テニスの王子様 ジェネレーション (幸村 聖臥)
しおりを挟む

1話 新顔・再会

青学に2人の転校生がやってくる。2人はテニス部に入部し、リョーマたちと対峙する。
秋の新人戦を控え、監督の竜崎はさっそく校内ランキング戦を実施することに


夏の全国大会の死闘を終えたリョーマたちだが休む余裕などなく、新体制で臨む新人戦に向けて練習に打ち込んでいた。

 

桃城「オラオラ」

 

荒井「桃の奴気合入ってんな」

 

池田「そりゃ、今やあいつがうちの副・・・」

 

海堂「口喋る余裕があるのかお前ら?」

 

荒井「げっ! 海堂・・・いや」

 

リョーマ「あーあ、先輩たちうちの部長は、誰になっても鬼ですよ」

 

荒井「お、おい、越前」

 

海堂「てめーら校庭三十周だ」

 

荒井:池田「ひえー」

 

堀尾「海堂先輩、手塚部長以上だぞ」

 

カチロー「でも、これからって感じはしてきたよね」

 

カツオ「うん。そうだね」

 

堀尾「へっ、お前ら甘いな。 そう簡単にレギュラーになれると思ってんのか?」

 

カチロー「堀尾君が自慢することじゃないと思うよ」

 

カチローとカツオは、渋い表情で堀尾を見つめる。まあ、いつもの上から目線と思えば大したことではないのだが・・・

 

(チャイム)キーン・コーン・カーン・コーン

 

桃城「もう時間かよ。よし、朝練はここまでだ」

 

リョーマ「お疲れ様っす」

 

リョーマは、練習を切り上げ部室に戻ろうとした時、コートのネット越しから多大な視線をリョーマは感じた。

 

「キャー越前君がこっち見たよ」

 

「かっこいい」

 

「越前くーん」

 

青学の女子生徒たちが大勢集結し、リョーマに声援を送る。何でも全国大会決勝でシングルス1を務めた天才(イケメン・カワイイ系)の彼を先輩、同級生関係なく女子生徒のハートを鷲掴み(本人自覚なし)にされないはずがない。

 

桃城「おいおい越前、いけねーな、いけねーよ」

 

リョーマ「桃先輩痛いっす」

 

堀尾「たく、越前のヤローちやほやされやがって」

 

カチロー「気持ち分かるけどな」

 

カツオ「うん。だって同じ一年生でも次元が違うもん」

 

そんな時、その集団の一部からリョーマはある気配を感じた。

 

桃城「どうかしたか越前?」

 

リョーマ「今、誰かに見られた気が?」

 

桃城「そりゃー見られてるだろ。このモテ男」

 

 

 

部活を終え教室に戻ったリョーマと堀尾。堀尾の愚痴にリョーマは、相手にもしない。

担任が教団に立ちホームルームが始まるや否やリョーマは一瞬にして目の色を変える。

 

担任「ええ、今日うちのクラスに転校生が加わる。自己紹介してもらうが、みんな仲良くしてやってくれ」

 

新堂「今日から青学に転校してきました新堂颯と言います。よろしく」

 

少年は、リョーマに負けずとも劣らぬイケメンで身長もリョーマより恵まれている。クラスの女子も目を輝かせながら彼を見つめる。

 

担任「じゃあ、新堂の席は・・・」

 

新堂「先生、彼の横が空いてるんですが?」

 

担任「そうだな。越前、隣いいか?」

 

リョーマ「構わないっすよ」

 

リョーマの隣に座る転校生は、テニス用のバックを置くと机に道具をしまう。そんな彼に堀尾がさっそうと話しかける。

 

堀尾「なあお前、もしかしてテニスやっての?」

 

新堂「うん、まあね」

 

堀尾「言っとくけどうちのテニス部に入るのはやめておいた方がいいぜ」

 

新堂「え、どうして?」

 

堀尾「そりゃ、次期レギュラーのこの堀尾様が・・・」

 

リョーマ「そいつの言うことは、ハッタリだから気にしなくていいよ」

 

堀尾「おい越前。そりゃあどういう意味だよ」

 

リョーマ「とりあえず、放課後一緒に竜崎先生の所に行ってやるよ」

 

新堂「随分と変わったじゃないかリョーマ」

 

その会話に堀尾が唖然とする。

 

堀尾「今、越前のことを呼び捨てにしたよな?」

 

リョーマ「別にいいんじゃないの幼馴染だし」

 

堀尾「何~!」

 

堀尾の大声にクラスのみんなが反応した。実は、リョーマと新堂は昔馴染みの知り合い同志だったのだ。当然、クラスの女子たちはイケメンの二人が知り合い同志ということで盛り上がり休み時間の度に質問攻めにしてきた。

 

堀尾「越前、どういうことだ説明しろよ」

 

リョーマ「だから、幼馴染」

 

新堂「リョーマと僕は、両親が知り合いでアメリカに住んでた時からの付き合いなんだ」

 

リョーマ「お前がいるってことは、あいつは?」

 

新堂「当然・・・」

 

新堂が話をしようとした時、勢いよく2組のドアが開く

 

小坂田「堀尾ー」

 

堀尾「出たよ。じゃじゃ馬女」

 

小坂田「あれ、リョーマ様がいる! 堀尾やっぱいいわ」

 

堀尾「呼んでおいて用無しかよ」

 

小坂田「リョーマ様、ちょっといいですか?」

 

新堂「行こうぜリョーマ」

 

小坂田「あれ、リョーマ様この人は」

 

リョーマ「転校生だよ」

 

桜乃「リョーマ君おはよう」

 

リョーマ「竜崎? それにお前」

 

新堂「来たな嘉人」

 

小坂田「転校生さんのお知り合いなんですか? 彼、リョーマ様に合わせてほしいって」

 

リョーマ「大谷嘉人だよね」

 

大谷「覚えていたんだなリョーマ」

 

桜乃「リョーマ君の知り合い?」

 

新堂「正確には、僕とリョーマに、そこの嘉人の3人は幼馴染なんだよ」

 

堀尾「幼馴染・・・しかも3人?」

 

リョーマ「相変わらずだね。二人して同じ学校に転校するなんて」

 

大谷「まあ、新堂とはダブルスも組んでたからな」

 

桜乃「じゃあ二人もテニスを?」

 

新堂「ああ、元はアメリカのテニススクールで知り合った仲だからね」

 

その後、リョーマたちは新堂と大谷を桜乃の祖母であり青学の教師兼テニス部顧問のスミレの下に連れて行った。

 

竜崎「ほお、やはりリョーマの知り合いだったか?」

 

桜乃「お婆ちゃん知ってたの?」

 

竜崎「もちろんだよ。二人のご両親のことは、リョーマの父・南次郎から聞いていたからね」

 

新堂「竜崎先生は、リョーマの親父さんの恩師だって聞いております。僕らが日本でテニスをやるならと両親に相談したらこの学校を勧めてもらいました」

 

竜崎「それは、嬉しいね」

 

リョーマ「でも先生、こいつらこれから入部してランキング戦に出場できるんですか?」

 

竜崎「それに関しては、部長たちとの相談で決めることになるが、私はライバルが増えることは悪いことではないと思っている」

 

教師「竜崎先生、3年の白河君が来てますが?」

 

竜崎「ああ、すいません。こっちによこしてください」

 

白河「竜崎先生、校内ランキング戦の対戦表の原本をお持ちしました」

 

竜崎「おお、そうかい」

 

リョーマ「あれ、白河先輩が作ったんすか?」

 

白河「ああ、海堂も桃も練習に没頭して事務作業は忘れがちだから、書記会計の俺が代わりに」

 

リョーマ「へー」

 

竜崎「やはり数が半端になってしまうな」

 

竜崎は、3年生が引退した関係で対戦カードの数が半端になっていることを気にしていた。

 

白河「あと二人いれば、各ブロック5人になるのですが」

 

竜崎「まあ確かに実力の見合わない面子を入れて数を合わせてもな・・・ちょっと待てよ」

 

 

桜乃「どうかしたのお婆ちゃん」

 

竜崎「新堂と大谷、二人ともすぐに試合は出来るかい?」

 

新堂「問題ありません」

 

大谷「時差ボケ程度ならハンデにもなりませんよ」

 

白河「竜崎先生、もしや」

 

竜崎「そのまさかだ。二人を加えて校内ランキング戦を行う」

 

リョーマ「いきなりで先輩たちが納得するんすかね?」

 

竜崎「おやおやよく言うね。お前さんは、実力で黙らせた張本人じゃないのかい?」

 

リョーマ「ちぇ、大荒れになっても知りませんよ」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話・校内ランキング戦・開幕

竜崎「みんなに紹介しよう。今日から我が青学テニス部に加入する新堂と大谷だ」

 

新堂「新堂颯です」

 

大谷「大谷嘉人です」

 

海堂「部長の海堂だ」

 

桃城「副部長の桃城だ。桃先輩って呼んでくれ」

 

新加入の二人が部長・副部長に握手を交わす。

 

竜崎「この二人を加えて青学テニス部は、新体制をスタートすることになる。そこで今日から新人戦に向けた校内ランキング戦を行う」

 

対戦表が掲示板に張り出されると部員たちは騒めいた。

 

 

(Aブロック) 

 

越前リョーマ(1年)・新堂颯(1年)・吉村真純(2年)・高田俊也(2年)

古川吏志(2年) 服部風杜(2年)

 

 

(Bブロック)

 

海堂薫(2年)・澤田大祐(2年)・池田雅也(2年)・鎌倉洋介(2年)

堀尾聡史(1年)・石川統夜(1年)

 

 

(Cブロック)

 

石川和希(2年)・大谷嘉人(1年)・林大介(2年)・土居國次(2年)

加藤カツオ(1年)・永川大地(1年)

 

 

(Dブロック)

 

桃城武(2年)・白河翔悟(2年)・荒井将史(2年)・川口卓也(2年)

加藤勝郎(1年)・山里クレオン(1年)

 

部員「竜崎先生どういうことですか?」

 

竜崎「ううん?」

 

部員「2年生の俺らが試合すらさせてもらえないなんておかしいじゃないですか?」

 

部員「1年生よりも実力が劣ってるなんて到底思えません」

 

桃城「おいおい、お前ら学年が上だからレギュラーになれるってもんでもねえんだぜ」

 

海堂「くだらない文句を言う前に自分の腕を磨いたらどうだ」

 

部員「お前たちはに俺たちの気持ちが分かってたまるか?」

 

部員「おらてめー俺と変われ、先輩の命令だ」

 

カチロー「そんな・・・絶対嫌です」

 

部員「何だとこの」

 

2年がカチローに殴りかかろうとした瞬間、彼の顎にボールがヒットする。リョーマが放った打球だった。

 

部員「てめー越前」

 

すると、その部員の胸倉をつかんで持ち上げた男がいた。

 

部員「や、やめろ荒井・・・苦しい」

 

荒井「加藤に謝れ、努力もせずに試合に出ようなんて甘いことぬかすんじゃねえーよ」

 

部員「分かった俺たちが悪かった」

 

竜崎は、こうなることを分かっていたかのように笑みを浮かべる。

 

竜崎「お前たちにもう一度言っておこう。青学は、競争に勝った者が勝利を掴む。そして狙うは全国大会制覇だ」

 

桃城「分かってるって婆さん」

 

リョーマ「多分、本気で勝気でいる人はちゃんとわかってますよ」

 

リョーマの言葉は正しかった。試合は、勝つ人と負ける人の明暗はくっきりと分かれた。しかし、それは高水準の試合を行ってのことだ。

 

部員「ゲーム・ウォンバイン・越前 6-0」

 

桃城「お疲れだな越前」

 

越前「どうもっす」

 

桃城「これで俺もお前も3連勝か」

 

越前「でも、各ブロック面白いことになってるんじゃないすっか?」

 

 

試合の戦況を見つめるスミレに一人の男が近寄る。

 

「仕込みは十分ってところですか?」

 

竜崎「おやおや、相変わらず耳が早いね。月刊プロテニスの井上君は」

 

井上「ご無沙汰してます竜崎先生」

 

竜崎「丁度レギュラー陣にとっては肩慣らしが済んだところだよ」

 

芝「でも、海堂くん・桃城くん・リョーマくんは抜きん出てるんじゃないんですか?」

 

竜崎「まあ、それは直に確かめるといいさ」

 

 

桃城「そういえば、Cコートでお前の知り合いの新入部員が試合だったよな」

 

リョーマ「そうっすね。嘉人と池田先輩の試合っすね」

 

桃城「お前は、どっちが勝つと思う」

 

リョーマ「桃先輩、それ嫌味っすよ」

 

 

Cコート 大谷VS池田

 

部員「おい嘘だろ。ここまで2連勝で池田に対しても5-0マッチポイントなんて」

 

池田「おいおい、どうなってんだよ」

 

大谷「いきまーす」

 

ドヒュン!

 

部員「ゲーム・ウォンバイン大谷・6-0」

 

リョーマ「相変わらずくじ運ないっすね先輩」

 

池田「越前、あいつ何者だよ。実力半端ねえぞ」

 

リョーマ「でしょうね。嘉人も颯も生半可な気持ちじゃ勝てないと思いますよ」

 

桃城「それにあいつ実力の半分も出してないぞ」

 

池田「な、何!」

 

リョーマ「でも、颯と嘉人にとったら次が正念場じゃないですか?」

 

桃城「確か大谷は石川とだが、新堂とお前は最終戦のはずだろ?」

 

リョーマ「いや、颯と吉村先輩のことですよ」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 新戦力たち

リョーマ「吉村先輩、3年が引退してから凄い努力してたし、颯も足元救われるかもしれませんよ」

 

桃城「確かにあいつは最近よく伸びた奴ではあるがな」

 

リョーマ「見に行きます?」

 

桃城「いいのかよお友達を応援しなくて?」

 

リョーマ「まあ、敵情視察ということで」

 

桃城「こいつ」

 

 

(Aブロック)新堂VS吉村

 

新堂「フィッチ?」

 

吉村「ラフ」

 

新堂「スムース。サーブ譲ります」

 

吉村「嘗めてるのか?」

 

新堂「まさか。こっちのコートの方が都合がいいんですよ」

 

堀尾「おーい越前、桃先輩」

 

桃城「試合は?」

 

カチロー「これからです。吉村先輩がサーブを取りました」

 

リョーマ「やっぱりね」

 

堀尾「何がやっぱりなんだよ越前?」

 

リョーマ「颯、サーブ取らなかっただろ?」

 

桃城「そうなのか」

 

カツオ「はい、そうです」

 

桃城「まじかよ」

 

部員「1セットマッチ・吉村、トゥーサーブ」

 

吉村「いくぜ・・・ハッア」

 

堀尾「は、早い」

 

カツオ「いきなりサービス・エース」

 

新堂「わーお!」

 

桃城「いきなりかましたか」

 

リョーマ「吉村先輩って上背あるから予想以上に早く感じそうっすね」

 

?「それが奴の持ち味でもある」

 

堀尾「あ、あなたは!」

 

3人「い、乾先輩」

 

乾「久しぶりだな」

 

3人「ち、ちやす」

 

大石「みんな張り切ってるな」

 

桃城「大石先輩に菊丸先輩、それに不二先輩まで」

 

菊丸「ブイブイ、だって気になるじゃん」

 

不二「引退した3年の椅子に誰が座るかさ」

 

リョーマ「部長と河村先輩がいないみたいっすけど」

 

不二「タカさんは、用事があるって言ってたよ」

 

桃城「じゃあ、手塚部長は?」

 

 

(Dコート)

 

部員「ゲーム・ウォンバイン・白河。6-0」

 

手塚「随分と力をつけたようだな白河」

 

白河「手塚部長!」

 

手塚「試合中にすまないな」

 

白河「構いませんよ。丁度休憩に入るところでしたから」

 

手塚「どうだ? 海堂と桃城は?」

 

白河「先輩の見立て通り、まるで猪ですよ。・・・でも、そんな姿に俺たちも触発されてるんですよ」

 

手塚「正直、部長としての素質という面では、お前の方が向いていただろう」

 

白河「でも、俺には実力が足りなかった・・・ですよね?」

 

手塚「すまない」

 

白河「謝らないでくださいよ。俺なんかが今からでも青学のお役に立てるなら嬉しい限りです」

 

手塚「大変な時は、俺もサポートする。青学を頼むぞ白河」

 

白河「うす」

 

 

(Aコート)

 

部員「ゲーム吉村、1-0」

 

堀尾「おいおい新堂の奴、あさっり1ゲーム取られたぞ。本当にお前の幼馴染か越前」

 

リョーマ「まだまだだね」

 

不二「そうだね。彼は、まだ本気では戦ってないと思うよ」

 

新堂(リョーマ、俺は伊達に海外にいたわけじゃねえぜ)

 

ズドン!

 

吉村(何!)

 

部員「フィ、15-0」

 

桃城「おいおいマジかよ」

 

リョーマ「あれが新堂の武器の一つ琥珀です」

 

大石「琥珀?」

 

リョーマ「山吹中の千石さんの虎砲を見たことあるでしょ?」

 

大石「あ、ああ」

 

リョーマ「アイツ、昔から足首のバネが強いからスマッシュを得意にしてるんすけど、それをサーブに応用できないかって考案した技なんすよ」

 

乾「なるほど、越前と比較して体格の優れている彼が上から打つと威圧感とスピード感を同時に与えられるということか」

 

桃城「でも、千石さんの虎砲より跳躍は低かったような」

 

不二「低いから反応できなかったんだよ。きっと」

 

大石「どういうことだ不二?」

 

不二「さっき乾も説明したけど、彼は体格に優れている。そして、もう一つは彼は力を入れてサーブ打っていない。いや、正確には軽い跳躍でしなやかなフォームから繰り出されたサーブは、スピードと同時にタイミングが取りずらい」

 

リョーマ「桃先輩のダンクって不意打ち喰らったら怖いでしょ? 飛んですぐ打球が飛んでくるから反応が遅れるんっす」

 

堀尾「なるほどな、流石幼馴染」

 

リョーマ「こんなのまだアイツにとっては序の口だよ」

 

吉村「お前、やはりただ者じゃないな」

 

新堂「今のは、ほんの挨拶代わりっすよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話 力(パワー)VS術(テクニック)

審判「ゲーム新堂。1-1」

 

堀尾「おお、新堂の奴追いついたぜ」

 

桃城「琥珀の力は、ただもんじゃねえな」

 

吉村「新堂、お前の才能は俺以上なのは認めよう」

 

新堂「お褒めに預かり光栄です」

 

吉村「だがな。俺もこのまま後輩に負けるわけにはいかねえんだよ」

 

審判「1-1、吉村トゥーサーブ」

 

吉村「行くぞ・・・ハッァ」

 

パコン・・・パコン・・・パコン

 

カツオ「凄い緊迫感だね」

 

カチロー「瞬きする暇もないよ」

 

乾「しかし、吉村は見違えるほどパワーをつけたようだな」

 

海堂「乾先輩の言う通りです。アイツのベンチブレス補助なしで120㎏ですから」

 

菊丸「マジ!」

 

不二「なるほど、あの重い球筋は筋肉の力ということか」

 

リョーマ「でも、颯も負けてないっすよ」

 

桃城「だな。あの吉村のパワーテニスについて行ってやがる」

 

審判「ゲーム新堂。2-2」

 

桃城「だが、吉村もマジみてえだからどうなるかな?」

 

吉村(新堂、やはりお前は越前に匹敵する天才だ。しかし・・・)

 

・・・破壊・怒狂(クラッシュ・バーサーカー)・・・

 

審判「フィ、15-0」

 

堀尾「だ、ダンクスマッシュ!」

 

乾「いや違う。あれは・・・」

 

桃城「名付けて、クラッシュ・バーサーカー」

 

菊丸「クラッシュ・・・バーサーカー」

 

不二「なるほど」

 

乾「バーサーカー、ギリシャ神話の破壊神か」

 

リョーマ「桃先輩知ってたんですか?」

 

桃城「まあな。そもそもあの技は、俺のダンクをアレンジしたものだ」

 

乾「なるほど」

 

大石「何か分かったのか乾」

 

乾「吉村の技の入りに注視してみろ」

 

菊丸「入り?」

 

不二「そうか!」

 

乾「気づいたようだな。吉村は、ロブが上がった瞬間に一度体を屈めてダッシュする。つまり、入りは遅れるが、スタート時にトップスピードに乗ることが出来る」

 

不二「それを可能にしているのがパワーテニスで深い打球を打つ彼のスタイルというわけだね」

 

乾「それもあるが、そのパワーを最大限に活かしているのがあの腕力だ」

 

カチロー「え、どういうことですか?」

 

不二「分かりやすく言えば、桃のダンクは高さとスピードのバランスでパワーを生むスタイルだとすると彼のスタイルは筋力を活かした極端なパワーテニスということさ」

 

乾「その証拠に新堂は、なかなか前に出せてもらえない」

 

堀尾「まずいじゃん新堂」

 

リョーマ「ちょっとうるさいんだけど」

 

カチロー「リョーマ君、幼馴染なのに心配じゃないの?」

 

リョーマ「別に、もうじき始まるから」

 

新堂(リョーマ、お前が全米を捨てて青学にこだわった理由分かった気がするぜ)

 

カツオ「またロブ、クラッシュ・バーサーカー」

 

吉村「一気に決める」

 

新堂(俺も出し惜しみしてる暇ないかも)

 

一瞬、コート中が静まり返る。

 

菊丸「お、おい今のって」

 

大石「いや、そんな馬鹿な!」

 

リョーマ「始まったね」

 

桃城「越前?」

 

リョーマ「吉村先輩がパワープレイならあいつは芸術家っすよ」

 

吉村「今の技・・・不二先輩の」

 

新堂「羆落とし・・・ピース」

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。