もしもボスが大きかったら(たいたんてき) (ゆめうつろ)
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LB-777

ボスのレンズがデータコアだったので(思いつき)


 

―もしもボスが少しばかり大きかったら

 

 

「ラッキーさん!どうして動いてくれないのですか!?あの巨大セルリアンを放ってはおけません!」

 

『ダメです、パイロット。プロトコル3:パイロットの保護に抵触します』

 

「なら、私だけでも……!ハッチを開けなさい!」

 

『パイロット操縦をロック、任務の続行を不能と判断、ヘリに合流座標を送信します』

 

「ラッキーさん!!」

 

 

―――――

 

 

 

 さばんなちほーとじゃんぐるちほーの境目で、青い鋼の巨獣は静かに佇んでいた。

 

 LB-777、セルリアンとの戦闘の為に改造された作業用重機たる彼はただ静かに待っていた。

 

「危ないよサーバルちゃん」

 

「へーきへーき!」

 

 再びこの島に、人が、彼が『支えるべき者』がやってくるその時を。

 

 

「サーバルちゃん……あれ……」

 

「あ、ボス!」

 

「ボス?」

 

「そう!おっきくて強いからボスって呼ぶんだって!セルリアンだって簡単にやっつけちゃう……!らしいんだけど、たまにしか動かないから、すごい偶然だね!」

 

 サーバルキャットのフレンズの隣に立つ少女、それは紛れもなくヒトで、彼女の被る帽子の羽飾りは『パークガイド』の証。

 

 それはLBにとって待ちわびた者がようやく、現れた事を意味した。

 

『はじめまして、私はLB-777……あなたの名前を教えてください』

 

「あ……えっと……かばんです!」

 

「うわあああああ!ボスがしゃべったああああっ!?」

 

 基本的にLBの役目はセルリアンと戦う事、ガイドロボであるラッキービーストと同様にフレンズへの過度な干渉はしない。

 

『かばん、目的はありますか?』

 

「図書館へ行きたいんですけど……」

 

『了解、ルートを検索……しかし今日はもう遅いので今夜はここをキャンプ地とする事を提案します』

 

 LBは今現在、ネットワークリンクが殆ど使えず、かなり前の状態のマップから図書館の位置を検索、かばん達が目覚めるまでデータの整理やルートの確認を行った。

 

 

 そして翌朝、三人での旅が始まった。

 

 

 まずLBはジャングル地方のアンイン橋を通るルートを選んだ、道中かばん達を肩に乗せたりしながらも足場の悪いジャングルの中、様々なフレンズ達の解説を挟みながら辿り着いたアンイン橋。

 

 しかし増水した川に橋が破壊され随分経っていたようで。

 

「道がないよボスー!」

 

『近道を提案します』

 

「なっ…投げないでくださーい!」

 

とりあえずフレンズやパーク職員なら向こう岸まで投げても大丈夫だと判断したLBだったが、かばんの抵抗によりそれは回避され、ジャガーの渡し船が選択。

 

 LBは防水処理がされているので川底を歩いて渡った。

 

 そしてふと思い立ったのがこのまま行けば、図書館まで随分と時間が掛かるという事でバスを使う案だ。

 

 かつて他の職員が巨大セルリアンの一体を倒す作戦の為にオートで橋を渡らせた一台があった筈だと、検索したが。

 どうやら前後が川に分断されてしまっていた様だ。

 

 いくら頑丈といえど運転席部分を水中で運ぶのはかなり無謀だ、最悪バスがダメになりかねない。

 

「一つ……試したい事があるんです」

 

 だがそこでかばんが閃きを発揮、ロープとイカダで簡易橋を作る事となった。

「ラッキーさん、岩にぶつけない様に投げてくださいね」

 

『任せて』

 

 かばんの指示の元、ロープを持ったカワウソを投げるLB。

 

「たぁあーのしぃいー!」

 

 投げられる事さえエンジョイするカワウソ。

 

「わからん……わから……わかった!」

 

 ある程度まで作ってかばんのアイデアを理解したジャガー。

 

「かばんちゃん!すっごーい!」

 

『さすがです、かばん』

 

 かばんの見事なひらめきに『パーク職員』としての素質を感じるLB。

 

 その後、サーバルのみんみーパワー(ジャンプ力ぅ)により無事にバスは合体、しかしここで新たに問題発生。

 

『バッテリーがありません』

 

 バスのバッテリーが空なのだ、ついでにいえばLBのバッテリーもまた補充したいとあって、最寄りの充電スポットを検索。

 

『高山地方にバッテリーを補充できる場所があります、近道を検索』

 



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ばってりー

マカセテ


 

 

 高山へと向かうロープウェイは使えなかった。

 

「ねえラッキーさん……」

 

『さすがに投擲でどうにかなる距離ではありません』

 

「投げようとしないでください!?」

 

「ボス、かばんちゃんはあんまり動くのが得意なフレンズじゃないよ」

 

 

 LBは本来作業用だ、パークガイドやフレンズの高い身体能力とあわせて使う事で素早くテクニカルな作業を可能とする。

 

 LBはかばんを職員と認識している、しかしこの身体能力では職員は難しいのでは?とも考える。

 

 ジャパリパークの職員試験の合格率は2%とも言われる程に困難なモノであり、それを突破した『彼女』もそうとうなものであったが……。

 

 さて、どうしようかと考えているうちに白い影が空から舞い降りる。

 

 ノーススター……ではなく鳥のフレンズだ。

 

「わぁああああーたああああしぃいいはぁあトォオキィイイ」

 

『音感センサーに異常を検知、トキと認定』

 

 その後、かばんは『通信機』を腕につけてトキに運ばれ、サーバルは出来るだけ高くまでLBに投げられた。

 

 そして山頂に辿り着いたかばんはLBのナビゲーションのもとで無事に充電を開始、そしてアルパカの悩みを解決する為に『地上絵』を描く事になった。

 

『かばん、そこのロープウェイ設備倉庫に草刈り機があります、それを使いましょう』

 

 投擲により割と早く着いたサーバルも加え、4人でお茶を飲んだり、じゃぱりまんを食べたり、トキのうたの破壊力を下げたりしながら『カフェの地上絵』を無事完成させ、充電も完了。

 

『任務完了を確認、お疲れ様ですかばん』

 

「えっと……このバッテリーは何処に?」

 

 二本の充電済みバッテリー、一本はバスに、もう一本は。

 

『サーバル、私の上のハッチにお願いします』

 

「わかったよボス!」

 

 シールドもシステムも全快したLB、バスの自動操縦も無事に起動。

 

「とまれー!うごけー!」

 

 サーバルの声に反応して動き出すバス。

 

『危ないです』

 

 まさにぶつかるという所でサーバルを掴んで阻止するLB。

 

『むち打ち、骨折などの危険があります、バスの前には基本的に立たないでください』

 

 

 そしてジャガー達に見送られ次はさばくちほー、LBはバッテリー補充のおかげで復旧したホバーでバスと並走し、砂にタイヤがとられた時はそれを押す事で解決した。

 

 しかし行く手を砂嵐が阻む。

 

『この近くに、避難出来る場所を検索……検索……』

 

 広い砂漠には幾つかの避難所的なモノがある、しかし長く整備されていないせいか砂に埋もれてしまっているモノも多い。

 

 そんな時に現れたのはスナネコであった。

 

 

 

『スナネコ、案内をお願いします』

 

「わかった、それにしてもボスが喋ってる所、はじめて見ました……けどまあ……騒ぐほどでもないか」

 

 そして砂嵐をやりすごす為にやってきたのはスナネコの住み処となっている洞穴、だがその奥はどうやらバイパスと繋がっており、平原の方へと進めるようだ。

 

「まさかボクの家にこんなものがあるとはおどろき……まあまた後ででいいか……それじゃあね」

 

 暗い道をバスとLBのライトが照らし、進んでいく中で不思議な扉を見つける、と同時に道の向こうからセルリアンがやってくるのをLBは感知。

 

『セルリアンを発見、かばん達はその施設へ避難してください、通信機を渡しておくので合流地点でまた会いましょう』

 

「大丈夫なんですか?ラッキーさん!」

 

『任せて』

 

 

 そうしてかばん達はツチノコが住む『迷宮』へ、LBはセルリアンに塞がれた『戦場』へ。

 

 

『   コア・オンライン』

 

 一筋の閃光がセルリアンを凪ぎ払った。



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らすと・ふれんず・すたんでぃんぐ

ツチノコ「出番がないぞこのや゛ろ゛ぉ゛お゛お゛!」

???「うるせえぞ!ドロップシーケンス開始!」


 

『おかえりなさい、かばん、サーバル』

 

 道中のセルリアンを排除しつつ無事に合流したかばんサーバル組とLB。

 

 バイパスを通り、出た先は平原に近い湖畔で、道なりに進んでいくと、そこには何故かドミノめいて立てられた木材や穴だらけとなった地面、上半身が地面にめり込んだフレンズ、おろおろと慌てるフレンズ。

 

『迂回を提案します』

 

「タッケテータッケテー」

「あわわわわわ……」

 

 

 どうやらプレーリーとビーバーが家を建てようとして大惨事となったようだ。

 

 かばんの頼みにより、LBはずぼっと大根を引き抜くかくらいの手軽さでプレーリーを救出し、色々あって建築を手伝う事に。

 

『任せてください』

 

 元は重機、かばんとビーバーの指示でプレーリーが穴を掘り、サーバルが切った木材をLBが運ぶ。

 

 あっという間にログハウスが完成したのだが、余った木材でかばんが更に増築を提案、建築家もびっくりな図面引きでビーバーも乗り気に。

 

 結果的になにやら元資料よりグレードアップした豪邸と化した。

 

 成る程、かばんは設計立案が得意な職員なのか、と一人納得するLBであった。

 

 翌朝、再びバスに乗って移動する一行を待ち構えていたのは城を住処とするライオン組だ。

 

 何やらここ最近、ヘラジカ組がやたらとライオン組に突っ掛かってくるらしく、色々と苦労している様だ。

 

「強そうだな……手伝って貰えないか……?」

 

『私の相手はセルリアンだけです』

 

 オーロックスがLBを見て、助っ人を願うが、LBは即座に拒否した。

 

「このままじゃ怪我人も出ちゃうしなんとかなんないかなー?」

 

 というライオンの声にかばんの叡知が煌めく。

 

「危なくないルールを決めればいいかと」

 

 

―風船を紙を丸めた棒で叩いて割って、最後まで風船が残ってたチームが勝者の『ラスト・フレンズ・スタンディング』だ。

 

 それをヘラジカ組に通達した後、サーバルとかばんは助っ人(人数合わせ)としてライオン組に参加。

 

 そして試合当日、アラビアオリックス、オーロックス、ライオン、かばん、サーバルとハシビロコウ、シロサイ、ヘラジカ、パンサーカメレオン、ヤマアラシといった感じで5対5の戦いになった。

 

 ちなみに重さや大きさで風船の数は代わり、カメレオンやサーバルは3つ、ライオンとヘラジカは4つ、オーロックスやシロサイは5つと一応フェアになるようなルールだ

 

 そして試合開幕から数分、カメレオンがステルス中に味方に風船を割られリタイア、かばんが叡知(待ち伏せ+サーバルに運んでもらうヒットアンドアウェイ)でシロサイを撃破。

 

 ヘラジカは風船を一つ犠牲にオーロックスとアラビアオリックスを倒し、ハシビロコウとヤマアラシも奮戦するが結果はライオンの持っていた棒を半分に折るに留まった。

 

 この時点でほぼライオン組の勝ちは決まっていたがヘラジカのパワー押しでサーバル撃沈、そしてパワーの差でヘラジカがライオンに勝利する目前、かばんが木の上からの奇襲をしかけ、出来た一瞬の隙からライオンの逆転勝利が決まった。

 

「役に立ったでしょ!木登り!」

 

「ありがとう、サーバルちゃん!」

 

 LBはこの結果を見て、グラップル(ロープ)とジャンプキットがあれば、きっと歴代最高のパークガイドになれるだろうとかばんを評価した。



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ぷろとこる3

当作品にはタイタン的な要素があります。


 

 目的地である図書館で、かばんは自分が人であると知った。

 

 そして次の目的は。

 

「人の住む場所を探したいんです」

 

『了解』

 

 LBはこの図書館での一件でかばんが、職員の遺物から生まれたヒトのフレンズである事に気づく。

 

 しかしながら、ヒトのフレンズともなれば研究対象として最悪の場合拘束されかねない。

 

 かばんにとって現在のパークに人が居ない事はある意味幸運だったのかもしれない、しかし不幸でもあるのかもしれない。

 

 LBはそれを決めるのは自分ではないと分かっていながらも、思考を続けた。

 

 そして一つだけ分かった事、それはかばんがフレンズ達を助けて来た事、職員がすべき事を満たして来た事。

 

『かばん、提案があります、あなたを暫定パイロットに任命すれば、より多くの情報を開示できます、しかしながら同時に幾つかの責務があなたに与えられます』

 

 故にLBはかばんに選択肢を与える事にした。

 

・タイタンとリンクする事

・セルリアンと戦う事

 

・フレンズを助ける事

 

 これから先の旅路でこの三つを優先する事を条件に、かばんに内部データベースの閲覧を許可する事にした。

 

「大丈夫ですよラッキーさん、今までもやってきた事です……そこにセルリアンと戦う事が加わるだけなら……やっぱり怖いですけど……大丈夫です」

 

「じゃあ私がかばんちゃんを守るよ!」

 

『了解、かばんを暫定パイロットに認定、権限を付与します』

 

 するとLBは膝をつき、胸のハッチを開いた。

 

「ええー!?ボスが開いたー!?」

 

『かばん、ジャンプキットを装備してください』

 

 パークガイドの装備であるジャンプキット、それは猫化のフレンズ達にも劣らない程の機動力を人に与える道具だ。

 

 具体的には空中でのジャンプや壁を走ったりできる。

 

「すっごーい!かばんちゃん!かけっこしようよ!」

 

「えっあわわわわわっ!」

 

 新しい道具に困惑しながらもしっかりと『説明も無しに』それを使いこなすかばん、それを見てLBは改めてかばんがフレンズだと確認する。

 

――もしも彼女が生まれたのが戦いの時代であったら、彼女はどうしようもなく不幸な存在だっただろう

 

 だがこの世の奇跡を凝縮し、友(フレンズ)に恵まれた彼女はどうしようもなく

 

 『最良』のパーク職員になれるだろう。

 

 もしかしたら、彼女はあなたを越えていくかも知れません。

 

 

 LBは、かつてのパートナーを想いながら、草原を駆ける二人を見つめた。

 

 

 

 そして目的地は新たに旅路は続く、草原から水辺へと向かえばPPPのライブ、なかなか勇気をもって踏み出せないプリンセスの背中を押したり、会場設営を手伝ったり、ライブを見たり。

 

 他にも色んなフレンズ達と出会い、かばんとサーバルは成長していく。

 

 LBはそれを『うれしく』思いながら、今は雪山を行く。

 

『たまには程々に休むことを提案、かまくらを作ってみるのはどうでしょう』

 

「ボス、かまくらってなに?」

 

『わかりません、ガイドブックに書いてあったモノを丸々読んだだけです』

 

「いっつも真面目なボスもたまには面白い事いうんだね!」

 

『皮肉を検知』

 

「えっと…多分雪の塊を掘って作るんだと思います」

 

「かばんちゃんはやっぱすごいや!」

 

 途中、バスのタイヤからクローラーに換装しつつ、温泉を目指す、しかし山の天気は変わりやすく当たりは猛吹雪となった。

 

「こんなに…寒いなんて……」

 

 サバンナ出身であるサーバルは寒さに弱くかばんも大分平然としているが、やはり薄着であり、このままでは危険だと判断。

 

『プロトコル3、パイロットの保護……暖房を起動します』

 

 LBは自身のコックピットに二人を載せる事で何とか吹雪をやりすごした。

 

 

「でっかいのがいるぅ!?」

「ボク知ってる!ゲームで空から降ってくる奴!」

 

 

 そして山頂、温泉で出会ったのはキタキツネとギンギツネ。

 

 かばん達が温泉で休んでいる間に発電所でバッテリーを回復させるLB。

 

 だが、多数のセルリアンの反応を検知、かばん達と合流を優先し非常用バッテリーの充電を確認すると直ぐ様動き出した。

 

「ボクもうゲーム出来ないのか……がっくり……」

 

 雪崩の様なセルリアンの群れ、かばんは咄嗟に桶をソリにして場を切り抜けるが段々と山の斜面がなだらかになっていく、このままではセルリアン達に追い付かれてしまう。

 

 

 だがその時、オレンジの光がセルリアンを焼いた。

 

 それはLBの背中のレーザーキャノンから放たれたモノだった。

 

『パイロットかばん、乗ってください、あなたの仕事です』

 

「わかりました!ラッキーさん!…行ってくるよサーバルちゃん……!」

 

「気をつけてね、かばんちゃん!」

 

ソリからジャンプキットで飛び出し、走るLBへと跳躍するかばん。

 

 そしてかばんをキャッチするLB。

 

『戦闘モード、権限をパイロットに付与します』

 

 



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マカセテ

後一話くらいで終わります(信じて)


 

「フェネックを離すのだあああっ!!」

 

 7メートルもある巨大なセルリアンの手を渾身の力で切り裂いて、アライグマが囚われたフェネックを救い出す。

 

「逃げなきゃ……ダメ……だよ、アライさん……」

 

「大丈夫なのだ、フェネック……アライさんのこの手を信じて欲しいのだ」

 

 アライグマ一行は目の前で『パークガイド帽子』を持ち去った何者か追い掛けて旅をしていた、だがその最中、一体の巨大セルリアンが立ちはだかる。

 

 手足のある『巨人』の様なセルリアン、弱点の石も見当たらず攻めあぐねている所に助っ人が現れる。

 

「リカオンは救助、キンシコウは足止め!」

 

 セルリアンハンターのヒグマ、リカオン、キンシコウの三人組だった。

 

 雪山でのセルリアン大量発生の報告からパークの危機を見越して行動を開始した所、丁度襲われているアライグマ達を見つけたのだ。

 

「た……助かったのだ!」

 

 三人の連携で何とか巨大セルリアンを転ばせて『口』を開かせ、中にある石にキンシコウが『何か』を投げ込む。

 

「耳を塞げ!」

 

 ヒグマの叫びと共に一行が耳を塞ぐと同時に巨大セルリアンが爆発した。

 

「すごいのだ……あんな大きなセルリアンをやっつけてしまうなんて……」

 

 だが遠くで響く火山の噴火の轟音、立ち上る黒い『サンドスター』。

 

 そして落ちてくるのは3体の『巨人』セルリアン。

 

「オーダー…キツいっすよ……」

 

「撤退だ!」

 

「ぱ……パークの危機なのだあっ!?」

 

 

 

 

 サンドスター・ロー、火山から立ち上る黒いソレを港からかばん達も見ていた。

 

『かばんは船でパークから退去する事を提案します』

「ボスの言う通り、危ないからね……!」

 

「ラッキーさん、サーバルちゃん……僕はまだ行かないよ」

 

 共に旅をしてきた、助けられた、嬉しかった、楽しかった、だから守りたい。 と、かばんは思い、船に背を向けた。

 

 

「かばんちゃん……」

 

 権限を与えられてから見てきたデータからセルリアンを生み出すサンドスター・ローはフィルターによって普通のサンドスターに変わる、それがうまく機能していないから今、火山から黒いサンドスターの煙が上がっている。

 

 そこまで情報を整理したかばんは羽のついた帽子を真っ直ぐに被り。

 

「サーバルちゃん、ラッキーさん、手を貸して欲しいんだ……パークを、みんなを守る為に」

 

「うん……手伝うよ!かばんちゃんがやりたい事なら!」

 

『………かばん』

 

「心配しないでラッキーさん、僕らは一人じゃないから」

 

『私はパイロットを……友を危険に晒したくはありません、ですがそれはサーバル達にも言える事』

 

 この旅路、見てきた物を材料に、LB-777は決断する。

 

『プロトコル4:友を助ける事。かばん、サーバル、行きましょう、これ以上事態が悪化する前に』

 

 

 こうして火山へと、一行は急ぎ足で向かう。

 

 

 

「あっ……パークガイド帽子なのだ!!」

 

「えっ?」

 

「やっと追い付いたのだ!」

 

『アライグマ、パークガイド証を何故あなたが持っているのですか?』

 

 火口付近まで辿り着いた一行はアライグマ組、ハンター組と合流する。

 

「うあっ!!ボスが……タイタンが喋ったのだ!!やっぱりこれはパークガイドの証だったのだ!」

 

「アライさーん、本物のお宝でよかったねー」

 

 人が居なくなって随分と経つこのジャパリパーク、しかし幾つかの大事な情報は言伝ではあるが残っている。

 

 それにはパークガイドとタイタンの事なども含まれ、パークガイド帽子はタイタンと話したり動かしたり出来るお宝として扱われていた。

 

「暫定ですけど、僕がパークガイドの『かばん』です」

 

「こ……この羽を返すのだ、パークガイドの帽子は羽が二つ着いた状態が一番えらいと聞いたのだ!それでパークを救って欲しいのだ!」

 

 だが追い掛けて来た理由がどうでもよくなるくらいのパークの危機にアライグマはかばんに『赤い羽根』を渡す。

 

『かばん、職員権限のレベルが上がりました、昇進おめでとうございます』

 

「あ…ありがとうございます……それで、ラッキーさん、何か新しい情報は?」

 

『はい、サンドスターフィルターは黒い板状で火口に東西南北と四神に合わせて設置されます、ナビゲートを行います、フレンズ達と協力して設置してください』

 

「かばん、だったな?ハンターチームも手を貸す、幸せも困難も群れで分けあうのがフレンズだからな」

 

 こうして日が暮れる前にどうにか四神のモノリスは正しい位置に設置されてフィルターが起動する。

 

 しかしまだ問題は残っている、それはセルリアンだ。

 

 少なくとも3体は居る7mクラスの危険な巨大セルリアン。

 

『タイタン型セルリアン……かつてセルリアンとの戦闘で破壊されたタイタンがセルリアンとなったモノです、現在こちらの戦力はフレンズが6人にタイタン1体、そしてガイドが一人……勝率は5割程度です』

 

 戦力的に非常に厳しい状態だ、誰かが犠牲になるかもしれない。

 

『マカセテ』

 

「誰……ってちっちゃい方のボスも喋ったああ!?」

 

 驚愕するサーバル、ピョコピョコという足音と共に現れたのはガイドロボットでありLBの名前の由来となった『ラッキービースト』だった。

 

『困難ハ 群デ ワケアウ、ソレガ 『フレンズ』 ナラ イイ考エガ アルヨ ダカラ マカセテ』

 

 



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信じて

 巨人型セルリアンの一体が文字通りに地に沈む。

 

「足元注意であります!」

「まんぞく……」

「さっきの゛おかえし゛だよ~」

 

 フェネックとプレーリーとスナネコが掘ったトラップに見事に引っ掛かって身動きが取れなくなったセルリアン、そこへカバとシロサイが突進。

 

「いきますわよ!」

 

「おまかせください!」

 

 巨人型セルリアンは内側の空間に『石』を持つ為、特殊な武器でも使わなければまともに倒すのは苦労だ。

 

 だが苦労するだけで倒せない訳でもないし、まともにやらなければいい。

 

 カバがその凄まじいパワーでシロサイを押し、勢いを増したシロサイが角(ランスチャージ)でセルリアンの一体を粉砕する。

 

 

 残る二体のセルリアンは仲間をやられた事に気付き、すかさず『砲』を手にするが、遅い。

 

「こう『忍び』っぽい事で皆の助けになれるのは、やはりいいでござる」

 

 景色に紛れていたパンサーカメレオンが既に『包み』をセルリアンの『砲』に詰め込んでいた。

 

 

「それは使わせないのです」

「危ないものは『ただしく』対処するのです」

 

「我々は賢いので」

「我々は賢いので」

 

 耳栓をした博士と助手が『ボタン』を押すとセルリアンの砲を壊すには十分な威力の爆発が起きた。

 

「数に限りのある貴重な『遺物』ですが、パークの危機に使わずしていつ使う……という事です」

 

「そういう事なのです、しかし博士……耳栓をつけていてもこれは……」

 

「つらいのです」

「つらいのです」

 

 このパークで『ヒトの道具』を正しく取り扱いできる者は仕事を果たし、次へと繋ぐ。

 

「こう強いだけがリーダーじゃないんだけどさ~……強さの証明もしなきゃダメなんだよね~」

 

「うむ!」

 

「……ヘラジカはさ~……まあいっか……」

 

「まあリーダーは大変という事だな、いくぞ!」

 

 ライオンとヘラジカが飛びかかり力任せに一体のセルリアンを引き倒す。

 

 引き倒された味方もろとも叩き潰そうと腕を振り上げるセルリアン。

 

「いまです、ラッキーさん!」

 

『了解、プロトコル2-任務の執行』

 

 だがその腕が降り下ろされるより早く、セルリアンの背後からLBが『丸太』を突き刺して石を破壊。

 

 

 

「今だよサーバル!」

「石を砕くんだ!」

 

 ライオンとヘラジカが引き倒し、他のフレンズ達が群としての力で地面に押さえつけたセルリアンの『装甲』を、ジャガーとオオカミ抉じ開ける。

 

「みゃみゃみゃみゃ……みゃあああ!」

 

 サーバルはハシビロコウの持っていた『槍』を借り、大ジャンプからの落下の勢いを乗せてセルリアンの石を貫く。

 

 これで三体の巨人セルリアンは全て倒された。

 

 

 

「やったのか?」

 

『ヤッタネ。』

 

 作戦を立案していつでもカバーできるように待機ヒグマと作戦の為にフレンズ達に呼び掛けたラッキービーストが茂みから現れる。

 

『セルリアンの反応、消失』

 

「こっちも見当たらないのだ!」

 

 

 LBはレーダーで周囲を探るが地上にセルリアンはもう居ない、と判断してハッチを開く。

 

「……」

 

 そしてLBから降りるかばんの表情には安堵と、少しばかりの寂しさが混じっていた。

 

「かばんちゃん……!」

 

「大丈夫だよ、サーバルちゃん……僕は……」

 

 

 ハッチの上で向き合うサーバルとかばん。

 

 かばんの心にはこれでパークの危機は去ったという安心と、しかしサーバルと別れて海の向こうへヒトを探しに行かなければという寂しさ、それでも行こうと決めたその時だった。

 

 

『警告、警告、セルリア――』

 

 空から凄まじい速度で巨大な影が近付いてくる。

 

 それは『ノーススター』と呼ばれる飛行型タイタンを模したセルリアン。

 

「かばんちゃっ……」

 

 『フレンズ』としての目のよさでそれに気づいた時にはもう遅かった、避ける間もない、かばんはそう判断するとサーバルを力の限り、突き飛ばした。

 

「ありがとう、サーバルちゃん」

 

 衝突の直前にかろうじてLBのハッチが閉じる。

 

「ーッ!?」

 

『%#*@警告…けいこ…重大な…そんしょ…損傷……パイロットに危機』

 

 もしLBのシールドがなければ、もしかばんがフレンズでなければ今の一撃は防げなかった。

 

 それでも危機には変わりなく、かばんとLBは大きなダメージを負い、セルリアンに拘束されて凄まじい速度で地面を引き摺られているのにも変わりはない。

 

「らっキーさ……ん、れ…レーザー…を!」

 

「りりr了解」

 

 背部のレーザーでセルリアンの目を撃ち抜いた事で拘束が緩み、投げ出されて地面に叩きつけられるLB。

 

 

『多数の深刻なダメージを検知…検知……戦闘ぞっこ続行に支障、プロトコル…エラー…脱出を』

 

「ラッキーさん……今まで……色々助けてくれてありがとう…でも…僕は……まだ戦うよ」

 

 少しマシになってきた痛みを堪えて、かばんはLBのコックピットにある一つの『武器』を手にする。

 

 『スマートピストル』と呼ばれる銃を手に、かばんはLBのハッチに手を掛ける。

 

『……非常用プログラムを起動……プロトコル3-パイロットの保護。かばん、私はもうパイロットを失いたくはありません』

 

「ラッキーさん……」

 

『信じて』

 

 非常用プログラムに切り替え、再び立ち上がるLB、しかしダメージは消える事なく、左腕はひしゃげ、各部からスパークの走る痛々しい姿だ。

 

 対するセルリアンも先程の一撃でダメージを受けており、空には飛べない状態だ。

 

 

 

「レーザーコアは……使えますか?」

 

『1秒の間、使用可能です』

 

「わかりました……準備して下さい」

 

『了解』

 

 

 そして、最後の戦い。

 向かってくるセルリアンを見据えるかばんとLB。

 

 取るのは迎え撃つ為の構え。

 

 タイタンとパイロットの強みはパイロットの考えをそのままタイタンが実行に移せる事。

 

『かばん、三人での旅、楽しかったです』

 

「……ラッキーさん!何を!?」

 

 そして、絆。

 

『プロトコル3、パイロットの保護』

 

「ラッキーさん!!」

 

『信じて!』

 

 脱出装置を起動、上部ハッチを強制排除し、シート諸ともにかばんを上空へと飛ばすとLBはセルリアンに組み付き。

 

『レーザーコア・オンライン』

 

 密着したままで胸部から最大出力のレーザーを放つ。

 

 光はセルリアンの表面を焼き尽くして沸騰させて石を露出させ。

 限界を越えたLBのリアクターは大爆発を起こし、セルリアンを吹き飛ばした。

 

「ラッキーさん……」

 

 ジャンプキットにより、着地したかばんが見たのは燃える残骸。

 

「かばんちゃああああん!ボスうううう!!」

 

 そして走ってくるサーバルの姿。

 

 そこでかばんは気を失った。




後エピローグが残っています(タイタン特有のエピローグ)


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エピローグ

 

 決戦から一週間、新たにやってきたラッキービーストと共に船で海の向こうに行く準備を終えたかばんを見送りに来たのは大勢のフレンズ達。

 

 だがそこにLBの姿はない。

 

「かばんちゃん、やっぱり行くんだね」

 

「サーバルちゃんが居てくれて……ラッキーさんが居てくれて……みんなが居てくれたから……僕はもう一人で歩いて行ける、だから大丈夫……それにまた……必ずここに戻ってくるよ」

 

 LBが遺したスマートピストルやジャンプキットなど、今のかばんなら並のセルリアン相手なら簡単に逃げ切れる。

 

「だから、またねサーバルちゃん」

 

 かばんがそういって船へと乗り込もうとした時、ラッキービーストがやってくる

 

『カバン、ヨカッタ……マニアッタ』

 

「ラッキービーストさん……」

 

『LB-777の『データコア』ダヨ、ソレトコレハアブナクナッタ時ニツカッテネ』

 

 ラッキービーストが何かのデータをかばんが持つパイロット用ヘルメットに転送する。

 

「何から何までありがとうございます……」

 

『イインダヨ、パークガイドノサポートモ、ボクタチノ役目ダカラネ』

 

 そして向かうはキョウシュウエリア、途中こっそり改造バスで追い掛けて来たサーバルやアライグマ達と合流したり、新しいフレンズ達と出会ったり。

 

 そして新たな危機に直面したり……。

 

 

「サーバルちゃん!」

 

 四本足の巨大セルリアンとの戦い、キョウシュウのハンター達と協力しながら立ち向かうも、その最中でサーバルがかばんを庇ってセルリアンに取り込まれてしまう。

 

 しかし移動中のセルリアンの中に飛び込み、ロープで自身をセルリアンから引き出すというアイデアでかばんはサーバルを助け出した。

 

 だがまだピンチは終わっていない、巨大セルリアンは直ぐにかばん達へと向かってくる。

 

 そんな時であった、ラッキービーストの言葉を思い出したかばんがヘルメットのデータを起動する。

 

 セルリアンの位置に被さる様に表示されるのは10カウントとマーカー。

 

そして『タイタンフォール』の文字。

 

 

 

 ――それはまるで星が落ちて来た様で。

 

 巨大セルリアンを真っ二つにへし折り、着地したのは一体の巨人だ。

 

 水色に塗装された機体にはまるで『ソレ』を嵌め込めといわんばかりの穴。

 

 かばんは、LBのデータコアを嵌め込んだ。

 

 するとコアを認識した機体は動き初め。

 

『おはようございます、かばん』

 

「ラッキーさん……!」

 

『2万5000パーツ満足です、プロトコル5:楽しい旅を』

 

 パーク職員『かばん』とサーバル、そしてLBの旅はまだ始まったばっかりだ。





タイタンフォール、プレイして(ダイマ)


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