申し訳ないが、惨劇はNG (よしなしごと)
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昭和50年7月
綿流しのお祭り後時報がなかったので初投稿です。
昭和50年の7月10日、この日は俺の14歳の誕生日だ。だと言うのに家には俺以外の家族は居なかった。
母親は俺が小さい頃、6歳の頃にガンで亡くなってしまっていたし、それから父親は自分の神主としての仕事を放り投げて放浪の旅に出ている。その為いつ帰ってくるかも分からず、いま俺は公由村長の家に厄介になっている。
親権放棄のように見えるが、年に数回は帰ってきてくれるし養育費とかは公由の爺さんに振り込まれてるらしく、ギリギリ放棄まではしてないと思う。
それなのに何故この鬼淵神社に来たかと問われたら答えに困ってしまうのだが、オカルト的なことを信じてくれるのならこう答えさせてもらいたい。
『アイツに呼ばれたから』だと。
俺とアイツが初めて会ったのは俺が産まれた時、そう言うしかないだろう。俺は覚えてないけどアイツは赤ん坊だった俺を弟のようにかんじていたらしい。俺の記憶がある中でアイツと初めて会ったのは、5歳の頃ふとした拍子に階段から落ちそうになったことがある。その時に初めてアイツに助けられたのが始まりだった。
あれからもう9年、ずっと俺の隣に居る。……何かがある時は離れるっぽいけど。
「それで、なんで今呼んだんだよ?これから北条兄妹と園崎家で飯食う予定なんだけど」
「あらあら、それは悪いことしちゃったねぇ。……それじゃあお詫びにお姉さんが慰めてあげようじゃないか」
そう科をつくって微笑みかけてくる女性。普通ならこんな表情されたら青少年としては襲いかかったりしないと何だろうけど、残念ながらこんなこと何年もされていたら流石に慣れる。
「馬鹿なこと言ってないで要件話せって弥白」
「もうっ、連れないねぇ。お姉さん悲しくなっちゃうよ」
「あぁ、もう話さないならもう行くからな?」
「ううっ、酷いじゃないかい。折角アンタが知っておいた方がいい情報仕入れてきたっていうのに」
「アンタのお父さんな、交通事故で死んだらしいで。お気の毒様やわぁ」
そうケラケラと笑う弥白。
……この弥白について鬼淵の家にはある言い伝えがある。曰く、鬼淵家に男児が産まれた時、弥白が現れ、その男児が14歳を迎えた時弥白が(性的な意味で)食べに来る。そして弥白と関係を持ってしまった男児はいつかは分からないが早死するといった眉つばすぎる言い伝えが。
「はぁ、なるほど。それで次は俺を食いに来たってか?……勘弁してくれよ、俺はまだ死にたくないしやりたいことだって色々あるんだから」
「やりたいことなんて何時だって出来るやろ?……でも、ウチとヤれるんは今日しかない。なんだったら天に召されるぐらい気持ちようしてあげるで?」
そして、言い伝えには続きがあり14歳の誕生日、この日を乗り切れば弥白はもう誘ってくることが無くなる、といったものだ。正直早く日付が変わってほしい。
「何度も言うけど、お前とそういう関係になる気はさらさらないからな?……どうしてもシて欲しけりゃまず料理出来るようになってくれないと。あと、掃除も出来るようになってくれると助かるかなぁ」
「……ぷっ、くくくっ」
「あ?何か可笑しいこと言ったかよ?」
そう聞くと笑いすぎてお腹痛いとか言いながらいつもの感じで答えてくる。
「そりゃ幸人が鬼を嫁に取るなんて言うから。今までそんなこと言う男、居なかったわよ?」
「そりゃお前その女の将来を約束できないのに関係は持てないだろ?」
「幸人固すぎ。……でも、そうだね幸人となら幸せになれそうな気はするね」
そう笑いながら抱き着いてくる弥白。さっきまでの妖しい雰囲気は無かったから大丈夫だと信じている。
「うん、幸人のお嫁さんになる娘が羨ましいよ。……第一候補は園崎姉妹の妹って感じかい?」
「……なんでそんな話になるんだよ」
「あっ、今照れた!このっ可愛いヤツめ!」
今度は俺を抱きしめ、頭をわしゃわしゃと撫でてくる。べっ、別に図星なんかじゃないんだからねっ!
「それで、オヤシロ様は俺を食べなくて良いのか?」
「んー、そうねぇ。……たまにはダイエットしてみようかなって?正直幸人には鬼に縛られることなく生きてほしいから」
「はぁ、それはなんともありがたいことで」
そう返事をすると、何故か弥白が真剣な顔になって口を開いた。こういう表情してる弥白の口から出る言葉は基本的に耳を塞ぎたくなるようなことを言う。
この時も、例に漏れずとてもヤバい話だった。……雛見沢連続怪死事件って何だよ。しかも悟史が鬼隠しに会うってお前。
「……とまぁ、ここまでが私の愛する妹を時代の果までストーキングした結果分かったこと。流石に羽入が手にいれてない情報までは分からなかったから、何とも気持ちの悪い情報になってるけどね」
「……正直、お前以外の奴に話されたら『面白いSF考えんじゃん』で終わらせるところだけど、お前の言うことだしなぁ。取り敢えずこれからは雛見沢ダム計画を潰すこと考えればいいのか?」
そう言うと弥白が困ったような表情になる。
「うーん、正直ダム計画反対派がやった事は一歩間違えれば刃傷沙汰だからねぇ。犬飼大臣のお孫さんを助けてやった方が印象は良い気はするんだよねぇ」
「あー確かに。でもいざその時になって園崎と対立してまで救出作戦が出来るかって言うとなぁ。その誘拐事件のお陰でダム計画が無くなったって見方もできるしビミョーだよな」
「そうだねぇ。……ま、後のことは後で考えればいいんじゃないかい?それよりも今は」
弥白の視線を辿り時計を見ると既に8時を回っていた。
「やっべぇ詩音に怒られる!」
急いで神社から出て、チャリに跨る。ここまで園崎家までは坂道なのが幸運だけど、それでも15分はかかってしまう。
「やっぱり好きなんじゃないかい」
そう、拗ねたような声が聞こえた気がした。
「おっそ〜いっ!」
「いやぁスマンスマン、ちょっと考え事してたら遅れちまってよ」
園崎家に着くなり、詩音からのお叱りを受けた。……普通玄関前で待ってますかね?
「もう、遅いです幸人さん。詩音煩かったんですよ?ずーっと『いつ幸人来るかな?もしかして事故とか……!』って。ね、詩音?」
「お姉!」
魅音の揶揄いに顔を赤くして必死に口を塞ごうと手を伸ばしている詩音。うん、可愛い。
「ははは、あの二人は変わらないなぁ。幸人さん、荷物お持ちしますよ」
「やめて悟史くん、俺悲しくなっちゃうよ?」
なんか最近悟史くんにイジられるようになってきてお兄さん悲しいよ。
「もうっ、皆さん早く広間に来てくださいまし!あと幸人さん、皆さんお待ちだったんですのよ!」
「おおすまん、沙都子。いつもありがとな」
そう沙都子の頭を撫でてやる。すると悟史くんから殺気が飛んでくるから不思議だ。僕ロリコンじゃないよ、ホントだよ。
大広間に行くと、そこには園崎家当主さまとその娘の茜さん、あと園崎組と公由村長、古手さんご家族がそろい踏みだった。
「えぇー皆さん、今日は少々遅れて申し訳ありません。お忙しい中お集まり頂いたこと嬉しく思います」
「よかよか、ゆきちゃんと儂らとは切っても切れない縁があるさね」
そう優しく返事をしてくれるのは園崎お魎さん、園崎天皇その人だった。……この婆さんキレると滅茶苦茶怖いからみんな気をつけようネ☆
「みぃ〜ゆきとは遅刻の常習犯なのです。みんな慣れっこなのですよ、にぱ〜☆」
そして古手梨花ちゃん。ご覧の通り毒舌少女で時々再起不能にされたりする。……お兄さん辛いよ。
「まぁまぁ、梨花ちゃん許してあげなよ。今日の主役は彼なんだから。ほら、幸人くんこっちの上座に座りなさい」
そう公由さんの指示に従い、上座に腰をかける。……お魎さんが右隣にいるのメッチャ緊張するんですがそれは。
その後、お魎さんのバースデーソングを聞いたり、詩音からの手作りのぬいぐるみを貰ったり皆でケーキを食べたりして楽しく過ごせた。
途中から俺以外の子供たちは眠ってたけど。
「ありゃ、みんな寝ちゃったねぇ。……そうだ幸人くん、いつでも詩音のこと貰っていっていいからね」
「それ毎回言われてる気がしますよ。まぁ詩音が他の男のこと好きにならなかったら貰っていきますよ」
「よく言った!かぁ〜、ほら呑みなさいな今日は祝い酒さね」
それから機嫌よく飲み進める茜さんと泡麦茶を一緒に飲みながら鈍くなった頭でこれからの事を考えていた。
これから起こるダム戦争、大臣の孫が誘拐される事件、連続怪死事件。なんともイベントに事欠かないよなぁと思ってしまう。
それでも園崎組に頼めば大概何とかなりそうに思えるのは何でなんだろうな。
思いつきで書いてるから変なところ絶対ある(確信)
以下言い訳とか設定みたいなものと登場人物まとめ的なの(作者用も兼ねる)
弥白【やしろ】
本作のオヤシロ様枠。過去鬼ヶ淵村だった時代に蔓延した病をバラまいた犯人役になり、羽入に殺される。そんな感じの過去。羽入大好きシスコンお姉ちゃん。
正直オリ主が原作に絡みやすくする為には必要だった。作者の技量が足りないとかいうのも考えると。原作情報を主人公にただ漏れにする大事なお仕事を完遂した仕事人。
見た目は羽入の背を知恵先生ぐらいまで伸ばして、髪をミディアムに切り揃えた感じ。エロい(確信)
エセ関西弁。許して。
園崎姉妹
まだ当主の鬼は彫られていない。10歳の誕生日に彫られる予定ってことにしました。詩音がヒロイン枠っぽいかなぁ。
あと誕生日は2月11日で行きます。
フレンドリーお魎
正直一番無理ありそうで無さそうに見える不思議な人。ドラマCDとかだと結構はっちゃけてるしアリかな?
茜さん
思い切りがいいんだろうなぁって思う。芯のしっかりした女性って感じが好き。
公由お爺ちゃん
やさしいお爺ちゃん。幸人の父親とは仲が良かった。その縁で幸人を家に置いてる。
北条兄妹
まだダム推進派とかも無いから平穏な日々。これから大変だろうけど、今からコネ作りしておこう!
古手梨花
最近、羽入の他に気配がするのです、にぱ〜☆
羽入
最近、お姉ちゃんが生きてる?のが分かり嬉しいのです!あうあうあうー☆
赤坂
ロリコンの変態SA☆警視庁公安なんだぞぅ!
富竹
時報係。あなた鷹野さんに踏まれて喜んでませんでしたか?有名なセリフは「富竹フラッシュ!」「嫌な……事件だったね……」
イリー
メイド・イン・ヘブン
これ以上の説明は野暮ってものだ。
蔵人
ぬっふっふ〜。今はまだ興宮署で穏やか?な日々。そんなことより貴方が話しかける人みんな疑心暗鬼になるのはどうしてくれるんですか。
圭一
運命の歯車なんざ、俺がぶっ壊してみせるぜ!未だ都会暮らし。エアガン事件は起こるのだろうか。お前が来ないとものがたりは始まんないんだぜ。
決め台詞は「ウッディ!」作者が好きなセリフは「服は脱がしても靴下は脱がすなッ!」
鷹野さん
正直嫌いになれない。追い込まれた状況じゃなきゃあの人の言葉に惑わされて雛見沢大災害を起こすことは無かったんじゃないかとか思う。でも、どっちにしろ研究中止になるから起こしそうっちゃ起こしそう。
鷹野さんヒロインルート誰が書いてくれ。
園崎組
頭にヤの付くチート武力集団。番犬部隊相手に10分は戦えそう。情報収集能力も鹿骨市内に限れば本職を上回るっていう頭おかしい設定にした。
次回更新は不明です。
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昭和51年2月
昭和50年もとうに終わり、今は昭和51年。今年は詩音が魅音に、魅音が詩音になってしまう例のヤツが起こってしまう年だ。
今は弥白と共にこたつで作戦会議をしていた。
「さて、どうしたら入れ替わりが防げるかなんだけどいい案あるか?」
「そうねぇ、まず前提条件として園崎家の式たりに外部者である鬼淵の者が口出し出来るかって言うとビミョーだし。それにこの前お魎にも口を出さないでくれって言われちゃってる以上、生半可な理由じゃダメでしょうし」
「うーん、そこなんだよなぁ。理由、理由かぁ。……そこにいる園崎魅音は園崎詩音だァッ!とか言いながら大広間侵入は流石に無理があるしなぁ。かと言って他に手があるかって言うと……」
そうウンウン唸っていると弥白が手を叩く音が聞こえた。なぁんか嫌な予感がするんですけども。
「──って、しちゃえば解決じゃない?」
いや、そんな得意そうな顔しないでください弥白さん。それ俺の世間体が犠牲になっちゃいますから。
結局、あれ以上にことを荒立てず、園崎家からの反発も予想されない答えが無かったため、仕方なくお魎さんに話を通しに園崎本家を訪ねていた。
「やっぱ俺、性犯罪者ってことになるよな?……あぁ嫌だなぁ」
そんなことを考えていたせいか、はたまた冬で雪が降り積もっていたせいかいつもよりもかなり遅く園崎本家へとたどり着いた。これはきっと雪のせいなんだよ、何十年か後に某鉄道会社もそんなこと言う気がするし。
園崎家に着きお魎さんの部屋に通される前に、何故か詩音とばったり会ってしまい少し話をしていた。まさかここで詩音と会うとは思ってもみなかったから少しドギマギした会話になってしまった。……何故か詩音も緊張しているように見えたのはどうしてだろうか。
話をしている途中、お魎さんの用事が終わり部屋に通された。
「お魎さん、急に来て申し訳ないです。それで、今日の用向きなんですが、その」
「なんね?珍しく口篭って。」
まだお魎さんの機嫌は良い。……こっから、こっからが勝負だぞ鬼淵幸人。
「お魎さん、詩音を俺にくれ!」
ガチャン!
……あっるぇー?なんで後ろから茶碗を落としたみたいな音がするんだー?
後ろに視線を向けると、顔を真っ赤にして茶碗を落としたことにも気付いていないのだろう棒立ちの詩音が居た。
「詩音……」
声をかけると意識を取り戻したのか華麗に反転し、そのまま走り去ってしまう。
追いかけるか迷ったけど今はお魎さんとの話し中だし、ここでお魎さんの機嫌を損ねたらそれこそこの計画はおじゃんになるから出来なかった。
結果から言うとお魎さんの承諾は得られた。そしてあれ以降のお魎さんはメッチャご機嫌だった。……表情はあんま変わってないけどな。
あと挨拶に行かないといけないのは茜さんのところか。
とりあえずまだ昼前だったからそのまま興宮に行こうと園崎家を出たところ、水車小屋の前で詩音が立っていた。
「……詩音。その、これには色々と理由があってだな」
「……私で良いんですか?幸人さんならもっと素敵な方と一緒になれるんじゃないんですか?」
不安そうな、それでもどこか期待しているような表情で俺の顔を見つめてくる詩音。
「俺はさ、詩音が良いんだ。これは自分の本心だよ」
そう言うと詩音が勢いよく胸に飛び込んできた。危うく倒れる所だったけど、なんとか踏ん張って詩音を抱きとめる。
「えーっと詩音、そのこんな形になって悪いと思うけど俺の家に来てくれるか?」
そう声をかけると顔を上げ、「はいっ」と笑顔で返事をしてくれた。その笑顔が可愛くてつい詩音のことを抱きしめてしまったがそれは不可抗力というものだ。
「んっ、苦しいですよ幸人さん。……実はさっき婆っちゃに呼ばれて、私が中学生になったら興宮の学校に入れるって言われたんです。それが嫌ならどっかに嫁として貰われるかって。それでお嫁に行くなら幸人さんの家が良いって言ったんです。でも……婆っちゃには鬼淵の家に自分から入れる程甘くないって言われて」
「それで諦めてたところで俺が来たってところか?……はぁ、お魎さんも相変わらず昔の風習大好きだよな。『園崎の家に長女として双子が産まれたら縁起が悪いから妹を殺せ』だったか、実際やろうとしたってのが何とも言えないけど」
「『鬼淵の家に男児が居て、その男児が求めるならば双子は殺すな』でしたっけ。……これ、適用されたの今回が初めてじゃないですか?今まで園崎に双子は産まれませんでしたから」
「あー確かに」
そう考えるとこの言い伝えってもしかしてアイツが作ったとか?
……有り得ないと言えないのがなんとも言えねぇ。アイツなら昔に遡ってチョチョイと。
『いや無理だからね?流石にお姉さんでもそう何回も時間遡行は無理かなぁ』
そう何回もって数回なら行けるって事じゃないんですかね。
「?どうしたんですか幸人さん」
「あぁスマンちょっとウチの神様はイタズラが過ぎるなぁってな」
「あれ?鬼淵神社って元は人じゃなくて自然信仰の方じゃありませんでした?」
「あぁそうだったっけかな。疲れてるみたいだわ」
その返事で一応は納得してくれたのか今は俺の手を引き歩いている詩音。その後ろ姿は
……まだ10歳にもなってない娘を嫁にもらうって普通に犯罪だよなぁ。いや、いきなり家に来てもらうよりは許嫁って形にしておいた方がいいか。
興宮の園崎組に着いてから、来る途中で考えていた詩音を許嫁にする件を茜さんに伝えて無事に了承も得られたんだが……。
「だから、なんでもう一緒に住むっていう話になるんだよ!」
「若い子同士仲良く暮らしてみればって話さね。幸人ちゃん、大袈裟」
「いや、だからな!そうじゃねぇだろ!ほら見て、詩音の顔もうすげぇ真っ赤だから、むしろ気失う一歩手前だから!」
「ほぅ……もうその意味を理解するなんていつの間にうちの娘は耳年増になったんだか。そうか、幸人ちゃんアンタもワルだねぇ。こんないたいけな娘にそんな知識仕込んどくなんて、現代の光源氏かね?」
「あぁもう話が拗れるからもう口開かないでくれ!」
その後茜さんから散々弄られて、反対意見も出してはみたが結局茜さんに押し切られてしまい、これから詩音と一緒に暮らすことになってしまった。いや、嬉しいんだけどね?
「はいはい、幸人ちゃんの言い分は分かったから。反対してるように見せかけるのはやめないね」
「ぐっ……」
そして俺と詩音を気の済むまで弄り終えた茜さんは真剣な顔になり、詩音に語りかけた。
「それじゃあ詩音、今日からアンタは鬼淵の女になるんだ。……もう園崎の因習ともなんの関係も無くなる」
「良かったね、詩音。私は心から祝福するよ。幸人くんもありがとう。……これであの日を迎えた後にも詩音は人として生きていけるよ」
あれから葛西さんの車で送ってもらい、今は自分の家に帰ってきていた。
いつもと違う所が有るとすれば玄関には俺の靴以外に女の子の靴があり、その玄関には大きなダンボールが四つほどある事だろうか。
「なんか、あっけないわねぇ。……もっとお魎に手こずるものだと思ってたけど」
「それこそお前が過去に行って改変なりしたんじゃねぇかって疑ってるけどな?」
そういうと呆れたようにため息を吐き、わざとらしく肩を竦める弥白。
「そんな面倒なことしないわよ。……そうだ!そんなことより昨日偶然見つけたセカイに行かない?別人としてって形になっちゃうけど」
「なんだよその胡散臭さMAXな言い方。……分かったよ、あれはアンタの仕業じゃなく俺のご先祖さまの仕業だ。これでいいだろ?」
そう言うと詰まらなそうな表情をして消えていく。
アイツの見つけた別のセカイだなんてそれこそ面倒事の予感しかしないし諦めてくれたのは有難い。
「?幸人さん、お客さんですか?」
「……いや、もう帰ったよ」
「そうですか。あっ、ご飯出来ましたから早く食べましょ?」
そう詩音に連れられリビングに入る。……危うく1人でブツブツ言ってる怪しい男になるところだった。
『今も10歳の幼子を家に軟禁する不審者じゃないの?しかも詩音ちゃんが居ないと碌な料理も食べられない生活困難者さん?』
うっせ、それは一番俺が分かってるつーの。
この日初めて振る舞われた詩音の手料理は……涙が出るほどに美味しかった。
うみねこのなく頃に(コミックス版)を全巻読破してたらとても時間が経ってしまいました。
いやぁいいね、ベアトリーチェ。誰かミステリもファンタジーもない二次創作書いてくれ。気が向いたら書くかな?かな?
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昭和53年8月
場面転換がへたくそだったので記号でごまかしています。
暇潰し編の月が分からなかったので初投稿です。
雛見沢村から鹿骨市内の高校に通うことになってから早いものでもう2年が過ぎた。雛見沢から離れるということで実家と神社の管理は公由村長がしてくれるという言葉に甘え、住む場所は茜さんにお世話になっている。
昨年の夏休み以来の帰省になり、葛西さんの車で雛見沢に帰ってきたのだが。
「うーん久しぶりの雛見沢……なんだけどなぁ」
「凄いですね、婆っちゃに聞いてはいましたけどこんなになってるなんて」
「お二人が帰った辺りからダム反対運動が本格化しましてね。……ちょっとしたテロ活動めいたことをする方も居るようで逮捕者もチラホラと言ったところです」
葛西さんの語る鬼ヶ淵死守同盟の活動は結構な内容でそりゃ警察にマークされちゃうよなって納得するほかなかった。途中のバス停もダム建設反対のビラが所狭しと貼ってあり、1年で姿が大きく変わっていたのが印象的だった。でもガソリンタンクに砂糖を入れるのは止めようね!
「それで不確かな情報なんですが……どうも建設大臣のお孫さんが誘拐されたようで。なんとも物騒な話です」
「えぇ……大臣の孫誘拐って大丈夫なんですか?それ。そんな面倒なことどこの誰がやったんですか」
「それは何とも。こちらとしても誰がやったのかは把握しきれていないのが現状です。申し訳ありません」
「相変わらず園崎家は傍観を貫いてるって感じですね。いっそのことお孫さんをこっちで保護するって言うのはどうです?大臣に恩も売れると思うんですけど」
その俺の提案に驚いたのか葛西さんの目が見開かれた(詩音談)らしいが、グラサンの奥をどう見ろと言うのか。
「保護とはまた……。いえ否定するつもりはないですが大臣を揺さ振ることが出来ている現状でお魎さんが賛成するかどうか。何とも判断が出来かねますが」
「そこは俺がなんとかしますから、葛西さんはすぐ動けるように準備をお願いします。さっきの話し方からすると潜伏場所は分かってそうですし」
そう言うと少し口元を緩め「お任せください」と請け負ってくれたのはありがたかった。正直な話、葛西さんが動いて負けることはそうあり得ないだろう。
◇◇◇◇
「ゆきちゃん元気にしとったかね?」
「おかげさまで。詩音も来てくれたので家のことは頼りっぱなしですし。茜さんにも家の手配とか色々とお世話になりまして。あとお願いと言うか黙認してほしいことがあってですね」
「蒐が好きでやってることさね、ゆきちゃんが気にすることなか。お願いっちゅうんは大臣の孫のことかね。ゆきちゃんがやりたいようにして構わんよ。鬼淵の家とほかの家の間柄はそういうもんさね」
「そういうものなんですか」
「詩音だってゆきちゃんが居なかったらどうなってたか解らんよ?」
そんなことをいたずらっ子のように仰るお魎さん。話の内容が内容だけに引き攣った笑顔になってしまったのは勘弁してほしい。ちなみにお魎さんとの話中に詩音は魅音と姉妹水入らずで話し込んでいたそうで俺が行ったときは和やかな雰囲気だった。
「それじゃあ婆っちゃの許可も取れたんですね!」
「まぁなんだろ、最初から勝手にやってても怒られなさそうだったけど」
「……幸人さんはそういう所の認識が甘いですよね。鬼淵の家の力って言ったら雛見沢内では絶対的なものなんですよ?現当主様はそういう認識が無いみたいですけど、他の家はそうも言ってられませんから。まぁ、そういうのに疎くなかったから詩音を娶ってはくれなかったでしょうし、そこは感謝してます」
「疎くなくても嫁にしたと思うけどなぁ」
「はいはい、ご馳走様です。葛西も表で待ってますから早く行ってあげてください。詩音は家で預かっておきますから」
挨拶もそこそこに魅音に背を押され部屋から追い出される。きっと園崎家次期頭首として思うところがあったのだろう。
外に出ると黒塗りの高級車が5台ほど止まっていた。30分ぐらいしか経ってない筈なんだけど来るの早くないですかね?
「お待ちしてました。それでは向かいましょうか、ただし危険ですので私から離れないようお願いします」
「あっはい」
あまりの手際の良さに締まらない返事をし、葛西さんが運転する車に乗り込む。
道中聞いた話では相手が相手なため、最悪拳銃の出番があるとのことだった。この車は防弾加工されてますから安心してください。あと念の為チョッキを着ておいてください、と言われた時は俺も留守番しに戻ろうかと思った。
犯人が立てこもっている小屋に着いたが、犯人が複数人である可能性を考慮し表の入り口に5人、裏口に5人を回し俺は車の中から見学となった。
それにしても営林署の小屋とはよく考えたものだと感心はするが、小屋の脇に無造作に停めてある車が台無しにしていた。……隠れる気ないよねこれ?
誘拐犯たちが拳銃を抜く間もなく無力化されていく。園崎組は鹿骨市内において最強、はっきり分かんだね。
誘拐された寿樹くんも今は疲れから眠ってしまっているが、怪我もなく無事に保護できたようだ。あとは犯人たちを縛り上げて警察にでも連れて行けばこの事件は解決するだろう。
「これで一件落着、ですかね?」
一仕事を終え、運転席に戻ってきた葛西さんにそう尋ねる。
「それはなんとも……ただ大臣の孫なんていう重要人物を攫える連中ですから油断は禁物かと」
葛西さんの警戒は尤もなものだったが、結局興宮警察署に向かう道中で誘拐犯の仲間からの妨害もなく奇妙なほど順調に興宮署へと着いてしまった。交番?詰める警官が居なきゃ物置だよね。
園崎組(真っ黒ヤクザ)を興宮署につれていく訳にもいかず、寿樹くんと一緒に興宮署へとぶらりお散歩旅だ。……ロケバス扱いされる黒塗りの高級車、なんて贅沢なんでしょう。
「こんにちは〜田中太郎でーす」
「鬼淵さんじゃありませんか。……その後ろの男の子は隠し子ですか?流石は雛見沢筆頭だけはありますねぇ。ささ、粗茶しかありませんがこちらへ」
興宮署に入ると珍しく書類を捌いている大石さんが居たが、こちらを見るなりかなりの速度で俺と俊樹くんを取調べ室へ連行した。
「書類仕事から逃げたいからって速攻で取調べ室に入れないでくださいよ。俺はいいけど寿樹くんはビックリしちゃうじゃないですか」
「寿樹くん、ですか。で、その男の子どこから来たんですか?」
「さぁ?雛見沢でドライブしてたら見つけただけですから何とも。……あぁ、同乗者はこの場に来れない人なので悪しからず。腹芸は苦手なんで率直に言いますけどこの子を保護して頂きたい」
「詳しく経緯も聞けずに保護しろと?保護するのは構いませんが上を誤魔化すの大変なんですよ?」
「……女の子がいっぱい居るお店の半額券あげますから」
「んっふっふ〜しょうがないですね〜!いや、強請ってる訳じゃありませんよ?飽くまでも私は警察官の本分を果たそうとしているだけですからねぇ?」
「分かってますって。じゃあこれ半額券です。寿樹くんのことは頼みましたよ。……恐らく公安の人が来るはずですから」
「ご馳走様です。ところで鬼淵さんの情報は何処から入ってるんでしょうか?」
「企業秘密ですよ。知りたいならその半額券とツケにした分返してくださいね」
そう言うと流石に諦めたようで扉に向かう俺を引き留めることはしなかった。実際情報の出処をなんと答えれば良いのだろうか?……まさか過去の御先祖様です、なんて言える訳もないし。
「私に聞いてるってバラしちゃえば?」
「そう言ったところで誰が信じるんだよ、全く。……つーかお前詩音と良い雰囲気になると毎回目の前で『まだ早い』だの『健全なお付き合いを!』とか言うの止めろよな。ショタ喰いしようとしたお前に言われても響かないっての」
「だって〜私に靡かないのに詩音ちゃんには骨抜きにされて……フラれて立場がないじゃない」
いや、知らねぇよと呟きつつ今回の事件が大事にならずに済んで良かったと感じるのだった。おそらくこの後来る公安の人や大石さんは色々と大変だろうが。
赤坂との邂逅も書きたかったけど諦めました。
鹿骨市内において園崎組は最強
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有り得ざるカケラ(昭和58年4月)
口調が違ったら許し亭許して…
鷹野が黒幕だということにようやく気付けたボクと梨花だったけれど、運命を打ち壊すための最後の一歩が足りず、結局梨花と圭一たちはみんな鷹野に殺されてしまって……。
「奇跡は誰か一人でも欠けたらダメなんだぜ?」
「アナタもレナ達と一緒に戦おう?」
「ボクは非力な存在なのです…。ボクが何をしても運命には勝てないのです……」
「まぁたそんなこと言って!まったく、お姉ちゃんが力を貸してあげるから俯いてないで前見て胸張んなさい羽入!」
「えっ?」
次のカケラに行く前にどうしてかとても懐かしい声が聞こえた気がしたのです。それはとても暖かくて……。
◇◇◇
「……ッ!羽入?いるんでしょ?今は何月なの?」
「……羽入?」
「ん~?うるさいですわよ、梨花。今何時だと思ってるんですの?」
「変な夢を見たのです。ごめんなさいです沙都子」
「幸人さんのせいで疲れてるんですからぁ。おやすみなさいですわ」
「おやすみなさいなのです」
梨花は沙都子の口から出た「幸人」という名前に何の馴染みも無かったが、沙都子の言い方ではかなり親しいのではないかと思わせられた。また、自分が今まで眠っていた部屋には全く見覚えがなく、今までとの違いを感じずにはいられなかった。何よりも羽入が自分の隣にいないこと、それだけでこんなにも不安になってしまうことに100年を生きた魔女は知らず苦笑を漏らした。
とりあえずは事態を棚上げし、翌朝からまた考えることにして梨花は瞳を閉じた。
そして今夜のことが混乱の序章に過ぎないことは如何に100年を生きた魔女と言えど気付くことは出来なかった。
「おはよう、沙都子、梨花ちゃん。…どうしたの梨花ちゃん?まるで死人が歩いてるのを目撃したような顔しちゃって」
「……なんでもないのです。悟史おはようなのですよ、にぱ~☆」
目が覚めてから、一番の衝撃は悟史とこうして話をしていることかもしれない。悟史が雛見沢症候群を発症しないセカイなどなく、どんなに賽の目の6が出続けていても例外なく悟史は入江診療所で集中治療を受ける運命は決まり切っていた、はずだった。
「お待たせしました!朝ごはんですよ~!」
先ほどからのいい匂いの正体は魅音の作る朝ごはんの匂いだったらしく、慣れた手つきで配膳する魅音と悟史をぼんやりと眺める。起きてからの短時間で理解できる許容量をオーバーした現実を趣味の悪い悪夢だと思うことにした梨花は、いったん思考することを諦めて受け入れることにした。
ふと、自分たちの分よりも余計な数のグラスが置かれていることに気づく。
「みぃ?ボクたち以外にも誰か住んでいるのですか?」
そう冗談めかして言ってみれば、沙都子が心配したような顔でこちらの顔色を窺ってくる。
「梨花、夜からどこか悪いんじゃありませんこと?寝てるときも魘されてたみたいですし」
「そうなんですか?梨花ちゃま、お姉さんと一緒に夕方ぐらいまで寝ます?」
「そう言って学校サボろうとしないの。梨花ちゃん気持ち悪かったら言うんだよ?」
今のこの状況が一番気持ち悪いと心の中で毒づいてみるが、それで今の状況が変わるわけでもなく、曖昧に笑って誤魔化した。と言うか魅音が魅音のままであることまでもが判明し、いよいよもってどういうことなのかと頭を抱えたいところだった。
梨花の状況を作り出した神が居るのならば、頭を抱える梨花を嘲笑うかのように新たな頭痛の種が送り込まれてくる。
「おーっす、迎えに来たぞー」
「おはようございます、梨花ちゃん?どうかしましたか?」
もう何が起きても驚かない自信が梨花にはあった。それでも全く知らない男と園崎詩音が親しげに腕を組んでいる光景はそんな梨花の自信を容易く打ち破った。
「詩音さんだけじゃなくて幸人さんが来るから梨花も呆れているんですわ」
「みぃ~☆詩ぃ離れが出来ないのです」
「……?梨花ちゃん調子悪いのか?いつにも増して切れが悪いけど」
どうやらこの幸人という男に自分はもっと強い当たり方をしていたらしい。死んでやり直しが出来るのは良い事だが、そのカケラの自分の記憶が引き継げないというのはこういう時にどうにも不便に感じてしまう。
「気のせいなのですよ?」
「気のせいじゃありませんわ!梨花、やっぱり今日はお休みしませんこと?ちょうど学校も何もない暇なプー太郎さんがいらっしゃってますし」
「それがいいね。梨花ちゃん、無理して余計体調悪くなったらそっちの方が大変だよ?……ってことで先輩、よろしくお願いします」
「プー太郎じゃないんだけどなぁ。悟史もイイ性格になりやがって。良かろう、皆のお兄ちゃん幸人様が梨花ちゃま看病任務を無事遂行して見せようじゃないか!」
こうして、梨花を置いて話は進んでいき、知恵への欠席連絡なども済んでしまい、これから沙都子たちが帰ってくるまで自分はこの得体の知れない男と過ごす羽目になってしまった。
「さて、梨花ちゃん。君はあの夜何があったか覚えているかい?」
◇◇◇
私が目を覚ました時、腕の中には愛しの妹の姿があった。どうやらきちんと決心はついたらしい。
「おーう、おはよう弥白。それが噂の妹さんか?」
「そうよ~可愛いでしょ~」
「お前、顔緩みすぎだからな。色々台無しだぞ」
私の顔について幸人が何か言ってるけど、妹が可愛すぎるのがいけない。というか幸人は詩音ちゃんとよろしくやっていればいいのに。フられた私は愛しの妹と数世代越しのコミュニケーションをとらないとなんだから。
「それで?今まで実態を持たなかった妹ちゃんが俺にも見えてるってことは、やっと相手方の正体でも掴めたか?」
「そうね。やっとと言うか、この子達殺されすぎなんだけどね。梨花ちゃんが途中から諦めモードになっちゃったのが痛かったわね」
そこまで言うと、続きを促すように幸人が見てくる。隠してても気付くんだろうけど、今回は羽入の命もかかってるし意地悪せずに教えてあげることにする。どうせ大して驚きもしないでしょうけど。
「黒幕だったのはね──」
◇◇◇
正直、その名前を聞いたときに信じたくない気持ちがあったことは否定できない。それでも入江診療所で研究していることについて知っている私は、彼女が病的なまでにこの研究に入れ込んでいることを知っており否定はできなかった。それでも、彼が言う事を鵜呑みにするほどの純粋さは残念ながら失われて久しい。
「で?それが真実だという保証はあるのかしら?このセカイにしかいない私の知らないゆきと?」
「えっ、何そのノリは……。新しい遊びだとしてもちょっと滑ってるから止めた方がいいと思うぞ、うん。つーか記憶の継承とかはないの?じゃあ俺が頑張ってオヤシロ様の祟りを隔年ぐらいに収めたのも知らないのか……」
最初のセリフに関して少し文句を言いたいけれど、それよりもその後の羽入しか知らないはずの私の秘密を知っていることや、オヤシロ様の祟りを一部止めているような発言の方が気になり知らず口から出る声は大きくなっていく。
「残念ながら最後の記憶はないの。だからまだ信じてあげられない。それよりも悟史が沙都子と住んでて魅音も魅音のままの状況は何なのかしら?」
そう聞くと、さも当然だろうという風な顔と声で説明を始める。これは確かに毒づきたくなる貌ね。
「悟史がこうしてるのはただ雛見沢症候群の発症を抑えて児童相談所との戦いに勝っただけだしなぁ。魅音に関しては詩音を嫁に貰って入れ替わるのを防いだだけだし」
自分はさも大したことをやっていないという体で話を続ける男は何者なのだろう。魅音と詩音の入れ替わりを防ぐなんてことは不可能だし、悟史の発症を抑え込むなんてことは当時の詩音が仮にもっと早く悟史と出会っていても不可能だっただろう。それに北条家の家庭環境も変えてしまっている。
それらを『だけ』だと宣う男に梨花は知らず恐れを抱いた。自分が何度も繰り返して仲間達の力を合わせてようやく防げた惨劇、その芽をいとも容易く摘んだように聞こえたためでもあった。実際には様々な大人たちの力を借りて成し遂げたことではあるのだが、幸人という人物を知らない梨花の瞳には途方もない存在に映ってしまった。
「あっ、自己紹介がまだだったね。俺は鬼淵幸人。しがない神主だよ、これからもよろしくね梨花ちゃん」
いつもの梨花ちゃま「みぃ~☆ゆきとは詩ぃ離れができない可哀想なプーさんなのです。かぁいそかぁいそなのです。詩ぃ以外にも目を向けるといいのです。例えば沙都子とかどうですか☆(飛び火)(燃えるシスコン北条悟史)」
最後の梨花ちゃんは赤坂に心の中でSOSを送っています。なお知り合いの模様。……これもう分かんねぇな。
次回は鬼淵の家についてとか止めたオヤシロ様の祟りとかについて書けたら褒めて欲しいところさん。
次々回…祭囃しと澪尽しのちゃんぽん回まで行けたらいいなぁ
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