気づくとギレンでドズルが怒鳴ってきた。 (7576)
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気づくとギレンでドズルが怒鳴ってきた。

初の二次創作、更新未定だった、ガンダム世界に似た何か。
感想に喜び、いずれ完結する。


俺は徹夜しながら真ギレンの脅威アクシズの野望というゲームをプレイしていた。

これはある人気アニメをモチーフにしたウォーシミュレーションゲームだ。

MSや戦艦、航空機などを開発、生産して敵を倒すわけだ

アクシズの野望とか言っときながらアクシズ編はDLCという話は置いておこう。

 

「だーだー、だーだー、開発部より新兵器の開発が…はいはいスキップ。お、地球降下作戦も終わってやっとV作戦か、まぁソロモンに連邦のほとんどの部隊がいるから、敵の新兵器とか関係ないな、わろす」

 

やっているのはベリーハードのギレン編である。

本来のストーリーでは宇宙に棄民とか、不当な税を課したりした地球連邦に反感をもつ宇宙の人達のためにジオンは立ち上がる、とかなんやかんや良い事言っていたのだが、結局人々虐殺して、コロニーを地球に落としたり、優良種による支配だとか言ったり、父親殺したりまでしたその挙句の果てに妹に殺される、って感じのジオン公国総帥ギレン・ザビという報われないというか哀れな男が主人公のモードだ。

本来のストーリーでの戦争の結果は、って?

もちろん負ける。

だいたい勝てる訳がない。

どんな手段を使ったってこの1年戦争は国力の差で必ず連邦の勝利に終わるはずだっていうのが俺の持論だし、よく言われている。

まぁジオン独立の可能性はあったとは思う。

 

まぁ正直ストーリーは関係ないな、これはウォーゲームだ。

ゲームのはじめに今までシナリオクリアを重ねて手に入れた歴史介入ポイントを使ってリゼルという数世代も先のMSを入手。

そして宇宙要塞ソロモンに配置して連邦のほとんどの部隊、230部隊くらいか(このゲームでは部隊数は300という上限がある)を引き入れて戦う。

1対230でソロモン防衛である。

あえて敵を倒さず耐えるだけである。

ゲームだからこそだな。

こうでもしないと俺はベリーハードはクリアできんのだ。

俺のゲームセンスのなさよ……。

まぁそれは置いといてあとは残り70部隊ほどがのこる地球をこちらの大部隊で埋めていけばいい。

連邦は新兵器なんか数部隊しか使うことはできない

だから先ほどの連邦のV作戦(笑)だ。

おっと連邦の唯一の宇宙拠点ルナツーにも別の宇宙要塞、ア・バオア・クーから攻略部隊を向けておかないとな。

ソロモンを避けて通るから遠回りで時間がかかるから今のうちにね。

 

「それにしても気づいたらもう朝か、流石に眠いな。だが今寝ると完全な夜型……できるだけ起きていよう」

 

そうして最終的に俺はゾゴック、ジュアッグ、アッグ、アッグガイを用いて無事ジャブローを攻略し、優良種による人類支配というギレンの理想を叶えたのだった。

これってなんかバッドエンド感あるよな。

ザビ家の弾圧の下でも平和は尊いものだ。末長く繁栄するだろうみたいな終わりである。

だからギレンの脅威なのかーとか思いながらクリアに満足した俺は寝た。

 

はずだった。

 

「兄貴っ! 聞いているのか⁉︎ V作戦を察知した! シャアを送る許可が欲しい! おいっ! おーい! 返事をくれ! 映像も止まったままだし、どうした兄貴っ! おーい! くそっミノフスキーの通信障害か! レーザー通信のはずだろ、人を呼ぶわけにはいかんぞ……聞こえているかっ!」

 

目の前には厳つい男がいた。

混乱した。

少しの間俺は静止した。

少しじゃなかったかもしれない。

だが何故か頭が冴える、世界が違って見える。

これがIQ240の世界というわけか。

おっと冴え渡る頭脳が一足先の感想をもたらしてしまった。

その前に思うことがある。

 

これはあれか、憑依、転生 とかいうやつか。

 

俺はギレンになってしまったようだ。

それもV作戦というジオンにとっては不吉なワードがドズルの口から聞こえている。

これはもう1年戦争も中盤のあたりだ。

ドズルが連邦のV作戦の為にシャアを派遣する許可を取りに来るこれは確か八月九月あたりの話だったはずだ。

ジオン公国のピークといったところか。

 

「聞こえている、そう騒がないで欲しいものだな」

 

「おおっ、兄貴っ! 聞こえているか! V作戦だぞ!」

 

騒ぐドズルを見ながら俺のギレンとしての戦いが始まった。




以後全然関係のない設定。

真ギレンの脅威アクシズの野望
主人公のいた世界線で発売されているシリーズ物のシミュレーションゲーム。前作との比較で、本作の目立った特徴は、ほとんどのシナリオがDLC、戦闘システムの改悪、グラフィックの向上などが挙げられる。
主人公はこのDLCと戦闘システムの変化にぐちぐち言いながらもDLCで追加される以外の全てのストーリー、全難易度をクリアしている。


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V作戦調査部隊派遣

「シャアを派遣する許可をくれっ!」

 

怒鳴るドズルに俺は冷静に頭を回す、少しの混乱はあるが、それよりも現状を考えることが今は楽しい。

死亡フラグがバリバリ立ってはいるがそれもどうにかしてやろう。

まさかアニメの世界に来てしまうとはな。

ギレンの知識も頭に入って来ている、だがギレンよ、戦争に対する見積もりが甘すぎるし、戦後お前は大犯罪人だぞ。

勝てば官軍か。そうか。

 

「ドズルよ、一つ聞こう。V作戦にMS部隊を派遣するということは鹵獲または破壊を考えているのか?」

 

ギレンの脳は素晴らしいな。

話をしながらも、いろいろな事を考えられる。

このV作戦に対する調査派遣においては原作知識からいうと重大な事は三つか、

一つは派遣する部隊の指揮官がザビ家に復讐を誓う、シャアということ。

一つは派遣するMSがコロニーを襲い主人公アムロレイをMSに乗せその才能の片鱗を見せてしまうこと。

一つはホワイトベース隊を倒しても連邦に対してダメージは入らないこと。

 

本命はジャブローで量産されているジムだ。

しかし原作ギレンはきっと少しでもなんかあればいいな程度で派遣を許可したんだろなぁ。

ドズルもうるさいし。

まぁ結局それが後々の敗北に繋がるんだが。

もう少し考える時間が欲しかったものだ。

 

「鹵獲……そうだ! 当然だろう! 奪取できなくても破壊、そして敵の能力を探らなければならんのだ! 連邦のMSは脅威になる可能性があるっ! 兄貴だってグフやドムといったMSの生産を進めていただろう!」

 

「そうか。シャアの派遣の許可は出すが、目的は敵MSではない、情報だ。 もし近隣コロニーで実験をしていたとしてもMSでの強襲を禁じる。もう一度言うぞドズル、技術情報を奪取しろ、戦闘は避けろ、これは総統命令だ、徹底させるのだ。良いな」

 

「どういうことだっ! 兄貴!」

 

まぁこれだけでは当然納得しないか。

これからのギレンの方向性が変わる事をやんわりとドズルに伝えておかなければな。

 

「よいか、ドズル。これは連邦の囮だ。ジャブローのモグラどもがこうやすやすと宇宙に大事な大事な新兵器を持ってくると思うのか? その思惑にやすやすと乗ってやる必要はない。可能であるならば連邦の操縦ソフトが欲しいものだが、期待はできまい。あとシャアには新兵の暴走は指揮官の責任になると伝えておくのだ、以上だドズル」

 

「兄貴っ! 例えそうでもここで臆してはならんぞっ! …………」

 

それから問答をいくらか繰り返し、臆したとは思われないように何度も説得しながらドズルに作戦目的を念には念を入れて伝えた後に通信を切った。

 

グフか、あれは欠陥兵器だ。

射撃戦が出来なさすぎる。

ドムは良いと思うが、結局ビーム兵器がないからな、目隠しビームやらあのバズーカでガンダリウム合金を破壊できるものか。

 

そもそも、モビルスーツならエネルギーCAPを用いたビーム兵器搭載のザクとエース専用機があれば良い。

多様なMSなど兵站の負担、数を減らし徹底的に強化するべきだ。

ギレンは多様性によるMS技術の防諜、発展なんかを考えていたようだがクソ食らえだな。

あれ……連邦はまんまジムとエース専用機(ガンダム)という兵站脳、ソフトを含めた操縦系も統一されてるじゃないか。

ボールとかコスト低いくせにザク倒せるらしいしチート、これは負けるわ。

なんで国力のある連邦では規格統一されてて、国力のない方がされてないんだよっ! おかしいだろお前勝つ気ないだろ。

あっはい。国力ないからですね、短期決戦でしたもんね、わかりません。

ではあとはパイロットの技量で勝負だ。

宇宙に適応した新人類、ニュータイプに関する技術の進歩を進め、ニュータイプを確固としたものにしなければ。

そういえばこの世界の人間はテレパシーは置いといてみんな宇宙に上がっても筋力の衰えがかなり少ないニュータイプなのよね……。

まぁ話を戻してパイロットの技量もいずれは連邦軍に負けるだろう。

V作戦によるデータ収集で操縦ソフトのアップデートがどんどんされていく、もしアムロがガンダムに乗らないことになったってあまり関係はない。

それにそもそものニュータイプ技術も連邦だって一部の有能な人物がニュータイプに気づいたり強化人間とか作ったりとかし始めるだろう。

 

結局ジオンはこの戦争を勝つことはできないのだろうか。

そもそも勝利条件はなんだ?

 

スペースノイドの自治独立か……これを間違えてはいけないだろう。実際ギレンは優良種による支配とかと間違えたが。

 

そういえば、ニュータイプで思い出したがラプラスの箱があったな。

あれで連邦の求心力は激減するが、あれはジョーカーだし、ジオン連邦双方に混乱を撒き散らす。

まだ早い、触れずにおこう。

 

あとはやはり家族仲か、キシリアと仲が良くなればあとは自然と良くなると思うが……キシリアと仲を良くしたいものだ。

本当に紫バ……おっと。

 

そんなあっちこっちに思考が飛びながら

とりあえずは秘書のセシリアを呼んだ



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ギレンの野望

「ギレン閣下、お呼びでしょうか?」

 

すらっとしてきりっとしてこれぞ女秘書っといった感じか。

語彙がない、俺の性格はギレンのIQの影響を悲しいことにあまり受けないらしい、演技はできるけどな。

 

「セシリア、そう固くなるな、ギレンでよいのだぞ」

 

「いえ、閣下。いくらご恩があれど、いまは秘書として閣下の為に働きたいのです」

 

ご恩、か。

どうやらこのやり取りをギレンは何回もしているようだ。

それにしても赤い軍服がよく似合う、この軍服は総帥府のか……

総帥府、で思い出した。やらなければならないことはたくさんあるが、まずはキシリアとの仲が先か。

それに地球方面軍は実質的にキシリアの管轄だ。

幸い戦時中ということもあってか政治的なものに煩わされることは少ない。

粛清やら何やらもギレンはしているしな。

これも家族仲がこれ以上悪化したらわからないが。

要するにまだ時間はある。

 

「そうか、では技術本部長アルベルトシャハトとキシリアを呼べ、緊急事態だ。あとMS開発会社総会を開く」

 

「かしこまりました」

 

なにも聞かずに出て行く、さすが秘書だな。

こういった環境にギレンは置かれていたわけか……。

 

すぐにセシリアは戻ってきた。

 

「閣下、キシリア様はグラナダより直ちにこちらに向かうとのことです。アルベルト様はすぐにでも総督府にお越しになれるようです。総会は5日後に可能です」

 

「わかった、ではすぐにこちらへ向かわせろ。」

 

俺はそう言い自室へ向かいデータパッドで原作知識を書きなぐり始めた。

ギレンの演技も疲れるものだ。

だがいま俺の手のひらに宇宙世紀の運命がある。

歴史の1人に俺は今なっているのだ。

アースノイドとスペースノイドの戦いの一ページに、

ニュータイプとオールドタイプの戦いの一ページに、

いやニュータイプとオールドタイプだって分かり合えるということを俺は信じている。

人類の進歩の戦いだ、この歴史が後に黒歴史となるなど認めたくは無い。

俺はこの宇宙世紀をどうしたいのだろうか。

ただのジオン残党やらなんやらと連邦との戦いなどというものにはしたくないのは確かだ。

ただ連邦政府は腐っている、それだけはどうにかしたい。

そう考えながらシャハトに渡す前世での妄想たちを書きなぐる。

前世でもヒトラーなんかは兵器のスケッチを開発部に渡してたりしたそうだからな、お上のわがままとして通せばいい。

実現するかはわからないが……。

 

セシリアのノックの音で我に帰った、

「アルベルト様が来られました、こちらでお会いになられますか」

 

扉越しにそう言われる。

扉を開けて答える。

 

「機密性の高い部屋の方が良いだろう、そちらで会おう」

 

これは皮肉だ、仮にもジオン公国総統の部屋の機密が低いわけではない。

 

「ふふ、かしこまりました。 ではこちらに、アルベルト様をお呼びします。」

 

そういって俺は部屋に入り、アルベルトを待つ。

しばらくするとアルベルトが入ってきた。



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技術本部長 アルベルトシャハト

「よくきたな、アルベルト。急に呼んですまない、緊急事態だ」

 

右目に片眼鏡をかけた老人、第一印象は、これでやせこけてればマッドサイエンティストだ。

 

実際は国を思う清濁併せ呑む立派な大人だろうがな。

彼の出てたアニメのイグルーでもそんな雰囲気があった。

それにしてもギレンの第603技術試験小隊の扱いはひどかったな。

MSの隠蔽のためとはいえ秘密兵器だとかいって渡した兵器をなんら使わなかったからな。

必要な事ではあったとは思うが……。

まぁコロニー落としやら毒ガス虐殺までやってるんだから何も言えんな。

 

「いえ、技術本部と総帥府は目と鼻の先でございます、それほどの苦労ではございません。して緊急事態とは……」

 

ここは盛大にギレンのカリスマを発揮するところだな。

 

「連邦の技術は私の予想を遥かにこえていた……連邦のV作戦については聞いているな。その調査によって連邦のMSの情報を手にいれることができた」

 

総帥府はしきりに連邦のV作戦、MS開発計画は難航し、連邦製MSはろくに歩けもしないとか物をつかめもしないなどとプロバガンダ放送をしていた。

 

「はっ、やはりV作戦ですか。連邦のMSはそれほどの脅威、でしたか」

 

V作戦関連の話題だとは流石に想定して来ていたか。

 

「そうだ、これを見ろ」

 

そうしてデータパッドに俺が原作知識とギレンの知識を使って描いた、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、加えてジム、さらにはボールの予測性能、ついでにホワイトベースをアルベルトに見せる。

実際はどうとかはわからないし素人の描いた大雑把なものだが彼には想像がつくのだろう。

 

「RXシリーズ? MS運用母艦? こ、これはっ! MSのみにミノフスキー粒子の縮退、解放のプロセスをさせずに解放のみMSにさせるエネルギーcapによるビームライフルの実用化に成功……学習用コンピュータ……なっ、ルナチタニウム合金製のMS! 連邦はガンダリウム合金と呼ぶつもりと、……これは! 我が方の兵器が無力化されますぞ! ガンダリウム合金と名付けたくなる気もわかる性能ですな ……それにコアブロックシステム……いやはやなんとも高価で効果的ですな……なるほど。これは技術実証機でありこれを基にザクを軽く凌駕する量産型MSジムの開発ですか。これももしやすると開発中の次世代量産機ゲルググを少し下回る程度の性能になるのではないですか!それにこのボールとかいうものは低コストでザクにも勝ち得る性能……ありえない! あのMSをバカにしていた連邦が、ここまで…! それにミノフスキークラフト内蔵の単独での大気圏突入、離脱が可能な母艦まで…………いや、可能ということですか、我々でもやろうと思えばできたかもしれないことでしょう。ふぅ、連邦は我々という手本をみてより効率的なMS運用体制を確立しようとしているということですな…………」

 

あまりの驚きにアルベルトはギレンの前だということを忘れて科学者としての顔が出ているようだ……。

データを見て独り言を呟き始めた。

 

こうした原作知識を使うことに後悔はない。

どのみち俺の知る歴史を変えるのだ、早期にこの知識を味方に知らしめ対策を講じねばならん。

 

それはそうと、ジムとゲルググが同じぐらいの性能か……ガンダムと同じぐらいの性能はある傑作量産機であったはずだが。

ルナチタニウム合金を用いていないゲルググがガンダムと同性能な訳がないのか。

ジム強すぎって感じだが、連邦も流石にザクと同性能な機体を量産しようとはしない。

こちらがリックドムだって量産開始してる中ではなおさらだな。

俺はザクマシンガンで凹みもしないガンダリウム合金に恐怖している。

当然だ、実弾兵器はほとんど効かないとみていいだろう。

いまあるジオンの兵器では撃破は非常に困難だ。

射撃戦では実質的にはビーム兵器のみが有効だろうし、接近戦でのヒートホークもビームサーベルとの鍔迫り合いができるのは初めのうちだけだ。

ビームサーベルの出力が上がればヒートホークごと断ち切られるらしいからな。

現状ガンダムは戦艦のメガ粒子砲がまぐれで当たるとか関節部に爆弾を設置しまくるとかでもすればなんとか倒せるという感じの機体で正面から戦っても無双されるだけの状態だ。

このお高いチート機体め。

本当にMSとやらはいままでの戦場の常識をぶち壊すんだな。

 

「このガンダムは一機でもあれば現在開発中のMA以上の活躍ができるだろう。このままジオンが手をこまねいてなにもしなければ、という注釈は付くがな」

 

困惑するアルベルトに俺は語りかける。

 

「良いか、私はこの事態を想定していた。この事態に対処する為に現段階での開発計画はほぼ全て凍結、防諜や可能性を期待していたが、すでにそれは形骸となった。それに使っていた全てのリソースをこちらに回す」

 

そういって俺はこの先の方針をアルベルトに渡す。

ちなみにビグラングの元になった戦艦以上の超弩級MAとかを知った時はニヤリとしてしまった。

ロマン溢れすぎていて凍結するか迷ったが、ひとまず凍結だ。

建造途中ではあるが資源として使われる事になるだろう……。

話を戻してロマンよりもまずはこっちだ。

フィールドモーター駆動、マグネットコーティング、全天周囲モニター、脱出ポッド、ムーバブルフレーム、エネルギーパック、とりもち、ビームサーベル、オーキス、メディカルポッド、索敵衛星、ビーム砲台、MS戦術の集積技術、兵站やMS操縦ソフトなどの統合、さわりだけだが脳波コントロールに関しての研究、要はニュータイプ関連の研究も。あとムサイは射角がひどすぎる、安価であろうしミノフスキー粒子下では射角を狭めて狙いやすくする狙いもあるだろうが、弾幕を張れない。

弾幕関連のセリフを俺は好きだったのだ。

というわけで新MS運用艦艇の研究もだ。

主だったものはこれだ。

他にもまだまだある。

 

だがそれでもジオンで現在進行中の計画よりも数は減っているし一つの道筋に沿ってもいる。

 

 

「これについては総帥府からも人を出す、父上にもキシリアにも話を通し、ジオン全体で技術的な対処を行う。5日後にMS開発に関しての総会を行う、アルベルトも来るのだ。驚くのも無理はないがな、この一件、ジオンの命運がかかっている。この5日でできる限り技術本部の新体制を整えるのだ。良いな? 何かあればすぐに報告しろ」

 

ギレンのカリスマでアルベルトの愛国心を揺さぶる。

 

「……はぁ…………はっ! 畏まりました!」

 

そうしてアルベルトは嬉々として部屋を出ていった。

データパッドで総帥府に指示を出し、人をつける。

防諜と監視だ。

技術本部は独立した部署だ。

そのため出向という形でいろいろな派閥が入っている。

これまで以上に敵と味方の判断、利用しなければならない。

 

いつの間にか来ていて、黙って俺をみていたセシリアは優秀だ。

 

「セシリア、キシリアはあとどのくらいで着く」

 

「明日には到着するそうです」

 

「明日、か。キシリアめ、思ったよりもかかる。ではそれまでに父上に会う、用意をしてくれ。それとキシリアに秘密通信でこれを送れ。『フラナガン博士にこれをみてもらえ』と添えてな」

 

渡すのはサイコフレームの発想を書いたものだ。

この時代まだサイココミュニケーターは試作型の設計が開始されたのみで完成系などフラナガン博士の頭の中のみだろう。

フラナガン博士にしかわからない。

いくら素人が描いたとはいえそのサイコミュの発展系、アニメの宇宙世紀においてのニュータイプ技術の完成系など見せられたら、大急ぎでキシリアをせっつき、こちらに来るだろう。

 

父上との会談にキシリアの説得……あぁそれとルナツー襲撃作戦を中止、もしくは作戦目標の変更をせねばならんな。

 

ルナツー襲撃作戦。

地球降下作戦を終えたジオンは艦隊決戦に敗れた連邦艦艇が篭るルナツーに襲撃を行う。

予想外にも要塞化されていたルナツーの防御を突破することはできずにこの作戦は失敗する。

アムロ達がルナツーに逃げ込む前に行われた作戦だ。

あのシーマ・ガラハウの海兵隊も参加していたようだ。

アニメでアムロ達を追ったシャアが簡単にルナツー内部に入れたことからそこまで要塞化されているとは思えないが……この襲撃作戦はあと一歩だったのか?

それとも襲撃後ゆえに単に警備が緩んでいただけでこの作戦の戦力では落とせないのだろうか。

連邦も苦しい戦いらしいが……。

 

データパッドで指示を出す。

これはドズルがうるさそうだ。

海兵隊を出しているキシリアもだな……。

 

父上デギンと話す前にこれとはザビ家の仲を良くするのは大変そうだ。

だがやらねばならん、スペースノイドの自治独立の為には、ザビ家は争いあってはならんのだ。

主な争いの原因はギレンにあった。

デギン、ドズル、キシリア、ガルマ、皆優秀な人間だ。

一致団結しジオン公国を守るのだ。




感想に気付かさせていただいた説明不足な点。

今回ギレンはあえて嘘をつきました。
ガンダリウム合金はまだ連邦では呼称されていません。


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ジオン公国公王デギン・ソド・ザビ

父上との会談が始まった。

なぜかデギンの下腹のふくらみや動きの緩慢さ、そういった老いを感じた俺は落ち着かなかった。

 

「父上は連邦との和平についてどうお考えですかな」

 

ジオン公国公王デギン・ソド・ザビ、

ジオン共和国建国の父であり、スペースノイドの自治独立とアースノイドの全宇宙移民を目指すジオニズムを提唱した元連邦議員ジオン・ズム・ダイクンを暗殺し、ジオン公国公王となった男。

 

「突然どうしたのだ、ギレン。わしはもう隠居した身よ、そういう事を言うことは控えるべきだろう」

 

よく言う、腹のなかでは連邦への憎しみと恐怖で揺れ動いているくせに……老いたな父上。

 

「そうですか、父上……」

 

ギレンの非道な戦略はお前譲りなんだぞ、お前の若い頃を見て真似した結果がコロニー落としや毒ガスなんだぞ、今更穏健派になりやがって!

というかお前シャアとセイラに謝れよ!

お前のせいでシャアはマザコン、ロリコン、シスコンという男の中の男になったんだからなっ!

この軟弱者! 老害! グラサンやろう! ハゲェー!

 

はっ! どうやら、ギレンの記憶、感情に流されて防衛反応で変な考えになっていたようだ。

冷静になろう。

 

 

なるほど、デギンをバカにしているのかギレンは。

 

急進派として一緒に戦った。

その姿をみて青春を費やした。

だがデギンはガルマの母が亡くなってから次第に気力をなくしていき、穏健派になった。

それにギレンは失望と苛立ちを感じていて、なおかつそんな己自身を認められずに、恥じているのか。

だからこんなにも落ち着かないのか。

 

この感情はひとまず置いて、冷静に考えよう。

今のデギンは俺を探っているんだろう、突然の和平についての話題だしな。

だがデギンのその一歩引いた目線がギレンには癪に触るんだろうな。

デギンの目線は大人の目線だ、ギレンの甘い考えを諭してくれるはずのものだが、ギレンにとっては臆した老害の戯言にしか受け取れないと言うことか。

だが俺が憑依しているからな。

デギンの力を借りてみせよう。

 

「父上、これをみていただきたいのです」

 

そう言って3Dモデルで戦闘を行うガンダムを見せる。

ギレンの頭脳と宇宙世紀の技術を使えば簡単にこういったものが作れた。

 

「これはなんだ、ワシにMSなんかを見せてどういうつもりだ」

 

戦闘の内容はようやく生産が開始されたばかりのリックドム6機とガンダムとの戦いだ。

バズーカを弾き、ビームライフルを撃つ、脅威的な性能を持つ事が素人にもすぐわかる映像だ。

 

「こ、これは……」

 

「これは連邦のMSですよ、父上」

 

「そうか……連邦もMSを作って来たか。それもこんなものを、お前が和平と言ったのはこれが原因か?」

 

そうは言うが、本気で信じてはいないんだろう、俺が適当に作った映像だしな。

狸だな。

 

「いえ、それだけではないのです。これを……」

 

その後、V作戦についての説明、MSの運用体系、連邦軍によるオデッサへの大反攻作戦、あとは連邦の大きな虫眼鏡についてもおまけで説明した。

あの虫眼鏡、ソーラシステムは射程がソーラレイほどではないのが救いか、それに焦点しか焼けないし、展開に時間もかかるしな。

ソーラレイも1発撃ったら十日は撃てない酷いものだが。

 

デギンは終始無言で最後まで聞いてくれた。

 

「これほどの情報をどうやって……いや、何も言うまい。わかった、お前の言う連邦との和平進めておこう」

 

これで連邦に繋ぎをつけれる、ギレンが和平しようなんていっても聞く耳を持つ人間がそもそも少ないだろうが、父上ならば話を持っていく事が出来る。

俺の考えた和平案が叶うかどうかはわからないが、少しでも時間を稼がねばならない。

何もしなければ最悪アクシズに退避とかサイド3のコロニー群に核パルスエンジン載っけて太陽と地球の間のラグランジュポイントに出発とかそんな感じの地球連邦バイバイ作戦でもしなければならない。

ともかく、やれる事をなんでもやるんだ。

もうコロニー落としや毒ガス注入なんてことをこのジオンはいや、俺が積極的に進めてやってしまっているんだから……

 

「それと明日、キシリアと会おうと考えています。そこで父上にも来ていただきたいのです」

 

「それもわかった。ギレンよ、変わったな」

 

俺の和平案は意外だったのだろうな。

 

「父上、私は世界を読みきれず、身内に殺される敗者になどにはなりたくありませんよ」

 

そうして会談は終わった。

ここまであっさり行くとは思わなかったな。

 

デギンは現実に恐怖したのだろうな。

全人口の半数が死んだその現実に。

もし俺が憑依してなかったらころっとギレンに騙されそうだ……、いやそんなことはないか。

本当に俺が変わったことを察したのだろうな。

 

 

ふと通路の窓からコロニー内を眺める。

 

「もう夜か……」

 

窓から見渡す限りに外灯の灯りがついている。

この灯りの一部は誰も住んでいない無人の場所を照らしている。

全宇宙の人口の半数が死んだ戦い故の灯火管制だ。

 

このスペース何かに使えないものだろうか……なにも思い浮かばないな。

 

それにしても上を見て、灯りがあるのはなんとも言えないな、ギレンの記憶があるおかげで動揺はしないがこれがコロニーか。

狭い世界だ。

 

「セシリア、話がある」

 

ガンダム世界に来たという感動を今はおいておこう。

やらなければならない事があるのだ。

まだまだ俺の憑依1日目は終わらない。



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番外、ドズル・ザビ、キシリア・ザビ、キャスバル・レム・ダイクン

宇宙要塞ソロモン、

金平糖に似た形をしているこの場所はドズル・ザビ麾下の宇宙攻撃軍の拠点となっている。

 

「目標は厳重な要塞化の可能性があるから作戦は延期だとぉ!? 襲撃を中止して偵察してすぐ帰ってこいだとっ! どうなっているんだ! 作戦には準備というものがあるのだぞっ! 姉貴の説得だってしたのだ、偵察のついでにルナツーなど占拠してやるぞ! ええい! 」

 

シャアに通信を送ったあと、すぐにギレンの命令が総司令部を通してドズルに届いた。

ドズルは困惑した。

 

ルナツーは初戦での艦隊戦の残兵が篭る、戦略的価値もない元資源採掘用小惑星を基地として利用した場所。

そんなものはいまある戦力で落とす事ができる。

それがこの作戦を決めた時の考えだったはずだ。

しかし、先のギレンとの通信では連邦のV作戦の思惑について聞かされた。

それは納得のできるものではあった。

わざわざ囮に使うなど、連邦も小癪な手を使うと。

 

そう考えればこの命令も俺の知らない思惑が兄にはあるのかもしれない。

しかし何故俺には教えてくれない。

生まれの卑しさから政治的な物の感覚に疎いように見せていることやそもそもの武人気質はそういった葛藤をドズルに抱かせ、彼自身を憤らせていた。

 

「姉貴……いや、キシリアの奴はなんと言ってるんだ。なにっ! やつは兄貴に呼ばれサイド3に行っただとっ! ええいっ、V作戦のあの命令といいルナツー襲撃作戦といい、この大事、一体何が起きているんだっ! 何を考えているんだっ! 斯くなる上は俺もサイド3にいき詰問する!」

 

ギレン、キシリア共に通信に出なかった為にドズルの興奮は高まってしまった。

口には出さないがドズルには危機感があった、伝え聞く地球の戦況は非常に悪い。

物資が届かないのだ。

 

そんな状況故にオーバーな反応になってしまう。

 

そこにドズルの妻ゼナ・ザビがやって来た。

 

「貴方、どうしたの? そんな大声を出して。ソロモン中に聞こえてしまいますわよ。その調子では産まれたばかりのミネバにも怖がられてしまいますわ」

 

「おお、すまんな、ゼナ。ルナツー襲撃は中止だそうだ。ミネバの誕生祝いにこの宇宙をプレゼントできそうにない」

 

「ふふ、お上手ね、ですが、そんな大きなものはこの子の手に余りますわ。そんなものより、あなたがいてくれればそれだけでプレゼントなのですよ、ですからそんなに大きな声でどこかにいくなど喚かず、側にいてくださいませ。貴方、お二人ともお忙しいのでしょう、少し待ってみましょうよ」

 

「むぅ、お前がそう言うならな。お前も上手いものだ! ガーハッハッハッ! わかった。わかった。俺はここで兄貴の連絡を待つ!」

 

こうしてソロモンの時間は流れていく。

 

 

月面基地グラナダ。

ジオンにおいて最も多くの特殊部隊を持つ突撃機動軍を配下に置くキシリア・ザビが拠点にしている場所である。

そもそも月はコロニーの自治独立を阻む為に各コロニーの生活必需品、重工業の生産を引き受けるという役割があった。

デギンの政治的手腕、スペースノイドの自治独立の夢により月企業群を味方につけ、サイド3は重工業が発展し国を興す事ができた。

そういった背景によりこの月面は連邦とジオン、さらには各企業群といった様々な力が密接に絡み合う場所となっている。

キシリアは憑依前のギレンの軍に傾倒する考えに危惧を抱き、この月面のパワーバランスを利用しながら、力を伸ばそうとしていた。

 

「キシリア様、ハワイでの防衛戦、連邦の艦隊は壊滅したそうで……おめでとうございます」

 

「世辞は良い、用件は?」

 

キシリアは苛立っていた。

先の見えない無能どもと己の力を過信してしまっている兄ギレンに。

 

どいつもこいつも戦線を拡大し、ジオンが疲弊している現状がわかっていない。

潜水艦隊をつくり連邦の海上輸送網を潰しても、ジオンの補給が良くなるわけでは無い。

ただいたずらに戦線を広げる、このままジオンが勝ったとしても戦後はどうするのか、いやそもそもジオンはこのまま勝てるのか……連邦のMSが一部戦線に出て来ている、兄上は一体なにを考えておられる……

 

「このままではいかんな……」

 

「……というわけで少しばかりキシリア様のお力を……はて、どうかなさいましたか?」

 

「気にするな、その件承った。下がれ」

 

「おお、ありがとうございます、それでは」

 

 

 

「ふぅ……」

 

ヘルメットを脱いだキシリアは熟考しようとした。

このままではジオンは不味い……

そこにセシリアからの通信が入った。

 

「セシリアか、なんだ、 なに、兄上が? それで、緊急事態だと、そうか。明日にはサイド3につくと伝えておいてくれ」

 

それからキシリアは独自の情報網を駆使しギレンの思惑を探り始めた。

罠の可能性も考えなければならない。

 

「V作戦か……ドズルが何かをつかんだ?」

 

連邦のMSは既に一部戦線に確認されている。

それについてのことか、とキシリアは当たりをつけた。

 

その後サイコフレームの資料が送られてきた。

フラナガンを呼んで詳細を聞く。

 

「私のニュータイプ部隊を黙認したのはこれが原因か、私の手柄を奪うのか、いや、メンツなどどうでもよい、兄上にニュータイプを認めていただけるのならそれでよいか……」

 

「い、いえ。キシリア様、これは遥か先の考えです、私自身ここまでになるものとは思っていませんでした。それほどのものです、サイコミュはまだ試作型を試作中です、どこから情報が漏れたのか……それともこちら以上に研究が進んでいたのか……」

 

「ふん、まだまだ私は兄上には勝てんということだ。少しばかり急いで向かわねばな、お前もだ、来いフラナガン」

 

こうしてキシリアは少し早くサイド3に向かった。

 

 

ムサイ級ファルメル艦上

 

白い仮面と赤い軍服をきた若い男がドズルと話していた。

 

「それでは強奪ではなく、データ収集であると」

 

「そうだっ! 兄上が言うにはあれは囮だそうだ、 MS操縦ソフトや使われている素材やらそういった技術情報を奪え! 内部に潜入する危険な任務だ」

 

「ではデータ収集目的で奪ってしまってもよいと」

 

「おお、言ってくれるなぁシャア、帰ったら鎮圧任務完了の祝杯が待っている、それにこの結果次第ではさらに豪勢になるだろうな、気をつけていけよっ!」

 

「はっ!ありがとうございます、 了解しました」

 

「あぁ、そうだ、お前の部隊は新兵がいるだろう、新兵の暴走はお前の責任になるからな、しっかりと教育しておけよ、兄上が心配していたぞ」

 

「ギレン閣下がですか?」

 

シャアの胸に黒い感情が浮かぶ

 

「そうだ、お前の名も有名になったと言うことだな! おっと噂をすれば総司令部から通信だ、それではな!」

 

通信が切れ、ドレンがやって来た。

 

「少佐、本当に我々だけでやるんですか?」

 

「ギレン閣下に名を覚えてもらえていたようだぞ、やるしかないだろう」

 

「ギレン閣下にですか! 部下にも伝えておきましょう。やる気が出ると言うものです」

 

「あぁそうだな。頼む。少し私は部屋で休む」

 

「はい、少佐!」

 

室内に入り、仮面を脱ぐ。

シャア、いやキャスバルの目的はザビ家への復讐。

だがこれといった明確な手段を考えているわけではない。

 

親を、家族を、ザビ家によって失った男の子は子供のまま、大人になり切れずにいた。

 

「まだまだ遠いが、このチャンスに名を上げて近づかなければな」

 

アムロとシャアの出会い、そして最愛の人ララァ・スンとの出会いは未だない。



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ガルマ・ザビ

この戦争はもうあと半年ほどで学徒動員、コロニーの兵器化、父上殺しまでして敗戦を迎える。

半年もないか……数ヶ月だ。

気を引き締めなければな。

 

「セシリア、話がある。明日の夕方緊急の演説を行う。それに併せて議会に各種法案を通させよ、これだ」

 

議会はギレンが掌握している。

見せかけの議論が行われるだけの状態だ。

内容は細々といろいろあるが目玉は練兵システムの実験だな。

学徒動員に備えたものだ。

効果は出るか分からないが可能性があるのはどんどんやる。

 

「か、かしこまりました。しかし、連邦のV作戦はそれほどなのですか? それにどこからあの情報を……いえ、差し出がましい真似を致しました。指示を出してまいります」

 

そういって立ち去ろうとするセシリア。

 

ギレンの秘書セシリア・アイリーン、完全なギレン派閥でその忠誠心と言えば自らギレン暗殺計画のトップと称して反ギレン派の一掃、そしてキシリアの逮捕を狙うほどだ。

ギレンの愛人という話もあるが、よくよく思い出すと実際そうらしい、こうなんというかそういう記憶があるのは不思議なものだな。

びしっとした秘書中の秘書、という感想よりナイススタイルの秘書だわ。

でも戦時中という事であまりそういう事はもうしてないみたいだな……うむむ、残念。

 

死亡フラグまっしぐら、勝ちの目が見えない中で

こんな事を考える余裕があるのもギレンのIQの高さか。

 

「よい、そうだ。それほどのことだ。お前には話すべきだろうな。私は未来を見たのだ。少し私の部屋に来るといい。今晩どうだ」

 

セシリアにはこれから先の事を、ありえた未来を教えておくべきだろう。

信じるかどうかはわからないが。

親衛隊のデラーズにも伝えておくべきか……。

 

デラーズは1年戦争終結後、自ら残党を率いて連邦に戦いを挑んだ過激なジオン主義者と呼んでもいい男だ。

裏切りはしない男だ。

 

「未来? かしこまりました。明日と五日後の総会の細かい手配を終えたらお伺いさせていただきます」

 

そうしてセシリアが去っていく。

 

私室に自然と来てくれるということはそういうことかもしれない……ぐへへ、男としてこんなに嬉しい事はない。

 

なんてな、こんな馬鹿な考えが浮かぶのはIQの高さ故の思考の余裕だな。

まぁ俺は童貞ではないからもしそうだったら嬉しいだけではあるが……俺はもうギレンだから、セシリアを騙している訳じゃないから罪悪感なんてないぞ。

 

あぁ、そんな馬鹿な考えをして思い出したが、ガルマに連絡を入れるか。

ザビ家の仲を取り持つキーパーソンだ。

 

そんな考えはおくびにも出さず去り際のセシリアに先の戦闘シーンとデータを渡す。

 

「ああ、そうだ、MS総会に来る奴らが渋るようならこの映像を送っても良いぞ、それと仕事を終えたらデラーズも呼ぶのだ」

 

ギレンへの信の厚い、2人には同時に話してしまおう。

内容を信じる信じないにしろ、未来を知る人間が増えるほど未来は変わるだろう。

良いか悪いにしろジオン派の人間に知っている人間が増えれば連邦の腐敗を終わらせる可能性も高まるだろう。

 

そういえば俺はギレンの影響を受けているのだろうか。

この連邦への憎しみ、以前の俺はこんなにもジオン派だっただろうか?

 

イグルー、特にヅダ好きだったのは確かだが……。

 

そんな事を考えても仕方ないか。

俺の命がかかってるんだ。

死んだら元の世界にーとか神様と出会ってなんか言われるとかそういうテンプレ的な展開になるのかどうかなんて分からんしな。

やる事をやるしかない。

 

セシリアと別れた俺は通信室に向かった。

 

ガルマ・ザビ

アメリカ大陸にて地球方面軍を配下に持つ。現地の企業や政界にコネを、親ジオン派を作るために派遣されている。まぁ戦いの経験のないガルマに経験を積ませようという意図。南米ジャブローの近くにザビ家がいるという圧力をかけるという意図。宇宙のザビ家内の政治的戦いから逃れさせるという意図。といった複雑な理由で派遣されている。実際には地球方面軍はキシリアの指示のもとにあるし、ガルマは見てるだけな状態だな、甘やかされている訳だが、本人はザビ家の職務を果たそうとしている。

 

ガルマはおぼっちゃま、政治的にクリーンだからな。

ガルマが死ねばザビ家内での政治的争いはより醜くなるだろう。

生き残らせなければ、キャスバルに殺させはせん。

 

「地球方面軍司令、ガルマ・ザビ大佐につなげ」

 

しばらく待った後、ガルマが通信に出た。

 

「兄上、突然どうしたのですか。わざわざサイド3からこんな盗聴の危険のある通信を……」

 

ガルマだな、少し伸びた髪の毛をいじっている。

緊張しているのが丸わかりだ。

優秀で冷酷な兄弟の中でただ1人意図的には手が血で汚れていない男だ。

少しからかってやろう。

 

「ガルマ、お前の様子が気になってな」

 

「な……何事ですか、いえ、元気にやってますよ、兄上。地球はいいところです。色々、大変なことはありますが」

 

まるで明日、空からMSが降って来そうな驚きだな。

それほどか。

記憶にある分にはギレンはガルマになんら期待してない、というか相手にしてなかったな。

アウトオブ眼中だ。

ガルマには辛い事をした訳だな。

 

「そうか、地球の醜い金持ちのエリートの相手は大変だろう。お前はよくやってくれている」

 

「い、いえ、兄上達はそれより大きなものの相手をなさっているのです。私もザビ家の一員として負けるわけには行きません」

 

「そうか……」

 

「…………」

 

会話が続かないな。

ギレンにとってガルマはあれだ、純粋すぎて手がつけられない。

どんなに話してもどうしても高圧的になってしまうだろう。

 

こうなったらシンプルに話すしかないな。

 

「ガルマお前には期待している。密命を渡す、生きろよガルマ」

 

これがギレンにできる最大の譲歩だ。

 

「兄上? いえ、はい。もちろんです。ザビ家の一員として恥じない行いを務めます。その密命果たしてみせます」

 

そうしてガルマとの通信は終わった。

密命の内容はアプサラスの開発援助命令と持久作戦命令だ。

今までの謝罪も書いておくか、ガルマのやる気が出るだろう。

あとイセリナとの恋の後押しもか………。

 

それにしても

 

「ザビ家として恥じぬ行いか……」

 

ギレンよ。

大量虐殺を行いながら優良人種を自称するとはなんなんだろうか、弱肉強食か?

 

「フッ、動物と変わらんな」

 

提唱するならそんな物よりもニュータイプ論を推す。

まぁそれもおいおいだな。

私室に戻った俺はセシリアとデラーズを待った。




プロットなんてくだらねぇぜ! からプロットすごいになりました。
少しずつ書いていこうと思います。


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デラーズとセシリア

遅くなりました。感想を恐れながら見てニヤリとさせられたりなるほどとしたりどきりとしたり………ポジティブな気持ちになり書く気力がより大きくなりました。ありがとうございます。


「閣下、入ってよろしいですかな」

 

思っていたより遅かったが、ちょうどいいぐらいだな。

書きすぎた気がするが。

 

これはもしかすると徹夜か……

 

「よい、2人とも入って来るのだ」

 

セシリアとデラーズが部屋に入って来る。

 

「これは……どうかされたのですか!」

 

おお、デラーズだな。

こうして目にするとカリスマがにじみ出ている。

頭に視線が行く余裕がないな。

 

デラーズの驚きようもよくわかる。

俺の部屋は書類で散らかっていた。

 

覚えている範囲でのガンダムの歴史を手書きで書こうとしたら止まらなくなってしまったのだ。

 

ちょうど逆襲のシャアあたりまで書き終えたところだ。

さすがに人名はごまかしてあるが。

 

最後に、この後約30年後地球連邦政府はコロニー間戦争により形骸化、さらに数百年後戦乱により地球文明は崩壊。と書き加えておこう。

 

「気にするな、これをみろ」

 

散らかった書類を整理し、渡す。

 

シャアがキャスバルだということやラプラスの箱はまだ隠して書いている。

セシリアはいいがデラーズが何するかわかったもんじゃない。

 

まぁ連邦側の人名は隠す必要がないから書いておいといたが。

 

「なんですかな、これは………ムムゥ!?」

 

「…………これは、一体?」

 

両者ともに視線は資料に釘付けだ。

 

「これが未来だそうだ。どう思う、デラーズ」

 

「オデッサへの大反攻作戦……連邦の脅威的な性能のMS……そしてドズル中将のソロモンでの戦死……学徒動員、ソーラレイ……キシリアによる閣下の殺害!ジオンは傀儡ですと! そして星の屑……私の作戦が地球主義者の台頭を生む……! このようなこと……ありえませぬぞ!」

 

書類を手に取り声を荒げるデラーズ。

デラーズだな……やっぱり頭に視線がいくのは許してほしい。

 

セシリアは書類を横目で覗き込んでいる。

その表情は怪訝そうだ。

 

「ならばなぜ、声を荒げているのだ。どうだありえる未来と感じただろう」

 

デラーズにとっては認めづらいだろうが、ジオン上層部の優秀な者にはこうなる可能性が直感的であれわかるはずだ。

 

さすがにホワイトベース隊の活躍は信じられないかもしれないが。

戦争の推移についてはな、星の屑を実行できたデラーズにはジオンの限界を考えられる筈だ。

 

ありえるかもしれないと。

そう思ってくれればこれから俺の言うことを聞くはずだ。

 

「いいえ、恐れながら閣下、これはありえません」

 

「セシリアか……なぜそう思う」

 

意外だな……セシリアがそう言うとは。

 

「デラーズ様失礼します」

 

セシリアはデラーズから書類をもぎ取り、目を通す。

 

「いえ、これは……! 少々お待ちを、もう少し読ませていただいてもよろしいですか」

 

「うむ」

 

これはセシリアは大丈夫そうだな。

一瞬2人とも信じてもらえないかと思ったが……

 

「ありえませんぞ!」

 

「しかし、デラーズ様……」

 

そこからはセシリアとデラーズの言い争うような展開になってしまった。

原作でこの2人の仲は悪かったのか?

そもそもギレンの前で口論するキャラだっただろうか?

 

しばし、2人の口論を聞く。

 

「このホワイトベース隊とやらの活躍はおかしいではないかっ! 民間人によって我が軍のエースがやられるわけがないっ!」

 

「いえ、このMSの性能があれば可能性はあります」

 

冷静にデラーズの考えを聞きながら一つ一つ冷静に答えていくセシリア。

 

そこから何度もデラーズと問答をするが、冷静に答えていく。

うむ、なるほどな。

 

我がジオンの問題点を伝えたかったのだが必要はなかったかもしれんな。

 

その様はセシリア自身も書かれた内容について吟味しながらも答えているように見える。がこれは私の反応を見ているのだな。

 

「ええい、ジオンはそんな軟弱なものではない! では、閣下がキシリアに暗殺されるなどはどうだと言うのだ、ありえん!」

 

「そもそもソーラレイによる暗殺などしたらこの話は絵空事にはならないでしょう! キシリア様はただでさえ……いえ、この内容が現実になる可能性を、デラーズ様も理解しておられると……っ!」

 

だんだん熱くなってきてしまったな。

 

アニメの中のキャラクターがこうして口論を交わすとは、いや、この気持ち、いまは置いておこう。

 

「2人とも、そこまでにしておけ。可能性はあると理解してもらえたようだな。 これに対する対策を話し合うために呼んだのだ。さすがにこれを他の人間に見せるわけにはいかん、お前たち2人にのみ見せたのだ」

 

そう言いながらセシリアから書類を受け取り、燃やす。

 

「閣下……その内容を信じておられるのですか」

 

デラーズが問うてくる。

 

「これが未来などと信じてはいない、ただ今のジオンに足らぬものがあるとわかった以上対策を取らねばならぬのだ。デラーズならわかるな」

 

ただでさえジオンは人材不足でいろいろガバガバだからな。

 

よくここまで勝ててたものだ。

 

「は、ははっ! 閣下にはお見苦しいところをお見せしました」

 

「私からも謝罪いたします。取り乱してしまいました」

 

「2人とも、よいのだ。ジオンを思えば取り乱すのも当然のことだろう。それに……私の前であえて口論を交わした思惑を理解はしている。私の頭がおかしくなったと思うのも無理はない」

 

「出すぎた真似でした。申し訳ありません」

 

セシリアがそう言う。

 

「良い、わかっている」

 

2人はあえて俺の前で口論を交わしたのは伝わってきていた。

熱くなってしまったのは予想外だったとは思うが。

 

ギレンがオカルトじみた事を言い出したと思ったセシリアがデラーズと一芝居打ったのだろうな。

 

あのデラーズがギレンの前でここまで感情を出すわけがないしな。

初めはセシリアの言い分を疑いつつも書類を見て、といったところか。

 

諌めるのも秘書の役目か……有能だな、本当に。

だがその必要はないのだ。

 

「我がジオンの不安要素がある程度わかればよいのだ……」

 

こうして2人と茨の園やスパイ関係、部隊の訓練、ニュータイプについて等々様々な対策や話し合いを行って、認識を確かめつつ、時間は過ぎて行った。



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初日の終わりとキシリア・ザビ

セシリアとデラーズ、あの2人はなかなかギレン思いだな。

 

「考えるべきはキシリアと話す目的だな」

 

2人には原作知識を生かしたちょっとしたことを指示したが、途中で仮眠をとるよう勧められた。

決して頭おかしいよ、休んだら。

っというニュアンスで言われたわけではなく、伝えた内容に最終的には納得してもらえたようだ。

まぁジオンに起き得る最悪のシナリオ的な風に説明をしたからだろうが。

あの2人がどう思おうが、とりあえず今のジオンにいろいろと危機感を抱いてもらえれば良い。

 

というわけで俺は私室で1人横になりながら自分の考えに整理をつけていた。

 

「オデッサ、和平、謝罪、MS総会つまり企業について、このあたりか」

 

企業については出来たらで良いか、MS開発の統一にはキシリアの力が必要だろうが、オデッサの防衛や和平についての方が重要度が高いな。

ギレンからの謝罪は必要だろうか。

もっとこう……そうだな。

これがギレンの発想か?

違うな、俺の発想だ。

 

うん、寝よう。

 

「ああ、そういえば納得はしてもらえたが、あの2人に私の気が狂ったのではないかと心配を持たせてしまったな」

 

これが未来だそうだ、キリッ。

だもんなぁ。

あれは調子に乗ってしまったな……ギレンのカリスマで冗談が冗談じゃ無くなるというのに。

 

デラーズの反応なんてまるでどこかの安っぽいヒロインだ。

セシリアのいう事信じてなかったけど……これみたら、ねぇ……あなたの事が心配なの! こんな資料信じてギレン君大丈夫?……お医者さんにみてもらわなきゃっ!

 

「なんて感じだな。想像したら面白いものだな……あの頭にあの雰囲気でギレン一筋……あれはそう見たら本当に面白かった。でも失礼か………ははっ、はぁ、本当にここはガンダムの世界なんだよな……くそっ」

 

寝る寸前の思考というのは考えても仕方のない事も考えてしまう。

これは前世の俺のせいだろうな。

前世の俺はいまごろどうなっているのだろう、とか俺以外の憑依者もしくは転生者はいるのだろうか、とかいろいろと考える。

 

だがギレンの頭脳もあってか落ち着きは取り戻せる。

考えても仕方のない事とわかるしそれに何故か転生者や憑依者など他には存在しないとも確信を持って言える。

そして俺のやらなければならない事も理解している。

 

スペースノイドの独立か。

 

この異常な状況……ややこしいものだなぁ。

 

 

 

「閣下……かっか……おきていただけますか」

 

どうやら俺は知らぬ間に眠っていたらしい。

 

 

俺を呼びに来たセシリアに起こされ、キシリアを待つ。

セシリアには父上に準備をしていただくよう伝えるように言い、部屋を出てもらった。

 

「兄上、入らせていただく!」

 

「キシリアか、人の部屋に入る前にはノックするのが常識だろう」

 

いまこの場には俺とキシリアのみだ。

 

あの仮面はつけてこなかったのか。

そこまで老けては見えないが、まぁ老け顔だな。

ドズルが姉貴とからかうのもわかるが……まだババアになるほどのストレスを抱えていないか。

 

「緊急事態と伺いましたが違いましたか、一体何があったのです。それにあのサイコフレームとやらの資料、フラナガンが驚いて……」

 

ああ、ニュータイプについても話し合わなければならないな。

キシリアというよりフラナガンと話す気でいたから昨日考えるのを忘れていたな。

 

「あの資料については後ほどな……急いだと言うがお前も遅かったではないか」

 

「他のものには任せられない仕事、というものがありますでしょう」

 

駆け引きはここまででいいだろう。

本当にギレンとキシリア仲悪いのな。

お互いサスロ暗殺の犯人と疑ってたりするからかね……

 

「そうだろうな、責めているわけではない」

 

やんわり優しさを伝えよう。

いきなり仲良くなれるわけないからな。

 

「……して、緊急事態とは、ルナツーの攻略をやめさせるほどなのですか」

 

険悪な雰囲気なのは仕方ないな。

本題に入るか。

 

「そうだ。連邦の動きについて、いくつか予想を超える事態が発覚した」

 

「それは……例のV作戦……」

 

やはりV作戦についてと思うだろうな。

割り込んで話す。

 

「それだけではない……」

 

それらしく作った資料を渡す。

ガンダムの性能と連邦のオデッサ攻略作戦の推移だ。

 

 

「連邦は我が方のMSを容易く上回るMSの開発に成功、これは現行の我が軍の兵器での撃破は非常に困難である。さらには連邦の意図する、運用形態は非常に効率的だ。またこれを機とした連邦には大反抗計画を実施する動きがある。予想される戦力は我が方の6倍から10倍……」

 

「こ、これは……」

 

「連邦のMSの性能は欺瞞の可能性もまだあるが、オデッサは……このままではオデッサは陥落する。現状のオデッサの防衛、あそこには今、第1防衛線しか存在していない。第2、第3と、作らなければ陣地が突破された時点でオデッサの陥落は時間の問題である。今の陣地というのもおこがましいものでは大量の戦車、航空機には、敵わん。ましてやこのMSがもし実在しこの計画に投入されれば、容易く拠点は奪われ、我が軍の趨勢は決まってしまうだろう、たとえ水爆を使ったとしてもな……水爆については廃棄すべきだ」

 

マ・クベによる水爆の使用は最悪のシナリオになりうるからな。

釘を刺しておこう。

 

「知っておられましたか……そう仰るのならば、直ちに廃棄させます。なるほど、MS総会の開催はこの連邦の運用形態に対抗するためですか、我が軍には無駄が多すぎますから。それにオデッサへの危惧、私も考えておりましたが、ここまで具体的に……防衛戦の構築、しかと心得ました」

 

「そうだ、それにルナツーの件もそういうことだ。あの戦力をオデッサに向かわせるべきだ。そもそも要塞化が進むルナツーをあの程度では落とせないだろう」

 

「それでは宇宙の防衛に脅威を残すことに」

 

「そうであろうな」

 

「一体、何を考えておいでです」

 

「ルナツーは私自らが落とす。親衛隊に埃を被せておいてはなんだろうからな」

 

「本気で仰っているのですか、 このサイド3はどうするのです! 兄上が離れた途端ダイクン派が動くのはわかって言っておられるのですか」

 

「はっはっ、元から連邦への宣戦布告など正気の沙汰ではないと私は気づいたのだ。キシリア、心配するな。私がルナツーへ向かう時はお前にこのサイド3を任せる。この意味がわかるな」

 

「一体何を仰りたいのか……兄上はドズルに毒されましたか」

 

「私は連邦との休戦を考えているのだ」

 

「休戦、ルナツーを兄上が攻めることと休戦について繋がりが全くもってわかりませんが……そもそも連邦が休戦に応じるとも思えません」

 

連邦の意志を徹底的に叩くのにギレン自らが連邦最後の宇宙拠点を落とすことも、効果的と思うのだがな。

いろいろ障害はあるが、実行できれば中立コロニー群も連邦に協力するような事態にならずに済むだろう。

最悪サイドではなくコロニー別に分断すればよい。

幸い数は減ってる……と数が減ってる事を幸いと考えるとは、これはギレンの暗黒面だな。

 

「それはな…」

 

「閣下、キシリア様、失礼いたします」

 

デキンの準備ができたとセシリアが部屋をノックした。

 

「父上が?」

 

「父上とは和平について話をしたのだ、お前はどう思うかわからぬがな。ニュータイプや総会については父上と話してからだな」

 

「一体……私は兄上の変わりように驚いております」

 

キシリアから多少の怒りを感じなくもないな。

 

「そうだろうな、どう変わったのか……まぁいい、父上のもとに行くぞ」

 

ふぅ、まったく本当に綱渡りだ。

キシリアは俺を殺すかもしれない人物だから、ヒヤヒヤもんだな。

まぁギレンの強権を持ってしてジオンを強引に変えて行くしか連邦に対抗する術はないからな……



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だがこのままでは和平はできん。

父上の待つ部屋に向かう最中、キシリアに話しかける。

 

「お前は戦争継続に賛成かと思っていたが」

 

レビルを逃したのにはキシリアの関与があるのではないかとも言われていたような。

本当かどうかはわからないが。

あれのせいでジオンは戦争を続けざるをえなくなった。

 

「兄上も気づかれたのでしょうが、ジオンに戦争を継続する力はもうほとんどないと、私も気付いたのです。潜水艦部隊をして地球の広さを感じさせられましたよ」

 

それは良かった。

 

「ふむ、連邦との和平、賛同すると」

 

「父上まで動こうとなされている……内容次第でしょう」

 

うーんコツコツと響く足音が心地いいな。

ついつい力強く歩き出してしまう。

 

「少なくとも落とし所は見つけねばならないというところには、同意しますよ、兄上」

 

おお? よかった。

 

 

その後のデギンとの話し合いは順調に行われた。

ジオンの敗北という危機感を持ち、話し合いを行うことが出来た。

 

「なるほど、最大の譲歩として、地球領土の全返還と宇宙領域の自治、望むサイドには連邦に降らせてもよいと、そして私とお前の首も、それを条件に連邦に和平、ないし休戦を迫る。お前が良いと言うのなら、この案はとても魅力的だな。我々は疲弊している。連邦も疲弊している。だがこのままでは和平はできん」

 

ニヤリと笑いながら返事を返す。

 

「ええそうでしょう。父上。連邦は未だ勝利を諦めておりません。和平をなすには大きな戦果が必要。しかしオデッサ攻略作戦に、V作戦、このまま戦争が進めば……それが叶うことは、いわばいまのジオンの権勢は砂上の楼閣、このままでは容易く連邦の反抗を許すでしょう。だからこそ今なのです。当然連邦の反抗を許すつもりはありません、が、戦争の落とし所を得るためには戦果を得てからでは遅い」

 

まぁ言い換えるとジオンが負けっぱなしになってから戦果を得て和平してくれと言っても連邦が聞くわけないよねと。

 

キシリアが反論を述べる

 

「それは理解しました。それに戦果を得るという確信が兄上にはあるのでしょう。しかし、もし和平になったとしても戦後はどうするのです。和平ならずとも休戦……それでは危機の先延ばしでしかないではありませんか。それにせっかく手に入れた領土を連邦に返すなど反発も大きいのではありませんか」

 

いや、連邦は滅びる。休戦であってもそれはジオンの独立を、いやスペースノイドを認めるのと同義なのだ。

ラプラスの箱など使わなくとも、連邦は形骸化する。

時間はかかろうがな。

 

まぁキシリアが言いたいのは単純な憎しみだろうが。

 

「戦後、連邦の脅威が心配なら各サイド、コロニー同士の争いを起こせばいい。連邦は容易くは踏み込んではこれない。それに連邦内部にもスペースノイドの自治もしくは待遇改善を目指す者たちもいる。いくらでもやりようはあるだろう、それに反発も……お前ならな。それにそこまでの譲歩がいらなくなる可能性の方が高いのだ」

 

あくまでこの和平案は頑なな連邦に和平をのませるためだ。

ここまで譲歩しなければならないかもしれないという話であるが、もしそうなってもやりようはある。

 

例えば簡単なものは戦後復興するであろう各サイド、コロニー間で争いを起こす。連邦は各サイド、コロニーの調停など行わず、放置か弾圧だろう。

そうすれば人々は連邦の非道を思い出す。

 

いくらでもどうとでもなるのだ。

印象操作、プロパガンダは戦争の常、メディアの掌握は恐ろしく効果的だ。必ず一定数は操作されるし、弱い誘導ならば多くの人間が引っかかる。

歴史は勝者が語るもの、だが引き分けの時はどうなるのだろうか。

 

ザビ家か憎い、ジオンが憎いというものだって、ジオンにはスペースノイドの独立、圧政者に対する反抗という大義名分がある。

 

連邦とジオン、互いへの憎しみは戦争を通して高まり続けている。

だが父上と最悪私がスケープゴートになれば、ある程度の憎しみを逸らす事は可能だ。

 

キシリアならばいまから動けば連邦の目を盗みいろいろな工作ができよう。

 

 

「ギレン、キシリア。確かに戦果も当然だろうが。ワシは、ギレン……お前を連邦にくれてやるつもりはない。連邦には最悪でも私の首で満足させる」

 

「感謝いたします、父上。ですが、万が一の時は私の首、使ってもよいと言わせていただきます」

 

さらさら死ぬ気は無いがキシリアに殺されるよりはマシな死に方であり、スペースノイド独立に貢献できるいい死に方だ。

さらさら死ぬ気は無いが。

 

連邦との和平については秘密裏に進められる事になった。

MS総会についても父上、キシリア共に協力を仰ぐことができた。

ヅダのような会社同士の争いなどという事は2人からの圧力もあればなんとか抑えこめるだろう。

 

キシリアの本音はわからない、だが流石に父上と俺が文字通り命をかけて進めている事に正面から反対することは出来ない。

 

その後キシリアとはニュータイプ部隊についても話し合い、計画を立てることもできた。

 

 

 

順調だ、とても順調だ。

セシリアが淹れてくれた前世では飲むこともなかった高級であろう紅茶を飲みながら思う。

 

「閣下、キシリア様が心配なされておいででした。『兄上に一体何があったのか』と私に尋ねられるほどです。『閣下はお気づきになられただけです』とお答えしておきましたが」

 

「よい。キシリアはなんと」

 

「何も、おっしゃりはしませんでした」

 

お兄ちゃんはお前に殺されるより、スペースノイドの独立に命をかけるという成長を見せたと思うんだが、なんか言ってくれよ!

なんてな、よく言う史実の修正力があるのかもわからないからあまりキシリアについて深刻に考えても仕方ないか。

 

「そうか」

 

 

そして演説を行った。

いつものような好戦的なものではない。

今後を考え連邦との和平を匂わせたりコロニー落としについて考えさせたりするような内容で、あとはニュータイプについて、兵器的なものではなく思想としてノーマルタイプより優れているわけではないが人類の希望だと唱えた。

その実在としてメガ粒子砲を避ける能力者についても語った。

そして最後に要塞化が進んでいるルナツーを数ヶ月のうちに陥落させるとも宣言した。

 

ん、最後は好戦的な内容になったかもしれない。

ジークジオン!

 

まぁないとはわかっているが、これで連邦がルナツーの防衛に力を入れて、オデッサ攻略を先延ばし、あるいは諦めてくれたらどれだけいいことか。それにプロパガンダだと、ニュータイプにより懐疑的になってくれるといいが。それもないか。

 

他にもジオン公国総帥業をこなして1日が過ぎていった。




次回、ガンダム大地に立つか立たないか。アムロはどうなるのか。そして博士は酸素欠乏症になるのかならないのか。逃げろ……


感想、誤字報告、お読みいただきありがとうございます!


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V作戦奪取1

サイド7へ向かうホワイトベース艦内の食堂では連邦のプロパガンダ放送でギレンの演説が切り取りで流されていた。

 

「『……古来、闘争は科学を、文化を、人々を進歩させてきた。それはなぜか! 今まで見向きもされなかったものに目が向けられ、その有用性に気づくからだ。数々の才能により新たな発見がされるのだ。事実!現在のわが軍の主力兵器MSもおもちゃの人形などと呼ばれていた事があったが……そしてこの戦争において新たにジオン公国は驚異的な発見をした。高速のメガ粒子砲を予知し避け……思考を僅かではあるが読み取ることができる者たちの発見だ。連邦は嘲笑するであろう、公国民さえも信じられぬかもしれぬが事実である。兵士諸君の中には気づく者も多いと思う、大抵は感受性が豊かと言われるような者たちで……そしてこの者達を集めこの私、ギレン・ザビは数か月の内に私自らの手で、連邦の宇宙支配の拠点であるルナツーを陥落せしめ、連邦を宇宙より追い出し、弾圧と圧政の愚を知らしめる事をここに宣言する!』とのことですがこのザビ家総帥の発言どう思われますか! ……いやー選民思想もここまで行くともう恐ろしいですね。行き過ぎた理想とでもいうんでしょうかニュータイプを信じてるんですかねー……このような発言、ジオンはかなり苦しんでいるんでしょう、次のニュースです」

 

「お、この人参うまいな。おいおい、聞いたかよ。ニュータイプとかいうけどよ、超能力とかとうとうジオンの奴ら頭がおかしくなったのかね」

 

「いやいや本当かもしれねえぜ、俺も戦闘機乗ってメガ粒子砲避けまくったしな、実は俺も超能力者だったんだよ」

 

「それはたまたまだろ、だったら俺のパンツの色いま当ててみろよ」

 

「お、おうよ!むむむむ……おおおお、きたきた、黒のパンツだろ」

 

「おお、スゲー!ってそんなの誰でもわかるわ!」

 

「そうか?そうだな!ガハハハッ」

 

「ガハハハッってそれよりもルナツーを攻めるってさ、落とされると俺らは宇宙に出れなくなるんだろ、嫌だぜ俺は地球の戦場の空気は埃っぽくて、地上戦はひどいんだろ」

 

「俺らを脅して早く戦争を終わらせたいんだろ、ジオンは。俺たちはこの新鋭艦ホワイトベースに新しいMSといい恵まれてるからな。ピーピー吠えても勝ち逃げさせてやるかっての。第一ルナツーに引きこもってる艦の数見たかよ。ジャブローでも作ってるらしいしジオンに勝ちの目ないだろ?俺たちはそれまでこの最新のハイテク艦で上手く生き残ればいいのよ」

 

「なるほどな! それを聞いて安心したぜ、まさにジオンに兵なしだしな!」

 

それを隅っこの方で聞いていたブライトは食事を終えて口を拭き、食堂を離れ、艦長室へ向かった。

 

「と大体こんな具合でしょうか。パオロ艦長、皆、比較的楽観的のようです」

 

「そうか……ブライト君、君には助かっているよ」

 

「はっ」

 

「そう堅くなるな、と言っても無理か。確かまだ軍役は六か月だったか」

 

「はい」

 

「この戦争は年内には終わる。ジオンのやっている事はただのテロルだ。君もこの船に、いやあのガンダムをみたらわかるだろう。連邦の士官としては言ってはいけないのかも知れないが君は……」

 

そのように話していると艦内に警報が流れる。

シャアの追跡が続いているのだ。

 

「見つかってしまったものは仕方ないが、いちいち鬱陶しいものだ。たかだがムサイ一隻といえど……ブライト君、博士を呼んできてくれたまえ、サイド7に準備をさせたい」

 

「はっ! 了解です」



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V作戦奪取2

8月17日2話目です


「本来であれば、ただ襲うだけならばデニム曹長に任せれば良いのだろうがな」

 

シャアはそう言った。

少ない戦力で行うには難しい任務ではあった。

 

「任せてください。少々不安もありますが我々ならできますよ!」

 

ジーンとスレンダーがデニムの両隣の席で激しく首を縦に振っていた。

 

「だが命令は違う。ギレン閣下自らMSによる攻撃は禁止という命令を下された」

 

場所はムサイ艦内ブリーフィングルーム。

わかりやすく言えば艦内の見た目は映像ボードに机という教室のようなアナログな見た目だ。

ボードのそばに立っているシャアを180度で囲むようにデニムやドレン達が机に座っていた。

有線でそれぞれの机やボードの端末に繋がって居た。

端末は備え付きのがそれぞれしっかりとあるがなんとも旧時代的だ。

 

ミノフスキー粒子、あらゆる電磁波を減衰させ高濃度では放射線さえも防ぐ粒子、電子回路への影響もとてつもなく大きい。

そのせいで連邦もジオンも有視界戦闘などというアナログへと回帰していた。

ビーム兵器というデジタルな兵器をただの鉄砲と同じようにしか使えないとは人類は停滞している。

 

シャアは部下達に端的に伝える。

ギレン、キシリア、ドズル、並み居るザビ家から注目を受けたこの任務、チャンスをものにしなければならないと、数日考え抜いた作戦を。

 

「作戦はこうだ。私が連邦士官になりかわり潜入し連邦のモビルスーツを強奪。その後デニム曹長達が確保した人質を盾に撤収する」

 

時は遡り、ムサイが近くの小惑星に姿を隠しながらホワイトベースがルナツーに到着したのを確認した頃。

シャアの元に秘匿通信が届いた。

 

「お前が赤い彗星か」

 

「はっ!シャア・アズナブル少佐であります」

 

シャアは内心驚愕していた。

キシリア閣下が画面に表示されたからだ。

 

「連邦のV作戦、こちらが掴んでいる情報を送る。有効に使え」

 

「はっ!」

 

それで通信は終わってしまった。

送られてきたものは情報と言っても関係者のちょっとした名前や肩書き、家族構成であり一般人が見たら使い道のわからない情報だった。

だがその中にはテム・レイ博士の名前とサイド7に住む博士の息子の名前があった。

 

そしてホワイトベースがサイド7に到着して2日が経った。

ドズルがギレンに連絡をしてからは4日が経っていた。

シャアはサイド7の公共電話ボックスの中にいた。

 

「ドレン、聞こえるか?」

 

「少佐ぁ、バッチリ聞こえております。民間コロニーのセキュリティ程度お茶の子さいさいですな。目標の住所までわかりましたから。なんなら今すぐ雨でも降らせましょうか?まぁでもムサイにこんな任務をさせようとするなんて少佐ぐらいなものですよ」

 

そんなドレンの声はやや雑音が混じっていたが十分会話ができるほどははっきりしていた。

辺境のサイド7のミノフスキー粒子濃度が低いおかげだ。

 

「買いかぶりすぎさ、それと雨など降らせたらすぐにバレてしまう。慎重にな」

 

「はい、もちろんですよ」

 

「で、こちらは民間人に紛れる事は出来たがデニム達はどうだ?」

 

シャア達はコロニーの点検用スペースから内部に侵入していた。

サイド7とはいってもこのコロニー1基しかない。

まだ建造途中だったサイドだけあってセキュリティはないも同然だった。

 

「対象を捕捉したようです、チャンスがあれば動くそうですが」

 

「そうか。では作戦通り30分後に」

 

「了解です」

シャアは港へと向かった。

 

「こう簡単に来れてしまうとはな。ジオンも連邦もスパイし放題ではないか。私1人だからできたと言うのは自惚れが過ぎるだろうか」

 

変装用のグラサンを弄りながらシャアはそう呟いた。

いつもの仮面は胸ポケットに入っている。

 

シャアは自分が身分を偽っているからこそそう思った。

港への侵入はコロニーの偽IDですんなり通ることができたし、ホワイトベースのセキュリティパスなんてコロニー内ネットに接続された誰かの端末のメモ帳に書いてあった。

見張りも置いていない。

コロニー内部からの侵入、なんと容易いことか。

艦内見取り図もその端末にあったお陰で作戦は楽に立てることができた。

 

港で連邦製のノーマルスーツを着たシャアはホワイトベース内を悠々と進んでいく。

内部で連邦の誰かを襲って制服を奪う予定だったが連邦は皆ノーマルスーツを着ていたお陰でその必要はなかった。

 

誰もミノフスキー粒子下でこのような作戦を行ってくるとは考えていなかったようだ。

いや、考えていてもわざわざ部下に徹底させるほどではなかったのだろう。

連邦の兵の質も落ちている。

それをシャアは利用した。

 

だがもう少し遅れていたらそもそも乗れるモビルスーツがなく今頃ムサイは破壊され作戦は失敗していただろう。

 

「あそこの兵は一体何をしてるんだね? 運搬と組み立てが完全に終わるまで出撃の許可は出すべきではないと私は言ったはずだろう! これは貴重な兵器なんだよ!」

 

「博士?どうかされましたか ……おい! そこのお前、何をしている!」

 

左舷ハンガーデッキにはガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの並びが三組並んでいた。

左舷ハンガーデッキでこれか、とシャアは少々冷や汗を流しながらガンダムのコックピットに乗り込んだ。

 

「聞こえているか、何をしている!」

 

ここまで行けば作戦は半ばまで上手くいったと言える。

幸い操作法はザクをモデルにしていたのかわかりやすかった。

 

「私の名はシャア・アズナブル、この機体はもらわせて頂く!手を出せばアムロ・レイ少年の命はないと思っていただきたい」

 

「なにっ!全員手を出すな!」

 

「博士!一体何を言ってるんです! おい!止まれ!」

 

連邦が反応ができていない隙に、シャアは側にあったビームライフルとビームサーベルを拾った。

 

「ビームライフルにビームサーベルか、本当に連邦は作り出していたとはな」

 

悠々と近場のガンタンク、ガンキャノンを一機づつ、ビームサーベルでコックピットのみを破壊した。

 

ビームサーベル、小型のIフィールドを発生させ、内部に縮退させたミノフスキー粒子を展開、その高熱で敵を焼き切るビーム兵器。

その気になればIフィールドの形を変えれば槍でも斧でも好きな形にできる。

 

「ザクとは違うなこれは、これが連邦の力か」

 

そして連邦が対応する前にホワイトベースの外壁を切り裂いてコロニー内部へとシャアの乗ったガンダムは進んだ。



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V作戦奪取3

ホワイトベース、艦橋。

 

「総員戦闘配備、離陸の用意を急げ!ガンキャノン、ガンタンクは本艦の防衛を! 残りのガンダムは全機奴を追え、コロニーに傷はつけるなよ! 壊された隔壁が邪魔だって? いいからお前らもさっさと壊して進めっ! あとでいくらでも修理すればいいっ」

 

副艦長が声を大にして命令を出していた。

 

「艦長入られます!」

 

ブリッジクルーが声をあげた。

大急ぎでパオロ艦長が艦橋に入ってきた。

 

「これは一体どうなっている!?」

 

「艦長、ガンダムが奪われました!相手は赤い彗星を名乗っています! さらには敵はレイ博士の息子さんを人質にしてると言っています。暴れた博士は拘束しております」

 

博士の息子を人質に取ったところで、連邦軍は止まらない。

 

「なに!ガンダムがか、それに赤い彗星……博士の件はわかった。ルナツーからの増援は?」

 

シャアに追われている時点で念の為ルナツーには援軍の要請をしてあった。

サラミス級数隻程度なら送ってきてくれているはずだった。

V作戦、このRX計画はそれだけ重要なはずだった。

 

「まだです!」

 

パオロ艦長の表情がさらに重くなった。

 

パオロ艦長にはルウムの戦いで赤い彗星は戦艦を5隻も落としたというから恐ろしさがあった。

多数のMSがあるといえどあの赤い彗星と戦う事には抵抗があった。

あの赤い彗星だ、他にも何か策があるのではないかと艦長は恐れた。

その恐れが少し表情に出た。

 

パオロ・カシアスは艦長として努めて冷静を装う。

 

「そうか。それでどのような命令を?」

 

「ガンタンク、ガンキャノンは本艦の防衛を、残りのガンダム全機で強奪されたガンダムを追わせています。ガンダムは白兵戦を得意としておりますから、ガンタンク、ガンキャノンでは荷が重いと。それと離陸の準備を、コロニーの外に出ればガンキャノンも追撃に出します。そうなればこちらのものですな」

 

少しパオロ艦長の表情が和らぐ。

この状況でわざわざ動く必要はないだろう。

我々はただデータを持ち帰れば良いのだから。

そうだ、そもそもジオンにあのモビルスーツを量産できる国力はない。

量産できるものならやって貰えば良い。

 

「そうか、よろしい。残りのガンダム5機ならばいくら赤い彗星と言えど倒せるだろう」

 

「ええ、もう我々はMSに怯えなくていいということを見せてやりましょう」

 

ムサイ艦内艦橋。

 

「コロニー内部のミノフスキー粒子濃度上昇!」

 

クルーが叫ぶ。

 

「流石少佐、時間ぴったりですな」

 

ドレンはそう手を叩いて喜んだ。

 

ムサイは小惑星を切り離し、主砲斉射しながらコロニーへ接近する。

 

 

ムサイがサイド7へと撃ち込んだメガ粒子砲は採光スペースに当たり、弾かれた。

威嚇、陽動の為に、通常の訓練よりも低出力で主砲を連射した。

 

サイド7内部。

シェルターの入り口の大地に座り込んで空を見上げ騒ぎだした少年がいた。

 

「んんんん!んーー!んー!(も、モビルスーツ!? しかもあれはザクじゃない!一体なんなんだ!それにあの緑色の光は!?)」

 

口にはガムテープ、足と腕は後ろ手で縛られ、虫のように這うしかなかった。

 

「緊急警報ー!最寄りのシェルターに直ちに避難してください。繰り返します。これは訓練ではありません。直ちに最寄りのシェルターに避難してください!」

 

サイレンの音がけたたましくなりだした。

 

「んー、んー!(警報? ちくしょう、そもそもなんで僕がこんな目に!)」

 

地面を這うように暴れ出すアムロ。

幼馴染の女の子、フラウ・ボゥが訪ねてきたと思ったら知らない男3人に襲われ、意識を失った。

気づけば縛られていた。

 

「おい、坊主少し静かにしろ!」

 

「んっっ!」

 

腹に一発蹴りを入れるジーン。

意識を失いぐったりと倒れこむアムロ。

 

「あまり手荒な真似はするなよ。少佐が注意をひいているうちにこのまま、この退避ポッドで撤収するぞ」

 

「了解です!よいしょっと」

 

ジーンの肩に担がれてアムロは運ばれていく。

 

「でもこんなガキがなんかの役に立つんですかね」

 

スレンダーがデニムに尋ねる。

 

「さぁな、少佐だってちょっとした時間稼ぎのつもりだって言ってただろ」

 

実際、ホワイトベースから抜け出す隙を作ることには成功した。

 

「でもなぁMSで大暴れしたかったですよ。こう連邦のMSをバッタバッタと」

 

「ふん、この作戦がうまくいけばMSで大暴れするよりも大きな功績になるだろうよ。ほらさっさと行くぞ」

 

ジーンの肩に乗せられてアムロはジオンに拉致された。

着々とシャアの作戦通りに事は進んでいく。

 

 

後方からの爆発音。

正確にはコンピュータが映像を解析して爆発だと判断。

後方から聞こえるようにコクピット内のスピーカーから発せられた合成音。

 

「先ほどは気づかなかったが合成音……これほどの質か、感覚が研ぎ澄まされるようだな」

 

思わずシャアがそう呟くほどザクとは音質が違う。

ついでに言えばコックピットモニターも幾分綺麗だ

 

「まったくコロニーは狭いな……なに!?」

 

コロニー内部、中心部で空を飛んでいるシャアのガンダムにモビルスーツが迫ってきた。

 

ガンダムが2機ほど迫ってきていた。

さらにその向こうにはガンダムが3機。

 

シャアのガンダムも含めれば合計6機のガンダムがサイド7に存在していた。

 

「あの船の反対側にも同じだけのモビルスーツがあったとでもいうのか!それほどいるとは思えなかったのだがな!」

 

シャアの潜り込んだ左舷ハンガーデッキにMSが9機もあったせいで気づかなかったが右舷にも同じだけMSが積まれてあったのだろう。

 

「ジオンが一機二機のMSを大事に使っているというのに、こんなところに連邦のモビルスーツが10機以上あるなどと誰が予想できるものかっ!」

 

本来なら予備パーツとしてしか使われなかったものを連邦はハリボテであろうと急ピッチで組み立てて居たのだった。

シャアが時間をかけて作戦を立てていたためにその時間は十分にあった。

なにより整備性がザクとは違った。

 

近づいてきていたガンダムの一方が頭部バルカンを撃つ。

 

「バルカンだと!」

 

不自然に顔を向けてきたために咄嗟にシャアは回避行動をとれた。

 

「ちぃ! これほどの操作性かっ。何から何まで優等生すぎる!」

 

シャアはザクのつもりで回避行動をとった為にあまりの操作性の良さに大きくバランスを崩し中心部から逸れてコロニーの重力に引かれた。

 

着陸したシャアのガンダムにビームサーベルを手に持ったガンダムが迫る。

「ほう、連邦はコロニーを守るか。ビームライフルで撃たれていたら、他のMSがいれば困っていたところだ」

 

1機と2機のガンダムはビームサーベルを持ちジリジリと向かい合う。

さらにシャアの元へ3機のガンダムが迫って来ていた。

 

 

睨み合うシャアのガンダムと2機のガンダム。

幸いにも最初に動いたのはバルカンを撃ってきた連邦のガンダムだった。

 

「増援を待たずに来てくれるか!」

 

ビームサーベルがぶつかり合う。

もう一方のガンダムがシャアの後ろに回り込もうとする。

 

「私をバカにしてもらっては困るな」

 

後方に頭を向けてバルカンを放ち牽制、正面のガンダムはビームサーベルの出力をあえて下げて体勢を崩させそのまま膝蹴りを入れる。

 

「まともに相手をすると思ったか!」

 

そのまま逃げようとするシャアだが蹴りを食らわしたガンダムが動かなくなった事に気づく。

 

「ほう、こう運があるとは」

 

数を増やそうと急いで作られたが故の故障。

殴られた衝撃で安全装置が誤作動を起こしただけだった。

 

『これ以上動けばこのパイロットの命はない! コロニーも破壊する!』

 

動かなくなったガンダムの頭部を念のために破壊してシャアはそう言う。

 

『卑怯だぞ!』

 

『戦いは非情さ』

 

そう言ってシャアはガンダムを抱えながらスラスターを吹かし宇宙港の反対側へとたどり着き、コロニーから脱出した。

 

「さすがだなドレン」

 

ムサイが既に目の前に居た。

 

「ここでちまちましていられん」

 

シャアはムサイのブリッジ横に取り付いた。

 

「作戦通り撤退だ。なかなかうまく行き過ぎた」

 

「少佐! やりましたね。了解です!」

 

ムサイが退避行動を開始する。

それに迫るホワイトベースがメガ粒子砲を放つ。

 

「こちらもやってやろう」

 

シャアはビームライフルを向けホワイトベースへと射撃する。

 

「今日は本当に冴えている。自分が恐ろしいものだな」

 

シャアの攻撃はホワイトベースに直撃した。

ムサイは無事撤退する事が出来た。




シャア最後の見せ場終わり!(予定)
ホワイトベースは沈んでないです。
あとアムロが連邦相手には大活躍する予定はありません。
ここからさらに自分の妄想世界になりそうですね。


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その頃ガルマ・ザビ

「どういう事なんだろうね、一体これは。兄上……」

 

髪の毛を弄りながらふとそうガルマは呟いた。

ガルマはギレンから送られてきたメッセージに困惑していた。

 

「あら、考え事ですの?」

 

そんな彼に話しかけるのはイセリナ・エッシェンバッハである。

ジオンに占領され廃墟と化したニューヤーク市前市長の娘でガルマの婚約者である。

父親は大のジオン嫌いだが彼女はガルマを愛している。

もしガルマが殺されればその復讐を命を懸けてする程に。

 

「すまない、イセリナ。君との大切な時間に考え事をしてしまうなんて」

 

ガルマもまた、ザビ家を放り投げて彼女と過ごす事を望むほどには彼女を愛していた。

 

イセリナはガルマの手を取り言う。

 

「ガルマ様、私は平気ですわ」

 

ガルマにはそれだけでイセリナの言いたい事が伝わった。

 

「ありがとう。その言いづらい事なんだけど、実は兄上がね、僕を応援してくれて命令までしてきたんだ。手紙付きで」

 

「私には良い事のように聞こえますわ」

 

「うん、僕もやっと一人前として認められたのかと思ったんだけど、あまりにその」

 

「あまりに?」

 

「なんというか優しすぎるんだよ。まるで父上と話しているような。激務であの気強い兄上もついにどうにかなってしまったのかとわざわざ親衛隊にこんな手紙を届けさせるなんて」

 

「あら、その手紙には正確にはなんと?」

 

「その、君のお父さん達の反乱に気をつけろだとか、体調の事だとか連邦に対しては徹底的に守るだけで良いとか、命を守れだとか、絶対死ぬなとか末長い幸せをとかその、子供の事とかにも触れててね。本人が書いたとは思えない内容なんだ」

 

ガルマはドズルからの手紙が何かが間違って親衛隊に行きギレン名義で送られてきたかと確認したところまでは流石にイセリナには言わなかった。

 

「あら、それは家族としてもっともな事ではありませんか。しかも手紙だなんて古風ですわ」

 

少し微笑みながらイセリナはそう言った。

 

「イセリナ」

 

「ごめんなさい。ガルマ様、でもそれを心配してもしょうがないように思いますわ。ギレン様が見ていらっしゃるなら一層頑張れば良いではないですか」

 

「そうだろうか」

 

「きっと認めてもらえたのでしょう。それがきっとお兄様を助ける事につながりますわ」

 

ガルマはハッとした。

認められたという言葉にハッとした。

 

「家族としてかい? 兄上の認め方が予想外だったって事かな」

 

頭で否定していたけれどそう言われると確かにしっくりくる。

あの次第に冷たくなっていった兄上が僕を。

 

「ええ、きっとそうですわ。あの閣下がガルマ様の言うような事を仰ってるだなんてそれしか考えられませんわ。こう言ってはいけないのかもしれないですが、お優しいところもあったのですね」

 

「まさかあの兄上が、そんなありえない。でもたしかに昔は」

 

常々ガルマは兄上は本当は優しいとイセリナにも自分にも言い聞かせていた。

だがいざそうなると認めがたかった。

しかし不思議とイセリナと話すとそう思えてきた。

 

「ありがとう。今までと変わらず僕がやれる事をやるしかないないんだね」

 

「ガルマ様が常々仰っていたスタート地点に立たれたのですわ。ザビ家の事はわかりませんが、きっと」

 

そこからガルマはイセリナと話し合った。

これからの事を。

 

「そうですわ。まずは私の父の事から始めましょう」

 

「その良いのかい?」

 

「もし事実なら、私に遠慮する事はありません。ですがその前に私の目で確認しなければなりませんわ」

 

「僕としてはまず話し合わないと行けないと思うんだけど」

 

その数日後、イセリナ・エッシェンバッハの父と他数名がイセリナの手によって逮捕された。

 

「イセリナ! なぜこんな事を」

 

「ガルマ様、私を軽蔑なさいますか。父は貴方を殺そうと考えていましたわ。これは娘である私がやらねば、ガルマ様の立場も悪くなりますわ」

 

「なんと、いや!そもそも軽蔑などしないし、ガルマ・ザビとしても僕、いや私は感謝こそすれ君を軽蔑などしないよ。ただ大丈夫かと」

 

「ええ、私は大丈夫です。これで良いでしょう。次は何を?」

 

「少ない物資で防衛態勢を整えなければならないけどやる事は今までとあまり変わらないよ」

 

こうしてガルマは進んでいく。

 

「ガルマ様、これをつけてくださいな。あなたは髪をいじる癖があるんですから」

 

イセリナから渡されたのはヘアゴム。

ガルマは後ろ髪をそれでまとめて結び計画を練り始めた。

 

「グフの生産がストップされそうなのは地上にいる僕たちにとっては残念だね。あれがあればゲリラ戦がやりやすかっただろうに。残りのグフを集めようか。あと姉上の統合整備計画にゲリラ戦用のMSを提案しなければならないかな。兄上の要求以上に防衛線の要塞化も進めてみせる」

 

ガルマ・ザビがシャアに殺される事なく動き始める。



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……連邦のMSの数が多いな。

「兄貴が来るなら心強い。そう言ってくれれば良かったものを!」

 

演説を聞いたのだろう、ドズルが俺にそう言う。

 

「二ヶ月ほど先の予定だ。それまでルナツーへは妨害程度にして兵の鍛錬をさせておけ」

 

「言われずともいつでも兄貴の戦力に頼らずに落としてやるぐらいの意気込みよ! ミネバの為にもな! シャアからも連絡があればすぐに報告書を送る!多少連邦に漏れても構わんだろう?」

 

ドズルはシャアの任務が成功すると信じて疑ってないようだ。

良い上司だな本当に。

 

俺は出来ればシャアには失敗してもらいたいが。

 

「ああ、了解した。それと娘だけでなく妻との時間をつくるのだぞ」

 

「お、おうよ! 俺が言えたことではないかもしれないが兄貴も父上とキシリアによろしく頼む」

 

そう俺の演説を聞いたドズルから言われて早5日。

ドズル、シャアからの連絡はない。

 

この5日の総帥業は多忙の一言だった。

特に話す事は2つほどある。

まずNTD、ニュータイプデストロイヤーの元祖とも言われるEXAMシステム搭載の青い機体が一年戦争中に生まれることはなくなった。

ジオンサイドでは、多分。

 

クルスト・モーゼス博士は拘束したし、ニュータイプへの人体実験は手に負える範囲で比較的穏当なものに変更させた。

明らかに行き当たりばったりでNT能力持ちを無駄に消耗させていた。

キシリアが俺に隠れて裏でやっているかもしれんがそれは好きにやらせておくほかないか、進展があるかもしれないからな。

あとあのハマーン・カーンに恨まれるのはさらに寿命が縮むからな。

ハマーンは今キシリアの下でNT能力の検査を受けている。

ニュータイプにきつい事をやったのはキシリアだと明確にしておこう。

これは、あんまり意味がないだろうが俺も同罪だ。

 

解放したニュータイプ、マリオン・ウェルチは無事目を覚ました。

彼女を新たなニュータイプを探すために使うように指示。

自由にしてやりたいがジオンのために働いてもらう。

研究者がNT能力持ちを無駄に消耗させないための監視役も合わせて任せた。

当然別の監視役も用意してはいる。

 

今頃ジオン圏全体で孤児やら未亡人やら芸術家やら感受性豊かだったり不幸を味わったりしたことがある人間が集められ始めているだろう。

原作知識でニュータイプっぽい人探すマニュアルも一応作って渡しておいた。

なにも知らないよりは見つけやすくなるだろう。

実は議会に通させて置いた、学生に対して行われる訓練にはニュータイプ用科目も追加してある。

まぁ現状としては瞑想やらヨガやらではあるが。

連邦が一層アホなことしてると思ってくれると良いのだが。

 

まぁ瞑想には学習効率を上げる効果があるらしいから学校に導入するのはいいだろう。

 

クェス・パラヤも地球で瞑想やらの訓練をしてたからすぐにニュータイプとして使えたと言う話を前世で聞いた記憶があるからやってみているがまぁ期待はしていない。

 

この世界にはニュータイプと言う力は実在している。

まだエスパーとしか認識されていないが、この世界では科学でいずれは証明されるだろう。

 

ニュータイプ、全く。

進んだ技術は魔法に見える典型だな。

 

人類はいずれ死者との交信も出来るようになるのだ。

サイコフレームがあれば死者が現世に影響を与える事も可能になるほどだ。

光速を超えるMSを操る死者。

さっさと地球になんかこだわったり戦争だったりなんかやめてこの広大な宇宙を開発しろと言いたくなる代物だ。

実用化できればさっさと地球を離れるんだが死者は俺に教えてくれないものだろうか。

ついでに月光蝶の技術もだ。

 

何かの冗談で連邦に勝っても。

ニュータイプが死者の世界から俺を消しに来るだろうか。

死者の世界は大分混雑してそうだがどうなのだろうか。

 

どっちにしても俺も瞑想やヨガを始めるか。

月光蝶をください。

 

ニュータイプが放つ粒子スウェッセム、つまりは感応波を検知できるならば、フラナガン博士かクルスト博士あたりにニュータイプ探知機とかを作ってもらえないだろうか……なんならミノフスキー粒子下においての脳波による通信技術だけでもオールドタイプでも使えるようにならないものか。

数十年はかかるだろうか。

拘束しているクルスト博士をどうにか説得してEXAMではなくそんな便利な代物をオールドタイプのために作ってもらえないだろうか。

どうにもニュータイプを駆逐する事しか考えてないようで話はするが聞く耳をあまり持ってくれない。

ニュータイプには今のうちに首輪を作ろうぜって感じで話しに行ってるのだが。

オールドタイプからニュータイプが生まれるんだから駆逐は不可能だとわかると思うが。

人類抹殺する以外では。

拷問してEXAMシステムの内容だけでも喋らせるしかないのか。

聞き出せたとしても実用化はすぐには無理だろう。

 

話をしておこう。

対策も考えておこう。

だが願望や妄想は置いておこう。

 

話が逸れてしまったがもう一つは暗殺計画に関しての対処もした。

驚いた事にこのギレン・ザビという男は自分の暗殺計画を進めさせている。

もちろん今は膠着状態のジオンだから乗ってくる者も少ないが。

自分に反対するものを監視、可能ならば一網打尽にするために自分の暗殺計画を立てているのだ。

この男は命をかけて独裁者へと邁進しているのである。

これに関して一網打尽にしてしまうとスペースノイドの独立と思ってたらザビ家の独裁が始まったとかいう話にならざるをえない。

だから方向修正だ。

この計画が悪用される危険も当然あるしな。

 

もしジオンが連邦に勝っても、戦後ザビ家はスペースノイドの自治独立を守る事をどうにかして伝えられればいいのだが。

彼らもギレンからみれば連邦と戦っているときに何考えとんじゃ馬鹿野郎と言うものだが、彼らなりにこのジオンを、スペースノイドを思っての行動だ。

 

ザビ家がどうのこうのと連邦と戦っている時に考えることではない。

ギレンとしては言えないが。

 

このようにニュータイプ部隊に関する話や俺の暗殺計画に関して対処をしていた。

あとは裏で色々手を回していてそれの把握に苦労したがなんとかこなせていると思う。自分のクローン計画だとかプロパガンダの内容とかどこぞの誰々にどのような強みや弱みがあるのやら、政治の繊細な力学をギレンのデータパットやメモ書きなどからなんとか把握してやっている。

その途中で目に留まった自著『優勢人類生存説』はニュータイプ論で書き換えてやる事を決定した。

空いた時間に書き換えている。

人の革新の芽を潰しているのはジオンも連邦も一緒だ。

大人達皆だ、とでもいえば良いか。

肝となる部分がやはりまだ言葉に出来ていない。

それもまだニュータイプがエスパーでしかないからだ。

人類の革新などまだ理想でしかないのだ。

 

話をまた戻そう。

もちろんMS開発計画に関しても俺は多数の行動を起こしていた。

そのうちの一つとしてサイド3・21バンチコロニー、リゾンテに俺は隠れて訪れた。

コロニーを出ようと思えば出れるものである。

顔を変える特殊なマスクを被って目的の人物以外には会わないという条件でさえあれば。

そんなことまでしてこんな観光コロニーになぜ来たか。

ここにはホト・フィーゼラーがいるのだ。

 

ホト・フィーゼラーはジオン共和国建国の立役者のうちの一人だ。

重工業の存在しないコロニーに独立というものは夢物語であったのだが、彼らが月の協力を取り付けたお陰でジオニックなどの重工業が生まれたのだ。

彼らのおかげでジオンは力をつけ、独立し、いま戦えている。

 

ホト・フィーゼラーは今はもうこの南国の楽園のような場所で余生を過ごす翁だがジオニック社創設メンバーのうちの一人でもあり、未だ裏では多くの影響力を持っている。

ジオニックやツィマッドやエムイーペーに対して働きかける一環としてやってきたのだ。

 

これはその手当たり次第の訪問のうちの一つである。

なんだか俺が死んだら死んだでより混沌とした宇宙世紀になるだけだろうと開き直ってもいる。

 

「こちらです」

 

「ありがとう、エリース」

 

彼と面識のある人間を総帥府の者から選んで連れてきたが、どう出るか。

 

「エリースを連れてくるとはな、元気か」

 

「は、はい。元気です。フィーゼラーのお爺様」

 

俺を無視して話すか。

俺の目の前には車椅子に座ったフィーゼラー氏が居る。

膝掛けをしていてだいぶ弱っているようにも見えるが見た目に騙されてはいけない。

 

「お久しぶりです、フィーゼラー様」

 

「ふむ、総帥が私のような者にそのような態度をとられますか。しかもほとんど1人で来られようとは」

 

フィーゼラー氏は開き直ったようにそう言う。

まぁギレンに殺されていてもおかしくはない人物ではある。

もう力がないとただの傍観者であるから影響力もありながら狙われなかっただけである。

 

「フィーゼラー様には我が父デギンを、いえ、スペースノイドの独立を助けていただきましたから。あなたがいなければ今ジオンはこうして連邦相手に戦えていない」

 

「私がいなくても誰かが代わりにやったことでしょう。ですがここでこうしていると、私がいない方が良かったのかもしれないと思う時があります。総帥にそう言っていただけるとは大変、名誉な事ですが」

 

当然だな。

独裁者を生む気などなかったのだろうし、ここまで悲惨な戦争が起きるなど想像も出来なかっただろう。

短期決戦で済めばどれほど良かったことか。

この一年戦争をこの老人はだだ見ていることしかしていない。

 

「戦争は残酷なものです。当初の予想を超えるほどに。連邦の体制は強固なものです。私は今も戦っている同胞達を無駄に死なせるつもりはありません。だからここに来ました」

 

「なんとそれは……ですがその言葉を本当に信じていいものか、ギレン総帥、貴方が連邦ではなんと呼ばれているかご存知でしょうか?」

 

ヒトラーの尻尾だろうか……いや単なる危険な思想を持った過激な独裁者だろうな?

俺はフィーゼラー氏の瞳を正面から見据える。

 

「14歳です」

 

「ふむ?」

 

「宇宙世紀0058年、貴方達のお陰でジオン共和国が誕生した時、私は14歳でした。そして貴方達大人を見て私も育ちました。連邦との戦いは貴方にとっても他人事ではないはずです。大人達が夢見た世界を、悲惨な戦争を繰り返さない為にもあなたの力がいまも必要なのです。私はそう考えたのです」

深くは言わないし取り繕う気もない。

建国の立役者にそんなものが通じるとは思えなかった。

 

「ふぅーー、ひとまずは良いでしょう。用件は聞きましょう。総帥府ではなく総帥が直々に来るほどの要件を、話はそれからです」

 

この後色々話した後ホト・フィーゼラーの協力を得ることが出来た。

 

ちなみにフィーゼラー氏は膝掛けの下に拳銃を隠していた。

話の内容次第では俺を殺すか自害するつもりだったとの事だ。

それを明かされた時は後ろから頭を撃ち抜かれなくて良かったと心底安心したのとギレンへのヘイトの高さを実感した。

と言うかよくそんな心の内を話してくれたものだ。

 

俺は他にもジオニックとツィマッドに協力体制を作る為裏から影響を与えた。

あとはMAの開発をしていたエムイーペーにも。

エムイーペーにはデンドロビウムのようなMSをMAに拡張するようなものを考えさせるつもりだ。

多くのMA開発計画を凍結してしまったからな……。

ちなみにドズルがその計画のいくつかを拾っているみたいだが好きにさせている、連邦に行くよりはマシだ。

そしてMS開発会議が始まった。

 

「王手だ。キシリア」

 

「負けました。久しぶりにやれば勝てると思いましたが兄上にはまだまだ勝てません。会議もあのような結果になるとは」

 

「ふん、どちらも危ういところだったがな」

 

俺は今キシリアと将棋を指していたところだ。

どうしてこうなったかって?

 

会議にはキシリア本人も来させたのだ。

 

会議の結果は既存の開発はやめさせるかキシリアの下に投げ入れ、ガンダムに数で対抗する為の新規量産機と質である程度対抗できうるエース専用機の開発を決めさせた。

 

会社間で争う方式ではなく、総帥府主導の下協力するよう決定した。

 

開発陣にはコストや現場を考えてもらわなければならない。

あと量産機はジムに負けずに連携すればある程度はガンダムとも戦えるものが欲しい。

 

というのは無茶な要求である。

 

そんな思惑から進んだ会議だったが現在開発中のゲルググの開発と統合整備計画が早まるという感じに落ち着きそうだった。

新型機の開発は今後の各企業の連携を確かめつつだ。

ギャンやこの時期に作られるMSの開発計画はゲルググを含めて各企業の技術の良い所を取り入れるための実験機として使われる事になった。

あの評判の悪い、シールドにミサイル埋め込んだりしたり使いづらいビームナギナタを標準装備させたりなんてさせる気は無いからな。

 

あとは使えそうなこの世界ではアナログな技術を試してみるしかないか。

 

会議はフィーゼラー氏の協力もあったからか表面上はすんなり決める事が出来た。

 

裏のドロドロは書くだけ無駄だ。

総帥府がその権力と賄賂、脅迫、ハニトラ、なんでもござれで全力で動く、ただそれだけだったのだから。

権力ってすごい。

ギレンの頭がなければ精神が衰弱して死ぬ。

子供の頃からこんな政治の世界に触れてたらそりゃこんな思考になりますわ。

 

出席者達のガンダムの性能やらすんなり進む会議やらで一々驚く顔は痛快だったが会社同士の仲の悪さがどうなるかは監視を続けないとならないな。

 

あとはサハリン家のアプサラスが完成すれば二、三機のジェネレータを積んだMSや100はマルチロック可能な拡散メガ粒子砲が生まれる……ジェネレータ連結技術に関しては援助すると開発してもらえなくなる可能性もあるから追加で指示を出しておいた。

拡散メガ粒子砲は戦艦の主砲にでも使える物にできないかとも期待している。

 

「ニュータイプは人間ですよ。正規の軍人に力を入れなければなりません」

 

そう考えていると突然キシリアがそう言った。

なんだなんだ。

お前、俺に隠れてニュータイプ研究を進めてたくせに俺が興味持つとそんな言い方で止めようとするなんて、なんてツンデレなんだ。

 

まぁニュータイプを探して集めて部隊を作ろうとしていてさらには学生にも軍事訓練させようとしているのだからな……。

ただのプロパガンダ部隊に、意識高いもしもの時の防衛訓練だから(白目)

それにどこぞの俺のクローン説もあるおぼっちゃまくんがニュータイプのクローン部隊を作ったけど普通にやられてたからな。

わかっているとも、戦いは数だよと。

クローン……考えてはおくか。

 

「もちろん、わかっている。ドズルなら戦いは数だよ兄貴とでもいうだろうな。それにお前のところの特殊部隊には優秀なものが多い、頼りにしている」

 

仏頂面でそう答えて思った。

俺もまったくなんてツンデレなんだ。

35歳だぞギレン、コミュ力をもっと磨け……家族の会話していけ。

ドズルにもよろしく言ってくれって言われてただろうが。

 

なんて思いながらしばしの沈黙が続く会話の中でセシリアがノックもなしにいきなりやってきた。

 

「ドズル様から緊急の報告書が」

 

ようやくきたか。

仏頂面を保つのに苦労する。

 

「シャアか、ここで見よう。キシリアも見るだろう」

 

最重要機密としてセシリアから渡された報告書にはガンダム二機鹵獲に成功という華々しい戦果とガンダム4機に囲まれたという戦闘報告、さらにはアムロ・レイの拉致というとんでもない報告が書かれていた。

 

「作戦は褒められたものではないですが、大戦果ではないですか。しかし連邦が本当にこれほどのMSを……」

 

そう言うキシリアのツンツンしながらも嬉しさと不安を隠せていない声が俺にはどこか遠くに聞こえていた。

俺の表情は憂いに満ちていただろう。



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復讐から解き放たれた優しい顔。

キシリアの手前顔には出さないが俺の脳内イメージが今すぐに部屋の外に駆け出す自分を映し出した。

そのまま建物を出てコロニーの空に向かって叫ぶ。

 

アムロいらねーーーーーー!!

サイド7にいるMS多すぎだろーーーーー!!

シャア優秀すぎるだろーーーーー!!

 

そして、ガンダムキターーーーー!!

 

 

ふぅ、落ち着け落ち着け、考えろ。

IQ240の天才なんだから。

 

あの怪物アムロ・レイの確保に成功したならばフラナガン博士の元に速攻で送らせてモルモットにするしかないだろうか?

 

ちなみにもう一機のガンダムのパイロットはコックピットの中で拳銃自殺をしていたようだ。

名前も判明したようだが俺の知らない名前だった。

まぁコアブロックシステムで逃げるつもりがうんともすんとも言わず捕まってしまったら絶望してそういう決断をする兵士もいるのだろうか。

俺の連邦のイメージではそういう兵士は中々いないと思ってたんだが、何が何でも最後まで生き残りそうな勝手なイメージがあったんだがな。

これも戦争か。

 

これまたあっちの出方次第ではややこしくなりそうだが思考を戻して、アムロのモルモット化は非道で意味があるかわからん人体実験をさせる気は無いがとんでもない逸材のはずだ。

こちら側の技術でアムロを強化、覚醒させる事も出来るかもしれない。

ガンダム相手に無双してもらいたいが……。

とりあえず穏当な精神修養や訓練……ヨガや瞑想に戦闘訓練をやらせながらNT能力の反応をみていく感じで落ち着くだろうか。

ルナツーの戦いには間に合いそうにないからな。

 

覚醒しこちら側で戦ってくれたらいいのになぁ〜。

まずはジオンへの愛国心をあの手この手で仕込んで……はぁ。

 

あのアムロがジークジオンと言っている姿が想像できない。

絶対ろくな結果になる気がしない。

 

連邦に返すなんてことはありえない。

 

いっそ消す。

 

いやいやシャアのやった作戦もあまり褒められたものでもない。

ただでさえあれなのだ、拉致った少年殺すなんてギレンに溜まったいらないヘイトがまた増える……監視つけて研究、放置がいいだろう。

うん、本当に運良く訓練が進めばルナツー攻略に使ってみるかという程度で今のところは良いな。

 

あとは……いくらパーツが残っていたと言ってもガンダムが5機いた事だ。

作れてもおかしくはないのか?

いや、流石にこの数はおかしいのだろう。

報告書を読む分ではどうやら戦闘中に動かなくなってその際にコアブロックシステムによる脱出も出来ないぐらいにはハリボテだったみたいだがそう楽観視はできないな。

 

 

連邦のMSが多いのは驚く事でもないがその想定よりも多くの戦力があると思っていないといけないと言う事だろう。

ジオンの勝ちの目が非常に少ないのがよくわかる。

 

まったくシャアが復讐から解き放たれてくれれば良いのだが。

シャアが友好的で、尚且つ大人であればもう全て彼に任せてしまいたいものだ。

こんな優秀なんだぞ。

それにキャスバル・レム・ダイクンだぞ。

 

アムロ以上にこちらが殺すわけには行かない。

彼にもヨガや瞑想を勧めてみようか。

NT能力が覚醒して落ち着くかもしれない。

 

アムロと一緒に胡座をかいて鈴、シンギングボウルを鳴らしているシャアが頭に浮かんできた。

その表情はヘルメットを被ってはいるが復讐から解き放たれた優しい顔をしている気がする。

ついでに坊主に……いや、似合わないな。

 

これは良い案かもしれない、フッ。

 

些か混乱している。

まさかシャアがここまで戦果を挙げるとは本当に思わなかった。

ルナツーへの攻撃を止めればシャアへの連邦からの圧力が多くかかるとも考えていたのだが。

 

部下の安全に気遣って無理して死んでくれないかとも……なぜ無事に作戦を完了できたのか。

連邦は演説のせいでルナツーから早々動く気がなかったのか?

まぁ連邦にとって別にガンダム盗まれたぐらいそこまで痛いわけじゃないからな。

ホワイトベース隊の活躍を知っていたら別だろうが。

戦略的にはルナツーの方が大事か。

 

はっ、やばい。

シャアやアムロを殺すという選択肢が普通に湧いてくるこのギレンの暗黒面に負けるところだった。

 

良いこともある。

ガンダムの鹵獲は大変喜ばしいことではある。

シャアもここまで有能であればもし私が失敗した場合でもネオ・ジオンはもう少し良い活躍をするだろうな。

それも今後のアムロ・レイ次第なところは大きいか……。

シャア、やるな。

フッ、原作の話通りには行かなくなったのだからどうでも良い考えだな。

彼らがこれからどう動くかは楽しみにしておこう。

 

さて、ゲルググの行き詰まっていたビームライフルの研究がはやく進むだろうしガンダムに使われている連邦の技術を少しでも得られるし、直にこの目でガンダムを見れるという良い機会がやってきたわけだ。

シャアとは会って話すしかないだろうな。

 

という事を数秒で考えた俺はセシリアに話す。

 

「シャアには直ちに本国へ来るように、鹵獲品も含めて徹底的に守れともな」

 

「かしこまりました」

 

「捕まえた少年とシャアの部隊には今進めているニュータイプの検査を受けてもらう。以上だ」

 

「アムロ・レイですか……了解です」

 

流石に気づいたか?

セシリアは去っていった。

 

「ガンダム……連邦の技術の結晶、ですか」

 

キシリアがそう言う。

 

「あぁ連邦の基礎技術は我々より進んでいる。一部は我々が優れている部分もあるが……開発計画にこれを活かすのだ。実物があれば私が言うよりも良いものが出来るだろう。古来より指導者が口を出して良いことはあまりないものだからな重畳である」

 

英国面ならぬジオン面が悪い方向に出て来なければ良いが。

そこはしっかり監視をつけておこう。

 

「それはそうでしょうが。全く兄上は一体どこからあのMSの情報を? 連邦との繋がり、私の方があると自負していたのですが」

 

俺はただ黙って仏頂面、改めドヤ顔を決めた。

今はただ準備を進めていくしかない。

あとエルラン、頑張れ。

 

 

 

「連邦に亡命しようとは、残念でなりません」

 

俺は暗がりからその男に声をかける。

椅子に拘束され、かなりの拷問を受けたのか弱々しいその男に。

 

「だ、誰だ!?」

 

わぁーお。すごい顔だ。

とても腫れ上がっている。

こんな事したら普通は耐えられないだろうに。

 

「私のことがわかりませんか、クルスト博士」

 

EXAMシステム開発者のクルスト博士だ。

これから戦力を整えるのに彼の力は必要だ。

連邦に逃すなど許されない。

なんとか逃亡を阻止しここまで連れてこさせたわけだ。

結局彼はEXAMシステムについては一言も話さないでいる。

私がニュータイプ勢力の拡大、軍事利用を推し進めていると判断しているからだろうな。

 

「ひっ、そ、そそ、総帥。私の話を聞いていただきたい。ニュータイプは我々の脅威となります! あの化け物に我々は滅ぼされるのです!」

 

拷問のせいか見る影もないが、そう叫ぶ博士。

オールドタイプだってヤザンみたいなのがいるだろうし人間の中には少なからずそういう化け物どもがいるだけという話な気がするが言っても聞かないだろうな。

 

「その通りだな」

 

この狂人にもしっかりと働いてもらえるようにしなければ。

 

 

 

「オリヴァー・マイと言ったか、階級は技術中尉か」

 

呼べば来るとは言え本当に会えるとはな。

第603技術試験隊、ここに来るまでやっていたゲームでは彼らが試験をしたヅダやオッゴを量産したものだ。

ヅダは機動力があったおかげで敵拠点を取りやすいしオッゴは……壁とロマンだ。

ゲームだとガトルで良いな。

そういえば、あのゲームにヨルムンガンドがあればヨルムンガンドを量産した事だろうが生産できなかったな。

オッゴを盾に遠距離から撃ちまくってやったのに。

流石に今のジオンに高コストのロマン砲を追い求める余力はないが……いや、その長射程は非常に魅力的だな。

ちなみにゲームだとマゼラアタックが非常に優秀だ。

一回の生産で2ユニットになるから、壁にちょうど良いのだ。

この世界だと整備性が悪いだろうが。

だが現状新しい戦車や航空機を生み出すよりあるものを使っていた方が良い。

マゼラアタックに頼るしかない。

整備マニュアルの向上等、整備兵にも配慮を忘れるなとはガルマやキシリアには伝えているがな。

 

なんてつらつらと考えてしまったな。

やっと目の前の好青年から返事が返ってくる。

 

「は、はい!」

 

大学を出てすぐの新米士官がジオン公国の事実上のトップと会えばこうなるのか。

彼は見事に固まっていた。

マゼラアタックの事を考えたくもなる。

 

「楽にしたまえ」

 

「い、いえ、自分は」

 

「シャキッとなさい!」

 

うおっと、ここで言うか。

俺までなんだか申し訳ない気持ちになるな。

当然このギレンの体は何も反応せずいてくれるので俺は何食わぬ顔で語りかける。

 

「モニク・キャデラック特務大尉」

 

「ハッ!し、失礼いたしました! 私としたことがついいつもの調子が」

 

こちらはこちらで緊張しているようだな。

ギレンへの心酔っぷりがひしひしと伝わってくる。

 

「いつもの調子か……フッ、技術中尉はだいぶ肩身が狭い思いをしているようだな。良い。二人ともそこに座るといい」

 

二人を座らせる。

 

食事が運ばれてくる。

俺はこの二人と共に食事をとる事にしたのだった。

残念ながら二人ともこの味を覚えてはくれなさそうだな。

大変美味である。

 

「ヨルムンガンド、ヒルドルブ、エーギル、君の試験報告書は読ませてもらった。その報告は鋭く読んでいて耳が痛くなったものだ」

 

実際に読んでみたがオリヴァー・マイ中尉の誠実さが滲み出ていた。

ヨルムンガンドへの間接射撃指示出さなくてごめんよ。

調べてみたけれどどうやら戦闘濃度のミノフスキー粒子下の通信の難しさとMSの活躍に重きを置かれていたようだ。

指示が届かなかったのは9割方後者の政治的理由だった。

完全に603技術試験隊は政治的な要素が絡み合った結果生まれていた。

アルベルト・シャハト曰く魔女の鍋である。

あと連邦によるザク鹵獲そしてザクによる物資の破壊、これは断じて許されない(おまいう)。

このギレン鹵獲したジムやジムっぽいMSの開発、運用計画を立てていた。

 

物資の管理体制の強化は指示した。

もちろんそんな事はこの場では言わないのでおいしい食事に手をつけて話す。

 

「当然、亡くなった彼らの犠牲を忘れることはない」

 

「彼らも閣下にそう言われれば報われると思います。そ、それと申し訳ありません!」

 

ガタン! と技術中尉は椅子から飛び上がって謝罪した。

真面目すぎる。

 

特務大尉の中尉を見る顔が鬼のようだな。

 

「良いのだ、座ってくれ。君の言うことは、実に良い指摘だった。亡くなったパイロットの気持ちが伝わってくるほどにな。君は優秀な技術士官だな」

 

オリヴァー・マイ技術中尉はガンダム世界では比較的珍しい分別を持った好青年だ。

それにそれほど悲惨な末路を辿っていない。

 

「じ、自分には過分な評価です!」

 

そんな彼らには当然実験をしてもらう。

ヅダはしっかりと改良され次期量産機の技術実験機として彼らに渡される予定だ。

本来の中身は同じで見た目は別物ではなく、見た目は一緒でも中身は別物というやつだ。

うん、何が本来なのかわからなくなるな。

新型機としては後者が本来あるべきものだ。

 

ちょっとした雑談をして食事も食べ終わった後、俺は彼らと向き合う。

 

「これまで政治的な面で君らは冷遇されていた。魔女の鍋ゆえ致し方ないが」

 

苦々しい顔を隠しきれずにいた二人を見る。

いや、技術中尉の方はまだよくわかっていない顔をしているが。

 

もうそんな政治力学に拘っている余裕はないのだ。

使えるものは使うのだ。

603技術試験隊にはさらなる犠牲を強いることになる。

「だが、これからは違う、細かいことは追って知らせるが次の任務は月で実験機を任せたいと思っている。アルベルトには許可を取った。頼めるだろうか」

 

何も違わない。

本命は親衛隊にしか任せられない。

直に総裁に会った部隊として連邦が注目して彼らから少しでもミスリードしてくれればよい。

 

親衛隊にはルナツー攻略に向けての準備を進めさせている。

そうだ、うまく行けば親衛隊のニュータイプ部隊の訓練にシャアを入れる事を考えていたが一緒にアムロも参加させてみるか。

 

「閣下! もちろんです! 私はこの公国の技術と論理を信じています」

 

「私も任務を全うする所存です!」

 

2人は私を信じている。

 

「うむ、よろしい。期待している」

 

後日この話を2人から聞き小躍りした元輸送船の艦長が居たそうな。

本当に申し訳ないな。




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