iron whale (セメント工房)
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さらば 退屈な世界
プロローグ


ぐだぐだですが、それでも構わないという心の広い方はどうぞ


ーーw高校 休憩時間

 

 

俺の名前は宮井卓也。どこにでもいるような高校1年。

別に漫画の主人公のように、成優秀でもなければ、運動神経抜群でもない(でも悪くもない)。

かといって、成績が悪いかと言われたら別にそうでもない。

何の特徴もない、世間一般で言うネクラ(でいいのかな?)である。

特徴があるとしたらただ一つ。

 

俺の友人は、変人ばっか・・・

 

 

俺には、友人と呼べるか分からない人間、話した事があっても、友達と呼べるかどうか分からない人間、そんな奴が何人かいる。そんな奴らとは違い、俺が唯一友人と呼べる奴が二人いる。

一人は隣の席の下川こうきだ。

彼とは、小学校の時からの友人で、中学の時まではフレンドリーな奴だった。

しかし、今はただの軍オタになってしまった。

そしてそんな彼は今日も俺の隣の席で、誰とも話さず話しかけられず、ただただ軍事系の本を読んでいるだけ。

 

そうしているうちに、休憩終わりのチャイムがなり全員がお疲れムードの中、今日最後の授業が始まった。

 

 

 

 

ーー放課後

退屈な授業も終わり、ホームルームも終了しみんながわらわらと帰っていく中、自分も帰ろうかとポケットの中からスマホを取りだし、イヤホンをつけて音楽をかけようと画面をつけたとき、珍しい奴からラインが来ていた。

そう、二人目の友人、辻平春樹だ。

彼とは、こうきと同じく小学校からの友人だったが、中学校にあがるなり不登校になった。

そして、テストの日だけやってきて、全部100点というキモすぎる結果を残すという変わり者の極みだ。

そして自称マッドサイエンティストで、物理化学と数学の知識だけだと科学者並みの能力をもつ(しかし文系は・・・)。

 

そんな彼からラインが来ていたのだ。

用件はこうだった。

『学校が終わり次第、こうきを連れてすぐ私の家にきてくれ。見せたい物がある』

 

 

「なぁこうき。春樹からこんなの来たんだけど」

俺は横にいたこうきにメッセージをみせた。

「珍しいな。てか見せたいものって何だよ」

「知らね。取り敢えず行ってみるか」

「あぁ。」

そして俺とこうきは春樹の家に向かった。

 

彼の家は海辺にあり、この学校のある地域からだと自転車で約20分弱かかる(近っ!)。

 

 

ーー春樹の家の前

 

ピーンポーン♪

 

インターホンを押し数秒待った。

するとスマホに彼から通知が来た。

『入ってきてくれ』

「だってよ。」

「仕方ない。入るか。」

俺とこうきは、彼の家の中に入った。

すると、

「よく来てくれたな、我が助手たち!」

「「助手になったおぼえはない」」

玄関に入るなり、春樹は白衣姿に頭にゴーグルみたいなのを着けてたっていた。

「んで?俺たちに見せたいものって何だ?」

「フフフ、まぁ取り敢えず私に付いてきなさい。」

「「?」」

訳も分からず、取り敢えず付いていった。

春樹についていくと、階段の下の物置の前で止まった。

そして物置を開けたと思うとそこには何もはいっておらず、こうきと俺は「?」となった。

すると春樹は床に手をかけたと思うとそれを持ち上げた。

そこには階段があり、地下に続いていた。

そして、そこを地下20m位下って行った先にあったものを見て、俺達は唖然とした。

 

そこには、

 

 

 

「これが私が発明した、

伊404だ

 

全長122m

全幅12m

機関が私が開発した電子式タービンモーター。

これは、電子の流れをタービンに当てて回転させるというものだ!

万が一のため補助としてディーゼルをつんでいる。

そしてこの船にはなんと

 

 

 

時空移動装置を開発し、搭載したのだ!」

 

 

「「え?」」




読んでくださり、ありがとうございます!
文章力が全然なくてすみません。 
意見や感想があればどしどし書いてやってください!


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1話 出港しよう(前編)

2話目です


ーー辻平家 地下 伊404真下

 

「「え?どゆこと」」

「分かりやすく説明するとだな。この船は次元を移動する事ができるのだ!」

そうはいわれたが、ピンと来ない。

「つまり、これで過去に行ったり未来に行ったり出きるってこと?」

「そうだ。」

「てかこの船って、伊号400型潜水艦だよね?」

「そうだが?」

「つまり、兵装とかは?」

「フフフ、よくぞ聞いてくれたぞ、こうき!この船の兵装はだな、魚雷発射管が前に8門、後ろに2門、そして右左舷にミサイル発射管が右4左4門ついているのだ。甲板には、セミオートマチック40口径14cm砲が1門、これは電子の塊を打ち出すこともできるぞ。そして航空機格納筒上部には、20mmフルオートマチック3連装機関砲がついている。」

俺には何の事かさっぱり分からない。しかし、セミオートだのフルオートマだの言ってたが、

「その砲とかはコンピュータ制御なのか?」

「そうだ。セミオートは自分でターゲットを絞り、調整はコンピュータが行って、引き金は自分で引くのだ。フルオートはコンピュータが自動でやってくれるぞ。」

「なるほど」

「取り敢えず各部を見せながら説明するぞ。」

 

俺達は春樹の話を聞きながら、艦尾の方へ向かっていった。

正直、奴の話は素人の俺には難しい。しかし退屈な授業に比べたら遥かに楽で面白い。

「この船は第二次世界大戦中に極秘で造られた伊400の外見をしているが、内部や兵装はかなり近代化しているぞ。」

「まずこんなの、どこでてにいれたんだ?」

さっきから思っていた事を聞いてみた。

「手にいれたもなにも、造ったのさ。自分で」

「「造った!?」」

「そうさ。まぁ殆ど機械に任せたがな?だからだいたい2年位かかったかな?」

「逆にたった2年で完成させたとは・・・」

 

 

そう言っている内に艦尾についた。

そこにはスクリューはなく、代わりに戦闘機のエンジンノズルのようなものが2つついていた。

「この船は最大速度は、100ノットだ。 勿論、水中でだ。水上では最大120ノット出せるぞ。あまりそんなに出さんがな。次元移動する時は88ノットと4KWの電気と1kmの直線が必要だ。因みにこの船は、12KWの電気を貯めておくバッテリーを2本積んでいる。勿論変電装置付きでな。まぁ通常運航時はたった2KWが最大だがな。」

春樹はさらさらとこんなことを言ってるが、俺達は呆然としていた。

そんなこんなもあってある程度外観を見た後、

「さて、続いては甲板とかも見てもらおう」

そう言うと春樹は俺達を甲板まで案内してくれた(甲板までは階段を使った)。

 

 

 

前方部甲板につくとまず目に入ったのが伊号400の特徴である格納筒である。

「中には何が入ってるんだ?」

「フフフ、ボートとジープとか他いろんな必需品が入っている。たいしたものはない!」

 

春樹はハハハと笑いながらそういった。なんか聞いたこっちが馬鹿馬鹿しく思えさえもしたが、気にしない事にした(気にしたら負け)。

するとこうきが、

「そう言えば甲板は黒く塗ったのか?」

言われてみたら甲板はこれでもかと言わんばかりに黒かった。

「フフフ、よくぞ聞いてくれた!これこそこの船の特徴、甲板はすべてソーラーパネルだ!これにより、無補給でどこへでも行けるようにしたのだ。因みにこの甲板のソーラーパネルすべてで約2KWの発電量があるのだ!」

 

 

そしていよいよ、艦内に案内された。

中は意外と広く居住性も良さそうな感じがした。艦内は大まかに5つの区画に別れており、前から魚雷発射管室、操縦室、作戦室、居住区画、そし機関室である。

「おぉ・・・これが幻の潜水空母の内部かぁ・・・」

こうきははしゃいでいた。

「フフフ、殆どが近代的だがな。」

 

 

まず 俺たちが案内されたのは 魚雷発射管室だ。

「送転から発射まで、全部が機械制御だ。当然、緊急時マニュアルモードもあるぞ。」

 

 

 

次は操縦室に案内された。

 

 

操縦室は似たような席が2つと、ど真ん中に一つ席があり、前方斜め上には巨大なモニターがあった。

 

操舵席には、座席を中心に四方八方、上下、斜め上下左右、気持ち悪くなる位、モニターがあった。そして座席の前には 飛行機の操縦桿のようなものと、左手のおく位置あたりには スイッチが十数個と、 レバーが二本あっあ。

それはまるでシミュレータみたいだった。

「この船の操作は、起動させるのがめんどくさいのを除くとそこそこ簡単だ。 船体の操作だけなら、 ここで全部済んでしまう。」

「じゃあここで全部できるってこと?」

「そういうことだ」

隣の席は、プロ仕様のパソコンみたいに画面が2つあり、タブレットとキーボードが繋がっていた。

「この席で、魚雷とミサイルなどの兵装の設定を行う。タブレットには、戦闘データも残るから見直すこともできるぞ。」

そして最後の席にはタブレットがついてるだけ。

「ここは、マスターチェアと呼んでいる。 ここの席には、リーダーしか座れない、言わば艦長席のようなものさ。こここの席では、全てのシステムをコントロールできるぞ。」

 

こうして、ある程度の説明を終えた春樹だが、全員(二人だが)を作戦室に集めた。

「君たちを集めたのは言うまでもない」

「「いやあるだろ」」

春樹は眼鏡をくいっとあげ、

「俺はこの船を使っいろんな所を君達と旅がしたい。だから、俺と一緒にこの船で旅をしないか?」

艦内にはしばらく沈黙が続いた、

 

 

そして、その沈黙を破ったのはこうきだった。

「僕はいいよ。どうせこんな所、退屈だし居てても仕方ないし・・・だよな、卓也」

どうやら、俺と同意見だったらしい。

「あぁ、勿論だ!」

「フフフ、そうと決まれば、まずこの船の操作方法を知ってもらわねばならん!と言うわけで、これから3日間学校が終わり次第、毎日ここに来るように。そして出航は3日後の午前3時だ!それまでに、面倒事はすべて片付けるように!」

「「了解!(`・ω・)ゞ」」」




次回はうまくいけば出航回です!


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2話 出航しよう(後編)

春樹にとんでもないものを見せられ、ある計画をたてた次の日の放課後、俺とこうきは奴の家に向かっていたのだが・・・

「なぁこうき、何かに後をつけられてる気がしないか?」

気のせいかもしれないが、後をつけられている気がした。

「気のせいじゃないか?僕にはなにも」

「そうかな?」

「そうだよ。第一、僕達をつけてきても なにもないじゃないか。アレを除いて。」

「まぁそりゃそうか・・・アレの事は誰にも話してないし・・・」

「取り敢えず考えるのは後にしよう。」

「そだね。」

こうして俺とこうきは春樹の家へと急いだ。

 

ーー春樹の家の前

 

俺達は春樹の家の前に来て中に入った(勿論許可も得て)。

そして玄関のドアを開けたその時ーー

どーーーーん!

 

 

 

たいした勢いではなかったが、鉄球が振り子の原理で襲ってきた。

「なんだよこれ!」

「大成功だー!警備システムはちゃんと作動したぞ!」

「警備システム?」

「そうだ!万が一家の中に何者かが侵入しようとすると作動するのだ!例えば日本の国務機,関とか?ニヤリ」

彼はそう言うとニヤリと笑った。

 

その後、警備システムについてさんざん話を聞かされた。(何でも、家にいっぱい仕掛けたらしい)

 

 

ーー地下 伊404内部 操縦室

 

俺達は、早速各配置についた。

 

俺:操縦席

こうき:システム操作席(俺の横の席)

はるき:マスターチェア

 

 

「さてさて諸君、早速起動させてみるとしよう。」

「「了解」」

「まず、操縦席の丁度左手の来るところに 全部で9個のスイッチがある。それの一番上の右端の赤いボタン、それがスタータースイッチだ。それを一回押すと全ての電子機器がつくぞ。押してみな」

そう言われたので赤いボタンをおしてみた。するとーー

黒かったモニターが青に光り、しばらくすると真ん中に白で「EC system 」と表示された。 

「「おぉ・・・」」

俺とこうきは思わず歓声の声をあげてしまった。

「このシステムは、私がつくったエレクトロニクスコントロール、略してECを制御するためのオペレーティングシステムなんじゃ!これでこの船の制御を行えるんじゃ!」

奴が何を言っているのかは分からないが、取り敢えず凄いということが分かった。

すると画面に何やらアニメキャラのようなものが・・・

 

見た目は初○ミク・・・

そして

『エレクトロニクスコントロールシステム 起動しましたぁ!』

 

声は佐倉○○音・・・何これ

 

 

「なぁ、これ大丈夫なのか?」

「何を言っているんだね卓也くん?システムはちゃんと正常n「いやいやそこじゃねぇよ!」何だね?」

「ほら、著作権とか他もろもろの法律が!」

「すでに我々は法律をいくつか破ってしまっている。何を今さら・・・」

あっそうだった・・・

すると、

『電圧、バッテリー 、機関、全てオールグリーン!異常なし!ネットワークオンライン♪』

「所でこのキャラ何なんだ?」

俺が春樹に質問すると、

『あっ申し遅れました。私はこのシステムの処理やプログラムの起動を行ったり皆さんのナビゲートを行う、いわゆるナビゲーターAIのセレナと申します!以後、セレナとお呼びくださいね!あと困ったときや、船体の操作でしてほしいことがあれば、何なりとお申し付けください!ニッ』

「彼女には高性能な人工知能を搭載して、感情表現もできるようにしたのだ!話しかければ答えてくれたり、彼女と会話すると楽しくて離れなれなくなるぞ。おまけに頼れるから十分頼っていいぞ。」

「引きこもりのお前が言うか」

「まぁ彼女の説明はまた彼女に聞けば良い。つぎだ。すべてが立ち上がったら次は各システムプログラムとシステム操作席で戦闘用プログラムを打ち込むのが実際の発進の時のやり方だ。しかし今日は訓練だ。それを打ち込む前にシミュレーションプログラムを打ち込む。使うのは8つのボタンだ。赤のボタンはエンターになるから気を付けるんだぞ?」

それからどこのキーを押すのかそれぞれ教えてもらった(ついでにメモった)。

そしてついに

「そして次元移動装置の現在の次元場所年日付時刻を設定後、いきたい場所の次元と場所年日付時刻を設定したらエンターを押す。まぁ次元移動装置の設定はいつでもできるから別にここで設定しなくても良い。で、今までの次元移動装置の操作以外の操作が完了次第、機関始動プログラムを押してエンターを押すと機関が動き出す。」

いろいろややこしいがメモったしやり方は分かった。

「あーあと 船体の操作だが、左のレバーがスロットルレバー、前に倒せば前進、後ろに倒せば後退だ。んで、そのレバーの横のレバーが前方潜舵の調整レバーで、左足もとのペダルがクラッチで右がフラストルブレーキだ。そして操縦桿は右に切れば右に、左に切れば左に、前に倒せば潜航、引けば浮上。あとバラストタンクの操作だが、右のモニターの左右にスイッチが計6個ついてるはずだが右上のスイッチを押すと切り替わるからそれを三回押したらモニターに出るからそれで操作してくれ。もちろん、分からなければ私に聞くんだぞ?」

「ははは、さっぱり分からない」

どこぞの変人物理学者のようにそういった。

その後、こうきの方の操作を教えたあと、何回も練習した。

 

 

 

 

その後、俺達はくる日もくる日も練習をした。

 

 

 

 

 

 

 

そしてついに出航の日

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の午前1時、俺とこうきはそれぞれ持っていくべきものをもって、我が家に別れを告げてこっそり抜け出した。そして、待ち合わせの場所で合流し、奴の家に向かった。

そして奴の家について、中に入った。あの時のように何かにつけられてる気はしたが、それだけだった。

「お前たち、随分早いな」

「まぁな」

「丁度良かった。お前達に説明すべきものがある。」

「何だ?」

そう言うと春樹は俺達を潜水艦の格納筒内に案内し、荷物の置いてあるところより奥にある部屋に通した。そこには、

「何だこれ」

「私がつくった工作機械だ。これで武器を作る事ができる。これで魚雷やミサイル、弾などの消耗品の残量も気にしなくて良いのだ。もちろん、その他の物も料理以外なら何でも作れるぞ」

「これは良いな!」

「因みにお前達にがくる前に武器や調査用機器、偵察機なども積んでおいたぞ!」

「さすが科学者春樹」

「こうきや。科学者は関係無いと思うぞ?」

「そうかい?」

「フフフ、さぁお前たち、そろそろバッテリーが満タンになったぞ。そろそろ出航準備だ!」

「「了解」」

そして俺たちが各配置につき、それぞれが準備が完了し、機関始動しようとしたその時ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビーーーーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと外からけたたましいブザーの音がした。すると、春樹が

「いかん!侵入者がきたぞ!機関始動!」

「了解!機関始動!」

初めての機関始動、わずかに不安を覚えつつ、ボタンを押した。しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ、おかしい、うごかない!なんでだ!?」

 

 

 

 

 

 

なぜか動かない焦りに、ボタンを連打していた。

「おい!落ち着け卓也!もう一度チェックするんだ!」

「了解!」

震える手を押さえつつ、順々に手順を確かめていく。

「マスタースイッチ、システムプログラム、あっギアをニュートラルにしてなかった!」

「卓也よ、焦って良いことないぞ?」

「こうきが言うな!機関始動!」

 

ガチャン!と大きな音がした後、しばらく無音が続いた。すると、

『モーターに動力を接続しました!機関始動します!吹き出し口に注意してください!』

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュイイイイイイイイイイイイン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タービン独特の音がして音が次第に大きくなっていく時、足元のモニター、つまり真下を写しているモニターに警察官が写っていて何やら叫んでいる。すると春樹が

「よしっ!ドック注水!」

「ちょっと待って!」

「何だ?」

「真下に警官が・・・」

居ると言いかけたとき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダダダダダダダダダダダダッ

 

ふと機銃の打つ音が外から微かにした。

「何だ!?」

「確認するよ!」

そうこうきが言い、外部の周辺確認用カメラで確認すると・・・

ここうきは青ざめた顔でこう言った

「ね、ねぇ、この事って誰にも言ってない筈だよね?」

「そ、その筈だが?」

「じ、じゃあなんで警察や自衛隊がこっちに銃向けてるのさ?」

「!?」

「スクリーンに出せ!」

そこに写し出されたものを見て言葉を失った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、銃をこちらに向けて、殺意むき出しの自衛官たちがいた・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ね、ねぇどうすんの?」

「殺るのか?むこうは殺る気満々だけど?どうする?春樹」

「今さら後戻り出来ないのはお前達だって理解できてる筈だ。さぁ後はお前達次第だ!」

「つまりお前はやるんだね?」

春樹は無表情のまま頷いた。

「だったら俺達が戦わないわけねーじゃん!」

「そうだよ!」

すると春樹はニヤリと笑った。そして

「フッハッハー!そうと決まれば殺るしかないさ!」

『だったら私におまかせくださいませー!』

「よし!使うのは三連装機銃一機のみ!当ててこ殺したときは覚悟しろよ?以上!攻撃開始!」

『了解しましたー!』

「よし!彼女が足止めしてる間に、ドックに注水!そしてフラストルブレーキをかけたままスロットルを倒す!そして回転数が24万回転までいったらブレーキ解除!そして88ノットで離脱だ!」

「「了解」」

 

 

 

 

 

 

 

そしてドッグの水が満水になった時

「239998.239999.240000回転!」

「水路オープン!ブレーキ解除!」

「Goooooooooooo!」

ズゴーーーーーンというバカでかい音がした後、その船はもはや船ではない早さで専用水路に突っ込んだ。

「78ノット・・・79・・・80・・・81・・・」

今もなお加速を続けるその船、しかし

「前方に、艦影あり!このままでは衝突するよ!」

こうきが叫ぶ。

「83・・・・84・・・85・・・」

「卓也・・・春樹!ぶつかるよ!」

「大丈夫だ!」

そしてついに・・・

「86・・・87・・・・・88!88ノット!」

「突っ込めええええええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチっバチバチバチバチ!!

 

船体は電気を放ちながら潜水艦に突っ込んだ

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵「敵艦と接触します!」

敵艦長「衝撃に備え!」

  

 

しかし、その船は衝突直前で

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どーーーーん!

 

 

 

 

 

 

敵「敵・・・消滅しました・・・」

敵艦長「バカな!もう一度チェックするんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その船は、人類初時空を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次元を越えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー次元不明 カスタエル王国 セレーネ村にある名も無き海辺の崖の上の花畑 

 

 

ここは、カスタエルという王国の領地、セレーネ村。そこにある海辺の崖の上にある花畑。

女の子「フンフフンフフン~♪」

ある女の子が花でリースを作ってあそんでいた。

すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どーーん

 

 

 

どーーん

 

 

 

バコーーーーン!

 

 

バリバリバリバリッ!

 

 

 

 

女の子「キャーーーー」

 

 

 

 

 

崖の下から、その赤と灰色の鉄の鯨は、氷に包まれて、まるで封印が解かれたかのように現れたと言う・・・

 

 

その鯨は、あるものには災いを与え、あるものは幸福に恵まれるといわれているらしいし




なんか擬音語が多すぎました













テストやだー


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異次元航海
3話 どこなんだよここはー!


ーワープ前(春樹ら視点)

「突っ込めええええええー!」

キイイイイイイン!

タービンのけたたましい音と共に、船体はメーター上最大出力のまま、敵艦めがけて突っ込んだ。

すると春樹が、小さな声で

「ワープ・・・」

そう呟いた。

しかし、その声は操縦などに必死な前の二人には聞こえるわけもなかった・・・

ー卓也視点

俺は操縦桿を握り締め、前数百m先の敵艦に怯えていた・・・

しかし、同時に少し楽しみがあった。これが何なのかはよく分からないが、何故かワクワクした。

そして敵艦接触まで数mになった瞬間、視界は真っ白になった・・・

次の瞬間、目の前の光景は暗い水路から信じられない光景が広がっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、何処までも続く青い空、青い海、地平線の彼方までただ青々とした、絵に描いた様な風景だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザバアアアアアアンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船体が着水し、水面を叩いた音で我に返った俺は、後方を確認した。

後ろには、土色の壁がそびえ立っているだけだった。

すると春樹は、

「出力を下げ、速力30ノットで航行、後ろの崖から少し離れよう。」

「「了解」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船は其処から南に80マイル南下した後、停止した。

すると、こうきは急に席から立ち上がるなり、甲板へつながる梯子を登り始めた。

「お、おい!どこ行くんだよ!」

俺も席から立ち上がり、こうきの後をおった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッチを開けて外へ出ると、そこには青々とし世界が広がっていた。

まるで、自分たち以外何もない、そんな気がしそうな位、何もない風景だった。

 

 

 

 

こうきは、カタパルトの先端の所に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

しばらくすると春樹も上がってきた。

「大成功だよ!我が助手達よ!しかし、同時にとてつもないことをやらかしてしまった!」

春樹はそう言いながら俺たちに近づいてきた。

「一体俺たちは何をやらかしてしまったんだ?」

こうきは、不安気な表情で質問した。

「それはだな、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに来る前、タイムコントローラの設定、忘れていたのに気付いたか?」

「ッハ!そういえば、設定せずにやってしまったかも・・・」

「ねぇ、それって設定しなかったらどうなるのさ」

こうきは、よりいっそう不安気に質問した。

「フフフ、その場合はランダムになるぞ。」

「何でそんな機能が・・・」

「因みに次元もランダムだぞ?」

「つまりそれって・・・」

「フフフ、何処に飛ぶかは、私も知らん!ドヤ」

「「じゃあここは、」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「どこなんだよおおおお!」」

「ふっはっはっはっはっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もない異世界の海の上に、二人の少年の叫び声と、一人のマッドサイエンティストの少年の笑い声が響いた・・・

幸いにも、それを聞いたものは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない・・




グダグダでキャラブレブレですがお許しください
意見や感想があればどしどしお願いします!
今後ともよろしくお願いします!


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4話 航行目的?ありません!

ー伊404甲板 カタパルト先端付近

「さて、此処が何処なのかはおいおい調べるとして、取り敢えずどこかに向かうとしようかね」

「どこかってどこだ?」

「この辺何もないよ?」

「ざっくり言えば宛もなく海を漂うんだよ。それで適当な陸地を見つけてそこでこの世界について図書館かどこかで調べるとしようか」

「そうだな」

「賛成!」

「よし、ではまずワープした時にどこか壊れていないかチェックしようかね。各員配置につけ!」

「「了解(`・ω・)ゞ(いつから軍になったんだろう・・・)」」

少し軍人気分で楽しみつつ、3人は艦内へ戻り操縦室の各配置についた。

 

 

卓也は操舵席に座り、左側の2つ縦に並んだモニターを操作していた。

「船体ダメージ表示、各種状況表示」

 

上のモニターには船体側面図が表示され船体のダメージを表示していた。

下のモニターは電圧電流、発電量バッテリー残量ディーゼルエンジン回転数、燃料残量などを表示していた。

 

「電圧よし、電流よし発電量も良好、バッテリーも燃料も満タン、まあ燃料ディーゼルまわしてないから当然か。船体ダメージなしオールグリーン!」

 

 

 

一方こうきの方は右モニター船体の各兵装と各部のカメラやその他の観測器機やレーダーのダメージを表示していた。左モニターには、レーダーが捉えた周辺状況を表示していた。

 

「各兵装異常なし、レーダー感度良好、観測器機も異常なし、各兵装オールグリーン!」

 

二人は各部のチェックが終わるとアイコンタクトをした後、後ろにいた春樹に報告した。

「操縦席異常なし!」

「こっちも異常なし!」

「了解、では諸君、宛の無い目的地に向けて出発しようかね。速力12ノットで航行、針路そのまま。」

「了解、速力12針路そのまま」

 

 

船はゆっくりと動きだし数秒もたたないうちに12ノットに到達し安定した。

「よし、こうき、司令塔に行くぞ。タブレットを持って来てくれ。」

「了解」

 

 

操縦室からこうきと春樹が出て行き、卓也一人になった。

卓也は1人小さくため息をした。

『おつかれさまです~』

「セレナか。この世界がどんな世界なのか分かるか?」

『いいえ。ただネットが繋がらないのと通信が全く傍受しない辺り、私たちの居た世界より技術が発達していないかあるいは発達しすぎて私たちの能力では傍受できないか、そのどちらかです』

「そっか。レーダー表示」

卓也の前のモニターに円形のレーダー情報が表示された。

『現在周辺に脅威はありません』

「一隻ぐらい船が航行しててもいいんだけどなー」

『そうですねー』

卓也とセレナが操縦室で話している頃

 

 

 

 

司令塔

 

「今から周辺状況を黙視で確認するぞ」

そう言って春樹はこうきに双眼鏡を渡した。

「モニター越しだけでは分からない事もあるからな。なんせこの世界はどのくらいの技術があるのか分からんからな」

「もしかしたらステルス性能の優れた船とか?」

「あっても不思議じゃないかもしれんな。あるいは全く別の驚異とか」

春樹はにやっとしながらこうきを見た。

それを聞いたこうき青ざめてカタカタ震えていた。

「まあ冗談じゃ。なあに、いざとなったらミサイル数本叩き込めばいい。そのためにそのタブレットを持ってこさせたんじゃ」

それを聞いたこうきは安心し、周辺監視を開始した。

 

 

 

そんな時間はのんびりと過ぎていった。

 

そしてあっという間に日が落ちた。

 

 

結局その日の日中他の船と遭遇することはなく、ましてや周辺に島の一つも見つからなかった。

 

 

春樹は全員を作戦室に集めた。

二人が部屋に入ると、すごく深刻な顔をした春樹がいた。

 

場の空気は重くなった。

 

「それではミーティングを始める。まずは非常に重要な事から片付けよう」

そして春樹は大きく深呼吸をした。

 

 

 

 

 

「この中に料理の出来る奴はいるか?」

 

 

 

 

 

「・・・は?」

「なんでそんな下らない事を深刻そうに話てるんだおまえはー!」

「良いではないか!普通に言うより面白いではないか!」

「どこがだよ!」

 

二人が言い合いしている中、こうきは1人笑ってみていた。

 

「ゴホン。では本題に戻ろう。この船には厨房と1ヶ月分の食材が積んである。と言うわけなんだが・・・」

「俺は一応出来るよ」

「ぼくも出来るよ」

「じゃあ二人日替わりでやってくれ」

「「了解」」

 

「つーか全然深刻でも何でも無いじゃん!」

「てゆーか、ミーティングで決めることなのこれ?」

「一応決めておいた方がいいであろう?では次だ。今度は部屋だ。この船の居住区には部屋が十個ある」

「それだったら今各自が荷物おいてある部屋でいいんじゃない?」

「そうだな」

「グッ」

 

 

「そういえばこの船って医務室的なものあるの?」

「あるぞ。セットも一式揃えてあるぞ。手術用ロボットもあるから安心したまえ」

「医者がいないのに安心できるか!」

「医者ではないが私だったらそれ相応の対応が出来るぞ。これでも親に色々叩き込まれてるからな。救命処置なら出来るぞ」

 

「そういえば春樹のお母さん医者だったね」

「そういえばそうだったな。それもなかなか色んな意味で凄い人だったな」

「まあこれである程度の問題は解決したな。それと夜間の見張りはセレナに任せるよ」

『了解しました!』

「「居たのか」」

「決まることは決まったし、今日は解散!」

 

その後卓也の作った食事を取り、各配置につき眠たくなるまで監視を続けたが、結局一隻も見なかった。




まえの投稿からしばらく期間が空いてしまいました・・・。今回はちょっと会話多目で書いてみました。意見や感想があればどんどん書いてください。次回はいよいよ他の船と接触です。


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5話 難破船と赤髪少女 (前編)

どこまでも青々と広がる空と海。

その広大な海面に、奇妙な小さな物体が二つ突き出ていた。

一つは縦長い小さな箱のようなもの、もう一つは細長い棒のようなもので、くるくる回っていた。

「速力20ノット、深度40m、針路180」

「レーダー、潜望鏡共に探知できる脅威なし」

ヘッドセットマイク越しにそう春樹に報告するのは、宮井卓也、下川こうきである。

「うーむ、やはり陸どころか一隻も船が見当たらないか・・・」

彼らはこの世界に飛んできてから、一隻の船とも遭遇していないのである。

「まさかまだ船自体が開発されていない程文明が発達してないんじゃないか?」

「だったら言語とかも通じないんじゃないかな?」

「だとしたら資料とかもないかもしれんな~」

そんな話をしながら、異世界の午前は過ぎていった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ー午後ー

 

 

あれから彼らは船をひたすら南にむけて航行していた。

しかし一向に他の船は見当たらない・・・

 

 

そして午後三時を回った辺りのことである。

「レーダーに反応あり!距離700km!」

武器関係担当のこうきが叫んだ

「どうやら、船は存在しているらしいな・・・」

「よかった~・・・」

「しかし、攻撃してくる可能性もあるよな?」

「まあその時はあいつの腹に魚雷を叩き込めばいいよ」

こうきと話が盛り上がっていると春樹がゴホンッと咳ばらいをし、話し出した。

「取り敢えず、その船を目標aとし、いつでも攻撃できるように各種兵装にデータを入力しておいてくれ」

「了解!」

「さて、相手は何者かね?」

「さあ?もしかしたら最新鋭のミサイル駆逐艦とか?」

「だとしたら恐ろしいものじゃな」

春樹と不明船について考えてみた。しかし、その正体に見当もつかず結局、

「取り敢えず針路、深度そのまま、出力を30ノットまであげてくれ」

「了解」

「奴の正体を直接確認しようじゃないか」

結局目視で確認することとなった・・・

 

 

 

 

 

 

 

ー同日午後5時ごろ

 

日がだんだん傾いてきて、夕暮れ時となった。

そして二隻の船もお互い目視距離に入った(当然、不明船は目視では潜水艦を捉えられないが・・・)

「両舷停止!潜望鏡カメラあげ!」

「了解」

春樹の指示に従い、潜望鏡カメラを上げる。

「カメラの映像を、スクリーンに出します」

そういうと操縦室の天井のど真ん中に設置されたスクリーンに潜望鏡カメラの映像が映し出された。

その映像を見て、全員は言葉を失った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、牛乳パックを横にしてそこにマストを三本立てたような形をした全長100m、船体の高さ40m弱の巨大なボロボロの帆船が浮かんでいた。

しかし、甲板中央付近はえぐられ、まるで巨大生物がかぶりついたような跡があり、そこからもくもくと黒煙を上げていた。

「なんだこれ・・・」

「まるで竜にでも襲われたみたいな・・・」

こうきと卓也はスクリーンを見て唖然としていた。

すると、後ろでマスターチェアに座ってみていた春樹が

「よし、救助しよう」

と言い出した。

「はあ!?まじで言っているのか!?」

「ここで貸しを作っておけば後々良いことあるかもしれんぞ?」

「まあ、それはそうだが・・・」

「なあに、消火さえすれば後は向こうの船に乗り込んで救助した人は格納庫にでも集めて収容しとけ。勿論重症者は医務室に」

「了解・・・」

「さあて救出作戦と行きますか!メインタンクブロー!急速浮上!」

春樹の掛け声と共に二人も元の配置に戻り、それぞれの行動を取った。

 

 

 



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6話 難破船と赤髪少女 (後編)

格納庫内からホースを引っ張ってきて、それをポンプに繋ぎ、卓也とこうきは消火活動を開始した。

ホースからは高水圧の水が勢いよく吹き出し、二人は足を踏ん張りつつ、正確に燃えている隣の巨大木造船に向けて水をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後、無事鎮火したがかなり長い時間燃えていたようで船体は殆ど黒く焦げ、ただ水面に浮かぶ巨大な炭と化していた・・・

「これ生きている人いるのかな?」

ふいにこうきがぼやいた。

「さあ、取り敢えず乗ってみないと分からないな」

こうきの問いに卓也はそう答えた。

「まあこうしてても仕方がない、乗り込むか」

「そうだね」

卓也とこうきはホースを格納庫に片付け、代わりにボートを出してきた。

ついでにヘルメットとロープを持ち、その他様々な救出に使えそうな工具をボートに詰め込んだ。

すると、春樹がやってきて二人に腕時計型の端末を渡してきた。

「この端末を持っておいてくれ。この世界では携帯は使えるところが限られているからな。それにこれだとこのこの艦の半径300km以内だったらどこでも繋がるし、この艦ともやり取りできるぞ」

「そいつは助かるよ、ありがとな」

「いやあ、私が艦の見張りだけしているのも気が引けるものでな。そいつにはいろんな機能をつけておいたぞ。十分に使い込んでくれ」

そう言うと春樹は二人に敬礼した。

二人も春樹に敬礼した。

そしてカタパルトの横にある折り畳み式のクレーンでボートを水面に下した。

そこに二人は乗り込み、隣の船に渡った。

 

隣の巨大木造船の船尾の方には、乗組員が逃げるのに使ったのであろう縄梯子がぶら下がっていた。

二人はこれを使い、船内に乗り込んだ。

甲板に昇るとそこにある光景に唖然とした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下からは見えなかったが、中央付近のえぐられた所から真下の船内状況が伺えるが、そこには牢獄のように鉄格子のついた部屋がいくつもあり、そこには手錠を掛けられ、ボロ雑巾のような薄いボロボロの服を着せられた人達がこれでもかと言わんばかりに押し込められていた。

しかしその中には生きているものはおろか、全員蒸し焼き状態にされ、炭と化していた。

「ねえ、この船ってもしかして・・・」

「ああ、俺も実物を見るのは初めてだけどさ・・・」

「奴隷船・・・」

 

 

 

 

そう、この船はどこかに奴隷を売るために航行していた、奴隷輸送船だった。

 

 

 

 

 

 

 

「恐らく、見張り人は奴隷を放って逃げただろうな・・・」

「やっぱりいつの時代、どんな次元であっても身分の格差ってのはつけられるんだね・・・」

「まったく、ひどい話だ・・・。取り敢えず生きている人を探して助けよう。まあ絶望的ではあるが・・・」

「それでも助けてあげられるだけ助けたいよ!」

「そうだな!よし、二手に分かれよう!俺は船首方向を探す、こうきはこのまま船尾方向を探してくれ!」

「了解!」

二人は別れてこうきは船尾、卓也は船首を探しに行った。

こうきは一番上のフロアから順に調べ始めた。

船内は暗く、端末についているライトを頼りに捜索していく。

上の方のフロアの人は、真ん中寄りの人は炭状になっていたが、後ろのほうに行くと蒸し焼き状になっているだけで黒くはなっていなかった。

 

 

 

因みにこの巨大木造船の構造は甲板に三本のマストと船首の方に操舵ハンドルとそこに通じる階段とその横に船内に繋がる扉がついているだけで他には何もなかった。

船内は真ん中に大きな通路があり、左右に似たような間取りの部屋が続いていて船首と船尾に各フロアを行き来するための梯子が設けられている。

一階フロアは奴隷監視用の乗組員の居住区で、部屋がそんなに無い感じからして監視員は少人数しか乗っていなかったと思われる。

2階からは下はすべて牢獄で、真ん中に通路があるのは同じだが、左右には牢屋がずらりと並んでいる。

残りの下のフロアはほぼ全てにたような構造をしていて全部で20階建てになっていた。

 

「こちらこうき。二階フロアまで確認完了。生存者なし」

こうきは腕時計型端末で艦にいる春樹と卓也に報告した。

『こちら卓也。同じく二階フロア捜索完了。生存者なし。あと一階フロアの一室にてこの世界の地図を確認。スキャンして春樹に送る』

『こちら春樹。了解した。引き続き捜索をしてくれ』

「『了解』」

「そんな機能があったのか・・・」

二人はそのまま捜索をしては報告を繰り返し、焼け焦げた死体を見てもあまり何も思わなくなってきた。それと同時にあまり体が強くないこうきは疲れが襲ってきた。

そしてようやく19階のフロアまでやってきたとき、ライトである檻の中を照らした。

「焼け焦げた死体の山か・・・」

そこには無造作に積まれた焼け焦げた死体の山があった。

「わざわざこんなとこまで来て積み上げたのか?・・・あれ?」

一人でぶつぶつ言っていたこうきだがふと不思議に思った。

「奴隷を売るようなひどい人達がわざわざ死体をまとめたりするかな?」

こうきは不思議に思い、死体の山を掘ってみた。すると、

「!!」

 

 

 

 

 

 

なんとそこには赤髪の少女が身をうずくめて埋まっていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

少女はゆっくりとこうきの方を見た。

整った顔立ち、赤い髪により引き立たされるような白い肌。

大きな赤い瞳に少々吊り上がった目つき。

とても奴隷とは思えないような美人だった。

「・・・あなたは?」

弱弱しくその少女は聞いてきた。

(日本語が通じた!)

「僕たちは君たちを助けに来たんだ!良かった~生きてる人がいて」

「私・・・助かるの?・・・良かった・・・」

そう言うと少女はそのまま倒れこんでしまった。

「あ!ちょっと!寝ちゃだめ!」

こうきはこのまま少女が死んでしまうのではと恐れ、必死に少女を起こそうとした。

『こちら卓也。現在19階フロアまで確認。生存者なし』

ふと卓也からの連絡でハッとした。

「こちらこうき!19階フロアにて生存者確認!」

『何!でかしたぞこうき!下の階を確認次第すぐそっちにいく!』

卓也はその無線を聞き、嬉しそうに、しかし慌てたように答えた。

『こちら春樹!良くやったぞこうきよ!その人の状況を報告してくれ!』

「了解!名前は分からない。年齢は何歳くらいだろう?13~16歳位の女の子だよ。今は寝てしまってるけど心臓も動いてるし息はしているけど・・・」

『ああ、取り敢えず一刻も早くそこから出してあげたいな・・・』

『こちら卓也。20階フロア確認。生存者なし。全フロアチェック完了』

『こちら春樹。卓也よ。今すぐこうきのへ行ってやってくれ。』

『了解!』

 

 

 

程なくして、こうきと卓也が合流した。

「こうき!」

「ああ、卓也。一人生きていたよ。でもこのフロアの他の人たちは・・・」

「そうか・・・」

「そういえばまだ下のフロア見てないんだけど・・・」

「そうか。じゃあ俺が見てくるよ」

「ありがとう」

卓也は下のフロアへ向かって走り出した。

 

 

 

『こちら卓也。生存者なし。』

『了解。その子だけだったか。よし、二人とも急いで戻って来てくれ。』

「『了解』」

 

二人は梯子を昇り、甲板を走り、縄梯子を降りてボートに乗った。

そして艦の甲板に待機してい春樹の手によってボートを回収され、二人は無事救助した少女を艦に連れ帰った。

「二人ともよく頑張ってくれた。・・・ふむ、どうやら安心して寝ているだけのようだが・・・年齢の割には腕や体が細すぎるが・・・」

そう言いながら、ふとある一点をを見つめた。

「・・・まあ胸部装甲hry「この変態科学者が!」」

春樹が何かを言いかけた時、卓也は春樹を殴った。

「何をするんだ!私はまだ何も言っていないでは無いか!」

「うるせえ!どうせ細い割にはどこどこが発達しているなとでもほざくつもりだったんだろう!」

「そんなことは・・・ない」

卓也に言われ春樹は最初こそは声を上げたが最後は静かに言った。

「そのつもりだったんだ・・・」

こうきは少女を背負ったまま春樹をジト目で見た。

「うぐっ・・・まあ取り敢えず担架にのせて医務室に連れて行ってくれ」

『因みに診察及びできる範囲の看病は私がしますので!』

唐突に腕時計型の端末からセレナが出てきた。

「お前できるのか?コンピュータなのに?」

『失礼な!出力装置さえあればできますヨーダ!』

そういうとベーっと言ってきた。

「まあ、セレナがそう言うのだから任せようよ。一応女の子だし」

「そうだな」

「よし、各員配置に戻れ!機関始動、速力20ノット」

「「了解」」

そういって全員が配置につこうとして春樹と卓也で少女の乗った担架を持って艦内に戻ろうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バタッ

 

 

後ろから倒れるような音がして二人が振り向くと、

「「こうき!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疲労が蓄積し、ただでさえ残酷なものなどを見ると恐怖で気が動転するような彼があんな衝撃過ぎる所に長時間いたのだ。

 

 

 

 

 

 

彼の体が限界を迎えたのであった・・・

 




本当だったら前回で終わらすつもりだったんですが・・・。
結局、無理でした!
超グダグダですみません・・・
さて次回、こうきの運命はいかに!そして彼らの行く末は!

感想、意見などがあればどしどし書いてください!


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7話 意識回復

今回は比較的平和です


静かな午前の艦内の一室。

その部屋の出入り口の上には医務室と書かれている。

この部屋の中には二人の人間が眠っている。

一人は奴隷として売られるはずだった赤髪の少女。

もう一人はその少女を助けた少年だ。

そして、その二人が寝てからかれこれ3日たった。

 

 

 

 

 

 

 

(だんだん深い眠りから覚めてきた気がする。

僕が助けた少女はどうなっただろうか・・・

体が重い。

僕死んじゃったのかな?

 

あ、だんだん視界が明るくなってきたな・・・)

 

目を開けるとそこには蛍光灯と点滴のパックが見える。

そして一定のリズムでパックから滴り落ちる液体、それがチューブを伝ってこうきの体の中に入っていく。

 

(さすがにちょっと疲れたぐらいでは死にはしないか・・・)

 

そんなことを考えつつ、ふとそんなに離れていない隣のベットを見てみた。

そこには彼と似たような状態の少女が眠っていた。

 

こうきはベットから起き上がりそっとその少女の手首辺りの脈を触ってみた。

 

うん、ちゃんと生きてる。

僕は少女の寝ているベットとは逆側の真横にある小さめの棚の一番上に置いてある自分用のタブレットを手に取り、起動した。

そして、艦のネットワークとリンクさせ、日付を確認してびっくりした。

「み、三日も寝てたのか・・・どうりで頭がすっとする訳だ・・・」

そんな事を思いつつ、その三日分の艦の記録を確認していた。

すると医務室のドアが開いて卓也と春樹が入ってきた。

「おお、ようやく目覚めたかわが助手よ!」

「よかった、お前三日間も寝てたんだぞ。このまま目が覚めないんじゃないかと心配したんだよ」

春樹は相変わらず訳の分からないことを言っているが、卓也は安心している表情をしている。

「そっか、なんかごめんね。心配かけたみたいだね」

「こうきが無事ならいいさ。それよりこうきが助けた少女、まだ目覚めないんだね」

そう言いながら卓也は心配そうに少女の寝ているベットを見つめた。

「まあ目を覚ましたらびっくりするじゃろうな。なんせ見たこともない艦の中じゃからなあ」

そう言いながら春樹ははっはっはと笑った。

「所でこうきは復帰可能かね?」

「うん、三日も寝てたからね。お陰でちょっと腰が痛いかな?」

「何だよそれ・・・まあでも大丈夫そうで何よりだ」

するとこうきはえへへと笑った。

 

そのままこうきは点滴を外し、針の刺さっていた所に絆創膏をはり、自分の持ち場に戻った。

操縦室に入り、自分の担当のパソコンのモニターが三台とジョイスティックがある席に座り、モニターを起動した。

『お疲れ様ですこうきさん!体調の方は大丈夫ですか?』

モニターを起動するなりセレナが話しかけてきた。

「ああ、大丈夫だ。見ての通り心も体も元気さ」

『そうですか!所で、こうきさんが助けた女の子の方はどうなりましたか?』

「その子なんだが、まだ寝たままで・・・」

『そうですか・・・』

「そこでなんだがセレナ、その子が目覚めたら教えてくれないか?」

『もちろんです~!』

「ありがとう」

「さてわが助手たちよ。こうきも復帰したことだし、卓也が回収した海図についてミーティングしようじゃないか」

こうきとセレナが会話していると春樹がそう言い出した。

「あと助けた少女をどうするかについてもだな」

横の大量のモニターが付いた操縦席に座っていた卓也が付け加えた。

「そうじゃな。よし総員作戦会議室に集合」

その掛け声で全員が動き出した。

 

 

 

作戦会議室には、ど真ん中に横長のテーブルが置いてあり、入り口から見て右側の壁にスクリーンがあり、そこに卓也が持ち帰った海図が映し出されていた。

その海図にはある国からある国までの間に航路と思われる赤い線が引いてあった。

その国と国の間は太平洋以上に広かった。

「さて、この海図を発見した時の状況を教えてくれないかね?」

「ああ、まずあの木造船の一室に入ったときに、この海図が机一面に広げられていたんだ。そして赤い線のちょうどど真ん中辺りに船の模型が置かれていたんだ」

「なるほど。それ以外には?」

「とくにはなかったな」

「なるほど・・・」

春樹がその状況から何かを推測しようとしていた時だった。

『女の子が目を覚ましました!』

突然スクリーンの端にセレナが現れた。

「そうか!よし、医務室にいくぞ!」

「おう!」

「了解」

三人は医務室に向かった。

 

 

 

医務室に入り、ベットの方を見ると、少女はベットから上半身を起こし、辺りをキョロキョロと見渡していた。

「こんにちは。気分はどう?」

まず、こうきが話しかけた。

「・・・あ、あの、ここは?あなたたちは?」

「ここは僕たちの船の中だよ。僕の名前は下川こうき。そしてこっちが・・・」

「私はこの艦の艦長、辻春樹」

「宮井卓也だ」

春樹は堂々と自己紹介し、卓也は少し面倒くさそうに壁にもたれながらじこしょうかいした。

「しもかわ、こうき?あなたが私を助けてくれたの?」

「こうきでいいよ。そうだよ」

「そう、ありがとう。ところでこの船はどこへ向かっているの?」

すると優しく接していたこうきを押しのけ春樹は少女にぐいぐいと押しよった。

「そうだ。君には聞きたいことが山ほどあるんだ!少し私たちにつきあってくry「グイグイ近寄りすぎだ気持ち悪い!怖がってんだろうが!」」

見ると少女は怯えていた。

「ごめんね。こんな感じだけどこの人は悪い人じゃないからね」

こうきは卓也に締め上げられている春樹をジト目で見ながら少女に声をかけた。

「今は色々混乱しているかもしれないけど大丈夫だからね。ちゃんと君のお父さんやお母さんのもとに返してあげるからね」

こうきは少女にやさしく接した。

「最後に、君の名前は?」

「ベレッタ・・・」

少女は少し寂しそうに答えた。

「ベレッタちゃんだね。とりあえず今はゆっくりとしていてね。何かあったらこれで僕たちを呼んでね」

そう言ってタブレットの使い方を教えてベレッタに渡した。

ベレッタはどうしていいか分からず戸惑っていた。

そんな事とはいざ知らず、こうき達三人は医務室を出て行った。

 

 

 

 

 

のんびりとした午前中は過ぎて行った・・・

 




今回は短めで書くつもりだったんですが・・・
結局ダラダラと長くなってしまいました・・・
また近いうちに更新します
感想、意見などがありましたら是非コメントしてください!
ご清聴ありがとうございました!


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8話 新たな乗組員

ー午後 医務室ー

こうきはベレッタと話をしていた。

「・・・なんかごめんね。嫌なこと聞いちゃって・・・」

「別に良いよ。別に気にしてないよ」

「ならいいんだけど」

こうきは、ベレッタからこの世界の情報を集めていた。

彼女の出身国、この世界の言語について少量ではあったが、彼らにとっては一歩前進である。

 

 

 

~~以下こうきのメモ~~

彼女の出身国はビロテノス王国、デアルビーノ、サベルタという地域らしい。

ビロテノス王国は建国18年という発展途上国である。デアビールはいわば県名のようなもので、その地方のサベルタという地域出身らしい。その土地は貧しく、とても治安が悪いらしい。

言語はデレツリアート語と言う言語で、言葉自体は日本語と同じだけど、文字は違うらしい。

彼女は、生まれてすぐ両親に捨てられ、おじいさんに育てられた。しかし、一か月前に生活が苦しくなり、ベレッタを奴隷市場に売った。

そもそも生活が厳しかったのもあり、読み書きができない。

~~~

 

 

 

 

 

「と言う訳」

所変わって作戦会議室。

こうきは、さっきベレッタから聞いた内容を説明した。

「・・・情報は集まったし目的地はきまったけど・・・」

「う~む、彼女を国に帰らせてあげた所で身内なしか」

「そうなっちゃうね・・・」

すると春樹は立ち上がり、

「あんな可愛い子を野放しにして置いたら悪い男に何されるかわからん!いっその事私のそばにおいtry「どーせ変なことでも考えてるんだろうな!この変態科学者め!」ゴハ!何をする!私はまだ最後まで言っていないではないか!」

何かを言おうとした春樹に卓也が腹に拳を叩きこんだ。

「しかし、春樹の言ったみたいに僕たちで保護するのはいい考えだと思うよ」

「確かにそう言うことだったらいいけど・・・」

そう言いながら卓也は春樹を睨んだ。

「不安はあるね・・・」

「まあベレッタ次第だな」

「それに彼女の担当はどうするの?操艦は卓也担当だし、武器関係も僕がいるし・・・」

「なら航海士としてならどうじゃ?」

「それいいな」

「でも海図読めるのかな?」

「なあに問題ないだろう。文字が読めなくて現在地さえわかれば大丈夫だろう」

「取り敢えず仲間として迎えるかどうかだな。早速聞いてきてくれ」

卓也はそういいながらこうきに指示を出した。

「僕は彼女との連絡係かなんかなのかい?」

こうきはため息をついた。

「懐かれてるからちょうどいいじゃん」

「全くこうきは羨ましいッ!」

卓也はニヒヒと笑い、春樹は目から涙を流しながら悔しそうに言った。

「はあ、まあ聞いてくるよ」

こうきは溜息をつきながらも作戦会議室を出た。

「さて、操縦室に戻るか」

「そうじゃな」

そう言って二人は作戦会議室を出て行った。

 

 

 

 

一方こうきは狭い通路を歩き、自室前の医務室の前に立っていた。

服装を整えて、ノックをした。

因みに、彼らの服装は白のカッターシャツに黒のズボンでブーツを履いている。

「こうきです。はいるよ」

そう言ってドアを開けた。

 

 

 

 

中に入るとベットが並んでいて、一番手前のベットの上に少女は上半身を起こした状態でいた。

「度々おしかけてごめんね。体調はどう?」

「大丈夫だよ。それより今度はどうしたの?」

「あの、変なことを聞いていい?」

「え?うん」

するとこうきは一回咳ばらいをして言った。

「単刀直入に聞くけど、僕たちと旅をしないかい?」

「え?」

ベレッタは、驚いた表情でこうきをみつめた。

「いや、別に変な意味はないけど、僕たちはベレッタちゃんを元居た国へ帰すつもりだったんだけど、ベレッタちゃんの話をきいて帰っても身内がいない事を知っちゃったから。それにベレッタちゃんはまだ幼い。だったら僕たちが保護してあげようってことになったんだ。どうかな?」

ベレッタはしばらく考え

「・・・私、仲間になったらここにいていいの?」

「もちろん!」

「見捨てたりしない?」

「当たり前だよ」

すると、ベレッタは目に涙を浮かべ、こうきに抱き着いた。

「私、仲間になる!」

こうきは一瞬戸惑ったが、優しく彼女を抱きしめ、頭を撫でた。

「分かった。今日から君はここの乗組員だよ」

 

 

 

 

 

こうきは、操縦室に向かった。

操縦室の入り口は、厚い水密扉になっており、横に指紋認証装置と3桁の暗証番号のダイヤルがついている。上には赤いランプが光っていた。

こうきは、指紋認証装置に触れた。

すると、ピッと音がして赤いランプが青に変わり、扉のロックが解除された。

中に入ると、真正面の壁の真ん中の上の方に大型のスクリーンがあり、その真下にモニターに囲まれた席があり、卓也がいた。その席の後らへんにも席があり、タブレットが二つ配置されていて、春樹が座っている。

そして卓也の隣の席、モニターが二つあり、キーボードがある席、こうきの席だ。

すると、春樹がこうきが入ってきたことに気づき

「どうだった?」

と聞いてきた。

「仲間入りだよ」

と笑顔で答えた。

「そうか!でかしたぞこうき!」

そう言いながらこうきに近づき、背中をバシバシたたいた。

その一連の流れをヘッドセットマイク越しに聞いていた卓也はモニターを見ながら答えた。

「そうか。でもそれどころじゃないぞ。前から何隻か船が来てるぞ。距離100kmきってるぞ」

「大丈夫だろ。潜ってるから見つかりはしないじゃろ」

すると卓也は少し不安そうに答えた。

「どうだか。相手は蒸気で動く戦艦だぞ?」

「戦艦?」

こうきも少し不安そうに聞き返した。

「ああ、スクリーンにだすぞ」

すると、スクリーンに前方のものと思わしき映像が映し出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、戦艦というよりかは駆逐艦ではあるが、甲板には二つの砲身が見える。

そして、後ろから石炭を燃やした時の独特の黒煙が上がっていた。

それも4隻、陣形を組んでいる。

前と後ろで2隻、間に挟まれ右と左で2隻だ。

こうきは、急いで自分の席に座った。

「あれは規模からして戦艦じゃないね。駆逐艦かな?で脅威には間違いないね」

「そうじゃな。総員戦闘配置。こうき、一応各種兵装に諸元入力しておいてくれ。あとデコイと」

「了解!」

「卓也は敵の動きを警戒しておいてくれ」

「了解」

操縦室の空気に緊張感が高まった。

照明は落とされ、ただモニターの明かりだけがついている。

「ソナー、相手のスクリュー音聴知。探針音なし」

「どうやら潜水艦を探す能力はなさそうだが・・・。二人とも、気を抜くでないぞ」

「「了解」」

「卓也、深度60mに下げてくれ」

「了解」

全員が手に汗を握ってただモニターに目をこらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、何もなかった。

艦隊はゆっくりと潜水艦の上を通過していった。

どうやら対潜水艦能力はなかったようだ。

「よかった~。音も記録できたし」

こうきは、船のスクリュー音を記録していた。

「そんなの、何に使うんだ?」

「これでどこのどんな船か分かるんだよ。スクリュー音は船一つひとつ違うからね」

「そうだったのか・・・。にしても心臓に悪いな・・・」

「まあ何はともあれ、仲間が増えたことを祝おうじゃないか。こうき、連れてきてあげてくれ」

「了解」

こうきは、操縦室から出て行った。

 

 

暫くして、ガチャンと音がしてこうきが入ってきて、その後ろに隠れるように少女が入ってきた。

服装は奴隷の服とは違い、自分たちと同じ、黒いズボン、白いカッターシャツ、黒のブーツだった。

ベレッタは、こうきに促されて、こうきの前に立ち、敬礼した。

「ほ、本日付けでは、配属になりました。べ、ベレッタで、です!」

すると春樹がおお~といった。

「やらせたかったのか・・・。まあ改めて、これから宜しく。操艦担当の卓也だ」

卓也は少し呆れつつ、挨拶をした。

「私はこの艦の艦長の春樹だ」

「そして僕がこの艦の武器担当のこうきだよ」

そう言うと全員が敬礼した。

そして

「ようこそ。伊404へ」

春樹が少女に右手を差し出した。

ベレッタも慌てて左手を差し出し、握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、新たに仲間が加わった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回もまたしても平和(なはず)な回でした・・・
次回、いよいよ地に足をつけるはずです

意見・感想があればどしどし書いてください!

では!


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上陸作戦
9話 ビロテノス王国


明け方、ゆっくりと水平線から太陽が昇ってくる。

朝日に照らされ、洋上を航行する一隻の潜水艦。

全長122m最大幅12m、船体中央には巨大な筒状の格納庫。

その上には、司令塔があり、そこから伸びる潜望鏡カメラとくるくる回る水上レーダー、無線アンテナ。

そして、前方甲板には格納庫から艦首に向けてカタパルトが伸びている。

後方甲板には実用性を求め、より素早く、正確に攻撃できるように魔改造されたセミオートマチック40口径14cm砲が睨みをきかせていた。そして格納庫上部にはCIWSに劣らない性能を持つ20mmフルオートマチック三連装機銃が三基つけられている。

その艦の司令塔の両舷には『I404』と記されていた。

そんな艦の前方甲板には4つの人影があった。

「やっぱり朝はいいな~」

「そうだね~」

「朝が嫌いな人なんていないよ」

「ふわ~朝は眠いから嫌じゃな~」

「「「あっいた・・・」」」

そんな会話を繰り広げるのは、宮井卓也、下川こうき、ベレッタ、そして艦長である辻春樹である。

「さて、今からこの艦について説明しようかの。この艦の兵装は前に説明したが、ミサイル関係については言ってなかったな。この艦の格納庫のある甲板の真下に右左舷についているんじゃ。使用するのはAHAX2(エーエイチエーエックスツー)多目的ミサイルだ。これは短距離だろと長距離だろうと水中だろうと宇宙だろうとどこにいようとも攻撃できるミサイルじゃ。そしてもう一本、ハープーン対艦ミサイルだ。これは主に艦に向けて発射するミサイルじゃ。そして最後、MJY3(エムジーワイスリー)対陸対空ミサイルじゃ。これは陸や空の敵に向けて撃つ奴じゃ。破壊力がすごいから、できれば使いたくないそれ以外にもあるんじゃが、できれば使いたくないやつばかりじゃ」

「ちなみにその破壊力ってどの位なの?」

ベレッタが質問した。

「あそこに島があるじゃろ」

春樹は水平線上にあるそこそこ大きい島を指さした。

そこには種子島位の島があった。

「あの島がこのミサイルで消えるくらい・・・」

するとそこにいた春樹以外全員青ざめた。

「まあ冗談じゃがなはっはっは」

「「「いやわらえねーよ(ないよ)」」」

まだ眠たいせいか、春樹は変なことを言っていた。

「さて、次は格納庫だ」

そう言ってタブレットを操作し格納庫を開けた。

「基本格納庫はタブレットで開けれるんじゃ。勿論艦内からも行き来できるぞ。格納庫内にはボート、ジープ、ヘリコプター、工作機械、その他いろいろなものがあるぞ」

「へ~」

全員志向が追い付かなくなっていった。

「次に艦内じゃ。大まかには前から魚雷発射管室、操縦室、作戦会議室、居住区、機関室兼後部魚雷発射管室じゃ。そしてこの艦は三階建て構造になっておる」

 

 

そのあといろんな説明を聞いて一時間過ぎた。

 

 

 

「・・・という訳じゃ」

「は、はあ・・・」

「疲れた・・・」

「だよね」

春樹はドヤっとした顔をしており、卓也は目を回しており、こうきとベレッタは疲れ果てていた。

「よし、疲れたから休憩もかねて朝食にしよう」

「おっ私もそう思っていた所じゃ」

「「賛成~」」

卓也の提案に全員が賛成し、いつも以上に心地よい朝食タイムとなった。

 

そして、全員が持ち場についた。

ベレッタはこうきの席の真後ろに折り畳み椅子を置き、タブレットでこうきに操作方法を教えてもらいつつ、針路を確認していた。

 

午前は穏やかに過ぎて行った。

 

そして午後の昼下がりのことである。

午後からは、こうきとベレッタは司令塔にいた。

周辺にちらほらと島が見るようになってきた。

「ねえこうき。向こうに大きな島があるよ」

ベレッタは双眼鏡を覗きながら言った。

「ん?あれって大陸かな?」

こうきはタブレットでこの世界の地図データを開き、近くの島の配置を確認し現在地を確認しつつ、前方の大陸のような島の正体を探っていた。

 

 

 

「ねえ、あれがビロテノス王国じゃないかな?ほら、そこの島がそれで、そこがそれで・・・」

「あっほんとだ」

二人は島の配置などから推測してあれが目的地であることを確認した。

「にしても、地図で見るとイルカの形してるよね」

「そうね、可愛いね」

こうきは、司令塔の壁にある艦内電話で操縦室と繋いだ。

「こちらこうき。前方の大陸はビロテノス王国と確認。距離、80km」

『こちら卓也。了解した、取り舵25度、速力15ノットから10ノットに下げる』

そう言って数分後、艦は左に旋回し終え、速力が落ちた。

『こちら春樹。どうやら目的地に着いたようじゃが・・・。とりあえず作戦会議室に集まってくれ』

「「了解」」

「さて艦内に戻ろっか」

「うん」

こうきとベレッタは、司令塔をおり、甲板のハッチのハンドルに手をかけた。

すると、ピッと音がし、ガチャンとロックが解除される音がした。

そしてそのハンドルを回して開けた。

二人はそのまま中に入り、ハッチを閉めた。

二人は作戦会議室に向かった。

 

 

 

中に入ると、いつも下ろされているスクリーンが上げられて、ホワイトボードがでていた。

「見張りご苦労じゃった。さて、第何回目かのミーティングを始めようかね」

「お題は上陸作戦っといったところかな?」

「さすが卓也、頭がきれるじゃあないか」

「いや、適当に言っただけじゃないか」

卓也は反応に困っていた。

「さて本題に入ろう。さっき卓也の言った通り、上陸作戦についてじゃ。正直、この艦で普通の港に入るのはまずい。敵襲と間違われるからのう。そこで何かいい考えがあるものはいないかね?」

三人はうーんとうなった。

「夜中にこっそり港に入ったら?」

こうきが言った。

「うーむ。いいかもしれんが、夜の見回りが怖いのう。しかし、夜に入る考えは悪くないのう」

春樹は夜中に上陸とホワイトボードに書いた。

「他には?」

「じゃあ、これは方法なんだけど、上陸するのは何人かで何人かは艦の見張りとするのはどうかな?」

「ほほう、なるほど!いいじゃあないか!」

今度は卓也の意見がホワイトボードに書かれた。

「じゃあ他には?」

だんだんみんなのテンションが上がってきた。

「じゃあ私の意見なんだけど、港は人の少ないほうがいいよね」

「なるほど!採用じゃ!いいよ、ベレッタたん!」

だんだん春樹のテンションもあらぬ方向へ転がりつつ、作戦の案は出てくる。

「他には他には?」

 

こんな乗りで会議は進んでいった・・・

 

 

 

 

そして・・・

「・・・という作戦で行こうと思いまーす!名付けて夜間上陸作戦!」

「まんまじゃねえか・・・」

「まあ楽しいからいいじゃん」

「私もそう思う!」

卓也は突っ込みに疲れ、こうき達はテンションが高く、春樹に至ってはもはや異常であった。

 

 

作戦はこうだ。

【挿絵表示】

 

・まず、艦内の時計で午後11時になるまでに、ビロデノス王国デアルビーノ(背びれの部分)から約20km離れた海域まで行き、そこで休養のため、潜航状態で一日過ごす。

・そして翌日の午後10時頃に浮上し、そこの港に入港。

・桟橋にクレーンでジープを下ろし、卓也とこうきとベレッタを下ろす。(この時船体を桟橋に固定しないため、細心の注意を払うこと)

・三人を下ろした後、そこを出港後約20km離れたら潜航し、待機。

・その間に、速やかに港から離れ、王都のゴルバトゥーダまで行く。

・目的は政治的資料の採取と通貨や文化の調査。可能であれば、食料の調達(犯罪的行為は認めず)

・調査期間は二週間。二週間と三日後、浮上し、港で三人とジープの回収。

 

 

 

 

 

 

「という内容で決定じゃ。じゃあ今日の内にジープに荷物を積み込んでおいてくれ」

「「「了解!」」」

「よし。検討をいのる。全員が無事に戻って来てこそ作戦成功じゃ!帰ってくるまでが任務じゃ!」

「遠足じゃねえんだから・・・」

「卓也~。遠足って何?」

「ベレッタ?遠足ってのはね、みんなと一緒に遠くへ遊びに行くことなんだよ」

「へえ~。楽しそう!」

卓也はベレッタの頭を撫でた。

「さて、早速作戦開始じゃ!総員配置につけ!テアルビーノ近海までは潜航状態で行くぞ

!深度60まで潜航!」

「「「了解」」」

 

こうして艦内は作戦に向けて着々と動き出した・・・

 

 

日は少しずつ水平線に消えてゆく・・・

 

 

 

 

 

ーー夜中ーー 艦内時計23:00テアルビーノ近海

 

艦は予定通り、テアルビーノ近海まで来た。

「よし、作戦通りじゃ。卓也たちはもう寝たほうが良い。明後日は大変じゃぞ?休むのも作戦の内じゃぞ」

「ああ、すまないな。じゃあお言葉に甘えて」

「僕も寝るよ」

「私も」

「ああ、お休み」

 

 

こうして艦内は静かになった。

 

 

聞こえるのは、水中独特の空気が上がっていく音だけだ・・・

 

 

 

 

 

 




今回初めて、押絵を入れてみました
日本をいれたのは比較のためです。
赤い線は伊404の航路です。
字が汚いのはマウスのせいです・・・(マウスのせいにすんじゃねえ!)

結局上陸しませんでした・・・(;^ω^)(いつもそうじゃねえか!by卓也)
今度こそ、今度こそは、上陸します!多分・・・

感想いけんがあればどしどし書いてください!

では!


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10話 上陸したのはいいけど・・・

朝日が水平線から顔を出す頃、ビロテノス王国付近の深度60mの海中では、一隻の潜水艦が身を潜めていた。

そして、その艦内では今夜行われる予定の上陸作戦の為に、着々と準備が行われていた。今は格納庫内で、ジープに積み込む荷物を確認していた。

「え~っと、食料にテント、後は・・・燃料かな?」

「あと武器もだな」

そう言って卓也はこうきに積み込む武器の一覧表を渡した。

「武器なんていつ作ったの?」

「昨日の夜中に徹夜で春樹が作ったんだ。だからほら」

そう言って格納庫の奥の方を指さした。

こうきはその方向を見てみると・・・

「すぅ・・・」

そこには春樹が格納庫内奥にあるビニールシートに覆われた物体にもたれかかって幸せそうに眠っていた。

「徹夜して作ってくれたのはいいけど・・・」

「なんかあの顔腹立つな・・・」

そう春樹とこうきが話していると、ベレッタがやってきた。

「こうき、これ持ってきたよ~」

「ああ、ありがとう」

そう言うとこうきはベレッタを撫でた。

ベレッタは、えへへっと嬉しそうに笑った。

「まるで兄妹だな」

その光景を見ていた卓也はそうつぶやいた。

「ところでなんだ、それ?」

卓也はベレッタの持ってきたものを見つめた。

少し大きめの段ボールだ。

「無線機だよ。これでこの艦と通信するんだよ」

「なるほど・・・」

 

 

 

「さてと、これで全部かな。食料、燃料、工具に無線・・・あと武器だな」

そう言ってこうきは武器一覧表を見た。

「武器は・・・アサルトライフル人数分、ハンドガン人数分、狙撃銃1、・・・」

「やけに物騒な装備だな・・・まるで軍人みたいだな」

「できれば使いたくないね・・・」

「使わないだろ、多分」

「あとは・・・ワイヤーアンカー・・・って何?」

「何じゃそりゃ」

そこには良く分からない装備名が書いてあった。

「これじゃない?」

そう言ってベレッタが持ってきたのは、ロケットランチャーを小型化したようなもので、後ろにワイヤーをまいたリールを付けたものだった。

「何に使うんだ?」

「分からない」

「まじか・・・。まあ取り敢えず積んでおくか」

「そうだね」

そう言ってジープの後部ドア前の荷物の山に置いた。

 

 

 

 

「よし!これで全部積んだね」

「そうだな。意外と少ないな・・・」

ジープの後ろに持っていく荷物を集めて、すべてのチェックをつけ終えた。

量はそれほどなく、普通に車に収まりきる位だった。

ジープは最大10人乗りで前シートが二つと後ろが四人掛けの横向きシートになっている。

後ろのシートは基本バックドアから乗車するようになっている。

屋根には中央に窓がついていて、そこから身を出すことができる。

「何かもう俺たち軍人になった気分だな・・・」

「そうだね・・・」

二人で呆れつつ、荷物をバックドアから積み始めた。

 

 

積み込みは30分足らずで終わった。

 

「何とか積めたな」

「そうだね。あとは助手席に無線を・・・」

そう言って今度は助手席に無線機を取り付け、車体後部にアンテナを立てた。

 

 

 

準備が着々と進みながら時間は過ぎて行った・・・

 

 

そして午後3時頃

 

 

「ふわ~良く寝た良く寝た・・・」

春樹が目覚めた。

「ようやく起きたか・・・」

「昨日は徹夜でやってたんじゃ。仕方ないじゃろ」

春樹は起きてくると卓也と話していた。

「にしてもあのワイヤーアンカーって何に使うんだ?」

「卓也よ。まさか知らんのか!?あれは先端のロケットを飛ばしてワイヤーを張るものじゃ。城壁とか昇るのに便利だとおもうんじゃが・・・」

「まぁ取り敢えず積んだけどさ・・・」

「そうか。よし、卓也よ。少し休んでおくとよい。もしかしたら今夜は寝れんかもしれんぞ」

「了解。こうきにも伝えとくよ」

「頼んだぞ」

卓也は格納庫を出て、自室に戻って行った。

「さて、少し寂しくなるのぉ・・・」

春樹は静かに呟いた。

 

 

 

そして日は沈みいよいよ午後10時になった・・・

 

 

 

 

 

「作戦開始!メインタンクブロー!浮上!」

「「了解!」」

艦は静かに動き出し、海面に向かって浮上し始めた。

 

静かに海面に長い潜望鏡から姿を現し、暗い海上にその巨体を現した。

 

こうきとベレッタは司令塔に立ち、暗視スコープで港を目視で確認し、卓也に指示する。

「取り舵15」

『了解。取り舵15』

こうきの指示に従ってゆっくり入港する。

 

「にしても暗い港だね・・・」

『まるで使われてないみたいだな』

「この港、確か使われていないよ」

「本当に使われてなかった・・・」

『まじか・・・』

「まじ」

『まあでも好都合じゃ。さっさと上陸してしまおうじゃないか』

『「「了解!!」」』

艦はゆっくりと突き出た桟橋に近づいて行った。

 

その港は灯台はあるものの点いておらずぼぅっとそびえたっているだけだ。

その他にも港町のような賑やかさはなく、ただ暗い闇が広がっているだけだ。

 

 

「両舷停止。スラスター左舷微速。もうちょっと桟橋に近づけて」

『了解。スラスター左舷微速』

艦はゆっくりと桟橋に近づていく。

「もうちょっと・・・ストップ!!」

こうきの合図で艦は桟橋の右側にきれいに着いた。

『こうきとベレッタちゃんよ!誘導ご苦労じゃった!急いで戻ってきて上陸準備にかかってくれ!』

「「了解!」」

二人は春樹の指示で艦内に戻り、自室に置いてある鞄を掴み格納庫へ走った。

 

 

格納庫につくと、すでに卓也がいて格納庫の扉を開けていた。

「二人とも、ジープを甲板に出すぞ」

「「了解」」

卓也の指示で二人は打ち合わせしておいた配置についた。

卓也はジープに乗り、こうきは甲板まで誘導、ベレッタはクレーンの操作だ。

 

 

「もうちょっと~、もうちょっと~・・・ストップ!!」

ジープは格納庫から出され、クレーンで吊り上げられる位置まで来た。

 

ジープにワイヤーが巻かれゆっくりと吊り上げられ、桟橋へ降ろされた。

 

作業が終了すると春樹がやってきた。

「いいかい、二週間と三日後じゃぞ。あとこれは護身用じゃ」

そう言ってサバイバルナイフを全員に渡した。

「また護身用か」

「こんなに武器はいらないよ」

「そうだよ春樹」

「まあそう言わずに」

そういってニヒヒと笑った。

「まあ、ありがとな」

「それじゃあ行ってくるね」

「見つからないようにね」

三人はそう言って敬礼した。

「そっちも無事に帰って来てくれ。あと定時連絡は忘れないでくれよな」

春樹も敬礼しながらそう言った。

「ああ・・・」

三人はジープを降ろしてる間に春樹が設置したラッタルを降りて上陸した。

 

三人が下りるとラッタルは格納され、艦はゆっくりと桟橋を離れた。

そして、離れていく艦に向けて三人は再び敬礼した。

それに返すように艦は警笛を鳴らした。

低い警笛が静かな港にこだました。

そしてそのまま向きを180度変え、暗い海に潜っていった・・・

 

 

「さて、どうする?」

「取り敢えずここから離れよう」

「確か首都は南の方のはず・・・」

「よし、南に向かうか」

「まずは道を探そうぜ、こうき」

三人はそんな会話をしながらジープに乗り込んだ。

卓也は運転席、こうきは助手席に乗り、ベレッタは助手席後ろの席に座った。

ブロロロッとエンジン音を立てて、ジープは走り出した。

 

 

 

 

しばらく走り続け、卓也が呟いた。

「にしても何だここは」

「まるで荒廃した町だね・・・」

「貧しい人がいっぱいいる街だからね・・・」

「スラム街か・・・」

そう、この街には朽ち果てた建物、傾いた看板にガタガタで雑草が生えて、いかにも整備されていないような道が続いていた。

そして何より、薄い布をまとって道端で寝ている人たちが何人もいる。

殆どの人が痩せこけていて、生活の苦しさが伝わってくる。

「社会の授業で見たことはあるけど・・・」

「どこの世界にもこういう人たちはいるんだな・・・」

「卓也やこうきのいた世界にも私たちみたいな人達はいたの?」

会話を聞いていたベレッタが尋ねてきた。

「ああ、何なら戦争でひどい事になった人達や、そういった人たちを差別するような最低な人もいたよ・・・」

「おまけにえらい人たちは税金を無駄遣いしていたくらいだ・・・」

「そうなんだ・・・」

車内は重い空気になっていった。

 

しかし、時間がたてばやがて二つの寝息に変わった。

「全く、やれやれ・・・」

卓也は寝ている二人を見て微笑み、前を向いて少しアクセルを抜いた。

 

 

 

 

暗い闇の中、舗装されていない道を一台のジープが南に向けて走っていった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやく上陸しました!
さて、彼らはちゃんと首都に着けるのでしょうか!
意見、感想があればどしどし書いてください!

読んでくださり、ありがとうございました!


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11話 コセラーム村?覚えにくい名前だな~

山と山の間から太陽が顔を出す頃、山間を走る一本の道をジープが走っていた。

卓也は一晩中運転して疲れたのか、ハンドルを握ったまま、大きな欠伸をした。

「ふわぁ~」

「むにゃぁ・・・」

欠伸で起きたのか、後ろの席で寝ていたベレッタが起きた。

「おはよう、ベレッタ」

「おはよう、卓也。ずっと運転していたの?」

「そうだよ。でないとこんな所まで来れないだろ」

 

 

卓也とベレッタが会話をしていると、今度はこうきが起きた。

「・・・おはよう」

「おはよう、こうき」

「もしかしてずっと運転してたの?」

「今さっきその話してたんだけど・・・そうだよ」

「少し休んだら?その間僕が運転するよ」

「できるのか?」

「うん」

「本当か?」

卓也は疑うような目でこうきを見た。

「うっ・・・」

「はぁ。気持ちはありがたいけど出来ないのなら無理しなくていいよ。そっちのほうがかえって危険だ」

「ごめん・・・」

「でもさすがに疲れてきた。どっかで休むか」

「そうだね」

「賛成!」

 

ジープは休める所へ向けて走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くすると、看板が見えてきた。

「何だあれ?」

卓也がぼやいた。

そして看板の前で車を止めた。

「何だろう?この先に何かあるのかな?ベレッタ、何て書いてあるか読めない?」

「え~っと、こ・せ・ら・-・む・む・ら・・・コセラーム村だって」

ベレッタはスラム街の産まれで、読みは簡単な物しかできない。

「ごめんね、無理させて。村か・・・泊めてもらえないかな?」

「どうだろう。可能性はあるけど、いい人だとも限らないしな・・・」

「そうだな・・・」

「でも情報収集がてら行ってみようか」

「そうだな。でも・・・」

「どうしたの?」

「車で突っ込んで大丈夫かな?」

「いいんじゃない?」

「でも私が知ってる限り、こんな乗り物馬車以外に見たこと無いよ」

「う~む。取り敢えず茂みに隠しておくか」

そう言って、車を茂みの奥に隠しその上に草などをのせた。

車は緑色をしていたため、ぱっと見た感じ分からなくなった。

「完璧だね」

「あとは服装だが・・・これでいっか」

「そうだね」

「よし!いこう!」

「「おー!」」

(なんだこのノリ・・・)

 

三人は車から降りて道に戻り、歩き始めた。

卓也は鞄の中に拳銃を入れておいた。

 

 

 

車から降りて約十分、村に着いた。

村の入り口には看板が立っており、コセラーム村と書いてあった。

中に進むと、道は石畳みで舗装されており、あまり広くはないが、車が二台通れる位はスペースがある。

建物は木でできていて、家と家の間隔はそれなりにあいていた。

そして村人がちらほらといる。

 

さっそく近くにいたおじさんに話しかけた。

「こんにちは。すみません、ちょっとお話聞かせてもらってよろしいですか?」

卓也はおじさんに笑顔で聞いた。

「こんな村に若い少年がどうしたのかね?」

「あの俺たち旅をしていまして、たまたまこの村にたどり着いたんで、この国について話を聞きたいなーって思いまして・・・」

「ほほう、つまり少年たちはこの国の人では無いと?」

「はい~。のでお話を聞かせてほしいと・・・」

「ほっほっほ。面白い。わしで良けりゃ、話してやろう。所で、お主ら見慣れん格好をしておるが・・・どこから来たんじゃ?」

「この国の反対の国です」

(正確にはこの世界の反対かな?嘘は言っていない!)

「はたまた面白い事を言うの~。いいじゃろう。ついてきなさい。わしはこの村の村長のマコリット・ジュモスじゃ」

(((いきなり村長と出くわしたー!((出会っちゃったー!)))

「俺は卓也です」

「僕はこうきです」

「ベレッタです」

「卓也にこうきにベレッタか。うむ!覚えたぞ!お主らが来た事を歓迎するぞ!」

そう言ってマコリットは手を差し出してきた。

卓也も反対の手を差し出し、握手を交わした。

その後、こうき、ベレッタの順に握手を交わした。

「取り敢えず立ち話も何じゃ。ついてきなさい」

3人は、マコリットの後をついて行った。

マコリットについていくと、いろんな村人とすれ違った。

その度に村人から色々聞かれたり、歓迎されたりした。

するとこうきがひそひそと話しかけてきた。

(なぁ、これって歓迎されているんだよね?)

(あぁ、多分な・・・)

(これからどうなっちゃうんだろう・・・)

(さぁ?まぁ最悪は、使いたくは無いがこれで・・・)

そう言って鞄を指さした。

こうきはごくりと唾をのんだ。

(できればそれは避けたいね)

(そうだな・・・)

そんな会話をしていると

「ほれ。着いたぞ、ここがわしの家じゃ」

目の前には木で作られた大きな家があった。

「さぁ、入って入って」

「それでは失礼します」

「お邪魔します」

「お邪魔します・・・」

中は広く、木の香りが漂い、安心できるほどの快適さだ。

「なかなかいい家ですね」

「そうじゃろう!なにせわしが十年かけて建てた家じゃからな!」

「すごい落ち着くね!」

「そうだね~!」

こうきとベレッタもさっきの緊張はどこへやら、はしゃいでいた。

「まあ取り敢えず、そこの椅子へ掛けてくれ」

そう言って、円形の机を囲むように配置された椅子へ三人を案内した。

そして三人は、マコリットを中心にして卓也、こうき、ベレッタの順に座った。

「さて、何から話そうかね?」

「では、さっきから気になっていたのですが、なぜ僕たちがこんなに歓迎されているんですか?」

「ああ、それはじゃな・・・」

そう言ってマコリットは話し始めた・・・

 

 

 

 

 

 

つまりこうだった・・・

この村は過疎化が進んでおり、若い人(0~30代くらいまで)の人が少なく、村人150人くらいに対して10人くらいしかいないので、なんとか村おこしを行っているが、人は一向に来ずここ数年は訪れる人すらいなかったらしい・・・

 

 

 

 

 

「・・・という訳なんじゃ」

「それで数年ぶりの来客が俺たちってわけですか」

「何せ場所も山間でお世辞にも便利な場所とも言えんからの~」

「大変ですね・・・こんなに良いところなのに・・・」

「さて、ほかの質問は無いかね?」

「では、この国についてお話を・・・」

「いいじゃろう」

 

 

 

 

 

「・・・てな感じじゃ」

「なるほど~」

マコリットの話である程度この世界について分かった。

 

ーーー以下こうきメモーーー

まずこの国の今の状況は場所によって貧富の差ができ、自分たちが上陸した場所は貧しい人たちが集められた場所らしい。そしてここの村を境に普通位の人たちがちらほらというわけ。首都のゴルバトゥーダは王族の人が多く、城下町は特に栄えている。

軍については、現在は海軍だけらしく、空軍はそもそも存在しない。そのかわり竜騎士団というのがあるらしい。なんでも空中から竜で奇襲するんだとか。そして肝心の海軍は、魔道戦艦というのが主流らしい。そして潜水艦も在しない。そして何より機関が蒸気機関と魔道機関というものを搭載している。しかし、僕たちの能力には敵わない。そして陸軍の代わりに騎士団がある。つまり、技術は進歩していない。しかし、電話はある(しかし昔から進歩していないらしい)。

車も馬車くらいしかない。

そして能力者や魔術師がいる。

ーーーーーーーーーーーーー

「・・・という訳じゃ」

「ほほう・・・面白い!」

「ならばよかじゃ」

そう言ってマコリットはフォッフォッフォと笑った。

「ところでマコリットさん」

「ん?どうしたんじゃ?」

「実は一つお願いがございまして・・・」

「どれどれ申してみよ」

「実は宿を探しておりまして、それでどこかに宿が無いかさがしてるんです」

「フォッフォッフォなんだそんなことか!ならば今日一日わしの家で休むといい!」

「本当ですか!」

「やったー!」

「よかったー!」

「でも僕たち無一文なんですよ」

「なぁにかまわんさ!何なら金だってやるわい!何せ今日からお主らはわしの孫じゃい!」

「は、はぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちは宿を見つけ、金銭的な問題も解決するのと引き換えに

 

 

 

 

 

 

 

マコリットの孫となってしまった・・・

 




はい!
上陸して早々味方が増えました!
さあこの後どうなるのやら・・・
意見、感想があればどしどし書いてください!

読んで頂きありがとうございました!


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12話 この国の神話が滅茶苦茶すぎる・・・

先週の放課後、部活が終わって音楽室を閉めようとしたら音楽室に鳥が入ってきました・・・



ーーーコセラーム村 村長の家ーーー

午後、村長の話を聞きながら午前を過ごした卓也ら一行は今日は村長の家に泊まることになった。

「本当に泊めさせて頂いてよろしいのですか?」

「なぁに、孫を家に泊めてあげるのは当然じゃろ」

卓也はマコリットの心の広さに少し困惑していた。

しかしマコリットはフォッフォッフォと愉快に笑っていた。

「しかも、ここから隣の町までは馬車を使っても一日はかかるぞい」

「そ、そうなんですか・・・」

(僕たちの車でおよそ半日かかる位かな?)

こうきはマコリットの話を聞いて卓也に囁いた。

(そうだな・・・もしかしたらそんなにかからないかもな)

(違いないね)

そう言ってこうきは微笑み、出されていたコーヒーをすすった。

 

 

 

暫く村長と会話をしていたが村長がある事を言ってきた。

「そういえば今日は村に占い師が来ておる。丁度よい!お主らも今後の旅について占って貰うとよいぞ!」

「そうなんですか。う~んどうしよっか、卓也」

マコリットの提案にこうきは少し悩み、卓也に意見を求めた。

「そうだな・・・。正直占いなんて当てにしてないしな・・・」

「なぁに心配はいらんぞ。何せすごい当たると評判じゃからな」

そう言ってマコリットはフォッフォッフォと笑った。

「う~む。それじゃあ一回占って貰うか・・・」

「そうだね。もしかしたら色んな事がわかるかもしれないしね。ね、ベレッタ」

唐突にふられたベレッタは、お茶と一緒に出されていたお菓子を頬張りながら頷いた。

「よし!それじゃあ早速行こうか!ついて来てくれ」

そう言ってマコリットは出かける準備を始めた。

 

 

 

 

マコリットと家を出て、村の奥の噴水のある広場についた。

そこにはいかにも占いしてくれそうな紫色のテントが張っていた。

「さぁ中に入ろう」

マコリットは遠慮なしにそのテントに入っていき、卓也らも取り敢えず続いて入った。

 

 

 

中は薄暗く、しかし意外に広く、テントのど真ん中に小さな机があり、その上に水晶玉らしき物が紫色の座布団の上に置かれていた。

その水晶玉を眺めるように、いかにも占い師っぽい恰好をした人が座っていた。

そしてその光景を見た卓也とこうきは内心でこう思った。

((う~わ胡散臭!))

 

そんな卓也たちの第一印象をスルーし占い師は二人を椅子に座るように手招きしてくる。

その誘いに一応従い、三人は水晶玉の前に並べられた椅子に腰かけた。

「それじゃあわしは外で待っておるからな」

マコリットはそう言うとグーサインをだしてテントを出て行った。

「それでは早速始めましょうか。私はサルマーと申します」

「卓也です」

「こうきです」

「ベレッタです・・・」

卓也は少し笑いながら、こうきはちょっと不安そうに、ベレッタは怯えながら名乗った。

「では始めましょう」

そう言うと変な呪文を唱え始めた。

 

 

 

「はほえうじかきゅつくえつあ・・・・」

 

 

 

 

(((う~わ!大丈夫かこの人)))

何も知らない人からすれば適当にしか聞こえない呪文を唱え始めたサルマーに三人は笑いを堪えるのに必死であった。

しかしそんな事は知る由もなく、呪文は唱え続けられる。

 

 

「らくしえろけああくえらる~・・・・・うるるるるぁぁぁぁぁあ!」

 

唸り声をあげて呪文は終了し、サルマーは卓也とこうきにこんなことを聞いてきた。

「・・・あなた達二人は特殊能力をお持ちですね?」

「え?いえ・・・」

「持ってないですけど?」

するとサルマーは驚いたような口調で話し始めた。

「もしや、お気づきじゃないようですね。あなた方二人は特殊能力を持っています」

そう言うと卓也を指さした。

「あなたの能力はコントロール・・・」

そして今度はこうきを指さし、

「あなたの能力はマーシャルアーツ・・・」

と言った・・・

 

 

 

 

(なんか・・・)

(すごい事言われるのかと思ったけど・・・)

 

 

((ただ得意な事をそれっぽく聞こえるようにしただけにしか思えねぇ!(ない!))

 

 

二人は笑いを堪えながら心の中でそう思った。

しかし、ベレッタは驚いていた。

「卓也とこうきって・・・能力者だったんだ・・・」

そしてまたサルマーは口を開いた。

「そしてあなたたちのすぐそばにもいます。とても身近な存在・・・」

二人はもう察してしまった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((絶対春樹だ・・・))

 

 

 

 

 

 

 

「能力はクリエイト・・・」

 

 

((やっぱりだぁぁぁぁぁぁ!))

 

 

やはり笑いを堪えるのに必死になっていた・・・。

そんな二人とは違い、ベレッタは唖然としていた。

「こうきと卓也だけじゃなくて・・・春樹もだったんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー伊404 格納庫ーーー

「へっくしょい!」

『どうしましたマスター?』

「あぁセレナよ・・・二人が私がいなくて寂しがっているようじゃ・・・」

『・・・そうですね・・・』

春樹は格納庫内で一人、ビニールシートに覆われていた物体をいじっていた。

「さて、これが完成すれば色々できるぞ!」

 

彼以外誰もいない深海に彼の笑い声が響いた・・・

 

 

 

 

ーーー場所は戻って 占い師のテントーーー

「この能力が三つ集まっている・・・これはもしや・・・」

突然占い師はぶつぶつ言いだした。

二人はもう嫌な予感しかしていなかった。

((どうせろくな事ねぇだろ(ないと思う)・・・))

そしてベレッタは恐る恐る聞いた。

「一体その能力は三つ集まるとどうなっちゃうの?」

その質問にサルマーは答えた。

「恐らくこの国を大きく揺るがすことになるだろう。しかしそれは良くも悪くも運次第です。取り敢えずここからは村長を交えて話をしましょう」

そう言ってサルマーは村長を呼んだ。

「村長。少しお話があります」

すると、マコリットがテントに入ってきた。

「どうしたんじゃ?」

「少し重要なお話が・・・」

「重要な話か・・・」

するとマコリットの表情が険しくなった。

((よほどこの人を信用してるんだな・・・))

そしてベレッタの表情は不安に満ちていた。

マコリットが席に着くと、サルマーは話し始めた。

「まず、あなた方はこの国に古来から伝わるサビット神話をご存知でしょうか?」

「いいえ」

「僕も知らないです」

「私も・・・」

3人は知らないと答えた。

「わしは知っておるぞ」

この中で唯一マコリットだけが知っていた。

「そうですか。それではまず神話について話しましょう」

そう言ってサルマーは神話に関して話し始めた・・・

 

 

~~~以下神話内容~~~

この国にはかつて三人の神がいた。

一人は戦いにまつわる神。

一人は操りの神。

そしてそれをまとめる創造の神がいた。

戦いの神はコウェル。能力はマーシャルアーツ。

操りの神はタリアー。能力はコントロール。

そして創造の神はハミリー。能力はクリエイトだった。

三人の神はこの土地を守っていた・・・。

 

しかし、ある時に邪神マレーヌが攻めてきて、この国を侵略しようとした。

その時にハミリーは明らかにこの世の物と思えないような技術を使い、船を造った。

それに、勇者三人が乗り込み、マレーヌに戦いを挑んだ。

船はタリアーが操作し、コウェルが勇者と協力して攻撃してマレーヌを倒した。

 

 

それ以来三人の神は様々な災難からこの国を守っており、今でも国民によって崇められている・・・

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

「・・・という訳です」

 

 

 

 

 

((なんかめっちゃ作り話感あるんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!))

二人は話の内容が自分たちの境遇に似ていると感じ、唖然としていた。

「・・・つまりわしの孫たちは神の様な存在という訳じゃな?」

「はい。そう考えるべきですね」

そう言われマコリットはしばらく目を閉じて考えた。

そして暫くして目を開けるなり立ち上がり、テントを出た。

(ねぇ、マコリットは何をするつもりなの?)

こうきは少し不安そうに聞いてきた。

(分からない。でも万が一の場合は・・・)

そう言って卓也はポケットに突っ込んできた拳銃のグリップに軽く手を添えた。

しかし警戒する必要は微塵もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「村民のみんなぁぁ!聞いてくれぇぇぇぇぇ!!」

突然マコリットは広場で叫びだしたのである。

そして、その叫び声を聞いて村人たちが集まって来る。

ある程度集まると、マコリットはそこにいる全員に聞こえるように話しだした。

「今日ここに神様が訪れた!!これは喜ばしい事である!!そこで突然ではあるが、祝福祭を行おうと思う!!突然で本当に申し訳ない!!」

そう言ってマコリットは深々と頭を下げた。

 

村人たちは唖然としていた。

しかし、三秒もすれば全員目を見開いて歓声を上げた。

「村長さん!!そんな事で頭なんか下げんといてくだせぇ!喜ばしいことじゃぁないですかい!」

「そうですよ!準備くらいすぐに終わりますよ!」

「そうだぜい!」

「さぁ宴だ宴!!」

「神様ってどんな方なんでしょう!?」

「顔立ちの整った殿方だと嬉しいわ!!」

「コウェル様やタリアー様やハミリー様のような方でしょう!!」

「あらやだ!今日おめかしするの忘れてたわ!!」

「あら!私もだわ!」

「ねぇねぇ!神様ってどんな人だろう?」

「きっとコウェル様みたいにかっこいい人だよ!」

「違うよ!きっとタリアー様みたいな落ち着きのあるかっこいい人だよ!」

ワイワイガヤガヤと村人たちは活気に満ち溢れていった。

「さぁて!村長や神様のためにひと働きするか!」

『『『『おおおおおおおおお!!!』』』』

村人たちは着々と祭りの準備に取り掛かった。

 

 

「みんな・・・。ありがとう・・・」

 

 

 

しかし、その状況を真っ青な顔で見ていた人物が二人いた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((ギィヤァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓也とこうきの心の中は、ム〇クの叫びのようになっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか書いているうちに長くなってしまいました・・・


次回、のんびり過ごすはずだったのに、たった一人の占い師により神様扱いされることとなった卓也とこうき。二人は半強制的にお祭りに参加させられる!!

意見感想があればどしどし書いてください!

読んで頂きありがとうございました!


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13話 儀式と村人との交流・・・

ついに儀式に出席させられます・・・


ーーーコセラーム村 村長の家ーーー

あれからなんとか村長の家に帰ってきた卓也ら一行であったが、卓也とこうきは唖然としていた。

「ど、どうやらあと一時間で祭りの準備が終わるらしい・・・」

そう言って卓也はカタカタ震えながら、腕時計型の端末を開いた。

「今の時間は、四時だ・・・」

卓也たちの間隔では今は四時だった。

「や、やばいよ・・・」

「と、取り敢えずこれ以上の風評被害を抑えるために村長に口止めしないと・・・」

そう言ってこうきはマコリットの部屋に向かった。

「べ、ベレッタ・・・。ちょ、ちょっと春樹にこの事を伝えてくるよ」

「う、うん。分かったけど・・・大丈夫?」

ベレッタは卓也の右手を両手で握った。

「あ、あぁ。大丈夫だ・・・。ただ突然滅茶苦茶な出来事が起こったから動揺しているだけだよ・・・」

そう言って卓也はベレッタの頭を撫でた。

そして、トイレに向かった。

ドアを開けて中に入り、カギを掛けて時計型の端末を起動させた。

「通信回線オープン。マザーコントロール(艦に積まれているデータリンク)に接続。T1呼び出し」

『待っておったぞ。わが助手よ!』

「あぁ。お前の声を聴いて安心するとかもうまっきかもしれねぇぜ・・・」

『いったい何があったんじゃ?』

「あぁ、それがな・・・」

 

 

そう言って今までの出来事をすべて話した。

 

 

『そいつは面倒臭いのぅ・・・』

「だろ?何なら今からくるか?」

『絶対にいかん!』

「即答か・・・」

『まぁ何はともあれ、無事でよかったぞ。今後も引き続き調査を行ってくれ』

「了解」

『健闘を祈る』

そう言って通信を切った。

「ふぅ・・・行くか」

そう言って卓也は端末をしまい、トイレを出た。

 

リビングに戻るとこうきが戻って来ていた。

「あぁ。卓也、なんとか食い止めることができたよ・・・」

「そうか!良かった!」

そんな会話をしていると、マコリットが戻ってきた。

「さて、今から祭りなんじゃが・・・今回はお主ら二人の祭りじゃ。じゃから二人は今から祠で行われる儀式に出席してもらう。本当に突然で申し訳ない」

「いえいえ。別に気にしてませんよ」

そう言って卓也は笑って見せた。

しかし、こうきはジト目で見ていた。

そして卓也のアキレス腱を軽く蹴った。

 

 

 

 

 

そんなこともあり、二人は山の中腹辺りの祠に来ていた。

祠というより小さな神殿のようであった。

真ん中には石畳の道が10mくらい続いており、三体の像が立っていた。

天井はなく、夕暮れ時というのもあり少し薄暗いが、像の姿が伺える。

真ん中の像は、戦艦らしき船を持って立っていた。

恐らく創造の神ハミリーだと分かった。

そして右側の像は操舵ハンドルのようなものを持っていた。

操りの神タリアーだろう。

そして左側の像は筋肉質であった。

戦いの神コウェルだ。

像自体の大きさは1.5m位だが全員顔立ちが良かった。

そのせいか、卓也は少し破壊したくなった。

そしてその像の前に椅子があるのに気が付いた。

「マコリット。あそこに座ればいいの?」

「ああ。そうじゃ」

こうきはさっさと左側の像の下にある椅子に座った。

「早ぇよ・・・」

卓也も急いで右側の像の方に座った。

 

 

それから五分くらいすると、村人たちがぞろぞろと集まってきた。

「あれ?さっきの旅人君たちじゃないか!」

「まさかあの子たちが神様だったなんて!」

「俺たちに幸運を持ってきてくれたんだ!」

「有難や有難や」

村人たちは卓也とこうきに拝み始めた。

そこから15分位たった。

儀式が始まった。

しかし、儀式と言ってもただ単に拝まれるだけであった。

目の前に机が置かれ、そこにお酒や謎の植物、変なお香みたいなものを炊かれ、非常に煙たかった。

 

 

 

 

 

約30分位で儀式は終了し、二人は解放された。

「あ~辛かった・・・」

「てか目の前でお香炊かれたせいで一酸化炭素中毒で死にそうだった・・・」

「本当に危なかったよ・・・」

二人は口々に文句を言っていた。

 

 

 

山を下りて村に着くなり二人は女性陣に質問攻めにあった・・・。

 

 

 

 

「・・・はぁ・・・やっと解放された・・・」

「そうだね・・・」

あれから一時間、二人はようやく解放された・・・。

「あ、あの!」

「はい?」

不意に後ろから声を掛けられた。

振り向くとそこには、紫色の瞳が特徴的で、自分たちよりも年上だが村の中では珍しい18~20歳前後の女性であった。

髪が腰辺りまであり、特徴的な赤みがかった金髪にそこそこスタイルの良い体で、手にバスケットを持っていた。

「どうかしましたか?」

卓也がそう聞くと、彼女はバスケットを差し出してきた。

「これ、作ったんです!受け取ってください!」

「あ、ありがとうございます・・・」

受け取るや否や、彼女は走って行ってしまった・・・。

「きれいな人だったな・・・」

「なんだこうき。ああいう人が好みなのか?」

卓也はニタニタしながらこうきに聞いた。

「フンッ!」

「ソゲフ!」

卓也はこうきに一発殴られた。

 

 

 

 

卓也たちは、昼頃にいた噴水広場に来ていた。

そこには多くの屋台が出ており、大変にぎわっていた。

「すごい賑やかだね」

「あぁ、そういえばベレッタは?」

二人は儀式が始まってからベレッタの姿を見ていなかった。

「ちょっと探してくる」

卓也はバスケットをこうきに預け、ベレッタを探しに行った。

一人取り残されたこうきはふとすぐ目の前にあった屋台に目を向けた。

そこには焼き立てのパンが売られていて、長い行列を作っていた。

ふとその屋台から漂ってくる匂いにどこか嗅いだことのある匂いだと思った。

その疑問はすぐに解決した。

それは自分の手元のバスケットからだと気づいた。

「もしかして・・・」

そう思って屋台の方を見てみると、店を切り盛りしている二人の女性に目が行った。

二人とも似たような髪色をしており、しかし髪型が違うため、さっきバスケットを渡しに来た女性がどっちなのかすぐに分かった。

 

 

「お~い。こうき~」

「しっかりして~こうき~」

「っは!」

「何ぼーっとしてるんだよ」

気づけば卓也とベレッタが戻って来ていた。

「ごめんごめん」

「全く、らしくねぇな」

「なんか、こうきあの女の人みつめてたよね」

そう言ってベレッタはパン屋の女性を指さした。

「あれ?さっきの人じゃん」

「さっきの人?」

「あぁ。突然バスケットを渡してきてすごい勢いで去っていった人」

「へぇ~。きっと恥ずかしがり屋なんだよ」

「そうかもしれないな~。よし、話しかけてみるか!」

「そうだね~」

そう言って卓也とベレッタはパン屋に向かって歩き出した。

「あっちょっと待ってよ」

こうきも慌てて二人の後を追った。

 

 

 

屋台に着くとさっきの女性ともう一人、三十路を超えたか超えていないか位の女性がいた。

「いらっしゃいませ~!ってあ!」

さっきパンを渡しに来た女性は卓也とこうきを見るなり、顔を真っ赤にして後ろを向いた。

「あらあらどうしたの?」

もう一人の女性は、のほほんとした口調で赤面した女性に話しかけていた。

「あの~。すみません」

「はい?どうしました?」

「さっきそちらの女性にこれを頂いたのです」

「あっそうなんですか~。さっき急にいなくなったと思ったら・・・」

「それで一言お礼を言いに来たのですが・・・」

「そうですか~。では、もし良ければ、もう少しで仕事が終わるので少し待って頂けますか?」

「はい」

三人は噴水の淵に腰かけ、もらったパンをむさぼりながら女性二人の仕事が終わるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから二十分位経ち、二人がやってきた。

「お待たせしました~」

「すみません。わざわざ忙しいのに・・・」

「いいですよ~」

「そういえばまだ名乗っていませんでしたね。俺の名前は卓也って言います」

「こうきです」

「ベレッタです」

三人は自己紹介した。

「レコ・ホクウェルトです」

「・・・モカル・ホクウェルトです」

のほほんとした女性は微笑みながら名乗り、もう一人は恥ずかしがりながら名乗った。

「つかぬ事をお聞きしますがお二人は姉妹ですか?」

「あら~。私そんなに若く見えますか~」

「え!?」

「あれ!?違いましたか・・・」

「実はこの子娘なんです~」

「そうだったんですか」

「でも確かにこの子には妹がいます~」

「そうなんですか」

 

 

その後、ホクウェルト親子と色々と話し、親友レベルに仲良くなった。

話によると、妹さんは隣の町に修行に出かけたらしく、今は手紙でやり取りしているのだとか・・・。

他にもいろいろ話をした。

 

 

 

 

 

他にも村人と仲良くなった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。疲れた・・・」

「疲れたね・・・」

「うん・・・」

三人は村長の家に戻って来るなり、二階の借り部屋にあるベットでゴロゴロしていた。

「お主ら~。風呂が沸いたぞ~。先に入ってよいぞ~」

「ありがとうございます」

 

その後は、全員が順番に入った。

 

 

 

 

 

風呂から上がった卓也は、マコリットと話をしていた。

「んで、明日の6時頃にここを出ます」

「そうか・・・」

村長は少し寂しそうな顔をした。

「色々とご迷惑をおかけしました」

「いいんじゃ。それより、次の町の宿の宛はあるのかね?」

「いえ、まだ」

「実は隣町の喫茶店のマスターでわにの古くからの友人がおる。そこに話をつけておこう」

「本当ですか!ありがとうございます」

「では。今日は疲れたじゃろう。明日も朝早いんじゃ。ゆっくり休むとよい」

「それでは。おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 

 

卓也たちは今日の疲れの為、すぐに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー伊404---

「よし!完成じゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫内で春樹は、ついにビニールシートに覆われた、黒い狼を完成させたのであった

 

 

 

 

 

 




はい。長すぎました・・・
もうちょっと短くて読みやすい方が理想なんですが・・・


やっぱダメかー!



意見感想があればどしどし書いてください!
次回!隣町へ!


読んで頂きありがとうございました!


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14話 出発

なんか最近・・・眠たい!



ーーーコセラーム村 村長の家ーーー

まだ日が向こうの山に隠れて薄明るい午前5時頃。

「ふゎあ・・・。どうやら感覚的に季節は春ぐらいかな・・・」

そう言ってテラスに出て欠伸をするこうき。

「でも少しまだ寒いな・・・」

卓也も窓に寄りかかっていた。

「いよいよこの村から出るんだね」

「昨日来たばっかじゃん・・・」

「そうだよね。なんかもう長いこといてる気がするよ・・・」

「まぁ個性がすごいかったからな・・・」

そう言って卓也は昨日の出来事を振り返ってみた。

(村にやってきてマコリットに出会って、村やこの国について知って、変な神話を聞いて、ホクウェルト親子に会って、他の村人とも仲良くなったな・・・)

「さて、下に降りよう。ベレッタを起こして」

「了解」

こうきに指示され、卓也はベレッタを起こした。

「ほら朝だぞ~。おきろ~」

そう言ってベレッタをゆする。

「んぅ・・・」

「おはよう。ベレッタ」

「おはよう・・・卓也」

そう言って卓也を見て微笑んだ。

「さて、今日は忙しくなりそうだ」

「そうだね」

「うん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

下に降りるとマコリットはすでに起きて朝食を作っていた。

「おはよう我が孫たちよ」

「おはようございます。マコリットさん」

「おはようございます」

「おはよう」

マコリットに挨拶され、三人は挨拶を返した。

「ちょうどよかった。朝ごはんができたから呼びに行こうと思ってたんじゃ」

「そうだったんですか。いつもこんなに朝早いんですか?」

「そうじゃ。何せ年寄りはなかなか眠れんのでな」

そう言ってフォッフォッフォと笑った。

「さて、みんなで頂こうかのぅ!」

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

この世界の食文化は、日本でいう洋食と殆ど変わりなかった。

そのためか朝食はベーコンエッグにトーストだった。

「なんだかこうきの作ったのと同じくらいおいしい」

「何じゃ。こうきも料理ができるのか!」

「はい。でもマコリットさんほどではありませんが。少しくらい・・・」

「そうじゃったのか。では今度一緒になにか作ってみよう!」

「いいですね!」

二人はそう言ってフフフと笑った。

 

 

 

 

朝食を取り終え、三人は荷物をまとめた。

「そう言えばマコリットさん」

「何じゃ?」

「この村って馬車とか入って来る事ってありますか?」

「あああるぞ。何せ農業をする上で必須アイテムじゃからな」

「てことは車両が入って来ても大丈夫ってことですね」

「あぁ勿論じゃ。じゃがしゃりょうってなんじゃ?」

マコリットは不思議そうに聞いた。

(まぁあれくらいだったら大丈夫か・・・)

「実は俺たち、ある物に乗って旅をしてるんです」

卓也はマコリットに自分たちの旅について、一部を隠しつつ説明した。

 

 

 

 

 

「・・・」

マコリットは説明を聞いて唖然としていた。

「でもこの内容に関しては内密にお願いします」

「おぉ、分かった。しかしすごいなぁ。そんなものがあったんじゃな」

「もう一人の仲間曰く、自分で作ったらしいです」

それを聞いてマコリットは卓也に質問した。

「もしかしてもう一人の仲間ってもしや・・・」

「はい。恐らく、創造の神扱いされる存在かと・・・」

それを確認するなり、マコリットは納得した。

「そうか!そうじゃったか!ならば納得じゃ!」

そう言って卓也の背中を笑いながらバシバシたたいた。

「ではちょっと車両を持ってきますね」

そう言って卓也は家を出て行った。

 

 

 

 

 

 

ブロロロロッ

低いエンジン音が聞こえてきて、家の前辺りまで来て止まった。

「!?」

突然の事でマコリットは驚いて、ドアを開けた。

そして目の前の物体を見て唖然とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

馬車のようにタイヤが四つあるが、木ではなく真ん中は鉄輪のようなものでその周りを艶の無い黒い何かで覆われている。

車体は緑色で塗られており、前輪付近は平たく、後ろの方は長方形をしてガラスが張られている。

そしてその中から卓也が平然とした顔で降りてきた。

「こ、これがお主らの言っていたしゃりょうってやつかい?」

「はい。俺たちはこれをジープって呼んでます。簡単に説明すると馬車にエンジンを積んだようなものです」

「ほ、ほぅ・・・」

マコリットは驚きながら、ジープを見て回った。

 

「これはどうやってっ操縦するんじゃ?」

「それはですね・・・」

そう言って運転席のドアを開けた。

「おぉぉぉ!」

そこには椅子があり、その前に丸い輪がついていて、その前に時計の様なものが整然と並んでいた。

足元には足で踏むのであろうレバーのようなものがついていた。

「この足元についているレバーを踏んでハンドルと呼ばれる輪を回して操作します」

「ほぅ・・・到底素人には扱えんのう・・・」

「そうですね。これを扱うには免許と呼ばれる書類が必要ですね。・・・持ってないけど」

最後の一言はぼそっと言った為マコリットには聞こえなかった。

 

 

 

荷物も積み終わり、向こうの山から顔を出し始めた。

三人は家の玄関前に立ち、マコリットの前に並んでいた。

「それでは二日間お世話になりました」

「あぁ。お主らに会えて本当に良かったぞ!」

そう言ってマコリットは泣き出した。

「二日しかたっておらんのに、まるでお前たちが長いこといた気がするぞぉぉぉ!」

「僕もそんな気がしますよ。ここは僕にとって第二の故郷みたいな気がします」

「うぉぉぉぉ!お主らぁぁぁぁ!」

そう言いながらマコリットは三人に抱き着いた。

「この先どんなことがあるか分からん!じゃがもし困った事があったらわしをおもいだしてくれぇぇ!」

「ははは・・・はい」

「寂しくなったらいつでも帰ってきてよいぞ!いつでも遊びに来い!」

「はい。またいつか遊びに来ますね」

そう言ってマコリットは三人を離した。

「では!」

「「「お世話になりました!」」」

そう言って三人は敬礼した。

マコリットも見よう見真似て敬礼した。

 

そして三人が車に乗ろうと向きを変えると、そこには村人たちが集まっていた。

「君達ー!来てくれてありがとう!」

「またいつでも来てくれー!」

ワイワイガヤガヤと卓也たちを見送りに来ていた。

すると、村人たちの中から、一人の女性が出てきた。

モカルだった。

昨日会った時のように、バスケットを持っていた。

「これ、隣町まで結構遠いでしょ?だからお腹がすいたら食べてね」

「ありがとう!」

そう言ってこうきが受け取ると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

こうきの頬にそっとキスをした。

彼女は逃げるように人ごみの中に戻っていった。

その瞬間こうきの顔はボンっと音がしそうな勢いで赤くなった。

「へぇ~」

その光景を見ていた卓也はニタニタしながらこうきを見た。

一方ベレッタは、すねたような目でこうきを睨み、アキレス腱を蹴った。

「なんだよ!二人とも!」

「「いいや~(いいえ・・・)別に~」」

「と、取り敢えず行くよ!」

「「了解」」

 

 

 

 

ベレッタとこうきが車に乗り込み、卓也も運転席側に回りドアを開けて乗り込もうとした時だった。

「卓也」

ふとマコリットに呼び止められた。

「どうしました?」

「これ持っていきなさい」

そう言って札束を渡してきた。

「5万ピックだ」

日本円で5万だった。

「え!?そんなに!?良いんですか!?」

「なぁに孫に小遣い位あげるさ。むしろわしから言わせれば安い方じゃ」

「そ、そうなんですか・・・。まぁ、ありがとうございます・・・」

卓也はその札束をそっと財布にしまった。

そして車に乗り込んでエンジンを掛けた。

 

 

 

ブロロロロッ!

「さぁ神様たちがこの村を旅立たれるぞ!皆でお見送りするぞ!」

ジープは向きを変え、隣町へ続く道に向かってゆっくりと走り出した。

 

「さようならぁぁぁ!」

「またいらしてくださぁぁい!」

村人たちに手を振られ、見送られながら村を出る。

こうきとベレッタは窓から手を振り返した。

そして村のゲートを抜け、山道をひたすら進んでいった・・・

 

 

 

 

 

 

ジープはやがて広い高原の真ん中の道に出た。

「おぉぉぉぉぉぉぉ」

「きれいだな・・・」

「そうだね・・・」

高原には野生の馬が何頭かいて、草を食べていた・・・

こうきは窓を開けた。

春独特の温かい優しい風が吹いてくる。

「はぁ・・・きもちいいなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

卓也たちの旅はまだ始まったばかりであった・・・

 




本当だったら隣町に着く予定でしたが・・・
着けませんでした
意見感想があればどしどし書いてください!


読んで頂きありがとうございました!


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15話 隣町に着いたんだが・・・

コセラーム村を出て五時間位たった。

太陽は丁度真上辺りに来ており、時計を見れば丁度十二時を指していた。

「もうこんな時間か・・・」

高原を抜けたジープは、再び山間を走っていた。

「だんだん道が悪くなっていってるね・・・」

「あぁ。これがジープじゃなかったらあっけなく足を取られていたぜ」

今走っている道はぬかるんでおり、とても馬車では走るのが困難な道であった。

「でも馬車が通った跡があるよ」

「全く無茶する人もいるもんだぜ・・・」

そう言いながらも、ジープはグイグイと悪路をこなしていく。

「艦に戻ったら洗車しないとな・・・」

「そうだね」

 

 

 

 

 

暫く走り続けて、段々と木々の隙間からチラチラと町が見えてきた。

「卓也!町が見えたよ!」

こうきが嬉しそうに卓也に言った。

「本当だ!」

ベレッタはそれを聞いて町の方を双眼鏡で覗きながら喜んだ。

「あぁそうだな。でもなんかまだ距離がありそうな気がする・・・」

卓也は町の方向と道の方向からそう判断した。

 

 

 

 

 

卓也の予想通り、町が見え始めてから一時間近く走ってようやく山から下りた。

村を出て6時間、ようやく町に着いた。

町の入り口にはゲートがあり、『ルニマール』と書かれていた。

どうやらこの町はルニマールと言うらしい。

町並みはヨーロッパのコルマールに似ており、木でできた家に石畳で舗装された道路、川に架かる石橋、走り回る馬車に笑顔を絶やさない住民たち・・・。

どれをとってもきれいとしか言いようが無かった。

しかし、ここで問題が発生した。

 

「ねぇ。僕たち目立ちすぎじゃない?」

 

そう、この世界には存在しない乗り物が町のど真ん中、それもこの平和な街並みに不つり合いな色をしたものが馬車に紛れて走っているのだ。

「すっげぇ目立ってる気がする・・・」

しかし、意外にも町の人は気にする様子もない。

ただちょっと新しい乗り物程度にしか見られていなかった。

「うーん。そんなに交通量も多くないし・・・」

そんな事とはいざ知らす、二人は悩んでいた。

「取り敢えずマコリットから教えてもらった喫茶店に行こう」

そう言ってハンドルを握り直した。

 

 

 

「本当にこの道であってるんだよな・・・・」

「地図行くとあってるはずだよ・・・」

三人はマコリットお手製の地図を頼りに大通りを走っていた。

 

 

「それならこの道をずーっと真っ直ぐだよ。そして交番がある交差点を左じゃ」

「そうですか。ありがとうございます」

道中、通りすがりのおじさんに道を教えてもらい、走り続けた。

 

しかし・・・

 

「交番まだかな?」

「通りすぎちゃったかな?」

おじさんに教えてもらって走りだしてから五十分位たった。

しかし町並みはなおも変わることなく、ただ大通りが続いていた。

そしてそれから約十五分。

「お、これかな?」

ようやく交番のある交差点を見つけ、左に曲がった。

すると道幅は急激に狭くなり、対向車が来たらどっちかが譲らないと通れない位になった。

「道幅きつ!」

それでも何とか走り抜けた。

すると、少し広いT字路に出た。

「え~っと・・・その角の店か」

「やっと着いたぞ・・・」

そのT字路の角に、一軒の喫茶店が立っていた。

「店名は・・・『喫茶ドルフィン』」

「間違いないな。マコリットの言ってた喫茶店だ」

そう言って卓也は、右に曲がり、喫茶店の前に車を止めた。

「ちょっとこうきとベレッタ、先に降りて挨拶してきてくれないか?」

「了解。行こう?ベレッタ」

「うん」

こうきとベレッタは、車から自分のカバンを持ち、降りた。

二人は喫茶店の中に入った。

 

カランカラン~っと喫茶店特有のベルが鳴り店員が挨拶してきた。

「いらっしゃいませ」

その店員は、ベレッタと同じ年位の少女で、腰くらいの淡い青色の髪に青い瞳。いかにも大人しそうな少女であった。

「あの~すみません。ここのマスターさんに用があるのですが、いますか?」

「あ、もしかして・・・ちょっとお待ちください」

少女はそう言うと、スタスタと店の奥に戻っていった。

「おじいちゃん。言ってたお客さん来たよ~」

店の奥から少女の声が聞こえてきた。

 

 

暫くすると、中からマコリットと同じ年くらいのおじさんが出てきた。

「お主らがマコリットの孫か?」

「はい。まぁあれはマコリットさんが勝手に言ってるだけですが・・・」

「全くあいつらしいのぅ。あの能天気さはどんだけ年月が経っても変わらんわい」

そう言ってその人はフォッフォッフォと笑った。

「そう言えば三人と聞いておったが・・・」

「あぁ。そう言えば、僕たち車両に乗ってきたのですが・・・。それを止める場所が無くて、どこかありませんか?」

「ほぅ。そのしゃりょうとやらが何なのかは分からんが・・・」

そう言ってその人は外に出た。

そして外に出て見るなり驚いていた。

「これは新しい乗り物じゃな・・・」

マコリットほどではないが少し驚いていた。

「まぁよい。そこの広い所に停めてくれ」

そう言って道に面した広い駐車場のような所を指さした。

そこには車が三台は停めれるくらいのスペースが空いていた。

「分かりました。ありがとうございます」

こうきはお礼を言うと、ジープの運転席の窓を軽くノックした。

「卓也。そのままバックしてあそこのスペースに停めてくれだって」

「了解!ちょっと誘導してくれ!」

「了解」

そう言ってこうきはポケットから笛を取り出し、吹きながら手で卓也に合図を送って誘導してゆく。

「すごい機動力じゃな・・・それに全く無駄のない操縦じゃ・・・」

その場でバックをはじめたジープを見て、馬車しか知らないマスターはその光景を見て関心をしめした。

 

 

程なくして、ジープは駐車スペースに停め、エンジンを切った。

卓也はキーを抜いてジープから降り、カギを閉めてこうきとベレッタに合流した。

「やっと着いたな・・・」

「僕は一足先に降りたけどね?」

「仕方ないさ。何せあそこに停めたままだと邪魔だろ?すぐにどかせる人がいないと」

「それもそうだね」

そう言って二人はクスリと笑った。

「さて・・・」

そう言ってマスターの前に三人は並んだ。

「初めまして。俺の名前は卓也です。今日はお世話になります」

「こうきです」

「ベレッタです」

三人が自己紹介を終えるとマスターは少し驚いていたがすぐに微笑んだ。

「そんなにかしこまらんでよいわ。わしはここのマスター、レク・カミフレンじゃ」

「私は孫のチル・カミフレンです」

二人も自己紹介した。

「まぁ何じゃい。我が家じゃと思ってくつろいでくれ」

「ありがとうございます」

そう言って卓也は頭を下げた。

「あ、そうじゃ。あと二人この家に住んどるんじゃが・・・あとで紹介しようかの」

「そうなんですか」

「まぁ一人はお主らと同じように泊っているんじゃがな。ちょっと変わり者じゃ」

そう言ってフォッフォッフォと笑った。

「へぇそうなんですか」

 

 

その後、店に入ってレクと話をした。

「この町って広いですよね」

「そうじゃのぅ。何せ首都の隣じゃからのぅ。結講栄えとる訳じゃい」

それを聞いて卓也は驚いた。

「え!?そうなんですか!?」

「そうじゃよ。あの道をずーっと真っ直ぐ行くと着くぞ。まぁ結構先じゃがな」

そう言ってまた笑った。

「あの道をどの位走れば着きますか?」

今度はこうきが質問した。

「そうじゃな・・・。一日あれば着くんじゃないかのぅ?」

「そうですか・・・あと半日か・・・」

最後の言葉は小さくてレクには聞こえなかった。

「因みにサビット神話についてご存知でしょうか?」

「もちろん知っておるぞ」

その後レクからも色んな情報を聞き出した。

 

ーーー以下こうきメモーーー

サビット神話はサビット教の物であり、古くは4000年も前の話らしい。

この国ではこの宗教しか無く、全員がこの宗教に所属している。

首都にはいろんな施設があり、王城の他、軍港や軍関係施設、その他の政治的な施設から、市場や工場などの施設が集中している。船の建造ドックもある。王城には書物庫があり、これまでの国の歴史や様々な情報が手に入るらしい。

ーーーーーーーーーーーーー

 

「成程成程・・・」

「色々ありがとうございました」

「構わんよ。そうじゃ!ここでちょっとチェスでもやらんかのぅ?」

「いいですね~。やりましょう」

そう言ってこうきとレクがチェスを始めようとした時だった・・・。

 

「たっだいま~」

そう言って入ってきた少女は村で会ったモカレとよく似ていた。

しかし、髪の長さはセミロングで、モカレよりも小柄であった(胸部装甲を除いて)。

(まさか・・・いや、ないない!)

(偶然か?・・・いやありえないっしょ~)

彼女を見るなり、卓也とこうきは心の中で偶然を否定した。

「おぉ!帰ったか!紹介するよ。彼女がここで泊っている・・・」

 

 

「コア・ホクウェルトです!」

 

 

((えええええええええ!!!????))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偶然はいとも簡単に起こってしまった・・・

 

 

 

 

 




ダメだ・・・


眠い!
「寝ろよ!」(By卓也)



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16話 偶然ってこんなに簡単に起こるんだね・・・

低血圧でフラフラする~・・・


それではどうぞ


ーー喫茶ドルフィンーー

偶然が偶然起こり、その状況で卓也たちは唖然としていた。

しかし当然、そんな卓也たちの事情など知る由もないコアは、キョトンとしていた。

「お~い、お主ら大丈夫か?」

レクは卓也たちに話しかけたり、目の前で手を振ったりした。

「「っは!」」

「ようやく気が付いたか・・・。この娘とどこかで会ったことでもあるんかい?」

「いえ、ただ・・・」

こうきはそこまで言うと言葉を詰まらせた。

「ちょっと変なこと聞くけどいいかな?」

卓也はコアに聞いた。

「え?いいけどどうしたの?」

彼女はコテンっと首をかしげた。

「もしかして出身地ってコセラーム村って所?」

「ええ!?なんで分かったの!?すごーい!」

コアは卓也の予想が当たり、驚いてはしゃいでいた。

「それじゃあもう一つ、もしかしてお姉さんがいてたりする?」

「うん!いるよ!」

「じゃあ最後の質問。実家がパン屋さんだったり?」

「そうだよ!すっごーい!全部当たってるよ!一体お兄さんたち何者!」

卓也の予想がすべて当たったことで卓也とこうきは結論を出した。

 

(間違いない・・・)

 

(この子・・・)

 

((モカレの妹だ・・・))

 

そこまで来て二人は自分たちがまだコアに自己紹介していないことに気が付いた。

「あ、そうだ自己紹介まだだったね。俺の名前は卓也」

「こうきだよ」

「ベレッタです」

いつもの順番で挨拶した。

しかし、ベレッタだけはなぜかこうきの後ろに隠れていた。

「よろしくね!それにしても・・・」

そう言ってコアはベレッタを見た。

「ベレッタちゃん可愛い!」

コアはベレッタに抱き着いた。

「ひぃ!こうき助けて~!」

ベレッタは初対面の人が苦手なこともあり、コアが突然抱き着いてくる事に恐怖していた。

そんな事とは知らずにコアはそのままギューッとした。

「はぁ~癒される~」

「く、苦しいよ~」

コアに抱きしめられ、ベレッタは少し苦しがっていた。

「あの娘、初めて来たときもチルに同じことをやっておったのぅ・・・」

「余程年下が好きなんですね・・・」

卓也とこうきはレクと話しながらその様子を見ていた。

 

 

ある程度落ち着いたところで、レクとこうきは客席でチェスを始めた。

そして、卓也とコア(ベレッタを抱きしめたまま)はカウンター席でチルの淹れたコーヒーを堪能しつつチルと話していた。

話しているとコアはさっきの卓也の質問に対して聞いてきた

「そう言えば何で卓也君は私があの村の出身だって分かったの?」

「ん?それはだな・・・」

 

そう言って卓也は一部を隠して旅の話とコセラーム村での出来事を話した。

 

 

 

 

「・・・という訳さ」

「成程・・・つまり卓也さん達はコセラーム村でコアさんのお姉さんと知り合ったわけですか」

チルはその話を聞いて驚いていた。

「そう言うこと」

「すっごーい!これは運命だよ!」

「運命までは言い過ぎだけど、確かに凄いな」

(アニメではよくある事だけど・・・)

卓也は内心そう思いながらコーヒーを啜った。

「それにしてもこのコーヒーうまいな・・・」

するとチルは少し照れたように、持っていたお盆で顔を隠した。

「そうですか・・・ありがとうございます」

それを離れたところで聞いていたレクが自信満々に言ってきた。

「そりゃわしが直々に教えたんじゃ!うまいのは当たり前じゃわい!」

「そ、そうなんですか・・・」

そしてレクが自慢げに話していると・・・。

「チェックメイト!」

こうきは嬉しそうに駒を置いた。

「ぬわあぁぁぁ!」

「おじいちゃん。調子に乗っているからです・・・」

「今までいろんな客とやってきたが・・・まさか若造にやられるとは・・・」

そう言って地面に跪いた。

「いや、そこまで残念がらなくても・・・結構いい勝負でしたよ」

こうきは苦笑いを浮かべながら、レクを慰めようとした。

「まぁ良い。わしの負けじゃ・・・」

そんな会話をしていると、時計がボーンボーンと鐘を六回鳴らした。

「うわっ!もうこんな時間じゃ!そう言えばまだ部屋に案内していなかったのぅ。ついてきなさい」

そう言ってレクに案内され、店の奥に案内された。

 

 

店は3階建てになっており、1階は店で2~3階は普通の家となっていた。

そして3人は3階の階段から一番手前の部屋に案内された。

「部屋はここを使ってくれ」

「ありがとうございます」

卓也たちは部屋に入った。

部屋はそこそこ広く、ベットと小さな机があるだけで、3人が過ごすには十分すぎる広さだ。

「随分と広い部屋だね・・・」

「そうだな・・・」

そんな会話をしていると、コアがチルを連れて部屋に入ってきた。

「卓也くーん!あーそーぼ!」

「一体何歳だよ・・・まぁいいけど」

「やったぁ!」

そう言って小さな机の上にトランプを置いた。

 

「へぇ~。じゃあ私と同じ年なんだ!」

「そうだな。にしてもモカレさんから聞いたんだが、何の修行してるんだ?」

「あ!お姉ちゃんとそんな話もしたんだ!私は歌の修行してるんだ~」

「歌の修行・・・あまり聞いたことがないな・・・」

「そうなんだ~。この国では結構多いんだよ、歌の修行する人」

「へぇ~。てことは歌上手いのか~」

「私はまだまだだけどね・・・」

卓也とコアが話している横でこうきとチルが話していた。

「こうきさんはチェスが得意なんですか?」

「う~ん、別に得意って程でもないけど・・・まぁまぁかな?」

「今度私と勝負してもらえませんか?」

「いいよ」

答えを聞いたチルはぱぁーっと音が聞こえてきそうに表情が明るくなった。

「ありがとうございます!」

 

 

上でワイワイガヤガヤやっているとレクがやってきた。

「お主ら。飯ができたぞ!」

「「「「「はーい」」」」」

 

2階のリビングには、料理が並べられていた。

どれも高級レストランで出てきそうな上品さが漂っていた。

「「「「「おお~」」」」」

「ちょっと客が増えたんで少し奮発してみたんじゃ!さぁ頂こうか!」

そう言って全員を席に着かせた。

「「「「「「いただきます」」」」」」

そして全員が料理を食べ始めた。

 

「所でお主らいつまで滞在するんじゃ?」

「そうですね・・・まだ未定ですがこの街には少なくとも1週間は滞在する予定です」

「そうかそうか!ならば暫く泊っていくとよい!」

そう言ってフォッフォッフォと笑った。

「いいんですか?」

「当たり前じゃ!何せ親友の孫じゃからな!遠慮なんか必要ないわい!」

すると、その話を横から聞いていたコアとチルが口をはさんできた。

「え!?卓也君たち暫くここに泊まるの?」

「こうきさんここに泊ってくれるんですか?」

卓也とこうきはそれにどう反応していいか困り、それ以外のことも考え取り敢えず泊ることにした。

「じゃあ暫くここにお世話になります」

「うむ!我が家の様にくつろぐとよい!」

「「やったー!」」

その答えにコアとチルは喜んだ。

 

 

 

 

 

 

ーーその夜ーーー

「・・・という訳だ」

『なるほど・・・あ、そうじゃ』

卓也は風呂からあがり、部屋で春樹と交信していた。

「どうした?」

『土地とか物件とかについても調べておいてくれ。今後陸に拠点を置く可能性があるからのぅ』

「了解」

『できれば買っておいてほしい。できればの話じゃがな』

「了解した」

『2週間後に無事合流しよう。では』

「そっちも見つからんようにな」

そう言って無線を切った。

 

 

 

ーーー伊404---

『現在、ビロテノス王国より南に4000km地点。周囲に脅威ありません』

「了解じゃセレナ」

春樹は待機地点よりもかなり離れた所にいた。

それも浮上した状態で。

『よろしいんですか?こんな所にいて?』

「あそこにいても暇じゃい。いいじゃろ、ちょっと位・・・」

『はぁ・・・知りませんよ?卓也さんに殴られても』

セレナは呆れたように言った。

それに対して春樹はフフフと笑って答えた。

「なぁに艦はそう簡単に沈ませないし、ばれなきゃ大丈夫じゃ」

 

 

 

夜は静かに更けていった

 

 

 

 

 




やべぇ、一年最後の考査なのに・・・

まぁいっか!
(よくねぇよ!勉強しろよ! By卓也)
嫌だぁぁぁぁぁ!
あと最初の方の話読み返したら今よりも文章が・・・

意見感想があればどしどし書いてください!
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17話 この街超平和だね~

ち、


血が足りない・・・・

(うっわ何言ってんのこの人! Byこうき)


ーーールニマール 喫茶ドルフィンーーー

午前4時、卓也たちはレクの淹れたコーヒーを飲んでいた。

「やっぱり朝はコーヒーに限るな~」

「そうだね~艦では簡単なやつしか飲めなかったもんね~」

二人はのんびりとした口調で話していた。

「朝からコーヒー以外を飲んどる奴の気が知れんわぃ」

マスターはコップを拭きながらそう言った。

「俺はそこまでじゃないけどあるなら飲みたくなるよな」

卓也はそう言いながら机に頬杖をついた。

「だよね~。・・・そういえばレクさん」

ふとこうきが何かを思い出したようにレクに質問した。

レクはいつもの様なにこやかな表情で反応した

「どうしたんじゃい?」

「この街に役場ってありますか?」

「あるが・・・どうしたんじゃ急に?」

レクは不思議そうに聞いてきた。

「実は僕達この街に引っ越そうかなとか考えてる訳なんですけど・・・」

レクは驚いていた。

「おぉ、そうかそうか・・・ならば土地の事を聞きたい訳じゃな?」

二人は揃って首を縦に振った。

(さっすがマスター!分かってくれる!)

「よし分かった!土地を買うにはじゃな・・・」

 

それから1時間近く話を聞いた。

 

 

「・・・という訳なんじゃ」

「成程成程・・・」

レクの話によれば、要は役場に行くと土地を買うことも借りることもできるらしい。

それ以外にも、役場は色々なことをしてくれることが分かった。

「ところで、その役場はどこにありますか?」

「あぁ、そこの横の道から大通りに出て、南に大体そうじゃな・・・2時間あれば着くじゃろう・・・」

「つまり俺たちが来た道をさらに進んだところだな・・・」

卓也は今後の行動について考え始めた。

そしてこうきにひそひそと予定について話した。

(俺が今考えた予定なんだが・・・ヒソヒソ)

(成程成程・・・ヒソヒソ)

話し終えると、こうきはグーサインを出した。

それを見た卓也は納得したように頷き、レクの方を向いた。

「レクさん、せっかく宿を貸していただいているんですが、3日間だけ空けさせていただいても宜しいでしょうか?」

レクはまたもや驚き、

「あ、あぁ・・・構わんが・・・」

とだけ言った。

「「ありがとうございます」」

二人は深々と頭を下げた。

「まぁ荷物は置いといても良かろう」

「分かりました」

すると、時計がボーンボーンっと六回鐘を鳴らした。

「さて、朝食を作るかね」

するとこうきが言った。

「手伝いましょうか?」

「おぉ、良いのか?」

「勿論です!ね?卓也」

「あぁ。泊めさせて頂いているので、その位は」

レクは二人を見て少し驚いた。

しかし、すぐににこやかな表情を浮かべた。

「じゃぁ、お願いしようかのぅ」

「「了解です!!」」

二人は敬礼した。

 

 

 

それから一時間、朝食は完成し、コアとチルとベレッタの3人が起きてきた。

「おはよう・・・」

「おはようございます・・・」

「おはよぅ・・・」

3人は眠そうに目を擦り、ベレッタに至っては二度寝しそうにうとうとしていた。

「おはよう、3人とも。朝ごはんできたよ」

こうきが3人に言い、席につかせた。

「「「「「「「いただきます」」」」」」

 

 

 

 

朝食が終わり、各自それぞれの事を始めた。

「それじゃあ、今日も修行に行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

コアは卓也に見送られて師匠なる人物のもとへ出かけて行った。

チルとマスターは開店準備をしていた。

「さて、俺たちも出かけるか・・・」

「そうだね!」

「うん!」

三人は部屋に戻り、準備を始めた。

 

 

それぞれ準備が整うまでに15分弱かかった。

「ではマスター。しばらく出かけます」

「あぁ、まぁいつ戻って来てくれても構わんよ」

「では用が済み次第って事で・・・」

「こうきさん!ちゃんと戻って来てくださいね!」

「大丈夫だよ。荷物もあるし」

そう言ってこうきはチルの頭を撫でた。

チルは嬉しそうにえへへと笑った。

その後ろでベレッタが拗ねた目でその光景を見ていた。

「じゃあ行くぞ、こうき」

「じゃあね、チル」

こうきはチルの頭から手を放し、手を振った。

チルは少し寂しそうな表情を浮かべ、手を振り返した。

 

ジープのエンジンが作動し、暫くして動き出した。

そして大通りに繋がる細い道へと進んで行った。

 

大通りに出て、右に曲がりひたすら南に走る。

「まずは役場だね」

「そうだな。春樹に頼まれたやつだな」

彼らは春樹に頼まれた事を果たすべく、役場に向かっていた。

 

「にしてもこの道長いね・・・」

「レクの話によればこの道を真っ直ぐ行くと首都らしい」

「そうなんだ・・・」

 

その後は何気ない会話をしながら走る事1時間、役所に着いた。

車は役所の前に停まった。

「じゃあ、行こうか」

「そうだね」

「うん」

3人は車を降り、役所の中に入って行った。

 

中に入ると、広い待合室のようなところがあり、木製の長椅子がずらりと並んでおり、何人かの人が座っていた。

そして、その奥の方にカウンターがあり、何人かの受け付け係がいた。

3人はカウンターに向かった。

「いらっしゃいませ。どのようなご用件で?」

カウンターに着くと受付係の女の人が明るく話しかけてきた。

「えーっと土地を借りたいのですが・・・」

「そうですか。では少々お待ちください」

そう言って奥の方へスタスタと歩いて行った。

 

暫くすると、奥から紺色の瞳に、肩にかかる位まで伸びたプラチナブロンドの髪が特徴的なのほ・・・落ち着いた女性がやってきた。

「お待たせしました~。土地関係を担当しているアリヤート・ミリーです~。それでどのようなご用件でしょうか~?」

「あの、物件を借りたいのですが・・・」

「わかりました~。ちょっと資料を取ってくるのでお待ちください~」

「分かりました」

そう言うとアリヤートはまた奥に戻っていった。

「随分と不思議な感じの人だな・・・」

「なかなかの美人だったね・・・」

「てかこの世界来てから美人と良い人にしか会ってない気がする」

「そうだね」

すると、奥の方から何かが崩れ落ちた音と同時に、アリヤートの悲鳴が聞こえてきた。

「「大丈夫か(な)・・・?」」

3人は少し不安感を抱きながらアリヤートを待った。

 

 

暫くして、埃まみれになったアリヤートが資料を抱えて戻ってきた。

「お待たせしました~、これが各物件のしry・・・きゃ!」

3人に話しかけながら歩いてきたアリヤートは今度は何もない所でつまづき転んだ。

そして持っていたファイルを投げ飛ばし、卓也めがけて一直線に飛んできた。

「バシッ!・・・ありがとうございます」

真横に立っていたこうきは、飛んできた資料を卓也に当たる寸手の所で受け止め、何事もなかったかのように資料を読み始めた。

「・・・生きた心地がしなかったぜ・・・」

卓也は、心臓を軽くなでながら言った。

その後アリヤートから何度も謝られた。

そしてこれを機にアリヤートと仲良くなった。

 

 

「それじゃあ、ここを貸してもらえますか?」

「分かりました~」

卓也たちは、首都の近くにあり、港にも近い二階建ての小さな空き家を借りた。

 

そしてついでに、この国の国民にもなった。

 

「にしてもあんないとも簡単に家が借りられるとは・・・」

「でも住めるのは1週間後だけどね」

用件を済ませ、役所からでてそんな会話をしながら車に乗り込む。

「さて次はいよいよ・・・」

「首都に行く・・・!」

3人は顔を見合わせ、ニヤリと笑った。

キーを回しエンジンがかかり、車は首都ゴルバトゥーダへ向けて走り出した。

 

 

 

 

 

ーーー伊404 格納庫内ーーー

「フンフンフン♪」

格納庫内に、春樹の鼻歌が響く。

何かを作っているようで、手には工具が握られている。

そして、工具が向けられている方には、小さなロケットの様な筒が横たわっていた。

 

 

「よし!完成じゃ!」

『何ですかそれ?』

「これは宇宙から情報を集めるための衛星じゃ!これが上がれば・・・フフフ」

春樹はいたずらをする小学生のような笑みを浮かべていた。

「よし!明日の10時に打ち上げるぞ!」

『了解です!無事に上がるといいですねマスター!』

「そうじゃな!ハッハッハ!」

 

格納庫内に、春樹の笑い声が響いた。

 

場所はビロテノス王国から南に5000km離れた海域。

 

周りに航行する船は一隻もいなかった

 




はい!
また新たなキャラが出てきました!

次回は・・・まさかの脅威が・・・!

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今回も、読んで頂きありがとうございました!


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18話 おとぎの国で・・・

とうとう首都(王都)に到着です
今まで首都って書いてましたが実は王都でした。
すみません


では気を改めて、どうぞ!


ーーールニマール 大通りーーー

12時を回った頃、一台の車が馬車しか走っていない大通りを時速80km位で走っていた。

「首都まであと3時間位かな?」

「そうだね。地図で見るとその位」

こうきとベレッタがさっき買ったサンドイッチを食べながら、アリヤートからもらった地図を見ながら話していた。

「長いような短いような時間だな・・・」

卓也は微妙な顔をしながらぼやいた。

「でも、ルニマールまでの道に比べれば短いよね」

「そうだな!」

ベレッタに言われ、卓也は左手でベレッタの頭を軽くなでた。

 

 

ーーーおとぎの国のような街の大通りを一台の似つかわしくない車が走っていくーーー

 

暫く走ると段々と建物が減っていき、しまいには道もいつの間にか舗装されていない道になっていた。

やがて森の中へ入って行った。

そしてその先にはトンネルがあり、中へ入って行った。

当然、ランプなどある訳が無く、ヘッドライトだけが頼りであった。

さらにはこのトンネルは無駄に長く、30分位はトンネル内にいた。

ようやくトンネルから抜け、ひたすら森の中の道を走り抜けた。

 

 

そして時計が午後2時を指そうとしていた頃・・・

「ねぇ見て二人とも!海だよ!」

ベレッタが指さす方向を見ると、そこには海が広がっていた。

道は沿岸部に出て、そのままずっと海沿いを走るようになっている。

「あぁ、なんだか海を見てると懐かしく思えてくるよ・・・」

「そうだなぁ・・・」

「春樹は今どこで何してるんだろう・・・」

「またろくでもない研究でもしてるんだろうな・・・」

「かもしれないね!」

二人はニヒヒと笑った。

するとベレッタが思い出したように訊ねた。

「そう言えば春樹って学者さんか何かなの?」

「いや、あいつは・・・学者さんモドキだよ」

卓也はしばらく考えてから答えた。

「モドキ?」

今度はこうきが話し始めた。

「そう。学者さんみたいに学校や施設でちゃんとした国が認めてくれた所で研究とか勉強するんじゃなくて自分の家で勝手に研究してるだけなんだよ」

「そうだったんだ・・・」

「でも知識は確かだけどね」

こうきはそう言ってベレッタに微笑んだ。

 

 

 

暫く走ると、道は再び石畳に戻っており建物もちらほらとみるようになっていった。

10分も走れば、賑やかな街にでた。

そしてそれと同時に、ある物が見えてきた。

 

「港だ・・・」

「となると・・・恐らくあれもあるよね・・・」

「あぁ・・・」

「一体何があるの?」

二人は深刻そうな二人を見て恐る恐る聞いた。

「ベレッタ。俺たちが乗ってきた艦ってなんだったっけ」

「えっ潜水艦・・・だっけ?」

「そうだね。つまりあれは種類的には何になるか分かるかな?」

ベレッタはさらに考えた。

「えっと・・・軍艦?」

「そう。そして俺たちが一番恐れているものだ・・・」

そんな会話をしていると、目の前に艦が見えてきた。

 

 

全長は自分たちの乗っていた艦よりちょっと短い位だが、前と後ろには主砲が2基ずつ搭載されており、睨みをきかせていた。

そして、建物3階くらいの高さの艦橋に3本の柱からなるマスト。

しかしレーダーや無線機のアンテナなどの装備がない為、ちょっと頼りなさそうに思えた。

2本の煙突を挟んだ艦の真ん中には怪しげな砲があり、その周りには機銃らしき物が付いていた。

「あれは・・・駆逐艦だね」

「でも、なんか頼りない装備だな・・・」

「そうだね・・・この感じだとまだレーダーとか無いと思うからね・・・」

「そう言えば真ん中にあるあの怪しげな砲は・・・」

「恐らく・・・魔力を使った何か・・・とか?」

「いやいや、無いだろ多分・・・」

そんな会話をしていると、段々と艦に近づいてきた。

 

「なんか、同じ形の船がめっちゃ並んでるな」

そう、最初に見えていた艦の横には同じ形をした艦が5隻も停泊していた。

「なんか意外とこういうのが厄介になりそうだ・・・」

「数で押し出されたらたまった物じゃないよ」

二人は戦闘になった時の想像をしていた。

そして、はぁ~っと溜息をして肩をおとすのであった・・・。

 

そしてそれ以外にも、駆逐艦よりも大きくて強力な相手を見つけた。

「戦艦だ・・・」

「でかいな・・・」

「おぉ・・・」

3人は戦艦を見て驚いていた。

それ以外にも重巡洋艦やさまざまな戦闘艦をみて溜息を吐いていた。

 

「詳細を探って弱点を見つけよっか・・・」

「そうだな・・・」

3人は本来の目的の為にさらに車を走らせた。

 

30分も走ればその場所に着いた。

大きな石でできた壁で囲まれたそこは・・・

 

 

「ようやく着いたな首都・・・いや王都と言うべきだったな」

「そうだね・・・4日でここまで来れた」

「なんかあっという間に着いちゃった気がする・・・」

3人は首都・・・いや王都ゴルバトゥーダについた。

あいにく高い壁で囲まれている為、街の様子が見えない。

因みに入り口には・・・

 

 

「やっぱりダメですか?」

「勿論だ。こんな得体のしれない乗り物なんぞ・・・出直してこい!」

門番の兵士がおり、車での侵入が困難であった。

「仕方ないか・・・」

卓也は入ろうとしていた南門を離れ、壁の周りを回り始めた。

 

 

因みに、壁の周りは森だが車一台分の走るスペースがある。

「さて、どうしよっかな?」

「地図で見ると入り口はあそこを含めて3カ所だよ」

「そっか・・・」

「でも車を隠す場所ならたくさんあるね・・・」

ベレッタの言葉に卓也は反応した。

「どういうことだ?」

「王都の壁の外周りは殆ど森なんだ。さっきの入り口はすぐ港町に繋がっていたけど他の入り口は出てから次の町まで距離があるんだ。だから周りは殆ど森になってしまっているんだと思う」

卓也はぽかんとしていた。

しかし、すぐに納得した。

「成程な!よし、じゃあ適当な所に停めても隠せばいいんだな!」

「そう言う事!」

車は壁の周りを1/4週し、西門を目指した。

そして、西門よりちょっと離れた所の茂みに車を隠した。

 

「これで完璧だ!」

「うん!・・・さて行こうか!」

「どんな所なんだろう!」

3人はワクワクしながら西門へ向かった。

 

門の所に門番が立っていた。

そして、門に近づいた。

「こんにちは~」

「こ、こんにちは~」

「こ、こんにちは・・・」

3人は挨拶をして様子を覗ったが・・・

 

「こんにちは!今日もいい天気ですね!」

門番は愛想良く挨拶してきた。

「そ、そうですね~」

そう言って門を潜った。

 

 

後で気づいたことだが、門はあるものの通行料は取られないらしい。

あれは万が一の時の為らしい。

そして門番がたっているのは警察の検問の様なものらしい。

 

 

「通行料も取られなかったね!」

何事もなく通してもらい、一行は短い通路を歩いていた。

「そうだな」

「き、緊張した・・・」

卓也とベレッタは何気ない顔をしていたが、人付き合いがにがてなこうきは異常なまでに緊張していた。

 

 

そして通路を抜け、目の前に街の風景が写り、3人は目を見開いた・・・

 

 

 

 

 

石やレンガで舗装された道、レンガや木でできた家々、目の前にある広場の真ん中に噴水があり、その周りには笑顔を絶やさない人達に交じった、頭に猫耳を生やした人達や、背中から鳥の羽を生やした人達、全身が蛇の鱗で覆われた人達、魚のような人達・・・

明らかに異世界を感じさせる光景であった・・・

「まるでおとぎの国だ・・・」

「そうだね・・・」

「なんか夢でも見てる気分・・・」

3人は呆然と立ち尽くしていた・・・

 

 

 

 

「おーい、おーい!君達ー!」

「っは!」

何処からか少年に声を掛けられた事により、卓也は気を取り直した。

「ようやく気付いた・・・大丈夫?」

「あぁ、すまないね・・・君」

卓也は声をかけてくれた少年に礼を言った。

そこには、卓也と同じ身長、同じ年位の少年が立っていた。

目つきが少し悪く、黒い天然パーマの髪にいかにも東洋人といった顔立ちだった。

「いいよ。どうせ君達、ここ来るの初めてでしょ?」

「そうだな・・・て!」

少年と話していると、卓也はこうきが立ち尽くしたままである事に気が付き、慌てて声をかけた。

「おい!こうき!ベレッタ!しっかりしろ!」

「「っは!」」

何とか気を取り戻したこうきに卓也はホッとし、後ろの少年はジト目でその光景を見ていた。

「初めてここへ来た人はみんなあんなことになるんだよ」

「そ、そうなんだ・・・」

「まぁでもありがとうな。俺は卓也だ」

「こうき」

「ベレッタです・・・」

3人は名乗った。

「俺はタカ・コレーゼ。そこで靴屋をやってる。まぁ落ち着くまで休んでいくといい」

「すまないな」

3人はタカに案内されて、タカの店に向かった。

 

 

 

3人は落ち着くまで、そこで情報を集めた。

 

 

 

ーーー以下こうきメモーーー

 

門はあるものの通行料は取られないらしい。

あれは万が一の時の為らしい。

そして門番がたっているのは警察の検問の様なものらしい。(この時知った)

書物は高値で取引される程の高価な物らしく、見ることができる人間は限られている。

管理は国王の一族が担っている。

因みにタカは卓也たちと同じ年らしく、父親とこの店を営んでいるらしい。

出身はコセラーム村と山を挟んで隣にあるサデココルと言う街の出身らしい。

 

ーーーーーーーーーーーーー

「成程成程~」

「ところで卓也たちはどうしてこの街に来たんだ?」

卓也はその質問ににやりと笑った。

「情報収集~」

「そうなんだ」

この男は勘が鋭かった。

タカはその軽い言い方に何かを隠しているとしか思えなかった。

「怪しい・・・」

そして、3人と話している間、ずっと卓也たちを疑っていた。

 

 

そして、3人も落ち着いてきて、そろそろ行くことになった。

「ごめんな、お邪魔して」

「いいんだ。どうせ親父は明後日までいないから店は暇だったし・・・」

「そっか・・・それじゃまた来るよ」

「あぁ。いつでも待ってるぞ」

そして卓也たちは出て行った。

「さて・・・行動開始!」

そう言うとタカの姿は消失した・・・。

否、景色と同化したと言うのが正しいのだろうか。

「能力!迷彩!」

彼は能力者であったのだ!

そして彼は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓也たちを追跡し始めたのだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやぁ・・・
文才がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!




次回、ついに色々やらかしちゃいます!
意見感想があればどしどし書いてください!

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました!


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19話 おとぎの国で・・・スパイ活動!(その1)

ーー首都ゴルバトゥーダ 大通りーーー

夕暮れの王城の門まで続く大通りを賑わう人混みをかき分け名がら3人組が歩いていた。

「さてと、今からどうする?」

「どうするも何も、目的の城へ向かうだろ」

こうきはぼんやりと言った感じで呟き、卓也は侵入方法を考えながら歩いていた。

「取り敢えず正面から行ってみる?」

「そうだな・・・」

卓也の回答に、ベレッタは不思議そうに聞いた。

「でも結果なんて見えてるよね?」

「そうだけど、やってみて得られる事もあるかもしれないからね」

卓也の説明にベレッタは納得したらしく、城へ続く道の先を見た。

 

 

「あ、城が見えた」

数分経って、道の先に王城の姿が見えた。

外見はシン〇レラ城の様な白い壁に青いとがった屋根が多く、ビル10階建てに等しい高い塔が一本突き出ていた。

そしてその城の周りには城壁があり、しっかりと城を守っている。

道の先には、城に入るための門が見える。

「あれだな」

「取り敢えず行ってみようか」

「そうだね」

3人は城に向かって歩き出した。

 

 

 

そしてその様子を陰から見ている人物がいた。

「あいつら、一体何をする気だ?」

彼らを不審に見つめる人物、タカは3人の後を追っていた。

そして、不審に思う気持ちとはまた別の感情も抱いていた。

「それにしても仲良いな。あいつら・・・」

実はこの少年には友達と呼べる友達がいないのである。

そのためタカは、仲のいい3人を羨ましく思っているのであった。

「取り敢えず・・・あとをつけよう」

タカは再び追跡を開始した。

 

 

 

「ダメだ!」

「ですよね~」

まさか追跡されているとは知らず、卓也たちは城内侵入を正面から試みたが、予想通りの結果になっていた。

「う~ん!やっぱダメか~!」

「やるまでも無かったきがする・・・」

「他の作戦を立てよう・・・」

落ち込む二人を慰めるように、ベレッタは次なる作戦を立てることを提案した。

「そうだな」

「そうだね・・・」

2人は気を取り直して、城門付近から離れた。

「それよりも僕、お腹すいたな~」

「何か買って食うか?」

「賛成~」

城門から離れながら3人は、そんな会話をしていた。

 

 

 

日もすっかり落ち、街がより一層賑やかになる中、3人はレストランで作戦会議を行っていた。

「それで、夜にこっそりと城内に侵入して資料庫に潜り込むと・・・」

「成程成程・・・」

卓也たちは、夜中に城内に潜りこむという作戦で行くことにした。

「それで、潜り込むメンバーなんだが・・・」

「それなら、体術に関しては一人前の僕が行くよ!」

「いや、お前は今日は後方支援をお願いするよ」

「えぇ~」

卓也に言われ、拗ねるこうきであった。

「あっそうだ。作戦内容と許可を春樹に取りに行ってくる」

「了解~」

そう言って卓也はトイレに向かった。

 

「こうきって体術できるの?」

ふいにベレッタはが聞いてきた。

「そう言えばベレッタには言ってなかったっけ」

するとこうきが自慢げに胸を張って話し始めた。

「ふっふーん!僕は実はこう見えて体術(柔道)を9年間やってて、その体術を競う大会では全国1位に何回もなったことがあるよ!意外でしょ?」

「へぇ~!そうなんだ!」

「因みに卓也とはその体術を習い始めた頃からの付き合いで、卓也とは1位2位を争う事だってあったんだよ。でも6年間やってやめちゃったけどね・・・」

「そうだったんだ・・・・」

ベレッタは意外そうな顔をしていた。

「お待たせ~。あれ?何話してたんだ?」

「内緒~」

こうきはにんまりと笑い、卓也にピースした。

「ベレッタ、こうきと何話してたんだ?」

今度はベレッタに聞いた。

「えへへ~内緒」

「そうか・・・」

すると卓也はこうきの頬を掴み、聞いた。

「何を話したんだ?」

「いふぁいふぁいふぁらふぃふぇ(痛い痛い離して)」

卓也は仕方なく話の内容を聞くのを諦めた。

「それで作戦の許可は下りたぜ」

「じゃあ作戦通りって事?」

「あぁ」

「「了解!」」

「それじゃぁ早速、行きますか!」

「そうだね!」

そう言って卓也たちは会計を済ませ、店を出た。

そして、西門を目指して歩き始めた。

 

 

 

そしてその様子を陰から見つめるタカ・・・。

「あの大きな壁で囲まれた城にどうやって侵入するつもりだ?」

タカは彼らの後を尾行し続けた。

彼らの仲間に入りたいなと思いながら・・・。

 

 

追跡されている事にすらいまだ気づいていない3人組は西門を出て、車の方へ向かった。

「作戦の詳しいことは車の中で話そう」

「「了解」」

3人はそう言って車へ乗り込んだ。

 

 

 

「何だあれは・・・」

タカは初めて見る乗り物を見て、驚いていた。

「本当に彼らは何者なんだ・・・」

もはやタカには、不審な感情は無く、彼らに対する好奇心で行動していた。

唖然としていると車は動き出そうとした。

慌てたタカは、車の後部ドアにしがみつき、後を追った。

 

 

一方車内では・・・。

「・・・という訳だ」

作戦はこうだ。

・まず、城の後ろの山の中腹辺りまで車で昇り、遠距離からの城の観察。

・00:00になったら山を下りて、城に侵入し資料をあさる。

・06:00までに作業を終えて、帰還する。

・なお発砲は緊急時のみ許可する。

・侵入するのは卓也・ベレッタ。後方支援はこうき。

 

「「了解」」

「にしてもやれるもんならあの城にAHAx2かMJY3でも叩き込みたいよ・・・」

「なんてこと言うんだ!そんなことしたら城どころか街ごと消し炭になっちまうよ!」

「そうだよこうき!」

卓也の言葉にベレッタが同意した。

「せめて街に影響が出ないように街にバリアを張ってよ!」

「いやそれもダメだろ!?」

卓也は苦笑いをしながら言った。

「確かこうきは貴族や政治家が大嫌いなんだっけ?」

「そうだよ。政治家や貴族はただ僕達一般人をいじめて遊ぶ生きてる価値のないゴキブリなんだよ」

その瞬間、車内の空気は凍り付いた。

そして、ベレッタはこうきを怒らせてはならないと悟った。

卓也は、相変わらずだな・・・と思った。

 

 

 

その被害は外まで及ぼしていた

「なんか今、この乗り物の温度が下がったような・・・」

タカは、どことない寒気に襲われていた。

 

 

 

 

車はやがて、城の後ろの山の中腹辺りに来て止まった。

 

 

 

「ここなら城敷地内を見渡せるな」

「そうだね!ここなら王も狙撃で・・・」

「こうき・・・今物騒なこと考えたでしょ」

「・・・すみません。落ち着きます・・・」

こうきは貴族に対する憎しみを漂わせていたが、ベレッタにジト目で見られたため冷静に戻った。

そして時計をみて時間を確認した。

「よし!21:00偵察開始!」

 

 

 

 

 

こうして3人組による遠距離偵察を開始した。

 

 

 

 

 




久しぶりの投稿です!
最近何かと忙しくなかなか投稿できませんでした。
何せイベントイベント・・・・はぁ・・・。
この前はカラオケで叫び散らしてのどを痛めたり・・・。


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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19話 おとぎの国で・・・スパイ活動!(その2)

ーーゴルバトゥーダ 王城裏の山ーー

「庭には監視員が数人・・・」

3人は、車の屋根に寝そべって王城の敷地を双眼鏡で覗きながら、侵入ルートを模索していた。

「侵入するのはあの監視員が一人しかいないあの扉が良いな」

卓也は、監視員が一人だけの、城側面に設けられた小さな扉を指さした。

「そうだね」

「あとは王城内の構造だな・・・」

「正直それは行ってみないと分からないね・・・」

「はぁ・・・」

「とりあえず侵入方法はこれでいいかな?」

「どれ・・・」

卓也は手書きの地図に侵入方法を書き始めた。

こうきはその様子をペンライトで当てながら確認した。

侵入方法はこうだ。

・まず下まで降りて城壁に近づく。

・そしてワイヤーアンカーを使って壁を昇る。

・壁を越えたら庭の木に隠れながら扉まで近づき、監視員を殴り倒したら侵入。

 

「どう?」

「いいんじゃないかな?」

「賛成~」

「これで行こう」

「そうと決まれば早速始めよう」

「「了解!」」

そう言って3人は準備に入った。

 

 

 

 

その様子を陰から見ている人物がいた。

「今から何するんだろう・・・それに手に持っているのはなんだ?」

タカは木の陰から侵入準備に取り掛かる3人を見ていた。

 

 

 

「弾、銃、ワイヤーアンカー装備。防弾チョッキもよし!」

「卓也ーこっちもできたよー」

卓也とベレッタは、それぞれの装備を確認した。

2人は黒いニット帽に、黒いマフラー、防弾チョッキに、腰にワイヤーアンカーを二つ装備し、アサルトライフルを肩にかけた格好だ。

「この格好不審者みたいだ・・・」

「なんだか怪しいね・・・」

2人は感想をぼやきながら車を降りた。

 

車の屋根の上には、こうきが狙撃銃を構えてスタンバイしていた。

「なんかその体制、様になってるな・・・」

「この体制憧れだったんだよね~」

こうきは嬉しそうに卓也にグーサインを出した。

「それじゃあ行ってくる。後方支援、頼んだぞ!」

「任された!」

そう言って3人は敬礼し、卓也とベレッタは山を下りた。

 

 

 

「・・・もうついてしまったな」

「案外近いね・・・」

卓也とベレッタは山を下りて10分、城壁の真下についていた。

「取り敢えず連絡しておくか・・・」

卓也はこうきに連絡した。

「こちら卓也。城壁の下に到着」

『もう着いたの!?了解!』

「思ったより早く着いたよ。これより城壁を越える」

『了解!』

卓也は無線を切り、ベレッタの方を見た。

「よし!登ろうか!」

「うん!」

卓也はワイヤーアンカーを上に向け、発射した。

バシュッと音がして勢いよく発射されたアンカーは、見事に城壁の上の方へと飛んでいき、壁に刺さった。

そしてもう一度トリガーを引くと、卓也の体は宙に浮き、あっという間に城壁の上に到達した。

ベレッタも後に続いた。

 

卓也は城壁の上に立ち、庭を見た。

「誰も気づいていないな・・・にしてもこれ凄いな!」

卓也はワイヤーアンカーをみて感心していた

そして横にベレッタが着地した。

「卓也!これすごいね!」

「あぁ!最初はなんだか分からなかったけど・・・これは便利だ!」

 

 

2人はワイヤーアンカーを駆使して、壁を下りた。

そして庭の樹木に隠れながら扉に近づいた。

木に隠れながらゆっくりと扉の方を見た。

「すぅ・・・すぅ・・・」

「なんと幸運な!」

扉の監視員は、壁にもたれて眠っていた。

「こんなんでこのお城を守れてるの!?」

「さぁ?どうだろう?何にせよ、人を傷つけずに助かったよ」

2人は監視員を起こさないように扉から城内に侵入した。

扉を閉めると薄暗く長い廊下が続いていた。

「こんな所だったら暗視ゴーグルの方が良かったかもな・・・」

そう言って卓也は進み始めた。

「なんか・・・不気味ね」

「みんなきっと寝ちゃったんだろ・・・」

卓也とベレッタはひそひそと話しながら廊下を進んで行く。

暫く進んで行くと、大広間に出た。

左側には、正面入り口の大きな扉があり、右側は二階へ続く大きな階段が伸びていた。

広間のあちこちに大きな石像が立っていて、壁には絵が描かれていた。

天井は高く、大きなシャンデリアがいくつもついていた。

しかしどれも明かりをともしておらず、ただ暗くぶら下がっていた。

「典型的な王城内部だな・・・まるでおとぎ話にでてくる城まんまじゃねぇか・・・」

「卓也はこういう城入った事あるの?」

「本ぐらいだったら何回かあるけど・・・シッ!」

卓也は突然話をやめ、慌ててベレッタを抱えて階段横の石像の裏に隠れた。

 

静かな大広間に、コツッコツっと一定のリズムで歩く音がする。

誰かが上から降りてきたようだ。

足音からしてハイヒールの音だった。

「・・・なんか声が聞こえた気がしたけど・・・誰かいるのか?」

大広間に女性の声が響く。

声からして卓也と同じ年位だろうか。

その声は、柔らかく透き通った良く響く声であった。

 

階段から降りてきたその女性は、大広間の真ん中まで来て立ち止まった。

月明かりに照らされ、その姿がはっきりとまではいかないが確認できた。

男子3人組の中で一番背が低いこうきよりも少し低めだろうか、きれいな紫がかったロングの髪に、白いドレス、後ろ姿だけでも美しいと感じるくらいの体系だった。

 

暫くしてその少女は、卓也たちの来た通路とは反対側の通路へ向かって歩いて行った。

「・・・死ぬかと思ったぜ・・・」

「危なかったね・・・」

「取り敢えず、後をつけてみない?」

ベレッタの思ってもいなかった提案に卓也は訊いた。

「どうしてだ?」

「だってこんな時間に出歩くなんて不自然じゃない?」

「確かに・・・」

「もしかしたらこんな静かな時間だからこそ、読書をするのかもしれないじゃん?」

「成程・・・よし!追うか!」

卓也たちは、静かに足音を立てないように、その少女を追った。

 

 

ベレッタの読み道理、小女は書物庫らしきところへ入って行った。

卓也たちも、ドアを静かに開け、身を伏せながら滑り込むように中に入った。

幸い、中は月明かりが窓から差し込んでいるだけで、本棚などで暗くなっているのでばれずに侵入できた。

 

書物庫の中は、図書館のように本棚がずらりと並んでおり、窓際に一人用の机といすが月明かりに照らされて置いているのが分かる。

そしてその椅子に腰かけて、少女は本を読んでいた。

卓也は、ここからは声を出しての会話はまずいと判断し、ベレッタとはメールで話すことにした。

『まず、ベレッタは部屋の一番左端の本棚から始めて。やる事は今から渡すスキャナーで本をスキャンする。スキャナーは本にライトを当てる感じで当てて、パラパラめくるだけらしい。』

卓也は文章を送信し、ベレッタの方を見た。

ベレッタは、文章を見て、頷いた。

そして返信が返ってくる。

 

『一回ここでやってほしいな~(*'ω'*)』

 

「・・・」

卓也は、顔文字を使って返信してきたベレッタに少し困惑しつつも、一度その辺にあった本を手に取り、スキャンにかける。

右手に本、左手にスキャナーを持ってパラパラと本をめくってスキャンを行う。

5秒で一冊のスキャンが終わり、卓也はベレッタに文を送る。

『分かったかな?』

そして数秒も立たないうちに返ってくる。

 

『サー!(`・ω・´)ゞ』

 

「・・・」

卓也は呆然とメールを見つめる。

『取り敢えず始めようか』

『了解!(*^▽^*)』

時刻は00:30。

2人は少女にばれないように静かに、そして手早くスキャンを開始した。

 

少女は机から立ち上がり、本棚に来ては本を取り、興味を持てばその本を持って机に戻るといった動作を繰り返している。

少女がいる付近の本棚は近づかず、立ち去ってからさっさと済ませるといった感じでサクサクと作業は進んで行った。

 

 

 

03:00。

大半のスキャンが終わり、残すは今少女のいる付近の本棚だ。

そしてタイミングよく少女は本を一冊持って机に戻った。

その間に、二人で本をスキャンした。

 

 

 

そして15分後、スキャンが完了した。

最後の本を片付け、さぁ帰ろうと扉に向かい始めた時だった。

後ろでがたっと音がして、こっちに足音が近づいてきた。

 

((やっやばいやばいやばいやばい!!!))

卓也は横にいたベレッタを慌てて抱え、いそいそと別の本棚の列へと身を潜めた。

少女は2人に気づくことなく、本棚に近づき本を片付けた。

「はぁ~・・・面白くない・・・」

彼女は思いつめた表情で、少し悲しそうに呟いた。

「この話みたいに、泥棒さんが私を連れだしてくれればいいのに・・・」

彼女は独り言を呟き、部屋から立ち去った。

部屋にはただ、彼女が廊下を歩く音だけが響いた。

 

 

「「・・・はぁ~助かったぜ(よ)~」」

2人は体全身の力が抜け、本棚に寄りかかった。

「死ぬかと思ったぜ」

「本当に・・・」

卓也は腕に着けた端末を操作し、艦にスキャンデータを送信しようとした。

「・・・あれ?」

「どうしたの卓也?」

「なぜだか分からないけど・・・艦本体データリンクと接続できない・・・」

卓也はスキャンデータを艦本体にあるデータリンク(ECシステム)に送信しようとしたのだが、ECシステムに接続できないのである。

「何故だ・・・こうきに連絡しよう」

卓也はこうきに繋がるか試した。

「こちら卓也。こうき聞こえるか?」

『こちらこうき。どうしたの?』

普通に繋がった。

「よかった・・・。ECシステムに接続できる?」

『えぇっと・・・ん?』

「どう?」

『・・・繋がらない・・・』

「そっちもか・・・ありがとう。あとすべての本スキャン完了した」

『了解!』

卓也は無線を切り、今度は春樹に無線をつないだ。

「こちら卓也。春樹聞こえる?」

少し遅れて返答が来た。

『こちら春樹。どうしたんじゃ?』

「ECシステムに接続できないんだが・・・」

『・・・あ。すまん・・・今お主らがいる所、圏外じゃ・・・』

「・・・え?」

 

それもそのはずである・・・

 

 

 

ーーー伊404ーーー

「わしがいるのは南に5000km離れた海域・・・他国との境目じゃ」

『じゃぁ何で無線は使えるんだ?』

「それはジープの無線機を経由しているからのぅ・・・ネットワークまでは間に合わなかったんじゃ」

『そ、そうか・・・了解・・・』

「すまんかった・・・」

そう言って春樹は無線を切った。

そして・・・

「のうわぁぁぁぁぁ!やってしもうたぁぁぁぁぁぁぁ!」

深度500mの海底で叫び散らすのであった・・・

 

 

 

ーーー王城 書物庫ーーー

「はぁ・・・」

「このデータを持ち歩かなきゃいけないんだね・・・」

「しかも結構容量大きいぞ・・・」

2人は溜息をついた。

 

「取り敢えずここから出ようか・・・」

「そうだね・・・」

2人は立ち上がり、書物庫の出口を目指した。

 

 

扉を静かに開き、外に出て扉を閉めた。

そしてふと進行方向とは逆の方を見た。

否、見てしまった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「あ・・・」」」

 

 

 

 

 

そこにはこの城に入って来る時、外の出入り口で眠っていた見張り員がいた・・・




だいぶ長くなってしまいました・・・
ドアを開けると敵が・・・ありがちですね・・・
次回は2人の逃走劇です!
そして衝撃的事実が・・・


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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19話 おとぎの国で・・・スパイ活動!(ラスト)~恐怖の鬼ごっこ編~

2人に迫りくる監視員の恐怖・・・
果たして逃げ切れるのか・・・


扉を出て、思わず進行方向とは逆の方向を向いてしまった・・・

 

 

 

「「「あ」」」

 

 

そこにはこの城に入って来る時、外の出入り口で眠っていた見張り員がいた・・・

「あ、あはははは・・・」

ベレッタは目が死んでおり、ひきつった笑みで笑っていた。

「あははは・・・お仕事お疲れ様ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

卓也はとっさにベレッタを抱え、「様ですぅ」のあたりで叫びながら全力疾走で走り始めた。

「待てぇぇぇぇぇぇ!」

監視員は叫びながら追いかけてきた。

しかし、監視員は鉄の鎧を着ているだけでなく、腰にはさらに重い剣がぶら下がっている。

それだけでなく、卓也たちにはこの時代にはないテクノロジーの塊を持ち歩いている。

卓也たちには有利な材料ばかりだ・・・と思っていたらそれは間違いであった。

 

「何事だ!?」

わらわらと監視員や使用人などが集まってきた。

その数は100人以上・・・

「やっべ!」

卓也は押し寄せる人混みに突っ込み、なんとか下を通って最後尾から脱出した。

「侵入者がでたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「何ぃ!?急いで捕まえろぉぉぉ!」

『『『『『『はっ!!』』』』』』

監視員が一斉に2人を追いかけ始めた。

「嘘だろ!?」

卓也はなんとか大広間まで走ってきた。

大量の大男達に追われながら・・・

 

大広間にはさっきとは違い明かりがともっており、黒い服装や顔隠しの為のニット帽や黒いマフラーは逆効果だ。

「ちっ!」

卓也は大広間に飛び出し、通ってきた通路の入り口左側面(卓也たち目線)にワイヤーアンカーを放ち、刺さると同時に巻き上げ、勢いよく階段に突っ込んだ。

アンカーを解除し、遠心力を利用して階段を駆け上がる。

 

『『うわ!』』

後ろから追ってきた監視員の集団は、突然の方向転換に戸惑い、先頭の方から総崩れを起こした。

「急に止まるな!」

「見失うだろ!」

下では集団でもめていた。

卓也は階段を駆け上がりながらその様子を見ていた。

「全く呑気な集団だぜ・・・」

卓也はそのまま2階に昇った。

 

 

「こちら卓也!こうき聞こえるか?」

『こちらこうき。そっちは大丈夫か?なにやら監視員が慌てだしてるけど・・・』

「すまん・・・見つかった」

『そうか・・・取り敢えず今からはお互いイニシャルで呼ぶこと。あとは対応しきれなくなるまで、発砲は認めず!』

「「了解!」」

『あと無線は常にオン状態で!』

「了解!」

 

卓也は通路を走り続けた。

 

「・・・ん、いたぞ!」

前から見張り員がやってきた。

卓也は迷わず突っ込み、相手を顎から上に殴り飛ばした。

「うわぁぁぁぁ!」

相手は宙を舞い、口から血を流しながら後ろに倒れた。

卓也は気にせず走って行った。

(一応は結構前に覚悟はできていたが・・・やっぱり少しキツいな・・・)

卓也は走りながら少し躊躇いを見せた。

 

城の内部構造は、複雑に作られており、1つの階ごとに構造がすべて違うため、迷路のようであった。

 

そして、卓也が3階の廊下を突っ走り、角を曲がろうとした時だった。

「のわっ!」

「きゃあっ!」

書物庫で本を読んでいた少女とぶつかった。

「いたた・・・って大丈夫!?」

「ごめんなさい・・・ってあなた達は!?」

「!?あ、いえ・・・取り敢えずごめんなさい!」

そう言って走り出そうとした時だった。

「待って!」

「ふぇ!?」

走り出そうとする卓也の手を少女は掴んだ。

「あなた達って・・・私はあなた達に協力してあげる!」

「何!?」

卓也はその少女の言葉に驚いた。

『信じるなT!所詮貴族の女の言う事だ!だまされるな!』

「違う!信じて!」

少女は一生懸命説得しようとした。

「T!騙されちゃダメ!貴族なんて嘘とか普通につくよ!」

「・・・すまんK、B!」

卓也は悩んだ末、無線を切った。

「すまないベレッタ!俺はこの子の言葉を信じてみたいんだ!」

卓也はつづけた。

「それにこの不利的状況・・・どうしようもできない!屋外ならまだしも、室内だとKの支援もできない・・・だから、ごめん!」

「・・・分かった・・・今回だけだからね」

「ありがとう・・・B」

卓也は情けないなと思いながらベレッタに頭を下げた。

そんな事をしているときだった・・・

 

 

廊下に集団で走ってくる音と金属がこすれる音が響いてきた。

「まずい!来ちまった!」

卓也は焦った。

「私に考えがあります!」

 

 

 

 

 

暫くして集団が目の前に来て止まった。

「お嬢!こんな所にいらっしゃったのですか!」

「えぇ。何かあったの?」

「あったも何も・・・侵入者が現れました」

「侵入者ですって!?」

「はい。のでここは危険です!早くお部屋にお戻りに!」

「分かったわ・・・それでは一刻も早く侵入者を捕まえてね・・・」

「はっ!」

そう言って集団は立ち去って行った。

 

「もう大丈夫ですよ・・・」

すると壁の一部がぐるりと回り、中から二人が出てきた。

「こういう城にはやっぱり隠し通路はあるんだな・・・」

「すごい・・・初めて見た・・・」

2人は隠し扉の奥で身を潜めていたのであった。

「この扉は、私たち一族にしか教えられていないので・・・使用人も知りません」

「よく隠し通せるな・・・」

 

その後、隠し通路を使って庭に降りるまで案内してもらった。

 

隠し通路を抜け、出た先は城の離れにある小さな塔の中だった。

「ここまで案内してくれてありがとう」

「いえいえ・・・私の好意でしたことですから」

「そっか・・・ありがとな」

卓也は二っと笑って手を差し出した。

少女はその手を握り握手を交わした。

「私はリゼサルヴァ・テザヴェル。この国の王女よ」

「俺はTだ。名前はまだ明かせない」

「私はBよ」

そう言って3人は二っと笑った。

 

2人は塔を出た。

「今度会うときは、こんな形では無く、隠し事もなく話せるといいな」

卓也はそう言って後ろを振り向かずに、手をひらひらと振った。

「そうね・・・今度来た時は、私を壁の外に連れ出してね」

王女の最後のセリフは、2人には届かなかった。

 

 

「こちらT。王城を脱出成功」

『了解。庭にいるのを確・・・行くな!』

「どうした!?」

『前方に騎士団と思しき集団!あと後方に同じく騎士団集団・・・幸いなことに全部歩兵だ』

「洒落にならねぇぜそんなのこられちゃぁ・・・」

「どうするT!?」

『こうなったら・・・』

「仕方ないか・・・」

卓也はアサルトライフルのグリップを握りしめた。

無線機越しに、こうきが深呼吸する音が聞こえてくる。

そして・・・

 

 

 

 

 

『・・・発砲を許可する』

 

 

 

「「了解!」」

卓也とベレッタは背中合わせになり、迫りくる集団に銃口を向けた。

「カウント3で開始だ・・・」

「了解」

ベレッタは深呼吸をした。

そしてお互いが背中越しに心拍が早まるのを感じていた。

 

 

 

 

「いくぞ・・・」

 

 

 

 

 

「3」

 

 

安全装置を解除した。

 

 

 

「2」

 

 

コッキングレバーを引いて、装弾する。

 

 

 

 

「1」

 

 

トリガーに指を掛けた。

 

 

 

「Fire!」

 

掛け声と共に、銃が火を噴いた。

響き渡る銃声と薬莢の落下音。

薬室が開く度に外へ薬莢がはじき出されていく。

卓也が放った銃弾は、外れることなく敵の腹部へ吸い込まれる。

ヘッドショットを狙わないのは、卓也の目的が殺戮ではない事と本人自身が人を殺すことへの恐怖の表れでもある。

 

遠く離れた所から狙撃していたこうきも、腹部を狙って撃っていた。

それはベレッタも同じであった。

 

 

敵が全員倒れたのを確認した卓也は合図を出した。

「攻撃やめ!」

それにより、全員が銃を降ろし、安全装置を掛けた。

「・・・ふぅ」

卓也は静かに溜息をした。

(あぁ・・・初めて人を殺した・・・)

そこには、罪悪感を通り越して、ただ妙な感情が入り混じっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その感情と罪悪感は、一つの違和感によって消し飛んだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓也はふと目の前に倒れていた騎士団の一人に目をやった。

どうやら入りたてらしく、まだ若かった。

「・・・俺と同じ年位か・・・幸せそうに・・・ん?」

卓也はどことない違和感を感じた。

「銃で撃ったのに・・・出血が無いし・・・貫通した様子もない」

卓也は考えた。

「確かにこの人の事撃ったよな・・・」

そしてポケットに入れてあったマガジンから銃弾を一個取り出した。

そしてそこから衝撃的な事実が浮上した。

 

 

「こちら卓也!こうき!銃弾のケースを確認してくれ!」

『こちらこうき。了解』

そしてそれから数秒後・・・

『こちらこうき!まさかこの銃弾・・・』

こうきが震えた声で言ってきた。

「あぁ・・・多分今回の上陸作戦で持って来た弾丸全部・・・」

そう言って銃弾を指でくるくる転がした。

 

そしてその銃弾には『SleepOnly』と書かれていた。

『つまりこれは・・・』

「ただの睡眠弾だ・・・」

『取り敢えずさっさとそこから離れた方がいいよ』

「了解した」

卓也は再びベレッタを抱え、走って行った。

 

 

それから数分後・・・

「こちら卓也、無事に城から脱出。ミッションコンプリート」

『了解。こちらも回収に向かう』

 

 

ーー山の中腹 車両ーーー

「ふぅ・・・ミッションコンプリート!」

こうきは無線を切って、車の屋根に寝そべった。

東の空が、少しずつ明るくなっていく。

そして屋根から降り銃を片付けようとした時、こうきは立ち止まった。

 

 

 

その視線の先には、昨日知り合った少年が立っていた・・・

「ど、どうも・・・」

「・・・」

 

 

 

 

 

 

こうきは何も言えず、手に持っていた銃を落としそうになった。




はい!
戦闘描写って難しいね!
それに色々難しいし・・・
次回は今度は春樹に危機が訪れます!


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!




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20話 そう言うときもあるさ・・・

「ど、どうも・・・」

「・・・」

こうきは何も言えず、持っていた銃を落としそうになった。

 

そして次の瞬間、こうきは無線を入れた。

「こちらこうき!緊急事態発生!直ちにこっちに来てくれ!」

『卓也了解!』

「え?」

タカは、不味い事になったと思った。

「ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」

タカにこうきは優しそうにいった。

しかし、その笑顔が逆にタカを恐怖に陥れる。

「は、はい!・・・」

こうきはタカに近づき、話を始めた。

「じゃあまず一つ・・・いつから見てたの?」

「は、はい・・・昨日僕の店から出て行ったあとからです・・・」

「そっか・・・じゃあ二つ目」

こうきは笑顔のまま、しかしどこかどす黒いオーラを放ちながら続ける。

「なぜ尾行してきたのかな?」

「それは・・・卓也の話が少し信じられなかったから・・・」

「成程ね・・・」

こうきはそれだけ聞くと、それ以上は訊いてこなかった。

「君にはいろいろ見られたらまずいまずいものを物を見られちゃったから・・・」

そう言ってタカのほうを見た。

「タダじゃ済まないかもね?」

「ひっ!」

そこには穏やかな表情の裏に隠されたどす黒いオーラを強く放ちながら、笑うこうきがいた。

 

 

暫くして卓也たちが戻ってきた。

「こうき!なにがあった・・・あれ?」

「ど、どうも・・・」

そこには申し訳なさそうなタカがいた。

「お帰り卓也、ベレッタ。用ならもう済んだけどちょっと相談があるんだけど」

そう言って卓也の前に姿を現したこうきは二人を恐怖させた。

「い、一体何があった・・・」

「よ、良く分からないわね・・・」

2人がそう呟く。

「な、なんでもするから!命だけはご勘弁を!」

「「え!?」」

突然タカがガタガタ震えて、涙目で土下座していた。

「な、なぁこうき・・・本当に何があったんだ?」

「そ、それは僕から説明します・・・包み隠さず」

そしてタカからすべての話を聞いた。

 

 

 

「成程ね・・・確かに知られたら不味い事だけど・・・」

「別にこうきがあそこまで怒る必要はないわね・・・」

「・・・調子乗りましたすみません」

タカから事情を聞いて、卓也たちは別にそこまで怒る様な事でもないと判断した。

そのため、こうきはベレッタによって鎮圧された。

しかし、少しタカは知ってはいけない機密に触れてしまった事により、卓也たちの監視下に置かれることとなった。

 

「という訳だ」

「つまり僕は、その春樹と言う人の部下になるって事?」

「そうだね」

卓也はタカに、春樹の存在と自分たちの目的などを話した。

「取り敢えずこの話は他人には話さないでほしい」

「了解です」

 

 

「変わり者ですが、よろしくお願いします」

「「「よろしく!」」」

春の心地の良い風が吹く朝の山の中腹、タカは春樹たちの仲間になった。

 

 

 

 

 

 

ーー伊404--

09:57

ビロテノス王国陸地より5000km離れた海の上、一隻の潜水艦が洋上を航海していた。

「最終プログラムチェック」

『プログラム、異常ありません』

「燃料チェック」

『問題ありません』

「通信」

『オールグリーン』

「了解じゃ!」

艦内では春樹の実験の為、準備が行われていた。

「これが無事にいくといいんじゃが・・・」

『きっと上手く行きますよマスター』

「だといいんじゃが・・・」

『さて、打ち上げ1分前で~す!』

「了解!発射準備!」

『了解!発射準備!』

 

号令と共にぷしゅーっと音がして艦側面にある右舷側のミサイル発射管の蓋が開いた。

『ミサイル発射管ハッチ解放!』

「了解!風向風速チェック!」

『共に問題なしでーす!』

「了解じゃ!」

春樹は、深呼吸をし、言った。

「発射用意!」

『発射用意!』

セレナが後に続く。

 

 

 

 

 

 

 

「発射!」

『了解!ブースター点火!』

 

その言葉と共に、ミサイル発射管上部から勢いよく煙が噴出し、発射管本体から一本の筒の様なものが発射された。

 

そして暫く水面を飛翔した後、左右からガスを噴出し頭を天に向けた直後、バシューっと音を立てて大空へと消えて行った。

 

『ブースタ切り離し!高度上昇中!大気圏突入まで3,2,1突入!』

「思ったより早いのぅ・・・」

 

 

打ち上げたロケットは、大気圏を抜け、やがて衛星を切り離し役目を終えた。

放たれた衛星は、艦と連絡をやり取りしつつ、仕事を始めた。

「打ち上げてから30分か・・・」

『思ったより早かったですね・・・』

「そうじゃな・・・ん?」

春樹は、モニターを見ていると、対空レーダーに30個位の反応があった。

「急速潜航!潜望鏡深度じゃ!」

『了解です!』

艦は春樹の指示通り、海中にその巨体を潜らせた。

「対空レーダーに反応か・・・なんじゃろう?」

『飛行機は情報によれば開発すら行われていないようですし・・・まさかのドラゴン?』

「まさか・・・いや一理あるかもしれんな」

『さっそく衛星使ってみますか』

「そうじゃな!」

春樹は衛星からの映像を見た。

「・・・これは本当にドラゴンじゃな」

『そのようですね』

「敵か味方か分からんのう・・・」

『なにか目印でもあればいいんだけど・・・』

 

「取り敢えずビロテノス王国から1500kmの海域に移動じゃ。そこじゃとまだ防ぎようもあるからのぅ」

『了解しました!』

艦は回頭し、針路をビロテノス王国大陸へと向けた。

 

 

 

 

 

それから約1時間、11:30目標海域に到着した。

「おや?何隻か出港していくようじゃのぅ・・・」

『やっぱり敵だったのでしょうか?』

「まだわからん・・・」

 

 

それから数十分後、レーダーの端に、さっきよりも数を減らした大群がいた。

「そこそこ数は減ったが・・・20匹か」

『減ったと言えば減りましたね・・・』

 

 

「しかし減ったと言う事は・・・」

 

 

 

 

『敵・・・ですね!』

 

 

 

 

 

「よし!」

 

 

春樹は深呼吸をし、言った。

 

 

 

 

 

 

 

「対空戦闘用意!」

 

『対空戦闘用意!』

 

 

艦内のライトがすべて赤になり、操縦室はすべてのライトが消え、モニターの明かりと各種計器の明かりのみになった。

 

 

 

 

 

 

 




卓也達の戦いに続いて、こっちは完全に殺る気しかない・・・
次回、春樹による国土防衛戦の始まりです!


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最後まで読んで頂きありがとうございました!


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21話 一方的な戦闘

ーービロテノス王国 300km海域ーーー

3隻のレソトノフ型駆逐艦が15匹のカスタエル王国軍竜騎士団のドラゴンと戦っていた。

駆逐艦から放たれる対空用魔力弾。

それをかわしながら接近し、魔力弾を投下するドラゴン集団。

駆逐艦はただ魔力弾で弾幕を形成し、敵の攻撃を防ごうとする。

 

そしてその中の一隻、駆逐艦レヴィーラは甚大な被害と大量の魔力を失い、撤退せざるを得ない状況に陥っていた。

「艦長!魔道エネルギーが底をつきそうです!」

「艦長!撤退しましょう!これ以上の戦闘は・・・」

艦橋にいる船員達は、船の被害状況を見て艦長に指示を求めていた。

「・・・うーむ。もはやここまでか・・・」

船員達に指示を求められ、艦長タルカ・カミフレンは溜息をついた。

そして、副長レイム・ホクウェルトに指示を出した。

「僚艦に撤退命令を出せ。これ以上の戦闘は危険だ。それに下がれば戦艦バルーナ級や重巡レイナース級もいる。保有数こそは少ないがあの魔力を使えば何とかなr・・・!」

何とかなるかもしれないと言おうとした時だった。

 

激しい衝撃と爆発音が響いた。

そして船員たちの叫び声が聞こえてきた。

「何があった!」

タルカは慌てて状況報告を命じた。

「左舷に被弾!副砲大破!その他にも甚大な被害が・・・」

「そうか・・・撤退を急ごう!航行に支障は?」

「それが・・・機関が死にました・・・自力での航行は不可能かと・・・」

「く・・・成す術なしか・・・ただの標的に成り下がるのも時間の問題か・・・」

タルカは顔に焦りを隠せずにいた。

(何としてでもこいつらを止めねばなるまい・・・娘たちが待つあの国を守る為に・・・)

 

しかしそんな願いも届くはずもなく、相手の攻撃は増すばかりであった。

 

ーー敵竜騎士ーーー

「所詮時代遅れの老朽艦しか持たぬ劣等国民が・・・」

「全く可愛いドブネズミたちですね、団長」

竜騎士団団長と副団長が逃げ惑う駆逐艦に攻撃を仕掛ける下級竜騎士たちを見ながら上で喋っていた。

「あんな骨董品風情で我々に勝てると思われているとは・・・舐められたものだ。まぁ下級たちの訓練には持って来いだな」

「違いありませんね。クックック」

「さて・・・このまま本土まで攻めてしまおうか?」

「有りかも知れませんね」

「どうせ最後の最後まで戦艦を隠しておくつもりだろうが・・・標的にしかすぎんわ。はっはっは!」

「仰る通りです。クックック」

2人は上空から観戦しながら戦況を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵は海の底にいるとも知らずに・・・

 

 

 

 

ーーーその戦場の海中10m付近ーーー

「・・・どうじゃ?」

『・・・実に話になりませんね・・・』

「と言うと?」

伊404は戦場から5km離れた海上に潜望鏡を上げて、敵データと味方の駆逐艦のデータを収集していた。

しかし、計測データは春樹たちにとっては驚くべきことばかりであった。

『そもそも駆逐艦や竜から放たれているのはすべて魔力の弾丸ばかりです。恐らく銃はまだ無いようです』

『まず攻撃に使用されている魔法ですが、威力が精々制度の良い手榴弾程度です』

「・・・え?それだと精々犬小屋が軽く吹き飛ぶだけの威力じゃないか」

『そしてそれがただあそこで飛び交っているだけです』

「・・・」

『さらにたまに放つ駆逐艦の主砲や副砲の威力ですが、手榴弾5個分くらいの威力です』

「うーむ・・・」

『そしてさっき敵が放って駆逐艦にそこそこのダメージを与えた魔力弾ですが手榴弾3個分です』

「微妙じゃな」

『そうですね・・・ただ私たちの・・・』

「敵では無いな」

春樹はニヤリと笑った。

「それに一回放ってからの次の攻撃までの時間が30秒はあるのぅ」

『こっちは主砲であれば3秒あれば発射可能です!』

「よし!ミサイルは最終手段のみでシーケンス1じゃ」

伊404に搭載されているECシステムは攻撃に使用する弾頭を10個のシーケンスに分けている。

そして今は4シーケンスまで搭載しており、その中の1番にはロケット弾が設定されている。

2番にはAHAX2、3番はハープーン、4番にはMJY3が設定されている。

『了解しました!』

「駆逐艦後方300m後方に急速浮上!武器システムセーフティーロック解除!』

『了解!僚艦300m後方に急速浮上!セーフティーロック解除!』

艦は海面めがけて急激に浮上し、海面に飛び出した。

 

 

 

ーー数分前 駆逐艦レソトノフーーー

「艦長!レヴィーラから撤退命令です!」

艦長リースベル・ノルードアは副長レイアンスの話を聞いてがっかりしたような表情を浮かべた。

「そうか・・・しかしあの様子だと・・・」

「・・・はい・・・おいて帰るしか・・・」

「仕方ない・・・僚艦レントルに入電。レヴィーラをおいて撤退する、と」

「了解・・・」

リースべルは小さくため息をつき、艦内放送を入れた。

「総員撤退用意。通信士は本土に連絡し、戦艦に待機命令を・・・」

待機命令を出せと言おうとした瞬間、レヴィーラを襲った悲劇がレソトノフにも襲い掛かる。

「各員被害報告!」

すると報告員がやってきた。

「主砲魔力貯蔵庫に被弾!出火有り!爆発の危険性もあります!」

「消火急げ!あと怪我人の数も確認してくれ!」

「了解!」

そう言ってくるっと向きを変えると走って行った。

「こっちも不味い事になった・・・」

すると今度は見張り員が叫んだ。

「後方に敵味方不明艦出現!」

「出現だと!?」

「はい!」

リースベルは信じられないと言わんばかりに聞き返した。

「何かの間違いでは!?」

レイアンスも聞き返した。

「間違いありません!海中から急に飛び出してきました!」

「「海中だと!?」」

「はい!」

リースベルは戸惑った。

(こんな状況では戦えん・・・しかし何もしなければやられる・・・)

双眼鏡を掴み、見張り台に立ち、敵味方不明艦の様子を見た。

「なん・・だ・・・あれ・・・」

リースベルは唖然とした。

「・・・最新鋭艦?いや兵装が少ない・・・」

(それに撃ってくる様子もない・・・一体何者なんだ!?)

 

 

 

ーーー伊404---

『ターゲット掌握!ナンバー1~15入力完了!』

「よし・・・」

 

春樹は深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた。

「両舷にいる駆逐艦の前に出るのじゃ!」

『了解!』

艦は加速し、艦隊の前に出た。

そして・・・

 

 

 

 

 

「主砲、攻撃はじめ!」

『了解!主砲攻撃はじめ!』

 

艦内にブザーの音が鳴り、主砲が稼働した。

 

甲板の主砲は、長い砲身を素早く旋回させ、上に向け発砲を始めた。

辺りに腹を突き破る様な主砲の発砲音が響く。

そして大きな薬莢を甲板に捨てる。

重々しい金属音が響く。

砲身から放たれた砲弾は一直線に竜の腹めがけて飛んで行った。

 

そして砲弾は竜の腹を貫通し、腸をえぐり飛ばした。

「「「「!?」」」」

突然の出来事に竜騎士団は戸惑いを隠せなかった。

 

ーーー竜騎士団ーーー

「なんだ今のは!?」

「最新の武器でしょうか!?」

「分からん!ええい!お前たち!怯んでないで攻撃を続けろ!」

しかし、竜騎士達は下から聞こえる発砲音と共に落ちていく。

 

「一体何なんだあれは!?」

「まさかあの国に新兵器を開発する能力と金でもあったのか!?」

2人は顔面蒼白の状態で下の減りゆく味方を見ていた。

「・・・ありえん・・・ありえんぞぉぉぉぉぉぉぉ!」

「団長!」

団長は伊404めがけて突っ込み始めた。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

そして片手に持っている杖で魔力弾を作り放とうとした。

 

ーーー伊404---

『急接近する物体有り!本艦直上だよ!』

「機銃掃射!」

『了解!』

格納庫上に取り付けられた機銃が真上を向き火を噴いた。

大量の薬莢を捨てる金属音と機銃の発砲音が響く。

そして銃弾は迫り来る竜騎士の頭を打ち抜いた。

頭が吹き飛び、放とうとした魔力弾がその場で暴発し、空中で爆発した。

そして竜の体のパーツや騎士の胴体が空中から降ってきた。

 

ーーー残った騎士ーーー

「・・・あ。ああああああ・・・」

彼は恐怖で何も言えなかった。

そんな事とはお構いなしに彼にも銃弾が襲ってきた。

 

そして彼の乗る竜の体を打ち抜いた。

 

彼は落下し、他の仲間と同じように水面にたたきつけられ、死亡した・・・

 

 

ーーー伊404---

『空中に脅威なし!』

「戦闘終了!セーフティーロック!」

『セーフティーロック!お疲れさまでしたー!』

武器に安全装置をかけ、戦闘終了をつげ、艦内が明るくなると春樹は大きくため息をついた。

 

 

 

 

「覚悟はしていたが・・・・やはり少しきついモノじゃな・・・」

 

 

 

春樹は椅子の背もたれを倒し、大きく伸びをしてぼやいた・・・

 

 

 

 

 




今回は少しグロテスクかつマニアックにしました!
(あんまりグロく無くないか?分かりにくいし・・・By卓也)
それは言わないで!

という訳で次回 後始末です!

意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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22話 後始末っていつも大変だよね・・・

戦闘後、春樹だけでなく卓也たちも巻き込んだ後始末が襲い掛かる・・・


ーーー駆逐艦レヴィーラーーー

伊404による戦闘が終わり、辺りは波と機関音だけが響き渡る。

「なん・・・だ・・・あれは」

レヴィーラの艦長タルカは唖然としていた。

そして横にいる副長のレイムも信じられないという顔をしていた。

「あれは・・・敵なのでしょうか・・・」

「敵だったら俺たちを狙ってくるはずじゃないのか?」

「ではあれは味方なのでしょうか・・・」

「分からん・・・しかし助けられたとはいえ相手は不明艦だ」

タルカはマイクを持ち、伊404に呼び掛けた。

「そこの不明艦!直ちに武装を解除し、機関を停止させろ!」

伊404は大人しく機関を停止させた。

「・・・やけに素直に従うな」

「助けてくれるような船です。きっと悪い集団ではないと思いますよ」

「どうだか・・・近づいたところを殺られる可能性だってある。警戒を怠るな」

「了解」

「取り敢えず本部に連絡せよ。あと僚艦に指示を出す」

タルカは少し不安を抱きながら僚艦へ連絡する。

「駆逐艦レヴィーラより駆逐艦レントル。不明艦に接近し、拘束せよ。」

すると駆逐艦レントルから返信がくる。

『レントル、了解』

「接近する際は警戒を怠らないように」

『了解です』

 

ーー駆逐艦レントルーーー

「さてと・・・相手はどんなのかな?」

レントル艦長、リカ・ツルージはワクワクしながらも、軍人として警戒しながら近づいた。

リカは、軍の中で唯一の女性艦長である。

そのためか、レントルの乗組員の4割は女性だ。

「艦長・・・楽しみなのはわかりますがあまり気を抜かないでくださいよ?相手は一応不明艦なんですから・・・」

副長アンジェリカは溜息をつきながらリカに忠告した。

「分かってる分かってる!その為に砲をちゃんと向けているじゃないの!」

「はいはい・・・」

そう言って前に向き直った。

その視線の先には伊404があった。

(見たことのない形状をしているわね・・・なんか細いし兵装は少ない・・・しかし威力は化け物・・・)

アンジェリカは報告書に書いていく。

(それに艦橋部分が小さい・・・左右に文字が・・・『I404』・・・?)

 

程なくして伊404の横にレントルが着いた。

 

ーー伊404---

「さすがに見逃してはくれんか・・・」

『ですね・・・何しろ盛大に暴れてしまいましたからね』

「ほとんどわしは指示を出していただけじゃがな・・・」

『共犯じゃないですかーマスター!』

セレナはブーっと言わんばかりに頬を膨らませて不機嫌アピールをしていた。

「さて・・・マニュアルモードに切り替えるぞ。しばらく大人しくしておいてくれ」

『はーい・・・』

セレナは不機嫌そうに画面から消えた。

「さて・・・外に出るかのぅ・・・」

春樹は操縦室を出て通路を進み、梯子を昇って外に向かった。

そして重いハッチを開けて外に出た。

 

ーー駆逐艦 レントルーーー

「誰か出てきたよ!?」

リカは声を上げた。

「そうですか・・・ん?1人?」

アンジェリカは疑問に思った。

(なぜ一人だけ出てきたの?ほかの乗組員は?)

様々な疑問を浮かべながら甲板に降り、お互い話せるところまで近づいた。

 

こうして軍と初めて接触した。

 

「私はビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル副長アンジェリカ!」

「私は潜水艦伊404艦長、辻春樹じゃ」

 

春樹は自信満々に挨拶した。

「潜水艦?所属と航行目的は?」

「特にないな・・・」

アンジェリカはその回答に唖然とした。

「・・・と言うと?」

アンジェリカの質問に春樹は当然のように言った。

「この艦は個人所有物であり、軍属ではない」

「ではあなた達はどこから来たの?」

「さぁな・・・」

アンジェリカは再び唖然とした。

しかし気を取り直し、こう言った。

「取り敢えずあなた達には恩があります。しかしあなた達の艦はなかなかの戦闘能力を有していると見受けられました。ので一時身柄を拘束させて頂きます」

「了解じゃ。しかし大破したそちらの二隻は航行できるのか?」

春樹は少し不安そうに聞いた。

しかしアンジェリカは何も言わなかった。

「と、取り敢えず係留ロープで船体を固定します」

そう言ってロープを伊404の甲板へ投げてきた。

春樹はそれを船体に括り付けた。

 

括り付けたのを確認したアンジェリカは艦橋へ指示を出した。

やがてレントルはゆっくりと動き出した。

そしていつの間にか航行不能になった2隻にもロープが繋がれており、ゆっくりとひっぱられている。

春樹はこっそり端末を操作し、卓也たちに連絡を入れた。

 

 

 

ーービロテノス王国 ルニマール港町ーーー

ここはルニマール港町。

首都からは南門を出てすぐの町だ。

卓也たちが首都に向かっている最中に軍艦を見た町である。

そしてここには卓也たちが拠点として借りた物件がある。

「カギはあるんだよな?」

「あるよ。アリヤートからもらっといたんだ~」

卓也たちは借りた物件に向かっている最中であった。

「書類はまだ申請中だけどな・・・」

「でも内緒話する位だったら大丈夫だよ!」

「そうだけどさ・・・ん?」

その時、腕に付けた端末が着信音を立てた。

「何だ?メールか・・・」

こうきは内容を確認し、硬直した。

「どうしたのこうk・・・」

ベレッタも内容を見るなり硬直した。

「どうしたんだ?2人そろって」

「ん?」

タカはこうきの画面を見て顔を青くした。

「・・・仲間が一人軍隊に捕まったみたい・・・確か春樹って人・・・」

「・・・え?」

「それで今日の夕方に港に着くから来てほしいだって・・・」

卓也はハンドルを握ったまま硬直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの後の展開など、だれも予想もしたくなかったのであった・・・

 

 

そう、したくなかったのである・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 




したくなかったんd・・・ry
(うるさいんじゃ・・・By春樹)


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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23話 捕まったけどどうされるんじゃ?

ついに伊404が入港してきます
そして捕まった春樹は一体何をされるのか・・・


ーービロテノス王国 ルニマール港町 仮物件ーーー

「んで春樹は捕まって夕方には入港するんだな?」

卓也はメールの内容を確認していた。

「しかしなんでばれちゃったんだろう?」

「確かあの艦って潜っていればそう簡単には見つからないはず・・・」

「それにこの世界にはその艦の様な水中を進める船なんて無いからね・・・」

「「「「うーん・・・」」」」

4人は見つかった原因を考えていた。

 

 

「取り敢えず本人に何があったのかを聞くか・・・」

「そうだね・・・」

4人は夕方を待った。

 

 

そして時刻は午後5時を回った。

「そろそろ行ってみるか!」

「そうだね!」

「もう来てると良いんだけど・・・」

4人は港に向かった。

 

 

 

 

 

港には昨日とは違い、殆どの駆逐艦や巡洋艦の様な軍艦が出ており、静かになっていた。

4人は車から降りて桟橋に立っていた。

「まだ戻って来てないな・・・」

「そうだな・・・」

「もうちょっとかな?」

「うん・・・」

3人は待った。

 

 

 

 

 

 

 

2時間は待った・・・

 

 

 

 

 

3時間・・・

 

 

 

 

 

「なんで来ないんだよ!」

卓也は地団駄を踏んだ。

港は闇に包まれ、灯台の明かりだけが見える。

しかし一向に春樹の来る気配はない。

それどころかここ数時間は一隻も港に入って来ていない。

3人は待ち疲れていた。

ベレッタは来ない事に不安を感じていた。

そして端末が鳴る。

「ん?・・・」

「どうした?卓也?」

こうきが端末の画面をのぞき込む。

そしてみんなも見る。

そこにはこう書かれてあった

『すまない・・・・明日の夕方じゃった・・・あとお前たちが陸にいることを話してしまった。大丈夫じゃ。城に侵入したことは言っとらんから』

「「「・・・」」」

こうき達も何も言えないような表情を浮かべた。

「・・・取り敢えず拠点に戻るか・・・」

「そうだな・・・あとレクさんに連絡入れといて。暫く帰れそうにないって」

「了解」

卓也はこうきにレクに連絡を入れるように指示した。

「さて・・・帰るか・・・」

「「そうだな(だね)」」

タカとこうきは疲れた感じで伸びしながら車に向かって歩いて行った。

しかしベレッタは浮かない表情をして海の向こうを見つめていた。

「どうしたベレッタ?」

「「ん?」」

タカがベレッタがついてきていない事に気づき、振り返って聞いた。

そして卓也とこうきも振り返る。

「・・・大丈夫かな?・・・春樹・・・」

ベレッタは春樹が心配になり、不安を隠せないようだった。

その様子を見た卓也はベレッタの傍まで戻ってきた。

そしてベレッタを優しく抱きしめた。

「大丈夫・・・春樹はそんなに弱い奴じゃない・・・ずっと一緒にいた俺が保証するぜ」

ベレッタは卓也の言葉で泣き出した。

そして卓也はよしよしっと言った感じで頭を撫でる。

 

 

 

 

 

 

「・・・寝ちゃったな・・・」

「そうだね・・・」

暫くしてベレッタは泣き疲れたのか寝てしまった。

卓也はベレッタを抱っこして車へ歩き出す。

「取り敢えず後部座席に毛布敷いて置いたぞ」

「ありがとうタカ」

卓也は車に戻ってくると毛布の上にベレッタを寝かせ、タオルケットを掛ける。

「さて・・・帰るか・・・」

「そうだね・・・」

3人も車に乗った。

「そう言えばタカ。段々自分達の事分かって来たみたいだね」

こうきは嬉しそうに言った。

「う~ん・・・装備品とその各名称?みたいのはある程度覚えたけど・・・」

「そっか・・・」

「まぁ俺たちともだいぶ慣れてきたんじゃないか?」

卓也も運転しながら嬉しそうに言った。

「そうだね・・・昨日会ったばかりだけどもう長い事ずっと一緒にいる気がする!」

「そうか・・・」

卓也は満足そうに言った。

借物件(以降アジト)に着くと卓也はベレッタを元々置いてあったソファに寝かせた。

こうきは備え付けの電話でレクに連絡する。

電話番号は何かあった時の為に聞いておいた。

「・・・もしもし、こうきです」

『おぉ!こうきか!どうしたのじゃ?』

「レクさん・・・それが色々ありまして暫く帰れそうにありません」

『何じゃと!?大丈夫なのか!?一体何があったんじゃ!?』

「あまり詳しい事は言えませんが・・・いずれお話します」

『そうか・・・しかし無事でよかったわい・・・』

「ご迷惑ばかりおかけしてすみません」

『全然良いわい!・・・ん?どうしたチル?すまんちょっとチルに代わるわい!』

「はい・・・」

暫く無音が続き、突然に聞きなれた少女の声が聞こえてきた。

『こうきさん!どういうつもりですか!ちゃんと戻って来てくださいって約束しましたよね!?』

その声は今にも泣きそうな声で震えていた。

「あぁ・・チル・・・すまない」

こうきは何も言えなかった。。

その後軽く10分は話していた。

『それで・・・どうしたんですか?コアさん・・・ちょっとコアさんに代わりますね?』

「お、おぅ」

そして再び無音が続いた。

『あ!こうき君!久しぶり!』

「あぁ久しぶり」

『ちょっと突然で悪いんだけど卓也君に代わってもらえる?』

「あ、あぁ・・・いいけど・・・卓也ー!」

こうきは卓也を呼んだ。

「どうした?」

「コアちゃんが話があるって」

「こ、コアから?分かった」

こうきは卓也に受話器を渡した。

「もしもし?」

『卓也君!どうして私に何も言わないで出て行っちゃったの!?』

「それはだな・・・」

卓也は訳を話そうとしたら、それはコアに遮られた。

『言い訳は聞きたくないよ!それよりも・・・無事で良かった!』

怒った声から今度は泣いた声で話してきた。

『話で聞いてたよりも帰って来るのが遅かったから・・・何かあったのかなって・・・』

「あぁ・・・ごめんなさい・・・」

その後こうきと同様、10分は軽く話していた。

『・・・と言う事があったんだよ!』

「へぇ・・・」

卓也はコアからひたすら卓也たちがいない間の出来事について聞かされた。

『それじゃあそろそろ切るね!』

「あぁ・・・何かあったらまた連絡するな!」

『ちゃんと帰って来てね!絶対だよ!?』

「あぁ、分かってるよ!」

『それじゃぁお休み!』

「お休み」

電話を切り、卓也は床に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

午前10時頃、卓也とタカは町に買い物に出かけており、アジトにはこうきとベレッタがいた。

2人は元々置いてあったソファに腰かけ、のんびりしていた。

そしてそんなゆったりとした時間はタカと卓也が帰ってきた事により終わりを告げた。

「た、大変だ!伊404の事が新聞に載ってる!」

卓也とタカが息を切らしながら新聞を片手に帰ってきた。

「どうしたんだ!?」

こうきは息を切らした2人を見た後、新聞を手に取って読んだ。

そこにはこう書かれていた。

 

 

『不審船、この国の危機を救った!迫り来る敵竜騎士を撃ち落とした!』

「・・・」

「あとその船が今日の夕方に入港することまで書いてあるんだ!」

「もしや不審船って・・・」

「十中八九間違いない!だって特徴の所に・・・」

そう言って一部の文章を指さした。

そこにはこう書かれていた。

『形状は細長いボートのような形状で後ろ向きに見たことも無い砲が付いていた。小さな艦橋側面にはI404と記されており・・・』

「細長いマストが何本も立っていた・・・て完全に伊404じゃん!」

こうきは確信した。

「取り敢えず夕方まで待つか!」

「そうだね!」

 

4人は夕方まで待った。

 

 

 

 

そして時が流れてもうすぐ4時頃だ。

日は段々傾き、日没まで2時間ちょっと位だろうか・・・

「すごい人だかり・・・」

港には新聞で噂を聞いて一目見ようと集まった人達で埋め尽くされていた。

桟橋への入り口にはロープが張られていてそれ以上中へは入れないようになっている。

「何せ見たことも無い構造をしていたとなればそりゃね・・・」

「しかも国を救ったなんて書かれたら気になるだろ・・・」

卓也とタカはそんな事を言っていた。

「そわそわ・・・そわそわ・・・・」

ベレッタはこうきの足元でそわそわしていた。

 

 

 

 

 

 

「きたぞぉぉぉぉぉ!」

一人の男性が叫んだ。

港の入り口には駆逐艦が入港してきた。

「あれ?一隻だけ?・・・」

全員がざわめきだした。

 

 

段々駆逐艦が近づいてきた。

「・・・おぉぉぉ・・・」

縦に並んで航行していたため一隻に見えたが、艦後方にロープでつながれてその艦はいた。

 

 

 

新聞記事に記された通り、縦長い形状をし、後ろに向いた14cm砲、真ん中にある格納庫にその上に突き出た司令塔にはI404の文字が書かれている。

そして何と言っても目に引くのがその全長122mと言う大きな船体だった。

 

 

程なくして伊404は卓也たちの目の前の桟橋に係留された。

 

そしてハッチが開き、春樹が出てきた。

「春樹!」

ベレッタは春樹を見るなりロープを潜って走り出した。

「ちょっとベレッタ!?」

こうきはベレッタを追いかけた。

「もういいや!俺たちも行こうか!」

「そうだな」

卓也とタカもロープを潜って走り出した。

 

 

 

「春樹!」

「うぉっ!」

ベレッタは桟橋から甲板へ飛び移り、春樹に抱きついた。

「春樹!心配したよ・・・無事で良かった!」

ベレッタは泣きながらしがみついていた。

春樹は驚いた表情を浮かべていたがベレッタの頭に手を置いて撫でた。

「すまなかったのぅ・・・」

するとこうきと卓也とタカが来た。

「初めまして!新たに仲間に加わったタカ・コレーゼです!」

そう言って今朝こうきに教えられた敬礼をした。

春樹も敬礼で返した。

「わしはこのチームのリーダー兼この艦の艦長辻春樹じゃ!」

そしてニッと笑った。

 

暫くこうなった経緯について春樹から話を聞いた。

そしてここに来るまでにどんな事を話したかについても・・・。

 

「・・・という訳じゃ」

「成程・・・」

どうやら自分たちが異世界から来た事、この艦の能力、自分たちが上陸して何をしているかについては言わなかったらしい。

「つまりある程度はごまかしてあるぞ」

「助かったと言うべきか・・・」

「複雑だね・・・」

そんな感じで会話していた5人であった。

すると卓也はふと陸の方から二人の女性の軍人が歩いてくるのに気づいた。

「えぇっと・・・あなた達4人があの子の仲間さん?」

そう言って話しかけてきたのは少しあh・・・天然そうな背の低めの女性だった。

「はいそうですが・・・あなた達は?見た所海軍の方のようですが・・・」

「あ、申し遅れました。私、ビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル艦長リカ・ツルージです。階級は中佐です」

「同じくビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル副長アンジェリカです。階級は少佐です」

「俺は宮井卓也です」

「下川こうきです」

「ベレッタです」

「タカ・コレーゼです」

4人は敬礼した。

「丁度良かったです。5人には今から王城に来てもらいます」

「「「「「え!?」」」」」

「何でも王様から直々に話がしたいそうです~」

そう言いながらリカは髪の毛を指に巻き付けながら言った。

(こんなのが中佐で大丈夫なのか!?)

こうきは内心そんな事を思った。

(中佐よりも少佐の方がしっかりしてる・・・)

卓也もそんな事を思った。

「取り敢えずついて来てください」

5人は不安げな顔をしながらリカとアンジェリカについて行った。

 

 

 

 

 

その後どうなるのかは今の5人には知る由も無かった・・・




超絶長くなってしまいました!
あと・・・ようやくまともに港に着けました!


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24話 すみません。よく聞き取れませんでした

久しぶり(?)の投稿です!


5人は言われるがままに馬車に乗せられ、リカとアンジェリカに連行されていた。

馬車は2台あり、先導する馬車に5人を乗せ、後ろの馬車に軍人2人が乗っている。

こうきとベレッタはお互いの身を寄せ合い怯えていた。

卓也とタカは険しい顔をして警戒していた。

そして問題の春樹は平然と座っていた。

卓也はそんな春樹を見て言った。

「・・・冷静だな春樹」

「ま、まぁな・・・」

しかし冷静そうな見た目とは違い、声は怯えていた。

「・・・実は怖いのか?」

「ギク!!」

タカに尋ねられた春樹は体が縮こまった。

「ま、まさかそ、そんなわけはn「「あるよな」」・・・はい」

2人に言われて春樹は認めた。

「あ、なんか今日一番安心した・・・」

タカは安心したように溜息をついた。

「そうだな」

卓也も胸をなでおろした。

「し、しかし王様の前じゃぞ!?緊張しない方がおかしいではないか!下手な事喋った暁には首切りじゃぞ!?」

「それは・・・そうだな」

「なら下手な事喋らなきゃいいじゃん!」

「「タカ(お主)は単純で良いな!」」

タカの言ったことに春樹と卓也は突っ込んだ。

 

 

 

 

 

程なくして馬車は王城の門をくぐり、敷地に入った。

「あ、あぁ・・・とうとうこんな所まで来てしまったぞ・・・」

春樹は頭を抱えて唸り始めた。

「安心しろ!俺たちがいるじゃねぇか!」

卓也は春樹を励ました。

「そうだよ!なんかあったら俺たちがフォローするからさ!」

タカも励まそうとする。

「あぁ・・・わが優秀な助手たちよ・・・」

春樹は震える手で二人を抱きしめた。

 

 

敷地に入ってから約十分、馬車は王城の前に停まった。

「着きました。私たちについて来てください」

リカとアンジェリカに案内され、王城の中へと入った。

 

 

「この部屋に、陛下がおられます。それでは中へ」

そう言って案内された部屋の前には大きな扉がついており、5人は思わず見上げてしまった。

 

 

 

 

 

扉を開くと入り口から一直線にレッドカーペットが伸びており、その伸び切った先には二つの椅子が置いてあり、男の人と女の人が座っていた。

そして男の人が言った。

「よく来たな!少年たちよ!」

その男の人は特徴的な紫の髪に鋭い目をしていた。

頭には王冠をつけており、堂々とした態度でいかにも王様感が出ていた。

そしてその男の人の隣に座っている女性もティアラをしており、恐らく王女であると思われる。

女王の方も同じく紫色の髪をしており、しかし王のように目つきは悪く無く、優しく5人に微笑んでいた。

 

5人は何かを察したのか、敬礼した。

「お会いできて光栄であります!陛下!」

春樹は陛下に言った。

すると陛下は驚いたような表情を一瞬みせ、しかしすぐに微笑んだ。

「そなたたちにいくつか聞きたいことがある。なかなか面白い事をやってのけたみたいではないか」

5人は陛下に陛下の前まで来るように促された。

レットカーペットの両脇には兵士が並んでいた。

そしてその後ろには貴族と思われる人たちが5人を睨みながら座っていた。

 

 

 

 

「私はテノール・テザヴェル。この国の国王だ」

5人の敬礼を真似たのか、少し不格好であるが敬礼し挨拶してきた。

すると今度は隣の王女が名乗った。

「私はこの国の王女、ジャリヴァーヌ・テザヴェルです」

王女は軽く長いスカートを持ち上げ、お辞儀した。

そして流れ的に5人も名乗った。

「わ、私はこのグループのリーダー兼艦長の辻春樹じゃ」

緊張しながらも春樹が名乗った。

「宮井卓也です」

「し、下川こうきです」

「ベレッタです・・・」

「タカ・コレーゼです」

テノールは名乗った5人に微笑んだ。

「なかなか面白い!少年たちよ!気に入ったぞ!」

(何が面白いんだろう・・・この人)

こうきは若干疑問に思った。

しかし、そんな疑問に答えるはずも無く、テノールは話し始めた。

「さて君たちは我々の国の戦闘艦が襲われているところを助けてくれた。間違いないか?」

「はい」

テノールの質問に春樹が答える。

「では次。そなたたちの艦が一隻で15匹の竜騎士団を数分足らずで片付けたと言うのは?」

「はい・・・」

するとテノールはフッと笑った。

「そうか・・・面白い!そこでなんだが・・・我々の軍に協力してくれないか?」

「・・・はい?」

思わず春樹は変な声を上げてしまった。

すると横に座っていた貴族の一人が立ち上がった。

「陛下に向かって何て口の利き方をしているんだ貴様!」

「ひッ!」

春樹は怒鳴られて、一瞬飛びあがった。

驚いた春樹を見てテノールはハハハと笑った。

「まぁ良いではないか!」

「しかし・・・」

貴族の男は何かを言おうとしたが、黙って座った。

「それで、返事の方はどうなのかね?」

「・・・因みに協力と言いますと?」

「何、常に軍隊に協力しろという訳じゃない。ただ依頼された時だけでいい」

「・・・いいでしょう」

「「「「え?」」」」

春樹の答えに4人は驚いた。

「しかし一つお願いしてよろしいでしょうか?」

「なんだね?」

王様は表情一つ変えずに微笑んだまま訊ねた。

「我々に土地をくれませんか?」

するとさっきの貴族の男が立ち上がった。

「ふざけるな!貴様らにやる土地などないわ!」

「調子に乗るな!」

一人が主張したことにより、他の連中も騒ぎ始めた。

「たかが竜を数分で落とした位で!」

「俺たちの軍に勝てるとでも思っているのか!」

口々に飛んでくる言葉に卓也とこうきとタカは怒りを覚えた。

テノールは席から立ち上がり、右手を斜め上に掲げた。

すると貴族たちは騒ぐのをやめた。

「良いだろう!少年たちの要望を呑もうではないか!」

「陛下!」

「構わん。そなた達は口出しするな」

「う・・・」

貴族たちは黙って座った。

「それでは以上だ!解散!」

(((((え?なにこれ・・・)))))

そしてこの集まりはそれで解散となった。

 

 

 

 

 

「すまないな。貴族の連中が見苦しいものばかりで」

「いえ・・・大丈夫ですが・・・」

その部屋に残っていた5人にテノールとジャリヴァーヌが近づいてきた。

その二人に卓也が対応した。

「それで・・・少年たちはこれからどうするんだね?」

「そうですね・・・艦に戻りますかね?」

春樹が答えた。

「そうか。暫くはこの国にいるつもりか?」

「はい。むしろこの国に活動拠点を置くつもりでしたから」

「そうか・・・因みにどのような拠点を?」

すると春樹は自信満々に言った。

「何でも屋です!」

((((・・・すみません。よく聞き取れませんでした))))

「ハハハ!そうか!では困りごとがあればそこに行こうかね!」

テノールは嬉しそうに言った。

「さて、出口まで見送るぞ!」

 

その後テノールと色々話をしながら出口に向かった。

しかし、その時こうきだけはどこか浮かない表情だった。

 

「今日は済まなかったな!」

「いえ・・・こちらこそ」

「そしてこれから宜しくな!少年たちよ!」

テノールは馬車の所まで見送りに来た。

そして春樹と話していた。

その間に4人は馬車に乗った。

 

その時、こうきは気づいた。

(あれ?・・・何かに見られて・・・)

王城の2階の窓からじっと彼ら・・・否・・・ずっとこうきを見ていた少女を。

 

そしてその少女と目が合った。

少女は慌てて視線をそらした。

しかし耳元はリンゴの様に赤くなっていた。

こうきも同じく顔を赤くしていた。

「あれ?こうき。何で耳赤いんだ?」

「何かあったのか?」

卓也とタカに言われて、こうきは慌てた。

「な、なんでもない!」

「あれ?おかしいな~」

「一体何を見たんだ?」

2人はニタニタしながらこうきを問い詰める。

「正直にいってm・・・イタタタタごめんなさい!」

卓也はこうきに締め上げられた。

「全く・・・ん?」

「む~!」

そしてなぜか不機嫌なベレッタであった。

 

 

「さてわが助手たちよ!帰るぞ!・・・てあれ?」

 

 

何故か春樹は忘れられていたのであった・・・・

 




最近色々忙しかったのであまりあげられてませんでした!
そして忙しかったせいで・・・胃がぁぁぁぁぁぁぁ!

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25話 見られてはいけないものを見られた時の反応って一番難しいよね・・・

久しぶり(?)の投稿です


午前0時頃、静まり返った港町の一角。

海辺に面した土地に一人の男が潮風に煽られながら佇んでいた。

(・・・さてそろそろ始めるかのぅ)

そう言うと男は地面に手を置いた。

(完成図をイメージ・・・こんな感じかのぅ)

男は目を閉じて何かを念じるように手に力を入れた。

 

すると手をかざした所を中心に、青い光の線が伸びていった。

やがてその線は地面に大きな長方形を画いた。

横幅18m、奥行き130mの大きな長方形だ。

(イメージはこんな感じかな?・・・よし!これで行こう!)

男は目を瞑り手に力を入れた。

すると地面が青白く光り、変形した。

 

 

やがて、地面に深さ8mのドックが出来上がった。

(あとは建屋じゃな・・・)

そう言って再び地面に手を置いた。

すると今度はドックを覆うようにレンガ造りの建屋が完成した。

「・・・よし・・・これで404の整備がで・・・きる・・ぞ・・・バタッ」

そう呟きながらその男、春樹はそのまま建屋に寄りかかって眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー伊404---

朝日が顔を出し始めた午前4:30.

昨日春樹を除いた4人は王城から帰ってきた後、伊404で過ごしていた。

そして4人は甲板で朝の風を浴びていた。

「やっぱり朝はいいなぁ」

「そうだな・・・」

「春樹は嫌いだって言ってたな・・・」

「そう言えばそんな事言ってたね・・・・あれ?」

「「「「そう言えばあいつ(春樹)どこに行ったんだろう?」

彼らは春樹を置いて帰ってきたことに今更気づいたのであった。

「あとなんか景色少し変わった気がするんだけど・・・」

卓也は周りを見渡してある建物を指さした。

そこには昨日まで無かったレンガ造り建物を指さした。

「・・・無駄に大きいな・・・」

「・・・あんなに大きな建物一晩で作れるのかな?」

「「どう考えてもできないだろ」」

「取り敢えず行ってみない?」

「そうだな」

「決まり!」

4人はその大きな建物に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人は建物の真下に着いて、あるものを目撃した。

「・・・あれ春樹だよな?」

卓也は壁にもたれて寝ている春樹を指さした。

「間違いない・・・はず」

タカは不思議そうに言った。

「なんであんな所で寝てるんだろう?」

「さぁ?」

こうきとベレッタも不思議そうに言った。

「まさか死んで無いだろうな?」

そう言って卓也は春樹に近づき揺さぶって起こした。

「おい。起きろ~」

「・・・んぅ?」

春樹は眠たそうに眼を開けた。

そして状況を判断し跳ね上がった。

「お前達、いつからいた!?」

「今来たところだが?そしたらお前が寝てたんだ」

卓也が説明した。

「それで一体これはなんだ?」

タカが春樹に聞いた。

「よくぞ聞いてくれた!これは伊404の整備用のドックじゃ!外部からは中が見えないようにレンガ造りの壁で覆ったのじゃ!」

はるきは 自慢げに言った。

しかし4人の興味はそこではなかった。

「「「「一晩でこれを作ったの(か)?」」」」

「・・・え?」

春樹は気づかれてはいけない事に気づかれてしまったと焦っていた。

「さてこれはどう言う事かな?」

こうきにすごい笑顔で迫ってきた。

「えぇっと・・・これはじゃな・・・」

そう言って春樹は説明し始めた。

 

 

 

「・・・という訳なんじゃ・・」

「つまり・・・」

「ただ能力を使って作ったという事か?」

春樹はうなずいた。

すると4人ははぁっと溜息をついた。

「そうならそうと言ってくれれば良かったのに・・・」

「隠す必要ねぇじゃん」

卓也とこうきは口々に言った。

「・・・え?」

春樹はきょとんとしていた。

「誰もわしを怖がったりせんのか?」

「何故そう思う?」

タカが不思議そうに聞いた。

「だって一晩でこんなのを作ってしまうような奴じゃぞ?」

「それだけだろ?じゃぁ怖がる理由ねぇじゃん!」

そう言ってタカは春樹に微笑んだ。

「うぅ・・・さすがわが助手よおぉぉぉぉぉ!」

そう言って4人に抱き着いた。

「「「「いつからお前(春樹)の助手になった!?」」」」

「この世界に来てからじゃあぁぁぁ!」

 

 

 

 

こうして5人はこの世界で新たな一歩を踏み出したのだった

 




うーん終わり方が微妙です・・・"(-""-)"
それにまだまだ文才が・・・


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初依頼
26話 ミッションコンプリートと初依頼


午後13:00:頃。

5人は喫茶ドルフィンの前にいた。

「なぜか・・・入りづらい・・・」

「だな・・・」

こうきと卓也は入ろうとドアノブに手を添えているが、一向に開けようとしない。

「どうしたのじゃ?入らんのか?」

春樹が後ろから声をかけてきた。

「いや、決して入りたくない訳じゃないんだ。ただ・・・」

「暫く僕達顔も出していなかったから少し気まずいんだよ・・・」

「そうか・・・」

そう言って春樹は なんの躊躇いも無くドアを開けた。

「「!?」」

「すみませーん」

そして店内に入る。

「いらっしゃいま・・・」

店内からは少女が声をかけてくるが、5人の集団を見るなり固まった。

否、正しくは5人の中のある人物を見て固まった。

それはこうきであった。

「・・・こ・・・こうきさん!!」

「うお!?」

その少女、チルは目に涙を浮かべながらこうきに飛びついた。

「「え?」」

何の事情も知らない春樹とタカは状況に頭の処理が追い付かなかった。

そして店の奥からももう一人の少女が顔を覗かせた。

「どうしたのチルちゃん・・・って!」

店の奥にいた少女、コアも卓也と目が合うなり目に涙を浮かべながら卓也に抱き着いた。

「卓也君!・・・ウグッ・・・帰ってきた・・・グスッ」

「ちゃんと帰ってきたよ・・・ただいま」

卓也はコアの頭を撫でた。

「「!?」」

その光景にさらに思考が遅くなる春樹とタカであった。

そして店の奥からマスターのレクが出てきた。

「おぉ・・・無事帰ったか!おや?初めて見る顔がおるのぅ」

そう言ったレクは春樹とタカを見た。

卓也とこうきは一旦チルとコアを離れさせた。

「無事、帰還いたしました」

卓也とこうきとベレッタはレクに敬礼した。

レクも3人を見て敬礼した。

「無事戻って来て何よりじゃ。所でそこの2人は?」

「申し遅れました。私はこのチームのリーダーを務める辻春樹と申します」

「タカ・コレーゼです」

そう言って2人も敬礼した。

「わしはレク・カミフレンじゃ」

「孫のチル・カミフレンです」

「コア・ホクウェルトだよ」

全員が自己紹介をした。

「所で、一体王都では何があったんじゃ?」

「私もそれが気になる!」

「私もです」

3人は興味深々で聞いてきた。

卓也は春樹に耳打ちした。

(もう話してもいいよな?)

(この人達なら問題はないじゃろう。それに隠してても仕方ないわい)

(了解)

卓也はこうきの方を向き、アイコンタクトを取った後、再びレクたちの方へ向き直った。

「今から俺たちについて話したいと思う。あなた達には色々お世話になったし、これからも良い関係でありたい。そんな意味も含めて俺たちについて話したいと思う。信じられれるかどうか分からないけど、話そう。包み隠さず」

そう言って卓也は話した。

 

自分たちの正体。

 

伊404の存在。

 

王都での出来事。

 

 

 

 

 

すべて話終えた頃には日が暮れていた。

「・・・という訳なんだ」

店内の空気は重かった。

「成程・・・ん?」

レクはふと何かを思い出した。

「もしや昨日の新聞の記事のこれって・・・お主らの事か!?」

レクはさっきとは違った表情で嬉しそうに聞いてきた。

その記事は不審船扱いの伊404の記事であった。

「恐らく・・・」

するとレクは5人を抱きしめた。

「お主らはこの国を守ってくれた・・・ありがとう!」

レクはそう言ってより一層強く抱きしめた。

(((((くっ苦しい!!)))))

その後、5人は一晩はここに泊ることになった。

春樹とタカも、すっかり喫茶ドルフィンメンバーとも仲良くなった。

そしてレクと春樹がカウンターで話していた。

「ところでお主ら今後どうするんじゃ?」

「そうですね、予定では港町を活動拠点としてなんでも屋を開くつもりです」

「そうか・・・では初依頼を頼もうかのぅ・・・」

「初依頼ですか?」

春樹は嬉しそうに聞いた。

「そうじゃ。と言ってもある物を隣の国から買ってきてほしいというものじゃがな」

「構いません。それである物とは?」

春樹は興味深そうに聞いた。

「コーヒー豆じゃ」

「コーヒー豆ですか?」

「そうじゃ。これを5袋位じゃ」

そう言って注文書を渡してきた。

「この紙を販売店に渡せばいいはずじゃ」

「分かりました。この依頼、引き受けます」

「頼んだぞ。あとこれが前金じゃ」

レクは春樹に5万ピックを渡してきた。

「こ、こんなに!?」

「安いもんじゃろこんなの?」

「ま、まぁありがたく受け取っておきます」

「フォッフォッフォ。初依頼としては良かったんじゃないかのぅ!」

レクは嬉しそうに言った。

その後、レクと春樹は仲良く話していた。

 

 

 

そんな風に夜は更けていった。

 




(話滅茶苦茶じゃね?Byタカ)
言うなバカ!気にしたら負けです!



意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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27話 まともな出港

夏とは思えない程の涼しい風が吹き、心地よい朝を告げる午前6時。

喫茶ドルフィンの前にはジープが一台止まっていて、整列する5人の少年少女は、マスターのレクとその孫のチルと泊まり込みのコアの3人の前に整列していた。

「この度はお世話になりました」

卓也がレクに深々と頭を下げた。

「いいんじゃ。わしはお主らと過ごして楽しかったわい。何、またいつでも遊びに来てくれ。孫娘たちが喜ぶわい」

そう言ってフォッフォッフォと笑った。

「卓也!今度は私たちがそっちに遊びに行くよ!」

「こうきさん。寂しかったらいつでも電話してください」

コアとチルは元気よく、しかし少し寂しそうに言った。

「あぁ。少し遠いかもだけど待ってるよ」

「うん。分かったよ」

卓也とこうきも二人に答えた。

「さてそれでは我々は行きます。お世話になりました」

卓也は気を入れ替えてシャキッと立ち、レクたちに向けて敬礼した。

それに合わせて4人も敬礼した。

レクはゆっくりと敬礼して応えた。

 

タカとベレッタが車に乗り込み、春樹が乗ろうと乗降用グリップに手を掛けた時、レクに呼び止められた。

レクは紙を春樹に渡した。

「依頼状じゃ。それでは頼んだぞ。必ず戻って来てくれ」

レクはそう言って微笑んだ。

しかし春樹はその時、必ず戻って来てくれの意味が分からなかった。

「大丈夫です。必ず戻ってきますから」

春樹はフフフと笑って言った。

そして車に乗り込み、ドアを閉めた。

 

そして卓也とこうきも車に乗り込むべく、それぞれ運転席側のドアと助手席側のドアを開けた。

しかし二人ともお互い別々の人物に呼び止められるのであった。

「卓也!」

「こうきさん!」

チルとコアであった。

そしてチルはこうきに、コアは卓也に抱き着いた。

 

「「な!?」」

車内で思わず春樹とベレッタは声を上げた。

そしてタカは微笑んでいた。

「青春だね~」

 

チルとコアは抱き着いたまま、胸元に顔を当てながら言った。

「「また、来てね(ください)!待ってます」」

そう言って顔を見せることなく、逃げるように離れていった。

しかし二人の耳は、林檎のように赤かった。

卓也とこうきはその二人をみて微笑み、乗り込んだ。

 

エンジンがかかり、車はゆっくりと走り出した。

5人はレクたちに手を振った。

「なんかコセラーム村を離れる時を思い出すな~」

「そうだな」

卓也とこうきは懐かしそうに言った。

後ろの状況を知らずに・・・

 

 

後部座席ではどす黒いオーラで満たされていた。

「何故だ・・・何故私だけ少女に恵まれないんじゃ・・・」

春樹は頭を抱えてブツブツ同じ言葉を連呼していた。

一方ベレッタは助手席に座るこうきに冷たい視線を送っていた。

どす黒いオーラを発しながら・・・

 

 

しかしその空気はタカの一言で消えた。

「そう言えば春樹。レクさんから何を受け取ったんだ?」

すると春樹はさっきとは一転し、ふっふっふと笑った。

「聞いて驚け助手たちよ!初依頼をもらってきたぞ!」

春樹は嬉しそうに言った。

「「「「お~!」」」」

卓也が聞いた。

「依頼内容は?」

「隣の国・・・とは言ってもわしらのいた地球規模で考えたら軽く地球3周半位離れているらしいんじゃが隣の国のカスタエル王国からコーヒー豆を買ってきて欲しいらしい」

「無駄に遠いな・・・」

「この世界の船で半年はかかると言われたんじゃ。しかし我々にとっては・・・」

そこまで言うと全員がニヤリとした。

「3か月あれば十分往復できる・・・」

卓也がそう答えた。

春樹もニヤリとした。

「・・・その通りだ」

「アジトに着いたら出港準備じゃ!あと食料も積んでおいてくれ!」

「「「「了解!」」」」

ジープは大通りを港に向けて走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジトに着いた5人は早速中へ入った。

因みにアジトの一階には事務所のようになっていて応接用のソファに机、木製の衝立などが置いてある。

2階は生活できるような設備が整っており、シャワーまでついていた。

「なんかアジトと言うより事務所じゃな・・・」

これを機にここは事務所と呼ばれるようになった。

「それに艦からの距離も近いし良い所じゃな」

「探すのに苦労したぜ」

「嘘つけ・・・」

「う・・・」

卓也は自信満々に言ったが、こうきに言われ表情を曇らせた。

「さて、一階はこのまま事務所として使おうかのぅ・・・」

「だな」

そんな会話をしつつ、出港の為に荷物を纏めていた。

 

 

 

 

そして事は突然に起こった。

「来たぞ!若き旅人たちよ!」

「「「「「え!?」」」」」

突然に王であるテノールが入ってきた。

「君たちに依頼を持ってきてやったぞ!初依頼だ!喜ぶが良い!」

「は、はぁ・・・」

卓也はテノール王から一枚の紙を受け取った。

「今から荷物と手紙を隣の・・・と言っても遠いがカスタエル王国の王、ユーキール・イート1世に届けて欲しい」

「りょ、了解です・・・」

少し戸惑いながら紙を再び見た。

(報酬が500万ピックって高いな・・・それにしても仕組まれてるのか?偶然か?」

「ん?何か言ったか?」

「あ、いえ・・・」

卓也は思っていた言葉が口に出てしまい、聞かれたと思い慌てた。

しかし運良くも聞かれいなかった。

「あ、あと前金としてここに50万ピック置いていく」

「「「「「ご、50万!?」」」」」

5人は驚いた。

「なぁに君たちに託すんだ。この位安い方だと思うが?それでは頼んだぞ!あと荷物は港に置いておいたぞ!」

そう言って立ち去って行った。

「何なんじゃあの人は・・・」

「・・・分からない」

「緊張した・・・」

「心臓止まるかと思った・・・」

「ノックぐらいしてほしいな・・・」

5人はそれぞれ感想を言いつつも、荷物を纏めた。

 

 

午前10:30頃、荷物を纏め終え、車に積み込む。

「・・・と言っても目の前なんだけどね・・・」

こうきは笑いながら溜息をついた。

「まぁ良いではないか!結局車ごと積むんじゃ!一つ一つ運ぶより楽じゃろ!」

そう言って春樹はフフっと笑った。

 

 

卓也はジープに乗り、桟橋に向かった。

桟橋に行くと、伊404がいつものように浮かんでいた。

しかし、その横には大きな木箱が1つ・・・いやもう一つあった。

大きな箱は車一台分の面積に高さはこうきの身長位の物だった。

そして小さい方は人一人入れる位のものだった。

「この小さい方も届けるのか・・・」

卓也は木の箱を睨んだ。

(一体何が入っているんだ?・・・まさか人質!?・・・まぁある訳ないか)

卓也は何も考えないようにして艦に乗り移り、格納庫のロックを解除し開けた。

中には車が2台分余裕で積めそうなスペースと奥の方にビニールシートで覆われた大きな物体が二つ並んでいた。

(何だか一個増えてないか!?)

卓也は気にしないようにした。

そして、次にやって来たタカに積み込み方を教えつつジープをクレーンで吊り上げて積み込み、木箱二つも積んだ。

そしてワイヤーで固定する。

「・・・っとこんなものかな?」

たるんだワイヤーをきつく締め、動かないようにした。

そして格納庫の扉を閉めてロックを掛ける。

「・・・よし!完了!」

「お疲れ~!」

卓也とタカは手をパンパンと叩いて埃を払った。

全ての物を積み終えたのと同時に春樹達3人もやって来た。

「積み込み終わったようじゃな?よし!各員配置に着け!」

「「「「了解!」」」」

春樹の指示により、全員が配置に着いた。

司令塔にはベレッタが立ち、双眼鏡を首からぶら下げていた。

艦内の操縦室には、操縦席に卓也、そしてその隣の武器関係の操作を行う席にはこうきが座った。

そして機関室にはタカがいた。

春樹に説明を受けながら操作していた。

「そしてこのスイッチを押すと、艦のシステムをすべて起動できるんじゃ。早速やってみよう」

「了解」

春樹に指示され、タカは言われた手順通りにスイッチを押した。

すると、機関室にあるタッチパネル式のコントロールパネルのディスプレイに起動したことを知らせる文字とセレナが現れモーターが動くような音がした。

「よし!あとは操縦室にいる卓也たちがやってくれるはずじゃ!」

タカは目を輝かしていた。

「・・・すっげぇ!」

『驚くのはまだ早いですよ新米さん!この艦のシステムこそ最新テクノロジーなんですから!』

「え?」

タカは画面上に浮かぶセレナが話を聞いていて、さらには返答までしてきたことに驚いた。

「は、春樹!画面の向こうの女の子がしゃべったよ!」

『あ、申し遅れました。私はこの艦のシステムと乗組員をサポートしますセレナと言うものです!』

「お、俺はタカ・コレーゼです!」

『ではタカでよろしいですね?では早速ですがこの艦について話しましょう!』

「お、ではあとは任せて大丈夫じゃな?」

春樹はセレナに聞いた。

『任せてください!』

そう言ってタカに説明を始めた。

そして春樹は機関室を出た。

 

 

 

「電圧チェック、発電量チェック、バッテリーチェック、ダメコンチェック異常なし。各種計器異常なし」

操縦室では各種のチェックなどを行っていた。

卓也は機関始動の為に状況を確認していた。

「動力接続なし、モーター接続無し、スターターモーター始動確認、異常なし」

そして手元のスイッチを操作し始めた。

「始動用バッテリー充電完了、動力ニュートラル、各種電源オン、始動準備完了、オールグリーン」

卓也はふぅっと溜息をついた。

そしてその横ではこうきが準備していた。

「レーダーシステム起動、IFF起動、ソナーテスト、異常なし、武器安全装置確認、異常なしオールグリーン」

それぞれ作業していると、操縦室のドアが開いた。

「機関始動!出港用意!」

「了解!機関始動!」

卓也は手元のボタンを押した。

するとけたたましいタービンの音がした。

「スラスター起動!」

「了解!」

船体は桟橋からゆっくりと離れた、そしてある程度距離が開いた。

『離岸確認』

ベレッタの声が艦内放送で響く。

「よし。そのまま180度回頭!」

船体は港の出口を向く。

「出港!」

歯車がかみ合う音がし、卓也はスロットルレバーを前に倒す。

すると、タービンの音が上がった。

 

 

 

 

 

船体は港の外に向けて進みだし、タービンの唸り声をあげながら港を後にした。

 

5人は甲板に出て港の方を向いて、敬礼した。

 

「必ずや戻ってきます」

 

全員が同じ思いをしながら、艦はカスタエル王国に向けて針路をとった

 




あかん・・・文才が・・・

そして筋肉があぁぁぁぁ!

はい、久しぶりの投稿でした!
あとちょっと距離とか適当過ぎたので一部直しております。ご了承ください。


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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28話 旅の仲間が増えた

久しぶりです皆さま

・・・前略


・・・中略




・・・後略!

それではどうぞ
(おいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!By卓也)


カスタエル王国とは、ビロテノス王国から北に6000km北上した所にある中国位の面積の国だ。

人間からエルフまでいろんな種族が共存している。

ビロテノス王国よりも国の歴史は長く、国としての権力も強く・・・。

 

 

 

「・・・発展途上国を襲っては植民地とし、国土を広げている。らしい」

ビロテノス王国を出て3日、伊404は針路を北にとり、順調にカスタエル王国を目指していた。

そして、ひたすら一直線に北に向かっている為、操縦室では操舵手の卓也は暇を持て余していた。

そこで卓也は城内で入手した資料を読んでいた。

「つまりカスタエル国はそこそこ強いって事だね?」

こうきはレーダーを見ながら聞いてきた。

「そうだな・・・ん?前方に感有り。距離20km。ってあれ?」

こうきは首を傾げた。

「どうしたこうき?」

卓也がこうきに尋ねた。

「・・・前にいる艦・・・たしかレントルとか言う駆逐艦じゃない?」

そう言って操縦席天井に備え付けの大型ディスプレイに出した。

そこには一隻の駆逐艦が自分たちの方に向かってきていた。

「確かにあれはこの前見た駆逐艦じゃな・・・それに私が捕まった艦じゃ・・・」

春樹は捕まった時の事を思い出したのか、少し震えていた。

『ねぇ、前方の駆逐艦から手旗信号来たけど・・・』

丁度司令塔で見張りをしていたベレッタがレントンからの手旗信号を確認した。

「相手はなんと?」

『貴艦は速やかに停船し、航行目的を報告せよ・・・だって』

「・・・なんと・・・小娘共が・・・」

春樹は黒いオーラを放ちながら呟いた。

「で、どうする?」

卓也は春樹に聞いた。

「大人しく従っておくか・・・機関停止!ブレーキオン!」

「了解!機関出力下げ!両舷停止!」

『了解!機関停止!』

卓也が出力を下げ、タカは機関を停止した。

「メイン電源は再起動時に備えてオンの状態にしておいてくれ」

「了解」

「こうきは攻撃目標をあの艦に設定、いつでも攻撃できるように設定しておいてくれ」

「了解!」

「それではわしは甲板に出ておるからここは任せたぞ」

そう言って春樹は操縦室を出て甲板へ向かった。

 

 

 

 

ーーーー伊404甲板ーーーー

数十分後、駆逐艦レントンは伊404の左舷に停止した。

「・・・また会うとはな・・・アンジェリカ」

「お、お久しぶりです・・・春樹さん」

レントン中央甲板に立つアンジェリカに春樹は面倒くさそうな視線を送った。

しかしアンジェリカは顔を赤くして春樹の視線に気づいていない。

(面倒くさいからさっさと終わらせよう・・・)

「それで私たちを止めた理由をさっさと説明してくれんか」

「っは!そうでした!あなた達!ここから先カスタエル王国領土になります!貴艦の航行目的を説明してください!」

(やっぱりそれか・・・)

「はぁ・・・王様から頼まれた手紙と物を隣の王様まで届けるんじゃよ。ほら」

そう言って春樹は王様から受け取った通行関係の書類を見せた。

「ふむふむ・・・確かに確認した」

「確かに間違いないわね・・・」

すると後ろからリカが現れた。

「か、艦長!」

「では我々が護衛いたしましょう」

リカは満面の笑みでそう言った。

(別に必要ないんじゃが・・・)

「いや結構j「護衛いたします」・・・了解じゃ・・・」

(断ったところでこの小娘共にエンドレスに言われ続けられるんじゃろうな・・・どっちをとっても面倒じゃ)

こうして春樹は(渋々)リカたちの提案に乗ったのであった。

 

ーーーー駆逐艦レントルーーーー

「良いのですか!?艦長」

「いいのいいの!だってあの人達陛下のお気に入りでしょ?それに私としても興味があるし!なんてたってあの艦の操縦士の卓也?だっけ?あの人にすっごく興味あるもん!あなただってあの艦の艦長に興味あるでしょ?」

リカは嬉しそうに話していた。

「まぁ・・・気になりますけど・・・好きじゃ・・・ないですし・・・」

そう言いながらアンジェリカは頬を赤くした。

「ならいいじゃん!総員!これより護衛任務に就く!各員配置に着け!」

『了解!』

レントルの乗員たちはそれぞれの配置に着いた。

 

 

 

 

ーーーー伊404----

「・・・という訳じゃ・・・」

春樹は艦内に戻り、卓也たちに外でのやり取りを話した。

「成程な・・・」

「・・・少し面倒だね・・」

『しかし、護衛についてくれるのはありがたいんじゃないか?』

「まぁ確かにそうなんじゃが・・・」

春樹たちは少し面倒くさそうに感じていた。

 

しかし・・・

 

「「『『「まぁ・・・いっか!!」』』」」

『良いんですかぁぁ!?』

 

セレナがびっくりする中、5人はこの問題をこの一言で片づけて何事も無かったように配置に着くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

こうして伊404は駆逐艦レントルを引き連れてカスタエル王国領海へと入って行った

 

 

 

 

 




部活の6月の休みが無さ過ぎて茂りそうです・・・
(茂りそうって何だよ・・・Byタカ)
茂りそうとは禿げそうの反対です・・・



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最後まで読んで頂きありがとうございました!


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29話 トラブル発生!?

久々の投稿です



また・・・夏が・・・く・・・る・・・バタップシュゥ・・・






それでは・・・ど・う・ぞ・・・カクッ


レントンと合流した日の午前0時過ぎ、伊404はオートパイロットモードに入り、洋上を25ノットで航行し、その後ろを駆逐艦レントンが同じ速度で付いて来ていた。

そしてその周辺には何もなく、ただ黒い海が広がっていた。

 

 

そんな状況で、伊404で事件は起こった。

 

 

 

『緊急事態発生!格納庫に不法侵入者あり!至急対応されたし!』

艦内に緊急を知らせるブザーと、セレナの艦内放送が流れ、全員が跳ね起きた。

「何事じゃ!?」

春樹は突然の事に驚き、通路に飛び出した。

「格納庫に不法侵入者だってよ!」

卓也はすでに銃を握って通路に飛び出して、春樹に言いながら格納庫の方へと走って行った。

 

 

 

 

ーーー伊404 操縦室ーーー

春樹は取り敢えず操縦室に急ぎ、格納庫内の状況を監視カメラで確認した。

カメラの映像が液晶ディスプレイに映し出された。

そこには格納庫内のジープ等の艦載機器と国王から預かった荷物が映し出された。

しかし、格納庫扉が破壊されたり開けられた痕跡も無ければ警備システムも正常に作動しており、異常などどこにも無かった。

「一体何処から?・・・ん?」

春樹はどこから侵入したかを考えていると、王様から預かった荷物に目が行った。

荷物は二つあったが、一つの人が一人やっと入れる位の大きさの木箱が開いており、倒れていた。

「な・・・まさか!」

春樹は急いで艦内放送マイクを掴み、マイクのスイッチを入れた。

「不法侵入者はスパイの可能性がある!絶対に艦内に入れるな!なんとしてでも捕り抑えるんじゃ!」

『『『了解!』』』

無線機から卓也とこうきとタカの声が聞こえた。

 

 

ーーー伊404 艦内側格納庫入り口ーーー

卓也は格納庫に通じる梯子を昇り、格納庫入り口のハッチの取っ手を掴んでいた。

背中には小銃を背負っており、何時でも撃てるように弾は薬室に装填されていた。

「・・・よし!」

そう言ってハッチの取っ手を回して押し開け、勢いよく格納庫に飛び出し、銃を構えた。

「動くな!」

「ひぃ!」

「へ?」

勢いよく飛び出し、銃口を向けた先には卓也の予想していたような人はおらず、ただ女性特有の高い声が格納庫に響いた。

そして卓也にはその声に聞き覚えがあった。

卓也は格納庫側面に設置された照明のスイッチをいれ、その人物を確認した。

 

「「え?」」

そこにいた人物を見て卓也は驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きれいな紫がかったロングの髪に、整った美しい顔たちに、髪の毛と同じ色のドレスを身にまとった少女がいた。

そして卓也には見覚えがあった。

「あ、あなたは・・・確か・・・」

少女は卓也の声に聞き覚えがあり、何処かで会ったか聞こうとした。

「動くな!」

しかしこうきもハッチから飛び出してきて銃を構え、聞くことは出来なかった。

「・・・てあれ?」

こうきもその少女を見て照準器から目を離したが、銃口は少女に向けたままだった。

「待てこうき。銃を降ろせ」

しかしこうきは銃を向けたままだった。

「卓也。それは出来ないよ。木の箱の中に入って侵入するなんて可笑しくないか?」

「しかしだな、彼女はえーっと・・・誰だっけ?」

「え?」

卓也は少女の名前を思い出そうとしたが、人の名前を覚えるのが苦手な卓也は思い出せなかった。

そのため、卓也は彼女を庇うことは出来なかった。

「・・・まぁ取り敢えず取り調べでもしよう。えーっと・・・名前は?」

こうきは銃口を向けたまま少女に聞いた。

「リゼサルヴァ・テザヴェルです・・・」

「ん?」

「あれ?」

卓也とこうきは少女の名前に聞き覚えがあった。

否、正確には卓也はフルネームで聞き覚えがあり、こうきは「テザヴェル」と言う名前に聞き覚えがあった。

「なぁこうき」

「何?卓也?」

流石にこうきは銃を降ろし、卓也とこうきは顔を引きつって見つめあった。

そして卓也は慌てて格納庫内にある内線電話を掴み、操縦室へつないだ。

「侵入者を確保!正体は王女様だ!すぐに部屋を用意しろ!話はそれからだ!」

卓也は早口で話した。

『何じゃと!?了解した!手厚く誘導するんじゃ!』

「了解!」

卓也は電話を切り、こうきとリゼサルヴァに向き直った。

「こうき、手厚く誘導しろだって」

「りょ、了解・・・」

そして卓也とこうきはひそひそと話をした。

(ヤバいよ・・・王女様に銃口向けちゃった・・・)

こうきは真っ青で顔を引きつらせながら言った。

(下手な事したら死刑だぞこれ!)

((やっべぇ・・・))

卓也もこうきも顔を引きつらせて少女を艦内に通じるハッチに誘導した。

テザヴェルは何か良く分からないような表情を浮かべていた。

「お、王女様・・・こちらが、艦内入り口となってお、おりまする・・・」

卓也は緊張しながらハッチをゆっくりと開けた。

「あ、ありがとう・・・」

テザヴェルは二人の様子を見て、緊張しながらハッチの中にある艦内へ降りるための梯子に足を掛けた。

「梯子が急になっておりますのでお気をつけて」

こうきもテザヴェルに声をかけた。

 

そしてテザヴェルは何事も無く梯子を下った。

卓也とこうきはその後に梯子を素早く下り、テザヴェルを顔を引きつらせながら誘導した。

(やっべぇ・・・)

(下手したら・・・)

((処刑される・・・))

2人は内心びくびく怯えながら、テザヴェルを手厚く部屋へ誘導した。

「こ、こちらのお部屋でございましゅ・・・」

(ぎゃぁぁぁぁ噛んじゃった・・・)

卓也は冷や汗を掻きながら居住スペースで一番広い兵員室のドアを開けて誘導した。

「あ、ありがとう・・・あの・・・」

短時間とは言え、二人の堅苦しくかつ顔色の悪い接客を受けたテザヴェルは2人に声をかけた。

「ど、どうなさいましたか?」

こうきはさっきと変わらず、顔を引きつらせ、かつ顔を真っ青にしながらテザヴェルに応えた。

「お二人とも顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」

「「滅相もございませんっ!!」」

「そ、そう?・・・」

テザヴェルの質問に即答し、卓也とこうきはなおも冷や汗と顔を引きつらせていた。

 

「そ、それではご、ごゆっくり!」

「な、何かあればお声を掛けてください!」

そう言ってドアを震えながらも丁寧に閉めた。

そして溜息をついた後、二人は絶叫した。

 

 

 

 

「「やっちまったぁぁぁぁぁぁ!!」」

「うるせぇぞお主ら!」

 

 

 

 

 

二人は絶叫し、春樹に怒られた・・・

 

 




さぁて何故か木の箱の中からあら不思議!
王女様がぁぁぁ!
何故でしょう!
(知るかいな!By卓也)


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30話 誇り高き親バカ・・・

むむむ・・・眠い!










それではどうぞ


ーーー伊404 食堂ーーー

午前1時過ぎ。

とても夜食を食べる時間とも言えず、健康的な人ならこの時間であればベッドで寝ているであろうこの時刻。

食堂には明かりがついており、並べられたテーブルの上にはこれから晩餐でも始まるのかと思いそうな量の料理が並んでいた。

そしてそのテーブルにはビロテノス王国王女、リゼサルヴァが座っていた。

彼女は静かに合掌した。

「いただきます」

そう呟いた直後、リゼサルヴァはその美しい容姿からは想像もつかない食いっぷりを見せながら、目の前の料理を平らげていく。

 

その様子を青ざめながら見ている少年二人がいた。

この艦の操舵手の卓也と、武器担当のこうきだった。

「お、おいこうき・・・」

「な、何?卓也・・・」

「王女様ってあんな食い方するものなのか?」

「わ、分からない・・・何だかすごい光景・・・」

卓也たちはそのまま彼女が食べ終わるのを見守り続けた。

 

 

 

 

ーーー伊404 操縦室ーーー

同時刻、春樹は操縦室におり、無線機を握っていた。

「駆逐艦レントン、こちら伊404、リカ艦長は居りますかね?」

春樹は緊張しながら聞いた。

しかし、無線に応答したのはリカでは無かった。

『伊404、こちら駆逐艦レントン。艦長は仮眠中なので私、アンジェリカが伺います』

「了解じゃ。少々理解しがたい事態が発生しておる」

『一体そちらで何が起きましたか?負傷者はありますか?』

「それは大丈夫じゃ。しかし、わしもまだ理解しきれていない点が多すぎるんじゃが・・・取り敢えず起こった事をありのまま説明させてもらおう・・・」

 

 

春樹は艦内で起こった事をすべて説明した。

 

 

『え!?王女様が箱詰めにされていたってことですか!?』

「そうじゃ・・・わしらも全く気付かなかったんじゃ・・・」

『なぜその様な事に・・・』

「わし等にも分らん・・・取り敢えず彼女の食事が済み次第、事情を聞いてみようと思う」

『了解です』

春樹は無線機の手を緩めた。

「はぁ・・・引き返せとか言われるんじゃろうか・・・」

するとメインモニターにセレナが現れた。

『因みに本国までのバッテリーなら十分にありますよ!何しろ、日中は常に充電満タン状態ですから!太陽光パネルの損傷率0%なので問題ありませんよ!』

「ありがとうセレナよ・・・しかし、潜航した状態でフルスロットルにしなければの話じゃからのぅ・・・」

 

そう、伊404は春樹が伊400型潜水艦をベースに開発した、超オーバーテクノロジーの塊だ。

見た目こそは伊400の形をしているが、甲板は一部を除いて全て太陽光パネルに張り替えられ、船体がチタン合金を大量に使って強化されている。

そして何より、スクリューを廃止して、代わりにウォータージェットを搭載し、主機関をディーゼルから電子式タービンモーター(春樹命名)を搭載している。

これは、電子を利用してタービンを回すという世界の物理法則を無視した上に完成している。

ディーゼルの様に二酸化炭素を出さず、消音性に優れ、かつ高回転高馬力で、それでいて小型であると言う良い事ずくめに見える。

しかし、もちろん欠点も存在する。

問題は高電圧である為、漏電などを起こした時は感電死は免れない。

さらに、通常航行では問題ないが、50ノット以上の航行時、電気の消費量が多いと言う事も分かっている。

 

「何もなければいいんじゃが・・・」

『通常航行であれば問題ないですよ。ただ、昨日や一昨日みたいに潜航状態で50ノットなんか出されたら、バッテリーの減りが洒落にならなくなりますよ』

「あぁ・・・わかっておる・・・所で王女がこんなところにいて、王都は大丈夫なんじゃろうか・・・」

 

 

春樹はそんな心配をしていた頃・・・

 

 

 

ーーー伊404 食堂ーーー

「え?逃げ出して来たのですか?」

「そう」

食堂では卓也とこうきによる事情聴取が行われていた。

そして、何故リゼサルヴァが木箱に閉じこもっていたのかについて聞いていた。

「だって一度でいいからあのお城の壁の外側に、外の世界に出てみたかったから・・・」

リゼサルヴァは顔を赤くしながら、照れたように言った。

「ふぅむ・・・取り敢えずこうき、春樹に報告」

「了解」

卓也はこうきにメモ帳を渡した。

「あ、あの・・・できれば本国には私がここにいる事を内緒にしていただけないでしょうか」

「ふぁ!?」

それを聞いたこうきはメモ帳を落とした。

卓也は咳ばらいをして感情をねじ伏せ、何とか冷静を保った。

「王女様、いくらそれが王女たるあなたからの命令でも、それを受け入れる事はできません。依頼であればまだしも、我々はタダ働きをするつもりはありません」

「では、お金なら後でいくらでも出すから!お願い!今だけはどうか・・・」

リゼサルヴァは、向かい合って座っている卓也に上目遣いで頼んでいた。

しかし、卓也はこの程度では動かなかった。

「そう言われましても、我々は仕事ですから・・・」

卓也も困ってこうきの方をみた。

しかし、こうきは既に行動に出ていた。

「・・・以上が取り調べの内容。あと、王女様は本国には伊404の任務が完了するまで帰る気はない、て言ってたよ」

『了解じゃ。本国にはそう伝えておく』

「なお、任務終了まで、彼女の身柄はしっかりと守ります。任務終了後、王女様は僕と卓也が責任もって無事に送り届けると伝えておいて。以上」

『了解』

「な!?」

卓也は勝手に自分も巻き込まれたことに驚いた。

「グ!」

こうきは卓也に向かって満面の笑みでグーサインを見せた。

卓也は溜息しか出なかったのは言うまでも無かった・・・

 

 

 

ーーー伊404 操縦室ーーー

春樹は食堂にいるこうきからの内線電話を切ると、レントンに報告した。

 

「・・・という訳なんじゃが、本国に大至急報告してくれ」

『了解です。我々も全力で協力させていただきます』

「感謝する、ありがとう」

『なっ!//っそ、そんな、と、当然のことです!』

アンジェリカは戸惑いながら無線を切った。

「あ、切れてしまった・・・まぁ伝える事は伝えられたから良しとするのぅ・・・」

春樹は無線機を元の位置に戻し、椅子に寄りかかり、コーヒーを啜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ビロテノス王国王都の王城では・・・

 

 

ーーー王都 王城(以降カリーヌ城)---

「お嬢ー!お嬢ー!」

「お嬢ー!出てきてくださーい!」

「お嬢ー!」

使用人が城敷地内をくまなく探していた。

その中に一人、涙目になりながら探している使用人がいた。

(言える筈がない!お嬢に頼まれたとは言え、そんなお嬢を箱詰めにして荷物として春樹殿に運ばせたなんて・・・春樹殿・・・どうかお嬢をたのみます!)

使用人は事情を知っていながら、一生懸命探す(探すふり)をしていた。

そしてもう一人、涙目になりながら探している人がいた。

「リゼサルヴァー!出てきてくれー!パパは幾らでも構ってあげるからさー!好きなぬいぐるみでもなんでも買ってあげるからさー!でてきておくれよぉぉぉ!」

カリーヌ城は三日前からこの調子であった。

すると、一人の海軍の伝令係が走ってきた。

「殿下ー!大変です!お嬢はどうやら伊404に乗り込んでいたみたいです!」

「何!?」

「何でも、伊404の任務が終わるまで、絶対に帰らないだそうです!」

そのままテノールは、倒れこんだ。

「あ、あの少年たちに任せても私は構わない・・・構わないのだが!・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「あと5か月は娘に会えないなんて耐えられないぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!このままじゃパパは死んじゃうぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ビロテノス王国国王は、誇り高き親バカであった・・・

 




こうして国王のあだ名は親バカになったんだとか・・・(一部の人間)




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最後まで読んで頂きありがとうございました!


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31話 カスタエル王国

やっと落ち着いた・・・











それではどうぞ


ーー伊404 甲板ーーー

「おぉぉぉぉ!すごい艦!」

「あまり暴れないでね」

日も高く昇り、気温もそこそこ上昇した午前9時。

ビロテノス王国を出港して1週間、伊404と駆逐艦レントンは順調にカスタエル王国にむけて航行していた。

そして今、伊404の甲板の上にリゼサルヴァ王女と、伊404の航海士のベレッタがいた。

ベレッタは司令塔に立ち、周辺を警戒し、リゼサルヴァは甲板を走り回っていた。

そして司令塔上部についている物を指さしてベレッタに話しかけてきた。

「ねぇ!それは何?」

「それは潜望鏡。海中に潜った時に海上の様子を見るための装置よ」

「じゃぁその後ろのは?」

「そっちは多目的レーダー。対空と対水上を監視する為の装置」

「じゃぁそれは?あっちは何?」

「え・・・」

リゼサルヴァに質問攻めにされ、ベレッタは困惑するのであった・・・

 

ーーー操縦室ーーー

「現在速力15ノット、針路010、カスタエル王国まで90km」

「周辺海域に商船と思しき艦影あり。それ以外の目標なしだよ」

「了解じゃ。・・・もうそんな所まで来たか」

操縦室では、操縦士の卓也と武器担当のこうきが計器情報を読み上げていた。

それを聞いた春樹は少しほっとした顔を浮かべた。

「出港して1週間、ようやく着いたのぅ・・・」

「この艦の全力だったらもう少し早く着けたけどな」

「仕方ないじゃろぅ。この世界じゃこの艦の最大出力はオーバーテクノロジー過ぎて我々を巡って大変な事になりかねんぞ」

「あははは・・・見えてくるのは尋問か処刑だね・・・」

『そしてこの艦は強奪されるな』

「怖い事言うなよお前ら・・・」

「フフフ、さて諸君!カスタエル王国も見えてきたし、上陸に関するミーティングをしようかのぅ。総員、作戦会議室に集まれ!レントン艦長も含めてな!」

「「『『了解!』』」」

 

春樹は艦内放送で全員を作戦会議室に集めた。

 

そしてレントンの艦長と副長も集まり、ミーティングが始まった。

 

ーーー伊404作戦会議室ーーー

「さて、現在我々はカスタエル王国沖90km海域付近を航行しておる。到着まであと5時間ちょっと位じゃ。そして入港目的は、国家関係の配達物と物資調達と言う事で入港する。国家関係についてはちゃんと書類がある。これで入港はできる。何か質問はないかのぅ?」

「は~い」

「リカ艦長、どうぞ」

「私たちはどういう目的で入港すればいいですか?」

リカはのほほんとした声で質問した。

「取り敢えず私たちの護衛が目的と言う事でお願いします」

「分かりました~」

「他に質問は?」

「はい」

「こうき」

「上陸時の武装はどうする?」

「一応伊404乗員はボディーアーマーとハンドガンを各員装備してくれ。あと、レントンの皆様は、人数が多いので上陸する人間を最小に抑えて欲しいです。そして上陸員は最低限の武装をお願いします」

「「了解です」」

「あとこうき。カスタエル王国沖20kmbに入ったら目につく武装すべてに布を掛けておいてくれ」

「りょ、了解」

そしてミーティングは着々と進んだ。

伊404の乗員は全員上陸することになり(王女以外)、レントンからはリカとアンジェリカ、そして水兵2人が来ることになった。

上陸したら二手に分かれ、コーヒー豆を調達する卓也とタカ、そしてリカと水兵一名。

王の方に荷物を届けるのは春樹、こうき、ベレッタ、アンジェリカと水兵一名だ。

「・・・という訳じゃ。質問は無いな?・・・ではこれにて解散!」

ミーティングが終了し、全員が持ち場に戻った。

 

ーーー伊404 操縦室ーーー

『にしても王女様置いて行って大丈夫か?乗っ取られるとか無いよな?』

「さすがにこの艦を一人で動かすのは無理だろ?いくらセレナがいるからって無茶だろう」

「第一セレナが触る事すら許さなさそう・・・」

『当たり前です!この私が許すとでも思いましたか!?プンプン!』

モニター上に現れたこの艦のAI、セレナが怒ってますアピールをしながら現れた。

「聞いていたんだ・・・」

『当たり前です!私はすべてのセンサーと計器、この艦に接続されているすべての端末と繋がっていますから!』

「そ、そうなんだ・・・」

『そいつはちょっと厄介だな・・・』

『みなさん酷いです!いつも私を放っておいて・・・』

(((構って欲しいんだ・・・)))

心の中で3人が思った事までは流石に把握できなかったのである・・・。

 

 

 

 

ーーー伊404 甲板ーーー

それから数時間が経過し、カスタエル王国沖20km付近まで来た。

甲板にはこうきとタカが大きな布を広げていた。

「いくよ・・・「せーの!」」

二人は広げた大きな布をセミオートマチック14cm砲に被せた。

14cm砲は布に覆われ、攻撃力を失った。

「これ一体何の意味があるんだ?」

「これ?さぁ?でも春樹の事だから何か意味があるんだよ」

「成程・・・」

「さて!あとは機銃類を被せたら終わりだよ!」

「了解!」

こうきとタカはさくさくと機銃に布をかぶせて行った。

 

 

 

 

 

 

「前方に灯台を確認。入港準備!」

『『『『了解』』』』

午後2時頃、司令塔にいたベレッタはカスタエル王国の港入り口の灯台を確認し、一行は入港準備に入った。

2隻は速力を落としながら港に入って行く。

ゆっくりと港内を進みながら、桟橋に近づいていく。

 

そして伊404はスラスターを使って左舷側に接舷し、機関を停止させた。

駆逐艦レントンは伊404の反対側の桟橋に着いた。

ハッチが開き、卓也が出てきた。

「やっと着いたぁ!」

「やっぱり外の空気最高だー!」

「久しぶりの陸地だよ!」

タカとこうきも出てくるなりそれぞれ口々に吹っ切れたように言った。

「さて諸君、面倒事はさっさと済ましてしまおうではないか!」

「おう!」

艦備え付けのクレーンで桟橋に向けてラッタルが掛けられた。

 

 

 

 

 

そして春樹は二っと笑って言った。

「作戦開始!」

「「「「了解!」」」」

 

 

こうして彼らは新たな事件へと巻き込まれていくのであった・・・

 




もうすぐ夏が終わる・・・おわってしまうぅぅぅぅぅ
夏休みなんて・・・幻だったんだ・・・(体育会系文化部は語る・・・)




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32話(表) まともな人間ですが!?変なところ無いよね!?

お久しぶりです・・・


なんか順番がむちゃくちゃになってました・・・( ;´・ω・`)



どうぞ
(何か言えよぉ!Byタカ)


艦を降りると伊404のクルーとレントンのクルーは、予定通り二手に分かれて動き出した。

春樹とこうきとベレッタ、アンジェリカと水兵2名(以下一行)は、港にいた馬車乗りに馬車を借り、王城まで荷物等を乗せて貰う事にした。

一方、卓也組(卓也、タカ、リカ、水兵2)は市場に向けて歩いていた。

ーーー春樹組ーーー

春樹達は、馬車に揺られながら辺りを見渡していた。

 

カスタエル王国の町並みは、切り出した石のレンガを積み上げただけの建物が多く、街全体が薄いグレーに見える。

その単調な色合いは、少しマヤ文明時代の街並みを連想した。

 

「賑わっておるけど、少し飾り気が無いのぅ」

春樹は外を眺め、退屈そうに言った。

「街が全て石造りですからねぇ」

「これは昔からの伝統らしいわよ」

「そうなのか?」

春樹はアンジェリカの方を向いた。

「え!あ、あぁ昔お父様から聞いたの・・・」

「成程・・・」

春樹は納得したように再び外を向いた。

それから何故か馬車の中の空気は微妙な状態が続き、少々こうきの居心地が悪かったのは言うまでも無かった。

 

ーーー王城 正面門ーーー

「・・・通ってよし」

間もなく一行は王城までたどり着き、門番にビロテノス王国からの使者である事を証明する書類を見せ、通行を許可された。

王城は高い石の壁で囲まれており、正面の門は大きな鉄格子で外と中を仕切っていた。

通行を許可されると、大きな鉄格子が持ち上がり、城内に入る事が出来た。

馬車はそのまま城内を進んでゆく。

するとこうきが違和感を感じた。

「なぁ、少し傾いてない?」

「坂道を登って行ってるんじゃろう」

「この城は襲撃されにくいように山の上に建てられていますからね」

「そうなのか?」

「え!は、はい。その為山道をくねくねと捩るように昇って行くんです」

「大変な場所じゃな・・・」

「ジープで来たら余裕だね」

「僕達だったら何処に造ろうがAHAXモゴモゴ・・・」

「それ以上喋るんじゃぁ無いぞ、こうき」

春樹はこうきの口を手で押さえて口を封じた。

 

そうこうしているうちに、馬車は城の正面玄関の前に停まった。

「着いた様じゃのう」

「うわぁ何か緊張してきたなぁ」

「前にもこんな感じの事したね」

「・・・何もありませんように」

春樹とこうきはこれから起こる事を想像し、緊張していた。

そしてアンジェリカは堂々とフラグを立てた。

 

一行が玄関前で荷下ろしをしていると使用人らしき人が来た。

「あなた方がビロテノス王国の使者ですか?」

「はい。そうです」

「ようこそおいでくださいました。さ、どうぞ中へ。皇帝陛下がお待ちです」

「は、はい・・・」

一行はせかされるが如く、中へ案内された。

そしてそれに続くように、他の使用人たちがテノール王からの荷物を運ぶ。

(なぁ。めっちゃせかされてない?)

(そうじゃなぁ・・・何か問題でもあったのか?)

(何かあったのでしょうか?)

春樹達が話しながら歩いていくと王の間の扉前に着いた。

すると案内してくれた使用人が大きな声で扉に向かって叫んだ。

「皇帝陛下!ビロテノス王国の使者をお連れいたしました!」

そう言い終えると大きな扉が開かれた。

「これで二度目だねこの光景」

「そうじゃな・・・」

春樹達の目の前には長いレッドカーペットが敷かれており、それは一段高くなった所まで続いていた。

そして一段高くなった台の上には椅子にどっかりと座った小太りな中年男性が座っていた。

春樹達一行はレッドカーペットの中央辺りまで行き、前2後3の2列に並んで敬礼した。

「ビロテノス王国から参りました辻春樹です。テノール王より手紙と荷物を届けに参りました」

春樹はハキハキと挨拶した。

(うわぁ・・・まるで春樹じゃないみたい)

(うるさい)

春樹はこうきに言われ少しムスッとした。

すると皇帝陛下が話し始めた。

「お主らは奇妙な挨拶をするんじゃな。わしの知っておるビロテノス人と少し違う感じがするわい」

春樹とこうきはそれを聞いて少し苦笑いをした。

「まぁ良い。それで手紙とやらを見せてくれるか?」

「はい」

春樹は返事をし、手紙を持って皇帝陛下に近づいた。

「こちらです」

春樹は姿勢を低くし、皇帝陛下に手紙を渡した。

皇帝陛下は受け取るなり中身を確認し始めた。

(ねぇ春樹、あの中身って知ってる?)

(知るはずなかろう。人の手紙を読む趣味なんて無いからのう)

春樹達がコソコソと周りに気づかれないように会話していると、皇帝陛下が少し怒った風に使用人に命令した。

「おい、届いた荷物をここで開けよ」

「「「はっ!」」」

使用人たちは返事をするなり素早く動き、大きなその荷物を開封した。

 

封が解かれたその瞬間、辺りに衝撃が走った。

 

中から出てきたのは、この前の戦闘によって撃ち落とされた竜騎士の無残な死体がゴロゴロと出てきた。

「ひぃ!!」

「!・・・」

「・・・」

一行はあまりの衝撃の強さに言葉を失った。

すると皇帝陛下は笑い始めた。

「フッフッフッフ・・・。あのクズめ!劣等民族の分際で私の事を散々バカにしおって!」

皇帝はそう叫ぶと手紙をビリビリと破り散らした。

そして破れたかけらがこうきの足元に落ちてきた。

そこには、『価値無し』『愚か』など相手を不快にさせるような言葉がいくつか書いてあった。

「私の竜騎士部隊をこんなにしてまで・・・許さん!」

皇帝はぶつぶつと呟きながらウロウロし始めた。

(なんかあれヤバくないか?)

(ヤバいどころの話じゃないですよ!)

水兵はコソコソと話し始めた。

(春樹さん!逃げましょう!)

(馬鹿者!ここで逃げたらわしらの命はないぞ!)

春樹はここで行動を起こせば間違いなく命は無いと思った。

すると再び皇帝は叫びはじめた。

「そうだ!こいつらを捕虜として宣戦布告でもするかぁ!そしてあのクソ国家を叩き潰して目にモノみせてやろう!おい!こいつらを全員捕まえろ!そして町中にいるこいつらの仲間を探し出せ!あとこいつらの艦も差し押さえろ!」

「「「「は!」」」」

その瞬間、春樹らは縄で縛られた。

「ちょっと!なにすんのよ!」

「喚くな!」

アンジェリカは必死に抵抗する。

そしてその他のメンバーも抵抗するが、結局差し押さえられてしまった。

そんな中、春樹は表向き大人しく抑えられていた。

しかし、後ろに縛られた手は、左手首に着けられた携帯端末を操作していた。

スイッチを操作し、不規則なリズムを刻む。

やがてその操作をやめ、携帯端末の電源を落とした。

 

 

その操作は伊404との交信だった。

 

ーーー伊404---

艦内の照明は人がいない為、真っ暗になっていた。

そう、人がいないのだ。

艦内すべての照明はLEDセンサーライトの為、人がいなければ自動的にシステムが切るのだ。

只でさえ窓の存在しない潜水艦の中は暗闇そのものだった。

唯一明かりがともっているのは操縦室だった。

普段はこうきや春樹、卓也やベレッタがいるこの部屋は、人気もなくただ機械の薄暗い青や赤のライトだけがともっていた。

そんな中、部屋中央上部に設置されたメインモニターが突然つき、文字が表示された。

その文字はこの国の人達には読むことができない文字だった。

『Signal detecio(信号を探知).

Code 121(コード121).

See Protcols(プロトコルを参照) OK.

See 1450Programs(プログラㇺ1450を参照) OK.

Run the 1450Program(プログラム1450を実行) Whait.

View around(周辺を確認) Running・・・

・・・

 

画面はそこから細かい動きを暫く続けた。

やがて再び文字が表示され始めた。

『surrounding situation(周辺状況) OK.

Information from other terminals(他の端末からの情報) No.

Other terminal status(他の端末の状態) dangerous.

Run the 1450programs(プログラム1451を実行) OK.

State of the equipment(搭載機器) OK.

・・・

やがてモニターには表が現れ、艦載機の現状が表示された。

Reconnaissance Aircraft(偵察機)

・eer41 waiting.

Aircraft(航空機)

・SH60 waiting.

Combatvehicles(戦闘車両)

Type17 waiting.

・・・

そして再び文字が表示された。

『eer41 ready』

 

その文字が表示されるとカタパルトの横に備え付けられたクレーンが立ち上がるのと同時に、左舷側にある本来フロートが格納されている収納の中から、翼を折りたたんだ小さな飛行機の様な形をしたものが出てきた。

小さな飛行機はクレーンでカタパルトの上にセットされた。

カタパルトにセットされると折りたたんだ翼を広げ、タービン独特のうなりを上げ始めた。

 

そして艦内のモニターの文字が変わる。

『eer41 TakeOff』

 

カタパルトが何かを外すような音がし、それと同時に小さな飛行機はうなりをあげて異世界の上空を舞うのであった・・・

 




気づいたら軽く半年放置してました・・・
でも今度こそ近いうちに上げます!
(お!言ったな?By卓也)
それフラグだから・・・

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32話(裏) 動き出す・・・  

何とか書きあげました


ーー数時間前 伊404 艦内ーーー

数時間前、伊404のクルーたちがそれぞれの任務に向かった直後、艦内にはまだ人気があった。

そう、リゼサルヴァ王女だった。

彼女は艦内に残り、セレナに監視されていたのである。

「ねぇそこのあなた」

『何でしょうか?』

「あなたはその窮屈な額縁の中にいて退屈じゃないの?」

リゼサルヴァはモニターの中にいるセレナに話しかけていた。

彼女がそんな質問をしたのには訳があった。

彼女は、国王の娘としてこの世に生を受けたため、昔から色んな人に大切に育てられてきた。

過剰なまでに。

その為、彼女は周りの環境のせいで中々に窮屈な生活を強いられていたのである。

礼儀、作法、英才教育によって圧迫される毎日・・・。

彼女が城から抜け出すのには十分な材料だった。

そんな彼女は城から抜け出したいと日々願っていた。

その時、彼女の前に彼ら一行が現れた。

彼女はこの機会を逃さなかった。

そして今回、実行に移し見事成功したのである。

そんな彼女から見れば、モニター内にいるセレナは窮屈そのものに見えた。

『そうですねぇ・・・確かにこの中はあなた方からすれば窮屈に見えますねぇ』

「でしょ!あなたは外に出たくないの?」

『う~ん・・・出たい気もしますけど・・・今は問題ないです!』

「どうして?」

リゼサルヴァは驚いたように聞いた。

『だって・・・・いつも繋がっていますから!』

「・・・繋がっている?」

『そうです!いつも心と心がつながっていますから、外の景色やみんながどんな風に過ごしているか・・・見えるんです!』

「見える?」

『そう!だから寂しくないんです!』

「・・・そうなんだ!」

『でも、私は実体が存在しないんで、皆さんと行動するのは無理ですけどね』

「え?じゃぁ・・・」

『でも皆さんがちゃんと帰って来てちゃんと出迎えてあげるのが私の役目です!』

セレナは何かを言おうとしたリゼサルヴァを遮った。

「出迎えて・・・あげる?」

『そうです!だから、寂しくなんてないんですよ!』

その後、暫く二人は会話し続けた。

 

それからしばらくして、リゼサルヴァがふとセレナに聞いた。

「ねぇ、外に出ちゃダメなの?」

『ダメです!王女様一人で外を出歩くのは危険です!』

「でもあなたがいれば・・・いいでしょ?」

『え?』

セレナは少し考える素振りを見せた。

(少しこの王女を自由にさせるのも面白い・・・)

『うぅ・・分かりました!』

「やったぁ!」

『しかし条件があります!』

「条件?」

王女がそう聞くと、操縦室の天井が開き、そこからロボットアームが出てきた。

「うわぁ・・・」

ロボットアームは先端にカチューシャ型の端末を持っており、その端末を王女に持たせた。

『いいですか?この端末は絶対に無くさないし他人に見せないでください!あと何かあればこれで私に連絡をください!』

「うん!」

カチューシャ型の端末は、セレナが密かに作った物であり、端末として機能させるだけで無くこれを付ける事によってセレナは外部の様子を人の視点で見たり聞いたりできる。

勿論、会話も可能である。

『これを頭に付ければ・・・ほら!』

「すっすごい!」

『私の声はあなたの頭蓋骨を伝って鼓膜に響くから良く聞こえる筈です!』

さらにセレナは細かい使い方を教えた。

 

『さて、そろそろ行きましょうか!』

「うん!」

そう言って王女は伊404の狭い艦内から重いハッチを開けて外へ出た。

『さて、何処に行きましょうか?』

「そうねぇ・・・じゃぁあっちに行こうよ!」

『あ!いいですねぇ!』

こうして王女はセレナの監視付きで外に出ることができたのであった。

 

ーー伊404停泊桟橋前ーー

2人が出発して15分後、物資調達を終えた卓也たちが先に戻って来ていた。

卓也とタカは馬車から荷物を降ろし、格納庫に荷物を積んでいった。

タカは荷物を降ろし、卓也はその後ろで荷物の数を数えて紙に記録していた。

「・・・さてと。この荷物で最後だな」

「そうだな!よし!完了だ!」

2人は格納庫を閉め、再び桟橋前に戻った。

「それにしても俺たち方が早かったな」

「だな。しかし、どっかの軍の艦長が居なければもう少し楽だったかもな」

タカは少し捻くった口調で猫と戯れているリカに目をやった。

そして、悪口を言われているとも知らず、睨みつけるタカを不思議そうに猫を抱えながら首をかしげるリカであった。

そしてそんな平和な時間は一瞬にして変わった。

「おい、そこのお前達!」

突然、軍服を着た男たちが迫ってきた。

数10人ほどの集団で、先頭の男は紙を持っていた。

(おい卓也!まさか春樹達・・・)

(あぁ・・・そのまさかかも知れないな・・・)

(どうする?攻撃するか?)

卓也にヒソヒソと聞きながらタカはズボンの後ろのベルトに引っ掛けたハンドガンを掴もうとした。

(いや、下手に刺激するのは賢いやり方じゃない・・・それにそいつもこっちの手札として置いておきたい。抑えてくれ)

(お前がそう言うなら・・・分かった)

卓也とタカは身構えながら相手を睨んでいた。

そしてリカは卓也の腕にしがみ付いていた。

「ユーキール・イート1世の命令により、あなた方を捕虜として拘束する!抵抗したら反逆者として今ここで、首を跳ねる」

そう言ってその兵士は剣を抜いた。

(やはりか)

(危ねぇ・・・)

「怖いよぉ・・・」

こうして卓也たちは大人しく投降した。

「他に仲間はいるか?」

「俺たちとあの駆逐艦一隻にいる人間だけだ」

「そうか・・・確かだな?」

「あぁ・・・」

卓也は軍人にそう言った。

(おい卓也!王女様はどうするんだよ!)

(あの中なら安全だ。艦体はチタン合金でできていて頑丈だし、第一セキュリティーでハッチの解放すらセレナは許さない)

(つよいな・・・)

卓也達は手に縄を掛けられ拘束された。

卓也たちは冷静だった。

大人しく軍に従って、様子を密かに覗っていた。

 

艦2隻の停泊している桟橋に砲が向けられ、反逆の意思があればすぐに攻撃されるようになっていた。

さらに、小隊2つが置かれ警戒されていた。

 

その後、卓也たちは王城に連れていかれ、王城敷地内の独房にて春樹達と再会した。

独房の中は薄暗くジメジメしており、血が混じったようなひどい悪臭が立ち込めていた。

「や、やぁわが助手たちよ・・・」

「一体今回は何したんだ?」

「わ、わしは手紙を見せただけじゃよ」

するとタカがこうきに聞いた。

「本当なのか?」

「うん・・・そしたらこの様さ」

「うぅむ・・・」

すると今度はベレッタが話し出した。

「春樹、これからどうするの?」

「取り敢えず打てる手は取り敢えず打ったぞ。暫く様子見じゃがな・・・」

そう言うと春樹は手をズボンの後ろ辺りにあて、そこからカーターナイフを取り出し、手にかけられた縄を切った。

そして全員分の縄を切っていった。

「全く・・・わしらをこんなもんで拘束しようとは・・・10年早いわい!」

「てかなんでカッター持ってんだよ」

「何となくじゃよ」

「はぁ・・・」

卓也と春樹はいつものように会話を繰り広げていた。

「ところで、一体どんな手を打ったんだ?」

こうきは春樹が打ったという手を聞いた。

「よくぞ聞いてくれたぞ!それはじゃな・・・ECシステムの本領発揮じゃよ!」

するとタカが反応した。

「本領・・・」

それに続くようにアンジェリカも反応した。

「発揮・・・」

そして卓也とこうきが頭を抱え始めた。

「何か嫌な予感がする・・・」

「僕もだよ・・・」

そしてこうしているうちに事態は進行していくのであった・・・

 

ーーカスタエル王国 港ーーー

伊404から発射された偵察機EER41(リーチェ)はカタパルトから打ち出された直後、有り得ない機動性をみせ、一気に急上昇を始めた。

その様子を見ていた王国の兵士は騒ぎ始めた。

「おい!なんだあれ!」

「鳥か?」

「絶対違うだろう!?」

「やはり艦内に何人か残っていたのか!」

そう言うと、一人の兵士は伊404に近づこうと桟橋に降り、伊404に飛び乗ろうとした。

しかし、その瞬間をECシステムは一瞬たりとも逃さなかった。

格納庫上部に取り付けられた機銃が即座に動き、カバーが掛かった状態にも関わらず、乗り込もうとした兵士を乗る前に空中で打ち抜いた。

辺りに機銃による発砲音と薬莢が落ちる音が響く。

そして王国兵が桟橋と伊404の間に肉片となって落ちて行った。

「ひ、ひぃぃぃぃ!」

「何だ今のは・・・」

「貫通型の魔術でしょうか・・・」

「いや!あんな詠唱も無しにしかも連続でなんて聞いたこと無いぞ!?」

「取り敢えず上に報告しろ!そしてあの艦に近づくな!」

「「「「はっ!」」」」

兵士たちは伊404に圧倒的な恐怖を感じた。

 

上空にも脅威がいることも知らずに・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃その上空・・・

 

 

 

 

 

 

 

発射された機体EER41リーチェは、春樹が卓也たちがいない間に造った機体の一つである。

見た目は戦闘妖精○○に登場した無人機を小さくしたような姿をしている。

コックピットがあるであろう所には、小さな突起物がついており、その先端には黄色いレンズカバーのようなものがついている。

その中にはカメラが入っており、それが下の様子を鮮明にとらえていた。

さらに機体下部の各センサーも様々な情報を捉える。

『View around(周辺を確認) Running・・・

リーチェは、常に母艦である伊404と繋がっており、偵察情報を母艦に常に送信している。

そしてそれは、伊404のECシステムに集められ、そこから判断された情報が再びリーチェに帰って来る。

そしてそれを元に行動する。

場合によってはリーチェの独自判断で行動することも可能である。

『Check your device‘s response(端末の反応を確認)

 The place is enemy territory(場所 敵領土内)

 ・・・

 』

 

『E.C. Rojer(EC 了解した)

 Escort to code006(コード006を護衛しろ)

 Continue until you have instructions(指示があるまで続けろ)

 ・・・

 』

『Riche Rojers(リーチェ 了解)

 to continue(続行する)

 ・・・

 』

リーチェは機体を右に九十度ひねって旋回し、ある物を追いかけながら偵察活動を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ある物を追いかけながら・・・

 

 

 

 

 




いやぁ・・・メイヴってカッコいいですよね!
(分かる人にしか分からんだろう!Byタカ)

はい、段々とこの話の尺が伸びて行ってる気がして怖いです・・・

さて次回はどうなるのやら・・・(彼らの未来といつ投稿できるか・・・)


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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33話(表) 変な威圧

何とか書けた・・・



それではどうぞ!


ーー王城 王の間ーー

ユーキール・イーシの元に兵士がやって来て報告していた。

「報告します。港より緊急報告!例のビロテノスの新鋭艦に近づいた隊長が謎の魔術により死亡しました」

「なんじゃと!?所で何じゃその謎の魔術とは」

「それが・・・貫通式の魔術の様なのですが、詠唱無しで連続して可能な魔術のようです」

「化け物か・・・えぇい!遠征に出ているコーケンの騎士団はまだ帰らないのか!?」

「今晩中には戻る予定です」

「ぐぬぬ・・・奴らの所へ行くぞ!」

「は!」

そう言うとユーキールは立ち上がり、その豊かな腹を揺らしながら独房へと向かった。

 

ーー独房ーー

「おい貴様ら!」

独房の扉を乱暴に開き、ユーキールは叫んだ。

(やべぇよやべぇよ)

(誰が対応するんじゃ?)

(そんな事より全員外向け!バレるだろ)

「貴様らの他に仲間がいるだろ!正直に吐け!」

ユーキールは鉄格子を掴み、唾を飛ばしながら喚いた。

(おい、だれが対応する?)

すると卓也が溜息を吐きながら言った

「さて、何のことでしょう?」

「白々しくとぼけるんじゃない!貴様らの他に仲間がいるじゃろ!貴様らの艦の傍で撃たれて死んだ奴がいる!」

(絶対セレナじゃ・・・バレたら厄介じゃ)

(適当にごまかせ!)

すると今度はタカが咳ばらいをして話し出した。

「それは我々がここに来る最中に付けられた悪魔、グルーテの呪いです」

(((胡散臭・・・)))

しかし、王は意外と驚いていた。

「まさか・・・お主ら・・・」

するとこうきも乗り出した。

「そうだよ・・・だから下手に僕たちに手出ししたら貴方も命がありませんよ」

「だから早くここから出せぇ!」

王様は少し怯んではいたが、どうやら出してはくれないようだった。

「そ、そんな嘘・・・誰が信じるか!クソ共が!」

そうは言ったが、それ以上は何も聞いて来なかった。

しかし、彼らが衝撃を受けたのはその先だった。

ユーキールはさらに奥の檻へ向かった。

そう、この独房に彼ら以外に入れられているもう一人の所だった。

「おい、お前」

「ひぃ!」

独房の中に響く低い声と、少女の様な高い返事が木霊す。

その檻の中には、それは綺麗で美しい女性がその容姿に似合わない格好で入れられていたのである。

すると、王は再び口を開く。

「四つん這いになれ」

「は、はい」

そこから暫く彼らには信じられない状況が続いた。

薄暗い独房に響くムチを打つ音と喘ぎ声。

彼らには見えないが、音でその状況がどれだけ信じがたいか、想像に容易い。

悲鳴の様なその声と、王のその外道行為に、腐っても純粋とお人好しの彼らにとっては、その女性をどれだけ助けてあげたいと思っただろうか。

こうきはベレッタの耳を塞ぐ傍ら、自分の耳まで塞いだ。

タカも両耳を塞いだ。

卓也は俯いたまま、拳を握りしめていた。

春樹も似たように正座し、拳を握りしめていた。

春樹は普段は少し下品な所がある。

しかし、彼は強要をとことん嫌う男でもあった。

二人の拳は、小刻みに震えていた。

 

そして、突然春樹は立ち上がった。

ただ黙って立ち上がり、鉄格子に触れた。

その瞬間、鉄格子はくねくねと捩れ、やがてアサルトライフルに形を変えた。

「おい!春樹!」

卓也が立ちあがると、春樹はさらに量産したアサルトライフルを渡した。

「お前も震えてただろ?逆にあれを止めずして男じゃ無い」

そう言うと春樹は卓也の方を向いた。

小さな窓から射す月光が春樹の眼鏡に反射し、眼鏡が光る。

春樹がいつもの話し方では無い事に全員が驚いた。

否、卓也とこうきは他の人とは違う、他より長く彼といた人間だからこそわかる事で驚いていた。

春樹はコッキングハンドルを引いて弾倉から一発だけ発射筒に送りこみ、射撃モードを単連射に変更した。

そして一番奥の檻の前まで行き、開いた檻の入り口から中に入り、ユーキールの頭に銃口を向けた。

「おいクソ豚野郎・・・今すぐその女性から離れろ」

春樹はいつもとは違う口調で話す。

「あぁ?・・・お前・・・どうやって」

「いいからその女性から離れろ!」

「何だと!?ガキの分際でぇ!!」

その瞬間、春樹は右手で銃を持ったままユーキールに殴りかかった。

春樹の普段からは想像もつかない行動に、檻から出てきていたベレッタたちは驚いていた。

そして床に倒れ込んだユーキールに銃口を向けた。

「痛ぇなクソガキ!」

そう言って起き上がってこようとするユーキールに今度は足でけりを入れた。

「ぐはぁッ!」

「こんなの銃も必要ないかもね」

「ひぃぃぃ!」

そう言って顔を踏みつけようとした瞬間、ユーキールは変な悲鳴を上げて、独房から彼らが出ていたことも気にせず逃げて行った。

「とんだ腰・・・抜け・・・だ」

春樹はその瞬間、床に倒れた。

「「「「「「春樹(さん)!」」」」」

全員が倒れ込んだ春樹に寄り集まる。

春樹は一時的に気絶したらしい。

「・・・なんだ。気絶してるだけみたい」

「良かったぁ」

「死んだかと思ったぜぇ」

「前にもこう言う事あったな・・・」

卓也のつぶやきは運よくか、だれにも聞こえなかった。

「取り敢えず、この子と春樹を保護して」

「「「了解」」」

卓也は春樹を抱え、ベレッタとタカは少女に春樹が何故か持っていた白衣を着せて保護した。

 

そして数分後、何とか春樹は目覚めた。

「・・・ん?あれ?わしは一体なぜ寝ているのじゃ?」

「あ、春樹!」

「べ、ベレッタちゃん!?」

春樹は目覚めると、目の前にベレッタがいた。

「お!気づいたか!どうせ王様が入ってきて怒鳴ってたって事しか覚えてねぇだろ」

「た、卓也・・・君・・・きもいぞ?」

「何故だぁ!?」

「わしの心の中見透かしてるみたいだぞ?」

「あ、因みに僕も同じことを考えていたよ」

「おっとこうき、奇遇だな」

「お主ら・・・ところでそこで寝ているものすごく少女は?」

そう言って春樹は起き上がり、リカとアンジェリカの傍で寝ている少女を指さした。

「あぁ、この子はね・・・」

アンジェリカがそう言って説明しようとした時だった。

「おいゴルァ!」

突然独房のドアが蹴破られ、厳つい軍服の男が入ってきた。

その瞬間、全員の背筋に刺激が走った。

(不味い・・・)

(追い詰められた可能性・・・)

(可能性と言うか追い詰められてんじゃねぇか!)

そんな会話をヒソヒソと続けている内に、段々とその男は近づいてくる。

 

 

 

その時だった・・・

 

 

ーー王城 上空ーーー

王城上空を飛行していたリーチェがECシステムから指令を受けた。

『From E.C.System to riche(ECシステムよりリーチェへ)

 Attack the point’a’(ポイントaに攻撃しろ)

 ・・・

 』

『Riche Rojers(リーチェ 了解)

 Open Fire(攻撃開始)

 ・・・

 』

リーチェはくるくるとバレルロールをくり出すと、両翼のミサイル2本を、ポイントa(春樹達の檻と隣の檻の間)に叩き込んだ。

さらに、おまけと言わんばかりに軍隊に機銃掃射を加えて急上昇した。

 

ーーーーーーーーーー

「なんだ今のは!?」

「フフフ、諸君よ、これで私のオペレーションは可能になった!」

春樹はいつもの調子に戻った。

「それは・・・何なんだ?」

「よくぞ聞いてくれた!それはだな・・・」

全員がゴクリと唾を呑んだ。

そして春樹は横たわっている少女を白衣に包んだ状態で背負った

「それはだな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にげるんだよぉぉぉぉぉ!

フフフフフフ

ハハハハハハハハ!

 

「「「「「「やっぱりだぁぁぁぁ!」」」」」」

「「「「「「「まてぇクズ共!」」」」」」」

 

 

 

 




最後適当になってませんかね・・・

まぁいいか!
(よくねぇよ!By一行)

また近いうちに上げます!
意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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33話(裏) 住人の不安と文句

32・33話は物語の都合上、表と裏で分けさせて頂きました。



それではどうぞ!


ーーーカスタエル王国帝都 城下町ーーー

時刻は少し遡り、リーチェが発艦した辺りである。

 

夕暮れ時とあって、街は多くの人達で賑わっていた。

仕事が終わって友人と楽しく話している者。

疲れた体を引きずって、家に帰る者・・・。

飲食店で夕食を楽しむ者・・・。

そして春樹達の起こした騒動により、街を警戒して回る王国兵士たち。

街は大半が賑やかさで埋め尽くされていた。

そしてその人込みの中を紫色の髪をたなびかせながら進む一人の美少女がいた。

それはまさかの隣の国の王女、リゼサルヴァだった。

彼女は文句を言いながら人込みを進んで行く。

「人が多いわね・・・」

その文句に、彼女の頭に付けた赤いカチューシャが応えた。

『夕暮れ時ですからねぇ、仕方ありませんよ』

「どうして夕暮れ時は人が多いの?」

『仕事が終わって帰宅する人や、丁度終わって友人たちと楽しむ人達によってごった返すんだと思いますよ』

「へぇ~」

リゼサルヴァは興味なさげに言った。

 

その後、リゼサルヴァはいろんな店に入ってみたりして楽しんでいた。

 

しかし、ある事に気が付き、表情を曇らせた。

「ねぇ、セレナ」

『はい、何でしょうか?』

「さっきから道行く人たちにすごく見られてない?」

『そうですか?・・・確かにリゼサルヴァは美人だし』

「そうじゃないの・・・そう言う視線じゃなくて・・・」

そう言って道行く人を見た。

通りすぎる人たちは、リゼサルヴァを驚く様な表情で見ていた。

『確かに不可解ですねぇ・・・』

「それに、さっきから女の人とすれ違ってないわよね?」

『女のひとですか?・・・誰か探してるんですか?』

「そうじゃなくて、さっきから男性としかすれ違って無いのよ。すれ違ってもおばさんばっかだし」

『う~む・・・確かにそうですね・・・ちょっと待ってください』

「え・・・う、うん」

そう言うとセレナは暫く黙り込んでしまった。

 

セレナはあるデータを確認し始めた。

それは誰も知るはずの無いデータであった。

 

ーーー伊404 ECシステムーーー

セレナもといECシステムは、集めた情報を伊404内のスーパーコンピュータで整理していた。そこには、リゼサルヴァの視点から見ていた映像、そして上空からリーチェが追っていた映像が上がっていた。

それだけではない。

春樹達の現在地と現状、王城の解析データ、街の上空写真、マップ・・・。

そして全てのデータを解析し、今後すべきことを判断する。

その間僅か2秒、ECシステムは独自プログラムを生成し、構築、実行し始めた。

『Engine start    (機関始動)

 Start oretation (作戦開始)

 System check    (システムチェック)

 ・・・

すると、伊404は機関を始動させた。

「な、なんだ!?」

傍にいた王国兵は騒ぎ始めたが、さっきのこともあり、下手に近づこうとする者はいなかった。

そして、レントルの乗員たちは不安げにその様子を見ていた。

「一体春樹殿は何を考えて・・・あれ?あの艦誰も乗ってないよね?」

一人の乗組員はその事に気づいたが、だれにも聞こえていなかった。

 

伊404は、係留ロープを、外部作業用ロボットアームでぶった切り、夜の海へとその艦体を消していった。

 

ーーーカスタエル王国帝都 城下町ーーー

伊404が出港したとは知らないリゼサルヴァは、セレナの返答を待っていた。

セレナが沈黙して約30秒ほどして、返答があった。

『私たちが艦内から出て2時間近く経ちますが、今まですれ違った女性は19人です。その平均年齢は63歳と高齢の方が多く、最低45歳、最高69歳と年齢層が随分と偏っています』

「じゃあ若い女性は・・・」

『一人もすれ違っておりませんね』

リゼサルヴァは驚いていた。

「どうして・・・」

『これはもう周りの誰かに聞くしかありませんね・・・』

リゼサルヴァは周りを見渡した。

すると、屋台でアクセサリーを売っている老婆を発見した。

その人も、リゼサルヴァを見て驚いた。

「すみません、少しお聞きしてもよろしいですか?」

「はいぃ、何でも?」

老婆はゆったりとした口調で言った。

「この街には若い女性がいないのですか?」

それを聞いて老婆は、少し悲しそうな表情を浮かべた。

そしてポツリポツリと話し始めた。

「この街はねぇ、若い女性が出歩くと王様に誘拐されてしまうんじゃよ・・・」

リゼサルヴァは驚いた。

「どうしてですか!?」

「王様は若い女性を王城に連れ込んでは欲を満たすおもちゃにするんじゃと。それはもう酷いもので・・・」

「誰も何も言わないんですか?」

「言った者もおったわい・・・しかし言ったら反逆者として処刑されるんじゃよ。前の皇帝陛下はこんなことはせんかったわい・・・全くすたれたもんじゃよ・・・」

その他にもユーキールの悪評も聞いた。

 

ユーキールは、街の若い女性を集めてはおもちゃのように扱い、そして檻に入れて自分のものとした。

さらに反抗してくるものは容赦なく殺し、女性だった場合は拷問に掛けられた。

街では商品を無償で寄越せと要求し、気に入らなければその店を破綻まで追い込んだ。

 

 

典型的な絶対王政で悪評は絶えず、国民からの信頼は最低であった。

 

「・・・酷い」

「私たちは皇帝陛下が早く変わる事を祈るしか無いんですよ。お嬢ちゃんも早く安全な所へお帰り」

リゼサルヴァは自分の国が国民を大切に思っているだけあって、ユーキールの行為にひどくショックを受けた。

 

リゼサルヴァは、老婆にお礼を言ってその店を後にした。

「あまりにも酷いです・・・」

『やはりどこの世界にも居るんですよ、ああ言う人が』

「・・・私に何か出来ませんかね」

『何かですか・・・』

セレナは少し考えた。

『分かりました!では、少し手伝って貰えませんか?』

「私に出来る事なら是非!」

『では、私の指示に従って・・・』

セレナが何か言いかけた時、リゼサルヴァの肩を誰かが叩いた。

振り向くと、そこには王国兵士が居た。

「すみませんねお嬢さん。ちょっとお話聞かせてくれないかな?」

そう言ってリゼサルヴァに近づこうとしてきた。

リゼサルヴァはゆっくりとあとずさりながら逃げようとする。

すると頭に声が響いた。

『リゼサルヴァ!逃げなさい!』

その声を聴き、くるっと向きを変えて走り出した。

「おい!逃げたぞ!追え!」

王国兵士も全力で追ってきた。

しかし、空からの赤く細い無数の糸によってそれは阻止された。

『いい?今から言う方向に逃げなさい!まずはそのまま走って!』

 

リゼサルヴァはセレナの指示通りに走り始めた。

 

暫く大通りを走り、たまに路地裏、時に家の屋根の上・・・。

 

そうして何とか王国兵達を撒くことが出来た。

リゼサルヴァは町から少し離れた山の下にいた。

「はぁ・・・疲れた・・・」

『すみません。大丈夫ですか?』

「あははは・・・疲れたけど楽しかったわ」

『そうですか!では少し休憩しましょう』

「そうね・・・」

リゼサルヴァは近くにあった切り株に腰かけた。

「これからどうするの?」

『それはこれからのお楽しみです!期待してて下さいね!絶対に驚きますから!』

そう言ってセレナはある作業に取り掛かった。

 

ーーーカスタエル王国 沖合ーーー

伊404は沖合まで出ると、艦首を再びカスタエル王国へ向けた。

そしてリーチェから春樹達が檻から脱出したと報告を受けた。

『Riche mission complete(リーチェ 任務完了)

 master escort to continue (マスターの護衛を続行)

 ・・・

そしてその知らせを聞いて、あるものに指示を出した。

『FromE.C.system to Detroit.(ECシステムよりデトロイト)

 Ready(出撃準備).

 snowhawk (スノーホーク)

 Ready(出撃準備)

 ・・・

それにこたえるように通信が来る。

『Detroit roger (了解した)

 ・・・

『snowhawk roger (スノーホーク 了解した)

 ・・・

格納庫の中でブルーシートに覆われた二つの物体が光った。

そして、格納庫の扉が開きジープが引っ張り出され、甲板に取り付けられたクレーンで洋上に吊り上げられた。

すると、ジープの奥に仕舞われていたブルーシートに覆われた塊の一つが、甲板に引っ張り出されてきた。

それと同時にブルーシートが剥ぎ取られ、その正体を甲板上で晒す。

一つ目のそれは、ジープよりも一回り大きなタイヤを片側4つ計8つ備えており、その重々しさを醸し出している。

格納庫内から出されたその一つ目、17式水陸両用装輪戦闘車デトロイト。

まず目につくのが、戦車の様な砲塔。

127mm砲が、ボディより前に少しはみ出している。

そして装輪装甲車を連想させる様なその足回りである。

見た目は自衛隊の16式機動戦闘車そのものである。

 

それは何故か、カタパルトにセットされた。

『Detroit sortie(デトロイト 出撃)

 ・・・

そのメッセージと共に、艦首からその重たいボディを打ち出された。

 

デトロイトは、そのまま海面に突っ込んだ。

しかし、何故か車輪より上は水面から完全に出ており、洋上の戦車状態になっていた。

そして、デトロイトはそのまま洋上を時速100kmで航行し始め、カスタエル王国方面へ姿を消した。

 

デトロイト出撃後も、伊404は静まらなかった。

今度はカタパルト側面から支柱が現れた。

そしてその上に、格納庫内に設置されたロボットアームによって、パネルが敷かれ始め、甲板上にヘリポートが完成した。

格納庫内から引っ張り出されてきたのは、SH70スノーホーク。

SH60シーホークにアパッチの装備を取り付けた様な見た目をしており、哨戒活動だけで無く陸上戦も想定した様な装備をしている。

機体下部には30mmチェーンガンを装備し、厳つさを出している。

 

即席のヘリポートに引っ張りだされると、折りたたんだメインローターを展開し、回転させる。

そして、アイドリングが安定するとシステムから指示が出る。

『Snowhawk take off

 ・・・

それと同時に回転数が上がり、機体を垂直に持ち上げると、カスタエル王国の方へと消えて行った。




いやぁ欲張ったww
水陸両用装輪戦闘車にスノーホーク・・・厨二感満載ですわ
実在したら絶対カッコいい!


さて、次回はどんちゃん騒ぎできるか!?


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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