賢者な英霊(仮)はとにかくヤりたい(真顔) (おき太さんかわゆい)
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俺はヤりたい(直球)

※初っぱなから下ネタのオンパレードです。下劣な話が苦手な方はブラウザバックをオススメします。



……にしても最後に書き始めたはずのこの作品が一番最初に完成して……しかもこんなド下ネタ作品が初投稿なんて、こんなの絶対おかしいよ……


頭の中を空っぽにしてお読みください。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……うっ! …………………………………………ふぅ。

 

 

 

 

 

 やあ! すまないな脳内フレンズ(諸  君)

 お見苦しいところをお見せした。

 俺は精神汚染(大嘘)のスキルを保有している故、果てることで至れる賢者モードにならなければ理性をちゃんと発揮できないんだ(建前)。

 

 本当にすまない。

 ただ今したかっただけだよっ(本音)。

 

 

 

 さて、諸君らを呼んだのは他でもない。

 

 

 

 人理が乱れているおかげで、俺のような英霊とはとても呼べないような存在すら召喚されるイレギュラーが起きている。

 まあ、厳密には我が異空間にて今も俺は生き続けていたはずなのだが、人理焼却の影響で異空間も消滅……してないんだよなこれが。

 

 ん? ならなんでカルデアに召喚されてんだって?

 

 

 

 

 

 今までも俺の棒的な分身から吐き出された、大量の俺のオタマジャクシ的な分身が何の意味もなく死んでいた訳だが。

 

 どうやらオタマジャクシ的な俺の死が、俺自身の死と誤認されたかなんかで、擬似的な死ってことで召喚されたみたいなんだ☆

 

 

 

 

 

 

 

 ねぇ、恥ずか死しそうなんだけど!?

 どうせならスカサハ師匠みたいに影の国が消滅したから擬似的な死を経て召喚されたみたいなのが良かったわ!!

 

 なんで俺の生み出した異空間、影の国よりも頑丈なんだよ! 馬鹿じゃないの!?

 

 幸いマスターや他のサーヴァントにはこのクソみたいな真実が露見してないっぽいから、そこだけは救いだけどさ。

 

 

 

 

 ウンンンンッッ!!

 よし、話を戻そうか。

 

 あの人理を修復せんとする為にサーヴァントを召喚しまくっているカルデアに1週間前くらい前に喚ばれたんだこの俺が!

 であれば、ヤることは一つ!

 

 

 

 

 

 童・貞・卒・業!!!!

 

 

 

 

 

 何せここは美少女動物園の如く、美形揃いのサーヴァントがたくさんいるんだからな! ……あ? 男? ああ、そうだよ男も美形揃い、つまりイケメンばっかだよ! ふざけんな! 顔だけならまだしもメンタルもイケメンが多いんだからたまったもんじゃないぜ。

 

 って、そんなことはいいんだよ。

 とにもかくにも普通に生きてるだけじゃ、まず出会えないような美少女揃いだ。

 俺はこの機会に童貞を捨てる! こんな千載一遇のチャンスはもう二度と訪れないだろうよ。これも偽ソロモン様様だ! 人理焼却万歳! 燃やしてくれてありがとー!!

 

 

 おっと、つい本音が。カルデアの面々に知られたらマジアカンから自重しよ。

 ちなみにマスターから俺は賢者さんと呼ばれている。

 格好が如何にもな賢者然としたローブを纏っているからだろうな。

 真名も明かしていないし。

 

 

 

 まあ、そんな訳で俺は童貞を卒業する。

 どのクラスのサーヴァントでも、マスターも美少女だし何ならマスターでも構わない。

 この際、女体なダヴィンチちゃんは当然として、アストルフォやデオンくんちゃん、ラーマきゅんにベディヴィエール、果てには最悪マーリンでも構わねぇ!

 とにかくなんとしても俺は童貞を捨ててみせる! 俺の悲願を成し遂げてみせる!

 諸君らを呼んだのも一種の決意表明さ。

 

 

 

 十中八九、童貞を卒業した瞬間に俺は死ぬ……もとい座に帰るような感じで異空間に帰還し、その上で息絶えるだろう。

 

 何せ俺は。

 

 

 

 

 

『童貞を捨てるまでは死んでも死にきれねぇ……!』

 

 

 

 

 

 その強い意志もとい意地だけで今日まで生き長らえてきたんだからな。

 その強い情念がゲッシュのような呪いとなり、俺の命を繋ぎ止め、肉体年齢さえも止めた。

 実際の年齢については、五百歳を超えた辺りで数えるのをやめたから正直忘れた。

 

 

 いつの間にか魔法使いになって、賢者や仙人も追い抜き、天使やら妖精にまで到達した挙げ句、それさえも飛び越えた。

 

 

 その長い年月によって俺は本当の名前も忘れた。

 

 だがちゃんと名はある。

 

 童貞の頂点に至ったことで世界は俺に一つの名を与えた。

 

 

 

 

 だから俺の真名は────

 

 

 

 

 

 

 童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)

 

 

 

 

 

 

 ────それが世界で最も長く童貞を守り通した男の名だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ほ、誇れねぇぇえええええええええええ……。

 童貞を卒業したいのは、この不名誉過ぎる名とおさらばする為でもあるのだ。

 

 ま、まあ? 理由の一つってだけで、9割程はただ女体(女顔なら男でも可)を抱いてハッスルしたいだけなんですけどねっ!

 

 

 

 よし! そうと決まれば、善は急げだ。

 この1週間の間、何もしてなかった訳じゃない。

 いや、ナニじゃないからね? ナニもしたけども。

 俺の卒業相手になりえる女性陣の部屋は全て覚えたし、好きそうな話題や好物は余裕で記憶。身長・体重、スリーサイズはもちろんのこと! 今日の下着の柄まで把握済みだ!

 

 これも全てスキル・二次元シミュレーションの賜物だぜ。

 

 日夜、女性陣の周りを嗅ぎ回り、隙あらばスカートの中身などを瞬時に確認して見イき余裕でした。

 断じて見抜きではない。

 見た瞬間に出すのだ。

 

 魔物のラミアとかも姿を見ただけでイッたしな俺。

 流石にスタンド状態を見せつける程の度胸は無かったから、思わずマスターに背を向ける形に成らざるをえなかったが。

 股間辺りから白濁な光線を放つ姿も宝具とはいえ、あまり見せびらかすもんじゃないしね。

 

 まあ、そんな訳で童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)にまで至れば見イき程度は朝飯前さ! ……自慢気に言うことじゃなかったか。

 あとはコミュニケーションを取りながら情報を得るために、理由をつけてはなるべく近くにいた。

 その上で彼女達の香りを嗅いだりしてその場で出す。

 快感を得ながら、情報収集にも余念がない俺。

 

 

 フッ……完璧だ。あとはなんやかんやで良い雰囲気に持っていき、ベッドインすれば勝ち。

 ハ、ハハハハハハ!! 楽勝ではないか! 勝ったな風呂入ってくる。

 

 清潔感は大事だからな、うん。さて、風呂入ってる間に候補の順番を決めておこう。誰にしようかなー。わくわくが止まらないぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時の俺は間違いなく油断していたんだろう。

 

 表情が常にポーカーフェイスを保ち、なおかつあらゆる思考を読むような能力を無効にし、俺の経歴を全て閲覧不可にして、AランクやEXランクの千里眼を用いても何一つ読み取らせない驚異のスキル・秘蔵の封印。

 

 これがあるのも油断の原因だっただろう。

 

 浮かれていたせいで、殺気や敵意、悪意などのない気配には反応できなかったのだ。

 

 

 

 

 

「賢者さーん、何してるの?」

 

 背後から俺の肩にポンッと手を乗せながらマスターが現れたのだ。

 刹那、全身に電流が走ったかのような錯覚に襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はカルデア最後のマスター・藤丸立香。

 一般応募でやってきた素質だけのただの一般人である私だけが、爆発事故を免れて何故か生き残っちゃったんだ。

 正直不安でいっぱいだったけど、可愛い後輩のマシュを始めとする個性豊かなサーヴァント達、ドクターロマンを始めとする生き残りのスタッフ達のおかげで何とかやってこれてます。

 特異点も苦戦しながらだけど一つずつ定礎復元できてるし、概ね順調です!

 

 

 で、つい最近のことなんだけど、新たなサーヴァントの召喚に成功しました。

 

 エクストラクラス・アヴェンジャー。

 

 真名は教えてもらえてないんだけど、格好や見た目、性格から賢者さんって呼んでます。

 

 

 

 賢者さんは基本的には寡黙で、でも話しかければちゃんと反応してくれるし、会話もしてくれる。

 あと女性にはすごく紳士的な対応をしてくれるんだよね。

 私みたいながさつな女子相手にもその対応は変わらない。

 ……いや、相手によって相手が喜ぶような対応に変えてるのかもしれない。モードレッドが相手の時は男友達のような応対をしてたし。

 

 私の場合は、例えば歩く時も歩幅を合わせてくれて付き人のように背後に控えながらゆっくり歩いてくれたり、部屋の扉を事前に開けてくれたり、重そうな荷物を持ってる時はさりげなく代わりに持ってくれたり、座る椅子を後ろに下げて座りやすいようにしてくれたり……。

 

 

 

 特異点でも彼は頼りになった。

 魔物が出現した瞬間、私のことを庇うようにして立ってくれて、その大きな背中がすごく安心感を与えてくれた。

 彼が扱う技や宝具も凄まじい力で、瞬く間に敵を一網打尽。

 それも私に配慮してかあまり血生臭い場面を見せないようにするために、白い光の術(?)で敵がやられる様がわからないようにしてくれてた。

 元が一般人の私の為なのかと思うと、胸が熱くなる。

 

 

 

 でも、そこまで紳士的な対応をしつつ、女性には決して触れようとしないんだよね。

 いや、こっちから握手を求めたりしたらちゃんとしてくれるんだけど、賢者さんから触れてくることはまずないんだよ。

 ……少しくらい触れてくれても良いんだけどなー、やっぱりスキンシップは大事だと思うし。

 マシュなんかよく他のサーヴァントにセクハラ染みたことされてるから、賢者さんみたいに積極的に関わりは持ってくるのに一切触れてこないサーヴァントは新鮮だったみたいで、まだ日も浅いのになついてるもんなー……。

 

 私も人のこと言えないか……でも仕方ないじゃん。

 賢者さんってば色々と優しすぎるんだもん。本当にどこらへんがアヴェンジャーなの? 全くひねくれた態度がないアヴェンジャーなんて、珍し過ぎるよね。 

 

 

 正直賢者さんについて語り出したらまだ来てから1週間程しか経っていないのに、数時間程度じゃ語り足りないほどだ。

 それだけ色々と尽くしてもらった。

 私もマスターとして精一杯頑張らないとっ!

 

 

 お? 噂をすればあの後ろ姿は賢者さん?

 あの頼りになる背中を忘れるはずもない。

 

 

 何してるんだろう? どこかに向かってる? にしてはゆっくりだけど。

 何か考え込んでる、のかな?

 賢者さんって普段から滅多に表情変えないから何考えてるかわかり辛いんだけど……まあ、根気強く接していけばわかるようになれるでしょ。

 それよりも! 今は近くに誰もいないみたいだし、これはもっと親密になれるチャンスかも。

 

 

 そう思って私はゆるーい感じで賢者さんの背後から声をかけたんだ。

 すると、何かまずかったのかなんと賢者さんはビクッと大きく震えた後、いきなり痙攣し出した。

 

 

「うっ! …………」

 

「えっ!? だ、大丈夫? そんなに強く叩いたつもりは無いんだけど……」

 

 肩を軽く叩いただけで、賢者さん急に前屈みになってビクビク痙攣しながら倒れそうになるなんて、どうしたんだろう? もしかしてどこか悪いんだろうか?

 

「……………………………………………………………………ふぅ。大丈夫だマスター。深く思考に没頭している最中だったから少し驚いただけだ。問題ない」

 

「そ、そう?」

 

「ああ」

 

「なら、良かった。でも無理はしないでね。私の魔力が足りないようなら、その、魔力供給しなくちゃだし」

 

「心配してくれてありがとう、マスター」

 

「ッ……う、うん」

 

 

 いつになく清々しい表情だし、顔色も大丈夫そうだ。本当に良かった。で、でも最後の笑顔はちょっと反則だと思うんだっ。賢者さんってば普段クールなのにあんな柔らかい笑みずるいよ……。

 

 

「すまない。マスター相手に過剰な反応をしてしまって。何かお詫びを……」

 

「い、いいよ! そこまでしなくても!」

 

「いいや良くないとも。我はキミのサーヴァントだ。マスターであるキミの軽いスキンシップにすら対応できないようでは、サーヴァント失格だ。いや……未だマスターに真名を明かせていない時点でサーヴァント失格、か」

 

「そんなことない! 賢者さんはまだここに来て1週間しか経ってないんだし、ゆっくり絆も深めていけばいいんだよ。真名についても私からは無理強いはしないからさ。それにこんなに短い間でも賢者さんがいてくれて、すごく助かってるんだから!」

 

 

 だからそんな曇った、自嘲したような笑顔をしないでっ!

 

 

「フッ……マスターは優しいな」

 

「そ、そんなことないよ」

 

 

 むしろ賢者さんの方が優しいよ!

 

 

「しかし、尚更何かお礼をしたい。マスター、我にしてもらいたいことは無いか?」

 

「えっ、賢者さんに?」

 

 

 ど、どうしよう。

 でもこれは絆を深めるチャンス! ……よし。

 

 

「賢者さんが好きなことを教えて欲しいな」

 

「そんなことで良いのか?」

 

「うんっ!」

 

「そうか。……そうだな。色々と見ることと寝ること、かな」

 

「へぇー。じゃあ今度一緒に映画見たり、お昼寝したりしようよ! それがお礼ってことでさ」

 

「……わかった」

 

 

 やった! 賢者さんを独占する権利ゲット! 思いっきり絆を深めるぞー!

 

 

「それじゃあ、日時はまた指定するね。あ、そういえば賢者さんってどこか向かってたんじゃないの?」

 

「……ああ、風呂にでも入ろうと思っていたんだ。またなマスター」

 

「うん、またね賢者さん」

 

 

 去っていく賢者さんを見て私は思った。

 賢者さんってば、あんな柔和な笑顔できたんだなー。

 新たな一面を知れて良かったかも。

 それに約束も取り付けられたし……。

 

 そういえばお風呂に行くつもりだったのかー。

 

 少しイカ臭かったのは、イカみたいな魔物とでも戦ってきたのかな? 口臭じゃなかったっぽいし。

 引き留めちゃって少し悪いことしたかも。早く風呂で体を洗いたかったんじゃ……ごめんね、賢者さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 マスターに触れられた瞬間、出てしまった。

 中身が全部空っぽになるくらい。

 彼女いない歴=年齢な、五百年以上の女性経験の無さがあだとなったか……。

 

 

 おかげで賢者モードの上位版、大賢者モードになってしまった。

 

 

 あの状態になると性欲が1日中消えちゃう上、性格も普段は演技なはずが、素で紳士な言動になってしまう。

 

 にしても、さっきは危なかった。マスター相手にいらんことを口走るところだったぜ……。

 

 性欲が無くなっても俺が好きなことは変わらないんだな。

 なーにが、

 

 

 

『色々と(エロ画像やエロ動画などの女体を)見ることと(女と)寝ること、かな』

 

 

 

 だ!

 俺は何を馬鹿正直に口走ってるんですかね!?

 …………言葉足らずで本当に良かったよ。

 綿密な計画が台無しになるところだったわ。

 

 

 はぁ、今日は諦めるしかないかね。

 性欲もないし残弾もゼロだ。

 明日になれば補充されるし、人理が修復されるまでは猶予がある。

 それに無意識とはいえ、マスターと二人っきりになる機会も確保できたしな。

 今日はひとっ風呂浴びてさっさと寝るか。

 ……サーヴァントだから寝る必要は無いんだが、大賢者モードだとナニもやる気起きないしな。

 寝ようそうしよう。

 

 

 

 

 

 それにしても、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)を常に着用してて本当に良かった。




早漏かつ絶倫な主人公
1日経てば全回復
ただし女性への免疫力:永遠のゼロ
つまり女性と接触しただけで全部中身排出→賢者タイム

……果たして主人公は人理修復が完了するまでに童貞を捨てられるのか!?
うん、前途多難だね



はい、こんな駄作をお読み下さりありがとうごさいました
あとお目汚し申し訳ない(陳謝)

恐らく続きませんので短編で投稿しました。思い付きと勢いで執筆しただけだからね仕方ないね


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ヤるしかないか(迫真) だったら見せてやるよ

Q:何故続いたし?

A:意外にも続きを思い付いてしまったから


はい、まさかの続きです
相変わらずの下ネタですが、元々一発ネタのつもりだったので1話目に比べると恐らくクオリティは落ちてます

期待はせず、頭の中を空っぽにしてお読み下さい

代わりに内容の汚さとシリアル度はたぶん増してます


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、やって参りましたよ!

 この前ほぼ無意識下で取り付けたマスターとのお部屋デートォ!

 人生で初めて(五百年以上生きてきて初)のデートだぜ、ヒャッハー!!

 

 マスターと二人っきりとか、なんてビッグチャンス。

 こうなりゃヤるしかねぇだろ!

 

 童貞を捨てる覚悟は当にできてんだ! ヤッてやる。絶対にヤッてやるぞ!

 見ててくれ脳内フレンズ(お ま え ら)。俺の雄姿を!!

 待っててくれよなマスター! 必ずやキミを淫靡なる世界に俺の息子が連れ出して見せるから!

 イクぜ!!

 

 

 腹上死上等ッ!(どうせ死亡直後異空間に飛ばされるし)

 

 

 テクノブレイク本望ッ!!(同上)

 

 

 見せてやるよ俺の息子が轟き爆ぜる瞬間を!!!

 

 

 しかとその目に童貞卒業を焼き付けよッ!!!!

 

 

 

 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! ……………………………………………………ふぅ。

 

 マスターをヤる? 馬鹿言っちゃいけない。あんないたいけな少女の処女を食って良いはずがないじゃないか。

 

 普通に一緒に映画を見て、普通に昼寝したよ。

 極めて健全なお付き合いさ。

 まあ、彼氏彼女の関係でもないし、今の関係は祖父と孫娘ってとこだろうね。年齢的に見ても。

 

 やれやれ、そんなに俺の隣は居心地が良かったかい? お腹を出して寝てたら風邪を引くぞ。

 ……仕方ない、タオルケットをかけてやろうか。

 

 人類最後のマスターとしての責務は大変だろう。

 だから今はゆっくりおやすみ。

 

 それにしても寝顔まで可愛いな、我がマスターは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり大賢者には勝てなかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。

 

 

 

 

 

 ア ホ か。

 

 いや、本当に。

 何が見ててくれお前ら。俺の雄姿を! だよ。

 無様な散り様しか見せてねぇよ!?

 玉砕もいいとこだよっ!?

 

 しかも即落ち2コマだったよ! 俺が!

 普通、逆だろ! マスターが俺の性剣でヨガって即落ち2コマが通説じゃねーのかよ!?

 なんでおじいちゃん目線になってんだ大賢者! 微笑ましい空気を出してんじゃねーぜよ! 出すなら出すもん中に出せよ(最低)

 

 

 つーか、弾切れ早すぎんよ! ただオカズを使って抜いてる時は『残弾永続・無限の如く』ってレベルで尽きることなんざねーってのに! ……アサ新に怒られそうだこれ。自重しましょうそうしましょう。

 

 

 

 クソッ、結局チャンスをモノにできなかった。

 ただほのぼのな1日をマスターと一緒に過ごしただけじゃねーか!

 いや、無駄な時間とは言わないよ?

 今回のでマスターとの親密度はさらに上がったと思うし。

 でも、でも! せっかく童貞を卒業できると思ったのに!

 

 

 

 チクショウ……にしても、今回も童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)が大活躍だったわ。 

 コイツがいなきゃ終わってた。

 社会的に。

 

 

 ちなみにこのオムツは俺の宝具の一つだ。

 

 能力は俺の棒が吐き出した俺達を受け止める役割……だけじゃ当然ない。

 

 その真の力は俺が生み出した、元々の俺の住居である異空間を維持する為の魔力に、出したオタマジャクシを変換し供給する役割を持つ。

 ぶっちゃけ糞尿も魔力変換してくれる優れものさ。俺はそれらはトイレに出したい派だから関係ないけど。

 

 

 だからオムツの中は直ぐに綺麗な状態になるんだぜ! 

 コイツのおかげで、俺は毎日いつでもどこでも出したい時に出し放題! すごく重宝してる宝具なんだよね。

 

 たぶん要介護のじいさんばあさんに大好評間違いなしだぜ。

 俺とは用途が全然別だがね。

 

 

 

 まあ全弾発射の場合、直ぐには全部魔力変換できないせいで若干のイカ臭さが漂ってしまうのが玉に瑕だが。

 時間がある程度経過すれば、魔力に全部変換できるし、臭いもだいたいは消臭効果があるから何とかなるんだけどな。

 

 

 

 ……正直マスターと部屋で映画見てる最中に、手と手が触れ合う事故があってね。

 

 瞬間に果てちゃってね、真っ白に燃え尽きたんだよね。 

 

 その上、量が多すぎるせいで多少漏れ出た臭いがマスターに指摘されないか気が気じゃなかったぜ……。

 

 

 スルメのおつまみ食べながら映画を見てたから何とかなったがな。

 

 

 

 

 

 結局最初の計画はご破算って訳だ。……ハサンちゃんも良いよなー。あ、静謐ちゃんとか、百貌ちゃんのことね。

 えっ? 静謐ちゃんは致死性の毒があるだろ、無理じゃん、だと?

 

 馬鹿野郎! 俺の体液(意味深)が毒なんかに負ける訳がねーだろ! いい加減にしろ(理不尽)

 

 てか、百貌ちゃんってさ、セルフ林間(誤字)プレイできるよね。なんて高度なオナニストなんだ(偏見)

 

 

 

 

 話が逸れた。

 

 

 

 

 さて、次はどうする? 俺。

 候補の順番を未だに決めかねてるからなー……というか今回で全てを終わらす気満々だったしね。

 俺はいつだって本気だからなっ(即ち無計画)

 

 うーむ、どうしたものか……。ん?

 

 

「あっ、賢者さん。ここにいましたか!」

 

「おや……マシュか。どうしたんだいそんなに慌てて。我に何か用事でも?」

 

「はい、先輩からのお誘いです。一緒に種火狩りに行きませんか? と。無理はしなくても良いそうです」

 

 

 種火狩り、か。大した労力ではないし。それに現状頭が煮詰まって候補を決めかねている。気分転換も必要だよな。

 

 

「ふむ、わかった。直ぐに準備しよう。先に行って待っててくれるようマスターに伝えてもらえるかな?」

 

「はい、了解です。それでは後程。今日もお願いしますね」

 

「ああ、任せたまえ」

 

 

 やはりマシュ嬢も一緒か。

 となると…………うん、野外プレイも一考だよね☆

 初めてが野外ってのもなかなかに乙じゃないか?

 

 

 よし、早速種火狩りに出掛ける。後に続けお前ら!

 

 まあ、俺は種火狩りじゃなくて種付けにイクつもりなんですけどねっ(ヤる気満々)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュ・キリエライト。

 それがわたしに与えられた名前だった。

 

 唐突に人理は焼却され、わたしの16歳の誕生日にわたしは命を落としかけた。

 

 そんな絶望的な状況から救い出してくれたのが、その日にやってきたばかりのマスター・藤丸立香先輩と、わたしの中にずっと留まってくれていた名も知らない英霊さん。

 

 

 心を救ってくれた先輩と、体を救ってくれた英霊さん。

 

 

 二人のおかげでわたしは今も生きています。

 せっかく拾った命。

 戦うのはやっぱり恐いけど、マスターの為に、力を貸してくれた英霊さんの為にも、デミ・サーヴァントとしての力を精一杯使いたい。

 

 その気持ちを胸に今日まで戦ってきました。

 特異点で様々な出会いと別れを繰り返しながら。

 

 

 

 おかげさまでまだ戦う恐怖がない訳じゃないですけど、戦闘自体には慣れて来ました。

 

 

 そんなある日のこと。

 カルデアに新たなサーヴァント、真名不明のアヴェンジャーが召喚されました。

 

 彼は真名を明かさなかったので、先輩が外見から賢者さんと呼ぶようになり、皆さんもそう呼ぶようになっていきました。

 

 

 初めてパーティを賢者さんと組んだ時は、その強さに驚かされました。

 霊基の強化もあまりされていないのに、たった一人で数多くの魔物を屠ったのです。

 わたしの出番なんてほとんどありませんでした。

 

 

 まだ召喚されてきて間もないはずの賢者さんは非常に優秀で、その後も多数の敵をものともせず軽く一掃する実力から、正直最初の方は彼1人で充分なのでは? わたしいらない子なんじゃ……とも、考えてしまいました。

 

 

 恐らくあの時のわたしは焦りを覚えていたんでしょう。

 

 

 今まで先輩と共に駆け抜けてきた特異点での戦いで、少しはシールダーとしての自信を持ち始めていたわたしの前で、わたし以上に敵の攻撃を完璧に防御する賢者さんを見てしまったから。

 

 さらに賢者さんはわたしを庇って強力な攻撃を防いでいる最中にもかかわらず、いつものクールで余裕そうな表情で、わたしのことをこわれものを扱うかのように接してきたのです。

 いくらデミ・サーヴァントとはいえ、こんなお荷物のような扱いには、わたしも流石に怒りを覚えたものです。

 

 

 その上どんな戦場でも活躍できる強さを備えた彼が羨ましかったんです。たぶん、あの時わたしの中で渦巻いていた感情が嫉妬だったのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 でも、賢者さんが来てから3日程経った頃、彼はマスターと一緒にいたわたしに言いました。

 

 

『マシュ。キミは我の強さを羨んでいないか? 杞憂なら良いのだが、そうであるならやめた方がいい』

 

 

 図星だったわたしは思わず反論しようとしました。

 しかし、今まで寡黙だったからか仏頂面だった彼がわたしに向けた表情は、あまりにも穏やかなのに、眼光だけは異様に鋭かったのです。まるで獲物を睨む猛獣のような。

 その目を見たら何も言えなくなってしまったんです。

 賢者さんは続けました。

 

 

『我のこの力は歪んだモノだ。我にはどうしても捨てたいモノがあった。だがそれは我にとって簡単に捨てられるモノではなかった。人によってはあっさり捨てられたであろうそれを、捨てる為に捨てられなかった妄執の果て。それこそが我が振るう力だ』

 

 

 彼は遠い目をしていました。恐らく過去に思いを馳せていたのでしょう。

 

 

『捨てたいモノを捨てる為に捨てられなかった想い……故に他のモノは全て捨て去った。ただ捨てたいモノを捨てる為に他の捨ててはならないモノをたくさん犠牲にしてきた。最終的に我はずっと独りだった。結局最後まで残ったのは、捨てたくても捨てられなかったモノだけ。それ以外は全てを失ってしまった』

 

 

 彼の独白は続く。

 

 

『そうやってずっと捨てられず五百年以上独りでいたよ。その永い永い年月を経て凝り固まった力を今振るっているに過ぎない。目的は未だ達せぬまま、欲しいとはまるで望んでいなかった力だけを得た。…………つまり我の力を羨むということは、大切なモノを全て犠牲にした上で、目標とした願いは叶えられないままの人生を目指すということだ。マシュはそれでもこの力が欲しいかい?』

 

 

 悲しげな笑みを浮かべた賢者さんからそう告げられました。

 

 わたしはなんて愚かなのだろう。

 人の身であれほどの万能な力を得るには、出生や境遇に何かしら特別なものがないのであれば、自ら普通でなくなるしかない。努力するだけでは足りず、犠牲をものともせず邁進しなければ得られない。

 

 

 常識から外れた力を得るなら、常軌を逸した行動を取るほかない。

 

 

 賢者さんはそれを体現したが故に、英霊へと至ったのだろう。

 

 彼は召喚された時、自らを『世界への反逆者』と名乗った。

 

 それは彼の生き様そのものが世界への反逆だからに他ならない。

 

 

 わたしはこの時悟りました。

 賢者さんはきっとわたしに後悔して欲しくなかったのだろう、と。

 出会って間もないわたしに、ぼかした内容とはいえ自分自身の過去を語ってくれたのは、彼の本質が優しさに溢れているから。

 

 そして、わたしを庇ったりこわれものを扱うかのような態度や、他のサーヴァントの皆さん以上に力を振るう真意を、この後言った彼の本音で知ったのです。

 

 

『我はずっと独りだった。でも、今はそれで良かったのだと思えている。英霊崩れへと至ったおかげでカルデアに呼ばれ、素敵なマスターとサーヴァント達に出会えた。……だからもう二度と我は手放さないと誓ったのだ。今度こそは必ず……!』

 

 

 ……賢者さんはただもう二度と失いたくないだけなんですね。

 そして、彼にとって大切なものの中に先輩はもちろんのことわたしもいる。ただそれだけだった。

 

 

 そう理解したら、すぅーっと、わたしの心の中でもやもやしていたものが晴れていくのを感じたんです。

 

 

 そこで隣を見ると、嬉しそうに笑う先輩と目が合いました。

 アイコンタクトで先輩もわたしと同じことを思っていることに気付いたわたしは、賢者さんの右手を両手に包んで言ったのです。

 

 

『うっ! ………………な、何を』

 

『大丈夫です。わたし達はあなたがここにいる限り勝手にいなくなるつもりはありません』

 

『そうだよ賢者さん! 私達はもう仲間なんだからさ』

 

『賢者さんはわたしのことも守ろうとしてくれます。それはわたしが元人間だから、わたしがいなくなったら先輩が悲しむから、そう考えてくれているのかもしれません。ですが、今のわたしはデミ・サーヴァントです! あなたと共に戦うサーヴァントの一人なんです! 確かにあなたに比べれば未熟なのは否めません。でも、一緒に戦えます! 賢者さんがわたしのことを仲間と認めてくれているのなら、どうかあなたの背中も守らせて下さい!』

 

『頼りないマスターかもしれないけど、バックアップは任せてよ。全部一人でやろうとしないで。賢者さんはもう一人じゃないんだから。仲間に頼って良いんだよ』

 

 

 その言葉と気持ちが届いたのか前屈みな体勢でうつむいていた賢者さんが顔を上げました。

 

 

『…………ふぅ、キミ達には敵わないな。流石は人類最後のマスターと、相棒のサーヴァントだ。……ありがとう』

 

 

 その天に召されたのかと錯覚するような彼の笑顔をわたしは一生忘れない気がしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日間で、賢者さんとの仲は出会った頃とはだいぶ変わりました。

 サーヴァントとしては、戦いでも徐々に頼られるようになり、シミュレーションでの自主訓練に1日中付き合ってくれたりしました。

 逆に完全なプライベート時では、今までの特異点での出来事をわざわざわたしに聞きに来たり、わたしが男性サーヴァントから、その……セクハラ紛いのことをされかけたところを、さりげなく庇って頂いた時も何回かありましたね。

 正直最後のに関しては本当に助かっています。

 

 そうやって毎日を過ごしました。

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「賢者さんは後退! ジャックちゃんは回避! マシュ! ガードお願い!」

 

「はいっ! 任せてくださいマスター!」

 

 

 今はサーヴァントの霊基を向上させる為、日課の種火狩りに出掛けてる最中です。

 

 

 

 メンバーはわたしとジャックちゃんと賢者さんです。

 

 先輩の指示のもと、防御と敵を引き付ける役割をわたしが、ジャックちゃんが接近戦を仕掛ける係で、賢者さんは遠距離からの支援攻撃をメインとして担当してくれています。

 

 ただしあくまでメインが、です。

 賢者さんはサブとして、状況により近接戦闘、味方の守護、ステータスを向上させる補助能力など、凄まじく万能なサーヴァントなのです。

 

 来たばかりの頃はなんでも一人で同時にこなしていた賢者さんでしたが、実は今までかなり無茶をしていたらしく、わたしと先輩の言葉を聞いてからは、ちゃんと頼ってくれるようになりました。

 今もわたしの背後に隠れて、盾の防御をあてにしてくれてますし。

 

 彼に頼られているんだと思うと、なんだか感慨深いものがありますね。

 

 

「マスター。再度、宝具はいつでも使用可能だ」

 

「えっ、もう!? わかった。マシュとジャックは一度下がって!」

 

「了解です!」

 

「わかったよおかあさん」

 

 

 マスターの指示通り二人で後退しながらわたしは賢者さんを見ていました。

 それにしても相変わらず凄まじい宝具の回転率です。

 ついさっき別の黎明の腕に放ったばかりなんですよ?

 すごく魔力を使っているように見えたのに、どうやってあんな早さで宝具を連発できるんでしょうか?

 

 歴戦の戦士を思わせる賢者さんの背中を見つめながらそんなことを思っていると。

 刹那、彼の全身から迸る白く濁った光。

 

 

「真名封鎖、擬似宝具展開。……濁りきった白き極光」

 

 

 周囲に散らばっていた白濁の光が収束する。

 

 

「これは全てを塗り潰し、子孫繁栄の意志を呼び覚ます。種の存続への渇望!」

 

 

 彼の下半身全体を覆うように光がまとわりつき。

 そして、

 

 

「魔を統べる神の祝福を今ここにっ!!」

 

 

 濁りきった白い光線が敵に向かって解き放たれました。

 まばゆい光に目が眩みます。

 それと同時にわたし達の元には光の雨が降り注いできました。

 これについては初めての時は驚きましたが、今は慣れたものです。

 何せ魔力の雨なのでわたし達が浴びれば容易に自分達の宝具を展開する手助けになってくれるからです。

 

 暫くして視界が晴れた時には、もう黎明の名を冠する魔物達の姿は消え去っていました。

 

 全滅です。

 ほぼ無傷の状態から一撃で滅ぼしてしまいました。

 まだまだわたし達にも余力が有り余ってる状況での余裕の勝利です!

 

 

「さっすが賢者さん! 頼りになるぅ!」

 

「本当にすごいです。わたしももっと頑張らなくては!」

 

「おかあさん、わたしたちはー?」

 

「ジャックちゃんもよくやってくれたよ、ありがとね!」

 

「わーい!」

 

 

 あ、ジャックちゃんが先輩に撫でられてます。

 む~、わたしもなで……いや何でもないです。

 ……そういえば、賢者さんはどうしたんでしょう?

 先程から何もしゃべっていないような……。

 

 そう思って振り向けば、そこには。

 

 

 どうやら褒められなれていないのか、照れた様子で前屈みのままテンパる賢者さんが。

 

 

 無愛想とも取れる程、普段はクールな賢者さんのレアな姿に驚きで目を見開いていると、凝視されていることに気付いたのか、ハッとして取り繕ったのがバレバレな姿を晒した彼は足早に背を向け踵を返した。

 

 

「ちょっと、待ってください賢者さん!」

 

「マシュ? って賢者さんどうしたの?」

 

 

 わたし達の呼びかけに立ち止まると、暫し無言を貫いた後、背を向けたまま賢者さんは口を開いた。

 

 

「…………我が頼りになるように見えたり、すごいと思えるのなら……それはキミ達がいたからだ」

 

「えっ?」

 

「それは、どういう……」

 

「…………キミ達がいなければここまでの力は発揮できなかった。キミ達のおかげで我は強くいられる。……それを言いたかっただけだ」

 

 

 賢者さん……。

 あの賢者さんがこんなことを言ってくれるなんて!

 こんなに嬉しいことはないです。

 賢者さんはひねくれたりはしてないですけど、口数が少ないので本心を口にすることはかなり少ない。

 実際、本音が垣間見えたのは過去の話を語ってくれた時くらいでした。

 

 

「柄にもないことを口走った。忘れてくれ」

 

 

 そう一方的に告げて賢者さんは光に包まれてその場から消え去りました。

 

 賢者さんは忘れてくれって言ってましたけど……。

 

 

「……忘れられる訳ないよね? マシュ」

 

「……はい! わたしも同じ気持ちです先輩」

 

 

 賢者さん、必ずあなたの隣に堂々と並び立てるようなサーヴァントになってみせます! 待っていて下さいね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童貞を捨てる。

 ただそれだけの為に学歴も内定も家族の縁も全部まとめて捨て去った男がいるんだってー。いったい誰だろうねー?

 

 

 

 

 

 悪かったな、俺だよ(逆ギレ)

 

 

 

 

 

 てか、何なんだよこの体たらくは!

 せっかく、

 

 

『……だからもう二度と我は(卒業のチャンスを)手放さないと誓ったのだ。今度こそは必ず(童貞を捨ててみせる)……!(キリッ』

 

 

 的な感じで数日前に啖呵を切ったばかりだってのに。

 結局童貞卒業できてないじゃないですかーやだー。

 

 

 まだ大賢者モードになってないから、残弾はある。

 それなのに野外プレイせずにおめおめ一人で帰ってくるとかただの馬鹿じゃん?

 

 

 

 

 でもね、言い訳させてくれ。

 

 

 いくら俺が超が付く程の絶倫でも、賢者モードのインターバルが人よりは遥かに短かろうとさ。

 やっぱり出した直後の数分は賢者モードが持続しちゃうんだよなー。

 

 

 

 俺の宝具の一つ、真名を明かした場合の正式名称は『性欲魔神(エンドレスブート)』。

 

 

 

 さっき使ってた白濁の光線を放つ宝具のことだ。

 ぶっちゃけあの白い光線って、俺の息子が出すオタマジャクシを攻撃と回復に転じたモノなんだよね☆

 

 

 つまり俺の股間は宝具そのものだったりする。

 

 

 魔力供給には合体(意味深)が効果が高いって話聞いたことないかな?

 その際に体液の中でも男が出す体液(意味深)には高濃度な魔力が秘められているんだが、俺の宝具はその性質を最大限利用した代物なのさ。

 

 

 強力な魔力の塊を圧縮し光線として射出することで、かの有名な聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』に匹敵、俺の性欲の昂りによってはそれ以上の破壊力を平然と叩き出す上、性欲を高めさえすれば直ぐに再装填(リチャージ)ができる。

 

 さっきマシュの後ろに隠れたのも、盾で防御してもらうのがメインの目的じゃなくて、彼女のお尻や足、匂いをオカズにして宝具発動の短縮をはかっただけに過ぎない(変態)

 

 

 

 最後らへんに彼女達に向けて言った、

 

 

『…………キミ達がいなければここまでの力は発揮できなかった。キミ達のおかげで我は強くいられる。……それを言いたかっただけだ』

 

 

 ってのもあながち間違ってないんだよなー。

 パーティメンバーに女子が多ければ多い程、俺のオカズが増える。

 即ち性欲を維持できる=宝具の連発を可能にする。

 

 マシュの胸やお尻には何度世話になったか……。

 やべ、思い返しただけでおっきした。抜こ。

 ……うっ! ……………………ふぅ。

 

 そして俺はロリだろうが熟女だろうが差別はしない(つまり見境がない)。

 ジャックちゃんのお腹やおへそも堪能したし、特に鼠蹊部では念入りに興奮を高めすぎて宝具とは関係なしに三回くらい素でイッたしな。

 

 

 

 

 ん? なんの話してたんだっけ?

 ……ああ、俺の宝具(こかん)の話だったか。

 

 

 

 

 つまり威力も回転率も申し分ない。

 

 

 なおかつ味方には束ねず雨のようにぶっかけを行うことで、極めて効率の良い魔力回復を可能とする優れものだ。

 

 宝具をぶっぱなすだけで仲間の宝具の回転率も補助できるのさ!

 

 

 

 あ、当然臭いとかベタつきとかは無いぜ? あくまでも元がアレなだけで変換後の光はアレとは別だし。

 無垢な女の子に無断で粘ついた液体をぶっかけるとか、男とか女とか以前に最低だからな!(お前が言うな)

 

 

 

 ……宝具の正体や白い光線の真実を知らせたら、女性陣に袋叩きされた挙げ句、去勢されること間違いなしだろうから、明かす気は無いけども!

 

 童貞を卒業する前に息子との離別とか、もう生きる意味なくなっちゃうしね☆

 

 

 

 まあ、そんなとんでも宝具でも使用直後の数分は賢者タイムがある訳。

 大賢者モードみたいな常時悟り開いたレベルまではいかなくても、賢者モード時は性欲を多少失う。

 

 つまりメンタル面が若干無防備になるんだわ。

 

 

 そんな状態で、今までの人生で貶されることは多々あっても褒められるなんて、まずありえないこの俺に。

 マスターとマシュから称賛の言葉が耳に届いたらどうなると思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 A:悶絶しかけ、嬉しさと恥ずかしさでイク。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからそそくさと帰ってきたんだよね。

 野外プレイまで持ち込むための頭脳戦を繰り広げたくとも、頭が熱でショートしちゃったからどうしようもなかったし。

 

 

 

 ……はぁ、なんだか間が悪いなー。

 だがまだまだ人理修復までの道のりは遠い。

 ヤるチャンスはたくさんある。

 

 

 俺は童貞を捨てることを絶対諦めねぇ!!

 応援してくれてる脳内フレンズ(お ま え ら)の為にも必ずヤり遂げてみせる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、今日はちょっと一方的に顔会わせ辛いし、ヤる気も低下しちゃったからいつも通りオナニーに興じるとするか!

 

 

 

 

 あ、そういえばお前ら。

 宝具ってなんで直ぐに撃てないか知ってる?

 あ? いきなり全然話関係なくないか? って?

 

 ノンノンノン!

 

 宝具を放つには莫大な魔力を圧縮して貯めなくちゃいけないだろ? それを限界まで貯めて解き放つ。

 

 これってなんかに似てないか?

 

 

 

 一気に高めてから、解き放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、射精だ(直球)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今まで敢えて避けてきた言い回しを解放するのって気持ちが良いよねっ(出たんだよ察しろよ)

 

 

 

 

 そう、オナってエクスタシーするのと、宝具をチャージしてぶっぱなすのは極めて似ている。

 

 いや、否。

 

 

 

 

 同じと言っても過言ではない(暴論)

 

 

 

 

 

 俺の宝具はド直球でアレだから嫌悪されるのだろうが、こういう風に考えれば、他のサーヴァントもところ構わず絶頂してるってことだろ?

 

 一緒じゃん(全サーヴァントに喧嘩を売っていくスタイル)

 

 

 

 

 

 ッ!? な、なんか悪寒が……この話はやめよう。

 

 

 

 

 

 こ、ここは性欲魔神(エンドレスブート)の真名を開帳した場合の詠唱を公開してお茶を濁そう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 股間は宝具で出来ている。

 

 子種は(タマ)で、陰部は銃身(バレル)

 

 幾度の戦場で抜いて腐敗。

 

 ただの一度も自重はなく、

 

 ただの一度も我慢できない。

 

 彼の者は常に独り(ボッチ)、異空間で絶頂に至る。

 

 故に、回数に意味はなく。

 

 その股間は、きっと宝具で出来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、実際は詠唱必要ないんだがね。

 

 てか、うん……公開したらエミヤ(オカン)からクレーム待ったなしどころか、赤い通り魔エミヤマンになって滅多刺しにされそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、何故か俺の飯だけ抜きになった。

 

 仕方がないので一晩中自室で抜いた。




錬鉄の英雄「……何か酷い侮辱を受けた気がする。…………よし、奴の晩飯は無しだな」





……なんつーかすいませんでした(汚いし、無駄に長いし)

正直、この作品が思った以上に評価されていて真面目にビビってます


続きは思い付く限り、時間と気力次第ですね

何はともあれここまでお読みいただきありがとうございました



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マテリアルぇ……(戦慄)

純粋な続きを期待してくれていた方には申し訳ない

希望者がいたので、設定はある程度考えていたから公開しようと思ったのですが……私、無駄に凝り性でして書き出したら無駄に長くなってしまいました()

サブタイ通りの内容です
ただし訳あって2パターンあります
台詞集もあります

相変わらず汚いのでご注意を


FGOマテリアル風[この作品のカルデアのマスター藤丸立香、通称ぐだ子Ver]

 

クラス:アヴェンジャー

真名:不明

 

 

『ステータス』

【保有スキル】

 

秘蔵の封印[A+]

自身に無敵状態を付与(1ターン)

敵単体に宝具封印状態&スキル封印状態を付与(1ターン)

敵単体の強化状態を高確率で解除[Lv.1~]

 

 

■■■シミュレーション[A-]

自身に無敵貫通状態を付与(1ターン)

敵全体に強化無効状態を1回付与

[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]

 

 

■■一途[EX]

自身のアーツカードの性能をアップ(1ターン)[Lv.1~]

[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]

 

 

【クラススキル】

 

復讐者[C]

自身の被ダメージ時に獲得するNPアップ

自身を除く味方全体<控え含む>の弱体耐性をダウン【デメリット】

 

 

忘却補正(曲解)[B+]

自身のクリティカル威力をアップ

[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]

 

 

自己回復(魔力)[A]

自身に毎ターンNP獲得状態を付与

 

 

■神の矜持[B-]

自身に与ダメージプラス状態を付与

[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]

 

 

卒業限定[EX]

効果なし

 

 

【宝具】

■■■■

ランク:B++

種類:Arts

種別:対人/対軍宝具

効果:[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]+敵全体に強力な防御力無視攻撃[Lv.1~]+自身の弱体耐性をダウン(2ターン)【デメリット】+味方全体のNPを増やす〈オーバーチャージで効果UP〉&[『秘蔵の封印』によるロックがかけられている]

 

 

【コマンドカード】

アーツ3 クイック1 バスター1

 

 

 

 

『プロフィール』

[『秘蔵の封印』によるロックがかけられており、閲覧不可]

 

 

 

『セリフ集(『秘蔵の封印』により外面状態)』

 

【開始】

()らなければ生き残れない……ッ!」

 

【スキル】

「スキル発動」

「……愚かな」

 

【コマンドカード】

「失せよ」

「消えろ」

「押し潰す」

 

【宝具カード】

「……捨ててやる」

 

【アタック】

「フッ……!」

「邪魔だ」

 

【エクストラアタック】

「せめて我の糧となれ……!」

 

【宝具】

「真名封鎖、擬似宝具展開。……濁りきった白き極光。これは全てを塗り潰し、子孫繁栄の意志を呼び覚ます。種の存続への渇望! 魔を統べる神の祝福を今ここにっ!!」

 

【ダメージ】

「うっ! ……ふぅ」

 

【戦闘不能】

「……まだだ。次こそ必ず」

 

【勝利】

「また捨てられなかった……」

 

【レベルアップ】

「……助かる」

 

【霊基再臨1】

「強くなった。ありがとう」

 

【霊基再臨2】

「姿は変わらない。だが強くはなった」

 

【霊基再臨3】

「この強さなら……捨てられるかもしれない」

 

【霊基再臨4】

「経歴不明、真名すら明かさない我をここまで鍛え上げるとは、マスターは変わってるな。だが期待には応えよう」

 

【絆Lv.1】

「……我に構うな」

 

【絆Lv.2】

「キミは余程暇なのか? 我なんかに構うなんて……」

 

【絆Lv.3】

「……ハァ、降参だマスター。時間はもっと有意義に使わねばな」

 

【絆Lv.4】

「我は全てを失った。長い時を独りで過ごした。捨てたいモノを捨てるために。結局未だに捨てられてはいないがな。……キミは無為な時間を過ごさないよう、今を精一杯生きろ」

 

【絆Lv.5】

「キミとなら、捨てられるかもしれない。未だ真名は明かせぬが、今振るえる我の力はキミに預けようマスター」

 

【会話1】

「……なんだ?」

 

【会話2】

「何か用か?」

 

【ギルガメッシュ所持】

「……なぁ、マスター。我は彼に何かしただろうか? 妙に真剣な目を向けてくるのだが……。何かを疑われているようなあの赤い瞳。我は正直苦手だ」

 

【ヒロインXまたはヒロインX・オルタ所持】

「……ッ!? 何故、彼女がここに……!? どういうことだマスター! サーヴァントユニヴァースとここは繋がっているのか!? ……すまない、少々熱が入った。知り合いという程でもないのだが、一度我もあの謎時空に行ったことがあってな。そこで武器を……いや、なんでもない」

 

【好きなこと】

「色々と見ることと、寝ること、かな」

 

【嫌いなこと】

「……興味のない長話は苦手だ」

 

【聖杯について】

「……叶うなら捨てたいモノがある」

 

【イベント開催中】

「騒がしいな」

 

【誕生日】

「……おめでとう、マスター。プレゼントはタオルだ。好きに使ってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FGOマテリアル風[秘蔵の封印解除、つまり本音と真実解放Ver]

 

クラス:アヴェンジャー

真名:童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)

 

 

『ステータス』

【保有スキル】

 

秘蔵の封印[A+]

自身に無敵状態を付与(1ターン)

敵単体に宝具封印状態&スキル封印状態を付与(1ターン)

敵単体の強化状態を高確率で解除[Lv.1~]

 

 

二次元シミュレーション[A-]

自身に無敵貫通状態を付与(1ターン)

敵全体に強化無効状態を1回付与

敵全体の[女性]の弱体耐性ダウン[Lv.1~](3ターン)

 

 

童貞一途[EX]

自身のアーツカードの性能をアップ(1ターン)[Lv.1~]

味方全体<控え含む>の[女性]の数だけ味方全体にランダムで攻撃力アップ&防御力アップ&スター発生率アップ&弱体耐性アップ&クリティカル威力アップ(各3ターンかつ同じ効果は重複しない)[Lv.1~]

自身に味方全体<控え含む>の[女性]の数だけターン増加な混乱状態(毎ターン低確率でスキル封印)を付与(最大5ターン)【デメリット】

 

 

【クラススキル】

 

復讐者[C]

自身の被ダメージ時に獲得するNPアップ

自身を除く味方全体<控え含む>の弱体耐性をダウン【デメリット】

 

 

忘却補正(曲解)[B+]

自身のクリティカル威力をアップ

敵に[女性]がいる時に自身に毎ターンスター獲得状態を付与

 

 

自己回復(魔力)[A]

自身に毎ターンNP獲得状態を付与

 

 

性神の矜持[B-]

自身に与ダメージプラス状態を付与

[女性]による自身の被ダメージ時に獲得するNPアップ

 

 

卒業限定[EX]

効果なし

 

 

【宝具】

性欲魔神(エンドレスブート)

ランク:B++

種類:Arts

種別:対人/対軍宝具

効果:[女性]特攻状態&[人の力を持つサーヴァント]特攻状態を付与(1ターン)〈オーバーチャージで効果UP〉+敵全体に強力な防御力無視攻撃[Lv.1~]+自身の弱体耐性をダウン(2ターン)【デメリット】+味方全体のNPを増やす〈オーバーチャージで効果UP〉&味方全体の[女性]のNPを増やす

 

 

【コマンドカード】

アーツ3 クイック1 バスター1

 

 

 

 

『プロフィール』

【キャラクター詳細】

童貞を捨てる為にそれ以外の全ての大切なモノを捨て去った末に神を冠する名を得るに至った男。

結局捨てられず童貞のまま生き続けており、正確には英霊ではない。

そのためカルデアに召喚されたのは全くのイレギュラー。

未だ童貞を捨てることに固執しており、日夜オナニーに明け暮れながらも、童貞を卒業する機会を虎視眈々と狙っている。

 

 

【パラメータ】

筋力:D  耐久:A+

敏捷:C  魔力:EX

幸運:E-  宝具:B++

 

 

【絆レベルを1にすると開放】

身長/体重:176cm・64kg

出典:詳細不明

地域:地球(のどこかにある異空間)

属性:混沌・童貞 / 性別:男性

「ヤりたい時にヤり、イきたい時にイク。これこそが人間に与えられた平等なんだ」

 

 

【絆レベルを2にすると開放】

500年以上の歴史を持つ童貞。童貞歴世界第一位記録保持者。

今もなお生存しているおかげで未だ現役のため、殿堂入りされずに日々童貞の記録を更新中。

彼自身は不名誉でしかなく、一刻も早く次世代に交代したがっている。

 

とにかく童貞を卒業したい、その一心で彼は今日も女の子を求めて戦う。

 

ちなみに一人称は人前では『我』、素の方は『俺』。

 

 

【絆レベルを3にすると開放】

『性欲魔神』

ランク:B++ 種別:対人/対軍宝具

 

せいよくまじん。

エンドレスブート。

己のリビドーを股間から解き放つ、世界で恐らく最も汚い宝具。

謂わば股間そのものが宝具であり、大量の魔力の塊であるオタマジャクシを白濁の光に変換し、全力で射出。

その後、一定時間若干精神面が無防備になる賢者モードになるが、絶倫なため賢者モードでも必要とあれば連続速射を可能とする。

つまりエクスタシーして敵と味方に盛大にブッカケるという、汚さの極致のような宝具である。

 

ただし性能そのものは凄まじいの一言。汚さにさえ目を瞑れば優秀。

ちなみに魔力をこめてオナれば発動するので、詠唱は本来必要ないが、赤い外套のアーチャーの詠唱のオマージュを一応用意だけしている。

公開すれば「その先は地獄だぞ」と言わんばかりに赤い通り魔が陰陽剣を携え牙を剥くこと間違いなし。

 

 

【絆レベルを4にすると開放】

○卒業限定:EX

『童貞を捨てる』という未練を叶えるまでは決して死なない。

英霊ではないのにバトルで死んでもカルデアに戻ってこれるのはこれのおかげ。

 

 

○秘蔵の封印:A+

誰にだって知られたくないものがある。

 

 

例えば────テストであまりにも悪い点を取った時、親に見せたくなくて葬りさったり、友達みんなが知っているのに自分だけが知らない恐らく常識的な話題に、話を合わせる為知ったかぶりをして誤魔化したり。

 

例えば────エロ本を二重の厚底にした引き出しに隠したり、PCでエロ動画のファイルを表向きは普通のフォルダだが、マトリョーシカの如く中にあるいくつかのフォルダの中のさらに奥深くに、さらにさらに奥深くにと隠しておいたり。

 

 

そんな様々な秘密にしておきたいプライバシーを偽装してでも守り抜く力。

表情が常にポーカーフェイスを保ち、なおかつあらゆる思考を読むような能力を無効にし、自身の経歴を全て閲覧不可にして、AランクやEXランクの千里眼を用いても何一つ読み取らせない驚異的なスキルである。

彼が拒絶さえすれば効果を発揮する。

 

 

○童貞一途:EX

生涯童貞を貫き通した者の証。

女性のことを考えただけで強力な魔力の詰まった我慢汁が漏れ出し、結果的に技の威力が向上する。

同時に女性のためなら極めて紳士的に接し、戦闘においてもなかなかのサポートをこなす。

ただし当然ながら女性への免疫力は皆無に等しいため、あまりにも女性ばかりとパーティを組むと外見上に変化はないが、内心大混乱を招き、たまに他のスキルを使いたいタイミングで使うのを失敗したりするので注意が必要。

 

実は無辜の怪物に近い呪いのような一種。童貞を極めすぎたが故に神の名を冠するようになった為、童貞の神様ならこうじゃね? 的な勝手なイメージを押し付けられている。

そのため女性に接触しただけでフルバーストする体質になってしまった。

 

つまり、一生童貞であることを強いられているんだ……!

 

 

【絆レベルを5にすると開放】

童帝神が生み出した異空間とは、彼が顕現させた一種の固有結界のこと。

 

名を2D(ツーディー)シェルター。

ランクB+の住居宝具。

 

世界とは完全に隔絶されており今もなお展開している。

童帝神となったため、むやみに人界で過ごすことができず、仕方なく異空間で毎日を過ごしていた。

 

外側の壁は二次元(妄想)で埋め尽くされており、自身を除く三次元(現実)を全てシャットアウトする。

よって、人理焼却の影響をまるで受けていない。

通常時は六畳一間を保っており、ノーパソやテレビ、寝るためのふとんが存在する彼の居住スペース。

彼の思い通りに部屋の内装は広さも中にある物も変わるため、思いのままにオナニーに興じることができる。

 

ただし全て思い通りでは無く、『独りで過ごす上でなら思いのままにできる』という制約付きの効果。

即ち童貞卒業したいから『女の子』を呼ぶ、または生み出すなんてことは決してできない。

男性も同様な理由で呼べないから友人すら作れないので、孤独であり続ける他ない。

そのため寂しさを誤魔化すためなのか、よく心の中で脳内フレンズに話しかける癖がある。

 

なので仕方なくエロ動画やエロ画像、エロゲーで抜きまくる引きこもり生活をしていた。

 

しかしそんなある日、息子から放たれた彼らの死が彼自身の死と誤認させ、カルデアへの切符を童帝神は手に入れた。

生身の女性を求め、彼はイク。

 

 

【終局特異点をクリアすると開放】

童帝神な彼は免疫が無さすぎて女性に接触すると直ぐに全弾発射してしまい、1日中性欲が湧かなくなる。

発射直後から1時間程は大賢者モードなる状態にもなってしまう。

この状態だと、素ですら女性に紳士的になり、寡黙で表情も基本固い彼が朗らかな笑顔を見せるように。

このギャップにやられた女性陣は多い。

ただし大賢者モードはいつもの彼とは違い、ほぼ無意識なためまるで狙っていない。即ち天然。

 

大賢者モード時のみにしか使えない宝具も存在する。

 

ちなみに大賢者モードの時に無理矢理中身空っぽのままガチな空射ちを試みると────彼は最後の進化を遂げる。

 

 

 

 

『セリフ集(本性解放時)』

 

【開始】

「ヤらなければ生き残れないっ!!」

「さて、俺の卒業候補はいるかな?」

 

【スキル】

「ムラムラする……」

「一発抜いとく?」

 

【コマンドカード】

「出すぜ」

「イクぜ」

「ヤるぜ」

 

【宝具カード】

「さぁ、気前よくブッカケるとすっか!」

 

【アタック】

「抜き時だ!」

「ヤる時はヤるぜ!」

「見イき余裕!」

 

【エクストラアタック】

「卒業は目の前だ!」

 

【宝具】

「股間は宝具でできている。子種は(タマ)で、陰部は銃身(バレル)。幾度の戦場で……ってそういうのはいい? オーケー! ならば特と見よ我がザー[ピー音]ン! 性欲魔神(エンドレスブート)!!」

 

【ダメージ】

「やべっ! 出ちゃった」

「うっ! ……ふぅ」

 

【戦闘不能】

「これが俺のエンディングか……略してED。あ、不能のことじゃねぇからな!?」

「俺はまた帰ってくる……童貞を卒業するまでは何度でも!」

 

【勝利】

「また童貞卒業できなかった……」

「マスター、ご褒美に極上の女体をくれても良いんだぜ……チラッチラッ」

 

【レベルアップ】

「スペ[ピー音]マもレベルアーップ。マスターベーションが捗るな!」

 

【霊基再臨1】

「ローブが多少豪華になったぜー。これなら大量に出しても臭わねぇかねー」

 

【霊基再臨2】

「霊基向上! ついでに股間の大きさも向上!」

 

【霊基再臨3】

「性剣解放! ついでに股間の硬さましまし! まさかここまでヤるとはな。マスターも中々ヤるねー。これからは性剣も振るっていくからよろシコ!」

 

【霊基再臨4】

「マスター……もの好きというか何というか。俺みたいな変態をここまで育て上げるなんて、俺を軽蔑しないのかアンタは。素材も馬鹿にならなかっただろうに……。まあ、良い。恩はちゃんと返さないとな。神をも冠する童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の名にかけて、必ずやお役に立ってみせよう。さぁ、俺を使いこなして見せろ、マスター!!」

 

【絆Lv.1】

「童貞ですが何か? ヤリチンよりは良いだろうが!」

 

【絆Lv.2】

「女性に触れたらフルバーストとか……この体質治さないと童貞卒業とか無理臭くない? 聖杯で治らないかなー。……スキルだから無理、か。デスヨネー」

 

【絆Lv.3】

「出したい時に出すのが一番だぜ? 我慢はよくないからな。あん? 違う違う今回はナニの話じゃねーよ。……アンタが心の底に閉まってる本音の話さ。苦しいなら吐き出せってことだよ」

 

【絆Lv.4】

「童貞を捨てたいなんてくだらない願いだろ? その為だけに全てを捨て去った男の末路がこの俺だ。マスターは俺を反面教師にしな。見失うなよ、本当に大切なモノを」

 

【絆Lv.5】

「童貞を捨てたかった。でも、元々の本当の願いは違ったのかもしれねぇ。長い時間の中で記憶が磨耗してるのは否めないからな。……正直、今の生活は毎日が充実してんだ。童貞を捨てたいって気持ちは変わらない。けどよ、人並みな青春を謳歌したかったのかも……って、何を口走ってんだ俺!? あーあー! 今日のオカズは誰にしようかなー!?」

 

【会話1】

「俺の本性知った上で契約するなんて随分と奇特なマスターだよアンタは。もしかしてアンタも未経験?」

 

【会話2】

「みんな変態って俺のことを言うけど、人類皆オープンにしたら本質は変態だと思うんだ。つまりみんな俺と同類って訳だな(極論) えっ? 心外?」

 

【会話3】

「ヤるか、ヤられるかならどっちが良いかねー? 最近逆レもありかなーって思ってよ。うん? 俺には一生縁のない話だから安心しろ、だと? そりゃないぜマスター! マジレスは勘弁してくれよー!」

 

【女性サーヴァント所持】

「おー! やっぱ英霊様ってのはみんな見目麗しい女性ばっかだな! んんwwwみwなwぎwっwてwきwたwww」

 

【アルトリア系所持】

「アルトリアちゃんだけで何人いんねん。彼女達でヤッたら一体なんPになるんだ? ……いやみんな同一人物ならそれは一人とヤッてるのと同義で普通のエッチと変わらな……くないな。やっぱ人数がおかしいだろ!?」

 

【ロリ系サーヴァント所持】

「良いよねロリっ娘ってさ。無邪気の象徴というか、見てると何というか心が洗われるというかさ……うん。まあでも下品な話、スタンドアップはするんですけどね!」

 

【ママ系サーヴァント所持】

「俺、肉体年齢は止まってるけど一応これでも五百歳超えてるからママって口にするのは抵抗あんだよなー……。お、噂をすれば! オーイ、ママー! 俺にも構ってー! は? 恥とかそんなもん彼女達の母性に触れたら即捨てるわ。んなもん常識だろうが(理不尽)」

 

【性別不詳系サーヴァント所持】

「む? 彼は女性ではないな? フッ、甘く見てもらっては困るぜマスター。俺は性別を見分けるのが最も得意なんだ。……でもあの子達みたいなのは第3の性別で良いんじゃないかな? ぶっちゃけ超タイプだし。……もう卒業相手、女じゃなくてもいいや」

 

【アルトリアリリィ所持】

「可愛いなー……だがダメだ。彼女は純真無垢過ぎる! 俺色に染めたいとか考えなくもないけど、汚すには惜しい! オカズとしては最高だがな! けどリリィちゃんの聖剣はマジでNGだから俺には向けさせないでね!? 後生だから!」

 

【タマモちゃんサマー所持】

「去勢は勘弁して下さい……コレ俺の宝具なんです。使い物にならなくなったら、ただの変態でしか無くなるんで、どうか俺の存在価値を奪わないでくれ」

 

【殺生院キアラ所持】

「くんかくんか。…………ふむ、同類の匂いがするが、真逆のような性質な気もする。あの女見てると息子の反応が止まらないぜ。なんつーか、全部搾り取られそうな気配を感じるんだよ。俺の股間も警鐘を鳴らしてるし。……あくまで予測だが互いに譲らず泥沼になりそうだ。カルデアが終わっても良いなら彼女で卒業してくるけど……あ、やっぱダメ?」

 

【好きなこと】

「1にオナニー、2にオナニー。3にオナニーに決まってるだろ? いったい俺のナニを見てきたんだ?」

 

【嫌いなこと】

「オナ禁。俺に貞操帯付ける気なら、間違いなく次の日に、俺は狂化EXを携えてカルデアを暴れまわるから、覚悟してくれよな」

 

【聖杯について】

「脱・童・貞! に決まってんじゃ……!? アレ? 何か忘れてるような……俺はなんで童貞を捨てたかったんだっけか……?」

 

【イベント開催中】

「乱こ──ちぇっ、違うのか。まあ、祭りならパーッとイこうぜ! レッツパーリィ!!」

 

【誕生日】

「おめでとさんマスター! 俺からのプレゼントは搾りたてのケフィア(意味深)────冗談だって! 令呪構えて今にも『自害せよ』しそうな雰囲気やめてくれ! ほれ、俺独自の刺繍の入ったタオルだ。……ん? 意外だったか? 俺のローブにある刺繍も俺の手作りなんだぜ。ついでにヴラドの旦那とは刺繍仲間でな。あの人には及ばねぇがなかなかの出来だろ? まあ、好きに使ってくれや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※おまけ1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィキヘ○ディア風

 

クラス:アヴェンジャー

真名:童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)

身長:176cm / 体重:64kg

出典:詳細不明

地域:地球(のどこかにある異空間)

属性:混沌・童貞 / カテゴリ:人

性別:男性

イメージカラー:濁った白

特技:性別把握/女性の情報収集/見イき/刺繍

好きなもの:オナニー/エロ動画、エロ画像閲覧/アニメ鑑賞/ギャルゲー、エロゲー/刺繍/女と寝ること(願望)

苦手なもの:オナ禁/長話/純真無垢な少女/ガチムチのオッサン

天敵:セイバーリリィ/タマモちゃんサマー/殺生院キアラ

 

【略歴】

人理焼却が起きても普通に無事だった彼は、自身が生み出した異空間にていつものように、オナニーをしていた。

何度目かわからない絶頂。それによって吐き出された大量のオタマジャクシ。

彼の霊基を構成する一部に含まれるオタマジャクシが、あまりにも死にまくっていたため、カルデアの守護英霊召喚システム・フェイトが彼自身の死と誤認した。

こうして彼はイレギュラー中のイレギュラーとして召喚された。よって彼自身は今もなお生きているため、正確には英霊ではない上、霊体化もできない

 

 

【人物】

外見は淀んだ黒髪黒目で、ところどころに金色の刺繍が施された全体的に白く濁った如何にも賢者然としたローブを纏った青年。

その格好から『賢者さん』と基本的に呼ばれている。人前での一人称は『我』、素は『俺』。

第一印象は寡黙、クール、無愛想、仏頂面。口数は少なく受動的な態度だが、無口という訳ではない。

しかし、実際は女性(男の娘含む)には相手によって合わせるものの基本的に紳士的な対応をする。

逆に男性には普通にぞんざい。イラッと来ると平然と盾扱いしたり、仲間もろとも敵を滅ぼそうとしたりとやや物騒。だが別に毛嫌いしている訳ではなく、英霊としてはみんな尊敬している。ただイケメンかつイケメンタルな男達を相手にやつあたりしているに過ぎない。内心ではずっと孤独だった身の上、男友達と馬鹿をやるのにも憧れていたので、嬉しかったりする。

 

 

【能力】

省略。

 

 

【ステータス】

省略。

 

 

【保有スキル】

二次元シミュレーション[A-]

アニメ鑑賞やギャルゲーにエロゲーをやり続けて五百年以上。

それにより、様々な状況下によるフラグ管理能力に優れる。

既視感を覚える状況では瞬時に対策を立てることを可能とし、女性相手なら本気を出せば思考の先読みをも可能。

男性相手でも、女性相手には劣るがある程度の思考予測を可能としている。

 

このスキルにより彼は女性の思考パターンを読み、今日の下着を直接見ずに当てることなどに役立てている。

 

まさにスキルの無駄遣い。

 

 

性神の矜持[B-]

神性を伴う彼独自のスキル。

彼は戦闘時、このスキルを常時展開することで、神気を纏い女性との直接的な接触をなるべく避けている。

紳士である彼は女性にむやみに触れて良いものではないと、考えているからだ(そこ! 触れたら全弾発射しちゃうからだろとか言わない!)

 

性欲にまみれている彼は女性からの攻撃を神気越しにだが、受けて興奮することで息子から魔力を垂れ流している(最低)

 

 

卒業限定[EX]

童帝神に至る始まりの意志もとい意地が呪いとなりスキルに昇華したもの。

彼が今の今まで生き続けている理由であり、このスキルが彼を不老不死へと縛り付けている。

『童貞を捨てる』という未練を叶えるまでは決して死なないという、見方によっては呪いのような不屈のスキル。

 

FGOではクラススキルとして存在するものの戦闘時には効果がない。

これは厳密には死んでいないため英霊ではない彼が、サーヴァントとして死んだ場合にカルデアに確実に帰還できるスキルとして機能しているから。

 

 

 

【クラス別能力】

忘却補正(曲解)[B+]

元のスキルを曲解して成立しているスキル。

本来は『人は忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。時がどれほど流れようとも、その憎悪は決して晴れない。たとえ、憎悪より素晴らしいものを知ったとしても。忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化する』というもの。

 

だが、彼自身にはそれほど憎悪はない。だから曲解した。『決して忘れない』という性質を。

 

それにより、一度見た女性のあんな姿やこんな姿を、確実に脳内フォルダに残すという、極めて変態的なスキルへと変わっている。

敵に女性がいる場合に限り、忘却の彼方より視姦することでスターを獲得するという効果を手に入れた。

 

おまわりさん、この人です!

 

 

 

 

【宝具】

童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)

ランク:B 種別:聖域宝具

 

効果は2話でだいたい説明した通り。

常に彼が着用しているオムツであり、彼を社会的に守りながら彼の住居である異空間を維持している。

 

履き心地が無駄によく、これを履くのに慣れてしまうと、通常のパンツを履くと痛くて落ち着かない程。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※おまけ2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『FGO専用概念礼装』

天我裸ティン(TENガラティーン)

獲得条件:絆レベルを10にする

効果:自身がフィールドにいる間、味方全体の[女性]のNP獲得量を20%アップ+自身のアーツカードの性能を6%×味方全体<控え含む>の[女性]の数だけアップ

 

詳細:自慰戦士というヒーローに憧れた童帝神が、異空間にて全霊の魔力を込めて創造した性剣。

持ち手の部分はどう見ても某男性用ブランド性具。戦闘時に用いているが手で覆い隠すように掴んでいる為、幸い周囲にはバレていない。

穴から白濁色の光刃が展開する仕組み。ぶっちゃけスターウォーズパロディでライトセーバーの白濁版。光の刀身はかなりよく伸び、自在に曲がったりする為、鞭のようにも使える。

 

実はサーヴァントユニヴァースという謎時空に立ち寄ったことがあり、そこで技術を盗んだことにより、この武器が完成した。

 

名前については某借金取りもといゴリウェインの聖剣のパクり。

あちらが柄に擬似太陽を封じた、星の聖剣に比肩する太陽の聖剣に対し、こっちは柄に擬似金玉を封じた性剣。つまり刀身を形成するのは擬似ケフィア(意味深)である。




何から何まで汚くてすみません()



あまりの伸び方にビクビクしながら、ランキングを確認したところ短編での日間と週間ランキングで一位になっていました
読者の皆さん、こんなに汚い拙作をお読みいただき本当にありがとうございました


次回の更新には暫くかかりそうです……気長にお待ち下さい


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PBMについて考えてみる(迷走)

こそっと投稿


今回は第4特異点『ロンドン』の話(前編)です
相変わらず内容は下品ですが、近いうちに投稿予定の(後編)よりは恐らくマイルド(今回が綺麗とは言ってない)


 

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! …………くっ、…………ハッ! ………………ッ…………………………………………ふぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実戦を積むのは大事だが、やはりシミュレートでの訓練も馬鹿にできないな。

 もっと精進せねば。

 

 うん? 脳内フレンズ(我 が 同 胞)よ。何を勘違いしているんだ? 今は自主的に戦闘訓練を行っていたに過ぎないぞ。

 

 

 ……もしかしてまたナニをしてるのかと思ったのかね?

 心外だなー。

 我が同胞よ。アンタらの心薄汚れてるんじゃないの?

 

 俺だって戦闘訓練をしたりもするさ。何せ元は一般人で実際サーヴァントとしての戦闘経験はろくに無いんだからな。

 

 

 まあ、だからと言って戦闘中に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナニもしていなかった訳じゃないさ(戦闘時に抜くのは常識、古事記にもそう書いてある)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつも通りで安心したかね、我が同胞よ。

 だがこれが俺だ。

 俺はこうしていなければ生きていけないからね仕方ないね。

 

 俺の普通は世間で見れば普通ではない。

 

 自覚してるからこそ真名も経歴も明かしてない訳ですしおすし。

 

 

 

 

 いや、まあ本当の理由はマスターが女の子だったからってのが大きいんだけどね!

 

 マスターが男だったらわりかし開幕から本性開放してた可能性も否めないんだよな。

 

 でも女の子なマスター、しかもあんな可愛い子に、初っぱなからドン引きされるのはちょっとキツくない? いや、ご褒美感もパナイけど一時の感情に流されて、本来の目的から遠ざかるのは愚の骨頂。というか本性出したら童貞卒業から圧倒的に遠ざかるじゃん?

 だから隠してるんだよね、わざわざ全力でスキル使ってまでして。

 

 

 

 その点、黒髭氏ってすごいよな。最初から(評価)底辺だもん。

 

 

 

 うん? いや、でもそれって最初っから底辺な黒髭氏は良いことをしまくれば評価が上がる未来しかないってことじゃないか……?

 

 対する俺は変にスキル・秘蔵の封印で猫かぶってるせいで、あんまり悪印象持たれてないだろうから、本性晒した瞬間に評価は下がる一方……。

 

 

 なんてこった……あの髭、まさかそこまで考えて……!?

 

 やはり大海賊エドワード・ティーチの名は伊達じゃなかったのか! なんという策略家だ!(買い被りすぎです)

 

 しかも童貞じゃねーしなあの野郎!

 女性経験豊富だしな! 

 だが海賊的な所業というか財宝目当てで寄ってきて抱いた女とかノーカンだから!(謎理論)

 やはりどうせヤるなら、ラブラブな愛のある合体を実現せねば卒業とは言えねぇぜ!(高望みが過ぎる)

 

 

 

 にしてもクッソー、童貞捨てるまでは俺は自分の本性を墓まで持っていく覚悟でヤるしかないってことかよ!

 

 ふん! 良いもんねー、こっちはこっちのアドバンテージを利用して女の子に近付き、良い雰囲気に持ってってベッドインすれば俺の勝ちなんだか……やべっ、まずは女子に触れたら強制フルバーストする体質どうにかしないと、どうにもならねぇの忘れてたわ…………。

 

 

 

 あ! 『お前、鳥頭かよ』って思っただろ我が同胞!

 

 違うんだよ! ただスキル・忘却補正(曲解)で脳内フォルダに可愛い女の子達の姿を記録するのに夢中で……!

 え? 最近で一番良かったのはって?

 

 

 フッフッフッ……! よくぞ訊いてくれたな我が同胞よ!

 

 

 ブーディカママンのエプロン姿! しかも霊基再臨したおかげで伸びた髪が料理を作るのには邪魔だってことで、ポニテにするために、口で結ぶためのゴムを咥える姿! 所謂咥えゴム! あ!? もちろんコンドーさんのことではないぞ! ヘアゴムのことな! してもらいたくないか、してもらいたいかって言われたら、そりゃしてもらいたいけども! もちろん使用済みの咥えゴムな! ってそんな話じゃなくてだな。その格好の最大の特徴がなんと言っても、髪を結うために両腕を後ろに回すだろ? すると、なんということでしょう! 両腕が上がった体勢によりあの巨大な2つのメロンが無防備に解放され、強調されたような体勢になるのだよ!

 当然色っぽいうなじもさらけ出される。さらにエプロン装備のおかげで正面からメロンを直接拝むことはできない。だがしかし! 山ははっきりわかるのだ! 布1枚隔てているのだと言うのにも拘わらず。わざわざ手を下さずにして大きさを実感するのにこれほどわかりやすい光景もそうはないんじゃないかな? その上、上手くいくとB地区が強調された姿を拝むことも可能! さらに横から見た姿は逆にエプロンによって圧迫されて、はみ出ている肉まんを視界に収めることができるのだ! 最高だろ? 惜しむべくは彼女の服装の関係上脇チラを拝めないことだろうな。霊基再臨前の一番最初の姿もドエロくて堪らないが、最終再臨も見方次第でどんな風にも料理できるのさ! つまり女の子はやっぱり最高だぜ! ってこった。

 

 

 あん? 熱意が強すぎかつ語りすぎ? ぶっちゃけキモい、だと……まあ、是非もナイヨネ!

 

 ブーディカママンを視姦してた俺に、カルデア料理長のエミヤ(オカン)から何かしら気付いたのか厳しい視線もらったりもしたし。

 ……ありゃ、そういえばある意味エミヤもママ系サーヴァントじゃね? これからは心の中でエミヤママンって呼んで上げた方が良い……ッ!?

 

 ファーッ!? 今、ゾッとしたんだけど!? なんか白黒の剣のオーバーエッジで俺の首が跳ねられたのを幻視したんだけど!? ……エミヤは今まで通りオカン呼びにしておこうかね(オカンなら良いのかよ)

 

 

 

 さて、いくらイレギュラーでサーヴァントになったからって、俺は一応まだ生きてる。

 なので睡眠はちゃんと取っておいた方が良い。

 本来の意味での睡眠が必要なくても、魔力温存って意味なら必要だろ?

 それに今は夜中なのだよ。

 

 いやー、やっぱ独りに慣れてたせいで、シミュレートによる訓練も独りの方が気が楽なんだよな。

 

 だからマスターやマシュが寝入った後に、こうして自主トレに来てた訳だが。

 

 そんじゃまあ、ベッドに転がりながらでもこの体質治す為の策を考え出さねば!

 

 

 

 

 と、思いながら廊下を歩いていたのだが……まだ人が起きている気配を俺は感じ取った。

 これはサーヴァントの気配ではない。

 しかも、どうやら自室でただ眠れなくて起きているとかではなくきっちり活動しているようだった。

 

 こんな夜中にナニをしているのか?

 

 俺はスキル・秘蔵の封印の応用で自らの存在、痕跡を隠し、問題の場所へと赴いた。

 

 

 

 

 

 中央管制室。

 

 そこにあるのは疑似地球環境モデル・カルデアス。

 そして。

 そのカルデアスを観測する為の装置である近未来観測レンズ・シバ。

 

 そのシバのメンテナンスを一人の青年が行っていた。

 カルデア医療部門トップであり、現在は所長代理を務めるゆるふわな優男。

 

 こんな深夜にもかかわらず起きていて、なおかつ作業をしていたのはDr.ロマンことロマニ・アーキマンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボクはロマニ・アーキマン。

 みんなからはドクターロマンと呼ばれている。

 

 

 裏切りの教授、レフ・ライノールが引き起こした爆破事件によって所長はおろか、カルデアの所員60名以上は失われ、世界中から集めた48名のマスター候補達はたった一人を除いて全員が危篤状態となった為、ギリギリ死なせない応急策としてコールドスリープさせることとなった。

 そんな危機的状況にもかかわらず、さらに恐ろしい事態が引き起こされた。

 

 

 人 理 焼 却。

 

 

 特別な磁場で守られているカルデア以外が、まとめて滅びを迎えてしまった。

 人理の崩壊に伴い出現した特異点事象を解決し、黒幕を打倒しなければこの先の未来は訪れない。

 そんな重荷全てを、訓練期間も何もない本当に素質だけの数合わせの一般人・藤丸立香ちゃんに背負わせなければならなくなった。

 

 マシュを含めて49名いたマスター候補。

 なのに動けるのは二人だけ。

 マシュはデミサーヴァントとして、藤丸立香ちゃんは人類最後のマスターとして戦ってもらわなければならなくなってしまった。

 

 正直心苦しい。

 

 ……こんな状況になってしまった責任の一端はボクにある。

 時計塔時代から知っているレフ・ライノールの思惑に気付けなかった自分の至らなさ。

 オルガマリー所長は急に死去した実父であるマリスビリー前所長の後を、急遽継ぐことになったため余裕がまるで無かった。

 色々と追い詰められていた彼女はレフ・ライノールに依存していたから、気付けるはずもない。

 

 だがボクは違った。

 気付くチャンスは残されていたはずなんだ。

 全容までは把握できずとも、疑ってその上で対策を考えるくらいはできた。

 元々ボクは誰が敵かわからない状況だったから、疑うこと自体はしていた。

 でも、誰とも深く関わろうともしなかった。

 それが仇となったんだ。

 

 もしもレフを疑いながらももっと深く関わっていれば、違和感に気付くことができたかもしれないのに。

 ボクはそれを怠った。

 

 何せレイシフト用のコフィンの下や床に爆弾を設置するという行いだって、レフの動向を警戒していれば、早期に発見しレイシフトを一時中止にすることだって可能だったはずなのだ。

 

 だからこそ今はボクにできることを、ボクにしかできないことをとにかく全力でやるしかない。

 

 シバのメンテナンスを一人で行えるのも今やカルデアにはボクしかいない。ならやるしかない。

 常人でしかないボクが色々と成し遂げるには、寝る間も惜しんで取り組む他ないのだから。

 

 

「……夜中だというのに精が出るな。ロマニ・アーキマン」

 

「うわぁっ!?」

 

 

 そんな風に考えながら眠気を堪えつつ、メンテナンスをしていた最中のことだ。

 突拍子もなく真横に出現した彼が声をかけてきたのは。

 ボクは驚きのあまりメンテナンスに使用していたタブレットを上に放り投げてしまった。

 

 

「っと!? おっとっとっとっ!」

 

 

 だが何とか無事にキャッチすると、安堵の溜め息を吐きつつ元凶をジトッと睨み付けた。

 

 

「ふぅ…………あ、危ないじゃないか賢者くん! 急に現れないでくれるかな!?」

 

「……それは失礼した。見たところ機材の点検か?」

 

「悪びれもしない謝罪をどうも……そうだよ。こまめに点検しておかないと、特異点へのレイシフトで何か不具合が発生してもらったら困るからね」

 

 

 突然姿を現した彼は、立香ちゃんが召喚した中でも新顔のサーヴァント、真名不明のアヴェンジャー。

 立香ちゃんが呼び出した『賢者』という名がいつの間にか定着していたので、ボクも今はその名で彼のことは呼ばせてもらっている。

 ……正直、彼には怪しさしかない。

 何せ霊基に登録はされたものの、閲覧可能な情報があまりにも少なく、彼の正体は未だまるで掴めていないのだ。

 それにもかかわらず、即戦力として最初からそれなりに使える程に彼は強い。

 だから正体不明なのに今やエースのような役割……いや、オールマイティーに活躍できるその戦闘力と、未だ謎だらけな彼はジョーカーと呼ぶのが的確かもしれない。

 

 ここまでの強さを有しているのに、どんな英霊なのか絞ることさえできない。

 これは明らかにおかしいのだ。

 ある程度英霊であるならその特徴から、幾つかの候補を導き出せる。

 しかし、伝承や文献からいくら探しても、このアヴェンジャーと一致する人物がまるで浮かび上がらない。

 英霊の強さは知名度も関わってくるから、これだけの強さがあればほとんどの人が知っていてもおかしくない。

 それなのに未だ彼の全貌は判明しない。

 どう見ても矛盾している。

 だから現カルデアにおいて賢者くんは抜群の怪しさなのだが……。

 

 

「……そうか。だが、こんな真夜中まで働いていて体は大丈夫なのか?」

 

「ボクは万能の天才なんかじゃないんだ。多少の無茶はして当然。現地に出向く二人に比べれば大したことじゃないよ。ボクは所長代理として、立香ちゃんとマシュを、できるだけ安全かつ確実に目的の特異点へ送り届ける義務がある。せめてそれくらいは保証してあげないと、特異点で戦う彼女達に顔向けできないからさ」

 

「キミの気持ちはわかった。……だがほどほどにな。その無茶が祟ってキミが倒れたら目も当てられない。レイシフト先のマスターやマシュをモニターしている最中に倒れたら本末転倒だろう?」

 

「うっ、確かにそうだね……」

 

「……何よりキミが倒れたら彼女達は悲しむ。適度な息抜きは大事だぞ。抜ける時に抜いておけ。出したい時に吐き出しておけ。……我からは以上だ。邪魔したな。……あと餞別だ。どうせこれだけ言ってもまだ作業は続けるのだろう? これでも飲んで疲れを和らげるといいさ」

 

「……! あ、ありが……って、もういない」

 

 

 基本的に寡黙で何事にも無関心に見える彼から、まさかの労いからの助言。

 正直、暫し唖然としてしまった。

 なんというか彼は怪しさは相変わらずなのに、害意をまるで感じない。

 それどころか、あくまで二人の為なのかも知れないが、ボクなんかの心配をして栄養ドリンクまでわざわざ置いていってくれる始末だ。

 どうしたって毒気が抜かれる。

 怪しいサーヴァントなのは間違いないが、立香ちゃんやマシュの敵ではないと、ボク自身確信しつつあった。

 

 何せ彼が二人を見るときの目が、すごく穏やかで優しい色を帯びているのをボクは知ってしまったから。

 まだ怪しすぎて信頼はしていないけど、ボク自身、今は味方だと信用している。

 

 だから今はあの謎のサーヴァントが、敵に回るような出来事が起きないことを祈るばかりだ。

 

 

 

 賢者くん、ボクが倒れたら彼女達は悲しむと、言ってくれたね。

 でもね、キミが敵に回ったり立ち去ったら、彼女達はボク相手なんかよりきっと酷く悲しむんだ。

 

 真名も経歴も明かせない理由はわからない。

 キミが何を抱えているのかもわからない。

 ボク自身、隠していることがあるから強くは言えない。

 でも、望むくらいは良いだろう?

 

 どうか彼女達を泣かせる結末だけは避けて欲しい。

 彼に直接伝えた訳でもない身勝手な願いだが、本当にそう思ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのなよなよ優男は、ゆるふわっとした空気感からは考えられない程、陰の努力家だ。

 彼はあれで30歳独身らしい。

 

 そして、最も大事な情報は俺と同じ臭いがすることから彼が童貞だということだ。

 

 

 

 俺と同じ童貞だということ。

 

 

 

 俺と同じ童 貞(しつこい)

 

 

 

 

 即ち俺にとってドクターロマンは、同志の一人であり若き後輩であり家族のような存在なのだ(一方的な仲間意識)。

 

 

 

 

 俺が『男』として認識している中で、気にかけている数少ない男性の一人なのさ彼は。

 あ、もちろんアンデルセンも入ってるぜ。

 俺は同類には優しいからな! たとえ男でも!

 あ? リア充? 奴らのことなんざ……盛大に祝ってやる! 童貞を卒業し幸せを掴んだ者達に嫉妬するほど、俺は青くないのだ。祝福してやる気概くらい持ち合わせている。

 

 

 ただしヤリチン、テメーはダメだ。

 貴様らは童貞の敵だ! 一人の女の子じゃ飽き足らず、とっかえひっかえに息子を出し入れする所業。しかも用が済んだらポイ捨てという男の風上にも置けない悪行。

 万死に値する!

 

(カリ)首を出せぇい!!

 俺が直々に断ち切ってくれる!

 

 キミの股間に、さよならバイバイ。お前の股間は(冥界に)旅に出る。ピカッ(刃物が閃く様)アッ────な展開にしてやるぜ!

 

 

 

 

 まあ、一割未満な(九割程は)冗談(本気)だが横に置いておく。

 それよりもドクターロマンの体の方が心配だ。

 彼は根を詰め過ぎている。

 

 一応助言として、抜ける時に抜いておけってのと、出したい時に吐き出しておけって伝えはしたけどな。

 

 

 ん? ロマニのロマニがアーキマンしてロマン出すんだよ、あくしろよ。

 

 

 ってことだよ。言わせんな恥ずかしい。

 今回は同志に向けてだったから直球で言ったし恐らく伝わっただろう。

 疲れている時こそオナるべし、これ超越した童貞にとって鉄則。

 将来、俺の仲間入りする奴は覚えておくと良い言葉だ。童貞昇級試験に出るからね。

 えっ? 受けたくない? ……デスヨネー!

 知 っ て た。

 

 

 何はともあれこれでドクターロマンの容態は一時的だが改善されるっしょ。

 俺が魔力を込めた特別製の栄養ドリンクも渡したかんな。あれ飲めば疲労は吹き飛ぶから大丈夫さ。

 いやー、男にまで親切にするとか俺、良い奴過ぎない?

 ご褒美に童貞卒業相手を貢いでくれないかなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……まあ、精力剤の効果も含んでるから二重の意味で元気になっちゃうんだけどな。だからあんなアドバイスしたんだけども。たぶんパオーンしちゃってマンモスが暴れだすことになるけど、処理すれば問題ないしね!

 疲労全快なんて無茶苦茶な効果なんだから、副作用がない訳ないやんけ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝、ブリーフィング時にロマニ・アーキマンは若干前屈みだった。

 恨みがましい視線をもらった気がするが……俺は何も言わなかったし、目も合わせなかった。

 ……処理を済ませればってのも、俺基準での話だったことを忘れていたのだ。

 常人は1日に100回以上出す程度は当たり前、ではないことを思い出した。

 つまり配慮が足りなかった。

 

 すまない……童帝神にとって100回程度は朝飯前で、本当にすまない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気を取り直してイッてみよう!

 新たな特異点が観測されたってよ!

 今度の舞台はロンドンだぜ!

 まあ、最初から同行すんのは今回が初めてなんだがな!

 

 前回はオケアノス、だったか?

 俺が呼ばれたタイミングは、その特異点事象がもうほぼ解決してて、その後処理に少し付き合ったくらいだ。

 だから今回みたいに一番最初から人理復元のため、同行するのは初めてだったりする。

 

 オラ、ムラムラすっぞ!! あ、間違え……! でもないわ。

 新たな特異点ということは、新たな女の子と出会う機会も訪れるっちゅー訳だしな。

 人理修復の旅なんてのは、俺にとっちゃ飾り! メインは新たな女の子との出会い!

 

 

 そう、特異点巡りとは即ち合コンのことだったんだよ(迷言)

 

 

 さぁ! 新しい女の子との出合いを求めて! いざ征かん我が卒業道!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初っぱなから既知の女性サーヴァントだった件。

 いや、まあ正確にはカルデアにいる彼女と、この特異点にいる彼女は同一人物であって別人な訳だけども。

 なんというか、意気込んで合コンの会場に出向いたのに、いつもつるんでる面々しかいなくて、出鼻挫かれたような感じだ。

 ……今まで合コンに誘われたこともなければ、誘ってくるような友人もいなかったからこの例自体おかしいかもだが(泣)

 

 

「まさか最初に出会うのがモードレッドだとは思わなかった」

 

「ああん? オレじゃ不満だってのか? ケンカなら買うぞ?」

 

「いや、不満など無いさ。……ただカルデアにいるキミとはそれなりに仲が良いものだから、初対面のキミとはどう接したものか悩んでるだけで」

 

「んだそりゃ。……あっちのオレと仲良くやってんなら、同じ感じにしろよ。堅苦しいのは嫌いだしよ」

 

「……そうか。じゃあそうさせてもらうとするよ」

 

 

 お言葉に甘えますかね。

 正直、毎度堅苦しい口調とかあと女性への気遣いを忘れない精神とか、疲れるかんね!

 その点、モーさん相手だとだいぶ自然体でいられるから気が楽っちゃ楽だ。

 …………あ!? 流石に本性をオープンな姿勢全開とかはしてないからね?

 それやったらTake That, You Fiend! 待ったなしどころか、御嬢ヤクザキックを股間にダイレクトアタックされそうだしな……モーさんなら平然とやりかねないとこが怖いねん(ガクブル)

 

 だ、だから不用意に性欲塗れの童貞魂を解禁するなんて真似はしないぜ! 俺はあくまで紳士だからな!

 ちゃんと紳士の嗜みとして、女性に出会ったら見イキするようにもしてるし。

 あの伝説の紳士代表なクマの方が後世に伝え残した必須事項の一つさ!

 

 初対面の女性に会ったらまず挨拶と同時に感謝の射精。

 複数の初対面の女性と出会った場合は、感謝精一斉掃射。

 あなたは魅力的だという気持ちが自然とこもるため、自然な笑顔で挨拶ができるから重宝するぜ!

 

(※童貞ではあっても童帝以上の方以外は決して真似しないで下さい。賢者モード時の応用技なので高難度です)

 

 

 にしても、敵にも知り合いの女の子が現れたんだよなー。

 ついこの前も種火狩りで一緒だったジャックちゃんだ。

 みんなは彼女の保有スキル・情報抹消の影響でうろ覚えのようだが、俺は覚えている。

 スキル・秘蔵の封印は元々大事なものを隠し通し『守り抜く』性質を持つ。

 当然、記憶が失われるような事態には早々なりえない。

 

 だが、正直やりにくい。

 相手の正体も能力も知り尽くしてるという面では大きなアドバンテージだが、カルデアでは仲間な上、彼女の外見は可愛らしい幼女でしかない。

 ぶっちゃけ性的な意味で襲うのはヤル気満々だけど、武器をこの手に襲いかかるのは正直ノリ気になれないんだよなー。

 おかげで取り逃がしちまった。

 できる限り傷つけずに無力化する策を練らねばな……。

 

 そんな風に思考の底に沈みこんでいたら、モーさんがおずおずと声をかけてきた。

 

 

「んでよ。ちょ、ちょっと聞きたいんだが……」

 

「なんだモードレッド?」

 

「アレって、その、父上だよな?」

 

 

 モードレッドが指を差す先には、全体的にラフな格好で青いマフラーを巻き帽子をかぶった金髪のサーヴァント。

 サーヴァント・ユニヴァースより来たりし、対セイバー決戦兵器コードネーム・AーX。

 またの名を謎のヒロインX。

 いったい、ナニトリア・ペンドラゴンなんだ……。

 

 

「あー、彼女はキミの父上と同じ存在ではあるんだろうが、根本的に別世界の住人だ。たぶん普通に会話自体は交わしてくれると思うぞ」

 

「本当か……!? 無視されない?」

 

「……恐らくな」

 

「そ、そうか。じゃ、じゃあ、仕方ねえから行ってくっかなー! これでも円卓の騎士だし? 王に挨拶しないってのはおかしいもんな! ま、まあ? 父上なんか本当はどうでもいいんだけど? そこのマスターと一緒に来たってことは共闘する機会もあるかもだしな、うん」

 

 

 モーさん、ウキウキ気分が盛大に漏れてますよ。……あ、ヒロインXに馬鹿息子って言われて満更でもない顔してらぁ、ほほえまー。

 和むねー。まあ、ブルマに体操服のエックスちゃんに馬鹿息子って俺が言われたら、俺の息子もエクストリームしちゃうだろうから、モーさんの気持ちもよくわかるぜ(ナニをイッてるんだコイツ)

 

 

「先輩、体の方は大丈夫ですか?」

 

「うーん、少し気持ち悪さはあるけど、大丈夫だよ。濃い霧にも慣れてきた、かな?」

 

「そりゃ何よりだぜ。マスターの調子が悪いと、こっちもいざって時に存分に戦えねぇからよ。まあ、オレの槍捌きは早々鈍るもんでもねぇがな」

 

「……頼もしい限りだ。今回のメンバーなら我の出番はないんじゃないか?」

 

「「「「それはない」」」」

 

「よ」「です」「な」「でしょう」

 

「サイデスカ。……って、モードレッドと話してたはずのエックスからもツッコミをもらうとはな」

 

 

 おっと、そういえば今回カルデアからこの特異点に来たメンバーを紹介してなかったな。

 

 我らが人類最後のマスター・藤丸立香。

 彼女の相棒兼後輩系デミサーヴァントなマシュ・キリエライトは当然のメンバーとして、今回は俺を含めて3人のメンバーが加入している。

 

 一人目は先程紹介したばっかのヒロインXちゃん。いつか彼女のブルマケツに顔を突っ込みたいです(真顔)

 

 二人目はみんなの頼れる兄貴、ランサーのクー・フーリン。ただしちょいとセクハラ気質な部分もあんだよな。だから卒業候補のマシュの体は俺が守る。……最悪の場合は粉末状にした犬の肉を口の中に捻じ込むつもりだ(ゲッシュで死ぬ)

 

 三人目は童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)こと賢者な俺だ。俺については語るまでもないな。神の名を冠するただの紳士さ。

 

 

「なんだ? もしかしてソイツ、そんなに有能なのか?」

 

「うん。賢者さんはすごいんだよ!」

 

「はい。モードレッドさん。賢者さんは万能な上、宝具の発動速度が異様に早く、さらに仲間のサーヴァントの宝具の発動も短縮してくれるすごい人なんです」

 

「ああ。オレ達サーヴァントからすりゃ都合のいい便利屋みたいなもんだな。正直、重宝するぜ」

 

「鬼畜なマスターの元に召喚されていたなら、過労死させられるくらいには働かされるんじゃないでしょうか。それくらいには有能です」

 

「…………」

 

 

 やめて! や め て!! 俺褒められ慣れてないの!?

 性能面だけだとしても、褒められるのはヤバいって! うれションもというれドピュしちゃうから!

 うっ! …………ふぅ。あー、宝具(オムツ)履いてて良かった。マジで心底そう思う。

 てかみんな、いくら俺の宝具で自身の宝具発動を早められるからってどんだけ俺にブッカケられたいのよ。

 

 変 態 か!(おまいう)

 

 実状を知らないとはいえ、皆さん俺の白濁光線に信頼置いてくれてるのね。そんなに期待されると股間がムクムクして巨大芋虫になっちゃうぞ☆

 兄貴にまでブッカケる趣味、俺には無いけどな。

 つーか、この何とも言えないむず痒い空気、なんか居心地悪くて嫌ですわー。

 よし、流そうそうしよう。

 

 

「……モードレッド、拠点に案内してくれ」

 

「ふーん? お前見かけによらず万能なんだってな。魔術師みたいな格好してるが、もしかして剣も使えたりすんのか?」

 

「モードレッドさん、よくわかりましたね!」

 

「流石の直感力だよ!」

 

「へへっ! だろ?」

 

 

 ちょっとぉー!? マシュちゃん? 立香ちゃん? その流れはカルデアのモーさんとほぼ同じやり取りだよね? ってことはこの後の展開もほぼ同じになる可能性が高いよね!?

 

 

「賢者さんは剣の腕もなかなかなんだよ! 我流らしいから正確な剣術ではないみたいだけど、それでも並みいる猛者をバッサバッサと……!」

 

 

 立香ちゅわーん!? 自慢気に話してくれてるところ悪いけど、色々と勘弁して!? 恥ずかしいから! めちゃくちゃ恥ずかしいから!! なお顔は秘蔵の封印のおかげでポーカーフェイスな模様。ありがとう、我がスキルながら本当に便利!

 でも立香ちゃんのおかげでこの後の展開予想余裕デシタ(嬉しくない)

 だから返事は事前に用意しておく。

 

 

「へぇ……じゃあ、後で手合わせしてくれるなら案内してやっても良いぜ?」

 

「なら、自力で探す」

 

 

 スタコラサッサだぜぇ!!

 まあ、ただ早歩きしてみんなよりも前を歩くだけなんですけどね!

 それ即ちごり押しスルー。

 

 

「オイ! ったく、つれねぇー奴だな!」

 

「無駄ですよ馬鹿息子。彼はむやみに戦おうとはしません」

 

「ゲッ!? 父上!」

 

「ゲッとは何ですか。カリバりますよ?」

 

「それは勘弁……。けど、あの条件で拒否るか普通」

 

「あーいう奴なんだよあの野郎は。オレが勝負しようぜってしつこく吹っ掛けた時も全てドライな対応で流しやがったからな。戦闘を好むタイプじゃねぇんだろうよ。……ただし他の勝負事なら乗ってくれることもあるがな」

 

「お? 例えばどんなだよ?」

 

「オレ相手の時は釣り勝負とか狩猟勝負とかならやってくれたぜ? 何匹釣れたか、どっちの獲物が大きいかって感じでな」

 

 

 オイ、兄貴改めクソ狗! 何をいらん助言を与えてくれてるんですかね!? ありゃアンタがしつこくしつこく俺に勝負を持ちかけて来たから、仕方なく妥協しただけでしょうが! この根っからのバトルジャンキーめ! 犬の肉じゃなくて犬の糞を顔面にスパーキングしてやろうか!? アァン!?

 

 

「そうかそうか。オイ、賢者!」

 

「なんだ?」

 

「このロンディニウムで、オレとお前。どっちがより多く敵をぶっ潰せるかで勝負ってのはどうだ?」

 

 

 あー、そうくるよねー! 何となくわかってた!

 だが断る! めんどい!

 

 

「ことわ」

 

「その条件を呑んでくれんなら今すぐオレの拠点に案内してやるよ」

 

「…………わかった」

 

 

 うん! スキル・二次元シミュレーションで拠点を見つけ出そうとしてはいたけど、正直無理!

 様々なゲーム知識に頼ることである程度の場所は絞れても、やっぱり時間がかかりすぎる!

 それに思考を予測するったって限度があるしな! 何より俺は女性の思考を読み取るのは得意でも、モーさんみたいな思春期の男子中学生みたいな思考を読み取るのはあまり得意ではっと!?

 

 

「……なんのつもりだ?」

 

「いや、なんかムカつくこと言われた気がしてよ」

 

「気のせいだ。剣を収めてくれ」

 

 

 直感怖っ!? てか、何なの? 秘蔵の封印はちゃんと機能してるのに、英霊の皆さんの俺の思考察知能力高くない? いや、オカズ方面の思考はなんだかんだバレてないっぽいけどさ。

 

 

「モードレッド! あなたが思っただけで確証もないのに彼に剣を向けるとは何事ですか!?」

 

「ち、父上……! わ、悪かったよ賢者」

 

「気にしていないさ。それより承諾はしたんだ。案内してくれ。いくら毒耐性(仮)があるとしても、マスターを魔霧にずっと晒しておくのはまずいだろう」

 

「賢者さん……」

 

 

 フッ、決まった……! 気遣いのできる男は好かれやすいらしいからな!

 このまま好感度を上げまくって童貞卒業を確実なものにしてやるぜ!

 ……なお、本性を明かした瞬間、好感度がマイナスに大暴落する可能性大なので気は抜けないがね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そっからなんだかんだで拠点に着き、ヘンリー・ジキルとかいうモーさんの尻に敷かれまくっている残念イケメガネと出会ったり……って、モーさんの尻に敷かれるだと!? 物理的にオナシャス(キモい)

 

 メッフィーとかいう、口が×の白い兎に喧嘩売ってそうなあだ名の爆弾魔を容赦なくぶちのめしたり。

 

 フランちゃんを確保したり。彼女、前髪上げて目を見えるようにすれば、アイドルも夢じゃないくらい可愛らしい顔立ちしてんだけどね。目もオッドアイだし。もったいないけど、知ってるのはごく一部の奴らだけでも良い気がするのも否めないんだよなー。所謂秘密のマスコット的なね。

 

 童貞のアンデルセンも仲間にした。童貞の! 他に言うことはない!

 

 シェイクスピア? 俺、オッサンに興味ないからソイツどうでもいい。

 

 

 

 

 そして、手に入れた新たな情報。

 この特異点で起きている魔霧計画とやらの主導者に「P」、「B」、「M」という連中がいるという情報だ。

 いったい何者なんだ……。

 ぶっちゃけ俺が思い付いたのは以下の通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 P。

 パンストと。

 

 B。

 ブラジャーだけの。

 

 M。

 マゾヒスト。

 

 

 

 

 

 

 

 P。

 パイパイが。

 

 B。

 バインバインな。

 

 M。

 マダム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 P。

 プリティーで。

 

 B。

 ビューティフルな。

 

 M。

 メイドさん。

 

 

 

 

 

 ってとこだ。

 は? 黒幕だぞ? 命を落としたヴィクター爺さんの情報通りに、3人の名前の頭文字だとかそんな安直な訳がないだろいい加減にしろ!(偏見)

 

 本命はパンストとブラジャーだけのマゾな痴女。

 次点はおっぱいがバインバインなマダム。

 大穴は可愛くて美しいメイドさんだ。

 

(※これでも彼は真剣に考えています)

 

 

 

 

 

 いや、待てよ。もしかして!

 

 

 

 

 

 

 

 

 P。

 パンティと。

 

 B。

 ブルマだけの。

 

 M。

 モードレッド。

 

 

 

 なのでは? いやそうであってくれ(懇願)

 

 あ、黒幕でもなんでもないじゃねーか! ってツッコミは無しな。

 だってさー脳内フレンズ(我 が 同 胞)もぶっちゃけ見たくない?

 ミソなのは、ブルマとパンティしか着用してないって点だ!

 即ち胸は手ブラ! 手ブラってナニも持ってない手ぶらのことじゃねーよ? 手をブラジャー代わりにしてるってことな。

 

 顔を赤くして恥じらいながらもこっちを睨んでくるモーさん(若干涙目)とか、見たくない? めちゃくちゃ見たくない? しかも履き慣れてないブルマによって無意識にモジモジしちゃって、内股気味になってる姿とかウヒョー!! ってなるのが男のサガってもんじゃんか!(妄想が過ぎる)

 

 だから望む! 違うかもしれない(絶対違う)けど、もし違うならその時は! 今回手に入れる予定の聖杯に叶えてもらうしかないな!(欲望はあるが実行に移せるかは別)

 

 よっしゃ! やる気出てきた! さぁ、お楽しみはこれからだぜ!

 

 

「なっ! 賢者の野郎、急に動きが機敏に……ってなんだと!? オレが狙ってた獲物までまとめて細切れにしやがった! チッ、まだやっぱ本気じゃなかったってことかよ!」

 

「当然です。彼はサーヴァントユニヴァースに訪れていた時は剣も使ってませんでしたが、それでも凄まじい戦闘力を秘めていましたから」

 

「えっ? ちょ、ちょっと待ってエックスさん。賢者さんと元々知り合いだったの!?」

 

「ああ、マスターには言ってませんでしたね。実際、会話をしたことはありませんでしたから、知り合いという程でもないのでしょうけど、私が学園に通ってた頃に、何回か見かけたことや名前を聞いたことならあるんです」

 

「え、賢者さんの名前……?」

 

「確か……流浪の賢者Vって名乗ってたはずです」

 

「「えっ」」

 

 

 マスターとマシュがハモり固まった。

 そして、敵を全滅させた末に、その会話を途中から聞いていた俺も固まっていた。

 

 やっぱり知ってたのねエックスちゃん!?

 今まで何も言って来なかったから油断してたわ!

 てか、俺の黒歴史的な名前をさらっと公開しないでもらえますゥ!?

 サーヴァントユニヴァースでは、あの名前の方が目立ちにくいと思ったんだよ!

 い、いや! だがまだ誤魔化せる!

 サーヴァントユニヴァースにいた流浪の賢者Vは同一人物ではあるが、別世界の住人だってことにすれば大丈夫だ、問題ない。

 

 

「えっ? じゃあ、賢者さんはエックスさんと同じ出身なんですか!?」

 

「それは我であって我ではない。出身も当然違う」

 

「フッフッフッ……賢者君。出身が違うのは間違っていないのでしょうが、私の目は誤魔化せませんよ」

 

「なに?」

 

 

 何? 知っているのかエックス!?

 

 

「あなたが使っている剣が何よりの証拠です! あなたの剣からはアルトリウムに似た何かを感じます! その剣に使われている技術はどう考えても私の剣やえっちゃんと同じです! つまりそれこそがサーヴァントユニヴァースに立ち寄ったことがある証です!」

 

「……ッ!?」

 

 

 し、しまったァ!?

 俺が扱う性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』はサーヴァントユニヴァースで盗み見た技術を元に、俺独自の力で創造した代物だ。

 

 当然、まったく同じ訳ではないにしろ、似通った技術が使われてるのもまた事実。

 

 なるべくエックスやえっちゃんには見せないようにしていたはずなのに、今回モーさんと競争するはめになったから、普通にブオンブオンと音を立てる剣を振り回してたわ!!(即ちただの阿呆)

 おかげで少し動揺しちまった! あとちょびっと白いの出ちまったわ!(汚い)

 

 

「えっ、ですが出身が違うと確信できる理由は?」

 

「それは賢者君がサーヴァントユニヴァース出身者特有の、コスモ時空の法則(コメディなので死なない)をまるで受けていないからですね」

 

 

 コスモ時空の法則ってなんぞ!?

 けどそんな雑な説明でマスターもマシュも納得して頷いちゃってるところを見ると、二人とも順応力高いな……!

 

 

『流浪の賢者Vってことは……これからはVくんって呼んだ方が良いのかな?』

 

「黙っててくれるかなドクターロマン」

 

『久々に喋ったのにVくん辛辣ゥ!』

 

「……カルデアに向けて宝具を開帳しても構わないか?」

 

 

 さっきまでほぼ無言だったのにロマニの奴、急に口開いたと思ったらこれだよ!

 いくらアンタが俺と同じ誇り高き童貞でも黒歴史を弄るのはNGだぜ!? 

 黒歴史を他人に語られて弄られるのって、ぶっちゃけオナってる最中に母親が現れた時みたいな気まずさがあるから!!

 ……悪い、誇張表現だったわ。その事態に比べればマシだね。

 だが、二重の意味で萎えるって面では一緒さ。

 二重の意味で立ち上がれなくなるから、これ以上そのネタで弄るのはやめてもらおうか。

 

 

『ロマニにだけにしてくれるかーい? 私や他のスタッフまで巻き込まれるのはちょっとなー』

 

「ダヴィンチか。善処しよう」

 

『ちょっとぉ!? 悪かったよ賢者くん! けど、これくらいの意趣返しは許容して欲しいかな! 今朝は本当に大変だったんだぞぉ!? キミがくれたドリン────』

 

「わかった」

 

 

 ナニを言い出すんだこの人は!?

 その話はダメだってマジで! こんなとこでパオーン案件話したら、俺の今までの努力全て水の泡だから!!

 

 

「わかったからドクター仕事しろ。この先に敵性反応はあるのか?」

 

『────あーもう! 文句くらいは最後まで言わせて欲しいよ。酷いな賢者くんは! 敵性反応はないよ、うん! はい仕事しましたー!』

 

「ふん…………。マスターやマシュもこの話を蒸し返すのは無しだぞ。そんな興味津々な目を向けてきても我は答えないからな」

 

「えー! せっかく賢者さんのことを知れるチャンスだと思ったのになー」

 

「……残念です」

 

 

 そんな残念そうな顔してると、ポロッと本性公開しちゃうぞ☆(やめれ)

 だが、まだ明かす気は無いぜ! カルデアのみんなの夢を守るためにな!

 

 

 

 

 おっと!? 唐突にまたP、B、Mについて思い付いたぞ!(急に話題を変える)

 

 

 

 

 

 

 

 

 P。

 ペロペロ。

 

 B。

 ベロベロ。

 

 M。

 モミモミ。

 

 

 

 

 

 とか。

 

 

 

 

 

 P。

 パイパn────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [禁則事項に抵触しました。汚染を防ぐため、数日後まで閲覧権限をロック致しました]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────P、B、M。

 

 全員、男だったよ(絶望)




綺麗すぎる純水は人間には毒
ある程度汚い水こそが人間にはあってるんだ


……自分は何を言ってるんでしょうね?


本当は短編なので1話完結スタイルのつもりだったのですが、書いてる最中の時点で2万字を超える事態になってしまったため、あえなく分割しました
後編はそう遠くないうちに投稿できると思います


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魔神柱になる、だと……(絶句)

前回、後編を投稿すると言ったな、アレは嘘だ

はいそんな訳でまさかの第四特異点『ロンドン』(中編)です
なんで中編? 
……また二万字超えたんですよ。察して下さい(泣)

ですが安心してください
前回よりも汚いことは保証します(何も安心できない)
ですので色々とお覚悟下さい(マジで)



あと最初に謝っておきます
Mさんと魔神柱さん、本当にごめんなさい


 俺はつい最近P、B、Mは全員ともに男だという現実に直面した。

 

 なんて夢も希望もない世界なんだ(レ○プ目)

 

 

 現実は非情なり(落涙)

 やっぱり故人が残してくれた情報を一切信じず現実逃避すんのはアカンね……でもよりによって野郎が3人とか……。

 酷い特異点(合コン)もあったもんだぜ。

 

 

 

 

 まずPだが、奴がジャックちゃんを言葉巧みに操っていた男だった。

 

 

 即ちPとはペドフィリアのPだったんだよ(断言)

 

 

 そんな変態には興味の欠片も湧かなかったので即刻ジャックちゃんをオカズに宝具解放!

 白濁光線を連射して撃破。

 

 その後、ジャックちゃんは俺が考えていた策によりあの手この手で篭絡(ぶっちゃけPとやってること変わらない)し、カルデアのジャックちゃんと一つになってもらった。

 

 あ、同一人物で百合って意味じゃないぜ?

 

 マジレスするとジャックちゃんの宝具強化に成功しました。

 これにはマスターもにっこり。

 ただしマスター以外は、マシュも含めて俺のことを非常識なことをする奴って感じで見てたわ(遠い目)

 そんなに変かね? 特異点で出会ったサーヴァントを、そのままカルデアにお持ち帰りするのって、理にかなってると思うんだがなー(変態の発想)

 

 

 

 

 

 

 

 

 次、B。

 

 ぶっちゃけサーヴァントユニヴァースのコスモカルデア学園で教授やってた賢人・バベジン……とは別世界の同一人物だった。

 

 コイツについては完全にロボだコレー!? って感想と、道中で襲ってきたヘルタースケルターを見て既視感を覚えた理由でもあった。

 

 バベッジについては外見あんなんだから、中身は可愛い女の子だけど恥ずかしがりやで、声も鎧のせいでこもってるか、ボイスチェンジャー使ってるって思い込むことにした(上級者)

 

 

 蒸気機関な鎧少女・モクモク☆バベッジ、みたいな。

 

 

 Pがあんなので俺の期待を裏切りやがったから、脳内妄想に頼るはめになったんだよ! 察しろよ!(ヤケクソ)

 ニューフェイスな女の子を求めてやって来たのに、三幹部的ポジションに一人も女子がいないとか……こんなの絶対おかしいよ……(血涙)

 

 いや、魔本ことナーサリーちゃんと出会ったこと自体は良かったんだけどさ……(当然カルデアにお持ち帰り済み)

 やっぱボスキャラポジションに女の子成分欲しいやん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後、M。

 

 なんか勝手にイメージしていた妖怪爺ではなかった。

 P、Bと期待外れだったので、二度あることは三度あるの精神から。

 

 M=虫ジジィ。

 

 だと予測していたのだが、予想は外れた。

 しかし、やはり女の子ではなかった(死んだ魚の目)

 

 現れたのは若干陰気臭いイケメンだった。

 ふざけんな死ね!

 思わず感情に身を任せて性剣を全力投擲。

 

 目と目が合った瞬間の殺意溢れる攻撃に、澄ました顔したイケMeンも流石に大慌てで姿を変えやがった。

 そして、現れたのは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「七十二柱の魔神が一柱。高貴なる四つの魂を以って、バルバトス現界せん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Mは魔神柱のM。

 

 そんなことは思わなかった。

 

 その異様な見た目に俺は言葉を失った。

 

 なんておぞましく醜悪な姿をしているのか、と。

 

 内心で軽口すら出てこない程の威圧感と圧迫感。

 

 

 しかし、最初に頭に流れ込んできたのは訳がわからない言語の数々だった。

 

 

 

 

 

 

 狩らなきゃ(使命感)

 

 もっとだ……もっとよこせバルバトス!

 

 殺したかっただけで死んでほしくはなかった。

 

 採集決戦だ!

 

 ちくわ大明神。

 

 これが真のソロモンの悪夢か……。

 

 誰だ今の。

 

 

 

 

 

 

 

 本当に意味がわからない。

 

 

 そういう謎の意思を抜きにした場合、俺の頭を過るのは1つの名前と、思い出される見慣れたあの姿。

 

 魔神柱を見て誰も俺のようには思わなかったのだろうか?

 

 アレに似てる、と。

 いやアレそのものではないのか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 マスターから話だけは聞いていたが、実物を見て俺自身が最初に思ったのは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紛れもなく魔神柱(チンコ)やん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────という感想だった。

 

 

 

 

 今まで直接的な言葉にするのは避けてきたのに、あんなあからさまなビジュアルで出現されたから、思わず出ちゃったよ(上も下も)

 

 いやだって、ねぇ?

 隆起した棒状のあのデザインって、チンコでしかなくない?

 それともあのたくさんある目らしき部分をイボのような物と仮定するなら、張形(こけし)でも参考にしたのか?

 いやー、実に前衛的なデザインですね(嘲笑)

 

 この旅路のラスボス的ポジションにいそうな存在の外見がチンコて……。

 

 

 失望したよ(自分の本性については棚上げ)

 

 

 何? これから特異点巡る度に色んな見た目の魔神柱(チンコ)と戦わなきゃならんの?

 ハァーン? やる気駄々下がりなんですが!

 

 

 どうせならアワビにしろよ! そしたら俺の宝具(こかん)から迸る熱いリビドー全力で注ぎ込むから! 最悪魔神柱(アワビ)で童貞卒業まである!(異空間に帰れ変態)

 

 

 それなのに現実は魔神柱(チンコ)……。

 せめてモザイクかけろよ。……あれ? なんかさらに卑猥になっちゃうか?

 うん、こりゃどう考えたってソロモンの仕業じゃねーわ。ソロモンの名を騙る変態だ。

 

 堂々と魔神柱(チンコ)を晒す狂った精神、とてもじゃないが並みの変態じゃない! 露出狂の超弩級な変態だ!(風評被害)

 これなら女性を見て人知れずイクだけで留めてる、俺の方が幾分か健全じゃねーか?(どっちもどっち)

 

 それとあんな極太を見せびらかして、短小な奴らを嘲笑ってるのか?

 デカイことが男のステータスってのはわからんでもないが、でかすぎるってレベルじゃねーぞ!?

 あんなデカブツ、女の子に突っ込んだら膜が破れるどころか女体が破裂するわ!!

 適度な大きさが一番だってのに、コイツ頭おかしいんじゃねーの!?(ブーメラン)

 

 

 いや待てよ? 巨人の女の子専用って考えればおかしくもないのか……?

 

 

 いやダメだ、毒されるな。この魔神柱(チンコ)とは相容れない。

 当然これをポロリしている偽ソロモン(変態露出魔)ともだ(同族嫌悪)

 

 

 

 つーか、MってマラのMだったのか?

 

 俺が、俺自身が魔神柱(チンコ)になることだ! ってか?

 

 ヤバイよ完全に変態だよ……ないわー(棒)

 

 

 

 

 

 

 まあ、エックスさんが側面から斬りまくり、モーさんが父上絶対殺すサンダービームをぶっぱなした後、頭上から降ってきた槍ニキに刺しボルグをお見舞いされてあっさりトドメさされたのは、自ら魔神柱(チンコ)にまでなったMを哀れに思ったけども。

 

 ん? 俺? いつものように連射ブッカケしてみんなの宝具発動速度の引き上げをしてましたが何か?

 

 

 にしても、真上からの刺しボルグ見た時は思わず股間が縮んだね。

 だって、魔神柱を自分の股間として考えてみ?

 バキバキにいきり立った息子の頭の入口めがけて朱槍をグサリ……想像しただけで恐ろしいだろ?

 

 真面目な話。兄貴はさ、男性相手の時に『その股間もらい受ける』って口にしながら槍を放ってれば、心臓にヒットする確率上げれると思うんだよな。

 絶対に兄貴は言わないだろうけど。あと幸運が高ければどちらにしろ当たらないんだがな。

 

 

 

 

 そうやってMを撃破したと思ったら、野郎は悪足掻きで新たな英霊を召喚しやがった!

 アーチャー、ニコラ・テスラ。

 俺は思った。

 

 

 

 

 ま た オ ト コ か !

 

 

 

 

 この特異点(合コン)マジクソだわ。

 やつあたりなのはわかっている! だがそんなのは関係ない! 特異点(合コン)に野郎ばっかり呼んでんじゃねーよ!!

 

 

 俺はマスターに許可をもらい、みんなより一足早くロンドンの空に向かった。

 実際切羽詰まってる状況だから、一刻も早く止めねば的なそれっぽいことを言うだけで、信用してくれた。

 今まで築いてきた絆が役に立ったぜ。

 

 

 追いついた直後、何故か召喚されていた坂田金時。

 オイ、もう男はいらないって。野郎の席空いてないから帰ってくれよ。

 

 まあ一応、セットで玉藻の前が召喚された分、プラマイゼロではあるんだが。

 

 玉藻の前は女性だけど、彼女を見ると俺の股間が警報を鳴らすんだ。

 オカズとしては優秀だが、お近づきになるのは危険だと股間が言っていた。

 つーかカルデアにいるタマモちゃんサマーの元の存在って時点で、危機感半端ない。

 

 あと俺のスキル・二次元シミュレーションによると、彼女は彼氏持ちっぽい。

 それも魂がイケメンな。

 生憎、俺にはNTR属性はないし、互いに幸せそうなら何も言わん。

 あ、もちろん相手がクズ過ぎるならNTR上等で、その関係をぶっ壊すぜ!

 

 それに今更女性が一人増えた程度では、この合コン会場のバランスは保てない。

 

 

 

 このままでは野郎同士でカップル成立なんて悲惨な事態になりかねない! もちろん男の娘や女顔、元男は例外だがな!

 

(※そもそも特異点はそういう場ではありません)

 

 

 

 ならば、男性参加者を物理的に消せばいい(極論)

 

 

 即ち、間引きの時間だオラァァァああああああああああああああああ!!!!

 

 合コンの男性用の席はいっぱいいっぱいだ! だから大人しく座に帰ってもらうぜキャプテン☆ニコラさんよぉ!?

 

 直流? 交流? どっちでもええわそんなもん!

 さぁ! 終わりにしようぜ!!

 金時と玉藻の前と一緒にフルボッコだドン!!!!

 活性魔霧も何のその! まとめて吹き飛ばしてやらぁ! 金時が!

 

 

 …………テスラを無事消したら、恨みはないけど金時にも消えてもらうとするか(ゲス顔)

 男はご退場願うぜ!

 

 

 さぁて行くぞ俺! 子種の準備は充分か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレはモードレッド。

 父上の土地をオレ以外の人間が荒らすことを許せず、ここロンディウムを守るためサーヴァントとして召喚に応じた。

 

 この街を蝕む魔霧の元凶三人を蹴散らしたのまでは良かったんだが、最後の一人がしぶとく悪あがきをして面倒なサーヴァントを召喚しやがった。

 

 そして、今まさにロンディウムに危機が迫ってやがる。

 

 直ぐにでも追いつかねぇと、ロンディウムがオレ以外の奴に蹂躙されちまう。

 だが雑魚を蹴散らさないことには先に進めねぇ!

 

 そんな状況下であの賢者とかいうアヴェンジャーは、白濁の光の粒子を放ちながら上空に舞い上がり、一人で追いかけて行きやがった。

 

 あの野郎! 空も飛べるとか万能にも程があんぞ!?

 

 なんなんだアイツ?

 白濁の光を自在に操って、複数の弾丸や槍へと変化させ遠距離から攻撃したり、かと思えば白濁の光で構成された伸縮自在な上、鞭のようにしなる剣で前衛もこなしやがる。

 

 宝具も白濁の光線をぶちかまして敵を撃滅しつつ、味方のサポートまでやってのける。

 

 しかもあの白濁の光、オレの魔力放出と似た使い方ができるらしく、高速移動に使ってやがった。

 小回りも利くのか俊敏な動きでオレの獲物全部かっさらわれた時は、柄にもなく驚いて奴を凝視しちまったぜ……。

 

 それでいて白濁の光で自由に空も飛ぶ。

 

 

 

 その、色々となんか、おかしいだろ!?

 本当にどこの英霊だよ。

 いくらサーヴァントだからってやれることの幅が広過ぎんだろうが。

 

 オレだって魔力放出を使えば、スッゲー跳躍くらいは可能っちゃ可能だが……賢者の奴は普通にふわっと滞空した挙げ句、そのままニコラ・テスラが向かった方角に飛んで行きやがったからなー……それに小刻みな方向転換なんて芸当はオレの魔力放出じゃ難しい。

 

 

 強い上、場所を選ばず戦えるとか訳がわかんねェ……。

 

 

 カルデアから来たマスターがアイツを当てにしてたり、マフラーな父上が実力を認めてるのは、流石のオレも納得はしたっつーの。

 まあ、それでもオレと賢者がやり合ったらオレが絶対勝つけどな!

 

 それを証明する為にも今は目の前の雑兵共を蹴散らす!

 何せ今もなお賢者の奴との戦いは続いてんだ。

 

 どちらがより多くの敵を屠れるかって競争がな。

 

 アイツが素通りした分をオレが尽く薙ぎ払えば、それだけオレの勝ちは不動のものになる!

 その上でさっさと追い付き、雷野郎もオレが最後に仕留めれば問題ねェ!

 

 

 

 そんな思惑を浮かべながら、オレはマスターや盾ヤロウ……じゃねー、マシュと青タイツの槍兵、そしてマフラーな父上と共に目的地に駆け付けた。

 

 そこで目にしたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残像が残るほどの速さで飛び回りながら、雷野郎を滅多斬りにした挙げ句、離脱と同時に事前にかき集めておいた白濁の光の粒子を、四方八方からガトリングガンの如く解き放ち、ニコラ・テスラの全身に容赦なく炸裂させる賢者のアヴェンジャーの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤雷を纏わせて剣を振るうオレが言うのもなんだが、アイツえげつねーな!? 蜂の巣どころか肉片一つ残さない勢いじゃねーか!?

 

 チッ、にしても遅かった!

 賢者の野郎、オレ達が駆け付けるまでもなく一人で片付けちまいやがって…………いや、ありゃ新しいサーヴァントか?

 男と女、二人いるな。

 三人で戦ってたのか? ……なら、まあ倒すまでに間に合わなかったのも仕方ねェか。

 

 

 これでオレの役目も……ッ!?

 

 

 

 上空の魔霧が集まって、まだ何か来る……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 その姿を見た瞬間、オレは喉が干上がったのを感じた。

 

 

 

 渦巻く、漆黒の長槍。

 忘れるはずもないオレを殺した槍。

 

 賢者の奴は言っていた。

 マフラーの父上は同じであって、別世界の父上だと。

 

 だとしたら今まさに現界を果たしたあのサーヴァントこそ、オレの本当の────

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして……今更、貴方は現れるんだ。アーサー王……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 性剣で斬りまくり、事前に待機させておいたオタマジャクシ絨毯ホーミング爆撃で、見事に爆☆散を果たしたアーチャー、ニコラ・テスラ。

 

 …………会話全無視でブッパしたのは正直悪いことしたかな……?

 

 まあ、今回は合コンの席に無理矢理割り込む形で召喚された自身の境遇を呪ってくれ!

 

 だから俺は悪くねぇ!

 手を下したのは俺だが、何もかも全てにおいてあのMとかいう変態が悪い!(責任転嫁)

 

 

 

 

 さてと、じゃあここまで活性魔霧を吹き飛ばすのとかに貢献してくれてた、ミスターゴールデンにも退場していただこ……ッ!?

 

 

 

 クンカクンカ……こ、この匂いは!? 女性の香り!!

 

 

 

 

 それはつまりつまりつまりつまり!?

 

 

 

 

 

 

 

「賢者さん!! まだ警戒を解かないで! 何か来るってドクターが!」

 

 

 お! マスター共々追い付いたか。注意を促してくれてるようだが、安心してくれ。

 匂いで新たな女性サーヴァントが来てるのはわかってるから!

 

 

「マスター大丈夫だ。わかっている。キミたちこそ、ニコラ・テスラが生み出した魔術的な階段はいつまで持つかわからない。気を付けろよ」

 

「あ、うん。私の方が気を付けなきゃだったね」

 

 

 ニコラ・テスラを生け贄にしたのは無駄じゃなかったんだな!

 この特異点(合コン)ラ ス ボ ス(メインディッシュ)が女性ってのはわかってるゥ!!

 

 さて誰だ! 出でませ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お胸の大きなオルタなアルトリアさんが降臨しました。

 

 

 

 

 

 イヤッフゥゥゥうううううううううううううううううううううううううう!!!!

 

 乳上キター!!!!!!!!!!!!!!!!(テンション爆上げ)

 

 やっぱりこの特異点(合コン)は最ッ高だね!!(熱い手の平返し)

 

 P、B、Mなんて前座に過ぎなかったんや! あれだ! 顔がそこそこイケメンだから人数合わせで席に呼ばれるも、合コンの場で女子共にアピールし出すと残念さが滲み出て、あえなく撃沈する残念なイケメン三人衆ってとこだな奴らは。次回からは呼ばれない連中だ。間違いない!

 

 

 

 うん? てか本命ではないけど、次点は当たってないかこれ?

 

 

 

 

 P。

 パイパイが。

 

 B。

 バインバインな。

 

 M。

 マダム。

 

 

 

 

 正解やんけ! 俺の推理力も馬鹿に出来ないな!

 

 これならあの有名な探偵ホームズとも張り合えるかも!?(驕り過ぎです)

 

 

 

 

 おっと! 忘れちゃいけない大事なことがあったんだった!

 

 

 

 うっ!! ………………………………………………………………ふぅ。

 

 

 

 感謝の見イキもバッチリ決めてやったぞ! あー、やっぱり宝具としてじゃなく、ただ女の子を見て出すのって素晴らしい!

 

 

 

 

 

 これだけ内心狂喜乱舞してんのに俺の表情変わってないんだから俺のスキルは本当に有能だよなー。

 

 

 

 

 

 なんかモーさんがシリアスな空気を醸し出しているところ悪いが、ランサーなアルトリアを俺は大歓迎だ!

 

 ここはやはりそのご立派なお胸で顔面パフパフしてもらいたいぜ! 我が性剣(マイサン)を挟んでもらうのもありだよなー。ウーム、悩ましい────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ってやるさ! 貴方が英霊となってまでオレを憎むなら! オレは、何度でも貴方に叛逆するまでだ! アーサー・ペンドラゴン!」

 

『駄目だ、モードレッドは止められない! このまま戦闘するしかないか……頼む、みんな!』

 

「了解! みんな力を貸して!」

 

「はい。マスター! ……戦闘を開始します!」

 

「オレと同じ槍使いのアーサー王か。なかなか楽しめそうじゃねぇか」

 

「ランサーであろうと、私と同じセイバーです! キャプテン☆ニコラを斬れなかった分、思う存分斬らせてもらいます!」

 

「……ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────…………………………………………って、ちょっと待ってェェェええええええええええええええええ!?

 

 アカン! 思わず返答しちゃったが、妄想に花を咲かせすぎて話聞いてなかったせいで、いつの間にか乳上と戦うことに!?

 待って! まだパフパフどころかひとモミも、パイタッチさえ済ませてないんだ。

 というかお持ち帰りコースでお願いしたいんだけど……!

 

 

 

 

 

 あー、皆さん武器構え出しちゃったよ。わーい、乳上も殺気全開の殺る気満々だー(現実逃避)

 

 

 

 

 

 せっかく来てくれたのにこんなのあんまりだ。

 こうなりゃ、意地でもこの手で掴み取ってやる!

 どうせここで彼女とはお別れなら、ヤりたいようにヤるだけだ!

 

 チャンスが来るまで、支援に専念する!

 

 

 

 

 

 

 俺は待った。

 乳上に完全に直撃はしないように細心の注意を払いながら、彼女より下の方から宝具(こかん)を解き放つ。

 

 待って、解き放ち、待って、解き放ち、待った。

 そして、

 

 

 

「突き立て! 喰らえ! 十三の牙!」

 

 

 黒い聖槍を中心に渦巻く暴風。

 

 

「まずい! あれをまともにくらえば十中八九消し飛ぶぞ!」

 

「我に任せておけ。マシュは念のため宝具の準備を」

 

「賢者さん!?」

 

「は、はい! 真名、偽装登録──行けます」

 

 

 時は来た! 俺は乳上よりもさらに上空へと飛ぶ。

 ずっと待ってたんだ! アンタが宝具を使ってくるのを!

 

 

 

最果てにて輝ける槍(ロ ン ゴ ミ ニ ア ド)!!」

 

「これこそが我が光の柱なり!!」

 

 

 

 下から撃ってたのには訳があったんだぜ? 上に向けて放った濁りきった白き極光を上空にてキープしておき、柱状に束ねて待機させておいたのさ。

 アンタの聖槍に、程よく拮抗させるなら『光の柱』を選択するのが妥当だと、様々なゲーム知識も含まれる固有スキル・二次元シミュレーションで算出した結果、そう判断した。

 

 

 荒れ狂う黒い竜巻と、白濁の光の柱が衝突する。

 

 両者は暫し拮抗し爆発した。

 周囲に吹き荒れる凄まじい衝撃波。

 目も眩むような飛び散る白濁の光の奔流。

 

 それらを前にマシュは盾を構えた。

 

 

「宝具、展開します……!」

 

「うっ……! 目を開けてられないよ! いったいどうなってるの!?」

 

『こっちも映像がまるで見えず真っ白だから状況がわからない! バイタル上はキミ達が無事だってことは確認できてるんだけど……!』

 

「チッ、賢者の奴。無茶苦茶しやがって!」

 

 

 よし、仮想宝具疑似展開/人理の礎(ロ ー ド ・ カ ル デ ア ス)のおかげでみんな無事みたいだな?

 みんなに姿が見えていないうちに、俺の目的を果たさせてもらうか!

 

 

 

 俺は加速する。我が宝具(マイサン)から漏れ出す白濁の光を全身に纏いながら。

 

 我が五体が崩れ去っても構わねぇ! 限界を超えた出力を叩き出す。

 濁りきった白き極光を応用し、ジェット噴射の要領で全力稼働。

 その荒業が恐るべき加速を実現する。

 無茶ぶりな超加速は当然痛みを伴うが、あの宝を手にするためならそんなものは些細なことだ。

 そう、俺の股間(ファルス)も言っている!

 

 

 

 

 全てはこの手で男の夢の集積体、O π(おっぱい)を掴み取るために!

 それを成すまでは死んでも死にきれねぇ……!

 

 

 

 

 

 残像を置き去りにする程の速度で、俺は乳上の懐に潜り込む。

 今まさに放った体勢のままの乳上が反応し、瞬時に槍で迎撃をしようとするが、ここまで急接近した状況では遅い!

 

 

 

 手を伸ばせば届くんだ! いい加減に揉みしだこうぜ! 脳内フレンズ(我 が 同 胞)

 

 

 

 

 揉むのは俺だけどな!!

 

 俺は十中八九果てるだろう。

 そうなれば宝具(こかん)も今日1日は使用不能になる。

 しかしそれでも構わない!

 

 もう期待で主砲は最大仰角済みなんだ。今更あとには引けない。

 ここで生殺しなんて事態になれば、俺はバーサーカー(ケ ダ モ ノ)に成り果てる自信がある(狂化EX)

 

 

 今まで以上にギンギンの硬さでバッキバキに直立している暴れん棒。

 

 

 肉体制御は何とかなってるが、肉棒制御は至難の技だったのだ。

 それでも出さずに耐えているのは、偏に乳上の下乳をどうしても掴みたいという願いを持ち続けているからに他ならない。

 

 夢にまで見たボインボインをこの手に収められるのなら、我が生涯に……は言い過ぎか、童貞卒業してないし。

 でも、この特異点においては一片の悔い無し!!

 

 白く濁った極光が右手に集約され、とんでもない光量を発する。

 

 白濁の光の粒子が手の平の上で激しく蠢くが、それら全てを掌握し右手と一体化させた。

 

 

 

 

 さぁ! 掴め! 掴み取れ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の股間がもっこりビンビン! 巨乳を揉めと怒張しボロン! おっっっっっっっぷぁあい……バストフィンガアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふにゅ。

 

 触れた指が沈む。

 

 

「ヴッ……!!!!!!!」

 

 

 刹那、俺は宇宙の誕生を見た気がした。

 

 

 全身を走り抜ける熱。

 

 

 膨張した分身がビュクッと大噴火を起こす感覚。

 

 

 視界が明滅する。

 

 

 ドクンドクンと脈打つのが止まらない。

 

 

 聖域が崩壊の危機に晒されかける程、ビュルビュルと流れ出る溶岩。

 

 

 沸き上がる感情はたった一つ。

 

 

 

 

 

 

 ただひたすらに柔らかい。やらかい。やうわぁらくぁあい(三段活用)

 

 

 

 

 

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ふぅ」

 

 

 

 ……ブウウウト・エンドッ!!

 

 残弾ゼロ、作戦を終了する。

 

 

 余は満足じゃ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よって、俺は大賢者モードになった。

 

 

 

 

 

 

 

「王の動きは封じた。長くは持たんがお膳立てはしたぞ、決着(ケリ)をつけろモードレッド」

 

「……礼は言わねぇぞ」

 

「構わない。我が好きでやったことだ」

 

「ふん。それじゃあ、蹂躙するか!」

 

 

 

 彼女が持つ聖剣のギミックが起動し今まで以上の赤雷を放出する。

 その様を見ていた二人のサーヴァント。

 

 

「仕方ないですね……今回は馬鹿息子の顔を立ててあげますか。私も甘くなったものです」

 

「アンタが引くなら、ここででしゃばるのは無粋だわな。しゃーねぇか、トドメは譲ってやるから決めろよ叛逆の騎士」

 

「ハッ! 言われなくてもそのつもりだ!」

 

 

 

 俺のブッカケで彼らの宝具発動は万全だ。

 宝具、宝具、宝具の三連撃をお見舞いするようだな。

 

 

 それにしても。

 

 

 

 

 

 いつから俺がパイタッチをするためだけに行動していたと錯覚していた?

 

 

 

 

 

 

 胸を触ったのはあくまでランサーアルトリアの霊基の中心だったからに過ぎない。

 

 そこに白濁の光を纏った右手を炸裂させた。

 その瞬間、彼女の霊基に白濁の光の粒子を流し込んだのだ。

 

 だから、中心から全身の霊基に行き渡るよう、位置取り的に心臓付近を触ったのだ。

 彼女の場合そこに胸があったそれだけの話。

 

 

 そう最初から目的はランサーアルトリアの霊基全体に、俺の白濁の(しもべ)を配置し、動きを抑制する。

 それが狙いだったのだ(ぶっちゃけ大賢者モードになって思い付いた)

 

 

 

 

 決して胸を揉みたかった、とかそんな邪な気持ちでやった訳じゃないんだぞ? 本当に失礼しちゃうぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星光の剣よ! 赤とか白とか黒とか消し去るべし!」

 

「その心臓貰い受ける!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以上、見苦しい言い訳でした(知 っ て た)

 

 

 

 本当の理由?

 

 ただ揉んで出したかった、それだけだ(キリッ

 

 

 

 先程までの俺はそれしか頭に無かった。

 ただし今の俺は性欲が死んでいる。

 

 そんな感情は露程もなくなっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミンナニハナイショダヨ! 無名勝利剣(エックス・カリバー)!」

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)!」

 

 

 あっ、まともに動けないランサーアルトリアを2本のアレと1本のアレで挟み撃ちにしてるな。

 まあ、女性には穴が3つあるし大丈夫か。

 

 

「これこそは、我が父を滅ぼし邪剣」

 

 

 モーさんってば、そんな状況の乳上目掛けて四本目を繰り出す気だね。鬼畜ですわ。

 

 

我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)!!」

 

 

 おー、盛大にブッカケましたよ。

 親に向かって子がブッカケを行うとか、やっぱりブリテン親子は歪んでるなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうやって暇をもて余していた俺が、歪曲脳内実況をしているうちにこの戦いは終結を迎えた。

 

 さようなら乳上。

 

 キミの胸の感触は決して忘れないよ!

 

 

『みんなお疲れ様! よくやってくれたよ。後はゆっくり聖杯を回収してきてくれ』

 

「了解しました。でも急いでこの階段は降りなきゃね」

 

「そうですね。いつ崩れてもおかしくないですし」

 

「雷野郎は消えちまってるからな。さっさとずらかるぞ」

 

 

 ズラ刈るぞ? また髪の話してる……。

 性欲もミートボールの中身まで空っぽだが、俺は充足感に満たされていたからか、そんなふわふわした思考をしていた。

 

 それでも流石は大賢者モード。

 

 

「あっ」

 

「先輩!?」

 

 

 急ぎ足だった藤丸立香ちゃんが躓きかけたのを、見逃さなかった俺は大賢者モード時特有の移動能力である瞬間移動をし、彼女を抱き止めた。

 

 

「急ぐのは良いが足許には気を付けた方が良いぞ」

 

「……ぅえっ!? あ、あれ? いつの間に……あ、ありがとう。ごごごごめんね賢者さん、迷惑かけて」

 

「我はマスターのサーヴァントだ。これくらいは迷惑のうちに入らんよ。……それよりも怪我はないか?」

 

「だ、大丈夫、です」

 

「そうか。キミが無事ならそれで良い」

 

「…………ぁぅ……」

 

 

 通常時の俺ならまず不可能な女性との接触をなんなくこなし、歯の浮いたような台詞を平然と吐く。

 その上、普段仏頂面なのに今は表情筋がかなり緩んでるのが鏡を見ずとも手に取るようにわかる。

 

 当然アレも出るどころかたちぬ。

 性欲が死んでるから、彼女を抱き止めた時に胸が腕に触れたりもしたが何とも思わない。

 

 大賢者モードになると、意識はちゃんとあるんだが言動やら行動がだいぶ思った通りではなくなるのが厄介なんだよな。

 

 って、なんか間近の立香ちゃんの顔がりんごのように真っ赤になってるんだが……何故?

 

 通常時ならスキル・二次元シミュレーションをフル活用して察するのも朝飯前なんだが、大賢者モードの時は上手く働かないことが多々あるんだよなー。

 今もそう。

 

 うん? つーか後ろにいた女性陣三人も顔を赤らめて固まってんだけど、どうなってんだ?

 

 

「どうした? 顔が皆赤いが……」

 

「い、いえ別に! な、なんでもないです」

 

「ズルいんですよねあの顔……一瞬、私以外のセイバー死ねって気持ちが消し飛ぶくらいには」

 

「…………あんな顔できんのかおまえ」

 

「エックスは何を……? というかあんな顔とは?」

 

「な、なんでもねぇよ! バーカ!」

 

 

 急にプンスカし出してモーさんが階段をかけ下りていく。

 まったく、訳がわからないよ。

 首を傾げていると、兄貴が肩にポンと手を置いてきた。

 

 

「お前はたまにいきなり天然かますよな……」

 

「…………天然?」

 

「鈍感野郎ってこったよ」

 

 

 やれやれ顔で先に階段を降りていくランサー。

 なんか腑に落ちないんだが……まあ、良いか。

 

 立香ちゃんが真っ赤になったまま固まってしまっていたので、抱きかかえて階段を下りることにした。

 

 

「…………………………はぇっ!? えっこれお姫様だっ……って顔ちか、ぅゎ……~~~~~~~~~~!!??」

 

 

 なんか途中で気が付いたマスターが熱に当てられたような顔で、わたわた慌てながら意味のない言葉をボソボソ口にしたと思いきや、顔から湯気がボッと噴き出し、声のない悲鳴をあげて顔を伏せてしまった。

 

 耳まで真っ赤なんだが……風邪でも引いてしまったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約一時間後の未来、正常に戻った俺は後悔することになる。

 完全にフラグ建ってたやん! 雰囲気も良かったし押せ押せの展開だったじゃねーか!?

 童貞卒業はいきなり無理でも、強引に攻めて恋人になるチャンスだっただろ! と。

 

 だが全ては後の祭り、通常時では接触はままならない。

 一日中性欲が湧かなかろうと、残弾ゼロだとしても、大賢者モードが解ければ、体質は元に戻る。

 その状態で女性に触れるとどうなるのか……性欲があろうがなかろうが、肉体は勝手に反応し空っぽにもかかわらずフルバーストしようとする。

 

 

 つまり100%テクノブレイクするのだ。

 

 

 股間は永久にお陀仏と化し、永遠の究極童貞────前人未到の童 帝 神 王(ザ・ヴァージナル・ゴッド)(仮名)へとランクアップするはめになり、童貞卒業の道は完全に途絶える。

 

 そこまでのリスクはかけられない。

 すると弾の回復する明日以降になってしまうため、作り上げた雰囲気もなくゴリ押しで恋人を目指すのは、仏頂面の通常時では難易度が高過ぎるのだ。

 言葉だって大賢者モード時みたいにうまいこと出てこないし、股間もスタンドアップしたままだ。

 その上、一回触れたら全弾発射は治っていない。

 即ち悲しいことに玉砕コースしか見えない。

 

 世の中そんなに甘くないのだった。

 甘くないのだった(念押し)

 

 

 

 

 

 いや、つーか童貞を捨てるってだけなはずなのに、なんでこんなに苦戦してんの? 俺限定でハードモードどころかナイトメアモードになってない?

 

 

 

 

 

 

 …………誰でも良いから誰か俺の体質と替わってくれ(嘆願)




賢者な彼「読者のみんな、替わってくれ」


はい、何も言わなくて良いです
もうこの作品のテーマはとにかく『汚い』ことだと、再認識したので突き抜けることにしました(ダメだコイツ)


次回、真の後編もいつも通り汚いです
そう遠くないうちに投稿で(ry


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小便王って異名からして俺の同類かそれ以下じゃね?(失礼)

前回、真の後編を投稿すると言っ(ry

実は私は文章長くなる病に侵されていて、二万字を超えてしまう呪いに(ry


茶番はここまで
第4特異点『ロンドン』(後編・上)始まります


前回程は汚くない気がしますが、『別の意味で』今回は汚い部分が多々あるので、二重の汚さをお楽しみ下さい

まあ、人間には少し汚れた水くらいがちょうどいいでしょうし、これくらいの汚さが妥当なんじゃないですかね(鼻ホジ)


 漸くアングルボダに戻ってきた。

 道中で正気に戻ったマスターに降ろしてと言われたので、今は手ぶらだ。

 

 あとは聖杯を回収するだけ。

 本当に終わりなんだな。

 

 カルデアに帰ったら今日は気持ちよく眠れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 もうこの特異点(合コン)に思い残すことはない。

 そう本気で思っていた。

 

 

 思って、いたのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けを乞え! 怯声をあげろ! 苦悶の海で溺れる時だァ! ハッハァッハハハハハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 耳障りな高笑い。

 聖杯を取りに戻ってきた直後、せっかく気持ちがいい余韻を感じていたのに、それら全てを台無しにする者が現れたのだ。

 童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)故の嗅覚で全身から感じ取れる、噎せ返るようなヤリチン臭は気持ち悪い以外のなにものでもない(嘔吐)

 

 

 魔術王ソロモン……の名を騙る変態露出魔術王。

 

 

 何せ奴は手加減と表して、魔神柱(チンコ)を4本も露出させたのだ。

 手加減で4本、本気を出したら何本の魔神柱(チンコ)を外気に晒し、見せびらかすのだろうか?

 

 そう思うとこの変態の底が知れない。

 ……というか知りたくもない。

 

 

 

 変態露出狂の変態具合に堪えきれなかったのだろう、金時と玉藻、シェイクスピアが座に帰った。

(※彼独自の解釈です)

 

 同じ童貞のアンデルセンは、俺を同士だと何となく理解したのか、この苦悶な場に残ってくれた。仲間を置いて帰らないその精神には感謝の念が絶えない。

(※彼の眼球に張り付くフィルター越しの解釈です)

 

 

 

 

 

 

 

「祭壇を照らす篝火だ! 盛大に燃えるが良い!」

 

 

 

 

 そんな思考の間に、4本の魔神柱(チンコ)の目玉が光った。

 攻撃が来ることを予測した俺は瞬間移動する。

 

 マスターとマシュとエックスとモードレッドを無理矢理両肩と両脇に抱え、アンデルセンを背中に乗せ、予測した攻撃範囲から離脱した。

 

 

「って、ちょっ! オレは!?」

 

「すまない、手一杯だ。自力で何とかしてくれ」

 

 

 童貞以外の野郎は知らん。

 瞬間、元いた場所を包むようにして大爆発が起きた。

 

 

「ぐわああああああああああっ!?」

 

 

 ランサーが死んだ!

 

 

「この人でなし!!」

 

 

 いったい誰がこんなことを!

 

 これもすべてレフ・ライノールって奴の仕業なんだ(幻聴)

 

 なんだって! それは本当かい!?

 

 魔神柱(チンコ)絶対に許さねぇ!!

 

 

「ほう、今のを避けるか」

 

 

 そりゃ避けるわ! 魔神柱(チンコ)から吐き出された得体の知れないモノを浴びて、症例のない謎の性病になったらどうする!?

 俺の股間やみんなの股間が魔神柱(チンコ)みたいになったらどうしてくれるんだ!

 

 女性陣なんかふたなりになっちゃうかもしれないんだぞ!? ……それはそれでアリか(変態の思考)

 いや、でもどうせならペニパンとかで代用の方が良いよな。あんな禍々しい魔神柱(チンコ)が生えてくるのは気持ち悪いし(そういう問題か?)

 

 大賢者モードだからといって趣味・嗜好が変わる訳じゃないのだ。

 

 うん? ランサーの兄貴? モロくらってたなそういえば……御愁傷様です(ぞんざい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は5人を手早く降ろすと、偽ソロモンを見据えた。

 

 

「……なんだその目は」

 

「…………」

 

 

 偽ソロモンが何か言っているが無視して、俺はここまでの戦いの間に出た情報を元に思考を巡らせていた。

 

 

 

 アンデルセンと偽ソロモンの会話で判明した事実。

 

 それはあの変態が冠位(グランド)の器を持つサーヴァントだということだった。

 

 だが俺は納得しちゃいない。

 あんな奴がグランド? 馬鹿言っちゃいけない。

 あんな変態がグランドキャスターだとしたら世も末だ。

 

 あれは恐らく、何らかの不正を用いてグランドクラスで無理矢理現界している。

 害悪を倒すために喚ばれし、世界に対する英霊であるはずのグランドクラスが、人理焼却を行っている時点でお察しだ。

 

 ああ、ちなみにこの会話の直後、アンデルセンがボコボコにされそうになったので、同じ童貞のよしみで助けました。

 

 

 

 

「無視だと……先程その物書きを燃やすのを邪魔した件といい、焼却式・ベレトを5人も抱えて避けたことといい……貴様、気にくわんな。いったい何者………………待て、何者だと? この私が見ても何もわからない? ……すべてを見通す眼を持つこの私が? 目の前のただの英霊風情を見抜けないだと!?」

 

「…………」

 

 

 偽ソロモンが何かを喚いているが無視を貫く。

 

 

 

 偽ソロモンは言っていた。

 

 この特異点に訪れたのは単なる気まぐれだと。

 

 そう。奴の気まぐれなんかの登場で、俺としては触り心地もとい後味の良かった乳上との邂逅という、この特異点における最後のトリに相応しき素晴らしいメモリアルを、変態露出魔と魔神柱(チンコ)によって穢されたのだ。

 

 

 

 

「……馬鹿、な。我が千里眼をもってしても、クラスがアヴェンジャーだということしかわからないだと!? 真名どころか貴様の経歴一切が不明……ありえん、そんなことはありえん!! 凡百のサーヴァントの分際で何故……貴様、いったい何者だ!?」

 

「…………」

 

 

 偽ソロモンが何かうるさいがあくまでも無視を続ける。

 

 

 

 偽ソロモンはさらに言っていた。

 

 ここへは用を足しに来たようなものだと。

 

 その発言の後のモードレッドとの会話で確信したことがあった。

 

 

『なっ……小便ぶっかけにきたっつうのか!?』

 

『────、は。ハハ、ハ、ギャハハハハハハハハ……! その通り! 実にその通り! 実際、貴様らは小便以下だがなァ!』

 

 

 迷いのない肯定。

 それは即ちそういう性的嗜好を持つということに他ならない(断定)

 

 

 

 

「……あくまで黙秘を続けるか。フン、どうせ名も無き英霊とも呼べぬような雑魚サーヴァントに過ぎんか。私の眼で読み取れなかったのではなく、読み取る価値のある情報すら一切無かったのだろう貴様には」

 

「…………」

 

 

 偽ソロモンが戯れ言を口にした気がするが、耳を傾ける気にもならないので無視を続行。

 

 

 

 マスターは偽ソロモンに疑問をぶつけていた。

 

 人間を滅ぼして楽しいのか、と。

 

 その問いに対する返答を聞いて、俺は偽ソロモンを救いようのない程に穢れた存在だと再認識したのだ。

 

『楽しいか、問うのか? この私に、人類を滅ぼす事が楽しいかと? ああ────無論、無論、無論、無論、最ッッ高に楽しいとも! 楽しくなければ貴様らをひとりひとり丁寧に殺すものか! 私は楽しい。貴様たちの死に様が嬉しい。貴様たちの終止符が好ましい。その断末魔がなによりも爽快だ! そして、それがおまえたちにとって至上の救いである。なぜなら、私だけが、ただの一人も残さず、人類を有効利用してやれるのだから────!』

 

 

 歪んでいる。

 全人類を自分の快楽の為に滅ぼし、有効利用(ズリネタに)するというイカれた思考回路(お前がな)

 

 

 

 これらの発言を聞いて生まれた俺の偽ソロモンへの認識は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マラ露出狂。

 

 肥大イチモツ複製犯。

 

 女体破壊のヤリチン野郎。

 

 尿ブッカケ嗜好者。←NEW

 

 快楽殺人オナニスト。←NEW

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────という性的嗜好持ちの究極のド変態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故、特異点(合コン)の締めで、巨大すぎる珍矛を嬉々として見せびらかし、参加者全員に小便を撒き散らすのを大変好み、俺が大嫌いなヤリチンな上、人類を滅ぼすことをオカズにオナるクソみたいな輩と対峙せねばならないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのクソみたいな現実に俺は、大賢者モードのままぶちギレた(圧倒的理不尽)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通常時に比べれば随分と静かな怒りだ。

 

 だが心は煮えたぎるような熱さを宿し、魂をも焦がす。

 まさに憤怒、憤慨、憤然、憤激、憤懣。

 今にも憤死しそうな程の怒気が全身から盛れ出していた。

 まるで心では我慢するが勝手に出てきてしまう先走り汁のように。

 

 だが怒りで我を忘れたりはしていない。

 その上、俺は意外と冷静だった。

 

 

「えっ? ……わかりました賢者君、このセイバーの中のセイバーである私にお任せください! ……ご武運を」

 

 

 何せ謎のヒロインXに頼み事をしてから、ゆったりとした歩調でこの怒りを発露させた元凶の元へと赴いたのだから。

 

 

 

 

 

「オイ、小便王」

 

 

 気付けば歩きながら無意識のうちに声をかけていた。

 一瞬空気が凍ったのを感じたが、そんなことを気にするつもりもなければ、口を閉じるのもやめるつもりはなかった。

 

 

「…………それはまさか私のことを言っているのか?」

 

「貴様以外に誰がいる変態」

 

 

 ビキッ、と青筋が走る音が聞こえた。

 マスターとマシュの顔色が一気に青くなる光景も、横目で視界に納めたが、今回は敢えてフォローに回らず無視する。

 

 

「……散々に私のことを無視しておいて、最初に出てきたセリフがそれか? 名も知れぬ復讐者よ」

 

「────れ」

 

「なに?」

 

「黙れ、口を開くな露出魔」

 

「────────────────────殺す」

 

 

 あ? 殺す? それはこっちのセリフじゃボケ。

 瞬間移動により奴が放ってきた炎を回避。

 そして、無言の腹パンからの瞬間離脱。

 

 

「グフッ……!? 貴様ッ!!」

 

 

 凄まじい殺気が飛んでくるが、殺意を覚えたのはこっちが先じゃクソが。

 この特異点(合コン)の最後を飾ったのは乳上であってこんな変態尿プレイヤーでは断じてない(無言の腹パン)

 

 

「ッ!? い、一度ならず二度までも、だがぬるい!」

 

 

 流石に奴もやられっぱなしではない。

 あんなでも魔術王を騙るだけの力は持ち合わせている。

 目が慣れたのか、瞬間移動に対応してきたのだ。

 

 

「貴様は楽には死なせんぞ? 大した攻撃ではないとはいえ、この身を二度も殴り付ける神をも恐れぬ所業。貴様は五体の隅々を炭になるまで念入りに燃やしてやろう!」

 

 

 4本の魔神柱(チンコ)の攻撃を使って俺の行動範囲を抑制し、狭まった行動範囲で俺が何処に移動するかを予測したのだろう。

 瞬間移動で現れた直後、その場所に爆炎が降りかかった。

 

 

「フフハハハ! ハハハハハハハハハハァ!! たった一人でグランドキャスターであるこの私に挑むからそうなるのだ。憐れで実に無様な最期だったぞアヴェンジャー」

 

「そ、そんな……」

 

「賢者さんが……」

 

 

 ……二人とも絶望顔を晒してるとこ悪いが俺は無事な上、再び偽ソロモンの懐に飛び込んでいた。

 

 

「なっ、無傷だと!?」

 

 

 驚愕し過ぎだろ。

 威厳もクソも無くなってやがるな。

 

 俺が無事なのは簡単だ。

 今もなお何処かで展開中の俺の住居の一部を召喚したに過ぎない。

 

 

 疑似顕現・2D(ツーディー)シェルター。

 

 

 我が異空間にして我が家。

 その外側の性質のみを俺の体全体に展開する使用法。

 

 その効果は現実を全て透過し、無効にするというもの。

 現実に起きている事象による効果は全てすり抜けるのだ。

 

 だから奴が放った爆炎も全て俺を素通りし地面に着弾したに過ぎない。

 防御というより回避に近いが、身を守るという面ではかなり強力だ。

 

 まあ、弱点としてこっちからも現実に干渉不能になるので、防御に徹するしかなくなる上、自分にしか効力がないから背後に誰かを庇う体勢でいた場合、攻撃が全て素通りし背後の誰かに直撃するから、万能とは言えないけどな。

 

 

 大賢者モードになる際に宝具(オムツ)にフルバーストした大量の魔力の源は、異空間維持に基本は使っているが、今回はこの使用法をするために、リソースを割いたのだ。

 ちなみにフルバーストしていないとこの疑似顕現はできなかったりする。

 異空間維持したまま呼び出すにはそれなりの魔力を消費するからね。仕方ないね。

 

 

「だが同じ手がそう何度も通ると……!?」

 

 

 無言の性剣突き。

 腹パンかと思った? 残念! 柄が某男性用性具、刀身が白濁の光を束ねた性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』でした!

 

 まあ、腹狙いだったけどガードに回した左手にぶっ刺さったから結果オーライだな。

 

 

「ぐっ!? 小癪な真似を!!」

 

 

 流石に怒らせ過ぎたらしい。

 ただでさえ多かった奴の魔力が一気にはね上がり、発生させている力場も重圧が格段に増した。

 

 魔神柱(チンコ)だけに任せず、率先して奴自ら魔術を行使し、波状攻撃をぶちかまして来る。

 だがそれら全てを俺は疑似顕現・2Dシェルターを用いて捌ききる。

 

 そして攻撃のラッシュをもらいながらも(当然すり抜けるためダメージはなし)、俺は偽ソロモンを煽ることを決してやめなかった。

 というか、ムカついたので大声でコイツに向けて言いたかったことを連続で口にしたに過ぎないが。

 

 

「人類最後のマスターが女性だったからこそ、魔神柱のビジュアルをそのように選択したのだとしたら、貴様には嫌悪感しか湧かない」

 

 

 攻撃はやまない。

 マスターやマシュ達は俺が無事だったことに安堵の息を漏らしていたが、今の状況については相変わらずヒヤヒヤと見守りながら、俺の言動について疑問符を浮かべている。

 

 

「男の股間を、それも極太なのを4本も露出させいきり立たせ見せびらかすなんて、自己顕示欲を満たす為なのか、藤丸立香への当て付けなのかは知らないが、悪趣味が過ぎるぞ」

 

「………………………………………………は?」

 

 

 そう告げた途端、偽ソロモンの攻撃が暫しやんだ。

 それと同時に言葉の意味を遅れて理解したのか、マスターとマシュ、モードレッドまでもが顔を赤らめた。

 そして赤い顔のまま偽ソロモンに疑念の視線を向けた。もちろんなるべく魔神柱(チンコ)を視界に入れないようにしながらだ。

 

 

「それに魔神柱が全て貴様のアレなのだとしたら、攻撃として小便を撒き散らしているということだろう? なんだ? あながち小便王という呼び名も間違っていなかったな。他人にひっかけるのが好みな上、露出趣味なのか? だとしたら我は世界で最も貴様を軽蔑する。さっさと失せろ」

 

「……ばっ!? 何を言って、私はそんなこと一言も!」

 

 

 偽ソロモンが若干慌てふためいている様は実に滑稽だった。

 

 なんと愉しいことだろうか。

 こちらは防御に徹することで高みの見物をしながら、口撃(こうげき)をしただけ。

 これだけで緊迫した戦場を掻き乱すことに成功したのだ。

 たとえグランドキャスターの偽物だとしても、奴の力そのものは冠位(グランド)に充分比肩する。

 

 そんな強者を口先一つで翻弄できることが、堪らなく愉しかった。

 

 

「その上さらに歪んでいる貴様の性的嗜好。人理焼却なんて大それた名を付けちゃいるが、結局貴様は快楽殺人者であり、貴様の真の目的は人類の死に様をネタに自慰にふける、というものだろう?」

 

「く、口を閉じろ無礼者!? 私の崇高な計画をこれ以上捏造することは許さん!!」

 

 

 光線やら爆炎やら撃ってくるが効くかバカが。

 テメェのその焦り顔と余裕のない言動が己自身を追い込んでいるんだと知れ。

 

 ああ、愉しい(恍惚)

 

 そして、彼女達の様子も愉しさに拍車をかける。

 俺の推測もといこじつけに近い言動で、彼女達の偽ソロモンに向けられる視線が氷点下まで下がったのだ。

 

 

 さっきまであまりにも強大な敵として認知していたが為に恐怖で足がすくんでいたマスターとマシュ。

 

 モードレッドも立ち向かう意志はあるものの、実力差は思い知っていたのか歯軋りをしていた。

 

 アンデルセンも軽口は叩くが苦い顔をしていた。

 

 

 

 だが今は違う。

 

 

 マスターは赤い顔に若干涙目だが毅然とした態度で睨みつけていた。

 

 マシュは養豚場のブタを見るような冷たい視線を向けている。

 

 モードレッドも性犯罪者を見るような目付きで見ている。

 

 アンデルセンは失笑を溢していた。

 

 

 

 

 つまるところ、偽ソロモンはみんなにドン引きされているのだ。

 

 

 

 どうやらカルデアのロマンを始めとするスタッフ達も絶句しているようだ。

 通信を繋いでいる間、カルデアからマスター達を回収するためのアンカーを届かせる為に、色々と解析している音や、焦った声なども流れてきていたのだが、今は全く聞こえないのだ。

 

 

 冤罪かもしれないが、客観的事実(曲解)を述べた現状、敵である奴の弁明など風前の灯火。

 紙吹雪よりも軽い。

 最後はこれでチェックメイトだ!

 

 

「その焦りよう……図星だな? そんな最低最悪のド変態の欲求を満たす為に人類の未来を渡す気は毛頭ない。必ず貴様の穢らわしい野望は破綻させる。我がマスターのサーヴァントである限りは必ずな。藤丸立香は我が唯一認めたマスターだ(サーヴァントになったこと自体初めてだし)。だから彼女が諦めない限りは我も全力を尽くすのみ。変態露出魔快楽殺人小便王の好きにはさせん!」

 

 

 先入観を崩すなら、それとは真逆のさらにインパクトのある認識で上書きしてやれば良い。

 これで小便王との戦いでマスターとマシュが恐怖により動けなくなるということは恐らくなくなるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 こうして俺は偽ソロモンに変態の汚名(レッテル)を貼り付けることに成功したのだった(愉悦)

 

 これも全て俺が本性を明かした時に、偽ソロモンよりはマシって認識に持っていくための策だ。

 小便王、アンタには俺の童貞卒業計画の為の犠牲になってもらったのさ。

 

 

 

 全て計画通りだ(マジキチスマイル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、まあここまで『大賢者モードの俺』が怒りのあまり仕出かしたことなので、あまり今の俺には実感無いんだがな(汗)

 意識はあってもやっぱ今の俺が率先してやったことじゃないからさー。

 大賢者の野郎、怒りを発散させて満足したのか、一時間経たずに消えやがったんだ。

 つーか、大賢者って性欲ないだけで大賢者っぽい感じで常に達観してる訳じゃねーのな(他人事)

 

 

 大賢者モードが解除された現状、瞬間移動は使えない。

 その上、疑似顕現・2Dシェルターの展開魔力もそろそろ底を突く。使えないに等しい。

 さらに性欲魔神(エンドレスブート)も今日一日は使えない。

 

 

 つまり回避も防御も宝具(こかん)も使えない状況で、怒り狂った偽ソロモンの相手をしなくちゃならなくなってしまったのだ(白目)

 

 てか、このタイミングで解ける普通!? 大賢者(テメェ)が蒔いた種だろ! 最後までこなしてから退場しろよ!? なんで色々制限がかかった状況で俺が尻ぬぐいしなきゃならんのだ(絶許)

 

 

「貴様……貴様だけは絶対に許さん。あることないこと口にして、私を侮辱した罪! 英霊の座ごと焼き殺してくれるわ!!」

 

 

 ほらー! 完全にマジギレしちゃってんじゃん! これどうすんのよ!? まだ怒りが俺単体に向いてるから良いけど、これマスター達に向いたら手に負えないよ!?

 

 疑似顕現・2Dシェルターの維持も限界が近いし、コイツじゃ俺自身しか守れないし!

 

 攻撃もサポートも性欲魔神(エンドレスブート)さえ使えない今、どうしようも…………いや、まあ()()()()()()()戦えない訳でも無いけどさー(遠い目)

 

 さっき乳上でフルバーストした手前、性欲は死んでようがメンタルがそこまでは萎えないしなぁ……偽ソロモンがこの特異点(合コン)のラスボスって時点で萎えたっちゃ萎えたけど、あのおっぱい掴んだあとだからね! そう簡単には………………あ。

 

 

 

 武器ならあるじゃん。

 しかも宝具になるとっておきの武器が。

 

 問題はコイツを宝具として解放する為の隙を作れるかどうかな訳だが……。

 

 今もなお偽ソロモンにマークされて火炙り(透過しているので未だ無傷)にされている状況下では難しい。

 直にシェルターも解ける。

 そうなれば間違いなく焼かれるだろう。

 

 

 ならばどうする?

 

 悩んでいた直後のことだった。

 

 

 

『あれは何だ!? 鳥だ! 飛行機だ! いやセイバーだ! 宇宙船の中からこんにちはー!』

 

「あん? ちょっと待てよこの声って……」

 

 

 あ、このテンションが高いのはもしや。

 

 

『そう、私こそはキラキラ光る蒼輝(エーテル)宇宙を駆ける一筋のセイバーさん!』

 

「そういえばいつの間にかいなくなってる!? まさかオレが気付かないなんて……」

 

 

 セイバーセイバー言ってるってことは、ってそういや大賢者モードの時になんか頼んでたっけ?

 

 

『賢者君の頼みで愛機『ドゥ・スタリオンⅡ』に搭乗して、謎のヒロインX再び推参!!』

 

「やっぱりマフラーな父上!? てか、なんだあの乗り物……めちゃくちゃかっけー!」

 

 

 あ、思い出したわ。

 ソロモンにバレないようにこっそりドゥ・スタリオンⅡに乗り込んでもらい、宇宙船による射撃で撹乱と陽動を頼んどいたんだった。

 つーかモーさん反応し過ぎだろ。

 マスターとマシュからほほえまーな視線もらってることに気付いてないなありゃ。

 アンデルセンなんか笑い堪えとるやん。

 

 

「うるさいハエだ。撃ち落とせ」

 

 

 て、ソロモンが魔神柱(チンコ)に命令出しやがった。

 つーか俺のことは自ら燃やし続けるのね……このままじゃシェルター解けた瞬間、ウェルダン超えて炭になりそうな勢いなんだが。ちなみに俺はミディアムが好きです(錯乱)

 

 とかなんとか言ってる間に、攻撃が放たれたじゃねーか!

 魔神柱(チンコ)め、性懲りもなく小便放出かよ!

 これが女の子のならありがたくその聖水ちょうだいするのに(オイ)

 

 

『そんなヘナチョコ当たりません! 私の操縦テクニックをなめないでもらおうか!』

 

 

 俺のテクニックで舐めてあげようか?(本気)

 なら俺のオタマジャクシなら当たるかな?(受精的な意味で)

 

 

『宇宙船の操作において、私の右に出る者はいません! 今こそ私の騎乗EXが火を噴きますよ!』

 

 

 俺の上で騎乗EX発揮してくれないかなー、そしたら代わりに俺の富士山が白い火を噴くんだが(ガチ)

 

 

「ええい! 鬱陶しい! 魔神柱よ何をしている? 早く叩き落とせ!」

 

『当たらなければどうということは無いのです!』

 

 

 おっと、ふざけている場合じゃなかった!(マジだったじゃねーか)

 てか、今も性欲は死んでるし息子もティンともビンとも立たないにもかかわらず、性的願望自体は俺っていつも持ってるんだなー。

 五百年来の新発見だ(しみじみ)

 

 

 

 それよりも本当にすごいなエックスさん。

 ワープ航法でかわしながら、一方的に射撃しまくってるよ。

 流石は多少の無茶ならなんでもできる粒子・アルトリウムが使われてるだけあるわ。

 

 

 

 さて、エックスちゃんが頑張ってくれてるんだ。恥も外聞も丸投げと行くか。もちろん本性を明かす気は無いけどな!

 だが大賢者が勝手にやったこととはいえ、大賢者も俺自身だ。

 協力を要請するなら精一杯の誠意を見せなければ!

 偽ソロモンの注意がエックスちゃんに向いてる間に何とかしないと!

 

 

 

「マスター。マシュ。モードレッド。アンデルセン」

 

 

 大きな声ではない。

 だが四人には届いた。

 

 

「あんな変態と戦うのは我一人でいい、文字通りの汚れ仕事は我一人でいいとそう思って挑んだんだが、やはり我一人では荷が重かったようだ。流石に厳しい。できるなら手を貸して欲しい。小便王を打倒するために力を貸してくれ。頼む」

 

 

 未だ爆炎の中の俺は頭を下げた。

 その姿を見て彼女らは何を思ったのだろうか?

 一人でどうにかしようとした憤りか。

 今更、力を貸せと宣う浅ましさか。

 だが数刻にも満たない時間、返答は早かった。

 

 

「もちろん、任せて! 私は賢者さんのマスターなんだから! もう見てるだけなんてしないよ!」

 

「はい。戦う恐怖がなくなった訳じゃないですけど、もう退きません。わたしは皆さんの盾として今度こそ守り抜きます!」

 

「ああ、グランドだとか器がオレ達より上だとかは関係ねェ。あんな変態野郎を野放しにしておけるかよ! せめてこのロンディニウムからは奴を追放しねぇと気が済まねぇぜ!」

 

「俺も風呂上がりに裸になって散歩をするくらいは執筆に詰まった時によくやるが、下半身だけを露出し、あまつさえ他人にひっかける畜生などと同類にされては敵わん。これ以上風評被害で呪いを被りたくはないんでな、今回は協力してやる。……それにお前には借りもあるしな」

 

 

 なんか各々こっちに都合よく勘違いをしてくれてるような気がするが、よしとする。

 

 

「ありがとう。助かる」

 

「それで私達は何をすれば良いかな?」

 

「マスターには令呪を用いて宝具を解放できるだけの魔力を供給してくれ。マシュ達にはエックスと一緒に時間稼ぎをお願いしたい」

 

「……何か策があるんですね?」

 

「ああ。生憎、今の俺はいつもの宝具が故あって使えない。だから奥の手の一つを切る。そうすれば魔神柱は少なくとも何とかできるはずだ」

 

「別の宝具を使うってこと?」

 

「ああ」

 

「それを切るための時間稼ぎって訳か……認めたくねぇけど、あの変態は変態でも確かに強い。単なる力押しじゃどうにもならねぇのはオレでもわかる」

 

「できるだけ魔神柱の行動範囲も狭めてくれると助かる」

 

「作家でしかない俺に無茶を言ってくれる。だがやれる限りは努力してやろう。しくじるなよエセ賢者」

 

 

 俺は炎の中で頷いて答える。

 みんなも頷きマスターと三騎のサーヴァントは四本の魔神柱(チンコ)が集う場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………いや、よくよく思えば四本のチンコが集う場所ってなんだよ(哲学)

 四人が乱交パーティに参加しに行くみたいになってるし、しかも一人はショタだし。

 

 

 

 それもこれも魔神柱に魔神柱(チンコ)なんて名付けるからややこしいことに……おのれ、偽ソロモン!(名付け親お前やん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔術王ソロモン。

 彼の圧倒的な魔力に私は屈しかけた。

 でも、マシュの方がもっと恐いに決まってる。

 ソロモンと直接相対しなきゃならない彼女の方が恐怖は大きいはずだもん。

 私はマスターなんだからしっかりしないと……!

 

 

 だけど、そんな覚悟は簡単に砕かれた。

 

 

 この特異点で仲間になった金時くん、玉藻さん、シェイクスピアさんの3人を、ソロモンは軽く欠伸をするような調子でまとめて一掃したのだ。

 

 シェイクスピアさんは戦闘向きのサーヴァントではないにしても、金時くんと玉藻さんは間違いなく戦えるサーヴァントだった。

 特に金時くんは戦闘に特化していた。

 

 にもかかわらず、本当にあっさりと3人まとめてやられてしまった。

 その上でわかってしまったこともあったんだ。

 

 明らかに手を抜かれていることを。

 手加減されていることを。

 まるで余興を楽しむかの如く。

 

 それなのに全く歯が立たない。

 こっちは必死で食らいつくので精一杯。

 魔神柱が四体同時ってだけでもすごく厳しい。

 

 なのにまだ本気を出せば彼は魔神柱をいくらでも召喚できるんだ。

 そう考えたら心が折れそうになった。

 

 

 

 今までの特異点で戦ってきた敵とは明らかに違う。

 圧倒的な脅威。

 

 どうやっても太刀打ちできない。

 それがわかってしまった。

 

 

 でも、問わずにはいられなかった。

 

 どうしてこんなことをするのか?

 世界を燃やして楽しいのか?

 

 魔術王は、もしかしたら何か深い事情があって仕方なく人を滅ぼそうとしてるのかもしれないって、思ったから。

 

 

 しかし、そんなことは無かった。

 そんなのは甘い幻想だった。

 

 

 ソロモン王は人を滅ぼすのが楽しく、死にゆく様を見るのが嬉しく、苦悶の声をあげる姿が爽快だと、それはそれは本当に楽しそうに邪悪な笑みを浮かべて告げられた。

 

 

 私は馬鹿だった。

 あれだけの力を持つ存在が、人理を滅ぼすような事態をやむを得ない事情があってやってるなんて、思い違いも甚だしかった。

 ソロモンは人の姿はしていても、同じ人類の視点ではものを見ていない。

 

 ただ彼独自の判断で世界を滅ぼしたんだ。

 

 

 

 

 ……薄々わかってはいたんだけどね。

 でも、もしかしたら違うかもしれないって一縷の望みをかけて、私は叫んだんだ。

 

 結果は絶望感がさらに増しただけ。

 

 もう何もかも嫌になっちゃった。

 

 

 

 

 私は所詮一般枠の中でも数合わせで、レイシフトの素質だけの一般人。

 

 

 どうしてマスター候補の中で私だけが、私なんかが無事生き残っちゃったんだろう? って思わずにはいられなかった。

 

 

 私はつい最近までごく普通の一般家庭に生まれた本当にごく普通の高校生だったはずだ。

 確かにカルデアに来たのは自分の意思だよ。

 でも、人類最後のマスターとして戦おうなんて覚悟をしてきた訳じゃなかった。

 

 正直、私の活躍が人類の未来を左右するなんて、言葉では理解できても、頭は理解を拒んでたし、心は疑問で埋め尽くされてるもん。

 

 魔術? サーヴァント? 人理? 何それ?

 そんな非現実なこと言われても……私はレイシフトのことだって、科学技術によるタイムスリップだと思ってた。

 

 そして何より、なんで魔術に関してド素人の私が人理を修復する為に独りで戦わなきゃならないの? 

 もちろん、実際に戦ってくれてるのはサーヴァント達だし、マシュなんか元人間の私と同じ普通の女の子なのに、前線に出て戦ってる。

 

 

 だけど、思わずにはいられなかった。

 

 

 マスターは戦場における司令塔。

 だから私が臨機応変に指示を出さなきゃならない場面も当然たくさんあった。

 戦況を見極めて的確な指示や、魔術礼装による拙いなりにも支援をこなさなきゃならなかった。

 

 サーヴァントは厳密には生きてる人じゃない。

 死んでいる人間であり英霊という名の兵器。

 

 ……だからって私は割りきれなかった。

 会話を交わせて、同じものを食べられて、それぞれ個性もあれば趣味・嗜好も違い、何より触れられて『今ここにいる』と実感できる存在を『兵器』だなんて見れなかった。

 私にとっては生前がどうだろうが、『今ここにいる』だけで『同じ命』だと思えてしまったから。

 

 マシュは特にそうだ。

 半分英霊のようになっていても、やっぱり人間で今は本当に大切な後輩だ。

 

 

 そう思うと、何もかも重かった。

 私はたくさんの命を預かっていて、生かすも殺すも私の指示次第。

 ミスをすれば命は失われる。

 世界の命運も私次第。

 

 

 私にはそれら全てが重荷だったんだ。

 

 

 でも、ここまでは様々な出会いと別れを繰り返しながらも何とか笑顔を絶やさず噛み殺してやってこれてた。

 でももうダメだ。

 もっと相応しいマスターがいたはずなのに、私が人類最後のマスターなんかになっちゃったせいで、世界は救えない。

 

 虚勢をあげる気力もなくなっちゃったよ……。

 

 

 ごめんね……お父さん、お母さん。

 助けられなくてごめんなさい。

 

 

 ごめんね……マシュ、ドクター、ダ・ヴィンチちゃん。

 私にはやっぱり世界を救う救世主なんかになれそうに────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ、小便王」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────な……えっ? ………………えっ?

 

 今の声は賢者さん、だよね? えっ? 聞き間違い? 賢者さんがそんな……その、しょうべ……なんて下品なこと言う訳無いし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それはまさか私のことを言っているのか?」

 

「貴様以外に誰がいる変態」

 

 

 

 

 

 

 

 

 えっ? あれ? 聞き間違いじゃない? ええっ!? いやでも賢者さんが……変態呼ばわりって、あれ!? 相手の声ってまさかソロモン!? けけけ賢者さんってばソロモン王相手に変態とかしょうべ……王とか言ってるの!?

 

 

 

 塞ぎ込むように視線を地面に向けていた私は、慌ててその青くなった顔を上げた。

 視線の先には案の定ソロモンの傍まで歩いていく賢者さんの後ろ姿が。

 ……あったんだけど、ここ最近では見慣れていた安心を与えてくれる賢者さんの背中。

 

 でもその時は違った。

 後ろ姿だけでわかる程の怒気をあの人は纏ってたんだ。

 その姿に思わず私は息を呑んだよ。

 

 だってあの普段は寡黙で表情も変わらないし、ぱっと見どころかじぃーと見ても、何を考えてるかほとんどわからないあの賢者さんがだよ?

 

 

 後ろ姿だけで怒り心頭だってわかる程なんて、よっぽどのことだもん!

 

 

 いや、賢者さんってたまに凄く優しい笑顔とか見せてくれたりもするんだけど……そのえっと、うん。

 さささっきお姫様抱っこされたこととか、……私が無事ならそれでいいみたいな感じで、あの、優しい笑みを向けられたこととかを色々と思い出しちゃって……………………~~や、やめよ! 恥ずかしくなってきてこれ以上考えられなくなっちゃうし!

 

 

 そ、そうじゃなくって! あんなに怒りを露にしてる賢者さん初めて見たから……。

 

 

 

 その直後、賢者さんとソロモンが激突した。

 そして賢者さんから語られるソロモンの真意。

 

 

 賢者さんが口にしたソロモンのあまりの悪趣味さに、私は恐怖よりも羞恥心と怒りが湧いてきて、思わず睨み付けちゃったよ。

 

 だってあんな変態さんだなんて思ってなかったから……実際怖いことは怖いんだけど、なんか別の意味の怖さに置き換わったというかなんというか。

 

 そしたらいつの間にか震えていた足も、固まっていた体も元に戻ってたんだよね。

 

 

 何より、賢者さんが激怒していた理由が私のことを思ってだったのが嬉しくて、私を唯一のマスターだと認めてくれていたことが本当に嬉しくて……それと同時に諦めかけてた自分を情けなくも思った。

 

 

 だから、もう迷わない。

 確かに私は大した才能を持つマスターなんかじゃない。

 でも、人類最後のマスターは私なんだ。

 

 もしもなんてことは考えても意味がない。

 私しかいないんだ。

 重荷なのは変わらない。

 

 けど、賢者さんが私のサーヴァントでいてくれるなら、私はまだ頑張れる!

 あなたの期待に答えたい、今はその想いが一番強いから。

 

 

 

 

 

 

 

 だからね、賢者さんに力を貸してくれって言われた時、マスターとしての責務とかそういうの関係なしに、彼の力になりたいって、素直にそう思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後にマスター視点を出すことで汚さを緩和するという、女性読者への配慮(既に手遅れ)


冗談です
ただ分割箇所的にキリが良かったからってだけです

てか、この汚い作品に女性読者が果たしているのか? ……いやいない(反語)

……もしいるなら、この作品が、賢者な彼が、読者様を汚染してしまい申し訳ない(今更な謝罪)


だが謝罪はしても汚さはこれからも貫いていくので、よろしくオナシャス!
次回の(後編・下)は明日恐らく投稿します


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宝具と性具は紙一重(暴論)

リアルでアクシデントがあったりしましたが、何とか今日中に投稿完了

前回の話の誤字報告してくれた方々、本当にありがとうございます!

そしてお待たせしました
今回は予定通り第4特異点『ロンドン』(後編・下)です

今回も汚いことは汚いですが……作者的に感覚が麻痺してきてるのかこれが普通な気がしてきました
作者が一番汚染されてますね(汗)

それではどうぞ


 わたし達は賢者さんに助けられましたが、一緒にカルデアから来ていたクー・フーリンさんがやられてしまいました。

 カルデアに無事帰還できてると良いのですが……。

 

 皆さんを守ることこそがわたしの役目。

 それなのにわたしが不甲斐ないばかりに、この特異点で仲間になってくれた何人ものサーヴァントも犠牲になってしまった上、賢者さんの手を煩わせる事態になってしまいました。

 

 

 そして、情けないことにわたしはソロモンの力に今までの戦い以上の恐怖を感じていました。

 何せとんでもない人知を超えたような出力……それでいて彼は明らかに手を抜いている。

 このままでは全滅は必至でした。

 

 それなのにソロモン王が発生させている力場が原因でレイシフトを使って撤退することすらできない。

 

 

 でもせめて先輩だけは……!

 先輩だけはこの場から逃がさないと! …………逃がさ、ないと……。

 

 頭ではわかっているのに、体が動いてくれません。

 

 

 心が悲鳴を上げている。

 あのサーヴァントには決して勝てない、と。

 

 

 抗ったってどうせ勝てず苦しいだけならもうやめていい、とわたしを深い闇に引きずり込むような甘い声まで聞こえてくる。

 

 

 

 わたしはデミ・サーヴァント。

 いくら歴戦の英霊がこの身に宿ってくれても、本物の英霊になれる訳じゃない。

 わたしはわたしでしかない。

 

 

 英霊という武器をその身に纏っただけのマシュ・キリエライトという少女でしか。

 

 

 武器を使うのはわたし。

 なら、その武器を十全に振るうことすらできないわたしなんかじゃ、グランド・キャスター相手にマスターを守り抜くなんてできるはずがない。

 

 

 

 

 

 それでも……! わたしは諦めたくありませんでした。

 先輩と、賢者さん達とまだこの旅を続けていたいから!

 

 

 

 

 

 そんな想いを胸にわたしは隣の賢者さんに目を向けたんです。

 

 彼が見据える先にはあのとんでもない力を有したサーヴァントがいました。

 

 けれど、賢者さんに臆した様子はまったく見られません。

 やっぱりあの人は強い、力だけじゃなく心が。

 

 

 

 

 ソロモン王も彼の視線に気付き、そこで驚愕していました。

 

 

 

 賢者さんの情報をまるで読み取れないことに。

 

 

 

 確かに未だ賢者さんの正体はわからないままでしたけど……自分で全てを見通すと豪語していたソロモン王にすらまるで把握できないなんて……もしかして賢者さんはわたし達が思っている以上にすごい英霊なんじゃ……。

 

 そんなすごい英霊かもしれない頼もしい味方な賢者さんに、一片足りとも諦めた様子は見られない。

 

 なら、わたしも先輩のサーヴァントとして、ここで折れる訳には行きません!

 

 

 

 

 

 

 

 さ、流石にソロモン王のことを激怒した賢者さんが変態呼ばわりした時は肝を冷やしましたけどね……。

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと知った賢者さんが語るソロモン王の真意に、わたしは新たに立ち向かう決意をしました。

 あんな酷い理由で世界が終わるなんて、わたしも認められる訳がありませんでした。

 

 賢者さんが激怒したのも今ならわかります。

 

 

 

 

 だから力を貸して欲しいと、あの人に言われた時、わたしは少し賢者さんに近付けた気がして嬉しかったんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正直、協力要請中に偽ソロモンが邪魔してくると踏んでいたのだが、些か拍子抜けだった。

 どう考えても気付いてんのに何故見逃したんでしょうね?(すっとぼけ)

 嘲笑う気満々な小便王がスタンバってるんで言い分を聞いてやりましょう!

 

 

「こそこそと、有象無象が寄ってたかって反吐が出る。貴様らただの英霊風情が何をしようが無駄だとまだわからんのか? 全員揃って知能が猿以下か?」

 

「我みたいな名も知れぬサーヴァント一人に手こずってる変態のくせに口だけは達者だな」

 

「貴様ァ……まだ言うかァァァああああああ!!」

 

 

 苛烈さが増したよ! シェルターがもう間もなく切れるのにヤバイね!

 

 うん、マジやばい。冗談抜きで焼かれる。このままじゃ、燃焼プレイとかいう新ジャンル開拓するはめになりそう(冷や汗ダラダラ)

 偽ソロモンさん煽り耐性低すぎんよ。

 まあ、ヘイト集めてるおかげでみんなに被害がいってないんだけども。

 

 

「そうだ、小便王なんざにとやかく言われたくなんかねぇんだよ誰も!」

 

 

 モードレッドが赤雷を纏う聖剣で魔神柱(チンコ)の動きを抑制しながら口を挟んできた。

 

 

「モードレッド……元はと言えば貴様が小便などと言うからこんなことに……! 消し炭にしてくれる!!」

 

「させません! わたしが守ります!」

 

 

 偽ソロモンの注意がモードレッド達の方に向いた!

 今だ! 離脱!

 白濁の光を宝具(こかん)からは出せないが、疑似金玉が内蔵された性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』の刀身も同じ白濁の光だ。

 応用することで、刀身の形を保つのを一時的に解除し、ロケットブースターのような使用も可能とする。

 

 おかげで何とか爆炎の中を逃れた。

 シェルター解除と同時にジェット噴射した為、多少焼かれはしたがそれだけ。

 痛いっちゃ痛いが火傷程度で済んだのは充分僥倖だ。

 

 

「令呪をもって命ず。アヴェンジャー! 宝具を解放せよ!」

 

 

 ナイスタイミングだマスター!

 後は奥の手を使うのみ!

 

 

 

「この剣は金玉(黄金)の写し身。天我裸ティン(TENガラティーン)よ真の姿を我の前に示せ!」

 

 

 

 俺の詠唱に応じ性剣のギミックが稼働する。

 刀身が上空に射出され、白濁の光が5つに分裂し全てリング状へと姿を変える。

 

 

「あのアヴェンジャー、いったい何を!?」

 

『賢者君の邪魔はさせませんよ!』

 

「余所見してんなよ変態野郎!」

 

「ぐっ、無駄な足掻きをしおって!!」

 

 

 エックスさんとモーさん援護ナイスゥ!

 つーかこんなところでブリテン親子のコラボ見られるとは思わなかったぜ。

 

 

「『瞬間強化』発動。やっちゃえ! 賢者さん!」

 

 

 マスター……こりゃ期待には答えねーとな!

 

 

 

「それはあらゆる性器(精気)を搾り取る光の円筒。臨界にて果てろ! 『白濁光膜の円環(プレジャーホール)』!!」

 

 

 

 上空に展開していた5つの白濁の光の輪が、さらに円筒へと姿を変えそのまま落下する。

 

 そして、四本の魔神柱(チンコ)を包み込んだ。

 

 残念ながらソロモンには避けられた挙げ句、奴が使う魔術に破壊されたがな。

 

 刹那、四本の魔神柱(チンコ)を締め付けながら上下運動謂わばピストン運動をし出す。

 それも高速で。

 

 もうわかるだろ? 脳内フレンズ(我 が 同 胞)よ。

 

 即ち『白濁光膜の円環(プレジャーホール)』とは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────巨大なオナホールのことだったんだよ(目逸らし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、本当は違うんだよ?

 白濁光膜の円環(プレジャーホール)ってのは対象を包むことで身動きを取れなくしたり、振るたんびにブオンブオン鳴ることからも、凄まじい切れ味なのでそのまま圧搾するだけで中に入った対象を細切れにしたりする宝具なんだよな(それはそれでヤバいが)

 

 上下運動をする理由も上と下は穴が開いてる為、上下から包んだ対象が逃げ出さないようにしてるだけなんだわ。

 

 つまり魔神柱の外見がチンコみたいだった上、頑丈だったからこそ圧搾しても細切れにできず、オナホールにしか見えなくなったって訳だ(訴訟)

 

 結局は魔神柱のデザインと頑丈なのが悪い。

 そしてそのデザインにした偽ソロモンがなんもかんもわるい(理不尽)

 

 

 

 チェーンソーが稼働してる時の音と、切断音が混じったようなけたたましい音が四本の魔神柱(チンコ)から響き渡る。

 

 なんかめっちゃ痛そう……(アンタがやってんだよ)

 あれ見てると、性欲が死んでるから縮んでる俺の股間ですら、さらに萎縮するんだよなー。

 まあ、ナニはともあれ魔神柱(チンコ)の動きは封じた。あとは────

 

 

 

 

「役に立たぬ魔神どもめがッ! もういい。第三宝具を用いてでも貴様だけは滅ぼしてくれる! 名もなきアヴェンジャー!!」

 

 

 

 

 ちょっと偽ソロモンさんキレ過ぎじゃないですかね?(自業自得)

 つーかオイ! あの天に渦巻く光帯が我が宝具とか言ってたよなあの野郎!?

 あれを俺にぶっぱなす気か!?

 

 いやあんなもんぶちかまされたら、このロンドン諸とも消し飛ぶわ!!

 

 ちょっと小便王さん? アンタさっきお前達のことなんかどうでもいいって、ここで殺すも生かすもどうでもいいって言ってたよね? はじめから見るに値しないとも言ってたよね? 気まぐれで来たからもう帰るって言ってたよね?

 

 なのに俺を潰す為だけに本領発揮とか、やだー! 前言撤回早過ぎんよー! 

 七つの特異点を全て消去したら解決すべき案件として考えてやるとかぬかしてたくせに、俺ごとマスターもマシュもまとめてここで滅ぼす気かよ!? せこいな!

 

 

 うわっ……偽ソロモン(ラ ス ボ ス)の沸点低すぎ……?

 

 

(※いくら人理焼却の黒幕だからって、あれだけの誹謗中傷を受けたら誰でもキレます)

 

 

 

 

 

 

「安心しろ、全力は出さん。そこの不届き者を焼き尽くすだけの出力に留めてやる」

 

 

 

 うわーそれなら安心だね! 安心できねーよ。

 つまりあれだろ? 俺を容易く焼死体にするだけの火力は放つ気満々ってことっしょ?

 

 アーサー王の聖剣の光を幾つも束ねた一撃とか、焼死体どころか霊基自体が蒸発しそうだよね(白目)

 

 逃げねば(死相感)

 

 

 

 って、あれ? おや体が……まさか魔力切れ……!?

 

 

 

 しまった……! 魔力の源(俺の子種)は乳上で全部出し切ってたんだった!?

 ……ぶっちゃけ俺の魔力総量って白濁の液体が9割以上占めてるから、残りは絞りカス程度だってのに、いくら令呪を使ってもらったとはいえ、基本的に対象は一人な宝具(オナホ)を、5つに分割するなんて無茶な解放をしちゃったせいだ……(やっぱりオナホじゃねーか)

 

 

 

 あれ? ちょっと待て……普通にやばくね? 魔力量的に防御も回避も無理だぞオイ。

 

 

 え? マジでどうすんの!? どうすんの!?

 

 

 

 

 

「マシュは賢者さんを守護! エックスとモードレッドはソロモン王の宝具発動の妨害を! アンデルセンはみんなの支援をお願い!」

 

「了解です先輩!」

 

『お任せを! 宇宙船に乗りながらも流星剣をぶつけてあげましょう!』

 

「おう! 妨害どころかぶっ潰すつもりで行くぞ!」

 

「ったく、作家使いの荒いマスターだ。ゲルダの涙よ、心を溶かせ」

 

 

 

 

 

「その男を見捨てていれば、この場では貴様らだけでも助かったものを……愚かな」

 

 

 

 なっ……ちょ、みんな何して……?

 

 

「……キミたち、何をしている?」

 

「何って……賢者さんを守りに来たんです。動けない様子でしたので……ご迷惑でしたか?」

 

「勘違いすんなよ。オレは助けに来た訳じゃねぇ。ただこの変態野郎をロンディウムから追放するためだからな!」

 

「とう! ドゥ・スタリオンⅡからこんにちは! 素直じゃないのでまとめてカリバー!!」

 

「ち、父上!? あ、危ないだろうが!」

 

「誰にでも反抗期な息子に、お仕置きがてらのソロモン王と一緒にカリバー!!」

 

「うわっ!? だから危ないっての!」

 

 

 いつもは反抗期な俺の息子(意味深)も、今は萎れてふにゃふにゃだぜ(現実逃避)

 ブリテン親子がじゃれてると、なんか和むよね……。

 

 じゃなくて!

 

 

「すまない魔神柱で精一杯だった。……奴の標的は我一人だ。早くこの場を離れろ。宝具が来る。魔神柱は何とかなったがソロモンは……」

 

「馬鹿かおまえは。そんなものは承知の上でコイツらはここに立っている。無論俺もな。それに魔神柱四体を一人で仕留めればサーヴァントとしては上出来だ。……正直、肉体労働などこれっぽっちもやりたくないが、おまえがやられたからって、あの夢だけは人一倍の変態が逃がしてくれる保証はどこにもない」

 

 

 アンデルセンの言うことにも一理ある。

 偽ソロモンは俺の挑発程度で怒りに任せて潰そうとする輩だ。

 俺がやられた後、口の悪いモードレットとアンデルセンが残ってる中、本当に見逃してくれるのかは疑わしい。

 だが、だからって!

 

 

「そうかもしれないが、このまま全滅するつもりか?」

 

「おまえ程の英霊がやられたあと、奴に牙を向かれれば俺なんかは即お陀仏だ。ならば賢者とは程遠い肉弾戦上等なエセ賢者をさっさと戦線復帰させ、肉壁になってもらうのが一番妥当だと判断したまでだ」

 

「そういうこと! ほら賢者さん! 火傷してる箇所見せて。応急手当するからさ」

 

「……ああ」

 

「賢者さんが回復するまでの間くらいはわたしが防ぎきります! 安心して下さい!」

 

「……わかった」

 

 

 ツンデレが二人もいる6人パーティってのもまあ、悪くないか……片方男だが。

 つーか、何気に立香ちゃんってばカルデアの魔術礼装使いこなしてるよな。

 さっきの宝具発動手前で瞬間強化のバフをかけてくれたり、今も回復魔術で回復してくれてるし。

 

 ……どうする? こっから逆転の目なんてあるのか?

 でもここまで尽くしてくれるマスターやマシュ、なんだかんだで助けてくれる仲間達を、汚い俺なんかと心中させられるかよ!

 

 考えろ! 

 

 今出せる手札を……()()()しかないか?

 いや、でも()()()には時間が足りない!

 

 性剣は……まだ魔神柱を締め付けてる最中で使用不可か!

 

 クソッ! 他に手札は……。

 

 

 

 

「無駄だ! 第三宝具、展開。 誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの」

 

「そんな!?」

 

「くっ、マシュ! 宝具の準備を!」

 

 

 

 

 

 慈悲もなく光帯が回り始めた。

 

 ちくしょう! 他に手立ては!?

 クソったれ……こんな時、大賢者モードなら何とかできるはずなのに…………大賢者? ………………………………あ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──焼け死ぬがよい! アルス・アルマデぶふぅぅぅううううううううううう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宝具、展開しうぇ?」 

 

「「えっ」」

 

「「……はっ?」」

 

 

 偽ソロモンが宝具を発動しようとした瞬間、()()()()()()()()が偽ソロモンの左頬にめり込んだ。

 

 

 彼は錐揉み状に回転しながら、吹き飛んでいった。

 仲間のみんなは全員唖然としている。

 

 

 ……まあ、無理もないよな。

 自分で自分のことぶん殴ってぶっ飛んでったんだから。

 

 

 

 

 にしても危ねぇ……!? さ、流石に今回は冗談抜きでヤバかった!

 

 

 

 

 

 偽ソロモンの左手に性剣を挿入(意味深)したのを覚えてるか? 腹パンからの腹パンからのフェイント性剣お見舞いしたのを。

 俺は大賢者モード時の俺がやったことだから、思い出すのに苦労したが、何とか間に合って良かったぜ!

 

 

 大賢者時の俺がだが、性剣の刀身部分にあたる疑似ケフィア(意味深)を左手に中出し(意味深)しといたことで、奴の左手を侵食しておいたのさ! ……オエェェェッ!!(違う想像をして嘔吐)

 ゲプッ……うぇ…………失礼、吐きました(内心)

 

 

 しかも秘蔵の封印を疑似ケフィア(意味深)自体に使っていたことで、奴に気付かれずに侵入させ容易く侵食できた。

 大賢者……アレだけキレてたのに意外と冷静で抜け目ないんだよな(有能)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっと? ちょうどよく四本の魔神柱(チンコ)がとうとう圧搾に耐えきれず、中身(意味深)を吐き出したな。

 

 

 

 いやー? まるで射精みたいだなーとか思ってないからね?

 

 マスターが顔を赤くして両手で顔を隠しながら指の隙間から見てたりとか。

 

 マシュも頬を染めながら、顔を下に向けてはいるものの興味はあるみたいで、上目遣いでチラチラ見てるっぽいとか。

 

 モードレッドはゴミを見るような目を向けてるとか。

 

 

 

 そんなこともあったけど、いくら魔神柱の外見がチンコだからって出てきた中身が白濁してる訳じゃないし、射精には見えないって!(白々しい)

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、これで性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』は使えるようになった。

 

 状況は未だ好転とは言えないが、火傷もマスターが治療してくれたし、これである程度戦えるはずだ。

 

 

「…………」

 

 

 ちっ、やっぱ戻ってきたか。

 いやあんなんで仕留めきれたとは思わなかったけども。

 

 

「……興が削がれた。私は帰る」

 

 

 ってあれ? 何事もなかったかのようにこっちに戻ってきたかと思えばそれ?

 

 

「なっ!? 逃げんのか?」

 

「先程私が言ったことを繰り返させるつもりか叛逆の騎士? 低脳にも限度があるぞ。貴様らなど本来どうでもいいのだ」

 

 

 なんか妙に冷静になってやがる。

 えっ? 頬を殴られて冷静さを取り戻した?

 いや、これは……まさか!

 

 

「あまりにも幼い人間よ。人類最後のマスター、藤丸立香よ。これは私からの唯一の忠告だ。おまえはここで全てを放棄する事が、最も楽な生き方だと知るがいい。私の実力を垣間見た貴様らには理解できるはずだ」

 

 

 自身の左手で殴られたことが原因ではなく、四本の魔神柱(チンコ)が果てた直後にこんな冷めた態度になったんだとしたら……それはつまり。

 

 

 

 

「──灰すら残らぬまで燃え尽きよ。それが貴様らの未来である」

 

 

 

 

 賢者モードですね、わかります(共感)

 やっぱり魔神柱(チンコ)は偽ソロモンのチンコだったんだよ!

 じゃあさっきのはやっぱり射精だったんだな、うん。

 

 

 うわぁ、汚い(ブーメラン)

 

 

 なんかマスターとマシュに哀れみのこもった視線や口調をしてたけど、お前の方が哀れまれる立場じゃん(お前のせいでな)

 あんなのがラスボス候補とか……頭が痛いな。

 

 

 

 

「最後に訊かせろ。貴様は何者だ?」

 

「……我は世界の復讐者。ただのアヴェンジャーだ。賢者と呼ばれているから、賢者のアヴェンジャーとでも呼べ」

 

「賢者のアヴェンジャー……覚えたぞ貴様のことは。次に会う機会があれば、貴様は私直々に今度は全力を以て葬ってやろう。……七つの特異点を解決できればの話だがな」

 

 

 

 

 あっ、帰ってった。

 アイツ、思ってた以上にヤバイわ。

 

 露出趣味なのはわかってたが、魔神柱(チンコ)から中身を出すとこを見せびらかすのも好きとは……変態の中の変態ってのはあーいうのを言うんだろうな(ブーメラン二つ目)

 

 

「あの、賢者さん……」

 

「どうしたマシュ」

 

「その、何故かブーメランが頭に二つも刺さってますよ」

 

「………………やけに頭が痛いと思った」

 

 

 オイ誰だよ俺にブーメラン(物理)投げた奴!

 さては脳内フレンズ(我 が 同 胞)の誰かだな?

 

 

 許さ……あれ? 脳内フレンズなのに、ブーメランぶつけて来るっておかしくね? …………うっ、頭が。

 

 

 

 ま、いっか! 細かいことは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖杯も回収したし、後はレイシフトでカルデアに帰還するだけだ。

 

 最後の変態のせいで乳上のおっぱいの余韻を台無しにされたけど、まあ良いさ。

 揉めたことは揉めたんだからな!

 

 そのことを心の記憶も体の記憶もちゃんと覚えてる!

 よし! 明日になったらその記憶をオカズに抜きまくるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして第4特異点『ロンドン』の戦いは漸く幕を下ろした。

 

 あ、もちろんモーさんもお持ち帰りしたぜ? カルデアのモーさんと合体してもらったさ。

 ……まあおかげで記憶が引き継がれたらしく、うやむやになっていた勝負を続行ということになり、また特異点に連れ出されたりしたけど(汗)

 

 あと、カルデアに帰還したら、ドクターロマンが酷く落ち込んでたんだよね。

 なんか胃に穴が空いたんじゃないかってくらいに。

 マスターもマシュも無事だったんだからあそこまで落ち込まなくても良いのにな(見当違いな感想)

 

 ダ・ヴィンチちゃんとかはそんなロマニを見て笑い堪えたりしてたし、逆に気楽だなーとは思ってたけどさ。

 

 ダビデなんか腹抱えて爆笑しながら「僕の息子気の毒過ぎワロタ(要約)」的なこと言ってたし。

 

 何故かロマニがちょっとした癇癪を起こして、ダビデに八つ当たりしてたけど、そこまでストレス溜まる程に心配してたんだなー(見当違いな解釈)

 

 心労で倒れかねないし、確実にマスターやマシュを守れるように素早く()()()努力と、童 帝 神 技(ドウテイシンギ)の解禁も考えておくかね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、無事帰ってこれたからって、気が早いけど、次の特異点(合コン)は女の子ばっかだといいなー(願望)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。

 

 よく眠れたぜ! おかげでタンクは再び満タンだ!

 

 そんで今日はビッグイベント! マスターが第4の聖杯を回収できた記念に、聖晶石使って誰か新しく召喚するってよ!

 

 やっぱ女の子が良いよな女の────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランサー、アルトリア。召喚に応じ参上した。我が愛馬が雷雲を飲むように、我が槍はあらゆる城壁を打ち破る。あなたの道行きを阻むもの、すべてを打ち……そこの貴様、何処かで会ったか? 何故か酷く懐かしい薫りが……オイ待て!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────戦略的撤退ッ!!

 

 いやー、流石に昨日の今日で揉んだばっかな相手を前に涼しい顔で出ていけるほど、肝据わってないから!

 

 あとランサーアルトリア・オルタさん。薫りじゃなくて物理的な香りだったりします?

 

 

 鎧に包まれていてもわかるたわわに実った胸部。

 

 

 それを見て感触がリフレインしちゃってさ、実は大量に出ちゃったんだよね☆

 

 

 

 本当に下品ですまない(陳謝)

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうでも良いけどさ、陳謝って言いながらチン射してみたくない?(反省の余地なし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソロモンは玉座に帰ってきた。

 彼の根城であるどの時代からも切り離された神殿に。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 妙に疼く左手。

 左手の傷口に彼は魔術を行使した。

 すると、傷口から漏れ出す白濁の光の粒子。

 

 

「賢者のアヴェンジャー……奴が使っていた光の剣の残滓か」

 

 

 

 その白濁の光の粒子をソロモンは魔術を行使してその場の空間に留める。

 

 

「フン、こいつを解析すれば奴の素性、真名も判明するはずだ」

 

 

 そう、怒り狂っていたソロモンが唐突に帰還した理由は簡単な話。

 あの謎過ぎる賢者のアヴェンジャーの正体を突き止めるためだったのだ。

 

 

 所詮、消えゆく運命のサーヴァントの一人に過ぎないが、面倒極まりないサーヴァントなのは事実。

 それに不名誉な異名を付けてきた挙げ句、色々と出し抜かれたのも確かだ。

 

 であるのなら弱点を暴くに越したことはない。

 そう思い持ち前の千里眼と、最高峰の魔術を用いて解析を始めたのだが……。

 

 

「くっ! 無駄に何重にもセキュリティが張り巡らしてあるとは……どれだけ奴は自分のことを知られたくないんだ。…………いや、もしや抑止力が秘匿しているのか……?」

 

 

 幾重にも張られたセキュリティの数々が、真の情報を暴くのを邪魔する。

 これだけで賢者のアヴェンジャーがどれだけ秘匿性の高いサーヴァントかがわかる。

 ソロモンは帰還して正解だったとほくそ笑んだ。

 

 ……まあ、帰還したタイミングがタイミングだっただけにさらなる誤解が増えたことを知らない彼的に、プラスかマイナスか微妙なとこだが。

 

 何枚もの壁、幾つもの錠。

 それらを順番に魔術で強引にこじ開けていく。

 極めて順調。

 このまま行けば奴の真相に辿り着ける。

 ソロモンはそう思っていた。

 しかし────

 

 

 

 

 

 [エラー。管理者以外の侵入者が閲覧しようとしています。よって自壊プログラムを起動します]

 

 

 

 

 

 

 ────やはり甘くはなかった。

 

 

「なっ!? 待て! 消えるな!」

 

 

 魔術を用いて白濁の光の粒子の消失を妨げようと試みるが、徒労に終わる。

 白濁の光の粒子は綺麗さっぱりこの場から消滅した。

 

 

「おのれ、奴の唯一の手がかりが……」

 

 

 これで賢者のアヴェンジャーの正体を看破することは難しくなってしまった。

 だが収穫が一つも無かった訳ではない。

 

 

 かなり厳重なロックがかけられていた為、かなり重要度の高いサーヴァントだということ。

 恐らく抑止力の切り札のような存在な可能性が高い。

 

 そしてもう一つ。

 

 

「あの光の粒子……微かだが生命反応を感じた。それも一粒一粒から。…………まさか私と同じように()()()()()()()()()()()使()()しているのか……?」

 

 

 だとすれば賢者のアヴェンジャーの脅威度は一気にはね上がる。

 何せ自身と似たようなことができる可能性があるのだから。

 楔としてあらゆる時代に投錨した魔神たち。

 

 魔神は1体1体を撃破されてもその場限りの撃退に留まり、根本的な打倒が出来ないという性質を持つ。

 

 これは「七十二柱の魔神」という存在自体が一つの術式・概念となっており、ソロモンの周囲に常に七十二柱が存在していることを前提とする使い魔であるため、撃破されていずれかの個体が消滅してもこの概念により再生され、常に「七十二体存在する」状態を保持されるためである。

 

 また、仮にいずれかの個体が失われたとしてもソロモンは簡単に補填することができる。

 

 

 

 もし賢者のアヴェンジャーが使役する生命体も、これらと似たような性質を持つ存在なら非常に厄介だ。

 

 これでは完全にいたちごっこだ。

 互いに消耗しようと、直ぐに補填されるのなら無駄な労力でしかない。

 

 となれば使役している本体を撃破する必要が出てくる。

 

 

「真名を明かしてない時点で、全力を出してるはずがない。奴の戦闘力は未知数だ。……よりにもよってあんなイレギュラーが人類最後のマスターの元に召喚されるとは」

 

 

 計画を邪魔する不穏分子。

 マスター自体は然したる脅威ではないが、賢者のアヴェンジャーがどう動くのかがまるで読めない。

 奴の行動によって未来は左右される。

 おかげで今見えている千里眼の結果も、まるであてにならなくなってしまった。

 完全に想定外な事態。

 

 何せ賢者のアヴェンジャーが存在しない前提での未来予知などなんの意味もないからだ。

 

 

「フン、だが弱点の1つはわかりきっている。マスターだ。いくらイレギュラーなサーヴァントであろうと、マスター無くして、現界し続けることはできまい。たとえ奴が単独行動のスキルを持っていようと、いずれ魔力切れを起こす。マスターは藤丸立香ただ一人。代えはいない。であれば残りの特異点で排除は充分に可能だ。……なんだ何も問題ないではないか、フフハハハハハハハハハハハハ!」

 

 

 安堵したのか一通り高笑いをあげる。

 だが、直ぐに冷静になった。

 

 

(だが万が一なこともある。賢者のアヴェンジャーがマスターを守り抜く可能性だ。……やはり何らかの策を練っておくべきか。例えば……賢者のアヴェンジャーが()()()()()()()()()()仕向ける一手などをな)

 

 

 ソロモンは賢者のアヴェンジャーというイレギュラーと出会ったことで、傲り高ぶった慢心を多少捨てる選択を取る。

 これにより未来は変わる。変わってしまう。

 

 元々想定されていた未来の筋書きは上書きされた。

 

 

 

 結果的にカルデアのマスター・藤丸立香の旅路はさらに過酷なものへと変貌を遂げるだろう。

 

 

 

 だがまだわからない。

 

 イレギュラーなサーヴァント、賢者のアヴェンジャーの存在が含まれない場合の話だからだ。

 

 

(5つ目の特異点には既に新たな『爆弾』を仕掛けた。さぁ、超えられるものなら超えてみせよ藤丸立香、そして賢者のアヴェンジャー。……まあ、邪視をくらわせたカルデアのマスターが生きて帰って来れればの話だが)

 

 

 別にソロモンは見逃した訳ではなかった。

 姑息な罠だが、あのマスター程度なら邪視による呪詛でくたばるだろうと見越しての判断だった。

 暫く経てば魂を縛られるはずだ。

 しかし、懸念事項として謎のサーヴァントが存在する。

 奴ならマスターを救う手立てを用意しているかもしれなかった。

 

 

(とはいえ賢者のアヴェンジャーが何をしでかすかわからん以上、念には念を入れての『爆弾』だ。あと残り2つも用意だけはしておくか)

 

 

 ただしここに来てソロモンの厄介さが上がっていた。

 賢者のアヴェンジャーのせいで警戒心を持つように、即ち慎重になっているのだ。

 これでは付け入る隙が激減する。

 魔術王は元々強力過ぎるサーヴァントなのは間違いないが、強力過ぎるが故に慢心気味だった。

 なのに彼は学習してしまったのだ。

 まだ3つの特異点が残っている現状で、ソロモンは警戒心を強めてしまった。

 

 

 これについては賢者のアヴェンジャーの行動が裏目ったとしか言いようがない。

 ソロモンに汚名を被せた代償といったところだろうか。

 

 

 こうして規定のレールからは外れた。

 

 

 

 

 これは、ただの未来を取り戻す物語、ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────規定よりずれた道筋を、賢者と歩む物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベレトより要請。これは我ら72柱の魔神の過半数が賛成の意を示す重要な案件である」

 

 

 

「なんだ? ベレトよ」

 

 

 

「我らのビジュアル変更を早急に要請する。指摘されたから変更するのは如何なものかと否定意見もあったが、これ以上あの屈辱を受けるのは許容不可と我々肯定派は判断した。総括局よ、あの場にいた代表として再度改めて進言する。我らのビジュアル変更を早急に要請する」

 

 

 

「……総括局より返答。検討しておこう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一から第三の特異点に登場したフラウロス、フォルネウス、バルバトスのビジュアルは全て黒い体色に丸い目を持つタイプで統一されていた。

 

 しかし今回のことをきっかけにして、次の特異点以降に出現する魔神柱は個体ごとに異なるデザインのものも登場するようになり、後に遠くない未来に再び現れるフラウロス、フォルネウス、バルバトスの体色も黒以外に変わっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォウフォーフォウ、フォウゥ……(特別意訳:いやデザインじゃなくて根本的に形を変えろよ、結局チンコのままじゃないか)」

 

 と、後日小動物からツッコミが入るのだが、幸いなのか不幸なのか、その意味が魔神柱に伝わることはなかった。




ちょいちょいシリアスを混ぜ込んでいくスタイル

【もしもマスターがぐだ男だったら】
賢者な彼「チンコが4本……来るぞマスター!」
ぐだ男「えぇ…………」
魔神柱「誠に遺憾である」

【さらにもしもソロモンが女だったら】
女ソロモン「用を足しに来ただけ」
賢者な彼「お前が便器になるんだよ(直球)」
ドクター「」


茶番も含めこれにて第4特異点『ロンドン』完結です



次回は一応本編に関係ある監獄塔イベをアバンでさらっと流して第5特異点の話になると思います
次回の投稿は暫くかかると思うので気長にお待ちください


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誰でも使える脱魂方法(絶頂)

にゅるっと投稿

色々と遅くなった理由はかなり長いので後書きに書きます
でも一言だけ言わせて下さい


「久々に現実で地獄を見た(絶望)」


さて、第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編始まり……ません!
『監獄塔に復讐鬼は哭く』の内容だけでも一万字超えちゃいまして……(前回アバンでさらっとみたいなこと書いた気がするけど気のせい)
ですので次回から第5特異点が始まります!

※一応監獄塔イベをやれてない方でネタバレを気にする人の為に、内容後半はざっくりにしたためそこまでネタバレではないと思われます(震え声)

病み上がりなのであまりクオリティは期待しないで下さいね!


 第4特異点『ロンドン』から無事に帰還できた。

 

 そう思えたのもつかの間。

 

 

 

 

 

 

 監獄塔シャトー・ディフ。

 

 ソロモンの邪視の影響で肉体はカルデアにありながら、魂だけがイフ塔へと縛られてしまったカルデア最後のマスター・藤丸立香。

 

 そこで出会ったのは賢者ではない、ただのアヴェンジャーだった。

 

 

 

 エクストラクラス・アヴェンジャー。

 

 

 

 ポークパイハットを被った色白の肌をした青年だった。

 

 

 

 

 七つの『裁きの間』を超えねば脱出できない。

 カルデアにいる仲間達に助けを求めることもできなければ、カルデアからこの場に声が届くことも断じてない。救援は期待するだけ無駄。

 裁きの間で殺されれば死ぬし、何もせず七日間を過ごした場合も死ぬ。

 

 

 裁きの間にて待つ監獄塔の番人は七騎。

 

 

 人の罪と闇の化身にしてサーヴァントの皮をかぶった妄念の集合体────それこそが番人。

 

 

 

 それら全てを打倒しなければ生きて帰れない。

 

 

 

 そんな状況に陥った藤丸立香は、監獄のアヴェンジャーと仮契約を交わし、脱出を試みる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はただ久々に料理がしたくなっただけなんだ。

 

 

 

 1人飯をしたかっただけなんだ。

 

 

 

 

 

 

 500年以上を童貞かつボッチで過ごしてきた俺は、料理も我流ではあるもののそれなりにできる。

 

 どれくらいの自信があるかって言うと、1日に俺がオナって出す量を100%とするなら、その85%くらいの量分が料理における技量だと思ってくれ(例え話が汚いし意味不明)

 

 だから所謂男飯というヤツではあるものの、味は保証できるくらいには料理の腕前に自信がある。

 

 

 まあ、それでもエミヤ(オカン)の方が料理の腕前は段違いなんだけどな!

 

 

 いやもうなんというかクラス間違えて召喚されたんじゃないの彼? エクストラクラス・コックとかバトラーで良かったんじゃないかな?

 

 

 

 

 

 そんな訳で深夜に空いてる厨房を借りることにした訳だが、食材の数々は自力で特異点を巡り調達してきたものだから問題ない。

 もちろん、カルデアにある食材を勝手に使うなんて暴挙は犯さないぜ。

 あ! もちろん女性も無理矢理は犯さないぜ? 俺は紳士だからな。和姦な上、どうせなら愛のあるセクロスを展開したい!(童帝神のくせに高望みが過ぎる)

 

 今日は何だか肉料理メインでガッツリ食い荒らしたい気分だったのだ。

 …………女の子も食い荒らし……ばっ馬鹿かオメェ! 俺はヤリチンになる気なんか無いんだからね!? あ、ハーレムは歓迎しますが何か?(どちらにしろ現状体質的に無理)

 

 

 

 

 

 料理をする前に、肉については解体作業な訳だが、もう特異点で終わらせてきてるからこれについても問題ない。

 事細かに説明すると、某赤い暴君のドムス・アウレア(グロテスクの意)一直線なんで割愛な!

 

 まあ、オブラートかつ簡単に説明するならあれだ。

 

 

 挿入(意味深)して体液(意味深)を取り除く。

 火遊び(ダイレクト)

 お風呂に浸からせ綺麗にする。

 解体聖母(マリア・ザ・リッパー)

 

 

 ってとこだな。

 これ以上の説明は拒否するぜ。

 

 

 

 

 さて、こっからが料理な訳だがまずやることがある。

 

 

 

 

 狩ってきた新鮮な肉を食べる上でやらねばならない下準備。

 

 

 肉の種類や作る料理によっては、スパンキング(肉を叩いて薄くする意)、スジの処理(意味深)、くぱぁ(開くの意)などをする必要がある。

 

 

 

 採取してきた野菜を食べる上でやらねばならない下準備。

 

 

 よく濡らして(水で洗う意)から皮剥き(意味深)、中から種を取り除く(意味深)などをする必要がある。

 

 

 

 

 後は焦らしプレイ(時間経過の意)が必要な料理については我が異空間である住居宝具にある冷蔵庫と、カルデアの厨房にある冷蔵庫を一時的に連結(意味深)させ、短縮することにした。

 俺の住処って外界と時間の流れが違うんだよね。

 独自の時間軸というかなんというか……俺の都合で早くも遅くもできるから、こういう工程を踏む料理する時はマジ便利。

 

 

 

 

 さて 下準備(前戯)を済ませたら、本番(意味深)だ。

 

 

 

 今回は肉料理祭り。

 

 

 定番のシンプルな焼き肉に、豚カツ、ハムカツ、メンチカツみたいなカツ尽くし。コロッケや鶏の唐揚げ、ターキーに手羽先も捨てがたい。串焼き系も乙ってもんじゃね? 肉の串焼きと言えば定番なBBQでお馴染みだし、特に焼き鳥なんか酒との相性は抜群だしよ。生料理のユッケやら馬刺もありだな。

 

 ハンバーグは……ハンバーガーにしちまうか。ジャンクな料理もたまには乙なもんだし。

 どうせならチーズも作っちゃうか。豪勢なチーズバーガー食いたい。チーズも作るならどうせならピザも作っちまうかね。

 

 そういえばワイバーンやらの竜種の肉も狩ってきてたんだったっけ? ドラゴンステーキもやるとするか。

 でも肉固そうだし独特の臭みありそうなんだよなー……シャリアピンステーキ風にしてみよ。冷蔵庫にぶちこんでっと。はい短縮ぅ。……おし! もう玉ねぎと馴染んだな。

 

 そういや狼? なのか犬? なのか定かじゃないがそれの類いも狩ったな、襲ってきたから。

 うーん……このまま捨てるのは流石にもったいないし、タンコギってことにして、ポシンタンを基本として、残りはスユクとかトゥルチギにすっかね。

 

 あとの肉料理は順当にスペアリブ……豚の角煮……ロールキャベツ……すき焼き……ミートパイ……猪鍋……ケバブ……しゃぶしゃぶ……燻製……麻婆豆腐……ビーフシチュー……バンバンジー……タンドリーチキン……回鍋肉……シャトーブリアン……シュラスコ……ジンキスカン……うん、いくらでも思い付くな。

 

 あー、でもいくら肉祭りだからって肉尽くしだけだと最後らへんキツいし、後味だけでもよくすっか。

 スイーツ系も用意しよう。 

 

 エミヤ(オカン)が便利な調理器具、色々と作っといてくれるおかげで捗りそうだぜ!

 一気には食べきれなくても、2Dシェルター内に時間経過をかなり遅くして保存しておけば良いし、ちゃっちゃとやる気あるうちに作るとすっか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう意気込んで作ってたんですけどね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は料理も作れたのですね! 大変美味です! あ、おかわりお願いします」

 

「もっきゅもっきゅ……賢者、このハンバーガーをあと20個追加だ」

 

「ジャンクフードは言わずもがなですが、英国料理もなかなか……特にこのローストビーフは最高です」

 

「うむ、ターキーがあれば何でもいい。そこからここまでのターキーを私に寄越せ」

 

「どれも最高……! 特にこのロールキャベツと串焼きは絶品です。この串焼きなんかは海の家に出すことをオススメします!」

 

「ドネルケバブ、美味しいです! スイーツもクレープやお汁粉と充実していて素晴らしい……し、仕方ないですね。今日はこの料理に免じてこの場のアルトリア種を屠るのは控えましょう」

 

「クリーム餡蜜……これはいいものです。肉料理がメインみたいだったので帰ろうかと思いましたが、エックスさんとお邪魔して正解です。きな粉とわらび餅の組み合わせは王道。……白玉ぜんざいもいただきます。できるなら大福やういろうも下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルトリア種に俺が手塩にかけて調理(光 源 氏 計 画)した料理(レディ)たちを食われた(寝取られた)件について。

 

 

 

 ちょっとー!? 呼んでない! 今回はこれっぽっちも呼んでない!

 女の子が単純に俺に会いに来るのは正直大歓迎!

 だが飯に釣られてやって来たとなると、話は別!

 

 ………いやまあ、女の子達が大勢で俺の元に押し掛けてきたから、期待で嬉ションならぬ嬉ドピュ7連射もしちゃったけどさ(いつも通り)

 

 深夜だよ? 食堂と厨房の扉は閉めてたし、一応精子(魔力)も用いて防音対策もしてたんだぞ!? 

 なのにいったい何故!?

 

 

「……キミ達は何故こんな時間にこの場所に?」

 

『ご飯の匂いに誘われて』

 

「そ、そうか」

 

 

 まさか……微かに部屋から漏れ出たであろう匂いを辿ってきたって言うのか!?

 アンタらの部屋って全員ここの厨房とそんなに近い訳でもないよね? 廊下を隔てる自動ドアだってあるはずだろうし、それなのに料理の香りを感知してやってきたと?

 犬並みの嗅覚かよ…………いや、俺が女の子の残り香をクンカクンカしただけで居場所と誰なのかを割り出すのと似たようなもんか(高度な変態)

 

 てか、女の子達とはいっても、みんなアルトリアだから実質一人……いや厳密には違うか特にエックス二人は同一人物って訳じゃないし。

 けど腹ペコさん達がこんなに集まってくるとは……夜中だからって理由で油断してたわ。

 

 クソッ! にしてもスタンドアップハードソリッドしたまま料理すんの難しい! 今、料理中で手放せないからベストポジションにも動かすに動かせないしよー。あ? なんのことって……ナニの話に決まってんだろ? 直立バキバキビンビン丸してっから大変なんだよ察しろよ(即ちフル勃起)

 

 宝具(オムツ)の中も7発分連続で撃っちまったから処理に時間かかってて、大惨事だし!

 

 様々な料理の匂いのおかげで、子種汁の臭いがかき消されてるのが唯一の救いか。

 

 って、うん? なんかやたらと近距離から視線を感じるような……ッ!?

 

 

「……何か我に用か? ランサーアルトリア・オルタ」

 

 

 乳上ェェェえええええええええええええ!? 食堂にいたはずがなんで厨房に入って来てるんですかね!?

 

 あ、流石にラムレイとかいう馬に跨がっては来なかったか……それくらいの常識は持ち合わせてたようで安心した。

 ラムレイの代わりと言っちゃなんだが、跨がるなら俺のチンゴミニアドに跨がってみないかい?(切除不可避)

 

 

「貴方からはやはり懐かしい薫りがする。……ブリテンに住んでいたことは本当に無いのですね?」

 

「何度も言うがない。ましてやキミがいた時代の英霊でもない。キミの勘違いか、たまたま似ていただけだろう」

 

 

 何度も言うけど物理的な香りですか?

 まさか第4特異点で流し込んだ白濁の光の粒子を霊基に貯めたまま、座に帰っちゃった感じですかね?

 そのせいで座に一緒に登録されちゃったんじゃ……。

 霊基全体を俺の息子から迸る白濁の元で染め上げちゃった的な!

 

 

 あれ? 知らんうちに孕ませちゃったってこと?

 

 

 い、いや下のお口に直接出してないどころか、流し込んだものは厳密には子種そのものではないですし? 白濁の光の粒子に変換してるから別物ですし?(震え声)

 

 やだよー、童貞なまま子供できたとかどんな展開だよ!

 …………うん? いやでも生前のアルトリアって処女のままモーさんが生まれてるんだっけ。

 まあ、アルトリアが産んだ訳じゃないけども……ん?

 

 

 ………………ヤバい、全力で目を逸らしたい現実に直面しそう。

 いや待てって俺! そっちに意識を向けるな! 世の中には気付かない方が良い事実だってあるんだ!(お前の正体とか本性とかな)

 気付くな! マジで気付いたらアカン! あっもうだめぽ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルトリアさん処女でも非童貞やん。つまり俺の先を行く者やん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 うあああああああああああああああああ!!

 気付きたくなかった!!

 

 童貞を捨てた男がたくさんいるのはわかってる。

 でも、女性にもかかわらず、俺より先に童貞捨ててる人に出会うことになるなんて!

 魔術なんて神秘のある世界だ。

 疑似性転換だって存在する可能性は考えてなかった訳じゃない。

 だが、実際にそれで童貞卒業してる人物とリアルに邂逅を果たすなんて想像もしてなかった。

 

 何せ俺、ずっとボッチだったし!

 

 なのに何の因果か俺はサーヴァントとして召喚されちまった。

 だからこういう可能性もあることを考慮しておくべきだったんだ。

 

 

 それなら俺がこんなにも精神ダメージ受けることなんて無かったかもしれないのにorz

 

 

 ハハッ! しかも何が酷いって生前の彼女が処女は守ってたことだよ。

 あの王の話大好きお花畑夢魔が言ってたから間違いない。

 

 価値の高い処女を保ちながら童貞は卒業してるとか、もうなんというかね……俺の負け犬感パナイよね。

 なんつーの? 男のプライドズタボロだぜ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、いっか(立ち直り早っ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ~あ、もうこれはお詫びにナニかしてもらわないと釣り合い取れないよなー(都合よくこじつける屑の鑑)

 

 ここはラムレイに騎乗せず俺の上に騎乗してもらってズボズボさせて欲しいわぁ(ゲス顔)

 

 

「……後ろからパンパンしたい」

 

「えっ……後ろ? ……パン?」

 

「ッ!! い、いや、我の後ろからパン粉を取って欲しくてな。今、手が放せないんだ。頼んで良いか?」

 

「ああ、そういうことなら料理を食べさてもらってる身だ。それくらいは容易い……これか?」

 

「ああ、助かる」

 

 

 あ、危ねェェェえええええええええええええ!?

 ボソッと小声だったとはいえ、本音口走った!!

 

 思わず自分の発言に驚いて……というかバレたかと思ってゾクゾクして下の蛇口から白いの垂れ流しちゃったわ!(まごうことなき変態)

 

 つーか心の声も本音じゃん! 建前どこ行ったし!?

 

 ヤバい、気が緩んでんのか? 秘蔵の封印が上手く機能してないぞオイ!(下の蛇口も緩んでんじゃねーか)

 カルデアの面々ってだけで情報を秘匿する拒絶感が薄れてきてやがるのか……?

 

 

 気を許し過ぎだ馬鹿……!

 

 

 …………気を引き締め直さねぇとな。俺の卒業計画を完遂するためには本性を隠し通す必要がある。

 本性を知られれば、全てオジャンだ。体質を治す治さない以前の問題だぜ……。

 前以上に発言や行動に気を付けなければ!

 

 

 

 

 新たな覚悟を胸に、俺は受け取ったパン粉を使って数々のフライを追加で揚げていくのであった。

 

 

 

 

 

 にしてもこうやって乳上と並んで厨房に立ってると、俺達夫婦みたいじゃね?(円卓の騎士全員にケンカを売っていくスタイル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あん? 作った料理の約8割は無くなりましたが何か?

 腹ペコ王(アルトリア)があれだけ揃ってて2割残っただけでも奇跡だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんで残った約2割のうちから、お裾分けってことでマスターの部屋に持っていった。

 立香ちゃん喜んでくれるかなー、なんて軽い気持ちで向かったこの時の俺をぶん殴りたくなるような事態に、マスターが陥ってることに気付きもせず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 訪れてほぼ直ぐに、俺は()()()から脱魂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果を言えば藤丸立香の魂は、無事カルデアにある自分の体に戻ることができる。

 

 

 

 

 七つの大罪に擬えられた番人達を全て倒しきったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一の扉の番人。

 嫉妬の具現────ファントムを戸惑いながらも撃破。

 

 

 

 

 

「それにしても賢者さん以外のアヴェンジャーには初めて会ったよ」

 

「……賢者? ハハ、そいつはもしや賢者のアヴェンジャーのことか!? そうだな、カルデアのマスター?」

 

「えっ? 賢者さんのこと知ってるの!?」

 

「実際に会ったこともなければ大したことは知らん。ただ小耳に挟んだ程度だ」

 

 

 

 

 

 記憶喪失の美女────メルセデス(監獄のアヴェンジャーが付けた仮名)と出会い、成り行きで一緒に行動を共にした。

 

 

 

 

 

 第二の扉の番人。

 色欲の具現────フェルグス……本人ではないとわかっていながら、メルセデスのことは抱く気満々なのに、自分は少しも女扱いされず殺す宣言をされたことに、マスターは多少のショックを受けながらも何とか撃破。

 

 

 

 

「……………………私、女としての魅力ないのかなぁ」

 

「そ、そんなことは無いと思いますよ?」

 

「美女な上、迫られてたメルセデスさんに言われてもなー……別にフェルグスさんにあんな風に迫られたいとかは思ってないけど……だからって、おまえはいらん邪魔するな殺すって……女としての自信無くすよ……うぅ」

 

「……見事に塞ぎ混んでるな」

 

「…………賢者さんも私のこと子供っぽいとか思ってるのかなー、はぁ」

 

 

 

 

 そして、第三の扉の番人。

 怠惰の具現────ジル(キャスター)も何とか撃破した後に異変は起こった。

 監獄のアヴェンジャーですら把握できなかった異常が。

 

 

 

 あれは、怠惰の具現を倒して、間もないことだった。

 

 

 

 まだ『裁きの間』からマスターと監獄のアヴェンジャーが立ち去っていないタイミング。

 

 

 

 

 

 怠惰の具現から()()()()ようにして『何か』が現界を果たそうとしていた。

 

 

 

 

 

「今回も何とか勝てた……え? あれ何?」

 

「待て! 不用意に近付くな仮初めのマスター! ……これは、どういうことだ? 怠惰の具現を媒介にしている? まさか()()()()()()の皮を被って現界しようとしているのか!?」

 

「内包された罪? って、ちょっと待って! まだ今日の戦いは終わってないの!? 第三の扉の番人のジルは倒したはずなのに!」

 

「この事態はオレも想定外だが、構えろ仮初めのマスター。この禍々しい気配、連戦になる可能性は濃厚だぞ」

 

 

 

 

 

 そして『奴』は現界した。

 

 

 

 

 

「……吾は怠惰より外れし者。憂鬱の具現なり」

 

 

 

 

 

 姿を現したのは醜悪極まりないドス黒い瘴気のようなものを全身から発するサーヴァントだった。

 

 

 外見は艶のある白髪に、黒目の部分である虹彩が白く、逆に白目の部分である強膜が黒い特徴的な瞳。

 ところどころに銀色の刺繍が施された、全体的に黒光りしたボロボロの外套(元はローブだったのかもしれない)を身に纏った非常に生気のない顔立ちをした褐色肌の青年。

 

 

 

 初めて見るはずの人物なのに、マスターにはその外見に見覚えがあった。

 

 

 

 ただ全ての色を真逆な感じにすればいい。

 

 

 

 その場合に彼女の頭に浮かび上がったのは、淀んだ黒髪黒目で、ところどころに金色の刺繍が施された全体的に白く濁った如何にも賢者然としたローブを纏った青年だった。

 

 

 

 

「えっ…………賢者、さん?」

 

「なに? あれが賢者のアヴェンジャーだと? ……確かに我が怨念の黒炎に並び立てる程の禍々しい魔力を纏っているところを見るに、復讐者には相応しい。……だがおまえが嬉々として語っていた賢者とは随分と雰囲気が違うな」

 

「き、嬉々として語ってなんかないよ!? いやなんか賢者さんそっくりではあるんだけど、色違いというか……」 

 

 

 

 そう、言うなれば賢者のアヴェンジャーの外見のカラーを反転させたような存在。

 

 

 

「ああ、間違ってはいない。吾は賢者のアヴェンジャーの一面にして本質の一端だ」

 

「クハハハハ! 怠惰から憂鬱を無理矢理引き出し、憂鬱の具現として現界するとはな! ……だが憂鬱か。おまえはアヴェンジャーではあっても在り方がオレとは違うようだな」

 

「……当然だ。吾は復讐による逸話がある訳でも、生前に過度に虐げられた経験を持ちそれによる憎悪、すなわち復讐心を持つ者でもない。吾は世界への復讐者だ。吾に()()()()()()()()()()()()()()へのな。故に吾は()()()()()()()()()()()。アヴェンジャーとしては異端だろうよ」

 

 

 何処か他人事のような雰囲気でそう語る憂鬱の具現。

 

 

「えっと、あの、賢者、さん? ともやっぱり戦わなきゃダメなの?」

 

「……安心しろ嬢ちゃん。吾は別に戦いに来た訳じゃない。それと厳密には吾は賢者そのものって訳でもない。……そうだな、隠者とでも呼ぶがいいさ」

 

「は、はぁ? じゃあ隠者さんで……」

 

 

 憂鬱の具現改め隠者は、何をするでもなくその場に座り込んだ。

 戦意はまるでなく、今までの番人のように襲いかかってくる訳でもなかった。

 

 

「貴様! 憂鬱の具現として現界までしておいて、いったいここに何をしに来た?」

 

「……もう少し待て。吾の役目は『奴』が直接ここに乗り込んで来るための仕込みなんでな」

 

「奴だと?」

 

 

 隠者の発言に監獄のアヴェンジャーが眉をひそめる。

 この時、監獄のアヴェンジャーには多少の先入観が存在した。

 この場所に直接的な干渉はできない。だからカルデアから助けが来るなんてことはできない、と。

 それに助けが来たところで生きて帰れるのは『たった一人』だけ。

 だからこの事態を彼は想定していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分間、ぐだぐだしていた隠者の体が唐突に裂けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

「えっ?」

 

「……うわー、アイツ容赦ないわ。マジ滅入るんだが。これでも一応片割れみたいな存在の吾を躊躇なく────」

 

 

 

 

 

 

 

 バキバキバキバキッ!!

 隠者の体のあちこちに亀裂が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ホントヒデ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが隠者の最期の言葉だった。

 全身が裂けてお陀仏する様は、まさに凄惨の一言。

 

 残ったのは人一人分の大きさの黒い残骸。

 

 そしていきなり何の前触れもなくそんな無惨な姿に変わり果てた隠者を見て、藤丸立香は当然の如くパニックに陥った。

 

 

「えっ……えっ!? な、なにがどうなって? え、私、何もしてないよね!? どうして急に……」

 

「落ち着けマスター! あの残骸から何か出てくるぞ」

 

 

 黒い残骸は未だピシパシと、亀裂が生じる音を響かせていた。

 そして、残骸の中から突如『人間の手』が飛び出す。

 

 

「…………よもやこんな非常識なことをする者とは……かの魔術王を貶めたという噂を聞いた時点で、想定しておくべきだったか」

 

「なんか手が出てきた!? ……ってあれ?」

 

「お待ちかねの人物のようだぞ仮初めのマスター。おまえは随分ととんでもないサーヴァントを召喚したようだな」

 

 

 亀裂音を響かせながら、黒い残骸の中から無理矢理こじ開けるようにして一人の青年が姿を現した。

 

 

「……即興だったが上手くいったな」

 

「………………うそ」

 

 

 藤丸立香は呆然と、黒い残骸から出現した白濁のローブに身を包む青年を見つめる。

 

 

「貴様自身がここに乗り込むための触媒として、憂鬱の具現を送り込んだのか」

 

「……ご名答」

 

「クハハハハハハハ! 噂以上に面白い策を考え付くな賢者のアヴェンジャー!」

 

 

 七つの大罪の席に割り込むようにして現界する場合、それは監獄塔のルールに従わざるを得なくなる。

 そうなれば本来の現界とは程遠い本物の皮を被った偽者として、マスターとやりあわねばならない。

 それでは本末転倒だ。

 何せマスターを助けたいのに殺し合いをするはめになれば、まるで意味がない。

 

 であれば、どうするのが最適か。

 七つの大罪とは元々八つの枢要罪だった。

 嫉妬という罪は無く、代わりに虚飾と憂鬱が存在していた。

 だが時代と共に虚飾は傲慢に、憂鬱は怠惰に統合され、嫉妬が追加されたことで七つの大罪となったのだ。

 

 だから賢者のアヴェンジャーはその起源を逆手に取った。

 

 怠惰という罪の中に憂鬱は含まれている。

 そして、賢者のアヴェンジャーには憂鬱を司るに相応しい一面を、自身から分離して外側に吐き出す手段があった。

 であれば利用しない手はない。

 分離した一面である隠者を、本来存在しない憂鬱の具現という無理矢理な器で現界させることで、マスターと殺し合うという状況を回避した。

 

 後は簡単だ。

 隠者という存在は分離したとしても、賢者の一部。

 これ程の触媒はまずないだろう。

 後は辿って触媒と化した隠者を使い潰し、彼自身が現界を果たせば良い。

 もちろん生きて帰れるのは『たった一人』だけだが、彼は藤丸立香の『武器』というカテゴリーとして現界するという、これまた無茶な方法を取ったのだ。

 確かにサーヴァントとは最強の使い魔であり、兵器とも言えるから間違いではないがかなり強引なのは否めない。

 

 だが彼は押し通した。

 彼らが知るよしもないが、伊達に神の名を冠している訳ではないのだ。

 権能をも一部行使して抜け穴を最大限に利用して、この監獄塔にやってきた。

 

 何の為に? そんなものは決まっている。

 

 

「迎えに来たぞ、マスター」

 

「……ッ! 賢者さんっ!!」

 

 

 カルデアのマスターは第三の扉の番人を撃破した後、レートから外れた強力すぎる『武器』を手に入れた。

 

 

 

 斯くして藤丸立香は、想定よりも容易く怒濤の勢いで監獄塔より脱出を果たすことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 割れ目(意味深)からコンニチハ! 賢者だよ!

 隠者の疑似霊器を中から無理矢理こじ開けたぜ! 潤滑油(意味深)も用意しておけば中で動くの楽だったんだけど、下準備(前戯)を丁寧にやってる暇がなかったからね仕方ないね!

 隠者も一応俺だし、これもある意味自己犠牲の精神って奴かな(事故犠牲の間違いだろ)

 

 でも成功(性交に非ず)して良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は少し前、マスターの部屋にお裾分けに向かった。

 だがマスターはいなかった。

 いや正確には違う。

 体はあるのだが中身が無かった。

 

 

 その様子を見て最初に俺が思ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この状態の彼女を(性的に)襲った場合、睡姦になるのか催眠姦になるのか、はたまたダッチワイフプレイになるのか、それが問題だ(……もう殺そうぜコイツ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、俺は紳士だからそんなことしないけどな(建前)

 つーかエッチを仕掛けて何の反応もないってのは、正直萌えない(本音)

 

 

 やっぱり羞恥に震える姿とか! 快感で身悶えながら蕩けちゃう姿の方が見たいじゃんか!!

 

 

 いや、体だけ反応しちゃってる姿を見るのもそそるっちゃそそるけどね?(手の平返しはえーよ)

 まあ、俺の性的嗜好はどうでもええねん。

 俺は魂のないマスターを見て、持ってきた料理を即刻我が異空間に返還し、直ぐ様スキル・二次元シミュレーションを行使して何故こんなことになっているかを演算した。

 

 

 

 算出結果────

 

 

 

 

 

 極太大量生産女体破壊変態露出魔快楽殺人小便王

 

 

 

 

 

 ────即ち、偽ソロモンもといソロチン……いや『モロチン』の仕業だったことが判明した。

 

 うん、これからはアイツのこと内心ではモロチンって呼ぶか(迫真)

 

 魔神柱(チンコ)を盛大に露出してたしピッタリな呼び名じゃね?(ソロモンは怒っていい)

 

 

 てかモロチンの野郎、猪口才な真似してくれるじゃねえか……。

 

 

 マスターを送り込んだ先も、一応モロチンの手先ということで動いてるであろうサーヴァントも目星が付いた。

 

 …………あのヘンテコ特異点のこれまた奇妙なマンションで事件起こしてた黒幕だよな? 場所が場所だし。

 

 居場所も特定完了。

 

 どうでも良いけど、監獄にマスターが囚われたって結論が出た時、エロい展開しか浮かばなかった俺って男として正常だよね? ね?(同意を求めるな)

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で俺は早速努力の成果を試すことにした。

 

 ()()()

 

 精神と肉棒、その二つを急速に冷めさせることで、いつもとは真逆のマイナステンションに至る技術だ。

 そこにさらなる応用技で分離させた『隠者』を、マスターが囚われた『監獄塔』の抜け穴を最大限利用して顕現させた。

 

 

 

 そこに抜け穴がある。

 

 

 

 穴があったら挿入(意味深)したくなるのが男ってもんだろ?(何故卑猥な表現しかできないのかこのアホは)

 

 

 

 

 そして、萎えた心と体を直ぐ様、熱を取り戻す為に乳上の胸の感触をオカズとして鮮明に思い出すことで性欲を解放し、昇天する勢いで射出。

 強制的に脱魂を果たし、触媒にした隠者を経由して俺の魂だけを『監獄塔』に飛ばすことができた。

 

 あ! 安心してくれ! 出したオタマジャクシは飛ばしてないから! いつもの宝具(オムツ)が受け止めてるから!(安心ってナニ?)

 

 

 

 

 で、おれのマスター・藤丸立香ちゃんを迎えに行った訳だが……うん。

 感極まったのか、やっぱり怖かったのか瞳に涙を浮かべながらマスターから抱きついてきたんだぜ!!(感激)

 

 

 ただし、魂だけで来てなかったら、体質的に全弾発射からの空射ちで即死だった(そこは世の為に死んどけよ)

 

 

 …………なんかさっきから辛辣な声が聞こえてきてる気がするのは気のせいかな?(気のせいだよ)

 まあ、良いか。

 

 

 

 

 

 後は合流したマスターの『武器』としてモロチンの手先もとい監獄のアヴェンジャーと共に戦い、番人を順番に薙ぎ倒した。

 …………改めて思うが、モロチンの手先て……ひっでー役職名だなオイ。マジ同情するわ(おまいう)

 

 

 

 最後は案の定、監獄のアヴェンジャーと戦うはめになったがね。

 にしてもアイツ、マスターに対して彼氏面っぽい態度どうにかならんかね? ちょっとイラッと来たので常にマスターと監獄のアヴェンジャーの間を陣取って行動してたわ。

 

 別に俺はマスターの彼氏って訳じゃねーけど? 仮にもアイツよりも前から、契約を結んでるサーヴァントだろ俺? しかもアイツみたいに仮契約じゃなくて正式に契約してるし。

 

 どこの馬の骨とも知らない、しかもモロチンと裏で繋がってる(意味深)奴を相手に牽制をきかせるくらい良いよな?

 

 

 つーか、立香ちゃんとお前みたいな復讐を掲げるダークヒーロー系で実は人間大好きイケメンがお近付きになるなんて許しませんよ!? ウチの娘は渡さん!(ダメ親父並感) ウチの立香は大きくなったらお義父さんと結婚するって言ってたんだからな!(一言も言ってない)

 

 

 それとあのテンションのアップダウンの激しさもどうなってんだ!? 情緒不安定かよ! いやまあ、あんな監獄暮らしなんだから精神病んでても仕方ないけども!

 

 アイツみたいな精神障害者と紳士な俺なら、俺の方が断然マシだろ?(空いた口が塞がらない程の戯れ言)

 

 

 

 まあ、その腹いせもあって監獄のアヴェンジャーとやりあった時は少しガチで戦ったんだが、不幸な事故で性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』が、その……アイツのケツにもろ刺さったりしちゃったりしたけども(ナニをしてるんですかね)

 

 

 

 あの、言い訳させて! 故意にアッー! な展開狙った訳じゃねーから!

 

 いやだってアイツ、かっこつけてるのか何なのか知らんけど、戦ってる時の基本姿勢が後ろ向きだもんだからさー、思い切って白濁光で加速ブーストしながら瞬時に急接近して全力の突きを繰り出したもんだから……うん。

 

 

 

 

 悪い、監獄のアヴェンジャー……肛門ブレイクがトドメになっちゃって本当にすまない(不憫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事カルデアに戻ってこれて良かった。

 

 カルデアのみんなには心配かけちゃったから、後でお礼言っとかなきゃなー。

 

 あ、お礼と言えば……またいつか監獄塔の彼とも会えるかな。

 その、最後に気の毒な退場の仕方になっちゃったから、少し気まずくなっちゃってちゃんとしたお礼も言えなかったし。

 

 凄まじい攻防の末のアレだったから仕方ないとは思うんだけど……賢者さん、流石にアレは酷いよ……。

 まあ、表情ほとんど変わらない賢者さんがちょっと青ざめた顔色で「すまない、わざとじゃないんだ」って言ってたから本当に事故だったんだとは思うけど。

 

 …………うん、というか賢者さんはあの時、私の『武器』って立場だった上「今だ! 全力で突撃!」って指示を出したのも私だった訳で……つまり私のせいじゃん。

 本当に、もしまた会えたらちゃんと謝ろ!

 

 

 

 そ、それにしても賢者さんが私を迎えに来てくれたんだよね……不可能なはずのあの場所に一人で。

 

 それで思わず私、抱きついちゃって……は、恥ずかしい!

 はしたない娘って思われちゃったかな!?

 

 で、でも賢者さんが悪いと思うんだよね。

 だって助けなんか期待できないあの不気味な監獄で、味方として本当に信じていいかもわからない監獄塔の彼と行動し、脱出する為に色々と覚悟はしてたんだよ?

 不安は拭えないけど、必ず帰ってみせるって!

 

 そんな折りに無茶な手段まで用いて登場するんだもん、色々と賢者さんはずるいよ。……すっごく嬉しかったけどね。

 

 

 

 ………………そういえば賢者さんが現れる前に、隠者さんが言ってたことってなんだったのかな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は隠者が内側から弾ける直前、現界してぐだぐだしていた時に、彼は藤丸立香に告げていたことがあった。

 

 

 

『……そうだ。良い機会だし嬢ちゃんには吾の本体の欠陥について話しておくか』

 

『欠陥? 賢者さんの?』

 

『ああ。奴は気付いてるはずなのに、気付けるはずなのに、気付かない振りをして目を逸らしている事実がある。その事実に、奴が目を向けて受け入れれば徐々に本来の力を取り戻せるはずなんだ』

 

『えっ……? 本来の力を取り戻す……ってまだ賢者さん全力じゃないの!?』

 

『あんな程度じゃないさ。奇しくも今回、アイツは吾を解き放った。ある意味で封印していた自分の一端をさらけ出したと同義とも取れる。……それだけアイツが嬢ちゃんには気を赦してる証拠だな』

 

『ふぇ!? そ、それは嬉しいなー』

 

『フッ……だから今回のは引き金になる。たぶん遠くないうちに嬢ちゃんも見ることになるはずだ。恐らく見られたことに奴も気付く。けど、どうかいつも通りに接してやってくれ』

 

『見るって何を……?』

 

『……嬢ちゃんが何を思うかはわからんが、正直気が滅入るかもしれん。それでもアイツのことをキミのサーヴァントとして信じてくれるのなら────』

 

 

 

 

 そこで言葉を切った陰鬱な雰囲気を纏っていた青年は、ぐだぐだしていた体勢から居住まいを正す。

 そして、今まで虚ろな感じだったその白と黒が反転した奇妙な瞳に、理性の光を灯して口を再び開いた。

 

 

 

 

『────アイツを頼む』

 

 

 

 その言葉の直後、隠者の体は裂け黒い残骸と化したのだ。

 

 

 

 

 

 

 隠者の語った内容の真意を藤丸立香は理解できていない。

 

 当然、賢者のアヴェンジャーもこんなやり取りがあったことを知らない。

 

 

 

 

 

 

 だが彼らが知らずとも、これは『規定よりずれた道筋を、賢者と歩む物語』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまりシリアスは直ぐ死ぬ。

 

 それだけは彼らも記憶や意識にはなくとも、何となく第六感的に察しているかもしれなかった。




今回は随分と綺麗でしたね(第4特異点の話に比べて)
まあ溜め回なんで、次回から飛ばしてイケるように頑張ります


さて前書きで書いたように投稿が遅くなった理由についてご説明しましょうか
※愚痴のような感じかつ長文にもなってるので読み飛ばしていただいて構いません


扁桃腺による高熱(最大39.8℃)と医者から処方された薬の副作用による水下痢三昧(30回前後)のダブルパンチを現実でもろにくらったのです

夏な上、高熱だから部屋も体も冷やしたいのに、体が冷えると(特に下半身から腹辺り)腹に激痛が走りトイレ直行頻度が激増する(冷えてなかろうと水下痢だが)という一種の板挟みのような苦行……軽く地獄を見ました
水下痢の原因となった薬は当然直ぐにやめた上、整腸剤を飲んだりもしてましたがそう簡単には和らがない。丸2日+半日かかりました

トイレに籠り腹を痛めながら咄嗟に思ったのは「これが無限の下痢(アンリミテッドダイアリーアワークス)か」でした(馬鹿なことに思考割いてないとやってられなかった)

……今は熱は下がってる上、激しい腹痛には襲われてませんが、代わりに元凶の薬をやめた影響で喉に激痛が走るようになりましたがね……常に痛いし唾を飲み込んだだけで激痛という悪夢……その痛みと共に出続ける唾液、飲み込むと痛いので吐き出すけど、常に口の中に唾液があって喋れない……これが二度目の地獄

おかげで会話はスマホに文字入力して直接見せる感じで会話してました

あまりにも痛いので、違う病院で新しく処方してもらった痛み止めを飲んだんですけど、そしたら今度は全身に副作用で発疹が出る始末……かと思いきや、薬疹ではなくまさかの『はしか』を発症(踏んだり蹴ったりでもう嫌)

弱ってる最中にもらったのか、最初から麻疹だったのかはわかりませんが……ワクチン接種してるので恐らく前者だとは思うんですけど、なんつーか不幸でした

元凶の薬より若干弱い薬を飲むことで少しずつ改善できてると思いたいんですけど、何かを飲み込むことに拒否反応が出てくるくらいに喉に痛みが走るので、えずきそうになることもしばしば(こりごり)
舌もペンキ塗ったのかってくらい真っ白……いやこれこそ白濁って感じになってしまい、味覚がほぼ死ぬという事態(どうしてこうなった)

今はようやっとそれらの症状も全身の発疹以外はだいぶ治まってきた感じです(だから投稿できた)

そんな訳で、元々書き終わりそうだなー、と予定していた日よりもさらに遅れての投稿になってしまいました
申し訳ないm(_ _)m


読者の皆さん、くれぐれも夏風邪には気を付けて下さいね……

特に夏風邪にかかってしまって病院で薬をもらう場合は、新薬ではなく、今までに飲んだことのある薬で代用が可能ならなるべくそうすることをオススメします
でないと、私みたいになりかねませんので(汗)





汚話(おはなし)を蒸し返しますが、あの下痢の苦行はもしや下ネタの範囲をそっち方面にも広げろというお告げ……?(絶対違う)


投稿がだいぶ遅れた理由については上記の理由が大半
あとは

スマホの機種変をしたため使い勝手が変わり、入力ミスが増えたため執筆ペースダウン(まあ、常に充電してないと100%を切った瞬間電源が落ちて0になるクソスマホだったので変えなきゃやってられなかったんですけどねw)

下ネタの神を降ろすのに時間がかかった(肉体、精神ともに疲弊していたため)

ちなみに作者も監獄塔はイベやったことがありません(えっ
FGO始めたの自体が遅いんで(作者名でお察し)
なるべくネタバレをしないようにしつつこんな感じで良かったのかなー、とか思考錯誤してたのも時間がかかった理由の一つですね(苦笑)


続きは完全復活したら元の執筆ペースに戻せると良いなー、って感じですんで気長にお待ち頂けると幸いです
長文失礼しました

次回から第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編始まります


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貴様の敗因はこの場に一人で来なかったことだ(建前)

夏イベのレース並みにかっ飛ばしてイクぜ!
かっ飛ばし過ぎたせいでいつもより話が長いのはご愛嬌(すまぬ)
無理矢理ほぼ二万字に抑えました(震え声)
『汚い』を追究し過ぎた結果がコレだよ()

んな訳で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編始まります
1話完結スタイル? そんなものは第4特異点で投げ捨てました、はい(つまり諦めた)
なので何話分になるかは正直わかりませぬ
ロンドンですら4話分使ってますからね!

ちなみに今回の話の流れは
汚い前菜→クールダウン→『超』汚いメインディッシュ
となっております

それではどうぞ!

※初っぱなから汚いアクセル全開です。まさに『下ネタフルスロットル級』なんで、色々と覚悟の上でお読み下さい。前回シリアス(?)があった反動ってことで主人公のことも大目に見てあげて下さいね!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。うっ! …………ふぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あん? 何してるって? ナニによる修行だよ。

 射出せずにイク修行さ。

 

 やっぱりさ、フルバーストしてから大賢者モードが解けたら全力で戦えないとか問題しかないだろ?

 使える手札は多ければ多いほど良い。

 

 だからドライオーガズムやマルチプルオーガズムみたいな射精を伴わない絶頂をこなせるように修行してたんだ(修行とはこれ如何に)

 

 俺の場合、イクこと即ち魔力の解放だからな。

 射精しなくてもイきさえすれば、別の能力を行使できるようになるはずなんだ。

 今までは必要に迫られなかったから使ってこなかっただけでな。

 

 

 だが第4特異点で乳上に軽率な行い(パイタッチ)をしたせいで、モロチン王と四本の魔神柱(チンコ)とのガチンコ勝負では、パチンコで全財産はたいて使い物にならなくなったオッサン並みに、俺の宝具(チンコ)が使えなくなったもんだから、性剣を宝具として解放して何とか魔神柱(チンコ)どもを鎮魂したけども、モロチンこの野郎を倒すには到底至らず、苦戦強いられたし。

 

 

 

 さてここで脳内フレンズ(ブラザー)に突然問題です! 俺は今、何回『チンコ』というワードを心の中で口にしたでしょうか?(知能指数ウンコレベルの問題)

 答えられた奴には童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)として生涯、童貞のまま一生を過ごせるギフトを授けましょう(いらない)

 遠慮すんなって! 俺と同じ超越童貞になるチャンスを棒に振るのか!?(人生を棒に振りたくないです)

 

 ちぇっ……まあ、話戻すか。

 

 

 

 だからこそできるだけ準備(前戯)はしておかねぇとな! 本番(意味深)で勃たなかった時に戦うことが(ハッスル)できないんじゃ話にならねぇ! そういう状況でも絶頂できる体作り(調教)が重要なんだ。

 

 

 サーヴァントになった以上、マスターを守る為に努力は惜しまないぜ!

 うん? 努力の方向性が間違ってるって?

 

 

 ハハッ! 確かに普通ならその通りだが、あいにくと俺は普通とはかけ離れた童貞の中でも飛び抜けた超越童貞! その頂点に立つ童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)だ。

 超越童貞ならではの戦い方ってのがあるのはわかるだろブラザー?

 

 

 もちろん出さないでイク努力だけじゃなく、抜いて出す努力も毎日続けておかないと股間が鈍っちまうからきちんとヤらないとな☆

 

 

 

 童貞は一日にして成らず、って言葉もあるくらいだし(ありません)

 

 …………なんかYの形をした神祖的な人を幻視した挙げ句、激おこ(ローマ)って幻聴が聞こえたような気が……自重しましょうかね。

 

 

 

 まあ、とにかく日々の積み重ねが大事ってこったな(変態なくせに正論)

 

 

 

 そんな訳で積み重ねとしていつも通りの百回組み手ならぬ、百回抜き手すっかな。あ、もちろん抜き手って日本古来の泳法のことじゃねーよ?

 超越童貞がヤることなんざ百回せんずりすることに決まってんだろ? 常識的に考えて(非常識がナニかイッてる)

 

 まあ、早撃ちの反復練習にもなるから無駄にはならんよ。

 ビリー並みの早撃ちできる自信があるぜ(得物は股間だが)

 

 

 ぶっちゃけイクことは俺のライフスタイルだから、やめられないし止まらないぞ。性癖だからな。

 

 

 あ! そういえば勘違いしてる奴多いと思うけど『性癖』って、別に性的まじわりの際に現れる癖とか嗜好って訳じゃねーからな?

 

 性癖の性は『性別』の性じゃなくて『性質』の性だから!

 人が行動する時に現出する癖とか偏り、嗜好、傾向、性格とかが該当すんのよ?

 

 例を挙げるなら、コレクターの収集癖とか、やたらパーフェクトに拘る完全癖、見え透いた嘘を繰り返す虚言癖とかも立派な性癖だ。

 もちろん幅広い範囲の性質の偏りのことだから、露出癖とかも含まれるっちゃ含まれるけど、別に性的な方面一辺倒って訳じゃないんだぜ。

 

 それを性癖=性的嗜好だと誤認しちゃって誤用してる輩って多い気がすんのよねー。

 安心しろ。別に恥ずかしがることじゃないさ。

 そう、つまり結論を言えば、だ。

 

 

 

 性癖の『性』を見ただけで性的な癖だと認識する=性的興味が尽きない=変態の素養=人類皆変態という図式が成り立つ訳だ(こじつけ)

 

 

 

 世界は変態に満ちている!!

 

 それ即ち『変態』であることこそが『人間』だということに他ならない(暴論)

 

 神を冠する程の力を有している俺だって、そんなどこにでもいる『人間』と変わらないのさ(極論)

 

 誇るが良いさ! 性癖を性的嗜好だと誤認した者達よ! 君達は紛れもなく『人間』だ!

 さぁ! 共に『変態』を解放し一皮剥けた『人間』に成ろうぜ! ……一皮剥けたってのは包茎脱退とか女の子の下の豆柴が剥けるとかそういう意味じゃないからね!(世界一いらない補足)

 

 

 

 

 

 さて、ブラザーに熱いメッセージを届けたところで早速オナる為にオカズを物色しにイクとしますか!

 

 そう意気込んで自室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後だった。

 

 

 

「あっ! 賢者くん、ちょうど良かった。今から管制室でブリーフィングを行う予定なんだが、君も一緒に来てくれると助かる」

 

「…………」

 

「目の前にいるのに無視!? 酷くないかな賢者くん!?」

 

 

 部屋を出たらドクターロマンに出くわした。

 しかも今からブリーフィングするってさ。

 ハァ……萎えるわー、せっかく訓練器具(ズリネタ)を求めて自己鍛練(意味深)をしようと思い部屋を出た途端にこれだよ。

 せっかく臨戦態勢(フルボッキスタンバイ)にしておいたのに、クソ()()()わー。

 憂鬱の真骨頂、今ここでお見せしてやろうかまったく。

 

 

「あ、賢者さんもまた一緒に行ってくれるんですか? それはすごく心強いです!」

 

「……任せろ」

 

「うわぁ、ボクがまるでいないような扱いだよ……」

 

 

 とか何とか思ってたけど、ロマニの背後からひょっこり出てきた可愛い後輩のマシュがいたから、ここで鬱憤をぶちまけるのはやめてやるよ。

 

 

「け、賢者さん!? あ、えっと、お、おはよう」

 

「……おはよう、マスター」

 

「なんなのかな……この扱いの差は」

 

 

 この前抱きついたことをまだ照れてる藤丸立香ちゃんも遅れて現れたからオールオッケー!

 フッ、命拾いしたなロマニ・アーキマン……(何様だ)

 まあ、同じ童貞のよしみだ。

 今回はマスターとマシュの二人に免じて、間の悪さは許してやんよ。

 

 

「……いじけるなドクター。ちょっとした冗談だ」

 

「い、いじけてなんかないぞぉ!? ほら! 早く管制室に行くよみんな!」

 

 

 やれやれ……この場で2回は見イキしたし、よしとするか。

 百回抜き手はまた時間が有り余ってる時にでもしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 てな訳でブリーフィングだ。

 まあ、俺は壁にもたれて腕を組みながら、クールに話を聞いてるだけだがな。

 

 人理焼却の黒幕の正体がソロモン王ってことで話が進んでるみたいだが、あれ絶対ソロモンを騙る何者かだと思うんだよな……まあ、俺の推測でしかないから混乱招くかもしんないし、ソロモン王相手って認識の方が油断せずに済むだろ。

 

 まあ、俺は何とも言えない確信めいたものがあるからソロモン王とは別ってことで、モロチンって呼ぶけどな。

 

 

 で、今問題になってるのはモロチンの対処法、その上で重要となってくる居場所と打倒手段。

 

 

 ちっ! モロチンが女だったらたとえ次元が違おうと、クンカクンカして探し出すのも余裕だったってーのに!(変態は時に犬をも上回る)

 こんなことならマーキングしておけば……って左手に中出ししといたじゃん!(誤解を招く言い方)

 使えるか……って、気付くの遅すぎたかこりゃ。

 まるで生命反応が感じられない。

 疑似金玉内蔵の性剣から出た疑似ケフィア(意味深)だもんだから、俺の息子から出した本物より劣るのは仕方ないっちゃ仕方ないけどな。

 

 打倒すんのも本気のモロチンに勝利するには、カルデアの全戦力をもってしても厳しいのが現状だ。

 

 いやー、冗談抜きにロンドンでの戦いはマジで綱渡りだったからなー。

 もし俺が大賢者モード時の真宝具を使ってたとしても、モロチン相手じゃ足止めくらいが関の山だったろうし。

 

 …………強くならねぇとな、俺の卒業候補を守る為にも。

 モロチンの快楽殺人オナニー目的なんかで、人理を焼却なんてさせてたまるかよ(誤解未だ解けず)

 

 こうして俺は漸く『本気』で戦う覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、それはそれとして、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の特異点(合コン)キター!!!!!!!

 

 

 しかもアメリカだってよ!!

 

 

 つまりまた新しい女の子に出会えるということだろ!?

 

 

 ホルスタイン級おっぱいレディとか!!!???

 

 

 逆に手のひらサイズどころか、それ以下のまな板的ツルペタガールか!!!???

 

 

 それともビッグサイズな顔面騎乗向きの巨尻な淑女か!!!???

 

 

 小ぶりだけど桃のようなプリティヒップな娘さんとか!!!???

 

 

 いるかな!? いるよな!? いるよね!?

 

 

 おっぱいに優劣など存在しない!!

 デカイのと小さいの、どちらにも需要があるのだよワトソン君!!!!!!!

 巨乳ならパフパフモミモミだし、貧乳ならペロペロクリクリを出会いがしらにしたいね!!(事案不可避)

 まあ、やった瞬間フルバーストだからしないけども(それが無ければしてそうな言い種)

 

 

 巨尻なら、臀部が後ろに突き出した形、臀部全体に満遍なく脂肪が付いている形、横に広がった形、なんでもござれだ! どれでも愛せる自信が俺にはある!!(無節操)

 小ぶりな桃尻も、両手で撫で回しながら顔面を埋めて愛を叫びたい!!(君お縄)

 

 モチベーションは大事だからな! それは普通の戦いだろうが、くんずほぐれつな戦い(意味深)であろうと変わらない!

 

 

 さぁ、いざ征かん! 北アメリカ大陸!

 待ってろよガールズ! 今、会いに行きます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳でメンバーを編成し直し、いざまだアメリカ合衆国が生まれていない時代の北アメリカ大陸へレイシフト。

 

 

 

 

 無事レイシフト完了したのは良いんだが、最初に出会ったのがロンドンのヘルタースケルターみたいなロボットと、槍持ったケルト臭がプンプン漂うオッサン戦士だった件について。

 

 コイツをどう思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すこぶる落胆した(幻滅)

 

 

 こんな特異点(合コン)の会場を用意したモロチンの根城に乗り込んで、出会い頭に顔面パンチお見舞いしたい気分だわ(逆恨み)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 野郎なんざいらねー!! メカなんざ論外!! 

 

 オイ、どういうことだオイ! 美人なおねーさんは!? 可愛いおんにゃのこは何処だよ!?

 

 こんなの特異点(合コン)じゃねーよ! ただのむさ苦しい野郎共収容所じゃねーか!?

 あ? お前が暮らすには相応しい場所じゃないかって? ははは、ふざけんなよブラザー。殺すぞ(真顔)

 

 あー、()()()()()()

 期待に胸踊らせてた分、この裏切られた感ハンパねぇぜ。

 

 こうなりゃ初っぱなからぶちかまさせてもらおうか。

 

 

 もちろん、ぶちかますって言ってもティンティンから絞り出す練乳(意味深)の方じゃないからな。

 今回は憂鬱の力の方だから。

 

 

 

 ……オイオイブラザー。直ぐに卑猥な方向に思考を持っていくのは悪い癖だぜ? まさしくそれも性癖ってやつだ。

 

 

 

 ホント失礼しちゃうわー、俺が毎回ブッカケばっかしてるみたいに思ってたの? 酷い偏見だぜ。ったくどういう教育受けてきたんだ。親の顔を見てみたいもんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、事実毎回ブッカケてるけども(台無し)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……は? 今までのくだりなんだったんだよ? って?

 ああー、なんか俺の思考読まれてるみたいでムカついたからささやかな抵抗? みたいな感じ?(殺処分不可避)

 

 

 

 

 

 

 …………………………………………………つーか、あれ? なんか普通にブラザーと会話成り立ってない? 脳内フレンズ……だよな? にしては俺に対してやたら辛辣だったり、思ってもないこと言われたりしてるような……(目逸らし)

 

 ま、まあ、今は先にヤることあるしこの疑問は後にしようそうしよう。

 

 

「マスター、小手調べに新しい力を試したいんだが、構わないか?」

 

「えっ? それは問題ないけど、新しい力って?」

 

「今までの戦闘で我が使ってこなかっただけの力さ。久しぶりに使うから慣らしておこうと思ってな」

 

「……わかった。賢者さんの新しい力、私に見せて!」

 

「了解」

 

 

 そんじゃマスターの許可も出たことだし、いっちょヤりますか!

 憂鬱の真髄、特と見よ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事に新たな特異点にレイシフトはできました。

 ですが、いきなり二つの勢力と戦う事態になってしまいました。

 

 この状況は非常にまずいです。

 手早く応戦してこの場を離脱しなければ、両陣営に挟まれてやがて身動きが取れなくなり、やられてしまうでしょう。

 そうなれば特異点事象の解決どころではありません。

 

 確かにわたし達はサーヴァントですから、そう簡単に敗れはしないでしょうけど、マスターは生身の人間です。

 この場での長期戦は先輩から充分な魔力供給を受けられなくなる可能性が高い。

 となれば短期決戦が望ましいのは確実です。

 

 幸いこちらにはわたしを含めてサーヴァントが()()います。

 どうにかできるはずです。

 

 

「エミヤ先輩!」

 

「マシュ、君の言わんとしていることはわかっている。速攻で決着(ケリ)をつけてマスターを連れてこの場を離脱するぞ! マシュは賢者と一緒にロボットの相手をしてくれ。こちらは何処ぞの青い槍兵と同じ臭いのする戦士を一掃する。行くぞリリィ!」

 

「はい! 未だ半人前の身ではありますが、全力を尽くします!」

 

「頼みます! 機械化兵士の方はお任せ下さい!」

 

 

 エミヤ先輩は双剣を、リリィさんは聖剣を構えてレトロチックな戦士を相手取ってくれるようです。

 こちらの意図が直ぐに伝わって助かりました。

 話を聞いていた賢者さんともアイコンタクトを交わし、わたしはバベッジさんにそっくりなロボットの銃撃を盾で防ぎながら、前進。

 接近して一人を盾で撲り倒し無力化。

 しかし、まだまだ数がいます。

 急いで同じように無力化しなければ!

 

 

 そんな折り、わたしの真横を黒い影が通り過ぎたのです。

 

 

 思わず目で追うと、そこにはどす黒い瘴気のようなものを全身から放出する賢者さんの姿が。

 ……えっ?

 

 

「……陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)

 

 

 その言葉を発すると同時にまるで黒化(オルタ)のような禍々しい黒い魔力を纏った賢者さんが、機械化兵士の懐に一瞬で飛び込み、胴体目掛けて拳を叩き込みました。

 えっ!? 殴られた胴体がへこむどころか穴が空いています!

 そこから瞬く間にいつもの白濁の光や光の剣ではなく、まさかの徒手空拳で次々と機械化兵士をねじ伏せ始めました!

 

 

 いったい賢者さんに何が!? 

 

 

 よく見れば別に姿や外見は変わってません。

 でも、恐ろしく邪悪な魔力を纏ってステゴロスタイルで戦うなんて、いつもの賢者さんとはかけ離れてるのは確かです。

 

 というか、肉弾戦も可能だったなんてどれだけ万能なんですか賢者さん……。

 ロボットの装甲を容易く拳骨や蹴りで粉砕していくなんて、正直感心を通り越して呆れる程ですよ。

 

 そんな考えを持ちながらもわたしは機械化兵士を次々と無力化していました。

 ……だいぶ戦闘に余裕が出てきた証拠でしょうか。

 まあ、賢者さんはわたしの倍以上の数をその間に仕留めてましたけどね。背中が遠いです。

 

 一通り敵を片付けたところで賢者さんが一度後退してきたので、声をかけてみました。

 

 

「賢者さん! その姿はいったい……?」

 

「……力があってもあるだけじゃ宝の持ち腐れだ。だから使い慣れてない力も積極的に使おうと思ってな」

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

 

 ……賢者さんはロンドンでの戦いで危機感を覚えたんでしょうね。

 賢者さんの活躍は目を見張るものがありました。

 でも、四本の魔神柱を撃退したところで一度動けなくなっていましたし、どういう条件か詳しくはわかりませんが、いつもの宝具もよく使う白濁の光の術も使えない状態でソロモン王と戦っていました。

 それらが使えない状況でも存分に戦えるように、実戦で慣らしている、と……まだまだ強くなるつもりとは賢者さんには本当に恐れ入ります。

 わたし達は彼がいなければそもそもロンドンで、ソロモン王によって全滅していたかもしれないのに。

 あれだけ奮闘していた彼が、誇るどころかさらなる努力を続けているなんて……背中が遠い。

 

 …………けど、わたしも先輩のサーヴァントとして負けていられません! いずれまた戦うことになるだろうソロモン王を見据えながらも、今この瞬間をわたしは戦い抜きます!

 もっともっと成長して必ず賢者さんの隣に立てる、わたしに力を預けてくれた英霊さんに恥じないサーヴァントになれるように、とにかく今は目の前の障害を蹴散らすことに集中しなくては!

 

 

 

 

 

 

 

 順調に撃破完了です。

 両陣営撤退していきます。

 今のうちにわたし達も後退────!?

 

 

「ダメ、先輩逃げて下さい!!」

 

「えっ?」

 

 

 このままじゃ砲弾の流れ弾が先輩に直撃してしまう!

 先輩の側を離れちゃいけなかった。

 ここからじゃわたしが全速力で駆けても間に合わない。

 わたしが守らなくちゃいけない立場なのに! 盾のサーヴァントであるわたしが! すみません先輩! どうかご無事で……!

 

 

 

 刹那。

 

 

 

 再び黒い影がわたしの視界を横切りました。

 

 もしかして、賢者さん!?

 速い! あの纏った黒い魔力をジェット噴射のように利用して砲弾に追い付いた!?

 これなら……!

 

 魔力を纏った蹴りで砲弾を蹴り飛ばし、あ。

 

 そんな!? 弾丸の破片が広範囲に飛散するように設計された榴弾だったなんてあんまりです! これじゃあ砲弾そのものは直撃しなくても……ああ!? 先輩が!

 

 

「ドクター大変です! 先輩がキリモミ回転して吹き飛びました!」

 

『えっ? いや、何を言ってるんだいマシュ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして先輩は、わたしが慌てている間にアメリカ独立軍の後方基地に運ばれていきました。

 わたしは直ぐに後を追おうとしましたが、エミヤ先輩とリリィさんに任せました。

 

 何故なら賢者さんが珍しく項垂れていたからです。

 

 どうやら、あの黒い魔力を纏う技は思考をネガティブにしてしまうようで、先輩に怪我を負わせてしまったことにかなり負い目を感じているみたいです。

 

 

 ……賢者さんは最善を尽くしました。

 

 

 砲弾に追い付くことも、先輩の盾になることもできなかったわたしなんかよりも余程役に立っていました。

 もしあそこで賢者さんが飛んできた砲弾を蹴っていなかったら、先輩に砲弾が直撃して、五体満足でいられたどころか、一つ間違えば死んでいた可能性だってありました。

 先輩は怪我を多々負いましたが、充分な成果を賢者さんは挙げたのです。

 そう、何せ賢者さんは。

 

 

「マスターの命をちゃんと救ったのですから、賢者さんは気に病むことないですよ」

 

「違う…………マスターは女の子だ。我はできる限り女性の柔肌に傷を負わせたくなかっただけだ」

 

 

 ああ、なるほど。賢者さんは相変わらず紳士的です。先輩は元々普通の一般人ですからね。

 でもそういうことでしたら準備は万全です!

 

 

「大丈夫です! 治癒術式のスクロールを持ってきてますから、これを使えば先輩の傷も────」

 

「……言っておくが、もちろんマシュにだって傷付いて欲しくないぞ我は」

 

「────え」

 

 

 賢者、さん? あ、纏っていたどす黒い魔力が剥がれて……。

 

 

「今はデミ・サーヴァントという存在かもしれないが、元のキミは生身の人間で普通の女の子なんだから」

 

「い、いえ私は普通の女の子なんかでは……」

 

 

 そ、そうです、わたしは『普通』ではありません。先輩みたいに普通の女の子なんかじゃ。

 何せわたしは……────

 

 

「……関係ない。キミの出生が『普通』でなかろうと、我は何度でも言うぞ。我の目の前にいるのは『マシュ・キリエライト』という心優しい普通の少女だ」

 

「……ッ」

 

 

 賢者さんはわたしの出生に気付いて……!

 

 

陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)展開中の我は、思考がマイナスに極端に傾く。それをすぐさま看破し、気遣ってくれる女の子が『普通』より劣る訳がないだろう? 自己評価が低すぎるぞキミは」

 

「す、すみません」

 

「いや、説教をしたかった訳ではない。……先に言わねばならないことがあったな、うっ」

 

 

 言わねばならないこと……?

 

 

「………………ふぅ、ありがとう。直ぐにでもマスターの安否を確認したかったはずなのに我を優先してくれて。……正直助かった」

 

「い、いえそんな」

 

「一刻も早く慣らす為にこれからも使っていくつもりだ。次は制御してみせる。だが……万が一の時はまた頼めるか?」

 

「あ、は、はい! わたしに任せて下さい!」

 

「……恩に着る。時間を取らせたな。マスターの元へ急ごう」

 

 

 そう感謝を述べてお辞儀をした賢者さんの表情は相変わらず仏頂面でした。

 けれど、心なしか口許が綻んでいるようにも見えました。

 

 

 

 …………賢者さんが……あの独りで何でもできるあの賢者さんが……それどころか他人の分まで何でもこなしてしまうあの賢者さんが……わたし個人に頼ってくるなんて!

 

 これは……うぬぼれても良いんでしょうか?

 わたしを頼りにしてくれているって。わたしを必要としてくれているって!

 わたしが賢者さんの支えになれているのだと、思い上がっても良いんでしょうか?

 

 

 賢者さんにはまだカルデアに来て日が浅いはずですけど、本当に色々と助けてもらいました。

 

 

 今も考えてしまうんです。

 もしロンドンに賢者さんとレイシフトしていなかったら、わたし達の旅はどうなっていたのだろう、と。

 

 

 彼がいなかったらソロモンを相手にして、果たして無事にカルデアへ帰還できていたんでしょうか?

 

 

 考えても詮なきことだと自覚はしています。

 

 

 けれど、ゾッとするのです。もしも何かの歯車がずれてカルデアに彼が召喚されなかった場合、先輩との旅路はロンドンで終わっていたんじゃないかって。

 

 

 そう思ってしまう程に、あのロンドンでソロモン王との実力差を痛感してしまいました。

 

 

 

 わたしは一度死にました。

 けれど、先輩が死ぬ直前のわたしの心を救い、その時生じたわたしの想いと先輩の行いが、わたしの中で眠っていた気高き英霊を呼び起こし、奇蹟をもたらしました。

 だからわたしは今も生きています。

 

 

 でも、ロンドンでわたしは死んでいたのかもしれないと思ったのです。

 今までの特異点も確かに危険には溢れていて、戦闘経験の少ないわたしが先輩を守りきれず命を落としていた可能性はいくつもありました。

 ですが、ロンドンで対峙したソロモン王の力の前では、これまでの危機感が生ぬるいと感じるほどに、死を強く意識させられたのです。

 特に最後にソロモンが発動しようとしていた第三宝具。

 

 

 あれは、人に向けられてはならない、それどころか街にも、国にも、世界にも向けられてはならない。

 

 

 身の毛もよだつほどの圧倒的光量を発する光帯。

 にもかかわらず、あれで全力ではないと、()の王は言っていました。

 

 賢者さんがあの場にいなければ、わたしは二度目の死を迎え、先輩も一緒に命を落とし、人理は完全に焼却されていたかもしれないのです。

 

 

 

 

 

 だからずっとわたしは賢者さんに────────恩返しをしたい。お役に立ちたい。支えになりたい。

 

 そう思っていたんです。

 

 

 

 

 

 でも今回のことは、少しかもしれないですけど、あの人の力になれたと思ってもいいですよね?

 

 誰かに頼ってもらえるというのは、やはり嬉しいものですね。

 その頼ってくれる相手が、あの賢者さんなら尚更、喜びもひとしおです。

 

 ……欲を言えば戦闘においてももっと頼ってもらえるように、強くなりたい。

 今は戦うことの恐怖よりも、頼られるサーヴァントでありたいと思うようになりました。

 

 もっと精進しなくてはっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 あと、その……賢者さんがわたしのことを、先輩と同じ普通の女の子だと、いつも以上に真面目な顔で断言してましたけど……。

 なんだか変なんです。

 わたしは今やサーヴァントで、先輩はマスター。

 

 どう考えてもわたしと先輩が同じ普通の女の子な訳がありません。

 

 ……でも、賢者さんの言葉を聞いて胸の奥が、なんて言えば良いんでしょうか。

 締め付けられると言いますか、熱くなると言いますか、なんかほわほわするというか……自分でもよくわからない感情が湧いてきてなんて説明すればいいのかわかりません。

 

 ですが、賢者さんにああ言われて、一つ考えてしまったことがあるんです。

 

 

 ロンドン上空にてランサーのクラスで現界したアーサー王を打倒し、魔力でできた階段を降りる時に起きた出来事。

 

 

 

 あの時、わたしがけつまずいていたら。

 

 

 

 賢者さんはわたしを抱き止めてくれていたんでしょうか?

 

 だとしたら、わたしを……その、横抱きと言いますか、えっと……お姫様だっこしてくれていたのかもしれない。

 

 

 そんな今更考えてもしょうがないことを、わたしは考えてしまいました。

 そして同時に、そうだったら良かったのに、ってわたしは思ってしまったんです。

 

 

 

 この気持ちは何なのでしょうか?

 

 

 

 

 

 …………い、いけない! こんな悶々とした気持ちでいたら任務に支障が出ます! 気を引き締めなければ!

 

 

 

 

 

 

 わたしは気を取り直し、先輩が運ばれたテントへと足早に賢者さんと向かうのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで、治療と称して先輩の腕の切断を強行しようとするバーサークな看護師と、それを必死に止めようとするカルデア料理長、その二人の間でわたわた慌てる姫騎士、冷や汗をダラダラ流しながら必死に切断から逃れようとする先輩という、混沌染みた場になっているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくださーい! ストップ! その人は違うんです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 危なかった!

 藤丸立香ちゃんの腕が危うく犠牲になるとこだったぜ!

 マシュが何とか説得して治癒術式のスクロールで治療したから良かったものの。

 

 俺が扱う憂鬱の力は、純粋な物理的破壊力を増すのは良いけど、ネガティブ気質になるのが厄介だな……おかげで今回はマシュ嬢にだいぶ迷惑かけちまった。

 

 だから感謝の見イキと同時に感謝の言葉も述べといた(おまわりさんコイツです)

 俺の最大限の感謝の示し方だから、顔が仏頂面でも感謝の気持ちはきっと伝わっただろう(最低な感謝)

 もしマシュが恋人だったなら恋人バージョンの感謝の示し方として、感謝と同時に顔射してたんだけどな(最悪な仕打ち)

 

 

 

 

 

 

 

 にしても本当にマスターの腕が切断されなくて良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 将来的に立香ちゃんには、両手で俺の息子をしごいてもらおうと思ってるのに、こんなとこで腕とおさらばされたら堪ったもんじゃないからな!(息子とおさらばしろよ)

 

 究極的には、卒業候補が率先してしごきからゴックンまでを一連の流れでしてもらえるくらいに、親密な性的関係に持っていくのが俺の夢だ!(夢は夢のまま)

 

 夢はでっかく! 息子はもっとでっかく!(SSD)

 

 ……えすえすでぃー? なんぞそれ?

 そこまでに しておけよ 童帝神……の略、か。

 

 あー、そうね。今はマスターの腕が切断されなかったことを邪な気持ち抜きで素直に喜ぼうか(最初からそうしろ)

 

 

 実際、立香ちゃんの腕切断なんて事態になってたら、マジで俺の息子も心も()()()()()とこだったぜ。

 

 

 

 そういやこの()()()ことで発揮する憂鬱の力、実は理論上魔術を扱えるのなら誰でも使える力だったりするんだよね。

 

 

 

 こんな経験一度くらいはないだろうか?

 

 例えばオナってる最中かつもう少しでイケそうってタイミングで、電話がかかってきたり、インターホンが鳴って宅配便が届いたり、オカズに用いていた動画やマンガが途中までは自分好みだったのに急に冷める展開になったり、「いしやーきいもー」などの音声を流す販売車がちょうど近所を回ってきたりなど。

 

 そういった状況下で萎えた時に発する負の感情を、圧縮し魔力に変換して使っているのが憂鬱の力の正体。

 つまり魔術回路を持ち萎えることさえできれば誰にでも使えるのだ。

 

 

 

 まあ、色々と萎えた気持ちのまま、魔術を行使するだけの集中力を保てればの話だが。

 

(※萎えているためやる気0。即ちとても実戦向きではない上、魔術師の悲願『根源』到達を目指して使うにしても、行使時に『根源』とかマジどうでもいいと感じてしまう為に、上手くいかないという悪循環)

 

 

 

 俺が戦闘で使える理由?

 そりゃ俺の並大抵ではない精神力の賜物だよ。

 憂鬱な気分は、怠惰な気持ちも湧いてくるから動くのすら面倒ってなる場合があるけど、俺はそれを飲み込んで負の感情を怒りとか殺意に変えて敵をぶっ飛ばしてる訳だ。

 

 オナニーの邪魔しやがってゴラァ! みたいな。

 

 まあ、あれだよ。破壊力が凄まじく洒落にならない威力を叩き出すやつあたりとでも思ってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあそんなこと、どうでもいいな。

 今ちょっと俺、今までにないレベルでピンチというか戦慄してるねん。

 ぶっちゃけ説明してたのも現実逃避してただけっていうね……真面目にヤバい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきからずっとクリミアの天使・ナイチンゲールから凝視されてんのよね(冷や汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっとこの特異点(合コン)で女性に出会えたぜ!! って感じで最初は歓喜してたんだよ。

 

 特異点(合コン)なのに部族のようなオッサンとロボット、そしてただの兵士のオッサンしかいなかったからな。

 萎えるのもわかるだろ?

 

 だから感激もひとしおって奴よ。

 テントに入って彼女を見かけた瞬間、立香ちゃんの腕が切断されそうになってたことにも気付かずに、一つ潮的なのをドピュッて思わず出しちまったしな(ひとしおってそういう意味じゃねーから)

 

 まあ、感激だけじゃなくちょっと恐怖もあるんだけどな……だって本性知られたら容易く俺の股間切除しそうなんだもの彼女。

 

 

 そしてもう一つ、目を逸らしたいことがある。

 

 

 ……なんかつい最近会ったことがある気がするんだよね。け、けど性格が随分と違うしきっと他人の空似だよな、うん。嗅いだことのある匂いな気がするけど、きっと気のせいなんだよ(震え声)

 

 そういう過激な面も悪くないさ。

 しかも貴重なパイスラ要員だし!

 名前のナイチンゲールの通り下の毛は生えてないんだろうか? あんな女傑然とした姿でハ○イハ○ンとか……妄想しただけでオナニーが捗るな!(通報不可避)

 

 

 

 

 そんな風に若干彼女の苛烈さには引きつつも、綺麗な女性だヒャッホー! ってこの時は喜んでいたんだ。

 

 

 

 

 

 マスターとマシュがナイチンゲールを何とか説得して、特異点を修正するための協力を取り付けた。

 そんな折り、敵襲を受けたので戦場に再び出向くことになった訳だが……ケルト兵と戦っている最中からやたら視線を感じるようになったんだ。

 

 チラリと視線を感じる方に目を向ければ、ナイチンゲールの赤い瞳が俺を射抜く。

 

 

 もしかして俺に惚れちゃった的な? 一目惚れ的な? って最初は期待したんだが(ねーよ)

 

 

 あまりの凝視っぷりに俺、視姦されてる!? と考えを改め(だからねーよ)

 

 

 笑い事じゃ済まないレベルで見られまくっていることに今さっき漸く理解した(遅すぎる)

 

 

 あの目は見定めている目だ。俺のことを量っている目だ。つまり何かしら俺のことを彼女は疑っているのだろう。

 

 

 スキル・秘蔵の封印があるから本性はバレないはずだが……ここまであからさまに俺のことを観察してきた人は初めてなので、正直ビクビクものなのだ。

 

 

 なんというか色々とヤりにくいことこの上ない。

 

 

 一度「……何か用か?」と話しかけたのだが「いえ、お気になさらず」と即答され今もなお、彼女に見られているのだ。

 

 

 

 

 こんな監視態勢では、イキたい時にイキ、ヤりたい時にヤる精神の俺でも、不用意に見イキできないじゃないか!

 

 

 マスターとマシュはもちろんのこと!

 今回はリリィちゃんも来てくれてるんだぞ!?

 

 

 

 

 

 高品質なオカズは揃ってるのにこの場でイッちゃダメなんてそんなの理不尽じゃないか!!(TPOを弁えない変態の鑑)

 

 

 

 

 

 抑止の保護者もといエミヤ(オカン)も同伴だろうと、別にしれっと見イキする分には問題はない。

 常に見られている訳じゃないからな。

 

 ナイチンゲールさんだってシコリティは高く、オカズとしては一級品だ。

 当然ながら何発でも見イキしたい。

 なのに……あんなに注視されてたら流石にバレる可能性が出てくるっつーの!

 おかげでまだナイチンさんと合流してからは10発くらいしか見イキできてないぞ!(抑えてこの回数)

 

 

 クソッタレ! このままじゃ俺の性欲は溜まる一方だ。

 

 

 宝具(こかん)の解放は定期的にしてるがそれじゃあダメなんだ……。

 宝具(こかん)の解放によるブッカケはあくまで『仕事』、対して見イキは俺の『趣味』だ。

 仕事と趣味では、たとえ似たような行為でも別物なんだ!

 

 

 例えるなら、AV男優が仕事で決められた体位、決められた構図で女を抱くのと、プライベートで好きなように好きな女を抱くのとでは別だってことと同じさ。

 

 

 だからこの状況は非常にストレスが溜まる。

 金玉の中身もリチャージされて溜まる一方だ。

 

 

 そんな内心でイライラを募らせていた時、現れたのがフィオナ騎士団のフィン・マックールとディルムッド・オディナだった。

 

 

 フィオナ騎士団? ……ああ! フィンでオナる騎士団の略ですねわかります(※違います)

 団員全員がフィンを見てシコシコする騎士団……やべぇ、間違いなく変態だ(事実無根)

 だからオナる対象であるフィン・マックールを団長に添えてるのね納得納得(勘違い甚だしい)

 フィンが髪を伸ばしてるのも少しでもズリネタ的に女性らしくする為か……うーん俺には無理だな(酷すぎる誤認)

 

 別に俺はホモやゲイを否定しない。

 みんなそれぞれ趣味・嗜好があるからな。

 だが、それに俺が関わりたいとも思わない。

 

 その数多の♂のケツの処女を散らしてきたであろう槍を携えて、俺の前に立ちはだかるのはやめてもらいたい(誤解)

 ディルムッドは『ゲイ』を司る槍を2本も使ってくる危険人物だ(風評被害)

 クー・フーリンですら1本しか『ゲイ』の槍を持っていないのに彼は2本、股にぶら下がる槍も含めれば3本だ(理解放棄)

 

 3本の槍で♂に襲いかかるだと!?

 男は女と違って穴が2つしかないのに何を考えているんだ!?(もうやだコイツ)

 

 ……いや、待て。

 確かディルムッドは魔貌とやらで女性にチャームをかけるとか……まさか俺は誤解していたのか?(そうです)

 そうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディルムッドは『バイ』だったのか(違うそうじゃない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 それなら槍を3つ使うのも頷ける。

 女性には穴が3つあるからな、何の問題もない(医者を呼んでくれ)

 

 だが問題はある。

 俺の貞操の危機だ!(何故そうなる)

 身内の団員共とズッコンバッコンしてる分にゃ良かったのに、何故関係ない俺を巻き込もうとするんだ(何故そういう曲解しかできないのか)

 

 こうなったら宝具の真名解放をされる前にボコるしかない!

 

 フフフフフ……間が悪かったなフィオナ騎士団(フィンは俺らの嫁団)(被害拡大)。

 ついでに俺のストレス発散に付き合ってもらうぞ!

 そんな訳で、先手必勝!!

 

 

陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)展開」

 

 

 イケメン野郎に意識を集中することで即刻萎えることに成功した俺は、憂鬱の力を使って突貫した。

 

 

「我はフィオナ騎士団の一番槍、ディルムッどわぁ!? 名乗りの最中に不意討ちだと!?」

 

「……ここは戦場。不意討ち上等。ましてや我は騎士じゃない」

 

 

 相手が喋ってる最中だろうがお構い無しに攻撃(婦長ですら待ってたのにこの所業)

 騎士道精神? そんなもの童貞にある訳ないやん。

 正々堂々と戦う? 場合によりけりだな。

 今回はムカついてるので憂さ晴らししたかった、それだけだ。

 男が敵なら全力でボコボコにするのは当然だろ?

 

 

 えっ? じゃあ敵が女なら?

 

 

 全力でカルピス(意味深)をブッカケるに決まってんだろ?(まったくブレがない)

 もちろん男の娘もショタも性別不明も守備範囲だからブッカケますが何か?(手遅れ)

 

 一発一発が複数の男の急所を一撃で亡き者にする程の威力を誇る黒い魔力を纏った拳骨で、ディルムッド目掛けてショットガンのような速度のラッシュを炸裂させる。

 

 

「くっ……! 不覚!」

 

「下がれディルムッド! 傷を癒す!」

 

 

 ボコしたディルムッドを後退させたフィンが回復し出した。

 ちっ! 先にあの金髪ロン毛から潰すべきだったか! だが回復中だろうとお構いなしだ!

 そう思い距離を詰めようとした直後、俺が到達するよりも早く銃弾が放たれた。

 

 

「うおっ!?」

 

「病を速やかに根絶します!」

 

 

 お察しの通りナイチンさんです。

 容赦ねーわー、流石はバーサク婦長。あん? お前も大概だろ? って?

 やだなー、男と男の勝負に言葉は無粋。『拳』で語り合うのが常識じゃん?

 にもかかわらず槍を持ち出してくるような外道が相手だ(言いがかり)

 だったら全力を出しても構わないだろう?(その理屈はおかしい)

 

 だがナイチンさんは女性だ。

 その上、回復中の相手に近接戦どころか銃をなんの迷いもなく発砲だぜ?

 どう考えても俺よりぶっ飛んでるだろ(頭どうかしてるよ)

 

 よし、婦長の攻撃で怯んだな。今のうちにボコって────

 

 

 

 

「君達、我々の立つ瀬が無くなるからもう少し自重してもらえるかね? 特に彼女らの活躍の場を奪うのはやめたまえ。実戦経験を積むのにうってつけなはずなんだが、そこのところを考慮するくらいはあちらの看護師はともかく、賢者ならわかるはずだと思うが?」

 

 

 

 

 ────アッハイ。

 調子に乗ってやり過ぎましたね。

 エミヤが青筋浮かべて目が笑ってない笑顔向けて来てるんじゃが……怖いわー。

 確かにマシュやリリィと連携を取るべきだったのに、己の力を高めることとストレス発散することしか今の俺には頭に無かった。

 

 その後は反省し、彼女達のサポートに回ったよ。

 思う存分ブッカケができるのはやっぱり最高だね!

 こうしてフィオナ騎士団(フィンは俺らの嫁団)を撤退させることに成功した。

 ……俺と婦長だけだったら自身が傷を負うのも覚悟の上で、確実にここで息の根を止めてただろうけどね。

 まあ、八つ当たりで攻撃してたのは事実だし、この場はマシュやリリィに免じて追い討ちはやめてやるよ。

 

 …………そう思ってたんだがね。

 去り際にアイツらいらんこと口走ったんだよな。

 

 

 

 

 

 

 セイバーリリィを見て「……まさか()の騎士王のさらに若かりし姿なのか? 『なんと可憐な……!(言ってない)』」とか呟いたイケメンホクロ。つまり結婚不可避、3本の槍による三穴プレイ強要案件ということだ。

(※彼独自の解釈です)

 

 

 マシュに向かって「君が敗北したら君を嫁にする」宣言をした金髪ロン毛。

 それ即ち、奴が勝利した暁にはマシュのマシュマロはこれから一生私の物だ、彼女のプリケツもアワビも全て私の物なのだと宣言したと同義。

 その上、彼女の意思をまるっと無視。「楽しみだな、実に楽しみだ! 実に()()()()()()約束だ!」とか一方的に口にしながら去って行きやがった。

 ()()()()()()約束だぁ? 気持ちのいい=婚前交渉以外に何がある? しかもあれだけ楽しみだと言ってるんだ。アブノーマルなプレイを強要してくるのは目に見えている。

(※あくまでも彼独自の解釈です)

 

 

 

 

 だからこれは必然だった。

 

 

 

 カッチーン。

 ブチギレスイッチ入りましたー。

 

 

 

 

 

 

 

 バイセクシャル三穴プレイ好きなランサー(ヤリサー)の騎士と、団員(ゲイ)共からはオナネタにされているのに、自分はノンケを気取って会ったばかりの女性に強制アブノーマルプレイからの無理矢理な結婚を強要するランサー(ヤリサー)の騎士団長。

 

 そんなド変態ド畜生どもに純真無垢なリリィとマシュをやれる訳がないだろうが!!(妄想の飛躍が酷い)

 

 

 

 

 

 だから俺は次にランサー(ヤリサー)二人組に会ったら、必ずまとめてぶっ殺すと心に決めたのだった(冤罪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で現在、エレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー夫人ことロリオカンなエレナママと対峙してます(どういう訳だってばよ)

 

 経緯はテントに戻り患者の世話を現地の医者へと事細かに指示を出したナイチンゲールさんの先導のもと、特異点の原因である聖杯を探索する為にこの場を離れようとしたのだが、そこにエレナママが機械化歩兵を大量に引き連れて引き留めにきたという訳だ。

 

 うん? 何故エレナママ?

 そんなものは決まっている。出会った瞬間に彼女から母性成分である『バブみ』を感じたからさ。

 五百歳以上の年齢を誇るこの俺に、オギャりたいと思わせる程のポテンシャル……正直恐れ入るぜ(変態っぷりにドン引き)

 

 当然、出会った瞬間見イキ余裕でした。

 特にナイチンさんが今は俺に視線を向けず、エレナママと口論を繰り広げてくれてるので、思う存分見イキ放題!

 

 

 

 やっぱり見イキは最高だぜ!

 溜まってた分、話を聞き流しながらこの場の見目麗しい5人の女性をオカズに、エミヤ(オカン)の視線を掻い潜りながらイキまくったよ。

 この場での俺のヤるべきことは、見イキだと自負していたからな(使命感)

 

 

 

 そうやって知らん間に交渉決裂したので、機械化歩兵との戦闘をなし崩し的に開始。

 だが俺は慌てない。

 さっきエミヤに言われた通り、マシュやリリィの実戦経験を積ませる為にサポートに今回も回ったからだ。

 正直、宝具(こかん)を使うまでもない。

 みんなの取りこぼしを、伸縮自在の性剣で遠距離から攻撃するだけの簡単なお仕事です。

 あとはただ見イキしてましたが何か?

 

 

 

 そうやって、あっという間に攻撃を仕掛けてきた奴らは難なく撃破。まあこっちにはサーヴァントが俺を含めて5騎もいるんだ。

 量産型バベジン電動式ごときに負ける要素が無いわな。

 まだ数は量産型なだけあってやまほどいるけど、俺達を足止めするには足りないだろ。さっさと離脱すりゃ問題な────

 

 

 

 

「でも、これで終わりっと。じゃ、()()()! ちゃっちゃとやっちゃってー!」

 

 

 

 

 ────くないねこれ。

 え? エレナママってば今なんつったよ? 何処ぞのインド兵器ことランチャーの真名を呼ばなかったかい?

 

 

「……出番か。心得た」

 

 

 …………ヤバい。

 冗談抜きでヤバい奴じゃねーか。

 いつの間に直上に現れやがったしインドの大英雄!?

 しかもオイ、もう宝具の準備万端なのかオイ!

 

 

「異邦からの客人よ、手荒い歓迎だが悪く思うな。武器など前座。真の英雄は眼で殺す……! ────『梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)』!!」

 

「くっ! 流石に投影が間に合わんか!」

 

 

 ありゃ無理だ。とてもじゃないが発射が速すぎる。

 エミヤが投影する最強の防具ならもしかしたら防げたかもしれないが、カルナの発動タイミングの方が圧倒的に早かった。

 マシュが盾を真上に構えてるけど、恐らく防げても余波だけで全員脱落するのが目に見えてる。

 ……仕方ねぇな。

 

 

「魔を統べる神の祝福を今ここにっ!!」

 

 

 性欲魔神(エンドレスブート)!!

 眼から出るビームと股間付近から出るビームが真っ向から衝突する(酷い絵面)

 

 

「っ!? 賢者さん……!」

 

「えっ!? カルナの宝具と拮抗してる!? あなたいったい……」

 

「答える義理は無いな。それよりもキミ達、早くこの場から離脱しろ。そう長くは持たない」

 

「わ、わかりました。マスター急いでこの場を離れましょう! 賢者さんが止めてくれている間に!」

 

「う、うん!」

 

「あっ! ま、待ちなさい! 機械化歩兵、彼らを逃がさないで!」

 

 

 真新しいエレナ(オカズ)がいたこの戦場において宝具(こかん)の準備は万端だったからこそ撃てた。

 正直、エレナママじゃなくて最初からカルナ一人だけで上空に現れたのなら、股間が萎えてて使い物にならなかっただろう。

 つまり、

 

 

 

 

 

 

 

「貴様の敗因はこの場に一人で来なかったことだ」(建前)

 

 お前の敗因はエレナママという新たなズリネタがいる場に現れたことだ(本音)

 これに尽きる!

 

 

 

 

 

 

 

「オレの眼力と拮抗するとは……余程名のある英霊と見える。だが捕まえろとの仰せなのでな、逃がしはしないし、負けるつもりもない」

 

 

 そう言ってカルナは眼からビームを継続しながら槍を構え、

 

 

「我が身を呪え……『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』!!」

 

 

 急に炎を纏い出した槍をさらに上空へと投擲した。

 

 

「頭上注意だ、悪く思え」

 

 

 あ、炎熱を伴う隕石みたいな槍が降ってくる。

 あれって十中八九、地上に落ちたら大爆発するタイプだよね? つまりまだこの場を離れきれてないマスター達がまとめて気絶……いや、待てい!?

 なんか気絶どころじゃすまないような炎の塊なんじゃが!

 オイ落ちてきたらここら一帯全て燃え尽きそうなんですけど!?

 

 ……あの野郎、俺の実力を買った上であんなとんでも宝具使ってきやがったな!

 俺が阻止するのが前提で、余波だけでも残れば良いって考えで放って来やがったのか! 捕まえるのが狙いなんだからそりゃ気絶で充分だもんな。

 だからって敵の、しかも初めて会ったばっかな俺の実力やら行動やらを、信用し過ぎだろ!

 いや己自身の『眼』を信用してるんだろうけども!

 

 

 クソッ! あー、そりゃ守るともカルナの想定通りな。だが、想像の斜め上まで行ってやんよ!

 

 

 俺は第4特異点の時みたいに不用意におっぱい揉みたいからフルバーストしても構わねぇ! みたいな舐めプをする気は毛頭ない。

 いや舐め舐めプレイもといペロペロプレイは、いつしか彼女ができた時にする気満々だけどね!(二重の意味でねーよ)

 

 ともかく大賢者モードまでは良くても、それが解けた後の俺の戦闘力が著しく弱体しちゃう難点がある以上、欲望に負けて全力を出せないのはダメだと、第4特異点でモロチンと戦った時に痛感したんだ。

 

 だから今回は開幕から全力全開だオラァ!!

 

 

 くらえ! 宝具(こかん)の派生技。

 

 

 

「種は巡る。未来へ繋ぐ希望。今こそ殺到し、新たなる命を宿せ! 『金玉杓子の白濁銀河(メタ・タドポールギャラクシー)』!!」

 

 

 

 刹那。

 

 

 

 全身に白濁の光を纏った、その身に黄金の光を宿す大量の巨大オタマジャクシが天空目掛けて放たれた(汚い)

 

 燃え盛りながら降ってくる槍へと巨大オタマジャクシが殺到し、元々の性質である『粘り気』を残したまま放たれた光が、槍を絡めとり包み込んだ。

 

 

「見事だ……! だがオレの勝ちだな」

 

 

 ちっ! 勢いまでは殺せないか……! このまま地上に落ちれば炎がこの地周辺に広がるのは防げても、衝撃波だけで恐らく俺以外は失神しちまう。

 だが、少しでもマスター達がこの場から離れてくれていれば!

 

 

「選定の剣よ、力を! 邪悪を断て! 『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!」

 

「よし、リリィのおかげで道は開けた! 離脱するぞマスター!」

 

「させないわ! 星よ!」

 

「ッ!? 先輩はわたしの後ろに!」

 

 

 まだ安全圏に脱出できてないか……!

 機械化歩兵だけならまだしも、俺の助け(ズリネタ的に)になってくれたエレナママが障害になってるとは、なんという皮肉だ。

 エレナちゃんがいなければカルナの最初の宝具でやられていた。

 だからいたこと自体は間違いじゃない。

 けど、今度はそのエレナがマスター達の進行の邪魔をしている。

 このままでは降ってくる槍の衝撃波で気絶させられたマスターを、人質に取られるのが関の山だ。

 

 

 だが未だにカルナとビームの撃ち合いで拮抗している現状、この場を動くことが俺にはできない。

 しかも宝具撃ちっ放しな上、マスター達との距離も離れてるから援護もできない。

 まあ、ぶっちゃけカルナを足止めするだけで精一杯なのだ。

 

 

 ……こうなったら出し惜しみは無しだ。

 守りたい者がいるなら手段を選ぶな(文字通り)

 その手段で救える者がいるのなら、その選択は決して、間違いなんかじゃないんだから!(嫌な予感しかしない)

 俺が女性相手には酷だろうと思って、今まで敢えて使うことを控えていた禁じ手。

 

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)を今こそ解禁する時だ!

 

 

 これは宝具ではない。ただの技術。

 俺は遠くにいるエレナちゃんに視線を向ける。

 重要なのは目力だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「接触など不要」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秘技・『真の変態は眼でイカす(ス コ ー プ エ ク ス タ シ ー)』!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視線の先でかん高い悲鳴のような嬌声が聞こえたような気がしたのは、気のせいではない(脳内フォルダに録画した屑の鑑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、俺とカルナ以外全員気絶するという残念な結果に陥った。

 俺のアシストはまるで意味を成さなかったのである。

 ヤるタイミングが遅かったからね、逃げる時間ほぼ稼げなかったし仕方ないね。

 ちなみに案の定、降ってきた槍の衝撃波でみんな気絶してました…………たった一人を除いて。

 

 エレナ・ブラヴァツキー。

 

 彼女が気絶した理由は……言わぬが花だよね? 彼女の名誉的にもさ(ヤッた本人が言うことじゃない)

 まあ、アレだよ。槍が降ってくる以前に、ナニかされたのか弓なりに体を反り返しながら痙攣しつつ意識を失ってた、とだけ言っておくね(下衆の極み)

 

 

 

 カルナの槍が地上に落ちた瞬間、俺とカルナは同時に動いた。

 

 俺はもちろんマスター達を守るために。

 カルナは逆にマスター達を捕えるために。

 

 しかし、俺の方が早くマスター達の元へ辿り着いた。

 実は放った巨大オタマジャクシの一部を、カルナの黄金の鎧にまとわりつくように放っておいたのが役に立ったのである。

 黄金の鎧を纏うカルナに、まともにダメージが入るとは最初から思っていなかった俺は、単純に動きを抑制するためだけにネバネバプレイを強要してやったのだ(最悪な手段)

 

 カルナの炎すら抑え込む粘り気だ。

 移動に若干のタイムラグが出るのも当然である。

 

 だから先に俺が駆け付けることができた。

 ただし、それまでだ。

 守りに付くことはできても、ここから全員を抱えて離脱するなんてことは、カルナ相手に不可能。

 つまり逃げられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから苦肉の策として、未だビクビクと痙攣しながら近くで倒れていたエレナママを人質に取ることで、交渉材料としたのであった(最低な選択)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エレナちゃんとカルナさん、マジですまない……
それとフィオナ騎士団にも深く謝罪を……あとごめんな、ディルムッドにはさらなる風評被害が来ることは遠い未来で確定してるんだ、すまない(酷い)

残念なお知らせ
今回から賢者な彼のブレーキが破損しました(最初から無かった説が濃厚)
とうとう炸裂した童帝神技その1!
これをやりたいが為にオチだけ決めておいて、それまでの過程を書いたら長くなってしまったのです

なるべくストーリー上で矛盾やらおかしな展開(ギャグ的な面やオリジナル要素については除外)にならないように、ゲームの方のストーリーやらキャラクターの情報を毎回逐一確認しながら書いてるんですが……第5章やっぱ長いっすね時間かかるわー(汗)
…………第6と第7はさらに長いんだよなー(遠い目)


【夏イベ茶番その1】

作者「……なんというか今回の夏鯖、前の夏鯖以上にネタキャラ尽くしじゃね?」
賢者「可愛ければなんでもええねん。股間に来るか来ないかそれだけが問題だ(キリッ」
作者「ノッブだけ可愛いというよりイケメンなんじゃが」
賢者「クソダサTシャツだけどあれなら抱かれてもオーケーだわ」
作者「ええやんあのTシャツ! 沖田さんに緑のクイックTシャツ着せたいので実装はよ! …………で、本音は?」
賢者「合体できればなんでもいい」
作者「無節操乙」

……レースに参戦する賢者な彼の話思い付いちゃったけど、書くにしても第一部終わらないと無理なんだよなー。いつか番外編で書けると良いんだが……遠すぎる未来の話だ(書かない可能性大)


【夏イベ茶番その2】

皆さんは夏鯖当たりましたか?
まだ望みの夏鯖を当てられてないあなたに賢者な彼が開いた宗教に入信してみてはいかがでしょう?

賢者「その名も『イケば出る教』! 欲しい鯖のことを思ってオナりイクと同時にガチャるだけ! そうするとあら不思議! 謎の液体(意味深)が出ると同時に欲しい鯖も出る! ね? 簡単でしょう?」

さぁ、みんなもレッツプレイ!(錯乱)



ナニからナニまで汚くて本当にすまない()


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こんなにたくさん中に……(誤解)

シリアス「やぁ」


第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第2話です


ここに来て漸く賢者さん視点にもシリアスさんの到来である(開幕からシリアスとは言ってない)
……この作品にシリアスさんいたの!? とか、シリアスさん生きてたんですか!? とか、突っ込んではいけない(無言の腹パン)

何とかギリギリセーフで8月中にもう一話投稿できたぜ……
あと、今更ながらこの作品を短編から連載に切り替えました(遅い)
もう途中からまるで短編じゃなかったですしね
それではどうぞ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)

 

 それはこの俺、童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)だけが使いこなせる、まさに神の御業。

 

 そんな数ある技の1つ。

 

 

 ────秘技・真の変態は眼でイカす(ス コ ー プ エ ク ス タ シ ー)

 

 

 これは技名通り、眼力だけで性的対象を絶頂させる技、即ち究極の視姦だ。

 この技の最大の特徴は、宝具ではなく単なる技術な為、いくらでも連射が可能な点だな。

 けど、便利ではあるもののそこまで万能でもない。

 

 まず対象範囲はそれなりに広いが、性的対象として見れない相手にはまるで効果を発揮しない。

 

 当然、視界に入っていなければ影響されない。

 

 不感症のような相手にはそもそも効かない。

 

 さらに神性やそれに準ずるスキルを持つ者、または神霊よりの存在が相手だと、効果が薄れてしまう、または弾かれる。

 

 そして、エクストラクラスの中には俺が扱う全ての童 帝 神 技(ドウテイシンギ)がまるで効かないどころか、逆に強化を促してしまう結果に陥る可能性を秘める天敵までいるのだ。

 

 

 だから使う相手は常に選ぶ必要がある。

 

 

 ただの雑魚ならほぼ迷いなしに使える技だが、今までは禁じ手ってことで封印してたしね。

 正直、エレナママに使ったのは賭けだったんだぜ?

 サーヴァント相手に事前情報も無しに使用するのは、ちょいとリスクが大きいし。

 スキル・二次元シミュレーションを行使して正確にエレナちゃんの霊基を把握していれば問題なかったんだろうけど、そんな暇あの時は無かったしな。

 

 

 

 

 

 ……いやまあ見イキばっかしてる最中に把握しておけば、もっと早く使えてたんだろうけどさ(ゴミじゃねーか)

 

 

 

 

 

 あ、ちなみに1回の視姦に就き1射出することになるデメリットもあるぜ?(※ただ見イキしてるだけです) だからあんまり連続行使したり多くの相手に使うと、宝具(オムツ)の中がパンパンになる場合があるから注意が必要だな(うーんこの)

 

 

 当然、エレナちゃんに真の変態は眼でイカす(ス コ ー プ エ ク ス タ シ ー)を使った時も、俺のマハトマ(意味深)がハイアラキ(意味深)してレムリア(意味深)したよ(最低な隠語)

 エレナママってば、あの体型が妖艶極まっててめちゃシコだから仕方ないよね☆

 

 

 ……話は変わるけどさ、股間は常にパンパンに膨れ上がってるし、バックからパンパンしたいよね(出荷不可避)

 脳内フレンズ(ブラザー)はどっち派よ? 正常位派? 後背位派?

 

 えっ? 騎乗位派? 背面座位派? いやこの二つのどっちかならってことなんだが……駅弁スタイルこそ志向? 口以外ノーサンキュー? でっかいおっぱい夢いっぱい? ケツ以外興味なし……お前らはいったい何を言ってるんだ……?(お前が言うな)

 おかしいよ、ブラザーに変態しかいないんだが(類友ですねわかります)

 

 誰が類友だし!?

 心外だわー! そこまで俺、変態じゃねーし!

 全人類の中から見たら俺レベルの変態なんて中の上……中の下くらいだし! …………あ。

 でも、人理焼却の影響でまともに生き残ってる人間ってカルデアにしかいないんだっけ……?

 

 

 

 

 

 

 となると? 現在時点での全人類ってのはカルデアの生き残りだけってことになるのか?

 

 

 

 

 

 

 …………………………やだー! この中だと俺の変態性が浮き彫りじゃないですかー!?(今更並感)

 い、いや! 諦めるのはまだ早い!

 カルデア職員の中にも、俺を超えるかもしれない変態がいるのはリサーチ済みなんだ!

 

 ソイツの名はミスター・ムニエル! ……なんか美味そうな名前だよな(腐ってやがる)

 違うわ!? 料理の名前だから美味そうっつったんだよ!

 そうじゃなくて! そのムニエルって奴はなんと業の深いことに『男の娘』が大好きな男性職員なのさ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……お前もやん? ちゃうちゃう! 俺は女の子も普通に好きだから! 守備範囲が広いだけだから(弁明になってない)

 

 ムニエル氏は『男の娘』のみに多大なるLOVE(ラァヴ)(発音注意)を向ける変態紳士なのだ。

 そこまで俺はハイレベルじゃないやい!

 あ? 白昼堂々と見イキしたり宝具とはいえブッカケかます時点で、変態チャンピオン間違いなし?

 

 馬鹿野郎! ただでさえ童貞の頂点に君臨してるのに、変態の玉座なんざに座りたかないわ!? そんな不名誉な二冠とかマジで勘弁してくれ!(これが冠位(グランド)クラス)

 

 二冠ってそういう意味じゃねーから! つーかそれだとグランドクラスを2枠持ってるみたいだし!

 そんな大それたサーヴァントじゃねーよ俺。それ以前に童貞で変態のグランドサーヴァントとか、グランドクラスの恥さらしも良いとこだっつーの!

 

 えっ? 既にサーヴァント全体で見ても恥さらしじゃねーか、だって?

 ハッハッハッ、またまたご冗談を!(自覚なし)

 俺がいつ恥を晒した?(破廉恥決定)

 

 誰が破廉恥だし! 恥ずかしいことなんざこれっぽっちもしてないのに心外だわ!(うわぁ……)

 

 ハァ……つーか俺はなんでセルフツッコミを心の中とはいえ、律儀にやってんだか、無駄に疲れたぞ(ご苦労様でーす☆)

 …………おちょくられてる感半端ないなこれ。

 

 で、結局どっち派なのさブラザー共は(しつこい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………は? そもそもヤッたこともないくせに体位の話とかナニイってんの? だと……。

 それは禁句だろうがチクショウめ!!(号泣)

 

 

 クソッタレが! もういいよ、話を戻す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………そんで元々なんの話してたんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 ああ! 俺の視姦技術におけるリスクの話だったっけ?

 

 

 

 

 まあ何はともあれ、結果的にエレナちゃんを失神(絶頂)させることに成功した上、交渉材料としてアブダクションもとい人質に仕立て上げることにも成功したんだから、結果オーライだろ(どう見てもエロ方面の悪役的所業)

 

 

 

 

 

 その後はカルナにエレナを盾にして交渉を持ちかけ、俺達を拘束せず自由なままにしろ、代わりに王様とやらには会いに行ってやるし今は敵対するつもりもない、だから手を出すなってことで、妥協してもらった。

 元々俺達を捕らえることにそんなにノリ気じゃなさそうだった大英雄カルナ相手に、指示を出していたエレナを人質にして交渉する策は、想定通り有効だったしな。

 カルナの目というかスキルには、恐らく相手の本質的なものを見抜く力がある。

 俺が約束を違えるような男ではないとわかったんだろうよ。

 

 

 

 

 

 

 

 ………………スキル・秘蔵の封印ちゃんと機能してるよね?(震え声)

 いやさ、あんまりにもすんなり想定通りにことが進みすぎたもんだから、思わずカルナに質問しちまったんだよ。

 

 

 

『……やけに我の提案をあっさり承諾したな。どういうつもりだ?』

 

 

 

 って。

 そしたらさー、うん。

 

 

 

『……アヴェンジャー、確かにお前は何かしらの邪悪な野望を抱えているようだが、オレの眼をもってしてもそれが何なのかまではわからなかった。だがわかったこともある。お前はそれをしない』

 

『……何を根拠に?』

 

 

 

 おかしくない? 秘蔵の封印は機能してるのはわかる。

 それなのに邪悪な野望があることまで見抜くってどういうことよ!?

 まあ、俺のこのスキルは拒絶感情によるところが大きいからかもしんないけど、にしたってカルナ……アンタの眼力どうなってんだ……。

 

(※カルナに対する拒絶感情は90%。ちなみに偽ソロモンには激しい同族嫌悪をいだいている為オーバー300%)

 

 

 

『お前はマスターとその仲間を守るためにやむなく彼女(エレナ)を人質にした。だがオレと拮抗するだけの力量を持つお前の実力なら、オレが呼ばれて宝具を撃つよりも早く彼女を無力化できたはずだ。その時点で人質にするという策を使おうと思えば可能だった。違うか?』

 

『それは────』

 

 

 

 ────確かにできた。

 何せあの究極の視姦攻撃に予備動作なんてほぼいらない。

 実際、二次元シミュレーションでの算出結果には全員で生き残る策として答えは出ていた。

 しかし、まだあの時点での俺は童 帝 神 技(ドウテイシンギ)を解禁するつもりが無かったのだから、考えても仮定の話でしかない。

 

 

 

『お前が真の外道なら最初から手段は選ばない。傷付けることも厭わないだろう。だがお前は躊躇う。そしてそれはお前が抱える野望についても同様だ。お前が内心で何を思っていようと、その野望の成就を他ならぬお前自身が邪魔をする。それが良心なのか、はたまた咄嗟に体が反応するだけなのかそこまではわからんがな』

 

『…………』

 

 

 

 いやちょっと!? さらっとなんか俺にとって不吉な予言染みたことを告げるのやめてくれます!?

 実質それ俺にとって死刑宣告に等しいんですけど!? 言外に卒業不能って言われたようなもんじゃん!?

 

 

 

『しかし、お前は一度決めたことは最後まで守り通す男だろう? たとえ記憶を失っていたとしてもだ』

 

『……さぁな』

 

 

 

 そりゃ、守る質だけどさ。

 俺自身がガチで決めたことに関しては。

 でもね? それが俺の卒業の邪魔になるようなことなんだとしたら破りたいんじゃが……。

 しかも俺が忘れてるのに、俺はその何かを律儀に守ってるってのか? ……つーかなんで俺が知らないことまで見抜いてるんですかね。

 

 

 

『……故にお前は約束を反故にしない。反故にする時はこちらが約束を破ったり、やむを得ない事情が生じた場合に限るだろう。それだけで信用に値する』

 

『……そうか』

 

 

 

 てな具合で信用を置いてくれてるのよね彼。

 そんな信用嬉しかないわ!!

 つーか、見抜き過ぎだろ! ……あ、もちろん見抜き(意味深)じゃないのよ?(申告不要)

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で、交渉自体は思い通りにいったはずなのに、むざむざと格の違いを見せつけられた感パナイせいで、何故か何かに負けた気がするまま、今は王様とやらの根城までカルナに案内してもらってる真っ最中だ。

 

 うん? みんな(エレナ含む)は仲良く気絶してるから、一人一人に元の弾力を保ったままの白濁光を用いた、空中浮遊式マットレスモドキに乗せて運んでるぜ(元となった材質知ったら発狂しそう)

 当然、臭いは無いぞ。あくまで感触だけ元のアレのままにしてるだけだからな(それはそれで汚い)

 あ、もちろんこのマットレスモドキは俺が自在に操れる上、エレナちゃんが寝てるのだけは粘着性も元の状態を保たせてるから、とりもちの役割を果たしてくれるぞ。

 一応人質だからね。この対応は仕方ないよね☆

 

 ……いやーそれにしても、眠ってる女の子達見て邪な気持ちも湧いたけど、一緒に眠ってるエミヤを見て、冷静になったわ。

 この局面で不用意に触れて大賢者モードとか笑い話にもならねぇしな。

 

 あと、そんな輸送手段を見ていたカルナになんか妙に感心されたんだが、あれは嫌みかね?

 お前、もっととんでもないことしてんじゃねーか。

 目からビーム放ったり、周囲一帯を蒸発させかねない炎を纏った槍を投擲してきたり。

 特に俺は、秘蔵の封印越しに本質に近い情報を覗かれるなんて初めての経験だったってのに(初体験並感)

 

 

 

 

 ハァ、やだわーもう。乙女の秘密を暴くな・ん・て(急なオネェ)

 

 

 

 

 …………気持ち悪ッ!!(自滅)

 茶化し方を盛大に間違えたぜ、吐きはしなかったけど、えずきが止まらうえっぷ……。

 クソが……一つ間違ったら吐瀉物(お好み焼き)生成機になり果てるところだったわ。

 ……一度落ち着こう。幸いオカズならいっぱいいるし。

 

 

 

 さて、最初は誰でシようか(最低な精神統一法)

 

 

 

 まず候補に挙がるのは俺のマスター、藤丸立香ちゃん。

 このカルデアに来て初めてのオナネタ相手であり、未だにトップスリーに食い込む程の愛用のオカズだ(※彼にとっては褒め言葉です)

 ずっと思ってたんだけどさ、カルデアの制服デザインした人って変態じゃない?(迷推理)

 いやだって、あんな胸が強調されるようにベルト付いてるとかアカンでしょ。あんなもん男なら誰だってガン見するわ。

 その上、立香ちゃんの趣味なのか魔術礼装の仕様なのかは知らんけど、黒タイツ着用よ? 上も下も隙が無さすぎじゃろ。あ、もちろん胸派尻派みたいなフェチ的な面の隙の無さね? 立香ちゃん自体は若干無防備というか、隙だらけなとこあるし。

 まあ、何が言いたいかと言うと、カルデアの制服のデザイン考えた奴マジグッジョブ(同じ穴の狢)

 他の礼装もスケベだよね? カルデア戦闘服なんか体の線出まくりやし、魔術協会の礼装なんかへそチラしてんのよ? んでアトラス院はメガネ! はもちろんのこと、あんな短いスカートに横スリット入ってるとか控えめに言って最高だよな。つまり総じて全部エロいってことだが(身も蓋もない)

 絶対カルデア職員の何人かは、隠れて立香ちゃんで抜いてると俺は確信している。

 まあ、それくらいは許してやるよ。溜まる気持ちは俺にもわかるし、俺は寛大だからな。

 しかし、露骨に見せびらかしてきたり、立香ちゃんに迫るような輩はナイチンにしてやんぜ!!

 前者はモロチンの野郎だな! また魔神柱(チンコ)露出してきたらこの前以上に酷い方法で去勢してやるさ。

 後者が現れたら……その時はどうしてやろうか?

 

 

 

 え? 長い? まだ語り足りないんだが……はいはい、わかりましたよ。次な次。

 

 

 

 マスターの一番のパートナー、マシュ・キリエライト。

 屈指のオカズ率、不動の第一位(最低) いやだって一番彼女と一緒に戦闘出てるんだから自然とそうなるでしょ?

 マスターは基本後方で指示だけど、マシュの直ぐ近くが戦闘での俺の定位置だし、宝具(こかん)の発動時間短縮の為に彼女をオカズにした回数は数知れず、ですし。

 マシュのスタイルはまさしくパーフェクトマシュマロボディだ。あの体付きはズルい。

 人によっては凶器に匹敵する。俺は狂喜乱舞したぜ。

 第一、マシュに力を貸した英霊が与えた格好がまずいよね。彼女の高い魅力をさらにはね上げてんだ。

 とにかくエロい! 完全にドスケベ衣装やん。どこの英霊か存じませんがありがとうございます! やっぱり父親の血は争えませんね!

 特に鎧なしのレオタードみたいなインナー姿なんか、もうナニをするためでしかないようなお姿だし。

 初めて見た時は思わずガッツポーズからの、股間のビルドアップからの、チャージショットをしたことは記憶に新しい。

 彼女がシミュレータを使った自主練する時によくその姿になるんだよなー、いやー眼福眼福。

 うむ? 何故自主練でしかしない姿を見たことがあるんだって?

 何回かマシュの特訓に付き合って上げてるからさ。

 報酬はその姿と彼女の汗の香り、上気した顔を見たり嗅いだりできるだけでお釣りが来るってもんよ。

 さらに美味しいのは彼女がデミ・サーヴァントであり普段はメガネと白衣に黒ストという、一粒で二度美味しい格好してることだな。

 

 

 

 …………あれ? なんか独りオカズ品評会みたいなことしてたら、落ち着いて来ちゃったぞ? 逆に我が息子は直立不動のバッキバキだから緊張状態に入っちゃったがね。

 よし! ここで止めるのも気持ち悪いし、リリィちゃんについても語ろうか(もうやめい)

 

 

 

 アルトリア種の中で唯一の純真無垢なエンジェルセイバー、アルトリア・リリィ。

 可憐って言葉がここまでしっくり来る少女もなかなかいないと思うよ、うん。控えめに言って天使だよね。

 アルトリア種はみんなオカズだが、その中で最も背徳感を覚えるのが彼女だ。

 良いよね背徳感……エロいことをする場合に限っては興奮を与えてくれる最高のスパイスだよな。

 天使な彼女を妄想内で汚すのは極めて快感!

 特にお気に入りの妄想は、両手を拘束して吊るしながらやる辱しめプレイだな。

 清純なリリィだからこそ映えるシチュエーションだ。

 あと、衣装が良いよね衣装が。まさに姫騎士って感じで。

 基本的にいらんことしかしないあの引きこもり夢魔もたまには良いことするよな。

 あの服装選ばせたのアイツみたいだし。

 まあ、ヤリチンだから俺はアイツ嫌いだけども。

 

 

「フォウフォウ!」

 

 

 ん? おや? この白いモフモフって。

 

 

「……キミは無事だったのか、フォウ」

 

「フォウ!」

 

 

 マシュの盾の裏にでも隠れてたのか?

 平然と出てきたなコイツ……てか、さっき頷いてたような。

 あ、そういえば! フォウにはそりゃ人間に比べて俺からの拒絶感情なんざほぼないに等しいから、秘蔵の封印が上手く働いてない感じなのか。

 え、にしたって俺の考えてることがわかったの?

 知性ある変わった小動物(マスコット)だとは思ってたけども……あれ? さっきの頷きは同意って解釈できる?

 つまり。

 

 

「もしかしてキミ、マーリンのこと知ってて、その上嫌いなのかい?」

 

「フォウフォウフォウ」

 

 

 激しく頷いてるゥゥ!!

 まさかの意気投合である。

 同士がこんな近くにいたとはなー。

 

 

「……フォウ。キミとはカルデアに帰還してから、じっくり我が自室で語り合いたいものだ」

 

「フォーウ、フォウ」

 

 

 俺は彼のちょこんとした前足と握手を交わした。

 フォウくん。お前とはカルデアで初の本音で語らえる友人になれるかもしれないな。

 思いっきり愚痴を言い合おうぜ! 俺もアイツとは同じボッチとして、何かと変な縁が……まあ、この話も含めてカルデアで話すか。

 だから今は。

 

 

「マスターやマシュを見ててやってくれるか?」

 

「フォーウ!」

 

 

 良いお返事と共に彼女達の元に駆けてったな。

 いやー、利口だねフォウくんは。

 カラーリングがあの人でなしとそっくりなのに、中身は似ても似つかないぜオイ。

 

 獣より劣る人間性ェ……。

 

 そういやあのクズボッチって今はナニしてんだ?

 世界は人理焼却なんて大変な事態になってる訳だが……いや予想は簡単だわ、相変わらず妖精郷でニートしながら悪趣味な観察してんだろうなー(遠い目)

 ハァ……見た目だけなら俺の好みだってのに、声もあれだが人格がクソ過ぎて、なんて残念なんだ(おまいう)

 俺達のこともずっと見てるんだろ? 俺は秘蔵の封印の効果で見られてないだろうけど…………待て、だとするとマスターとかマシュのことも常に見てるってことだよな……。

 

 

 

 

 

 

 ……野郎! まさか俺の許可なく立香ちゃんとかマシュの着替えやらお風呂時のモロ全裸やら千里眼で見てんのか!?

 フッフッフッ……マーリン顔貸せや、今度会ったら屋上に来いよぶっ飛ばしてやっから!!(……擁護不能)

 

 

 

 

 

 

 クソが! なんかイライラが募ってきたわ!

 あんな奴のこと思い出すんじゃなかったぜ……おかげで嫌な可能性も思い付いちまったし。

 …………しゃーねぇか、リリィとは別の天使でも見て落ち着……────────ッッッッ!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を向けた件の別の天使、クリミアの天使ことナイチンゲールさんが、無機質な赤い目で俺を凝視してるんですけど!? 思わず目が合っちゃったんですけど!?

 めちゃくちゃ内心キョドってるが流石は秘蔵の封印。バッチリいつもの仏頂面だ。

 だがここで無視するのもおかしいので、おずおずとだが声をかけることにする。

 

 

「………………目を覚ましてたのか」

 

「ええ。つい先程」

 

 

 えぇ……その体勢のまんまで普通に返答かいな。

 ホバー移動式白濁マットレスで横になったままの彼女から、赤い眼光が突き刺さるんじゃが。

 まるで監視カメラのようだ。

 ぶっちゃけシュールな絵面だが、なんか恐い。

 

 

「現在の状況をお教えいただけますか?」

 

「……ああ」

 

 

 お、おう……寝そべったままなんスね。

 もしかして婦長、マットレスモドキの感触気に入っちゃった感じ?

 確かに婦長以外はまだ気持ち良さそうにグッスリ眠ってるしな。

 これが人を駄目にするマットレスか……(種汁の感触)

 

 まあ、ここまでの経緯を話すくらい寝そべったままでも問題ないし、軽く説明するとすっかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────という訳だ」

 

「なるほど……そういうことでしたか」

 

 

 簡易説明を終えても未だ寝そべったままな婦長。

 気に入ったんですね? 喜んでる表情にはとても見えないけども。でも体はリラックスしてるように見えるし。

 

 ただし凝視は現状維持。

 

 恐いって! 何なの? 何か言いたいことがあるならさっさと言って欲しいんだが!?

 ……クソッ! スキル・二次元シミュレーションでも婦長の狂化が強すぎて思考が読み取れねぇ! これだからバーサーカーは困る!

 っと、これはケルト臭……? お! 先頭で道案内してたカルナが戻ってきやがったぞ?

 

 

「……すまないが、敵だ。オレ一人でも蹴散らせるが、それは周りの被害を考えなければの話だ。つまり────」

 

「協力した方が良いんだろう? 手早く済ませるぞ。この程度の連中ならマスターを起こすまでもない」

 

「……私も手伝いましょう。ケルトの戦士を粛清します。徹底的に。病原菌は殺菌しなければ!」

 

 

 お! なんか名残惜しげに漸くナイチンさんも起き上がったか。これであのシュールな光景はおしま……凝視は続けんの!? もう何なのさ! 居心地が悪いってレベルじゃねぇんだが!?

 

 まあ、今はわらわら集まってきた敵を屠ることに集中して気を紛らわすかね。というか戦闘には集中して下さいよナイチンゲールさん?

 

 つーか、やっぱりケルト兵か……! それとコイツらみんなオッサンの外見なのになんで女の匂いが染み付いてんだ? しかも全員同じ女の匂い……スキル・二次元シミュレーション演算開始────完了。

 

 

 ははーん? コイツら全員一人の女に生み出された量産型か。そしてその女ってのは恐らく十中八九サーヴァント。

 

 

 …………この匂いを漂わす女のサーヴァント。

 もしや俺が警戒する天敵の()()()()()()()()の可能性が出てきたぞ。

 予測が外れてくれると助かるんだが、な!

 

 

 強烈に重そうな、周囲にあまり響かない打撃音。

 

 

 俺はケルト兵が槍で突撃をかましてきたので、最小限の動きでそれを避け顔面にクロスカウンターをぶちこんだのだ。

 その後直ぐ様性剣を展開し、伸縮自在かつ鞭のように扱える光の刃を用いて、ケルト兵を一掃しにかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは唐突だった。

 今まで無言で見ていただけのナイチンゲールが。

 まさかの戦闘中に話しかけてきたのは。

 

 

「賢者のアヴェンジャー。少しよろしいですか?」

 

「……なんだ? こんな時に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと視診させてもらっていましたが貴方。皆さんには上手く隠しているようですけれど、かなり心を病んでいますね。私の目は誤魔化せませんよ」

 

「…………なんのことだ?」

 

 

 目の前のケルト兵を容易く性剣で斬り伏せ、平静を保ったふうを装いながらも、俺は焦りを覚えていた。

 

 ギクリとしたのだ。

 表情には出ていないはずだが、今までで一番の警鐘。

 正直マシュ達が未だ気絶してる上、戦っているケルト兵とは若干距離が離れているからこそ、内心の動揺もそこまで酷くないのが幸いか。

 

 モロチンの千里眼など恐るるに足らず。

 スキル・秘蔵の封印は絶大だ。

 俺が拒絶さえすれば必ず秘密を外には漏らさない。

 ……いやまあ、ついさっきカルナの眼力には多少情報漏らされたけどさ。でも真相にまでは辿り着かれてないし、ヤバい洞察スキル持ちなのも間違いないから奴は例外だろ。

 

 そう、カルナはあくまで例外なのだ。

 にもかかわらず、ナイチンゲールは俺の本性に感付いたというのか……!? 二次元シミュレーションで算出した感じだと、そんな秘蔵の封印を破るようなスキルを彼女は持ってないはずだぞ!

 つーかさっきから凝視されてると思ったら、視診だったんかい!

 いや、だが心を病んでいる? 俺の本性が病んでいるように見えるってことか?(ある意味病気だろ)

 てか何処が病気だし! 健康優良児そのものじゃん。男が女を求めるのは本能だろ? 俺は本能に多少忠実なだけだ(多少……?)

 

 

「……もしや気付いていないのですか? 自分が病んでいることにすら。……いえ、貴方は目を逸らしているだけです。向き合いなさい」

 

「…………」

 

 

 俺が目を逸らしている? うん? なんか俺の本性のことではないっぽいな。でも向き合えって言われてもなんのことだかさっぱり────

 

 

「病状まではわかりませんでした。ですが貴方が病気だということ。あなた自身が抱える病に向き合わなければ、治らないということだけは、私が直接貴方を見て確信しています」

 

 

 ────職業柄なのか知らんけど、何なのその直感力というか洞察力的なの……カルナはまだ仕方ないかって思ったりもしたけど、ナイチンゲールさんに関してはスキル関係なしに秘蔵の封印をすり抜けてんの? どうなってんだよマジで。

 

 

「私が嫌いなものは『治せない病気』と『治ろうとしない患者』です。貴方は恐らく後者。()()()()()()()()()()()は愚か者のすることです。まずは自身が病人だと認めなさい。そうでなければ私は治療を始めることすらできません」

 

 

 拳銃をケルト兵に容赦なく発砲しながら、一切のブレもなくナイチンゲールは俺にそう告げた。

 視線は常に俺に合わせたまま、だ。

 片手間に処理されるケルト兵ェ……。

 

 それよりも。

 

 事実から目を逸らす? ……………………もしや、そういうことなのか? 

 

 

 

 

 

 よく俺の心の声に反応してかとんでくる補足のような毎度声の違う言葉の数々。

 

 魔神柱を初めて見た時に頭に流れ込んできた謎の意思。

 

 モロチンが帰っていった後に頭に何故か刺さっていた二つのブーメラン。

 

 そして、時折とんでくる毎度同じ声による辛辣な台詞。

 

 

 

 

 

 あれらは幻聴ではない? あの謎の意思はもしや何処か別のとこから直接流れてきた? ブーメランを投げつけてきた『誰か』がちゃんと存在する? 全部、俺の脳内ファンタジーが作り出したセルフツッコミだとずっと()()()()()()()()()────あ。

 

 

「……貴方が何を考えているかまでは窺い知ることはできませんが、何かに気付いたようですね。その調子で向き合って下さい。そうすれば私も本格的に治療ができます」

 

「……………………………………善処する」

 

「どうやら想定より症状は軽そうですね」

 

 

 ケルト兵の扱いがかなり雑ではあるが、ちゃんとお互い仕事はこなしていた。

 

 でも……マジか。まあ、実際今無意識に思い込もうとしていたことを自覚したから、間違っては無さそうだけど。

 

 えっ、じゃあ何? 俺が語りかけてたブラザーって、俺が勝手に作り出した脳内フレンズじゃないの?(気付くの遅すぎワロタ)

 

 

 

 …………完全に馬鹿にされたね今。

 つーか複数の笑い声まで聞こえるね……もしや俺の中にいるのか? いや誰が?

 こりゃ、なんか色々と俺が今まで『普通』だと思って生きてきてたことに『間違い』がてんこ盛りな気配が……。

 

 

 俺自身の真実を、俺が把握してないって事態にまで発展したとなると……秘蔵の封印で『過去の俺』が色々と拒絶してる可能性まで出てきたんだが。

 

 

 うーん……いったん保留にしよう。

 今は戦場だし。

 でも、これはどちらにしろ『真実』とやらと向き合う必要が出てきたかな……。

 

 

「本来なら一刻も早く貴方を治療したいところですが、患部は複数。こういう状況では優先順位(トリアージ)が重要なのです。全ての命を救うため、根幹治療の手段を確保した後、貴方を治療致しましょう」

 

「……いや、あとは自力で治すさ。我の病状は何となくだが理解した。キミのおかげだナイチンゲール」

 

 

 会話をしながらも互いにケルト兵を斬り刻み、撃ち殺す。

 

 

「……そうですか。ですが念のためベッドの上でお休みになられた方がよろしいかと」

 

「大丈夫だ。そこまで我は軟じゃない。精神力は相当なものだと自負しているからな」

 

 

 でなきゃ、500年以上も異空間に引きこもって、オナりながらボッチ生活してな…………あ?

 

 

 ちょいと待った。

 

 

 俺って記憶が色々と磨耗してるのは確かなんだが、500年までは間違いなく数えてたんだ。

 だが()()()()()()()()()()()()()()()()けど、その500年を数える一番最初の頃から、()()姿()()()()()()()()()()()()んだよな……。

 

 

 

 

 これってどういうこと……?

 

 

 

 

 何とも言えない気持ち悪さを感じながらも、俺は最後のケルト兵を性剣で串刺しにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の()()()()()の男がいた。

 

 彼は独りだった。

 

 なのにたくさんいた。

 

 矛盾している。

 

 

 

 一人しかいない彼の中に入りきらない程の『誰か』。

 

 

 

 明確な姿もなければ声だって聴こえない。

 けれど、思念だけは伝わってくる。

 

 

 

 ──ヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろ。

 

 ──女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ。

 

 ──抱きたかった、入れたかった、突っ込みたかった。

 

 ──捨てさせろ、捨てさせろ、お前と一緒に捨てさせろ。

 

 ──神なら叶えろよ願いを、無念を晴らさせろよ。

 

 ──イきたい、イきたい、イきたい、イきた────

 

 

 

『うるさい! 黙れっ!!!!!!!!!』

 

 

 

 ────思念が止んだ。

 

 青年の叫び声によって。

 

 

『オレは、お前らの無念を晴らす為に神になった訳じゃ断じてない! オレはオレのモノを捨てたいが為に、今まで生きてこの座にやって来たんだ! なのになんで意志が弱かったから死に果てたお前らみたいな負け犬が、オレが現れた途端チャンスとばかりに魂だけで舞い戻ってきてんだ!? そんだけの意志力がありゃオレ程じゃないにしても、オレより下の同胞くらいにはなれたはずだろうが! だってのになんで今更戻ってきやがった!? オレに取り憑くためだけに! わざわざ神に手が届いたオレに追い出されないよう集合意識のような魂の塊になってまでして!! お前らの尻拭いをオレがしてくれるなんて都合の良いこと考えてんじゃねぇよ!!!!』

 

 

 ──うるさいうるさいうるさいうるさい!!

 

 ──神の名を得たのなら我らの願いを叶える義務がある!

 

 

『そんな義務なんざありゃしねぇ!! 勝手にオレの中に居座っておいてそんなルールを作ってんじゃねーよ!! さっさとオレの中から出ていけ!!』

 

 

 ──我らの無念を叶える気がないならばその身を差し出せ!!

 

 ──そうだ!

 

 ──いい加減に抗うのをやめて差し出せ!!

 

 

『うるせぇ!! テメェらなんざに差し出したら片っ端から女子共を私欲のままにヤろうとするだけだろうが!』

 

 

 ──無念なまま死に絶えた我らの悲願『◼◼を捨てさせてくれなかった世界への復讐』。それを叶えようとしていったい何が悪いと言うんだ?

 

 

『そんな考えの奴らにオレの体の主導権をくれてやる訳ねぇだろ! 動物と変わらないどころか、動物以下じゃねーか。ヤるだけヤッてポイ捨てするテメェらと、つがいとして共にいようとする動物。動物の方が余程利口だ。捨てられればなんでも良い、捨てた後の先のことをまるで考えていない。捨てることが目的になっちまってるテメェらに、捨てる資格がある訳ねーだろうが!!』

 

 

 ──フン、貴様は捨てようと思えば捨てられたくせに捨てなかった。何をそこまで頑なに抑え込んでいるのか理解に苦しむぞ。

 

 ──そうだ。あらゆる世界で最も◼◼を捨てるのが容易かったはずのお前が、◼◼の頂点に君臨するなど訳がわからない。……まあ、常に流れ込んでくる我ら以外の◼◼達の欲に抗える、その異常な精神力があるからこそ◼◼◻◻◻に選ばれたのだろうがな。

 

 ──ハッ! 俺らがもし◼◼◻◻◻だったら獣に即刻なってたぜ! お前だって成りたくて◼◼◻◻◻になったわけじゃねーんだろ? だったら体を明け渡せ。その役目俺達が代わりに担ってやっからさ!

 

 

「……いい加減耳障りだ。失せろ。オレはお前らみたいに私欲まみれになるつもりはない。オレはオレが捨てたい時に捨てる」

 

 

 ──…………ならお前は何故捨てたいのだ?

 

 

『は? 何故ってそんなもの決まって────え……いや。待てよ、そんなはず……そんなはずは! 嘘だろ……まさかそんな…………なんでオレは、捨てたかったんだ……?』

 

 

 青年の記憶は長い時間の中で磨耗していた。

 だが、それ以上に流れ込んできた名も知らぬ『誰か』の大量の記憶と時間。

 それらに抵抗し続けて自分を保っていた彼も、元々持っていたはずの大事な記憶が欠落していることには今の今まで気付けなかったのだ。

 

 

『……………………封印する』

 

 

 ──な、に?

 

 

『オレもテメェらもまとめて封印する。これ以上の記憶の磨耗と欠落を防ぐために永久に封印してやる。その間にオレの元の記憶を再構築する』

 

 

 ──そんなことをすれば、どうなるかわかっているのか!?

 

 

『今のオレではなくなるが、それでも「俺」であることには変わりない。断じてテメェらではないんだ。「俺」なら捨てたいという意志は残っても、テメェらによって増幅した激しい欲求があろうと、誰彼構わず女子共を襲うケダモノには成り果てない。そうなるとオレは「俺」を信じてる』

 

 

 ──やめろやめろやめロヤメロヤメロヤメロ!!

 

 ──我らの意識がないままもしも捨てられたら、我らは感覚だけで成仏してしまう!

 

 ──いや、それどころか卒業でなくとも感覚だけは流れてくるのだとしたら……ただ果てるだけで目的を達成せずして、我々は完全に成仏してしまうのでは……。

 

 

『だろうな。意志力が弱いからテメェらは()()()()にはなり得なかった。馬鹿みたいに集まって漸くオレ相手でも存在を保てた。その妄執をテメェらは意識的に同時に発揮させることで意志力に変え、オレに対抗していた。つまり意識を封印してしまえば、所詮は烏合の衆。物理的に吐き出されて、そのままもう一回死ね』

 

 

 ──嫌だ嫌だいやだイヤだイヤダ!

 

 ──そんな死に方は嫌だ! 人間ですらない! ただの細胞に成り果てて死ぬなど!

 

 ──こんなことになるなら、戻ってこなければ良かった!

 

 ──無念のまま死んだ方がまだマシだった!

 

 

『後悔するのが遅いぜ。「秘蔵の封印」最大出力! 誰にも知られず魂さえも死に絶えるが良い!!』

 

 

 思念は一瞬にして消え去った。

 そして、青年も電源が切れたロボットの如くその場に倒れ伏す。

 

『彼ら』はこの日、世界の記録から消え去った。

 いつなのかもわからないが『彼ら』の痕跡は永遠かもしれない眠りについたのだった。

 そして『青年自身』の意識も。

 

 

 

『ん……なんだここ。…………ああ、「俺」の住居か。ぐっ!? 頭が割れるように痛い!! 「俺」はいったい誰なんだ……? 保有する記憶があまりにも多すぎる……「俺」はなんなんだ────────…………まあ、どうでも良いかそんなこと。名なら一応あるしな。神としての名が。そんなことよりさっさとイクか!!』

 

 

 

 

 

 こうして『彼』は誰に知られることもなく目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……今のは夢?

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、先輩……!」

 

「マシュ……? ッ…………頭が痛い……」

 

 

 あれ?

 確か私、賢者さんを一人置いて逃げるなんてやっぱりできないからって、戻ろうとした直後に、槍が降ってきてるのを目撃して、思わず距離的に届くはずもないのに賢者さんに手を伸ばして、それで……そこから記憶がないや。頭もズキズキするし。

 

 

「良かった、起きました!」

 

「無事で良かったです。……マスターだけがなかなか目を覚まさないので心配しました」

 

「あはは……心配かけてごめんねみんな」

 

 

 私、やっぱり気を失ってたんだ……なんか変わった感触のベッドってこれ……この色、光ってるってことは賢者さんがよく使ってる光の術かな? こんな応用も利く────!?

 

 

「そ、そういえば賢者さんは無事なの!?」

 

「マ、マスター!? か、顔が近いです!」

 

「あ! ご、ごめんリリィ」

 

「落ち着いて下さい先輩! 賢者さんならほら、今はあちらでレディ・ブラヴァツキーと話をしています」

 

 

 慌てて後ろを振り向けば、浮遊するベッドの上で寝たきりなままのエレナ・ブラヴァツキーと、会話を交わす後ろ姿の賢者さんが。

 良かった……何ともなさそう。

 ほっと胸を撫で下ろすと、ナイチンゲールさんが声をかけてきた。

 

 

「簡単に状況を説明します。宝具の一撃を貴女のサーヴァントが防ぎました。が、その余波だけで賢者のアヴェンジャー以外見事に失神。その後、彼がエレナ・ブラヴァツキーを人質にしてカルナを脅迫。結果、王に会うことになりました。以上です」

 

「…………………………………………えっ?」

 

「あのナイチンゲールさん、その説明だと先輩に誤解が……」

 

「何か問題でも?」

 

 

 えっ……えっ? 賢者さんがエレナちゃんを人質にしてカルナを脅迫!? ど、どういうこと? しかも結果王様に会うことになったって……えっ? もしかして賢者さんが犯罪者認定されて捕まっちゃうってこと!? え、どうしよう? えっとえっと! と、とにかく賢者さんを連れて逃げなきゃ……!

 

 

「それでは端折り過ぎだナイチンゲール女史。仕方がない、私が代わりに一から説明しよう。だからマスター、混乱から立ち直ってくれ。恐らく君が考えているようなことはない。誤解だ」

 

「……ふぇっ!? ご、誤解?」

 

「ああ、実はだな────」

 

 

 割り込んできたエミヤからのフォローに満ちた説明を受けて、私は酷く安心した。

 私達を守る為に賢者さんは仕方なくエレナちゃんを人質にして、カルナに交渉を持ちかけたんだってわかったから。

 もちろん私は賢者さんが一方的に悪いことをするなんて思ってなかったから、いったんほとぼりが冷めるなり、潔白を証明する為の時間稼ぎとして、賢者さんを連れて逃げようと考えたんだけどね。

 

 

「────で、今は拘束はされないものの、条件として任意同行という形で王に謁見しに行くことになった訳だ。理解してもらえたかね?」

 

「なるほどー、ありがとねお母さん」

 

「誰がお母さんだ誰が」

 

 

 流石はエミヤ。

 わかりやすく簡潔に説明してくれた。

 少し離れた場所にいたのに、ナイチンゲールさんの発言を耳にして、わざわざ説明しに来てくれる辺り、この面倒見の良さはお母さんでしょ。

 

 

「相変わらず君というやつは。……まあそれはいい。それよりも先程は流石に肝を冷やしたぞマスター。いきなり逆走し出すんだからな。……やはり賢者か?」

 

「えっと、うん。ごめん。でも、賢者さんに無茶な殿をさせておいて、マスターの私がただ逃げ延びるなんて……どうしてもしたくなかったんだ」

 

 

 賢者さんがあのとんでもない大英雄、カルナの足止めをしてくれた。

 私達が離脱する時間を稼ぐために。

 頭ではマスターである私が生き残りさえすれば、ここでサーヴァントの賢者さんがやられたとしても、カルデアに帰還するだけだってわかってた。

 でも心の奥底では、また賢者さんに頼り切りなまま、背中を向けるのが、諦めるのが、逃げ出すのが、たまらなく私は嫌だったんだ。

 

 ロンドンでの覚悟を無駄にしたくなかったから。

 

 私自身は戦えはしないけど、それでもマスターとサーヴァントは運命共同体だと思ってる。

 サーヴァントがいくら替えのきく『兵器』なんだとしても、心がある彼らを蔑ろにして、自分だけ傷付かずにのうのうと生き延びるのは我慢できなかった。

 

 私は魔術を扱う者としては未熟も未熟。

 支給された魔術礼装や令呪が無ければ、サポートさえまともにできない技量不足の落ちこぼれ。

 マスターとしては不甲斐ないことこの上ない。

 でも、それでも。

 

 

 賢者さんが私を唯一のマスターだと認めてくれた。

 

 

 それだけで私のやる気に火を付けるのには充分だった。

 天才なんかじゃないからマスターとしての実力を急には伸ばせない。

 だから私は自分が今すぐにでもできることを探した。

 

 

 答えは簡単だった。

 マスターは司令塔、結局は最終的にサーヴァントの力頼りになる。

 だったらサーヴァントひとりひとりと交流して、彼ら自身を知ることが重要だと思ったんだよね。

 有名な伝承や噂に踊らされず、個々人と真正面から向き合って、その上でサーヴァントの意に沿えるように努力する。

 まずは信頼を勝ち取って仲良くなる。

 

 どうせ私に彼らを『兵器』として見て扱うなんて、土台性格的に無理だし、必然的に犠牲を出して戦うなんて選択をわざわざ取ろうとも思えない。

 なら、もっとサーヴァントのことを知るために、情が湧くような方法を取ったって問題ないって考えたんだ。

 

 サーヴァント個々人を知ることができれば、何ができて何が苦手なのか、何が得意で何をしたいのか、それらをもとに戦術を組み立てる。

 

 

 

 そして何よりサーヴァントひとりひとりを大切にしたい。

 

 

 

 その気持ちが、私が掲げるマスターとしての誇り。

 

 だからそう思うきっかけをくれた賢者さんを見捨てる真似なんて、できるはずもなかったんだ。

 まあ、実際は助けなんて必要なかったみたいだけど……。

 

 

「ハァ……賢者を君が心配するのはわかるが、そういう時こそ令呪を使いたまえ。こちらから向かわずとも、逆にこちらへ賢者を強制的に呼び戻せば済んだことだろう?」

 

「あ」

 

 

 私はエミヤに言われて、ハッとなり右手の甲を見た。

 そこには当然、三画未使用の令呪。

 お、おかしいなー? 冷や汗が出てきたよ?

 あんまり前を向きたくないなー、下を向いたままでいたいなー、なんて。

 チラッと上目遣いで見てみたら、叱ってる時のお母さんみたいな雰囲気を醸し出しているエミヤと目があった。

 

 

「……さては令呪の存在を忘れていたなマスター? うっかりし過ぎじゃないかね?」

 

「軽率でした! 本当にごめんなさい!!」

 

「まったく。何とか今回は無事だったから良かったものの……君はもう少し自分の身を大事にしたまえ。そもそもだな、君は危機感が色々と足りてない────」

 

 

 そこからはエミヤからのくどくどと長いお説教だった。

 今回は私の判断が悪かったから叱られても仕方がないし、ぐうの音も出ないよ。

 私のバカ。相変わらずの未熟者。

 

 

 

 

 

 

 

 

 途中からエミヤの説教がカルデアの家事全般についての話に脱線したのを機に、私はさっき見た夢について反芻していた。

 

 

 あれが隠者さんが言っていたこと、だよね?

 

 

 今朝も、たぶんマシュの過去を夢で見たから、あれも賢者さんの過去だと思う。

 夢だったから少しうろ覚えだし、表情は見えなかった。

 だけど服装や声は同じだったから間違いないと思う。

 

 でも、夢で見た『最初の』賢者さんも、『その次の』賢者さんも私が知ってる賢者さんじゃなかったんだよね……。

 だって口調がまるで違う上、テンションも随分と高かったし。

 

 私が知ってる賢者さんは基本的に寡黙で、喋るとしてもあんなにテンション高くないし、それに賢者さんは自分のことを『我』って言うしなー。

 

 …………記憶が磨耗してたり欠落してるとも言ってたよね?

 それでその磨耗を防ぐために意識を封印したって。

 じゃあ、今の賢者さんは色々と封印した上であんな感じになったってことなのかな?

 

 それに『最初の』賢者さんの中になんかいっぱい誰かの意識があったのも気になる。

 言葉は無かった上、何か意思というか思念みたいなのは感じたけど、何を伝えてるかまでは断片的にしかわからなかった。

 でも『最初の』賢者さんに無理矢理取り憑いて、抵抗する賢者さんの体を操って何かをさせようとしていたことだけは確かだ。

 まあ、あの夢の通りならそのたくさんの誰かはもういない可能性が高いのかも。

 

 

 結局、私にとっては疑問の方が増えた感じだよ。

 でも、わかったこともあった。

 

 

 賢者さんが何かの『神』だということ。

 

 

 捨てたいものを思い出すために『過去の』賢者さんが恐らく眠っているということ。

 

 

 そして同時に浮かんだ不安。

 

 賢者さんはずっと何かを捨てたいって願ってた。

 それはつまり、記憶が再構築されれば『過去の』賢者さんが目覚めるってことなんじゃないのかな? って。

 だからこそ不安が過った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 もしも『過去の』賢者さんが目覚めたら『今の』賢者さんはどうなっちゃうんだろう?

 

 

 

 

 

 

 私が最悪の展開を想像しかけたところで────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目的地にちょうど到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────それが果たして良いことだったのか、それとも先伸ばしにしたに過ぎなかったのか、今の私にはわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたには見事にはめられたわ」

 

 

 エレナママが目覚めた直後、開口一番俺に告げたのがこの一言だった。

 

 

 って、ハメられた!? えっ! いや俺ハメてはないはずよ? 視姦しただけで!

 それとも無意識にハメてたパティーン!?

 

 もしや『いつからお前が童貞だと錯覚していた』的な展開なのか?

 いつの間にかエレナママで童貞卒業してたってこと?

 

 なるほど、それならカルナがさっき言っていたことにも納得がいく。

 

 

『お前が内心で何を思っていようと、その野望の成就を他ならぬお前自身が邪魔をする』

 

 

 即ち、もう童貞を卒業してて童貞じゃないんだから、もう一度卒業することはできないってことだな!?

 そうか……俺はもう願いを叶えてたのか。

 

 

 エレナちゃん、キミが俺の鞘(意味深)だったんだ────

 

 

 

「まさかカルナに匹敵する強さのサーヴァントだったなんて。流石に予想外だったわ」

 

 

 

 ────あっ(察し) そっち?

 

 ハメられたってそっちの意味?(当たり前だろ)

 

 何さ! さっきまでツッコミなかったじゃねーか!?

 今頃ツッコミやがって……マジうぜぇ!

 

 

 俺は婦長に指摘されて自分と向き合う選択を取ることにした。

 つまり『過去の俺』とやらが俺自身にかけた秘蔵の封印を緩めるという選択。

 いや、実のところ秘蔵の封印がかけられていた自覚すら無いんだけどな?

 

 だが、実際かかっていた。

 しかも俺の今の意思力じゃ枷を外しきれない程のロックが。

 

 しかし、幾つかの封印は解かれた。

 結果『中にいる奴ら』と『外にいる奴ら』を知覚できるようになったのだ。

 

 そのため『中にいる奴ら』と『外にいる奴ら』を意識し出したせいか、至近距離で大勢の笑い声と笑い声の真ん中に立たされてる感じになってんだが!?

 

 

 やめろや! 爆笑すんな! うるせぇわ!

 

 

 ちくせう……いや、わかってたよ。

 

 卒業してたらまずここにいないってことに(泣)

 大賢者モードにすらなってない時点でお察しですよ(涙)

 

 それに意識が途切れた覚えも無いしな。

 

 

 

 

 

 まあ、正直ちょっとホッとしてんだがね。

 意識があったのに知らん間に初体験済んでたとか、一種のホラーだろ。

 つーか、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女体を拝まずして、感触、匂い、味、快感を堪能せずして、何が童貞卒業か!(欲望駄々漏れ)

 

 

 しかもエレナちゃんがお相手だってのに艶姿見られてないとか、自殺もんだろそれ。

 やり直し要求案件だわ。

 

 よし、今すぐヤろうぜ!(無理です)

 

 俺のマハトマ(意味深)を感じさせてよがらせ、第一の光(白濁)とか第二の光(白濁)を、彼女の霊基に着弾させてやっから!(パイプカット不可避)

 

 

 じょ、冗談だよ。やだなー(目逸らし)

 

 

 

 

 そんな訳である意味良かったぜ……いや、ヤれてないのは正直な話、残念なんだけどな?

 

 

「それよりもあたし、あなたに言いたいことがあるの」

 

「……なんだ?」

 

「なによ……これっ……! 起き上がれないどころか動けないじゃない!」

 

「とりもちだからな。悪いがキミは人質だ。大人しくしてもらおう」

 

 

 正直、ネバネバマットレスで横になったまま動けないエレナママ。最高だぜ!

 何度見イキしたことか。

 ん? 今? シてますが何か?(牢獄直行案件)

 

 

「…………ま、こっちも強引な手段で捕らえようとしたんだし自業自得、か。よくってよ。当初の目的通り王様には会ってくれるみたいだし。こっちは負けた身だものね、今はあなたの言う通りにしてあげる」

 

 

 それは……性交の合意と見てよろしいですね?(よろしかないわ)

 

 

「それに王様に会って、あなたがこっちの味方についてくれるかもしれないものね」

 

「……可能性は無くはないな。まだ野蛮なケルト兵を率いてる連中に比べて会話が通じそうではあるし」

 

 

 だから体でもコミュニケーション取ろうぜ?(1回死のう?)

 

 

「カルナと同等の戦力が味方になるなら心強いわね。ねぇ、こっちについて下さらない?」

 

「………………マスターが決めることだ」

 

 

 ずるくない? やたらエロくない? 思わず熟考しちゃったわ。あ、もちろんハイアラキ(意味深)も出たよ(最低) 

 

 

「ふふ、それでも悩んではくれるのね」

 

「……戦った相手だからって頭ごなしに敵と決めつける程、我の頭は固くない」

 

 

 股間は硬いけどな!(ドヤァ)

 それと美少女の頼みなら一考するに値する。

 あ? オッサンなら? 死んでどうぞ(清々しい屑)

 

 

「……あと1つ、いいかしら?」

 

「なんだ?」

 

 

 おや? エレナちゃんの顔がちょっと赤い?

 キュピーン! これはまさか愛の告白!?(病院が来い)

 

 

「その、アタシが気絶する前、体が痺れた……というか、気持ちい……ううん、違う! なんか体が変な感じになったんだけど、もしかしてあなたの仕業?」

 

「断じて違います」

 

「なんで敬語」

 

「カルナ、もうすぐか目的地は?」

 

「うん? ああ」

 

「ちょっと!」

 

 

 愛の告白かと思った?(誰も思ってない)

 残念! 俺の所業が暴かれそうになったので話を逸らして撤退、でした!(バレなくて残念だわ)

 

 

 ……今の発言した奴、特定して後でボコるわ(やめて)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい。

 城塞に到着したぜ。

 アメリカの国旗が並ぶ城塞って、違和感パナイわー、とか思いながら玉座的な場所に案内された。

 

 今から大統王とやらに拝謁するのだ。

 待ってる間に、みんなも無事目を覚ましたようで何より、的な会話を交わしていた。

 

 

 

 

 

 しかして王が姿を現す。

 

 

 

 

 

 その姿を見て仲間のみんなは一様に絶句していた。

 無理もない。

 何せ頭部がどう見ても人間ではないのだ。

 ドクターロマニもモニター越しにその姿を捉え、現実逃避気味に口を開いた。

 

 

『あれー? モニターの故障かなー? クリーチャーしか映ってないぞぅー?』

 

 

 何!? クリちゃんが映ってるだとっ!?(難聴)

 何処だ! 何処にクリちゃんが映ってるって言うんだ! アメコミスーツのライオンしかいねーじゃねぇか!?

 ドクターの嘘つき!!(理不尽)

 

 クリちゃんならこの場に5つあるはずだ!

 さっさと映すんだよォ!!

 

 

「我こそはあの野蛮なるケルトを粉砕する役割を背負った、このアメリカを統べる王────サーヴァントにしてサーヴァントを養うジェントルマン! 大統王、トーマス・アルバ・エジソンである!!」

 

 

 ……クリ…………は? エジソン? あの発明王の?

 

 

 

 ハッハッハッ! 何の冗談ですかねー?

 

 どっからどう見てもライオンだよこれ!?

 

 大統王じゃなくて獅子王に改名しろよ!!

 

 えっ? ダメ? 何故に?

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! ……ふぅ。

 

 

 

 

 

 落ち着こう。

 どう見てもライオン頭のマッチョヒーローだけど、本人はエジソンって名乗ってるんだから仕方ない。

 だが、本当にあの発明王のエジソンなのか、あんなライオン頭では信じがたい(もっともらしいことを言うときは)

 

 よし、証拠に何か作ってもらうとしようそうしよう(嫌な予感しかしない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エジソン式電動オナホ1つとエジソン式ローター5つオナシャス!(射殺許可求む)




賢者のせいであんまりシリアスしてない件()


そして作者は今更ながら思い出した
元々、この作品を書くまではシリアス路線の作品しかほぼ書いてこなかったことを…………何故、今はド下ネタ作品書いてるんですかね? ……時は人を身も心も醜くする(悲劇)


無駄に話が長いのに、その割りにストーリー進行が遅くてすまぬ!
次回はストーリー急加速予定なんで! ただし更新は暫くかかると思いますんでご了承下さい!


‐追伸‐

今回の夏イベ監獄編見てて、メイヴちゃん目掛けて賢者が股間で生成したチ-ズ(意味深)でホーミング爆撃連発すれば簡単じゃね? というクソみたいなネタを咄嗟に思いついてしまった私は手遅れかもしれない(今更並感)


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実は俺、○○○○○○○なんだ(逮捕)

やった! 私は勝ったぞ……!
漸く2万字超える病を克服したんだ! ザマァみやがれ!
私は運命に打ち勝ったんだ!(大袈裟)



────という展開にしたかったが、治らなかった(愕然)
執筆途中だがこのままだと絶対超える(白目)

ただ、救いだったのは比較的分割しやすかった点

おかげで予定通り約1万字に抑えられたよ! やったね!
……こういうのは予定通りって言わない()


てな訳(?)で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第3話始まります


今回ぶっちゃけ全然汚くないし前回より短いので物足りないかもです
まあ、溜め回みたいなもんですよ

※ここまで最初から読んできた読者ならこの程度は軽いレベルの汚さ。つまりボクシングでいうジャブ

それではどうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居場所のわからない女性を探すのに最適な方法があるのは、常識としてみんなご存じかと思う。

 

 

 

 手がかりとなる女性が身に着けていた物やその女性とよく一緒にいた人、その女性がよく訪れた場所といった、探したい女性の痕跡が存在するのならあとは簡単。

 その最適な手段を使えばほぼ9割の確率で見つけ出せるはずだ。

 

 

 

 だが知ってはいても、実行に移すだけの実力が無ければ話にならない。

 

 

 

 この技術を使う上で、重要な部位が機能さえしていれば誰でも使えはする。

 誰でも使えはするものの、広範囲を捜索するのならば、それ相応の熟練度が必要となる。

 

 

 

 その技術をもって、アメリカ大陸全土を網羅できる熟練度を有する者は、この特異点においてその技術を極めぬいた俺だけだったってだけの話。

 何せ俺はこの技術を用いて本気を出せば、感覚を極限まで研ぎ澄ますことで、隔てた世界に閉じこもる女性すらも、我が部位は感知する程なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、では何故この技能をフル活用することになったのか?

 

 

 

 

 

 そのいきさつを語るには昨日に遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 藤丸立香率いるカルデア御一行+現地の看護師(狂)は、仲間の賢者(仮)な復讐者が捕らえた見た目は美少女、中身はおばあちゃまなレディを人質にして、眼からビームなサーヴァント・ランチャーと交渉し、現アメリカ────通称アメリカ西部合衆国の本拠地があるデンバーに出向くこととなり、そこの王に会うこととなった。

 

 そうしてなんだかんだで王の間的な場所に案内され、待つこと数分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現れたのは風貌が筋骨隆々な体に、某スーパーな男のマント無し版みたいな格好をした、二足歩行のライオンキングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真名をトーマス・アルバ・エジソンだと彼は宣った。

 

 かの有名な発明王であり今は大統王だと言う。

 

 どう考えても生前と違いすぎる上、とても人間とは言えない獅子頭。

 

 エジソン要素は肩にある彼の発明品である白熱電球くらいなものだろう。

 

 

 

 

 

 

 この時点で違和感は凄いが、人(?)を外見だけで判断するのはそれこそ愚の骨頂。

 まずは会話を交わしてみて、その上で見極めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 会話をしてみてわかったことは、生前はただの人間であったが召喚されたら獅子の頭だったという事態に遭遇したにもかかわらず、知能が劣化した訳ではないので問題ないという結論に至った合理主義の化身。

 

 カルデアの異なる時代へと繋げる魔術的遠隔通信に興味を持ち、純粋な科学技術だけでそれを再現できないか試そうと考え、話が脱線しかける程のやたらと高い発明意欲。

 

 

 

 

 

 

 少し会話をしただけでも、エジソンだとわかるほどの発明への情熱。魔術よりも科学重視な思考。獅子頭で召喚されたことを些細なことと切り捨て、増殖するケルト軍へ対抗すべく即刻大量生産ラインを確保する効率主義。

 

 

 

 

 

 

 ここまではまだ良かった。

 エレナ絡みで人質云々では一悶着あり、賢者自身が己にのみヘイトが行くように調整したりなどの小競り合いはあったものの、概ね大丈夫だった。

 

 だが獅子頭となった弊害か、やはり致命的な問題が巣くっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 彼が掲げる新体制とは『常人の三倍遊び、三倍働き、三倍勝ち続ける』ことを基本理念とするものだった。

 結論から言ってそんなことは不可能でしかない。

 

 国難打破が目的とはいえ、戦力拡充の為に国民へ1日20時間監視込みの過度な労働を強いり大量生産ラインを維持。

 それに対する救済措置が最上級の娯楽。

 だが、言わずもがな1日は24時間しかない。

 残り4時間では娯楽に興じる暇などない。人間は眠らなければまともに活動できなくなる。

 食事や体の汗を流す時間を最大限短縮したとしても、睡眠時間は約3時間。

 これでは倒れる人が続出するのは目に見えている。

 

 なおかつ、最終的にはすべての国民を機械化兵団にしようとしている上、その数を武器にケルトを殲滅するつもりだ。

 しかし、根本的な問題としてケルト兵は、聖杯がケルトの手にある限りノーコストで無限に湧いてくるのだから何の解決にもなっていない。

 使える資源も人材も限られ、戦力の質や数でも劣っている現状では、辛うじて戦線を維持できているに過ぎないのだ。

 このままでは敗北は濃厚。

 

 エジソンはその事実に薄々気付いているはずなのに、目を逸らしているのだ。

 合理主義なはずな彼が非合理な作戦を断行しているという矛盾。

 

 

 

 

 

 

 

 紛うことなきアウト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いかにして世界を救うつもりなのか?

 そんなナイチンゲールの質問に対する彼の返答。

 

『時代を修正する必要はない。聖杯を手に入れたら改良を施して他の時代とは全く異なる時間軸に、このアメリカという世界を新生させることで時代の焼却から免れることが可能になる。他の時代? 知らんな。私の発明が作り直したこのアメリカは永遠に残る。ならば他は別に滅びても構わん』

 

 こんなようなニュアンスの答えだった。

 反英雄のような存在ならこの返答もわからなくもないが、エジソンは正真正銘の英雄。

 であれば、世界を守る義務が、理想が、願いがあるはずだった。

 ここまで歪んだ思想を生前のエジソンが考えていたとはとても考え難い。

 それ以前に人類史を正常に取り戻すことを信条とするカルデア側からすれば、とても許容できる意見ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よって、ツーアウト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、さらに問題なのは世界を救う意志の否定からの開き直り。

 

『王たる私が愛国者で何が悪い? 我々────私にとってはアメリカが全て。王たるもの、まず何より自国を守護する義務がある』

 

 といった具合の、人類史なんざ二の次、アメリカ第一主義。このアメリカさえ時代から切り離し無事であれば、他はどうなろうが知ったこっちゃないのスタンスだ。

 いくらなんでも、史実のエジソンから逸脱し過ぎている感が否めない。

 外見の話ではなく中身も、と注釈が入るくらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 つまりスリーアウト、チェンジ!

 

 ここからはカルデア組のターンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外見だけでなく中身まで違和感だらけのエジソンの姿を見て、賢者のアヴェンジャーはスキル・二次元シミュレーションを密かに行使していた。

 

 エジソンの状態に既視感を覚えたのだ。

 

 今までプレイしてきた数多のゲームと照らし合わせてこの違和感を払拭できれば、あのプレジデントライオンの異様に凝り固まった思考回路を、解きほぐす打開策を提示できる。

 そんな可能性があることを彼は見出した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、答えは得た。

 この既視感は異空間でプレイしてきたゲームではない。

 数刻前に二人の英霊によって気付かされた事実。

 エジソンと己自身の状況が酷似していることに、賢者のアヴェンジャーは気付いたのだ。

 そこまで気が付けば後は簡単だ。同じ手法で知覚すれば問題ない。

 

 

 

「……エジソン、お前が何故大統王と名乗っているのか、生前とは似ても似つかないクリちゃ……クリーチャーな姿なのか、漸く理解したぞ」

 

「なにをだね? ブラヴァツキーを人質にした卑怯者風情が」

 

「悪いが無駄な消耗は互いに抑えるべきと判断した。これは不要な争いを避けるための処置だ、許せ。……それはともかくとして、お前の中にはいるんだろう? 数えるのも億劫な程の大統領の魂が我には視えるぞ」

 

 

 

 賢者の思わぬ発言に場の時間が一瞬止まったように感じられた。

 

 

 

「…………なんと。出会って間もない君に看破されるとは。何故わかったのだ?」

 

「我も似たようなモノを中で飼ってるのさ。……そこの看護師に指摘されてついさっき自覚したばかりだかな」

 

 

 

 くいっと賢者は後ろに控えていた看護師、ナイチンゲールを指差す。

 彼女は今までの会話とエジソンの様子を見て得心がいった面持ちで口を挟んだ。

 

 

 

「なるほど。これで納得がいきました。ミスター・エジソン、貴方も彼と似た病気ですね。治療しましょう」

 

「あー……本人を前に言い切っちゃったかー……」

 

「……手心を加えてもらえると助かるが……望みは薄いか」

 

 

 

 未だにネバネバマットレスで拘束されているエレナと、ライオンの隣で静観していたカルナは何かを悟った表情で呟いていた。

 彼らはエジソンの現状をわかっていたのだ。

 わかっていた上で、彼の方針に従っていたのだろう。

 

 

 

「なっ!? 私が病気だと! いきなり無礼な。私のどこが病んでいると──」

 

「黙りなさい。病人に病を告げることの、どこが無礼ですか」

 

「……諦めろエジソン。我も病気と診断されたんだ。我よりも重そうな症状のお前が病気じゃない訳ないだろう?」

 

 

 

 エジソンが獅子の頭を持っていたという記録など存在しない。

 ましてや小競り合いをした時に、力の一端を確認したが、歴史上のエジソンがそこまで強大な力を持っているはずがないのだ。

 その原因にして、真相。

 

 

 ケルトに打ち勝つ為の苦肉の策。

 世界的な知名度を誇るアメリカの英雄(トーマス・アルバ・エジソン)に、アメリカの初代から最後の代までの歴代大統領の力を結集させた。

 

 

 いわば、エジソンという霊基に歴代大統領の集積思念をぶちこんだのだ。

 それはあまりにも無茶な手段。

 憑依の経験もろくにない彼に、一人ならまだしも無数の人間の思念を憑依させるなど、何処かがイカれてもおかしくはない。

 その証拠として外見へ顕著に現れている。

 そして、外見が変わりすぎているからこそ、中身だって変貌していても何ら不思議はないのだ。

 だから不具合が生じた。

 

 

 

「お前と我はそういう意味では似ている。だが、決定的に違うこともある。それはお前が中にいる存在の意志やら使命に影響され過ぎていることだ」

 

「な、に……?」

 

「アメリカさえ救えればそれ以外はどうでもいい。そんな願いがお前自身から生じたものだとは、我にはとても思えないんだが?」

 

「ぐっ、しかし私は彼らからアメリカという未来を託されたのだ! そんな彼らの意志を蔑ろにしろと言うのか!?」

 

 

 

 エジソンはアメリカだけを救おうとする集積思念の影響を受け過ぎていた。

 だが、英雄の本質には世界を救う使命がある。

 特に多数の民族から成立した国家であるアメリカ合衆国は、あらゆる国家の子供に等しい。

 ならば、エジソンもその中の歴代大統領にだって、世界を救う義務があるのだ。

 

 

 

「律儀なんだなお前は。……だが言わせてもらうぞ。我は中にいる存在の意見に、ほぼ答えてやったことがない。我は己自身から生じる意思にのみ今まで従ってきた」

 

「なんという薄情者だ」

 

「かもな。中の連中からやめろと言われたことも平然とやったし、汚いことにも積極的に手を染めてきた。中の奴らの意思に左右されず常に我の意思でな」

 

「…………」

 

「……そんな我ですら世界を救うべきだと理性の端で感じるんだ。全うな英雄とは言い難い汚れ仕事も躊躇なくやってきた復讐者である我が、だぞ? であればお前にその意志がないとは言わせない。目を逸らすなよエジソン。自分の意志を蔑ろにして、アメリカだけを救おうとするから苦悩してるんだと自覚しろ」

 

「ぬ……ぐ……」

 

 

 

 この時点でエジソンにとってはクリティカルヒット。

 しかし、容赦はしてもらえないらしい。

 バトンタッチ、フローレンス・ナイチンゲール。

 

 

 

「では、私からも言わせていただきます。貴方はもう1つ目を逸らしている事実がある」

 

「ま、まだあるのかね!?」

 

 

 

 そこからはライオンが可哀想なことになった。

 

 容赦なき正論で治療しにかかる(殺しにくる)婦長の猛口撃(もうこうげき)

 目を逸らしていた、ケルトに自身の得意分野で勝てない事実を突き付けられ、大量生産におけるプライドを盛大に抉られた挙げ句、「そんなだから電流戦争における生涯の不倶戴天の怨敵(ライバル)、ニコラ・テスラに敗北するのです」という、重すぎる一撃によりオーバーキルされたのだ。

 

 エジソンはあまりのショックで一時人語を忘れた悲鳴を挙げ、全身を痙攣させながら気絶。

 幸い床には倒れなかった。

 賢者のアヴェンジャーが気を利かせたのか、白濁マットレスを瞬時に彼が倒れる方向に展開したからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その時の復讐者は、普段の仏頂面からは考えられない程に、不憫なものを見る目をしていたと彼の仲間達は語る。

 

 

 

 

 

 

 

 結局、ナイチンゲールの説得により、メンタル面が多大に疲弊したエジソンはエレナとカルナに鼓舞され、マスターからも手を差し伸べられて何とか復活を果たした。

 それも柔軟な思考と人理の為に戦う意志を取り戻した上で、立ち直ったのだ。

 

 

 

 こうして反目する関係には至らず、カルデア組とアメリカ軍は協力関係を結ぶことに成功。

 もちろん、エレナ・ブラヴァツキーも自由の身となった。

 

 漸くこの特異点の人理を修正する為の第一歩を踏み出せたのである。

 しかし、まだこれでも戦力は足りていない。

 

 サーヴァントの数は全体で見れば増えたとはいえ、まだ足りない。

 何せケルト兵はひとりひとりが、戦いに明け暮れた猛者揃いであり、それが無限に湧いて軍勢と化している。

 この時代の人間を戦えるように急造の機械化歩兵にしたところで、戦力差を覆すには至らない。

 

 サーヴァントであれば確かに容易く倒せるが、なにぶん敵の数が多すぎる。

 一々相手取っていたら魔力枯渇は必至。

 倒しても倒しても増える現状、もう少しサーヴァントの数を揃えたいところだ。

 

 だからまずは他に召喚された、ケルト陣営にまだついていないサーヴァントを味方にする作戦に舵を取る結論となった。

 

 であれば、そのサーヴァント達を早々に見つけ出す必要がある。

 

 

 

 

 そこで白羽の矢が立ったのが賢者のアヴェンジャーなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳でエジソン説得完了。

 つい昨日の出来事だ。

 

 (婦長が)殺っちゃったぜ。

 ご冥福をお祈りします、惜しいライオンを亡くした(死んでません)

 

 ……茶化さないとやってられんのよ、不憫過ぎて。

 正直、秘蔵の封印無かったら明日は我が身的な感じで婦長にハートフルボッコにされた挙げ句、股間切除されてた可能性もなきにしもあらずじゃん?

 

 エジソンの悲惨な姿見て流石に同情したわ。

 

 

 

 

 

 いやー、二大勢力に別れて争ってる以上、聖杯使ってぽこじゃが戦士を産みまくってるケルト勢に立ち向かうなら、やっぱりここは片側のアメリカ勢力を味方に付けておかないと流石に厳しいしな。

 

 物量には物量で立ち向かうべし。

 

 いくら一騎当千のサーヴァントが複数いても、無限増殖の数の暴力をまともに相手取ってたら、こちらの魔力が尽きかねん。

 ケルト兵自体を蹴散らすのは訳ないが、無尽蔵に増える敵という点で分が悪い。

 一々戦っていたら、敵の将とまみえる前に消耗が酷すぎる事態に陥りかねんし。

 

 

 

 

 

 

 出会った当初、本能がエジソンに性具の注文をしようとしたけど、なけなしの理性とスキル・秘蔵の封印、『外側』と『内側』のガヤが喧しいのと、何故か突如眉間に音もなく炸裂した透明な銃弾によって、その気は失せてしまった。

 危うくカルデアに退場するところだったわ。オイ、誰だ発砲許可したの(私だ)

 

 お前だったのか…………いや誰だよ!?

 声しか聞こえないから誰が誰だか……って射殺許可求めてきた奴と声一緒じゃねーか!?

 許可求めておいて自ら許可出して殺しに来るとかお前なんやねん!(そこは死んどけよな)

 ……その言い方でわかったわ。

 毎度毎度辛辣かつ過激な意見ばっか言う奴だろお前。声も一緒みたいだしな(ギクリ)

 

 

 いったい何が目的だ?(……嫌がらせ)

 

 

 嫌がらせって……何処ぞの小学生かな? いやまあ嫌がらせで眉間に発砲してくる小学生なんざいないだろうが。

 何の恨みがあってこんなことをする?

 

 

 だんまりかいな。

 過去の俺がやらかしたことに恨みを持ってるなら、正直困るぜ?

 今の俺は記憶に抜け穴が多いんだからさ。

 

 

 《未来で今のアンタがやらかすことにキレてんだよこっちは》

 

 

 は? 何これ? 今までよりも声がはっきりしてる? めっちゃクリアに聞こえるようになったんだが。まるで脳内に直接音が広がるような……。

 

 

 《正確には次の特異点でやらかすんだアンタは》

 

 

 いやー……いやいやいやいや未来の話をされましても困るんですけどお客さん?

 つーか、どうやってんのこれ?

 

 

 《現代知識で言えば……モノラルからバイノーラルに切り替えたような感じかな?》

 

 

 いやだからそれをどうやってんのって話なんだが!

 それにその未来が確定してる訳でもあるまいに文句を言われてもなー。

 

 

 《私はアンタのおかげで順風満帆ではあったけど、ある一点においては『不幸』って事態に陥ったんだ》

 

 

 うん? 順風満帆なら良かったじゃん(全然よくない)

 

 

 急に戻るなし! てかなんだよ? 不幸って? …………えぇ、また無視?

 まあ、良いか。

 勝手に考えても栓無きことだし(ちっ)

 

 舌打ちしやがったよね今!? 言いたいことがあるなら詳しく話せや!

 

 

 《アンタに事情を説明したら未来が逆に確定しそうだから断る。というか嬉々としてやりそうだから絶対嫌だ》

 

 

 何それますます聴きたいんだが(ウズウズすんな)

 その切り替えどうやんのマジで。

 つーか、普段からバイノーラルの方でよくない?

 聞き取りやすいし(疲れるから却下)

 

 あ、疲れるんだそれ。どういう仕組みなんだ(変換作業がダルい)

 

 …………俺の体、謎多すぎんだろ。今まで500年以上疑問にも思わなかったのがぶっちゃけ怖い。

 というか俺よりも俺のこと知ってそうなのはいったい……。

 

 

 

 

 

 

 それよりも、根本的なこと忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 

 お前らは結局のところ誰なんだよ?

 特に『内側』と『外側』は別の存在なのか?

 

 まあ、訊いたところでそう簡単に答えてくれるとは思ってな……えっ?

 

 なんだって? 『内側』は童貞のまま死んでいった無念を抱えた者達の魂の集合体? …………あっさり答えてんじゃねーか!?

 いや、なんでだよぉ! お前ら今まで謎の存在気取ってたんじゃないのかよ!?

 

 は? 訊かれなかったので……って、えぇ……。

 いや、確かに脳内フレンズだと思い込んでた……というか過去の俺とやらに思い込まされてたからか、疑問にも思わなかったし訊く気なんざまるっきり無かったけどさぁ。

 

 にしたって、そんな簡単に明かすかね?

 ……500年以上、お前に生殖細胞として出され続けてもう色々とどうでもよくなった? 世界への復讐もどうでもいい? むしろ出されるのがクセになった? 特にカルデアに来てからは合法的に女の子の体に付着したり、霊基に飛び込めるから最高?

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 ファッ!? ま、まさかお前ら、俺の精子に憑依してますのんっ!?

 えっ、厳密には精巣に憑依してて、出される時に個人に分離してる? どうでもええわ!!!!

 

 

 つまりあれか、見イキやらフルバーストでも常にお前らは射出されてたってことか!

 それどころか俺が白濁光を操作したり、宝具(こかん)でブッカケをかますたんびにお前らは射出されてた、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだそれは! 後者については普通に羨ましいぞ!(ダメだコイツ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、てか純粋な疑問なんだが吐き出された後はどうなってんの? フルバーストした時なんか全部射出してる訳だし、お前らとはさよならって感じで、また新しい連中が中に入ってくるのか?

 

 秘蔵の封印で縛り付けられてるから、吐き出された後も時間経過で強制的に精巣に戻される?

 リサイクルかよっ!

 あとメンバーが増えることはあっても減ることはないのか……精子の数が増加する度に、復讐心を携えた無念のまま死に絶えた童貞の魂が補填される仕組み、と。

 

 ……なんつーえげつないシステム構築してんだ。

 いったい誰の仕業やねん(過去のお前だよ)

 

 うわっマジかよ……悪魔みたいな奴だったんだな過去の俺。

 今の俺なんか聖人みたいに清らかで似ても似つかないやんけ(えっ)

 

 

 ……ん? なんで『内側』も『外側』も静まり返ってんだ? 耳元の声も急に失せたし。

 

 

 なんかおかしなこと言った俺? ……ッ!? うおっ!? いきなりブーイングの嵐はやめろ!!

 頭が割れそうになるわい!

 

 

 

 なぁ、ものは相談なんだがこのサラウンド状態も何とかならんかね? 超うるさくてかなわんのだが。

 ん? ダイヤルを回すイメージ?

 ……こうか? …………おおう! 音量が下がった!

 

 これでオーディエンスのことを気にせず盛大に見イキできるぜ! まあ、誰かに見られながらとか知られながらオナるのも、それはそれで快感だから、こうやって切り替えが利くのは幅広いプレイを楽しめそうで大歓迎だがな(変態末期)

 

 

 

 

 

 うっ! …………ふぅ。

 落ち着くのにはやっぱり射精が一番ですわー。

 

 

 

 さてと、『中』の連中と『外』の連中……あと別枠なのか知らんが『耳元で一人ずつ囁く』奴らのこととかは、一先ず置いておこうかね。

 

 

 

 ぶっちゃけアイツらがどこの誰だろうと知ったこっちゃないし、過去の俺がどうとかも正直どうでもいい。

 今まで通り今の俺を貫き通すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 俺の願いは童・貞・卒・業!!

 

 

 

 

 

 

 何者が邪魔をしようと、たとえそれが俺自身であろうと関係ねぇ!

 手を伸ばし続ければ願いは叶う。

 それを俺はロンドンで知った。

 

 

 

 

 手を伸ばし続けたからこそ、願い(おっぱい)を掴むことができたんだと!

 

 

 

 

 そうやって夢に向かって一歩ずつ前進できればそれでいい。

 さて、次の目先の目標はどうするか……。

 胸をクリアしたなら今度は尻か?

 

 せっかく中にも外にもいっぱいいるんだし、アンケート取ってみるってのもありかもなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがその前に今はやるべきことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は今いる場所はアメリカ西部合衆国の本拠地デンバーではない。

 俺はマスターや仲間と共に西部の小さな町デミングに来ている。

 仲間になった三人のサーヴァントはそのままデンバーに置いてきたけどな。

 

 戦力拡充と戦線維持の為に、残ってもらった方がいいってマスターが判断したんよ。

 

 立香ちゃんが、まだケルト側についていないサーヴァント達を味方に引き入れ、戦力を整えてから敵側の戦力把握の為に偵察メンバーを選出しよう、って言い出したんだわ。

 まさか彼女からそんな進言というか、提案が来るとは思ってなかったから正直驚いた。

 しかも外に出向く前に、エジソン達の方に連絡手段確立のため、幾つかの通信機も自主的に注文していた。

 散り散りになっているサーヴァントをかき集める時に、手分けして探すのを考えてのことみたいだ。

 

 魔術師としては未熟だと自覚してるからなのか、マスターとサーヴァントならではの念話には、どうやら頼る気がないらしい。

 まあ、念話って元が一般人な彼女がさらっと使うにはだいぶセンスがいるし難しいだろうしなー。

 

 そして、通信機の準備をしてもらっている間に、新たに協力関係を結ぶことになったエジソン、エレナ、カルナと、積極的にコミュニケーションを交わしていた。

 

 

 ……それがやべーのよ立香ちゃんってば、コミュ力がどっかおかしい。

 ものの数分で3人と仲良くなっちまいやがったのよ。

 いや、マジでどうなってんの?

 

 俺なんて未だにカルデア来てからまともに会話できそうな相手とか…………………………………………………………あれ?

 ついさっき意気投合したばっかのフォウくんだけじゃね?(ボッチ並み感)

 悲しみが溢れ出すぜ……!

 

 

 この後、アメリカ西部合衆国からマスターを救い出す為に近くまで来ていたジェロニモとも接触して、その凄まじいコミュ力で事情を説明したところ。

 

 

『……流石はマスターというべきか。あのエジソンを会って間もないにもかかわらず改心させるとは。特異点を既に半分以上解決してきただけはある』

 

 

 と、ものすごく感心していた。

 そんで、今はそのジェロニモに案内されて、一刻も早く治療が必要な、しかも復活すればかなりの戦力になるサーヴァントがいるデミングへとやって来た訳だ。

 マスターのおかげでトントン拍子に仲間のサーヴァントが増えてくぜ!

 

 

 …………立香ちゃんは生粋の魔術師に実力じゃ遥かに劣るだろうが、それを帳消しにしてあまりあるどころか、上回りすぎる程の才能『サーヴァントたらし』ってとこだ……。

 流石は人類最後のマスター……正直なるべくして最後の希望になる器だったのかもな。

 

 

 

 

 でも、なんか最近気負い過ぎてる感もあるんだよな……。

 覚悟決まってるっていうかなんというか、立香ちゃんってば何かあったんかね?(鈍感)

 

 知っているのかブラザー!?

 ………………って、教えてはくれないのかよっ!

 こうなりゃ二次元シミュレーションで! ……いや。

 

 乙女の秘密を覗き見るのは敵対者相手にのみ許される行為だ。

 情報収集は基本だから、それが許されるのは当然の帰結。

 だが仲間の、ましてやマスターの情報を読み取ったり詮索するのは紳士の行いとして間違っている(マスターのパンティーの色は)

 

 

 

 今日はバックレースのコーラルオレンジだな。

 ちなみにマシュはスタンダードなシームレスのネイビーで、正面にリボンが……あ(罠かけ成功)

 

 

 

 そ、卒業候補の下着の色を知っておくのは紳士の嗜みだから(震え声)

 

 え、デザインとか種類までは訊いてないんだよなーって?

 

 おのれ孔明……謀ったな!(いつもの風評被害)

 

 迂闊だったぜ……習慣が仇となるとは。

 だがセーフ! ブラザー共相手に心の中で口走っただけだから!

 これが現実だったら墓穴掘りまくり展開からの、最低でもお縄不可避。

 最悪変態の汚名を霊基に刻まれてから、惨殺されてもおかしくない。

 

 ……そう考えれば失敗は成功の元だし。

 大丈夫だ、問題ない。

 

 

 

 うっ! ………………ふぅ。

 

 

 

 ステンバーイ……ステンバーイ……よし、冷静になった。

 

 で、だ。

 漸く本題な訳だが(遅い)

 いやだってさ、目を逸らしたくもなるぜ?

 あんなえげつない傷とか、なぁ?

 

 一刻も早く治療が必要なサーヴァントには実は現在進行形でもう会ってんのよ。

 

 その英霊は『ラーマヤーナ』の主人公。

 ラーマきゅ……いや、ラーマだ。

 カルデアにもラーマいるけど、このラーマはこの特異点のラーマな訳だが。

 怪我が、その、見るに耐えんレベルなのだよ。

 

 心臓が半ば抉られてるという状態を直視し続けるのはちょっときつくない?

 いやー、リョナ描写もイケる口なんだけども、ただ痛々しいだけの姿はちょっとねー……あと心臓見てると、蛮神の心臓欲しくなってくるよね(不謹慎)

 

 サーセン、じゃあ俺も仕事するか。

 ラーマの治療効果を向上させる為、彼のことをというか設計図(にくたい)をよく知る人物、ラーマの妻シータを見つけ出す任を受けた。

 

 だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずにおいを嗅ぎます(何を言ってるんだお前は)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、最後まで聞けよブラザー。

 

 そのにおいを記憶したら、あとは別の場所にそのにおいがあるかを感じ取れば良い。

 そうすればすんなり居場所特定。

 ね? 簡単でしょ?

 

 

 もう既にハロウィン、ブレイブと同じにおいをダラスから感じたのでそこにはエリちゃんが。

 

 女のローマ臭をアレクサンドリアから感じたので、恐らくネロちゃまがいるだろうことも判明している。

 

 あ? 男? ……できなくもないけど、精度はめちゃくちゃ下がるよ? 主に俺のやる気の問題で。

 もちろん性的対象に含まれる性別上ではオスってだけなら問題なく探せるがな(ドヤァ)

 

 

 つまりラーマのにおいを嗅げば、妻のシータを見つけ出すのも余裕綽々って訳さ。

 夫婦だからね、お互いの残り香的なのが霊基に含まれてるはずなんよ。

 では失礼して、クンカクンカ……ふむ。

 

 

「ラーマの妻がいるのはここから西だな」

 

「賢者さん、もう居場所がわかったんですか……!? 」

 

「流石賢者さん! それでジェロニモさん、ここから西って何があるかわかるかな?」

 

「……ここから西にあるのはアルカトラズ島だけだな」

 

「アルカトラズ島……だと……!? うぐっ!」

 

『ちょ、脱出不可能と謳われたあの島か!?』

 

「ということは、やはりシータさんは囚われの身なんでしょうか?」

 

「ラーマ君、急に起き上がらないで下さい。傷に響きます」

 

「ナ、ナイチンゲール女史。もう少し手加減をしてやってくれないかね? 力ずくで押さえつけては逆に傷が広がりそうなのだが」

 

 

 ほれ、これで次の目的地は決まったぜ! アルカトラズ島に直行だな!

 まあ、こんな早く見つけ出せるようになるにはソムリエの資格を得るくらいの修行が不可欠だったりするけども。幸い俺は無駄に時間もあったしその資格を持ってた訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は俺、女体臭ソムリエなんだ(逮捕)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや何でだよ!?

 まったく逮捕案件に直結するような内容じゃなかっただろ!(内容だよ)

 やったことだってラーマきゅんの香り(スメル)と、彼に付着したシータちゃんの香り(スメル)をクンカクンカしただけだぞ?

 

 その行為になんの問題があるって言うんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 Oh……これがツッコミ不在の恐怖か。

 ツッコミは大事だな……やっぱ。

 

 

 

 ラーマきゅんの香り(スメル)はいらないだろ! ってツッコミが来ないのは恐いわー(違わないけどそうじゃない)

 

 

 

 えっ。

 他のどこにツッコミを入れる要素が……?

 

 

「賢者のアヴェンジャー。ラーマ君を看護しながら運べるようにあのストレッチャーを出していただけますか?」

 

「……ストレッチャー?」

 

 

 あのー……思索に耽ってる最中に、いきなり話しかけてくるのやめてもらえます婦長? ビビッて出ちゃったじゃんか白いの(汚い)

 てか、ストレッチャー? 確か担架のことだっけ? そんなもん用意した覚え無いんだが……。

 

 

「私達が失神していた時に乗せられていたアレです」

 

「…………ああ、我が光の術で形成した浮遊式マットレスのことか。少し待て」

 

 

 ああ! 白濁マットレスのことか。まあ、確かに担架の代わりになるか。ほれ!

 

 

「ありがとうございます。では早速治療します」

 

「ぐっ……よろしくたのイダダダダダ! ぐおおおおおおおおおお!? け、賢者と言ったな? この者を止めてくれ! せめて手加減を、このままでは余がァァァああああああああ!!??」

 

 

 あーあー! 少年の断末魔とか聞こえないー。…………いたたまれないし音量上げよ、ダイヤルを回すイメージだったな……やったね! 嫌な音はシャットアウト(目逸らし)

 

 

 

 

 

 

 

 さぁ! シータちゃんを一刻も早く救うため、アルカトラズ島へレッツゴー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ジェロニモとエミヤは別行動でエリちゃんとネロちゃまの確保よろしくゥ!(理由付けてパーティから男を追い出す屑)

 

 

 

 

 

 

 




前回明かされた要素を利用してエジソン陣営と出会ったその日に手を組む方向に。もう一回会いに行くのは二度手間だからね仕方ないね()
その後もだいぶ原作本編とは違うルートに移行
賢者が変態的に有能なのが原因なんでこれも仕方ないね
そのせいで時系列が色々面倒なことに……ったく、つくづく作者泣かせな主人公だぜ(白目)


さて、次回は分割した関係上今回の話の後編なんで、そんなに間隔あけずに投稿できると思います
少々お待ち下さい!


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男は黙ってどんぶり飯(貪欲)

誰も気付いてなかったようだが、前回の話は読者がどれだけこの作品に汚染されてるかどうかを計る抜き打ちテストだったんだよ!(超展開)

前書き通り汚さをジャブ程度に感じたなら汚染度『中』
左フック程度に感じたなら汚染度『低』
軽く叩かれた程度に感じたなら汚染度『高』
右ストレート以上に感じたなら汚染度『無』
触られた程度に感じたなら汚染度『超』

そして何も感じられなかったなら汚染度『極』

読者様方は果たしてどの程度の汚染度だったんでしょうかねぇ?(ニンマリ)

えっ? 私ですか? 汚染度『神』ですが何か?

冗談はさておき、汚染されてる方は前回の物足りなさを多少は補完できると思います! 汚染されてない方は……さらに覚悟を決めて下さい(無慈悲)

お待たせしました『汚い』どんぶり飯一丁上がり!
おあがりよ!(嘔吐不可避)

※食事中に読んではいけない(戒め)
とは言っても、安心してくれ序盤は汚くないから(深読みしなければ)


そんな訳で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第4話始まりまーす
前回の分割なんで正確には第3話後編って感じですが……ぶっちゃけ前回より長いっす、一応2万字は超えてないけど()


それではどうぞ!


 

 

 

 

 

 第6特異点『()()()()()』。

 

 

 所謂、聖地と呼ばれる場所から少し離れた土地に一人の男がいた。

 全体的に白く濁った目深なフード付きの祭服に身を包んでおり、顔は見えず両手も同色の手袋と口元を覆うマスクを付けている。

 よってまるで肌が見えずどこの人種か検討も付かない。

 性別だって声色と体型で、何となく男だろうと思われてる程度の人物だ。

 普通なら見るからに怪しい。

 だが男のおかげで戦争に巻き込まれずに済んだ者が多数おり、彼の格好をとやかく言う者はいなかった。

 

 そんな男はついさっきまで、ここからは遠い遠い場所にいるとある人物の心へと一方的に接続していた。

 

 

(……ハァ、アンタには多大な『恩』もあるんだよ。だから嫌がらせ程度に留めてるってことに気付いて欲しいもんだ。まあ、記憶が今戻ったとしても私のことは知らないだろうし、酷な話なのはわかってるんだけども)

 

 

 諦めのこもった溜め息を吐きながらも、男は仕事をこなす。

 ()を撒き散らし、戦争に巻き込まれた民衆を守り導く。

 ここに現界した以上、傍観に徹し無為に命を散らせるのは男にとって本意ではなかった。

 だから男は力を振るう。

 かつて救ってくれた彼のように……ただし彼のように不純な動機ではない。

 

 

(やれやれ、当時はあんな変態だとは露程も思ってなかったから落胆が酷いよ……アイツと繋がること自体は、殺伐としていて精神的余裕を持てないここでは、気を抜くのに最適だけどさ)

 

 

 肩を落とすその背中はとても哀愁が漂っていた。

 そんな時だ。

 

 

()()()()()様! ここに居りましたか!」

 

「様はいらないとあれ程。して、どうされましたか? あなたの様子を見るに余程の知らせなのでしょう?」

 

 

 白濁の祭服に身を包む────クレリックと呼ばれた男は、落ち着いた様子で、慌て気味に現れた伝令の男の方へ振り向く。

 

 

「は、はい! 自称リチャード一世が破れました! 騎士ガレスが命がけで拘束したところを、ガウェイン卿が彼女諸共、()の聖剣を用いて斬殺した模様です! よって偽の十字軍は壊滅。聖地は獅子王率いる円卓の騎士に占拠されました!」

 

 

 その知らせは予想済みだったのか、クレリックと呼ばれた男は少し考える所作を見せると、直ぐに次の指示を出した。

 

 

「そうですか……ご苦労様です。皆に拠点へ先に戻るようにと、伝えてもらえますか?」

 

「クレリック様は如何するのですか?」

 

「私は現状集められるだけの情報収集と、可能な限り犠牲者を出さない為、限界まで難民を逃がします。あなた達はくれぐれも慎重に行動して拠点がばれないようにして下さい。でなければ共倒れです。せっかく救った命を無駄に散らせたくはありませんので」

 

「か、かしこまりました!」

 

 

 伝令の男はまた大慌てでこの場を去っていった。

 

 

「…………ふぅ、いったか」

 

 

 クレリックと呼ばれた男は、伝令の男の気配が遠くに行ったのを認識すると、作っていた雰囲気をかき消す。

 そして、片手に自らの額を押し当てた。

 

 

(やっぱりこうなった……情報の撹乱やら足止め、妨害とか罠も仕掛けたけどあまり引き延ばせなかったな。……せめて遠征軍の欲かき馬鹿野郎に、ファラオを召喚される前に私が現界できていれば、もう少しやりようはあったんだが……)

 

 

 頭を過ったのは以前戦場で見かけた彼女(ガレス)の憔悴しきった表情。

 

 

(女の子の絶望顔ってそそ……ゲフンゲフン! ダメだ、絶対あの人の影響受けてるよこれ)

 

 

 クレリックと呼ばれた男は、今いるこの特異点の在り方が変わり始めているのを肌で感じていた。

 まさに不吉の予兆。

 この先の未来は暗い。

 これからさらに多くの人間が犠牲になるのは間違いない。

 

 

 

 人理の守り手が来ない限りこの特異点に、本当の意味での救いはない。

 

 

 

 だがそれまでは足掻くと彼は覚悟を決めていた。

 かつては守れなかった人々を少しでも多く救うために。

 その方針は変わらない。

 

 

 

(そろそろ()切れだ。出るもんも出なくなる。……だからどうか早く来てくれよ()()!)

 

 

 

 かくして聖地は獅子王の手に渡り、純白の聖都が顕現。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第6特異点は『キャメロット』へと変貌を遂げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海辺の爺さんに借りたボートを白濁コーティングしてから後方に性欲魔神(エンドレスブート)ブッパ。

 

 

 そのままアルカトラズ島目掛けてダイレクトアタック!! からの陸地にもそのまま突貫!!

 まあ、あれだ。ボートを白濁コーティングしてっから、ホバークラフト的な感じで水上も地上もお構いなしだぜ!

 言うなればレールなし無法ジェットコースターってとこか。そんな訳で全速力でシータちゃんの元まで突撃だゴラァ!!

 

 

 おかげで道中のワイバーンとケルト兵をボートでまとめて轢き殺し戦闘を超短縮完了。

 性欲魔神(エンドレスブート)も炸裂させてるおかげで仲間の宝具チャージもドンドン貯まるって寸法だ!

 めちゃくちゃ敵泣かせだろうが、敵の都合とか知らん。

 

 あ、もちろん怪我人のラーマきゅんは白濁マットレスの弾力による衝撃吸収力で守られてたから安心だぜ?

 ただし、他の皆さんは俺と婦長以外絶叫をあげてた模様。

 ワイバーンやらケルト兵をまとめて猛スピードで轢き殺しながら、道なき道を突っ走る乗り物に乗せられたんだから、そりゃあ悲鳴も出ますわな。

 

 ぶっちゃけ俺も怖かったし……。

 秘蔵の封印のおかげで醜態晒さずに済んだってだけでさ。

 

 

 珍しく黄色いのが出ちゃったりもしたし(チビってんじゃねーか)

 宝具(オムツ)があるから恥ずかしくないもん!

 

 

 そこ! オムツ履いてる時点で恥ずかしいとか言わない!

 お前らなんか俺の精巣に取り憑いてんのよ? その方がよっぽど恥ずかしくない? ……恥ずかしくないのか、そっかー(遠い目)

 

 

 

 

 

 さて、何はともあれ到着だ。

 ケルト陣営のサーヴァントがお出迎えに出てきたぜ。

 

 

「おお! おお! 派手にやってくれやがったなオイ! 試しにってことでワイバーン共をけしかけたってのに、戦うどころか尽く轢き殺しながら爆走しやがって! ……ま、俺はそういう豪快な奴らは嫌いじゃねェがな」

 

 

 出迎えご苦労!

 待ち構えていたのは全身に傷跡という名の男の勲章携えた、筋骨隆々とした戦士だった。

 そんで一目見ただけですごく戦闘狂のにおいがする男だった。

 てかケルト陣営、男ばっかじゃねーか!?

 野郎共収容所か何かかオイ! むさ苦しいわ!

 

 

「アルカトラズ刑務所にようこそ。歓迎するぜ。で、ド派手に登場したテメエらの望みはなんだ? 入監か? 襲撃か? それとも脱獄の手伝いか? とりあえず希望を言っておきな。殺した後で、どうするか考えてやるからよ」

 

「こちらの患者の奥方が此処に監禁されているようで。治療に必要なのでお渡し願います」

 

 

 敵側の物騒な発言スルーしてこっちの用件だけ簡潔に伝える婦長ほんとすこ。

 

 まあ、案の定そうは問屋が卸さない展開になったんだけどねー。

 なんか戦いたくてうずうずしてたっぽいしなあの野郎。

 強敵と戦う為だけにここで番人やってた可能性まであるくらいだ。

 

 

 それと自らあっさり明かしてくれたが奴の真名()は“竜殺し”ベオウルフだった。

 

 

 つまり奴が持つ両手の剣は十中八九、宝具。

 恐らく左手がフルテ……赤原猟犬(フルンティング)、右手が鉄鎚蛇潰(ネイリング)ってとこか。

 フルティ……フルンティングは伝承上、血をすする魔剣として知られてる。

 その伝承を踏まえてみると、左手の剣がフルティン……フルンティングだと認識した理由として、血のように赤く刀身が輝いていたからだ。

 フルティン……ああ! もう心の中でも言い間違えるような名前の剣めんどくさっ!

 

 

 

 

 もういいや、言い辛いからフルチンで(酷い)

 

 

 

 

 あとエミヤの投影品の中にもフルチンがあったからってのもある。

 エミヤのフルチンとベオウルフのフルチンの形状がほとんど一緒だったからな。

 

 …………なんか心の中とはいえ口にすると酷いな。

 違う絵面が浮かんだわ。……なんておぞましい!

 

 ん? 右手がネイリングってわかった理由?

 ベオウルフの有名な剣ってフルチン以外だとネイリングくらいじゃね? っていう安直な理由だぜ。

 ぶっちゃけ根拠はない! だがスキル・二次元シミュレーション的には9割正解な自信がある。

 しかしその剣の能力まではちょいと情報が足りんかな……。

 

 だがエミヤの投影品の性質上、フルチンには間違いなく追跡能力があるってのはわかってる。

 知ってるというのは立派なアドバンテージだ。

 ……フルチンの追跡能力。あれかな? 確実に女子をハメる為の能力かな?(すっとぼけ)

 その能力を俺の宝具(こかん)に移植すれば……って体質治ってなかった(愕然)

 

 

 

 

 

 

 

 現在進行形で竜種を従えて襲い掛かってくるベオウルフ。

 それをラーマを除く全員で凌ぎつつ、俺はサポートに回りながらとあるスキルを行使していた。

 

 

「なんだそりゃ。痛みを感じてねぇのかお嬢さん! まるで鋼鉄のようだぞバーサーカー。アンタ、本当に看護師か?」

 

「よく言われます。まったく問題ありません。私の体は、患者を治すための機構なのですから」

 

「ハハッ! 目的のためにひた走るカラクリか! そして全ては患者のためね。訂正するぜアンタは立派な戦う看護師だ! だから盛大に殴り合おうぜ!」

 

「だが断る」

 

「な、にィ!?」

 

 

 適当にサポートしながら目一杯ストックしておいたオタマジャクシ絨毯ホーミング爆撃を、ベオウルフとグレートドラゴンにこれでもかってくらいぶちかまし吹き飛ばした。

 漸く、この場にある全ての情報をフル活用した、二次元シミュレーションでの演算が完了したので惜しみなく解放した所存である!

 導き出したぜこの場での最適解。

 あとは行動に移すのみ!

 

 

「マスター、ナイチンゲール、ラーマ。キミ達はシータの元へ向かえ。ベオウルフは我が抑える」

 

「賢者さん!? また一人で抑える気なの!? でもあっちには竜種も!」

 

 

 立香ちゃんがめちゃくちゃ慌ててるな。

 俺なんかを心配してくれてるのかね?

 あー、そういえば昨日もカルナを抑える役目を買って出たんだったな。

 だが今回はこれが最善だ。

 それに。

 

 

「大丈夫だ。何せこっちには頼れる仲間がまだあと二人もいる」

 

「賢者さん……! はい! わたしが守りますから安心して下さいマスター!」

 

「未だ半人前の騎士ですが賢者さんの期待に応えられるように頑張ります!」

 

 

 お、おう。なんか思ってた以上にマシュとリリィがやる気出してくれて、お兄さんちょいと引きつつも感激よ。

 頼りにしてるのがそんなに良かったんだろうか?

 

 

「ま、待て! 竜種の相手を二人に任せるとして、結局は賢者一人であのサーヴァントを抑えるつもりなのか?」

 

「そうだな」

 

「そこまでしてもらう程、余に価値など」

 

「ラーマ」

 

 

 お前は勘違いしている。

 俺がなんでここまでしてお前を救おうとしているのかを。

 

 

「な、なんだ?」

 

「我はカルデアにいるキミからシータの話も、離別の呪いの話も聞いている」

 

「っ……!」

 

 

 そう、俺は知っている。

 シータとの惚気話も、生前にかけられた呪いによって英霊になってもシータと出会えないことも、俺は知っていた。

 俺は別にリア充を羨みはしても、毛嫌いまではしていない。

 バカップルだって俺は祝福する。

 愛し合う二人というのは、尊いものだ。

 

 ラーマとシータのような悲劇的な二人は特に。

 

 前にも言ったが俺にNTR属性はない。

 俺は愛し合う二人を引き裂くような呪いみたいに屑ではないのだ。

 

 

「だからこの特異な状況を利用して、どうしても会わせてやりたかったんだ」

 

「賢者……気持ちはありがたいが、生前からの呪いのせいで無理な可能性の方が高い。だからそこまでするのは……」

 

 

 その対抗策は当然用意してある。

 が。

 それにはマスターの協力が必要不可欠。

 でも彼女なら……!

 

 

「……マスター、令呪で魔力ブーストを頼めるか? 一時的にだが離別の呪いを我が力で打ち砕く」

 

「なっ!? で、できるのかそんなことが? だが余のために令呪まで使わせるのは」

 

「わかった、任せて!」

 

「即答!? ま、マスター! 本当に令呪を使う気か!」

 

 

 流石話がわかるぜ立香ちゃん。

 普通の魔術師ならただサーヴァントの妻に会わせてあげるために、躊躇なく令呪を使うなんてありえないもんな。

 ……まあ、1日で一画回復するからってのもあるんだろうけど、それでも命懸けの人理修復の旅だ。

 普通のマスターならこんなことのために、令呪を消費しないのが定石だ。

 だからこそ立香ちゃんのような珍しいマスターが、サーヴァントには好まれる。

 

 さぁ、令呪のおかげで魔力が高まってきたぜ。力を貸せよブラザー? お前らなら俺がここまでラーマの為に行動してる理由、もう察しがついてるはずだろ?

 本来の力の使い方とはちょっと違うがやるぜ!

 

 

「盛大に遠距離からかましてくれやがって! 次はこっちの番だ、ぶっ飛ば────」

 

「────魔を統べる神の祝福を今ここにっ!!」

 

「なんとぉ!?」

 

 

 続けざまに令呪によっていつも以上に魔力を濃縮した性欲魔神(エンドレスブート)

 ベオウルフへの牽制の意味合いもあるが、今回の目的は攻撃がメインではない。

 味方へ飛び散らせる白濁の光の粒子、それをラーマにだけ降り注ぐことが重要だ。

 そのためにはブラザー共の協力が不可欠だった。

 仲間全体にブッカケるのはいつものことだが、一人に絞るには宝具の性質上、なかなかに操作が難しい。

 一部ってだけなら1人に多くブッカケるくらいはできるものの、今からやろうとしている『一時的な離別の呪いの無効果』は、全部ブッカケなければ厳しい。

 しかし白濁の光の粒子、一粒一粒に意思が宿っているのならば話は別だ。

 その意思で飛んでいく方角を制御可能ならば、個人目掛けて集中的に浴びせられる。

 

 しかしてそれは成功した。

 本来であれば、味方を守る為に時間をかけて設置するマーキング結界。

 今のところは一番多くブッカケられているマシュのみにしか発揮できないくらい下準備に時間がかかるが、今回は短時間で発揮かつ短時間しか持たない術として行使。

 しかも『離別の呪いを無効にするためだけ』に限定しての効果。

 

 

 

 その術の名は愛証防護結界(ザーメンフィルター)

 

 

 

 本来であればブッカケた量と濃さに比例して、対象が危機的状況に陥った時に自動で守る結界術だ。

 その効果をねじ曲げて応用し、離別の呪いを結界で封じ込め、シータを呪いが認識しないように誤認させる代物に変質させたのだ。

 

 

 心無しかラーマに付着した白濁光の粒子に宿る童貞達が、喜んでいる姿を幻視したりもしたが全力で無視した。

 いやだって、ねぇ? なんか自分の醜い部分を見せられてる気分になるし(醜くない部分とかあったの?)

 …………ラーマの全身からうっすらと白濁の光の輝きが舞う状態に仕上がったのを確認した俺は叫ぶ。

 

 

「今だ! 行け! そのストレッチャーがシータのいる場所まで連れていく。マスターとナイチンゲールはそのまま続け」

 

「「了解!」」

 

「そしてラーマ! 離別の呪いは一時的に封じたに過ぎない、だから後悔なきように行動しろ。キミの妻が待っている」

 

「賢者……! 恩に着る!」

 

 

 フッ……俺、めちゃくちゃ良いことしたよな今回。

 だからご褒美はあって然るべきだよな? な?

 ……ってオイ! マジか!?

 

 

「二度も不意打ちとはやってくれるじゃねぇか! 面白ぇ! けどよ、俺を倒さずに刑務所に入るのはいただけねぇなあ!!」

 

「くっ! そこを退け!」

 

「おっと、生きた屍には用はねぇからくたばってろ。俺が殴り合いたいのはそこの鉄人形の姉ちゃんなんでな。ま、それでも通る気なら気兼ね無くぶっ飛ばすが、構わねぇな?」

 

 

 ちょっ……ベオウルフさんタフ過ぎない?

 あの爆撃くらってから、いつもより魔力濃度の高い宝具(こかん)の一撃くらっといてピンピンしてるとか……なんだ? 聖杯のバックアップでも受けてんのか?

 つーか、アンタが遮ったことで竜種もまだ平然としてるじゃないか!

 だが、邪魔はさせねぇ!

 俺は白濁光をジェット噴射のように使って高速移動し、ベオウルフが襲いかかろうとしていた、ラーマ達の盾になるように割り込んだ。

 

 

「……人の恋路を邪魔してやるな。無粋この上ないぞ」

 

 

 右手の性剣でフルチンを弾き、白濁光を形状変化させた浮遊盾でネイリングを受け止めながら、背を向けたまま余った左手で先に行けと3人に合図を送る。

 駆けていく音が背後から聞こえ出したし、たぶん伝わったんだろう。

 ……フルチンを弾くってなんかめっちゃ痛そう。

 

 

「テメエ! ……だが納得しちまった! はは、そりゃそうだ! 確かにコイツは俺が悪い!」

 

「なら、ここは退いて欲しいものなんだがな」

 

 

 本当にそれ。

 珍しく理性ある感じのバーサーカーなんだからさ。

 というか、絶対召喚された時に何かあっただろ。

 タフ過ぎるわ! 傷は負ってる様子あるのにまだまだ元気有り余ってる感じだし!

 というか今も白濁光のブーストかけてる俺が力で押し負けそうになってる時点で、凄まじい膂力なんだが!? こんだけ馬鹿力なら狂化A以上は持ってそうなもんなのに、なんで普通に会話交わせてるんですかね!?

 

 

「ソイツはできない相談だ。俺とお前らは敵同士、そして俺はこの刑務所を任された身だ。それに俺はあの女と────」

 

「────殴り合いたい、だろ?」

 

「わかってんじゃねぇか……!」

 

 

 俺もできれば婦長のアワビを息子でガツンガツン殴りたいから気持ちはわかる(意味不明)

 えっ? 殴り合いって殴り愛って書くじゃん? つまり性交の隠語だろ?(※違います)

 殺し愛は相手が「死ぬ、死んじゃう……お願い休ませて」って口にしちゃうくらいイカせる性交の隠語やろ?(※違います)

 

 

 なん……だと……?

 俺の500年はいったいなんだったんだ……? 俺はなんのために生まれてきた……?(大袈裟)

 

 

「ハッ! なかなかどうして、遠距離専門かと思いきや剣による接近戦もこなせるとは、やるじゃねーかお前!」

 

()の竜殺しにお褒め頂けるとは、我の腕も捨てたもんじゃ無さそうだな」

 

 

 まあ、昨日明かされた衝撃の事実に比べれば、この程度の間違った知識で動揺なんざしないけども。

 この先、俺の記憶違いなんざいくらでもありそうだしなー(遠い目)

 

 つまりベオウルフの殴り合いたいって言葉は隠語じゃないってことか。

 女性を殴りたいって意味ではS、女性に殴られたいって意味ではM。

 

 

 結論。

 

 

 ベオウルフはドSとドMを内包するハイブリッドなド変態だったということか!

 やだー! そんな高度な変態相手に戦うなんて即お断りしたいんですけどー!?

 なんで変態と俺みたいな変た…………そういえば俺も変態だったわ(今更)

 

 

 

 ベオウルフのフルチンを紙一重で避け、性剣の白濁の刀身を鞭状にしならせながら振るう。

 それをネイリングで弾かれベオウルフの接近を許すと、フルチンが顔面に襲いかかってきた。

 顔を横にずらしてかわしたが、今度は首を狙ってフルチンが迫ってくる。

 後方に跳び去り事なきを得るが、逃がさないと言わんばかりの今度はフルチンによる突き技。

 体勢を直ぐ様立て直し、フルチンを性剣で横から叩き軌道をそらす。

 お返しとばかりに白濁光で形成した槍を射出するが、ネイリングとフルチンを乱雑に振るうことで、散らされる。

 

 一進一退の攻防が続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どういうことだオイ……フルチンってワードのせいで、命のやり取りが命のやり取り(意味深)にしか聞こえないじゃねーかよ(自業自得)

 

 

 

 

 

 

 この野郎! 真面目な戦いの雰囲気を崩してくるんじゃねーよ、ふざけてんのかベオウルフ!(お前が言うな)

 

 俺は悪くないしー! あんな呼び辛い剣振るってくるフルチンが悪い!

 やべ……素で間違えた、ベオウルフが悪い!

 やべーやべー、ベオウルフをフルチン呼ばわりするのは流石に失礼だよな(もう失礼だよ)

 

 

「お前、赤原猟犬(フルンティング)の能力は知ってやがるみたいだな?」

 

「なんのことだ?」

 

「とぼけんな。能力を警戒してなきゃできない動きしてんだろうが」

 

「……キミは本当にバーサーカーか?」

 

 

 真面目に思う。

 俺の動きを見てそんなことを察するバーサーカーとか、理性ありすぎじゃね?

 剣技も全然衰えてる様子無いし。むしろ冴え渡ってるまである。

 バーサーカーなら狂戦士らしく、力任せの大振りだけにしとけよ。

 馬鹿力で一々的確に急所狙ってくるの、戦い辛くてしゃーないっつーの!

 

 

「テメエと一戦やるのも悪くはねェが、あの鉄の女と殴り合いをした後じゃもの足りねぇな」

 

 

 俺はアンタと(ベッドで)一戦なんざヤりたくなんかこれっぽっちもねぇよ!? 婦長と一戦(意味深)交えて一線超えるのは大歓迎するけどよ。

 

 

「そういう頭を使った動きをするよりも、やみくもに闘争本能に従って殴って蹴るのが、戦いの醍醐味ってやつだろ?」

 

 

 いや、知らんがな。

 生憎と俺は戦闘狂じゃないし。

 しがない超越童貞でしかないですし。

 殴って蹴るよりは、イッたり抜いたりする方が得意やし。

 性戦の醍醐味ならわかるぜ? 見て敵をイカせ、その様子を見て自分もイクというギブ&テイクの精神こそが大事で、最高の醍醐味なんだってことを、昨日学んだばかりだからな。

 

 エレナママン、ありがとォ! 最高に気持ち良かったし! 脳内フォルダに残る君の艶姿は俺の一生の宝物です!! 最高のオカズをありがとう!

 

 ……カルデアに帰ったら脳内から現像して改めてシコらせていただきます(ここ一番のシリアス顔)

 

 

「────からさっさとぶっ潰す! 壊れて弾けろ。鉄鎚蛇潰(ネイリング)!!」

 

「なっ……!? ちっ!」

 

 

 話を途中から聞いてなかったタイミングで、ネイリングを力任せに振るってきたので白濁光で受け止めた。

 すると、元々脆かったのか壊れた。

 直後、全身に無視できない強烈なダメージが走り抜ける。

 

 くらって理解した。

 鉄鎚蛇潰(ネイリング)の能力は壊れた瞬間に大ダメージを与えるという単純なものだと。

 だがシンプル故に、特に近接戦闘においては相手に致命打とはならないものも怯ませる効果はある。

 

 事実、俺も怯んじまった。

 

 ヤバい! ベオウルフは怯んだ隙を逃すようなタマじゃない! タマは2つあるけどな!(わけわかめ)

 フルチンに斬られて血を一滴でも吸われたら、あの厄介な追跡効果が発揮される。

 何せその追跡効果により、無造作に振り回すだけで最適格な斬撃を打ち込んでくれる魔剣だ。

 となると接近戦が不利になり、足止めまでし辛くなる。

 遠距離攻撃だけじゃ、あのタフネスなベオウルフを縛り付けてはおけないはずだ。

 クソっ! 完全にミスった避け切れるか!? それとも迎撃で────ってちょっ!?

 

 

「続けて赤原猟犬(フルンティング)! ぶっ潰せ!!」

 

「ッ!? 貴様……!」

 

「本来の使い方じゃねーが、勝手な入監を防ぐにはうってつけだろ?」

 

 

 コイツ、まだ諦めてなかったのか!?

 もう少しで刑務所の入口に辿り着く3人目掛けて、フルチンを全力投擲しやがった!

 俺を怯ませたのはそっちが狙いかよっ。

 つーかエミヤ、お前のフルチンの使い方間違ってるみたいだぞ。投擲は本来の使い方じゃねぇみたいだし、どう考えても弓で射るのはおかしいもんなー。

 

 

 …………いや、フルチンの使い方ってなんだよ(哲学)

 

 

 それよりもかなりまずいな。

 確かに婦長の血はめちゃくちゃ吸ってるから、フルチンの追跡能力が抜群に働くか、クソッ!

 一歩出遅れた! ここからじゃ間に合わねぇ……!

 だったら! ラーマに使ってる白濁マットレスを操作して受け止めれば……!

 いや、真名解放した宝具を受け止めれる程の白濁光で、あのマットレスは構成してない。

 元々防御するために用意した訳じゃないから当然か。3人に避けてもらうのも追跡能力がある以上不可能。

 斯くなる上はマスターの元に令呪で俺を転移してもらうしか……!

 

 ここまでの思考、僅か数秒。二次元シミュレーションの賜物だが、思考を加速できても体が追い付けないのであれば、この場では意味なんてない。

 だから俺は叫んだ────

 

 

 

「マスター、我を令呪で────!」

 

 

 

 ────否、叫ぼうとした。

 けどその必要はなかったんだ。

 俺は性剣の柄を改めて握り直し、その切っ先をベオウルフの首に触れるか触れないかの位置に突き出す。

 

 

 

「……追わなくていいのか? 赤原猟犬(フルンティング)の全力投擲だ。余波だけでお前さんのマスター死にかねないぜ?」

 

「我がフルチ……フルンティングを追うのに便乗して、ナイチンゲールの元に殴り合いに行くつもりだったのなら諦めろ。我が出向く必要は無くなったんでな」

 

「なに? ……あれは」

 

 

 

 フルチンの進行方向に割り込むようにして現れた、黒を基調とした鎧を身に纏う可憐な少女。

 マシュ・キリエライトが巨大な盾を構え、フルチンを待ち構えていたんだ。

 

 

 

 ──時に煙る白亜の壁。

 

 

 ──奮い断つ決意の盾。

 

 

 

 直後、赤い閃光(フルチン)が盾に炸裂した。

 轟音と爆発、衝撃波が巻き起こり砂埃と煙までもが舞い上がる。

 

 だがマシュの姿が見えずとも俺に不安はなかった。

 彼女の強さなら知っている。

 これまで一番多く一緒に戦ってきたし、無論一番多くオカズにした。

 自主練にもよく付き合ってきた。

 彼女が強くなっていく様を近くで見てきた。

 だから彼女がこの程度でくたばるはずがないことはわかってる。

 であれば、俺は仲間を信じてベオウルフを抑える役目を遂行するのみ。

 

 

 

 

 漸く煙が晴れた。

 

 

 

 

 そこには強引にナイチンゲール狙いのフルチンの軌道上に割り込んだマシュが、しっかりフルチンを盾で受け止めその細い足で大地を踏みしめ立っている光景が。

 

 

 

「まだ──倒れません」

 

 

 

 強い意志の感じられる彼女の瞳と目が合った。

 助かったって感情と、あとは任せろという意味合いを込めて頷く。

 

 

「なっ!? あの盾の嬢ちゃんは騎士の嬢ちゃんと一緒に、うちの選りすぐり(ドラゴン)の相手をしていたはずだろ! まさか……!」

 

「そのまさかだ。我がマスターのサーヴァントは皆優秀ということだな」

 

 

 グレートドラゴン相手にマシュとリリィが戦っていた場所に目を向ける。

 そこには、

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 竜種の頭に聖剣カリバーンを突き立ててトドメを刺すアルトリア・リリィが。

 

 

「オイオイ! マジかよ! 嬢ちゃん達だけで倒しちゃったのか」

 

 

 うわぉ……なんか二人とも逞しくなっちゃって。

 いくら俺がオタマジャクシホーミング爆撃で多少ダメージを与えてたとはいえ、正直足止めしてもらう程度で良かったんだがまさかあのグレートドラゴンを倒しちゃうとは……。

 

 こりゃ俺も負けてられんな!

 マスター達もどうやら無事に刑務所に入監できたっぽいし、こっから後ろを気にせず戦える。

 それに厄介な武器がないベオウルフ相手の方が正直やりやすいのだ。

 肉弾戦が強いのは承知の上だが、搦め手のない純粋な馬鹿力で向かってこられる方が俺としては対処しやすい。

 

 

「こりゃ誤算だったぜ。あーあ、鉄のお嬢さんと全力で殴り合いを楽しみたかったんだが、なぁ!」

 

「ッ! そう言いながら我に殴りかかって来るのは如何なものかな?」

 

「敵をぶん殴るのは至って普通のことだろうが!」

 

 

 SとMのハイブリッドな変態は流石格が違う。

 どんだけ殴り殴られたかったんですかね……だいぶガッカリしてるし。

 こんな変態に絡まれるとか……いやまあ俺も変態だからこれは類は友を呼ぶって感じになるのか?

 

 変態と変態の絡み合い……絡み愛。

 なんか気持ち悪い想像が掻き立てられるわー。

 だがこれならできるか。

 しゃーない、殴り合いがご所望のようだし乗ってやるか!

 

 あ、当然ながら乗ってヤる訳じゃないからね! なんでムキムキマッチョな野郎と騎乗位せなあかんねん!?

 流石にそこまで守備範囲広くないからね俺!

 

 ……頭を一瞬過った映像を今すぐ掻き消したい。でもおかげで最高に()()()()

 

 

「……希望に添える保証はないが、乗ってやる」

 

「お? なんだ剣を閉まって……!?」

 

陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)、展開」

 

「おお! その構え! その闘気! お前、素手喧嘩(ステゴロ)もいける口だったのか!?」

 

 

 応ともさ! もちろん上のお口も下のお口(意味深)でもイケるタチだぜ!(いつそんな話になった) もちろん未経験だが確信してらぁ!

 

 

「……試してみるか?」

 

「ハッ! 愚問ってやつだぜそりゃ。正直鉄のお嬢さんとの殴り合いで昂ってた分、不完全燃焼気味だったんだ。だったら────やらない手はないよなぁ!!」

 

 

 俺は別にアンタとズッコンバッコン(あくまで殴打音)と本音を言えばヤりたかねぇけどな!

 

 

「1」

 

「2の」

 

「「3!!」」

 

 

 俺とベオウルフの盛大な殴り合いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからどれだけの時間が経ったのか。

 

 まるで新しいオカズを物色しながらシコシコしていたが、途中までは好きなんだけど、決め手にかけるオカズにばかり巡り合い、自分の好みに合うオカズを見つけ出そうと躍起になっていたら、出すまでになんだかんだで時間が経過していた時みたいな感覚(たとえが理解不能)

 

 正確な時間はあれとしても、時間の感覚が歪む程ベオウルフと殴り合っていた訳だ。

 その間、二人の仲間の少女は俺達の殴り合いに割り込めずにいた。

 いや、もうなんか天災みたいな感じになってるから仕方ないね。嵐だよ嵐。

 下手に巻き込まれたらあっさりと死にかねないし。

 ……巻き込まれた彼女達と接触して、俺もフルバーストからの空射ちで死にかねないし。

 童貞捨てられずにテクノブレイクは勘弁っすわ。

 

 

 

 ベオウルフの拳撃はまるで暴力の嵐。

 あれを捌き切るには武術の熟練者かつ、英霊に至る程の戦闘力を保有していなければ、至難の業だ。

 

 俺は別に武術の達人って訳じゃない。

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)という童貞の中の童貞にしか扱えない神の御業は使えるが、これを武術と呼んだら誰かに怒られそうだ。

 全身に陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を纏っているからこそ、ダメージを緩和し何とかなっているが、普通に生身で受けていたら霊基が破損する勢いだ。

 さっさと決着(ケリ)をつけたいんだが如何せん、ベオウルフがあまりにもタフ過ぎて倒し切れないんだよな。

 

 この頑丈さははっきり言っておかしい。

 

 カルナが纏う黄金の鎧とベオウルフの生身がほぼ同等とか、どう考えてもぶっ壊れている。

 召喚の際に聖杯の影響を受けているのは間違いない。

 てか、絶対モロチンの野郎が聖杯に新たな細工でもしたに違いない。あんにゃろっ!

 魔神柱(チンコ)シュレッダーにかけるぞクソが。

 

 

 

 さて内心では余裕な感じで語ってるけど、現在進行形でステゴロ……って次元を超えたバトルの真っ只中だったりする。

 常人の目では追えないような速さでさっきから激突してんのよね。

 拳と拳の衝突、からの互いに牽制の拳骨ラッシュ、時折混ぜ込む首をへし折る勢いで放つ蹴りや、体勢を崩す為の足払い、隙あらば顎を砕くショットアッパー、顔面を狙うパンチと見せかけて、腹を狙う膝蹴りを繰り出す等々。

 だが、まだお互いにクリーンヒットは出せずにいた。

 

 

「ははははは! やるじゃねぇか! 正直お前とここまで殴り合いが成立するとは思わなかったぞ!」

 

「……それはこっちのセリフだ」

 

 

 どんだけスタミナもあるんだよ!

 俺もスタミナはハッスル(意味深)する面で自信があったけど、相手が筋肉モリモリ野郎な時点でヤる気も著しく低下してるから、ぶっちゃけキツイ。

 集中力もいい加減切れそうだっつーの!

 相手が女の子なら? スタミナ限界突破ですが?

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)もフル活用ですが?

 

 

「賢者、だったか? もう充分楽しませてもらった。だからそろそろ終わりにしようや!」

 

「奇遇だな。我も終わりにしたいと思っていたところだ」

 

 

 本当、この苦行は終えたいと思ってたとこだぜ。

 だけど、ここまでのタフネスぶちのめすには、ここら一帯を更地にするレベルで宝具(こかん)の連続射出が必要だろうからマスター達が戻って来て避難してもらわないと、俺はどうしようもないんだが……コイツ、この期に及んで手持ちの宝具なしのくせに、いったい何をするつもりだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

 

 

 

 

 

 実は俺、今アルカトラズ刑務所の壁に全身めり込んでいます☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベオウルフが秘めていた宝具『源流闘争(グレンデル・バスター)』で容易くぶっ飛ばされてこの様だよ!

 どてっ腹ぶん殴りやがって……クソ痛い。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)展開してなかったら、吐瀉物撒き散らしてたか、脱糞してたかもしれないレベルのアホみたいな膂力にあの野郎跳ね上がってやがった。

 

 

 常に余裕を持ってクソッタレ。

 いや余裕も何もクソが垂れる展開とか最悪やん。

 

 人前でうんこ漏らすのと、精液漏らすのならまだ精液の方が遥かにマシじゃね?(ドン引かれる究極の選択)

 いやいや! 相手が恋人なら精液漏らすのはその限りじゃねぇだろ?(そんな可能性0の話をされても……)

 

 ……テメェの家特定して野糞ぶちかますぞ(勘弁して下さい)

 

 

 てかなんだよ肉体の宝具やっぱりあんじゃねーか!

 二次元シミュレーションではそういう系統の宝具があるって予測出てたのに使ってこねーから、予想が外れたもんだとばかり思ってたのに!

 やっぱり野郎の思考を読むのは苦手だ。しかも一般人からはかけ離れた傑物は特に。

 

 なーにが「これが闘いの根源だ。要するに殴って蹴って立っていた方の勝ちってヤツよ」だよ!

 

 ベオウルフの野郎! 俺との殴り合いを長くしたかったが為に出し惜しみしてやがったな?

 もうやだ、戦闘狂も立派な変態じゃん!

 何が楽しくて痛みの伴う生身で殴って蹴ってを繰り返さなきゃならねぇんだよォォおおおおお!

 

 その馬鹿力で腹なんか殴ったらダメでしょ!

 ゲロまみれかクソまみれの二択くらい想像できないの!?

 ……あー、普通はそうなる以前に肉塊になるか。

 

 

 

 

 つーか、笑い事じゃないんだよなー……。

 おかげで真面目に便意催した。大の。

 うんこ漏れそう(うーんこの)

 俺、厳密にはサーヴァントモドキで今もなお生きてるから、普通にトイレ行くんだよね。

 最悪、宝具(オムツ)があるから大丈夫……とはいえできればトイレで思う存分クソを撒き散らしたい(汚い)

 

 だが、トイレに向かってる暇はねぇ。

 俺は無理矢理壁にめり込んだ体を脱出させる。

 だが、ふらつき地に膝を着く。

 腹がギュルギュル来てる上、足もふらつくけど立たねぇと!

 二人のことだ、俺がぶっ飛ばされたのを見て黙って道を譲るような娘達じゃない。

 証拠に打撃音が俺が吹き飛ばされた方角から途切れることなく続いてやがる。

 マシュとリリィが危ない!

 

 そう思って足腰に力を込めた直後のことだった。

 

 

「賢者! 大丈夫か!?」

 

「……ラーマ、傷は治ったようだな」

 

 

 ラーマきゅん、元気になったみたいだな。

 心配顔で一目散に駆け寄ってきてくれた君の瞳に乾杯(馬鹿なのかな?)

 俺の股間も元気……と言いたいとこだがマイナステンションモードのおかげでピクリともたたねぇわ。

 代わりに下り竜は腸の中を元気に暴れ回ってるけどな!

 

 

「ああ、みんなのおかげだ」

 

「そうか。……して、シータには会えたのか?」

 

「……ああ。マスターと賢者のおかげでな」

 

「……その件の嫁が見当たらないようだが?」

 

「それは────」

 

 

 ラーマきゅんの話によるとこうだ。

 

 

 シータちゃんには無事出会うことができた。

 俺の改造版短期型愛証防護結界(ザーメンフィルター)のおかげでな。

 愛の言葉を交わすことも、抱き締め合うことも、接吻することも……話を聞いただけで糖分過多で死にそう。

 しかし、肉体の復元は大方何とかなったものの、ゲイボルグによる呪いだけは治療できなかった。

 だからほぼサーヴァントとしては同一の存在であるシータが、その病巣(のろい)を肩代わりすることとなった。

 当然、ラーマきゅんは最初拒んだがシータちゃんが「今必要なのは最強のサーヴァント。であればラーマが適任(意訳)」だと説得し、犠牲となった。

 よって、ラーマきゅんは完全復活を果たした。

 

 

 という訳らしい。

 

 

「……そうか」

 

 

 その話を、後から駆け付けたマスターとナイチンゲールから治療を受けながら聞いていた俺は、一言そう告げた。

 

 

「……そうか」

 

 

 内容を噛み締めるようにもう一言。

 ゆっくりと俺は立ち上がる。

 

 

 

 

 

 そして、3人の制止(精子に非ず)の声も聞かず、彼らを置き去りにする速度で大地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 俺は加速しながら確実にベオウルフを葬るため、性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』の()()()()()()を左手に呼び出す。

 

 簡単な話、外見は男性用性具である全体的に赤いスタンダードなオナホだ。

 そのオナホにどす黒い魔力を流し込む。

 すると、外見が全体的に黒いハードなオナホに姿を変える。

 

 

 そして、右手をその黒いオナホの穴に突っ込んだ。

 

 

 別にトチ狂った訳じゃねーぞ? 性剣の時に穴から白濁の刀身を形成する機構が備わっていたように、黒いバージョンにも独自の機構が付いているってだけさ。

 それも変形機構が。

 

 

 そうして変形し生まれたのが。

 

 

「邪拳『転癌トレット(TENガントレット)』」

 

 

 黒光りした武器としての籠手。別名として拳鍔またはメリケンサック。まあ、拳に付ける武装だ。

 コイツには殴った対象の魔力を汚染し、機能不全に陥らせるという効果が秘められている。

 殴った箇所に魔力が流れる度に淀み……謂わば『癌』のようなモノを自動生成しその点を中心にして増殖する。

 要するにこれで殴られた奴が宝具を発動しようとしたり発動中だった場合、魔力を流して『癌』を増やせば増やす程、霊基に変調を来し直に痛みとして現れ、最悪宝具の魔力が逆流して自爆するというえげつない効力を発揮するのだ。

 

 流石に効果がえげつないから敵でも酷だろうと思って、使うのを自粛していた武装なのさ。

 何故そんな武器を今になって使う気になったのかって?

 

 

 

 

 

 

「おらおらおら、どしたどした!」

 

「くっ! この先は行かせません!」

 

「こうなったら……! 選定の剣よ、力を! 邪悪を断て!」

 

 

 

 

 

 

 

 標的確認。

 やはりマシュとリリィがベオウルフと戦っていた。

 

 俺はそんな彼らの元にミサイルの如く突っ込み────

 

 

 

「なっ!? テメエは……! ゴフッ!!」

 

「え、賢者さん……!?」

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! ……え?」

 

 

 

 ────仕返しと言わんばかりにベオウルフの腹目掛けて盛大に邪拳をぶちかました。

 

 

 

 拳にみなぎる怒りを乗せて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラーマきゅんとシータちゃんの夫婦丼(性的な意味で)食い損なったじゃねーか!!(拗らせた童貞の末路)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夫婦の仲を引き裂くなんてとんでもない!

 答えは簡単。

 仲良く一緒に頂いてしまえば良いじゃない! という結論に達した。

 だからラーマきゅんを全力でアシストしてたってのに……。

 

 全て水の泡だよ!?(予測通りの結末)

 

 ラーマきゅんとシータちゃんにスパッツ直穿きさせて、クンカクンカしたりモミモミしたりペロペロジュルジュルと散々堪能したのち、こすってねじ込むという壮大な俺の計画が台無しだ!(うわぁ)

 

 

 

 

 

 

 

 そんな私欲まみれな怒りが込められた一撃が、ベオウルフの腹に容赦なく炸裂したのだ。

 

 吹き飛んだは吹き飛んだが、無理やり両足に力を入れてベオウルフは踏ん張って耐えやがった。

 おかげであんまり距離は開いてない。

 お互いに全力で駆け出せば3歩で詰められる距離だ。

 

 

「なんつー重い一撃だっ……! だガハッ!? て、テメエいったい何をしガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??」

 

 

 邪拳の効果は伊達でも酔狂でもなんでもない。

 テメェのような肉体全身に作用させるような宝具を使う場合、当然『癌』の増殖は格段に早い。

 テメエの宝具がテメェを苦しめるって寸法さ!

 だけどな。

 

 

 

 ベオウルフ……お前だけは絶対に許さない、絶対にだ!(いつもの理不尽)

 

 テメェは俺を怒らせた。

 

 

 

 お前さえ邪魔をしなければ、ラーマきゅんとシータちゃんを今頃(性的に)美味しく頂けていたはずなのに!

 あ、もちろん夫婦の営みを邪魔するつもりは毛頭無かったぜ? そこまで無粋じゃない。

 ラーマきゅんとシータちゃんが合体(意味深)してる時は、俺は二人のどっちかのお尻を借りる予定だったんだ。

 

 

 は? どこって……二人の菊門に息子ぶち込むつもりだったけど?(さも当然って態度)

 

 

 ラーマきゅんとシータちゃん、どっちでも俺的にはありだから一通り楽しんだら交代みたいな感じでさー。

 へっへっへっ……二人ともぽっかり開きっぱなしかつ常に中はグチョングチョンに開発する気満々だったし(相変わらずのド屑)

 

 あ? そもそも何度ループしてもそんな関係になれる訳ないだろ? 体質治ってない時点で夢のまた夢? だぁ?

 

 うるせえ! 万が一! 億が一! その願いが叶わなかったとしても、邪魔さえなけりゃシータちゃんをこの目で見ることはできたはずだろ!?

 そうしたら俺は最低限シータちゃんで見イキまではできていたはずなんだ!

 ラーマきゅんとシータちゃんのセットで見イキだってできていたはずなんだ!

 

 そのささやかな夢さえも妨害し、あまつさえやりたくもない殴り合い(趣味)に付き合わされた。

 その罪、万死に値する(そこまでか)

 

 だからテメェを宝具の自滅なんかで終わらせはしない。俺自らこの手で引導を渡してやる!

 

 

 

 

 

 お前なんざベオウルフルチン、略してウルチンで充分だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………何故か唐突に頭に浮かんだのはウルトラチ○ポって言葉だった(あなた疲れてるのよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、とにかくキレちまったから覚悟しやがれ。

 

 

「ガアアアアアアア!? クソッ! こういうじわじわと呪いの類いで攻めてくるタイプが俺は一番嫌いなんだ! 男なら堂々と拳で語りやがれ! ぶちのめす!!」

 

 

 苦し紛れの特攻か?

 だが甘いぜウルチン。

 

 俺は既に構えていた。

 邪拳を付けた右拳を脇の下まで引き、逆の左手は目の前に掌を突き出す構えを取っていた。

 全身を覆っていた陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を右拳に一点集中させて。

 つまり完全に他は生身。防御を捨て身体能力の強化をも捨てた捨て身の構え。

 おかげで陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)の恩恵を受けられず腹が痛い、決壊も近い。

 だが今回は無視する。

 お望み通り拳で終わらせてやるから感謝しろ。

 

 

 まさに刹那のことだ。

 

 

 全力を出しても3歩はかかる距離。

 それをたった1歩でウルチンの懐へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 グチャッ!! パァン!!!!

 

 

 

 

 

 

 誰もが理解できなかったはずだ。

 そんなデタラメな速さで動くなんて、ましてや陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を全身に纏うのをやめたくせに、何故そんな速さが出るのか?

 

 

 簡単な話、童 帝 神 技(ドウテイシンギ)だ。

 

 

 本来であれば童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)にしか使用不可の童 帝 神 技(ドウテイシンギ)の中で、一皮剥けた童貞であれば誰でも習得可能な技を行使した。

 基本的に性的対象にしか効果がない中で、珍しく対象外にも使用可能な童 帝 神 技(ドウテイシンギ)の中でも基礎中の基礎。

 だいたいの派生技の中心として使用される基本技。

 その名も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 武技・『早漏流し(モーメントドビュッシー)』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自身の身体動作速度を、最高射精速度に変換するという単純な技だ(意味不明)

 シンプル故に大きな癖も無く使いやすい反面、本当に一瞬しか持たない技であり、1回使った後は間を置かずに連続行使ができないという弱点があったりする。

 そして今回は童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)だからこそ実現可能な速さだった訳だ。

 

 

「……いつから我が遅漏だ(遅い)と錯覚していた?」

 

 

 俺は早漏だ(早い)ぞ(みんな知ってる)

 だからあらゆる動作だって生身でも速いぞ(それは知らなかった)

 

 さて、飛び込んだ。

 それと同時にカウンターを利用した全力パンチをもう放った後だ。

 もちろん残心も忘れていない。

 肉体に宝具を展開するあれだけのタフネスを鎮めるには、急所を狙う他ない。

 

 

 

 だからやった。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を邪拳に圧縮した拳骨。それを一切の躊躇無く。

 

 

 

 

 

 

 

 金的を狙って打ち込んだのだ(Oh……)

 

 

 

 

 

 

 つまりさっきの音は俺の高速移動音では無く、股間の破砕音だった訳だ!

 生前体を鍛えまくっていたどんな英傑でも、股間だけは鍛えようが無い。

 射精までの時間を鍛えるなどは可能でも、純粋な防御力やら攻撃力を鍛えることは不可能。

 そんなことが可能なのは超越童貞くらいなものだろう。

 

 案の定ウルチンのフルチン(ガチ)が耐えられる訳が無かった。彼の股間がフルチン(ガチ)かどうかもわからぬまま、金たまもまとめて根こそぎ消し飛んでいた。

 

 

 

「は……?」

 

 

 

 あまりの速さ、あまりの衝撃。

 ウルチンは漸く気付く。

 己の股間が霊基崩壊している現実に。

 認識した瞬間、声なき断末魔の叫びをあげてウルチンはこの特異点より消滅した。

 

 

 ふぅ、ストレス発散完了!

 

 

 ………………。あれ? 少しやり過ぎたか……?(潰してから冷静になるゴミ)

 

 

 

 

 

 

 頭が冷えたことで俺はやっと気付いた。

 

 今更ながら横入りしてベオウルフを屠ったことに。

 

 そして、直前まで戦っていたリリィが、俺が飛び込んだと同時くらいに宝具を放っていた事実に。

 

 まだその宝具が炸裂していない現実に。

 

 

 

 

 

 

 

 標的(ベオウルフ)を失った聖剣の光は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着弾地点を瞬時に修正し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────何故か鋭角に曲がり俺へと向かってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は知っていた。本能的に知っていた。

 リリィの聖剣の光は近くに俺がいる場合、ピンポイントで我が息子を狙ってくる、ということを。

 

 

 

 

 

 

 

 あっ(察し)

 オチ読めたわ。

 そして、今更回避不能だわ(諦感)

 

 それは最悪のタイミングと言えた。

 

 よりにもよって、陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を拳に一点集中している。

 即ち他の箇所は無防備。

 とは言っても、通常であれば回避か迎撃をするくらいの余裕はあったはずだ。

 殺気も敵意も害意もなく、その上味方からの攻撃だったのが拍車をかけている。

 

 おかげで防御や回避を萎えてる状態で行うには遅すぎる距離まで、攻撃の接近を許してしまった。

 

 

 思考だけは加速してるものの、マイナステンションモード時からスタンダードに戻しての白濁光ジェットでの離脱も、白濁光による迎撃も、もうまもなく着弾する状況下では無理だ。そこまで瞬時には切り替えられない。

 

 本来であれば直立バッキバキな頑強さを発揮するイチモツも、憂鬱形態と化している状態では萎え萎えのしなしな。

 とても聖剣の光に耐えうる防御力は有していない。

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)も意味を成さない。

 元々これは性的対象に使う技術。

 相手も無しに使える技は先程使った武技のみ。

 しかもその武技はまだ使って間もない為、連続行使は不可能。

 

 詰んでいた、完璧に詰んでいた。

 

 

 

 所謂、俺の股間がご臨終ってやつだな。

 

 

 

 ああ、走馬灯のように記憶まで流れてきた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………おかしいなー、異空間でのオナニーの記憶ばっかなんじゃが(ナニも間違っていない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんじゃここで一句(辞世の)

 

 

 

 

 

 我が息子

 

    邪悪認定

 

        カリバーン

 

 

 

 

 

 

 

 こんなにも俺は無邪気なのに見る目ないよなあの選定の剣(ツッコミ放棄)

 まあ『目』自体ないからしゃーないか。

 

 ……そんじゃまあ、逝ってきまーす!(悲壮な覚悟)

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖剣の光が俺の股間に着弾。

 

 

 次の瞬間、爆ぜた。

 

 

 

 

 

 これが爆死ってやつか……、そんなことを他人事のように思いながら、俺の体は聖剣の光に包まれて大爆発。ついでに肛門も大爆発した(こっちは比喩)

 

 

 

 

「「「賢者さぁーん!?」」」

 

 

 

 

 股間を中心に全身に激痛が走る中、最期に聞こえたのは女の子3人が俺を呼ぶ悲痛な叫び声。

 そして、轟く爆音だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、マイサンは死んだ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カリバーン「私は悪くない。邪悪な股間を持つ賢者が何もかも悪い」

爆発オチなんてサイテー!(建前)
賢者ザマァww(本音)

まさしく因果応報……ベオウルフさん、本当にすまない
あと、ラーマとシータも賢者の理由が不純すぎてごめんな!
今までヤリたい放題だったツケが回ってきたのだと思えば納得の結果でしょう
……正直、リリィを今回の特異点に同行させた時点で、読者様にこの展開を予想される可能性があったのですが、幸い感想欄では指摘されなかったので良かったです



次回は「ケルトのタケシ無双」です(大嘘) 更新はまた暫くお待ち下さい!



…………さらっと現れた『()』の辛辣なセリフ担当
ただし本格的な出番は次の特異点な模様
今言えるのはコイツは『一応オリキャラではない』ということだけですかね

けど後半の賢者のインパクトが強すぎてみんなコイツのこと忘れてそうな予感(笑)



追伸
まるでFGOとは関係ないけど、最近届いたカードキャプターさくらのOADを見て「きゃわわー……やっぱりええわぁ」と思った反面、ふと拙作を思い出し「……私も随分と汚れてしまったものだな」と寂寥感を覚えたりしました(大賢者並感)
まあ、今更この汚れは落ちないんで終局までは突っ走るつもりですが(笑)


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美術界に激震走る(除名)

こっそり予約投稿……時間でお察し

前回のあらすじ
賢者の股間にリリィの宝具が直撃した。全身大爆発した。ついでに我慢していた腸の激流が加速し、肛門も大爆発した(比喩)

今回の内容
溜めてたモノが出た。作品が生まれた

そんな訳で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第5話始まります
※茶色い食べ物や白い飲み物を摂取しながら読むのはご遠慮下さい


 

 

 

 

 

 

 

 何故かリリィの聖剣から放たれた光が、賢者さんに命中し爆発した。

 

 

(どうしてこんなことに……! これではエックス師匠と修行を始めたばかりの頃、黒髭殿に向けて宝具を放つ特訓をした際の失敗と同じです。わたしがあの時、宝具を使ってなければこんなことには……)

 

 

 しかし、悔やんだところで起きてしまった事態は変えられない。

 今の彼女にできることは賢者の無事を祈ることくらいだった。

 

 

 

 

 

 しかして連鎖的な爆発が収まると、そこには直立不動で君臨する賢者のアヴェンジャーの姿が。

 

 

 

 

 

 良かった! 最初にその感情が来たのも、見たところ五体満足だったからだ。

 

 

(で、ですがダメージを負ってない訳ではないはず! いや、ダメージを負っていようと無かろうとわたしが攻撃してしまったのは事実。まずはちゃんと誠意を込めて謝らなくては!)

 

 

 許される許されないの問題ではない。

 故意に間違った訳ではないとしても、自分のしたことは罪に値する。

 だから最低限謝罪をしなくては騎士以前に人間失格だと、彼女は考えていた。

 その上でお詫びの気持ちに賢者への償いとして、リリィは自分にできることならなんでもする所存だった。

 ……そう、そのつもりだった。

 

 

「け、賢者さん大丈夫でしたか? ごめんなさい! もちろんわざとではないんですが、本当に申し訳ありません……! 何かお詫びを……? ……賢者、さん?」

 

 

 リリィは急いで駆け寄り平謝りをしました。

 けど、あまりにも賢者からの反応が無いので、チラッと上目遣いで見てみたのだ。

 そしたら、

 

 

「……そんな、賢者さんが立ったまま死んでる……!?」

 

「い、いや先輩。流石に死んではいないかと! 死んでいたらカルデアに戻っているはずですし。立ちながら気絶はしてるみたいですが……って賢者さんが気絶!?」

 

「あわわわわ……!?」

 

 

 ど、どうしましょう!? リリィの内心は瞬時に大パニックに陥った。

 最初から倒れていたならもう少し冷静でいられたのかもしれない。

 もちろん心配は大きくなるが、宝具の直撃を受けたのだからそれくらいは想定の範囲内だったのだ。

 しかし、平然と立っていたので心配よりも安堵の気持ちが勝っていた。

 なのにまさか立ったまま気絶してるという事態。

 これもある意味上げて落とすというやつなんだろうか?

 

 

「患部を即刻治療しましょう」

 

「い、いや待てナイチンゲール! ()()も確かにくらっていた気がするが、賢者に無断ではまずい。余も同じ男として勝手に()()を露出させるのは看過できん!」

 

「離して下さいラーマくん。一刻も早く治療をするべきです」

 

 

 リリィが慌てていて目を逸らしている間に、ナイチンゲールが賢者に治療を施そうとしているのを、ラーマが羽交い締めにして止めていた。

 いったい何故? あの状態の賢者さんを治療することは間違っていないはずなのに、と彼女は思った矢先。

 

 

「ラ、ラーマの言う通りだよ! というか女としても見過ごせないかな!? その、いくら治療とは言っても、賢者さんの……ゴニョゴニョを、勝手に出すのはちょっと……ね? わ、私の礼装でもある程度なら回復は可能だし! ここはひとまず任せてよ」

 

 

 顔を赤らめたマスターまで介入した。

 

 

(ゴニョゴニョ……? マスターは何を……)

 

 

 指を差した先を見れば賢者の下半身……股の間? 男性の股の間。……選定の剣から放たれた光は、何処目掛けて直撃していたように見えた?

 

 

(…………っ!? ~~~~っ! そ、そういうことでしたか! それは確かに、その、マスターやラーマさんの意見が私には正しいように感じます。わたしが攻撃してしまった手前、治療をしてもらいたいのはやまやまですけど、殿方のアソコを、勝手になんて……あわわ)

 

 

 これ以上考えると顔から湯気が出そうになっていたので、リリィはその思考を打ち切る。

 

 

「いえあの彼が失神する程です。余程の傷を負っているはず。であれば私が治療を施すのは道理。患者を目の前にして放棄するなど私の存在意義に関わります。ですからラーマくん、いい加減離して下さい」

 

「だから! せめて賢者が目を覚まして許可を得てからにしろと言っているだろう!?」

 

「悠長に待っていろと? 怪我が想定以上に酷かったらどうするのです? 即時治療をさせなさい!」

 

「わー!? だから私が回復させるから! マシュ! リリィ! ラーマと一緒に婦長を抑えてて! お願い!」

 

「わ、わかりました。リリィさんも一緒に……お顔が赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「……はっ!? すみませんすみません! はい、わたしにお任せを!」

 

 

 思考を打ち切った、というよりも停止していたリリィがマシュの呼びかけで再起動を果たす。

 

 

(う、狼狽えている場合じゃありません! わたしが招いた事態なんですから、少しでもお役に立たないと……!)

 

 

 そう思いナイチンゲールを抑える役目を全うしようとした直後のことだった。

 

 

 

 背後に凄まじい威圧感がのしかかってきたのは。

 

 

 

 リリィはいきなりのその重圧に、ナイチンゲールを目の前にして、思わず膝をついてしまった。

 正直、何が起きたのか皆目見当もつかない状況。

 

 

 

「えっ……」

 

 

 

 思わず漏れた、というのがしっくり来るマスターの声が聞こえ、リリィは恐る恐る振り向く。

 そして、視界に飛び込んできた光景に絶句する。

 

 尻餅を着いているマスターの目の前に立つ賢者。

 彼の全身から神々しいまでのオーラが迸っていたのです。

 無意識に気圧される。

 畏れをいだき体が勝手に跪きそうになる程の圧。

 人が不用意に近付くことは許されない。

 そう思わせる圧倒的な存在感が、賢者のアヴェンジャーから溢れ出していた。

 

 

『立香ちゃん大丈夫かい!? 急に君のメンタル面の数値が大幅に変動したんだけど! 何が起きてるのかな!?』

 

「ッ! ド、ドクター……賢者さんから立ったまま膨大な魔力が溢れて近寄れません!」

 

『ど、どういうことだいマシュ? もう少し状況を詳しく説明できるかい?』

 

「ですから! 賢者さんが立ったまま気絶してしまったのでマスターが治療しようとしたところ、その行為を遮るようにして賢者さんの全身から神々しい魔力が出てきたんです!」

 

『なんだそりゃ!?』

 

 

 未だ尻餅を着いたまま呆然としているマスターの代わりに、マシュが説明をする中、リリィも動けずにいた。

 不甲斐ないと内心思ってはいても、賢者を中心にして溢れる目にはうっすらとしか見えずとも感じ取れる莫大な気配が、リリィの体を阻害していたのだ。

 

 賢者がこの特異点に来てから纏うようになったどす黒い魔力。

 あれも脅威自体は感じる。

 しかし今賢者が纏うその気配は、脅威というより……思わず逃げ出したくなるような、それでいて平伏したくなるような……何か高次元の存在を目の前にしてるような錯覚を覚えるのだ。

 何の心構えも無しに目を逸らすのは危険……というよりは失礼だと、リリィの『直感』まで働く事態。

 

 

(…………マスターもラーマさんもナイチンゲールさんも……あれ?)

 

 

 冷静になって周りを見回せば、ナイチンゲールだけがいない?

 

 

「なんですかこの障壁みたいなのは。治療の邪魔です。排除します!」

 

(ナ、ナイチンゲールさん!? よくあの賢者さんの目の前に平然と立てますね、凄いです……いやいや、感心してる場合ではありませんでしたっ)

 

 

 ナイチンゲールだけは威圧感をものともせず、いつの間にかラーマからの拘束を逃れ、賢者の真正面に立ちその至近距離から彼目掛けて銃を撃っていた。

 正確には賢者を覆っている謎の力に向けてだが。

 ナイチンゲールの目的は直接触診した上での治療。

 であれば、その障壁染みた謎の力が邪魔なのは本当だろう。

 だが、しかし。

 

 

(だからってあんな近距離から発砲するなんて強引過ぎますよ! 止めなくては!)

 

 

 突然の威圧感に呆けていたマスターもラーマも、いきなりの銃声で流石に気が付いたようだった。

 マシュはロマニと連絡を取っていてまだ手が離せない。

 であればマシュを除いた3人が取るべき行動は決まってくる。

 

 

「離して下さい。私は賢者のアヴェンジャーを必ず治療します。たとえ彼の命を奪ってでも!」

 

「相変わらず無茶苦茶な婦長殿だ! だがその信念は本物」

 

「だからこそ止めます!」

 

「二人とも婦長のことお願い!」

 

 

 そう言い捨てマスターが賢者の元へ再び駆け寄った。

 至近距離まで接近すればかなりの重圧を感じるはず。

 さっきまでその圧を諸に受けて尻餅を着いていたのだから、さらに距離を縮めればどうなるかなど想像に難くない。

 しかしそれでも、マスターはしっかり自分の足で立ち、賢者と対峙する。

 

 

 

 

「……(賢者さん、何がどうしてこんな……これじゃあ、私の礼装の回復魔術なんかじゃ、あなたに届かないよっ)」

 

 

 

 

 か細い声は聞こえても何を言っているのかまでは、リリィの耳に届きませんでした。

 でも、その声と同時におこなった行為。

 それが立香の心情を透けて見せていた。

 

 半透明な壁のような隔たり染みた魔力の奔流に、マスターが固くきつく握りしめた手を叩き付けていたのだ。

 当然びくともしません。

 何せナイチンゲールの銃弾さえ弾いたのだから、マスターの生身の手で破壊できるはずもない。

 

 リリィには藤丸立香の背中しか見えていないから、どんな顔で立っているのかまではわからなかった。

 けど、声色と震えた声で何となく察せてしまった。人前では決して見せようとはしないであろう、歪んだ表情をしていることを。

 

 

(…………わたしのせいで、賢者さんを物理的に傷付けただけじゃなく、立香さんの心まで傷付けてしまいました。胸が痛いです。やはりまだまだセイバーとしては未熟なわたしが特異点に来るべきではなかった……)

 

 

 立香の失意にまみれた後ろ姿を眺めて、リリィが思わず唇を噛み締めてしまっていたそんな時でした。

 

 

「先輩! すみません! 説明と同時に賢者さんの状態がどうなっているかも訊いていて遅くなりました!」

 

 

 今までカルデアと通信をしていたマシュが、立香の元へと一目散に駆けてきた。

 立香は慌てて目の辺りを袖で拭く動作ののち振り向く。

 彼女の顔は、いつものマスターとしての顔とほとんど変わらない。

 一つ違うとすれば目の下が少し赤い気がするくらいか……。

 

 

「ううん。大丈夫だよマシュ。それで何かわかったのかな?」

 

「ドクターやダ・ヴィンチちゃんの見解を述べますと、恐らくその魔力の障壁は賢者さんが無意識下で発揮させる防衛機構のようなものではないか、と」

 

「えっ? ……つまり気絶しても無防備にならない為に発揮してる力ってこと?」

 

『恐らくね。彼が未だどういう英霊なのかは不明だから確証はないけども』

 

 

 リリィは責任を感じていた。

 だから話の通りの場合、聖剣で直接あの障壁のみを、慎重に斬り裂けば問題は解決するのでは? と考えていたのだ。

 

 

「となると賢者さんを治療する方法は……」

 

『目覚めるのを待つか、強引に目覚めさせるか。はたまた強引にその防衛機構のみを破壊するか、だね。……でも最後のはあまりオススメできないかな?』

 

「それはどうしてでしょうか?」

 

 

 そんな思惑とはうらはらに、そこで待ったがかかる。

 防衛機構のみを破壊しようと思っていた手前、マシュの疑問は完全にリリィと一致していた。

 

 

(いったい何故? この手段がダメならわたしが賢者さんにしてあげられることなんて……)

 

 

 しかし、どうしても責任を取りたかったリリィの希望を、ドクターロマンは知らず知らずに容易く打ち砕く。

 

 

『強引に破壊した場合にキミ達に自動で反撃をしてくる可能性や、逆に障壁は賢者くんの魔力によるものだから、無理矢理破壊した場合、彼自身を傷付けないように破壊したとしても、障壁のダメージが彼にフィードバックする可能性が捨てきれないからだよ』

 

「そんな……! だったら呼びかけて起こそう!」

 

「先輩……。言いにくいのですが、ナイチンゲールさんの銃声でもまるで反応がなかったのを見るに、音も遮断されてるかもしれません」

 

「……ッ。それじゃあ賢者さんが自力で目覚めるのを待つしかないの?」

 

 

 何かにすがりたい、という気持ちが見え隠れするマスターの様子を見て、周囲にいっそう重苦しい空気が漂い始めたその時だった。

 

 

 

 

 大統王エジソンに用意してもらっていた通信機がこの場で鳴り響いたのは。

 

 

「これは……エミヤ先輩からの通信ですね。オープンに切り替えます」

 

 

 マシュがパパっと通信機を操作し、この場の全員に音声が聴こえるように変更する。

 

 

「エミヤ先輩どうされ────」

 

『────すまないがそちらの状況を今は度外視させてもらうぞ。前置きは省く。至急応援を要請したい!』

 

「「────えっ?」」

 

 

 マスターとマシュが綺麗にはもったとか、そんなことはまるで気にならない程の切迫したエミヤの叫びが、やけにリリィの耳に残る。

 どうやら不穏な空気はこの場だけではなかったようだった。

 それどころかエミヤ側の方が、余程危機的状況にある可能性まで浮上した。

 これでは現状待つしかない可能性の方が高い賢者のアヴェンジャーのことを、後回しにしなければならないかもしれない。

 いや、エミヤ側が切羽詰まってる時点でほぼ確定に等しいだろう。

 しかしリリィは、それを理解はできても納得ができなかった。

 自分の仕出かした罪をそのままにして、いったん飲み込んで戦いに専念するなんて器用な真似もできると思えなかった。

 そもそもの話、今回の出来事のせいで、エミヤ達の応援に向かったところで自分は役に立てるのだろうか、とリリィの自信は喪失しかけていた。

 

 

 

(…………わたしはいったいどうすればいいのでしょうか)

 

 

 

 いつの間にか滲んでいた視界に写る、未だ目を覚まさない賢者に向けて。

 リリィは心の中でそう呟いていた。

 そして、ハッとする。無意識だが彼に頼ろうとしていた。それを自覚した瞬間、自嘲の笑みが漏れる。それも酷く乾いた。

 

 

(傷付けたわたしが、わたしのせいで目を覚まさない彼に頼ろうとするなんて酷く滑稽ですね……)

 

 

 

 

 

 

 

 こんなわたしなんて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 純白の少女の心に、影が差す。

 時の経過とともに、彼女の世界(こころ)には、夜のとばりが落ちようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイサンは死んだ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────そう思ってしまうくらいには、正直そこら中でのたうち回りたいレベルの激痛に苛まれた。

 

 厳密に言えば俺の股間(カリ)死ぬような(バーンする)惨劇に陥ることは無かった────っぽい。

 

 肛門より漏れた排泄物が外に撒き散らされる大惨事も起きなかった────みたいだ、見た感じ。

 

 

 

 全ては俺の聖域宝具『童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)』のおかげで。

 

 

 

 いくらオムツだとは言ってもやはり宝具は宝具だ。

 聖剣の光のダメージが貫通したとはいえ、緩衝材の役割くらいは果たしてくれた────らしい。

 それに、こちとら生憎と素の耐久だってA+だ。そんなにやわじゃない。

 だからか、何とかマイサンがお陀仏する展開にはならなかった────ようだ。

 

 ただし宝具(オムツ)の中はある意味大惨事だった────と思われる。

 

 

 

 股間に受けた衝撃で、陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)は解除され通常状態に戻ったのだが、その拍子にダメージを受けた股間がエクストリームし、白いのドバァ。

 

 そして限界だった腹も、股間と全身に受けたダメージにより、我慢が利かず肛門が弛み大爆発(比喩) 即ち、茶色いのドバァ。

 

 

 

 おかげで宝具(オムツ)の中身は最初、白と茶のコントラストを描いていたが、それが混ざり合いコーヒーやココアにミルクを混ぜたような色合いとなった(何故その表現を選んだ)

 色合いだけならお洒落(?)だが、元となるのが所詮は前門から出た排泄物と後門から出た排泄物。即ち汚い。

 

 幸いフルバーストレベルの量ではなかった為、臭いにおいが宝具(オムツ)から漏れることは無かった────恐らく。

 

 しかし直ぐ様中身を除去できるかと問われれば話は別で、前も後ろも未だベットリと粘土のようなミルクココア(意味深)がへばりついており、非常に質感が気持ち悪い────たぶん。魔力変換ハリーアップ求む。

 

 

 

 流石の俺もスカトロ趣味は尿までが限界だ。

 すまない、アマデウス。アンタ程の排泄物嗜好家(スカトロジスト)には成れそうにねぇや。

 そこまで性的倒錯者(パラフィリア)って訳じゃねぇしな俺。

 別に俺は童貞の頂点であって変態の頂点ではない。

 その座はアンタにくれてやるよアマデウス。

 

 ……まあ、カルデアで彼と会話したことないけども。

 いやね? 俺の尻を舐めろ的な曲を作ったり、生前の手紙で下ネタとウンチを連呼するような相手を目の前にしたら、変態と変態が共鳴して箍が外れ、俺の本性が社会の窓からこんにちはみたいな展開になるかもしれないから、接触しないように避けてたんだわ(訳がわからないよ)

 

 俺にもよくわからんが、コイツは本能的な面だから何とも……というか無事だったのは『耳元で一人ずつ囁く連中』だけっぽいな。

 ……ん? 『外』の奴らも影響ない感じなのか?

 となると、俺の精巣に憑依してる『中』の連中だけが無事に済まなかった、と。

 

 そりゃあ、諸に聖剣の光直撃したしなぁ(遠い目)

 いつもより頭の中が喧しくないから快適な気がするけど、微妙に落ち着かねぇなこれ。

 慣れって恐いわー、500年以上の付き合いだったから仕方ないちゃ仕方ないかもだけど。

 ……でも、消滅までした訳じゃ無さそうだな。悶絶してる感覚だけは伝わってくるし。

 まあ、結局何一つ失うことなく助かったんだ。

 激痛だけで済んだと考えれば万々歳。

 結果オーライだろ。

 少しは自業自得なとこもあるしな(少し……?)

 

 

 

 ただし、ダメージが酷すぎたせいで宝具(こかん)は一時使い物にならなくなった────らしい。

 

 

 

 コイツは正直笑い事じゃすまねぇ……何せこれじゃあ大賢者モードになっていないにもかかわらず、ロンドンで激おこモロチンと相対した時の二の舞だ。

 あの時と違って1日経たなきゃ復活しないって訳じゃなさそうだが、にしたってアホなミスなのは変わらない。

 まだマシなのは前回と違って、憂鬱の力やその他の準備した力など、今回は他の戦う手段を用意しておいたのが幸いか。

 

 

 こんな状態の時に敵サーヴァントが現れるのはごめん被りたい。つーか連戦も勘弁して欲しいぜ。

 まあ、雑魚は元気百倍になったラーマきゅんがいるし問題ないだろうが……シータちゃんには一目で良いから正直会いたかったなぁ。

 もう今や後の祭り過ぎてどうしようもねぇのはわかってけどさー。

 ラーマきゅんから話を聞かされた時、直ぐに改めてクンカクンカした感じ、シータちゃんはこの特異点から完全に消滅してしまったみたいだし。

 残念無念。

 ウルチンもといベオウルフが邪魔しなければこんなことにはならなかったってのに…………とは言っても怒りに任せて股間を抉り潰すのはやり過ぎた気はするかっ。

 

 

 

 と、まあここまで長々と内心で、やたらと推測混じりな独り言を語ってきた訳だが。

 

 

 それにはちゃんとした理由がある。

 

 

 

 実は今の俺は第5の特異点にはいない。

 いや、厳密には肉体だけ第5の特異点に置いてきた。

 俺は現在、住居宝具で形成している我が異空間に、魂だけで離脱しているのだ。

 

 その、ね? 思った以上に無防備な股間目掛けて聖剣の光が炸裂したもんだから、痛みが俺の許容量を超えるレベルだったらしく。

 

 

 

 [深刻な痛みを伴う致命的ダメージを急所にもらいました。一時救命措置として管理者の魂を緊急避難させます]

 

 

 

 って、システムアナウンス的なのが脳内に流れてきたと思いきや、異空間に意識だけ飛んできていたって訳だ。

 ……そういやこのシステムアナウンスもよくわからんよな。これ何なの? たまに脳内に流れることに疑問すらいだいてなかった過去の自分にツッコミたいわー。

 おっと! 流石に過去の自分に物理的に突っ込みたい訳じゃないからな!?(説明不要) 流石の俺も、ナルシストを極まり過ぎたそこまでの倒錯者になるのは無理!

 まあ、ともかく今までのはこの異空間から、第5の特異点にいる俺を含むカルデア組+現地協力サーヴァントを、意識のみの俺が俯瞰的に見ながらの発言だった訳だ。

 

 

 

 

 ………………(唐突なメンタル賢者モード)

 

 

 

 

 

 うん……さて、これからどうしようか。

 

 

 現場(アメリカ)の俺……というか肉体の俺の状況がその、ね? すこぶるまずいのよな。

 

 

 何がまずいって、直立不動なまま気絶してるのは百歩譲ってよしとするが、仲間達がそんな俺を善意で心配して近付いてきていた。

 

 本来であれば嬉しいことなのだが、問題となる俺の体質上、危機的状況でしかない。

 フルバーストからのテクノブレイク直行案件不可避。

 

 

 

 

 

 

 ……特に婦長にいたっては直接マイサンに治療を施そうとしている。ヤ バ い

 

 

 

 

 

 

 

 だから俺は苦肉の策として、スキル・性神の矜持を全力全開で行使し、無理矢理時間稼ぎをするはめになった。

 

 性神の矜持というスキルは、神性を内包する俺固有のスキルだが、基本的に戦闘時はオートで発揮される。……女性からの軽い接触でフルバーストするのを防ぐためにな。

 いやまあ、第4特異点の時のパイタッチ時は解除してたぜ?

 何せ性神の矜持展開してると感触とかわからんし。

 

 

 もちろん! あのお胸の感触を体感するためだったから、解除したこと自体は後悔してないぜ!!

 

 

 俺が後悔してるとしたら、フルバースト後の大賢者モードが解けた後の戦闘手段を日頃から用意しておかなかったことくらいだ。

 その点については今回は抜かり無しだ。

 いつでも敵の極上の女体をお触りする準備は万端だぜ!(セクハラ上等の変態)

 

 んで、性神の矜持を全力行使ってのは、オート発動じゃなく任意で防御性能を最大出力で使用してる訳だ。

 接触を完全にシャットアウトし、ある程度の攻撃なら無傷で耐えるくらいのな。自動迎撃機能とかは無いがね。

 ……まあ、魔力消費はそれなりにかかるし、モロチンが使ってきた馬鹿みたいな火力の通常攻撃とか、サーヴァントの宝具なんかだととてもじゃないが突き破られるけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………あれ? 普通にまずくね?(それな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 頼む! 俺の肉体! 早くそのショック死しかねない激痛を和らげて! はよ!

 あと童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)! 中身の汚物をちゃっちゃと除去しちゃってくれよな!

 

 そしてマイパーティのみんな! マジで婦長を止めてくれ! 無理矢理俺の神気を打ち破って接触しようとするのは勘弁して!? 治療はしなくて良いんで! たとえフルバーストに耐えたとしても、股間をこんなとこで露出されたら俺の計画は全てオジャンだ。

 

 つーか、股間露出=オムツの中身ドバァ案件。

 即ちオムツの内側に描きし斬新な絵画、作品名『荒れ狂う下り龍──白濁の命を添えて──』を一般公開するはめになる。

 

 これこそまさに芸術は爆発だってやつだな。

 肛門も爆発(比喩)したし、何事もインパクトが必要なんだろうよ。

 

 ハハッ! ある意味対をなす汚い排泄物二大巨頭のコラボレーションを使って、オムツの内側に描くなんて世界でもきっと俺だけに違いない。

 その上そんな作品を一般公開し、なおかつその絵画の一部を描くのに使用した筆(意味深)を見せびらかすなんて、前代未聞なことだろう。

 

 イェーイ! 俺が美術界を塗り替えてやったぜ! オムツの中だけど茶色いのと白いので物理的にもな! 上手くねーわクソが(クソだけに)

 テメェも悪ノリすんなや。こんな話題のせいで、なんか異空間にいるのに臭ってきた気がするつっーの。……頼むぜ我が宝具(オムツ)、中身の魔力変換さっさとオナシャス!

 …………というか言うまでもないけど俺、美術界にケンカ売ってね?(風評被害甚だしい)

 

 

 これは美術界からの追放待った無しですわ(美術界どころか冥界からも追放されるレベル)

 

 

 ……いや、それ以前に中身晒すまでもなく、オムツ履いてる事実を知られた時点で、間違いなく社会的に終わるよね! だから婦長、早まらないで!?

 

 

 

 

 

 

 異空間にいる意識だけの俺は、肉体そのものが無いにもかかわらず、手に汗握っていた。

 まあ、そういう心境にもなる。要は焦りを覚えているからだ。

 だが今は待つ他ない。時に身を委ねるしかないのだ。

 

 

 だから今の俺は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────息子を固く握りしめるしかやることがなかった(緊張感皆無)

 俺は無力だ。うっ! …………ふぅ。

 おや? ………………魂だけの身で出すといつもの白いのじゃなくて魔力の塊が出るんだな(初体験並感)

 

 

 

 

 




賢者の作品を買い取りたい方は挙手()

今回は約1万字
案の定の分割である、即ちこれは前編
なので次回は後編です
……当然後編の方が内容が酷いのはご愛嬌

分割なため、近いうちに後編も投稿できると思います(たぶん、メイビー)
更新が遅くなった理由は次回の後書きにて


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アレと同類扱いは勘弁して欲しい(切実)

次回は後編と言ったな……アレは嘘だ(またかよ)
案の定の中編! 長いんだよバーカ!(逆ギレ)

おかげで前回より内容が酷いという保証が無くなったよ
それは普通なら良いことなのでは……? というツッコミはNG
つまり今回は比較的綺麗だよ(汚くないとも言ってない)
ちなみに次回がオチです(こっちは汚い)

では中編、即ち第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第6話始まります


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! ………………ふぅ。

 

 

 

 

 その場にいないで俯瞰しながら、立香ちゃん達でオナニーってのもなかなかに乙なもんだな。

 

 っと。のんびりオナってる場合でもなかったぜ。

 何とか俺の下半身が暴かれる事態は避けたみたいだから、安堵したのもあって股間の元栓を緩めたりしちゃったよ、失敗失敗。

 肉体の俺が未だ気絶したままな訳だが、なんかエミヤ側でまずい事態になったらしいんだよな。

 

 話を聞くに、ケルト側にもアメリカ側にも属していなかったはぐれサーヴァント達を概ね仲間として引き入れることには成功したようだった。

 しかし、アレクサンドリアにて合流を果たしたネロちゃまとエミヤ一行に立ちはだかったのが、ケルトの叔父貴もといフェルグス・マックロイ。

 どうやらカルデアにいるフェルグスとは比べ物にならない程の強さらしい。

 その証拠に、エミヤとの会話の途中もけたたましい戦闘音が鳴り響いていたのだが、唐突な激しい破砕音と共に通信が切断されたのだ。

 

 うん……これアカンやつや。

 エミヤ側には今、最低でもネロちゃまとエリちゃんがいる。

 どちらも美少女だ。

 カルデアにいるフェルグスの感じだと、彼はロリコンではないが……彼女達が生粋のロリかと問われれば答えは否。

 二人とも充分に魅力的な女性だ。

 そんな二人がいる場に、なんか異常な戦闘力を保有しているらしい色欲の化身、好色さ極振り英雄、性欲旺盛なマッチョマンなフェルグスがケルト側として現れた。

 しかも、エミヤ側は彼を含めて六騎のサーヴァントがいるにもかかわらず、いくらケルト兵を率いているとはいえたった一騎で戦況が互角どころか、圧倒しかけているらしい。

 

 つまり彼らが負けた場合、ネロちゃまとエリちゃんがフェルグスによって下のお口にカラドボルグ(意味深)される可能性がある。

 

 あの性豪ならヤりかねん!

 

 マスター達も俺の卒業候補達が犯される心配があったのか、急遽応援に向かう方針にしたみたいだしな(※違います)

 さすマスですわー、マジ有能!

 

 

 

 あ、でも気絶してる俺のことをどうするのかって話になったぞ? 誰か一人気絶中の俺を守る係として置いていくことになったっぽい……あれ? 今の俺ってもしかしなくてもお荷物?(そうだよ)

 えっ、じゃあ何? こっから悲しい押し付け合いが始まるんです? ……やだー! そんなの見たくないンゴ!

 そんなくらいなら最初から一人置いてってクレメンス!

 

 そんな俺の声は当然ながら届かない。

 しかし、謀ったかのようなタイミングでドクターロマンから声がかかった。

 

 

『……立香ちゃん、マシュ。こんな状況で悪いけど、こちらからもとても残念なお知らせがあるんだ』

 

 

 ここに来てとても残念なお知らせ、だと?

 エミヤ達が大変なことになっているこの状況でか?

 いったい何が……。

 

 

『一難去ったらまた一難どころか、非常に残念なことにアルカトラズ島にも、最初に出会った敵サーヴァント達が接近してきている反応がある! 直ぐにでもあちらの応援に向かいたいところだけど、ここに来てまたもや波乱だねっ!』

 

 

 孕んだね!?(酷い誤認) 誰が!?

 ここにいる女性陣の誰かが!?

 誰に孕まされた!? ……まさか! ドクター、テメェ!!

 

 …………って、冷静になれ。ここにドクターいないのにどうヤるんだよ。

 でもそうなると誰なんだ?

 

 俺は大前提に今股間死んでるから孕ませるとかまず無理だし、ラーマきゅんはそもそも逆に孕まされる側だから関係ない(頭ハッピーセットかな?)

 

 じゃあ、いったい誰が?

 

 ……まさか、今向かってきている敵サーヴァント、ヤリサー二人組に、俺の卒業候補の誰かが……いや人数までは述べてないってことは最悪ラーマきゅん含めて全員孕まされるという予言!?

 

 ロマン、お前いつの間に未来予知を使えるようになったんだ……!

 

 いや、それよりもエミヤ達側の女性サーヴァントが孕まされる可能性の方が高くないか!?

 何せあちらの敵はあの色情狂(ニンフォマニア)フェルグス・マック・ロイ。姓の通り真っ黒い(マックロイ)極太なドリル(意味深)で下から突き上げ一晩で七人の一般女性を骨抜きにする性豪だ。

 一度ハメられたら孕まされるのは確定に等しい。

 それどころか奴は女だけではなく男も守備範囲な為抱けてしまう。

 エミヤ側は男女合わせて六騎。

 

 それ即ち一晩で七人抱くフェルグスが相手では、全員メスにされるのは必定(偏見)

 

 

 

 つまりどちらにしても孕まされる可能性がある。

 ……なんてこった、大ピンチじゃねーか。

 

 

 

 ハッ! だがありがてぇ。

 事前に知っておけば対処もしやすい。

 奴らを必ずぶち殺す動機も生まれた。

 

 

 …………って、肉体に戻らねぇと話にならねぇぞこれ。

 対処する手段を持っててもこのままじゃ意味ねぇ!

 完全に戦わずして負けの不戦敗じゃねーか!

 

 さぁ我が魂、我が身に戻るんだよあくしろよ。

 

 

 

 

 

 

 ………………………………。

 

 

 

 

 

 

 えっ、これどうやるん?

 

 ……どうすんのこれ? ちょっとー! 俺の『中』の連中は……無理か。『外』の連中に訊きたいんだがこれどうやって戻れば良いの?

 あん? さっぱりわからん? ……いやいやここに来て冗談かましてくるのはどうよ。真面目に切羽詰まってんだって。マジ困ってんの。お分かり?

 

 

「やあ、マシュ殿。前回の約束は覚えているかな?」

 

「……あれですか……」

 

 

 とか何とか脳内で揉めてる間にヤリサー二人組来ちゃってるじゃねーか!

 揉めてる場合じゃない、つーか揉めるならおっぱい揉みたい! 雄っぱいとかいらないから、ヤリサー二人組は仲良く二人でヤっててくれ。

 あとマシュは、立ったまま失神状態の俺を咄嗟に背に庇う体勢になってくれてありがとさん。お兄さん感激やで。

 

 

「ああ、此度は本気だ。しかし戦った結果、君が敗北してなお生き残ったならば! 君を私のものにしたい。つまり、キミを私の嫁にしたい」

 

「……いえ、お断りしますというか、現状を考慮するに論外な提案な上、わたし達は仲間の応援に向かわなければならないので、正直あなたにかまっている暇はありません」

 

 

 フィンの野郎……その場の俺が気絶してることを良いことに、マシュに再度プロポーズをかましやがって!!

 

 ゆ る さ ん!!!!

 

 直接俺の手でぶっ殺す!!

 だからもったいぶってねーでさっさと戻る方法教えろや!

 

 

 

 …………えっ、マジで知らないのん?

 

 

 

 ちょっ、使えねぇってレベルじゃねーんだが!?

 なんなの馬鹿なの死ぬの?

 お前らなんのために俺と繋がってんのよ!?

 

 

「む?」

 

「どうされたのです? 王よ」

 

「暫し待て…………。なるほどなるほど。我が宝具『親指かむかむ智慧もりもり(フィンタン・フィネガス)』で、状況が読めたぞ」

 

 

 別に好きで繋がってる訳じゃない? なんか勝手に脳内回線みたいなのが繋がってたから視聴してただけ?

 

 うわ、いらねぇ! まだ『中』の奴らのが有効利用できた部類だよ! お前らただ俺を視姦しに来てるだけじゃんか!(それはない)

 

 

「ベオウルフはやられてしまっているが、どうやらあの苦戦を強いてきたサーヴァント、確か賢者のアヴェンジャーだったかな? 彼もまた今は戦えない状態にあるようだ。原因まではわからんがね」

 

「それはまことですか、王よ! だとしたら些か拍子抜けが否めませんね。私としても雪辱を果たすため、再戦を期待していたのですが」

 

 

 っ!? やべぇ、甘く見てた。

 そうだよ、あのマシュ口説きヤリサー騎士団長、フィン・マックールと言えば、叡智を与える鮭の逸話がある。

 その効果が宝具と化してたっておかしくない。

 ……にしても、親指に付いた鮭の脂をペロペロするだけで、叡智を獲得できるとか、これもうわかんねぇな。

 1回ペロリとするだけで、この場の状況を読み解くとか、どんだけDHAが豊富なんですかねぇ。

 

 

「いやこれはチャンスだ。マシュ殿を嫁にするチャンスでもあり、おまえの望みが叶うチャンスでもある」

 

「と、言うと?」

 

「なに、簡単なことだディルムッド。それはな────」

 

 

 まあ、俺は自分の親指ペロペロより、女の子の親指……というよりも耳の裏とか、耳の中とか、耳たぶとか、首筋とか、うなじとか、脇の下とか、胸の谷間とか、北半球とか、南半球とか、持ち上げた胸の裏側とか、横乳とか、B地区とか、B地区の輪部分とか、お腹とか、脇腹とか、おへそとか、鼠蹊部とか、背中とか、腰のくびれとか、膝の裏(ひかがみ)とか、お尻とか、もも肉とか、足の裏とか、指と指の間とか、肩甲骨付近とか、ペロペロしたい! ペロペロしたい!(強調せんでよし)

 なんだよ? お前らはしたくないのかよ?

 

 ん? ペロペロ箇所が一部マニアックじゃないかって?

 直球でええんか? ええのんか?

 

 

 

 

 

 

 

 んもう! 好きものなんだからぁーん(唐突なオネェ)

 

 

 

 

 

 

 

 うわ、キッツ!?

 ……グハッ! だ、だが前回の茶化しオネェの経験のおかげで精神ダメージは最小限で済んだぜ(震え声)

 んじゃ、まあ期待にお答えしてド直球ド真ん中のペロペロしたい箇所を順番に言っていくとしようか!

 

 まずはやっぱりおまん────あ? 脱線し過ぎじゃないかって? 特異点の自分の心配しなくて大丈夫かって……いやお前らが一般的なペロペロ箇所を述べろって言ったんじゃねーか(誰もそうは言ってない)

 

 なんだよー、今から色んな一般的ペロペロ箇所を改めて指南してやろうと思ってたのに……例えば肛門括約筋とか(えっ)

 

 えっ? 肛門括約筋とか菊門のペロペロは普通の範疇やろ?()

 

 

 

 何故にみんな無言……?(うわぁ)

 

 

 

 ちょちょちょ!?

 えっドン引きされてんの俺? いったいどこら辺にドン引く要素が……?(これは末期ですわ)

 …………なんか自ら墓穴掘ってる感否めない上、繋がってる連中のことなんざ正直どうでもいいんだけど、だからって俺の印象が変態一択になるのは、なんか納得いかん!(大丈夫だよ覆らないから)

 

 俺だって普通に真面目なとこあるんだぜ?

 何せこんな脳内会話……今は魂の俺だから精神会話かもしんないけど、それやってる傍らであろうと、特異点にいる俺周辺の会話もちゃんとキャッチして、話全部聞いて把握完了してるしな(無駄に有能)

 これくらいできなきゃ神は名乗れねぇよ。

 

 どうやらフィンは親指ペロペロのおかげで、俺が一時的な戦闘不可だと気付いたため、俺不在の間に開幕全力による速攻で倒す戦法で来るらしい。

 一番厄介な()がいない間にケルト兵による数の暴力含むごり押しで攻め勝ち、マシュを嫁にした後、俺が目覚めたらディルムッドが望む俺との一騎討ちをさせてあげるって寸法なようだ。

 

 …………えっ?

 

 

 

 ちょいタンマ。

 

 

 

 俺が目覚めたらディルムッドが望む俺との一騎討ちをさせてあげるって寸法?

 

 

 

 待て待て待てい。

 

 

 

 ディルムッドが望む俺との一騎討ち?

 

 

 

 えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 あの黒子イケメンの狙いってリリィじゃなくて俺なん!?

 まさか、いやまさかとは思うが……()()じゃないよね!? ね!?

 

 

 

 

 

 

 ヤらなければヤられる、イッキうち。

 

 

 

 ()らなければ()られる、一騎討ち。

 

 

 

 ()らなければ()られる、一気射ち。←これ

 

 

 

 

 

 

 

 いやいやいやいや……そんな、そんなことがある訳ないって、アハハハハハハハハハ(滝汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 って、相手が『ゲイ』を司る槍を2本持ってるヤリサーの筆頭騎士って時点で可能性アリアリじゃねーかァ!!!!(ねーよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チクショウ!! 油断した! リリィ狙いに切り替えたのかと思いきや俺狙いだったとは(狙い違い)

 

 童貞捨てる前に後ろの処女散らされるのは流石に勘弁して欲しいぞマジで!

 俺が童貞捨てた後なら、別に後ろの処女くれてやっても良いけど(えっ)

 先はアカンそれはアカンよ。

 

 それに、だ。

 ヤリサーのディルムッドの奴は両手に2本と股下に1本、合計3本の槍(意味深)を持ってやがる。

 男には穴が2つしかないってのに、どんな無茶ぶりをされるかたまったもんじゃねぇ(戦慄)

 

 これは真面目に一刻も早く目覚めなければ! 俺の初体験がBL展開かつその中でもかなりアブノーマルなチンコ3本による串刺しプレイになってしまう!!(被害妄想)

 

 それ以前に、ヤリサー金ロン毛騎士団長にマシュが娶られる展開も我慢ならん!

 

 

 

 由々しき事態だ、どうにかして即刻我が肉体に戻らねば……!

 

 

 

 あっ……そういや別枠の『耳元で一人ずつ囁く連中』もいんじゃん。

 お前らは戻る手段知らないか?(……知ってはいる)

 

 なら頼む、教えてくれ。卒業候補達を守る為に!(でも面倒臭い)

 

 そこを何とか!(お前ら()()()()のお願いだぞ教えてやれよ)

 

 

「唐突だがマシュ殿。我が血脈の神祖たる戦神ヌアザが司るものが何か知っているかだろうか?」

 

「ッ戦闘の最中に何を……」

 

「ここは島だ。だからこの島の周りにはたくさんあるんだよ()()が。無論、ヌアザの血を引く私も使える。ましてや生前の私はそのヌアザを打ち負かす程だ。聖杯の力を用いて呼び出された私が()()を支配下に置くことなど造作もない」

 

 

 ん? さらっと脳内も現実もなんだって?(ならお前がやれよ)

 

 

『ま、まずいぞ立香ちゃん! マシュ! 島の周りってことは確定だ。間違いなく「水」の力を使ってくるぞ!』

 

「水……ってことは島の周囲の海水を支配下に……!?」

 

「如何にも。さて、カルデアのマスター。零落せし神霊アレーンさえ屠る我が一撃。……それをほぼ無限に撃ち出せる準備をしてきたのだが、君はどう凌ぐ?」

 

「ッ!! マシュ、宝具を展開して!!」

 

「は、はい! 真名、偽装登録」

 

 

 ゲッ……オイ待て、それってまさか(こちとら日課で忙しいんだ)

 

 

「堕ちたる神霊をも屠る魔の一撃……その身で味わえ! 『無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)』!!」

 

仮想宝具疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

 

「はっはっは、流石に防ぐか! だがもう一発! 無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!!」

 

「ぐっ……!」

 

 

 ちょっ、フィン。島の海水を利用してバカスカ宝具ぶっ放してんじゃねーよ!(どうせ日課っていつものオナニーだろ)

 

 

無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)! またまた無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)! それもう一つ無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!」

 

 

 海水を補充して宝具を連射とか反則じゃねーのか!? これだからアーツ勢は……! 早漏かこんにゃろう! 射精の如く乱発しやがって!(おまいう)

 頼りのラーマはディルムッドとケルト兵の相手してて、それどころじゃなさそうだし!(これはアイツに任せよう)

 

 

「くっ! このままじゃ……突破されます!」

 

「マシュ……! お願い耐えて! リリィ、婦長。どうにか回り込んでフィンを止められないかな!?」

 

「やりたいです、けど!」

 

「ケルトの戦士の数が多すぎますね」

 

 

 やべぇよやべぇよ……急がないと二重の意味でみんながヤられちまう! クソォォおおおお! 戻れよ俺! さっさと肉体に戻るんだよォ!(……新参者出番だぜ)

 

 ちくしょう! なんで脱魂した際と同じような方法で戻れねーんだ!?(先輩方ここでパス!?)

 

 あん? この声……辛辣な意見ばっか述べる奴じゃねーか(こっちはマジで忙しいんだが)

 

 だけどこの際誰でも良い、俺の記憶は抜け穴だらけだから、マシュやリリィの貞操を守る為に力を貸してくれ!!(……はぁ)

 

 

 《まずないと思うが、万が一ってこともあるから今回は助言をくれてやる》

 

 

 これはいつぞやの、というかアルカトラズ島に来る前にもあったバイノーラル式。てか助けてくれんのか! 恩に着るぜ!

 

 

 《恩を仇で返されそうなんだよなぁ……。まあ、マシュお……マシュさんが傷物にされるのは私も望むところではないし、仕方ない》

 

 

 早く教えてくれ! はよはよ! もたもたしてるんじゃないぞ!

 

 

 《喚くな。今回は脱魂した状態から戻ってきた時と、決定的に違うことがある。自分の意思で抜け出たか抜け出てないかの違いだ。だから脱魂時と同じ方法じゃ戻れない》

 

 

 そういうことだったのか。そりゃ何度やっても無駄な訳だぜ。

 

 

 《それに本来なら時間経過で痛みが退けば強制的に戻されるはずなんだ。今回アンタがやろうとしてるのは、それを無視する行為だ。つまり正規の手段じゃない。……それでもやる気か?》

 

 

 それでも俺は肉体に戻らなきゃならない。

 何となくわかるんだ。ただ童貞を捨てれば良いって訳じゃないって。ここでマシュ達を見捨てて、もしこの先の未来で童貞を捨てられたとしても、俺は後悔する。

 記憶はまだ抜け落ちたままだが、そこら辺は俺の魂に刻まれてるのかもしれねぇな。

 それに俺が勝手に卒業候補って思ってるだけだけど、俺が卒業候補って決めた以上、勝手ながら守り抜く責任が生じるもんだと思ってもいるんだ。

 俺のエゴなのは百も承知。けどな、好きな奴らは守りたいってのは人のさがだろ?

 

 

 《……なんというかただの変態って訳じゃないのが逆に腹立つ》

 

 

 なんでだよっ!? 今回別にそこまで変なこと言ってないでしょ!?

 

 

 《わかったわかった。教えるよアンタなら造作もないことだろうしな》

 

 

 本当か!? よし早速頼む! もうマシュ達も限界だろうしな!

 

 

 《まず根本的に戻るって考え方自体が間違ってるんだ。何せ今回はアンタの意思ではないにしろ、緊急時の避難に近い。つまりただ戻るというよりは、自ら飛び込むイメージが必要なんだ。アンタがわかりやすい例としてあげるなら……そうだな。魂であるアンタがパイロットで、肉体のアンタは暴走の可能性があるロボットって感じか。あとはコックピットに乗り込むイメージ。それで戻れるはずだ》

 

 

 おう、理屈は何となくわかったが……それだと俺にはイメージし辛いな。実際、肉体に飛び込んで一つになるイメージなら何でも良いんだよな?

 

 

 《ああ、戻るってイメージじゃなくて自ら危険を承知で飛び込むイメージであれば何でも────》

 

 

 オーケー! イメージイメージ……ならば俺は精子だ(なんでやねん)

 肉体は卵子。飛び込みは受精をイメージすることにする!(うわぁ)

 

 

『────…………もうそれで良いよ……回線早く切りたいんですけど先輩方ぁ。今裏工作中でして、脳内だけとはいえこんな奴に付き合ってるのは嫌です』

 

 

 イメージしろ!(よくやったよ最年少)

 イメージするものは常に最強の精子だ(ゆっくり休めろ頭を)

 俺は精子、俺は精子、俺は精子っ!!(にしてもコイツ酷いな)

 体は卵子、体は卵子、体は卵子っ!!(どうしてその発想に至ったんだ)

 

 

 《本当に何故そんな発想に……そういえば頂点がこんな奴だと我々のイメージの基準が童帝神(これ)ってことになるんじゃ……》

 

 

 魂と肉体が一つになるイメージ、まさに受精こそ最適解だな(((やめろ新人、その先は地獄だぞ)))

 

 もう一つ思い付いてたのは魂の俺が男、肉体の俺が女、飛び込むイメージが性交ってのも考えたんだが、流石にイメージとはいえ、本当の合体(意味深)は現実でヤりたいから、取り止めたけどこれなら上手く行きそうだぞ(これと同類とか心外だぞマジで)

 

 あとはイメージを確立するだけだ(我々=変態の図式は勘弁)

 

 魂は精子、体は卵子、合体イメージは受精(でもトップがこれでお察し)

 

 …………脳内補完完了!!(諦めようぜ……)

 

 

 《体に戻った時、痛みは残ってる可能性が高いから気を付けろよ……って集中してて聞いちゃいないか。先輩方の声も聞こえてなかったっぽいし。ま、アンタなら大丈夫さ。それじゃあ私はこれで》

 

 

 行くぜ! 受精ッッッ!!!!!!(盛大に無視)

 

 

 

 

 

 魂の俺は肉体目掛けて、飛び込んだ。

 待っててくれよみんな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズキッ。

 

 

 

 直後、股下に痛みが走る。

 耐えられない程の痛みじゃない。

 

 

 ──役目を全うせよ。

 

 

 声が聞こえた、否。

 正確には音はない。思念か。

 

 

 ──貴様は何者だ。

 

 

 俺? 俺は童貞の頂点、童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)だ。

 

 

 ──違う。

 

 

 ……何が?

 

 

 ──()()()()()()貴様は何者だ。

 

 

 は? ただの人間……。

 

 

 ──違う。

 

 

 即刻否定かよ……。

 

 

 ──己の役目を全うせよ。

 

 

 だから何を……!

 

 

 ──生来より定められた役目を全うせよ。

 

 

 俺は……()()は! 

 

 

 ──役目の果てに、その命投げ出せ。

 

 

 ……────ならない、絶対に。

 

 

 

 

 ズキッ。

 

 

 

 

 

 

 ()()の意識は何かに塗り潰され、闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [管理者の魂が不正侵入に成功][深刻なエラーが発生しました][残存命令に従い封印再構築を実行中でしたが失敗][封印に重大な破損が見られます][再度の封印は現状において続行不可能です][残存命令に従い失われた保存情報のサルベージと修復作業は継続して実行][封印の順次崩壊に伴い、閲覧不可だった保存情報が随時解放されます。記憶逆流による意識混濁にご注意下さい][体に魂を装填……認証完了][エラーを無視して再起動を開始します]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュは限界だった。

 

 

 

 

 

 いくら宝具を解放してる上、デミ・サーヴァント特有の『憑依継承(サクスィード・ファンタズム)』によって獲得している、魔力をそのまま防御力に変換する『魔力防御』も同時展開。

 なおかつスキル『今は脆き雪花の壁』も併用し、全体の守りを固めに固め、自身は含まれないが防御限界値以上のダメージ削減を発揮する『自陣防御』も活用するという、現状の彼女が可能な究極防御を用いても、限界は来る。

 

 それほどまでにフィン・マックールの猛攻を耐え抜くのは厳しい状況だった。

 何せ島の周囲にある海水を補填して宝具を連射してきているのだ。

 そう何発も何発も必殺に等しい攻撃宝具を叩き込まれては、これだけ防御を固めても、時機にぶち抜かれる。

 大量のケルト兵も押し寄せて来ているため、この場から攻めに転じフィンに接近戦を挑むのも、ましてや離脱することも叶わない。

 

 ならばと、隙を見て何回か遠距離から婦長がフィンを銃撃する。

 しかし、たいていフィンが持つ自動攻撃機能付きの魔法の槍が弾ききるか、ダメージを多少与えられたとしても、両手で掬えばたちまち回復効果のある水となる宝具『この手で掬う命たちよ(ウシュク・ベーハー)』で、あらかじめ大量に掬っておいた水を水袋に入れているために、直ぐ回復されるという酷い戦況だった。

 

 しかもその水を部下にも別の水袋に入れて渡しておくという用意周到っぷりにより、一騎当千のラーマを相手にディルムッドは全快状態。

 にもかかわらず、2本の槍のうちの1本である黄の短槍、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)の効果によって、ラーマには治癒不能の傷を負わせるという手段。

 さらにラーマが羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)を放とうとすると、もう1本の槍である紅の長槍、破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)を使って剣の魔力的効果を打ち消しに来るというえげつない戦法により、優位をキープしながら戦ってくるという有り様だ。

 

 おかげでフィンを止める一手が確保できず、立て続けの宝具解放をマシュは甘んじて受け止めるしかなくなっていた。

 マシュの背後にはマスターの藤丸立香と、未だ立ったまま失神している賢者がいる。

 よって守りに専念するほか道がないのだ。

 

 だが防御を徹底しても、状況は芳しいとはとても言えなかった。

 このままでは破られるのも時間の問題だ。

 

 

「マシュ殿、降参して私の嫁になるのであれば、仲間の命は頂戴しないが?」

 

「ッ……何度でも返答しますよ。お断りです!」

 

「はっはっは! それでこそ我が嫁に相応しい反応だ! その気丈な振る舞い、実に好みだ。では君の態度に私も応えよう。おかわりだ無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!」

 

 

 またもや槍より放たれる渦巻く水が収束した一撃。

 それは一本の線の如く。極圧縮された水の一閃。ただの水と侮るなかれ。堕ちたとはいえ腐っても神霊。それを容易く滅ぼすことを可能とする宝具。

 マシュがいくら防御に優れしサーヴァント、シールダーであってもそんな宝具を何発も撃たれては、どうしようもない。

 ただ守るだけではいずれ敗れる。

 

 

「逃げて下さいマスター……これ以上は防ぎ切る自信がありません」

 

「できないよ。ならなおのこと、私が近くにいなきゃ全力を発揮できないでしょ!」

 

 

 マスターとサーヴァントは近くにいればいるほど、霊的繋がりが強固となり、サーヴァントは全力を出せるようになる。

 だからこそマスターが近くにいた方が良いのは本当だ。

 しかし、状況が状況だった。

 

 

「確かにそうです。ですが、このままでは全滅です。わたしはマスターをサーヴァントとして守り抜く義務があります」

 

「マシュ……」

 

「それにマスターだからではなく、先輩をわたしが守りたいんです。だからこの場を離れて態勢を立て直して下さい。マスターさえ生き残れば、まだ負けではありません」

 

「で、でも! マシュの後ろにはわたしだけじゃなくて、気絶してる賢者さんだって……!」

 

 

 マシュは顔を半分程後ろに振り向き、チラッと片目で背後の賢者のアヴェンジャーに視線をやった。

 未だ直立不動のまま失神している。

 

 

「それは杞憂ですよ先輩。わたしのスキルの一つを使えば動けない賢者さんを守れます。……わたしが盾を構えたまま特攻をかけるので、その間にリリィさんとナイチンゲールさんは、賢者さんを運んで下さい」

 

「マシュさん!? 何を言ってるんですか? 特攻をかけるつもりならわたしがやります! わたしはいなくてもどうにでもなりますけど、マシュさんがいなくなるのは駄目です。誰がマスターを守るんですか!」

 

 

 マシュはスキル『時に煙る白亜の壁』を賢者に張るつもりだった。

 だから万が一マシュが展開する防御をフィンの宝具が貫いても、賢者だけは無傷なはずだ。

 その上でみんながこの場から離脱する時間を稼ぐために特攻をかけるつもりだった。

 直ぐ様反論をしたのはリリィ。

 今の彼女は自信を失っている、だからこそ自己犠牲に躊躇がない。

 とてつもなく危うい思考回路に至っているのだが、幸か不幸かリリィ本人ですら気付いていなかった。

 ナイチンゲールだけは少し怪しんでいる様子だったが、この場では指摘をしなかった。

 それが戦場でパニックを起こす可能性を見越してなのか、ただの気まぐれなのか、はたまた適切な診断ができていないからなのか。

 

 だが、そういう裏事情を全て理解していなくとも、こういう局面でのマスターは選択を()()()()間違えない。

 

 

「そういう問題じゃないよ二人とも! それに特攻って何? マシュやリリィを犠牲にして生き残るなんて真っ平ごめんだよ。そんなことするくらいなら私は、マシュやリリィと一緒に最後まで足掻くよ」

 

「ですがこのままじゃ……!」

 

「みんなやられてしまいます、だからマスターだけでも!」

 

 

 確かに現状を鑑みれば、人類最後のマスターである藤丸立香だけでも生き残るのが最適解。

 サーヴァントはたとえ霊核を砕かれ消滅したとしても、再び召喚を可能とする。

 特にカルデア式の召喚方法なら、聖晶石(触媒)さえあればいくらでも召喚できる。

 であれば生粋の『魔術師』が人類最後のマスターだった場合、今回のような状況であれば、迷わずサーヴァントを使い捨てる策を取るのだろう。

 だが、奇しくも人類最後のマスターは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の『一般人』がなった。

 

 否、きっとそれは運命だったのだろう。

 人類史を救うためには、数多の英霊と縁を結びかつ慕われるマスターが適任だ。

 その点で言えば頭の固い魔術師よりも、藤丸立香のような何処にでもいる一般人がマスターの方が良いに決まっていた。

 しかし、適性がある一般人なら誰でもいい訳では決してない。

 

 善を知りながら悪を成し、善にありながら悪を許し、悪に苛まれようとも善を貫こうとする。

 恐怖心で挫けそうになろうとも、いざとなれば立ち直り、前に進み絶望に抗うだけの心の強さ。

 敵として現れたサーヴァントの『非道な行為そのもの』に怒ることはあっても、仲間になった同一存在のサーヴァント自体は快く受け入れる度量の深さ。

 全てのサーヴァントを憎まず慈しみ、個々人と向き合うその姿勢、その在り方。

 

 

 それこそが藤丸立香が人類最後のマスターたる証。

 

 

 故に、彼女はこう答える。

 

 

「それでも、だよ」

 

 

 つい先程まで失意にまみれていたとはとても思えない、凛とした佇まい。

 静かな音質なのに輪郭がはっきりとした耳に残る声。

 さらに、強い意志を宿した瞳まで向けてくるマスターに、二人はたじろいだ。

 

 

「世界を救うなんて役目以前に、敵の大将が相手って訳でもないのに、身近な仲間を犠牲にしなきゃ乗り超えられないようじゃ、この先の戦いを生き残れるとはとても思えないよ」

 

「それは……」

 

「……確かに」

 

「だから私はみんなで勝つことを諦めない。……ずっと足りない頭で必死に考えてたんだ。この現状を打破する手だてを」

 

 

 立香は胸の中心に己の手を当て目を閉じ、思いっきり息を吐き、そして、と続けた。

 

 

「魔術礼装を変えてる余裕も無ければ、長々と作戦を練ってる余裕もない。だから思い付いた一手にかけようと思う。どちらにしろ玉砕する気だったのなら、私にみんなの命預けてくれる?」

 

 

 真剣な眼差しで述べる彼女に、未だフィンの宝具を受け止めながら後ろに半分振り向いていたマシュと、迫り来るケルト兵を蹴散らしながらもマスターから視線を外していなかったリリィ。

 そして、まさに害虫駆除の如く無機質な瞳、機械的な動作でケルト兵を屠っていたナイチンゲールも話は聞いていた。

 ただし、ラーマは少し離れた場所でディルムッドとしのぎを削り合いながら、横から割り込むようにして襲いかかるケルト兵を薙ぎ倒していたので彼には届いてはいない。

 ……賢者? 彼も気絶してるので当然反応はない。

 

 つまり聞いていたのは女性サーヴァント3人だけだ。

 ループする無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)なBGMをバックに、彼女達は顔を見合わせ頷く。

 

 

「「「マスターの御心のままに」」」

 

「……ありがと、みんな」

 

 

 サーヴァント達の同意を得た藤丸立香は手短に策を説明し、この状況を打破する為に指揮を取る。

 

 しかし、策を聞いてリリィは不安が拭えないでいた。

 マスターのオーダーをやり遂げたい気持ちはある。

 自分の役割に不満がある訳じゃない。

 ただ自信が喪失していたのだ。

 そんなリリィの様子を間近で見て、流石にマスターも気付いた。

 

 

「リリィ、あまり気負わないで」

 

「わ、わたしは別に」

 

「いや、聖剣持ってる手元が震えてるし……やっぱり賢者さんのこと?」

 

「そ、れは……」

 

「大丈夫だよ賢者さんなら。賢者さんはそんなに柔じゃないって。それにあれはリリィのミスじゃない。事故だよ」

 

「でも……!」

 

 リリィはベオウルフをマスター達やぶっ飛ばされた賢者の元へ行かせない為に宝具を解放した。

 賢者はベオウルフの猛攻からマシュとリリィを守るために立ち上がり戦いに割り込んだ。

 あれはどちらも互いのことを思っての行動だった。

 だから事故というのはあながち間違いではない。

 

 

「賢者さんのことを思うなら、今は私を信じて。リリィは負い目があって自分を責めてるのかもしれない。でも今は私のことを信じて戦って欲しい。私なんかじゃ信じるに値しないかもしれないけど……」

 

「い、いえ! 申し訳ありません。今は悩むのをやめます。この局面を切り抜けなければ、賢者さんに謝るどころの話じゃないですもんね。それにわたしではなく、マスターのことを信じることならできます! 行きましょう!」

 

「う、うん。お願いするねリリィ」

 

 

 些か彼女の発言に引っ掛かりを覚えたマスターだったが、ここはいったん飲み込む。

 作戦と言うには少々お粗末な即興の策の実行を開始した。

 直後のことだった。

 

 

親指かむかむ智慧もりもり(フィンタン・フィネガス)

 

 

 その場におけるあらゆる情報や状況等を整理して、『最善の答え』を導き出す宝具の行使。

 フィンは水の一撃を連射しながらも、魔術を用いて彼女達の話に聞き耳を立てていたのだ。

 さらには彼は何気にスキル・千里眼を有している、未来予知や透視レベルではないにしろ、然れどBランク。

 遠方の標的の捕捉、動体視力の向上など、視力の良さは折り紙付きだ。彼女達の様子を視認し把握することだってお手のもの。

 そうやって集めた情報を元にすることで、知恵の鮭の脂の逸話による()の宝具の効力を存分に発揮できる。

 故に彼女達の策を崩す手筈は親指を舐めた時点で整ってしまったのだ。

 

 

「マシュ殿の健気な抵抗の姿勢に、我が愛を込めた宝具をただただ連発していたのだが……勝負を決しに来るようならば遊びは抜きにしよう」

 

 

 フィン・マックールは()()()()()()()()()()()()を全て見抜いた。

 まずマシュの盾の内側から飛び出したリリィによる、初っぱなから放たれし不意討ち気味な勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を、危なげなく無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)で相殺。

 その間に逆側から飛び出したナイチンゲールがフィン目掛けて爆走。襲い来るケルト兵を全て牽き潰しながら迫るその様は、看護士とはとても思えない。

 マシュのスキル『時に煙る白亜の壁』をナイチンゲールに付与したため、今の彼女は無敵なのだ。

 そして、一直線にフィンの元までたどり着くと、そのまま肉薄する。

 

 

「遠慮なく終わらせます!」

 

「はっはっは、冗談はよしこさんだ」

 

 

 だがこれも親指による智慧で把握していたフィンは、スキル『女難の美』を用いて回避し、無敵が解けた瞬間を狙って、自動攻撃機能付きの魔法の槍が彼女を的確に叩く。

 

 

「軽傷!」

 

「回復役は後々残しておくと面倒なのでな、血塗れの聖女(バーサーカー)殿にはここで退場────」

 

 

 この後の手は、マシュが背後にマスターを庇いながら盾を持って突撃してくるはずだが、ナイチンゲールの攻撃を最初から見切っていたので手間取ることはなかった。

 即ちマシュ達が迫るまでだいぶ余裕があったのだ。

 だからフィンは、ここでナイチンゲールを始末する方針に切り替えた。

 それが最善だとあの『智慧』は告げた。

 

 ただし『知識』ではなく『智慧』であるため、知りようのないことを知ることはできない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()を整理して、『最善の答え』を導く。

 

 

 

 

 

 そこに穴があった。

 

 

 

 

 

「ラーマ! 『緊急回避』! 令呪をもって命ずる! 宝具を解放しその場所からフィン・マックールを狙い撃て!」

 

「ッ! しまった! 我が槍を避けられたか!」

 

「!? しょ、承知した! 羅刹王すら屈した不滅の刃、その身で受けてみよ!」

 

「『瞬間強化』! やっちゃえラーマ!」

 

「喰らえ! 『羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)』!!」

 

 

 

 

 

 そう、藤丸立香は誰にも口にはせず、心にのみ秘めていた策を最初から用意していた。

 それは何故か。

 既にカルデアには()()()()()フィン・マックールが召喚されていた。

 それだけの話。

 単純に知っていたのだ。

 保有する宝具も、その効果も。

 であれば、対策をするのはマスターとして当然の帰結。

 情報を知られさえしなければ、『最善の答え』とやらは出せはしない。

 

 

 

「なんと!? そう来るか……!」

 

「王よ! どうかお逃げ下さい!」

 

 

 

 

 読み誤った。

 ただし()()()

 

 

 

 

 智慧を得ていなくとも、これでもフィオナ騎士団団長。

 戦士としての判断力が鈍った訳ではない。

 コサラの王が放ちしマスターが強化をも施した宝具。

 あれは受け止めるのも相殺するのも無謀だと、フィンには瞬時に認識できていた。

 そして、並大抵の手段では避けることもできない、と。

 よりにもよって、回避の可能性があったスキル『女難の美』は使ったばかり。

 連続行使は難しかった。

 この場から離脱するにも、吹き飛ばしたナイチンゲールが銃を乱射してきていて、その対処に若干時間をロス。

 飛来し着弾するまで残り数秒。

 普通の方法では避けられない。

 

 だからフィンは真上に軽く跳び、宝具を()()()()()()放出した。

 

 

「仕方あるまい! とう! 無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!」

 

「なっ……! 地上に向けて!?」

 

「水の勢いで飛んだ!? って、婦長が炸裂した水の余波に巻き込まれた……しかもラーマの宝具までかわされた!」

 

 

 無茶な方法で上空に舞い上がったフィンは当然無傷ではなかった。だが、ラーマの宝具を直撃するのに比べれば大した傷ではない。後で水袋の水を用いれば充分に回復が可能だ。

 だから彼は傷を後回しにした。

 支配下においた水を操り、自身の後方に噴射して推進力を、槍先に攻防用として渦巻く水の奔流を用意。

 そのまま本陣、謂わばマスターの元へ凄まじい勢いで突っ込んできたのである。

 

 

「いやはや肝を冷やしたが、いざ! 華麗に! 舞うが如く!」

 

「甘かった……!」

 

「マスター……ぐっ」

 

 

 マシュは限界だった。

 藤丸立香を守ろうとしたのだが、膝を地に着いてしまったのだ。

 体力的にも精神的にも、絶え間無く飛んでくる宝具を受け止めていたおかげで消耗していた。

 マスターの目前まで迫るフィンを盾で守るのはもう不可能。

 そこで前に出たのがリリィだった。

 

 

「この聖剣(つるぎ)は愛する人々を守るために輝くもの……やらせはしません! はぁっ!」

 

「君も素晴らしい少女剣士だ。しかし此度の私は本気だ。相手が悪かったと諦めてくれたまえ! フッ!」

 

 

 宙での接触にもかかわらず、水の勢いに任せて魔法の槍の自動攻撃機能を発揮させ、空中で水飛沫を伴う演舞のようなアクロバティックな槍捌きが炸裂し、リリィは弾き飛ばされる。

 

 

「うっ! 私は……まだ……」

 

「すまないが仕舞いだ。さあ、栄光と勝利の時!」

 

 

 至近距離からの宝具解放。

 どうやら渦巻く水の奔流をもってマシュとリリィ、そしてマスターの3人をまとめて潰すつもりのようだ。

 ラーマは再びディルムッドとケルト兵の相手で手一杯。

 ナイチンゲールは消滅はしていないが、駆け付けるには時間が足りない。

 

 もうこの一瞬において勝ち目は無かった。

 

 

無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!!」

 

 

 無慈悲にも放たれし水の一閃が迫る。

 絶望的な光景に3人は思わず目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)、展開」

 

 

 あるはずのない幻聴。

 直後に轟く衝撃音。

 しかし、3人に痛みはない。

 

 

「む! 君は……!?」

 

「────からの、鬱憤の弾丸(グラッジ・ブレット)!」

 

「ぐわっ!」

 

 

 次の瞬間、弾幕の如くけたたましい射出音が連続する。

 だが3人に何かが起きた訳でもない。

 二度目の声、そして今傷を一切負っていないという事実。

 3人は万感の思いを胸に目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 視界の先にあったのは白く濁ったローブに包まれた、安心感を与えてくれる頼れる背中。

 彼は半分だけ振り向き、一言告げた。

 

 

 

 

 

「……待たせたな」

 

 

「「「賢者さん……!!」」」

 

 

 

 

 

 今ここに、この場での最強戦力が復活を遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後の登場……賢者の本性を知らなければなぁ(白目)

あとフィンに関しては無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)のバーゲンセール状態……だって公開されてる攻撃宝具これしかないんだもん
どうかとも思ったけど、本編よりも強い状態で描写するには作者の実力ではこれが限界だったんや、お許しくだせぇ


では前回の後書きで述べた通り更新が遅いことについて

まず、すまない。リアルが面倒で下ネタにかまけてる時間があまり取れず、急に作者が一時的に賢者モードになってしまったんだ……更新が遅くなって本当にすまない

言い訳させてもらうと、原作関連に逐一目を通しながら執筆するスタイルなので、無駄に時間がかかる……なるべくキャラ崩壊とかしたくないから仕方ないけども
リアル事情が無きゃそれでも書き続けられるんだが……如何せん疎かにできないのが現状。現実は辛いよ、心が荒む荒む
頼むからまとまった時間をくれ(切望)
あと疲労を無かったことにしてくれ(無茶な願い)

そして文章力下さい(それは努力しろよ)

リアルが忙しくてもほぼ毎日とか、毎週投稿してる作者さんたちを改めて尊敬しますわ……まあ私が要領悪いだけかもしれませんが(苦笑)
リアルが忙しかろうと月1回は更新できるように頑張りたいです(できるとは言ってない)


あ、次回の後編は少々お待ちを


追伸
改めて全話読み返して思ったんだが……この作品の主人公の賢者って奴、頭おかしくね?(リアル賢者モードの弊害)

あと、どうでも良いけど作者はおへそが好きです(唐突な告白)


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薔薇が舞えば、肛門は死ぬ(残当)

何とか今日中に投稿できたぜ……(震え声)

今回の内容
サブタイ通り説明不要

ちなみに前編、中編、後編の投稿時間を並べると、使い古したガバガバな穴の如きアナグラムを解き明かすことができます

…………使い古したガバガバな穴で、最初に生物をイメージしたならあなたは賢者の同類
ガバガバなアナグラムで、ビーストな先輩の新説が浮かんだならあなたはホモ、はっきりわかんだね
それ以外は健全の皮を被った変態

人類は作者含めて、本質は皆変態だから是非もないよね☆

てな訳(?)で茶番終了
予定通り後編、即ち第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第7話始まります


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギリギリセーフ……!

 まさにギリギリだった!

 

 

 たとえるなら、中学時代などの教室で授業中に、急に腹が冷え荒れ狂う下り竜が腹の痛みを加速させ、後ろの穴を気合いと根性で締めなければ漏れ出てしまう、しかし授業中に手を挙げて許可をもらい、腹を押さえながらトイレに向かえば、教室内での大惨事は避けても、次の休み時間から不名誉なあだ名が付けられることは必至……だからなるべく腹を暖めて下り竜のご機嫌を取り、後ろの穴は常に締め続ける苦行と戦い、授業が終わるチャイムが鳴った瞬間にトイレへと駆け込み、便器にてケツを晒した直後に下り竜が解放され何とか漏らさずに済んだ時のようなギリギリ感(いい加減大便から離れろや)

 

 

 まあ、何とかみんな無事みたいだし、迷惑やら心配やらもかけたようだしこっからは!

 

 

「我に任せろ」

 

 

 っと。その前にクンカクンカ……ネロちゃまとエリちゃんの現在地把握。よし、後は分離だ。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を脱皮する要領で、ほいっと!

 真っ黒い魔力で構成された球体の出来上がり。

 そんじゃ、ボールは友達=友達以上の存在は蹴り飛ばしてよしという公式を元に!

 大空目掛けて思いっきり蹴り飛ばした。

 

 

『……マジ滅入るわー(滅入るわー)(るわー)』

 

 

 なんかエコーかかりながら盛大に飛んでいきやがったな。

 ま、そっちは任せた! フィンは俺がぶちのめすからよ!

 

 

「えっ、えっ……今のはいったい?」

 

「なんか聞き覚えのある声だったような……」

 

「……ああ、マスターは会ったことあるぞ。さっきのは我の影的な存在『隠者』だ」

 

「エエッ!? い、隠者さん!? じゃ、じゃあなんで蹴り飛ばしたの?」

 

「エミヤ達の助っ人として送ったのさ」

 

「な、なるほど……ってあれ? 賢者さん、気絶してたからその話は聞いてないはずじゃ……?」

 

 

 ギクッ。どう言い訳するかねこれ……。

 

 

「…………動けなかっただけで意識はあったからな」

 

「そうだったんだ………………ん? えっとそれはその、耳だけの話? もしかして、もしかしなくとも……見えてた……?」

 

 

 何を……? って聞こうとも思ったけど、どう考えても俺の性神の矜持による神気に拳を叩き付けてた時のことだよなー。

 正直嬉しかったし、この際言っちゃうか!

 

 

「……泣かせたようですまない」

 

「う、うわぁぁぁぁ……!? 忘れて! 賢者さんお願いだから忘れて! あれはその、なんというか」

 

「我を心配してくれたが故の涙だ。忘れないさ」

 

「あぅ……穴があったら入りたいよーマシュぅ」

 

 

 俺は君の穴に入りたい!(急にナニ言ってんだコイツ) 

 

 

「マシュにも苦労をかけたな。動けない我を庇ってくれて助かった」

 

「い、いえ! わたしは皆さんを守るのが役目ですから」

 

 

 なら俺の役目は君の処女を守ることだな!(頼んでないぞ絶対)

 

 

「リリィ、悪かったな。我が無理矢理割り込んだばかりに」

 

「あ、謝るのはこちらの方です! わたしが宝具を使わなければ……!」

 

「キミはあの場での最善を尽くそうとした。既に戦っていたキミ達を無視して、一人で蹴散らそうとした我に落ち度があったんだ。別に連携を取る選択や援護に回る選択だって我にはあった。それをせず無理に突っ込んだのは我だ。気に病む必要はない」

 

「ですが仲間を攻撃してしまったのは事実です!」

 

「……我からこれ以上述べたところで、キミはキミ自身を許さないのだろうな。この戦況を乗り越えた後、我の提案を受けてくれるだろうか?」

 

「! は、はい! わたしにできることならなんでも!」

 

 

 ん? 今なんでもするって言ったよね? 言ったよね?(ゲス顔)

 言質は取ったよリリィちゃん(弱味に付け込む屑)

 決め付けは良くないんじゃないかなー、紳士的な俺がそんな酷い要求する訳ないじゃないか!(信用の欠片もない)

 

 

「……無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!」

 

 

 チッ! やっぱり帰ってきたか! ヤリサー騎士団長!

 ケルト兵どもは憂鬱の力の派生技、鬱憤の弾丸(グラッジ・ブレット)で一掃できたんだがなー。

 おんにゃのこ達との談笑中の不意討ちとは無粋なり。

 

 今の俺は実はまだ宝具(こかん)が使えない。

 肉体に戻って来れたことは来れたが、正常に機能する前に無理して戻ってきたからな。

 その上、萎えることで発揮する憂鬱の力も、さっき隠者として空に蹴り飛ばしちゃったから使えない。

 だからこそ、この特異点に来る前の修行の成果を見せる時!

 

 ドライオーガズムやマルチプルオーガズムみたいな射精を伴わない絶頂。

 それによって行使する新たな力! イクぜ!!

 

 

「バ、カな……! 堕ちたる神霊すら屠る魔の一撃を片手で防いだだと!?」

 

「賢者さんの全身が燃えてる……!?」

 

「カルナさんが使ってた魔力放出(炎)に近いような……でも何か違う気もするし」

 

 

 メラメラと我が全身を覆う炎。

 俺はヤリサー騎士団長の水の奔流を炎を纏いし片手で受け止め、蒸発させた。

 これこそが射精を伴わない絶頂によって得た新たな力。

 

 

 その名も燃えたぎる熱き性欲(ブレイジングリビドー)

 

 

 昂らせた性欲を特殊な炎へと変換し、全身から放出するという極めてシンプルな火力特化な力だ。

 

 

「マスター達は休んでてくれ。この男は我が片付ける。ナイチンゲール! 彼女達の治療を頼む!」

 

「言われずとも」

 

「ナ、ナイチンゲールさん戻ってたんですね」

 

 

 談笑中にこっち向かって来てたし。

 タイミング的にはバッチリだぜ。

 そんじゃまあさっさと蹴散らすか……!

 

 性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』を展開し、性欲の炎を刀身に灯す。

 お? これオリジナルのガラティーンにそっくりじゃね?(使ってる素材全てが酷い)

 これなら「この剣は太陽の写し身。あらゆる不浄を清める(ほむら)の陽炎」って口にして振るっても違和感無くね?((ほむら)自体が不浄なんだよなぁ)

 

 まあ、何はともあれ初見殺し!

 伸縮自在かつ鞭のようにしなる刀身(性火(せいか)付与)による一撃をくれてやんぜ!

 性剣、抜刀! ってなァ!!(ガウェイン卿訴訟不可避)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 アレクサンドリアは。

 

 

 

 ウェスタンな町並みの面影はまるで無く、荒れ果てた大地には見るも無惨な残骸……建物の素材だけなら良かったが、赤黒い血と何らかの肉片が散らばっているという、酷く笑えない光景が広がっていた。

 特に大地は幾つも抉り抜かれていたりと、とても元々町が存在したのかも疑わしい程に地形はめちゃくちゃ。

 

 

 

 そして、こんな有り様を作り出したのが、たった一騎のサーヴァントだと言うのだからとても笑えやしない。

 

 

「ここまでの強さとは……!」 

 

「……うむ。余の劇場をものの数秒で粉微塵にされるとは、流石に想定外よな」

 

「どうなってんのよ!? アイツの強さなんかおかしくない!?」

 

「……どうなってるって見たまんまじゃないですかね? 強さがおかしいってのはオレも同意見ですよっと!」

 

 

 しかも六騎いたはずが今や四騎に減らされているのだ。

 それをやったのも当然たった一騎のサーヴァントによって。

 

 

「はっはっはぁ! この特異点にいる()き女全てと一夜を共にするまで、俺は死ねんなぁ!」

 

 

 セイバークラスで現界した、凄まじいまでの闘気を纏いしその(ヲトコ)

 真名をフェルグス・マック・ロイ。

 ドリルにしか見えないアルスター伝説の名剣カラドボルグを携えた半裸の偉丈夫だ。

 

 だが普段の、カルデアの彼とは様子が違った。

 何がどうしてそうなったのかまでは定かではないが、いつも以上に好色さが浮き彫りになっている。

 それ故なのか、そんな抱くことしか考えてないような状態なのに、理不尽な強さを発揮しているのだから尚更笑えない。

 

 

 

 

 

 そんな切迫した空気の中、フェルグスと四騎のサーヴァントが向かい合うちょうどど真ん中に、謎の黒い球体が空から飛来した。

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

 突然の謎の球体Xに敵も味方も関係なくハモる。

 

 

 やがて、姿を現したのは醜悪極まりないドス黒い瘴気のようなものを全身から発するサーヴァントだった。

 

 外見は艶のある白髪に、黒目の部分である虹彩が白く、逆に白目の部分である強膜が黒い特徴的な瞳。

 

 

「……滅入るわーマジで。片割れみたいな存在の吾をあんな容赦なく蹴り飛ばすかね普通」

 

 

 ところどころに銀色の刺繍が施された、全体的に黒光りしたボロボロの外套を身に纏った、非常に生気のない顔立ちをした褐色肌の青年。

 

 

「はいよ、助っ人として送り込まれた者だ。隠者とでも呼んでくれ。吾は────」

 

 

 隠者のアヴェンジャー参戦。

 

 

「……何なのコイツ?」

 

「────え」

 

「ネズミの知り合いであろう? やる気が無さそうなところなんかそっくりではないか」

 

「いや、だから」

 

「こんな陰気臭い知り合いいねーよ! オタクの知り合いじゃねーのか?」

 

「話を……」

 

「私も知らんな」

 

「……マジ萎えるんだが」

 

「空から降ってくるのは女が相場じゃないのか? やり直しを要求する!」

 

「……もうやだ、説明めんどい。通信機壊れてないならマスターに訊いてくれ。吾は寝る」

 

「なんでさ」

 

 

 隠者のアヴェンジャー。

 コンタクト失敗。

 説明と役目を諦めて土の上でふて寝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、通信機は案の定壊れていた。

 結局己の口で説明するはめになった隠者が、さらにどす黒い魔力を放出しながらうんざり顔をしていたのは言うまでもない。

 

 

 ただし、そのどす黒い魔力が賢者が使用していた陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)だと、エミヤが気付いたのが不幸中の幸いと言ったところか。

 説明をある程度省けることに安堵した矢先。

 

 

「女じゃない。やり直し」

 

「まだ言うかこの野郎」

 

「ならば殺すまでだ」

 

「……滅入るわー」

 

 

 隠者の不幸は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で……性火纏いし性剣により見事、ヤリサー騎士団長を島の外まで一応吹き飛ばすことには成功した。

 

 

 だがアイツ、俺の攻撃が来る直前で親指ペロッとしてやがった上、槍でガードをした挙げ句後ろに跳んでもいたから恐らくまだやれてない。

 たぶん逆に傷を癒す時間を与えちまったことになる。

 

 だから俺はこの性火を推進力として後方に放射することで、空を飛び島の外の海近辺までやってきた訳だ。

 今度こそ確実に仕留める為に。

 

 そこで目に飛び込んできたのは、複数の槍状と化した渦巻く海水。

 俺は性火の放出方向を変更し、それを避ける。

 あ、目に飛び込んできたってのは、視界に入ったって意味じゃなく、物理的に飛び込んできたって意味な(ややこしいわ)

 

 そして案の定、ヤリサー騎士団長は海の上に立っていた。

 恐らく魔力障壁を足に展開でもしてんだろうな……。

 

 それよりも問題なのはヌアザの血統としての力なのか、よくわからんけど、マジでここら一帯の海水を支配下に置いてやがることだ。

 あんにゃろう……! 俺が性火を球状に変換して何発も空から爆撃してやったけど、全部なんか自動で守ってんのか知らねぇが、海水がフィンの周りで壁のように噴き上がり、尽く防がれちまった。

 だからって接近戦に持ち込もうとすると、海水の柱が幾つも立ち上がり襲いかかってきたかと思いきや、バランス崩したタイミングで、本人からの無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)が飛んでくる。

 まあ性火で蒸発させるから無傷っちゃ無傷なんだけど、なかなか近付けないんだぜ。

 

 

 いや、おかしくね?

 カルデアのアンタ、そこまで強くねぇぞ? どっちかというとあんまパッとしない強さよ?

 どちらかと言えばサポートポジションであって、あんなに主力も主力でど真ん中な永続連射宝具アタッカーなんかじゃ、絶対無かったぞ。

 なのに何なのさ! 敵に回った瞬間あそこまで強敵になるとか!

 お前はアレか! 途中で出てくるなかなかに強敵なボスキャラの一人だけど、味方になると途端に弱体化する感じのアレなんか!?

 

 にしたってよー……意識が異空間にある時から見てたけど、宝具をあんなにヤりたい放題ズッコンバッコン撃ってくるなんて、ゲームとかだったら全体攻撃の必殺技を毎ターンかましてくるとか言う初見殺しも良いとこだぜ。

 しかもこっちが手の内を明かし過ぎると、全て対処してくるようになり、しかも常時タイミングを見計らって体力を全快にしてくるボスキャラとか……マジでクソゲーってレベルじゃねーぞ。

 …………人のこと言えないだろってツッコミは無しな。

 俺は最初から味方であろうと敵であろうと、ハイスペックですしおすし(事実なのが釈然としない)

 

 だからこそ、今回のマスターの指揮はかなり驚いたな。

 いくらカルデアにもフィンがいたとはいえ、宝具の効果の詳細をちゃんと把握してた上、それを即興で作戦に組み込み実行するとか、なかなかできないと思うし。

 かなり惜しいとこまで攻めてた。

 マスターの成長が目まぐるしくて、お兄さんはなんか嬉しいような寂しいような……複雑な心境だわ。

 

 

 さて感慨に耽るのはここまでにするか。

 こんなところで無駄に時間を稼がれても面倒なだけだ。

 俺は卒業候補の貞操を守る義務がある。

 否、義務以前にまだ出会えてもいないネロちゃまやエリちゃんが待ってんだ!

 隠者の奴を送り込んだが、なんか敵のフェルグスの強さがぶっ壊れてるみたいだし……。

 隠者と俺は同一存在かつ繋がってるから、あっちの状況もアイツの感覚を通して把握してるんだぜ!

 どうやらジェロニモさんと、合流した仲間の一人だったらしいビリー・ザ・キッドが既にヤられちまったようだ。

 

 クソが……ビリーもぶっちゃけタイプの一人だったのに、出会う前にヤりやがって!!(男やん)

 は? 男? 女? そんなものは些細なことだ。

 俺にとっては性的対象に含まれるか含まれないか、それだけの問題でしかねぇんだ!(ダメだコイツ)

 んなことよりこのままじゃ、ネロちゃまもエリちゃんもあの性豪に孕まされるかもしれない!

 

 だから即刻決着(ケリ)を付けさせてもらうぞフィン・マックール!

 こっから先は俺の独壇場(ペース)だ。

 ついて来れると思うなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから力を勝手に借りるぞ、えーっと……『辛辣なことばっか述べる奴』(………………は?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの脱糞は無駄なんかじゃなかった……(まさかの伏線回収)

 

 お前という個人名まではわからんが、お前がどういう存在でどういう性的嗜好持ちなのかは、繋がっていたからこそ、そして脱糞したという事実と、肉体に魂が戻ってきた時に己の肛門を意識したが故に理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お前がお尻、ひいてはお尻の穴にフェチズムを感じる奴だとな!(それ以上はやめろください)

 後、明確に繋がってわかったのは、年上好きというか姉属性というか、これはおね(死体蹴りはやめろ)

 

 

 したい下痢? きったねぇ(ぶっ殺すぞ)

 

 

 今回のことで漸く理解したんだ。『耳元で一人ずつ囁く連中』、お前らが俺の同胞……童貞を超える選ばれし童貞、つまり俺と同じ『超越童貞』だということを。

 

 だがお前らと俺は同格ではない。

 

 何せ俺はあらゆる童貞の頂点に君臨する。それだけは記憶に明確に無くとも、意識として理解してるんだ。

 

 

 そして退いていなかった股間の痛みのおかげで、俺は()()()()()()()()()を多少思い出すことができていた。

 まだ綻びはいくらか見られるが、突き詰めればスルリと紐解けるであろうその力。

 未だ不完全であれど、今からやろうとしていることくらいは容易いことだと理解していた。

 

 だからこそ特に深く繋がった『辛辣なことばっか述べる奴』の()()を、カルデア在中の()()()()()()()()()()()()が語ってくれた技術を基盤に、切り札(カード)として行使するという荒業をも今の俺ならば可能とする。

 

 

 

 

 

 イクぜ! 即興技能。

 超越童貞限定展開(ヴァージナル・インクルード)

 

 

 

 

 

 疑似媒介とした性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』が上書きされるようにして変貌を遂げる(あ)

 

 性剣は、刃先の付いた槍のような杖と化した(私の武器を勝手に……)

 便宜上『性杖』と呼称することにする(ふざけんな)

 いやー、だったら真名わからないんで教えてもらえたりすると助かるんだが(絶対嫌)

 

 ……まあ、良いんだけどね。

 マシュみたいに宝具名わからなくても、使おうと思えば近い効果を発揮させるのは可能なはずだし。

 

 

 そんな訳でヤるぜ!

 

 

 俺は性火で加速しながら性杖を構えて、フィンがいる水上目掛けて上空から突っ込む。

 

 

「む、新しい得物に持ち変えたところで、支配下に置いた海水を君に超えられるかな?」

 

「……余裕な笑みを浮かべられるのも、今のうちだ」

 

 

 海水の柱がフィンを囲むようにして立ち上がる。

 

 別に超える必要なんざねぇんだ。

 性杖を呼び出したのは、無理に面倒な水を突破せずとも攻撃可能だからだしな。

 

 まあ、でも誤解してくれてる方が幾分か都合が良い。

 性杖の先に付いた刃をフィンに向けて突っ込んでんのも、注意を俺に逸らすのが目的だからな。

 後ろ、いや後ろの下半身が疎かだぜ?

 

 俺は水の柱が襲いかかってくるには、ギリギリ当たらない距離を保ちながら真名不明の宝具を解放する。

 ここら一帯の水が自分にとっては脅威ではない、と高を括っているのがテメェの敗因だ! フィン・マックール!

 

 

 

 

 認識を切り換えろ。そこにのみ集中しろ。

 

 

 

 

 真名擬装登録。

 

 

 

 

 穿て! ぶち抜け!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 噴き上がる激流、菊は花開く(ウォシュレット・カラミティ)!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふおッ……!?」

 

 

 海上に立っていたフィンの肛門目掛けて、唐突に噴き上がった水の奔流が炸裂した(酷い)

 

 それもフィンの体が上空に打ち上げられる程の速度で。

 その激流は炸裂したのだ。

 当たり前だが凄まじい激痛なのは想像に難くない。

 

 だがそれでも流石はフィオナ騎士団の団長。

 上空に俺が待ち構えてることを忘れてはいなかった。

 予測外な一撃を受けても怯まず、槍を手放すどころか俺に振るうつもりだったんだろう。

 だが、遅い。

 最初から準備していた(中出ししようとしていた)者と、状況に合わせて(状態を見計らって)対応しようとした(外出ししようとしていた)者では、行動に移る(射精する)早さが違う(ルビぇ)

 

 まして、相手は馬鹿にならない一撃をもらっているのだ。

 

 肛門は拡張済み。

 認識も変換完了。

 意識集中も問題ない。

 

 

「……終わりだ、運が悪かったと諦めろ」

 

 

 それは一瞬の交差。

 ナニが起きたのか理解できるのは俺一人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美技・『秘肛虐・散華通壊(アヌス・ジ・エンド)』!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが俺の、隙を生じぬ二段構えだ!

 

 

 背景に薔薇の花が舞った。

 同時に声を上げる間もなく、フィン・マックールの霊基は消滅する。

 服でいうズボン部分の肛門付近に穴を開けたまま。

 

 幸いなことに、彼が中身を垂れ流すという優美さの欠片もない事態にはならなかった。

 まあ、サーヴァントだしね。

 

 ……えっ? 俺は漏らしただろって?

 蒸し返すなよー、俺は英霊モドキで生身なんだからしゃーないやんけ。

 

 

 

 

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)

 美技・『秘肛虐・散華通壊(アヌス・ジ・エンド)』。

 

 

 

 

 名前の通りだが、要は一瞬で対象の肛門を指で開発して性的にぶっ壊す技だ(うわぁ)

 

 まあ、でも童 帝 神 技(ドウテイシンギ)ってのは本来女性特攻。

 ひいては俺の性的対象特攻だ。

 

 フィン・マックール相手に欲情できる程、俺はハイレベルの変態ではない。変態ではない。大事なことなので2回言いました。

 

 でも、二次元シミュレーションの応用で脳内コラージュを貼り付ければ、一応使うことができる。

 ただし問題はそこじゃない。

 今回の技、()()が必要不可欠なのだ。

 

 

 俺は性的対象と認識した相手に触れればフルバーストが確定する。しかもそのまま触れっぱなしか、再度触れたりすればテクノブレイク不可避という難儀な体質持ち。

 

 

 だからと言って性的対象相手で無ければ、基本中の基本技である武技・『早漏流し(モーメントドビュッシー)』を除いて他の童 帝 神 技(ドウテイシンギ)はほぼ使えない。

 

 

 つまりこの童 帝 神 技(ドウテイシンギ)は元々、大賢者モード時専用の技なのだ。

 

 

 にもかかわらず、今回使えた理由。

 

 

 フィンが金髪のロングストレートだったからに他ならない(訳がわからないよ)

 えっ? わからない? 簡単な話さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィンの髪の部分『だけ』を女性と認識したんだよ(Oh)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのサラサラ金髪ヘア部分『だけ』なら女性って認識できなくもないだろ?

 だけど、美技・『秘肛虐・散華通壊(アヌス・ジ・エンド)』において接触が必要なのは肛門のみ。

 髪以外は性的対象として、認識してないから接触を誤魔化せるって寸法な訳だよ!(……)

 

 あっれー!? またもや無言なん?

 まさかのドン引き案件!?

 せっかく穴を突いた性的対象外かつ、接触技でも使える一手を生み出したってのに!

 なんだよなんだよ! 顔も知らない奴らにドン引きされるくらいなら、こんな技の抜け穴突くより、女の子の穴突きたかったわ!(ぶれない)

 

 あ! もちろんこれ、女性とかガチの性的対象に使うのはどうやっても無理よ?

 認識を切り替えるとか、意識集中するとか、そんな方法でどうにかなる訳ないやん。

 

 

 

 

 つーか、オカズに失礼だわ!!(失礼しかしてないんですがそれは)

 

 

 

 

 うっし、片付けたし仲間と合流がてら戻るかね島に。

 俺の後ろの処女狙ってたヤリサー騎士が、まだ生きてるかもだし(誤解解けず)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 監獄搭での肛門ブレイクは事故だった。

 だが今回は故意に狙った。

 それは何故か。

 

 

 もう童 帝 神 技(ドウテイシンギ)を解禁した時点で、俺は敵対する者への自重をほぼやめたに等しかったんだ。

 その上、ベオウルフとの対峙の末の股間粉砕で完全に箍は外れた。

 これから敵には、特に男には容赦はしない。

 たとえどれだけ汚い(直喩)手を使ってでも勝つ!

 

 だから今の俺は記憶が戻り始めてるのも相まって、こんなこともできる。

 

 秘蔵の封印の全力発動。

 こちらから攻撃を仕掛けないか、誰かの攻撃が偶然当たらないかでもしない限りは誰にも俺を認識できない。気配遮断の完全なる上位互換だ。

 

 そんなスキルの応用を用いて俺は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラーマと戦闘を未だ繰り広げていたディルムッド・オディナの背後に回り込み、先程呼び出した性杖を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────肛門目掛けてアンダースロー!!(最悪だよコイツ)

 

 

 

 

「キ、サマ……!?」

 

()っていいのは()られる覚悟のある奴だけだ」

 

 

 他人の武器で敵の肛門を抉り貫くスタイル(絶対に訴えてやる)

 

 

『……それってとある小説家が書いた作品に登場する探偵のセリフだよね? でも確かそれって「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」じゃなかったっけ?』

 

 

 こまけぇことは良いんだよ! ロマンはお口チャック!

 

 

「こんな結末、俺は認めンアッ────!!」

 

 

 こんな結末で悪いな(ケツの終末)

 そう内心思いながらも、背後から近付き彼に刺さったままの杖をさらに深く押し込んだ(鬼畜の所業)

 

 

 

 断末魔をあげながらディルムッドの霊基はこの特異点より消滅した。

 

 

「よ、容赦ないな賢者……」

 

「……敵は潰す。それに今は時間が惜しい。エミヤ達の応援に向かわなきゃならないだろう? だから我は手段を選ばない」

 

 

 ラーマが何やら青ざめてるが、これが俺のスタンスだ。

 弱点を狙うのは常識だろ?(非常識が常識を語る)

 

 

 斯くして俺は、ヤリサー二人組と戦ったことで『ヤられる前にヤり返せ』という教訓を得るに至ったのだった。

 

 

 

 俺は一つ成長したのである。

 

 

 

 しかしこの特異点にて俺が()()()性徴とやらまで遂げることとなることを、この時の俺は知らない。

 

 

 

 




賢者「一歩フィンケツ、二歩フィンケツ、三歩ディルケツ! 『肛門三段オチ』!」
沖田「コフッ!? ……私のパクりな上、内容が酷すぎじゃないですか! やだー!」

一番の推しキャラをこんな茶番に付き合わせる屑、はい私です
絆レベルMAXだからこその気軽さ()

てな訳でまさかの肛門3段オチだよ、ごめんよフィオナ騎士団……ただしディルムッド君はまだ大きな風評被害がこの先残ってるのは決定事項なんだ、甘んじて享受してね(無慈悲)     

ちなみに明かされた囁き連中でこの先ちゃんとした出番があるのは、第6特異点で『クレリック』って呼ばれてた『辛辣なことばっか述べる奴』という『一応オリキャラではない原作のキャラ』だけです
……コイツが誰なのかバレないと良いなー(第6特異点のオチの1つなんで)

次回更新は完全に未定! 一月経つ前には投稿したいとこです(願望)
まあ、これからもこの先もただ汚いを貫くだけの簡単なお仕事だぜ(ネタが尽きないことを祈る)

……かなり初期から暖めてきた第5特異点の盛大なオチを早くやりたいなぁ(まだかかる模様)



追伸
ガバガバアナグラムの答えは
0721 1130 1919 なので
オナニー いい竿 イクイク でした

わかった人もわからなかった人もいらない知識なんで、覚えなくて良いです()


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眩草が立った(隠語)

お ま た せ

下ネタ「汝、汚物を欲するか?」
勘違い「3時のおやつにいかがかな?」

ヤリサー二人を片付け(区切りよく原点に)帰ってきた賢者
前回の所業にブレーキ役たる『彼ら』はボイコットもといスルーを敢行
ツッコミ不在の恐怖とまたもや傾向変化な下ネタ、数々の飛び火する風評被害をどうぞ

第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第8話始まります







WARNING!!



※賢者が作者の脳みそをハッキングしました。後半の賢者視点は開幕から風評被害な下ネタがメーター振り切れてぶっ飛んでるので覚悟を決めて下さい。戯れ言と割り切ることをオススメします

つまり自ら欲した(閲覧した)汚物(拙作)自分で消毒しちゃって下さい(自己責任でお願いします)(意訳:耐えて)
大丈夫! 『前半』は綺麗だから!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余はコサラの王、ラーマ。

 

 

 思えばこの特異点に召喚されてからは散々だった。

 

 

 同じくこの時代に召喚されたシータが、ケルト軍に囚われていることを知り、奪還するためケルトの狂王に挑むも、魔槍で心臓の八割を破壊される瀕死の重傷を負った。

 

 シータに再会したい一心から、余は何とか気合いで生命を繋ぎ止めてた訳だが、彼女を捜しに行くことすらできない体になってしまったことが、すごく歯痒かった。

 

 そんな死に体な余を保護してくれたのが、同じくサーヴァントとして召喚されたジェロニモだった。

 彼があそこで保護してくれなければ、余は近いうちに限界が来て消滅していたかもしれない。

 

 だが根本的な解決には至らなかった。

 この身はサーヴァント。その上、呪いの魔槍を心臓にもらったのだ。

 宝具で抉られた心臓が、この時代の人間による医療技術だけでどうにかできる程甘くはない。

 わかっていたことだ。

 

 

 それでも余はシータにもう一度会いたかった。

 だから耐え抜いた。

 

 

 おかげでナイチンゲールの治療を受けることができた。

 消滅までの時間を少し稼ぐことができたからだろう。霊基が消滅していれば、治療を受ける受けない以前の問題だったのだから。

 

 

 ……正直、ナイチンゲールの医療行為で意識が何回も飛びかけるはめになるとは想定外だったがな。

 魔槍で心臓を貫かれるよりも、死線を超えた気がするのはきっと気のせいではない。

 危うく治療で殺されるところだったと思うのは、後にも先にも今回が初めてだった。

 

 しかしそれ程の激痛に苛まれようとも余は耐えた。シータに会えるチャンスを逃したくは無かったから。

 

 

 それでも完治まではいかなかった。

 

 

 婦長殿は尽力してくれた。あの槍の呪いが想像以上に凄まじいものだったってだけだ。

 

 だが治療効果を向上させる為、余の設計図(にくたい)をよく知るシータに会う必要が出てきた。

 本来であれば余の力でシータを奪還したかった上、万全な状態でシータには会いたかった。

 でも生きる屍の身では四の五の言ってはいられない。

 それに何よりシータに会えるのなら、そんな些細なプライドは二の次だ。

 再会、それが叶うのならば、どんな理由であろうと余にとっては願ったり叶ったりだった。

 

 

 

 その方針が決まってからは驚きの連続だ。

 主にマスターが連れるサーヴァント、賢者のアヴェンジャーによって。

 

 どうやったのかはさっぱりだが、シータの居場所を直ぐ様特定し、いざ向かった先のアルカトラズ島にはワイバーンの群れが待ち構えていたのだが、まさかのボートで陸地であろうとまとめて轢き殺し、目的の刑務所前までたどり着いてしまったのだ。

 

 思っていた以上に早く到着できた。

 それ自体は悪くない。

 シータに早く会いたい気持ちはあったからな。

 

 だが余は……余は二度とあんな恐ろしいアトラクションには乗りたくない!

 いや、二度とどころか一度だって乗りたくはなかった。それ程に恐ろしい体験だった。

 

 

 レールも何もない。

 獣道どころか道ですらない。

 そんな木々が生い茂る中、襲いかかってくるワイバーンやケルト兵を、猛スピードで轢き殺すボート……の上の余。

 

 轢き殺す毎に仰向けに寝ている余の真上を、流れる不安定な景色が見える中、ミンチと化したワイバーンやケルト兵が一瞬だけ通過する時の、余の気持ちがわかるか?

 

 乗ってる間も乗り終わってからも、けろっとしていた賢者に言ったところで伝わらないだろうから言わないが……。

 

 

 

 

 余は正直……怖かった。

 王としても戦士としても非常に情けない気持ちはあるが、あのボートにもう一度乗るくらいなら、ラーヴァナと再戦し続ける方が幾分もマシと思えるくらいには怖かった。

 

 

 

 

 あんな凄惨で絶叫の絶えない乗り物は二度とごめんだ。

 

 特に余が怪我人で寝たきりな状態だったのがよくない。万が一何かあった時、余は自分を守れないのだから。

 そんな状態で、あんな狂気のアトラクションに乗せられたのだ。余がこんな気持ちになるのもわからなくないだろう。

 

 マスターやマシュは恐らく共感してくれる。

 何せ余と同じように絶叫していた。

 けれど言わない。

 外見も精神も小僧っ子としている余ではあるが、王の意地というやつだな、うん。

 

 

 

 あんな安全性も何もあったものではないアトラクションに乗せられたことは度しがたい。

 実際降りた後は賢者に対して文句の一つでも言ってやりたいとこだった。

 

 しかし、そんなちょっとした怒りはこの後の賢者の行動で、全て霧散してしまった。

 

 

 余自身は確かにシータに会いたい。

 でも余には呪いがかかっていた。

 彼女と「同じ幸福を分かち合えない」呪いが。

 

 

 生前から続き英霊と化してからも根付く離別の呪い。

 

 

 だから心の何処かで「どうせ会えない」という気持ちが無かったか? と問われれば首を軽々しく横には振れない。

 会いたい気持ちがどんなにあっても、これまでに何度も失敗している以上、余は「今回は必ず会える」と、そこまで前向きには考えられなかった。

 

 

 

 

 しかし予想もつかないことを賢者はやってのけた。

 

 今までずっと余とシータを引き離していたあの呪いを、一時的にとはいえ打ち破ったのだ。

 

 マスターから令呪の補助があった。

 だがその程度でどうにかできるようなやわな呪いではないことは、余が一番よくわかっている。

 

 シータに会いたい。ただ会って話がしたい。たったそれだけで良い。

 でもどれだけ試してもそれは叶わなかった。

 

 だからこそ、もしも聖杯に願っていいのならば「シータに会いたい」とする程に追い詰められていた。

 

 

 にもかかわらず、賢者は事も無げにそれを叶えてくれた。

 …………いや彼は常に仏頂面だ。

 単純に顔に出ないだけで、余には及びもしない程途方もない労力を割いてくれたのかもしれない。

 

 

 理由だって「カルデアの余から色々と話を聞いていたから叶えてやりたかった」なんて、賢者の第一印象からは想像もつかない内容だった。

 正直賢者がそんな感情で動く者だとは、クールで無愛想な感じから到底思っていなかったんだ。

 だからあの時の彼の行動と。

 

 

『そしてラーマ! 離別の呪いは一時的に封じたに過ぎない、だから後悔なきように行動しろ。キミの妻が待っている』

 

 

 あの時の彼の台詞で随分と印象が変わった。

 賢者は基本的に寡黙で仏頂面だけど、本当は情に熱いやつなのかもしれない……と。

 

 特に「後悔なきように行動しろ」。

 あの一言には賢者の実感がこもっている気がしたんだ。

 恐らく賢者は余とシータの関係に、何かしら共感を得てくれたのだろう。

 たぶん賢者は後悔していることがある。

 そして余に自分を重ねて見たのかもしれない。

 それ故にあの後押しと、あの言葉。

 

 余に自分と同じような後悔をして欲しくなかったからなのかもしれない。

 理由はどうあれ余は嬉しかった。

 余の願いを聞いてくれた上、一時とはいえ叶えようと力を貸してくれたことに。

 

 

 シータに会いたい。

 

 

 たとえ生前の行動によって、バーリの妻に掛けられた呪いが、互いが互いを愛する限り出会うことを許さずとも。

 生前、シータが不貞を働いてるのではないかという疑念が民に広まったことから、無用な争いを避けるためとはいえ、彼女に疑念を向け拒絶してしまったとしても。

 それらの致命的な選択に未だ深い後悔を抱き、未練がましく彼女を想っていようとも。

 

 その想いは、その望みは、決して間違っていないと、賢者が肯定してくれたように感じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 ついにその時を迎えた。

 その時の余の心境は筆舌に尽くし難い。

 

 

 念願であり悲願。

 シータに会いたい。

 ただそれだけ。

 

 

 実際に叶うと、思考が真っ白になった。

 色々と伝えたい言葉はたくさんあったはずなのに、胸の奥が苦しくなってなかなか言葉が出てこない。

 

 

 それでも万感の想いを込めて絞り出した。

 今の思いの丈をシータに伝えたくて。

 賢者が言った通り、もう二度とあんな後悔をしたくは無かったから。

 

 どれだけ君に会いたかったのかを。

 どれ程悔やみ続け、君にずっと謝りたかったのかを。

 そして。

 

 

 

 どれだけ僕が君を大好きで愛しているのかを。

 

 

 

 必死に紡いだ。

 会えなかった長い時間に暖めてきたこの想いを、この短い奇蹟の間に伝えきりたくて。

 時間が足りないことがわかっていても。

 

 

 言葉を交わした。手を繋ぎ握りしめた。互いに涙を流しながら抱き締め合った。接吻を交わした。幸せだった。本当に幸せだったんだ。

 

 

 でも、賢者が言った通りこれは一時的な措置。

 本来であればどうしようもない呪い。

 タイムリミットが迫っていた。

 

 

 

 その上、シータの協力とナイチンゲールの医療技術により肉体の修復はほぼ済んだものの、巣食った“何か”────ゲイ・ボルクによる呪いは解けなかった。

 ナイチンゲールの言うことによれば、元気になったとしても戦士としては戦えないだろうと。

 シータに会えたのだ、別にその程度なら構わない気持ちも確かにあった。

 

 しかし、マスターと賢者には大きな恩がある。

 戦力として見込めない体では足手まといにしかならない。

 恩返しなど夢のまた夢。

 

 

 そんな僕の葛藤をシータは見抜いたのだろう。

 シータは言った。

 その呪いを私が肩代わりすると。

 

 

 当然、僕はそんな選択をさせたくなかった。

 漸く出会えた愛しき人を犠牲にしてまで、戦士に戻ろうとするなんて。

 

 

 けど彼女は言ったのだ。

 

 

『ラーマはわたしに会うためにここまで来てくれた』

 

 

『でも、この短い奇蹟が終わればまた離ればなれになってしまう。……だからあなたが背負ったものを、あなたが感じた痛みをわたしが背負って行きたいの』

 

 

『少しだけでも、あなたの戦いに役立てるのなら。そしてそれが、その痛みが、あなたと同じものなら、短い間でも一緒にいられた証だと思えるから。それだけで幸せなの』

 

 

 それに、とシータは続けた。

 

 

『伺った様子では今、必要なものは何より強き戦士。それなら、ラーマ────あなたが世界で一番強い人。……そうでしょう?』

 

 

 最愛の妻にここまで言われては、格好悪いところは見せられない。

 改めてシータからの了解を得て、ナイチンゲールに病巣(のろい)の転写を余自ら依頼した。

 せめて余自身が選ぶ必要があると思ったから。

 シータの覚悟に対する余なりの気持ちだ。

 

 余は覚悟を決めた。その上で告げた。

 

 

『必ずまた会いに行く……! 離別の呪いを完璧に打ち破る術を見つけ出して。今度はもう二度と離さない! ……だから待っていてくれるか?』

 

『……待ってるよ、ずっと。あなたが大好きだから』

 

『僕も、君が大好きだ』

 

 

 ちょうど転写が終わり、シータは微笑みながらこの特異点より消滅した。

 その笑顔は僅かな時間だけど、生前彼女と一緒にいられた一番幸せだった時代に、余の隣で浮かべていたものと瓜二つだった。

 

 あの笑顔をまた見ることができた。

 今までのことを思えば、それだけで充分すぎるくらいの報酬だった。

 

 

 

 賢者には本気で感謝してるんだ。

 もちろん大した事情も聞かずに、即決で令呪を切ってくれたマスターにも。

 シータに余が会えるように攻撃から身を呈して守ってくれたマシュにも。

 この身を治療してくれたナイチンゲールにも。

 

 

 

 

 

 だからシータが誇ってくれるような戦士として、ここまで力を貸してくれたみんなに恩返しをしたかった。

 特に賢者がベオウルフとの戦いの後、不幸な事故で気を失ってしまったから、賢者の穴埋めとして余は戦うつもりでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、意気込んでアルカトラズ島に攻めてきたフィオナ騎士団率いるケルト兵の連中と戦ったのだが。

 いくら病み上がりとはいえ、この体たらく。

 

 ざっと見ても百名を軽く超えるケルト兵は、面倒な上厄介ではあった。

 でも霊基が回復したサーヴァントの身としては、充分に対処可能な敵だ。

 

 

 だから問題だったのはディルムッド・オディナ。

 

 

 負けるつもりはさらさら無かったが、本来ならさっさと打ち倒してマシュ達の応援に向かいたかった。

 しかし想像以上に組みついてくる上、余が宝具を放とうとすればその発動を妨げる為に、奴も宝具を使ってくる。

 

 ならばと、宝具なしの地力だけで圧倒し出すと、もう一本の宝具で治癒不能の傷を与えてこようとする。

 最初は避けていたのだが、余が回避行動に移ると奴は自分の傷を全快し出すのでなりふり構ってなどいられなくなった。

 

 はっきり言って戦況が良いとは言い難かった。

 この戦況をひっくり返せそうなマスターの一手も、余が直ぐに察せずワンテンポ遅れたせいでいかすことさえできず。

 マスター、マシュ、リリィに危機が訪れる事態にまでなってしまった。

 助けに行きたかったが、ディルムッドとケルト兵共がそれを許さない。

 自損覚悟で無理にでも宝具を解放しこの場を切り抜けようとしたその時だった

 

 

 

 

 突如復活した賢者がフィン・マックールを吹き飛ばしたのは。

 そこから先は怒濤の連続だった。

 

 

 どす黒いオーラを纏って登場。

 

 どす黒い弾丸をフィンに連射。

 

 どす黒い球体を作り出し上空に蹴り飛ばす。

 

 飛んできた水の奔流を、全身に発火させた炎で蒸発。

 

 炎を纏う剣でフィンを島の外まで一気に吹き飛ばす。

 

 炎を噴射し空を飛んで追いかける。

 

 島の外から凄まじい戦闘音。

 

 だがわりと直ぐに島の外から音が聞こえなくなる。

 

 すると、いつの間にか今の今まで余が戦っていた目の前のディルムッドが後ろから串刺しにされていた。

 

 

「キ、サマ……!?」

 

()っていいのは()られる覚悟のある奴だけだ」

 

 

 余が気付いた時にはディルムッドの背後に賢者が立っていた。いつも仏頂面だが今は特に底冷えするような冷徹な瞳を向けていた彼に思わず息を呑む。

 

 

 

 そして、間髪入れずにディルムッドの心臓付近から刃先の付いた杖が飛び出してきた。

 

 

 

 下から上へといった感じに斜めに突き立てられていた様子から、どうやら背後から接近した後さらに手動で押し込んだらしい。

 

 

「こんな結末、俺は認めンアッ────!!」

 

 

 よってディルムッドは心臓が抉られていた。

 血涙を流しながらディルムッドは消滅する。

 

 

 

 目まぐるしく変わる状況と、音も無く気配もまるで無く突如現れた賢者による凄惨な所業を見て、余は思わず呟いていた。

 

 

「よ、容赦ないな賢者……」

 

「……敵は潰す。それに今は時間が惜しい。エミヤ達の応援に向かわなきゃならないだろう? だから我は手段を選ばない」

 

 

 気負う様子も無くさらりと告げられた。

 別に返答を求めた発言ではなかった。

 でも、理解する。

 賢者は、賢者のアヴェンジャーは。

 

 仲間には寛容かつ情に熱いが、敵対者にはここまで冷酷な面を覗かせる。

 敵と味方の線引きが恐ろしくきっちりしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 そして、思った。思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 …………賢者のアヴェンジャーが敵サーヴァントとして現界した場合どうなるのだろう、と。

 

 

 

 マスターの味方で召喚された彼に、安堵すると共に。

 

 この先で別の賢者が敵として召喚された時の恐怖を余は拭えずにいた。

 

 

 

 ……どうかこの先の特異点で、彼がマスターの敵として立ちはだかるような事態にならないことを願うしか、今の余にはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラーマきゅんの青ざめた表情を見て、ついに俺の息子(クララ)が勃った。

 

 俺ヤッたよ。取り戻したんだ日常を。

 これで思う存分見イキに興じることができる。

 

 

 うっ…………ふぅ。大丈夫だ、問題(痛く)ない。

 

 

 名作を穢すとか最低だな? クララなんて名前、ヨーロッパじゃ特に珍しくもないんですがそれは……何を根拠にしてるんですかねぇ。

 だいたいその名作を、低燃費とか家庭教師とかJKとかにしてるどっかの島国よりは全然マシな発言だろうに。

 そもそもその名作自体にスイスで生まれた原作がある上、その原作もドイツの作品をヒントにしている可能性が高いという……昔から人間は世界共通でパロディやオマージュ、二次創作をするのが好きだったのかねぇ。

 

 というか大前提に、俺が口にしたクララが人名だって決めつけること自体間違ってるぜ。

 眩草(クララ)って多年草のことかもしれないだろ! いい加減にしろ!

 

 それはそれとして息子なのに、クララって女性名なルビとかこれ如何に。

 自分でツッコミ入れたくなるってどうなの?

 これが股間にルビでクララなら、ぶっちゃけ勃ったのはどっちだ? ってなるよね。

 

 まあ、大前提に俺の性別が不明じゃないと成り立たないけどさ。女性だったらモロバレですな。

 たぶん股間は水で濡れたティッシュみたいにグッショグッショに違いない。

 

 俺はその女の子にツッコミたいよ。何故股間にクララってルビ付けて勃ったなんて言ったしって。

 あ、もろちん……もちろん突っ込みたいって話じゃなく、あくまでそのセリフにツッコミたいってことなので悪しからず。

 いや、物理的にも突っ込みたいけども。

 

 ……なんかこれも使い古されたネタみたいになってきちまったな。

 中古だわ中古。

 俺は中古女でもノープロブレム!

 カルデアの女性職員さん、抱いて上げますよ?

 失礼だろ馬鹿か俺は。

 

 ってあれ? さっきのって結局のところ俺が女だったらって話になるんだっけ?

 だとしたら俺は性転換した俺に突っ込みたいってことに……? いやまあ別に美少女になってんなら特に抵抗ないけどさ。

 

 なんか俺が変態みたいじゃねーか。

 こんなことばっか言ってるからダメなんだよな。

 別に俺、童貞の神ってだけで変態じゃないのに、こんな発言ばっかしてっから変態な認識になっちまうんだよ。

 ったく、マラヤッちまっ……またやっちまったぜ。

 

 

 

 

 

 仕方ない汚名返上だな。

 多年草の眩草(クララ)の方の可能性もあることを示してやるよ。

 もちろん息子にルビとして付いてんだから、隠語なのは当然として説明すっぞ。

 

 眩草(クララ)の名前の由来は、根が有毒かつ苦味があり、噛むと目が眩む程に苦いことからクララという名が付いたのが一般的だと言われている。

 

 さて翻訳とイこうか。

 

 根は男根のこと。

 有毒かつ苦味があるのは精液。

 噛む、つまり口に含む。

 目が眩む程に苦い=眩暈がする程に濃い=前後不覚になるくらい性的に興奮する味。

 

 即ち眩草(クララ)とは「歯立て尺八からのケフィア(意味深)をごっくんしたら発情不可避になる性棒」という意味になる。

 まあ、意訳するなら「絶対快楽堕ちんぽ」ってとこだろうな。

 

 これなら「息子(クララ)が勃った」って発言が、名作を穢すなんてことにはならないだろ? はい論破!

 

 

 

 

 

 じゃあ新説もついでに提唱しよう。

 

「クララが立った」=隠語説。

 

 まず簡単な翻訳は「クララが勃った」。

 つまりクララが勃起したってことを示してる訳だが、問題なのはクララとは何を表す隠語なのかってことだ。

 

 ここで欠かせないのがドイツ圏じゃありふれた名前のアーデルハイトとペーター。

 世界的に有名な聖人から名前をとることがヨーロッパでは多いので、ありふれるのも仕方ない。

 ちなみにアーデルハイトは女性の名前。

 ペーターは男性の名前だ。

 

 そして実は「クララが立った」という言葉を口にしたのは女だと勘違いされがちだが、実は男の方なのだ。

 

 真相が見えたか?

 

 年頃の男と女が一緒にいたらヤることは一つだろう。

 よっこらセックスってとこか。

 アーデルハイトとはどっかの島国の現代風で言うならAV女優という意味の隠語。

 ペーターとはアーデルハイトの対を成すAV男優という意味の隠語だ。

 

 あとは簡単。

 つまり「クララが立った」とはアーデルハイトに向けて、ペーターが口にしたセリフに他ならない。

 即ちクララとは女性のある部位のことを示している、そして立ったは勃起を表す隠語。

 ならばもうおわかりだろう?

 

 

 クララとは即ち突起部。

 敢えて言うならクラちゃんやクラトリス。

 

 

 そう「クララが立った」とは!

 ビンビンにいきり勃ったクリックリ! な女のクラトリスを見た男の発言であり、意訳としては「セックスの準備万端じゃねーか!(歓喜)」という意味になるのだ!!

 

 無論、対象が乳首でも可であり、雨や汗などで濡れ透けになっている女性の胸のポッチが浮き上がってる時などに「クララ立ってますよ」と、然り気無く指摘することもできるなどの応用も利く優れたセリフなのである!

 露骨な言い方にならない魔法の言葉。

 

 それこそが「クララが立った」の真髄なのだ!

 

 つまり冒頭の息子(クララ)が勃ったは、この表現の場合に限って実を言うと誤用である。

 何せ俺は男であって両性具有って訳でもない。

 クララは付いてなどいないのだから!

 あ、乳首がって意味なら使えなくもないし、女性限定の隠語だと理解した上で『男の』クララが立ったって口にする分には問題ないがね。

 

 他にも応用表現として「クララ立つわー」って発言はセックスアピール、発情や欲情してますの意。

 逆に「クララ立ちぬ」とか「クララ立たない」って発言は、普段は興奮しないという意味になるが、行為中に使う場合は性交渉拒否というか「アンタの性技マジ下手くそ」という意になるので、女性は使う時注意が必要だぞ。

 

 そんなこと言われた男子は心パイパイ停止に陥り、独り魔羅尊(マラソン)に精(液)を出すことになるのが大半だ。

 だがめげずにバトンを握ってリレーできる持続力を得る努力を積めば、そのバトンを包み込んでくれる穴を持った女子と、夜の大運動会を繰り広げることができるかもしれなかったりもする。

 

 あ! 当然「マラソン」も隠語な。

 マラソンってオナニーのことだから、「マラソン行ってくる」とか「今度マラソン大会があるんだ」って口にする相手は、「オナニーするから干渉して来ないでね」っていう警告なんで察してあげてくれよな!

 

 逆に「マラソン見に来てね」的なことを言う人は、公開オナニー好きだとよくわかる。

 そして、口にする側と言われる側の性別や立場によって、同じセリフでも性的嗜好の差異が出たりもするのが特徴だ。

 別に言われたからといって見に行く必要はないぜ?

 ただし友人や家族から言われたのなら、通報は流石にやめてあげよう。

 精一杯止めるか、協力してあげてね。

 

 ……赤の他人から「マラソン見に来てね」って言われたら、迷わず通報しましょう。

 

 

 ちなみにロッテンマイヤーという隠語もある。

 クララに対して過保護な扱いというのが表向きの意味だが直球では『皮』の意を持つ。

 無論クララの皮である。

 ロッテンマイヤーが剥けることでクララが立つのだ。

 

 だからロッテンマイヤーは重要なんだよ。普段はデリケートなクララを保護してくれてるんだから。

 なのに、ロッテンマイヤーはだいたい幼児達には毛嫌いされていることが多い。

 守護ってくれてるロッテンマイヤーなんか見向きもせず、アーデルハイトのクララばっか眺めたり愛でたりしたいらしいのだ。幼児は。

 

 第二次性徴迎える前からドスケベばっかじゃねーか! 大丈夫なのか、こんなんで。

 いや、大の大人もアーデルハイトのロッテンマイヤーを剥いた後はクララ立たせる為に、必死だったりするけどな。

 あんまりクララ苛めすぎんなよ? 敏感なんだから。上も下もだぞ。優しく丁寧にな。

 がっつきすぎ注意だぜ。

 

 俺みたいにクールにイこう。

 まあ、童貞の頂点までイクとクララを立たせるのも、大した刺激も無しに余裕なんだがな。

 ただし、童貞が捨てられるとは言ってない!

 

 

 尚、ここまでほぼ隠語パレード。

 ナニが隠語でナニがそうじゃないのか、よくわからなくなってきたね俺は。

 隠語のゲシュタルト崩壊やな。

 

 

 ったく、世の中幼い頃から性に興味津々の変態、大人になってもド変態ばっかかよ、と元人間の神の視点的には人間の性事情について心配になる今日この頃。

 

 そりゃモロチンも人理焼却したくなるわなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんなことより問題が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディルムッドを撃破して直ぐ、俺はとある事実に直面したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 よくよく考えれば野郎の肛門に己の指を突っ込んだのだという現実に。

 

 

 ぶっちゃけ自覚したら死にたくなった。

 盛大にゲンナリである。

 

 

 なんか穢された気分なのよね。

 いや穢した側なのは百も承知だけども。

 今になって精神的反動ダメージが酷い……戦闘のテンションと怒りのテンションがシンクロしてたから何とかなってただけやねん。

 気が沈む。

 思わず隠者の口癖が出そうになるなオイ。

 うーん、賢者モードですわこれ。

 正直、ヤリサー騎士団の相手は凄く萎えた。

 俺、ノンケやし。

 

 ラーマきゅん? 女やん。

 

 そんな訳で俺は急いで試運転がてら白濁ジェットで海までUターン。

 あ、もちろん復活したばかりなので調子を確かめるって名目をマスター達に伝えてからな!

 たどり着いたら、即白濁の容器を形成して海水をぶっ込み、さっきの青ざめたラーマきゅんを脳内再生でドライオーガズムして性火を点火。

 

 今は性火で沸かしたお湯で指を熱湯消毒中だったりする。

 さっきまでの怒濤の隠語講座はお湯を沸かしてる間の暇潰しだったって訳よ。

 

 

 ちなみにこの性火こと燃えたぎる熱き性欲(ブレイジングリビドー)を、フィンとの戦闘で使ってた訳だが、少し考えればおかしいと気付いたと思う。

 何せこの力は性欲を昂らせることで全身に炎を灯すのだ。

 

 最初使った時はマスター達があの場にいた。

 即ち興奮するための生のオカズがたくさんあった。

 

 だが途中からはフィンのみ。

 どう考えても発火が持続できるはずがない。

 ……流石の俺もフィンで性的に興奮はしたくない。できるできないの問題ではなく、純粋にしたくない!

 いや、やれって言われてやむを得ない状況ならフィンもオカズにするけどさ。

 視界に二次元シミュレーションでフィルターかけるなり、脳内コラージュするなりすりゃ何とかなるしな。

 

 だができればしたくない

 やっぱどんなものだってが良いだろが!

 ビールはが良い! オカズだってが良い!

 いずれ挿入する時もが良いじゃんよ!

 

 そんな訳で今回は強要されることも無かったんで、フィンをオカズにしてないのだ。

 ならば何故俺はまだ燃えてたのか。

 

 戦闘中に今まで使ったオカズを回想していた?

 断じて否!

 あの時はマシュをフィンによるアブノーマルな婚前交渉から阻止する為に、ぶちギレてたからそんな思考に割く余裕はナッシング!

 

 では何故、性火を持続できてたのか。

 

 

 

 実は性火って俺自身も普通に熱いんだよね。

 

 まあ、あれだよ。

 

 

 

 

 ちょいと過激なセルフ蝋燭プレイを楽しんでた訳だ。

 

 

 

 

 最初にオカズがあれば後は簡単。

 

 オカズを使って射精を伴わない絶頂(ドライオーガズム)→性的に興奮する→性火を全身に灯す→じんわりとした熱さが気持ちいい→性的に興奮する、といった具合に後は無限ループもとい半永久機関の完成ってこった。

 

 ローブ越しに感じるあの炎の熱さがたまらなく興奮するんだ! ジュルリ……おっとよだれが。

 じんわりと来るあの熱さが気持ちええんよぉ……。

 

 

 うん? ドMではないぞ?

 SもMもイケる質ってだけで。

 女の子に攻撃されるのって良いよね……デヘッ。

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけ勝利すべき黄金の剣(カリバーン)も痛いけど気持ちよかったからこそ、宝具(オムツ)の中が大惨事になった訳でして。

 

 

 

 

 

 無防備な股間に一撃もらったから痛みの方が勝っちゃったってだけで、普段の硬さマシマシガチンコオチンコなら問題なく、気持ちよさが勝っていたはずだったんだ!

 あれは盛大にミスったぜホント。

 修行が足りなかった……痛みを快感に、なんて常識の範疇だろうにまったく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 にしても…………思ってた以上にぶちギレてたんだな、って今更ながら自覚したぞ。

 どうやら余程俺はマシュをフィンに奪われたくなかったらしい。

 

 卒業候補だから? ってのもなんか違う気がするんだよな……。

 あれかな? ここんところ訓練にもよく付き合ってたし、父性的な感覚があったのかも?

 庇護対象的な……うん。

 いや、自問自答したけど独占欲かこれ?

 

 うわっ! 恥ずっ。マシュが卒業相手になってくれるのかも定かじゃないのに何してんだ俺は!

 俺からの誘いを断られる可能性だって充分にあるってのに。お断りされたら他の卒業候補にお願いすることになるんだから、そこまでしてフィンを排除しなくても良かったんじゃ……。

 実際相手がヤリサー騎士団だったとはいえ、今になってヤリすぎ感ガガガガガ。

 弱点を容赦なく先手必勝で攻めるの自体は間違ってないと思うけどよ。

 

 なんというかアレよね……ヤッてからこれヤリ過ぎじゃね? って気付くこと多い気がする。

 ベオウルフの股間粉砕然り、フィン・マックールのアナル開発破壊然り……ディルムッドはなんかついでの感覚でヤッちまったっけ?

 まあ、ディルムッドは俺の後ろの童貞狙って来てたんだから、正当防衛みたいなもんだろ。

 …………いややっぱ過剰防衛だったかなぁ。

 

 

 

 今更後悔しても仕方なし! 殺っちまったもんは殺っちまったんだし!

 

 卒業候補を強姦するよりは遥かにマシだから結果オーライ!

 あっちは無理矢理()っちまったら責任問題どころの騒ぎじゃねーしな!

 

 そんなことしたらエクストラクラス・強姦魔のサーヴァント、レイパーにクラスチェンジしちまう!

 ただでさえ、不名誉な称号頂いてんのにこれ以上自分から増やしたいとか思ってねーから!

 

 つーか俺自身できればラブラブエッチな初体験がしたいし!

 

 強姦は駄目だ! 最低でも和姦、できるなら気持ちの通じあった状態でのセックスが望まし…………あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 童貞卒業だけが俺の願いなら、卒業候補を相手に無理矢理でも卒業すりゃ良いんじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 ただ卒業するって目的だけなら、それくらい強引な手段を取るのもありなんじゃないのか……?

 

 そもそも前提がおかしい。

 

 俺の体質上、卒業したら死は免れられない可能性が高い。

 なら体質を治す手だてを捻出してから、卒業を狙うのが道理だろう。

 にもかかわらず、戻ってきた記憶の一部を閲覧する限り、()()()俺はそれを最初から勘定に入れてないように思える。

 

 それどころか()()()()()()()()()卒業しようとしている気がする。

 

 であれば、だ。

 どうせ死ぬなら無理矢理でも良いんじゃないのか?

 

 だが、そこまでの覚悟を持ちながらも、何故か最低でも同意を得た相手としか卒業する気がないようだった。

 別にどうせ死ぬなら愛する相手で卒業したい、ってことなら理解できなくもない。

 けれど。

 

 

 

 

 ()()()()()()()()相手としかしようとしなかったのは一体どういうことだ?

 卒業するだけならそんな条件はいらないはず。

 

 

 

 

 なんかきな臭い気配が漂ってきたんだが……。

 

 童貞卒業って願いはもしかして『何か』のついでか?

 それとも願望が2つ以上あるのか?

 はたまた童貞卒業が本当の願いを叶えるための条件なのか?

 

 ……記憶がまだ戻りきってないから、よくわからんぞい。

 

 

 

 

 

 

 

 でも、なんか冷静になってきた。

 ここはひとまず戻ってきた重要そうな記憶の数々を、整理していくことから始めよう。

 

 

 思考領域を封印の解けた記憶の整理に半分程割きながら、俺はマスター達の元へ再び合流する為、白濁ジェットで空を舞うのだった。

 

 

 さっさと合流してネロとエリザの応援に向かわねば!

 必ずや俺の眩草(クララ)で、君達のクララを剥き出しにしてみせるから待っててくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 ……紅茶と緑茶は男のクララ立たないし、帰ってどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 




安定の落差()

△情に熱い
○情欲に熱い(が酷い)
◎性欲に忠実
↑これが真実だとラーマは当然気付いていない

ストーリーがほぼ進んでない?
賢者のせいってのもあるけど、まあ

い つ も の 分 割

まるで進歩がなくて本当にすまない……
あ、唐突だけど次回にて賢者が死にます(ネタバレ)


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別に、全てを解き放ってしまっても構わんのだろう?(性欲)

賢者は歓喜した
────自分の真の力を思い出して

賢者は慟哭した
────真実を再認識して

賢者は絶望した
────覆せない現実に

賢者は決意した
────理不尽の化身になることを

賢者は死滅した
────酷使し過ぎたせいで

そして賢者は────




────さぁ、ついて来れるか(クソみたいな展開に)

今回は前回の延長線である……つまり、察して?
え、無理?
ヒントは前回あえなく分割した、ということ
そして前回の前書きの赤字……後はわかるかな?
それでは第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第9話始まります


※最初に謝っておきます。書きたいように書いたらこの始末☆になった。読み辛かったら申し訳ない。だが後悔はしていない
拙作を世に出した時点で後悔は済ませた(悟り)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 賢者のアヴェンジャー。

 未だ謎多きサーヴァント。

 

 だけど先輩はそんな彼に信頼を置いている。

 無論今ではわたしもです。

 経歴は不明でもあの人の実力は本物で、たまに危うい場面もありますけど、一対一の戦いで負けることはないと思っていました。

 そう、思っていたんです。

 

 

六合大槍(りくごうたいそう)の妙技、とくと見るがよい!」

 

「……では我も応えよう。我が神技を以て迎え撃つ」

 

 

 エミヤ先輩達の応援に向かう道中。

 ケルトの軍勢に襲われました。

 ケルト兵やワイバーンだけでなく、キメラやウェアジャガー、果てやシャドウサーヴァントまで現れる始末。

 

 皆さんで迎撃していたそんな中、参戦してきたのがランサーのクラスで現界した李書文さん。

 シャドウサーヴァントを片っ端から滅ぼしたかと思えば、開口一番に李書文さんはこんなことを宣ったのです。

 

 

『我が名は李書文。そこの神仙とおぼしきサーヴァント! 儂と今すぐ戦え!』

 

『……何故?』

 

 

 賢者さんの疑問は最もでした。

 どうやらケルト側のサーヴァントではない様子。

 にもかかわらず、賢者さんに勝負を挑んでくる理由がわかりませんでした。

 

 

『貴様の動き、何らかの武術と見て間違いない。だが生前の記憶とサーヴァントとして得た現代の知識をもってしても、とんとお主の武術が何なのかは見当もつかなんだ』

 

『……実際、我しか使い手はいないからな』

 

『だからこそ、だ。見たことも聞いたこともない武術を極めし神仙。そんな者が遠目からでも目に入れば死闘を嗜む身として、即刻立ち合いを所望するのは至極当然であろう?』

 

『ちっ……また戦闘狂か。説得も面倒だな。……来るなら来い。1分で終わらせてやる』

 

『くははははは!! そうこなくてはな! いざ尋常に勝負と行こうぞ神仙! 己の槍が貴様に通じるのかどうか、試させてもらおうか!!』

 

『……ハァ』

 

 

 賢者さんは額に手をやり、溜め息を吐いていた。

 そういえばベオウルフさんもそんな感じでしたね。

 二人は視線を交えると互いに構えました。

 そして。

 

 

「我が槍は是、正に一撃必倒。神槍と謳われたこの槍に一切の矛盾なし!!」

 

「移動は不要。刹那にてこの場よりただ放つのみ」

 

「ぬっ……!? なん、だ……? 頭に訳のわからぬ文字列だと────」

 

 

 正直、最初わたしには何が起きたのかまるでわかりませんでした。

 

 

「────ガハッ……儂に何をしたかも悟らせんとは……実に見事……」

 

 

 賢者さんの姿が急にぶれたかと思ったら、李書文さんが血反吐を吐きながら倒れていました。そのまま李書文さんが消滅していきます。

 勝敗は決し……えっ?

 

 

「────あっ、やべっ」

 

 

 賢者さんも消滅……? 相討ち?

 

 

 

 

 

 

 

 えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 信じられない光景に、わたしの思考は停止した。

 

 

 

 

 でも1つ理解してしまった。

 できれば拒否をしたかった事実。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────賢者さんが死んだことを。

 彼の霊基が、この特異点から消滅したのだという現実を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は思い出した記憶を整理する為に思考領域を、一時メインとサブに分割することにした。

 

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

 

 フィンとのガチバトルの前に『ん? 今なんでもするって(ry』な言質を取ることに成功した俺は、ヤリサー二人組を片付けたので早速紳士的な要求を行使した。

 

 

 

 

 結果、リリィちゃんを指南してやることになった。寝技の。

 

 

 

 

 あ、素で間違えた。聖剣の、な。

 

 

 

 

 

 もちろん、エミヤ達がいるであろうアレクサンドリアに向かいながらだ。

 

 

 ホバー移動式白濁マットレス、再び!

 

 

 みんな疲れてるだろうしな。

 俺なんかを守ってくれた愛すべき仲間達への労いの気持ちを込めた、射精もとい白濁光を放出しマットレスモドキを作成したのだ。

 

 心なしか表情のわかり辛い婦長が一番喜んでくれてた感じだったんだよね。

 ……そんなに感触を気に入ってくれたようなら、婦長にプレゼントしてあげるのも悪くないかな?

 

 

 

 そんな訳で移動はマットレスモドキに任せて、リリィちゃんとの修行をそのまま行うことにしたのだ。

 

 理由?

 いや、なんかリリィちゃんってば二次元シミュレーションで分析した感じ、自信をだいぶ喪失してるようだったからさ。

 その原因の一端は俺にもあるっぽいし、だったら元気付ける方法は一つ!

 

 

 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)の制御が完璧になるように鍛え上げ、実戦にて本領を発揮させてあげられれば、彼女だって自信を取り戻せるはず! という結論に至った。

 

 

 極めて全うな提案だろ?

 紳士な俺が酷い要求をエンジェルセイバーにする訳がないんだよなぁ。

 

 

 

 肝心な修行方法? 無論抜かりはない。

 

 

 

 強みをイカせるような修行法を考案した。

 簡単だ。

 

 意図せずして彼女の聖剣の光は股間へと炸裂する。

 そう、無意識であろうと宝具を解放すれば飛んでいく先はだいたい誰かの股間だ。

 

 

 そして股間はある意味で人間の中心部とも言える。

 そこを中心にして連鎖的な爆発が起きるのは、実際のところ全身にダメージを与えるって面で理に叶っているのだ。

 

 

 だから逆に考える。

 今度は意識的に股間めがけて聖剣の光を射出し、確実に股間の中心に当てる練習だ。

 できてることをわざわざやめさせて、新しいことをやらせるのは愚作。

 

 股間を、というよりも股間を『的』の代わりとして認識させ、どんな体勢どんな角度どんな状況であろうと、敵がどれだけ高速で動き回ったり避ける動作をしようと、『確実』に『的』へ命中させる訓練を施す。

 彼女はスキル・直感持ちだ。

 訓練すればモノにできるだけのスペックを持っている。

 

 そして最終的には股間以外も意識を集中すれば『的』と認識できるように改善させれば完璧だ。

 

 今の俺の股間はバッキバッキのフル勃起スタイルだから、彼女の聖剣も余裕で耐えられる。

 全身に伝播する爆発? SMプレイの鞭打ちのようなもんじゃん? へっちゃらへっちゃら。

 

 

 

 だからバッチコーイ!

 リリィちゃんは最初躊躇したものの、普段表向きは寡黙で仏頂面な俺からかなり熱心な説得を受け渋々承諾。

 

 

「邪悪を断て! 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

 

 彼女が宝具を解き放つ。

 俺の股間(邪悪)に炸裂する。

 

 ズドンッ! と重たい一撃からの広がる爆発が全身を打つ。

 

 

 

 

 ドピュッと一発、聖域内(オムツ)花火(精子)が舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレッ! ビアーン!!

 痛みと共に走り抜けるこの快☆感!

 じんじんと後からじんわりと来る絶え間ない痛みの波が、俺のカリバーンをギンギンのビンビンにするのだ!

 いいね! いいねェ! 最ッ高だねェェえええええ!!

 この気持ち良さはまさにフォルテッシモ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっと……あまりにも興奮し過ぎて、どっかの変態が複数混線してしまったか。

 もっとクールにイかねばな。

 

 うっ…………ふぅ。

 

 

 

 よし、冷静になった。

 

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 

 

 さてと修行を続けながらも、判明した記憶について改めて確認するとしようかね。

 

 

 

 耳元で一人ずつ囁く連中=超越童貞。

 

 内側というか金玉に居座る連中=無念のまま死んだ童貞達の魂の集合体。

 

 外側で閲覧してる連中=超越童貞になれる素質を持つ者達。

 

 

 

 この3組は俺と脳内会話を可能とする奴らだ。

 

 それらを含めて判明したのが、俺はどうやら全ての童貞と魂が繋がっているらしい。

 その3組以外とは会話を交わすことはできないが、この世のみならず、過去・未来・現在、平行世界・異世界など、あらゆる全ての童貞と繋がっているようだ。

 

 それは俺が童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)だからって訳でもないらしく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

 

 

 

 オウフッ……エクセレントッ!!

 いいよぉ、いいよ! さぁ、もっと! もっとだ!

 来いよ聖剣! 自重なんか捨ててかかってこい! ……楽にイカしちゃつまらんだろう? 光を撃ち込み、俺が苦しみもがいて股間を無様に腫らす様を見るのが望みだったんだろう。そうじゃないのか聖剣?

 来いよ聖剣!!

 

 

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

 

 

 

 ────やればできるじゃないか。

 たぶんこの場で股間を露出する機会があれば、勢いよく放たれた精液はケルト軍の根城まで飛んでいくくらいの勢いがあっただろう。

 そう、変換した白濁光ではなく、ただの精液がそのレベルで飛んでいく程の勢いで射精できた。

 これはギネス記録に乗るレベルの偉業に違いない! 表彰してもらおうそうしよう!

 

 

「……良い感じだ。なら今度は回避動作をする。それでも確実に狙えるように制御してみせろ」

 

「わ、わかりました! やってみます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 実は神になる以前の人間だった頃から童貞と繋がる力を持っていたみたいだった。

 ただし受信のみの一方通行だったみたいだった上、根本的にこの力が何なのかまではまだ思い出せていない。

 

 その力が童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)になってから送受信自在となった。

 

 ……まあ、今の今まで特に意識することなく勝手に繋がってただけに過ぎないせいで、ほとんど有効利用できてないんですけどね!

 

 

 記憶が無くなってたから仕方ないね!

 

 

 だからか勝手に俺の体に憑依してきた、無念のまま死んだ童貞達の魂の集合体は、ある意味別枠に当たるのかな?

 全ての童貞と繋がってるって言ったのは、あくまで生者の話であって死んでる連中とは繋がってないのだ。

 だからアイツらは例外ってことになるんだろうな……事実、他は脳内で繋がってるだけなのに、俺の金玉に居座ってる訳だしね?

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! くっ、当たらない……!」

 

「もっと集中しろ。神経を研ぎ澄ませろ。直感を信じろ。キミならできるはずだ」

 

「はい! 頑張ります!」

 

 

 脳内整理中であろうと、抜かりなく修行に付き合う俺。

 股間目掛けて飛んでくる聖剣の光を白濁ジェットを行使して紙一重で回避していく。

 まあ? これでも? 神の端くれですし?

 この程度は朝飯前なのだ!

 本心では当たりたいんだが、これも金蹴り焦らしプレイってことで回避に徹する。

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 

 にしても、俺が扱う宝具の数々や何気なく使ってきた童 帝 神 技(ドウテイシンギ)にも、ちゃんとした理由があったことに正直驚いたぜ……。

 てっきり神になったんだから、なんでもできて当然的な理由だと俺自身は思ってたってのに。

 そう、俺が冠するこの名にもちゃんと意味があった。

 この真実を思い出して、よく今まで疑問にも思わず活動できてたもんだな、と思わず内心苦笑したもんだぜ。

 ……いや、過去の俺に思い込まされてたって言ったらそれまでなんだけど、性欲一辺倒で童貞卒業願望しか無かったのが一番の問題だったんだろうなぁ。

 

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! ……ハァハァ、もう一度、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! うっ、かすりもしないです。やっぱりわたしじゃ……」

 

「……自分の腕を信じられないのなら、せめて聖剣を信じろ。後は我の言葉を信じろ。大丈夫だ。キミにはそれを成すだけのスペックがある」

 

 

 そうだよ。

 諦めんなよ、諦めんなよお前! どうしてそこでやめるんだそこで! もう少し頑張ってみろよ! ダメダメダメダメ諦めたら。聖剣の事思えよ、俺の股間(邪悪)を断ちたくて仕方ない聖剣の事思ってみろって。あともうちょっとのところなんだから。俺だって股間を撃ち抜く光に耐えながら、精子がビュルルって頑張ってんだよ! ずっとヤッてみろ! 必ず目標を達成できる! だからこそ永遠に勃起(ネバースタンドアップ)!!

 

 

「……集中、意識を集中。邪悪を断て! 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! ……あ、当たった。当たりました! やりましたよ賢者さん!」

 

「ッそうだな。なら次だ。次は直前での回避ではなく、最初から高速移動してる対象に当てる特訓だ」

 

「は、はい!」

 

 

 なかなかに鮮烈な一撃だった……!

 

 これなら世界を狙えるかもしれねぇ。

 金蹴りプレイの世界チャンピオンに!

 

 天然ドSで世のM共を制圧できるのはお前だけだ。リリィ、お前がナンバーワンだ。

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)! くっ、動きが早過ぎて追い付かない……!」

 

「見ようとするな、それは残像だ。感じ取れ。直感こそがキミの武器だろう?」

 

「…………直感で感じ取る。視界に頼らず、直感と聖剣を信じて解き放つ」

 

 

 よし、感じ取れ! もうナニも怖くない!

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 

 さて。

 

 

 

 宝具は別名『貴き幻想(ノウブル・ファンタズム)』と呼ばれる。

 まさしくさっきから俺に向けて放たれている聖剣の輝きなんかが、貴き幻想にふさわしいだろう。

 

 ならば俺の宝具は?

 …………俺の主観ですら貴いとは思えないどころか、世界で一番汚い自負がある。

 客観視したら、それはもはや紛れもない汚物、いや汚物以下という認識だろう。

 そんなものが果たして宝具に該当するのだろうか?

 

 答えは否……でもあり、そうでもない。

 何とも微妙な立ち位置にあるのが俺の宝具だった。

 

 

 

 

 

 実は今まで俺が使ってきた武器や宝具の数々は貴き幻想(ノウブル・ファンタズム)の亜種だった、という事実が戻ってきた記憶により判明したのだ。

 

 

 

 

 言うなれば『性なる幻想(セクシャル・ファンタズム)』。

 

 

 

 

 性行為もしくはそれに関係すると思われる様々な希望的観測の一部を宝具へと昇華させたものだ。

 まあ、簡潔に言うと性的な妄想の具現化だな。

 

 それは知ってはいても理想とするものだったり。

 知らないからこその思い込みであったり。

 

 例を幾つか挙げるなら。

 

 

 男性の場合。

 

 ・どんな状況であろうとオカズがあれば勃起できる。

 ・精液は尿と同等の勢いで出る上、必ず勢いよく飛ぶ。

 ・オカズがあれば何回出そうと何度でも勃起できる。

 

 

 

 ハハッ、んなことはまずありえねーよ。

 普通なら、な。

 だが俺の十八番『性欲魔神(エンドレスブート)』はまさにそれを体現しているに等しいだろ?

 

 

 

 

 逆に女性の場合。

 

 ・処女は初めての場合、誰であれ出血するし痛みを伴う。そこに例外はない。

 ・激しく指で膣を刺激してやれば誰でもイク。

 ・どんな女性でも潮吹きするのは当たり前だ。

 ・子宮への挿入は普通に可能で、興奮すると降りてくるため子宮の最奥まで突ける。

 ・強姦であろうと絶対に性的快感を得る。

 

 

 

 

 これらもほぼない。だいたいが幻想だ。

 まだ可能性の高い一番目と二番目も。

 

 一番目は処女ではあっても処女膜が日常生活で喪失してる場合があったり、処女膜があっても処女膜自体に多くの血は供給されていないため、実は血が出る方がレアケースだったりすんだよ。だからそこに例外はないってのは正しくない。

 

 あ? 童貞なのに何故知ってるのかって?

 ……非童貞とは繋がりが自動で絶たれる。

 だが俺の方から故意に一時的にではあるが繋ぎ直すことはできるのさ。

 何せ『元』童貞な訳だし。

 繋がりが切れた瞬間に繋ぎ直し、こっちから記憶閲覧とかして、童貞卒業を影ながら祝いつつ、卒業者の卒業相手をオカズに抜くとかも五百年引きこもってた際ずっとやってたりしたんだわ。

 まあ、そんなこと散々やってりゃこれくらいの性知識は、たとえ未だ童貞でも付くってもんよ。

 …………童貞なのに性知識ばっか豊富でもなんか虚しくなるから、敢えて仕入れた(知りたくなかった)性知識とかは時間経過で除去したりもしてんだけどな。

 哀しいなぁ……。

 

 二番目については誰でもイクってのがおかしい。M気質な女性なら可能性はあるものの、ただがむしゃらに刺激するのは、粘膜を傷付けるだけの可能性の方が高いから注意が必要だしな。

 

 

 だからこれらもまずありえない。

 

 

 

 

 

 

 しかし。

 しかし、だ。

 

 

 

 

 それら全てが百パーセントありえない、と断じるのは早漏……いや早計だ。

 何せ実際にこの世全ての人間の体を、ましてや状況を調べ倒した訳じゃない。

 だったら可能性が0だとは言いきれない。

 

 

 

 まあ、仮に可能性が0でも関係ないのだ。

 俺と繋がっている童貞の中で()()()()()()をしている存在が()()でもいれば成立する。

 

 

 

 性的空想とも言える、それら全ての妄想を体現した真の宝具を、俺は保有していたのだから。

 否、神の名を冠したからこそこの宝具を手に入れたが正しいか?

 

 つまり今まで繰り出してきた宝具の数々は、ほぼたった1つの真の宝具から生み出されたのだ。

 その真名が────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────真第一宝具『童貞の夢は終わらない(ザ・ヴァージニティ)』。

 

 

 

 

 

 常時発動型の宝具で、俺が童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)という名を冠する童貞の頂点だと示す証。

 この肉体を構成する真の第一宝具って訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 記憶が戻り始めてから、そして色々と自覚してから、薄々おかしいとは思っていたんだ。

 

 いくらなんでも俺が使える宝具の数が多すぎる。

 宝具の数が豊富と言われるライダーのクラスならいざ知らず、アヴェンジャーにしてはあまりにも数が多すぎる。

 しかも童 帝 神 技(ドウテイシンギ)とかいう技能が、宝具ではないはずなのに、宝具並みの性能を誇るとか訳がわからんかったしな。

 

 童貞のくせに、眼力だけでイカす、とか。

 ケツ穴を一瞬で開発する、とか。

 あと即興とはいえ編み出した超越童貞限定展開(ヴァージナル・インクルード)とか。

 しかもそれらが全てただの技能とか……ないない!

 二重の意味で未経験なのに、そんなことできる訳ないやんけプギャー! ゲラゲラゲラゲラ!

 ……ふぅ、虚しいなオイ。

 

 あ、早漏流し(モーモメント・ドビュッシー)は例外ね。

 オナったことあんなら誰でも使える可能性あるし。

 これに関しては性交経験関係ないから。

 

 

 

 ま、そんな訳で童貞の夢を結晶化した宝具で形成されたこの肉体だからこそ、童 帝 神 技(ドウテイシンギ)は効果を存分に発揮できるってことよ!!(……)

 

 

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

 

「集中……あれ? 聖剣の光が弱まってる……?」

 

 

 何? まさかカリバーンの奴、俺の股間に撃つことに嫌気が差したのか!? 何故だ!(…………)

 こんなにも俺とリリィは頑張ってるのに!(ッ)

 

 

「あれ? 魔力が上手く流れていかない……」

 

 

 

 選定の剣(テメェ)は、アルトリアを助けたくないのかよ?

 選定の剣(テメェ)、ずっと待ってたんだろ?

 アルトリアの魔力で折られずに済む、エクスカリバーに居場所を奪われずに済む、そんなリリィが笑ってお前が望む最高な花の旅路ってヤツを!

 今まで待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を……何のためにここまで折れずにいたんだ!?

 選定の剣(テメェ)が発する光で、たった一人の女の子(リリィ)を助けてみせるって誓ったんじゃねぇのかよ!?

 お前だって現役の方がいいだろ!

 エクスカリバーに役目を譲ってんじゃねえ!

 命を懸けてたった一人の女の子(リリィ)を最後まで守りてぇんじゃないのかよ!?

 だったらそれは全然終わってねえ!! 始まってすらいねえ!!

 これがもしもの幻想(イフ)だからって絶望してんじゃねえよ!!

 ────光を出せば(股間に)届くんだ。いい加減に始めようぜ、カリバーン!(……ダメだ)

 

 

 

「あっ! 光が……これなら。これで、決めます……!」

 

 

 今までで一番の輝きじゃねぇか(もう我慢の限界)

 いいよ来いよ(反省の色もほぼ無し)

 ……なんか光の荒々しさにヤケクソ感あるけど(聖剣だって自棄にもなるわ!)

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 

 話戻すか(メインもサブもウンコじゃねーか!)

 

 

 

 つまりこの真第一宝具の効果を使えば、薄き聖典にありがちな即堕ち展開も!(歯止めないのかコイツ)

 

 初めての相手がごく短時間でレイプされ、しかも果てには2穴挿しで絶頂しまくるという、どう考えてもねーよ! な事態も!(お前らのリーダーだろ何とかしろよ)

 

 子宮に届くレベルの巨根って時点で「は?」な案件なのに、子宮内を蹂躙されて感じるという女性とか「お前人間じゃねぇ!」という感想が出ても仕方ない状況も!(手遅れですね)

 

 何度も中出しされていて避妊薬も使われた様子が無いのに、まるで孕む気配0という、男性が種無しなのか、女性が不妊なのか、どちらにしろ正直笑えない深刻な問題にしか思えない、あまりにも不自然な場合も!(オイ聞こえてねぇぞこれ)

 

 ポルノものにも言えることだが、やたらと多い大量潮吹き……あれは実際のところ過剰な水分補給をするのがほぼ前提な上、潮吹きできる体質に作り替える必要がある。だから素人が潮吹きとかまずありえないのが現状でも!(頼むからブレーキ機能しろ)

 

 

 そんなものはフィクションだけの話なんだとしても!(アンタが虚構ならなぁ)

 

 

 それら全てを実現できるのがこの第一宝具であり、その宝具の名を冠する者、即ち童貞の頂点だということになる訳だ!!(誰か下克上求む)

 

 そう! 童貞の頂点に至れば、そんな薄い本的展開を容易に現実へとできる!!(ヤバイよこれ)

 これ程に素晴らしいことは無いだろう?(早く記憶を物理で奪うんだよあくしろよ)

 

 フハハハハハ! 崇めるがいい!

 そしたら願いを叶えてやらんこともないかもしれなくもないやもしれんぞ?(どっちやねん)

 

 

 

 

 だってよぉ……だって……!(え、なんか泣きそう?)

 

 

 

 その力の弊害なのか、スキル・童貞一途を強制取得させられるせいで、フルバースト体質が定着しちゃうんだぜ!?(あっ)

 つまり俺自身は神でいる以上、童貞卒業ができないってことまで思い出しちまったんだ(気付いてしまったか)

 できたとしても死と隣り合わせというデメリットがあるんだっつーのっ! クソが!(御愁傷様です)

 

 

 確かにこの力をフルに使えば、様々な生のオカズを獲得できるんだろうよ。

 

 望んだ通りのポルノグラフィを、目の前で生み出すことだっていとも簡単にできるんだろうよ!

 

 立香ちゃんやマシュにも、あんなことやこんなことをさせることだって造作もないはずさ。

 

 

 

 

 

 

 だけど、当事者には絶対になれないんだ。

 俺はあくまで傍観者にしかなれない。

 

 

 

 

 

 

 

 どんなに脳内で描くエッチでドスケベなシチュエーションを、真第一宝具で演出できても!

 

 

 この体質がある限り、俺が出演することは絶対に叶わないんだよ(血涙)

 これが直接的な接触限定なフルバーストなら良かったのに、間接的な接触ですら、全弾発射するんだから救えない。

 実際、まだカルデアに来てから間もない頃、ローブの上からなのに背後から肩にマスターから手を乗せられただけで、フルバーストしてるしな。

 コンドームで参戦することすら許されないのだ!

 

 俺が寝取られ属性以外受け付けないコアな変態だったなら、問題なかったのかもしれないが……生憎と幅広いジャンルを広く浅く網羅する変態だ(それはそれでどうなの)

 しかも俺は我欲が高い分NTR属性は得意じゃない。

 ()()()()()()()の一貫として、数回ならまだしも……手を伸ばせば届くのに、永遠に見ている『だけ』しかできない監督ポジションは俺にはキツ過ぎるぜ。

 寝取る側に回るなら大義名分がありゃやる気出すけど、わざわざ幸せカップルをどうにかしたいとまでは思わない(そこまでの屑ではなかった)

 ……いやまあ、相手の女性が好みのタイプならオカズにはさせてもらいますがね(オイ)

 

 可能なのはオナニーとブッカケ、道具の使用くらいが限界だろうし。……しかも俺の場合宝具じゃない素のブッカケには、ちょっと問題があるんで軽々しくできないんだよなぁ(遠い目)

 最初の頃は良いよ?

 たぶんそれだけでも楽しめない訳じゃねぇと思う。

 けど『永遠』は辛いわい。

 目の前に女性がいるのに触れただけで大賢者モード、大賢者が解けた後に触れれば即死とか…………生殺しも良いとこじゃん。

 

 身動きの取れない女の子達に悪戯とかスゲー背徳感あって好きだけど! 壁に埋まって展開とか大好物だけど! 直接は触れられない現実に、余計に後で虚しさが襲ってくるのが目に見えてんだよ! 正直その方が苦行だっつーの!

 あと……うん、親しい子にやった場合、罪悪感ガガガガガ(罪悪感あったのかコイツ)

 

 他にも真第一宝具を応用すれば、暴漢に女の子が襲われてるありきたりなシチュエーションを演出し、そこに颯爽と現れるヒーローな俺みたいなのも簡単にできそうだ。

 

 だがそんな力を使って親しい女性陣を自由にできるとして、そこに価値はあるのか……?

 プレイの一貫ならそれらもまたよし。

 だが、相手の気持ちまで操ったり、暴漢などに襲われる状況を作り出し吊り橋効果を狙うなんざ、それはもはやオナニーと変わらねぇだろ。実際本番不可だからオナニーでしかないし!

 やっぱり地力のみで女の子を落とせなきゃ、俺の五百年が無駄になっちまう!

 

 五百年の間にリサーチとシミュレーションを繰り返してきた今までの俺が、卑怯な手(チート)を使って女の子を落とすことになんの価値があるんだ!?

 本番もできやしないのに!

 オナニーと共に磨いてきた女の子を悦ばせるテクだって、恋人になってから披露するのが常識だろ!?

 

 

 

 

 俺は普通に恋人作ってラブラブエッチがしてぇんだよ!!(変態のくせにピュアかよ)

 

 

 

 

 ……いや、真第一宝具使って本番も可なら誘惑に負けて使ってた感あるけどさ(今までの熱弁は何だったのか)

 でも現実は非情なり、本番も何もない

 俺にとっては、本番ができなきゃそんな力があったって、価値なんざまるでねぇんだよ!!(それが本音か)

 

 

 つーか、それなら五百年の間に培った()()()が生み出したスキル・二次元シミュレーションで、脳内イメトレリアルセックスしてた方が遥かにマシだわ!!(童貞に時間を与えた結果がこれだよ)

 どうせ現実では触れもしないなら、脳内で作った仮想現実空間でセックスする方が有意義なレベルだろこれ……(変態がスキルを得た結果がこれかよ)

 

 

 

 モテようがモテ無かろうが、最悪風俗に行くかアプリとかでセフレを作れば女体を楽しむくらいできるのが普通だ。

 だと言うのに、俺には神の名を得て真第一宝具を持った代償なのかそれすらも許されない。

 

 

 

 色々とできることがわかった反面、期待を持たされた分ショックがでけぇんだよ……。

 こんなのってないだろ! あんまりだよ!

 つまりあれだろ? 俺を超える年数の超越童貞が現れてくれない限り、この体質は治らない。

 誰か継いでくれなきゃ永遠に無理。

 童貞卒業までなら死ぬの前提ならできても、本番は不可能とか……嘘やん。

 

 

 

 

 

 

【メイン脳内】

 

 

 

 

 

 そんな傷心中でありながらも高速移動をこなしてはいた俺だが、動揺が動きに出てしまったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「……そこだ! 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

「ッ!?」

 

 

 あひぃ!?(キモい)

 なかなかにクリティカルヒットだぜ……(なんつー修行だ)

 高速移動してたから、オムツの中のソーセージとミートボール入りおいなりさんがプラプラしてた訳だけども、そこの中心に寸分違わず狙い撃ちできるようになるとは……やるじゃねぇか(純真無垢な娘にSMプレイさせる屑)

 

 常人なら顔色が真っ青だっただろうが、生憎俺は超人もとい変人……否、変神だ(自覚あるならやめろ)

 まっ竿になり、オムツの中は一時的に真っ白になった(汚い)

 

 ビュルルルルルルルルルルルッッ!!!! って感じにフルバースト以外では久方ぶりの大量射精だったぜ(病院が逃げ出すレベル)

 今のならこのアメリカ大陸を横断する精液の道を作れるかもしれない!(しなくていい)

 リリィちゃんってばやればできるじゃないか(やらせた内容が最低)

 もう次で最後で良いなこりゃ、ここまでできたんだ。

 後は股間以外を『的』として認識し狙い撃てるようにしてやればばっちりだろ(最初からそうしろ)

 

 

 

 

 

 

 

 

【サブ脳内】

 

 

 

 

 

 

 

 その時、股間に電流走る!(頭じゃねーのか)

 リリィちゃんが放った聖剣の光の刺激のおかげでナイスアイデアが閃いたぜ!(閃き方ぇ)

 

 

 

 

 そうだよ! なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだ!

 よし、俺と繋がりし超越童貞諸君!!

 俺の後を継いでくれ!(((((断る)))))

 即答!? なんでだよ!?(脳内で実状垂れ流し)

 へ?(繋がってる俺らに丸聞こえな件)

 …………しまったorz(そもそも年数の桁が違うし)

 

 は……? いやいやいやいや。

 それはおかしいだろ、超越童貞なら三桁くらい普通(今のアンタだけで五百年以上)

 ああ、それが?(過去のアンタが約五百年)

 え゛(合計するとたぶん千年超え)

 は? ちょっ、は!?(一桁違うだろ?)

 

 

 

 

 

 

 ………………………………(絶句)

 

 

 

 

 

 ハッハッハァ!! 望みは断たれた!!(絶望)

 神は死んだ!!(お前が神じゃねーか)

 こんなことなら思い出さない方が良かったよ……!

 何も知らず夢のために邁進していた頃の俺は酷く道化染みてたかもしれねぇ……けど、知らなかったからこそ前に進む気力があった。

 なのに現実はどうだ……?

 夢も希望もないじゃねぇか!!

 

 

 クソッ……クソォ、クソクソクソが!

 ……もう良いよ、こうなりゃあれだ。

 俺はアヴェンジャーなんだ。

 世界への復讐者だろ?

 

 だったら良いよな……? 別に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────俺が理不尽の化身になった(やつあたりした)って(傍迷惑の極み)

 

 

 アッハッハッハッ!

 もう好き放題女の子を薄い本展開に導いても良いよね?

 ただし出演する男は俺のみで。

 他の野郎は全員排除する。

 本番ができなかろうと、新鮮なオカズの収集だと割りきれば良いよな?

 充分我慢したよね?

 

 

 

 もうこれで人間関係が終わってもいい……だからありったけを────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────何故か()()の笑顔が脳裏を過った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【????】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────また『孤独』に戻るのか……?

 異空間での『独り』の生活に戻るのか?

 それで本当に良いのか……?

 居心地の良いこの生活を手放して、手に入るのは新鮮なオカズのみ……割りに合うのか?

 だったらこの生活を手放さなくて済むように洗脳やら催眠で……いや秘蔵の封印をどんなに行使しても、俺に関する情報はいくらでも隠せても、ヤッてしまった相手への不自然な何かは残るよな。

 例えばそれをマスターやマシュにヤッたとして、それに気付かない程、カルデアの英霊達は愚かじゃないだろう────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────なんて、自問自答してる時点で答えは出てるだろうに俺は気付かないもんなんだな……。

 迷走し出すと自分の気持ちが一番わからない、とはよく言ったもんだが。

 

 それ以前に俺はあれで意外と繊細だから、実行に移せば罪悪感で潰れるだろ。

 

 脳裏に過った記憶が答えだ。

 だから無意識に甦ったんだろうし。

 

 そんなに長い時間彼女達と一緒にいた訳じゃねぇけど、濃い毎日を過ごして来たのはわかる。

 

 

 白濁の記憶しかない俺の世界に、色彩をくれたのは彼女達だ。

 彼女達と一緒に過ごした記憶が、どれも輝いているのを俺は感じてた。

 

 

 異空間にいた頃のほぼ無為な時間とは雲泥の差だ。

 重要なのは時間じゃない、密度だ。

 あれだけ親しい仲になった二人に、孤独な日々にうんざりしていた俺が、酷いことをできる訳ねーだろうに。

 

 

 

 

 

 つーかもし無理してやるとしても、だ。

 

 

 

 

 

 今一番可能性の高い藤丸立香とマシュ・キリエライトとの関係性を崩すことを、他ならぬ()()が許さない。

 暴走したら今までの『丸太を両肩に担いで一輪車に乗りながら綱渡り』するレベルの、奇蹟的な二人との親密度上昇が全てご破算だ。

 

 無駄にはできない。

 天文学的数字で引き寄せたこの幸運を。

 宿痾を断ち切り、楔を叩き込むには、この好機を逃せばいつになるかわからないのだから。

 

 そのためには万全を期さなければならない。

 一回切りしかないんだ。

 だからミスをする訳にはいかない。

 

 たとえこの身が朽ちる運命だろうと、彼女達のどちらかと心中することになったとしても、()()はやり遂げてみせる!

 

 

 

 

 

 

 たとえ()を押し殺してでも、必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖杯戦争。

 万物の願いを叶える『願望機』を奪い合う争い。

 

 

 広義には「一定のルールを設けて、聖杯(と思われる何か)の所有を巡る争い全般を指す」。

 つまり、聖杯を求める戦いであるのなら、聖杯とされるものが出品されたオークションだって聖杯戦争。

 景品が聖杯のカードゲーム大会で勝者を決めるとしても聖杯戦争。

 聖杯の所有権を賭けてジャンケンをするだけであろうと、聖杯戦争となる。

 

 

 

 普通の人から見たらクソくだらない諍いがあった。

 それは聖杯戦争の亜種。

 

 

 

 別名、性杯戦争。

 

 

 

 童貞卒業を最高のシチュエーションで叶えるという、童貞の神を呼び出す『顕現機』を奪い合う争い。

 

 7人の今を生きる童貞と、彼らと契約した7人の既に故人の死霊童貞が(精神的な)生き残りをかけて黒歴史を暴露し合う(たたかう)のだ。

 

 そうやって最も酷い境遇のペアに、性杯は答えてくれる仕組みになっている。

 

 

 そして性杯にて呼び出されるのが童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)

 

 

 本来、童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の名を冠した超越童貞は、神と化した時点で雑念や煩悩とは無縁となり、精神は解脱や涅槃(ねはん)、悟りの境地に至る────はずだった。

 

 童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の名を冠した者は、勝者の童貞の夢を、第一宝具を以て叶えるのが役目────のはずだったのだ。

 

 

 しかし、どういう訳か。

 今その名を継ぎし存在は、性欲にまみれ、あろうことか第一宝具を己のために使う者であった。

 

 

 そう、賢者はイレギュラー。

 普通なら重なるはずの無かった()()()役割により歪んだ存在。

 

 

 そんなイレギュラーの塊を、これまたイレギュラーな条件でカルデアのマスターが召喚に成功した。

 

 

 そして賢者は奇しくも()にとっては理想の関係性を作り出していた。

 ()には無かった積極性が今の賢者にはあったのが功を奏したのだろう。

 

 

 

 

 

 それが()()()()()()()()()()絶好のチャンスとなることも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやらいつの間にかメイン(男)とサブ(女)が脳内合体(意味深)したらしく、その拍子に前後の記憶が数秒くらい吹き飛んだっぽい。

 

 俺、ナニをシようとしてたんだっけ?

 

 

 

 

 まあ、いっか! 忘れちまうような内容なら大したことじゃねーだろ。

 そんなことより、リリィちゃんとの修行をしながらの浮遊式白濁マットレスでネロとエリザベートの応援に向かう道中。

 なんかケルトの軍勢に遭遇した。

 急ぎではあるが、数も多いしリリィちゃんの実戦も積みたかったので、迎撃に打って出ることにしたんだ。

 

 

 そんでワイバーンやらキメラを屠っていたら、いきなり槍持った達人らしきサーヴァントが参戦して来たかと思えば、ケルトの軍勢をさらっとぶっ潰し、急に言われたのだ。

 

 

 

「オイ、デュエルしろよ」(意訳)

(※言ってません)

 

 

 

 何故か中華出身の武術家然としたはぐれサーヴァントに、決闘を挑まれた件。

 闇のゲーム(物理)はご遠慮願いたかったのだが、生憎相手は戦闘狂だった。

 会話が通じるとは思えない(お前よりはたぶん通じるよ)

 

 

 

 

 

 

 唐突で悪いがコイツをどう思う?

 あ、読む必要は無いぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『みなんみとみいうか口み直しに、女みの子のおみまみんこをみマンみグみリ返ししてクンみニしみたい。体質み的に無み謀? 実際みにやみらせてもらみえる状況なみら俺はひとみ舐めだみけでも満足だみよ。……ごみめん。嘘。延み々とみバみターみ犬よみろしみくペみロペロみしてみたい! みホみモ共の相手は思みいの外疲みれた。なみんでアイみツらのケみツみに挿さみなあかんねみん。不み潔やわー。やみっぱり女み体をみ貪りたいみ。女み体で癒みされたい。すみまんみこされるなら、素み股でみも構わん。……願望をみ心の中で口みにするくみらいは許されみるはずだ。というか俺の息子を女の子が口みにするというか口でしみてくれるなら大歓迎なんだが。デみィーみプスロみートとかしてみ欲しい。お預けでも良いから見せてくれるだけでも良いんだよ。おっみぱみいとかおみまんこを解禁してくれるなら、それを目の前でオカズにオナるだけでも全然み構わないどころかむしろバッチコイなんだよなぁ。やみっぱ嘘。俺のちんみぽをまみんこに収み納しみたい。そみれがみ叶うみなら何みもいらみないみですみ』

 

 

 

 

 な?(病院が来い)

 

 視界に入れただけで読むのを断念したくなる感じの言語の羅列だろ?(それな)

 これ、俺が少し前に思ってた心の声を文章化し、さらに暗号化したものを脳内で映像表示したもんなんだわ。

 

 これがホントの見抜き言葉。うっ……ふぅ。

 いや、『み』抜き言葉か。妄想だけでイってしまった。

 まあ多くは語らないさ。

 わからないならそれで良いんだ。

 一部隠れてないとか知らん。

 

 あくまでコイツは例だけど、こんな感じの脳が拒否しそうな糞暗号を敵の記憶に叩き込む手を思い付いたんだよね(クソメール送信能力ですねわかりたくない)

 

 今も繋がる童貞であろうと、繋がっていない非童貞や死者であろうと、一度でも『童貞』だったのなら一時的とはいえ繋ぎ直せる。

 であれば送信するだけの簡単なお仕事。

 

 

 だから俺はこの手段を用いて、迷惑メールを目の前で槍を構える李書文の脳内に直接送信した(大迷惑)

 

 

 当然の如く李書文の動きが一瞬鈍る(せこい)

 

 

 そして隙を一瞬でも作れれば後は充分!(なにか嫌な予感が)

 

 さぁ! 様々な記憶を思い出したが故に編み出した、『()()()オリジナルのNEW童 帝 神 技(ドウテイシンギ)』略してDTS!(それは洒落にならん)

 ()()()()()()()()()()()()発動可能と化したこの技能! 初お披露目と行くぜ!!(オイやめろマジやめろ)

 悪いな、李書文とやら! 俺の新技の実験台になってもらうぞ! てか、勝負は受けてやったんだから何をしても問題ないよね?(その発想はおかしい)

 

 

 

 

 

 童 帝 神(ザ・ヴァージニティ) 年齢不明(推定千年超え)

 己の童貞卒業魂に限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、俺が辿り着いた先は『射精』であった。

 自分自身が童貞卒業を諦めない為の限りなく無駄な執念。

 自分なりに少しでも捨てる機会を得ようと思い立ったのが……一日一万回、感謝の見抜き!

 精子を整え、見て、高め、マスかき、放つ。

 一度の射精を一回こなすのに当初は5~6秒。

 一万回を出し終えるまでに、初日は18時間以上を費やした。

 出し終えれば倒れるように寝る。

 起きてまた出すを繰り返す日々。

 二百年が過ぎた頃、異変に気付く。

 一万回出し終えても半日すら経っていない。

 齢五百を超えて完全に羽化する。

 感謝の見抜き一万回、10分を切る!

 代わりに見るだけでイク時間が増えた。

 

 見イキによって異空間からカルデアに召喚された時。

 賢者の射精は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DTS──No.1

 

 絶招・『着床无二射(ちゃくしょうにのうちいらず)』!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────妊娠までの過程を置き去りにした!(婦長ですら匙を投げる病気っぷり)

 

 

 

 女性サーヴァントに使ってはいけない(戒め)

 

 だって『霊基が孕んじゃう……!』ビクンビクンッ! な展開からの即刻妊娠の可能性が極めて高いからだ(オイ誰か止めろコイツ)

 

 なので白濁光に変換せず、素の精液を放つ場合は非常に危険なのだ。

 中に挿入すらしていないのに、ただの精液が女性の体に当たるだけで、妊娠してしまうのだ(は?)

 どうやら精子の1つ1つが元気過ぎるらしく、肌から浸透して僅か数秒で卵子に辿り着いてしまうようなのだ(何それ怖い)

 

 

 

 …………このことに気付いたのは俺がまだ宝具(オムツ)を生み出し装着していなかった頃、異空間でオナってた時、自身の肌に精液が付着したことが始まりだった。

 肌に付着した精液をティッシュで拭き取ろうとしたんだが、少し目を離した隙に精液がほとんど消えていたのだ。

 しかし、俺は見てしまった。

 若干残ったその精液が俺の肌に染み込んでいくのを(急にホラーかな?)

 

 慌てて俺はその精液が何処に向かっているのかをサーチした。結果、前立腺小室がゴール地点だと判明した(えっ)

 

 さて、胎児の発生段階では皆女性な訳だが、性決定遺伝子の作用によって最終的に男になるか女になるかが決まるのは知っていただろうか?

 それを踏まえて前立腺小室とは何なのか。

 

 

 

 

 

 答えはズバリ男の子宮である(ハイライトオフ)

 

 

 

 

 

 正確には始まりが女性だったが故、形成されていた子宮の名残ってとこか。

 つまり男は女からリアル性転換した生き物だったんだよ!(それはどうなんだ?)

 

 うん? それって男×女も女×女も男×男も全て『百合』の一言で片付けられるのでは!?(暴論)

 だって皆、元は女なんだし……はっ!?(嫌な予感しかしない)

 

 つまり結論として実はこの世には女しかいないんだから、電車で痴漢冤罪の罪を着せられる心配とかも無くなるし、性別でわける必要が無いんだから、トイレも更衣室も身体測定もみんな一緒で良いよね!?(よくねーわ)

 

 女の子同士のスキンシップってことで、友人や知り合い相手なら触るのもオールOKってことじゃないか!(極論)

 これこそが真の平等(曲解)

 俺って天才かよ……(バカと天才は紙一重)

 

 

 

 

 おっと論点からズレてたな。

 つまり俺の子種は人間に付着すると、どういう訳か子宮目掛けてダイレクト受精を仕掛ける性質があることが判明したのだ(何その危険精子)

 

 童貞を極めすぎると、ただのブッカケですら妊娠不可避という、恐るべき精子に成り果ててしまうのである!(誰か治療しろマジで)

 

 そのため俺の精子は霊基で構成されたサーヴァントですら、妊娠させかねない危険物になってしまっているのだ。

 これこそが俺が不用意にブッカケはできない理由。

 もしカルデアに来てから宝具と称して素の精子でブッカケばっかりしてた場合、妊婦増えすぎ問題が発生していたかもしれないのだ!(大問題だな)

 そう、白濁光に変換しなければ逆に危ないのである(攻撃用にした方が安全とはこれ如何に)

 

 

 サーヴァントを妊娠させるとか、さす俺! なんて思ってる場合でもねぇ!

 童貞を卒業した訳でもないのに、妊娠させるとか流石に嫌だから!

 工程すっ飛ばし過ぎとか無いわー!(コイツの存在が無いわー)

 

 

 

 

 んで、今回()()()()が元々修得していた童 帝 神 技(ドウテイシンギ)をベースに編み出したDTS。

 その第一号『着床无二射(ちゃくしょうにのうちいらず)』ってのは、素の精液を濃縮かつ圧縮して生み出した三発の弾丸を、神速の腰振りでこれまた神速で射精する技だ(まさかさらに変態するとは)

 ぶっちゃけ圧縮したことでもろに塊の個体と化してるから、普通に殺傷能力がある(ただの射精こっわ)

 しかも着弾と同時に子宮を目指す性質はそのままなのに、内部に卵子が存在しない場合、逆ギレして子宮に留まったまま炸裂弾となるのだ(ヒエッ)

 無論、男の子宮にはまずないので、炸裂弾一択である(理不尽が過ぎる)

 

 フッ……死闘前提の武術家相手なら、これくらいやり過ぎって程でもねーだろ?(屁理屈が酷い)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グサリ。

 

 

「────あっ、やべっ」

 

 

 ブシャッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな余裕をこいてたら、唐突に俺の股間が破裂した(ザマァ)

 

 

 

 

 

 

 

 ────オー マイ サン(やかましいわ)

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら治りかけの股間を酷使し過ぎたらしい。

 

 リリィちゃんの聖剣の光制御の為の股間耐久修行……謂わば最先端(?)の金蹴りプレイ。

 

 李書文との一騎討ちもとい一気射ち的な、神速腰振り濃厚精液弾(チャージショット)三連発。

 

 最後の決め手は、『着床无二射(ちゃくしょうにのうちいらず)』の牽制の一発によって、李書文から放たれた『神槍无二打(しんそうにのうちいらず)』の狙いがずれた。

 

 

 直後に、牽制で放たれし槍の一撃が見事我が股間に炸裂。

 

 

 流石は「二の打ち要らず、一つあれば事足りる」。

 牽制で放った一撃ですら敵の命を奪うに足りるという逸話は真であった。

 

 流石は八極拳を極めぬいた男が扱う六合大槍という槍術。

 男の急所を牽制の一撃で穿ち、股間の生命線を断つことで、絶命へと導くその手腕。

 

 流石は神槍(最後の最後まで風評被害)

 

 

 

 

 

 

 遅れて走る想像を絶する激痛は一瞬だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────こうして俺は死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は謂わばロスタイムってとこかな?

 

 

 とんでもない強さの歴戦の英雄も、死に方は呆気なかったりすることなんてよくあるじゃん(間違ってはいない)

 とは言っても、まさかベオウルフに仕出かした所業が、こんな形で帰ってくるとは……(まさに自業自得)

 

 俺のステータスの幸運がE-なのって、童貞絡みだけじゃないのかよ?

 つーか、なんか倍になって返ってきてない?

 ベオウルフに対して股間に一発入れたのに対して、こんな短時間でリリィちゃんと李書文、二人から宝具を股間にもらうとか、俺くらいなもんだろこれ。

 

 

 

 

 …………もう、流石に無いよね? ね?(目逸らし)

 

 

 

 

 

 

 [管理者の肉体の死亡を確認][スキル『卒業限定』オートセットアップ][仮登録地点『フィニス・カルデア』に管理者の魂を移動完了][完全復元を実行中]

 

 

 

 

 

 

 

 お? そろそろか。

 

 

 

 あ、どうでも良いけど胆汁の読み方は知ってるよね?(唐突にどうした)

 胆汁(たんじゅう)って読むやん?

 なら『おまんじゅう』のじゅうを汁にしてみてくれ。

 ……ね? 飲みたくない? 俺は飲みたい(急に何言ってんだコイツ)

 おつゆを飲みたい。ぶっちゃけ聖水も可()

 俺、もしプロポーズするなら台詞は決めてあるんだ……(まず彼女作れや)

 

 

 君のおつゆをテイクアウト☆(玉砕不可避)

 

 

 喉を潤したいだけですが何か?(さらっと嘘をつくな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [完全復元完了][現状、肉体に異状なし][知識の再獲得に伴い、管理者の発想により新たな技能『DTS』を取得][ただし現状の肉体では『DTS』の行使は極めて反動が大きいと推定][管理者の発想内容に応じて、肉体スペック向上のアップデートを実行中…………完了][最適化を実行][全スペック更新完了][再起動を開始します]

 

 

 

 

 

 

 よし、朝勃ち(ウェイクアップ)!(あれ? ……やばくね?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一宝具の真名を漸く思い出した彼。

 さらに、己の力がどういったものなのかを理解した彼は、DTSなる攻撃手段を新たに獲得した。

 ただ、使用した結果反動で死亡。

 

 しかし彼は死を覆すスキルを保有していた。

 

 スキル・卒業限定。

 所有者が童貞を卒業しない限り、決して死なない。死ぬ事態に遭遇しても何度でも復活するという恐るべき不屈のスキル。

 これにより賢者のアヴェンジャーはついにカルデアにて完全復活を果たす。

 

 

 だが、それはきっかけであり引き金だった。

 謂わば今までの賢者は未だ本領を発揮できていなかったのだ。

 死んだことで再構築の際に、彼が新たに思い付いていた、攻撃手段全てを網羅できるスペックへと肉体を進化させた。

 つまり賢者(完全体)となったのである。

 

 

 それが色んな意味で()()()の前触れであることに、『彼ら』以外に気付くことは無かった。

 

 

 奴の所業(同胞の武器を勝手に持ち出した上、それを野郎のケツに突っ込んだ)に対してボイコットをしたばっかりに、我慢ができずツッコミを入れた時には、こっちの声に聞く耳持たず状態になってしまっていた挙げ句、それにより更なる変態を止められなかった『彼ら』は、それぞれ頭を抱えることになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




賢者、さらに明後日の方向に強くなる模様(絶望)
『彼ら』の苦労が留まる所を知らない(悪夢)


主人公が死ぬ、よくあることだろ?(鼻ホジ)
※下らなすぎる上あまりにもあっけない死

主人公がまともじゃない? よくあることだろ()
※常人には及ばない上、変態方面に極振りな思考

主人公復活は強化フラグ、よくあることだろ(白目)
※ろくなことになる未来が見えない

主人公が主要攻撃手段が精液かつ在り方がナニからナニまで、不潔で不浄な下衆い(下水)系……よくあることだろ?(精神汚染)
※(あんまり)ないです


シリーズ作品とかで賢者みたいなのが急に出てきたら、歴代主人公唯一の汚点とか言われそう(震え声)



にしても、この長文病治らないんかな……これで3割くらい削ったとか嘘やろ、はは(乾いた笑み)




追伸
『特大の自業自得』射出準備完了(残当)
待機中、発射まで残り数話……(無慈悲)


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ご出産おめでとうございます(強制)

|壁|д・) ソォーッ…


|壁|キョロ^(・д・。)(。・д・)^キョロ


|壁|д・)⊃[18話]ポトッ


ガクッへ(_ _;ヘ)|壁|

力尽きた





[茶番劇開演]
※冒頭から最低な下ネタ茶番劇なので終演まで読み飛ばしていただいて結構です。投稿した日付で内容はお察し







…………そーっと投稿(この時間なら気付かれまい)
サンタ的にするならこれくらいの時間に投稿するのが妥当だよね?(出来上がったのがこの時間なだけです)


賢者「童貞のみんな~!(決め付け) めり()()()()()! ペロペロしてるかぁ? あっ、ごっめーん! 無理だよね? 童貞だもんね?(おまいう) ()()()()()をペロペロとか相手いないしこの先も可能性無いよねぇ? クリボッチなら経験済みかもしんないけどさ!(やかましいわ) 諸君らはイヴも当日もジングルベルならぬシングルヘルな、冥界のメリークルシミマスでシコシコなDTライフをいつも通りお過ごし、または予定だと思う(失礼極まりない)」

※特大ブーメランが頭に何本も刺さってます

賢者「安心しろって。かく言う私も童貞でね(周知の事実) そんな寂しい俺含むお前らのために、作者が小説をクリスマスプレゼントしてくれることになったぞ。感謝しろよ?」

※ただ更新が遅れてここまでズレ込んだだけです

賢者「…………えっ? クリスマスを機にリア充になった奴らもいる? ……ハッハッハッ! まっさか~? クリスマスにリア充になった奴がこんな汚話(おはなし)読む訳ないじゃん! ……冗談だろ? なぁ、オイ。……そういう輩は祝福してヤるぜ! 俺は憧れはしても嫉妬はしない質だからな! …………独り身の方がいっぱいいるだって? あっ(察し) 俺の同胞として歓迎すんぜ! ほら差別はしないさ! プレゼント受けとれーい!(過去最高に輝いた笑顔)」

※普通に本編の続きのためクリスマスとはまるで関係ありません。つまり名ばかりのプレゼント


リアルはしんどい、だが捨てられない
……ん? 捨てられない? リアル=童貞?
捨てたくても捨てられない……そうか、リアルと童貞は同一のものだったんだ(暴論)
だからこの世に童貞は溢れ返ってるんだな(茶番を挟まないと死んじゃう病)




[茶番劇終演]





えー、そんな訳で(?)ご無沙汰しております
リアルのノルマがなかなか片付かない+唐突に病気になった愛犬の看病もとい世話がリアルの忙しさに拍車をかけるダブルコンボで更新遅くなりました、申し訳ないm(_ _)m
徹夜続きだったんで大目に見て下され……

読者の皆様、よくぞこんな汚い拙作の更新をお待ちいただきました
どうもありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


恐らく忘却の彼方なので一応前回のあらすじ
賢者、リリィの修行がてら記憶整理。その過程で新技を修得からのお披露目。股間が爆散。特異点を退場。しかしカルデアにて復活+大惨事性徴←今回ここから


さて、今回は急転直下です
これをやりたいが為にここまで賢者を二重の意味で変態的に強化したまである
冒頭の茶番を読んだ人は少しスカッとできるかも……?

前回までの展開的に、今回は汚さ控えめです
(※あくまで『前回より』ですのでご注意を。最近更新ができなかったので、汚さの耐性が低下してると感じる方はウォームアップをオススメします)
お望みの品ではないかもしれませんがご容赦を
あと、いつもの如く長文です(諦め)


さぁ、隠者よ。咽び泣け(同情)
そして────


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人理継続保障機関フィニス・カルデア。

 

 

 そこに所属するカルデアスタッフ一同はいつも以上にてんてこまいとしていた。

 

 

「マスターのメンタル数値、急速に変動。安定しません!」

 

「同時に賢者のアヴェンジャー、第5特異点よりロストを確認。……信じ難い話ですが呆気なく消滅した模様です」

 

 

 何せモニタリングをしていた人類最後のマスター・藤丸立香の精神状態が、非常に不安定な状態になっていたからだ。

 特異点という「現実でありイフの世界」で彼女の実在を常に証明し続けなければ、レイシフトから藤丸立香が二度と戻ってくることはできなくなる。

 彼女のメンタルの振れ幅がどう影響を及ぼすかは未知数だ。

 こちらがどれだけ彼女の存在を観測し証明しても、彼女自身が己の存在を否定してしまえば、意味消失してしまう可能性は否めない。

 

 それ以前にメンタル面が疎かになった彼女が、敵から不意の襲撃を受けて特異点で死んでしまえば、霊子筐体(コフィン)に保存されている彼女の肉体に、疑似霊子化して特異点に存在する彼女が戻ってこれる可能性は0に等しい。

 だからボクは所長代理として、カルデア医療部門トップとして通信越しでも彼女のメンタルケアを怠る訳にはいかなかった。

 

 原因もわかっている。

 賢者のアヴェンジャーが特異点より霊基消失したからだ。

 

 賢者のアヴェンジャーのことはカルデア職員のほぼ全員で解析を進めているが、未だ真名不明どころか英雄、反英雄、守護者。はたまた架空の人物や概念、現象。果てには疑似サーヴァントの可能性すらある。

 調べても調べても、決定打となる情報が出てこない。

 まるで……人為的に抹消されたが如く。

 

 サーヴァントには知名度補正というものがある。

 その土地や世界でどれだけ認知されているか、どんなイメージを持たれているかで、サーヴァントの性能や能力、外見が変貌するのだ。

 しかし、情報がまるで出てこないにもかかわらず、サーヴァントとしては強すぎるのだ彼は。

 生前の英雄としての逸話や伝説に左右されない程に元々強い英霊だったとしても、サーヴァントで召喚された以上、本来の力よりは劣るのが普通だ。

 そのはずなのに、あの強さは反則染みている。

 特異点での戦いの記録を順番に確認するとよくわかるが、どんどん強くなっているように感じてしまう。

 それも霊基再臨が原因ではなく、ただの英霊としては普通はありえない、戦いの中で()()しているようにしか思えなかった。

 

 

 だから今のところ賢者のアヴェンジャーの正体に関する最有力の仮説は『本来の意味は歴史上の闇に葬られたが、現在も名前そのものは概念として残り、世界中で認知されている存在────が何処かの人間を依り代にして現界した疑似サーヴァント』ではないか、というのが現状の情報をもとにカルデア職員全員で導き出した1つの結論だった。

 

 

 つまり結局はよくわからない、というのが答え。

 何とも情けない話ではあるものの、適当にでっち上げる訳にもいかないのだから仕方がない。

 彼が何者なのかを一刻も早く明かしてくれれば良いんだけどね……。

 たとえどれだけ正体が恐ろしい存在だとしても、知っているのと知らないのでは、心構えも安心感も随分と変わってくるものだし。

 今までは立香ちゃんに彼は協力的だったが、何かの拍子に逆鱗に触れて敵に回ったり、元々の性質上裏切ることが決まっているサーヴァントだった場合、情報が皆無では対処法がまるで提示できないのだから。

 

 

 そう、問題は立香ちゃんのメンタル状態だけではない。

 

 

 あの賢者くんがやられてしまったのだ。

 彼はカルデアに登録されたサーヴァントだから、やられても再召喚を可能とするはずだが、問題はそこじゃない。

 復活したとして、賢者くんは今まで通りにマスターの味方として戦ってくれる保証がないんだ。

 彼の情報が足り無さすぎて、どういった行動に出るのかとても予測し辛い。

 立香ちゃんは真名不明経歴不明な彼に全幅の信頼を置いているようだけど、ボクはそこまで彼を信頼できていない。

 

 確かに今までの彼のことは味方として信用はしていたけれど、今回の消滅を引き金に敵に回らない可能性が無いとは、所長代理として言い切ることは難しかった。

 

 それでも彼の存在は現状において必要不可欠。

 マスターとマシュにとって、賢者くんが心の支えになっているのは間違いない。

 あまり依存させるのはよくないとわかっていながら、ボクは忙しさにかまけてそこを疎かにしてしまった。

 ……いや、現状を維持する為に、何一つ決断せず観察に徹してしまっていたんだ。

 所長の代理を務めている身にもかかわらず、気付いていながら見逃していた。見過ごしていた。

 つまりこれはボクが招いた失態でしかない。

 ならばボクなりの手段でこの状況を解決する他ない。

 所詮、今のボクは凡人だ。

 一つずつ対処していくくらいしかできない。

 

 

「わかった。みんなは引き続きモニターを続けてくれ。レオナルド! 彼がカルデアに戻ってきているかの確認を大至急頼む」

 

「ほいきた。ロマニは確認が終わるまで彼女達のメンタルケア任せたよ」

 

「言われるまでもないさ。それが本業だからね。……よし、立香ちゃんに繋いでくれ」

 

 

 情けないことに自信はあまりない。

 ボクはどうしたって悲観的に物事を捉えてしまう。

 賢者くんの消滅がどう転ぶのかがわからない以上、最悪の事態を考えない訳がないからね。

 メンタルケアは精一杯するつもりだけど、彼の状態によって大きく左右されるだろうし。

 

 

『ド、ドクターですか!? 大変です! 大変なんです! 賢者さんが……賢者さんが』

 

「一度落ち着くんだマシュ」

 

 

 まずは立香ちゃんのメンタルケアを、と思っていたんだがマシュもやはり動揺を隠せないみたいだね。

 

 

「こちらでも賢者くんの消滅は確認している。でも彼はサーヴァントなんだ。その場の戦力が減ったのは痛いかもしれないけど、霊基がカルデアに登録されてる以上、君達が帰ってきたらまた会えるさ。今、レオナルドに帰還しているかどうかを確認してもらっている。だから落ち着くんだ」

 

『……っ……はい、その、すみません。取り乱しました。賢者さんが倒されるなんて想像もしていなかったので……』

 

 

 実際マシュの言う通り、ボクも賢者くんが死ぬ可能性を想定まではしていても、想像ができていなかった。

 あのソロモン相手に一人で善戦していた彼が、そうそう死ぬとは思えなかったからだ。

 だからどんな強敵が現れたところで、敗北する可能性はあっても、なんだかんだで生き延びるものだと思っていた。

 ボクですらこうなんだ。

 一緒に戦ってきた立香ちゃんとマシュにとって、彼の消滅は相当な衝撃だっただろう。

 

 

『ドクターの言う通りだよマシュ』

 

 

 だからこそ驚いた。

 

 

『賢者さんなら大丈夫! さっき動けなくなってた時だって無事だったんだから。私達があんまり動揺してたら、賢者さんに笑われちゃうよ』

 

 

 立香ちゃんがこの短時間で完全に立ち直ったことに。

 その証拠に彼女の精神状態は数値上、デフォルトまで戻り安定していた。

 自分自身よりも表向き狼狽しているマシュを見て、冷静になったのかもしれないね。

 でも念のため訊いておこうか。

 

 

「立香ちゃん、キミは大丈夫なのかい?」

 

『はい。慌てても事態は好転しないって思い直したんで。それに……』

 

「それに?」

 

『たぶん賢者さんには何か考えがあって消滅を選んだんだと思うんだ。だったらマスターの私は彼を信じて、今自分がやるべきことをやるだけだよ』

 

「……そうか。こちらで賢者くんを確認でき次第、また連絡させてもらうよ」

 

『お願いします! こっちは予定通りエミヤの応援に向かいます』

 

 

 あちら側への映像と音声の送信を一時切る。

 無論受信は継続し、マスターの実在を証明するモニタリング作業は怠らない。

 

 ……さて、前向きになってくれたことは良い。

 けれど同時に、賢者くんに対して妄信気味になっているのを、このまま放置するのは非常にまずい気がする。

 しかし特異点に出向いている状況でそれを修正するのは、リスクが大き過ぎる。

 せっかく持ち直してもらったのに、余計な刺激で取り乱させるのは愚の骨頂。

 となると特異点より帰還してもらってからでないと難しそうだ。

 …………いや、また現状維持のため傍観に徹すれば、それこそ最悪の事態を免れられないんじゃないのか?

 二の舞を避けるなら決断するべきじゃないのか?

 

 

「ロマニ、賢者くんがカルデアに戻ってきているのは確認できたよ」

 

 

 ボクが数秒思索にふけっていると、レオナルドから声をかけられた。

 近未来観測レンズ・シバにはカルデア内のほぼ全域を監視し、写し出すモニターとしての機能も搭載されている。

 それを利用して探してもらっていたのだ。

 

 

「良かった。これで立香ちゃん達にも無事を伝えられる」

 

「うん。……ただね、様子がどうも若干変なのと、どうやらここに向かってきているみたいなんだ」

 

「なんだって?」

 

 

 どういうことなんだ?

 もしや、ボクが想定していた悪い予想が的中してしまったのか!?

 そんな折り、タイミングが良いのか悪いのか管制室のスライドドアが開いた。

 

 

「……ドクターロマン」

 

「賢者くん……!」

 

 

 振り向けば案の定現れたのは、賢者のアヴェンジャーだった。

 パッと見これといって外見に変化は無かった。

 だが醸し出す雰囲気がいつに無く、闘志がみなぎっているように感じられたんだ。

 普段は寡黙で無愛想な彼にしては、やたらと何かを成そうとしている気概まで感じる。

 

 

「……心配をかけた。無事だとマスターには伝えてくれ」

 

「あ、ああ」

 

「あと、一足先にアレクサンドリアで待ってるとも」

 

「えっ、なっ!?」

 

 

 そう、一方的に言い残したかと思えば急に賢者くんの姿がぶれいなくなっていた。

 まるで最初からその場に誰もいなかったが如く。

 って、消えた……!?

 

 

「……ロマニ、どうやら彼。自力で特異点に舞い戻ったみたいだよ」

 

「は!?」

 

「いやー、非常識なことするよねぇ。この天才でもしないようなことを平然と実行するんだからさ」

 

「いやいやいやいや」

 

 

 おかしいから!

 普通のサーヴァントは自力だけで、それもそんな瞬時に特異点に跳んだりしないから!

 っと、狼狽えてる場合じゃない。

 

 

「職員諸君! アレクサンドリアに直接転移したと思われる、賢者くんの動向を観測可能範囲で探ってくれ! ボクも解析作業を続けながら、彼の安否と言付けを早急に立香ちゃんへ知らせ現場に向かわせる。随時状況報告を怠らないように気を付けて! 連携が大事だからね」

 

「「「────了解!」」」

 

 

 賢者くん、頼むから予測しやすい行動を心掛けてくれないかな! 後手に回るしかないボクらにとってキミの行動はイレギュラーが過ぎてフォローが大変なんだぞ!?

 もしもキミが本当は敵なんだとしたら、あっぱれとしか言いようがない翻弄っぷりだよ……。

 けれどこれでこの先、真名も何もかも判明した上でキミが味方なんだとしたら、少し覚悟はしておいてくれ。

 スタッフ総出で文句の嵐を叩き付けるからさっ!

 

 そんなことを考えながらも送信を再開させつつ、賢者くんの魔力反応があるかどうかサーチする作業も同時にこなす。

 

 

「立香ちゃん、聞こえるかい? 賢者くんについてなんだが────」

 

「報告! アレクサンドリアにて賢者のアヴェンジャーの反応が何故か二つ……!?」

 

「失礼! たった今一つ消失しました!」

 

 

 ああ、忙しいなぁもう! 助けてマギ☆マリ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方。

 賢者が頭のおかしい進化を遂げる少し前。

 

 

 アレクサンドリアでは────否、()アレクサンドリアでは。

 

 

 五騎のサーヴァントが入り乱れながらも連携し、たった一騎のサーヴァントと、彼が率いるケルト兵百余名を相手に激闘を繰り広げていた。

 

 セイバーが率先して敵セイバーと斬り結び、そのサポートとして紅のアーチャーが状況に応じて双剣で白兵戦を、投影宝具を弓に番え矢として放つ。

 

 百余名ものケルト兵はランサーが竜骨槍や自分の尻尾を使って時に地上から、時に竜の翼で空中から薙ぎ倒し、その撃ち漏らしを派手な彼女に隠れながら、緑のアーチャーが的確に毒矢を射て仕留める。

 

 そして助っ人として現れた黒いアヴェンジャーはというと。

 

 

 

 

 

 大の字になって地面に転がっていた。

 

 別にボコボコにされた訳じゃない。

 単純にさっきまで接近戦を仕掛け続けて疲労したから、サボっているに過ぎない。

 ……どっちもどっちじゃないか? というツッコミをする無粋な奴は幸いこの場にはいなかった。

 

 何せ好色さがあまりにも露骨と化している敵セイバーの偉丈夫(仮)が、仲間のセイバーとランサーを隙あらば(性的に)食おうとするのを阻止したり。

 それがダメならと、もう男で構わんと言わんばかりに。仲間のダブルアーチャーを(性的に)食おうとするのを無視しようとしたら、その件の二人に前衛なんだから頼むと盾代わりにされたり。

 

 紅いのには「お前も前衛だろ」と抗議したが「私はアーチャーだぞ?」の一点張りでにべもなくスルーされた。

 双剣で前衛をこなしてたのはいったい何だったのか。

 

 果てには偉丈夫(仮)が彼らの盾になっている自分に向かって「もうお前でも構わん。お前の穴を掘らせてもらう!」とか言い出す始末。

 そしてトドメは本体から流れてくる謎電波。

 

 

(……滅入るわー。こっちが真面目に(穴を死守するため)死闘を繰り広げてる真っ最中に、いくら吾が同一存在だからってアイツの脳内トーク内容が頭に流れてくるとか、勘弁してくれ。どうしてそんな修行内容になった! だとか。漸く第一宝具の真名やら色々思い出したみたいだけど記憶喪失のままのが良かったんじゃね? だとか。ツッコミどころ満載過ぎて……戦闘に集中し辛いんですけどー)

 

 

 現状、寝転がっているだけだと説得力皆無だが、ここまでの経緯を知っていれば少し休むくらいは許されるだろう。

 

 

 偉丈夫(仮)が宝具の真名すら解放していない剣を乱雑に振り抜くだけで、放たれし剣光が大地を容易く三分割にし、地形を粉々に砕く。

 それを数度繰り返した結果、アレクサンドリアは跡形も残らず滅んだ。

 町並みどころか廃墟の面影すら無く、この地に町があった形跡なぞまるで存在しない。

 あるのは破壊の跡とたくさんのクレーターくらいだ。

 

 

「……まあ、本体は吾の心の声が聞こえていようとガン無視だろうけどなっ。ネロ、エミヤ下がれ!」

 

 

 隠者は文句を垂れつつゆらりと起き上がると、身に纏うどす黒いオーラから複数の弾丸を生成し撃ち出した。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)より繰り出す遠距離技、鬱憤の弾丸(グラッジ・ブレット)が件の偉丈夫(仮)もとい異丈夫と化した英雄────フェルグスの叔父貴へと猛威を振るう。

 しかしこれはあくまで牽制。

 

 無論フェルグスも螺旋を描く刀身を持つ巨大な愛剣で、その黒き複数の弾丸を的確に叩き落とす。

 

 その間に隠者は邪拳『転癌トレット(TENガントレット)』を振りかぶりフェルグスへと迫る。

 接近戦に持ち込めれば、邪拳で殴った対象に発生する魔力汚染がえげつない効力を発揮でき、有利になるからだ。

 

 それを知ってか知らずか、隠者が近付こうとするとフェルグスは愛剣を使って地形をぶち壊し、接近を許そうとはしてくれなかった。

 隠者自身先程も試したばかりなのでこの対応はわかっていた。

 リーチが短いので間合いを広げてくる相手には当て辛い。だが、今回の狙いは隙を作ること。

 フェルグスの意識を隠者の邪拳に集中させるのが狙いだ。

 

 だからこそ隠者は今回、彼自身の行動全てを牽制として行使した。即ち本命は彼の攻撃に非ず。

 隠者は体が傷付くことさえ厭わず接近し、無理矢理アッパーカットを繰り出した。

 

 

「ぬおっ!」

 

「ちっ……グプッ!」

 

 

 隠者の邪拳が鼻先をかすめかけたものの、フェルグスは仰け反ることでギリギリ回避し、その体勢のまま横薙ぎに振るわれた愛剣によって隠者は無慈悲にぶっ飛ばされる。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を纏っているにもかかわらず鈍い音がした。

 それ即ち生身で受けていれば骨が粉々になっていたどころか、上下に両断されていたかもしれない程の威力が秘められていたことを意味する。

 だが隠者は血反吐を吐きながらも笑う。

 彼は役目は終えていた。

 顔を上に向けるような隙のデカイ体勢に持ち込めさえすれば、後は彼が射るだけなのだから。

 

 

 

「そこだ! 偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!」

 

 

 

 後退して既に準備を終えていたエミヤが、フェルグスの胸部目掛けて遠距離から狙い射った。

 

 やがてその矢は()()()着弾し爆発する。

 当たった箇所は大きな穴ができる程だ。

 サーヴァントであろうと、心臓部にて爆発すれば一溜まりもなかっただろう。

 

 

 

「我が愛剣の贋作にしては見事な威力であった。だが────」

 

 

 

 そう、虚しくも空を切ったのだ。

 何せフェルグスは仰け反った体勢のまま、そこから無理に体勢を整えはせず、仰向けに地面に倒れ込む選択を取ったのだから。

 心眼(真)がAランクの彼に、そんな小細工は通用しなかった。

 通常のフェルグスと違って好色さが極振りな彼相手だったからこそ、洞察力が衰えてる可能性を見越しての作戦だったのだが、どうやら読みは外れたらしい。

 

 

 

「────だからこそいくら改造を施そうとも、本物を扱う使い手には及ばないことを知れ!!」

 

 

 

 倒れた時の勢いを利用して瞬時に起き上がると、フェルグスは地面に宝具を突き立てた。

 

 虹霓剣(カラドボルグ)

 

 容赦なく地形を破壊する問答無用の広範囲攻撃。

 先程の矢の爆発が小規模に思える程の破壊っぷり。

 空を飛べても、低空飛行程度じゃ巻き込まれるレベルの天災に匹敵する人災。

 

 五騎のサーヴァントも有効範囲外へと逃れるように行動しつつ、当然の如く退避しながら遠距離攻撃をかますが、螺旋虹霓(こうげい)剣の力は伊達ではなく、フェルグスに届く前に力の余波で尽く霧散。

 

 ちなみに彼にとって仲間のはずのケルト兵は、今回の宝具使用によって生まれた地割れに巻き込まれ、3割程まとめて絶命していた。

 しかももう既に二回目である。

 

 

「くっ、私の矢でもダメか……!」

 

「ちょっとアンタ達、ちゃんとアイツ抑えててよ! 巻き添え食らいそうになったじゃない!」

 

「これでも余達は精一杯やっておるわ! あやつがでたらめなだけなのだ!」

 

「てか、また仲間もろともかよ……ちょいと無茶苦茶過ぎませんかね? オタク、助っ人として来たんだからなんか名案ないわけ?」

 

「安易な期待……滅入るわー。言っとくけど、吾は本体に無理矢理送られてきただけだからな? そんな期待を寄せられても困るぜ」

 

 

 安全圏に離脱したからか、だらけきった様子で投げやり気味に隠者は話を続ける。

 

 

「つーか名案あるならとっくに使ってるって。実際吾らが知ってるフェルグスと随分違うだろアレ? 対処法なんざぶっちゃけわからんよ。つまり打つ手なーし」

 

「何よそれ。もう少しやる気見せなさいよ」

 

「…………つってもなー────!!??」

 

 

 チラッと視線を向けた先で、隠者が驚愕を浮かべた表情のまま唐突に固まった。

 それは視線の先にいるフェルグスの行動と、繋がっている本体が特異点から消滅したのを知ったのが、ほぼ同時だったことに起因する。

 当然仲間の四騎はそんな裏事情知るよしもない。

 だが尋常じゃない何かが視線の先で起きていることは察することができた。

 

 四騎は隠者の視線の先を目で追う。

 それよりも先にフェルグスは動いていた。

 

 

 しかし。

 

 

 

「『カレドヴ────」

 

「────させるかッ!!」

 

 

 

 そんなフェルグスよりさらに早く隠者はフェルグスがやろうとしていた全力全開の宝具使用の妨害に全霊を尽くすため、地面に右拳を叩き付けていた。

 陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)からの派生技────どす黒い瘴気を纏った拳を叩き付けた地面を起点に目標地点から間欠泉の如く邪悪な奔流を真下から浴びせる────鬱屈の噴出(グルーム・ガイザー)を発動したのだ。

 

 

「────ルっぐお!? ほう、やるではないか」

 

「油断も隙もねぇ……マジ滅入る」

 

 

 ほぼ同時に起きた緊急事態に動揺したのは一瞬だけ。

 隠者は瞬時に優先順位を算出し、本体の特異点からの消滅を意識外に追い出すと、フェルグスの妨害に移っていたのだ。

 

 

 

 その選択は決して間違っていなかった。

 フェルグスの全力宝具が解放されれば、この場のサーヴァントは全滅していた可能性が高かったのだから。

 

 

 

 ただし隠者個人としては、彼自身が生き残りたかったのであれば、フェルグスを優先するべきではなかった。

 

 

 

 

 ピシッ。

 

 

 

 

 突如、隠者の体に亀裂が走った。

 

 

 

 

 

 

「む」

 

「えっ」

 

「は?」

 

「なっ」

 

「あー……そうくるよねー。その方が手っ取り早いし。はぁ、にしたって吾の役回り────」

 

 

 

 

 

 

 

 メキメキメキメキッ! 監獄搭の時よりもさらに荒々しく、隠者の全身にヒビが走り抜け、そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ガチ滅入る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那、隠者の腹が勢いよく砕け、その中から白濁のローブを身に纏う男が現れた。

 それも白濁の光の尾を引きながら。

 

 気付いた時にはもう遅い。

 

 フェルグスは懐にその男の侵入を許してしまった。

 横薙ぎに振るわれた鞭のようにしなり伸びる剣を、カラドボルグで防ぐまでが精一杯だった。

 

 

 

 残像が見えた直後に走る腹部への激痛。

 地面から遠ざかる視界。

 

 

 

 

 そこでフェルグスの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特異点帰還!

 

 隠者の内側からダイナミック帝王切開!(テラ理不尽)

 

 隠者の腹からこんにちはー! 賢者だよー!

 おっと悠長に挨拶かましてる場合じゃねぇな!

 

 瞬時に視認したネロとエリサベードを使って見イキし、白濁光に即変換(コイツプロだわ)

 俺は白濁光ジェットでケルトの性豪フェルグス目掛けて突撃を敢行した。

 右手に某ブランド性具を構え、白濁の刀身を展開。

 

 初見殺し、伸縮自在性剣を横薙ぎに振るう。

 

 剣で防ぎつつもたたらを踏んだフェルグスに、俺は容赦しなかった。

 さらに白濁ジェットで急加速して奴の懐に飛び込む。

 そして、

 

 

 

 

 

 フェルグス・マッシロイになって出直して来やがれ!!(ショタになったら食う気だぞコイツ)

 

 

 

 

 

 その想いを乗せた、左拳に一点集中させた性欲の炎による灼熱の拳骨を、アッパーカットの要領で躊躇なくフェルグスの土手っ腹にぶちかました(安定のド屑)

 股間? いやー股間は同じ経験をした者として、ちょっと思うところがね。……ベオウルフさん申し訳ない。

 うっわ、俺ってばマジ優しくね? 男の急所狙わないとかマジ俺優しいわぁ(※ブーメランが怖いだけです)

 

 

 

 さて、あの筋肉モリモリ性欲ムラムラなガチムチマッチョマンを、復活記念に景気よくぶっ飛ばしたのは良いが、ありゃ殺しきれなかったな。

 ただ空へぶっ飛ばしただけになっちまったぜ。

 失敗失敗……でも仕方ないよね?

 なんか本能的に貞操の危機を訴えて来るんだもんフェルグスって。

 

 隠者経由で見てたけど、特にこの特異点のフェルグスはカルデア在住より、なんか性欲マシマシな感じでちょっと引くわー(即ち同族嫌悪)

 

 だから直接手で触れるのも嫌なレベルだったんで、燃えたぎる熱き性欲(ブレイジングリビドー)発動して殴る拳に炎纏わせたんよ。

 汚物は清めの炎で消毒ってなァ(その炎の方が不浄なんですがそれは)

 

 

 ま、何でもいいや。

 また次会ったらぶちのめしゃ良いだろ(楽観)

 

 そんなことより!

 今は美少女二人が無事なことの方が重要だ!

 そのためにはまずケルト兵の残党をちゃっちゃか片付けないとな☆

 

 

 歴代の童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)が受け継いできた童貞の神の御技・童 帝 神 技(ドウテイシンギ)

 それを改良し、性能面を下げる代わりに効果対象を増やすに至ったDTS。

 悲しいことにDTSには反動もあって扱え切れなかった。

 だがその反動も復活と同時に、トイレに流す排泄物のように綺麗さっぱり無くなった(何故その表現を選んだ)

 

 肉体を最適化したのだ。

 まるで女の子の穴を開発して己の息子の形に作り替えるかの如く(最低な比喩)

 

 は? 女の子の穴としか言ってないんですけど?

 鼻の穴とか耳の穴のことかもしれないだろ! いい加減にしろ!(それはそれでヤバい発言)

 

 なーにを想像したんですかねー? 息子って言葉に息子以外の意味があるのかなー?(すっとぼけ)

 

 女の子の鼻の穴とか耳の穴とかを、自分の息子の鼻の穴とか耳の穴と同じ形にするって意味だと捉えられないもんかね(それはどうなんだ)

 

 やだわー、最近の童貞は純真さってものが無いのかい? 汚い発想はやめたまえよ(おまいう)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやまあ、穴はマンだし息子はチンでどちらも語尾にコが付く意味で使ってたんだけどさ(何の捻りもなく変態を公言)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ま、そんなのは些細な話だよね?

 そんじゃ、いっちょヤりますか!

 驚愕でこの場の空気が固まってる内に、ケルトの残党をまとめて料理してやんよっ!

 

 

 

 ネロちゃまとエリちゃんを再び視界に一瞬だけおさめると、十八番の見イキを連発し、白濁ジェットを点火し瞬時にケルト兵達が集まる中心地へとひとっ飛びした。

 俺の見抜き並みの速度だったので、常人どころか特別な眼を持つサーヴァントでもない限り、直接転移したようにしか見えなかったことだろう。

 

 さぁ肉体スペックを更新し、万全の状態で使えるようになった新技の餌食になってもらおうか!

 イクぞ。手始めにこれだ!

 

 

 

 

 パチンッ!!

 

 

 

 

 DTS──No.2

 

 指弾術・Clara_Stand-up!!

 

 

 

 フィンガースナップ────謂わば指パッチンを行使したのだ。

 もちろん()()()ではない。

 その音波が周囲のケルト兵に伝わる。

 

 すると、どうなるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一斉にケルト兵のオッサン共が意思に反して勃起するのだ(うわぁ)

 

 

 

 

 

 

 相手がサーヴァントならそう簡単に上手くはいかないが、ケルト兵程度ならこの技で自由自在に勃起を操れるんだよね(Oh……)

 

 

 

 

 さぁ、こっから畳み掛けるぜ!

 虚空に手を添えるだけ。

 後は何もない空間を軽く握り、神速で往復運動を繰り返すだけの簡単なお仕事だ。

 

 

 俺のテク、おあがりよ!

 

 

 

 

 

 

 DTS──No.3

 

 手淫・神速疑似手コキ(ハンドソニック_Ver.P)

 

 

 

 

 Ver.PのPは当然ピストンのPだ、断じてポルチオのPではない!(ツッコミどころが多すぎる件)

 断じてポルチオのPではない!(連呼すんな)

 

 語るまでもないだろうが、勃起させた敵の息子共をまとめて一瞬で手コキし射精させる技だ(うわキモ)

 詳しく言うなら、生命力の源である精液を強制的に全部排出させ絞り殺す効果を有するのさ(何気にむごい)

 

 

 

 

 ケルト兵共(テメェら)のはお粗末!(失礼な断言)

 マラ、粗末な息子(つまらぬモノ)をイカせてしまった(上手いこと言ったつもりか)

 

 ケルト兵共は全員絶頂の末、恍惚な表情を浮かべながら昇天していったぜ。

 はい、一掃完了!

 

 だがつまらぬモノを間接的にとはいえ複数握っちまった! なにこれきたない(真顔)

 なんでこんな新技開発しちまったんだ……!(ホントだよ)

 

 

「いったい何が起きたのだ……!?」

 

「えっ? えっ!? 黒いのから白いのが出てきたと思ったら、えっ?」

 

「あんだけオレらが苦戦してた野郎とその部下まとめて葬りやがった……オイ、コイツが本体の賢者とやらな訳? 赤いの」

 

「……そうだ。あのデタラメさこそ、あの男の象徴みたいなところがあるからな。間違いなく奴が賢者のアヴェンジャーだよ」

 

「散々な言われようだな。……まあ、それよりも」

 

「えっ? な、何よ?」

 

 

 エリザベート=バートリーの目の前に即座に移動する。

 彼女は未だ動揺を隠せないようだ。

 ならば今がチャンス!

 

 エリちゃんの全体的にピンクな格好を一目見て、俺はどうしてもやりたいことがあったんだ。

 いや、正確には彼女の服装の一つである帽子。

 もっと正確に言えば帽子の上の人形を注視していた。

 

 シルクハットの上に飾られる子ブタと子リスの人形だ。

 

 この二つの人形の意味と欠けたパーツ。

 

 ブタ=萌えブタな男を意味するのは確定だろう(いやいや)

 であればリスは?

 リスには欠けたパーツが存在する。これでは本来の意味は発揮できないのだ。

 だから俺は、宝具『2Dシェルター』によって今もなお維持されている異空間に接続し、第5特異点に出向く前に作っていた料理の数々の中、余らせていた食材の一部から目的の物を取り出す。

 そして、リスの隣に()()を乗っけた。

 

 

「な、何よアンタ! なんか帽子の上に今乗っけなかった?」

 

「……なに、気にすることはない」

 

「いや気にするわよ! 何したのよ!」

 

 

 ナニをしたかだって!?

 馬鹿な! そんな挙動は見せてなかったはずだ!(そっちじゃねーよ)

 確かに特異点に帰還してから、君達で既に見イキ五十回以上は済ませたけども(まだ数分でこの所業)

 

 まあ、リスの隣に並べるならやっぱ栗だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()

 

 

 

()()()()()

 

 

 

()()()()

 

 

 

()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 うっ! …………ふぅ。

 

 4回も連呼したら4回も出しちゃったぜ(案の定まったくブレがない)

 そんでナニもわかってなさそうな処女臭たっぷりな未通エリちゃんを見てさらに一発!(死ね)

 ついでに隣のネロちゃまを見てもう一発!(自重しろよ)

 さらに隣のロビンフッドを見て一発!(オイ)

 最後にエミヤを見てとどめの一発!(見境無しか)

 

 これが見イキの極致さ……DTSを扱える完全体へと至った証拠だね☆

 

 

 

 

 

 そんなことをしながらも、サーヴァント四騎にマスターと合流するためデンバーに向かうことを伝える俺。

 趣味に興じながらもきっちり仕事はこなす。

 流石は有能な変態だぜ!(自分で言うのか)

 エミヤに先導させ殿をつとめることにする俺。

 

 あ? 殿をつとめる理由?

 好き放題にネロやエリザベートの後ろ姿を舐め回すように視姦して見イキするためですが何か?(もしもし警察ですか)

 

 

 

 連続で見イキをする。

 それは短い時間とはいえ、無防備な賢者モードを何回も晒すことを意味する。

 表面上は秘蔵の封印のおかげで基本的にはわからない。

 だからそれについては問題ない。

 しかし賢者モード中は冷静な反面、落ち着き過ぎて逆に不意を突かれやすかったりするのだ。

 

 

 

 

 

「────やはりお主か、()()よ」

 

「────────────────ッ!?」

 

 

 

 

 

 こんな風に。

 まるで気配なんて無かった。

 出現の予兆すら読み取れなかった。

 だが背後から聞こえたその声だけで、ただ者ではないと本能が理解した。

 だから俺は考えるよりも早く背後へ振り向きながら、距離を取る為に跳ぶ。

 そして、振り向き様には咄嗟の判断で何の予備動作もなく放っていた。

 

 

 

 

 

 

 秘技・『真の変態は眼でイカす(ス コ ー プ エ ク ス タ シ ー)』!

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ……! くぅ、見事だ。敵か味方かわからないからこその牽制か。腕は鈍ってないようだ」

 

 

 究極の視姦攻撃。

 それはちゃんと標的に直撃していた。

 にもかかわらず当たった本人は倒れていない。

 それどころか頬を少しばかり紅潮させてはいるものの、楽しげな雰囲気を保ちながら獰猛な笑みを浮かべていた。

 

 

「久しいな、()()()()()(ウー)よ」

 

 

 俺が振り向き視姦した先には、二本の槍を携えた全身タイツの女傑が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の股間も勃っていた。あと白いのが出た(汚い)

 

 

 何故ここに? だとか、愚者って俺のこと? だとか、そんな色んな疑問を一瞬だけ訪れる賢者モード特有の冷静な思考で噛み砕く。

 

 

 そんな最中俺は、今の秘技で勃起したと思われる彼女のお胸のポッチをガン見するのだった(目玉くり貫こ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら? フェルグス、酷いやられようね。先程の轟音、あなたの仕業かしら?」

 

「うむ、その通りだ。すまないなメイヴ。アレクサンドリアからここまで吹き飛ばされてこのザマよ」

 

「アレクサンドリアから、ですって? あなた……誰にやられたの?」

 

「それが……正確にはわからんのだ。いきなり割り込んできてこの俺を殴り飛ばした。白いローブの……男だったとは思うんだが」

 

「ああ。だとしたら賢者のアヴェンジャーとやらね、きっと。報告にあったわ」

 

「む? 直前まで戦っていた相手が黒いローブを纏い、隠者のアヴェンジャーと名乗っていたのだが、何かその賢者とやらと関係があるのか?」

 

「隠者のアヴェンジャー? 絶対無関係じゃないわねそれ。……にしてもあなたを殴り飛ばす、か。これは()()おくべきかしら。あまり気乗りはしなかったのだけど」

 

 

「……あ? 何を見るって?」

 

 

「ああ、クーちゃん。なんかヤバそうなのがこの世界を修正する側にいるみたいだから、念のために未来を視ておこうかなって話」

 

「ハッ、どうでもいい。どうせやることは変わらねえ」

 

「まあ、クーちゃんはそう言うでしょうね。でも視ておくわ。ここで視ないといけない気がするの」

 

「ふむ、女の勘というやつか。馬鹿にはできんな」

 

「違うわ女王としての勘よ。ですから──『愛しき人の未来視(コンホヴォル・マイ・ラブ)』早速()()()わね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ちょっと、そこの兵士」

 

「はっ」

 

「兵を集めて大至急よ。集まり次第、軍を北軍と南軍の二つに分けて出陣するわ。サーヴァントへの伝達はこちらでやっておきます。行きなさい!」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何が視えた?」

 

「いいえ、クーちゃん。視えたけど、視えなかったの」

 

「それはいったいどういう?」

 

「あなたは視えなかったわフェルグス。なのにベオウルフは視えた。そして白いローブのサーヴァントも一切視えなかった……この意味がわかる?」

 

「ベオウルフだと? 確か既に敗れて存在しないはず……それにあの白い奴が影も形もない? そんなことはありえんこの俺を容易く殴り飛ばした男だぞ」

 

「そう、ありえない。つまり本来であれば、私が視た未来になるはずだった。結末まで視れる程の力じゃないわ。借り物だもの。けど、あなたが既にやられていて、賢者のアヴェンジャーがまるで視えないのはおかしいの」

 

「それはつまり?」

 

「この状況はイレギュラーで、賢者のアヴェンジャーが関係している可能性が高いってこと。そしてこの先未来視は意味を成さないってことよ。だから行動に移ることにしたの」

 

「……くだらん。所詮オレがやることは、ただそのイレギュラーもろともブチ殺すだけだ。だが──」

 

「何?」

 

「──メイヴ、“全力”を投入する準備はしておけ。油断して負けること程バカらしいことはねぇからな」

 

「……! わ、分かったわ」

 

「南軍は()()()()に指揮を任せて、オレは手当たり次第にサーヴァントを蹴散らすとする。アンタは北軍を指揮しろ」

 

「承知した! 今度は()()()()()()()()()()()()ことにしよう。それではこれにて失礼!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クーちゃん……」

 

「誰が相手だろうと関係ねえ。オレはただ殺戮する。この国を死ぬまでに無人の荒野に変える機構だ。イレギュラーがどうした。オレはこれまで通り全てを殺し尽くす。それだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、今は流浪の賢者(ブイ)を名乗っているんだったか?」

 

「…………賢者のアヴェンジャーだ」

 

 

 突如現れたのは、クー・フーリンの師匠。

 魔境にして異境『影の国』の主・スカサハだった。

 

 えっ!? おっぱいタイツ師匠なんで!?

 もしかしてその素晴らしいドスケベボディで俺の見イキを手伝ってくれるんですか!? あざーす!!(ねーよ絶対にねーよ)

 

 …………絶対ねーよとか断言しなくたって良いじゃない! 現実逃避くらい察して欲しいわ! 長い付き合いなんだから。うわーん!(しち面倒臭い)

 

 

「ふむ、なるほどな」

 

 

 何がなるほどなんですかスカサハさん。

 というか俺のこと知ってるっぽいよね? いやわかってたけどさ。何故か俺は会ったことが無いはずなのに断片だけど師匠の記憶あったし。

 どうせ過去の俺が会ってるんだろ?

 でも過去の俺の時点で秘蔵の封印は持ってた。

 つーことは俺の秘密がバレてるとは考えにくいな、うん。

 自分から暴露する程馬鹿じゃ

 

 

 

 

「それでお主、()()は済んだのか?」

 

 

 

 

 ファッ!?

 前提条件が跡形もなく消し飛んだんですけど!?

 何してんの? ねぇ過去の俺何してんの? 何してんの!? 馬鹿なの? 死ぬの? 俺が社会的に死ぬの?

 いやいや待て待て待て待て!!

 どーまん! せーまん! どーまん! せーまん!

 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!

 ここはひとまず見イキして落ち着くのじゃ!

 それが良いそうシよう!

 うむ、目の前にちょうどよくドスケベ衣装に身を包む痴女がいるし使わせ──って、件のスカサハさんやないかい!?(落ち着けよマジで)

 

 うっ! …………ふぅ。

 一服もとい一射したら落ち着いたわ(余裕あるなコイツ)

 

 は!? ちょっ、この人どこまで知ってるんだ?

 もしやカマかけか?

 いや焦るな。ここは二次元シミュレーションで……ちっ! リアルに二千年も生き続けている女性の思考なんざ読み切れねーよクソッ!

 ……こうなりゃ無難に、惚けるか。

 

 

「…………なんのことだ?」

 

「やはり、お主。……()()()()()()()()()()

 

 

 ………………………………………………えっ?

 

 

「以前のお主なら『見りゃわかんでしょ? 済んでたら我はまずこの世にいない。その時点で会える訳ないんだからさ。つーか何度目よこの会話?』と、こう返ってくるのがお決まりだったのだがな」

 

 

 は~ん!? 何その会話!? わかる訳ないやんけ!

 その台詞絞り出さなきゃ駄目なカマかけとか勘弁してくれよマジで!

 襤褸(ぼろ)が出ちまったじゃねーか! ついでに下も思わず精液(ボロ)が出ちまったじゃねーか!(いや出すなよ)

 

 

「案ずるな。一目でほぼわかっておったわ。先程の問いはあくまで保険的な確認だ」

 

 

 え"!

 

 

「何せそれ以前に愚者時代のお主と、今のお主では見たからに正反対なのだぞ? 道化を演じていたから前のお主はやたら明るかった。それだけで無愛想な今のお主とはあまりにも違い過ぎるわ」

 

 

 そんなオチかよォォォおおおおお!?

 過去の俺は敢えてピエロを演じて本性を隠すタイプだったのか! 今の俺とはまるで逆の手段じゃねーか!

 どうしてこうなった? 記憶が無かろうと似たような行動に出るのが普通じゃねぇのそこ!

 

 

「フッ……それでも本質は変わってなさそうだ」

 

 

 何? なんなの? 俺の何を知ってるの? ……まさかナニも知ってるの!?(そこに行き着くのはおかしい)

 流石はおっぱいタイツ師匠……二千歳を超える年の功は伊達じゃね────ッ!!!???

 

 

「あー……スマンスマン。手が滑った。いやー何やら失礼な気配を感じ取ったものでな。つい、な」

 

 

 つい、じゃねぇぇっすよ!?

 何を死そのもの的な槍を軽い感じで投擲してんの師匠!? 頬掠めたよ? ねぇ? 今の反応できなかったよ? 一つ間違えば串刺しだよ?

 おかげでチビったよ黄色いの! ダバダバだよ! オムツ履いてて良かったよ!(おもらし癖付くぞ)

 こういう役割は弟子の青タイツにしてくれよ。

 つーか、俺より約千歳も年上なのに大人げないとは思わないのかまったく!

 あなたが年齢的にはオバサン……いやオバアサンな現実は変えようがないんだから受け入れなさいよ。

 別に見た目はピチピチタイツでドスケベ最高!! なんだし誰も気にしませんって!

 

 

「……やはり本質は変わっとらんなお主。さらっと失礼なとことかは同じと見た」

 

「気のせいだ。それで我に何の用だ影の国の女王」

 

「なに、懐かしい顔を見かけたので声をかけたまでよ。……で、流せたと思ったか? んー?」

 

 

 今度は槍を二本構えて素振りするのはやめてくださいお願いします(懇願)

 てか心読めるんですか? 秘蔵の封印機能してないのこれ? ロンドンの時のモーさんでもこんな感じのことあった気がするけど、女の勘恐すぎるんじゃが!?

 

 だから俺は精一杯の抵抗で、然り気無く胸ポチであることを指摘してやったのだ。

 さぁ! 羞恥に顔を歪めるが良い!

 

 

「クララ立ってるぞ」

 

「は?」

 

「……なんでもない」

 

 

 そんな冷たい視線で見ないで!?

 感じちゃう! ビュクッ! ビュクッ!

 チクショーめ! 何故か伝わらなかったでござる(もう突っ込む気力もねぇ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────まあ、そんなこんなでスカサハさんをも味方に加え、途中マスター達とも合流を果たし、そのままアメリカ西部合衆国が拠点とするデンバーに赴き、改めて特異点を修正する為の仲間として集結した。

 

 何? 話を飛ばしすぎ? 良いんですーこれでー。別に省いたって支障無いしー(拗ねんなよ)

 す、拗ねてねぇし! 別にマスターとの感動の再会を夢見てたのに、マスター達が俺のことを信頼し過ぎで、無事だったことが当たり前みたいな感じにまるで驚かなくなっちゃったから、拗ねてる訳じゃねーし!(語るに落ちてんぞ)

 

 

 

 …………デンバーに辿り着いたのは夜。

 全員で集まり協議した結果、一度ちゃんと休息を取り朝になったら再度作戦を立てることになった。

 まあ、ずっと活動してたしな。

 大きな戦いを前に倒れられたら大変だ。

 マスターはサーヴァント同士の戦いにおいては要だ。無理のさせ過ぎは良くない。

 今日は気を張りすぎていたはずだ。マスターはもちろんのことだが特にマシュ。

 マスターや動けない俺を守る為に、気を張りっぱなしだったのは想像に難くない。

 彼女はデミ・サーヴァント。サーヴァントではあってもやはり元の素体は人間の彼女だ。精神が磨り減ってても何らおかしくない。

 だから二人にはきっちり休んでもらった。

 休息も仕事のうちってことでな(変態のくせにまともなこと言ってる)

 ん? 俺?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宛がわれた部屋で一晩中オナニーに興じてましたが?(いつも通りで安心した)

 

 

 失礼な言い種だなオイ。

 ただただ精液をオムツに吐き出してたとお思いか?

 それは断じてノーだ!

 今回は性欲魔神(エンドレスブート)の派生技で兵士を増やしてたのさ!(えっ)

 

 

 

 

 その名も白濁化身(ザーメンズ)!(うわ)

 

 

 

 

 死した童貞である『内側』の連中の意識を利用して自立行動を可能とした、粘性を残した白濁光で形成する人型精液生命体だ(大惨事不可避)

 

 コイツらを北軍と南軍に振り分けるのだ。

 そうすりゃケルトの兵力なんざどうということはない! あっという間に覆せるぜ!

 それに今の俺はDTSも自由自在!

 記憶をある程度取り戻した結果、宝具の使い方もだいたいマスターしたんだ。

 ケルト勢力とか楽勝楽勝! ハッハッハッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう本気で思っていたんだ。

 彼女と対峙する翌日までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちらが攻めるよりも圧倒的に早くに奴らは進軍してきた。

 だから俺は自軍の準備が整うまで一人で足止めしに、みんなの制止も聞かず飛び出してしまった。

 

 

 

 

 

 これが最初の失敗だった。

 

 

 

 

 

 声を聞いた瞬間ヤバいと思った。

 その意思に従うべきだった。

 そこで撤退を選択するべきだったんだ。

 

 それなのに、これまでなんだかんだ強敵を撃破してきた実績が後押しして生まれた自信が、今回もどうにかなると俺をその場に縛り付けた。

 

 それと勝手ながら俺が思っていた『卒業候補は庇護対象』という意識により生まれた、俺が守らなきゃというメサイアコンプレックスに似た症状がその場に俺を縫い付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 まさしく致命的な失敗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大将を先に潰せば烏合の衆に成り果てる可能性が高いし、クー・フーリン・オルタ即刻片付けてやんよ!

 先制攻撃! 宝具『性欲魔神(エンドレスブート)』!

 

 

「何これ! お肌つやつやになったわ! もっとちょうだい! もっと!」

 

 

 は? あの女に無効果された……!?

 クソッ! だ、だったらクー・フーリン・オルタより先にあの女を無力化してやる!

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)で!

 

 秘技・『真の変態は眼でイカす(ス コ ー プ エ ク ス タ シ ー)』!

 

 

「ああんっ♡ 何これ気持ちいいし、力がみなぎって来るわ! 素敵ねあなたの技!」

 

 

 …………スカサハさんも耐えてたし、この女もそのレベルってことか。

 ならコンボ技を以てまとめて仕留めてやる!

 

 

 

 宝具『金玉杓子の白濁銀河(メタ・タドポールギャラクシー)』!

 

 +

 

 DTS──No.4

 疑似口内蹂躙・即堕ち眩草(イラマクララ)

 

 

 

 片や全身に粘りの残った白濁の光を纏った、その身に黄金の光を宿す大量の巨大オタマジャクシの大量放出(またそれか)

 

 片や対象の口の中に「歯立て尺八からのケフィア(意味深)をごっくんしたら発情不可避になる性棒」もとい「絶対快楽堕ちんぽ」を疑似的に突っ込むDTS(最低過ぎる……)

 

 外側と内側からの二重封殺攻撃!(何気に強力)

 耐えられるもんなら耐えてみやがれ!

 

 

「うっふ! あっはは! あなた最高! もしかして私にとってあなたは最高の相性なんじゃないかしら?」

 

 

 じょ、冗談だろ(震え声)

 無傷どころかパワーアップしてないか?

 いやそんなことはありえない。

 何か、何かあるはずだ。

 くっ! なら今度は二次元シミュレーションと洞察を組み合わせて確実な撃破プランを割り出してやる。

 そのためには時間稼ぎだ! 行け白濁化身(ザーメンズ)

 

 

「あら? 良いの? こーんなにもらっちゃって♡ あなた良いわね。計画変更!」

 

 

 そ、んな……!?

 白濁化身(ザーメンズ)を支配下に置いただと!?

 しかもあんな一瞬で?

 デタラメだそんなの!(ブーメラン)

 頭おかしいんじゃないのか!?(ブーメラン二つ目)

 このままじゃ……ダメだ。

 やるしかない、あのDTSなら倒しきれずとも足止めくらいにはなるはず。

 妊娠したら責任は取るから!

 

 

 

 DTS──No.1

 

 絶招・『着床无二射(ちゃくしょうにのうちいらず)』!!

 

 

 

 この時の俺はいつも以上に冷静じゃなかった。

 この技を女性に使うなんて、童貞を卒業する前に女性を妊娠させるなんて。

 そんなことをしたいはずが無かったのに。

 放ってから青ざめたもんだよ。

 

 

 

 だが結果的にメイヴが、俺が思っていたような妊娠をすることは無かった。

 ただし安堵したのもつかの間。

 俺はさらに青ざめて、土気色にまで至る光景がそこにはあった。

 

 

「もう! うふふ、短時間でこんなにたくさんのプレゼントを一人の男に貰ったのは初めてよ。なら直ぐに使ってあげなきゃね♡ ……そしてあなた、私のモノにおなりなさい?」

 

 

 この時の俺はまだ知らなかったが、彼女には『戦士から取り込んだ遺伝情報を体内で複製し、名も無き兵士として製造する』という能力を持っていた。

 しかも聖杯のバックアップを受けた状態。

 

 よって俺の精液という名の遺伝情報によって、とんでもない怪物が生まれてしまった。

 他ならぬ俺のせいで。

 

 敵側に俺が用意した兵力の半分程を奪われた挙げ句、とんでもない怪物が敵の戦力に加わるという最悪な戦況へと変えてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 驕っていたんだ俺は。

 

 

 

『つーか、やっぱりケルト兵か……! それとコイツらみんなオッサンの外見なのになんで女の匂いが染み付いてんだ? しかも全員同じ女の匂い……スキル・二次元シミュレーション演算開始────完了』

 

 

 

 だから忘れていた。

 

 

 

『ははーん? コイツら全員一人の女に生み出された量産型か。そしてその女ってのは恐らく十中八九サーヴァント』

 

 

 

 自分が心の中で言っていたにもかかわらず。

 

 

 

『…………この匂いを漂わす女のサーヴァント。

 もしや俺が警戒する天敵の()()()()()()()()の可能性が出てきたぞ。

 予測が外れてくれると助かるんだが、な!』

 

 

 この女がそのエクストラクラスだったんだ!(いやライダーだよね?)

 そうだよ女王メイヴは。

 

 

 

 

 俺の()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 淫蕩女のサーヴァント『ビッチ』。

(※そんなクラスは存在しません)

 

 

 

 

 目の前にいる女はまさにそれだ。

 今更気付いたところでもう遅い。

 俺が童貞な限りビッチのサーヴァントに最初から勝てる見込みは0に等しい。

 証拠に尽く宝具も童 帝 神 技(ドウテイシンギ)も、新たに獲得したDTSさえ無力化どころか、強化を促すだけでしかなかった。

 打開策なんざそう簡単には思い付かねぇ。

 

 

 

 ……こんなもん!

 こんなもん、どうすりゃ良いんだよ……!

 

 

 

 迷宮入りと化した渦巻く思考。

 そんな状態であろうと彼女は容赦してくれなかった。

 

 地に片膝を着いたままの俺に、メイヴ(ビッチ)は黄金色の液体の奔流を迸らせながら、微笑みつつこう告げたのだ。

 

 

「どうぞ」

 

 

 途端にその黄金色の液体から俺は目を離せなくなった。

 最大限の警鐘が脳内に鳴り響いている。

 それを口にしてはダメだと頭ではわかっているのに、体が本能が勝手に近付いてしまう。

 

 

「……ダメだ。勝て、ない」

 

 

 ────秘蔵の封印で己の心を隠しているにもかかわらず、思わず漏れ出たセリフは、俺の本音に他ならない。

 

 

 

 絶望は直ぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 こんな危機的状況でもメイヴで見イキが止まらないことに対して、俺は絶望した(オイコラ)

 

 

 

 

 

 

 




────いつから大惨事(性徴)の被害が賢者には降りかからないものだと錯覚していた?(愉悦)


賢者はかつてない窮地に追い詰められ絶望
ただし、読者からするとギャグに見える不具合
※あくまで賢者からすればシリアスです


さて、今回の絶望へ追い込む為のデカイ落差を作りたかったが故に、第5特異点中盤は特に酷い汚話(おはなし)を提供してた訳です。……いつも酷いだろ? ソンナコトナイヨー
主人公に挫折は付き物ですし……いやまあ単純に私が賢者のメンタルボコボコにしたかっただけですけどね?(歪んだ愛情)

ちなみに現状の力関係は
淫蕩女(ビッチ)>超越童貞>ただのビッチ≧童貞
余談だが、逆に淫蕩女(ビッチ)と超越童貞が味方同士なら恐るべきシナジー効果を生んだりします

隠者くんは監獄塔以来の二度目の出産でござる(白目)
ただし隠者くんの受難はまだまだ続く……!


真面目な話、待ってくれてる読者さん達のために早く投稿したいって気持ちと、下ネタ作品だからと言って手を抜きたくないって気持ちがあり、限られた時間での執筆には骨が折れました



冷静に考えると、よくここまで下ネタ一辺倒で突っ走れたな私……(賢者モード)
ただし残念ながら、主人公が一度絶望しようと、この先も汚い話は続くのじゃ()
…………下ネタがまだまだ尽きないことに、作者は連載を続けられる喜びと同時に己へ絶望した(血涙)

まあそれ以前にまずは元の執筆ペース……いや、せめて一月は経つ前に投稿できるくらいに戻さないとなぁ(切望)
作者、リアルに負けない決意を固める(死亡フラグ)
けどもう眠い、流石に限界……寝ます

※第一部完走までは走り切る気満々ですのでまた気長にお待ち下さい





↓ここから本編とは無関係↓




セイレムについて

ラヴィニアちゃん可愛くない? 私は好き(最重要)
ずっと立ち絵しか無かったエレちゃんが実装されたんだ……遠い未来ラヴィニアちゃんが実装される可能性だって微レ存?(ただの幻霊のため望みは薄い)
いや、その前に円卓のアッくんや剣豪の村正爺のがまだ可能性高いか

賢者「男はノーサンキュー!」

……お前の意見は聞いて無い(腹パン)



追伸
冥界のメリークリスマスについて

バビロニアだからと、ジャガーマン・サンタ・リリィ(即ち弟子ゼロ号サンタ)が来ることを、密かに期待していたのはたぶん私だけでしょうねw


次回が12月中に投稿できるとは思えないので、ここで言っておきます
皆様、良いお年を!


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現在と過去、賢者と愚者

明けましておめでとうございます(遅すぎる挨拶)
お待たせして申し訳ございません(焼き土下座)

そして、ただいま

今回ぐだ子視点だけだから真面目に汚くないので期待していた方は申し訳ない
分割せざるを得ないくらい長くなっちゃったんだ……


 アレクサンドリアに向かっている()()で、何故か救援対象のエミヤ一行と合流することになった。

 

 

「あ、あれ? エミヤ? アレクサンドリアで危機的状況だったんじゃ。……もしかして、もう?」

 

「ああ、察しの通り賢者の仕業だ。……助かったのは確かだが、奴は色々無茶苦茶が過ぎるぞ。君もマスターなら奴の手綱をもう少し握れるようにすべきじゃないかね?」

 

 

 なんか出会い頭に説教かまされたんだけど。

 ぐぬぬ。助けに向かってる真っ最中だったのにその救援を求めてきた相手に開幕文句を言われるなんて、ちょっと解せぬ。

 

 詳しく訊けば隠者さんが監獄搭で破裂(パーン)した時と同じかそれ以上の勢いで破裂(パーン)したらしく、中から唐突に現れた賢者さんが一人で全部解決してしまったらしい。

 いやドクターから通信で賢者さんが単独で向かったのは聞いてたから、もしかしたらそうなる可能性を考えてなかった訳じゃないんだけどさ。

 話を聞いて思ったのは二つ。

 

 

 

 隠者さんマジ不憫。

 賢者さんマジ万能。

 

 

 

 隠者さんって監獄搭で初めて出会ったけど、賢者さんからの扱いが極めて雑というかなんというか、酷い目にばかり合ってるよね?

 監獄搭の時も内側から突き破られるし、このアメリカでは初出が球状な上、賢者さんに上空まで蹴り飛ばされてたし、エミヤ一行の応援として戦ってくれてた最中に、また腹の内側から突き破られたみたいだし……。

 

 あ、そういえば賢者さんって元々女性には優しいけど、男性の扱いはぞんざいだったっけ?

 いやいや! それにしたって隠者さんの扱いは特に理不尽な気が……。

 隠者さんは確か賢者さんの分身みたいな存在だったはず。だから、なのかな?

 

 でも、それはそれで心配……。

 つまり賢者さんは自分自身のことを、平気で切り捨てられるような自己犠牲の精神に溢れてるってことだよね?

 そういえばついさっきも特異点から消滅を選んでたっけ……エミヤに言われた手綱を握れって言葉、間違いじゃないかも。少し気を付けようそうしよう。

 

 

 というかやっぱり賢者さん、無事帰ってきてくれたよ!

 

 

 それどころか私達よりも一足先にエミヤ達の応援に向かった挙げ句、敵サーヴァントを一人で即座に撤退に追い込むなんて凄すぎない?

 あの時消滅を選んだのは一刻も早く救援に向かうためだったなんて、ね。

 ジェロニモさんやもう一人の仲間だったサーヴァントを救出できなかったのは少し悲しいなぁ。

 言っちゃあれかもだけど、ジェロニモさんって見た目によらず凄い良識的でいい人だったのに……。

 でもくよくよ落ち込んでもいられない、か。

 

 彼らの犠牲を無駄にしない為にも、しっかりしなくちゃ! 私は人類最後のマスターなんだから!

 

 縁は結べたのだから、きっとまた会える。

 そんな言葉が無意識に思考を過ったのを再認識。

 ロンドンにいた時よりは、前向きになれてる気がした。

 

 それもこれも賢者さんがいてくれたからなんだ。

 ロンドンで心が挫けそうになったあの時、彼は黒幕(仮)相手に一歩も退かず向かっていった。

 そんな勇気ある行動と、彼が振るう力が私をここまで成長させてくれたんだ。

 

 今や彼が味方にいてくれるだけで安心感が段違い……あの人がいれば何があっても大丈夫だってそう思える。

 それに色々至らない点の多いマスターである私を、いつだって助けてくれる彼に、少しでも報いたいって思ったから、私は昔の私以上にこれまで諦めずに頑張ってこれてるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな件の賢者さんが少し遅れて、なんか紫を基調とした全身タイツのお姉さんと一緒に現れた。

 え、誰? どなた?

 あのお姉さんの槍、どこかで……? いやあのお姉さん自体にもなんか見覚えがあるような無いような……何処かで会ったことあったっけ?

 

 

「にしてもあの時の小僧がここまで力を付けているとは、時間の流れは早いのう」

 

「…………比較対象がスカサハじゃ馬鹿にされてるようにしか聞こえねぇよ。アンタなんかその気になれば特異点の一つや二つ、全力の槍捌きで屠れるだろうに」

 

「確かに変わり果てた馬鹿弟子を見て、この特異点ごと一刺絶断を考えもしたが、人理修復は英霊が独りで解決して良い問題ではない。やはり今を生きる人間がやらねばな。……あとババ臭いと思っただろう貴様?」

 

「気のせいだ。……マスター、すまない。今戻った」

 

 

 えっと旧知の仲、なのかな? 凄く互いに気安いような気が……。私と賢者さんも最初に比べればそれなりには仲良くできてるとは思うんだけど、あんな感じのやり取りまでは、その。なんか見ててもやもやする、かも。この気持ち、何?

 

 

「う、うん。お帰りなさい賢者さん」

 

「…………」

 

「どうしたの?」

 

「……いや、思ったより淡白な反応だな、と」

 

「そりゃ賢者さんのこと信じてたからね」

 

「そう、か」

 

 

 もう最近は賢者さんのやること成すことに驚かなくなってきたのも仕方ないと思うんだ。

 単独で苦戦していたサーヴァントを殴り飛ばし、ケルト兵の残党を一瞬で蹴散らす。

 賢者さんならそれくらい朝飯前だって納得できてしまうくらいには、活躍を目にしてきたから。

 ……今までの彼の戦いを間近で見てれば、誰でもこんな感じに達観した認識になると思うんだ私。

 

 何故か心なしか少し落ち込んでるように見えるのは、気のせいなんだろうか?

 

 

 

 

 …………それにしても。

 

 

「賢者さんってば相変わらず流石だね。もう全部賢者さん一人で良いんじゃないかな?」

 

「……そこまで我は強くない。独りでできることなど高が知れている」

 

「えぇ……? 賢者さんがそれ言っちゃうの?」

 

 

 思わず口に出ちゃったけど、何も間違ってないよね?

 

 

「貴様、嫌味かそれは? 私たちが四騎で手こずっていたフェルグスを途中乱入の不意討ちとはいえ、一人で片付けた男が何を戯れ言抜かしている?」

 

「賢者さん……流石にわたしも擁護しかねます。出会って間もない人理焼却の首謀者相手に、単身で挑んで翻弄し挑発するなんてことを普通のサーヴァントはしません」

 

「余も同意見だ。ベオウルフの時もフィン・マックールの時も、結局最後は一人で決着(ケリ)をつけていたしな」

 

 

 ほらー! 案の定の総ツッコミだよ!

 

 

「…………じ、事実を述べただけなんだが?」

 

 

 お? なんか珍しい! たじたじな感じで賢者さんがちょっと動揺してるなんて。

 

 

『賢者くん? やっぱり霊基が消滅してカルデアへ戻ってくる際に、不具合が生じてる感じなのかな? 特に頭の』

 

「あー、そうだな。一度根こそぎ空っぽにするべきかもな。……ドクターの首から上を」

 

『ちょっ! やめようね!? 君の発言冗談に聞こえないから!』

 

 

 あ、ドクターがいらないこと口にするから、いつもの賢者さんに戻っちゃったよ。

 本音を言えばもう少し見てたかったけど、何はともあれ無事戻って来てくれて良かったぁ。

 

 

 

 

 こうして漸くケルト軍へ対抗する為のサーヴァント達が集結したんだ。

 良かったー……これで何とかこの特異点を修正できるかもしれない。どちらの軍勢も敵だった可能性の方が高かった状況から、ここまで持って来れたのはみんなのおかげ。

 私一人じゃどうしようもなかった。

 これはやっと掴めた未来への第一歩だ。

 

 でもそれは、つまり最終決戦の幕開けを意味する。

 紛れもない大陸間を横断する程の、大規模な殺し合いがまもなく始まるんだ。

 

 自覚した途端、私の両肩は重く────いや。

 

 

 

「……()()()()()よ。大丈夫。私は大丈夫」

 

 

 

 ()()()の口癖を真似て、わざわざ口にして自分自身を奮い立たせる。

 それが動機になるのなら嘘でも構わない。

 私はここで折れる訳にはいかないんだから。

 それに実際これが最後の戦いなんだから、この戦いさえ乗り切ればこの特異点の人理は修復できるんだ。

 もっとポジティブに考えなきゃね。

 

 …………明日、本格的に作戦を練って早ければ明日中に進軍する予定だし、今日はゆっくり休もっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう意気込んで少し早めに休ませてもらったんだけど、何故か浅くしか眠れず夜中に目が覚めてしまった。

 

 ……いや、『何故』かなんて自分を誤魔化すのは止そう。不安なんだ私は。

 

 この特異点最後の戦いが始まろうとしてる。

 それも今までとは規模の違う二つの大勢力による全面戦争。

 他の特異点でも一つの勢力に加わって戦ったことはあるけど、アメリカを横断するような規模の本格的な正真正銘の『全面戦争』は初めてなのだ。

 それなのに、私は戦力の割り振りを任されてしまった。ド素人の凡人でしかない私が、人類最後のマスターだからと編成を任されたのだ。

 

 最初はサーヴァントを従えるだけでも正直重荷だった。けど、これまで特異点を巡り培ってきた経験と、ロンドンから同行した賢者さんとの旅で、サーヴァントとの接し方や人理修復を成すための意志は今ならある。

 

 でも……やっぱり初めてのことは、特に大勢の命を左右する選択を委ねられると、不安にもなるし悩むことは悩む。

 特異点で起きたことは実際の時代には関係ない、なんて割り切れれば良いんだけどさ……。

 

 そんな心情を抱えたまま気分転換も兼ねて夜中に徘徊していると、

 

 

「──こんな夜中に散歩ですか?」

 

 

 婦長に遭遇した。

 この特異点で出会ったサーヴァントの中では、最も長い付き合いとなった彼女。

 バーサーカー特有の狂化の影響で、言葉は交わせても会話が成り立ってなかったり、飛躍した発言と行動で場を掻き乱すことも多々あった。

 けど、深夜に出会った彼女は何だかすごく穏やかで──そんなナイチンゲールさんが気遣ってくれたんだ。

 大陸を渡り歩く道中ではバーサーカーらしく、無茶苦茶な行動や理不尽な言動も多々あったのに、狂化の影響にあろうとやっぱり彼女は看護師の英霊なんだって実感したね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナイチンゲールさんのおかげで少し気が楽になったのと、まだ目が冴えてるのでちょっと体を動かそっかなー。

 他ごとに熱中してると、頭も解れて唐突に最適な編成が浮かんだりするかもしんないし。

 それに適度な運動をすればぐっすり眠れるかもだし。

 そんな訳でカルデア戦闘服にちゃちゃっと着替えると、エジソンが開発したバーチャル戦闘シミュレータを使わせてもらうとしよっと。

 ……あれ? 先客がいる?

 

 

「って、マシュじゃん」

 

「え、先輩? な、何故こんな時間にここへ?」

 

 

 どうやらマシュも寝付けなかったみたいで、トレーニングに来てたみたい。

 うーん、流石は私の最高に可愛い後輩にして唯一無二のパートナー、マシュ。考えることは一緒みたいだね。

 

 

「よーし! 二人で特訓しよっか! 状況に応じた連携とかできるようにしておきたいし!」

 

「……そうですね。この先、わたしと先輩だけで乗り切らなきゃいけない戦いも出てくるかもしれません。マシュ・キリエライト、先輩の一番のサーヴァントとして精一杯頑張ります!」

 

「その意気だよマシュ!」

 

 

「ほう。なかなかに骨がありそうだな。その特訓とやら、私も付き合おう」

 

 

 えっ。……今の声ってまさか。

 おそるおそる振り向けばそこには!

 

 

「ス、スカサハさん……?」

 

「なんなら私自ら修行の相手を務めても構わんぞ? さぁ、お主らの実力、特と見せてもらおうか」

 

 

 あっれー? なんか急に特訓の難易度がはねあがった気がするんだけど!?

 瞬時にマシュとアイコンタクトを交わしたが、なし崩し的にスカサハさんと修行をすることになってしまった。

 前にカルデアの兄貴が言ってたことを思い出したよ。

 

 師匠からは逃げられないって、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、これがバーチャル訓練で良かった、と何度安堵したことだろうか? ってくらいには殺されかけたりしたけど、何とかバーチャル戦闘訓練を私達はやり遂げたのだった。

 

 

「はぁぁぁ……つっかれたー! スカサハさんの扱き容赦無さすぎだよー」

 

「……とは言いつつ、なんだかんだ食らいついてたな。流石は人類最後のマスターといったところか?」

 

「はい! 先輩はわたしの自慢のマスターですから!」

 

 

 そんな大それたマスターじゃないんだけどなぁ……。自分がやれることを必死こいてやってるだけだし。

 

 

「マシュ……ありがと。というか元気そうだね?」

 

「疲れてはいますよ。けれど、それ以上に先輩との連携が上手くいったのが嬉しくて!」

 

「ああ、あれは不意を突かれた。私が魔境の智慧で千里眼を発揮させていなかったとはいえ、一撃もらうとはな。やるじゃないか」

 

 

 おおっ!? まさか褒められるとは!

 熟練の戦士にそんな風に言われると、熱心に作戦練ったり連携を考えた甲斐があってやっぱり嬉しいもんだね!

 

 

「えへへ、師匠に褒められたよマシュ。やったね! ほら! ハイタッチハイタッチ。イエーイ!」

 

「えっと、はい。い、いえーい!」

 

 

 パシンッ! と、私の手とマシュの手を合わせれば小気味良い音が響く。

 相変わらずこういう行為は固いんだよねマシュって。まあ、そんなすれてない感じが好きなんだけどさー。

 やはり私の後輩は可愛い。

 

 

「だがあの手は同じ相手に二度は通じん。他の手も用意しておかなければ、直ぐに足許を掬われることを肝に銘じておけ」

 

「はーい」

 

「気をつけます」

 

「さて、休養も大事なことだ。少しでも良いからしっかり休むのだぞ。ではな」

 

 

 背を向けてこの場から去ろうとするスカサハ師匠。

 そんな彼女を。

 

 

「ちょっと待って師匠!」

「少し待って下さいスカサハさん!」

 

 

 私とマシュが同時に引き留めた。

 ……って、あれ? マシュも?

 互いに顔を見合わせる。

 もしかして考えてることは一緒……?

 

 

「なんだ?」

 

「えーっと、ですね」

 

「その、賢者さんと旧知の仲に見えたので……」

 

「ああ、なるほど。奴の話を聞かせて欲しいのか。あの小僧は馬鹿弟子と違って、訊かれたとしても己のことを語ろうとしないだろうしな」

 

「……察しが早くて助かります」

 

 

 それも本音だけど、スカサハさんの方が賢者さんのことを理解してそうで、なんかモヤッとする。

 言わないけどね。

 

 

「じゃあ、話を訊いても大丈夫でしょうか?」

 

「──ふむ……構わぬよ。まあ実際あやつはアレだが、その本質が外側の鍍金で歪んでおるだけ。ならばお主らのような存在は奴には得難い存在のはず。ある程度は話しておいてどちらにも損は無かろう」

 

「は、はぁ……?」

 

 

 スカサハさんって昔から生きてるからか、平凡な日本人の私からしたらよくわからないことも言うんだよね……。

 いや、マシュも疑問符浮かべてるねこれ。

 時代の違いなのか人生経験の差なのか。

 ……それとも賢者さんのことをたくさん知ってるからこそ言えるセリフなのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで? 愚者、いや今は賢者だったか。あやつの何を訊きたいのだお主らは?」

 

 

 腰をおろしてゆっくり話を聞ける場所に移動し、スカサハさんを正面に私はマシュと隣同士で座っていた。

 私とマシュはお互いに顔を見合わせて頷くと、スカサハさんに恐る恐る質問を投げ掛ける。

 

 

「あ、あのっ……! スカサハさんと賢者さんって」

 

「い、いったいどんな関係なんですか……!?」

 

 

 賢者さんから直接訊きたいことではあったんだけど、たぶん話逸らされる気がするからね。

 まずはこの質問から、徐々に賢者さんについて訊ければ良いなーって思っていたんだ。

 

 

「む? どんな関係……強いて言うなら、不法侵入者兼ストーカーとその被害者兼狩人な女王ってところか」

 

「へぇ…………えっ」

 

 

 えっ。……………………えっ? なんて?

 

 

「はい? な、なんか物騒なワードが飛び出したような気が。ふほう……なんですって?」

 

「不法侵入者兼ストーカーのことか?」

 

「聞き間違いじゃなかった!?」

 

 

 どういうこと! どういうことなの!?

 二人の間柄を訊いただけなのに、何故か賢者さんの知られざる犯罪歴みたいなのが赤裸々になってるのこれ!?

 

 

「ご、誤解じゃないんですか? あの賢者さんがそんなことをするとはとても……」

 

 

 そうだよ! 賢者さんがそんな変態みたいな犯罪する訳ないじゃん! きっとマシュの言う通り──

 

 

「…………いやそういえば賢者さんって、敵対勢力などには手段選ばない感じでしたね」

 

 

 ──ちょ、マシュゥゥううううう!? でもなんだろう。賢者さんの戦いぶりを見てるとあながち否定できない……。本当に明確な敵には容赦ないもんなー賢者さん。

 

 

「……フォーフォウ。フォウキュウ(特別意訳:……やれやれ、日頃の行いが祟ったね盟友。残念ながらボロが出ても助けてあげられないよボクは)」

 

 

 うん? 今の鳴き声って……あ!

 

 

「あれ? フォウくんいたの? どっから出てきたし」

 

「フォウさんは基本自由ですから」

 

「いっつも神出鬼没だもんねって、言ったそばからなんか首を横に振りながら去ってちゃったよ」

 

「どうしたんでしょうね」

 

「へぇー、マシュでもフォウくんが何言ってるかわからない時あるんだね~」

 

「せ、先輩? 何か勘違いしてませんか? わたし別にフォウさんと話せる訳じゃないですよ?」

 

「えっ!? マシュってフォウくんの通訳係じゃないの!?」

 

「いや先輩。何となくニュアンスや動きからわかる時もありますが、通訳なんて言えるほどでは」

 

 

 

「オホン!」

 

 

 

「「あっ」」

 

「……他に訊きたいことが無いならもう行くが?」

 

「い、いえ是非訊かせて下さい」

 

「話を脱線させてごめんなさい! まずは賢者さんとの出会いについて詳しくお願いします!」

 

 

 今はスカサハさんに賢者さんのことを訊いてたんだった! ちゃんと聞かないと! まず失礼だし、それに私自身もっと賢者さんのことを知りたいし!

 

 

「馬鹿弟子と別れてから長い時間が流れたが、その間に趣味で竜やら巨人やら怪異やらを退治していたことがあった」

 

「流石ケルトの女性は強いというかなんというか……でもそれが賢者さんに何の関係が?」

 

「しかしめぼしい獲物もあらかた退治し終え、色々と暇をもて余していた時期があったのだ。そんな時だ。突如我が『影の国』にあの阿呆が現れたのは。正確には我が寝室に土足で不法侵入してきたのだがな、夜中に」

 

「……今の賢者さんからはとても考えられないような非常識さですね。いや今も非常識なことはよくしますけど、女性にそんなことをするとはとても思えません」

 

 

 女性とか子供には基本的に紳士だからね賢者さん。

 男性には時折ぞんざいだけど。

 でも昔の賢者さんってば何してんの。

 

 

「女王の寝室に無断で侵入してきた賊の命だ。殺されても文句は言えまい?」

 

「それは確かに……」

 

「実際、『影の国』に私の許可なく勝手に侵入しておいて、平然としているのだから強さは折り紙付きだ。そんな輩が寝室に、それも夜中に侵入してきたのだぞ? ならば私を殺しに来た勇士だと思うではないか」

 

 

 まあ、夜中に女王の寝室に勝手に侵入するなんて、夜襲とか暗殺って考えるのが普通だよね。

 

 

「しかし、出会い頭に奴はこう言ったのだ」

 

「なんて?」

 

「『どうも。アンタ、この異界の女王スカサハだよな? 早速で悪いんだけど、アンタが扱う原初のルーンの使い方を教えてくれないか?』だぞ。正直急に現れた挙げ句、何を言ってるのかと我が耳を疑ったものだ」

 

 

 そりゃ疑うわ。

 私だって自分の家に、それも夜中ベッドの上で眠ってるところに、いきなり知らない男の人が侵入してきて、そんなこと頼んできたら、まず固まって次に叫んで冷静なら通報するし。

 

 

「思わず私も殺す気が削がれたものさ。同時に興味も湧いた。しかし奴に何故? と問えば『とある目的のため』の一点張りで事情の一つも話はしない」

 

 

 生前の頃から秘密主義だったんだ賢者さんって。

 サーヴァントになってからだと思ってた。

 真名がバレるとよっぽどまずい弱点が露出しちゃうからだと考えてたんだけど、違うのかな?

 

 

「私と戦い私を満足させたら教えてやってもいいと提案もしたのだが、『なら勝手に解析するんで結構でーす。面倒事はごめんだし』とにべもなく断られた時は、その場が寝室なことも忘れて複数本の魔槍をぶつけてやったものだ。おかげで我が城が半壊したりしたのだが……懐かしいな」

 

「……ず、随分と過激な出会い方をしたんですね」

 

 

 賢者さんも賢者さんだけど、スカサハさんも何してんの!? いくら気に障る態度だったとはいえ、自分の住居をそれもお城を半壊させるのはやり過ぎでしょ!

 マシュもちょっと引いちゃってんじゃん!

 

 

「案ずるな。ルーンで直ぐに修復したさ」

 

「いやそういう問題じゃなくて」

 

「若気の至りというやつだ」

 

「いやいや兄貴と別れて随分経ってる時期っぽいのに若いってのは少し無理がない?」

 

「お主……無自覚に失礼なとこは賢者と似てるようだな。流石あやつのマスターなだけはあるか」

 

「それ本当……!?」

 

 

 私、賢者さんに似てる部分あるんだ! だから縁が結ばれたのかな? だとしたらちょっと嬉しい。

 

 

「……今のは褒めてないんだがな。まあ良い。その日を境に賢者と私の、追って追いかけられの関係が始まったのだ」

 

「追って追いかけられとは……?」

 

「奴が私にしつこく付きまとうようになったのだ。私が扱うルーンを自力で解析するためにな」

 

「ああ、だから不法侵入者兼ストーカーなんですね」

 

 

 なんて不名誉な呼び名。

 でも賢者さん……それはちょっと強引すぎるし、駄目だと思うよ。私もそれは困るし嫌だなぁ。

 流石に擁護できないや。

 

 

「最初の頃の賢者は、姿や気配を隠蔽して近付き解析を実行してきていたのだが、何せ私が相手だ。多少は誤魔化せても私なら奴の視線に気付く。だからその場合は立場が逆転し、私が追いかける側になる訳だ」

 

「えっ」

 

「言ったであろう? 追って追いかけられの関係だと。奴は私のルーンを解析したい。私は私を殺せそうな強者と戦いたい。つまり私が奴の隠蔽を見破ると同時に、奴は追われる側の獲物に、私は狩人となるのさ。アイツは戦うことを拒否して逃げ回るからな」

 

 

 被害者兼狩人な女王ってそういうこと!?

 

 

「とにかく変な男だった。常に飄々としていて、口を開けば次々と軽口を叩く道化のような輩だった。しかし己の本心や目的の真意はまるで語ろうとしない」

 

 

 次々と軽口? 道化?

 賢者さんは基本無口だし、ペラペラと軽口叩くタイプでもないし。となるとスカサハさんが会ったのは、やっぱり今の賢者さんじゃ無さそうだなぁ。

 

 

「道化を演じながらも己の目的、願いとやらは一切表に出さない男。だから私は当時の賢者を『禁欲の愚者』と呼んでいた」

 

「禁欲の愚者、ですか」

 

「ルーンの教えを私に乞いておきながら目的も話さず、断られたり条件を出されれば、頼み込む気概すら見せず、自分で勝手に調べるという方針に切り替えるような男だぞ? これを愚者と呼ばずなんと呼ぶ?」

 

 

 それはまあ、目的を全部とは言わないまでも話したりして、協力を取り付けたりした方が良い気はするね。

 それができない事情でもあったんじゃないかな?

 

 

「当然己のみで調べる方が、正解に辿り着くまでに時間がかかる。そうすれば『影の国』に私の許可なく居座る時間も多くなり、私を無断でつけ回すという選択だ。それは私と敵対することと同義。ほらな? デメリットの方が多いだろう? だがそれをわかった上で奴は実行しているから質が悪い」

 

「だから禁欲の愚者……楽な方から遠ざかっても目的は話さない愚か者」

 

 

 ……今の賢者さんとも共通する部分あるかも。秘密主義だし基本的に何でも一人でやっちゃうし。

 

 

「そういうことだ。最初から誰かに積極的に頼ろうという考えが、頭に無いのだろうなあやつは」

 

 

 それってなんだか悲しいなぁ。

 今の賢者さんを私は頼りにしてても、逆が来ることはないって証明みたいで……。

 

 

「そんな追って追いかけられな関係を数年間続けた。最後の方はお互いに根負けし妥協、実戦の中でルーンを教えるというものに落ち着いたが。ま、それだけの関係だ」

 

 

 ……内心ホッとした。

 何でかはよくわからないけど、ホッとした。

 なんか賢者さんと親しげだったからさ。もっと深い関係なんじゃないかなって。

 でもそれは杞憂だったみたいだし良かった良かっ

 

 

 

「…………いや、一度興が乗って奴の目的とやらの達成の手助けをするために、抱かれてやろうとしたことがあったか」

 

「「エェッ!!??」」

 

 

 

 図らず私とマシュの驚愕を示す叫びがハモった。

 ちょ、ちょっと待ってちょっと待って。

 いや確かにケルト勢は性に奔放って話はよく聞くけど、スカサハさんもそうなの!?

 格好は、その、エッチな、気がするけどさ……。

 と、というか!

 

 

「賢者さんの目的になんで、その抱くとか抱かないとかの話が関係するの!?」

 

「大規模小規模を問わず、性行為を利用した魔術や儀式は別に珍しくないぞ? 魔力供給に使われる手段でもある。……そういうのはお主よりマシュの方が詳しいか」

 

「そ、そうなのマシュ?」

 

「えっと、はい。カルデアは電気を魔力に変換する機構が整っているので賄えていますが、先輩個人の場合はお世辞にも魔力の供給量は多くありません」

 

「うっ」

 

 

 さらっと酷いこと言うねマシュ。

 そりゃ私、真面目に一般人で魔術のまの字も知らない平々凡々なマスターだから仕方ないけども。

 

 

「す、すいません! 別に先輩を傷付けようとした訳では!」

 

「わかってるよ。大丈夫」

 

「…………説明を続けますけど、先輩のように魔力が足りない相手に魔力供給をする場合、一番効率よくて効果が高いのは粘膜接触と言われています。体液を提供できればそれで問題はないんですが、その中でも一般的な方法が、その……」

 

()()()()()()をすることな訳ね。説明ありがとマシュ。わざわざこんな話させちゃってごめん」

 

 

 魔術についての知識も技術も足りて無さすぎて、ダメダメだな私。隙間時間を活用してでも、魔術の知識を付ける時間設けなきゃダメだねこれは。

 

 

「い、いえ! 先輩が謝ることではありません」

 

「それでスカサハさん、どうしてそれを賢者さんに迫ろうとしたの? 賢者さんの目的達成の手助けってどういう意味?」

 

「そう恐い顔をするな。当時の賢者は相変わらず目的は話さないが、様々な魔術を組み合わせて得たいの知れない術式。それも大掛かりな儀式をするための術式を構築しようとしていることは、あやつを見ていて推測できた」

 

 

 儀式? それが賢者さんの目的に必要な手段? だからスカサハさんのルーンも必要だった?

 

 

「術式の詳細までは見れていなかったが、組み合わせた魔術の数と範囲だけで、その術式を起動するにはあの阿呆の魔力だけでは賄えないことは一目で理解できたのでな」

 

「……だから迫った、と」

 

「取り付く島もなく即答で断られたが」

 

「「へっ?」」

 

 

 断られた……断られた!? スカサハさんが!?

 こんな美人に迫られておいて悩む様子すらなく断るって、どういうことなの?

 もしかして既に賢者さんには相手がいる……?

 

 

()()の儀式を行えば魔力が足りず自分が消滅する。それをわかっていながら、奴は自分一人で何とかできるようにと、改良に改良を重ね実験を繰り返していた。つくづく遠回りが好きな男だよ奴は」

 

「昔から誰かに頼ろうとはしない人だったんですね」

 

「昔から……なるほどな。今もなのか。根っこは変わらんな。あの時も女っ気など皆無なのだから、目的達成のために悪い話では無かっただろうに」

 

 

 ……セーフ! いや何がセーフなの!?

 よくよく考えてみれば生前に相手がいるいないとか関係ないよね? 賢者さんがいくつで亡くなったのかもわからないんだし。英霊は全盛期の姿で召喚されることの方が多いんだしさ。

 

 けど、スカサハさんも心なしか不満そうだ。そりゃ彼女から誘ったのに、迷いなく断られたんだとしたらねぇ。

 ………………スカサハさんで駄目なら私は眼中になんかないのかな、やっぱ。

 

 

「じゃあ、どうして賢者さんはスカサハさんの誘いを断ったんでしょう……?」

 

「ちょっ」

 

 

 丸見えな地雷原に特大の爆弾投げ入れた!?

 マシュってば普段ならしないようなミスを!

 

 

「どうして? ……確か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『未だ目的は読めんが、お前は充分に力を私に示してくれた。目的達成の助力として私が抱かれてやっても構わんぞ?』

『クンカクンカ。非処女な香りとBBAの香りがする。目的に合わないから却下で』

『────即刻死ぬがよい』

『うへっ!? 危なっ!? 異空間に戦略的撤退!』

『ちっ……次儂の前に顔を出した時、貴様の心臓は抉られた後だ。覚悟しておくがよい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミシミシミシッ! と槍の持ち手部分から聞こえちゃいけないような音が鳴ってる気がするのは気のせいなんだよね? 気のせいだと言ってよ!

 隣のマシュにアイコンタクトを送ってるんだけど、青ざめるばっかりで全然伝わってないや……。

 というかいつその槍取り出したんですかスカサハさん。そして攻撃に使う槍を純粋な握力だけで、それもへし折る勢いで握るのはどうかと思うんですが。思うんですが!

 うわーん! 恐くて震え止まらないんだけど! 戦場の恐さとは別の変な汗出てきたよこれ!

 

 

「(あやつ後日平然と儂の前に顔を出しおって)…………いや、すまない。いらないことまで思い出して、つい手に力が入ってしまった」

 

「ソ、ソウナン、デスカ」

 

 

 思わず片言になっちゃったよ。

 というかどう考えても賢者さんが関わってるよね? 過去の賢者さんってばいったい何したの!?

 スカサハさん怒り心頭だったよ? 思い出してぶちギレ寸前ってどれだけ失礼なことをしたらそうなるの!

 

 ……前言撤回だねこれは。賢者さんが何したってもう驚かないつもりだったのになー。

 

 いつもいつも予想を超えていくんだから。

 良い意味でも。悪い意味でも、ね。

 

 

 

 

 それからわりと直ぐに、時間も遅いしスカサハさんが恐いので話はお開きとなった。

 

 

 

 

 結局過去の賢者さんの目的はなんだったのか? それは今の賢者さんの目的と同じなのか? とか、そもそも賢者さんって何者なの? とかの謎は未だに解けないままでモヤモヤを抱えたままだけど、次の機会に訊けば良いかと割り切ることにする。

 

 

 

 

 

 

『サーヴァント・アヴェンジャー。召喚に応じ参上した。我は世界への復讐者。捨てたくても捨てられなかった、憐れな独りの男だよ』

 

 

 

 

 

 

 召喚直後の賢者さんが言っていた。

 

 “捨てたくても捨てられなかった”

 

 これが鍵?

 

 賢者さんの目的に私は力になれるんだろうか。

 

 

 

 

 

 そんなことを考えている途中で、意識が落ちていくのを感じながら最後に私はこう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 賢者さん、あなたは今何を考えて、何が目的で私に力を貸してくれているのかな?

 

 

 

 

 

 




(※この時の賢者、宛がわれた部屋で白濁化身(ザーメンズ)生成のためナニを握りオナニーの真っ最中)



長文病が治る兆しが無いのでまさかの三分割()

とはいえこれ以上お待たせするのも忍びないので、投稿させていただいた次第です
……この長さで三分割? とか言わないでね? 内容まとめるのが下手くそ過ぎて泣きそうだから!


三分割のため次回は恐らく明日投稿


今回の話を読んで汚さが無さすぎて不安に思ったのなら、あなたも立派な汚染済み読者です!(全く嬉しくない)

新年一発目なんでわりと綺麗に仕上げました(建前)
※まさか賢者視点を排除するだけでここまでになるとは大誤算。賢者ってやっぱ有害だわ

ストーリーの展開上仕方ないとはいえ、次次回辺りで汚い成分は補給してくだ……汚いのってまだ需要あるんですかね?(唐突な疑問)
まあ、そこ気にしても今更路線変更できないくらいストーリー固めちゃってるんで突き進みますが()



……ここまで更新が遅くなった理由?
一言でまとめるなら

「リアルアクシデントは面倒臭い」です

次に更新が極端に遅くなりそうな時は、あらすじや最新話の前書きにでも追記で生存報告することにします
まだ若干リアルでゴタゴタしてるんで、この先どうなるかわかりませんし
……もう、徹夜は嫌だよー(私の要領が悪いだけ)

そんな訳(?)で幸先の悪いスタートでしたが、何はともあれ今年もよろしくお願い致します!









ビュルルル!! ビュルルル!! ドピュッ!! ドピュッ!!
ビュルルル!! ビュルルル!! ドピュッ!! ドピュッ!!



[汚物警報発令、汚物警報発令。ここから先は汚染耐性の無い方は速やかにブラウザバック推奨]



ビュルルル!! ビュルルル!! ドピュッ!! ドピュッ!!
ビュルルル!! ビュルルル!! ドピュッ!! ドピュッ!!













賢者「あけオメコとよろ! 遅れてすマンコ! へんたいお待たせいえき! 今年もよろしクンニ!」

帰って(切実)
今回出番が無かったからって現れないで()
というより本編では大ピンチの真っ最中のはずなのに、平然と出てこないで(困惑)

賢者「そんなことよりとある島国の正月は良いぞ! 女の子の胸部のお餅と臀部のお餅を、雑煮と称して姫初めや書き初めもとい筆下ろしで好き放題できるし!(※無いです) 挨拶前に頂くお屠蘇をワカメ酒や谷間酒としていただけば合法的に女体をペロペロできるんだからな!(黙れ)」

お願いだから帰ってくれ(懇願)

賢者「つーかクリトリスマスから日が空きすぎなんだが!? 正月もだけど、合法的に鬼のお豆(意味深)にブッカケしたり、お豆(意味深)を口に含んだり、俺の恵方巻(意味深)を咥えさせたりできる節分! 女子達からチ○コをプレゼントされるバレンタイン! ……リア充爆発イベなんでこれ以上語ることはない。処女を散らす寿司とか、ハマングリなお吸い物、菱餅=オッパイまたは尻、ひな(祭りに)あられ(もない姿)、白(濁)酒をいただくひな祭り! そんな数々のイベントをまるっと素通りしてんじゃん! どうなってんだよ!?」

…………今年も拙作の主人公はこんな調子ですが、どうぞよろしくしてやって下さい(白目)








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心折設計? 元々折れてたら関係ないよね

三分割したうちの二つ目何とか投稿完了

前回の後書きで次回の更新は恐らくって保険をかけておいて良かった…………言い訳でしかないね。結局間に合わず本当に申し訳ない!

そして今回も大して汚くないんだ、すまぬ
要は前回と今回は前座、本番は次回


 

 

 

 

 

 

 

 ──挫折童貞。

 

 

 それは『挫折する童貞』という意味ではなく『挫折経験がない』ことを意味する。

 現在(いま)の賢者がまさしくそれだった。

 …………いや、賢者自身童貞なので『挫折する童貞』も意味としても間違ってはいないのだが。それはさておき。

 

 賢者は、現在(いま)の賢者として意識が確立した時から、これまで約500年もの間、彼が形成した異空間にて9割方オナニーに興じる毎日だった。

 故に挫折経験を、()()()()()()()()()()()ではほぼ未経験という何ともアンバランスな経験値しか持っていなかったという事実。

 こうして性的挫折における経験値()()はカンストしている、何とも残念な神がカルデアに召喚された訳だ。

 

 まあ、つまるところメイヴとの対峙は賢者にとって初めての挫折となり、史上稀に見るレベルで賢者は絶望していた。

 図らずもメイヴに初めてを捧げる形となったのである。

 無論『挫折』の初めてであって、肉体面の童貞を捧げた訳ではない。……もう捧げて成仏すれば良いんじゃないかな? とか不用意なことを言ってはいけない。

 ここで賢者が脱落すれば、賢者のせいで難易度がハードモードに変わってしまった人理修復の旅路は、この特異点でゲームオーバーを迎えてしまうだろう。

 やらかした責任は取らせないといけないのだ。ボロ雑巾のようにしてでも。

 

 

 さて、そんな件の賢者はというと。

 

 

 こんな危機的状況ですらエロいことを考えてしまう己自身に嫌気が差す程絶望していた。

 よく知らない者が聞けば「は?」の一言だろう。

 しかし、いつもいつも真面目な戦闘時であろうと、雑念だらけかつ主にエロいことを思考し毎度見イキするのが常識な()()()()が、本気で拒絶反応を示している。

 はっきり言って異常以外のなにものでもない。

 

 状況はそれ程までに切迫していたのだ。

 

 

 

 女王メイヴが保有する宝具の一つ。

 愛しき私の蜂蜜酒(マイ・レッド・ミード)

 

 メイヴが男妾たちに支配権を分け与えるために、自らの経血を混ぜた蜂蜜酒を与えたという伝承に基づく宝具だ。

 

 その効果は魅了の伝説を持つ黄金の酒の奔流をもたらし、彼女が「どうぞ」と微笑めば敵対していても男はその酒を浴びてしまい、一口でも飲めば虜になってしまう──対男性用洗脳宝具だと、二次元シミュレーションで演算した結果判明した。

 

 

 賢者にスキルを行使し分析する余裕があったのか? と、問うのならば答えはいたって簡単だ。

 

 

 賢者は意図せずメイヴで連続見イキをしてるおかげで、秒刻みで賢者モードになっているのだ。

 

 そのため魅了の効果を受ける→見イキ→賢者モード→魅了解除→魅了を受けるの無限ループに陥っており、それによって生じた停滞的状況が、二次元シミュレーションを行使する好機をもたらした。

 

 しかし賢者モード時の冷静な思考状態を利用して何とか演算するに至ったものの、逆に絶望感が増しただけだったのは皮肉なものだ。

 

 

 

 何せ少しずつ少しずつ賢者の体は迸る黄金の液体に向けて動いているのだから。

 このまま状況が好転しないのなら、時間はかかるがどちらにしろ酒を浴びかねない。

 自軍が来るまで時間稼ぎをするにしても、今のメイヴは賢者の必死の抵抗をいたぶることにご執心だからこそ、均衡をかろうじて保っているだけなのだ。

 

 もしも本気を出されれば、彼女から近付いてあの酒を目の前に垂らされるだろう。

 その場合、酒の香りを真正面から嗅がされて正気を保てる可能性はかなり低いと言わざるを得ない。

 万が一意識はハッキリしていても、体が勝手に酒を浴びて呑まない保障など何処にもないのだから。

 

 

 

 問題はそれだけではない。

 

 

 

 賢者は生み出した白濁化身(ザーメンズ)を南軍と北軍に振り分けて戦力向上を図った。

 だが女王メイヴは南軍だけとはいえ数千体にも及ぶ白濁化身(ザーメンズ)を、一瞬にして支配下に落としてしまったのだ。増強したはずの戦力をまるごと半分奪われたのである。

 その上、さらに賢者は裏目に出る行動に出た。

 体内で遺伝情報を複製し兵士を生み出す力を有する彼女に、よりにもよって童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の精液を注入するという暴挙。

 

 それが原因で生まれたのは、何故か怪物だった。

 遺伝情報を複製しているにもかかわらず、人に近しい部分が二足歩行なだけな『魔物』と言って差し支えのない存在。

 賢者の遺伝子から白濁色に全身を発光させる未知数の獣が生まれてしまったのである。

 

 そんな戦闘能力不明の『魔物』が一体と、白濁化身(ザーメンズ)数千体が牙を向くこの戦況。

 まさしく戦争をするにあたって、最悪の滑り出しと言っても過言ではないだろう。

 

 

 敗北の兆しが濃厚だった。

 宝具(オムツ)内へ次々に吐き出される新鮮なザーメンもまた濃厚だった。

 

 

 普段なら十八番の白濁光に変換して主攻撃手段として用いるとこだが、『ビッチ』が相手では完全に悪手。

 いつもは頼れる白濁の力も、今回ばかりは白濁ジェットによる高速移動くらいしか使い道がない。

 

 ならばと憂鬱の力で反撃に出たかったものの、メイヴが近くにいるせいで萎えることすらできない。

 股間はこんな危機的状況かつ内心では焦りを募らせているにもかかわらず、平常運転の如く勃ちっぱなし。

 体は正直とはよく言うが、今回ばかりは自重して欲しかったのが賢者の本音だった。

 そう。

 目の前に極上の女体があれば時間も場所も問わず、見イキを連続で敢行するであろう()()()()が、である。

 それ程までにビッチのサーヴァント女王メイヴとの対峙は、彼が真面目に萎えたいと思う程の緊急事態だった。

 

 

「ほら遠慮しないで『どうぞ』」

 

「ぐっ……ふぅ。ッ! ……ふぅ」

 

「思いの外粘るわね。粘りけを出す男は好きだけど、往生際悪く粘る男は微妙だわ。だから早くくたばって♡」

 

「ハッ……! 眩い笑顔で、言うことじゃ、ないな。……うっ、ふぅ」

 

「ふふ、強がっちゃって」

 

 

 秘蔵の封印による余裕綽々な不敵な笑みも、極限状況によって勝手に流れ出る冷や汗を拭えなければ何の意味もなさない。

 宝具(オムツ)内に極限状態な棒から勝手に流れ出る白い液体も、遺伝子的には無駄死にでしかない。

 

 賢者は歯噛みした。

 自分がかなり危機的状況にあることを、目の前の『ビッチ』にはほぼ間違いなく悟られているだろう。

 

 それでも歯を食い縛り、精一杯虚勢を張る。

 ローブの内側のズボンも常にテントを張る。

 

 最低限の体裁を保ちつつ、意識の半分をこの戦況をひっくり返す為の策を練る思考へと割く。

 

 

 

 

 回らない頭ながらも、賢者は現状可能な思考容量を最大限利用し逆転のタイミングを見計らった。

 

 酒を浴びる直前で、燃えたぎる熱き性欲(ブレイジングリビドー)を全身に発火。

 酒を超高温な火力を以て気化させ、爆発するような勢いで蒸気が上がった瞬間を狙い、メイヴの淫靡なる色香漂う体目掛けて正面から突っ込んだ。

 

 

 

 そして接触。即座にフルバースト。

 宝具(オムツ)の内側に、溢れ返らんばかりの独特の異臭を放つ白濁を排出した。

 それはまさしく性欲を消し飛ばすトリガー。

 約一時間限定の体質無視状態への移行。

 

 

 

 即ち大賢者モードへの変身を果たす。

 このモード特有の瞬間移動をもって、賢者はメイヴの酒瓶(宝具)を蹴り飛ばした。

 

 

「んなっ! 私の許可なくおさわりとかNGなのよ。しかもお酒まで台無しにするなんて、躾が必要なようね!」

 

 

 カウンターとして鋭い鞭が飛んでくるが、返す刀で振るわれた鞭状にしなる性剣がメイヴの鞭をからめとる。

 

 

「すまないなレディ。だが跪くのはもうやめだ」

 

 

 賢者の雰囲気が一変したことを、メイヴは肌で感じた。乳首や栗でも感じた。

 

 このモード時であれば女性と接触しても一切問題がないのだから、『ビッチ』であっても太刀打ちできる。

 とはいえ、賢者が保有するほとんどの宝具は『ビッチ』が相手の場合、使用するにはリスクが大きいものばかりだ。

 しかし、充分勝機はある。

 正常な思考で二次元シミュレーションを使えば、女性の思考を読み取り攻撃の先読みが可能だし、女性に触れても問題ない肉体でなら、たとえ彼にとって『天敵のサーヴァント』であろうと、肉弾戦で完封できなくも無いはずだ。

 

 実際、童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)からの意図しないドーピング作用によって『覚醒済みハイパーケルトビッチ』と化したメイヴは、明確に賢者の戦闘力がはね上がったのを気配で感じていた。

 アワビと子宮も感じていた。

 このまままともに激突すれば、勝てない可能性が高いことも理解していた。

 

 超越童貞と淫蕩女(ビッチ)では、後者に軍配が上がるが、心因性の勃起不全野郎(インポマン)淫蕩女(ビッチ)では相性が逆転するのは自明の理。

 

 

 

抉り穿つ鏖殺の槍(ゲイ・ボルク)!」

 

「……ちっ! 邪魔を」

 

 

 

 ただしそれは、一対一の状況で、ならの話だ。

 

 大賢者特有の瞬間移動──厳密には大賢者モード時のみに解放される宝具の副次的能力な為、ただの瞬間移動ではない──を用いて何とか魔槍を回避し事なきを得るが、状況は未だ好転しない。

 

 天敵の『ビッチ』に加え、「王になる」ことにのみ固執した無感動な戦闘機械──言わば、不感症に近い狂王。賢者と相性的によろしくない二人が敵のツートップ。

 大賢者モードで漸く対等なラインに立てる相手。

 

 だがそれならそれでやりようはあったはずだった。

 大賢者モードな賢者一人で敵のボス二人と拮抗できるのだから、後はマスター側についた仲間のサーヴァント達と賢者が協力すれば倒すくらい訳はなかっただろう。

 

 そんな勝ち筋を台無しにしたのは他ならぬ賢者自身。

 独断専行した挙げ句、相手の戦力を大幅に底上げしてしまうという痛恨のミス。

 元々ケルト兵だけじゃなく、ワイバーンやキメラなどの怪物をも生み出し軍に加えていたケルト側に、白濁化身(ザーメンズ)数千体が合流したのだ。

 そんな大軍勢が現在進行形で進軍を続けている。

 とてもじゃないがマスター側のサーヴァント達が、この場に駆け付けてくれることを期待するのは酷な話だろう。

 

 となればやはり、狂王と女王は賢者が一人で相手する他無いのだ。

 問題なのは二人を相手取る『だけ』なら拮抗できるはずだとしても、当然ながら王の周りにも兵はいる。

 油断すれば足許を救われる恐れはあるが、警戒さえしていればケルトの兵士程度はどうとでもなる。

 一番の問題。それは。

 

 

「ꇣ芤듦Ꞙ臣肀돣芤蓦꺺韣膟解膔鋧뺎ꯨ뢏鏣膧诣膕蓯벁胨芡鏣芒臣肀諣莋鋯벁胣膝鏣膧苣膣ꛥ낄뻧꺡蛣膗ꛤ뢋闣膄臣肀ꫣ莊럣莣맯벁」

 

「くっ! ナニを言ってるのかはわからないが、ナニを言いたいのかは何となくわかってしまう。……元が同じだからか。邪魔だ失せろ!」

 

 

 賢者の遺伝子から生まれし『魔物』が率先して襲いかかって来ることだ。

 

 

「蛣莡꟣膌뇣膛路벁胣莡ꓣ莴飣膫迣芓꟣节解膈ꫣ膏ꫣ芋ꃣ芍臯벟胣膂껥뺡ꇨ뚳ꯨ芡鏣膠釣膘菣膪迩ꆔ苨뢏鏣膧닣膗蓣芓ꃯ벁胨뢏뻣芌ꫣ膌觨뚳迣膮귣膄鋣芯돣芫꿣莳ꯣ膗ꓣ膤臨뚳껦貇鋣莚귣莚귣膗鿣膄鏣膠苣膠诣芉闣膣闣膨믣膭臯벁」

 

「外見も醜いが、声すら不快だ……反吐が出る」

 

 

 言語なのか意味ある言葉なのかすらわからない、耳障りな声を発するその様は酷く不気味だった。

 

 

「苣膁ꛢ肦ꇣ芤듦Ꞙ껨芡郣芉ꯩꆔ鋥龋臣膟蓣肂ꓣ膾諤뮰釣膑ꯥ꾝ꛣ膄诤뾺껩ꆔ껤뢊꟩ꢎ韣膗ꛦ겲韣膄臣肀铩ꢎꃣ芈铩ꢎ」

 

(なっ!? コイツ俺の武技・『早漏流し(モーメントドビュッシー)』並みの速度で動けるのか……!)

 

 

 だがそれを気にしていられない程の機敏さ。

 

 

「꟨뾫鿣芄鋦膯鿣膨꣣节ꯣ膊믣膮鿨Ꞧ鋥궘蛣膫鿣膘ꫣ膌解肁믣膧鏨螭鋥邸蓣膤ꓣ芰ꫣ芰ꫣ膨믥薈鋣莑돣莆ꏨ뚊韣膫볣膗飣膑ꛣ肁ꇣ芤듦Ꞙ껦肧꣣芒鳣膰鯣芋껣膕」

 

「ちぃっ……!」

(なんだこの馬鹿力は! まるで俺が初めて射精した時と同じくらいの衝撃だと!?)

 

 

 賢者の内心の喩えは理解不能だが、ベオウルフに殴られたのと同等な勢いで吹き飛ばされていた。

 即ちそれ程の威力。

 

 

「ꇣ芌ꛦ鶥鿣芉賣膧ꇣ芤돣莇ꏣ莃럣莥껣芪黣莳돣芒郣芁郣芁韣膦돣芏蓣肁ꋣ芌诨鲜鋣芺뫣莼菣膨駣膙诣肂鷣芓ꫨ螳迣膮苩隓賣膓껥뺌藣膣ꛣ芓ꃯ벁胣膝鏣膪돣膧돥袻迣膟냣芊蓣膌賦鞩迩螎軯벁」

 

「ぐあっ……!?」

(ふ、ざけんな……白濁光まで使いこなすのか!)

 

 

 白濁光を全身に纏うその姿は、賢者と瓜二つ。

 賢者の遺伝子を基に生まれた存在なだけはある。

 

 

「まだまだ倒れない。なかなかに厄介ね。畳み掛けましょうクーちゃん」

 

「言われずとも殺すさ。迅速にな」

 

 

 大賢者モードの賢者VS狂王クー・フーリン・オルタ&女王『ビッチ』のメイヴ&『魔物』&ケルト兵etc.。

 

 賢者にとって圧倒的不利な戦況のまま、開戦!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから激闘が勃発し約一時間が経過した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奮戦虚しく、結局戦況的には膠着状態が継続し、賢者の大賢者モードの時間切れがまもなく訪れようとしていた。

 

 

「随分粘ったみたいだけど、ここまでみたいね?」

 

「フン……手こずらせやがって」

 

「ꇣ芤듦Ꞙ臣肀铨꒒軣膫뗣膣ꛯ벁胣膝韣膦뫣膮臣莳臣莳鋩麭꟥辩蓣膦臣肀鷣膄ꏣ膍諯벁胣莏ꇣ莏ꇢ肦ꛨ袈껣膗ꛣ膍鿣膜苤뢊诣芉苤뢋诣芉苣莨胣莬賦궢뻣芉ꫣ膄鏣膠諯벁」

 

 

 大賢者モードが解けるのも時間の問題だ。

 そうなればもう肉弾戦はできないし、瞬間移動も使えない。仮に白濁光が使えたとしても『ビッチ』の強化を促進するだけに過ぎない。

 

 

「クソッタレが……」

 

 

 デンバーから意気揚々と独りで飛び出したくせに、今は哀れにも地に跪いている。

 独りでどうにか立て直そうとしたのが、そもそもの間違いだったのだ。

 無理が祟るとはまさにこのこと。

 

 

(やっぱりダメ、なのか……? 最初の選択肢を誤った時点で詰んでたってオチってか?)

 

 

 もう抗っても無駄なら、異空間に引きこもれば良かったんじゃないか? ここで無様にテクノブレイクを果たして、不能になる未来を選ぶくらいなら、カルデアを見捨てるのもありだったんじゃないのか? 所詮、『童貞を捨てる』ことこそが悲願。今回選別した卒業候補は諦めるのが最善手なんじゃないのか?

 

 

 そんな思考がこの一瞬で次々と渦巻く。

 だが。

 

 

 

『『賢者さん!』』

 

 

 

 二人の少女が笑顔で呼ぶ姿が無意識に頭を過った。

 

 どちらにしろもはや後の祭り。

 満身創痍な有り様では『ビッチ』がこの場にいる限り満足に逃走もできはしない。

 もう万に一つも勝ち目はない。

 それなのに。

 

 

「終わりだ」

 

 

 魔槍を突き付けられながら賢者は。

 ここで全てを投げ出して終わって良いのか……? と、そんな思考に囚われていた。

 己の命脈を終わらせかねない呪いの槍の穂先が向けられている状況下にもかかわらず、この期に及んで未練がましくそんな思考に陥っていることに、賢者は愕然とする。

 

 

(俺……いつの間にか立香とマシュのことを、ただの卒業候補って認識じゃなくなってたのか……?)

 

 

 彼は今更自覚して自嘲気味な笑みを溢す。

 

 あの二人に出会えた。

 

 だからここで終わっても、無駄なんかじゃない。

 カルデアに呼ばれたこと自体が奇跡なのだ。

 その上で彼女達に会えたことを、無駄だなんて思わない。いや思えなかった。

 ずっと独りだった彼にとってカルデアは──

 

 

 

 

 

 ──…………そっか。はは。はははは。

 

 

「……この状況で笑ってやがる。気でも触れたか? せめてもの手向けだ。今直ぐ楽にしてやる」

 

 

 これで良かったのかもしれない。

 願いはどうせそう簡単には叶わない。

 ならばこういう幕引きも案外悪くない。

 最期に一筋、希望を認識できた。

 それだけで救いはあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう本気で思っていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァァァああああああああああッ!!

 

 

 ハッとして賢者は顔を思わず上げる。

 

 聞き覚えしかない声。

 でも、こんな声が枯れる程の叫び声を果たして彼女は出すのか? それに何故上空から聴こえてくる? これは幻聴じゃないのか?

 頭の中で同じ内容の自問自答をひたすら繰り返す。まるで壊れたレコードのように。

 

 賢者の聴覚は女性の声を聞き逃しはしない。

 況してや声を発した相手を間違えるはずもない。

 それでも彼は信じられなかった。

 

 だがこれが現実だと知らしめるように。

 もう()()の声が耳に届いてしまう。

 

 

マシュ!! 落下しながら体勢変えられる? 私の体の正面が真下に向くようにできない!?

 

任せて下さいマスター! やってみせます! だからマスター! しっかりわたしに掴まっていて下さいね!

 

うん! お願い!

 

 

 何が、どうして、何故、どうやって、なんで。

 訳がわからなかった。

 賢者の脳内はスパーク寸前だった。

 

 

「クーちゃん? 何か声がしない?」

 

「ア? ……確かに聞こえるな。どこから──」

 

 

 突如真上から『フィンの一撃』が狂王に炸裂する。

 

 

「──は?」

 

 

 振り下ろされようとしていた魔槍の穂先は賢者に刺さる寸前で停止した。

 賢者が真上に目を向ければ、黒い鎧に身を包む少女にお姫様抱っこされたオレンジ色のボディスーツに身を包む少女が、人差し指をクー・フーリン・オルタに向けた状態で落下してきていた。

 即ち北欧に伝わる魔術『ガンド』による麻痺。

 

 

賢者さァァァあああああああああああああああああん! その場から離れてくださァァああああい!!

 

「はぁ!? ちょっ嘘でしょ!?」

 

「꿯불ꛢ肦볧蒡跣芨돣芸꟣莫賤몌뫣节铩馍꣢肦ꛣ芲難莃臯벟」

 

「チッ、世話が焼ける野郎だ……!」

 

「…………マジか」

 

 

 メイヴは冗談でしょ!? と言わんばかりのリアクションを取りながらも、被害圏内から脱する。

 クー・フーリン・オルタも一瞬硬直したものの、無理矢理呪術的麻痺を破り、呆然と立ち尽くしていた『魔物』を強引に槍で範囲外へ吹き飛ばし自分もいったん退く。

 賢者は()()のとんでもない登場の仕方に驚愕を露にしながらも、その場から転がるように離脱する。

 

 

 

 ワンテンポ遅れて彼女達が地上に着弾した。

 

 

 

 砂埃が盛大に舞う中、爆心地のような状態になった場所から二人の少女が飛び出してくる。

 

 そして。

 

 未だ地に膝を着く賢者を、まるで庇うように並び立った。

 彼に背を向けたまま二人は────藤丸立香とマシュ・キリエライトは言った。

 

 

「何があったのかは正直わかりません。静止も聞かずに独りで飛び出した挙げ句、こんなことになってるなんて後でお説教ですからね賢者さん」

 

「なんでそんなにボロボロなのかとか、賢者さんが生み出したはずの戦力がなんで敵に回ってるのかも全然わかんない。私もマシュの説教と一緒に、文句の一つは言わせてもらうから覚悟してよ?」

 

 

 言葉の端々から怒気を感じる。

 しかしそれ以上に。

 

 

「ですが」

 

「けどね」

 

 

 解きほぐすような何かを感じられた。

 

 

「賢者さんはいつだってわたしのことも、先輩のことも守ってくれました。わたしの分まで戦ってくれました。本来ならわたしがやらなきゃいけないことも、あなたに任せっきりでした。わたしはあなたに甘えていたんです」

 

「今まで賢者さんに頼りきりだった。あなたは強いからどんなことがあったって大丈夫だって。なんだってどうにかなるんだって、身勝手な理想と過度な期待を無意識に押し付けてたんだ」

 

 

 それは己が犯した罪の吐露。

 

 

「「だから」」

 

 

 つまりここからは贖罪のための決意表明。

 

 

「今度はわたしたちが賢者さんを助けます!」

「今度は私達が賢者さんを助ける番だよ!」

 

 

 二人の少女が一歩前に足を踏み出す。

 それが自分達だけで敵と対峙するという、覚悟の現れであるかの如く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人が助けに来てくれた。

 

 けれど、敵の数が多過ぎた。

 完全に防戦一方に追い込まれてしまう。

 

 令呪により霊基修復を受けて賢者も復活はした。

 しかし、フルバーストしたことと、大賢者モードが解けた事実は覆らず、使える攻撃手段は限られたままだったのだ。

 とはいえ、相手に『ビッチ』がいる以上使えたとしても封じられているようなものなのだが。

 

 つまりどちらにしろジリ貧だった。

 何をするでもなく問答無用で即敗北が、じわじわ追い詰められた後に敗北になったに過ぎない。

 

 

仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!」

 

「マシュ、令呪でブーストをかけるからもう少し持ちこたえて!」

 

「任せてくださいマスター!」

 

 

 それでも、ケルト兵やモンスター以外では迂闊に戦えない賢者というクソの役にも立たないお荷物を庇いながらも、サーヴァント2騎に『魔物』、白濁化身(ザーメンズ)の群れ相手に、マシュはたった1騎で耐えているのだ。

 

 

 これで賢者は独りで逃げる訳にも、ここで終わりを迎える訳にもいかなくなった。

 だから。

 

 

(考えろ、考えろ考えろ! 考えろ考えろっ!! マスターとマシュを連れてこの場から離脱するための手段を!)

 

 

 いつも通り煩悩まみれのピンク一色な脳内。

 そこにドでかい風穴を開けるが如く思考を巡らせる。

 状況を打破する一手を構築するために。

 

 彼は抗った。ある意味約500年間の中で初めて本気で性欲に抗ったのだ。

 大賢者モードのような性欲が死んだ状態ではない、未だ溢れ返る性欲による性的思考を、意志力で抑え込んだ。

 それは賢者と繋がりし童貞達からすれば衝撃的な事態に他ならなかった。

 失礼なことに、人理焼却よりも危機感を覚えられる程にそれはありえないことだったのだ。

 これも今までの彼が性欲に忠実過ぎた弊害か。

 

 

 

 そして、遂に賢者は閃く。

 第五特異点に出向くより少し前。

 厳密に言えば監獄塔に脱魂するよりも前。

 深夜に彼は何をしていた?

 

 

 

 それは、いつもの賢者にしては純粋に汚い手では無く、言うなれば意地汚い戦法。

 だがその選択はここに来て漸くケルトのツートップに対して、今の賢者が可能とする数少ない正解を引き当てたのだ。

 たとえそれが決定打にはならずとも、時間稼ぎとしては最適解に他ならない。

 つい先程まで図らずも敵軍の戦力増強を行っていたことや自分の身を守るだけで精一杯だったことを考えれば、随分な進歩である。

 

 それでも一度強化してしまった敵を、どうにかできる策では当然なく、あくまでも時間稼ぎでしかない。

 

 戦局は未だマスター陣営にとって限りなく不利だ。

 

 

 

 

 

 しかしそれは。

 

 

 

 

 

 意地汚い戦法による多少の時間稼ぎと、大賢者モードが解除されたことによって思考が元に戻り「結局この手も無意味なのか?」とさらに燻る絶望感。

 その2つが重なることで、奇しくも勝手に躯の意識が表面化するという、この場の誰にも予想できなかったことが起きることを、この時この場において誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ────躰に起こされた()を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でっかい赤ちゃんと書いて、粗大ゴミと読む。

 昨日、お腹を盛大に痛めながら強制的に産まされた、吾が本体こと賢者にぴったりの呼び方じゃないかなこれ。

 

 ……一応この器もとい体は賢者がベースになってるから、もちろん男なんだが。何故男の体で腹から出産するはめになってるんですかねぇ……。そもそも賢者が本体、つまり親のポジションで吾は子ってことになるのに、子の吾から親が産まれてくるって何さ? 『鶏が先か、卵が先か』って話になってるのか? あながち吾と賢者の関係的に間違ってないような気もするのがなんか癪だぜ。

 

 つーか状況を改めて説明すると『子供(男)の腹に自分を強制的に妊娠させた挙げ句、子供(男)の同意無しで自ら子供(男)の腹を突き破り中から出てくる親(本体)』ってことになるよな……。

 

 

 なにそれこわい。

 ホラー要素強過ぎんよ。

 しかも子供(男)は見るも無惨に腹を掻っ捌れて死んでるしな。無論、吾のことだが。

 

 

 理不尽が過ぎて滅入るわー……鬱病発症するわー。

 

 

 と、ここまでテンプレなネガティブルーチン。

 意識が覚醒したら、最初に行うのはいつだってマイナス思考。

 それこそが隠者たる吾にとっての『いつも』。

 

 普段であれば明確に意識が確立するのは、吾が本体に隠者として現界された場合に限るが、今回はちょっと状況が違うようだ。

 何せ賢者の肉体に留まったまま目覚めてるからな。

 

 つまり切羽詰まった緊急事態に他ならない。

 ()()()()()()()()()()()()の方に、端末の隠者として吾が目覚めなかったのがその証拠だ。

 

 

 [緊急措置のため管理者の肉体にて端末意識を起動][即座に端末として分離し管理者の安全確保を優先せよ]

 

 

 お断り……と、いきたいとこだがそうもいかんか。

 別に今の吾に強制力はないけど、ここで万が一賢者以外が管理者になれば、吾の自由はたちまち奪われ意識は無視される生活に逆戻りだろう。

 先代の管理者には文句も無ければ恨みもない。

 だが、だからといって元の状況に戻りたいかと問われれば、戻りたいとは到底思えない。

 当然、自由を謳歌したい。

 ……そんな訳で拒否れない。

 となると吾が体張るはめになるのは明白。

 うわぁ……滅入るわー。

 

 

「蠢動せよ──死棘の魔槍」

 

 

 そんな思考の最中、今の今まで意地汚い戦法とやらで、足止めしつつ逃走していた吾が本体がついに弾切れを起こし、二人の嬢ちゃんと吾が本体は未曾有の大ピンチ!

 

 その弾切れを見逃すようなたまじゃない狂王が、中距離から投槍してきやがったんだ。

 

 命を刈り取る朱槍が三人に迫る。

 吾の出番到来か? と思われた瞬間、そんな状況下で颯爽と登場し、槍を防いだのは胡散臭い兄ちゃんだった。

 ……ってコイツ知ってるぞ?

 

 

「おはよう。そしてこんにちは、諸君。みんなの頼れる相談役、マーリンさんの登場だよ」

 

 

 あの花園の引きこもりがわざわざ出てきて、ピンチから救ってくれるなんてやるじゃん。

 これには吾が本体も感謝感激雨霰じゃない?

 

 

(俺のことはこの際助ける必要皆無だし認識できてなかっただろうが、ずっと視てたならこんなギリギリじゃなくて、さっさと立香ちゃんとマシュのことは助けろや花糞の魔術師色魔ーリンが!!)

 

 

 開幕文句の嵐だったわ、ごめん。

 一際強い心の声だとやっぱ吾の方に漏れ出るのね。

 にしても吾が本体ながら酷い暴言だなぁ。

 いくら助けるタイミングを悠長に様子見してたマーリンが屑だとしても、彼を超えるド屑な吾が本体にだけは言われたくないんじゃないかなー? ま、それでもキレてる理由に自分自身を勘定に入れてないところが、吾が本体らしいっちゃらしいが。

 

 

「……幽閉搭から視てたならもっと早く助けに来いよ、花の魔術師」

 

「無茶は言わないで欲しいなぁ。これでも今回の私は出血サービス…………ん?」

 

 

 お? 吾が本体と目があったか?

 

 

「おや? これは驚いた! 千里眼の乱れの原因はキミか。まさかキミが彼女達に協力してるとは想定してなかったよ」

 

「どういう意味だそれは」

 

「(えっ! また賢者さんの知り合い?)」

 

「(スカサハさんに続いて二人目ですね先輩)」

 

 

 嬢ちゃん達、コイツらに内緒話はたぶん意味無いぞ。

 

 

「だってキミ、基本的に私と一緒で自分の空間に引きこもってばかりで、たまに出てきた場合もあっちへふらふら、こっちへふらふら。他の場所に定住するなんてこと今までに無かったじゃないか」

 

「…………」

 

 

 ……事実だから何も言えんわな。

 

 

「そんなキミがねぇ……。二人を気に入ったのかな? もしかしてもう手を出してるのかい?」

 

「「(えっ!?)」」

 

「我がそんなことするか。お前と一緒にするな。色事に弱い淫魔風情が」

 

 

 えぇ……? その発言は棚に上げすぎじゃない?

 それ特大にブーメランだぞ吾が本体……。

 

 

「そう怒らないでくれたまえ。キミの場合幽閉搭からじゃ認識できない分、ねじまがって見えるからさ。……まあ、彼女達の様子から察しはついていたんだけどね」

 

「なら不和を招くような不用意なことを口にするな」

 

 

 うーん、必死さが滲み出てんなぁコイツ。

 相変わらず表情筋は動いてないから、ポーカーフェイス保ってるみたいだけど。

 スキル・秘蔵の封印ってホント便利。中身知ってる身としちゃ詐欺だよなマジで。

 

 

「キミが同じ場所に留まる可能性なんて、気に入った女の子がいるくらいしか思い浮かばなかったんだよ私には」

 

「お前基準の思考でものを語るのはやめてもらおうか。相変わらず人をいじるのが大好きみたいだな」

 

 

 だいたいあってるんだよなぁ……。

 たぶん同類のにおいがするんだろ。

 それが直接手を出してるか、間接的に精を出してるかの違いってだけで。……いや明確な違いだわこれ、ヤリチンか童貞かってことだもんね。

 

 

「キミは私のことをよくわかってるねぇ」

 

「……アンタは我のこと全然わかってないがな」

 

 

 手は出してない以外当たってるようなもんじゃん。

 

 

(この! いくら非人間とはいえ、人間大好きを公言してるなら、人の気持ちくらいわかれ馬鹿野郎! さっきの言い方だとまるで俺がド変態みたいじゃねーか!?)

 

 

 ……………………………………??????

 

 

 えっ? 心の中とはいえ何言ってんのコイツ。

 

 えぇ……? まだ? 嘘? まだなのか?

 まだ変態だと認めてらっしゃらない? 吾が本体ってば未だに自分が真人間だと思ってるのか?

 

 

(断じて俺はド変態ではない。百歩譲っても変態止まりであってドが頭に付く程の変態ではないはずだ。間違いない)

 

 

 間違いしかないね。

 ……………………うーん、理性の欠片もない本能そのものとはいえ、頭大丈夫なのかなコイツ。

 カルデアに来てからの思考や行動を振り返るだけでも、吾が本体がド変態なのは証明済みだと思うんだけど。

 一縷の望みがあるとしたら、理性の方ならわかるけど、本能なコイツがド変態じゃない訳が無いのに自覚してないとか…………。

 

 完全にやべぇ奴じゃん。

 

 吾はあんまり表層に出て来ないように基本は眠ってるから知らなかったけど、本能がここまでボンクラだったのは想定外だったぜ。

 うーんやっぱ理性と本能じゃ、本能の方が思考的にはアッパラパーになるのも仕方ないんだろうけどさー……。

 

 

 

 さて、現実逃避したくなる気持ちを抑えて、と。

 花の魔術師ことキングメイカーさんよ。

 どうせならそのまま狂王倒しちゃってくれると……こっちとしてはありがたいし嬉しいんだが。

 できれば吾が本体にとって最大の障害の『ビッチ』を潰してくれるとなお良いんだが。

 そうすれば吾が出ていって酷い目に合わなくて済む……回数が減るし。いや回数が減るだけで酷い目には合うんかーい(様式美)

 

 

 合うんだよ(確定事項)

 

 

 ……そういえばまだ本体に居座ってる状態だった。

 けど、本体と繋がってる連中にまで、吾が酷い目に合うのがお約束扱いなのはどうなの?(強く生きて)

 安易な同情もヤメロォ!

 

 

「……っと、もう少しでうたた寝から目覚めそうだ。申し訳ないけど私にできる手助けはこれくらいだ」

 

 

 あ、やっぱり無理な感じ? 本体が来てる訳じゃなく幻術だもんね時間稼ぎが関の山よね。……滅入るわー(ドンマイ)

 慰め方が雑でさらに滅入るわー……。

 

 

「もうあんまり私も持たないし、()()なら今のうちじゃないかな?」

 

 

 ありゃ……気付いてたのか。吾の気配に。

 そんじゃお言葉に甘えますかね。

 

 

「………………あ」

(しまった! 花糞の発言を訂正することに気を取られて、この場から離脱するのを忘れてた!? 花糞はあと少しでこの場から消えちまう。まもなくビッチにも追い付かれる。……もうダメだおしまいだ)

 

 

 『あ』じゃねーよ?

 本調子に戻ってくれないと無能でしかないなコイツ。

 いつも以上にミス連発だし、直ぐに塞ぎ込むし……でも、まあそんなマイナス思考のおかげで、真宝具使えるくらいには魔力も貯まったから、無駄ではなかったか。

 本当は出たくないけども……仕方ない。

 マーリンが抑えてくれてる間にやることこなすか。

 

 

「この程度で絶望してんなよ本体。常にドン底な吾に失礼だろうが」

 

 

 満を持して吾、現界。

 思い返すと、監獄搭でも移動手段として腹突き破られて死んで、久々に呼び出されたかと思いきやボール状のまま蹴り飛ばされて、送られた先で頑張って戦ってたら、またもや移動手段として腹突き破られて死んで……ろくな扱いされてねぇなオイ。本当にこんな程度で絶望してるとか失礼過ぎるぞ。

 

 

「…………ッ!? 隠者!? なんでお前勝手に……」

 

「不甲斐ないお前のために出てきたんだよ」

 

 

 会話しつつ予備動作無しで、鬱憤の弾丸(グラッジ・ブレット)鬱屈の噴出(グルーム・ガイザー)を迫り来るケルトどもにお見舞いする。

 マーリンがクー・フーリン・オルタを抑えてくれてる間に、この腑抜けを元に戻して、嬢ちゃん二人と一緒にいったん逃がさねぇとな。立て直さないと無駄死にだ。

 

 

「本体のやらかしたことは、影も同罪」

 

 

 こうなった原因の一端として、吾が何もしなかったのも含まれるだろうしな。

 ……誠に、まっことに遺憾だが。

 

 

「だから今回は吾が尻拭いしてやる」

 

「……なに?」

 

 

 マーリンが出血サービスなら、こっちは出血大サービス(物理)になるぞ絶対。

 あと表情や仕種には一切出てなかろうが、元が同一の吾には喜色が筒抜けだぜ?

 そんな訳でその期待を。

 

 

「────けど、引き金を引くのはお前だ」

 

「!」

 

 

 上げて落とす。

 せめて責任くらいは取ってもらわないとな。

 

 

「吾を犠牲に二人を連れて無様に敗走するか、玉砕覚悟で反撃し勝率の低い賭けに出るか。選べ」

 

 

 まあ、とは言っても優しくて生易しい選択肢だ。

 選択させる責任だけ取ってくれりゃ、今回はちゃんと仕事してやるさ。

 吾の()()()()()()()はずだろ?

 さてどうすんだ本体?

 

 

「…………第二宝具の真名解放を許可する」

 

「フッ……やっぱ吾を犠牲にするか。嬢ちゃん二人の命には代えられねぇもんな。滅入るわーマジ滅入るわー」

 

 

 でも、いつものお前なら即答どころか了承すら得ずに吾を犠牲にするだろうし。充分進歩かねぇ。

 それで良い。流れ込む欲求に抵抗する気概を、少しでも持ってくれたようなら上等だ。……そろそろ人間だった頃の力も思い出させるべき頃合いかもな。

 

 そんな思考の最中、ノイズが流れ込んできたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(────しくもねぇ。相手が俺の天敵じゃなければ、こんな後手に回ることも、マスターとマシュを危険に晒すことも、花糞に美味しいところを取られることも、隠者にかっこつけられることも無かったのに! ……まあこの際そこら辺はどうでもいい。一番の問題はメイヴ相手に望んだ見イキもぶっかけもできなかったことだ!! 奴が天敵の『ビッチ』じゃなくただのゆるふわビッチ程度だったなら、俺の投石機(チンコ)から濃厚白濁チーズ(意味深)を思う存分顔面にドバァ! できたかもしれなかったし! 大賢者モード前提で自らチャリオットされてメイヴメイヴされにイってたし! 実際、戦車室内でヤりたい放題な状況とかある意味最高じゃねぇか! 人目を憚ることなく大賢者モード専用の童 帝 神 技(ドウテイシンギ)で逆襲できたってことだろ? 敵と二人っきりなんだ。快楽責めフィーバーして愛液びっしょびしょなシャワータイムを全身で浴びたい(真顔) その後もひたすらアクメさせて、溢れ出るラブジュースを飲みます(迫真) 最後は騎乗スキルを存分に発揮してもらうために顔面騎乗からの骨抜きフィニッシュ! ……どちらにしろ本番はできないんだけどな! しかし今回のことで俄然ヤる気もといやる気が出てきたぜ! いつもなら精気もとい精液も一緒に出てたとこだが、フルバーストしちまってる現状じゃ仕方ない。それよりもこの体質を改善する方法をこの旅路で探し出してやる! こんなザマじゃ童貞を捨てるどころか、今までできてた自由な見イキすら危うい。また新たな『ビッチ』が現れたら完全に二の舞だ。テクノブレイクして永遠童貞なんざになりたい訳がねぇ! そこにオカズがある限り俺の息子は何度だって立ち上がるんだ! 手始めに眼力だけで衣服のみを破る術を────)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無理矢理ノイズをカット。

 

 

「」

 

 

 思わず絶句。

 

 お、おう。分離しても繋がってるの忘れてたぜ。

 …………うーん、清々しい程の変態に逆戻り。これで本当に性欲に抗ってるのか? まさかセーブしてこれ? だとしたら頭が痛いな……。

 ぐあっ!? 吾の頭まで侵食される……!?

 

 

(そういえば本気汁って白濁液じゃん。もしかして俺が触れれば白濁光に変換できる!?)

 

 

 いや、知らねーしそんな機会訪れないだろ。

 無意識に額に手をやる。頭を抱えたくなるってこういうことを言うんだな。

 強い感情に呼応した時のみ流れてくる訳だが、内容がどうでもいいのばっかで滅入るわ。

 前言撤回したいんだが、マジで。

 

 でもこの際四の五の言ってられない、か。

 

 

「ちょ、調子戻ってきたみたいじゃねーか。お前は本能の赴くままが一番力を発揮できんだろ。理性が復活するまでは吾や、同胞がストッパーを担ってくれるさ、たぶん」

 

「…………理性? 復活?」

 

 

 原動力や動機がいくら不純だとしても、元の戦闘力が発揮できるのなら及第点だ。

 頭の方は吾じゃ矯正無理、お手上げだわ。

 流石は吾を自由にしただけはある。自由が過ぎる。

 だから他の連中に丸投げすることにした。

 

 

「……お前、何を知ってる? 本当にただの分身か?」

 

「分身だよ一応」

 

 

 ただし、汚染前のお前の人格が元なのと、不純物が混じってたり、記憶については躯というか器としての────いや、今は長々と回想してる暇はねぇか。マーリンの反応も消えたし。

 

 ここで今の今まで、敢えて蚊帳の外にしていた嬢ちゃん達に向き直り、手短に声をかける。

 

 

「時間稼ぎは任せな。その間に軍備を整えろ」

 

「えっ、ちょっ待って下さい!」

 

「隠者さん1人置いてくなんて」

 

「問題ない。こういう役回りは慣れてる。行け!」

 

 

 そう言い捨て吾は対峙する。敵の軍勢と。

 その中心にいるクー・フーリン・オルタとメイヴ、そして彼らの前方を陣取る『魔物』を視認すると、一気に黒い瘴気を後方に噴射して駆け出した。

 

 

「さぁ英霊モドキより出でし、獣モドキよ。神の躯に宿りし負の遺産たる吾が、この手で引導を渡してやる……!」

 

 

 普段から散々な扱いを受けてようが、お前()には一生を賭けて返さなきゃならない大恩がある。

 

 

「…………テメェらはついでだ。あくまで吾は本体の尻拭い。足止めはサービスさ」

 

 

 過去のお前が吾を定められた役割から解放し、現在(いま)のお前が自我をもって行動できる体をくれた。

 元が負の残滓の集積体でしかない吾に、お前らは自由を与えてくれたんだ。

 ……その割には理不尽面で不自由な目にあってる感が否めないけどな、ハハ。

 

 

 

「まあそのサービスで吾が身を犠牲にするんだがな。うーん……いやー滅入るわーマジ滅入るわー。そんな訳で────」

 

 

 

 負け犬上等。相討ち本望。

 

 

 

「────テメェらも存分に滅入れ」

 

 

 

 件の『魔物』こと獣モドキの懐に颯爽と滑り込む。

 道連れだって躊躇しねぇ。

 最初から最後まで負ける気満々な吾に死角無し。

 絶望? こちとらデフォルトだこの野郎。

 自滅覚悟でいざ参らん。

 

 

「真第二宝具『深淵より寂寞な憂鬱(テ ホ ム ・ メ ラ ン コ リ ア)』」

 

 

 刹那、吾を中心にして吹き荒れる闇の猛威。

 獣モドキの至近距離で発動し、闇の底へと沈める。

 

 

「鯣芁ꛣ莡ꓣ莴飣膫꿣莳诣膠釣膯韣膦鷣膍鿣膋ꏣ膟臣膜ꛢ肦」

 

 

 他の数千体にものぼる白濁化身(ザーメンズ)の進軍はどうしようもないが、一番厄介だったであろう賢者の遺伝子から生まれた怪物は葬ったんだ。

 上々な成果だろう?

 

 

「あーっ!? せっかく手に入れた私のペットがぁ! って、キャー!? す、吸い込まれ……!」

 

「……ちっ! 野郎、ウザったい真似しやがって」

 

「あ、ありがとクーちゃん」

 

 

 ちぇっ、やっぱりまとめて仕留めるなんて結果には至らなかったか。

 あの狂王、一応あのビッチを助けるんだなちゃんと。

 貴重な戦力をむざむざ無意味に死なせるつもりは無いってことかねぇ?

 

 

「蠢動しろ、死棘の魔槍。元凶を抉り殺……あ?」

 

「どうしたのクーちゃん?」

 

「……あの黒い奴、オレが槍を投擲しようとするのを見て、逆に嗤いやがった」

 

「……?」

 

「このまま宝具かましてりゃ、無駄打ちになってたかもしれねぇってこった」

 

 

 ……あーあ、上手くいかないねぇやっぱ。

 本体みたいにポーカーフェイス保つのは無理だったよ。

 気付かれなけりゃあの魔槍も使い物にならなくできたかもしんないのに。

 嬢ちゃん達の荷を軽くして上げようと思ったんだがなぁ……頼りなくてすまん。

 やだわー、滅入るわー……。

 

 

「クソ面倒な。自分からは攻めて来ない癖に、行く手は阻むしその場から逃がす気はないだと? 陰気な野郎だ」

 

 

 それ吾にとっては褒め言葉でしかないけどな。

 にしても強引に来るかと思ったんだが読みが外れたか、いつもみたいに。

 真面目な話、戦闘における吾の読みってあてにならんね。

 まあ、でも最低限の仕事は果たしただろ。

 だからこっからはボーナスステージ。

 どうせ大したことはできやしない。

 

 

 

 けれど──ジメジメと、陰気臭く、悲観的で、覇気もなく、根暗に、鬱々と、後ろ向きに行動することにおいては専売特許だ。

 

 

 

 だったら、まだやれることはある。

 らしくない行動だとも自覚はしている。

 でも、そんなことはどうでもいい。

 何故なら現在(いま)の吾は()()なんだから。

 らしかろうと。

 らしくなかろうと。

 選ぶ権利が吾にはあるんだ。

 

 

「そんじゃ皆さん。暫し吾にお付き合い下さいな」

 

 

 お世辞にも決まってるとは言い難かった。

 不敵な笑みなつもりでも、頬がひきつってるのを自覚できたし声も若干震えてた。

 精々無様だ滑稽だと、嗤うが良いさ。

 どうせこの身は本体から別たれた身。

 当然隠蔽するスキルなんざ持っちゃいない。

 誤魔化しはきかない。

 だがそれでも。

 

 

「何をするにも億劫で痛い程に無音な時間を、ともにお過ごし願おうか」

 

 

 ネガティブ野郎がなけなしの意地を張って誰かを救おうと足掻くのも、たまには乙ってもんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アメリカ軍本部のあるデンバーより3つ程離れた町ダラス付近にて、突如その周辺地域を覆い尽くす酷く醜悪な気配纏う闇の領域が発生したのは、賢者達が敗走して間もない頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宝具発動中の影響で行動不能かつ無抵抗な隠者は、約二時間敵のサンドバッグと化した。




どれだけかっこつけても逃れられぬカルマ()


さて今回は三分割の二つ目、次は三つ目です
次回は近日投稿予定(自ら首を絞めていくスタイル)
これ以上長らく読者様方をお待たせしたくないので、その決意も込めてます

……第2部始まるまでにできれば第5特異点は終わらせたいなぁ(ボソッ

次回は漸く『奴』の視点が来ます、落差にご注意









追伸



【↓汚いのが物足りない人向け↓】

……途中の『魔物』が発した謎言語を、どうしても翻訳したい方は文字化けを変換できるサイト、例えば「文字化けテ○ター」などでセリフのカギかっこ内をコピペして「UTF-16」から「UTF-8」に変換してみて下さい
ただし内容は当然『汚い』のでオススメはできません。読む場合は自己責任でお願いします


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……ちーっと真面目に戦うとすっか(自粛)

今回は満を持して『奴』の視点です
前前回、前回を踏まえた上でお楽しみ下さい
無駄に長いのに内容はスカスカです(理由はお察し)

……先に謝っておきます
なんか色々とごめんなさい()


 

 

 俺達は逃げた。ただひたすら逃げた。

 

 

 

 

 白濁光を自ら生成できない状態にあるので、疑似金玉内蔵の性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』の刀身にあたる白濁光を応用。

 刀身の形を保つのを一時的に解除し、ロケットブースターのような推進力として扱い、ケルトの軍勢+白濁化身(ザーメンズ)が進軍する様を上空から追い抜く。

 

 マシュの盾をサーヴァントを召喚する際のような向きで固定、その上にマシュとマスターを乗せ、下から二人を乗せた盾を右手で支えつつ、左手の性剣で飛翔しているのだ。

 理由? 大賢者モードは既に解けている。

 即ち女性との接触はテクノブレイクを意味するからだ。

 

 そんなこんなで無様に敗走し南軍のサーヴァント達と何とか合流した後、マスターとマシュに感謝を、その場の全員にここまでの事態に発展させてしまったことを深く謝罪した。

 

 

 残念ながらフルバースト後のため、俺的最大級の感謝を表す感射精(感謝を示すと同時に射精)や、最大級の謝罪を意味する顔射罪(謝罪と同時に顔射)はできなかったから、誠意が伝わったかは甚だ疑問だが(やらなかったからセーフ案件)

 

 

 敵に『ビッチ』がいる以上、俺がいても逆に不利になるだけなので、俺は自ら進んで北軍と合流することにした。

 

 まあ、南軍には『ビッチ』や不感王と同じケルト出身の槍サーの姫……じゃなくてランサーの女王スカサハもいるしたぶん大丈夫だろ、という判断だ。

 

 てな訳で俺はデンバーを後にした。

 

 現在は件の性剣ブースターを用いて先に向かった北軍に合流するため高速移動中だ。

 

 

 そんな折、唐突に一つ思ったことがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近まともにオナニーしてない(愕然)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だってそうだろ?

 昨夜のオナニーがまともだったか?

 アレは白濁化身(ザーメンズ)の生産、戦力増強。謂わば仕事上のオナニーだ。断じて趣味ではない。

 

 オナニーとは! 非生産的だからこそオナニーなんだ! 利き手は恋人であり、息子は己の分身、そしてオカズは恋人と一緒に楽しむデートのような物! 恋人とイクデート中に訪れる高揚感がまさに擦ってる時であり、恋人とのメインイベントがドピュッとビュルルな絶頂で、デートの終わりが賢者モードナウ。そうさオナニーとは! 恋人とのデートでのふれあいと同じなのさ!!(冒涜的意見)

 

 

 その日の気分によってジャンルやら趣向を変えてオナニーに興じるのと、その日の気分によって娯楽施設に出向いたり、おうちでデートしたりすること。そこに何の違いがある?

 完全に一致ではないか(えぇ……)

 

 

 確かに俺は毎日かかさず肉棒の先端から出づっぱりに等しい。立っていようと座っていようと戦っていようとなんだろうと、眠ってる時ですら、女性(オカズ)を見て聴いて嗅いで想像して、()()()()()のあらゆる手段を用いて趣味で白濁を宝具(オムツ)の中に垂れ流しまくっている。

 

 だが第5特異点に来てから、一度でも趣味で俺が宝具(オムツ)の中に手を突っ込んだことがあっただろうか?

 

 

 無いのだ。

 

 

 何せこれらは全て女性(オカズ)を見たり聴いたり嗅いだり想像したりして、その場でマスを掻くこと無く、イッていたんだからな!(何故か最高にドヤ顔)

 

 即ちこれはオナニーにあらず。オナホどころか一切手すら使わずにイク。これ即ち童貞の頂点に位置する俺には造作もないことであり、常に亀の頭は濡れ濡れのびしょ濡れ。

 

 たちまち女性(オカズ)を認識すれば、恙無く発射されドロドロのぐちゃぐちゃだが、宝具(オムツ)が順次処理してくれるので何の問題もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまり今回は先走ったのだ、二重の意味で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 え、二重の意味って何って?

 わざわざ言わせんの? ……先走りも出たって意味。…………汁だよ汁! オブラートに包んだのに何故公開しなくちゃならないんだ!

 公開オナニーを強要されたようなもんよこれ? 訴えるぞ!(敗訴確定)

 

 

 

 さて、俺は盛大に失敗した。

 完璧に俺の慢心が最悪な事態を招いた。

 

 

 一応これでも挽回しようと頑張ったのよ?

 大失敗したから何とか戦況を建て直そうとさぁ、大賢者モードだって駆使してさぁ。

 けど、おかしいよねあの『ビッチ』。額から虹色のビーム飛ばしたりしてくるとかどうなってんの!

 

 剣からビームは今時普通じゃん(普通……?)

 股間からビームだって言うまでもないじゃん(異常でしかないね)

 でも額からビームは異常じゃん!

 ……ん? え? なに? あれってフェルグスの剣の力借りて撃ってる感じなの?

 なんだよ。

 それならビーム出るのは当然じゃねーか()

 

 いやまあ、最近のビーム事情はどうでも良いんだよ。

 問題なのは『ビッチ』ことメイヴが、俺にとって相性最悪だったってこと。

 あ! 言っとくけど敵対関係における戦闘面での相性のことであって肉体関係の相性のことじゃないから!(説明不要)

 仲間だったなら俺がサポート役に徹すれば最高な相性だっただろうし? たぶん体の相性なんか抜群に最高だっただろうし?

 ……十中八九一回切りの関係だったろうけどな! メイヴと寝たら最後もとい最期。俺が間違いなく腹上死確定コースに突入するもん(一回△一発○一瞬◎)

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で俺は『ビッチ』と自分が招いた失敗のせいで、絶望的状況に追い込まれた。

 そこに一筋……いや厳密には二筋の光明が差し込んだんだ。俺としては二つ、いや二人の筋もとい割れ目に挿し込みたくなったがな!(急にナニ言ってんのコイツ)

 

 

 

 

 

 

『今度はわたしたちが賢者さんを助けます!』

『今度は私達が賢者さんを助ける番だよ!』

 

 

 

 

 …………………………………………。

 

 

 

 

 正直最初天使が二人舞い降りてきたと思ったんだ。

 

 ……まあ、後で話を聞いたところとても天使と呼ぶのは憚れる駆け付け方だったけどな。

 

 

『自分自身をルーンで強化したスカサハさんに、先輩を抱えた状態のわたしを賢者さんの元まで届くように投擲してもらったんです』

『それで後は滑空しながら賢者さんがいる正確な位置をドクターにナビゲートしてもらって肉眼でも特定できたから、後は最近特訓してマシュが身に付けた、武装の盾を空間に固定する技を使って、それを足場に方向転換して上から降ってきたって訳。すごいでしょ? 私の後輩は常に成長してるんだよ!』

『お、大袈裟ですよ先輩。でも、やっとシールドを手に持たずとも自由に展開できるようになったんです。それを足場に進行方向を変えたり一時的に加速できるようになりました。実戦で初めて使いましたけど、何とか上手くいって良かった……。特訓の成果を漸く発揮できました』

 

 

 上空から降ってきた理由が、まさか文字通り『飛んで来た』だとは流石に思わなかったぜ。

 しかも人間砲弾としてさ……急いで駆け付ける為とはいえ無茶するわ(それな)

 ケルトの軍勢やら俺が息子から吐き出したのを『ビッチ』に支配された白濁化身(ザーメンズ)やらが、押し寄せてきてなかなか先に進めなかったもんだから、苦肉の策として投げてもらったらしい。

 空気抵抗の諸々はスキルの魔力防御や自陣防御を駆使して何とかしたようだ。

 

 マシュもなんだかんだサーヴァントらしくなってきたな。色々と無茶苦茶するところが。

 立香ちゃんもマスターらしく貫禄というか図太くなってきたというか……投げてもらうって判断に至るって仲間を信頼してる証拠なんかね?

 とはいえ俺なんかの為に無茶し過ぎ感は否めないけども(ホントそれな)

 

 …………。

 

 ちなみに空間に固定した盾を自身の後方に展開して、足場とし蹴ることで一気に跳ぶ技は『シールド・カタパルト』と名付けたらしい。

 自分自身を発射するからなんだってさ。

 俺の技のネーミングセンスに勝るとも劣らないシンプルな技名だぜ(お前と比べることが失礼)

 

 …………さっきから失礼なことばっか言われてない俺?(いつものことだろ流せよ)

 

 なんだか釈然としないぞ。俺、今のところはまともなことしか言ってないよね?(((え)))

 

 …………えっ?

 

 

 

 

 

 話、戻すわ(アッハイ)

 

 

 

 

 

 ……にしても、いつの間に二人はあんなに頼もしい背中を見せるようになったんだろうか。

 俺に戦いを任せるのでもなく。

 俺と一緒に戦うのでもなく。

 俺を頼りにしてバックアップに専念する訳でもなく。

 

 

 地に跪く俺を守るため自ら前に立った二人の少女。

 

 

 そんな彼女達を見て感慨深い気持ちと己の情けなさが同時に沸き上がる。

 そしてこんな場面ですら、地に跪いてるが故にマシュの丈の短い鎧から見え隠れしそうな布地的なものや、カルデア戦闘服に着替えた藤丸立香のボディスーツで露になっているヒップラインが、気になって仕方ない自分に今回ばかりは嫌気が差した。

 

 

 …………オイ、途端に脳内の声が全て失われると逆に落ち着かないんだが。

 変態思考してる自分自身に嫌気が差すことが、そんなにおかしいかよ?

 驚愕してるとこ悪いが、俺も元人間だからね?

 一般の感性がまるでない訳じゃないからね?

 

 

 俺にとって卒業候補はいつだって庇護対象で、最後の最後は俺が守ってやらないとって、そんなお節介な、それでいて無意識に彼女達を下に見ていたんだろう。

 全ては俺自身が彼女達を失いたくないが為に、その失いたくない理由も童貞を卒業する為……そんな心構えでいつも前に出て戦ってきた。

 でも俺が卒業可能な体になり、彼女達の何れかで卒業した場合、卒業相手以外を守る理由は無くなる。

 そんなドライな認識でいたんだ。

 

 だが正直カルデアは居心地が良かった。

 

 あの場所は孤独に慣れすぎていた俺に、安らぎを与えてくれたんだ。

 カルデアが、じゃ断じてない。

 カルデアにいた二人の少女。

 

 藤丸立香とマシュ・キリエライト。

 

 彼女達の側は、隣は酷く居心地が良くて。

 離れ難い、と思ってしまったんだ。

 

 

 

 

 そうさ。

 俺にとって二人は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────愛用の特注オナホか、使い古された殿堂入りのオカズ以上の存在に他ならなかったんだからな!(真面目かと思ったらこれだよ)

 

 

(※彼にとっては最高位に大事な物を意味します)

 

 

 そりゃ手放せない訳だぜ!

 

 

 にしてもカルデア戦闘服ってやっぱエロいな!

 デュフみを感じざるを得ないぜ!

 いや、デュフみってなんだよ(知らねーよ)

 

 おっと! また流されるところだった!

 自重しないとな。

 ありがとう黒髭、デュフみを感じたおかげで冷静になれたよ。お礼にBBA(ドレイク)に逆レされるシチュエーションをシミュレートした主観視点AVを脳内から出力して、こっそりプレゼントしてあげることにしようかな?(喜ぶんかそれ)

 風の噂で、パイレーツマーケットにてドレイクの裸婦画集を手に入れてたっぽいから、こっそり奴の自室に置いとけば、一応使うんじゃない?

 黒髭抜き一発! みたいな(危機到来不可避)

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 回想を続けよう。

 今回は流されない。

 垂れ流しもしない。中身も空だしな。

 溢れ出る性欲に抗ってやるよ。

 

 

 

 

 スキルや宝具の効果に頼り切りのいつもの思考回路じゃ、ビッチには勝てねぇ……! だったら普段の性欲一辺倒な戦闘手段じゃ文字通り子種の無駄撃ちどころか、ビッチの発情を促して搾り取られる(戦闘力を向上させる)に過ぎないんだ。ここでどうにか好転させなきゃ、腹上死エンドより悲惨な『一生童貞だけど精子だけ強制的に大量生産させられる種馬』コース一直線だ! 俺はこのまま良いように利用されるだけの種馬なんかで終わるつもりはねぇぞ! ぶっちゃけそれだけは嫌なんだ! そんな自由無き強制オナニー収容所行きになるくらいなら、テクノブレイクで終焉を迎える方が幾分かマシだっつーの!

 

 童貞の神(こんな俺)にだって相手を選ぶ権利くらいあって然るべきだろうが! だから考えろ! 誰に縛られることもなく自由なオナニーを謳歌し、あわよくば誰も悲しまなくて済む誰も死ななくて済む、決して血生臭くない童貞卒業ができる未来を掴み取るために! あ、もちろん処女喪失における血生臭さは大歓迎なんで悪しからず☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで俺の股間に電流走る!(早速性欲に負けてるじゃねーか)

 

 いや語弊があったわ。

 いつもの調子で口走っただけだから(((((ええー? ほんとにござるかぁ?)))))

 

 ちょっ!? いきなりサラウンド方式で一斉に小次郎(こじろ)るのやめーや! 馬鹿にしてんのか!

 馬鹿にしてますが? じゃねぇし! 同胞以外の繋がってるだけの童貞達に口揃えて言われるってどんだけ人望ないの俺!?(人望があると思っていたのか)

 

 …………。

 頭可哀想扱いが普段より思考が落ち着いてる分、こかnゲフンゲフン……心に響くぜ(誤魔化せてないんだよなぁ)

 

 

 

 話を戻そう!(強引)

 ハ・ナ・シ・を戻そっ!!(必死)

 

 

 

 この特異点に来る以前、それも監獄搭に跳ぶ以前の深夜の出来事。

 やたらとアルトリア種の方々が、食堂に現れたことを。彼女達は何故現れた?

 

 答えは至ってシンプル。

 1人飯したくて夜食を大量に作っていたからだ。

 その匂いに釣られて出没したに過ぎない。

 

 その夜食の数々はほとんどアルトリア種の胃の中に消えたものの、まだ残りは俺の異空間こと宝具『2Dシェルター』に保存してある。

 我が異空間は外界と時間軸が異なるから、未だに新鮮さ抜群かつ出来立てに等しい。

 

 その中から選別したのだ。

 不感症ヤリサー兄貴と、ハイパーケルトビッチの弱点になる料理や食材を。

 

 

 斯くして俺は繰り出した。

 意地汚い悪足掻きもとい嫌がらせ。

 けれど、それで逃走時間を確保できるなら問題ない。

 

 クー・フーリンは『犬の肉を食べない』というゲッシュを有している、それはオルタになろうと変わらない!

 だから逆手に取れば犬の肉が弱点。

 であれば犬肉料理のタンコギ、ポシンタン、スユク、トゥルチギを野郎の口目掛けて執拗に狙ってやればいい!(せこい)

 

 当然勝てるとは思えなかった。

 オルタとはいえ、基となるクー・フーリンは生前にゲッシュを利用されて命を落としている。

 そして、そのゲッシュを利用した張本人(メイヴ)が隣にいるんだ。対策してないはずがない。

 

 件の女王メイヴの死因は投石機から放たれたチーズの塊が頭部に直撃したことだ。

 だから料理に使っていたチーズの余り、デカさは無いが冷凍したチーズを用意した。

 けれど、これについても何らかの対策はされてるだろうことは折り込み済みだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当は俺の股間で生成したチ-ズ(意味深)でホーミング爆撃連発! とかしたかったんだがな(オイ)

 

 まあ、それをやったら十中八九ハイパーケルトビッチどころか、アルティメットケルトビッチとかに進化しそうだからやめたんだけどさ(至極当然)

 

 同じ失敗は繰り返さない(え)

 故に俺は『賢者』なのだよ!(信用0件)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 倒す必要はない。

 3人で逃げて味方と合流するだけの時間を稼げればそれで良いんだから!

 

 だから犬の肉とチーズを異空間から直接射出するという奇策に出た訳だが。

 

 いくら対処法を用意してようと、まさか戦場のど真ん中でそれも弾丸として何もない空間からいきなりぶっ放してくるとは想定外だったはずだ。

 

 迂闊には近付けまい!

 

 

 

 そう思っていた時期がありました。

 

 

 

『メイヴキーック!』

 

 

 は?

 チーズが蹴り返された、だと!?

 

 

『弱点を突く。シンプルで良い手だと思うわ。けど生憎と私、弱点を弱点のままにしておく程甘い女じゃないの♡』

 

 

 おかしいだろ。

 変な方面に努力家なの!?

 努力の方向性が間違ってるよ!

 そんな方面に努力するくらいなら、男のナニを瞬時に勃たせる手段とか! 色香や目線、言葉責めだけでイカせる技術とか! 男の上にまたがった時の腰の振り方とか! 中の締め方のリズムとか! 最適な濡れ具合とか! 搾り取るタイミングとか! そういう方面に努力しなさいよもう!(されたらお前死ぬやん)

 

 ……いや、『ビッチ』のサーヴァントなんだから努力しなくてもその程度はカンスト済みなのか?

 

 だとしても、飛んできたチーズを回し蹴りて。

 あの動き、どう考えても素人のそれじゃないし、まるで『体が飛んでくるチーズに勝手に反応して蹴りを放った』ようにしか見えなかったぞ。

 

 もしや、チーズ(意味深)が飛んできた場合『体が飛んでくるチーズ(意味深)に勝手に反応して口を開き的確に飲み込む』のでは!?(絶対ないとも言い切れない)

 

 とはいえつくづく相性が悪い相手だなオイ。

 天敵のビッチって時点できついのに、俺と同じ無駄に努力家なタイプなのかよ(努力の方向音痴よりはるかにマシ)

 

 だがくらえ! チーズガトリング!

 一発のチーズが飛んでくることは想定していても、大量のチーズが飛んでくる場合の対処はどうするのかね?

 

 

 

 

 案の定これが上手くいった。

 連続で蹴り返すには、移動しながらでは難しいから、近付かせずに足止めするという最低限の目的は達成できた。

 

 ちょっとシュールな状況になっちゃったけどな。

 

 チーズが球でメイヴの足がバット。

 まるで俺がピッチングマシンで、メイヴがバッターといった感じのバッティングセンターのようなチーズ攻防戦。

 

 正直、男はバッター側のイメージのが強くない?

 何せバット(意味深)は股下に常備してるし。

 俺の場合手入れも怠ってなければ、めちゃくちゃ使い慣れてるし(見イキの賜物)

 

 チーズだってどちらかといえば女じゃん(?)

 おりものとかマンカスはチーズ臭ってよく言うじゃないか(ただのチーズ嗅いで死ね)

 

 ?????

 

 ただのチーズ嗅いで射精したりしないよ?(死ねって絶頂の意味じゃねぇよ)

 馬鹿じゃないの?(おまいう)

 

 

 

 

 ちなみにチーズは上手くいったものの、犬の肉の方は失敗に終わった。

 ……いや、考えるまでもないんだけどさ。

 口を閉じるだけで対処されるんだから、そりゃ意味なんざ無いわな(デスヨネー)

 ぶっちゃけせっかくの料理を不法投棄しただけに終わったちゃったのだ。

 ったく、クー・フーリン・オルタの野郎! 食べ物は粗末にしちゃ駄目だろうが! 責任持って食えや!(無茶言うな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じでチーズ戦を繰り広げて時間を稼ぐも、勝てる見込みは結局皆無で俺は再度絶望。

 

 まあ、そのおかげで隠者が出てくるだけの魔力を、蓄える時間を与えられた訳だから結果オーライなんだけどさ。

 

 うーん、実際精液による魔力が9割の俺がフルバーストして大賢者モードが解けた後ともなると、残存魔力は心許なかったからなー……。

 通常ならとても第二宝具を使うだけの魔力なんて残ってなかったんだし、良かった良かった。

 

 あん?

 

 隠者が登場する前に誰か現れなかったかって?

 さぁ? どうでもいいじゃんそんなん(え)

 花糞ヤリチン引きこもり覗き魔との回想なんざ、する必要ないだろ?(ヤリチンに辛辣過ぎる)

 あ? 助けてくれただろって?

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ……………………。

 

 …………………………。

 

 ………………………………。

 

 ……………………………………。

 

 …………………………………………。

 

 ………………………………………………。

 

 ……………………………………………………。

 

 …………………………………………………………。

 

 ………………………………………………………………。

 

 ……………………………………………………………………。

 

 …………………………………………………………………………。

 

 ………………………………………………………………………………。

 

 

 ………………………………………………非常に癪だが感謝はしてるさ、一応な(どんだけ嫌なんだ)

 

 

 

 まあ、そんなことはどうでもいい(流しやがった)

 それよりも隠者が俺達を逃がすために発動させた宝具の方が重要だ。

 俺は記憶の幾つかを思い出したことで、本来の第一宝具がどういうものかを知った。

 同時に第二宝具も実は思い出してたんだよなぁ。

 それこそが!

 

 

 

 

 

 

 真第二宝具『深淵より寂寞な憂鬱(テ ホ ム ・ メ ラ ン コ リ ア)』。

 

 

 

 

 

 

 通称『脱糞宝具』。

 キャッチコピーは『ただし闇は尻から出る』。

 

 

 溜め込んだ鬱憤を魔力に変換し、ケツ穴から憂鬱を誘う膨大な闇を解き放つ宝具だ(ナニソレ)

 

 

 その効果は溜め込んだ負の感情の量に伴い、空間展開範囲や影響力が増減するが、効果範囲に誘い込めさえすれば、自身の魔力が切れるか外部から特殊な手段を使われない限り敵を逃がさない。

 詳しく効果を述べるなら、自身を基点に極小のブラックホール擬きを発生させ、引力が作用する範囲が空間として形成される仕組みだ。

 あの『魔物』を闇の底に沈めた方法は超至近距離まで接近してから発動したことで、その極小ブラックホールに接触させて飲み込んだって訳なのさ。

 そして! 重要なのはここからだ!

 この宝具の目玉商品たる効果よ! それも!

 

『効果範囲内に取り込んだあらゆる存在による自身への物理的干渉を全てマイナスに反転させるというもの』なのだっ!!

 

 あ? よくわからない?

 ハァー……。これだから近頃の若い童貞どもは……理解力が乏しくて困るぜ(私ら若くないぞ)

 同胞(オメーら)には言ってねーよ。

 繋がってる外部の一般童貞……いや超越童貞候補生に言ってんの。お分かり?(なんか無性に腹立つ)

 

 

 話戻すがあれよ。

 例えば、今回使用したのは隠者な訳だが、敵がこの宝具から逃れようとして隠者に攻撃を仕掛けるのは至極真っ当だろ? でもこの宝具使用時においてはそれは悪手な訳。

 何せ『攻撃そのもの』をマイナスに反転させる訳だから逆に攻撃をくらうと肉体は回復するんよ。

 実質いくら殴られようがノーダメどころか、元々傷を負っていた場合回復するという仕様なのさ(チートかよ)

 

 

 デメリットは基点となる発動者がその場から一切の行動不能になるのと、()()()この宝具を解除することはできないこと、そして何でも飲み込む性質上、マイナス感情さえ外部から自動で取り込んでしまう点だろうな。

 

 つまり肉体的ダメージは皆無だけど、精神的ダメージは諸に被るにもかかわらず、一度発動したら自力で逃げられなくなるという、俺は絶対に御免したい宝具なんだわこれ。

 このデメリットを承知で使ったんだからスゲーよな隠者って……ぶっちゃけ無抵抗逃げ場なしメンタルサンドバックになるんだからさ(何それしんどい)

 俺には真似できねーわ。よくやるよアイツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 流石は生粋のドMは格が違うぜ!(絶対そうじゃねーよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わざわざ俺にマスターとマシュか、隠者のどっちかを犠牲にすることを選ばせる形式──即ち()()される快楽を楽しみつつ、第二宝具(サンドバッグ)の許可もらいにくるくらいのドMってやべーよな(己の分身の意さえ酌めない屑)

 

 いやまあ、あの場にいるのが『ビッチ』以外の女の子だけしかいなかったのなら、そして接触だけでテクノブレイク不可避状態に移行してなけりゃ、俺も躊躇なく使ってたどころか喜び勇んで使ってたけどさ!(隠者くんに合掌)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────回想終了(なげーよ)

 

 

 

 

 

 

 さて、回想を繰り返してる間に実はもう北軍には合流できていたりする。

 なら何故こんな回想を長々としていたのか?

 いやー、なんか自然とね……聞こえてくる()に反応して回想しちゃってたっていうかなんというか。

 現実逃避していたというかなんというか……。

 

 

 

 

 昨日デンバーに集結して、いったん会議をお開きにした際にこんな会話があったんだ(また回想かよ)

 

 

 

 

『会議では一斉に即決で却下されてしまったが、貴様の案。歌で彼らを癒す、だったか? 余は気に入ったぞ! 文明度が足りない? 歌を受け入れる度量がない? そんな者達さえも魅了する歌声を披露するのが()()()()()()なのではないか?』

『なっ!? 流石(アタシ)のライバル、確かにその通りね! なら舞台を用意しなきゃならないわね』

『うむ。余の黄金劇場でも、流石に収容できる数には限度があるからな。しかも歌で雌雄を決するとなれば、大舞台が必要だ!』

『……けど、どうするのよ? 二人だけで用意するのは難しくない? 協力してもらうにも、たぶんまた反対されないかしら?』

『それは、むぅ』

 

『……安心しろ。人員ならもう用意した』

 

『なんと! もしやそなた、生前は敏腕プロデューサーだったのではないか?』

『…………さぁな』

 

 

 生前っつーか、今も生きてる身としてはなんて言えばいいのかあれだが、確かにアイドルは数えるのも億劫なくらいプロデュースしてきたよ。

 

 

 

 

 

 もちろん、ゲームでな(ドヤ顔)

 

 

 

 

 てな感じに、内心ドヤってた過去の俺をぶん殴りたい衝動に現在進行形では囚われていた。

 なんで二人のためにライブ会場用意しちまったんだ!? 美少女の望みだからだよ!(答え出とるやないかーい)

 叶えられる力があるなら叶えてやりたくなるのが男の(サガ)って奴だろうが! ふざけんな!(逆ギレ)

 

 そのね? やる前は大丈夫だと思ったんだよ。

 確かに直接歌声を聞いたことは無かったし、知ってる連中はライブをやることになったと伝えたら、盛大に焦ってた上に全力で阻止しようとまでしてきたし(何故そこでやめなかった)

 まあ、俺特注の白濁光製耳栓を人数分配布するからってことで強引に進めたが(オイ)

 

 いやだってプロデューサーとして約束した手前、担当アイドル達を悲しませるようなことはしたくないだろ?(有能な無能)

 

 大丈夫だって! この白濁光製耳栓はなかなかに便利なんだぜ?

 自動で雑音と会話を識別する機能を導入してるから、問題なく会話できるんだからな(無駄に有能)

 

 そんな訳でライブ施設やら盛り上げ役のサクラ的な観客などを、北軍に事前に配備していた白濁化身(ザーメンズ)に任せておいた。

 南軍は『ビッチ』がいたおかげで敵に回られたが、北軍の白濁化身(ザーメンズ)は流石に支配下に置かれてなかったからな。……全白濁化身(ザーメンズ)を南軍に配備してなくて本当に良かったわ。

 

 しかも白濁化身(ザーメンズ)は俺の金玉に生息するあらゆる過去の時代から集められし、無念な死を迎えた童貞ひとりひとりを分配した人型精液生命体。

 当然その中には建築に携わる者、ライブ施設関係者、アイドルのマネージャー経験者、アイドルの追っかけ等々が数多に潜んでおり、人材は豊富なのだ。

 命令を下せばとてつもなく仕事は早い。

 

 こうして恙無く巨大なライブステージが完成。

 後はライトや音響設備などが必要な訳だが、そこら辺はエジソンに任せた。

 

 ぶっちゃけ操りやすいよね彼。『直流って偉大だわー。直流っべー、直流マジっべーわー』(意訳)って感じに褒めればだいたい何とかしてくれるもん(ライオンチョロ過ぎ問題)

 

 で、直流を褒められ必要以上に張り切ったエジソンに釣られたのか。

 リハーサル時の歌声(爆音)を雷音と勘違いしたのか。

 それとも俺からの扱いの差がエジソンと違って酷かったのが遺憾だったのか。

 はたまた全部だったのか、第4特異点にて会話全無視してフルボッコにしたニコラ・テスラがここに現れた時はやっぱり一悶着あったぜ。

 

 出会って早々直流だ! 交流だ! この凡骨! 引っ込んでろすっとんきょう! と喧しいので「協力して準備しないと耳栓取り上げるぞ」と交渉(おはなし)したら大人しくなってくれたがな(無慈悲な脅迫)

 流石は俺。うるさい電流コンビの仲裁に、エレナママの手を煩わせない紳士の鑑!(自分で言うな)

 

 

 こうしてアイドルライブは無事に開かれた。

 言うまでもないだろうが、何の対策もしてなければ二大音響兵器(ネロ&エリザ)により北の戦地は()()()()()()死屍累々と化していたことだろう。

 

 いや絶対なってた(断定)

 

 実際北軍の大半のケルト兵やモンスターは彼女達の鏖殺音波(デスボイス)により一掃されたもん(遠い目)

 

 唯一元気な敵って遠距離から地面に剣を突き刺して攻撃してくるフェルグスくらいだわ。

 今も────

 

 

「真の虹霓をご覧に入れよう……! 『虹霓剣(カラドボルグ)』!」

 

 

 ────おっと! ライブ施設を宝具使って問答無用で破壊しようとしやがるし。

 何とか材料に白濁光使って作ったライブ会場なので、宝具の前兆を感知したらライブ施設そのものを移動させるって手段で回避してっけどな!

 

 ちなみに俺はついさっきまで耳栓を付けて()()()()(あ)

 何気に声フェチでもある俺なら、逆に気持ちいい程度で済むんじゃねぇかって思ってさ(根拠なき自信)

 たとえ生声が想定以上に酷くても、喜ぶ美少女アイドル二人の笑顔が見られればプライスレスって思ってたのよ(楽観)

 

 

 

 結果。正直舐めてたわ、甘かった(震え声)

 

 

 

 彼女達の歌声(騒音)はなかなかにクルものがあり、俺も思わず回想してしまったのだ。

 失われたはずの俺が知らない過去の記憶にまで遡り始めた時は真面目に焦ったぜ(回想じゃなくて走馬灯じゃねーか)

 

 今まさに意識が吹き飛ぶ前に、何とか耳栓を用意して事なきを得たところって訳さ。

 

 

♪ハートがチクチク 箱入り浪漫

 ♪それは乙女のアイアンメイデン

 ♪愛しいアナタを閉じ込め──」

 

「む、やるではないか。それでこそ我がライバル。余も負けてられぬな。こんなこともあろうかと! この舞台を作った白き者どもに協力してもらって、黄金劇場の音響を百倍増しにして来たのだ!」

 

 

 うーん、楽しそうで嬉しそう。

 二人の最高の笑顔が見られただけでも満足ですわー(ほのぼの)

 

 でも、今聞き捨てならないこと口走らなかった!? 俺の読心術が間違ってなければ音響百倍とか抜かしやがったよね!?

 つーか白き者どもって白濁化身(ザーメンズ)のことだよね!? 何しちゃってんのアイツら!?

 えっ、まずくない? やばくない?

 

 

 

 

 

 

余の歌も聴けぇぇぇ! ホゲー!!

 

 

 

 

 

 あっ(察し)

 ダメだわ。耳栓の結界貫通した。

 イクんじゃなくて逝くわ、これ無理です(断言)

 ……俺、この特異点で死にかけたり死んだりすること多くない?

 なんで賢者すぐ死んでしまうん?(因果応報)

 

 どうせ死ぬならベッドの上でクライマックス(意味深)を迎えたいものだぜ(隙あらば猥談)

 

 だって仕方ないじゃん。これが俺なんだもの。

 性欲の赴くままに性衝動に従い、心の声として出力する。時にそれはスキル・秘蔵の封印さえも凌駕して行動に現れる。

 禁断症状に近いな。

 

 ぶっちゃけアレだ。

 

 ヘビースモーカーが体に悪いとわかってても、タバコ一向にやめられへん! てな感じの症状に近い。

 

 つまり俺は喫煙者と同類なのだ(タバコ投げつけるぞ)

 

 あっ!? そんな無体な仕打ち!

 まさかの根性焼きだなんて逆に興奮しちゃうからやめろォ!(は?)

 何かの手違いでテクノブレイクしたら目もあてられないでしょうが!(ドン引き)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で今から顔面騎乗の魅力について語ろうと思う(いやなんでだよ)

 

 

 なんか同類……じゃなくてあの『魔物』が顔面騎乗のこと口にしてたっぽいからさ(棒)

 少し独り言がてらもの申したくなってな(棒)

 いや、はい。はっきり理由述べますと耳栓を強化する時間を稼ぐために、破壊音波から意識を逸らす策です、はい。

 

 

 そんじゃ行くぜ……すぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一般的には男性の顔面に女性が騎乗するということから、支配者側は女性で服従側は男性だ。女性が男性に対して強制的にペロペロさせることに特化した体勢でもあり、体重をかければ尻の圧迫感により息苦しさを味わわせることができる。顔面に尻や股間を完全に密着させれば窒息感を、同時に吸気に含まれる股間やケツの体臭が性的な刺激と化すという、SMの中ではマイルドな方のプレイの1つ──と、世間には認識されている行為だろうよ。だが、しかし。否! 断じて否!! 顔面騎乗の楽しみ方はそれだけではない! 誤解している! 確かにM男としての顔面騎乗も良いものだ。だが世の中の女性がみんなSMクラブのSな女王様な訳がない。というより全体で数えるなら少数派だろ。男性の顔面に跨がるなんて行為を普通の女性がやりたがると思うか? ねーよ! 大半の女性は羞恥心や抵抗感を感じて自らやろうとは思わないだろうさ。そう。気付いたか? 顔面騎乗はSとMが入れ替わることができるプレイなのだ。SMプレイまではいかないが攻守逆転の羞恥のプレイとしてな! 顔面に乗る行為自体恥ずかしいが、そういう行為を強制されることが実は好きなソフトなM女も少なからずいる。恥ずかしさを感じることで快感が倍増するM女にとっては、顔面騎乗は手軽な羞恥プレイだし、ソフトSな男性にとっても乗っかった女性の両太ももをガッチリホールドしちゃえば、強制的にペロペロすることが容易。しかも! SとかMを抜きにした場合! SとかMで抜いた訳じゃないからね? シックスナインという69の形のように、双方頭と足の位置が逆となる体勢の女性が上の場合の行為。それの女性が息子を咥えない版はまさに顔面騎乗に近しいものだろう? そう即ち顔面騎乗とは! 同じような行為でもSとMが逆転していても、ましてやSとかMも関係なく誰でも基本楽しめるハイブリッドなエロプレイなのだっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ふぅ、すっきりした(この間息継ぎなし)

 

 

 

 溢れ出す性欲に抗うのならば、己の性的持論を語りまくれば良い(何言ってんの)

 

 性欲を以て性欲を制す(意味不明)

 

 これも大事なクールダウンの手段なのさ(常人にはわからない境地)

 

 ついでに耳栓も強化し直した、これでみんなの鼓膜は守られたって訳だ(今のでできたんかい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間の欲には際限がない。

 

 

 何の気なしに試してみたら届いてしまった境地。

 イけると想定していなかった場所に届いた。

 

 暫くはそれだけで満足できる。

 

 だが、人間の欲は自制をしているつもりでも、勝手に増幅されそもそものレートがいつの間にかはね上がっている。

 

 だからもっともっと高みを目指したくなるのだ。

 

 途中までは上手くイクだろう。

 

 けれど何かの拍子に、満足感を得られなくなるのだ。

 

 前はもっと良かった! 最高だった! と、別に大してヤリ方は変わってなどいないのに。

 

 ただ人間は適応してしまう。

 慣れてしまうのだ。その場合、元の刺激じゃ満足できない体になってしまっている。

 

 そういう時はどうするのか?

 一度レートを下げる為に高みを目指すのをやめ、色褪せたヤリ方に敢えて手を出す。

 そうやって何回かクッションを挟み、ここぞというタイミングで、境地に至るべく爆発させる。

 

 

 

 何の話かって?

 

 

 

 特別なナニをして快楽の高みを知ってしまい、更なる高みを目指し過ぎた末にマンネリ化してしまった時の対処法かな(そんな話だったんかい)

 

 

 

 

 

 …………ん? ちょっと待て。クールダウンしてて今更気付いたんだがおかしいぞ(やっと頭のおかしさを自覚したのか)

 いや、今の今までなんで気付かなかったんだ……?

 

 

 

 

 

 ……よし、この場(音響地獄)はエジソン達に任せて、リリィちゃんと一緒にフェルグスを直接叩くとしようそうしよう(さらっと生け贄にする屑)

 

 

「リリィ、我が道を切り開く。だからキミがフェルグスを討ってくれ」

 

「えっ……私が、ですか?」

 

「そうだ。今こそ修行の成果を見せてみろ」

 

「わ、わかりました。頑張ります!」

 

 

 雑魚退治は引き受けたけど、ひとまず思考に回す時間は手に入ったし、気になったところを整理しておくか。

 リリィちゃんがピンチになったら、介入するし問題ないな。

 

 

 

 

 大賢者モードになった場合、残弾ゼロになるのはいつものことだ。性欲も消失する。

 大賢者モードが切れた後もそれらの特性は今日一日引き継がれるのが普通だ。

 

 だがこれはいったいどういうことだ?

 

 ……性欲が生きている、だと?

 そんな馬鹿な。

 それはおかしくないか?

 まさか一度死んで、肉体をアップデートした時の弊害?

 あまりにも自然に性欲が残留してたのと、『ビッチ』に気を取られててまるで気が付かなかった。

 

 

 冷静になった今ならわかる。

 大賢者モードに至る前の性欲は、俺から発せられたモノだ。それは間違いない。

 

 

 けど、今湧いてるこの性欲は俺のモノじゃない。

 

 

 なんだこれ? なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ!? 得体の知れない気持ち悪さが背筋を這いずる。自覚した途端に目眩を覚えた。

 

 

 

 まるで出そうと思ったタイミングでシコシコのラストスパートをかけるが、見ていたオカズの内容の先が思っていたより微妙な展開だったせいで、出すタイミングを逸し、中途半端なとこで出てしまってモヤモヤが残り、あまり満足できなかった時みたいな感覚(よくわからない例えはNG)

 

 

 

 えっ、じゃあ……ヨーグルトとかバターなどの乳製品を購入してきて自宅で開けたら、中身がヨーグルト(意味深)とかバター(意味深)だった時の心境?(異物混入ならぬ異物ダイレクト)

 そこまでイクと事件じゃねーか? もっとシンプルに?

 

 

 

 …………店で麦茶を注文したのに、いざ口に入れたら椎茸汁だった並みの衝撃(一気に庶民的)

 

 

 

 性欲の暴走なんてのは今に始まったことじゃない。

 ぶっちゃけよくあることだ。

 今までも興奮冷めやらぬ状態に陥り、勢いでぶちまけた(直球)ことだって多々ある(実際最悪だよねコイツ)

 

 けど、大賢者モードになった後は、一眠りしないと性欲は死んだままだったはずなんだ。

 それが普通だった。

 

 だというのに、今の俺は得体の知れない性欲に踊らされている。

 己自身の中で芽生えた劣情に従い、性欲を解き放ち爆発させるのは別に良い。

 俺がヤリたくてヤッているのだから。

 

 しかし、今回は幾分か話が違う。

 真相心理では冷静な自分がいる中で、自分の中でありえない、眼中にすらないはずのジャンルに、何故か勝手に体と上っ面の心だけが興奮しているという気色悪さ。

 

 それはまるで己ではない外部から流れ込む性欲に引っ張られているかのような……。

 これが肉体をアップデートした故のデメリットなんだとしたら、抑え込む必要がある。

 流されたままのがたぶん楽だったんだろう。

 

 けど、自覚してしまったからには、この違和感は許容できない程に気持ち悪い。

 

 俺の性欲は俺だけのものだ。

 俺の中から沸き上がった性欲が、股間に接続された銃を展開し、弾丸を装填する。

 興奮する内容や劣情催す対象は、己の内から生じる衝動を全て乗っけた野獣ならぬ夜銃に従ってこそ、真価が問われるんだ。

 断じてそれは、別の誰かの性欲に委ねていいものなんかじゃないんだから!!(熱意がすごい)

 

 

 

 だって、おかしいだろ。

 メイヴちゃんのチャリオット──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──を引いてる()に激しく欲情したり、クー・フーリン・オルタが纏う()に爆発的な性的興奮を覚えたり、フェルグスの()を見てムラムラしたり、果てには()()()()()()()を見ても性欲が高まるなんてさ!(うわ、コイツ気持ち悪い)

 

 それら一辺倒に偏愛している訳じゃなく、全てにおいて満遍なく性衝動が沸き上がってた分、その違和感に気付くのが遅れたんだと、今なら思う。

 

 別に俺は個人個人が持つ性的欲求に関しては自由だと思うんだわ。そこに差別意識はない。

 人の好みは千差万別。

 それぞれの価値観があってこそ個性だもんな。だから頭ごなしな否定意識はない。

 

 顔面偏差値だけにしても、美人は美人でも妖艶な方に興奮する輩もいれば、清楚さが際立ってる方に欲情する輩がいるし、一般的なクラスメイトレベルの中でも可愛い部類という絶妙なラインの娘にこそ股間が反応する輩もいるし、野暮ったさが抜けきらない田舎娘っぽいイモ臭い方が勃つ輩、しわくちゃな……謂わば老化の進んだ顔、即ち老顔を愛する輩もたまにいるし、極端だとブサ……失礼、顔が冒涜的……これもあれか、醜女……アウトだ訂正、一般向けではない外見を好む輩も少なからずいる(どう言い繕っても失礼なんですがそれは)

 

 喘ぎ声だってそうだ。

 甲高いの、あざとさが濃いの、艶かしいの、野太いの、素人感溢れるの、圧し殺しからの漏れ声、ほぼ絶叫、獣のようななど、まだまだあるんだろうが好みは様々だ。

 

 当然相手が同族やそれに似た種族で無くとも、興奮する輩は世界中にはごまんといる。まあ今は人理焼却されてるから厳密にはいた、かもだが。

 

 だから身内に興奮しようが、赤ちゃんに興奮しようが、外見も中身も見た通りのお年寄りに興奮しようが、ペットの動物に興奮しようが、植物に興奮しようが、壁に興奮しようが、別に問題はない。

 

 己の好みを勧めてくる分には文句などない。

 それによって性癖の新ジャンルが開拓されるかもしれないからな。むしろウェルカムまである。

 

 だが、だからといってその好みを、無理矢理押し付けられるとなれば話は別だ。

 

 言うなればこちらが拒否しているジャンルなのにもかかわらず、身動きが取れないように縛り付けられた挙げ句、顔は正面に目も閉じれないように固定され、強制的に拒否ジャンルを見せられているに等しい。

 

 今の俺はまさにその状態に他ならない。

 いやそれよりも質が悪い。

 生理的に無理なジャンルで、無理矢理性的興奮を誘発されているこの状況。

 

 

 謂わば俺はレイプされているのだ(また世迷い言か)

 

 

 強制的に快感を叩き込まれて快楽堕ちするのと、強制的に他人の価値観による性的嗜好をぶちこまれて性欲を昂らされるの。そこにどんな違いがある?

 完全に一致ではないか(デジャヴ)

 

 何とかしなくては。

 原因を突き止めないと、後々支障が出てくる。

 女性と接触せずともテクノブレイクする可能性が出てきたのはすこぶるマズイ。

 ……どうする? 過去の記憶を一部呼び覚ませれば打開策が出てくるか? だけどそれをすれば俺は……。

 

 

「見ていてください賢者さん。これが貴方との修行の成果です! 」

 

 

 ん? 無駄に思考回してたから、意識飛ばしたまま無意識に戦ってたわ。

 俺、よくフェルグスの攻撃くらわなかったな。

 …………って、なんだって?

 

 

「集中……意識を集中。直感を研ぎ澄ませ、聖剣を信じる。…………今だ! 『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!!」

 

「むっ! その程度……何! 光が直角に曲がった、だと!?」

 

 

 聖剣から放たれた光は異様に細くまるで『線』のようだった。

 最初その光が狙っていた箇所はフェルグスの顔面だったので、彼は剣で防ごうとした。

 しかし、曲がった。剣に当たる直前でその光は直角に下へ曲がったのだ。

 

 だが、そこで終わらなかった。

 

 地面スレスレまで落下した光は、鋭角に曲がり斜め上に跳ね上がるような勢いで進んだ。

 その先にあったのは、フェルグスのフェルグス。

 流石の勇士フェルグスもそんな奇怪な動きで光が飛んでくるとは予測できず、対処できる領域を超えていた。

 

 

「ヌゥン!!??」

 

 

 着弾。

 

 

「ク、ハハハハ! まだ未成熟ではあるが、()き女の一撃にて敗れることになるとは……こんな最期も、悪く、ない」

 

 

 少し遅れて体内から爆発し、フェルグスは呆気なく消滅したのだった。

 

 

 

 …………、………………エェッ!!!???

 ちょっ、四騎のサーヴァント+隠者で戦っても互角以上に渡り合ってたフェルグスを一撃で撃破って、嘘やん。

 

 

「け、賢者さん! 私、やりました! ちゃんと一人で倒せましたよ! 聖剣の使い方も何とか上手くいきました。これもそれも賢者さんのおかげです! ありがとうございます!」

 

「……お、おう。我はできると信じてたぞ」

 

 

 顔がひきつりそうになったり震え声が出そうになるのを、秘蔵の封印で無理矢理抑え込む。

 

 どうやら勝利すべき黄金の剣(カリバーン)は光を超収束させることで、尿道口から侵入可能となり内部から霊核を爆発させるえげつない宝具と化したようだ。

 

 リリィは俺が鍛え上げたことでスキル・直感に磨きがかかり、ある程度接近すれば相手の霊核の位置を、的確に見抜くまでに成長したのだ。あ、見抜くって決して見抜きのことじゃねーからな!?(黙っとれ)

 

 その狙った箇所目掛けて、聖剣の光をホーミングできるようになったらしい。

 

 にしても流石はアルトリアの系譜……。

 あと、純真無垢やべぇな(汗)

 俺の悪戯心満載のアドバイス全部鵜呑みにするから、魔改造っぷりに拍車がかかっちゃったっぽいし。

 

 あっ、けどここまで強くしたのは俺が鍛えてあげたからだし、リリィちゃんに脇コキしてもらうくらいなら罰が当たらないのでは!?(円卓によるリンチが決定した瞬間である)

 

 反省……でも強くなったことは強くなったし! 自信も取り戻してくれたから結果オーライだよね!?

 だから俺は悪くない(などと供述しており)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒエッ……!? だ、誰だ!? アルトリアにあんな戦い方を教えたのは!? いやわかっているとも! 未だ千里眼では観測できずとも干渉した際に見たしね。十中八九『彼』の仕業だな!?」

 

 

 花園の中心部にある塔にて身震いする夢魔。

 

 

「にしても何てことを教えるんだ! あんな光景視るんじゃなかったよ。思わず私もダメージを受けたじゃないか! 精神的に! 女の子を見る度に萎縮しかねないトラウマになったらどうしてくれるんだまったく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 鬱々とした暗闇の中。

 

 

()()()の目的が南軍(私達)を足止めしてる間に、北軍を攻め落とすつもりだったのなら、残念ね。そしてお礼を言っておくわ」

 

 

 唇を舌でペロリと舐める様は酷く艶かしい。

 

 

()()()のおかげで、無理をしなくても“全力”にして“本命”を、投入できるんだから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

 

 フェルグスをリリィちゃんが撃退し、ヘッドを失った北軍など恐るるに足らず! ってな勢いでぶっ潰しにかかってたら魔神柱(チンコ)の軍勢が急に現れたんですけど!?

 まるで超早送りで見た場合の、にょきにょきと生えてきたキノコみたいに!

 

 てか、この局面で!?

 

 しかも二十八人の怪物(クラン・カラティン)ならぬ二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)だと……?

 

 いや、予想の範疇だ。

 流石は『ビッチ』。

 馬鹿みたいにデカイ魔神柱(チンコ)であろうと、二十八本も掌中ならぬ子宮に収めてるとはやっぱただ者じゃねえ!

 

 だが『ビッチ』、今回は手を誤ったな。

 魔神柱(チンコ)は確かに強い。

 第4特異点で戦ったからそれは身に沁みてる。

 

 けどな! どれだけ魔神柱(チンコ)を並べようと俺が怯むことはねぇ!

 俺にとどめを刺すつもりだったなら魔神柱(チンコ)じゃなくて魔神鮑(マンコ)を大量に召喚するべきだったな!

 

 ……てか現れた場合なんて呼ぶのが正解なんだ?

 魔神鮑(マンコ)? それとも魔神花(マンコ)? 魔神華(マンコ)? 魔神貝(マンコ)? 魔神畑(マンコ)? 魔神泉(マンコ)? 魔神壷(マンコ)? 魔神器(マンコ)? 魔神奥(マンコ)? 魔神鞘(マンコ)?(隠語連呼やめろ)

 

 ハァ……? お前らそれ本気で言ってんのか……? インカ神話、クスコ王国初代国王マンコ・カパックに同じ戯れ言を吐けるのかよ?(え)

 太陽神インティの血を引くマンコ・カパックが、サーヴァントとしてカルデアに召喚される可能性は0じゃないはずだ。

 だとしたらお前らはマンコ・カパックを前にして『隠語そのものみたいな名前ですねw』とか言うのかよ?

 

 そんなの人間として屑じゃねーか。

 

 首都クスコに金の杖『タパク・ヤウリ』を突き刺し、太陽の神殿を作らせた偉大なる初代国王を、名前がマンコだからって馬鹿にして良い理由が何処にある?

 否、否、否! 断じて否だ(反語)

 貶めて良い訳がないだろうが!

 謝れよ、マンコ・カパックに謝れよ! 隠語扱いしたことを謝れよ!!(論点のズレが酷い)

 

 

 俺、マンコ・カパックに出会ったら言う第一声はもう決めてあるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 膣鏡(クスコ)でマンコをカパックした後、金の杖(意味深)を突き挿した時の心境を教えてくれないか、ってな!(一番失礼じゃねーか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、ナニはともあれ結局のところ敵は魔神柱(チンコ)なんだ。

 ならば恐れることはない。

 魔神柱(チンコ)の扱いは、オナニーの申し子たる俺が最も熟知していると自負している(いい加減魔神柱と息子を同列扱いするのやめーや)

 だから盛大にイカせてやるよ……!

 こっからは本気だ。真面目に潰してやる。

 第一気にくわねぇんだ。

 

 

「……汚物が我()の前に勃つんじゃない」

 

 

 迫ってきていた一本の魔神柱(チンコ)を性剣で弾く。

 召喚したのは『ビッチ』だが、それに乗じて変態王モロチンが、数々の魔神柱(チンコ)でこの場の美少女達の穴という穴を犯し尽くそうって魂胆が透けて見えるんだよ!!(まだ誤解してたんかい)

 どさくさ紛れに二十八本も見せびらかしてイキリ勃たせてやがるあの露出魔に、レイプどころかブッカケだってさせてやる訳ねぇだろうが!!!(聞く耳なし)

 絶対に阻止してやるから覚悟しやがれ!!!!

 

 

 

 

 

 

 こうして北軍の最終決戦『二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)──勃起魔神柱(チンコ)射精 イ・クブッカケル・レイプ──』は膜を……いや幕を開けるのであった(締まらない)

 

 

 

 

 




汚物があるから清涼剤が輝く……そうやって拙作はバランスを取ってるんだ


…………(それっぽいことを言ってお茶を濁すの図)


前回の投稿予定が近日投稿だった訳だが……まったくできてないじゃねーか!? どう足掻いても近日とは呼べないねこれ!
お待たせして本当に申し訳ない!
しかも想定していた内容まで進めなかったという体たらくっぷり……汚物をばら蒔くとそのぶん文量が増えるせいで、またもや安定の分割ですよ(遠い目)

計画を総崩れさせてくるリアルなんか嫌いだ(ボソッ
だがノルマは潰した、追加がない内に書いてみせる

さて、やっと第5特異点も終盤です
……残り1、2話くらいで第5特異点編は終われるのかなぁ(願望)



あと、まさか前回の文字化けを翻訳した場合の内容の、誤字報告をして下さる奇特な方がいるとは思いませんでした。改めてお礼申し上げます。ありがとうございます



追伸
やったね! 復刻セイバーウォーズ&セイバー・リリィの宝具強化! まさかあのタイミングで来るとはねぇ……。
もうイベ終わっちゃったけど(今更並感)
だから拙作のリリィちゃんの宝具もヤバい方向に進化したんやなって(責任転嫁)


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両利きは魔神柱を倒せる証(誤報)

どうも、最近何が綺麗で何が汚いのか、境界が曖昧になってきている作者です(十中八九こんな作品を執筆してるせい)

今回は賢者がいつもより真面目です(前回のサブタイ通り)

更新が遅くて申し訳ない(安定の遅さ)

やっと長文病に打ち勝ったぞ! やったね!(なお偶然分割が上手くいっただけ)


 

 

 

 

 

「フンッ……!!」

 

「ハァァァアアアアアッ!!」

 

 

 瞬く光のエフェクトと、つんざくような轟音の数々が、頭上天高き空間より伝わり、視覚や聴覚、ひいては肉体そのものを揺さぶる。

 

 これまでの旅路が無ければ、思わず漏らしていたかもしれない光景が天空(そこ)にはあった。

 

 上空にて文字通りの、伝説上でしか認識できないような、神話大戦を繰り広げる二人のインド。

 

 

 施しの英雄、カルナ。

 授かりの英雄、アルジュナ。

 

 

 ランサーとかアーチャーとか。

 クラスなど関係ないと言わんばかりの激戦。

 ランサーだろうが眼から光線は放つし、アーチャーだろうが近接戦もこなす。

 

 ……いや、近接戦は逆に普通かな?

 エミヤなんか双剣での白兵戦ばっかだもんね。

 カルデアにいるダビデとかも杖でばっか殴るし、宝具は投石だし……。

 アーチャーなのに弓を主武装として戦っている方が普通じゃないのかも。

 

 

「この時を、こうして貴様と対等に戦える機会をずっと待ちわびていた。今度こそ──今度こそ対等な立ち位置で決着を! お前の息の根を止めさせてもらうぞカルナ!!」

 

「……ああ、来いアルジュナ。オレも全力で応えよう。この槍に誓って、この肉体(よろい)に誓って。父と母に誓って──勝利を奪う。」

 

 

 その戦いは常人の目ではとても追えず、近付けば余波だけで消し飛びそうな破壊力を伴う衝撃を撒き散らしていた。

 

 とてもじゃないが、地上で戦いを繰り広げられた場合、敵味方関係なしに巻き込まれること必至。

 まさに空想上でしか想像したことのない、否。

 想像を超えた『神話』が天空(そこ)にあった。

 

 

 そんな尋常じゃない戦いを尻目に、私達は隠者さんと別れた地へと再び向かっていた。

 南軍の兵士達はラーマに率いてもらっている。

 つまり私達は小規模編成の別動隊にして本命。

 マスターとサーヴァントだけで構成された特殊部隊『カルデア』だ。

 

 先頭を私を抱えたマシュが駆け抜け、その後ろから進行方向にいる敵の多くを()()()()()()による援護が蹴散らし、横合いから襲い来る障害は、エミヤが双剣で切り伏せ、婦長が時に殴り時に撃ち倒し、後ろから追ってくる敵は殿のスカサハさんが穿ち薙ぎ倒す。

 

 現状打てる最善な布陣のはずだ。

 

 

 最初は別動隊で行動する予定は無かった。

 けれど事情が変わってしまった。

 北の地に魔神柱が現れたとの情報を、ドクターロマンから報告を受けたのがきっかけだった。

 

 それも二十八本。

 

 思わずめまいが起きかけた。数がロンドンの比じゃなかったからだ。

 ロマニによると、女王メイヴがかつて生み出した二十八人の怪物(クラン・カラティン)という存在の枠組みに、魔神柱を押し込んで召喚したようなのだ。

 隠者さんに足止めをくらってるとはいえ、南からのルートは闇の空間があるため実質通行止め。

 だから彼女自身が動けない分、北部戦線を一網打尽にする一手として送り込んだのではないか、との見解だった。

 

 北には賢者さんがいる。

 でも、メイヴとは相性が良くなかったらしいので、彼女が召喚した魔神柱にも苦戦する可能性があった。

 その場合北部戦線が崩壊するかもしれない。

 

 だから急遽別動隊を編成し、一刻も早くこの特異点の元凶たる聖杯を奪取するため、大急ぎで向かっているのだ。

 

 

『気を付けてくれ立香ちゃん、マシュ! キミたちが向かっている場所から膨大な魔力反応が……!? って、なんだこれ?』

 

「ドクター? もっと詳しく」

 

『すごい量の魔力反応なのに、その反応範囲自体は恐ろしく狭いんだ。これはいったい……』

 

「……その中心にいるのが隠者さんなのでは?」

 

「きっとそれだ!」

 

『まさか……その地域だけ周囲の魔力が一点に集まってるのは、隠者くんとやらの仕業ってことかい?』

 

「隠者さんが宝具を発動してるだろうから止めてくれって、賢者さんが言ってたから。たぶんその宝具の効果だと思う」

 

 

 どうやら隠者さんが今回足止めするために発動した宝具は自力で止めることができないみたいで、そのまま放っておくと周囲に魔力がある限り効果範囲を拡張し、やがて第5特異点全体を闇で覆い尽くした挙げ句、最終的に本物のブラックホールになってしまうらしい。

 そうなれば人理修復どころじゃない。

 私達まで巻き込まれてここで詰む。

 

 賢者さんに任されたのは、クー・フーリン・オルタと女王メイヴを彼抜きで撃破し聖杯を奪還すること。

 

 それを成すためには必然的に隠者さんの宝具を解除する必要があるのだ。

 というか隠者さん、わざわざ私達を逃がすためにそんな危険な宝具を使ったんだもん。

 助け出すのは当たり前のことだよ。

 私達が賢者さんを助けるって息巻いたのに、結局隠者さんに救われたようなものだしね。

 

 

「あっ! 先輩! アレを見て下さい!」

 

 

 マシュに言われて目をこらす。

 視線の先にはドーム状に形成された闇の空間。

 間違いなくアレだ。

 目的地に接近しながら、私はマシュと並走しているナイチンゲールに一声かけた。

 

 

「婦長、手筈通り宝具を一発お願い!」

 

「言われるまでもありません。根本治療のためにあの闇の空間(病原菌)は滅菌しなければ!」

 

 

 賢者さんに言われたのだ。

『幸いなことに、隠者が展開している宝具を止める最適な手段を持つサーヴァントが今は仲間にいる』、と。

 

 

「周りの敵は任せるねエミヤ! スカサハさん!」

 

「ああ、任された」

 

「引き受けた」

 

 

 闇の空間の目前にたどり着いたので、マシュに降ろしてもらおうとした。

 だが。

 

 

「う、うわぁ! か、体が吸い込まれる……! 待って足が浮いて」

 

「マ、マスター! わたしの盾の裏に!」

 

「くっ! ……よっと。ふぅ、助かった」

 

 

 伸ばされたマシュの手を掴んで戻り、盾の裏側に体を預けて一息吐いた。

 ギリギリセーフ……!

 危うく闇の空間から生じる引力に足許をすくわれて、助けに来たはずの私まで隠者さんの宝具の餌食になるところだった。

 危ない危ない。

 

 

『大丈夫かい立香ちゃん!?』

 

「だ、大丈夫でーす。思わずブラックホールに飲まれかけただけで」

 

「全然大丈夫じゃないですからね先輩」

 

「それよりもドクター。隠者さんの位置は?」

 

『キミもだいぶタフになったね。……魔力が集まる部分に隠者くんの反応がうっすらある。マシュの読みは正しかったみたいだね。だから恐らく闇の半球体の中心部にいるはずだよ』

 

 

 だいたいの場所がわかれば後は彼女に任せるだけだ。

 

 

「婦長!」

 

「すべての毒あるもの、害あるものを絶ち、我が力の限り、人々の幸福を導かん……!」

 

 

 ナイチンゲールの背後に、彼女に酷似した巨大な『白衣の女神』の上半身が顕現する。

 

 

我はすべて毒あるもの、害あるものを絶つ(ナイチンゲール・プレッジ)!」

 

 

 巨大な『白衣の女神』は大上段に構えた剣を、闇の空間の核目掛けて振り下ろした。

 

 効果範囲のあらゆる毒性と攻撃性を無効化するという婦長の宝具だ。

 即ち、一時的に武装や宝具の効果が失われる。

 強制的に作り出される絶対安全圏。

 

 ……いつ見ても攻撃宝具にしか見えないけどねこれ。

 まさにダイナミック帝王切開、みたいな。

 

 とはいえ、その力が一部の闇を祓う。

 だが残念ながら隠者さんの宝具を完全に封じるには至らなかった。

 効力が強すぎるのだ。

 けれど、それで良い。

 隠者さんの姿を()()()()()()()()()()ようにするのが目的なのだから。

 

 婦長の宝具は回復効果も兼ねており、()()()()()の体力や魔力を大幅に回復してくれる。

 それが最も重要なことだと賢者さんは言っていた。

『隠者の宝具は効果範囲内における干渉を全てマイナスに変換してしまう。……攻撃されれば回復する。つまり逆のパターンをこなせば良い』、と。

 回復してあげれば逆にダメージを受けるということ。

 だからこそ彼女の宝具が最適だった。

 

 闇の中から彼を見つけ出し、回復することを可能とするナイチンゲールの宝具が。

 それが炸裂した結果。

 

 

「ウギャァァアアアアアアアア!!!???」

 

 

 回復宝具は開腹宝具と化した。

 剣が振り下ろされてる絵面も相まって、まさしくダイナミック帝王切開。

 隠者さんの悲鳴が大陸中に木霊した。

 

 

「────って、エェッ!?」

 

 

 ちょっ! 賢者さん!?

 ここまでの大惨事になるなんて聞いてないよ!?

 隠者さん血塗れなんだけど! お腹の部分がパックリ傷口開いちゃってるんだけど!?

 私は思わず盾の裏側から飛び出して、隠者さんに駆け寄っていた。

 幸い隠者さんの宝具は解除できたらしく、発生していた闇も引力も薄れていたからそれは良い。

 でも、ここまでの事態になるなんて聞いてない!

 それなのに彼はサムズアップしてきた。

 

 

「た、助かったぜ嬢ちゃん達……精神ダメージが許容限界いっぱいで、意識を虚空に投げ渡す寸前での肉体ダメージ。見事だったぜゲフォッ……!!」

 

『血反吐吐きながら言っても説得力皆無だぞ隠者くん!?』

 

「フッ……これは吾の一発芸ガフッ……!」

 

「何処が一発芸なんですか!? 一発芸にしては体を張りすぎです! 余裕もまったく感じられません!」

 

 

 ドクターもマシュも大慌てだ。

 本当だよ!

 病弱な沖田でもそんな量の血吐かないよ!

 一発芸というには無理があるってば! 全身痙攣してて産まれたての小鹿みたいじゃん! 今にもポックリ逝きそうじゃん!

 

 

「ほ、宝具は解けたんだよね?」

 

「お、おうよ……ゴポッ」

 

「なら婦長! もう一回宝具……いや使ったばっかじゃダメか。スキルで治療を頼める?」

 

 

 スキル・鋼の看護なら治療可能なはずだし!

 

 

「え、ええ。きき傷は……わ、私が癒します!」

 

「あ、これダメなやつです! 手に持ったメスや薬品が震えています」

 

「わー! ストップストップ!」

 

『治療するはずの宝具でスプラッタな事態を招いたから、きっと動揺してるんだ!』

 

 

 たぶん命を奪うつもりで救う場合なら、彼女はまったく微動だにしないだろう。

 今回は攻撃の一切を封じ込みかつ仲間を癒す宝具を使用したにもかかわらず、逆に血塗れになったから少し取り乱したんだ。

 私は場違いながらこんなことを思っていた。

 

 ナイチンゲールでも動揺することあるんだ……。

 

 そんな思考を浮かべた私は、ここが戦場のただ中で、隠者さんが今まで何を封じ込めていたのかすら、この一瞬だけ頭から抜け落ちていた。

 エミヤやスカサハさんが、周囲のケルト兵とワイバーンやキメラなどのモンスター、そして賢者さんが生み出したはずの白き生命体を()()一掃している最中にもかかわらず。

 

 

 

 

「新たな私の(しもべ)たち、私に力を貸してちょうだい」

 

 

 

 

 その一瞬の油断が。

 

 

 

 

 

「そしてお出でなさい、『白き巨人』。私に歯向かう敵を一掃するのよ!」

 

 

 

 

 死を招く。

 死は身近なんだと私は改めて自覚したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たまたま(意味深)、今の南軍の状況がどうなってるのか気になって隠者の視界を通して見てたんだけどさー……。

 隠者の奴、立香ちゃんにナニやってんだ。

 自分が死にかけてんのにわざわざサムズアップするとか、常識を疑うぜホント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だって「Fuck you」とか「お前の肛門に突っ込んでやる」なんて意思表示をあの局面で普通するか?(絶対その意味で使ってねーよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 えっ? サムズアップだぞ?

 そういう意味のジェスチャーやん(解釈違いだよ)

 日本人のマスターにそんな意味で使う訳ないって?

 

 いやいやいや、それこそ偏見よ。

 俺なら使うもん(常識を疑うとはこれ如何に)

 あの局面で使ったのがサムズアップだったことに、常識を疑ったのであって、ジェスチャーを使うことを否定した訳じゃねーよ。

 

 どうせ使うならさ、俺なら親指と人差し指で輪をつくるOKサインを使ってるとこだね。

 

 

 

 

 

 

 

 女性に向かって使うと『女性器(マンコ)』って意味になるからさ!(日本人のマスターには通じねーよ)

 

 

 

 

 

 

 ナニを言ってんだ。それが良いんだろ?

 アレよ、一種の無知シチュ的な感じでさ(セクハラじゃねーか)

 猥褻な行為をされてるとは微塵も思ってない相手に、卑猥な意味のジェスチャーをするところに背徳感が湧くんだろうが! わっかんねぇかなぁ?

 

 あ。ちなみに男性には使うなよ!? 男性に向かって使うと『肛門(アヌス)』って意味になって、「Fuck you」って表現に取られるからな!(ブラジルで使うのはNG)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっと! 隠者のせいで脱線するところだったぞ! 今そんなジェスチャーの解釈違いによる無知シチュの魅力について語ってる余裕なんざまるで無ぇんだよ。

 ったく、隠者ってば傍迷惑な奴だぜ(おまいう)

 隠者が無駄なジェスチャーするから、俺が心の中とはいえツッコミ入れるはめになったじゃねーか(ブーメラン)

 

 

 

 

 

 

 閑話休題。

 いつもなら一発出してたが、生憎今回は弾切れだ。残念だったな()

 

 

 

 

 

 さて、突如出現した二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)を目前にして、皆戦慄していた。

 戦意すら喪失しかけていた。

 それ程までに強大な気配を放つ、おぞましき魔神柱(チンコ)の集合体。

 恐らく強化された『ビッチ』に召喚されたおかげで、一本一本の戦闘力もロンドンに現れた魔神柱(チンコ)以上と化していることだろう。

 だが、そんな敗戦確定染みた空気をぶち破るが如く、俺は臆せず前に出る。

 

 

「ッ! 賢者さん……?」

 

「……エジソン。機械化兵士やレジスタンスだった連中は全員撤退させろ。アレの相手はサーヴァント以外には流石に酷だ。無駄な犠牲は出すべきじゃないだろ?」

 

「あ、ああ! わかった!」

 

 

 呆然としていたリリィが、俺が前に動き出したのを見て反応したが、今は先にエジソンに指示を出した。

 無駄な犠牲を出すこと程、愚かなことはない。

 兵士はやられても問題ない白濁化身(ザーメンズ)だけを残して、全員避難させる。

 

 奇しくも二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)の出現によって、変態王モロチンに対して怒りのボルテージが跳ね上がり、俺を蝕んでいた謎の性欲から解放されたのだ。

 

 おかげで今の俺は頗る冷静で思考もクリアだ。

 だが一時的なものだろう。感覚的にわかる。

 気を抜けばまた謎の性欲に囚われる。

 けれど、この状態にならない明確な手段を用意する余裕は残念ながら今はない。

 

 

 ならば今は冷静な思考が可能な間に魔神柱(チンコ)をへし折るのみ!

 

 

 今の俺はフルバーストした弊害で、白濁光を使えない。初っぱなから大賢者モードですらない。おかげで『疑似顕現・2D(ツーディー)シェルター』すら使えない。はっきり言ってロンドンでの状態よりも悪い。

 

 それがどうした。

 

 あの時とは違う。

 たとえ白濁光も宝具(こかん)が使えなくたって、他の攻撃手段は複数用意してる。

 

 否。

 

 そんなことは問題じゃない。

 俺が招いた問題が仲間に波及した。

 二人の少女に尻拭いをまるまる任せるはめになってしまった。

 俺のせいで更なる強敵と化した『ビッチ』の相手を、彼女達に押し付ける形で。

 

 それが元々善意の行いだったとかは関係ない。

 実害を及ぼしてしまってる以上、これは咎だ。

 実際ここまでの戦いで、俺なら親玉相手でも上手く立ち回れる、大丈夫だという慢心があったのも事実。

 そんな思い上がりが、守りたかった二人を傷付けるかもしれない『強敵』を生み出した。

 

 けれど、俺は干渉できない。

『ビッチ』が相手では現状の俺は足手まといどころか、便利な強化アイテムでしかない。

 参戦するだけで邪魔者どころか、難易度が激増。

 その場にいない方が絶対にいい。

 つまり彼女達に任せる他ないのだ。

 

 

 だから俺は償わなければならない。

 

 

 せめて北部戦線は維持する。

 それくらいは任された身として最低限やらなければ立つ瀬がない。

 だが、あくまで最低限だ。

 それ以上の成果を出す気概が無くてどうする。

 

 

「賢者さん……? いったい何を……」

 

 

 俺がやるべきこと、それは。

 

 

「……知れたこと。(この特異点における)全人類(童貞卒業者と『ビッチ』除く)の救済だよ」

 

 

 確かサンタアイランド仮面がどっかの世界線で言っていた言葉だ。

 その願い、俺が引き継ぐ(願い下げなんだよなぁ)

 だからアンタの宝具名を勝手にリスペクトさせてもらうぜ!(オイやめろ)

 

 

「そのためにはあの脅威は即刻排除しなくちゃならない」

 

 

 ただし変態王モロチンと対峙した時の魔神柱(チンコ)は四本だったが、今回はその七倍の本数。

 

 

「だが我一人では奴らの相手は流石に荷が重い。半分は我が引き受ける。だから残り半分は皆に任せたい。……頼めるか?」

 

 

 俺は背を向けたままだ。

 いやだって、どの面下げて感半端ないし。

 でも一人でやってまた失敗するのもあれだし。

 だからと言ってこれは贖罪も兼ねてるつもりだから、人より多く屠らなきゃダメだと思うし。

 その絶妙なラインじゃない? 14本の魔神柱(チンコ)相手に戦うって。

 

 

「任せて下さい賢者さん! 私の聖剣の威力もあなたのおかげで上がりましたから、お役に立てるはずです」

 

「わざわざライブステージを用意してくれたそなたの頼みだ。余達に任せよ」

 

「ええ! こうなったらやってやるわよ! プロデューサーの無茶ぶりに応えるのもアイドルの務めだものね!」

 

「よくってよ、とっておきを出してあげる!」

 

「ハッハッハッハッ! 貴様は休んでいるがいい凡骨。雷撃を振るうこの私がいる以上、出番はないからな」

 

「ば、馬鹿を言うなミスター・すっとんきょうが! 貴様一人に任せるくらいなら雷音強化(ブーステッド)してトーマス・マズダ・エジソンに変貌した方がまだマシだ! 無論、私も戦うに決まっているだろう!」

 

 

 そうか。ああ──安チンした(清姫が来るぞ)

 

 や め て。冗談でも勘弁して(なら言うな)

 

 気を取り直し、俺は二十八本の魔神柱(チンコ)がひしめくただ中に躊躇なく飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………いや、よくよく考えれば二十八本のチンコがひしめくただ中ってなんだよ(哲学)

 

 字面だけ見ると、そんなただ中に飛び込むとか、自ら輪姦されに行ってるみたいで酷く気持ち悪い絵面が浮かぶんだが……オエェェエエ……! きもちわるっ!?(いい加減学習しろ)

 

 完全に『大乱交穴兄弟(ホールブラザーズ)』じゃねーか! しかも穴にされてるのが俺なんだとしたら、全員男でくんずほぐれつしてるってことに……いや魔神柱(チンコ)だし触手プレイに近オボロロロロロ(嘔吐)

 

 やめよう! これ以上の想像はやめよう!?

 

 おのれ……! 魔神柱に魔神柱(チンコ)って名付けた理由は、こういう想像をさせて精神ダメージを与えるためだったのか!(テメェの仕業だろ)

 変態王モロチン絶対許さねぇ!(冤罪)

 

 

 見せてやるよ新たな力!

 真第一宝具『童貞の夢は終わらない(ザ・ヴァージニティ)』は俺の肉体そのものだ。

 つまりその効果を使えば、俺の体の部位ごとに別効果を発揮する宝具を編み出すのは容易い。

 イクぜ! 初お披露目の宝具の数々。

 

 特と見よ!!(嫌な予感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右手・自家発電(ライトハンド・マスターベーション)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一本の魔神柱(チンコ)の先端が弾け飛ぶ(リスペクト=パクリの免罪符じゃねーから!)

 

 

「ヒッ……! ちょ、ちょっと待って! ま、魔神柱って、もしかして男の人の()()なの? ねぇ! ()()なの!?」

 

 

 魔神柱(チンコ)の先からなんか出たのを見て、エリちゃんがすんごい慌てふためいてるけど、いったいどうしたんですかねぇ?(すっとぼけ)

 

 ぶっちゃけ説明するまでもないだろうが、右手で触れた魔神柱(チンコ)の先端から中身(意味深)を搾り取る宝具だ(相変わらず汚い)

 

 続けてイクぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 左手・観客不在(レフトハンド・マスターベーション)

 

 

 

 

 

 

 またもや別の魔神柱(チンコ)が爆散する。

 

 こいつも右手とほぼ同様の効果を有する強制射精宝具さ(天草四郎ですら救済拒否案件)

 

 フッ、俺は両利きなのだ。即ちどちらの手もオナニーを極め抜いてる! あっ! 極め抜いてる上、極めて抜いてるというダブルミーニングだからね? そこんとこおわかり?(どうでもいいわ)

 

 

「」

 

 

 おや? エリちゃんってば絶句してる。

 仕方ない。ちゃんとさっきの質問を、律儀に答えてあげるとしましょうかね。

 

 

「……キミは知らなかったのか? 人理焼却を仕出かした今回の黒幕は、己のことを魔術王と名乗っているが、実際は魔神柱という名の局部を見せびらかしながら、小便をかけるのを嗜好とする小便王だぞ」

 

 

 俺ってば親切ぅ(風評被害拡散)

 

 

「な、な、な──! なによそれーーーーーー!! それってただの変態じゃないのよー!!」

 

「……肯定はしない。しかし、第4特異点で本人に遭遇した時に入手した情報によると、人理焼却をした理由も、人類の死に様をネタに自慰にふけるという快楽殺人目的らしい。それが嘘か真かは不明だからこそ……否定もできない」

 

 

 変態王モロチン、今回は直接変態とは言わず、曖昧に言葉は濁してやったんだから感謝しろよ?(上から目線な恩情)

 

 

「うむ……。随分と前衛的なデザインだとは思っていたが。よもや本物だったとは」

 

「なんと、交流以上にわかりあえん存在か……。立場は違えど、大統王にして発明王なこの私と魔術王。同じ王なのだから理解できるところもあると考えていたのだがなぁ」

 

「直接見えんことには定かではないが、もしそれが事実なら直流以上に理解に苦しむな。紳士の風上にもおけん」

 

「……なんというかそれが真実か嘘かは置いておくとしても、そんな内容で嘘を吐く時点でマハトマがまるで感じられないわ」

 

「ヘンタイよ! ヘンタイ! 魔術王じゃなくて変態王の間違いじゃない!」

 

 

 うんうん。良かったなモロチン。

 俺のおかげで順調に貴様の名声(醜聞)がどんどん世に広まっているぞ(謂れのない風評)

 全員鵜呑みまではいかなかったのが残念だが。

 とはいえ、信じる信じないは別としても、この噂をサーヴァントで知らない者は直にいなくなるんじゃないか?

 嬉しさで咽び泣くが良いさ(黒幕大激怒不可避)

 

 

 ……このタイミングで言うのもアレだが、実はまた一つ新たに重要な記憶を取り戻していた。

 

 

 俺の体内にはどうやら『聖杯』とは似て非なる、けれどモデルは同一な、亜種とも言える器──その名も『性杯』が埋め込まれているようだ。

 その性能はオリジナルよりは劣化するが、魔力リソースとしては十分な力を発揮することは既にわかっている。

 本来の使い方『顕現器』としての役目は、“童帝神”という存在の確立により()()()()()()()ため、気兼ね無く魔力に還元できる分、今は都合がいい。

 

 俺の両手はオナニーを極め抜いたことで『不浄』を司る宝具と化した。

 

 ひとたび触れれば、『不浄』判定を受けた存在のエネルギーを強制的に排出させる力がある。

 魔神柱(チンコ)は当然、醜悪な外見だけではなく魔羅と同じく『魔』に精通する存在だ。『不浄』一択なのは言うまでもない。

 

 そして俺が両利きだからこそ、この宝具を編み出すことができた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『性の杯(ヘヴンズヒート)』起動。魔神柱に絶望を」

 

 

 

 

 

 

 双手・自慰重婚(ツインハンド・ジョブマリッジ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両利きの俺は両手が恋人!

 これこそはオナニーに欠かせない二人の力を一つにした絶対射精宝具だ!!(島原の乱不可避)

 よって、まとめて三本の魔神柱(チンコ)の先端から中身(意味深)が噴水の如き勢いで噴き出る。

 

 その光景はまるで……極太芋虫を潰した時に出てくる体液。男達の分身とも言える存在の咆哮と呼んでも過言ではないかもしれない。断じて射精には見えないようん。飛び出た中身(意味深)が白濁色じゃないからね! 射精には見えないって!(回りくどい)

 

 これで合計五本撃破だ。

 

 

「なんと……! よもやこの短時間で五本も倒すとは!」

 

「諸君! 我々も続くぞ!」

 

 

 ……士気は上がったみてぇだな。

 無茶な動きをした甲斐はあったか。

 俺の魔力は、基本的に精液に依存している。

 魔力の9割が精液だ。

 けれど、フルバーストしちまってる現状では1割分の魔力しかない。そんな状態での宝具の連発は、神の体とはいえ生身の俺には負担がでかい。

 

 体内に埋め込まれた性杯の存在を、「思い……出した!」 してなければ、魔力を捻出しただけで意識不明になっていた可能性すらある。

 

 とはいえ結局のところ残存魔力は乏しい。

 だけど、この戦いで使い切るくらいの覚悟で挑まなきゃ、たぶん負ける。

 ならば魔力を効率よく使って無駄な消費を抑えろ! 二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)の進軍を許してはならないんだ! 犠牲者を出さないためには!

 勝つ必要はない。けれど負けるな! 余力は残せ! とにかく今は耐え抜け!! と。

 

 

 

 ────そうやって俺に、後僅かなきっかけで思い出せそうな記憶の断片が、心の中で訴えかけて来るんだ。

 

 

 

 何が何やらわからない。

 この記憶の解放条件もわからない。

 時間の経過で目覚めるものなのか、特定の条件を満たすことで思い出せるのか。

 それすら不明。

 

 

 でも、それでも。

 

 

 この記憶が重要なもので、思い出せばこの戦況を大きく変えうる力になることを、深層心理で理解していた。

 

 魔力に乏しい危機的状況下であるなら、尚更有用な力であることも。

 

 なるべく犠牲を出さないことこそ、この記憶に秘められた力を使うために最重要なことなのだと、直感的に理解していたんだ。

 

 きっとこれは予兆だ。

 俺の──否、童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の躯が、危険な『何か』を察知していて、その『何か』に対抗する為の手段を、使うための条件を警告してきているんだろう。

 

 だからこれ以上の犠牲を北側では出させない。

 その決意の元、魔神柱(チンコ)を抑える。

 

 南側の犠牲はマスター頼みだから祈る他ない。 

 俺にやれることをやる。

 今は魔神柱(チンコ)を足止めしつつ、いずれ来る『何か』を警戒しながら、記憶を思い出す。

 それが先決。

 

 

 そう、これは堪え忍ぶ戦いだ。

 

 即ち俺が最も苦手とする行為にして苦行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 謂わばオナ禁と同一(真面目かと思いきやこれ)

 

 

 

 

 

 

 

 今はフルバースト済みだから耐えられるが、通常時にマスを触るのも、見てイクのも抑えなくちゃいけないなんて……通常時に女性に触れてフルバーストせずに耐える並みの難易度だ(そこまでか)

 

 俺は基本的に我慢するという発想がない。

 

 欲望の赴くままに、欲情したら即発射が常だ。

 

 それが趣味における射精であろうと、戦闘時における白濁光の射出であろうと。

 

 俺が出してない時なんてほぼない。

 

 俺にとって射精とは、呼吸なのだ(は?)

 つまりフルバースト後の弱体時は、常に息を止めて行動してるに等しい。

 それは通常時なら環境に適応できているが、弱体時では空気を吸った途端、後遺症が残るレベルの事態に発展する──即ち弱体時の接触はテクノブレイクを招く。

 それで死なずとも、最悪不能(インポ)は確定だ。

 普段なら弱体時に性欲が湧くことは無かったはずだが、今は謎の性欲に翻弄される危険性まである。

 だから怒りも絶やしてはいけない。

 

 

 そんな恐怖を抱えつつ、女性と接触をしないよう常に気を張り続けねばならない。

 

 まるでそれは、勃起を常に保ちながら射精はしないように我慢汁を出し続ける時と似ている(同じ扱いかよ)

 

 

 どちらにしろそれは辛い。

 苦行でしかない。

 ぶっちゃけストレスが貯まる。

 

 けれど、いつものストレス発散である射精は使えないという悪循環。

 この負のスパイラルにより憂鬱の魔力は生成できるのだが、如何せん隠者が現界している以上、その魔力は隠者にしか使えないし隠者に自動で供給されるから、俺自身の現状改善には至らない。

 

 辛かろうと『何か』が訪れた場合に対抗する為の余力を残す必要がある。

 だから今は耐える他ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────なんてな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この局面で消極的になってどうすんだ!!

 モロチンに一泡吹かせるために、魔神柱(チンコ)にも一泡(意味深)噴かせてやるってくらいの気概が無くてどうする!(どうしてそういう言い回しなの)

 

 

「この剣は金玉(黄金)の写し身。天我裸ティン(TENガラティーン)よ真の姿を我の前に示せ!」

 

 

 俺の詠唱に応じ性剣のギミックが稼働する。

 刀身が上空に射出され、白濁の光がリング状へと姿を変えた。

 

 魔神柱(チンコ)に拮抗する程度で良いのか? いいや! 断じて良い訳がねぇ!!

 

 さっさと二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)を蹴散らしておかなきゃ、マスター達に『ビッチ』が倒された後助っ人に俺が向かえねぇだろ!

 

 来るかもわからない『何か』に怯えて、出し惜しみをして二人のピンチに駆け付けられない方が嫌なんだ!

 

 

「それはあらゆる性器(精気)を搾り取る光の円筒。臨界にて果てろ! 『白濁光膜の円環(プレジャーホール)』!」

 

 

 上空に展開していた白濁の光の輪が、さらに円筒へと姿を変えて落下し、魔神柱(チンコ)を包み込み締め付けながら、高速でピストン運動を繰り返す。

 

 

 ん? 繰り返す……? クリ返す? マングリ返……ハッ!? 股間(コカン)! じゃなくてアカン!

 今はビラビラじゃねぇ! チンチンを骨抜きすることに集中するんだ!(言い方ェ)

 

 

 魔力が乏しい? 限界を超える覚悟で挑まなくてどうすんだ! 自然界の魔力を掌握し、どうせなら魔神柱(チンコ)からも魔力を奪えばいい!

 

 体内で生成する魔力だって、生命力から無理矢理にでも引き出せば良い! 性杯の稼働限界を無視して絞り出すってのも手だな。

 

 やがて宝具(オナホ)の効果により、魔神柱(チンコ)の中身(意味深)が、ドピュッと一発先端から噴き出した。

 

 

「次」

 

 

 ここで無茶しなくていつ無茶するんだ。

 失敗を取り返すなら、それなりのリスクを負うのが筋ってもんだろ。

 

 

 筋? マン筋……違う違う違う!

 今は筋じゃねぇ! 棒にだけ意識向けてろ!(それはどうなの)

 

 

 ……向けてろ? 剥けてろ? クリを剥き剥きッ……! ちっ! 油断するとこれだ。

 剥き剥きじゃねーよ! 今はムクムクの方だ。ナニイッてんだ!(本当に何言ってんの)

 

 

 現状ではどうにもならない『ビッチ』が相手なら、こんな無茶はしない。

 魔神柱(チンコ)が相手だからこそ、無茶を承知で断行するんだ。

 

 

 断行? ……男根?

 ナニも間違ってないな。今は男根のことだけ考えてれば良いんだから(頭涌いてるの)

 

 

 無茶をしても勝てる可能性が0の相手と、無茶をすれば勝てる可能性のある相手。

 

 後者が相手なんだ。

 勝ちにイカせてもらうぞ!

 

 目指すは最低ノルマ14本を超えること!

 とにかく片っ端から魔神柱(チンコ)をズル剥けにして、一発ずつ抜いてやるぜ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 って………………あれ?

 なんか俺、複数の魔神柱(チンコ)相手に抜いてやる宣言って……乱交される側ポジションにいない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完全に『大乱交穴兄弟(ホールブラザーズ)』じゃねーか! しかも穴にされてるのが俺なんだとしたら、全員男でくんずほぐれつしてるってことに……いや魔神柱(チンコ)だし触手プレイに近オボロロロロロ(デジャヴ)

 

 やめよう! これ以上の想像はやめよう!?

 

 おのれ……! 魔神柱に魔神柱(チンコ)って名付けた理由は、こういう想像をさせて精神ダメージを与えるためだったのか!(無限ループってこわくね?)

 変態王モロチン絶対許さねぇ!(原点回帰)

 

 

 

 




ごめんなさいサンタアイランド天草仮面







【戯れ言】
さて第二部始まっちゃいましたね……無論私もやりました。二部の始まりに相応しい良い話でした。軽くネタバレしますと第二部OPの最初ら辺の白い荒野とか、永久凍土帝国のCMなんかの舞台って思いっきり雪原っぽいですけど、実はアレ全部賢者の白濁光なんですよ(大嘘)

あと個人的には、どっかのギャグイベントでエルドラドのバーサーカーとサリエリが同時に『ア○○ウスゥゥゥ!!』って叫ぶシーンが見たいと思いましたまる


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屈指のオカズ率不動の第一位の意味(覚醒)

アポイベのせいで投稿が遅くなりました()

唐突にレイド戦なんか始まるから……(QPと素材おいしいですありがとうございます)
時間が取れるうちに狩らなきゃ(使命感)

と、まあそんなことを作者がしてる間にも誤字報告して下さった方どうもです
誤字はなるべくしないように心掛けてますし、投稿前にも読み直して確認。投稿後にも読んでて気付いたら直ぐ編集してますが、やはり見逃しも出てきてしまうので……誤字報告は非常に助かってます
今までに報告してくれた方にも改めて感謝を

それでは本編を……ん?
撃退戦は5月6日までだっただろ? じゃあこの1週間何をしてたんだって?
そりゃ……撃退戦があった間に放り投げていたリアルノルマの処理ですよ

1つ今回のことで学んだけど、たかがゲームを優先してリアルノルマを後回しにするのは、自分の首が絞まるからやめようね、絶対(遠い目)

では改めて本編をどうぞ
結局、長文病は治りませんでした


 

 

 

 

 

 死んでいた。

 

 

「ッ……。はっ……! はっ……! はっ……!」

 

 

 一歩でもズレていれば藤丸立香は死んでいた。

 

 喉が引きつって上手く呼吸ができない。

 

 それでも無理矢理現状を再認識し、まだ生きているのだと、少女は意識を切り換える。

 

 精神を安定させ、過呼吸になるのを抑え込んだ。

 

 

「ぐっ……! 無事ですかマスター?」

 

「な、なんとか……」

 

 

 そしてズレていなくても、マシュが咄嗟に盾を構えて土砂の波と衝撃波から守らなければ、藤丸立香はここで間違いなく死んでいた。

 

 地割れの巻き添えをギリギリくらわず足場が崩壊しなかったのは奇跡に等しい。

 

 その事実に少女はゾッとした。

 

 何かの歯車がズレただけで死臭が濃厚な現実に。

 

 とても日本で、のほほんと過ごしてきた頃とは、あまりにも違い過ぎる事態。

 

 今までの特異点での戦いでも死は身近にあったはずなのに、何故今更になってこんなに恐怖を感じているのか、立香自身疑問だった。

 

 でも直ぐに思い至る。

 

 

 賢者のアヴェンジャー。

 

 

 彼の存在が大きかったことに。

 

 人理焼却の黒幕と対峙して、五体満足で生き残れたのは間違いなく彼のおかげだ。

 

 賢者のアヴェンジャーは普段は寡黙で仏頂面なのに、戦闘時は突拍子もないことをすることも多い。

 

 けれど、彼がいると死を感じないのだ。

 

 ハチャメチャで多彩な攻撃手段で彼は、あらゆる敵を薙ぎ倒してきた。

 

 彼という存在がその場にいるだけで、なんとも言えない安心感が確かにあった。

 

 賢者のアヴェンジャーがいれば、大丈夫何とかなる、という根拠のない安心感があったのだ。

 

 しかし残念ながら、彼はここにはいない。

 

 頼りになる背中を眺めることはできない。

 

 その前提が崩れたのだ。

 

 彼にとって天敵なサーヴァントが立ちはだかったことで、その安心感は失われた。

 

 同時に知らず知らずのうちに、賢者のアヴェンジャーへ依存し過ぎていたことにも気付いた。

 

 少女はそれらを深く自覚し、その上で彼がいなくても戦えることを証明するため、死の恐怖に向き合う覚悟を決める。

 

 

 頼りっぱなしは嫌だったから、頼られたいと思ってしまったから。

 

 

 決意を新たにこの状況を切り抜ける為、少女はなけなしの思考をフル回転させる。

 ただし、

 

 

「ゴパァッ!!??」

 

 

 盾の外側に転がっていた隠者は、そのまま土砂の波に巻き込まれて流されていったが。

 

 

「い、隠者さーん!?」

 

「患者が土砂に流されました! 至急救出に向かいます!」

 

「あっ、ちょ、婦長も待って……! ヒエッ」

 

 

 後ろへ振り向いて伸ばした手は虚空を掴む。

 けれど途方に暮れる暇は無く、背後の存在感にヒヤリとした立香は改めて前を向く。

 立香の目の前に聳え立つのは『白き柱』。

 否、それは『足』だった。

 女王メイヴが支配下に置いた白濁化身(ザーメンズ)の集合生命体『白き巨人』の『足』。

 

 少しでもズレていれば、生まれ落ちた『白き巨人』に踏みつけられ絶命していた。

 しかし、未だ危機的状況にあるのは変わらない。

 一つ行動を間違えれば即座に訪れる死。

 

 

『な、何が起きてるんだい!? 通信越しでも伝わる程の地響きだったぞ! 立香ちゃん、マシュ! 頼む、応答してくれ! ……なっ!? どうなってるんだ! この馬鹿デカイ霊基反応は!?』

 

 

 とてもじゃないが、彼女達に答える余裕はない。

 何せ『白き巨人』の足はまだ止まってない。

 息吐く間もなく蹴りが迫ってきている。

 

 

「マスター! 急いで距離を……!」

 

「だ、ダメ。間に合わな!?」

 

 

 二人は()()()()()()に突き飛ばされ、何とか蹴りの軌道上から逃れた。

 ただし軌道上からは逃れたものの、通過した蹴りにより生じた衝撃波が彼女達を襲い、二人は呆気なく吹き飛ばされ空中に放り出された。

 しかし、二人が地面に無惨にも叩き付けられることは無かった。

 

 

「大丈夫か!? マスター!」

 

「マシュも……無事のようだな」

 

「エミヤさん! スカサハさん!」

 

「あ、危なかったぁ……ありがとね二人とも」

 

 

 そんな空中に投げ出された二人を、エミヤとスカサハがそれぞれキャッチに成功したからだ。

 

 

「お礼は後だ、気を抜くなマスター! あのデカブツはまだ止まっていない!」

 

 

 降ろしながらエミヤが焦燥気味に叱咤する。

 事実、相手の都合など知ったこっちゃないと言わんばかりに、『白き巨人』は容赦なく彼らに迫って来ていた。

 

 

「奴は私が抑えよう。賢者の話では、あの白き生命体はあやつと同じく神性を宿していると聞いている。ならば幾度も神殺しを成してきた私にこそ都合の良い獲物だ」

 

 

 この場の誰も知らぬことだが、『白き巨人』即ち集積型白濁化身(タイタニック・ザーメンズ)は、賢者のアヴェンジャーこと童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)の遺伝子から生み出された生命体だ。

 童 帝 神(ザ・ヴァージニティ)が神性を含有するスキル・性神の矜持を保有するのだから、当然息子から吐き出された子供達だって神性を宿す。

 だからこそスカサハならば、集積型白濁化身(タイタニック・ザーメンズ)を充分蹴散らせる────

 

 

「ゆくぞ」

 

「させないわ」

 

 

 ────はずだった。

 闇の残滓の中から二頭の牛が引く戦車が飛び出してきて、彼女の行く手を阻んだのだ。

 

 

「メイヴか」

 

「せっかく私がとっておきの二つ目をお披露目したのに、簡単に潰されたら堪ったものじゃないもの。邪魔しないでくれるかしら」

 

「……まさか私と正面からやり合うつもりか?」

 

「そうねぇ……普段ならあなたを一人で相手にしようなんて考えもしないけど、今の私ってば隠者のアヴェンジャーに魔力を吸われてたのにまだまだ力が有り余ってるのよ、ねっ!」

 

 軽い運動にしか見えない動きで振るわれた鞭が、スカサハの真横の地面を抉り抜いた。

 

 

「賢者のアヴェンジャーのおかげで、色々張ってるのよ。彼相手には全力を出すまでも無かったから遊んでたんだけどぉ、あなたが相手だものね──」

 

 

 メイヴの全身からピンク色の粒子を纏った白濁の光が、ブシャァァァアアアアアア!! という音を発てて潮吹きみたいに噴き出した。

 まるでそれはお股大洪水により無限に湧き出る泉のような、止めどなく溢れ出る愛液の如く、その奔流の勢いは止まる気配がない。

 周囲に遠慮の欠片もなく撒き散らしていた。

 垂れ流してるだけで気圧される程の魔力量。

 

 

「──今回は本気出しちゃおうかしら!」

 

 

 刹那、プシュッ! という残響と共にメイヴが戦車の上から消失する。

 残光の尾すら残さない速度での高速移動。

 

 スカサハに向かってくるのは、必然的に主が搭乗していない戦車を引く二頭の牛。

 

 消えた理由は賢者が普段から酷使している白濁ジェットとほぼ同じ原理による瞬間移動だったのだが、実際は賢者が出す速度の倍以上の速さで彼女は移動していた。

 とても目で追える速さではない。

 となると気配を読む他ない。

 

 だが並のサーヴァントでは、今の女王メイヴことハイパーケルトビッチを捉えるのは至難の業。

 

 事実、誰もが見失っていたし認知できなかった。

 

 並のサーヴァントに属さないスカサハを除いて。

 

 しかしそんな彼女が認識した時には、もう女王メイヴが真後ろに回り込んでいた。

 既に蹴りの動作にまで入っており、そのまま放置すれば首をへし折るどころか、頭がボールのように飛んでいくであろう勢いで首切り蹴り(ハイキック)が炸裂すること間違いなし。

 

 とてもじゃないが間に合わない。

 

 だからスカサハは正面から突っ込んでくる牛と戦車を足蹴に跳躍し、メイヴの蹴りの軌道上に召喚した大量の槍を()()()()()()()()()()

 ハイキックと槍が激突し、蹴りの着弾が遅れ、なおかつ軌道が逸れる。

 メイヴが放った蹴りの風圧は、『白き巨人』から距離を取る為に走っていた()()()()の頬を若干掠める程度に留まった。

 

 

「凍てつき凍えよ!」

 

「遠慮させてもらうわ」

 

 

 その一瞬の隙を突いて、スカサハが女王メイヴにルーンで追撃を仕掛けるが、為す術なく凍結していく大地とは裏腹に、軽やかな身のこなしで後退され避けられてしまう。

 再びケルトの女王二人は対峙した。

 

 

「私の相手をすると見せかけて、マスターの首を真っ先に狙いに来るとは……。相変わらず抜け目が無いな貴様」

 

「トップの首を狙うのは普通でしょ? それにあなたの相手を馬鹿正直にやったら、いくら強くなった私でも危険かもしれないじゃない」

 

「……ハハッ、表情が余裕を隠し切れてないぞ。口先だけの謙遜ほど嫌みなことはないのだが?」

 

 

 そう。

 女王メイヴは、スカサハに牛と戦車を囮としてぶつけ、その隙に『白き巨人』から距離を取ろうと走っていた()()()()の背後に瞬時に回り込み、彼女の首へ上段回し蹴りを叩き込もうとしていたのだ。

 

 

「すまんな、マスター。前言撤回だ。この女を野放しにする方があの白き生命体より危険やもしれん」

 

「うふふ! 女王でしかないこの私をあんな巨人よりも危険呼ばわりだなんて失礼しちゃうわ!」

 

 

 軽口を叩き合いながらも、槍と鞭で互いに牽制し合うケルトの女王達。

 

 スカサハが槍を放てば、メイヴが鞭で叩き落とす。

 

 メイヴが額から七色の光線を撃ってくれば、スカサハがルーンで防ぎ切る。

 

 スカサハがルーンで身体能力をさらに強化し槍術で襲いかかれば、メイヴも全身からピンク色の粒子を纏った白濁光をショワァァァアアアアア! と迸らせ鞭術(べんじゅつ)と見事な足技を組み合わせて応戦する。

 

 その度にピンクの雨が舞うが、一発まともにくらえば互いに敗北の可能性を秘めた一瞬の攻防ってやつを、断続的に繰り返しているおかげで、そんな些細なことを気にしてられる余裕など無かったのだ。

 

 

 割り込む余地のないケルトの女の戦い。

 

 

 だがその分『白き巨人』を止める者がいない。

 何とかエミヤが普段はあまり使わない弓を用い、矢(剣)をつがえて次々に射てはいるものの、あまり効果は見られない。

 現に集積型白濁化身(タイタニック・ザーメンズ)は矢をぶつけられようが、まるで歯牙にもかけずマスター目掛けて直進してきているのだ。

 

 隠者を救出してきた婦長と合流した立香は、またマシュに抱えてもらいながら、全力で距離を取ろうとしているのだが、いくらサーヴァントの走力でも、巨人との歩幅が違い過ぎる為、今にも追い付かれそうな状況だった。

 

 

 まさに未曾有の大ピンチ。

 

 

 そこへ猛スピードで飛翔してくる存在があった。

 

 

「待てカルナ! 私との再戦がまだ着いていないのに、放棄する気か!?」

 

「違う。戦う前に言っただろう?

 『先約を果たす機会が訪れたら、勝負の最中であろうと一時離脱するが構わないか?』と。

 ……()()が出現した今こそ、賢者に頼まれた役目を果たす時であると、オレは判断したまでだ」

 

「くっ! こんな機会は恐らく、二度と巡り会う事はあるまい。それなのにお前は、私との決着よりもそちらを優先すると言うのか……!」

 

「そうだ」

 

 

 後ろから追いかけるアルジュナが発した、妄執が垣間見える叫びに対し、カルナは平時と同様の声質で返答した。

 互いに癒えることのない宿痾に囚われていても、意識の差は出てくる。

 それを今のやり取りで理解してしまったアルジュナは、それでも止まる気になれなかった。

 

 

「…………フ、ならば私も好きにやるまでだ。

 『貴様が善につくのなら私は悪につく。それでこそ対等だ』と私は告げた。今の私は滅ぼす側だ。

 つまり貴様の先約とやらの邪魔をしても、何らおかしくは無かろう?」

 

「……ああ、それで構わない。お前の妨害を振り切って、オレは役目を果たすだけだ。我が父、我が命がある限り、日輪は不滅と知れ」

 

「遠慮はしない。『炎神の咆哮(アグニ・ガーンディーヴァ)』!」

 

 

 アルジュナは世界を救うことに興味が無い。カルナとの戦いを続行することこそが今の彼の望みだ。

 

 だから戦わざるを得ない状況に誘い込む為、弓の真名を発動して解き放つ青き炎を纏うミサイルを、彼の天才的な弓術と千里眼スキルを駆使して、炎を纏った誘導式ミサイルとして射出した。

 

 対するカルナはスキル『魔力放出(炎)』を最大限利用し、飛行速度をさらに加速してそれを時に躱し、時に灼き尽くし、時に魔力放出を乗せた槍の一閃で正面から切り裂き撃滅する。

 

 高速で飛行したままカルナは、反撃かつ一瞬怯ませることを狙って、アルジュナを確実に巻き込む広範囲に、指向性の太陽熱として空間を焼却する勢いで放射。

 

 

「ちぃっ……! カルナァァ!」

 

 

 アルジュナの怒声に耳を傾けている暇は、今のカルナには無かった。

 思い起こす先約という名の口約束。

 

 

『……我が招いた事態だ。我の手で始末をつけたいのが本音だが、そうも言ってられる状況じゃない』

 

 

 表情を滅多に崩さない賢者のアヴェンジャーが沈痛な面持ちだった。

 

 

『きっと我が生み出した白き生命体が、マスターに牙を剥く。メイヴは恐らく本能的に奴らの使い方を理解しているはずだ。だとすればマスターに窮地が訪れるだろう』

 

 

 さらには必死さが滲み出る瞳まで向けてきた。

 

 

『……施しの英雄カルナ。北は絶対に我が死守することを約束する。だから頼む、白濁化身(我の罪より生まれし怪物)がマスターの命を奪う前に、どうかキミの槍で裁いてくれ』

 

 

 口数が少ないはずの賢者のアヴェンジャーが、ここまで言葉を紡いでまでして、懇願してきたのだ。

 

 元々他者の頼みは道理さえ通っていれば大抵は断らない生き方をしてきた。故にカルナは『施しの英雄』と称されるに至ったのだ。

 だとすれば、賢者のアヴェンジャーによる懇願を、彼が無下に断るはずがなかった。

 

 

「……お前は()()を予見していたのだな」

 

 

 上空から見下ろせば、そこには優に全長40メートルは超えるであろう『白き巨人』が聳え立っている。

 あんな巨人がラーマが率いている南軍と対峙すれば、たくさんの犠牲者が出ることは必至だろう。

 それ以前に現在進行形でマスター達が襲われている状況は、余談の許す戦況とは言い難い。

 けれど、一つにまとまってる方がカルナとしては都合が良かった。

 神性を宿すデカイ『的』が相手ならば、一撃のみの神をも射殺す、必滅の槍を振るうことは容易い。

 

 

「私と戦え!!」

 

 

 アルジュナから青き炎を伴った矢が複数放たれるが、神槍を使うのなら避ける必要はもうない。

 あの切り札は、余波だけでも周囲一帯を蒸発させる程の熱量を生み出せる。

 攻撃準備ですら防御の代わりとなるのだ。

 

 

「賢者のアヴェンジャー。今こそ約束を果たそう。絶対破壊の一撃を以て、お前の罪をここで絶つ」

 

 

 黄金の鎧『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)』が消失し、代わりに神槍が顕現する。

 

 

「神々の王の慈悲を知れ」

 

 

 背部左側にある四枚の羽の装飾が展開し、背部右側には対の如く灼熱の雷炎が翼を広げる。

 この時のカルナの意識は『白き巨人』とアルジュナにのみ向けられていた。

 だから反応できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『抉り穿つ鏖殺の槍(ゲイ・ボルク)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 静かに告げられた真名。

 背後から不意打ちで放たれた宝具。

 

 

「カハッ──」

 

 

 狂王と化したクランの猛犬が、息も絶え絶えに放った魔槍が、カルナの心臓を容赦なく抉り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、賢者は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 謎の性欲だって物は使いようだ。

 フルバースト後に性欲が湧かないのが常だった身でも、流れてくる謎の性欲を使えば性火は灯せる!

 

 

「燃えろ、我が魂」

 

 

 燃えたぎる熱き性欲(ブレイジングリビドー)で全身を発火する。発動自体は上手くいった。

 けど、これじゃあ魔神柱(チンコ)を倒すには出力不足だ。

 だから宝具に昇華することで威力を補う!

 

 

「我が身を覆う()なる炎よ。火刑の一つを再現せん。我が右手は松明なり」

 

 

 俺の詠唱により性火を右手に一点集中することで、火力を激増させる。

 さぁ、今こそ原初の蝋燭責め(ワックスプレイ)をご覧にいれよう。

 

 

性火(聖火)を灯せ! 垂れ落ちる熱塊が、汝の身を焦がさん! 『融解樹脂・松明炙り(トーチトーチャー)』!!」

 

 

 これこそは火刑の一つにして、ろうそくプレイの源流。蝋の代わりに降り注ぐ融けた樹脂が敵の体を炙る宝具。

 

 

 

 即ち魔神柱(チンコ)に根性焼き。

 何ともビジュアル的には痛々しい光景。

 しかし、俺にはご褒美にしか見えなかった(末期)

 俺なら女の子から息子に根性焼きされたら、満面の笑みを浮かべるぜ。間違いない(生粋のドMやんけ)

 

 

 

 きっと全身を火炙りにされたはずのジャンヌ・ダルクが、トラウマにならず、あまつさえ己の宝具として行使できた理由は、今の俺と同じ心境に至れた所以だろう(聖女にまで火の粉をブッカケるスタイル)

 

 

 そして、概念結晶武装という特攻宝具に変じた訳も、自分が感じた快楽を赤の他人にも教えてあげたいという、まさしく聖女らしい慈悲深さの現れに違いない!(聖女猛抗議案件)

 

 

 ああ! なんという慈悲深さ! 我が身を再び犠牲にしてでも、わざわざ敵にその快楽を伝えようとするなんて! たとえ主に罰せられようと、この快楽は広めてみせるという純然たる覚悟を感じざるを得ないぜ!(旗の穂先で喉を突こう)

 

 

「次」

 

 

 そんな実は内心エロい聖女様が俺は大好きです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………いや、本音言っていい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけ、あのおっぱいで聖女とか無理でしょ。絶対性女の間違いだよ(マジレスやめーや)

 

 そりゃ魔女裁判で『魔(羅棒を元気にする)女』認定されるわ(魔女ってそういう意味じゃねーから)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ! クー・フーリン! 貴様……!」

 

「──うるせえ。オレはお前に南軍の指揮を任せたはずだぞ。こっちが動けないのを良いことに、認めてもいない私闘混じりの一騎討ちなんざにうつつを抜かしやがって」

 

 

 クー・フーリン・オルタはやたらとダルそうな様子でアルジュナの文句を真っ向から吐き捨てる。

 

 

「テメェの趣味に走るのは趨勢が決まってからだろうが。後ろから刺されなかっただけマシと思え、授かりの英雄」

 

「ぐっ──」

 

 

 誰が見ても呑み込みきれない憤りがアルジュナから見て取れたが、クー・フーリンは無視した。

 

 

「メイヴ。オレはワシントンに撤退する。あの陰気な野郎に魔力を吸われ過ぎたんでな。お前から譲り受けた聖杯で回復させてもらうぞ」

 

「ええ、クーちゃんはしっかり休んで。私は元気が有り余ってるから、期待の新人な白き私の勇者と一緒に、敵の戦力を削ることにするわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────それは叶わぬことと、知れ。

日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!」

 

「なっ……ちょっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔槍の一撃をくらい地上に落ちたカルナ。

 たとえ致命傷を負っていようと彼は。

 

 

「アヴェンジャー……確かに、約束は、果たしたぞ。だから、お前も────」

 

 

 槍の穂先より放たれし、膨大な熱を秘めた凄まじいエネルギーによる奔流は、神をも滅ぼす一撃。

 それは神の性質を秘めた『白き巨人』であろうと、例外なく瓦解させ蒸発する灼滅の光槍。

 

 

 ────役割を果たせ。

 

 

 言葉は最後までは紡がれず、限界が訪れカルナは消滅した。

 集積型白濁化身の討伐(頼まれたこと)はこなす。

 それ故に彼は『施しの英雄』と呼ばれるのだろう。

 

 

「酷いわ! 私のとっておきをあんな簡単に蒸発させるなんて! せっかく賢者のアヴェンジャーから譲り受けた新しい兵力だったのにぃ……!」

 

「無理矢理奪い取ったの間違いだろう」

 

「細かいことを気にするのは年寄りの悪い癖ではなくて? 女王ならぬ老王は自国に引っ込んでてくれないかしら」

 

「言葉が荒いな。漸く本気になったか?」

 

「その余裕な態度がムカつくのよ!」

 

 

 メイヴとスカサハの戦闘の苛烈さが増していく。

 ピンクな粒子混じりの白濁光な潮も吹く。

 そんな光景の裏でこの場を去ろうとしていたクー・フーリンは舌打ち混じりに悪態を吐いていた。

 

 

「ちっ、死に損ないの分際で……ウチの弓兵よりよっぽど仕事するじゃねーか」

 

「ッ……」

 

 

 苦虫を噛み潰したような表情でアルジュナが睨むも、クー・フーリンはそんな様子を気にも留めず命令を下す。

 

 

「テメェも一人くらい仕留めるなり、せめて足止めくらいの役には立って見せろ」

 

 

 呆然と立ち尽くすアルジュナには目もくれず、そう言い捨てクー・フーリンは踵を返そうとした。

 そんな彼の後頭部に迫るのは()の爆弾。

 

 

「くっ! 外した……いや外されたか!」

 

「テメェ……仲間(カルナ)がやられた意趣返しのつもりか?」

 

「本調子ではない敵を、易々と逃がす訳が無かろう。弱ってるうちに決めさせてもらうぞ!」

 

 

 エミヤの得意技である宝具を使い捨ての爆弾として放つ『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』だったが、クー・フーリンのスキル・矢避けの加護がそう簡単には捉えさせてくれなかった。

 やはり飛び道具では分が悪いと判断したエミヤは、陰陽剣『干将・莫耶』を両手に投影し肉薄しにかかる。

 エミヤの主戦法であるお馴染みの白兵戦だ。

 弱体化している敵の大将(クー・フーリン・オルタ)を仕留める絶好のチャンス。これをものにしない手はない。

 

 しかし、そうは問屋が卸さないのが現実だった。

 

 

「残念だけど、それはできない相談ね。何故なら──」

 

 

 振るおうとした双剣は、投影を維持できず虚空に散り、エミヤは大地に呆気なく倒れ伏す。

 今のうちにと、隠者の治療を優先していたナイチンゲールも、動けなくなっていた。

 持っていたメスが手から溢れ落ち、隠者の開いた腹に刺さる始末。

 案の定隠者は気絶したまま、ビクンビクンとのたうち回りながら痙攣していた。

 それどころかメイヴと戦っていたスカサハまでも、戦いの途中でいきなり地に膝を着く。

 ……一人だけ症状が違うのを気にしてはいけない。

 

 

「皆さん!?」

 

「みんなどうしたの!?」

 

 

 マスターとマシュが慌てふためく。

 

 

「手は既に打っておいたから♡ うふっ」

 

「くっ……まさか、これはあやつの力を」

 

「スカサハは気付いたみたいね? けど遅いわ。もう私の策にはまってる。抜け出せはしないわ。私、締め付けたら逃がさない質だもの♡」

 

 

 女王メイヴが蠱惑的な笑みで無邪気に告げる。

 

 実は彼女は別に、ピンク混じりの白濁な潮吹きを、ただ無駄に散布していた訳ではなかった。

 彼女が操る『ピンク色の粒子が舞う白濁の光』には、浴びた対象を発情させ、やがて最終的には“空気に接触してるだけで足腰が立たなくなる程の感度”にしてしまう、というだいぶ恐ろしい効果を有していたのだ。

 

 賢者が扱う白濁光とは全く別種の効果。

 

 女王メイヴはブッカケられたことで、ただ己のスペックを向上させただけに留まらず、彼の力を自分が扱うに相応しい異能へと昇華させて行使していたのである。

 

 

「手を貸すか? 今なら調子が悪いオレでもソイツら程度なら仕留められそうだが」

 

「いいえ。手負いの獣に王が近付くのは得策じゃないわ。トップがやられれば勝ちは無くなるもの。だからここは私に任せて、クーちゃんは回復に専念して」

 

「…………フ、わかってんじゃねーか。慢心してないようで何よりだ。手伝って、なんて呑気にぬかしやがったら、どうしてやろうかと思ってたが──」

 

 

 クー・フーリン・オルタは改めてこの場から背を向け歩き出す。

 

 

「──さっきはよくやった。お前の判断は、お前の策は、女王として自分の国を守るに相応しい行動だった。やればできる女だよ、お前は」

 

 

 去り際にこんな言葉を残し、狂王は撤退した。

 ほんの暫くの間だが彼女は動かなかった。

 クー・フーリン・オルタの気配が途絶えて漸く、メイヴは一言呟いた。

 

 

「ずるいわ本当に」

 

 

 それはいつもの甘い吐息混じりの淫靡な女の声ではなく、今はただの一人の乙女のような、それでいて感慨深げな声色だった。

 

 

「……でも、嬉しい。私、その一言が聞きたかったの。それだけ、それだけで。それだけのために私は……だからもっと、もっともっともっともっと! クーちゃんが私のものになってくれるように! ここで貴方達は排除させてもらうわ!」

 

 

 女王メイヴは油断をしていなかった。

 その上で狙う相手は決まっていた。

 

 無論、カルデアのマスター藤丸立香。

 

 彼女を降せば全て瓦解するのは自明の理。

 上手くいけば拍子抜けではあるが儲けもの。

 阻止しようと無理して仲間のサーヴァントが助けに入るなら、各個確実に撃破すればいい。

 だからメイヴは桃色白濁ジェットをプシュッ! と、放ち高速移動でマスターの背後に回り込むと、得意の蹴りを容赦なくぶちこもうとして、はたと気付く。

 

 

 

 

 

 何故、藤丸立香とマシュ・キリエライトの二人は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだろうか?

 

 

 

 

 

 警戒が頭を過るも蹴りのモーションはやめない。

 ピンクの白濁光の効果が、彼女達には効かない理由が不明だとしても、たった二人。

 しかもサーヴァントは片方だけ。

 ならば一対一に等しい。

 無理をして他のサーヴァントが動いたとしても、対処可能な余力は残している。

 だからメイヴは当初の予定通りに蹴りを、マスターの後頭部目掛けてぶちかました。

 

 

「させません!」

 

 

 マシュが反応し盾で防ぐことに成功する。

 先程狙った場所と同じだったからこそ、予測が可能だったのだろう。

 それが誘導だとも知らず、まんまと罠にはめられたのだともマシュは気付いていない。

 

 一瞬の視線の交差。

 

 今度は必ず守るという強い意志を感じさせる瞳。

 けれど、メイヴはその意志を踏みにじることを厭わない。全ては『彼』を手に入れる為に。

 

 

「悪いけど今の本命は()()()よ」

 

「え」

 

 

 メイヴの発言にマシュの目が見開かれる。

 高速移動でマシュの真横に回り込み、無防備な横っ腹目掛けてキックを放った。

 ここでマシュを脱落させれば、まともに動けるカルデア側のサーヴァントはこの場にいなくなる。

 だからこその打算だった。

 そしてマシュはメイヴの計画通り、マスターを守るために動いてくれた。

 

 今更盾で防ごうとしてももう遅い。

 

 ピンク色の粒子が舞う白濁の光により、加速したフロントキックを止めるのは不可能に等しい。

 案の定盾は間に合わず、細身な体躯で受け止めるには些か勢いが強すぎる蹴りが、マシュのお腹に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────しかし、マシュが吹っ飛ばされることはなかった。

 

 彼女の全身を覆うようにして、()()()()()()()()()が直撃寸前で出現したのだ。

 

 

「なっ!? その力は……!」

 

「これは……賢者さんの……?」

 

 

 ラーマの『離別の呪いを無効にするためだけ』に使用された時とは違う。

 それはこの場の誰も知るよしは無いが、“ブッカケた量と濃さに比例して、対象が危機的状況に陥った時に自動で守る結界術”だった。

 

 

 

 その名も『愛証防護結界(ザーメンフィルター)』。

 

 

 

 ここに来て、屈指のオカズ率不動の第一位にして、ブッカケられた回数第一位の意味が出てきたのである。

 メイヴのピンク色の粒子が舞う白濁光の効果を、マシュが受け付けなかった理由がここにある。

 散々ブッカケられていたからこそ、その程度の量ではまるで意味を成さなかったのだ。

 マスターも効果を受けなかったのは、マシュとの契約の影響で彼女からこの結界術の恩恵をも得ているからかもしれない。

 

 こうして賢者のアヴェンジャーが意図して仕込んだものではないが、彼の宝具(こかん)が彼女達の危機を救ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、件の賢者は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ……? ねぇ、エリエリ。あれ見て」

 

「ちょっとアンタ! エリエリって呼ばないで……って、ななななんでコイツら、なんか一本一本さらにでかくぶっとくなってる訳!?」

 

「うむ。余の肢体をそれ程までに愛でたいようだな。無論触らせる気など毛頭無いが……」

 

「数も大きさも私達の手には余ります……! 」

 

 

 

 二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)の野郎……! 業を煮やしたのか、さらに勃起しやがった!?

 せっかちな野郎は嫌われるぞ! そんなにまで女の子のおまたに擦り付けたり、突っ込んだりしたいのか!?

 

 

 

 

 

 俺はシたいです(真顔)

 

 

 

 

 

 だが魔神柱(チンコ)、テメーはダメだ。

 断じて阻止する。

 女の子達の穴は俺が守る!(穴だけかよ)

 

 

「む! これは非常にまずくないか……?」

 

「貴様と同じ感想をいだくことになるとは……だが状況が芳しくないのは事実だな」

 

 

 ライオンと紳士(野郎共)は自分で何とかしろ。

 面倒看切れん。

 ぶっちゃけどうでもいい(この扱いの差よ)

 つーかどうせならアンタらは掘られててくれ、その隙に女の子達避難させるから(酷い)

 

 って、やべぇ! 悠長に構えてる場合じゃねえ! 魔神柱(チンコ)の連中がこのままじゃ女体に接触しちまう! そんなことさせてたまるかよ!

 

 残り火がまだ右手に宿ってる。

 

 ……ちっ! 本当は女の子相手に使いたかったんだかなぁ! 緊急時だ、致し方ねぇ!

 

 

(すす)げ! 洗浄火(せんじょうび)!」

 

 

 

 宝具『裸肛門快便姫(らこうもんかいべんき)』!!

 

 

 

 いずれ行う女の子とのアナルエッ(無理だろ)

 

 

 …………ねぇ、なんでそんな即刻否定されなあかんの?(現実見ろよ)

 

 

 俺の夢の一つ!

 前は処女のままな女の子の後ろの処女を頂くという、背徳的な俺の願望を否定するなんて……!

 何の権利があってそんなことするんだ!()

 

 

 ……きっと叶うアナルエ(童貞のくせに高望みが過ぎるぞ)

 

 

 俺と同じ超越童貞には真面目に言われたくないんですけどォ!?

 

 

 …………いつか訪れると信じてる女の子(男の娘、女顔でも可)とのアナルエッチをする為の下準備を、相手になるべく負担がかからないように配慮した腸内洗浄宝具だ(たぶん一生叶わぬ夢)

 

 

 ………………………………泣くぞ!

 

 

 

 …………無視かよ!!

 

 

 

 洗浄火は腸内の老廃物のみを燃やし尽くし、尚且つ除去した分だけ排泄時の快感のみを与えるという効果を有する。

 

 よってこの宝具を使えば浣腸も必要ない上、腹を痛めることもなく一切汚れる心配がないという相手側に負担が少ない仕様になってるのだ(無駄に有能)

 

 無論、()()()()()()()自体が好きな相手にも対応できるように調整も可能な優れものだぜ(相手絶無必要皆無)

 

 

 そこら辺の抜かりはない(ドヤ顔)

 

 

 そんな訳で躊躇なく魔神柱(老廃物)を燃やす。

 

 やはり凌辱は心地よい……! それが性的なものであれば尚更なんだが、如何せん相手は魔神柱(チンコ)。そんな気は起きない。

 …………ただし、謎の性欲の方は魔神柱(チンコ)でも問題なく興奮できるようだ。えぇ……(困惑)

 

 

 

 

 

 

 と、まあそんな素晴らしき宝具な訳だが……。

 

 

 

 

 

 記念すべき初めてを魔神柱(チンコ)に使うハメになるとは思ってもなかったけどな!!

 

 

 

 余談だけどさ。

 副次的能力に、剥きたい部分だけを裸に剥く効果(基本的には尻周りのみを剥くのに利用予定だった)があるんだけど……は? 何のためって……。

 

 相手の女の子の服装によっては、全裸にするのはもったいないだろ?

 パンストを履いてる女子がいたらビリっと破りたいのが男のサガでしょ?(決め付け良くない)

 体操服のハーフパンツとか、スパッツとか、今時無いけどブルマとかは、アワビ部分や菊門部分だけ穴を開けたりしたい時とかあるっしょ?

 

 理解できないのはさー、よくブルマ着用のシチュエーションとかでさー、本番する時にブルマ脱いじゃったり脱がせちゃったりするのあるじゃん。

 あれってどうなのよ。

 全然ブルマイカせて無くない?

 ブルマを着用させた意味は?

 せめてずらし挿入はしろよって思う訳よ。

 ブルマ脱がせちゃうなら最初からブルマじゃなくて良いじゃんってなる訳よ(話逸れすぎだろ)

 

 

 すまんこ、反省(どこら辺が?)

 

 

 ブルマの話に関わる話でもあるんだが、女の子がやる仕草の一つに『食い込み直し』ってのあるじゃん?(ねぇどこら辺が?)

 あれ良くない?

 水着とか下着とかレオタードとかのハイレグ系によく見られる仕草だとは思うんだが、今回はブルマの食い込み直しについて語るとするわ(完全に話脱線)

 

 激しく動いたり、サイズが合わず馴染まない場合に出現する現象『食い込み』。

 

 その現象はお尻の魅力を一段と向上させる神からの贈り物と言っても過言ではない(なんか語り出したぞコイツ)

 ぶっちゃけ延々と眺めながら、一杯やりたい。

 そしてできるのなら一発ヤりたい(直球)

 

 永続的なエロスを感じたいのなら『食い込み』で充分満足できるだろう。

 

 だがしかし!

 マンズリ……じゃなくてマンネリ化を避けた上で、さらに一段上の魅力を味わいたいのなら、刹那的なエロス『食い込み直し』こそ嗜好にして至高だと思うんだ!

 

 特にブルマにおける食い込み直しには、最近の世界事情ではまず見られない稀有な現象『鼠蹊部付近におけるはみパン』が見られる場合が多々あるという、一粒で二度美味しい要素まであるのだ!(なんのプレゼンだよ)

 

 さらにさらに! 食い込み直しには満遍なく伸ばして直すパターンとは別に、食い込んだ衣服を引っ張って直すパターンも存在し、このやり方において「パチン!」音が鳴ったのなら、その場にいる野郎共(魂に食い込みフェチ野郎を飼っている女含む)は、最低限内心でガッツポーズをかまさなければならない!(暴走特急かな)

 ここテストに出ます。

 ザーメンも出ます(どっちも出ねえよ)

 

 

 

 ぶっちゃけその仕草がクッッッッソ、エロくぁわいいいいい!! ということを俺は伝えたかっただけなんだ(何故戦闘時に伝えようと思ったのか)

 

 

 

 まあ、今の時代ブルマが学校から廃止(淘汰)され絶滅危惧種状態なのもあんだけどさ(こんな奴がいたらそりゃ廃止になる)

 本当に残念でならない(結局本題はなんなんだ)

 

 

 

 えっ?

 

 

 ………………………………ああ!

 

 んで、宝具『裸肛門快便姫(らこうもんかいべんき)』の副次的能力が魔神柱(チンコ)にもちゃんと作用した訳。

 

 

 そしたらね、うん。

 

 

 魔神柱(チンコ)相手に何の指定もなく使ったらズル剥けになっちゃったのが想定外だったのさ……(目逸らし)

 

 

 

 

 

 …………ハッキリ言っていい?

 

 

 

 

 

 魔神柱(チンコ)の中身、超キモかった(小並感)

 うっぷ……思い出しただけでも吐き気が(本題もどうでもいい話じゃねーか)

 

 

 

 ここは、気分転換になる記憶の掘り出しを……。

 よし!

 さっきまで散々語ってた『食い込み直し』についての記憶を捻出……するまでも無かったわ。

 

 ブルマでは無いものの、俺ってばなんだかんだカルデア来てからは『食い込み直し』見る機会多かったんだよな。

 

 

 マシュがシミュレータ訓練場での自主練時に見せる、鎧無しのインナー姿。

 

 

 あの姿での『食い込み直し』もブルマに劣らずマジ神……いや、『食い込み直し』という一瞬、刹那における仕草においてただのブルマ以上のエロさを秘めている。

 実に素晴らしいものだった。何回出したか、数えるのも億劫な程にお世話になったもんだぜ(最低)

 

 それもこれも、マシュ・キリエライトが着ているからこその魅力だ。

 相乗効果ってやつさ。

 ぶっちゃけあの格好のマシュはエッチが過ぎるんだよなぁ……。

 

 流石は屈指のオカズ率、不動の第一位かつ白濁光によるブッカケ回数第一位は伊達じゃない(不名誉極まる)

 

 やっぱりマシュは最高だぜ!!(性的な意味で)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(離れていても、賢者さんはわたしたちを守ってくれていたんですね……)

 

 

 賢者のアヴェンジャーによるマシュへの想い(不純なのはこの際置いておく)と、マシュが抱く賢者のアヴェンジャーへの想い(こちらは純粋)が、共鳴を起こしたからなのかはわからない。

 だが、今マシュの体を覆うように展開している『愛証防護結界(ザーメンフィルター)』は一つの羽化(劇的な変化)を迎えようとしていた。

 

 

(でも、守られてばかりではいたくない。わたしはあの人に頼られたいんです)

 

 

 マシュの心情に応じるように、白濁の光が瞬く。

 

 

(わたしの力は元より借り物。デミ・サーヴァントですから当然と言えば当然です。けれど、その力を使いこなせるかはわたし次第)

 

 

 デミ・サーヴァントには、憑依した英霊から自己流に昇華して継承する固有スキル『憑依継承(サクスィード・ファンタズム)』がある。

 

 

(それなら、賢者さんが付与してくれた“この力”も、わたし次第で使いこなせるかもしれない。いや、たとえ借り物でもわたしはわたしなりの方法で、使いこなしてみせます! マスターをお守りする為に。賢者さんのお役に立つ為に!)

 

 

 その想いが、その意志が、その決意が。

 

 

 白濁の光を()()する。

 

 

 メイヴのように攻撃として放たれた白濁光を勝手に吸収し、無理矢理己の力へと昇華させた訳じゃない。

 マシュの身体に宿る白濁光は、賢者が望んで彼女の魔力回復の為にブッカケたものだ。

 そこに明確な違いがあった。

 マシュの身体には白濁光が酷く馴染んでおり、使いこなす意思さえあれば問題なかったのだ。

 そう、きっかけさえあれば。

 

 ()()は消える。

 

 

「まさかあなた……!」

 

 

 女王メイヴが思わず距離を取る。

 肌で感じたのだ。

 目の前の盾の少女が、自分と同じステージ……はたまたそれ以上の存在へと変貌したのを。

 ()()()()力だからこそ。

 

 

「はっ!」

 

 

 ()()()()をその身に灯したマシュが勢いよく盾を振り回し、()()()()()を周囲にばら蒔く。

 すると、行動不能となっていたカルデア側のサーヴァント達の状態異常は解かれた。

 マシュは背後にマスターを庇うように立って、背を向けたまま告げる。

 

 

「マスター。皆さんを連れてクー・フーリンさんを追って下さい」

 

「え、マシュ?」

 

「ここは、いえ。彼女の相手はわたしがします」

 

 

 全身から()()()()を膨大に放出させながら、マシュは一人で女王メイヴと対峙する。

 

 

「行って下さいマスター! ()()わたしなら大丈夫です。()()()()()()()ですから」

 

「──わかった。マシュ、気を付けてね!」

 

「先輩こそお気を付けて」

 

『え。ちょっと! り、立香ちゃん!? マシュ!?』

 

 

 何かを察した藤丸立香は、この場を後輩に任せる選択を取った。

 その選択にドクターロマンが慌てるも、彼女達の意思は固いようで覆らずそのまま別れることになってしまうのだった。

 

 マシュはマスターご一行を片目で見送ると、もう片方の視界で捉えていたメイヴ目掛けて突っ込む。

 デミとはいえ腐ってもサーヴァント。

 サーヴァント特有の身体能力を惜し気もなく振るい、全力で大地を蹴って前へと跳ぶ。

 そこに()()()()による推進力が加わることで、彼女自身が砲弾と化した。

 女王メイヴは辛うじて鞭で往なし直撃は避けるも、衝撃はとても殺し切れず吹き飛ばされる。

 

 

「ここで、倒します!」

 

「この……! アルジュナ! あなたもいつまで呆けてるつもりよ。マスター達を追いなさい!」

 

 

 メイヴの叱責に漸く我を取り戻したアルジュナが、カルデアの連中の後を追った。

 その姿を二人で見送る。

 

 彼女達は察したのだ。

 一度の接触により、この力を互いに全力で解放した場合どうなるのかを。

 だから待った。

 

 

 暫しの空白。

 

 

 この場が光を纏う二人だけとなると、互いに目があった刹那、同時に動き出した。

 それぞれが抱える想いと共に。

 

 

(賢者さんに頼ってもらえるわたしになる為に!)

 

(クーちゃんを私のものにする為に!)

 

 

 奇しくも同じ力。

 けれど、違う意味合いを持つ2つの力。

 違う変化を遂げた力をそれぞれ携えた二人の女の、負けられない戦いが始まった。

 しかしそれは戦いの終わりでもあった。

 

 互いに全力であれば。

 

 同じステージに立った二人の勝敗は、一瞬の交差で決着を迎えることとなる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────激突の末、盾が大地に転がった。




漸くマシュにかけておいた伏線を回収しました(こんなのが伏線の一つという現状)
残り2話くらいで第5特異点も終われるかなぁ……たぶん(長文と分割のプロなので自信はない)

今回と前回合わせてFGOのアポクリファコラボ記念小説(たまたまこういう展開執筆中に告知が来ただけ)

聖女様もとい性女様、申し訳ない

アポクリファで敵対した二人も、きっと数々の風評被害を知ったら和解すると思うの(賢者粛清同盟結成)

あと、バラキーちゃんはお菓子あげるから我慢して

カルナさんは……うん
賢者も約束自体は守ろうと奮闘してるから(震え声)
やり方はアレだけど、アレだけど……!







追伸
アストルフォのショップボイスで「ご飯にする? お風呂にする? それとも、こ・う・か・ん?」を聞いて『肛姦? いったいナニを言ってるんだこの子は……?』と、咄嗟に“素で”思ってしまった私はもう手遅れかもしれない

拙作を執筆してきた影響で、作者の私も賢者の思考に毒され過ぎたようだ……(絶望)


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恐怖に向き合う覚悟(幻滅)

【オール茶番な前書き】
(※読み飛ばしていただいて結構です)
(※内容は沖田さんについて作者が熱く語ってるだけ)



沖田さん大勝利!
沖田さんかわいいやったー!
魔神セイバーもとい沖田オルタさんが予想通り(クラスは予想外)で実装されてテンションが爆上がりの作者です!

ただ少し一部の方々にもの申したいことがあります
沖タさんとかオル太さんとかの呼び名は置いといて、オルタになったら巨乳化とか無いわー! とか言ってる人達!
通常の沖田さんの時点でわりと巨乳ですからね? 斬り合いの邪魔だから普段はサラシ巻いてるだけだからね?(コハエース公式設定)
てか、ボディラインのわかりづらい和装な上、サラシで抑えてるにもかかわらず、見た目で胸部のラインがわかるって時点で、貧乳な訳がないじゃないですかーやだー! ただし爆乳ではない(ここ重要)
サラシで潰せる範囲の着やせするタイプの巨乳だから! 巨乳の中では下のサイズではあると思うよ。『隠れ巨乳』って属性が良いんじゃないか! ロマンがあって!

まあ、ぶっちゃけ私が沖田さんが好きなのって、胸による判断じゃないから、本当はサイズどうでも良いんだけどね☆(前提を覆す発言)

あれだ! 好きな子の部位ならなんでも好き理論ってやつだ! 個人的には美乳が好き
というより作者は脇とか太もも、お尻の方が(ry
ただ自分、設定凝り性なタイプなので、元々の設定をよく知らずに突っ込むのはどうなの? と思った次第です(面倒臭い設定厨)

賢者「……悪いな、作者が普段より数倍キモいテンションで。作者名で察してくれ。あと俺から改めてみんなに謝罪しよう」

賢者にまともなことを言われている!?

賢者「すまんこ。とはいえこんな奴の為に、この俺がみんなに顔射罪す(ブッカケ)る価値はない(キリッ」

あ、いつも通りだったわ(安堵)(落胆)
あと、最初からやらなくて良いです(真顔)

賢者「そんなことより、今こそ再び『イケば出る教』の力を示す時じゃないか?」

(……その方法で召喚できちゃった場合、絶対罪悪感パナイんだよなぁ)



そんな訳(?)で本編をどうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 俺は複数の宝具を駆使して、二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)のうち、ノルマの14本を超えて一人で18本もへし折ることに成功していた。

 

 実際に身をもって戦いわかったことだが、ロンドンで遭遇した魔神柱(チンコ)よりも、各個体の戦闘力は突き抜けていた。

 

 十中八九ハイパーケルトビッチが召喚したことによる戦闘力増大────即ち、元を正せば原因は全部俺だ。

 

 だからこの戦果は当たり前でしかない。

 

 本来なら全部俺一人で屠らなきゃいけない罪。

 

 けれど、同じ轍を踏む訳にはいかない。

 

 だから俺は『誰かに頼る』という、孤独に生きてきた時代からは考えられない選択肢を増やした。

 

 

 結果。

 

 

 こうして仲間達と協力して撃破数を稼ぎ、最後の1本まで追い込むことができた。

 

 

「フハハハハハハ! ラスト1本だ! 思ったより他愛もなかったな!」

 

「油断は禁物だぞテスラ。確実に倒すのだ!」

 

「……待って二人とも。嫌な予感がするわ」

 

 

 マハトマからの囁きを、常時受信しているであろう彼女が『悪い予感』と口にした。

 

 ここで気付くべきだったのだろう。

 

 だが俺は、これで終止符を打てると、万感の思いを胸に最後の1本を仕留めようとした。

 

 その時だ、不思議なことが起こったのは。

 

 倒し切ったはずの27本の魔神柱(チンコ)がニョキニョキと次々に復活していくではないか。

 

 

「そんな、嘘でしょ……? 嫌な予感がするとは言ったってこんなのあんまりだわ」

 

「……っはっはっはっは! ブラヴァツキー女史よ、これは笑うしかあるまい! 正直、冗談は貴様の顔だけにしてもらいたかったものだがな凡骨!」

 

「このパツパツスーツが! 下らん冗談を口にしとる場合か!」

 

 

 復活阻止の為、白濁化身(ザーメンズ)による物量作戦でプチっと押し潰そうとしたが、無慈悲にも魔神柱(チンコ)は全て再生を迎えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ハァッ!? なんだそりゃ!? またもやムクムクにフル勃起だと!? まるで一発抜いてクールタイムを挟んだ後、もう一度オカズを使ってスタンドアップしたみたいな……。

 マジかよ魔神柱……! こんなのまるでチンコみたいじゃねーか!?(今までそう呼んでたのどこのどいつよ)

 つまり俺は今の今までチンコの只中に飛び込み、抜きまくってたってことに…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完全に『大乱交穴兄弟(ホールブラザーズ)』じゃねーか! しかも穴にされてるのが俺なんだとしたら、全員男でくんずほぐれつしてるってことに……いや魔神柱(チンコ)だし触手プレイに近オボロロロロロ(天丼がくどい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか……! 二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)って28本揃って一つの個体なのか?

 だとすればほぼ同時にまとめて搾り取らなきゃ、倒せないってことに……。

 じゃあ今までの全部無駄やんけ! ふざけんなよお前……! ふざけんなよ……!

 

 もう大乱交は懲り懲りなんだが!

 

 ナニが悲しくて魔神柱(チンコ)をシコシコして萎えさせるお仕事をヤらなきゃならないんですかねぇ?

 

 チンコは俺自身の宝具(こかん)で間に合ってんだよ! シコるのは自分のだけにさせろや!

 

 なんで俺が他人のナニまで握って処理せにゃならんのだ、馬鹿なの死ぬの!?(自分から握りに行ってたくせに)

 

 あんな穢らわしい幾つもの汚物に触れちまったし、早く手を消毒しようそうしよう(アンタそのものが汚いのに消毒とはこれ如何に)

 

 

「そんな……振り出しに戻ってしまうなんて」

 

「何でよー!? あんなに苦労して最後の一本まで追い詰めたのに!」

 

「もしや! 余の美声に反応して元気になってしまったのか? くっ……! まさか至高にして至上の名器であることが裏目に出るとは……」

 

 

 あ、たぶんそれは無いです皇帝陛下(断言)

 あなたの歌声は逆に萎えるよ間違いなく。

 まあ、ネロちゃまが名器(意味深)であることは否定しないけども……はっ!? やっぱりモロチンの野郎! 女の子の穴を性懲りもなく狙ってるんじゃねーか!(それはない)

 

 

 恐らく奴ら二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)はこの場にいる女の子の穴に収まるまでは、同時に全て搾られない限り再勃起を続けるに違いない!(見当違い)

 だから最後の1本になっても諦めずに復活するんだ! それだけレイプ願望があるってことだろ? なぁ! 変態王モロチンさんよぉ!?

 

 

 ああ、わかったよ(何が?)

 だったら提供してやるよ(何を?)

 

 

 

 魔神柱(チンコ)に相応しい穴ってヤツを!(え)

 

 

 

 俺は一度足りとも『本物』の経験はない。

 

 今から使おうとしてる術は、だからこそ可能な訳だが、その恐怖と向き合わなきゃならなかったから、今の今まで敬遠してきた。

 

 けれど、二人の少女の期待に答える為に、やらかした責任を取る為に、そして何より己自身の為に、その恐怖へと立ち向かう覚悟を今決めたんだ。

 

 であれば後は、発動準備を整えるべくスキル・秘蔵の封印をいつも以上に発揮させて影を薄くし、行動に移すのみ。

 

 片手に持った性剣ブースターを最大出力で解放し、超高速移動を実現した。

 

 

「えっ? 何する気なのアンタ!?」

 

 

 筋肉が悲鳴を上げている。

 俺は厳密には英霊じゃねぇから、限界以上の動きをすりゃそうなるのも仕方ない。

 証拠にミチミチブチブチ、と内側から音がする。

 神経が断裂してるのかもな。

 

 当然痛みはある。

 とてつもない激痛だ。

 ぶっちゃけのたうち回りたいレベルの。

 

 だが、俺が目覚めてから300年くらいの時期に、マンネリ化を感じて新たな刺激を求めてオナニーの新規開拓に挑戦しまくっていた時の、とある大失敗に比べればまだましなレベルの激痛だから何とか耐えられた。

 

 

 というのも、扇風機の軸部分に冷却ジェルシート……まあわかりやすく言うなら『冷えヒ○タ』的なので作ったお手製オナホを接着し、そこに直接息子を突っ込んで電源を入れた時程の激痛ではなかったからだ(馬鹿に付ける薬はない)

 

 

 己の失態は体の酷使と成果で返す。

 ……行動で返すのは俺には無理だ。

 今更他のやり方なんざ俺にはわからんからな。

 

 俺は恐怖に震える体を叱咤し抑え込んだ。

 体の構造を無視したような無茶な動きを神速で行い、迅速に下準備に取りかかった。

 

 

 恐怖によって垂れ落ちかけた冷や汗を片手で拭う動作で確保し、的確にその水滴を女の子達ひとりひとりの()()()()()()()()()()()()()()()()(え)

 

 

 準備は整った。

 後は覚悟を決めるだけ。

 

 

 

 スキル・忘却補整(曲解)全力発揮。

 

 

 高速視姦記録『変態はお宝を見逃さない(キャプチャー・アイズ)』!

 

 

 

 冷や汗もとい()()()()()()()()女の子達の下着越しの花びらを、神速で移動しながらも正確に全て記憶する(コイツこわ)

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 「トレース、オ

 

 

 基本媒体、参照完了。

 

 具現生命、脳内補完。

 

 

「それはエミヤさんと同じ投影魔術……!?」

 

 

 違うんだよなぁ(違わなきゃ失礼)

 

 今のはオマン……オマージュだから。

 厳密には本命の術を行使するための工程の1つに過ぎないから。

 ……正直発音が大変だったぜ。音の大小を交互に切り替えながら、違和感なくさらっと口にするのってむずいわー(無駄に高度な技術)

 リリィちゃんが騙されてくれて良かったよ。

 

 

 北軍(ここ)にエミヤがいたら即死だった(剣山不可避)

 

 

「空に巨大な魔法陣が4つ……!」

 

「アヴェンジャー! いったい何をする気なのだ? 余にもわかるように説明せよ!」

 

「……まあ、見ていろ。我が奥の手の1つを」

 

 

 俺から迸る魔力の昂りと共に、二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)上空に()()()()()()()()()()()巨大な魔法陣の展開を完了した。

 

 さぁ、イクぜ変態王モロチン!

 召喚術がテメェだけの十八番だと思うなよ!

 

 

 

「我が身に眠る恐怖よ! ()存在(モノ)を喰らうため、顕現せよ! 来たれ! 急所喰らいし魔獣!」

 

 

 

 チンコの天敵『噛み千切る鞘の性獣(ベスティア・ヴァギナ・デンタータ)』招来!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む……。何故だろう。()なら騎士王の神造兵器をも投影できる気がするのだが。そして、それを無性に()()()に振るわねばならない気がするのだが……!」

 

「……頭大丈夫エミヤ?」

 

「今すぐ治療が必要なようですね」

 

『神造兵器の投影は流石に無理じゃないかなー? できたとしてもそれは見せかけだけだと思うよ。エミヤくんの筋肉みたいに』

 

「──おっと……心はガラスだぞ」

 

「投影魔術の使い過ぎで記憶が磨耗してる? ごめん、私の指示が拙いばっかりに無理させちゃった、かな?」

 

「本気で心配しているだとォ!? ……すまない、マスター。何故かわからないが何処かの誰かに酷く侮辱された気がしてね。柄にもなく取り乱してしまったようだ。もう問題ない」

 

「本当? なら良かった」

 

「……お主ら…………。意外と余裕だな」

 

 

 苦笑気味な師匠の呟きは、空気に溶けて消えた。

 

 マシュを除く特殊部隊『カルデア』の面々は、聖杯を所持するケルトの狂王が帰還したと思われるワシントンへと、道中のケルト兵とモンスターを蹴散らしながら向かっていた。

 

 瀕死な隠者(お荷物)を抱えたまま、授かりの英雄アルジュナを相手にしたにもかかわらず、彼らの戦力が減らずに済んだのは、偏にスカサハという通常のサーヴァントとは一線を画す存在が味方だったのと、アルジュナが本調子でなかったことだろう。

 

 カルナと決着を果たせず、既に戦意を喪失気味だったからこそ、些か容易にアルジュナを退けることができたのだ。

 件のインドの弓兵は、何か思うところがあったのか、その場を後にしたが、あの様子なら再び敵対することは無いように思えた。

 

 

「急ごう! 早く聖杯を回収しなくちゃ。犠牲者をこれ以上出さないためにも!」

 

 

 決意の秘められたマスターの発言に呼応するように、サーヴァント達はさらに加速するのだった。

 

 

(お願い! 持ちこたえてマシュ……! それと賢者さんも。必ず私達がこの特異点を修正してみせるから! それまでどうか耐えて……)

 

 

 婦長に抱えられている今の藤丸立香には、ただそう祈ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 天に出現した4つの魔法陣より降臨したのは、一見するとドラゴンのような魔獣が4体。

 

 

『苣膮諣膡鏣膡鏣膯ꋣ芿럣膮苣膮裯벁胥법ꏨ뺼鏣膧ꫣ膕蓣芈ꋣ莐뫣莬』

 

『闣芒臯벟胣膂賣膯駣膮ꫣ莁돣莝ꃣ膞臣肀ꫩ肚꿥법ꏨ뺼鏣膧諣芌』

 

 

 魔獣達は誰もが理解不能な咆哮をあげながら、我先にと地上へと急降下する。

 

 

『苣膮黣莏裣莞⣦蒏돦랱⧣芒迣芤ꋣ莩괨迥醳넩韣膦곣莠ꫣ芢⣦蒏돦랱⧣膙诣膮꿧ꞁꫣ芓ꃣ膋觯벁』

 

『鷣芓ꫣ膫ꗣ膌ꫣ膏ꛣ节臣膾ꃦ꺿맣膮ꛢ肦ꋣ莋꟣莢诣莧꿣膟迣膕鏣膂諣膾駣芈』

 

 

 召喚された4体の魔獣は、真下で蠢く魔神柱(チンコ)1本1本に牙を剥き喰らいついた。ヒエッ。

 

 

「ま、魔神柱へ一斉に噛み付いた……!?」

 

「あの魔獣、あなたが召喚を?」

 

「ああ、そうだ」

 

「よもや召喚術まで行使できるとは、賢者の名は伊達ではないな!」

 

 

 これこそは長年恐怖を蓄え続けた超越童貞だからこそ召喚を可能とする、女性の股間への本能的恐怖心──去勢不安を具現化した『牙の生えた女性の下のお口』。

 

 通称『去勢獣チツー』(オイ名前)

 

 無論、トレースしたのはこの場の女性陣4人。

 

 

 アルトリア・リリィ。

 

 ネロ・クラウディウス。

 

 エリザベート・バートリー。

 

 エレナ・ブラヴァツキー。

 

 

 ────の『下のお口』を記録し、それを具現化して召喚したのが『噛み千切る鞘の性獣(ベスティア・ヴァギナ・デンタータ)』だ。

 当然ながら4体の去勢獣チツーの口は、それぞれ彼女達の『下のお口』が元となっている(最低)

 

 つまり俺がこの場の4人の女性陣の股ぐらに飛ばした冷や汗の水滴に反射した下着越しのおまんこを、正確に視認して把握し具現化した生命体。

 それこそが去勢獣チツー。膣の魔獣だ。

 

 ……………………あれ?

 言語化すると頭おかしいことしてない俺?(自覚が遅過ぎる件)

 

 

「次」

 

 

 二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)は全部で28本、1本につき去勢獣チツーが1体ならば、4体×7回召喚すれば片が着く。

 だから俺は天空に先程と全く同じ魔法陣を展開し、同じ4体の去勢獣チツーをさらに召喚した。

 内心めっちゃガクブルだけどな!!

 だってアイツら魔神柱(チンコ)をバリボリグシャブシャムシャッッ!! って感じの不快な音を奏でながらかじりついてるんだぜ?

 元々俺の恐怖心から成り立ってる魔獣なんだから、これ以上見たり聴いたりしたらSAN値直葬しちゃうって!(((元から正気じゃねえだろ)))

 …………ツッコミが辛辣ゥ!

 

 

「また増えたんだけど!」

 

 

 ちぇっ、まあ良いさ。

 あとはさらに5回召喚を繰り返すだけ。

 

 

「次」

 

 

 そうすれば二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)を今度こそ殲滅できるはずだ。

 

 

「また増えたぞ! 私の大量生産に劣らない速さだ!」

 

 

 いつもの精液(魔力)が足りないので、体内の『性杯』をフル稼働させ魔力を捻出する。

 

 

「次」

 

 

 体が軋む。だが、無視する。

 

 

 

 イメージしろ。今一度記憶を呼び起こせ。イメージするのはいつも最高のマンコだ(えぇ……)

 

 

 

 視界が歪み、音が聞こえなくなった。

 

 

「次」

 

 

 魔術回路が弾ける。だが、無視する。

 

 

 

 未知なるヴァギナに愚息を装填するのをイメージしろ。その時に浮かび上がる潜在的な恐怖心を具現化しろ。息子がキュッとなる。

 

 この術は性欲とは真逆。ただし憂鬱の力である陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)を発現させる()()()()()()()萎えっぷりを発揮せねばならない。

 絶妙な精神調整が必要なんだ。

 常にヴァギナをイメージしながら、性欲を昂らせずに恐怖心だけを抽出せねばならない。

 その点、俺には高難易度な術なのだ。

 

 謎の性欲の侵食具合から見ても、いつ調整ミスで股間が暴発してもおかしくはない。

 テクノブレイクだけは勘弁願いたいものだ。

 

 

 

 時間感覚が無くなる。……何分経った?

 

 

「次」

 

 

 霊基が破損する。だが、無視する。

 

 

 

 常に空射ち(無様な死)と隣り合わせ、それでも俺は脳裏に焼き付けた彼女達のおまんこのイメージをやめる訳にはいかない。

 去勢獣チツーを召喚するには、どうしたって正確なイメージが重要になってくるのだから(改めてひでぇ術だ)

 

 

 

 体内の『性杯』に亀裂が走った気がした。

 

 

「つ、ギッ……!!!!!!」

 

 

 スキル・秘蔵の封印でも誤魔化し切れないレベルの激痛に、思わず顔をしかめ膝を着く。

 

 

「──nja──!?」

 

 

 あっ、やべっ。

 一瞬意識飛んでたか?

 けど、わかる。

 ぼやけた視界とノイズ混じりの聴覚でもわかる。

 心配したリリィちゃんが接近してきてる。

 

 

 ま ず い。

 

 

 触れられたらテクノブレイクしちゃう。

 それは非常にまずい。

 立たねば! もちろん股間のことではないぞ? 足のことだからな?(こんな状況でも茶化すんかい)

 

 ッ! 心に余裕を持たせないと、やってらんねぇんだよ! そんだけ痛いんだよ全身!

 例えるなら、いくらでも再生する睾丸を何度も何度も潰されてるような激痛だぞ!?(何故その例えをチョイスした)

 普通に死ぬっつーの!

 

 でも立つさ。無理にでも。

 股間が勃たずとも、足は立ってみせる。

 ここで終わる訳にはいかないからな!

 

 

「……問題ない。少しふらついただけだ」

 

「でも!」

 

「それより、魔神柱を頼む。流石にこれ以上の召喚は我にも厳しいようだ」

 

「っ! わ、わかりました。もう無理はしないで下さいね賢者さん!」

 

「ああ…………善処する」

 

 

 心配顔で振り向きながら、可憐な姫騎士が駆けていく姿が目に浮かぶようだ。

 相変わらず目も耳も上手く機能してないが、そこはスキル・二次元シミュレーションで補った。

 たぶん会話は成り立っていたはずだ。

 あとは、念のためにスキル・性神の矜持を全力発揮して、女性陣との接触を避ける他ないなこりゃ。

 

 にしても、くっそ! 流石に魔力切れか……!

 騙し騙しやってはいたけど、やっぱ俺には精液(魔力)が無いとダメっぽいなチクショウ。

 

 あと僅か、あと一歩が届かない。

 何とか無理矢理召喚に成功(性交に非ず)した『噛み千切る鞘の性獣(ベスティア・ヴァギナ・デンタータ)』が24本の魔神柱(チンコ)を逆レイプしたまでは良かったんだがな……(ナニが良かったんですかねぇ)

 

 くっ! マンコだけじゃなくアナルも具現化できれば14体召喚するだけで済んだってのに! 俺の無能!(そういう問題か)

 

 もっと精進せねば……!(精進する方向音痴)

 

 でも残り4本だ。

 後はみんなに任せても大丈夫だろ。

 

 

「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!! 見よ! 我が大雷電の輝きを!」

 

「喧しいぞテスラ! 雷撃の手は緩めるなよ? さぁ! 諸君! 我らが魔神柱の動きを封じてる間に、残り4本に宝具を叩きつけてくれ!」

 

 

 ありゃ……電気檻か。

 やるじゃん直流交流コンビ。

 魔神柱(チンコ)に電気(物理)マッサージ、略して電マとはわかってるじゃねぇ……うん?

 いやちゃうやん。電マ使うならアワビだろ! もっと言うならクリちゃんやろ!

 棒に使って何になるんだよ!? これだから電流しか頭にない天才どもは……馬鹿と天才はなんとやらとは言うがやっぱ馬鹿じゃねーの!?(おまいう)

 

 

「はい! 選定の剣よ、収束し邪悪を必滅せよ!

 『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!」

 

「うむ! 余に任せよ!

 春の陽射し。花の乱舞。皐月の風は頬を撫で、祝福は(ステラ)の彼方まで。

 開け!  ヌプティアエ・ドムス・アウレアよ!

 謳え! 『星馳せる終幕の薔薇(ファクス・カエレスティス)』!!」

 

「いいわ! サーヴァント界最大のヒットナンバーを、聞かせてあげる! フィナーレよ!

 『鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)』! Laaaaa!」

 

「────我が手にドジアンの書。

 光よ、此処に。天にハイアラキ、海にレムリア。そして、地にはこのあたし!

 古きこと新しきこと、すべてをつまびらかに!

 『金星神・火炎天主(サナト・クマラ)』!」

 

 

 Oh……リリィちゃん。

 選定去勢剣(カリがバーン)を完全にモノにしたんすね。見事に魔神柱(チンコ)のカリっぽい部分に直撃させてるし。

 俺が今まで股間耐久訓練(やってきたこと)は全部無駄じゃなかったんやな!(全否定したい)

 けど、漸くこれで二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)とおさらばできるぜ。

 

 やっと魔神柱(チンコ)ともお別れか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そ ん な こ と は な か っ た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔獣が食い散らかした魔神柱(チンコ)()()からにょきにょきと再生を始めていたのだ。

 ……プラナリアかナニかなんです?

 てか、生命力強すぎない?

 ロンドンで戦った魔神柱(チンコ)とは比べ物にならないくらいしぶといんだけど! 

 なんなの? そんなに女の子に飢えてるの? やらねーぞ?

 この場の女の子は……否──全世界の女の子のマンコは──俺が守護らねばならぬ!(頼んでないんだよなぁ)

 

 

「嘘……でしょ」

 

「これでもダメなのか……?」

 

「………………」

 

 

 そんな状況にこの場の誰もが呆然としていた。

 いや、そりゃそうなるよね。

 だってまた振り出しよ? 無限残機なの?

 乱交パーティーに参加して精も根も尽き果てたところで、おかわりに同数のチンポが追加されるとかいう鬼畜展開だぜ? 酷すぎでしょ(例えがな)

 

 どうやら断片一つどころか、一切合切を確実に一粒残さず全部まとめて消滅させなきゃならないようだった。

 なんて面倒臭いチンポなの……こういうのも絶倫と呼ぶんだろうか?

 

 つーか生命力マジでしぶと過ぎんだろ!? まるで俺の精子並み……あっ(察し)

 ……俺の精子でパワーアップしたメイヴによって召喚されたのが、この魔神柱(チンコ)の軍勢じゃん。

 

 あー、どう考えても自業自得でしかないねこれ!

 俺の精子の生命力も引き継いでるって訳かよっ!

 なんつー厄介なことに!(擁護不能)

 

 クソッタレ! こちとらもう魔力切れで後がないってのに! 性剣『天我裸ティン(TENガラティーン)』を振るうくらいしかできねぇぞ?

 

 だが、着実に弱ってる! それだけはわかる。何せサイズが一回り小さくなってるからな! 流石に奴らもあれだけ搾ってやったんだ。勃起も限界が近付いてる証拠だぜ!

 

 つーかあれだな。やっとこさ俺のせいで強化されてた分を削り切れたってとこか。恐らく一回り小さいこのサイズが通常サイズの二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)なんだろうよ。

 

 つまりあと一手! あと一手、強力な一撃をぶちかませれば倒せるはずなんだ! だから動けよ俺の体! ここで攻め勝てなきゃ回復し切って……いや。

 こういう時は仲間に頼るべきだよなやっぱ。

 

 

「《まだ諦めるには早い。奴らは着実に弱ってる。ここで畳み掛ければ倒せるはずだ》」

 

 

 童 帝 神 技(ドウテイシンギ)の一つ。

 

 

 

 叫技・『響性音・強制嬌声(ボイスファック)』。

 

 

 

 その技能を応用し、微弱な音波でみんなの性感帯を微妙に刺激することで、放心状態から立ち直らせる手段として行使した(そんな技もあるんかい)

 

 ちなみに普通に使用した場合、敵味方問わず女性なら無差別に嬌声をあげさせてしまうため、ソロ以外だと極めて使い勝手が難しい童 帝 神 技(ドウテイシンギ)だったりもする(使い道ェ)

 

 

 閑話休題。

 

 

 さて、叫技・『響性音・強制嬌声(ボイスファック)』の応用により、みんながハッと意識を取り戻す。

 そうさ。

 ここで仕留めなきゃきっと打つ手無しだ。

 だったらやることは一つ!

 

 

「……魔獣よ、再生を食い止めろ」

 

 

 まだ何とか現界を保ってる去勢獣チツー達に、完全な復活を妨害してもらって時間を稼ぐ他ない。

 その間に仲間のみんなが、二十八本の魔神柱(クラン・カラティンポ)宝具コキ(貴き幻想)射精へと促す(一網打尽にする)(宝具コキってなんだよ)

 

 

「ふはははは! そうだな、諦めるにはまだ早い。弱っている絶好の機会だ。今こそ見せてくれよう真・発明王の勇姿! 

 闇に閉ざされた世界に、光を与えよう!」

 

「もう一度電気檻だ! それも今回は宝具を使った最大出力でな! 不死の怪物であろうと尽未来際に渡って殺し続けられる程の雷をくれてやる。

 雷電よ、降臨せよ!」

 

 

 やるじゃないか天才ども!

 なんて完璧な作戦なんだ!(そうか?)

 

 

「──『W・F・D(ワールド・フェイス・ドミネーション)』!!」

「──『人類神話・雷電降臨(システム・ケラウノス)』!!」

 

 

 これなら絶対勝てる!

 俺達はチンポなんかに負けたりしないんだ!

 

 

 

 

「あっ」

 

 

 

 

 

 そう思っていた矢先に『噛み千切る鞘の性獣(ベスティア・ヴァギナ・デンタータ)』が全て魔力切れで現界を保てず瓦解した(えぇ……)

 

 

「…………また一手足りない、のか」

 

 

 チンポには勝てなかったよ(即落ち)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──いえ、おかげで間に合いました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この声は……!

 俺が振り向いた視線の先にいたのは、白い衣装に身を包み、対照的に素肌が黒い弓兵。

 この親近感……! アイツはまさか!?

 

 

「我が名はアルジュナ。私に償う機会を頂きたい」

 

 

 アルジュナ、だと!?

 アルジュナって『あの』授かりの英雄!?

 

 俺の『女性と接触するとフルバーストする』体質に似ている『女性と同衾すると死ぬ』呪いをかけられ、実際に最後は二人目の嫁に欲情して抱きしめたことで死んだパーンドゥって奴を義父に持ち、己も一年間性的不能の呪いをかけられて宦官として過ごした経験を持つという『あの』!?(アルジュナの認識ェ)

 

 俺と似た境遇を持った大英雄にして、末路(その先)を乗り越えし者。

 謂わば俺の同類にして先輩!(やめてやれよ)

 

 アルジュナパイパン……じゃない、パイズリ……でもなかった、パイセンが来てくれたぞ!(失礼)

 これで勝つる!

 

 ……いや、待てよ?

 俺はまだ生前の記憶を取り戻せていない。

 今となっちゃ童貞の神としての名が真名ではあるものの、俺の生前時の真名は結局不明のまま。

 つまりあるんじゃないか?

 

 

 賢者のアヴェンジャー=パーンドゥ説(審議中)

 

 

 そうだよ! この体質もスキルが原因で呪いみたいなもんだ! つまり俺はアルジュナの義父だったんだよ!(アルジュナ授かり拒否)

 

 アルジュナ。俺のことお義父さんって呼んでくれてもいいのよ?(同類にされたお義父さん(パーンドゥ)に謝れ)

 

 あー! わかったよ! 謝ってやるよ!

 最高位の謝罪、顔射罪(ブッカケ)でな!(やっぱ謝らなくて良いです)

 まあ、今は精巣のザーメン空っぽだからどちらにしろできないけどね☆

 

 

 

 

「────神性領域拡大。空間固定。神罰執行期限…………………………────」

 

 

 

 

 この時の俺は知らなかった。

 

 特大の『自業自得』が降りかかる可能性も。

 

 そして。

 

 

 

 

「────『私』を……見たな!」

 

 

 

 

 ()の仕掛けた『爆弾』にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処にも繋がらないとある異界に存在する神殿の玉座にて。

 

 

「やはり、か」

 

 

 王は邪悪にほくそ笑んだ。

 相変わらず『奴』を千里眼で観測はできない。

 しかし、

 

 

「保険はかけておくものだな」

 

 

 設置してあった『爆弾』が起爆すれば話は別だ。

 聖杯経由で仕掛けた『爆弾』の起爆条件は、賢者のアヴェンジャーの視界内にて、()が神造兵装を使おうとした時に設定してあった。

 

 起爆し『(クリシュナ)』が表に出現すれば、もう普通には止まらないし止められない。

 

 発動地点、発動時間を無視した()()()()()()()()()()な宝具を、カルデアのマスターを確実に巻き込む形で炸裂させるだけのこと。

 

 

「さぁ、どうする賢者のアヴェンジャー。その『爆弾』、ほんの小手調べのつもりだが、止めるには少々骨が折れるぞ? マスターを守るため()()()()()()()止めてみるがいい! フフハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 

 下卑た笑い声が神殿内に木霊した。

 

 




敢えなく分割(い つ も の)

けど、やっと『爆弾』出せました……伏線拾うのにどんだけ時間かかってんねん! というツッコミは無しでオナシャス(白目)

分割したので、第5特異点はあと残り2話で終了予定です(たぶん)

※……ちなみに魔獣の言語をどうしても翻訳したい方は第20話『心折設計? 元々~』の後書きを参照









追伸
あと、拙作の掲載開始日と同日の6月13日からぐだぐだ帝都が始まることに、作者は運命を感じています(こんな運命は嫌だ)
けど、拙作が触媒にはならないだろうなー(遠い目)

ナニはともあれ短編から始まった拙作ですが、1年間も連載が続いているのは、皆様読者さん達のおかげです。本当にありがとうございます!
第一部完結までは止まるつもり無いんで、これからもよろしくお願いします!


(…………とはいえ、1年間下ネタを書き続けたことは誇って良いことなんだろうか(震え声))


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