クズだらけ (かめだ)
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先代オペオペの実の能力者が好き勝手やった結果
俺はクズである。自覚はある。
幼い頃、流行病で両親を無くしてから俺の関心はもっぱら死を遠ざけることにあった。
そのために医療を学び、病的なほどに健康にこだわり、知識を身につけてきた。
そんなおり、偶然手に入れた悪魔の実。
オペオペの実は素晴らしかった。
バラしても死なないという特性から多くの医学論文や治療に繋がった。
身体の一部をバラして観察することにより人間の身体の隅々まで知った俺はよほどのことがなければ病や怪我で死ぬことはなくなった。
神の手と讃えられ、美しい妻も、子供も出来た。
しかし、老いには叶わない。
年々劣化していく身体が怖くて仕方なかった。
死から更に遠のくために様々な研究をした結果、俺がたどり着いたのは不老不死への道だった。
しかし、不老手術ができるのはオペオペの実の能力者のみ。
自分に繊細な不老手術は施せそうになかった。
俺は誰かを不老不死にすることはできても、自分は出来ない。
悔しかった。
何故オペオペの実を俺が食べてしまったのかと心から後悔した。
そんな荒れる俺を、家族は優しく包み込んでくれた。
最近根を詰めすぎていたから、と気分転換に誘ってくる妻。
俺のような医者になりたいと言って、まだまだ難しいだろう本を読む可愛い息子のアドラ。
俺は幸せだった。
そう、俺は幸運だった！
「あぁ、ありがとうアドラ。お前のおかげだ」
俺は手に入れた。
ついに不老不死を手に入れた！！！
目の前には冷たくなって横たわる俺。
不老手術の代償に命を落とした可哀想な俺。
「アドラ、お前は間違いなく天才だった」
俺が20年近くかけてたどり着いた境地に、たった５年で追いついた。
自分の身体でもない、能力者でもないアドラが完璧な不老手術を成功させるなんて、まるで奇跡のような話しだった。
お前が俺を永遠にしてくれた。
お前のおかげで俺はついに死を克服した。
「ありがとう、アドラ。お前は″俺が引き継ぐ″」
この不老不死の身体で生きよう。
そうだな、まずは久々に海に行くのはどうだろうか。
オペオペの実を食べてからずっと近づいていなかった海を、今なら泳ぐことすら出来る。
「本当にありがとうアドラ！」
可愛い息子のおかげで、俺は永遠になれた！
素晴らしい身体を手に入れたのだから、外を見てみたくなるのは仕方ないではないか。
俺の死に泣き崩れる妻をそこそこに慰めると、医学の勉強のために旅に出ると告げた。
お題目は父親を救うことが出来なかったから。
最初は反発した妻も、俺が意志を変える気がないと知るとしぶしぶ後押ししてくれた。
以前の俺は、死を恐れて危険のある場所には全く近寄らなかった。
しかし死を克服した俺ならどんなとこにでもいける。
見たいもの、知りたいものは山ほどあった。
健康の一環で鍛え抜いた身体は死んでしまったが、俺は肉体の絶頂で停止した男。
いくらでも鍛えることはできる。
そうやって、１年、また１年と時を重ねていった。
今の俺は、ドンキホーテファミリーの一員だった。
ボロボロな姿で立っていたので治療をしてほしいのかと思い治療したらなつかれてしまった二人の子供。
母親もかなり衰弱していたが、神の腕とさえ呼ばれた俺に助けられない患者はもう居ない。
家族４人で逃げられるように手はずを整え、さぁさよならだと思ったら小さいのにサングラスをした方の子供に腕を捕まれてしまった。
そこからなんやかんやあったが、サングラスの子は立派な大人に成長し……あー、立派な悪人に成長した。
前髪が長い方は、ある日サングラスの方ととんでもない兄弟喧嘩をして悪人になっていた兄貴に対する反発で海軍に入った。
サングラスの方はそのあまりに極端な行動力に爆笑していたが。
今でもたまに楽しそうに殺しあっている。
両親はとことん人が良いのか、危ないことはしちゃだめよと笑っていたがあんた達の後ろに立ってるサングラスより危険なものはなかなか居ない。
まぁなんだかんだ、前髪もサングラスが心配なのかツンデレ気味な電話をしているらしいし、家族の絆とやらは抜群なのだろう。
俺は一カ所に留まれないこいつらドンキホーテファミリーの為に船を手に入れて、俺の旅につき合わせた。
一人での航海に限界を感じていた所だったので、この極端にお人好しな一家(サングラス除く)ほど信用できる者は居ないだろうから都合が良かった。
船の入手手段は大きな声で言えないような方法だったがまぁそんなもの関係ない。
気がつけばサングラスがシンパを増やし、厨二臭い組織を作り上げ両親の見ていないところで相当な悪事を働いているようだが俺は関係ない。
途中、白鉛病やら流行病を直し、神のように崇められる俺。
知識とは力である。
老いない俺に気付いても気にしないドンキホーテファミリー達と行動するのは楽しかった。
人間一人では生きていけないからな。
精神的な方面も学んでいるので一人で過ごし続けるなんて愚かな事はしないのだ。
「アドラさん、本当にありがとう」
「なんだよ今更」
「アドラさんに出会わなければ、我ら家族の未来は暗かっただろう」
「そんなこと……あるかもな」
サングラスの方とか色々アレだし。
「こうやって、ファミリー(家族)で共に過ごせる幸せをありがとう」
「はずかしーなー」
俺は余裕があった。
だから助けてやった。
それだけなのに。
「まぁ俺も結構あんたらのこと気に入ってるから、あんたらが死ぬまでくらいならつき合ってやるよ」
人生には適度な刺激が大切だ。
何もないと精神衛生上悪い。
俺が自身の死を望むことなんてまずあり得ないだろうが、心を病んでしまっては健康とは言えないからな。
そこそこ人と関わり、そこそこ満足感を感じ、そこそこ刺激があるのが最適だ。
もし面倒になったら捨てるし俺のことを殺そうとしたら殺すが。
最近サングラスの方が怪しいんだよなぁ。
俺がなんで老いないのかやけに聞いてくる。
悪魔の実は食べていないので弱点らしい弱点はないが普通に痛覚はあるので、拷問なんてされたら死ねないからこそより苦しむことになるだろう。
あぁ、でも俺に危害を加えないでくれるなら良いか。
オペオペの実さえ見つければ適当な子供を育てて不老手術をさせればいい。
やり方を聞いてきたら答えてやってもいいだろう。
いい加減、長い人生だから同じ存在(不老不死)が居るのも悪くない。
ローはあっさりアドラに救われて、普通に医者になってるんじゃないかな
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リセマラ男の楽しい人生ゲーム
オペオペよりもクズ
アンチヘイトタグが必要か悩んだけど一応つけとく
リセマラ、という言葉をご存じだろうか。
リセットマラソンを略してリセマラ。
少し知識のある人なら解るだろうが、ゲームをスタートした後にランダム性のあるキャラやアイテムのためにゲームを最初からやり直すことを指す。
買いきり型のゲームなら某世界的に有名な黄色い獣のゲームで最初に選ぶ相棒の性別や性格を厳選するのもその一種だ。
だが、一般的にはソーシャルゲームをインストールしてチュートリアルをクリアした時のガチャを目的のものが出るまでアンインストールを繰り返すことがリセマラと呼ばれている気がする。
で、ここまでぐだぐだとリセマラについて話したのは何故かというと、オレはリセマラという行為が大好きなのだ。
まずリセマラをする前に攻略サイトでリセマラランキングを見る。
そのランキングが一位のキャラやアイテムが出るまでリセマラを繰り返し、それからゲームを開始する。
しかし、あくまでオレはリセマラという行為が好きでリセマラが終わった後のゲームはそこまで長続きしない。
多くの人が大量に課金してまで求めるモノを、無料で手にいれる事により得られる一時的な満足感が欲しいからこそリセマラをするので、その後はもう蛇足でしかない。
「つまるところ人生はクソゲー」
神様転生とやらをするときに貰った特典のお陰でオレは思う存分リセマラをした。
ちんけな村の子供や貴族の子供や孤児や海賊の子供や海軍の子供や天竜人とかいう種族の子供や魚人の子供や空島の子供や砂漠の町の子供や雪の国の子供や日本みたいな国の子供や獣人の子供や巨人の子供や長男長女次男次女三男三女四男……………とにかく、沢山のリセマラをした。
生まれ、身体能力、アバター、両親など厳選に厳選を重ねた。
その結果、オレは貴族の長男で各種パラメーターMAXでイケメンな外見に優しい両親を手に入れた。
異国から嫁いできた美しい母に、見た目はいまいちだが聖人並の心の広さの父親は前世とは比べ物にならない。
やればやるほど能力は上がるし、生まれのお陰で金に困ったことはないし、オレが微笑めば天使の微笑みだとかなんだとか大層持て囃してくれる。
人生勝ち組、生まれた時点でゴールイン。
やることなんか無くなってしまった。
なんて余裕のよっちゃん(死語)を気取っていた突然イベントが始まった。
ある日突然オレの国は滅ぼされてしまった。
オレの国、フレバンスは炎に包まれ、すっかり消えてなくなってしまった。
イベントタイトルにするならフレバンス掃討作戦とかだろうか。
退屈に殺されそうだったオレからしたら突然のイベントに大盛り上がりである。
自国対世界政府のレイド戦だったので負けイベントかなとも思ったが負けたらキャラリセすれば良いから大奮闘。
イベントランキングあったなら間違いなく総合一位はオレのものだろうというぐらい暴れて暴れて暴れまくった。
負けイベントに絶望してた国民もオレの奮闘を見てか、かなり頑張ってたし。
まぁ、最後は負けイベントらしくどうしようも無くなったので逃げたが、なんか称号っぽいの貰って懸賞金がかかったからイベントランキング一位は堅いだろう。
金額はまだ２億で個人ランキングは低いが、いつかランキングトップを取って海賊王の称号を手にいれるのも良いかなと思った。
「だからほら、まずは経験値貯めてレベルアップしようかなって」
虫の息の海賊ＡＢＣに話しかける。
こんな経験値相手に言っても無駄だと解ってるんだが、一つのソシャゲを延々とやりつづけるのも飽きるから刺激が欲しいのだ。
こないだ戦ったなんたら海賊団はオレをレベル50としたら10くらいしかない雑魚で、初期技の覇気で倒せる程度だった。
ろくな経験値にもならないし、実際オレのランキングポイント(賞金)も上がらなかった。
フレバンスのレイドイベから暫く逃走生活を続けていたので大きなイベントが無いからか近頃ランキングが伸び悩んでいる。
ポイントを貯めるだけなら適当な村や島を破壊すれば貯まるようだが、リセマラ先を減らすなんて自殺行為やるわけにはいかない。
今のオレに出来るのは海賊潰し程度だ。
「あーつまんね」
経験値が少し増えた後、何か目ぼしいものはないか見渡してみるが、ろくなもんはない。
とりあえず金目のものだけ奪っておくか。
オレの船はそこそこデカイので金がかかるのだ。
フレバンス崩壊イベントの時、連れ出せるだけ部下や知り合いや住民を連れてきたから乗組員はみんな半病人だ。
最近珀鉛病が発祥して徐々に動けなくなっていくやつが増えている。
足手まといになってきたからそろそろ処分しようかとも思ったが、一人でこの船を動かすのは困難だし、さっきの経験値達よりはよっぽどレベルが高いから勿体無い。
まぁホントにダメになったらオレの経験値にすればいい。
今のところ兆候はないが、オレ自身珀鉛病が発祥する可能性があるから早めに治療方法を手に入れたい。
治療方法の確立には被験者が多い方が良いだろうから、生き残りが居る内に早めに名医を見つけたいものだ。
とりあえず現在の方針は、ランキングアップと珀鉛病を直せる医者の探索だ。
なんて、考えていたからだろうか。
ランキングアップに都合の良さそうなキーワード新聞に乱舞していた。
「世界貴族、ねぇ……これはあれか？デブメタや種火みたいなもんか？」
一回歯向かうだけでこんなトンでもないランキングポイントなら、全員殺せばどうなるのだろか。
「海賊王に、オレはなるっ！ってか？ははっ」
勿論これだけ厳重に報じられるくらいだ、経験値入手は厳しいだろうが、だからこそ競合しにくいとも言える。
ポイント独り占めしたら、ランキングはどれだけ上がるだろう。
今からとらぬ狸のなんとやらだが、一回失敗しても次があるのだ、やれるだけやってみるのも良いじゃないか。
なあに、死んだらまたリセマラができるんだ。
人生楽しまなきゃな。
黒ひげの仲間(いつか裏切る気まんまん)になるとこまで書く気力がなかった
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