアハア、いやー悪い悪い、随分と馬鹿でかい夢だと思ってな」

 

帝さんは涙目になった目を手で拭いながら俺を見つめてくる

 

「馬鹿な夢だと思いますか?」

 

「いや、お前の目を見ると真剣なのがよくわかる、それに夢はデカイ方がいい!」

 

帝さんは俺の夢を否定しなかった、少し安心した。

 

すると帝さんは、真剣な表情で

 

「龍樹、お前の夢はとてもデカイ。その夢を叶えるためには大きな壁が沢山立ちふさがるだろう、それでも夢を叶えようとするか?」

 

帝さんは真剣な表情で俺を見てくる

俺も真剣で表情で答える

 

 

 

 

 

「俺がなるって決めたんです! どんなに高い壁があったとしても、その壁を乗り越え先に進むだけです!」

 

俺は一切の迷いもなく、帝さんの目を真っ直ぐ見つめながら答える

 

「...そうか、その夢に迷いはないんだな?」

 

「ハイ!!!」

 

その質問に俺は返事をする

 

「龍樹、今日はわざわざ来てくれてすまないな」

 

「いえいえ、修行する場所を与えて頂けるんですから挨拶しに行くのは当たり前です」

 

「龍樹、何か困ったことがあれば俺に言え、力になるぞ!俺はお前を気に入った!」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

俺は帝さんに勢いよく礼をする

 

「では、そろそろ失礼します」

 

ヒュームさんが一礼をし俺もヒュームさんに続いて礼をする

 

「待て、ヒューム話がある」

 

「ハイ、小僧、先に行ってろ」

 

「ハイ、帝さん、ありがとうございました、失礼します」

 

俺はそのまま部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒューム、あいつをどう見る?」

 

帝の問いに周りは緊張が走る、九鬼家の当主と最強の執事が1人の少年を見定めているからだ。

 

「あの小僧は、逸材ですね、実力もありますし、鍛えれば私をも超えてくるでしょう」

 

「お前はそう思ったか...」

 

「帝様はどうお考えで」

 

「あいつの真っ直ぐな眼差しを見て俺は驚いた、あんな子供からとんでもない気迫が感じられた、それにあいつの夢を語った時のあいつの思いは想像以上だった...」

 

「それにあいつからはとても優しい想いが感じられる。まるで全てを包み込むようなそんな感じがする。あいつの器のデカさは俺以上かもしれんな」

 

『!!!』

 

その場にいる誰もが驚いた、世界一の財閥である当主に認められ、器のデカさは俺以上だと自ら言っているからだ。

 

「ヒューム...」

 

「何でしょうか?」

 

「龍樹は....

 

 

 

 

 

 

 

九鬼家に欲しい存在だ!」

 

 

「ハイ」

 

 

「あいつは九鬼家の柱となる存在だ、俺はあいつを絶対九鬼にスカウトしてみせる!」

 

 

「龍樹のこと頼んだぞ!」

 

 

「わかりました!それでは失礼します」

 

 

ヒュームは礼をしてそのまま部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

「ほしい逸材だな...先が楽しみだ!....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧、待たせたな」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ」

 

「小僧、修行は明日からつける、明日に向けて今日は休め」

 

「ハイ」

 

「それに、修行をつけるとしても俺が修行をつけれるのは、休みの日か、時間が空いてる時だからな。だから、俺が見られない時は俺が考えたメニューをやっとけ、もし物足りなくなってきたら自分で量を増やせ」

 

 

「わかりました」

 

 

龍樹はヒュームに礼をしてそのまま家に帰った

 

 

 

 

 

「ただいま〜親父〜」

 

 

「おう、お帰り、修行はどうだった?」

 

 

「いや、今日は修行しなかったんだ、修行場所を与えてくれる帝さんに挨拶してきただけだよ」

 

 

「あっそうなのか」

 

 

「うん」

 

 

「じゃあ、明日に向けてしっかりと休んどけよ」

 

 

「うん、それじゃあ、お休み」

 

 

「お休み」

 

 

龍樹はそのまま自分の部屋に向かっていった

 

「ふう〜」

 

俺は布団の上に覆いかぶさるように倒れる

 

「帝さんてなんか不思議な人だよなぁ〜」

 

龍樹はそんな事を言いながら仰向けになる

 

「明日から頑張るぞ!」

龍樹は布団の中に入りそのまま眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から主にヒュームとの修行が始まります
次回もよければ読んで下さい


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5話 島と覇気

最近忙しくて中々書けませんでした
遅れてごめんなさい
続きをどうぞ


龍樹side

 

ゴオーーーーー

 

俺は今船に乗っている。風がとても気持ちいい、船に乗っているのは俺と、ヒュームさんとクラウディオさんだ。俺は今、修行場所に向かっている。九鬼家が用意してくれた修行場所は九鬼家が所有している大きな島だ俺のために用意してくれたのはなんともありがたい...だが.....その島はとんでもない所だとまだ俺は知らなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、着いたぞ小僧」

 

俺はついたその島に足を踏み入れた

その島は木々が生い茂っており「ギャー」や「グォー」などという声が聞こえる....何がいんの?この島?

 

「クラウディオさん」

 

「なんですか?」

 

「この島何がいるんですか?」

 

「この島は、九鬼家の研究者によって、存在しない生物や絶滅した生物などが住んでいます」

 

クラウディオさんは俺にそう説明してくれた、流石九鬼!というふうに納得する事しか出来なかった。

 

「さて小僧、お前には取り敢えずここで修行してもらう」

 

「何回も言うようだが、時間が空いてる時や休みの時などは俺が修行をつける、この島を使用するのは俺がお前に修行をつける時ぐらいだ」

 

「わかりました」

 

「では、小僧、早速修行を始めようか」

 

「ハイ!」

 

「では私は戻りますね、夕方頃迎えに来ます」

 

と言いながらクラウディオさんは船を出して行ってしまった。

 

「小僧、森の中に入るぞ」

 

俺とヒュームさんは森の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹side

 

森の中に入ってみるとそこには信じられない生き物ばかりだった。

 

「スゲー!!!」

 

見たことない生物ばかりで興奮していた俺は周りが見えていなかった

 

「小僧、気をつけろ、見たことない生き物を見て興奮するのはわかるが危険な生物だっているんだぞ」

 

俺はヒュームさんの言葉に足を止める

 

すると....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチャ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何がが俺の頭の上に落ちてきた

 

「なんか頭に...」

 

俺は頭に落ちてきた物を確かめてみると、それはネバネバした液体のような物だった...

 

 

「うわっ!きったねー...ん?」

 

俺は後ろを振り返ってみると...

 

 

 

 

 

「グオオオオオオー!!!」

 

 

そこには絶滅したはずの恐竜がいた

 

「うわーーーー!!!!」

 

 

「小僧、大丈夫か?」

 

ヒュームさんは座りながら俺に聞いてくる

 

「ヒュームさん、なんで絶滅したはずの恐竜がいるんですか!?」

 

「クラウディオが言っただろう、研究者によって作られたと」

 

「ああ、そんなこと言ってm「グオオ!」うおっ!」

 

俺がヒュームさんと話していると恐竜が噛みついてくる、俺は噛みついてくる恐竜をかわして距離をとる

 

 

「図体がデカイくせに速い動きをするなぁ」

 

 

俺は恐竜に向き直って刀を構える

 

 

「小僧、頑張ってその恐竜を倒してみろ、危なかったら加勢してやる」

 

 

「わかりました」

 

 

「グオオオオオオー」

 

恐竜は俺を威嚇している

今にも喰ってやると言わんばかりに吠えている

 

「ホラ!かかってきな!クソ恐竜!!」

 

「グオオオオオオー!!!」

 

恐竜は俺の挑発に乗ったのか俺に勢いよく向かってくる

 

俺すぐ横に飛び一撃を食らわそうと考えたが、恐竜は俺が横に飛んだのを確認すると同時に俺と同じタイミングで横に飛んできた

 

「嘘だろ!」

 

「グオオ!!!」

 

恐竜は尻尾を勢いよく振り、俺に叩きつけた

 

「があ!」

 

尻尾で叩きつけられた俺は大きく後ろに飛んだ

 

「痛ぇ...」

 

「(なんだこの恐竜...あり得ない動きをするなぁ、それにとても頭も良さそうだ)」

 

「グルルルル」

 

恐竜は俺を笑うかの様に見ている

 

「大丈夫か?言い忘れてたがこの島の生物は研究者が開発して知能も高く戦闘能力も高い」

 

「ハハ....それは早く言って欲しかったですね」

 

俺は苦笑いをしながら刀を構える

 

「(どうする...横に飛べばまた喰らうだろし...後ろに...いや、後ろに回り込んでもまた尻尾でやられるだろう...だったら...)」

 

「グオオ!!!」

 

恐竜は俺に向かって大きく口を開けながら迫ってくる

 

俺はそのまま動かずにせまってくるのをまつ

 

「グオオ!」

 

恐竜は俺に大きく口を開けてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが恐竜の攻撃は当たらなかった

 

「???」

 

恐竜はわからなかった、目の前にいる人間に喰らいつけなかった、だが目の前には人間がいる、人間はその場に立っている、なのに喰らいつけなかった。

 

 

 

 

「オラァァ!」

 

俺は恐竜を背後から攻める、そして刀をおもいっきり振り下ろす。

 

 

 

 

決まった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキイイイイン!っという音が鳴り俺の刀は恐竜を斬る事が出来ず、弾かれた。

 

「なっ!!!嘘だろ!」

 

恐竜は俺を確認するとさっきより勢いよく尻尾を振ってきた。

 

 

 

ドゴォ!!!

 

という音が鳴り尻尾で叩きつけられた俺は吹き飛んだ

 

「があ!」

 

俺は地面を強く打ち転がる

 

「ゲホッゲホッ...ハア...ハア...」

 

 

 

 

「小僧、今のは残像か?」

 

ヒュームさんは転がった俺に聞いてくる

 

 

「ハイ...いくら知能が高い恐竜だとしても残像はわからないと思って攻撃したんですけど、まさか刀が弾かれるとは思いませんでした...」

 

 

「研究者が作り上げだ恐竜だからな、皮膚も鋼鉄のように硬い」

 

俺はその言葉に肩を落とすしかなかった

 

今の俺ではこいつらには勝てない...

 

 

俺が悔しさに浸っていると

 

 

ガサガサ...ガサガサという音が辺りに聞こえる

 

「何かいるのか?」

 

俺は音がする方に目を向ける

 

そこには...

 

 

「ウホオオオオオー!」

 

ゴリラがいた...しかも馬鹿でかい...

 

 

「今度はゴリラ?」

 

刀を握り直し再び構えようとすると

 

「待て、小僧」

 

ヒュームさんが止めに入る

 

「なんですか?」

 

「今のお前ではあの2匹には勝てないだろう」

 

「………」

 

「グオオ!!!」「ウホオオオオオー!」

 

 

俺は2匹を見る...2匹は向かい合って威嚇をしている、俺なんか眼中にないほどに...

 

「まあ見てろ小僧」

 

ヒュームさんは2匹に向かって行く

 

「「!」」

 

2匹はヒュームさんの姿を見ると飛びかかってきた

 

「グオオ!」

 

「ウホ!」

 

ヒュームさんは飛びかかってきた2匹を両手で掴んだ

 

「「!」」

 

 

「フン!」

 

そして勢いよく放り投げる!

 

放り投げられた2匹は転がり直ぐに体勢を立て直した

 

「小僧!よく見てろ、これからお前にはこれを修得してもらうぞ」

 

「???」

 

するとヒュームさんから馬鹿でかい殺気が溢れる

 

「「ガクガクブルブル」」

 

2匹はヒュームさんの殺気に完全に怯えている...

 

そして...

 

 

「!!!」

 

ヒュームさんから突風のような風が辺り一面に舞う

 

 

 

2匹の動きがとまり......そして....

 

 

 

 

 

 

 

ドサ!!!

 

 

 

 

 

 

2匹は気絶をし倒れた...

 

 

「これは覇王色の覇気...お前には覇気を修得してもらうぞ」

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 

無理じゃね!?!?

 

 

 

 

 

 

 




覇気 ONEPEACE


次回もよければ読んでください


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6話 子犬と母犬

覇気の修行は次回からですね
ゴメンなさい汗
続きをどうぞ


龍樹side

 

 

 

「覇気....ですか?」

 

「そうだ」

 

俺とヒュームさんは修行を一旦中断し、昼食を取っている

 

「覇気って...どういう物なんですか?」

 

「全世界の全ての人間に潜在する力と言われ、「気配」「気合」「威圧」などの感覚とよく似ている、だが大半の人間はその力に気付かないまま一生を終えるものが多い」

 

「そんなに凄いものなんですか?覇気って...」

 

「ああ、覇気を修得すれば出来ることが幅広くなる」

 

俺はヒュームさんにこんな質問をする

 

「覇気に種類とかあるんですか?」

 

「あるぞ」

 

あるんだ...質問してなんだけど

 

「覇気には3つあって1つは...言うより見せたほうがはやいな、食事を終えたら覇気について教える」

 

「わかりました」

 

 

俺はまだ皿に残っている食べ物を再び食べ始める

 

 

 

 

 

「ヒュームさん、修行始める前にトイレ行ってきてもいいですか?」

 

「サッサとすませてこい」

 

「ハイ」

 

俺は森の中に入って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜と....どこでしようかな?」

 

俺はトイレする場所を探していた

 

「早くしねぇと怒られちゃう...ここでいいかな?」

 

 

俺は適当な場所で済ませようとすると.....

 

 

 

 

ガサガサ ガサガサ

 

 

「ん?....何かいるのかな?...まさか!また!恐竜!?」

 

俺は刀を構える

 

そこから現れたのは

 

 

ガサガサ「クゥーン」

 

「犬?」

 

現れたのは白い犬だった...なんでこんな所に犬がいるんだろう?しかも子犬だ........確かこの島は九鬼が所有してしていて作られた生物しかいないはず...この犬もあの恐竜とゴリラのように作られたのかな?

 

「お前、どこから来たの?」

 

俺は犬に近寄り怖がらせないように優しく声をかける

 

すると...

 

「ワン!ワン!」

 

子犬は急に吠え出し俺の周りをグルグル回っている

 

「えっなになになになに!?どうしたの?」

 

子犬は何故俺の周りをグルグル回っているんだろう?何か伝えたいことでもあるのかな?

 

「ワン!」

 

子犬は俺の周りを回るのを止め、出てきた所に戻ろうとする

 

「ワン!ワン!」

 

「ついてこい?わかった!」

 

俺は刀を鞘に収め子犬の後をついて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれっ………なんで俺…犬の言っていることがわかったのかな?……まあいいや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は必死に子犬について行く

 

 

「ハア、ハア、ハア」

 

あの犬...メッチャ足速え!!!

 

「(全く追いつけない!見失わないようにするのがやっとだ)」

 

犬は森の中を猛スピードで駆け抜ける

子犬とは思えないほどの速さで

 

「なんであんなに小さい子犬があんなに足速えんだ?」

 

子犬を追い走っていると目の前には深い谷があった

俺は落ちないように覗き込む、下が見えないかなり深い

 

「向こう岸まで20メートルぐらいあるな...」

 

俺は向こうの崖を見る、なんとかいけるか...?

 

「ワン」

 

子犬が後ろに下がった....何するんだろう?

 

子犬は勢いよく助走をつけそして...

 

 

 

 

 

「あっ………」

 

 

 

 

 

飛んだ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュタっ!そして着地………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ〜〜〜〜…………嘘やろ………」

 

 

いやいやいや……嘘だろ……20メートルぐらいあるのになんでとべるの?

 

 

 

「ワン!ワン!」

 

早く飛べと言っている、マジか....

 

俺は後ろに下がり勢いよく

 

 

 

 

「オラァ!」

 

 

 

地面を強く蹴り飛ぶ!

 

 

「とどけえええええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュタっ!届いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガコっ! あっ....

 

 

 

着地と同時に崖が崩れる

 

 

 

 

 

「(オワタ)....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んなわけあるかーい!」

 

俺は刀を岩にブッ刺し落下をとめる

俺はそのまま上にあがる

 

「ハア〜死ぬかと思った...」

 

 

「ワン!」

 

子犬が早くしろと言っているようなきがする

 

 

「あっ、待ってくれよ」

 

俺は子犬を追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

子犬がついに足を止める

 

そこには....

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

白い犬がいる....デカイ...

 

「ワン!ワン!」

 

 

子犬が大きい犬に近づく

 

 

「クゥーン」ペロペロ

 

 

子犬が大きい犬の顔を舐める

 

よく見てみると大きい犬から血が出ている

怪我をしているのだ

 

「お前、この事を知らせるために俺を呼んだのか?」

 

 

「ワン!」

 

 

よく似ているなあ、この犬と

 

「もしかしてこの犬....お前のお母さんか?」

 

 

「ワン」

 

この犬もあの大きな犬みたいにでかくなるのかな?それよりも早く助けないと

 

「わかった!必ず助けてやる!」

 

俺はそう言いながら子犬の頭を優しく撫でる

 

 

俺は子犬から手を離し大きな白い犬に近寄る

 

 

 

 

「グルルルル......」

 

母犬は俺を警戒して唸り声を上げている

 

近づくな!と言っているかのような声を上げているのがわかる、無理もないあったばかりの奴を信用するわけないし、それにこの島は人間は普段入らない島だ。

 

 

「俺はお前の敵じゃない...俺はお前を助けたいんだ...」

 

 

すると母犬は身体を起こし立ち上がる

 

 

「グオオオオオ!!!」

 

母犬は大きく声を上げる

周りには母犬が上げた声が衝撃となって辺りに響く

 

「……っ!!!ぐっ!!!」

 

なんつー雄叫びだ...叫びだけでこれほどか!

それにとても怒っているような感じがする...「人間なんか信用しない!」「人間は敵!!」というふうな感じだ...

 

「………」

 

どうしたら信用してくれるのだろうか....俺は...お前をただ助けたいだけなのに...

 

「グオオ!!!.....」フラっ...ドサ!!!!

 

母犬は吠えなくなり力尽きたように倒れる

 

「オイ!、大丈夫k「グオ!」っ!!!....」

 

母犬は「近寄るな人間!」「お前の助けなんていらない」っと吠えているようだ...

 

「……!!!!」

 

俺は吠えていることに驚きはしなかった、驚いたのは

 

「お前.....さっきより血がでてるじゃないか!」

 

さっきので傷がさらに開いたのか、この血の量は早く治療しないと手遅れになる

 

「早く治療を」

 

俺は母犬に近づく

 

「グオオ!!!」

 

母犬は同じように吠える

なんでだよ...ただ助けたいだけなのに...母犬のお前が死んだらお前の子供はどうするんだよ...

 

「いい加減にしろ!!!」

 

「………」

 

 

俺の大きな声に母犬は静かになる

俺はそのまま話を続けた

 

「お前が死んだらこの子はどうするんだよ!この子を1人にさせるのかよ、母親のあんたがいなかったらどうやって生きていくんだよ!それにお前が死んだらこの子が悲しむ...1人に成るのは痛いより辛いんだ...お前が...子供ってのは親が居ないと...あんたがいないとダメなんだよ...」

 

俺は今の思いを全力で伝える、例え種族が違えど子供は同じだ、親がいなかったら愛情だってわからない、親を亡くした辛みはとても大きい...俺みたいに1人になって欲しくない

 

「俺はな...数年前に家族を...失ったんだ..目の前で」

 

「………」

 

「だからこんな思いをさせたくないんだ...こんな思い....誰かにしてほしくないから...」

 

悔しかった...つらかった...こんな思いもう二度しないし、させない!

 

「だから、お前を助けたいんだ!理由なんてそれで十分だろ?」

 

俺は犬に近づく

俺は犬の目線に合わせて膝を着く

 

「お前が俺の事をまだ信用できないのなら俺を殺してもいい」

 

「………」

 

「俺は...お前を助けたいんだ!」

 

俺は母犬の目を見ながら真剣に答える

俺の気持ちに嘘はない、それは本当だ。

 

「………」

 

母犬黙ったまま俺を見つめている

すると母犬が怪我をした部分を見せてくる

俺の事を信じてくれたのだ

 

「ありがとう...信じてくれて...」

 

俺は涙目になりながら母犬の手当てをした...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしっ...これでいい」

 

俺は母犬の治療が終わり尻を着く

 

「ワンワン!」ペロペロ

 

子犬はありがとうと言っているかのように顔を舐めてきた

 

「あはははは、くすぐってえよ」

 

良かった、本当に良かった

 

俺は心の中で喜んでいると

 

ムクリ

 

母犬が立ち上がり俺に近寄ってくる

 

「おい、あんまり動くなよ、傷口が開くぞ」

 

俺は母犬に心配の言葉をかける

 

母犬は俺の前で止まり

 

 

 

スリスリ

 

 

顔をすり寄せてきた

 

 

「あはははは、どういたしまして」

 

俺はそう言葉を返す

なんか「ありがとう」って言っている気がするんだよな

 

俺は母犬の頭を撫でる

とても気持ちいい、とてもサラサラしているいい毛並みだ

 

「さて、俺はそろそろ行くよ」

 

俺は立ち上がりズボンに着いた汚れを落としきた方角に向かって歩き始める

 

例え姿形が違っても心が通じ合えばわかってくれる、きっとあの母犬はあの子を大切に育ててくれるだろう

 

 

 

 

 

 

 

だが、その思いをかき消すような出来事が起きる事をまだ知らない

 

 

 

 

 

 

俺があの親子に別れを告げた途端

 

 

 

ズシン……ズシン……ズシン………

 

 

 

何か音がする...何かが近づいてるのか?

 

俺は辺りを見回す

 

ズシン…ズシン…ズシン…

 

さっきよりも大きくなってる...近づいてきてる!

 

俺はすぐに親子の元に戻る

 

 

「オイ!お前らすぐにここから離れろ!何かが来る!」

 

俺は必死に親子を逃がそうとする

母犬は怪我をしている、もし戦闘になれば勝ちめはないだろう

 

「ギャオオオオオオ!!!」

 

 

そこに現れたのはあの恐竜だった

あのゴリラと睨み合ってた恐竜だった

 

「あいつ!!」

 

おそらく血の匂いにつられたのか...大量に血を流してたからな無理もない

 

「俺があいつの相手をしてる隙に早く逃げるんだ!」

 

今の俺ではあいつには勝てない...今出来ることは単に時間稼ぎだ。

 

「おおおおお!」

 

俺は恐竜の背後に回り刀を振るが

 

「ギャオオ!」

 

恐竜は後ろに回った俺を尻尾で吹き飛ばす

 

「があ!」

 

吹き飛ばされた俺は岩に激突する

 

「おぐっ」

 

痛い...呼吸ができない

 

恐竜は俺を無視しある一点を見つめる

 

 

あの親子だ

 

 

 

「ガオオオ!」

 

ドスッドスッドスッ

 

恐竜は親子に向かって走り出す

 

「やめっ...ろ...」

 

クソっ!!体がうごかねぇ

ちくしょう!!!

 

「逃げろ!!逃げろー!!!!!」

 

「ガオオオ!」

 

恐竜は子犬に噛みつこうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが子犬には、怪我はなかった

 

 

 

「!!!!!」

 

 

 

「…………」

 

母犬は我が子を守った...体で...命をかけて...

恐竜の牙が突き刺さり血が出ている

 

「グオ!」

 

ブンッ

 

恐竜は母犬を投げ飛ばす

そして子犬に喰らおうとする

 

「ガオオオ!」

 

だが、それを母犬が庇う

 

何度も、何度も何度も

 

「クソっ!!」

 

やっと息が整った俺は親子の元に向かう

 

「こい!」

 

子犬のそばに行き子犬を抱えて走り出す

 

だが恐竜はそれを逃さない

 

「グオオ!!!」

 

恐竜は犬を抱えた俺を見ると母犬を離し追いかけてくる

 

「ハアハアハアハア」

 

俺は子犬を抱えて必死に逃げる

この子は死なせない!絶対に!

 

「ガオオオ!」

 

母犬は血だらけになりながらも俺の背後に回り恐竜を見る

 

「駄目だ!逃げろ!そんな体じゃ無理だ!」

 

俺は必死に声をかけるが母犬は動かない

 

「ギャオオオオオオ!!!」

 

恐竜が迫ってくる、そして噛みつこうとするが、その攻撃は当たらなかった

 

 

 

 

 

ガシュッっという音が辺り一面に響いた

 

 

一瞬の出来事だった...母犬は恐竜の身体に牙を立て喰いちぎる

 

「ギャアアアアアア!!!」

 

恐竜は痛みに苦しみもがく

母犬は、攻撃を緩めることなく

 

ガシュッ、ブチッっと恐竜の肉を喰いちぎる、その速さは以上だった、深手を負いながら目にも留まらぬ速さで食らいついている

 

「………」

 

俺は息を飲んだ

 

母犬は恐竜を圧倒するが、それは長く続かなかった、母犬は出血と深手によって着地と同時に崩れ落ちた

 

 

恐竜は母犬の攻撃に悶えていたが攻撃が止むと落ち着き母犬を睨みつける

 

「ギャオオオオオオ!!!」

 

恐竜は母犬の足に食らいついた

 

 

 

そして...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!やめろ!やめろ!!!!」

 

 

 

 

そして恐竜は母犬の足を

 

 

 

 

 

 

ブチッッッッッッ、噛みちぎった

 

「!!!!!」

 

ああ....ああ....

 

恐竜は攻撃をやめない、恐竜は母犬に喰らいつく

 

 

「ワン!ワン!」

 

子犬は恐竜を威嚇するが見向きもしない

 

 

「やめろ....やめろ...やめろ...」

 

 

なんだよ俺は、せっかく助けたのに失うのか

 

 

「やめろ!やめろ!やめろ!!!!!」

 

 

憎い...ちくしょう!!!自分に力がないのが腹立たしい

 

 

 

 

やめろ...やめろ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今まで覚えたことのないような感覚に包まれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やめろつってんだろ....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろって言ってんだろうが!!!このクソ恐竜!!!!!」

 

 

 

 

ドンッ!っという音がなり辺り一面に突風が吹き荒れる

 

 

そして噛みついていた恐竜の動きが止まり

 

そして...

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ、恐竜は気を失い倒れた

 

 

 

「なんだ...今の...今のヒュームさんが使ったのとよく似ているような...!!!それよりあいつは!?」

 

俺は母犬に駆け寄る

 

「………」

 

「ハア..............ハア..,...........,,」

 

母犬は息をするのがやっとのような状態だ

 

ペロペロ

 

「クゥーン」

子犬は母犬の顔を舐める

 

 

ポタッ、ポタッ

 

「ゴメンな...ゴメンな...」

 

俺は悔しくて涙を流した

 

「助けるって言ったのに...俺はお前を助けられなかった」

 

母犬は俺の顔をじっと見ている

 

「ガウ...ガウ...」

 

母犬は動けない体を懸命に動かし俺と子犬に近づく

そして......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペロッ……と顔を舐めてきた

 

「そんな悲しい顔をしないで」と、「泣かないで」というふうに俺と犬の顔を舐める

 

 

「ううっ.....う....」

 

 

俺は涙を抑えれなかった

 

「ガウ」

 

母犬は俺に向かって小さく吠えた

 

「?」

 

母犬は俺の顔をじっと見つめるそして最後に自分の子供を優しく体を舐めた

 

 

 

 

そして...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッと音がなり息を引き取った

 

 

「…………わかった....約束する...」

 

 

俺はわかった....最後に母犬が言った想いを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー私の子をお願いね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は恐竜のそばに行き刀を抜く、そして

 

ザシュッ!っと恐竜の首を斬った

 

 

 

 

 

俺は子犬のそばに戻る

 

「なあ、俺と一緒にこい」

 

「クゥーン」

 

「俺と一緒に強く...なろう ...もう...誰も失わないように強くなろう...俺と一緒に」

 

俺は子犬の目を真っ直ぐ見つめながら言う

 

「ワン!」

 

子犬は俺の問いに大きな声で返事をした

 

「じゃあ、お母さんとサヨナラしようか」

 

俺は近くの木下に穴を掘る

 

 

 

 

 

 

そして母犬が入る位の大きな穴を作りそしてその中に入れ埋める

 

「必ず...こいつと強くなるから...」

 

俺は埋めた母犬の前でそう言い子犬と一緒にヒュームさんがいるところに戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧...どこに行ってたんだ...ん?なんだその犬は?」

 

 

「実は...」

 

俺はこれまでの出来事をヒュームさんに話した

 

 

 

 

 

「なるほどな」

 

「ヒュームさん、こいつと一緒に強くなりたいんです、俺...約束したんです...こいつの親と...だからお願いします!勝手なのは重々承知の上です!お願いします!」

 

「…………」

 

俺はヒュームさんに必死に頭を下げる

 

「…………わかった、お前とその犬に修行をつけてやる」

 

「!!!ありがとうございます!!!」

 

「ワン!」

 

 

 

「では早速修行を開始するがいいな?」

 

 

「ハイ!」

「ワン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




子犬の容姿

テリー・クロス トリコ


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7話 覇気修得と川神百代

しばらく書けない状態が続いてました
誠に申し訳ないm(_ _)m

続きをどうぞ


覇気について教えてもらう為に龍樹、ヒューム、犬は再び森の中に来ていた

 

先ほどの一件で白い犬とともに強くなろうと決意した龍樹は犬の名前を考えていた

 

「お前の名前、どうしようか?」

 

名前を考えるのは結構頭を使うものだ

 

「適当でいいだろう、そんなの」

 

 

「じゃあ、ヒュームさんはいい名前あるんですか?」

 

「そうだな、白いから'シロ'でいいんじゃないか?」

 

1番マイナーな考え方、多分誰もが考えたことのある名前だと思う

 

(ブンブン!〕

 

そんな名前イヤっ!とでも言うように首を降っている

 

「相当嫌だったんですよ」

 

「………」

 

そんなに嫌だったんだ

龍樹は苦笑いしながら答えヒュームは黙ったままだった

 

「なら、お前が考えてやれ」

 

ヒュームがそう言い

 

「うーん、何がいいかな?」

 

どうしようか?やっぱり印象が大事だよな、とても綺麗な毛並みもしてるしフカフカ何よりとっても白い

 

「じゃあ、”ユキ”って言うのはどう?」

 

龍樹はユキという名前を提案する

 

 

犬は少し考え、そして

 

 

フルフル

 

 

首を横に振った

 

イマイチ気に入らなかったらしい、先程のヒュームさんが付けた名前よりは良かったらしい っと考えているとヒュームさんが睨みつけてくる

 

 

怖い!怖い!

 

 

「じゃあ、’メレンゲ‘なんt(ブンブン!)そうですか...」

 

速攻拒否された

結構難しいもんだな名前を決めるの

 

 

「うーん………」

 

やっぱりカッコいい名前とかがいいのか?

なら、

 

 

 

「じゃぁ、”ハク”なんてどうだ?」

 

 

「!!!」

 

その名前に反応して行きよいよく龍樹を見る

 

気に入ったかな?

 

「ハク、どうだ気に入ったか?」

 

俺の言葉に子犬は

 

「ワオン!」

 

っと大きな声で答えてくれたどうやら気に入ってくれたようだ

 

「ハク、これからよろしくな」

 

「ワン!」

 

龍樹はハクを優しく頭をなでた

 

その微笑ましい光景を見ていたヒュームは笑みを浮かべていた

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

 

「さて、お前に覇気を教えるが、覇気は簡単に修得できるものではない」

 

龍樹はヒューム説明をよく聞いていた

 

覇気にはそれぞれ3つあるらしい1つは「見聞色」2つ目は「武装色」そして最後の「覇王色」系の3つだ

 

「では、実際に見てもらおう、丁度いい相手もきたことだしな」

 

 

 

丁度いい相手?

 

"ガサガサ"という音がなりそこには巨大な熊が現れる。熊は大きな声を上げ威嚇をしている

 

「ふん」

 

ヒュームは熊を挑発するように石を投げる

 

見事に石は熊に当たる

 

熊はその一撃に切れたのか、熊はヒュームに物凄いスピードで迫る

 

ヒュームは龍樹に向き直り

 

「小僧、よく見ておけ」

 

 

熊はその隙を見逃さなかった、熊はヒュームに迫り大きな腕を振るう

 

 

 

 

 

 

 

スカッ!

 

 

 

 

 

 

熊の一撃はヒュームに当たらなかったヒュームは熊の動きを見ずによけた、まるで相手の動きがわかるように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手の”気配"をより強く感じる力これが"見聞色"の覇気‼︎」

 

 

ヒュームは熊の動きをヒョイヒョイ、避けながら説明する

 

 

「これを高めれば、視界に入らない敵の位置その数……更には次の瞬間に相手が何をしようか読み取れる」

 

 

そしてヒュームは熊に向き直り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に"武装色"の覇気ーーーこれは見えない鎧を着る様なイメージを持て……」

 

 

ヒュームは熊に向かって手をかざす、ヒュームの手が黒くなり

 

 

すると……

 

 

 

 

ドオオオン!っという音がなり熊を吹き飛ばした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武装色の覇気を使える様になれば相手に強烈な攻撃を加える事が出来る、これを"武装硬化"と言うまた、更に熟練した使い手になると身体や手に持った武器を武装出来る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そしてこれが……」

 

 

ヒュームは熊を威圧する

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊は気絶し倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手を威圧する力……"覇王色"の覇気……‼︎この世で大きく名を上げる人物はこの力を秘めているものが多い、ただしこの"覇王色"だけはコントロールは出来ても鍛え上げる事は出来ない」

 

 

 

「数百万人に1人の[王の資質]を持つ者しか身につけることしか出来ない覇気だ、先程見せた様に周囲を威圧ができ、圧倒的な実力差がある相手つまり"戦うまでもない相手"を気絶させれる」

 

 

「さて……お前にはこの3つの基礎を叩き込む」

 

「はい」

 

 

 

「まずお前には武装色と見聞色を覚えてもらう」

 

 

「お前は筋がいい、この2つは直ぐに修得できるだろう」

 

 

 

 

 

 

こうして、ヒュームと龍樹のワンツーマンで覇気を覚える修行が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二ヶ月後……

 

 

 

 

 

 

 

龍樹はゴリラと対立していた

 

 

 

『ウホオオオオオー!』

 

 

 

「武装‼︎」

 

 

 

龍樹は腕を武装し構える

 

 

「ほら…かかってきな」

 

 

『ウホオオ!』

 

 

ゴリラは龍樹に腕を振り上げ

ラリアットの様に腕をふりわましてくる

 

 

だか、その攻撃は当たる事はない

 

 

「おらよ!」

 

 

龍樹はゴリラの攻撃を回避しながら

腹に一撃を与える

 

 

 

ドゴォ!っという音がなりゴリラの動きが止まる

 

 

 

『………』

 

 

 

 

 

ドサッーーー

 

 

 

 

ゴリラはそのまま動かなくなった

 

 

 

 

「よし…完璧だ!」

 

 

 

 

あれから二ヶ月がたった

 

 

 

ヒュームさんから覇気を教えてもらい、武装色、見聞色はほぼ使える様になった

 

 

 

 

 

 

「武装色と見聞色はもう完璧の様だな、小僧」

 

 

「ヒュームさん」

 

 

 

ヒュームさんが俺の後ろに現れる

 

 

「でも、覇王色だけが上手く行かないんです」

 

 

 

「………」

 

 

 

この二ヶ月で見聞色、武装色はほぼ完璧と言えるほど使いこなせる様になったが覇王色だけが上手く使えない

 

 

 

 

「でも、一回だけ…覇王色の覇気……だと思うんですけど発動した事があるんです…」

 

 

「ほお…どんなときだ?」

 

 

 

龍樹はハクと出会った日の事を説明する

 

 

「二ヶ月前にハクと出会った時に恐竜にめがけて発動したんです」

 

 

ヒュームはある質問をする

 

 

 

「発動した時、お前はどんな気持ちだったんだ」

 

 

「え?」

 

 

「発動した時どんな気持ちだった?」

 

 

「とても…怒りに満ち溢れてました…自分に力がないことに…」

 

 

あの日の事を思い出し怒りが湧きて出てくる

 

 

「………」

 

 

ヒュームは何かを考える様に龍樹を見ている

 

 

 

「おそらく……その時覇王色が発動したのはお前が怒りに満ち溢れたからだろう」

 

 

 

「怒り…ですか?」

 

 

「ああ、今お前から怒りが感じられる身体が震える程の威圧がお前から出ている」

 

 

 

確かに俺はあの時俺は怒りが湧き出ていた...そして覇王色が発動した...今もあの時の感覚とよく似ている

 

 

 

集中……あの時と同じ様に……

 

 

集中していると不思議な感覚に包まれる

 

 

まただ!この感じ…あの時とよく似ている…

 

 

龍樹が集中しているとそこに一匹の虎が出てくる……虎はよだれを出し牙を向けてくる

 

 

『試してみるか………』

 

 

龍樹は集中していた感覚を保ち虎を威圧する様に覇気をぶつける

 

 

 

「!!!」

 

 

 

辺りに突風の様な風が巻き起こる

 

 

 

そして……

 

 

 

 

ドサッー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎は気絶をし、倒れた……出来た……この感じだ!

 

 

 

「どうやら上手く行ったみたいだな」

 

 

ヒュームは龍樹に歩み寄り肩を叩く

 

 

「はい!」

 

「今の感じを忘れなければ覇王色も使える様になるだろう」

 

 

ヒュームの言葉に嬉しくなる龍樹だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覇気を修得してしばらく経ったある日、龍樹は家の庭でハクと遊んで居ると

 

 

 

「龍樹君、久しぶりじゃのう」

 

 

鉄心が久しぶりに家に来た

 

「鉄心さん!お久しぶりです」

「わん!」

 

龍樹は鉄心に元気よく挨拶をする

 

 

「刃は今居るかの?」

 

「ちょっと待ってて下さいね」

 

 

龍樹は家の中に入り刃を呼ぶ

 

 

「親父!鉄心さんが来たよ!」

 

 

家の中から「おー」という声が聞こえ刃が家から出てくる

 

 

「鉄心、どうしたんだよ」

 

「実はの…頼みがあるのじゃが…」

 

「頼み?なんだよ」

 

「龍樹君を……貸してもらえんか?」

 

「龍樹を?なんでだ?」

 

「実は……」

 

 

話によると鉄心の孫、川神 百代(ももよ)と手合わせをしてほしいという話だ。百代は戦いが大好きで修行僧を相手をしても満足が行かないと駄々を捏ねているらしい。

 

 

「成る程、それで龍樹を貸して欲しいと」

 

刃の問いに頷く鉄心

 

 

「龍樹〜!今の話聞いてただろ〜」

 

 

龍樹はハクを撫でていた手を止め立ち上がる

 

 

「俺は別に構わないよ」

 

 

「だそうだ鉄心」

 

 

「龍樹君、ありがとうのぅそれじゃあ、川神院に案内しよう」

 

 

「じゃぁ、ハク、父さん行ってきます」

 

 

「行ってこい」

「ワン!」

 

 

龍樹はハクと刃に見送られ鉄心と川神院に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが川神院じゃ」

 

 

龍樹と鉄心は川神院に到着し門を潜る、中から修行僧の声が聞こえてくる

 

 

「総代、おえりなさいイ」

 

 

中から全身緑色のジャージを来た男が出迎えてきた

なんかロック・◯ーみたい…

 

 

 

「総代、ソの子が?」

 

 

龍樹は少し前に出て挨拶をする

 

 

「初めまして、神道龍樹と申します、今日はよろしくお願いします!」

 

 

「初めまして、私の名前はルー・イーというネ、今日はわざわざすまないネ」

 

 

うん、とてもいい人そうで安心した

 

 

「いえ、気にしないでください

俺、一回川神院に来てみたかったんです」

 

 

「そうかい、ありがとネじゃぁ、中を案内するヨ」

 

 

 

龍樹はリーに案内され中に入って行った

 

 

 

 

 

中に入ると修行僧が修行している風景が目に映る

 

その中でも一際目立っていたのはある女の子だ、女の子は男と戦っているが、その戦いは誰が見ても目立つ物だった

 

女の子の身体から繰り出されることのない突きや蹴りを男に向かって繰り出している、男の方も同じ様に蹴りや突きを繰り出している

 

あの2人だけは周りと違うのが明らかだ…

実力はこの川神院の中でもトップクラスだろう

 

 

しばらく戦いを見ていると

男が此方に気づき戦いを止める

 

 

「おっ!モモ来たみたいだぜ」

 

 

此方に気づいた女の子は龍樹に近づく

 

 

「オイ!じじい、そいつが私の対戦相手か?」

 

 

「コラ!百代!客人に対してなんて口の聞き方をするんじゃ!」

 

 

 

「うるさいなぁ………私は川神百代だ」

 

 

百代が龍樹を観察する様にずっと見ている

 

 

 

「なーんだ、ただのガキじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初対面なのに失礼な奴だなぁ……

お前だって餓鬼じゃねえかよ、この戦闘狂女が!」

 

 

その言葉に百代の眉がピクリと動くのがわかった

 

 

「美少女の私に向かってそんな言葉を使うなんていい度胸だな……!」

 

 

バチバチバチ!!!

 

2人の間で火花が散っている

 

 

 

 

「鉄心さん…直ぐに試合を始めましょう…」

 

 

今、自分でもビックリする位低い声が出てたな…

 

 

「わ、わかったわい…ルー!釈迦堂!直ぐに準備するぞ!」

 

 

 

『ハイ・あいよーー』

 

 

 

「ボコボコにしてやるからな!!!」

 

「されるの間違いだろ…」

 

 

と言葉を言い2人は決闘場所まで移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セリフの前に名前をつけないほうがいいという意見を頂いたので、今回はこういうふうに書かせてもらいました

もし、此方の方が良かったら感想お願いします

最後に何回も変えて申し訳ないですm(_ _)m


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8話 初めての気持ち

諸事情により書くペースが落ちてしまいます
本当に申し訳ございませんm(__)m
できる限り上げようと思いますのでそれでもよければ読んで頂けたら幸いです。






決闘場所まで行き、百代・龍樹は向かい合う

 

「それでは!只今より決闘を開始する!」

 

 

「東方!川神百代!」

 

「ああ!」

 

「西方!神道龍樹!」

 

「おう!」

 

「始め!」

 

 

「先手必勝!川神流 無双正拳突き!」

 

鉄心の開始の合図と同時に百代は龍樹に突きを繰り出す

 

ドオオン!っという音が鳴り辺りに煙が立ち込める

 

 

 

「ふっ…しょせんこんなもんか……」

 

 

 

 

 

修行僧達も「終わったな」と次々に口を出す

確かに修行僧レベルなら1発で終わるだろう...だが、それは修行僧レベルの場合だ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーいや〜ビックリしたぜ!いきなり突きが来るんだもんよーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りに立ち込めた煙は消え、そこに居たのは百代の突きを片手で受け止めた龍樹がいた

 

『なっ!?』

 

 

「....ッッッ!!」

 

じぶんの突きを受け止められた事に驚き距離をとる

 

「……ふ、ふ、ハーッハッハッハッ!!」

 

久しぶりにやり合える奴がいた事に笑いと嬉しさがこみ上げてくる百代

 

「まさか私の突きを片手で受け止めるなんてな!久しぶりだこんなにワクワクしたのは」

 

「あんな突き受け止めるぐらい造作もないことだ!もっと本気で来なければ俺には勝てんぞ」

 

「いってくれる‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「爺さんよ...彼奴は何もんだ?....モモの突きを片手で受け止めるなんて普通じゃねえぞ....」

 

釈迦堂はこの川神院の中でも、トップクラスの実力者だ。百代の我儘で1番闘ってる彼がよくわかっていた、百代の実力を....

 

まだ釈迦堂には勝てないがもう少しで彼を越す程にまでなっていると釈迦堂自信がわかっていた。百代の突きを片手で受け止めるなんて絶対とは云わないが無理があった。

だが彼奴は簡単に受け止めている。

 

 

「彼はな龍樹君といってな、神道 刃の息子じゃよ」

「あー...成る程な納得だ...」

 

確かに彼奴の息子なら相当な実力があるのは理解できる

 

「ルーよ、龍樹君をどう見る?」

「見た限りだト、余裕の表情が見て取れますネ、まだまだ彼ハ強くなるのがワかりまス」

「なるほどのう、そう考えるか」

「総代ハどの様なお考えデ?」

「ルーの云う通り龍樹君はもっと強くなるじゃろう、彼は恐らく儂をも超えてくるじゃろうな」

 

『(ソれ程ですカ?)(まじかよ....)』

 

鉄心の言葉に二人は驚き龍樹に視線を戻した。

鉄心の実力は武術の頂点、総本山とも言われているほどの実力者だ。武道家を目指す者達は彼を目標にする者も多いだろう、そんな彼が10歳にもまだなっていない子供を評価している、自分を超えるだろうと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「「ハア!・オラ!」」

 

ガン!という音がなり2人の突きが重なる

 

女の子とは思えない程の力だな....

っと思っていると百代が龍樹の腕をガシッ!っと掴んできた

 

「川神流 炙り肉!」

 

突然龍樹の掴んでいる百代の腕から紅蓮の炎がでる

 

「あっつ!!!!!」

 

火が出るとは思わなかった龍樹は動揺して隙を見せてしまった

 

「そこだ!」

 

その隙を見逃さなかった百代は龍樹の腹に突きを決める

 

「ゴハッ!!!」

 

もろに入ったパンチで息が苦しくなるが距離をとり息を整える

 

「はあっ...暑かった〜まさか手から火が出るなんてな」

 

「フフン!どうだ!」

 

参ったか!っというようにドンと胸を張っている

 

「面白いもん見せてくれたから、お礼にコッチも面白いもん見せてやるよ」

 

龍樹は刀を構え氣を出し始める

 

『!!!』

 

周りにいる人達は龍樹の氣のデカさに驚く

 

「はっ....はは...凄い氣だな」

(軽く私を超えたぞ...)

百代は龍樹の氣のデカさに驚きながらも構える

 

 

 

 

「一刀流 三十六煩悩鳳!!!」

 

斬撃を百代にむかって飛ばす

 

「なっ!」

 

百代は何とか斬撃を避ける

ふぅ、驚いたなまさか斬撃が飛んでくるなんてな....

ふふ...やっぱり彼奴は面白いな...

 

 

「後ろだよ!旋風脚!」

 

龍樹は背後から旋風脚を食らわす

突然の出来事に反応できなかった百代は龍樹の蹴りを脇腹に食らう

 

「あああ‼︎ッッッッくっ‼︎」

 

龍樹の蹴りを食らった百代は10メートルほど吹き飛ぶが何とか体勢を立て直し着地する

 

「致死蛍」

 

着地した同時に百代は龍樹に向かって氣弾を飛ばす

 

「波動拳」

 

同じ様に龍樹も氣弾で対抗する

 

バチン!!!っという音がなりお互いぶつかった氣弾が弾け飛んだ

 

「はあ!」 「オラ!」

 

先程と同じ様に2人の拳が重なる

その威力は凄まじく辺りに衝撃となって辺りに響く

 

 

『………』

 

周りにいる修行僧達は声が殆ど出ていなかった。子供とは思えない程の力のぶつかり合いが起きているのだから....

 

 

「「ハア....ハア....」」

 

(ここまで長引くとは少し予想外だったな、流石鉄心さんの孫だな……だけど……俺だって負けるわけにはいかねぇんだよ!)

 

生きる者全てにはスタミナが存在する、当たり前の様にスタミナは無限にあるわけではない、鍛えればスタミナは伸びるものだ。この時点で二人のスタミナはほぼ同じだと云ってもいいだろう。

 

 

「川神百代!これで最後だ!次の一撃で終わらそう...」

 

龍樹は天に向かって高く飛びそして刀を構える

 

「一刀流!」

 

 

 

 

 

 

「私はまだお前と闘いたかったんだけどな、まあいいさ」

 

 

 

「か〜わ〜か〜み〜」

 

百代はかめは◯波の様な構えをとり氣を溜め始めた

 

「波!!!」

 

百代は極太のエネルギー波を放つ

 

 

 

 

龍樹はそのまま百代が出したエネルギーに向かって突っ込む

 

「ウオオオオオオオッッッ!!!」

 

龍樹はエネルギー波を刀で一閃する、一閃されたエネルギー波は真っ二つに割れた

 

「なっ!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーー楽しめたよ川神百代‼︎

 

 

 

 

その時の龍樹はとても笑顔だったそうな

 

「飛竜 火焔!!!」

 

龍樹は重心を加え百代を斬りつけた

 

「ガハッ………」

 

百代はそのまま意識を手放した

 

「勝者!神道 龍樹!!!」

 

鉄心の声で試合が終了した

 

「ありがとな...楽しめたぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「龍樹君、今日はありがとうのう」

 

「いえ、俺も楽しめたんでよかったです」

 

まさか同じぐらいの子にここまで強い子がいたなんて知らなかったし、いい経験になったと思う

 

「そうかい、それはよかったわい」

 

「その若さでココまで強いなんて予想外だヨ」

 

「親父やヒュームさんに鍛えられてますからね」

 

「どうだ?小僧俺とも一戦やってみねえか?」

 

釈迦堂はそう云いながら氣を龍樹にぶつける

 

「(この人...かなりできるな...だけど何だろうか?なんか荒々しい感じがするな...)」

 

 

龍樹は釈迦堂の氣を感じとり心の中で思う、この人も"戦闘狂"だということを。

 

「これ!釈迦堂!今日龍樹君は儂の我儘で来てもらっておるんじゃ、これ以上彼に迷惑をかけてはならん!」

 

「いえ、迷惑だなんて思ってないですよ、本当に来てよかったと思いますし、やっぱり色んな人と戦う事はとても大切だとわかりました」

 

「釈迦堂さん、今度来た時に相手して下さい」

 

「そうか、わかった、残念だかまた今度にしとくわ」

 

「はい、じゃあ、俺はそろそろ失礼します」

 

俺は3人に一礼をし家へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹が帰った後三人は百代の部屋に来ていた

百代はすでに目を覚ましていた。

意識が回復した百代は頬をプクッと膨らませていた

 

「惜しかったネ、百代」

 

「あーもう、悔しいなぁ〜」

 

「お主もまだまだ未熟だということじゃ」

 

 

 

同じ位の子に負けたのは初めてだ...

 

だが、何故だろう?私は悔しいと思っている確かなのに何だろう...この胸の高鳴り...ドキドキする...

 

「神道 龍樹...(ボソ)」

 

不意に彼奴の名前を呟いてしまう....

最初会った時は生意気な奴だと思ってた、だけど戦いになると彼奴の顔は別人の様に変わっていた。

真っ直ぐな眼差しで私を見ていた、ふいに思ってしまったカッコいいと......戦っている時の彼奴の顔はとても男らしい顔をしていた、普段私が通っている学校に男子は勿論いるが、私は一度も男子の事をカッコいいと思った事はなかった。周りの男子は私みたいに強くないからだ、勿論わたしが武道を習っているからもある。

 

だけど初めてカッコいいと思ってしまった....彼奴のことを....初めて会った男子に....

 

 

 

彼奴の顔を思い出すと顔が熱くなる...こんなの初めてだ...ていうか彼奴は!?

 

「じじい!彼奴は何処に居るんだ!」

 

百代は布団から勢いよく飛び出した

急に勢いよく飛び出したので鉄心、ルー、釈迦堂はびっくりしている

 

 

「龍樹君なら今さっき帰ったぞ」

 

その言葉を聞き百代は部屋を飛び出していった

 

「どうしタんでしょうかネ、百代ハ?」

 

ルーは百代の突然の行動の意味が分からなかった、ただし二人を除いては....

 

「いや〜若いっていいのぅ(ニヤニヤ)

 

「気持ち悪い顔すんなよ爺さん(ニヤニヤ)

 

「???」

 

二人が何故ニヤニヤしているのか分からないルーであった

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「今日は中々楽しかったな」

 

鉄心さんのお願いで彼奴と戦ったけど、面白かったな、確か、川神百代だっけ?あんな奴が居るとは思わなかったな

っと考えていると後ろから音が聞こえる

 

「ん?」

 

後ろを振り返ると何かがコッチに向かって走ってきている

 

「ーーーーーーて」

 

「誰だ?」

 

「まてーー!!」

 

「うお!!」

 

物凄いスピードで迫ってきたので横に避ける

迫ってきた者はキキキー!っと音を鳴らしスピードを殺した。

 

「ハア...ハア....やっと追いついた...」

 

「あれ?川神百代じゃねえか、どうしたんだよ?」

 

「いや...あの...一言いっとこうと思ってな」

 

なんか川神百代はそう云いながらモジモジしている、なんか話しにくい事なのか?

 

「なんだよ、一言って?」

 

 

「今回は私の負けだが、次は負けないからな!!」

 

そう云いながら百代は龍樹に向かって指をビシッ!っと差してくる

 

「それだけを云いにわざわざ追いかけてきたのか?」

 

「ああ!私は同い年ぐらいの子に負けたのは初めてだった、とても悔しかった。私はもっともっと修行してもっと強くなってお前に勝つ‼︎」

 

「いいぜ、また機会があればまた勝負してやるよ、だが次も俺が勝つぜ‼︎」

 

「私だって負けないさ‼︎」

 

「ふっ.....」 「ふっ.....」

 

『あはははははははは!』

 

二人はそう云いながら可笑しくなったのか笑いあった

 

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰るな、またな川神百代」

 

「モモ...」

 

「え?」

 

「私の事をモモって呼んでくれないか?」

 

その時の百代は顔が赤くなっていたが丁度夕方だったので顔が赤くなっているのに龍樹はわからなかった

 

「わかった、じゃあこれからはモモって呼ばせてもらうぜ、俺の事も龍樹って呼んでくれ」

 

「.....っ‼︎ああ‼︎///」

 

「じゃあ、そろそろ帰るな、またなモモ‼︎」

 

「またな‼︎龍樹‼︎」

 

そうして2人はそれぞれの家に帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

俺は家に着きそう云いながら家の中に上がる。

中から「龍樹、おかえり」「ワン‼︎」と云う鳴き声が聞こえてきた、親父とハクが出迎えてくれた。

 

「どうだった龍樹?川神院は?」

 

「なかなか面白い所だったよ、親父の云う通り色んな人と戦うのって大事だなぁーって改めて思ったよ」

 

「そうか、よかった、で、百代ちゃんはどうだったんだ?勝ったんだろ?」

 

「ああ‼︎勝ったよ。とっても強かったよ、まさか同じぐらいの子があんなに強いと思わなかったよ」

 

「まあ、いい経験になったろ?」

 

「うん」

本当にいい経験になったと思っているとお腹の音がグーっとなった

 

「親父ー腹減った」

 

「丁度出来たところだから入れるの手伝え」

 

「はーい」

 

2人と1匹は家の中に入って行き仲良く御飯を食べた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回もお願いします


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9話 武士道プラン登場‼︎

リアルの生活がようやく落ち着いたので書ける時間が取れるようになりました。これからも頑張って行こうと思います。宜しければ読んで頂けたら幸いです。


英雄...つまり偉人と呼ばれた人達がいた。

偉人と呼ばれた人達は後世でも語り継がれている。豊富秀吉、坂本龍馬、西郷隆盛、といった様に偉業を成し遂げた者達。

 

そんな偉人、つまり英雄のクローンを作ろうとしている財閥がいた。

 

 

ーーーーーーー九鬼財閥

 

 

九鬼の目的は、偉人達のクローンで現代の人材不足を解消させることが目的らしい。その武士道プランの発案者は九鬼序列2位のマープルと云う女の人らしい。

 

そして生み出されたクローンは4人だと、クラウディオさんから聞いた

 

1人は源義経、2人目は武蔵坊弁慶、3人目は那須与一、あと1人は...何故か教えてくれなかった、クラウディオさんに聞いてみると「私達にも分かりません」と云われた。

 

クラウディオさんは、九鬼の序列3位だ...知らないのはおかしいと思ったが、まあ...あまり気にしないでおこう。

 

 

そして、俺は今何をしているかと云うと、俺とクラウディオさんは一緒にクローンの子達の所へ船で向かっていた...

 

何故こんなことになっているのかと云うと

 

二時間ぐらい遡るーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間前、俺はハクと一緒にトレーニングをしていた。

トレーニングメニューは鬼ごっこだ。鬼ごっこがトレーニングになる訳ないと考えている人も居るだろう。だが俺は、いいトレーニングだと思う。鬼ごっこと云うのは俊敏性とスタミナが鍛えられる。

 

ハクはスピードが途轍もなく速い、だからトレーニングの相手にピッタリだ。勿論スピードだけ鍛えている訳ではない、筋力やスタミナも勿論鍛えている

 

最初の頃はハクにスピードで追いつくことは出来なかった、だけど最近はなんとか食らいつくことができるまでにはなってきた。

 

トレーニングが終わって俺と親父とハクは昼食を取っていた。そこにある人がやって来た。

 

そう、九鬼従者部隊序列3位のクラウディオさんだ。

 

「あっ、クラウディオさんこんにちは!」

「クラウディオ、どうしたんだよ」

「ワン」

「龍樹様、刃様、ハク様こんにちは」

「何か用ですか?」

「ええ、実は龍樹様に頼みたい事があるのです」

「頼み...ですか?」

「ええ、実は....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と云うことでして」

 

 

クラウディオさん話によると四人のクローンと1ヶ月間共に過ごして欲しいそうだ。クラウディオさんは四人に俺の事をよく話しているらしい、それで俺に会ってみたいと云っているらしい。

 

俺は話を聞いている内に俺もその四人に会ってみたいと思い始めた。だけどまた家を開ける事になる、しかも今度は1ヶ月間と云う結構長い期間だ。

 

俺は悩んだ末親父に相談してみると当然の様に「行って来い」と笑顔で云ってくれた。本当に良い人だとつくづく思う。

 

行く事に決めた俺は1ヶ月間長い期間過ごす為部屋に戻って荷物の支度をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————————そして今に至る

 

船を出してから二時間ほど経ったがまだ島は見えて来ない、流石に暇過ぎる...

 

「二時間経ちましたけどまだ島は見えて来ないんですか?」

 

「その場所は人が発見できない様な場所にありますからどうしても時間がかかってしまうんです、もう少しで見えてくると思いますよ」

 

まあ、確かにクローンと云う情報が漏れない為にも人が立ち寄らない場所にしているのは当たり前か...地図にも載っていないらしいしな....まあ、九鬼が所有している島に立ち入ろうとする奴はまずいないと思うけど...と云う風に考えていると島が見えて来た。

 

「あの島ですか?」

 

「ハイ、あの島です」

 

船が島に近づくに連れて島の大きさもわかる様になってきた、まあまあかなりデカイ島だ。ビーチに人影が見えてきた、女の子3人と男の子1人、スーツを着た男の人、彼は九鬼家の関係者だろう。

 

船が岸に着き、俺は荷物を持って船から降りる。

その後に続く様にクラウディオさんも船から降り、俺と並ぶ様に歩く。そして、一人の女の子が声をかけてきた。

 

「クラウ爺、義経は待ちわびたぞ!その子がクラウ爺が云っていた?」

 

「ハイ、そうですよ」

 

自分の事を義経と云っている子が、此方に近づいてくる。その義経に連れて三人も此方に近づいてきた。

 

「初めまして、義経は義経だ!よろしくな!」

 

自分の事を義経と名乗る女の子は自己紹介をしながら手を差し伸べてきた、こういう風に積極的に接してくれると此方も接しやすい、俺も自己紹介をしながら義経と握手をする。

 

「よろしくな義経、俺は神道龍樹、1ヶ月間世話になる」

 

「よろしくな!龍樹君!、それでコッチが」

 

「弁慶でーす。よろしくー」

 

義経の横に居た女の子は片手に器を持ちながら気だるそうに挨拶をしてくる、髪の毛が癖っ毛の女の子。挨拶をしてくれたので俺も挨拶をしてかえす。

 

「よろしくな、弁慶!」

「はいよー」

 

のほほんとした返事をかえす弁慶。片手に器を口に付け、クイっとあげる。何かを飲んでいるようだが、気にしないでおこう。そして、弁慶の隣にいる鼠色の髪をした男の子に挨拶をしようと手を差し伸べようとすると...

 

「おっと、気をつけな...俺の手に触れると邪悪な気がお前に呪いをかけるぞ」

 

ーーーーーーーーえっ?……邪悪?ドユコト?どしたんだろ...っと考えていると弁慶が男の子に近づき...

 

「ちゃんと挨拶をしな」

 

男の子にプロレス技をかけ始めた。

 

「痛デデデデデデデ!痛いって姉御!痛いって!」

 

「ごめんねー龍樹、与一は厨二病なんだ気にしないでね」

 

 

目の前の出来事に呆気に取られているが気にしないでおこう、与一は与一できっと事情があるんだろう、うん。

 

「すまない、龍樹君、与一は人付き合いが苦手なんだ、だが悪い奴ではないんだぞ!」

 

義経は必死に与一をフォローしてくる、優しいんだな義経は...

 

「弁慶、一様挨拶しておきたいから離してあげて欲しいんだが」

 

「ん?ああー了解ー」

 

弁慶は与一を解放し義経のとなりに並ぶ、俺は与一の側に行き倒れている彼に手を差し出す。

 

「大丈夫か?顔真っ青だぞ...」

 

「すまねぇ、助かった...」

 

与一は龍樹の手を取り起き上がる。服に付いていた砂をパンパンと払いのける。

 

「よろしくな」

 

「ちゃんと挨拶をしとかねぇと、また姉御に何されるかわかんねえからな、那須与一だ」

 

やっと素直になったのか与一はようやく握手をしてくれた、そしてもう一人の女の子が俺に挨拶をしてくる。その女の子は清楚な感じでまさに大和撫子という単語がピッタリの子だ。

 

「私の名前は葉桜清楚っていいます。宜しくね龍樹君」

 

「宜しくな!清楚!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「龍樹君は、ハクッて云う犬を飼っているのか?」

 

「いやぁー犬というより狼っていうか何というか、よくわかんねぇんだよな」

 

「ぷっ!なにそれ!?」

 

『アハハハハ』

 

俺たちは自己紹介の後別荘の中に入り和気藹々と話し合っていた。みんなからの質問攻めのラッシュがあったが俺みんなの質問に答えていた。俺ばかりに質問攻めにも飽きてきたので今度は俺からも質問してみるか

 

「俺ばかりじゃなくてさ義経達の事も教えてくれよ」

 

「でも、義経達の事を聞いてもなにもないぞ」

 

義経はそう云い少し表情を暗くしてしまう。それを見た三人も少し申し訳なさそうな感じだ。

 

「何でも良いんだぞ?好きな食べ物の事とか好きな遊びとかさ、なんでもな」

 

「そんな事でいいのか?」

 

「ああ」

 

「其れなら義経達だっていっぱいあるぞ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

随分と話していたのかもう夕方になっていた、楽しかったから時間が経つのも早く感じるな。すると『グゥゥゥゥー』と云う音が聞こえてきた。

 

「主ーお腹空いたー」

 

弁慶は義経に持たれながらそう呟く。

 

「私もお腹空いてきちゃった」

「義経もだ」

「俺も」

 

弁慶の言葉で清楚、義経、与一も空いたと口に出す。まあそろそろ夕飯の時間だしな、俺も腹が減ってきた

 

「ねークラウ爺ーお腹空いたー」

「そうですね、そろそろ晩御飯を作りましょうか」

 

クラウディオさんは、読んでいた本をパタッと閉じ、台所へ向かう。

 

「あっクラウディオさん、料理なら俺が作りますよ」

 

「そういうわけにはいきませんよ、龍樹様は皆さんと寛いでいてください」

 

「俺、親父と一緒に作ってるから料理は得意なんですよ。それに、俺はまだ四人と会ったばかりだから、もっと俺を知ってほしいんです。四人に俺の手料理を食べてほしいんです、もちろんクラウディオさんにも」

 

「龍樹様...わかりました、それではお願いしますね。何かあったら呼んでください」

 

クラウディオは四人のいる所に戻り、読んでいた本を読み直し始めた。

 

「さて始めますか」

 

 

 

 

 

 

 

———————————————————————————————————————————————————————————————————————

 

「龍樹君大丈夫かな?」

「腕に自信があるみたいだから大丈夫だと思うよ」

「どんな料理か義経はワクワクだ」

 

三人は龍樹がどんな料理を作るのか興味津々で台所にいる龍樹を見ていた。与一は漫画を読んでいたが料理をしている龍樹が気になるのかチラチラと横目で見ていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よし出来た」

 

皿を六人分用意をする

ご飯を皿に乗せ、その上にルーをかける。俺が作ったのはカレーライスだ。スパイスの匂いが鼻をくすぐりより一層空腹を引き立てる。

 

「お待ちどうさま」

 

俺はカレーライスを五人の元に運んでいく

 

「わあ!美味しそう!」

 

「う〜んいい匂い」

 

「わあー!」

 

「おお!」

 

「ほおー」

 

皆んな驚いてくれている。作ったのは普通のカレーライスだけどな、問題なのは皆んなの舌に合うかどうかだ。皆んな人それぞれの好みとかがあるからな。

 

「食べてみてくれ、感想が聞きたいから」

 

『いただきます!』

 

五人がスプーン手に取りカレーをすくう、出来立てなので湯気が出ている。五人はカレーが乗ったスプーンを口に運びいれた。

 

 

 

 

 

『!!!』

 

 

 

 

皆んなの動きが止まった……

もしかして口に合わなかったのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『美味しい!(です!)・美味い!』

 

 

 

 

 

「ほおっ!?」

 

突然大きな声でビックリして変な声がでてしまった。

 

「龍樹君!とっても美味しいよ!」

 

「幾らでも食べれそうだよ」

 

「こんなに美味しいカレーは義経は食べたことがないぞ、龍樹君!義経は感激だ!」

 

「………(うめぇ!)」パクパクパクパク

 

「素晴らしいですね、スパイスの香りが広がりより一層美味しさを引き立てている。そして肉の柔らかさ....九鬼の専属コックでもここまでの品は出せないでしょう」

 

おおー!皆んな喜んでくれた。

よかった...内心すげードキドキしてたからな。こうやって人に作るのは親父以外で初めてで緊張したが上手くいったようで安心した。

 

「ありがと、口に合ったようで嬉しい」

 

「ねえねえ龍樹、他にも料理は作れる?」

 

「ん?ああ、大体のものは作れると思うぞ」

 

「じゃあさ、今度摘み作ってよ」

 

弁慶は俺に持たれながら頼み込んでくる

 

「摘み?ああいいよ」

 

「約束ねー」

 

弁慶は俺から離れ中断していた食事を再開し始めた、俺も再び食事を再開した。

 

 

————––———————––——————–——————––——————––——————––——————––——

 

『ご馳走様でした!』

 

「龍樹君ご馳走様!とっても美味しかったよ!」

 

「美味しかったよ龍樹」

 

「美味かったぞ!龍樹君!」

 

「……美味かった」

 

「とても美味しかったですよ」

 

皆んなが美味しいと言ってくれた、ただそれだけの言葉で嬉しくなってくる。

 

「お粗末様、ありがとな」

 

食事を終え後片付けをする俺たち。俺は食器を台所に持って行き皿洗いを始めた。

 

「龍樹様、皿洗いまでやる必要はありませんよ」

 

「えっ、でも...」

 

「龍樹様今日はもう休んで下さい、後は私がやりますから」

 

「わかりました、じゃあ俺は風呂に入ってきます」

 

俺は自分の荷物から着替えとタオルを持ち風呂場えと向かい、その日の疲れを癒した……。風呂からでた後はリビングで足を伸ばし寛いでいた。暫く寛いでいると眠気がし始めてきた。

 

「ふぁ〜」

 

時計を見てみると10時を回っていた。義経たちは俺より先にもう寝たらしい。明日も早いだろうし俺もそろそろ寝よ

 

「クラウディオさん、俺そろそろ寝ます、おやすみなさい」

 

「はい、おやすみなさい」

 

用意された部屋に行きベッドの中に入り、1日の出来事について振り返る。クローンの子達との出会い……源義経、武蔵坊弁慶、那須与一、葉桜清楚……皆んないい子達でよかった。この1ヶ月間彼等達と過ごす事で俺は何を得るのか楽しみだ、そろそろ寝よう……

 

俺は眼を瞑り眠りについた———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回も読んで頂けたら幸いです。


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10話 夢のために……

最近寒くなり始めましたね
皆さんも風邪に気をつけてくださいね



「龍樹君!義経と試合をしてくれないか?」

 

朝起きて朝食を食べていると義経に試合を申し込まれた、朝起きてから時間が経っているとはいえ朝から大きな声出されると頭が痛くなったが気にせず話を聞く。

 

「試合?なんで?」

 

「龍樹君の実力は聞いている、武人として龍樹君と試合をしたい!」

 

「私も興味があるなー」

 

義経の話に弁慶も乗り出してくる。武士道プランの子達、クローンの実力はきっと高いだろう。義経と弁慶....武を習っている者として彼女らの実力は気になる

 

「俺は構わないぞ、俺も義経たちの実力を見てみたいからな」

 

「そうか、ならこの後頼む」

 

「私もね」

 

俺達は朝食を再開した––————

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

朝食が終わり俺達は外に出る、外は快晴雲ひとつない晴天だ、日差しが照りつけ少し暑い。

 

「クラウディオさん審判お願いします」

 

「はい、わかりました」

 

俺と義経双方向き直り対峙する

弁慶と与一と清楚は少し離れたところで見学している

 

「義経は刀を使うのか?」

 

「ああ」

 

「相手が刀を使うのなら俺は刀でやらせてもらう」

 

当然怪我をさせる訳にはいかないので使う刀は模擬刀だ。刃は潰れて厚くなっている。当たっても衝撃はあるがそこまで痛くはない。

 

「お互い準備はよろしいですね?」

 

「はい」「ああ!」

 

「それでは只今より!神道 龍樹様と源 義経様の試合を開始します!それでは試合....開始!」

 

「源義経!いざ参る!」

 

義経は俺に向かって刀を一閃する、一閃された剣筋は凄まじく俺を襲いにかかる

 

中々速いな...だが避けられない程ではないな...

俺は身体を斜めに傾ける、一閃された刀は空を切る。俺は後方へ飛躍し着地する。義経は開いた距離を一気に詰め寄り瞬時に俺の後ろに回り刀を振り下ろす。

 

「ハアッ!」

 

さっきより速いな...これは避けれねぇな...

 

俺は前を向いている状態で義経の一閃を受け止める

刀が双方触れた直後

 

ガキン!!

 

という音が鳴り響く。

 

「見事な一閃だな」

 

「龍樹君も義経の一閃を受け止けとめたのは驚きだ!」

 

ッッッ!結構力あるな...力も申し分ない、そろそろ俺も反撃するか...

 

俺は刀を受けたまま身体を回転させ横へ飛躍する、その回転を利用し左から切り上げる。

 

「ぐッッ!」

 

回転を利用した龍樹の一閃は重く鋭く速いものだった。力では勝てないと思った義経は距離を取り体制を立て直すが、龍樹はすぐさま義経に詰め寄り刀を振るう。一方的に義経は守りに徹してしまっている。

 

「まだまだ行くぜ!」

 

龍樹は何度も何度も刀を振り義経を追い詰める

激烈と状況の中で遂に刀が止まった....

双方の刀が刃が重なり動かなくなる、いわば鍔迫り合いだ。

 

「ぐッ!」

 

「………」

 

義経は苦悩の声を出すが龍樹は苦悩の顔は一切していない。力の勝負に持ち込まれると圧倒的に龍樹が勝っている。龍樹は更に力を込めた、頑張って踏ん張っているのがわかる様に砂が積もっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———————そろそろ終わらせるか....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹は力を一気に緩めた、義経は力を込めていた....

これを利用する、義経は何とか踏ん張って体制が崩さない様前に力を押していた。片方がそれを緩めるとどうなるか....軸がブレるという結果になる。

 

俺は思いっきり刀を下から上に切り上げる

 

ガキンッ!!!

 

っという音がなり義経の持っていた刀は宙を舞い砂浜に突き刺さった。武器を離した義経の首筋にピタリと刃をくっ付けた。

 

「ぐっ....義経の負けだ」

 

「勝者!神道 龍樹様!」

 

試合終了の言葉が辺りに響き刀を降ろす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

「すごい....」

 

「主が...負けるなんて...」

 

「すげーな」

 

3人共龍樹の実力を目の当たりにし驚きの表情を浮かべていた。

 

 

○○

 

 

「強いな義経は」

 

「いや、龍樹君には全く叶わなかったよ」

 

「まあ、勝負に関しては負けるつもりはないからな」

 

「龍樹君、お願いがあるんだが...いいかな?」

 

「何だ?」

 

「また、試合をしてくれないかな?」

 

「ああ、別に構わねーよ」

 

「ありがとう!感謝する!次は負けないからな!」

 

義経は満面の笑みでそう言う、その表情の可愛さに思わず此方も笑みを浮かべてしまい頭を撫でてしまっていた

 

「あっ...えへへ」

 

頭を撫でると義経気持ち良さそうに目を瞑り笑みを浮かべ微笑む。その姿はまるで小動物の様な感じで可愛い。暫く撫でてしまっていることに気付き頭から手を離すと....

 

「あっ....」

 

なんか残念そうな表情を浮かべる義経....もう一度頭を撫でてみると

 

「えへへへ」

 

また気持ち良さそうに笑う

 

 

 

 

 

 

 

なにこの可愛い生き物....あまりにも可愛さに思わず

 

「可愛いな、義経」

 

「なっ!///義経は可愛くないぞ!///」

 

俺の言葉に義経は顔を赤くしながら否定してくる

 

「否定しなくていい、義経は誰から見ても可愛いいって」

 

「ううっ///」

 

顔を真っ赤にさせ俯いてしまう義経...何で顔を赤くするんだ?と考えてると弁慶が近づいてくる

 

「なに主を口説いてんの?」

 

「いや口説いてねぇって、本当の事しか言ってねえのに」

 

「天然たらし」ボソ

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「別に、それより龍樹、私との勝負忘れてないよね?」

 

「ん?ああ、忘れてねぇよ、やろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

「それでは神道 龍樹様と武蔵坊弁慶様の試合を始めます....それでは試合開始!」

 

「こないのか?」

 

「じゃあ...いかせてもらおうかな...そい!」

 

弁慶は距離を瞬く間に詰め寄り当身をくりだす

 

「....!!」

 

なんつー力!...モモといい勝負か....いや下手したらそれより上かもしれねぇな...

 

龍樹は直ぐに距離を詰め寄り右脚で上段蹴りを横腹に喰らわそうとするが弁慶はその一撃を錫杖で防ぐ。

龍樹は一旦弁慶から距離を取り氣を溜め始める。

 

「武装」

 

龍樹は腕に武装をかけ一気に詰め寄りそして渾身のストレート!

 

「腕が黒く!..ぐッッッ!」

 

龍樹のストレートに苦悩の声を上げる弁慶はすぐさま後ろに飛躍する。弁慶は文字通りパワーで押し切るタイプか...なら力は力で押し切る!

 

龍樹は先程のストレートより桁違いの突きを弁慶腹めがけて打ち込む。

 

「(さっきよりも速い‼︎)」

 

二度目の防御、先程と同じ様に錫杖で防ぐと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———————————パキンという音と共に弁慶が持っている錫杖が砕けた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あ....」」

 

開いた口が塞がらないとは正にこの事だろう...

 

○○

 

「ええーーー!!弁慶ちゃんの錫杖が粉々になっちゃったよ!!」

 

驚く清楚に対して

 

「九鬼家が作った特別製の物をこうもあっさりと」

 

「龍樹君は凄いな!!」

 

「アイツどんな腕してんだよ」

 

冷静過ぎる3人であった

 

○○

 

「なんかゴメン、でも砕いといて何だけど結構脆いんだなそれ」

 

「いやいや、普通はこんな粉々に砕けるものじゃないんだけどね」

 

「あーー...どうする?続きするか?」

 

「いや、降参」

 

弁慶両手を上にあげ降参のポーズをとる動作をする

 

「ん?いいのか?」

 

「自分の得物が無くなったら戦う意志はないよ、それに龍樹の実力はわかったしね、私じゃ勝てないよ」

 

「そう...わかった」

 

「だけど」

 

そう言うと弁慶は俺の顔をじっと見つめ

 

「代償は取ってもらうよ」

 

「わかった」

 

「じゃあ、この後付き合ってね」

 

「急すぎねえか!?」

 

「錫杖」

 

「わかりました」ビシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

「プハァ!美味い!これに限る!」

 

おっさんみたいな台詞を吐き出しながら器を口から遠ざける、因みに弁慶が飲んでいるのは川神水ノンアルコールだが場で酔えるというもの。あと弁慶はアルchゲフン!ゲフン!なんでもないです。まあ彼女らと何日かは過ごしてきたからこの様な光景は日常化した様なモンで見慣れている。

 

「またそんなにのんだら義経に怒られ「錫杖」ハイ....」

 

「ばれなかったらいいの」

 

そう言う問題か?

 

「そう言う問題」

 

「心の中読むなよ」

 

「ん?...そんな事考えてたの?」

 

「はめたな..」

 

「ほら、取り敢えず魚焼いて」

 

「はいはい」

 

俺は釣りたての魚を七輪の網の上にのせ焼き上げる、只今錫杖の分の代償を払う為に弁慶に摘みを作っております。

 

「それにしてもなんでそんなにホイホイ釣れるの?」

 

視線を横に眼をやるとクーラーボックスの中には溢れんばかりの大量の魚が入っている

 

「いや、これ位普通だぜ?」

 

「いやいや、龍樹の普通っていう言葉は普通じゃないよ」

 

「それよりさ、1つ気になったている事があるんだけど」

 

「なに?」

 

「なんでくっ付いてるんだ?」

 

弁慶は俺の肩に頭をコテンと置く様な感じでくっ付いている

 

「...いや?」

 

「嫌じゃねえよ、なんでくっ付く必要があるのか聞いてるんだよ」

 

「ん〜〜...私がこうしたいからだよ」

 

「なんじゃそりゃ」

 

俺は作業に戻り魚の焼き目をチェックしていく

 

「ほら焼けた」

 

俺は魚を灰皿に乗せ弁慶に差し出す

 

「いただきます、ハム、モグモグ、んーん!美味しい」

 

「そりゃよかった」

 

余程気に入ってくれたのか凄い勢いで魚の身が減っていっている。

 

「龍樹少し聞いていい?」

 

「どした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————龍樹はどうしてそんなに頑張れるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ突然」

 

「いいから教えて」

 

普段の私は自分でもよくわかっている、めんどくさい事はやりたくはない性分。クローンの私は主である義経を支えていくため、将来は決まっている様なものだから。だけどわからないどうしてそこまで頑張れるのか、何のためにそこまで出来るのか気になっていた。

 

「【夢】なんだ...」

 

「夢?」

 

「そう....夢...後悔したくないから...その為に頑張るんだよ、そして親父との約束があるから...俺の夢は世界最強になる事だ!」

 

「世界最強?なれるの本当に?」

 

「なれるかじゃない...なるんだよ」

 

「え?」

 

「俺がなるって決めたんだから、どんなに高い壁が立ち塞がろうとも何度でも乗り越え...そして...大切な人達を守るんだ」

 

後悔したくない...あの日の出来事を繰り返したくないから俺は先へ進まないといけない、修羅と言う道を歩むことになったとしても...

 

「近道なんてしない...長い道のりを乗り越え先へと歩き続ける...俺の夢は遥か彼方の先...挫折したとしてもどんな事でも俺は死ぬまで夢を諦めねぇ!」

 

俺は海の遥か彼方の方向を見ながら語る

 

「………」

 

俺の言葉に終始無言の弁慶

 

「あれ?答えになってないか?」

 

「……ううん、充分答えになってるよ、大切な人達を守るため...か...ねぇその大切な人達って私達は入ってる?」

 

「当たり前だ、弁慶達は俺が守ってやるよ」

 

俺はそう言い弁慶の頭を撫でる

 

「んっ///」

 

「あっ悪い、嫌だったか?」

 

「ううん、嫌じゃないよ、そのまま撫でて///」

 

「わかった」

 

俺はそのまま弁慶が満足するまで頭を撫で続けた

 

 

 

 

○○

 

「弁慶ー!龍樹君!おーい!」

 

声がする方に向いて見ると義経達が手を振っている。

気づけば空はオレンジ色になっており夕方になっていた。随分と此処にいたようだ。楽しいと感じていたからなのか時間が経つのが早く感じると言うのはよく言ったものだが本当に改めてそう感じた。

 

「弁慶、そろそろ戻ろうぜ」

 

「...うん、そうだね」

 

そう言いながら歩き出す龍樹の背後を見る弁慶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—————もう少し二人きりでいたかったな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう心の中で呟く弁慶。

彼女の心は自然と彼に惹かれていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————好きだよ....龍樹...責任とってもらうからね

 

 

 

 

 

 

 

大好きな彼の背中を見つめながら義経達の元に戻る弁慶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




急すぎましたかね?
ご都合主義の作品なのでごめんなさいm(_ _)m
次回も読んで頂けたら幸いです


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11話 アニキと悲劇の悪夢

続きをどうぞ!


武士道プランの子達と過ごして20日程。

自分で思うにだいぶ親睦は深めたと思う。義経や弁慶、与一やそして清楚、クローンの子達の趣味や好物、最近は与一や清楚と本を読む事が暫し多くなった。与一は漫画、清楚は小説や週刊を読む事が多い。自分は余り本は読まない性分だったが勧められて読んでみると意外と面白かった。此処だけの話だが与一が中二病になった事に納得してしまう自分がいる。漫画やアニメのキャラに憧れるのは子供の夢なのだと思う。別に中二病になりたいわけではない

 

因みに今俺は与一と漫画を読んでいる

 

「なあ?」

「どした与一?」

「お前最近姉御と仲良いよな」

「まぁ、此処にきてから結構経ったからな」

「姉御の事どう思ってる?」

「唐突な質問だな...弁慶のことか...可愛いと思うけどな」

 

俺は弁慶の事について正直に話す。

その事に対して与一は

 

 

 

 

「えええええええええええええ!!!!!!」

 

 

 

俺の返答に予想だにしてなかったのか驚きの声を上げる

 

 

「ビックリした...いきなり大声出すんじゃねぇよ、耳痛くなったわ」

「いや...お前...真剣か?!」

「お前どんだけ弁慶の事危険視してるんだよ」

「何時も何かあったらコブラツイストをかけられるからさ」

「お前が素直になんねぇだけだろがよ」

「それでもだよ、俺...お前の事真剣で尊敬するわ!」

どんだけ弁慶の事危険視してんだ...それ程オッカナイ存在なのか?与一のなかでは..,

 

「お前のこと兄貴って読んでいいか?」

「何でそうなるんだよ!?」

「そして頼みがあるんだが」

「話きけよ!?....なんだ?」

「姉御にさ、絞め技をするのを抑えるように言ってくれねぇか?」

「いや、それぐらいはいいけどよ、何で兄貴なんだ?同い年の子に兄貴呼ばわりされるのってむず痒いんだが」

 

 

俺が一つ歳上ならわかるけどな

 

 

「俺の周りってさ女ばっかりだろ?しかも立場的に考えると俺が1番しただろ?」

「そうなるのか?」

 

クローンの縦社会とかあるのか?

 

「俺が他人に助けを求めば彼奴らに呪いがかかってしまう、闇の住人である俺は光の住人達に迷惑はかけたくねえんだよ」

 

つまり与一は自分はクローンの中で唯一の男。他の子は女の子。男が女に頼るのは男として将に触るというわけだ

 

「つまり頼れるアニキ的な存在がほしいと?」

「ああ」

「俺なんかでいいのか?」

「お前じゃなきゃ嫌だ!」

 

なにこれ?...告白するときみたいに言うなって

あと、目をキラキラさせんな、いつもの中二病はどうしたんだ!?

 

「わかったよ、好きにしな」

「頼むぜ兄貴!」

「はいはい...うーん、じゃあさ俺も聞きたいことがあるんだけどよ、お前は弁慶のことどう思ってるんだ?」

「ゴリラのように頼りになる姉御」

「ゴリラって...弁慶のクローンだから仕方ないと思うけどゴリラって失礼なやつだな...それ聞かれたら怒られ......」

 

 

 

 

俺はその時身体が硬直した...

まるで自分が獲物に...何か大きな存在に睨まれているような

そんな感じがした....

 

全身に這い回るような悪寒が全体を包み込んでいた

 

 

 

 

 

 

 

—————————それは生物としての生存本能

 

 

 

 

 

 

 

俺の意思とは関係なく身体が逃げろ!と脳が発信していた。

 

 

 

 

 

———————そして俺は気づいた....与一の後ろには弁慶...いや...何かがいた...

 

 

 

 

「…………」ゴゴゴゴゴゴ‼︎‼︎‼︎

 

 

 

 

 

あれ?おかしいな...弁慶の背後に阿修羅がいるんだよね汗

 

弁慶の後ろに佇んでいる後ろの化身のようなものは腕をを組み仁王立ちのような物を想像させられる威圧感を放っていた。

 

 

完璧にキレとるじゃないですか....

 

 

何故か与一は後ろの存在に気づいてはいなかった

あれだけの威圧感を放たれていたら感じるんだがな

 

「ん?アニキどうした?」

「いや〜誠に言いにくいことなのですがね、後ろをご覧下さい」

「ん?後ろ?………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オア!!!!」

 

 

後ろの弁慶に驚く与一

 

「私が.....なんだって?」

「いや...その...」

「なんだってって聞いてるの」

 

 

あたりに沈黙が流れ始め出した空気。その空間だけ1秒が一時間という程に感じさせるほどの気まずさに逃げ出したくなってくる。

 

「(逃げ出したい!此処(地獄)から!)」

 

俺は逃げ出すことが可能だが与一は腰が引けてる。

どうする...俺は与一を見捨てるのか!?

どうすれば弁慶の怒りを沈められる!?

 

1.素直に謝る

2.逃げる

3.神に願う

 

どれだ?どれを選べばいい...

 

俺が考えた答えは————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1の素直に謝っておこう

人間素直が1番だ、ちゃんと謝れば人は許してくれる。

うん、そうだ、そうに違いない‼︎

 

最早自分が何を言ってるのか訳が分からなくなってきていた

 

龍樹はそっと与一に近づき耳元で囁く

 

「(素直に謝っておけ)」

「(いや、謝っても俺は生きてる未来を想像できないぞ)」

「(大丈夫だ、骨は拾ってやるさ)」

「(それ死んでるってことだからな!?)」

「なにコソコソ話してんの....」

 

弁慶のドスのきいた声に思わず身体が震えてしまう

 

「(早く謝れ!このままじゃ!)」

「(……わかった)」

 

そして与一は覚悟を決めたのか気を決して弁慶の前へでる

 

「姉御……その……すいませんでした!」

 

与一の渾身の土下座炸裂!

 

果たして結果は—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おしおき♪」

 

無念虚しく全く効果なし

俺はそっとその場から立ち去る

 

弁慶は与一にじりじりと近づく

 

「与一、覚悟はいいね」ニコッ

「姉御!まっ「問答無用!」ぎゃー‼︎」

「………」

 

 

残念だ、舎弟が出来た日に舎弟を失うとは。

 

 

 

 

与一………無事でいてk「ギャアアアアア」………

 

 

お前のことは忘れないぜ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、顔面蒼白、口から泡を吹いている与一が発見されましたとさ。

 

あの後確認したら「闇は光に毒だ...」なんて言ってました。全く意味がわかりませんでした。

 

○○

 

「ハア!」

 

 

「ふ!」

 

 

二つの刃が交え甲高い金属音が辺りに響く。

 

 

「義経!力で振りすぎだ!もっと身体全体を使わねぇとバテるぞ!」

 

「私もいることを忘れちゃあダメだよ」

 

 

左から弁慶の突きが入ってくる

 

「弁慶、相手が死角にいる時に声出すな」

 

弁慶の突きを左手で受け流し、その勢いを利用し背中に掌底。

 

「ぐっ!!」

 

掌底打ちで弁慶は飛び砂浜に転がる

 

「すきあり!」

 

「だから声をだすなって!」

 

 

背後から義経の一閃された刀は当たることはない

そのまま腕を掴み勢いよく背負い投げをする、叩きつけられた義経は背中に大きく衝撃受け刀を手放した

 

 

「俺の勝ちだ、だいぶ良くなったと思うがまだまだ甘いな」

 

「うう〜また負けた」

 

「強すぎだよ龍樹」

 

「お前らがまだまだだってことだよ」

 

「義経はまだまだ精進しなければいけないということだな、よし弁慶これからも頑張るぞ!」

 

「そうだね」

 

「皆さま、そろそろ夕飯の時間ですよ」

 

クラウディオさんの声が耳に聞こえ俺たちは家の中へと入っていく。

 

 

「アニキ、お疲れ、観てたがやっぱ強すぎだろ」

 

「まだ俺の方が上だということだよ」

 

「ねぇ与一、どうしてあんたは模擬戦今日はやらなかったの?」

 

「アニキがどんな動きをするかもう一度よく見ておこうと思ってさ」

 

「観察するより一戦した方がいいと俺は思うけどな」

 

「俺ら3人を相手にしても楽勝で勝った相手に差しで勝てるわけねえだろ」

 

実はこの間一対三の試合をしたが、実力は申し分なかったが動きが単調すぎた。動きが単調すぎると予測が楽になってしまう、覇気を使えば相手の動きをわかるが使うまでではなかったということだ。

 

 

「まあ、義経は先程云ったとおり力で刀を振りすぎだ、弁慶はスピードが足りてない、与一は正確さはいいがスタミナがない、今俺が言った箇所を伸ばせばもっと強くなれる」

 

「「「わかった・りょーかい・ああ」

 

「さっ、今はそんな事より飯だ飯」

 

 

そして俺たちは夕飯を食べた...だが、その食事中一言も喋らない子がいた

 

 

「………」

 

 

清楚だ。

 

 

「……清楚?」

 

 

「………」

 

あれ?無視?返事がない

 

 

「清楚!!」

 

「ふあ!?えっ...どうしたの?」

 

「あ、悪い驚かせたな、いや呼んでも返事がないからさ、ちょっと心配になってよ」

 

「あっ..,うんごめんね、大丈夫だよ...」

 

明らかに元気がない...ここ最近ずっとその言葉で一点張りだ。もし何か困ってるなら力になってあげたいが、今この調子だと答えてはくれないだろう。

 

「そうか、それならいいんだけど」

 

「うん....心配かけてごめんね」

 

「それじゃあ俺はもう寝るな、おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

 

俺はそのまま寝室へ向かう

 

何かにだいぶ悩んでる証拠だな、あれは...

もし、何かが重荷になっているのなら助けてやりたい

 

 

清楚にあんな暗い顔は似合わねぇーよ

 

 

今は寝よう、ゆっくり考えればいい

俺はベッドに入り意識をゆっくりと夢の中へと沈ませた

 

 

○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生きて...幸せになって...』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この声...母さん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『龍樹....俺は幸せだったよ...お前が俺の息子で本当に良かった...ごめんな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度はお父さん?

 

 

 

ああ...そうか...俺...夢見てるんだ...嫌な思い出の...あの出来事を...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『龍樹...兄ちゃんなとても嬉しかったよ、お前の兄ちゃんだったことが...もっと遊びたかったけど...ごめんな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やめろ...やめてくれ....

 

 

 

 

 

 

 

 

『ホントに勿体無い、これ程の力を人の為に使うなんてな』

『まったくだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場所にいた無数の人衆。研究者の白衣のような物を着ている奴等。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————————そんな奴等に俺は何も出来なかった

 

 

 

————––———愛する家族を守れなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『サヨナラ...龍樹...』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『愛してる....』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やめろおおおおおおおおおおおお!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッッ!!!」

 

意識が覚醒しベッドから飛び起きる

 

 

「ハア...ハア...」

 

 

息が苦しく何とか息を整える

汗もかいてる。

 

 

「チッ...くそッ!」

 

 

また..あの夢だ...

 

 

別にこれが初めてじゃない

あの日の出来事は夢に偶に出てきていた。夢と言うのは起こった出来事を強く印象に残っているものが夢に出てくるらしい。俺の場合は家族を失ったことが強く印象に残っているからだ...

 

 

だけどあの時とは違う

もうあんな思いをするのは御免だ

 

 

チッ...胸糞わりぃ

 

 

「はあ...少し風に当たるか」

 

俺は重い足取りをあげ部屋を出た

 

 

○○

 

外へ出ると、満天の星空が辺りを照らしていた。都会と違い建物が殆どない島。夜になるとそこは誰も居ないかのように静かになる、聞こえるのは波の音だけが聞こえてくる

筈だが...何か別の音が聞こえてくる

 

 

俺はその音の元へと歩き出す

 

歩く度に下から伝わる砂の音そして波の音、そして満天の星空、まるで一枚の絵画のような風景に誰もが魅了されるであろう。

 

段々と音が大きくなっていた

 

 

「...清楚?」

 

清楚は身体を抱え込み膝の上に顔を埋めるような体勢をとっていた。よく見ると小刻みに震えているのが見えた

 

 

「清楚、どうした?そんなとこにいたら風邪ひくぞ」

 

「あっ....龍樹君、どうしたのこんな夜中に」

 

それはこっちの台詞なんだけどな。

時間は夜中の一時を回っていた、こんな時間に一人でいるなんて感心しないけどな。

 

まっ、それは俺もか

 

「寝てたんだけど目が覚めちゃってさ、散歩しようと思ってよ」

 

「そうなんだ....」

 

言葉を返してくる清楚には覇気が全くなかった。

それに少しだけ声が震えていた

 

「清楚……お前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いてたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




文才が欲しいなとつくづく思います。
これからも精進していきます


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12話 悩みと別れ

11月もそろそろ終わりに近づいてきましたね。
続きをどうぞ


「お前……泣いてたのか?」

 

「えっ…………」

 

俺の問いに清楚は思ってもみないことを聞かれたような顔をして固まってしまった。

 

その反応からすると当たりだな

 

「なんで泣いてたのか教えてくれないか?」

 

「………」

 

気まずい空気が流れている。

 

「………悪いっ!別に言いたくないならいいんだ、じゃあ、俺戻るな」

 

なんとかしたいという気持ちが自己嫌悪に陥ってしまう龍樹。龍樹がその場から離れようとすると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まって!、聞いてくれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ああ、聞くよ」

 

俺は清楚の横に腰を落とし座る。

俺が座ると同時に彼女は口に出す。

 

 

 

 

 

「私ってほら……誰のクローンか教えてくれてないでしょ………どうして私だけなのかなって、義経ちゃんや弁慶ちゃん、与一君はわかっているのにどうして私だけなのかなって」

 

語りだされる少女の言葉に俺は静かに耳を傾け続ける

 

 

 

 

「他のクローンの子達は役割だって決まっているのにね、私だけは勉強に打ち込めって言われて」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして!……どうして私だけなの!?」

 

大きな声を出す清楚、彼女の心の声がその大きさを代弁しているように、分かるように、声が大きくなる。

 

「私っていらない子なんじゃないかって時々思うようになってきて、それに自分が自分で無くなるような気がしてならないの!まるで自分の中にもう一人誰かがいるような感じがして怖いの!

 

 

——————いつか一人になりそうな気がしてならないの!

 

 

 

「…!」

 

その言葉に俺は身体が反応してしまう。【一人】という言葉に。

 

 

 

「いつかお前なんか要らないって言われてしまいそうで、みんなと離れ離れになっちゃいそうで怖いの!そんなの嫌なの!」

 

清楚の心の内に秘められた叫びは絶叫と呼べるほど大きく叫んでいた、彼女はそれ程悩んでいたという事がわかった。

 

 

 

 

 

「ハア……」

 

清楚は吐き出したいものを全て吐き出し、溜息をつく。

 

 

 

「興奮してごめんね、でもありがとね、聞いてくれて、スッキリしたよ!」

 

 

「そうか…それはよかったよ」

 

ほんとはスッキリなんてしてないんじゃないか?

俺は唯のやせ我慢にしか思えない。抱え込みすぎていつか壊れてしまうのが目に見えている。

 

 

「清楚」

 

清楚は話してくれた心の内に秘めてた想いを、なら今俺が思っていることを伝えよう。

 

「なに?龍樹君」

 

「俺は清楚が必要ないなんて思ってねぇよ」

 

「えっ……」

 

「それにさ、みんなだってそうさ。お前ら何処にでもいる普通の子供に見えたしさ、確かにお前達は英雄のクローンだけどよ、俺はそんな気はしなかったぞ。義経はさ、なんかこう、小動物みたいな感じでさ、弁慶は川神水が大好きで面倒くさがりだし、与一は中二病だしさ、この3人はお前の事をものだなんて思ってはいないだろうし、大切だと思ってるはずさ、だから清楚が誰のクローンかなんて気にすることないと俺は思う」

 

「やめて!」

 

清楚は大きな声を出し遮る

 

「龍樹君にはわからないよ!いつか一人になっちゃいそうな私の気持ちなんてわかるわけないよ!、私はクローンで普通じゃないのに!龍樹君にわかるわけないよ!」

 

 

 

一人の辛さか....なあ...清楚...お前はわかるのか?大切な物を失った気持ちが...どうしようもない絶望感に陥ってしまったあの気持ち...言葉では言い表せない程残酷なんだぜ...

 

あんな想い...誰にもなってほしくねぇよ...

 

 

 

 

「清楚」

 

 

「大体期待されてないのならどうして!私なんか生み出したの?必要とされていないのなら私なんていない方がいいんだよ!」

 

 

「葉桜清楚‼︎」

 

清楚より更に大きな声をだし、彼女から繰り出される言葉の数々に待ったをかける。そして俺は清楚の顔を両手で掴みこっちに向けさせる、そして顔を近づける

 

「ちょっ!龍樹君!////」

 

龍樹の突然の行動に顔を真っ赤にさせる清楚

 

「何が見える?」

 

「えっ...」

 

「目の前には誰がいる?」

 

「たっ...龍樹君...」

 

「そう、俺は龍樹なんだ。他の誰でもない」

 

龍樹はそう言い、ゆっくりと自分の手を離す

 

「つまりそう言う事なんだ、俺は龍樹でお前は葉桜清楚なんだよ、他の誰でもない。」

 

「私は……清楚……他の誰でもない……」

 

清楚はゆっくりとその言葉を噛み締めながら吐き出す。

 

「それにな清楚、人間誰しも遺伝子を引き継いで生きてるんだよ。俺は親父達の遺伝子を引き継いでいる、清楚は他の誰かのクローンの遺伝子を引き継いでいるだけの話なんだよ」

 

「……うん」

 

「もし、不安ならこれから葉桜清楚になればいいんだよ、一人の人間として、一人の女の子として」

 

龍樹はそう言い優しく彼女の頭を撫でる

 

「.....ぅ.....グスッ....」

 

「お前を一人になんか絶対させない、俺が守ってやるから、安心しな。」

 

「ぅ...うああああああああん!!!」

 

泣きながら抱きついてくる清楚。

俺は優しく頭を撫でながら抱きしめ返す。

 

「ひぐ...えぐ...龍樹君...」

 

「ん?」

 

「…………ありがとう———」

 

少し嗚咽きながらも感謝の言葉をかけてくる清楚。彼女は今日の出来事を絶対忘れない。自分の心の声を聞いてくれた男の子の事を1日も忘れる事はないだろう。

 

またそれも彼も同じ————

 

 

 

どういたしまして————

 

俺はそう粒やいた

 

 

 

 

 

○○

 

清楚の悩みを聞いてから半時間ほど経った。あの後俺たちは家の中に入り眠りについた。

 

そして翌朝、いつも通りの朝がやってくる。

 

「龍樹君!おはよう」

 

元気な少女の声。暗かった表情から一変し、笑顔が似合う少女に戻っていた。よかった、清楚にはやっぱり笑顔が1番よく似合ってる。

 

「おはよう、清楚」

 

俺も挨拶に答える。

 

「おはよう龍樹君!」

「おはー」

「アニキ、おはよう」

 

そして続くクローン組———

 

「みんな、おはようさん」

「皆様、おはようございます」

「あっ、クラウディオさんおはようございます」

「ハイ、おはようございます」

 

俺たちは朝の挨拶を済ませリビングに向かう。

 

「クラウディオさん、朝ご飯作るの手伝いますよ」

「ありがとうございます、それではお願いしましょうか」

 

俺とクラウディオさんはそのままキッチンに向かった

 

○○

 

「清楚さん」

 

「ん?どうしたの?弁慶ちゃん」

 

「何かあったの?」

 

「えと...ふふふ」

 

「何がおかしいんだ?義経はわからない」

 

「?」

 

「内緒だよ♩」

 

「「「???」」」

 

清楚の言葉に訳が分からないクローン3人組

 

「ふふふ、あっ...そうだ、義経ちゃん、弁慶ちゃん」

 

「「なんだ?・なに?」」

 

 

 

 

 

 

「負けないからね———龍樹君のこと」

 

「「!!!」」

 

清楚の言葉に驚く義経と弁慶。

 

「それは...」

 

「まさか...清楚さん...」

 

「うん、私は龍樹君の事が...好きになっちゃった」

 

清楚の爆弾発言に固まる二人の少女。

沈黙の瞬間が続く中、口をようやく開く人物。その人物も心中を語る。

 

「私も...龍樹の事が...好きだよ///」

「弁慶!?」

「………」

 

一人驚く義経に対して冷静な清楚。彼女はわかっていた、弁慶が彼に、龍樹に好意を寄せていたのに気づいていた。そして————

 

 

 

「……ぅ−、よっ...義経も!た...龍樹君の事が大好きだ!///」

 

彼女もまた龍樹に恋する乙女である。

 

「うぅー///」

 

トマトのように顔を真っ赤にする義経

 

「主もなんだね...恋する主を応援してあげたいけど、今回はそれはできないな」

 

「弁慶ちゃんも義経ちゃんも、本気なんだね」

 

「「ああ・うん」」

 

そしてその様子を見ていた与一は

 

「(アニキやっぱすげー!ハンパねぇ!)」

 

アニキ(龍樹)に対するメーターがどんどん上がっていった。

 

 

○○

 

俺がこの島に来てからの過ごし方は変わらない。朝起きて義経達と飯を食べて、遊んで寝るの繰り返し、勿論鍛錬は怠ったりしてない。義経達の実力は申し分はないから言い練習相手になっている。後、クローンの子達は非常に頭がいい。英才教育なのかただ単に天才なのか、午前中はほぼ勉強時間に費やしている。俺も一様勉強させられている。俺は嫌だと言ったが無理やりさせられました。ずっと修行していた俺にとっては未知の領域で勉強の知識はほぼ皆無といっていいほどだ。最初は難しく、わからなかったがクラウディオさんやクローンの子達に教えてもらいながら段々と問題も解けるようになってきた。これはまあ、普段の生活となってきた、おかしな点はあまり無い。

 

 

あるとすれば—————

 

 

「「「龍樹君!・龍樹・龍樹君!」」」

 

クローン(主に女子組)のスキンシップが多くなったこと。

 

義経はよく頻繁に稽古をもし出てくるようになり、弁慶はよく俺によくもたれかかってくるようになったり、清楚はよく週刊や小説といった本のお誘いが多くなった。きっともっと仲良くなろうとしてくれてるんだと思う。俺もそれに答えていきたいな。

 

そして夜———

 

「ねえねえ龍樹ー」

 

当然のようにもたれ掛かってくる弁慶。風呂上がりからかシャンプーのいい香りが鼻をくすぐる。なぜか清楚と義経の視線が痛いんだが。

 

「なんだよ?」

 

「今日一緒に寝ない?」

 

「ああ、別に構わねえよ」

 

「「駄目だー!・駄目ー!」」

 

当たり前のように返した龍樹に待ったをかける義経と清楚。

 

「何を考えてるの弁慶ちゃん!」

 

「そうだぞ弁慶!それに龍樹君もそう易々と了承するのは義経は感心しないぞ!」

 

「ええ〜、いいじゃん別に」

 

『よくない!!!』

弁慶の言葉に女子二人が一喝

 

一方龍樹は————

 

えー?何をみんなして怒ってんだ?ただ一緒に寝るだけだろ?何が問題なんだ?

 

全くよくわかってない龍樹。

 

「じゃあ、みんなで一緒に寝ればいいんじゃねーか?お泊まり会みたいな感じでさ」

 

俺は与一に目配せをし助けを求める。

 

「そうだな、偶にはみんなと寝るのもいいと俺も思う」

 

話を合わせる与一。

 

「まあ、それならいいけど」

 

「義経も構わない」

 

「え〜」

 

その日は何事もなくみんな一緒に仲良く寝ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

って事はなく、寝る時に誰が龍樹の横で寝るかで一波乱ありました。中々寝れなかったので俺と与一はクラウディオさんに耳栓を貸してもらい無事寝ることができました。

 

○○

 

それから数日が経った。楽しい時間はあっというまだ。そしてとうとう近づいてきた、俺が帰る日がいよいよ明日になった。

 

『………』

 

空気がどんよりしている、みんなの表情が暗い。

 

「どしたお前ら?」

 

「だって...龍樹君は明日帰ってしまうんだよな」

 

義経の言葉に表情が暗くなる3人

 

「そんなしけたツラすんなって、別に絶対会えないなんて事はねえんだぞ」

 

「……うん」

 

「また会えるよ、じゃあ、今度はお前らが来いよ」

 

『えっ……』

 

「この島に来てさ、お前らは色々と教えてくれた、なら今度は俺がお前らに色々と教えてやるよ、川神を案内してやるよ」

 

「っ!ああ!必ず義経は行くぞ」

 

「私もね」

 

「私も」

 

「俺も」

 

みんなの表情が明るくなる。

うん、それでいい。やっぱりみんなには笑顔でいてもらいたい

 

「さっ遊ぼうぜ」

 

『うん・ああ』

 

そして俺たちは日が暮れるまで遊んだ。

 

○○

 

そして翌日———

 

俺は今1ヶ月間過ごしてきた家の中でものふけっていた。

遂にこの日が来たかとなんて思っていると

 

「龍樹様、迎えの船が来ましたよ」

 

クラウディオさんの声が聞こえてくる

 

「そうですか、今行きます」

 

俺は自分の荷物を持ち家を出た

 

外には一隻の船が泊まっており、義経達がいた。

 

「とうとうお別れだな、楽しかったよみんな」

 

「うっ...ううー」

 

俺の言葉に義経は我慢の限界だったのか泣いてしまった

 

「あーあ、いーけないんだーいけないんだー、龍樹が主を泣かしたー」

 

などと言い茶化してくる弁慶。そう言う彼女も目が充血してるのは口にしないでおこう。

 

「義経」

 

「ううっっ...,」

 

俺はそっと義経を優しく抱き締めた。

 

「義経、言ったろ、もう会えないなんて決まったわけじゃないだろ、だから泣かないでくれ義経....会えるから...絶対に...な!」

 

俺は優しく微笑む

 

「……そっそれでも...よっ義経は寂しい」

 

「義経、俺たちが過ごしてきた日々は無駄だったと思ってるのか?俺は信用できないか?」

 

「そっ、そんな事はない!」

 

「じゃあ、信じてくれよ」

 

「そうだよ義経ちゃん、龍樹君が言った通りまた会えるよ」

 

「そうだよ、主」

 

「繋がれた糸は切れない運命にあり、引き合う運命」

 

「うん...うん!そうだな!きっとまた会える!」

 

漸く義経に笑顔が戻った、やっぱり義経には笑顔が似合う。

 

「じゃあ、そろそろ俺は行くよ」

 

「では、龍樹様こちらへ」

 

俺は船へと乗り込む、そして船にエンジンがかかり始めた。ゆっくりと岸から離れ始めた。

 

「またな!義経!弁慶!清楚!与一!」

 

「バイバイ!龍樹君!」

 

「じゃあねー!」

 

「またね!龍樹君ー!」

 

「アニキー!!」

 

手をずっと降ってくれる義経達。俺は姿が見えなくなるまでずっと手を振り返した。

 

「龍樹様」

 

「ん?なんすか?」

 

「ありがとございました、あの子達に色々と教えて下さって」

 

「こちらこそですよ、俺も彼奴らからいろんな事を教わりました」

 

「……そうですか」

 

クラウディオさんは俺の言葉に優しく笑みを浮かべてくれた。

 

 

 

 

 

 

○○

 

「はあ、やっと着いた〜」

 

俺は船から降り背伸びをする。

 

「お疲れ様でした龍樹様」

 

「いえ、こちらこそです。それでは俺は失礼します」

 

「ハイ、気おつけておかえり下さいませ」

 

クラウディオさんに軽く挨拶をし、家へと帰宅する。

 

段々と家が見えてきた、なんか久しぶりの感覚だな。まっ、そりゃそっか、1ヶ月間家にいなかったんだもんな。

 

「おっ?あれは?」

 

前方に白い何かがこっちに向かって走ってきていた。直ぐに悟った俺は両手を広げる。

 

「ワオン!ワオン!」

 

「ハクー!!!」

 

俺の胸に飛び込んでくるハク。あまりの勢いに倒れてしまう。

 

「クゥーン」

 

「はは、くすぐってぇよハク。」

 

俺の顔を舐めてくるハク。ハクも久しぶりに龍樹に会えてうれしいようだ、尻尾を勢いよく振ってる。

 

「ただいま、ハク」

 

「ワン!」

 

俺は立ち上がり歩き出す。そして玄関の前まできた。

 

そして中から出てくる人影。

 

俺の親父だ。

 

「おかえり、龍樹」

 

「ただいま、親父」

 

俺はそのまま親父に抱きついた

 

 

 

 

 

 

 

 




クローン達との出会いは一旦終わりですね。
次回も宜しければ読んでください。


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13話 新たな出会い

今回はあのお姉さんとあの少女が登場します!

続きをどうぞ


「ハク!こい!」

 

草原に立つ二つの影、その場所は人が立ち寄らない森の奥深くを抜けた先にある場所、秘境と言っていいほどの綺麗な場所だ。透明度が高い澄み切った川、そして綺麗な草原。

 

「………」

 

姿勢を低くするハク。その構えは獲物を狙う獣そのもの。一点に集中し他の事は考えない、ただ目の前の獲物を仕留める事だけを考える。

 

その刹那、白い獣の姿は消えた

 

その周りにそよ風が吹く———

 

「………」

 

さて何処からくるかな———

 

人と獣の体力は圧倒的に獣の方が格段に上だ。しかもハクなら尚更だ。ハクも明らかに成長しているんだよな、ハクの母犬との出会いは忘れもしない。何せあんな傷だらけの状態でもあのスピードだもんな。もし怪我なんてしてないと考えると....はは....おっかねぇや。

 

「ふぅ....」

 

全意識を集中させろ、五感の神経を研ぎ澄ます。

 

「左!」

 

咄嗟の判断で飛びついた

 

だが感覚がない!

外した!

 

覇気で動きを読んでいても速さで負けている、これでは覇気の意味がない。

 

なら自身もそのスピードまで身体を強化する。

 

「獣招来」

 

氣を脚に纏わせ快速性を極限に高める術技。

 

「追いかけっこ開始だぞ、ハク!」

 

龍樹もその場から姿を消した、はたから見れば一人と一匹は消えたと思うだろう。

 

「………」

 

ッッッッたく、涼しい顔してくれるよなぁ、あいつ全然本気出してねぇよな。

 

まっ、それは俺もだけどな!

 

ここで一気にギアを上げる龍樹。

それに気づいたハクは更にスピードを上げ始めた。

 

「ここだ!」

 

俺は一気に飛びついた、そして身体全体に伝わってくるフカフカな感触。

 

「へへへ、つーかまーえた♪」

 

「バウ」

 

「油断したんだろう?」

 

「………」コクリ

 

俺の言葉に頷くハク。

 

相手を油断させるのも戦術の一つ。これが勝敗の結果。もしハクがもう少し判断が速ければ結果はわからなかっただろうな。

 

「今回は俺の勝ちだな、さっ、そろそろ戻ろうか」

 

「バウ!」

 

○○

 

「偶にはゆっくりと散歩するのもいいなぁ」

 

俺は今多摩川の土手をゆっくりと歩いていた。

親父に「何時も修行ばかりしてると、身体壊れちまうぞ、偶には散歩でもしてこい」と言われ散歩している最中。

 

「かなり歩いてきたな」

 

普段からよくランニングをしてるけど、かなり距離があるんだな。

 

「ふあぁ〜〜」

 

なんか眠たくなってきたな....

ちょっと昼寝でもしてこうかな...時間は2時ぐらいか...時間はあるしゆっくりしてこう。

 

俺はゆっくりと河原の近くの草に身体を預ける

 

「おお!中々気持ちいいなこれ」

 

草だから痛いと思っていたが別にそんな事はなく、逆にいいクッションになっていた。

 

「ああ〜いい気持ちだn...zzzz」

 

そのまま龍樹は眠りについた。

 

 

 

 

 

○○

 

「………ん?」

 

あっ....いつの間にか寝ちゃってたか。疲れてたのかなぁ、まあ良いや気持ちよかったし、さて、そろそろ起きようかな。

 

ふとある事に気づいた

 

「(あれ?...身体がうごかねぇや)」

 

ふと視線を向けると青髪の女の人が抱きついて寝ていた。

 

「ZZZZ〜」

 

この人誰だ?

なんで俺に抱きついてんの?

 

「zzz〜〜...ん?」

 

青髪の女性は目を上け身体を起こす。

 

「ふあ〜〜、君が気持ち良さそうに寝てたから私も一緒に寝ちゃったよー」

 

「は、はあ……」

 

「ここってお昼寝にピッタリだね〜」

 

少しおっとりした喋り方をする女性。その女性は長めの青髪、そして整ったスタイルをしている女性だった。身長的に言うと高校生くらいかかな?

 

「そう...だな」

 

「君可愛いねぇ〜」

 

「わぷ!」

 

いきなり抱き寄せられてしまった。真正面から抱き締められてしまい顔が女性の胸に埋まる形になってしまった。

 

「ギュ〜〜♡」

 

「うぐっ!うぐっ!もがっ!」

 

全然離れられない、相当力強いぞこの人!

ヤバい!息が出来ない!

 

俺は女の人の腕をパンパンと叩いた。

 

「……ん?ああ〜ごめんね〜」

 

抱擁から解放された俺は勢いよく息を吸い込み整える。はあー危なかった、軽く死にかけた...

 

「いや大丈夫だ」

 

「そう?よかった」

 

頭を撫でられた、初対面の相手の人に。

 

「あっ...そろそろ帰らないと怒られちゃう」

 

「あ...そうだ、君の名前はなんていうの?」

 

「神道龍樹」

 

「龍樹君か〜、良い名前だね、私は板垣辰子だよ〜また会ったら一緒にお昼寝しようね〜」

 

辰子と言う女性はそう言い残し去っていった。

 

「……なんか凄い人だったな」

 

俺は腰を上げゆっくりと立ち上がる。

 

「さて、俺も帰ろ」

 

一つ気になってたがあの場所にもう一人いたな。

 

龍樹はわかっていたあの場所にもう一人の存在がいたことを。その影は龍樹を見ていたということを。

 

「………」

 

龍樹の背後姿を見る謎の影。

この出会いは必然なものである。

 

 

○○

 

翌朝———

 

「親父おはよー」

 

「おはようさん」

 

「ハクおはよー」

 

「ワォン!」

 

何時もの日常を迎える朝。この何事もないこのほのぼのとした朝が1番好きな瞬間だ。

 

「龍樹、お前そろそろ誕生日だな」

 

「ん?...ああ、そうだね」

 

あまり気にしてなかったな。

 

今の日付は5月の20日、そして俺の誕生日は6月の3日だ。別になんかのお偉いさんが偉業を成し遂げた記念日だとかそんなんじゃない。ただ、普通の子供の誕生日。

 

「なんか欲しいもんあるか?」

 

「べつに特にないよ」

 

「おいおい、遠慮しなくていいんだぞ、少しくらい我儘言っても、まあ島が欲しいなんてのは流石に無理だがな」

 

「無理に決まってんだろ!?どんな我儘だよ!」

 

島なんて財閥ぐらいだろ買えるのって。

 

「うーんだったら、親父のそのマントがいいな」

 

「ん?こんな古いマントをか?」

 

親父が普段使っているマントは学ランの様な赤と黒のデザイン仕様だ。

 

「それなら新しいのを買ってやるけどな」

 

「同じやつがいいな」

 

「マジか、これ結構高かったんだけどよ」

 

「いくらしたの?」

 

「2000千円」

 

「格安じゃねーかよ!」

 

「冗談、200万くらいだ」

 

「うわ?!なんとも言えない値段!なら安いやつでいいよ」

 

「遠慮すんな、いいの買ってやるから楽しみにしとけ」

 

「うん、親父ぐらいの大きさの買っといて、俺が大きくなったらそのマント羽織るから」

 

「わかった、楽しみにしとけ」

 

「うん」

 

 

○○

 

「ふあ〜やっぱ気持ちいいなぁ〜ここ」

 

また俺は昨日きた河原の近くの草原に身体を預けている。

 

「………」

 

また誰か見てるな、それもすぐ近くにいる。

俺は身体を起こし視線が感じる方へと身体を傾ける。

 

「何見てんだ?」

 

○○

 

少女side

 

あっ...あの子...昨日もここで寝てた子だ。話しかけてみようかな...昨日頑張って声掛けようと思ったけど、僕なんかが声かけたら迷惑だよね...

 

悲観的になる少女は何時もそうだった何時も一人ぼっちだった。彼女は仲間が欲しかった...友達が...安らぎがほしかった...

 

そんな時にある少年に目がいった。いや、離せなかった。もしかすると彼なら...と少しくらい希望を持った。昨日は声を掛けようとしてかけられなかったけど。

 

今度こそ————

 

「何見てんだ?」

 

思わずその声に震えてしまった。

 

少女side end

 

○○

 

その声に一人の少女が姿を現した。その少女は雪の様に真っ白い髪に赤い瞳の色の少女。

 

「あっ...あの!!...こんにちは」

 

少しぎこちそうに話してくる女の子。俺は脅かすことなく笑顔で———

 

「こんにちは」

 

優しく返した。

 

「あっ...その...マシュマロいる?」

 

女の子袋からマシュマロを取り出し差し出してくる。

 

「お?くれるの?ありがと!!」

 

俺は口の中にマシュマロを放り込み味わった。

 

「美味いよ!これ」

 

「本当!?僕も好きなんだ!もっと食べる?」

 

「おう!くれくれ、隣座れよ」

 

「……っうん!」

 

俺の隣に腰掛ける少女。

少しぎこちない動きだったけど気にしないでおこう

 

「お前名前なんて言うんだ?」

 

「僕の名前は小雪」

 

「そっか、いい名前だな、俺は龍樹だ」

 

俺たちは色々話し合った。好きな食べ物や好きなこと、そしてお互いを知っていった。

 

「あっ、そうだ小雪、コレ知ってるか?」

 

「なに?」

 

俺は川の近くに降りて適当に石を探す。

 

「なるべく平べったい石がいいんだよな〜...お!あったあった!」

 

石を拾い川の近くまで行き、そして石を川に向かって勢いよく投げた。すると石は川の上を跳ねながら遠くへ飛んで行った。

 

「すごーい!」

 

「水切りっていうんだよ、ホラ!小雪もやってみな」

 

「うん!」

 

 

俺たちはそのまま日が暮れるまで遊んだ————–——

 

 

「もう、夕方か...そろそろ帰らないとな」

 

「えっ...もう帰っちゃうの?...」

 

「早く帰らねぇと親父に怒られちゃうしな、小雪も早く帰らないと親に叱られるんじゃないか?」

 

「...うん...そうだね...」

 

その時の小雪の表情に龍樹は目が止まった。その表情は何かに怯える表情だった。

 

「ねぇ...明日もあそべないかな?」

 

「ああ、かまわねぇよ」

 

「ほんと!?それじゃあ、また明日ねー!」

 

そう言いながら走り去っていく小雪の姿。

 

「(やっぱり...何か変だな...)」

 

親の話をした途端に顔が引きつってた...もしかすると...

 

いや...まだわからん...決め付けはよくない...

 

間違いであってほしいと願いながら龍樹は家路へと向かった———

 

 

 




獣招来 テイルズ



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14話 友達助けます!

近々テストがあって絶賛病み中作者w

だけど小説もテストも頑張ります

続きをどうぞ!


俺は昨日遊ぶ約束をした小雪を待っている。

だが、彼はある事を考えていた。

 

 

「小雪のやつ....まさか...考えすぎ...いやもしかすると....」

 

 

ずっと彼はこの調子だ。端から見れば「何をぶつぶつ言ってるんだ?」と思うかもしれない。そんなの今の彼にはどうでもよかった。

 

 

彼が考えた末でてきた結論は————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「虐めか...虐待...」

 

その二つだった。

 

 

 

 

 

○○

 

「タツキー♪」

 

元気に此方に向かって走ってくる少女。

だが動きが少しぎこちない……

 

「………」

(やっぱり....怪我をしてるのか...)

 

その動きを見つめながら結論を導き出す。

此方に向かって走ってくる小雪は少しだけ脚を引きずっている。それ程もしかして痛いのかもしれない。

 

だがなぜそこまで笑顔でなのか?

ただ笑顔が癖なだけ?いや、そんな筈ない。

 

いや、今は小雪と遊ぶ事を考えよう。

勿論あんまり動くことが少ない遊びをな。

 

「ねえねえ、今日は何して遊ぶ?」

 

「じゃあ、この遊び知ってるか?」

 

 

 

 

○○

 

小雪と遊び大分時間が経ち気づけば夕方。

 

「………もうそろそろ帰る時間だな」

 

「え?...あ...うん...そうだね」

 

やはり小雪表情が暗くなった

 

「……また明日も遊ぼうぜ!」

 

俺は小雪を元気付けるため約束を交わす。その言葉に小雪は

 

「うん♪」

 

「それじゃあ....また明日な」

 

「うん♪また明日♪」

 

そう言うと小雪は去っていった、ぎこちない動きで、痛痛そうに。

 

 

 

 

……当てもしないで結論を出すって馬鹿だけど...確実に小雪は確実に虐めか虐待にあっている。

 

それに遊んでいる途中「何で小雪、そんなに笑ってるんだ?」と聞くと—————

 

 

「………あの人が笑ってくれるから...」と答えた。

友達に"あの人"なんて少なからず云わないはずだ。

 

 

 

反吐が出そうな結論だが小雪は虐待を受けている!!

それにドンドン小雪の怪我は確実に増えているのがわかった。ことままだと小雪の命が危ない!

 

俺は急いで自分の家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ!龍樹!おかえり!.....何かあったのか?」

 

親父の表情が俺の顔を見た途端に一変した。

 

「親父...頼みがあるんだ...」

 

俺は真剣の表情で親父の顔を見つめた

 

「………云ってみな」

 

「友達を...助けたいんだ!力を貸してくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

「ここから小雪の氣が感じる」

 

その場所は一軒の家。何も変哲のない普通の家だった。俺はゆっくりとベランダへと脚を忍び込ませる。そして、ゆっくりと覗き込む。

 

「!!!」

 

信じたくなかった————

 

 

 

 

 

 

 

その光景に————

 

 

 

 

 

 

 

 

『アンタなんか!アンタなんかさえ生まれてこなければ!』

 

ドガァッ!

 

『うぐッッ!』

 

一方的に母親に殴られ、蹴られている小雪の姿がそこにはあった。

 

「なにやってんだよ!アイツ!」

 

龍樹は怒りを抑えることが出来なくなっていた。彼は過去に親を失ったから、目の前で。

 

 

 

親と云うのは子供の成長を見守っていくんじゃないのか?守る存在ではないのか?何故傷つけるんだ!

 

 

 

 

 

 

ふざけんな!!!

 

「オイ...やめろ...」

 

 

 

 

 

 

○○

小雪side

 

「アンタなんか!アンタさえ生まれてこなければ!」

 

ドガァッ!

 

「うぐッッ!」

 

イタイ!イタイ!痛いよぉ...お母さん...どうして僕に痛いことするの...どうしてなの...

 

 

「アンタのせいであの人が出て行った!アンタのせいよ!アンタが!アンタが!生まれてきたせいよ!」

 

小雪の親は全く躊躇もせずに小雪を殴り、蹴りを繰り返している、ハッキリ云って異常だ。

 

 

「あ" あ" あ" あ" あ" あ"!!!」

 

腕は折れ痛々しい痣があちこちに出来てしまっている。内臓が傷つき口から血が出ていた。

 

「だいたい何で何時もアンタは笑顔なのよ!コッチは必死なのに何故笑顔なのよ!気味わるいのよ!」

 

ドガァッ!そしてまた小雪を殴る

 

「………」

もう...声が出ないよ...

 

 

もう小雪は限界だった、もうこのまま死んだほうが楽なのではないかと思っていた。どうしようもない絶望感が小雪の心を痛めつけている。ただ、彼女は心配かけたくなかっただけなのに...だが...その思いはもう母親には届かなかった。

 

「もういいわ...アンタが死ねばきっとあの人は帰ってきてくれる...きっと私の元に...だから...」

 

小雪の親は台所から包丁を取り出した。

 

 

 

「死になさい」

 

包丁を持ちながら小雪に近づく母親。最早母親は小雪のことを気にかけてはいない。

 

「(ああ...ボク殺されちゃうんだ...お母さんに...)」

 

もう生きることを諦めた小雪は今までの出来事を振り返る。悲しいよ...ボク...愛されてなんかいなかったんだ...

 

タツキ...ゴメンね...約束守れそうにないよ...もう一度タツキの声が聞きたかったよ...ボクなんかと遊んでくれてありがとう...友達になってくれて...

 

 

そして母親は包丁を小雪に向かって振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ.....やめろ....」

 

「(この声...タツキ?)」

 

目の前には包丁を素手で受け止めている彼がいた

 

 

 

小雪side end

 

 

 

 

 

 

 

○○

 

「アンタ...なにやってんだよ...」

 

素手で受け止めた包丁から血が出ていた。手の皮膚が切れ血が出ている、刃物で切られれば痛いがそんなの気にすることなんて出来なかった。

だって、小雪の方が何倍も痛い想いをしているのだから、そんな彼女に比べたら痛いのなんて平気だ。

 

「あっ、あんたッ!誰よ!何処から入ってきたのよ!」

 

「ベランダからだよ」

 

「不法侵入よ!」

 

「……黙れよ糞ババァ...」

 

「ひッッッ!」

 

子供の声とは思えないドスの効いた声に思わず恐怖して手が離れる小雪の母親。龍樹は包丁を床に置き小雪に向かっていく。

 

「……小雪...大丈夫か?」

 

「た..タツキ..ど...どうして...ボク...なん...か...助けて...くれた...の」

 

振り絞りながらなんとか言葉に出す小雪は弱々しかった。

 

 

 

龍樹は小雪を優しく抱きしめる、痛くないように優しく。

 

 

「友達だからな」

 

「えっ....」

今、ボクのこと友達ってよんでくれた...

 

 

 

「小雪...スマン...もっと早く気付いてやれば...早く出会っていたらお前に辛い想いをさせずに済んだのに...本当に...ゴメンっっ」

 

 

どうしてタツキが泣くの...タツキは悪くないよ...タツキ...泣かないでよ...こんなボクにでも涙を流してくれる人がいるんだもの...それだけでボクは嬉しいよ...嬉しくて...ボクも涙が出ちゃうよ...

 

小雪はゆっくりと折れていない方の腕を動かしながらタツキの頬を撫でる、そして伝えたかった

 

 

 

—————ありがとうって、笑顔で言いたかった

 

だが、体が痛くて声も出すのが辛くて笑顔も辛くて...彼に感謝を伝えることができないのが恨めしい。

だが彼は———

 

「どういたしまして」

 

と、優しく笑顔で言ってくれた。

ああ、なんでタツキはこんなにも優しいのか、この時感謝の言葉言えないのが本当に恨めしく憎かった。

 

 

 

龍樹はゆっくりと小雪を下ろし母親へと向き直る。

 

「なっ...なんなのよアンタ!」

 

「俺は小雪の友達さ」

 

「友達?こいつの?はは!笑わせんじゃないわよ!だからなんなのよ!アンタみたいな餓鬼に何ができるっていうのよ」

 

「小雪を助けることができる」

 

「そんなの出来ないわよ!何故ならアイツは今ここで私が殺すんだから、それにアンタもこの一部始終を見を見られたからね、アンタも殺してあげるわ!」

 

小雪の母親は金属バットを取り出し大きく振りかぶってきた。

 

「死になさい!餓鬼!」

 

迫ってくる金属バット、俺は片手で受け止めた

 

「はっ!?」

 

まさか、受け止められると思ってなかったのか驚きの表情を見せる母親。子供と大人は体力が違う、勿論力も。いくら相手が女性でも子供を殺す力はある。

 

だがそれは一般的な常識にすぎない。

 

目の前にいるのは例外の子供。

 

「……どうした?俺を殺すんじゃないのか?」

 

「あ、アンタ、何者なの!?」

 

「だから小雪の友達だって言ってんだろ、耳ついてんのか?」

 

ほんのすこし握っているバットに力を込めた。

すると、

 

グシャッ!

 

金属バットは凹み形を変えた

 

「ヒッッッ!バットが!?」

 

「オイ...小雪の母親さんよぉ、お前...なんで小雪を傷つけた」

 

「そっ...ソイツが悪いのよ!ソイツの所為であの人はでて行っちゃったのよ!だからその子が原因なのよ!ソイツを殺せばあの人はきっと帰ってきてくれるのよ!」

 

コイツ...ふざけてんのか...それだけの理由で小雪を傷つけたのか...もっと考えないもしないで...一方的に決めつけ...痛めつけたのか...

 

溢れ出んばかりの殺気が辺りを埋め尽くしていく

 

「……ふざけんな...」

 

「ヒッ!」

 

再び子供とは思えない程の声と殺気を母親に向かってぶつける。母親は龍樹の殺気に耐えきれなくなり腰を抜かしてしまった。

 

「お前...本当に小雪が悪いと思ってんのかよ!考えなかったのか!自分に原因があるとか考えなかったのか!」

 

「あ...アンタに何がわかるって言うのよ!部外者は引っ込んでなさいよ!」

 

「確かにお前の言う通り俺は部外者さ、アンタとは血も繋がってもない赤の他人さ...だがな...どんな理由があろうと俺は友達を傷つけるのはゆるさねぇ!」

 

 

(タツキ...)

龍樹の言葉に小雪はまた涙を流していた...

 

 

「それに...お前は知ってんのか?小雪が何故何時も笑顔なのか」

 

「は?」

 

「小雪は...アンタに心配かけたくなかったんだよ...笑顔でいてほしかったんだよ...何故...気づかないんだよ...こんなにも優しい子を...こんなにも親を思っている優しさに...何故気づかないんだよーーーー!!!」

 

「………」

 

小雪の母親は龍樹の言葉に呆気を取られ終始無言。

 

「アンタはもう終わりだ...もう直ぐ此処に警察がくる」

 

「……ああ...」

 

「お前は、小雪の母親なんかじゃない」

 

「ああああああああああああ!!!」

 

小雪の母親は大きな大声を出し気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は此処までですね。

次回も是非読んでください


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15話

4ヶ月以上空いてしまいました。
本当に申し上げございません。
描こうという思いはあるのですが、就職の準備の為書く時間が取られてしまいました。3月には車の教習所も行っておりました。15日は大阪で研修がありました。そしてその後就職会社の入社式等があり、その後にはもう社会人として働いております。現在進行形です。
ですが、社会人になってもちょくちょく書いて投稿しようと思っています。

長文申し訳ございませんでした。



 あの後、警察が家に到着し小雪の母親は連行されて行った。連行される母親を見ていた小雪はどう思っていたのだろうか...それと同時に救急車が到着し小雪を病院へと運んで行った。

 警察も救急車も全部親父が手配してくれたそうだ。そして小雪の母親は勿論有罪、親権を剥奪された。

 

 小雪が入院している病院は川神市1番規模が大きな病院【葵紋病院】で入院している。あの日以来俺は毎日小雪のお見舞いに行った。その見舞いの際に知り合った二人の男の子と出会った。

 

葵 冬馬(あおい とおま)井上 準(いのうえ じゅん)、冬馬は葵紋病院の院長の息子で跡取りで、準の親はこの病院の副院長その経由で小さい頃からの仲らしい、因みに準は冬馬のことを"若"と呼んでいる。

 

「小雪」

 

 目の前にある扉を開きベッドの上にいる小雪へと近づいていく。

 

「あっ、タツキ...」

 

「龍樹君」

 

「よおっ、龍樹」

 

「よっ、冬馬、準」

 

 3人に軽く挨拶をしながら近くの椅子に座る。

 

「今日も来てくれたんだね」

 

「当然だ、身体の調子はどうだ?」

 

「トーマや準が教えてくれたんだけど、もう少ししたら退院出来る程まで治ってるって」

 

「ハイ、順調に回復していますよ」

 

「それでね、タツキ。僕ね新しいお母さんが出来るんだよ」

 

「新しいお母さん?」

 

「実はな、小雪の母親となってくれる女の人がいるんだよ」

 

 準から話を聞かされる。

 確かにその話は俺としては嬉しい話だ、小雪の事を想ってくれている人が居るのならそれでいい、だけど、実際小雪はどうなんだ?

 

 笑顔でいる小雪だけど、本当は悲しいのではないのだろうか?

 

「そうか、小雪はうれしいか?」

 

「えっ...」

 

「どうなんだ?」

 

「………」

 

 俺の言葉に間を開ける小雪。

 

「半分かな?」

 

「………」

 

「嬉しさと悲しさ、同じぐらいにね」

 

 何を想っての言葉なのかは小雪にしかわからない。

 小雪の心中は小雪にしかわからない、それは当たり前。今の小雪は新しい母親ができる事を喜んでいるのは確かなのだ、だが、それと同じで悲しいものを感じた。

 

 ーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 たとえ虐待されても彼女は母を想う気持ちは強かった。大好きだった、愛して欲しかった...温もりを感じたかった。

 

 虐待を受けてる内にもう、自分では想っては居なくても心の何処かで思っていたのかもしれない。

 

 

 ーーー()()()()()()()()と……ーーー

 

 

「……嬉しいけど……やっぱり悲しいよ…」

 

 雪のように白い頬を伝う一つの雫。

 それは止めたくても止められないものだった

 

「小雪...」

 

「……」

 

「……」

 

 泣く小雪を見つめる龍樹、冬馬、準。

 

 やはり無理をしていたらしい、今の俺がしてあげられる事は———

 

 

 

「小雪」

 

 俺は優しく抱きしめる

 

「吐き出せ、全部....辛いものを....」

 

 そして優しく頭を撫でる

 

「………ぅっ」

 

「此処には俺たち以外誰も居ないから...」

 

「そうですよ、溜め込む必要なんてありません」

 

「素直になってもいいんじゃないか?」

 

「タツキ...トーマ...準....」

 

 余程我慢していたのか声が少し震えがちだ。

 小雪は優しいから、優しいからこそ傷付きやすい。裏切られるというのはやはり辛いもの、まして自分の母親に。

 

「うわあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

 

 俺の胸の中で大きく泣き叫ぶ小雪。

 

「うあ"あ"あ"あ"あ!!!えぐっ....僕...僕!」

 

 嗚咽ながらも言いたい事を言い出したい様な感じが伝わってくる。

 

「愛して欲しかったよ!………いらない子だって言われて...本当のお母さんなのに!………大好きだったのに………愛されてなんかなかった!………悲しいよぉ〜」

 

 

 ………裏切られるなんて、辛いよな。

 恐らく親に会う機会は...いや...もう二度とないだろうな。

 

「……なあ、小雪」

「ヒグッ...えぐッ...なに?」

 

 今の小雪は以前の俺によく似ていた。

 たとえ境遇が違えど一人になった時の孤独と不安と悲しみが波のように押し寄せてくる。

 

 俺も、親父と出会ってなかったら死んでいたのかも知れない。手を差し伸べてくれなかったら生きていなかったろう。手を差し伸ばしてくれたからこそ、俺は身に起きた境遇を受け止めて今の俺が有るのだから。

 

 そして今この時、差し伸ばさなきゃいけない。

 

「一人で抱え込まないでくれよ、辛かったら辛いって言えばいいんだよ、助けてくれるから、手を差し伸ばしてくれるから」

 

「………うん」

 

「友達なんだからさ」

 

「っ!!!………ありがとう」

 

「龍樹君だけじゃありませんよ」

 

「俺達も頼ってくれよ」

 

 冬馬と準がそう応える。

 彼等も小雪の力になりたいと思っているようだ。

 

「トーマ...準...ありがとう!」

 

 嘘偽りのない純真無垢の笑顔。

 うん、やっぱり小雪は笑顔が似合うな。

 

「よかったな、小雪」

 

「ユキ...」

 

「ん?」

 

「僕のこと、ユキって呼んで、トーマも準も」

 

「…わかった、ユキ、これからもよろしくな!」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくな」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○○

 

「親父、ちょっといいか?」

 

「なんだ?」

 

「いやちょっと質問なんだけどさ、氣を回復に生かす事って出来るのか?」

 

「出来なくもないが...どしたんだ急に?」

 

「あの時、小雪を助けた時にさ酷い怪我をしてた時に何も出来なかった自分が悔しいんだ...」

 

「………」

(自分の事より相手を迷わず優先する意思、少し心配したが杞憂だったな、もしそれが出来るようになったとしても、己の心に慢心が出来てしまうと思っていた)

 

「そうか、だがこの技はかなりの難易度高いぞ?」

 

「それでもやるさ、守れるのなら」

 

「…そうか」

 

 少しゴツゴツした手で俺の頭を撫でてくる。親父の手は鍛え抜かれた事がわかる手だった。その大きな手は何処が落ち着くような気がし、むしろ心地よかった。

 

「なんで撫でるんだ?」

 

「いや、つい嬉しくてな」

 

「?」

 

「それと、今度 川神院に行くからな」

 

「川神院に?なんか用事でもあんのか?」

 

「まあな、お前は百代ちゃんと話でも稽古でもしてたらいいさ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 ○○

 

 —––———川神院

 

 川神院の朝はとても早い。

 そんな中、1人だけ、朝からテンションが高いものがいた。

 その者は川神鉄心の孫であり、女の子でありながらバトルマニア(戦闘狂)

 

「ふ〜ん♪ふふ〜ん♪」

 

 —————川神百代だ。

 

「百代がこんなに朝早くから起きてるなんテ、今日は雨でモ降りますかネ」

 

「ルーよ、気づかぬか?」

 

「何をですカ?」

 

「今日何があるか思い出だしてみぃ」

 

「今日...ですカ...」

 

 鉄心の言葉にルーは考えた。

 百代が機嫌がいい訳を。

 

「………今日は、龍樹君ラが来ますネ」

 

「ピンポーン!正解じゃ!」

 

「なるほど、百代龍樹君とまた戦えるかラ、朝から機嫌がいいんですネ」

 

 百代の機嫌をそう考えたルー。

 合ってはいる、合ってはいるが、少し違う答えが帰ってきたルーに対し鉄心は肩で息をした。

 

 

 

ーー数時間後

 

 

 

「おおーい、鉄心、きたぞ」

 

「ホッホ、よくきたのぉ、刃、龍樹君、ハク」

 

「刃殿、龍樹君いらっしゃイ、よくきたネ」

 

「どうも、鉄心さん、ルーさん」

 

「ワン!」

 

川神院に到着した刃と龍樹。

そしてそこにーーー

 

「龍樹いいぃぃぃ!!!」

 

物凄い勢いで近づいてくる百代だった。

 

「なんかデジャブだわ」

 

「 龍樹!久しぶりだな!」

 

「よっ、モモ久しぶりだな」

 

龍樹のやさしい微笑みに胸が高鳴り頬を赤らめていく百代。

 

「あっ、ああ!久しぶりだな、龍樹」

 

そして、百代は龍樹の足元にいる1匹の白い動物に気がついた。

 

「龍樹、この犬はお前の犬か?」

 

「ああ、こいつはハクっていうんだよ、ほらハク、挨拶しな」

 

「………」

 

「ん?ハク?どした?警戒してんのか?心配すんな、モモはいい奴だよ。」

 

「………」プイ

 

「うぅ〜龍樹...私はハクに嫌われたのか?」

 

「いや、違うかな、モモと会うのは初めてだからな、動物って云うのは警戒心が強いもんなんだよ、機嫌を損ねない限りその内触らせてくれるさ」

 

人懐っこい動物もいれば警戒心が強い動物もいる。それは自分の身を守るために無闇に己の身を触らす訳にはいかないのだ。信頼しているものは勿論別だ。

 

「うぅー、だといいなぁ」

 

「モモ、川神院の中を案内してあげなさい」

 

「っ!!わっ、わかった!〔龍樹と2人!〕」

 

「百代ちゃん、龍樹のことよろしくね」

 

「はい!任せてください!ほら龍樹、行くぞ」

 

「わかったから、服引っ張るなって」

 

百代は龍樹を引っ張りながら川神院の中に入っていった。

 

「おい鉄心、まさか……あれって……」

 

「お主の考えとる通りじゃよ」

 

「おおーこれはこれは」ニヤニヤ

 

「いや〜若いのぉ〜」ニヤニヤ

 

 

○○

 

「此処が私の部屋だ、ゆっくりしてけ」

 

「お邪魔しまーす」

 

「………」

 

「いいのか?ハクも一緒に入っても?」

 

「ああ、別に構わないさ」

 

「んじゃ、遠慮なく」

 

龍樹はゆっくりと腰をおろす。

挟むようにハクと百代が龍樹の隣に座る。

 

「いや、近いぞモモ!?

スペースあるんだから別にくっ付く必要ないだろ!?」

 

「い、いいだろ!別に!」

 

そう言いながら百代はハクに視線を向けた

 

「ハっ!ハクだって龍樹にくっついてるじゃないか!」

 

「いや、ハクは家族だし普段から一緒に居るのに当たり前だろ」

 

超が付く程の正論言葉に百代は戸惑いを見せる。

 

「うっ...う〜」

 

いや、うーって言われてもな...と心の中で思いながら右手でハクの頭を撫でる龍樹。撫でられているハクは気持ち良さそうに眼を細め尻尾を振っている。

 

「ぐぬぬぬ...(羨ましい!)」

 

羨望の眼差しを向ける百代、その視線に気づいたハクは百代に眼を向け

 

「………」ニヤリ

 

僅かに口角を上らせた

 

「(この犬‼︎今私を馬鹿にした!)」

 

ハクに馬鹿にされた事に憤慨が溜まり始まる百代、そこに————

 

「モモ、何騒いでんだよ」

 

釈迦堂が入ってきた。

 

「ん?お前はあん時の」

 

「ども、釈迦堂さん、お邪魔してます」

 

「よお、久しぶりだな龍樹、所でモモ、お前の声が廊下まで響いてんだよ」

 

「うぅ...すいません」

 

「まあ、別にいいけどよ...おい龍樹」

 

すると釈迦堂は龍樹に振り返り

 

「以前の約束覚えてるか?」

 

「約束?...ああ、一戦やるって云う話ですか?」

 

「ああ、今から殺ろうぜ」

 

字が違う様な気がするんだけどな。

まあ、俺も釈迦堂さんの実力が知りたいしな

 

「俺は構いませんが鉄心さんに許可を取らないといけ「許可しよう」」

 

鉄心さん、あなた何処から出てきたんですか?

 

「鉄心さん、親父との話は終わったんですか?」

 

「うむ、先程な」

 

「龍樹相手してもらえ、これも経験だ」

 

「爺さんの許しが出たんだ、早くしようぜ」

 

「それじゃ、外に行きますか」

 

「龍樹!釈迦堂さんとの試合が終わったら私も一戦交えてくれ!」

 

「ああ、お前とももう一回戦いたかったからな」

 

こうして龍樹達は外へでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりに書くの上手く出来てるのかわかりませんが、自分なりに頑張りました。これからも頑張って続けていこうと思いますので宜しくお願いします。


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16話

エクシリア2を久しぶりにプレイしました。ルドガーやっぱりカッコいいです(*^o^*)。


さて今回は釈迦堂さんとの試合ですね
宜しければどうぞ


双方向かい合う二つの影、神道龍樹と釈迦堂刑部。

 

「それでは、2人とも、準備はいいかイ?」

 

「「はい!・いいぜ!」」

 

ルーの言葉に覇気の籠った返事をする釈迦堂と龍樹。その周りには鉄心、刃、百代、ハク、修行僧達が周りにいる。大人と子供の試合ではワンサイドゲームになる可能性がある。だが釈迦堂の相手は別だ。修行僧達も初めて龍樹を見た時は只の子供という認識。その()()は、いとも簡単に覆された。そして今回の相手は川神院のトップクラスの実力者の釈迦堂。

 

この2人の対決は目を見張るものがあるのだ、武を嗜んでいるものとして、好奇心をくすぐられる。

 

「それでは!試合...」

 

ルーの合図を聞き、構えを取る2人。

 

 

 

 

——————始めッッッ‼︎

 

 

開始の合図と共に釈迦堂は距離を詰める。

 

「無双正拳突きッッッ‼︎」

 

「(速いッ‼︎)」

 

予想以上の釈迦堂の速さに龍樹は背後に後退し、釈迦堂の攻撃を回避した。

 

「おいおい、今の躱すかよ...俺は当てるつもりでいったぜ」

 

「ご冗談言を、今のなんて本気の一割でもないはずです、それに始まって直後にギアをトップにする馬鹿はいないでしょう?」

 

「まあな、今ので大体わかった、お前の実力がな、中々楽しめそうだ」

 

龍樹の詮索に釈迦堂は笑みを浮かべながら再び構える。

 

「今度は俺から行きます...」

 

その言葉と同時に龍樹の姿が消えた。

 

「なっ!?」

 

「きっ!消えた!?」

 

「何処に!?」

 

修行僧達は龍樹の姿が瞬きする間もなく消え、狼狽する。だが、実際消えたのではない。

 

 

 

——————()()()()()()

 

彼の鍛え抜かれたスピードは、努力をして手に入れた賜物なのだ。

 

「……ほぉ」

(中々速えーじゃねぇか、修行僧(アイツら)なら見えねぇーだろうよ……だが……)

 

釈迦堂は大きく振りかぶり拳を前に突き出す。その刹那、釈迦堂と龍樹の拳がぶつかり合った。

 

ドンッッッ!!!!

 

2人の拳がぶつかりあい大きな音が鳴り響く。

 

「俺は別だぜ!」

 

不敵に笑みを浮かべる釈迦堂。それに対し龍樹はさらなる攻撃を繰り出す。

 

 

魔神拳(まじんけん)ッッッ‼︎」

 

 

右手を振り上げる龍樹、その右手から放たれたのは衝撃波だった、衝撃波は地を這いながら釈迦堂に向かって行く。

 

「あん時と同じ遠距離技か!」

 

 

釈迦堂は放たれた衝撃波を上空へと飛翔するで回避する。

 

「オラ‼︎行けよ‼︎ リング‼︎」

 

上空から放たれる釈迦堂の攻撃。腕からリング状の高密度エネルギーを飛ばしてくる。

 

 

これは...避けたほうがいいな

 

 

少し大きく予想着弾点から離れる。

リングが地面とぶつかると同時に爆発が起きた。爆発地点には大きな穴が空いていた。

 

「ハッ‼︎」

 

龍樹は直ぐに釈迦堂に詰め寄り突きを放つ。

 

「チッ!」

 

釈迦堂はなんとか龍樹の突きをガードするが、威力が凄まじく数メートル後退した。

 

「ぐッッッ‼︎」

 

勝負の最中に相手が苦しんでいる所に情けをかける程、龍樹は優しくはない、龍樹はさらなる一撃を釈迦堂に打ち込む。

 

「オラッ!!」

 

「中々威力あんじゃねぇーかよ‼︎」

 

龍樹の突きに対し徐々に対応していく釈迦堂。一方的による龍樹の攻撃をいなしていき反撃を加え始める。

 

「オラッ!行くぜ!無双正拳突き・乱打‼︎」

 

「っ!?」

 

先程とは打って変わり釈迦堂の猛攻。繰り出される拳を冷静に対応していく。促しては躱し相殺させるを繰り返す。

 

「ハッハーー!!!楽しーぜ!!!」

 

戦闘狂の彼は戦いが面白ければ面白いほど、強ければ強いほど、強さを引き起こす。

 

 

(ヤバイ!?受けきれない!?)

 

 

零距離だ……」

 

「っ!?」

 

 

この時、龍樹は気づいていなかった、釈迦堂に徐々に詰められている事に

 

 

 

 

——–————リング!!!

 

 

その言葉が放たれたと同時に爆発が起こった

 

 

ドガアアアアアンッッッ!!!

 

 

「ぐあああああアアアアアッッッ!!!」

 

 

文字どおりの零距離からのリング、爆発を起こし龍樹を大きく吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍樹!?」

 

「ありゃ〜派手にやられたな」

 

「真面に喰らったのぉ……」

 

「ダメージ的に、龍樹君の方が上になってしまいましたネ」

 

「そうだな、所で百代ちゃん、今龍樹の事心配してくれた?」

 

「えっ!?いや...その...あの...///」

 

刃の言葉に顔を赤面させる百代。

 

「ありがとね」

 

「えっ?」

 

「心配してくれて、大丈夫、彼奴は負けない、きっとこの勝負龍樹が勝つよ」

 

 

刃の声音はとても落ち着いていた。

一切乱れることのない、優しい声。

 

「百代ちゃんも見てみな、龍樹がこの試合でどう勝つかね」

 

「はい!」

 

刃達は再び視線を龍樹たちの方へ向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ、まさかこれで終わりじゃねぇーよな、わかるぜ、お前まだ()()出してねーだろ?」

 

 

釈迦堂の言葉に身体がピクリと反応する。

そしてゆっくりと立ち上がる。

 

 

「痛つつつつ...あーイタイ...ご明察ですよ」

 

「そろそろ本気でやろーぜ、大分身体があったまっただろ?あー、あと」

 

「なんですか?」

 

「敬語はいらねぇ、タメでいい」

 

「はい、なら...本気でね」

 

両者から殺気が漏れ出す。

周りに有無を言わせない雰囲気を漂わせる。

 

「「………」」

 

 

両者はただ相手を睨む。

一瞬たりとも気が抜けないこの沈黙。どちらが先に仕掛けるか...

 

仕掛けたのは————

 

 

 

「地の剣!」

 

 

釈迦堂だった。一瞬で詰め寄り放たれたのは回し蹴り。相手の一部を粉砕することがわかる威力だ。これほどの威力という事は釈迦堂も本気だということがわかる。

 

「ハッ!」

 

龍樹は身体を回転させ遠心力をフルに使う。身体を回転させ、生み出された裏拳は釈迦堂の蹴りを相殺させるのには丁度よかった。

 

 

「お前!マジでどんな力してんだよ!」

 

 

「お互い様だろーがあアアアアアッッッ!!!」

 

 

龍樹は左腕の拳を釈迦堂の腹に打ち込んだ。

 

 

「ぐッッ!!!」

 

 

(手応えがあまりなかった...背後に飛ぶことで威力を殺したのか)

 

 

龍樹は手を前に突き出し、手に氣を充満させる。

 

 

「ファイアーボール!」

 

 

その名の通り現れたのは炎弾。

炎弾は勢いよく釈迦堂に向かって飛んでいく。

 

 

「飛び道具には飛び道具だ!リング!!!」

 

二つの飛び道具が飛びあい、ぶつかり爆発を起こす。

 

「今度はこっちから行くぞゴラァッ!」

 

 

「獣招来!」

 

 

釈迦堂の連続攻撃を躱していく龍樹。

今の龍樹は自身の身体能力を高めている。躱すのは容易だ。

 

(チッ...速すぎて当たんねぇー!)

 

 

「………」

 

釈迦堂からの怒涛の連続攻撃に反撃するわけでもなくただ躱している。いや、正確にはただ躱しているのではない...反撃の隙を窺っているのだ。

 

 

「蠍撃ち!」

 

釈迦堂からの猛攻の中、その中で放たれたのは川神流の技。真正面からの正拳突き、内臓がある部分を攻撃し内部から破壊する、この攻撃を受けると立ってはいられないほどなのだ。

 

 

「集中回避」

 

 

釈迦堂から突きが迫る直前に呟く。

そして龍樹は一瞬にして背後に回り込んだ、

 

————()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

(こいつ!?なんだあの速さは!?全く見えなかった!?)

 

 

背後に回り込んだ龍樹は手を釈迦堂の背中にピタリとくっつけ...こう呟いた。

 

 

 

 

 

——————零距離だ

 

 

「っ!?」

 

 

釈迦堂はこの言葉を聞いた時には時既に遅かった。

 

 

烈震虎咆(れっしんこほう)!!!」

 

 

グオオオッッッ!!!

 

 

その言葉が放たれた同時に釈迦堂に襲い掛かったのは具現化した獅子の闘気。猛虎をも葬る獅子の闘気は唸り声を上げながら釈迦堂を吹き飛ばす。

 

 

「ゴハァッッッ!!!」

 

 

釈迦堂は背中が大きく、反対側のくの字に曲がりながら吹き飛んだ。もろ背中に激しい衝撃を受けた釈迦堂は大きくダメージを負った。

 

吹き飛ばされた釈迦堂は背中を抑えながら何とか立ち上がる。だが、龍樹が放った威力は生半可な物ではない、釈迦堂は己の痛みに堪えながら龍樹に向き合う。

 

「はは!中々聞いたぜーありゃ!面白い技使うじゃねえーか!」

 

 

「あの攻撃は結構自信あったんだがなぁ〜まあ、まだ闘いを続けんるんだろ?」

 

 

「当たり前よ!こんなにもワクワクする闘いは久しぶりだ!」

 

(つっても……またあんな強力な技を撃ち込まれたら終わりだ。これは一瞬の隙を突いて本気の一撃を撃ちこまねぇと俺に勝ち目はない、恐らくヒビも入ってる、闘いを楽しんでる場合じゃねぇ、サッサとケリつけねぇーとな)

 

 

「リング!!!」

 

 

釈迦堂の腕から放たれたリング。それを龍樹は上空へと飛躍する事で回避する。

 

 

「もう一発だ!」

 

 

「ファイアーボール!」

 

 

龍樹も同じく飛び道具で対応していく。

地面に降り立った龍樹は釈迦堂に向かって突進し反撃の余地をも与えない連撃攻撃。

 

 

「くっ!」

 

釈迦堂は苦悩の声を漏らすが龍樹の攻撃に防戦一方になっている。龍樹は更に力を上げ釈迦堂を追い込んで行く。守りにばっかり徹している釈迦堂は反撃の余地を伺うが中々反撃出来ない。

 

 

 

 

 

 

「うぐっッッッ!」

 

 

 

すると突然龍樹が苦悩の声を上げた

 

(ん!?なんだ?龍樹の奴...苦しそうに...まさか!?)

 

龍樹の攻撃のスピードが遅くなるのを感じた釈迦堂は一瞬の隙をつき反撃を始める。打って変わって、今度は龍樹が防戦一方になった。

 

(やっぱりな)

 

釈迦堂は龍樹を攻撃をしながらある結論に至った。

 

 

「お前、俺の()()()()()()()()が大分デカイんだろ?」

 

 

「……ああ、今も結構痛いし、キツイ」

 

 

そう、釈迦堂のリングを真面に受けて平然としていた龍樹、だが実際はそうではない。大人と子供の体力は違う。釈迦堂は大人、龍樹はまだ子供、如何に鍛えていても体格差の問題が出てくるのだ。まだ子供の龍樹は零距離からのリングを受けた。その威力は龍樹の体力を持って行くのには十分な威力だった。

 

そして等の受けた龍樹はただのやせ我慢をしていたのだ。

 

「オラッ!!!」

 

 

「グッ!!!うぐっッッッ」

 

なんとか釈迦堂の攻撃をガードしていた龍樹だが体力の限界なのか一瞬ふらつきもろ突きを受けてしまった。

 

 

そして、一瞬止まり身体がゆっくりと倒れ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは...勝負あったかのぉ...子供でありながらリングを真面に受け、深手のまま釈迦堂をあそこまで追い込んだ龍樹君は素晴らしいものじゃよ」

 

 

「そうですネ、見事の一言だネ」

 

 

「龍樹...」

 

 

それぞれ思う所がある3人、だが1人だけは違った。

 

 

 

 

「お前ら...試合ってのはな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————最後までわからんものさ

 

 

「「「???」」」

 

 

「見てみな、龍樹を」

 

刃の言う通り龍樹の方へと視線を戻す3人。

 

 

「なっ!?なんと!?」

 

 

「これハ...」

 

 

「龍樹...やっぱりお前は!」

 

 

その視線の先に映のは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————倒れる直前に踏み止まる龍樹の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりの戦闘シーン自分なりに頑張りました涙

次回も宜しければ見てください、お願いしまーす


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17話

エクシリア2のルルが可愛い

続きをどうぞ




「ぐっ!...やっぱり...痛てー」

 

 

(コイツ!?...まだ闘うのか!?)

 

 

意識が飛んでもおかしくないはずなのに、龍樹はまだ倒れようとはしない。

 

 

「確かにあんたのパンチは結構効いたさ、だが、中途半端の威力じゃあ!俺は倒せねーよ!」

 

 

「……」

 

 

龍樹の言葉に周りの者は唖然とする。

なぜ、子供の彼が此処までするのか、闘うのかわからなかった。

 

 

「さあ、続きやろーぜ!」

 

 

「.......一つ教えろ」

 

 

「ん?なんだよ?」

 

 

「何でお前は其処まで闘う?何がお前の身体をうごかす?」

 

 

「闘うのに理由が必要なのかよ」

 

 

「いいから答えろ」

 

 

今の龍樹はリングを真面に受け、更には釈迦堂の突きを喰らっている。疲労と痛みが尚も身体を駆け巡っている。

 

それでも龍樹が闘う理由、

 

 

それは——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

–—————負けたくないからだよ

 

 

 

そう、龍樹はその思いだけだった。言うなればただの我儘。龍樹は己の目的を果たすこと、その思いが彼の身体を動かす理由なのだ。

 

 

「そうか...お前の考え、わかったぜ。俺もな勝負ごとには負けたくないんでね、まだ続けるのならこのまま続けるぞ?」

 

 

「ああ!こい!」

 

 

釈迦堂は龍樹に向かって行く。

 

 

「無双正拳突きッッ!!!」

 

 

釈迦堂の突きは龍樹の顔へと一直線に向かっている。だが、その突きは当たることがなかった。

 

 

「なっ!?」

 

『!?』

 

 

 

釈迦堂も周りの者達もその光景に驚いた。

釈迦堂の突きを()()()受け止める龍樹の姿に。

 

 

 

「おいおい...俺があんたの拳を受け止める位わかってんだろ?」

 

 

龍樹の言葉には有無をも言わせない程の威圧感を放っていた。釈迦堂は額に冷や汗が出始める。釈迦堂は急いで龍樹から距離を置こうとするが、

 

 

 

(抜けねぇ!?コイツ!?龍樹の何処にこんな力が!?)

 

 

 

「俺は負けたくない...何があってもな!!」

 

 

龍樹は左手で掴んだ釈迦堂腕を引き寄せる。だが、釈迦堂も簡単に相手にペースを渡したりしない。

 

 

「させねぇよッッッ!」

 

 

龍樹の腹に強烈な飛び膝蹴りを喰らわそうとするが...龍樹は左手で()()()()()()()

 

 

 

(この距離で止められるのか!?)

 

 

「……そろそろいくぞ!」

 

 

「グッ!!!」

 

 

龍樹の乱撃を対応していく釈迦堂。龍樹は何発か釈迦堂に突きや蹴りを喰らわしているがそれは釈迦堂も同じ。

 

 

(この野郎!さっきよりもスピードどもパワーも段違いじゃねーか!)

 

 

徐々に押され始める釈迦堂。龍樹は更に追い込みをかけて行く。

 

 

転泡(てんほう)!」

 

 

龍樹は釈迦堂の正面からの攻撃からややずれることで攻撃をいなし、足払いを繰り出した。

 

 

「グッ!!!」

 

 

釈迦堂は龍樹の足払いを受け、何とか立て直すが、龍樹にとってそれだけで充分だった。

 

 

三散華(さざんか)!」

 

 

「グハァッ!!!!」

 

 

釈迦堂が体勢を整える隙に突き、蹴りの三連撃を釈迦堂に喰らわし大きく後退させた。だが、これだけでは終わらない、更に追い込みをかける龍樹。

 

 

(止まるな!反撃の術を与えるな!)

 

 

龍樹は更に釈迦堂に蹴りや突きを撃ち込んで行く。対する釈迦堂は所々反撃隙を窺っているがそれを龍樹が許さない。さらなる一撃を釈迦堂に喰らわそうとするが、視界がグラリと傾いた。何とか立て直し距離を詰める龍樹。

 

 

 

 

その一瞬を釈迦堂は見逃さず終わりの一撃を加えよう、右脚を踏み込んだ。

 

 

 

 

 

—————だが、踏み込んだと同時に釈迦堂の身体は()()()

 

 

 

(まさかっ!?)

 

 

釈迦堂は自分の足元を見た、其処には釈迦堂が上空から放ったリングで爆発を起こしその時に穴が空いた場所に脚を()()()()()()

 

 

(何故俺はここに!?まさか!?誘導させられていたのか!?)

 

 

そう、釈迦堂の結論の通り、龍樹は先程反撃から穴が空いた方へと誘い込んでいた。全てはこの為に、()()()()()を喰らわすために。

 

そして、釈迦堂が前を向いた時龍樹の攻撃が始まっていた。その攻撃は試合終了の合図とも言える、威力を持った一撃だった。

 

 

 

 

 

 

 

空破絶掌撃(くうはぜっしょうげき)!」

 

 

 

 

 

 

神速をも超えた二段突き。

二段目に大きな衝撃波が釈迦堂を襲い吹き飛ばし壁に激突した。

 

 

 

 

「ゴハッっっっ!!!」

 

 

壁に激突し、倒れ伏す釈迦堂、ルーが駆け寄り意識を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「釈迦堂刑部!戦闘不能!よってこの勝負!勝者!神道龍樹!」

 

 

 

 

 

 

ワアー!ワアー!

 

 

試合終了の合図、瞬く間に歓声が川神院に響き渡った。

 

 

 

「ありがとう....ござい...ま...した...」

 

 

最早立っている事がやっとだった龍樹はとうとう倒れてしまった。だが、その身体が地面に衝突した衝撃などはなく、優しく受け止められた感触があった。

 

 

「よく頑張ったな龍樹、俺は嬉しいぞ」

 

 

優しくて声が俺の耳に入ってくる。

そして大きな手で龍樹の頭を撫でる男。

 

 

「親父...俺...勝ったぞ...釈迦堂さんに...見ててくれた?」

 

 

「ああ!ずっと見てたぞ、流石俺の息子だ!そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————強くなったな、龍樹

 

 

「っ!!...おう!」

 

 

「ワン!ワン!」

 

 

「ハク、見てたか?俺の闘いを?」

 

 

「ワン!」

 

 

龍樹の言葉にハクは首を縦に降り、龍樹の周りをグルグルと回っている。ハクも龍樹が勝った事が嬉しいようだ。

 

 

「そっか、ありがとな、ハク」

 

 

「クゥーン」

 

 

ハクの頭を撫でる龍樹、ハクは気持ちよさそうに目を細め尻尾を振りだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く大したものじゃな、龍樹君は...お主もこれからも精進せねばならんな釈迦堂」

 

 

「痛つつつつ、わーってるよ爺さん」

 

 

「悔しいかの?釈迦堂」

 

 

「……まあな、だが、今度やる時は俺が勝たせてもらうぜ」

 

 

「ほっほっほ!そうか!そうか!」

 

 

そして鉄心は百代に振り返り感想を聞こうとしたところ、

 

 

....かっこいい....はっ!?龍樹に声をかけないと!」

 

 

正気に戻った百代は龍樹の方へと駆けて行った。一方鉄心は、

 

 

「ニヤニヤニヤニヤ」

 

 

ずっとニヤけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍樹!」

 

 

「んお?ああモモ、見ててくれたか?俺の試合」

 

 

「ああ!見てたぞ!まさか釈迦堂さんに勝つなんて」

 

 

「まあ、あの時釈迦堂さんがリングで穴を開けてくれてなかったら負けてたからな」

 

 

龍樹は今回地形がよかったから勝てたと龍樹自身が理解していた。その場所での地形を利用したからこそ勝てたのだ。

 

 

「それでもあの状況で地形を利用するのは中々出来ないぞ」

 

 

「どうも...まあ...取り敢えず勝てたからよかった」

 

 

「そうだな、これからも頑張らないとな」

 

 

「おう!」

 

 

「ワン!」

 

 

「刃よ、この後はどうするのじゃ?」

 

 

「ん?この後か?う〜ん、別に特に用事はないな」

 

 

「そうか、なら昼ご飯を食べていくといい」

 

 

「おお!マジか、さんきゅー鉄心、ご馳走になるわ」

 

 

「お願いします」

 

 

「ワン!」

 

 

鉄心のご好意で、龍樹達は昼御飯をご馳走になりに川神院の食堂の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、龍樹達は昼食を取っている。この時修行僧の人達から色々なコメントを言われた。「龍樹殿は強いですね!」とか、「今度川神院にいらっしゃった時、稽古をお願いします!」など言われた。

 

 

(俺なんてまだまだなんだけどな〜親父や鉄心さんにヒュームさんにはまだまだ届かない...もっと日々精進しないとな...)

 

 

「どうした龍樹?」

 

 

「いや、ちょっと考え事してた、大したことじゃねぇよ」

 

 

「そうか」

 

 

「...モモやっぱり気になってたんだが...」

 

 

「なんだ?」

 

 

「やっぱり近いんだよ!」

 

 

龍樹はモモの隣なのだが何故か、椅子を近くまで寄せてきて肩が触れ合うぐらいまで近くに居るのだ。

 

 

「またその話か!いっ...いいだろ別に!」

 

 

「いやいや、充分スペースあるのに何故にくっ付く必要がある?」

 

 

こんなやり取りをしている龍樹達。それを見ている大人達は口角が上がってニヤけていた。

 

 

「ハクは龍樹にくっ付いてるのに、私は駄目なのか!」

 

 

百代にそう言われハクに視線を落とす龍樹。ハクはご飯を食べ、今は龍樹の膝の上で座っている。ハクは顔を龍樹の方へと向け、顔を擦り擦りと擦り付けてくる、その仕草が愛おしくなり左手で頭を撫でる。

 

 

「えぇ〜いや〜だってよ、ハクは家族なんだから当然だろ?さっきも言ったじゃねーかよ」

 

 

モモに少々呆れながら呟く龍樹。

モモはそのことに不満があるようだ。撫でられるハクに羨望の眼差しを向ける百代。

 

 

「ぐぬぬッ!」

 

 

「………」ニヤリ

 

 

本日二回目のやり取り。

再びハクの口角が上がる、「羨ましいだろ」っていう表情で百代を見る。

 

 

(この犬!!また私を馬鹿に!)

 

 

「おいおい、そうカッカすんじゃねーよモモ、飯が不味くなるぞ」

 

 

「ぐぬぬッ!」

 

 

「……はあ、駄目だなこりゃ」

 

 

釈迦堂は百代に声をかけたが耳を貸さずハクを睨みつけている、対して釈迦堂は駄目だと判断し食事を続けた。

 

 

 

 

 

 

昼食を食べ終えた龍樹達、その後、モモに「龍樹!試合をしよう!」などと言われた。流石に正直に言うと釈迦堂さんとの闘いでまだ身体が少し痛い。

 

 

「本気でやるのは無理だけど、手合わせ程度なら大丈夫だぞ」

 

 

「そうか、なら早速やろう!すぐやろう!」

 

 

「龍樹君、お主大丈夫なのかの?無理なら止めといても」

 

 

「大丈夫ですよ、鉄心さん。心配ありがとございます、手合わせ程度なら身体に支障はないと思いますから」

 

 

「……なら無理はしてはいかんぞ」

 

 

「はい」

 

 

「ならさっ早速...」

 

 

「百代殿」

 

 

突然修行僧が百代に声をかける。

 

 

「ん?何だ?」

 

 

「百代にお客様が見えておられますが」

 

 

「客?私にか?」

 

 

「はい、どうしますか?」

 

 

「無理に追い返すのも失礼だ、わかった、行こう、龍樹も来い」

 

 

「俺もか?わかったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

龍樹達は玄関の方へと向かい歩いていく。するとそこには1人の男の子がいた。

 

 

「お前か?私に用があるっていうのは?」

 

 

「はっ...はい、そうです、俺、直江大和(なおえやまと)って言います」

 

 

大和は少し丁寧口調で相手を刺激しないようにして喋っている。

 

 

「ん、そうか、大和か...で要件はなんだ?」

 

 

「はい、実は...」

 

 

大和から離された内容は、遊び場で友達と一緒に遊んでいる時に上級生達がやってきて、遊び場を独占しているらしい、その時は何とか追い払ったが今度は用心棒を連れてきて仕返しに来たそうだ、その時に大和の友達はコンパスで耳に穴を開けられたらしい。学校である意味有名な、()()()()()()()()()()()()()百代に手を貸して欲しいという訳なのだ。

 

 

「なるほどな...わかった、協力しよう」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

「ただし、一つ条件がある」

 

 

「な、なんですか?」

 

 

「お前...私の()()になれ」

 

 

「「え?」」

 

 

百代の言葉に龍樹も大和も唖然としている。それもそのはず、他にも色々条件があると思っていたがまさかの舎弟だとは思わなかったのだ。

 

 

「百代...初対面の子に舎弟になれって普通は言わないぞ」

 

 

「そうか?でも、私弟が欲しかったんだよ」

 

 

「……わかりました」

 

 

「ええ!?」

 

 

暫く間が空きその沈黙を破ったのは大和だった。大和は百代の条件を呑み舎弟になる事を決意したのだ。

 

 

「よし、これからも大和は私の舎弟だ」

 

 

「わかりました、姉さん...所でそっちの子は?」

 

 

大和は龍樹の方へと視線を向けた。川神院に龍樹が居るのが理解できなかったのだろう。百代に会いに来て龍樹も一緒なのだから不思議に思ったのだ。

 

 

「ああ、自己紹介してなかったな、俺は神道龍樹、モモの知り合いだ」

 

 

「わかりました、気軽に俺の事は大和と呼んでください」

 

 

「わかった、それと俺の事も龍樹で構わない」

 

 

「よし、それじゃあ、案内してくれ大和」

 

 

「じゃあ、姉さん、ついてきて」

 

 

「よし、龍樹行くぞ」

 

 

「えっ...俺も行くのかよ?」

 

 

「当たり前だ、ホラ」

 

 

百代に龍樹の腕を取り半ば強引に連れて行った。そして、しっかりと腕を組みながら...この事に関して問おうとしたら、百代は凄く笑顔だったので、龍樹は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして空き地に着いた。そこには3人の男の子と1人の女の子がいた。

 

 

「おーい!大和、その人が例の用心棒か?」

 

 

「そうだよ、キャップ」

 

 

「あー、一つ聞いていいか?」

 

 

「ん?どうした龍樹?」

 

 

「耳に穴を開けられた奴は誰だ?」

 

 

「おう!俺だぜ!」

 

 

勢いよく返事したのは先程キャップと呼ばれていた少年だ、頭にバンダナを巻いている。

 

 

「そうか、耳見せてみろ」

 

 

「いいけど、何すんだ?」

 

 

「いいから、じっとしてろ」

 

 

龍樹は穴を開けられた耳にゆっくりと手を翳した。その掌に氣を集中させ充満させていく。

 

 

治癒功(ちゆこう)

 

 

その言葉が呟かれたと同時に龍樹の手が淡く光りだした。溢れる気合で体内の循環を促進させる効果がある、擦り傷などのけがは忽ち一瞬で治すことも出来るのだ。

 

 

「ほら、治ったぞ」

 

 

「おお!スゲー!本当に治ってる!あんたスゲーなッ!俺は風間翔一(かざましょういち)だ!みんなからキャップって呼ばれてる、風間ファミリーのリーダーだ!」

 

 

キャップの自己紹介が終わり今度は4人の男の子の中で1番ガタイが大きく背の高い子が前に出る。

 

 

「この俺様の名前は島津岳斗(しまずがくと)だ、みんなからはガクトって呼ばれてるぜ」

 

 

そしてその次の子は他の男の子より背が小さい男の子が自己紹介を始めた。

 

 

「僕の名前は師岡卓也(もろおかたくや)、みんなからモロって呼ばれてるよ、よろしくね」

 

 

そして最後は、赤髪のポニーテールの女の子が挨拶をした。

 

 

「私は岡本一子(おかもとかずこ)、みんなからはワン子って呼ばれてるわ」

 

 

 

 

 

風間ファミリーの自己紹介が終わり早速龍樹達は上級生の所へと向かった。そしてその場所へ行くと龍樹達よりも背が大きい男達が5、6人屯していた。

 

 

 

 

 

「ん?おい、彼奴らまた来たぞ!」

 

 

1人の男が龍樹達を見て小馬鹿にする様に指を指していた。それに気づいた上級生達は大笑いしながら龍樹達に近づいていく。

 

 

「お前達!いい加減場所を譲れよっ!此処はみんなで遊ぶ場所だぞ!」

 

 

キャップは上級生達に説得をしようとするが上級生達はそんな説得に耳なんて貸すはずもなく近づいてくる。

 

 

「うるせぇよ!下級生が調子にのんなよ!それにお前、さっき俺にコンパスで穴開けられた奴じゃねーか!また開けられたくなかったら黙ってろよ!」

 

 

その上級生は右手にコンパスを持ちながら近づいてくる。それに連れて他の上級生も更に距離を縮める。

 

 

「お前達下がってろ」

 

 

声を出したのは百代、その声には少しばかりの怒りが込められていた、百代もこの上級生に少しばかり腹が立っている様だ。

 

 

「モモ、俺もやる、少々痛い目に遭わなきゃ分からんさ...こういう馬鹿は

 

 

龍樹はゆっくりとして上級生に近づいて行く。それを見た風間ファミリーは焦りだした。百代は龍樹の()()()()()()()()()()()()冷静でいられた。まして、龍樹と風間ファミリーは今日初めて出会った、だから龍樹の強さを知らない。

 

 

「あッ!おいッ!龍樹!」

 

 

「お前じゃ敵わねぇって!」

 

 

「龍樹!戻れ!」

 

 

「だ...大丈夫なのかな?怪我しないよね?」

 

 

「龍樹!危ないわよ!」

 

 

龍樹の背後から聞こえるのは危険を知らせる声のみ。だが、龍樹はそれに反応する事なく上級生へと向かっていき、遂には目の前まで到達し、背の高い上級生を見上げる。

 

 

「先輩方、悪いけど素直に此処を譲ってくださいよ」

 

 

「あ?何だよお前?お前ら俺達にやられた仕返しに用意した用心棒がこいつか?こんな餓鬼になーにが出来るってんだよ?こんな弱そうな子とそっちの女で」

 

 

上級生は龍樹と百代の事を馬鹿にする様に声音をワザと高めにしながら貶してくる。貶されている龍樹と百代はただ相手を見ているだけだ、上級生の言葉など気にする事もなくただ聞き流していた。そして遂に———

 

 

 

「龍樹もう....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—————ぶっ飛ばしてもいいか?

 

 

 

龍樹はゆっくりと百代の方に顔を向けとびっきりの笑顔で————

 

 

 

 

 

 

 

 

「やりすぎるなよ」

 

 

その言葉を聞いた百代は上級生の男を1人、吹き飛ばした。吹き飛ばされた上級生は数メートル転がった。それをみた上級生、風間ファミリーは唖然とした。それもそのはず、文字どおり人が()()()のだ。

 

 

 

「なっ!?テメェ!?やりやがったな!」

 

 

上級生は自分の友達が殴り飛ばされた事を怒り、百代にパンチを喰らわそうとする、だが、所詮は子供の素人のパンチなど当たるはずもなく簡単に受け止められる。

 

 

「いい気になるな...上級生」

 

 

「ひッ!」

 

 

百代の殺気に上級生は畏怖しだした。百代に敵わないと思ったのか今度は龍樹を標的に変えた。

 

 

「おいッ!お前ら!そっちの男の方をやれ!」

 

 

 

(...ハア、面倒くさいな)

 

 

龍樹に向かってくる、2、3人の上級生。それを龍樹は百代の様に殴り飛ばす事はせず、相手の勢いを利用しけたぐりなど脚を掛けて相手を転ばせる。

 

 

「……なっ...何なんだよ!?お前ら!?」

 

 

流石に上級生生達も目の前にいる2人が只者ではないとわかったようだ。流石に上級生生達もこのままでは不味いと思い、ある()()()()()()

 

 

「お前!ちょっとこっちにこい!」

 

 

「えっ...きゃあッ!」

 

 

「あ!?ワン子!」

 

 

「おい!テメェ!卑怯だぞ!」

 

 

「ワン子を離してよ!」

 

 

上級生が一子を人質とり距離を置いた。最低最悪の男の行動に百代は憤慨が溜まり始めていく。

 

 

「女の子を人質にとるなんて本当に屑だな...お前...なあ龍樹...龍樹?」

 

 

百代は上級生を罵りながら龍樹に声をかけるが龍樹は返事をしなかった。百代は気になり視線を龍樹に向けた。だが其処には龍樹は()()()()()。そして龍樹は人質を取った上級生の()()にいた。

 

 

「テメェ...死にたいのか?

 

 

「ひっ!」

 

 

誰もが聞けば恐ろしくなり凍りつくような覇気の籠った声が辺りに響いた。上級生達は全員腰が抜け、風間ファミリーも震えており、百代に関しては冷や汗をかいていた。

 

 

「その子を離せ...2()()()言わせんなよ...」

 

 

「うっ...うわああああアアアアアア!!!」

 

 

上級生はあまりの迫力に堪らず逃げ出してしまった。その後に他の上級生達も我先と逃げ出してしまった。後ろ姿が見えなくなり、龍樹はゆっくりと優しい声でかずこに話しかける。

 

 

「大丈夫か?怖かったな...もう大丈夫」

 

 

「うん...ぐすッ...怖かったよー」

 

 

一子は我慢の限界だったのか泣き出してしまった。泣く一子を龍樹は優しく抱き締め泣き止むまでずっと「大丈夫、大丈夫」と優しく声をかけ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「いやー!凄かったぜ!あんたら!特にそっちのお前!あの時の迫力!」

 

 

「ん?ああ、どうも」

 

 

「うんうん、よし!決めた!あんたらさ、風間ファミリーに入らないか?」

 

 

「ん?それってお前らのグループか?」

 

 

「ああ!あんたら2人、ファミリーに入ればもっと面白くなるような気がするんだ!」

 

 

期待の眼差しを向けてくるキャップ。他のみんなも2人が入るのは賛成のようだ。

 

 

「風間ファミリーか...退屈しなさそうだな...わかった!私は風間ファミリーに入ろう!」

 

 

「おお!マジか!やった!なあなあ!あんたも入るだろう!?」

 

 

そう言い、龍樹に期待の眼差しを向けるキャップ。その他のメンバーも龍樹に目を向けている。

 

 

(え...俺もなのか?どうすっかなぁ〜、まぁ、楽しそうだし...いっか!)

 

 

「わかった、俺も入るよ」

 

 

「おお!やったぜ!よっしゃ!改めて自己紹介するぜ、リーダーの風間翔一!」

 

 

「軍師の直江大和」

 

 

「俺様は島津岳斗」

 

 

「改めて師岡卓也」

 

 

「岡本一子!」

 

 

風間ファミリーの自己紹介が終わり、改めて自己紹介を始める百代と龍樹。

 

 

「川神百代だ!」

 

 

「神道龍樹、厄介になる」

 

 

今日この日に、風間ファミリーに2人の新メンバーが追加された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回ここまで、次回も宜しければご覧ください


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18話

「ねぇねぇ、龍樹君の好きな食べ物ってなぁに?」

 

 

「龍樹君!グラウンドでサッカーしよ!」

 

 

「龍樹君...あの...一緒に読書しない?」

 

 

声の主は男子と女子。大勢が龍樹を取り囲んでいた。

 

 

(何故こうなった...)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数時間前に遡り、家に至る。

普段通りに早朝に起き、朝ご飯を食べて、鍛錬をするのが日課だった。また普段通りの1日が始まる予定だったが、其れは変わった。

 

 

「龍樹、急な話だがな、今日からお前学校に通え」

 

 

「いや唐突過ぎんだろ...そう言うのは事前に言うだろ普通...」

 

 

刃の言葉に頭を痛くなった龍樹。刃の唐突な発言には度々頭を痛くすることが数あるのだ。

 

 

「まぁ...サプライズだ...サプライズ」

 

 

「いや、サプライズって...早朝朝起きて「おはよう、よし、学校今日から行きなさい」「はい!行ってきます!」なんてならねぇからな」

 

 

「知らせて無かったのは悪かったさ、でもな学校行かないと就職する時とか難しくなるからな、其れに、修行ばかりじゃなくちゃんと勉強もしないと駄目だ」

 

 

「……わかった、学校いくよ、けど教科書とかノートとかないぞ?」

 

 

「ああ、其れなら鉄心が用意しといてくれたんだわ」

 

 

「あー本当...今度はお礼言っとかなきゃな」

 

 

「そうだな、ほら取り敢えず飯食うぞ」

 

 

「うーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー学校

 

 

 

「なあなあ、聞いたか大和、このクラスに編入生が来るんだとよ」

 

 

「ああ、聞いたよガクト、クラスの話題もその話で持ちきりだしな」

 

 

会話をしているのは風間ファミリーのガクトと大和、そしてその場にいる風間とモロが話に加わっていた。

 

 

「編入生かぁ...一体どんな子なんだろうね」

 

 

「俺様は可愛い女の子がいいぜ」

 

 

「ガクトは本当にそればっかりだね」

 

 

「あたぼうよ!そのまま俺様はその子にアタックし続けるぜ!」

 

 

「止めとけ、すぐ玉砕するだろうよ」

 

 

「そうだね」

 

 

「誰も俺様の味方はいないのかよ!!」

 

 

大和言葉にモロ、風間は肯定の態度を取られたことにガクトは嘆いていたそうな。たわいも無い話をしていた4人組、教室のドアが開き担任が入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に着いた龍樹は職員室に挨拶をし、教室の扉の前で立っていた。

 

 

「はーい!みんな静かに!今回から皆さんに新しいお友達ができます。」

 

 

先生の言葉に教室が騒めき出した。、「男の子かな?女の子かな?」、「どんな子なんだろう」、という言葉が飛び交う。騒がしくなり、担任が手をパン!パン!と叩き静かにさせる。

 

 

「静かにね!はい、それじゃあ、入ってきて」

 

 

 

ガラガラと扉が横へスライドする。ドアが開き教壇の上に立つ龍樹。風間ファミリーの面々は龍樹に驚いていた。

 

 

「俺の名前は神道龍樹、今日からこのクラスの一員になる、仲良くしてくれるとありがたい、よろしく」

 

 

教室を見回しながら笑顔で挨拶を交わす龍樹。その目線の中には風間ファミリーの面々が眼に映った。

 

 

「じゃあ龍樹君、あなたの席は後ろの席の...風間君の隣の席に座ってね」

 

 

「わかりました」

 

 

そのまま教壇を降り、指定された席へと向かう龍樹、その姿を見るクラスの一同。殆どが龍樹に好奇の視線を向けていた。

 

 

「よっ、キャップ、同じクラスとはな」

 

 

「編入生ってお前だったのか、ビックリしたぜ」

 

 

「俺も驚いたよ、大和もガクトにモロもいるし、安心したよ、まあ取り敢えずよろしく」

 

 

「おう、何でも聞いてくれ」

 

 

龍樹の自己紹介が終わり、その後に授業が始まった。1時間目の授業は体育だった。だがこの時間が問題だった。龍樹は修行をしている身であり、身体能力が日々向上している。まだ殆どの者は龍樹の実力を知らない。龍樹は意気揚々と授業に取り組んだ。ほぼ全員が龍樹の身体能力に感嘆の声を上げた。其れは瞬く間に学校全体に広まっていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーそして今に至る

 

 

龍樹を取り囲む人だかり。その中には同じクラスの子だけではなく、他のクラスや上級生までも龍樹の姿を見に来ていた。そして今も尚随時話しかけられている。

 

 

(一遍に話し掛けられてもわかんねぇよ、俺は聖徳太子じゃねぇんだよ!)

 

 

流石に鬱陶しくなってきた龍樹は風間達に助けの視線を求めるが、眼を合わせようとはしなかった。

 

 

(お前ら薄情者!...あー...誰か助けて...)

 

 

龍樹の心は上の空へと消えていくしかなかった。

 

 

 

 

 

 

「龍樹君!って...あれ?」

 

 

「あれ〜龍樹君は?」

 

 

「あれ?いないよ?」

 

 

またもやクラスの面々龍樹と話をしようとするが、授業が終わったと同時に龍樹は()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとかなったな」

 

 

何とか見られず教室抜け出した龍樹。そのまま上の階へと階段を登っていく。

 

 

「何処かゆっくり寛げる場所ないかな」

 

 

廊下を歩いて行き、辺りを見回す龍樹、するとある標識が眼に映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー図書室

 

 

 

 

 

「図書室...此処ならゆっくり出来そうだ」

 

 

 

扉に手を掛けゆっくりと開け、入っていく。中を見回すが誰も...いや、1人だけいた。

 

 

 

(ん?誰かいる?)

 

 

1番奥の席にその子はいた。

紫髪の女の子、女の子は本から目を離し、龍樹の方をチラリと見たが、直ぐに視線を戻し本に視線を戻す。

 

 

「………」

 

 

「あー...悪いな、急に入って来て...驚ろかしちまったか?」

 

 

「...えっ...いや...大丈夫...」

 

 

話し掛けられると思っていなかったのか、女の子は少し驚きながらも返事を返してきた。

 

 

「そっか、俺は神道龍樹だ」

 

 

「しってるよ、学校で凄い噂になってるから...」

 

 

「あ〜〜...やっぱり?...加減しとくんだったな...」

 

 

女の子の言葉に頭をかかえる龍樹。小学生はスポーツを習ってたとしても龍樹の様に身体能力がずば抜けているわけではない、そんな周の子達からすれば新鮮で好奇の対象でしかない。

 

 

「今度から自重しよ...所でお前の名前は?」

 

 

「え?」

 

 

「名前だよ、名前、お前の名前を教えて欲しいんだ」

 

 

「う...うん、椎名京(しいなみやこ)。」

 

 

「椎名京..か、いい名前だな」

 

 

「えっ...あ...その...ありがとう...」

 

 

龍樹の言葉に顔を伏せてしまう京、彼女からしたら初めて言われた言葉だった。言われたこともない言葉にどう言えばいいかわからず顔を紅くさせる。

 

 

「京はよく此処に来るのか?」

 

 

「えっ?...う、うん...休み時間とかは此処にいる」

 

 

「そっか、なら明日もくるわ」

 

 

「え?」

 

 

「此処静かだしゆっくり出来るし、それに京も居るから退屈しなさそうだしな」

 

 

「………」

 

 

「そろそろ6時間目が始まるな、じゃあ俺は教室に戻るわ、じゃあな京、また」

 

 

「う、うん、また...」

 

 

龍樹は京に軽く挨拶をし図書室を出た、京は出て行く龍樹を呆然と見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか疲れたなぁ〜」

 

 

学校が終わり帰路へと向かう龍樹。帰り支度の途中、クラス子達から一緒に帰ろうなど、言われたがやんわりと断り1人で帰っている。

 

帰路途中、龍樹は今日の出来事を振り返る。

 

編入初日にみんなからワアワア言われ、収まらない集団達の相手をしていた自分。そしてある子と図書室で出会った。

 

 

椎名京と言う女の子。

何故か京の事で頭が一杯だった。それは別に恋愛感情だからじゃないし、一目惚れした訳でもない。では何故か?

 

 

(京のあの目...見ているととても悲しかった)

 

 

そう、小雪の時と同じ様に哀しい目がそこにはあったからだ。

 

 

(明日、また図書室に行ってみるか...)

 

 

龍樹は頭の中でそう思いながら帰路の道を歩いて行った。そして、それから毎回のように図書室へと脚を運んだ、徐々に京の言葉に声色が明るくなってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

休日の日

 

 

「なあ、なんかここら辺の草なんか大きくねぇか?」

 

 

声に出したのはキャップだった。この日はファミリー面々と遊ぶ約束をしており空き地にまで来ていたのだ。

 

 

「確かに言われてみればな」

 

 

「うん、そうだね、他の木草と比べると大きいね」

 

 

辺りを見回す風間ファミリー。

するとそこに3、4メートル程の花?らしきものが目に映った。

 

 

「デカイな...この花...」

 

 

「確かにな、この花誰か知ってるか?」

 

 

キャップが周りに問うが、ファミリー達は首を横に振る。すると此処で百代が声を上げた。

 

 

「じじいに聞いてみるか?」

 

 

「鉄心さんに?」

 

 

「ああ、じじぃだったら何でも知ってるだろ」

 

 

「年配の方だしな、所でどうやって呼ぶんだ?」

 

 

「こうするのさ」

 

 

百代は少しだけ覇気強めた、そして大きく息を吸い込んだ。

 

 

 

「天辺ハゲのエロじじい!!」

 

 

 

 

 

「お怒りMAXのお爺ちゃん登場じゃ♪」

 

 

百代が叫び終わると同時にどっからともなく鉄心が現れ凄い和かに言い放った。

 

 

「モモよ、世の中には言っていいことと、悪い事の区別をつけなければならん」

 

 

「別にいいだろ?だって本当の事だし、知ってるぞ?じじいまたエロ本買ったんだろ?」

 

 

「なっ!?何処でその情報を?」

 

 

百代の言葉に驚き眼の色を変える鉄心。

 

 

「釈迦堂さんが言ってた」

 

 

「おのれ釈迦堂め!!」

 

 

エロ本が買ったことがバレてしまった鉄心、尚且つ自分の孫にもバレている。今の鉄心には武神としての威厳はなく単なるエロ爺さんだ。

 

 

「あの〜鉄心さん、其れよりもこの花何かわかりますか?」

 

 

このままでは埒があかないので龍樹が鉄心に声をかけた。

 

 

「む?...ホォ...これは竜舌蘭(りゅうぜつらん)と言う花じゃよ」

 

 

話によるとこの花の名は竜舌蘭。とても大きく育ち長い年月をかけて花を咲かすそうだ。運が良いのかもう咲く手前まで来ているらしい。 滅多に見られる事のない花を見てみたかった。その日から龍樹達はその花が咲くまで皆んなで世話をし続けた。

 

 

 

 

 

そんなある日ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

突然何か頬に冷たい物が触れた、いや落ちてきたのだ。空を見ると雲行きが怪しくなり始めていた。

 

 

「そう言えば台風が来るって言ってたな...雨も降ってきたし風も出てる、そろそろ戻るか」

 

 

龍樹はそのまま急ぎ足で帰路へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい...大丈夫かコレ」

 

 

「ワン」

 

窓から外の風景を見る龍樹。外は暴風で木々は激しく揺れ、暴風により強まった雨は容赦なく地面を叩きつける音が家の中まで聞こえてくる。

 

 

「予想以上だなこれは...竜舌蘭は無事だろうな」

 

 

頭の中を横切ったのは竜舌蘭。みんなで咲くのを見ると約束した、思い出になるであろう花が台風でボロボロになるのではないかと心配になっていた。

 

 

「……守んねぇとな...約束したからな」

 

 

「ハク、悪いがちょっと出かけてくるな...家の留守番頼むぞ」

 

 

「………」コクリ

 

 

「頼むな」

 

 

そのまま龍樹は玄関を飛び出して行った、その背中をハクはじっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えた!」

 

 

全速力で駆け抜け、目線の先には竜舌蘭と一人の人影が見えた。その人影は竜舌蘭が倒れないよう支えてる様子だった。

 

 

「ん?み...京!?お前どうしてこんなとこに居るんだよ!?」

 

 

暴風の中、大雨の中、竜舌蘭を支えていたのは京だった。

 

 

「あ...龍樹」

 

 

「危ないだろ!こんな所にいたら!今は台風が来てんだぞ!?」

 

 

「危ないのは龍樹も同じでしょ?」

 

 

「それはそうだが...なんで」

 

 

「放課後...何時も龍樹達...この大きな花の世話してたでしょ?...とても大切なんだと思って...もしこの台風でボロボロになっちゃったら悲しむと思って」

 

 

「...京...お前...」

 

 

京はこの竜舌蘭とは何の関係もなかった筈なのに、それでも龍樹達の為に竜舌蘭を守ろうとした。

 

 

「そうか...ありがとな、京」

 

 

「……うん」

 

 

「よし、なら京、手伝ってくれるか?」

 

 

「うん!任せて!」

 

 

意気込み作業に取り掛かろうとしようとしたら...

 

 

 

「おーい!龍樹ー!」

 

 

背後を振り返ってみると百代、風間、ガクト、大和、モロ、ワン子の風間ファミリー全員が集まっていた。

 

 

「お前ら...やっぱりきたのか」

 

 

「当たり前だろ!この日をどれだけ待ち侘びたものか、こんな台風で竜舌蘭をボロボロにする訳にはいかねぇからな」

 

 

キャップの言葉にみんな頷いた。

 

 

「そうか、じゃあ皆んな!やるぞ!」

 

 

『おおー!』

 

 

龍樹の掛け声と共に作業に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台風から無事竜舌蘭を守りきり、そして漸く竜舌蘭の花が咲いた。

 

 

「咲いたな...」

 

 

「だけど...なんかショボいな...」

 

 

「キャップ、それ言っちゃだめだ」

 

 

「まあ、無事に咲いたしよしとしようよ」

 

 

「そうだな」

 

 

「ところでお前ら親にこの事言ったのか?」

 

 

龍樹の言葉に全員顔を引きつかせていた。みんな何も言わず出てきたらしい。

 

 

「(俺も親父に何も言ってなかったな、こりゃ怒られる)」

 

 

だが、後悔はしていなかった。みんなで約束したものを守れたのだから、それだけで歓喜と達成感で満ち溢れていた。

 

 

 

 

すると鉄心、ルー、釈迦堂、刃、ハク、そして、ガクトの母親の麗子がやってきた。五人と1匹の表情を見ると怒っているようだ。

 

 

「全くのぉ...お主ら勝手な行動して怪我でもしたらどうするんじゃ!!」

 

 

『ッ!!』

 

 

鉄心の喝が風間ファミリーの身体を震わせた。だがそれはそれ程心配心配していたからだ。子供が台風の中に飛び込んで怪我をしないのは危険で何かあっては遅い。

 

 

「竜舌蘭が開花を見たいのはわかるけド、心配をかけてはいけないヨ」

 

 

「全くこの馬鹿息子!!アンタどれだけ心配したと思ってるんだい!!」

 

 

「いでぇ!!」

 

 

ガクトとは勢いよく麗子さんに引っ叩かれた。

 

 

「ったくよー...大人に心配かけんじゃねーよお前ら、少しは大人を頼れ」

 

 

釈迦堂は頭を掻きながら龍樹達にそう言った。釈迦堂も彼らの事を心配していたようだ。

 

 

「龍樹、お前一体どれだけ心配かけたか分かってんのか?」

 

 

「……ごめん、親父...約束したんだ...皆んなで咲くのを見ようって...ごめんなさい」

 

 

「全く...なあ龍樹、何でもかんでも一人でやろうとするな、人は万能じゃない、誰しも一人では乗り越えられない事もあるんだ、龍樹の想いはわかるさ、だけどな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の行動にはちゃんと責任を持て!!心配させるなんて言語道断だッ!!ましてや家族にだッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!」

 

 

「龍樹...お前に何かあったら俺は悲しい...それはハクだってそうさ、俺はお前の父親だ、息子を守るのは当然の事なんだ、お前が傷付いたら悲しむものが居る事を忘れないでくれ」

 

 

「ワン!ワン!」

 

 

「....うん...ごめんなさい」

 

 

龍樹の頬に伝う雫。刃に心配をかけてしまった罪悪感とそれ程大切にされていたという想いが伝わり心に響き溢れ出たのだ。自分はこんなにも大切にされている、それだけで充分だった。

 

 

「……とにかく、無事でよかった」

 

 

刃は優しく龍樹の頭を撫でた。

ハクは龍樹近くにより顔をすり寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、皆んな並びな!記念写真を撮るよ!」

 

 

説教が終わり暫くして麗子がカメラを持ってき子供達を竜舌蘭の前に並ばせた。

 

 

「ほら、京も来いよ」

 

 

「えっ?でも...」

 

 

「いいから、ホラ早く!」

 

 

龍樹は京の腕を掴み隣に並ばせる。

 

 

「みんなもいいだろ?」

 

 

「おう!いいぜ!」

 

 

「ああ、構わない」

 

 

「僕もいいよ」

 

 

「俺様もだ」

 

 

「私も構わないぞ」

 

 

「私も構わないわ」

 

 

「ほら全員いいっていってるしな」

 

 

「……うん!」

 

 

「はーい!みんな笑ってー!」

 

 

パシャりとカメラのシャッターが切られる音がした。この写真は未来永劫の物になるのはまだ彼らは知らない。

 

 

 




高校生活に早く突入したいですね〜
頑張ります。

次回もお楽しみに


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