大空の恋姫無双 (ばすけばすけ)
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設定とキャラ紹介(1話になります)

設定

 

REBORN

代理戦争終了後、ボンゴレを継ぎ10代目として活躍中。ボンゴレギアはトゥリニセッテの関係上、ボンゴレリングに戻している。ナッツも箱ではなくアニマルリング。

カルカッサとボビーノもボンゴレ傘下に加わり、ユニと白蘭はミルフィオーレを立ち上げた。

アルコバレーノはユニと晴れを除きツナの護衛役となっている。

原作との相違点として、アリアと炎真の妹が生きている。

 

恋姫無双

一刀は出てきません。

 

キャラ紹介

REBORN側

沢田綱吉

高校を卒業し、アメリカの大学に渡り一年で卒業する。勉学運動完璧なチートに成長。超直感の精度が上がり、もはや予知レベル。死ぬ気丸なしで超モードになることができ、機械のアシストなしでXバーナーもでき、夜の炎も習得した。

年齢××歳、身長175、髪型は金色に近くなっており腰まで伸ばしている。女性に対しては優しく人誑しで好意に対しては鈍感だが難聴ではない。

 

ユニ

大空のアルコバレーノ。アリアが生きているためγに対しての恋心はない。いま一番気になっているのはツナ。ファミリーが大好きだが、ツナと白蘭の大空三人でいる時が一番幸せ。中学二年生。

 

白蘭

大空のマーレリング保持者。マーレリングの封印が解かれて正統な保持者となる。未来編みたいに世界征服には興味がない。ツナとユニという同じプレイヤーと分かり合え、一緒にいる時間が楽しくてしょうがない。神出鬼没年齢不詳。

 

10代目守護者

骸、雲雀、クロームは登場させるかも。

 

アルコバレーノ

登場予定未定。マーモンは女の子設定。

リボーンは一般人である山本、笹川兄、ツナに対する理不尽な暴力が問題になり復讐者の牢獄に捕まっている。ツナやアルコバレーノは助ける気はない。

 

ボンゴレ

ヴァリアーは9代目直属を謳っている。チェデフはバジルが引き継いでおり、家光もリボーン同様に山本達の件で復讐者の牢獄に。家光に対しても助ける気はない。

 

沢田奈々

ツナにより真実が伝えられる。復讐者に確認し、沢田奈々は一般人扱いではないと忠告されたため。驚きはするし、リボーンと家光を恨むが、ツナの想いを聞きツナ達の帰る場所になる決意をする。沢田家は広くなり、3階建てで、ランチア・チェッカーフェイス・ビアンキ・イーピンが一緒に住んでいる。また風紀財団からの護衛もいる。

 

チェッカーフェイス

ツナ・ユニ・白蘭のことはトゥリニセッテに選ばれた人間として認めている。今回ツナに対しお願いをする。その代わりに沢田家に住み沢田奈々を護衛している。

 



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2話

ツナはチェッカー・フェイスの力により、異世界に来ていた。一応予備知識として、中国の三国志の時代で、主だった武官文官は男性ではなく女性になっている。ということは学んでいた。

 

「ふぅ。とりあえずは衣食住の確保をしないと、あとは服装どうしようかな。」

 

ツナがいる場所は荒野の真ん中で周辺に街は見当たらない。服装にも問題があり、防護力や利便性からレオンが作ったスーツを着て来たはいいが時代的に不釣り合いだろうといま気づく。

この世界に持ってきた物は、霧の炎が埋め込まれている装飾品を数点に、晴れの炎が埋め込まれている装飾品を数点、念のため換金用の宝石類、チェッカー・フェイスからもらった飲食物の箱のみである。

 

姿を隠しながら飛んでいると村が見えてきたため地面に降りる。村からは煙が上がっており死体も確認できた。

 

生存者を探して歩いていると、男数人が二人の少女に剣や槍を向けて囲っていた。

 

「やめろー!」

 

ツナは叫びながら二〜三人男達を気絶させて少女の前に立ち男達から庇う。

 

「まだ生き残りがいたのか。」「邪魔すんなよ!いまからお楽しみなんだ」

 

残りの男達は下衆な笑みを浮かべながら、ジリジリと近づいてくる。

 

「お兄さん逃げてください!」

 

「私たちが道を開く。」

 

ツナが素手なのに気づいた少女二人も逆にツナを守るように武器を構え直す。そんな二人に対して大丈夫と言いながら頭を撫でてニッコリと笑顔をむける。

 

「お前達は許さない。この子達は俺が守る!ナッツ!」

 

「ガオーーー」

 

ツナはアニマルリングからナッツを呼び出す。ナッツが吠えると男達の武器が石になり崩れ落ちた。

 

「な!」

 

男達は驚くが、すぐにツナの拳により意識を断たれた。

 

「今のはなんですか?」

 

「この猫可愛いな!抱いてもいいか?」

 

「いまは他の生存者を探して避難する方が優先。質問とかは後でね。」

 

三人は村を捜索したが、他に生き残りはいなく近くの河原で休むことにした。

 

「俺の名前は沢田綱吉。ツナで大丈夫だよ。」

 

「真名がツナなんですか?」

 

「俺は違う場所から来て、真名って習慣がないんだ。」

 

「そっかー。さっきは助かったよ。ボクは許褚 仲康 真名は季衣。よろしくね兄ちゃん!」

 

ピンク色の髪の毛で鉄球を持っている女の子が自己紹介をする。ツナは季衣を見ながら(鉄球かーただ投げてるだけだったし、ランチアさんの技を少し教えてあげようかな。)と考える。

 

「先ほどは危ないところをありがとうございました。私は典韋 真名は流琉です。兄様よろしくお願いいたします。」

 

緑色の髪の毛でヨーヨーを持っている女の子が自己紹介をする。ツナは流琉を見ながら(この子はヨーヨーか、なら千種さんみたいな小技を教えてあげるべきかな。)と考える。

 

「季衣ちゃんに流琉ちゃんね。よろしく!」

 

「兄ちゃんは仙術が使えるのか?敵の武器を石にしたやつ!」

 

「あれはナッツの力なんだ。ナッツ出ておいで。」

 

「ガウッ」

 

ツナはナッツをアニマルリングから出して季衣に見せる。

 

「抱いてもいいか?」

 

「神獣というやつでしょうか?可愛いですねー。季衣ちゃん。次は私にも抱かせてください。」

 

季衣と流琉は交互にナッツを抱き締めたり、一緒に遊んだりと年相応の笑顔を見せていた。

ツナはそんな光景を見て、異世界の三国時代とはいえあんな少女達も武器を取り戦わないといけないことに悲しい気持ちになる。

 

「流琉ーお腹すいたよ。」

 

先ほどの戦闘の疲れが出てきたのか、季衣がお腹を鳴らしながら座り込んでしまう。流琉は少し困った表情を浮かべて

 

「この河原には魚がいないんですよね。近くの街まで三日はかかりますし。村に戻って食材を探すしか。でも季衣ちゃん大食いだし満足できるほどはないかも。」

 

「俺の国のご飯でいいなら用意するよ。口にあえばいいんだけど。」

 

ツナはチェッカー・フェイスからもらった箱を取り出す。この箱は普通の箱とは違い、思い描いた料理が出てくる箱で1日の使用回数はあるが、何度でも使用可能な優れものだった。

とりあえず、ハンバーグ・カレー・パスタ・炒飯・餃子・肉まんを四人前だすことにした。

 

「はい。見たことないものもあるかもしれないけど、騙されたと思って食べてみてよ。」

 

「「いただきます!」」

 

「兄ちゃん!なにこれ!?美味しいな!」

 

「兄様。後で作り方を教えてほしいです!」

 

「それはカレーっていう食べ物だよ。」

 

「流琉ちゃんのはハンバーグだね。ん〜材料が手に入ったらになっちゃうかな。」

 

ツナ達三人は箸を進めていくが、季衣の食べる量が半端なく、まだ食べたいとおねだりされてもう一度同じ量を取り出した。季衣が食べてる間にツナと流琉は今後のことを決めることにした。

 

「とりあえず、大きな街に行きたいね。」

 

「ここからなら楽成城が一番近いですね。太守は劉璋配下だったはずですが、いまは独立していますのでシガラミはないかと。」

 

「ならそこに行こうか。」

 

流琉が顎に手を当てながら考えてツナに提案をする。ツナも説明を聞いて、行くあてもないことから楽成城に向かうことに決まった。



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3話

村に賊が乗ってきた馬がいた為、馬で楽成城に向かうことにしたツナ達三人。

 

馬といっても走るわけではなくゆっくりと進んでいた。ゆっくりペースでも馬な二日かかるかどうかで着くらしく、道中では、季衣に鉄球に模様を付けてもいいか確認しら季衣の許可を得た為、蛇の模様を彫り込む。

流琉にもヨーヨーの改造の許可をもらい。毒草と針を用意して回転中にボタンを押すと毒針が吹き出すようにした。

 

季衣には剛蛇烈覇・千蛇烈覇・飛蛇烈覇・暴蛇烈覇を手本として見せてあげる。

 

「兄ちゃんすげえ!ぼくにもできるようになるのか!?」

 

「確かに振り回すだけより威力も高くなりますね。でも味方がいる場合は密集地帯では使いにくそうですね。」

 

季衣は瞳をキラキラと輝かせながらツナを見ており、はやく教えてくれと駆け寄る。流琉は技の性質は使いどころを考えているようだ。

 

「鉄球を打ち出す際にする回転がポイントだよ。次は流琉ちゃんのヨーヨーなんだけど。」

 

ツナは流琉にヨーヨーに取り付けた毒針(麻痺毒)と刃を説明する。流琉は解毒薬ももらいながら熱心に説明を聞いていた。

 

他にも近接格闘術を教えて武器の間合い内に入り込まれた場合でも対応できるように修行をつける。

 

何故ツナがランチアの技ができて、千種の武器の構造を把握しているのかというと。

リボーンが復讐者に捕まった後に、ツナの護衛兼教育係がランチアになった為である。ランチアはツナに自身の知識や技術を教えていたのだ。

 

また、スパナや正一、ジャンニーニからは基本的な技術知識を教えてもらい仲間の武器の構造を学んでいた。

 

途中の村でも黄色い布を付けた賊と遭遇することがあったが、ツナは新しい技を二人に試させて二人の防御や村人の避難に専念していた。

 

そんな道中を得てツナ達三人は楽成城に到着する。

 

「着いたね。とりあえずは宿屋を確保しようか?」

 

宿屋を探して歩く三人は道端に立っている一人の女の子が目に入る。

 

「お母さ〜ん。」

 

女の子が小さく呟いた声がツナの耳に届く。ツナは立ち止まり女の子の前でしゃがんだ。

 

「大丈夫?一緒に探そ。」

 

女の子は泣きそうになるのを我慢して頷く。そんな女の子の頭を撫でてあげて、肩車をする。

 

「お兄ちゃん、お姉ちゃん達もありがとう。」

 

「おまえ強いな!」

 

「我慢して偉かったですよ」

 

女の子は笑顔でツナ達にお礼を言い、季衣と流琉も女の子を褒めた。

 

歩き回るのは逆に危険だからとその場所からは動かずに、アニマルリングからナッツを出しツナの頭の上で女の子と戯れてもらうことにした。

 

「ガウッ!」

 

「わ〜可愛いネコちゃん♪モフモフ〜あ!お母さんだ!お母さ〜ん!」

 

ナッツと戯れていると女の子がお母さんを見つけて叫ぶ。

 

「散々探したのよ。」

 

「ごめんなさい。」

 

女の子は母親に抱き締められながら、我慢していた涙が溢れてきていた。

女の子が泣きやむのを待ち

 

「娘がお世話になったみたいで、ありがとうございました。」

 

「困っている人がいたら助けるのは当たり前ですよ。気にしないでください。」

 

母親がお礼を口にするが、ツナは笑顔で当然のことですと頭を下げる。そんなツナを見て母親は顔を赤くし、今時珍しい好青年という印象を受ける。

 

「よろしかったらお礼にお食事でもご馳走させてください。」

 

「いいのか!?」

 

「もう季衣ちゃん!はしたないよ。」

 

「ハハッ。じゃあお言葉に甘えさせていただきますね。でも一人大食いがいますが大丈夫ですか?」

 

「大丈夫ですよ。そんな簡単になくなるような倉の状況ではありませんから。ではこちらに。」

 

母親の提案に季衣が喰いつき流琉に咎められる。そんな会話をきいて笑うツナ。最初は断ろうとしたが、超直感がこの誘いは最良の始まりと告げてきたため応じることにする。念のため季衣について説明はしておくことにし、母親に案内されて道を進む。

 

道中にて母親が太守の黄忠だと知り驚く三人。案内されて城に入り食堂に向かう。

 

食事では季衣が見事な食べっぷりを披露し、黄忠を唖然とさせる。食べ進めると顔が強張ってくるのがわかり、ツナはすいませんと謝る。黄忠は気にしないでくださいとは言うが苦笑いになっていた。

 

「御三方はどのような旅をしているんですか?三人だけだと大変では?」

 

「武者修行しながら定住できる地を探して!かな?」

 

「ぼくはいまの生活好きだよ。兄ちゃんがいて流琉がいて、賊を倒して強くなれるし。」

 

「そうですね。三人一緒なら楽しいです。」

 

黄忠はその言葉をきいて、以前商人から聞いた噂を思い出した。

[二人の少女と一人の男性が暴れている賊を鬼神の強さで打ち倒している。男性はみたこともない服装をした美男子である]という噂だ。

 

「良かったら我が城で働きませんか?いまは独立したばかりで人が少なく募集中なんです。」

 

黄忠はすかさず三人の勧誘に入る。

 

「季衣ちゃん、流琉ちゃん。俺はこの誘いは受けるべきだと思うんだ。」

 

「兄ちゃんがそういうならぼくは付いていくよ!」

 

「兄様の勘は当たりますから私もお伴します。」

 

「黄忠さん。すいませんが三人ともよろしくお願いします。」

 

ツナ達は黄忠に頭を下げて将として楽成城への定住が決定した。五人は真名交換をし、紫苑はツナくん呼びに、璃々はツナお兄ちゃん呼びになった。



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4話

ツナ達三人が楽成城にきて三日が経とうとしているが、その間は毎日のように賊の襲撃があった。主にツナ達三人が一騎当千の活躍をみせて撃退していた。

 

そんな活躍があり楽成城には武神のような強さの武将がいると話題になっていた。その武将は炎を操るとも言われている。

 

そんな楽成城の屯所には三人の女の子が入隊希望として訪れていた。対応しているのはツナである。

 

「君たち三人が入隊希望者?」

 

「はい。私は楽進 文謙といいます。」

 

「うちは李典 曼成や。」

 

「私は于禁 文則というの。」

 

「三人は一緒に旅をしていたんだよね?この城にはたまたま?」(スパイの可能性はなしか。確か曹操配下のはずだけど季衣ちゃんや流琉ちゃんの件もあるし、歴史の戦力図は気にしないほうがいいかな。)

 

「いえ!武神のような強さの武将がいると聞きまして。どれほどの強さか気になり。」

 

「なるほどね。ん〜人手不足だから採用だけど、すぐに会えるかはわからないよ?」

 

「気にしないで〜。発明とかはしても大丈夫やろか?」

 

「発明?君は工作が得意って言っていたね。役に立つなら大丈夫だよ。」

 

「早くあえるように頑張るの!」

 

「じゃあまずは訓練場で実力を図るから着いてきて。」

 

ツナは三人を引き連れて訓練場に向かうことにした。三人共武官にはなるのだが、どれくらいの強さかわからないと隊の組み合わせも考えることができないためである。

 

訓練場には、季衣と流琉がいて稽古をしていた。

 

「あ!お兄ちゃん!お仕事終わったのか?」

 

「お兄様お疲れ様です。季衣ちゃん。お兄様の後ろをちゃんと確認しなさい。まだお仕事中ですよ。」

 

「季衣ちゃんも流琉ちゃんもお疲れ様。ちょうど良かった。三人の実力を知りたいから、少し手伝ってくれない?」

 

ツナは二人の頭を撫でながら手伝いを頼む。二人は嬉しそうに笑いながら、ツナの頼みを了承した。

 

「まずは楽進さんから。相手は俺ね。」

 

「「「え!?」」」

 

楽進・李典・于禁の三人はてっきり女の子二人が戦うのだとばかり思っていたようで驚いてしまう。ツナの容姿や体型から文官だろうと決めつけていたようだ。それに気がついた季衣と流琉は苦笑いを浮かべながら

 

「お兄ちゃん見た目は弱そうだもんな〜。でもぼくより強いよ!」

 

「お兄様は文武両道ですから、武官であり文官でもあるんですよ。」

 

驚く三人に説明をしながらツナをフォローする。

 

「私は近接格闘術になりますが、気にせず模造刀を使ってください。」

 

「俺も近接格闘術が基本的なスタイルだよ。」

 

楽進とツナはお互いに構えをとる。流琉が審判役をやることになり、二人に合図をだす。

 

「はじめ!」

 

楽進は最初は様子見なのか動かずにツナを観察している。(沢田殿の体型からしてスピードで翻弄してくるはず、細さからして一発は重くないはずだから、一発受けた後にカウンターで仕留める。)とツナがする攻撃を予想し対応策を考える。

 

「行くよ。」

 

ニコッと笑いツナがその場から消える。

 

「な!?」

 

楽進が気づいたときには、目の前に拳が迫っており慌てて腕をクロスさせて防ぐ。

 

「!」(なんてスピードだ。しかもパワーも凄まじい。腕が痺れて上がらない。)

 

楽進は後方に吹き飛ばされながらもなんとか倒れずに踏ん張り切り、闘志を燃やしツナを見る。

 

「今日はお終い。腕のダメージが酷いでしょ?」

 

ツナは戦闘モードではなくなっており流琉に終了の合図をするように指示を出す。

 

「クッ。貴方は一体?私もまだまだ実力不足でした。」

 

「いやいや!あれをガードするとは思っていなかったし、その後も倒れなかったんだから十分強いよ。楽進さんとは戦闘スタイルも似ているし俺の隊になるはずだよ。よろしくね。」

 

ツナは褒めながらフラつく楽進に肩をかしてあげ、優しくニッコリと微笑む。

 

「私のことは凪とお呼びください。」

 

「俺のことはツナでいいよ。」

 

楽進は少しだけ頬を赤くし真名交換をしたが、軍には規律が必要と、ツナ隊長と呼ぶことにした。



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5話

李典と于禁は楽進と比べると戦闘特化って印象ではないため、戦闘描写はカットします。

また軍隊の知識がないため、小隊人数や名称に関しては捏造です。


楽成城の南方にて馬車が賊に追われていた。

 

「このままでは追いつかれてしまいますね。もっと早く走れないのですか?」

 

「商人にはこれでも限界だよ!無理言わないでくれ!」

 

「楽成城まで行ければいいのですが。」

 

「ワフッ」

 

馬車には御者と女の子が二人に一匹の犬、少しばかしの荷物が乗っていた。

 

賊には騎乗している者の姿は見えないが、見晴らしのいい荒野であり巻くことができずにいたのだ。

 

一つの丘が横に来たところで、

 

「弓兵!打て!」

 

何十本の矢が馬車に降り注いだ。

 

「グワ!」

 

御者が悲鳴をあげると馬車が横転し、中にいた女の子と犬は馬車の中で転がってしまう。

 

「「キャアァァーー」」

 

「やりましたね親分。」

 

「おうよ!丘に弓兵を忍ばせておいて良かったぜ。野郎共!荷台の物をいただいてずらかるぞ!」

 

追いかけていた賊が馬車に到着し、荷台を斬りつけて破り中身を確認する。

 

「アァン!中身はこれだけかよ。お前!商人の馬車じゃなかったのか!」

 

荷台の中身が少なく納得がいかないのか、男は部下に剣を向ける。

 

「親分許してくれよ〜。あ!女の子がいるべ。」

 

体を打って動けずにいた女の子二人を賊が発見する。

 

「ちょっと幼すぎるが中々の上玉じゃねえか。今夜は楽しめそうだな。さっさと連れ出せ!」

 

「来ないで!」

 

「嫌です!」

 

男達が下衆な笑いを浮かべながら女の子二人に手を伸ばす。

 

ヒュルルルル〜〜

 

 

 

時は少し遡り

 

凪との戦闘の後は、季衣と李典、流琉と于禁の模擬戦が行われた。

 

互いの獲物は模造刀のみであり、慣れない獲物を使用したからか、勝負がつかなかった。

 

六人は互いに真名交換をし親睦を深めていた。

 

凪、真桜、沙和は慣れるまではツナの下につくことが決まり、それぞれが10人規模の小隊長を任されることに。

 

凪はツナの近衛小隊

 

真桜は工作小隊

 

沙和は伝令・輸送小隊

 

である。

 

「ツナ隊長。貴方が噂の一騎当千の武将ですか?」

 

凪が疑問に感じていたことを質問する。がドタドタと廊下を走る音が聞こえてきて

 

「沢田隊長!物見から伝令です!南方の方角に賊と思われる集団が馬車を襲撃しているそうです。」

 

訓練場に一人の兵士が倒れ込んでツナに状況を伝える。

 

「ありがとう!凪!着いてきて!流琉は壁内に兵を集めてから出陣。季衣は逆方向にも来ていないか監視を、真桜と沙和は季衣と流琉の指示に従って。」

 

「「「隊長!?」」」

 

「大丈夫ですよ。たぶんですが、はやく行かないといけない状況になっているんだと思います。沙和さんは私と一緒に来てください。」

 

「僕たちも持ち場に行くよ。真桜さん着いて来て。」

 

真桜と沙和はツナが凪を抱き抱えて訓練所から飛び出したことを驚き声をあげる。流琉と季衣からするといつも通りなため、落ち着いており兵の準備や各員に指示を飛ばす。

 

「あの・・ツナ隊長!自分で走りますから」

 

ツナにお姫様抱っこをされている凪は顔を赤くして困惑した表情を浮かべていた。

 

「嫌かもしれないけど、いますぐいかないと馬車が危険なんだ!飛ぶよ!」

 

ツナは足に炎を灯し凪を抱き抱えたまま空を飛んだ。ツナはランチアとの修行で足に炎を灯せるようになっていたのだ。

 

「炎!ではツナ隊長が噂の!」

 

「その話は後でね!馬車が見えて来た!!」

 

ツナが見たのは男達が女の子二人に近づく光景だった。

 

「凪!落とすけど大丈夫?」

 

「私も気は使えますから大丈夫です。」

 

「ごめんね。俺は丘にいる弓兵を叩く!」

 

 

そして冒頭に戻り

 

ヒュルルルル〜〜

 

「なんの音だ?」

 

男達は上から何かが落ちてくる音がして、上を向く。迫っていたのは足であり

 

ドゴッバキ

 

女の子の近くにいた二人が倒される。

 

「もう大丈夫だ。私は楽成城の兵士で楽進という。」

 

「楽成城だと!城までどれだけ距離があると思ってやがる!相手は一人だ囲んじまえ!」

 

親分がビビっている子分達に檄を飛ばす。

 

「そうなんだな。相手は一人だけなんだな。」

 

「俺たちは10人いるんだ!楽勝だ!」

 

子分達は親分の檄で正気に戻り獲物を構えて凪に迫る。

 

その時、ゴオオオォォォォーーと炎が地面を走り凪と賊との間に境界線が引かれた。賊達はその炎を見ると顔色を青くし炎が来た方向をみる

 

「お前達の相手は俺だ!」

 

「ヒィィ!楽成城の武神!」

 

額と拳に炎を灯して自分達を睨みつけている武神の姿を見つけてしまう。

 

賊達は戦意を無くし逃げようとするが、一瞬で移動したツナの拳に倒され、遅れてやってきた流琉の部隊に回収されて行った。

 

「兄様お疲れ様です。ですが!あまり無茶はしないでくださいね。」

 

「ごめんね。でも助けられて良かったよ。」

 

「ツナヨシ様!」

 

合流した流琉に小言を言われていたツナだが、助けた女の子の一人が抱きついてきた。

 

「あら?貴女は確か・・旅の途中で兄様が助けた桂花ちゃん?」

 

「はい!お久しぶりです。ツナヨシ様に仕えたいと思い参りました。」

 

「桂花ちゃん久しぶり。無事で良かったよ。」

 

ツナは抱きついている桂花が震えているのに気がつき頭を撫でてあげる。すると桂花は落ち着いたのか

 

「旅の途中で知り合った子も召しかかえてくれませんか?」

 

ツナ達に一緒に来た女の子と犬を紹介する。

 

「彼女とは旅の途中で仲良くなりまして、音々音自己紹介できる?」

 

「はいです!私は陳宮 広台といいます。貴方が噂に聞く武神殿ですね。先ほどはありがとうございました。こっちは張々です。」

 

「わふわふ」

 

「俺は沢田綱吉。よろしく陳宮ちゃん。無理しないで大丈夫だよ。」

 

陳宮は自己紹介をしたが、誰がみても泣きそうな顔をし足が震えていた。

ツナはそんな陳宮を抱き寄せて頭を撫でてあげる。すると張々も飛びついて来て、陳宮は我慢の限界にきたのか声をあげて泣いてしまう。

 

「私のことは音々音いえ、ねねと呼んでほしいのです!」

 

「召しかかえる云々の話よりも疲れてるでしょ?まずは桂花ちゃんもねねちゃんも一緒に楽成城に行こ。凪も放心してないで馬車に乗って。」

 

「フフッ兄様。凪さんは憧れの武神が兄様だと知って戸惑っているんですよ。」

 

「武神なんて名乗ったことないよ!凪も気にしないでいいから。」

 

「はい!ツナ隊長。戻ったらまた手合わせをお願いします!」

 

「その前に桂花ちゃんとねねちゃんに食事と、太守に挨拶と報告が先!」

 

「兄様。凪さんも少し静かにお願いします。」

 

桂花とねねは疲れたのかツナの膝を枕にして寝てしまっていた。

 

ツナ達をのせた馬車は静かに楽成城に進んでいく。




桂花の矢印が曹操ではなくツナに向いているため、毒舌はなりを潜めています。

哀れ曹操。曹操の受難はいつまで続くのか。


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6話

関西訛りがわからず意味不明かもしれません。


今回はいままでと違った書き方を試しています。


紫苑side

 

ツナくん達が来てから優秀な武官や文官が増えてくるわね。いまでは難攻不落とも呼ばれてしまっているけれど、名が轟くと目立ちすぎてしまい良くない輩も来るから気をつけないと。

 

「紫苑様。街で義勇軍の勧誘をしている三人がいるとの報告がきていますが、どういたしますか?」

 

「ねねのとこにも同様の報告がきているですぞ!」

 

「そうね。言による勧誘だけなら放っておいて大丈夫よ。念のためツナくんの耳には入れといてね。」

 

ツナくんを頼ってきた桂花ちゃんに桂花ちゃんが連れてきたねねちゃん。二人とも優秀な文官で助かるわね。娘の璃々とも仲が良いし助かっちゃうわ。

 

そろそろ璃々にも父親が必要よね。ツナくんならあの子も喜ぶだろうし迫ってみようかしら。

 

 

ツナside

 

ツナは流琉と季衣の三人で食事を取っていた。

 

!ッブル

なんだろう悪寒がする。今日の夜は気をつけよう。

 

「兄様どうかしましたか?」

 

「兄ちゃんもう食べないのか?」

 

「ちょっと嫌な予感がね。」

 

ツナは苦笑いを浮かべて答えるが、流琉と季衣は神妙な顔立ちになり

 

「兄様の勘は当たるんですから気をつけてくださいね。」

 

「今日は兄ちゃんの護衛に着くよ!」

 

「いや戦闘とかではなく夜の寝室に注意って告げてるから大丈夫だよ。」

 

ツナが悪寒の説明をすると流琉と季衣は顔を赤くしヒソヒソと話し込んでしまう。

 

「季衣ちゃん。寝室ってことは誰かが夜這いを仕掛けに来るって意味だよね?」

 

「落ち着け流琉。暗殺かもしれないだろ。それを理由に今日こそ一緒のベッドで寝てもらうんだ。」

 

ツナはなぜ流琉と季衣が顔を赤くしヒソヒソ話を始めたのかわからずに首を傾けていた。

 

「兄様!良かった「ツナ隊長!」ら」

 

「どうしたの真桜?」

 

「生き倒れを拾うたんや!何か食べるもんはあるさかい?それもらうで!」

 

真桜が女の子を抱えて食堂に駆け込んできた。ツナの前にある肉まんを見ると女の子に食べさせ始める。女の子は勢いよく食べ進めて、何故か季衣が対抗意識を燃やし肉まんを食べ進める。

 

女の子は満足したのか

 

「ぷっはー、ありがとうなのだ!鈴々は張飛 翼徳なのだ。」

 

「俺は沢田綱吉。」

 

他の三人とも自己紹介をし、なんで生き倒れていたのかを確認する。

 

「鈴々は愛紗と桃香ねえちゃんと一緒に義勇軍を集めようとしていたのだ。」

 

「えーと、それは真名だよね?」

 

「あ!そうだったのだ。愛紗は関羽 雲長。桃香ねえちゃんは劉備 玄徳なのだ。」

 

「兄様。確か桂花ちゃんから報告がきていた三人組ですよ。」

 

「集まりそう?」

 

「たぶん無理なのだ。」

 

ツナの問いに鈴々はシュンとした感じで顔を伏せてしまう。

 

「なら太守に頼んでみるから三人で軍の勉強しない?」

 

「隊長!?勝手に約束して大丈夫なんか?」

 

「大丈夫だよ。それに悪い買い物ではないから。」

 

「隊長がそう言うなら。」

 

ツナの発言に真桜は驚くがツナが笑いながら言うのを見て、いつもの勘かいなと呆れていた。その流れを見ていた流琉も苦笑し季衣は

 

「季衣ちゃんまだ食べてたの!?」

 

ひたすら肉まんを食べ続けていた。

 

 

愛紗・桃香side

 

噂の楽成城に来て三日目、いまだに志願してくれる同志には巡り合っていない。私は諦めかけていたが、横にいる姉上をみると懸命に呼び込みを続けていた。その姿をみて、私も諦めずに呼び込みを続ける。

 

すると鈴々が一人の青年を伴って帰ってきた。姉上は喜んでいたが、鈴々が生き倒れていたのを助けたのだと説明を受けて二人でお礼を言う。

 

「二人のやり方だと集まらないよ。」

 

「そんなこと!」

 

姉上が反論しようとするが、それ以上言葉が続かずに俯いてしまう。私も反論したかったが言葉がでてこなかった。

 

「例えば、100人志願してきたらどれくらいの食事や武器が必要?拠点はどうするの?」

 

まったく考えていなかった問いに私も姉上も目を丸くして驚いてしまう。

 

「そういうのは私塾じゃ教えてくれないからわからないよね?だから!良かったら楽成城に士官しない?必要なものを学んだら旅に出ても大丈夫だよ。」

 

青年はニコリと笑いかけてくる。その笑顔をみたら体が熱くなっているのを感じてしまう。

 

青年が鈴々の頭を撫でているのをみて姉上は羨ましそうに眺めていた。

 

「どうする?」

 

「よろしくお願いします!私は劉備 玄徳。桃香だよ。」

 

「私は関羽 雲長。愛紗。」

 

「鈴々の真名は鈴々なのだ!」

 

「俺は沢田綱吉。ツナでもツナヨシでも好きに呼んで。」

 

「わかりました。ツナヨシさん!」

 

「よろしくお願いします。ツナヨシ殿。」

 

「よろしくなのだ。おにいちゃん」

 

「まずは食事をしようか?」

 

ツナは三人を引き連れなら食堂に向かう。

 

 

桂花side

 

ツナヨシ様の手腕には驚かされてばかりですね。義勇軍の勧誘をしていた三人を逆に士官させてしまうなんて。私は排除することばかり考えていましたのに。

 

やっぱりツナヨシ様は他の男共とは違う存在です。

 

アア!夜伽に呼んではくれないかしら。紫苑様も怪しいですし、注意しておかないと。

 

 

紫苑side

 

待ちに待った夜ね。さあツナくんの寝室に行きましょうか。

 

自室を出てツナくんの部屋に向かう途中で、物音が聞こえたためそちらに足を向けると、

 

ドゴッバキ

 

ツナくんが額と拳に炎を灯して、男達と戦っていた。戦いというよりは一方的はものだったけれども、ツナくんが動くたびに炎がユラユラと揺れていたものが、線を引いたり

鼓動を始めたりと、昼間に見る光景よりも幻想的にみえた。

 

ツナくんが最後の一人を倒したのを見て

 

「お疲れ様。」

 

「紫苑さんだったんですね。怪我はないですか?」

 

隠れて見ていた私の身を案じてくれるなんて、やっぱり優しい子よね。

 

「この男達は?」

 

「璃々ちゃんの部屋に行こうとしていたんで、誘拐目的かと。」

 

ツナくんの返答をきいて、寝ている男達に殺意が芽生えるが、

 

「ツナヨシ様!」

 

「ツナヨシ殿!」

 

と騒ぎに気づいた桂花ちゃんと愛紗ちゃんがやってきて、事情を話して男達を牢屋に放り込み目が覚めたら尋問をするように指示をする。

 

すると桂花ちゃんが

 

「なんで紫苑様がこちらにいるんですか?こちらにはツナヨシ様のお部屋しかないはずですが。」

 

「貴女達と同じよ。私も異変に気付いて駆けつけたの。」

 

さすが桂花ちゃん。今日は諦めて帰りましょう。でも次はいただいちゃうからね。

 

私は護衛に付き添われながら自室に戻ることにした。

 

 

 

「ツナヨシ殿も自室へお戻りください。」

 

「大丈夫だよ愛紗。というよりも汗をかいたから湯浴びをしようかと思って。」

 

「ツナヨシ様!ぜひ桂花をお供に!」

 

「桂花殿!?なら私も!」

 

「どちらもだめですよ。兄様も早く湯浴びに行ってください。」

 

「「流琉ちゃん(殿)」」

 

「ハハハ!うん。俺に護衛は必要ないから大丈夫。桂花も愛紗も心配してくれてありがとう。」

 

ツナは意味がわかっておらず笑いながら湯浴びに向かう。

 

「お二人とも正座してください。」

 

「「ヒャい!」」

 

二人は流琉の後ろに般若がみえた気がして急いで正座をする。

 

「兄様は鈍感ですから体を使ってアタックしたいのはわかりますが、時期尚早です。まだこの地に完全な定住を決めていませんから、まずは皆で協力して外堀から埋めていかないとダメですよ。後で紫苑様にも言っておかないといけないことではありますが、兄様は天の御遣いです。下手したら天に帰ってしまう可能性もあるんです。」

 

といままでは流琉と季衣しか知らなかったツナの秘密を二人に話し、後で関係しているメンバーにも話さないといけないだろうなと考える流琉であった。



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7話

翌日

 

執務室には、紫苑、璃々、季衣、流琉、凪、真桜、沙和、桂花、ねね、桃香、愛紗、鈴々があつまっていた。

 

「兄ちゃんには兵を連れて昨夜捕らえた賊の尋問をお願いしてる。」

 

「ここに集まった方々は少なからず兄様に好意を抱いていると思いますので、兄様の秘密を教えておきます。」

 

「隊長の秘密だと?」

 

「ツナヨシさんの秘密か〜」

 

「ツナくんの服装や炎に関係あることかしら?」

 

「はい。兄様は伝承にある天の御遣いです。本人は否定していますが、遠いい国から来たことと、見たこともない武器や食事、ナッツちゃんという神獣を扱っていますから間違いはないかと。」

 

「天の御遣いでもツナ殿はツナ殿ですぞ!」

 

「ねねちゃんの言う通りだよ。ツナヨシさんなら優しい王様になれるよ。」

 

「それに関しては私達も心配はしておりません。ですが、伝承では天の御遣いは任務が終わったら国に帰ってしまう話になっていたと思います。誰か違う結末を聞いたことはありますか?」

 

流琉の問いに各々が考えるが誰も違う話を聞いたことがなく、暗い空気が漂っていた。

 

「鈴々には難しい話はさっぱりなのだ!」

 

「でもツナお兄さんがいなくなるのは嫌だよ〜」

 

鈴々が頭を上げて叫ぶと、璃々が泣きそうな顔で紫苑に抱きつく。

 

「そうね。私も嫌よ。なら帰りたくならないようにしちゃえばいいのよね?」

 

「隊長の好きなもの・・・思い浮かばないの!」

 

「肉まんじゃダメかな?」

 

「季衣殿が食べたいだけですよね?」

 

「そやな〜。隊長に欲求ってあるんかいな?」

 

「ツナヨシ様も男性ですから、女性には欲情するかと。やはり私が今夜夜伽に!」

 

「桂花殿落ち着いてください。」

 

紫苑が璃々を抱き上げながらニッコリと笑い提案をする。それを聞いた凪、真桜、沙和はツナの日常を思い出すが、酒に溺れるでもなく、地位や名誉にも興味がなさそうなため悩んでしまう。

 

季衣は食べ物をあげるが、ねねに自分が食べたいだけと一蹴されてしまった。

 

すると、桂花がやはり私の出番ですねと夜伽を提案し、立ち上がるが、隣にいた愛紗に落ち着くように言われて席に着く。

 

「はい。桂花ちゃんの言う事にも一理あります。兄様が誰かを好きになればいいんじゃないかと思うんです。」

 

「流琉ちゃん。この中の誰かがツナくんの子を孕ればもっと確実になるわよ。幸いにも色んなタイプがいるんだからいけるんじゃないかしら?」

 

紫苑が言った意味を理解し全員が顔を赤くしてしまう。桃香やねねなんかは手で顔を隠しており、愛紗や桂花はブツブツとなにかを呟いている。どうやら紫苑が言った先を想像しているようだ。

 

「でもツナ隊長は色恋沙汰に鈍感ですよね?桂花ちゃんがあからさまに迫っても気づいていないみたいですし。」

 

「兄様は勘がいいはずなんですが・・・。確かに紫苑様の言うことが一番確実ではありますが、あからさまに体で誘惑すると逃げてしまうかもしれませんので、じっくりと進めていけたらと考えています。」

 

「そうやなー。隊長は女に免疫がなさそうやし。」

 

「まずは軽いボディータッチから始めたらいいと思うの!」

 

流琉も紫苑の案には賛成だが、ツナの性格からしてゆっくり攻めるべきと主張した。真桜と沙和が同意し、また他のみんなも頷いていた。

 

ここに胸の大小問わずの協定が結ばれたのだった。



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8話

その頃、璃々を拐おうとした賊が理由を吐いていた。

 

「俺たちは黄巾党本隊に頼まれただけなんだ。」

 

「兵の規模と時期はわかる?」

 

ツナが炎を近づけながらニコリと微笑みかける。

 

「ひっ!数万単位としかわからん!あと二日もあれば来るはずだ!頼む助けてくれよ!」

 

「太守様次第。また牢にいれといて。」

 

ツナは兵士に指示を出すと、情報を整理しながら執務室に向かう。

 

執務室の前に着きノックをし、返事を待ち入室した。

 

「賊が吐きましたよ。二日後に数万単位の黄巾党本隊がこの城を狙っているようで、人質にする予定だったみたいです。」

 

ツナからもたらされた情報に考え込む文官に闘志を燃やす武官たち。

 

「桂花ちゃん。ねねちゃん。桃香ちゃん。いくら一騎当千の武将がいても数の暴力は脅威だよ。この場合はどうする?」

 

「真正面からのぶつかり合いをさけて城壁の外側には極力でないほうがいいかと。」

 

「城壁周りに罠を仕掛けるのも効果的です。」

 

「賊が混乱したら前後からの挟み撃ちかな?」

 

「三人共正解!具体的な策を一緒に考えようか?」

 

ツナは桂花、ねね、文官よりの桃香と策を考えており、ツナの中では答えが出ていたが三人にも勉強をさせたいとすぐに結論をだすことはしなかった。

 

「真桜はこれを作ってほしい。沙和はこれを集めてくれるかい?」

 

「ん?なるほど!おもろそうやん。さすがツナ隊長や!」

 

「これも普通なら考え付かないの〜」

 

ツナは真桜と沙和にメモを渡した。最初はなにかわからなかったようだが、そのメモには用途まで書いてあり二人は衝撃を受けていたが、最後は悪い笑みを浮かべながら部屋から出て行った。

 

「流琉は兵のために料理をお願い。腹が減っては戦はできぬってね。」

 

「任せてください!」

 

ツナは流琉に食べ物の箱を開けて、沢山の食料を手渡し調理を頼む。

 

「季衣ちゃん、凪、愛紗ちゃん、鈴々ちゃんは兵の練度を高めて、だけど二日後までは全力での訓練はなしだからね。」

 

「「「「はい!」」」」

 

武官四人に部下との調整を指示して二日後に万全になるようなメニューを渡す。

 

「紫苑様には城壁からの指示をお願いします。俺も戦場に降り立ちますので。」

 

「わかったわ。」

 

 

真桜と沙和の準備も終わり二日後

 

黄巾党本隊が城に攻めてきており、城からは煙が上がっている。離れた場所から見ると城が落とされたようにも見えるが、賊は未だに壁外にいて、壁内の煙はツナの命令にてあげられていた。門は鉄格子になっており、その隙間から巨大うちわで煙を賊達の方に追いやっており、城の周りにいる半分以上の賊は煙に覆われていた。

 

「そろそろ頃合いかな。」

 

ツナがそう呟くと。

 

「アアアアアァァァ」

 

賊達が苦しみもがき始め、煙に覆われていた半分以上の賊達が倒れていく。後続にいた賊達は恐ろしいものを見るかのように煙には近づけないでいた。

 

その光景を不思議に思った桂花、ねね、桃香がツナの元に集まり質問をする。

 

「ツナヨシ様?あれは一体?」

 

「もしかして仙術?」

 

「沙和に集めてもらったのはウルシって言ってね。陶器などの塗料にも使われている樹液が取れる木なんだ。燃やして煙を吸うと肺や気管支が被れて呼吸困難に陥るんだよ。」

 

「私達は大丈夫なのですか?」

 

「真桜に作ってもらったうちわでこちらには煙が来ないようにしているし、念のため作ってもらったゴーグルとマスクを付ければ大丈夫だよ。」

 

不安がっていたねねの頭を撫でながらツナは立ち上がり、

 

「紫苑さん!背後部隊に合図を送ります。狼煙を上げてください。」

 

真桜に作ってもらっていた、火をつけて勢いよく弓で放つと色のある煙を出す矢を放つように指示をだす。

 

すると賊の後方にある隠していた穴から数千人の歩兵が飛び出してくる。右側には季衣、流琉、鈴々。左側には凪、真桜、沙和の部隊が展開していた。

 

「まずは俺が出て煙を無くすから、愛紗は部隊を率いて正面から着いてきて。」

 

ツナは城壁から下に飛び降り、下降中にXストリームver2を放つ。

 

本来のXストリームとは逆回転をすることで、周りの敵や煙を遠くに弾きとばす。ウルシの煙は調和の力で毒性が失われていた。

 

「愛紗隊ツナヨシ殿に続くぞ!我らが城を襲う不届き者達に鉄槌を下す!立ち向かう賊は斬り伏せろ!逃げる賊も斬り伏せろ!生きて返すな!行くぞ!」

 

愛紗が部下達を鼓舞しながら賊達を蹂躙していく。

 

ツナは空中を飛びながら戦況をみて、劣勢な部隊を助けて回っていた。

 

「暴蛇烈覇!」

 

「季衣ちゃん後ろ!」

 

季衣は暴蛇烈覇を放ちながら賊を薙ぎ倒していくが、後ろが疎かになりがちなため流琉のヨーヨーが上手くカバーに入っていた。

 

「ウニャウニャウニャウニャ!」

 

鈴々はスピードとパワーのバランスがよく賊程度では相手にならずに無双していた。

 

「ハ!」

 

「とりゃ!」

 

「セイ!」

 

凪、真桜、沙和も部下達と連携しながら賊を退治していく。

 

賊達は前と後ろ、空からの攻撃でなすすべもなく全滅した。ツナは悲しい顔をしながら死体を集めていき、一纏めに炎で燃やし尽くす。

 

これには伝染病や疫病対策の意味があるのだが、ツナ達以外には知らされておらず、賊に対しては容赦をしないと恐れられた。

 

 

???side

 

私達は噂の楽成城に向かって歩いていた。最初は曹操殿の元に向かっていたのだが、武神に興味があると言い出し、見極めるために向かっていた。

 

楽成城に着くと、門に入るために列ができていた。さらに門に近づくと、目的や素性などを尋ねられて入場鑑札というものを渡された。聞くと住人以外には必ず必要な札とのことだ。

 

「稟ちゃん。これは見極めだけではすまないかもですよ。」

 

「ええわかっています。どうにかして太守にお会いできないものか。」

 

私と風はこの制度の素晴らしさに気づき、これを提案した人物に会いたいと思い街を散策していると。

 

【文官採用募集】の立て看板が目に入った。

 

 

???side

 

「はわわ!すごい人だよ。大丈夫雛里ちゃん?」

 

「あわわ!迷子になっちゃいそうだね朱里ちゃん。」

 

私達二人は水鏡先生からまずは楽成城に行ってみなさいと言われて学院を旅立ちましたが、楽成城に着いたらすごい人。そして入場鑑札という制度に驚かされました。

 

どうにかして太守様にお会いしたいと考えていると

 

【文官採用募集】の立て看板にぶつかり、これだ!と閃いたのでしゅ。

 

「あわわ 朱里ちゃん頭大丈夫?」

 

「大丈夫だよ雛里ちゃん。でもカッコよく決めてたのに噛んじゃいました。」



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9話

今回はツナ視点の恋姫キャラとの絡みについての回想シーンが多めです。


ツナside

 

新しい文官も増えて部隊展開や色々なことができるようになったのは嬉しいんだけど、最近みんなの様子がおかしいんだよね。

 

季衣と鈴々はことあるごとに

 

「手合わせしようよ〜」

 

と抱きついてくるし。手合わせはともかく抱きつくのはやめてほしいな。

 

流琉には料理の試食を頼まれるのは構わないんだけど、なんで

 

「兄様、あ〜〜ん。」

 

なのかな!?可愛い妹からの頼みだから断らないけど恥ずかしくないわけではないんだよ?

 

桂花にいたっては秘書みたいに付き添ってくれるのはいいんだけど

 

「秘書たるものお風呂や寝床も一緒にしなくては!」

 

とか言い出すし、言うたびに愛紗達にチョップされてるから冗談なんだろうけど。女の子なんだから冗談でも言っちゃいけないと思うんだ。

 

ねねと張々は

 

「ツナ殿!疲れてませんか?張々を枕に休むといいのです!」

 

ナッツも出して寛いでるといつの間にかねねと一緒に寝ちゃってるんだよね。ねねが抱きついてるのも可愛いし。あの空間には正直癒されてます。

 

新しく入った風、朱里、雛里は勉強熱心でよく自室にまで来て勉強会を開いているんだけど

 

「今回も風がはやく解けたので、お兄さんの膝に風が座りますね。」

 

「はわわ 強敵だよ雛里ちゃん。」

 

「あわわ 風ちゃんばっかりすわってるよ朱里ちゃん。」

 

何故かはやく問題を解けた人が俺の膝に座る権利があることなっていて三人で競ってるし、確かに競いながらやる勉強は効率はいいけど、膝ではなくてお菓子とかにしない?

 

子供組はまだいいんだよ。

 

でも大人組はヤバイ。

 

最近、璃々ちゃんが

 

「お父さ〜ん!」

 

って抱きついてくることがある。それは別に構わないんだ。璃々ちゃんの年齢からしたら甘えたい盛りだろうし、でも

 

「璃々ったら、ツナくんが困ってるでしょ。」

 

と止めてくれるのはいいんですが、俺が構わないですよって答えると

 

「ごめんなさいね。私もお父さんって呼んじゃおうかしら」

 

って言いながら腕を絡めてくるのはやめてくれませんか?璃々ちゃんもいるから逃げられないし。胸も当たっているんですよね。

 

稟は新しく入った文官で、桃香とよく一緒にいるのだけれども、よく鼻血を出して倒れるんだよね。

この間も桃香がお茶を運んでいる途中で転びそうになっていたから受け止めてあげたんだけど。

 

「ツナヨシさん!すすすすいません。あ!お洋服が!とりあえず脱いでください!」

 

持っていたお茶がスーツにかかっちゃったから、上着とシャツを脱いだんだけど。

 

脱いだ瞬間に

 

ドプシャァァァァァァァァァ

 

って盛大に鼻血を出して

 

「ご・・馳走様・・です。」

 

意味がわからないことを言って倒れちゃうし、桃香は桃香で顔を赤くしてクネクネしてたし。しょうがないからお姫様抱っこで運んだんだけど。それをきいた稟がまた倒れるし。

 

凪には近接格闘の訓練、愛紗は体が硬いから柔軟をメインに訓練をしている。

 

凪との訓練では密着する機会が増えてるんだよね。抱きついたら訓練にならないって言ってるんだけど、

 

「そんなことはありません。ツナ隊長は動きがはやいので、抱き抱えてしまえば動けないかと、このまま絞め技や寝技に持ち込みたいと考えてますので。」

 

確かにスピード重視の相手には正しい攻撃だけど!汗とか匂いも気になるしお互いに大人なんだから色々とヤバイんだよ!

 

愛紗とは互いにペアになって柔軟をしているんだけど、体を押すときに体重をかけてくるから背中に胸が当たるんだよね。愛紗が真面目にやってくれているわけだから、こっちも意識しないようにしているんだけど。愛紗の体を押してあげてる時の

 

「ン! ハァッアン! ツナ・・ヨシ殿。」

 

痛くて声が出ちゃうのはわかるけど、なんでそんな艶めかしい声なの?この間、その声を聞いた桂花や朱里、雛里が訓練場に雪崩れ込んできて大変だったんだよ。

 

真桜と沙和とは物資の調達で買い物に行く機会が多いのだけれども、二人ともなんであんな格好なのかな。ほとんど下着だよねあれは。わかっていないのかよく屈んで話しかけてくるし、沙和なんかは後ろから抱きついてきたりするから心臓に悪いんだよね。それを注意すると

 

「隊長もうちらに興味あるんや!」

 

「隊長も男の子だから当然なの!嬉しいの~」

 

と逆に喜んで手に負えなくなるし。

 

 

 

side out

 

そんなことを自室にて思い出していると

 

「貴方様がお猫神様ですか?」

 

「え?いやさ、いるのはわかっていたから驚かないけどね。お猫神ってなに?」

 

天井裏から黒髪長髪の女の子が降りてきて、意味不明なことを言い始めた。

 

「なんでも猫を使って戦う武神がいるときいております。」

 

「ナッツのことかな?ナッツ出ておいで。」

 

「ガウッ」

 

アニマルリングからナッツを出してあげると。

 

「お猫様~~、もふもふしてもよろしいでしょうか?」

 

「大丈夫だよ。」

 

ナッツを女の子に手渡し、書類に向き合う。女の子は長い時間ナッツと戯れていた。全ての書類が終わり立ち上がると

 

「ハッ!今日はお願いがあって来たんでした!」

 

「ナッツを見に来たんじゃないの?」

 

「それも違わないのですが~あぅあぅ。」

 

女の子はナッツを撫でながら困ったような表情になる。

 

「用事って?」

 

「私の名前は周泰 幼平。私がお仕えしている太守の二人娘をこちらに避難させていただきたいのです。」

 

「つまり誰かに嫁がせて同盟関係になりたいと?」

 

ツナは不快感を露わにし殺気を飛ばしながら女の子を睨む。

 

「!!! いえ!ただ・・・才能があるようであれば、武官でも文官でもいいので召し抱えてもらえないかと思っております。」

 

「ちゃんと理由を話してくれない?」

 

周泰の言葉に嘘がないことは超直感ではなくても目を見ればわかったので、殺気を消して周泰と向き合う。

 

「私がお仕えしているのは皖城にいる喬公様なのですが、喬公様曰く皖城はこの先、孫家によって占拠されると見ております。孫家は賊として有名でして、そんな危ない場所に娘たちを置いてはおけない、そこでいま最も力をつけている黄忠殿の街に住まわせたいと考えたのです。私の他に護衛がもう一人おりますので四名にてこちらに参りました。」

 

「なるほどね。・・・(ハァ、超直感が断るなと主張している以上、断るわけにはいかないか)わかった。連れてきていいよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「だけど!官吏になれるかどうかはその娘達次第だからね。」

 

「はい!私の真名は明命です。受け取ってください。」

 

「俺は沢田綱吉。ツナでいいから。」

 

明命と真名交換し、城内の宿屋にて休んでいるそうなので明日の朝に太守や他の官吏との顔合わせを行うことにした。

 

「あ!待って!俺も宿屋に行っていいかな?」

 

「?それは構いませんが?」

 

立ち去ろうとする明命を呼び止め一緒に行くと伝える。明名は小首を傾げ不思議がっていた。

 

「明命。自分の腕の中を見てみて。」

 

「え?・・・あ!」

 

「ナッツを連れてかれるのは困るから。まだ一緒にいたいなら宿屋までついて行くよ」

 

「あぅあぅ・・・・すいません。」

 

明命が自身の腕をみると寝ているナッツを抱き込んでいたのだ。




孫家についての賊云々は私の勝手な解釈です。


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10話

ツナは明命に案内されて、三人がいる宿屋へと向かっていた。

 

「大喬様、小喬様。明名戻りました。」

 

明名が宿屋のドアをあけて部屋に入ると、双子と思われる少女とツナを睨む緑色の目をした女の子がいた。

 

「失礼させてもらうよ。(いい気迫だね。)」

 

ツナはニコリと笑いながら部屋に入り空いているイスに腰掛ける。

 

「貴方ダレよ?」

 

「明命。この人は?」

 

「この方が噂の武神で、明日の朝、太守様に私達を紹介していただくことになりました。」

 

ツリ目な少女がツナに直接問いただす中、タレ目な少女が明名に問いかける。明命が武神と口にすると、二人は体を震わせて驚き、睨んでいた女の子もピクッと体を反応させていた。

 

「私は大喬といいます。」

 

「私は小喬よ。なにが望みなの?体?」

 

「小喬ちゃん。ダメよそんなこと言っちゃ。せめて紹介してくれた後に言わないと気が変わっちゃうかもしれないでしょ。」

 

少女はタレ目が大喬、ツリ目が小喬というようだが、見た目の可愛らしらとは裏腹に言葉に毒が混じっていた。

 

「ハハハ。ハァ〜(また濃いメンバーが増えそうだな)。俺は沢田綱吉。ツナで構わないよ。」

 

「私は太史慈 子義。ツナ殿手合わせをしてほしい。」

 

睨んでいた女の子は太史慈と言い、元の場所では明命と同じ武官だったらしい。

 

「採用試験じゃないけど、四人とも武官の誰かとは模擬戦をしてもらうことになるよ。」

 

「わかりました。明日まで我慢します。」

 

ツナは模擬戦がしたいと言われ、戦闘狂なのかとも考えたが、聞き分けがよくて感心していた。

 

「「え!私達も?」」

 

大喬と小喬がハモりながら声をあげ立ち上がる。

 

「あんた偉いんでしょ!なんとかしなさいよ!」

 

「いまは即戦力としての扱いなら例外だけど官吏は募集していないんだ。二人とも武官ではないだろうし、文官としても勉強不足だよね?」

 

小喬が指を向けながら命令口調でなんとかしろというが、ツナは二人に官吏としての実力がないのを見抜いていて事実を告げる。

 

「小喬ちゃん。まずは落ち着いて。」

 

大喬が暴れる小喬を宥めて、目でツナに続きを訴えかける。

 

「本来ならダメなんだけど、二人には俺の知り合いってことで、特別に文官見習いとして勉強をしながら働いてもらう。」

 

「わかりました。お礼は体で返しますね。」

 

「やっぱり体が目当てなんじゃない。」

 

「誰も体を求めてはいないからね!とにかく、やるからにはねっちょり勉強はしてもらうから覚悟してね。」

 

ツナはそういうと立ち上がる帰ろうとするが、

 

「ねえ、知り合いって言うのならお互いのことをもっと話しておきませんか?」

 

大喬がツナの腕を取り引き留める。

 

「そうだね。じゃあ軽く雑談でもしようか。」

 

ツナも大喬のいうことはもっともだと考え五人で色々なことを話し、夜中に自室へと戻っていった。

 

 

 

翌日、ツナは五人を連れて謁見の間にて紫苑とや他の官吏達に紹介をした。多少怪しまれたが、ツナの知り合いと言うことで梨晏と明命は武官に大喬と小喬は文官見習いとして仕えることに決まる。

 

手合わせでは梨晏はツナと、明名は愛紗と手合わせを行い武将としての力を見せることにも成功していた。

 

その他にも将にまでは力が及ばないが、争いが絶えない地域からの避難民なのか文武共に優秀な兵が増えていった。

そのため街も少しずつ大きくなっており、ツナ、真桜、沙和が計画し城壁が二枚・三枚と外側に増えていった。

 

 

十日後

 

「漢王朝からの黄巾賊討伐命令が届いたですぞ。」

 

「各地の豪族達全員に渡っているみたいでしゅ・・・噛んじゃった」

 

ねねが勅命を読みあげ、雛里が補足で説明するが、噛んでしまい大喬、小喬にいじられ朱里に慰められている。

 

「都からの勅命なら動かないわけにもいかないわね。みんな部隊編成をおねがいできるかしら?」

 

「「「「はい!お任せください紫苑様。」」」」

 

紫苑が立ち上がりながら文官達に部隊編成の指示を飛ばす。優秀な文官達が決めたことなら領内の守りも確実なものになると信じているのだ。

 

領内に残るのが

紫苑、凪、真桜、沙和、ねね

 

諜報(拠点や賊の動向を探る)部隊に

明名、風

 

第一部隊(攻撃専門)に

ツナ、梨晏、流琉、季衣、朱里、雛里、桂花

 

第二部隊(安全確保した村や町への補給や物資の移動、第一部隊に怪我人が出たときの予備戦力)に

桃香、愛紗、鈴々、稟、大喬、小喬

 

という部隊展開をすることになる。



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11話

第一部隊Side

 

「ツナヨシ殿。なぜ入ったばかりの私が第一部隊、しかも貴方の近衛隊長なのでしょうか。」

 

「梨晏は不満?」

 

部隊が街道を進行中、梨晏がツナに近づき自身の配置について訪ねる。

 

「いえ、不満とかではなく、桂花殿に言われたのですが・・・本来は私ではなく凪殿の予定だったところをツナヨシ殿が私にと言ったので変更になったと聞きまして。どんな状況でも守り切るよう言われており。」

 

「桂花らしいね。ん~凪にも説明したんだけど、凪は俺と戦闘スタイルが似ているから今回は残ってもらったんだ。凪は俺の一番弟子って印象があるみたいで領内に残していた方が抑止力にもなるからね。梨晏のことは宿屋で一目見たときから気になってたんだよ。だからゆっくり話してみたくてね。模擬戦をして力に申し分ないこともわかってるし。」

 

「私が気に入った?ツナヨシ殿が私を?」

 

ツナが自身の考えを語りながらニッコリと梨晏を見る。梨晏は顔を赤くしながら俯いてしまいそのまま失速してしまった。

 

「はわわっ!大変だよ雛里ちゃん。ツナヨシ様が梨晏さんを気に入ったって。」

 

「あわわっ!どうしよう朱里ちゃん。やっぱり胸なのかな」

 

近くで聞いていた朱里と雛里が小さな声だが慌ててしまい、お互いの胸と梨晏の胸を見比べてガックリしている。

 

「落ち着きなさい朱里、雛里。ツナヨシ様が言ったのはそういう意味ではありませんわ。」

 

「兄ちゃんが気に入ってるって名言したのっていないよね?」

 

「兄様の気に入るは異性としてではなく、共に歩んでいく仲間として気に入っているって意味だと思います。梨晏さんの裏表がない素直な性格が気に入っているのではないでしょうか?」

 

同じように聞いていた桂花、季衣、流琉は落ち着いており、ツナが言った気に入っているの意味を考えている。

 

しかし六名とも勘違いしている、ツナは気に入ったとは言っておらず、気になったとしか言っていない。

 

 

襲われていた村をいくつか助け第二部隊に引き渡した後、第一部隊が崖下の道を進行していると、

 

キンッキン ギャアアアァァァ

 

という音が崖の上から聞こえてきた。

 

第一部隊の面々は助けに行きたいが崖上にすぐに行けないとわかっていたため上を確認しながら進行している、ツナは今にも飛んでいきそうではあるが、

 

「ツナヨシ様!ここは我慢してください。相手の規模や戦力がわからない所に単身で貴方を向かわせるわけには行かないんです。後でお仕置きでもなんでも受けますから。」

 

と桂花に抱きつかれて止められていた。周りのみんなも考えは同じなようで頷いている。

 

しかし

 

「こっちに来ないで!誰か助けて!」

 

という声が聞こえた瞬間

 

「ごめんね。ここで行かないと俺はなんのためにここに来たのかわからなくなっちゃうから。後で言うことを聞いてあげるから行かせてくれないかな。」

 

ツナは桂花の頭に手を置きながら、桂花を諭していく。

 

「わかりました。言うことは聞かないでいいので絶対に怪我をしないで帰ってきてくださいね。」

 

桂花は涙目になりながらツナから離れて祈るように手を合わせる。

 

「絶対に約束するよ。」

 

ツナは額と両足に炎を灯し崖の上を目指して飛んで行った。

 

 

ツナが崖上に到着すると、一台の馬車と武器を構えた女の子三人、それを取り囲む賊が目に入った。

 

「スコッピオ・ディーラ改!」

 

と指を銃の形にしてXANXUSが銃を使用して使っていた技を空中から賊の一団に向けて何発も放つ。

 

煙が晴れて、その姿をみた生き残った賊は

 

「あの姿は!」

 

「空を飛び回り炎を操る・・・間違えねえ黄忠軍の武神だ~~~」

 

と体を引きずりながら逃げていった。

 

賊が見えなくなると、三人の女の子の前に降り立つ。三人の周りには仲間だったのか賊には見えない格好の男達が倒れていた。

 

「来るのが遅くなってごめんね。怪我はない?」

 

「別に雷々達だけでもどうにかできたんだからね!でも助けてくれてありがとう。」

 

「電々達だけだと難しかったと思うよー。ありがとうございました。」

 

「ありがとうございました。いま空を飛んでいたです?シャンにも飛び方を教えてほしいのです。」

 

「空の飛び方かー。難しいかな。」

 

三人にお礼を言われたので、そのまま自己紹介をすることに。

 

「俺は沢田綱吉。ツナで構わないよ。黄忠軍として黄巾賊の討伐中。」

 

「私は糜竺 子仲。真名は雷々です。電々は私の妹よ。」

 

「私は糜芳 子方。真名は電々です。」

 

「シャンは徐晃 公明。真名は香風。」

 

どうやら姉妹の方は商人の娘らしく一旗あげようと旅をしていたが、運悪く賊に囲まれてしまっていたらしい。香風や周りの男達は、姉妹の父親から護衛として雇われていたとのことだ。

 

「おにいちゃん。ぎゅー。」

 

「ンナ!急になに?」

 

三人の話を聞いていたら香風が急に抱きついてきた。

 

「抱っこしてお空を飛んで」

 

どうやら飛ぶのを教わるのは難しいと理解はしたが、空を飛んでみたいことに変化はなく、ツナに抱えられながらでも構わないと考えたようである。

 

「ちょうどいいから下にいる部隊と合流するね。香風は後ろからしがみついて、雷々と電々は横から」

 

ツナは下に任せている部隊と合流するために、三人をしたに運ぶことにした。乗ってきた馬車は無残にも壊れてしまっておりそのまま使用することはできなくなってしまっていた。

 

「行くよ!」

 

「お~~。シャンが飛んでるです。気持ちいいです。」

 

「ちょ!さすがに怖いって。」

 

「うわ~。ツナお兄さん暖かいです。」

 

後ろから香風が抱きついてきて、左右からは雷々と電々。香風はそうでもないが雷々と電々は不安なのか左右から顔を近づけてきておりツナとほっぺた同士が触り合うほどの距離になっていた。

 

ツナはゆっくり崖下へと向かっていく。

 

 

桂花はツナの降りてくる姿を見て安心したが、陰が異様に大きいことに気づき次第に不機嫌になっていた。

 

「ツナヨシ様。ご無事でなによりです。そちらの方々は?」

 

大きな陰の正体がツナにしがみついている女の子だとわかると、顔を引き攣らせてしまう。

 

「桂花。この子達は武官候補としてこのまま一緒に進行するからよろしくね。各自自己紹介しといて。」

 

ツナは三人を降ろし乗る馬車に案内するように指示し、上での内容を説明をしていく。すると春風が近くまできて

 

「おにいちゃん。シャンの夢が少し叶ったありがとう。チュッ」

 

とツナにお礼を言いながらホッペにキスをしてしまう。

 

「「「「「「「え!」」」」」」」

 

その光景をみた桂花は黒いオーラを出しながら

 

「わかりました。そういえば何でも言うことを聞いていただけるんでしたよね?それはこの場にいる官吏全員分のいうことをということですよね。」

 

「ちょ!なしになったんじゃないの!」

 

「そんなこと言っていませんよ。もしかして黄忠軍の官吏全員という意味でしたか?では後ほど全員にお伝えいたしますね。」

 

「はわわっ!桂花ちゃんがいままでみたこともない表情をしてりゅよ。」

 

「あわわっ ツナヨシ様に命令・・・夜伽」

 

「兄ちゃんへのお願いか~どうしようかな」

 

「兄様。逃げないでくださいね。」

 

「ツナヨシ殿。今回は諦めた方がいいかと。」

 

六人は顎に手を当てて考えながら進行を進めていった。




ツナが使用したスコッピオ・ディーラ改は幽遊白書の霊丸の片手連続打ちを想像してください。


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12話

ツナに対するお願いに関しては、黄巾討伐が終了してからと各官吏達の間で取り決められた。

 

現在の黄巾討伐の武勲だが、黄忠軍がぶっちぎりの一番で二番に曹操軍、三番に董卓軍ときている。

 

ツナ達は黄巾賊を数十万単位討伐しており、救出した街や村へは第二部隊が上手く物資を届けており民衆からの指示も高いのだ。

 

そんな中、諜報部隊の明命から伝書鳩が飛ばされてきた。書状には黄巾賊の集積所を発見したと書いてあった。

 

「ツナヨシ様。これは更に武勲を高めるチャンスです。一気に進軍いたしましょう。」

 

「そうでしゅ。集積所を叩けばこの辺りの黄巾賊を一網打尽にできましゅ。はわわっ噛みまくり。」

 

「集積所となるとかなりの人数が予想できますから第二部隊から予備戦力を投入しゅべききゃと。あわわっわたしも噛んじゃった。」

 

軍師三人娘が集積所を叩くべきだと進言するが、

 

「できればこれ以上の武勲はほしくないかな。これ以上は政争に巻き込まれかねない。」

 

「一理ありますわね。どこかと手を組みますか?」

 

ツナがこれ以上は危険になることを説明し、三人娘も政争は遠慮したいと手を考える。その時、天幕が開き

 

「お兄さん。近くには公孫瓚軍と董卓軍、少し離れた場所には曹操軍がいたと思うのですよ〜。」

 

と風と明命が合流した。

 

「おかえり。風と明命は色々な情報を持ってると思うから確認したいんだけど、手を組むなら公孫瓚軍と董卓軍で問題ないかな?」

 

風がツナの足に抱きついてきたので、抱え上げて頭を撫でながら質問をする。明命はナッツを抱きついていた。

 

「風も同じ意見ですよ。曹操は危険だと思うのです。」

 

「お猫様〜。は!・・・曹操軍の武勲は高いのですが、情報操作も凄いんです。」

 

「曹操さんは美少女好きだという噂も凄いですから、あまりかかわりたくはないですね。」

 

風と明命もツナの意見に賛成であり、桂花も自身が聞いた噂を話し曹操軍を敬遠する。

 

「なら決まりだね。公孫瓚軍と董卓軍に伝令を飛ばして!合流次第集積所を叩く!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

ツナは策を練るのを四人に任し天幕から出て行く。

 

明命が董卓軍に風が公孫瓚軍に行くことになり二人と護衛を見送る。

 

「あ!ツナ発見。雷々達三人を武官にというのは本当なの!?」

 

雷々、電々、春風がツナに駆け寄る。

 

「ツナさん、ありがとうございます。電々頑張ります!」

 

「この戦いで雷々様が一旗あげちゃうわよ」

 

「おにいちゃんの近くに入れば、空を飛べるようになるかもだから、シャンも頑張る。」

 

「ツナヨシ殿。三人共なかなかの武ですぞ。」

 

「兄ちゃん!近接戦闘をもっと教えてほしい。」

 

後から梨晏が笑いながらやってきて三人を褒める。どうやら手合わせをしていたようだ。梨晏の影から季衣が飛び出してきてツナに抱きつきながら訓練を頼み込む。武器の違いから難しい手合わせになったようで季衣なりに考える部分があったようだ。

 

「季衣には季衣の長所があるんだから、その部分を伸ばして行こうか?でも最低限の護身術程度でいいなら教えてあげる。」

 

「兄様。皆さんもお食事の用意ができましたので、休憩にしましょう。」

 

 

公孫瓚side

 

いま私達の陣に噂の黄忠軍からの使者がやってきていた。正直な話、黄忠殿の領土と私の領土は近くにあるため、いつかは接触したいとは考えていた。

 

「私は程昱 仲徳と申します〜。公孫瓚殿にお願いがあり参りました〜」

 

「黄忠軍の武勲は聞いている。私なんかにできることがあるのか?」

 

驚くことに使者として来ていたのは、黄忠軍の程昱将軍だった。まさか将軍自らやってくるとは思わなかったが、それほど重要な案件なのだろう。

 

「これを読んでいただけたら、おおよそのことはわかるかとー」

 

私が受け取った書状をみていると

 

「おお、風ではないか!いまは黄忠軍にいたのだな。」

 

「星ちゃん久しぶりです〜。公孫瓚殿の元にいたのですね〜。稟ちゃんと一緒に士官したのですよ〜」

 

客将の趙子龍が表れて雑談を始めていた。

 

「程昱殿。手を組むことに関してはこちらとしてはありがたいのだが、そちら側にメリットがないと思うのだが?」

 

「そんなことはないのですよ〜。騎馬技術や良馬の仕入れ方法で頼りにしたいと考えてます。」

 

うわ〜過剰に評価されてるな〜。だけどこの機会を逃したくないし、趙子龍の目もギラギラしてるよ。あいつも本当は黄忠軍に行きたいんだろうな。

 

 

董卓side

 

「月。黄忠軍から伝令が来て書状が届いたわ。」

 

「詠ちゃん。どんな内容だったの?」

 

いま私達は黄忠殿の領地を進軍していた。都からの勅命だから許可はいらないのだが、何かしらの無茶なことを言われる可能性がある。

 

私は書状を読み進めていく

 

「黄巾賊の集積所を発見したから一緒に討伐しないかって書いてあるわ。」

 

これはなんか裏があるわね。黄忠軍ならうちと手を組まなくても問題ないはずよ。たぶんこれ以上の成果をあげて、袁家や曹家に睨まれたくないっていうのもあるんでしょうけど。

 

「詠ちゃん。この話受けよう。損得よりも、この集積所を叩くことで救える命があるなら私はそれを優先したい。」

 

「月・・・わかったわ。」



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13話

「初めまして、沢田綱吉です。真名はないのでツナかツナヨシとお呼びください。この度は急なことにもかかわらずありがとうございます。」

 

「公孫瓚 伯珪だ。こちらこそよろしく頼む。」

 

「ボクは董卓軍筆頭の賈駆 文和。」

 

お互いに礼をした後にさっそく軍議に入った。軍議では黄忠軍の軍師四人と賈駆が中心となり策を練り、ツナが時々補填し、公孫瓚も自身の意見を飛ばしていた。

 

集積所は崖に囲まれており、入り口は正面のみしかない場所に存在していた。しかも入り口の道も狭く、大軍を持って攻め込むことができない地形になっていた。

 

「しかし・・・ツナヨシ殿が空を飛べるのは誠のことでしたか。」

 

「何人も乗せた馬車を持って飛べるわけ?なんてデタラメな。」

 

公孫瓚と賈駆は桂花達が立てた前代未聞の策に驚いていた。

 

策の内容は

ツナが闇夜に紛れながら崖上から馬車を持って空から奇襲を仕掛けるというものだった。馬車には黄忠軍からは電々、雷々、香風、梨晏。公孫瓚軍からは趙子龍。董卓軍からは呂布、張遼、華雄が乗り込む事になった。

 

入り口に続く狭い道には季衣と流琉が逃げる賊を待ち構えており撃退することになっていた。季衣と流琉の武器と連携なら、狭い道は相性がいいのだ。

 

 

曹操side

 

「華琳様。黄巾賊の集積所ですが、董卓軍が壊滅させたという書状が入ってまいりました。」

 

私達が黄巾賊の集積所の情報を得たのと同じタイミングで、その集積所を壊滅させたという情報がまわってきた。

 

董卓軍の方がいかに早く情報を得ていたかの証明にもなるわけで、こちら側の人材不足が露呈した瞬間でもあった。

 

いま私の元にいる名高る者は従姉妹の夏侯惇、夏侯淵、曹仁、曹純、曹洪のみであり曹一族しかいない。

 

「この度の進軍に関しては同盟が結ばれたと聞いております。」

 

「秋蘭。それはどれくらいまでわかっているのかしら。」

 

「董卓軍の他に公孫瓚軍、それと黄忠軍となっております。」

 

公孫瓚軍に関しては、まあいいわ。どちらかというとこういう行動ができただけでも評価されるべきね。

 

だけど黄忠軍は、武神といわれている青年を筆頭に一騎当千の武将達。それを支える知略に長けた軍師が多いと聞くわ。わざわざ董卓軍と手を組んで進軍する必要はないはずよ。なにか裏があるわね。

 

「理由もわかっているのかしら?」

 

「申し訳ございません。理由や経緯までは判明しておりません。」

 

「そう。わかったわ。情報が入ったら教えて頂戴。」

 

本当に人材不足ね。いえ、武将は足りているのよ。ただ軍師がいないのよね。噂の武神を取り込めれば何人かついてくるかしら。地位や名誉?それとも女?いいわ。本気になった曹家の力を見せてあげる。

 

「栄華と柳琳を呼んで頂戴。」

 

 

 

 

ガタッ

 

「お兄さん。どうしたのですか?ついに風に欲情したのですか?」

 

「違う。いま悪寒がしたんだ。」

 

「ツナヨシ様の悪寒ですか?警戒が必要ですね。それと風、場所を変わりなさい。」

 

「はわわっ あんなに強く抱き締められてます。」

 

「あわわっ そんなにされなら壊れちゃいましゅ。」

 

ツナは董卓軍、公孫瓚軍との軍議の最中にいままで感じたことのない悪寒を感じて立ち上がり、周りを警戒し始めた。ツナの上に座っていた風を抱き締めながら立ち上がったため風は嬉しそうに身を預けていた。

 

それを見た桂花は警戒が必要だと衛兵に指示を出しながら風を睨む。朱里と雛里は風を自分に置き換えて想像しているのか頭から煙をだしていた。

 

「沢田様大丈夫ですか?」

 

「ちょっとツナヨシ。月の前で変なことしないでくれない!」

 

「ツナヨシ殿は人気者ですね。」

 

先の戦にて真名交換をした月、詠、白蓮がツナの行動に驚いていた。

 

「大丈夫だよ。軍議中に失礼しました。」

 

ツナは謝罪し席に座りなおす。

 

(月ちゃんをみてるとユニを思い出すな。こんな優しい子があの董卓なんて。)ツナは月を見ながら三国志の董卓を思い出す。

 

「ちょっと!月をジロジロ見ないでくれないかしら。」

 

「大丈夫だよ詠ちゃん。」

 

「ごめんね。こんなに可愛くて優しい笑顔をする子が董卓さんだったなんて想像していなくて。」

 

ツナはニコリと笑いながら見ていた理由を話す。その笑顔を見た月は顔を赤くし照れ笑いを浮かべていた。

 

「お上手ですね。ありがとうございます。沢田様も素敵な笑顔をされてますよ。」

 

ツナと月は互いに褒め合いながら微笑む。黄忠軍の軍師四人は新たなライバルに溜息をつき、白蓮はこの二人雰囲気が似てるな〜と考え、詠はまさか月が!と衝撃をうけていた。

 

天幕の中では軍議をしているが、外では飲めや騒げやの宴会が始まっており、第二部隊の将軍達や、城の防備が完全なものになったためねねも合流していた。

 

「ツナ殿!皆様も宴会に合流するですよ!」

 

「そうだよ〜白蓮ちゃんも一緒に食べよ〜」

 

「ちょ!桃香。」

 

「じゃあ後はまた今度にしようか。」

 

天幕にねねと桃香が入ってきて軍議に参加していたメンバーを誘う。

 

宴会では

 

星、梨晏、霞が呑み比べをしていたり

季衣、鈴々、恋が同じテーブルで料理を食べ続け流琉が必死に料理を作り

愛紗、華雄、電々、雷々が武勇を語っていたり

香風、明命、大喬、小喬、稟がナッツと戯れていた。




ねねが合流しています。


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14話

その後、諸侯連合は董卓軍・公孫瓚軍・黄忠軍を中心に次々と黄巾賊を破っていき、遂に黄巾本隊にまで迫っていた。いまだ首謀者とされている張三兄弟を見たものはいない。

 

黄巾賊は四方向から攻められて中央に集まる形となり広宗に篭城することになった。

 

漢軍からの伝令により東門には曹操軍、西門には董卓軍・公孫瓚軍・黄忠軍、南門には袁紹軍、北門には漢軍(何進、皇甫嵩、慮植)が攻めてきた方角から突入することになった。

 

「うちらの戦力だけ過剰すぎるんちゃうん?」

 

「恋だけでもいいくらい。」

 

「霞殿、恋殿。油断はダメですぞ!」

 

「ねねちゃんの言う通りなのです〜」

 

「まだ首謀者の三人の姿が確認できていませんので、念には念を入れます。」

 

「ボクも同意見だよ。あとツナヨシに燃やされたくないからね。」

 

門の前にて霞と恋がつまらなさそうに合図を待っていると、ねね・風・桂花ら軍師陣から釘を刺される。詠は戦後のツナが行なっている火葬を思い出し、あれは嫌だと告げる。霞と恋も同意見なようで頷いていた。

 

董卓軍、公孫瓚軍にもツナが死体を燃やしている理由は話しており、必要性は理解しているのだが賊と一緒に燃やされるのは嫌らしい。

 

「今回も全員では突入しないよ。部隊をいくつかに分けるからね。」

 

ツナが月・白蓮・朱里・雛里・桃花・大喬・小喬と一緒に天幕から出てくる。

 

朱里と雛里の策は

突入部隊

愛紗・鈴々・霞・恋・星・ねね・朱里

 

救援部隊

白蓮率いる騎馬部隊、季衣・電々・雷々・風・稟

 

自陣防衛部隊

流琉・香風・梨晏・桃香・桂花・大喬・小喬・月・詠・華雄

 

隠密部隊

ツナ・明命・雛里

 

となった。

 

「明命殿!ツナヨシ殿を頼みました。」

 

「兄様?無茶はしないでくださいね。」

 

「雛里ちゃん。頑張ってね。」

 

「明命、ツナヨシ様をしっかりとお守りするのよ。雛里、常に考えを巡らせて思考を止めちゃダメだからね。」

 

隠密部隊は他の部隊と違い、ツナ達三人のみである。そんな三人を案じ、近衛隊長である梨晏が明命にツナを託し、流琉はツナに釘をさすのを忘れない。朱里は雛里を応援する。桂花は明命にはツナに怪我を負わせないように言いつけ、雛里にはアドバイスを送る。

 

桂花はちびっ子軍師達の中ではお姉さん的な立ち位置になっており慕われていた。

 

それぞれが持ち場につき、

 

「ツナヨシ殿達に見向きしないように、我々が大暴れすればいいのだろ。」

 

「星の言う通りだ。朱里、指示を頼む。」

 

「霞さんも鈴々ちゃんもよろしくお願いします。」

 

「任せるのだー」

 

「クゥー、このメンツで戦とかたのしゅうてしょうがないわ。」

 

「恋殿!よろしくですぞ!」

 

「恋も暴れる。みんなを守る。」

 

突入部隊が各々士気を高めあう。また自分達の頑張りによって、隠密部隊の行動が変わってくるため気合いも入れている。

 

「機動力なら任せてくれ!」

 

「ボクは混戦地帯より突破された箇所の救援かな。」

 

「雷々様に任せときなさい!」

 

「電々も頑張りますよ〜」

 

「危険なのは漢軍に袁紹軍ですかね〜」

 

「そうですね。曹操軍には勇猛な武将が揃っていますから。」

 

救援部隊は劣勢な場所の救援をするのが目的である。そのため各軍に密偵を潜り込ませており、戦況によって色狼煙をあげるように指示を出している。

 

「シャンも頑張る〜」

 

「大喬ちゃん、小喬ちゃん。私達は後方支援だよ。頑張ろうね。」

 

「桃香さん最近太りました?」

 

「桃マンの食べ過ぎですね。」

 

「大喬ちゃん、小喬ちゃん。桃香さんをいじるのはその辺にしてあげてください。」

 

「自陣だからって気を抜いてちゃダメよ。」

 

「フフフ、詠ちゃん。黄忠軍の皆さんはどんな時でも楽しそうだね。」

 

「月・・・そうね(この戦の後にも友好な関係でいたいわね。)」

 

「私がいるのだから問題ない!」

 

自陣防衛部隊にはみんなが帰ってくる場所を守るという責任があり、重圧もあるのだが大喬・小喬が桃香をいじり、桃香がリアクションをとることで場を和まさせていた。

 

「ツナヨシ殿。お猫様寝ちゃいました。」

 

「ナッツも明命に抱かれて安心しているんだと思うよ。」

 

「常に考えを巡らせて・・・うん。大丈夫。ツナヨシ様のお膝暖かい。」

 

隠密部隊は明命がナッツを抱きながらツナと背中合わせに寄りかかっており、ツナの膝の上では雛里が策を考えており癒し空間を作っていた。

 

そして漢軍からの合図が鳴る。



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15話

突入部隊side

 

「漢軍からの合図が鳴ってますね。鈴々ちゃん、これを門に当たるように投げてください。」

 

「わかったのだ!」

 

「朱里それはなんだ?」

 

「それはツナヨシ様と真桜さんが開発した爆弾というものらしいです。」

 

「ほーそんな小さなもので門が壊せるのか?」

 

「なげるのだ!」

 

朱里が懐から球体の物体を取り出し鈴々に投げるように指示を出す。愛紗と星はそんなもので門が壊せるのかと疑問に思っていたが、

 

ズッドッーーーン

 

球体が門に当たった瞬間、爆発が起こり門を跡形もなく破壊した。

 

「なんや!なにが起こったんや!」

 

「凄い威力ですぞ!」

 

「はわわっ こんなしゅごいなんて聞いてないでしゅよーー!」

 

想像していなかった事態に霞達は驚き、ねねも恋に抱きついていた。

 

「門がなくなってるのだー」

 

「朱里殿!行きますよ!」

 

「星さん、鈴々ちゃん待ってくださいー」

 

「星!鈴々!ずるいで!うちが一番槍なんや!」

 

いち早く復活した鈴々と星の部隊が駆け出していく、それに続くように他の部隊も駆け出し始める。

 

「このまま突き進むのだー」

 

「鈴々ちゃん!愛紗さんは私と一緒に鈴々ちゃんの後方に回って鈴々ちゃんが囲まれないようにしてください。ねねちゃん、ここは任せました!」

 

「承知した!」

 

「任されたのです!恋殿は中央、霞殿は右を、星殿は左をお願いですぞ!攻める必要はないのです。ねね達の役目は賊の目を引きつけることです。」

 

「恋も頑張る。」

 

「いっちょやったりますか!」

 

「フッ外道の輩に鉄槌を下す!」

 

武将達が前面に立ち槍を振り回すと数十人規模で賊は吹き飛ばされる。また後方に控えている弓兵の攻撃により賊達は一斉に囲むこともできずにいた。

 

 

 

隠密部隊side

 

ズッドッーーーン

 

「行くよ。しっかり掴まっててね。」

 

「はい!ツナヨシ殿」

 

「あわわ ツナヨシ様に抱かれちゃいました。後で朱里ちゃんに自慢しなきゃ。」

 

突入部隊が門を壊したのを合図に二人を抱えて空を飛んで城壁を越える。

 

「賊は西門に向かっているか。みんな怪我をしないようにね。」

 

西門以外は突破されていない関係で賊は西門へと向かっていた。

 

「ツナヨシ殿、どういたしますか?」

 

「まずは中央を確認するのがいいかと。」

 

「確かに大将なら中央なんだけど・・・俺の勘が南門の方にっていってるからそっちにしよう。」

 

「「わかりました!」」

 

 

 

救援部隊side

 

「稟ちゃん。風達の出番はあると思いますか?」

 

「ないのが一番だけど、正直出なくちゃまずいでしょうね。」

 

「稟さん!狼煙が上がったよ!」

 

「!! まさか三つの方角から上がるとは〜」

 

「これは!私もまだまだだということか。」

 

救援部隊が見たものは三色の狼煙だった。つまり西門以外は救援に向かわないと壊滅的な状況ということである。

 

「しょうがないのですよ。風と季衣ちゃんは東門に、稟ちゃんと雷々ちゃん、電々ちゃんは南門に、白蓮さんは北門をお願いします。」(お兄さんから渡された指輪を使うしかないみたいですね〜)

 

「行きますよ雷々、電々。」

 

「鼻血出して倒れないでよね!」

 

「待ってくださいー」

 

「うむ。騎馬隊進め!」

 

救援部隊は当初の予定にない三方面に展開していくことになった。風は作戦開始前にツナから預かっていた指輪を見ながらため息をついた。指輪の用途からツナには全て予測できていたことなのかもしれないと思ったのだ。

 

 

自陣防衛部隊side

 

「月!いま風からの書状で他の三つの門に救援に向かうと連絡があったわ!」

 

「これは・・想像していませんでしたね。」

 

「詠ちゃんみんなは大丈夫だよね?」

 

「誰かの危機になったら兄様が察しますから大丈夫だとは思います。」

 

「でもここも危ないんじゃない?」

 

「うむ。私と香風殿、華雄殿は外に出て待機しております。」

 

「シャンも〜?」

 

「月様。私にお任せください!」

 

「これが戦ですか。」

 

「策を考えるのってむずかしいんだね。」

 

風からの伝令により異常な事態になっていると判断すると軍師達は策を練り直しにかかり、武将達は流琉を残して外の警戒にあたる。大喬と小喬は勉強のためについてきており常に状況が変化することに驚いていた。

 

他門side

 

北門では門は破れたのだが、中に入れさせまいと黄巾賊の武将で波才とト己を中心に守備を固めていた。漢軍の兵士は徴収された兵士が大部分を占めていたため士気も低く敗戦モードが漂っていた。

 

公孫瓚率いる騎馬隊が到着すると、白蓮が波才とト己を斬り漢軍を鼓舞する。

 

「私は幽州啄郡の太守。 公孫瓚 伯珪。助太刀いたします!我が騎馬隊に続きなさい!」

 

北門救援成功。

 

 

東門では門は軽々と突破していたが、各武将が猪のように直進し孤立して囲まれてしまっていた。

 

「秋欄!春欄達は見えるかしら?

 

「ダメです華琳様。他の者の姿も確認できません。」

 

「あのバカ娘達は〜」

 

「後でお仕置きですわね。」

 

曹操、夏侯淵、曹洪の部隊は統率がとれて固まって行動できており数の暴力に対抗できていた。

 

「千蛇烈覇!」

 

ゴオオオォォォォーー

 

いきなり風が吹き荒れたかと思うと賊が一気に吹き飛ばされていく光景が目に入った。

 

曹操達の前方にいた賊は全て倒れ伏していた。

 

「迷子を届けに来たのですよ〜」

 

風は気絶している夏侯惇を夏侯淵、曹仁を曹洪に渡す。

 

「もう一人見ませんでしたか?」

 

「ボクたちが見たのはこの二人だけだよ。」

 

「そう。ありがとう。貴女達はどこの軍なのかしら?」

 

「私達は黄忠軍です。もう大丈夫だと思うので持ち場に戻らせていただくのですよ」

 

風は逃げるように季衣を引っ張り部隊を引き連れて戻っていく。

 

「どうしたんだよ風?」

 

「曹操殿とぬいぐるみを持っていた人から嫌な視線を感じたのですよ〜」

 

風は助けた後も一緒に進軍するべきかとも考えていたが、身体を舐めるように観察する視線を感じ早々に立ち去るべきだと判断した。

 

建物の影に入ると黒い炎に包まれて西門に戻ってきていた。

 

「あれが黄忠軍の一騎当千の武将と兵達ね。あと小さい子は軍師よね。やっぱりほしいわね。」

 

「あの子達を愛でたいですわ!」

 

曹操、曹洪は黄忠軍の実力と姿を見て欲情を募らせる。夏侯淵は未だ見つからない曹純の身を案じていた。

 

東門救援成功。

 

 

南門では田豊が頭を抱えていた。

 

「なんで策を無視して突っ込むのよーーー。」

 

田豊は策を袁紹、文醜、顔良に伝えていたが、袁紹と文醜が策を無視して賊の大群に突っ込んで行ってしまい、二人を止めるために顔良までもが持ち場を離れてしまっていた。

 

「黄忠軍から救援に参りました!」

 

稟が田豊に接触し状況を確認する。雷々と電々は門から出てきていた賊を相手に大立ち回りをしていた。

 

田豊の説明に稟は呆れ返ってしまうが、素早く我に返り

 

「雷々、電々。早急に三人を救出します!」

 

部隊を率いて門の中に突入を開始する。すぐに袁紹と文醜を救出することはできたが顔良は見つからなかった。顔良の武器である大金槌だけが見つかったため、討ち死にしたと見て稟達は西門に戻って行く。



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16話

隠密部隊side

 

「ん〜あの辺りが怪しいかな。」

 

ツナは一つの宿屋を見ながら呟く。

 

「とりあえず入るけど、明命はいつでも戦える準備をして、雛里ちゃんは俺から離れないでね。ナッツもよろしく。」

 

横にいる明命に注意するように促し、胸に抱いている雛里には危険だから離れないようにと声をかけ、雛里の帽子に座っているナッツにも防御を頼む。

 

「ツナヨシ殿には傷一つ付けさせません。」

 

「はい。これからもずっとここに居ましゅ。」

 

「ガウッ!」

 

ツナは雛里の返答に違和感を感じるが、戦場のためすぐに目の前に集中する。

 

戸を開けて建物に入り二階へと進むと、三人の女の子を守るように立っている賊の姿が目に入る。

 

「見つかった!天和ちゃん達だけでも逃げてくれ!」

 

「俺たちだって三人が逃げる時間くらい稼げる!」

 

賊達がツナ達に向かっていくが、明命に倒されてしまう。

 

「もしかして張三姉妹?」

 

「ならこの三人を捕まえれば反乱はおさまるとおもいます。」

 

ツナは最初人質かとも考えたが、賊達が守り始めたため首謀者の三人だと気がつき声をかける。すると明命が刀を構え、雛里も捕まえれば反乱がすぐに終わると言い明命に指示を出す。

 

「私はどうなってもいいから、妹達は許してあげて!」

 

「姉さん何言ってるの!?」

 

「天和姉さんだけを見捨てて生きていけない!悪いのはあいつでしょ!」

 

少し桃香に似ている女の子が二人を庇うように前に出て、ツナ達にお願いをする。残った二人もお互いを庇うように前に出てくる。

 

「あいつって誰?」

 

ツナは青髮の女の子が言ったワードに反応し、明命に刀を下げるように指示をだす。ツナ達が武器をしまったのを確認し、女の子達が語り出した。

 

女の子達が語った内容は

元は旅をしながら芸を磨いていたが、ある時一人の男から古い本を渡され、それを開いて念じると様々な道具が出てきた。それを使って歌を歌っていたら、いつの間にか反乱が起こっていたというものだった。

少し前にあの時の男が現れて本を持って消えてしまったらしい。

 

「なるほど(嘘ではないみたいだね。)」

 

「どうしますか?ツナヨシ様?」

 

「うん。三人共楽成城に来ない?」

 

「「「!?」」」

 

ツナは三人を保護することに決める。三人は驚いた顔をしてツナを見つめる。

 

「うちなら大丈夫だから。・・・明命!ここを頼んだ!」

 

ツナはニッコリと微笑むが、超直感が警報を鳴らし始めたため、炎を灯し慌てて外に飛び出す。出る際にナッツを明命に預けて三人と雛里の保護を託す。

 

明命と雛里は驚くが、ツナから誰かが危なくなった時の行動を事前に打ち合わせしていたため、冷静に状況を理解できた。

 

ツナに笑顔をむけられた三人は赤面していたが、ツナの炎をみて呆気にとられていた。

 

「もしかして噂の武神?」

 

「そうです。ツナヨシ様からお誘いがあった以上、私達も貴女達を歓迎します。」

 

「この猫?可愛い〜」

 

「ちぃにも抱かせなさいよ!」

 

「ナッツちゃんって言うんですよ。」

 

大人しそうな女の子が雛里に問いかける。他の三人はナッツを抱いたりしていた。

 

 

宿屋を飛び出したツナは飛びながら中央へと向かっていた。

 

(このままだと誰かが死ぬ!!)

 

「見つけた!」

 

中央付近の広場にて二人の武将が賊に囲まれていた。一人は武器もなく頭から血を流していて、もう一人も足を弓矢で射抜かれていた。しかも、

 

「くそ!間に合え!」

 

ツナが見たものは後ろから斬りつけられている姿であり倒れていく二人の姿だった。

 

「ウオオォォォォー!!」

 

夜の炎で正面に飛び二人を受け止める。その際に、白蘭のように背中から炎の羽を出し囲んでいた賊達を薙ぎ払う。

 

「きれい・・天使・・様?」

 

「あ・・迎えが、きたのですね。」

 

ツナの姿を見た二人は一言呟くと目を閉じてしまった。

 

ツナは慌てて二人を確認するが、気を失っただけであり、ツナの胸の中で安心したように眠っていた。

 

「なんとか間に合った。良かった。」

 

ツナは夜の炎を使い自陣天幕へと飛んだ。

 

「ツナヨシ様!」

 

「沢田様。そのお二人は?」

 

「凄い傷ですね。医療班を!」

 

「二人の治療をしてあげてほしい。残してきた明命と雛里が心配だから戻るね。」

 

「ツナヨシ!恋と霞と星が張三兄弟を討ち取ったからこの戦はもう終わるわ。」

 

「わかった!」

 

天幕内には桂花・月・朱里・詠がいて突然現れたツナに戸惑うが怪我をしている二人を見て医療班を呼び治療を開始する。

 

また、詠から首謀者はすでに討ち取っており、いまは残党狩りをしている最中だと戦況報告があった。

 

ツナは頷きながら明命達の宿屋へと戻る。

 

宿屋に着くと明命・雛里と張三姉妹は打ち解けており、ツナを含めて真名交換をした。



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17話

ツナは明命と雛里、そして天和・地和・人和を連れて天幕に戻り、張三姉妹についての説明をした。

 

すでに残っていた賊は諸侯軍に討伐されており、各部隊の引き上げ作業が行われている。

 

「このまま張三兄弟を首謀者にして進めていきたいと思う。」

 

「えぇボク達は構わないわ。」

 

「そやな!うちと恋と星が討ち取ったことに変わりはないし、ええんちゃうか?」

 

「恋も構わない。」

 

「私も構いませんよ。気になるのは謎の男ですね。」

 

「そうですね〜。しかしあのお二方に関しても考えないといけませんね〜」

 

ツナの提案に詠は理解を示し、張三兄弟を仕留めた霞・恋・星も了承した。風は黒幕も気になるが、保護をして未だ目を覚まさない二人がいる救護所を眺めていた。

 

月・公孫瓚・桂花らの話から保護した二人は曹操軍の曹純と袁紹軍の顔良だということが判明していた。

 

このまま引き渡しても構わないのだが、二人は昏睡状態にあり黄忠軍以外の医療技術では助かる見込みがなかった。

 

「あのお二人はこのまま楽成城に連れて帰ります。引き渡した後に死なれても目覚めが悪いですので。」

 

「曹純さんと顔良さんなら悪い話を聞かないから大丈夫だと思いますよ。」

 

桂花が二人を城に連れて帰ることを決定し、月もこの二人なら大丈夫だと太鼓判を押す。董卓軍は二人と面識があるようで曹純と顔良の人となりを知っていた。

 

「ツナヨシ様、月様。そろそろ漢軍や諸侯軍との軍議に行かないと。」

 

「あ〜あんまり行きたくはないんだよね。」

 

話合いの途中ではあるが、何進が今回活躍した諸侯や官吏に対し褒美を与えるということで、

 

黄忠軍からはツナ、梨晏、流琉、季衣、朱里、雛里、桂花と風

 

公孫瓚軍からは白蓮、星

 

董卓軍からは月、詠、恋、霞

 

が呼ばれていた。

 

「お兄さん。曹操危険です〜気をつけてください〜。」

 

「風と季衣はあったんだっけ?」

 

「ぼくはわからなかったけど、風が言うには曹操とぬいぐるみを持っている女性がイヤラシイ目で見てきたみたいだよ!」

 

「曹洪殿のことでしょうね。前に月にもそんな目を向けてたわよ。」

 

「詠ちゃんあの時は怖かったね。」

 

「今回はお偉いさんもいるんやし大丈夫やろ!」

 

黄忠軍は曹操と曹洪には気をつけようと誓い、話しながら目的地に向かっていた。

 

ツナ達は何進のいる天幕に到着し、簡単な挨拶の後、褒美を受け取った。ツナ達は地位や名誉を選択せず、これまで黄忠軍・董卓軍・公孫瓚軍が進んできた街や村の領主権をもらうことにした。また公孫瓚には漢軍を救った際の活躍を評価され今回のような反乱があった際には大尉として行動をしてほしいと頼まれていた。

 

天幕を後にし、少し離れた場所まで来ると

 

「待っていたわよ。貴方が黄忠軍の武神かしら?」

 

正面に金髪ドリルな髪型の少女と黒髪長髪の女性、青髪で片目を隠している女性がいた。

 

「曹操さん。私の沢田様に何の御用ですか?」

 

「「月!?」」

 

「あら、董卓殿じゃない。この男は貴女のものなの?」

 

「月さん!ツナヨシ様は私のものです!」

 

「風もお兄さんは渡さないのですよ〜」

 

「フフ 冗談ですよ♪まだ」

 

ツナ達黄忠軍に緊張が走るが、月がツナに抱きつきながら所有権を主張するという冗談を言い緊張を和らげる。ツナと詠は突然の行動に驚くが、月に対抗し桂花が逆側から抱きつき、風が前から背を預ける形になった。

 

「黄忠軍は仲が良いのね。ねぇ、貴方ウチに来ない?」

 

曹操はツナとツナの周りにいる美少女達をみながら、ツナを自軍に誘う。

 

「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。私はいまの太守を尊敬しておりますので。」

 

「貴様!華琳様に恥をかかせるのか!」

 

「待ちなさい春蘭!」

 

ツナが誘いを断ると護衛の一人が斬りかかってくる。もう一人も弓を構えていた。

 

刀が目の前まで迫っていたが

 

ヒュ ッ ガキン

 

梨晏が槍で刀を弾き飛ばし、恋と霞が夏侯惇の首筋に槍を突き付けており動けなくしていた。

 

夏侯淵の方は、季衣の鉄球の鎖と流琉のヨーヨーの紐に身体を拘束され、星に槍を突き付けられていた。

 

「曹操殿。これは黄忠軍に対する戦線布告でよろしいでしょうか?」

 

「朱里。月も危険だったのだから董卓軍に対してもよ。それに白蓮にも被害がいっていたかもしれないわよ?」

 

「そうだな。公孫瓚軍に対しても戦線布告とうけとろう。」

 

「ッ!!」

 

朱里・詠・白蓮が曹操に苦言を示し、今回の行動は開戦の合図になると脅しをかけるが、

 

「朱里。俺は大丈夫だから。」

 

ツナは笑顔で朱里の頭を撫でて落ち着かせる。

 

「はにゃ〜〜 は!はわわっ」

 

不意打ちだったからなのか朱里はツナに頭を撫でられるとヨロヨロと座り込んでしまう。

 

「曹操殿。今回の件は内密に処理させていただきますが、おって太守からの要望をお送りさせていただきますので。」

 

「わかったわ。ありがとう。春蘭!秋蘭もそろそろ頭が冷えたかしら?帰るわよ。」

 

「「ハッ!」」

 

曹操は二人を引き連れて帰って行った。

 

「兄様いいのですか?」

 

「まさか帰り道に待ち構えてるなんて想像してなかっよ。」

 

「あわわっ朱里ちゃん大丈夫?」

 

「急でびっくりしちゃいまちた。」

 

「ツナヨシ様。何かお考えがあるのですか?」

 

「この場で斬り伏せても問題なかったはずですよ〜」

 

「曹純さんの件をね。バレた時に交渉しようかなと。梨晏も守ってくれてありがとう。恋と霞と星もありがとね。」

 

流琉がツナを心配し駆け寄る。季衣は曹操達が去って行った方を見ながら驚いていた。

雛里は座り込んでいる朱里を心配し手を差し伸べ、朱里は手を借りながら立ち上がる。

桂花と風はなにもなく帰したのを疑問に思うが、ツナの返答に納得し頷いていた。

 

「私は近衛隊長ですから!」

 

「月のため。」

 

「大将を危険にはできへんからな。」

 

「お礼は晩酌と美味しいメンマでいいですよ。」

 

「ええな!ならツナも入れた五人で晩酌やな!」

 

梨晏は凪から託された役目を果たしただけだと言い、恋と霞は月のためだから構わないと手を振るが、星がお酒を欲求すると霞も便乗して五人での晩酌を取り付ける。

 

「詠ちゃん。あの話をすすめちゃわない?」

 

「そうね。・・・白蓮殿、ツナヨシ。三軍で同盟関係を結ばない?今回は賊退治の臨時だったわけだけど、このまま曹家や袁家対策に手を結んでおきたいの。」

 

「私は大歓迎だ!正直、大尉なんて荷が重すぎる!」

 

「俺も大丈夫だよ。太守を含めた正式な場を設けないといけないね。」

 

月はニコニコとこの光景をみながら以前から考えていたことを話すべきだと詠に耳打ちする。

 

詠の提案に白蓮はむしろこっちからお願いしたいと言いながら同意し、ツナも即答で了承した。

 

後日、楽成城にて太守を含めた場で話し合うことを約束し各々自身の領土へと戻って行った。



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18話

明命・ねね・大喬・小喬・風・稟・香風・電々・雷々・張三姉妹・曹純と顔良を寝かせた馬車は一足早く楽成城への帰還のために兵を進める。

 

 

ツナ達は新たに領土となる土地の確認をしながら帰還することにした。

 

長かった黄巾賊討伐の任が終わり、第一部隊と第二部隊の面々が楽成城に帰ってくる。城内ではお祭りのように屋台が出ており人々が賑わいを見せて帰還を喜んでいた。舞台では張三姉妹と大喬・小喬が歌い盛り上げていた。

なぜタイミングよくできたのかというと、物見をしていた兵からの情報と伝令を常に飛ばしあっていたからである。

 

 

「みんなー!帰ってきたよー!」

 

「姉上!あんまり騒がれてては馬から落ちてしまいます。」

 

「愛紗も嬉しそうなのだー」

 

桃果・愛紗・鈴々の部隊から姿を現し、三人は嬉しそうに笑いながらすすんでいく。桃果は手を振りすぎてバランスを崩していた。

 

 

「はわわっ しゅごい人でしゅ。あ!水鏡先生もいます!」

 

「あわわっ 私たちもいていいんでしゅかね?え!朱里ちゃんどこ?」

 

「落ち着きなさい二人とも・・・あれが貴女達の先生なのね。後で紹介してくれないかしら?」

 

続いてきたのは朱里・雛里・桂花の部隊で二人は声援にびっくりしながら進んでいくが、人混みの中に二人が通っていた塾の先生である水鏡の姿を確認すると笑顔で手を振っていた。桂花は二人の先生に興味を持ち交流できないかを考えている。

 

 

「うむ。入って間もない私にまでこんな声援をいただけるとは。」

 

「梨晏さんは人気あるんですよ。だから兄様も気に入っているんです。季衣ちゃん!ちょっと我慢して!」

 

「あ!あの屋台美味しそう!流琉!買ってきてもいいかな?」

 

続いてきたのは梨晏・流琉・季衣の部隊であり、梨晏は自分達を迎えてくれる人々に感動し、季衣は屋台の料理が気になるようでフラフラと屋台のある方に行こうとしていたが、流琉が必死に止めていた。

 

 

「なんで俺だけ一人なのかな〜。ナッツがいるからいいけど。」

 

「ガウガウ」

 

最後に入ってきたのはツナの部隊とナッツで、姿が見えた瞬間に悲鳴にも似た歓声が鳴り響く。

 

「きゃー!ツナヨシ様よ!」

 

「噂通りのイケメンね!」

 

「ナッツちゃんも可愛い〜〜」

 

「ツナヨシ様ー。またお店に飲みにきてくださいねー」

 

「ツナヨシー!無事に帰ってきて嬉しいぜー」

 

「また店に寄ってくれよ!」

 

悲鳴をあげていたのは主に女性で、男性はツナの帰還に酒を片手に声をあげていた。ツナは女性だけでなく男性にも人気があり領内の人々に愛されていた。

 

 

パレードが終わると季衣と鈴々は屋台の食べ物を目指して走り出し、桃花と愛紗、流琉が二人を追いかける。

朱里と雛里は水鏡の元に駆け寄り抱きついていた。桂花は二人に手を引っ張られており一緒に抱きつく形になってしまっていた。

梨晏は舞台で歌い終わり休んでいる大喬と小喬に近づいて飲み物を渡していた。

 

ツナはそんな光景を見ながら誰も欠けずに戻ってきてよかったと安堵していた。



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19話

ツナ達は軍議室で旅先にて新たに仲間になった香風・雷々・電々・張三姉妹の今後のことを話し合っていた。

 

香風・雷々・電々は武将として、張三姉妹は文官補佐として雇われる形になった。張三姉妹に関しては芸人ということもあり、ツナ立案の娯楽施設の責任者を任されることになる。この軍議で今後は文官武官が2名ずつツナの護衛に付くことや、董卓軍と公孫瓚軍との同盟の儀は一週間後ということで打診をかけることも決まった。

 

終わって立ち上がろうとするツナに対し

 

「そういえば・・・桂花ちゃんにきいたのだけど、ツナくんみんなの言うことをなんでもきいてくれるのよね?」

 

「私も気になってたの〜。」

 

「それってちぃ達もいいの?」

 

「もちろんです。ツナヨシ様は器が大きい方ですので、天和さん達や香風さん達も大丈夫ですよ。」

 

紫苑が怪しい笑みを浮かべながら、桂花から伝令で伝えられたことを口に出すと沙和達居残り組も目を輝かせ真意を訪ねる。張三姉妹は首を傾げてはいるが元気っ子の地和がとりあえず流れに乗っておけという感じで便乗する。ツナは額に汗をかいており否定しようとするが、ツナが言葉を発する前に桂花が黒いオーラを発しながら有無を言わせず肯定してしまう。

 

「紫苑様。最初は流琉か季衣と決めております。やはり付き合いが一番長いのはこの二人ですから。」

 

「「え!?」」

 

「私は何番目でも大丈夫だから好きに決めなさい。」

 

いきなり自分の名前を呼ばれた二人は驚いてしまう。てっきり一番は紫苑か桂花だろうと考えていたのだ。

 

「今すぐに決める必要はありませんよ。優しいツナヨシ様ならみんなのお願いをきちんと聞いてくれますから。ね?ツナヨシ様?」

 

桂花は動揺している流琉と季衣に対して優しい口調で落ち着かせていく。

 

「わかりました!ちゃんと約束は守るから!」

 

ツナは桂花から発せられている黒いオーラに負けて約束は守ると宣言する。

 

 

三日後

 

ツナは曹純と顔良が目を覚ますと感じ、護衛をしていた桂花・風・凪・香風と一緒に医務室に来ていた。

 

「「んっここは・・」」

 

「体は痛くない?」

 

二人は目を覚まし、放心状態で天井をボーッと眺めていたが、ツナが声をかけると

 

「あ!貴方はあの時の天使様ですか!?」

 

「じゃあここは天国・・・」

 

曹純が慌てて立ち上がり、顔良は顔を青くして泣きそうになってしまう。

 

「違いますわよ。とりあえず水でも飲んで落ち着きなさい。」

 

桂花が顔良、風が曹純を介抱しながら水を差し出すと、二人はお礼を言いながら水を飲み始める。

 

「落ち着きましたかー?ここは黄忠領の楽成城になります。」

 

「貴女達はツナ隊長に助けられて、今まで寝たきりだったんだ。」

 

風と凪が現状の説明をし、桂花は見張りに食事の用意を指示し、香風はタオルの用意をしていた。

 

「とりあえず、身体を拭く?服を脱がす?」

 

香風はタオルと桶をベッドの横に置き、身体を拭こうと二人に迫る。

 

「香風。用意してくれてありがとう。でもいまは大丈夫だよ。」

 

「そうなのですか?」

 

ツナは香風の頭を撫でながら静止させ、先に食事と話をしたいからと説明する。

その間に風・桂花が先の戦の話、結末の話をしていた。二人は自分達が生きていることに驚いて、助けてくれた黄忠軍に感謝していた。

 

「俺は沢田綱吉。真名はないからツナって呼んでくれて大丈夫だよ。」

 

「曹純 子和と申します。。真名は柳琳です。以後お見知り置きお。ツナさん助けていただきありがとうございます。」

 

「私は顔良。斗詩とお呼びください。ツナヨシさんありがとうございました。」

 

柳琳と斗詩はツナに頭を下げ、お礼を言い感謝を示していた。

 

「とりあえず、二人にはこのまま黄忠軍にいてもらいたいんだけどいいかな?」

 

「ふふふ なんだか口説かれているような感覚ですわね。私でよろしければツナさんのお側に置いてください。」

 

「はい!私も一度は死んだ身ですし、このままこちらで新しい生を歩んでいきたいと思います!それに袁紹軍では色々大変でしたから。」

 

柳琳は顔を赤くしながらツナの手を取り微笑み返していた。斗詩もあの場面では死を覚悟していたため、袁紹軍にそれほどの執着もなく助けられた恩義や黄忠軍なら心労は溜まらないだろうとツナの申し出を受ける。



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20話

張三姉妹は明命とツナに案内されて住民や旅芸人用の娯楽施設に来ていた。(場所が場所ということと、人数が多すぎるため護衛は一人のみである)

 

「ここの通りは届出をしてもらえたら大道芸を自由にしていい場所なんだ。」

 

「ちょっとツナヨシ!あそこで喧嘩してるけど大丈夫なの?」

 

「うわ!本当だ〜。意外と治安悪いのかな〜?」

 

「姉さん達ちゃんと見て。口で争ってるけどお互いの芸を見せ合ってる。まるで芸を競い高めあってるみたい。」

 

「にゃ〜にゃにゃにゃ!」

 

「うん。あれは喧嘩ではあるけどよくあることだから。お互いの芸をぶつけ合って場所取りをしてる感じかな。最後にはお互いの芸を褒めあって握手をした後にお酒を飲むのが流儀になってるみたいだよ。明命はナッツと戯れるのもいいけどちゃんと周りに注意は向けてね。」

 

「にゃい丈夫です。ちゃんとお猫様はお守りします!」

 

「ちい達のことも守ってよね!」

 

施設と言っても区画のメイン通りを大道芸をできるようにして普通の道よりも幅を広くとり屋台を中心とした飲食店も多数出店されている場所である。武力を用いての争い事は禁止だが、お互いの芸を見せ合うことでの争いは黙認していた。場が盛り上がることと切磋琢磨することは悪いことではないと判断されたようである。

 

五人が目指しているのはメイン通りの行き止まりにある建物で、ここはこの区画の取り締まりの役目を担っている場所でもある。中に入ると役員達が忙しそうに仕事をしており、軽い挨拶を交わしながら最上階へと足を進める。

最上階は広い部屋一室のみであり、そこでは女性が壇上にあがり弁をふるっていた。

 

「あら?沢田さんがいらしたようね。今日はここまでにしましょうか。ではまた来週お待ちしております。」

 

「水鏡先生。お疲れ様です。この度はこちらのお願いをきいていただきありがとうございます。」

 

「いいんですよ。この老いぼれの力がまだ必要とされているのは嬉しいですから。でも朱里や雛里の成長には驚きました。それに桂花ちゃんやねねちゃん、風ちゃんみたいな才能ある子にも教えるのは楽しいですし。大喬ちゃんや小喬ちゃんみたいな手のかかる子も生活に刺激が出てきますから。」

 

「次からはこの三人にも生徒として通ってもらうことになるのと、水鏡先生の補佐としてここへの配属になりますのでよろしくお願いします。」

 

「張角です。勉強は苦手ですが頑張ります!」

 

「張宝よ。歌って踊れるアイドルだけど、そこに頭もいいが加わるのね。」

 

「張梁です。姉たちがすいません。よろしくお願いします。」

 

「あらあら また濃い三人組ね。ちょうどいいから今朝合流した二人のことも紹介しようかしら。沢田さんとも初めてになりますので。いらっしゃい二人とも。」

 

「「はい!」」

 

パレードの後に朱里と雛里の紹介で水鏡はツナヨシと紫苑との顔合わせをしており、その際に二人から文官として力を貸してほしいと頭を下げて頼まれたことから拠点を移していた。

その水鏡を追って二人の門下生も楽成城にきていた。

 

「徐庶 元直でしゅ。よく噛みまちゅが気にしゅないでほしいのでしゅ。」

 

「司馬 仲達と申します。沢田様のお噂は聞いております。同じ戦場を駆け抜けるのを楽しみにしております。」

 

前者は顔を頭巾で覆っており表情をよみとることはできないが、後者は不敵な笑みを浮かべていた。




徐庶と司馬懿が三国無双で好きなんです。
なんで恋姫無双にでないのか不思議なんですよね。

二人とも背丈や年齢は朱里や雛里と同じだと思ってください。


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21話

「愛里ちゃん駄目ですよ~。目上の人と話すときは頭巾をとらないと。」

 

「あぅあぅ 朱里ちゃん返してぇ~ 雛里ちゃんたちゅけて~」

 

「愛里ちゃん可愛い。でもツナヨシ様は良い人だから大丈夫だよ。」

 

 

「こら!!薫ちゃん いつも言っているじゃない。そんな顔をしたら誤解されるって。」

 

「そうですよ~~。相手も身構えてしまうかと~~。風みたいにニコーと。」

 

「なにをする!?ひょっぺをちゅまみゅな!」

 

ツナは司馬懿の笑みに違和感を感じるが、声をかける前に徐庶には愛里と雛里が、司馬懿には桂花と風が絡みに行っていた。今日は基本ができている軍師組が水鏡先生の元で勉強会を開いていた。

 

「えっと~稟、みんなは知り合いなの?」

 

「そうですね。朱里と雛里に関しては水鏡先生の元で勉強をしていたので、そこで徐庶とも仲が良かったらしいです。司馬懿に関しては面倒見のいい桂花が馴染めていないのを心配したのが始まりで、反応が面白かったらしく風がよくからかいに行っています。」

 

「フハハハハハハハ 放したなバカめが!!お返しだ!」

 

「やれやれ・・・・ならこちらは最強のバリアを。」

 

「ちょっ風!?薫ちゃんもその高笑いも誤解されるから止めなさいって!」

 

「姑息な真似を!ならば!こちらも・・・バリアだ!!フハハハハハハハ これで桂花はなにもできまい。」

 

「ひょわわ~~~」

 

「くッ 愛里ちゃんは卑怯よ!あ~~泣かないで、愛里ちゃんは悪くないのよ。」

 

ツナは近くにいた稟に関係性を質問する。もともと水鏡先生の元で勉強をしていた三人に関してはすぐに納得できた。司馬懿に対して聞いている最中にも桂花と風、司馬懿が楽しそうに騒いでいたため納得することができた。

 

「ごめんなさいね。徐庶は恥ずかしがり屋なのよ。自分から素顔を見せるのは家族か朱里と雛里くらいかしら。司馬懿は優秀なのだけど怪し・・・いえ人間関係にちょっと問題が・・・・桂花ちゃんや風ちゃんのおかげで馴染んできてはいるんですよ。」

 

「あれを見れば悪い子ではないことはわかるので大丈夫ですよ。」

 

「ちなみに元は曹操殿の元にいたそうですよ。でも折り合いが悪くなり離れたそうです。」

 

「稟も曹操殿の元に行こうとしていたんだっけ?どんな感じか話は聞いた?」

 

「いまはここに来た選択に感謝しています。私は警戒されているのかあまり話は聞けていないですね。たぶん・・背格好が同じじゃないと打ち解けにくいのかもしれません。ほら・・・あそこにいるのは全員小さいですから。」

 

「稟ちゃ~~~~ん。聞こえていましたよ~~。もうトントンしてあげませんからね~~。しかもお兄さんに寄り添うように立つなんて、愛人気取りですか~~~?」

 

「私が・・・・ツナヨシ殿の愛・・人・・」ブシャアアアアアアア

 

「ちょっ汚いわね!ちぃが汚れたらどうするのよ!」

 

「ちい姉さんそれどころじゃない。はやく手当てしないと。」

 

「救急箱とってくる!」

 

「それよりも医務室に運んだ方が速いですね。三人共手伝ってください。」

 

稟が呟いた小さいという部分に対して風が怒ったのか、わざと鼻血が出ることを想像させて稟を医務室送りにした。その間にも司馬懿達は和気あいあいと騒いでいる。

 

「薫ちゃん!愛里ちゃんをいじめちゃダメです!」

 

「来たな朱里。今日こそは完膚なきまでに負かせてやろう。お前もだ雛里!誰が先生の一番弟子か思い知らせてやろうではないか。」

 

「私は遠慮したいでしゅ。一番は朱里ちゃんじゃないかな~。」



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22話

ツナは楽しそうに話をしているちびっ子軍師たちの元に近づき

 

「提案があるんだけど。せっかくだし五日後にある董卓軍と公孫瓚軍との軍議前に行われる三軍入り乱れての模擬戦を利用しない?参加できる将軍は五名までだから、三日後に各々が考えてきた策を元に軍を編成して、一番いい策を考えた人が総指揮官として率いてもらおうかな。」

 

「フフ フハハハハハハハハハハ 面白い!朱里!雛里!愛里!私の力を見せてやろう!」

 

「なら今回私は遠慮しようかしら。」

 

「そうですね~~。風が入ったら勝負が決まってしまいますし~同門四人での勝負でよろしいかと~~。」 

 

「はい!ツナヨシ様に認められるような策を考えてきます!」

 

「あわわ 朱里ちゃんがいつも以上にやる気だよ。」

 

「ひょえぇ なんで私も巻き込まれているんでちゅか~~~。」

 

雛里ちゃんもっとやる気をださないと。総指揮官になったら模擬戦の間、ツナヨシ様に自由に命令できるんだよ!こんな機会滅多にないよ。

 

さすが朱里ちゃん。うん わかった。私も頑張る。

 

「桂花と風は二人にうちの軍と相手の軍の特徴や将軍のことを説明してあげて。」

 

「「わかりました。」」

 

 

 

~~~~~三日後~~~~~

 

紫苑を含めた黄忠軍の将軍達は一つの部屋に集まっていた。

 

「じゃあ四人共説明よろしくね。」

 

「最終的な判断は私とツナくんがするから四人は無理難題とか気にしないで発言をして頂戴。」

 

 

「まずは私からだ!参加する将軍は関羽殿・太史慈殿・典韋殿・楽進殿の四名、作戦としては太史慈殿と典韋殿には董卓軍の足止めを、その間に関羽殿と楽進殿には公孫瓚軍と同盟の交渉に向かってもらう。同盟を結べなくとも公孫瓚軍なら二人の将軍でも制圧が可能な戦力差がある。二人は公孫瓚軍と一緒に攻め込んできている董卓軍の後方から攻め込んでもらう。あとは流動的にその場その場での判断になるのでなんとも言えんな。」

 

「次は私です。将軍は関羽さん・楽進さん・典韋さん・許褚さんの四名。私も公孫瓚軍との同盟は考えておりますが、すでに董卓軍との同盟が組まれているものと想定しています。なので三軍入り乱れてというよりは黄忠軍対董卓軍&公孫瓚軍との模擬戦になるかと。混戦が予想されるため、攻撃範囲の広い典韋さんと許褚さんの二人には前日から伏兵として隠れていただきます。危険ではありますが、腹の中から暴れてもらい混乱したタイミングで関羽さんと楽進さんには突撃をしてもらいます。あとは薫ちゃんと同じでその場その場になるかと。」

 

「待て!朱里!事前に同盟を組むのは協定違反ではないのか!?」

 

「いいえ薫ちゃん。今回の模擬戦の協定にはそれに関する項目は書かれていないので賈詡さんならそれくらいは実行に移すかと。」

 

「つめるのは後で次は雛里ちゃんいい?」

 

「はい!参加者は周泰さん・太史慈さん・李典さん・楽進さんです。私は二人みたいな正攻法な策よりも工作ありきの策の方が得意なので、周泰さんと李典さんには工作兵として太史慈さんと楽進さんの負担が大きくなってしまいますが、二人には本陣を守備する形をお願いできればと。本陣の周りには人体には害のないようにした落とし穴と眠り薬を設置、周泰さんはその地点へ誘導と追い込みをお願いします。あとはその場で考えます。」

 

「しゃいごでしゅか。参加者は周泰殿・つなよし様・関羽殿・楽進殿でしゅ。雛里ちゃんと同じで周泰さんには工作・隠密部隊として楽進さんは本隊の守備、関羽さんは公孫瓚軍の対応、つなよし様には董卓軍に突撃をお願いしたいでしゅ。」

 

「馬鹿め!それでは関羽殿の軍はすぐに公孫瓚軍にのみこまれるぞ!」

 

「はいでしゅ。その対処として西涼の馬一族に書簡で遊びのお誘いをしておりましゅ。馬超殿と馬岱殿、馬鉄殿が参加の表明、馬騰殿はこの同盟関係に入れてほしいということで模擬戦には参加しませんが後ほど合流しましゅ。馬一族のお三方には後方からの奇襲にて公孫瓚軍を相手にしてもらうことになってましゅ。」

 

「へぇ~~~それはまた凄いことを考えたね。」

 

「なん・・・だと!愛里よ そのようなことを勝手に決めたのか?」

 

「えっと・・・事前に太守様にはご許可をいただいており、程昱殿・張飛殿・于禁殿に早馬にて書簡を届けてもらいまちた。」

 

「えぇ 面白そうな話だったからツナくんにも内緒にしちゃった。」

 

「凄い!さすが愛里ちゃん!」

 

「うん。うん。」

 

周りにいた関わった三人を除く武官と文官達も皆同じように驚いた表情で徐庶のことを見つめていた。

 

「愛里ちゃんは普段の立ち振る舞いや言動から、どうしても下に見られてしまうんです。本人も自信がないみたいですし。でもやればできる子なんですよ。(よし、一回も噛んでないちゅよ)」

 

「うん。朱里ちゃんが全体を見て流動的に指示を出し、私が工作や隠密、愛里ちゃんが奇策や道筋を正すというのが水鏡先生の所にいた時からの役割だったんです。(やったよ朱里ちゃん。私も噛まにゃかった。)」

 

「くっ まさか貴様に驚かされるとはな。いいだろう。愛里、貴様もライバルと認めてやろうではないか。」

 

「ひょっ たまたまでしゅ。今回だけでしゅから!」

 

注目された徐庶は身を隠せる場所を探すようにキョロキョロするが頼みの綱の朱里と雛里は逆に自身を注目させようとするのがわかっていたためどうすることもできず戸惑っていた。

 

「ツナくん もう決めているんでしょ?」

 

見かねた紫苑は考えがまとめ終わっているツナにお開きにしちゃいましょという感じで締めを頼む。

 

「今回は徐庶の案を骨子に模擬戦を行いたいと思う。参加する将軍は変更させてもらうね。まずは俺と周泰に関羽、それと徐庶と司馬懿にも参加してもらうよ。模擬戦とはいえ実戦は初めてになるからね。司馬懿には徐庶のフォローをお願いしたいかな。」




司馬懿と徐庶が全員と真名交換をしていないため、真名呼びにはしていません。


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23話

模擬戦当日

 

「いよいよだな。フハハハハハ よく見ているがいい朱里よ!私の名が轟くところをな!」

 

「うぅぅぅ~行きたくないでしゅ。いまからでもおちょくないので交換ちてほしいでちゅ。」

 

「たぶんツナヨシ様にいいところはもっていかれると思いますよ。」

 

「頑張って愛里ちゃん。」

 

 

「じゃあ二人はそろそろ陣に戻ろうか?いまのやり取りはわざわざ城壁に戻ってまですることだったの?」

 

「この戯けが!!ライバルに一言いうのは最低限の礼儀ではないか!!」

 

「帰りたい帰りたい帰りたい。」

 

「うん。その礼儀はちょっと知らないかな。あ~~愛里ちゃんはちょっと深呼吸して落ち着こうか?うん。刃も潰してるし胴体に一撃でも当たったら撃破扱いの軽い模擬戦だから大丈夫だよ。」

 

 

 

三軍の陣は三角形になるように展開されており、目視では相手の陣を確認することはできないように中央が小高い丘で陣は少し凹んでいる場所が選ばれている。だだし各陣は全力で馬を走らせれば十分程度で到着するような距離になりあくまでも小規模な模擬戦が想定されていた。

 

三人が自陣に戻り少しすると

 

ゴ~ン ゴ~ン ゴ~ン

 

と開戦の開始の鐘が鳴り響いた。

 

「あぅあぅ ううう~ ちゅなよち様と関羽将軍は作戦通りお願いちます。」

 

「じゃあ俺は董卓軍の方にいってくるから。」

 

「私は公孫瓚軍ですね。」

 

「周泰殿は凧で上から偵察、そこの二人は私と愛里を警護だ。」

 

ツナは足に炎を灯して空を飛んでいき、関羽は馬に乗り部隊を率いて周泰の指示のもと公孫瓚軍まで向かっていった。周泰からの報告では董卓軍と公孫瓚軍はどちらも動きが見えずにいるとのことで、朱里の読み通り事前に同盟を組んでいる可能性が高いと見えた。

 

「ぐぬぬ やはり朱里の読み通り二軍は手を組んでいるのか。クハ だが所詮は脆弱な公孫瓚軍に武官を派遣する程度だろう。その分、董卓軍が手薄になる。あの二人が抜けられたとしてもこちらも保険を用意しているから問題はないがな。」

 

「もうこのまま薫ちゃんだけで、私は空気に徹しましゅ。」

 

 

ツナside

 

ツナは董卓軍を確認すると武官の三人が率いる隊の後ろに簡易的な玉座に座っている月、その横に立つ詠の姿を確認することができた。

 

「月らしくないね・・・・これは・・やられたかな。」

 

「はっ 単身で乗り込んでくるとはうちらも舐められた~もんやなぁ。」

 

「いくらツナヨシ殿でも月様には指一本触れさせはしない!」

 

「・・・・・・」

 

「やっぱりこちらにはツナヨシが来たわね。愛紗一人で公孫瓚軍を止められるかしら。」

 

「全員がいるとは思わなかったよ。向こうにも援軍がいるのかな。大丈夫だよ。愛紗と軍師を信用しているからね。・・・・・でもそこにいるのは月・・・ではないよね?・・先に数を減らすかな。」

 

「そんなことあるわけ 全軍跳びなさい!」

 

「ッハァ!!」

 

「さすが恋!!」

 

詠が叫ぶよりもはやくツナから薄い炎が辺り一面に広がり、その炎も瞬く間に氷に変化していった。それに反応できていたのは霞・恋・華雄のみであり、恋の隊以外の兵は足元が凍らされていた。恋は気を込めた槍を力いっぱい振り回して炎を打ち消していた。




駄目だ。ちょっと入院等色々あり、リハビリということでこの場面で切らせてもらいます。


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24話

城壁の上では始まった模擬戦に参加していない黄忠軍が見守っていたが、

 

「桂花さん。私達もこちらで見学してもよろしいでしょうか?」

 

「久しぶりね。てっきり朱里が参加しているかと思ったわ。」

 

「月さん!?それじゃああそこにいるのは!?」

 

「詠さんも!?いったいどうなっているんでしゅか!?」

 

「模擬戦に参加しているのが不思議でしたが、替え玉でしたか〜。遠くて分かりにくいですが、そっくりすぎませんか〜?」

 

「ツナヨシの知り合いだという人に頼まれたのよ。私も月には参加してほしくなかったし、今回に限っては細かな策はいらないから丁度良かったの。」

 

「似ているというより、沢田さんに近い技を使用する方達ですよ。」

 

霧の中から突然現れた二人に驚愕していた。

 

 

 

「あちゃー、この場合も失格になるん?」

 

「そうね。足が動かない兵は武器を捨てて伏せてなさい。下手に頭を上げてると巻き込まれるわよ。」

 

「あーまじか詠さんもか。ってか骸!!気持ち悪いからその喋り方やめろ!!それにユニ、危ないからユニも下がっていてくれないかな?護衛はいるみたいだけどさ。」

 

「クフフ もうバレてしまいしましたか・・・まあ貴方を少しでも騙せただけでも良しとしましょうかね。最近は悪義を仕掛けても事前に潰されてたので、つまらなかったんですよ?貴方のそれ年々成長していません?」

 

「お久しぶりです。ツナさん。流石です!六道さんはそのお話を後でもっと詳しく聞かせてくださいね。はい!私は戦うつもりはないので、トリカブトは私を月さん達のところまでお願いします。」

 

月と詠が霧に包まれ、その霧が晴れると中から出てきたのはユニと六道骸で、ユニの後ろからトリカブトが現れてまた霧に包まれて消えて行った。残った骸は三叉槍を構えてツナに切りかかり、兵達に指示を飛ばす。

 

「綱吉くんは僕が相手をしますから貴女達三人は侵攻していていいですよ。」

 

「ケッ!うちに命令すんなや!」

 

「どっちでもいい。恋は行く。」

 

「ふん。すぐに本陣を落とす!」

 

「ツッ!!骸!ユニを危険な場所に連れてきてどういうつもりだ!!」

 

骸の攻撃を受け止めたツナだが、その間に霞・華雄・恋、恋の部隊の兵達は黄忠軍の陣に駆けて行った。

 

「クフフ ボクがあのお姫様と仲良く来るはずがないでしょ。だいたいは察しているんじゃないですか?ほら 急がないとあちら側が大惨事になりますよ。」

 

「あーもう!知ってるよ。二人が姿を現してからガンガン知らせてきてるから!!」

 

三叉槍と拳で競り合いながら話して二人だが、ふと公孫瓚軍の方に視線を向けると白い竜が空に向かって行き消えているのが目に入った。



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