錬金術師の暗殺教室 (遠い日のゲン)
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エル君のプロフィールについてです。


エルフォード・ホーエンハイム 14歳

[全能の錬金術師]

誕生日8月25日

身長179cm

体重74kg

血液型A型

好きな教科 理科

嫌いな教科 特に無い。強いて言えば国語

趣味・特技 鍛えること、新しい錬金術の開発、イタズラ

所属部活 無し。最近草野球を始め、始めてから一ヶ月で弱小チームを全国優勝に導いた。

宝物 大総統から貰った剣 六芒星の銀時計

好きな食べ物 甘い物、肉類

嫌いな食べ物 ナス、トマト、エビ

 

個別能力値(5段階)

 

体力 5

 

機動力 5

 

近接暗殺 5

 

遠距離暗殺 4

 

学力 5

 

固有スキル

 

中距離暗殺 5

 

大総統流剣術 5

 

錬金術 5

 

 

作戦行動適正値(6段階)

 

策略立案 5

 

指揮・統率 6

 

実行力 6

 

技術力 6

 

探査・諜報 4

 

政治・交渉 5

 

 

備考

史上最年少で国家錬金術師となる。家族は義父がヴァン・ホーエンハイム、義兄弟がエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックの2人。容姿は黒髪黒眼のエドワード。髪型は後ろで1つに縛っている。幼い頃から錬金術一筋だったため、恋愛に疎い。更にアピールするのはいいが、最後にへタレ化する最悪のパターンの人種で、他人の恋沙汰には敏感なものの、自信に向けられる好意に対しては鈍感。また、普段は天然キャラでほのぼのしているが、いじるネタができると、カルマと一緒にいじりに行く。

 

E組が思うエルの印象

 

赤羽業→仲間。いじるネタは沢山あるけど後が怖いからやらない。あとヘタレ

磯貝悠馬→普段は抜けてるところがあるけど優しい奴。

岡島大河→女子のことになると一気に草食化するやつ。暗殺では頼りになる

岡野ひなた→イケメン。フットワークが半端じゃない。ただヘタレ

奥田愛美→理科を色々教えてくれる優しい人

片岡メグ→磯貝の次に信頼できる人。ヘタレイケメン

茅野カエデ→甘い物好きの仲間。凄く強い人

神崎有希子→ゲームが下手。たまにとんでもないミラクルを起こす

木村正義→足が速い。けど何もないところで転ぶアホ

倉橋陽奈乃→かっこいいけどタイプじゃない。どこか抜けてるところがある

潮田渚→身長を分けてほしい。ことあるごとにいじらないでもらいたい。残念なイケメン

菅谷創介→スケッチは上手いけど、塗り方が凄く下手

杉野友人→残念なイケメン。なぜそんなに野球が上手いのか気になる

竹林孝太郎→イケメンだけど恋愛に関してはヘタレ。こちらの世界に引きずり込みたい

千葉龍之介→敵うものが出てこない。なのに普段凄く天然

寺坂竜馬→カルマと同類の匂いがする。嫌な予感しかしない

中村莉桜→いじりがいのある奴。ヘタレイケメン

狭間綺羅々→性格が読みづらい。残念なイケメン

速水凛香→強いしでかい。普段は抜けてる

原寿美鈴→子供っぽい。強くてかっこいいがどこか憎めない

不破優月→技の名前を言わなきゃいけないところがある厨二感ハンパない

前原陽斗→勿体無いイケメン。強いけど抜けてる

三村航輝→アドバイスが的確すぎて怖い。ヘタレ

村松拓哉→憎めないイケメン

矢田桃花→かっこいい。天然なところもちょっと可愛い

吉田大成→強くて背が高くてかっこいいとか。でも憎めない

律→頼りになる方。錬金術について教えてくれる人

堀部糸成→強いが天然。恋愛に関してはヘタレ

 

 

エルから見たE組

赤羽業→話が合う。体術がまあまあ強い

磯貝悠馬→頼りになるイケメン。弟たちが可愛い

岡島大河→変態。もはや末期症状

岡野ひなた→凄い身軽。動きがトリッキー

奥田愛美→教え子第1号。そのうち錬金術も教えたい

片岡メグ→頼りになる。女子の背の高さじゃない

茅野カエデ→ちっこい。何か隠してる気がする。同じ甘い物好き

神崎有希子→滅茶苦茶ゲームが上手い。教えてほしい

木村正義→足が速い。こけるたびに笑うのやめてほしい

倉橋陽菜乃→ふわふわしてる。凄いマイペース

潮田渚→いじりがいのあるターゲット。才能は認める

菅谷創介→絵の師匠。スケッチが上手いって褒められたのが嬉しい

杉野友人→意味のわからん変化球。どう投げてんだ?

竹林孝太郎→ガリ勉君。ことあるごとにメイド喫茶に誘ってくる

千葉龍之介→自分よりも銃の扱いが上手くて尊敬

寺坂竜馬→めんどくさい1号

中村莉桜→めんどくさい2号。いじらないでほしい

狭間綺羅々→めんどくさいんジャー1号、3号、4号のまとめ役

速水凛香→ツンデレがハンパない

原寿美鈴→よく料理教えてくれる

不破優月→よく分からん。厨二って言うな

前原陽斗→たらしイケメン。なんでそんなにモテるのか意味がわからん

三村航輝→アドバイスをよく理解してくれるいい奴

村松拓哉→めんどくさい3号。今度本当のラーメンを食わせてやりたい

矢田桃花→可愛い。教え子2号。物覚え、特に言語の覚えが異常に早い

吉田大成→めんどくさい4号。踏むぞホームベース

律→教え子3号。最近は錬金術を理解し始めた。やだ、この子怖い

堀部糸成→弟がいたらこんな感じ?たまにくる毒舌がキツイ

 

 

烏間先生の評価

非の打ち所がなく、完璧に近いにもかかわらず、未だに成長を遂げており限界が見えない。エル君の錬金術は着実に殺せんせーを肉体的にも心理的にも追い詰めているのがよくわかるほど、スキルが高い。義父のホーエンハイム教官とともに生徒の指導に当たってくれ、生徒も素晴らしいほどに成長しているのが分かる。やはりこの2人をE組に呼んだのは間違っていなかった。

 




いかがでしたか?エル君のプロフィールは。
凄まじいほどのチートでしょう。
本編を楽しみに待っていてください。
それではまた


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国家錬金術師庁の時間

今回は国家錬金術庁の仕組みについてです。かなりめんどくさい仕組みだと自分でも思います。


『国家錬金術師庁』

 

[国家錬金術師庁長官兼全部隊総隊長]

 

キング・ブラッドレイ [憤怒の錬金術師]原作の呼び名から

 

 

『国家錬金術師庁錬金術師戦闘部隊』

 

[国家錬金術師庁戦闘部隊隊長]

 

ヴァン・ホーエンハイム [始祖の錬金術師]錬金術師を伝えた人だから

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師戦闘部隊副隊長]

 

エルフォード・ホーエンハイム [全能の錬金術師]ほぼ全ての錬金術師を理解し、使えるから

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師戦闘部隊隊員]

 

スカー [破拳の錬丹金術師]錬金術と錬丹術を組み合わせてとにかく破壊しまくるから

 

イズミ・カーティス [諸刃の錬金術師]しょっちゅう血を吐くから

 

アレックス・ルイ・アームストロング [豪腕の錬金術師]原作そのまま

 

ゾルフ・J・キンブリー [紅蓮の錬金術師]原作そのまま

 

 

『国家錬金術師庁錬金術師特殊戦闘部隊』

 

[国家錬金術師庁錬金術師特殊戦闘部隊隊長]

 

セリム・ブラッドレイ [傲慢の錬金術師]原作の呼び名から

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師特殊戦闘部隊副隊長]

 

リン・ヤオ [強欲の錬金術師]原作の呼び名から

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師特殊戦闘部隊隊員]

 

ラスト [色欲の錬金術師]原作の呼び名から

 

エンヴィー [嫉妬の錬金術師]原作の呼び名から

 

スロウス [怠惰の錬金術師]原作の呼び名から

 

グラトニー [暴食の錬金術師]原作の呼び名から

 

 

『国家錬金術師庁錬金術師諜報部隊』

 

[国家錬金術師庁錬金術師諜報部隊隊長]

 

ロイ・マスタング [焔の錬金術師]原作そのまま

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師諜報部隊副隊長]

 

エドワード・エルリック [鋼の錬金術師]原作そのまま

 

 

[国家錬金術師庁錬金術師諜報部隊隊員]

 

アルフォンス・エルリック[鎧の錬金術師]原作で姿が鎧だから

 

 

『国家錬金術師庁錬金術師別働部隊』

 

[国家錬金術師庁錬金術師別働部隊隊員]

 

ティム・マルコー [賢者の錬金術師]原作で賢者の石を作成していたから

 

メイ・チャン [治癒の錬丹術師]錬丹術で治癒する場面があったから

 

 

『国家錬金術師庁戦闘部隊』

 

[国家錬金術師庁戦闘部隊隊長]

 

オリヴィエ・ミラ・アームストロング

 

 

[国家錬金術師庁戦闘部隊]

 

バリー・ザ・チョッパー

 

など

 

鋼の錬金術師の北方司令部の方々

(ヴァトー・ファルマンは除く)

 

 

『国家錬金術師庁諜報部隊』

 

[国家錬金術師庁諜報部隊隊長]

 

マース・ヒューズ

 

 

[国家錬金術師庁諜報部隊]

 

リザ・ホークアイ

 

など

 

ロイ・マスタング直属の部下の方々

 

 

[国家錬金術師庁別途雇用枠]

 

[国家錬金術師専用鑑定医]

 

ノックス

 

[国家錬金術師庁囮枠]

 

ヨキ

 

[外科医兼機械技師]

 

ピナコ・ロックベル

 

ウィンリィ・ロックベル

 

 

[国家錬金術師庁御意見番]

 

フィリップ・ガルガントストス・アームストロング

 

 

[国家錬金術師庁特別要人護衛部隊]

 

ランファン

 

フー

 

 

 

[その他]

 

独自運用兵およそ1万5000

 

 

 

 

 




国家錬金術師庁の仕組みでした。
こんだけ書いたのはいいですが、恐らく殆どの人物は登場しません(笑)


それではまた


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始まりのチャイム
プロローグの時間


初めまして、遠い日のゲンと申します!
初投稿なので至らぬ点やらがあったりすると思いますが、温かい目で見守っていただけたら嬉しいです。


 

〜防衛省幹部会議〜

………

ここ防衛省の会議室では毎月行っている幹部たちによる報告会が行われている。が、普段にはない緊張感が会議室中に漂っている。

 

「では次に、超破壊生物について烏間君」

 

きたか。と担当の烏間はすっと立ち上がり、ただならぬ緊張感の中報告を始めた。

報告の内容は主に生徒がメモした超破壊生物の弱点などだった。

一通り報告を済ますと「ご苦労」とだけ伝えられ、席に座り、他の報告に耳を傾けた。そして報告が全て終わると

 

「さて、超破壊生物な椚ヶ丘にきてそれなりに日が経ったが、ここで我ら防衛省からノルウェーの暗殺者(アサシン)を投入する前に教官1人と何人かの転校生を送ることになった」

 

会議の進行を務めていた議長の言葉に、会議室全体がざわめきだした。

 

「静かに!この中に、そのようなものを送れる部署はないだろうか?」

 

あたりはシーン鎮まり返り、誰1人として候補を挙げるものはいない。

それもそうだと烏間は思った。

わざわざ好きこのんで超破壊生物のもとに自分たちの部下を送るお人好しはいない。

 

時間だけが過ぎていき、そろそろ会議も終了かと感じ議長が

 

「いないのであればこれでお開きとさせて……」

 

と言い出したその刹那、誰かがよく通る低音で言葉を発した。

 

「ならば我らに任せてもらおう」

 

その人物は[憤怒の錬金術師]であり、[国家錬金術師庁長官]を務めるキング・ブラッドレイ。部下たちからは[大総統]と呼ばれているらしい。

日本にとっては超破壊生物の次くらいに国家機密である[国家錬金術師庁]。[錬金術]と呼ばれる技術を用いて主に諜報活動や、裏工作、時には内戦の早期終結にまで利用される言わば生物兵器も同然と防衛省の同期から聞いたことが烏間にはあった。

 

「一昨日未明に[鋼]と[始祖]、そして[全能]の3人を呼び寄せた。[鋼]は[鎧]と現在イギリスで[焔]と共に諜報活動中のため拒否。教官として[始祖の錬金術師]ヴァン・ホーエンハイムと生徒として[全能の錬金術師]エルフォード・ホーエンハイムの2人が応じ、昨日アフリカの内戦を終結させ、明日の昼ごろには日本に到着する予定だ」

 

静かに、しかし圧力のある声でブラッドレイ長官は言い放った。

 

(しかしまた、ビックネームがポンポンと出てくるものだな)

 

ブラッドレイ長官の次々に出てくる名前に烏間はただ驚くしかない。

特に[全能の錬金術師]と言えば史上最年少で国家錬金術師の資格を取得した麒麟児。錬金術を取り除いても、その技術(スキル)は、最強の殺し屋[死神]に勝るとも劣らないとまで言われている。

これからまた忙しくなると烏間は感じた。

 

 

〜翌日〜

 

空港のロビーにて烏間たち対超破壊生物対策部は国家錬金術師たちの到着を待っていた。

 

「どうもこんにちは」

 

何の気配もなく後ろから肩を叩かれた烏間は反射的に後ろを振り向きながら身構えた。すると後ろで肩を叩いた者は驚いたことに少年で若干笑いながらも体の前で手を振り、戦意がないことを表した。

 

「いやだなーそんなに身構えちゃって、ちょっと脅かそうと思っただけですよー」

 

「普通の人間なら気絶してもおかしくないぞ?」

 

「あれあれ?それじゃあ自分は普通じゃないってことですか?」

 

少年におちょくられ、若干頭にくる烏間だが、そこは何とか我慢した。

 

「君が[全能の錬金術師]エルフォード・ホーエンハイム君だな?」

 

「そうですっ!長いんでエルって呼んでください」

 

エルがニコニコしながら話すと握手を求め、烏間もそれに応じた。しかし、そこで1つ違和感が生まれた。

 

「エル君、ヴァン・ホーエンハイムさんはどこだ?」

 

そう、エルと一緒にくるはずだったホーエンハイムがいないのだ。しかしエルは笑顔を崩さずに言った。

 

「あの人なら向こうのロビーで寝て、起きなかったから置いてきちゃった」

 

これが本当ならエルはホーエンハイムを置いてきたことになるのだが……

 

「なに息をするかのように嘘を吐いているんだ」

 

自分を超える背丈の大男。今気づいたがエルもエルで年齢に似合わない背丈を持っている。

 

(またさっきと同じ展開か!!)

 

エルと似たようなホーエンハイムの現れ方に、どんどん寿命が減る思いの烏間は、長居するのも無駄だと思い、防衛省が用意した彼らの家へと招いた。

 

 

家に着いた当初、はじめにやったのが

 

錬金・我が家(レアメイク・ハウス)

 

用意した家を一度分解し、新しい家へと作りかえた。さらに、エルの手には金属やプラスチックなどの塊ができていた。

 

「わーお。盗聴器やらがこんなに沢山。こってるねぇー」

 

「なっ!」

 

思わず絶句した。確かに上官から盗聴器などを仕掛けるよう指示され、仕方なく最新型の超微細なものを仕掛けたのだが、まさか1回家を全壊させて不審なものを取り除く。錬金術師の中でもトップクラスのしかできない錬成陣を使わない錬金術だからこその発想だろう。

 

「さて、家を作りかえた事だし、中入りましょうか、烏間さん」

 

エルの呼びかけに烏間は応じる事が出来なかった。あまりにも立つ次元が違いすぎる。そう立ち尽くしている烏間の首元にエルはそっと人差し指と中指を当てた。

それにより烏間は我に帰る。

 

「エル、いきなりこんな事されたら誰でもびっくりするだろー」

 

ゆったりとした口調でホーエンハイムはエルを叱る。

 

「い、いや。私は大丈夫ですが……」

 

「だってよ。烏間さんはいいって」

 

「はぁ、まったくどうしてこんな子に育ったのか…」

 

あなたのせいでもあると思います。と突っ込みたくなる気持ちを抑えて、エルについていき、中へと入った。

 

「さ、烏間さん座ってよ」

 

用意したはずもないソファーを見て、これも錬金術かと思いつつ腰をかける。

 

「悪いが途中で買ってきたアイスコーヒーしか無いが烏間さん、大丈夫ですかね?」

 

「いえ、お気遣い感謝します」

 

これまたまったく作りがかわったキッチンで3つのコップに買ってきた氷とコーヒーを入れたホーエンハイムはお盆に乗せて持ってきた。

 

「さんきゅー」

 

「ありがとうございます」

 

それぞれの目の前に置かれたコーヒーを烏間は一口飲み、説明に移った。

 

「では本題だか、エル君、簡潔に言うとこいつを殺してほしい」

 

「ふーん。マッハ20の超生物ねぇ」

 

「こいつは生徒の間で殺せない先生、[殺せんせー]と呼ばれている」

 

殺せんせーの名前を聞いたエルは少量ではあるが口に含んでいたコーヒーを吹いてしまった。

 

「おいおい汚いだろ」

 

あくまで軽ーくホーエンハイムに注意されるが、エルに反省した様子はない。

 

「だって、こ、こ、殺せんせーだよ?名前つけた人センスありすぎでしょ!」

 

そう言って時々「殺せんせー」と呟いてはプッと笑うエルにつられて烏間も笑ってしまいそうになる。

 

平常心を取り戻した烏間は話を暗殺の件に戻す。

 

「成功報酬は100億円。勿論今後上がる可能性もある」

 

たいていの殺し屋はこの賞金に吊られて暗殺をきめる。

 

「はっ!そんな金いらないね」

 

「確かに貯金は腐るほどあるからなぁー」

 

が、この2人は違った。なんせ彼らは超希少な錬金術師である。そんな金はいくらでも手に入るのだ。望み薄と感じた烏間は少々諦めムードだった。

だが、

 

「「受けよう、その依頼」」

 

2人は殺せんせー暗殺の依頼を受けた。

 

「よろしいのですか?」

 

改めて烏間は2人に聞く。

 

「あぁ、マッハ20のターゲットなんて絶対に今後現れないからな」

 

「わざわざ日本に帰ってきたんだ。何もしないと大総統に大目玉だ。それだけは避けたい」

 

不純な理由ではあるが、依頼を引き受けてくれた事に烏間はホッとした。

 

「では明日からエル君は生徒、ホーエンハイムさんは教官として椚ヶ丘中のE組に来てもらいます。地図は渡しておくので。では失礼させていただきます」

 

「そうか。じゃあ玄関まで見送ろう」

 

「感謝します。それでは明日からよろしくお願いします」

 

烏間は玄関の扉を開け、外へ出て行った。エンジンの音が次第に遠ざかり、ついに聞こえなくなった。

 

その後自室のベッドに寝転んだエルはうとうとし始め、「椚ヶ丘中3−E……か」そう言って静かに眠った。

 




どうでしたか?ちょっと長い気もしますが、これくらいがちょうどいいですかね?
読みにくかったらすいません。ちなみに主人公の名前の由来は、鋼の錬金術師の主人公兄弟のエドワードとアルフォンスを組み合わせてエルフォードにしました。名付け親はもちろんホーエンハイムです。


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出会いの時間

本格的に本編スタートです!
視点は基本的にエル君になります


『春は出会いの季節』

日本にはそんな言葉があるとじじい(ホーエンハイム)から聞いたことがある。なんでもじじいが若い頃は一時期日本に住んでいたらしいのだが、今までヨーロッパに拠点を置いていたために四季を知らなかった。

 

 

ある程度大きな道に出たものの、家を朝早くに出たためか道路にはあまり人の気配はなく、代わりに時々車が通り過ぎていく。

 

「は、離してください!」

 

気分良く歩いていたところに女の子の声が右側のちょっとした路地から聞こえてきた。

 

「いいじゃねぇかちょっとくらい。俺らとお茶してこうぜ?」

 

「かわいいねぇ〜。中学生?」

 

「連れさっちまうか?」

 

高校生と思わしき3人組の不良たちに1人の女子が絡まれており、しかも制服を見る限り同じ椚ヶ丘の生徒だった。

登校初日早々面倒ごとに会うとはついてない。そう思いながらも助けることにした。

 

高校生らしき奴らのうちの1人が女の子の肩に触れかけ、女の子が体を竦ませ、目をつぶった時だった。

 

「そんな汚い手で女の子を触るもんじゃないよおじさん」

 

女の子の肩に触れかけていた手首を掴み、強く握った。

 

「いってぇ!なんだテメェは!」

 

今まで体の筋肉という筋肉を鍛えた自分の握力のため、そこらへんのチンピラにダメージを与えるのは容易であり、いとも簡単に手首を掴まれた奴は悲鳴をあげた。

そして、なんだテメェと言う言葉に対しシラーっとした顔で

 

「俺か?俺は通りすがりの………主ふ、じゃなくて……

 

 

通りすがりの一般人だ!」

 

あたりが静寂に包まれ、少し間が空くと、不良たちは「プッ」と吹き出し大声で笑った。

 

「ハハハ!なんだこいつ。通りすがりの一般人だぁ?」

 

「フン、一般人なら一般人らしく見て見ぬ振りでもしときな」

 

「そーだそーだ、さっさと会社にでも行ってな」

 

ここぞとばかりにおちょくる不良たちに対し、エルは怒った。

 

「あのなぁお前ら、一般人とは言ったが俺は中学生だ!誰が老けてて、ストレスの溜まった会社員みたいだ!」

 

(((そこまで言ってねぇ!!)))

 

エルのちょっとズレた怒りに我を忘れかけた3人だが、すぐに正気に戻り、エルが中学生だと分かると更に執拗におちょくりだす。

 

「なんだよデケェ図体してんなと思ったら中坊かよ!」

 

「こりゃいじめがいがあるってもんだ!」

 

「さっきの掴みにぁびびったが3対1だ!やっちまおうぜ!」

 

相変わらず息ピッタシの3人に対し、ため息を吐きつつも、戦闘体勢になり、不良たちを待ち構える。不良たちから離してもらった女の子は心配そうにこちらを見ているが、こちらから笑顔を見せると、幾分か安心したように見える。

 

「っと、今はそうこうしてる場合じゃないな」

 

最初に殴ってきた奴は右腕で軽く流して体勢が崩れたところに脇腹へ一発お見舞いしてやり、倒れて動かなくなったところを見ると、残りの2人へ目を向けた。

2人同時に殴ってきたところをリーチのある長い足でしゃがんでから足払いすると、2人とも地面と愛のキスをし、最初に女の子に触れていた奴は動かなくなり、最後の1人はよろよろと立ち上がり、恐怖と共に後退していき、ついに壁際まで追いつめると顔のすぐ横に笑顔のまま一発コンクリートを殴りを入れた。ついでに言えば、コンクリートは殴った周辺が砕けた。

 

「そこの2人を連れてどっかいけ」

 

ニコニコしながらそう言うと、不良は2人を引きずりながら一目散に逃げていった。

 

「よっ、君、怪我はない?」

 

不良たちが逃げていったのを最後まで見届けると、絡まれていた女の子の元へとかけ寄り大丈夫か確認する。

 

「あ、はい。ありがとうございます!」

 

女の子は深々と頭を下げた。

 

「いいよてそう言うのどうやら同じ学校の人っぽいしね」

 

「え?でもあなたのこと見たことないけど……もしかして新しく来る転校生!?」

 

「あー、多分それ俺のことだ。君はあれ?3−Eの人?」

 

「そうだよ。矢田桃花って言うの。よろしく!」

 

エルは烏間先生から成績不振者が集まるのが3−Eだと聞いたが優しそうな人がいて一安心する。

ともあれこのままだといくら早く出たとは言っても遅刻してしまうので、2人で歩き出す。

 

「そっか、俺はエル。エルフォード・ホーエンハイムって言うんだ。よろしくね矢田さん」

 

俺の名前を聞いてびっくりする矢田さん。何を不思議に思ったのか聞いてみると

 

「顔立ち的に日本人だと思ったけど、名前は外人さんなんだね」

 

「別に名前が外人っぽいから外人さんって訳でもないよ?じじいから聞いた話によると俺を拾ったのは日本だって言うからね」

 

「え、拾われたって……聞いたらマズかった?」

 

矢田さんはやらかした感を出しながら俯向くが、別にそんなことはない。

 

「大丈夫だよ。俺は今の生活に満足してるしね」

 

「そっか、よかったー」

 

ホッとした表情につい見惚れてしまい、体温が高くなるのを感じたが、じじいの顔を思い出すと急速に体が冷えた気がした。矢田さんが不思議そうにこちらを見ているところを見ると、どうやら顔の紅潮は見られていないようだった。

 

(なんだこの気持ち……戦闘中のワクワク感とは違った、別のドキドキは……)

 

 

 

主にこれまでのE組に起きた出来事。潮田君という人が、寺坂君という人に無理やり自爆させられ、殺せんせーには月に一度[脱皮]と呼ばれる奥の手があること、赤羽君が登校初日に触手を破壊したものの丁寧に手入れをされたことなどを矢田さんは楽しそうに話してくれた。そして、そうこうしている間に山の麓についた。

 

「やばいよエル君!あと10分しかない!」

 

矢田さんが凄い焦った顔をしているところから、本当に時間がないのだろうと分かる。

 

「そうだなー、じゃああまり使いたくはないけど使っちゃおう!」

 

俺は矢田さんの目の前に手を差し出した。

当然矢田さんは不思議そうに俺の手を見ている。

 

「何やってんの、時間、ないんでしょ?俺の手掴んで」

 

言われるまま、俺の手を矢田さんが握ると、俺の心臓は自然とバクバクと高鳴ったが、冷静を装う。

 

「酔うかもしれないけどしっかりつかまってて!」

 

錬金・瞬間移動(レアメイク・テレポート)

 

そう口にした瞬間、いきなり景色が変わった。

 

「え?ど、どういうこと?」

 

理解できないまま俺の手を握っている矢田さんは辺りをキョロキョロしている。

 

「これがしばらく続くから覚悟してね」

 

ニコニコしながら言い放つと、遂に矢田さんは覚悟を決めたようで、強く目を閉じた。

目まぐるしく景色が変わり、あっという間に山を登っていく。

 

それなりに平坦なところにポツンと木の校舎のようなものを見つけ、ここかな?と思うと、錬金術を止める。

 

「着いたよ矢田さん」

 

ずっと目を閉じていた矢田さんは恐る恐る目を開けると、バッと目を見開いた。

 

「え?ど、どういう事?さっきまで麓にいたのに山頂にいる?」

 

どうやら混乱しているようだが無理もない。いきなり景色が変化し、本来ならもっと時間をかけて登るところを超ショートカットしてきたのだから。

 

「あれ?ここであってるよね?」

 

「うん、あってるけど……」

 

もしや間違っていたかと内心ヒヤヒヤしていたが、どうやらあっていたようだ。

 

「じゃあ俺は職員室に行ってるから。またねー」

 

そう言って旧校舎へ走っていった。

残された矢田は呆然としていたが、いきなり肩を叩かれ、ビクッとした。

 

「おはよー!矢田さん」

 

肩を叩いたのは同じE組のカエデちゃんだった。ついでに渚君と杉野君もいる。

 

「お、おはようカエデちゃん」

 

やや動揺を隠しきれずに返事をしてしまい、すぐに何かあったことがバレてしまったので、仕方なく朝起きた事をすべて話した。

 

「ふぅん、謎の力を使うこの時期に入る転校生かぁ……案外暗殺者だったりして!」

 

カエデちゃんの言葉にまさかと思う。確かにこの時期に転校生は謎が多いし。けれども、自分を助けてくれた事には違いなかった。

 

「でもさ、不良たちに絡まれてるところをサッと助けてくれるって………

 

 

王子様みたいだね!」

 

カエデちゃんがふと漏らしたこの言葉に、私は

 

「ふえぇ?!」

 

思わず変な声を出してしまった。その反応を見てカエデちゃんは

 

「ふーんなるほどねー。矢田さんもやるぅ!」

 

何かを察したようだった。

 

 

 

 

 

そんな事も知らずに、エルは職員室に入る。すると、中には烏間先生が1人で待っていた。

 

「来たか、エル君」

 

「昨日ぶりですね烏間先生」

 

「ああ、それよりも早速で悪いがそろそろ朝のホームルームが始まる。奴はもう教室にいるから、すぐに教室へ行こう。簡単に自己紹介してもらう」

 

「了解です」

 

手短に話を済ませると、同時に席を立ち、教室へ向かう。途中廊下のきしみがとても気になったため、「後で直していいですか?」と聞くと「後でな」と返された。

 

教室の手前まで行くと、まず烏間先生が前の扉を開けて教室に入り、俺が入る前に簡単な紹介をする。

 

「今日から君たちと同じ教室でこいつを暗殺する事になる仲間が増える。エル君入ってこい」

 

そう言われ、教室の中に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前に扉のレールの段差でこけた。

 

 

 




ハガレンの要素も少し組み込みつつ書いてみました!
エドは身長の低さがコンプレックスですが、エルのコンプレックスは雰囲気が大人びている事です。なので老けている感じの物言いをされるとエドと同じ感じでキレます。
次回からは、エル君が使った錬金術をあとがきで説明したいと思います。


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驚愕の時間

ちょっと日数が空いてしまい申し訳ありません。
今回からはエルの錬金術について解説を最後に入れたいと思います!
ちなみに最初は渚君視点スタートです


みなさんこんにちは、潮田渚です。あの日から早いもので暗殺を始めてからもう結構な日数が過ぎました。

 

「誰に向かって話してんだ?」

 

「ちょっと黙ってて杉野」

 

紹介し遅れました。今口を挟んできたのは僕の友達の杉野友人。悪い人ではないけど、ちょっと熱くなりすぎるところがあったりするのが心配。

さて、話を戻すと、杉野から今日椚ヶ丘の3−Eに転校生が来るらしく、朝から話題はその事でもちきり。茅野も合流すると更に転校生の話は盛り上がる。

 

「やっぱりこの時期だと殺し屋が転校生かなぁ?」

 

茅野が言うように、僕らの教室でこの時期の転校生といえば、殺し屋の可能性がとても高い。僕らはまだ殺し屋を見た事がないからなんとも言えないけど、おそらく殺し屋ならこの前カルマ君が殺せんせーにダメージを与えた以上の事をするに違いない。と思う。

 

「でもよ、転校生って事は俺らと同じ歳だろ?そんな奴が殺せるのか?」

 

杉野の言う事も的を得ている。いくら殺し屋とは言え僕らと同じ14か15歳。とても殺せんせーを殺せるとは思えない。

 

「2人とも、まだ転校生が殺し屋って決まったわけじゃないでしょ?」

 

今、僕が言った可能性も否定はできない。

 

 

しかしこの言葉が間違っていた事を僕らは後で知る事になる。

 

 

 

山道を登り終わり、ある程度平坦なところへ行くと、グラウンドに1人ポツンと立っている人がいた。

近くまで行くとだんだんシルエットが色へと変わり、特徴的なポニーテールが見えた。

 

(矢田さん?なんでグラウンドに?)

 

前原君や岡島君たちなら、たまに朝早く来て遊んでいる事もあるが、矢田さんが朝、グラウンドにいるのは見た事がない。

 

しかし茅野はそんな事気にせず矢田さんに挨拶しに行った。

 

「おはよー!矢田さん」

 

「お、おはようカエデちゃん」

 

何故か動揺する矢田さんに何が起きたか茅野が聞くと、どうやら不良たちに絡まれてるところを転校生に助けてもらい、一緒に登校してきたが、山の麓にいた筈がいつの間にかここのグラウンドにいたらしい。

 

「まあとにかく教室いこ!このままここにいたら遅刻になっちゃうよ?」

 

矢田さんの手を茅野が掴んでそのまま旧校舎へと小走りで行った。

 

「朝から元気だなーアイツ」

 

「アハハハハ……」

 

 

教室へ入った僕らはいつもの席に着き荷物を整理すると、まだ時間に余裕があったため周りの人の会話に混じることにした。

 

「カルマ君は転校生のことどう思う?」

 

机の上に足を乗せ、いつものイチゴ煮オレを飲んでいるカルマ君に聞いてみると

 

「十中八九、この時期の転校生って殺し屋だよねー。俺らとタメなのに殺し屋だと思うとなんか変な感じがするよ」

 

やはりここでも意見は同じで転校生は殺し屋だとカルマ君も思うらしい。頭のいいカルマ君が言うのだから、転校生は殺し屋でほぼ確定だとこの時は思った。

 

「みなさん、席に着いてください」

 

始業のチャイムとともに前の扉から殺せんせーが入ってきた。

 

「ホームルームを始めます。日直は号令を」

 

「起立、気をつけ、礼!」

 

この掛け声とともにクラス一斉射撃を始める………はずだったのでのだが、殺せんせーから止められた。

 

「今日の朝の一斉射撃は無しでお願いします。転校生が初めて入る教室にBB弾が大量に落ちていて殺る気を削いでしまってはもったいないですからねぇ」

 

「てことせんせーは転校生のことは知っているんですか?」

 

隣の茅野が聞くと殺せんせーは笑いながら

 

「それがですねぇ……烏間先生から教室に入るまでは教えるわけにはいかないと言われまして……」

 

「ふーん、そっかー」

 

茅野は納得していないようだが、殺せんせーは御構い無しに、出席簿を開いた。

 

「カルマ君」

 

「ん」

 

………

 

………

 

………

 

「吉田君」

 

「はい」

 

全員を呼び終えると殺せんせーの顔には丸のマークが浮かんだ。

 

「今日も全員出席。素晴らしいですねぇ」

 

そこからしばらくして、朝のホームルームも終わりを迎えるその時に、烏間先生が教室に入り、みんなが(いよいよか!)と思った。

 

「今日からこの教室でこいつを一緒に暗殺することになる仲間が増える。エル君、入ってこい」

 

烏間先生が転校生を呼ぶと、「はーい」という声とともに一言で表すなら『背高イケメン』が入ってこようとして…………

 

 

転んだ。

 

「ニュヤ!大丈夫ですか?!」

 

殺せんせーが慌てて駆け寄り、起き上がらせるために手を()()()()()()()()()

その瞬間、転校生がニヤリと笑い、殺せんせーの腕を掴む。

すると………

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせーの差し出した腕が一本丸ごと消滅した。

 

 

慌てた殺せんせーは瞬時に後ろへ引くと、たった今再生した触手を見た。

 

一方の烏間先生はため息を吐いた。

 

「まだ能力は使うなと言ったんだがな」

 

気だるそうにそう言うと、転校生は

 

「いーじゃん烏間先生。ここでも殺せればいいんでしょ?」

 

「できるならな………あと……」

 

烏間先生は思わず口に出そうになった言葉を飲み込む。

 

「?あと……なんですか?」

 

「いや、言っていいのか?」

 

恐らく烏間先生と僕らが思っていることは一緒だろう。

 

「いいですよ?」

 

「大変言いにくいが、エル君鼻血が出てるぞ」

 

一瞬の静寂が訪れた後

 

「えぇぇぇぇ!なんで早く言ってくれないんですか?!てかいつの間にか……あ!転んだ時か!あれはびっくりしたもんなー!」

 

めちゃくちゃ騒ぎ出した。て言うか超うるさい。

ん?びっくりした?

 

「わざとじゃないの?」

 

思わず口に出てしまい、慌てて自分の口を塞いだ。

が、聞こえてしまったようだ。

 

「す、素で転んだんだけど」

 

恐らく恥ずかしいの顔を真っ赤にした転校生だが、顔に血が集まったせいかさっきよりも鼻血が激しくなった。

 

「あー鬱陶しい!錬金・凝結(レアメイク・ハーデン)!」

 

 

 

僕らは今日、何回驚かなくちゃいけないのか………

 

 

 

先ほどの触手破壊でさえみんなが空いた口が塞がらなかったのについさっきまでドバドバと出ていた鼻血がピタリと止んだ。

更に

 

 

 

錬金・清潔(レアメイク・クリーン)

 

 

 

体についていた汚れが全て消え去った。

 

もはや空いた口が塞がらないのレベルではなく、みんな顎が外れそうなくらいあんぐりしていた。

殺せんせーも同じように……いやもっとひどい。なんせ顎が地面についてしまっている。

 

 

(((なんつー顎してんだ!!!)))

 

 

 

カオスな状況の中1人転校生だけがニコニコしており、流れるような手つきで黒板に名前を書いていく。そして、書き終えると、みんなのほうを向き、爽やかな笑顔で

 

「『エルフォード・ホーエンハイム』です。長いんでエルって呼んでください。職業は現役の[錬金術師]です」

 

 

 

 

(((………は?)))

 

 

みんな殺せんせーと同じようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 




エル「エルの錬金術しょーかーい!」

ホーエンハイム「ドンドンパフパフ」

エル「まずは前回の錬金・瞬間移動!」

ホーエンハイム「あれほど人前で錬金術を使うなと言ったのに」ゴゴゴゴゴ

エル「アハハハハ…説明いこうか…まず人間っていうのはいくつかの元素で構成されている。それの比率を瞬時に『理解』し『分解』そして目標の地点へ『再構築』する。その時に、魂の錬成を忘れるとただのリアルな人形になってしまうから注意!ん?なんで俺が魂の錬成をできるかって?真理を見」

ホーエンハイム「はいストップ。ここでさらっと重要なことを言わない」

エル「はいはい。次は殺せんせーの腕を分解したやつだけど、これは次回話すからここでは無し!その次の錬金・凝結。これは例えば今回の鼻血は血が出るでしょ?出血したところの皮膚を薄く伸ばして傷口を塞ぐイメージでやると、一度皮膚が『分解』されて、傷ついたところで『再構築』される訳。最後に錬金・清潔。これは重宝させてもらってるなー。簡単な話これは汚れの成分を全て元素に『分解』して、そのまま空気中にぽいっとするだけの超簡単なお仕事です」

ホーエンハイム「以上」

エル・ホーエンハイム「錬金術紹介のコーナーでした」


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歓迎の時間

今回ちょっと長めです。
ちなみに視点はエルです。


恥ずかしい……超絶恥ずかしいんだけど…

なんの段差もないところでコケて、しかも鼻血まで出して、初対面のやつにそれを指摘されて……なんとか自己紹介はキリッと済ませたけどカッコ悪過ぎるよ……

 

「それではエル君はカルマ君の隣に座ってください」

 

いつの間にか冷静を取り戻した殺せんせーに言われ、平静を装いシラーっとカルマという奴の隣に座る。

 

「よろしくね。ええっと……」

 

呼び方に迷っていると、カルマは俺を見て、フッと笑い

 

「カルマでいいよ。よろしくホーエンハイム」

 

「うん、よろしくねカルマ。それとさっきも言ったがエルでいいよ?言いづらいと思うし」

 

「ふーん。じゃ、エルで」

 

取り敢えずそれなりに打ち解けれたようでホッとした。エルは今まで学校に行ったことがないので、カルマが学校でできた初めての友人となる。

こっちの表情を伺って、カルマは質問してきた。

 

「ねーねー、さっきの奴、どうやったの?何かしたようには見えないけど」

 

「ああ、殺せんせーの触手を破壊したやつ?」

 

「そうそれ。何か仕込んでるようには見えなかったんだけど」

 

「うーん、後でのお楽しみかなー。時間がある時に教えてあげるよ」

 

ここまで言うと、殺せんせーは満足げな顔をして

 

「もう話せるようになって何よりです……では授業を始めましょう」

 

殺せんせーの授業が始まった。が、しかし

 

「エル君は少々情報が少ないので、別室で小テストを受けてもらいますよ」

 

「えぇ……めんどくさいなー」

 

「ヌルフフフフ……まぁそう言わずに。午後からは参加できる程度のテストですから」

 

「わかったよ」

 

席を立ち上がった俺はそのまま教室を出て行った。

扉を開けてすぐ横に、教室よりもふた回りほど小さい部屋があり、丁寧にも『エル君のテスト部屋』という看板とともにこれでもかというほどの飾り付けがしてあった。先ほどの少しの間教室を出て行ったのはこれをやるためだろう。全くありがた迷惑である。

 

「失礼しまーす」

 

軽い感じで入ったそこの教室には、何もない部屋にポツンと中央に机と椅子が1セット置いてあるだけだった。

 

(逆に集中できないよ!!!)

 

心の中で愚痴を吐きつつも席に座ると、いつの間にか目の前に殺せんせーがいた。

 

「いつの間に……」

 

「先生はマッハ20の怪物ですよ?気付いたら目の前に、なんてしょっちゅうです」

 

「へー、覚えとくね。でもまあ初速くらいなら追いつけなくはないよ?」

 

「なるほど……しかし君の年齢で国家錬金術師とは……驚きましたよ」

 

顔を緑と黄色の縞々の柄に変化させた殺せんせーは笑いながら話題を変える。

 

「まぁね、国家錬金術師のじじいと一緒に旅をするには同じ資格を取っといた方が何かと都合が良かったから」

 

「それが史上最年少国家錬金術師が誕生した所以ですか」

 

「そういうことだね」

 

すると殺せんせーは納得したように数度頷くと、5枚の紙を取り出した。

 

「分かりました。ではある程度君を知ったところで、テストをしましょう」

 

「はいはい。別にテストするまでもないけどね」

 

「ニュヤ?それはどういう」

 

殺せんせーの頭の上に?マークが浮かんでいるところを見てニヤッとすると不敵にも言い放った。

 

「結果を見れば分かるよ」

 

 

テストが始まった。

まずはじめにテストを見て感心した。基礎問題から応用問題まで丁寧作られており、ミスがあれば何が原因か一発でわかるだろう。それに応用は思った以上に難しかった。が、所詮その程度。国家錬金術師という職業には、物質を理解する理科の知識はもちろん、普段は使わないものの錬成陣を創り出すには高度な数学の技術、専門用語の理解が必要となり、また、様々な国を渡り歩くため色々な国の言語を覚える必要があり、更にその国の情勢や歴史、地理にも関心を持たなければいけないため、このテストはイージーとしか言いようがなかった。と言ってもこれほどまでに色々な知識が必要になってくるのは錬金術師庁の中でも本部の人間だけなのだが。

 

1教科を10分には程度で終わらせ、ふと時計を見ると、既に2時間目の途中だった。

 

残った時間をどうしようかと考え、ふと思いついた。

 

 

 

「そこでここに来た訳か」

 

今日何度目かになる深いため息を烏間はついた。

 

「だって暇なんですもん」

 

「教室で奴の授業を受けてればいいだろう?」

 

パソコンに向かって仕事をしながらこれほどまでに会話を成立させる烏間先生はハイスペックすぎる。

ソファーに腰を下ろし紅茶を飲んでくつろぎながらニコニコと人当たりのいい笑みを絶やさずにいるエルはそう感じた。

 

ひと段落ついたのか伸びをした烏間先生は思い出したように俺に言った。

 

「そういえば、午後の体育では生徒たちの前で俺と模擬戦をして貰うぞ」

 

そう言った烏間は再びパソコンに向かおうとするが、途端に嫌な汗が噴き出た。

ふとエルの方を見ると、ほんの一瞬だけエルの顔つきが獰猛な、まるで獲物を見つけたホオジロザメのような顔つきになったような気がした。

 

(気のせい、か?)

 

身体的な疲労は殆どないにしても、ここ最近、色々なことが起こりすぎたために精神的にやや疲れているのだろうと思い、少々リラックスして、またパソコンに向き直った。

何より、今、殺気どころか敵意すら感じさせない男の子がそんな顔をするはずがない。そう思い込んだ。

 

一方のエルはというと……

 

(危ない危ない……久々に強敵と対峙できるって思うと、つい殺る気が満ち溢れてきちゃった)

 

世界でもトップクラスの手練れとの対峙に心を躍らせていた。

 

話は変わり、ちょうど午前中の授業を終えた頃。

 

(さてさて、エル君の様子はどうでしょうか……)

 

殺せんせーはエルがいる隣の教室へと入った。

 

「遅かったね先生。時間が余りまくっちゃうから暇だったよ」

 

なんの変哲もない、いつも通りの笑顔を絶えず浮かべ続けるエルに殺せんせーは思わず油断し、彼の元へ行くと

 

錬金・鋭利(レアメイク・シャープネス)。案外ちょろいね、殺せんせー」

 

「ニュ、ニュヤ!」

 

床の木がいきなり鋭利な棘となり、連続で殺せんせーを襲う。ザシュッっと触手が切れる音がする。見ると床の上には2、3本程の切れた触手が落ちていた。

棘の連撃が終わると、すぐさま殺せんせーは退避する。そして、落とした部分は綺麗に生え変わったが、殺せんせーからするとこの身体になって、もしかしたら生まれて初めて身の危険を感じた。

 

「はいテスト。多分500点満点だよー」

 

気がつくと目の前に移動していたエルは殺せんせーの目の前にテストを突き出し、殺せんせーはそれを恐る恐る手に取った。

 

「ふふっ、いつの間に目の前にって顔だね?まあ俺のことを見てればそのうち理解できるかもね」

 

それだけ言い残し、教室から出て行った。

 

昼休み、みんな思い思いの場所で食事をとったり遊んだり談笑したりしている教室へとエルは入り、すぐさま自分の席に座ると、カバンから自作の弁当を取り出した。

弁当を食べ尽くした後は何をしようかと考えていると

 

「エル君それ誰が作ったの?」

 

隣の席でくつろいでいるカルマが聞いてきた

 

「俺だけど?」

 

そのセリフを聞いた途端、カルマはこちらに身を乗り出してきた。

 

「へー、よくできてんね。あ、そのウィンナー美味しそう」

 

「そんなに欲しいならあげるけど……」

 

若干カルマの押しに引きながらもちょっと今日は作りすぎたなと感じていたところなのでちょうどいとウィンナーを思いあげることにした。

 

「マジで?ラッキー」

 

そう言ったカルマはウィンナーを全部食った。

 

「…………」

 

「どうしたのエル君?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

「?」

 

カルマはこちらを不思議そうに見てるが、この気まずい雰囲気の原因は間違いなく

 

(俺のウィンナァァァァァァァァァァ)

 

カルマである。

しかし、喉のあたりまで来た怒り文句をなんとか飲み込み、再び食べ始め、すぐに完食する。

 

するとタイミングを見計らっていたのかたくさんの生徒たちがエルの机に群がってきた。その中には今朝助けた矢田さんもいる。

 

「ねぇ!朝のアレどうやってやったの?」

 

「お前、背高ぇな。何食ってんだ?」

 

「錬金術師ってなに?」

 

「外でサッカーしようぜ」

 

群がってきた生徒たちはそれぞれ質問やら疑問やらを口にする。

 

「ま、待って。俺は聖徳太子じゃないから……頼むから1人ずつ喋ってほしいな。できれば名前も言ってくれれば嬉しいんだけど…」

 

エルの呼びかけに一同は静かになると、何やらコソコソと話し合っている。恐らくだがどの順番で質問するか決めてるのだろう。

 

「はい!じゃあ私から!私の名前は茅野カエデ。呼び方は好きにして」

 

「わかった。よろしくカエデさん」

 

「うん!よろしく!ところでさ、今朝のアレってどうやったの?」

 

いきなり核心を突いてくるとは思わなかった……。カエデさんのどストレートな質問にやや苦笑しながらも受け答える。

 

「うーん、その前に錬金術って言うのを知ってもらわないとなー。

錬金術って言うのは、特定の錬成陣と、自分の中に流れる気を使って、物を生み出す技術のこと」

 

「え?じゃあなんでも作り放題ってことか?」

 

「そう見えるけどそうじゃないんだよねー。えっと……だれ?」

 

「お、悪ぃな。岡島大河だ」

 

「えっとね岡島君、錬金術の基本は等価交換。何かを作るためにはその材料を揃えないといけないんだよ」

 

等価交換について説明したのはいいもののやはり理解はできないみたいで、みんな頭の中にはてなマークを浮かべてる。

 

「うーんと、1のものからは1しかできないってこと。例えば土から何か錬成しようと思ったら、錬成したものはその土と同じ成分でできるってことなんだ」

 

完璧には理解できないものの、ある程度は分かったみたいだ。

 

「じゃあ本題に移るけど、殺せんせーの触手はいくらヌルヌルしていそうでも、必ず何かの物質でできているっていうのはわかるよね?」

 

みんな頷いている。ここまでは理解できるようだ。

 

「錬金術っていのは基本的に物質が何でできているかを知る『理解』。その物質を全て一度バラバラにする『分解』。分解したものを新たな物体に変える『再構築』の3段階があるんだけど、殺せんせーの触手をあれは破壊したんじゃなくて、『再構築』の1歩手前の『分解』錬成を止めることによりせんせーの腕の物質を全て分解、空気中へと飛ばしたってわけ」

 

ここまでは説明するとほとんどが口をポカンとあけている。

 

「要するにせんせーの腕の物質を全て分解したってこと」

 

「「「あ、そういうことが」」」

 

君たち息ピッタシだね……。そう思いざるをえないほどのハモりにびっくりする。

 

「はーい!つぎ俺な!俺は前原陽斗」

 

「前原君ね」

 

「おう!あのさ、錬金術って俺らでもできんのか?」

 

「あ、それ気になるー」

 

「確かにー」

 

やっぱり錬金術を見た人は、錬金術が自分にも出来るのかどうかが気になるみたいだ。

 

「残念だけどこればっかりは幼い頃からやってないと身につかないと思うよ?」

 

「じゃあさエル君、何かコツみたいなことはあるの?………あ、僕は潮田渚。よろしく」

 

「渚君ね。そうだねーコツかー。あ、あることにはあるかな。これは俺の体術の師匠に教えてもらったんだけど」

 

なんかジリジリ寄ってきてないか?と思うほどみんな顔の表情からワクワクする気持ちが読み取れる。

 

「全は一、一は全。これが理解できる人はいい錬金術師になれる」

 

「えー、なんだそれ」

 

「どういう事?」

 

期待した分落胆も大きいようで、先ほどのジリジリ感は無くなった。

 

「ちなみにエル君は答えを知ってるの?」

 

再び渚君が聞いてきた。

 

「勿論だ。だがこればっかりは教えられない。どうしても錬金術師になりたいって人は自分で答えを見つけないとダメなんだ」

 

「ふーん。そっかぁー」

 

納得はいっていないようだが、満足はしたようだ。

そして、このクラスのリーダーらしき人が「じゃあ改めて…」と言うと、みんな一斉に言った。

 

「「「ようこそ3−Eへ!!!」」」

 

こいつらハモり大好きだな……

 

 

 




エル「錬金術紹介のコーナー」

ホーエンハイム「ドンドンパフパフ」

エル「今日の錬金術は……錬金・鋭利と最初に殺せんせーにやった錬成・分解の2つ!」

ホーエンハイム「錬金・鋭利は国家錬金術師の中ではポピュラーな攻撃方法だな」

エル「一撃の軌道がわかりやすい代わりに、錬成しやすいから手数を多くできるのがメリットだね」

ホーエンハイム「次は錬金・分解だな」

エル「あまり使う人はいないけど、使い方によっては[破拳の錬金丹術師]スカーさんのような事ができ、使い手によっては無双も夢じゃない!」

ホーエンハイム「ただし、人にやってしまうと体の内側から破壊し尽くしてしまうから注意が必要だな」

エル「以上」

ホーエンハイム「錬金術紹介でした」


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才能の時間

久々の投稿ですね。沢山の課題に追われていました。大変申し訳ないです。これからは更新ペースを上げれたらなと思います。


旧校舎校庭にて………

 

今日もE組の生徒たちは元気に掛け声を出しながら体育の授業を受ける………手にナイフがなければの話だが。

俺は何をしているのかって?殺せんせーと一緒に熊本城を作りながら授業を見てるいるよ。

 

「前原君、下からの切り上げのときにややバランスが崩れているぞ」

 

「は、はい」

 

「寺坂君、ナイフの振り方が強引すぎる。もっと丁寧にふれ」

 

「ちっ……はいはい」

 

烏間先生は一人一人生徒のことをしっかり見ながらアドバイスをしている。

実にいい指導者だ。エルは烏間先生の指導方法に感心した。

 

「ふむ、今日の訓練はこれで終了だ」

 

一通り生徒を見て、アドバイスを言い終えると訓練の終了、つまり授業を終わりにした。

だが、まだ10分ほど時間が余っているのを他の生徒は不思議に思っているようだ。

生徒たちの心情を察した烏間先生は微笑しながら訳を説明した。

 

「残りの10分は俺とエル君との対人格闘訓練をタイマンでしたいと思う」

 

生徒たちからはどよめきが起きた。

渚君から聞いた話だと烏間先生はクラスの男子が2人がかりでもナイフを当てられないほどの強者らしい。

今日の昼前に烏間先生から対戦のことを聞いたときはおもわず笑みを浮かべてしまった。幸い気付かれてはいないらしいが……

 

「ルールとしては審判は不本意だが熊本城の隣でク◯モンを作っているタコにしてもらう」

 

「ヌルフフフフフ、任せてください」

 

殺せんせーはいつになくやる気だ。

 

「互いに武器は禁止、エル君に関しては錬金術も禁止とさせてもらう。それでいいなエル君?」

 

「はい、構いませんよ」

 

みんなから見るエルの顔は昼間の時と同じようなニコニコとした顔だが

 

(なんだろう…お昼の時とはちょっと違う気がするあの笑みは…?)

 

渚は先程までとのエルに多少の違和感を抱いていた。

 

渚に何かを感じ取られたことなど全く気付いていないエルは烏間先生の前へと歩を進めようとした。

するとそこに

 

「ねぇ、エル君……」

 

矢田さんがやってきた。

 

「どうしたの矢田さん?」

 

すると矢田さんは頬を赤らめ、モジモジしながら細く、エルにしか聞こえないほどの声で言った。

 

「が、かんばって…」

 

心臓が爆発するかと思うほど、鼓動が早まった。

 

「うん、ありがとね。頑張るよ」

 

必死に冷静を装うが正直隠せているかは不安なところである。

冷静になるための時間は欲しいが10分程しか時間がないので、未だに動揺は隠せていないが戦闘準備をする。

 

烏間先生が半身で右腕を前、左腕を後ろに構えるのに対し、エルは特にこれといった構えを見せない。

 

「構えなくてもいいのか?」

 

「これが俺の構えですよ。どんなことにを即座に対応できる……僕が知る中で最も強い構えです」

 

「そうか…」

 

そこで会話は途切れ両者沈黙。完全に目で牽制し合っており、試合開始のゴングより前からすでに激しい戦いの予感を他の生徒たちに感じさせた。

 

そして……

 

「レディ………ファイト!」

 

闘いのゴングがなった。

 

はじめに仕掛けたのは普段攻めに転じることのない烏間先生。

 

「フッ!」

 

鋭い蹴りを1発エルに食らわせようとするが、エルはバックステップで難なく回避。だが一撃で終わる烏間先生ではない。

 

「ハァッ!」

 

蹴りの次には右拳でストレートを一撃、二撃、三撃と放つが、一、二撃は避けられ、三撃はガードされる。そこで攻守が交代した。

 

「フン!」

 

まずは先程受けた三撃のカウンターで、やや体制を崩した烏間先生に左から薙ぐような蹴りを入れ、それが脇腹へクリーンヒット。よろけたところを逃さず、四肢をうまく使い烏間先生を圧倒していく。

 

(くッ!まさか俺がこんなにも防戦一方になるとは……やはり強い!)

 

既に余裕があまり無い烏間先生はひたすら防御に徹し、反撃の機会を待つ。が、

 

「ハッ、ハッ、オラァ!」

 

エルの凄まじい猛攻もあり、なかなか攻めに転じられない。

 

 

 

そして……

 

 

「そこまでです!」

 

エルが烏間先生の鳩尾に拳を入れようとしたところで、殺せんせーに止められた。

 

烏間はすでに息が切れており、肩が休むことなく上下している。

対するエルは肩で息をしているにしても、普通に立っているだけの余裕を持っている。

 

「こればっかりは……才能の差…ですかねぇ……」

 

いつの間にか烏間の隣に立っている殺せんせーはニヤッとした顔でこちらを見てくる。

 

(今すぐにでも殺してやりたいが……まだ体が思うように動かない…)

 

殺せんせーはニヤニヤとした顔を崩さずに烏間に話す。

 

「彼の才能は全てにおいて突出したものがあります。先程分身に小テストを採点させたのですが、全て100点の500点満点です。更に説明も詳しく、丁寧でかつ分かりやすく簡潔に書かれています。満点が500点であることが惜しいくらいに」

 

そこまで言うと殺せんせーは真面目な顔つきとなる。

 

「だからこそ彼の心には表面には無い脆い部分がその内見え隠れします。それをケアしてあげるのも我々教師の仕事です」

 

烏間は先程自分に勝利したエルを見た。これまで誰も触れることすらできなかった烏間に当てることができたエルに対し、生徒たちは尊敬こそするものの畏怖はなく、更に仲が深まっているように思える。それほどまでにエルの周りには笑顔があふれている。

思わずフッと笑ってしまった。

 

「あぁ、そうだな」

 

殺せんせーも満足そうに頷いている。

相変わらずどこか憎めないやつだ。と烏間は思った。

 

「今日の体育はこれで終了だ。各自家に帰ったらよく休養を取るように」

 

そう言うと烏間先生は旧校舎へと戻っていった………

 

 

 

 

一通りみんなに祝福という名の絡みに付き合わされ、割とヘトヘトなエルに1人が近づいた。

 

「すごいねエル君」

 

「渚君か……まあたまたま今日は調子が良かっただけだよ」

 

まるで、一安心。という風に上を向き息を吐いたエルは渚と共に旧校舎へと向かう。そこにカルマも入る。

 

「凄かったねーエル君」

 

「偶然だよ。いくら今回は烏間先生を圧倒できたからって次は負けるかもしれない。東洋では『勝って兜の緒を締めよ』っていう諺があるんでしょ?それに僕は国家錬金術師庁の中で錬金術を抜いた総合格闘技では庁内順位は5位。上には上がいるってことだよ」

 

ここまでの話を聞いたカルマは楽しそうに話を続ける。

 

「ふーん。まあエル君がここまで強いんだからよっぽど強いんだね。是非手合わせ願いたいなぁー」

 

カルマの面白がっていった発言にエルの顔から血の気が引いて行く。

 

「やめたほうがいいよ。俺より上位の人たちは全く格が違う。前に4位の人と戦ったことがあるんだけど、相手に殆どダメージを与えられなかった」

 

エルの話を聞いたカルマは考え直したように笑顔で

 

「じゃあやめとこーっと」

そう言って教室へと入った。

 

今日も平和だな……。エルはそう呟くと渚たちに続いて教室へと入っていったて




短いと思った方には申し訳ありません!
あまり時間も取れないので……
今日は錬金術を使っていないので紹介はなしになります。


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