真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ (疾風海軍陸戦隊)
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出会い編
始まり


主題歌「風姿花伝」


俺は沖田吹雪高校1年生だ。俺は今祖父の倉庫から剣を探していた。

夕方に祖父と剣術の修業をする予定だったからだ。

 

「結構重いな…この荷物・・・」

 

 

父さんは俺が7歳のころ交通事故で亡くなり俺は祖父の家に引き取られた。

俺は母さん事はあまり知らない。祖父の話では俺が4歳の時に出ていったそうだ。

ただ、俺は前に母さんの写真を祖父から見せてもらったことがある。赤い髪に赤い目が特徴の女性でとても優しそうな眼をしていた。いまはどこでなにをしているのだろうか・・・

 

「それにしても、じいちゃん・・・・元軍人とはいえ、すごい武器を持ってるな・・・これ、本物のライフルと拳銃だぜ」

 

俺が倉庫から見つけたのは、祖父が現役時代に使っていたという、「有坂式九九式小銃」だった。しかも銃剣と弾薬付きの・・・・・

九九式は三八式歩兵銃の後継銃で、6・5ミリ弾から対物強化のため他の西洋列強と同じ7・7ミリ弾となっている。一般的に九九式は「粗悪銃」なんて言われているけどそれは戦争末期の話であり、完成して生産された最初は高性能な威力を発揮し、戦後では誰が言ったか知らないけど「キング・オブ・ボルトアクション」なんてて呼ばれている。

他に見つけたのは、旧日本軍が使っていた南部一四年式拳銃だった。

 

「なかなか見つからないな~ってこれか?」

 

俺は埃をかぶった一振りの軍刀を見つけた。たぶん祖父の言っていたのはこれだろう。俺は鞘を抜くとそこには新品同様みたいに輝いている刀身があった。

 

沖田「やっぱり日本刀はきれいだな‥‥」

 

俺がそう思っていると外から・・・

 

「吹雪!まだ見つからんのか!!早くせぬと素振り一〇〇〇回追加じゃぞ!!」

 

祖父の怒鳴り声が聞こえた。普段は優しいが修行となると鬼のように厳しくなる。

 

「やっべ!すぐに行かないと はい!今行きます!!」

 

と俺はその場を後にし祖父の所へ向かおうとしたが、その瞬間急に辺りが光り出した。

 

「な、なんだ!?」

 

吹雪が驚くもそのまま光に包まれ、収まった後には吹雪の姿は消えていた。

 

「やれやれ・・・とうとう行ってしまったか・・・」

 

誰もいない倉庫に一人の老人が入って来た。

 

「刀だけでなく、わしの九九式や南部それに軍服や連隊旗までもが消えている…まあ、旗はあやつのかばんに入ってると思うがな・・・・・」

 

老人は、倉庫から出て空を見上げた。

 

「吹雪よわしはお前に教えることはすべて教えたつもりじゃ。そして今外史の扉は開た。あとはどうするかお前次第じゃぞ。がんばれな・・・・・それとお前の母によろしくな」

 

 

老人はそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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出会い

董卓との出会いです。


とある屋敷の中

 

「月?月?もうどこに行ったのよ~」

 

眼鏡をかけた少女は誰かの名を叫びながら屋敷の中を探し回った。廊下の角を曲がろうとすると・・・

 

「あ、華雄将軍」

 

「なんだ、賈駆ではないか、どうしたんだ?浮かない顔をして」

 

賈駆と呼ばれる少女が会ったのは、華雄という名の銀髪を短くそろえた女性だった。

 

「月が・・・いえ董卓様がまたいなくなわれてしまって・・・・」

 

「とすると、あれか・・・・・? お忍びで下々のものを暮らしぶりを見て回るという」

 

「ええ、それよ」

 

「やれやれ、仕事をほっぽり出して、フラフラ出歩くとは困った太守様だな」

 

「領民と直に触れあってその声を聞くのは決してて悪いことではないわ!」

 

「なら別に問題ないではないか」

 

華雄は平然と言うが・・・・

 

「そうはいかないわっ! ここの所、地方の賊の征伐に人手を取られて、逆にこの辺りの治安が悪くなっていると言うのにっ! それに物の値段が上がって、民の間に不満が募ってるし! 山の方では人食い熊が出るとか何とかっ!しかも、恋と霞は賊の討伐に出かけて居ないし!!」

 

賈駆は頭をわしゃわしゃ掻きながら叫んだ。

すると華雄は呆れ顔で・・・

 

「賈駆、そんな心配事を抱えすぎると早死にするぞ?」

 

「華雄将軍。あなたは悩みが無い分、長生きしそうね~」

 

「まあ、身体を鍛えているからな!」

 

と何気ない笑顔で返す

 

「はぁ~」

 

その皮肉言葉に気付かない華雄に賈駆はため息をついた。

 

 

 

 

賈駆が董卓を探しに行ったちょうどその頃・・・・

 

「あ・・・れ?・・・・ここはどこだ?」

 

確か俺はじいちゃんの倉庫にいたはずだ。そして謎の光に包まれて・・・・目が覚めたら見知らぬ場所にいた。

 

「あれ?なんだ?この格好!?」

 

今自分が着てる服は、道場服ではなかった。枯草色の制服に同じ色のズボンそして黒の革のブーツに頭にのっけてる帽子の真ん中に金色の星が描かれていた。

これは確か前にじいちゃんのアルバムで見た、じいちゃんが昔来ていた旧日本陸軍将校服だった。そしてそばに置いてあったのは家にあった大きなリュックサックとさっき持っていた軍刀と・・・・

 

「これって、九九式小銃じゃないか!なんでこんなところに?」

 

そう、じいちゃんの倉庫で見た九九式小銃が置いてあった。

 

「なんでこんなものが・・・それに今着てる服も・・・・」

 

吹雪は疑問に思いつつさらにあたりを見渡すとここでまた疑問がわいた。

 

「それにしてもここはどこだ?なんか古代中国みたいな場所みたいだが・・・」

 

そう思っていると・・・・・

 

 

<きゃあぁぁぁ!!>

 

 

どこからが悲鳴が聞こえた。

 

「なんだ!?あっちの方角だないってみるか」

 

そう言い吹雪は悲鳴のする方へ向かった。

 

 

 

 

山の中のある人気のない場所…そこでは白い着物を着た少女が山賊たちに追い詰められていた。

 

「ひどい・・・・私を騙したんですね」

 

「別に騙しちゃいねえさ!!」

 

「でも、街への近道を教えてくれると言ったのにこんなところまで連れてきて…」

 

追い詰められながらも少女は臆することなく山賊たちに反論しまっすぐな視線を山賊に向けていた。すると山賊の頭はニタニタと下品な顔を浮かべてこう言った。

 

「近道は教えてやるよ。と、言っても街ではなく、天国だけどな」

 

「天国!?・・・・それでは私を殺すつもりなのですね」

 

「「「うへへ」」」

 

すると賊たちは下品な笑い声をあげた。

 

「そうじゃねえよ!気持ちよくして、天にも昇る心地にしてやるつっもりなのですよ」

 

そう言い賊たちが少女に近寄ると。

 

「おい!貴様ら何をやっている!!」

 

茂みから何か木の棒みたいなのを構えた枯草色の服を着た少年が出てきた。

 

 

 

俺は悲鳴のする方向へ向かった。そしてそこには、何やら山賊みたいな恰好をした5人組が白に近い銀髪の少女を囲んでいた。最初は何かの撮影か、コスプレイヤーの悪ふざけかと思ったが手にしていた剣が鈍く光っている。これはレプリカじゃなくて本物。そしていま行われているのが演技じゃないと知ると俺は背に担いでいた九九式小銃に腰の弾薬庫に入っていた7・7ミリ弾5発を装填して茂みから出た。

 

「なんだ貴様は!?」

 

「俺のことはどうでもいい。さっさとその場から消えろ!!さもないと撃つぞ!!」

 

俺は銃口を山賊に向けた。

 

「へっ!そんな木の棒で何ができるっていうんだ!!お前、地味だが結構高そうな服着てんじゃねえか。おい、お前らそいつ殺してきている服を金にするぞ!!」

 

山賊の内、弓を持っていた小柄な奴が一本の矢を取り出し弓を射ようとしていた。俺はそいつに銃口を向けた。今思えば俺はこの時、精神がおかしかったのかもしれない。剣を突き付けられても動揺せず、銃口を平気に相手に向けていたんだから…

 

「とっととくたばれ!!」

 

山賊チビがそう言った瞬間、俺は九九式の引き金を引いた。

 

  『ダアァァァン!』

 

銃声を聞いて山賊だけじゃなく少女も目を見開き驚いていた。

銃口から放たれた熊の眉間も簡単に貫く7・7ミリの鈍色の弾丸は確実に山賊のチビの胸に当った。

そしてチビは腕をだらんと垂らして前のめりに倒れた。そこから赤い血が流れた。

 

「ひっ!な、なんだお前は!!」

 

もう一人の山賊が剣を握り俺の方へ向かってきた。俺はボルトを動かし再装填して、向かってきた山賊に銃口を向け引き金を引いた。

 

  『ダアァァァン!!』

 

今度は眉間に命中し、山賊はのけ反りになり倒れた。

 

「ひっ!こ、こいつやべえぞ!おい!逃げるぞ!!」

 

頭らしき男はそう言い残った2人を連れて逃げていった。

ある程度3人が遠ざかると俺は構えていた腕を下すとそのまま気絶してしまった。

 

 

 

 

町から帰る途中道に迷い、山賊に囲まれている私を助けようと茂みから現れた謎の少年。顔は少し幼い感じが残っている黒髪の少年でその瞳は赤かった。

彼は木の棒みたいなのを弓を弾いていた山賊に向け、その瞬間その木の棒から火を噴いた。最初はその音にびっくりしたけど、次の瞬間、山賊の一人が倒れそこから血が流れる。驚いた山賊のもう一人が剣を彼に向け、向かってきた。

 

『危ないっ!!』

 

と、言おうとしたけど声が出なかった。すると彼はさっきの棒を山賊に向けて無表情のまま、さっきの棒に火を噴かせた。すると向かってきた山賊は目を見開きそのまま頭から血を流し仰向けに倒れた。

それを見た山賊は戦意を失って走ってどこかに逃げて行ってしまった。

それをしばらく見ていた彼は腕を下してそのまま倒れてしまった。

 

「どうしたんですか!?しっかりしてください」

私は倒れた彼に駆け寄り体をゆすった。どうやら気絶してしまったらしい。

 

「気を失っている…?それにあの人が持っている物は一体…」

 

そう思っていると、馬のいななく声が聞こえた。そこには幼馴染の詠ちゃんがいた。

 

「あっ!月っ!」

 

「あっ!詠ちゃん!!」

 

そう言い月といった少女は賈駆のもとに駆け寄った。

 

「あっ!詠ちゃんじゃない!!連絡が着て探しに行っている途中すごい音が聞こえたから来てみれば。月、僕がどれだけ心配したと思ってるのよ」

 

「ごめんなさい・・・」

 

「下々の声を直接聞きたいとは立派な事だけど、もし危ない目にでも遭ったりしたら」

 

「それなら大丈夫…あの人に助けて‥‥そうだ詠ちゃんあの人、私を山賊から助けてくれたんだけど気を失っているの!」

 

そう言われ賈駆は気を失っている少年を見た。

 

「分かったわ。月の命の恩人みたいだし、それにその人から詳しい事情とか聞きたいから屋敷に連れていきましょ」

 

そう言い賈駆たちは吹雪を馬に乗せ街へと向かった。

 

 

 

 

 

 



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再会

とうとう母と子の再会です。


とある道を賊の討伐が終わり、故郷である天水に帰る者たちがいた。

その先頭にいるの袴に下駄。更には羽織りを被って巨乳をサラシで巻いた女性張遼こと、霞と、赤い髪に赤い目をした2本のアホ毛が特徴の少女呂布こと恋だった。

 

「いや~やっと賊の討伐が終わったな。そうやろ?恋」

 

紫髪の少女は恋という赤髪の少女にそう聞いた。

 

「うん・・・・・」

 

だが恋の反応は薄かった。

 

「どうしたんや?この3か月程上の空やで?」

 

「なんでも・・・・ない・・・」

 

そう言う恋だが・・・・・

 

(それにしても恋の奴変わったな・・・・・3か月前、1週間、何処かに居なくなってふらりと戻ってきたと思うたら、なんか雰囲気が変わってたな。今まで箸がちゃんと持てなかったのに今はちゃんと持てたり、自分で料理とか作ったり・・・それに恋の顔たまに母親のような顔になったりするときがある・・・・・・あの1週間何があったや?)

 

そう思いつつも二人率いる軍隊は董卓のいる天水に向かった。

 

 

 

 

 

 

「どう?詠ちゃん。あの人は目を覚ました?」

 

「それがまだよ。それにこれあいつの持ち物だけど・・・・・」

 

そう言い詠が見たのは吹雪の持ち物だった。

 

「この変わった剣はともかく、これね月、彼が使っていた鉄の棒って・・・・」

 

「うん・・・」

 

「なんか引き金があるから弓のようなものか?・・・・・」

 

詠がっ触っていたものは、吹雪の使っていた九九式小銃だった。そしてそれを見た華雄はそれを見て弓の種類かなんかと聞いた。

 

「いったいなんなのこれは・・・・」

 

「ん?詠ちゃんこれって・・・・」

 

と、月という少女は何かを手にした。それは写真だった。

 

「これは・・・・・絵かな詠ちゃん?」

 

「それにしてもよくできているわね・・・・・てこれは!」

 

「どうした賈駆・・・・・これは・・・・」

 

と、詠と華雄は写真を見て驚いた。するとそこへ・・・・

 

「帰ったで~、て、どうしたん?二人ともそんな紙を見て驚いて」

 

と、賊討伐から帰ってきた霞が来た。

 

「霞・・・・そう言えば恋はどうしたの?それにさっきまで屋敷にいたねねの姿が見えないし・・・」

 

「ああ、恋はここに着いたとたん『なんか懐かしいにおいがする』ってわけのわからん事いうてどっかにいったわ。ねねはさっき会ってな、恋を探しに行った。それよりどうしたん?」

 

「それがですね・・・・・」

 

月はそれまでのことを話した。

 

「なるほどな~そんなことがあったんか・・・・で、その紙がどうかしたんか?」

 

「霞さん・・・・この絵を見てみて…」

 

そう言うと月はその写真を霞に渡す。

 

「こ、これって・・・・・・恋やないか!?」

 

そう、その写真に写っていたのは白い服を着て赤ん坊を抱いた恋の姿だった。

 

 

 

そのころ恋は屋敷の廊下を歩いていた。

 

(なんだろ・・・・・何か懐かしいにおいがする・・・・この懐かしい感じは…何?)

 

恋はまるで誰かに呼び出されるようにそのまま廊下を突き進む。この先に何か大切なものがいるような感じがしたからだ。

すると屋敷の侍女にあう。

 

「あ、呂布様・・・・どうかされましたか?」

 

「・・・・・・この先に・・・・・だれか・・・いる?」

 

「え?あ、はい。先ほど董卓様を山賊から救ったという方がこの先の部屋にいるらしいですが・・・・・」

 

「わかた・・・・・ありがとう・・・・」

 

恋は侍女に礼を言うと、その部屋に向かって進んだ。そして彼がいるという部屋に着いた。

 

「ここ?・・・・・」

 

そしてドアを開いた。恋が見たのはベットに寝かされた一人の少年がいた。彼女にはその少年に見覚えがあった。

 

「っ!?・・・・・総司・・・・・」

 

そこにいたのは私が愛した人・・・・でも総司じゃない。もしかして…この子は‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トントントン

台所で何か料理をする音がする・・・・・その台所では一人の女性が料理をして俺は3歳くらいだろうかテーブルに座っていた。すると女性は振り返り、微笑みを浮かべ

 

「吹雪・・・・・待ってて‥…ごはんもうすぐ・・・できるから・・・・」

 

そう言っていた。

 

(これは・・・・・夢か・・・・あの女性は・・・・もしかして…母さんか・・・)

 

俺は母さんをあまり知らない・・・・・祖父からどんな人だったか聞いたことがある。祖父が言うには「純粋でとても優しい娘だった」とのことだった。でも、なんで母さんは出ってしまったんだ‥‥そして辺りは光に包まれた…

 

 

「うっ・・・・・ここは・・・・」

目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。俺はどうやら過度のストレスで倒れたらしい

そりゃそうだろ、人を助けるとはとはいえ初めて人を殺したんだ・・・・・

血だって怪我してちょっと流れたのを見たことがあるくらいだ人を2人も殺してその死体を目の当たりにすればそりゃかなりのストレスがかかるだろ・・・・

辺りを見渡すと部屋のドアの所に、赤髪の少女がいた。そして彼女は目を見開きそして…

 

「・・・・総司・・・・・」

 

なんで・・・・・彼女が・・・・父さんの名前を…もしかして・・・・・

 

「なんや恋ここにおったんか~おっと・・やっと目が覚めたようやな♪気分はどうや?」

 

すると、紫髪の女性と緑髪の女性、そして少し目のきつい銀髪の女性が入って来た。

 

「起きたようね?」

 

「……おかげさまでな……」

 

「うむ……何処か身体に異常はないようだな?」

 

「あぁ………」

 

「早速だけど、名前を・・・・ってどうしたの恋?」

 

 

「・・・・・・吹雪・・・・・」

 

「え?恋どうしたんや?」

 

すると吹雪は・・・・・

 

「も、もしかして・・・・・」

 

すると恋はにっこりと笑い・・・

 

「大きく・・・・・なったね・・・・吹雪・・・」

 

「大きく?どういうこと恋?こいつあなたの知り合い?」

 

「・・・・・母さん・・・・」

 

「「「え?母さん!?」」

 

いきなりの事でその場の全員がおどいた。

 

「どういうことなんだ呂布!?説明しろ!!」

 

華雄が恋に問い詰めると・・・・・

 

「この子は・・・・・・吹雪・・・沖田吹雪・・・・・・恋の・・・・・大事な息子・・・」

 

 

「「「えー!?息子!!!」」」

 

いきなりの息子宣言に3人はびっくりして声を上げた。

 

一方

 

「恋殿~恋殿~どこにいるのですか~」

 

彼女の軍師である陳宮はまだ屋敷をさまよっていた。

 

 

 

 




初めまして疾風海軍陸戦隊です。やっと更新終わりました。恋と吹雪の再開。そして次は事情聴取と親子の会話です。吹雪が恋の息子だというと彼女の軍師である陳宮ことねねは妹分ってことになりますね。次回もお楽しみ


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母と子

「呂布の息子だと!?」

 

「どういうことや!恋!息子って、お前いつ子供産んだんや!?こいつの歳計算しても勘定合わないやないか!!」

 

霞が恋に問い詰める。まあ、そうだろ、恋の年齢は17歳、吹雪は16歳。吹雪を産んだ歳を考えると1歳で吹雪を産んだということになるからだ。

 

「もしかして・・・・」

 

詠は何か思い出した

 

「恋。あなた確か3か月前、1週間行方不明になったよね。もしかしてその間に?」

 

そうすると恋は頷いて説明した。

 

恋が言うには3か月前、周辺の森を散歩していたら、謎の渦に巻き込まれ俺のいた現代世界に飛ばされたという。そこで右往左往していたら当時自衛隊隊員だった父さんに会い、しばらく父の家に居候していた。その後二人は相思相愛になり父さんがコネを使って戸籍を取り結婚し、そしてその翌年俺が生まれた。そして現代に飛ばされ5年間いたらしいが母さんは元の世界に戻ることになったらしい。

どうやら世界を移動したときに出来た歪みのようなものが母さんを元の世界に磁石のように引っ張っていたらしい。そして元の世界に戻ったとき体が俺の世界に飛ばされる前の姿に若返っていてこの世界では母さんがいなくなって1週間しか経っていないというのだった。

 

「なるほど・・・・信じられんが呂布が嘘を言うわけじゃないしな・・・・」

 

銀髪のお姉さんがそう言った。

ん?ちょっと待って呂布?それに母さんが言っていた『この世界』って・・・・

 

「あ、あの・・・・・あなたたちは?」

 

「え?ああ、そう言えばまだ自己紹介がまだだったわね。ボクは賈 文和。こっちは華雄であんたの隣にいるのが張 文遠そしてあなたの母は呂布奉先。そしてここは天水。我が主董卓の収める地よ」

 

・・・・・・・・え?

 

「母さんが呂布?それに賈 文和…華雄…………まさか……」

 

「どうしたのよ?」

 

「・・・・・・もしかしてあの賈詡 分和と華雄と張遼 文遠か?」

 

「ちょっと待って……何故ボク達の名前を知っているのよ⁉︎ボクは今、賈 文和と名乗って賈詡とは名乗らなかった筈よ⁉︎」

 

「貴様!まさか呂布の息子を騙る妖術使いか!!」

 

そう言い、華雄は大斧をこちらに向ける俺は腰にあった南部14年式拳銃を向けた。すると恋は華雄の手首をつかんだ。

 

「っ!?なんのつもりだ呂布!!」

 

「落ち着いて橘花・・・・・その子は妖術使いじゃない・・・・・吹雪も落ち着いて・・・・私が説明するから…だから拳銃をしまって・・・・」

 

母さんにそう言われ俺は拳銃をしまった。そして母から聞かされたのはとんでもない話だった。ここは今から二千年程昔の中国で三国志の時代だという。確かに呂布、華雄は三国志に出てくる人物だ。

なぜ母さんがそんなことを知っているかというと、現代で三国志の漫画を読んだことがあるらしいが、事件や戦争の内容などは忘れたらしく。人物や俺のいた時代から何年も前の世界だということしか知らないらしい・・・・・それにしてもまさかあの三國無双と言われた呂布が母さんだったなんて信じられない。

でもなんでみんな女性なんだ?まあ、二千年ほどたってるんだ途中でゆがんだか、三国志書いた人が登場人物を男として描いたのだろう。

 

母さんから内容を聞いて3人は唖然と立ち尽くしていた。

 

「………信じられないわね……」

 

「俺だって信じられないよ。でも母さんが言ったことが本当なら辻褄が合う……そこで確認したいんだが賈詡の生まれは涼州武威郡姑臧県だった筈だよね?因みに君たちの主である董卓は涼州隴西郡臨洮県じゃないか?」

 

「ちょっ⁉︎なんで月(ゆえ)の故郷も知ってるのよ⁉︎」

 

「ん?誰そのゆ・・・・ムグ!?」

 

俺は「月とはだれか?」と言おうとしたとき母さんに口をふさがれた。

 

「ふぁあふぁん!?ふぃふぃふぁふぃふぁにふふゅふぉ!!(母さん!?いきなりなにすんの!!)」

 

「吹雪・・・・・それ‥‥真名だから・・・・・言っちゃダメ」

 

「ふぁな?(真名?)」

 

「真名というのはな、その人物の本質を表す神聖な呼び名だ。本人の許しなく口にしたら命を取られても文句が言えない大事なものとなる」

 

と、華雄さんが説明してくれた。よかった…言わなくて俺は母さんに感謝した。

するとそこへ

 

「恋殿!やっと見つけました!!どこにいって・・・・・て何をしてるんですか!?」

 

小学生ぐらいだろうか小さな女の子が入って来た。しかしその子が見たのは母さんが俺の口をふさいで俺によっかかっている姿だった。

 

「ちんきゅーきーっく!!」

 

といきなりその子は俺に飛び蹴りをしてきた。そして俺はもろに食らった。

 

「ぐはっ!!」バタン

 

「お前!恋殿に何をしてるのですか!!打ち首で・・・・「ゴツン!!」っうにゃ!!」

 

その子が何か言おうとすると母さんはその子の頭に拳骨を放った。

 

「うう・・・・何するんですか恋殿~」

 

「陳宮・・・・・いきなりの飛び蹴りは危ない‥・・・それに吹雪は・・・恋の息子・・・・」

 

「な!なんですと!?恋殿の息子!?いやでも恋殿は17歳でその男は見た目からして15~16歳・・・・恋殿の息子となりますと産んだのは…う~ん」

 

陳宮さんは今混乱して唸っている。すると母さんは

 

「‥‥詠・・・橘花・・・・霞…ねね…吹雪と二人きりで話したい・・・・・少し席を外してくれる?」

 

「え、ええ・・・・わかったわ…それじゃあ尋問は明日にするわ・・・・・」

 

「て、恋殿をこんな男に一緒にするのは危険です!!私は残るのです!!」

 

「あほ!!せっかくの親子水入らず、積もる話があるのにそれを邪魔するんはだめやで!そう言うんのをお邪魔虫っていうんや!!それじゃあ、恋。息子さんとゆっくりと話し合いな~」

 

「ちょっ!なにするんですか!!降ろしやがるのです!!この男をほおっておけば恋殿に危険が!!」

 

ねねは残ろうとしたが、霞に首根っこを掴まれ4人は部屋を出ていった。

 

「・・・・・本当に母さんなんだね・・・・・」

 

「‥・・・吹雪・・・・、本当に大きくなったね・・・・。」

 

そう言い母さんは俺の頭を優しくなでた。

 

「母さん・・・。」

 

「吹雪・・・・ごめんなさい・・・・・突然いなくなったりして・・・・」

 

「いいよ、母さんだって仕方がなかったわけだし・・・」

 

母さんにも事情があったんだ、それをどうこう言う気はない。それに今こうして母さんに会えたんだから。

 

「・・・・・吹雪・・・・・総司は・・・・・お父さんは元気?・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「吹雪?」

 

「・・・・・父さんは‥‥俺が7歳の時・・・・9年前に死んだ・・・・」

 

「えっ・・・・・」

 

「ある時、父さんは車に轢かれそうな少女を助けるため‥・・・車に轢かれて死んだんだ・・・・」

 

「・・・・・そう・・・総司は‥‥最後まで総司だったのね・・・・」

 

「‥・・・母さん・・・・ごめん・・・・・」

 

「・・・・・吹雪のせいじゃない・・・・・仕方ない・・・・」

 

「母さんは大丈夫なの?」

 

「大丈夫・・・・総司が死んだのはとても悲しいけど・・・・いつまでも悲しんでたら・・・・総司に怒られる・・・・」

 

「父さんならやりそうだね」

 

僕と母さんは笑いあった。

僕は12年会う事のなかった母さんに会えた。

だけど母さんに父さんを会わせられなかったことが少し悔しい。

でも父さんの言葉を思い出して気を取り直した。

 

「母さん・・・・俺これからどうしよう・・・」

 

「大丈夫・・・・・月は優しい・・・・それに吹雪は月を救った・・・・」

 

え?俺が董卓を救った?どこで・・・・

 

「吹雪・・・・・吹雪はもう一人じゃない・・・・だから寂しくない・・・・」

 

「母さん・・・・・」

 

「・・・・・吹雪・・・・今日は一緒に寝よう・・・・」

 

「え?母さん?」

 

「‥‥久しぶりに吹雪と寝たいから・・・・・」

 

 

その後、俺は母さんに添い寝されながら寝た。、とても懐かしい匂いを感じながら俺は深い眠りについた。

 

 

そのころ陳宮は・・・・

 

「あんな男が恋殿の息子なんて認めないのです!!離すのです!!さっさとこの縄を解くのです!!急がないと恋殿が!!!」

 

霞に縄で縛り付けられ吊るされていて叫んでいた。




感想お待ちしております。では次回をお楽しみに。因みに華雄の真名がなっかたので橘花と命名しました。


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天の御使い?と模擬戦申し込み

三国志の時代にタイムスリップして俺は小さいころいなくなった母さんと再会した。しかも母さんがあの呂布だというのに驚き、その夜は母さんと一緒に寝た。

翌朝俺は今後どうするか考えを纏めてたところに尋問の続きをしにきた賈詡さん達の案内で俺も後に続いた。

到着した部屋は玉座の間であり、集合を掛けられて集められた武官や文官。更には武装した衛兵が集まっている。だけど俺は一番奥の玉座に座っている人物に驚かされた。

玉座に座っていることだから間違いなく董卓だろうが、その董卓は何しろ第一印象が‘‘美少女”で昨日俺が助けたあの少女だったからだ。母さんが言っていたのはこういうことか・・・・・

俺が知っている歴史にて伝えられている董卓の印象は誇張が強過ぎるにしても悪逆非道で酒池肉林を目指していたヒトラーのような独裁者。

そんな印象と目の前にいる可憐な少女とは全く不釣り合いだ。

そんな驚いた俺をアタフタしながら董卓が話し掛けて来た。

 

「あ、あの・・・・大丈夫ですか?具合は大丈夫?」

 

「え?あ、あの、その大丈夫です」

 

「話は呂布さんから聞きました。」

 

「は、はあ・・・・・」

 

「申し遅れました。私はこの天水を治めている董卓と申します。昨日は山賊から助けていただきありがとうございました。」

 

「あ、いえこちらこそ。俺は沖田吹雪と申します。先ほど聞いた通り呂布奉先の息子です」

 

「・・・・本当に呂布さんに似ていますね。」

 

そう言われて董卓は俺の顔を見る。言われてみれば俺と母さんを並べると違いは性別とアホ毛のなさと髪の色を除けば母さんと似ているからである。

 

「え、えーと・・・・・董卓さん。確か俺を尋問するんだったよね・・・・」

 

すると董卓のそばにいた緑髪の確か賈詡さんが答えた。

 

「ええ、そうよ。恋の息子でも、一応は尋問するからね。まず、恋から聞いたけど、あなたは何でこの時代に来たの?」

 

「わからない・・・・祖父の倉庫を整理してたらなぜかこの時代に来た。」

 

「そう言えば・・・・・」

 

と董卓さんが何か思い出したように呟いた。

 

「どうしたの月?」

 

「詠ちゃん。管路の占いって覚えている?」

 

「え?ああ、確か『天より二つの御使い降臨せん。一つは白き衣を羽織りし者。大器と深き情持ちし者。一つは枯草の衣を羽織りし者。雷鳴を轟かす武器を使い三国無双の血を引く者。抱きし思いは近しく遠く、願いは一つなれどその道は一つにあらず。行く道違えども見つめる先は等しく、目指すものは唯一つ。それ即ち、この大陸に生きる者が願う、世の平定なり』って奴?……まさか」

 

「ええ、まさかと思うけど沖田さんは、もう一人の天の御使いかもしれない」

 

「まあ、確かに枯草色の服着ているし恋の息子やからな~たぶん間違ってないと思うで」

 

「それに噂では桃花村に白い羽衣を着た天の御使いが現れたと聞いたな・・・・」

 

月の言うことに霞と橘花はうなずいた。

 

「ま、まあ・・・御使いのことは置いといて・・・・・それよりもあなたに訊きたいことがあるのよ」

 

そう言って賈詡さんは俺の九九式小銃を取り出す。てか御使いの話置いちゃっていいのかよ・・・・

 

「これは何?月から聞いたけどこれで山賊を倒したらしいわね」

 

「・・・・これは九九式小銃と呼ばれる銃の一種だ」

 

「九九?・・・それに銃って?・・・・恋あなた天の国にいたのよね。これは知ってる?」

 

母さんは頷いた。

 

「知っている・・・・前に十三お義父さんが見せてくれた」

 

因みに十三は俺のじいちゃんの名前である。

 

「つ、つまり何よ・・・・・」

 

「一言で説明すれば、火薬の力によって鉛の弾をものすごい速さで撃ちだし、相手を貫通させる武器だ。」

 

「武器!?これが・・・・」

 

母さん以外の人が驚く‥・・・まあ、この時代はまだ弓か剣で戦う時代だからな。銃なんて母さんを除けば見たことないだろう。

 

「ま、まあ。これが何なのかは分かったわ。最後に質問。恋の息子っていうけどあんたって強いの?」

 

「あ、あの・・・・・」

 

「・・・・大丈夫・・・・・吹雪は強い・・・・・」

 

賈詡さんの質問に俺が迷っていると母さんが隣で言った。

 

「ちょ!?母さん!?」

 

「なんや?恋。さっそく息子びいきか?」

 

「・・・・違う・・・ひいきじゃない・・・・気で感じる・・・・私にはまだ勝てないけど・・・・霞や橘花には互角に戦える・・・・・」

 

そう母さんが言った。いやいやいや、俺が張遼さんや華雄さんと互角?確かにじいちゃんから格闘技、銃剣術、剣術なんかを教わったけど。あの、三国志の武将に勝てるわけないだろ!!

そう思っていると母さんが俺の頭に手を置いた。

 

「吹雪・・・・・自信を持って・・・・あなたならできる・・・・はず?」

 

母さん‥‥そんな菩薩のような笑みで言っても駄目だからね。てか最後に聞こえたのは何?

それと俺はあることにか気が付いた

 

「ん?そういえば、陳宮さんはどうしたの張遼さん?」

 

そう、確か母さんの軍師?だったけか、その陳宮さんがいない。

 

 

 

 

 

 

「びえぇぇぇぇぇん!!恋殿!!」

 

外に吊るされていた陳宮さんを母さんが開放すると、陳宮さんは大泣きして母さんに抱き着いた。

 

「悪い悪い。あのまますっかり忘れてしもうたわ。許してえな♪」

 

「・・・・霞・・・・ねねいじめちゃダメ・・・・」

 

張遼さんがそう言い母さんが注意する。

陳宮さんは俺の方を見ると・・・・・

 

「また、お前ですか!!恋殿の息子を語る不届きものめ!!くらえ!!ちんきゅーキーク!!」

 

そう言って陳宮さんは飛び蹴り攻撃をした・・・・・またこれかよ・・・・・

 

「ねね‥‥いい加減にする・・・・」

 

そう言い母さんは陳宮さんの襟首を掴んだ。もちろん優しくだ。

 

「なぜですか恋殿!!」

 

「吹雪は恋の息子・・・・ねねも恋の娘・・・・・つまり兄妹・・・・・だから喧嘩はだめ・・・・」

 

娘!?・・・・母さんこの地で妹を生んだのか?そう思ってると張遼さんが・・・・

 

「誤解してると思うけど・・・ねねは恋の実娘じゃ、あらへんで、親無しの所を恋に拾われたんや。でも恋にとっては娘同然なんやで」

 

なるほど・・・・・ということは、俺に妹ができたっていうことか・・・・でも陳宮さんの方は・・・

 

「な、何を言ってるのですか恋殿!?ねねは・・・ねねは・・・・」

 

そう言い、俺の方を見る。若干顔が赤い‥‥ヤバイこれは怒ってるのかな?

 

「ねねは認めませーん!!!」

 

そう言い顔から湯気を出しそのままどこかに走り去ってしまった。よほど嫌だったのかな・・・・まあ当然かいきなりあこがれの人の所にいきなり息子が現れたらみんなびっくりする。

 

「あ~あ、行ってしもうたわ・・・・・」

 

「まあ、いつものことだがな」

 

張遼さんと華雄さんがため息をつきながら言う。いつものことなのか?

 

「さてと・・・・確か吹雪ッち言うたか。そんじゃあお前の腕がどのくらいかぁみせてもらうで!」

 

「その次は私だからな。呂布の息子がどんなものか私も興味ある」

 

 

・・・・・・・・・・え?(冷や汗)

 




いや~もう一つの作品の方に手いっぱいでなかなか書けなかったです。さて次回は張遼、華雄の二将軍の模擬戦です次回もお楽しみに


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模擬戦

・・・・なぜこうなった・・・・

なぜか俺は張遼さんと試合することになった。最初は誰が最初かということになったんだけど、母さんは参戦せず見学を選び、華雄さんは張遼さんにじゃんけんで負けて観客という形になり、試合には参加しないことになった。

 

俺は祖父の軍刀を持ち正眼の構えをし、張遼さんに向かったが、力の違いなど痛いほどにわかっている。初撃をかわされてからはひたすら防御一辺倒になってしまったのだから。

 

「ほらほら、どうした?威勢がよかったのは最初だけかいな!」

 

そういいつつ振るわれる飛龍偃月刀それを俺はひたすらに受け流す

右からのなぎ払い、刀を斜めにして軌道を逸らす。逸らした先から降ってくる偃月刀の切っ先、横に飛びのいてかわす。偃月刀を受け止めたとき手がジーンっと響く。

そこへ再び偃月刀でのなぎ払い、刀で受けるにも間に合わないのでバックステップでギリギリのところで回避に成功した。

 

「どうしたんや?これで終わりかいな?」

 

そういう張遼さんに俺は苦笑した。やっぱり三国志の武将は強い。俺は目線をちらっと母さんの方を向いた。

母さんはただじっと見ている。でもその眼は少し悲しそうな眼をしていた。

俺は母さんの期待にこたえなくてはいけない。いや、自分自身の為にもこの試合は勝たなくちゃいけないそう思った。俺は息を吸って深呼吸した。

そして俺は今出せる力をめいいっぱい出そうと決め、得意剣技の構えをした・・・・・

 

 

 

霞視点

 

「どうしたんや?これで終わりかいな?」

 

恋の息子やからどんな腕をしてると思ったら、初撃はまあまあ良かったけどその後は防御一転になってしまっている。もしかして見込み違いやったかな・・・・すると沖田はしばらく立ち止まり息を吸ったと思うと突きの構えをとった。しかも沖田の雰囲気が少し違う・・・・

 

(さっきと覇気が違う・・・・それにあの眼付・・・・・)

 

目つきが変わり私は驚いた。あの覇気と目つきは間違いなく恋のと似ていたからだ。

 

(恋の息子っていうのもあながち嘘やないな・・・・)

 

これはうちも気を引き締めなあかんな。うちは偃月刀を握りなおし構えた。

 

 

 

恋視点

 

「恋。あなたの息子って本当に強いの?なんか霞の攻撃ばっかりかわしているだけじゃない」

 

詠にそう言われる。確かに今の吹雪は防戦一方。だがそれはまだこの世界の戦いに慣れていないだけ。しかもあの子はまだ自分の本当の力に気付いていない。

少し悲しい・・・・

すると吹雪はちらりと私を見た。できれば何か助言をしてあげたいけど、でもそれはあの子の為にはならない。こういうのは自分の力で乗り越えるしかない。すると吹雪は深呼吸して刀を構えなおした。すると今までのあの子の空気が一変に変わった。

どうやら少し目覚めたらしい。

 

「どうやら・・・・」

 

「ん?どうしたんだ呂布?」

 

「どうやら、風が変わった。」

 

「はぁ?」

 

「風ですか?」

 

橘花と月、詠が首を傾げた。

 

 

 

 

 

俺は得意剣の一つである、ある技を張遼さんに放った。その技は「左片手平突き」。とあるところでは「牙突」と呼ばれている。

 

「また最初の攻撃と同じやで!沖田!!」

 

張遼さんがそう言い最初の一撃をかわしたが・・・・

 

「なっ!?」

 

すぐに横薙ぎの攻撃に移る。平突きの特徴はたとえ突きをかわされてもすぐに横薙ぎの攻撃ができる2連撃技。かの幕末の新選組鬼の副長と言われた土方歳三の考案したこの技に死角はない

だが、張遼さんは偃月刀で受け止める。顔から冷や汗が少し見える。

 

「いいでぇ!いいでぇ!そうこなくちゃ、おもろうない!!」

 

張遼さんは嬉しそうに笑う。

 

(最初は力量を図るためやったが本気出さんとあかんな・・・久しぶりに血ぃたぎってきよったで)

 

その後も沖田は霞に向かって連撃をくわえた。しかし霞も負けていない。沖田の攻撃をかわしながら攻撃する。しかしなかなか決着がつかない

 

「このままじゃ埒が明かんな。沖田、次の一撃で決着つけようか!!」

 

「望むところです!!」

 

張遼は大きく振り上げ、一気に降り下ろす。沖田はは走りながら体勢を低くし、偃月刀を受け止める。その柄を沿う様に刀を走らせ、勢いを利用し振り上げた。

手から離れた偃月刀は、空を切りながら宙をを舞い、地面に突き刺さる。

 

「勝負ありましたね。張遼さん」

 

「・・・・霞や」

 

「え?」

 

「霞。うちの真名やこれからは霞って呼んでえな♪」

 

「わかりました霞さん。じゃあ俺のことも吹雪でいいです。俺の国には真名の風習がありませんので」

 

「わかった吹雪。あとさん付けはしなくてええよ。それと華雄!あんたは今の戦いぶりを見てどう思う?」

 

戦ってる最中何かを試すかのように見つめていた華雄さんに霞が問う。

 

「ん?そうだな。まあ、はじめにしてはいいんじゃないか?まあ、確かに呂布の言う通りまだ荒いところがあるが鍛えようによってはいい武人になるんじゃないか?」

 

「・・・で、華雄。これから吹雪と試合するんか?」

 

「いや、今回はいい戦いが見れたし今日はやめとこう。」

 

そうして華雄さんが俺に近づき

 

「私の真名は橘花だ・・・これからよろしく頼むぞ、吹雪」

そう微笑んで俺の肩をポンとたたき、そう言った

 

「ああ、よろしくな橘花」

 

「できれば華雄で頼む。真名で呼ばれると少し恥ずかしくてな」

 

と、頬をかきながら笑って言う華雄。

 

「ああ、わかったよ華雄」

 

俺がそうと、董卓さんたちがやってきて

 

「私も真名を預けます。私の真名は月です。よろしくお願いします。吹雪さん。ほら詠ちゃんも」

 

「もう…仕方がないわね・・・・僕の真名は詠よ。この真名あんたに預けてあげるからね。それと私も貴方を吹雪って呼ばせてもらうわ」

 

「ああ、よろしくな月、詠」

 

「吹雪・・・・・」

 

すると母さんがやってきた。

 

「母さん・・・・・」

 

母さんは俺に近づきそして俺の頭を撫でた。

 

「まだ、腕は荒いけど・・・初めてにしては‥‥よく頑張ったね。」

 

「ありがとう。母さん」

笑顔を見せて答えた。その後、俺は月の所に住むことに決まったのだがそこへ詠が

 

「あんたがそれくらい戦えるなら・・・霞!」

 

「なんや?」

 

「吹雪を武官として扱うことは出来ると思う?」

 

「まあ、そこは吹雪のがんばり次第やな。腕はまだ荒いとこあるけど、うちと互角に戦えるんなら賊とか一兵卒相手でも大丈夫やろ」

 

「そう・・・吹雪!あんたはこれから武官として働いてもらうからそのつもりでね!天の知識とかも必要になると思うから文官の仕事も手伝ってもらうから。とりあえずは今日はゆっくり休んで明日から働いてもらうからそのつもりでね」

 

こうして俺は董卓こと月の武官として働くことになったのだった。

 



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兄妹

ねねです。まだあの男のことが頭から離れません。あんな男が恋殿の息子なはずがありません。

それに恋殿は私とあの男を兄妹と同然だといった。そ、そんなはずはありません。あんな男が兄だなんてねねは絶対に認めません!!あんな奴に恋殿は渡しません!!

 

 

 

 

 

 

 

俺は詠に呼び出されとある部屋に来た。その看板には「警邏隊長執務室」と書かれていた。そして詠は積み重ねられた竹簡を俺に渡した。因みに俺はこの董卓軍警邏隊の新任隊長になっていた。警邏隊と言っても簡単に言えば憲兵隊だ。いざ戦争になったら軍隊と同じように出陣することがある。

 

 

「・・・・・これは?」

 

「警邏隊からの報告書よ。最近になってから中央の腐敗は酷くなる一方で、それに合さって天水にも賊がやって来るようになったのよ」

 

「つまりこれは賊に関する報告書……逮捕歴や関連する情報かなにかということか?」

 

「そう。これを見て、どう感じてどうやればいいか立案して貰うってことよ」

 

内容を見るとこれはひどい・・・・警邏の配置とかがむちゃくちゃだ。俺は報告書の中で気になる共通点を見つけたので、そこを指摘することにした。

 

「………事件発生から通報、現場到着までの時間が掛かり過ぎないか?」

 

「なんでそう思うの?」

 

「これでもかなり速いだろうが、俺から見たら遅過ぎるよ。これじゃ例え通報があったとしても距離があったら時間がかかる上に最悪の場合には出遅れになる可能性もあるよ」

 

「それ位は分かってるわ。現状では見回りの部隊を増やしてるのが精一杯なのよ」

 

「はぁ……町の地図を借りてもいいか?」

 

俺は壁に貼られた街の地図を手に取り、それを机に広げたて筆を手に取ると書き足していく。

 

「いいか?報告書をみる限りだと経路がバラバラで通報しようにも場所が分からない。これも問題の1つだ」

 

「仕方ないじゃない。増員しようにも人手が足りないんだから……」

 

「そこでだ………天水を合計で9箇所の区画に指定し、1つの区画に最低でも3つ、常駐警邏隊の派出所を空き家を利用して設置。民からの通報を円滑にして、民からの要望や交流をいいものにしていくんだ」

 

「あんた……話を聞いてなかったの?人手不足だっていったでしょ?」

 

「うん。聞いてたよ。だがそれは軍部内部の交代制でしているからだよ。俺の考えていることは兵役免除を条件に独立警邏隊への入隊で募集を掛けるんだ。待遇を軍と同じにして、給料もしっかり出せば必ず来る」

 

「………いい案だけど、資金もかなり掛かるわよ。それはどうするつもりなの?」

 

 

「孫子兵法にこんなのがあっただろ?『故に智将は務めて敵に食はむ。敵の貨を取る者は利なり。是れを敵に勝ちて強を増すと謂う』 始めに掛かる資金はやむを得ないが後は出現した賊や越境してくる敵から奪還し、増強していく。

それでも不安が残るなら地方の豪族からの寄付や不正を働く富豪を摘発して財産を没取する。手段は幾らでもあるよ」

 

じいちゃんに教わった経済学や警察機構なんかが役に立った。

 

 

「・・・・・・・」

 

「どうだろう?・・・・」

 

「ねえ・・・・あなたの考え使っていい?」

 

「問題ないよ」

 

その後俺は詠にその警邏に関する立案書を纏めて書いて出すようにと言われ部屋に戻り、その立案書を纏めていた。

 

「なかなか終わらないな~」

 

俺は頭を抱えながら立案書を書いていた。すると母さんが入って来た。

 

 

「・・・吹雪・・・・」

 

「あ、母さん・・・・どうしたの?」

 

「どう?・・・・立案書・・・がんばってる?」

 

「う~んなんとか大体できたんだけど…最後の方がね・・・」

 

かれこれもう4時間考え纏めている。すると母さんが

 

「吹雪・・・・少し気分転換するといい・・・・」

 

「え?」

 

「ここで悩み続けるの・・・・体に良くない・・・・」

 

確かに母さんの言うとうりだな・・・・少しガス抜きでもするか・・・

 

「そうだな。一度リフレッシュするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・で、なんでねねがお前と一緒に街に出かけなかならないんですか」

 

「そういうなよ陳宮。母さんにお使いを頼まれてただろ?」

 

「だからなんでお前が一緒なんですか!!お使いならねね一人で十分なのです!!」

 

そう俺は気分転換に街に出ることになったんだが、母さんに買い物に出かける陳宮の付き添いをしてほしいと言ってきたのだ。俺は別に問題ないけど、陳宮にいたっては・・・・

 

「まったく!恋殿もなんでこんな男を一緒に・・・・」

 

こう姿を見てみるとなんか本当の兄妹のように思えるな・・・

因みに俺は九九式小銃は置いてきている。あっても邪魔だからな。代わりに護身用として南部14年式拳銃を携帯している。

そうしている間にも俺たち二人は目的の場所に着いた。そこは肉まん屋さんだった。

 

「ここは・・・・肉まん屋か?」

 

「そうなのです。ここは恋殿のお気に入りの肉まんが売っているのですぞ」

 

「へ~母さんって肉まんが好きなんだ…初めて知った。」

 

「フフーんどうですか!息子であるお前の知らない恋殿のことをこのねねは知っているのですぞ!」

 

勝ち誇ったかのように陳宮は言う

 

「まあ、確かに母さんと一緒にいたのは4歳ぐらいだったし、あんま母さんのこと覚えていないんだよな」

 

「え?」

 

すると店から店員おばちゃんが出てきた

 

「あら、あら、陳宮ちゃんじゃないの。あれ?今日は呂布ちゃんは一緒じゃないの?」

 

どうやら母さんと陳宮はこの店の常連らしい

 

「はいなのです。今日は恋殿は用事があっていないので私がきました。」

 

「あら、そうなの・・・あ、肉まんはいつものね」

 

「はいなのです」

 

そう言うとおばちゃんは店の奥の方へと入っていった。

 

「そう言えばお前、恋殿と一緒にいたのは4歳の時までって言ってやがりましたがどういうことなのですか?」

 

「それはだな・・・・」

 

俺は母さんから聞いたことを陳宮には話した。

 

「そんなことがあったのでやがりますか・・・・」

 

「はい、お待ちどうさん。特製肉まんよ」

 

「あ、ありがとうございますのです」

 

店の奥からおばちゃんが出てきて肉まんを陳宮に渡した。

 

「それにしても隣にいる人は誰だい?もしかしてお兄さんかい?」

 

「え?あい、いやその・・・・」

 

「ち、違うのですぅぅぅぅ///////」

 

そう言って陳宮はまた顔を赤くし肉まんをもってどこかに走り去ってしまいまった。

 

「まったく・・・・・じゃあ、おばちゃんありがとな」

 

 

「あら、あら・・・・で、お兄さんはどうなんだい?」

 

俺は陳宮は追おうとしたがおばちゃんに俺と陳宮の中を聞いた。

 

「・・・・・・妹みたいな存在ですよ。では私はこれで、肉まんありがとうございました」

 

そう言い俺はその場を後にした。

 

 

 

「さてと・・・・どこに行ったんだ陳宮は…」

 

俺は探せるところは探したが見つからない。あと残っているのは南の方角だでもあそこは一番治安が悪い・・・・もしあそこにいたら・・・・

 

「まったく。世話のかかるやつだ・・・・・」

 

俺は南部14年式拳銃の安全装置を外し撃鉄をコッキングして南門に向かった。

 

 

 

「何をしやがるのです!そこをどくのです!!」

 

ねねはおばさんにあの男が兄かと聞かれ、ねねは恥かしくなりその場から逃げてしまった。そして今・・・・・

 

「へっへっへ・・・・・お嬢ちゃん。こんなところで一人何してるの?」

 

「おじさんたちと一緒に来ないか?」

 

「おじさんたちは一人ぼっちの子にお家を探してあげる優しい人たちだよ~」

 

こいつら、人買いですか・・・・こうなるくらいなら恥ずかしがらなければよかった…

 

「さぁこっちに来るんだ!!」

 

ごろつきの手が伸びる…‥しかし・・・・

 

ドガっ!!

 

ごろつきのひとりが吹っ飛んだ。

 

「な、なんだ!?」

 

そこにいたのは・・・・

 

「てめぇ!!俺の妹分になにをするんだ!!」

 

あの男がいた。

 

「あ”ぁ!!なんだてめぇ!!」

 

「野郎!!」

 

二人のごろつきはあいつに向かおうとしたが・・・・

 

パァーン!!

 

あいつが手に持っている筒みたいなものを上へ向け、天に向かって火を噴いた。

それを見てごろつきは・・・

 

「ひっ!!」

 

「なんだあれ!?」

 

「こいつでどタマぶち抜かれたくなければとっとと失せろ!!」

 

「雷鳴轟かす兵器かあれは・・・・・と、なるとあれが枯草色の御使い!!」

 

「や、やべえぞ!!逃げろ!!」

 

そういい、ごろつき共はにげていった。するとあいつは近づいてきて手を伸ばした

やばい怒られる。私は覚悟を決めて目をつぶったが・・・・

 

「どこにいってたんだ?心配したんだぞ」

 

そう言いねねの頭を優しくなでた。

・・・・ずるいのです・・・そんなに優しくなでられ優しく言われたら…

嫌いになれないのです・・・・・

 

 

 

 

 

「さて、帰るか陳宮・・・「ねねです」・・え?」

 

「私の真名なのです。あなたに預けるのです」

 

そう言うとあいつはニコッと笑い

 

「・・・・わかった。ねね・・・俺のことは吹雪でいいよ」

 

「///////」

 

「どうしたねね?]

 

「な、何でもありません!さっさと帰りましょう恋殿が待っていますよ!・・・・・・・・・・・・・・・・・兄上」ボソッ

 

「え?」

 

「何でもありません!さぁ行きますよ!!」

 

「あ、ちょとねね!?」

 

ねねは吹雪の袖を掴み屋敷に向か会って走った。

 

 

その後二人は帰りが遅いことから恋に叱られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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非番で会った発明家

ここに来てから1か月が経った。今俺の立場は警邏隊隊長兼1連隊の連隊長つまり大佐になっていた(三国志に近代階級はない)

連隊と言ってもそれはうちの警邏隊の数だ。最初はなかなか打ち解けず大変だった。そもそもうちの警邏隊は血の気の多い奴らが多い。だが民間人に暴力をする奴は一人もいない。それは前任の隊長が隊規でそう決めていたからだ。俺は前任の隊長さんに感謝した。その前任隊長はいうと俺が来る前に病で亡くなったらしい。

俺は一度でいいから会ってみたいなと思っていた。

それにしてもこの天水も変わった。最初は治安が悪いところが多かったが、詠が俺の書いた警邏隊や治安維持の創案書を提出してからだ。その後、仕事を見つけたり戸籍なんかを作る市役所や、授業料0の学校っていっても寺子屋に近い感じだが。あと無料の診療所なんかを作ったりとおかげで天水は住みやすい街にとなっている。

 

「隊長お疲れ様です」

 

「おぉ!斗志(とし)どうだ?問題はないか?」

 

「はい、問題はありません。」

 

そう俺に話しかけた少女は14歳くらいの黒髪のロングヘア-が特徴で警邏隊で俺の補佐をしている

李傕 稚然(りかく ちぜん)こと斗志であった。

 

李傕と言えば董卓の腹心の武将で母さんである呂布と共に曹操を迎撃し、夏侯淵の部隊と戦う。董卓の死後長安を攻めて、郭汜と共に呂布を翻弄し、張済、樊稠に城を襲わせる。勝利後殺戮を行うい後に郭汜と対立し、最期は曹操に敗北して山賊となり、段煨に討ち取られるんだっけ・・・

最初、彼女に会ったときは乱暴者で何度も俺に突っかかってきたが今は俺のことを認めてくれたらしく警邏隊副長兼吹雪連隊の補佐官をしている。因みに斗志は先代隊長の姪っ子だという。

 

「それにしてもここも変わったな」

 

「はい。それもこれも隊長と月様のおかげです。それに今の私がいるのも隊長のおかげですから」

 

「はは、そうか。それにしても斗志は変わったな。1か月前初めて会った時のこと覚えているか?あの時の斗志は本当に手が付けられなかったな」

 

「あ、あの時のことは忘れてください//// 叔父が亡くなっていろいろと気が動転しちまって・・・それでその」

 

そう、初めて会った時、俺は彼女にいきなり「ざけんなっ!!」と言われ思いっきり蹴り飛ばされた。斗志に訊けば亡くなった先代は、とても隊からも慕われていたらしい。そんな先代の後任が俺じゃあそれは不満もあるだろう。

斗志も最初は史実と同じ喧嘩好きな少女かなっと思っていたが、結構まじめで表には出さないが思いやりのある子だということがわかった。

 

「あ、隊長、副長お疲れ様です」

 

「ご苦労様です」

 

「なんだな」

 

と俺たちはパトロールをしている警邏隊員にあった腕には白い腕章をしている。しかもその3人は前にねねに手を出そうとした3人だった。

 

因みに俺は警邏隊員にじっちゃんの本で読んだ旧陸軍の訓練法を全員に叩き込んだ。そしてわずか1か月で橘花、母さんの部隊の兵と互角に渡り合えるような強さになっていた。すごいなおい・・・・

 

因みにあの3人組は半月前。

この日は朝から町へと繰り出していた。目的は特に無い。ただの散歩。しかしそこで意外な顔に再開する。それが彼ら3人組だった。

今度は物取りとして現れた彼らだったが、相手が俺と気付くとその場で土下座。

「見逃してください」と。

しかし、別に俺は彼らをどうこうする気は無かった。というか、今の今まで忘れていたのだから。そこでふと疑問に思ったのだ。

 

「あんたら、他に働き口ないのか?」

 

現代では無くこの世界なら。他にやろうと思えばいくらでも仕事はありそうな物なのだが。話を聞くと、どこかで畑を耕そうにも良い場所には既に人が。元手となる金も無し。兵をやろうにも、自分達は所詮街のチンピラ。戦争なんぞできるハズも無く。文字も書けず、計算も出来ず。どこか遠くの寒村なら暮らせるだろうが、そこまで行く路銀も無し。とまぁ、そんな状況だ。

そこまで聞いて、流石に俺も同情。そこで、俺は力になる事にした。

と言っても金を与えるのではない。それでは一時しのぎにしかならず、根本の解決にはならないからだ。俺は警邏隊に入らないかと誘って、彼らを警邏隊に入隊させた。今のあいつらの顔を見ると前と違って生き生きとしている。

 

「それじゃ、隊長、副長。俺たちはまだ警邏の続きがあるんで」

 

「おう、頑張れよ!」

 

「「「はい!!」」」

 

そう言い俺たちは3人組と別れた。

 

「さて・・・・俺もいくか」

 

「あ、そういえば隊長は非番でしたね。今日はどちらに?」

 

「ん?武器屋だよ。俺の刀をメンテナンスしてもらおうと思ってね」

 

「め、めんてなんす?」

 

「ああ・・これじゃあわからないか。まあ、手入れかな」

 

「ああ、なるほど。天界の言葉は難しいですね私も頑張らなくては。では隊長私も警邏の仕事に戻りますんで」

 

「ああ、斗志も頑張れよ」

 

そう言い斗志と別れ俺は武器屋に向かった。

 

 

 

 

「ここか・・・・」

 

俺は目的地である武器屋に着いた。武器屋はこの街で4つあるのだが俺の刀(銘を見たら菊の紋に一の文字、つまりあの有名な「菊一文字宗則」だった。これはびっくり)をメンテナンスできるところは4軒中ここだけだったったのである。

 

「お邪魔しま~す。おっちゃんいる?」

 

俺は店に入り此処の主人であるおっちゃんを呼んだ。するとそこには・・・

 

「あ、すみません。親方なら今、陳留に旅にでてるよ」

 

椅子に座って何か設計をしているのか、何かを作っている少女がいた。

髪は少し緑がかった銀髪で前髪がぱっつんでセミロングをポニーテールにして大きな緑のリボンで留めていた。

 

「あ、あの何か用か?」

 

「え?ああ、この剣を研ぎなおしてもらいたくて・・・・」

 

「ふ~ん。変わった形ね見せてくれる?」

 

「え、いいけど・・・・」

 

そう言い俺はその子に刀を渡した。しばらくその子は俺の刀を見ていたが・・・

 

「・・・・なんなのこの剣・・・・どうやって作っているの‥‥これ折り返しかしら‥‥何層あるのこれ。それに鋼も研ぎも、いったい何がここまでさせてるのすごいわ!!ねえ!ちょっとあんた!!」

 

「え、はい?」

 

「これは何なの?どこにあるものなの?」

 

「え・・・・あ、あのこれは日本刀って言って俺の国の剣だよ」

 

「二ホントウ!?すごいわね・・・・でもどんなにすごい剣でもいずれ技術の進歩で剣と弓の戦いはなくなるわ」

 

この人、剣の戦いがいずれ終わることを読んでいる・・・・

 

「はぁ・・・そうですか・・・・・あのそれでお姉さんはいったい何を書いていたんですか?」

 

そう言うとその人はふふんと鼻を鳴らし

 

「弓に代わる新兵器を考えていたのよ。私は火薬のことを調べていたんだけどね。その火薬を使って弓よりも高性能な武器の設計図を描いていたのよ。これがそうよ」

 

そう言いて彼女はその設計図を俺に渡す。

 

「名前は決まっているの名付けて「火薬弓」火薬の爆発する力を使って玉を飛ばし相手を瞬殺するという兵器よ」

 

俺はその設計図を見る。その「火薬弓」の姿は戦国時代の火縄銃に似ていた。

 

「すごい・・・・でもこれって構造上1発撃つと次の装填に時間がかかるんじゃないか?」

 

「あなた・・・話が分かるわね今まで誰も聞く耳も持たなかったのに。そうよ、それが問題なのよ。しかもこれ火縄だから雨とか風の日なんか火が消えちゃうし・・・・あなたとは気が合いそうね。あなたの名前は?」

 

「ああ、俺の名前は沖田吹雪だよ」

 

「・・・・・・え?ごめん聞き間違いかな・・・・今沖田って言った?”あの”沖田吹雪?」

 

「ああ、”あの”かどうかはわからないけど。沖田吹雪は俺だ」

 

「ええぇぇぇぇぇ!!!!」

 

その人は驚きの声を上げた。

 

「沖田吹雪って言ったら、雷鳴轟かす武器を持つ枯草色の御使いじゃないの!!そういえばあなた枯草色の服を着てるわ!!」

 

そう言ったとたんに彼女は顔を近づけた。てか近すぎる!

 

「ねえ!あんたそのうわさで聞いたその武器持ってるの!?あったら見せてくれる!!」

 

キラキラした目で言い寄る

 

「あ、あの落ち着いてください・・・・・」

 

「あ、ごめんね。つい‥‥あ、そういえば名前を名乗っていなかったわね‥‥コホン」

 

そう言うとその少女は一度深呼吸を置いて名を名乗った。

 

「私は馬鈞。性は馬、名は鈞、字は徳衡よ」

 

「え?」

 

馬鈞ってあの馬鈞か!?三国一の発明家の!? でも生まれてくるの早すぎじゃないか?

馬鈞て言ったら曹操の孫の曹叡に仕えていた人じゃなかったけ?

 

彼女が馬鈞と聞いて驚く吹雪であった。

 

 

 

 

 



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夕張と桜花

ある時俺は、非番の日、刀を手入れしてもらおうと行きつけの武器屋に行った。するとそこにいたのは、いつものおじさんではなく。タンクトップ的な服を着ていた少女だった。

しかも彼女はなんと三国志後期に活躍した発明家の馬鈞であった。

 

 

「で、それよりも早くその天界の武器見せてよ!壊さないから!」

 

馬鈞さんは目を輝かせながら俺に言った。仕方がない見せるか。それと馬鈞さん顔が近いです。

 

「わかりました。分かりました。だから落ち着いてください。」

 

俺はホルスターから南部14年式拳銃を出した。もちろんセーフティーにしてあるしマガジンは抜いてある。

 

「へ~これがそうなの。私が考えていた「火薬弓」よりも小さいね。でも噂だとなんか木の棒のようなものだって聞いたけど・・・・でこれはなんていうの?」

 

おそらく九九式小銃のことだろう。

 

「それは拳銃って言って銃のなかじゃ小さいほうに分類します」

 

「銃?それがその兵器の名前ね。拳銃っていうから。たぶん拳に収まるくらいだからそう言われているのでしょ?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「構造は私の考えた構造と似ているわね・・・・・この筒の中にある溝は・・・・わかったわこれは弾を発射した時に安定させるものね!!」

 

「すごいな…よくわかりましたね」

 

本当にこの人三国志時代の人?

 

「これが、あればこの国・・・いや世界中の戦の戦い方が大きく変わるわ!!でもこの拳銃っていうのはどうやって弾を入れるの?正面じゃあ溝が邪魔で入らないし火薬も詰めないわ。ん?」

 

すると馬琴さんはあることに気が付いた。

 

「この拳銃の持つところに下、何か抜き取った後がある。そうかそこに弾を装填するのね!ねえ沖田。その抜き取った部品見せてくれる?できれば弾薬も」

 

「え、あ、ああ・・・わかった」

 

俺はマガジンとその上の一発の弾丸を取り出して馬鈞さんい渡した。すると馬琴さんはマガジンを拳銃に装填した。

 

「やっぱり・・・・それにこの弾丸私が考えていた弾と比べると丸じゃなくてどんぐりみたいな形ね。それにたまにくっついているこの金色の筒は何かしらそれにその下についている丸いの‥‥これは水銀・・・?」

 

「薬莢だよ馬鈞さん」

 

「やっきょう?」

 

俺の答えに馬鈞さんはきょとんとする。

 

「ああ、その中に火薬は入っていてその上に弾丸をはめ込む。そして引き金をひくと拳銃について針が薬莢の底についている雷管を刺激し雷管が破裂して火薬が爆発し弾が出るって構造だよ」

 

俺が説明すると馬鈞さんは肩をわなわな震わせている・・・・なんか怒らすようなこと言ったかな・・・

 

「・・・・・・・すごいわ」ボソッ

 

「え?」

 

俺は馬鈞さんがつぶやいた言葉が聞こえなかったため首を傾げた。すると・・・

 

「すごいわ!!これで装填時間も解決できるし、それにうまくいけば連発だってできる。弓矢がもうおもちゃに見えるわ!!」

 

そう言い馬鈞さんは喜びのあたり俺に飛びついてきた

 

「わっ!ちょ!落ち着いて!馬鈞さん!!」

 

「夕張よ!」

 

「へ?でもそれって真名じゃあ」

 

「いいの。いいのこんなに素晴らしい発明を見せてくれたんだから。これはせめてものお礼♪だから私のことは夕張っと呼んでね沖田」

 

「わかったよ。夕張さん。じゃあ俺のことも吹雪で」

 

「さん付けはいいよ。吹雪っていくつなの?」

 

「え?16歳だけど」

 

「じゃあ、私と同い年じゃん!だから気軽によんでよ♪」

 

「え?同い年!?」

 

てっきり年上だと思った。

 

「どうしたの?吹雪?」

 

「え?あ、いや何でもないよわかった。じゃあ気軽に呼ぶよ夕張」

 

「うん、よろしい・・・・・・よし決めた!」

 

すると彼女は何か決意したようだ。

 

「え?何が決めたんだ夕張?」

 

「私吹雪と一緒に行くよ!」

 

「えぇぇぇ!!」

 

俺はいきなりの発言にビックリした。

夕張はきょとんとして俺の顔を見る

 

「どうしたのよ?いきなり声を上げて。」

 

「そりゃ、ビックリするよ!てか店そのままにしていいの!!」

 

「大丈夫店は親方が帰って、それで許可をもらってから出るつもり、それにあなたと一緒にいると何か面白そうなことが起きそうだからね♪」

 

ここまで言うとこの人絶対に譲らないだろ・・・・仕方がない

 

結局俺は夕張が俺の隊に入ることを許した。しかしそれは旅に出ているおやっさんが帰って許可を取ってからという条件付きだ。彼女もそれを認めた。

その後夕張は俺の刀を研ぎ直し俺はその刀を受け取り、その場を後にした。

 

「また来てね~♪それとあの約束も頼んだわよ~」

 

「わかってる。分かってる。じゃあ、またな夕張」

 

そう言って彼女とは別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はその後屋敷に戻り部屋に向かう途中・・・

 

「お!隊長お疲れ様です!」

 

「よう、桜花どうだ調子は」

 

と、黒髪のショートヘアーでくせっ毛左もみあげを三つ編みが特徴の警邏隊広報である郭汜(かくし)こと桜花であった。

 

「はい、私はこのとうりピンピンっす!あ、あとこれは今日の報告書です」

 

郭汜といえば李傕の相棒で共々暴虐を好む人で、昔は馬泥棒だった。董卓に仕え、呂布と共に曹操を迎撃し、曹仁の部隊と戦い董卓死後、李傕と共に長安を制圧、殺戮を行うが。李傕と同じ曹操に敗北した後山賊となって伍習に討ち取られるんだけど。この桜花は史実と違い馬泥棒はやっていたのだがそれは他の村から盗まれた馬を盗んだ奴から奪え帰そうとした行動だったらしい。チンピラ風に見え喧嘩好きだが、いじめは決して許さない真面目な性格でよく近所の子供たちの遊び相手をしていて、近所のおばちゃんたちにも評判がいい。

因みに彼女は計算が得意で今ではうちの警邏隊の財布を管理している。

 

「桜花も斗志と同じに変わったな初めて会ったとこのこと覚えてるか?」

 

「ああ・・・あの時っすか?あの時はほんとすまなかったっす。斗志ほどではないんすが、噛みついてしまって」

 

そう、初めて会った時俺は斗志に顔面を蹴り飛ばされ、桜花には腕を噛まれたっけな・・・・

 

「でも意外でした。隊長がまさか呂布将軍の息子さんだなんて、知った時私は本当に肝を冷やしましたよ・・・・でもうちらが将軍に叱られそうなとき隊長が庇ってくれて本当に心から感謝しました。その時、私と斗志はこう思ったんす「この人なら一生ついていける」と!!」

 

そう、二人が母さんに叱られそうになった時俺は二人を庇った。別に恩を着せるわけではないただ単にそうしなくちゃいけないと思ったからだ。

その後二人は俺と仲良くなり、今は気軽に話し合える仲間である。

因みに、斗志の趣味は服つくりだそうだ。現に警邏隊の服装は近代風になっていて俺と似た感じの軍服姿となっている。

 

俺は報告書を呼んでいると・・・

 

「あ、そうそう隊長・・・・」

 

「ん?どうしたんだ桜花?」

 

「なんか町で変な噂が出ているから、気を付けた方がいいっすよ」

 

「変な噂?」

 

「はい・・・・何でもどっかの浪人が、この街のどこかに集まって何か企んでいるみたいなんですよ」

 

そう言えばそんな噂聞いたな・・・・なんか嫌な予感がする調べてみる必要があるな・・・・

 

「そうか・・・・桜花。そのこと詳しく調べてきてくれるか?明日でいいから」

 

「はいっす!!任せてくださいっス!!それとまだ少し明るいんですぐにその情報を集めます!!」

 

そう言って桜花は急いでいった。本当にまじめな子だ。歴史書に書かれたことと現実で見たら結構違うことが多いな・・・・まぁ、月がそうだしな。

 

それにしても謎の浪人集団か・・・・・何事もなければいいんだが・・・

俺は外に浮かぶ月を眺めながらそう思った。

だがそれは後の俺たち警邏隊の本領を発揮する事件となるのだった。

 

 

 

 

 

 



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警邏隊初陣!!三国志池田屋事件!!

万朶の桜か襟の色

 

花は吉野にあらし吹く

 

大和男子と生まれなば

 

散兵線の花と散れ

 

 

今俺が歌っているのは好きな歌である「歩兵の本領」である。

因みにこの歌は警邏隊の奴らが気に入って近々警邏隊隊歌になるらしい。

もちろん歌の内容は変わる。

 

すると・・・・

 

「隊長。少しお話が・・・・」

 

「ん?ああ雪風か?」

 

俺に話しかけてきたのは

警邏隊情報部隊長を任せている銀髪で片目に眼帯をしている樊稠(はんちゅう)こと雪風だった。こうみえて口数の少ない少女だ。

 

 

「どうかしたのか?」

 

「はい・・・昨日の噂についてです」

 

すると吹雪の顔が真剣になった。

 

「・・・・何かわかったのか?」

 

「はい・・・・とにかく一度隊舎に戻ってください」

 

「・・・・・わかった」

 

そう雪風に言われ、俺は隊舎に戻った。

隊長室には斗志がいた。

 

「あ、隊長待ってました。」

 

「どうした斗志。なにかわかったのか?」

 

「はい、昨日の明朝、桜花の隊の連中が月様の屋敷の前で怪しい連中が行動をしていたのを目撃して捕まえたのですが・・・・」

 

「怪しい奴ら?」

 

「はい。いま桜花が取り調べているんですが・・・・」

 

「隊長っ!!大変っす!!」

 

すると桜花が勢いよく入って来た

 

「桜花!!入るときはちゃんと隊長の言っていた「のっく」をするって決めたでしょ!!」

 

「ああ・・・そうだった・・・・って!そんなことを言ってる場合じゃないっす!!大変なんですよ!!」

 

「どうしたんだ?事情聴いて何かわかったのか?」

 

「はい!相手がなかなか口を割らなかったので霞様が手伝ってくれたんですが、そいつとんでもないことを言ったんです!!」

 

霞・・・・一体何をしたんだろ・・・・・

俺は気を取り直して桜花に訊いた

 

「とんでもない事?」

 

「はい!」

 

桜花が言うには、その男は桜花が調べていた怪しい浪人集団の一人で、口を割らせたとこ。そいつらのすることは桜花の言った通り大変な事だった。

まずこの天水を焼き討ちにし、高官役人を暗殺。そして月を誘拐し、傀儡国家を作るというのだった。

 

「確かに大変な事だ・・・・・このこと詠たちに言ったか?」

 

「はい!報告しました。ですが・・・・」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「はい。この街の治安はよくなったのですが、外にはまだ多くの賊がいるため、そいつらを征伐する人員が少ないそうです。」

 

確かに今、母さんと橘花は賊討伐に出かけていない。幸い霞はいる。警邏隊もそこに一部派遣させている。

 

「で、詠さんが言うには「申し訳ないけど何とかしてそいつらを逮捕してくれ」とのことです」

 

「わかった。で、今奴らは?」

 

「はい。雪風が調査した話だと今夜どこかの大きな宿屋にてその会合をするらしいっす」

 

と、桜花は街の地図を出した。

 

「いま、大きな宿屋があるのは、雷電屋と池田屋の二つだけです」

 

斗志の言うことに俺は目を見開いた。この時代に池田屋があったのだ。なぜ池田屋があるのか?まあ、単なる偶然だと思うけど・・・俺は深く考えるのをやめた。

 

「・・・・・桜花。霞はこのことを聞いたか?」

 

「もちろん聞いたで♪」

 

後ろから声がし振り向くと霞がいた

 

「「霞様!!」」

 

と二人は敬礼した。因みに敬礼、返礼は俺が教えた

 

「霞・・・・行く気か?」

 

「当たり前や!!やっと平和になった街燃やすだけやなく月の命奪おうとするやつらを成敗しなきゃ、うちの気が収まらへんで!!」

 

どうやら止めても無駄なようだ。

 

「分かった。霞、頼む」

 

「応、任せとき!」

 

「よし!では夜、二手に分かれて行動を開始する!霞と斗志の隊は雷電屋。俺と桜花の隊は池田屋に行く!」

 

こうして、再び。歴史は繰り返す・・・?

彼らは、日が沈んだ街を行く。

三国志の歴史のは残らないが天水の歴史に名を起こす事件が起ころうとしていた。

 

 

一方月たちは・・・

 

「まったく。やっとここも平和になったと思ったらまさか、街を焼き討ちにしようとするなんて」

 

本当はもっと援軍を出したいけど今は賊討伐の為できないのだ

 

「詠ちゃん・・・・吹雪さんたちだけで大丈夫かしら・・・」

 

「わからないわ・・・・でも霞も一緒にいるなら大丈夫と思うけど・・・・」

 

二人とも吹雪のことが心配なのだ。

 

(吹雪さん…どうかご無事で・・・・)

 

(もし、大怪我負ったら、許さないんだからね吹雪・・・)

 

 

 

夜、

ついに決行の時が来た。霞と斗志の隊は池田屋より1キロ離れた雷電屋に、吹雪と桜花の隊は池田屋に向かった。

そして池田屋前。沖田、桜花の隊総勢31人が集まっていた。

 

「よし、桜花・・・・行くぞ!」

 

「はいっす!」

 

「いいか?極力一般人に被害を出すな。敵の特徴は覚えたな?対象のみ仕留めろ」

 

「敵の首領は捕縛。流通経路を聞き出すからな。他は各自の判断に任せる。アニ、チビ、デブ。あんた達はそれぞれ五人を率いて裏口とここ。入り口を封鎖。一人も逃がすなっすよ!!」

 

「「「応っ!」」」

 

吹雪の命令を桜花が引き継ぎ。隊士達が皆返事をしたのを見て。

 

「突入!!」

 

そのまま。宿屋のドアへと向かい。

 

ドカン!!

 

蹴飛ばす。

そして、店内全てに響く大声で

 

「御用改めである!!警邏隊だ!!!」

 

吹雪が叫びながら店の中へ。

因みにこのセリフは吹雪が一度だけ言ってみたかったセリフである

 

「ひっ!け、警邏隊!皆さん!逃げて!逃げてぇ!!」

 

なんとも。ノリの良い店員さんは、御用改めの意味も分からないだろうに、そのまま叫びながら店の奥へ

 

すると、二階へ続く階段。その上に剣を構えた男が現れ

 

「警邏隊だとぉ!?どうしてここが!」

 

そのまま、吹雪は一瞬で階段を駆け上り、一閃。

男は、剣技を放つ間もなく、代わりに悲鳴をあげながら階段から転がり落ちた。

「桜花!お前は半数を率いて一階を制圧!そして雪風は斗志の部隊に伝令!!残りは俺に続け!」

 

「了解っす!」

 

「御意!!」

 

吹雪が。彼女に指令を出し、隊士達が次々と駆け出す。

二階にはいくつか部屋があり、一つ一つ。吹雪が扉を蹴破りながら中を確認。

そんな所に、一人の隊士が

 

「隊長!ここじゃありません。恐らく奥の大部屋です!」

 

その言葉を聞くや否や、吹雪は走る。

何も、彼とてイノシシでは無いのだが、いかんせん今回は事情が事情な訳で。だから少しでも早く敵を征圧しようとしている。そして一気に部屋の中へ。

60人程だろうか。全員が剣を持っているが、如何せん狭い部屋の中では思うようには武器が使えず。何人か小刀で応戦しようとした。今上にいるのはたったの15人

 

「これは・・・・まずいな・・・」

 

 

一方雷電屋は

 

「くそっ!空振りや!」

 

「霞様落ち着いてください」

 

雷電屋に着いた霞と斗志の隊50名は雷電屋に着いたが、だれもいなく空振りに終わっていた。

 

「となると、池田屋やな!」

 

「すぐに行きましょ!!」

 

すると伝令に行っていた雪風が到着した。

 

「雪風か!?どうしたんや!やっぱり池田屋か!?」

 

「はい!やはり賊は池田屋に潜伏していました。いま隊長たちが突入したのですが相手の数は60人!人手が足りません!」

 

「分かった!すぐに行く!!よし!斗志いくで!!」

 

「はい!!」

 

 

 

一方池田屋では4人が負傷し戦線を離脱し極めて厳しい戦いになっていった。

 

「くっ!隊長大丈夫っすか!?」

 

「大丈夫だ!!・・・・!?桜花後ろ!!」

 

桜花が振り向くと賊が今にも斬りかかろうとしている。剣で応戦しようとするが、剣が戸に引っかかった。

 

「しまった!」

 

「死ねやっ!!」

 

賊は桜花に斬りかかろうとしたが

 

ダアァーン!!

 

側の剣は桜花に届かず頭に穴が開いて血を流し倒れた。桜花が音のする方に向くと、吹雪が九九式小銃(銃剣付き)を構えていた。

 

「大丈夫か?桜花」

 

「はい!ありがとうございます!!」

 

「よし!背後をを頼む!!」

 

「了解っす!!」

 

吹雪は攻めた来た賊に7・7ミリを打ち込み弾を撃ち尽くすと銃剣で対応した。

すると・・・・

 

「吹雪!待たせたなぁ!!」

 

「隊長!大丈夫ですか!?」

 

 

別動隊が到着し、結果60対80しかも霞の登場で一気に制圧され、テロ計画を企んでいた賊は10人死亡。逮捕者48名を出した。因みに1人は行方不明である。

これで三国志の池田屋事件は終わったのであり、吹雪隊の名は全国に広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




三国志時代の店や宿屋とかの名前を知らないから勝手につけちゃいました。


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決意と旅

池田屋事件から数日後、警邏隊に新たな仲間が加わった。それは・・・・

 

「初めまして。私は馬鈞といいます。新参者ですが吹雪隊の人たちの足を引っ張らないように頑張りたいと思います♪」

 

そう、夕張が仲間に加わったのだ。あの騒動の跡武器屋のおやっさんが旅から帰って気て、夕張はさっそく「吹雪隊に入る」っとおやっさんに言った。おやっさんは「ここにいるより御使いの旦那といた方がいい修行になるな」っと快く許してくれた。

そして今、吹雪隊にはいったのだ。ちなもに彼女の部署は・・・・

 

「えー彼女は発明とかが得意なので技術開発部に入ることになった。」

 

技術開発部それはおれが警邏隊に入って作った部署の一つであり、主に民たちの暮らしを安定させる道具を作ったり、新しい鎧や兜、剣などを開発する部署だ。他の部署には工兵部、情報部、衛生部などがある。

 

「よろしくね。馬鈞さん」

 

「よろしくっす!」

 

斗志や桜花が夕張を歓迎している。どうやら問題ないようだ。

その後俺たちは夕張の歓迎会をした。

 

「あ、そうそう。隊長。ついに決まったんすよ」

 

「ん?何が決まったんだ桜花?」

 

桜花の代わりに斗志が答えた。

 

「我が吹雪隊の旗です。桜花や雪風と話し合って決めたんです」

 

「そうか・・・・でどんな旗だ?」

 

「はい・・・・・隊長の持っていた朝日の旗にと決まりました。」

 

雪風が答えた。

つまり連隊旗もとい旭日旗が俺の部隊の隊旗になったらしい。

 

「あ、そうだ隊長!こんな本が出てきたんすけど」

 

「たぶんこの字は天の国の文字だと思いまして・・・・」

 

そう言い二人は、1冊の本を出す。そこには・・・・・

『帝国陸軍小火器、砲火器兵器設計図』と書かれていた。

 

「‥‥これは・・・・斗志、桜花。これをどこで見つけたんだ?」

 

「はいっす。それは・・・・・」

 

桜花が言うには警邏隊の倉庫を掃除してた時のことだった。

 

回想

 

「どう?桜花そっちの方終わった?」

 

「駄目っす。全然すよ斗志。雪風そっちは?」

 

「一通り終わりましたが、まだやるところがたくさんあります・・・・・」

 

「倉庫の掃除も大変ね・・・・それに埃臭い・・・・」

 

「でも、ちゃんと掃除しないと、気分悪いいっす」

 

桜花が棚を整理してると

 

カサカサ・・・・・・

 

「ん?・・・・・・」

 

突然聞こえた、何やら小さい物が移動するような音に、桜花がゆっくりと、視線を音の主の方へと向けると…………非常に細い2本の触角をユラユラと揺らし、窓から射し込む光に照らされ、反射して一部が艶っぽく輝いている、平べったいモノが居た。

 

「っ!? で、でたあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ど、どうしたのよ!?桜花!!」

 

桜花の悲鳴を聞き雪風と斗志がやってきた

 

「あ、あああああ油虫だ!!」

 

「「っ!?」」

 

※油虫とはGの別名

 

すると黒きものは飛び立つ。だが、飛んでいった方向が悪く、二人の元へと飛んでいってしまったのだ。

当然、二人は悲鳴を上げながら逃げ回る。3人は逃げ回っていたが、桜花がとある棚へと激突してしまった。そして上から書物なんかが落ちてくる。

 

「いつつ・・・・・」

 

「桜花!大丈夫?」

 

「大丈夫っすよ斗志・・・・・・ん?なんだこの書物?」

 

「どうしたの?桜花」

 

「この書物に書かれてる字なんだけどさ。隊長が時たま書いていた天の国の字と似てねえか?」

 

「言われてみれば確かに似ているね・・・・」

 

「・・・・とにかくこれは隊長に見せましょう」

 

 

 

回想終了

 

「…‥と、言うわけっす。どうですか?やっぱり天の国のものっすか?」

 

俺はその設計図を読む。どうやらこの書を持っていた人は何十年か前にこの地に降り立った旧日本陸軍のものらしい。設計図の横に書かれていた日記によると彼はガダルカナル島奪還に参加した「一木支隊」の一人らしく米軍の陣地に突撃し、敵の砲弾の爆発に巻き込まれたと思い気付いたらなぜかこの時代に来ていたっということだった。日付からしてもう80年前のことらしい。他に武器以外では、日本酒……濁酒の製造法も書いてあった。

 

「ああ・・・これは天の国の字でしかもこれは兵器の設計図だよ。」

 

俺がそう言うと・・・・・

 

「天の国の兵器の設計図!?吹雪。見せて!見せて!」

 

その言葉に反応したのは言うまでもなく夕張だった。そして夕張はその書物を見て・・・・

 

「すごいわ!!これ!私の知らない道具がこの書に・・・・ぐへへへ~」

 

「夕張!よだれ!よだれがこぼれてッるすよ!!」

 

「夕張。この書に書かれている物。作れそうか?」

 

「う~ん。少し難しいと思うけど。やれるだけやってみるわ!!よーし腕が鳴るわ!!」

 

そう言って夕張は書物をもって部屋を飛び出した。

あいつ…下手したら戦車とか飛行機とか作り始めそうだな・・・・渡したのは失敗だったかな・・・・・

 

歓迎会も終わり俺は自分の部屋に戻った。すると誰かがドアをノックする。夕張かな?

 

「・・・・吹雪いる?」

 

その声には聞き覚えがあった。これは・・・・

 

「母さん?うん。いるよ。」

 

そう、母さんの声だった。俺はドアを開けるとやっぱり母さんだった。

 

「母さん。なんか用?ここじゃあなんだし中に入ってよ」

 

「うん・・・・」

 

そして今俺と母さんはベットの上に座っている。

 

「・・・・・・吹雪。ここにはもう慣れた?」

 

「うん…いろいろ大変だったけど。今はもう平気だよ。仲間もいるしね」

 

「そう・・・・・」

 

そう言って母さんは俺の頭を撫でた。なんか少し恥ずかしい・・・・

 

「ごめん…‥嫌だった?」

 

「ううん。少し恥ずかしいけど嫌じゃないよ」

 

「そう・・・・よかった。」

 

母さんは微笑んだ。

 

「吹雪・・・・この前は本当に‥‥ご苦労様」

 

たぶん池田屋のことだろう

 

「吹雪や霞が街にいなかったら・・・・・街が大変な事になっていた・・・・」

 

「ううん・・・あれは俺の力じゃないよ。みんながいたから未然に防げたんだよ」

 

そう、もしも桜花や雪風たちが情報収集していなかったら、月は守りことはできても街を護る事が難しかっただろう。恐らく奴らの計画は半分成功していた。

 

「そう・・・・」

 

「‥・・・母さん。」

 

「何?」

 

「俺・・・・・・旅に出ようと思ってるんだけど・・・・」

 

俺の言葉に母さんは悲しそうに眉をひそめた。

 

「・・・・・ここが嫌いになったの?」

 

「違う。そうじゃないんだ母さん。ここは好きだ。月も詠も橘花も霞もねねも親切で斗志、桜花、雪風夕張なんかの仲間もできた。俺本当にこの世界に来て本当に良かったと思ってる。…‥でも」

 

「‥‥‥でも?」

 

俺は母さんの目を見て言う。

 

「俺は天水のことしか知らない。だから俺はこの国をもっと見てまわって見聞をもっと広めたいんだ。」

 

「・・・・・・・・」

 

「俺、もっとこの国がどんなのか自分の目でみてみたいんだよ母さん!!」

 

「・・・・・・・・」

 

母さんは俺の目を見て何も言わない。

 

「…‥本気?」

 

「うん。本気だよ母さん」

 

「・・・・・・・見た目だけじゃなくて・・・・・中身も成長したね」

 

「え?母さん?」

 

「吹雪・・・・・そこまで決意が固いなら、恋は何も言わない・・・・ただ、二つだけ約束して」

 

「約束?」

 

そう言うと母さんは頷いた。

 

「必ず帰って来ること・・・・・後は無理だけはしないこと・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「約束・・・・・・できる?」

 

俺も答えはもう決まっている

 

「うん約束するよ母さん。それに俺の帰る場所はみんなのとこだしね」

 

俺がそう言うと母さんは満足そうな微笑みを浮かべた。

 

「・・・・・約束・・・・」

 

「うん。約束だ」

 

そう言って俺と母さんは指きリげんまんをした。

 

「・・・・・吹雪・・・・・」

 

「ん?何母さん」

 

「試合・・・・・しよ」

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

 

月夜が輝く夜の練兵所で俺は母さんと試合をすることになった。審判は橘花がしてくれた。

因みにその場には事情を知った。月、詠、霞、斗志、桜花、雪風、夕張がいる。ねねはまだ子供なので寝ている。

そして俺と母さんは互いに構えた。

 

「準備はいいか二人とも?」

 

橘花が言って来た。両者が頷き

 

「始めっ!」

 

「吹雪・・・・行く!!」

 

そう言い母さんが最初に仕掛けた。最初に一撃を刀で受け止めようとしたが、頭の中で「これは受け止めてはいけないっ!!」と感じとっさに避けた。するとさっきまでいた場所にはクレーターが出来ていた。もし受け止めていたら刀ごと腕を持っていかれていた。

 

「・・・・っく!」

 

俺はとっさに牙突の構えをし、母さんにその技を炸裂させたが母さんには通用せず避けられた。

 

「まだまだぁ!」

 

俺は刀で攻撃を仕掛ける。そして母さんに袈裟切りの技を出したが、母さんは避ける…だが

 

「おうりゃぁ!!」

 

「!?」

 

とっさに俺は刀を返した。そう、これはかの剣豪佐々木巌流小次郎の得意剣である「つばめ返し」である。いきなりのつばめ返しにさすがの母さんも怯んだ。そして俺は自分の剣技の中で一番の得意剣技を母さんに炸裂させた。

 

「どうりゃぁ!!」

 

俺の放った技は、曾祖父から伝わる技「三段突き」である。しかし母さんはそれをぎりぎりに見切ってそれを受け止める。そして母さんは自分の得物である方天画戟の柄の部分で俺の腹に一発喰らわして(もちろん手加減をして)勝負はついた。

 

「くそ~やっぱ母さんは強いや・・・・・」

 

俺が悔しがっていると、母さんは

 

「・・・・今の刀返し・・・・よかった・・・・、まだまだ荒い・・・・けど、その実力なら旅に出かけても大丈夫・・・・・吹雪・・・・1か月の間強くなったね・・・・」

 

「母さん。俺絶対に母さんに負けないぐらいに強くなるよ。だから次は絶対に負けないよ」

 

俺がそう言うと、母さんは微笑んだ

 

 

 

そして翌朝俺は旅の支度をし、屋敷の門の前に来た。見送りは月と詠と母さんとねねと霞と橘花すると・・・・

 

「・・・・吹雪さん」

 

後ろを振り返ると月がいた。

 

「月・・・・・」

 

「本当に行ってしまうんですね・・・・・」

 

少し寂しそうな顔をして彼女は言う。

 

「月大丈夫だよ。これが今生の別れじゃないんだ。俺はただ少し長い散歩をするだけだよ」

 

そう言うと月は少しだけふふっと笑う

 

「散歩ですか・・・・・わかりました。でも必ず帰ってきてくださいね」

 

「ああ・・・約束する。必ず戻ってくるよ」

 

すると警邏隊三人衆と夕張が来る

 

「「「隊長!」」」

 

「吹雪!」

 

 

「おう、お前ら。見送りに来てくれたのか。しばらく留守にするけど。4人とも大丈夫か?」

 

「任せてください。留守の間私たちがちゃんと仕事をしますので」

 

「隊長!大丈夫っす!斗志と雪風と夕張の3人で頑張りますから!あと、お土産とかもよろしくっすね!」

 

「まったく桜花は・・・・・・」

 

「仲がいいね3人とも♪吹雪あんたがいない間私は、吹雪が驚くようなものを作って待ってるからね♪あ、それとこれ」

 

そう言って夕張が何か出してきた。

 

「今朝、あの倉庫で見つけたんだけど‥‥これって天の国の乗り物よね?」

 

そう言って出したものは・・・・

 

「陸王バイク・・・しかも側車に機関銃付きじゃないか!」

 

そう、それは旧日本軍が使っていた九七式側車付自動二輪車だった。しかも側車には99式軽機関銃がついていた。

因みに吹雪はバイクの免許があるため問題ない。

 

「あの本に書いてあったから、いろいろ整備してみたわよ」

 

「ありがとう夕張。・・・・そんじゃあ俺行ってくる。」

 

「吹雪さん気お付けてね」

 

「ああ、じゃあ月、みんな。行ってくる」

 

俺はバイクに乗り、発進させた

 

「なんて速さなの」

 

「そうですの(兄上‥‥しっかりなのです)」

 

「すごい(私も乗ってみたいわ!)」

 

「・・・・・」

 

「すごいっす!」

 

バイクの速さに皆驚いていた

 

「さあ、帰りましょう」

 

「ええ」

 

「はいです」

 

「はい」

 

「ああ」

 

と皆帰っていた。そして恋はただひたすら息子である吹雪を見えなくなるまで見ていた。

 

(・・・・・がんばれ・・・・・吹雪・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

側車を走らせてた吹雪は・・・・

 

「さて・・・・まずどこに行くか・・・・・・」

 

最初の目的地を考えた。そして・・・・

 

「よし!武器屋のおやっさんが修行に行っていた。陳留でも行ってみるかな。」

 

俺はそう言い、加速を上げた。

こうして彼の旅は始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 




・・・なんか、華雄、月、詠のセリフが少ない気がする・・・・
因みに陸王は松本零士さんの「ザ・コックピット」に出てくるあれです。
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吹雪の旅編
私塾で会ったローマ人と軍師


俺は陸王を走らせら最初の目的地、陳留に向かっていた。俺は陸王を走らせているとあることに気が付いた。それは・・・・

 

「ガソリンメーター減ってないじゃん…どうなってんのこれ?」

 

そう、本来はガソリンが減りメーターも下がるはずなんだが、メーターを見ても一向に下がらない。まさかソーラー式のバイク?・・・・てっ、そんなわけないか。

しかも天水を出てからかなり時間は経っていてガス欠になってもおかしくないのに陸王は快調に走っている。

 

「・・・・もうどうでもいいか。便利だし、ガソリン補給の手間も省けるしな」

 

俺は深く考えるのをやめることにした。

その後しばらく走っていたのだが少し疲れてきた。

 

「よし…ここらで休憩でもするかな」

 

俺は陸王から降り、草の上に座った。そして出発前母さんが作ってくれた握り飯を食べる。うん久しぶりの母さんの味だな。俺は母さんの作ってくれた握り飯の味を堪能した。

俺が離れて吹雪隊は大丈夫なのか‥‥いや大丈夫だろ。斗志と桜花はああ見えて仕事熱心だしな。

 

「それにしても静かだな・・・・風も気持ちいいし」

 

この草原には俺一人、生き物の気配はしないあるとすれば小鳥が鳴いているくらいだ。

俺は、陸王についている側車に乗り帽子を顔に被せて少し寝た。

そして1時間ぐらいだろうか俺は目が覚めた。

 

「さてと・・・・行きますか」

 

俺は陸王に乗り走り出そうとする。

 

「ん?」

 

ふと空を見上げると空はいつの間にか雨雲に覆われており、雨が降りだした。

 

「まいったな。」

 

俺は陸王を走らせた。次第に雨はどんどん強くなり、止む気配がなかった走り続けていると1つの建物が見えてきた。

 

「あそこの軒で雨宿りでもするか。」

 

俺は建物の軒下に入った。軒下はちょうど陸王がすっぽりと入るくらいの広さだ。

 

「こりゃまいったな。」

 

雨は暫くは止みそうにない、辺りは静かで聞こえるのは雨のザーっという音だった。さてどうするかと考えていると、

 

キィ。

 

「ん?」

 

音のした方を見ると建物の扉から14歳くらいだろうか銀色の長い髪の少女が覗き見ている。

 

「あ、あの…こんにちは」

 

「こ、こんにちわ・・・・」

 

少女が警戒するように答える。すると建物の奥から

 

「志乃どうしたのだ?ん?誰だあんた?」

 

するとその少女の後ろからこの人はイタリア人か?グレーのかかった銀髪にツインドリルをした少女が出てくる。しかも少女は剣を腰に差している。

 

「どうしたの?志乃?アンチョビさん?・・・・あら?」

 

2人の後ろから妙齢の婦人が出てきた。

 

「あ、すみません、雨に降られてしまったので軒をお借りしてました。宜しければ小降りになるまでお借りしてもよろしいですか?」

 

俺がそう言うと・・・・

 

「な、なんでそんなこと早く言わないんだよ。風邪を引いたらどうするんだ!?」

 

さっきのイタリア人が驚いてそうい言う

 

「そういう事でしたら家へ入らしてください。濡れているようですし、雨が止むまで休まれてください。」

 

「いいんですか?」

 

「お困りのようですので。」

 

ありがたい申し出だ。雨もやみそうにないし、お言葉に甘えますか

 

「ではお言葉に甘えます。」

 

「ではこちらへ。」

 

中に入れてもらった。本当に良かった。因みに陸王はその人の空いている倉庫に入れてもらった。

案内してもらってる途中に自己紹介を済ました。この建物は私塾でこの人は水鏡さんというらしい。案内された部屋でくつろいでいると、水鏡さんがやってきた。

 

「雨は止みそうにありませんので、今日はもうこちらでお休みください。今食事をお持ちしますので。」

 

「何から何まで本当にすみません。」

 

すると、さっきの二人が料理を持ってきた。

 

「お待たせしました」

 

そう言って銀髪の子はそそくさと出ていってしまった

 

「はは・・志乃は恥かしがり屋だな・・・・まあ口に合うかはどうかは知れないけど、ほいどうぞ召し上がれ、」

 

「大丈夫ですよ。アンチョビさんの料理は美味しいですから」

 

「ア、アンチョビ?」

 

アンチョビって確かニシンの塩漬けだったような・・・

 

「申し遅れたな。私はローマ帝国軍ケントゥリオ(百人隊長)のアンチョビーナ・ユリウスだ。アンチョビって呼んでくれ」

 

確か百人隊長って現代で言う少尉とか中尉とかぐらいの階級だよな。それ以前に・・・・

 

「へ?ローマ帝国?なんでローマ帝国軍人がここにいるんだ?」

 

「うっ‥‥そ、それはだな・・・・」

 

アンチョビさんは気まずい顔をして説明した。

アンチョビさんが言うには祖国の命を受けて漢進行のためシルクロードを通っていたんだけど、いきなりロシア地域の部族やゲルマニア人の奇襲を受け部隊は壊滅。仲間は散りじりになり、6か月前一人になってしまったアンチョビさんはこの地まで彷徨い、行き倒れたところに丁度、水鏡さんに助けられて今はここの用心棒いわゆる警備員をしているらしい。

 

「そんなことがあったんですか・・・・」

 

「まぁ、いろいろとあったけど私は水鏡先生に助けられて、本当に良かったと思っている。出なければ朱里や雛里そして志乃という妹分に出会わなかったからな」

 

「・・・あのそれって真名ですよね。誰なんですか?」

 

すると水鏡さんが

 

「ああ、言っていませんでしたね。朱里と雛里の名は諸葛亮と鳳統。そしてこの子、志乃は司馬懿といいます。朱里と雛里は今、旅に出ていますが」

 

え!あの銀髪の子があの司馬懿!俺は驚いた。しかし諸葛亮と鳳統は旅に出てしまったのか・・・たぶん劉備とかの所にいるはずだな・・・・

 

「ところで1つお訪ねしたいのですが。」

 

水鏡さんが俺に訊く

 

「何でしょう水鏡さん?」

 

「あなたは今噂の2人の天の御遣いの一人ですか?」

 

「何故そうだと?」

 

「噂になってる特徴に類似していますし、何より、見たこともない枯草色の服を着ていますから。」

 

「確かにな。そこまで精巧な服わが祖国ローマでも見ないからな」

 

「‥‥確かに俺は天の御使いの一人って呼ばれています」

 

「やはりそうでしたか。あのお名前を聞いてもよろしいでしょうか」

 

「そう言えばまだ名前を言っていませんでしたね。俺の名前は沖田。沖田吹雪です」

 

「沖田吹雪だと!あの池田屋事件で有名な!!」

 

アンチョビさんは声を上げた。

 

「お前の名前は知ってるぞ!確か街に火を放とうとする悪党どもをたった30人で防いだっていう。あの話を聞いた時は感動したぞ。うちのローマ軍にもお前のような人間がいたらと思うと‥‥」

 

「あはは・・・・」

 

そう言い、俺は、アンチョビさんの話を苦笑しながら聞くのだった。

 

 

 

 

 

「‥・・・沖田吹雪・・・・あの人がもう一人の御使い・・・どうやら噂通りの人のようですね・・・・・・・あのお方の真名はなんていうんでしょう・・・・・・・・・吹雪・・・・・様」

 

扉の裏でこっそりと話を聞く司馬懿こと志乃がいたのだった。

 

 




はい、今回は新キャラを出しました。水鏡先生はアニメ版の人ですがローマ人のアンチョビさんは知っている人は少ないと思いますが某戦車アニメの統帥がモデルです。

次回も投稿頑張りますんで温かい目でお願いします。


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軍師の決意

翌朝、昨日より雨は弱まったものの、依然として雨は降り続いていた。

 

「雨止まないな・・・・・」

 

今俺は水鏡さんを探している。いままで世話になった恩返しをする為だ。武士の言葉に一宿一飯の恩義って言葉もあるし、それに泊めてもらっているのに何もしないというのも自分としてはとても居心地が悪い。そのため俺は塾内を探していると、程なくして見つけることができた。

 

「あ、水鏡さん、探しましたよ。」

 

「あら、沖田さん。どうかなさいましたか?」

 

「お世話になりましたので何かお礼をさせてほしいのですが?」

 

「いえ、お礼なんて・・・」

 

「いえ、ぜひお願いします」

 

「そうですか・・・・では1つお願いしたいのですが。」

 

「何なりと言ってください。」

 

「昨日料理を運んでくれた二人・・・・司馬懿とアンチョビさんなんですが、隣街まで使いに出したのですが。少し帰りが遅いので様子を見に行ってもらえませんか?寄り道するような子達ではないのですが、何より今このご時世ですし、様子を見に行ってもらえませんか?」

 

水鏡さんは心配そうに言う

 

「分かりました。」

 

俺は水鏡さんに街までの道を聞くといったん部屋に戻って支度をして、私塾を出た。そして陸王を走らせた。幸い外は雨が霧雨状態で問題はなかった。

私塾からは街までは約4キロ。生い茂った森を越えた先にある。寄り道するような人ではないのなら何かあったのならこの森だ。俺は森の中心で立ち止まり、

 

「この近くかな…‥ん?あれは・・・・)

 

俺はあたりを見ると奥の方にあの2人が何者かに囲まれている。

 

(・・・・見つけたけど、あの4人のやつらもしかして盗賊か。となるとやばい!!)

 

東で約300メートル程の距離で2人を発見した。しかし、嫌な予感がする。場所はそう遠くない急ぐか。俺は陸王で急行した。

 

 

 

 

「くっ・・・・」

 

「お姉ちゃん大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫だ志乃・・・これぐらいかすり傷だ・・・」

 

私達は水鏡先生に言われ隣街まで使いに来ました。用事を済ませ、帰ろうとしたら賊の人達が突然襲いかかってきました。何とかスキをみて、逃げ出したのですが、囲まれてしまいお姉ちゃんが剣で応戦したんだけど多勢に無勢、アンチョビお姉ちゃんが右腕を切られて左手で腕を抑えている

 

「・・・・百人隊長である私の剣の腕も落ちたな・・・・こんな盗賊ごときに‥‥ぐッ!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

お姉ちゃんの右腕から血がポタポタと落ちる…早く治療しないと・・・・

 

「どうする兄貴?楽しんでから殺るか?」

 

「はっ!そのガキに興味はねぇよ!でもそこの外国人はいい体してるな・・・・いや、やっぱり盗るもの盗ってさっさと殺っちまうぞ!」

 

そう言い賊たちは私たち目掛けて剣を振り下ろそうとした。すると・・・

 

ダアァァァーン!!

 

急に雷の音がした。私は目を開けると・・・・

 

「う・・・・がぁ・・・・」

 

先ほど剣を振り上げた盗賊は頭から血を流し倒れた。

すると・・・

 

「どうやら、間に合ったようだな・・・・」

 

「・・・・おき・・・た・・・・さま・・・」

 

 

 

 

 

 

俺は二人のもとに着いた時、一人の盗賊が怪我をした二人に向けて剣を振り下ろそうとしていた。

 

(まずいっ!!)

 

俺は九九式小銃に急いで7・7ミリ弾を装填し頭を狙って引き金を引いた。

 

ダアァァァン!!

 

弾は見事命中し盗賊の一人が絶命する。

 

「どうやら間に合ったようだな・・・・」

 

俺はすぐに彼女たちに駆け寄る

 

「大丈夫か?司馬懿さん。アンチョビさん」

 

「・・・・おき・・・た・・・・さま・・」

 

「沖田!すまない・・・私がいながら志乃を・・・」

 

「そんなことはない!それよりアンチョビさん腕の怪我・・・・」

 

「大丈夫だ。こんなのはかすり傷だ」

 

そう言うが、これはかすり傷ってほどの怪我じゃない。早く手当てしないと。

 

「おい!なに俺たちを無視してるんだ!!何だテメェは!」

 

俺は賊に振り返り九九式小銃を奴らに向けた。

 

「これから死ぬ奴に名乗ったて意味がねえなっ!!」

 

「なんだと!!」

 

「おいっ!やっちまえ!!!」

 

そう言い奴らは剣を持って突撃し始めた。しかし・・・

 

ダアァァァン!!

 

剣が届く前に九九式の7・7ミリ弾がもう一人の盗賊の喉を貫いた

 

「ぐぎゃぁっ!!」

 

そいつは口から血を噴き倒れる2人目の賊も果てた。

 

「なっ!」

 

「なんだあれ!!」

 

俺が近づくと賊も同じだけ退く。

 

「ガ、ガキだ!ガキを人質にとれ!」

 

「お、おう!」

 

賊の1人が司馬懿に振り返る。すかさず俺は奴の頭に向けて撃ち3人目の奴もばたりと倒れた。

 

「つくづく救えないやつらだな・・・・・」

 

残りの1人は腰を抜かして後退りしている。

 

「俺が悪かった!もう悪い事しないから許してくれ!」

 

命乞いをしてくる。

 

「悪いな‥‥人を苦しめそれを糧にする奴は許せない質でな。だが、お前が言った通りもうしないというのであればこの場は見逃す。気が変わらないうちにとっとと失せろ」

 

「へ、へい…ありがとうございます」

 

そう言い賊は俺にそう言い後を去ろうとして俺が後ろを振り向いた瞬間

 

「馬鹿め!後ろ振り向いたのが貴様の運の尽きだ!」

 

そう言い、隠してたナイフで襲い掛かろうとしただが・・・・

 

ダアァァァン!!

 

俺はそのことを先に読んでおり、小銃を奴の眉間に向けて撃った。弾は眉間に当り最後の賊も死んだのだった。

 

「言ったはずだろ。気が変わらないうちになって・・・・」

 

俺は九九式小銃のボルトを動かして空薬莢を出しそして背中にかけ、急いで二人のもとに向かった。

 

「司馬懿!アンチョビさん大丈夫か?」

 

「わ、私は大丈夫です。それよりもお姉ちゃんが!」

 

「分かった!説明は後にするからとりあえず俺の側車に乗ってくれ!」

 

「わ、分かりました!」

 

志乃は吹雪の言う側車の意味は分からなかったが今は急いで義姉の治療を優先するため指示に従った。アンチョビは側車の船に乗りその横に志乃が乗って(ちょうど二人がギリギリはいれるくらいだったから)私塾へと帰った。

 

その後に私塾まで2人を連れて帰り、事の顛末を聞いた水鏡さんが、

 

「志乃とアンチョビさんを救っていただき本当にありがとうございます。あなたがいなければ今頃どうなっていたかことか。」

 

と水鏡さんは深々と頭を下げた。幸い治療が早かったためアンチョビさんの腕は半日で治るそうだ。

本当に良かった。

 

「間に合ってよかったですよ。」

 

本当にギリギリだったもんな。もし遅れていたらアンチョビさんは失血死していただろう。

 

「あ、あの・・・・沖田さん・・・」

 

「ん?何、司馬懿さん」

 

「命を助けていただきありがとうございます。何かお礼をさせてください!」

 

「何、こっちとしては世話になった礼を返しただけだから気にしないでくれ。」

 

「いや、そうわけにもいかん」

 

アンチョビさんがやってきた。

 

「私や志乃は命を救われた。それを返さないのは私は納得できない。だから私からも頼む!」

 

そう言い、アンチョビさんは頭を下げる。ここまで言われ断るのはかえって失礼だな。

 

「そうか。ならありがたく受け取らせてもらうよ。」

 

さてどうしたものかな。あ、そうだ!

 

「そうだ。司馬懿さん読み書き出来るよね?俺にこの国の文字を教えてくれないか?」

 

一応、文字は母さんや詠に教わってはいるんだけどまだ片言なんだよな。今後もまだ旅は続くそのためにも字は読めるようにしたいからな。

 

「はい!喜んで!」

 

「ならよろしくお願いします司馬懿さん。」

 

「私のことは志乃でいいです。この真名あなたに預けます沖田さん」

 

「じゃあ、俺も吹雪でいいよ。志乃」

 

「はいっ!」

 

彼女は花が咲いたような笑みを浮かべて言った。その様子をアンチョビさんや水鏡先生が微笑んで見ていた。

 

それから三日後、雨はまだしとしと降っている。志乃に文字を習う吹雪、最初はミミズのような字だったが今では日常に必要なくらいの読み書きができるようになっていた。

字を教えていた志乃も嬉しそうで一生懸命な彼に彼女もまた一生懸命に教えていた。その時に彼女は彼に何かの感情が芽生えていたがその感情は何か彼女はまだ知らなかった。そして志乃は自室の中、吹雪のことを考えていた

 

「(吹雪さんは本当にすごい。あの鉄の車もそうだが、あの武器もすごかった。私は最初は最近巷で有名な曹操さんに仕えようと考えてたが、吹雪さんと出会ってなんだか、どっちに仕えようか迷ってしまっていた。吹雪さんが嫌いなわけではない。むしろいい人だ。けど・・・・・・さっきから感じるこの感情は何かしら?)」

 

そう思っていると、彼女の部屋から戸を叩く音が聞こえる。

 

「志乃…‥いるか?」

 

この声は・・・・

 

「お姉ちゃん?開いてますよ」

 

そういうと、お姉ちゃんが入って来た。

 

「お姉ちゃん。どうしたの?もう右腕は大丈夫?」

 

「ああ、この通り大丈夫だよだよ。それより志乃・・・・・」

 

「? 何お姉ちゃん?」

 

「お前・・・悩んでるだろ」

 

「!?」

 

お姉ちゃんは真剣な顔でそう言う図星をつかれた私は目を見開いた。

 

「やっぱり・・・・ほら、お姉ちゃんに話してみな」

 

「うん。実は・・・・・」

 

私は悩んでいることを話した。

 

「なるほどな~・・・・で志乃はどうしたいんだ?」

 

「わからないの・・・どうすればいいのか・・・曹操さんに仕えたい司馬懿としての私と吹雪さんが好きな志乃としての私…あ、もちろん友達としてだよ!」

 

「分かってる。分かってるって。で、その二人がどうしたんだ?」

 

お姉ちゃんは真剣に聞いてくれる

 

「うん。どっちの私も喧嘩してなかなか決着がつかないの・・・・」

 

「ん~じゃぁ、”ただの志乃”はどうしたいんだ?」

 

「”ただの私”?」

 

「そうだ。曹操さんに仕えたい司馬懿でも吹雪を慕う志乃でもない。ただの一人の女の子である志乃はどうしたいんだ?」

 

ただの私・・・・・そうか、簡単な答えだ・・・・

 

「・・・どうやら決めたようだな志乃」

 

「うん。お姉ちゃんありがとう相談に乗ってくれて」

 

「まぁ、かわいい妹分のためだ。じゃあ私は行くな」

 

そう言いお姉ちゃんは私の頭を撫でた

 

「うん。おやすみなさいお姉ちゃん」

 

そう言い、お姉ちゃんは部屋を出た。

 

・・・・明日、吹雪さんと話してみて決めよう。

 

翌日

 

まだ雨が上がらない・・・・・すると志乃に出会う

 

「あ、志乃」

 

「あ、あの吹雪さん・・・・」

 

「ん?なに?志乃」

 

すると志乃は真剣な顔をする

 

「あなたは董卓さんとともにこの国で何をするおつもりですか?」

 

真剣な目で、そう聞かれた。

 

「月はなこの乱世を終わらせ、民が戦に怯えることのない世界を創りたいそういう理想を持っている。もちろん、その平和な世が来るまで大量に人を死なすことになるだろう。それでもこの国に住む民の為、そして未来に生きる民が安心して暮らせるため月は戦っている。俺も月と同じ気持ちさ。だから俺はそんな月を支えたいそう思っているんだよ」

 

「ですが、それだと反感を生むものも現れるではないですか?」

 

「その時は俺たちみんなで何とかすればいい話だよ。俺たちみんなで協力し合って月を守り、そして輝かせる。それが俺の信念だ」

 

「吹雪さん。あなたの言葉には矛盾があります。まるで子供の言い草ですよ?」

 

「いいんだよ。実際に俺はまだ子供だ。もし、大人になるのが、人生で何かを斬り捨て諦めるのなら俺はまだ子供でいい。それに俺はな、何事も諦めが悪い方なんだよ」

 

俺は真剣に答えた。実際に俺はまだ16。大人になるため大切な何かを天秤にかけ大切なものを切り捨てるのが大人なら俺は子供でいい。

すると志乃は何か決意した顔になり、俺の前に膝をついて自分の両手を握る

 

「どうしたの?」

 

俺が首をかしげて言うと

 

「我が名は司馬懿、字は仲達。我が才、我が知力をすべてあなたに捧げます。わが主、我が殿。この身をもってあなたをお支えます・・・」

 

彼女がそう言う、銀色の髪がキラキラと輝き、まるでその光景は天使が舞い降りたかのように奇麗で清らかな感じがした。

 

「分かった。それとそう堅苦しいのはいらないよいつもの感じでいいよ。これからよろしくな志乃」

 

「わかりました。これからよろしくお願いします!吹雪様!」

 

「吹雪様か・・・・ちょっと照れるな」

 

こうして歴史に名高い名軍師、司馬懿こと志乃が吹雪の理想に触れ、新たに仲間になった瞬間だった。




アンチョビさんは吹雪と共に旅をするかどうか悩んでいます。
活動報告の方でアンケートをしています。ぜひコメントください


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人物紹介とオリキャラ紹介

沖田吹雪(おきた ふぶき)

 

身長172㎝

 

体重58キロ

 

呂布奉先こと恋の息子で、董卓軍警邏隊隊長兼董卓軍第三師団長。

現代日本から突如、外史である三国志の時代に飛ばされる。

見た目は髪の色とアホ毛以外は恋に似ている。仲間や味方は命をかけて守り、それらに害する敵には、容赦はしないし、非情な策すらとることも。戦い以外での性格は穏やかで、読書好き。剣の腕は祖父に鍛えられているため、霞と華雄と互角くらいの腕前。ねねには兄のように慕われることもしばしば。

ちなみにこう見えて軍事オタクでもある。

 

武器

 

菊一文字宗則

 

曾祖父の代から代々受け継がれている刀である。

 

九九式小銃(前期生産型)

祖父が現役時代に使用していたもので銃剣もおまけについている。

 

服装:九八式軍衣(陸軍中将服)

 

南部14年式拳銃

これも祖父が現役に使っていたもの

 

 

沖田十三(おきた じゅうぞう)

 

吹雪の祖父で恋の義父。元旧日本帝国陸軍少将。性格は決して諦めない不屈の精神の持ち主で、昔の同僚曰く「万に一つの可能性を発見したらそれを信じ、沈着冷静に行動する人」である。また「例え命令であったとしても、一度立ち止まり、振り返る勇気も必要だ」というのが口癖である。時に厳しく言う事もあるが、基本的には穏やかな性格をしている

 

容姿モデルは宇宙戦艦ヤマトの沖田十三艦長

 

 

沖田総司(おきた そうじ)

 

吹雪の父で恋の夫。自衛官で、街をさまよっていた恋と出会い恋に落ち結婚する。

しかし恋が外史に戻ってしまった。5年後車に轢かれそうになった少女を助けようとして車に轢かれ、亡くなった。

性格は優しく誰にでも好かれる人物だったと恋は語っている。

 

容姿モデルは、るろうに剣心『追憶編』に出てくる沖田総司

 

 

 

李傕 稚然(りかく ちぜん)

 

真名 斗志

 

董卓軍警邏隊所属で吹雪隊副隊長。黒い長い髪が特徴の少女。剣の腕は強く警邏隊の隊士から「鬼の副長」と呼ばれている。性格は温厚で真面目だが、吹雪が着任した時、叔父の死で気が動転閉まって顔面に蹴りを入れた。最初は吹雪のことを警戒していたが、次第に尊敬の念を持つようになる。桜花とは幼馴染でよく彼女のストッパーなどをしたりしている。また、新兵の訓練教官もしていて彼女の訓練を受けた人は彼女の名を聞いた瞬間震えあがってしまうという。

因みに武器はサーベルに似た曲刀

 

容姿モデルはインフィニットストラトスの篠ノ之箒

 

 

 

 

郭汜(かくし)

 

真名 桜花

 

董卓軍警邏隊所属、吹雪隊広報の黒髪のショートヘアーでくせっ毛左もみあげを三つ編みが特徴のボーイッシュな少女で斗志の幼馴染。

見た目はチンピラ風に見え喧嘩好きだが、性格はいじめは決して許さない真面目な性格で、昔馬泥棒に遭った人の馬を盗んだ奴から取り返してくるなど正義感の持ち主。見た目とは裏腹に計算が得意で警邏隊もとい吹雪隊の財布を握っている。たまに語尾に「~っす!」という時がある。

剣の腕は強く。蜀の焔耶といい勝負。また吹雪のことは最初は斗志と同じく腕にかみつくくらい警戒したが次第に打ち解け敬愛するようになる。また吹雪の悪口をいう奴には容赦しない。

 

武器は、片手直剣

 

容姿モデルはガールズ&パンツァーのぺパロニ

 

 

樊稠(はんちゅう)

 

真名 雪風

 

董卓軍警邏隊所属、吹雪隊情報部隊長。長い銀髪に左目に眼帯をした少女。

吹雪隊の縁の下の力持ちで、吹雪が作った情報部を任せられている。

彼女の情報収集がなければ、池田屋事件は存在せずテロが成功していたかもしれないって言われたほどだった。

性格は真面目で任務は必ずこなす。吹雪のことは敬愛しており、誰も居ない所で彼を想い浮かべては頬を染めたり妄想して悶えたりしているときがある。また、怒ると怖い。

趣味は釣り。

 

武器は短剣または苦無

 

容姿はインフィニットストラトスのラウラ・ボーデヴィッヒ

 

 

 

馬鈞 (ばきん)

 

真名 夕張

 

 

天水の武器屋に奉公していた娘で、姿はタンクトップで髪は少し緑がかった銀髪で前髪がぱっつんでセミロングをポニーテールにして大きな緑のリボンで留めているのが特徴。

昔から発明とかが好きで、李典こと真桜とは発明友達でもある。しかし真桜とは違い火薬を中心とした発明が得意で、「火薬を使った武器が戦争の雌雄を決する」っと、先のことまで読んでいた。また彼女は独自の知識で火縄銃の設計図を描いていた。

吹雪と出会い、銃の仕組みを知ってから彼に興味を持ち、警邏隊技術開発部に入る。

 

容姿モデルは艦隊これくしょんの夕張

 

 

 

司馬懿

 

真名 志乃

 

朱里や雛里と同じ水鏡塾の塾生で二人の姉弟子。能力的には政治等の政まつりごとに関しては朱里と雛里に若干劣るが、戦や戦略そして戦術に関しては言えば2人を僅かに上回る。理由としては朱里と雛里は桃香や一刀と同じ理想を掲げている為、残忍な策や、味方に犠牲を強いる策に難色を示すが、志乃は必要とあらば即決してそのような策を取れる決断力があるため、戦に関しては、対等な条件なら朱里と雛里を上回る。

性格は基本おとなしく、面倒見がいいが、仲間が傷つくと怒る。また他の隊士からは『先生』と呼ばれ慕われている。また彼女はいつも無茶で危険な事をする吹雪を心の底から心配しており、不安のあまり時折陰で涙を流していることがある。

髪は肩まで伸びた銀髪で狐耳のカチューシャがトレードマーク。

 

容姿モデルはブレイブウィッチーズのエディータ・ロスマン

 

 

アンチョビーナ・ユリウス

 

元ローマ帝国軍の百人隊長だったが部隊が途中で壊滅し、街で行き倒れたところ水鏡先生に助けられ私塾の警備員をしていた。

朱里、雛里、志乃には実の姉のように慕われていて、自身も3人を実の妹みたいにかわいがる。料理が得意なうえ面倒見がいい性格。剣の腕はまあまあ、桜花と張り合えるくらいの腕前。志乃が旅に出るとき、心配なので一緒に旅に同行する。

武器は刃渡りが100㎝のグラディウス。

 

容姿モデルはガールズ&パンツァーのアンチョビこと安斎千代美。

 

 

 

 

 

 



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義勇軍と3羽烏との出会い

更新です。


志乃が仲間になった翌日雨は上がった。

俺と志乃はたびに出発することになった。因みにアンチョビさんは孔明と鳳統の様子を見に明朝二人がいる幽州に向かった。

因みにアンチョビさんは「二人の様子を見たら天水に行ってお前たち二人を待ってるからな」と言っていた。そこで俺はアンチョビさんに紹介状を渡した。・・・彼女の実力なら警邏隊に入っても大丈夫だろう。因みに警邏達の隊長は俺だがその指揮は詠がとっている。だから俺は詠に紹介状を書いた。

もちろん疑われないため日本語、漢語の二つを書いといた。因みに日本語が読めるのは母さんを除いて、かなだけだが、詠、斗志は読める。

 

 

「本当にお世話になりました水鏡さん」

 

「それではこの子をお願いします吹雪さん。志乃?身体には気をつけるのよ?」

 

「お世話になりました。先生もお元気で。」

 

「私は私塾に戻りますので、それではこれで。」

 

「本当にお世話になりました。」

 

と頭を下げ、水鏡さんを見送った。

 

「じゃあ、行こうか志乃」

 

「はい!」

 

俺達は陳留へと向かうため陸王に乗った。

 

 

 

 

「速い!とても速いですよ吹雪さん!」

 

陸王を飛ばしていると志乃がはしゃぎながら言う

 

「天の国の乗り物はすごいですね!驚きです!」

 

「志乃。大丈夫か?速すぎるんなら速度を落とすけど」

 

「大丈夫です。風が強いですが、気持ちいいです」

 

そう言い笑う志乃。そう言えば・・・・

 

「そう言えば志乃。お前なんで孔明や鳳統についていかなかったんだ?」

 

「朱里も雛里も可愛い妹弟子で大好きです。でも2人の求める主君と私の求める主君は違いますから。」

 

「劉備さんではないと?」

 

「はい、そうです」

 

なるほど・・・妹弟子と志乃の思い浮かんでいる主が違うのか

 

「吹雪様・・・・気になってたんですが・・・その背中に下げている筒なんですが、それは何ですか?」

 

ああ、そうかまだ小銃のこと説明してなかったな。

 

「これは銃って言ってな。天の国って言っても約1800年後の武器だよ」

 

「1800年後・・・・なるほど吹雪様は未来の人なんですか・・・」

 

「驚かないのか?」

 

「はい、冷静に考えれば、その銃とやらも今乗っているバイクとやらも納得できます」

 

本当に志乃は冷静だな

 

「俺の話信じるのか?」

 

「はい、吹雪様は嘘をつかない人なので」

 

「そうか・・・ありがと」

 

「吹雪様・・・・では、これから起きることも知ってるのですか?」

 

「ああ・・・大体は・・・でもそれが必ず起きるとは限らないよ志乃」

 

「え?」

 

「だって、ここにいるはずのない俺がここにいる。もしかしたら俺が知っている歴史も変わっているかもしれないし、それに先のことがわかってちゃ、つまんないだろ?」

 

「確かに、そうですね。何でも知っていたら人生がつまらないですね」

 

そう言うと志乃は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

しばらく走っていると、空が曇って、ゴロゴロと小さな雷鳴が鳴る。

 

「これは・・・・また降りそうだな志乃」

 

「そうですね。早くどこかの村にでも行きましょう吹雪様」

 

「そうだな」

 

俺は陸王の速度を上げた。

 

 

 

天気はまだ曇りのままだ。本当に雨がいつ降ってもおかしくない。暫くすると、村を発見する。村の門に着くと、門番らしき二人の少年が、槍を交差させて立ちはだかる。

 

「止まれ!」

 

「お前ら、何者だ?」

 

「何者って……見ての通りの旅の者だが?」

 

「旅の者?なんか変なのに乗ってるけど、まさか賊の一味じゃないだろうな?」

 

「はぁ?」

 

中々疑り深い門番兵の二人。

 

「楽進さん達を呼んでこい!」

 

「分かった!」

 

一人がそう言うと、もう一人は急いで呼びに向かった。

 

「なんだか、随分警戒されてるみたいですけど……」

 

「まあ、バイクなんて見たことがないからそれは警戒すんだろ。それにしても盗賊って・・・」

 

「きっと近くに賊が出るんだと思います…」

 

「それにしては、子供を門番に立たせるって言うのもなんかな・・・・」

 

「そうですね」

 

ご時世とはいえ、子供が武器を持つなんてな・・・・・

そうしていると、向こうから門番兵の一人が呼んできたのだろう。二人の少女達が走ってきた。

 

「于禁さん!李典さん!」

 

眼鏡をかけて、そばかすが少しある、今でいうギャル風な少女と薄い紫の髪で小さくツインテールにしている、上半身がビキニの少女がやってきた。。

 

「真桜ちゃん!きっとあの人達なの!」

 

「よっしゃあ!賊共、覚悟!」

 

李典は両手で持っていた小型の砲台をこちらに向け、発射した。その弾は俺達の上に行くと、急に大きな網となって降りかかる。これは銃を使う必要はない。

 

「っ!」

 

俺は菊一文字の鯉口を切った。

 

「んなっ!?」

 

「ええっ!?」

 

チンッと俺は刀を鞘に収める。一筋の軌跡が見えたかと思うと、網はバラバラに切り裂かれていた。

 

「一介の旅人に向けて、攻撃するとは随分無粋だな・・・・」

 

「旅人や?嘘つけ!そんな変な恰好をした旅人がいるか!」

 

「そうなの!」

 

二人はまた攻撃しようとする。‥…仕方がない

 

ダアァァァン!!

 

「ひっ!」

 

「なんや!」

 

俺は空に向けて九九式小銃を発砲した。その音に二人は腰を抜かす。

 

「二人ともどうしたんだ!」

 

すると奥の方から傷だらけの少女がやってきた。

 

 

 

村へと案内され、一軒家に上がる吹雪達。一行の目の前には、先程の李典と于禁の二人に加えて、もう一人の少女がいた。銀髪の髪を、一つの三つ編みに束ねている。彼女の名は楽進さんというらしい。。

 

「……本当にすまなかった」

 

楽進さんは謝罪を含めて、頭を深々と下げる。

 

「こちらの早とちりで御迷惑をお掛けして、申し訳ない」

 

「楽進さん、頭を上げて下さい」

 

「誤解と分かれば、俺たちはもう……」

 

「真桜も沙和も、決して悪気があってした事では……」

 

楽進の後ろで、李典と于禁の二人が気まずそうにしている。

 

「沙和…あんたが賊が来たって大騒ぎするからやで…?」

 

「けど、門番の子が慌てて走ってきたから、どうしたの?って聞いたら、変な賊の手下が来たって……」

 

ヒソヒソと話していると、楽進がわざとらしく大きな咳をする。ビクッ!と肩を震わせる李典と于禁。

 

「かなり盗賊に警戒していましたね。何かあったのか?」

 

「ええ実は我等三人は、仕官の道を求めて、曹操殿の元へ赴く途中だったのです」

 

「曹操に?」

 

「はい。・・曹操殿は、有為の人材であれば、身分の上下に関係なく召し抱える、度量の広い人物だと聞いたもので・・しかし立ち寄ったこの村にはこの頃、盗賊がこの村を襲っていたらしく私たちはこの村にとどまりこの村を守っていたんです。そしたらちょうどあなたたちが来てその・・・・・」

 

楽進さんは気まずそうに言う。

 

「俺たちを盗賊の手下と勘違いしたと・・・」

 

「はい」

 

まあ、確かにこのタイミング出来たら盗賊と間違えられてもおかしくないな。

 

「それに聞けばこの村は若い男はみんな出稼ぎや戦に人手を取られ村にいるのは老人や子供だけだと聞きました」

 

なるほど・・・・だから子供が門番をしていたのか・・・・その後の話では賊は人手不足なのをいいことに隙を見ては襲ってきてるも楽進さんが一生懸命に戦い撃退しているのだが、彼女たちもいつまでもこの村にいるわけにはいかず、もしこの村を捨ててしまえば賊の集団はここを拠点にしそしてまた新たに近隣の村を襲う可能性がある。

 

「吹雪様・・・・」

 

「ああ、わかってる。楽進さん。俺も協力します」

 

「私もです」

 

この状況・・・・見過ごして逃げるわけにはいかない。話を聞いた俺と志乃はここの義勇軍の助太刀をすることに決めた。

 

「ありがとうございます。あの、良ければ名前を・・・・」

 

「俺は沖田。沖田吹雪、今は流浪の旅人だ」

 

「私は司馬懿。字は仲達。こちらにいる沖田吹雪様の軍師を務めております」

 

すると三人は俺の名を聞いて固まる

 

「お、沖田って・・・・あの沖田吹雪さんですか!?天水警邏隊隊長で天の御使いの一人の!?」

 

「それと池田屋事件で敵10人以上相手に一人で倒したという!?」

 

ここまで届いているのかよ池田屋事件っていうかなんか話に尾ひれついてるし。

 

「ああ、確かに俺は沖田吹雪だよ」

 

俺がそう答えたら、三人はさらに驚くのだった。ああ、それは置いといて俺たち5人は今夜襲ってくる賊に対しての対抗策を考え村の見取り図を見ていた。

 

「こんな絵地図しかありませんが……」

 

「いいえ、これでも結構です。ここが村、そしてこっちの山にあるバツ印が山の中の賊の住処。そしてこれが村の前にあった橋。この村の入り口はここだけですか?」

 

「はい。この村は目の前は川、後ろには崖山があって入り口はここだけです」

 

「そうですか・・・・・。ん?これは・・・・湖ですか?」

 

志乃が指をさした場所は村に流れている川から上流にあるところに大きな湖があった。

 

「村の人の話ではそこは竜神湖っというらしいです」

 

「竜神湖?」

 

「はい。なんでも龍神様が住むという言い伝えがあるらしく、村人の話では、昔はかなり大きな湖だったが、今は水の量が減り、村の前を流れる川もすっかり細くなってしまったとか……」

 

この川・・・・さっきの堀のような場所か・・・・・あの大きさなら

 

「志乃・・・・」

 

「はい。これで何とかなりそうです。後は龍神様の力を借りれば万事解決です」

 

作戦会議が終わった後は全員それぞれの時間を過ごす。

楽進は一人、湯船に浸かっていた。

 

(あれが・・・・もう一人の御使い沖田吹雪さんか・・・・)

 

沖田の噂は村にも伝わっていた。もう一人の白き御使いは幽州で義勇軍を率いてると小耳に訊いたがそれよりも彼のなした池田屋事件の方が有名だった。なんたって街を放火し重要役人を暗殺しようとする賊を彼が率いる警邏隊が未然に防いだのだから。

 

「それにしても司馬懿殿は小さい見かけによらずかなりの軍師らしいがいったい何を考えて・・・・」

 

そしてその吹雪は、李典と一緒にいた。

 

「それじゃあ、このからくりは李典さんが作ったのか?」

 

「そや。細い鋼をこないな風に巻いて、その螺旋の力で物を打ち出す仕掛けになっとんねん」

 

「成程、李典さんは物作りが得意なのか?」

 

夕張が見たら喜ぶな・・・・

 

「おう!材料さえ揃えば、大抵のもんは何とかしたるでぇ♪そう言えば沖田さっきのからくり見せてくれんか?」

 

「ああ、九九式小銃のことか。壊すなよ」

 

俺は九九式小銃を渡す

 

「これがそうか~夕張が見たら喜ぶで~」

 

「っ!?李典さん!夕張…馬鈞を知ってるのか!」

 

「え?御使いさん。夕張のこと知ってんの?」

 

「ああ。今天水で俺の警邏隊の技術開発部にいるよ。李典さん夕張の知り合いなのか?」

 

「夕張とは発明友達や。そっか~今あいつ天水にいるんか~普通のからくりとかはうちが上やけど武器とかの発明はうちより夕張の方が上やで」

 

「そうなのか・・・・」

 

夕張の奴今頃元気にしてるかな・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天水

警邏隊技術開発部部署

 

 

「ぶえぇくしょん!!」

 

「どうかしたのですか?馬鈞様」

 

「え?なんか今、誰か私の噂をしたような・・・・・」

 

「は?」

 

「いや、何でもないよ・・・・さぁーて。さっさとこれ完成させるか。この回し取手をもっと改良すれば連発も・・・・・吹雪の奴きっと驚くわよ!」

 

そう言い夕張は発明の仕事に戻った。

 

 




はい、アンチョビさんはもう二人の妹分である朱里と雛里のとこに行きましたが蜀軍に入るかは不明です。
さて次回は盗賊との攻防戦と覇王との出会いです。
最近はどんどん蒸し暑くなってきましたね。私も暑さに負けずに小説投稿したいと思います。
次回も楽しみにしてください。


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義勇軍攻防戦と覇王との出会い

夜、みんな交代で見張りをしている中、俺は外に出て九九式小銃の手入れをしていた。別に中でもよかったのだが先端に油の染み込んだ綿のついた棒を腰の小物入れから取り出し、その棒で銃身の掃除を掃除しなければならない。その時の音でみんなが寝付けなくなってしまうので、あえて俺は外で小銃の整備をしていた。

 

「これでどこまでやれるか・・・・・」

 

俺は九九式小銃を見ながらそういう。旧日本軍の九九式小銃は同じボルトアクションのイギリスのリーエンフィールドライフルの10連発やアメリカの半自動式小銃のM1ガーランドの8連発とは違い俺の九九式小銃は5連発。しかもボルトアクションは撃った後またボルトを動かして装填しなければならない。つまり装填してる間にスキが出てしまうのが弱点だ。俺と志乃を含めても村の義勇軍の数は100人。聞けば相手の数は2千以上果たしてどこまでやれるか・・・・すると

 

「吹雪様?」

 

すると、志乃がやってきた。

 

「志乃・・・・なんで。」

 

「『なんっでここに?』ですか?それは私のセリフです。吹雪様こそなんでこんな時間に?」

 

「え?ああ、ちょっと銃の手入れをな」

 

「手入れ?」

 

「ああ、これからこの村で賊との戦いが始まる。だからその時に不具合が起きない様にってね」

 

「そうですか・・・・」

 

「それよりもどうだ志乃。龍神様のご機嫌は?」

 

俺は夜空を見ながら志乃にそう言う

 

「そうですね・・・・龍神様はまだその気ではないのか、いまだにゴロゴロと唸っていますね・・・・」

 

「そうか、龍神様。協力してくれるといいな」

 

「はい。」

 

そんなほかの人が聞いたらわけのわからないことを二人はしばらく話し、その後俺たちは、明日の為に寝るのだった。

 

 

そして翌朝、

 

「みなさん。今日一日調べたのですがどうやら龍神様の力を借りられそうです」

 

「・・・というと?」

 

「はい、まず竜神湖付近に(せき)を築き、湖から流れる水を止めます。たとえ水量が少なくても出口止めてしまえば水は溜まります。さらにこの村の村長さんに聞いたところここいらでは毎年この時期にひと月雨の日が続くそうです。そして湖に水がたまったら、夜に乗じて賊の住処を少数で襲い、橋のところまで誘き出し仲間が橋を渡ったら、橋を落とします。当然賊は枯れた川に降りてこの村へと侵入してくるでしょう。ですがここで・・・・」

 

「なるほど・・・・そこで湖の堰を外すのか・・・・」

 

「そうです。全滅まではいきませんが大半の賊は消えると思います」

 

なるほど、それならこちらの被害を最小限にできるな・・・

 

「よぉーし!そうと決まればおもろなってきたわ!うちに任せや!」

 

そう言い李典が胸をたたく。そして数日後・・・・

 

「まさか、数日で堰ができるとはな・・・・」

 

「ほんとにすごいですね。・・・・」

 

あれからほんの数日、竜神湖の前に大きなダムができていた。恐るべし李典。

 

「まあ、夕張には少し劣るんやけどな。どやなかなかのもんやろ?」

 

「本当に李典さんはモノづくりが得意なんですね」

 

「いや~そないにほんまのこと言われるとうち照れるがな~♪」

 

志乃が感心して言うと李典は嬉しそうに頭をさすりながらそう言う

 

「あとは水がたまるのを待つだけか・・・・」

 

俺はそう言い、ダムのほうを見る。すると、さっき門番をしていた少年がこちらのほうへと走ってきた。

 

「大変ですー!!」

 

「なんだ賊か!?」

 

「いえ、賊じゃないんですけど、数百人の武器を持った人が来て、その旗は『夏候』って書かれていました」

 

夏侯・・・・もしかして

 

「志乃」

 

「はい。おそらく官軍でしょう」

 

俺たちはとにかく外に出てこの村にやってきたという武装集団に会ってみることにした。そして門の前にいたのおは水色のショートヘアーをした女性だった。

 

「私は夏侯淵。字は妙才。 曹操様にお仕えする将だ。こちらに賊が現れると聞いて援軍に来たのだが、ここの指揮官は貴殿か?」

 

夏侯淵・・・・というと曹操軍の奴か・・・・それに夏侯淵といえば曹操に仕える闘将夏侯惇の弟…ここでは妹か。で、弓の達人だったはずだ・・・・

 

「いや、俺はただの旅人だ。ここを指揮していたのはこの三人だよ」

 

そう言い俺がそう言うと

 

「なるほど・・・・で、今の状況は?」

 

夏侯淵にそう言われると俺たちは今までの状況とそして実行する作戦を彼女に話した。そして夏侯淵さんはその話を聞き、彼女率いる300人の兵たちは村にいる義勇軍に協力してくれるのだった。そしてその日、突然雨が降り出した。それもただの雨じゃない台風級の大雨だ。これなら湖の水もすぐにたまるだろう。すると・・・

 

「隣いいか?」

 

夏侯淵がそう言い俺はいいよの一言を言い夏侯淵さんは俺の隣に座る

 

「すごい雨だ。生まれて18年。こんな雨は見たことがないな・・・」

 

彼女はそう呟く。

 

「だがその大雨で湖の水はたまるのが早くなるんだし。別になんも支障はないよ」

 

「そうだな・・・・・そう言えばまだ名を聞いていなかったな。おぬし名は?」

 

「沖田、沖田吹雪だ」

 

その言葉を聞いて夏侯淵は驚いたように目を見開く。

 

「沖田・・・もしかしてお前は董卓軍に所属しているあの枯草色の御使いの沖田吹雪か?」

 

「そう呼ばれているみたいだけどな。知っているのか?」

 

「お前の名は陳留まで届いている。特に池田屋事件での活躍は全国で知らない者はいないだろう」

 

「そんなに有名ですかね?俺はただ任務を全うしただけですよ?」

 

「謙遜するな。お前のなしたことはすごいことなのだぞ。それに私の姉者も言っていたよ。『たった30人で60人以上いる悪党どもの悪行を未然に防ぐなんてただものではないな』っと褒めていたよ」

 

「そうですか・・・・」

 

と、雨の中二人はそんな他愛のない話をしていた。夏侯淵が言う姉者とはおそらく夏侯惇だろう。っというか夏侯惇も女か‥‥とすると曹操も女だろう・・・・もし曹操が女だったらどんな格好なんだろう・・・・

 

「ん?どうしたのだ沖田?」

 

「え?いいやなんでもないよ」

 

しばらくして雨が弱まっって来た。そしてしばらくすると・・・

 

「吹雪様、夏侯淵殿ちょっといいですか?」

 

志乃がやってきた

 

「どうしたんだ志乃?」

 

「はい。さっき湖の様子を見に行ってきたのですが、先ほどの大雨で予定していた日よりも早く水がたまりました。」

 

「・・・とすると司馬懿殿」

 

「はい。夏侯淵さん。今夜でも夜陰に隠れ攻撃を仕掛けます」

 

 

そしてその夜、志乃が建てた作戦が決行される。そして賊を誘き出すメンバーは俺、夏侯淵とその部下数名、楽進さん、于禁さんの。李典さんはダムを開けるため湖の近くで合図を待っている。

 

「いいですか。皆さんにはまず賊の住処を襲撃してもらいます」

 

「わかった。」

 

「うむ」

 

「この命に代えてでも、もしもの場合私が討って出ます・・・・」

 

と楽進さんがそう言う。しかし

 

「楽進さん。それではだめだ」

 

「え?」

 

「楽進さん。命に代えてもっていう考えはだめだ。俺たちの任務は賊を誘き出すことだぞ。命を捨てるために戦うわけじゃない」

 

「すみません・・・・・」

 

「それとだ。今ここにいる百人の村の人を助けるために死んでしまったら、その先に助けられる何万人の命を見捨てることになるんだぞ。だからむやみに突撃はするな。いいな」

 

「肝に銘じときます。すみません沖田さん」

 

「ふふっ・・・・」

 

「ん?何ですか夏侯淵さん。俺何か変な事言いました?」

 

「いやなに。そんな幼い顔に似合わず大人みたいに論しているのがおかしくてな」

 

「幼い顔っていうのは余計です夏侯淵さん」

 

「吹雪様の言う通りです楽進さん。とにかく水が来たら私がどらを鳴らして合図します。そうしたら川のそばから離れてください・・・・・・」

 

「わかった」

 

「では皆さんご武運を!」

 

こうして作戦は実行されるのであった。

 

 

 

そのころ賊の住処では

 

「兄貴、そろそろ村を襲いに行きますかい?」

 

「ああ、そろそろあそこを落とさねえと大頭(・・)にどやされるからな」

 

「そうですね。それにしても頭にいい仕事もらいやしたね。村を襲って拠点を作るほかに殺しができるんだからな」

 

「ああ、今まで強盗とか食糧調達とか地味なことやらされたからな。ここいらで頭に認めてもらえれば幹部の座も夢じゃねえな。『笑う棺桶』の幹部にな」

 

「ですが兄貴、最近あの村に天の御使いや官軍の軍が入ったって情報が入ったらしいですぜ」

 

「はんっ!そんな事関係ねえ!逆に獲物が増えて上出来じゃねえか!そいつらもぶっ殺せばいいじゃねえか!」

 

「そ、そうすっね!さすが兄貴っ!」

 

そう言うリーダー格の盗賊。その盗賊の腕には笑う顔が刻まれた棺桶のマークが印されてあった。するとそう言いながらも賊達が油断していると・・・・・

 

「敵襲っ!!」

 

「「「「!?」」」」

 

門兵がいきなり入ってきて報告するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方外では雨の中、おとり部隊が賊の軍と交戦していた。

 

「おりゃぁー!!」

 

吹雪は銃剣を付けた九九式小銃で賊と戦っていた弾丸を放ちそして装填が間に合わないときは銃剣で敵を刺して撤退しつつ倒してたりしていた、すると吹雪はあることに気付く

 

「(こいつらに刻まれている紋章・・・・もしかしてこいつら『笑う棺桶』か?)」

 

笑う棺桶は最近巷で騒がしている黄巾党と対をなす盗賊軍団だ。かくいう吹雪も天水で奴らと戦ったことがあった。だが今はそんなことを考えている暇はなく吹雪は賊と戦うのだった。

 

 

別の場所では

 

「賊ども覚悟っ!」

 

夏侯淵率いる少数部隊も同じく賊と戦い彼女は遠距離から弓で攻撃して、撤退しながら賊をあの橋のところまで誘導していた。

そして違う場所では、于禁が賊の一人と戦っていた。しかし、防戦一方でしかも運の悪いことに雨の降った後なため泥に足を滑らせてしまい尻餅をついてしまう。賊が槍で止めを刺そうとするも、後ろから楽進に槍の先端を掴まれたため攻撃できず逆に楽進に蹴りを入れられ賊は倒れた。

 

「沙和、大丈夫か?」

 

「も、もちろんなの!」

 

楽進が手を伸ばして言い、于禁はその手を取り立ち上ろうとした、その時だった

 

「隙ありだぜぇ!!」

 

茂みに隠れていた賊が楽進が于禁を起こそうとした瞬間を狙い襲ってきた。しかし・・・・

 

ダアァァーン!!

 

「ぐわっ!」

 

銃声が鳴り響き二人を襲おうとした賊は喉を撃ち抜かれ絶命した。するとそこへ九九式小銃を持った吹雪がやってきた。それを撃ったのは吹雪だったのだ。

 

「大丈夫か二人とも!」

 

「沖田さん。助かりました!」

 

するとそこへ夏侯淵がやってきて

 

「沖田、そろそろだ!」

 

「おう!楽進さん!」

 

「承知っ!」

 

「撤退だっ!急げ!」

 

吹雪の掛け声を合図に、みんなは村へと戻っていく。そしておとり部隊が走り去っていくのを、少し高い崖から見下ろす賊のリーダー。

 

「ふっ…どうやら連中、村まで逃げるみたいだな!不意をついたつもりだろうが、所詮は多勢に無勢。ようしっ!奴等を追ってそのまま村に攻め込むぞ!せめてあの村を頭の新たな拠点とするのだぁ!」

 

「し、しかし兄貴!連中橋を落としやした!」

 

「そんなこと気にすんじゃねえ!あそこは浅い川だ!すぐに突破できる。そのまま一気に押し渡って連中を皆殺しだぁ!!」

 

『『『おおぉー!!』』』

 

そう言い賊たちはまるで雪崩のごとく村に向かっう。するとまた雨が降り出し雷が鳴る。そして賊たちが堀を登りあがろうとすると入り口にいた吹雪たちが必死に叩き落すし、夏侯淵も弓で相手を射る。

 

「……そろそろ、いい頃合いですね」

 

高台から様子を窺っていた志乃は、手に持っている松明を掲げ、李典に合図を送る人に知らせる。そしてそれを見た見張りも人も同じく松明で李典に合図をする。

 

「おっ!?合図が来たな。ほなさっそく始めるか!」

 

合図を見た李典はダムの開閉装置を発動させた。しかし・・・・

 

「あれ?動かへん?」

 

李典は何度も装置のレバーを引くだがなぜかダムが開かない。

 

「どうなってるんや・・・・・あっ!?」

 

李典は装置のからくりを確認する。すると門を開閉させるための装置の要である紐が切れていたのだ

 

「くそっ!こないなときに!」

 

そう言い、李典は急いで壊れた装置を修理し始めるのだった。

 

「くッ、水はまだ来ないのか!?」

 

「もう矢が尽きそうなの~!」

 

弓を放ちながら夏侯淵はそう言い。于禁が矢が無くなりそうだと言う。となるとまずい。ここを守るのもそろそろ限界が来てる。李典さん。何かあったのか?すると・・・・

 

「きゃあっ!」

 

「っ!?」

 

急に夏侯淵と于禁の足元の岩が崩れ、二人とも堀の底に落ちてしまう

 

「沙和っ!」

 

「夏侯淵様!」

 

二人が落ちた堀の中には数百人いる賊が囲んでいた。夏侯淵は弓で対応しようとしたが・・・・

 

「(しまった!?今の衝撃で弓が折れている!)」

 

さっき落ちたせいで夏侯淵が持っている弓自体は大丈夫あのだが肝心の弓矢は軸が折れて使用不能になっていた。それを見たひとりの図体のでかい賊が襲い掛かろうとした。しかし・・・・

 

「はあぁぁー!!」

 

ドガァ!!

 

「ぐふっ!!」

 

間一髪のところ楽進が飛び蹴りを入れ、賊を倒す。しかし

 

「はっ!たった一人増えても同じだ!野郎どもこいつらなぶり殺しにしろ!!」

 

そう言い、賊たちは圧倒的な数で襲い掛かろうとした。

 

 

 

 

「ふ~やっと直ったで」

 

一方、李典はダムの開閉装置を何とか修理することができた。そして彼女はその開閉装置のレバーを引く。すると門が開き今までたまっていたものすごい量の水が流れ出す。

 

「あっ来ました!」

 

見張り塔から見ていた志乃は水が来たのを確認すると銅鑼を鳴らす。これは水か来るっという合図だ。銅鑼の音はあたり一面に響き渡り、それを聞いた楽進たちが急いで登ろうとするが

 

「逃がしゃしねえぜ!まずは貴様らからだっ!」

 

そう言って賊は三人に襲い掛かる。だがその時!

 

ダダダダダダダ!!!

 

何か布が裂けるようなすさまじい音が響いた。賊は胸や頭から血を吹き出しどんどん倒れる。

 

「な、なんだっ!?」

 

意気なる無数の賊が倒れたのといきなりの轟音に夏侯淵はびっくりして目を見開く。そしてその音のしたほうを見るとそこには

 

「だいじょうぶか!?今のうちに早く上がってください!」

 

そこには九九式小銃ではなく九九式軽機関銃を持った吹雪がいた。その九九式軽機関銃は陸王の側車についていたものだ。九九式軽機関銃は引き金を引けば30発連続で発射できる。つまり集団で襲い掛かる奴ら相手には有効だ。サブマシンガンじゃないのは残念だが贅沢は言えない。しかも弾薬は九九式小銃と同じ九九式普通実包で弾の互換性ができる。そう思い吹雪は急いでそれを持ってきて、夏侯淵たちを今にも襲おうとする賊に向かって撃ったのだ。彼女たちを襲う賊たちはハチの巣になり息絶える。賊は死屍累々と言わんばかりだった。

 

「早くしてください!水に巻き込まれます!」

 

「わ、わかった!感謝する沖田!」

 

そう言い、夏侯淵や楽進たちはのぼりだし吹雪は賊が追ってこないように援護射撃をする。こうして無事、堀から抜け出すことができた。そして夏侯淵は吹雪の持つ九九式軽機関銃を見ていた

 

「(さっきの棒みたいなのもそうだがあれが噂に聞いた雷鳴を轟かす武器か・・・・)」

 

 

 

 

 

 

一方、賊はなかなか堀に上れずいらだっていた

 

「くそ~!!」

 

「ん?あ、兄貴!あれ!?」

 

部下の男があるものを指さす。その先にはダムから流れた激流が津波のごとく押し寄せてきた

 

「なっ!まずいおい早く堀から出ろ!水流に巻き込まれるぞ!」

 

水の存在にようやく気づき、賊達は村の反対側へと撤退していく。そして半数が登りきった瞬間、残りの半数は逃げ遅れ激流に巻き込まれてしまったのだ。

 

「あ、兄貴・・・・どうしやすか?」

 

「どうもこうしたもねえ!水が引いたらまた攻撃だこっちは半数になったとはいえまだ数はこっちのほうが上だ!」

 

そう言い、賊と義勇軍は水が引くまでしばらく身構えていると・・・・

 

ゴーン!ゴーン!ゴーン!

 

どこからか大きな銅鑼の音が鳴り響いた。少なくとも志乃が鳴らしているのではない

 

「敵か・・・・それとも」

 

夏侯淵がそう言うと夏侯淵の部下がやってきた

 

「報告します。今こちらに向かっている軍勢の旗は『曹』と『夏候』・・・・・味方です!曹操様と夏侯惇様ですっ!」

 

どうやら夏侯淵さんの見方らしい。曹っと書かれているってことは曹操本隊が来たってわけか・・・・

 

 

 

 

 

その後、今まで気力を保っていた賊たちはさらなる援軍、しかも自分たちの倍ある軍団に完全に士気崩壊を起こし逃げて行った。

 

「やれやれ・・・・命拾いしたな」

 

俺はそう言うと楽進さんがやってきた

 

先ほどは助けていただきありがとうございました。」

 

「いや、いいよ。それより楽進さんに怪我がなくてよかった」

 

「私の真名は凪です。凪とお呼びください。」

 

「分かったよ凪、」

 

俺がそう言うと今度は夏侯淵さんがやってきた

 

「沖田・・・・」

 

「ん?何ですか?夏侯淵さん」

 

「お前のおかげで命拾いした。礼を言う」

 

そう言い夏侯淵さんは俺に頭を下げる

 

「頭を上げてくれ夏侯淵さん。俺は別に・・・」

 

「秋蘭だ」

 

「え?」

 

「私の真名だ。命を助けてくれた礼としてこの真名。受け取ってくれ。それとさん付けもいい」

 

「・・・・わかった。じゃあ、秋蘭。今回の戦いお疲れ様」

 

「ああ、沖田もな。さて私は華琳様と姉者を向かいに行く。沖田も一緒に来てくれ」

 

「ああ。わかった」

 

その後俺たちは援軍に来てくれた曹操軍に会いに行くのだった。その際に李典さんと于禁さんから真名を預かった。いいのかな?って思ったけど凪が許したのと戦の勝利の礼らしい。そして門の前には金髪の小さいツインドイルをした少女と赤い服を着た長髪の女性がいた。

 

「秋蘭、無事で何よりだわ。損害は……あまりないようだけど」

 

「はい。彼女たち3人と天の御使いのおかげで最小限にすみました」

 

「彼女らとは?」

 

曹操がそう言うと凪たち三人が前に出る

 

「あなたたちが秋蘭の言っていた義勇軍かしら?」

 

「はい。噂はかねがね聞き及んでおります曹操様。私は楽進。曹操様。一つよろしいでしょうか?」

 

凪が曹操に尋ねる

 

「なにかしら?」

 

「私たちをあなたの部下にさせてはもらえないでしょうか?」

 

「義勇軍が私の指揮下に入るということ?」

 

「はい。聞けば、曹操様もこの国の未来を憂いておられるとのこと。一臂の力ではありますが、その大業に是非とも我々の力もお加えいただきますよう・・・・・・」

 

「そちらの2人の意見は?」

 

「陳留の州牧様の話しはよう聞いとるし、そのお方が大陸を治めてくれるなら、今よりは平和になるっちゅうことやろ?うちもええよ。」

 

「凪ちゃんと真桜ちゃんが決めたなら私もそれでいいの~。」

 

三人がそう言うと曹操はしばらく考え込みそして秋蘭のほうへ顔を向ける

 

「秋蘭。彼女達の能力は・・・・・・?」

 

「は。一晩共に戦っておりましたが、皆鍛えればひとかどの将になる器かと」

 

「そう・・・・・・良いでしょう。三人の名は?」

 

「楽進と申します。真名は凪・・・・・・曹操様にこの命、お預けいたします!」

 

「李典や。真名の真桜で呼んでくれてええで。以後よろしゅう」

 

「于禁なのー。真名は沙和っていうの。よろしくお願いしますなのー♪」

 

「分かったわ。凪、真桜、沙和あなた達三人には期待しているわ。」

 

「はい!」

 

「まかしとき!」

 

「了解なの~!」

 

こうして凪たち三人は曹操の部下になる

 

「ところで秋蘭。あなたさっき、天の御使いって言っていたわね。その御使いは今どこに?」

 

「はっ・・・彼なら・・・おい沖田」

 

秋蘭がそう言うと

 

「ん?なんだ秋蘭?呼んだか?」

 

俺がそう言った瞬間、夏侯惇がいきなり襲い掛かかり、俺はその一撃をすらっと避ける

 

「おわっ!?なにするんだよ!」

 

「貴様!秋蘭の真名を言うとは!貴様!覚悟しろ!!」

 

と怒り心頭で俺に襲い掛かろうとする。すると秋蘭が夏侯惇を止める

 

「なっ!?どういうつもりだ秋蘭!?」

 

「落ち着け姉者。沖田とは真名を呼ぶことを許している」

 

「な、なんだと!こんな奴にか!?」

 

夏侯惇が驚く。そう言えば彼女、秋蘭が俺に真名を預けたこと知らないんだよな・・・・・まあ、そうなるだろうな・・・・そして秋蘭が姉である彼女に説明している最中、曹操が俺を見る。それにしてもこの人が後の魏の初代皇帝である曹操か・・・何というかそんな感じのオーラが感じられる。

 

「そう、秋蘭が真名を預けるとはね・・・あなた名は?」

 

「沖田、沖田吹雪だ。」

 

「そう・・・・あなたがあの枯草色の天の御遣いの沖田吹雪ね。それとあなたのそばにいるのは・・・」

 

「私は吹雪様の軍師を務めてます。司馬懿といいます」

 

「そう・・・・・で、沖田吹雪。あなたのことは陳留までとどいているわ。どう、董卓に仕えるのを止めて私に仕えないかしら?噂に聞く天の兵器にも興味あるし」

 

「悪い曹操さん。知っての通り仕える主はすでにいる。だから断らせてもらうよ。」

 

俺がそう言うと

 

「貴様!華琳様の誘いを断るとは!もう許せん!」

 

夏候惇が剣を引き抜き俺に襲いかかった。俺は身体を半身にしてそれを避けた。え?俺何か変な事言ったか?

 

ドガーン!

 

剣を振り下ろした場所を見るとクレーターができている。秋蘭が止めようとするが曹操に止められる。あの目からして怒っているわけではない。おそらく俺を試す気かもな?

 

「死ねぇ!」

 

「うお!危ねぇ!」

 

あわてて避ける当たったら即死だ。この人、本気で殺す気だな。

 

「避けるな!」

 

「避けるわ!当たったら死ぬだろうが!!」

 

「私は死なないから問題ない!!」

 

この人、無茶苦茶だ!仕方ない

俺は軍刀・・・菊一文字を抜く。

 

「はっ!そんな薄っぺらな剣で何ができる!!」

 

そう言い彼女は大剣を振り下ろし俺はそれを受け止める。

そしてすごい衝撃が体に響いた。体中ミシミシと骨の軋む音が聞こえる。

母さんや橘花や霞が稽古つけてくれなければ今頃死んでたな。

 

「ぐっ!!」

 

威力は母さんほどではないが、かなりきつい。だが受け止めることはできた。

 

「なっ!受け止めただと!!」

 

夏候惇は驚くまさか自分の一撃を受け止められるなんて思ってもみなかったのだ。

しかも・・・・

 

「刃こぼれ一つしていない・・・・」

 

そう、吹雪の刀は刃こぼれ一つしていないのだ。

 

「どぅりゃぁぁぁー!!」

 

吹雪が刀で押し切り夏候惇はいったん距離を置く

沖田は正眼の構えをし夏候惇も構えお互いににらみ合う。

すると吹雪はは刀を逆手に持っていきなり夏候惇に向けて投げつけた。

 

「くっ!貴様ッ窮したか!こんな技、他愛もない!!」

 

夏候惇は造作なく刀を弾き吹雪を罵り、造作なく刀を弾くが、その隙に吹雪は素手のまま走り夏候惇の首をガッシリと組み締めて地面に倒し伏せた。これは戦国時代に使われた『組手甲冑術』だ。

 

「なっ、ぐっ!?」

 

「はん、他愛ないな。」

 

そして吹雪は南部14年式拳銃の銃口を夏候惇の額につける。

 

「動くな・・・・・動くと額を打ちぬくぞ」

 

「そんなおもちゃで何ができるんだ!」

 

「なら試してみますか?」

 

「そこまでよ」

 

そう言い曹操は二人を止める

 

「・・・・まさか春蘭を倒す男がいたなんてね。それで沖田吹雪。あなたは本気で私に仕える気はないと?」

 

曹操がそう言いかけたとき後ろの茂みから一人誰か覗いていた・・・・

 

「(くそっ!あともう少しで村を占領できたのによ・・・)」

 

覗いたものの犯人は先ほどの賊のリーダーだった。

 

「(まあいい。ここで援軍に来た曹操を殺せば、お頭にもいい土産になるな・・・・・よしっ!)」

 

そう言いリーダーは勢いよく茂みから飛び出した

 

「曹操!!覚悟ぉ!!!」

 

「っ!?」

 

剣を振りかざし曹操を襲う。

いきなりの攻撃の為、曹操さんはおろか他の人たちも対応に遅れた。やばいっ!

 

「「華琳様っ!!」」

 

俺は南部十四年式拳銃を賊に向けて撃った。

 

パアァーン!!

 

心臓を撃たれて盗賊は曹操の手前に倒れた。

 

「大丈夫か?曹操さん」

 

「え、ええ・・・助かったわ」

 

「そうか・・・よかった。では話を戻すが、君には仕えられない。だが、もう盗賊に苦しめられる人をこれ以上見たくない。だからこいつらの大元である『笑う棺桶』を潰すまでの間客将という形で勘弁してくれないか?」

 

「『笑う棺桶』ですって?それは本当なのかしら?」

 

どうやら、笑う棺桶のことは曹操の耳にも入っていたみたいだな

 

「ああ、この村襲った賊とこいつの腕についてある印が何よりの証拠だ。だからその『笑う棺桶』を倒すまであんたに協力するよ曹操さん」

 

「そう・・・・まぁいいわ。それじゃあその間だけ私のもとで働きなさい。」

 

「すまない、恩に着る。」

 

こうして俺は覇道を目指した魏の王である曹操と出会い、しばらく客将として暮らすのであった。

 

 

 

 




ついに華琳と出会いました。月こと董卓も好きですが華琳の魏編なども私は好きです。

では次回をお楽しみに


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吹雪陳留に着く

俺は曹操さんに客将として陳留に連れてこられた。街の中を見るとそこはうちの天水と同じ明るい街だった。

 

「どう?御使いさん?この街を見て」

 

「吹雪でいいですよ曹操さん。そうですね。とても活気のある街だと思うよ」

 

「そう?漢王朝一住みやすい街天水の治安を守るあなたに言われると光栄だわ」

 

え?漢王朝一?どういうことだ?俺が不思議がっていると

 

「知らないんですか吹雪様。天水は「扉を開けたままでも眠れる」と言われるほど安全な街と言われているんですよ」

 

隣で志乃が言う。へ~そうだったんだ

 

「いや、別に俺だけの力じゃないよ。警邏隊のみんなや町の人が頑張ってくれたおかげだよ」

 

俺だけの力じゃできなかったからな。斗志や桜花や雪風が手伝ってくれたからだ。

あの3人今頃どうしてんのかな・・・・

 

その後俺たちは曹操さんの屋敷に入った。

 

 

「さて、吹雪。あなたには聞きたいことがあるわ」

 

「聞きたいこと?」

 

「とぼけないで秋蘭から聞いてるの。あの天の武器のことよ」

 

銃のことか・・・・仕方がない。

俺は肩に担いでいる九九式小銃を下し、安全装置をかけて曹操さんに渡す。曹操さんはおもしろそうに機関部をのぞいていた。

 

「それは銃って呼ばれる武器だよ」

 

「銃?」

 

「ええ、火薬を使って鉛の弾をものすごい速さで撃ちだし、相手を貫通させる武器だ。」

 

「へぇ、こんな風に?」

 

持っていた九九式小銃を俺に向けて、引き金に指を掛けた

 

「吹雪様!!」

 

「「華琳様いったい何を!!」」

 

志乃と秋蘭と春蘭が驚いた。因みに春蘭はあの攻防戦の時に真名を預け合っていた。まあ、彼女はしぶしぶだったが

 

「悪いけど、使い方は見させてもらったわ。」

 

そのまま指を引こうとする。俺は動かない

 

「・・・・避けないの?」

 

「殺気がない。それに曹操さんは絶対に引き金を引くことはできないからね。試しに引いてみたらどうだ?」

 

俺がそう言うと曹操さんは引き金を引くも・・・・

 

「・・・動かないわね。」

 

安全装置をかけているため引き金がロックされているのだ。

 

「それ自体だと何の意味もないよ。いわばそれは弩で言う本体だ。矢となるものがないと意味はない」

 

そう言い俺は九九式実包を1つ取り出し曹操さんに渡す。

 

「それがその銃の矢?」

 

「ああ、銃弾といってそいつは5発入れることができる。その一発だけでも、人を殺す力は十分にある。直で目にした曹操さんならわかるだろ。」

 

「ええ、それが銃と言う物なのね。...では次の質問、これは私の国で製造できるかしら。できたら教えてほしいんだけど」

 

「曹操さん。仮に製造方法を教えたとしてそれで何をするんだ?」

 

「決まってるわ、他国を侵略し、占領するのよ。」

 

俺は深いため息をついた。

 

「曹操さん。残念だけど今のあなたでは製造方法を教える気はないよ。俺の使う銃は身を守るためであって侵略をするために使われたくはない」

 

前にも詠に頼まれたことがあったが条件付きで製造方法を許した。一つは守りの為に使うこと。この条件は月が侵略行為はしないことは知っていたので問題なかった。もう一つは銃を使う人は俺の部隊のみという条件だった。これは他の連中が悪用しないためである。うちの部隊はそんなやましいことを考える奴はいない。いたら斗志が見つけていて懲罰房行になっているはずだ。

だけど今の曹操さんが重火器を保有すれば絶対に大量殺戮者になってしまう。この時代での銃はいわば核兵器と同じだ。

 

「そう、それは残念ね。それと吹雪さっきは銃を向けて悪かったわ。」

 

そう言い曹操さんは俺に九九式小銃を返したすると・・・・

 

「あんた何様のつもりよ!こっちは多くの兵と民を従えるお方なのよ!さっさとその武器の製造方法を教えなさい!!」

 

曹操さんのそばにいた猫耳フードを被った少女が怒鳴った。

 

「あ、あの・・・・曹操さん。この方は?」

 

「私の軍師で名は荀彧よ。それに桂花。別にいいのよ彼がそう決めたんだから 」

 

「しかし華琳様!」

 

その後なかなか引き下がらない荀彧さんを曹操さんが説得しこの話は終わった。

 

「さて、吹雪。今日は疲れたでしょ。仕事については明日頼むから今日は部屋でゆっくりと休みなさい。桂花。吹雪と司馬懿を部屋に案内しなさい」

 

因みに桂花とは荀彧さんの真名である。しかし・・・

 

「いくら華琳様の命令でも彼女はともかく汚い男を連れていくことなんてできませ… 」

 

「あなた!吹雪様を悪く言うと許しませんよ!!」

 

と志乃が怒って荀彧さんに迫る。頭についている狐耳もピーンと立っている。因みにあれはカチューシャなんだが感情の変化によって狐耳が塞ぎ込んだり、立ったり、たまにぴくっぴくっと動くことがある。時たま本当にカチューシャなのかと疑問に持つ。それにしても俺のことであんなに怒るもんなのかな・・・・そう言えば桜花の奴、俺のことを馬鹿にしたチンピラを見た時、思いっきり殴りかかってたな・・・・

 

「だって本当のことでしょ!」

 

「なんですって!!」

 

志乃と荀彧さんが睨み合いバチバチと火花が散る。

 

「志乃。落ち着いて俺は別に気にしていないから」

 

「しかし吹雪様!」

 

「志乃・・・・」

 

「わ、分かりました」

 

「桂花もやめなさい。それにあなた私の命令が聞けないって言うの?それに吹雪は私の客将よ失礼なことは許さないわ 」

 

その時、華琳のその小さな体のどこにあったのか分からない程の覇気が流れていた。

 

「失礼しました華琳様!案内します! 」

 

桂花の態度がさっきまでと変わった。 余程恐ろしかったのだろう。

 

「吹雪失礼したわね。桂花は男嫌いなのよ」

 

ああ・・なるほどそう言うわけか・・・

 

「別に気にしてませんよ曹操さん」

 

「華琳よ。」

 

「?」

 

「これからは私のことは華琳と呼びなさい。」

 

「いいのか?」

 

「いいわ。先ほどの銃を見せてくれた礼も兼ねているわ。」

 

「駄目ですよ華琳様!!華琳様が男なんかに真名を預けては真名が腐ってしまいます! 」

 

荀彧さんは猛反対する。その様子を見て・・・

 

「これは筋金入りの男嫌いだな志乃。」

 

「はい。私も噂には聞いていましたがまさかここまでとは・・・」

 

俺と志乃がこそこそ話していると

 

「桂花、いいから二人を部屋まで案内しなさい!」

 

「は、はい。早くついて来なさいよ!この全身精液男! 」

 

いくらなんでも酷い言われかただ。

 

「(吹雪様・・・・一度あの猫耳娘を懲らしめる必要があります。許可をください。私なら必ず・・・)」

 

「(落ち着けよ志乃。ここでもめ事起こすな。俺たち一様客人だぞ。少しは我慢しないと。それに俺は気にしてないから)」

 

「(・・・・わかりました)」

 

そうは言うも志乃は納得してないようだ。そう話してると一つの部屋に着いた

 

「ここが司馬懿殿の部屋です。精液男の部屋は隣よ」

 

「そうか。案内ありがとな荀彧さん」

 

「話しかけないでよ。私はただ華琳様の命令に従ったまでよ」

 

「それでもだ」

 

「ふんっ!」

 

そう言うと荀彧さんは向こうへと言ってしまった。

 

「さて、じゃあ志乃また明日。」

 

「はい。おやすみなさい吹雪様」

 

こうして俺たちは陳留での最初の1日を終える・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった・・・・

 

「・・・・眠れない・・・」

 

最初は眠れていたんだが急に目がさえてしまった。

 

「・・・・志乃は寝てるし・・・・「ぐるるる~」ん?なんの音だ?」

 

何か唸り声のような音が聞こえる。真夜中だから音がよく響く。

俺は部屋から出て音の鳴る方へと向かった。

 

「この部屋だな・・・・」

 

音のする方へ着くとそこには

 

『誰も開けるべからず』

 

と書かれていた。俺はノックをしたが返事がない。俺は部屋に入った。

 

「ぐるる~」

 

俺は音のする方へ見るとそこには・・・

 

「おなかすいたよ~」

 

そこには桃色の髪をツインテールみたいな髪型にまとめた少女がベットに倒れていた。

 

「どうしたんだ?」

 

俺がそう言うと、少女は顔をあげて涙目で言った。

 

「うん。おなかがすいて死にそうだよ・・・」

(グルルル~)

 

少女のおなかから音がする。さっきの音の正体はこれか。それにしても食べ物か・・・何かないかなってそうだ!俺は腰についている袋からあるものを取り出す。

 

「これ食べるか?」

 

俺はクッキーを取り出した。なぜクッキーなんかを持っているかというと。簡単に言えば非常食だ。そう言えばねねもクッキー大好きだったな。ねねも初めての買い物以来、前とは違い時々俺に甘えてくる様になったんだっけ。

クッキーを貰った許緒は一口かじる。すると…

 

「美味しい~」

 

どうやら気に入ってくれたみたいだ。彼女の名は許緒。華琳の親衛隊隊長なんだが、なんでこうなってるかというとどうやら、食糧庫の食糧をつまみ食いして華琳に叱られてごはん抜きにされたらしい。まあそれは許緒が悪いな。

 

「あれ?そういえば兄ちゃん誰?」

 

「ああ、そうだ自己紹介が遅れたね。俺は華琳の客将をしている。沖田吹雪っていうんだ」

 

「え!沖田吹雪って。兄ちゃんてあの2人の天の御使いの1人の?」

 

「うん。なんかそう言われている」

 

「兄ちゃんのことは知ってるよ。池田屋っていう宿屋で悪いことを企んでいた奴らをやっつけたんだよね」

 

「あれは俺だけの力じゃないよ。警邏隊のみんなが頑張ってくれたからな。許緒・・・・」

 

「兄ちゃん!これからはボクの真名の季衣って呼んでいいよ。よろしくね兄ちゃん♪ 」

 

すっかりなつかれてしまった。

 

「ああ、じゃあよろしくな季衣。」

 

「うんよろしくね兄ちゃん♪」

 

その後俺は軽く季衣と話をし、そして自分の部屋に戻った。

明日から忙しくなるぞ。

 

 




感想お待ちしております。


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新陳留警邏隊

更新です


あれから数日。俺は華琳の部屋に向かっていた。基本的に俺は客将なのでやることと言ったら新兵の訓練の手伝いとか街の見回りとかいろいろだ。そして今朝、俺は華琳に部屋まで来るよう言われた。なんでも治安維持強化のため警邏隊を設立させるらしい。そこで天水警邏隊の隊長である俺の参考意見が聞きたいっというのだ。そして俺は華琳の部屋の前につきノックをする

 

「入りなさい」

 

華琳の声が聞こえ俺は部屋に入る

 

「華琳呼んだか?もしかして警邏隊についてのことだろ?」

 

俺がそいう言うと華琳は頷き、そして一つの竹簡を出す。それは陳留警邏隊の今の現状について記されたものだった。

 

「ええ、天水の警邏隊の隊長であるあなたの参考意見が聴きたいわ」

 

俺はその書に目を通す。そして街を見て回って思ったことを言うのだった

 

「街を見て思ったんだが、地区によっては場所が遠すぎて騒ぎが起こった時にすぐ駆けつけられない。これは天水警邏隊でも使ってるんだが、各地区に一定の間隔に詰所を置いて兵を常駐させてはどうだろう。」

 

俺は天水でも採用されている警邏の内容を華琳に説明した。

 

「・・・いい考えではあるわね。でもいいのこんなこと教えて?」

 

「別に問題ないよ。この案で街の治安が良くなって民が安心して暮らせるならね」

 

「分かったわ吹雪。あなたの意見を採用しましょう。この案、あなたを中心に動いてちょうだい。」

 

「いいのか?俺は客将だぞ?責任者ということは事実上警備隊の隊長だ。いずれいなくなる俺では都合が悪いだろ?」

 

「素人にやらせるより経験のある、あなたを中心に動いた方が早いわ。後任はあなたがいなくなる前に適任者を見つけておきなさい。」

 

まさか、ここでも警邏隊をやるとわな・・・・その後俺は各地ほうぼう回って根回した。商人の人たちは快く了承してくれた。そして街の人や華琳の協力のおかげで新たに再編成された警邏隊が設立された。因みに警邏隊隊士の4割が女性だった。まあ、天水警邏隊の隊士も大体5~6割が女性隊士だったので、さほど気にしなかった。

隊長は現在は俺。小隊長に義勇軍の凪、真桜、沙和を任命した。顔なじみなところもあるが他には街の人に顔を覚えてもらう意味合いもある。そして今4人と街の警邏に来てるのだが・・・・・

 

「あー!新しい阿蘇阿蘇が出てるー!」

 

「これは発売中止になった超絶からくり夏候惇やないか!」

 

沙和は最近流行りのファッション雑誌を読み真桜は何だか知らないけど超合金シリーズに出てきそうな人形を見てなんか店の人と交渉をしたりと勝手なことをしている。もし斗志が見たら今頃雷が落ちてるな。

斗志は優しそうに見えて結構厳しいところがあり部下や同僚から「鬼の副長」なんて呼ばれている。

 

「おまえら仕事中だぞ・・・・」

 

二人と違い、凪は真面目に仕事をしてるんだけど・・・・・

 

「・・・・・不審者、不審者。」

 

凪・・・・真面目すぎだ。別にそれはいいことなのだが顔が怖い。それだと凪が不審者に見える。

 

「凪落ち着け。それだとお前が不審者みたいだぞ。ほら、もう少し肩の力を抜け。」

 

「は、はい・・・・すみません」

 

「まあ今日は警邏隊初の見回りだ。緊張するのもわかる」

 

「あの・・・隊長・・・」

 

「ん?なんだ凪?」

 

「隊長は本来、天水の警邏隊に所属しているんですよね」

 

「ああ、そうだよ」

 

「・・・・私達も天水の先輩たちのようになれるんでしょうか?」

 

彼女は心配そうにそう言う。

 

「それはわからない。どうなるかは凪たち次第だよ。俺はただ助言するだけ」

 

「そうですか・・・・」

 

「でも凪たちならこの街をよくすることができるよ。だから心配するな。じゃあ警邏の続きをするか凪」

 

「はい!」

 

凪は笑顔で答えた。だがそんなことをよそに沙和と真桜の二人は・・・・・

 

「やったなの~!今日の恋愛運は最高なの~!あっ!その杏仁豆腐くださいなの♪」

 

「おっちゃん!それはぼりすぎやで!もうちょいまけてーな。」

 

と二人は仕事をせず、遊んでいた。こいつら・・・・・あとで減俸だな。ったく仕方がない・・・・

 

「おい、おまえら、子供の街見学じゃないぞ。ちっとはサボってないでそろそろ・・・・・」

 

と、俺が言いかけた時だった。

 

「待てぇーい!」

 

声の方向を見ると凪が1人の男を追いかけていた。近くの店の店主に事情を聞くとあの男が盗みを働いたらしい。俺は凪の元へ向かった。

 

「凪、そいつを逃がすな!」

 

「はい!」

 

凪が後ろを追いかけるが男もなかなかすばしっこく、凪も苦労している。まるであのコソ泥、鼠小僧みたいにすばしっこいやつだな・・・・・俺がそう思っている中、犯人を追いかけている凪ががだんだん焦れてきている。

 

「ええいっ、まどろっこしい!」

 

と、走る凪の背中に赤い炎がめらめらと燃え出す。するとその炎はやがて 凪の脚に集まり何か少年漫画に出てきそうな氣の塊みたいなものが集まってきている。まさか・・・・・俺は前に凪はドラゴンボールみたいに氣を使って相手を攻撃することができるって言ってたのを思い出した。となると非常にまずい!

 

 

「やめろ!凪!街の中心で氣を撃つな!街を更地にさせる気か!!」

 

俺はそう言うが凪には聞こえていない。俺はすぐにあたりにいた警邏隊の奴らに市民を避難させるように指示した。

 

「はぁぁぁ!!」

 

そして凪は脚にためた氣を盗人に向けて発射した。

そして・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ございません。隊長・・・・」

 

「いいよ。気にするな凪。これも仕事だ」

 

無事盗人は逮捕できたが案の定、街は大破。今俺たち警邏隊は街の修理をしている。

 

「隊長。これは私の失態です。ですから隊長は・・・・」

 

凪はしょぼくれてそう言う

 

「凪そうはいかないよ。部下の失態は指揮官の責任。連帯責任だよ」

 

そう、軍隊や警邏隊の場合、1人の失敗は自分で取るか全員で取るものだ。

 

「隊長…すみません警邏初日でこんな失敗をしてしまって・・・」

 

「・・・・確かに凪は失敗した。・・・・でも失敗しない人間なんていない。その失敗で人は成長する。ほらよくいうだろ?「失敗は成功の元」って凪もその失敗を教訓として次はがんばれ」

 

「はい・・・ありがとうございます隊長」

 

どうやら元気を取り戻したようだな。よかった・・・

 

 

 

 

 

 

その夜。俺は警邏隊の報告書をまとめた。

 

「結構多いな。」

 

俺は自室に戻ると、書簡の多さに少し憂鬱になった。

 

「まあ、今日はいろんなことがあったが、まだまだこれからだな。さぁーてまだ頑張りますか・・・・・・ゴホッゴホッ!」

 

急に咳が出た。なんでだ?風邪なんて引いてないのに・・・・それに少し肺が痛い・・・しばらくして咳も痛みもなくなった。

 

「これは少し頑張りすぎかな・・・」

 

そう思って俺は報告書をまとめ終わったとき・・・

 

コンコン

 

ドアからノックの音が聞こえる

 

「吹雪?いる」

 

そこには聞き覚えの声が・・・・

 

「華琳か?開いてるぞ」

 

ドアが開いた。やっぱり華琳だったか

 

「どう報告書の方終わってる?」

 

「ああ、ほらこの通り」

 

俺は華琳に警邏の報告書を渡す。

 

「ふ~ん。ちゃんとできているようね。で吹雪ここにはなれたかしら?」

 

「ああ、最初は大変だったけどな」

 

「そう、でもあんまり無理しないようにね。明日もあるんでしょ?」

 

「ああ。ありがとうな華琳心配してくれて」

 

「な‥///別にあなたのことを心配しているわけじゃないんだからね。それじゃあおやすみなさい」

 

ん?顔が赤いな。まぁいいか

 

「ああ。おやすみ華琳」

 

そういって華琳は部屋から出て行った。

 

「さて今日の仕事も終わったし。寝るか」

 

そう言い俺は明かりを消しベットで横になり寝た。しかしさっきの咳はいったい何だったのだろうか・・・・風邪でもないし‥‥それに肺もなんだか締め付けられるような痛みだった。まあ深いことを考えるのはやめよう。また明日もあるんだから

そう思い吹雪は深い眠りについた。しかし、この時、吹雪はまだ知らなかった自分の体に異変が起きていたということを・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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外史の使者

ここに来てから1週間過ぎた。

 

「兄ちゃんこっちこっち!こっちに美味しい店があるんだよ!」

 

「おい、季衣そんなに引っ張るなよ店は逃げないよ」

 

俺は季衣に引っ張られている。今日は俺は非番だ。そのことを聞いた季衣は一緒にお昼を食べようようと言い俺は今季衣と一緒に街を歩いている。

咳はあの時以来1度もない。最初咳をした時まさか結核かと思ったが冷静に考えてそれはないと思った。なぜなら俺は赤ん坊の頃抗結核ワクチンを注射されている。ほら腕についているあの点々の跡のことだ。かといって癌とかの症状でもない。本当に謎だ。

歩いてるとどうやら季衣の言っていた店に着いたようだ。

 

「あ、兄ちゃんここだよ。僕の言ってた店は」

 

季衣が言う店は路地の狭い場所にある小さな店だった

 

「兄ちゃん入ろ」

 

「え、あゝうん」

 

俺は季衣に言われるがまま店に入った。すると・・・・

 

「あ、吹雪様。季衣。」

 

志乃がいた。

 

「あれぇ?志乃ちゃんなんでここにいるの?」

 

「なぜって・・・・・私は昼はいつもここって決めているんです」

 

どうやらここは志乃のお気に入りの店なようだ。俺たちは志乃と同じ席に座った。もちろん志乃の許可を取って。

 

「で、吹雪様たちもですか・・・ここの料理は絶品なんですよ」

 

「志乃ちゃんの言うとおりだよ兄ちゃん。ここの出す料理って絶品なんだよ!」

 

へ~そんなにうまいのか・・・すると店の奥から亭主が出てくる

 

「お~嬢ちゃんたちまた来たのか!いつもありがとな!で注文はいつもの奴かい?」

 

「はい。」

 

「うん♪」

 

「で、そっちの兄ちゃんは何にするんだ?」

 

「そうだな・・・・じゃあ、拉麺で麵大盛りで」

 

「あいよ!」

 

そういうと店主は厨房に戻り料理を作り始めた。

 

「そう言えば吹雪様。例の賊団のことですが・・・」

 

志乃が小声で話す

 

「ん?例の黄巾党のことか?」

 

「いいえ。この頃黄巾党の活動はとてもおとなしいです。黄巾党とは別の・・・」

 

「・・・・・『笑う棺桶』のことか・・・・」

 

『笑う棺桶』とは盗賊集団の一つで黄巾党とは違い一応少人数だがとても危険な集団だ。

黄巾党の連中は大抵、盗みとか国を変えようとかそう言う考えの連中だ。しかし奴らは違う。奴らはただ殺しを楽しむ快楽殺人集団だ。俺も天水にいた時、奴らに一員と交戦したことがあるが、連中の大半は他の盗賊と違い殺人者や凶悪犯や元兵士などいろいろと手ごわい。

 

「はい、近々華琳さまはそいつらを討伐する予定です」

 

「…アジトが見つかったのか志乃」

 

「いえ、まだ探索中です。」

 

「そうか・・・・」

 

「ん?兄ちゃん。志乃ちゃん。なんお話をしてるの?」

 

「ん?あ、悪い悪い。ちょっと警邏の仕事の話をな」

 

「そうなんだ~」

 

すると・・・

 

「はいお待ちね」

 

すると亭主が料理を持ってくる。へ~志乃はチャーハンと餃子か・・・・・って!季衣のそれは何?

 

「あの…季衣それは・・・」

 

「ん?これ?炒飯大盛二つと、麻婆豆腐と麻婆茄子、」

 

「いや…それはわかるんだけど多すぎない?」

 

「大丈夫だよ兄ちゃん。金はあるから」

 

「そういう問題じゃないけど…いや、それも確かに問題だけど」

 

その後、季衣はそこにある料理をフードファイターも真っ青になるくらいあっという間に食べた。それでもまたお代わりをする季衣の姿に志乃も俺も驚いた。どんな胃袋をしてるんだ季衣は。そう思いながら俺は拉麺をすする。うん季衣の言うとうり美味いな。スープはあっさりして深みがあり、麺も弾力がありスープと相性がいい。俺たち3人はその後食事を楽しみ、食後は街へと買い物に出かけた。因みに季衣は口直しがしたいからって団子屋に行ってしまった。まだ食べるのかよ季衣・・・・・

季衣と別れて俺と志乃は街の市場に着いた。

 

「結構にぎわってますね」

 

「そうだな志乃。あ、この髪飾りなんてどうだ?志乃に似合いそうだけど」

 

俺が手にしたのは菊の形をした髪飾りであった。

 

「そ、そんな・・・・私なんて・・・・」

 

「いいからつけてみろよ。志乃なら絶対に似合うよ」

 

「はい分かりました。」

 

そう言い志乃は髪飾りをつけてみる。

 

「あ、あの・・・・・どうでしょうか」

 

「うん!とっても似合ってるよ。気に入った?」

 

「はい」

 

「そうか・・・・よしっ!おじさんこれくれ」

 

「あいよ」

 

俺は髪飾りの代金を払い志乃にプレゼントした。

 

「ありがとうございます吹雪様。これ大切にしますね♪」

 

頬を赤く染め志乃は嬉しそうに言う。よかった気に入ってくれたみたいだ。

 

「あ、そう言えば私、ま、まだ書いている途中の書がありました。吹雪様。申し分けございませんが、私はここで」

 

「ああ、別に構わないよ。志乃も仕事頑張ってね」

 

「はい。それと髪飾りありがとうございました」

 

そう言い志乃は屋敷の方へと走った。さて・・・・どうするか。

 

「おい、そこの若いの・・・・」

 

声の方へと顔を向けるとそこにはフードを被った少女がいた。

 

「若いのって・・・・お前の方が俺より年下じゃん・・・しかも俺より小さいし」

 

「わしの気にしていることを言うな粛清するぞ!それにな。これでもお前よりは年上じゃ」

 

え?嘘マジで・・・・どう見たって小学生ぐらいにしか見えんぞ

 

「身体の神秘ってやつかな?で、あんたは占い師かなんかか?」

 

「まあ、そうゆうみたいなもんじゃな」

 

「・・・で、占い師のお姉さん。俺になんか用か?」

 

俺は警戒しながら訊く

 

「ふふ・・・・そう警戒するな。呂布奉先の息子、沖田吹雪よ・・・・」

 

「っ!?なぜおれの名や親の名を知っている。お前・・・いったい何者だ」

 

「ここではなんだ。あっちで話そう」

 

俺が少女に連れてこられたのは人気のない薄暗い小道だった。

 

「さて・・・・まずお前はわしが何者だという質問に答えよう。わしはなお前を外史に送り込んだ管理者の一人だ」

 

「外史?なんだよ外史って」

 

「ふむ・・・外史とはおぬしの世界で簡単に言うとパラレルワールドのようなものでな・・・・・」

 

その後、俺は少女から外史について説明を聞いた。だがたとえパラレルワールドの呂布でも母さんは母さんだ。

 

「・・・・で、なんで俺を送り込んだ。ただ母さんと再会させるために送り込んだわけじゃないだろ?それとも俺がここに来るように、母さんをわざと俺の世界に転移させたのか・・・えーと」

 

「そう言えばまだ名乗ってなかったな。わしの名は呂 洞賓という。お前の母についてはあれは事故だ。左慈 の馬鹿が誤って外史に異次元ワームホール発生装置のスイッチを押してしまってな。それでもとに世界に戻すまで時間がかかってしまったというわけじゃ。まあそれはさておきお前をここに呼んだのは他でもない。ある運命を変えてほしいのじゃ」

 

「運命?俺が?」

 

「そうじゃ。お前にしかできん事じゃ。しかし・・・」

 

「しかし?」

 

「しかし。その分、体にも大きな負担がかかる。だから、あまり大局には逆らうな、待ち受けるのは身の破滅……」

 

「そうか・・・わかった」

 

「わしが言いたいのはこれだけじゃ。くれぐれも気を付けることじゃ」

 

「ありがとな。それじゃあな」

 

そう言って立ち去ろうとするが・・・

 

「待て・・・一つ言い忘れたことがある」

 

「言い忘れたこと?」

 

「そうじゃ、お前の持つ九九式小銃や軽機関銃、拳銃は一応弾は無限にしているだがあまり使いすぎるなよ。」

 

「分かってる。俺が銃を使うのは侵略の為じゃない。護るために使うっていうのが俺のきまりだ。」

 

「そうか・・・それを聞いて安心した。しかし沖田すまぬのう。こんなことになってしまって」

 

「大丈夫だよ。おかげで母さんにも会えたしな。そんじゃな」

 

そう言い俺はその場を後にした。

 

「あの二人を救ってあげなさい。あなたなら出来る」

 

と少女はフードを下げてそう言い姿を消した。

 

 

「外史ね・・・・ま、どんな世界だろうが俺は俺のやり方でやるしかないな。」

 

そう呟き俺は華琳の屋敷に向かった。むろんお土産も買ってな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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森での探索

ダァーン  ダァーン ダァーン

 

俺は朝、屋敷の外れで九九式小銃の射撃の練習をしている。もちろん外れだから人はいない。

 

「10発中、7発命中か・・・・まだまだだな・・・さて帰るか」

 

俺は片づけをし、その場を後にする。すると・・・

 

「うわぁ!」

 

俺は穴に落ちた。と言っても俺の腰くらいの深さだからなんてことはなかったけど。

 

「なんでこんなところに穴があるんだよ。まったく俺が落ちたからまだ良かったけど・・・他の誰かが落ちたらどうすんだよ」

 

そう愚痴りながら俺は穴から出た。それにしてもこの穴自然にできた形じゃないな。誰かが掘った跡がある。誰なんだろうこんな落とし穴掘った人は・・・

 

「ま、とりあえず、穴を埋めるか。このままだとまた誰か落ちるしな」

 

そう言い俺はひとまずその穴を埋めてその場を後にした。

吹雪がその場を去ってしばらくすると茂みから誰かが出てきた。

 

「まったく、なんで穴を埋めるのよ。私が掘るのどんだけ大変だと思ってるのよ!」

 

そう、落とし穴の犯人は荀彧こと桂花だった。

 

「まったく・・・だから男なんて嫌いなのよ・・・・でもアイツのことはあまり拒絶しなかった。何で?」

 

そう荀彧は男嫌いで男が近づくと拒絶反応が出てしまうのだが、吹雪に関してはなぜか拒絶反応が出ないのだ。

 

「男なんて・・・・そうよ何考えているのよ私は。男なんて信用できない生き物なのよ」

 

そう自分に言い聞かせる荀彧だった。

 

 

翌日、俺は桂花や護衛の部隊と一緒に森の中を歩いていた。なぜそうなったかっというと俺が穴に落ちてから数時間後、急に華琳に呼ばれて桂花と調査に行ってほしいといわれた。内容は桂花にしかわからず、当の華琳は『桂花から聞きなさい』っと言って理由言わなかったし、だから俺はその目的も何をしに行くかはわからない。ちなみに志乃は文官たちの手伝いのためここには来ていない。

 

「遠足~遠足~」

 

「楽しい遠足やで~」

 

「遠足じゃない真桜、沙和。桂花様と隊長の護衛だ」

 

因みにその護衛部隊というのは凪、真桜、沙和の三人だ。

 

「なぁ、桂花ぁ。そろそろ教えてーな。今回ウチ等は何するんよ?」

 

さすがに真桜も耐えられないのか桂花に任務の内容を訊く。ちなみに彼女は凪たちに真名を呼ぶことを許しているがいまだに俺には許していない。

 

「そうね。そろそろ話してあげようかしら」

 

「おお、やっとかいな・・・・で任務はなんや?もしかして要人の調略かいな?」

 

「真桜、たぶんそれは違うと思うぞ」

 

「え?どういうことですか隊長?」

 

「もしも、要人調略なら、華琳自ら行くはずだ。大方、何かの調査だろ?」

 

「あら、あなたにしては鋭いじゃない。そうよ今回の任務は……最近怪しい人影を頻繁に目撃するという報告があった森の調査よ。アナタ達には実際の調査と、もし怪しい人影を発見した時の対処をしてもらうわ」

 

「なんや、そうゆう話やったんか。それならそうと早う言うてくれればええのに」

 

「街中で、おいそれと作戦行動を漏らす馬鹿はいないわよ」

 

「怪しい人影っといいますと黄巾党か笑う棺桶の間諜ですか?」

 

「あのね・・・・それがわかったら調査しないわよ。わからないから調査するのよ」

 

なるほどつまり俺たちはその調査で何かあった時の護衛ってわけだな。ちなみに今の俺の武装はいつもの九九式小銃と南部十四年式拳銃と軍刀だ。ちなみに頭には軍帽の上にテッパチ(九八式鉄帽)を被っている。

 

「それにしても華琳の奴それならそうと説明してくれればええのに」

 

「当然よ。華琳さま忙しいんだから。男か女かわからない奴の会話なんて、最小限に留めるべきなのよ」

 

「男か女かわからない奴って・・・・・・」

 

そう言い三人が吹雪の顔を見る

 

「ん?なんで俺の顔を見るんだ?」

 

「いやだって男はこの中に一人しかおらんし」

 

「女の子っぽい顔つきの男性は隊長だけなの~」

 

「お、お前ら~」

 

まあ、確かに俺は顔は母さん似だよ。俺と母さんは顔こそは同じなのだが髪の色とアホ毛の有無で見分けがつく。てか男女っか…中学でそんなこと言われて無理やり女装させられたっけなそれで仲間がどんどんエスカレートしてきて・・・・・これ以上は思い出したくない。それ思い出すとなんか鬱になってしまう俺・・・

 

「・・・・・ま、まあ、俺が女顔なのはとにかくその怪しい人影を探さないとな」

 

「隊長、女顔のところは否定しないのですね」

 

「実際にそうだしな。それにこの顔は母親似だ。俺としては誇りに思っているし、さほど気にしてないよ」

 

「そ、そうですか・・・・」

 

その後、俺たちは森の中を歩いていく。するとそこで桂花が立ち止まった

 

「さてと、問題の場所はこの辺りのはずよ・・・・・・」

 

と桂花はそう言う見渡すとあたり一面獣道。目印なんかなく今にも遭難しそうな場所だった。

 

「さて、さっそく怪しい人影を探すでー!」

 

「おーなの!」

 

「気合いを入れていきましょう」

 

「おいいおい、凪はともかく、二人とも遠足じゃないんだからもう少しシャキッとしてくれ敵が潜んでいる可能性があるしな」

 

そう言いながら俺は九九式小銃のボルトを動かし7・7ミリ弾を5発装填する。

 

「は~いなの!」

 

「頼むな・・・・・それにしても広い森だ。これは集団で探すより班に分かれていったほうがいいかもな」

 

「そやな~で、隊長どう分ける?」

 

「そうだな。不測の事態に備え荀彧のそばには俺と凪。残り二人は沙和と真桜で、どうだ?」

 

「うちは別にいいで」

 

「任せてください。隊長と桂花様は私がお守りします」

 

そんなこんなで俺たちは二組に分かれて調査することになった。沙和はわかれる寸前、木の根っこにつまずいたけどあの二人で大丈夫かな・・・

 

 

 

「それにしてもどう思う荀彧?」

 

「何が?」

 

「例の不審者のことだよ」

 

俺と凪は周囲を警戒しながら荀彧とともに歩く。そして俺は荀彧に話しかけた

 

「そうね、正直言ってわからないわ。ここには特産物があるわけじゃないし軍隊が通るにしても不便すぎるわ・・・」

 

「確かにな。それに敵の斥候だとしても何度も発見されるようなへまはしないはず。だとすると別のなにかだな。凪はどう思うんだ?」

 

「私にも皆目見当が出ません」

 

「そうか・・・・・」

 

その後俺たちはしばらく森を歩く。すると荀彧がソワソワした表情を見せる

 

「ん?荀彧どかしたのか?」

 

俺がそう話しかけるも彼女はきょろきょろと周りを見るばかりでこちらに気付いていない調査にして集中しているようには見えない。

 

「おい、荀彧?」

 

「ひゃあぁぁっ!?な、なんだ…脅かさないでよ」

 

「随分と大げさだな・・・・さっきから呼んだのに返事しないから心配してたんだよ?」

 

「あ、あんたに心配される覚えはないわよ!」

 

と彼女は何やら慌てて言う。なんだか落ち着きがない。本当にどうしたんだ?

 

「まあ、いいか。それじゃあもう少し先に行くか・・・」

 

俺がそう言い先に進もうとすると

 

「あ、ちょっと・・・・」

 

「ん?」

 

「いや、なんでもないわよ」

 

 

と荀彧はそう言うがどうも落ち着きがなくそわそわしている・・・・・あ~なるほど

 

「凪。」

 

「はい」

 

「結構距離歩いたし、ここらへんで小休止でも取るか?まだ先は長そうだしな」

 

「そうですね隊長」

 

そう言い凪と俺はそばにあった切り株に腰を掛ける。すると荀彧がどこかに行こうとする。まあ何の目的かはわかるんだけどな。凪もそれにわかっているらしく黙っていた。

 

「青空が奇麗だな凪・・・・」

 

「そうですね。とてものどかな感じがします」

 

俺と凪はとてもきれいに澄んだ青空を見上げていた。すると・・・・

 

カサッカサッ

 

「ん?」

 

急に草むらからなにか音がする。荀彧なわけないし・・・すると

 

にゅる

 

「っ!?」

 

草むらから現れたのは蛇、青大将だった。それを見た凪は固まってしまった。

 

「へ、蛇・・・」

 

凪は完全に顔を青くし俺にしがみつく。どうやら蛇が怖いらしい。

 

「凪大丈夫だ。ここは俺に任せておけ」

 

そう言って立ち上がり俺は青大将をつかむ。青大将はいたっておとなしくかみつく様子はなかった

 

「すまないが他を散歩してくれ」

 

俺は蛇にそう言って森の奥へと捨てに行った。そして俺は凪のところに戻る

 

「凪、大丈夫か?立てるか?」

 

そう言い俺は凪に手を差し伸べるすると凪はその手を取っりゆっくりと立ち上がろうとするが腰が抜けているのかなかなか立ち上がれない。そして凪はやっと立ち上がることができた

 

「は、はい・・・・隊長ありがとうございます。実は…私蛇が苦手で・・・・」

 

「まあ、苦手なものは誰でもあるからな・・・・・・ん?」

 

「どうしたんですか隊長?」

 

俺はあるものに気付く。それは一本の木だ。その木はひどい傷跡がついていた。

この後は・・・・

 

「隊長・・・・これは」

 

「・・・・熊だな。しかもでかい」

 

爪の大きさからして立った大きさは3メートルクラスだろう。となるとの最近目撃されていた怪しい人影の正体はこの爪痕の主だろう。こんぐらいの大きさの巨熊なら遠目で見れば人に見えなくもない。しかもこの爪痕はまだ新しい。ということはこの近くにいる・・・・・としたら!!

 

「きゃあぁぁぁー!!」

 

遠くから悲鳴が聞こえる。もしかして!

 

「荀彧!!」

 

「あっ!隊長!」

 

俺は九九式小銃を持って荀彧が言った方向へと向かった。

 

 

「ああぁ・・・・・」

 

私はとある所用で二人から離れそれが終わったらそこへ戻ろうとしたしかし、その途中で巨大な熊に出会ってしまった。あの大きさからして華林様が言っていた怪しい影はおそらくこの熊だ。熊は唸り声を出しながら私の方へと向かってくる。逃げようにも腰が抜けて動けない。

こんな事なら我慢すればよかった。そう思ってるうちに熊は腕を振り下ろす。

私は覚悟して目をつぶるが・・・・

 

ダアァーン!!

 

ものすごい音が響き私は気を失った・・・・

 

 

 

 

俺は荀彧の向かった方へと進むとそこには3メートルクラスの巨大熊が今にも荀彧に襲い掛かろうとしていた。なんだよあの大きさまれで某犬漫画に出てくるあの巨大熊みたいじゃねえかよ。

まずい!俺はすかさず九九式小銃を熊に向けて撃った

 

ダアァーン!!

 

7・7ミリ弾は熊の腰に命中した。俺は荀彧を見ると気絶してるのか倒れている。すると熊は俺の方を向き一気に襲い掛かり右腕を振り下ろす。俺はすかさず避けるが・・・

 

「うぐっ!」

 

避ける際、熊の鉤爪が俺の背中にかすり背中を切ってしまった。激しい痛みが襲うがそんなことは気にせず俺はボルトを動かし再装填して熊の眉間めがけて撃つ

 

ダアァーン!!

 

弾丸は見事眉間に命中し熊は倒れる。しかしまだ意識があり俺は熊にとどめの一発を放ちとどめを刺した。熊は動かない。今度こそ絶命したようだ。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・」

 

俺は息切れをし銃を杖代わりに立っていた。背中の傷がじわりじわりと痛みだす。すると・・・

 

「隊長!今の音は・・・た、隊長!!」

 

銃声を聞きつけ凪がやってきた。

 

「隊長!大丈夫ですか!?」

 

俺の背中の傷を見て凪は俺に駆け寄る

 

「俺は・・・・大丈夫だ。それよりも…荀彧を・・・・頼む」

 

「隊長っ!?」

 

そして俺は傷の痛みを感じながら気がだんだん遠のいて倒れるのだった。

 

 

 

 

それから数時間後、目が覚めたら森の中ではなく、屋敷の部屋の中にいた。その後、華琳からの話ではなんでも、凪たちが傷だらけの俺を背負って運んできてくれたらしい。荀彧はっというと気絶していただけだったので幸い怪我とかはなかったらしい本当によかった。まあ、その後は傷薬を塗ってくれた志乃に滅茶苦茶怒られた。『もっと自分の身体を大切にしてください!!』っとね。志乃って怒ると怖いんだな・・・

 

「は~暇だな・・・・」

 

俺は今部屋のベットで横になっていた。俺って小さいころから傷治りが早い体質だからもう傷も癒えて大丈夫なんだけど華琳が『あんな数時間で回復するわけないでしょ。念のため今日1日は安静にしなさい』って言われて今部屋の中でゆっくりしている。さっきまでは季衣や凪たちが見舞いに来てたけど今は真夜中で誰もいない。俺はただじっと寝ころんでいた。すると・・・・・

 

こんこん

 

ノックの音が聞こえる。こんな時間に誰かな?

 

「開いてるよ」

 

俺がそう言うとドアが開き一人入ってきたその人物は荀彧だった。

 

「荀彧?」

 

俺がそう言うと

 

「怪我・・・・・もう大丈夫なの?」

 

「え?」

 

「だから、私を熊から助けたときの傷よ!もう平気なの?」

 

と、少し心配そうに言う彼女

 

「え?ああ、大した傷じゃないから大丈夫だよ。それに人の命には変えられないしな」

 

俺がそう言うと荀彧は少し顔を赤らめる。あれ?なんで顔赤いんだ?

 

「あ、ありがと・・。」

 

「ん?」

 

「何でもないわよ!」

 

と彼女は顔をさらに赤くしそう叫ぶ。

 

「あ、あの…荀彧?」

 

「桂花よ。」

 

「?」

 

「私の真名、桂花よ。」

 

「呼んでいいのか?」

 

「か、勘違いしないで!あくまで命を助けてくれた礼よ!だからあまり気安く呼ばないでよ!要件はそれだけだから。じゃあお大事に!」

 

そう言って荀彧・・・桂花は部屋から出て行った。

 

「なんだったんだろ・・・・・」

 

俺はただ首をかしげるのだった。

 

 

一方桂花は・・・・

 

「何よ・・・・・男なんて」

 

なんで私はあの男のことを心配してるのよ。確かに私を助けてくれた上に怪我をしたことは少し罪悪感がある。でも、男なんて性欲の塊で下衆で馬鹿で下品だと今まで思っていた。だけど・・・・

 

「あいつは違うのかな・・・・・」

 

顔が女寄りってこともあるけど私の場合男といるとひどい寒気がすることがあるだけどあいつとはなぜかそんなのかなかった。もしかしてあいつとなら・・・・・

 

「はっ!?・何考えてるのよ私は!」

 

男なんてどれも一緒よ!・・・一緒なんだから。そう思い私は部屋へと戻るのだった

 

 

 

 

 

「さて・・・・傷がが癒えたらまた仕事頑張りますか」

 

俺は寝ころびながらそう思っていると・・・

 

「ゴホッゴホッ!」

 

また咳か・・・・まあこの前に比べてたいしたことはないな。

俺はそう思いながらゆっくりと瞼を閉じるのであった。

 

 



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覇王と一人の少女

今日は華琳とのお話です


「隊長っ!」

 

「逃がすな!お前たちは路地の裏を囲め!凪たち3人は中央部に入口にて待機!そこから出たところを捕まえろ!俺は北方向に逃げた奴を追う!」

 

「はっ!」

 

「分かりました!」

 

現在、俺達は街の中を逃げている強盗達を捕まえるべく走っている。一人はその場で捕まえたが、残り3人中、1人は路地裏に、1人は中央部、そして俺が追っているのは北の街道へと逃げている奴だ。あいつのルートを計算すると北の街道の広場の入り口だな。

俺は、先回りし北広場に入口に立つ。すると勘が当たりさっきの強盗がこっちに来た。

強盗の後ろには俺の部下がいる。しかもその道は一方通行もう逃げられない。

 

「おとなしくお縄につけ!」

 

「うるせぇ!そこをどけ!!」

 

と強盗の一人がナイフを取り出し俺に向かってくる。

しかし、俺は強盗の突きを軽くかわし、そして・・・

 

「うわぁ!」

 

強盗は宙を舞い地面に倒れる。なぜ宙を舞ったというと、俺が背負い投げをしたからだ。受け身もとれず強盗はもろに背中をうつ。そして俺は倒れたすきに強盗を抑え込んで

 

「おい!手錠だ!早く!」

 

「は、はい!」

 

そう言い警邏隊の隊員は強盗に手錠をかける。これで万事解決だ。その後の報告では無事に路地裏と中央部へ逃げた強盗も無事逮捕できたみたいだ。

 

「隊長。後のことは私たちに任せてください」

 

「そうか、じゃあ、頼んだぞ」

 

「はっ!」

 

そう言い隊員たちは強盗を連行した。

 

「警邏の仕事、頑張っているようね吹雪」

 

後ろから声がする。振り返るとそこには華琳がいた。

 

「ああ、華琳か。て、一人でどうしたんだよ。護衛は?春蘭たちは?」

 

いつもは春蘭たちを連れているはずの華琳なのだが、今日はなぜか一人である

 

「なに?私一人だと何か問題でもあるの?」

 

「いや、でも何かあったら・・・」

 

「そう・・・だったらあなたが私の護衛につきなさい吹雪」

 

「え?、いや俺じゃなくても春蘭とかに・・・」

 

「春蘭たちは今別の用事があるのよ。でも、警邏隊隊長である、あなたなら、問題ないわね。で、どうするの吹雪?」

 

そう華琳は言う。まあ、この後たいして予定はないし、別に問題ないか

 

「分かった。で、どこに行くんだ?」

 

「ふふっ・・それは秘密よ。ついてきなさい」

 

そう言い俺は華琳についていく。

 

 

「これは…‥服屋か?」

 

「ええ、そうよ。今日は私の服選びを手伝ってもらうわ」

 

そう、華琳に連れてこられたのはこの町一番の服屋であった。

 

「そう言われてもな・・・・俺そう言うセンスないからな」

 

「せんす?」

 

「あ、いや何でもない」

 

「で、吹雪これはどうかしら?」

 

「う~ん。なんか子供っぽくないか?」

 

「そう、じゃあ、これは?」

 

「良いんじゃないか?」

 

「じゃあ、これはどう?」

 

「んーあんまり良くないなー」

 

「あんた、ちゃんと考えてやっているの?」

 

「さっきも言った通り、こういうこと初めてだからどうすれいいかわからないんだ」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ。だから思ったことを言っているだけけど・・・」

 

「そう・・・・で吹雪から見て私に似合いそうな服はある?直感でいいから」

 

「そうだな~」

 

俺はあたりを探した。すると俺の目に入ったのは・・・・

 

「あ、これがいいんじゃないか?」

 

そう言い俺が取り出したのは白いワンピースだった。

 

「・・・・・・・」

 

「ごめん。やっぱ気にいらなかった?」

 

「いいえ・・・あなたにしてはいいのを選んだわね。これにするわ」

 

「え?いいのか。それで?」

 

「いいのよ」

 

そう言い華林はその服を買う。

 

「そう言えば吹雪?」

 

「ん、なんだ華林」

 

「あなた。髪は切らないの?」

 

そう今の俺の髪は肩より少し下のあたりまで伸びている。髪は手入れはしていないのに髪質がいいのか、そこらのモデルよりもサラサラヘアーなのだ。

 

「う~ん。そろそろ切ろうかなっと思うんでけどね」

 

「(吹雪の髪……長いほうが可愛いわね。顔も女性に近いし・・・)」

 

サラサラと流れる髪の毛。それに吹雪は母親である恋と似ているため、女性と見分けがつかないのだ。そんな華林は正直吹雪に髪を切ってほしくないのだ。

すると華林は何か閃いた。

 

「吹雪、ちょっとジッとしていなさい」

 

そう言い華琳は紐を取り出し、吹雪後ろへと回り込みその髪に触れる。

 

「え?華林!?」

 

「いいからじっとしてなさい。それにしても奇麗な黒髪ね。男性にしては惜しいわ」

 

そう言い華琳は妖艶な笑みを浮かべる。

 

「そう言えば吹雪、貴方歳はいくつ?」

 

「え?16だけど・・・・」

 

「そう、顔が幼いっと思ってたけど、やっぱり年下だったのね。」

 

因みに華琳の歳は17歳である。

 

「華琳、なんでそんなこと聞いたんだ?」

 

「いえ、大した意味はないわ。ただちょっと気になっただけよ」

 

「そうか・・・」

 

「そうよ。はい、できたわよ」

 

そういい華琳は俺に手鏡を渡す。俺の髪型は・・・

 

「ポニーテールか」

 

俺は自分の頭に触れる。首筋が幾分か涼しくなった感じがする。そして少し左右に頭を振ると、ファサっと髪の毛が左右に揺れるのが見える。

なんか幕末の侍になった気分だ。

 

「ぽにーている?それがその髪型の名前?まあいいわ。で、どうかしら」

 

「うん。決まってるよ!ありがとな華琳。」

 

吹雪は不敵の笑みで答え華琳に礼を言う

 

「そ、そう・・・それはよかったわ」

 

そう言い華琳は顔を赤くして言う

 

「ん?どうしたんだ華琳。なんか顔が赤くなってるような……」

 

「な、何でもないわよ///!それより次行きましょ」

 

そう言って華琳は店を出る

 

「ああ、ちょっと待ってくれよ」

 

俺もその店を後にした。

 

 

その後華林はいろんな服などを買い俺はその荷物持ち。正直言って前が見えない。

すると華琳が次に向かった場所は人気のない小さな川があるところだった。

 

「ここは・・・・」

 

「ちょっと、休憩にしましょ。さすがにたくさん歩いて疲れたわ」

 

「そうか・・・・」

 

どうやら気を使ってくれたらしい。俺は荷物を置いてそばにあった木の上に腰を下ろす。

今は夏だからこうして木の陰に入ると涼しい。すると・・・

 

「華琳さん?何やってるんかな?」

 

「見てわかんない?寄りかかっているのよ」

 

今、華琳は俺に寄りかかっているのだ

 

「あなただけそんな涼しいところにいるなんてずるいじゃない。だから私も入れなさい吹雪」

 

確かに木の日陰はそんなに広くない。だからってそんなに密着されるとな・・・

でも、華琳にもこういう一面とかあるんだな。今俺が見えているのは覇道を目指す曹孟徳ではなく一人の少女華琳の姿だった。

 

「ふふ・・・」

 

「何笑ってるのよ」

 

「いや、華琳にもそんな一面があったんだなっと思っただけよ」

 

「当たり前よ。私だって人の子よ。いつもあんなふうじゃないわ」

 

そうか・・・・華琳は月とおなじくらい優しい。なのになぜ覇道を・・・・

 

「なあ、華琳、覇道だけが道ってわけじゃないんじゃないかな?他の道を探そうとは思わないの?」

 

華琳の思想なら別に覇道の道を行かなくてもいいはずだ。それに覇道を目指したものはみんな悲惨な最期を迎えている。織田信長やヒトラーがそうだ。正直言って、華琳にそんな道は歩んでほしくない。

 

「愚問ね吹雪、覇道こそが我が歩む道。そして覇道こそがこの国と民をより平和へと導く道だと確信しているわ。そのためなら如何なる苦行、如何なる困難をも乗り越えてみせるわ。」

 

どうやら、華琳の決意は固いらしい。

 

「分かったよ。俺はもう何も言わない。けど華琳、もう少し仲間に寄りかかってくれ君は1人じゃない。華琳の為に最後の最後まで戦ってくれる仲間がいる。そいつらの為にもあまり無理はするな。」

 

そう覇道を目指した奴は孤独だったが華琳は違う。春蘭や秋蘭、桂花たちがいるんだ。だから彼女には孤独になってほしくない。

 

「そう・・・・ありがとね吹雪」

 

「どういたしまし・・・・ふぁ~」

 

「吹雪、眠いの?」

 

「え、いやたいしたことはないよ」

 

「そうやって、無理するのは体に毒よ。私のことはいいから少し寝なさい」

 

「・・・・ありがと。それじゃあ、お言葉に甘えて少し仮眠・・・・で・・も・・・」

 

そう言い吹雪は寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝てしまったわね」

 

私は吹雪の顔を覗く、

 

「ふふっ・・・寝ている姿もかわいいじゃない。」

 

寝顔を見ているとどこか幼い感じの顔だった。まあ、私より年下だから当たり前なのだけど・・・

 

「覇道ね・・・・」

 

私は絶対にその道を乗り越えて見せるわ。

でも彼は客将・・・次の『笑う棺桶』の討伐で彼はまた旅に出て主君である董卓の元へ帰ってしまう。

もし、吹雪が董卓ではなく私の所に来たのならともにその道を歩んでくれたのかしら・・・。

すると・・・吹雪の頭は私の方に乗った。視線を横に向けると、吹雪が先程よりさらに気持ち良さそうに寝息を立てている。寝息が私の首筋にかかって少しくすぐったい。

 

「少しくすぐったいわね・・・・」

 

私は頬を染めながら身を捩らせる。そして私は吹雪の頭を肩から、柔らかい太股へと移動させた。そう膝枕ってやつよ。

 

「こうしてみるとまるで子供みたいね・・・・」

 

そう言い私は吹雪のの頭を優しく撫でる。風が吹き、彼の黒い髪がまるで星の輝きのようにキラキラと輝く。私が頭を撫でていることを寝ながら感じ取っているのか、吹雪の頬が緩んだ。ふふっ・・・今の吹雪とっても可愛いわ・・・

 

「ふふっ・・・吹雪、せめてこうしている間だけでもあなたは私のものよ・・・・・・」

 

私は絶対に諦めない。いつかは必ず吹雪を手に入れるわ。天の御使いでも、武将でも道具でもないただ一人の異性として・・・・・今の私は曹孟徳ではなく一人の少女華琳としての気持ちよ。

そう思い私は吹雪が目を覚ますまでずっとこのままでいた。

 

 

 




はい、みなさんこんにちは。初めてご覧になる方は初めまして疾風海軍陸戦隊です。
今日は華琳と吹雪のお出かけ編ということで書きました。
次回は殺人盗賊集団「笑う棺桶」討伐の話を書きます。
次回も楽しみにしてくださいねではまたお会いしましょう。


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閑話夕張の悩み

今回は馬鈞こと夕張の話です。




吹雪が陳留にいる頃・・・・

 

 

天水

 

どうも~初めまして。私は天水警邏隊技術開発部主任の馬鈞こと夕張で~す♪

今私は、吹雪からもらった天の国の設計図とにらめっこをしています。字の翻訳とかは吹雪が旅に出る前に翻訳してくれたんだけど・・・・

 

「すごいけど、構造が複雑ね~」

 

そう、構造が難しくてなかなかできないのだ。まあ、吹雪に見せてもらった拳銃や小銃についてはすでに開発中、拳銃は吹雪に見せてもらった奴の南部はできないけどあれを回転式にすれば簡単だったわ。それに今その試作が終わって、今私の腰に装着しているわ。

 

 

因みに夕張が腰に装着している拳銃はこちらでいるリボルバー拳銃である。見た目は二六年式拳銃であるが、しかし性能は二六年式よりも高性能で威力はコンバットマグナム級であった。因みにのちその拳銃は後に警邏隊の護身武器として使われるのだった。

 

「さて・・・・この設計図はいったん置いといて、少し気分転換しようかな」

 

そう言い私は背中を伸ばしては矢を出て、外に出ようと廊下を歩くすると・・・

 

「おっ!夕張どこに行くんすか?」

 

途中で桜花にあった。

 

「桜花?なんでここに?警邏は?」

 

「え?なぜって私、今日非番だからちょっと出かけようかなって。夕張は?」

 

「うん。ちょっと気分転換に出かけようかなって」

 

「そうすっか。じゃあ、一緒に出掛ける?いい店知ってるんすよ」

 

「うん。じゃあ、お願いしようかな♪」

 

そう言い夕張は桜花と一緒にお出かけすることになった。

 

 

 

 

 

「うわ~結構いろんな品とかあるね~。あそう言えば桜花、私まだここに入って日が浅いんだけどあそこの建物は何?」

 

「あぁ・・・あそこは市役所っすよ」

 

「市役所?」

 

「そうっす。あの施設は東西南北にあって、隊長が言うには『税収や労働者の働き口を探してあげる所で。店を出すときの許可証を発行してくれたり、子供が生まれたときに籍を作ったりもする、とても重要な機関』ッらしいすっよ。何でも隊長の故郷である天の国では当たり前にある機関だそうだよ」

 

「へ~そうなんだ。あ、そうだ桜花、この前、軍楽隊が凱旋行進したことは知ってる?」

 

「ああ、最近設立した隊っすか、まあ、やることは音楽ならして行進するという隊なんだけどね」

 

「でもさ、お祭りとかには賑わいそうだよ。だって軍楽隊の音楽ってなんかノリがよくて面白いじゃん」

 

「ああ、何でも天の国の音楽をならしているらしいっすよ。私はどちらかというと『警邏隊行進曲』が好きだな~だって警邏隊の隊歌を音楽にしたんだから」

 

「う~ん。それも好きだけど、私は『行進曲抜刀隊』が好きだわ。吹雪連隊の主力曲だし、なんたって吹雪が好きな曲だしね。」

 

桜花に言う『警邏隊行進曲』というのは日本軍軍歌「歩兵の本領」の歌詞を警邏隊隊風に改訳した歌を行進曲にしたもので、夕張の言う「行進曲抜刀隊」は日本の行進曲「陸軍分列行進曲」のことである。

なぜそれが吹雪隊の主力曲となったのは、吹雪が一番好きな行進曲でそれを前に仲間に教えたら警邏隊行進曲とおなじくらい気に入って以降、吹雪隊といえば「行進曲抜刀隊」となったのだ。

 

「そう言えば夕張、さっきはなんで頭を抱えながら歩いてたんだ?また銃のことか?」

 

「そうよ、桜花。隊長の持ってたらいふる銃っていう銃の設計は完成して今生産しているところなんだけど・・・」

 

「けど?」

 

「もっと連発できる銃ができないか悩んでいたのよ」

 

「連発って・・・まだ上を目指すんか?今でも十分すごいだろ?」

 

「ええ確かにそうなんだけど。なんかこの先すごい戦いが始まりそうな予感がするのよ。それも月様の運命を左右するような戦いが・・・だから防御のための連発銃を考えていたのよ」

 

そう、なんか胸騒ぎがする。私のそう言う感はよく当たる。両親が亡くなる前にも胸騒ぎがしたし、天水に行く前もその胸騒ぎがして天水に行かなくちゃっと思ってきてみれば吹雪に出会うことができた。だから次も何か起こるそのためには準備しなくてはいけない。そう夕張は思った。

 

「そうか・・・・で、何か案でも浮かんだっすか?」

 

「うん。大体はできてるんだけど致命的な欠陥が多すぎて・・・」

 

「致命的な欠陥?例えばどんな?」

 

「道中では言えないわ。あそこの店で話しましょう」

 

そう言い二人はすぐそばにあった喫茶店みたいなところに入った。中は少し洒落た感じで、風通しのいい奇麗な店だった。

 

「で、これなのよ」

 

そう言い夕張は設計図をコソリ桜花に見せる。その設計図を桜花は見た。

 

「なんすかこれ?これって隊長の持ってる銃に似てるけどなんか砲身が多いな・・・10個ぐらい束ねてるのか?」

 

「そう、これはね。引き金を引くと10発一斉に弾が飛び出す仕組みだ」

 

「すごいじゃないかよ!これなら密集した敵兵を一気に倒せるじゃないか!「けど・・・」・・・・けど?」

 

「けど、それ1発撃ったら装填に時間がかかってその間に敵に攻められてやられちゃうわ」

 

そう、それが問題であった。確かに1発撃てば弾が10発以上発射され、集団戦法が主流のこの時代では有効だろうが撃った後の装填に時間がかかってしまうのが難点であった。

夕張が書いたその設計図は前に書いた「火薬弓」の強化版を改造したものである。

見た目は江戸時代にあった三連発輪廻式火縄銃に似ている違いは三連発ではなく十連発である。

 

「そうか~それは残念っすね」

 

「えぇ・・・・吹雪ならいい助言とか、くれそうだけど今は旅にで出るからな~」

 

「そうっすね。隊長今頃何してるんすッかね。元気にしてるといいんだけど」

 

「ほんとね。月様も吹雪の母上である恋様も吹雪から手紙が来ないって心配しているし・・・・」

 

そう二人が話していると・・・・

 

「あ、あの・・・・お客様?ご注文は?」

 

そばで店員が苦笑いしながら二人に言う

 

「あっ!すみません。あの・・・私ゴマ団子」

 

「あ、私は、かき氷ね」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

そう言って店員は去った。

 

「桜花、かき氷って何なの?初めて聞くけど」

 

「この店でしか食べられない夏限定の食べ物で、氷を削ってその上に砂糖水をかけて食べるものっすよ。何でも天の国では定番らしいっす」

 

「氷!?夏なのに!それって高いんじゃ・・・・」

 

「だから限定商品なんだよ。ほら、あそこで氷を削ってるっすよ」

 

夕張が桜花の指をさす方へ見ると、店員がかき氷器で氷を削っている様子が見られる。店員はハンドルを回してドリルを動かす。すると氷が削れ下にあう器に盛られるその姿を見て夕張は、そのハンドルに目を見張る・・・

 

「・・・・これだわ・・・・・」

 

あの連発銃にその取手回しをつけて砲身を回せば・・・・重量は重くなりそうだけど、あれはあくまで防衛兵器。だから問題ないわ。こうしちゃいられないすぐに部署に戻ってやんないと!

 

「へ?何がだ夕張?」

 

「これよ!連発銃の解決策は!こうしちゃいられないわ!桜花。私のゴマ団子の代金ここに置くから、かき氷食べ終わったらゴマ団子送ってね!」

 

そう言い夕張は店から飛び出した。

 

「お、おい!夕張!!どこに行くんすか!!」

 

そう言うがもう夕張は見えない。

 

「やれやれ・・・・「はい、かき氷お待ちどうさん」おっ!きたきた。さて、かき氷の味を楽しみますか」

 

そう言い桜花はかき氷を堪能したが、その値段に桜花の財布が軽くなったのは言うまでもない。

 

 




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『笑う棺桶』の討伐戦

華琳のところへ客将になって1か月以上たった。今俺は華琳に呼び出されそして軍議をしていた。軍議の内容はは殺人盗賊団の『笑う棺桶』の出所がわかったのである。今日の明朝街を警邏していた隊員が怪しい動きをする不審な男たちを見つけ、逮捕し尋問したところ。

そいつらは『笑う棺桶』の連絡員であり、近々ここに攻め入るためその下見をしていたというのだった。そして尋問を続け奴らの主要地点がわかったのだった。

 

「で、秋蘭。敵は今どこにいるの?」

 

「はい、偵察に戻った部隊の報告によりますと敵は・・・・・」

 

と秋蘭が敵が今いる場所を報告した。

 

「で、敵の大将は何者?」

 

「それがよく分かりません。偵察兵の話だと異国の者らしいです」

 

「異国のもの?・・・・怪しいわね・・・」

 

「何にせよこれは好機だ。ここで奴らを一網打尽に出来れば奴らとの闘いも終わる。」

 

「そうなれば兄ちゃんは・・・」

 

皆が沈黙する。そう、彼は客将であり、条件は今この地を騒がせる『笑う棺桶』の討伐が終わるまでっという条件だ。それが終われば彼は旅に出る

 

「こうしてる今も力のない民が賊の猛威にふるわれてるんだ。早く終わらせなきゃいけない。この争乱を。」

 

「分かってるよ、兄ちゃん。」

 

「吹雪の言うとおりよ。早く終わらせるわよ。」

 

「はっ!」

 

「今奴らは全軍集まっている。気を引き締めなさい。皆、決戦よ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

一方『笑う棺桶』のアジト

 

「頭‼頭っ!!」

 

「なんだ。騒々しい」

 

賊の手下の一人が頭である一人の男の方に向かった。

その頭と呼ばれた男は黒い服で襟には白い字でSSと書かれていた

 

「か、官軍がこちらに向かってきています!!」

 

「はっ!そんなんでいちいちビビるな!逆に好都合じゃないか。向こうから殺されに来ているもんじゃないか!よぉーしおめえら!迎え撃つ準備をしろ!!」

 

「「おおぉー!!」」

 

こうして両軍は衝突するのであった。

 

 

 

 

 

「秋蘭様、本隊、到着いたしました。」

 

「そうか、各隊の報告は纏まったか?」

 

「ちょうど終わったところやで。連中、かなり慌てているみたいやな。」

 

「やはりな・・・華琳様の予想通りか。・・それで、まずは報告を聞かせてもらおうか。」

 

「はいはい。まず、連中の総数やけど約2万。」

 

「私たちの軍よ少ないけど士気は高いの~。」

 

「それって、ボク達だけで勝てるんですか?」

 

「なに心配するな季衣。数は私たちの方が上だ。案外すぐに降伏っていうのもあり得るぞ。なあ秋蘭」

 

「そうだといいんだがな。沖田はどう思う?」

 

「奴らは確かに少数だが奴らは元将校軍人や殺し屋というような奴らが多い。用心した方がいいぞ。現に俺も天水で奴らの一味と交戦して苦戦したことがある」

 

「そうか・・・だそうだ姉者。舐めてかからん方がいい」

 

「そ、そうか・・・秋蘭が言うなら・・・」

 

そう言う会話をしていると・・・・

 

「ん?」

 

「どうしたんですか隊長?」

 

凪がそう言う

 

「どうやら来たみたいだな・・・・」

 

するとその先にに盗賊団が見える

俺は腰に差した菊一文字を抜く。因みに99式は背中に下げているがおそらく接近戦になるので今回は使わない。

 

「全員攻撃態勢に入れ!攻撃の機は各々の判断に任せる」

 

春蘭の指示でその場の兵士たちが態勢に入る

 

「華琳様の本隊に伝令を出せ。皆は予定通りの配置で各個錯乱を開始しろ。以上、解散!」

 

 

「「「オォォォ!!!!!」」」

 

自軍の兵達の雄叫びが戦場に轟いた。

凪や春蘭が敵と交戦しているころ・・・・

 

「うおりゃぁー!!!」

 

「ギャア!」

 

「ガフッ!」

 

「グエッ!」

 

吹雪は菊一文字で賊を斬る

 

「ええーい一人ずつかかるな!いっぺんにかかれ!」

 

「「「「応っ!」」」

 

先方にいる将校の号令で賊兵が一機に襲い掛かる

・・・・・・が

 

「甘いっ!」

 

吹雪は一斉にかかる賊兵の攻撃をかわしそして5人をいっぺんに斬り伏せる。

平和な時代で生きていた吹雪だが、祖父に鍛えられたため一般の賊兵10人くらい、いっぺんに掛かれても問題はない。

賊兵たちはランランと赤く輝く吹雪の瞳におびえた。

 

「ひっ!」

 

「退け・・・・・おとなしく退くか投降するなら命は助ける。退かねば・・・・」

 

そう言うと吹雪の目がさらに鋭くなる。

 

「ふ、ふざけるな!!俺たちは『笑う棺桶』だっ!貴様らは俺たちに狩られる獲物・・・・・」

 

先頭の将校はそう言おうとしたが・・・・吹雪に首を斬られ絶命した。

 

「違う・・・・獲物は貴様らだ・・・・・最後に警告する・・・・降伏して投降するか?それともそいつらみたいに死ぬか?どっちか選べ」

 

先頭の将校がやられた上に吹雪の殺気で士気は完全に崩壊し、賊兵は次々と降伏する。

 

「隊長!ご無事ですか?」

 

すると凪たちも来た。どうやらそっちも終わったようだ

 

「ああ、無事だ賊たちは次々に投降している。」

 

「ですが賊の頭が見当たりません。」

 

「何っ!?」

 

どういうことだ・・・・

 

「くくくく・・・」

 

すると捕まった賊の幹部の一人が押さえるように笑いだした。

 

「なんや!なにがおかしいんや!」

 

「失礼なの~!!」

 

真桜や沙和が怒るがそんなの他所に幹部は語りだす

 

「確かにあんたらの勝ちだよ。俺たち『笑う棺桶』は逮捕されたか逃げたか戦死した。だが、しかしな。うちの大将は逃げてない。あんたらの大将を殺しに一人で行ったのさ。」

 

「なに!」

 

「今頃は曹操もうちの大将に八つ裂きにされてると思うぜ。ひひひ・・・・」

 

「くっ!凪お前たちはここを頼む!俺は華琳の所に行く!」

 

「分かりました」

 

「任せてえな!」

 

吹雪はその場を凪に任せ急いで華琳のもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・待つのは苦手ね・・・・」

 

報告では春蘭や吹雪たちの活躍によって、賊の大部分が降伏し投降している。

 

「もうじき彼とはお別れね・・・・」

 

そう、この討伐が終われば吹雪は旅に出る。

 

そんなことを思ってると・・・・・

 

「お前が曹操か・・・・思っていたのより小娘だな」

 

後ろから声がする。振り向くと

 

「あんたに恨みなんかねえけどな、俺の楽しみとして死んでもらうぜ」

 

黒い服をした銀髪の初老な男がいた。しかもその男の格好はこの世界に存在しないはずのナチス武装親衛隊の黒服を着た男だった。

 

「あなた・・・何ものかしら?・・・・他の兵は?」

 

「残念だけどあなたの護衛をしていた兵は眠ってもらいましたよ。ただ殺してはいません。俺が殺すのは最高級の獲物・・・・・・・曹操貴様だ。申し遅れました俺は『笑う棺桶』の首領で・・・・」

 

華琳はその男が賊の大将だと知るとそばにあった鎌を取ろうとしたが、すぐにその男に抑え込まれた。逆らおうにも力が強すぎて動くことができない。

 

「くっ・・・離しなさい・・・」

 

華琳はそう言うが男は懐からサバイバルナイフを取り出し

 

「ふっ・・・じきに楽にしてやる。お前の喉を切り裂いてな・・・」

 

ナイフが華琳の喉元に当ろうとしたとき・・・・・・

 

パァーン!!

 

何処からか銃声が鳴り男の持つナイフは弾き飛ばされた。

 

「くっ・・・・誰だ!」

 

男が銃声の鳴る方へ顔を向ける華琳も同様だった・・・・

 

「・・・・・吹雪・・・・」

 

そこには手に南部14年式を構えた吹雪がいた

 

「貴様・・・・うちの大将に手を出してただですぬと思うな・・・ナチス野郎・・・」

 

吹雪は目をギラギラさせながら言う。本来なら、なぜナチスの軍人がいるのかを聞くところだが今は怒りで我を忘れているためそれは聞かなかった。

 

「その格好・・・・ヤーパンの陸軍の服だな・・・・まあいい、この女は後だ。まずは邪魔をした貴様を殺す・・・」

 

そう言い男は吹雪に向かってくるが、吹雪はそれをよけ、顔面を殴る。その攻撃をもろに受け男は倒れる

 

「ぐはっ!」

 

「貴様は銃を使うまでもないんだよ。さて・・・ここで降伏した方が身のためだ」

 

「ぐっ・・・・」

 

男は吹雪に崖の方へ追い詰められる。しかし・・・・

 

バギューン!!

 

銃声が鳴りそして吹雪の方を弾丸がかする。男の手にはワルサーP38が握られていた。

 

「ふっ・・・・甘いな。次は貴様の心臓を狙う…覚悟・・・・」

 

そう言おうとした瞬間

 

「はあぁぁ!!」

 

華琳が鎌で男の手を斬りつけ男はその拍子に拳銃を崖の下に落した。

 

「くっ!この小娘が・・・」

 

パァーン

 

男が華琳に注意を向けた瞬間、吹雪が南部拳銃で男の心臓に向けて撃った。

 

男は口から血を吐きそして・・・・

 

「ぐっ・・・・・ふっ・・・・これで『笑う棺桶』も・・・・お終いか・・・・」

 

「ああ・・・終わりだよ。お前の戦いもな」

 

「ぐっ・・・・そう言えば・・・・まだ名前を名乗って…なかったな・・・・ドイツ武装親衛隊のヴォルマルフ中尉・・・・・・いや・・・・・ヴォルフ・・・とよ・・・・べ・・・」

 

そう言いヴォルフは崖から落ちた。その下は濁流で二度と生きては来れない・・・

吹雪は華琳のところに向かって歩く

 

「大丈夫か華琳・・・」

 

「ええ・・・助かったわ。ありがとう吹雪」

 

そう言い華琳は吹雪に礼を言う

 

「華琳様ー!!ご無事ですか!!」

 

「隊長~!」

 

しばらくして春蘭達も華琳の元に着く

 

(それにしても・・・・なぜナチスがこんなところにいたんだ?)

 

そう、疑念に持つ吹雪だった。

こうして、盗賊集団『笑う棺桶』は完全に滅んだのだった。

 

 

 

一方・・・・・

 

「いや~恋。何進の名代なんて大変やな~」

 

「・・・・別に・・・・たいしたことはない・・・・これも仕事・・・」

 

「おっ!もうそろそろ陳留に着くな~」

 

「うん・・・・・」

 

 

華琳のいる陳留に向かうとある二人がいたのだった。

 

 




はい、盗賊団無事に倒すことが出来ました。因みに盗賊団の首領がナチスの軍人なのは彼も偶然この外史に飛ばされた一人っという設定です。因みに再登場はしませんし、この後そう言う転移者が出ることはありませんヴォルフだけの予定です。因みにヴォルマルフ中尉はパンプキンシザーズ第1話に出てくるあのヴォルマルフ中尉です。


それでは次回もお楽しみに~


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吹雪、母と再会する

『笑う棺桶』の討伐後、凪たちは祝杯も準備をしていた。理由は吹雪が華琳から褒美をもらいそのお金で宴会を開くことになったのだ。しかし・・・・

 

「華琳様。今日は会議はしないはずではなかったのですか?」

 

宴会の準備をしている途中に華琳に広間に招集をかけられ、真桜や沙和はもちろんほかの皆は明らかに不満の顔を浮かべていた。

 

「私はする気はなかったわよ。貴方達も宴会をするつもりだったんでしょう?」

 

「宴会・・・・・・ダメなん?」

 

真桜が不安げに華琳に訊く。

 

「バカを言いなさい。そのために褒賞を貴方達にあげたのよ? ・・・・・・私だって春蘭や秋蘭とゆっくり楽しむつもりだったわよ・・・・・そう言えば吹雪の姿が見えないのだけれど」

 

「あ~隊長なら厨房で宴会の料理作ってるわ。なんでも天の国の料理作るとかで忙しそうやったし。呼びます?」

 

「いえ、いいわ。天の国の料理、吹雪にしか作れないのでしょ?だったらそのままにしておきなさい」

 

華琳がそう言うと朝廷の使者らしき三人が入ってくる。

 

「すまんな。みんな疲れとるのに集めたりして。すぐ済ますからな、堪忍してな。」

 

「あなたが何進将軍の名代?」

 

「いや、ウチやない。ウチは名代の副官や。」

 

「なんだ。将軍が直々にというのではないのか?」

 

「あないな肉屋が外に出るわけないやろ。クソ十常侍のやつどもの牽制で忙しいんやから。」

 

仮にも漢王朝の将軍に当る人にすごい言い方をする。みんながそう思っていると

 

「呂布様のおなりですぞー!」

 

すると帽子を被った小さな女の子の後に1人の女性がやってきた。

 

「・・・。」

 

呂布の姿を見て他の奴らは何か思った。それは『この呂布っていう少女、吹雪と顔が似ている』ってこと

 

「曹操殿、こちらへ。」

 

「はっ!」

 

「・・・。」

 

陳宮に呼ばれ曹操は呂布の前に出るが呂布は何もしゃべらない

 

「えーっと、呂布殿は、此度の凶悪な賊の討伐、大儀であった!と仰せなのです!」

 

『笑う棺桶』は黄巾党以上に凶悪な賊集団で漢王朝でも手を焼いていたのだ。だが、暗殺という復讐を恐れ誰一人討伐する人員を派遣しなかったのだ。

 

「・・は。」

 

「・・・。」

 

「して、『笑う棺桶』の大将の首級は?と仰せなのです!」

 

「賊の首領は首級を奪われる前に息絶え、崖の下に落ち消えました。もはや生きておりますまい。」

 

「・・・。」

 

「ぐむぅ・・首級がないとは片手落ちだな、曹操殿。と仰せなのです。」

 

呂布は何も言っていないのに付き添いである陳宮が喋る

 

「申し訳ありません。」

 

「・・・。」

 

「今日は貴公の此度の功績を称え、西園八校尉が1人に任命するという陛下のお達しを伝えに来た。と仰せなのです!」

 

「は。謹んでお受けいたします・・。#」

 

華琳にすごい怒気が溢れてる。皆もそれに気づき萎縮している。空気が重すぎる。そしてみんなはこう思った。『誰かこの雰囲気をぶち壊してほっしい』っと。するとそこに・・・、

 

「おーい皆!宴会のご飯できたみたいだぞ!まずは手軽に肉まんだ!」

 

吹雪が何やら肉まんが入った籠を持って入場してきた。そして全員の視線がそこに向く

 

「ん?もしかして俺・・・お呼びでない?・・・・?て、あれ。お前は・・・・?」

 

吹雪がそう言うと、陳宮と目が合い、最初陳宮は驚きの顔を見せていたが急に顔をしかめて・・・

 

「ちんきゅーキーク!!!」

 

「なんのっ!」

 

吹雪に向かって飛び膝蹴りをするが、吹雪が避けて陳宮の首筋を掴みそのままぶら下がる

 

「ねね!?お前、なんでこんなところにいるんだ?」

 

「それはこっちのセリフですぞ!この馬鹿兄貴なのです!!!」

 

「そんなに怒るなよ。俺はここで客将をしてたんだよ。あっ!そうだ。ねね、肉まん食べるか俺の手作りだぞ?」

 

「わぁー!肉まん大好きなのです!ありがとうです!・・・・・て、そうじゃなくてです!!」

 

ゴツン!!  ゴツン!!

 

「あいたっ!」

 

「うにゃっ!」

 

急に二人の頭に拳骨が炸裂する。二人はしゃがみ頭を押さえ悶絶する。吹雪はその拳骨をした人物の方へ顔を向ける

 

「っ!?母さん!?」

 

そこには目に怒気を含んだ呂布こと恋の姿があった。

 

「二人とも・・・・・・正座」

 

「「は、はい」」

 

恋の怒気の前に二人は恋の前に正座する

 

「ねね・・・・飛び蹴りは危ないから・・・しないでって言ったはず・・・・」

 

「うっ・・・・・・ごめんなのです」

 

「吹雪・・・・・確かに・・・・恋は旅に出るのを許した・・・・・でも・・・・・手紙の一通ぐらいは書きなさい・・・・・心配する・・・・」

 

「うっ・・・・ごめん母さん」

 

恋はじっと吹雪を見ていたがはぁ~とため息をつき

 

「ねね・・・許してあげよう。吹雪も悪気はない・・・・」

 

「ですが、恋殿~。」

 

「久しぶりやな吹雪。しかしなぁ、恋の息子でも、仮にも都の使いの将にあないなまねしたらただでは済まんで?まあ、心配させたこと謝るんやったら許すで?」

 

「心配させて御免。それとこれここで作った天の国の酒です。どうですか?」

 

「まあ、こんなにいい酒くれるんやったら許したるさかい。ねねも吹雪のこと許したってや♪」

 

「ねねはお酒以下なのですか?」

 

少しいじけて言うねね。すると吹雪はねねのそばに来て

 

「ねね、機嫌直せよ。ほら、俺が作った肉まんだ。食べてみろよ」

 

ねねはおずおずと肉まんを手に取り食べ始めた。

 

「・・・・・」

 

「うまいだろ?」

 

「・・・美味しいのです。さすが兄上です」

 

良かった。口に合ったみたいだな。俺はそのままねねをそっと抱きしめて後頭部を撫でてあげた。

 

「ごめんな。心配かけて俺が悪かった。だから機嫌直してくれ。な?むくれてると可愛い顔が台無しだぞねね。」

 

「何やら丸め込まれてる気がするのですぞ兄上。」

 

「気のせい気のせい♪」

 

「ねね、許してあげよ?吹雪も反省してる。」

 

「・・・恋殿がそういうなら・・。」

 

「ありがとな。」

 

「それにしてもなんか俺場違いな雰囲気で来ちゃったかな?」

 

「いや、そんなことあらへんよ吹雪。こっちの用事は済んだから後は宴会でも好きにしたってや。それより吹雪お前なんでこんなとこにおんねん?確か旅に出てたはずやろ?」

 

「あ~それはかくかくしかじか・・・」

 

「なるほどな~」

 

「で、霞はなんでここに?」

 

「ああ、朝廷からの使いでな」

 

「使い?」

 

「ああ、ほんとは都の別の連中が来るはずやったんだけどな。なんでも風邪やとか、ぎっくり腰とかでみんな理由つけて辞退して残ってたんのは天水の役人だけやったちゅうことや」

 

「なるほど・・・・」

 

理由つけて断るほどそんなに面倒くさいことなのかな・・・・・都の使いって

 

「・・・・吹雪・・・これからどうする?恋と一緒に天水に帰る?」

 

「いや・・・・・・母さん。俺はもう少し旅を続けるよ」

 

「そう・・・・でも手紙はできれば書きなさい・・・」

 

「分かった。なるべく書くようにするよ」

 

「2人とも行くで~。吹雪それじゃ元気でな」

 

と、霞は葡萄酒の入った酒瓶をわんさか腕に抱いて手を振っていた。あれ?俺渡したの一本だぞ。変だな?

 

「ああ、霞さんも」

 

「兄う・・・・吹雪殿、ではまたなのです!」

 

「またな、ねね!」

 

3人は帰って行った。そしてしばらくの間、沈黙が続いたのだがそれを破るように皆が笑い始めた。なんか今のやり取りがツボに入ったらしい

 

「隊長!ようわからんかったけどおもろかったで♪」

 

「笑い堪えるの必死だったの~!」

 

と、真桜や沙和を腹を抱えて笑い凪は必死に笑いをこらえている。

 

「仮にも代理とはいえ都の将だぞ吹雪?」

 

「いやよくぞあの重苦しい雰囲気壊してくれた」

 

「ほんとよ!くくくっ!」

 

「ふふ・・・吹雪様ったら・・」

 

「本当に、あの呂布を相手にあんなまねするなんて・・・・・そう言えばあなた呂布のことを『母さん』って呼んでいたけど、まさか・・・・」

 

「ああ・・・文字通りの意味だよ。あの人は俺の母親で俺は呂布の実の息子だよ」

 

「なんと!」

 

「嘘っ!あなたが!?」

 

「なるほど・・・・通りで顔が似ていたわけだな」

 

秋蘭、桂花がおどろき、春蘭は納得する。

 

「隊長が強い理由も少しわかりました」

 

「凪、大変やな~」

 

「ん?なんでだ真桜」

 

「だって、隊長と付き合ったら、義理の母やで~♪」

 

「そうなの姑さんなの~」

 

「な、何を言ってるんだ二人とも!わ、私は別に・・・///」

 

真桜、沙和にからかわれ凪は顔を真っ赤にする

 

「で、吹雪。あなたの母はどのくらいの強さなの?」

 

「そうだな・・・とりあえず春蘭と秋蘭、それに季衣と凪の4人がかりでなんとかってところかな。勝利したとしてもその時には2人はやられてるかもしれない。」

 

言われた4人は何も反発しない。自分でも気づいているのだろう。

 

「そう、あなたは勝てるの?」

 

「いや、まだ母さんに勝ったことはないよ。せめて相打ちくらいなら・・・・」

 

俺は何度も母さんと模擬戦をやってるが一度も勝ったことがない。それも母さんは手加減をしてやってるのだからもし、本気で戦ったらどうなるかわからない。本当に相打ち覚悟で戦わないとやばいかもしれないからな・・・・

 

「そう・・・・・・まあいいわ。さっきまで気分は最悪だったけど、今はとても気分が少しいいわ。皆で宴会でもしましょうか、明日は二日酔いで遅れてきても目をつぶるわ。思い切り羽目を外しなさい。」

 

「やった~!兄ちゃん、肉まん、まだある?」

 

「心配するな。今、侍女の人に蒸してもらってるからまだまだあるぞ。それに今日は天の国の料理も沢山あるからな!」

 

「やった~!」

 

「後・・・吹雪、志乃、あなたたちの送別も兼ねているからね。」

 

「えっ・・。」

 

「『笑う棺桶』の首領はもういない。残存する賊も諸候に討伐されるでしょう。確かあなたは奴らを壊滅させるまで客将をすると言っていたわね。つまり、もう行くのでしょう?」

 

「・・・ああ。」

 

いつまでもここにいるわけにはいかないからな

 

「兄ちゃん、行っちゃうの?」

 

「そうだ吹雪。ここにいろ!我々と共に華琳様を支えようじゃないか!」

 

「季衣、春蘭、それに皆・・・・皆に華琳がいるように俺にも帰りを待ってくれている仲間がいる。だから俺は行かなくちゃならない。それに、まだ旅の途中だしな」

 

「それで吹雪、出発はいつにするの?」

 

「とりあえず志乃と相談した結果、明日にでもここを発つ予定だ。」

 

「そんなに早く・・・・華琳様、よろしいのですか?」

 

「もともとそういう約束なのだから、それを反故にしては曹孟徳の名に傷をつけることになるわ。」

 

「・・そういうことでしたら。」

 

不満そうだな。たったひと月半の付き合いだがこうまで言われると嬉しいような・・・何と言うか。

 

「ま、何にせよ出発は明日だ!今日は思いっきり騒ごうぜ!」

 

「そうね、めでたい日でもあるのだから。」

 

「そうですね。」

 

「賛成やー!」

 

「賛成なの~!」

 

「それじゃ準備するか。凪、真桜、沙和、手伝ってくれ。」

 

「「「はい(なの!)」」」

 

その後俺たちは宴会でどんちゃん騒ぎをした。春蘭は酒の飲みすぎで酔いつぶれそれを見てる秋蘭は『姉者はかわいいなぁ』とか言ってたし、沙和と真桜は凪特性の激辛料理を食べて口から火を噴く。季衣は天の国の料理と聞いて嬉しそうに食べて桂花と志乃はそこで最後の象棋をしていた。

俺はみんなが楽しそうに宴会をしているのを部屋の隅っこの席に座って見ていた。

 

 

「どう、吹雪。楽しんでいる?」

 

「華琳か・・・・ああ、楽しんでるよ。そっちは?」

 

「ええ、それなりに・・・・・・あなたと一緒にいられるのは今夜と朝までね・・・・・行くの?」

 

「ああ・・・」

 

「・・・・・・ねえ、吹雪・・・もし・・もしあなたが私と同じ道を歩んでくれるなら。私の副官それかそれと同等の地位をあなたにあげて私の軍に迎えるわ」

 

つまり華琳の側近ナンバー2となるほどのくらいだ。だが・・・

 

「ははは・・・・俺が副官か・・・・よせよせ、そんな階級俺には似合わないだろ?」

 

「ふふ・・・・確かにそうね・・・・あなたには似合わなそうね・・・」

 

この時、華琳にはわかっていた。吹雪が自分と共に歩むことができないと・・・

 

「さて、そう言う話は終わりにして、宴会を楽しもうぜ華琳。」

 

「ええ、そうね。少し外に出ましょうか吹雪」

 

「そうだな」

 

そう言い二人はみんなが宴会に夢中なのをいいことに外に出た。外には雲一つもないただ月の光が優しく一面を明るく照らしているだけだった。

 

「奇麗な月ね・・・」

 

「ああ…そうだな。本当に奇麗だ。まるで天国みたいだな」

 

「そうね・・・・」

 

すると華琳が俺を抱きしめた。

 

「華琳?」

 

「・・今だけよ、今だけこうさせなさい。」

 

「・・分かった。」

 

そっと華琳の手に自分の手を重ねた。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

時間にして5分くらいだろうか。スッと華琳が俺から離れた。

 

「すまなかったわね。いきなり抱き着いて・・・」

 

「いや、別にいいよ。そうだ華琳」

 

「ん?何かしら吹雪」

 

「一緒に踊ってくれないか?天の国の踊りだけど・・・」

 

俺は華林に手を差し伸べる

 

「踊る?どうやって?」

 

「俺に任せてくれ、ちゃんと指導する」

 

そう言い俺は華琳の手を取り西洋式の踊りを始める。華琳は最初テンポとか遅れたりしたが、次第にあってきた。

 

「初めてなのに上手いな華琳・・・・」

 

「ふふ・・・・当然よ。私を誰だと思ってるの?」

 

「曹孟徳、大陸の覇王だ」

 

「ふふっそれでいいわ吹雪」

 

華林は吹雪の胸に顔をうずめる

 

「(このひと時の時間がたとえ夢であってもいい・・・・だからお願い。このまま覚めないで・・・)」

 

そう思う華琳であった。

二人はダンスを続ける。月の光がまるでスポットライトのごとく二人を照らし虫の鳴き声がまるでオーケストラの如く鳴り響き、まるでワルツのような音色を城中の庭になり響かせているのだった・・・・

 

 

 

 



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新たな出発と再会

翌日の朝、俺と志乃は全ての準備と引き継ぎが終わり、旅立ちを目の前にしている。

因みに警邏隊の次期隊長は凪となり沙和、真桜はその補佐となっている。

 

「じゃあ、みんないろいろと世話になったな」

 

「お世話になりました」

 

そう言い俺と志乃はみんなに頭を下げる

 

「吹雪、次こそは決着をつけるからな」

 

「その時は俺が勝つよ春蘭」

 

実は俺と春蘭は何度も模擬戦をしていた。結果は100試合中46勝25敗29引き分けっとなっている。

 

「お前がいなくては私1人で姉者を面倒みなければならないのだがな。」

 

「悪いな。でもそれも悪くないだろ?」

 

「ふふっ、それもそうだな。」

 

「兄ちゃん、ボクのこと忘れないでね?また一緒にご飯食べようね?」

 

「あぁ、もちろんだ。季衣」

 

「ふん!ようやく出ていくのね。せいせいするわ。でも怪我はしないようにね」

 

「・・桂花。」

 

「・・ふん//・・・・・それと志乃、次の象棋は私が勝つからね」

 

「ふふ・・・桂花。その時を楽しみにしてるわ」

 

因みに志乃と桂花は象棋仲間となっていて暇なときはいつもしていた。

 

「隊長、今までありがとうございます。」

 

「凪もありがとうな。それと警備隊の方も頼むな。真桜と沙和だけじゃ心配だ。」

 

「はい!おまかせください!」

 

「隊長ひどいで~。」

 

「ひどいの~。」

 

「日頃の行いだ。2人も元気でな。凪にあまり迷惑かけるなよ。」

 

「分かっとるわ。」

 

「任せてなの~。」

 

少し不安だが大丈夫だろ。さてと・・

 

「華琳・・・・君には本当に世話になったな。」

 

「こちらも部下が同じだけ世話になったのだからお互い様よ吹雪。」

 

「そう言ってくれると助かるよ。」

 

「あと1つ言っておくけど・・。」

 

「?」

 

「私はあなたを諦めたわけではないわ。いつか必ずあなたを手に入れてみせるわ。」

 

「ははっ、楽しみにしてるよ。・・・さてと、そろそろ行くな?」

 

「分かったわ。」

 

「それじゃ、皆、またな!」

 

「「またな。」」

 

「兄ちゃん、またねー!」

 

「早く行きなさいよ!」

 

「隊長、お元気で!(またな~)(なの~)。」

 

「じゃあ、志乃行くか」

 

「はい。」

 

そう言い俺と志乃は陸王に乗りエンジンをかけた。

 

「じゃあ、またな」

 

「お世話になりました」

 

そう言い俺たちはバイクを発進させた。

 

「行ってしまったわね」

 

「はい・・・・・また会えるでしょうか・・・」

 

「会えるよきっと・・・」

 

「そうだな・・・・・ん?どうした姉者」

 

「うん。沖田はあの呂布の息子なんだよな」

 

「そう言えばそうね。ということは呂布も天の国の人かしら」

 

「それもそうなんですが華琳様。あの呂布って今いくつなんでしょう?」

 

「「「「あっ」」」」

 

そう、昨日会った呂布の見た目は17歳ぐらいの少女、その息子である吹雪は16歳。吹雪を産んだとしても三十路は越えているはずなのだ・・・・

そんなことを不思議に思う魏の武人たちだった・・・・・・

 

 

 

 

 

「で、吹雪様。次はどこに行きましょう」

 

「そうだな・・・・一周する感じで回るか。・・・なあ志乃、長江とか見てみたくないか?」

 

「長江っていうと呉ですか・・・・いいですね。私も一度は見てみたいと思っていましたし」

 

「よし、じゃあ、決まりだな」

 

こうして俺たちは呉に向かうことにした。

しばらく陸王を走らせていると・・・・・

 

「吹雪様あそこで何か倒れてます」

 

「ん?あ、本当だ。誰だろう‥‥ってあれ!?」

 

俺と志乃は道に倒れている人を見つけた。しかもそれは見知った人だった。

 

「あれって・・・・・アンチョビさん!?」

 

「お姉ちゃん!!なんであんなところに?」

 

そう、幽州に向かったはずのアンチョビさんだった。

俺は陸王を止めて、倒れているアンチョビさんの元に向かった。

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃんしっかり!どうしたの!?」

 

「アンチョビさん!しっかり、チョビ子さん?」

 

「うっ・・・・チョビ子じゃないアンチョビだ・・・・」

 

アンチョビが目を覚ました

 

「お姉ちゃん。目が覚めたんだね!よかった~」

 

「アンチョビさん。どうしたんですかこんな道端で幽州に行っていたはずじゃ」

 

「ああ・・・・吹雪、志乃・・・・・久しぶりだな。実はな・・・・」

 

アンチョビさんはこれまでのことを説明した。アンチョビさんは俺たちと別れた後、無事幽州に着き妹分である孔明たちに会うことができ、しばらく滞在していたんだが、その幽州にいる天の御使いや孔明に「義勇軍に入らないか?」と勧誘されたらしいが・・・アンチョビさんはその申し出を丁重断り、再び旅に出たのだが・・・・途中で路銀が尽き、食料も尽きて倒れたらしい。

その後、俺たちはアンチョビさんを陸王に乗せて近くの街にある料亭に入った。

アンチョビさんは料理を食べたためか元気を取り戻した。

 

「はぁ~生き返った~ありがとな吹雪、志乃」

 

「いえ、アンチョビさんが元気になってよかったです」

 

「あ、そう言えばお姉ちゃん。朱里や雛里は元気にしていた?」

 

「ああ、二人とも元気にしてたぞ「志乃姉さんによろしく」って言ってたぞ」

 

「そう・・・・よかった」

 

「あ、そうだ吹雪。お前の他にいる天の御使いにあったぞ」

 

「本当ですかアンチョビさん。で、どんな奴だ?」

 

「う~ん・・・・・お前と同じ男性で名は北郷一刀。白い服を着ていて性格は悪くないんだけどな~なんか甘ちゃんで信用できない感じかな?」

 

甘ちゃんって・・・・どんな奴なんだよ・・・・というより北郷一刀か・・・・俺と同じ日本人か?

 

「そうか・・・・」

 

「で、アンチョビさんはこれからどうするんですか?」

 

「そうだな・・・・最初天水に行こうとしたんだけど、私も一緒に吹雪たちと一緒に行くよ」

 

「本当?お姉ちゃん」

 

「ああ。てっ、ことでいいかな吹雪」

 

「ああ、喜んで。よろしくアンチョビさん」

 

「こちらこそな」

 

こうして、吹雪たちはアンチョビと再会し、アンチョビは二人の旅に同行することになったのだった。

 

 

 




今回は短めです。さて次の目的地は呉です。吹雪たちがどんな活躍をするか楽しみにしてくださいね


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吹雪、バラガキに会う

ここでオリキャラを出したいと思います。


俺と志乃は呉にある長江に無片目旅をしていたが、途中で志乃の姉貴分であるアンチョビさんに出会い、ともに呉に向かうことになったのだ。

そして今俺たちは陸王に乗って次の街まで走っている。夕暮れまでにつかないと夜の森は危ないからな。

志乃とアンチョビさんは側車に乗っている。因みに陸王の側車は通常より少し大きく女性二人くらいは要れる大きさなのである

 

「日が暮れてきましたね」

 

「そうだなこの先は山道だ。吹雪今日はここまでにして今日はもう野宿しないか?」

 

「いや、確か華琳からもらった地図によるとこの先5町(500メートル)先に村があるはずだからそこに泊まろう」

 

そう言い俺たちはその村に向かった。

 

 

そして村についたのだが・・・・・

 

「ん?なんかさびれてるな。」

 

「ほんとですね・・・・・村の人の少し元気がなさそうですね」

 

村についてみるとそこには暗い雰囲気のこもった村だった。

因みに俺の陸王はかなり前にあのちびっ子占い師からもらったポイポ〇カプ〇ルという小道具の中にしまってある。ドラゴ〇ンボー〇かよ・・・・

 

「賊の襲撃でもあったのか?」

 

そう思ってると・・・・・

 

「ひぃ~!出た~!」

 

突然、どこからか悲鳴が聞こえた。吹雪とアンチョビは、咄嗟に身構える。

 

「賊か!?」

 

「いや、待てアンチョビさん。あれは……」

 

「「子供??」」

 

叫び声を聞き、前方を確認する。砂煙と共に先頭の15歳くらいの少女と数人程の子供たちが、こっちに走ってきた。

 

「どけどけぇー!!川内軍団のお通りだーい!!」

 

「「「え!?川内軍団?」」」

 

馬に跨がり、そう叫んだ親分らしき少女、たなびく白いマフラー赤い羽織を着て片手に長槍を携えた活発な印象を与える少女だ。

 

「おらぁどかないと馬に蹴飛ばされるぞ!」

 

「きゃあっ!!」

 

「うわぁ!」

 

「おっと!!」

 

川内軍団は猛スピードで二人の前を通り過ぎていった。勢いに負け、志乃とアンチョビは尻餅をついてしまい、吹雪は後ろに飛んでかわした。

砂煙を立ち込めながら、川内軍団は凄まじい速度で去っていった。

 

「まるで台風みたいな勢いだったな……」

 

「やれやれ、全くですね吹雪様」

 

「あっ、二人とも大丈夫、か?」

 

「ありがとうございます、吹雪様。でも大丈夫です」

 

「うちもな」

 

そう言い二人は立ち上がってパンパンッっと、尻に着いた砂を払う。

 

「にしてもなんでしょうかあの子たちは・・・」

 

「そうだな」

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「ははは!そりゃ災難だったねぇ~」

 

「ええ、まあ……」

 

「本当に驚きました。」

 

その後吹雪たちは村にある小さな飲食店で食事をしていて、先ほどの話を聞いた女将は大きく笑い、3人は苦笑いで答えた

 

「あの女将さん。先ほどの川内軍団って何者なんですか?」

 

「名前の通り川内っていう子大将のバラガキ集団よ」

 

バラガキとは悪ガキっていう意味である。

 

「なるほど先頭のあいつがそうか・・・・」

 

アンチョビさんはそう推測する。

 

「まあ、やっていることは畑を荒らしたり、不良と喧嘩したり、牛に悪戯をしたりってところかねぇ。そういやこの間、庄屋様の家の屏にばかでかい庄屋様の似顔絵を落描き描いてた、ありゃ傑作だったねぇ~!」

 

女将はまた大きく笑った。

 

「それにしても、親はなにをしているのだ?山賊気取りの悪ガキを放っておくなんて」

 

「実はあの子、親はいないんだよ。」

 

「えっ?」

 

志乃が驚くと、女将は途端に暗い表情になる。そして、呟く様に語り出した。

 

何でも幼い頃、押し入ってきた賊の手により、両親を殺され。その後、姉と共に暮らしてらがその姉も病で亡くなり今は一人らしいのだ。

 

「あんな性格だけど本当は結構いい子なんだよ?この前も小さい子をいじめる不良をやっつけたり、作物を盗もうとした泥棒を捕まえたり、まあ、やり方はひどかったけどね。とにかく本当は優しいのに結構それを表すのが不器用な子なんだよ。手下の子の親たちも大目に見てやってるし」

 

「そうだったのですか・・・・あの女将どこか泊まれる場所はないですか?」

 

「泊まる場所ならここにしな、うちは宿屋もやってんだ。安くしとくよ」

 

「ありがとうございます」

 

こうして3人はこの飲食宿屋に止まることになったのだった。

 

近くの裏山。その山小屋に、川内軍団はいた。全員、そしてさっき取った卵をゆで玉子にして食べている所だ。

 

「今日も大成功!!そういやこの間、庄屋の家の屏に描いた絵、消されちゃってたな」

 

「傑作だったのに、もったいないよねぇ~」

 

「だよねぇ~」

 

「な~に、今度はもっとすごいのを描いてやるから!」

 

川内は立ち上がり、そう宣言した。

 

「さすがオヤビン姐さん!」

 

「川内軍団サイコー!!」

 

子供たちは一斉にそう叫んだ。そんな中、外はもう夕方。空が橙色に染まっている。

 

「あ、そろそろ帰る?」

 

「うん」

 

「……あ…」

 

子供たちの一人がそういうと川内の表情が一瞬暗くなった。他の子も続く。

 

「じゃあ、あたしも」

 

「俺も」

 

「アタイも、と」

 

子供たちは、家へ帰る為に全員外へ出た。

 

「オヤビン姐さん、じゃあね~!」

 

「お姉ちゃんまたね~!」

 

「うん、また明日~!帰り道、気を付けてね♪」

 

子供たちは、全員村へ帰っていき、川内も小屋へ戻っていった。

 

しかし――――その表情は先程までの明るい面影はない。暗く、悲しい色に染まっていた。

 

「そう・・・また会えるからね・・・・」

 

 

  

 

一方吹雪たちは宿の寝室でゆっくりしていた。

 

「よかったな~格安で宿取れて」

 

アンチョビがご機嫌に言う

 

「そうですね・・・・・吹雪様?」

 

志乃は吹雪の方を見る。吹雪はベットの上に座り何か考え事をしていた。

 

「ん?どうしたんだ吹雪。そんな難しい顔をして」

 

「ん?あぁ・・・いや何でもないよ。じゃあ寝るか」

 

「そうですね・・・・・・」

 

「そうだな。寝ようか」

 

そう言い3人は横になり、眠りに落ちる。

 

 

 

 

「お父さん・・・・なんで僕にはお母さんいないの?」

 

とある港で少年は父親にそう聞く

 

「吹雪・・・・・母さんはな。遠ぉーい外国にお出かけに行ってしまったんだよ」

 

「いつ帰ってくるの?」

 

「う~ん・・・それがわからないんだ。とても遠い場所にいるからね」

 

「遠いってどのくらい遠いいの?お父さんの軍艦で行けないの?」

 

「軍艦じゃなくて護衛艦な。うん。お父さんが乗る船でもいけないくらい遠いいいんだよ」

 

「そうなんだ・・・・」

 

と、少年は項垂れてしまう

 

「でもな。吹雪、きっとお母さん会える。俺はそう思うんだ。」

 

「ほんと?」

 

「ほんとほんと。だからそんなにしょげるなお母さんが見たらがっかりするぞ」

 

「うん!」

 

この時少年は思った絶対に母に会うってことを・・・・・

 

 

 

 

 

「懐かしい夢を見たな・・・・」

 

俺は目が覚めた。まだ日の出は出ておらず、周りを見るとみんなはまだ寝ていた。

あの夢は確か俺が親父の観艦式を見に行った時のとこだ。しかしその観艦式の3年後、事故で亡くなった。

その時は本当に悲しかった。母に続いて父も失ったんだから。だが今俺は一人じゃない。この世界では母で会えることができ、仲間もできた。そんな今に自分は満足している。

しばらくして日が出て、俺たちは女将に宿代を払いこの村を出ようとしたのだが、その途屋敷の前に人混みができているのを見た。

塀のある屋敷で、その中庭。二人の中年男性の前に、数人の兵士が列を組んで並んでいる。

 

「いいですか!?相手は子供とはいえ、手のつけられない暴れもの!油断は禁物ですぞ!?」

 

役人らしい男性が、数人の兵士らしき人達に叫んでいた。

何があったのか?吹雪は人混みの中の一人に問いかける。

 

「何か、あったんたんですか?」

 

「なんでも、今からお役人に川内を捕まえてもらうんですって」

 

「役人にって子供相手に大袈裟な……」

 

「庄屋様、こないだの落描きが相当頭に来なさったらしくて。今回ばかりは、堪忍袋の尾が切れたんだって」

 

「ったく、大の大人が何ムキになってんだよ」

 

少し苛立ちながら、俺はそう言う。それは志乃もアンチョビさんも同じらしい。もう一人の村人が怯える様に呟く。

 

「しかし、お役人も本物の山賊には怖くて手を出さん癖に、こんなときだけ……」

 

「捕まったら、どうなるじゃろう?」

 

「殺したりはしないと思うが、ムチで叩かれるのはあるかものぅ。あぁ、おそろしや……」

 

その言葉を聞いた途端、俺はは迷わずに足を進める。志乃やアンチョビさんは『やっぱりな』っというような感心した目で俺を見る。そして彼女たちも俺と共に役人の前へと向かう。

 

「庄屋殿さん。お話の途中で申し訳ないな」

 

「ん?なんだ、お前は?」

 

庄屋が怪訝そうに聞くと、志乃は答えた。

 

「私は旅の武芸者で、名は司馬懿。こちらは一緒に旅をしている、義姉アンチョビと我が主沖田吹雪様です」

 

「……どうもな」

 

「聞くと、川内なるものは、大人も手を焼く暴れ者とか。ここは一つ、私達に任せてはもらえないでしょうか?」

 

「あんたらが?本当にやれるのか?」

 

「ええ。所詮、相手は戦も知らない者。本物の山賊に比べれば、まだかわいいものです」

 

志乃がそういうと、役人が何かを思い出したのか、思わず声を上げる。

 

「ん?枯草色の異様な服・・・・赤い目・・・それに沖田吹雪・・・・もしや・・・・あの天の御使いの一人であの天水警邏隊隊長の、沖田吹雪!?」

 

「なにっ!?あの池田屋事件の!?」

 

「あのかどうかは知らないが、沖田吹雪なら俺だ」

 

「「おおっ!」」

 

役人たちは喜びと驚きのの混じった声を上げた。

 

「あなたがいればもう安心だ。では頼みますぞ!」

 

「ああ、任せろ。行こうか志乃。アンチョビさん」

 

「「はい(ああ)」」

 

そして3人は、川内軍団のいる山へと向かったのだった。しかしその話は叢に隠れていた川内の部下の男の子に聞かれていたのだった。

 

 




はい、今日は何とか投稿できました。因みに川内は真名です次回で彼女の本名がわかります。
次回もお楽しみに


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川内、吹雪と仲間になる

俺たちは川内に会うため山道を進んでいく。すると前方に、見上げる程に高い杉の木が見えた。

 

「え~っと、これが一本杉か?」

 

「確か、あの庄屋さんが言うには左に行ってそしてまっすぐ進むでしたっけ?」

 

「ということはあっちだな」

 

そう言い俺たちは左の道を行こうとしたが、すると突然、木の上から石が飛来した。木の上で子供たちが石を投げているからだ。二人は咄嗟に反応し、吹雪は刀で、アンチョビは志乃をかばいながら剣で防いだ。

 

「うわっ!危な!」

 

「こらっ!危ないだろ!怪我したらどうするんだ!」

 

「やめなさい!」

 

「こっからは川内軍団の縄張りだ!役人の手先はとっとと帰れ!!」

 

「ちょっ!待て!話を聞け!!」

 

そう叫びながら、男の子は更に石を投げつける。無造作にこちらへと投げつけられ、吹雪たちはそれを防いでいく。吹雪たちは説得しようとするが

 

「この!この!絶対、おやびんを捕まえさせたりしないからな!!」

 

聞く耳を持たず、男の子は構わずに投げ続ける。このままでは、埒が明かない。

 

「えぇい!いい加減にしなさい!!」

 

アンチョビさんはとうとうきれて男の子のいる木に向かっていく。体勢を低くしながらグラディウスを振りぬき大木は切り落とされた。

 

「う、うわぁ!?」

「危ない!」

 

刀を腰にしまい、吹雪は落ちてきた男の子を両手で受け止めた。少年に怪我は見当たらず、吹雪は安堵する。

 

「ふぃ~、何とか間に合ったようだな」

 

「うぅ、助かっ――――」

 

「それはどうかな~?」

 

声のする方を見る。するとそこには不動明王のごとく怒り顔アンチョビさんがいた。

 

「さて・・・・こういう、いたずらっ子にはお仕置きをしないとな」

 

アンチョビさんは指を鳴らしながらジワリと少年に近づき・・・・

 

ふん!」

 

「ギャアアア~~!!」

 

男の子に制裁を下し、悲鳴が森一帯に響き渡った。お仕置きをした後、3人は先を進んでいく。

 

「志乃・・・・アンチョビさんって怖いんだな」

 

「はい・・・・・私と妹弟子の2人がまだ水鏡先生のいた頃なんですが、誤ってお姉ちゃんのお気に入りのお皿を割ってしまったんですけど、その時のお姉ちゃん・・・・・」

 

そう言うと志乃は両肩を抱きぶるぶると震えた。よほど怖かったんだろう。すると草むらから、またまた手下らしき子供たちが出てきた。

 

「やぁーい!やぁーい!ちびっ子!」

 

「クルクル頭~」

 

「女顔~」

 

(女顔って・・・・俺の顔は確かに母さん似だけど・・・・こういわれるとなんか傷つくな・・・・)

 

俺は別に顔が母さんに似ているのは別に嫌じゃないむしろ母親似なのは俺の誇りでもある。けどこうして正面から言われると、精神的に刺さる物がある

 

「ブス~♪」

 

「クルクル年増~♪」

 

「なっ!誰が年増だ!」

 

アンチョビは怒って子供たちに近づくがあることに気がつき、足を止めた。

そう、彼女の目の前。分かりやすそうに、大量の落ち葉が敷かれていたのだ。完全に落とし穴だと思うくらいに。

 

「ふふっ・・・落とし穴か。ローマ帝国軍百人隊長である私も舐められたものだな。こんな罠にかかる私ではないぞ!」

 

そう言いアンチョビさんは葉が敷き詰められているところを飛び越える

 

「あ、お姉ちゃん。それは・・・・」

 

「ん?て、うわぁ!」

 

志乃がアンチョビに話しかけアンチョビが振り返ろうとした瞬間。アンチョビは」穴に落ちた。

そう実は、葉が置かれた場所はダミー。その後ろに本当の落とし穴を仕掛けていたのだ。

 

「やぁーい!ひかかった!」

 

「おしっこかけちゃえー!」

 

「こらぁー#」

 

アンチョビはものすごい勢いで穴から飛び上がり、子供たち全員にお仕置きをした。そのお仕置きとは母が子供を叱るときによくするお尻ぺんぺんだった。

それを見て志乃はぶるぶると震える。お仕置きされた子供たちは全員、涙目で怯えている

 

「親びんはお前達なんかに負けないからな」

 

そう言う子供たち

 

「そうか・・・・だけどなお前たちはやりすぎた、今の庄屋は本気だ。もし今この場にいたのが俺たち3人ではなく役人の人間だったら、お前たちは確実に殺されてたぞ。」

 

「なっ!嘘だ!そんなの出鱈目だ!」

 

「嘘じゃない、現に庄屋は役人どもに川内の捕獲を依頼した。もしこれをお前たちが邪魔でもしたら、役人どもはどうすると思う?」

 

「分からないよ」

 

「...あぁいう役人は自分の手柄や命のためならおそらく平気で子供を利用し殺す。もしここでお前たちが役人に捕まればお前たちを人質に川内が自首するよう強要する。そして用のなくなったお前たちの首は......バッサリだ。言い訳は後で何とでもなる。川内との戦闘に巻き込まれたとでも、逃げようとしたお前たちを川内が後ろから切ったとでも言えばいい。」

 

恐らく、あの役人たちはそうするだろう。それにあの役人隊長の目、なんか信用できない。何か企んでるという感じがした。

 

「そ、そんな事が許されるのかよ!?」

 

「許す許さないの問題じゃない、今の時代は弱い物が虐げられる世界なんだ。力のない物は蹴落とされる。」

 

「そんな......」

 

「だから俺たちが来たんだ。俺たちはお前の親分を絶対に悪いようにはしない。約束する、だからお前たちは今すぐ家に帰っくれないかな。」

 

男の子の肩を掴んで膝を地面に着け、視線を合わせ、言い聞かせる

 

「...うん、わかった。」

 

「...わかってくれたか。」

 

吹雪は何とか子供たちを説得し子供たちは村に帰った。

 

「それっじゃ、二人とも行きますか」

 

「そうだな」

 

「そうね」

 

俺たちも先に進んだ

 

「志乃、さっき俺が言ったことなんだが・・・」

 

「おそらく吹雪様の読み通りだと思います。」

 

「私もだ。出発する前にあの役人たちの顔を見たが、信用できない。あれは仕事じゃなくて、褒美目当てで来てるな」

 

「ああ・・・・村に帰った子供たち無事だといいんだが・・・・・」

 

志乃もアンチョビさんも俺と同じ考えをしていた。しばらく歩いてると山のふもとに立つ小屋の前にやってきた。

その小屋の前に、長い白マフラーを首に巻き長い長い槍を持った構え立っていた。

 

「お前が川内軍団の棟梁か!名はなんというんだ!」

 

と、吹雪は少女に向かって叫ぶ

 

「私の名前は張済!泣く子も黙る川内軍団の棟梁だ!」

 

槍を振り回しながら名乗りを上げる張済。

 

「すまぬが君の仲間は村に返したぞ」

 

俺がそう言うと張済はそれを聞いて崖を飛び降りてくる

 

「あんたたち!あの子たちに何をした!!」

 

「安心しろ。怪我はさせていない。ただアンチョビさんがお仕置きとかはしたけどな」

 

「はぁ~あの子たちなんか失礼なこと言わなかった?してたら謝るよ」

 

「いやただの子供の戯言しか言わなかったよ」

 

そう言うアンチョビさん

 

「そう・・・で、あなたたちここに来た目的は?返答次第ではただじゃおかないよ!」

 

そう言い張済は俺たちに槍を向けて威嚇する

 

「お前が前にやった悪戯で庄屋が怒ってな。それでお前が俺たちと一緒に来て謝罪すれば許すって、もし、しなければ役人派遣してお前を退治するってよ。」

 

「そうか・・・・庄屋はそんなに怒っていたのか。結構受けたと思ったんだけどな~」

 

少女は頭を掻きながらそう言う

 

「で、どうする。一緒に来て謝るか?」

 

「本来1人ならそうするが、仮にも私は川内軍団の棟梁だ。そう、やすやす頭は下げられなね」

 

「じゃあ、どうすれば俺たちと来る?」

 

俺は彼女にそう言う

 

「そうだな。お前、私と戦え!お前も武人なんだろ?武人なら武器で語れ、それで私に勝ったら謝罪でも何でもするよ」

 

「分かった。志乃これを預かててくれ」

 

「分かりました。吹雪様お気を付けて」

 

「あまり無理すんなよ吹雪」

 

吹雪は志乃に九九式小銃を預け、菊一文字を抜き、張済は槍を構えそして向かってきた

 

「おりゃぁ―!!」

 

「うりゃぁ―!!」

 

刀と槍がぶつかり合う、長さは張済の槍の方が長いしかし俺はその攻撃を薙ぎ払い間合いに入ろうとする。しかし張済もそうはさせまいと槍を振り回す。まるで宝蔵院流みたいだな・・・・

 

「お前やるな!こうでなくちゃ面白くない!」

 

そう言い彼女はさらに攻撃を続ける俺はいったん彼女と距離を取り刀を鞘に戻し、構えるそう、抜刀術の構えだ

 

「なんだよ勝負を捨てるのか?」

 

「いや、捨ててないさ。なんなら来てみな」

 

「っ!?うらあぁー!!」

 

張済はそのまま槍で吹雪を貫こうとするが、吹雪は鞘から刀を抜きさり彼女の槍を弾き飛ばした。

 

「なっ!なに!?」

 

突然のことに張済は驚く

 

「どうする?まだやるか?」

 

俺は刀を彼女に向ける

 

「はぁ~私の負けよ。約束どうりあなたの言うとうりにするわ。庄屋のおっさんに謝罪するよ」

 

彼女は両手で手を上げていった。だがその顔は悔しさっというよりなんか嬉しそうな顔をしていた。

 

「ちょっと待ちな!」

 

藪の方から声が聞こえ、みんなその方向を見る、そこには・・・

 

「貴様は庄屋に呼び出された役人・・・」

 

そう、庄屋の横で部下に命令を出していた役人が立っていた。

 

「これはどういう事でしょうか?この件に関しては私たち一任にされたはずです。」

 

「なぜおまえたち役人がいるんだ!」

 

志乃やアンチョビさんがそう言う

 

「ふん、知れたことよ。俺たちはそのバラガキを捕まえりゃあ庄屋から金が貰えたのによぉ、噂の御使いが現れた所為でこっちにはびた一文も金がこねぇ、そこで考えたのさ。どうせなら、アンタらを倒してそいつも捕まえて、俺は金も名誉も手に入れてやるってな!ギャハハハハ!」

 

ふざけた奴らだ・・・・・

 

「ふざけるな!この優男ならともかく誰がお前のような奴に捕まるもんですか!」

 

「おっと、そういう事はこれを見てから言いな。」

 

すると後ろの茂みから男が3人出てきた。そいつらは剣で先ほどの子供たちを脅しながらこちらを見て笑っていた

 

「みんな!」

 

「貴様!これはどういう事だ!?」

 

「な~に、簡単な話よ。俺たちはアンタたちが町を出てしばらくしてから 後を追っかけたのさ。そしたら山道を歩いて下山してくるこいつらを見つけたのさ。後は剣で適当におどしてここまで連れてきたのさ。ギャハハハハ!」

 

「貴様!何処まで腐ってるんだ!恥を知れ!!」

 

「おっとお前も動くな外人さんよ、ガキどもがどうなっても良いのか?」

 

「クッ!?」

 

「ガキ殺されたくなければ、武器を捨てな!早く!!」

 

「くそっ!」

 

俺と張済とアンチョビは武器を捨てる

 

「お前の言う通りにした。だから子供たちを離せ!」

 

「悪いな張済。こいつらはいろいろ知りすぎてる。よって貴様らには死んでもらうぜもちろんそのガキもな」

 

「なっ!話が違うぞ!」

 

「貴様!どれだけ卑劣なんだ!」

 

「うるせぇ!おいてめえら先にガキを・・・・」

 

パアァーン

 

役人の隊長が部下に指示を出そうとした瞬間銃声が鳴り響き役人隊長は頭から血を流し倒れる

銃声が鳴ったところを見るとそこには南部拳銃を片手に持った吹雪の姿があった。

 

「な、何んだあれは!?」

 

見たこともない武器に子供たちを人質にしている役人二人が怯みスキができた。

 

「隙あり!!」

 

「うりゃ!!」

 

「ギャッ!」

 

「ぐえぇ!」

 

バタン

 

バタン

 

「みんな今のうちに!」

 

「「は、は~い!!」」

 

役人が怯んでいる隙にアンチョビと張済は役人をやっつけ、志乃は子供たちを保護した。

 

「こ、このよくも邪魔しやがったな!」

 

3人のうち2人は逃げ、最後の一人は剣を持ち吹雪に向かおうとする。

 

「やめとけ・・・・おとなしく退くなら、命は助ける、退かねば・・・・殺す!」ギロッ

 

「ひっ!タ、助けてくれ~」

 

吹雪にありったけ殺気をぶつけられ役人は剣を捨てて逃げた。

 

「ふ~終わったか・・・」

 

吹雪は深呼吸して手に持っていた拳銃をしまう

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん?なんだ張済」

 

「ありがとな。この子たち助けてくれて」

 

「「「「「ありがとうございます」」」」

 

張済とその仲間たちが礼を言う

 

「いや、礼を言われるほどじゃないよ。ただ単に子供を盾にするあいつらが気に入らなかっただけさ」

 

「そうか…でも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。そうだ今日はもう遅いから私の小屋に泊まってくれ!お前たちも今日は泊まれ、もう遅いしな」

 

「「はい、親びん」」

 

そう言えば空を見ると、もう日が暮れそうだ。今から村に行っても夜になるし子供たちだけどもさっき見たいなことになりかねない

 

「分かった。じゃあ泊まるか。志乃もアンチョビさんもいいよな」

 

「私は別に問題ないぞ」

 

「私も問題ありません」

 

こうして俺たちは、張済の小屋に泊まることになった。そして夜小屋の中は賑やかとなった。アンチョビさんは自慢の腕で料理を作りその料理にみんなが喜び、志乃は子供たちの遊び相手となったり本当ににぎやかだった。

そして真夜中みんなが寝ているころ俺は外に出て月を眺めていた。

すると・・・

 

「眠れないのか?」

 

すると張済がやってきた。

 

「いや、ただ月を見てただけだよ」

 

「そうか・・・・そう言えば名前聞いてなかったな。何て名前なんだ?」

 

「吹雪。沖田吹雪だよ張済」

 

「そうか。吹雪か・・・・・・・・って!沖田吹雪!あの!枯草の御使いで池田屋事件で有名な!」

 

「ああ、その沖田吹雪だよ」

 

「スゲーどおりで強ぇーわけだ!」

 

彼女が興奮して言う

 

「張済・・・・・」

 

「川内って呼んでくれ。仲間を救ってくれた礼だ。だからこの真名預かってくれ」

 

「分かった。川内、で訊きたいことがあるんだ」

 

「ん?なんだ」

 

「お前はなぜ武器を振るんだ?」

 

「・・・・・・わからね。私はただのバラガキ。憂さ晴らしや気に入らないやつに牙をむいて暴れてただけだからな」

 

「そうか・・・・じゃあ、その腕、守るために使ってみたいとは思わないか?さっき仲間の子供たちを助けたように」

 

「・・・・守るためか・・・そんなの考えもしなかったな」

 

「じゃあ、俺たちと一緒に旅に出ないか?」

 

「お前と一緒にか?」

 

「ああ、俺は今自分の見聞を広め少しでも世の中を変えるため旅をしている。だから一緒に行かないか?」

 

「守るために力をふるうっか・・・・いいな面白そうだぜ!よし!私も一緒に旅に行くわ!!」

 

「ありがとうな川内」

 

「おう!よろしくね吹雪!!」

 

こうして張済こと川内が旅の仲間に加わることになったのだ。

そして翌日、約束通り吹雪達は、川内と子供たちを連れ、一緒に村のみんなに謝りに行った。そして庄屋にはきちんと許してもらい、村のみんなに旅の出発を見送ってもらった。もちろん子供たちにも

 

「おぉ~い!オヤビ~~ン!」

 

「武者修行して強くなってね~!」

 

「なってね~!」

 

「みんな、オヤビンが帰ってくるの待ってるから~~!」

 

「オヤビ~~ン!」

 

大きく手を振り、大声で張済を見送ってくれていた。中には、泣き出す子供もいる

 

「みんな~また会おうぜ!!元気でやれよー」

 

川内は槍を肩に掲げ大きく手を振りながら子供たちに別れを言う

 

「さて、行くか、みんな」

 

「そうだな」

 

「はい」

 

こうして俺たちは旅を続けるのだった。因みに今回は定員オーバーの為、陸王は使わず、歩いて旅をするのだった。

 

 




はい、川内の本名は張済です。イメージは艦これの川内と、性格や武器とかは新選組十番隊組長の原田左之助をイメージして書きました。
今回の話はいろいろアレンジを加えてますがアニメ版恋姫無双の第1話をもとに書きました。
次回もお楽しみにしてください。ではごきげんよう


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吹雪、迷子と張角に会う

張済こと川内に仲間に加え、旅を続ける吹雪一行。

 

「いや~今日も天気いいな」

 

「ああ、吹雪の乗っていた陸王で旅するのも良かったけど、やっぱ旅は歩いて行かないとな」

 

今吹雪たちは歩いて旅をしている。なぜなら4人だと陸王は定員オーバーだし、アンチョビさんが「あれで旅をするのもいいが、やっぱり歩いて行かないか?」っと言われたためである。それから吹雪たちは歩いて旅をしているのだ。

 

「あ、街が見えてきましたよ」

 

志乃がそう言い、彼女の指をさす方向には街が見えてきた。

 

 

 

「♪~♪~♪」

 

街に着くと川内がご機嫌に歌う、どうやら初めての街に興奮しているようだ。

 

「川内さん。歌上手いんですね。」

 

「まあな、私、歌を歌うのが趣味だからよく暇なときは子供たちに歌とか歌ってたんだよ」

 

「へ~意外だな。」

 

「意外ってなんだよ吹雪!意外って!!」

 

「はは・・悪い悪い。謝るよ」

 

「よろしい!・・・・あれ?」

 

「どうしたんだ川内」

 

「あ、いやこれなんだけどさ」

 

川内は街の塀に貼ってある張り紙を指差す

 

「只今人気絶頂の張三姉妹、本日当地にて公演開催」

 

「(張?まさかこれって)」

 

「なんだ…この張三姉妹というのは?」

 

アンチョビは首をかしげて言う

 

「私、聞いたことがあります。今話題の歌って踊れる三人組の歌手で、能天気な笑顔が魅力の天和こと張角、ノリノリな盛り上げ役の地和こと張宝、眼鏡が知的な人和こと張梁の三姉妹で今けっこう人気なんですよ」

 

志乃がそう説明する

 

(なるほど、アイドルみたいなものか)

 

「志乃は何でも知ってるな~」

 

「はい。軍師たるもの、いろんな情報とかも知っとかないといけませんから」

 

因みに川内と志乃は旅をしている最中に真名を交換し合っている

 

「公演は今日の夕方か・・・・で、どうする見に行く?」

 

吹雪は3人に訊く

 

「ああ、せっかくだし見に行こうか。私も興味あるからな」

 

「そうですね」

 

「賛成~♪」

 

「そうか。じゃあ見に行くか・・・・って言ってもまだ明るいし時間もまだあるしな・・・・・」

 

「それじゃあ、時間になるまで各自、自由行動はどうでしょうか吹雪様」

 

「それはいいな。じゃあ、時間になったら、公演会場前に集合な」

 

ということで4人は張3姉妹の公演時間まで自由行動となったのだ。

 

 

 

 

 

 

「さて・・・・どこで時間潰そうかな。この時代ゲームセンターなんてないしな・・・・」

 

現代にいた時吹雪は時間を持て余した時にいつもゲームセンターに行っていたにだが、ここは三国志の時代、ゲームセンターどころかコンビニもない時代だ。

 

「そうだな・・・・・本屋に行くか。なんか面白そうなものありそうだし」

 

吹雪はこう見えて読書家でもあり学校にいた時は図書室の主と言われるほどである。吹雪近くに本屋がないか探すのだった。

 

「本屋は何処かな・・・・・・「うえ~ん!!」ん?どこかで子供の泣き声がするな・・・・・あっちか?」

 

吹雪が本屋を探しているとどこからか子供の泣き声が聞こえて吹雪はその方向へと向かう。するとそこには紫髪の少女が泣いていたのだ。吹雪はその少女に近づき彼女の目線まで腰を下げて

 

「どうしたの?なんで泣いているんだお母さんは?」

 

と、優しい声で少女に言う。すると少女は吹雪の顔を見て

 

「ぐすん・・・・お母さんとはぐれちゃったの」

 

と、少女は泣きながら言う。つまり迷子だ。

 

「そうか・・・・迷子か・・・」

 

「どうしよう‥…ぐすん」

 

そう呟き、その少女は不安そうに表情を歪める。

 

「よし!それじゃあ、一緒にお母さんを探そうか!」

 

「…‥ほんと?」

 

「ああ、そのままほっといたらどっかの馬鹿に誘拐されでもしたら大変だからな……………じゃあ、行こうか」

 

「うん♪」

 

そう言って、少女は先に歩き出し、吹雪は横に並んで歩いた。

 

「そう言えば君、お名前は?」

 

「璃々はね、璃々っていうの!」

 

「璃々ちゃんか。いい名前だね。俺は沖田吹雪っていうんだ。吹雪って呼んでくれ。よろしくな璃々ちゃん」

 

「うん♪よろしくね吹雪お兄ちゃん」

 

素直でいい子だな~っと吹雪はそう思い璃々という少女と共に街の中を歩く。璃々が言うには璃々のお母さんはどこかの城の城主で今日は家族旅行の為この街に来たのだが璃々ちゃんが街角で売っているヒヨコに目を奪われた時にお母さんとはぐれてしまったらしい。

 

「そうか・・・・そんなことがあったのか」

 

「お母さん。きっと心配してる‥‥ぐすん」

 

「大丈夫。必ず君のお母さんを見つけてあげるから。」

 

吹雪は璃々の頭を優しくなでる。

 

「えへへ♪」

 

璃々は無邪気に笑うのだった。その後吹雪は璃々と共に母親を探すのだったが

 

「人混みが結構多いな・・・・」

 

「吹雪おにいちゃん」

 

璃々は吹雪の服の袖をクイクイッっと引っ張る

 

「ん?なんだい璃々ちゃん」

 

「前が見えないよ~」

 

「そうか・・・じゃあ!」

 

「うわっ~高ーい♪」

 

吹雪は璃々を肩車した

 

「どうだ?これで見えるか?」

 

「うん!よく見える♪」

 

「そうか!よく見えるか。あははは!」

 

「あははは」

 

と吹雪と璃々は笑いあう、他の人が見れば親子みたいだ。しばらく肩車しながら歩いていると・・・・

 

「あ!お母さん」

 

と璃々がある方向を指さす。するとそこには役人と話をしている女性がいた。

 

「り、璃々!」

 

璃々の声が聞こえたのか、お母さんと呼ばれた女性は、役人との話を止めて璃々の方を向いた。

 

「お母さん!」

 

吹雪は璃々を降ろすと璃々は、そのまま女性に飛び込んだ。

 

「璃々!」

 

飛び込んできた璃々をその女性は受け止め、キツく抱きしめた。

 

「何処行ってたの璃々!心配かけて!」

 

そう言いつつも、その女性は璃々を抱き締めていた。

それから役人が璃々の母親に話しかけ、その迷子が娘さんなのかを確認している。

その様子を、すっかり蚊帳の外になってしまった吹雪は呆然と見ていたが、やがて、静かに微笑み、音を立てずに踵を返した。

 

「さて、あの子の母親も見つかったし、一件落着だな」

 

そう言い吹雪は帽子を深くかぶって顔を隠し、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

吹雪がその場を立ち去り、役人との話を終えた親子は、帰える準備をしていた。

璃々の母親、黄忠こと紫苑が、璃々と話している。

 

「それで璃々、いったいどこにいたの?」

 

「うん。あのね、ひよこさん見てたら迷子になっちゃって、泣いていたところに吹雪お兄ちゃんがね・・・あれ?」

 

璃々はは後ろを向いて、紫苑に吹雪を紹介しようとしたが、既に彼は居なくなっていた。

 

「あれ?お兄ちゃん。いなくなっちゃった・・・」

 

璃々はあたりを見渡すが吹雪の姿は見えなかった。すると紫苑は『吹雪』という名前に心当たりがあるのか、璃々を呼び寄せた。

 

「璃々、吹雪っていう人。もしかして沖田吹雪って名前?」

 

紫苑がそう言うと璃々が頷く

 

「そう・・・・あの御使いさんの一人の・・・・・彼には大きな借りができたわね。・・・・璃々もうそろそろ帰りましょうか」

 

「うん♪」

 

こうして親子二人はうちに帰るのだった。因みに帰り間、璃々は紫苑に吹雪と会った時の事や、紫苑を探すのを手伝ってもらっている時の話について嬉しそうに語っていたのだった。

 

 

一方吹雪は

 

「さて、まだ時間も少々あるし集合場所になんか喫茶店みたいなところがあったなそこに行くか」

 

吹雪がそう言ってその店に向かおうとすると

 

ドンっ!

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

誰かにぶつかるのだった

 

「あっ!すみません」

 

「いったーい!なにするのよ!!」

 

ぶつかった相手は怒りながら吹雪にそう言う、しかし吹雪にはそのぶつかった相手に見覚えがあった。

 

「あれ?君は・・・・・・張角?」

 

「へ?」

 

吹雪がぶつかったのは夕方、吹雪たちが見るライブに出るはずの張3姉妹の長女張角だった・・・・・

 

 




次回も楽しみにしてくださいね。あと登場人物蘭に張済こと川内を書く予定です。
感想とかお待ちしております。


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アイドル会場での騒動

久しぶりの更新です。駄文ですみません


「君って‥‥もしかして張角?」

 

「へ?」

 

俺がぶつかったのは俺たちが夕方見るライブに出るはずの張3姉妹の長女張角こと天和だった

すると・・・・・

 

「おいおい姉ちゃん!もう逃げられないぜ!」

 

と彼女の後から何やらいかつい男二人現れた。先ほどの張角は吹雪の後ろに隠れる

 

「あ、あの~あなたたちは・・・?」

 

状況が理解できず吹雪はうろたえる

 

「助けてください。あの人たちしつこくて」

 

天和は涙目でそう言う

 

「なんだよ~せっかく俺たちが遊びに誘ってるのによ~」

 

「そうだぜ!俺達と一緒に遊ぼうぜ胸のでかい姉ちゃんよう! 」

 

「ですからお断りします!」

 

吹雪は3人の会話を聞き大体の状況が分かったのだった。

 

「おい!そこの優男!そこをどきな!」

 

「そうだぜ!」

 

男二人はそう迫るが吹雪は動じない。

 

「断る。女の子を泣かせるやつにどく義理はない」

 

と、吹雪は男の前に立ちはだかる

 

「なんだとこのガキャ‼いい気になりやがって!」

 

そう言い男の一人は吹雪に拳を振り上げ襲い掛かるが・・・・吹雪はその攻撃を軽く避け男の上げめがけて足蹴りをした。

 

「ぐほっ!? 」

 

顎に強烈な蹴りを喰らい、倒れる。

 

「なっ!貴様よくも!!」

 

もう一人の男は小刀を取り出し、吹雪を斬りつけようとするが・・・・

 

「やめておけ・・・・・命が欲しければな・・・・」

 

吹雪は殺気を放ち、赤い目がらんらんと輝き、殺気をぶつけられた男は、あまりの恐ろしさに腰を抜かす。

 

「死にたくなければ・・・・そいつを連れてさっさと失せろ」

 

「ひっ!す、すみませんでした!!」

 

そう言い男は連れを担いで逃げて行った。

 

「大丈夫でしたか? 」

 

男達を倒した吹雪が天和に聞くと

 

「はいっ!ありがとうございます!/// 」

 

「(何で顔が赤いんだ?) そうかよかった」

 

どうやら吹雪の姿を見て惚れてしまったようだが鈍感な吹雪が気づくことはなかった。

 

「あの、よかったらお礼を… 」

 

「あ、いえ、お礼は要りませんよ。それじゃあ張角さん。俺はこれで・・・」

 

そう言い吹雪はその場を立ち去ったのだった。

吹雪が去った後

 

「あの人、かっこいいな ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして吹雪は集合場所である講演会の会場前に着きその数分後にみんなが揃った。

 

「よし、みんな揃ったな。じゃあ入るか」

 

そう言い4人は会場に入るのだった。見上げる程にでかいドーム状の建物。周りにはファンらしき人々が会場へと進んでいく。

 

「いろんなものが売ってますね・・・」

 

志乃が見たものは屋台に並ぶお土産とかだった。

 

「まるで祖国ローマの市場を見てるみたいだ」

 

アンチョビはその風景を自分の祖国であるローマと重ねていた。

 

「アンチョビさん。ローマの市場ってこんな風ににぎやかなんですか?」

 

「ああ、いつもお祭り騒ぎみたいで賑やかなんだぞ」

 

「へ~そんなんだ・・・・私も見てみたいな。お姉ちゃんの国に」

 

「俺も、少し興味あるな」

 

アンチョビさんは嬉しそうに言い、志乃と川内はアンチョビの故郷であるローマに興味を持つ

 

「いつか行こうな。アンチョビさんその時は道案内お願いします」

 

「ああ!任しとけ。」

 

そう言いアンチョビさんはニッと笑うのだった。

 

 

 

 

数え役満姉妹の控え室

 

「はぁ〜、さっきの人は誰なのかな〜? 」

 

天和はついさっき助けてもらった吹雪のことが気にしていた。

 

「ちょっと!姉さん何ぼんやりしてるのよ! 」

 

「そろそろ開演するから準備してください! 」

 

妹の二人が言うと

 

「わかってるよ〜! 」

 

すぐさま準備をする天和だった。

 

一方吹雪たちは観客席の方へと移動した。会場内は、二階建てとなっており、吹雪たちは中間の席に座っている。すると川内があることに気付く

 

「なあ、観客が持っているあれって市場に売っていた飴だよな」

 

川内の言う通り、黄色の法被らしきものを着ているファンのほとんどが、あのオレンジ色の飴を食べずに、手に持っている。

 

「そう言えばそうだな。この中は飲食禁止なのか?」

 

アンチョビもそう疑問に持つ。すると吹雪は隣にいる志乃に小声で声をかける

 

「・・・・・志乃あの連中って・・・・」

 

「はい・・・・黄巾党の連中です。もしかして黄巾党の首謀者は・・・・・」

 

「いや、まだ決断には早いよ。そう言えば黄巾党の連中がおとなしくなった時期は・・・・」

 

「半年前・・・・丁度、張三姉妹が流行り出した頃です」

 

そう、張三姉妹が歌でデビューしたころ黄巾党の奴らの動きが大人しくなったのだ。

志乃と吹雪が話しているとライトが照らされた。

 

「おっ!」

 

「そろそろ始まるみたいだな」

 

伴奏が鳴り、ライトが照らしている場所に、張三姉妹が現れた。

 

「「「みんな〜〜!いっくよ〜〜!!」」」

 

《ホワアアアアァァァァァ!!!》

 

三人の登場で、会場内は騒然となった。

 

「凄い歓声だな!?」

 

「なんか怖い位だな・・・」

 

アンチョビと川内は苦笑いしながら、舞台を見ている。

張三姉妹が歌を披露すると同時に、ファンの全員がオレンジのスティックを天に掲げ、ゆらりと左右に揺らしている。

 

「なるほど・・・あの飴はこういうためか・・・」

 

「(ライトスティックの代わりか・・・・)」

 

歌が一通り終わると天和が観客の人たちに声をかける

 

「みんな~!元気―!!それじゃあ、いつものいっくよー!みんな大好き!!」

 

『てんほうちゃ~~ん!!』

 

「みんなの妹~」

 

『ちいほ~ちゃ~~ん!!』

 

「とっても可愛い・・・」

 

『れんほ~ちゃ~~ん!!』

 

アイドルのコンサートならではのお決まりというものだ。

 

「ありがと〜〜!今日もバッチリ決まったね♪」

 

『ホワッホワッホワァァァァァッ!!』

 

伴奏が終わり、続いてトークコーナー。

 

「えぇ〜っと、今日は、その…………私何て言うつもりだったんだっけ?」

 

「知らないわよ!」

 

「天和姉さん、しっかりしてよ…」

 

観客席から笑いが聞こえる。しかし・・・・

 

「どけどけー!!」

 

観客から男が乱入し、天和を襲いかかり・・・・・

 

「きゃっ!離して!!」

 

天和につかみかかったのだ

 

「天和姉さん!? 」

 

「ちょっとあんたなんなのよ!♯ 」

 

地和怒りながらが聞くと

 

「天和ちゃんは俺のものだ!近づくんじゃねぇ! 」

 

この男はいま時で言う危ないファンである。男は手の持った小刀をブンブンと回し近寄れない雰囲気であった。

しかし・・・・

 

ダアァァーン!!

 

キンッ!

 

「うわっ!」

 

講演会中に銃声が鳴り響き、男の手に持っていた小刀は弾き飛ばされその衝撃で天和の腕を握っていた男の手の力が緩んだ。

 

「なんだかわからないけど今のうちに 」

 

天和はその隙に逃げ出そうとする。それを見た男が追いかけようとするが・・・

 

「動くな・・・・動いてその子に手を出そうものなら刺すか撃ち殺す。」

 

男の首筋に冷たいものが触れる。その正体は男の後ろで銃剣付きの九九式小銃を構えた吹雪がいた。吹雪の威圧に男は動けないでいる

 

「ひっ!・・・・・・な!なんだよお前は・・・・何者なんだよ!」

 

男は震えながら吹雪に訊く

 

「・・・・ただの旅人だ・・・・」

 

吹雪はさらに威圧し、その男は気絶する。それを見た吹雪は偶然天和と目線が合った。 天和は心配そうにこっちを見ていた。

すると吹雪は、もう大丈夫だと伝える為か、優しく微笑み、そして舞台から降り退場した。

その後会場が大騒ぎになったのは言うまでもない。

 

その後吹雪は志乃と合流し、旅の続きをしに出ようとした。その道中、アンチョビと川内はご機嫌に張3姉妹の歌を歌いながら道を歩く

 

「お姉ちゃん。すっかり張3姉妹の歌気に入っちゃったみたい」

 

「川内もな」

 

と二人は互いに微笑みながら言う。

 

(それにしても・・・・・・張3姉妹か・・・やはりあの3人があの乱を・・・・いや、分からない。きっと大丈夫だ。)

 

そう心で思い、吹雪は旅を続けるのだった。

 

 

「……」

 

「天和姉さん?天和姉さん!」

 

「ふぇっ!?な、なに?」

 

「どうしたの?顔赤いけど」

 

「な、何でもないよ?ちいちゃん、人和ちゃん!」

 

明らかに挙動不審な姉の姿を見て、二人の妹は顔を見合せ、頭を傾げるのであった。

「でもあの男に感謝しないとね。」

 

「そうね。でも彼の構えてたあの武器・・・・外は昼なのに雷みたいな轟音・・・・もしかしたら・・・」

 

(噂に聞く雷鳴を轟かす天の御使いかも・・・・)と人和は言いかけたがすぐにその言葉をひっこめるのだった。

 

一方天和は

 

「(あの人にまた会えるかな・・・・・・)」

 

と、考えていた。しかし、彼とは意外な形で再会することになるとは天和達はまだ知らなかったのだ・・・

 

 



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じゃじゃ馬姫、孫尚香

旅を続けている吹雪達は山道を歩いていた

 

「うわぁー、いいお天気ですね!!」

 

「そうだな志乃」

 

「こんな晴れた日には何かいいことがあるかもしれ・・・・」

 

「ちょっと!離してよ」

 

声が聞こえた方に視線を向けると店で桃色の髪の少女が髭を生やした男に捕まっているのであった。

 

「そこまでだ!!小さな子に乱暴する悪党め、このドゥーチェがこの場で成敗してくれる!!」

 

「・・・・お姉ちゃん。何言ってるの。ドゥーチェって?」

 

「あ、いや。なんかこう言わなきゃいけないような気がしたから・・・・・」

 

「そんなことより悪党髭親父め!覚悟しろ!!」

 

「え・・・・悪党って、おらはただ・・・・」

 

「問答無用!!覚悟!!」

 

「チェスト―!!」

 

「うわああああああああああ!!」

 

そのまま、アンチョビさんと川内は男を殴り飛ばしてしまった。因みにその絡まれていた少女はどこかに消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「ええっ!食い逃げ!?」

 

「んだぁ、さっきの娘っ子、飲み食いした後、金払わずに逃げようとしたから、それで・・」

 

左目に青あざをつけた店主の親父は腕を組みながら言う。

 

「ああ、いやぁ・・そうとは知らず、とんだ勘違いを・・」

 

アンチョビはアワアワしながら店主の親父に謝る。

 

「本当にすみませんご主人。あのこれ迷惑料です。これで手を打ってはもらえませんか?」

 

そう言い吹雪は前に華琳にもらった褒美の宝石を渡す。

 

「こ、これは隣町でもなかなか手に入らない宝石じゃないか!?よし!これで手を打つよ兄ちゃん」

 

何とか店主の親父に許してもらった吹雪達だった。

そして道中・・・・・・

 

「吹雪すまん・・・・私の早とちりで・・・・」

 

「いや、いいですよアンチョビさん。間違いは誰でもありますから」

 

「そうだよお姉ちゃん。」

 

「まったくとんだ災難だな。あの小娘見つけたらただじゃ・・・・」

 

落ち込むアンチョビを吹雪と志乃が励まし、川内はとばっちりを受けた怒りで少しいらついている。すると・・・・

 

「ちょっと、待ちなさいよ!!」

 

すると後ろから吹雪たちを呼びとめる声が聞こえてきた。後ろを振り向くと先ほど食い逃げした少女の姿が見えた

 

「なっ!?お前は先ほどの食い逃げ娘!!」

 

川内は怒り出した

 

「今までどこへいってたんだ!?お前のせいで私たちは!!」

 

「あんた達、なかなか見込みがあるわね。気に入ったわ!!シャオの家来にしてあげる。」

 

「「「はぁ?・・・」」」

 

突然の家来にする宣言したので疑問を浮かべる

 

「あ、あの・・・・シャオさん。話が見えないんですが・・・」

 

志乃は困惑しながら訊く

 

「ちょっと、初対面なのにシャオだなんてなれなれしく呼ばないでよね!!」

 

「え・・・・あのすみません・・・」

 

「自分で言ったくせに・・・・」

 

「うるさいわね!ちびっ子!」

 

「なんだと!おめぇよりは身長は上だ!へそ娘!!」

 

「と・に・か・く。あんた達はこの江東に覇を唱える孫家の末娘、この孫尚香の家来になるのよ!良いわね!?」

 

「「「ええっ!?」」」

 

「(ええっ!?この子が弓腰姫と言われたあの孫尚香!てっきり男武将がみんな女だから歴史に名を残した女性人物は男になったんだと思ってたんだが・・・・)

 

 

 

 

 

その後、吹雪たちは街に着いたのだった。

 

「さーて、晩御飯はどこがいいかしら」

 

孫尚香は走り出した。そして、一軒の料理屋の前に立ち指を差した。

 

「ここがいいわ、ここにしましょう」

 

「飯よりまずは泊まる宿を探すのが先決だろ?」

 

「えっー、いいじゃない!!シャオ、おなかすいた!!・・・ねぇー、御飯!!」

 

シャオは駄々をこねる。すると吹雪はあることに気が付いた。

 

「君・・・・食事代とか持ち合わせているのか?」

 

「何言っているのよ?そんなの家来のあんた達が払うにきまっているでしょ!!」

 

「はぁ!!」

 

「てゆかー、お金があったら茶店で食い逃げなんかしないんじゃない?」

 

「開き直って言う事じゃないだろ」

 

吹雪があきれて言い、アンチョビが・・・

 

「しかし、それなら今までどうしていたんだ?まさかずっと一文無しで旅に出ていたわけじゃないんだろ?」

 

「もちろん、それなりの路銀は持っていたわ。前の町までは・・・でもそこで・・・・これ買っちゃって」

 

と頭についていた髪留めをとった。それには奇麗な宝石が埋め込まれていた

 

「って、お前!路銀全部はたいて、それらを買ったのか!?」

 

「だってほしかったんだもん!! 見てよ、これ。キラキラして綺麗でしょう。お店で見たとき、これだぁって一目惚れしちゃったのよね。あぁ、こうやって見てると、何かうっとりしちゃう」

 

シャオは目をキラキラさせながら言う

 

「「「はぁ~」」」

 

「こいつ馬鹿だ・・・・」

 

シャオの様子に吹雪たちはあきれるのであった。シャオが髪飾りに夢中になっていると・・・・・

 

カアァー

 

 

「きゃあ!?何するのよ!!この泥棒!!」

 

カラスが突然、孫尚香の持っていた髪留めを奪い取ってしまった。孫尚香はカラスを追いかけ始めた。吹雪たちも仕方なく追いかけ始めた、そして、カラスは上空へと飛んでいた。

 

「あ!? こらぁ、返せぇーーーっ!!」

 

「くそ!仕方ない!」

 

吹雪は九九式小銃を烏の方へ向ける

 

(・・・・・許せ烏・・・・)

 

彼が引き金を引く直前、すると宿の窓から紫の髪の女性が弓を構えた。吹雪はそれに気付いた

 

ビュッ!!

 

そして、矢をカラスに向かって放った。しかし、カラスに当たることはなかった

 

「(外したのか・・・いや違うな)」

 

すると、カラスが突然、落ちてきた。すぐ様に川内がカラスを捕まえる

 

「当たったのか?可哀そうなことしたな・・・・南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」

 

川内は烏が死んだと思いお経を唱える(三国志時代は儒教だがそこは大目に見てほしい)その後に孫尚香は髪留めを受け止める

 

「よかった・・・壊れていない」

 

壊れてないことに安心したその時

 

「カァー、カァー!!」

 

「ちょっ・・・痛たたたたた・・・・」

 

カラスが眼を覚まし、孫尚香に八つ当たりを始めた。そして、そのまま飛び去った

 

「もう何するのよ!!この馬鹿!!」

 

「いったいどうなっているんだ?」

 

「おそらく、矢が頭をかすめた時にできた空気の波に当たって、気を失ったのだろう」

 

「でも、そんなことができるんですか?」

 

「出来るも何も。今、目の前で見た通りだ」

 

こんなことができそうなのは俺の知人では1人。もう一人は華琳の友である夏侯淵こと秋蘭だ。

 

「偶然・・・・・・じゃないんですか吹雪様。狙いが逸れて、それで偶々」

 

「そうかもしれない。だが・・・もし狙ってやっていたのならば・・・・・」

 

吹雪が目線を向けたが、そこにはすでに女性の姿はなかった。

 

「(恐ろしいほどの腕前だ。もし、あれが弓じゃなく狙撃銃だったら・・・・)」

 

そう思うと吹雪は寒気が走るのだった・・・・・

 

 

 

 

その後5人は無事宿を決めそしてシャオのおすすめの店で食事をした。

 

「これはおいしいな~♪」

 

「でしょ〜?このシャオ様の目に狂いはなかったってわけね」

 

「悔しいけど、認めるわ」

 

尚香が得意気に言うと、川内は悔しそうな顔をするが、食べているうちにその顔が和らぐ。食事を終え、吹雪が本題に入る。

 

「所で、尚香ちゃん。君は本当にあの呉の孫家なのか?」

 

「もちろんよ」

 

「すまん別に、疑ってるってわけじゃないんだけどさ……何か身分を証明するものとかは」

 

「証明も何も、こうして本人がそう言ってるから間違いないわ」

 

尚香は胸を張って答えた。

その様子を見て、吹雪達は小さく集合し、小声で作戦会議を始める。

 

「・・・・・と言っているけど、みんなはどう思う?」

 

「呉の孫家の姫君と言っている割にはあまりにもその、なんというか……」

 

「第一お姫様がおへそを出して一人でうろうろしているなんておかしいぜ。志乃先生はどう見る?」

 

「そうですね・・・・最近陽気がいいですし・・・・もしかしたら・・あた・・・」

 

「そこっ!聞こえるようにヒソヒソ話さない!」

 

「ああ、すまんすまん。で、孫家の末娘が何故、供も連れずに旅を?」

 

「えっ、それはその、いろいろあるのよ……」

 

明らかに動揺している尚香を吹雪たちがじ~と怪しげな物を見る様にみている。

 

「ね、念のため言っとくけど!堅苦しいお城暮らしにうんざりして、家出当然に飛び出して来たとかじゃないんだからねっ!」

 

「・・・・・・」

 

「出る言葉もないな・・・・」

 

「まったくだ」

 

「はぁ~」

 

あまりにもバカらしい理由に4人は呆れるのだった。

 

 

 

「おやまぁ。綺麗に平らげて暮れたもんだねぇお茶のお代わりどうだい?」

 

「あ、申し訳ない女将さん」

 

と女将がお茶を注ぐと

 

「あんた達、旅の人みたいだけど。やっぱり明日の行列を見に来たのかい?」

 

「は?行列何のことですか?」

 

「おや、違ったのかい。あたしゃ、てっきり・・・実はね、ここの領主様である劉表様の姫さんに、隣の領主様ん所から三番目の息子が婿入りするんだけど。明日の昼過ぎ、その行列がこの前を通りを通るのさぁ」

 

「ほぉ」

 

「噂によると、何でも大層豪華な行列のうえ。婿入りしてくる三番目の息子ってのが、とびっきりの美形らしいってんで。これはもう一目拝んとかなきゃあって、近くの村からも人が集まってんだよ」

 

「そうですか何にしても結婚はめでたいことだな」

 

「所が・・・近頃、妙な噂があってね」

 

女将が顔が暗くして言った

 

「噂?と言うと?」

 

吹雪が聞き返すと、女将は周りを見てから近づき

 

「ここだけの話なんだけどね・・・領主様の側近だか身内だかで、今度の結婚に反対している人がいるらしくて……。その一味が婿入りしてくる息子の暗殺を企てているんじゃないかっていう」

 

「暗殺……」

 

「それはまた物騒だな……」

 

「ほんとだよ。せっかくの晴れの舞台だっていうのにね」

 

「けど、これで理由が分かりました吹雪様」

 

「理由?」

 

「はい、この町へ入る時、関所で妙に調べられたじゃないですか」

 

「あ、そう言えば確かに……」

 

「あれはきっと、怪しい人物が入って来ない様に警戒していたんですよ」

 

志乃の言う通り、実はこの街に入る際、門番が検問を開いていた。街に入る人々に、怪しい者はいないかを調査していた。

 

「ならば、明日は十分な警護を固めているはずだ。それに、事前にもれた陰謀が成功することなんて、そうそうないもんじゃないか女将?」

 

アンチョビさんは女将に言う

 

「そうだといいんだけど……。でも、それでも心配だよ。ここにも天水警邏隊みたいな精強な人たちがいればね~」

 

「天水警邏隊?何よそれ?」

 

シャオは首をかしげて言う

 

「あら、お嬢ちゃん知らないの?天水の太守董卓様に仕える警邏隊で、噂じゃあ、街に火を放とうとする悪党の計画を未然に防ぎしかもその悪党を逮捕するという活躍をして、天水じゃ扉を開けたままでも安心して眠れると言われるほど住みやすい街で、そこの治安を守るのがその天水警邏隊なのさ。何でもその隊長は最近噂の天の御使いだとか」

 

「ふ~ん・・・そんなにすごいんだ。」

 

と、シャオは興味なさそうに聞く。

 

「とにかく殺したり殺されたりは、もううんざり。早く穏やかな世の中になってくれないものかねぇ」

 

重いため息をつき、女将は去っていった。

その後ろ姿を見て、吹雪はやりきれない思いを抱いていた。

 

(穏やかな世の中……か)

 

吹雪は外の窓を見つめるのだった。

 

 

 




はい!何とか更新できました。次回もお楽しみに


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璃々ちゃんを救え!

翌日

 

「ふあああああ~まったくなんで二人部屋で五人で押し込めらなきゃならないのよ・・・おかげでろくに眠れなかったじゃないのよ」

 

「チっ…よく言うぜ。口を大きく開けていびきかいてたのによ」

 

「ちょっといい加減なこと言わないでよ!!このシャオ様がいびきなんてかくわけないでしょ!!」

 

「はいはい、そう言う事にしときますよ。いびき小娘」

 

「なんですってっー!」

 

「喧嘩はやめなさい二人とも!!」

 

二人が喧嘩になりそうになると志乃が二人を止める。

 

「まったく、あなたたち二人は・・・・・」

 

志乃が二人に説教をする。こうなると志乃は止まらなくなる。二人はその説教を聞き流そうとするが、ばれて志乃の拳骨をくらいで二人とも大人しく歩きながら聞くのだった。

志乃は普段大人しいんだが怒るとマジで怖い。しまいには正座させられ3時間ほど説教をされたことがある。

 

「吹雪、志乃は怒ると怖いぞ」

 

「はい、それは身に染みてますよアンチョビさん」

 

俺とアンチョビさんは小声で話す。なぜおれがアンチョビさんに敬語で話してるかというとアンチョビさんはこの旅の仲間の中では1番年上だからだ。俺は16歳、志乃が15歳、川内は15歳、尚香が・・・・・たぶん11歳。そしてアンチョビさんが18歳だからだ。

そんなことを話していると太陽が上がる。すると、昨日烏を矢で気絶させた女性がいた金色ひょうたんが印の宿が見えた。すると俺は昨日あの飲食店の女将の言葉を思い出した。

 

『明日の昼過ぎ、その行列がこの前を通りを通るのさぁ』

 

その言葉を思い出し俺は女性が経っていた窓の正面側を向く、そこは行列の通る大通りが見える。距離は・・・・・・100メートルっといったところか・・・・、何か不吉な予感を感じ俺は方向を変えた。

 

「ちょ、ちょっとどこに行くんだ吹雪」

 

アンチョビさんが声をかけるが吹雪は宿へ向かう

 

 

その頃宿では紫の髪の女性の下に宿主がやってきた

 

 

「私に客?」

 

「はい、昨日の礼をしたいと・・・・・」

 

「昨日の御礼?」

 

 

 

「そうでしたか、貴方が昨日の・・・」

 

「はい、沖田といいます。」

 

「沖田・・・・・もしかして沖田吹雪さんですか?」

 

「あ、はい。そうです」

 

「そうでしたか。この前は娘を助けていただきありがとうございました。」

 

「この前・・・・・・・あー!思い出した。あなた璃々ちゃんのお母さん!いえいえとんでもないですよ。それよりも先日は、連れの者がお世話になりました」

 

「そんな。礼を言われることは何も、根がお節介な者ですから・・・つい余計な事をしてしまって、申し遅れましたが、私は黄忠、字は漢升と申します」

 

「(黄忠!?まさか璃々ちゃんのお母さんが黄忠だったとは・・・・)そう言えば璃々ちゃんがいませんね。元気にしてますか?」

 

俺がそう言うと、黄忠さんは少しどうようした顔を見せるがすぐに笑顔に戻り

 

「い、今、璃々は隣の部屋で寝てまして・・・・・」

 

「そうですか・・・・・」

 

「すみません、今、お茶を」

 

黄忠さんがお茶を入れようとすると

 

「それにはおよびませんよ」

 

「え?」

 

「いい天気だな。大通りのほうまでよく見える」

 

窓を開けて、大通りを見た

 

「!?」

 

その一言に黄忠が驚く

 

「とは言え・・・ここからだと、大通りを通る人の頭は、精々豆粒ほどだ。しかも、動いているとあっては、生半可な弓の腕では、まず当たらない。警護の連中も、その可能性を考えなかったとしても・・・・・・責められることはできない」

 

「沖田さん、貴方何をおっしゃりたいのかしら?」

 

「いや、もし、かの弓の神・・・曲張や俺の国に昔にいた伝説の弓手、那須与一に匹敵する程の名手がいたら、不可能を可能にすることが出きるかも知れないとな・・・」

 

「くっ・・・」

 

黄忠は俺が壁にかけていた軍刀を取り、抜こうとするが吹雪に弓を突き付けられてしまった。銃を突き付けても銃のない時代には無意味だからである。

 

「動くな!!どうやら刀の扱いは弓ほど得意ではないようだな・・・・・・志乃、川内、アンチョビさん入ってきていいぞ」

 

俺がそう言うと志乃と川内とアンチョビさんと孫尚香が入ってきた。それを見て黄忠は観念したのか床に膝をつくのだった。

 

 

 

 

 

「数年前に主人を亡くした私は幼い娘の璃々と二人は楽成城で、ゆっくりと暮らしていました。ある時家族旅行の帰り、そう、沖田さんが娘を助けた後のことです。宿に泊まり、しばらく目を離したすきに璃々が居なくなっていて、代わりに一通の置き手紙が」

 

『娘は預かっている。こちらの指示に従えば無傷で返す。そうでなければ、命の保証はしない』

 

「何と卑劣な!?」

 

「許せねぇ!?」

 

「そして・・・待ち合わせの場所には・・・・」

 

黄忠が待ち合わせ場所に行くと黒いフードを被った男がいた。

 

『娘は・・・・娘は無事なんでしょうね?』

 

『全てはお前次第だ黄忠・・・』

 

『私にいったい何をしろと・・・・』

 

『ふっ・・・・それはだな・・・・』

 

 

 

「成る程。それで、やむを得ず暗殺を請け負ったのか」

 

「はい、どんな理由であれ、人の命を影に隠れて奪うような行いが、許されるとは思いません・・・・・・・・・・・・・・でも、でも娘の璃々は、私の全て何です!! 璃々を救うためには・・・・・・他にどうしようもなくて」

 

吹雪は話を聞き、黄中に近づき手を肩に乗せる

 

「安心してください。黄忠さん。璃々ちゃんは必ず俺たちが救う」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、俺たちに任せてくれ!」

 

「子供を人質にするなんて!許せない!このアンチョビが成敗する!!」

 

「右に同じだ!」

 

「でも…肝心の璃々ちゃんの居場所が・・・・」

 

「ねぇ、これって・・・?」

 

「それは娘が監禁されている場所で描いた絵です。昨日、一味の者が娘が無事であること証として持ってきて・・・・」

 

すると孫尚香の持つ一枚の絵に志乃は見覚えがあった・・・

 

「あのこれって・・・・誰かに似てないかしら?」

 

「ん?そう言えばそうだな・・・・・」

 

すると・・シャオが気付いた

 

「あっ!!茶店の髭親父!!」

 

「ではあの茶店の主人が犯人か!?」

 

「いえ、それはないと思います。もしこれが犯人一味の誰かを描いたとあればいくらなんでもこれを黄忠さんに渡すようなへまはしないはず・・・たぶんこれは誘拐された娘さんが監禁されている場所から見た者を描いたと思われます」

 

「あの茶店の向かいは確か・・・」

 

「ぼろ屋があったな!」

 

「娘の居場所に心当たりがあるのですか!?」

 

「え・・・・ま・・・たぶん・・・」

 

「場所を教えてくれ!!すぐにも私が」

 

立ち上がった黄忠を吹雪が止めた

 

「やめた方が良い」

 

「なぜですか!?」

 

「吹雪様の言う通りです黄忠さん」

 

「どうしてですか!?」

 

「顔を知られている黄忠さんが監禁場所に近づいたりしたら娘さんの身に危険が及ぶかもしれません。娘さんの命を最優先にするなら黄忠さんは何も知らないふりをしてここに残ってください」

 

「辛いと思うが、ここは志乃の言うとおりにしてくれ」

 

そう言われ黄忠は大人しく座る。

 

「黄忠さん・・・」

 

「あの茶店までさほど時間はかからない・・・行くぞ!」

 

「沖田さん・・・・」

 

 

「大丈夫だ必ず璃々ちゃんを救う。約束だ「吹雪様早く!」じゃあ、行くぜ」

 

「ありがとうございます・・・・」

 

吹雪の言葉を聞いた黄忠は涙を流した。五人は茶店へと向かった。それと入れ違いするかのように犯人の一味である人が入ってきた

 

「入るぜ」

 

「なんのよう?」

 

「へへ、そんなつれなくするなよ。親分から首尾を見届けるように言われてな・・・」

 

「そう、ご苦労なことね。(危なかったわ。もし私があのまま飛び出していたら・・・)」

 

 

 

 

 

「ふあぁぁぁ~暇だな~」

 

一方茶店では店主である髭親父が大きくあくびする。

 

ドンドンドン!

 

「ん?なんだ?」

 

 

 

 

 

「え!?向かいのボロ屋にさらわれた子供が!?」

 

「その子を救うために店主の協力が必要なんだ!!」

 

「え!?協力?」

 

そのころ、ボロ屋の中には三人の盗賊と一人の幼い少女がいた。その少女こそ紫苑の娘である璃々であるのだ

 

「おい、異常はないか?」

 

「なんにもつーかなさすぎて退屈で退屈で」

 

 

すると

 

 

「ちょっと変ないいかがりはやめてよね!?」

 

「!?」

 

賊の小さいほうが覗くと、そこには店主とシャオがみえた

 

「このシャオ様がせこい盗みなんかするわけないでしょ!!」

 

「この間食い逃げしといて何いっとるんだ!!だから今回もおめぇにちげぇね!!」

 

「わかったわよ。そんな疑うなら盗んだものがあるかどうか裸にしてでもしらべたらいいじゃない!!」

 

「何!?」

 

なんとシャオは上の服を抜き始めた。賊はそれに目が釘付けになってしまった

 

「どう、これで良い//」

 

「//・・・・・ま、まだだ、まだ下が残っている!!」

 

「わかったわよ。」

 

さらにスカートまで脱ごうとしていた

その頃ぼろ屋の中では

 

「ちょっと、ちょっと、おもしれぇことになってますぜ!!」

 

「なんだ?っておおおおおお!!」

 

「さあこれでわかったでしょ!!」

 

「「「おおおおおおおおお」」」

 

「(もうまだなの・・・・さすがに・・・・これ以上は脱げないわよ・・・////)」

 

賊達がシャオの下着姿に注目しているころ、木の上では三十年式銃剣を加えた吹雪。木のしたではアンチョビと川内。そして、店の中では志乃が様子を見ていた

 

「(引き付け成功・・・)」

 

そして・・・・

 

「今です!!」

 

志乃の号令と同時に三人は突入した。そして、

 

「なんだ!?てめぇは!?」

 

「ふっ・・・・生憎だが貴様らに名乗る名はねえよ!」

 

「なんだと!!」

 

「ふざけるな!!」

 

「やっちまえ!!」

 

賊3人は吹雪に襲い掛かるがたったの5秒で瞬殺された。すると下にいる賊たちを倒しに行った川内が駆け付ける

 

「応、吹雪、下にいる奴ら一人残らずやっつけたぜ♪」

 

「そうか・・・・・・・久しぶりだな璃々ちゃん。助けに来たぜ。お母さんが待ってるから行こう」

 

「吹雪お兄ちゃん!!」

 

そして、三人が璃々が外へ出ると・・・・

 

 

「皆さん、こっちです!!」

 

「おう、無事救出できたぜ志乃」

 

「それはいいのですが、どうやって大通りに行きましょう。人の足では間に合いません」

 

「大丈夫だ。これがある」

 

俺は小さなカプセルから、陸王を取り出す。

 

「なるほどこれなら馬よりも早く着きますね!!」

 

「うわっ!なんだこれ!?」

 

「鉄の馬!?」

 

川内とシャオが驚く

 

「説明は後だ!璃々ちゃんこの小さな船みたいなのに乗ってくれ」

 

「うん♪」

 

「しっかりつかまってなよ!」

 

そう言い俺は陸王を走らせる。

 

「(頼む間に合ってくれ!)」

 

その頃、町では大行列が始まっていた。家臣達が前に出ており、婿入りする隣町の領主の息子が、豪華な馬車に乗っていて、その横では警備兵が不審者がいないか目を光らせる。周りには人だかりが出来て大騒ぎになっていた。

 

「おい、そろそろだぞ」

 

「……分かってるわ」

 

男に促され、黄忠は弓矢を手にする。

 

(沖田さん・・・・)

 

一方吹雪は街にたどり着いた

 

「何とか間に合ったがこの人混みじゃあ、宿屋へ着かない・・・・仕方ない!」

 

一方、大行列は順調に進んでおり、目的の通りまで、後もう少しの距離まで来ていた。

 

「来た!頼むぞ!」

 

「え、ええ……」

 

領主の息子を乗せた馬車が、視界に写り込む。

黄忠は弓矢を構える。だが、その手は震えており、息も荒くなっている。視界も揺れ、頬に汗が流れる。

 

「おい、早くしろ!」

 

急かされ、更に動揺する。

 

(もう、これ以上は……ごめんなさい璃々、沖田さん・・・・)

 

瞼を強く瞑り、もう駄目かと……諦めかけたその時だった。

黄忠は、ある一点を見つめている。雑踏の中、こちらに向けて大きく手を振る、幼い少女。無垢で可愛らしい笑顔で、黒髪の少年に高く抱き上げられながら、何かを呼んでいる。

黄忠は、ゆっくりと呟く。

 

「お……か……あ……さ……ん……っ!」

 

黄忠の瞳には、しっかりと愛しい我が子が写っていたその眼には涙がたまっている。娘の無事な姿を見て、弓矢をゆっくりと下ろした。

 

「お、おい!一体どうしたんだよ!?」

 

男が黄忠の肩に手を乗せるが・・・・

 

「触らないでっ!」

 

怒りの一撃で賊を殴り飛ばした。安心した黄忠は腰を抜けて、座り込んだのだった・・・

 

 

 

そして、黄忠と璃々と別れの時が来た

 

「名残惜しいけど、ここで別れね・・・貴方達には何とお礼を言ったらよろしいでしょうか」

 

「ありがとう吹雪おにいちゃん」

 

「璃々ちゃんも元気でよかったよ」

 

「えへ♪」

 

「沖田さん。あなたには2度も助けられました。この恩は必ずお返しします」

 

「いいえ、黄忠さん俺は・・・・」

 

「紫苑と呼んでください。璃々を守ってくれたお礼です」

 

「そうですか・・・・ありがとうございます。紫苑さん」

 

「いいえ、こちらこそ///」

 

「あーお母さん、赤くなっている」

 

「こ、こら璃々!!」

 

 

「「「「ははははは」」」」

 

 

その光景にみんな笑ってしまうのだった。

そして吹雪たちは紫苑と別れ旅を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




思った以上に旅編の話が長くなってしまってる・・・・


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江東、孫策暗殺未遂事件

「うわぁー、これが長江か!!でっけー!!」

 

吹雪一行は孫尚香のふるさとであり、目的地である長江へとやってきた。初めての長江に川内ははしゃぐ。

 

「確かに大きいですね。これが川なんて信じられません」

 

「確かにな。ローマでもなかなか見れない景色だ」

 

「どう驚いた凄いでしょ」

 

「たしかにすごいけど・・・別にお前が威張ることはないな。」

 

「あー、この景色を見ると『帰ってきたー!!』って気になるわね」

 

「『帰ってきたー!!』はいいが大丈夫か尚香?」

 

「何が?」

 

「いや、何がって、お前確か家出したんだよな。戻る気になったはいいが、帰ったら叱られるんじゃないか?」

 

「何言っているの?このシャオさまは孫家で一番、愛されている姫なのよ!!帰ってきて泣いて喜ばれはしても、怒られることなんて絶対にないわよ」

 

シャオは胸を張って言うが・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「まったく!!貴方は何を考えているのですか!!孫家の姫君が供を連れずにいなくなるなんて、皆がどれほど心配したかと・・」

 

「あの・・・孫静叔母さま・・・・それについてはシャオにもに言い分が・・・・」

 

「そんなものはありません!!だいたい貴方達は・・・」

 

見事に怒られているのであった。そして、孫家の姿を見て吹雪たちはあることに気が付いたのだった。

 

「おい吹雪・・・・あいつらみんなへそを出しているな・・・・」

 

「そうだな。川内。これは一種の家の伝統ではないか?」

 

「確かにな。うちの知り合いにも変わった伝統持った奴がいるし・・・」

 

「別に尚香さんが残念な子だなのではなかったのですね」

 

とお互いに円陣を組んで話すのだった。

 

「伯母上、もうそのくらいで・・・」

 

「ですけど、孫策」

 

「それ以上叱りつけたらまた家出をしかねませんぞ」

 

「う、うむ・・・・お前がそう言うのなら・・・・」

 

孫策の説得に孫静は説教を辞める

 

「沖田吹雪とやら、妹が世話をかけたようだな」

 

「本当に世話が焼けたよ」

 

「お、おい!川内!?」

 

川内の発言にアンチョビが注意する

 

「ふふっ・・・・そうでしょうね。同情するわ」

 

「ちょっ!雪蓮お姉さま、ひっどーい!!」

 

「「「プッふふふ」」」

 

あまりにもおかしかったのかみんなは笑うのだった。

 

「沖田、司馬懿、アンチョビーナ、張済。江東の孫家はあなた方を歓迎するわ。ゆっくりしていってちょうだい」

 

そして今夜は4人の歓迎会をするのだった。

 

 

翌日・・・・

 

翌日。孫策はテラスでくつろいでいた

 

「うーん!!」

 

そこへ周喩がやってきた

 

「まだ、眠そうね」

 

「昨夜はちょっと飲みすぎたから」

 

「沖田殿とかなり話が弾んでいたそうですが」

 

「そうね、なかなかの腕だわ。それに周喩、気付いているんでしょ彼のこと」

 

「はい。まさか彼が枯草色の御使いで、董卓に仕えている天水警邏隊隊長の沖田吹雪だとわな。」

 

「ええ、てっきり、いかつい男かと思っていたけど。結構女の子みたいで可愛い顔をしているじゃない。ねえ、冥林・・・・・」

 

「分かっている。天界の血を孫家に入れるつもりだろ?」

 

「大当たり~孫家に天の御遣いの血が混ざれば孫家は安泰だと思うのよ♪」

 

「はぁ~しかし、彼は董卓に仕えているんだぞ」

 

「そんなことわかっているわ♪  で、その客人達はどうしているの?」

 

「はい。既に朝食を済まされ、沖田殿と張済殿とアンチョビ殿は尚香さまと山の狩り場へ・・・」

 

二人は山の方を見た

 

「誰かつけてあるの?」

 

「案内役として甘寧を・・・」

 

「そう、ならいいわ」

 

「司馬懿殿は書庫を見たいと申されたので、陸遜が案内をやっています」

 

「ふーん。そう言えば彼、肩に変な棒を持っていたわね。」

 

「恐らく、あれが雷鳴を轟かす兵器か・・・・しかしあれがそうには見えないがな・・・」

 

 

 

書庫では志乃と陸遜がいた

 

「すごいわ。こんなにたくさんの書物、始めて見ました」

 

「政や軍略に関する物はもちろん、農工、天文、史書、暦、あらゆる書物がここに集められているのです」

 

「もしかして陸遜さんはこれを全部読まれたのですか?」

 

「ええ、私、書物が大好きなんです」

 

「私もです。」

 

すると陸遜の様子がおかしくなった。

 

「書物っていいものですね。読むと新しい知識が波のように押し寄せてきて、それが体の一番、深い所に体を喜ばす魅力ときたら、あ~!」

 

陸遜は興奮状態となって、モジモジしていた

 

「いえ、私は、そういうのとはちょっと違うんですけど・・・」

 

志乃は苦笑いしながら言うのだった。

 

 

 

そのころ、山の狩り場では吹雪と川内とアンチョビがシャオと一緒に狩りに出かけていた。案内役として、甘寧も一緒である

 

「しっ」

 

するとシャオ一行を止めた。そして、持参の可愛らしい弓を構え始めた。すると茂みから一羽の山鳥が現れた。そして、矢を放つと山鳥の心臓に当たり、墜落した

 

「「おおお・・・」」

 

「お見事です。尚香様・・・獲物は私が」

 

そういうと甘寧は獲物が落ちたほうへ行った

 

「頼むわ。甘寧・・・この前会った黄忠ほどじゃないけど弓にはちょっと自信があるのよね」

 

「まっ、その点に関しては認めてやるよ」

 

「ふっふ~ん。もっと褒めなさい」

 

「言ってろ!ガキ~」

 

「なんだかんだでなんか仲良くなってるな。川内と尚香の奴・・・・」

 

「そうだな。それより吹雪。前から気になってたがそれはいったいなんだ?例の天の国の武器なのか?」

 

「まあ、そんなものです。これは火薬が爆発する力で弾を飛ばし相手を貫通させるものだよ」

 

「ふ~ん・・・・なんかよくわからないけど。すごいものだということはわかった」

 

「あれ?そう言えば二人はどこに行ったんだ?」

 

吹雪は先ほどまで川内とシャオがいたところを見るが二人の姿はいなかった

 

「本当だ。どこに行っちゃったのかな~」

 

「アンチョビさん。俺は二人を探しに行ってきますよ」

 

「分かった。じゃあ、私は甘寧さんの所に行って山鳥を探すよ」

 

そう言い吹雪とアンチョビは分かれるのであったが、アンチョビは城のテラスでくつろいでいる孫策と周喩の姿得を見るのだった。

 

 

「さて・・・・2人はどこに行ったのかな?」

 

吹雪は二人を探しに森の中を探す。すると人気のない泉に足を踏み入れるのだった

 

「こんなところに泉が・・・・・ん?あれは・・・・孫権さん?」

 

吹雪が目にしたのは林の陰で、木にもたれていた孫権の姿だった。彼女の表情に何か迷いの心を感じた吹雪は彼女の所に行くのだった。

 

「はぁ……」

 

「どうかしましたか?」

 

「きゃっ!」

 

後ろから声が聞こえ、咄嗟に飛び退く。振り返ると、そこには女と見違えるくらいの顔をした一人の青年がいた。

 

「お、沖田殿……」

 

「すいません、驚かせちゃって」

 

「い、いや、お気になさらず。沖田殿はどうしてここへ?確かシャオたちと狩に行ってたのでは?」

 

「いや~途中ではぐれちゃって・・・・・で孫権さんこそ、なんでこんな人気のない場所にいるんですか?」

 

「ここはよく一人で考え事をするときに来るんですよ」

 

「なにか悩みでも?良ければ相談に乗りましょうか?いやだったら別にいいのですが・・・」

 

「いや、沖田殿の言う通り。今、私は悩んでいる。先代の王、孫堅。我らが母上の思いを受け継ぎ、姉様は戦いに身を投じ、この江東に覇を唱えんと、戦の日々を送っている。そして、孫家の名は広まった。だが・・・・」

 

そう言うと孫権は不安な顔をする

 

「しかし、最近は特に戦が続き、民は疲弊していき、この国がいつかは滅んでしまうのではないかと、私は心配なのだ」

 

「・・・・・」

 

「それだけではない。もし、姉上が亡くなられたら、私は姉上の務めを果たせるのか…」

 

そう言うと孫権は不安で腕をわなわな振るわせる。

 

「孫権さん・・・・不安がってはいけないよ」

 

「え?・・・・」

 

「確かにあなたの気持ちもわかります。ただ失敗を恐れては、前には進めないよ。別に失敗してもいい。人は失敗する生き物だ。大切なのはそこから何かを学ぶってことなんだよ」

 

「で、でも・・・・」

 

「あなたに足りないのは経験だよ。自信がないのなら、まずそれを積んでいけばいい話だ。あなたはまだこれからなんだぜ?孫権さん」

 

「沖田殿・・・・私は」

 

孫権が何か言いかけた時・・・・・

 

「孫権様!ここにいらっしゃたんですか!!」

 

そこへ、孫家の兵士の一人が急いでやって来た。その兵士は、孫権に耳打ちをする。

すると彼女の表情から血の気が引いて青ざめていく。

 

「姉様が!?」

 

孫権は兵士と共に、急いで城の方へと向かった。

 

「……何かあったみたいだな」

 

その場に取り残された吹雪は嫌な予感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

「周瑜!」

 

孫権は知らせを聞き急いで城に戻ると庭には周瑜と護衛兵達がいた

 

「孫権様……」

 

「姉様が襲われたって本当なの!?」

 

「残念ながら」

 

周瑜の様子を見て、孫権は言葉を失う。

 

「昼前、ここで寛いでいる時に、矢を射かけられて……」

 

「矢を?」

 

孫権は後ろを振り向く。そこは孫家が狩り場として利用している山だ。

 

「それで、姉様の容態は?」

 

「矢傷は浅いのですが、矢尻に毒が塗ってあって。傷口からすぐに毒を吸いだして、なんとか一命を取り留めたのですが、意識がいまだ戻られず……」

 

「そんな……姉様……」

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪はしばらくしてアンチョビたちと合流し、城に戻る。川内は肩に大きな猪を担いでいた。

 

「いや~大量、大量♪こんな大きい猪が執れたな。これも尚香が猪を追い詰めたおかげだぜ♪」

 

「でも、とどめを刺した張済の槍さばきも見事だったわ」

 

「そっか~そう言われると照れえるぜ。よし!今夜は猪鍋だな♪」

 

「本当にお前たち・・・・いつの間に仲良くなったんだ?」

 

「いや~なんか話しているとなんか気が合ってな」

 

「「ね~♪」」

 

本当に何があったんだ・・・・・

 

「は~まあいいか喧嘩しているよりましだし。それより吹雪の奴どこに行ったんだよ心配したんだぞ?」

 

「ああ・・・え~と・・・ちょっといろいろあってな」

 

「?‥‥、まあ、いいか」

 

するといきなり呉の兵士たちが取り囲み、そして剣や槍を向けた

 

「なっ!いきなりなにをするんだ!」

 

「沖田!張済!アンチョビ!お前達の身柄を拘束する」

 

「はぁ!?」

 

 

 

 

 

王間の中には孫権、甘寧、周瑜、川内、孫尚香、アンチョビそして手枷をかけられた沖田がいた。すると志乃が慌てて、入ってきた

 

「吹雪様!!一体何があったんですか!?」

 

今までのことを聞いた志乃は驚いた

 

「吹雪様が孫策さんを暗殺しようとした!?・・・何かの間違いです!!吹雪様がそんな事をするなんて、絶対あり得ません!!証拠は・・・証拠はあるのですか?」

 

志乃の問いに孫策たちの叔母である孫静は答えた

 

「証拠はない・・・」

 

「それならなぜ!?」

 

「確たる証拠はないが、孫策がいたところに矢を射かけるにはあの山の狩り場が絶好の場所なのだ!!孫策が矢を受けた正にその時、そんなところ素性も知らない旅の武芸者がいたのだ。疑われるのは当り前であろう」

 

孫静の推理に志乃は納得しなかった

 

「当たり前じゃありません!!たしか狩り場には御家中の方が案内役として付いていたのでは?」

 

「ついてはいたが、ずっと一緒だったのではないと甘寧は言っている」

 

「孫策さまが矢を受けられたと思しき頃、私は尚香さまが射かけた獲物を捕りに、沖田殿の下から離れました。その時アンチョビ殿は私の元にいました。」

 

「そうなのお姉ちゃん?」

 

「ああ、吹雪が川内たちがいないのに気付いてな。吹雪は二人を探すため私と別れたんだ」

 

「それで尚香さんはどこに・・」

 

「ちょうどその頃、シャオは張済と一緒に別の獲物を追っていて、吹雪には会ってないわ・・・」

 

孫尚香も申し訳なさそうに言った。すると孫権は

 

「叔母上、沖田殿はその時、私が泉にいるときに会いました。ですから姉上を襲った人物とは違うのでは・・・・」

 

孫権は必死に吹雪を庇おうとするが・・・・

 

「いいえ、孫権。もしかしたら、あなたに会う前に孫策を・・・・」

 

「しかし!伯母上!」

 

「そうだぜ!だからって吹雪を疑うのはおかしいぜ!」

 

「そうです。おかしいです!!そう言えば甘寧さん、貴方は獲物を拾いに行くために吹雪様たちのもとを離れたといいましたよね?」

 

「いかにもそう言ったが・・・」

 

「ということは、孫策さんが射られたとき、甘寧さんも山の狩り場にはお一人だったということですね」

 

「貴様・・・・・何が言いたいんだ」

 

甘寧の表情が変わり鋭い目つきで志乃を睨む

 

「なるほど、一人で行動した吹雪が怪しというのなら、同じく一人でいた甘寧さんも怪しいということか・・・」

 

アンチョビが納得するように言う

 

「な?!ふ、ふざけるな!?私は孫家に仕える身だぞ!!そんな私が孫策さまの暗殺をたくらむなど!!」

 

「孫家に仕える身だからこそじゃないんですか?毎日のように顔を合わせる主君と臣下であればこそ、日々の軋轢、考えの違い、利害の不一致・・・。相手を殺してやりたいと思う可能性は、孫家とは何の関わりの無い旅の武芸者より、ずっと高い筈。違いますか?」

 

「言わせておけば・・・この小娘が!?」

 

「志乃!!」

 

「司馬懿殿!!」

 

志乃の問いに完全に切れ、甘寧は兵士から剣を奪い取り振り下ろそうとするが・・・甘寧が志乃を斬りつけることはなかった。なぜなら・・・・

 

「・・・・・・・」

 

吹雪が放つ殺気で動けないからだ。吹雪の赤い目が反射しギラギラと光る。

 

「甘寧さん。その剣を降ろしてもらいたい」

 

吹雪が静かにそう言うが彼の一言一言が重く感じる

 

「ふざけるな!!この娘は私を侮辱した!武人をそこまで辱めてただで済むと思うなよ」

 

「ふざけるなはこっちのセリフだ!」

 

するとアンチョビさんが怒りの声を上げた

 

「それは吹雪も一緒だ!無実の罪で捕まって、吹雪も武人としての誇りを汚されてんだぞ!」

 

甘寧とアンチョビが睨み合う、その後ろで川内も甘寧をにらみつける。

 

「こ、このぉ……!」

 

甘寧がさらに剣を振り上げようとすると

 

「剣を捨てろっって言ってるんだよ甘寧。俺のことはいいが仲間に手を出す奴は容赦しないそ・・・・」

 

吹雪がさらに静かに言う。しかも少し力強く

 

「「「っ!!」」」

 

さらに殺気が強くなるその場の全員が動きを止める。そう、吹雪の殺気がまた大きくなったんだ。吹雪の姿はまさに仁王のごとくすさまじい気を放っていた。

甘寧はこの時、腹の底から凍るような冷たさを感じるのだった。

 

 

「そこまでだ!」

と周瑜の声が響いた

 

「孫静様。どうやら彼は無実みたいです。」

 

「どうやらそのようだな・・・・・すまぬことをした。孫権。手錠を外してやりなさい」

 

「はい、伯母上」

 

そう言い孫権は手錠の鍵を持ち、手錠を外すのだった。

 

「沖田殿、すまなかった」

 

「いえ、わかっていただければ・・・それで・・・」

 

すると安心したのか志乃は腰を抜かしてしまうのだった。

 

「うわああ!?大丈夫ですか?司馬懿さん」

 

「いえ大丈夫です。少し腰が抜けただけですから」

 

そう言う志乃であった

 

「さっきは悪かったな。殺気をぶつけて・・・」

 

「・・・・・・・・・・(あいつはなんだ。なんであんな優男にあんな殺気が出せるんだ。)」

 

甘寧は吹雪をにらみつけそのまま去っていった。だがその手はプルプルと震えているのだった。そうあの時甘寧は吹雪に睨まれて動くことができなかったのだ。手錠で自由が利かなくなっても、吹雪の殺気に自分は恐れを感じていたと甘寧はそう思っていたのである。

 

 

 

 

 

 

 



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吹雪、事件を解決するのこと

孫権は、自分の部屋へと戻り、姉の無事を祈っていた。

 

「姉様・・・」

 

するとそこへ、叔母の孫静が入ってきた。

 

「孫権、まだ起きていたのですか?」

 

「叔母上」

 

「孫策の容態が気になるのはわかりますが、そんなことでは貴方の方が参ってしまうのですよ」

 

すると孫家に仕える双子姉妹である二蕎が慌てて、部屋へ入ってきた。

 

「「孫権様、あっ・・・・孫静様!?」」

 

「どうしたのです?こんな夜更けに」

 

「まさか姉様が!?」

 

孫権は最悪な状況を予想して顔を青ざめる。しかし二蕎はにっこりと笑い

 

「いえ、その逆です」

 

「孫策様の御容態が持ち直しました。」

 

「まだ意識は朦朧としておられますが、医者は峠を越したと」

 

「よかった…姉様…本当に…!」

 

二人の知らせを聞き、孫権は涙をこらえながら、姉の無事を喜ぶ。

 

「暫くは絶対に安静だそうですが」

 

「熱が引いたら、会って話してもいいと」

 

二喬はそう報告をする。その様子に孫権は喜ぶのだったが、孫静は何か嬉しくないような顔をするのだった。

 

 

 

 

 

そして、孫策が眠っている寝室に、一人の人物が静かに扉を開け入ってくる。しかもその姿は某少年探偵に出てくる黒い犯人像のようだ。その人物の手には不気味に光る怪しい針が握られていた。

 

「成程、その針の尖端に毒が塗ってあると言うことですか…」

 

「っ!?」

 

突然、孫策が目を覚まし、その人物は驚きを隠せない。

 

「ようやっと、尻尾を出しましたね…叔母上」

 

「くっ!」

 

孫策の命を狙う人物、孫静は顔を歪ませる。

 

「私の容態が回復したと聞いて、焦りになられましたか?」

 

「そ、孫策、そなたは」

 

「『死にかけていたのではなかったのか?』ですか?」

 

「くっ!」

 

上乗せするように、孫策は答え、孫静は顔をゆがませる

 

「叔母上が私のやり方を快く思われていないのは分かっていましたが…まさか命まで取ろうとするとは、乱世とはいえ、嘆かわしい限りです」

 

すると、冥林や孫権と護衛兵が現れた。

 

「孫静さま、恐れながら反逆の罪でお身柄を拘束させていただきます」

 

「周喩、これは全て貴様の企みか!?」

 

「ご想像にお任せします孫静様」

 

兵に拘束された孫静は・・・・

 

「孫策、そなたのやり方は間違っておる!!どれだけ多くの物を得ようとも、そのために流されたおびただしい血がいつか孫家に仇なすこととなろう!」

 

「母上の意思を継ぎ、覇道を歩む決めた時からそれは承知の上です!ですが伯母上、たとえどれだけ血を流そうとも私には手に入れたいものがあるのです!!」

 

「姉様を殺害しようとしてその罪を沖田殿に着せた罪を思い知ってください叔母様!」

 

「っ!?」

 

「連れて行け」

 

「はっ!」

 

「ふふふふ・・・・・」

 

すると孫静は笑い出す。

 

「何がおかしいのですか叔母上」

 

いきなり笑い出す孫静に孫策は不思議がる。すると・・・・

 

「ぎゃあ!」

 

「ぐえぇ!!」

 

孫静を拘束していた兵と周りにいた兵が次々と倒れていく。すると孫静の背後から黒いフードの男達が現れた。

 

「あいつら何者よ!? 」

 

突然のことに驚く孫策達

 

「ふふ・・・・孫策よ。私が単独で暗殺計画をすると思おてか。私はこういう事態の為、専門の暗殺者を呼んだのだ」

 

フード集団の腕には笑う顔をした棺桶の印がついていた

 

「『笑う棺桶』馬鹿な!あの集団は陳留にいる曹操によって討伐されたはず」

 

冥林が驚く

 

「ふふ・・・・生き残りがいたのだ。さて、貴様らには死んでもらうわ!殺れ」

 

孫静の命令で『笑う棺桶』の生き残りが襲い掛かる。孫策は武術は強いが今は丸腰、しかも今はしかも仲間がいるのでいつものように暴れるわけにはいかなかった。

 

「姉さま!!」

 

「雪蓮!!」

 

賊の持っていた剣が雪蓮達に降り下ろされる。

 

「くっ!? 」

 

そして雪蓮達が目を閉じたその時

 

ダアァァーン!!

 

銃声が鳴り、賊の一人が血を流し倒れる。

 

「どうなってるの?」

 

「それにこの音は!?」

 

雪蓮たちが驚いて辺りを見てみると・・・

 

「どうやら間に合ったようだな」

 

そこには九九式小銃を構えた吹雪がいた。すると

 

「吹雪。表にいる変な奴ら潰しといたぞ」

 

「おう、川内お疲れ」

 

吹雪の後ろから、川内とアンチョビが現れる

 

「なっ!貴様は沖田吹雪!!」

 

討伐戦で吹雪と会ったことがある賊の一人が叫ぶ

 

「応・・・・また会ったな賊ども。どうする?また討伐されたいか?いやなら武器を捨てろ」

 

『笑う棺桶』の生き残りは吹雪の強さを知っているため、大人しく武器を捨てる

 

「なっ!?お前たちなんで武器を捨てるんだい!あんな優男に!」

 

孫静は怒鳴るが・・・・

 

「どうやら年貢の納め時のようですね。孫静様・・・」

 

孫静の周りには兵士が取り囲んだ。

 

「くっ!? 」

 

こうして孫静は反逆罪で逮捕されることになったのだった。

そして事件が解決して数時間後

 

「周瑜殿、これが孫静派の名を集めた署名じゃ 」

 

とある部屋で孫策の軍師である。冥林が、孫家に仕える古株の役人である張昭と話をしていた。この張昭はクーデターを起こす孫静のことをいち早く気づき、孫静の思想と同じ奴らのことを探るため、奴らの仲間のふりをしていたのだ。

 

「張昭殿にはすまないな、裏切り者の芝居させてしまって 」

 

冥琳が言うと張昭は笑いながら

 

「なぁに、老い先短い老いぼれはこれくらいせねばいけないからな 。しかし、御使い殿には悪いことをしたの」

 

「あの時、偶然あそこに居たのが身の不運と申せましょうが、本当に彼には申し訳ないことをしました。しかし孫権様があのものを庇うとは予想外でした」

 

「名軍師だの智謀の師だの言われても、神でならぬ身である以上全てを見通すことはできぬか」

 

「恐れいります」

 

 

そして翌日、王座の間

 

「沖田、先日は不愉快な思いをさせて悪かったわね」

 

「いえ、いいんですよ。」

 

「で、沖田・・・」

 

「吹雪で構いませんよ。孫策さん」

 

「じゃあ、私も雪蓮でいいわよ。さっきも助けてもらったしこの真名預けるわ」

 

「分かりました雪蓮さん。」

 

「吹雪話を戻すけど、あなた孫家に仕えてはくれないかしら」

 

「お言葉は嬉しいのですが、私にはもう使えるべき人がいるので」

 

「そう。残念だわ。でも遊びには来てね。孫家はいつでも歓迎するから」

 

「ええ、その時は楽しみにしてますよ」

 

と、二人は笑いあうのだった。そして別れの時が来た。港では孫権達は吹雪達を見送りに来ていた。

 

「もっと書物のお話がしたかったです」

 

「陸遜さん。私もです」

 

「気が向いたら、お手紙下さいね?」

 

「はい、必ず」

 

書を嗜む同志として、志乃と陸遜は約束を交わす。

 

「張済!今度会ったら、次はどっちが先に獲物を多くとるか勝負だからね」

 

「おう!望むところだぜ!」

 

と、川内とシャオは手を取り合いそう約束する

 

「アンチョビ殿。またお会いしましょう」

 

「ああ、甘寧もな」

 

アンチョビと甘寧はそう話し合っていた。どうやらあの狩の時に少し仲良くなっていたようだ。

 

「沖田殿、此度の事はそなたにはなんて詫びてよいか……」

 

「いえ、孫権さんが謝ることはないよ。それに孫権さんは俺を庇ってくれたじゃないか」

 

「しかし・・・」

 

「大丈夫です。孫権さん。孫権さんならきっと立派な王になります。だから俺たちの旅立ち、笑顔で送ってください」

 

「ええ、分かったわ」

 

孫権は、綺麗な笑顔で答える。憑き物が取れた様な、晴れやかな笑顔だった。

 

「また来ますよ、孫権さん」

 

「・・・蓮華だ」

 

「え?」

 

「私のことは蓮華と呼んでも良い」

 

「いいんですか?」

 

「か、かまわないわ//」

 

「では俺のことも吹雪で」

 

「分かったわ。またね・・・・吹雪///」

 

「また会いましょう。蓮華」

 

そして吹雪たちを乗せた船は出航するのだった。

 

「いやー、船旅はいいものだな。こうやってのんびりしているだけで目的地に着くと」

 

「本当だぜ!!陸の上もこれでいけば楽だな」

 

「そうだな。吹雪の持っている陸王も大勢乗れればいいんだがな」

 

「ん?どうしたんだ。志乃?船酔いか?」

 

志乃が険しい顔をしていた

 

「あっ、いえ、ちょっと気になることがありまして・・・・」

 

「気になること?」

 

「はい、今回のことって、本当に単なる暗殺未遂事件だったんでしょうか?何かあらゆることがあまりも出来すぎるような気がして、まるで一つの物語を見いているような、そう、この事件の背後で誰か筋書きを書いた人がいるんじゃないか。そんな気がするんです」

 

志乃の言葉に疑問を思うアンチョビと川内であった

 

「(さすが、孔明のライバルとよばれるほどの軍師、感づいていたのか・・・とても頭では勝てないな)」

 

と思う吹雪であった。

 

 

そのころ、陸遜が書簡で仕事をやっている周喩の元へとやってきた

 

「周瑜さま」

 

「陸遜か。見送りは済んだか?」

 

「はい」

 

「陸遜。貴方、司馬懿の事をどう思う?」

 

「そうですね。あの年にして利と正論をした演説、剣を鼻先に突きつけられても一歩もひかぬ度胸。この先、どのくらい、のびるか楽しみな逸材かと・・・」

 

「楽しみか・・・私にはむしろ恐ろしいと思ったのだが」

 

「え?」

 

「なぜだが、分らぬのが、あの者は、いつか我らの前に立ちはだかるような気がする。時が来て、あの才にふさわしい立場を得たらな・・・」

 

「けど、もう一人恐ろしい人がいるでしょ」

 

と孫策、蓮華、思春が入って来た

 

「ああ、沖田殿か・・・・あの殺気は尋常じゃない」

 

「で、思春はどう感じたの?」

 

「はじめは、ただの優男かと思いましたが、格が違いすぎました。もし戦っていたら、死んでいたとおもいます。」

 

「確かに、あれは姉上や母上すらも軽く超えていたと思うわ。まるで飛将軍呂布奉先のような・・・」

 

そう呟く蓮華

 

「噂に聞いたんだけど。吹雪はその呂布の息子らしいわ」

 

「それは本当ですか姉上!」

 

「なるほど・・・・通りで」

 

「それにしてもやっぱりほしいわ、彼」

 

孫策が言う

 

「確かにな、敵だと恐ろしいが、味方だととても心強い。しかし雪蓮、彼は董卓に仕えてるんだぞ」

 

周瑜が言う

 

「そんなの関係ないわ、いつか手に入れてみせるわ」

 

と華琳と同じことを言う孫策だった

 

 

 

「で、次はどこに行く?」

 

「そうだな・・・・そろそろ天水に戻るか」

 

「天水?」

 

「天水っていうと・・・吹雪様のいた地ですか?」

 

「ああ、そろそろ戻らないといけないような気がしてな」

 

「そうか。それじゃあその天水に行くか」

 

こうして、吹雪は旅を終え、天水に戻ることになったのだ。

 

 

 

 



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天水警邏隊不足金事件

この話は吹雪たちが孫家の屋敷をでた時のことだ。天水では吹雪の創案した警邏隊の活躍によって治安が良くなり、悪人も少なくなっていた。吹雪が旅に出ているときも治安の良さは維持されていて天水は平和そのものだった。

 

月の城の廊下で二人の女性が歩いていた。そう、吹雪の部下であり仲間の桜花と夕張だ

 

「なあ、そう言えば昨日隊長から手紙が来たよ。何でも今、呉の荊州にいるらしいっす」

 

「荊州っというと・・・・・袁術の領地ですね。確か最初は陳留ですから・・・・一周回る感じだな。」

 

「そうっすね。そう言えば隊長の手紙によれば新しい仲間が増えるらしいっすよ」

 

「ほんとか?」

 

「ああ、手紙に書いてあったすよ。」

 

「へ~楽しみだね・・・・・ってそう言えば雪風の姿が見えないわね」

 

「ああ、雪風はなんか休暇で今、洛陽に里帰りに行ってるっすよ」

 

「洛陽?洛陽っていうと陛下が住んでいるところじゃない。あいつの故郷、洛陽だったの?」

 

「さあ?よくわからないっす。」

 

「そう言えば洛陽にいた十常侍。あいつらなんか陛下の怒り買って2人残して粛清されたらしいよ」

 

「まじかよ!世の中いろいろあるんすね~で、だれが残ったんだ?」

 

「何でも、張譲と張忠らしいよ」

 

と、二人が話し合っていると、副長の部屋である斗志の部屋に着く。すると・・・・

 

「う~~~~~ん」

 

何やらうめき声が聞こえる。

 

「ん?なんか変な声がするな。ここは斗志の部屋か?」

 

「具合でも悪いのかな?斗志入るわよ」

 

そう言い二人は斗志の部屋に入る。そこには難しい顔をして帳簿を見ていた斗志がいた

 

「どうしたんすか斗志?眉間にしわが寄っているっすよ」

 

「そうですよ。ずうっとそう言う顔をしていたら、本当にそう言う顔になるよ」

 

「余計なお世話よ。で、二人ともどうしたのよなんか用?」

 

「いやなんか呻き声が聞こえてさ。なんだろうって見てみれば斗志がね」

 

「で、どうしたのよ斗志。そんな顔をして」

 

「・・・・・・合わないのよ」

 

「合わない?何が?」

 

「警邏隊の資金・・・・足りないのよ。いくら計算しても足りないのよ。桜花あなた確か給金とかの勘定とかやってたよね。これどういうこと?」

 

「足りない?おっかしいな~確かに計算が・・・・あれ?本当だ足りない」

 

「でしょ?貴女ちゃんと計算とかしたの?・・・・・・あ!そう言えばあなた勘定係雇ったっていてたわね」

 

「そう言えば、最近他の仕事とか忙しくなったから、手伝いに勘定係一人雇ったっけ」

 

「…‥隊長の許可なしで?」

 

斗志の目がきつくなる。桜花は慌ててこう言った

 

「いや、隊長が旅に出る前にちゃんとその許可は取ってあったんすよ。そいつ隊長がいる時はまだ私の手伝いとかだったすんけど、呑み込みが早いから私の代わりに勘定係代理をやってるんすよ」

 

「そうなの。確かその子の名は・・・・」

 

「李権っす」

 

「そう、じゃあ、その李権を呼んできて」

 

「分かったす」

 

「あ、私も行くわ」

 

そう言い桜花と夕張は斗志の部屋を出た。この時桜花は何か嫌な予感がしたのだ。

 

「ねえ、桜花。李権って、確か吹雪が旅に出る前に入隊したあの商家のボンボン娘のこと?」

 

「ああ、そのボンボン娘だよ。でもあいつ。結構努力家でさ。いつも書物とか見て勉強してたよ。私と違ってな。」

 

しばらく二人が探していると隊舎に李権がいたので桜花は彼女を呼ぶのだった。

勘定主任である桜花に呼ばれ、さらに副隊長である斗志が呼んでいたと聞き李権は何か察することがあったのだろうか、桜花の顔を見て表情が固まった。そして、固まった表情のまま二人のところに来た。

 

「な、何ですか主任?」

 

幸い隊舎には誰もいないため桜花は・・・

 

「李権。なんで呼ばれたかわかってるっスか?」

 

堂々と訊くのだった

 

「・・・・警邏隊のお金のことですよね」

 

「そうっす。そのお金どうしたんだ?」

 

「・・・実は・・」

 

李権が言うには足りない資金は何でも自分の借金返済に使ってしまったらしく今その足りない資金を実家に連絡して送金してくれるよう手紙を出したというのだった。

桜花はあまりの理由に呆れてしまう

 

「はぁ~なるほど・・・・で、その送金についての手紙はいつになるんすか?」

 

「はい、そろそろ着いているころだと思うので、不足金も解決します」

 

いつ出したのかわからないけど、李権の言う通り、そろそろ着いているころだろう。

 

「とにかく私は副長にそのことを報告します」

 

覚悟が出来ているのか李権は斗志の所に行ってしまう。そして斗志に不足金について質問されると李権は

 

「・・・・・・借金返済に使ったですって?・・・・・李権。あなた何をしたのかわかっているのかしら?何か弁明があるなら聞くけど?」

 

そう言い、李権は斗志に睨まれる。その怖さに小さな声でヒイッ!と声を上げてしまう。

 

「まあ、まあ、斗志そんなに睨むなよ。そんなんじゃ怯えて喋ろうにも喋れないっすよ」

 

と、桜花がなだめる。斗志はため息をつき

 

「・・・・・わかったわ。李権、話してみなさい。」

 

「い、今から実家に文を出して、使った文のお金を送ってもらいます。それでなんとか不足金の穴埋めをしますから、もうちょっと待ってください」

 

と、李権が恐る恐る言った。

 

「どれぐらい待てばいいんの?」

 

「に……二十日ぐらいなら……」

 

李権は震えながら言うが

 

「駄目よ。それじゃ遅すぎるわ。十日よ」

 

「そんな固いことを言うなよ斗志。せめて間を取って十五にしてくれねえか?」

 

「桜花なんであなたが口を出すの?」

 

「ん?だって李権は私の部下だしな。それに十日も十五日も大して変りないっすよ。だからこのとおりっす!」

 

「斗志。私からも頼む15日間だけ待ってくれないか?」

 

桜花と夕張が斗志を説得する。そして二人の熱意に斗志は根負けしたのか

 

「はあ~わかったわ。李権、この二人に免じて十五日だけ待ってあげる。ただし・・・・・それでもだめだったら、その時は・・・・」

 

斗志は右手で、首を切るように動かした

 

「まさか死罪っすか!?」

 

「まさかそんな!!」

 

桜花や夕張の言葉を聞いて李権は青ざめる。しかし斗志は首を横に振って

 

「違うわ。二人とも。そんなことはさせないわ」

 

その言葉を聞いて2人は安心するのだったが・・・・

 

「もし、来なかったその時は李権には責任を取ってこの警邏隊をやめてもらうわ」

 

斗志は怖い形相で李権を睨む

 

「わ、分かりました・・・・」

 

李権は顔を青ざめながらそう言った。

 

 

 

 

「あの…主任。私別に副長の言った10日でもよかったんですよ」

 

「甘いっす李権!!もし、届かなかったらどうするんすか? そう言うこと考えたことあるのか!?」

 

「そう言われると、ありません」

 

「えっ、そうなの?」

 

意外な返答に夕張は驚く

 

「あのな李権。もうちょっと、そう言う危機感を持ったほうがいいわよ。もしかしたら、文が送り返されてくるってことだってあるかもしれないんだよ」

 

夕張は心配そうに言うが

 

「送り返されるなんて、そんなことないですよ馬鈞様」

 

李権は笑顔でそう言ったのだったが・・・・・・数日後、手紙が送り返されたのだ。李権は、送り返されてきた文を見て、真っ青な顔をしていた。そりゃそうだ自分の生活が懸かっているんだから

 

「ど、どうしよう・・・・どうしましょう主任」

 

「大丈夫っす。もう1回送ってみるっすよ李権。まだ日もあるから、きっと実家の方も何かあって立て込んでいるんだろ」

 

「わ、分かりました!」

 

そう言って李権は手紙をまた出すのだった。そして約束の十五日目の朝、李権の両親がやってきて無事に無くなった資金は元に戻り、李権は解雇にならずに済んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、洛陽のとある宿の宴会場で、二人の人物が話していた。一人は銀髪で短い髪をした少年のような人物だった。

 

「さて、まっずはここで1杯と行こうじゃないか、樊稠・・・・いやここ洛陽では銀狼だったかな?」

 

その男の相手はなんと吹雪の仲間の樊稠こと雪風だった。

 

「お好きな方で結構です。それと酒は遠慮させてください」

 

「ほう・・・君が酒が飲めないなんて意外だな」

 

「いえ、飲めなくはないのですが・・・・癖でして・・・」

 

「癖?」

 

「はい・・・酒が入ると性格が不安定になって何をするかはわからないので控えているんですよ」

 

雪風の片目が少しギラリと光る。その眼を見て男は冷や汗をかく

 

「ふ、ふふふふこれは頼もしい。しかし驚きだよまさか董卓に仕えているはずの君が私の仲間になってくれるんだからね」

 

「驚いたのは私も同じです。まさか、「池田屋事件」の黒幕であり、あの、『笑う棺桶』を陰で指示してたり、また劉表様の娘の婿養子暗殺の元締めがまさか十常侍の一人張譲様とは・・・・」

 

「ふふ・・・漢王朝もいろいろあるというわけだよ」

 

「ま、私には関係のない事です。私はただ平穏に面白おかしく生きることさえできればいいんですから・・・・」

 

「そうか。さて、こういう仕事話は終わりにして、今夜は楽しもうじゃないか樊稠君」

 

「いえ、お気持ちは嬉しいのですが、そろそろ天水に戻らないといけないので…‥では本官はこれにて失礼します」

 

そう言い雪風はその場を後にする。外を歩く様子を宿の二階から張譲が見る

 

「ふっ・・・天水警邏隊隊士、樊稠・・・・・あいつの情報力は信用できる。それにしても天水の狼集団と言われた天水警邏隊隊士である彼女も所詮はただの歯牙なき飼い犬か・・・・・それにしても陛下に仕える張忠も馬鹿な女だ。腹黒い奴だが陛下の忠誠しか頭にない。だがいつかこの朝廷を支配下に置き思いのまま動かすのはこの私だ」

 

張譲が薄気味悪い笑みを浮かべる中、街を歩く雪風は張譲と違った笑みを浮かべていたのだった。

 

 

 

 

 




はい今日はここまでです。因みに李権はまったくの架空の人物でオリジナルキャラです。
次回もお楽しみに、感想とかもらえると嬉しいです。


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吹雪、天水に帰還

今回は短めです文章下手ですみません


雪蓮達のもとから旅立ち、2週間程が経った。俺は旅だった地、天水へと戻ることに決めた。何か妙な胸騒ぎがするからだ。そして天水の手前に着いた。

 

「あ~帰ってきた」

 

「この先を行けば天水ですか・・・」

 

「おっ!街が見えてきた」

 

「なんか賑やかそうだな。」

 

「そうだな。旅立つ前に比べたら賑やかになってるな・・・・」

 

そう言いながら二人は天水の北門に着く。すると門の警護をしていた兵が止める

 

「待て!貴様ら何者だ!!」

 

「怪しい奴・・・・もしや敵国の間者か?」

 

そう言い警護兵は槍を突き付ける

 

「おいおい、ちょっと待て。お前らどこの兵だ?」

 

「貴様らに言う必要はない!!」

 

「ぐっ!」

 

そう言い警備兵の1人は吹雪を殴る

 

「吹雪様!」

 

「な!おめえ吹雪に何するんだよ!」

 

川内が怒鳴ると、そこへ上官らしき兵が現れる

 

「どうしたんだ、お前たち」

 

「あっ!班長。いえ怪しい奴がいたのでしょっぴこうかと・・・・」

 

「なに、怪しい奴?」

 

そう言い、班長と呼ばれた男は吹雪を見て目を丸くする

 

「お、沖田様!!」

 

そう言い班長は敬礼をする。

 

「班長。こいつのことを知っているんですか?」

 

「馬鹿者!!お前ら新人だから知らないと思うが、この方は警邏隊隊長であり天の御使いである沖田吹雪様だぞ!」

 

「「!?」」

 

班長の言葉に門兵は驚く

 

「すっ!すみませんでした御使い様」

 

門兵は慌てて謝罪する

 

「いや、別にいい。それより君たち・・・」

 

「「は、はい!!」」

 

「仕事熱心なのは感心するが、限度というものがあるぞ。次からは気をつけろ」

 

「はっ!」

 

俺は門兵に注意をし、そのまま先に進んだ。

 

 

「いてて・・・・」

 

「大丈夫ですか吹雪様。」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「まったく。あの門兵なんだよ。いきなり吹雪を殴るなんてな」

 

「まあ、まあそう怒るなよあの門兵も仕事熱心なだけだし・・・・」

 

吹雪はさっきの門兵に腹を立てる川内をなだめる

 

「それにしてもここが天水ですか・・・・聞いていたよりもいい街ですね」

 

「言われてみれば志乃の言うとおりだな。景気がよさそうだ」

 

一方志乃とアンチョビは街の治安の良さや街の活気に感心していた。しばらく歩いて月の屋敷に着き中に入る。屋敷の中に入ると華雄と霞に会う

 

「おおっ!!吹雪ではないか!いつ戻ったのだ心配したのだぞ」

 

「あ、華雄さん。お久しぶりです。今帰りました・・・・・・それと抱き着くのは少し恥ずかしいので・・・」

 

華雄は嬉しそうに吹雪に抱き着く。吹雪は恥かしそうに言い、志乃ら3人は唖然としていた。

 

「吹雪。大目に目やりな。華雄は吹雪のことを恋や月と同じくらい心配しとったんやで」

 

「あ、霞さん。どうも陳留以来ですね。母さんは元気?」

 

「ああ、元気やで。ん?吹雪後ろの3人は誰や?」

 

霞は志乃たちに気付く。

 

「ああ、旅をしていた時に加わった仲間だよ」

 

「そうか。そういや月や詠の奴が待ってたで。はよ行ってあげな」

 

「分かった」

 

そう言い、吹雪は華雄や霞と別れ吹雪は月の元に向かう。そして月のいる大広間に入ると・・・

 

「ああぁー!!やっと帰って来たわね!!」

 

「おかえりなさい。吹雪さん」

 

と、広間に入って最初に聞こえたのは詠の声だった。そして次はにっこりと笑う月の声だった。

 

「ただいま帰りました。詠、月。なんか心配させたみたいだね」

 

俺は笑いながら言う

 

「本当よ。あなた、あまり手紙とか出さないから僕と月がどんなに心配したことか・・・」

 

「詠ちゃん。確かに私吹雪さんのこと心配したけど一番心配してたのは詠ちゃんじゃない」

 

「なっ!何言ってるのよ月。僕は別に・・・・・・そう言えば吹雪、あんたの後ろにいる人たちは誰?」

 

「ああ、紹介が遅れたよ。この3人は俺が旅しているときに出会った仲間だよ」

 

と、吹雪が言うと三人は前に出て挨拶をした。

 

「初めまして、董卓様。賈詡様。私は吹雪様の軍師を務めることになった司馬懿、真名は志乃と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」

 

「私は、アンチョビーナ・ユリウス。異国ローマ出身で志乃、司馬懿の義理の姉です。」

 

「俺は張済、真名は川内といいます。宜しくお願い致します。董卓様」

 

そう言い3人は深々と頭を下げる。

 

「分かりました。私はこの天水を治める董卓。真名は月といいます。これからもよろしくお願いしますね。志乃さん。アンチョビさん。川内さん」

 

「僕は賈詡で真名は詠よ。月が真名を預けたんならなら、あなたたちには僕の真名を預けるわ。よろしくね3人とも」

 

こうして3人は晴れて董卓軍の一因となるのだった。そして詠は3人を吹雪隊に入隊させてこの場は解散となった。

そしてそのあと3人を斗志たちに紹介したら、みんな歓迎してくれて、今夜は3人の歓迎会をするのだった。

 

 

 



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黄巾の乱編
昇り龍現る


今日はメンマ好きのあの人が出ます


「ただいま帰りました」

 

「おかえり雪風」

 

吹雪が旅を終えた3日後、洛陽に里帰りに行っていた雪風が帰ってきた。

 

「隊長。旅から帰っていたのですか?」

 

「ああ、3日前にな。あ、これ旅のお土産」

 

そう言い吹雪は旅土産である可愛いねこのストラップみたいな陶器を渡す。すると雪風は嬉しそうに笑みを漏らす。

 

「ありがとうございます隊長。この人形大切にします。それどころかこれを我が一族の家宝にします!」

 

「いや、そこまでしなくても・・・・」

 

吹雪は苦笑する

 

「それより雪風、ここに帰るまで疲れただろう今日はゆっくり休んでくれ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「じゃあ、俺は行くから」

 

俺はその場を後にしようとするが、

 

「あ、隊長お待ちください」

 

そう言うと雪風は一枚の封筒を吹雪に渡す。吹雪はその封筒を見ると少し顔色が変わる。

 

「例の件です」

 

「そうか、ありがとな。引き続き頼むよ」

 

「御意」

 

吹雪はそう言うとその場を後にし、警邏の仕事に向かった。因みに警邏隊もとい吹雪連隊の制服が変わった。服のデザインは機動力を重視するため西洋風の格好で、明治時代初期の日本陸軍の制服である黒服の格好である。

 

「あ、吹雪。警邏お疲れさん」

 

街を歩いていると、夕張に会う

 

「おう、夕張。お前は買い物か?」

 

「ええ、あ、そう言えば吹雪例のあれ1門できたわ。後で私の部屋に来てね」

 

因みに夕張は前に見せた九九式小銃をもとにライフル銃の開発に成功して今大量生産中である。その銃の名は一式歩兵連発銃って名前になっていて見た目は旧日本軍の村田式歩兵銃となっていて構造はドライゼ銃となっており薬莢は紙薬莢となっている。本当にすげえよ夕張は何でも作れる。

 

「分かった。警邏が終わったら見に行くよ」

 

「ああ、楽しみにしとけよ。そう言えば吹雪、最近妙な噂があるんだよ知ってるか?」

 

「妙な噂?・・・・・ああ、華蝶仮面のことか?」

 

華蝶仮面とはなぜか突如現れた。謎の人物だ。報告では、白い服を着てパピヨンマスクをつけた女性だというのはわかったのだが正体まではつかめなかったらしい。各州ごとに現れては暴漢退治といった街の治安維持に貢献しているのだが、やり方が過激らしく各州の警邏隊からお尋ね者となっていたりする。

 

「ええ、何でもその華蝶仮面がこの天水に来ているらしいのよ」

 

「へ~そうなのか。斗志がきいたら全警邏隊を使って捜索しそうだな」

 

「ええ、確かに斗志、その準備をやっていたんだけど…」

 

やってたのかよ・・・・

 

「何でも、西の地区の豪商相手になんか苦戦してるのよ」

 

「ああ、あいつか。まだ証拠が出ていないのか?」

 

夕張の言う西地区の豪商とは文字通り西地区にいる豪商のことである。その豪商は何かと怪しい男で、物資の横流しや、麻薬、そして黄巾党に武器などを送っているという疑いがあり、月や詠の権限で斗志たちが家宅捜索をしようとしたが、何でも朝廷の高官の身内ということで拒否されたうえ、証拠も出ないため未だ行き詰っているという。

 

「ええ、斗志もそのことで頭抱えているのよ。じゃあ、私は行くね」

 

「ああ、またな」

 

そう言い俺は夕張と別れて警邏の続きをした。しばらく歩いていると向こうで何やら人だかりができていた。なんだろうと俺はその人だかりの所に行く。

 

「何があったんだ」

 

俺はすぐそばの人に訊く

 

「あ、これは吹雪様。何でもごろつき共があの店の主に難癖つけて店の商品を奪っていこうとしたのさ。それを旅の武芸者が・・・」

 

「旅の武芸者?」

 

俺は様子を見る。すると確かにごろつき8人と白い服を着、長い槍を持った女性が今にも喧嘩をおっぱじめようとしていた。

 

「やれやれ・・・・止めに行くか」

 

そう言い現場に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、何度も言ってるだろ武芸者さんよ~。この品は盗品。俺たちがこの前盗まれたものに似てるんだよ。だから盗まれたものを取り戻すのは当たり前だろう?」

 

なんとも無茶苦茶な理由である

 

「ほ~ 貴様らのようなごろつきがそんな高価なものを持っていたとはな。疑わしいものだな」

 

白い服の女性にそう言われごろつきの頭に血が上る

 

「な、なんだと!」

 

そう言いごろつきは剣を抜き襲い掛かろうとしたが・・・・

 

「そこまで!!」

 

「「!?」」

 

騒動が始まろうとしたそのとき、別の人物の声が上がる。皆がその声をした方を見ると、其処には吹雪がいた

 

「お前たち何を騒いでいるか知らないが、暴力を振るおうとするのは感心しないな。もしお前らの言う事が正当ならば裁判でそれを証明しろ。そうじゃなければ品を返して店の主人に詫びろ。もしここで争うというなら俺が相手になるぞ」

 

吹雪は少し殺気を出しながら言う

 

「なんだ、てめえは!」

 

そう言い、ごろつきの一人が吹雪につかみかかろうと迫るが子分の一人に止められる

 

「ちょ、ちょっと待てよ兄貴。そいつ警邏隊の奴だぜ・・・・」

 

「しかも黒服じゃなくて、枯草色・・・・・こいつ警邏隊隊長の沖田吹雪だぜ。さすがにまずいですよ」

 

と、ごろつきの部下がそう言うとさすがに警邏隊とことを荒らしたくないのか、ごろつきの兄貴は舌打ちをして子分の男達と共に去って行った。ごろつきどもが去ると野次馬からは歓声があがる。

 

「店主大丈夫ですか?」

 

「ええ、ありがとうございます沖田様。それと旅の武芸者さんも」

 

「なに、困っている人を見過ごすわけにはいかないからな当然のことをしたまでだ」

 

「ところで店主。あのごろつきをどうしますか?被害届を出せば、しょっぴきますが?」

 

「いいえ、こうして品物を返していただいたので・・・・」

 

「そうですか。ですが、またこういうことがあったらすぐに警邏隊に伝えてくださいね」

 

「はい。ありがとうございます」

 

店の主人はお礼を言うと店の中に戻った。

 

「さて・・・・・旅の武芸者さん。怪我とかはありませんか?」

 

「ふむ。おぬしのおかげで、怪我はしてはいない。しかし、みすみすあいつらを見逃しても良かったのですかな?また同じ事を繰り返すだけなのではないか?」

 

「ふっ・・・その時は責任をもって逮捕するつもりですよ」

 

「そうですか。そう言えば自己紹介がまだでしたな。私は趙雲と申す。」

 

ん?・・・・趙雲?趙雲、趙雲、趙雲!?まさか・・

 

「失礼ながら、君はもしかして常山郡の昇り龍。趙子龍か?」

 

「ほう!私のことをご存知でしたか!さすがは天水の狼と恐れられている天の御使い殿」

 

「・・・・なんで、俺が天の御使いとわかったのですか趙雲さん」

 

「なに、風の噂に聞いた姿とあなたの姿が同じだったのでな。もしかしたらと」

 

「なるほど。そう言えばまだ名乗っていませんでしたね。おれは沖田吹雪。趙雲さんの言った通り、天の御使いなんて呼ばれている。」

 

「やはりそうでしたか。」

 

「では、俺は警邏の続きがあるんで、趙雲さん。また・・・・」

 

と、その場を後にしようとしたのだが、趙雲に襟首をつかまれる

 

「あ、あの・・・・趙雲さん?」

 

「すまぬ。沖田殿。私はこの街に来たばかりなのだ。迷惑でなければこの街の案内をしてくれないか?」

 

と、趙雲は不敵な笑みをして、吹雪に言う。

 

「えっ?まあ、別に構いませんが」

 

「では、行こう沖田殿」

 

沖田はしかなく趙雲の為に街の案内をするのだった。最初に案内したところは市役所、その次に病院、学校など街の隅から隅まで案内した。そして、とある店でご飯を食べることになった。しかし、吹雪は趙雲と食事やに向かう途中、わかったことがあった。それは彼女が最近巷で噂になっている華蝶仮面だということに。なぜ吹雪がそう思った理由は話すたびに華頂仮面のことを持ち出すのだ。それで確信した。彼女こそが華蝶仮面だということに・・・・

 

「ん?沖田殿どうかなされた?」

 

「あ、いや何でもない。」

 

「そうですか・・・・そう言えば沖田殿は食事と、言いましたがどこに行かれるのですかな?」

 

「ああ、メンマの園という店だよ。最近はやり出してな」

 

「なんと!メンマの園だと!?」

 

「知っているんですか?」

 

「ああ、メンマ好きなら知らない者はいないという店だぞ」

 

え、そうなの?

 

「いや~その店に行くのが楽しみになってきました」

 

「そうですか・・・・「隊長」ん?斗志?」

 

吹雪が趙雲と話しているときに会う

 

「何をしていらっしゃるんですか?」

 

「いや、別に大したことはないよ。この旅人さんに街を案内してたんだよ」

 

俺がそう言うと斗志は趙雲を見るすると、何か納得したような顔をする。

 

「そうですか・・・・・それよりも例の西地区のことで来ていただけないでしょうか至急」

 

真剣な顔でそう言う斗志。これはただ事ではないな。

 

「わかった。すぐに行く。すまない趙雲さん。こんなことになって」

 

「いや、沖田殿には仕事中にもかかわらず半日以上も案内させてしまった。別に問題はないメンマの園は私一人で行きますので」

 

俺が趙雲に謝ると趙雲は笑って許したのだった

 

「感謝します」

 

そう言うと俺はこの場を後に市、斗志と一緒に西地区に行くのだった。

 

 

 

 

「さてと・・・・・なんか事件のようだし、私も行くか」

 

一人になった趙雲は街の人気のない裏通りに行き裾から、蝶の仮面を出すのだった。

 




感想とかお待ちしております♪


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華蝶仮面vs怪傑ハリマオ

少し話が滅茶苦茶になりました


西地区に行く・・・・言葉で言うと簡単だが、現代の感覚は通用しない。天水地区は本当に広い。西地区に着くには馬を使っても半日かかる。

 

「で、斗志。西地区のことで分かったのか?」

 

「はい。雪風の隊からの報告で、怪しい動きをしているのがわかったんです。それで詠様から家宅捜索するように言われたんです」

 

「そうか。でなんか証拠は出たのか?」

 

「いえ、掴めそうなのですが、なかなか奴らの裏工作の為・・・」

 

「まったく。悪徳豪商はずる賢くて困るな・・・・まあ、家宅捜索くらいなら別にいいだろ」

 

 

 

 

 

「駄目です」

 

「え、なんでですかな?別に問題ないでしょ」

 

西地区についてさっそくその豪商に家宅捜索すべく行ったのだが、なぜか門の中に入れてくれない。秘書らしき、いかつい男に俺たちは交渉するのだが・・・・

 

「我がご主は、忙しいのです。帰らないと警邏隊を呼びますよ」

 

「私たちが警邏隊です。いい加減にしないと公務執行妨害罪で逮捕しますよ。こっちは天水太守様である董卓様の命で来ているんです。後ろ暗いことがないなら中を見てもいいでしょ?」

 

斗志の言う事はもっともだ。後ろ暗いことがないなら別に入れても問題ないはずだ。それにここにきてやっぱりこの豪商の家は怪しい。それにこの地区もなんか元気がない・・・・

 

「とにかく。例え董卓様の命でも、駄目なものはだめです。お引き取りを」

 

どうやら一筋縄じゃ行かないな・・・・

 

「あなた!」

 

そう言い斗志はつかみかかろうとするが吹雪は斗志の肩を掴む

 

「隊長!」

 

「斗志、いったん戻ろう。分かりました。では私たちは戻ります」

 

「ふっ・・・・」

 

そう言い秘書は皮肉たっぷりな笑みを浮かべながら屋敷の中に戻る

 

「隊長。なんで戻るなんて言ったんですか!」

 

「落ち着けよ斗志。真正面から言っても駄目なら。張り込みをしよう。そうすれば」

 

「・・・・・なるほど。そこであいつらの証拠現場を押さえるわけですね。」

 

「そうだ。さあ、西地区の宿屋に泊まるか」

 

「そうですね。それと隊長」

 

「ん?なんだ斗志」

 

「あ、あの・・・宜しければ、夕食をご一緒にどうですか?」

 

斗志がもじもじしながら言う。そう言えばもう夜だ。

 

「そうだな。それじゃあ、行こうか」

 

「はいっ!」

 

斗志は花が咲いたように笑い、食屋に向かうんだが・・・・・

 

「……」

 

気まずい・・・・本当に気まずい。なぜ気まずいというと・・・

 

「「「「「・・・・」」」」

 

俺の両側や前に、斗志を始め、桜花、雪風、川内がいた。事の始まりは、俺たち二人が店にはいった時のことだ。ドアを開けるとなぜか桜花や雪風、川内の4人がいた。因みに志乃は詠の手伝いをしてアンチョビはその補佐だ。

そんなことはさておき、本当にカオスな雰囲気になってる。

 

『なんで、あなたたちがいるのよ。桜花、雪風、川内?』

 

『斗志~一人だけ抜け駆けは許さないっすよ~』

 

『右に同じです』

 

『俺はただ面白そうだからついていっただけだ』

 

『あなたたちね~#それよりあなたたち警邏の仕事はどうしたのよ!』

 

『詠さんに頼まれたんだよ。もしかしたらてこずるかもなって』

 

と、桜花はそう言う。

 

(なんか知らないけどこの4人、目線だけで会話しているな・・・)

 

俺は拉麺をすすりながらその様子を見ていたが、ふいに外を見るすると・・・・

 

(ん、あれは趙雲さん?)

 

そう、外を見ていたら趙雲さんが歩いていたのだ。しかも屋根の上を飛んで顔にはパピヨンマスクをしていた・・・・これは何かしそうだな。

 

(追跡した方がいいな?斗志たちは・・・・・)

 

俺は斗志たちを見たが、未だに桜花たちと睨み合って火花が飛び散っている。これじゃあ、無理かな。俺は仕方なく店の主人に拉麺代を払い一人で追跡することにした。

 

 

 

 

 

一方、あの豪商の家の中

 

「ご主人様。先ほどお昼頃警邏隊の人が来られたのですが・・・・」

 

「で、どうしたのだ?」

 

「はい。追い返しときました」

 

「そうか。よくやった。董卓にこのことがばれたら私の商売はお終いだ。」

 

「そうですね。我々が黄巾党に武器を送っているなどとばれたらまずいですもんね。そう言えばご主人様例の噂聞きましたか?」

 

「ああ、あの華蝶仮面だったか?心配するな。ちゃんと対策はしてある」

 

そう、豪商が言いかけた時・・・

 

「話は聞いたぞ悪党ども!」

 

二人しかいないはずの部屋に突如声がする

 

「な、なんだ!?姿を見せろ!!」

 

豪商がそう叫ぶと2階の窓から人影が現れる

 

「あ!あそこに誰かいます!」

 

「顔を見せろ!!」

 

「乱世を正すため、地上に舞い降りた一匹の蝶・・・・・・」

 

そして曇っていた空が腫れ月光がその人物を照らす

 

「美と正義の使者・・・華蝶仮面!!推参!!」

 

「なっ!お前が華蝶仮面か!飛んで火にいる夏の虫だな。ぞ、賊が侵入した!であえ!であえ!」

 

秘書がそう叫ぶと部屋のあたりから次々と護衛兵が出てくる。

 

「悪徳商人め、この華頂仮面が成敗する。とぉー!」

 

そう言い、華蝶仮面は飛び降りて、護衛の兵を蹴散らす。

 

「この仮面野郎がいい気に乗りやがって!」

 

そういい、護衛兵は、襲いかかるが

 

「はいはいはいはいーーーー」

 

と見事な槍捌きで兵を倒すのだが

 

「ふふふ・・・甘いな。華蝶仮面とやら・・・・・おい!あの煙を流せ!!」

 

豪商がそう秘書に言うと、秘書は何か大きな箱を取り出し、何かの煙を流す。すると・・・・

 

「な、なんだ。この煙は!?か、身体がしびれて動けない!!」

 

護衛兵と戦っていた華蝶仮面だが、煙が足元に流れた途端体がしびれるような感覚に襲われ動けないのだ。

 

「ガハハハッ!どうだ!我が新商品のしびれ煙は!?これはいずれ黄巾党の連中に売る予定だったんだ!それより今のうちだ!!さっさと殺れ!」

 

豪商の号令で華蝶仮面の攻撃から生き残った数人の護衛兵が襲い掛かろうとするが・・・・・

 

パアァーン!

 

パアァーン!

 

 

キンッ!

 

キンッ!

 

「うぐっ!」

 

「ぐわっ!」

 

 

いきなり大きな音が鳴り響き護衛兵の持っていた剣が弾き飛ばされた。

 

「な、なんだ!?」

 

「誰だ!姿を見せろ!!」

 

護衛兵がそうっ怒鳴った瞬間

 

「はっはっはっは!!」

 

「「!?」」

 

先ほど華蝶仮面のが現れた時と同じ場所にまたもや人が立っていた。白いターバンを巻き、黒いサングラスの姿の男がいた。

 

「何者だ!貴様は」

 

「ふふふ・・・・私か?私は弱きものを助け、悪を挫く。黒き拳銃は正義の証!怪傑ハリマオ参上!!」

 

そう言うとハリマオは飛び降りながら拳銃を撃つ。撃たれた護衛兵は急所を外れたため命に別状はないが衝撃のあまり気絶する。ハリマオは華頂仮面に近づく。

 

「立てるか?華頂仮面」

 

「ああ、」

 

ハリマオは華蝶仮面に手を差し伸べ華蝶仮面はその手を取る。その隙に豪商と秘書が逃げ出そうとするが・・・

 

パアァーン!

 

ハリマオが拳銃を撃ち銃弾は彼らの手前に着弾する。

 

「ひっ!」

 

「動くな・・・・これの威力がわかったろ?頭に風穴開けたくなければそこを動くなそして警邏隊を呼ぶ……というところだが、どうやらその必要はないようだな」

 

ハリマオがそう言うと、部屋の扉から斗志たちが入って来た。

 

「動くな。警邏隊だ!!貴様を武器の裏取引や麻薬密輸で逮捕する!!証拠は貴様の部下が吐いたのと、そして黄巾党への武器輸出の書類が見つかった、しかも貴様の署名入りだ。言い逃れはできないぞ。しっぴけ!!」

 

そう言い、豪商は逮捕されたのだが。この時、華蝶仮面やハリマオの姿はいなかった。豪商は黒幕は奴らだっと言っていたが、証拠がそろっていたため無駄に終わったのである。

 

「そう言えば隊長どこに行ったんだろ?そう言えばあの屋敷に銃跡があった。銃を持ってるのは警邏隊幹部と隊長だけ・・・・もしかして隊長が?・・・・・いやまさかね」

 

そう考える斗志であった。

 

 

 

あの事件から翌日

 

俺は警邏の仕事を終え、俺はお気に入りの場所である夕日がとてもよく見える丘にの転がっていた。因みにそこは前に月と一緒に来たとこに見つけたんだがその話はまた今度話そう。しばらく夕日を見ていたら。

 

「おや、これは沖田殿ではありませんか。」

 

「ん?あぁ、趙雲さんか。どうしたんだ?こんな所に。」

 

「いえ、外がきれいな夕焼け空故、それを肴に1献と思いまして。沖田殿もどうです?」

 

「そうだな、じゃあ貰おうかな。」

 

俺は趙雲から器を受け取った。しばらく無言で飲んでいると。

 

「今日は災難だったな趙雲さん。」

 

「・・何の事でしょう?」

 

「とぼけても無駄ですよ。西の豪商のしびれ霧で身動きが取れなかったでしょ?華蝶仮面さん?」

 

「っ!?なぜそれを!?」

 

「いや、斗志はともかく。俺はすぐに分かったよ」

 

「そうですか。ならば礼を言わなければいけませんな。助太刀感謝致します。怪傑ハリマオ」

 

「ハハ・・・どういたしまして」

 

そう、怪傑ハリマオの正体は俺だ。まあ、読者の皆さんは気付いていたと思うけど。

 

「沖田殿は面白いな。」

 

「俺が面白いか?」

 

「ええ、どうでしょう沖田殿。私はあなたのこと少し興味が持ちました。だから私を客将として雇ってくれませんか?」

 

「…‥わかりました趙雲さん。客将の件は詠に頼んどくよ。よろしくな」

 

「私のことは星でいいです沖田殿。客将と言えども、信頼して槍を預ける身、この真名お預けします」

 

「じゃあ、改めてよろしくな星」

 

こうして、昇り龍と呼ばれる趙子龍こと趙雲が客将として仲間に加わったのである。

 




はい、星が客将として加わりました。因みに怪傑ハリマオはちょっとした遊びです。
それとここでアンケートを取りたいんですが怪傑ハリマオは再登場させるか悩んでいます。再登場させてもいいか駄目か皆さんの投票を期待しています
では次回もお楽しみに


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黄巾の乱。その始まりの前夜

星が、客将となって、しばらくした後、俺は詠たちに星を紹介した。もちろん月は星を歓迎してくれた。俺たちは星の歓迎会を始めることにした。そして互いに自己紹介を始めた。

 

「改めまして自己紹介しよう。これより董卓様の客将をします、姓を趙、名を雲、字を子龍・・・真名は星といいます、どうぞお見知りおきを」

 

「ありがとうございます、星さん。私の真名は月といいます。これからよろしくお願いしますね」

 

「僕は軍師の賈詡だよ、字は文和、真名は詠だ。よろしくね」

 

「ウチは張遼や、真名は霞、これからは霞でええで」

 

「華雄だ・・・真名は橘花・・・だがあまり真名で呼ばれるのは好きでなくてな、趙雲のことも真名では呼ばん、代わりに私の真名もなるべく呼ばず華雄でお願いしたい」

 

「私は李傕。真名は斗志。沖田隊の副長をしています。これからよろしくね」

 

「郭汜。真名は桜花。おなじく沖田隊所属だ。よろしくっす」

 

「私は沖田隊密偵所属の樊稠。真名は雪風、よしなに」

 

「私は司馬懿。真名は志乃。吹雪様の軍師を務めております」

 

以下省略

 

「わかった、これからよろしく頼む」

 

そう趙雲は頭を下げ、歓迎会が始まった。

 

「うむ。この料理、初めて見るがこれは?」

 

「ああ、はんばーぐっていうらしいすよ。」

 

星の問いに桜花が答える。

 

「何でも、天の国の料理らしいです」

 

雪風がそう説明する。

 

「天の国の料理か。これにメンマと合わせたら・・・・・」

 

「これに砂糖をかけたら・・・・」

 

斗志と星はそう、呟きながら料理を食べる。星がうちの部隊と打ち解けるか心配していたが、ほんの数分で打ち解けた。いいことだなっと吹雪はそう思い少し遠くの席に座り様子を見ていた。すると

 

「あ、吹雪。ここにいたのか」

 

と、夕張が話しかける

 

「ああ、夕張か。どうだ楽しんでるか?」

 

「ええ、それより、吹雪今朝報告があった黄巾党の乱についてなんだけど・・・」

 

そう、歓迎会の少し前・・・・・

 

 

 

 

今朝の朝礼ではみんなが集まっていた。星が客将として参加するという発表は午後の為今星はいない。

話を戻そう。その朝礼の内容は今まで大人しかった黄巾党がついに暴動しを起こし、朝廷から全地域の太守や義勇軍に討伐命令が出たのだ。

 

「黄巾党の首謀者は張角というのを筆頭に張宝、張梁の3人。黄巾党3万人のうち軒並み5000人以上は、小規模のものが散発しています」

 

雪風の報告に沈黙が場を支配した、それを破ったのはアンチョビと志乃だった

 

「でもおかしいな。前にその3人に会ったことがあるけど。普通の旅芸人だったぞ」

 

「私もです。あの3人が黄巾党を操り暴動を落とすとは思えません」

 

確かに二人の言う通りだ。俺が見てもあの3人は歌を歌うのが好きな旅芸人。こんな非道なことをするはずがないおそらくこれは何かわけがありそうだな・・・・

 

「雪風。その張3姉妹のこと詳しく調べてくれるか?何かわけがあるはずだ。」

 

「私からもお願いします雪風さん。吹雪さんたちの言う事が本当ならきっとその暴動何かわけがあると思います」

 

月も頭を下げて雪風に頼む。本当に優しい人だ

 

「御意、月様。隊長。直ちに調べてまいります。」

 

そういい、雪風はすぐに調べに行った。それを見た詠は何かを決めるように

 

「首謀者についての調査は雪風に任せるとして・・・・霞、華雄!貴方達の部隊は今どれくらい動ける!」

 

そこにいたのは少女の詠ではなく希代の名軍師の一人、賈詡として二人に訊いた。

 

「ウチの部隊は騎兵2000歩兵3000の5000やな」

 

「私のほうは歩兵で5000、騎兵は500で5500だ」

 

采配を振るいその結果を頭で思い浮かべる

 

「吹雪、あなたの部隊はどう?」

 

「ああ、歩兵で4000人、騎兵400、計4400人だな。みんな凄いやる気が出ているよ」

 

そう、黄巾の乱が勃発した時、活気に満ちた奴らがいた。そう、うちの部隊と華雄さんの部隊の連中だ。もともと両軍は血の気が多いため、池田屋事件以来特に大きな戦がなかったため、全員くすぶっていたのだ。まあ、後に斗志たちに喝入れられるんだが、不謹慎と思っていたが実は斗志や桜花たちも久しぶりの実戦ということで、まるで子供みたいにワクワクしてしまっている。

知らせを聞いた後にいうちの部隊はさっそく模擬戦やら訓練を始めだした。その訓練日数はまさに旧日本軍の〝月月火水木金金〟といったところだ。その練度による吹雪隊の士気はおそらく世界一だろう。

 

「そう・・・となると合計の此方の戦力は14900人ね。」

 

因みに母さんは董卓軍第1師団師団長なんだが・・・・母さんは単独で行動することが多く師団と言っても隊員はねねだけだ。

 

 

そして今に至る。

 

「明日、とうとう出陣ね」

 

「ああ、そうだな。そう言えば夕張、俺に何か用があったんじゃないか?」

 

「ああ、そうだったわね。例の小銃の件なんだけど、まだ生産が追い付かないから今回の黄巾の乱では投入できないのよ」

 

「ああ、そうか。まあ仕方ないよ。生産できただけでもすごいし」

 

「そう、でもつなぎの武器はできたわ。これを見て。前に孔明が発明したものを買ってね、それを改造したんだけど」

 

そう言い夕張はあるものを見せた。それは・・・

 

「これは連弩か?」

 

夕張が取り出したのは孔明が発明した連弩だった。しかし、夕張が言うように改造されてあった。銃床がついていてレバーアクション式、弾倉は取り外しが可能で下に着いていてた。

 

「前に吹雪が見せてくれた、あの本に書かれていた『うぃんちぇすたー』だっけ?それに書かれたのを参考にしたのよ。最大装填数は30発。しかも装填の仕方は吹雪の銃と同じ30発入った挿弾子(クリップ)を弾倉…いや矢倉かなそれにいれて弩に着けて、あとは引き金を引くだけ装填するときは引き金の下側に突き出した用心鉄を下に引けば装填できるわ。」

 

なるほど。そう言えば馬鈞って、孔明の連弩を見て、「まだ改良の余地がある。私が作れば5倍の性能を持たせることができる」と言っていたっけな。それにしてもこの改良連弩。孔明の作った諸葛弩より持ちやすい。

 

「それとこれ」

 

と、夕張はある設計図を見せた。

 

「夕張。これって・・・」

 

「そう、これは火薬の力で大量の矢を飛ばす武器。名付けて『墳進矢』よ。」

 

夕張が名付けた墳進矢は、今の時代でよく見る多連装ロケット砲 みたいな形だった。だがこれはどちらかというと、宋の時代で朝鮮が開発し、戦国時代の文禄・慶長の役の幸州山城の戦いで活躍した火車に似ていた。

 

「夕張。これ今どのくらいできているんだ?」

 

「そうね。大体今は5基完成してるわよ」

 

「そうか。」

 

「言いたいことはそれだけ。明日頑張ろうね。」

 

「ああ、夕張もよろしくな」

 

「じゃあ、私はもう行くね。いろいろと調整しないといけないから」

 

そう言い、夕張は去っていた。すると・・・・

 

「吹雪・・・・」

 

「母さん?」

 

母さんがそばに来たのだ

 

「吹雪・・・・明日は戦だけど・・・大丈夫?」

 

母さんは心配そうに言う。そう明日は今までとは違う。本格的な戦いだ。もしかしたら命を落とすかもしれないだが・・・

 

「大丈夫だよ母さん。俺は一人じゃない。みんながいる。だから心配しないで」

 

「そう・・・・・わかった。でも約束して」

 

母さんは俺を抱きしめる。その顔は武将としての顔ではなく一人の母親としての顔だった。

 

「必ず・・・生きて帰ってきて・・・・・」

 

そう言う

 

「わかった。必ず帰ってくるよ。幽霊としてじゃなく生きてね」

 

俺がそう言うと母さんは安心したように頷くのだった。その後、よぱらった星がやってきて、母さんを俺と勘違いして、「吹雪。お前女だったのか!?」と、母さんの胸を揉んで、母さんに殴られたのは言うまでもない。

 

 

その後、俺は外に出て、月を眺めていた。月を眺めるのは小さいころから好きだったことだ。月を眺めると何か落ち着くのだ。

 

「吹雪さん・・・」

 

と、月がやってきた。

 

「ああ、月。」

 

「どうしたんですか、こんなところに一人・・・」

 

「ああ、月を眺めてたんだ。他のみんなは?」

 

「皆さんは屋敷の中で楽しんでいます。特に詠ちゃんが」

 

「ああ、そう言えば志乃と結構話弾んでたな」

 

「はい。あんなに楽しそうな詠ちゃんは久しぶりに見ました。」

 

「ハハ‥そうか」

 

「ふふ・・・」

 

とお互いに笑う。すると月は何か悩むような顔をするのだった。

 

「月どうしたんだ?」

 

「え?ああ、いや何でもありません」

 

「そう言うな。、よかったら話してくれないか?何かの力にはなれるかもしれないからさ」

 

吹雪がそう言うと、月は話し始めた。

 

「吹雪さん・・・・実は私、自信がないんです」

 

「ん?どうして?」

 

いきなりの言葉に吹雪は首をかしげる

 

「私・・・政務のことや難しいことは詠ちゃんがしっかりとやってくれます。戦いのことは呂布さんや霞さんや華雄さんがやってくれます。それなのに・・・私は皆がいないときっと何も出来ないんです。ですから私には自信がないんです・・・私自身に対しての自信が・・・・」

 

「月・・・・月は・・・自信を持っていいと思うよ。」

 

「え?」

 

「もし、月が本当に何も無かったら・・・詠も霞も華雄も母さんも俺も・・・きっとここにはいないんだよ。」

 

「・・・・・」

 

「確かに詠は政治に関することが得意だ、きっと彼女はどんな政策でも自分で行ったことに対しては自信がある!と断言するだろうね。・・・それはきっと親友である月のために。母さんや霞、華雄もそうだ。彼女達はきっと、賊たちを何人殺しても、そして敵となったものをどれだけ倒しても・・・自分は正しいことをしたと自信を持って言うだろうね、それもいい笑顔で。・・・それもきっと月のためだ」

 

「でも・・・・私は」

 

「月は他の人と違うものを持っている。それは優しさだ。まるであの月の光のように優しい光・・・。だから月自信が無いなんて言わないでくれ。月は人が忘れがちな、忘れてはいけない人としての優しさを持っている。そんな月だからみんなついていけるんだよ。だから自身を持ってくれ」

 

吹雪は不敵の笑みで月にそう言う。月はその顔を見て顔を赤く染めそして、何か迷いを晴らしたのかニッコリとほほ笑み

 

「分かりました吹雪さん。おかげで少し自信を取り戻しました。」

 

そう言い、月は吹雪の肩に頭を置いた

 

「あ、あの・・・・月?」

 

「すみません。しばらくこのままでいさせてください///」

 

「ああ・・・別にいいけど」

 

しばらく二人は詠が二人を見つけて吹雪にドロップキックをお見舞いするまでこのままの姿で空に浮かぶ満月を見るのだった。

 

 

 

 

 




長い、とにかく話が長くなってしまいました。最初の計画では13話あたりで黄巾の乱だったんですがなぜか旅編などで長続きしてしまいました。次はもっとコンパクトに書けたらいいなと思います。さて次回は黄巾の乱。最初の戦いです。因みにオリキャラや英雄譚のキャラも出す予定ですただし自分は英雄譚や蒼天をやったことがないので口調は変わってしまうと思いますが皆さん温かい目で『真†恋姫無双~三国無双の血を引くもの~』を見守ってください。感想やアイデアなんかいろいろと書いてくれると嬉しいです。
それではみなさんまたお会いしましょう。以上疾風海軍陸戦隊でした。


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黄巾の乱 最初の戦い

星の歓迎会から翌日、吹雪たちは天水を出発し、黄巾党の兵が待ち受ける天水~長安間に向かって出陣した。因みに今は3手に分かれて進んでおり、北側は母さんの軍。東は張遼・華雄軍。そして西側は沖田軍となっている。

 

吹雪隊は進軍ラッパを吹きながら軍歌「陸軍」を歌い、どんどん目的地である場所へと進軍していく。しばらく歩いて、集合場所の中間の場所で小休止していると、この近くを偵察していた斥候兵がも出って来た。その報告を聞いて吹雪はすぐに斗志たちを呼んで軍議を始めた。

 

「志乃、現在敵の1万5000だが、こちらの様子に気付いた気配は?」

 

「今のところありませんが、こちらも大軍ですので、やがて気付くでしょう」

 

「しかし、あいつら雑魚ばかりだが、兵はムチャクチャ多いからな」

 

桜花は少し頭を掻きながら言う

 

「なあに、その時はぼこぼこに叩きのめせばいいんだよ。黄巾党恐るに足らずだ」

 

「川内。何事も慢心はだめよ。その慢心が命取りになるわ、斥候の話だとその黄巾党の軍は周倉の軍の一角の部隊よ」

 

斗志が言う、周倉とは黄巾党の賊将で、周倉の隊は官軍や諸候を相手に1度も敗北しなかったことから不敗の周倉隊と恐れていて、沖田軍も周倉にかなり警戒していた。

 

「斗志、もしかしてその隊の大将は周倉か?」

 

「いいえ、報告では敵の大将は周倉の部下のようで、周倉の軍は曹操軍と交戦中にていないとののことです。」

 

「そうか」

 

「で、これからどうするんだ吹雪」

 

アンチョビがそう聞く。彼女は今沖田隊の1部隊を預かっている。いわばアンチョビの今の立場はローマ軍時代の役職であった百人隊長と同じ階級だ。

 

「そうだな・・・・今後も連戦が続く可能性があるそのために出来るだけ被害も少なく戦わないと・・・・」

 

「沖田殿。何を恐れている。黄巾軍は所詮は烏合の衆。雑魚に兵法は無用、一斉に突撃をしたら充分に勝ち目はありますぞ」

 

と、星はそう言うが・・・・

 

「星さん。相手は黄巾党でも、罠をはる可能性があります」

 

「志乃の言う通りだ。いくらなんでも、それは無理だ。数が違いすぎる」

 

「何をおっしゃる沖田殿。これだけの武将に、精強な兵。なにも問題ないはずだ」

 

「それでもだ。いたずらに無理な突撃では被害が大き過ぎる。とりあえず今はもう一度偵察を出し、地形を調査。奇襲をしやすい場所を選んでそこで黄巾軍を叩く。みんなそれでいいか?」

 

と、吹雪が言うと、星以外は返事をしたのだが当の星は何か不服そうな顔をしてその場を離れた。

 

そしてしばらくすると、偵察隊が帰ってきて、状況を聞くとやはりこちらの動きに気付いて兵をこちらに進軍させたという。吹雪は全員を呼び出したのだが、星だけが未だに来なかったので、兵に再び呼びに行かせた。

 

「星の奴…遅いな」

 

「本当ですね。」

 

吹雪と志乃が話していると・・・・

 

「隊長、大変です!!」

 

と、星を呼びに行っていた兵が戻ってきた。

 

「どうかしたのか?」

 

「は、はい!趙雲殿が黄巾軍に単騎突撃しました!!」

 

と、吹雪に報告すると、それを聞いていた斗志は

 

「なにを考えてるのよ!星は!!」

 

と、机を思いっきり叩く

 

「斗志落ち着け。とにかくこのままにしておけないな。とにかく行くぞ。斗志と川内は俺と来い。志乃とアンチョビさん、桜花はさっき言った作戦通りにな」

 

「分かりました」

 

「Si!」

 

「了解っす!」

 

 

吹雪はすぐに星の所に向かうのだった・・・・

 

 

「やはり、沖田殿も英雄になる人物ではなかったか。たかが烏合の衆に恐れるとは・・・・まぁいい。これが董卓軍での最後の奉公だ!」

 

山と山の間の開けた場所で黄巾軍に囲まれた趙雲は武器を構える。

 

「恐れる者は背を向けよッ!! 恐れぬ者はかかってこいッ!! 我が名は趙子龍ッ!! 一身これ刃なりッ!!」

 

「たかが小娘一人何が出来ようか!」

 

「この小娘をぶち殺せェーーーッ!!!」

 

『ウオォォォォォーーーッ!!!』

 

黄巾軍が抜刀し趙雲に突撃する。

 

「はいはいはいはいぃーーーッ!!」

 

趙雲は攻撃をかわしつつ、黄巾兵士の腕や頭を斬り、その命を刈り取る。しかし………。

 

「(チッ……倒した敵で足場が……)」

 

星が大量に殺した死体がつもり身動きが取れにくくなっているのである。

 

「身動き出来なくなってるぞッ!! 取り囲んでなぶり殺しにしろッ!!」

 

黄巾軍の兵士は身動きがとりにくくなった星を囲み一斉に襲い掛かる。

 

「くっ・・・・私はまだまだ負けん!」

 

星が攻撃をしようとした時だった。

 

ひゅるるる~

 

いきなりの音にその場に居た全員が驚き、動きを止める。次の瞬間

 

「ぎゃあ!」

 

「ぐわっ!」

 

突如、黄巾軍の上空から無数の矢が降り注ぎ、運悪く着弾点にいた黄巾軍はたちまち矢の餌食になった。

すると、丘の上から真っ赤な太陽が輝きまるで朝日のまぶしさを表しているような旗が上がる。

その旗を背に馬に乗った人物が現れる。そう、吹雪だ。

 

「やっぱりこうなったか」

 

「隊長!」

 

「分かってる!全軍!突撃に前へぇぇぇぇ!!」

 

「「「「「万歳ィ!」」」

 

吹雪の号令で、吹雪を先頭に突撃喇叭を鳴らしながら一斉に丘からなだれ込み、吹雪の部下の兵が剣や槍で黄巾兵士の首や腕を斬り、それが宙を舞い、まるで血の雨のように降り注ぐ。

 

「第2中隊は私に続けー!!」

 

「「「チェストォォ―!!」」

 

斗志や部下の兵が雄たけびを上げながら、星のいるところにいる黄巾軍めがけて突進する

 

「ギャアァァァァァッ!!」

 

「な、何だコイツらはッ!?」

 

「つ、強すぎる!」

 

沖田や斗志、そして沖田軍の兵の強さに黄巾党の兵がうろたえる。因みに吹雪の兵は厳しい訓練を受けてまるで九州の薩摩島津軍のような強さを誇っていた。

 

「ハアァァァッ!!」

 

『ギャアァァァァァッ!!』

 

「星ッ!!」

 

吹雪は周りにいる敵兵を斬り倒しやっと制の元へたどり着いたのである。

 

「沖田殿・・・・・」

 

「バカヤロ!!なに一人で突っ込んでるんだ!敵の命と自分の命交換するつもりか!!!」

 

「し、しかし奴らは………」

 

「足場無くなって、もう少し星ので首取られそうだったんだぞ!これでもまだ黄巾軍は烏合の衆だと言い続けるのか!!」

 

「・・・・・・」

 

始めてみる吹雪の怒りに星は何も言えなかった。

 

「とりあえず、無事で何よりだ。とりあえず一緒に来い」

 

そう言うと吹雪は星の手を取り、走り出した。そして斗志と合流し

 

「斗志っ!」

 

「はい!全軍撤退!!谷まで戻るぞ!!」

 

「え~俺もっと暴れたい!」

 

「川内!馬鹿なこと言わない。作戦を忘れたの?」

 

「あっ・・・・忘れてた。いけない。いけない。」

 

斗志の号令で全軍谷まで撤退したのだった。

 

「奴らを逃がすなッ!!」

 

黄巾軍は追撃するが沖田軍が谷を通り過ぎた途端

 

「今です!」

 

「「そぉりゃー!!」」

 

谷の上に隠れていた桜花・アンチョビの部隊は志乃の命令で、上から岩や丸太などを落とした。

 

「なに!?おい。撤退だ!後ろに退け!!」

 

「駄目ですお頭!後ろにも投げ込まれて完全に出入り口をふさがれました!!」

 

「なに!?くそっ・・・奴らこれが目的だったのか!!」

 

黄巾軍の頭は悔しそうに呟く。

 

「今だ!投げろ!!」

 

すると谷の上から、小型の酒壺が降り注いだ。谷の上にいる歩兵が投げたのだ。

 

パリンッ!

 

パリンッ!

 

黄巾軍には当たらなかったが落ちた場所で酒壺が割れ可燃性が高いアルコール度を持った酒が周りに散らばり、それに栓に点けた火が引火することにより、その落ちた付近にいた雑兵達は瞬く間に炎に包まれた。

 

「な、何!?」

 

「ヒイィィィ!!」

 

「熱い熱い熱い!!」

 

「苦しい!助けてくれぇー!!」

 

黄巾軍兵士が炎に包まれながら悲鳴をあげて焼かれていく。服が燃えて一生懸命、火を消そうとする黄巾軍兵士もいる。その姿はまさに生き地獄だった。

 

「生きている奴にも矢を浴びさせろッ!! 村々を襲った黄巾軍の兵は容赦はするなッ!! 弓隊構えェッ!!」

 

吹雪の言葉に一斉に弩の弓が降り注ぐ。吹雪は本当は彼らを助けたがったが、あの状態じゃもし生きていても、火傷で苦しみながら死んでいくだろう。だからすぐにでも楽にさせる必要があった。降伏させる手段もあったが、奴らは斗志が降伏を進めても拒否していたのでこうするしかなかった。

 

「まるで、地獄だな・・・・」

 

アンチョビが手で口を隠しながら言う、そして火が息堪えた黄巾軍兵士の服に燃え広がり、やがて火は兵士毎包み込んだ。

 

「おえぇ」

 

それを見ていた桜花もその光景を見て思わず戻してしまった。

 

「大丈夫か?気分の悪い奴は下がれ。」

 

吹雪がそういい、気分の悪い奴は下がるのだった。

 

「吹雪、さっきのはいったいなんだ」

 

「あれは、火炎瓶いや、火炎壺を使った火計だ。中身は度が強く発火性のある酒に含まれるアルコールや魚獣の油を使っている。本当は使いたくはなかった。でもこうしなければ・・・・」

 

「分かってる。吹雪もう何も言うな。お前の言う事は痛いほどわかる」

 

アンチョビは優しい言葉で吹雪を励ます。彼女は吹雪の言いたいことを理解していた。もしこうしなければ沖田隊は甚大な犠牲が出ていただろうから。そのことは斗志や桜花、志乃、川内も理解していた。

 

「さて、星・・・」

 

「沖田殿・・・わたしは・・・」

 

星は吹雪に怒られると思っていたが・・・

 

「怪我はしていないか?」

 

「え?・・・」

 

いきなり心配する声を聴き星は目を丸くした

 

「あ、あの・・・沖田殿今なんて?」

 

「だから怪我だよ。痛いところはないか?」

 

「あ、あぁそれは大丈夫だが……」

 

「そうか。それはよかった。もし、あとから痛みが出たら。すぐに衛生兵の所に行ってくれ」

 

そう言うと吹雪はその場を後にしようとする。

 

「待ってください。沖田殿。」

 

「ん?なに星?」

 

「なぜ何も言わないんですか?」

 

「ん?何をだ?」

 

「私が勝手に出撃したのを怒らないんですか?私の勝手な行動で危うく沖田殿も危険な目に・・・」

 

「ああ、それか?そりゃあ確かにうちの部下だったら鉄拳制裁の一つでも食らわすよ。だが星は董卓軍の客将だ。俺達の味方だけどあくまでもお客なんだから。だから俺は労いの声はかけるが、処分はしないよ。星もしここが嫌ならここから立ち去っても構わないよ。俺は止めない」

 

そう言うと吹雪は立ち去ってしまう。すると斗志や桜花が来た。

 

「斗志、桜花・・・私は」

 

「もう何も言わないで星・・・・・星、あなたが無断で出撃したって聞いた時、私はあなたが帰って来たら殴ろうかと思っといたけど、隊長が何もしないなら、私も何も言わないし怒りもしないわ。」

 

「うちも何も言わないっす。だけど星覚えてほしい。私たちは兵隊たちを死なせるために訓練をしている訳じゃないんだ、生かせるため訓練しているんだよ。それだけは肝に銘じてほしいっす。」

 

そう言い、斗志はその場を去り桜花は軽く星の肩にポンッと手を乗せた後その場を後にした。

 

「・・・・・・・・」

 

星は何も言えずただその場を立ち尽くしていたのだった。

 

その後、頃合いで用意してた水で消火活動をして、吹雪達は焼死した黄巾兵士達を丁寧に埋葬していき、墓を建て、その場に居た全員が黙祷をささげた。

 

そしてその夜、吹雪は天幕でこの時の戦闘の記録書を書いていた。すると・・・

 

「………失礼」

 

「ん? どうした星?」

 

吹雪の天幕に星が急に入って来た。

 

「沖田殿……いえ主。私の先走りで主に、そして軍全体に迷惑をかけてしまいました。申し訳ありません」

 

星はそう言い頭を下げる

 

「頭を上げてくれ星。何が何だかわからんぞそれに主って・・・」

 

「私はどうやら自分の武功を上げることしか考えず少々自惚れていたようです。それを主は教えてくれました」

 

「(俺何か教えたっけ?)」

 

「それで……私を董卓軍の末端に加えてくれますかな主?」

 

そう言うと星はまた頭を下げて言う

 

「だから頭を上げてくれ星。それに主は要らないよ。星は家臣でも部下でもない大切な家族だ。だからいつも通りに呼んでくれ」

 

「フフ…わかりました吹雪殿。ではこれからよろしくお願いします」

 

「ああ、こちらこそよろしくな」

 

こうして星は正式に董卓軍の武将になった。

その後、俺は星に礼を言って天幕を出て夜空を見上げた。

 

「さて、討伐軍の集合場所は順調に行けば明日の午後辺りに着きそうだな。そう言えば夕張に頼んだ”あれ”はできているかな・・・」

 

俺はそうつぶやき星空を眺めるのだった。

 

 



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黄巾の乱  再会と白き御使いとの出会い

今日は北郷が少しだけ出てきます。


星が正式に董卓軍の将となった翌日、俺たちは討伐軍集合地点へと向かう。その後俺たちの部隊は何度も黄巾党軍の攻撃を受けたがなんとかそれを撃退しながら、ようやく集合地点へとたどり着いた。

 

「最初は、手間取ったけど何とかついたな。それにしてもいろんな旗があるな・・・」

 

「そうですね。でも、華雄様や霞様の部隊は到着していないみたいですね」

 

志乃がそう言うと俺は周りを見る。確かに橘花や霞の旗が上がってない。恐らく俺たちが董卓軍で1番乗りしたんだろう。他に上がっている旗は『曹』『孫』『公孫』『馬』の旗が上がっていた。恐らく『曹』は華琳。『孫』は雪蓮。『公』は・・・・・わからない。だがっその旗の中でこの時代にないはずのマークをした旗があったそれは・・・

 

「・・・・島津丸十字・・・」

 

そう、4つの旗の他にもう一つ旗があった。それはこの時代にないそう、俺の国である日本の戦国時代九州最強と言われた島津家の家紋である丸十字の旗だった。

 

「吹雪様・・・・どうかされたんですか?」

 

「え?いや何でもないよ。それより早く行こうか」

 

「はい」

 

(・・・・なんであの旗があるんだ)

 

その頃その旗があるところでは一人の人物が援軍に来た吹雪隊の旗や軍隊の服装を見て驚いていた。

 

「ご主人様、どうかしたの?」

 

「いや・・・・何でもないよ」

 

「変なご主人様」

 

 

 

その後、吹雪たちは陣と天幕をはった30分後、とある人物が訪ねてきた。

 

「邪魔するわよ。‥‥久しぶりね。」

 

「な、あなた誰ですか!」

 

斗志はいきなり入って来た人物に警戒した声で言う

 

「いいんだよ斗志。久しぶりだな。華琳」

 

吹雪は斗志をなだめる。そう、入って来た人物は曹操軍大将にしてこの討伐隊総指揮官である曹操こと、華琳だった。

 

「ええ、久しぶりね。『笑う棺桶』討伐戦以来だったかしら?」

 

「ああ、春蘭や秋蘭たちは元気にしてるか?」

 

「ええ、春蘭なら・・・・」

 

と、華琳が言いかけた時だった。

 

「沖田~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

 

「げぇ!春蘭」

 

なつかしい声が聞こえ、振り向くと剣を振りかざした春蘭がいた。が、

 

ガキンツ!

 

春蘭の一撃を斗志が剣の鍔で受け止めた。

 

「な、何をするんだ!」

 

「それはこっちのセリフだ!あなたいきなり入っていて、わが軍の隊長に何をするか!!」

 

「何を!これは私と沖田の問題だ!お前には関係ないことだ!」

 

と、斗志と春蘭はお互いに睨み合い火花がバチバチと光る。

 

「落ち着け斗志。それと剣をしまえ」

 

「春蘭あなたもよ」

 

「ですが隊長!」

 

「華琳様!」

 

「私は剣を引けと言ったのよ春蘭」

 

「分かりました・・・・」

 

華琳にそう言われ春蘭はしぶしぶ剣をしまうのだった。

 

「斗志もだ。それにこれは春蘭にとってはあいさつ程度だよ。なあ、春蘭」

 

「そうだ!これは挨拶みたいなもんだ」

 

そう、もし春蘭が本気で剣を振りかざしていたなら斗志の剣は折られている。それに殺気がなく、なんというか久しぶりに会えて、はしゃぐ子供みたいな目をしていたからな。

 

「分かりました・・・・」

 

斗志は納得してない顔だがしぶしぶ剣をしまうのだった。

 

「やれやれ、姉者。いくらなんでも早すぎるぞ。まあ久しぶりに沖田に会えてうれしいのはわかるがな・・・・」

 

「しゅ、秋蘭!わ、私は別に///」

 

春蘭が顔を赤くしその顔を見て秋蘭は「ふふ・・・姉者はかわいいな」という。

 

「久しぶり秋蘭」

 

「沖田も久しぶりだな。で、今どういう状況なんだ?」

 

秋蘭はさっき斗志と春蘭が一触即発しそうな雰囲気だったのかを訊く

 

「ああ、それはな・・・・」

 

「なるほど。姉者、いくら何でもいきなり斬りかかるのは問題があるぞ。」

 

「しゅ、秋蘭~」

 

妹である秋蘭に注意され春蘭は項垂れてしまう

 

「そう言えば、吹雪。その子は誰?」

 

「ああ、華琳紹介するよ。この子は李傕。俺の副将を務めている」

 

「初めまして曹操殿。私は李傕、沖田隊の副将を務めております」

 

「そう・・・あなたがあの『鬼の副長』の李傕ね。噂は聞いているわ。」

 

「どうも・・・・」

 

斗志は華琳にそう言われると少し嬉しそうに言う。

 

「そう言えば華琳。凪たちは元気にしているか?」

 

「ええ、いまあの3人は新兵の訓練で今回は参加していないわ」

 

「そうか。まあ元気ならいいけど」

 

「そう言えば、吹雪。その髪型。そのままなのね」

 

華琳が言う”その髪型”とは前に吹雪が陳留にいた時、長い髪形だった吹雪を華琳が吹雪の髪を纏めポニーテールにしたのだ。

 

「ああ、華琳が結ってくれた髪型だからな。それにこの髪型結構気に入っているんだ」

 

「そう・・・ならいいわ///」

 

俺と華琳が話し合っていると・・・・・

 

「隊長!ただいま戻ったす!」

 

「華琳姉ぇ。ここにいたっすか~」

 

と、外から桜花と見知らぬ金髪でサイドツインドリルをした少女が入って来た。

 

「桜花・・・・その子は?」

 

「吹雪、紹介するわ」

 

桜花の代わりに華琳が答える。もしかして華琳のところの子かな?

 

「彼女は私の従妹で名前は曹仁っていうのよ」

 

「初めまして。沖田さん!私の名は曹仁。真名は華侖っす!」

 

元気いっぱいに両腕を広げて陽気に言った。

 

「あの、それって真名だけどいいの?」

 

「いいす!華琳姉ぇも真名預けてるなら私もこの真名預けるっす!よろしくっす!」

 

「ああ、じゃあ、よろしく華侖。俺のことも吹雪でいいっすから」

 

二人は名乗り合い握手する。

 

「なんか、桜花がもう一人いる気分ね・・・・桜花。彼女とどこで知り合ったの?」

 

「ついさっきっす!その辺歩いてたら偶然会って。同じ武器、同じ口調からすっかり気が合っちゃって。ねぇ~華侖♪」

 

「そうよね~桜花♪」

 

と、斗志と華侖はお互いを向き合って楽しそうに言う。いつの間に真名を交換したんだ?

 

「それっじゃ、吹雪。私は自分の天幕に戻るわ。行くわよ春蘭、秋蘭、華侖」

 

「「「はッ!!」」」

 

「じゃあ、吹雪。また会いましょう」

 

そう言い、華琳たちは去った。

 

「あれが、曹操か・・・・、侮れぬ奴だ」

 

「本当に、変わらんな華琳は」

 

「星、あなた、いつの間にいたの?」

 

「いや、ついさっきだ。斗志」

 

「それにしても、いきなり隊長に斬りかかるなんて、夏侯惇め・・・・」

 

「まあまあ。さっきも言った通り春蘭にとってあれは挨拶みたいなものだから。」

 

吹雪にそう言われ斗志は納得いかないような顔をするが

 

「分かりました。隊長がそう言うなら」

 

「ですけど、春蘭も変わっていませんね。吹雪様」

 

「ああ、そうだな。」

 

そんな話をしてると、一人の兵士がやってくる。

 

「なんだ。お前たちは」

 

桜花が訪ねる。

 

「失礼します。私たちは義勇軍のものです」

 

「義勇軍の一兵卒がいったい何の用だ?」

 

「実は・・・・・」

 

使者の話では義勇軍の大将が俺と話がしたいから来てくれとのことだ。

 

「なっ!あなた舐めてるのか!たかが義勇軍の大将が官軍の将である吹雪を呼びつけるとはどう了件よ!」

 

「そうだ。用があるなら貴殿たちの大将が来るのが筋ではないか?」

 

川内が怒り星が指摘する。周りを見ると斗志たちも不機嫌そうな顔をする。 まあ、無名の義勇兵が仮にも官職に就いている俺を相手にする態度が気に食わないんだろう

 

「まあ、待ってくれみんな。・・・・・で、お宅の大将に呼び出した内容は聞いているのか?」

 

「えっ・・・・あ、いや。私はただ呼んでくれとしか・・・・」

 

使者の人は困ったような顔をする。まったく・・・・その義勇軍の大将はどんな奴だよ。鼻っから俺を呼ぶことしか頭にないようだな。

 

「あい分かった。すぐに行こう。因みにお前たち義勇軍の大将の名は?」

 

「吹雪様。いいのですか?」

 

「ああ、俺も義勇軍の大将の顔を見たくなってきた・・・・・で、さっきの質問だが答えてもらおうか?」

 

「あ、はい!劉備様と北郷様です!」

 

劉備って・・・あの劉備か!?あの蜀の王の。それにしても北郷か・・・・・この前アンチョビさんの言っていた白き御使いか・・・・・名前からして日本人みたいだし会ってみるか。

ということでということで俺は、アンチョビさん、星、川内、志乃を連れて義勇軍のいる陣へと向かった。斗志と桜花は天幕に残って、兵員を整理している。夕張は、ある物の準備をしているのでいない。

 

「そう言えば志乃。今から行く義勇軍にはお前の妹弟子がいたんだよな」

 

「はい。孔明と龐統です。あの子たち元気にしてるかな」

 

志乃は嬉しそうに言う。久しぶりに妹分に会うんだ嬉しくないはずはない。しばらく歩くと義勇軍の天幕が見える。その周りには兵士がたむろしていた。そして一人の軍人が

 

「止まれ!貴様ら何者だ!」

 

と、声を上げる。恐らくこの兵は俺が義勇軍の大将に呼ばれたのを知らないのだろうか?。

 

「董卓軍第3軍師団長。沖田吹雪だ。貴殿の大将に呼ばれて来たのだが?間違いだったら帰るが?」

 

因みに今の俺は、董卓軍の1個師団の師団長になっている。

 

「し、失礼しました!こちらです」

 

どうやら知っていたようだ。その男は慌てて、案内するのだった。周りを見てみると義勇軍の兵はなんか士気がまあまあいいが、食料とか少ないせいなのかなんか兵の元気もないし、なんかやつれていた。

普通なら集積場所を大きくする必要が出るくらい食料や資材を用意するのが基本だ。恐らく、短期決戦だと思っていてそんなに蓄えてきてないのか、もしくは単に準備時間がなく用意出来なかったか、まあ、たぶん後者だろう。

それにしても、俺と同じ御使いと呼ばれている北郷一刀ってどんな奴だ?それにしても北郷という名に島津丸十字・・・・島津分家の北郷家ゆかりのものか?因みに俺の先祖は幕末の時代幕府側の人間で京都の治安を守る武装警察隊の幹部だったらしい。それがどうしたかというと、特に何でもない。

そんなことを考えるうちに俺たちは義勇軍の幹部が集まる場所に案内された。その場に居たのは6人。一人は黒い長髪をし、青竜偃月刀を持った少女、小柄な女の子3人。そして桃色髪の少女に、そして一人の若い男性(おそらく年上)の人たちが机においてある地図を見ながら何やら作戦会議みたいなのをしていた。そこにさっきの黒髪の人がこっちに気が付き俺は軽く手を振った。

 

「なっ!貴様何者だ!!」

 

と、武器をこっちに突き付けて怒鳴る。この人いきなり武器を突き付けるのはちょっとまずいんじゃないか?

 

「呼んだのは君たちの方じゃないか。それと紹介が遅れたな。俺は董卓軍第3軍師団長の沖田吹雪だ。義勇軍大将に呼ばれて来たんだが、用がないようなら俺たちは戻るぞ」

 

俺は帰ろうとしたが。

 

「ま、待ってくれ!」

 

と、呼び止めたのは先ほどの男性。格好は白い学ランを着ている。あれは・・・浅草の聖フランチェスカ学園の格好だな。となるとこいつが北郷一刀か・・・因みに俺の母校は聖フランチェスカ学園の近所にある私立高校である。

 

「ん?なんですか?」

 

「沖田。なんで董卓軍がその服を着てるんだ。それに君は俺と同じ日本から来たのか?」

 

服?ああ、明治時代の日本陸軍の格好をしているからか・・・・もしかして、それだけのことで呼んだのか?もしそうなら少し腹が立つ。

 

「ええ、機動力を重視するためにね。それがどうかしたんですか?」

 

「い、いやそうじゃないんだ。ただ気になったから………」

 

「なら別に問題ないし、構わないでしょう」

 

「なッ!? 御主人様に対して何という聞き方だッ!!」

 

黒髪の少女、関羽が怒鳴る、怒る理由がわからない。

 

「あなたは何を言っているんですか関羽殿。吹雪様は普通に返答していただけです。それと北郷殿。挨拶も無しに用件を告げるのは感心しませんね」

 

志乃が二人に注意する。

 

「はわわ。愛紗さん。今のは志乃お姉ちゃんの言う通りですよ。それにご主人様も名乗らず用件だけしか言わないのは相手に失礼ですよ」

 

「うっ・・済まない沖田。」

 

「・・・・」

 

北郷は謝るけど、関羽は何か納得いかない表情をしていた。北郷に対しての忠誠はいいがこうも度が過ぎると危険だな‥‥いずれヤンデレ化するんじゃないか?

 

「沖田。いきなりこんなことになってすまない。呼び出したのはお前が俺と同じ日本人なのか気になったんだ」

 

北郷に悪気はないと思うが、後ろを見ると川内と、アンチョビさん星が少し不機嫌そうな顔をする。川内にいたっては、関羽がとびかかった瞬間いつでもすぐに斬りかかれるれるような構えをしている。もしかしてこいつ他の国の将相手にも同じ感じで話しているのか?だとすると腹が立つ。例え「天の御使い」って呼ばれても、時と場合があるだろう。俺は軽いため息をし

 

「確かに俺は日本人だ。」

 

「やっぱりか。その服、旧日本陸軍の服だったからもしかしたらと・・・」

 

「先に言っとくが俺は太平洋戦争の時代じゃなく、平成の人間だからな。この服はこの世界に来た時から着ていたものだ・・・・・・で、用件はそれだけか?」

 

「え?・・・・ああ。それだけだよ。」

 

予測してたように、けろっとそう言う北郷に俺はだんだん腹が立ってきた。それはその場に居るみんなもそう思った。こういっちゃなんだがあまりにも無礼だ。

 

「・・・・・わかった。それじゃあ、戻るか、みんな」

 

「はい。・・・・朱里、雛里。あなたたちの元気な顔を見れて安心したわ。今度の軍議でゆっくり話しましょうね」

 

「はい!」

 

「志乃お姉ちゃん。また会おうね」

 

志乃と、妹弟子二人はそう話し合い、天幕を後にした。吹雪が陣営に戻って、10分後、霞・橘花の部隊が到着し、その数分後、第一回黄巾党討伐軍義が始まるのだった。

 

 

 

 




今日はこの辺であたし恋姫革命とかやったことないんで曹仁とかの口調がおかしくても笑わないでください。
では次回もお楽しみに


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黄巾の乱 理想と妄想

しばらくして討伐軍の将校が集まり、軍議が始まろうとしていた。因みに討伐軍の総指揮官は華琳となっている。曹操軍代表は華琳、春蘭、秋蘭、桂花。孫策軍代表は雪蓮、冥林、 西涼の馬軍代表は、馬騰、馬超、馬岱である。 

 

「あら、吹雪じゃない。久しぶりね」

 

と、軍議が始まる前雪蓮に声をかけられた。

 

「どうも。雪蓮。久しぶりだな。そう言えば蓮華は?」

 

「ええ、本当に久しぶり、蓮華は今、別の任務でいないわ」

 

「そうか・・・元気ならそれでいいか」

 

「軍議を始めてもいいかしら?」

 

華琳がそう言い、軍議が始まったのである。

 

「さて、今回集まったのは知っての通り、黄巾党の殲滅。主犯である張3姉妹はっきりした場所はまだわかっていないけど、現代黄巾軍を率いている大将は周倉。現代奴の軍はこの地から数里ほど離れた高地にある廃城を要塞に改造し、十万二千の兵をその城に立てこもっているわ」

 

周倉・・・・黄巾党の中でも恐らく幹部の中では一番上だろう。現に黄巾党の7割は周倉の兵だ。

 

「黄巾軍が占領している廃城の地図は有りますか?」

 

周瑜が華琳に聞く。

 

「ええ、あるわ。斥候を放って廃城の周りの地理を調べたわ」

 

そう言い地図を出す

 

「そう言えば、この高地名前とかあんの?」

 

「いや、確かここの平原や高地には名前とかないわ」

 

霞の問いに周瑜が答える。。その高地の周りは何もなく。高さは大体‥‥200メートルくらいか。それにしてもこの地図に書かれているこの丘陵・・・・

 

「203高地・・・・」

 

そう、この地図に書かれている高地は、日露戦争の激戦地の一つ旅順攻防戦の203高地に似ていた。俺のつぶやきにみんなの視線が俺の方に向いた。

 

「そう・・・・じゃあこの黄巾党が陣を張っているこの高地を203高地と名付けましょう。・・・で、あなたは何か策がある?」

 

「そうだな。俺たち連合軍は総勢八万六千・・・・・数が足りないから奇襲で黄巾軍と戦うしかない。んで、ここを見てくれ、203高地の裏辺りに小さな森がある。一万を森へ配備して残りは廃城の正面へ布陣する。そして夜中に森からの部隊が廃城の食料庫を火矢で焼き、その混乱中に一万が廃城へ突撃して乱戦にさせる。更に城門を開いて、待機していた七万六千の部隊も廃城に突撃して黄巾軍を一網打尽・・・ってどうかな?」

 

「悪くない案ね。他にはないかしら」

 

華琳が周りに訊く

 

「その一万の部隊は誰が出すんだ?」

 

ここで劉備と共に義勇軍を率いている北郷一刀が口を開いた

 

「俺の部隊を出す。」

 

「私もだすわ。」

 

「私もだ」

 

こうして1万の部隊は華琳、吹雪、雪蓮、劉備の部隊の1部の部隊によって編成されるのだった。

 

「それじゃあ、吹雪の案でやるわね。それじゃあ解散」

 

こうして第1回203高地攻撃作戦が開始された。

 

 

 

 

俺は軍議が終わった後、俺は一人木陰で九九式小銃の手入れをしていた。すると

 

「銃の手入れ?吹雪」

 

華琳がやってきた。

 

「華琳か・・・・援軍ありがとな。」

 

「気にしないで、それにこれは借りだから。」

 

「ははは・・・相変わらずだな。そう言えば華琳、お前周倉の本隊とたたかったんだろ?」

 

「ええ、それに周倉と、1度だけ戦ったわ…‥でもうまく逃げられたけどね」

 

「どんな奴だった。周倉ってやつは」

 

「それはあなた自身が確かめることね吹雪。言っとくけど奴は手ごわいわよ。油断しないようにね」

 

そういうと華琳は自分の陣へと戻り、俺も戻ろうとしたが・・・・・

 

「沖田さん」

 

急に何者かに呼び止められ振り向くと劉備と北郷そして護衛だろうか関羽がいた。

 

「・・・・・いったい何の用ですか?劉備さん」

 

「あ、いや、出陣前に挨拶でもと・・・」

 

劉備さんがそういう、北郷に比べて劉備は少し礼儀正しいな。

 

「そうですか・・・そう言えば劉備さんの理想は何ですか?」

 

歴史だと困っている人を放っておけない云々だが、それは紙の上で書かれたもの実際はどうなのかそれが知りたかった。

 

「えっ・・・ 私の理想はこの大陸で誰もが笑っていられるようなところにしたい、弱い者が虐げられないそんな国にしたいです」

 

この世界の劉備も同じ考えだな。月と同じ思想だ。だが、一つだけ問題がある。

劉備の理想は確かに一見聞けば聞こえはいいが、今の劉備さんでは実現は難しい。月も同じような理想を持っているが、彼女は現実を向き合ってどうすべきか、考えている。

 

「劉備さん残念ですが、正直言って難しいでしょう。むしろそれは妄想に近い。」

 

「なッ!? 貴様ァッ!!」

 

気配で感じた来る!そう思った瞬間、関羽が青竜偃月刀を振りかざし俺は避けて・・・

 

「動くなっ!」

 

彼女の眉間に南部拳銃を突き付ける。

 

「そんな小物で何ができる!」

 

「何なら試すか?」

 

「愛紗落ち着けッ!!」

 

と、北郷は関羽を抑える。関羽はしぶしぶ武器を降ろす。今回何度目だよ。

 

「劉備さん。それを無意味だと分かるか?」

 

「無意味ではありませんッ!! 私達は真剣ですッ!!私は真剣に民のことを思って!」

 

「なら聞きます劉備さん。皆が笑って暮らせるようにしたいんだろ?何故戦うんだ。誰もが笑って暮らせる世界作るんなら、なぜ人間同士戦争をする。もし人々を幸せにしなきゃいけないのなら、今から討伐する黄巾党の奴らも含めなきゃいけないんじゃないのか?」

 

そう、その通りだ。みんなが仲良く暮らすためには戦争なんかしなければいい、簡単にそういう言葉はできるが現状はそんなに甘くない。今までの歴史を振り返ると人間の歴史は戦争の歴史でもある。領土が欲しい、資源が欲しい、などの欲望を持った連中がいる限り戦争は続く。現に俺のいた時代でもまだ戦争をしているところもある。もし、だれも永遠に争わず仲良く暮らせる方法の本があったら、世界中の政治家たちが読んで実行しているよ。

 

「そ、それは・・・・」

 

その言葉に劉備は黙ってしまう。

 

「民を幸せにする方法があるのなら構いませんが、ないのならただの妄想と変わりありませんよ。そう言うのは理想とは言いません。」

 

「・・・・・・」

 

「失礼なことを言ってしまいましたが、それが今の俺の考えです。では俺は作戦の準備をしなければいけません。これにて失礼します」

 

「沖田さん・・・一ついいですか?」

 

「なんですか北郷さん」

 

「それって本物か?」

 

北郷が指さしたのは恐らく、99式小銃と南部拳銃だろう。

 

「ああ、本物だ。70年前の古風な銃だが殺傷能力はあるぞ。じゃあな」

 

俺はその場を後にしたのだった。それは203高地攻撃の一刻前だった。

 

 

 

 

 

おまけ

 

陣営に戻ると夕張がいた

 

「よお、夕張。お疲れさん。例のあれできてる?」

 

「ええ、まあ、本命のあれに比べれば性能と威力は落ちるけど、歩兵支援としては最適だわ。それに木製だから生産しやすいしのは長所ね。次の作戦で使うんでしょ?5門と3基で来てるから使ってよ」

 

「ああ、ありがとな夕張」

 

「いいって、いいって。後で感想とか聞かせてね♪」

 

俺と夕張が話していると、

 

「ただいま戻りました。吹雪様」

 

斗志が帰ってきた。志乃はあの軍議の後妹分たちである孔明と龐統と話をしていたのだ。

 

「どうだった。久しぶりに話して」

 

「ええ、二人とも元気でしたが・・・・・」

 

「ん?どうしたんだ?志乃?」

 

「はい。なんかあの二人なんか焦っているように見えました。」

 

焦りか・・・・なんか嫌な予感がする。そう思っていると何かが俺の後ろに抱き着いた

 

「な、ナンダ!?」

 

と、後ろを振り返ると

 

「吹雪!久しぶりだな~ヒック!」

 

華雄こと橘花が顔を真っ赤にして俺に抱き着いていた。微妙に酒臭い。もしかして酔ってるのか?

 

「吹雪~お前がいなくて寂しかったぞこいつめ~!」

 

と、ぎゅーと抱きしめる。あれ?いつもと様子が・・・・って!痛い!痛い!骨折れる!骨がミシミシ言ってる!

 

「ふむ・・・・吹雪殿ははこういったものをご所望か」

 

「せ、星!?」

 

何言ってるのこの人は!

 

「なんなら、“閨の方”で…」

 

と、妖艶といたずらな笑みで耳元そういう。

 

「星・・・・そういう冗談はいいから・・・・」

 

やばいなんか体中の感覚がなくなってきた。

 

「いい加減にせんか!」

 

ドゴッ!

 

意識が途絶えそうになった瞬間、霞が入ってきて橘花を拳骨で一撃をノックアウトした。

 

「はあ、はあ、はあ・・・・死ぬかと思った。ありがとう霞」

 

「いいて、いいて、気にせんといて。そもそもうちが華雄に酒飲ませたんのが原因やからな」

 

あんたのせいかよ・・・・

 

「それにしても・・・華雄って、いつもあんな感じなの?」

 

「いいや。華雄とは付き合い長いけど酒飲んで酔ったこと一度もないんや。もしかしたら誰かにかまってもらいたくてあないなことしたんやろうな。それに華雄にとって吹雪はかわいい弟みたいなもんやからなおさらや。ほなうちは華雄と自分の天幕に戻る際、またな吹雪」

 

そう言って霞は華雄を背負って出て行った。

 

「いったい何だったんだ?」

 

腰をさすりながらそう呟く吹雪であった。

 

 



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203高地

久しぶりの投稿です。パソコンが壊れて新しいのに変えるのに結構時間がかかってしまいました。では本編をどうぞ!


ここは黄巾軍が陣を張る高地、通称「203高地」の裏側にある小さな森に吹雪を指揮官とした討伐軍奇襲対一万が集まっていた。

 

奇襲隊編制

董卓軍5000、孫策軍は2000、曹操軍2500、そして劉備の義勇軍500人が集結していた。

董卓軍では吹雪、斗志、川内、桜花。孫策軍では特別任務から戻ってきた蓮華、思春、周泰こと明命、曹操軍では秋蘭、華侖、季衣、徐行。が来ていた。因みに義勇軍には若い士官らしき男が来た。

 

「・・・今行っても標的にされるだけだし、夜になるのを待つか」

 

先ほど203高地を見てきたが昼間の戦闘は危険だ。報告によればいろんな落とし穴や見張り座があり「野戦のぞけば死角なし」と敵の大将の周倉は言っていたらしいがそれはあながち間違いないだろう。しかもあの砦、いい造りだ。廃城をここまで改造するなんて周倉ってやつはよほどの腕だ。

その後俺は全員に作戦開始は夜になってからと言いったら、川内が大喜びした。実は川内は昼の戦闘よりも夜戦の奇襲戦法が大の得意なのだ。それを見るとまだ日没まで1時間ぐらいか?そんな余裕があったため俺はこっそり203高地近くまで見に行き、そして戻っている最中に意外な人物に出会う。

・・・・

 

「あっ!兄ちゃん!」

 

背後から懐かしい元気な声が聞こえる。振り向くとそこには・・

 

「季衣!季衣じゃないか。久しぶりだな!」

 

俺がそう言うと季衣は嬉しそうに笑って俺に抱き着いた。

 

「へへ~本当に兄ちゃんだ。」

 

「まったく。ん?」

 

俺が季衣の頭をなでていると・・・・

 

「季衣・・・・ここにいたの?」

 

「あ、シャン。」

 

季衣がいうその子はなんか真桜を小さくした感じの子だった。

 

「季衣?その子は?」

 

「ああ、兄ちゃんこの子は新しく仲間になった徐晃っていうんだよ。」

 

「そうか。初めまして徐晃ちゃん。俺は・・・・」

 

「沖田吹雪・・・・・」

 

「え!?シャン。兄ちゃんのこと知ってるの?」

 

「・・・・・・うん。うわさで聞いたし、それに季衣がいつも話してたから・・・・」

 

「そ、そうか・・・徐晃」

 

「シャンでいいよ。その代りシャンも兄ちゃんって呼んでいい?」

 

「ああ、いいよ。季衣は妹とみたいなものだったし、その友人なら君も妹みたいなものだ。」

 

そういい吹雪はシャンと季衣の頭をなでて二人は気持ちよさそうに目を細める。しばらく二人と話し、そして日隠作戦実行の時間が来た。

 

「偵察によれば、食料庫はこの倉です。それにその周りに油をまいておきました」

 

偵察に出ていた兵が、吹雪に言う。

 

「上出来だ。秋蘭。火矢の準備はできているか?」

 

「準備は完了している」

 

吹雪の言葉に秋蘭は頷く。

 

「弓隊、構え」

 

吹雪の言葉に火矢を持った弓隊が構えた。

 

「放てッ!!」

 

弓隊が一斉に火矢を食料庫などに放ち、食料庫は瞬く間に燃えていく。

 

「か、火事だァッ!!」

 

「火を消せッ早く!!」

 

眠っていた黄巾軍兵士達が慌てて消火活動をしようとする。

 

「全隊抜刀」

 

吹雪の言葉に兵士達が剣を抜く。

 

「弓隊は援護射撃に徹しろ。残りは斬り込む ぞ」

 

吹雪は刀を抜いて、廃城に刀身を向けた。

 

「目標、廃城にいる黄巾軍ッ!! 一兵残らず叩き斬れッ!! 全軍突撃ィィィーーーッ!!!」

 

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 

兵士達は雄叫びをあげて廃城に突撃を開始した。

 

一方討伐軍主力部隊は203高地から火が上がったのが目に入った。

 

「華雄様!張遼様。今、203高地のふもとにある小砦から次々に火が上がりました!」

 

「何たら、始まったようやな」

 

「よし!!全軍に通達!突撃せよ!」

 

「はっ!」

 

一方203高地では

 

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 

 一万の部隊が雄叫びをあげながら廃城の中に突っ込む。

 

「て、敵襲ゥーーーッ!!」

 

「なっ!なんだと!!」

 

「火事じゃないのかッ!? 敵襲だとッ!!」

 

「でも食料庫が燃えているぞッ!!」

 

「もしかしたら両方じゃないのかッ!?」

 

「とにかくお前は周倉様に知らせろ!!」

 

「は、はっ!」

 

突然の奇襲に黄巾軍はパニックを起こす。そのころ、黄巾軍の弾薬庫や食糧庫は雪風の部隊の連中が火炎瓶を投げて爆発させていた。

 

「よし、俺たちの任務はここまでだ、撤退するぞ!」

 

「ハイ班長!」

 

班長の指示に部下が答え立ち去ろうとすると・・・・

 

「トラ・トラ・トラ!!」

 

班長がいきなり叫んだ

 

「班長!なんですその『トラ・トラ・トラ』って?」

 

「ああ?隊長が教えてくれたんだよ。奇襲に成功したら叫ぶんだとよ!!」

 

「そうですかでは私もトラ・トラ・トラ!!」

 

「トラ・トラ・トラ・トラ!!」

 

そう叫び撤退するのだった。

 

 

 

 

一方奇襲部隊はというと、廃城に乗り込んで戦闘をしていた・・・・・

 

「桜花と川内は正門を開けろッ!! 本隊を入れやすくするんだッ!!」

 

「了解っす!」

 

そういい二人は2個中隊を率いて正門へと向かった

 

「さてと・・・・斗志おっぱじめるか!」

 

「はい隊長!」

 

そういい吹雪は進む。

 

「くそっ!漢王朝の犬め!所詮貴様らどう足掻こうと蒼天がすでに死に、漢王朝はもはや終わったも同然!!」

 

と、吹雪に立ちはだかる黄巾軍の兵士の一人がそう叫ぶ。

 

「言いたいことは・・・・・・・・それだけか?」

 

と、吹雪が鋭い目つきで言う

 

「なっ!なんだと!!」

 

「たとえ時代や政権が変わろうとも俺たちの信念は何一つ変わらない・・・・悪はすなわち斬る。即ち「悪・即・斬」それが俺たち董卓軍第3師団のたった一つの正義だ!」

 

「くっ!おめえらかかれ!!」

 

「うぉー!!!」

 

「斗志!来るぞ!」

 

「ハイ!」

 

と、黄巾軍は一斉に切りかかるが・・・・

 

「待ちなさい!」

 

「「「!?っ」」」

 

と、黄巾軍の後ろから声がする。そして黄巾軍の一人の兵士が・・・・

 

「周倉様!」

 

「(周倉だと!?)」

 

黄巾軍の兵士を止めたのは、紫色の長い髪をし片手に黒曜石の刃を持つ極細の片手直剣を持った少女が現れた。

 

「初めまして、枯れ草色の御使い殿さん。僕は周倉。この黄巾軍の大将だよ」

 

と無邪気な笑みで言う周倉、その笑みはどこにでもいる普通の少女のような感じがした。

 

「・・・・・失礼だが、本当にあの周倉か?」

 

「?そうだよ。それより君が、沖田吹雪か~もっとごつい人かと思ったんだけどね~」

 

「・・・・・それより、黄巾軍の大将のあなたがなんでこんなところに?」

 

「何って決まっているでしょ?」

 

そういうと周倉の笑顔が消え、目つきが変わる。その眼は冷たくそして恐ろしさがあった。

 

「僕自ら官軍である君たちを殺しに来たんだよ」

 

 

 




次回もお楽しみに


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周倉vs吹雪

今回は周倉と吹雪の一騎打ちです。駄文ですが温かい目で見てください。


「僕自ら、官軍である君たちを殺しに来たんだよ」

 

と殺気を出しながら剣を構える周倉。その眼は何かを憎むような眼をしていた。

 

「・・・・・斗志。こいつは俺がやる手を出すなよ」

 

「はい」

 

俺がそういうと斗志は頷き兵を下げ、さらに下で交戦している部隊を掩護するように指示した。俺は軍刀を抜き構える。

 

「お前たちも僕の勝負に変な横槍を出さないでね。後、それと見物している暇があったら、下で苦戦している仲間を助けに行きな」

 

周倉がそういうと、その家来たちは下で討伐軍本隊と交戦している仲間を助けに向かった。

 

「さて、これで邪魔者はいなくなったね。それじゃあ、始めようか。君はあの曹操より強いといいね!」

 

そういうと周倉は俺に向かって飛び込み、俺も同時に飛び出した。俺と周倉はみるみる距離が縮まり、

 

ガギン!ギギギギギギッ!

 

俺の下からの斬り上げと周倉の上からの振り下ろしが激突し、つばぜり合いが始まる。

 

「驚いたな。後ろに弾き飛ばすつもりだったんだがな。」

 

「僕もだよ!」

 

二人は互いに距離を取り再度飛び込む

 

ガギン!ガギン!ガギン!

 

数合に渡る斬り合いが繰り広げられる。

 

「はぁ!」

 

「ふっ!」

 

ガギン!ギギギギッ!

 

再びつばぜり合いが繰り広げられ刀鍔から火花が飛び散る。

 

キンッ!

 

そして互いに押し二人は距離を取り互いににらみ合う

 

(強い・・・・)

 

(なんだこの人は・・・今まで戦ってきた官軍の連中と一味違う)

 

すると吹雪は牙突の構えをする。その瞬間吹雪の目が変わっり、周倉は何か感じたのか真剣な目をし剣を構える

 

「‥…行くぞ!」

 

そういい、吹雪は周倉に向かって突進し牙突を発動させる。周倉はその突きを剣で受け止めるが吹雪は刀を上に滑らせ弾き飛ばす

 

キイィィィィィン!!!

 

剣の弾く音が響き渡り、衝撃波が来る。

 

「なっ!」

 

その時、周倉は驚き目を丸くしたがすぐに攻撃体制に戻り吹雪に切りかかる。

 

キンッキンッキンッ!

 

「なかなかやるな周倉!」

 

「君もね!!でも僕は負けないよ!はあぁぁぁぁl!!」

 

そういい、周倉も突き技を繰り出す。あまりの速さに吹雪は完全には躱し切れず頬や肩を掠る。

 

「うおぉぉぉー!!」

 

吹雪も負けずに押し返す。そして互いの剣と剣がぶつかり合い、またもつばぜり合いが起こる吹雪と周倉は互いににらむが・・・・・

 

「・・・・・けない」

 

「?」

 

周倉が何かをつぶやき吹雪が首をかしげるそして

 

「僕は負けない!官軍なんかに絶対に負けるわけにはいかないんだ!!」

 

「!?っ」

 

周倉はそう叫び吹雪を押し出し横なぎに斬りつける、吹雪は咄嗟に後ろに下がりよけるが、

 

「くらえ!!」

 

そういい彼女は目にも留まらぬ早業で吹雪を切り付ける。その瞬間、彼女の技によってできた剣圧によって起こったのか。爆発し、爆煙が充満して周りが見えなくなった。

 

「どう?僕の得意剣である11連撃の技。さすがの御使いさんも耐えられないでしょ?でも、君はよく戦ったほうだよ。この技を出させたのは君が初めてだしね」

 

「そうか・・・それは光栄だな」

 

「!?っ!!」

 

煙が晴れて、彼女の見たものは平然と立っている吹雪がいた。

 

「なっ!僕の攻撃をみきったのか!?」

 

「・・・・・・周倉」

 

「な、なに?」

 

「お前はなんで官軍を憎む。正直言ってお前の官軍に対する憎しみは尋常じゃないぞ」

 

今の時代官軍を憎む者は多い。けど周倉ははその中でも一際根が深い。

 

「残念だけど官軍である君に話す義理はないよ」

 

と、周倉は苦笑しながらそう言う

 

「そうか・・・・じゃあ、周倉。思いっきりかかってこい手加減なしでな」

 

「なに!」

 

吹雪の言葉に周倉は驚く。

 

「お前の剣は殺気は感じられるけど、本気さが感じられない。なぜ本気を出さない。もしかして俺の実力を探っているならやめとけ」

 

「・・・・・」

 

図星だった。周倉は吹雪に対し本気で戦っていなかった。いや、今まで戦ってきた官軍の中でも周倉は本気で戦っていないのだ。

 

「周倉、本気を出せ。今お前の目の前にいる相手はお前が全力をもってぶつかっても勝てない相手が今目の前にいるんだぞ」

 

吹雪は自分が思っていることを周倉に言った。その言葉を聞いた周倉は

 

「・・・ふふふ・・・あははははは!」

 

顔を手で隠し上を向いて涙を流しながら無邪気に大笑いしていた。

 

「?どうした周倉なんか変なことでも?言ったか?」

 

いきなり笑い出した周倉に吹雪は「何が起こったのか理解できない」っというような顔をする。

 

「ははは・・・・君は本当に面白いね。今までの官軍の奴らとは本当に違うよ。それじゃ遠慮なく本気で行かせてもらうよ」

 

そういい周倉は剣を構えたその瞬間俺の体がズシッと重くなった。これは周倉の威圧感だな。それが俺にプレッシャーをかけている。さてさて、ようやく周倉の本領を見れるな俺は菊一文字を構える。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

周倉が10メートルはあろう距離をものすごい速さで詰め、一撃を繰り出した。

 

ガギン!

 

「ぐ!」

 

その速さからくる一撃を堪えきれず、後ろへ大きく弾かれた。

 

ズササササッ!

 

「ふぅ。」

 

何て一撃だ!手がすごい痺れる。何とか防いだものの、受けきれずに弾き飛ばされてしまった。それ以前にあの距離を一瞬で詰めやがった。これが全力の周倉か。・・・なら、こっちもきっちり返礼しないとな。吹雪はそう思い周倉にかかり一撃を浴びせる。

 

「くっ!」

 

周倉もその一撃を受け止めきれず後方へと下がる

 

「・・・・ふっ」

周倉が体勢を立て直し、構え直す。 改めて挨拶は済んだな。・・・それじゃ。

 

「行くぞ(行くよ)!」

 

吹雪と周倉が同時に飛び込み・・・・ぶつかった。

 

 

 

斗志視点

 

「‥‥すごい」

 

私はその一言しか言えなかった。私は隊長と周倉の一騎打ちを見届けている。もし隊長が劣勢になってしまったときは命令を無視してでも助太刀に入るつもりだった。だが二人の戦いはもはや私の常識を超えていていた。もはや私が入れるところではない。

私もいつかは隊長みたいに強くなれるのだろうか、隊長のいる領域。私が目指すべき領域。私はかつて隊長に『絶対に隊長を超えて見せ、本当の力を手に入れます』っといったことがある。

本当の強さ、それは私が小さい時から望んでいたものだ。今の私は十分強い今までそう思っていたが、隊長と、出会ってから本当の強さとは何かを知りたくなったのだ。

だから私はこの戦いを目に焼き付けようとした。いつか隊長と肩を並べて戦える時まで、私は強くなろうそう決心していた。

 

 

ガギン!ガン!

 

全力でぶつかり初めてから軽く1時間を超えた。お互いに全力を出して戦っているのか、二人は楽しそうに笑いながら戦っている。

 

「はぁぁぁ!」

 

ガギン!ゴギン!

 

「ふっ!」

 

ギン!ガギン!

 

依然として斬り合いは続き、均衡は保たれている。

 

ギン!

 

吹雪は距離を取った。

 

「ふぅ、楽しいな。周倉」

 

「ハァ、ハァ、うん、楽しいよ。こんなに楽しいと思ったのは久しぶりだよ。でも僕は負けないよ」

 

「そうだな。次で決着をつけるか」

 

「そうだね」

 

そういうが、そこへ黄巾党の兵士がやってきて

 

「周倉様!官軍の主力部隊の連中が大勢こちらにやってきます!」

 

ここらで潮時か・・・・周倉はボソッとつぶやき

 

「わかった。・・・・・・・ごめん。どうやら勝負はここまでのようだね」

 

「そのようだな。今回は両者痛み分けの引き分けってところだな」

 

「そうだね。でも次は僕が勝つからね。・・・・沖田吹雪」

 

「ああ、次こそは俺が勝つ。周倉」

 

吹雪はそういうと周倉は不適の笑みで答えそばにあった馬に乗りそして

 

「全軍撤退!直ちにこの高地から離脱せよ!!」

 

「「「はっ!」」」

 

周倉は残った黄巾兵にそう言い、黄巾兵は撤退するのだった。それを見届けると周倉は

 

「またね。沖田吹雪」

 

そう言って周倉は去っていた。それを見ると斗志は吹雪のそばに言って

 

「隊長!彼女を見逃すんですか!なぜです!」

 

「ん?俺たちの任務は確かに203高地に巣くう黄巾党の撲滅。だがな奴らの兵力は7割以下に減って撤退したが、俺たちの軍も結構な被害が出た。これ以上の追撃は無用だよ」

 

「ですが、また周倉が兵をあげたらどうするんですか」

 

「どうするって・・・・決まってるだろ斗志」

 

吹雪は斗志に振り返り

 

「その時はまた戦えばいいだろう」

 

と、笑いながら言う吹雪に斗志はあきれ顔で

 

「まったく、隊長は・・・・・」

 

と、頭を抱えながら言うのだった。

 

 

 

一方撤退している周倉軍は・・・・

 

「周倉様。やけに楽しそうだな。俺たち負けたのによう」

 

「そうだな。あの御使いと戦って何かあったのかな?」

 

と、周倉の部下が顔を見合わせてそういっていた。一方、当の周倉は

 

(董卓軍第三師団長沖田吹雪・・・・・面白い人だ。あいつは他の官軍とは違う。また会える日が楽しみだな)

 

 

こうして203高地の戦いは討伐軍の勝利に終わったのだった。

 



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黙祷

203高地の戦いは1日で討伐軍の勝利に終わった。しかし被害はこちらも多かった。

あの戦いから数時間後の真夜中。

俺はあの戦いが終わった後、203高地に赴いたそこには、多くの死体が雑多に転がり、死体を食しに来た烏たちが映る。そこで留まりつづけているかのように錯覚する血の匂い、怪しく映る死体の影、死体の最期の瞬間の苦痛の表情。

それは人同士が争い、勝敗を決した結果の残り。

考えと考えがくい違い、互いに剣を取り合うことで生じる現象。王が選び、軍師が策を練り、将が指揮して、兵が動く。だからこそ、上に立つ者俺たちが目を逸らしてはならない残酷な現実。俺はその全てを焼き付けるように全体を見ていた。

すると・・・吹雪は九九式小銃に7・7ミリ弾を1発装填し空に向けた

 

ダアァーン!

 

聞いたことのない発砲音にカラスたちは驚き、ギャーギャーと声をあげながら空の彼方へと飛んで行った。その音でみんな起きてしまうかと思ったがみんなさっきの戦闘のせいか疲れ切ってみんな爆睡していた。

しかし・・・・

 

「吹雪様・・・・ここにいたのですか」

 

後ろを振り返るとそこには志乃がいた。

 

「志乃。何でここに?寝ていたんじゃないのか?」

 

「いえ、目が覚めたら、吹雪様の姿が見当たらなくて、もしかしたらと思いここに来てみたんです。何を見ていたんですか?」

 

志乃は吹雪が発砲したことは聞かなかった。

 

「・・・この光景を目に焼き付けようと思ってね。こんな悲劇を繰り返さないためにな。」

 

「吹雪様・・・」

 

俺は帽子を外し、死んだ彼らに手を合わせた。それに合わせて志乃も手を合わせた。そしてしばらく黙とうをささげると吹雪はシャベルを取り出した。すると志乃も

 

「吹雪様。私も戦没者の弔い手伝わしていただきます」

 

「いや、俺一人でも大丈夫だよ。志乃はゆっくり休んでくれ」

 

「いえ、吹雪様が働くのに軍師である私が動かないわけにはいきません。」

 

「いや、けど力仕事になるぞなんたって人を運ぶし・・・・」

 

「吹雪様と一緒なら大丈夫ですそれに・・・・」

 

志乃がそう言いかけた時だった。

 

「・・・・・・吹雪~お前はやっぱり恋の息子やな~そうやろ華雄」

 

「ああ、お前は優しすぎるな・・・」

 

「華雄!霞!?」

 

後ろから声が聞こえ志乃と吹雪は後ろを振り返るとそこにはスコップを片手に持った霞と華雄がいた。

 

「吹雪。こいつらを弔うつもりだったんだろ?」

 

「手伝うで・・・・まっ、手伝うんのはうちらだけじゃないけどな」

 

「え?・・・・」

 

俺が首をかしげると、そこには斗志や桜花以下吹雪隊の連中がいた。

 

「敬礼!!」

 

斗志がそう叫ぶと吹雪隊一同は敬礼をした。

 

「お前ら・・・・」

 

「隊長。私たちも手伝わしてください」

 

「そうっす!」

 

「そうだぜ吹雪」

 

まったくこいつらは・・・・・・吹雪は帽子を深くかぶり

 

「お前ら、休まなくていいのか?明日もまた戦いだぞ」

 

「それは隊長も同じだろ」

 

「そうだぜ。お前が働いているのにのんきに寝ていられるかよ」

 

桜花や、川内がそういうと、吹雪隊の兵たちも笑いながらそう言う。

 

「まったく・・・・お前ら本当の馬鹿だぜ」

 

「それはあなたも同じでしょ?吹雪」

 

「!?っ華琳。それに雪蓮!」

 

そこには華琳と雪蓮とその部隊の人がいた。

 

「華琳、雪蓮・・・・何でここに」

 

「あなたのことだから、彼らを弔うって考えてね。」

 

「それで私たちもそれを手伝おうっと思ってね」

 

「・・・・・ありがとう」

 

こうして華琳や雪蓮たちの手伝いにより、203高地で戦死した遺体は荷車に運び馬にひかせながら埋葬地に向かう。この作業は1日もかかり翌日、彼らの埋葬について会議が行われた

埋葬方法は華琳たちと話し合った結果、火葬することになった。なぜなら、今の時期は夏。死体が腐りやすく放っておけば伝染病のもとになったり、次の賊・・・戦場荒らしが現れる可能性があった。またここいら辺の土地は質が悪く土葬に向いていないよってこの時代の主教である儒教の道に反する行為だが華琳や雪蓮たちにこのことを詳しく話すと快く承諾してくれた。劉備と関羽はいやそうな顔をしていたが、

そして、火葬が行われた。大きな穴を掘り、遺体を入れるそこには敵も味方も関係ない。そこにあるのはただの遺体。そしてすべての遺体を穴に入れ終わったら、火を入れて火葬をした。火葬を手伝ってくれた人たちは解散し後は全員が自主参加する形になってしまったが吹雪隊の隊士全員、と華琳の部隊(かつて俺が客将していた時の部下)と蓮華たちが整列していいた。

そして吹雪が先頭に立ち・・・・・・・

 

「この地で戦死した戦没者に哀悼の意を表する!」

 

「捧げー!剣!!」

 

俺のそばにいた斗志がそう叫び吹雪隊の隊士が剣を下げ、隊士の一人が哀悼のラッパを鳴らす。そして

 

「黙砲、撃ち方よーい!撃てぇ!!」

 

夕張がそう叫ぶと後ろの方角で・・・・・・

 

ドオォーン!  ドオォーン!! ドオォーン!!

 

いきなりの轟音が響いた。その音に最初は華琳たちは驚いたが、「吹雪のやることだからと」あまり気にしなかった。実はその音の正体は吹雪が夕張に頼んで作った。『急造木製迫撃砲』である。

 

『急造木製迫撃砲』とは日露戦争の時に発明された日本軍が使用した迫撃砲である。

しかし作ったのはよかったが、今回の戦いでは、ほとんど使う機会がなく。黙砲として使われることになった。これがよかったのか悪かったのかはわからない。

余談だが、そのあと後華琳はその迫撃砲1基手に入れを真桜に頼んでコピー生産するのはまた別の話・・・・

 

吹雪はは燃え続ける炎を見る。本来ならば野晒しとなり、疫病を運ぶ恐れのある死体が灰となって天を舞い、大地へと還って行く。吹雪はそれをジーと見つめる。そしてそのあとはすっかり燃えて灰になってしまった死体の欠片を穴へと入れていく。そこへ土をかぶせる

 

「黙祷っ!!」

 

吹雪がそう叫び吹雪は戦死した彼らに頭を下げる。後ろにいる吹雪の部下は両手を合わせて合掌する。

死体の処理は完全に終わった。そして各軍はそれぞれの天幕へと戻るのだった。

そして203高地の頂上の廃城のすぐそばに小さな墓が置かれありその下に花が添えられていた。

そして、その墓石には『名もなき勇士たち、戦没者ここに眠る』っと日本語で書かれていたのだった。

 

 

 

 

 

その後吹雪は自分の天幕に戻ろうとしたが・・・・・

 

「吹雪さん」

 

声をかけられ後ろを振り返るそこには劉備がいた。

 

「劉備さん。いったい何でしょうか?」

 

「なんで、仲間を賊と一緒に埋葬したんですか?火葬についてはご主人様から聞いています。ですが賊と一緒に埋葬する意味が分かりません!」

 

彼女は怒りながら俺にそう問い詰める

 

「それに、沖田さん。何で捕虜にした黄巾軍の兵を手厚く扱うんなんて、彼らは幾ら民とは言え国に反逆を起こしたんですよ!」

 

そう、吹雪は捕虜にした黄巾軍を手厚く扱っていた。重症者には衛生兵に命じ治療に当たらせ、温かい食事などをしてまるで客を扱うように待遇して、捕虜となった黄巾軍の兵も次第に吹雪隊と打ち解けあえともに酒を飲む仲になっていた。

劉備の言い分に吹雪は軽い溜息をする

 

「劉備さん。あなたの理想は確か『皆が笑って暮らせる国にしたい』でしたよね。なら、あの人たちも『笑って暮らせる人』に入らないんですか?反逆したからその価値はないっと?大した理想ですね」

 

「でも!」

 

「それにこうは考えたことはないか?その奴らの中には仲間のため、または家族のため、やむを得ず賊に成り下がるしかしかなかったものがいるとは?」

 

「!・・そんなこと・・・」

 

「無いと何で言いきれるんですか?もちろんそうだとしても許されることじゃない。しかし仲間や家族のためにどんなこともやる・・・、これは完全なる悪なのか?」

 

「それは・・。」

 

「それにだ、あいつらだって産まれた時から賊だったわけではない。奴らは劉備さんが言う官匪の横行、太守の暴政、こういったもの達のせいでそうならざるを得なかった。見方を変えれば奴らも被害者だ。違うか劉備さん」

 

「それは・・・・・」

 

「この前も言いましたが、今のあなたではその理想を現実にするのは難しいですよ。劉備さんもっとよく考えてこの国をどうするか考えてください。俺はこれでも劉備さんとあなたのご主人の事は少し期待しているのだから、頑張ってくれよ。では俺はこれで・・・」

 

そういい、吹雪はその場を離れた

 

「私は・・・・・」

 

劉備はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、白き御使いでもある一刀は・・・・

 

「趙雲さん」

 

「ん?なんですかな。北郷殿?」

 

一人になっている星に声をかけるが、当の星は不機嫌そうに一刀を見る。

 

「あの・・・できればでいいんだけど。俺たちの軍に入らないか?」

 

いきなりの勧誘に星は一刀を怪しむように目を細める。

 

「なぜですかな?せっかくのお誘い申し訳ないが私は今のままで満足しているんです」

 

星はそういうが一刀は引き下がらない。

 

「だけど、俺の歴史では趙雲さんは劉・・・・」

 

一刀がそう言いかけた時

 

「自惚れるな!!北郷一刀!!」

 

そういい星は殺気を出し、一刀の首筋に槍を向ける。その眼はギラギラと光り一刀を威圧する。

 

「貴様や吹雪殿の国の歴史で私はどうなっているのか知らないが私は私だ!!私はたとえ吹雪殿と出会わなくとも貴様に出会わくとも私はいずれ誰かとともにその道を歩くそれだけだ。もし次にそのようなことを口にしたら貴様の首を撥ねる!」

 

星は以前に吹雪が未来人であることを吹雪本人に聞いた。しかし吹雪は星の運命を言わなかった。なぜなら吹雪は自分がこの世界に来ている時点で自分の持っている知識は役に立たないだろうと判断したからだ。星自身もそのことを理解して吹雪に自分の天命について聞かなかった。それを一刀が軽々しく言おうとしたことに星は激怒したのだ。

 

「一刀殿。次はないと思ってくだされ。では・・・」

 

そういい星は一刀にそう言うと、自分の天幕へと戻り、一刀はただあっけにとられてその場に固まっていたのだった

 

 

 

 




本日はここまでです。さて次回は真紅の旗がひらめきます

次回もお楽しみに


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真紅の呂旗

更新です


俺は劉備さんと別れ、自分の天幕へと戻るすると向こうから何か人影が見える。その人影の正体は・・・・

 

「関羽さん?」

 

「・・・・・・」

 

俺の行く先にいる人影の正体は関羽だった。しかし関羽の顔は不機嫌そのものだった。

 

「沖田殿。いくら官軍やご主人様と同じ天の御使いでもあのような言い方は許しません!!」

 

「・・・・・・関羽さん。なら聞きますけどあなたは俺の言ったことを1つでも否定出来るのか?」

 

「・・・。」

 

何も言わない。いや言えないのだ。吹雪の言っていることは間違ってはいない。ただそれを否定も肯定を選んでもどっちもも関羽の信念を汚すことになる。だから彼女は何も言えないのだ。

 

「それにな、俺の言ったことはこのまま戦い続ければいずれ気付く。ただその時では遅い。それはあなたが一番知っているはずだ。」

 

「しかし!」

 

「それに関羽さん。あなたがここに来たのは俺と話をしに来たんじゃありませんよね」

 

「!?っ」

 

そう、関羽は最初吹雪に斬りかかろうと思っていたのである。なぜなら死者を弔うときに仲間を賊と一緒に焼き一緒の墓へと入れたことである。火葬については北郷から聞いていたため何とか我慢することができた。しかし、賊と一緒に仲間を埋葬したことに彼女は我慢できず。自分の武器である青龍偃月刀で吹雪を斬る。そのつもりだった。そう、そのはずだったが冷静に考えそれは彼女の武の道に反する行為。そこで関羽はギリギリのところで踏みとどまったのだ。

 

「・・・・・分かっていたのですか?」

 

「ああ、抑え込んでいるようだが、微かに殺気が漏れている。・・・・・・しかし、劉備さんの理想は悪くない。だが今のままではダメなんだよ。あのままだと確実に彼女は現実と理想という壁に挟まれ苦しむことになってしまう」

 

「では、どうしろというんですか!」

 

「それこそ。君たちや君のご主人が支えなきゃいけないんだ。俺が言えるのはただそれだけだよ。」

 

そういい俺は天幕へと戻った。近々北郷の奴と話さなきゃいけないな。天幕について椅子に座って報告書をまとめていると・・・

 

「・・・・・・雪風。いるんだろ?」

 

俺がそういうといつの間にか張三姉妹について調べに行っていたはずの雪風が現れたのだ。

 

「はっ・・・・・ここにおります」

 

「さっきのとこ見てたんだろ?」

 

「・・・・・はい」

 

そう、関羽は気づいていなかったが雪風は吹雪のすぐそばにいて、関羽が斬りかかりそうな素振りを見せればすぐに斬りかかる態勢をとっていたのだ。

 

「隊長・・・・あの関羽は危険です。始末しますか?私の腕なら必ず」

 

彼女の特技は隠密。吹雪や月と出会う前は暗殺などの家業をやっていたのだ。

 

「いや。その必要はないよ雪風」

 

「しかし!下手をすれば隊長は彼女に殺されていたかもしれないんですよ」

 

雪風は心配顔で俺に迫る。その眼は本当に心配し涙が少し溜まっていた。俺は手を彼女の頭に置き

 

「ありがとな雪風。心配してくれて」

 

と、優しく雪風の頭をなでた。雪風はそれで落ち着いたのか彼女の表情は和らいだ。

 

「隊長。すみません少々取り乱してしまいました・・・・」

 

「いいや。気にしてないよ。ありがとな心配してくれて」

 

「//////」

 

雪風は顔を赤くして下を向いてしまう。何か変なこと言ったかな?

 

「そういえば、雪風。お前何でここにいるんだ?確か張三姉妹について調べてたんだよな?」

 

そう、雪風は黄巾党の乱勃発時に張三姉妹について調べるため吹雪隊本隊から離れていたはずだったのだ。

 

「あっ!そうでした。すっかり忘れるところでした。実は重要なことが分かったんです。」

 

「重要なこと?わかった。すぐにみんなを呼ぶから待っててくれ」

 

「御意」

 

そしてしばらくして董卓軍のみんなが集まった。

 

「みんな集まったね。それじゃあ雪風。報告を頼む」

 

「はい。」

 

雪風が調べた情報を聞くとあきれてしまう。首謀者である張三姉妹に反乱の意思はなく、ただ次女である張宝が調子に乗って『天下を取りた~い』なんて言ったのが原因らしい。ただ彼女は歌で天下を取るって言ったつもりがファンにとっては武力で天下を取ると勘違いしてこのような暴動が起きたのだという。もしそれが本当なら、「黄巾の乱」の真実って単なるアイドルファンによる暴動っていうのだからこれが呆れずにはいられない

 

「なるほどな・・・・・っで、雪風。肝心の張三姉妹の居どころは分かったのか?」

 

張三姉妹のいるところは冀州やら西涼やらといろいろ流言とか出ているので特定の場所は分からずじまいだった。

 

「はっ!張三姉妹は現在冀州の本拠地から荊州のところにいます。そしてそのまま都洛陽に向かって進軍中のことです」

 

「荊州か案外近いな」

 

「さすが樊稠だな。」

 

霞と華雄が感心して言う。

 

「しかし、その情報確か?デマってこともあるし・・・・」

 

アンチョビが不審そうに言う

 

「その点なら大丈夫です。私も黄巾軍になりすまし本人かどうか確かめてきました。」

 

「確かめた?どうやって?」

 

「それに影武者だったらどうするんだよ」

 

桜花や川内が首をかしげて言う

 

「はい。確かめた手段は簡単です。彼女たちのそばにより本人かどうか名前を聞いて確かめました。張三姉妹の顔はまだ全国的には知られていませんが、私は情報収集の専門。彼女たちの顔も把握しております。それに影武者かどうか目を見ればすぐにわかります」

 

「そ、そうか・・・・」

 

と、いうことは首謀者である張三姉妹は今荊州にいるわけか・・・・ここから荊州だと全速力で行けば1日半でつける。

 

「よし、それじゃあ。俺たちは冀州進行を中断して、荊州に向かう。それでいいかな?」

 

「うちはかまへんで」

 

「私もだ。ただ張三姉妹のをどうするんだ吹雪」

 

「・・・・・保護する」

 

「え?」

 

吹雪の突然の言葉にみんなが驚く

 

「え?って当たり前だろ?今回の首謀者はあの三人だけど、あいつらは本意でやっているわけじゃないんだからな。」

 

確かに彼女たちは首謀者だ。しかしやりたくてやったわけではなく成り行きでこうなっただけなんだから。俺の言葉にみんなは「やっぱりか」というような苦笑を見せる

 

「まったく。お前は優しすぎるな。まあその所がお前のいいところなんだがな」

 

「よっしゃ。わかったで吹雪。お前の言うとおりにするわ」

 

「私も隊長の指示に従います」

 

華雄と霞が笑いながら言い斗志もうなずく。っということで俺たち董卓軍は荊州へと向かうのだった。

 

ちなみにほかの軍はこの会議が終わる数分前にほかの地にいる黄巾党の征伐に向かっていて今この場にいない。

 

 

 

 

 

 

「董卓軍が荊州に向かったですって?」

 

一方、西にいる黄巾軍の征伐準備をしていた曹操軍大将華琳は密偵の言葉を聞いて眉を顰める

 

「何で、董卓軍が荊州に・・・・」

 

「なんでも、樊稠の報告を聞いて向かったとか」

 

密偵の言葉を聞いて華琳は何かを察したのだった。

 

「華琳様。どうしたのですか?」

 

桂花が不思議そうに首をかしげて華琳に聞く

 

「桂花。樊稠のことは知っているわよね」

 

「え?あ、はい。あいつに仕えていて確か情報収集の専門家で「池田屋事件」で彼女の情報がなかったら防ぎきれなかったといわれているあの樊稠ですか?まさか・・・」

 

「ええ、その樊稠が吹雪に報告を出し、そして董卓軍が荊州に向かった・・・・・」

 

「つまり、張三姉妹は荊州にいると・・・・その可能性は高いですね」

 

「そうね。桂花。私の言いたいことわかるかしら?」

 

「はい。すぐに軍を荊州に向けます」

 

そういい曹操軍はすぐに荊州に向かう準備を始めるのだった。

 

一方董卓軍は荊州に向かっていたのだったが、途中で黄巾軍の奇襲によって、張遼、華雄軍は足止めを食らい、今荊州についたのは吹雪隊だけになっていた。

 

「結局荊州についたはいいが、俺たちの部隊だけになったな」

 

「はい。聞けば荊州にいる黄巾軍は2万、大してこちらは1万少々。これだけの数で勝てるかどうか・・・・」

 

「報告!!」

 

と、隊士の一人が俺のほうにやってきた。なんかあったのかな?

 

「どうした」

 

「はっ!偵察隊から黄巾軍を見つけたと報告があったのですが・・・・」

 

「なんだ」

 

「その・・・・見つける前に呂布将軍を見かけたそうです」

 

え?母さんが?何でここに?というよりちょっと待て、もしも母さんと黄巾軍が激突したら・・・・

 

「斗志・・・・」

 

「はい。おそらく。私たちが到着し交戦する前に・・・・」

 

斗志も感ずいているらしく。顔を青ざめながら言う。おそらく母さんと黄巾軍が激突したら間違いなく血の雨がふる。むろん黄巾軍の人たちがその雨を流すだろう。と、なると急いで張三姉妹を保護する必要がある。

 

「志乃。もしお前が張三姉妹だったらどこに逃げる?」

 

「はい。まず洛陽に行くのをやめて、国境である袁術の領土に逃げるのが最良かと。いかに天の御使いのご母堂でもある呂布様でも他国の領土に入ることはできませんので・・・・」

 

そばにいた志乃は地図を広げて、黄巾軍もとい張三姉妹の進路を予測する。確かにそうだ。いかなる理由があろうとも他国が他国の領土に入るのはすなわち宣戦布告をすることと同じである。いかに母さんでも他国との関係を悪化させることはしないはずだ。

 

「よし、じゃあ、俺たちは国境のあたりまで進みそこで張三姉妹を保護する。」

 

今向かっても間に合わない。それなら国境で待ち伏せしたほうが吉だ。そして吹雪隊は国境へと進むのだった。

 

 

 

 

一方黄巾軍は・・・・

 

「おなかすいたね。ちいちゃん」

 

「姉さんそれはみんなも同じ」

 

「もう!どうしてこんなことになったのよ!?」

 

彼女たちは今の生活に不服を持っている。当然といえば当然だ。なにせ、歌を歌っているだけだったのにいつの間にか反乱軍の首領にされ、あまつさえその反乱軍に討伐命令が来たのだから。よって彼女は自分の身を守るべく兵をあげて今洛陽へと進軍していたのである

 

「姉さんたちが『天下を取りた~い』なんて言ったのが原因みたい。私たちは歌でって意味だったのに彼らが武力でって勘違いしたみたい。」

 

人和は呆れ気味に言った。

 

「なによ!私たちのせいだって言うの!?」

 

「そうは言っていないわ!」

 

「まあ、まあ、二人とも。もうすぐ洛陽だから落ち着いて」

 

と、姉である張角こと天和が二人をなだめる。

 

「そ、そうよね。それにしてもさすがに官軍の連中もこの私たちが冀州の本拠地から荊州に移っているなんて思ってもいないでしょうね~」

 

次女である張宝こと地和が気を取り直して勝ち誇ったように鼻を鳴らして言う。

 

「それに冀州の本拠地には私たちの影武者も用意したし、各地に流言を飛ばしている。情報操作は完璧よ」

 

「じゃあ、問題ないわよね」

 

「油断はできないけど。9割くらいは成功とみてるわ。」

 

「人和が言うなら問題ないわよね♪あとは都を制圧して、舞台の準備を整えるわよ」

 

「わたし、都で歌うの夢だったけど・・・・これでよかったのかな?」

 

「何をいまさらなことを言ってるの姉さん。ここまでしてしまったらもう後戻りはできないわ」

 

「そういうこと。天和姉さんも覚悟を決めて」

 

「わかった・・・・・」

 

と、天和は心ここにあらずというような顔を見せる。ふと彼女は一人の男性の顔が浮かんだ数か月前に暴漢から救ってくれたあの少年のことを思い出した。もし彼がここにいたら、私たちを救ってくれるのだろうか…そう考えていた。

 

「姉さんたち。まだ油断はできないわ。最速の情報では数は少ないながらも董卓軍がこちらに向かっているみたいだから」

 

「でも、董卓軍には一度勝ってるじゃん。だから問題ないわよ」

 

「そうでもないわよ姉さん」

 

「?」

 

「聞けば向かっている董卓軍の指揮官は天の御使いの一人であの無敗の周倉を破ったらしいわ」

 

「ええっ!あの周倉さんを!?」

 

「冗談だよね人和ちゃん?」

 

張三姉妹は一回だけ周倉にあったことがある。その周倉が董卓軍。しかも天の御使いが率いる軍に負けたと聞いて地和、天和は驚いた

 

「冗談じゃないわ。本当よ」

 

人和は真剣な顔でそういう。すると・・・・

 

「張梁さまへ前線より伝令!」

 

黄巾軍の兵士がやってきた。

 

「私に?」

 

「はっ!前線の千人隊長よりご報告です!」

 

「もしかして官軍が攻めてきた?‥‥でも前線は静かね?」

 

「官軍というか・・・そうでないような・・・・」

 

「なにそれ・・・・意味わかんないけど?」

 

地和が不思議そうに眉をひそめて言う

 

「で、ですよね。それで千人隊長たちもどう判断していいかわからず。張梁様のお出ましになられたい、とのことです。」

 

「状況は?」

 

「それが‥‥武器を持った女性一人。それと子供一人にあと犬が2匹です」

 

「武器?・・・その女性ってどんな様子で立っている?」

 

「はっ!とても大きい獲物を持ちただ黙って立ち尽くしている模様です」

 

「・・・・・分かったわ。すぐに行く。姉さんたちはここで待ってて」

 

人和はいやな予感がし、二人にここで待つように言ったが、二人は妹である人和を心配し一緒についていくのだった。そしてその場所に行くと確かに軍の先頭に小さな子供と小型犬、大型犬を連れた武器を片手に持った若い女性が立ちはだかっていた。すると天和は・・・

 

(あれ?あのお姉さん。あの人に似ている)

 

そう、立ちふさがっている人が、前に助けてくれた少年と似ているのだった。とりあえず天和は彼女に挨拶したのだ

 

「こんにちわ~♪」

 

「・・・・・こんにちわ」

 

「お姉さん。こんなところで何をしているの?」

 

「・・・・・待っている」

 

「待ってる?何を・・・・です?」

 

人和が怪しげに聞く

 

「雨を・・・・・」

 

「雨ぇ?」

 

「お天気もいいし、雨なんて降りそうにないんだけど・・・・」

 

地和っも天和も不思議そうに言う。すると少女はフルフルと首を横に振って

 

「降るよ・・・・・紅いのがきっと・・・・」

 

と、何か警告するような眼で三人にそういう。

 

「(ねえ、人和。もしかしてこの人おつむが弱い子なんじゃない?)」

 

「(私もそうとしか思えなくなってきた。けど、なんでこんなところに子供と犬を連れて?)」

 

「(お散歩中なのかな?旅行中なのかな?とにかくいい人そうだからちゃんとお願いすればどいてくれると思うよ)」

 

そうして三人が少女を道からどかすため説得しようとするがその少女はかたくなに拒む。地和や人和があきらめず説得しようとするが少女はただ首を横に振るばかり。

 

「はぁ~これだけ言っても聞いてくれないんじゃもう何言っても無駄だよぉ」

 

天和はこれ以上説得しても無駄と分かり説得するのをあきらめる

 

「そうね。‥‥忠告はしましたから何かあっても責任はとれません良いですね」

 

すると少女は頷く

 

「頷いたってことは了解したってことね。じゃあ、人和。この人は放っておいて先に進もう」

 

そういい地和が先に進もうとすると・・・・

 

「・・・・・まって、ちぃ姉さん」

 

「何?まだ何かあるの?」

 

妹の人和によって止められ地和は不機嫌そうに頬を膨らます。

 

「うん・・・・・ねぇ、あなたの名前教えて?」

 

人和は少女に名前を聞くのだった。

 

「名前なんて聞いてどうするのよ。そんなのきいて仕方が・・・・・」

 

「ちぃ姉さんは黙ってて!」

 

「むぅ~」

 

人和に言われて地和はむくれてしまう

 

「名前・・・・・それくらい教えてくれるでしょ?」

 

「・・・・・・そっちの名前は?」

 

「えっ?」

 

「・・・・・名前を聞いたほうが先に名乗る。・・・・それが礼儀」

 

少女にそう言われ、天和は納得したような顔をし

 

「あ、確かに~えっとね~私は張角だよ♪」

 

と、疑うこともなく平然と自分の名を名乗る。

 

「ちょ!?姉さん。不用意に名前を呼ばないでって普段から注意しているでしょ!」

 

人和は注意するが・・・・

 

「えーでもこの子が言う通り、人にお名前を聞くときは、自分から名のるのが礼儀だよー!」

 

「確かにそうだけど!」

 

「・・・・・・・・・張角?」

 

少女は目を細め目が怪しく光る。

 

「うん♪こっちの子が張宝ちゃんで、こっちのメガネの子が張梁ちゃんだよ。よろしくね♪」

 

「・・・・よろしく」

 

と少女は目を細め彼女たち三人をじっと見る

 

「さあ、これでいいでしょ?次はあなたの番。名前教えなさい」

 

地和に言われ少女はしばらく黙っていたが・・・・

 

「・・・・・・・呂」

 

「呂?それだけ?字は?」

 

「・・・・奉先」

 

少女は自分の名を名乗った。

 

「呂奉先か。ふ~ん・・・・・・・・あれ?」

 

地和がその少女の名に何か違和感を感じた

 

「あれー?りょほうせんって名前お姉ちゃんどこかで聞いたことが・・・・・」

 

「・・・・あっ!?呂奉先ってまさか!!」

 

天和が首をかしげてその名を思い出そうとすると妹の人和がその名を聞いて驚く。

そう、その少女の正体とは・・・・・

 

 

     挿入歌「深紅の呂旗-The ONE-」

 

 

「董卓軍第一師団師団長、呂奉先。」

 

そう、少女の正体は吹雪の母で董卓軍第一師団師団長の呂布奉先こと恋だった。

 

「・・・・目的、北上する黄巾党の殲滅。だから、張角、張宝、張遼。三人に私怨はないが・・・・・・・・・・ここで死ね」

 

「「「っ!?」」」

 

「て、天公将軍様!お下がりください!」

 

「さっ!お二人方も早く!!」

 

「う、うん」

 

「くっ・・・」

 

「わかった」

 

 

「ええい!何をしているお前ら!皆でお三方をお守りするのだ!!」

 

「応!!」

 

と三人の前を黄巾党の兵士が立ちふさがり守りの陣形を取る。

すると恋は・・・・

 

「ねね・・・」

 

「はいですぞ!」

 

と、恋に呼ばれ後ろからねねが元気に飛び出す

 

「・・・・・旗を」

 

「御意ぃー!!」

 

とねねは自分の倍ある大きな赤い旗を掲げた

 

「遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よーっ!!蒼天に翻るは血で染め抜いた真紅の呂旗!!天下にその名を響かせる董卓軍が一番槍!悪鬼は平伏し、鬼神も逃げる。飛将軍呂奉先が旗なり!天に唾する悪党どもよっ!その眼でとくと仰ぎ見るがいいですっ!」

 

風にひらめく真紅の旗。そしてねねの言葉に黄巾軍が動揺し始める

 

「真紅の!」

 

「呂旗っ!」

 

地和と人和はその姿に息をのむ

 

「我が使命は獣の堵殺・・・・・遠慮はいらないかかってこい」

 

「な、何をぉー!!野郎ども遠慮はいらねえ!出陣の血祭りにあげちまえ!!」

 

「応っ!!」

 

恋の言葉を皮切りに黄巾党軍が襲い掛かる。恋はねねを後ろに下げて、一人で黄巾党軍につっこっむ。すると恋は目にも留まらぬ速さで武器をふるい一気に9人の命を刈り取った。

 

「な、何だこいつ!化け物か!?」

 

「しかし相手は女ただ一人!数で押せぇー!!」

 

「行くぞっ!!」

 

「蒼天はすでに死す!黄天は立つべし!!」

 

そういい黄巾軍は数で倒そうとするが・・・・

 

「蒼天は死なず・・・・・しかして駆けるは羽虫にあらず・・・・・・蒼天は龍が駆ける場所。」

 

そういい恋は深呼吸をし、そして・・・・

 

「だから・・・・・羽虫は死ね」

 

赤い目がギラギラと光、そして獲物を振りかざしてかかってくる黄巾軍を屍に変える。その数はおよそ100人以上。あまりにも人間離れした強さに黄巾軍は恐れる

 

「バ、バケモノだぁー!!」

 

「ひいいぃぃぃぃー!!」

 

「た、助けてくれぇぇぇー!!」

 

その様子は天和のいるところへも届いた

 

「前線が混乱している!何で!!」

 

「わからないわ!けどっ!とにかく天和姉さんを守らないと!!」

 

「姉さん!!」

 

「へ?」

 

「へ?っじゃないわよ!姉さんは急いで本営よりも後方へ下がって!!」

 

地和が言った直後に・・・

 

ドゴォォォーン!!

 

急に大きな爆音が響いた。

 

「い、今の爆発音は!?」

 

人和が驚いていう

 

「ほ、報告します!!是、前線に配置されている千人隊が次々と吹き飛んでいます!!」

 

「吹っ飛ぶってどういうことよっ!?」

 

人和は兵士の報告に驚いて今にも取り乱しそうになる。

 

「張梁様!やばいです!あいつは人間じゃありません!!2万人以上いた黄巾軍もすでに500人足らずに!!」

 

「張梁様!ここはもうだめです!」

 

「こ、ここはわれらが全力で死守します!!ですからお三方は早く国境まで逃げてください!!」

 

「・・・・・見つけた。」

 

と、そうしているうちに恋は張三姉妹を見つける。

 

「ひっ!」

 

「は、早くお逃げください!!」

 

「わ、わかった!!」

 

そう言い、地和を含み張三姉妹は洛陽への進軍をあきらめ、直ぐ近くにある袁術の国境へと逃げる。そこなら追ってこれないと思ったからだ。殿に出た黄巾兵は何としてでも三人を守らんと全力を尽くすが・・・・

 

「・・・・・邪魔」

 

と、恋に倒されるのであった。恋はすぐに追撃しようとしたが・・・

 

「恋殿!!それ以上はまずいですぞ!!」

 

「?」

 

ねねに止められ恋は首をかしげる

 

「この先は袁術の領土となりますので、これ以上の追撃は不可能ですぞ!!」

 

「国境?」

 

「はい!今袁術と事を構えるのは月や詠にとって得策ではないのです。悔しくはありますが今は追撃をあきらめるしか・・・・・」

 

と、ねねはそう言いかけると・・・・

 

「そのことについては心配には及びません」

 

「っ!?あなたは!!」

 

「・・・・・・雪風?」

 

いつの間にかいたのか雪風がいた

 

「雪風殿!いったいどういうわけですか?それにあなたは兄う・・・・吹雪殿と一緒なはずなのでは?」

 

「説明はあと・・・・ただ張三姉妹が国境を渡れないとだけは言っときましょう」

 

「「?」」

 

雪風の言葉に恋とねねは首をかしげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃ・・・・・!」

 

一方、張三姉妹は国境近くまで来ていた。

 

「ちぃ姉さん。しっかり!あともうちょっとで国境よ!頑張って!!」

 

「う、うん!」

 

「天和姉さんももっと急いで!!」

 

と、人和は二人を励ましながら国境へと急ぐのであったが・・・

 

「あっ!ちぃちゃんあれ!」

 

と、天和が指さした先には・・・

 

「あれって・・・・日の出の旗?」

 

「何で、あんなところに軍勢が!?」

 

そこには国境ではなく、大勢の軍が待ち構えていた。そしてその掲げられている旗はまるで真っ赤な太陽が輝きまるで朝日のまぶしさを表しているような旗であった。そしてその軍勢から一人の少年が前に出てきた。その少年に天和は見覚えがあった。

 

「あ、あの人は!?」

 

「どうも。張角さん。張宝さん。張梁さん。私は董卓軍第三師団師団長の沖田吹雪、巷では天の御使いって呼ばれている。」

 

先頭に立つ少年はそう、吹雪であった。

 

 

 




今回は長く書いてしまいました。恋の心の心境を歌った「真紅の呂旗」あれはいい歌ですね。私何度も聞きなおしましたよ。

さて次回で黄巾の乱は終わります。次回も楽しみにしてください。感想またはアドバイスなどお待ちしております。


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黄巾の乱終結

「初めまして。張三姉妹の皆さん。俺は董卓軍第三師団師団長の沖田吹雪。巷では天の御使いって呼ばれている。」

 

吹雪の母である呂布である恋の攻撃で、張三姉妹が率いる黄巾党本隊は壊滅し、3人は恋から逃げるため、国境へと走るのだったが国境目前についたときに目の前にその位置を予測していた吹雪隊が、3人の前に立ちはだかったのだ。

 

「あ、あの人が枯れ草色の天の御使い・・・・・」

 

と、人和は驚きながらその言葉をつぶやく。人和は以前のライブの時、変質者から姉である、天和を助けた人物が吹雪だとことをはっきり覚えていた。その時、彼が持っていた九九式小銃を見て彼があの天の御使いの一人である沖田吹雪ではないかとずっと思っていた。そして今その疑問が現実となったのだ。

 

「・・・・・私たちを殺しに来たのですか?」

 

天和が恐る恐る聞く。それはそうだ。官軍の将である吹雪の目の前にいる三人は、討伐命令が出ている黄巾党の首領。さっきの呂布もそうだが、きっと彼も自分たちを殺すに違いない。そう思っていた。

だがしかし、吹雪の口から意外な言葉が飛び出す。

 

「何を言っているんですか?なぜ、旅芸人であるお三方を殺さなくてはいけないんですか?」

 

「「「え?」」」

 

吹雪の言葉に三人はポカーンと口をけるのだった。そして気を取り戻したのか地和が。

 

「いや、だって。あんた達、私たちが誰だか知ってるんでしょ?私たち黄巾党の首領だよ!?」

 

「ちょっ!ちぃ姉さん!?」

 

地和は少しパニックになっているのか、自分の正体を言ってしまう。それを聞いて人和は青ざめながら地和に言うが、吹雪は笑って

 

「はははっ!何を言っているんですか?黄巾党の首領の三人、”張角” ”張宝” ”張梁”は報告を聞いたところ、呂布殿に黄巾兵もろとも殺されたと聞きます。私がここに来たのはその首領三人に捕らえられた旅芸人である張三姉妹の天和、地和、人和の三人を保護せよっという命で来たんですよ?」

 

「え?」

 

その言葉に人和は驚いた。

 

「あなた、何を・・・」

 

「まあ、ここではなんです。一度私たちの天幕で話しましょう」

 

「・・・・分かりました」

 

三人はもしここで断って、無理にでも国境を越えようとしたら殺されると思い込み、素直に吹雪たちのもとについていくのだった。

三人が、吹雪の天幕の中に入ると、そこにいるのは吹雪を含め、斗志、桜花、川内、夕張、星、アンチョビ、雪風、志乃といった、吹雪隊幹部の人たちだけがいた。その他の兵は、天幕にいる二人の憲兵を除き、みんな負傷した自軍の兵や黄巾党の兵たちの治療や、食事などを提供したりしていた。一方、吹雪の母親である恋はすぐ近くにいたが、自分が吹雪の天幕に入ると三人が怖がってしまうということで気を利かせて今、外に出ている。

 

「さて・・・ここなら話せるでしょ?」

 

吹雪の言葉に人和は糸が切れたように喋りだす。

 

「・・・・なぜ、あんなこと言ったんですか?本当は知っているはずなんでしょ?」

 

「ん?何がですか?」

 

「いや、だから私たちが、黄巾党の首謀者である。張三姉妹って気づいているのに何で保護したりしたのよ!!」

 

地和がすごい剣幕で言う。本当は殺されてもおかしくないのになぜ彼は私たちを保護した、彼の考えが理解できなかった。

吹雪はふぅーと息を吐くと・・・

 

「確かに、あなたたちが黄巾党の首謀者である三人だというのはすぐにわかった」

 

「だったらなぜですか!?」

 

人和はその疑問を吹雪にぶつける。

 

「お前たちのファン・・・・捕虜となった黄巾兵たちに頼まれたんだよ」

 

「え?」

 

「『天和ちゃんたちを殺さないでくれ。三人はただ歌を歌って俺達に生きる希望を与えてくれただけなんだ。悪いのは勝手に暴動を起こした俺たちなんだ。だから俺たちはどうなっても構わないから、あの三人を救ってくれ』って涙を流しながら全員が俺に行ってきたんだよ」

 

そう、俺たちが荊州に向かう前、捕虜だった黄巾兵たちが俺のところに来て、全員涙を流して張三姉妹の命を助けてくれって言いに来ていたのだ。

 

「みんなが・・・・」

 

天和は感激のあまり目に涙を溜めてそういう

 

「そういうわけだ。だが、張角、張宝、張梁の名前は消してもらうよ。もし三人が生きていたらまたこのようなことが起きてしまう。」

 

 

「名前を捨てるのですか・・・・」

 

「ああ、幸いなことに三人は名は有名だが、顔はおそらく俺達しか知らない。志乃、あれを」

 

「はい」

 

 

そういい、志乃は三人に三枚の紙を渡す。それは張三姉妹の人相書きなのだが・・・・

 

「えー。お姉ちゃん、こんな怪物じゃないよー。」

 

「何で私の頭に角が生えてるのよ!!」

 

「これは・・・・」

 

身長3メートル、髭モジャ、腕8本、足が5本、角シッポ付き。まるで映画に出てきそうな怪獣みたいな姿だ。

 

「っと、いうわけだ。だからその点に関しては心配しなくていい」

 

「・・・・それでこれから私をどうする気なの?」

 

人和は警戒し震えた声で訊く。すると・・・・

 

「それなら問題ないわ」

 

「「「っ!?」」」

 

すると、天幕から華琳が入ってきた。実は、吹雪が三人を保護してから30分後、華琳の軍と合流し、討伐軍総司令でもある華琳は吹雪の天幕のそばでずっと話をこっそり聞いていたのだ。まあ、そのことは吹雪たちはとっくに知っていたのだけど・・・

 

「あなたは・・・・曹操」

 

「あら?黄巾党首謀者の張三姉妹が私のことを知っているなんて光栄ね」

 

「おう、華琳。今の話聞いていたのか?」

 

吹雪は苦笑しながら華琳に言う

 

「ええ、で、三人に言うけど世間の目なんてこんなものよ」

 

「・・・・何が言いたいの?」

 

「話が早いわね。じゃあ、単刀直入に言うけど、私はあなたたちの生存を黙っていてあげてもいい、と言っているのよ。」

 

「どういうこと?」

 

「あなた達の人を集める才覚は相当なものよ。それを私の為に使うというなら、その命、生かしてあげても良いわ。」

 

「・・・・・目的は?」

 

「ちょっと、人和!」

 

「私が大陸に覇を唱えるためには、今の勢力では到底足りない。だから、あなた達の力を使い、兵を集めさせてもらうわ。」

 

「その為に働けと?」

 

「ええ。活動に必要な資金はこの曹操が出してあげましょう。活動地域は・・・そうね。私の領内なら、自由に動いて構わないわ。通行証も出しましょう。それでいいかしら吹雪?」

 

「ああ、別に問題はない。お前なら三人を悪いようにはしないからな」

 

「あら?結構私のことを信用しているみたいね?もしかしたら三人にひどいことするかもしれないのよ?」

 

「伊達に数か月、お前の客将をしていたわけじゃないからな。それにお前がそんな非道なことができないのも知ってるしね」

 

「ふふっ・・・・さすがだわね。吹雪・・・」

 

と、華琳は妖艶な笑みで吹雪に微笑む

 

「ちょっと二人だけ何わけのわからない話をしているのよ!つまり、それじゃ、私達は好きな所に行けないって事じゃない!?」

 

「待ってちぃ姉さん。」

 

「何よ。」

 

「曹操。あなた、これから自分の領土を広げる気なのよね。」

 

「それがどうかした?」

 

「それは私達が旅できる、安全な所になるの?」

 

「当たり前でしょう。平和にならないのなら、わざわざ領土を広げる意味はないわ。」

 

華琳はそういうと人和が吹雪の方を見る。すると吹雪は

 

「大丈夫。華琳なら、三人を悪いようにはしないよ」

 

と、安心させるように人和に言うのだった。

なぜ、吹雪が張三姉妹を自分のとこに保護しない理由は、反董卓連合のことだ。自分がこの外史に来て歴史が変わっているっと思っていたが、真実は違えど「黄巾の乱」が起こってしまった。もし万が一、史実通りに反董卓連合戦争が起きてしまったら、保護した三人がどんな目に合うかはわからない。もしかしたらひどい目にあう可能性がある。だから吹雪は三人を信用できる華琳に保護させたのだ。そのほうが安全だからだ。

 

「分かったわ。その条件、飲みましょう。その代わり、私達3人の全員を助けてくれる事が前提。」

 

「問題ないわ。決まりね。それでいいわね吹雪」

 

「ああ、俺も異存はないよ」

 

「ちょっと人和!何勝手に決めて・・、姉さんも何か言ってやってよ!」

 

「えー。だってお姉ちゃん、難しい話ってよくわかんないし・・」

 

「あーもう役に立たないわね!」

 

こうして、なんだかんだで張三姉妹は華琳のもとで保護されることになったのだ。

俺はその後、自分の天幕に戻り、黄巾の乱の報告書を書いていた。すると・・・・

 

「吹雪?いる?」

 

「あ、母さん」

 

母さんが天幕に入ってきた。そういえば母さんと二人っきりになるのは久しぶりだな。

 

「母さん。ねねは?」

 

「ねねなら、私の天幕でねている」

 

「そう・・・・」

 

「・・・・吹雪。今回はお疲れ様・・・」

 

「ああ、母さんもね」

 

俺と母さんは互いの顔を見てほほ笑む

 

「吹雪。あの三人を曹操に・・・・渡してよかったの?」

 

母さんは俺が張三姉妹を保護したのを知っている。だが、母さんはそのことを黙っていてくれた。

 

「ああ、華琳なら、あの三人を渡しても問題ないからね。」

 

「・・・・・そう」

 

そういうと母さんは何も言わない

 

「吹雪・・・・・・」

 

「なに?母さん」

 

「今日私の戦い方を見て、怖かった?もしかして恋のこと嫌いになっちゃった?」

 

と、母さんは悲しそうな顔で俺を見る。どうやら先ほどの戦いのあまりの強さで俺が母さんのことを怖がってしまったのか心配しているみたいだ。だけど母さんが強いというのは前から知っていたのでそんなには気にしていない。

 

「何を言っているんだよ母さん。どんなことを言われても、どんなに強くても。母さんは母さんだよ。嫌いになるはずないじゃないか。だから心配しないで」

 

俺は母さんの目を見てそういう。それを聞いた母さんは少し涙を浮かべて

 

「ありがとう。吹雪」

 

と、満面の笑みを見せるのだった。やっぱり母さんは笑顔が一番似合うな。

しばらく俺は母さんと話をしていた。思えばあまり話とかしていなかったしな。1時間ぐらいだろうか、しばらく話すと母さんは、天水に戻る準備があるからっと天幕から出て行ってしまった。

 

「さて・・・・報告書も書き終わったことだし、外の空気でも吸うか」

 

そういい俺は外に出る。周りは暗く、ただ星の輝きがあたりを照らす。現代だとこういう景色はなかなか見られない。

 

「きれいな星だな。東京じゃなかなか見られないよ・・・・」

 

俺はその星を眺める。すると・・・・

 

「あ、あの・・・」

 

誰かに声をかけられ吹雪は後ろを振り向く。そこには・・・・

 

「ん?あなたは張角さん?何でここにいるんですか?」

 

「天和でいいよ……実はあなたに会いたくて」

 

実はあの後、三人は命を救ってくれた礼に俺に真名を預けてくれたのだ。

 

「俺に?」

 

天和の言葉に俺は首をかしげる。

 

「はい。ご迷惑をおかけしました。そして、ありがとうございました」

 

「……へっ?」

 

「初めて舞台で会って暴漢から助けてくれた時、そして、今、私達の命を助けてくれました。本当になんて礼を言えばいいのか」

 

彼女は深々と頭を下げてそういう

 

「礼を言う必要はありませんよ。それに俺ははただ、目の前で人が悲しい思いをするところ見たくない。だから俺は君たちを助けたかった。ただそれだけだよ」

 

頬をかきながら、苦笑して言う吹雪。

 

「……それでも、私達を救ってくれたのは確かです。本当にありがとうございました!」

 

また頭を下げる天和。頭を上げた彼女はは、吹雪をまっすぐ見つめる。

 

「これを機に、私たちはもう一度、一からやり直してきます。もし、また舞台に出られる様になったら…………吹雪さんその時は見に来てくれますか?」

 

天和は恐る恐る吹雪に聞く。吹雪はしばらく目を閉じ、そして

 

「ああ、見に行くよ。その時は楽しみにしてるよ」

 

「は、はい!////」

 

吹雪は不適な笑みでそう答えると、天和は顔を赤くして答える。

 

「天和?どうしたんだ。顔が赤いよ?」

 

吹雪がそういった瞬間、天和は右手を前に出してきた。吹雪は握手かなんかと思いその手を握る。

すると・・・・・

 

「えいっ♪」グイッ

 

「え?うわっ!」

 

いきなり引っ張られて吹雪は体勢を崩す。そして・・・

 

チュッ♪

 

「へ?」

 

天和は吹雪の頬に熱いキスをするのだった。いきなりのことに吹雪の思考は一瞬止まる。

 

「あ、あの・・・・天和さん。これは?」

 

「ふふっ・・・これはお礼よ♪またどこかで会いましょ吹雪♪」

 

そういい天和は手を振って吹雪と別れた。その間、吹雪はボーとしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて・・・・斗志の奴、本気で殴ることないじゃないかよ。俺がなにしたんだよ・・・・」

 

天幕に戻ったら、偶然その現場を見ていた雪風の話を聞いて焼きもちをていた斗志に一発殴られ、志乃には冷たい目線を見られた。、今吹雪はまた天幕を出て、そばにある大きな岩に腰を掛ける。

 

「まあ、結果はどうであれ、あの3人が無事でよかったな・・・」

 

そう思いにふけっていた。

すると・・・・・

 

 

 

「・・・・・ごほっ!ごほっ!ごほっ!」

 

と、陳留にいた時に起きた咳がまた出始める

 

「また咳か・・・・・陳留にいて以来、一度も起こんなかったのに・・・・・ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!!」

 

さっきよりも咳が激しくなり吹雪は口を押えてしゃがみ込む。すると・・・

 

ビチャッ・・・・

 

急に手に生暖かい感触がした。吹雪は抑えていた自分の手を見る

 

「これは・・・・」

 

その手は赤く染まっていたのだった。

 

 

 




はい。今回で黄巾の乱終結です。次回は天水での日常を書きたいと思います!
感想やアイデアなんか楽しみにしています。

アン「あの・・・・」

作「あ、はい。なんでしょう。アンチョビさん」

アン「私の出番は?」

作「・・・・・すみません(土下座)」

アン「おい!謝るなよ!百人隊長の私の勇士は「ドゥーチェ、参上!」みたいな場面は!?」

ぽんっ

アン「ん?誰だ。私の肩を叩くのは?」

白蓮「同志アンチョビよ・・・・・私なんて名前すら出てなかったんだぞ((涙目)」

アン「‥…すまん」





次回もお楽しみに


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沖田と北郷

今回は、天水日常編がまだ完成できそうにないのでここで天の御使いであり同じ日本人である二人の会話を入れたいと思います。短めですがどうぞ!


「これは・・・・・」

 

俺は咳をこんで、口を押えていた手を見ると、その手は赤く染まっていた。

 

「これは・・・・もしかして血か?」

 

「・・・・・もしかしてあいつの言っていたことはこれのことか・・・」

 

俺は陳留にいた時あの外史の使者というあのチビッ子占い師に言われた言葉を思い出した。

 

『しかし。その分、体にも大きな負担がかかる。だから、あまり大局には逆らうな、待ち受けるのは身の破滅……』

 

大局っというのはよくわからないが、おそらくこの世界で無理なことをすると体に負担がかかり、そういうことになるんだろうと思った。だからと言って俺はこの世界で静かに暮らすわけにはいかない。まだ俺にはやるべきことがたくさんある。俺はそう思い血でぬれた手を拭いて自分の天幕に戻ろうとした。

 

「それにしても咳に血か・・・・なんか沖田総司みたいだな・・・・」

 

俺はふと思う。幕末の天才剣士沖田総司も病には勝てず、肺結核で20代で命を落としたんだよな・・・・・それに一説では俺の先祖はその沖田総司だって聞いたことがある。まあ、たぶん違うと思うけど・・・・そんなことを考えつつ歩いているとある人物が俺と同じ星空を見ていた。その人物は・・・・

 

「北郷一刀・・・・」

 

そう、劉備軍にいる。俺と同じ天の御使いである北郷がいた。

実は北郷・劉備軍は張三姉妹が華琳や俺達に降伏した後、張三姉妹が荊州いるという情報を聞きに来たのだ。まあ、彼が到着したときはすでに全部終わっていたのだったが、ほかの諸国には張三姉妹は洛陽に進軍中、母さんの奇襲を受けて戦死したということになっていて、三人が生きてることを知っているのは董卓軍と曹操軍の幹部だけである。

俺は北郷のところに行く。久しぶりに同郷の人と話したいと思ったのだ。

 

「あっ・・・・沖田さん」

 

俺が近づいてきたのに気が付いたのか北郷は俺に振り向き声をかける

 

「沖田でいいよ。今は天の御使いだ。官軍や義勇軍っていう堅苦しい肩書や話はなしだ。一人の日本人として話ませんか?これもありますし」

 

と、俺は一つの瓶と2杯の器を出す。

 

「それって酒か?」

 

「違うよ。まあ、飲んでみろよ」

 

そういい俺は瓶のふたを開けるすると・・・

 

プシュッ

 

音が瓶から漏れる。そして俺は2つの器に飲料を入れる。北郷は器を取り、それを飲む。

 

「・・・・これってもしかして、サイダーか?」

 

「惜しいな。これはラムネだよ。再現させるの苦労はしたがな」

 

そう俺と本郷が飲んでいるのはラムネだった。以前ラムネの製造できないかっと職人のおっちゃんに製造方法を教えたらなんかできていた。この世界は本当に何でもありだな。

 

「そうか・・・それにしても懐かしい味だな・・・・日本の物を飲むなんて」

 

北郷は嬉しそうにそういう。確かに俺はこの世界に来てからもう半年以上この世界にいる。たまに日本のことが恋しくなる時がある。それは同じ日本人である北郷も同じだろう。

 

「あっ・・・・そうだ。アンパンもあるぞ食べる?」

 

「用意周到だな。なんでもあるのか?てか、この時代で作れるのかよ?」

 

「まあ、作り方と材料があればできるよ。お前、信長のシェ〇見たことないのか?」

 

ちなみにこの世界には存在しないはずの拉麵や辣油なんかあるからな・・・・パンぐらいどうってことないだろう。

 

「すまん。俺そういうのとかあんまり見ないんだよ。」

 

「そうか・・・・まあいいや。ほい、どうぞ」

 

「ありがとな」

 

俺と北郷はアンパンをかじりラムネを飲みながら、夜空に輝く星たちを見る。

すると北郷が・・・・

 

「なあ、沖田、ひとつ聞いていいか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「俺たちはなんでこの世界に来たんだろう?」

 

「さあな。そんなことは神様にでも聞けよ。ただ俺たちがこの世界に来たのは何か目的があってのことじゃないか?」

 

「目的?どんな・・」

 

「それは俺にもわからない。わかってたら苦労しねえよ。・・・・北郷、お前この世界のことをどう思っている?」

 

「え?どうって・・・・」

 

「お前、もしかして、この世界は、ただの歴史の人物が女の子になったとしか思っていたんじゃないか?そういう考えなら今のうち捨てとけ。それで前に星・・・・趙雲にそれを言いかけ怒られたんじゃないのか?あいつらにはあいつらの人生がある。それを歴史という鎖で縛るのは間違いじゃないのか?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

図星だった。北郷は突然、ここに放り投げられ、この世界は、ただの歴史の人物が女の子になったとしか思っていなかった。みんな自分のことを家族のように受け入れてくれてくれた。だが北郷は彼女たちの歴史を知ってる。北郷は三人の未来から目を背け現実からも逃げようとしていた。劉備の思想に触れともに歩むといいながら実は自分はそれを言い訳に今目の前に広がる元の時代とは全く違う残酷な現実から逃げようとしていたのだ。

 

「・・・・やっぱりか。まあ、当然か。いきなり知らない場所に放り出されたらそりゃそうなるわな」

 

「沖田・・・・お前はなぜそんなに冷静なんだよ。怖くないのか?」

 

「冷静ね・・・・そんなんじゃねえし、怖くないといえば嘘になる。俺だって怖いよ。自分と生きた違う世界に来て、だけどな北郷そんなのは仲間とともに乗り切ればいいんだよ。紙に書かれた人物ではなく、今目の前にいる仲間とな。お前にはそんな仲間がいないのか?」

 

俺がそういうと北郷はしばらく黙る。そして器に溜まっていたラムネをグイッ!っと飲むと・・・

 

「俺は・・・・いる!愛紗や桃香や鈴々たちがいる!!俺は一人なんかじゃない。桃花村のみんながいるんだ!!」

 

「(どうやら、元気が出たみたいだな)そうか。それなら、それでいい。そろそろ俺は行くよ北郷。まだ俺にはやることがあるんだからな。あ、あとそのラムネはやるよ。」

 

「ちょっと待ってくれ。」

 

「ん?なんだ北郷」

 

「あんたは、あの時代の歴史を知っているんだろ?どうして、そうしていられるんだ?何で・・・・」

 

北郷がそういうと俺はため息をつき、

 

「北郷。じゃあ、聞くけどな三国志の歴史に俺たちの名は出てきたか?」

 

「え、いや・・・・」

 

「そういうことだよ。歴史とは大きな川の流れと同じだ。俺達がこの世界に来た時からその流れは変わっちまった。だから今まで通りその出来事が動くとは限らない。おそらくだが今流れているときと歴史は俺たちの時代につながっていない。俺たちがここに来た時点でな・・・・」

 

「それじゃあ・・・」

 

「ああ・・おそらくこの時代の川の流れは変わってしまった。おそらく俺たちのいる歴史とは違った歴史になるだろうな」

 

「それじゃあ、俺達どうするんだよ」

 

「俺はこの命尽きるまで仲間を守るため、精一杯生きるつもりだよ。俺が言えるのはここまでだ北郷。じゃあ、また会おうな。今度会うときは美味い酒でも飲みあおうな。期待してるぜ。白き御使い」

 

 

「ああ・・・・だったら俺も精一杯生きて見せる。だからまた会おうな。枯れ草の御使い」

 

そういい俺と北郷は別れ自分の天幕へと戻るのだった。その時の夜空は満点に輝く星空であった。

 

 

 

 




はい。今回はここまでです。今気づいたんですが北郷って17歳なんですよね。つまり沖田より1歳年上ということになります。
さて次回は天水日常編を書きます。
では皆さんまたお会いしましょう。


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天水日常編
星と吹雪のメンマロマンス


今日は星と吹雪の話を書きます


「ん~今日も天水は平和だな」

 

黄巾党の乱から、数日後、俺はいつものように警邏の仕事をしていた。

本当に今日はいい天気で事件一つもない。

 

 

「あ、吹雪!」

 

「あ、アンチョビさん」

 

俺がそんなことを考えていると、同じく警邏に出ていたアンチョビさんに出会う。

 

「どうだ?警邏の様子は異状ないか?」

 

「ああ、ないよ。アンチョビさんはどう?」

 

「ああ、こっちも問題ないぞ。ああ、そうだ。吹雪、明日の件忘れていないな?」

 

「ああ、あれだろ?黄巾党の乱終結を祝っての宴会だろ?確か・・・場所はいつものとこだよな?」

 

「ああ、あそこだ」

 

アンチョビさんが言うあそことは料理屋「朱雀」という名前の料亭だ。あそこの料理はおいしく俺達警邏隊もとい吹雪隊行きつけの店となっている。特にそこに給仕している典韋っという子の料理がおいしく今じゃ、あの店に飯を食いに行かない隊士はいない。

 

「まあ、そういうわけだから、忘れるなよ」

 

「ああ、アンチョビさんもね」

 

そういい俺はアンチョビさんと別れた。アンチョビさんもこの警邏の仕事に慣れてきたようだ。今ではうちの隊の姉貴分みたいな感じでみんなを引っ張ていている。特にうちの部隊は問題児が多く、武術訓練の教官は斗志、兵法や戦法などの筆記式は志乃。ちなみに志乃は隊士からは「先生」って呼ばれている。。そしてアンチョビさんは人としての道徳や国際社会を考えラテン語なんかを訓練生や隊士に教えている。

本当に助かるよ・・・・そう思っていると・・・

 

「おや?吹雪殿」

 

「ああ、星。」

 

今度は星に出会う。ちなみに彼女は非番だ。

 

「さっき、アンチョビ殿にあってな、吹雪殿も聞いたのか?」

 

「ああ、聞いたよ。明日、料亭『朱雀屋』で宴会だろ?」

 

「ああ。あそこの店はいい。特にメンマがな」

 

「星は本当にメンマが好きなんだな」

 

本当にそうだ。星のメンマ愛は尋常じゃない。この前も桜花がうっかり「メンマのどこがいいんっすか?」なんて言ったときは星は目をきつく光らせ、5時間以上メンマの話をしていた。この前なんかも、星のメンマをつまみ食いした女隊士に至っては、星にこってりと絞られたりと、吹雪隊では「星(趙雲)にメンマの悪口は言うな」っという暗黙のルールができていたりする。

 

「当たり前だ。メンマこそ。史上最強の食品・・・・」

 

あぁ…これは長くなりそうだ。急いで話題を変えなければ・・・

 

「そ、そいえば星。たしか俺に用があったんじゃないか?」

 

「あっ・・・・そうでした。吹雪殿少しだけ付き合ってはもらえぬか?」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここって・・・・・・メンマ屋か星?」

 

星に連れてこられた場所はメンマ屋だった。

 

「そうここは、メンマの園。私が一番好きな場所で老若男女の憩いの場……って言いたいのですが・・・・ここに来るのはみんな酒をお供にメンマを食べたいと群がるおっさんのたまり場!そうおっさんのたまり場なんだぁ!!」

 

「(星・・・・本当にメンマのことになるとキャラ変わるな・・・・)」

 

酒を飲み項垂れる星。そして酒をグイッとのみ、星の顔はぐっと俺の顔に近づける

 

「吹雪殿!!我が愛するメンマは今、おっさんたちの食糧と化している。メンマを食べてくれるのは良いが、若人たちが食べに来ないのは大問題ですぞ!」

 

すごい剣幕で俺に言う星。本当に星はメンマのことになると性格が変わるな・・・・

 

「・・・・・で、星は俺にどうしろと?」

 

「簡単なことだ吹雪殿。天の国の知識でこの状況をどうにかできませぬか?」

 

どうにかって言われてもな・・・さてどうするか。メンマでしかも若い人たちに受ける手立てはあるのか?

 

「う~ん・・・・」

 

俺は腕を組んで考える。何かいい方法はないか・・・・・・・

 

「あっ!そうだ。あれがあった。ちょっと待ってくれ星」

 

そういって、店の奥にいる店主のおっちゃんになにか言う。すると店主は店の奥へと行き

 

「はい。これですね」

 

少し大きめのツボを渡された。

 

「ありがとな」

 

俺は店主にを言うと、星の座る席へと戻りツボのふたを開ける。そこに入っていたのはメンマだったがそれはただのメンマじゃなかった。

 

「吹雪殿・・・・・これは長いメンマですか?」

 

そう、吹雪が取り出したのは普通のメンマより長いメンマだった。

 

「このメンマが若者たちに人気が出るんですか?どうやるんですか?」

 

「ああ、これはね。星、メンマ咥えてみて、俺は片方のメンマ咥えるから」

 

「ふ、吹雪殿・・・・・片方咥えましたけど、顔が近いです/////。で、これをどうするんですか?」

 

「そのまま、ゆっくりと食べるんだよ」

 

といい、吹雪と星はゆっくりとメンマを食べ始めた。そしてだんだん二人の顔が近くなる。星は顔を真っ赤にしながら食べる

 

「ふ、吹雪殿・・・・///」

 

そして、吹雪と星の顔がくっつこうとする瞬間

 

プツンッ

 

と、メンマが切れてしまった。それを見て星は切ないというか残念な顔をする。

 

「あ・・・・・・」

 

「残念。どうやら切れてしまったな・・・・・・おや?星どうしたんだ?複雑そうな顔をしてるぞ?」

 

「あ、・・・・いや。・・・・・・なるほど、確かにこれはいい案ですな///」

 

星は顔を赤らめてそう言う。

そう、今吹雪がやったのはメンマ版ポッキーゲームだった。これなら若い人でも受けるだろうと思ったのだ。

 

「吹雪殿。もう一度だけお願いできますかな?」

 

「え、ああ・・・いいよ」

 

と、もう一度ポッキーゲームならぬメンマゲームが開始された。そして、二人はゆっくりと長いメンマ1枚を食べる。そして二人の顔が重なりそうになったとき・・・

 

(ここらで噛み切ったほうがいいかな?)

 

吹雪はそう思い噛み切ろうとした瞬間

 

「むぐっ!?」

 

 

星が勢いよくメンマとともに吹雪の唇に自分の唇を重ねたのだった。吹雪は急な出来事に言葉が出ず顔を赤らめるのだった。

 

「ぷはぁっ!」

 

「ふふ・・・・申し訳ない。メンマがちぎれそうだったので食べようと思ったのですが、メンマと一緒に吹雪殿の唇も食べてしまいました。・・・・・・おや?吹雪殿どうかされたのですかな?なんとも複雑そうな顔をしておられますが」

 

「////」

 

星に、いたずらと妖艶を合わせたような笑みで言われ今度は吹雪が顔を赤くするのだった。

 

「さて、吹雪殿。今度は吹雪殿の部屋でやりたいのですが」

 

「えっ!?」

 

星が吹雪を誘おうとしたが・・・・・・

 

 

「・・・・・・吹雪?星?」

 

「「!?っ」」

 

急に誰かから声をかけられその方向を見ると・・・

 

「母さん!!」

 

「恋!?」

 

そこには恋がいたのだった。

 

「・・・・・・ここで何をしてるの?」

 

と、恋は目を細めて言う

 

「あ、あのこれは・・・・」

 

吹雪が何か言おうとすると、恋は長いメンマを見て・・・

 

「・・・・・もしかして・・・・・ポッキーゲームをやっていたの?」

 

「えっ!?母さんこれ知ってるの!?」

 

ポッキーゲームのことを知っていた恋に吹雪は驚く

 

「・・・・・吹雪が生まれる前。総司とよくやっていた」

 

(父さん・・・・・母さんと、いつもそんなことやってたの?そういえばじいちゃん。父さんと母さんのことを聞いたことがあったけど『あれはまれにみることのできないバカップルだった』とか言っていたな・・・)

 

吹雪はふとそんなことを思い出す。

 

「ポッキーゲームは仲がいい人しかやらない遊び・・・・二人とも仲がいいのは良いけどほどほどにね」

 

「「は、はい・・・」」

 

と、軽く注意されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日後、そのメンマゲームは若いカップルに結構受けて今ではメンマブームとなり星行きつけのメンマ屋は、星の念願通り若者たちが多く訪れるようになったのだが・・・・・

 

「あ、あの・・・・隊長。近頃はこういう遊びが流行ってるって聞きましたのでやりませんか///?」

 

「隊長!これ最近流行りの遊びっす!!二人でやりましょ!!」

 

「吹雪様・・・・あの///」

 

「・・・・・・・」

 

 

と、斗志や桜花、志乃や雪風、それに月や詠もこのゲームにはまり、吹雪はしばらく胃薬なしではいられなくなったのであった。

 

 

 




感想お待ちしております。


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アンチョビとパスタ

今回は短めです


              

             料亭「朱雀屋」

この料亭「朱雀屋」は各州に何店舗ある店だが、ここ天水にある「朱雀屋」の主人は料理のレシピを渡せば作ってくれたり、また客一人一人にあわした料理を出してくれる店だ。ちなみに朱雀屋は吹雪隊のスポンサー的な店でもある。

 

「それじゃあ!黄巾の乱終結を祝って」

 

「「『乾杯っ!!」」」

 

黄巾の乱から数日後、俺達吹雪隊みんなは隊士行きつけの店『朱雀屋」で黄巾の乱終結を祝う宴会をしていた。

 

「今回は無礼講だ!ほかの客に迷惑が掛からないように羽目を外せよ!」

 

「「おぉーっ!!」」

 

吹雪の号令で隊士たちは嬉しそうに言い、宴会が始まった。

 

「この料理美味しいな!」

 

「ああ、特にこのはんばーぐって料理が美味いな」

 

「何言ってるんだよ。この照り焼きが美味いに決まってる」

 

「いやいや。このコロッケが一番に決まってるだろ!」

 

「おい!お前ら喧嘩するなっ!・・・・すみませんご亭主」

 

最初は普通だったがだんだん喧嘩になりそうなところ斗志が注意し、店の主人に謝るが

 

「いいですよ。気にしていませんから。お客が元気なのはいいことですし。それに吹雪隊の皆様には 御贔屓にされているので。それに沖田様が教えてくれる天の国の料理。他のお客様に大変人気なので助かっているんですよ」

 

と、笑顔で許してくれるのだった。この亭主は人当たりがよく。周りの客からも慕われているいい人だった。

 

「みんな。嬉しそうだな」

 

「はい。そうですね。」

 

俺と志乃は席に座り、歌を歌い合うみんなの様子を見ていた。すると・・・・

 

「う~ん・・・・・」

 

アンチョビさんが何か浮かれない顔をしていた。

 

「どうしたの?お姉ちゃん。具合でも悪いの?」

 

志乃が心配してアンチョビさんに訊く

 

「いや。具合は悪くないんだ。・・・・・・けど。ちょっとローマの料理が少し恋しくなってな」

 

「そうですか・・・・」

 

「お待ちどうさまです。」

 

俺達がそんな会話をしていると、翠色の小さな女の子が料理を運んできてくれた。

 

「おっ!ありがと。確か君は・・・・・」

 

「典韋です」

 

「あ、そうそう、典韋ちゃんだ。いつも美味しい料理ありがとね」

 

「ありがとうございます!」

 

典韋は嬉しそうに言う。

 

「典韋さん。この料理は何ですか?見慣れないものなのですが」

 

「はい。これは沖田さんが渡してくれた天の国の料理の作り方をもとに私が工夫して作ってみたんです。確か・・・・・なぽりたんとかいう麺料理でしたっけ?」

 

そう言い、典韋が置いたのは俺の世界ので日本生まれのパスタ料理であるナポリタンだった。

 

「これは・・・・ラガーナか?いや、でもこれは焼かずに茹でてあるし・・・・・それに細いな。それにこの赤いのは・・・トマトか?」

 

ラガーナとはこの時代、古代ローマ時代のパスタで、当時のパスタは現代のように茹でず焼いたり揚げたりして食べるのがポピュラーで、当時は麺じゃなくマカロニみたいな三角形な形だった。

 

「・・・・吹雪。これは?なんかとても私の心をひきつける料理だけど・・・」

 

「アンチョビさん。これは天の国のパスタ料理だよ」

 

「パスタっ!?こ、これが・・・・」

 

パスタっというのを聞いてアンチョビさんは嬉しそうに目を輝かせる。そしてアンチョビさんは箸を使ってナポリタンを口に入れる。ここにフォークがないからだ。それ以前にこの時代はまだナイフとフォーク、スプーンはまだ発明されていない。

 

「d・・・・delectamenti!!(お・・・美味しい!!)」

 

と、ラテン語で、そう叫ぶ。ラテン語がわからない俺たちはいきなりのラテン語にびっくりする

 

「あ、あの。すみません!お口に会いませんでしたか?」

 

典韋はアンチョビさんが料理のことで怒ったのかと思い。慌てて頭を下げて謝る。

 

「あ、いや。別に怒ったわけじゃないんだ。とても美味しくてつい母国語を言ってしまった。怖がらせてごめんな」

 

「あ、いえ。ちょっとびっくりしただけなので・・・・それにしてもよかったです。お口に合って」

 

「ああ、とっても美味しいよ。祖国ローマの味と少し似ている。・・・・すまないが作り方を教えてくれないか?」

 

「は、はい!喜んで」

 

「なんか。お姉ちゃん嬉しそうだね。」

 

「そうだな」

 

吹雪と志乃はアンチョビの元気にはしゃぐ姿を見て互いに微笑むのだった。

 

「よぉーし!このパスタ料理をいつかわが祖国ローマに広めるぞぉ!!」

 

と、嬉しそうに宣言するアンチョビだった。

ちなみにその後アンチョビは自分でパスタを作るほどのパスタ好きになり、その味は祖国ローマにそのナポリタンを持ち帰ると見事にローマ市民に受けて、ローマの名物となる。そしてれから1800年後アンチョビさんの子孫はそのローマことイタリアの文化を天の国御使いの出身国である日本にもこの味や文化を広めようとピザのマークが特徴の学校を建て、その生徒たちは全員パスタ好きとなって、そのリーダー格の人は代々は学校の創設者の先祖であるアンチョビさんの異名をとって「Duce(ドゥーチェ)」と名乗るのはまた別の話・・・・・

 

 



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董卓軍の精鋭

「あ~今日も無事仕事が終わったな。」

 

今日も無事に警邏の仕事も終わり、俺は背筋をグーンと伸ばして、いつもの料亭「朱雀屋」に向かった。

 

「それにしても天水も随分平和になったな。」

 

本当に盗人一人も出ず天水は平和だった。しかし吹雪は少し心配事があった。それは・・・

 

「本当に反董卓連合なんか起きるのだろうか・・・・」

 

そうつぶやく。そう、吹雪が心配しているのはまさにそのことだ。今のとこ朝廷から都洛陽に来いなんて話は月のところに来ていない。だが、もしも史実通りに洛陽に行くとしたら、俺は反董卓連合を阻止できるのだろうか・・・・それが気になっていたのだ。

俺がそんなことを考えていると・・・・・

 

「あら?そこにいるのは沖田君?」

 

「あ、こんばんわ。高順さん」

 

いきなり誰かに話しかけられ、その方向を見るとそこには腰まで伸ばした黒い髪で「頼れる素敵なお姉さん」っという感じの強いイメージの高順さんだった。

 

「こんばんわ。それと私のことは真名である。「桜」でいいのよ。恋ちゃんの息子なんだし気軽に呼んで」

 

そういう高順さん事、桜さん。史実の高順といえば母さんである呂布の側近なんだけども、彼女は部下ではなく母さんの幼馴染らしく。普段は詠の手伝いまたは政務をしているらしい。

 

「わかりました。それじゃあ、俺も吹雪でいいです桜さん」

 

「ふふっ・・・・まさか恋ちゃんがこんないい子を産んでいたなんてね。確かに恋ちゃんと比べると性別と髪の色を除けば似ているし。恋ちゃんの息子って言われると納得できるわ」

 

と、微笑みながら言う桜さん。

 

「そういえば吹雪君はこれから夕飯?」

 

「はい。仕事も終わりましたのでいつも通っている店で食べようと思いまして。桜さんもですか?」

 

「いえ、私は詠さんに頼まれた本を届けに行く途中です」

 

「そうですか・・・・それじゃあ、桜さん。また」

 

そう言い、俺は桜さんと別れた。そしてしばらく歩き朱雀屋に向かっていると・・・・

 

「あっ!隊長!」

 

偶然に桜花と川内とその部下たち3人に出会う。

 

「おう、桜花、川内。お前も朱雀屋か?」

 

「ええ、ちょっと懐に余裕が出てね。久しぶりにあの店で食べようと思ってね」

 

「桜花もか?」

 

「はいっす!今日うちの連中がどうしても行きたいってぐずるので」

 

「それはないですよ郭 汜様。郭 汜様だって行きたいって言ってたじゃないですか」

 

「あれ?そうだったっけ?まあいいや。隊長一緒に行ってもいいっすか?」

 

「ああ、俺も朱雀屋に行くところだったからな。」

 

ということで俺たちは朱雀屋に向かった。

 

 

 

「いらっしゃいませ!・・・あっ!沖田さん」

 

「どうも典韋ちゃん。いつもの奴でお願いね」

 

「私はアンチョビ姐さんお気に入りのなぽりたんで」

 

「かしこまりました。少々待っててくださいね。」

 

典韋は注文を受け取ると頭を下げ厨房にいる店主のところに向かいその亭主に注文の品を言うと。厨房が騒がしくなる。

料理ができるまでなぜか桜花たちと話をしていた。

 

「あの、黄巾の乱からはや1か月・・・・・時間というのは早く過ぎるもんだな~」

 

「吹雪。それだとまるでおじいさんみたいだよ?」

 

「そうっすよ。せれにそのセリフ隊長が言っても全然似合わないっす」

 

「おいおい・・・・それはないだろ~」

 

そんなことを話して笑いあう。この人と気が一番いい感じだ。すると・・・・

 

「まったく。寄せ集めの奴らはこれだから」

 

「まったくだ。天の御使いが率いる軍っといってもあれじゃあ、董卓軍の恥だぜ」

 

「なんだとぉ!!」

 

「貴様ぁ!今何を言った!」

 

と、どこかから罵声が聞こえうちの隊士が怒鳴る。その罵声を浴びせた人物は向こうの席に座っていた2人の若い兵士だったしかもその二人は酔っぱらっていたみたいでこっちを見てにやにやしながら罵声を言う。桜花、川内と一緒に来ていた、隊士の2人が立ち上がりその二人のとこに今にも殴りかかりそうな雰囲気だったので俺はその隊士を止める。

 

「待て」

 

「しかし隊長!」

 

「落ち着け、お前ら。ここは飯を食べる場所。面倒ごとは起こすな」

 

「ですが!」

 

「隊長の言う通りっす。お前ら気持ちはわかるがここは抑えろ」

 

「・・・・・分かりました。」

 

桜花に言われ渋々席に座る。

 

「桜花。あいつらいったいどこの部隊だ?」

 

「あいつらはうちらの隊じゃないっす。」

 

「それに、あの鎧姿は華雄や霞の部隊の奴じゃない。とすると、おそらく徐栄さんとこの部隊だな」

 

桜花と川内が小声で言う。すると・・・

 

「おい、隊長さんよ~」

 

と、よぱらった兵士が水の入ったグラスを持ってやってきてそして

 

「お前さん。黄巾の乱で活躍したみたいだけどな・・・・」

 

とその水を俺の頭にかける

 

「俺達名門軍である徐栄軍に比べれば、ままごとと同じなんだよ!」

 

「なっ!貴様ぁ!」

 

「てめえぇ!何しやがる!!」

 

その様子を見てさすがの川内や桜花も頭にくる。そして桜花は今にも殴りかかりそうだったが

 

「待て、お前ら」

 

「しかし!」

 

「落ち着け。俺はともかく。ほかの客人に迷惑がかかる。今は耐え忍べ」

 

吹雪はそう言ってなだめるが吹雪は鋭い目つきでその酔っ払い二人を睨んでいた。すると・・・

 

「あ、あの・・・・お客様。あまり騒がれると他のお客様にご迷惑が・・・」

 

店員がそこに来て二人に注意しようとするが・・・・

 

「うるせぇ!庶民の分際で官軍に意見するのか!」

 

と、二人組の一人が店員の人に殴りかかろうとするが・・・・

 

ガシッ

 

「っ!?」

 

吹雪がその男の腕をつかむ

 

「・・・・・その辺にしておけ」

 

「なんだと貴様っ!」

 

「俺を侮辱するならともかくほかの人に手を出すなら容赦しないぞ・・・・」

 

と、吹雪は殺気を含めた目線でその男を睨む。

 

「こ、こいつ・・・!」

 

二人組のもう一人が剣を抜こうとしたが・・・・

 

「そこまで」

 

と誰かに静止させられ男はその声のする方に顔を向けると・・・・・そこには肩に弓を掛け、サイドテールの髪型で少しクールさを感じられる女性でその男の首筋に短剣を向けていた。

 

「じょ、徐栄様・・・・」

 

「さっき、警邏の人に朱雀屋で酔っぱらって暴れている兵士2人がいるって聞いて来てみれば・・・・・あなたたちいったい何をしてるの?」

 

普通に話しているようだがその眼は怒りに燃えているのがわかる。そのことも分かってか二人組はぶるぶると震える。

 

「あ・・・・いや。その・・・・」

 

「あなたたちは栄えある徐栄軍の名を汚すつもり?」

 

「い、いえ!けしてそのようなことは!」

 

「言い訳は無用です。本日よりあなたたち二人には軍を辞めてもらいます。そして、訓練生からやり直してきなさい。それが嫌ならすぐにこの街から出ていきなさい」

 

と、鷹のような鋭い目線でそういわれて二人は固まってしまう。その後うちの警邏の連中が来て、その二人は暴行未遂として連行されるのであった。

すると徐栄さんはこっちのほうに来て

 

「あなた。沖田さんね。月や詠。そして桜さんから話は聞いています。今回はうちの部下たちが大変迷惑を掛けました。」

 

そう言い、頭を下げる徐栄さん。

 

「いえ、いいんですよ。そういえば自己紹介していませんでしたね。俺は沖田。沖田吹雪。董卓軍第3師団師団長兼警邏隊隊長をしています」

 

「私は徐栄・・・・・董卓軍第2師団師団長を務めております。以後お見知りおきを。それでは私はまだ仕事がありますのでこれで失礼します。お食事を邪魔して申し訳ございませんでした」

 

そういうと徐栄はその場を去っていった。

 

「・・・・あの人が曹操に一矢浴びせ、獅子奮迅の活躍をした徐栄か・・・・」

 

俺はその後ろ姿を彼女が見えなくなるまで見ていた。

 

「吹雪ー。料理きたわよー」

 

「ああ、わかったすぐに行く」

 

川内が俺を呼ぶ俺は返事をして店の中へと戻るのであった。

 

 



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西涼からの客

 

「今日も異常なし・・・・」

 

人ごみの中、街中をパトロールする樊稠こと雪風。すると・・・

 

「うえぇ~ん」

 

「?」

 

どこからか子供の泣き声が聞こえる。雪風がそこに向かうと小さな男の子が泣いていた。

 

「・・・・どうしたんですか?」

 

「ぐすっ・・・・お母さんとはぐれちゃった・・・」

 

迷子か・・・・

 

「じゃあ、一緒にお母さんを探してあげる。だから泣かないでね」

 

「うん・・・・ありがとう。お姉ちゃん」

 

雪風は迷子の少年を連れて町中探し回る。途中で部下の隊士に会い、迷子の少年の母親を探している。っといって、その隊士達にも母親探しを手伝わせる。

そして数分後、迷子の母親が見つかった。

 

「本当にありがとうございます。何とお礼を言っていいやら」

 

「別にお礼なんて・・・・これも仕事ですから」

 

「お姉ちゃん。ありがとう!」

 

「今度は迷子にならないでね。」

 

雪風がそう言い、親子は雪風に頭を下げ、その場を去る雪風は軽く手を振り微笑みながらその2人を見送った。すると・・・・

 

「天水の狼と呼ばれる警邏隊隊士もそんな顔をするんだな」

 

「っ!?」

 

後ろから声が聞こえ振り向くとフードを被った女性がいた。そしてその女性は路地裏へと手招きし、雪風はその女についていく。

 

 

「お前・・・・何者だ?」

 

「そう身構えないでよ。私は張譲様から手紙を預かっているのよ」

 

「‥‥‥張譲・・・様から?」

 

その人物の名に雪風の目は細くなり怪しく光る。

 

「ええ、これ私があんたに渡して2日後に董卓に渡せってさ。」

 

「‥‥内容は?」

 

「知るわけないでしょ?私はただの小物よ?」

 

「よく言うわ。私が洛陽で張譲様と会った時、張譲様の後ろにある屏風の後ろに隠れ、私が変な動きを見せようとしたら斬りかかる態勢を取っていた者が、小物とは言えないわ。」

 

「・・・・・なかなかの洞察力ね・・・・さすが警邏隊密偵の隊長様ね・・・・そうよ。私は彼に金で雇われた用心棒・・・・これ以上は言えないわ。それにさっきも言うけど手紙の中身も聞かされてないから知らないただこれを渡すように言われただけよ」

 

「そう・・・・分かったわ。で、その手紙は?」

 

「ここよ。」

 

そう言い女は雪風に手紙を渡す

 

「確かに渡したわ。それじゃあね」

 

そう言い女は闇に紛れ消え、雪風はその手紙を渡された後、にやりと笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西涼から客人?」

 

俺は詠に呼び出され、屋敷の広間に来てみれば。なんでも西涼の方から天水を視察するためお客が来るらしいのだが・・・

 

「詠。その客人って誰なんだ?」

 

「馬騰とその娘である馬超、そしてそのいとこ馬岱よ。」

 

「ああ、馬騰さんか。黄巾の乱の時あったっけな・・・・」

 

話すことはなかったけど。

 

「そう、その馬騰。彼女が急に天水に来るって言いだしてね」

 

「それで、俺を呼んだ理由は?」

 

「うん。馬騰は月と会うからいいんだけど。吹雪には随行人二人の相手をしてもらいたいのよ」

 

「そういうことか」

 

「ええ、警邏の仕事で忙しいと思うけどやってくれる?」

 

「ああ。任せとけよ。それで、いつ来るんだ?」

 

「確か‥‥昼過ぎだったと思うけど」

 

「そうか・・・・じゃあ、まだ時間があるな。じゃあ、時間になるまで俺は警邏をしているよ」

 

そう言い、俺はその場を後にした。

 

 

 

 

天水の街中に3人の女性が歩いていた。

 

「ここが天水か‥‥噂以上に活気のある街だな」

 

「いいんですか母上?ちょっと早く来すぎた気がするけど」

 

「確かにね~予定より早く来て大丈夫だったの叔母様?」

 

「問題ないよ。それじゃあ、私は先に屋敷に行っているから、お前たちは街の見物にでも行きな」

 

「っえ!?いいんですか叔母様!やったぁー!」

 

「こらっ!蒲公英。私たちは母様の護衛に来たんだぞ!その護衛が離れてどうするんだ!」

 

「え~でも、叔母様がいいって言ってるんだし~」

 

「あははっ!翠。別にいいよ。聞けばここの治安は良いらしいから刺客も入ってこれないし、たまには羽目を外してきなさい。ただし羽目を外しすぎて警邏隊の役人の世話にならないようにね」

 

と馬騰はそう言うと、一人で月の屋敷に行ってしまったのだ。残された二人は

 

「さ~て。まずはどこから行こうかな~」

 

「こら!蒲公英。あまりはしゃぐなよ」

 

「いいじゃん!叔母様も羽目を外せっていてたんだから♪」

 

「はぁ~まったくしょうがないな~」

 

馬岱の従姉である馬超はため息をつき馬岱が何か問題を起こさないか見張るためついていくのだった。

 

「♪~♪~~♪」

 

「蒲公英。なんだその歌は?」

 

ご機嫌に歌う蒲公英こと馬岱に馬超は首をかしげる

 

「えー!お姉さま知らないの?最近流行ってる「愛馬進軍歌」だよ?この歌、私のお気に入りなんだ!」 

 

「へ~確かに馬に愛情のこもめ親しみやすい歌だな~。この歌誰が作ったんだ?」

 

「ん~誰だったかわからないけど噂では天の国の昔の歌らしいよ?」

 

「へ~天の国か・・・・そういえばここ天水には天の御使いがいるらしいな」

 

「そうだね~。そういえば黄巾の乱の時にいたらしいよ。」

 

「そういえばそうだったな。あの時、挨拶でもすればよかったかな?」

 

「そうだね~」

 

そんなことを話していると・・・・・

 

ぎゅ~るるる~

 

二人のお腹が鳴る。

 

「そ、そいえば。まだご飯食べてなかったな・・・・」

 

「そうだね・・・・・・あっ!あそこに料理屋があるよ」

 

「本当だ。よし。じゃあ、あそこで飯でも食べるか蒲公英」

 

「うん♪」

 

「『朱雀屋』か・・・・よし。入ろうか」

 

そう言いい二人は店の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~おいしかった~」

 

「ほんとだね~お姉さま」

 

「ああ、特にこのめんちかつ?だったけ?」

 

「それもいいけど、私はなぽりたんっていう麺料理がおいしかったよ~」

 

二人は店の料理に満足したらしく、嬉しそうにお腹をさする

 

「さて・・・・そろそろ行くか?」

 

「そうだね。お姉さま会計お願いね♪」

 

「え?私。財布持ってないぞ?蒲公英が持ってるんじゃないのか?」

 

「え?私も持ってないわよ?てっきりお姉さまが持っているのかと・・・・・」

 

どうやら二人は互いに財布を持ってると思い込んでいたようだ。

 

「ど、どうしよ・・・・」

 

「お客さんどうかしたんですか?」

 

っと、二人の焦りに気が付いたのか、店主が近づいて心配そうに言う。

 

「え、あ・・・・あの・・・」

 

「?」

 

実は金持っていませんなんてとてもじゃないが言えない。二人が困っていると

 

「おっちゃん。どうしたんだ?」

 

っと、店の中から。一人の少年が入ってきた。その姿は警邏隊が来ているより少し地味な枯れ草色な恰好し、白い腕章をして、髪型は翠と同じポニーテイルだった。

 

「(やばっ!あの服に白い腕章…警邏隊の人だよお姉さま。もし無銭飲食がばれちゃったら逮捕されちゃうよ~)」

 

「(どうする・・・ここで問題おこしちゃったら・・・・)」

 

と冷や汗をかく二人すると翠はその警邏隊の少年と目が合ってしまった。

 

「(やばっ目が合っちまった)」

 

急いで目をそらすが・・・・

 

「あ、これは御使いさま。いやね。なんかこのお客さん具合が悪そうなんだよ」

 

「具合?」

 

少年は店主の言葉を聞いて2人の方へ顔を向ける。

 

じ~~~~

 

「(どうしよう。お姉さま。あの人ずっと見ているよ)」

 

「(もしかしてばれちゃったっかな・・・・)」

 

警邏隊の少年にばれたと思った二人はついに・・・・

 

「「ごめんなさい!実は私たちお金もっていないんです!!」」

 

正直に謝る

 

「えっ!?それは困るな・・・・」

 

「大丈夫ですよ。二人の分の代金は私が払いましょう。いくらなんですか?」

 

「「えっ!」」

 

少年の言葉に二人は驚く。そして少年は財布から二人分の代金を払う

 

「それじゃあ、お二人さん。次からは気を付けてくださいね」

 

そう言って少年は店を出るのだった。

 

「・・・・・・・」

 

いきなりのことにより二人はしばらく固まってしまうのだった。

だが、二人はその少年と意外な形で再会するのだった。

 

 

 

 



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翠と蒲公英

「助かったね~お姉さま。あの人に連行されなくて」

 

「よくないぞ蒲公英。あの人がいなかったら、どっちにしても無銭飲食で捕まってたんだからな。また会ったらちゃんとお礼を言わないとな・・・」

 

馬超はそう言い、あの少年のことを思い出すのだった。

 

 

 

 

 

そして午後、二人は馬騰が向かった屋敷に入り、二人は隣につく。すると・・・・

 

「お久しぶりです。馬騰さん」

 

すると玉座の間から、一人の少女と眼鏡をかけた少女が出てきた。

 

「久しぶりだね。月、詠。3年ぶりだね」

 

「本当ね、春華(しゅんふぁ)。あなたの隣にいる人たちは?」

 

「ああ、この二人は私の娘と姪だよ。」

 

「馬超といいます。お見知りおきを」

 

「私は馬岱といいます」

 

と言い、二人は月に頭を下げる。

 

「どう?天水に来てみて?」

 

「ああ、噂以上に言い町だ。お前たち二人は少しの間、私より先に街を見てきたんだろ?」

 

「ああ。街の人たちはなんか幸せそうな顔をしていたよ。な、なあ、蒲公英」

 

「うん♪それに料理もおいしかったしね~」

 

「ふふっ・・・それはよかったです」

 

月は少し嬉しそうにほほ笑む

 

「そうかそれは・・・・・ってどうしたんだ?翠、蒲公英。どうしたんだい?なんか冷や汗が出てるぞ?」

 

馬騰は二人を見ると二人は何か後ろ暗そうな顔をし始める。

 

「あ、いや・・・・あの・・・」

 

「そ、それは・・・・」

 

「翠、蒲公英・・・・・お前何か私に隠してないか?もしかして私がいない間街で問題とか起こしてないよね?」

 

「えっ!」

 

「ひっ!な、なんで、ばれたの?」

 

「てっ!馬鹿!蒲公英それは・・・」

 

「・・・・やっぱり、街で問題おこしたんだな#」

 

「あっ・・・」

 

馬騰に鎌をかけられあっさり言ってしまう蒲公英。すると・・・・・

 

「すまない。詠、月。遅れた」

 

と、先ほど、翠や蒲公英の料理の代金を支払った少年が入ってきた。

 

「ちょっと!吹雪。どこにいってたのよ!」

 

「いやぁ~すまんすまん。なんか、道に迷ったおばあさんの相手とかしたりで遅れちゃったんだよ……って、あれ?君たち、さっきの姉妹じゃないか?どうしたのこんなところで?」

 

「そういう、お前はあの時の役人!?」

 

「あ、本当だあの時のお兄さん!?」

 

「え?あなたたち、知り合いなの?」

 

詠は驚いてそばにいた少年、吹雪に訊く

 

「え?ああ、なんか、警邏の最中、料理のお金が足りないって困っていたみたいだから。代わりに代金を払ったんだよ」

 

「そ、そうなの・・・」

 

「食い逃げとかじゃないのか?」

 

馬騰が二人にきつい目線を見せた後、吹雪の顔を見てそう訊く。

 

「いや、そういうことはしていませんよ。ですから気にしないでください」

 

吹雪がそう言うと、みんな苦笑する

 

「あはは・・・・自己紹介が遅れた私は馬騰。西涼の太守をしている。」

 

「初めまして馬騰さん。俺は沖田吹雪。天の御使いの一人で警邏隊隊長をしています。」

 

そう言い、吹雪は馬騰に頭を下げる。

 

「ほう・・・・君が沖田殿か・・・・うちの連れの者が世話になったな」

 

「いえ、いえ・・・とんでもありません」

 

と、そんな会話をした。その後、予定通り、馬騰さんは旧友である月と話し合いをし、俺は詠に言われた通り、彼女の連れである、馬超と馬岱に天水の街を案内するのだった。まずは学校や、病院。そして飲食店など様々な場所を案内した。

そしてしばらく二人を連れて街中を歩いていると

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん?なんですか。馬超さん」

 

「まだお礼とか言ってなかったから、その・・・・」

 

「別にいいんですよ」

 

「だけど!」

 

「も~お姉さまったら。御使いさんがいいっていうなら、いいじゃん」

 

「蒲公英っ!そうわけにはいかないだろ!」

 

蒲公英は翠に注意されるが蒲公英はそんなこと気にせず吹雪に話しかける

 

「ねえ、御使いさん。次はどこに案内するの?」

 

「そうですね・・・・どこがいいんですか馬岱さん?」

 

「蒲公英でいいよ御使いさん」

 

「え?でもいいのか?それ真名だよな?」

 

「いいの。ご飯おごってくれたお礼だから。ねえお姉さま?お姉さまだってお礼を言いたいって言ってたじゃん」

 

「そうか・・・・分かった。じゃあ、俺のことは吹雪でいいよ」

 

「わかった。じゃあ、吹雪お兄さんって呼ぶね♪」

 

「おい。蒲公英。お前、少し気やすいぞ。こういうのは少し遠慮してだな・・・・」

 

「まあ、まあ。馬超さん。俺は気にしていないので。そんなに怒っていると可愛い顔が台無しですよ?」

 

「#$%‘@¥’%!!」

 

急に馬超さんが言葉にできない言葉で何か言う。心なしか顔が赤い

 

「か、かわいいって・・・・嘘言ってんじゃねえよっ!私が可愛いなんてそんな///」

 

「へ?嘘じゃありませんよ。そうですよね蒲公英さん?お姉さん綺麗だと思いませんか?」

 

「そうだよね~お姉さまは綺麗なのに自覚がないんだよね~」

 

「////っ!?も、もう!そんなにからかうなよっ!それよりも御使い様・・・」

 

「吹雪でいいよ。そんな堅苦しいのはなしで頼む」

 

「そうか・・・・それじゃあ、吹雪。これからどこに行くんだ?」

 

「そうだな・・・・・あっ!そうだ。馬超さんって馬好きだよな?」

 

「え?ああ、好きだけど・・・」

 

「じゃあ、ついて来てくれ」

 

「「?」」

 

と吹雪はそう言い、二人をある所に連れて行くそこは・・・・

 

 

 

 

 

 

「すごい!いっぱい馬がいるね♪」

 

「すげ・・・・・ここはなんていう場所なんだ?」

 

「ここはな。最近作った牧場っていうんだよ」

 

俺が連れて行った場所は最近作った牧場だった。っといっても牛とかヤギはいない。馬だけだ。そうここは軍馬を育てるための牧場なのだ。

 

「敬礼っ!」

 

っと、作業をしていたうちの部隊の連中が俺に気付いたのか急いで作業を中断し、俺に敬礼をする。

 

「おう。お前らしっかり仕事をしているか?」

 

「はい。あ、こちらの方はお客様ですね。」

 

「まあな。それで調子はどうだ?」

 

「はい。隊長が教えてくれた蹄鉄でしたっけ?あれのおかげで馬の踏ん張りがきくようになって助かっています」

 

「そうかそれはよかった」

 

蹄鉄とは馬の足の裏についているあのU字の奴だ。あれが発明されるのは確か2百年後ぐらいだからな・・・

 

「どうです?」

 

「ああ、この馬たちは結構元気そうだな。西涼でも見ないくらいだ。」

 

 

「そうですか・・・・・そうだ馬超さん。馬に乗ってみますか?」

 

「いいのか?」

 

「ええいいですよ。どんな子がいいんですか?」

 

「そうだな・・・・あの栗毛もいいし・・いやあの黒い子も捨てがたい・・・・どうしよか悩んじまうな~」

 

と、馬超さんが悩んでいると・・・・

 

「大変だぁ!暴れ馬が一頭逃げ出したぁ!!」

 

っと、牧場で働く人の声が聞こえたと思うとサラブレット級の一頭の巨馬がこちらに向かって突進する。その先には馬超がいた。馬超はどの馬にするか悩んで気づいていない

 

「お姉さま!危ない!」

 

「へ?」

 

蒲公英の叫びに馬超は気づき振り向くとそこには巨馬が今にも馬超に突進しようとしていた。

馬超は急いでよけようとするが反応が遅かったためかよけそこない馬に蹴飛ばされそうになる

しかし、急に投げ縄が飛び馬の口にはまる。吹雪が投げたのだ。馬は抵抗するが・・・・ほどけないとわかると暴れるのをやめたのだがいまだに暴れる寸前の態度をとっていた。

吹雪はその馬に近づく

 

「ほら、落ち着けウラヌス。どうどう・・・」

 

そう言い、ほかの人が心配する中、吹雪はその馬をなでる。すると馬は急におとなしくなったのだ。おそらく吹雪の目を見た馬は何かを感じたのだろう。ちなみにウラヌスって名は吹雪がつけた名で母、恋の馬でもある。ウラヌスは落ち着き、自分の小屋へと戻るのだった。

 

「大丈夫ですか?馬超さん。立てますか?」

 

「え?ああ…ありがとう」

 

馬を落ち着かせた吹雪はしりもちをついている馬超に近づき手を差し伸べ、そして馬超はその手を取り、立ち上がる。その顔は赤かった。

 

「どうしたんですか?」

 

「え?ああいやなんでもないよあははは!」

 

「ふふっ、お姉さまったら照れてるの~本当は吹雪さんのこ・・・・」

 

「あっ!こら蒲公英ー!!」

 

「やーい。お姉さまが怒ったぁ!」

 

蒲公英が何か言おうとすると馬超が急に顔をさらに赤くし蒲公英を追いかけるのだった

 

「あははは・・・・」

 

その姿を見て吹雪は苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

そして時は立ち別れの時間が来た。

 

「馬超さん。先ほどは危ない目にあわしてすみませんでした。」

 

「いや。吹雪が謝ることはないよ。それと、私のことは翠って呼んでくれ。この真名吹雪に預けるよ」

 

「そうか・・・分かった。じゃあ、また会おうな翠」

 

「ああ、西涼に来たら今度は私が案内するからな吹雪」

 

「ああ、その時を楽しみにしてるぜ」

 

そう言い互いに握手し翠たちは西涼へと変えるのだった。

 

 

「・・・・・・吹雪か・・・・」

 

「ん?翠。どうしたんだ?やけに嬉しそうだが?」

 

「ふふっ・・・実は叔母様。翠お姉さまったら・・・」

 

「わぁー!わぁー!それ以上言うな蒲公英っ!!(・・・・またあいつに会えるといいな///)」

 

そう思う翠であった。

 

 

 

 

 

 




文の才能とか、たまにほしい時があります。
次回もお楽しみに


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定軍山のスナイパー(前編)

ここは定軍山・・・・見渡す限りの木や林が生い茂る山・・・・

その山の中に二人のスナイパーがいた。

古代より人間は血に飢えたハンターとして地上に君臨していた。マンモスを、アフリカゾウを鹿をそして人間も武器という恐るべき助手の力を借りて殺し続けてきた。

ハンターは孤独だと聞く。そのためハンターの友人は倒した獲物だけだ。そう言った武人もいた。

 

「どうやら、ここにいるのは私たちだけのようね・・・・・沖田」

 

「そうだな徐栄さん」

 

森の塹壕みたいに溝がある場所で二人の若者がいた。一人はサイドテールの弓を持った女性。もう一人はこの時代に似合わないスコープレンズを付けた九九式小銃を持った男だった。

 

「敵は言い腕だわ。おそらく元狙撃兵ね・・・・」

 

「っで、今は俺たちを狩るハンター・・・・・狩人ってわけか」

 

と、二人はそう話し合う。ことの話は少し前に戻る

 

 

 

 

 

 

 

俺は詠に呼ばれ、部屋に行くとそこには詠と徐栄さんがいた。呼ばれた内容は、定軍山に黄巾党の残党がいて、近隣の村を襲撃しては金品強奪や殺人なんかをしているためそれを討伐してほしいと村の代表の人から頼まれたらしい。現に動かせる部隊は、俺と徐栄さんの部隊だけでほかの人たちは別のようで出ていないのだ。

そして翌日、俺と徐栄さんの部隊は定軍山へと向かった。俺の部隊は警邏隊も残しておかなきゃいけないので1000人しか連れてこられず補佐には夕張や川内が行くことになった。徐栄の部隊は1500人。全軍ではないが、賊の数は少ないらしいのでこれで十分だと徐栄さんは言っていた。

だが徐栄さんの部隊は俺の部隊とは合流せず迂回して定軍山に向かうらしい。

 

徐栄さんはあの後何度か会ってるが、一言でいうと「冷静そうに見えて結構プライド高い」って感じだ。この前、うちの部隊の模擬戦でも「第4,5師団の子なんかと一緒にしないで」とか「私の部隊は優秀な子たちですから、負けません」とか言っていたな・・・・そういえばさっき、詠の部屋で作戦会議してるとき先鋒はだれがするか?というような話になったとき

 

「先鋒は私が・・・・・ここは譲れません」

 

と言ってたし、冷静そうなお姉さんに見えて結構プライドが高いというのが分かったのだ。そして今俺たちは山道を歩きながら定軍山に向かう。しかし雨が降った後のためか周りが滑りやすくなっている。

 

「この山を越えれば定軍山だけど結構きついな・・・・夕張。大丈夫か?」

 

「ええ。けど山道はきついけど。今回はこれの試験も兼ねて来ているからね。だからへたばってる余裕はないわ」

 

そう言って夕張は笑顔で答えるそして片手には銃を持っていた。この銃は夕張が俺の九九式小銃をベースに作った小銃でこの前作った小銃を改良したものだ。そうそう、言い忘れていたが俺の部隊に新たな部隊が設立された。名付けて「銃士隊」だ。名前の通り銃を中心とした部隊だ。だがまだ、銃の生産が間に合ず今いる銃士隊は百人程度だ。だがこの時代で銃が作れる時点でもはやすごい。あれ?もしかして俺ってチーターか?

 

「それより、川内は平気に山を登っているわね~」

 

「ふふ~私は山育ちだからね。こういうのは慣れているのよ。」

 

「そういえばそうだったな・・・・そういえば夕張その小銃についてるのって・・・」

 

俺が夕張に聞いたのは通の機関部の横についているフィールドスコープだった。

 

「え?ああこれ?これはねこの前、吹雪が見せてくれた双眼鏡だっけ?それを見て銃につけられないかな~って思って作ってつけてみたのよ♪あ、吹雪のもあるからこれ使って」

 

そういい夕張は俺にもう一つのフィールドスコープを渡すのだった。そして俺はそれを99式に装着させスコープを覗く。

 

「すげぇ・・・・ここまで鮮明なのは初めてだな。それによく映る。夕張お前って天才だな」

 

「えへへ・・・そう褒めないでよ♪」

 

そんなことを話しながら俺たちは山道を進む。すると・・・・

 

「・・・・ん?霧が出てきた・・・」

 

川内がそう言うと霧が出てくるのだった。

 

「どんどん濃くなっていく・・・・おい!全員離れるなよ。」

 

吹雪がそう言い隊士たちは頷き固まって進む。

 

「なんでこんな時に霧が出てくるんのよ・・・これじゃあ前も見えないわね」

 

15分くらいだろうかしばらく歩いていると霧が晴れて、目の前には依頼主のいる定軍山近くの村につくのだった。

 

「あ、どうやら無事に村についたようね・・・・よし各自落伍者がいないか点呼をとれ」

 

と、川内に指示で隊士の一人がほかの隊士に落伍者がいないか点呼を取り始める

 

「それにしてもあの霧は一体何だったんだろうね川内?」

 

「山の天気は変わりやすいっていうけど・・・・・ン?どうしたの」

 

川内はあたりをきょろきょろ見る隊士にそういうと・・・・

 

「馬琴様っ!先ほど点呼をとったのですが隊長がいませんっ!」

 

「え?何言ってるのよ。吹雪ならすぐそこ・・・・・ってあれ?吹雪がいない!」

 

「もしかしてあの時にはぐれたのか!?」

 

隊士に言われあたりを見渡すと確かに吹雪の姿がなかった。おそらくあの時にはぐれたんだろう。すると吹雪隊の隊士が動揺し始め、班の班長の1人が

 

「馬琴様!張済様!すぐに捜索命令をください!我々がすぐにでも隊長を探しに行きます!」

 

班長がそう言うとほかの兵士も頷く。しかし・・・・

 

「待ちなさい!。今山の中行くのは危険だわ」

 

「なぜです!」

 

「夜の山はとても危険よ。真っ暗で足場もわからないほどの暗さ。夜間の経験がない素人がうかつに入ったら足を滑らせて崖から落ちてしまうわ」

 

「じゃあ、張済様は隊長を見捨てるんですか!」

 

「誰もそんなことは言ってないわ!!」

 

川内の怒鳴り声に隊士たちは黙る

 

「まずはいったん村に入り、態勢を整え、翌日少数で吹雪の探索を始めるわ」

 

「少数って、全員じゃないの川内?」

 

「ええ、この前の報告では定軍山にはまだ賊がいる。もし全軍で捜索している最中村が襲われたらどうする。きっと吹雪なら、この村を守るため8割ぐらいは村の防衛のため兵を残すし、それに吹雪は山に遭難したくらいで死にはしないわ」

 

と、川内は平気そうに言ってるだが・・・・

 

「あ・・・」

 

夕張は気づいた。川内は平気そうに言ってるがその手は震え、力強く握りしめ血が滲み出ていることを。川内がこの中で一番吹雪のことを心配しているのを・・・・・・

 

「川内・・・・わかったわ。あなたの指示に従うわ。みんなもいいわね」

 

「わ、わかりました・・・・」

 

夕張の言葉に隊士たちは頷き、そして村に入るのだったが・・・・

 

「あっ!お前ら第3師団の連中じゃないか!」

 

いきなり誰かに声を掛けられ、夕張たちがその声のするほうへ顔を向けると

 

「あなたたちは・・・・・徐栄さんとこの第2師団・・・・」

 

声をかけたのは迂回して村に向かっていた徐栄率いる第2師団の兵たちだった。そして川内は副官らしき人物とあいさつをした

 

「董卓軍第3師団所属「吹雪隊」小隊長の張済だ」

 

「董卓軍第2師団、徐栄様の補佐をしているものです。お宅の大将はどちらに?」

 

「あの山を越えるときにはぐれた。そういえばお宅の大将である徐栄殿はどうしたんですか?一緒じゃなかったのか?」

 

「実は・・・・我々も徐栄様とはぐれてしまったのだ。反対側の山を行軍中、急に霧に見舞われてな・・・」

 

「そうか・・・」

 

「徐栄様のことだ。きっと無事だと思います。それとあなたの隊長も・・・・」

 

そういい二人は二人が遭難した山を心配そうに眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方山の中では・・・・

 

「暗くなったな・・・・・ここはどこなんだよ」

 

俺はいま山の中を九九式小銃を手に取り彷徨っていた。あの霧を歩いていた時、俺は確かみんなと一緒の歩いていたはずだ。そして霧が晴れたらそこは草木の生い茂た山道もない場所だった。しかも周りを見てもみんなおんなじ景色、ポケットに入っていた磁石を見ても矢じりがくるくる回って使い物にならない。磁場が強いんだろ。どうやら俺は遭難したみたいだな。

 

「・・・・これ以上。動くのは危険・・・・・っ!?」

 

急に悪寒が走るすると

 

ひゅっ!

 

急にどこからか矢が飛んできた。

 

「うわっ!」

 

俺は急いでよけてしゃがみ九九式小銃に弾丸を装填し構える。そして・・・

 

ダアァーン!

 

威嚇に一発だけ撃つ。ボルトを動かして再装填しそしてまた構えて様子を見る。

 

「どこだ・・・・どこから撃ってきた・・・・」

 

周りが暗いためどこから撃ってきたのかわからない。

 

「誰だ・・・・敵か?それとも・・・」

 

そういい吹雪は夕張につくてもらったスコープレンズを覗いてあたりを見る。すると・・・・何かの人影が見えた。

 

「もしかしてあいつか・・・・・?」

 

すると人影はこっちに気付いたのかさっと逃げ出す。

 

「あっ!待て!!」

 

吹雪は人影を追いかけた。

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・。いったいどこに行ったんだ?」

 

俺は追いかけたが、周りが暗いためかすぐに見失ってしまう。俺はこれ以上の深追いは危ないと思って、近くにあるくぼんだ溝にに入り、焚火を炊き、ポケットに入っていた非常食の乾パンを食べる。すると・・・・後ろに人の気配がした。もしかしてあいつか?そう思い俺は急いで振り向き銃を向ける。すると向こうも弓をこっちに構えていた。顔は薄暗くて見えない。

 

「誰だ?もしかして黄巾党の残党か?」

 

俺がそう言うと

 

「違うわ。私よ」

 

聞き覚えのある声が聞こえた。もしかして、俺はその人物の顔をよく見る。焚火の炎がその人物をうっすらと照らした。

 

「徐栄さん・・・」

 

その人物正体は弓をこちらに向けた徐栄さんだった。

 

 

 



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定軍山のスナイパー(後編)

前回のあらすじ俺は詠の頼みで定軍山に潜み近くの村を襲う黄巾党の残党を討伐すべく月のところから古く使えている徐栄さんとともに定軍山へと向かうが進軍中、霧によって部隊とはぐれ、遭難した。そして途方に暮れていると何者かに狙撃される。俺は狙撃された相手を追っていたが暗闇にため逃げられ、仕方なく野宿をすることになった。そして俺は同じく討伐に来ていた徐栄さんと会うのだった。

 

 

「徐栄さん・・・」

 

「火、あたらせてもいいかしら?」

 

「ああ。」

 

俺が徐栄さんの言うことにうなずくと徐栄さんは焚火のそばに座った。その姿は泥とかで汚れていて頬にはかすり傷がついていた。

 

「徐栄さん。なぜこんなところにいるんですか?確か別の進路で定軍山に向かっていたはずだろ?」

 

「実は霧のせいで部隊とはぐれてね。あなたも確か定軍山の近くの山を通っていたはずでしょ?なんでこんなところにいるの?」

 

「俺も同じ理由さ。それよりここはどこなんだ?」

 

「さあ・・・・わからないわ。でもこの山の雰囲気には見覚えがあるわ。ここは定軍山よ」

 

「へ?定軍山?そんな馬鹿な!だって定軍山はまだ先にあるぞ」

 

「私もわからないわ。ただ私は小さいころ定軍山で遊んだことがあったからよく覚えているわ」

 

「そうですか・・・・・そういえばさっき誰かに弓矢で狙撃されたんだけど、もしかして徐栄さんですか?」

 

「・・・・?何を言ってるの?私は弓なんて放っていないわ?それに私も何者かに狙撃されたわ」

 

「え?もしかして徐栄さんも?」

 

「ええ、しばらくここいら辺を探し回っていたらいきなりね。幸い頬を切っただけだから問題ないわ・・・・」

 

「そうですか・・・・・それじゃあ、俺たちを狙撃したのは敵ってことですかね?」

 

「おそらくね。猟師じゃないってことは分かるわ。それにあの狙撃の腕、…おそらく黄巾党の残党兵。しかも元狙撃兵をしていた可能性があるわね」

 

「今でも俺たちを監視しているんでしょうかね?」

 

そういい俺は堀から顔を出すと・・・・

 

ひゅっ!

 

俺の顔のそばにあった枯れ木に矢があたる

 

「どうやら監視しているみたいね。今うかつに動いても的にされるだけだわ。朝になるのを待ちましょ」

 

「‥‥そうですね。あ、これ食べますか?」

 

そういい俺は非常食の乾パンを渡す

 

「…もらうわ」

 

そう言い、徐栄さんは乾パンを受け取りそれを食べる。

 

「…おいしい。固くてまずいと思っていたんだけどね」

 

「ああ、朱雀屋で働いている典韋が作ったやつなんだよ。あの子の料理結構うちの隊士に人気でさ」

 

「そう・・・そういえばこの前朱雀屋で私の部下が失礼なことをしてしまったわ。本当にごめんなさい」

 

「いや、いいんですよ。気にしていませんから。」

 

「そう・・・・ふぅ~」

 

すると、徐栄は両肩をに身を寄せ震える。夜の山はとても寒い。そのため薄着の徐栄は寒く感じるのだ。すると・・・・

 

ふさぁ・・・

 

吹雪が服の上着を脱いで黙って徐栄に着せる。

 

「・・・・沖田?」

 

「女の人が身体を冷やすのはよくないよ。それを羽織ってて下さい。ないよりはいいと思いますんで」

 

「だけど。それだとあなたが・・・・・」

 

「大丈夫です。こ、このくらいの寒さ慣れてますから」

 

吹雪はそういうがそれはやせ我慢だった。すると徐栄は吹雪にくっつきそして頭を吹雪の方に置いた。

 

「じょ、徐栄さん?」

 

「お願いします。今は、黙って下さい。」

 

「まあいいですけど・・・・」

 

そのあとしばらくの沈黙が続き、そして朝になる。二人はまだ寝ていた。すると二人が寝隠れしている堀に近づく影があった。フードをかぶっているため顔がよく見えないがそれは人だった。肩には弓を下げもう片方には剣を下げていた。

 

「・・・・寝てるな。これは都合がいい・・・」

 

女性のように高いその声の主は弓ではなく剣を抜き、斬りかかろうとしたが・・・・・

 

「狙撃兵ともあろうものが・・・」

 

「自ら獲物の前に姿を現すなんてね」

 

「っ!?」

 

吹雪と徐栄の言葉にそのものは驚き一瞬、剣の動きが止まる。気が付くと吹雪は銃剣を付けた小銃を、徐栄は弓をその者に向けた。

 

「動くな。変に動こうとすれば串刺しにする。」

 

「そういうことだ。」

 

実は二人は寝たふりをして狙撃兵がしびれを切らしてこっちに来るのを待っていたのだ。しかし

 

「ふ、ふざけるな!私は貴様らのような賊の言うことなんか誰が聞くかっ!」

 

「「?」」

 

あれ?なんかおかしい

 

「え?お前、定軍山に潜伏している黄巾党の残党兵じゃないのか?」

 

「はぁ?」

 

そういうと狙撃兵はフードを脱ぎその顔を露にする。その正体は女性で黒と緑が混じったツインテールをしていた。

 

「私は黄巾の連中じゃないわよっ!あなたこそ黄巾党の残党兵でしょ!?」

 

「え?俺たちは黄巾党の兵じゃないぞ?」

 

なんか話が噛み合わない。じゃあ、彼女は一体なんだ?

 

「あの・・・・黄巾党の兵じゃないんなら名前は?名くらいあるでしょ?」

 

「まずあなたが名乗ったら?それが礼儀じゃないの?」

 

「それもそうね。私は天水太守董卓様に仕えている徐栄よ」

 

「俺は沖田吹雪。」

 

「私は龐徳(ほうとく)字は令明(れいめい)・・・・・涼州の馬騰様に仕えてるものよ」

 

俺はその名を聞いて驚いた。龐徳といえば馬頭に仕えていてあまり知られてはいないが凄腕のスナイパーとしても有名な武将だ。

 

「馬騰殿に仕えているあなたがなぜここにいる?」

 

「実は私の友人がここの山のふもとにある村に住んでいてね。それで、黄巾党の残党兵が村を襲ってるって聞いて、休暇を兼ねてその賊を倒すためここに来たのよ。そしたら向かう途中霧のせいで道に迷ってね。それであなたたちを見て黄巾兵と勘違いしてしまったわけ。本当にすみません」

 

と、龐徳さんは頭を下げる。つまりだ。互いに黄巾軍だと勘違いしていたわけだ。その後俺たちもなぜこの山にいるのかを龐徳さんに説明し、龐徳さんは納得してくれた。

 

「さて、互いに誤解も解けたところで、龐徳さんはどうするんですか?」

 

「そうね・・・・・とりあえずはさっき、あなたたちと会う前に黄巾のやつらが潜む洞窟を見つけてね。」

 

「「!?」」

 

彼女が言うには俺と徐栄さんが接触する前、龐徳さんは残党のアジトを見つけ乗り込む作戦を考えていたのだがそこへ俺たちが来て敵の伝令兵と勘違いし攻撃してしまったというわけだ。

 

「で、どうする?あなたたちも一緒に来る?それとも自分の仲間を探しに山を下りる?」

 

龐徳さんが少しいたずらっぽい笑みを見せて言うと徐栄さんはむっとした顔になり

 

「いえ、賊がこの山にいるのにおめおめと山を下りたら第2師団の恥です。私も行きましょう」

 

「俺もだ。それにほかのやつらは村について待機していると思うしな」

 

俺はそういい小銃を持つ。

 

「決まりね。それじゃあ。行くわよ案内するから」

 

「命令しないでください。言われなくても行きます」

 

そういい俺たちはそのアジトへと向かうのだった。

 

 

しばらくして俺たちは龐徳さんの案内によって残党兵が隠れている洞窟が見えてくる。

 

「あそこか・・・・」

 

「ええ、残党兵がここに出入りするところを見たから間違いないわよ。」

 

「で、どうやって入り込む?真正面から入っても数で押され捕まるだけだけよ」

 

徐栄さんが言うと・・・・

 

「しっ!」

 

「ん?」

 

遠くから、人影が見える。俺は99式小銃を構え、スコープレンズで覗き見る。

 

「徐栄。あなたの連れが持っているものは何?変わった形だけど」

 

「あれはたしか、銃って言って詳しくはわからないけど異国に伝わる武器だそうよ」

 

「武器?あんな木の棒みたいのが?あんなの役に立つの?」

 

「私もこの目で見たわけではわからないけど。1発で敵を倒せる」

 

「ふ~ん・・・・それ信用できるの?」

 

「私の友人が信用していたみたいだから問題ないわ」

 

「そう・・・ならいいわ」

 

俺の後ろで徐栄さんと龐徳さんがそんな会話をしていた。

 

「徐栄さん。洞窟の前に黄巾兵が3人いる。どうやら龐徳さんが言ってたことは本当みたいだ」

 

「ねっ‥ったとおりでしょ?」

 

「とにかく、あの中に行く方法が思いついたわ。」

 

と、徐栄さんが言った。その方法はあの門番を倒し服を借りて黄巾兵になりすまし潜入するということだった。

 

「確かにそれはいい考えね。よしじゃあ、私があいつら狙撃するね」

 

「私もさせていただきます」

 

そういうと二人は矢を取り出し弓を門番の二人に合わせるその距離150メートル。そして・・・

 

ひゅっ!

 

ひょっ!

 

「ぎゃぁ!」

 

「ぐぅ!」

 

もごと命中、しかも矢は頭に命中し二人の見張りは絶命する。それに驚いたもう一人は急いで中にいる仲間を呼ぼうとしたが・・・・・

 

ダアァーン!

 

吹雪が99式小銃を放ちそして脳にあたり絶命した。俺たちは洞窟の入り口に近づき、その服を拝借して中へと入るのだった。

 

「さっきの音って・・・昨日変な音がしたけどあれ、あなただったの?」

 

洞窟を進む中、龐徳さんは驚きを隠せないのか俺にそういう。そういえば昨日、人影を見たけどあれって龐徳さんだったのか。

 

「ああ。威嚇に撃ったんだよ‥‥ん?」

 

「どうしたの沖田。」

 

「この先に人の声がする。おそらくこの先にいるな・・・・・」

 

そういい、俺たちは気配を感ずかれないように慎重に前に進む。するとその先は大広間なのか、黄巾党の残党兵たちがいた。宴でもしているのか、酒を飲み、料理にありついていた。

 

「どうやらここみたいだな。結構な数だな・・・」

 

「ええ、ですが私の弓にかかれば賊ごとき鎧袖一触です」

 

「私もよ。この私龐徳には幸運の女神がついているからね。」

 

「二人とも。慢心はだめだよ・・・・」

 

俺がそう言うと・・・・

 

「やめて下さい!」

 

突然、悲鳴が聞こえた。音源の方へ視線を向ける。

 

「へへ、いいじゃねぇか。減るもんじゃねぇしよ〜」

 

「い、嫌……!」

 

玉座に座っている、賊兵の頭らしき男。側には、若い女性がいた。おそらくこいつらが近くの村を襲いさらった女だろう。賊兵の頭は下品な笑みを浮かべ女性の体を触り始める。

 

「くっ!あいつっ!!」

 

それを見た龐徳は怒って弓を頭に向け矢を放つ。しかし怒りで冷静さを欠いていたため矢は微妙にそれ頭の頬を切ったのだ。

 

「しまった。外した!」

 

「なっ!あそこに侵入者がいるぞ!!全員つか・・・・」

 

頭がこちらに気づき部下に指示を出そうとしたが・・・・・

 

ダアァーン!!

 

吹雪が銃を撃ち銃口から発射された7・7ミリの弾丸は頭の眉間を捕らえ頭は絶命した。頭自身や下っ端も何が起こったのかわからなかっただろう、だが少なくとも、奴らの頭は死んだ トップのいなくなった組織ほどもろいものはない

 

「そこの女の子!こっちだ!」

 

俺は捕まっていた女の子にそういう。そして女の子がこっちに来ると

 

「な、なんだてめえらはぁ!」

 

唖然としていた盗賊たちが割れに戻りこちらのほうへと向かってくる

 

「誰だって?俺たちはただのあの世の使者だ!」

 

そういい俺は賊に向かって小銃を撃つ

 

ダアァーン! ダアァーン! ダアァーン!

 

3発撃つと俺はボルトを動かして再装填しようとする。しかし賊はそんなことは待ってくれない

 

「くそっ!アサルトかオートマチックが欲しいな」

 

ボルトアクションは1回打つと次装填するときボルトを動かして再装填しなければならない。これが敵にスキを与えてしまうのが難点だ。俺は腰にある南部14年式を取り出し賊を撃ち殺す。そして後方からは徐栄さんや龐徳さんが矢で援護射撃をする。そして徐栄が女の子を保護する。もうここにいる理由はない。

 

「撤退!!」

 

俺がそう言うが、

 

「ま、待ってください!ここには私以外にも囚われた子供たちがいるんです!お願いします、あの子達を助けてください!私がお酌をやらされていたのもあの子達を人質にされたせいで...」

 

「何だと!?わかった。その子供たちの居場所は!?案内できるか!?」

 

「は、はい!あそこの洞窟から行けます!」

 

部屋の奥にある入口を指す女の子

 

「そうか!なら!」

 

俺は右手に持っていた南部拳銃で部屋の明かりとなっていった松明を破壊した

 

「くそ!何も見えねぇ!?」

 

「誰か明かりもってこい!」

 

と賊兵は慌て始め俺たちはその隙に別の穴へと入った。そのまま後ろを警戒しつつ移動した。しばらくして敵が追ってきていない事を確認すると一息いれ3人は壁際に腰を下ろしているが、俺は99式や南部拳銃に弾を装填してあたりを警戒する。

そしてしばらく休憩した俺たちはその女性の案内で子供たちがとらわれている牢屋へと向かう。角までくると3人を後ろに下げ、頭を30度ほど右に傾けて、先の様子を見た

 

「ううぅぅぅ...うぅぅぅ...」

 

「うるせぇぞガキども!!」

 

牢屋の中から子供の鳴き声が聞こえ、門番がいら立っているのか牢屋の木の枠を殴っている。どうやらここみたいだ。

俺は三十年式銃剣を抜き、そしてその門番目掛け投げた。

 

ひゅっ!

 

「ぎゃぁ!」

 

銃剣は賊の喉に命中し、絶命する。昔じっちゃんに手裏剣やナイフで敵を遠距離から投げる訓練が今になって役に立った。最初は何ためにこんなことするんだろうと不思議に思ったよ。

俺は倒した賊からカギを奪い牢屋を開けた。

 

「よし!みんな、早く出ろ!」

 

鍵を開け子供たちを出し、俺達は出口に向かって走り出した。

「あなた!出口までの道は分からぬのか?」

 

「すいません、それがまったく…」

 

そう話しながら出口を探し走っていると十字路あたりに行きつくとそこから賊の一人が現れた

 

「っ!? いたぞ〜!こっちだ〜!」

 

「しまった!」

 

俺たちはすぐに進路を変え、別の洞窟へと入る

 

「まてぇー!逃がさねぇぞっ!!」

 

そういい大勢の賊が追ってくる。

 

「くそっ!どうすれば・・・・・そうだ!」

 

俺は胸のポケットから、あるものを取り出し紐のようなものに火をつけそして賊目掛けて投げた。

すると・・・・

 

ドガアァーーーーン!!

 

賊の目の前でそれは爆発し、そして壁が崩れ側たちは下敷きになった。

 

「・・・・・威力ありすぎだろ・・・」

 

俺が投げたのは夕張と協力して作った手榴弾だった。火薬は黒色火薬から暴発の恐れが少ない褐色火薬で(黒色はちょっとした摩擦でも爆発する)見た目はるろうに剣心のあの喧嘩屋が志々雄の購入した軍艦を破壊したあの焙烙弾より少し大きめのやつだ。

あの爆発でもなお生き残った賊たちもいたが瓦礫が邪魔で先へは進めなかった。

 

「よしっ!今のうちだ!」

 

俺たちは急いで先へ進む。するとその先から光が見える。

 

「出口よ!」

 

龐徳の言葉と共に一気に走り出す!そして出口へと向かった。洞窟を出るとその先にはつり橋があった。

 

「徐栄さんたちは急いで渡ってくれ。俺は最後に行くから。」

 

俺がそう言うと徐栄さん先頭につり橋を渡る。すると・・・

 

「待ちやがれ!!」

 

後ろから生き残った賊たちが追ってくる。俺や龐徳は拳銃や弓で対応するが数が多すぎる。もはや万事休すか。そう思った瞬間。

 

ひゅっ!ひゅっ!ひゅっ!

 

ダァーンダァーン!ダァーン!

 

橋の向こうから矢が飛んでいき賊にあたる。そして銃声が鳴り響き、賊たちがどんどん倒れる。俺はその方向へ顔を向けるとそこは

 

「弓隊っ!銃士隊っ!撃てぇ!!」

 

「吹雪隊に後れを取るな!徐栄隊も弓で援護しろ!!」

 

「夕張っ!?」

 

橋の向こうに夕張やうちの隊のほかに徐栄さんの隊がいた。

 

「どうやら、来てくれたようね・・・・」

 

「た、助かった~」

 

橋を渡り終えた徐栄さんたちは冷静な顔だが、安心したような顔をし龐徳さんも安心したようにほっと息をつく。

 

賊も負けじと弓で応戦するが腕が素人のためか相手にあたらず、逆に訓練を重ねた兵たちの矢はどんどん賊たちに命中する。

 

「くっ!だめだ!逃げろ!」

 

敵わないと知ってか盗賊たちは元来た場所へと戻ろうとしたが・・・・

 

「賊ども!ここまでだ!降伏しろ!」

 

後ろ洞窟に入ろうとしたが、その洞窟の前には川内の隊が弓や剣を構え、盗賊たちは観念して全員降伏するのだった。

 

「どうやら終わったようですね」

 

「ええ、そうね・・・・」

 

「あ、あの・・・徐栄さん」

 

「夢華よ」

 

「え?」

 

「私の真名。あなたに預けるわ」

 

「いいんですか?」

 

「ええ、お互いに知らない仲じゃないしそれに・・・・・仲間ですから受け取ってください」

 

「わかりました。それじゃあ夢華っと呼びますね。俺のことは吹雪でいいので。これからもよろしくな夢華」

 

「ええ、よろしく。吹雪」

 

と、互いに握手してると・・・・

 

「それじゃあ、私はここで去るわね。予定より西涼を離れちゃったし。それじゃあ、吹雪。徐栄。また縁があったら会いましょうね」

 

「ええ、また会いましょ。」

 

「また会いましょうね。龐徳さん」

 

俺がそう言うと龐徳さんはにこっと笑って俺のほうへ近づき

 

「私の真名は想華・・・また会いましょうね天の御使いさん♪」

 

俺の耳元でそういう龐徳こと想華。どうやら俺が天の御使いだということは初めから知っていたみたいだ。

そして想華は笑顔で山へ下り、俺や夢華も夕張たちのところに合流し、無事賊討伐の任務を果たすことができたのだった。

 

 




やっと書き終わりました・・・・


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オリジナルキャラ紹介part2

張済(ちょうさい)

 

真名 川内(せんだい)

 

とある村で悪ガキ集団の棟梁である白いマフラーが特徴のバラガキ。男勝りで喧嘩好きだが、性格は優しく弱い者いじめが大嫌い。武術の腕は強いのだが今まではその力の使い方も知らずにただ喧嘩の為に使っていたが吹雪と出会って「守るためにその力を振るう」という言葉に興味を持ち、吹雪たちと旅に出ることになった。身長は凪とおなじくらい。髪は茶髪でセミロングをツーサイドアップした感じである。因みにこう見えて昼の戦闘よりも夜の奇襲戦法が得意。槍の腕前は吹雪曰く「宝蔵院流みたいだ」とのこと

趣味は歌を歌うこと

吹雪にあったこっろは男口調で話すことがあったが今では女の子らしい口調になっている

 

武器は刃渡り90センチの長い槍

 

容姿モデルは艦隊これくしょんの川内

 

 

 

 

高順(こうじゅん)

 

真名 桜(さくら)

 

吹雪の母である呂布の幼馴染であり補佐をしている。基本は詠の手伝いや書類仕事などの政務をやっているが、弓などの狙撃もうまく、彼女曰「恋に弓を習ったらうまくなっていた」とのこと。性格は穏やかで物静かだが、実は季衣や鈴々以上の大食いで、彼女がいる街ではなるべく大食い大会はしないようにしている。

性格は責任感もあり、やさしさや気遣いもあり「頼れるお姉さん」タイプで、幼馴染である恋の息子の吹雪にも気を使ったり、相談相手にもなってくれたりする。

髪型は黒髪のロングヘアー。

 

武器。弓

 

容姿モデルは艦隊これくしょんの赤城

 

 

 

徐栄(じょえい)

 

真名 夢華(ゆうふぁ)

 

髪は短めに纏めた黒髪の サイドテールの女性で、 董卓軍第2師団師団長であり月の親衛隊の隊長も兼任している。月や詠、華雄とは古い付き合い。弓の達人で遠くにいる相手でも正確に当てるほどの腕前。恋とは昔、腕を競い合ったライバルでもありお互いを認め合った親友でもある。

第一印象は冷静沈着そうに見え、感情を表に出さない彼女だが一見クールのように見えて、本性は激情家でありプライドが高い。口癖は「鎧袖一触」「見敵必殺」など。また彼女が率いる第2師団は武道の名門や精鋭が集められたものが多く、その腕は吹雪隊と同等の力を持つ。

冷たそうに見えるが実は面倒見のいい性格でもあり、恋話になると顔を赤くしたりなど乙女な面もある。吹雪とはとある賊討伐の時に仲良くなり吹雪に自分の真名を預けた。

 

武器 弓と片手直剣

 

容姿モデルは艦隊これくしょんの加賀

 

 

 

龐徳(ほうとく)

 

字 令明(れいめい)

 

真名 想華(そうふぁ)

 

 

涼州の馬騰に仕える緑と黒が混じったツインテールの姫武将で、狙撃が上手い。吹雪とは、休暇中に友人のいる定軍山に向かう途中、その村が盗賊に襲われているということを聞いて賊の討伐に来ていたが、霧のため道に迷いそこに出会った吹雪や夢華を賊と勘違いして攻撃したのが出会いの始まりだった。

性格はやんちゃで押しの強く、少し物臭な面があるが、射撃の腕は一流で夢華と互角以上の腕前。

そして賊討伐後は吹雪に真名を預け、そのまま涼州に帰るのだった。

 

武器 弓と短剣

 

容姿モデルかん艦隊これくしょんの瑞鶴

 

 

 

 

 

 

 



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吹雪の慰安旅行

「「温泉♪温泉♪」」

 

とある9名がとある山道を歩く。そしてそのうちの先頭の二人は元気よく歌いながら歩いていたのだ。その9名というのは前から、桜花、川内、吹雪、斗志、志乃、星、雪風、アンチョビ、そして夕張となっており先頭の2列を除いて3列で歩いていた。

 

「こら、桜花、川内。あまりはしゃぐな。」

 

「まあ、いいじゃないか斗志。せっかくの慰安旅行なんだし。少しぐらい羽目を外しても罰は当たらないよ」

 

「ふむ。吹雪殿の言う通りだ。休暇の時ぐらい肩の力を抜いたらどうだ?」

 

「す、すみません・・・しかし、よかったのですか?こんな時に我々だけで温泉に慰安旅行に行くなど・・・」」

 

「せっかくの(ゆえ)様の御好意なんだし。いいんじゃないでしょうか?」

 

「そうですよ斗志さん。しっかり働いて、しっかり遊ぶ。天の運用と同じで何事も緩急をつけることは必要なのですよ」

 

と、雪風や志乃がそう言う。

 

「それに斗志だって、温泉って聞いて嬉しそうだったしな。」

 

「うっ・・・・それは///」

 

俺の言葉に斗志は顔を赤らめ目線を背ける。実は俺たちは詠に『最近あなたたちは働きすぎだから、たまにはゆっくり休んで』と言われそして(ゆえ)の好意により慰安旅行に行っているのだった。そして目的地はとある山岳の向こうにある隠し温泉村。俺たちは日ごろの疲れをいやすため今温泉街に向かっているのだ。

 

「隊長ぉ!斗志ぃ!何やってるんすか!早く来てください」

 

「早くしないとおいていくわよ♪」

 

と、いつの間にか桜花や川内は俺たちより結構前まで歩いていて俺たちを呼ぶのだった。

 

「あいつら・・・いつの間に」

 

「よほどうれしいんですね吹雪様」

 

「そうだな志乃」

 

「やっぱり温泉やテルマエは万国共通、人々に愛されるものだからな」

 

「てるまえ?アンチョビさん。てるまえってなんですか?」

 

アンチョビの聞きなれない単語に夕張たちは首をかしげる

 

「テルマエって言うのは簡単に言えば風呂のことだ。」

 

みんなの疑問を俺が答える。確かテルマエ・ロ〇エとかでも説明してたな。

 

「吹雪よく知ってるな~ そうだ。テルマエとはラテン語で『風呂』または『浴場』って意味なんだよ。私たちローマ人は大のテルマエ好きでな。私もローマにいたときはよく公衆テルマエ浴場とかに入ってたよ」

 

と、アンチョビさんは思い出し笑いをする。

 

「そうだったのか・・・・アンチョビ殿の国ではいつも風呂が入れるのか」

 

「ちょっと羨ましいです。お風呂なんて・・・」

 

この時代の風呂は貴重だ。毎日入れるわけではない。毎日入れるとしたらそれは皇帝かよほどの金持ちではできない。

 

「まあ、とにかく。今回は日ごろの疲れを今向かう温泉でゆっくり洗い流そうじゃないか」

 

「そうですね」

 

そういいながら俺たちは目的地へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

吹雪が温泉旅行に出かける少し前。とある豪華な屋敷

 

「はあ〜♪こうやって静かに一人で浸かっていると、一日の疲れがとれていくわ~」

 

と、この屋敷の主である袁紹がまるでマリーアントワネットのごとく豪華な大浴槽で一人入浴を楽しんでいた。すると・・・・

 

「麗羽様!」

 

「きゃあっ!」

 

いきなり緑色のショートヘアーで桜花と雰囲気が似ている少女が入ってきた。彼女の名は文醜。袁紹の側近の一人である。その文醜が慌てて入ってきたのだ。

 

「な、何よ猪々子。まさか敵襲!?」

 

と、袁紹は取り乱すが、

 

「そうじゃなくて、見せたいものがあるんです!」

 

「見せたいもの?」

 

「いいから、来てください!」

 

そういい文醜は袁紹の手を取り引っ張る。

 

「あ、ちょっと猪々子!私まだ、はだk・・・」

 

「大丈夫です!これ文字だけですから顔どころか姿すら写っていませんから!さっ!早く」

 

そういい強引に引っ張る文醜にとうとう・・・・

 

「もー!!いいかげんになさい#!」

 

ドカッ!

 

 

袁紹はついに切れ、文醜を殴るのだった。

 

 

 

 

 

 

そしてしばらくして袁紹はタオルを巻き部屋の椅子に座りその前には側近の一人顔良と、先ほど殴られ頭にたんこぶをした文醜がいた。

 

「あら?そういえば田豊(でんほう)さんは?」

 

「麗羽様。お忘れですか?真直(まぁち)はいま休暇で実家に戻っています」

 

「あら。そういえばそうでしたね。・・・・こほんっ!それであなたたち。私の憩いの時間を邪魔してまで見せたいものってなんですの?」

 

眉間をぴくぴくさせながら袁紹は言う。そしてその問いを顔良が答えた。

 

「はい。実は蔵の中を虫干ししていたときにこれが・・・・」

 

そういい顔良はいつの絵巻を広げる

 

「なによ?これ。きったない地図。それに虫食いだらけじゃない」

 

袁紹が興味なさげに言う

 

「それはそうなんですが、ここの字を見てください!」

 

そういって顔良は地図の隅に書いてある小さな字を指さす。

 

「なになに?『地図に記せし場所に、我らが生涯かけて蓄えた宝あり』・・・・宝・・・・・っ!?ひょっとしてこれって!」

 

「そうですよ宝の地図ですよ。掘れば金銀財宝がざっくざく。これで最近麗羽様の無駄遣い苦しんでいる当家の台所も・・・・」

 

「誰が無駄使いが原因ですって#」

 

「あ・・いやその・・・」

 

文醜が余計な事を言い出し、袁紹の額には青い筋が立っていた。するとそれを見て顔良は袁紹をなだめる

 

「まあまあ麗羽様。お金と赤ちゃんのおむつは困らないといいますし・・・」

 

「そうそう・・・」

 

「・・・・それもそうね。たしかにお金はたくさんありすぎても困ることはありませんよね」

 

「それじゃ・・・」

 

「ええ!明日の朝までには準備して、宝探しに出発よ!!」

 

こうして袁紹一行は宝探しを行うことになった。

 

 

 

一方、吹雪が歩いている別の山岳では・・・華琳と、春蘭、桂花、そしてその後ろには凪、沙和、真桜が馬を連れて歩いていた。

 

「しかし、よかったのですか?こんな時に我々だけで温泉に慰安旅行に行くなど・・・」

 

と春蘭が言った

 

「春蘭、仕事熱心なのはいいけどたまには休息も必要よ」

 

「そうですよ。しっかり働いて、しっかり遊ぶ。天の運用と同じで何事も緩急をつけることは必要なのですよ」

 

「そういうこと・・・」

 

「はあ~そうですか・・・」

 

「それにしても華琳様。私たちなんかを連れてきてよかったんですか?」

 

と、凪が言う。

 

「いいのよ凪。あなたたち三人はこの頃、新兵の訓練や警邏の仕事で働き詰めみたいだったからね」

 

「そうなのー凪ちゃん。たまには息抜きも大切なの~」

 

「そうやで。たまには息抜きしないと体壊すで」

 

「沙和や真桜はいつもそうだろ・・・・」

 

凪は小声でそう突っ込む。

 

「まあ、それはとにかく温泉、楽しみ。通しか知らない本当の穴場で、お湯には美肌効果があるからゆっくり使って、肌をつるつるにしてその後は・・・・・華琳様と二人で・・・・」

 

「んっ!」

 

「春蘭、そんな怖い顔しないで貴方を仲間はずれにしないから・・・」

 

「私は別にそういう意味で・・・・」

 

「ふふ・・・」

 

「ふふふ・・・」

 

華琳と桂花は互いに顔を合わせ笑う。

 

「それはともかく・・・秋蘭や季衣たちにはかわいそうなことをしましたね。一人だけ留守番なんて・・・」

 

「そうね。しかし、さすがに我が首脳部全員休暇を取るわけにはいかないでしょう。念のために誰か残ってもらわないと・・・」

 

「それはそうですけど・・・・・」

 

「春蘭様。それなら、留守をしているみんなにお土産を買ってはいかがでしょう?」

 

「おおぉ!凪。それはいい考えだな。そうだな・・・・秋蘭たちにはどんな土産がいいかな~」

 

帰った時のお土産を考えながら華琳一行は先を進むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、吹雪たちは・・・

 

「ん?」

 

「どうしたんだ星?」

 

「いや。何か臭うのだが・・・・」

 

「この臭いは・・・・もしかして」

 

「ち、違うっすよ!私じゃないっす!」

 

「桜花。そういう臭いとかじゃない。志乃」

 

「はい。これは硫黄の香りですね」

 

「硫黄ってことは志乃!」

 

「はい。お姉ちゃん。きっと近くに目的の温泉があるんですよ」

 

どうやら目的地に着いたようだ。それから俺たちは、一軒の小さな温泉宿に着いた。

 

「よっしゃ!私が一番乗りっす!」

 

「桜花に一番風呂なんてさせないわよ!」

 

女子人は女風呂の間に入ると早速桜花と川内が服を脱ぎ素っ裸となって温泉へと向かい走る。すると・・・

 

「そうはさせへんで!!」

 

「一番風呂は沙和たちのなのー!」

 

と、声が聞こえ、二人は横を見ると同じく一番風呂を狙ってるのか二人の少女が走っていた。

 

「なんだと!一番風呂は私のものっす!」

 

「桜花じゃなくて私よぉ!」

 

「いや!うちが先や!」

 

「沙和なのー!」

 

そして4人はヒートアップし

 

「「「「よぉーし!どっちが1番風呂先か勝負(だ)(や)(なの)!!」」」」

 

そう言い、4人は湯舟へと全速力で走る。

 

「こらぁ!桜花!川内!走るなぁ!他の客に迷惑だろ!!」

 

「真桜と沙和もだぞ!」

 

斗志と、もう一人あの二人の連れなのか体中傷だらけの少女が4にんを注意するが4人はそんな警告を無視して温泉に飛び込んだのだが

 

ゴッチーン!!

 

「「「「痛いぃ!」」」」

 

聞こえたのは水しぶきの音ではなく何かをぶつける音と4人の苦痛の声だった。

 

「どうしたんだ!」

 

その声を聞いたのか、2人はその場に行くすると・・・

 

「斗志ぃ!この温泉。湯が入ってないっす!」

 

「痛っーい!お尻にあざができちゃったなの~」

 

すると、その声を聞いたのかほかの人が来る。すると・・・・

 

「どうしたの?斗志。・・・・・あれ?あなたたち。真桜、沙和それに凪も!?」

 

「あ~志乃ちゃん!」

 

「なんでこんなところにおんねん!?それにお前夕張やないか!?」

 

「えー!?真桜!?あなたこそなんでこんなところにいるの!?」

 

「え?志乃、夕張。知り合いなのか?」

 

斗志は驚いて志乃と夕張に訊く。すると・・・・

 

「あら・・・」

 

「お主は・・・・」

 

そこへ華琳、春蘭、桂花の他に残りの吹雪隊幹部5人がやってきた

 

「あなたは曹操殿!?なぜこここに!?」

 

「あなたは確か、吹雪の副官の李傕・・・・あなたたちこそどうしてここに?」

 

「それは・・・・」

 

 

一方、隣の男子浴場では・・・・・

 

 

「あれ?お湯がない・・・・・・ん?なんか隣が騒がしいな・・・・・・何かあったのか?」

 

隣で意外な人物との再会を知らずに吹雪は湯の入っていない浴槽を見て首をかしげるのだった。

 

 

 




今日はここまでです。警邏隊の先輩である斗志達に会う凪たち…果たしてこの先どうなるのやら・・・・

そういえば恋姫新キャラの田豊や顔良こと斗詩って気のせいだと思いますが、田豊はSW(ストライクウィッチーズ)のペリーヌ。斗詩はゼロの使い魔のシエスタに少し似ていますね。
以上。疾風海軍陸戦隊でした次回もお楽しみに!!



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温泉を掘り当てろ

「まさか、あなたと再び会えるとわね。吹雪」

 

「ああ、俺も驚きだよ。華琳」

 

とある客室で、曹操一行と、吹雪一行がくつろいでいて、吹雪と華琳は話をしていた。ほかのみんなはというと

 

「は、初めまして李傕殿。私は楽進といいます。あなたのことは隊長が陳留にいたときに聞きました。」

 

「そう・・・・あなたが楽進ね・・・・・隊長からあなたの話は聞いたわ。・・・・ふふ。曹操殿のところにこんな真面目でいい後輩がいたなんてね。私のことは斗志でいいわ楽進殿。」

 

「私のことは凪でいいです。」

 

凪と斗志は似た者同士なのか意気投合して真名を呼びあっていた。

 

「いや~来ないなところで夕張に会うとは~元気にしてたか〜」

 

「何とか元気にしてるわ。それにしても本当に久しぶりね真桜。からくりのほうはどう?」

 

「ああ、まあ、ボチボチっといったところやな~」

 

「あ~その服、『阿蘇阿蘇』に載ってた服なの~!これ、すごく可愛いんよね~お姉さん♪」

 

「そ、そうなのか?志乃が選んで買った服なんでけどな・・・」

 

真桜と夕張は発明の話をし、沙和はアンチョビが着ていた私服を見て目をキラキラさせる。そんな会話がされていた。

 

「それにしても。せっかくの温泉旅行なのにお湯がなかったのは残念っすね」

 

「ふむ。私が聞いたところによると地元の人の話では半月ほど前に起こった地震の影響でほとんど湯がわき出さなくなったと言っていたな」

 

桜花の問いに星はお湯がない原因を言う。

 

「それにしても勢い良く飛び込んだからお尻が痛いわ」

 

「沙和もなの~」

 

「うちもや」

 

「私なんか尻に(あざ)ができたっす」

 

と、さっき生きよい良く湯舟にダイブし尻を強打した、川内、沙和、真桜、桜花がそう言うが

 

「桜花、川内。それはお前たち走って湯舟に飛び込まなければすむ話じゃないのか?」

 

「沙和や真桜もそうだぞ」

 

と、斗志や凪が突っ込みを入れる。

 

「しかし、これではせっかくの慰安旅行も台無しです。」

 

「そうね。久しぶりに温泉に入って疲れをいやそうと思ったのに・・・残念だわ」

 

一行は愚痴を言っていた・・・すると志乃が

 

「あの・・・みなさん、それでしたらだったら新しい温泉をさがしてみるのはどうでしょう?」

 

「新しい温泉を探す?」

 

「それってつまり他に温泉が湧き出る場所を探して掘ること?」

 

「はい、もちろん絶対に見つかるとはいえませんがやってみる価値はあると思います」

 

「確かに志乃の言う通りだな。このままっていうのも嫌だしやってみる価値はあるな」

 

「桂花、貴方はどう思う?」

 

「私も可能性はあると思います。幸いこの隠れ村のあたりは温泉が出る条件を満たせていますし」

 

「なら話は決まりだな。」

 

ということで吹雪・華琳組は共同で温泉を探すことになったのだが・・・

 

「ちょっと。待ってください皆さん」

 

「ん?何だ志乃?」

 

「全員ではなく、三班に分かれて探してみてはどうでしょうか?集団よりは班で別れて探したほうが見つかる可能性は上がります」

 

「確かにそうね・・・・で、どうやって班の人数を振り分けるの志乃?」

 

「はい。それは簡単です」

 

そう言い志乃は15本の割りばしを取り出した。

 

「これには5本ずつ色の違った割りばしがあります。これを皆さんがとって班を作ります」

 

「なるほど…・くじ引きか。これなら公平だな」

 

「そうね。それじゃあ、まず私が引くわ」

 

そう言い、華琳は志乃の手からくじ棒を引くそれに続き吹雪たちも引く。そしてくじの結果

 

紅組 吹雪、斗志、凪、志乃、川内

 

青組 華琳、桂花、春蘭、雪風、桜花

 

黄組 星 アンチョビ 真桜 沙和 夕張

 

 

と、なった。こうして温泉探しが始まったのだった。

 

青組

 

「そういえばあなたは確か吹雪の・・・」

 

「はい。吹雪隊所属の樊稠と申します。曹操殿」

 

「あなたの情報収集の噂はかねがね聞いているわ。あなた私のところに来る気はないかしら?」

 

「せっかくのお誘いですが曹操殿。私には隊長と董卓様がおります。ですので・・・・」

 

「そう、それは残念だわ・・・・・ところで桂花。もうだいぶ歩いているけど本当にそれで温泉は見つかるのかしら?」

 

「もちろんです。疑似科学を集めた推移の方法は温泉はおろか土中に埋まっている土管でさえ見つけられる優れものなんです」

 

桂花が手に持っていたのはダウジング棒だった。

 

「ふ~ん・・・そうなんだ」

 

桂花の説明に桜花と春蘭は不思議そうにそう見る。

 

一方 黄色組は・・・・

 

「はぁ~沙和もう歩き疲れたの~」

 

「何を言ってるんだ。まだ歩き始めたばかりじゃないか。そんなんじゃ、温泉は見つからないぞ」

 

「けど~こんな山道を探す必要あるのお姉さん?」

 

「大丈夫だ。このアンチョビの勘に任せておけ!」

 

「その勘。あてにしても大丈夫なのか?アンチョビ殿」

 

森の中でアンチョビを先頭に温泉を探す黄色組。

 

「そういえば夕張。その手に持ってっるのってなんや?」

 

と、夕張が持っているのは箱にダウジングを刺したものだった。

 

「え?ああこれ?これはね。ほら、真桜。小さいころお宝を探すからくり作ったことがあったよね」

 

「あ~そういや、あったな。そんなこと。もしかして・・・・」

 

「そう、そのからくりを私なりに改良したんだけどどうかしら?」

 

「どれ?そうやな・・・・あ、この歯車もうちょい緩くしたほうがええんやないか?」

 

「あ、そうね・・・・じゃあ、この部品はこうして・・・・」

 

と、夕張と真桜はからくりの話に夢中になるのだった。

 

 

そのころ、こことは別の深い森。宝探しに来た袁紹は道に迷っていた。

 

「う~斗詩、なんだかさっきから同じところを歩いているような気がするけど・・・まさか道に迷っていないでしょうね」

 

「迷ってはいないと思いますけど、この地図あちこち虫食いだらけで、どうすれば印の場所に行けるのかいまいち、わからなくって・・・・・・」

 

顔良は虫食いだらけの地図とにらめっこしながらそう言う。

 

「ちょっと、それじゃあ宝の在処へ行きつないんじゃありませんの!」

 

「あ~でもこの辺なのは間違いない・・・はずですけど・・・・」

 

言葉がだんだん小さく自信なさげに言うと・・・・・

 

「あっ!麗羽様。あれ!?」

 

「見つけましたの?」

 

文醜が何かを見つける。その言葉に袁紹は何かっと聞くのだった。だが文醜が見つけたのはお宝ではなく温泉探しに来た青組こと華琳の一行であった。

 

「げぇ!何よ、どうしてあの生意気小娘がなぜこんな所に?」

 

「あっ、もしかして麗羽様。あいつらも宝を探しているんじゃ?」

 

「あのくるくる小娘~またしても私の邪魔を・・!!」

 

華琳を見て怒り心頭の袁紹に文醜が言った。だが、華琳が探しているのは宝ではなく温泉だということは知る由もしない。

 

「麗羽様。見たところ武器を持っているのは夏侯惇含めあの剣を持ったのとあのチビ眼帯の3人。夏侯惇以外の二人は大したことはなさそうですし、ここは一か八か飛び出してあいつらをぶっ飛ばちゃいましょうか?」

 

「待って猪々子。こっちには麗羽様がいるのよ。それにあの二人なんかただならぬ雰囲気だわ・・・・」

 

「ああ、たしかに・・・」

 

「ちょっとお持ちなさい!!その言い方だとそれでは私が足手まといみたいじゃありませんの!!」

 

「みたいというか・・・・ずばりそのものというか・・・・」

 

「何ですってぇ!?」」

 

怒り心頭の袁紹を見て顔良が冷や汗をかきそしてこう思った。

『なぜ文ちゃんは余計なことを言っちゃうの!?』って

 

「麗羽様、落ち着いてください。とりあえずはもう少し様子を見ましょう」

 

「様子を見たところでどうなりますの?」

 

「このまま曹操達の後を付けて、奴等が宝を見つけたら。隙を見て、横取りするんです!」

 

「なるほど・・・・・・。それはいい考えね。さすがは斗詩さん」

 

「さっすが、智力32」

 

「むぅ。34よ文ちゃん・・・」

 

こうして袁紹組は華琳一行についていくことになった。だがこのときの顔良の判断は正しかった。なぜなら文醜が言った大したことのないっといった桜花や雪風は、腕前は文醜たちと互角。いやそれ以上の腕前なのだ。もしあそこで強行して襲い掛かっていたらあっさりとやられていただろう。

 

 

一方、華琳たちはしばらく歩いていると桂花が持っているダウジングが目に前いある岩に反応したのだ。

 

「あっここです」

 

「「え!?」」

 

「まじっすか!?」

 

「ここに間違いありません」

 

「じゃあ、この岩の下に温泉があるというのね・・・」

 

「それじゃ早速岩をどけて・・・」

 

「あっちょっと待って、喉が渇いたわ。さっき通り過ぎた所に小川があったからそこで水を飲んでからにしましょう」

 

「そういえば、さっき隊長にもらったおにぎりがあります。数も5つなので、重労働の前に腹ごしらえでもしませんか?」

 

「あら。それはいいわね」

 

「さすが雪風!抜かりないっす!」

 

「何も今でなくても・・・」

 

「まあ、春蘭。腹が減っては何とやらでしょ?私も華琳様のところに行くわね」

 

「ちょっと待って!それじゃあ私も!!」

 

そう言い華琳組は休息を取るべく小川のほうへ向かうのであった。そしてその様子を見ていた袁紹組は・・・

 

「どうやら見つけたようね」

 

「でも、あいつらいなくなっちゃいましよ」

 

「ぞろぞろ連れだってどこへ行ったのかしら?」

 

「厠じゃないですか?あたい達もよく連れだって行くじゃないッスか」

 

「い、猪々子・・・・あなた少し恥じらいっていうのを持ちなさい・・・」

 

文醜の言葉に袁紹が顔を赤らめそういう

 

「とにかく今のうちに宝をいただいちゃいましょう」

 

「そ、そうですわね」

 

そう言い3人はダウジングがさした岩を持ち

 

「この下のお宝が・・・」

 

「これをどかせば・・・・」

 

「せーので持ち上げましょ」

 

「「「せえぇーの!!」」」

 

3人力を合わせてその岩をどけることに成功し、自信と希望そして期待を含めた顔でどかしたところを見るのだが・・・・・

 

「ひっ!」

 

「む、むむむ」

 

「虫!?」

 

どかした場所のお宝はなく。あったのは百足やダンゴ虫などの虫がいた。そして虫は住処である岩をどかされ驚いたのかぞわぞわとあたりを走り回るのだった

 

「「「きゃあああああああ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

「どうしたんだ?志乃」

 

「いえ、何か声が聞こえた気がして・・・・」

 

一方、紅組は温泉を掘るため、シャベルやら鶴嘴(つるはし)なんかで堀作業をしていた。

 

「もしかして他のやつらが見つけたのですかね?」

 

「その可能性はあると思います斗志さん」

 

「それにしてもいくら掘っても湧き出ないね・・・・・そういえば志乃、出かける前に村の人たちにいろいろと聞いて、地図に何かを書き込んだけど、あれってなんだったの?」

 

「温泉って、地脈と水脈の交わる地点に湧くことが多いんだけど。そう言う所には、よく怪異が起こると言われてるのよ・・・例えば、変な雲がその上に一日中かかってるとか。怪しい光の柱が立ち上るとか、だから、村の人達にそういう言い伝えや体験談を聞いて、その場所に印を付けてたのよ」

 

川内の問いに志乃のはそう答える

 

「へぇ。じゃあ、ここもそう言う所の一つって、わけね。さすがは志乃先生だ」

 

「先生はやめてください斗志さん」

 

そんな話をしながら作業をしていると・・・・・

 

「ん?」

 

「ん?凪どうしたの?」

 

何かの気配を感じたのか凪は掘るのをやめる

 

「いえ、何かの気配を感じたので・・・」

 

「気配?」

 

凪がそう言った瞬間。

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

茂みから巨大なクマが出てきた。

 

「く、熊ぁ!?」

 

みんなが驚いている中、川内は・・・

 

「あっ!?お前はテンテン!!」

 

「「「え!?」」」」

 

「こんなところで会えるなんて!!テンテン!!」

 

川内はそう言いその熊に抱き着き、熊はというといきなりのことで困惑している様子だった。

 

「お、おい。川内・・・・・その熊知り合いなのか?」

 

「ええ、テンテンは昔飼っていた熊で子熊の時からずっと一緒に育ってきたんだけど、お姉ちゃんが大人になったらもう山に返しなさいと言うから・・・泣く泣くお別れしたんだけど・・まさかこんな所で会えるなんて、感動の再会ね!」

 

と、川内は嬉しそうにその熊をなでる。

 

「だけど川内。その熊本当に昔飼っていた熊なのか?」

 

「何言ってるの斗志。テンテンに決まってるじゃない!」

 

「じゃあ、川内。その飼っていた熊って左前脚に白い房があったか?」

 

「何言ってるのよ吹雪。テンテンにはそんなのないわよ。ほら・・・・・・・・てあれ?」

 

そう言い川内は左前脚を見る。するとそこには白い房があった。それを見て川内の顔はどんどん青くなる

 

「あはは・・・・どうやら人・・・いや、熊違いだったみたい」

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

「て、撤退っ!!」

 

吹雪がそう叫び一行は熊に追われてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、袁紹一行は宝探しを続け森の中を歩いていた。

 

「まったく・・・・・いったい何なんでしたの!!」

 

「きっと罠ですよ。荀彧の罠」

 

「んー、あの猫耳軍師め。今度会ったらただじゃおきませんわ!!」

 

「腰がぬけるまでイカと玉ねぎを食わせてやりましょう」

 

「鮑の肝もいいですわね。」

 

「あと鼻先にミカンの皮を二つ折りというのも効きますよ。」

 

と、地味な嫌がらせを考える二人。すると・・・・

 

「あ、麗羽様。あれ。」

 

「んなんですの?」

 

文醜が何か見つけた。それは星たち黄組であった。そして麗羽たちは彼女たちの持っている鶴嘴を見て・・・

 

「どうやら、あのもの達も宝探しに来たみたいですね」

 

「でもあいつらなんか強そうですよ?一人なんかでかいドリル持ってますし」

 

「そ、そうですわね。ここも少し様子を見ましょ」

 

そう言い、3人は様子を見るのだった。

 

 

 

 

「おっ!」

 

「どうしたんだ夕張」

 

夕張が何か驚きアンチョビは首をかしげてそう言う。

 

「真桜と、改良したこの探知機が反応したのよ!もしかしたらここに」

 

確かに夕張の持っている探知機のダウジングがある場所をさしぐるぐる回っているそれは。切り株だった。

 

「もしかしてこの下にここに温泉があるの?」

 

「よっしゃぁ!うちらが一番乗りやで!」

 

「では早速掘ってみるか・・・」

 

「愛しののテルマエ待ってろよ!」

 

そう言って星たちはその切り株を掘り起こしどけて掘ると・・・・

 

「ん?」

 

「どうしたの星?」

 

「いや、何か円匙(シャベル)に何か当たったような気がしてな・・・」

 

そう言って星はシャベルを持ち上げるとシャベルの上に乗っていたのは・・・・・

 

ブ~ンブ~ンブ~ン

 

「は、蜂なの!!」

 

「しかもスズメバチじゃないか!!」

 

星のシャベルに乗っていたのは大きなスズメバチの巣だった

 

「は、はよ!遠くへ捨ててえな!!」

 

「わ、わかった!えぇーいい!!」

 

そう言って星は思いっきりスズメバチの巣を遠くに投げる

 

「はあ~びっくりしたの~」

 

「反応したのは温泉じゃなくて蜂の巣だったのね・・・・もっと改良しないと・・・・」

 

「そうやな~」

 

と、黄組は気を取り直して温泉探しに出る。そして星の頬り投げたハチの巣はというと・・・・・

 

「あれ?あいつらまたどこかに行きますよ?」

 

「なんでかしら?」

 

すると・・・・

 

ひゅ~

 

「ん?なんかこっちに飛んできますわね?」

 

と袁紹が首をかしげてそういうと、彼女たちの目の前に星が頬り投げた蜂の巣が落ちてきたのだ!

 

ブ~ンブ~ンブ~ン!!

 

巣を壊され怒った蜂は袁紹たちに襲い掛かる

 

「「「「ぎゃあー!!!」」」」

 

こうして袁紹たちは蜂に追われることになってしまったのだ・・・・

 

 

 

 

 

 

一方、熊に追われた紅組は何とか熊を振り切ることができ、座り込んでいた

 

「はぁ・・はぁ・・・どうやら逃げ切れたみたいだな・・・・」

 

「まったく何が感動の再開だ!」

 

「いや~似ていたからついね」

 

「それにしても闇雲に逃げたから。場所が分からなくなってしまったな」

 

「ちょっと待ってくれ、志乃。地図貸してくれないか?」

 

「あ、はい」

 

そう言って、志乃は懐から地図を取り出し吹雪に渡す。

 

するとそのすぐ近くに・・・・

 

「はぁ~怖かった・・・」

 

「まったくもう。なんでわたくしたちがこんな目に・・・・」

 

「踏んだり蹴ったりですね麗羽様・・・・・あ、麗羽様あれ」

 

そう言い文醜が吹雪たちに気付く

 

「あいつらも宝を狙ってるんじゃないですか?」

 

「麗羽様。あの者達の地図見た所、虫食いもありませんしあれなら宝の在処が分かるかも・・・・」

 

「いただいちゃいましょう!!」

 

「そうね。ここは強行突破ですわ!!」

 

そう言い袁紹たち茂みから飛び出し・・・・・

 

「えっ・・・きゃあ!」

 

すぐ近くにいた志乃を捕まえた。そして志乃の悲鳴を聞いた吹雪たちは・・・・

 

「なっ!お前たち何者だ!」

 

「志乃を離せ!!」

 

吹雪と凪がそう言うすると袁紹はお嬢様風の高笑いポーズをし

 

「おっほほほ!!」

 

「ちょっ!あなたたち何をするんですか!!」

 

「ええい、うるさい!!」

 

「この娘を返してほしくば貴方達の持っているその地図を私にお渡しなさい!!」

 

因みに地図はいま吹雪が持っている。

 

「早くお渡しなさい。でないとでないとこの小娘たちがどんな目にあうのか?」

 

「それよりあんただれだよ?」

 

「まあ、この名族袁紹の名を知らないなんて、とんだド田舎者ですわね」

 

「え、袁紹!?」

 

吹雪は袁紹っという名を聞いて驚く

 

「それはともかく早く、地図をお渡しなさい。さもないとこの娘が一生不幸になるわよ」

 

「おい、もはやそれ名族の姫さんが言うことじゃないよ」

 

「悪党の言い方だなそれ」

 

「名族が聞いてあきれます」

 

斗志と川内、凪が突っ込む

 

「お黙りなさい!!さっさとその地図を渡しなさい!」

 

と、袁紹は脅すが・・・・・急に吹雪たちは顔を青ざめ少しづつ下がる

 

「あら?どうしたのかしら?私の言葉がそんなに恐ろしかったのかしら?」

 

「吹雪様。どうしたのですか?」

 

人質に取られても冷静に聞く志乃

 

「あ、・・・あの袁紹さん?人質離して逃げたほうがいいんじゃないか?」

 

「あら?なぜですの?」

 

「う・・・後ろ・・・・」

 

「おっほほほほ、後ろだなんてそう言って、こちらが振り向いた隙に人質を取り返そうという作戦なんですけど、そんな手に引っ掛かると思うのかしら・・・おっほほほ・・・ほ」

 

「「「え!?」」」

 

袁紹は高笑いをしながら人質を確認するが、何かを見て硬直する。そして、四人も後ろを振り向いた。そこには・・・・

 

「グオオオオオオ!!!」

 

「「「「で、でたぁー!!!」」」

 

先ほどの大熊だった。それ見た袁紹たちは志乃を離し急いで逃げる。そして熊は吹雪たちには目もくれず袁紹たちを追いかけたのだった。ちなみに志乃はどさくさ紛れ吹雪の後ろに隠れたのだった。

 

「志乃。無事か?」

 

「はい。大丈夫です。それよりあの人たちは大丈夫でしょうか?」

 

「さあ?まあ、きっと大丈夫じゃない?私たちも逃げきれたんだし」

 

「それもそうだな。」

 

と、吹雪たちは熊から逃げ行く袁紹たちを見送るのだった。いっぽう、熊から逃げる袁紹たちは・・・・

 

「「「いやぁー、来ないで!?」」」

 

熊に追われる袁紹一行。ずっと逃げ続けているが。前をよく見ていなかったのか崖から落ちてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・羽様!麗羽様!」

「ん……」

 

自分の名を呼ぶ声。それを聞いて、袁紹はゆっくりと目を開いた。

 

「よかった!気がつかれたんですね」

 

「麗羽様〜〜!!うんともすんとも言わないから死んじゃったと思いました~!!」

 

「猪々子……斗詩……」

 

目の前には、瞳から溢れんばかりの涙を流す二人がいた。二人は彼女が無事なのを知り、泣きながら抱きついた。

 

(二人とも、わたくしのこと、こんなに心配してくれて……。わざわざこんな所まで探しに来なくても、宝は近くにあったのかも……)

 

そう思い彼女は今までとは違う優しい笑みを見せるのだった。

 

「さ、、二人とも帰りましょうか」

 

「え?でも宝は?」

 

「もういいんですのよ」

 

このとき袁紹はこう思った宝よりももっと大切なものがあるっと。すると袁紹はそばにあった大きな岩に手を乗っけるすると・・・・・

 

ぐらっ

 

「へ?」

 

岩はいきなり倒れそこから温泉が噴き出すのだった。そして・・・・

 

「いいですこと?この温泉は私が見つけたんですからね?ちゃ~んと、感謝して入って下さいまして」

 

その後、吹雪隊一行、華琳一行、袁紹一行は温泉に入っていた。ちなみに吹雪は真桜、夕張の作った別のほうの風呂場で温泉を楽しんでいた。

 

「ふん、見つけたといっても偶然でしょ」

 

「あーらー、そこの貧乳小娘がなんか言ったみたいですけど・・・斗詩、聞こえまして?」

 

「ええ、何かひがみっぽいこと言いましたけど、胸が小さいと心もせまくなるでしょうかね?」

 

袁紹と顔良に嫌みを言われて、そっぽを向く華琳。すると・・・・

 

「それにしても顔良殿と字違いとはいえ同じ真名とは・・・・」

 

「確かにそれは驚きましたね・・・・」

 

実は少し前文醜が顔良の真名を言ったとき斗志が自分のことだと思い怒って喧嘩になったのはまた別の話。

 

「確かにそうっすね~」

 

「それもそうだが、そういえば桜花と文醜は髪の色以外顔や性格も似てるよな?」

 

「「誰がこんな間抜け面だ(っすか!)」」

 

アンチョビの言葉に桜花と文醜が突っ込む。

 

「まあ、それはさておき。それにしても服を脱いでの勝負は我々の圧倒の様ね」

 

「むむ~」

 

「はい、まあ猪々子はおまけみたいですけど・・・」

 

「え!?」

 

「物量なら圧倒的かと・・・・」

 

と胸を自信まんまにしている袁紹一行だが・・・・

 

 

「量だけで質を問わないとは・・・・・・。いかにも、いくさ下手な袁紹軍らしいこと」

 

「何ですってぇ!?」

 

「本当の事を言ったまですわ。それとも無駄な胸の脂肪に栄養を取られて、回転の悪くなった頭では理解出来ないのかしらぁ~~」

 

華琳の皮肉たっぷりの言葉に袁紹が切れて、立ち上がり、華琳と口論となる

 

「胸が大きいと頭が悪いなんてとんでもない俗説ですわ!!」

 

「そうだぞ。それでは私も頭が悪いということになってしまうではないか!!」

 

「そうっす!!」

 

「ってあなたたちはどっちの味方なのよ?」

 

「ちょっと仲間割れはよせ!せっかくのテルマエなんだぞ!!」

 

喧嘩しているところアンチョビが制止させる。

 

「そもそも胸の優劣を大きさでつけること自体間違いなのよ!!もっと色とか形とか・・・・感度とか・・・・////」

 

「そうだ!胸なんてしょせん腹にある無駄脂肪が胸に行っただけだ!胸なんて飾りでしかない!!」

 

桂花の言葉に斗志は賛同するが、巨乳である斗志が言っても説得力がないそれどころか・・・

 

「じゃあ、その胸よこせぇ#!!」

 

「斗志っ!てめぇ、それは嫌味か#!!」

 

「いらないんだったら私に下さい副長殿#!!」

 

「うわぁ!?やめろお前ら!!」

 

火に油を注いでしまった。そしてその言葉を聞き文醜と川内、雪風が斗志に襲い掛かる。

 

「それにしても。温泉気持ちい~」

 

「そやな〜日頃の疲れが癒されるわ〜」

 

「まったくね~ん?どうしたの志乃?」

 

「いえ、星の姿が見当たらなくって・・・」

 

「そういえばそうっすね・・・・」

 

と、静かに温泉を楽しんでいる沙和、真桜、凪、夕張、志乃、桜花は星がいないことに気付く

 

 

 

 

「はぁ~いい湯だな~」

 

一方、吹雪は男一人温泉を楽しんでいた。

 

「ゆっくり湯につかるのは久しぶりだな~」

 

「確かにそうですね吹雪殿」

 

「うん。そうだな・・・・・・ん?」

 

と、吹雪はだれかと話していることに気付く。そして横を見ると・・・・

 

「星っ!?お前なんでここにいるんだよ!?」

 

「なにって?温泉に入っているのだが?」

 

「いや、それはわかってるんだよ!なんで男子湯に・・・・」

 

吹雪が困惑していると星は吹雪にしがみつく

 

「せ、星?(やばい!何か柔らかいものが!!)」

 

「ふふっ・・・・吹雪殿も初心ですな~」

 

と妖艶な笑みを見せる星。すると・・・・

 

「あぁー!!やっぱりここにいたんすか!!」

 

「星!抜け駆けは許さないわよ!!」

 

「げぇ!斗志!?それに桜花も!?」

 

と、今度は斗志や桜花や詩乃、雪風。それに交じり凪たち(実は華琳もこっそり紛れ込んでいた)もいつの間にか吹雪たちの湯に乱入してきて大騒ぎになったのは言うまでもない。

 

 

 

あれから数日後。休暇を終え、天水に帰った吹雪は急に詠に呼び出されていた

 

「こんな朝早くなんだろ?そういえばなんか兵たちや役人たちが荷物をまとめていたけど・・・・」

 

そんなことを呟きながら、吹雪は詠たちのところにつく

 

「やあ、待たせてごめん詠。」

 

「いえ、急に呼び出してごめんね」

 

「で、なんか急な用事か?」

 

「ええ、実は朝廷から、手紙が来たんだけど・・・・」

 

「手紙?(まさか・・・・・)」

 

「ええ、私たちは都、洛陽に行くことになったわ」

 

 

 

 

 

このとき止まっていた時が再び動き始めるのだった・・・・・

 

 




はい。今回は長めに書いてしまいました。ということで次回は反董卓連合の序曲洛陽編を書きたいと思います。
次回も頑張って更新したいと思います。


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洛陽編
洛陽出発前夜


「とうとう。この天水を離れるんですね。吹雪さん」

 

「そうだな。少し寂しくなるよ」

 

今俺は(ゆえ)とともに天水の街を歩いていた。(ゆえ)の今の格好はいつものお忍びで着るあの町娘の格好だった。なんで(ゆえ)が一緒にいるかというと、最後でいいから自分が住んでいた町を最後にもう一度、歩きたいとのことだった。

 

(ゆえ)。寒くないか?」

 

「大丈夫です。もうすぐ春ですし、少し暖かいので・・・」

 

「そうか・・・・でも、無理はするなよ」

 

「はい。」

 

明日にはこことも別れなければならない。思えばこの街にはいろんな思い出がある。その思い出の街を離れるのは少し寂しいっと思った。それはこの街に長くいる(ゆえ)(えい)だって同じ気持ちだろう。

すると、(ゆえ)は俺に手を差し伸べる。

 

(ゆえ)?」

 

「すみません吹雪さん。手を繋いでもいいでしょうか?」

 

と、顔を赤らめながらそういう(ゆえ)。俺は少し照れ臭かったが

 

「ああ、いいよ」

 

そう言い俺も彼女の手を繋ぐ

 

「////」

 

すると(ゆえ)は顔をさらに赤くし、そのまま歩く。

 

「吹雪さん。そう言えばもうお昼ですね。どこかで食べませんか?」

 

「そうだな。もうそんな時間か・・・・・(ゆえ)は何が食べたいんだ?」

 

「そ、そうですね・・・・・吹雪さんのお勧めでお願いします」

 

「そうか。じゃあ、あそこに行くか。」

 

そう言い、俺は(ゆえ)を連れてあるところに向かう。

 

(それにしても俺がここに飛ばされてからもうすぐ1年たとうとしてるのか・・・・みんなは元気にしてるかな。そう言えばダチの才人のやつパソコン修理するため秋葉に行くって言ってたけど元気にしてるかな。それと良晴は・・・・相変わらず戦国ゲームやってそうだな。)俺は自分のいた時代にいた友人のことを考えていた。

するとそうしているうちに俺と(ゆえ)は目的の場所につく。そこは・・・・

 

「ついたよ(ゆえ)

 

そう言い吹雪が来たのは吹雪の行きつけの店『朱雀屋』だった。そして吹雪と(ゆえ)は店の中に入る

 

「いらっさいませ!あっ!吹雪さん。あら?その人は誰ですか?」

 

店に入るとそこには『朱雀屋』の看板娘である典韋がいた。

 

「やあ、典韋ちゃん。この子は俺の知り合いの子でね」

 

「トントンっといいます」

 

トントンっというのは(ゆえ)が町娘に変装している時の偽名だ。

 

「そうですか。それじゃあ、好きな席に座ってください」

 

「おう、ありがと」

 

するとほかの席には・・・・

 

「あっ!やっぱり隊長も来たんっすっか!ここ空いているっすよ!」

 

そこには吹雪隊のみんながいた。どうやらみんなも天水最後の日だからここに来たいと思ったんだろう。俺と(ゆえ)は桜花に呼ばれその席に座る。よく見ると、雪風や星、斗志に川内、夕張や詩乃、アンチョビさんもそこにいた。

 

「やっぱりみんな来ていたのか」

 

「当たり前だ吹雪殿。ここはメンマの園の次に美味い店ですぞ。」

 

「ですから、ここを離れる前にもう一度この店に来ようと思っていたんです」

 

と、星や雪風がそう言う。すると・・・

 

「お待たせしました。」

 

っと典韋が料理を持ってきた。

 

「おおっー!おいしそう!!」

 

「豪勢だな~」

 

そう言い、俺たちは食事を楽しむすると・・・

 

「あ、あの・・・・皆様方は洛陽に行ってしまうんですよね?」

 

「はい。明日にはここを離れてしまうんです」

 

と、志乃がそう答える

 

「そうですか‥‥皆さんは店のお得意様だったので少し寂しくなります」

 

「そうっすか・・・・何ならうちらのとこに来るっすか?」

 

寂しそうな顔をしてそう言う典韋に桜花がそう言うと典韋は首を横に振り

 

「すみません。それはできません。実は私もこの店を出ていかなければならないんです」

 

「ふ~ン…なんで?」

 

「実はこの前親友から手紙が来て、陳留に行かなきゃいけないんです」

 

「そうか‥‥それは残念だ。あっ!そうだ。俺、前に陳留の曹操さんのところで客将をしてたから力になれるかもしれない。その人の特徴と真名じゃない名前を教えてくれないか?」

 

「本当ですか?ありがとうございます!特徴は背は私くらいで食べるのが大好きで名前は、許緒です。」

 

許緒・・・。もしかして・・・・・・

 

「ご存知ないですよね?」

 

「いや、よく知ってるよ。ていうか許緒、今、曹操のところで親衛隊やってるよ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、何なら紹介状、書こうか?」

 

そう言いうと、それを察したのか斗志が紙と筆を執り俺に渡す。本当に手際がいいよ斗志は・・・・俺は紹介状を書き上げそして典韋に渡す。すると典韋は嬉しそうに

 

「ありがとうございます!」

 

頭を下げてお礼を言う典韋。

そしてこの後俺たちは(ゆえ)を囲んで大騒ぎするのだった。ちなみにみんなは(ゆえ)のことはトントンと呼んでいた。それはお忍びだということを理解してのことだった。(ゆえ)も楽しそうに笑っていた。本当に良かった・・・・そして日もくれた夜

 

「うい~斗志~まだまだいけるっすよ~」

 

「桜花しっかりしなさい」

 

「お姉ちゃんも大丈夫?」

 

「ああ、志乃~。私なら大丈夫ら~」

 

みんな気持ちいいくらいによってフラフラだった。星はというと最後にメンマが食べたいっというのでメンマの園に向かった。

 

「吹雪。後のことは私たちに任せて。あなたは(ゆえ)さんのことお願いね。ほら夕張しっかりしなさい!」

 

川内がそう言い、酔いつぶれている夕張を担ぎ、その場を後にし、残ったのは俺と(ゆえ)だけだった。そして俺と(ゆえ)もしばらく天水の街を見ながら屋敷へと向かう。今夜は満月なのか、街並みはとても明るく。道路は月光に照らされ、まるで白い絨毯のように照らされていた。

 

「楽しかったですね。吹雪さん」

 

「そうだな」

 

(ゆえ)も酒を飲んでいたがそんなには酔ってはいない。だが、顔は少し赤いがその顔はとても幸せそうな顔だった。

すると(ゆえ)は寒そうに肩を震わせる。そう言えば春とはいえまだ肌寒いな・・・・それを見た俺は軍服の上着を脱ぐ

 

「ふ、吹雪さん?」

 

「今夜は冷えるからな。暖かい格好をしないと風邪ひくよ(ゆえ)

 

そう言い俺は上着を(ゆえ)に掛ける。

 

「で、でもそれだと吹雪さんが・・・・」

 

「大丈夫。俺、結構そう言うの慣れているから。それに女の子が身体を冷やすのはよくないからな」

 

不適の笑みでそういう吹雪のその言葉に(ゆえ)は顔をさらに赤くする。

 

「吹雪さん。ありがとうございます(暖かい・・・・)」

 

と、吹雪に満面の笑みを見せる(ゆえ)。それはまるで月の光と同じくらいの慈愛に満ちた優しい笑みだった。この時(ゆえ)は思った。私も彼のように少しだけ強くなろう。少しでもみんなの為にと心に決めたのだった。

 

 

 

 



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洛陽入城

あれから翌日、俺たち董卓軍は天水を出発した。その時は天水の街の人たちが盛大に見送ってくれた。うれしい限りだ。そして天水を出てから数日、董卓軍総勢約3万を超えるだろう軍勢はいま長安の街につき、今休憩を取っている。

ここから洛陽まで・・・・数日か。まだ先が遠いな。その後俺たちは休憩を終え、また歩き始める。今更だがこの時に車とかそういう現代の乗り物の有難みを感じるのだった。そしてあれから数日後、もうすぐ洛陽につきそうだ。

 

「もうすぐ洛陽だな・・・・どんな街なんだ詠?洛陽って確か皇帝が住んでいる都なんだろ?」

 

「そうね…僕もここに来るのは久しぶりだから・・・・ん?どうしたの(ゆえ)?」

 

俺と詠が話していると月は元気のない様にうつむく。

 

「詠ちゃん。吹雪さん・・・・・私ちょっと心配で」

 

「心配?何が?」

 

「洛陽の人たち、私たちを歓迎してくれるかな・・・・」

 

「大丈夫だよ。別に石を投げられるんじゃないんだから。月は心配性ね・・・」

 

「でも詠ちゃん・・・」

 

「大丈夫だよ月。俺たちがついている。だから心配するな」

 

「吹雪さん・・・・・・」

 

そうこうしているうちに俺たちは月を先頭に洛陽の中に入る。すると・・・・・

 

「「「「うわあぁぁぁぁぁぁー!!!!!」」」」

 

俺たち董卓軍が洛陽の街に入った瞬間、大歓声が上がる。

 

「な、なんや!?」

 

「!?」

 

あまりの声に霞や華雄もびっくりする。俺も驚いて周りを見るとそこには洛陽の街の人たちが旗を振って出迎えたのだ。その顔には希望や喜びの顔にあふれていた。

 

「こ、これは・・・・」

 

あまりの歓迎に月は言葉が出ないでいた。すると一人の老婆がやってきて

 

「董卓様。お会いできて光栄です。あなた様の噂は聞いております。これでこの街にも明るい光が戻るでしょう」

 

と、涙を流して嬉しそうに月に言う。

 

「すごい歓迎ですね。吹雪様」

 

「ああ、本当だな。これも月の人徳ってやつなのかな?」

 

そして董卓軍は洛陽へと凱旋する

 

「あれが董卓軍か」

 

「見てあそこにいる兵隊たち妙な格好をしているけど・・・」

 

「でも奇麗な隊列だね~」

 

「あの兵隊たちの前にいる地味な枯草の服を着ている人ってうわさの天の御使いかな~」

 

と、町の人たちは興味津々にみていた。

そして俺たちは、洛陽の屋敷につく。すると・・・・

 

「お待ちしておりました。董卓殿」

 

と、屋敷の中から短い白髪の少年みたいな人物と水色の髪をした女性がやってくる。

 

「あなたは・・・・・」

 

「申し遅れました。私は宮廷に仕える十常侍の筆頭。張譲(ちょうじょう)っと申します。そして隣にいるのが・・・」

 

「趙忠っと申します以後お見知りおきを。」

 

二人は名を名乗り、挨拶する。すると趙忠が俺の顔を見てフフッっと笑う。なんだろう?

 

「は、初めまして。わたしは董卓と申します」

 

「うむ。おぬしの天水での政ごとは洛陽に届いておるぞ董卓。おぬしのここでのの働き期待しているぞ」

 

張譲はそう言うが、その目は何か良からぬことを企んでいることに吹雪は何か感じていた。すると張譲は吹雪に気付いたのか近寄ってきた。

 

「あなたですか?天よりこの地に舞い降り、黄巾の乱を終結に導いた英雄は?」

 

そう言い彼は俺のほうをじっと見る。ちなみに俺は彼の言うような大したことは一切していない。あれはみんなの力があってのこと俺一人どうにもならなかった。

 

「董卓軍所属の沖田吹雪です。あれは私一人の力ではありません。みんなが力を合わせた結果です張譲殿」

 

「ふむ。漢民族ではないのに礼儀をわきまえておる。」

 

張譲は首をうんうんと頷き、そして趙忠に振り替える

 

「趙忠、私はこれから何進と話をしなければならん。すまぬが後を頼む」

 

そう言い、張譲はあとのことを副官である趙忠に任せその場を去る。だがこの時、張譲は月が見えなくなる位置に行くとにやりっと薄気味悪い笑みを出すのだった。

 

「さて・・・・それでは董卓殿。御使い殿。はるばる来ていただき誠にお疲れさまでした今日はゆっくりと旅の疲れをいやしてください。」

 

その後、俺たちは長い旅路の疲れを癒すため引っ越しの荷物を入れ終わった後ゆっくりと休むのだった。

 

 

 

 

一方、張譲は誰かと話していた。

 

「張譲様。どうですか?」

 

「ああ、いい塩梅だよ丁原、王允・・・・これで洛陽の政を操るいい手駒が手に入った。これでもうすぐ漢王朝は俺のものだ」

 

そういい、二人の部下にそういう張譲。その一人王允は雪風にあの手紙を渡したあのフードの女性だった。

 

「それで、我らは・・・・?」

 

「安心しろ二人とも。私が漢王朝を指揮する人材となった暁には樊稠も含め漢王朝一の役人や将軍職に就かせてやる」

 

 

「ははっ!」

 

そんな密会が行われていた。

 

 

そして、それから翌日俺と、詠そして月は急遽、なんでも現漢王朝の皇帝である霊帝が会いたいっとのことだ。宮廷に呼ばれた。月や付き人である詠はわかるがなんで俺も?どうやら俺が天に御使いと聞いて興味があるらしい。そして俺たちは王座の間につく。俺たち三人は一様偉い人の前なので頭を下げている。まあ、よく三国志のドラマを見ている人はお分かりだろうがあのお辞儀だ。すると・・・・

 

「皆の者面を上げよ」

 

と、女官の声が聞こえ俺たちは顔を上げるすると目の前には、昨日会った趙忠さんと、その隣に白と銀色を混ぜた長い髪に派手で豪華な服を着た少女が座っていた。俺たち三人は一様偉い人の前なので頭を下げている。

 

「私が漢王朝皇帝の霊帝よ。あなたが董卓と巷で聞いた天の御使いね」

 

「はい。董卓と申します霊帝様」

 

「ふ~ん・・・・・思っていたのより随分と小さいのね。まあ、いいわ。私、政なんか興味ないしそれについてはあなたに任せるから。そこのところお願いね」

 

「は、はい・・・・」

 

と、ぶっきらぼうにそう言う霊帝に月は苦笑し、詠にいたっては少し顔が引きつっている。まあ、当然か国の頂点に立つ人間がこんなんじゃ不機嫌にもなるか・・・・

 

「で、そこの女の子みたいな顔の人が天の御使いね。あなたのことは私、興味があるのよね~」

 

さっきとは打って変わり、俺に積極的に言う霊帝。だが、そのあととんでもないことを言う

 

「あなた。地味な格好をしているけど、よく見たら結構いい顔をしてるし決めたわ。あなた董卓に仕えるのを止めて私に仕えなさい!」

 

「「「っ!?」」」

 

あまりの言葉に俺たち三人は驚く

 

「さあ、どうしたの?さっさと私の配下になりなさい。」

 

と、彼女は言うのだが

 

「申し訳ありません。皇帝陛下。私は董卓殿に仕えると決めた身。それに今の生活が気に入っているんでお断りさせていただきます」

 

と、俺は丁重に言うのだが

 

「私の命令に逆らうの!?」

 

と、大声を上げ、月は少し震えている。しかし、吹雪は冷静に頭を下げ

 

「はい。皇帝陛下自らいただいたありがたい話ですが、私には大切な家族がそこにいるので」

 

俺は月のほうを見る。

 

「そう・・・・残念だわ。せっかく天の国の話を聞きたいと思ってたのに・・・・」

 

と、霊帝は残念そうに言う

 

「そう言うことでしたら、いつか空いた時にお話しします」

 

「ほんと?でも今じゃなくて?」

 

「はい。今はやるべきことが山ほどあります。あなたの暮らす都の民のために働かないといけないので、」

 

俺がそう言うと

 

「あなたっ!霊帝様に無礼ですよ!霊帝様の命令より民のことを優先させるのですか!?」

 

趙忠さんがそう言うが・・・

 

「待ちなさい(ファン)。・・・・・・・わかったわ、今回は諦めるわ。・・・・・・あなた名前は?」

 

「沖田・・・・沖田吹雪と申します陛下」

 

「そう、沖田ね。覚えておくわ。それじゃあ、三人とも用はそれだけだから、仕事に戻っていいわよ」

 

「「「はっ」」」

 

そう言い、俺たちは宮殿を出た。そして王座の間に残されたのは霊帝と趙忠だけとなる

 

「いいのですか空丹様。あの無礼者を許して?」

 

「いいのよ黄。あのように身分も関係なくはっきりと言う人物、嫌いじゃないわ。裏で悪だくみしている奴らよりずっと信用できそうだからね。それより趙忠!例のお菓子届いた?」

 

「はい♪超高級のお菓子です」

 

「それじゃあ、さっさと持ってきて今すぐ食べたいから。もしおいしくなかったらお仕置きだからね」

 

「はいはい。も~空丹様は可愛いんですから、もっと罵ってください~♪」

 

そう言い、趙忠はお菓子の取りに行く

 

(それにしても…あの董卓と、御使い・・・・・少し試させますか)

 

「趙忠!まだかしら?」

 

「はいはい。すぐにお持ちします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、月たちは・・・・

 

「はぁ~緊張したよ詠ちゃん」

 

「大丈夫?でも何なのよあの態度。いくら皇帝でも政務をほっぽるなんてどうかしてるわ!それに吹雪も引き抜こうとするなんて」

 

「まあ、まあ、そう目くじら立てんなよ詠。」

 

「そうだよ詠ちゃん」

 

だがこの時、詠と月はこう思った

 

((よかった・・・吹雪(さん)があの人(無能)に引き抜かれなくて))

 

と、安心して息をつくことに吹雪は気づかなかった。

 

 

 



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洛陽

あれから数日後、俺は前と同じ、洛陽での警邏隊長に任命されたが、俺はこの街に来たばかりでよく街のことはよく知らない。そこで俺と斗志は洛陽の警邏の任についていた元警邏隊長とともに洛陽の街を見ることにんなったのだ。そして俺はその案内人のところに来て敬礼する。

 

「沖田です。今日はよろしくお願いします」

 

「元警邏隊長の李粛(りしゅく)です。お待ちしておりました御使い様」

 

李粛と名乗った女性。確か李粛って漢の騎都尉で弁舌に長けた人だった気がするけど・・・その李粛さんの格好は漢王朝の近衛兵が着る鎧姿で、髪は青い髪をショートカットの少女であった。

 

「すみません。だいぶ待たせてしまいました?」

 

「いえ、そんなに。それと御使い様。その隣にいる方は・・・」

 

李粛さんは俺の隣にいる斗志に気付き声をかける。

 

「ああ、彼女は俺の副官の李傕だ」

 

「李傕・・・・・あの鬼の副長の・・・」

 

斗志の名を聞き李粛さんは冷や汗をかく

 

「ん?どうしたんですか?」

 

「あ、いえ・・・・なんでもありません。天の御使い様とその副官の前に少し緊張しているだけです」

 

「それはいけませんな・・・・あの。俺のことは普通に接してもいいのですので」

 

「そういうわけにはまいりません!それよりも御使い様!洛陽の街を案内いたします」

 

「え?ああ、わかりました。それではお願いします。斗志」

 

「はい」

 

李粛の元気な声に連れられ俺たちは彼女についていく。

 

「御使い様・・・」

 

「ん?何だい李粛さん」

 

「これから見る光景・・・・先ほどは董卓様を歓迎して賑やかそうでしたけど、あれはあの町の本当の姿ではありません。あの街は見た目ほどいいところではありません、それだけは頭に入れておいてください」

 

と、李粛さんはさっきの緊張していた顔から一変し真剣でそしてどこか悲しい顔をしてそう言うのだった。そして俺と斗志は改めて洛陽の街の様子を見愕然としていた。

凱旋した時と違い、表向きはそれなりに栄えている様に見せかけていて・・・その少しでも裏を覗けば本当に酷い有様だった。浮浪児や放浪者が壁にもたれ掛け俯き、そして役人らしき人間が店の人にいちゃもんを付けては店主に何事か言う。店主その顔が真っ青に染め上げられ・・・俯いた。それを満足そうに見てその文官は商品を奪い店の前から立ち去る。正直言って腐ってる・・・・

 

「これは・・・・」

 

斗志も怒りでわなわなと震えている。そして・・・・

 

「李粛!お前ここの警邏隊の責任者だったんだろ!なんであの者たちを処罰しなかったんだ!」

 

斗志はそう言うと

 

「私だってこんなんではいけないとずっと思っています!ですが警邏隊の指揮官だけの身分ではどうすることもできないんです!私だって民の人を助けたいそう思い何度も上に報告していたわ、でも奴らは耳を貸さず自分のことしか考えていなかった!私は・・・・ただ見ていることしかできなかったんです」

 

彼女はそう言いフルフルと震えながらそおう言うその目には涙がにじみ出ていた。

 

「李粛さん・・・・大丈夫です。月や俺たちが来たからにはもうそんなことは起こさせません」

 

「御使い様・・・・」

 

「俺はこの街を変えたい・・・・・あの天水の街のように。明るく子供たちが笑って暮らせるようにね・・・」

 

俺がそう言うと彼女は安心した顔を見せる。そして俺たちは再び街の中を歩き続ける。子供に笑顔が少ない、店に活気が感じられない、何よりも暮らしている市民が安心していない。

 

「(市民同士の小競り合いは無いのに・・・上が腐っている・・・これは大仕事になりそうだ)」

 

そう思う吹雪だった。そして次の場所に向かう途中・・・・・

 

「ん?吹雪ではないか」

 

「あっ!華雄」

 

俺たちは偶然、姉貴分でもある華雄に会う。

 

「街の視察か?」

 

「ああ、警邏の仕事をする前にこの街のこと、もっとよく知らないといけなくてな。華雄はなんでここに?」

 

「まあ、お前と似たような感じだ。それと私はこの後関所に行くつもりだ」

 

「関所に?」

 

「ああ、なんでもそこは結構柱がけっこう傷んでいるらしくてな。そこで修復工事をしているっと聞いて見てみようと思ってな」

 

「そうか・・・・で、その場所は?」

 

「汜水関だ」

 

「っ!?」

 

俺はその関所の名に驚く。汜水関っといえば華雄・・・・橘花の最後の地だ。確か橘花はそこで関羽に討ち取られて死ぬんだっけ・・・・

 

「隊長?」

 

「吹雪。どうしたんだ?」

 

俺がそう考えている時、斗志と橘花が心配そうに顔をのぞかせる

 

「へっ?ああ、何でもないよ・・・・で李粛さん。次はどこに?」

 

「え?ああ、華雄将軍の向かう汜水関です。華雄将軍も一緒でいいでしょうか?」

 

「ああ、構わん」

 

こうして俺たちは汜水関へと向かった。すると、汜水関に向かっている途中目のにある左右の大きな岩山が見える。そしてその岩山にはいくつもの穴が開いていた。俺は気になってり李粛さんに聞いて見ることにした。

 

「李粛さん。あのは山なんですか?いくつも穴が開いていますが」

 

「あれですか?あれは汜水関の左右にある岩山ですか?あれは昔、鉱山だったらしいんですが・・・」

 

「鉱山?初めてきいたな」

 

華雄が首をかしげてそう言う

 

「この土地の人しか知らないので、」

 

「あの山に名はあるのですか?」

 

「一般的にはないんですが現地の人はすり鉢に似ていることから『摺鉢山』また、時たま硫黄が取れたので『硫黄山』って呼んでいます」

 

摺鉢山に硫黄山って・・・まるで硫黄島みたいな名だな・・・・そうしているうちに汜水関につく。

 

「ボロボロですね・・・・」

 

「今にも倒れそうだな吹雪・・・」

 

「そうですね・・・・」

 

「いま、作業員や兵士、そしてうちの警邏隊の一部の人間が修復しているのですが・・・・」

 

李粛さんがそう説明してると・・・・

 

「この野郎がっ!」

 

「「「「!?」」」」

 

いきなりの大声で俺たちはそこに顔を向ける。そこには・・・

 

「この、軟弱物がっ!!」

 

兵が作業員を鞭でたたいている。俺はすぐにそこに向かってその兵を止めようと向かった。

 

「おい!やめないか!」

 

「なに!?」

 

俺に声をかけられ、その兵士は俺のほうを見るすると俺に気付いたのか顔を青くし

 

「こ、これは御使い様!とんだご無礼を‥‥貴様ら何をしゃがみ込んでいる!たて」

 

「いや、そのままでいい。それより貴様。今何をしていた?」

 

俺は少し怒気を含み、兵士にそういう

 

「は・・はっ!この平民どもが・・・・非国民のように暴言を吐いていましたそれで・・・」

 

「それで鞭でたたいていたと?それに君はこの二人を退けなお余りある人員はいるのか?」

 

俺がそう言うと兵士は気まずそうに眼を背け

 

「い、いえ・・・・おりません」

 

そう言い、俺は叩かれていた作業員2人を見る。作業員二人は震えていたが、俺は彼らを安心させるため笑顔を見せる。そして俺は再び兵士に顔を向ける

 

「なら、体罰はやめろ。で、この二人は一体何を言ったんだ?」

 

「そ・・・・それは」

 

「それは?」

 

「『少しでいいいから、休みたいっと』」

 

「それだけか?それだけの理由か?」

 

「はい・・・・」

 

俺はその兵士を睨む.兵が作業員をたたく理由に怒りとあきれてしまう。兵士は俺の怒りに気付いてるのか顔を真っ青にしている。

 

「はぁ~そんなことで人に暴力をふるうな。それとだ。作業員には十分な休息を取らせること。見たまえ、作業員たちの姿をまるで月から来たみたいだ。仕事熱心なのはいいが限度がある。以後気を付けるように・・・・いいな」

 

「はっ!失礼しました」

 

兵士の言葉に俺は頷き、俺たちはその場を後にした。ちなみに華雄さんはここの指導に入るため残ることになった。

 

「斗志。どう思うこの街・・・・・」

 

「はい。思っていたのよりひどいですね。」

 

「ああ、これから大忙しになるぞ。斗志」

 

「はい。今後の準備と警邏のみんなに報告しておきます」

 

そう言い、斗志は俺に敬礼しその場を後にする。そして俺は李粛さんと一緒に歩いている。

 

「御使い様・・・・本当にこの街は変われるのでしょうか?」

 

「李粛さん。変われるんじゃない。俺たちで変えなきゃいけない。だが俺たちだけじゃ無理だ。だから李粛さん。。あなたたちの力が必要だ。だからこの通りだ」

 

「御使い様っ!?そんな頭を下げないでください!・・・・御使い様。私も喜んでお手伝いさせていただきます」

 

「ありがとうございます李粛さん」

 

「私のことはどうか真名である美佳(みか)っとお呼びください御使い様」

 

「美佳さんか。じゃあ、俺のことは御使いじゃなくて吹雪でいいよ。」

 

「え?しかし・・・」

 

「俺あんまり堅苦しいのは好きじゃないんだだからお願いします」

 

「・・・・わかりました。ではよろしくお願いします吹雪さん」

 

「ああ、こちらこそよろしく。美佳」

 

こうして俺と美佳は真名(っといても俺には真名はないが)を交換し、互いに握手をするのだった。さてこれから忙しくなりそうだな・・・・

 



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李傕、黒魔術にはまる

洛陽の屋敷にある図書室内

 

「この作品。なかなか面白いわね・・・・」

 

図書室内で、本を読む斗志、武道一筋に見える彼女だが、こう見えて文学少女なところがある。そして斗志は本を読み終えて、その本を棚に戻すため立ち上がり歩きだす。

 

「また胸が大きくなった気がする・・・・胸なんて戦闘では邪魔なのに・・・・」

 

自分の胸を見つめてそう言う彼女。胸の貧しい吹雪隊幹部が聞いたら怒りそうだが・・・・

 

「えっと・・・・このっ本は確か・・・」

 

斗志は本を棚に戻すため自分が持っていた本が置かれていた本棚を探す。すると・・・

 

「ん?」

 

斗志が本棚を探していると、ある本が目に入る。

 

「これは・・・・・・」

 

そう言いその本を取る斗志。今思えばこれが今回の騒動の原因だとはこの時、気づきもしなかった斗志だった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

あの視察から翌日俺たちはすぐに行動に出た。

まず始めは町の人に話しかけ、この街をどうすればいいか、この街にどうなって欲いかを聞いていくことから始まり、町の人は治安を回復して欲しい、上のわがままを何とかして欲しい、それらを筆頭として数多くの意見が出てきてそれをもとに改革を始めた。無論、俺だけではない月や詠にも協力してもらっての結果だ。よって洛陽の治安は1日に10件以上の事件が起きたにに対し、今日の洛陽は一か月に一回から四回と、前に比べ事件や事故の数は減っている。そしてあれから数日後、まるで戦後の日本のようで人があまりいなかったこの街も今は人であふれている。

 

そして今、警邏隊志願者や新兵の数が増えていた。特に女性が多く女性志願者だけで新兵、警邏志願者合わせて六割が女性だ。ちなみにその中に美佳さんが率いていた警邏隊の人もいた。その美佳さんはというと『漢王朝の役人であるながら私が力不足のためこの街を腐敗させてしまいました。そこで私たちも一から心を変えるべく新兵からやり直します』っと、そう言って訓練兵に志願した。まあ、あの人の実力ならすぐ士官とかにあがれるだろう。

 

「それにしても…・書類多いいな・・・・」

 

今俺は、書類とにらめっこをしていた。すると・・・・・

 

「隊長ぉー!!大変っす!!」

 

桜花が勢い良く入ってきた

 

「どうしたんだ桜花?何か事件か?」

 

「違うっす!斗志がぁ!斗志がぁ!」

 

「斗志がどうかしたのか?」

 

「いいから早く来てくださいっす!本当に大変なんすよ!」

 

いつもと違う剣幕にこれはただ事ではないと感じた

 

「わかった。すぐに案内してくれ」

 

「はいっす!」

 

そう言い桜花は俺をある所に案内した。その場所っというのは屋敷内にある図書室であった。するとその入り口には役人やら警邏の人間が集まっていた

 

「あっ隊長」

 

その場にいた雪風が俺が来たのに気づき敬礼する

 

「雪風。何があった?」

 

「実は…‥あれを見てください。」

 

雪風は引きつったといいうか見てはいけないっというなそんな顔をしてある方向を指さす。そこは図書室の中だ。

 

「中がどうしたんだ?・・・・・・・・・・っ!?」

 

俺はその中に入ると信じられないものが目に入る。それは・・・・・

 

「エロイムメッサイム。エロイムエッサイム~我が主のご加護を~」

 

「と、斗志っ!?」

 

中を見るとそこには黒いローブに真黒い服を着て変な祭壇を立て変な呪文を唱える斗志の姿があった。中二病っていうかなんというかまるで中世のオカルト集団のような感じだ。すると斗志は俺に気付いたのか

 

「ああ、隊長。来てくださったのですね」

 

あれ?なんか口調が変わってる?

 

「お、おい…どうしたんだよ斗志。お前変だぞ?何か悪いものでも食べたのか?」

 

「いいえ、わたくしは目覚めたのです。神のお導きを‥‥そして聖なる世界を・・・」

 

おいおい・・・・いったいどうしちゃったんだ?完全に別人みたいになてるぞ。それに言っていることと姿、全く違うし

 

「おい。桜花、雪風。一体どうなってるんだ?」

 

「わかりません。ここに来る途中、変な呪文?ですか‥‥そんな声が聞こえて入ってみたら・・・・」

 

「うちもそうっす」

 

桜花も雪風も身に覚えがないみたいだ。じゃあ、なぜ斗志がこんなことに・・・・

 

「ん?」

 

すると俺は床に落ちてあるあるものに気付く。

 

「これは・・・・・本か?」

 

俺がその本を持つ。するとなんか変なオーラが見える。そして俺はその本のタイトルを見た。その名は『誰でもできる宗教崇拝(邪教編)』っと書かれていた。もしかしてこいつが原因か?

 

「隊長…これは?」

 

「なんか変な空気が漂っているっす。もしかしてこれのせいじゃないっすか?」

 

「どうやらそうみたいだな・・・・・」

 

俺はそう言い本を見るすると、志乃がやってきた。

 

「あら?吹雪様。それにみんなもどうしたんですか?」

 

「ああ、志乃。いいところに来た」

 

「いいところ?それに斗志さんは一体何をしてるんですか?なんかあそこだけ変な気が漂っているんですが・・・」

 

「ああ・・・・実はな。かくかくしかじか・・・」

 

「なるほど・・・・で、その本は・・・・・これは!?」

 

「志乃、何か知ってるのか?」

 

「は、はい。水鏡先生の塾にいたころ古い書物で読んだことがありますが、古にとある邪教集団が書いたもので、その宗教団はあまりにも危ない思想の持つ集団だったため秦の始皇帝によって滅ぼされたんですがその念は強く彼らの書いた書物に乗り移った。そしてその書物を読んだものはその念に取りつかれてしまうらしいです」

 

「なるほど・・・で、元に戻す方法はないのか志乃?」

 

「うちからも頼むっす!あんな姿の斗志。斗志じゃないっす!!」

 

「そうですね・・・・本を燃やす。軍師として、本を愛する者にとってはつらいのですが、もはやそれしかありません」

 

志乃の提案によりその本は燃やすことになったのだが・・・・

 

「何をするのです!おやめなさい!!」

 

と、斗志がいきなり志乃が持っていた邪教本を取り上げる

 

「これは神聖なる書物であり、尊き物です!ああ、まさしく愛しい人です」

 

おい、最後の部分まるで指輪物語のあのちっこいやつみたいなセリフだぞ

 

「あなた方はわかっておらあれないのです。この書物のすばらしさを。この書には人のあるべき魂の清さやその故郷のことを皆この道をたどれば魂の道やふるさとがわかるのです」

 

「い、いや・・・・斗志。できればそれわかりたくないんだけど・・・・斗志。その本渡してくれないか?」

 

「いやです!たとえ隊長の命令でもこの神聖な書物は渡せません!」

 

「斗志・・・・・仕方がない。こういうのはやりたくなかったけど、志乃お前は火の準備!雪風、桜花は俺と一緒に斗志を押さえつけて本を取り上げるぞ!」

 

「わかりました」

 

「「おうっ!」」

 

そう言い俺たちは斗志に向かうとするが・・・・・

 

「なめるなぁ!!!」

 

いきなり斗志の気が大きく変わりその気迫に三人は吹っ飛ばされた、そして斗志の体に変化が起きる。体から黒いオーラがにじみ出てそれが人の形へと変わる。その姿はまるで某人気ゲームの魔王みたいな感じだった。

 

「貴様が斗志に乗り移っていたものか!?」

 

『ふふ・・・・・いかにも、我がこの書物の本体でもありこの小娘に乗り移っていたものよ・・・・・』

 

と、その乗り移った物は斗志の声を借りて不気味にそう言う

 

「斗志をもとに戻すっす!それと本をよこせ!」

 

『ふっ…断る。せっかく久しぶりに人の体に乗り移り自由になれたのだ。では俺はこの娘の体を借りどこか遠いい国に行き我が邪教を広める。さらば!!』

 

そう言い立ち去ろうとするのだが、ここで一つの珍跡が起きた

 

ずるっ

 

『あっ‥』

 

斗志の来ている長いローブを踏んでしまい転倒。そしてその衝撃で本は彼女の手から離れ、志乃が用意していた焚火の中へと偶然に落ち本は燃え上がる。

 

『あ”あ”あ”あ”ぁーーーーーーしまった!!無念!!』

 

こうして、本は灰となり、斗志は翌朝、正気に戻ったのであった。めでたしめでたし。だがこの時、桜花や吹雪は昨日の件でこう思った。

 

(ゴスロリ姿の斗志も可愛い)っと・・・・・

余談だがその後、街中の女子の中でゴスロリの服姿が流行ったとか流行らなかったとか・・・・

 

 

 

 

 

 



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母の味

ある日俺はねねと一緒に買い物に出かけていた。なんでも母さんが久しぶりに料理をふるまってくれるらしい。そのため母さんは俺とねねに材料の買い物に行ってきてっとお使いを頼んだのである

 

「兄上~こっち。こっちですぞ~」

 

ねねが大きく手を振って俺を呼ぶ、普段は「吹雪殿」「沖田殿」っと呼ぶねねだが二人きりの時になると「兄上」っと呼んで甘えてくることがある。その所を見ると軍師ではなくごく普通のどこでもいるような少女に見える。

 

「おい、ねね。そんなに走ると転ぶぞ。」

 

「大丈夫なのです。ねねはそんなにドジっ子じゃないですぞ」

 

「そうか。え~と、確か母さんに頼まれた食材って・・・・」

 

「玉ねぎに馬鈴薯(じゃがいも)にあと豚肉ですぞ」

 

母さんからもらった買い物リストを見ながらそう言うねね。

 

「そうか。じゃあ、急いで買って、母さんのところに行こうかねね」

 

「はいなのです!」

 

そう言い俺たちは最初肉屋さんや八百屋に行って材料を買う。そして屋敷に帰る途中ねねがあるほうを見るそれは雑貨屋だった

 

「・・・・・・・」

 

「ねね?何見てるんだ?」

 

「え?な、何でもないのです!」

 

そう言うねね。だがねねはある所をなんでもちらちらとみている。ねねが見ていたのは奇麗な花の髪飾りだった。確かあれって結構高価な奴だったけな・・・・

 

「もしかしてそれ、ほしいのか?」

 

「そ、そんなことはないのです!さあ、急いで屋敷に行きましょ兄上」

 

「あ、ああ・・・・」

 

ねねはそう言って屋敷に向かって走っていくが、俺はさっき、ねねが見ていた雑貨店をもう一度見て、そして頷きその店へと入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・あれ?」

 

しばらく歩いていたねねが、吹雪がいないことに気付く。そしてねねはあたりをきょろきょろと見回わしていると・・・

 

「お~い!。ねね!」

 

しばらくして吹雪が走ってきてねねに追いつく。

 

「兄上。遅いですぞ!」

 

「ああ、すまん、すまん。少し道が混雑しててな。それよりも急ごうか」

 

「はいなのです。」

 

そう言い俺たちは買った食材を手にし屋敷へと帰る。そして屋敷に帰った後、俺たちは台所にいたするとそこには母さんがエプロンを付けて待っていた。

 

「ただいまなのです恋殿!」

 

「ただいま。母さん」

 

「おかえりなさい・・・・二人とも・・・・・じゃあ、料理作るから二人とも座って待ててね」

 

「手伝おうか、母さん?」

 

「いい、一人で・・・・・大丈夫だから。二人は休んでて」

 

そう言うと母さんは、台所に向かい料理を始める。母さんは慣れた手つきで野菜を切ったりしたり、ジャガイモの皮をむいたりしてたまに鼻歌を歌いながら料理をする。

 

「恋殿の料理なんて初めてです」

 

「俺も久しぶりに食べるから楽しみだよ」

 

最後に母さんの手料理食べたのは4つの時だったから、かれこれ12年ぶりだな。本当に楽しみだ。すると台所からいいにおいが漂ってくる。

 

「なんかいい匂いがしてきたのです」

 

「そうだな・・・・あっ!そうだねね。お前に渡す物があったんだ」

 

「ねねにですか?」

 

「ああ、ほら」

 

そう言って取り出したのは先ほど雑貨屋で売ってあった、あの花の髪飾りであった。

 

「それは・・・・」

 

「なんかねねに似あいそうだなって思ってさ」

 

「兄上・・・・」

 

「ほらつけてあげるよ」

 

「じ、自分でつけれるのです」

 

「わかったよ。ほら」

 

そう言い、俺はねねに髪飾りを渡し、ねねは髪飾りをつけるのだった。

 

「ど、どうですか?」

 

「似合ってるじゃないか。ねね」

 

「ありがとうなのです‥‥兄上///」

 

ねねが少し嬉しそうに言う。心なしか顔が若干赤いのは気のせいだろうか?

 

「ふたりとも・・・・おまたせ・・・」

 

母さんが料理が盛られた皿を持ってきた。そして母さんが作った料理とは・・・・

 

「これは・・・・・肉じゃがか?」

 

そう母さんが作った料理は中華料理ではなく、日本食。しかも懐かしき家庭料理である「肉じゃが」だった。俺とねねはその肉じゃがを一口食べる。

 

「「...美味しい。」」

 

本当にうまい。っというよりこの時代は醤油なんてないはずなのに。いやそういえばこの前醬油ラーメン食べたっけな・・・・・この時代何でもありだな。

 

「口に合って・・・・・良かった…」

 

俺たちがそう言うと母さんも嬉しそうに笑う。

 

「美味しいのです。これは天の国の料理なのですか?恋殿」

 

「うん・・・・・私が向こうにいたとき‥…よく作ってた・・・・」

 

と母さんはにこっと笑ってそう言う。そう言えばじいちゃんや父さん。「母さんの肉じゃがは世界一美味いんだぞ」とか言ってたっけな。俺も薄々だが母さんの肉じゃが食べたような気がするな・・・・

 

「どう、吹雪美味しい?」

 

「ああ、おいしい。とっても美味しいよ母さん」

 

俺がそう言うと母さんはますます嬉しそうな顔をするのだった。

その後俺たちは母さんの手料理である肉じゃがの味を楽しんだのだった。そしてその匂いにかぎつけられたのか詠や月がやってきて、その味に感激し、月が母さんに料理を教えてほしいと頼んだのはまた別の話・・・・・・

 

 



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小さき才、新たな軍師

「この洛陽もにぎやかになりましたね吹雪様」

 

「ああ、そうだな志乃。初めて来たときとは大違いだよ」

 

今の洛陽は昔のように荒廃した風景はなくにぎやかだった。犯罪も最小限にとどめ、治安も天水にいたときのように活気ある街となっってきてその住人はだんだんと笑顔にあふれてきていた。

 

「そうだな。これも月や詠のおかげだな」

 

「そうですね。それに吹雪様のおかげでもあります」

 

「俺はそんな大したことはしてないよ」

 

そんなことを話しながら俺は志乃と一緒に街の中を歩く。ちなみに俺と志乃は非番だ。すると・・・・

 

どんっ!

 

「おろ!?」

 

「吹雪様!?」

 

急に後ろからから誰かがぶつかってきた。その人物は帽子を深くかぶって顔はわからないけど子供だということはわかった。

 

「おっと、悪いな」

 

ぶつかった子供は俺にそう言いそのまま立ち去る

 

「吹雪様!大丈夫ですか?」

 

「え?あ、ああ。それよりも・・・・」

 

「どうしたんですか?吹雪様」

 

「志乃・・・・お前の懐探ってみろ」

 

俺がそう言うと志乃は懐を探る

 

「さ、財布がない・・・・・」

 

「ああ、因みに俺もだ。やられたなこりゃ」

 

「と、言うことはあの子はスリですか?・・・・」

 

「ああ・・・・追いかけるか」

 

「はい」

 

そう言い、二人はその子供を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・・へへ、やった」

 

一方、スリの少年は人目のない裏路地につくと先ほど二人から掏った財布の中身を見る

 

「・・・・なんだよ。恰好から見て貴族か役人かと思って掏ったけどあんまりないじゃないか。なんだよ掏り損だな」

 

そう文句を言うスリ。しかし・・・・

 

「悪かったな。金が少なくて」

 

「っ!?」

 

少年が吹振り替えるとそこには吹雪と志乃がいた。

 

「警邏隊に突き出すのか?」

 

スリの少年が恐る恐る言う。

 

「う~ん・・・・そうだな。普通ならそうなんだけどさ、それ返してくれたら見逃すよ」

 

「私もちゃんと財布を返してもらえれば許します」

 

二人がそう言うと

 

「うっ・・・・・・そ、そんなことできるか!」

 

そう言うと少年は錆の浮いた古いナイフを取り出し二人に向けるが、ナイフを持つ手が震えていた。

 

「やめとけ、手が震えてるし、握りも甘い」

 

吹雪はそう言うと、少年は諦めたように弱々しい声でそういうと、手の中からナイフが地面に落ちた。同時に尻餅をついて地面に崩れ落ちる。。その顔色はもはや死人のそれに近い程に青ざめたものとなっている。

 

「ん?どうしたのよ」

 

志乃がそう言うと・・・・

 

「さっさと殺せよ!その腰についている剣でさっさと斬り殺してよ!」

 

そう叫ぶのだった。

 

「・・・・はぁ~。君、名前は?」

 

「‥‥…李儒」

 

「え?李儒?」

 

俺はその少年の名に驚いた。李儒と言えば董卓に仕える軍師で参謀職で有名な人物だ。その李儒がまさかこんな子だとは、歳から見て12~13歳くらいだろうか・・・・

 

「吹雪様。どうかしたのですか?」

 

「あ、いやなんでもない。それで李儒。君、スリやって、おまけにナイフまで抜くなんて逮捕されるぞ。そんなことしたら親も泣くだろ」

 

「そうですよ。もしそんなことを知ってご両親が知ったら悲しむわ」

 

そう言うのだったが

 

「‥…親がいたらこんなことやんないよ・・・・父上は黄巾党の乱で黄巾軍に殺されて、母上は俺を養うため働きすぎて2年前に死んじゃったよ。だから今私の住処は空き地や広場とかだよ。」

 

と、暗い表情で言う李儒。なんか聞いちゃいけないことを聞いてしまったな。

 

「働こうとか思わなかったの?」

 

「それはおもったよ。でもみんな不景気で自分の生活でせい一杯だったみたいだったから・・・・」

 

悲しそうな顔でそう言うのだった。

 

「そうか・・・・・それじゃあ李儒。。うちで働く気はないか?」

 

「え?」

 

「吹雪様?」

 

「住むところも食べ物も心配しなくていい。ただ、その代わりきちんと働いてもらうよ。もちろん見合った賃金も払う。どうだ?」

 

俺がそう言うと李儒はポカーンと口を開ける

 

「志乃も別にいいよな」

 

「え?あ、はい。私はいいのですが…月さまや詠さんには?」

 

「大丈夫。二人には俺からちゃんと言っとくよ。」

 

「本当に・・・・本当に働かせてくれるの!?」

 

「ああ、ただし。スリはもうするなよ」

 

「う、うん!約束する!」

 

そう、嬉しそうに言う李儒。こうして俺と、志乃は李儒を連れて屋敷に帰るのだった。ちなみに掏られた財布は返してもらった。

 

 

 

 

屋敷に帰った時はもう夕暮れでその屋敷の入り口の前には華雄こと橘花と霞がいた。その時の李儒の顔は「え!?やっぱりこの人、貴族とかそう言う風な偉い人?」っというような顔をしていたのだった。

 

「なんだ吹雪。その子は?」

 

「ああ、華雄。この子か?まあ知り合いかな?で、こいつ俺のところで働くことになったんだよ」

 

「そうか・・・・それにしても随分汚い格好だな・・・・」

 

「まあ、でもきっと役に立つから。」

 

「まあ、お前がそう言うんなら別にいいだろう。だがちゃんと風呂やちゃんとした服を着せてやれよ。出ないと賈駆がうるさいからな」

 

「そう言うことや。吹雪じゃあ、またあとでな」

 

そう言うと、霞と橘花はその場を去り、吹雪は李儒を連れて先に進む。ちなみに志乃は書簡の仕事が入ったのでその場にいない。

 

一方霞と華雄は

 

「ふふふ・・・・」

 

「ん?何がおかしいんや華雄?」

 

「いやなに。さっきの吹雪があの子供を連れてきた姿を見て呂布が陳宮を連れてきた日のことを思い出してな。」

 

「あ~そういやそうやったな・・・・そう言うところも母親に似たんやな~」

 

そんなことを話しているのだった。

 

 

 

一方そのころ吹雪と李儒は、廊下を歩いていると偶然にも詠に会うのだった。

 

「やあ、詠」

 

「ああ、吹雪。‥…てその子は?」

 

「ああ、そのことで話があるんだよ。」

 

「?」

 

説明中・・・・

 

「なるほどね・・・・・吹雪、事情は分かったわ。でも吹雪、本当にこの子を雇うつもりなの?」

 

「ああ」

 

「・・・・わかったわ。とにかくその子はその格好じゃいけないから、ちゃんと洗ってあげなさい」

 

「ああ、わかったありがとな詠。行こう李儒」

 

「は、はい」

 

そう言うと吹雪は李儒を連れて詠の部屋を後にするのだった。

 

 

 

風呂場

 

「あ、あの・・・・吹雪・・・・さん?なんでここに?」

 

「さて‥‥李儒。このままだといけないからな。ここは風呂でさっぱりしないとな」

 

「え!?い、いいです!」

 

と、李儒は顔を真っ赤にして断る

 

「ん?なんでだ?男同士だし、問題ないだろ?」

 

「な!?ち、違うわよ!わ、私は!」

 

そう言い、李儒は帽子を脱ぐすると・・・・

 

ふさぁっ

 

帽子の中から一房の黒髪がこぼれ落ちてきて、短く見えた髪が肩口をこえるぐらいまで伸びていた。それは男子っというより女子であった。

 

「わ、私、女だよ?」

 

「え・・・・えええええー!!?」

 

あまりの真実に俺は大声をあげてしまうのであった。

 

 

 

 

 

あれから数日・・・・・李儒はこの屋敷の侍女として働いている。李儒もここの生活にも慣れて今は、昔に比べて生き生きとした顔で仕事に励んでいた。しかも最初に出会った頃に比べ口調もやんわりとしていた。いや、もともとあれがいつもの彼女なんだろう。

 

「李儒もすっかり慣れてきたみたいだな志乃」

 

「はい。ですが驚きました彼女が女の子だったなんて」

 

「まったくだな」

 

「それとなんですが、吹雪様」

 

「ん?何だ志乃」

 

「李儒のことなんですが、前に彼女に政務の手伝いをしてもらったことがあるのですが」

 

「政務を?彼女ついてこれたのか?」

 

「はい。以外に・・・それに彼女は学問に興味があるらしくて、私の授業やアンチョビお姉ちゃんのラテン語の授業にも出席しているみたいです。それにこれを・・・・」

 

そう言い志乃が渡したのは一枚の書簡だった。

 

「志乃。これは?」

 

「はい。彼女が書いた兵法や政務を彼女なりに纏めたものです」

 

俺は李儒が書いた書類を見る。その内容、考え方はとても面白い。とても一介の少女、しかも侍女どころか並の軍師が行き着かない内容も多く書かれてあった。

 

「なるほど・・・・で、志乃は彼女を見てどうするつもりだ?」

 

「はい。・・・・・実力を試させます」

 

 

 

 

 

 

 

李儒の部屋

 

「試験・・・ですか?」

 

「ああ。志乃がな李儒がどれだけ理解出来てるか確認する意味も込めてするそうだ。で、どうする李儒やるか?」

 

「はい!やります!」

 

「そうか。じゃあ試験は明日だ。志乃が言うには今まで教えた分を出すみたいだしな。頑張れよ李儒」

 

(りー)です!」

 

「え?」

 

「私の真名です。吹雪さんのおかげで私は路上でのスリの人生から抜け出すことができたんです。ですから吹雪さんは私にとって恩人です。だからぜひこの真名を預かってください!」

 

「・・・・わかった。よろしくな鈴」

 

「はい。よろしくお願いします!」

 

こうして翌日、鈴は志乃が出題する試験に挑むのであった。試験官は志乃。

そして鈴は渡されたその試験の内容を見る。その内容は結構難しいものも多かった。

 

「(ど・・・・どうしよう・・・・いいえ、何を弱気になってるんだ私は、司馬懿先生や吹雪さんの期待に応えるためにも頑張らなくちゃ。)」

 

そう言い、彼女は次々と問題の解答欄に解答をかく。そして試験は終わりすべての解答を埋めた後、鈴は志乃に試験用紙を渡し、志乃に一礼して部屋を出るのだった。

 

そして志乃は鈴が書いた試験問題を採点している。

 

「‥…やっぱりね」

 

彼女が鈴の採点を終えた後、にっこりとほほ笑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?私が司馬懿先生の軍師見習いにですか!?」

 

私は試験を終えた翌日、吹雪さんに王座の間に来るように言われそこに行ったら、そこには洛陽の太守である董卓様にその軍師である賈駆様、そして吹雪さんがいた。ちなみに私は吹雪さんが例の天の御使いだと聞いた時、心の底から驚いた。

 

「ええ、そうよ。聞けば志乃が出した試験問題の9割以上も合格していたじゃないの。だから僕と吹雪と話し合った結果。あなたは志乃の軍師も習いにすることになったのよ」

 

「でも、私ごときが軍師など・・・」

 

「そんなに心配しなくてもいいわよ。それにね。志乃からも彼女を軍師にするように頼まれたしね」

 

「司馬懿先生から!?」

 

「ええ、」

 

「と、言うわけでこれからよろしくな、鈴。」

 

「よろしくね李儒さん」

 

そう、吹雪と月が笑顔でそう言い、その言葉に私は嬉し涙を流すのであった

 

「はいっ!こちらこそお願いいたします。董卓様、吹雪さん!」

 

私は笑顔でそう言いそれと同時に心の中で司馬懿先生に礼を言うのだった。

 

 

 

 

李儒が吹雪たちの前にいたとき、その光景を志乃は柱の陰で見ていたのだった。

 

「李儒。頑張りなさい。私みたいになるではなく、あなたはあなたの行く道を信じ、あなた自身になりさい。」

 

そう微笑んで言うのだった。

 

 



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洛陽の姫、覇道の姫

すみません、誤って消してしまったので急いで元に戻しました。それとなんですが先ほどの感想である作品と似ているといわれ確認したところ確かに似ているところがありましたので話が似ている話は削除しました。


「う~ン!昨日はよく寝たなぁ!!」

 

俺は背伸びして、廊下を歩く。すると広間の方で誰かの話声が聞こえる

 

「ん?なんか広間の方から声が聞こえるな・・・・・行ってみるか」

 

そう言い俺は広間に行く、そして広間につくとそこには月や詠、霞に華雄に夢華に桜さん、そして母さんなどの董卓軍幹部がいた。

 

「あれ?みんなで集まって何してるの?」

 

「あ、吹雪さん」

 

月が俺に気付く

 

「どうしたの?そんな難しい顔をして」

 

俺がそう言うと霞が答えた

 

「実はな吹雪、さっき月宛てに手紙が届いたんや」

 

「月に?で、内容は?」

 

俺がそう言うとみんな難しそうな顔をする

 

「実はですね・・・・吹雪さんこれなんですが」

 

と、月が俺にその手紙を渡す。一応俺も最初この世界に来た時と比べ漢文とかは読めるようになっていてアンチョビさんにもラテン語とかも習っているから多少は外来語にも自信がある。そして俺は手紙の内容を読もうとするんだけど・・・・・・・・

 

「・・・・・・これ、何語だ?」

 

そこに書かれていたのはもはや漢字だかロシア語の中間みたいなわけのわからない暗号みたいな文章だった。

 

「やはり吹雪にも読めないのね・・・・」

 

夢華は頭を抱えて言う。その様子だと夢華も読めなかったらしい。

 

「あて先は誰なんだこの手紙?」

 

「それなんやけど・・・・宛名もこんな感じでな・・・・」

 

あ~なるほど…‥ということは差出人の名もわからずにみんなで悩んでいたってわけか・・・・

 

「‥…これ、日本語でもなければ英語でもない・・・・わからない」

 

「え!?母さん英語とかできるの!?」

 

「‥…日常会話くらいなら少しできる」

 

そう言えば母さん5年間、俺の世界の日本で父さんと一緒に暮らしてたっけな。もしかしてその時に・・・・今の今まですっかり忘れてた。

 

「そんなことよりも困ったことになったわね・・・・差出人がわからないうえに文章がわからないなんて・・・・」

 

詠も困った顔でそう言う。すると・・・・・

 

「あれ?吹雪に詠もそんなところで何やってるの?」

 

と、そこへ川内がやってきた。

 

「ああ、実はな、月宛てに手紙が来てるんだけどな文字がなんて書いてあるかわからないんだよ」

 

「どれどれ見せて?」

 

そう言い川内はその手紙を受け取るとその文に目を通す

 

「張済。いくらお前でもその文は読めぬと思うぞ?」

 

と華雄は言うのだが・・・・・

 

「え~と‥‥『やっほ~地和だよぴょーん!みんな元気ー?地和はとってもとってもとーっても元気だよー!!』」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

川内がその文章をすらすらと呼んだのでその場にいたみんなはびっくりした。

 

「せ、川内!あんたそれ読めるのっ!?」

 

詠がみんなに変わってその疑問を川内にそう言う

 

「え?うん。これって最近陳留で流行りの地和語だよ」

 

「ち、地和語?なんやそれ?」

 

「う~ん。はっきりしたことはわかんないけど。確か地和が生み出した文字だからそう言われているよ?」

 

なるほど…‥これで差出人の正体がわかった。

 

「で、川内さん。続きにはなんて書いてあるの?」

 

桜さんがそう訊く今のところこの暗号文読めるの川内だけだしな

 

「え、え~と『実は次回公演の大☆歌謡天国に命の恩人である董卓様たちをご招待します!!一番いい席を空けとくから。みんなで来てねー!ちーほーより♪』って書かれているよ」

 

つまりこれって黄巾の乱で世話になったからそのお礼にコンサートに招待するってわけか・・・・

 

「まったく紛らわしい・・・・」

 

「招待状なら招待状とちゃんとした字で書いてほしいわ・・・・」

 

華雄と夢華がため息をつきながらそう言う。おそらく末の妹である人和がちゃんとした招待状を書いていたのだが、次女である地和がいろいろごねて書いたのだろう。

 

「で、どうするの月?」

 

「私、この招待。受けようと思う。せっかく招待状を送ってくれたんだから行かないと失礼だよ詠ちゃん」

 

「それはそうなんだけど、でも危険よ。もし何かあったら。それにこの招待状の場所、曹操が納めている場所の一角じゃない」

 

それは彼女たちの行動範囲が華琳の領土内っという条件でアイドル活動しているからな・・・・・

 

「でも‥‥せっかくの招待状だし、それを断るのは失礼だよ・・・・詠ちゃん本当に行っちゃダメかな?」

 

と月は捨てられた子犬のような目で詠を見る。あの目をされたらノーとは言えないな・・・・ある意味、月の必殺技だな。

 

「もー!そんな目をしないでよ月!。」

 

「お願い・・・・・」

 

「う~・・・・・わかったわよ・・・・・」

 

さすがの詠も折れて俺たちはお忍びで張三姉妹のコンサートに行くことになったのだ。

 

 

 

 

 

 

そして数日後、曹操の領土・・・・

 

「うわ~結構混んでるな・・・・」

 

「そうですね・・・・」

 

「詠ちゃん・・・・すごい数」

 

「あんな人混み初めて見るわ・・・」

 

ライブが行われる街についてみるとそこは大混雑していた。ちなみに今回来たのは月、詠、志乃と護衛に霞に華雄と俺だ。華雄にいたってはあまりの人混みに口が開きっぱなしだった。ちなみに今回はお忍びで来ているため月は町娘であるトントンの格好をしていた。

 

「・・・まるで夏フェスだな・・・」

 

「な、なつふぇす?吹雪なんやそれ?」

 

「え?ああ、こっちの話。」

 

「それにしても川内のやつもったいないな~あいつ歌とかそういうの好きやったんやろ?」

 

「ああ、なんでも別の用事があるとかないとか・・・・」

 

「そう言えば、お姉ちゃんや桜花も同じ事言っていました・・・・・・」

 

そう実はあの年も含め誘ったのだがみんな休暇とか用事とかでこれなかったのだ。

 

「それにしても、公演まで早く来すぎちゃったな・・・・」

 

「そうやな~誰かさんが『急がないと遅れる』って言ってたからな~」

 

そう言い霞は詠を見る

 

「なっ!僕のせいだっていうの!?」

 

まあ、実際詠は結構月と同じくらいライブの日楽しみにしていたからな昨日なんか寝付けなかったらしいのか少し目に隈ができている。

 

「まあ、まあ、詠落ち着いて。早く来るのは別に悪いことじゃないよ。なあ月」

 

「吹雪さんの言う通りよ。霞さん別に詠ちゃんは悪くないわ」

 

「わかっとる。わかっとる。別に詠を責めたんじゃないで?ちょっとからかっただけや」

 

「それよりどうする?公演が始まるまでずっとくっついてるわけにはいかんだろ?」

 

「そうだな・・・・・じゃあ、時間になるまで自由行動でどうだ?もちろん月には護衛を付けて」

 

「そうれはいい考えね・・・・・で、誰がつくの?」

 

詠の言葉にみんなで話し合った結果、月についたのは俺と志乃と詠だった。霞は何やらここでしか飲めない酒を買いに、華雄は武器を新調したいと武器を買いに行った。

 

 

「それにしてもやっぱり混んでるね詠ちゃん」

 

「そうだね。それに出店もいっぱいあるわよ」

 

今俺たちがいるのは大通りで、道の脇には出店とか色んなものが置いてある。すると・・・・・

 

「異国名物『鉄板ナポリタン』だよ~!!おいしい料理だよ~!!」

 

「さあさあ!安いよ~!!」

 

「今なら特別に半額でどうだぁ!」

 

「ん?あの声は・・・・」

 

聞き覚えのある声だ。俺たちはその声がする場所を見る。そこには・・・・

 

「あれ?アンチョビさん!?それに桜花やそれに斗志も!?」

 

「おおっ!吹雪!お前もこの祭りに来てたのか!」

 

そこにはイタリア風の屋台の中アンチョビさんや桜花や斗志がパスタ料理をお客にふるまっていたのだった。アンチョビさんは俺に気付き、嬉しそうにやってきた

 

「で、アンチョビさんはなんでここに?」

 

「ああ、なんか噂で、ここで派手な祭りがあるって聞いてな休暇も兼ねて自分の料理がどこまで客に受けるか商売してたんだよ」

 

「うちもアンチョビ姐さんの手伝いっす!」

 

「私は二人が問題を起こさないかついてきただけです」

 

「そ、そうなの・・・・・・」

 

詠が苦笑して言う。

 

「で、成果はどうなのよ?」

 

「これが大人気でさ!結構みんな買ってくれるんすよ!。そうだ!特別に3人・・には大盛、しかもただでぱすたごちそうするっす!」

 

と、桜花が嬉しそうに言う。まあ、繁盛しているんなら別にいいか・・・・・・ん?ちょっと待て今なんていた?

 

「な、なあ桜花」

 

「何っすか隊長?」

 

俺はさっき桜花の言った言葉に妙な違和感を覚えた。

 

「今なんて言った?」

 

「え?大盛で、しかもただ・・・・」

 

「違う違う!その前!」

 

「え?これが大人気のところっすか?・・・・」

 

「すまん行きすぎ!もっと中間あたり!」

 

「え?中間のところっというと『三人のところ』っすか?」

 

「そうそれ!3人?4人の間違いじゃないのか桜花?」

 

そう今いるのは俺と志乃と詠と月の4人のはずだ。

 

「へ?隊長何言ってんすか?今、そこにいるのは隊長と詠と志乃だけっすよ?」

 

「何言ってるのよ桜花。月がいるじゃない。ねえ、月?」

 

そう言い詠が月のいたところへ顔を向けるのだが・・・・・

 

「あれ?月?月!?」

 

俺たちがきょろきょろと見渡すと月の姿が見えなかったまさか・・・・

 

「まさか、この人混みにのまれたのでは!?」

 

「そうなら大変だすぐに探さないと!桜花、アンチョビさん。パスタはまた今度な!」

 

「あっ!?ちょっと隊長っ!?」

 

そう言い俺たち三人は急いで月を探しに行くのだった。

 

 

 

「月何処だーぁ!?月ー?」

 

俺は月の名を言いながら探し出す。それにしてもすごい数の人だ。右も左もみな大勢の人にあふれていた。これは探すのは骨だな。それ以前に・・・・・

 

「うっ、こ、この人の流れ激しすぎる」

 

 

俺も人混みの波にのまれ、みんなと離れ離れになってしまったのだ。なんだよこれまるで本当に夏フェスだよ・・・・そんなことを考えていると・・・・・

 

どんっ!

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

急に誰かにぶつかった。

 

「貴様どこを見ているんだ!」

 

「ああ、すいません・・・・・・って春蘭!?」

 

「お、お前は沖田じゃないか!」

 

俺がぶつかった相手は春蘭だった。

 

「お前なんでこんなところにいるんだ?・・・まさか間諜しに来たのではあるまいな!」

 

「違う違う!俺は張三姉妹に公演の招待を受けてきただけだよ!」

 

「本当か?」

 

「俺が嘘をつき人間だと思うか?」

 

俺がそう言うと春蘭はジーと俺の目を見る

 

「・・・・ないな」

 

「だろ?・・・・で春蘭はなんでこんなところにいるんだ?」

 

「それはもちろん華琳様とお忍び・・・・・・・はっ!沖田!!華琳様を見なかったか!?」

 

「華琳?いや見てないけど・・・・・華琳もここにきているのか?」

 

春蘭が言うには華琳のところにも張三姉妹からの招待状が来て、春蘭たちを連れてお忍で着たのはいいのだが月と同様いつの間にか人波に巻き込まれて

華琳とはぐれてしまったというわけだ。

 

「頼む沖田一緒に探すのを手伝ってくれ!」

 

春蘭は俺に頼み込む

 

「わかった。ちょうど俺の連れも迷子になっていたんだよ。一緒に探そうか?」

 

「本当か!?ありがとう沖田!」

 

こうして俺と春蘭ははぐれた仲間を探しに人混みのジャングルを進むのだった・・・

 

 

 

「どうしよう・・・・みんなとはぐれちゃった・・・」

 

一方、みんなとはぐれてしまった月は人混みの中みんなを探していた。そしてその先の方角では

 

「春蘭たちとはぐれてしまったわね・・・・・それにしてもこの人混みのせいで髪型が崩れてしまったわね・・・・」

 

春蘭とはぐれた華琳も人混みの中歩いていた。しかもこの人混みのせいで髪のセットがおかしくなり縦ロールではなく普通のツインテールとなってしまっている。

そして・・・・・

 

どんっ!

 

「「きゃっ!?」」

 

月と華琳が、ぶつかったのである

 

「す、すみません大丈夫ですか?」

 

「いえ、こちらこそ。あなた怪我とかは?」

 

「いえ大丈夫です。こちらこそ本当にすみません人を探していたものですから」

 

「そう・・・・実は私もなのよ」

 

ぶつかった二人はお互いに怪我は無いか聞きそれがないとほっと安心するのだった。

 

「そうですか!?・・・・・そうだ。あのよかったらでいいんですけど一緒に探しませんか?」

 

「え?」

 

「二人で探せばお互いの探し人とかも見つかりやすいと思うのですが・・・・」

 

「そうね・・・・単独で行くのも何かと不自由だし、あなたの案に乗りましょう。・・・・あなた名前は?」

 

「え?あの…私は田舎の村娘で名はトントンと言います」

 

「そう・・・私はそ・・・・」

 

華琳は自分の名である曹孟徳の名を口にしようとしたが・・・

 

「(私はお忍びで来ているし・・・・もしここの太守である私が迷子だと知られたらまずいわね・・・・)」

 

「あの・・・・・どうかしたのですか?」

 

「あ、いえ、なんでもないわ。私の名は宋華(そうか)。ある商人の娘よ」

 

「そうですか・・・それじゃあ、宋華さんよろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくトントン(この子には悪いけど、この名で通すしかないようね)」

 

二人は互いの名(偽名)を名乗って仲間を探しに行く。こうして洛陽の姫と覇道を目指す姫がこうして出会ったのであった。

 



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恋と友情

前回までのあらすじ・・・・月のところに張三姉妹から公演ライブの招待状が届きそのライブに行く月と吹雪一行。だが、あまりの人混みの中、月は吹雪たちとはぐれてしまう。みんなを探す月は、偶然お忍びで来ていて月と同じく仲間とはぐれいた華琳に出会う。そして二人は互いの仲間を探すため協力し一緒に探しに行くのだった。

 

「それにしてもすごい人混みですね宋華さん・・・」

 

「そうね・・・私もこの街には何度も来たことがあるけど、やはり張三姉妹の公演があるのか結構多いわね‥‥て、トントンここは手を繋いで歩かない?そうじゃないとまたはぐれてしまうわ」

 

「そ、そうですね。そのほうがいいと思います」

 

そう言い月は花林の手を握り人混みの中を進んだ。。それにしても周りはお祭り騒ぎで人が大勢いる。そんな中はぐれた仲間を探すのは非常に困難だ。

 

「そう言えばトントン?一つ聞いていいかしら?」

 

「なんでしょうか宋華さん?」

 

「あなたはと・・・・・いえ、あなたも張三姉妹の公演に来たのかしら?」

 

宋華こと華琳は最初何か言いかけたがすぐにごまかし彼女がこの街に来た目的を訊く。

 

「・・・え?あ、はい。張三姉妹のことは私の村でも伝わっていて一度その公演を見ようと思って友達と一緒に来たんです・・・」

 

さすがにただの村娘が招待状と特等席のチケットをもらうのはおかしいためあえてそこはごまかす

 

「そう・・・」

 

「もしかして宋華さんも公演を見に来たのですか?」

 

「ええ、そうよ。実は私も知り合いと一緒に講演会を見に来たのだけれども、この混雑でね・・・・」

 

そう言いながら二人は手を繋ぎ探し人を探す。しかし周りも見ても人、人、人!人ばかりであった。

 

「それにしてもどうにかならないのかしら?」

 

「あ、あの・・・・・宋華さん?」

 

「何かしらトントン?」

 

「高いところに出ればいいんじゃないんでしょうか?」

 

「高いとこ?」

 

「はい。高いところに出れば宋華さんの仲間も見つかると思うんですが」

 

と月は華琳にそう言う。

 

「そうね・・・確かにいい案かもしれないけどここいら辺に高いとこってあったかしら?」

 

華琳がそう考えていると、月はすぐそこにいる子供に何か尋ねる。

 

「ねえ、ちょっといいかな?」

 

「なに?」

 

「ここいら辺にあたりを見渡せる高いところ探しているんだけど知っているかな?」

 

「高いところ?え~と・・・・ねえ高いところってあったかな?」

 

「そうだ!あそかがそうじゃない?」

 

「ああ、そうだね。えっとねあっちのほうにね。街を見回せる小さな高台があるんだ。僕たちいつもそこで街をみえたりするんだよ!お姉ちゃんたちも言ってきたら?あそこの景色とてもいいんだ」

 

「そうありがとね」

 

月は子供たちにお礼を言い華琳の所に向かう

 

「だ、そうです宋華さん」

 

「そう、それじゃその高台に行ってみましょうか?」

 

「はい」

 

そう言い二人は子供たちの言っていた高台へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

「月~月~もう、どこに行ったのよー!」

 

「華琳様!どこに行ったんですか!?返事してくださーい!!」

 

一方吹雪と春蘭は月と華琳を探していたすると・・・・

 

「吹雪!」

 

するとそこで同じく月を探していた詠がやってきた。

 

「詠。どうだった見つかったか?」

 

「いいえ、全然。吹雪は?」

 

「こっちもよ。今、川内たちもみんなにこのことを知らせてるんだけど・・・・」

 

と二人が話していると・・・・・

 

「姉者!」

 

そこで同じく華琳を探していた秋蘭と季衣、流琉がやってきた

 

「姉者、華琳様は?」

 

「だめだ。さっきまで沖田と一緒に探したのだが全然見つからない」

 

「沖田?」

 

「あぁー!?兄ちゃん!!」

 

「あれ?沖田さん!?」

 

春蘭の言葉に秋蘭たち三人は俺の存在に気付き、そしてきいは俺に飛びつく

 

「季衣、久しぶりだな。それに典韋ちゃんも無事についたようだね」

 

「はい。沖田さんのおかげで無事に季衣と再会することができました。ありがとうございます。あ、あの・・・・」

 

「ん?なに典韋ちゃん?」

 

「あの・・・・できればでいいんですが兄様って呼んでもいいですか?」

 

「え?どうしてまた?」

 

「はい。聞けば季衣やシャンは吹雪様のことを兄と呼んでいます。ですから私も敬愛を込めて言いたいのですが‥‥ダメでしょうか?」

 

と目をウルウルさせて言う典韋。

 

「別に好きに呼んでいいよ典韋」

 

「流琉です。それが私の真名ので以後私のことは流琉と呼んでください兄様」

 

「そうか。わかったよ流琉。」

 

と満面の笑みでそう言う流琉。またこうして妹分が一人増えたな・・・・

 

「「こほんっ!」」

 

と、急に咳をする詠と秋蘭。

 

「話は終わったか沖田。・・・・で、なんでお前がここにいるんだ?それとお前の隣にいるのは誰だ?」

 

「ああ、実はな張三姉妹から招待状をもらってな。それとこいつは俺の友人でな。それともう一人一緒に来ていたんだがこの人混みの中はぐれてな…それで偶然会った春蘭と一緒に探していたんだよ」

 

「そうか・・・・」

 

と秋蘭は詠を見てたが、すぐに俺の顔を見る。

 

「で、沖田。おぬしは華琳様を見なかったか?」

 

「いや、春蘭と探したがいなかった。それより秋蘭。白い服で短い銀髪をした子見なかったか?」

 

「いや・・・・残念だが沖田の言うような子は見かけなかったよ」

 

「そうか・・・・」

 

お互いに情報なしか・・・・これは困った。すると・・・・

 

「あれ?そこにいるのは春蘭様たちと兄ちゃんじゃないか」

 

すると上から声がする。俺たちは上を見るとそこにいたのは徐晃ことシャンだった

 

「あーっ!シャン。こんな屋根のところで何してんだよ!」

 

「?シャンはただ空を眺めてただけだよ?」

 

そう言いシャンは屋根からすらっと飛び降りて俺たちの前に立つ

 

「それよりみんなどうしたの?」

 

「ああ、実はな・・・・」

 

そう言い俺は状況説明する。するとシャンは

 

「華琳様は見なかったけど、兄ちゃんや緑のお姉さんの言ってた子なら心当たりがあるよ」

 

「ほんとかシャン!?」

 

「うん。あの向こうにある高台のほうへ行ってたよ。ああ、それとその子のそばに金髪の髪をした人も一緒だった。そう言えばその人の着てた服華琳様が来ていた服と似ていたけど・・・・」

 

「金髪の髪って・・・・華琳様のことかシャン?」

 

「華琳様かはわからないけどたぶんそうかも・・・・」

 

もしシャンの言うことが本当なら月は今華琳と一緒にいるってことか・・・

 

「よし、ならばその高台っとやらに行くぞ案内しろシャン!」

 

「・・・わかった」

 

「あっ!僕たちも行くからほら行くわよ吹雪!」

 

「わかったからそんなに引っ張るなよ詠!」

 

こうして俺たちはシャンの案内で高台へと向かう春蘭組の後を追うのだった。

 

 

 

 

 

「ここが高台ですか。とても高いですね宋華さん」

 

「ええ、そうね。これなら春蘭たちを見つけられるかもしれないわね・・・・」

 

一方月と華琳は子供たちの言っていた高台へと着き最上階で街を見下ろしていた。

 

「それにしてもこの街にこれだけの人がいるなんて驚きです」

 

「まあ、今回の後援会目的で来ている人が多いからそう見えるのよ。いつもは普通よ」

 

「それでもすごいです。この街を収めている曹操さんはすごいと思います」

 

「そうかしら?ねえ、トントン一つ聞いてもいいかしら?」

 

「なんですか宋華さん?」

 

「あなたがもし民を抱える立場の人になったら・・・・もしも国を建てようとしたらあなたはどういう理想を掲げるつもりかしら?」

 

「え?」

 

華琳の言葉に驚いて顔を向く

 

「な、何を言ってるんですか宋華さん?私はただの村娘ですよ?」

 

「さっきも言ったでしょ?もしもの話よ。」

 

「それじゃあ、商人である宋華さんならどんな国を目指すんですか?」

 

「私はこの地を収める曹操と同じ覇道を目指すわ」

 

「覇道…ですか?」

 

「ええそうよ。覇道こそがこの乱世を終わらせ、国や民をより良い道に導く道だと私は思っているわ。・・・・・さあ、私の理想は言ったわよ。トントン次はあなたの番よ」

 

華琳は少し笑って言う。すると月は少し考えそしてこう言う

 

「私がもし国や民を背負う人なら、もうこの強者が弱者を虐げず、誰もが安心して暮らせる世界を作ってみたいです。もちろん私だけの力ではそれは成しえないと思っています。」

 

「あら?じゃあ、どうするのかしら?」

 

「私一人ではなく、家臣や、民、そして仲間と一緒に国を良くしていきたいと思うんです」

 

「国を良くするため、民が幸せにするのはいいけどその目的を達成するためにはこの時代、暴力を振るわなきゃいけないこともあるわよ。それはあなたの理想と矛盾するじゃないのかしらトントン」

 

「確かにそう思います。ですが話し合いだけじゃ解決できないことがあります。ぶつかり合わなければわかってくれないことがあります。」

 

「そのためには武力もいとわないっと?」

 

「はい。ですが私はその力を守るために使いたいです」

 

「あら?おかしいわね誰かを守るために暴力をふるう。これも矛盾しているわよ?それにその力で死んだ者、殺した者も平和を望んでいたと思うわよ。殺した相手の未来を奪ってでもあなたはその理想を貫くっとそう言いたいのトントン?」

 

「はい。だからこそ私はその死んでいった人のため一時でも早く平和な世を作るため戦わなければならない。そう思っているんですこれが私の信念です・・・・・」

 

「・・・・」

 

「っともし私が指導者の立場にあったらそう思います宋華さん」

 

月は笑ってそう言うすると、華琳はただ黙っていた

 

「・・・・・・宋華さん?」

 

「…‥あいつがあなたについていくのもわかる気がするわ」

 

華琳は月には聞こえない声でそう呟く

 

「え?」

 

「いいえ、なんでもないわ。・・・・・・」

 

 

そう言うと二人は青空を見上げる。すると・・・・

 

「華琳様ぁー!」

 

「月っー!!」

 

高台の下で声が聞こえる。二人がその方向へ顔を向けるとそこには二人を探している二つの団体の姿があった

 

「あれは…‥詠ちゃんに吹雪さん」

 

「春蘭たちもいるわね・・・・どうやら探し人はお互いに見つかったらしいわねトントン・・・・・いえ、董卓」

 

「そうですね・・・・曹操さん」

 

そう言い互いを見る二人。実は二人ともさっきの話し合いの時で互いの正体のことを見抜いていたのだ。

 

「それじゃあ、董卓。また会いましょうっと言っても講演会でまた会うと思うけどね」

 

「私もそう思います曹操さん」

 

「ふふ・・・・あなたとはいい友人になれそうね。でもね董卓これだけは覚えてちょうだい」

 

「なんですか?」

 

「恋愛と友情はまったく別のものだから。だから私は必ず吹雪を手に入れるわ。異性としてね・・・だから負けないわよ」

 

そう言い華琳は立ち上がってそう言う髪型もいつもと同じリトルドリルヘアーとなっていた。

 

「私もです曹操さん。でも友情は友情ですからね曹操さん。私はこの日のことを忘れませんからね」

 

「そうね。私も忘れないわ」

 

そう言いお互い仲間の元に戻るのだった。

 

「華琳様っ!?いったい何処に行っていたんですか!心配していたんですよ!」

 

「大丈夫よ春蘭。少し高いところから街を見たくてね・・・・」

 

「そ、そうですか・・・・そう言えば沖田は・・・」

 

「あら?吹雪にあったの秋蘭」

 

「はい。先ほどまで一緒だったのですが・・・・探しましょうか?」

 

「いいえ、いいわ。それにもうすぐ講演会が始まるし。そろそろ広場に向かうわよ」

 

「「はい!」」

 

そう言い、華琳一行は広場へと向かう

 

 

 

 

 

 

「もう!月!勝手に離れて心配したんだからね!」

 

詠が心配そうに月に言う

 

「ごめん詠ちゃん。」

 

「まあ、まあ、詠いいじゃないかよ月も無事みたいだったしな・・・・・・ん?どうしたんだ月なんか嬉しそうだけど」

 

「え?ううん。なんでもないです吹雪さん。それよりも詠ちゃん講演会は・・・・」

 

「え?あぁー!もうこんな時間!急がないと始まっちゃうわよ!」

 

「そうだな急いで広場に行くか。」

 

「はい」

 

と三人はその後、川内たちと合流し無事講演会が開催される広場へと辿り着きこうして吹雪たちと華琳たちはその後張三姉妹のライブを見ることができたのだった。そして月はこの日のことを忘れなかった一つはライブを見れたこともう一つはその中で二人の少女が友人になった日でもあったのだった。

 

 

 




天「ねーねー!私たちの出番は?」

地「そうよ!なんで歌どころかセリフ一つも出ないのよ!」

人「落ち着いて、大丈夫よ姉さんたち。私たちの出番はあるわ」

地「へ?ほんと人和?もしかして拠点フェイズ「張三姉妹!」的な?」

人「うん。作者やスタッフたちと交渉していつになるかはまだわからないけどちゃんとした出番出せるように約束つけたから」

天「さすが人和ちゃん♪抜かりないわね」

地「で、いつに何るの?その出番は?」

人「さあ?少なくともまったく出番がない訳じゃないから」

天「じゃあ、それまで歌の練習でもしてようか?」

「「「賛成!!」」」

こうして三人は次の出番のためまた三国一の歌い手となるべく練習を始めるのだった






どうもお久しぶりです疾風海軍陸戦隊です。だんだん寒くなってきました。私もこの寒さに負けないように頑張って小説投稿していきたいと思います。では皆さんまた次回もお楽しみに。ありがとうございました!




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吹雪縮む

洛陽の宮中内・・・・

 

「くそっ!董卓め!簡単に傀儡できると思ったが、なかなかうまくいかない!」

 

十常侍筆頭である張譲がそう言う。実はこの張譲何度か董卓を傀儡せんといろんな誘いや誘惑をしていたのだがことごとく彼女に断られていてイラついていたのだ。すると・・・・・

 

「張譲様・・・」

 

すると彼の部屋に一人の密偵が現れた

 

「おお、お前か?で、どうだ?樊稠以外で董卓軍の中で裏切りそうなものはいたか?私の予想では結構、私につくものが出たのだろ?」

 

張譲は董卓軍の兵士、吹雪率いる第3師団や彼の母であり呂布、そして徐栄の第2師団を買収し自分の私兵にしようと企んでいたのだ。特に彼は吹雪率いる第3師団に目を付けていたのだ。だが・・・・・

 

「は、女を使っての色仕掛けの工作や金銀財宝なんかを条件にいろいろやったのですが・・・・」

 

「どうしたんだ?」

 

「それが裏切りに出る人は一人もいませんでした。」

 

「何っ!?一人もいないだと!?第3師団の連中もか?」

 

彼の予想ではあんな小僧が指揮官だと不満を覚える輩が一人ぐらいはいると考えていたのだが・・・・

 

「はい。やはり天の御使いである彼の存在が大きいようで・・・」

 

「やはりあいつか・・・・・天の御使いは象徴としては使えるが、どうも邪魔だなあいつは。董卓が強気なのもおそらく彼の者の影響だろう」

 

「それについて名案があります張譲様」

 

すると丁原が部屋にやってきた

 

「名案とはなんだ丁原?」

 

張譲がそう言うと彼女はニヤッと笑い

 

「簡単なことです。彼を‥‥天の御使いである沖田吹雪を暗殺すればいいんですよ」

 

「確かに名案だ。だが、バレれば私たちの運もこれまでだぞ丁原?」

 

「ご心配なく。こう見えて私は漢王朝に仕えるまでは裏で暗殺などの陰仕事をしていました。決して犯人や黒幕がバレるようなことはありません。それに彼を暗殺したとしても、もう一人の‥…劉備のところにいるという天の御使いである白き御使いを使えばいいことです」

 

「そうか・・・・・で、いつやるのだ?」

 

「すでに手はずは整っております。これを使うのです」

 

そう言うと丁原は一つの瓶だった

 

「これは?」

 

「はるか異国に伝わる毒薬。名は確か・・アポロだとかアポトキだとか、よくわからない名でしたが効き目はばっちりのはずです」

 

「わかった。その件はお前にすべて任せる。ただ絶対に失敗はするなよ」

 

「御意」

 

そう言うと朝廷は暗闇に紛れ消えたのだった

 

「ふん・・・・まあ、もしそれが成功すれば、天下は私のものだな」

 

そう言い、張譲は薄気味悪い笑い声をあげるのであった。

 

 

 

 

一方、吹雪は、新たに仲間になった元洛陽の役人である李粛こと美佳とともに汜水関を視察していた。城壁は前よりも頑丈にできていた。そして吹雪はその関所の街門前を地図を見ながら美佳と歩いていた。

 

「間違いない・・・・反董卓連合が来るのはここしかない・・・・」

 

俺は美佳には聞こえないくらいの声でつぶやく。

 

「え?何か言いました吹雪さん?」

 

「いや。なんでもない。それよりも美佳さん」

 

「はい」

 

「あそこいら辺を走ってくれないか?」

 

「はい?な、なんでですか?」

 

「自分がここを責める敵だと思って走ってみてくれ」

 

「敵って言うと五胡とかですか?わかりました」

 

「俺はそっちを行く!」

 

そう言い俺は彼女が行く方向の逆を行き銃を構える姿勢を取る

 

「逆っ!」

 

「はいっ!」

 

そんなこんなな不思議なやり取りがあった。それを見た兵士や作業員たちは『御使い様もとうとういかれたかな?』なんて話がされていたとかされていなかったとか・・・

吹雪はあることを考えていた。そう反董卓連合のことだ。実は詠もそのことを知っている。というより話したのだ。あれは張三姉妹のライブに戻った後だった。珍しく俺は詠の部屋に呼ばれたのだった。

 

とんとん

 

俺は詠の部屋でノックをするすると・・・

 

「吹雪?入ってちょうだい」

 

そう呼ばれて部屋の中へと足を踏み入れた。

 

「それで、詠?何か用事なのかな。最近失敗は無かったと思うんだけど」

 

「第一声が説教の心配なわけ?・・・安心していいわよ、別に説教とかそうのはないから、ただちょっとあなたの世界のこと訊きたいのよ」

 

「俺の世界?母さんじゃなきゃダメ?」

 

「確かに前に恋に天の国のことを訊いたけど恋は『吹雪のほうが滞在時間とその時代の常識が私より詳しい』って言われてね。で、あなたを呼んだわけ」

 

母さん・・・・・

 

「まあ、答えられる範囲だけどそれでいいか?」

 

「ええ、別にいいわよ。お礼っといってはなんだけど、いいお酒が買えたから一緒に飲みながら話さない?僕はあまり飲めないんだけど・・・・」

 

そう言い詠は酒瓶を出して二つの小さなお猪口に酒を注ぐ。そしてその後俺と詠は二人っきりで話をした、政治はどうなっているのか庶民はどんな暮らしをしているのかいろいろだ。そして

 

「・・・あんたはその天の世界で思い人とかいたの?」

 

詠のいきなりの言葉に俺は危うく吹き出しそうになる

 

「えっと?つまりどういうこと詠?」

 

「だ・か・ら!吹雪は元の時代に好きにな人がいたのかって聞いてるの!別にかっ勘違いしないでよね!ただ、こういうような話とかしてみたいっと思ってただけだからね!」

そんな風に赤くなったのは酒の所為なのか違うのか、これをツンデレっていうのかな?

 

「そうだな・・・・男友達とかいたけど彼女とかはいなかったな・・・・」

 

「そう、天の国の女は見る目がないのね。こんないい奴のことを好きにならないなんて///・・・・」ボソッ

 

「え?」

 

「いいえ、なんでもないわ。」

 

「そうか‥‥あ、詠。お酒を注ごうか?」

 

「ありがと。吹雪」

俺は詠のお猪口に酒を注ぎ詠は酒を少し飲むと真剣な顔に変わる

 

「吹雪・・・・」

 

「ん?なんだ詠?」

 

「あなた、何か心配事でもあるの?あなた前に洛陽に行くって言ったときも、そして今も不安そうな顔をしているわ・・・・」

 

俺は詠の言葉に少し動揺する。

 

「・・・・・・」

 

不安がないと言えば嘘になる俺が心配しているのは他でもない反董卓連合のことだ。

 

「もしかして・・・・吹雪のいる天の国の歴史のこと?」

 

詠がそう言うと、俺は黙ってうなずく

 

「やっぱりね・・・・・・で、何が心配なわけ?」

 

「詠。これはあくまで俺の知る歴史だ。もしかしたら起きない可能性もあるし、無駄に心配はかけたくない・・・」

 

「信じるか信じないか僕が判断するわ」

 

「でもな・・・・」

 

俺はそう言うと詠は

 

「水臭いわよ吹雪。あなた一人だけそんな不安を背負わせるわけにはいかないわ。僕たちは仲間であり家族でしょ?いいから話して」

 

詠にそう言われ、俺は反董卓連合について話す詠はその話を聞き驚いた顔をしていた。

 

「確かに信じられない話ね月が暴政をするなんてね・・・・・それにそんな戦が起こるなんて・・・」

 

「俺も月の人柄や性格からそんなことは起きない可能性があるっと今まで思っていた。だけど月がそれを起こすとは限らない。私欲に走る豪族や官僚が自分のやった悪事を月に罪をかぶせる可能性がある」

 

「そう言えば前に十常侍の筆頭張譲が月をいろんな理由で仲間にしようとしてたわ。その時のあいつの顔何か企んでいるようだったわ」

 

張譲か・・・・あいつはなんか信用できないっと思っていたけど・・・・

 

「とにかく、話は分かったわ。私も万が一その反董卓連合が起きた際の対処法考えておくわ・・・話してくれてありがとうね吹雪」

 

そう言って話はお開きになった。

 

 

 

 

「・・・・さん?・・・・・きさん?・・・・吹雪さん!」

 

「っ!?ああ。・・・・美佳か・・・どうしたんだ?」

 

「どうしたかっじゃありませんよ。先ほどからぼーっとして何かあったのですか?」

 

「あ?いいやなんでもないよ。ちょっと考え事をしてただけだ」

 

「そうですか・・・・吹雪さん。この街も昔みたいに活気のある街に戻りました。すべてあなたのおかげです。ありがとうございます」

 

そう言い美佳は頭を下げる

 

「俺は別に何もしていないよ。あの町が活気に満ち溢れ最高で着たのは国民による力だと俺は思っている」

 

「国民の力ですか?」

 

「ああ、そうだ国っていうのはな国民の力あってこその国なんだ。だから俺たち兵士や将軍、そして王や役人たちはその国民が安心して暮らせるように働くことが義務なんだよ美佳」

 

「ふふっ・・・」

 

「なんだよ。俺何か変な事言ったか?」

 

「あ、いえ。ごめんなさい。私の友人と同じことを言っていたのでつい」

 

「友人?」

 

「はい。幼い頃、私には同じ私塾や武芸を学んだ友人がいたんです。その子は人一倍愛国心の持ち主だったのですが、今の腐敗した王朝を見て落胆し役人を止めて都を出て行ってしまいました。風の噂では盗賊の首領をやっているっと聞きましたが・・・・」

 

そう言うと彼女は不安そうに眼を細める。

 

「美佳・・・・・」

 

俺は何も声をかけれなかった。そして二人は汜水関の関所を後にしたのだった。そしてその帰り道・・・

 

「ああ、これはお噂の枯草の御使い様」

 

帰っている最中、商人の人に声をかけられる。見かけない顔だけど旅商人かな?

 

「なんだい?」

 

そう言うと商人のお姉さんは一つの瓶を取り出す

 

「これは新製品の蜂蜜水なんですがね。よかったら試飲してみるかい?」

 

蜂蜜水か・・・・少し興味ある。飲むぐらいなら別にいいか・・・

 

「ああ、、それじゃあ、いただこうかな?」

 

吹雪はそう言うとその瓶を取り蜂蜜水を飲む。その時、その商人の顔がにやりっと笑うのだったが・・・・

 

「うん・・・・蜂蜜なのに甘ったるくなく、むしろあっさりして飲みやすい・・・お姉さん。これならいけるぞ。ごちそうさん…‥ってどうしたんだ?」

 

吹雪が飲み終えてそう言うとお姉さんは信じられないっというような顔をする。

 

「え?ああ…何でもないわよ」

 

「そうか。じゃあまたな」

 

そう言い吹雪はそこを立ち去る。するとその商人のお姉さんは吹雪の飲んだ水の瓶を取る

 

「どうなっているんだ?味がわからないよう蜂蜜と混ぜたのになぜ毒が効かなかったんだ?」

 

この商人の正体は丁原だった。彼女は商人に変装し、異国から伝わる猛毒を違和感を与えないように蜂蜜水に混ぜて吹雪に飲ませた。しかし吹雪は何事もなかったかのように平気で飲んだことに彼女は驚いたのだ。

 

「・・・・・もしかしてこの毒は紛い物?とにかくこのことを張譲様に言わねば・・・・」

 

そう言い彼女もその場を去るのだった。

 

 

 

そしてその夜・・・・・

 

「吹雪様…お疲れ様です。お茶をどうぞ」

 

「ああ、ありがと志乃。本当に今日は疲れたよ」

 

俺は部屋で座っていると志乃がお茶を持ってきてくれた。あの後俺は警邏の仕事に新兵たちの訓練指南などいろいろ忙しかった。てかなんだか身体がすごくだるい‥‥働きすぎかな?俺が湯飲みを取ろうっとした瞬間・・・・・

 

「っっっ!! ぐは……っ!!」

 

俺は突然、今まで感じたことのないような熱さを体の中に感じた。思わずその場に倒れ込む。な、なんだ!?

 

「ふ、吹雪様!?どうかしたのですか!!?」

 

突然のことに志乃は慌て始めそして駆け寄る

 

「吹雪様っ!しっかり!」

 

志乃はそう呼びかけるが俺は苦しむ。

 

「司馬懿様!沖田様!どうかされたのですか!?」

 

志乃の叫び声を聞きつけ屋敷の侍女の人がやってきた

 

「吹雪様が突然苦しみ始めたんです!」

 

それを見た侍女の人も状況を理解し

 

「わ、わかりました!すぐに人を呼びます!」

 

侍女の人は慌てて部屋を飛び出し人を呼びに行くのだった。

 

「吹雪様っ!?吹雪様っ!」

 

志乃の叫びを最後に俺は意識を失うのだった・・・・・

 

 

「吹雪が倒れてですって!?」

 

「おい、吹雪大丈夫か!?」

 

「「隊長大丈夫ですかっ!?」」

 

しばらくして侍女の話を聞いた月や詠、霞たちが部屋に入り込む。すると、そこには志乃が椅子に座っていた。

 

「志乃っ!?吹雪は!侍女の人から苦しんで倒れてたって聞いたけど」

 

「はい。その・・・・なんて言うか・・・」

 

志乃は何か気まずい顔をする

 

「おい、どうしたんだ志乃?それより吹雪は姿が見えないけど?」

 

アンチョビがそう言うと志乃はベットのほうを指さす。するとそこには

 

「おや?これは可愛い赤子だな志乃」

 

星がそう言う。そう、星の言う通り志乃が指さしたベットの上には2,3歳児ぐらいの子が寝ていた・・・・

 

「ちょっと、誰よその子?」

 

「実は信じられないかもしれないのですが・・・・その・・・この子、吹雪様なんです・・・・・」

 

 

「「「「「え?・・・・・・ええええええーっ!?」」」」」

 

志乃のその言葉にみんなが驚きの声を上げたのだった・・・・・




さてさて丁原の毒薬のせいで赤ん坊となってしまった吹雪。この先、彼はどうなるのかは次回のお楽しみです。後、活動報告でアンケートをしています興味のある方はぜひ見てください


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吹雪赤ん坊になる

「ほ~ら、吹雪~高い高~い♪」

 

「キャッ♪キャッ♪キャッ♪」

 

「霞様次は私の番です」

 

「次は私よ斗志」

 

「何を言ってるっすか!次は私の番っすっ!」

 

と、今吹雪の部屋はちょっとした騒ぎになっていた。

 

数分前、

 

「これが吹雪ですって?志乃どういうことなの!?」

 

「そ、それがね詠。実は・・・・・・」

 

志乃はなぜ吹雪が赤ん坊になってしまったのか説明する。志乃の話によると突如苦しみだし倒れた吹雪。そして女中さんがそれを目撃しみんなを呼びに行っている最中、突如吹雪の身体が光りだし光が消えると、吹雪が元いた場所にはその赤ん坊がいたということだ。

 

「まさか、そんなことって・・・・」

 

詠が驚いていると

 

くいくい

 

「?」

 

誰かが詠の袖を引っ張る。詠がそこを見ると吹雪がニコニコした笑顔で詠の袖を引っ張っていた。

 

「な、なによ・・・・」

 

「~♪」ニコ

 

「////!?」ボォン

 

吹雪の母である恋譲りの無邪気の笑顔で詠は急に顔を赤らめ頭から湯気が立ち上る。そして・・・・

 

「か、かわいいー!」ギュっ!

 

と、いきなり詠は吹雪を抱きしめる

 

「え、詠ちゃん!?」

 

「何よこれ、かわいすぎるでしょー!」

 

と、詠は何かが外れたのかみんなが引くくらい吹雪を抱きしめ撫でまわしていた

 

「え、詠ちゃん・・・・」

 

「ま、まあ気持ちはわかるんけどな・・・・・」

 

「隊長の笑顔かわいいです・・・・」

 

「右に同じ」

 

「(私も抱っこしたい・・・)」うずうず・・・

 

みんながうらやましそうに見ている中、詠は吹雪を抱きしめる。すると・・・・

 

ボォン!

 

「わああー!!!」

 

吹雪を抱きしめていた詠だが突如吹雪が煙幕に包まる。そして吹雪の姿がいきなり人型の切り株に変わる。それを見て詠はおろかみんな驚く。するといつの間にか雪風が赤ちゃん吹雪を抱いていた。そう、雪風が隠密術、つまり忍術ですり替えたのだ。

 

「隊長は私のものです!」

 

顔を赤くし目をぐるぐるさせた雪風がそう言う。

 

「やばい、雪風も混乱してる・・・・」

 

「び、びっくりした・・・・・」

 

「樊稠!それは心臓に悪いからやめんか!」

 

華雄は手を心臓に置き深呼吸して言う。

 

「雪風ずるいで!次はうちの番や!」

 

と、まあその後、吹雪争奪戦が始まり今に至るのだ。

 

「お~よしよしいい子だな~て、こらこら髪はひっぱちゃだめだぞ~」

 

「キャッ♪キャッ♪」

 

今、吹雪を抱いているのはアンチョビだった。しかもそのあやし方はて慣れているかのような感じだった。

 

「お姉ちゃん。あやし方上手いね」

 

「まあな。ローマ軍人になる前はよく近所の子供の面倒を任せられたもんだよ」

 

そう言うと華雄が近づいてきて

 

「な、なあ、アンチョビ。次は私に抱かせてくれないか?」

 

と、少しうずうずした顔でそう言う。

 

「ああ、いいぞ。ただし優しくな」

 

そう言いアンチョビはそっと華雄に吹雪を渡す。吹雪は疲れていたのかすやすやっと寝ている。

 

「(か、かわいい///)」

 

華雄はその寝顔に顔を赤らめる。華雄は武人である彼女だがやはり一人の女だなっと改めて思ったのだ。すると・・・・・

 

「うっ・・・うっ・・・うわぁぁぁん!!」

 

いきなり吹雪が泣きだしたのだ。いきなりのことでみんな驚く。

 

「ど、どうしたんだ吹雪。」

 

「華雄、あんた何をしたのよ!?」

 

「い、いや私は何もしてない!」

 

いきなり吹雪が泣きだしたので華雄はうろたえる

 

「うわぁぁぁぁん!!」

 

「ど、どうすれば」

 

「と、とにかく吹雪をあやさないと!」

 

「な、泣き止んで吹雪さん」

 

みんながおろおろしてると桜花は何かひらめいたのか

 

「あ、もしかして腹すいてるんじゃないっすか?そうだったら!」

 

桜花がそう言うのと同時に桜花は服を脱ごうとする

 

「ちょっ!?桜花、あなた何やってるのよ!?」

 

「何って、おっぱいをあげるに決まってるじゃないっすか?」

 

その言葉にみんなは固まり・・・・そして・・・

 

「おまえ、妊娠もしてないのに母乳なんて出るわけないだろ!」

 

「そ、そうだぞ桜花!?」

 

アンチョビと斗志がものすごい剣幕で桜花にそう言う。

 

「じゃあ、アンチョビ姐さんや斗志は出るっすか?」

 

「「出るわけないだろっ!!!」」

 

「じゃあ、川内は?」

 

「出るわけないだろが、嫌味か桜花#」

 

「任せろここは私が・・・・!」

 

そう言い星も服を脱ぎだす。しかしそれを雪風や夕張に止められる

 

「星も出ないだろうが!」

 

「見くびるな!母乳など出そうと思えばいくらでも出せる!ほら吹雪殿しかと堪能してくれ」

 

そう言い星は胸を出すが・・・・

 

「うわぁぁぁ-ん!」

 

吹雪は泣き止まない

 

「な、なぜだ?なぜ泣くのだ?」

 

「きっと、星の胸が噛みつきそうだから怖かったんだな~やっぱ巨乳はみな死すべし」

 

「どんな胸よそれ!」

 

「て、華雄?なぜお前も服脱ごうとしているんや?」

 

「あ、いやあの・・・///」

 

川内のボケに夕張がつっこみ、霞もどさくさに紛れて服を脱ごうとする華雄を見つけそう言う。

 

「それにしても困りました・・・・・吹雪様をあやせる人てほかには・・・」

 

「誰が・・・・・・・あっ!」

 

すると月が何か思い出したように声を出す。

 

「詠ちゃん。そう言えば呂布さんは?」

 

「え?恋?・・・・・あっ!そうかその手があったわね」

 

読者の人はお忘れかもしれないが実は吹雪は呂布こと恋の実の息子なのである。すると・・・・

 

「月!、詠!。吹雪が倒れたって‥‥ほんと!?」

 

と、恋が勢いよく入ってくる。なんといいタイミングなんだ。この時みんながそう思った。

 

「はぁ・・はぁ・・詠。吹雪は・・・」

 

いつも静かに言う恋だがこの時は走って部屋に向かっていたのだろうか汗を流し取り乱したように詠に言う。すると・・・・

 

「うわぁァーン!!」

 

「ん?赤ちゃん?」

 

恋は泣き叫ぶ赤ん坊に気が付き、そして赤ん坊になった我が子とは知らず。そばに近寄り、じっと見る。すると・・・・

 

「詠、おむつ取ってきて、霞たちは温かいお湯。この子、お腹すいてるのと粗相をしてる」

 

「えっ!?」

 

「早く・・・・」

 

「わ、わかったわ。」

 

「うちもや」

 

「それとご飯が・・・・必要。華雄、月。何か食べるものを」

 

「わ、わかりました」

 

そしてしばらくして、詠と月たちがおむつとぬるま湯、そしてすりおろしたリンゴを持って戻ってきた。

 

「恋。持ってきたわよ」

 

「ありがとう。そこにおいて」

 

詠たちが置くと、恋は新品のおむつを取り出し、吹雪に近づく。そして恋の赤い瞳がきらりと光って、

 

しゅぴっ!

 

「おむつ交換終わり」

 

「「早ぁ!?」」

 

目にもとまらぬ速さで、おむつを交換した。その間なんと3秒!?そのことにみんな驚く。その間に恋は吹雪にご飯を食べさせた。ご飯を食べさせた後その後またすやすやと寝てしまう。恋はそっと吹雪をベットに置き、毛布を掛け頭を数回優しくなでる。その顔はまさに母親そのものだった。

 

「て、手慣れてるな・・・・」

 

川内が感心してそう言う。すると恋は

 

「当たり前・・・・吹雪がまだ赤ちゃんだったころ世話したの恋だから・・・・・ところでなんで吹雪が赤ちゃんになってるの?」

 

「えっ!?恋。この赤ちゃんが吹雪だってわかるの!?」

 

「うん。恋が・・・・腹を痛めて産んだ子を・・・・・見間違えるはずはない。なんで吹雪が赤ちゃんに?」

 

「じ、実は・・・・・」

 

志乃は恋に吹雪の身に起きたことを説明する。恋は最初は驚いた顔になったがすぐに納得してくれた。

そしてその後・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら・・・・吹雪。・・・・恋のことわかる?」

 

「まーま♪マーマ♪」

 

「そう、・・・ママよ」ギュっ

 

「兄上。ねねもねねって呼んでほしいですぞ!」

 

「ね~ね♪」

 

「恋殿~今、兄上がねねのことね~ねっと呼んでくれましたぞ!」

 

「私も星って呼んでくれ」

 

「せーねーちゃッ!」

 

「う、うむ////」

 

「ふ、吹雪。私のことも呼んではくれぬか?」

 

「かーゆーねえっ!」

 

「////」たらー

 

「おい、華雄!?鼻血が出てるで!?」

 

「あはは…武術以外にもいいものがあったのだな~」

 

「しっかりせいや華雄っ!?」

 

と、まあこんなことがあり、その後の夜、恋はしばらく吹雪の部屋にいて、しばらく赤ちゃんになった吹雪を抱っこいた。すると、月が、

 

「あ、あの…呂布さん。吹雪さん抱っこしてもいいですか?」

 

「いいよ・・・・優しく・・・・抱っこしてね」

 

そう言い、恋は月に吹雪をそっと渡し、月はそれを受け取る。すると吹雪は

 

「キャッ♪キャッ♪キャッ♪」

 

っと、嬉しそうに笑う。それを見て月は微笑む。その微笑はまるで聖母マリアのようだった。

 

「なんか月、さまになっとんな~」

 

と霞がそう呟くのだった。

 

 

 

 

そして夜、吹雪はすやすやと寝ていて、部屋にいるのは恋、詠、月の三人だけだった。

 

「寝ちゃいましたね・・・・吹雪さん」

 

「そうね・・・・それにしても恋が来る前は泣いている吹雪をどうあやせばいいか大変だったわ。子育てって大変なのね・・・・」

 

「そうだね詠ちゃん・・・」

 

そう言う詠だが、まんざらでもない顔をしてそう言う。恋は寝ている吹雪の頭をそっと撫でていた。

 

「それにしても吹雪さんはなんで赤ちゃんになってしまったのでしょうか?」

 

「それは僕にもわからないわ。・・・・・・ねえ、恋。あなた何か知ってる?」

 

「知らない・・・でも吹雪の子供姿・・・・久しぶりに見れたから良しとする・・・」

 

「・・・・・・・・・・・ねえ、恋。もしも、もしもだよ。もしも吹雪に好きな人ができたらあなたはどうするの?」

 

と、詠がいきなりそう言う。すると恋は目をぱちくりさせて

 

「別に・・・・吹雪の選んだ子ならそれはそれでいい。恋は何も文句言わない」

 

「じゃあ、もしも吹雪が現地妻っていうかいっぱい女の子引きつれたらどうなるのよ?あいつ、あなたに似て結構人を引き付ける体質よ?」

 

「違う・・・あれは・・・父親に似た。」

 

「吹雪さんのお父さんにですか?」

 

月がそう言うと恋は頷く

 

「吹雪の‥‥お父さんの総司は・・・・誰にでも優しく、誰にでも好かれる性格だった。・・・・今の吹雪見ると、怖いくらい同じ・・・・だからあれは恋じゃなくて父親似。・・・・それと誰かを好きになることはとてもいいこと、・・・・だから恋は・・・吹雪がどんなに愛人たくさん作ろうと、ちゃんと責任もてその人を幸せにできるのなら別に文句言わない。ただ・・・女の子・・・泣かせるようなことしたら恋はすごく怒る。」

 

つまり、責任もってその人を幸せにできるのであれば一夫多妻は別にいいっということだ。

 

「だから、詠。月・・・・その件なら・・・心配しなくていいよ」

 

と、恋はにこっと意味のある笑みを含めそう言う。

 

「へう!?///」

 

「あ、あなた何を言ってるのよ恋!?わ、私は別に・・・///」

 

「ふふっ・・・そう言うことに・・・・しとく」

 

そんな会話が話されていた。そしてその後、恋は赤ん坊になった吹雪を添い寝する形で寝るのだった。

 

 

 

 

 

一方、宮中では・・・・・

 

「申し訳ございません…‥張譲様」

 

丁原が吹雪の暗殺失敗を張譲に報告する。

 

「そうか・・・・流石、天の御使いっというところだな。まあ、いい。そう言えば丁原。貴様霊帝様が退位されて妹君である献帝様に譲るっという話は聞いておるな?」

 

「は、・・・・はい」

 

「あの陛下が退位とはな・・・それでだがなお前に汚名返上の機会を与えてやる」

 

「へ?」

 

「明後日、献帝様がお忍びで街を見学するとの情報が入った。それも一人だ」

 

「ひ、一人ですか!?護衛は?」

 

「いない。むしろ姉はおろか趙忠の奴にも言わず一人で行くらしい。全くこれだからお子様は…そこでだ。お前には村娘に変装した献帝を抹殺してもらう・・・・できるな?」

 

「はぁ?……は、承知しました。」

 

そう言い、丁原はそう言い闇に消える

 

「天の御使い沖田吹雪を消すのは失敗したが次期皇帝を抹殺し、ついでに現皇帝を抹殺すれば漢王朝は私のものだ。池田屋では失敗したが次こそは上手くいく」

 

じつはこの張譲、あの池田屋事件の時池田屋に潜伏していた浪士に交じっていたのだ、そうあの事件では一人行方が不明だったがそれは浪士に変装した張譲だったのだ。

 

「次こそは。。。次こそは上手く言う」

 

そう悪だくみするのだった・・・・・

 

 

 

翌日、

 

「よお、みんなおはよう」

 

吹雪が赤ん坊になって翌日吹雪は元の大きさに戻っていた。そして吹雪は広場に行って皆に挨拶をするのだが・・・・

 

「「「「ズウゥゥゥゥーンン!!!」」」

 

「えっ!?何だこのがっかりさせちゃったような重苦しい空気は!?」

 

吹雪が元の姿に戻ってみんなが、まるでこの世の終わりみたいにがっかりし、その様子を見て驚く吹雪だったのであった。

 

 

 

 



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洛陽瓦版の突撃取材!吹雪隊!

今年最後の投稿となりそうです・・・・


ここは洛陽。漢王朝の皇帝が住む都・・・・その町中に瓦版…新聞社があった。その新聞社の中では一人の女性が机に座ってため息をついていた。

 

「う~ん・・・・」

 

「どうしました?編集長?」

 

ため息をついた編集長っと呼ばれた。短い金髪に緑と赤の縞模様のベレー帽みたいな帽子をかぶった眼鏡の女性に部下の女性が訊く

 

「え?ああ、王ね・・・・最近事件とかそう言うのがなくてつまんないのよ・・・・最後に出た事件っといえば『華蝶仮面・怪傑ハリマオまたも悪党を成敗する!』事件を最後にな~ンも起こってない。ほんと、退屈で死にそうだわ」

 

「事件がないのは平和でいいじゃないですか?」

 

「そうは言うけどね王?私たち瓦版屋にとっては事件や話題が命なのよ。このままじゃ廃業しちゃうわ。そう言えば青葉さんはどこに行ったの?最近姿が見えないけれど?」

 

「え?ああ青葉先輩なら劉備率いる義勇軍のほうへ取材に行ってますよ?」

 

「劉備?・・・・・ああ、最近名を挙げてきた義勇軍の大将のことね確かその上は最近の二人の天の御使いの一人白き御使いがいるっていうあの義勇軍?なんでそんなとこに?そこに話題なんてあるの?」

 

「ええ、その部隊がどんなものか、またはその兵士たちは義勇軍のことまた指導者のことどう思っているのかそう言う戦地やその場でしか聞けないようなことを知るのでなかなか新鮮な記事になったりするんですよ」

 

「さすが青葉ね・・・・・・そうだこれだわ!王!あなた董卓軍。それも第3師団の方取材できないかしら?」

 

「え!?今からですか?」

 

「明日からでも構わないわ。お願いできる?」

 

「私は別にいいですけど、なんでまたここの太守である董卓様の軍。それも第3師団を取材するのですか?」

 

「あなたも知っているはずだけど『池田屋事件』のことは知っているわよね?」

 

「え?あ、はい。確か浪人武人60人たちが天水にある池田屋っという宿で天水の街を焼き討ちするのとその役場にいる役人たちを殺害するっていう計画を天水に所属する天水警邏隊30名ほどがその情報を聞き付けその宿に突入しその計画を未遂に防いだっというあの事件ですか?でもそれと第3師団。何の関係が・・・」

 

「実はねその時の天水警邏隊士の幹部を務めていた人がが今の董卓軍第3師団にいるのよ」

 

「え!?本当ですか!?じゃあ、今いる天水の警邏隊は?」

 

「もちろんその時の事件に参加した隊士の一部は天水にいるわ。けど今いる天水警邏隊の隊士はその事件の後に入った人が多いのよ。まあ、それはともかく、董卓軍第3師団の取材お願いできる?」

 

編集長の言葉を聞いて彼女の記者魂に火が付く。彼女としても漢王朝の大事件(黄巾党の乱は除く)を未然に防いだ隊士たちと直接取材ができるのだから。

 

「わかりました!瓦版屋の血が騒ぎます!早速取材にいって・・・・」

 

「ちょっと待ちなさい。これからが重要なことなのよ」

 

「え?」

 

「池田屋事件についての取材はあくまで次いで、本命は第三師団長の沖田吹雪さんを取材してほしいのよ」

 

「沖田って、あの天の御使いの沖田さんをですか!?」

 

「ええ、そうよ。よろしくね♪あと取材許可の件は私がやっとくから」

 

「は、はぁ・・・・・」

 

王は編集長の頼みに苦笑を混ぜたため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうも、私は洛陽瓦版の記者の王大河です。今私がいるのは、洛陽警邏隊の屯所前です。これから一日私は董卓軍で三強の部隊の一つ、第三師団通称「吹雪隊」を取材したいと思います。因みに編集長が昨日董卓様に取材許可をもらっているため問題ありません。それでは早速、取材したいと思います。え?私が誰と話しているかって?ただの雰囲気作りです」

 

そう言い、王は取材しに行った。

 

「はい。再び王です。今私は、警邏隊隊長兼董卓軍第三師団師団長であり天の御使い様である沖田吹雪様に来てもらっています。本日はお忙しいのにありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いします。今日はうちの部隊を取材しに来たんでしたっけ?」

 

「はい。訓練とか兵士たちの言葉とかもそうなんですが、やっぱり第一に沖田様を取材したいと思ってます」

 

そう言うと王は竹簡と墨筆を取り出す。

 

「そうですか・・・・で、どんなことが訊きたいんですか?」

 

「やっぱり、あの有名な池田屋事件のことですね。で、その事件で当時天水警邏隊隊長だった沖田様でしたが。当時のことどう思いましたか?」

 

「ん~あの時か‥‥一言で言うなら、あのテロを防げてよかったと思っているよ」

 

「てろ?何ですかそれ、もしかして天の国の言葉ですか?」

 

「まあそんなものだ。」

 

「で、その意味は?」

 

「そうだな‥…テロは平たく言うと暗殺・暴行・破壊活動とかそう意味だったけな」

 

「なるほど、なるほど。とても興味深いです・・・・では次の質問いいですか?そのテロ?でしたっけそれをしようとする浪士60人に対し天水警邏隊士はたったの30人。どうやって60人相手に勝てる見込みはあったのですか?それと勝利の秘訣は?」

 

と、王がさらに質問をすると吹雪はう~んと首をひねり

 

「そうだな・・・・・あの時は必死になってたから、そういうのはあまり考えてなかったからな・・・・俺たちはただ必死に任務を全うしただけだよ。それと勝利の秘訣は決してあきらめないこと。それとどんなことがあっても生き延びることです」

 

「生き延びる‥‥ですか?」

 

「はい。どんなに兵を失って敗北しても、指揮官は汚名を背負っても生き残らなければなりません。たとえ負けても生きていれば必ず勝利することができます。それに武器は数年あれば作れるし、兵の育成も数年だ。しかし、優秀な指揮官の育成だけは年月だけでは測れない。その指導者が自決だとか責任を取って死ぬとか。今の時代そんな余裕はないっと思っています」

 

「なるほど・・・・・大変いい話を聞きました。ありがとうございます」

 

「こちらこそ。ところで王さん。俺はこの後、新兵の訓練を見に行くけど一緒に来ますか?」

 

「はい。喜んで」

 

そう言い、王は、吹雪の後をついていくのだった。そしてついた場所は練兵所だった。その練兵所にはたくさんの新兵たちがいたその新兵の中には女性兵士も混ざっていた。

 

「ここが練兵所です。ほらあそこに新兵たちが訓練をしています」

 

と、吹雪が指をさした場所には桜花を先頭にランニングをしている新兵、向こうでは星が武術を教えている。

 

「すごいですね・・・・あの沖田様?あそこは何をしているんですか?」

 

王が指さしたところでは斗志が新兵たちの前にいた。

 

「いいか、お前たちは今、これから受ける軍事訓練を受けることになる。そしてのこの訓練を終えたとき――各人は優秀な兵器となる。私たちが愛する平和を踏みにじる奴らを死へと叩き込む死神だ。その日まで貴様等は人間ではなく蛆虫だ。この世界で最下層の生物だ!」

 

と、斗志が大声で新兵にそう言う。

 

「今の貴様らは人間ではなく蛆だ。クソを掻き集めた値打ちしかないクソ虫だ!あんたたちは厳しく指導する私を嫌うでしょうがそれでいい。憎めばその分、一生懸命に学ぶ!私たちの軍は人種どころか家柄など身分の差別は絶対に許さない。平民、貴族、王族。そんなものは前の人間が勝手に決めたものだ!元より人間は公平であり平等だ。すべての平等に価値はない。私たち訓練教官はそんな役立たずを見つけ出し刈り取ることだ!平和に生きる国民を守る兵士に・・・・わかったかっ!!」

 

『はっ!』

 

斗志の言葉に若い新兵たちが大声で返事する。すると斗志はその新兵たちの端にいるニタニタと笑う兵士を見つけるとその兵士に近寄る

 

「貴様、なんだそのたるんだ姿勢やその馬鹿笑みは?やる気があるのか!」

 

「は、はいあります!あ、あの・・・・うわさに聞く新型兵器が使えると思うとうれしくて」

 

「馬鹿者!訓練初日の新兵にあれを渡すと思うか?貴様には百年早いっ!寝言は寝ていえ!・・・・だが訓練初日の新兵である貴様の言葉が気に入った。貴様名は?」

 

「は、はっ!○○です!」

 

「貴様、なぜこの軍に入った?」

 

「はっ!殺すためです!」

 

「なるほど。つまり貴様は殺し屋志願者か?」

 

「はっ!そうであります!」

 

「その割には怖くない!戦争の顔をしていろ!手本を見せてやる!こんな顔だ!っ!わぁー!」

 

と、斗志は新兵にそう言いいすごい形相で大声を出す

 

「やってみろ!」

 

「わぁー!!」

 

「ふざけてるのか!もっと声を出してみろ!」

 

「わあぁぁぁぁーっ!!!!』

 

「・・・・・・・ダメ、全然ダメ。今のあなたの顔は全然怖くない。もっと練習するように!」

 

「はっ!」

 

斗志はそう言うとその新兵から去っていった。そして、斗志はその後も演説をすると、その新兵を連れてどこかに行ってしまった。おそらく新兵訓練の障害物場だろう。

 

 

「あ、あの・・・・沖田様。先ほどのあれは何ですか?」

 

と、王さんは何が何だかわからないような顔をして吹雪にそう訊く。

 

「ああ、あれは李傕が新たに入った新兵を鍛えてるんだよ。」

 

「結構きつい言葉を言っているみたいですが、あれには意味があるのですか?」

 

と、王は首をかしげてそういう。まあ、彼女が不思議に思うのは無理もないだろう。

 

「ああ、今までただの民間人だった彼ら、彼女らの意識を改革させ覚悟を決めさせるためであり、また厳しい訓練を受けるにつれ自分が『何のために軍に入ったのか』を再び思いださせること、またその訓練で仲間との協調性を強めるためにあえてああいうことをしているんです」

 

因みにこの訓練法はアメリカ海兵隊式の訓練を参考にしている。またこのやり方は他の部隊も採用している特に夢華の第二師団や霞の第四師団ももこれを採用している。因みにあの訓練法は前に斗志にもっと兵士たちが気合の入るような訓練法を知りたいっということで教えた。ちなみにそれは華琳の客将時代に沙和にもそれを教えた。いやだって沙和のやり方まるで幼稚園の先生みたいだったからな・・・・・あいつ時代が時代ならいい先生になってるな・・・・・あいつら今頃何してるんだろう。

 

「なるほど、協調ですか・・・・・」

 

「ええ、軍隊は一人では成り立たないし、成功もしないからな。」

 

「なるほどなるほどとても興味深い話が訊けました・・・・・それと沖田様?」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「先ほど新兵が言っていた新型兵器なのですが・・・・それは一体?」

 

「ああ、それですか?すみません。それだけはちょっと公開はできません。ですが時が来たらお教えします。」

 

「そうですか・・・・それは残念です。ですが特徴だけでも・・・」

 

「本当にすみません。まあ、強いて言えば今までの戦を変えてしまうっとでも言いましょうか」

 

「そんなにすごいものなんですか!?それは?・・・・・」

 

「おっと、王さん。これは記事には書かないでもらいたい」

 

「え~。まあ、そうですね。じゃあその代わりお願いがあります」

 

「・・・・・・ん?何ですか?」

 

「ほかの兵士たちの取材をしたいのですがいいですか?」

 

と、王さんがそう言う。

 

「ああ、いいですよ。ただ仕事の邪魔をしないように取材をしてくださいね」

 

「はい!ありがとうございます!それでは私はこれでありがとうございました沖田様」

 

「おう、取材頑張れよ」

 

そう言い、王は隊士たちの方へ取材しに行ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、

 

「どうだった王?いいの取れた?」

 

「はい!編集長!第三師団の兵士たちの取材もちゃんと取れました」

 

「そう、で兵士たちはなんて?」

 

「はい『訓練は厳しいが、やりがいのある仕事』『俺たち兵士たちはみな兄弟』『兵士になってよかった』また『昔の弱い自分を捨て、まさに今、自分は生まれ変わり国や民を護る兵士へとなれた』など、とてもいいのを聞けました!」

 

「そう。じゃあ、天の御使いである沖田吹雪さんからは何か訊けた?」

 

「はい!いろいろと!」

 

「で、どうだった彼は?」

 

「はい!噂以上に素晴らしい人です!私今日の取材ができてとても嬉しかったですよ!」

 

と、笑顔でそう言う王。

 

「そう、それはよかったわ。王、その集めた記事渡してくれる?」

 

「は、はい」

 

そう言い、王は書いた記事を編集長に渡した。もちろん吹雪が記事に書くのはNGと言われたところは書いていないしまた編集長には言わなかった。

 

「さ~て!記事頑張って書いちゃいますか!」

 

そう言い記事を書き始める編集長だった。

翌日、洛陽新聞で吹雪隊について書かれた記事は発行され、表紙に大きく出された。国民に受けた。因みに劉備率いる義勇軍についての記事も出されたのだが、あまり人気がなかった。その後も洛陽瓦版屋はその後も『密着警邏隊24時』とか『笑ってはいけない役人さん』など、いろんな企画などを書いたりして、大人気になったのは言うまでもなかった。

 

 

 







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洛陽の休日

今年最後の投稿です


宮中

 

「と、言うわけで私はしばらく留守にするからあとは・・・・皇帝代理は次期皇帝であるあなたに任せるわ。白湯。」

 

と、漢王朝現皇帝である霊帝が、サイズの合っていない服を引きずる白髪の少女にそう言う。

 

「お姉ちゃん・・・・わざわざ遠いところにあるお菓子そんなにほしいの?」

 

と、あきれた声でそういうのは現皇帝霊帝の妹、劉協だった。

 

「本当は使用人に頼みたいところなんだけどね。前に沖田とお茶会したときに自分の足で買って食べるとその食べ物は究極の味になるって言われたことがあってね。それが本当かどうか確かめに行くのよ♪」

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃんは多くの民を預かる漢王朝の皇帝でしょ!ちゃんと政務しなきゃ!」

 

「政務?ああ、政治なら太守の董卓に任せればいいでしょ?私より政治の腕がいいのだから…そう私よりね・・・」

 

そう言うと霊帝は少し寂しい顔をする。

 

「お姉ちゃん?」

 

「いえ、なんでもないわ。それじゃあ私は趙忠や護衛を連れて行くけど。あなたは好きにやりなさい・・・・行くわよ趙忠!」

 

「はい♪それにしても宮中で霊帝様が退位なさるって話になっていますけど、なぜそうなったんでしょうね?」

 

「さあね。まあ言わせておけばいいじゃない。それより早くいくわよ」

 

「・・・・・霊帝様なんですかその格好?」

 

と、ジト目で趙忠がそう言う。今霊帝の格好は日本の時代劇に出てきそうな旅人の格好だった。

 

「使用人に頼んで買ってもらった雑誌でね、旅人はこうゆう格好をするのが主流って書いてあったから♪」

 

「・・・・はぁ~普通のカッコで問題ないですよ。私もお手伝いしますのでほら、こっちです。それでは劉協様お留守をお願いいたします。いない間代わりに影の用心棒を手配させておいたので・・・・」

 

そう言うと霊帝と趙忠はお菓子を買いに旅に出てしまったのだった。一人残された劉協は・・・・

 

「む~!このままじゃだめだもん!私・・・・いや、朕がしっかりしなきゃダメなんだもん!」

 

そう言い、何か決意する劉協だった。

 

 

 

 

洛陽街

 

「今日も異常はないな・・・・」

 

俺は今、街の警邏をしていた。

 

「あら、沖田様。警邏ですか?今最新の肉まんができたんだ。一つ持ってってください」

 

「どれ?‥…うん美味い!さすが親父さんの作る肉まんは美味いな~」

 

「あったりめえよ!うちの肉まんは洛陽・・・いや大陸一だからな!」

 

「はははっ!ちげえねえな。それにしてもここあたりもすっかり明るくなったな」

 

「それはもう。沖田様と董卓様のおかげですよ!他の国からお客が来るしこの街も昔に比べてすっかり光を取り戻したよ」

 

「あほか!この街が良くなったのは俺と月だけじゃねえ。この街の皆の頑張りのおかげさ、」

 

「はははっそう言ってくれると嬉しいですね」

 

と、互いに笑いながらそう話し合う。

 

「そんじゃ、俺は警邏に戻るから。肉まんご馳走さん」

 

「おう、また来いよ」

 

そう言い俺は警邏に戻る。そしてしばらく街を歩いて、その後裏道を歩いていると・・・・・

 

「離してなの!」

 

「ん?あれは・・・・・」

 

街を歩いていると、急に叫び声が聞こえる。俺はそこに向かうとそこには数人の男が小さな女の子を取り囲んでいた。

 

「なあ、ちょっといいじゃねえかよ。お前迷子みたいだし。いっしょにさがしてやんよ~」

 

「そうだぜ~オジサンたちはそういう可哀そうな子を助けるのが生きがいなんだぜ~」

 

そう言い、嫌がる少女の腕を無理矢理に引っ張る男性たち、俗にいう人攫いだ。

 

「離してなの~!」

 

「ちっ!いいから来いよ!」

 

それに比べ嫌がる少女。すると男たちは無理やり連れてこうとするチンピラたち。しかし・・・・

 

「おい、やめなよ。その子、嫌がってるじゃないか」

 

吹雪がそこへやってきて、男の腕をつかむ。

 

「お、お前は・・・・警邏隊隊長の沖田吹雪」

 

男たちが俺の顔を見ると冷や汗をかく。

 

「この子が迷子なら警邏隊であるが保護する・・・・・お前たちはサッサと去れ」

 

そう言われ、チンピラは短刀を出して反抗しようとしたが吹雪の殺気で戦意を喪失し逃げ去っていったのだった。

 

「やれやれ・・・・ここも平和になったと思ったがまだ、ああいう言うのが残ってたのか・・・・・君大丈夫か?」

 

と、吹雪はその少女に手を差し伸べる。

 

「う、うん・・・・ありがとうなの・・・・」

 

そう言うと少女は吹雪の手をつかみ起き上がる。

 

「あ、あの・・・・・あなたは・・・」

 

「ん?俺はこの街の警邏隊の者だよ。・・・・で、君なんで一人で歩いているの?保護者とかは?」

 

「あ、えっとその・・・・・今日はち・・・わたしだけだもん」

 

「え?一人!?」

 

「そ、そうなの!私はこの街の商家の生まれなんだけど、あまり外に出たことないからこの街を観光したくて一人で来たの!!」

 

「そうか・・・・・・じゃあ、俺が案内しようか?」

 

「え?いいの?」

 

「ああ。それにまたさっきみたいに攫われそうになったら大変だしな」

 

「ありがとう!私はぱ・・・ぱ・・パイって言うの!」

 

「そうかパイちゃんか。俺は沖田吹雪だ。よろしく。」

 

「よろしくなの!」

 

そう言い、俺はそのパイと名乗った少女にこの街を案内することになったのだった。最初に学校や病院。いろんなところを回った。まあ、時たま飲食店に寄り肉まんとかラーメンとか食べたりした。その時、ぱいは嬉しそうに食べていた。

そして今、俺とパイは洛陽の中で高い塔の上にいて景色を見ていた。

 

「奇麗なの・・・本当に洛陽はきれいな街なの・・・」

 

「……? どうしたんだ、急に?」

 

街に住んでいる人や街並みを見てパイはそう呟く。

 

「うん。今まで自分の住む街がどんな街かをこの目で見た事がなかったから・・・・」

 

と、真剣な目でそういうパイ。確か彼女はこの街の生まれって言ってたが・・・・いや、深く考え検索するのはよそう・・・・俺がそう思った。そして塔から降りて、街を歩く。ただ俺は少し違和感を覚えた先ほどまで人がたくさんいた道に今、人がいないことに・・・・それがそう思っているとパイが俺の袖を食い杭と引っ張る

 

「次はどこ行くの?」

 

「そうだな・・・・・」

 

と、俺は次の場所を考える。すると・・・・

 

ひゅっ!

 

「危ないっ!」

 

「え?・・・・きゃっ!」

 

急にどこからか短刀がパイの方へ飛んできて、俺は少し強引だが彼女の腕をグイっと引っ張り、それを防いだ。

 

「な、何なの!?」

 

と、パイはいきなりの襲撃に驚き、そして少し怯えていた。すると、目の前や後ろに黒服を着た怪しいやつらが出てきた。そしてその集団は武器を持っていた。明らかに怪しい。

 

「なんだ、お前ら・・・・・」

 

「貴様に用はない。用があるのはそこの小娘だ」

 

「・・・・・・彼女に何の用だ?」

 

「貴様が知る必要はないっ!」

 

そう言いその黒服の一人が小太刀くらいの長さの剣をを持ち襲い掛かってきた。俺は腰にさしてある軍刀を抜き応戦し、斬り捨てる。するともう一人はパイを襲おうとするが俺は南部14年式拳銃を取り出し、刺客を撃つ。

しかし、刺客はさらに襲い掛かる。すると・・・

 

ズバァ!

 

「ぎゃぁ!」

 

刺客の一人が何者かに斬られ倒れる。

 

「隊長!大丈夫ですか!?」

 

「雪風!」

 

刺客を斬ったのは雪風だった。

 

「街の人に斬り合が始まってるとの通報を聞いてきたのですが、大丈夫ですか!」

 

「ああ、助かった。雪風その子を頼む」

 

「わかりました」

 

そう言い雪風と俺はパイを守りつつ、刺客を倒す。だが・・・

 

「隙ありだぁ!」

 

二人の防衛網を潜り抜け刺客の一人がパイたんを刺し殺そうとする。しかし・・・・・

 

「ぎゃぁ!」

 

「「「っ!?」」」

 

急に短刀がパイを斬りつけようとした刺客の喉に命中し刺客は絶命した。それを見た刺客たちは

 

「くっ・・・・・撤退だ!」

 

「なんだよ、たかがガキ殺すだけじゃなかったのかよ!」

 

そう言い残った刺客たちは逃げるのだった。

 

「雪風その子に怪我はないか?」

 

「はい。大丈夫です。それにしてもあの短刀はどこから、それに誰が投げたんでしょうか・・・・・」

 

と、雪風はあたりをきょろきょろと見渡すがそれらしき姿は見つからなかった

 

「わからない・・・・パイ。大丈夫か?」

 

「うん・・・だいじょうぶもん」

 

「そうかそれはよかった・・・」

 

そう言い俺はパイの頭をなでる。するとパイは嬉しそうな顔をする

 

「さて・・・・空も暗くなってきたことだし家まで送ろう」

 

「隊長、私もお供します。」

 

「ああ、頼む雪風」

 

「御意」

 

「あ、あのね、吹雪お願いがあるもん!」

 

「ん?なに?」

 

「手を繋いじゃだめかな?」

 

「ああ、別にいいぞ」

 

そう言い俺はパイの手を握るするとパイは嬉しそうな笑顔を見せるのだった。

 

 

 

 

俺たちはしばらく歩くと宮殿近くの通りにつく。するとパイがここでいいっと言い出したのだ。どうやら彼女の家は宮殿のすぐ近くにあるらしい。

 

「ここでいいのかい?」

 

「うん。ここでもう、大丈夫だもん。吹雪、今日は楽しかった。ありがとだもん。おかげでこの街のことを良く知ることができたし、自分のやるべきことがわかったもん」

 

そう言ってパイは手を振ってそう言う

 

「ああ・・・・俺も楽しかったですよ・・・・・・劉協様」

 

俺がそう言うとパイこと劉協はにこっと笑い。立ち去るのだった。そして俺のとなりでは雪風がポカーンとしていた。

 

「た、隊長・・・・・今のが霊帝様の妹君である劉協様だったのですか?」

 

「ああ、前にお茶会に誘われたときにちらっとな。・・・・・・」

 

「そうですか・・・・まさかあの方が」

 

俺と雪風はしばらくその場で立ち止まっていたが

 

「さて、雪風。暗くなってきたし、夕食の時間だ。今日は一緒にどこか食べないか?」

 

「はいっ!」

 

俺がそう言うと雪風は嬉しそうな顔でそう答え、俺たちは夕食を食べに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ございませんでした張譲様。またも失敗してしまいました。」

 

一方宮中では、丁原が頂上に作戦失敗を伝えるのだった

 

「また失敗か・・・・・・まあ仕方がない。あそこに沖田吹雪がいたのだからな‥‥‥と子で丁原。貴様は私によく尽くしてくれた。だから褒美にお前に休暇を与えたいと思っている」

 

「きゅ、休暇ですか?」

 

「ああ、この頃貴様は働き詰めだからな」

 

「は?・・・・はっ!ありがたき幸せです」

 

「ゆっくりと楽しめ・・・・・・・・永遠の休暇をな」

 

「え?それはどう言う・・・・」

 

と、丁原がそう言った瞬間・・・・・

 

どすっ!

 

急に丁原の腹から剣が出てきたのだ。丁原が後ろを見るとそこには張譲の私兵が剣で丁原を刺したのだ

 

「ちょ、張譲様……い、一体何を・・・・」

 

口から血を吐き丁原は頂上に言う

 

「丁原。私が何も知らぬと思うてか?密偵はお前だけじゃない。お前が趙忠に仕える二重間者だということ、沖田吹雪に毒ではないものを飲ませたことをそれと劉協暗殺の時、短剣を投げ刺客から劉協を助けたことなどすべて知っておるのだぞ」

 

と、張譲がそう言う。するとその言葉を聞いた丁原はニタっと笑い。

 

「・・・・・ふっ・・・・・ふふふっ。バレていたのね。・・・・そう・・・よ。私は・・・趙忠様にあんたを監視するために送られた間諜。あんたの野望を‥…砕くためにね・・・・・それに沖田吹雪を殺さなかったのは・・・・・彼の母である呂布に・・・・・恋に・・・・昔、命を救われた借りがあったから・・・・・」

 

息も絶え絶えに言う丁原。そしてついに倒れて・・・

 

「・・・・申し訳ございません・・・・・趙忠様・・・・・霊帝様。劉協様・・・・・・私はここまでのよう…です。・・・・・天の御使い…この王朝・・・・この世界のことを頼むわ…よ…」

 

そう言い丁原は息絶えたのだった。

 

「ちっ、・・・・おい、こいつを片付けておけ!」

 

「はっ!」

 

「くそ・・・・こうなったら予定よりは早いが、最後の手段だな。幸い趙忠は留守。この手を逃すわけにはいかないな・・・・・」

 

そう言うと、張譲は筆を取り出し紙に何かを書く。そして王允に渡す。

 

「王允。これを全国にある豪族たちに渡せ!いいなっ!」

 

「はっ!」

 

手紙を渡された王允は闇へと消えたのだ

 

「ふふっ・・・・・」

 

そして一人残された張譲は不気味な笑い声をあげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冀州

 

とある豪邸では袁紹がマッサージを楽しんでいると・・・・

 

「麗羽様!」

 

「大変です!」

 

彼女の側近である文醜と顔良がやってくる

 

「・・・・なんですの?騒々しいですわね」

 

「くつろいでいる場合じゃないですよ!」

 

「これを読んでください!」

 

そう言い顔良がある手紙を袁紹に渡し、袁紹はその手紙を読む。すると袁紹の顔が変わる

 

「どうしたんですか?麗羽様?」

 

「何が『至急参内して弁明せよ』よ!すぐに檄を飛ばしなさい!」

 

「え?げ、檄ですか?」

 

「そうよ!打倒董卓の檄よ!袁家の旗のもと諸侯を集めて逆賊である董卓を討つわよ!斗詩、猪々子。すぐに兵を集めなさい!」

 

「へ?わ、わかりました!」

 

 

 

 

「反董卓連合ね・・・・」

 

「まさか・・・・・沖田殿が・・姉さまこんなのは嘘です!沖田殿の人柄を見てこんなことはしません!」

 

「蓮華様、落ち着いてください。」

 

と檄を呼んだ孫策はそう呟き妹の孫権は否定の声をあげる。たった1日の出会いだが孫権こと蓮華は彼のことを理解していた

 

「冥琳!貴方はこんなくだらないモノを信じているの!?董卓や吹雪殿のなした天水でのことを見ても暴政なんてするはずないわ!」

 

「無論。私もこの文にはいささか怪しいところがあります。しかし、世間では董卓が逆賊となっています。これに異を出せば私たちも逆賊となるでしょう」

 

「友を見捨てるくらいなら私は逆賊と呼ばれてもいい!!・・・姉さまっ!」

 

そう言い蓮華は姉である孫策こと雪蓮を見る。すると雪華はしばらく黙っていると

 

「・・・・私はこの連合に参加するわ」

 

「姉様っ!」

 

「蓮華。あなたの気持ちよくわかるわ。でもねここで私たちは立ち止まるわけにはいかないのよ」

 

そう、厳しい目でそういう。しかし雪蓮は言葉をつづけた

 

「蓮華。あなたには任務を与えるわ」

 

「に、任務?」

 

「ええ、あなたには戦闘後、洛陽に入った時。屋敷にいる董卓にとらわれている女中やら使用人。また街に民の保護をしなさい。言いたいことわかるわね?」

 

雪華がそう言ったとき、蓮華はその言葉を理解したのか

 

「え?・・・・・・・・はい!」

 

そう答えるのだった。

 

 

 

 

「な、なんだこれは・・・・・」

 

一方曹操のところへも反董卓連合の檄が届いていた

 

「華琳様っ!こんな檄は嘘です!沖田がこんなことをするはずはありません!」

 

「そうです!こんなのは偽物です!」

 

「華琳様!沖田を助けに行きましょっ!」

 

と、春蘭や、凪が声をあげてそういう。ちなみにその檄に書かれていたのは、

『都洛陽で自らの欲望のままに政事を行い、漢王朝を混乱させている大罪人、董卓や天の御使いである沖田吹雪を討つべし。今ここに、反董卓連合の結成を宣言する。大義に生きる者たちは連合に参加すべし。』

と書かれていた。吹雪と付き合いが長い魏の将兵たちは否定の声を上げる。華琳も想い人であり付き合いの長い沖田や、短い時間だったが似た思想を持ち恋敵ではあるが友人である月が暴政などしないことは百も承知だった。

 

「いかがするのですか?華琳様?」

 

「華琳様。董卓の悪行は天下に隠れもなき事実。これを討つは天の意に添い、民の不審を除くことに他なりません。曹操様の名を知らしめるよい機会です」

 

と、新たに曹操軍に加わった。郭嘉がそう言うと

 

「黙れ凛!新参者のお前に何がわかる!」

 

と、春蘭が郭嘉の胸ぐらをつかむ。

 

「確かに私は天の御使いである沖田殿のことはわかりません。ですがこれは華琳様にとっていい機会なのですそれを逃せと?」

 

「貴様ぁー!!」

 

そう言い、春蘭は今にも郭嘉に殴る掛かろうとしていた。それを慌てて止める秋蘭たち。すると

 

「やめなさい!春蘭!!」

 

「しかし華琳様!」

 

「あなたの気持ちわかるわ。・・・・桂花。あなたは?あなたはどう思うの?」

 

「あの袁紹が盟主というのが気に入りませんが、上手く行けば董卓を除いた後、朝廷の中枢に食い込むことができるやもしれません・・・・・」

 

と、桂花は平然と言っている。しかし内心では複雑な気持ちを抱いていた。

 

「桂花・・・・お前もか!?」

 

「待ちなさい・・・・・・程昱、あなたはどう思って?」

 

と、華琳はもう一人新たに入った程昱に訊く

 

「軍師は主の心が定まらぬ時に助言をするのが責務。既に決まっている時に申し上げる言葉はございません」

 

「そう・・・・私は反董卓連合に参戦するわ」

 

「華琳様!隊長を見捨て・・・・「凪、あなたに命令を出すわ」・・・・は?」

 

「あなたは董卓にとらわれている侍女や使用人を保護しなさい。実用部隊は凪、作戦指揮は桂花、あなたに任せるわ」

 

「はっ!お任せを」

 

「凪もいいわね。」

 

華琳の言葉に凪はしばらく黙っているが、桂花が

 

「・・・・・華琳様。それは救出作戦っと、とらえていいんですね?」

 

「あなたの好きに解釈しなさい桂花。皆もすぐに仕度しなさい!」

 

華琳はそう言うとその場にいた幹部はその内容を理解し頷くのだった。そして華琳は自室に向かってしまうのだった。

 

「(吹雪、月・・・・・。必ず助けるわ)」

 

 

 

 

 




次回はとうとう反董卓連合を書きたいと思います。私は蒼天の覇王をプレイしたことがないため献帝こと劉協は戦国恋姫の鞠をイメージして書きました。
感想をいただけると嬉しいです。次回もお楽しみに


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オリジナルキャラ紹介part3

馬騰(ばとう)

 

真名 春華(しゅんふぁ)

 

涼州の領主で翠や蒲公英の母親。見た目は翠を大人にしたような姿で男勝りな感じだが本来は心優しく身内にはとても優しい。月と詠とは古くからの付き合いで仲がいい。戦場では何者にも屈しない精強な戦人になり兵士からは「西涼の狼」っと呼ばれ恐れられている。また、娘の翠が吹雪に好意を持っているのに薄々気づいていている。

 

武器 長槍

 

 

 

 

 

李粛(りしゅく)

 

真名 美佳(みか)

 

元洛陽の警邏隊隊長で、16歳の青いショートヘアーが特徴の少女。性格は性格は沈着冷静で協調性も高く部下にも慕われている。しかし自分は臆病で武官には不向きな性格だと思っている。また吹雪が不在の時は代理の警邏隊長を務めている。また正義感も人一倍強く、そのためか斗志とも仲がいい。また彼女は文官の仕事も得意としており、桜花とともに書類仕事を手伝いをするときもある。

吹雪のことは尊敬しており、慕っている。

 

武器は片手直剣

 

容姿モデルは「六畳間の侵略者!?」のルース

 

 

 

 

李儒(りじゅ)

 

真名 鈴(りー)

 

長い黒髪が特徴の13歳の少女、最初は男口調だったが、次第にやんわりとした口調になる。幼い頃に両親を失い都でスリをして生計を立てていた。ある時スリを働いている時に偶然に吹雪や志乃と出会い、侍女として雇われる。また彼女は勉学に興味がるらしく、アンチョビのラテン語や志乃の授業にも出席して、ある時は志乃の政務の手伝いをしている。そしてある時、自信がまとめたレポートを見た志乃に才能を見出されて、軍師見習いに大抜擢される。

性格はおとなしく明るい性格。

 

容姿モデルは「ガールズ&パンツァー」の久保田

 

 

丁原

 

漢王朝の役人で、張譲に仕えている。しかしその正体は趙忠に仕える二重スパイで、命令により張譲を見張っていた。また彼女は昔、吹雪の母である恋に命を救われたこともあり、恋の息子である吹雪に毒じゃないほうの薬を飲ませるなどをした。性格はとにかく漢王朝のこと考え趙忠や霊帝などを敬うほど忠誠心が高い。しかし二重スパイであることがばれ張譲の側近である王允に抹殺される

 

容姿モデル「ガールズ&パンツァー」のアリサ

 

 

 

 

 

第三師団通称「吹雪隊」

旗印は旭日旗。

吹雪を中心とした部隊で警邏などの治安維持任務も兼任している実働部隊。隊士の半数は女性で、ある者は元山賊や元黄巾兵などの問題児や血の気の多い部隊。

しかし、仲間や民のことは大切にし、互いに協力しあう面もある。または階級に拘らない吹雪の影響かまるで家族のように接したりもすることがある。服装は機動性を中心とするため旧日本軍の西南戦争時の軍服を採用している(ただし士官級の服装は吹雪の九八式軍服を黒色にした感じになっている)。警邏隊も同じ服装だが腕に白い腕章をつけている。

部隊はいくつもあって「衛生隊」や「工兵隊」「弓隊」「銃士隊」や剣で戦うことを中心とした「抜刀隊」などがある。銃士隊の持つ銃は馬鈞が吹雪の九九式小銃をベースに作った単発式のボルトアクション銃であり、改良型は大陸の砂塵が入らないように機関部にダストカバーが付けられている

警邏隊では特殊部隊も作られている

また彼らは天水時代に行き場のなくなったのを吹雪に助けてもらったことがあるため吹雪のことは心から敬愛している

 

吹雪隊の編成☆は階級職

警邏隊隊長及び第三師団師団長 沖田吹雪☆(少将)

第三師団副長・戦闘隊長 李傕(斗志)☆(大佐)

軍師 司馬懿(志乃)☆(大佐)

代理軍師 李儒(鈴)☆(大尉)

広報兼副長助勤、警邏隊一番隊隊長 郭汜(桜花)☆(中佐)

第三師団幹部

趙子龍(星)戦闘隊長代理・警邏隊二番隊隊長☆(少佐)

樊稠(雪風:)隠密偵察部隊隊長及び諜報機関部長・警邏隊三番隊隊長☆(中佐)

張済(川内):騎兵部隊隊長・警邏隊四番隊隊長☆(少佐)

馬鈞(夕張)工兵・火器部隊隊長・警邏隊五番隊隊長☆(少佐)

アンチョビーナ・ユリウス:遊撃隊隊長・警邏隊六番隊隊長☆(少佐)

李粛(美佳)警邏隊隊長代理・警邏隊七番隊隊長☆(少佐)

 

と、なっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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拠点フェイズ 武の心

この前出したアンケートを見た所、霞と華雄の絡み希望が多かったので今日は華雄フェイズを書きたいと思います


練兵所

 

誰もいないそこには斗志が抜刀術の構えをしていた。そして斗志は剣を抜刀する

 

「・・・・・・我、人に勝つ道を知らず・・・・・我に勝つ道を知る・・・・・」

 

そう言い斗志は曲刀を鞘に納める

 

「私は護りたい・・・・・大切な人を」

 

「ん?李傕ではないか。」

 

「・・・・・あっ華雄様。」

 

そこに華雄が入ってきた。

 

「お前、一人で何をしているのだ?」

 

「あ、はい。武士道精神を鍛えるため精神修行をしていました」

 

「武士道?なんだそれは」

 

「はい。隊長に教わった天の国の武人の心得だそうです。天の国の武人は剣で戦うこと以外に相手を敬い戦うとか、特に自身の心を強くすることを大切にしているらしいです」

 

「心か‥‥変わっているな」

 

「私も初めて聞いた時は変に思いましたが」

 

「・・・・で、やってみてどうなんだ?その心の修行っていうのは?」

 

「はい。やってみるとなんていうか・・その。もう一人の自分っていうか弱い自分を見つめなおしもう一度強くなろうって気持ちになりました」

 

「そうか・・・・・・ところで李傕。お前のその剣、変わった形をしているが、うちに入ったばかりの時は違う得物だっただろ?・・・・・」 

 

「ああ、これですか?これは隊長の剣を真似て作ってもらったんです。少しでも隊長のような立派な武人になるために・・・・・」

 

「そうか・・・・・」

 

「では華雄様、私はこれで失礼します」

 

斗志はそう言い華雄に一礼をして練兵所を後にしたのだった

 

「‥…武士道っか・・・・・」

 

一人残された華雄はそう呟くのだった。あれから翌日、練兵所のほとり二人の人物が模擬戦をしていた。

 

「腕を上げたな吹雪っ!」

 

「いえ、俺なんてまだまだだよ」

 

と、吹雪と華雄が刀と巨大な斧で戦っていた。鉄と鉄がぶつかるような激しい金属音が鳴り響いていた。

 

「謙遜するな。あれだけ私の一撃をかわせ私の懐に飛び込み攻撃できるのは正直誇っていいぞ?何しろ今お前の相手をしていたのは私なのだからな。」

 

鍔迫り合いの中、華雄は笑って吹雪にそう言う。

 

「それは武術教えてくれた人が上手かったからだよ。」

 

「はは!そうか張遼と趙雲、呂布が鍛えているだけはあるな。・・・・・わきが甘いぞ吹雪っ!」

 

そう言い華雄は力押しで吹雪を押し、弾き飛ばす。すると吹雪は剣を構えた。それは牙突の構えじゃなかった。吹雪の構えは刀を突き刺さした構えだった。

 

「・・・・・吹雪なんだその構えは?」

 

「・・・・・・俺の実家・・・・・沖田家の流派の構えです」

 

「流派?」

 

「天然理心流・・・・・曾祖父から伝わる剣術だ」

 

そう言い、吹雪はじっとするそれを見た華雄は

 

「(・・・・・隙がない・・・・)

 

それを見た華雄は得物を握り直し構える。そして

 

「「いくぞっ!」」

 

そう言い、二人は激突するのだった・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・はっ!」

 

「おお、気が付いたか吹雪」

 

「あれ?華雄?・・・・」

 

目が覚めると華雄が俺の顔を覗き込んでいた。

俺は確か華雄と模擬戦をして、得意の流派で華雄と戦っていたはずだ。そしてしばらく戦っているうちに華雄が大斧を振りかざしてそれを受け止めたまでは覚えているんだけど・・・・・・

 

「まったくお前は私の渾身一撃を受け止めたはいいが、その衝撃で脳震盪を起こして気絶するやつがあるか。戦場だったらその隙に殺されてたぞ?まあの一撃を受け止めたのは呂布以外ではお前だけだがな」

 

「あ、ああ・・・・ところで華雄」

 

「ん?なんだ?」

 

「なんで華雄が膝枕しているんだ?」

 

そう今俺は華雄に膝枕されている状態だった。

 

「あ、いや…その・・・・・倒れているのを放っておくわけにはいかないからな。・・・・・嫌だったか?」

 

「いや嫌じゃないよ‥‥むしろ心地いいくらいだ」

 

それになんか、いい匂いもするし・・・

 

「そ、そうか///」

 

そう言い華雄は微笑んでいた。華雄にもこんな一面があるんだな・・・・

 

「吹雪、お前に訊きたいことがある」

 

「ん?なに?」

 

「前に李傕に訊いたのだが、武士道とは・・・・どういうものなのだ?」

 

「え?ん~とそうだな・・・・武士道っていうのは一口に言っても千差万別であるからな・・・・まあ、簡単に言えば人としての誇りかな?」

 

「誇り?」

 

「ああ、どんなに時代が変わろうとも決して忘れてはいけない武人としての・・・・・人としての誇り。それが武士道だと思うよ。まあ、あってるかどうかはわからないけど」

 

「そうか・・・・それが武士道ってやつなのだな。・・・・・・・吹雪、私にとって武はすべてなんだ・・・・私が武人になったのは父の影響だ」

 

「お父さんの?」

 

「ああ、お前は信じられないかもしれないが、幼い頃の私は体が弱くいつも部屋に籠りっきりで本を読むのが趣味なごく普通の少女だった。だが、ある時な父が庭で武術の練習をしているのを見てな。こんな体の弱い私もあんな風になれたらっと武人の道を目指すようになったんだ・・・・・」

 

俺は黙って華雄の話を聞く。華雄は懐かしそうに頭目で見て話をつづけた。

 

「それでな、私はその後、父に頼み込んで武術を始めたんだがこれがなかなか上手くいかなくてな。たったの素振り10回でばててしまってな。またある時はただのかけっこでもすぐに息切れしまうほど私は弱かった。辛いと思うことも多かった。・・・・・だが私は武術をやめなかった。」

 

「なぜ?」

 

「それはな。少しでも父のようになりたかったからだ。私の憧れる父のように。その後、私は母親に反対されながらも武術の鍛錬をつづけた。父もそんな私を見て一生懸命に教えてくれた。だから私はその期待に応えるため頑張りそして今に至る。私が今持つ金剛爆斧も父から譲り受けた大切なものだ。だから私にとって武とは父との大切な思い出なんだよ」

 

「そうか‥‥‥で、お父さんは今?」

 

「・・・・・・5年前に他界した」

 

「・・・ごめん」

 

「いや、お前が謝る必要はない父は天命を全うしたんだから・・・・・・」

 

そう言って華雄は空を見上げる。その顔は少し寂しい顔をしていた。

 

「華雄・・・・」

 

「すまない。湿っぽい話をしてしまったな。今のことは忘れてくれ。・・・・・・・・それより吹雪」

 

「ん?なに?」」

 

「お前何か悩んでいるのか?」

 

「・・・・」

 

「図星だな。まあ、言いたくなければ言わなくていい。ただ一言だけ言わせてくれ。」

 

「なに?」

 

「お前に悩む必要はない。お前には私やみんながいる。だからお前はお前の思うがままに進めばいい」

 

そう微笑んで言うのだった。その笑顔に俺は安心する

 

「ああ…そうだな。ありがとうな華雄。おかげで少し気分が軽くなったよ」

 

「それはよかった。だがその代わりだ。もしも私が暴走するようなことになったら止めてくれ」

 

そう言われ俺が顔を見上げると華雄の顔はどこか照れくさいのか赤かった。

 

「ああ、その時は全力で止めるよ華雄」

 

不適の笑みでそう言うと、華雄は顔を赤くして

 

「////・・・・ところで吹雪。お前はいつまで私の膝に頭を乗っけているんだ?」

 

「え?ああ、ごめんごめん」

 

俺は慌てて立ち上がる。そして吹雪は華雄に手を差し伸べる

 

「立てる?」

 

「ああ、ありがとうな吹雪。」

 

そう言い華雄は吹雪の手を取り立ち上がろうとするが・・・・

 

かくっ

 

「うわぁ!?」

 

「え?わぁっ!?」

 

華雄は立ち上がろうとする際バランスを崩し倒れ、華雄の手を握っていた吹雪もまた引っ張られる感じで倒れてしまうそして・・・

 

「「・・・・・」」

 

今二人の格好は、吹雪が華雄を押し倒している感じの格好になってしまっていて、そして互いの鼻がくっついた状態になってしまっていた。

 

「うわ・・あ・・・」

 

とわけの分らない言葉を口に出しながら、その顔を真っ赤に染め上げていく。そして・・・・

 

「うわあぁぁー!!」

 

ドガンッ!

 

「へぶし!?」

 

顔を真っ赤にした華雄は吹雪に顔面パンチした後、顔から湯気を出して走り去っていった、しっかりと武器はもったまま。一方吹雪はというと、華雄のパンチをもろに喰らったため、夕張が来るまで気絶してたのだった。因みに吹雪は「あのパンチ…絶対に世界狙えた・・・」と言っていた。

 

 

「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

自室の中、華雄は胸を押さえていた。

 

「(まったく、何を赤くなっているんだ、私は……だめだ胸の鼓動が止まらない…‥やはりあの時が原因なのか?)」

 

顔を赤くしたまま華雄は先ほどのことを思い出していた

 

「(待て待て!あいつは私にとって弟みたいな存在だ。・・・だけどなぜあの時、…なぜだわからない!。この感情はなんなのだ!?)」

 

と、自室の中、華雄はしばらく謎の感情に悩まされるのだった。

 

 

 

 

 




はい。今日は華雄フェイズを書いてみました。地味キャラな華雄ですが私は結構好きです。ちなみに余談なのですが、この作品を連載する前、華雄は恋と並んで、吹雪の母親候補でした。ですが悩みに考えた結果、恋が母親にっということになり華雄は吹雪の姉貴分って形に落ち着きました。
感想や誤字脱字などあったらよろしくお願いします。


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拠点フェイズ 月見酒

虎牢関の戦いを書くのに時間がかかっているので、ここで拠点フェイズを出したいと思います。


ある月明かりの夜、俺は屋敷の庭を散歩していた。これは俺に秘かな楽しみだ。

 

「やっぱり、夜の散歩はいいな・・・・」

 

そう呟き歩いていると・・・・

 

「・・・・・・・ぶきー・・・・」

 

「ん?」

 

急にどこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。周りを見るが見えない

 

「・・・・気のせいかな?」

 

俺がそう首をかしげる

 

「ふーぶきー」

 

気のせいじゃない。やっぱりどこからか声が聞こえる。俺は立ち止まり、よーく周囲を見渡す。

 

「こっちや、こっち」

 

声のするほうへ顔を向けると・・・

 

「あ、霞!」

 

「あ、やっと気ぃついてくれたー♪」

 

少し離れた芝生に植えられた一角。霞はそこの木の根元に少しによりかかるように座って酒を飲んでいた。俺は霞のところに歩みよる。

 

「何してるのこんな夜中に?」

 

「見てわかれへん?」

 

「お酒飲んでる」

 

「わかってるやないか~♪それより吹雪もこないな時間に何しとるねん」

 

「散歩だよ。毎夜は庭を散歩するのが日課なの」

 

「はは、そっか。じゃあ、うちも夜にこうやって月を見ながら酒飲むのが楽しみなんや」

 

と、霞は嬉しそうに言う。

 

「まるで星みたいなこと言うな」

 

俺はそう言うと

 

「そや、今の言葉、星の受け売りや。星とはたまに飲んだりするからな~♪」

 

そう言えばよく非番の日とかに星と霞が飲み比べしているところ見たことあるけどまさかそこまで仲がいいとわな・・・・・

 

「ほら、吹雪も隣すわりや」

 

と、霞は手で自分の隣の芝生をポンポンとたたく。俺は断る理由もないので隣に座った。すると霞はくいッと坂月に盛られたお酒を飲む。

 

「はぁ~美味いわ~」

 

「本当においしそうに飲むね霞は」

 

「あったり前や。こんないい月夜に飲む酒ほど美味しいものはないで。あっ!そうや。ちょうど盃がもう一つあるから吹雪も飲まへん?」

 

と、霞はにっこりと俺にそう言う

 

「い、いや…俺、未成年だから・・・・」

 

「未成年?なんやそれ?」

 

「ああ、俺の国では二十歳になるまでお酒飲んじゃいけないことになってるんですよ」

 

「か~もったいないな!それ人生損してるで~」

 

「そうかな?」

 

俺がそう言うと、霞はもう一つの盃に酒を注ぎ、

 

「二十歳になるまで酒を飲めんのはあかんで、ほら、飲み!」

 

「え?でも俺・・・」

 

「大丈夫や。ここは天の国やないんやから。ここで飲んでも苦情なんか一切来やへんで」

 

「じゃ、じゃあ遠慮なく」

 

そう言い、俺は霞から盃を受け取る、朱色の盃には濃い琥珀色のお酒が月夜に照らされキラキラと輝いていた。俺はそっとその酒を飲む。冷たい液体が流れ込み少しの酸味の後、まろやかな甘みが口いっぱいに広がった。

 

「どうや?」

 

「・・・・・・・美味い。お酒って美味しいんだな」

 

「そうやろ。そうやろ♪これうちの大好きな酒なんよ。よかった~吹雪に気に入ってもらえて♪」

 

取れがそう言うと霞は嬉しそうに頷きながら言う

 

「霞。これなんてお酒?」

 

「これ?これはな老酒や」

 

「あ~これが老酒か。話には聞いたことがあるけど。これどうやって作るの?」

 

「ああ、これはもち米や。蒸したもち米に小麦麹を混ぜて、醸してるんねよ」

 

「え?これお米で作られてるのか?」

 

「うん。せやで。もち米を蒸す前に、水につけて発酵させるんがミソらしーわ」

 

「へ~発酵させてから蒸すんだ。だから同じ米が原料でも日本酒とは味が違うのかな?」

 

「にほんしゅ?何それ?」

 

「ああ、日本酒って言うのは俺の国の天の国の酒だよ。老酒と同じで米から作られているんだ」

 

「へぇ~天の国の酒かぁ~それ美味しいん?」

 

「俺はまだ飲んだことないけど、祖父ちゃんは美味いって言ってたぞ。老酒と違ってまた違った魅力があるから霞も気にいると思うよ。現に今、酒屋のおっちゃんに作ってもらっているし」

 

「ほんまかぁ!?」

 

「ああ、いつできるかわからないけど」

 

そう。今、洛陽街の酒屋で今、日本酒を作ってもらっている。なぜ日本酒の作り方を知っているかというと、前に天水で桜花たちが見つけた旧日本兵が書き残した銃や大砲の設計図の本の余ったページに濁酒と清酒の作り方が書かれていたのを見つけたからだ。

 

「そっか~そりゃ、楽しみやな~出来たら絶対に飲ませてな。約束やで!」

 

「ああ、わかった」

 

その後、俺と霞は月を肴に酒を飲んだ。

 

「あ~やっぱ月を見ながらのいっぱいは美味いな~。なあ吹雪」

 

「そうだね。春は夜桜 夏には星 秋に満月 冬には雪 それで十分酒は美味いってね」

 

「なんやそれ?」

 

「ん?俺の祖父ちゃんが酒を飲む際、よく言ってた言葉だよ」

 

「へ~吹雪のじっちゃんの言葉か~ええ言葉やな~」

 

と、霞は感心したように言う。確かにあの時の祖父ちゃんの言葉は正直言ってかっこいいと思った。

 

「いい言葉を聞いたな~・・・・ほな。吹雪。もう一度、飲もうや。まだ酒はまだたんまりあるやさかい」

 

「そうだな」

 

そう言い俺は霞の盃に酒を注ぎ、霞も俺の盃に酒を注ぐ。

 

「さて、もう一度乾杯ッと行こうか」

 

「そうやな。・・・・で何に乾杯するの?」

 

「そ、そうだな・・・・」

 

俺は考えた。君に瞳にって言うのもキザすぎるしな。かといって前に華琳が言ってた『宙天に輝く、銀月の美しさに』って言うのも俺には似合わないし・・・・・あっ!そうだ

 

「じゃあさ。俺とみんなが出会えたことにかな?」

 

俺が浮かんだ言葉はそれしかない。いやそれしかなかった。正直言って俺はみんなに出会えたことが本当によかったと思っている。

 

「そうか。じゃあ吹雪と、うちらが出会えたことに」

 

「「乾杯!」」

 

と、俺と霞は盃と盃を合わせ小さな音が鳴る。そして俺たち二人は月を眺めながら酒を飲む。

 

「ほんまに今夜はいい日やな~」

 

と、霞は嬉しそうに酒を飲み

 

「ああ、俺もだよ・・・・・ん?どうした霞?」

 

俺が霞のほうを見ると霞はちょっと震えていた

 

「ああ、いや。どうやらちょっと冷えたみたいやな。あはは・・・」

 

と、笑いながらそう言う霞。確かにその格好じゃ寒そうだな。俺は軍服の上着を脱ぎ霞に掛ける

 

「吹雪?」

 

「これなら寒くないでしょ?」

 

「そりゃそうやけど、吹雪は?寒くないんの?」

 

「お、俺は平気さ。男ならこのくらい我慢しないとな。それに女の子が体を冷やすのはよくないし」

 

正直言ってこれはやせ我慢だ。今の気温は少し寒い。だがこれで霞が風邪をひかないよりはましだ。そう思ってると

 

「ほんま、いい男やな~吹雪は。そや。うちいいこと思いついた」

 

そう言い、霞は俺の後ろにつきそして俺を抱きしめる

 

「し、霞?」

 

「どや?これで吹雪も暖かいやろ///?」

 

「///」

 

と、霞は笑顔でそう言う。

 

「あはは・・・ありがとう霞」

 

「いいっていいって。さあ、二人であった待ってきたところやし、このまま酒飲もう」

 

「そうだな」

 

と、俺と霞はこの体勢で月見酒をするのだった。この時霞は

 

「(はあ~吹雪。暖かいな~。ほんま吹雪と出会えてよかったわ~)」

 

と、心の中でそう思うのだった。そしてそれから翌日・・・・

 

洛陽街

 

「あ、頭がいて~」

 

「隊長大丈夫っすか?」

 

 

宮中

 

「あ、あかん。あ、頭が割れそうやな~」

 

「霞さん大丈夫ですか?」

 

二人とも朝から二日酔いの頭痛のせいで大変な目に合うのであった・・・・・・・

 

 

 

 

 



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反董卓連合編
反董卓連合・決戦の日は近し


「何よこれ・・・・」

 

密偵が持ってきた反董卓連合の檄を見た詠はそう呟く。

 

「恐れていたことがついに・・・・・」

 

吹雪もその檄を見て誰にも聞こえないくらいの小声でそう呟いた。その紙を見て月は慌てふためき、詠は憤りをあらわにする、他の武将達も何がなにやらわけが分らないという表情を浮かべていた。

 

「私たちが逆賊!?どういうことよ!」

 

「それに董卓様が暴政なんて・・・・こんなの嘘っぱちだぁ!」

 

と若い士官たちはそう声を荒げる。

 

「けど、わからない。月は暴政なんていしていないのになぜこんな檄が・・・・」

 

「心当たりはあるわ…おそらく張譲の仕業ね・・・」

 

やはりあいつか・・・・とある人物に密偵につかせて調査していたが…まさかこんなことをするなんてな・・・・

 

「詠ちゃん・・・・ど。どうしよう・・・・」

 

「残念だけど戦うしかないわね。今更話し合いに持ち込もうにもこんな檄がある以上は開戦回避は不可能よ・・・・」

 

「ということは開戦か・・・」

 

「ええ、おそらく敵が集結して洛陽に攻め入るのは」

 

「物資、人員集めを考えると・・・・・早くて2週間後っか・・・・あとは敵がどこに来るのか・・・詠。敵の大将は誰?」

 

「敵の大将は袁紹よ」

 

袁紹?袁紹ってあいつか、・・・確か慰安旅行で出会ったあのドリルツインの・・・・とすれば行動パターンはすぐにわかるな・・・

 

「と、すると。連合軍が集結するのは・・・・」

 

吹雪は広げられた地図にとあるところを指さす。そこは・・・

 

「汜水関・・・・・確かに袁紹ならここを通るね」

 

「というか、大群が進める道といえばここしかないからな。・・・・・汜水関は長年の工事が終わって、砦としても使える」

 

実際、汜水関工事で夕張がいろいろ手を加えたため、汜水関は堅固な砦にもなっていた。ほかにもいろんな仕掛けがあるがそれは後で話そう。

 

「そう・・・・吹雪お願いがあるんだけど・・」

 

「ん?何、詠?」

 

「虎牢関は霞や恋が。最前線である汜水関は夢華や華雄が守ってくれることになったんだけど・・・・」

 

「ああ…なるほどな」

 

華雄って勇猛果敢なんな武人なんだけど、籠城戦が好きじゃないんだよな・・・・・それに下手をしたら史実と同じようにあの場所で戦死してしまう。そんなのは嫌だ。

 

「わかった。俺も汜水関に行くよ」

 

「ごめんね・・・・・それと例の件については手はずは整っているわ。もしもの時は任せて」

 

「ああ、ありがとな詠。それじゃあ、俺は部隊を整えて汜水関に行くよ」

 

そう言い俺は軍帽を被ってその場を後にしようとした。すると

 

「吹雪さん・・・・」

 

と月が俺の手を握る。

 

「・・・・・月?」

 

「‥…どうかご無事で・・・」

 

少し涙をためてそう言う月。俺は微笑んで月の頭を優しくなる

 

「大丈夫だよ。俺は絶対に死なないよ。絶対に帰ってくるから。だから月は笑って見送ってくれるか?」

 

俺がそう言うと、月はしばらく黙ってうつむいていたが、やがてゆっくりと顔をあげる

 

「はい。必ず戻ってきてくださいね吹雪さん・・・」

 

と、微笑んでそう言う。本当に月は笑顔が似合うよ・・・

 

「ああ。では行ってまいります」

 

俺は月に敬礼をしてその場を後にした。

 

 

 

西涼

 

西涼の大室で西涼の太守馬騰と娘である馬超こと翠と従兄である馬岱こと蒲公英が作戦会議をしていた

 

「翠。兵士達の配備終わりそうかい?」

 

「大丈夫順調だよ母様。明後日くらいで集合地点である汜水関に向けて出発できるよ」

 

翠がが言う。だが翠は手をぎゅっと握りぶるぶる震えていた。

 

「そうかい……なぁ翠。月が・・・董卓が悪政をしていると思うかい?」

 

「それは絶対にありえないよ。天水の街を見て母様も知ってるだろ?あんないいやつが暴政なんてするはずない。それに吹雪がいるし・・・・・」

 

「お姉さま・・・・」

 

「蒲公英はどう思うんだい?お前もあの御使いにあったんだろ?」

 

「蒲公英もそう思うよ叔母様。吹雪のお兄さんがあんなことをするはずないもん」

 

「……何かこの連合にはなにか裏があるね……」

 

「じゃあ、参戦するのは中止して中立の立場になる?聞けば楽成城の太守黄忠や劉璋配下の武将の厳顔は体の調子が悪いって参戦してないし・・・・たぶん中立の立場になるつもりらしいけど・・・・」

 

「それができれば苦労はしないよ。既に檄が届いてしまった以上参戦するっと言いながら突如、やめるっと言い出したらこっちに矢が向く可能性が高い。」

 

「じゃあ・・・・」

 

「残念だけどね翠。私たちは予定通りに連合に参加するよ。いいわね?」

 

「はい・・・・」

 

翠はそう言うがその顔はとても辛そうだった

 

「(すまない・・・翠)」

 

翠の心境を知っている馬騰こと春華は心の中で娘である翠にそう言ったのだった

 

「(・・・吹雪…私はどうすればいいんだよ)」

 

 

 

 

 

 

天水

 

「ここが董卓さんが前に納めていた街か~」

 

「ああ、これが暴政をやっている董卓の収めた街とは思えないな・・・・・」

 

一方、反董卓連合に参戦した劉備・北郷率いる義勇軍は集合地点である汜水関に向かうべく進軍中だったが途中で休憩するべく天水に来ていたのだ

 

「はわわ・・・それにしてもすごい街ですね」

 

「あわわ・・・街の人も明るいし・・・」

 

と、はわわ、あわわ軍師がそう言う。

 

「まあ、とにかくここで一休みしよう。休んだ後は兵士を募集してみよう」

 

「そうだねご主人様」

 

ちなみに劉備軍は約七千弱しかいないのと兵糧不足のため、出来れば兵士と物資が欲しかったのだ。劉備たちは街で食事をしたり休んだ後、志願兵を集めようとしたがだが予想とは裏腹に志願者は一人も出ず、それどころか街の人たちに「ふざけるな」っと門前払いされるのだった。

 

「何故だッ!! 何故誰も志願に来ないんだッ!!」

 

「愛紗落ち着くのだ」

 

激昂する関羽を義理の妹である張飛が落ち着かせる。

 

「おそらく街の人たちは董卓さんや沖田さんに良い印象持っていますそれに・・・」

 

「それにここは董卓さんによって平和な街になったのとあの『池田屋事件』で沖田さんたちが悪党の悪行を未然に防いで救った街ですから。その沖田さんや董卓さんを倒すための軍なんて誰も志願しないと思います・・・・・」

 

と、孔明と龐統がそう言う。

 

「雛里!?お前は董卓の肩を持つ気か?」

 

「あわわ・・・すみませんそう言うつもりじゃありません」

 

「まあ、落ち着けよ愛紗……それにしてもこれだと兵士の募集は無理なようだな……」

 

「はい………」

 

そう言った後、劉備軍は宿に泊まり北郷は宿舎の中でこう考える

 

「(・・・・沖田。お前に何があった。なぜお前は董卓の暴政を止めようとしなかったんだ。お前は董卓がすることを知っていたはずだ・・・・何か理由があったのかよ沖田)」

 

一方、同じころ別室では

 

「ねえ、朱里ちゃん。私、志乃お姉ちゃんとアンチョビお姉ちゃんとできれば戦いたくないよ・・・・」

 

「はわわ・・・私も同じ気持ちだよ雛里ちゃん・・・・」

 

その後、複雑な心境の中、劉備・北郷義勇軍は集合地点である汜水関に向かって進軍を始めるのだった。

 

 

 

 

第三師団兵舎

 

「隊長。全兵1万8千名、集まりました」

 

「ありがとう斗志」

 

俺が兵舎につくとそこには斗志や志乃、桜花たち幹部とその後ろに部下の兵たちがいた。俺はみんなの前に立ちそしてこういった。

 

「みんな集まってくれて済まない。みんなも知っての通り俺たちはこれからこの洛陽を攻め入る連合軍と戦う。だが、これは今までとは違う戦いだ。敵の数も我々より多い。・・・・諸君らもあの檄を見たように今、世間では俺たちは逆賊っとなっている。君たちは故郷に大切な家族や愛する人がいるだろう。もし逆賊の汚名を着てまで戦いたくないもの、脱退したいものがいるのなら俺は止めないし責めもしない。」

 

これは本心だ。たとえ、俺たちが逆賊じゃなくても、世間では俺たちは反逆者っとなっていしまっている。とするとその家族や友人なども逆賊の知り合いや家族としてひどい扱いを受けるのではないか、そう思い俺は彼らにもしいるのが嫌だったら隊を抜けてもいいとそう言った。俺がそう言うと隊士たちが黙って俺を見る。

 

する、と一人の女性隊士が歌いだし、彼女が歌っていたのは「行進曲抜刀隊」だ。原曲は旧陸軍の軍歌「抜刀隊」をこっちの時代風にアレンジしたものであり吹雪隊の主力曲となっていた。彼女の歌声を聞いて、ほかの隊士たちはそれに続いてほかの隊士も足踏みを踏み一歌いだす。まるで某有名戦車映画の名シーンを見ているみたいだ。そして、兵舎の中はその歌で響き渡り、気が付けが歌っている隊士の中には斗志や星たちも歌いだしていた。そして皆が隊終わると俺はみんなの顔をもう一度見る。みんなの目は固い意志を感じた

 

「沖田隊長!」

 

と、一人の隊士が前に出る。そいつは前に…天水時代にねねを誘拐しようとしたあの人買いのボスだ。今では先任下士官っとなっている。

 

「我々は沖田隊長に出会う前は人からも蔑まれ、行き場もない野良犬同然でした。ですがあなたはそんな私たちを人として扱い仕事を与えてくれました!私たちは寄せ集めの弱兵ですが、それでも我々はたとえ最後の一兵になっても沖田様についていきます!」

 

「我々もそうです!」

 

「私もです!」

 

「私たちもです!」

 

そう言い隊士たちが次々と前に出てそう言う。俺はその言葉に嬉しさを感じた。すると・・・

 

「隊長」

 

すると斗志たちも俺に顔を向け

 

「私たちも隊士たちと同意見です。私はこの命尽きるまであなたについてきます」

 

「うちもっす!」

 

「私もよ」

 

「私もだ吹雪」

 

「私もです」

 

「右に同じ」

 

「我も同じだ吹雪殿。わが主は沖田殿を置いて他にいないからな」

 

「私もです沖田様。わが司馬懿の命はすでにあなたの物です。ですから私は吹雪様が何と言われようともあなたを一人にはしません。最後まであなたの傍にいます」

 

「私も志乃先生と同じ意見です吹雪さん」

 

と、斗志、桜花、川内、アンチョビさん、美佳、雪風、星、志乃、鈴が俺にそう言った。俺は嬉しくて思わず涙が出そうだったがそれを我慢してこう言った。

 

「ありがとう・・・・ありがとうみんな」

 

俺は斗志たちにそう言うとみんなにこっと笑う。そして俺は兵士たちに向き

 

「お前たち、よく言った!先ほど寄せ集めの弱兵って言ったやつもいるがそれは違う!なぜならお前たちがここに残り連合軍と戦うっと決心した時点でお前たちは最強だぁ!俺たちは戦争は野蛮だと信じるが、かかる挑戦に対しても無抵抗だと考えるのは大きな間違いだ!だから俺たちはあいつらに…連合軍に見せてやろうじゃないか。我々董卓軍がどれだけ強いっということを!」

 

「「「「おおおぉっーーーーーーー!!!!!」」」

 

 

俺の言葉に隊士たちが大声をあげる。そして俺たち第三師団は戦場となる汜水関に向かうのだった

 

 

 

 



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汜水関

汜水関。そこは虎牢関とも呼ばれているが、こことは別に虎牢関がありそれはこの汜水関より4キロ後ろにある。

そして現在汜水関には3個師団が布陣していた。その師団とは徐栄の第2師団、華雄の第4師団、そして吹雪の第3師団合わせて三万の軍勢が布陣していた。因みにここの指揮官は俺ということになっている。

 

「吹雪、例の新型のあれ、輸送しといたわよ」

 

「ああ、ありがとな夕張。」

 

「ええ、でも時間がなかったから一丁しか作れなかったわよ」

 

「まあ、あれは防御用であって攻撃用じゃないからな。いったんはそれでいいよ・・・・・」

 

「そう。それとあれも設置しといたから。あと汜水関周辺にもいろいろと罠も張っておいたからね」

 

「ああ、・・・・・・・あれ?」

 

俺はあたりを見渡しているとあることに気付く。

 

「夕張。そう言えば夢華は?」

 

「え?徐栄さん?そう言えば・・・・汜水関についた時から見ないですね・・・・・」

 

と、辺りをきょろきょろと見回していると

 

「隊長!」

 

と、そこへ斗志と華雄がやってきた。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「吹雪。鉱山の廃村のことは知ってるか?」

 

「あ、ああ・・・汜水関から5キロ離れた所だろ?でもなんでいきなりそんな・・・・・・・・ってまさか!」

 

「ああ、徐栄の奴。あそこに布陣した。」

 

え?なんでだ?あそこは街とか入り組んで迷路みたいにはなってるが建物はボロボロでしかも面積が小さいあそこに布陣するのは自殺行為だ・・・・

 

「な、なんで・・・・」

 

「なんでも内陸作戦とか言って相手をそこで足止めっするみたいだ・・」

 

内陸・・・・つまり水際作戦か!まずい!

 

「雪風。現在接近している連合軍の数と夢華軍の数は?」

 

「はっ!現在斥候の報告によると連合軍の数はおよそ10万以上対して徐栄様の兵の数は1万少々です。今、高順様が汜水関まで戻るように説得していますが・・・」

 

桜さんが説得してくれているのはありがたいが時間がない・・・このまま連合軍と第二師団が戦ったら間違いなく第二師団は全滅する。となると本当にまずい!

 

「わかった。・・・・・俺も説得しに行く。」

 

「わかりました私もお供します。桜花、あなたはここ頼むわね」

 

「うっす!」

 

「・・・それよりも吹雪。なんだそれは?」

 

と、華雄が夕張が持ってきたものを見て首をかしげる

 

「ん~まあ、秘密兵器かな?できれば使う機会ないといいけど」

 

「そうか・・・・それより徐栄の説得頼むぞ」

 

「ああ、任せてくれ。」

 

そして俺と斗志は夢華を説得しに行くため鉱山の廃村のへと向かうのだった。そして向かう最中

 

「隊長・・・・」

 

「なんだ斗志?」

 

「我々は勝てるのでしょうか?」

 

「さあな。だが今回の目的は勝つためじゃない。もちろん勝つことは大切だよ。ただ今回の任務は敵をいかにここにとどめておくのかが重要だ。」

 

「なるほど・・・・でも大丈夫なんですかこんな絶望的な状況で」

 

「斗志。絶望的な状況はない。絶望する人がいるだけだ。現に今俺たちの部隊で絶望している人はいるか?」

 

「いいえ、おりません!いるはずがありません!私たちは連合軍に負ける気はありません!」

 

「ははは!それでいい」

 

そんな話をしながら俺たちは廃村へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱山の廃村

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・」

 

廃村の小さな個室で今、俺は桜さんの隣に座り、正面には夢華とその副官が座っていた。

 

「ねえ、夢華。考え直してくれないかしら?今の軍勢で戦うのは厳しいわよ」

 

「・・・・・」

 

夢華は黙ったまんまだ。するとすぐ横の副官らしき方眼鏡をかけた黒髪の女性が

 

「くどいですよ高順殿!我が徐栄軍に撤退の二文字はない!たとえ敵が多くとも人の精神力は無限だ!我が軍には必勝の信念さえあれば勝てる!」

 

とそう言い放つ。まるで旧陸軍の眼鏡参謀を思い出してしまう・・・

 

「何を言ってるんだ!敵の数は調べた所10万以上。たとえ徐栄軍が精鋭といえど苦戦は必至。今の戦い精神論で勝てるほど甘くはないんだぞ!」

 

「黙れ!たかが寄せ集めの兵の師団長が利いた風な口を言うなっ!」

 

と副官がそう言うと

 

「今言ったこと取り消しなさい!あなたこそ吹雪のことを知らないで勝手なことを言わないで!」

 

「何を!」

 

と桜がすごい剣幕でそう言う

 

「・・・・・夢華。」

 

「・・・・何?」

 

「今ここで、連合と戦っても全滅するのは目に見えている。お前らしくもない。今汜水関には一人でも多くの兵が必要だ」

 

「全滅でもかまわない。その代わり私たちは一人でも多くの兵を倒せばいいのこと」

 

「だが、連合の数はどんどん増えていく。仮に全滅と引き換えに敵兵を減らしたとしてもすぐに補充の兵が入ってしまう。俺たちにはそれがない。そこで味方の兵が多く失うのは愚策だと思わないのか?」

 

「・・・・・」

 

「夢華。お前が誇り高い軍人であるのは知っている。だがこれは撤退じゃない。なぜならまだ戦闘は始まってないからだ。それにここが守りに不適なのは知ってるはずだろ?」

 

「・・・・・・・」

 

「徐栄様…どうされますか?」

 

夢華はしばらく黙っていたがやがてふっと笑い

 

「・・・・・ま、作戦終了でいいでしょう」

 

「夢華。それじゃあ、」

 

「ええ・・・私たち第二師団は汜水関まで後退する。すぐに後退準備するように言いなさい」

 

「は?・・・・・・はっ!」

 

徐栄の副官は最初唖然としてたがすぐに夢華の言葉を聞き返事をし部屋を出るのだった

 

「でも吹雪・・・ただここを後退するわけじゃないわよね?」

 

夢華がそう言うと俺は二っと笑い

 

「ああ、連中に置き土産をする。」

 

そう言い、吹雪たちはその後、何かの作業をし、それが終わった数時間後、吹雪たちも廃村を後にし、汜水関へと戻るのだった。そして汜水関に戻るとそこには

 

「・・・・吹雪」

 

「・・・・母さん」

 

そこには虎牢関にいるはずの母さんがいた。

 

「なぜここに?」

 

「戦が始まる前に顔を見たかったから・・・・だから顔を良く見せて・・・」

 

そう言い。母さんは俺の顔に手を添えるとじっと俺の顔を見る。その顔は心配している顔だった。そして母さんは俺をぎゅっと抱きしめる

 

「・・・・母さん?」

 

「吹雪・・・絶対に死なないで・・・・もう誰かを失うのは見たくないから・・・・」

 

と、今まで以上に抱きしめる母さん。俺はにこっと笑い

 

「うん。俺は死なないよ母さん。・・・・」

 

俺がそう言うと母さんは懐から何かを取り出す。それはお守りだった

 

「これは?」

 

「恋が…作ったお守り・・・・受け取って」

 

そう言い、俺は母さんの作ったお守りを受け取る

 

「ありがとう。母さん」

 

俺は母さんにそう言うと母さんは笑って、しばらく話をした後、母さんは虎牢関へと戻っていったのだった。そしてしばらくすると雪風がやってきて・・・

 

「隊長・・・・・連合軍が陳留を超えここ汜水関に向かっています」

 

その言葉を聞いて俺の目の色が変わる。

 

「・・・・来たか・・・・」

 

予想より2日早かったがまあ、予定通りだ。

 

「・・・・雪風、全員に総員配置につけと知らせろ」

 

「はっ!」

 

 

その後、全員総員配置の前に俺のところに集まる。そして俺は全員の前に立ち

 

「みんな・・・・いよいよ俺たちの真価が問われる時がきた。董卓軍の一員として、誇りを持って戦ってくれる事と信じる。この汜水関は、洛陽の街を守る最重要場所の一つだ。もしここが敵の手に陥落し通過されれば、敵は街へと進軍する。街を守るため!月たちや国民を守るため!俺たちは一日・・・いや半日でも敵をここで抑える必要がある!そのためにも俺は常に、諸士の先頭にいる!!だからみんな奴らに教えてやろう!俺たちの強さを!」

 

 

「「「「おおおっー!!!」」」

 

 

俺の言葉に皆大声をあげるのだった。反董卓連合が来るまであと三日・・・・

 

 

 




※「絶望的な状況はない。絶望する人がいるだけだ」
ドイツ軍人ハインツ・ヴィルヘルム・グデーリアンの格言です。また最後の方は硫黄島からの手紙の栗林中将を意識して書きました。次回はいよいよ連合軍到着です。次回も楽しみにしてください感想やアイディアや誤字報告などお待ちしております。


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連合軍、汜水関へ

時が来たれり。吹雪たちが汜水関に軍を置いてから5日後、汜水関から約数キロ先に多くの旗が翻る、曹・袁・袁・劉・馬・孫・公孫・・・それぞれの牙門旗が翻る。そしてその中には島津十字の旗もあった。

 

「結構な数だな・・・・あれはどう見ても10万じゃないな。ざっと30万はいるぞ・・・・」

 

「はい。徐栄さんを後退させて正解でしたね吹雪様」

 

俺は双眼鏡で見て、志乃は夕張の作った狙撃銃用のスコープで見ていた。そう、敵の数は情報より多くざっと30万人以上いた。確かにあのまま徐栄をあの廃村に残していたら半日も持たずに全滅していただろう。

 

「予想以上に多いな吹雪。攻めてきたらどうするんだ?」

 

「話合いは無理。っとすると迎え撃つしかないよアンチョビさん」

 

「確かにそうですな」

 

星とアンチョビさんが俺の横でそう話し合っていた。今のところ布陣している場所はここと他にはすぐ横にある鉱山「摺鉢山」。摺鉢山は元鉱山だったため史実の硫黄島の摺鉢山と同じくいくつもの洞窟があり、兵士たちの一部はそこから敵を待ち構えていた。万が一陥落しそうなときは裏洞窟があり全員避難したら洞窟を爆破する予定だ。

籠城作戦と聴き、華雄は不満そうだったが、じっくり話し合った結果しぶしぶ納得してくれた。

 

「それにしても敵の動きがないっすね・・・・」

 

「おそらくここを攻める作戦でも立てているんだろ?」

 

「それしかないですね。でもそのおかげで私たちは防撃体勢が取れるんですけど」

 

「確かにそうですね」

 

と、桜花、川内、鈴、美佳がそう話す。すると志乃が何やら複雑そうな顔をしていた。

 

「志乃・・・・」

 

アンチョビさんは志乃の心境を理解しているためかそっと肩に手を置く。そう言えば・・・

 

「そう言えば、志乃。お前の妹弟子は確か・・・・・」

 

「はい。劉備のところにいます。できれば仲間として再開したかったのですがまさかこんな形で会うことになるなんて皮肉ですね・・・・・」

 

「志乃・・・・」

 

「ですが、今は今です。私は全力であの二人と知恵力で戦います。あの二人もそれは心の底からわかっているはずですから・・・・・」

 

と、俺に微笑んでそう言う。俺も今は複雑な心境だ。華琳たちと戦わなくてはいけない・・・・おそらくあの陣には季衣や琉流そしてシャンがいる。そして凪たちも…正直言ってあいつらとは戦いたくはない。だけど・・・だけどこれが・・・

 

「戦争なんだな・・・・」

 

俺は誰にも聞こえないほど小さな声でそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃吹雪が反董卓連合の動きに警戒している時、連合軍の天幕では・・・・

 

「ほ~ほほ。皆さま、この度は反董卓連合に参加していただきご苦労様ですわ。それでは軍議を始めますわ。知らない顔も多いでしょうから、まずは自己紹介をしましょう?」

 

と、天幕の中では袁紹が高笑いをしながら会議?をしていた。そしてその後は連合に参加した国主や武将が名乗りあっていた。

 

「さて、それでは・・・・・最後にこのわたくし、袁本初ですわね!私は名門袁家の・・・・・」

 

と、袁紹の長ったらしい話をみんなうんざりそうに聞いて、一人は蜂蜜水を飲んで聞いていた。その後・・・・

 

「さて、わたくしの自己紹介はそこまでにしましょう。さて、わたくしの下にこうして集まっていただいたのは、ほかでもない董卓さんのことですわ」

 

と、袁紹がそう言ったとき、雪蓮と蓮華、そして華琳がぴくっと眉を動かせる。

 

「朝廷で暴虐の限りを尽くす田舎者を懲らしめるために皆さんに集まってもらったのですわ」

 

「ちょっといいか?」

 

と、袁紹が話している時、雪蓮が手を挙げる

 

「あら?何ですの?」

 

「その董卓の暴虐についてだがそれは確かな情報なの?」

 

「ええ、わたくしの放った間者からの知らせですから間違いありませんですわよ・・・・・・おーっほっほっほ!」

 

と、高笑いをする袁紹だが、董卓のことを知っていた華琳は嘘つけっというような顔をしていた。実際袁紹は洛陽街や董卓のことなど調べてなく。適当なことを言って笑って誤魔化していたのだ。

 

「まあ、それはともかく次は連合の総大将を決めましょう」

 

「…‥で、誰が総大将になるんだ?」

 

幽州の公孫瓚がそう訊くと・・・

 

「それはもちろん、気高く、誇り高く、そして能力があり名門の出が総大将にふさわしいではないですか?め・い・も・んの!」

 

と、なぜか名門の所を強く主張する袁紹。それで袁紹が何が言いたいのかわかったのかみんな黙っている。もしも誰かが総大将を推薦すると推薦した総大将が使えなかったら責任が問われる。そんな危ない橋は誰もわたりたくないのでみんな黙秘してしまう。

 

「誰かいませんの?自己推薦でもいいですわよ?ただし名門の出じゃないとだめですけどね~」

 

すると・・・・

 

「じゃあ、袁紹さんがやればいいんじゃないでしょうか?」

 

と、何度も言う袁紹についにしびれを切らしたのか劉備が手を挙げてそう言う

 

「あら?あなたは確か劉備さん?ほかに意見はありませんわよね?」

 

「異論はないわ」

 

「同じく・・・・」

 

「それでは本当は嫌なのですが劉備さんがどうしてもっとおっしゃるのでわたくし袁本初がこの連合の総大将であり、指揮を執りますわね!」

 

「・・・で、どうやって汜水関や虎牢関を攻める作戦はあるのか?」

 

と、北郷が袁紹にそう訊くと

 

「あら、ブ男さん。作戦?そのようなものありませんわ。」

 

「作戦、考えてないんですかっ!?」

 

袁紹の言葉に劉備が驚く。そして袁紹の後ろには文醜や顔良も意外な顔をしているのだった。

 

「なんですの?二人ともなんで驚きになるのですか?」

 

「いや、だって普通籠城する敵を落とすには作戦とか必要じゃないか。それを作戦なしに動くのは・・・・」

 

「作戦なしでどうやって進軍するんですか!?」

 

と、北郷と劉備がそう言うと袁紹はふふんと鼻で笑い

 

「ああ。それならば決まっていますわ。雄々しく、勇ましく、華麗に進軍、ですわ♪」

 

「「「「・・・・・・・・」」」」

 

その言葉を聞いて二人は唖然とし残りの人はやっぱりかっというような顔をしていた・・・

 

「みなさんそれでいいですわよね」

 

「ええ、勝手にしなさい」

 

「私も同じよ・・・」

 

「右に同じだ・・・」

 

そう言いその後会議は汜水関を攻める際は劉備が先鋒とされて軍議が終わり各自自分の天幕へ戻るのだった。しかし・・・

 

「ちょっと曹操さん?」

 

「・・・・なに袁紹?」

 

と、袁紹はあたりをきょろきょろ見回しながら華琳を呼び止める

 

「あなた・・・確か変わった格好の男を連れていたわよね?その人は連れていないんですの?」

 

「彼に何の用?」

 

「前の温泉の時あなたと親しそうでしたからあなたの副官だと思いましてね?」

 

「彼は私の副官じゃなくて客将よ。今はどこか旅をしているわ・・・・」

 

「そうですか?用はそれだけですのでもう戻っていいですわよ」

 

袁紹がそう言うと華琳は桂花を連れて自分の天幕へと戻るのだった

 

「相変わらずねあいつは・・・・」

 

「はい。ですが先ほどの言葉を守ればあとは自由にしてもいいっと逆に考えられます華琳様」

 

「そうね下手な作戦を言われるよりはずっと動きやすいわ‥…それで桂花。吹雪軍は汜水関に?」

 

「いえ、密偵の情報では吹雪軍は汜水関の後ろの虎牢関に布陣しているっと報告していました。それに今汜水関に建てられている旗は華と徐。おそらく華雄と徐栄の二つだと思います」

 

じつは吹雪、自分の軍が汜水関にいることを悟られないように情報を遮断し旗を立てていないのだった。

 

「なるほど・・・・おそらく吹雪軍と衝突するときは銃に気を付けたほうがいいわね」

 

「銃って言いますと、あいつが持っていた天の国の武器のことですか?ですがあいつは製造方法を・・・・」

 

「よく考えてみなさい。私があいつに製造方法を教えろって言ったとき、彼はなんていったかしら?」

 

華琳にそう言われ桂花はあの時のことを思い出す。

 

『曹操さん。残念だけど今のあなたでは製造方法を教える気はないよ。俺の使う銃は身を守るためであって侵略をするために使われたくはない』

 

「・・・・ん?」

 

『俺の使う銃は身を守るためであって侵略をするために使われたくはない』

 

「まさか・・・・」

 

「ええ、董卓は侵略なんてしない人物。それに今の状況はまさに彼に言っていた条件に入るのだから・・・・」

 

「確かにその可能性はありますね・・・・というより華琳様は董卓にあったことがあるのですか?」

 

「ええ一度だけだけどね・・・・・汜水関を超えた後、虎牢関を攻めるときは注意しないといけないわね」

 

「そうですね・・・・」

 

「桂花。・・・・例の作戦ことお願いね」

 

「はい。凪とともに必ず成功させます」

 

桂花はそう言うと華琳は微笑みそして汜水関がある方向を見るのだった。

 

 

 

 

 

そしてしばらくしたのち連合軍は劉備軍を先頭に置かせて汜水関に向けて進軍した。そしてある廃村を通るとき・・・・

 

「気をつけろ敵の待ち伏せがあるかもしれないぞ」

 

と、劉備軍の兵士がそう言って先へと進む。

 

「それにしても俺たちが先鋒か・・・」

 

「なんでも袁紹が北郷様と劉備様に行くように命じたそうだぞ。しかも兵と兵糧も渡さずに。それに俺たちが劉備・北郷軍が戦闘なのも敵の攻撃がわかりやすいようにだと」

 

「なるほど俺たちはエサか・・・・」

 

「大変だな北郷様も劉備様もあんな無理なこと頼まれて・・・・・」

 

「ああ、でもあの二人はお優しい方だからな・・・・」

 

「でも公孫瓚殿が兵を貸してくれたからまだよかったけどな」

 

「そうだな」

 

と、兵士たちがそんな話をしている中、劉備たちは

 

「どう思う朱里?この連合のこと」

 

「はい。雛里ちゃんもそうですがこの連合何か裏がありそうな気がします。それに董卓軍には・・・・」

 

「確か朱里ちゃんのお姉さん弟子と義理のお姉さんがいるんだよね?」

 

「はい桃香様の言った通り志乃お姉ちゃんやアンチョビお姉ちゃんがいます。その二人がいるのに・・・・」

 

「そうだよね・・・司馬懿さんにはあまり面会はないけどアンチョビさんは前にうちに遊びに来てくれたもんね~」

 

「鈴々も覚えているのだ。とっても優しいお姉ちゃんだったのだ」

 

「それに正義感もあったしな・・・・」

 

と、張飛こと鈴々と関羽こと愛紗が頷いてそう言う

 

「ああ、そんな正義感のあるアンチョビさん。それに沖田がいるのにあんなことになるとは思えない・・・」

 

「ご主人様。あの枯草色の御使いと話し合ったのですか?」

 

「ああ、そうだよ愛紗。黄巾の乱終結後の夜にな・・・話し合ってわかったがあいつは悪行は絶対にの逃さない奴だ・・・・・それなのに彼の上司の董卓が暴政していて沖田が知らんぷりするのはおかしな話だ・・・」

 

「ますます怪しいですね…この連合の話」

 

と、北郷たちがそう話し合っていると

 

「おい、あそこに水があるぞ!」

 

っと、一人の若い兵士が廃村にある岩に湧水があるのを見つけ水を汲みにいく

 

「ご主人様、水だって。よかった~兵糧が少なくて水も不足気味だったから「ちょっと待ってください!桃香様!」ん?何朱里ちゃん?・・・・」

 

桃香も水を汲みに行こうとしたら孔明こと朱里に止められる

 

「地図で見ても、あの地形には水が湧き出ません!」

 

「え?と・・・すると・・・」

 

ト桃香がそう言った瞬間・・・

 

ドカァーンっ!!!

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

急に湧水あたりの岩場が爆発したのだ。そう、吹雪が言った置き土産とはこのことだったのだ。

 

「ば、爆発っ!?」

 

「な、何なのだ!?」

 

「罠だっ!」

 

「くそっ!まさか水をためた場所に罠を設置するとは・・・・」

 

いきなりの爆発に劉備軍は一時混乱状態に落ち入り、北郷は苦い顔をしていた。そしてしばらとして劉備軍は負傷兵を治療し後方に下げ態勢を立ち直らせて再び進軍するのだった。そして数分後、連合軍は汜水関へと到着しそのまま進軍する。汜水関まで500メートルを切ったところで北郷は何かの違和感を覚える・・・・

 

「(変だ・・・・なぜ攻撃してこない)」

 

 

 

 

 

 

 

汜水関

 

 

「御使い様!敵の姿が見えました!」

 

「よし、全員攻撃態勢をとれ。合図が出るまで攻撃はするなと伝令を頼む!」

 

「はっ!」

 

「いよいよですね吹雪様」

 

「ああ・・・・」

 

 

俺は汜水関の一番最前のところにいた。そして双眼鏡で敵の様子を見ていた。先頭にいるのは・・・・・劉備・北郷軍か・・・・・

 

「隊長。全員攻撃準備整いました。攻撃は開始されますか?」

 

「…待て」

 

吹雪は双眼鏡で敵を見ながらそう言う。一方攻撃態勢をとっている兵たちは

 

「まだかよ・・・いつになったら攻撃命令が出るんだよ」

 

「まあ、落ち着けよ。今、弓を放ったところで効果はないでしょう。汜水関から5町(約500メートル)埋め尽くしたときが好機よ」

 

「吹雪まだなの?」

 

「……」

 

夢華は問い掛けるも、吹雪は何も言わない。

 

「……総員待機よ。まだ合図は出さないで・・・」

 

「はっ!」

 

夢華の言葉に兵士が返事し伝令に出る。またもう一人は摺鉢山にいる守備隊に旗信号を送って知らせた。ちなみに旗信号は吹雪が教えたものでこれを理解して採用しているのは董卓軍だけである。

 

「あれだけ来ているんだぞ!なぜ迎え撃たないんだ。何を考えているんだ吹雪の奴は!」

 

「落ち着け華雄。今攻撃したところで効果は薄いし矢の無駄だ」

 

と、焦る華雄を星が落ち着かせる

 

「しかしだな趙雲!」

 

「落ち着け。とにかく吹雪殿を信じようじゃないか・・・・」

 

そう言い華雄は悔しそうに敵を見て星は落ち着いた様子で敵兵を見るのだった。

 

 

「……」

 

そして吹雪は連合軍の歩兵らが、地響きを錯覚させるような雄叫びとともに進撃を開始ししているのを見てゆっくりと双眼鏡を降ろす。

 

「行くぞ。攻撃開始!」

 

吹雪の言葉に司馬懿が頷き、手に持っていた銅鑼を鳴らす

 

ジャァーン ジャァーン ジャァーン!!

 

「よし合図だ!」

 

「よしっ全員に知らせ!!」

 

そう言い伝令兵の一人が弓を天に向かって放つすると

 

ピュイィーーーーーー!!!

 

と、鏑矢が鳴り一そこから赤い煙幕が放たれる。それを見た董卓兵たちは

 

「よしっ!攻撃開始だぁ!」

 

「墳進矢はなてぇ!!」

 

「弓矢放てっ!」

 

夕張の号令で兵士の一人が墳進矢の導火線に火をつけ、そこをたどってられた火薬に火が付き、ロケット推進で無数の矢が飛び舞うそして推進力を失うと矢は急降下して連合軍に降り注いだ。そしてほかの兵は汜水関や摺鉢山から夕張特性の連発弩や弓を放って十字砲火で交戦。

こうして 戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

 

 

 




ついに反董卓連合の戦いが始まりました。


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激闘汜水関

インフルエンザにかかっていたので投稿が遅れました。遅い投稿になってしまいましたが暖かな目で見てください。


連合軍先鋒部隊

 

 

ピュイィー!!!

 

「な、なんだっ!?」

 

「何の音だっ!?」

 

急に鏑矢の音がした瞬間頭上から無数の矢が降り注いできた。そしてその矢は瞬く間に劉備軍の兵士の命を奪っていく

 

「くそっ!罠かっ!」

 

「盾を使って進め!」

 

と関羽はそう指示し、兵士たちは盾を使い降り注ぐ矢を防いでいくだが・・・・

 

「な、なんなんだあれは!?」

 

「あれって鉄条網かっ!?」

 

関羽が驚き、後方で見ていた北郷はそう言う。そう、大盾を使い弓矢を防いで汜水関へと進むとそこには鉄条網が張り巡らされていた。兵士たちは先へ進もうにも服が鉄条網に引っ掛かり思うように進めなかった。その隙に董卓軍は弓矢、弩で攻撃する。その奇襲攻撃で先鋒の劉備軍はおろか袁紹。曹操などの軍は混乱状態に陥っていた。そして連合軍は何とか鉄条網を超えて汜水関へと突撃しようとしたのだが・・・・・

 

「ぎゃっ!」

 

「ぐわぁ!」

 

急に前進していた兵士が消え悲鳴が上がる。

 

「な、なんだっ!?」

 

と前線にいた関羽は驚き目を凝らしてよく見ると、兵士が消えた所に大穴があったのだ。そう落とし穴に落ちたのだ。そう、吹雪は鉄条網の他に落とし穴を作っていたのだ。落とし穴を作った元は前に桂花に落とし穴に落とされたことで思いついたとのこと。またこの落とし穴はベトナム戦争でベトナム軍がアメリカ軍を苦しめたブービートラップを参考にしている。

 

「お、落とし穴だと!」

 

「関羽様っ!鉄の茨や落とし穴のせいで先に進めません!このままだと壊滅してしまいます!」

 

「くっ!・・・・全軍一時撤退!」

 

関羽のその言葉に連合軍は一時撤退するのだった。そして汜水関では、吹雪たちは敵が撤退するのを確認した後状況報告を聞いていた

 

「西の陣では負傷者が多く一時後退。汜水関手前にあった鉄条網の塹壕小隊は壊滅しましたが、ほかの部隊はすべて損害ありません敵の死者は千人以上と思われます!」

 

「・・・・残念だが塹壕部隊は仕方がない・・・・初戦としては上出来だな…摺鉢山は持ちこたえているか?」

 

「はい。健在です!」

 

「そうか・・・・敵状況は?」

 

「敵の数は二万名以上いると推定されます」

 

「いや、もっといるはずだ。後方に待機している部隊がいる」

 

「現在の所、敵進出方面は摺鉢山最深部、南関所、そしてここ汜水関まで伸びて布陣し、今のところは大人しいです」

 

「やはり、三方面に対し二手に分かれて攻撃を仕掛けるつもりだな・・・・・そうか‥‥ごくろうだった。敵の進軍に警戒しつつゆっくり休んでくれ」

 

「はっ!」

 

そう言い兵士は下がり、吹雪は息をつく

 

「・・・・まずは初戦は何とか防いだな。」

 

「はい。吹雪様ですが恐らく」

 

「ああ、今のは小手調べ程度だろう。次は大勢で来るか。あるいは・・・・」

 

「あるいは?」

 

「こっちが出てくるように挑発してくるな」

 

「確かにそうですね・・・・」

 

俺と志乃がそう話していた。

 

 

 

連合軍・袁紹陣営

 

「なんですの!なんで我が連合が撤退したのですか!たかが数万の軍勢相手なのに!!」

 

「ですが麗羽様。董卓軍の奇襲攻撃で陣形が取れなかったので・・・・・」

 

「ふん!まあ、いいですわ。あれは単なるまぐれでしょうし・・・・あんな小さな砦なら3日で落とせるでしょうから今回のあなたたちの失敗は大目に見ますわ」

 

「は、はぁ・・・・・」

 

最初の攻撃で大敗で袁紹は最初不機嫌だったがすぐに負けたのは味方が油断していたこと。敵の勝利がまぐれだったと思い込み、翌日また攻撃を仕掛けるのだった。しかも今度は投石器などの遠距離攻撃をし始めた。しかし、効果は薄く効き目がなかった。

なぜなら汜水関の城壁は今までの石垣で作ったのとは違い、古代ローマ、アンチョビが暮らしていたローマで採用されているローマン・コンクリートを採用している。因みにコンクリートの原料であるセメントは石灰石と粘土と石膏と微量の鉄の混合物、砂利、砂、水、空気で、それらをとある混合比で混ぜひと月当たり干せば簡単にできる。

そしてその堅固な城壁や吹雪が仕掛けた落とし穴や鉄条網のせいで袁紹が3日で墜とせるといわれた汜水関は5日経っても落とせずにいた。

 

「ちょっと顔良さん?いつになったら汜水関を落とせるんですか?」

 

袁紹がイラつきながら部下の顔良や文醜。そして軍師の田豊にそう言う。

 

「姫~少しは落ち着けって」

 

「曹操軍や呉の軍が大攻勢を仕掛けていますが・・・・・」

 

と、顔良と文醜がそう言う

 

「麗羽様。私に考えが」

 

「あら?何ですの真直さん?」

 

「ここは汜水関を攻撃するのを辞めて別のところを攻撃しては?」

 

「別の?」

 

「はい。地図を見た所ここより少し西側に小川がありそこに小さな関所があります。そこを陥落すれば虎牢関にたどり着き、それに汜水関の砦も挟み撃ちにできますが・・・・」

 

と、眼鏡をかけた少女、田豊がそう提案をするが・・・・

 

「却下ですわ」

 

袁紹はその提案を却下する

 

「え?な、なんでですか?」

 

「目の前にいる敵に背を向けて後退なんて名門袁家の恥ですわ。それに小さい関所ってことは道が狭いんでしょ?そんなんで華憐に前進なんてできるわけないじゃないですか。ですからその案は却下ですわよ」

 

と、なんとも呆れた却下の理由を言う袁紹

 

「そ、そんな~」

 

「真直さん・・・・元気出してください」

 

袁紹にそう言われて呆れた顔をしてガックシとうなだれる田豊にそれを慰める顔良だった。

 

「と・に・か・く!今の状況を何とかするように言いなさい!この私の盛大な心をもってしてもあと一日が限度ですわ!」

 

「は、はい!」

 

顔良がそう言うと急いで伝令に行くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

汜水関

 

「あれから敵の動きが大人しくなったな・・・・・」

 

「諦めたんでしょうか?」

 

「いや、それはないと思うよ斗志」

 

吹雪たちが握り飯を食べながらそう話していると

 

「報告します!」

 

一人の士官がやって来た

 

「なんだ?敵か?」

 

「はい。しかし出てきたのは関羽と孫策だけです。」

 

関羽?それに雪蓮?なんか嫌な予感がしてきた・・・・俺は城壁の下を見ると確かにそこには関羽がいて後ろには雪蓮がいた。そして

 

「敵将であり汜水関を守る大将である華雄よ!聞けばおぬしは董卓軍の猛将と聴いたが、撃って出ずにそこにこもるとはとんだ腑抜けだっ!私と一騎打ちをするのがそんなに怖いのか!この閉じこもりの亀みたいな臆病者がっ!悔しかったら外に出て私と勝負しろっ!」

 

と、関羽が華雄のことを罵倒している。やっぱり心理作戦に出やがったか。因みに連合軍では俺は虎牢関にいると思っているからここの指揮官は華雄だと思い込んでいる。俺は横にいる華雄を見ると華雄はプルプルと震え額には無数の青筋が見える

 

「華雄・・・」

 

「わかっている・・・・わかっているが関羽め・・・・」

 

とじっと関羽を睨む華雄。その間関羽はさらに華雄を馬鹿にする。よくまあ、次ぐ次と華雄の悪口を言えるものだ。周りを見るとみんな呆れた顔をしているものやイラついているものもいた。現に俺も少し腹を立てている。一騎打ちだっというものを相手を馬鹿にして引き釣りだし手の一騎打ちは一騎打ちとは言わないむしろフェアじゃないよ。俺は華雄を再度見ると・・・・

 

「安心しろ吹雪。昔の私ならいざ知らず今の私は何とか耐えられる・・・・お前と一緒にやった精神修行の座禅っというもののおかげだな」

 

と、華雄は顔を引きつらせながらもそう言う。そう俺と華雄は以前精神修行のため座禅をしたのだ。まあこの時代まだ座禅はできてはいないが。華雄はその座禅のおかげで何とか耐えられているのだ。

すると関羽の次は・・・・あれは雪漣だな・・・・彼女とて正々堂々と戦いたいつもりだろうけど状況がこんなんじゃ仕方ないか・・・・

 

「華雄よっ! 貴様が負けた孫堅の娘を見て倒したいと思わないのかッ!!それともまた負けると思って外に出ない気か!この貧乳娘!」

 

そう言うと華雄はさらにぴくぴくっと眉間にしわを寄せる。華雄って貧乳だったけ?

むしろ大きい気がするが?

 

「ふ・・・・・一体いつのころの話をしておるのだ孫策は。あいつの母と戦ったのは14の時だ。つまりまだ私の胸は成長期のころだ・・・吹雪?お前私が貧乳だと思うか?」

 

と、華雄はあきれ顔でそう言い俺に顔を向けてそう言う

 

「いや?俺から見てそうは見えねえけど?」

 

「そうか。ならばよし」

 

ここで否定したら矛先がこっちに来るからな何度も言うが華雄は決して小さくない。俺から見ればの話だが。

そして華雄は青筋はあるものの落ち着いた顔に戻ってきた。どうやらさっきの雪蓮の言葉で怒りが冷めてきたのだろう。これなら大丈夫だな。そう思いっていると関羽が何やら叫びだした。まあ、また罵倒だけど今の華雄なら…そう思った俺が甘かった。

 

プツンっ!

 

ん?何か切れたような音がしたが・・・・・・俺がそう思っていると

 

「吹雪大変だぞ!華雄の奴、外に出ようとしてる!」

 

「はぁ!?なんだって!?」

 

アンチョビさんの言葉に俺は華雄がいた所を見ると華雄はいなく。その代わり汜水関の門前に華雄とそれに続く華雄隊が今にも出撃しようとして門を守る徐栄・吹雪隊に止められる

 

「華雄将軍っ!落ち着いてください!」

 

「黙れ!おのれぇ!関羽っ!私のことを馬鹿にするのはまだ少しだけ耐えられるが、吹雪を馬鹿にするとは!!もう許せん!吹雪の事を侮辱した事を後悔させてやる!!!#」

 

とすさまじい怒気を発しながら華雄はそう言う。そう言えば関羽が何か叫んでいたがもしかしてあれか?いや。それしかない

 

「え?志乃?俺って関羽に馬鹿にされたの?」

 

「はい。関羽は『それに貴様の仲間のあの偽の天の御使い沖田吹雪はなぜここにいない!もしや自分は安全な場所に閉じこもり自分を守るため兵を最前線に送り、そして華雄に一騎打ちをさせない腰抜けかッ!!とすると、とんだ臆病者で愚物だなっ!』っと言っておりました」

 

志乃はいつものように冷静にそう言うが眉間には青筋が立っていた。まずい。あれってガチギレ寸前の志乃だ・・・すると・・・

 

「あの野郎!っ隊長を馬鹿にしやがって!あいつぶっ殺しに行ってくるっす!」

 

「落ち着け!桜花!」

 

「桜花!気持ちはわかるよ!私だってこの槍で串刺しにしたいけど!今出てったら籠城の意味ないわよ!!」

 

と、怒り狂っている桜花を川内や斗志が止め、

 

「ふっふっふっ・・・・・あの関羽・・・言ってくれるじゃない…ちょうどいいわ。私の作ったこの大型の狙撃銃であいつの頭、吹っ飛ばしてやるわ・・・・」

 

「落ち着いてください夕張さん!言い方が怖いですよ!」

 

「あうう。落ち着いてください!」

 

と、対物ライフルくらいの銃を持ち出し黒い笑みを見せる夕張を鈴と美佳が止め。星とアンチョビさんはあきれながらも関羽を睨んでいた。因みに雪風は敵情視察に行って不在だがもしそこにいれば間違いなく関羽を暗殺しに行くだろうな・・・・・

とにかく俺はすぐにみんなをなんとか落ち着かせたが、華雄はまだ外に出ようとしていた。

 

「華雄、落ち着け!」

 

「ええい!止めるな吹雪!あいつは!あいつは!」

 

「わかっている!でも今外に出るのは危険だ!お前も知ってるはずだろ?」

 

「うっ・・・・」

 

敵がここに来る前俺たちはあの鉄条網や落とし穴がわんさかあるそんな中出撃したら自身も罠に落ちてその隙に討ち取られてしまう。そのことに気付いた華雄は少し冷静になったのか動きを止める

 

「だが・・・・」

 

華雄は悔しげに言いうと、吹雪は華雄を抱きしめ

 

「俺のために怒ってくれてありがとう華雄。でも、俺は大丈夫だよ。」

 

と不敵の笑みでそう言うと

 

「そ、そうか・・・お前がそう言うのなら・・・・」

 

と華雄はわかってくれたのか兵を下げるのだった。それを見ていた吹雪隊は・・・

 

「華雄将軍だけずるいっす!うらやましいっす!・・・・私もしてほしいっすよ隊長!」

 

「こら桜花!抜け駆けするな!わ、私だって隊長に///」

 

「私もお願いできますかな吹雪殿?」

 

「あうう・・・・うらやましい」

 

「青春だね~志乃もやってもらいな」

 

「へっ!?ちょっとお姉ちゃん!?」

 

とこんな状態になっていた。一方、心理作戦も失敗に終わり連合軍は・・・・

 

「こうなったら総攻撃ですわっ!!」

 

と、袁紹が大声をあげた。

 

「ちょっ!待ちなさい袁紹!汜水関には無数の鉄の茨や落とし穴がるのよ!それをわかってて突撃をするのは馬鹿のすることよ!」

 

「お黙りなさい華琳さん!これは総大将命令ですわ!」

 

「くっ・・・・」

 

総大将命令といわれて華琳は従うしかなかったのだった。そしてその後、連合軍はごり押しの総攻撃で汜水関を陥落させようと兵を突撃させた。

それを城壁で見ていた吹雪は

 

「うわ~全軍突撃したなあれは・・・・・」

 

「しかも、丸太や土嚢を使って鉄条網や落とし穴を突破。あれは・・・・朱里たちの案ね・・・・やるわ。・・・でどうします吹雪様?」

 

「まあ、これも想定済みだ。夕張!」

 

「あいよ!いつでも準備で来てるわよ!。それに今の連中、あの罠を超えたくらいで勝った気でいます」

 

「そうか・・・それじゃあ連中に戦争というのを教育しましょうか。それにそろそろ潮時だしね。斗志、桜花、星。頼むぞ!(それに華雄を馬鹿にしたつけもここらで払わしてもらうか)」

 

「「はっ!」」

 

「任せてくれ吹雪殿」

 

「沖田様!敵が間もなく射程内に入ります!」

 

「うん。夕張!」

 

「はいよ!銃士隊用意!」

 

沖田の指示で夕張は頷き、銃士隊1000人の兵士たちはボルトを動かし紙薬莢の弾丸を射発装填する。ちなみに銃士隊が持っているのは単発式ボルトアクション銃だった。そして

 

「総員よぉーくねらえ!」

 

俺は刀を抜いて、連合軍に向けた。敵が300メートルを切った瞬間

 

「銃士隊撃ち方始めぇー!」

 

ダダダダァァーンンン!!!!

 

汜水関城壁から雷のごときすさまじい音が鳴り響いた。まさに一斉射撃であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍視点

 

ダダダダァァーンンン!!!!

 

「「「っ!?」」」」

 

いきなりの雷鳴に連合軍の兵士たちは一瞬うろたえる。そして前進していた兵士たちがバタバタと倒れるのだった。

 

「なっ!あの音は・・・!」

 

「まさか!?」

 

吹雪と同じ時代から来た北郷はもちろんこの音に聞き覚えのある華琳たち魏は目を丸くした。そしてまたも雷鳴のような音が鳴り響きとまたも兵士たちがバタバタと倒れ血を流し絶命する

 

「な・・・・まさかあの音はでも吹雪隊は虎牢関にいるはず・・・・」

 

華琳がそう言った瞬間

 

《♪~♪~♪~!!》

 

汜水関から音楽が流れ出す。この音を聞いた北郷は

 

「あれって!『陸軍分列行進曲』!?」

 

そう言った瞬間。汜水関から新しい旗が上がるのだった。それを見て状況がわかった北郷は

 

「全軍撤退!急がないと狙い撃ちにされるぞ!」

 

「ご主人様?」

 

「愛紗!桃香。説明はあとだ!今退却しないと危ない!」

 

「わ、分かりましたッ!! 劉備軍は退避ッ!!」

 

と、関羽の声で劉備軍は撤退し、曹操軍は・・・・

 

「報告します!汜水関に新たな旗が上がりました!旗は朝日の旗!吹雪軍です!」

 

「な、なんだと!」

 

「兄ちゃんの!?」

 

と、その伝令を聞いた春蘭や季衣が驚きその知らせを聞いた華琳はフフッと笑い

 

「やはり・・・・・ここの指揮官は華雄じゃなくてあなただったのね吹雪。通りで華雄の策にしては少し変だと思ったわ。それにしても銃を中心とした部隊を作るなんてね・・・・・」

 

「華琳様!」

 

「ええ、わかっているわ。全軍撤退!急がないと銃の的にされるわよ!」

 

「はっ!」」

 

この時代銃の怖さを唯一知っている華琳は全軍に撤退命令を出したのだし、劉備・曹操軍の撤退を見たほかの連合軍もあとに続いて撤退するのだった。

 

 




ついに吹雪軍が銃を使いました。そしてこれをきっかけにいろんな武器が火を噴きます!次回もお楽しみに!


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その夜

「隊長!敵が…連合軍が引いてきます!」

 

「全員撃ち方やめぇ!」

 

俺は銃士隊に発砲を止めるように指示した

 

「威嚇程度だったがこれで敵はうかつに前進しては来ないだろうな」

 

銃のもともとの本質は相手を貫通し殺すことはもちろんだが、銃の本当の本質は恐怖。あの音が鳴れば必ず誰かが死ぬ。最初はわからなくとも次弾でそれがわかり、進撃するのをためらう。これで進撃を辞めてくれると助かるんだがそうはいかないだろう。対策を立ててまた攻めてくるなあれは。

 

「さてどうします吹雪殿?‥敵は引きましたが?」

 

「まあ、とにかくは敵が引いたことに良しとするか。後は敵が今後どう動くかだな」

 

恐らく華琳や北郷は気づいただろうな・・・・・となると第二段階の実行準備をしないとな・・・・

 

「雪風」

 

「はっ!」

 

吹雪が雪風を呼ぶと背後から雪風が現れる

 

「陣内に敵の間者は?」

 

「今のところはありませんが、おそらく今の攻撃で敵は工作兵を派遣させる可能性があります。我々の部隊は今警戒して間者がいないか見張っています」

 

「そうか・・・・いつもありがとうな雪風。」

 

「いえ、それが私の使命です。私は陰ながらあなたを支える。あなたとともに歩む。それが私の生きがいです。では・・・・」

 

雪風は少ない言葉でそう言い、そしてにっこりと笑うと風とともに消えた。まるで忍者だな。雪風は、格好もそうだが。

 

「それと夕張は西の関所に行ってきてくれないか?」

 

「え?西の関所に?なんで?あそこは小川があって足場がぬかるんでたりしてるし敵が来ないと思うよ?」

 

「ああ、確かに常識的に考えればそうなんだが、おそらくそこをついて攻撃してくる可能性がある」

 

「・・・・わかったわ。それとあれ(・・)も持っていくけどいい?」

 

「ああ、頼めるか?」

 

「任せてよ。けどその代わり何か奢ってね♪」

 

と、夕張はそう言いウィンクをするとあるものを持って部下を引き連れて西の関所に向かった。

 

「川内」

 

「ん?なに?」

 

「川内は東の方へ行ってくれないか?」

 

「わかったわ。もし敵が来たら戦ってもいい?」

 

「ああ、」

 

「やったね久しぶりの夜戦だわ!」

 

「川内・・・・・」

 

「わかってるわよ。無茶な行動は控えるさ。じゃあ、行ってくるわ」

 

そう言い川内も東の関所へと向かうのだった

 

「もうすぐ夜だな・・・・・長い夜になりそうだ」

 

俺は夕暮れの空を見るのだった。

 

 

 

洛陽街

 

「おい、聞いたか?なんでも官軍の連中がここの攻めてきているらしいぜ」

 

「ほんとかそれ?」

 

「ああ、洛陽新聞に載ってるしな。今、汜水関で董卓様の軍が戦っているらしい」

 

「なんで官軍連中がここに攻め入るんだよ?」

 

「なんでも董卓様が暴政を働いて民を苦しめてるからそれを征伐するとからしいぜ」

 

「はぁ?董卓様が?官軍の連中おかしいんじゃねえか?董卓様がそんなことするわけないだろう。現に俺たちはこうして平和に暮らしているのによ」

 

「確かにな。なんでそんな董卓様が暴政をするなんて話が出てくるんだよ意味わかんねえぜ」

 

「そうだな。」

 

洛陽街で街の人たちがそんな話をしている中、町の陰でその話を聞いていた二人組がいた。一人は長身の黒髪で青い瞳が特徴の女性でもう一人は金髪の短い髪の小柄な少女だった。一見すると親子に見えてしまう

 

「大陸の旅いろいろ回ってきてやっと安息の地見つけたと思ったのにね~なんだろうね~」

 

「なんでしょうね」

 

「ねえ、雪波?飴持ってないかしら?」

 

「持ってません。」

 

「嘘言わないで、最後の二個隠し持ってるでしょ?誰のせいで戦に巻き込まれたと思ってるのよ」

 

「何度も言いますがありませんよ」

 

「あ~飴がほしいわね・・・・」

 

そう言い金髪の少女は立ち上がる

 

「まったく。どこに行っても私たちに明日なんてないわよ雪波。私たち黒山衆には今日しかないのよ。飴くらい好きに舐めたいものね」

 

そう言い彼女はさらに裏道の奥へと進み始める

 

「どこへ行かれるのですか張燕様?あっちは東ですよ?さっきまで汜水関にいる公孫瓚の所に行くって言ってたじゃないですか?」

 

「気が変わったわよ。あそこにいても楽しめそうにないしね。なんか東の関所あたりにに行くと面白そうなことが起きるかもって思ってね。とにかく行くわよ」

 

そう言いにっと笑う張燕と呼ばれた少女。それを見て雪波と呼ばれた少女は軽くため息をつくと

 

「はぁ~まったく。あなたという人は・・・・わかりました。ではあなたの副官であるこの雪波もあなたについてきます。それと部下の兵たちも」

 

「ええ、永久凍土の果てまでついてきなさい」

 

「はい」

 

そう言い二人は街の闇にへと消えて行ったのだった。

 

 

 

 

さてその頃連合軍では・・・・

 

「なんなんですのー!相手はたかが数万の烏合の衆ですのに!」

 

と、会議をしていた袁紹そう叫び

 

「それに、あの第三師団も汜水関に布陣していたとは・・・・・」

 

公孫瓚がそう言うと

 

「それにあのへんな雷みたいな音はなんだ?あの音がした瞬間兵たちがいきなり倒れ死んだのだが?」

 

「もしかして妖術か?」

 

と、ほかの諸国勢がそう話していると

 

「……あれは俺の世界の兵器だ……」

 

『ッ!?』

 

北郷がポツリと呟くと、天幕にいた全員が驚いた。そして華琳は黙った耳を傾けていた。

 

「あれは銃って弓みたいなものだけど射程や威力は弓とは、くらべものにならないくらい強力な武器なんだ。」

 

「はわわ。天の国の武器ですか」

 

「ああ、」

 

「でもなんで董卓軍がそんなものを・・・・」

 

「そう言えば董卓軍にもお前と同じ天の御使いがいたな・・・・・で、その銃による対処とかないのか北郷?」

 

と、公孫瓚が訊くと

 

「ああ、おそらく敵が使ってるのは火縄式だと思うだから。装填にも時間がかかるしと思うし弾もそんなにたくさんはないと思う。もし、たとえ撃ってきても伏せて行けばいい。でも・・・・」

 

「落とし穴にあの鉄の茨か・・・・」

 

馬岱の言葉に北郷は頷く

 

「ああ、おそらく装填の遅さをあれで補っていると思う。」

 

「鉄の茨は先ほどの丸太で大方片付けることに成功したが・・・・落とし穴には穴を埋めるのに時間がかかる」

 

「とにかく今は、あの落とし穴をどうにかしないとね・・・・」

 

そう、話し合っていると

 

「じゃあ、、落とし穴を埋める作業をしない?」

 

「「「え?」」」

 

「だって、昼間だとその銃ッて武器の的にされるんでしょ?だったら周りが暗い夜なら最適じゃないかしら?」

 

雪蓮の言葉に皆、首を傾げるが軍師たちは

 

「はわわ。なるほど・・・・確かにそれはいい案ですね。それにあと3日ほどで夜空は新月ですから相手に気付かれず行動ができます」

 

「じゃあ、作業は3日後ね」

 

と、雪蓮がそう言うと、劉備の軍師龐統が手をあげる

 

「それとなんですが、それと同時に別方向を攻撃してはどうですか?」

 

「別の所?」

 

華琳がそう言うと軍師の一人、龐統が頷き

 

「あわわ・・・この地域には汜水関だけではなくたくさんの小さな関所があります。特に小川がある西側と、東側。道は狭いですが、ここを占拠し突破すれば、虎牢関まで行けますし何より汜水関の砦を包囲することができます・・・・もちろん汜水関を攻める部隊は相手に気付かれないため、引き付けとして残しておく必要がありますが・・・・」

 

と、龐統の言葉にみんな納得したようにうなずくのだが田豊が「私の案・・・・パクられた」と小さく呟いていた

 

「なるほど確かにいい案だわ。袁紹。あなたもこれでいいわよね?今のところそれいしか案はないようだし?」

 

「え、ええ・・・かまいませんことよ。」

 

と、今の現状を見て否定することができず袁紹が作戦を了承し会議は終わるのだった。

 

 

 

曹操陣

 

「まさか吹雪軍が汜水関にいたとは予想外でした・・・・」

 

「・・・で、桂花?さっき龐統が言った作戦のことだけど」

 

「はい。恐らくあいつのことですから、察知されていると思います。ですが奴の銃にも弱点があります」

 

「弱点?」

 

「はい。いくら天の国の武器を製造できたとしても。矢となる弾丸も無限ではありません。おそらく今の射撃も威嚇程度の物でしょう」

 

「確かにそうね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「で、どうかしら冥琳、この作戦上手くいくと思う?」

 

「それはわかりませんが、相手があの沖田や司馬懿が相手です。油断はできません」

 

「そう・・・そう言えば明命はどうしているの?先ほどから姿が見えないけど」

 

「明命でしたら、今敵陣の中に入り偵察をしています。」

 

「そう・・・・無事だといいんだけどね」

 

「それよりどうする雪蓮。」

 

「どうするって?」

 

「西と東の関所を攻めることについてだ。あんたのことだから先頭に立っていく気でしょ?」

 

「う~ん・・・・そうね。なんだか知らないけど嫌な予感がするから。今回は兵だけを突撃させて」

 

「わかった。では今回はそうすることにしよう」

 

雪漣は嫌な予感を感じながら夜空を見上げるのだった

 

 

劉備・北郷陣

 

「はぁ・・・まさか董卓軍が火縄銃を持ってるなんて予想外だな・・・」

 

会議が終わった後、北郷は天幕で頭を悩ませていた。だがこの時北郷は董卓軍が持っている銃は戦国時代で使われた火縄銃だと思っていた。彼からしてみてばこの時代で作れる銃とすれば火縄銃が限界だと思っていたからだ。

 

「大丈夫ご主人様?」

 

「ああ、大丈夫だよ桃香。とにかく昼も夜も忙しそうになるな・・・・」

 

「はい。作戦は決まったのですが後は…成功するかどうかですね。あの雰囲気からして董卓軍はまだ何か隠し持っているみたいですし・・・・」

 

「そうだな朱里。」

 

二人は嫌な予感を感じながらそう話し合うのだった。だがこの時北郷は見誤った彼らが・・・董卓軍が所持してたのは火縄銃ではないことを…そして更なる兵器が待ち構えていることをこの時、誰も気づかなかったのだった。

 

 

 

 

一方汜水関。

 

「失礼します。隊長」

 

「失礼します。あ、あの・・・・吹雪さん?」

 

「ん?なんだ?斗志、美佳」

 

「なんかうちの隊に変な隊士がいるんですが・・・・とにかく来てください」

 

「?」

 

斗志の言葉に吹雪が首を傾げ、ついていくと・・・・

 

にゃーにゃー

 

「はわぁ~お猫様~♡♪」

 

とそこへ行ってみるとそこには、日本刀のような長刀を持った女の子が猫じゃらしで猫と戯れていた。

 

「あの服を見てうちの隊だというのはわかるんですが・・・・・」

 

確かにうちの部隊の黒軍服を着ている。別におかしいところはないが猫と戯れていること以外。

 

「あれがどうかしたのか?別に猫と戯れているのは別に問題ないではないか?」

 

「それはそうなんですが、うちの隊士にいましたっけ?私の記憶ではいなかったと思うんですが・・・・」

 

「私も、美佳と同じ意見です」

 

「ふ~ん・・・ちょっと訊いてみるか。おい君?」

 

「え?は、はい!」

 

長髪の少女はこちに気付き、立ち上がる

 

「君。名前は?それと所属と階級は?」

 

俺の言葉に少女は少し動揺したような顔になり

 

「え・・・・えっと・・・わ、私はか・・・・関平っと言いまして一兵卒で・・・その所属は・・・・」

 

と苦笑いしながらもごもご言う。あ~これあれだな・・・・・

 

「(斗志・・・・)」

 

「(はい。間違いなく敵の間者ですね・・・・あれは。それに関平って名の隊士はうちの第三師団にはいません。隊長どうします?ここで斬り捨てますか?)」

 

「(怖いこと言うな斗志。まあ、とにかくあれだ。カマかけて見るか)」

 

「(そうですね・・・・・)どうした。貴様所属が言えないのか?」

 

「あ、いえ・・・その。あっ!私は・・・・・あっ!歩兵部隊に所属しています!」

 

と、大声で言う少女。だが・・・・・

 

「そう・・・・でもあなたの着ている服の襟章・・・・・・・工兵隊の印がついているわよ」

 

「あっ・・・・」

 

「あなた・・・・自分の所属部隊も言えないなんて・・・・あなた連合軍の間者ね」

 

「ぐっ!」

 

少女はしまった!っというような顔をして逃げ出そうとしたが

 

「そこまで、動かないで動けばその喉を掻っ切るわよ・・・・・孫家に仕える武将周泰さん?」

 

いつの間にいたのか雪風が周泰を拘束していた。てか、周泰って・・・・雪蓮のとこの人か・・・・・これは面倒なことになったな・・・・・さて・・・連合軍はどう動くのかな?

 

 

 

 




この頃スランプ気味です・・・・董卓軍の戦い描写を書くの本当に大変です。大変だと思いますが頑張って書いていきたいと思います。
次回も楽しみにしてください。


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驚きの夜に

西の関所、そこは小川が流れ小さな橋がある平たい場所。そこには夕張たちが塹壕を掘って敵を待っていた。

 

「どう?動きはあった?」

 

「いいえ、馬鈞様。まだ動きがありません。やっぱりここは大丈夫なんじゃないですか?」

 

「私もそう思うんだけどね・・・なんだか来そうな気がするのよ。それよりちゃんとあれ運んだ?」

 

「はい。でもあれは何ですか馬鈞様?あれが何の役に立つのですか?」

 

「まあ、それは戦いが始まったらわかるわよ。とにかく警戒は怠らないでね」

 

「はっ!」

 

「ああ、それとちゃんと食事はとってね。たぶん激しい戦いになると思うから」

 

「は?はっ!」

 

そう言い兵士は夕張に敬礼をして持ち場に戻るのだった。そして夕張は設置した秘密兵器を見て

 

「さて、上手くいくといいんだけどね・・・・・」

 

そう呟くのだった。一方、東関所では、川内や桜花が守っていた。

 

「どう来たっすか川内?」

 

「まだよ・・・あ~夜戦とかしたいわね~・・・・ねえ桜花。連中より先に畳みかけちゃだめ?」

 

「ダメっすよ。私もしたいところだけどな。そこは我慢すよ」

 

「残念。でもまあいいわ。きっと奴らここに来るからね」

 

「自信満々に言うっすけど川内。おめえ、その根拠あるっすか?」

 

「そう言う桜花はどうなのよ?敵来ると思う?」

 

「はっ!そんなことわかりきったことじゃないっすか。こんな戦馬鹿な私ですら。もし自分が連合軍の兵士ならここを攻めるっと算段を立てていたんだ。だから連中きっと来るっすよ」

 

「そうね・・・連中きっと来るわね。」

 

と、桜花と川内は互いに笑うのだった。

 

 

 

一方そのころ汜水関では

 

「・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

とある部屋で連合軍の間者であり孫策の命で汜水関に忍び込んでいた周泰は、間者であることがばれて今、斗志たちに尋問されていた。しかし、いっこうに口を割る気配がなかった。

 

「ええい!いい加減に白状したらどうだぁ!貴様が連合軍の間者だというのは割れているんだぞ!何が目的で我が第三師団の服装を着て変装してもぐりこんだんだ!」

 

と、斗志がバンっと机をたたいてそう言う。だが周泰さんはプイッとそっぽを向くだけで喋らない

 

「貴様・・・・・隊長!いっそのこと拷問に掛けましょう!石抱の道具取ってきます!」

 

「待て、斗志」

 

「なんですか隊長?あ、石抱じゃなくて吊り責めの方がいいですか?」

 

「いや、違うから。少し落ち着け。・・・・で、周泰さんだよね?」

 

「・・・・・はい」

 

「なんで汜水関に忍び込んだの?観光目的じゃないよね?」

 

「・・・・・・」

 

「わかった。じゃあ、ほかのことを訊こう。君が来ていた軍服なんだけどどこから手に入れた?まさか兵士を殺して身ぐるみはいだのか?」

 

「・・・・いいえ。そんなことはしていません。たまたま干してあった服を借りただけです。」

 

俺は周泰の目を見る。うん嘘は言っていない。これは本当だな

 

「・・・・で、君は雪蓮の命で来たの?」

 

「・・・・・はい」

 

「あれ?孫策の真名を言っても驚かないんだね?」

 

「はい。潜入する前に孫策様から貴殿と真名を交換しているとの話を聞いたことがありましたので」

 

なるほどな・・・・・・俺は潜入した目的以外のことを訊くと周泰はできるだけ話す。

 

「そうか。君は猫好きなのか・・・・」

 

「はい。お猫様は私の命です」

 

「なるほど・・・・・で、君がここに潜入した目的なんだけど話してくれるかな?」

 

「それだけは言えません」

 

「あれ?そうなの」

 

やっぱり、そこだけは言わないか・・・まあ、当然か。

 

「そうか・・・・それは残念だ話してくれれば猫の楽園に連れてってあげようと思ったんだけどな~」

 

俺がそう言うと周泰の眉がぴくっと動く

 

「なあ、斗志。猫の楽園は最高だよな?」

 

「え?」

 

俺の言葉に斗志は最初はえ?っというような顔をしたがすぐに俺の考えを悟り

 

「あ~そうですね~あそこはいろんな猫たちがいっぱいいて、まさに天国ですね~なっ美佳」

 

「え?・・・あっ!そ、そうですね~あのモフモフ天国は言葉に表せないです。猫好きである周泰さんも連れて行きたいところですが喋ってくれないと無理ですね~」

 

斗志や美佳の言葉を聞いて周泰は目をキラキラさせ体はうずうずしていた。

 

「どうする?言う?もしも言ってくれるんなら猫の楽園ご招待するけど?」

 

「お…お猫様の楽園・・・・・じゅるり・・・・・あっ!いけないいけない!その手には乗りません!ど、どうせ。そ、そんなのはう、うそでしょ?」

 

と、周泰は目を泳がせながらそう言う。うんあともう一押しだな・・・・

 

「嘘じゃないって・・・・あ、そうだ何ならこの子をおまけにつけよう。美佳さん」

 

「はい。連れてきました」

 

と、美佳が籠を持ってやってきた。その籠の中には

 

ミ~ミ~♪

 

数匹の子猫だった。

 

「はわぁ~こ、これは天国ですかっ!?」

 

「どう?事情聴取にちゃんと答えたら猫の楽園行きの権利とこの子猫ちゃんたちをあなたに・・・・・」

 

「言います!言いますからっ!!どうかその子猫をモフモフさせてください!!」

 

周泰猫パワーによってあっさり陥落した。それにしても周泰の猫による愛はすごいな…いずれ猫をあがめる宗教や寺を作りそうだな例えばにゃんこ宗とか・・・本猫寺とか・・・・そして周泰は自分の知っていることを隅から隅まで話していた。てか子猫パワーでもはや正気を失ってるし瞳がハート状態になっている・・・・そしてしばらくすると事情を聞いた斗志が俺のところにやってきて

 

「隊長。彼女から事情を全部聞きました。なんでも彼女はやはりこちらを偵察に来て、銃士隊の銃やほかの武器などの把握、もしくは破壊工作もしくは銃をいくつか盗んで連合軍を優位にするために来たらしいです。」

 

「なるほど・・・・」

 

これで周泰が潜り込んだ理由がわかった。

 

「で、隊長。彼女をどうします?」

 

「ん?とりあえずは捕虜として扱う。丁重にな。美佳もそれでいいよな?」

 

「はい。依存はありません。それと吹雪さん。一ついいですか?」

 

「ん?なに?」

 

「先ほど仰っていた。猫の楽園て・・・・・」

 

「ん?母さんの部屋だよ」

 

「「あ~」」

 

俺の言葉に二人は納得したように頷く。そう、母さんって、捨て猫とか捨て犬とかの動物を拾ってきたりと母さんの部屋はまるで動物王国のような感じだった。その中でも猫の数が結構多い。因みに母さんの部屋は動物と戯れる目的なら誰でも出入り自由である

 

「で、どうします。彼女をそこに?」

 

「いや、今戦争中だしな。彼女をそこに連れて行くのは戦争が終わったらそこに招待するか。」

 

「そうですね・・・・」

 

と、俺は周泰を見ると相変わらず子猫を抱いて目をキラキラさせていた。

 

「・・・・さて、連合軍の連中来るかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍・袁紹陣営

 

「まったく夜襲だなんて栄えある名門袁家の恥ですわ」

 

「でもさ~姫。それしか方法がないんだからしょうがないじゃないですか?」

 

「それはそうですけど・・・・そうだ斗詩さん?」

 

「はい。なんでしょうか麗羽様?」

 

「確か、西の関所には曹操さんの兵が行く予定でしたわよね?」

 

「え、は、はい」

 

「では西の関所に彼らを送りなさい」

 

「彼らっというとあれですか?いくら何でも関所を突破するためにあの兵団を使うなんて・・・」

 

「あのくるくる娘に先を越されるのは絶対に嫌ですわ!ですから西、東の攻略の先鋒は私たちの軍を使いますわよ!無論、西は猪々子あなた先頭に行きなさい!」

 

「ええ、私がぁ!?で、でも物資が足りないですよ麗羽様?」

 

「大丈夫ですわよ。もうすぐ我が軍の輸送部隊によって大量の物資が届く予定ですから。圧倒的な物量で押しつぶせばいいですわよ」

 

「そ、そっか~さすが姫!」

 

「もっと褒めなさい!お~ほほほっ!!」

 

と猪々子はそう言い、袁紹が高笑いしていると

 

「麗羽様。遅くなりました・・・・」

 

と、天幕から一人の髪の長い女性が入ってきた。その女性は袁紹の軍師の一人で田豊の幼馴染である郭図だった。彼女は長期休暇を終えて戻ってきたのである。

 

「あら?郭図さん。意外と遅かったですわね?」

 

「はい。長期休暇を終えてたった今戻りました」

 

「あら、そうなんですの、ではあなたは真直さんと一緒に頑張ってくださいね」

 

「はい。・・・・・・それと麗羽様。一つ聞いてもよろしいですか?」

 

「あら?何ですの琉巳(るぅしー)さん?」

 

因みに琉巳とは郭図の真名である。

 

「麗羽様。先ほど輸送団の話をしておられましたよね?まさか輸送進路は昔のままなのですか?」

 

「ええ、そうですわよ。それがどうかしたのですか?」

 

と袁紹がそう言うと、郭図がため息をつき

 

「麗羽様。私、前にも口を酸っぱくして言ってきましたよね・・・・・・あの進路無理がありますと」

 

「あら?何ですの?」

 

「あそこは荒野にして崖で挟まれ身動きが取れにくいうえに賊が出やすい・・・・・おそらく敵か賊に捕捉されて壊滅していますよ」

 

「あら、そんなことはありませんわよ。たかが賊ごときで名門袁家の輸送部隊がやられるなんて絶対にありえませんわ」

 

と、袁紹はそう言いうが、すると一人の兵士が天幕に入ってきて

 

「袁紹様!大変です!」

 

「あら?何ですの?輸送部隊が到着したのですか?」

 

「い、いえ・・・・それが・・・」

 

「なんですの。早くおっしゃい!」

 

「はい、はい!実は輸送部隊が賊に襲われて壊滅しました!」

 

「な、なんですってぇー!!?」

 

 

 

 

 

 

 

一方、袁紹が言っていた輸送部隊は賊の襲撃に会い荷車が火に包まれたりしていた。

 

「またやられた!あれでは助からないっ!」

 

「くそっ!残ってる部隊は俺たちだけか!?」

 

と生き残った部隊は荷車を馬で引きながら逃げていた

 

「くそ。なんだよ!なんでこんなところで賊に会うんだよ!ここいら辺の賊はいないって話じゃなかったのかよっ!」

 

「しかもただの賊じゃねえ!なんでこんなところに・・・・・」

 

そう言い、袁紹軍の兵士が賊の旗を見るそこには黄色い生地に周っと書かれた旗があった。

 

「な、なんでこんなところに周倉の軍勢が・・・!?」

 

「は、班長っ!ま、前!!」

 

「前?・・・・・なっ!?」

 

兵士の言葉に班長クラスの兵が前を見ると、目の前に軍勢が待ち構えていた。そして後ろ左右からも軍勢が現れ輸送部隊は完全に囲まれた状態になっていた。

 

「ど、どうします?か、完全に囲まれましたよ」

 

「く、クッソ~」

 

袁紹軍がそう動揺していると目の前にいる軍勢の中から一人の少女が出てきた。その少女は紫色の長い髪だった

 

「き、貴様は・・・・・・周倉」

 

班長が驚きの声をあげると周倉は二っと笑い

 

「都洛陽の国境へようこそ。ご入国の目的は?通行証はお持ちですか?」

 

と笑いながら言うと班長は

 

「ふ、ふざけるなぁ!」

 

そう言い弩で周倉を狙って撃つが放たれた矢は周倉の持つ剣で切り裂かれた

 

「なっ!?」

 

「通行証はお持ちではない?ではすぐに帰参されて通行証を・・・・」

 

「か、かまうなこのまま突っ走れぇ!」

 

周倉の言葉を無視し班長は強行突破しようとするが・・・・

 

「やれやれ時間の無駄だね。全員、火矢を放てぇ!」

 

周倉の命令であたりから一斉に火矢が飛んでいき、輸送部隊は運んでいた物資とともに焼け死ぬのだった。

 

「引くぞ。もうここには用はないわ」

 

「はっ!」

 

それを見て周倉は部下に命じ引き上げる。そして引き上げる中、周倉は汜水関のある方向を見て

 

「・・・・これで貸し借りはなしよ沖田。それに美佳・・・・・・・」

 

そう言い周倉は立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

「なんですの~!まったくなんでうまくいきませんの!!」

 

と、袁紹がじたばたしている中、郭図は

 

「・・・・斗詩さん?」

 

「あ、はい。なんでしょうか琉巳さん?」

 

「今の状況を教えてくれるかしら?」

 

と、郭図は顔良から今までの状況を聞いた。

 

「(…‥天の御使いに天の武器ね・・・・・それに二つの関所に我が袁紹軍の精鋭を送り込む。たとえ勝ったとしても被害は甚大。この戦争が終わった後のことを考えると・・・・・・あらやだ。私たちの軍・・・・いえ、そもそもこの連合自体、始まった時からすでに詰んでるわね・・・・・・)」

 

と、郭図は苦笑いするのだった。

 

そしてその作戦会議から三日後ついに夜襲作戦が始まるのだった。

 

 

 



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光飛び散る夜戦

あれから三日後の夜。空は月の光ももない闇に包まれた。そう新月だ。暗闇に紛れ連合軍は三手に別れ、汜水関攻略へと進む。西側には袁紹軍一個連隊を派遣しその後ろに曹操軍。東には文醜率いる一個連隊そして後ろには劉備・北郷軍。指揮官は関羽と張飛であった。そしてその側面攻撃を敵に悟られないために囮全面攻撃部隊が向かう。またこのおとり部隊は別の任務があったそれは汜水関に設置されている落とし穴を埋めることが任務だ。鉄条網は三日前に丸太を使いほとんど潰していた。後は落とし穴を埋めるだけであった。

 

連合軍・袁紹陣営

 

「劉備さんたちの方は落とし穴を埋める作業は捗っているんですの顔良さん?」

 

「は、はい。一応は……」

 

「なら、それでいいですわ。くれぐれも頑張ってくださいねお~ほほ!」

 

「でも、いいんですか?西の関所に我が軍の精鋭部隊を送って・・・・あれって万が一、五胡の軍勢が我が領地に攻め入った時のための部隊じゃありませんか?」

 

「いいんですのよ。あのくるくる娘に先を越されるよりはましですわよ顔良さん。」

 

「でもなんか嫌な予感がします・・・・東に向かった文ちゃん大丈夫かな~」

 

と、顔良は東に向かった。文醜を心配するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

汜水関

 

新月の日、日が暮れて暗くなったその時、連合軍の兵が迫ってくる。それを見た俺は

 

「撃てぇー!!」

 

俺がそう言い兵士たちはレバーアクション式の弩や弓矢を放つ。なぜ銃を使わないかというと今夜は新月で暗い。夜間射撃訓練の慣れていない兵士が撃っても弾の無駄使いである。まあ、連合軍の連中はそれ目当てで新月の夜に攻撃を仕掛けたのだろうがな・・・硫黄山の方も持ちこたえているみたいだが、もうそろそろ潮か・・・・・

 

「吹雪様…‥そろそろですか」

 

志乃も状況を分かっているみたいなのか、頷生きながらそう言う。しばらく攻防戦が続くと汜水関の向こう・・・・西の関所のある方向から雷のような轟音が鳴り。そしてその音がやんでしばらくすると・・・

 

「沖田様!」

 

と一人の兵士がやって来た。伝令兵だな・・・

 

「どうした?」

 

「はっ!西関所の李儒様や馬鈞様、東関所の張済、郭汜様より伝令です!」

 

と、伝令兵の兵士が二枚の紙を渡す。俺はそれを読むと少し笑い。そしてそばにいた伝令兵にこう言った。

 

「ああ・・・硫黄山にいる趙雲に伝令だ!」

 

 

 

 

一方、硫黄山では

 

「敵が来たぞ!撃てぇ!」

 

硫黄山守備隊は攻めてくる連合軍を攻撃していた。そして一人の兵士が敵の指揮官らしき兵士を弩で撃つ

 

「うっ!!」

 

弓は敵将の足を掠り敵将は倒れる。そして守備隊兵士たちはその将校を洞窟へ運ぶ

 

「趙雲様っ!敵将の一人を捕虜にしました!」

 

その言葉にここ硫黄山の守備隊長である星はその捕虜を見て目を丸くする。それと同時に捕虜になった赤毛のポニーテイルの少女も目を丸くした。

 

「公孫瓚殿?」

 

「お前は・・・・趙雲か!?」

 

そう、守備隊の兵士が捕虜にしたのは幽州を収める武将公孫瓚であった。実は星は吹雪に出会う会う前、公孫瓚の客将をしていたことがあったのだ。

 

「久しぶりですな。公孫瓚殿。最後にお会いしたのは私が幽州で客将をしていた時でしたかな?あ、いやそれ以前に黄巾の乱でも・・・・」

 

「そんなことはどうでもいい!なんでお前がここにいる!?」

 

「私はここ・・・董卓軍の将としてここにいるのですよ」

 

「なぜ、なぜお前が暴政を働く董卓のところにいるんだ!お前らしくもない!」

 

「公孫瓚殿それは・・・・」

 

星が公孫瓚に訳を話そうとしたが

 

「ちょ、趙雲様っ!」

 

汜水関から伝令に来た兵士がやってきた。

 

「どうした?」

 

星は伝令兵にそう言うと伝令兵は星に敬礼をし、そして一枚の紙を取り出す

 

「沖田様から伝令です!」

 

「伝令?」

 

そう言い星は伝令兵は紙を受け取り広げ吹雪からの手紙を見る。そして星はその手紙を見てふっと笑い

 

「ここらで潮時か・・・・・・公孫瓚殿。すまぬが訳はあとで話します。そこの兵!」

 

「はっ!」

 

「この人を汜水関へと連れて行ってくれ。丁重にな」

 

「はっ!かしこまりました」

 

そう言い兵士の一人は公孫瓚を汜水関へと連れて行き、星はそれを見届けると守備隊の兵たちに

 

「汜水関より伝令が来た。直ちに硫黄山の撤退準備せよ!全員脱出したら入り口を爆破し閉じることを忘れるな!」

 

「はっ!全軍撤退だ!」

 

星の言葉に兵たちが返事をし、撤退準備を始める。そして星は兵たちが硫黄山の脱出を確認した後、入り口を爆破し、汜水関へと向かうのであった。

 

 

 

 

星が硫黄山を撤退する前、西の陣では・・・・・

 

「・・・・・んっ!?馬鈞様っ!来ましたっ!」

 

兵士の一人がそう叫ぶと、小川の向こう沿いから、袁紹軍を先頭に連合軍が橋を渡ろうとしていた。その光景は夕張や鈴も黙視できた。

 

「来たね・・・・銃士隊!構えっ!」

 

「弓隊は銃士隊の援護をしてください!」

 

夕張や鈴の言葉に総員配置につき、そして

 

「撃てぇ!!」

 

夕張の号令で銃士隊の銃が一斉に火を噴きその後ろでは弓隊が援護射撃をする。

 

「ぐわっ!」

 

「ギャッ!」

 

橋を渡ろうとする連合軍は銃撃を受け橋から落ちる

 

「ひるむなっ!進めぇー!!」

 

士官らしき武将にそう言われ連合軍兵士はどんどん突き進む。銃士隊や弓隊が必死に攻撃するが敵の数が多く単発式ボルトアクションでは防ぎきれない。

 

「馬鈞様!このままだと突破されます!」

 

「新式銃用意!」

 

馬鈞がそう言うと一人の兵士が布に包まれたあるものを出す。そして夕張はその布を取り、そしてハンドルらしきものを撮りそしてハンドルを回した。すると・・・・

 

ドドドドドドドドドッ!!!

 

急な炸裂音が鳴り響き、橋を渡ろうとする兵士はバタバタと倒れまるで将棋倒しのように倒れて行った。それを見た連合軍兵士は驚き、進軍を止める

 

「な、なんだ!?」

 

「敵の進軍が止まったぞ!撃てぇー!!」

 

夕張の言葉に銃士隊、弓隊は一斉射撃し連合軍兵士たちの命を刈り取る。

 

「夕張さん・・・・それって・・・?」

 

鈴が夕張が使った兵器を見てそう言う

 

「ああ、これ?これは私が発明した。超連発式銃。名付けて「牙斗稟愚(ガトリング)」よっ!」

 

「が、がとりんぐ・・・ですか?先ほどの銃もそうですが夕張さんの作るものはすごいですね・・・・」

 

「ええ、そうよ。まあ、まだ、この銃、試作段階だから一丁しか作れなかったのが残念ね~。それにこの牙斗稟愚。さっき撃ったら筒が過熱して曲がっちゃったわ。もう少し改良しないとね~まあ、いずれはこの発射時の煙を利用したものも作ってみたいわね~」

 

「あはは・・・・・」

 

夕張の言葉に鈴は少し苦笑する。すると連合軍兵士が道をあけるとその真ん中からガシャガシャと音を立てながら重厚で重そうな黄金鎧に身を包んだ兵士軍団が現れる。

 

「我らは袁紹軍最強の精鋭部隊・・・・最高の鎧を身にまとい最強の武器を手にした我ら袁紹黄金党武装親衛兵団!!貴様ら一兵卒相手にやられはせぬ!!」

 

そう言い袁紹軍の精鋭部隊がズシンズシンっと重い足音を鳴らし橋を渡ろうとするその間その鎧の重さに橋が少しへこんだり、軋む音が鳴る。それを見た女性隊士の一人が銃を向けるが、それを夕張が止める。

 

「・・・・鈴」

 

「はい。大鎧・・・大太刀・・・大槍・・・矢無し、弓無し、騎無し、…‥好条件ね」

 

鈴は重鎧達を観察しそう呟くと

 

「夕張さん!」

 

「ええ、わかったわ!銃士隊!弓隊。後方まで下がって!」

 

その言葉を聞いて兵士たちは頷き引く。

 

「逃げるか!逃がしはせぬ!」

 

重鎧軍団は夕張たちを逃さないと、必死に追いかける。だがこの時彼らは夕張がにやりと笑う姿を見た。そして重鎧兵団が橋の真ん中へと着くと・・・・

 

「いまだっ!撃てぇー!」

 

夕張がそう叫ぶと後方から・・・

 

ドォーン!!

 

いきなりの轟音が響いた

 

「な、なんの音だっ!?」

 

重鎧軍団のリーダ格がそう言った瞬間

 

ドガァーン!ドガァーン!ドガァーン!

 

彼らのいた地点がいきなり爆発を起こし、重鎧軍団は爆発に巻き込まれた。その時、彼等の絶叫断末魔は爆発音にかき消されて聴こえることはなかった。そしてそれを見た連合軍の兵士たちは何が起きたのか、わからないというような驚きの顔をしていただが、燃える橋や消えた兵団を見て連合軍兵士はこれだけは理解することができた。

 

「ぶ、武装親衛兵団が・・・・壊滅!?」

 

「我が軍も半数がやられてる・・・・な、なんだよ!話が違うじゃないか!」

 

「て、撤退だぁ!!?」

 

最初の攻撃で半数がやられた上に袁紹軍で最強と言われた軍団が壊滅したため士気は完全に崩壊。後方の曹操軍もこれ以上の進軍は危険と感じたため撤退するのだった。

 

「馬鈞様!李儒様!敵が引いてきます!」

 

「そう。ごくろうさま。それにしても黄巾の乱ではできなかったけど、やっとここで使えたわね。『迫撃砲』」

 

曹袁紹軍の精鋭部隊である重鎧軍団を壊滅させたあの爆発の正体は後方部隊が放った『急造木製迫撃砲』である。夕張たち前線部隊が下がったのを合図に敵に向けて後方部隊が放ったのだ。

敵が撤退したのを確認した夕張は、報告書を簡潔に書き伝令兵に渡す。そして・・・

 

「さて・・・・桜花や川内たちはどうしているのかね・・・・」

 

そう言い夕張は桜花のいる東関所を見るのだった・・・・

 

 



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華の第二戦隊

結構長くなりましたが何と書くことができました。


夕張たちが袁紹軍精鋭部隊と交戦している頃、東の関所では、文醜たち率いる軍が桜花の軍と激突していた。

 

「全軍突撃だっ!!」

 

文醜の言葉に袁紹軍が突撃し、それを弓や弩で攻撃する桜花隊。この時、文醜率いる袁紹軍は四千人。張飛・関羽の軍は三百人。対して桜花・川内の第二戦隊は三千人である。

 

「郭汜様っ!」

 

「応っ!全部隊!白兵戦用意!」

 

桜花の言葉に桜花の部隊は剣や槍を手に取る。

 

「おい!景気づけに突撃喇叭ふけ!」

 

「はい!」

 

桜花の言葉に、女性隊士の一人が喇叭を取り出し突撃喇叭をかける。そして桜花は剣を敵陣へ向けて

 

「敵の度肝を抜くっすよ!覚悟はいいかっ!」

 

『応っ!!』

 

「突撃に-前へぇー!!!」

 

『万歳っ!!!』

 

桜花を先頭に部隊は文醜軍に向かって突撃をする。

 

「文醜様!敵が突撃してきました!」

 

「うろたえるな!数はあたいらのほうが上だ!それに天の国の武器をもっていないなら、董卓軍恐るにに足らず!あたいらに勝機があるぞ!!全軍。数で押せー!!」

 

『おおーっ!!』

 

そう言い、桜花隊と文醜隊が激しく衝突する。剣と剣が激しくぶつかり火花が飛び散り、槍が激しくぶつかり血がが飛び散る。

 

「ギャッ!」

 

「ぐわっ!!」

 

戦場から悲鳴が響き煙が舞いあがる。その姿はまさに地獄だった。そんな地獄の中で桜花隊は自分の二倍近くある軍勢に獅子奮迅の活躍をしていた。その活躍に袁紹軍はじりじりと後退し始める。

 

「ぶ、文醜様っ!我が軍が押されています!」

 

「な、なんだって!?なぜだ!なぜ、あたいらの軍のほうが数が多いのに!?」

 

文醜が驚く。文醜は董卓軍が強いのは天の国の武器を持っていたからだと思っていたがそれは少し違う。確かに董卓軍。特に吹雪が指揮する第三師団は小銃を持っている。だがそれを所持しているのは夕張が指揮する銃士隊千人だけ。吹雪隊の強さは訓練による練度と士気そして剣術による白兵戦だ。

実戦においての殺し合いでは同じ敵と巡り合うなどまずありえない。それゆえに相手を確実に仕留める一撃があれば、それ以外の小技はまったくの無用となる。自分の得意技を徹底的に磨き上げ、絶対的な必殺技に昇華させる。吹雪隊の強さはこれに会った。現に吹雪隊の隊士の敵に与える技は突きを外されても横薙ぎの攻撃に移れる「平突き」となっている。

 

「くそ・・まさか董卓軍がここまで強いとは・・・・」

 

文醜がそう呟くと、煙に紛れて鋭い剣を持った少女が現れ

 

「ひとぉーつ!!」

 

文醜の周りにいる兵士の一人の首ををぶった斬った。そして首を斬られた兵士は血を噴き倒れる

 

「ひっ!?」

 

「な、なんだこいつ!董卓軍の兵士か!?」

 

「相手は一人だ!文醜様を守りつつ、殺せぇ!!」

 

そう言い、周りにいた護衛兵士たちが少女へと斬りかかる。しかし少女は二っと笑い。その攻撃をよけて背後を取り

 

「ふたぁーつ!!」

 

また一人と敵兵を斬る。そして彼女は相手に攻撃を与える隙も与えず、すぐそばにいた兵士を袈裟斬りにして倒し、そして一人の兵士が長斧で殺そうとするがその前に少女に首を斬られ絶命する。

 

「三つっ!」

 

あっという間に三人以上がやられ、残った護衛兵はたじろく。

 

「な、なんだ。この小娘は!?ほ、ほかの兵たちは何をしているんだ!」

 

他の兵士が動揺している中、少女はその兵士へと突進し、彼女の持つ剣はその兵士の腹を貫く。そして一人の兵士が斬りかかろうとしたが、少女は素手で兵士の腹を殴り、その隙に兵士を倒す。そしてほとんどの護衛兵を倒すと少女は文醜へと顔を向ける

 

「残るはお前だけっすね…‥文醜・・」

 

少女は文醜の前に立つ。そう、先ほどの少女は郭汜こと桜花だったのだ。そして文醜はその少女を目にして目を丸くする

 

「お、お前は・・・・温泉の時の。まさか董卓軍の兵だとわな・・・・・」

 

「まさかここで再開するとは思わなかったすね・・・・・で、どうするっすか?ここで引くなら。ここまでにしといてやるっすけど?」

 

「普段ならそうだっと言いたいけどな。あいにくあたいはこの部隊の隊長だ簡単には引けないね」

 

「そうか、ならここで一騎打ちして負けた奴が勝った方の言うことを訊くってのはどうだ?私が負けたらここを通らすっすよ」

 

「そうかなら、あたいが負けたら潔く兵を引かせるよ」

 

そう言い二人は自分の得物を構える

 

「決まりだな・・・・・なら改めて自己紹介と行くっすか?」

 

「そうだな。あたいは袁紹軍の文醜だ」

 

「私は董卓軍第三師団広報兼副長補佐、郭汜。字は阿多っす」

 

「じゃあ互いに名乗ったことだし、いざ」

 

「ああ、尋常に・・・・」

 

「「勝負っ(す)!!』』

 

 

 

 

 

一方、張済軍は劉備の兵と戦っていた。その場も桜花のいるところと同じ激しいかっ戦場となっていた。その中で張済こと川内は自慢の長槍で敵を倒していた

 

「ここは絶対に通さないわよ!」

 

そう言い首に巻いたマフラーをたなびかせ敵を倒すその姿はまるで戦場に舞い降りた戦女神(ワルキューレ)のようだった。

 

「何をしているんだ!たかが小娘一人だろうが!」

 

一人の兵士がそう言うが兵士たちは集団でかかっても川内を倒せなかった。なぜなら川内は闇夜に紛れ相手の死角に入り攻撃をしているからだ。川内は昼の戦いよりも夜間戦闘のほうが得意で、夜間戦闘に関しては川内の右に出る者はいない。

すると・・・

 

「おりゃーなのだー!!」

 

「っ!?」

 

急に子供みたいな声が聞こえ、川内は振り返ると、そこには蛇矛を手にした少女が川内に向かってきた。川内はその一撃を紙一重でかわす。

 

「今のは危なかったわね・・・・あんた、チビなのにいい腕じゃない。」

 

「ちびじゃないのだ!そう言うお前だって大して背が大きくないのだ!」

 

「あはは!確かにそうね悪かったわ。で、あんた名は?」

 

「鈴々の名は張飛!字は翼徳なのだ!お前は誰なのだ!」

 

「私は張済。董卓軍第三師団小隊長にして、ここ東関所を守る隊長の一人よ。そうか・・・・通りで見知った顔かと思えば、お前、吹雪に失礼なことを言ったあいつ(北郷)の仲間か」

 

川内の言葉に張飛はむっとなり張飛は蛇矛を構え

 

「お兄ちゃんを馬鹿にするな!。なのだ!」

 

そう言い、張飛は飛び掛かり蛇矛で攻撃し川内はその一撃を槍で受け止め

 

「別にあなたの兄貴分の悪口を言ったつもりはないわ。もし気にしてたら謝る。ところで張飛。お前はなんでこの連合に参戦したの?」

 

「決まってるのだ!都で悪いことをしている悪いやつを倒しに来たのだ!」

 

「へ~悪いやつね~で、誰が悪いことをしてるの張飛?」

 

「そんなこと決まってるのだ!詳しくはわからなかったけど董卓ってやつなのだ!」

 

と、張飛がそう言い川内は少しむっとなるが、張飛の目をじっと見て、少し落ち着く

 

「(焦るな私・・・・相手はまだ純粋な子供だ)・・・・張飛。一つ聞いてもいいかな?あなた、その董卓がこの先にある都洛陽で悪さをするところを見たことがあるの?」

 

「う・・・・・ないのだ」

 

「じゃあ、なんで董卓が悪いことをしているなんて言いきれるの?」

 

その言葉に張飛は何も言えなかった。川内の目や態度を見ても嘘言っているように見えないのだ。

 

「・・・・で、どうする張飛?あなたここを通りたいんだよね?」

 

「そ、そうなのだ!通してくれるのか?」

 

「ふふ・・残念だけど通すわけにはいかないわ。私たちはここを守る義務がある。どうしても通りたければ私を倒しな。そのときは文句なしでここを通すわ。その代わり私が勝ったらおとなしく兵を引くのよ。いいわね?」

 

そう言い、川内は槍を構える

 

「望むところなのだー!」

 

と、張飛はそう言い川内に向かってくるのだった。こうして川内と桜花は別々の場所で敵の将と一騎打ちを始めるのだった。

 

 

 

「はぁー!!」

 

「てえーい!!」

 

と、桜花と文醜は剣と剣をぶつかり合わせて戦う

 

「あんた。あたいの斬山刀を受け止めるなんてあんた、たいしたものだな!」

 

「はん!こんな一撃!隊長の母上の呂布様の一撃に比べたら大したものじゃないっす!」

 

そう言い、二人は激しく剣と剣をぶつかり合わせる。(文醜の場合は剣ではなく某人斬り漫画に出てくる斬馬刀並みの大剣)そして文醜は桜花が攻撃できないように、並みならぬ速さでぶんぶんと斬山刀を振り回す。

 

「どうした。どうしたさっきの威勢はどうしたんだよ。『妖怪首置いてけ』!」

 

「誰が妖怪っすか!」

 

そう言い、桜花は文醜目掛けて突進をする。だが今の言葉は文醜が桜花を間合いに飛び込ませてやっつけるための挑発だった。

 

「(ふ・・・掛かった!)貰ったーーー食らえ!」

 

勝利を確信し、文醜は斬山刀をブオッンっと振り回す。その時の衝撃に怒った鎌鼬で周りの木々が倒れる。だが・・・・

 

「なっ!?いない!?」

 

さっきまで桜花のいた場所に桜花はいなかった。文醜はあちらこちら見渡して桜花を探す。すると

 

「ここっすよ・・・・文醜」

 

「っ!?」

 

上から声がし文醜が上を見上げるとそこに桜花がいた

 

「お前のようなのが使う大型の剣なら行動範囲は二つ。薙ぎ払うか、押しつぶすかっす。とってもわかりやすいっすね・・・・」

 

と、桜花は目をギラギラさせて文醜に言う、そしてそのまま、落下し

 

ズバッ!

 

「がっ!?・・・・・・」

 

そのまま文醜を斬る

 

「・・・・・斗詩・・・・」

 

そう言い文醜は倒れるのだった。そして桜花は剣を鞘に納めて

 

「安心するっす。剣の切れ味のない真っ平らなところで殴ったすから。命に別状はないっすよ」

 

「ひっ!?文醜様が!?」

 

「に、逃げろー!!」

 

隊長である文醜がやられたのを見て袁紹軍は逃げ出す。無論、袁紹軍兵士は気絶した文醜を運んで、撤退するのだった。

 

「郭汜様・・・・」

 

「追撃の必要はないっすよ。私たちの任務はここの防衛。去る者は追わないっすよ。さて・・・・ご飯食べるっすか」

 

「はっ・・・・・でも郭汜様。なんで文醜を殺さなかったんですか?」

 

「ん?ああ、なんかあいつとは前に温泉で意気投合したことがあったからその時の情けっすよ。まあ、結構、痛いところに当てたから戦線復帰は難しいでしょ。さてみんな帰ろうか」

 

そう言い桜花は二っと部下の前で笑い自分の陣へと戻るのだった。

 

 

 

 

「うりゃりゃりゃー!!」

 

「はぁー!!」

 

一方、川内と張飛も激しい槍のぶつけ合いをしていた。

 

「ふ、あんたやっぱ、やるじゃない張飛!」

 

「お前もなのだ!」

 

張飛は川内の攻撃を避け反撃、川内は攻撃を受けとめ飛んだ。張飛はその隙を逃さず張飛は川内に攻撃をし川内はその攻撃を間一髪で受け止めた。

 

「(重い・・・・速さは私の方が上だけど、力勝負では私の方が不利か・・・)」

 

川内はそう思い、張飛の攻撃を躱す。その時、川内は、

 

「(この子・・・・今はまだ未熟だけど、鍛え方によってはかなり強くなるわね・・・・・・・でも!)」

 

ガキンっ!

 

「うにゃ!?」

 

川内は張済の蛇矛を弾き飛ばし、蛇矛は地面に突き刺さる。そして川内は尻もちをついた張飛の首筋に槍を向けて

 

「勝負あったわね張飛。約束通りあんたの兵を撤退させないさい」

 

「う~悔しいのだ!!」

 

と、張飛は悔しそうにじたばたとし

 

「鈴々は弱くないのだー!!」

 

「ええ張飛。確かにあんたはは強い。でもね?その力をどう上手く使いこなせるか。また何のためにふるうのかまだわかっていないんだよ。だかラ、今の私には勝てなかったのよ。まあ、私もまだまだなんだけどね?」

 

「よくわからないのだ・・・」

 

「今はそれでいいわよ。いずれはわかる道だ。・・・・で、約束通り撤退してくれる?」

 

「う~約束は破っちゃいけないってお兄ちゃんに言われたから仕方ないのだ!でも次は必ず鈴々が勝つのだっ!」

 

「おう、その時を楽しみにしているわよ張飛」

 

そう言い、張飛の部隊は撤退するのだった。一方別のところで獅子奮迅していた関羽はというと

 

「くっ・・・・まさか董卓軍がこんなに強いとは・・・」

 

関羽は別動隊を率いて東関所を攻めたが第三師団の兵士たちの防衛で手こずる。すると一人の兵士がやってきて

 

「関羽様!」

 

「なんだ!?」

 

「先ほど袁紹軍および張飛様の軍が敵の将に敗北し撤退されました!」

 

「なんだって!?鈴々が!?・・・・・」

 

関羽は自分の義妹の張飛が敗れたことに驚く

 

「すでに残っているのは私たちだけです!すぐに撤退を!」

 

「くっ・・・・・・仕方がない。全軍撤退!」

 

そう言い関羽軍も撤退するのであった。それを見た張済と桜花は

 

「何とか護りきったすね・・・・」

 

「そうだね・・・・」

 

そう言いながら夜が更け日が昇るのを見るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・まさか、彼がここまでするとはね・・・・はっきり言って予想外ね・・・・・」

 

暗い空間で水晶玉で吹雪たちの様子を見る青みがかった銀髪の少女がいた。そしてその少女は吹雪の姿を見てにこっと笑う。

 

「どうだ?呂 洞賓。様子は?」

 

すると白い服を着た少年らしき男と、黒い服を着た眼鏡の男がやってくる

 

「ああ、于吉に左慈か・・・・・何の用?あんたたちはまだ謹慎中のはずよ」

 

と、少女こと洞賓は鋭い目つきで彼らを見る

 

「そんな怖い顔で睨まないでください。別にどうこうする気じゃありません」

 

「よく言うわ。あんたたち二人には前科がいっぱいたまっているんだからね。ただでさえ筋肉だるま二人を説得するのに大変なのに。特に左慈お前だ」

 

「お、おれ!?」

 

「当たり前だ。数年前のいくつもの北郷事件や16年前、誤って呂布を現代に飛ばしちまったことなど前科がいっぱいじゃないの。上司に頭を下げる私の身にもなりなさい!」

 

「うっ・・・・・だけど16年前のは事故だろうが!」

 

「まだそれぐらいは別にいいわよ!始末書一枚で済む問題なのだから。だけどね。あんたそれの証拠隠滅しようとして、その次元装置をぶっ壊したから余計にめんどくさいことになったじゃないか!!#」

 

「うっ・・・・・」

 

言い返す言葉も出ず左慈は黙ってしまう。

 

「さすがの左慈も大先輩である彼女の前には頭が上がりませんね・・・・それよりも彼をここに送った紫には感謝しないといけないですね・・・彼は今どこに?」

 

「あいつなら、私の後輩といつものように次元喧嘩しているわよ。まったくあの二人はもう少し仲良くできないのかしら?」

 

洞賓がそう言うと二人は黙り、そして

 

「「「無理だな。絶対に」」」

 

三人同時にそう言う。

 

「・・・・で、これからどうするのですか洞賓?」

 

「どうもしないわよ。このまま彼らのいる外史を見守るだけ。あんたたちは絶対に手は出すな・・・」

 

「わかってます。わかってます。また謹慎は御免ですからね。それにしても・・・・」

 

「なに?」

 

「あなたが、その外史に降り立ち彼と話した時の口調、様になっていましたよ。さすが見た目は幼女だが実年齢はごひゃ・・・・」

 

「これ以上言ったら殺すわよ于吉#」

 

そう言い彼女の赤い目がらんらんと光る

 

「失礼しました・・・・」

 

「まったく・・・・・さて。彼はこれからどうするのかしらね・・・・・」

 

そう言い洞賓は水晶玉を覗くのだった・・・・・

 

 

 




関羽の活躍の場、なかなか与えることができない・・・・・感想、誤字脱字など、どんどん送ってくれたらうれしいです。
では皆さんまたお会いしましょう~


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思わぬ再会

「動かないな・・・・志乃」

 

「はい動きませんね。でも吹雪様。落とし穴全部埋められてしまいましたね」

 

あの夜の戦いから一夜が明けた。この戦いで連合軍は大きな打撃を受けた。まず最初の汜水関攻略戦では奇襲を受け、さらには袁紹軍の輸送部隊が盗賊の被害を受けて物資不足さらに極めつけは東西関所の攻略で失敗。いまだに汜水関を突破できずにいた。戦術的には董卓軍の勝利であった。しかしこの東西関所の戦いで連合軍は本来の目的であった汜水関に設置されていた落とし穴を全部埋めることに成功した戦略的には勝利となっていた。

 

「そうだな・・・・さて、志乃」

 

「はい。わかっています吹雪様。今夜、敵陣へ行くのですね。でも大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ。斗志も同行する予定だから」

 

「ですがもしものことがあったら・・・・・」

 

志乃は心配そうな顔でそう言う。吹雪は志乃を安心させるように笑顔でこう言った

 

「大丈夫だよ志乃。俺はまだ死なないよ。まだ死ぬわけにはいかないからな」

 

と、笑うと軍帽を被りとある場所へと向かうのであった。吹雪が向かった場所とは一つの個室だった。吹雪はその扉をノックする

 

「すまないが、入るぞ」

 

そう言い、吹雪はドアを開けるとその部屋の中には赤いポニーテイルの女性が董卓軍兵士に尋問されていた。

 

「お、沖田様!」

 

「いや、敬礼はいいよ。後は俺に任せて、君は休んでくれ」

 

「はっ!」

 

兵士はそう言い部屋を出ていくと吹雪は空いた椅子に座る。すると尋問を受けていた少女はジーと吹雪を見ていた。

 

「ん?なんだ?俺の顔に何かついてる?」

 

「あ、いや。お前が天の御使いの一人の沖田吹雪なのか?」

 

「ああ、そうだけど?」

 

吹雪がそう言うと彼女は少し意外な顔をして首をかしげる

 

「いや、なんかもっと厳つい感じだと思ってたんだが・・・・女の子みたいで可愛い顔なんだな」

 

その言葉に吹雪は苦笑する。

 

「・・・・で、足の怪我の方は大丈夫かな?公孫瓚殿」

 

「ああ・・・見張り付きだがここいら辺も自由に散歩できるし、私も含め捕虜になった兵たちは捕虜というか客のように扱ってくれている。お前たちの軍は情に厚いな・・・・」

 

「そうですか。そう言われると嬉しいです。・・・・で、公孫瓚殿洛陽の方は見ましたか?」

 

「ああ行って見てたよ・・・・・今まで見たこともない活気ある街だな・・・・我々は一体何のために戦ったのかわからないな・・・・」

 

公孫瓚は肩をすくめ、そして悲しそうな顔でそう言う。

 

「なあ、沖田。話は星から詳しく聞いた。お前のことも董卓のことも・・・」

 

「そうですか・・・・・」

 

吹雪と公孫瓚はその後しばらく黙ってたが、公孫瓚が口を開く

 

「なあ、沖田。私を連合軍へ返してくれないか?」

 

「え?」

 

吹雪は公孫瓚に言葉に目を丸くする。

 

「私が連合軍の連中を説得する。『董卓は暴政などしてない』と。だから、この戦争。絶対に話し合いに持ち込ませて見せる。それが洛陽の街の人や董卓軍に迷惑をかけた私にできる唯一の償いだ。だから頼む!」

 

と、彼女は頭を下げて吹雪に言う。しかし・・・

 

「残念だが、それはできないよ」

 

「なんで!?」

 

「無論あなたが嘘を言っているとは微塵も思っていない。でも今あなたは敵軍の捕虜となっている立場だ。もし仮にあなたを連合軍陣営へ戻せば連中。特にそこの総大将である袁紹が君が董卓軍にわざと解放されて連合軍の情報を探る間者っということで殺されることになる可能性がある。だから君を解放するわけにはいかない」

 

「そんな・・・・いや、でもあの袁紹ならしそうだな・・・私は・・・・無力なのか」

 

公孫瓚は悔しそうに言う

 

「いや、公孫瓚殿。あなたは無力ではありません。あなたにはある役をお願いしたいのです」

 

「・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍天幕

 

「き~~~~!!なんで失敗するのですか!たかが弱兵の集まりごときに!?」

 

と、袁紹は次から次へと来る作戦失敗などの報告を聞き悔しがっていた。因みに顔良は負傷し運ばれた文醜の介護をしていた。

 

「ですが本来の目的である落とし穴を埋めることができたんですから。いいじゃないですか」

 

「それとこれとは別ですわ!」

 

「麗羽様。一つよろしいでしょうか?」

 

「なんですの田豊さん?」

 

「ここはひとつ撤退されては?」

 

「なんですって?」

 

田豊の言葉に袁紹の目は吊り上がる

 

「田豊さん?今なんておっしゃいました?」

 

「はい。ここは一時撤退されたほうがいいのではっとおっしゃいました。今戦いで我が袁紹軍は4割の犠牲を出しました…ですから我々は後方へといったん撤退し、冀州からの援軍を待ってる間、その他の軍勢に任せては?」

 

「却下ですわ!」

 

「なっ!?」

 

「この華憐で名誉ある名門袁家が撤退なんて末代までの恥ですわ!」

 

「しかしながら麗羽様。現在我が軍には兵糧が足りません。それなしでどう戦えと?」

 

と郭図はそう言うが

 

「そ、その点なら大丈夫ですわよ。今冀州から物資が届く予定ですわ。しかも今度は秘密に行動して動いてるので見つかるはずが・・・・」

 

と、袁紹がそう言いかけた瞬間

 

「袁紹様!大変です秘密輸送部隊が黒山衆の奇襲によってやられました!」

 

「な、なんですってー!?」

 

黒山衆とは周倉軍と対をなす盗賊団でその暴れっぷりは漢王朝でも手が付けられないほどの盗賊団だった。その報告を聞いて袁紹は取り乱し、それを聞いた郭図は

 

「(あれ?この場面なんだかデジャブですね・・・・でも、周倉軍に続いて黒山衆までも…まさかこれも沖田とかいう天の御使いの作戦かしら?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャッハァー!!私ら黒山衆の棟梁張燕!あんたたちの兵糧をいただきに来たわ!全員、連合軍のくそったれの奴らを粛清にしなさい!」

 

「おおぉー!!」

 

一方、秘密の道を進み連合軍に物資を送る輸送部隊は物資を送る途中、いきなり黒い布を頭に巻いた集団に襲われていた。

 

「な、なんだこいつら!なんでこんなところに黒山衆が!?」

 

「知るかよ!黙って走ってここを突破しろ!」

 

「あ~こんなことなら連合に参加しなければよかったぜ。聞けば南に物資を送ろうとした連中、周倉の軍勢にやられたし。」

 

と、輸送部隊は必死に逃げる。しかし

 

「ぎゃっ!」

 

「ぐえっ!」

 

突如目の前に弓矢が雨あられと振っていく。そしてその前には髪の長い黒髪の背の高い女性が弓隊を率いて攻撃していた。

 

「私は黒山衆棟梁張燕が副将。張牛角!ここは通しません!弓の的にされたくなければ物資を置いてさっさと逃げなさい!」

 

と、張牛角の言葉に一部の輸送兵が物資を置いて逃げる。そして一方張燕の方は

 

「頭!。敵を追い詰めました!」

 

「粛清しなさい!」

 

「はっ!」

 

と、奇襲攻撃を使い、敵を殲滅していた。それを見ていた張燕は

 

「ふふ・・・我ながらいい奇襲戦法だわ。この際だから「黒山衆」じゃなくて「奇兵隊」って改名しようかしら?それにしても飴が舐めたいわね~」

 

そんなことを呟いていると

 

「張燕覚悟ぉー!」

 

と、傷だらけの輸送部隊の兵士が張燕に襲い掛かる。張燕はそれをひらりとかわし脚で相手の足を引っかけて転ばす。そして、その兵の頭に向けて片手に小型の弩を向けていた

 

「飴・・・あるかしら?」

 

「え?」

 

いきなりの言葉に輸送兵は目を丸くし硬直していた。そんな中、張燕は冷たくそして恐怖をまとった目で

 

「ないなら死んでなさい!」

 

そう言い引き金を引き輸送兵を殺した。すると・・・

 

「張燕様。もう終わったのですか?」

 

と、先ほどの髪の長い弓手の女性、張牛角がやって来た。

 

「ええ、雪波。今さっきね。それと何度も言ってるでしょ。二人の時は真名である『深雪』っと呼びなさい。それと肩車」

 

「はいはい…まったくうちの大将は甘えんぼですね」

 

そう言い、張牛角こと雪波は張燕こと深雪を肩車する。

 

「・・・・で、これからどうするのですか?これを機に董卓軍に加わりますか?」

 

「冗談言わないで私は誰かに縛られるなんてまっぴらごめんよ。私たちは自由気ままに生きる。それが私たち黒山衆のモットーでしょ?」

 

「では、なんで董卓軍を助けるような真似を?まさか周倉の影響ですか?」

 

「違うわよ。ただ単にあのクルクル女が気に食わないのよ。なんなのあの高笑いに髪型。なめてるのかしら?」

 

「ふふ・・・あなたは相変わらずの毒舌ですね。で、奪った物資はどうするんですか?」

 

「一部は部下たちに分けなさい」

 

「残りはどうするのですか?」

 

雪波がそう言うと深雪はフフッと笑うのだった。

 

 

 

 

 

場所は戻って袁紹陣営。

 

「頼みの綱である物資が失った・・・・・麗羽様。もはや我が軍はこれ以上被害を受けるわけにはいきません。ここは一時撤退をし、火中の栗を取るのは曹操や孫策たちに任せては?」

 

郭図の言葉に袁紹は

 

「う・・・・仕方ありませんわね。わかりましたは田豊さん。郭図さん。今回はあなたの指示に従いましょう」

 

さすがの袁紹もこれ以上自分の兵を失いたくないのか渋々自軍の兵を後方に下げるのであった。

 

 

 

一方、馬騰陣営

 

「まさか、月の軍隊がここまでやるなんて驚きだね・・・」

 

馬騰は今までの戦いを見ていた。

 

「確かにあのへんなお兄さんが言っていた銃?だったけ?あれじゃあ私たちの騎馬隊も勝てないよ・・・ねえ。翠姉さま?」

 

「・・・・・」

 

「姉様?」

 

「あ、なんだよ・・・・」

 

「どうしちゃったの?ここにつく前からボーとしてるけど?」

 

「ああ・・・・なんでもないよ」

 

「お姉さま・・・・」

 

先ほどから上の空な感じの馬超に馬岱は心配な顔をするすると・・・

 

「っ!?誰だ!!」

 

と、罵倒は何かの気配を感じ、そばに置いてあった槍を手に取り気配のする天井の方を突く。すると・・・

 

「さすが馬騰様・・・・鋭い洞察力ですね」

 

すると穴の開いた天井から眼帯をした白銀の髪をした少女が降って来た。

 

「あんた誰だい?」

 

「はッ・・私は董卓軍第三師団「吹雪隊」所属の樊稠と申します」

 

「何?貴様董卓軍の奴か!何の用だ!?」

 

「はっ・・・わたくしは我が上官である沖田吹雪隊長から手紙を預かってまいりました」

 

「吹雪の!?」

 

吹雪の名を聞き馬超は驚く

 

「そう・・あの小僧から・・・・で、なんだい手紙って?」

 

「はい。こちらです」

 

そう言い雪風は馬騰に手紙を渡し、馬騰はその手紙をすらすらと読む。読み終えると

 

「なるほど・・・・やっぱりそうだったのね…あいわかったわ。私たちはこの攻撃にはあまり加わらないよ。そうあんたの大将に伝えてきてくれ」

 

「はっ・・・・ご協力感謝します」

 

そう言い樊稠は闇にまぎれ消える

 

「母様・・・・手紙の内容は?」

 

「ああ、やっぱりこの連合、変だと思ったがやっぱり誰かの策略のせいらしい、でそいつが書いた檄にそそのかされて袁紹がこのバカ騒ぎに乗った。らしわ」

 

「やっぱりそうだったのか…‥で、母様どうするんだ?」

 

馬超が母である馬騰にそう訊くと、一人の兵が入って来た。

 

「あんた、袁紹軍の者か?」

 

「はっ!そうであります。袁紹様から伝言を預かりました」

 

「伝言?」

 

「はっ!各軍勢は前線に立ち汜水関を落とせっとのことです!」

 

その言葉に馬騰は目を細める・・・

 

「(なるほど・・・・私たちを使い捨てにする気だな・・・・)悪いがそれはちと出来ぬ」

 

「は、はぁ?」

 

「悪いね。今私たちは疲弊した兵たちにご飯を作っているんだ次の戦いに向けてね。なあ、そうだろ蒲公英。翠?」

 

「え?ああ、そうだよ!今ね~みんなにお弁当を配ってるんだよ。ねえ姉さま?」

 

「あ、ああ。そうなんだよ今、西涼の兵たち腹がすいてて元気がないんだよ」

 

「‥‥というわけだ。空腹で士気の落ちた兵たちが前線に行っても足手まといになってしまう。だから私たちの軍は空腹を満たした後、私たちもちゃんと前線に行くから。総大将の袁紹にそう伝えておきな」

 

「は・・・はっ!」

 

そう言い袁紹軍の兵士は天幕を出るのだった

 

「母様・・・・」

 

「翠。蒲公英。あくまでこれは時間稼ぎよ。それと想華いるかい?」

 

「はい。ここにいます馬騰様」

 

と天幕から龐徳こと想華が入って来た。

 

「あんた吹雪とは顔見知りなのよね?」

 

「はい。定軍山の賊討伐の時に・・・・・」

 

「そうかい。じゃあ、あんたには重要なことを任せるわ。言いたいことはわかるわね?」

 

「はい。お任せよ」

 

こうして馬騰軍は兵たちに弁当を配るという理由で前線に立たず、汜水関が開くまでずっと動かずにいた。因みにこのことは後に「汜水関の空弁当」っと後世で言われるのであった。

 

 

 

 

曹操陣営

 

「汜水関の動きがおかしい?」

 

「はい。華琳様。昨晩に比べて攻撃が大人しいです。それになぜだが兵の数も減っています」

 

「・・・・・確かに変ね・・・・・まさか」

 

「どうかされたんですか華琳様?」

 

秋蘭が華琳に訊く

 

「もしかしたら、敵は撤退準備をしているわね」

 

「なっ!?」

 

華琳の言葉に陣にいる幹部は驚き目を丸くする

 

「な、なんで沖田軍らは防衛要塞である汜水関を撤退する必要が?」

 

「それは・・・・」

 

華琳がそう言いかけた時

 

「曹操様っ!」

 

一人の兵士が入って来た。

 

「なんだ!?敵兵か!?」

 

春蘭が兵士にそう言うが

 

「いいえ!それが・・・・」

 

兵士の一人が困惑しながらそう言うと、一人の少年が入って来た。その少年を見て魏の幹部たちは目を丸くする。それは華琳も同じであった。そして彼女が最初に出した言葉は・・・・

 

「ふ・・・・吹雪」

 

「おう。久しぶりだな華琳・・・・」

 

そう、彼女たちの前に現れたのは汜水関にいるはずの吹雪であった。

 

 



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交渉、そして撤退

「ふ・・・・吹雪」

 

「やあ、久しぶり華琳」

 

華琳の天幕に入ってきた人物は汜水関にいるはずの吹雪であった。

 

 

「沖田!なんでお前がここに!?」

 

秋蘭が驚き、そして疑うような目で俺に言う。まあ当然だろうな。敵将である俺がこんなところにいるのだからそれはそんな目で見られても仕方がないだろう。俺がそう思っていると・・・・

 

「兄ちゃ~ん!」

 

と、いきなり季衣が飛びついてきた。俺は季衣を受け止める。

 

「お~季衣。久しぶりだな!背大きくなったんじゃないか?」

 

「へへ~わかる?」

 

季衣は吹雪に頭をなでられ嬉しそうに言う。

 

「て、こら!話を逸らすな沖田!なぜお前が・・・」

 

と春蘭が言いかけた時

 

「失礼します!」

 

春蘭の言葉を遮るように誰かが天幕に入ってきた。その人物は吹雪がよく知る人物だった。そう流琉だ。

 

「やあ、流琉」

 

「あれ?兄様!?なんでこんなところに!?」

 

さすがの流琉も驚いた顔をする。すると華琳は

 

「・・・・で吹雪。何の用かしら?」

 

華琳は少し冷たい目で吹雪を見る。普通なら華琳も吹雪との再会を喜びたいが、今の状況吹雪は敵の将。なれなれしくはできない状況なのだ

 

「つれないな~。そんな怖い目で見るなよ。」

 

「いいから要件を言いなさい吹雪」

 

とあきれ顔でそう言う華琳。

 

「おっと…そうだったな華琳。実はな言いたいことがあったんだ。」

 

「言いたいこと?何かしら?もしかして私たちに降伏しろって言いに来たのかしら?」

 

「いや違うよ。」

 

彼女の性格からして降伏を受け入れることは絶対にしない。それは彼女の客将をしていたからわかる。第一に俺がここに来た目的は降伏勧告を進めるために来たんじゃない。

 

「じゃあ、何しに来たのかしら?」

 

「まず最初に華琳。お前この連合のことどう思ってるんだ?」

 

俺の言葉に魏の幹部たちは華琳のほうを見る。しばらく黙っていた華琳は口を開いた

 

「正直言って胡散臭いとは思っているわ。でも今はこんなご時世よ?弱いものは強いものに負けるそんな時代。だから私は汜水関。虎牢関を突破し洛陽でこの乱を引き起こした人物(・・・・・・・・)を倒し名声とそれとそこに囚われている侍女や民。そしてあなたを手に入れるためこの連合に参加したわ」

 

「・・・・」

 

俺は華琳の言葉に違和感を感じそしてしばらく考え

 

「(・・・・なるほど。そう言うことか・・・)」

 

俺は華琳の言葉の真意に気付き。少し笑みを出す。

 

「なるほど・・・・じゃあ、ここからが本番だ。華琳。お前は今、名声を取るために戦ってるって言ったな」

 

「え、そうよ」

 

「じゃあ、華琳。今の汜水関の様子。どうなっているか分かっているな・・・・」

 

「っ!?・・・・じゃあ、やっぱり」

 

「ああご名答。で、そこでだ。華琳たちには・・・・俺たちの護っている汜水関をあんたらにくれてやる。」

 

「「っ!?」」

 

その言葉に華琳たちは目を丸くする。

 

「お、沖田。一体何を・・・・・」

 

「春蘭。言葉通りの意味だ。今まで誰も突破できなかった難攻不落の汜水関を曹操軍が突破する。それで十分名声はとれるんじゃないか?」

 

「それはそうだが・・・・・」

 

「じゃあ、決まりでいいかな?華琳は?」

 

俺が華琳にそう言うと華琳はジーと俺の目を見る。そしてふっと笑い

 

「・・・・・わかったわ。あなたが嘘をつく人物じゃないし。いいわ吹雪。あなたのその言葉。乗りましょう」

 

「感謝する。華琳。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」

 

「兄ちゃん。もう行っちゃうの~」

 

「ああ、残念だけどな。そろそろ戻らないと。ところで華琳」

 

「何かしら?」

 

「そちらの二人は?見ない顔だけど?」

 

そう、先ほどから気になっていたが桂花の傍にいる二人の少女一人は眼鏡をかけたクールそうな女性。そしてもう一人は頭に人形を置き大きな飴を持っている少女の存在だ。

 

「ああ、彼女たちは新しく我が軍に加わった仲間よ」

 

華琳がそう言うと

 

「初めまして沖田さん。私は華琳様の軍師の郭嘉と申します。以後お見知りおきを」

 

「ああ。どうも初めまして。沖田吹雪です」

 

俺は郭嘉さんに挨拶する。

 

「・・・・でそちらは?」

 

「ああ。こっちは・・・・」

 

「ぐ~」

 

郭嘉さんが飴を持った少女を見ると少女は鼻提灯を出して立ったまま寝ていた。

 

「風!起きなさい!」

 

「おぉ!?」

 

郭嘉さんに突っ込みを入れられて、その少女は目をぱっちりと開けるがまたすぐに眠たそうに半開きな目となる。

 

「お~長い話だったのでつい寝てしまいました・・・・・でお兄さんは確か天の御使いの一人で枯草色の御使いと呼ばれている人ですよねぇ~?」

 

「え?ああ・・・・そうだよ」

 

「じ~」

 

「あ、あの・・・・何か?」

 

「思っていたのより随分と可愛い顔をしておりますね~」

 

ここでもかよ!?初めて会う人には必ずそう言われる。俺ってそんなにかわいい顔なのか?いや確かに顔は母さん似だからそれはそうなのか・・・?

 

「ま、まあこの顔は母親にだからな」

 

俺は苦笑してそう言う。

 

「なるほど…そうですかその顔はお母さん似なのですか・・・・・ところでお兄さんの背中にしょっているのが天界の武器である銃って言う物ですか?」

 

と、少女は俺の背中にしょっている九九式小銃を物珍しそうに見る

 

「ああ。そうだよ・・・・・ところで君の名は?」

 

「ぐ~」

 

「寝るなっ!」

 

「おお、うっかり名乗りを忘れてしまった恥ずかしさをごまかすため寝てしまいました・・・・・というよりお兄さん起こし方上手いですね・・・」

 

なんかこの子すごいマイペースな子だな・・・・なんか不思議な子だ。

 

「では改めましてお兄さん。風は程昱と申します」

 

程昱・・・・・魏の軍師で華琳の息子曹丕を支え続けた、あの程昱か・・・

 

「・…どうかしましたか?」

 

「ああ。いいやなんでもない」

 

「そうですか・・・・それにしてもそんな木と鉄の棒が、火を噴き敵を一撃で倒すなんて。汜水関の戦いを見るまで信じられませんでしたよ~」

 

「あれ?天界の武器とか飛び道具とか卑怯とか言わないんだ?」

 

俺が不思議そうに訊く。だってこの時代じゃオーバーテクノロジーである銃を使ったんだぜ。普通は非難の声とかすると思ったけど誰もそんなことを言わないから不思議に思った。

 

「はい。武器と戦いは時代とともに常に変わります。確かに天の国の武器っという反則級なのはありますが、それをどうこう言うつもりはありません沖田殿。それにあなたのその武器は防衛用、護身用の物なのでしょ?華琳様から聞きました」

 

と、郭嘉さんが眼鏡をくいッと挙げて俺に言う。なんか志乃もそうだが軍師ってすごい冷静な人が多いんだな・・・まあこれはこれで助かるけど

 

「そうですか。そう言ってくれると助かります・・・・・・では私はこれにて。」

 

俺は軍帽を被り華琳たちに陸軍式敬礼をし、天幕から出ようとしたが

 

「吹雪・・・・・」

 

華琳に呼び止められ俺は振り返ると

 

「・・・・また会いましょう吹雪・・・」

 

「ああ・・・・またな」

 

と、華琳がそう言い俺は微笑んで天幕を出るのだった。

 

「・・・・あれが沖田殿ですか・・・・何というか不思議な方ですね・・・・」

 

「風も同じ気持ちなのです・・・・・・何というか同じ天の御使いでも劉備のところにいるなんかスケベそうな白いお兄さんとは大違いなのです・・・」

 

郭嘉と程昱はそう呟き

 

「・・・・それにしても華琳様よろしかったのですか?沖田をあのまま行かして?今なら彼を保護することができたのですよ?」

 

「今の彼を抑えるのは不可能よ春蘭。それはあなたが一番わかってたはずよ」

 

「・・・・」

 

そう。春蘭は力づくでも吹雪を拘束しようとしていた。だが動けなかった。なぜなら吹雪の闘気で動けなかったのだ。もし下手にねじ伏せようものなら彼に瞬殺される。長年の武人の勘が彼女にそう警告して動けなかったのだ。だがそれだけではなかった。何か天幕の向こうで何かの殺気を感じ動けなかったのも一つの理由であった。

 

「・・・気で抑える・・・か。さすがあの呂布の息子だけあるわね・・・」

 

「華琳様。この後どうするのですか?」

 

「先ほどの話の通り。明朝、汜水関へ向かうわ・・・・いいわね?」

 

「はい。かしこまりました」

 

と、魏の兵たちは汜水関進軍の準備を始めるのだった・・・・

 

「・・・」

 

天幕に残された華琳はそう、心配そうな顔で天幕の向こうを見るのだった。

 

 

 

 

「隊長・・・・どうでしたか?」

 

「ああ、斗志。話はすんだよ。後すまないなここで待たせて」

 

「いいえ、私が隊長の傍に行けば必ず夏侯惇殿とぶつかる。そうならないためにも私は天幕の傍で待っていました」

 

そう。実は夏侯惇が動けなかったのは吹雪の殺気ではなく天幕の外で待機していた斗志の殺気で動けなかったのだ

 

「そうか・・・・で、斗志。汜水関の方は?」

 

裏道を通りながら吹雪と斗志は汜水関に向かいつつ話をする

 

「はい。星の話によると大半の兵が虎牢関へと撤退しました。ですがいいんですか?私隊の軍は勝ち続けているのに?」

 

「まあな。だがよく考えてみろ斗志。確かに俺たちは勝利したがその反面銃の弾丸や弓矢なんかを消費してこれ以上汜水関を守るのは難しい。かといってこのまま突撃しても敵はまだ10万も残っているそんな中、無意味な突撃をしたら兵の大半は失うだろう?」

 

「それはそうですが・・・・」

 

そう、実は汜水関の物資も底をつきかけていた。これ以上の戦いは危険と判断し吹雪は汜水関を放棄し撤退することを決めたのだ。

 

「ですが隊長。なんで曹操殿に?」

 

「まあ、あれだな客将の時のお礼かな?ほら?よく言うだろ『敵に塩を送る』って」

 

「なんですかそれ?」

 

俺の言葉に斗志は首をかしげる。ああ、そう言えばまだこの時代にそんなことわざないんだっけな・・・・

 

「まあ、あれだ天の国のことわざだよ」

 

「そうですか・・・・で、それはどういう意味で?」

 

「ああ、敵に塩を送るって言うことわざのもとはだな・・・・」

 

と、俺は戦国時代の武田信玄や上杉謙信の話をした。武田信玄が塩不足で困っていた時宿敵である謙信が塩を送って助けたことなどを斗志に話すと

 

「なるほど・・・なかなかできることじゃ、ありませんね。天の国の武人はすごいですね。わたしも見習わなければ・・・・」

 

と、斗志が感心してそう言う。確かにあの話はかっこいい・・・

 

「そう言うことだ。さてそろそろ急がないと夜が明けるな・・・・・・・・・ゴホッゴホッ!」

 

な、なんだ!?また急に咳が・・・・

 

「た、隊長!?大丈夫ですか!?」

 

斗志が心配そうに俺を見る

 

「だ・・・大丈夫だ。ちょっと咽ただけだから。それよりも早く戻ろう」

 

「そ…そうですね急いでみんなのところに戻りましょう」

 

そう言い俺たちは汜水関へと戻り、その後、俺たち汜水関守備隊は虎牢関へと撤退し、それを最前線で戦っていた曹操軍がこれを突破するのだった・・・・・

因みにその時の知らせを聞いた袁紹は『やっぱり後退なんてしなければよかったですわぁー!!』ッと非常に悔しがっていたという。

 



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門前の虎

宮中

 

「賈詡様!たった今連合軍が汜水関を突破しました!」

 

「そう。吹雪たちの軍は?」

 

「はっ!華雄将軍。徐栄将軍とともに虎牢関へと撤退されました」

 

「そう。わかったわ。あなたはもう下がりなさい」

 

「はっ!」

 

そう言い伝令兵は下がる

 

「吹雪・・・・大丈夫かしら・・・」

 

一人残された詠はそう呟く。今のところ事は詠と吹雪が立てた作戦通りとなっている。そして伝令兵が来る前に吹雪から手紙が来たのだ。その内容は「月や詠。元気にしているか?」とか「早くみんなに会いたい」などの一見見れば恋文みたいな内容の手紙ばかりだ。

 

「ふふ・・・・吹雪ったら。私も早く会いたいわよ」

 

いつも来る手紙の内容を思い出し詠は微笑む。すると詠はあることに気付く

 

「あれ?そう言えば月は・・・・」

 

主であり幼いの親友である月の姿はなく詠は屋敷中を探し回った。そして角を回ると侍女の人に出会い詠は月がどこに行ったか聞く。すると侍女の人は

 

「董卓様なら井戸の方に向かいました」

 

と、聞き詠は井戸のある中庭の方へと向かう。

 

「月?月?どこ~?」

 

と、月を呼ぶ詠。すると、どこからか水の音が聞こえ、詠がそこへと向かうとそこには井戸の水を自分に掛けている月の姿があった。詠は月のところに行こうとしたが

 

「・・・・・吹雪さん‥‥皆さん・・・・どうかご無事で・・・」

 

冷たい井戸水を被りながらそう呟く月。自分は吹雪たちみたいに武に長けても志乃や詠みたいに軍師としての知力があるわけでもない。何もできない自分だが、だから自分ができるのはせめてこうして祈るしかなかったのだった。

 

「月・・・・」

 

それを見た詠は、ただひたすら祈る月に何も声をかけることができなかった。

 

「(吹雪・・・・・無事でいなさいよ)」

 

そう言い詠も心の中で吹雪のことを心配するのだった。

 

 

 

 

 

虎牢関。

 

「よしっ!全員いるな。」

 

「はっ!吹雪隊全員います!」

 

「ああ、華雄隊も全員いるぞ」

 

「同じく徐栄隊もよ。それにしてもまさかここで撤退するとは思いもしませんでした。」

 

「まあそう言うな徐栄。これも作戦の内だ」

 

「あら、華雄。あなたにしては珍しいわね。いつもなら『撤退などせずここは突撃だぁ!!』って言うはずなのにね?」

 

「ふふ・・・もう昔の私とは違うのだ徐栄」

 

と、華雄と夢華はそう話し合う。あの交渉から夜中、俺たちは敵に見つからないようにひそかに汜水関を撤退し後方にある、第二要塞である虎牢関に撤退したのだ。第二要塞である虎牢関は汜水関に比べて少し小さな砦だが自然が多く潜伏戦には便利な場所であった。そして吹雪たち虎牢関につくと

 

「兄上!ご無事でしたか!」

 

と、母さんと一緒に出迎えに来てくれたねねが俺に抱き着いた。なんかこの頃ねねのキャラが変わってきているような・・・・

 

「ああ、ねね。俺はこの通りぴんぴんしてるよ」

 

「えへへ~」

 

俺がねねの頭をなでるとねねは嬉しそうに目を細める。

 

「うらやましい・・・・」

 

「ねねもお兄ちゃんの前じゃ甘えっこなんやな~」

 

「これは天の国の言葉で言うならブラコンってやつですかな?」

 

すると周りのみんながそれを見てニヤニヤする。それに気づいたねねは顔を赤くし、俺の腹を膝蹴りした。

 

「へぶっ!!」

 

「いつまでも撫でるな!なのです。こ、この女たらしなのです///!!」

 

「そ、そらねえんじゃないか、ねね!?」

 

「ふ、ふ~んです!!」

 

と、照れ隠しに顔を背け奥の方へと走りだしてしまった。やれやれキャラが変わったと思ったのは気のせいだったか。そしてねねとすれ違うように母さんがやって来た

 

「吹雪・・・・大丈夫?」

 

「あ、ああ…大丈夫だよ母さん。ちょっと応えたけどな・・・・」

 

俺が腹を押さえて言うと母さんは微笑み

 

「あれでもねね。吹雪のこと、とても心配してた。だから今の蹴りは大目に見て・・・・」

 

「わかってるよ母さん。」

 

ねねの顔を見て心配させちまったのはわかっている。しかもあの蹴りは本気じゃなくて少し加減してたしな。すると

 

「吹雪。今日の夜・・・・空いている?」

 

「・・・・へ?」

 

 

 

 

 

夜、一個の個室で俺と母さんは食事っといっても軽食の肉まんを食べていた。無論ねねも一緒だ。

 

「「「・・・・」」」

 

「(き・・・・気まずい。おい。ねね・・・どういうことだ?)」

 

「(ねねにもわからないのです・・・・・あ、兄上。何か話して場を和ませてください)」

 

「(何って・・・・何を話せばいいんだよ。)」

 

俺とねねは目線だけで会話をしていたすると・・・・

 

「吹雪・・・・」

 

 

と、その沈黙を破るように母さんが俺に声をかける

 

「ん?何?母さん?」

 

「吹雪・・・・あなたは虎牢関の・・・・南門に・・・行くの?」

 

「ああ。南門の部隊が人手不足だからって華雄と夢華の部隊が行く予定だよ・・・・母さんは北門だろ?」

 

「・・・・うん。桜と霞と一緒に守る・・・・・ことになったけど・・・・吹雪はあそこで大丈夫?恋なしでも平気?」

 

「ああ。大丈夫だよ母さん。みんながいるし。それに俺には母さんが渡してくれたこのお守りがあるからね」

 

そう言い俺は懐に入れたお守りを見せる。いろいろとほつれてはいるが母さんが俺の無事を祈って作ってくれたお守り。これさえあれば俺は死なない。そう思った。それを聞くと母さんは少し微笑んでいた。そしてしばらくねねと一緒に食事をし。食事を終えると

 

「ご馳走様。それじゃあ、母さん。ねね。行ってくるよ」

 

そう言うと俺は立ち上がり軍帽を被った。

 

「兄上・・・・・ご無事で・・・・」

 

そう心配そうに言うねね。俺はねねの頭をなでる

 

「あ、兄上・・・・」

 

「心配してくれてありがとな・・・・ねね」

 

俺はねねにそう言い、しばらくねねの頭をなでた後、母さんに敬礼をして部屋を出るのだった。

 

「さて・・・・明日の攻撃前に備えて、九九式の点検でもするか・・・・・」

 

そう言い吹雪は兵士の一人に何か伝えとある場所へと向かうのであった。そして部屋に残された二人。そしてその中、恋は窓から夜空を見て

 

「(・・・・・総司・・・・どうかあの子を守って・・・・)」

 

亡き夫である総司に吹雪の安否を願うのであった。

 

 

 

 

 

一方、その頃連合軍では夜明けに開始される戦いに向けて作戦会議をしていた

 

「こうなったら突撃ですわっ!」

 

と、袁紹がそう声をあげみんな驚く

 

「ちょっ!袁紹!あなた汜水関でのことをもう忘れたの!?今、突撃したら天の国の武器である銃の的になるだけよ!」

 

「あら曹操さん?臆したのですの?とても難攻不落といわれた汜水関を落とした武将の言うことじゃありませんわね?」

 

「私は冷静に分析して言ってるのよ!」

 

華琳がそう言うと劉備の傍にいた孔明が

 

「確かに曹操さんの言う通りです袁紹さん。汜水関の戦いで私たちの軍は痛手を受けています。それにその戦いのせいで諸国の人たちも戦意が無くなって逃げて行ってしまいましたし・・・・」

 

「あら?孔明さん。あなた義勇軍の軍師の分際で名門でありこの連合の総大将の私に意見するなんて随分と偉そうですわね?」

 

「はわわ!す、すみません・・・・」

 

「とにかく。袁紹正面突撃は危険よ!あなた汜水関に続いてここでも無駄に兵を失う気なの!?」

 

「お黙りなさい曹操さん!私は連合総大将の命としてそう突撃を命じますわ!」

 

「(くっ・・・・ここで総大将命令を出すなんて・・・・)わかったわ。でも先鋒は袁紹、あなたが行きなさい!」

 

「ええ、かまいませんことよっ!またどこかの馬の骨に先を越されるのは癪ですからね。優雅な勝ち方っというのをあなた方に見せて差し上げますわ!お~ほほっ!!」

 

と、うるさいくらいに袁紹は高笑いするのであった。その高笑いに呉、魏、義勇軍、西涼の軍は

 

「(終わった…この連合、終わった・・・・)」

 

と、みんな感じるのであった。そしてその後、作戦会議が終わり各自天幕へと戻るのであった。

 

 

 

劉備軍天幕

 

「はわわ・・・・大変なことになっちゃいましたねご主人様・・・」

 

「ああ、でも俺たちは最前線の南門じゃなくて北門を攻略することになったらしいしな」

 

天幕の中で北郷たちは地図を広げて作戦会議をしていた。

 

「・・・で、朱里、雛里。沖田軍は南門にいる可能性はあるか?」

 

「はい。南門は北と比べて洛陽街での一番の近道ですから・・・・」

 

「あわわ・・・・それに聞いた話では呂布さんの軍もそこに布陣しているとの報告がありました」

 

「呂布か・・・・・厄介だな。なあ、二人ともさっき袁紹が北門を攻めるっといったけどどっちが勝つと思う?」

 

と、北郷ははわわ、あわわ軍師にそう訊くと

 

「………私は董卓軍です。やはり一番の武器は銃だと思います」

 

「………私も朱里ちゃんと同じ考えです」

 

「そうか………」

 

孔明と龐統の言葉に北郷は、沖田のことを考えた

 

「(やっぱりおかしい・・・・・俺の知ってる歴史では董卓は暴政を働いている。それは沖田も知っているはずだ。だがなぜあいつは董卓軍にいる?・・・・もしかして何か考えがあるのか?・・・・いったい洛陽では何が起こっているんだ?)」

 

「ご主人様?どうかしたの?」

 

と、劉備がそう言うと

 

「え?ああ、大丈夫だよ。それよりも朱里」

 

「は、はい!」

 

「間者を董卓軍内にそれも洛陽街に入れてほしいんだ」

 

「間者を………ですか?」

 

「あぁそうだ」

 

「でも何でですか?………」

 

龐統がそう言うと

 

「本当に董卓が暴政をしてるかどうか調べるためさ」

 

そう言う北郷であった。そして翌朝北郷軍は北門へと向かった。そこには沖田軍や呂布などのチート級の武将がいないことをこの時北郷・劉備軍はそう祈った。しかしこの時の虎牢関の2つの門のうちの一つは南門を守る猛虎の母虎が守っていたことに気付かなかったのだった。

 

 

 

 



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激闘の猛虎たち

翌朝。連合軍の兵は虎牢関へと向け突撃を開始した。連合軍先頭は袁紹軍の長槍部隊約一個師団そして後ろには魏の夏侯惇が率いる部隊だった。地響きを立てながら虎牢関の南門へと向かっていく。

その姿を吹雪たちは目視した。それを見た華雄は

 

「吹雪!敵が来るぞ」

 

「ああ、来たな戦闘は袁紹軍で後方は曹操軍か・・・」

 

「はい。でもよろしかったのですか?斗志と星、を北門へ移して?」

 

「ああ、なんか嫌な予感がしてな・・・・」

 

そう、実は南門に移る前、俺は斗志と星。そしてアンチョビさんを母さんのいる北門へ行くようにお願いした。最初斗志は納得していなかったが俺が頭を下げると仕方なく北門へ行ってくれた。なぜだが知らないけど北門で何か起こると思ったからだ。

 

「隊長!もうすぐ射程内に入ります!」

 

「おう!銃士隊!構えぇ!!」

 

吹雪の号令で銃士隊が単発式ボルトアクションを構える。その間敵の槍部隊がずんずんと攻める。その大群に銃士隊は息をのむ。

 

「まだだ!まだ撃つな!」

 

吹雪がそう言い銃士隊の隊士を落ち着かせる。そして敵が銃の射程内に入った瞬間。

 

「放てぇー!!」

 

吹雪の号令で銃士隊の銃が火を噴き、連合軍の兵士はまるで将棋倒しのごとく倒れ血を流し絶命した。しかし連合軍は汜水関でのことを体験したにもかかわらず、引かないでそのまま突っ込む。それを見た吹雪は・・・

 

「(銃の衝撃力を知っても引き際を知らない兵の練度不足。その威力はいかに・・・・・今のところ大だな。)志乃!夢華に合図を送れ!」

 

「はい!」

 

そう言い。志乃は銅鑼を鳴らす。そしてその北門の両側に潜伏していた夢華の部隊は

 

「天の国の兵器ってすごいわね・・・・・」

 

と、夢華は銃士隊のすごさに感心していた

 

「徐栄様!先ほど司馬懿殿から合図が来ました!」

 

「来たわね。沖田軍に後れを取らせるわけにはいかないわ。弓隊!はなてぇ!!」

 

夢華の言葉で徐栄の弓兵は敵に向かって矢を放つ。正面にいる吹雪隊の銃士隊の攻撃に側面から徐栄の弓隊の矢が雨あられと降り注ぐ。

 

「ぎゃ!」

 

「横から弓矢が!?」

 

「慌てるなっ!敵の武器にも限りが・・・・・」

 

敵の将校がそう言い兵士たちを落ち着かせようとしたが

 

ダアァーン!!

 

吹雪の九九式小銃の七・七ミリ弾の餌食になり倒れる

 

「ひっ!?」

 

目の前で指揮官がやられ、あらためて銃の恐怖を知ってさすがの袁紹軍も動きを止めた。吹雪はその様子を見ていた

 

「(銃の本質は貫通力でも射程でもない。本当の本質は恐怖!あの音と煙が上がると誰かが死ぬ。一度それをわかればもう前へは進めぬ。そして一度怯んで足を止めてしまったら・・・・・歩兵がつっこむ。「歩兵の本領」の歌詞にもあるしな・・・)」

 

 

「夏侯惇様っ!!」

 

「なんだっ!?」

 

後方で待機していた春蘭のもとに伝令兵がやって来た

 

「南門の門が開きました!」

 

「なに!?袁紹軍が突破したのか!?」

 

「いいえ・・・・それが華雄軍が突撃してきました!!」

 

「な、なんだと!?」

 

夏侯惇が伝令兵の言葉で驚くと

 

「行くぞぉー!!汜水関での鬱憤ここで晴らしてくれる!」

 

と、華雄率いる突撃部隊が、士気が混乱しうろたえている袁紹軍に突撃を敢行する。そして袁紹軍を蹴散らすのだった。ただでさえ袁紹軍は汜水関の戦いで士気が落ちたうえ、ここの指揮官を失い華雄隊の奇襲攻撃をもろに受けて、完全に戦闘意欲が無くなり散り散りとなり逃げだした。

 

「華雄様!敵が引いていきます!さらに追撃して畳みかけましょう!」

 

と華雄の部下がそう言うと

 

「いや、追撃はしない」

 

「なっ!、なぜですかっ!?」

 

華雄隊の兵士がいつもと違う華雄に驚いて訊くと

 

「私たちの任務はここの防衛だ。あまり追撃しすぎると友軍と孤立するぞ!いいから虎牢関へ戻るぞ」

 

「は・・・・はい・・・」

 

「大丈夫だ。これは敗北ではない。だから堂々と虎牢関へ戻ろう(それに私が離れたら吹雪を守るっという呂布の約束を違えることになるからな・・・・)」

 

そう、実は華雄は昨日の夜に恋とある約束をしたのだ。吹雪が部屋を後にした後彼のことを心配する恋に華雄は

 

『安心しろ呂布。私がいる限り絶対に吹雪を守る』

 

と、恋にそう約束したのだ。華雄の言葉に華雄隊の兵士は頷き、虎牢関へと戻ろうとしたが・・・・

 

「待てぇ!華雄!」

 

っと、彼女を呼び止めるものがいた。

 

「私と一騎打ちをしろっ!!」

 

呼び止めた人物は春蘭だった。それを見た華雄は

 

「あいにく残念だが、私は今お前の相手をしている暇はない」

 

「ふんっ!お前の言い分なんか知ったことか!私の一騎打ちに応じるまで追いかけるまでだっ!!」

 

 

そう言い、春蘭は引かない。彼女の目を見て華雄は

 

「(この夏侯惇という武人の目・・・・私や呂布と同じ目だな・・・・・これは何を言っても無駄だな・・・・)いいだろ。その一騎打ち受けてやる!」

 

『華雄様っ!』

 

「お前たち、この一騎打ちには絶対に水は差すな。それと私一人で大丈夫だ。お前たちは先に戻っていろ」

 

「し、しかし・・・・」

 

「いいからいけっ!」

 

華雄にそう言われ華雄隊の隊士たちは虎牢関へと退却するのだった。

 

「さて・・・・一騎打ちを始める前に・・・名を名乗れ」

 

「我が名は夏侯元譲!」

 

「ほう・・・・貴様が曹操のところにいる闘将夏侯惇か。吹雪が世話になったらしいな・・・・これは面白い戦いになりそうだ。いつでも来い!」

 

「良い心がけだぁ!行くぞ!!」

 

と、春蘭と橘花は互いの得物をぶつけ激しい一騎打ちをするのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

一方、北門では呉の孫策軍。劉備・北郷軍が攻め込んでいた。因みに馬騰軍は後方へと下がっている。そして北門では激しい戦いが繰り広げられていた。

 

「おりゃおりゃぁ!!」

 

霞が孫策軍相手に奮闘していた。すると今まで後退気味だった孫呉の兵の士気が急に上がり、徐々に反撃を開始した。

 

「うん?こいつらの士気が上がってきょったな…、誰か出てきたか?」

 

と、霞がそう言うとそん後の兵から一人の女性が出てきた。霞はその女性を見て

 

「その覇気…ただもんやないな・・・あんたが孫策か?」

 

「そうよ、その姿…あなたが張遼ね?」

 

「その通りや」

 

「ならば張遼、あなたの命、私が貰うわ」

 

「面白いこと言うやんあんた、やれるもんなら、やってみい!」

 

そう言い霞は飛龍偃月刀を雪蓮は南海覇王で激しい打ち合いをした。その光景に敵も味方も息をのむ

 

「やるやないか孫策。うちの攻撃を受け止めるんなんてな」

 

「勘よ。勘。私人一倍勘がいいからね。あなたがそこを攻撃するのわかるのよ」

 

「そっか・・・それはすごいな・・・・そないな相手なら、うちも不足はないで!行くぞ孫策!!」

 

「ええ、来なさい!」

 

と、再び激しい一騎打ちが始まった。一方、別の場所では孫策こと雪漣の妹の蓮華率いる別動隊がアンチョビ隊と交戦していた。そしてアンチョビは呉の武将太史慈と交戦していた

 

「あなた、異国人なのになかなかやるわね!」

 

「ふふっ!私はこう見えてローマ帝国の百人隊長をしていたんだ!そんのそこらの兵と同じと思って甘く見るなよ!」

 

と、アンチョビは普通のグラディウスより長い刃のグラディウスで太史慈に攻撃をしていた。大して太史慈は槍で応戦する。一方、劉備軍では、孫策軍が敵を引き付けている間に北郷軍が北門に一番乗りしていた。

 

「城門にたどり着いたら中央突破で一気に攻めるぞ!もう一息だ!」

 

「手の空いている人は鈴々の方を手伝うのだぁ!」

 

関羽と張飛がそう言い、北郷軍は北門に突撃する。しかし、

 

「ぎゃあぁぁぁー!!」

 

と、すぐそばで悲鳴が上がった。

 

「な、なんだっ!?」

 

北郷たちはその悲鳴を聞いてその場に行くとそこには一人の赤毛の少女が次々と北郷軍の兵士を倒している姿であった。

 

「どうした!?何があった!?」

 

と、関羽は兵士の一人に訊くと

 

「りょ、呂布です!門を突破しようとしたら董卓軍の飛将軍呂布奉先が現れましたっ!!」

 

「なんだって呂布だと!?」

 

兵の言葉を聞いて関羽と北郷が驚く。

 

「馬鹿なッ!?情報では呂布は南門を守っているはずだぞ!?北門に戻ってきたのかっ!?」

 

「はっ!たった一人で前線の兵を次々と倒し周囲に屍の山を築いています!」

 

と、兵士がそう言うのだった。そんな中、呂布こと恋は次々と北郷軍の兵を倒す

 

「・・・・弱い・・・」

 

と、恋がそう言った瞬間。

 

「我が名は関羽!これ以上仲間に手出しをするな!」

 

と、関羽が恋に青龍偃月刀を突き付ける。すると恋は関羽をじっと見て

 

「・・・・・・お前が関羽か・・・」

 

と、恋がそう言うと関羽は偃月刀を振り上げ

 

「これ以上兵を気付つけさせるわけにはいかぬ!」

 

そう言い恋に斬りつけるが、恋はその攻撃をはじき返し逆に押し返した

 

「なっ!?私の攻撃を押し返してくるだと!?」

 

関羽が驚いてると

 

「・・・・・関羽。一人でなく二人でかかったらどうだ?」

 

「二人・・・・!?あっ!?鈴々!?」

 

「にゃはは・・・・バレちゃったのだ・・・・」

 

恋の言葉に関羽が首をかしげるとかでの陰から張飛が出てきたのだ。

 

「愛紗もわかってるでしょ?…こいつとっても強いのだ」

 

と、張飛はそう言い、蛇矛を握りしめる。

 

「しかし二人同時など・・・「かまわない・・・」・・・え?」

 

「二人相手でも同じ。だからかまわない」

 

恋にそう言われて、二人はカチンとくる

 

「そのセリフ!」

 

「受けてから言うのだ!!」

 

そう言い二人は恋に攻撃をするしかし恋は二人の攻撃を受け止め押し返す。体勢を立て直し関羽が斬りかからがそれを受け流し関羽を吹っ飛ばす。そんなのが数分間続いた。それを見た北郷とそばにいた孔明は

 

「なんて桁外れな力なんだ。二人をあんな風にあしらうなんて・・・・」

 

「随分と長引いてますね・・・このままでは愛紗さんと鈴々ちゃんが危険かもしれません・・・」

 

孔明の言葉に北郷は関羽たちを見る。そこにはきつい顔をし苦戦している関羽たちの姿だった

 

「もう見ていられるか!あとで起こられるかもしれないけど愛紗たちを助けよ!」

 

北郷は大切な仲間である関羽たちの危機に見ていられず公明にそう言うと

 

「そのお言葉を待ってました!」

 

と孔明がそう言うと何かの準備をし始めるのであった。一方、関羽たちは・・・・

 

「はにゃああ!!」

 

と、恋の一撃に張飛が吹っ飛ばされる。

 

「大丈夫か鈴々!」

 

「こ、こいつ・・化け物なのだ」

 

「こうなったら同時に死力を尽くすしかない。私か鈴々・・・・残ったものがご主人様や桃香様をお護りしていく・・・・それでいいな?」

 

「わかったなのだ」

 

そう言い張飛と関羽は互いにうなずき

 

「恨みっこなし!次の一撃にすべてをかけるのだぁ!」

 

「行くぞ!!」

 

そう言い、二人が一斉に恋に攻撃を仕掛ける。恋が二人を見た瞬間

 

「今だっ!朱里!」

 

「はい!」

 

北郷の言葉に朱里とそばにいた兵たちが何重にも重ねられた丈夫な網を恋の頭の上から被せた。

 

「っ!?」

 

いきなりのことに恋は驚き、そして網が体中に巻き付いて身動きが取れなくなっていた。

 

「なっ!?これは一体っ!?」

 

「誰が邪魔したのだぁ!!」

 

と、関羽と張飛は不服そうな顔をしながらそう言った。すると

 

「ごめん二人とも・・・」

 

と、北郷が二人のもとにやって来た。

 

「ご主人様っ!?」

 

「お兄ちゃん!なんで邪魔したのだ!?」

 

「本当にごめん鈴々。だけどたとえ卑怯だといわれても二人に嫌われても・・・・俺はここで大事な仲間を失うわけにはいかないんだ!」

 

「そんな!!武人の矜持をなんだと思って・・・・」

 

「まぁまぁ…愛紗さん落ち着いてください。とにかく呂布さんを捕まえることができたからいいじゃないですか・・・」

 

と、孔明が二人を説得している中、北郷軍の兵士は恋を拘束しようとした。しかし・・・・

 

「ハアアーーー!」

 

「チェストー!!」

 

と、どこからか流れ星のごとく二つの影が恋を拘束しようとした兵士を倒す。そしてその二人のうち一人は曲刀でその縄を斬り恋を助けるのであった。その二人とは

 

「すまない恋!遅れてしまった!」

 

「恋様!大丈夫ですか!?」

 

その二人とは吹雪の副官である李傕こと斗志と吹雪隊幹部である趙雲こと星であった。

 

 

 

 

 

 




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サムライハート

「すまない恋!遅れてしまった!」

 

「恋様!大丈夫ですか!?」

 

北郷に捕まった恋を斗志や星が助け網や縄を斬った。

 

「大丈夫・・・・・二人ともありがとう」

 

「なに。将来の義理の母になるかもしれない人ですからな。なあ斗志?」

 

「わ、私は別に///ですが無事でよかったです」

 

星がいたずらっぽい笑みをすると斗志は顔を赤くしてそう言い恋は「?」っというような顔をする。すると今までの出来事に茫然と見とれてしまっていた関羽が、

 

「貴様!何者だ!」

 

そう言い青龍偃月を彼女らに向ける。それを見たせいがふっと笑い

 

「ふっ・・・尋ねるのであれば普通はそちらから名乗るものだが、どうやら貴殿にそんな余裕もないらしい」

 

「クッ…」

 

星に言われて関羽は苦い顔をする。

 

「まあ、良いではないか星。・・・・・我が名は李傕。字は稚然。董卓軍の将であり、沖田軍の副隊長だ」

 

「同じく我が名は趙子龍。董卓軍第三師団「吹雪隊」の将だ」

 

と、二人が名乗り関羽の後ろにいた北郷が「あの子が李傕だと!?」と驚いていた。

 

「我が名は関雲長、劉玄徳様と北郷一刀様の一の家臣だ!そうか。お前たちがあの鬼の副長殿に昇り龍殿か!ならばおぬしたちに訊く!お前たちはなぜ洛陽で暴政をし非道な振る舞いをしている董卓をほっとく!?それにその董卓に仕えるもう一人の天の御使い沖田吹雪は天の国の知識がありながらもなぜそのことを止めなかった!おぬしたちの上司は臆病者かぁ!!」

 

と関羽が言うと三人は「はぁ~」とため息をつき

 

「馬鹿だとは思ってたがまさかここまでとはな・・・・」

 

「な、なんだと!?」

 

斗志の言葉に関羽が怒ると

 

「待て、愛紗。・・・・・・じゃあ、董卓は暴政などしていないのか?」

 

と、北郷が関羽を止めて三人に言う。すると星が頷き

 

「貴殿は北郷一刀殿・・・・・・黄巾の乱の時に比べて少しは成長したようだな・・・ああその通りだ。暴政どころか董卓殿が洛陽に入城されてから洛陽の荒れ果てた街はすっかりと奇麗な街に戻り治安がすっかり良くなっていて民たちは安心して暮らしているぞ」

 

「で、でたらめを言うなっ!」

 

「その言葉がでたらめだという根拠はどこにある関羽?」

 

と、斗志が威圧感を含む鋭い目で見つめると関羽は一瞬うろたえるが

 

「袁紹の話では洛陽の街は灰燼と同じだと言っておったぞ!それに敵である貴様が言うそんなこと信じられるか!」

 

「他人の言葉を鵜呑みにし自分の目で確かめもせずこんな行動をするとは・・・・それでも貴様らは「みんなが笑顔で平和に暮らせるための世界」を望む劉備の部下か!!笑わせるなっ!」

 

「なっ!黙れ!!」

 

そう言いさらに偃月刀を斗志に向ける。すると斗志はさらにため息をつき

 

「やれやれ・・・自分の言葉が通じないとみるとすぐ刃を向ける。まるで子供だな関羽殿」

 

「な、何を!?」

 

と、関羽が怒ると孔明が

 

「はわわ!落ち着いてください愛紗さん!それと趙雲さん一つ聞いていいですか?」

 

「む?何ですかな?」

 

「本当に董卓さんは暴政などはしていないんですね」

 

「ああ。そうだ。それを聞いてどうするのか?兵を引いてくれるのか?」

 

と、星がそう言うと関羽は

 

「引くわけないだろ!!」

 

興奮しながらそう言い北郷が止めようとするが、あまりにも興奮し冷静さを失っていたため彼の言葉は届かなかった。すると斗志が

 

「これじゃ埒がないわね・・・・・仕方がない。関羽。私と勝負しろ!私に勝てば私たちの軍は大人しく兵を引き上げよう!その代わり私が勝ったら貴殿らの軍が引き揚げろ。星、恋様。突然ですがよろしいですか?」

 

「・・・いい」

 

「同じくだ。こうでもしないと収まらないみたいだがな。まあ、挑発したのは我々だが・・・」

 

「北郷殿もそれでいいか?」

 

「で、でも・・・・」

 

「ご主人様!大丈夫です!私は負けませんので!!」

 

関羽が北郷に言う。北郷は関羽の目を見て

 

「愛紗・・・・わかった。君を信じるよでも無理はしないでくれ」

 

「任せてください!」

 

「斗志。頼むぞ」

 

「ええ、あの女にお灸をすえてやるわ」

 

そう言い、関羽は偃月刀を構え、斗志は自分の愛刀である、日本刀に似た曲刀を抜くきそして正眼の構える。

 

「では・・・・参るぞ」

 

「来いっ!」

 

斗志がそう言うと、関羽が偃月刀を振るが斗志がそれを刀で止めそしてそれを滑らせるようにして弾き間合いに入ろうとする。しかしそうはさせまいと関羽が武器をふるうが斗志はひらりと躱した。そこで関羽はなかなか当たらない攻撃に苛立ちを覚えた

 

「(なぜだっ!なぜ私の武がこんな奴に躱されているんだっ!?)」

 

関羽がそう思う中、関羽の攻撃を受け止めた斗志は

 

「(武の腕は私と同等・・・・武器も鋭いが…‥信念が軽すぎる・・・・これが北郷軍を支える将とはね・・・)」

 

と、少し残念そうな顔をする斗志。そして斗志が関羽と距離を取り。

 

「関羽・・・・あなたの攻撃はここまで?ならば次は私の番よ・・・・・」

 

そしてある構えを取る。

 

「あ、あの構えは!?」

 

その構えを見た北郷が驚いていた。

 

「行くぞ!」

 

そう言い斗志はものすごい速さで関羽に突進する。しかし関羽は

 

「そんな突き!たわいもない!!」

 

と、瞬時にそれをよけたが

 

「避けるだけじゃ駄目だッ愛紗!!」

 

北郷が叫ぶと、斗志の目がギラリと光り横薙ぎの攻撃をした。

 

「っ!?」

 

関羽が横薙ぎの攻撃に驚くが斗志はそんなのを気にせず関羽のわき腹を斬る

 

「ぐわっ!」

 

「あ、愛紗(さん!)っ!?」

 

そう言い関羽は倒れ、北郷たちは彼女の名を叫ぶのだった。

 

「くっ・・・・・」

 

「安心しなさい峰打ちよ・・・・・関羽・・・今のあなたでは私には勝てないわ・・・・・そしてなによりあなたの武は何かを背負う信念がない。もっと腕ではなく心も磨くことね・・・・それが武人の道・・・・武士道よ」

 

「く・・・・そ・・・」

 

そう言い関羽は気絶したのだった。そして斗志が星たちの所へ戻ろうとすると

 

「ま、待ってくれッ!!」

 

「ん?何ですか北郷殿?」

 

「あ、あんた・・・なんであの突きを‥‥『牙突』を!?」

 

「簡単な話よ天の御使い。この技はあなたと同じ天の御使い沖田吹雪隊長から教わったものだ・・・・」

 

そう。実は斗志は以前。吹雪に頼み込んで『牙突』を会得していたのだった。

 

「沖田が・・・・・」

 

北郷は斗志の言葉を聞き驚く

 

「では北郷殿。約束通り兵を引いてください。」

 

「あ、ああ・・・・」

 

「それと北郷殿」

 

お、斗志は懐からある手紙を出し北郷に投げ、北郷はその手紙を受け取った。

 

「これは・・・・」

 

「隊長からの手紙です・・・・・・では」

 

そう言い、斗志は星のいる方へ戻るのであった。そしてその後北郷軍は気絶した関羽を運び約束通り兵を引き上げるのであった。一方、南門では

 

「はぁっ!!」

 

「やあぁー!!」

 

橘花と春蘭が激しい一騎打ちをしていた。

 

「ふっ…なかなかやるではないか華雄!」

 

「貴様もだ夏侯惇!だが、まだまだこれからだぁ!」

 

そう言い激しい打ち合いが続いている。戦いは2時間にもわたった。そして

 

「私の勝ちだな・・・・華雄」

 

「くっ・・・・」

 

二人が全力で戦った結果は春蘭の勝利に終わった。すると華雄は座り込んで

 

「・・・・私を斬れ夏侯惇。」

 

「なに?」

 

「私は負けた。だからその首持っていけ。お前のような武人になら首を取られてもそう悪い気分ではない」

 

「い、いや…私は・・・」

 

と、橘花は清々しい顔でそう言い春蘭は少し戸惑う。全力を出して自分は負けた。だから負けても悔いはないし、相手を恨む通りもない・・・・ただ強いて言えばもう少しの間だけ弟分であり意中の男性でもある吹雪たちのもとにいたかった。そう彼女は思っていた。

 

「(…すまぬ吹雪・・・)」

 

そう内心呟いていると

 

「すまないが華雄お前にはまだ死んでほしくはない・・・・」

 

「「っ!?」」

 

橘花が覚悟を決めたときに後ろから声が聞こえ、二人がそこに顔を向くとそこには吹雪がいた。

 

「お・・・吹雪・・・・なぜお前が・・・・」

 

「華雄の部下たちが知らせてくれてな、助けに来た」

 

そう言い不適の笑みで橘花に言う。そして春蘭に顔を向けて

 

「よう。春蘭。昨日ぶりだな・・・・」

 

「ああ・・・そうだな。って何しに来た貴様」

 

「何って?華雄助けに来ただけさ。安心しろ銃士隊は連れてない。・・・・・で、早速だが華雄連れて帰るぞ」

 

「ああ、いいぞ・・・・・て、なるわけないだろ!」

 

と、春蘭は俺につっこむ。

 

「あちゃ。やっぱそう言うわけにはいかないか・・・・・じゃあさ。春蘭ここで賭けをしよう」

 

「賭けだと?」

 

「ああ、簡単な話ここで俺とサシで勝負しろ勝ったら俺と華雄を捕虜として連れて行っていい。ただし俺が勝ったら華雄を返してもらうのと、大人しく兵を下げろ」

 

「なっ!?条件が二つじゃないか!?卑怯だぞ!」

 

「ん?でも勝てば俺と華雄二人を手にすることができるんだぞ。得とは思わないのか?」

 

「む・・・・言われてみれば確かに・・・・・よし。わかったその勝負受けようではないか!陳留での決着もつけたいからな」

 

「おお。そう言えばお前とはちゃんとした決着つけてなかったからな・・・・・」

 

そう言い俺は軍刀である菊一文字を抜く。それを見た春蘭は

 

「なんだ沖田。銃とやらは使わないのか?」

 

「ああ、華の白兵戦に飛び道具は不要だよ。お互い剣で語ろうじゃないか」

 

「それもそうだな・・・・・では行くぞ!」

 

「応っ!」

 

そう言い両方激しい斬り合いとなった。まず吹雪は得意の牙突で攻撃。それを春蘭が七星餓狼で受け止め横に受け流し七星餓狼を振り下ろす。そして俺はその一撃をよける。

 

「前よりも剣が鋭くなったようだな春蘭・・・・・」

 

「ああ、お前との決着をつけるために鍛錬をしたからな!」

 

「ふっ…そうか・・・・ならこっちも全力でやるか!」

 

恐らく今の春蘭に小細工は効かない。なら俺は全力で彼女にぶつかるしかないそう思い刀を握り直し天然理心流の構えをしたのだった。

 

 

 

 

 

「くそ・・・・あいつのせいで・・・」

 

 

春蘭と吹雪が一騎打ちをしている時岩陰で一人の男が悪態着いていた。その男は袁紹軍の兵だ。

 

「くそ・・・あの小僧の天の武器さえなければ、曹操軍に手柄を立てられることも…我が軍が痛手を受けることも…私の給料が下げられることも・・・!!」

 

と、沖田にそう悪態をしていた後者にいたってはただの逆恨みだった。そして袁紹軍の兵士は持っていた弓を構える

 

「これであいつを・・・・・・いや待て…俺の腕であいつに当たるか?見るからに凄腕だし・・・・」

 

「だったら当たる方法を教えましょうか?」

 

「!?誰だっ!!」

 

と兵士がそう言い後ろを振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。そしてその女は

 

「私はとあるお方に仕える王允と言う者で、この連合のお味方の者です。それよりもあなたあの枯草色の御使いを殺したいっとおっしゃってましたよね?」

 

「あ、ああ・・・・」

 

「では。いい方法とこれを差し上げましょう」

 

そう言い。王允は一本の矢を渡した

 

「この矢を使いなさい・・・・・そしてその矢をあの夏侯惇に向けて撃ちなさい。」

 

「え?しかしそれでは・・・」

 

「安心なさい・・・・私の言う通りにすれば確実にあの男を殺せるわ・・・・・」

 

そう言い王允は薄気味悪い笑みをした後どこかへと消えたのであった。そして一人残された兵士はギュっとその矢を握りしめるのであった。

 

 

 

「はぁっ!!」

 

「くっ!」

 

一方その頃吹雪と春蘭は激しい光線の中、吹雪の一撃が春蘭の七星餓狼を弾き飛ばし、吹雪は春蘭の喉にその刀を突き付けた

 

「勝負あったようだな・・・・・春蘭」

 

「ああ・・・・そのようだな」

 

「じゃあ、約束通り華雄は連れて帰るぞ。立てるか?」

 

「ああ・・・・約束だからなしょうがない」

 

そう言い春蘭は吹雪の手を取り立ち上がる。すると・・・・

 

「姉者!」

 

と、秋蘭たちがやって来た

 

「おう…秋蘭すまぬ。負けてしまった」

 

「っ!?それじゃあ・・・・・」

 

「いや。春蘭は捕虜にはならないよ秋蘭。このまま曹操軍へ返すつもりだ」

 

「沖田・・・・・姉者。どういうことだ?」

 

と、春蘭は秋蘭にわけを説明しようとした。その時吹雪は何かの殺気を感じそして

 

「春蘭!?危ないっ!!」

 

「え?・・・きゃっ!」

 

「お、沖田!?いったい何を!?」

 

ドンっという音と共に吹雪は春蘭を突き飛ばし、秋蘭と華雄は驚いて目を見開くすると・・・

 

グサッ

 

と何かの刺さる音がした。その正体は弓矢だった。一本の弓矢が吹雪の心臓よりすっこし下の部分に突き刺さったのだ。

 

「ぐっ!!」

 

苦しそうに吹雪はそう言うと倒れたのだった。

 

「「お、沖田っ!!」」

 

「ふ、吹雪ー!!」

 

 




久しぶりに投稿することができました。さて春蘭を庇って怪我をした吹雪。彼はこの先どうなるのか。次回もお楽しみに!感想やアドバイス誤字脱字など気軽にお待ちしております


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沈む太陽

「「吹雪っ!!?」」

 

吹雪の胸は赤黒く染まり、そして吹雪は苦しそうな顔をしてしゃがみ込んでいた。

 

「だ、誰だぁ!!誰が矢を!?」

 

と、華雄は春蘭たちの後ろにいる兵たちを睨んだ

 

「ち、違う!俺じゃない!!」

 

「俺じゃねえぞ!?」

 

と全員が否定の声をあげる中、吹雪は腰のホルスターから南部14年式を取り出し。そして右側にある岩影のほうに向けた。そして春蘭たちはその方向を見るとそこには袁紹軍の兵がいた。

 

「お前は袁紹軍の!?」

 

秋蘭が驚く中

 

「よくも・・・・仲間であるはずの春蘭を狙ったな・・・・貴様・・・」

 

と、痛みを堪え吹雪はその袁紹軍兵士を睨む。吹雪は怒っていた。自分が弓矢で撃たれたからではない。自分が撃たれたことよりも同じ連合でありながら味方であるはずの春蘭を狙たことに怒っていたのだ。

 

「ち、違う!お、俺はただ・・・」

 

「問答無用!!」

 

うろたえる袁紹軍兵士に吹雪は拳銃の引き金を引きその兵士は心臓に弾丸があたり絶命した。すると吹雪は胸に刺さった矢に手をかける。そして吹雪はその矢を思いっきり抜き投げ捨てる。

 

「ぐっ!!」

 

「吹雪!!」

 

吹雪は痛さのあまり顔をゆがめると華雄がそばによるすると吹雪は

 

「だ…大丈夫だ。こんな傷・・・・大したことないよ」

 

「だが・・・・」

 

と笑って答えたが華雄は今にも泣きそうな顔をしていた。そして俺は軍刀を杖代わりにして立ち上がりそして春蘭の方を見る

 

「春蘭・・・・すまないな突き飛ばしてしまって。怪我はないか?」

 

「あ、ああ・・・・私なら大丈夫だ。しかし・・・」

 

「俺は別にいいんだ。矢も抜いたし、こんなの傷口洗って包帯巻いて止血すればなんも問題ない・・・・」

 

「お、沖田・・・・」

 

「じゃあ、またな春蘭。縁があればまた会おう」

 

そう言って吹雪は華雄に支えられながら、その場を去った。そして魏の兵士たちは虎牢関へと撤退する二人を追おうとはしなかった。その時、秋蘭は吹雪が投げ捨てた矢を拾って見ていた。

 

「っ!?この矢は・・・・」

 

秋蘭は吹雪に刺さっていた矢を見て何かに気付く。

 

「ま、待て沖田!!」

 

そう言い彼女は吹雪を追いかけようとしたが春蘭に肩をつかまれ止められる

 

「あ、姉者!?いったい何を・・・・・・・っ!?」

 

秋蘭は姉である春蘭の顔を見た。春蘭の目は涙でたまっていて、その一筋の涙が彼女の頬を伝っていたのだ。そして秋蘭は顔を下に向けて

 

「沖田・・・・すまぬ」

 

と、つぶやくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

華雄に肩を支えられたまま俺は虎牢関へと戻る。すると・・・・

 

「すまない・・・・・吹雪」

 

と、華雄がいきなり謝り始めた

 

「私が・・・・夏侯惇との一騎打ちなど受けなければ吹雪は・・・・すまぬ…本当にすまぬ」

 

と、涙を流し俺に言う華雄

 

「華雄のせいじゃないよ・・・・・ここは戦場だ。その戦場に入ったら怪我をするのは当たり前のことだ。だから華雄が気にすることはないよ」

 

と、俺はそう言い。そして俺たちは虎牢関にたどり着く。そして虎牢関の中へ入ると俺の様子を見た兵士たちが動揺し始め

 

「沖田様!負傷!!衛生兵!衛生兵はどこにいる!?」

 

と、慌て始めそして

 

「吹雪様!」

 

志乃がやって来た。俺はそのの顔を見て

 

「すまない志乃・・・・・不覚(・・)を取ってしまった」

 

俺がそう言うと志乃は俺の言いたいことに気が付いたのか

 

「・・・・・・・・では、吹雪様は後方へ下がってください。すぐに名医をお呼びします」

 

と、志乃は少し涙を抑えるような静な声でそう言うが俺は首を横に振った

 

「いや、兵たちが命懸けで戦っているのに、指揮官である俺が安全な後方へ下がるわけにはいかない。せめて敵の攻撃がやみ引き返すまでは俺は下がる気はないよ」

 

「しかし吹雪様・・・・」

 

「すまない志乃。だがお願いだ。俺のわがままを聞いてくれないか?」

 

と、吹雪は志乃に不適の笑みでそう言う。すると志乃は

 

「・・・・・・わかりました。けど万が一の為に衛生兵を隣につかせることをお許しください。鈴」

 

「はい。先生」

 

「すぐに洛陽に行って名医を呼んできてちょうだい。急いで」

 

「わかりました。あの街は私にとって庭のようなものです。すぐに良い医者を連れてきます」

 

そう言い鈴は頭を下げて走って洛陽の街へと走っていった。

 

「すまない・・・・・夕張」

 

俺は夕張を呼ぶと夕張がやってくるその目は涙で濡れていた

 

「…何?」

 

「例のあれを頼む。敵を驚かせたい」

 

「任せて。すぐに準備する」

 

そう言い夕張は敬礼をし部下を引き連れてある物の準備をする。そこに桜花がやってくる

 

「桜花・・・」

 

「はいっす!」

 

「斗志たちのほうはどうだ?」

 

「大丈夫っす!さっき伝令で呂布様を助けることに成功しました。それとアンチョビ姐さんも敵に大打撃を与えていま、北門へと戻ったって報告を受けたっす」

 

「そうか・・・・よかった・・・・桜花。頼みがある」

 

「何でも言ってほしいっす隊長」

 

「旭日旗を・・・・・・旭日旗をあげてみんなの・・・士気を高めてくれ」

 

「わかったす!すぐに準備するっす!ですから隊長もしっかりしてくださいっすね!」

 

「ああ・・・」

 

桜花は涙で濡れた顔を袖で拭き、そして元気よく答えてとあるところに向かった。さて・・・・俺も行きますか。俺は連合軍が良く見える城壁の方へと向かうのであった。

 

 

「突撃!!」

 

一方、北門では北郷軍は下がったが、孫呉の軍は今だ引いていなく激しい戦闘が行われていた。そして少数の銃士隊は小銃につけられた銃剣でそして剣だけで戦う抜刀隊は万歳突撃を敢行し、孫呉の精強な兵士たちと激しい戦いをしていた。

 

「はぁ!!」

 

「やぁ!!」

 

そしてその中、吹雪隊小隊長の一人アンチョビは太史慈相手に奮闘していたが、太史慈が北郷隊の兵が撤退したっと伝令に来た兵から聞くと

 

「・・・・どうやら、北門制圧は失敗したようね・・・・悪いけどこの勝負引き分けのようねアンチョビ殿」

 

「そのようだな。」

 

と互いに笑うと、アンチョビの部下が

 

「アンチョビ様・・・・」

 

と何やらひそひそとアンチョビに話す。するとアンチョビは少し動揺した顔をしたがすぐに冷静な顔になり

 

「わかった。斗志たちの兵もか?」

 

「はい・・・・」

 

「そうか。わかった。そう言うことだ。じゃあな太史慈」

 

「ええ、今度会う時は敵じゃなくて友として会いたいわね」

 

と、互いはそう言いやがて両方とも自軍の陣へと引き返したのだった。そして霞の方は、孫策と激しい一騎打ちをしていたのだが、霞のも部下から引き上げ命令が出たのだ。

 

「チィ、よう仕留めきれんかったか…、一騎討ちして初めてやわ、まあしゃあない、また今度楽しみにしておくで、孫策」

 

「それはこっちの台詞よ張遼、でも今度は決着つけるわよ」

 

と言いながら霞が撤退するのを追撃せず見送ると、孫策のもとに袁術の伝令兵がやってきて北門への攻撃を止めて南門を攻めよっとの命が来たのだ。

 

「まったく、あのお子様は・・・・・いずれぎゃふんと言わせてやるわ」

 

と、言いながら南門へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方、南門では、一度引いた連合軍はすぐに全兵力を南門へと集中させた。それを城壁で見ている吹雪額には白い鉢巻をしていた。横には志乃がいた。

 

「まさか袁紹本人が先頭を行くとわな・・・てっきりずっと後方にいると思ったが・・・」

 

「恐らく、先に汜水関を曹操殿に突破され、そしてさっき北門が北郷軍に突破されそうになり流石に焦ったのでしょう。・・・・それよりもいいのですか吹雪様。斗志や星。そしてお母上である恋様の到着を待っても・・・・」

 

「いや…残念だが今の俺には時間が残されていないよ・・・・現にあたりも少しぼやけて見えるよ。あはは・・・」

 

「・・・・」

 

志乃は吹雪の言葉になんも返さなかった。いや返せないのだ。志乃は今涙をこらえるのに必死のため吹雪の言葉に応えることができなかったのだ。

 

「さて・・・・いっちょ敵さんの前で演説でもするかな」

 

と、吹雪は敵に自分の見える位置へと立つ。連合軍は旭日の旗の前に吹雪が出てきた事に少し驚いた。そして吹雪は袁紹のいる方へ顔を向けそしてこう言った

 

「嘘の檄文に惑わされ己の名声や私利私欲のため集まったや連合軍どもよ!!これ以上、洛陽を侵略し、その街に住んでいる民たちの平和を壊すならばこの天の御使い!沖田吹雪が許さん!!」

 

と、吹雪が大声をあげると先頭に立っていた袁紹は驚いた。袁紹も彼の名を聞いたことがあるが、まさかあの時の温泉の時に会ったあの優男があの沖田吹雪だったとは思いもしなかっただろう。そして吹雪は袁紹の顔を見て

 

「連合軍総大将の袁紹よ!これ以上、侵略行為をするというのなら天の怒りの声を聞くことになるぞ!それが嫌ならさっさと国へと帰られ!!」

 

「お黙りなさい!我々は陛下やその民たちを董卓の暴政から救うために集まった官軍連合!そして我々は逆賊であり賊軍であるあなたたちを征伐するために来たのですわっ!!」

 

と、吹雪の剣幕に押されそうだった袁紹は名門の出のプライでのせいか意地になりそう答えた

 

「(賊軍か・・・・幕末時代の先祖の気持ちも少しわかるな・・・・)偽の檄文を鵜呑みにして、その事実を確かめもせず攻めて来た奴が偉そうに吠えるなっ!征伐できるものならしてみろ!袁紹!!!」

 

と吹雪がそう言うと

 

「言われなくてもしますわ!全軍突撃!!」

 

と、袁紹の命令で全軍が突撃をした。すると吹雪の後ろで

 

「吹雪!榴弾装填終わったわよ!」

 

「よし!砲兵第一射、撃ち方始めぇー!!」

 

吹雪がそう言った瞬間雲一転もない空にいきなりの雷鳴が響き渡った。銃士隊の銃撃音よりもはるかに大きい音だ。その音に連合軍の兵士は驚き中には腰を抜かすものも出た。そして何かが落ちるようなすさまじい金切り音が聞こえた瞬間。突如、二つの衝撃がして砲弾が落下した場所にいた兵士達を吹き飛ばし、そこにいた兵士たちはばらばらとなって一瞬で死んだ。

 

「「「っ!?」」」

 

一瞬の出来事に連合軍兵士たちは動揺し動きを止めた

 

「動きを止めた今が好機!銃士隊!弓体!迫撃砲隊!敵が撤退するまで撃ち続け!!」

 

と、夕張の指示で隊士たちは連合軍に攻撃をする。そして攻撃部隊が撃ち続ける間

 

「砲兵第二射、榴弾装填完了!準備良し!」

 

「撃てぇー!!」

 

夕張がいい、そしてまた大きな雷鳴が響き渡り、そして何かが連合軍兵士に降り注ぎ、そしてあたりは紅い血の雨と化した。

 

「な、なんですの、あ、あれは・・・・・」

 

袁紹はいきなり目の前にいた多くの友軍がことごとくやられるのを見て驚き冷や汗をかく。すると

 

「袁紹様!これ以上の攻撃はお味方を減らすだけです!ここは撤退を!」

 

と、軍師である田豊がそう言った

 

「で、ですが・・・撤退などと」

 

「そんなことを言っておられる場合ですか!いずれはここにも敵の謎の攻撃が降り注ぎます!」

 

「わ、わかりましたわ!全軍撤退ですわ!」

 

そう言い連合軍は撤退するのであった。

 

 

 

 

「敵が引いていきます!」

 

「やったわ!」

 

と、敵が引いていくのを見て董卓軍は歓喜の声をあげた

 

「それにしても。すごいわね・・・・この大砲って言う武器。作るのはかなり大変だったけど、やりがいはあったわね・・・・」

 

と、夕張は自分の隣にある大砲を見てそう言った。そう。あの音の正体は大砲により砲声だった。しかもその大砲は史実での旧日本軍の大砲。三八式野砲だった。三八式野砲は旧日本軍が1905年(明治38年)に正式採用された日本初の駐退復座機を装備し、太平洋戦争終結まで使われた野砲である。因みに火薬は無煙火薬は作れなかったため単発式ボルトアクションと同じ褐色火薬である。因みに夕張が三八式野砲の設計ができたのは天水で見つけたあの旧日本兵が書き残した設計図がおおもとの理由である。さすがの夕張も駐退復座機を作るのにかなり手こずったため今ある三八式野砲は三門だけであるがこの時代にとって単発式ボルトアクションの小銃や木製迫撃砲と並びチート級の兵器であり脅威であろう。

 

 

「隊長!敵が引いてきます!。我々の勝利です!」

 

と、桜花が旭日旗を振りながらそう言う。

 

「そうか・・・・・敵は引いたか・・・」

 

と俺は城壁から連合軍が引いていくのをこの目で見た。この日はもう夕暮れで空が血のように赤かった。そして俺は

 

「日が・・・・・沈むな・・・・」

 

だんだんと沈む太陽を見て、俺がそう言った瞬間、急に何かが喉からこみ上げた。俺は手で口をふさぐ。すると何か生暖かいものが俺の手に伝わり俺は自分の手を見た。俺の手は赤黒く染まっていた。そう血だ・・・・すると俺の意識はどんどん遠のいていき、急に視点が真っ赤な空を写した。そうか今、俺は倒れているのか・・・・そして俺が最後に目にしたのは、涙を流して俺の顔を覗き込み、俺の名を呼ぶみんなの姿があった。その景色を最後に俺は瞼を閉じたのであった・・・・・・

 

「(母さん・・・・・月・・・・ごめんな・・・・)」

 

それがこの時、俺が思った言葉であった・・・・・

 



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傷つく子虎、怒る母虎

連合軍の兵たちが引いたその夜。北門を守っていた恋たちは伝令兵から吹雪が負傷し倒れたっということを聞き急いで南門へと向かった。

 

「(吹雪・・・・・・吹雪!!)」

 

その中で恋は愛する我が子である吹雪のいる北門へと走っていた。恋は吹雪が負傷し倒れたっと聞かされた時、顔を青くし信じられないっという顔をしていた。池田屋でも黄巾の乱でも無事に帰って来た子が倒れた。そのことが嘘であってほしい恋はそう思った

 

「(いやだ・・・・・総司に続いて吹雪まで失うなんて・・・・)」

 

愛した夫にも先立たれ最愛の息子までも自分の元から消えて失ってしまうなど恋は認めたくなかった。そして南門へと着き恋は吹雪が運ばれたという部屋にたどり着く

 

「吹雪っ!?」

 

恋は力強くそのドアを開ける。そしてその部屋には吹雪隊幹部他に夢華や霞に華雄もいた。

 

「呂布・・・・」

 

「恋様・・・・・」

 

その場にいたみんながそう言った。そしてみんなの顔には元気がなく暗い表情だった。そして恋は静かに歩き吹雪のいるベットに歩き出し、そこで目にしたのは胸を包帯で巻きただ静かに目を閉じた息子の姿だった。

 

「吹雪・・・・」

 

あの伝令が本当だったと知り恋は目に涙をためそして真珠のような涙を流す。

 

「なんで・・・・吹雪が・・・・」

 

恋が聞くと志乃が答えた。

 

「はい。吹雪様は毒矢にやられたのです。華雄様の話では曹操軍の夏侯惇との一騎打ちのさい隠れていた袁紹軍の残党に狙撃されたとのことです。しかも卑劣にもその袁紹兵は味方であるはずの夏侯惇を狙い、吹雪様はそれを庇って・・・・・」

 

志乃が涙を流しそう言うと

 

「吹雪・・・・吹雪!!」

 

恋は涙を流しながらしゃがみ込み吹雪の手を握る。すると・・・・

 

「すまない呂布!!私がついていながら!!お前に吹雪は絶対に守るって約束をしたのに!!私のせいで・・・私が夏侯惇の一騎打ちに負け捕虜になりそうになった私を助けるために吹雪は・・・・!!」

 

と地面にめり込むぐらいの勢いの土下座で華雄は涙を流し呂布に謝る。華雄も吹雪のことは実の弟みたいに可愛がっていたため吹雪が自分を助けるため怪我をし倒れて以来ずっと悔やんでいたのだ。

 

「華雄・・・・のせいじゃない・・・・そう・・・・やっぱり吹雪は吹雪だったのね・・・・・総司の死を知った時は受け入れたのに・・・・けど…吹雪まで死んじゃうなんて・・・」

 

「うわぁ~ん!!兄上!!兄上!!」

 

「うっ・・・・ぐス・・・・」

 

恋が泣きながらそう言いねねは大泣きをしみんなも泣いていた。ねねは初めは吹雪をライバル視していたがともにいるうちに実の兄のように彼を慕っていたからだ。そしてみんなは吹雪が死んだと思い、まるで葬式のように暗くなっていた。すると・・・・

 

「あの・・・・ちょっといいか?暗い雰囲気のところ悪いんだが彼は死んでいないぞ?」

 

と、先ほどから隅っこにいた赤髪の青年がそう言う

 

「「「え?」」」

 

と、その青年の言葉にみんなは驚きその青年の方を見る

 

「・・・・・だれ?」

 

恋がそう言うと

 

「ああ、申し遅れた。俺は華佗。医者をしている。旅の途中洛陽で休んでいた時急にこの子に見てもらいたい人がいるって言われてね。」

 

といい、鈴の方を見た。そう。鈴はあの後洛陽の街の隅から隅へと探し回り待ちの人から旅をしていた名医がこの街にいると聞き急いで華佗の所へ行きここへ連れてきたのだ。

 

「そう・・・・で、吹雪が死んでいないってどういうこと?」

 

恋がそう言うと華佗は何かを取り出した。それは穴が開いてズタボロになり血で染まった日本のお守りみたいなものだった。

 

「それは・・・・恋が吹雪にあげたお守り・・・・」

 

「そうだ。矢が刺さっていたところにこれがあった。これのおかげで矢の先は心臓の寸前で止まりさらに矢についた毒の大半はこのお守りって言ったか?それの袋に付着していた。だから彼の中に入った毒はほんのわずかで死に至る量じゃないし、今薬を塗ったからもう大丈夫だ」

 

「じゃあ・・・・」

 

「ああ。息子さんは助かりますよ」

 

その言葉を聞きみんな安心した顔になる。そして恋は吹雪にあげたお守りを見て

 

「(総司・・・・・ありがとう)」

 

と、心の中でそう言った。

 

「華佗っといったか?ありがとうな吹雪を助けてくれて」

 

と、川内がそう言うと

 

「いや、お礼は薬を持ってきた人に言ってくれ」

 

「薬?この薬はあんたのじゃないのか?」

 

「ああ、この薬はとある人が持ってきたものでな。まあ、とにかく今、彼は絶対に安静だな。それじゃあ、俺はもう行くよまた何かあったら呼んでくれ」

 

と、そう言い華佗は部屋を出たのであった。そしてみんなは安心したのかふ~っと息を拭くそしてみんなまだこの部屋にいて吹雪の看病をしたいところだが何しろ敵が迫ってきているため持ち場に戻るのであった。

 

「おい、呂布ッちいくで」

 

「霞・・・・・悪いけどもう少しだけいさせて・・・・・」

 

「?ああ、わかったで。うちは先に行ってるから気が済むまでここにいてや」

 

「ありがとう・・・・・」

 

と、恋は礼を言い霞は部屋を出た。そして霞は部屋を出てからも「良かった・・・良かった」と涙ぐみながら持ち場へと向かい今部屋に残ったのは吹雪と恋だけであった。

 

 

 

「それにしてもよかったすね隊長に命の別状がなくて、一時はどうなるかと思ったすよ。なあ、斗志?」

 

「ああ・・・・」

 

と、吹雪隊幹部の斗志と桜花が話

 

「うむ・・・・私も吹雪殿が無事でよかった・・・・・それにしても許すまじ袁紹軍」

 

「私もだ。毒を使うなんて卑怯だ!それでもあいつらは軍人か!」

 

と星とアンチョビがそう言う。すると・・・・

 

「と、斗志さーん!!」

 

と、美佳がやって来た。

 

「おお、美佳か、どうしたんだ?」

 

と、川内がそう訊くと美佳は荒息を立てて

 

「はあ・・・・はあ・・・それが私たちの兵たちが・・・・すぐに虎牢関を出て連合軍を叩き潰したいっと騒いでいます・・・・もう、私と夕張じゃ手におえなくて・・・・・・」

 

というと桜花と斗志はため息をつく

 

「まったくあいつらは・・・・・・」

 

「血の気が多いのも問題ね・・・・・桜花、私は彼らを説得しに行くから。敵の見張りよろしくね」

 

そう言い、隊士たちのいるところへ行くのだった。そして斗志たちが第三師団の隊士たちのもとに出ると隊士たちが

 

「副長!!すぐにでも出撃命令をください!!」

 

「そうです!隊長の仇を取らせてください!!このままここで防御線するのは私たちの気が収まりません」

 

「そうだ!!すぐにでも出撃して連合軍の連中を血祭りに!!」

 

「鬼畜連合軍だぁー!!」

 

と騒ぎ始めた。皆吹雪の命は助かって安心したのだが、吹雪に毒矢を使うっという卑劣なやり方に頭に着ていたのだ。すると

 

「待ちなさい!!今行けばここを守る兵が少なくなるわ。」

 

「何を言っているのですか副長!!連合軍恐れるにあらず!!我が部隊には銃や大砲だってありますそれを使えば・・・・」

 

「馬鹿者!!」

 

『っ!?』

 

と、斗志の怒声に隊士たちは顔を強張った。

 

「あの武器は身を守るため・・・・防御のためのものだ!!敵を皆殺し、惨殺するためのものではない!!そんなことして仇を討っても隊長が喜ぶと思っているのか!!」

 

「副長は悔しくないのですか!?」

 

「悔しくないわけないでしょ!!私だってあいつらの首を取りたいよ!!」

 

「でしたらなぜ!?」

 

と、隊士たちがそう言うと、斗志はふっと一息入れ、

 

「では訊く。あんたらの剣は何のためにある?敵を殺すだけにあるのか?国を守るためか?漢王朝のためか?私は違う・・・・・あんたたち覚えているか?天水や洛陽のころ、行き場を失い、職も失い、学もないただ剣をふるうだけしかなかった野良犬同然だった私たちを温かく迎えてくれて職につかせてくれたのは誰だ?どんな劣勢であっても己が危ない状況に会っても私たちを見捨てなかったのは誰か?なくした誇りを取り戻してくれたのは誰か?漢王朝でも陛下でもない。私の大将は月様を除いてあの人だけだ。だから私は隊長の信念を貫きたい。この力を攻めではなく往復のためではなく守りのために使いたい。気に食わないならこの部隊から脱退してもかまわないわ。私は止めない」

 

そう言い、斗志は部屋を出た。そしてそれを聞いた隊士たちは深く黙っているのであった。そして城壁では桜花たちが見張りの兵が凍えないように焚火をしていた。

 

「斗志さんたち大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫っすよ鈴。あいつああ見えてしっかりしてるっすから。それより異常はないっすか川内」

 

「大丈夫よ。敵さんさっきの大砲?だったけその音と威力を知ってから動かなくなってるよ。それよりも星。目づらしいわね昔のあなたならすぐに『主の仇だ!』とか言って突撃してたのに?」

 

「まあ、黄巾の乱の後、私もいろいろ変ったからな。それに私たちの任務は防衛であって連合軍の殲滅ではない。・・・・川内。私も斗志たちの言う通りここにいるのは吹雪殿が好きだからだ。だが、あの方は人がいいところがある。いいところを見つけるのが得意だが悪いところはあまり見ない。まるで子供のように純粋な方だ。だから私たちの部隊は私たちみたいないたずらっ子みたいのがいて丁度いいのだ」

 

「ふっ・・・・違いないわね」

 

と、星たちは笑う。

 

「そう言えば星。さっき吹雪のこと好きだと言ってたけどそれって」

 

「それはご想像に任せるよ美佳。それより志乃たちはどこに行った?」

 

「ああ、志乃先生なら、夕張とアンチョビさんを連れて劉備陣営に行きました。なんでも劉備に話があると・・・・」

 

「そうか・・・・上手くいけばいいのだが・・・・」

 

と、星は星空を見上げるのであった。一方、連合軍袁紹陣営では・・・・・

 

「袁紹はいるかしら!!」

 

と天幕から華琳が入って来た。

 

「あら曹操さん?何か御用ですの?」

 

と、袁紹がそう言うと曹操はバンッと机の上に矢を置いた

 

「曹操さん?この矢なんですの?」

 

「あんたの部下が私の春蘭にはなった矢よ。そしてこの矢の先に毒が塗ってあったわ。」

 

「毒ですって?それでその人は無事なのですか?」

 

「ええ、沖田に助けられたわ」

 

「沖田・・・・そう言えば曹操さん!?あの時の優男が董卓軍の者だとなぜ言わなかったのですか!?」

 

「あなたに話すと思う?それよりも袁紹。あなた毒矢を使うなんて恥ずかしいとは思わないの!!あなたそれでも名門といわれた袁家の姫なの!?毒矢を使うのがあなたの言う可憐な戦い方なの!!」

 

と華琳がそう言うと

 

「私を見損なわいでくれます曹操さん!!私は誇りある袁家の当主ですわ!!どんなに屈辱を味わっても戦闘にに毒矢を使うなんて私はしませんわ!!毒矢を使ったのは私利私欲に溺れた恥知らずがやったことで私は命じていませんわよ!!」

 

と、華琳に言った。そして袁紹の目をじっと見ていた華琳は

 

「嘘はついてなさそうね。わかったわあなたの言葉一応信じるわ。」

 

そう言って華琳は袁紹の後ろを向き、天幕を出る際

 

「それとね袁紹。たとえあなたの命であってもなくてもあなたは怒らせてはいけない武将を怒らせたっとだけ言っておくわ」

 

そう言い天幕を出るのであった。

 

 

 

一方、吹雪がいる部屋では静かに寝る吹雪に恋が看病していたが、恋は静かに椅子から立ち上がり吹雪の頭をそっと撫でて

 

「じゃあ、吹雪・・・・・恋は・・・・・お母さん行くね」

 

そう言い恋は優しい顔を見せた後、方天画戟を手に取り、部屋を出た。そして部屋を出た際、彼女の体から殺気が流れ始め

 

「袁紹・・・・・・許さない」

 

そう言い、城壁のところまで歩くのだった

 

 

 

 



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その夜の連合

久しぶりに投稿できました。


吹雪が倒れたその夜。皇帝の住む屋敷のとある部屋では張譲と王允が話していた

 

「そうか・・・沖田は毒矢で倒れたか王允?」

 

「はい。しかし残念ながら華佗とかいう医者のせいで完全に息の根を止めることができませんでした」

 

「いや、あの邪魔者である沖田吹雪が前線を離れるんだ。これに越したことはない」

 

「それよりも張譲様・・・・董卓を始末した後、ここを収める太守は誰にするつもりなのですか?」

 

「うむ。俺がなるって考えたがやはり傀儡政権の方が何かと都合がいい。それに天の御使いっという看板も必要だ。だから私はあの劉備を引き入れるつもりだ」

 

「劉備?劉備っと言いますとあの義勇軍の大将ですか?」

 

「ああ。聞けばあの劉備は中山靖王の末裔・・・つまり劉脇様の遠い親戚にあたる。それに沖田とは違う天の御使いもいるし劉備はお前が調べてくれた所、ぬけているみたいだし傀儡は簡単だろう?」

 

「た、確かにその通りですが、あまりお勧めはできません・・・・」

 

「ん?なぜだ?」

 

「はい。実のところ私は劉備軍の兵に変装し探ったのですがあの劉備と白き天の御使いはあの沖田と同じ匂いがします。」

 

「同じだと?あの二人がか?」

 

「はい。あの二人は顔や性別も違いますが、あの二人はどことなく沖田と同じ似たようなところが見えます。もし彼らを傀儡させるのは難しいかと。それどころかいつか張譲様に弓を引きます。そのため私はあまりお勧めしません」

 

「そうか・・・・・お前がそう言うのならそうであろう・・・・・で、誰なら問題ないのだ?」

 

「曹操や孫策は切れ者で馬騰は勘が鋭いですので無理です。となると残りは・・・・・」

 

「袁紹か袁術だな?」

 

「はい。二人とも袁家の名門。それに単純な連中ですから操りやすいかと・・・・・」

 

「そうか確かにお前の言う通りだな。だがあいつらは単純とはいえ多くの兵を抱えておる。反旗を翻したら厄介なのでは?」

 

「その件なら、ご安心ください。すでに舞台は整っております。彼女は故意じゃないとはいえあの飛将軍呂布が可愛がっていた沖田を傷つけた・・・・となると・・・」

 

「なるほど・・・・流石は我が右腕である王允。手際がいいな・・・」

 

と、張譲は薄気味悪い笑みでそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ふ、吹雪が重傷!?」

 

「そ、そんな・・・・吹雪さんが・・・」

 

一方、その頃、別の所では月や詠が伝令兵から吹雪の負傷を聞いて驚いていた。

 

「はい。今、あまりの怪我で戦線に置くことができず、今から離脱し洛陽の屋敷の個室に移らすらしいです。では私は戦場へと戻ります。これにてご免」

 

「そう・・・・わかったわ」

 

そして伝令兵が去った後、

 

「はう・・・・」

 

「月っ!?」

 

月はあまりのショックで座り込んでしまう。それを見た詠が月に寄り添い支える。

 

「だ、大丈夫詠ちゃん・・・・」

 

と、彼女はそう言うもその顔は不安でいっぱいの顔だった。すると・・・・

 

「詠ちゃん・・・・吹雪さんは・・・・吹雪さんは」

 

と、涙目でそう言う月に幼馴染である詠は月を抱きしめ

 

「大丈夫よ月・・・・あいつが、吹雪なら大丈夫よ。またいつものようにけろっとした顔で月のもとに戻ってくるから・・・だから月はこんなところで泣いちゃだめだよ・・・・あいつが戻ったら元気な笑顔を見せてあいつを出迎えるんでしょ?」

 

と月を励ます。そして

 

「(吹雪・・・・・死んだら許さないんだからね・・・・)」

 

詠自身も彼の身を案じていたのであった。

 

 

 

 

 

一方、連合軍袁紹の天幕では

 

「こうなったら!もう一度総攻撃をしますわよ!!」

 

「え”!?姫まだ総攻撃をするつもりなのか!?」

 

と、袁紹の言葉に傷が癒えて、また最前線に復帰した文醜が驚いてそう言う

 

「当たり前ですわ!汜水関をあのくるくる娘に先取りされた挙句、虎牢関を危うく無名の義勇軍ごときに突破されそうになったのですのよ!」

 

「ですが袁紹様。また突撃してはまたあの謎の爆発にやられるだけですよ?」

 

「お黙りなさい!!あんなのはただの気のせいですわ!負け戦のあまり兵士たちは幻を見たのですわ!!」

 

「ですが現に我々のお味方も減っていますし、ここは諦めて撤退されては?」

 

「名門袁家に撤退のに文字はないですわよ田豊さん!誰が何と言おうとここは総攻撃ですわ。無論我が袁紹軍を先頭にね!!いいですわね!!」

 

と、袁紹は家臣の言葉に耳を傾けようとはしなかった。それどころか自分がいち早く虎牢関を陥落させることに固執してしまっていたのであった。だがこの決断が後に袁家にとって大きな被害をもたらすことは誰も知らなかったのであった。

 

 

曹操陣

 

「・・・・どう桂花。虎牢関の方は?」

 

「はい。いまだに大人しいです。しかし翌朝にはかなり激しくなると思います。あの馬鹿が向こうを怒らせることをしたので・・・・・」

 

と、桂花がそう言うがどことなく怒りの表情が見えていた。彼女だけではない春蘭から沖田のことを聞き沖田となじみが深い魏の幹部たちは毒矢を使って春蘭を狙ったことに対して少し怒っていたのだ。

 

「そう・・・・・で、明日の攻撃は控えて後方に下がった方がいいわね」

 

「華琳様!?いったい何をおっしゃるんですか!?」

 

華琳の言葉にもう一人の軍師である郭嘉が驚いてそう言う、すると程昱は

 

「なるほど・・・・確かにそのほうがよさそうですね・・・・明日はいささか大嵐が来ると思いますので後ろに下がった方がいいと思いますね・・・・」

 

「風!あなたまで!?」

 

と、そばにいた程昱の言葉にまたしても驚く郭嘉。すると程昱は郭嘉の顔を見て

 

「凛ちゃん。まだわからないのですか?今の虎牢関には我が子を傷つけられて怒り狂っている母親がいるのですよ?今突っ込めば猛虎と化したその母の牙や爪に引き裂かれるのは自明の理なのです」

 

「我が子?それに母親って風。あなたは何を言っているの・・・・・」

 

「凛ちゃん気が付かなかったのですか?あのお兄さんは恐らく飛将軍と深いつながりがあると思うのです。そうですよね華琳様?」

 

「ええ、よくわかったわね。凛。実はね吹雪はあの呂布の息子なのよ」

 

華琳の言葉を聞いて郭嘉は目を丸くした。郭嘉も呂布の強さは風の噂に聞いたことがある。しかも黄巾の乱の時呂布は3万人いる敵をただ一人倒したって言う話は有名だ。しかも先ほどあった天の御使いである沖田吹雪が

 

「なんと・・・・・吹雪殿があの呂布の息子!?本当なのですか!?」

 

「ええ。間違いないわよそれとも私が嘘をついていると言いたいのかしら?」

 

「い、いいえ!決してそんなことは・・・・」

 

「まあ、いいわ・・・・・・・で、凛。これでも前線に行くべきと?」

 

と、華琳はいたずら笑みでそう言うと、郭嘉は苦笑し

 

「・・・・いえ確かに華琳様の言う通り今は向かうべきではありませんね・・・・・」

 

と言い、会議の結果、曹操軍は翌朝の攻撃には参加せず後方へ下がることにしたのだった。

 

「兄ちゃん大丈夫かな・・・・・」

 

「隊長・・・・」

 

一方、凪や季衣たちは吹雪のことを心配していた。それを見た華琳は

 

「(吹雪・・・・・あなたはここで・・・・毒矢なんかで死ぬような人じゃないでしょ?)」

 

と、華琳も吹雪のことを心配していたのであった・・・・・・

 

 

一方、劉備軍では

 

「なんだったんだろ…あの爆発・・・」

 

「はわわ・・・すごい音でしたね・・・・」

 

と、劉備たちは先ほどの大砲の砲声に驚いていた。

 

「あわわ・・・・ご主人様。あれは何かわかりますか?」

 

と、龐統が北郷に訊くと

 

「…‥あれは大砲だ・・・」

 

「大砲ですか?」

 

「ああ、さっきの銃ってやつを大型化させた奴で銃と同じく、鉄の弾を撃つ兵器だよ。威力も射程も銃の倍だ」

 

「はわわ!あの銃よりも強力なのですか!?」

 

「何か手立てはないのですか?」

 

孔明が驚き関羽は北郷に対処法がないかと訊く

 

「……正直言ってない。でもさっきの銃同様に撃つ弾はそんなに無いと思う・・・・・」

 

と、北郷はそう言い先ほどの戦闘を思い出す

 

「(沖田の奴・・・・・銃に続いて大砲なんて反則だろうが、いったい、いつ、どうやってあいつは銃や大砲の製造方法を知ったんだ?沖田は俺と同じくらいの歳なはずなのに・・・・)」

 

と、北郷がそう心の中でそう呟いた彼の年齢から見ても歳が近いただの学生のはず、そんな彼がなぜそんな近代兵器の製造法を知っているんだっと北郷が不思議がっていた。すると・・・

 

「失礼します!」

 

と門番の兵士が入って来た。それを見た関羽は

 

「どうしたんだ?」

 

「はっ!劉備様に客人が来ております!」

 

「え?私に?」

 

「はい。なんでも劉備様に話があるとかで・・・・」

 

「わかったわ。呼んできてくれる?」

 

「はい。直ちに」

 

と、そう言って門番は天幕を出る

 

「桃香様、客人で誰でしょうか?」

 

「さぁ~孫策さんかな?それとも曹操さんかな?」

 

と、劉備が首をひねってそう言うと天幕から一人の少女が入って来た。その少女を見て劉備は嬉しそうな顔をしその少女に近寄り名を呼んだ

 

「あー!!パイパイちゃん!」

 

「白蓮だっ!昔共に机を並べて学んでいた仲なのに真名を間違えないでくれ!」

 

そう、劉備に会いに来た客人とは董卓軍の捕虜となっているはずの公孫瓚であった。名前を間違えられて怒る公孫瓚に劉備は苦笑して

 

「ごめんごめん・・・・それよりも白蓮ちゃん。最近姿が見えなかったから、噂で戦死したか董卓軍の捕虜になったって聞いてたけど?」

 

と、劉備は心配そうに訊きみんなはうんうんと頷く。すると公孫瓚は小声で

 

「私、董卓軍の捕虜になっていたのに・・・・みんなそのことに誰も気が付かなかったのか?」

 

と、公孫瓚は少し涙目になり乾いた笑みでそう、呟いた

 

「え?」

 

「いや。なんでもない」

 

「そっか。・・・・・で白蓮ちゃん。一体何しに来たの?」

 

と、劉備が公孫瓚にそう訊くと公孫瓚は真剣な顔をする

 

「・・・・・・桃香。実はなお前に合わせたい人がいるんだ」

 

「合わせたい人?」

 

と、劉備が首をかしげていると、天幕から銀髪の長い髪をした少女を先頭に護衛らしき少女が二人入って来た。それを見た劉備、特に軍師である孔明と龐統が驚く。そしてその三人の一人が劉備に頭を下げ

 

「初めまして劉備殿。そしてもう一人の天の御使いである北郷一刀殿・・・私は司馬懿。董卓軍第三師団師団長であり天の御使いの一人である沖田吹雪様の軍師を務めるものです」

 

そう、公孫瓚が会わせたい人物とは吹雪の軍師である司馬懿こと志乃であったのだった。

 



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警告

劉備たちの天幕に公孫瓚がやって来た。久しぶりの親友と出会え喜ぶ劉備だったが、公孫瓚はある人物を劉備に合わせたいと言い、そして天幕の外で待っているその人たちを呼んだ。そして天幕に入って来たのは朱里や雛里の姉弟子である司馬懿こと志乃とその護衛であるアンチョビと夕張の三人が入って来たのだった。

 

「はわわ!し、志乃お姉ちゃん!?」

 

「あわわ!それにアンチョビお姉ちゃんも!?」

 

二人は驚いた。それはそうだ今敵である姉弟子の彼女が今自分の目の前にいるのだから。

二人は驚いた。それはそうだ今、敵である姉弟子の彼女が今自分の目の前にいるのだから。すると関羽は志乃たちを睨み

 

「敵軍である貴殿が一体何の用だ!」

 

と、関羽が怒鳴るが、アンチョビが志乃をかばうように前に出て関羽を睨み

 

「使者に対しいきなり武器を向けるのはいささか感心しないな関羽」

 

と、今にも剣を抜く構えをし警戒する。すると

 

「愛紗ちゃん!ちょっと待て!」

 

と、劉備が関羽を止めるが

 

「桃香様!こいつらは敵なのですぞ!なぜ止めるのです!」

 

とそう言うと今度は北郷が

 

「待て、愛紗。愛紗さっき虎牢関から戻った時、俺が『来客が来るかもしれない』って言ったのを覚えているか?」

 

「え?はい。確かにそうおっしゃってましたが・・・・・まさか!?」

 

「ああ、その来客が彼女たちなんだ」

 

そう、先ほど虎牢関での戦いの時歳から手紙を受け取った北郷。その手紙は沖田からの手紙でありそその内容は『近いうちに使者、もしくは俺自ら君らに話したいことがある』っと書かれていたのだ。それを知った北郷は天幕に戻った後関羽たちに来客が来るかもしれないと言っていたのだ。

 

「えっと司馬懿さんだったけ?・・・・・手紙は読んだよ。そう言えば沖田はどうしたんだ?」

 

北郷の言葉に志乃は少しぴくッと身体を動かしたがすぐに冷静な顔をし

 

「吹雪様はいま、どうしても外せない用事のため本日は来られず代理に私が来ました」

 

「そうなのか・・・・・・で、要件ってなんだ?」

 

北郷がそう言うと志乃がいったん目をつぶりそしてこういう

 

「単刀直入に言います北郷殿。そして劉備殿。直ちにあなたたちは軍は直ちに虎牢関から兵を退きなさい。要件はただ一つです」

 

「な、なんだと!?貴様!今なんて言った!」

 

と関羽は怒り青龍偃月刀を志乃に突きつけた。すると後ろにいるアンチョビは剣を抜き夕張は腰に差していた自作のリボルバー拳銃を関羽に向けた。

 

「言葉通りの意味です。これは警告です。これ以上の侵略行為をするのなら私たちは一切の容赦もなくあなたたちを殲滅します」

 

「侵略行為って・・・・・私たちは洛陽の街で暴政をして街の人たちを苦しめている董卓さんを倒しに来ただけだよ」

 

と、劉備が言うのだが

 

「実は桃香、そのことなんだがどうやら私たちは嵌められたみたいなんだ」

 

「え!?どういうことなの白蓮ちゃん」

 

公孫瓚の言葉に劉備は聞き返す

 

「私は先ほど洛陽の街を見たが董卓が暴政をして洛陽の街は荒んでいるのは真っ赤な大嘘だった。私たちは袁紹に騙されたんだよ」

 

「そんな・・・・それ本当なの白蓮ちゃん」

 

「ああ、この目でしっかりと見て来た。だからこの戦いに正義はない…ただ私利私欲の集まった奴らしかいない連合なんだ」

 

「そんな・・・・・」

 

公孫瓚の言葉に劉備はショックを受けた。民を助けるためにこの連合に参加したはずが実際には袁紹の侵略行為に加担していたっということになるからだ。すると劉備は志乃の方へ顔を向けて

 

「あの司馬懿さん。」

 

「なんですか劉備殿?」

 

「今から話合いとかはできませんか?今から話し合えば・・・・」

 

「話し合ってどうするおつもりですか?有利な方へ寝返るつもりなのですか?」

 

「違います!私はただそんな意味のない戦なら、話し合いで解決すべきだと思ったんです」

 

「俺もそう思う司馬懿さん。俺からも頼む」

 

志乃たちは桃香の発言に唖然とし、そして横にいた朱里や雛里も

 

「はわわ!ご主人様!桃香様!何を言っているのですか!?」

 

「あわわ!」

 

と、驚いてそう言う。すると志乃は

 

「お二人とも・・・・・本気で言っているのですか?」

 

と、鋭い視線でそう言うと二人は頷く。すると志乃は二人の前に出て

 

『ばっちーん』『ばちーん!!』

 

と、思いっきり二人の頬を引っ叩いた。そして・・・・

 

「甘えるのもいい加減にしなさい!!」

 

と怒鳴る、いきなり頬を叩かれた二人は唖然とした顔で志乃を見る。すると志乃は

 

「あなたたち、黄巾の乱で少しは成長したかと思えば何も成長していないじゃないですか!あなたたち二人が今言った言葉は自分たちが有利な・・・安全な立場に逃げて話し合いしましょうと言っているものです!それも自分たちの力では無く、他人の力を利用しての言葉です!そんなものは話し合いではありません!」

 

と、そのは怒ってそう言う。すると志乃は

 

「劉備殿。以前、吹雪様にあなたの理想を訊かれたとき、あなたは何と答えましたか?」

 

「・・・・・誰もが笑って暮らせる世界です・・・」

 

「そう、あなたの今の現状はのところそれを成し遂げるための方策や力を持っていません。そのためあなたは他者や仲間の力を利用するのもわかります。それは誤りではないでしょう。ですがあなたの場合は自分の目で真実を確認せず、それを他人に任せることに依存しすぎています。ですからあなたの言葉には一切の重みを感じられません」

 

ぴしゃりと二人に言う。すると志乃は

 

「私はこう見えて吹雪様同様、あなた方の理想に期待はしています。ですが今の状況、自分の目で確認をせずただ他者に言われたことを鵜呑みにするようではだめなんですよ」

 

志乃はそう言うと二人は少し暗い表情にある。すると志乃は頭を下げ

 

「すみません、少し血が上りすぎたようです」

 

と、謝罪するが北郷は首を振って

 

「いいや、確かに司馬懿さんの言うと通りだな・・・・俺たちも少しみんなに甘えすぎていたみたいだな」

 

と、そう言うと劉備は孔明に顔を向けて

 

「朱里ちゃん。この連合を止める方法はないの?」

 

「はわわ・・・残念ながらそれは難しいかと思います。あの檄文のせいで世間では董卓軍は逆賊となっていますからそれを征伐する連合軍を無理やり止めれば私たちも連合に謀反起こした逆賊という扱いを受けます」

 

「そう・・・・・すみません司馬懿さん。私が無知だったばっかりに・・・」

 

と、劉備は志乃に頭を下げるすると志乃は

 

「劉備殿、北郷殿。私たちはただ虎牢関から兵を引けっと言っただけで連合を脱退しろとは言っていませんよ」

 

「え?どういうこと?」

 

「つまり私たちが言いたいのは虎牢関から兵を退けた後、なるべく劉備軍はこの戦闘には加わるなっと言っているだけです。それだけを言いに来たのです」

 

「え?でもなんで?」

 

「おそらく明日は血の雨が大量に振ることになるでしょう。ですからなるべく義勇軍の方々に犠牲が出ないよう、私たちは忠告に来たのです。では、警告はしました。我々はここを立ち去ります。それと劉備殿、北郷殿先ほどの平手打ちの無礼誠に申し訳ございませんでした。では・・・・」

 

そう言い志乃たちは天幕を出ようとした。すると

 

「待ってください志乃お姉ちゃん!」

 

と、孔明が呼び止める龐統もあとに続く

 

「何、朱里?」

 

「どうして私たちに・・・・他の軍ではなくて私たちに忠告してくれたんですか?」

 

朱里にはわからなかった、昔同じ塾に通っていた姉妹同然だった間柄とはいえ、なぜ今敵同士である私たちにあんな忠告をしてくれたのかを。すると志乃は

 

「簡単よ朱里。あなた達の主の理想を私の主が買って認めているいるから・・・だから数少ないその理想をここでなくすわけにはいかないわ。彼女の理想は平和な世で発揮される。恐らく吹雪様がここにいたら同じことを言っていたわ」

 

「志乃お姉ちゃん・・・・・」

 

「それと朱里、雛里。主が道に迷いそうなときまたその道から外れそうなときは叱責し戒め支えるのも軍師の務めよ。それを忘れないでね」

 

と、そう言い志乃たちはそのまま虎牢関へと戻って行った。その様子を孔明や龐統はただ見つめているのであった。一方北郷たちは

 

「どうするご主人様?」

 

「・・・・・とにかくここは司馬懿さんたちの言う通り虎牢関からいったんはアレ後方へ下がろう。愛紗もいいな?」

 

「はい・・・」

 

そう言い、劉備たち義勇軍は志乃の警告を受け後方へと下がるのであった。一方、白蓮はというと最初、吹雪に(吹雪が負傷する前)交渉が終わったら自軍の陣へと戻っていいと言われたのだが彼女は董卓軍に残ると言い、志乃たちと一緒に虎牢関へと戻るのであった。

 

 

一方、呉の陣営では

 

「・・・・・・で、どうする雪蓮?」

 

「どうって?明日の虎牢関の攻撃のこと冥琳?」

 

「ああ、袁術に言われたのであろう?虎牢関を攻めよってどうするつもりだ?」

 

「う~ん・・・・そうね。私たちは後方へ下がった方がいいと思うの、なんかものすごく嫌な予感がするのよ」

 

「ほう・・・・で?袁術にはどういうつもりだ?」

 

「そうね・・・・あのお子ちゃまのことだから『別にいいわ。けど虎牢関の一番乗りの手柄、名門袁家の袁術よりも私たち孫呉の者になるけど?』って言えば・・・・」

 

「なるほど。あの袁術なら手柄をとられるのを嫌う・・・・わかった。袁術にはそう言っておこう」

 

と、呉の兵も何やら嫌な予感を感じ。後方へと下がるのであった。そして袁術はというと・・・・

 

『む~先取りされるのは嫌なのじゃ!孫策は後ろに下がってわらわが先頭へ行くのじゃ!!』

 

と、雪蓮や冥琳の思った通り先を越されるのを嫌がり、袁紹とともに虎牢関攻略の先頭に立つのであった。そして夜が明けた後、袁紹・袁術軍が虎牢関目掛けて一斉に総攻撃をかけるその数4万。一斉に突撃し虎牢関の目の前に近づいた両軍は何やら違和感を覚えた

 

「ん?なんだか董卓軍の攻撃がないな・・・・」

 

「この数にビビッて撤退したんじゃね?」

 

そう、虎牢関から攻撃が来ないのだ。兵士たちが不思議に思っていると虎牢関の門の前に一人の人物が立っていた。連合軍兵士たちはいっせいに止まる。その立っていた人物は大きな武器を持った赤い髪の少女であった。すると・・・・・

 

「・・・・・袁紹軍か?」

 

「なに?」

 

「お前たちは・・・・・袁紹軍の者か?」

 

と、少女は武器を握りしめそう言う。すると・・・

 

「そうだ!俺たちは栄光ある名門袁家の兵だ!!だからどうした!!」

 

一人の兵がそう言うとその少女の赤い目がギラリと光り

 

「そう・・・・・なら一切の手加減はしない・・・・」

 

そう言った瞬間その少女からすさまじい覇気と殺気が流れ出し袁紹・袁術軍の兵は冷や汗をかき

 

「お、お前は・・・・・何者だ!」

 

と、その少女にそう訊くとその少女は

 

「董卓軍第一師団師団長・・・・呂奉先・・・・・・我が子の仇・・・・・取らせてもらうぞ・・・・」

 

ギラギラと目を光らせてそう言うのであった・・・・・

 

 



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母は強し、袁紹軍壊滅とうごめく陰謀

「董卓軍第一師団師団長・・・・・呂奉先。我が子の仇・・・・・取らせてもらう・・・・」

 

と、鋭い殺気を袁紹軍・袁術軍にぶつける。その殺気に袁紹軍はひるむも

 

「ええい!相手は小娘ただ一人こっちは4万いるんだぞ!全員でたたんじまえ!!」

 

「し、しかし班長!相手はあの呂布です。噂に聞けば、3万もいた黄巾党の軍を壊滅させたとか・・・・」

 

「うろたえるな!こいつが戦った黄巾の軍は所詮、農民崩れが集まった烏合の衆!俺たちは厳しい訓練を受けた名族の精鋭軍だ!だから怯むな!!突っ込んでなぶり殺しにしろ!」

 

『おおー!!』

 

と、先頭にいた班長の声で全員が恋目掛けて突進するのであったのだが・・・・

 

「・・・・・・いくぞ・・・・」

 

そう言い恋は自分の武器である方天画戟 を握りしめるのであった。そして彼女の体から真っ赤なオーラが吹きだし、風が轟々と吹き荒れ彼女の髪がざわざわと揺れているのであった。そして恋は方天画戟を意図振りすると、斬りかかって来た数十人の袁紹軍を吹っ飛ばしそして赤い雨が降る。

 

「ひっ!」

 

「うろたえるな!押せ!押せぇー!!」

 

「・・・・・いくら来ても無駄・・・・」

 

袁紹・袁術軍は数に任せての物量攻撃で一気に攻め寄せるが、その隊に恋は目にもとまらぬ速さで方天画戟を振りかざし袁軍の兵たちを屍に変えそしてそのあたりは赤い血の池と化していた。

華琳たちが予測していたように赤い大嵐が虎牢関の戦場で吹き荒れることになったのだ。

 

「く・・・なんだよ、こいつ本当に人間か!?」

 

「班長!あの女、化け物です!もはや4万いた我が軍が半数以下に減っています!このままでは全滅してしまいます!」

 

「くそっ!こんな時に武装親衛兵団は何をしている!?」

 

「班長あの部隊は汜水関攻略の時に全滅しています!」

 

「なっ!?なんだと!?くそ~こうなったら弓隊を使って攻撃しろ!!」

 

「はっ!」

 

 

 

虎牢関城壁

 

「いいんですか?恋様。一人だけ外に出して。やっぱり私たちも外に出たほうがいいんじゃないっすか?」

 

「確かに……じゃあ、桜花あなた今から城門を出ていくか?」

 

「冗談よしてくれっす星。今行けば確実に巻き込まれるじゃないっすか」

 

「ふ、そう言うことだ桜花。今の恋は息子である吹雪殿を瀕死の重傷を負わした袁紹軍に怒っている。まあ、当然だろうな。私も同じ立場だったらそうする」

 

と、桜花の言葉に星はそう言うと、

 

「斗志!桜花!恋さんがいる左翼の奥と右翼の奥の方に敵の弓隊がいる!あいつら・・・・遠距離から狙撃するつもりね」

 

「わかった。夕張、あなたは銃士隊を連れて右翼の弓隊をやってくれ!」

 

「わかったわ!銃士隊、弓隊。私についてきて!」

 

と、そう言い夕張の部隊は部下を引き連れてその地点に向かう。そして徐栄こと夢華は弓などの武器を取り

 

「李郭。左翼の連中は私と桜の部隊に任せて」

 

「ありがとう夢華」

 

斗志がお礼を言うと夢華は頷きそして桜とともにに左翼にいる敵へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

「・・・・何なんだよこいつは・・・・」

 

「まさか・・・・こんなことって」

 

袁紹軍の参謀角の文醜と顔良は驚いていた相手はただ一人の少女、数では主君である袁紹の従妹の袁術の軍を開合わせて4万いる。常識に考えてこちらの方がの方が圧倒的に有利、そのはずだったが今の現状はそうではなかった。いま自分の目の前にあるのは呂布の死体ではなく、屍となった無数の自分たちの軍であった。呂布が武器を振るうと爆風が起きそして兵たちが吹っ飛び真っ赤な血が雨のように飛び散り、兵士の体の一部が降り注ぐ。その光景はまさに地獄のようだった。そして袁紹軍の兵たちは剣や槍ではかなわないとわかったのか

 

「弓だ!弓で射殺せ!!」

 

と、一人の兵士がそう叫ぶと左右後方に下がっていた弓兵たちが弓矢を構え遠距離から狙撃しようとするが・・・・・

 

ダダアァ-ン!!

 

「ぎゃっ!」

 

「ぐわっ!!」

 

急に銃声が鳴り響き右側にいた弓隊は悲鳴を上げて血を流して倒れる。

 

「気をつけろ!右に董卓兵が潜んでいるぞ!」

 

一人の兵士がそう言い弓隊は呂布の攻撃を中止し右側に潜む董卓兵に向けて弓を向けるが・・・・・

 

「ギャッ!!」

 

『っ!?』

 

右側に向いた瞬間一人の兵士の背中に矢が飛んできて刺さる

 

「左から弓が!?左にもいるぞ!・・・・ぎゃあ!!」

 

「囲まれている!?くそ!何処にいるんだ!?」

 

右やら左やらのいきなりの攻撃にただでさえパニックになっていた袁紹軍はさらにパニックになるのであった。

 

「ね、ねえ文ちゃん…私夢でも見ているのかな?4万人以上いた味方が今いるのは・・・・・たったの4千人に減っているんだけど・・・・・・」

 

「な、なんなんだよ・・・・董卓軍って化け物ぞろいか!?」

 

と、二人が冷や汗を流し、震えていると、近くで爆発音が鳴り。多くの悲鳴が上がる。すると、一人の兵士がやってきて

 

「も、もうダメです。あの呂布は化け物です!!すでに我が軍は壊滅状態!これ以上はもはや戦闘不可能です!」

 

と、もう一人の兵士がやってきて

 

「文醜様!顔良様!は、早くお逃げください!我々が少しでも時間を稼ぐので!!」

 

と、そう言った瞬間、

 

「・・・・・・・お前が袁紹か?」

 

『っ!?』

 

後ろから声が聞こえ振り向くとそこには返り血で真っ赤に染まった呂布こと恋がいた。そして文醜や顔良に伝令を伝えた兵士二人は剣を抜き

 

「「ここから先は絶対に通さんぞ!!」」

 

とそう言い斬りかかろうとするが

 

「・・・・・邪魔」

 

と、恋の一振りで吹っ飛ばされ絶命した。そして恋は二人の前に立ち・・・・

 

「・・・・・貴様らのどちらが袁紹だ?」

 

と、殺気を含めた目でそう言うと

 

「わ、私たちは袁紹様じゃありません!」

 

「れ、麗羽様になんか様なのかよ!」

 

と、文醜がそう訊くと

 

「・・・・・・あんた達の兵が・・・・毒矢を使って吹雪を毒殺しようとした・・・・・・だからそいつの首を取る。・・・・場所を教えこの戦域から離脱すれば命はとらない・・・・けど邪魔をするのだったら殺す・・・・」

 

と、そう言うと

 

「ど、毒?」

 

「何を言ってんだよ!麗羽様は我が儘でおバカなところがあるけど決して毒を使って暗殺するような人じゃない!」

 

と、二人は恋の殺気に耐えながらもそう言う

 

「・・・・・ほんと?」

 

「ああ、そうだよ!あの人はさっきも言った通りおバカだけど馬鹿と同時に純粋な人なんだ!だからどんなに苦しい状況になってもそんな卑劣なことをする人じゃないんだ!」

 

「ぶ、文ちゃん・・・・・」

 

と、文醜の言葉に顔良は感動し恋はじっと文醜の目をじっと見る。そして方天画戟をゆっくり下す

 

「・・・・・・お前の目、嘘ついている目じゃない・・・・・でも。あなた達の兵が毒矢を使ったのは事実。だがそれは袁紹の意思じゃない・・・・・だから恋は袁紹の首を取るの、今はやめる・・・・・・」

 

その言葉に二人は安心したように息をつくが恋が「ただし」と言葉を付け加え

 

「・・・・・・あなた達の軍はすぐに撤退しろ・・・・・もし、再び侵軍すればその時は袁紹軍の兵士たちと袁紹の命、必ず刈り取る・・・・・・」

 

と、殺気をだし目を細める。すると。二人は震えあがり、残った4千人くらいの兵を連れて慌てて逃げ出すのであった。そして恋はそれを見届けると虎牢関へと戻るのであったのだった。そしてそれを見た他の連合軍たちは息をのんでいた。

 

結果・袁紹・袁術軍、虎牢関への突入失敗、4個師団中、約三個師団全滅。残りの1個師団死傷者多数、袁紹・袁術軍はほぼ壊滅状態となった。

 

 

 

 

 

 

呉の陣営

 

「・・・・・・たった一刻で4万いた袁紹・袁術軍がたった4千を残して壊滅だなんて・・・・・やっぱり突っ込まなくてよかったわね。下手をすれば私たちもかなりの被害が出ていたわ・・・・」

 

「そうだな・・・・・それにしてもあれが沖田の母親の呂布か・・・・・・恐ろしいな・・・・まるで先代の孫堅様みたいな戦い方だ・・・・」

 

「そうね・・・・」

 

「・・・・・で、これからどうするんだ雪蓮?」

 

「蓮華に例の作戦を実行させるように言うわ。・・・・・誰か蓮華を呼んできてちょうだい」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・これはすごいわね。『母は強し』とはこういうことかしら?」

 

華琳は先ほどの光景を見てそう呟く。すると

 

「華琳様・・・」

 

と、そこへ桂花がやって来た

 

「桂花・・・・・どう例のあれの準備は?」

 

「はい。いつでも実行できます。凪たちもすぐに出られるとのことです」

 

「そう・・・・頼むわよ」

 

「はい。お任せください」

 

 

劉備・北郷陣

 

「はわわ・・・・・・4万もいた袁紹軍が・・・・・」

 

「あわわ・・・・・か、壊滅・・・・・・」

 

「司馬懿さんの言う通り、後方に下がってよかったねご主人様・・・」

 

「ああ・・・・」

 

と、劉備たちは呂布の圧倒的な力を目にただ驚くのであった。

 

 

 

 

虎牢関

 

「あんなにたくさんいた袁紹軍が壊滅なんてやっぱり恋はすごいわね。ねえ桜さん?」

 

「そうね。恋ちゃんが怒ると怖いことは知っていたけど、ここまでだと怖いを通り越して感心してしまうわね・・・・」

 

と、袁紹の狙撃部隊を撃破し戻って来た夢華と桜が言うと

 

「徐栄様!」

 

「どうかしたの?」

 

と、一人の兵士がやって来た

 

「はっ!徐栄様に会いたいという人物が・・・・」

 

「私に?誰?」

 

「はっ!その者が言うには「定軍山の龐徳」といえばわかると・・・・」

 

「(龐徳!?)・・・・・わかった。すぐにそのものを連れてきて」

 

「はっ!」

 

「夢華、その人のこと知っているの?」

 

「ええ・・・・前に定軍山の黄巾党残党を制圧するときにちょっとね・・・・・」

 

「そう・・・」

 

「徐栄様!連れてきました!」

 

しばらくして先ほどの兵士がやってきてその後ろにはフードを被ったその少女がいた。そしてその少女はフードを外し夢華に笑顔でこう言う

 

「久しぶりね徐栄。定軍山の時以来かしら?」

 

と、その少女は馬騰のところにいるはずの龐徳だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ふう」

 

一方、袁紹軍を壊滅させ、虎牢関に戻った恋は部屋の椅子に座りため息をついていた。今その部屋にいるのは恋だけであった。そして恋は体に付着した返り血を布で拭き、

 

「・・・・・吹雪」

 

と、今洛陽の宮中に運ばれ、意識不明の状態の我が子を心配していた。すると・・・・

 

「あの名門といわれた袁紹や袁術の軍4万をたった一人でかいめつさせるとはさすが、董卓軍最強と言われた飛将軍呂布奉先ですね・・・・」

 

「っ!?」

 

いきなり背後から誰かの声がし、恋は驚いて振城を振り向くとそこには漢王朝の文官が来ている高価な服を着た女性が立っていた。

 

「・・・・・・誰?」

 

恋が警戒した目でそう訊くと彼女はにやりと笑い

 

「初めまして、私は漢王朝の役人の王允と申します・・・・・本日はさるお方の命によりあなたに伝言を届けに来ました」

 

「伝言?」

 

「ええ…‥内容は簡単です。今現在、この漢王朝は反董卓連合の内乱により疲弊しきっています。これには早くこの内乱を・・・・」

 

「能書きはいい・・・・・何が言いたい?」

 

「でははっきりと言います・・・・・・董卓を殺しなさい呂布。そうすればこの内乱のすべてが終わります」

 

「っ!?」

 

王允の言葉を聞き恋は顔をしかめ方天画戟を王允に突きつける

 

「・・・・・・もう一度言ってみろ・・・・今、なんていった?」

 

「はい。董卓を殺せと言いました呂布・・・・・そうすればこの内乱を終わると言いました」

 

「そう・・・・・なら死ね」

 

そう言い恋は方天画戟を振り上げ王允を斬り殺そうとしたが・・・・

 

「あなたの息子がどうなってもいいんですか?」

 

「っ!?」

 

その言葉に目を見開き、恋の持つ方天画戟を王允の喉元寸前で止めた

 

「今、意識不明で身動きの取れないあなたの息子である沖田吹雪の命私たちが握っています。もし董卓殺害を断れば、沖田が寝ている部屋で待機している部下が即座にとどめを刺して殺します。それと私を殺してもほかの人に相談し話しても董卓を殺さないと判断し、即座に殺します」

 

「くっ・・・・・卑怯者」

 

「ふふ、私にとっては褒め言葉だわ・・・・さて呂布。主を取るか、かわいい我が子を取るか、2日の猶予を与えます・・・・じっくり考えなさい呂布」

 

そう言うと王允はそう言い部屋を出るのであった。そして一人残された恋は

 

「(月を・・・・・・殺すことはできない・・・でもそれだと吹雪が・・・・・・総司・・・・私はどうすればいいの・・・)」

 

と、方天画戟をぎゅっと握りしめ、月を取るか吹雪を取るか・・・・・どちらをとっても最悪の結果ともいえる選択を迫られた恋はどうすればいいのかと苦しそうな顔をするのであった。

 

 



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呂布の決意

内容の後半を大幅に変えました


王允が恋に脅迫をしているその頃、吹雪が眠っている部屋では樊稠こと雪風が椅子にに座て看病をしていた。最初は斗志や桜花たちなどが交代しながら看病をして今現在、彼女が看病をしているのだ。

 

「・・・・・隊長」

 

と、彼女はギュっと拳を握る。吹雪が負傷をしたとき自分は敵陣へ偵察任務と侵入者への警戒をしていた。もし自分があの場所にいれば自分の敬愛する吹雪はこんな重傷を負わなかったかもしれないと、そんな思いが彼女の頭をグルグルと回る。すると・・・・

 

「おい・・・樊稠」

 

と、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。雪風が後ろを見るとそこには剣を腰に下げた漢王朝の役人らしき人物が二人いた

 

「どうだ?そいつ目が覚めたか?」

 

「・・・・・いいや。まだ」

 

「そうか・・・・残念だこいつの首を斬り裂くことができねえからな・・・

 

「っ!・・・・」

 

雪風がそう言うと二人のうち一人がニヤッと笑うと雪風はその男を睨む。そしてすっと立ち上がり

 

「王允殿より命じられているはずだ。・・・・隊長が目を覚ました時とどめを刺すのは私の役目だとな」

 

「いや、なに今あそこで寝ているのはあんたの上司だ。だからあんたいざって時に情が沸いて斬らないと思ってよ・・・・・・」

 

「その心配は一切御無用・・・・もし私の邪魔をするのであればたとえ張譲様の部下といえども容赦なく斬ります・・・・・そのことを心してください」

 

と、殺気を含めいつでも抜刀できる体制で鋭い視線でそういう雪風。それを見た二人の役人は舌打ちをし

 

「わかった・・・・でもしくじるんじゃねえぞ・・・・」

 

そう言い部屋を出ていくのであった。そして残された雪風は吹雪の方に近づき・・・・・

 

「隊長・・・・・必ず勤めは果たします」

 

と、誰にも聞こえない声でそう言うのであった

 

 

 

 

 

 

 

洛陽の宮廷の中…一人の少女が歩いている。その少女の名は劉協、真名は白湯。現皇帝の霊帝の妹であり現代は旅に出ている霊帝に変わり皇帝代理を務めている・・・するとその道をふさぐものがいた。そのものは十常侍筆頭の張譲であった。

 

「・・・・劉協様。どちらへ行かれるのですか?」

 

「張譲・・・・・そこをどくのだ」

 

「どちらへ行くのですかっと訊いているのです劉協様。漢王朝の皇帝である霊帝様の妹君であり、現代皇帝代行をしておられるお方がどこへ行こうとしているのですか?」

 

「・・・・・虎牢関へと行く」

 

「虎牢関?・・・・・いけません・・・・あそこは今、戦場と化しているのですよ」

 

「知っている・・・・でも張譲。なぜこのような内乱が起きた?・・・董卓は暴政などしていないもん」

 

幼いながらも漢王朝王家である彼女の視線は鋭く、その言葉に張譲は一度黙る。彼女は沖田や董卓のことを信用している。そして侍女に頼んでみた洛陽新聞を見ても董卓が暴政していることなどと言うことが信じられなかった。だからなぜこのような内乱が起きたのか自分の目で確かめようとしたのだ。しかし張譲はニヤと笑い

 

「さあ?私に言われましても・・・・・・まあ、とにかくここ宮廷を出ることはできません。万が一、流れ矢に当たったら大変ですからね・・・・いいですね?できれば私も手荒な真似はしたくありませんので」

 

と、半ば脅しをかけた言葉に白湯はしばらく黙り…

 

「・・・・・・わかったもん・・・」

 

半ば悔しそうな顔でそう言うと、自室へと戻るのであった。それを見た張譲はにやりと笑い、そして

 

「・・・・王允。いるか?」

 

「はっ・・・・ここに」

 

張譲がそう言うと彼の後ろに王允が現れた

 

「呂布に伝えたか?」

 

「はい・・・・」

 

「そうか・・・・・・ふっ・・・・呂布がどんな選択をするのが楽しみだ」

 

「そうですね・・・・・呂布はどちらを取るのでしょう?」

 

「わからない・・・・・が、息子をとっても主君殺しの汚名を取り・・・・・主君をとっても息子殺しの汚名を着る、・・・・・見ものだな呂布がどんな選択をしても二人ともどっちらとも死ぬのだからな」

 

「やはり董卓は殺すので?」

 

「ああ・・・・連合軍が洛陽に入れば、あの小娘の役目は終わる。朝廷の反逆者である董卓とその従者である賈詡は俺の部下が自決と見せかけて殺すことになっている・・・・・・ところで王允。今宮中に眠っている沖田の見張りに誰がいる?」

 

「はっ・・・私の部下二人とそれに看護と装い樊稠がいます。もし目が覚めた時には樊稠が手を下す予定です」

 

「そうか・・・・・ふっ、沖田め目が覚めた時、自分の部下に殺されるとは思いもしないだろうな・・・・・」

 

「そうですね・・・・・」

 

と、二人は薄気味悪い笑みを見せるのであったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ここはどこなんだ?」

 

真っ暗な空間の中、その中に立っていた俺はそう呟く。

 

「確か俺は虎牢関で春蘭を庇って毒矢を受けたんだっけな・・・・・ということはここはあの世ってことか・・・・・」

 

とすると合点がいく。今俺は怪我した部分が苦しくない・・・・・体もまるで羽のように軽い。ましてや俺は毒にやられたんだ。そうすることを考えると死んだッと考えるのが普通だろう・・・・・

 

「…そうか俺は死んじまったのか・・・・・」

 

俺はそう言い目をつぶる。すると瞼の裏に家族であるみんなの顔が浮かぶ・・・・・最初は父さんと祖父ちゃん。そしてあの時代で再開した母さん。そして警邏隊の皆に旅で出会った仲間・・・・・そして最後に映ったのは二人の少女、一人は銀髪でまるで月の光のように慈愛に満ちた少女董卓こと月・・・・・そしてもう一人は月と似ているがまるで太陽の輝きのように眩しいところがあるが人々を導く優しい光のような少女、曹操こと華琳・・・・その二人の少女が俺の目に映った・・・・

 

「・・・・月・・・・華琳・・・・すまない・・・・」

 

俺がそう呟くと

 

『吹雪・・・・・お前はまだ死んではいないぞ。まったく、お前というやつは母さんや大切な人たちを置いていくつもりか吹雪?』

 

「・・・・え?」

 

急に男の声がしあたりをきょろきょろと見るが見えるのはただの闇であった。すると俺の目の前が光り、そして収まるとそこには一人の男性がいた。しかもその男は俺の良く知っている人だった

 

「と、父さん!?」

 

そこには昔死んだはずの父さんがいた。

 

「応・・・・久しぶりだな吹雪。随分と大きくなって・・・・顔は母さんに似たなやっぱ・・・」

 

と、苦笑してそう言う父さん。それを見て俺はふっと笑い

 

「ふっ・・・・父さんがあの世から向けに来るなんてな・・・・・やっぱ死んだのか俺」

 

俺がそう言うと父さんがため息をつき俺の頭にチョップを入れた

 

「痛てぇ!?な、なにすんだよ父さん!?」

 

「バアーカ。何寝ぼけているんだこのバカ息子。さっきも言っただろう?お前はまだ死んじゃいねえって」

 

「え・・・・?じゃあ、今の俺は?俺は確か毒矢に当たったんだぞ!?」

 

「ま、確かにお前は毒矢に当たた。しかし当たった場所が母さんの作ってくれたお守りのおかげで幸い致命傷にはならなかったんだよ」

 

「母さんのお守りが・・・・・」

 

「ああ、だからお前は死んじゃいないよ」

 

「そうか・・・・・」

 

俺はその言葉を聞いてほっとする・・・そうか。じゃあ俺が今やるべきことは一つだな。俺はそう思い父さんに背負向け歩き出す

 

「・・・・行くのか吹雪?」

 

「・・・・ああ、待っている人たちがいるからな父さん」

 

俺がそう言うと父さんは

 

「そうか・・・・じゃあ、行ってこい。母さんのことは頼むぞ」

 

「ああ、わかった。・・・・じゃあな。父さん」

 

俺はそう言い走り出すのであった。このくらい空間を・・・・・そして残された吹雪の父は

 

「・・・・・頑張りな吹雪」

 

と、そう言い煙のように消えたのであった。その一方、吹雪は闇の中を走っていた。大切な家族へ・・・・大切な人とまた会うために。すると突然目の前が光りだし吹雪はその光に包まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ん・・」

 

目をゆっくり開けるとそこはどこかの部屋であった。煙や時の声が臭わないし聞こえないっと言いうことは恐らくここは戦場場である虎牢関から離れた場所だろう・・・・・・すると人の気配がした俺はそこの方に顔を向けると

 

「・・・・・・・雪風?」

 

そこに雪風がいた。しかも剣を抜いて・・・・

 

「・・・・・・おはようございます・・・・・隊長」

 

と、なぜか無表情でそういう雪風

 

「・・・・・雪風・・・・俺はどれだけ眠っていた?」

 

「3日です・・・・・・」

 

「そうか・・・・そんなに寝ちまっていたのか・・・・戦局は?」 

 

「・・・・・今はそんなことどうでもいいです」 

 

俺がそう言うと雪風はそう言い剣を振りかざす

 

「・・・・・・・雪風?」

 

「隊長は今、休む必要があります・・・・・・・・永遠に」

 

雪風がそう言った瞬間ドアから二人の男性が剣を抜いたまま入って来た。しかもニヤつきながら。そして・・・・・

 

「さよならです・・・・・・隊長」

 

「っ!?」 

 

その言葉と同時に雪風は剣を振り下ろし、そこから悲鳴とともに赤い鮮血が舞うのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、その頃、恋は自室で考え込んでいた・・・・・子を取るか主君を取るか・・・・

 

「(恋は・・・・どすすればいいの?吹雪を見殺しにすることはできない・・・・・かといって月を殺したくない・・・・・)」

 

彼女は悩み苦しむ。誰かに相談したい・・・・・でも誰かに話せばその瞬間、吹雪は即座に殺される・・・・どうすればよいのか、部屋に戻り王允に言われてからずっと部屋で、悩んでいた。そして恋は懐からバブル型のペンダントを取り出し、それを開く。その中には写真が貼っておりその中にはスカイツリーを背に恋とひとりの青年…夫である総司が写っていた・・・それを見て恋は

 

「(総司・・・・あなたならどうするの?・・・・私じゃどうしようもできない・・・・・・総司・・・・助けて・・・・)」

 

恋がそう思うと、誰かが扉をノックする。すると、ドアの向こうから

 

「呂布様・・・・おりますか?入ってもよろしいですか?」

 

と、その声は雪風だった。

 

「・・・・・雪風?・・・・・・いいよ」

 

「失礼します」

 

恋はペンダントをしまいそう言うと、ドアが開き雪風が入る

 

「・・・・・雪風。吹雪の具合は?」

 

恋がそう言うと雪風は首を横に振り

 

「はい。・・・・まだ目が覚めません・・・・・」

 

「そう・・・・・・・・ん?」

 

恋が雪風の話を聞いた途端何やら違和感を覚える・・・・すると恋は雪風の方をじっと見る

 

「どうかされましたか?」

 

「・・・・・・・雪風、戦場じゃない都から戻ったのに血の匂いがする」

 

「っ!?」

 

恋のその言葉に雪風は驚くすると恋は雪風をじっと見て

 

「・・・・・雪風。あなた何してたの?吹雪の看護をしていたんじゃないの?」

 

と、そう言うと雪風は懐から一枚の手紙を出す

 

「・・・・・それは?」

 

「あなた宛ての手紙です。今日この部屋に来たのはある方からそれを渡すように頼まれました・・・・・」

 

「手紙?」

 

恋は雪風から手紙を受け取ると

 

「では私は他に任務があるので・・・・・・」

 

そう言い恋に一礼をして部屋を出るのであった。そして恋はしばらくその手紙をじっと見ていたが。すぐに封を開け、その手紙の宛名を見るそこには日本語で

 

『息子より母へ』

 

と、書かれていたのであった。そして恋はその手紙の内容を見る

 

『息子より母へ

母さん。もしこの手紙を読んでいるっということはもしかしたら俺に何か起きているっということでしょう。ですが安心してください。どんな窮地に会っても俺はみんなのもとへ帰ります。ですから俺のことは心配しないでください。俺は簡単にやられるような子ではありません。なぜなら俺は三国志最強の武将と言われた呂布奉先の子なんですから・・・だから母さん。あまり無理をしないで自分の行く道を行ってください。それと月たちやみんなのことをお願いします。

 

追伸、それと母さん僕を産んで育ててくれてありがとう。 

                 あなたの息子 吹雪より』

 

 

「(吹雪・・・・あなたって子は・・・・)」

 

 

その手紙を見て、恋は大粒の涙を流すのであった。するとその手紙と他にもう一枚の手紙が出てきた。そして恋はその手紙を読んだ後、王允の言った選択のことを考えた・・・・そして彼女は三日後、再び王允に会うのであった。

 

「・・・・それで、決めたのかしら呂布?」

 

王允がそう言うと、恋は

 

「恋は・・・・・・・月を殺さない」

 

「そう・・・・じゃあ、あなたの息子は死ぬことになるわね。息子より主君を選ぶなんて、あなたって息子のことが可愛くないのかしら?」

 

と、挑発じみた口調でそう言うと、恋はすっと立ち上がり

 

「・・・吹雪も殺させない・・・・誰も死なせない・・・・私はこう見えて欲張り・・・・だから二人とも死なせない・・・」

 

そう言うと恋は自分の武器である方天画戟を王允に振り下ろす。すると彼女はすらっとその一撃を躱したが頬が少し切れ血が垂れる。そして恋は殺気を込めた目で

 

「・・・・消えろ・・・すぐに恋の前から消えろ・・・・さもないと次は確実に首をはねる・・・・」

 

そう言うと王允は冷や汗をかきそして

 

「・・・・・後悔しますよ・・・・・呂布」

 

そう言い暗闇とともに消えたのであった。そして一人残された恋は

 

「後悔は・・・しない。今言った信念が恋の決めた道だから・・・・・だから恋は絶対に・・・・・後悔しない」

 

そう言い方天画戟を手に取り部屋を出て虎牢関へと再度向かうのであった。

 

 

 



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虎牢関の夜、復活の太陽

恋が、袁紹。袁術の軍勢を壊滅させた後、連合軍も董卓軍も動きを見せることはなかった。袁紹も自軍の兵の壊滅にさすがの袁紹も懲りたのか慎重に相手の出方を見ることに方針を変えそた。してその状態は何日も続き2日にらみ合いが続いていたのであった。そして虎牢関の中、一人の客人が徐栄こと夢華を訪ねて来た。その人物とは連合軍所属であり西涼の馬騰の部下である龐徳こと想華であった。そして想華は一通の手紙を出し、夢華がそれを読む。

 

「・・・・なるほど、ということは西涼の軍は連合から離れ西涼に帰ると?それは本当の話ですか?」

 

「ええ、春華様は戦好きな性格ではありますが決して嘘は言いませんし、また無意味な戦いはしません」

 

想華がそう言うと桜が

 

「ですが勝手に連合を離脱してよろしいのですか?離脱すればあなたたちは敵と内通していると疑われてしまいますわよ?」

 

「その件なら問題ないでしょう。汜水関、虎牢関の中でもはや連合軍の士気はかなり低下して、この連合から離脱している諸王国軍が続出する始末。ですからこう言っては何ですが西の果ての小さな国である西涼軍が離脱しても気にも留めないでしょう。せいぜい『敵前逃亡した臆病者』と袁紹に言われるだけですし・・・・」

 

「なるほど・・・わかりました。では我が軍はなるべくそちらに攻撃しないようにします」

 

「そうしてくれると助かるわ・・・・・・・ところで徐栄」

 

「なんでしょうか?龐徳殿?」

 

「吹雪の姿が見えないけど?彼は一体どこにいるの?」

 

想華の言葉に夢華は少しピクっと眉を動かしそして黙るがそこへ桜が

 

「ふ、吹雪さんなら、別のようがあって今は別の場所で陣頭指揮を執っているのよ」

 

「そうなの・・・・・連合の間で負傷したという噂を聞いていたからね。特に馬超のお嬢様がそのことをとても心配していたのよ」

 

「馬超?馬超って馬騰の娘の馬超のこと?・・・・」

 

「そう。お嬢様ったら、前に天水に行ったとき、何かあったらしくってね。若干吹雪のことを意識しているらしいのよ」

 

「そうですか・・・・・あの人は次から次へと・・・まるで磁石ね」

 

「ええ、彼って本当に面白いわね。・・・・・じゃあ、要件は伝えたから。そろそろ戻らないと連合軍の連中に怪しまれるし、私はこれで失礼するわね」

 

と、想華がそう言うと夢華はその場を去ったのであった。そして想華と桜は『はあ~』とため息をつき

 

「まったく吹雪は・・・・・」

 

「まあ、良いじゃないの想華。でもやっぱり吹雪は恋ちゃんの子ね。小動物が恋ちゃんの魅力に引き付けられるように吹雪に出会った女性は吹雪のなにかに引き付けられるのね・・・・服に女性が好むマタタビでも縫い込んでいるのかしら?」

 

「いや、桜。小動物と女はまったく違うわよ。それとマタタビも・・・・・でも確かにあなたの言う通り吹雪は恋に似て誰とでも仲良くそして人を引き付ける力があるわね・・・・ある意味厄介な体質だわ」

 

「でも、それが憎めないのが恋ちゃんと吹雪の特徴ね・・・・・・あれ?そう言えば吹雪の部隊はどこに行ったのかしら?」

 

「ああ、彼女たちなら今頃、夜に忍び込んでくる連中の警戒に行ったいるわ」

 

「吹雪がいないのに立派だわね」

 

「ええ、彼女たちはやればできる子たちですから・・・・・・・」

 

と、そう言い、夢華は窓から外を見上げるのであった。

 

 

 

 

一方、宮中のとある場所

 

「そうか・・・・・呂布は董卓は殺さないっといったのか」

 

「はい。それに息子も絶対に殺させはしないと・・・・・」

 

「そうか・・・で、沖田の方はどうなっている?」

 

「はっ報告によりますと上手くやったと樊稠から聞きました」

 

「そうか・・・・ふ、バカな呂布だ。・・・・・王允」

 

「はっ!」

 

「すぐに董卓の抹殺に移れ。聞けば連合軍がもうすぐ虎牢関を突破し洛陽へと入る。連中が入る前にすぐにでもあの小娘を殺す必要がある」

 

「その点ならご心配はなく既に董卓のところに私の部下が出向いています」

 

「ほう?腕は確かか?」

 

「はい。二人とも暗殺だけに生まれたような者なので必ず成功します」

 

「そうか・・・・ふふ、もうすぐこの国は私の物になるな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

一方、洛陽街では・・・・・

 

「あ~やっと帰って来たわ♪」

 

「そうですね。空丹様」

 

と街中で旅人っというには似合わないお嬢様みたいな二人組が背伸びをし疲れた顔でそう言う

 

「それにしても楽しかったわ~やっぱり沖田の言った通りわざわざ遠くまで行ってお菓子を買って食べるとどんな高級お菓子よりも美味しいって本当だったのね~」

 

「それは良かったですね。わたくしも空丹様と一緒に言った買いがありました。そのことは沖田殿に感謝しなくてはいけないですね」

 

「そうね・・・でもなんかしばらく離れているうちになんかこの街元気がなくなってないかしら?」

 

「そう言えば確かになんか街の人たちの様子が・・・・・まるで戦争でも勃発したみたいわね。もしかして董卓が反乱でも起こしたのでしょうか?」

 

「まっさか~黄。そんなわけないでしょ?私の信頼する沖田が信頼する董卓が漢王朝に弓を引くわけないでしょ?」

 

と、その少女は笑って言うと・・・・

 

「おい聞いたか?またも連合軍、また虎牢関への攻撃を開始したんだとよ。全くいつになったら終わるんかね~」

 

「おい、おい…また連合軍の連中が攻めているのかよ・・・・連中董卓様が暴政をしているなんて言っているけどそんなことしてないのにな~」

 

と、そばにいた男性たちが洛陽新聞を見ながらそう言うと空丹と呼ばれた少女が

 

「ねえ、ねえ、ちょっといいかしら?」

 

「あ、はい?」

 

「さっき、連合が虎牢関を攻めているとか、董卓が暴政をしているとか言ってたみたいだけど何かあったの?私、この街に来たばかりだからよく知らなくて・・・・」

 

「ん?ああ、なんでも袁紹を筆頭にする連合軍がこの洛陽で暴政をしている董卓様を討伐するため攻めて来たんだよ」

 

「董卓が暴政?それ本当なの?」

 

「そんなわけないでしょ?董卓様のおかげでこの荒廃した町はまるで生まれ変わったかのように活気に満ちた街になったんだぜ?そんな人が暴政なんてしないよ。大方、どっかの豪族とか漢王朝の役人が嫉妬してでたらめなことを流したんだろ?」

 

「そう・・・・ありがとね」

 

空丹はその男性にお礼を言うと、黄と呼んだ少女のもとに戻る

 

「聞いたわね黄」

 

「はい。どうやら私たちが留守の間、大変な事が起きたようですね・・・・」

 

「ええ、白湯たちが心配だわ。すぐに戻るわよ黄」

 

「かしこまりました・・・・・霊帝様」

 

 

 

 

 

 

 

 

宮中

 

一方その頃、宮中では月と詠がいた

 

「大丈夫なの月?」

 

「ええ…少し落ち着いてきたわ詠ちゃん・・・・でも・・・吹雪さんが」

 

「気持ちはわかるわよ月。僕も吹雪のことが心配よ・・・でもあいつなら大丈夫よ・・・きっと」

 

と、月は吹雪のことを心配して言うと詠はそれを慰める。月は吹雪が意識不明な重傷を負ったと聞いて、彼女は眠れない夜が続いていた。それは彼女の幼馴染である詠も同じであった。

 

「詠ちゃん・・・・・もしかして私のせいで吹雪さんが・・・・・」

 

「な、何言っているの月!?吹雪が怪我をしたのは月のせいじゃないわ!」

 

「でも・・・私の力不足のせいで吹雪さん・・・・いえ、吹雪さんだけじゃなくこの戦争で今も多くの人もたくさん死んで、洛陽の民達にも不安を与え、迷惑を与えてしまったわ・・・・みんな私のせいよ」

 

「月は悪くないわ!悪いのはでたらめな檄を飛ばして各諸王の国々を煽ってこの戦争を引き起こした張譲のせよ!だから月は何も悪くないわ!」

 

と、詠はそう言うのだが月は首を横に振り

 

「でも・・・でも・・・詠ちゃん・・・・」

 

と、月は涙をためてそう言うと

 

「失礼します・・・・・・」

 

と、そこへ二人の女性とそして背後には5人くらいの武装した兵士が入ってくる

 

「なんなの。あなたたちは?」

 

詠が警戒した目でそう言うと二人の女性はにやりと笑い

 

「わたしは段珪、そして隣にいるのが畢嵐。我々は漢王朝に仕える役人です・・・・・」

 

「・・・・・あなた張譲の部下の人?私たちに何の用?」

 

「いいえ、厳密に言えば私たちは王允様の部下の者ですが、まあ、あなたたちがそれを知る必要はありません」

 

段珪はそう言うと畢嵐、そして背後にいる部下の兵たちが剣を抜く。そして畢嵐ガニヤッと笑い

 

「・・・・・あなたたちはもうすぐ死ぬのだから」

 

「「っ!?」」

 

「あなたたちの死は『董卓とその軍師賈駆は連合軍に洛陽を迫られ、敵に殺されるのを恐れ自決しました』っという筋書きにしましょうか・・・」

 

そう言い畢嵐や段珪はそう言いじりじりと迫ると月は彼女たちの前に出て

 

「私はどうなってもかまいません!ですが詠ちゃんだけは・・・詠ちゃんやほかの皆の命は助けてください!!」

 

「月!?」

 

「ほう~さすが洛陽の月姫。噂通りの自分よりも他人を思いやる慈悲深さ。まことに感服するわね・・・・・でも、それはできないわね。あなた達は張譲様の脅威。それにあなた達にはもう用はないわ。沖田とともにあの世へ行きなさい」

 

「吹雪!?あなた吹雪をどうしたのよ!」

 

詠がそう言うと畢嵐は

 

「あの小僧なら今頃、私たちの同胞が寝ている彼の息の根を止めているはずよ」

 

「そ、そんな・・・・・」

 

「吹雪が・・・」

 

その言葉を聞いて詠と月は顔を青くする。そして段珪は

 

「安心しなお前たちもすぐに天の御使いと同じとこに行かせてやる。お前たち、やっちまいな!!」

 

そう畢嵐が部下たちに命じるとその部下の兵たちは剣を抜き二人に斬りかかろうとする。それを見た段珪は

 

「さらばだ。董卓。あの世で天の御使いと仲良くな」

 

そう笑い、月と詠は

 

「「(吹雪(さん)・・・・」」

 

そう覚悟を決めるしかし・・・・・

 

ダアァーン!!

 

「ぐわっ!!」

 

『っ!?』

 

急に銃声が鳴り響き、月や詠に斬りかかろうとした暗殺者の一人が眉間から血を流し倒れる。それを見て月や詠はおろか暗殺者たちも驚く。

 

「な、なんだ!?なんの音だ!?」

 

と、畢嵐らの暗殺者たちは驚きあたりを見渡す

 

「もしかして・・・・・」

 

詠と月、特に月にはこの音が何なのか気が付いた。あの音は前にも聞いたことがある。そうあれは・・・・・昔天水にいた時、一人で村娘に扮し視察に行った時その帰りの盗賊に襲われたときに聞いた音だ。すると柱の後ろらへんからコツコツと足音が聞こえる。月や詠、そして暗殺者たちはそこの方を見る。すると柱の陰から一人の少年が銃剣を付けた九十九式小銃をもって現れた。

 

「なっ!?き、貴様は!?」

 

「そんな馬鹿な!?」

 

と、その少年を見た畢嵐や段珪は泥き目を丸くし詠と月も驚いていたがやがて眼に涙をため涙を流し笑顔になる。そして少年は不敵の笑みで

 

「地獄の底から戻って来たぜ」

 

と、そう言うのであった。そう、その少年とは意識不明となっていた沖田吹雪であった。

 



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虎牢関の夜明け

月や詠を暗殺しようと企む張譲の部下、畢嵐や段珪の二人の暗殺を命じ二人の暗殺者は月と詠を殺そうとする。

 

「き、貴様は沖田吹雪!?な、なぜ貴様が!?貴様がここにいるんだ!貴様は確か・・・・」

 

「部屋で暗殺されたはずっと言いたいのか?」

 

「「っ!?」」

 

その言葉に暗殺者の二人が動揺する。なぜ吹雪がここにいるのかそれは少し前に遡る

 

「さよならです・・・・・隊長」

 

「っ!?」

 

そう言い雪風は剣を振り下ろしその部屋に赤い鮮血が舞う。そして悲鳴が上がったのであった。

 

「ぐわっ!!」

 

「ぎゃ!!」

 

そう叫び、雪風の背後にいた王允の部下たちが首から血を流し倒れる。そう、雪風が斬ったのは吹雪ではなく王允がよこした刺客二人である。

 

「ぐ・・・・は、樊稠・・・・貴様・・・・裏切ったな」

 

「裏切ってはいない。表替えっただけだ・・・・」

 

「くっそ・・・・・」

 

と、そう言い刺客の一人が死ぬのだった。そして雪風は短刀をしまい。

 

「隊長。ご無事に目が覚めて何よりです」

 

「ああ、雪風。最初目が覚めて短剣を持ったお前を見て肝を冷やしたよ・・・・」

 

「すみません。これも任務なので。それと隊長。至急宮中に行ってください。月さまと詠さまが危ないです」

 

「なに!?」

 

雪風のその言葉を聞いて俺は起き上がり、掛けてあった軍服を着る。そして俺は壁に置いてある九九式小銃を手に持ち7・7ミリ弾を装填し、そして部屋を出ようとする。すると

 

「あ、そうだ樊稠」

 

「はい。隊長」

 

樊稠が返事をすると俺は机の引き出しを開けてそして一枚の手紙を渡す

 

「これを母さんに渡してくれ。たぶん虎牢関で悩んでいるみたいだから」

 

「わかりました。それと隊長。これを」

 

と、雪風は一枚の書類を渡し、俺はその書類を見る

 

「例の報告書のまとめです。やはり隊長が疑った通りでした。」

 

「やっぱり…思った通りだな・・・・月たちが危ない。雪風。後を頼む!それと斗志や志乃たちに例の計画を開始するように言ってくれ」

 

「御意!」

 

そう言い俺と雪風はわかれ俺は月たちのいる宮中へと走るのであった。

 

 

 

 

 

 

「樊稠め・・・・」

 

「くそっ!だから、あんな子娘じゃなくて私たちの方が確実にやれたのに・・・・・」

 

と、暗殺者の一人である畢嵐と段珪がそう呟く。すると

 

「さあ、どうする?ここで大人しく月や詠から手を引けば命だけは助けるけど?」

 

と、吹雪は不敵の笑みでそう言うが、暗殺者たちは腰についている剣を抜く。

 

「どうやら、引く気はないらしいな・・・・」

 

俺が言うと段珪が

 

「当たり前だ!私たちは王允様や張譲様の命で来ているんだ。今更引けるか」

 

「なっ!?馬鹿!!」

 

段珪の言葉に畢嵐が慌ててそう言うと吹雪の目が光り

 

「やはり。この暗殺の黒幕は張譲か・・・・・」

 

「ああ、そうだよ!そしてこの内乱を引き起こしたのも張譲様の策略だ!」

 

と、段珪は胸を張ってそう言うと畢嵐が

 

「あんた。そんなこと喋っていいの?このことは内密にと王允様から言われてたはずじゃないの!!」

 

「はっ!どうせこいつらはもうすぐうちらに殺されるんだからさ、冥途の土産に教えたって別に問題ないさ!さて・・・あんたたちは知ってはいけないあたいらのことを知りすぎた」

 

「いや、あんたがべらべら喋っただけだろう?」

 

と、吹雪がつっこみを入れると周りの皆はうんうんと頷く

 

「そんな細かいことはいいんだよ!あんた達にはここで消えてもらうよ!お前達やっちまいな!!」

 

と、吹雪の突込みは無視して畢嵐は部下たちに命じ、畢嵐の部下たち5人は吹雪に向かって剣を振りかざし襲い掛かる。それを見た吹雪は九九式小銃を向けて発砲する

 

ダアァーン!!

 

ダァーン!!

 

ダダアァァーン!!!

 

「ぎゃぁ!!」

 

「ぐわぁ!!」

 

「「ぐえ!!」」

 

吹雪の放った7・7ミリ弾が刺客たちを撃ちボルトを動かし再装填をし、また撃ち倒す。そして吹雪は空になった99式にまた弾丸を込める。それを見た畢嵐はにやりと笑う

 

「やはりな・・・・段珪!行くわよ!」

 

「ええ!!」

 

そう言い二人は弾丸を装填中の吹雪に襲い掛かりそして吹雪は99式を盾にその攻撃を防ぐ。そして二人の攻撃を押し返し弾丸を撃つ。その攻撃を畢嵐が避け、吹雪が再装填しようとボルトを動かした瞬間。急に後ろから殺気を感じた。

 

「隙ありだ!!」

 

「っ!?」

 

その殺気の正体は段珪だった。俺はその一撃を躱すがその瞬間、畢嵐がまた攻撃する。その時頬を斬り血が流れる。くそ。これじゃあ再装填できない。すると畢嵐が

 

「あんたの持つ天の国の武器って変な音出した後その閂みたいなのを動かさないと撃てない。しかも5回それをした後わずかながら動きが止まる。なら対策は簡単だそうならないように私たち二人が攻めればいい話だ!」

 

まずい。この二人99式小銃の弱点に気付いたか・・・・

 

「あんたの強さやあの曹操の夏侯惇に勝ったって言うのもその武器のおかげなんだろ?それが撃てなければお前に勝機はないわ!!」

 

そう言い、畢嵐が俺に斬りかかる

 

「これで終わりだ沖田!!」

 

そう言い二人は同時に斬りかかる。この時二人は絶対にこの一撃で吹雪をこれせると確信した。確かに呂布の息子といわれる彼でかなりの凄腕だという話は聞いたがそれは吹雪の持っている九九式小銃の威力があってのものだと思っていたのだが・・・・

 

「・・・・あんたら甘すぎだ」

 

と、そう言い俺は小銃の銃床をを使って畢嵐の手に当て彼女の持つ剣を弾き飛ばし、そしてそれと同時に段珪の腹に一発、くらわす(むろん手加減はして)。そして吹雪は小銃を持ち直し、銃剣で突き攻撃をする。

 

「なっ!?」

 

「わっ!!」

 

いきなりの銃剣攻撃に二人はいったん距離を取るため後ずさる。そして、先ほどの攻撃を受けて冷や汗をかいている段珪は

 

「くそ!なんだ!?今の攻撃は?槍術に似ているが?」

 

「な、なぜだ・・・・貴様はあの力が使えなければ無力じゃないのか!?」

 

「お前たち。俺が銃が使えなければ勝てるなんて思うなんてちょっと爪が甘いんじゃないか?銃が撃てなくとも白兵戦くらいはできるぞ」

 

と、俺は銃剣をつけた九九式を構える。俺は祖父に銃剣術を教わったことがある。そしてここでは華雄や母さんたちに剣術や武術を教わった。たとえ銃が撃てなくとも白兵戦で戦えばいいだけだ。俺は少し目をつぶりそして目を開けるその瞬間、俺の体から何かが湧き出すような力がみなぎるような感覚がしたのであった。

 

「いく・・・・ぞ」

 

「「っ!?」」

 

吹雪がそう言った瞬間二人は目を見開く。二人が見えたのは銃剣をつけた小銃を持つ吹雪。だがそれだけではなかった。彼女らが見たのは吹雪の体から湧き上がる赤いオーラであった。そしてそのオーラはある人の姿をしていた。そのオーラに移ったのは吹雪の母である呂奉先こと恋であった。その吹雪のオーラに二人は震える。今まで多くの相手を抹殺してきた殺し屋である二人だが、吹雪のオーラを感じてこう思った。

 

「(おい、段珪。俺たちはとんだくじを引いちまったみたいだな。どうやらただの得物だと思ってた相手が、獲物は獲物でも)」

 

「(ええ・・・・ただ董卓を暗殺するだけだったのにね・・・・・で、どうする?二人がかりで行けそう?)」

 

「(いや、無理ね・・・・・あの闘気を見ても桁が違いすぎる。私たちがかかっても勝てそうには思えないね・・・・・これは誤算だ。王允様には悪いけどここは逃げた方が得策だな)」

 

「(そうね・・・・・)」

 

「どうした。こないなら俺から行くぞ?」

 

と、吹雪が殺気を込めた目でそう言うと段珪は胸から小さなクス玉を取り出し

 

「あいにく私たちはここで死ぬわけにはいかないのでね!ここいらで退散させてもらうわ!!」

 

「あばよ!!」

 

そう言うと彼女はその玉を地面にたたきつける。そしてそれと同時に白い煙が舞い上がりその煙は晴れた時には二人の姿はいなかったのであった。それを見た吹雪は殺気を消して

 

「やれやれ・・・・どうやら退散したか・・・・・・ぐっ!」

 

と、ほっとしてそう言うと急に虎牢関の時の胸の傷の痛みが出てしゃがみ込むと

 

「「吹雪(さん)!!」」

 

月や詠が俺の傍に駆け寄ると、俺は笑いながら

 

「アハハ・・・・大丈夫だよ月、詠。」

 

「でも吹雪さん。頬から血が・・・・」

 

「ただのかすり傷だ。放っておけば止まる。それよりも二人とも怪我はない?」

 

「はい。大丈夫です・・・・吹雪さん・・・・本当に吹雪さんなんですよね?幽霊ではないんですよね?」

 

「ああ、この通りちゃんと足があるぞ。この通りちゃんと生きている月」

 

「よかった・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

月が安心してそう言う中、詠は黙ていた。

 

「詠?どうしたんだよ。黙って?」

 

と、俺が言った瞬間。

 

「あんた!どれだけ僕たちのことを心配させたと思っているのよ!!」

 

と、詠が怒鳴り俺と月は驚く。それをよそに詠の言葉が続く

 

「虎牢関であなたが負傷したって聞いた時は月がどんな気持ちだったか・・・・それに僕だって・・・家族であるあんたが死んじゃったかと思うと・・・・・」

 

と、詠は俺の顔を見てものすごく悲しそうな目で俺を見ていたその目にはうっすらと涙が見える。それと他に月も心配そうな目で少し目が赤く涙の痕があった。そうか‥‥それほど心配させてしまったのか・・・そのことを思うと俺は申し訳なくなって来る

 

「そうか・・・・・すまない二人とも。心配かけちゃって」

 

「本当よ。もうこれからはあまり無茶とかしないでよね!月のためにも」

 

「わかった。わかった。本当にごめん。・・・・・まあ、とにかく二人が無事でよかったよ」

 

と、俺がそう言うと詠が俺に近づき耳元で

 

「それよりも吹雪。やっぱりこの乱お起こしたのは十常侍筆頭の張譲だったわね。これからどうするつもりなの?」

 

「ああ、そのことなんだが詠。そろそろこの乱を終わらせようと思うんだよ」

 

「終わらすってどうやって?・・・・・まさか!?」

 

「ああ、この前二人で話し合った第2計画だけど・・・すでに実行に移っているんだよ。」

 

「あんたってそう言うのは早いわね・・・・」

 

「まあ、結構大変だったけどな。」

 

「そう・・・・・それならいいわ。ありがとね吹雪・・・・」

 

「(二人とも…何を話しているんだろう?)」

 

詠と吹雪が小声で話している中、月は首をかしげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある部屋では張譲が昇る朝日を見ながら秘かに蓄えていた最高級の酒を飲んで浮かれていた

 

「もうすぐこの王朝は私の物になる。聞けば連合軍は呉の軍と劉備の義勇軍。そして曹操の軍が虎牢関を突破し、こちらに向かっているという話が出てるし、何よりも邪魔な董卓と沖田を始末で来たなんてこれほど嬉しいことはない。後は私を保護してくれるはずの連合軍の兵士が来るのを待つだけだな。それにしても王允の奴・・・劉脇様を見張りに行くなど後ででもよいのに。どうせあの小娘もいずれ役目を終えたら消すつもりだからな・・・・」

 

と、そう言い張譲は酒を一口飲む。すると部屋から張譲の私兵が入ってきて

 

「張譲様!」

 

「なんだ?騒々しい」

 

「はっ!先ほど連合軍の兵士である周泰と名乗る人物と公孫瓚と名乗る人物の他数名の兵士たちがやってきました!」

 

「周泰?ああ確か孫家の家臣で公孫瓚は・・・確か田舎の太守だったけな?まあ、どれも連合軍の者だな!よし!すぐに行こう!!」

 

と、そう言い張譲は部屋を出る。その際張譲の私兵がにやりと笑うのであった。そして張譲はしばらく歩き広場につくとそこには5人くらいの人影があり、その先頭には明命がいた。

 

「お待ちしておりました。張譲様。」

 

「おおー!!待っておったぞ!!あの悪逆非道の暴君董卓に捕らわれてからというもの本当に辛かったぞ・・・・・・・て、あれ?他の兵たちはどうしたのだ?てっきり大勢来ると思っておったのだが?」

 

と、辺りを見渡す張譲。すると

 

「兵隊ならいますぞ?」

 

「ただ連合軍の兵じゃないですけど?」

 

と後ろから声がし、張譲が振り向くとそこには星と斗志が槍と刀を突き付けて立っていてその背後には華雄の軍や霞の軍がいた。

 

「き、・・・貴様らは!?お、おい周泰!私をこいつらから助けてくれ!こいつらは陛下を傀儡し自分の赴くままに動かそうとする董卓の兵だぞ!!」

 

と、そう言う張譲。しかし・・・・

 

「それは貴様の方ではないのか張譲?」

 

「っ!?」

 

と、張譲は驚き声のする方へ顔を向ける。するとそこにはここにいるはずのない人物であった

 

「貴様は・・・・・沖田吹雪」

 

張譲は驚きの声を上げると吹雪は張譲に近づきそして刀を突き付ける

 

「・・・・・ご同行願おうか?十常侍筆頭の張譲殿?」

 

と、殺気を含めた目でそう言うのであった。

 

 

 

 




次回でとうとう反董卓連合の戦いが終結します。


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反董卓連合終結

洛陽の宮中で騒ぎがあったころ連合軍陣営では・・・・

 

曹操陣

 

「華琳様」

 

「桂花。状況はどうなの?」

 

「はい。先ほど凪たちが虎牢関から戻ってきました」

 

「そうなの・・・・・でどうだったの?」

 

華琳がそう言うと桂花は一枚の書類を取り出し華琳に渡す

 

「これは何かしら?」

 

「凪が虎牢関でとある人物から受け取ったものです。その紙に書かれている名を見てください」

 

桂花にそう言えあれ華琳はその紙の下の方を見るとそこには『沖田吹雪から魏の王へ』と書かれていた。それを見た華琳は目を大きくみ開きその手紙を広げて読む。そしてそれを読んだ後

 

「なるほどね・・・・・胡散臭いと思ってたのが現実になったわね。で、桂花?凪たちはどうなっているの?」

 

「はい。今とある人物とともに特別任務に当たっております」

 

「そう。・・・・・・それともうじき来客が来ると思うから準備しときなさい」

 

「かしこまりました」

 

 

 

呉の陣営

 

「姉さま。虎牢関へ潜入する準備ができました。いつでも行けます」

 

一方、呉の陣営では孫権こと蓮華が思春を連れて姉である雪漣のところにやってくる。しかし

 

「ああ、蓮華。ごくろうさま。でも、もういいわ」

 

「え?どういうことですか?」

 

「言葉通りの意味よ。虎牢関への潜入は中止よ」

 

「それって・・・・・吹雪殿を見捨てろって意味ですか?」

 

「いいえ、違うわ。もうそれをする必要が無くなったのよ」

 

「それはどういう意味ですか姉上」

 

「私が説明します蓮華様」

 

「え?」

 

と、蓮華がそう言うと天幕の外から董卓軍の捕虜になっているはずの明命が入って来たのだ

 

 

袁紹陣営

 

 

「姫、どうします?もう撤退しましょうよ。」

 

「どういう意味ですの猪々子?」

 

「だってさ~汜水関や虎牢関でうちらの兵はほとんどやられちゃったじゃないですか。しかも虎牢関は突破できずにもう1週間。この戦争が始まって半月以上たとうとしているんですよ」

 

と、文醜がそう言うと郭図が

 

「それに董卓を討つためにやって来た諸王国も戦意を失い国に帰っています。それに私たちの物資も前の黒山衆や周倉の奇襲攻撃でほとんど失っています。ですのでこれ以上の戦は袁家にとっては危険ではないでしょうか?麗羽様。ここはひとつ体制をを立て直すためここは撤退するべきです」

 

と、郭図がそう言うと麗羽はため息をつき

 

「琉巳さん。あなたはいつから臆病になったのですか?我が名門である袁家に撤退の文字はありませんわよ」

 

「ですが麗羽様。既に私たちの軍はもう戦える兵士がいません」

 

「斗詩の言う通りあの呂布の攻撃で兵士たちの士気も落ちています」

 

「それならば、他の兵たちに頼んで虎牢関を攻めるように言いなさい。『総大将命令』といえば、素直に従うはずですわ」

 

「そんなにうまくいきますか?」

 

「上手くいくのですよ。なんたって総大将直々の命令なのですから逆らうはずはありませんは。さてわたくしは次の軍議が始まるまで仮眠をとってますので起こさないでくださいね。お~ほほほ!」

 

そう言うと袁紹は寝具のある天幕へと高笑いをしながら行くのであった。そしてそれを見た文醜たちは深いため息をつくのであった。

 

 

 

 

一方連合軍の天幕の外では・・・・

 

「あそこが連合軍の軍議天幕か公孫瓚殿?」

 

「ああ、天幕の旗を見て袁紹はまだ来ていないみたいだが、ほかの連中は来ているみたいだな」

 

と、連合軍天幕の岩陰で俺と公孫瓚がそう話していた。

 

「そうか・・・・で、二人とも例の客人は連れているよな?」

 

「はい。隊長この通りにきつーく縛っています」

 

「こいつのせいで…隊長や月様が・・・」

 

「まあ、まあ落ち着け斗志、桜花。それじゃあ、行くか。二人は合図があるまで待機」

 

「「了解」」

 

そう言い俺は日の丸の鉢巻きをぐっと額に巻き、腰に軍刀を差して連合軍の天幕へと向かう。するとそれに気づいたのか連合軍の兵士たちが

 

「とまれ!何者だ!!」

 

と、槍を突き付ける。そんな中俺は息を吸いそして

 

「董卓軍第三師団師団長沖田吹雪である!連合軍総大将に面会である・・・・・・通せ!!」

 

と俺が気迫でそう言うと連合軍の兵士は俺をその軍議の天幕へ連れて行くのであった。俺が天幕に入る数分前の軍議天幕の中では袁紹を除く他の連合軍の大将が集まっていた。

 

「それにしても遅いな・・・袁紹さん。もうみんな集まっているのに」

 

「まさか寝ているんじゃ・・・・」

 

「あの袁紹ならあり得るね」

 

と、先に天幕について座って待っていた劉備や北郷、そして華琳や雪蓮がそう呟く。すると雪蓮が

 

「そう言えば曹操」

 

「あら?何かしら孫策」

 

「あなた、昨日虎牢関にあなたの部下が虎牢関に入ったのを私の部下が目撃したらしいんだけど?あなたもしかして董卓と内通しているんじゃないの?」

 

「あら?なんのことかしら?第一、孫策あなたはどうなの?聞けばあなたの所の妹が虎牢関に入って董卓たちを救出しようしたという噂が立っているんだけど?あなたこそ内通しているんじゃないの孫策?」

 

「さて?あなたの見間違いじゃないかしら曹操?」

 

「そう?まあ、そう言うことにしておくわ」

 

と、そう言い互いを見る二人。すると劉備が

 

「もう、二人とも今はそんなことを言い争っている場合じゃないですよ。今は互いに協力し合って虎牢関を突破しないと」

 

と、劉備がなだめる。そんな中とある声が聞こえた

 

「失礼するぞ」

 

そう言いながら天幕に入ってきたのは沖田吹雪であった。その姿を見て劉備たちは驚く。そんなことを気にせず吹雪は

 

「董卓軍軍使、沖田吹雪。反董卓連合軍総大将袁紹に面会である!この連合の先任将校はいるか?」

 

と、沖田がそう言うと、袁紹の代わりに席に座っていた郭図が立ち上がり

 

「私は袁紹様の軍師の一人の郭図です。それであなたが董卓軍。それも天の御使いと言われている沖田吹雪殿だと証明できるものはありますか?」

 

と、そう言うと吹雪は腰に差していた軍刀を出し

 

「この軍刀に掛けて信じていただきたい」

 

と、真剣な目で言うと、曹操が

 

「彼は本物の天の御使いの沖田吹雪よ。私が保証するわ」

 

「私もよ。彼とは黄巾の乱であっているしね」

 

「私もです」

 

と、華琳や雪蓮、そして劉備がそう言うと郭図が頷き

 

「なるほど・・・・・どうやら本人みたいですね・・・・・わかりました少々お待ちください」

 

と、そう言い郭図はいったん天幕の外に出て、袁紹のいる寝室へと入り

 

「麗羽様。麗羽様。起きてください」

 

と、郭図は寝ている袁紹を揺り起こす。すると袁紹が目を覚まし

 

「なんですの?もう軍議の時間になったのですか琉巳さん?」

 

「いいえ、あなた様にお客が来ています。董卓軍の使者です」

 

と、そう言うと袁紹は飛び起きて

 

「なんですって!?それじゃあ、とうとう私たちに降伏するのですわね」

 

と、すっかり有頂天な気分で着替えて軍議の天幕へと向かうのであった。そして軍議場へ着き吹雪の顔を見るや否や

 

「あら?あなたはさっきのブ男さん。とうとう私たちに降伏する気になったのですね?」

 

と、上機嫌でそう言うが吹雪は首を横に振り

 

「いいや。俺がここに来た理由は貴殿ら連合軍に撤退勧告しに来た」

 

と、そう言うと例はは眉をぴくッと動かして

 

「今,なんとおっしゃいましたか?」

 

「ですから、撤退勧告しに来たと言っているんですよ」

 

とそう言うと例は目をキッと細め吹雪を睨み

 

「ふざけないでくださいます?なんでわたくしたちが暴虐をしている逆賊の董卓から都に住む陛下やそこに住んでいる人を助けるために来たのですわ。それなのになぜこの軍を引き上げなければいけないのですの?」

 

「・・・袁紹。董卓が暴政しているなどという話誰から聞いた?」

 

「誰ってそれは漢王朝に仕える宦官で十常侍筆頭の張譲さんですわ!あの人が都で董卓が暴政をして陛下を困らせるから名門である袁家を筆頭に各諸王国を集めて董卓を討伐してくれと、書かれた手紙を読んでここに来たのですわ!」

 

と彼女はそう言うと、吹雪はため息をつき

 

「悪いが袁紹。貴様は騙されているんだよ。董卓は暴政などを一切していない」

 

「なんですって?」

 

「おい!奴を連れてこい!!」

 

と、吹雪がそう言うと天幕の外から斗志と桜花が現れ、そして縄で縛られたとある人物を連れてくる。その人物は銀髪で派手な衣装を着た青年であった。それを見た袁紹が

 

「こ、この人は張譲さん!?なんで張譲さんが縄で縛られていますの!?」

 

「この男は漢王朝の実権をこの手に握り、それが邪魔である董卓にぬれぎぬを着せてこの乱を引き起こした張本人だよ。これがその証拠だ」

 

そう、桜花たちに連れてこられた縄で縛られた男は張譲であった。そして吹雪は張譲が暗躍し謀略ていた資料を連合軍に渡しそれを見た連合軍の将たちは動揺する。しかし袁紹は

 

「ふん!そんなものは嘘に決まっていますわ!!こんな書類などいつでも偽造できますし。それにしてもあなた漢王朝に仕える高官であり十常侍筆頭の張譲さんをこんな目にあわしてただで済むと思わないでちょうだい!すぐにここで処刑・・・・「その必要はないわ」・・・・え?」

 

袁紹が怒ってそう言うがそれを遮る声が聞こえる。そして袁紹たちがその声のした方へ顔を向けると・・・・

 

「へ、陛下!?」

 

袁紹が驚いてそう言う。そう、そこへ現れたのは漢王朝の皇帝である霊帝とその妹である劉脇そして十常侍の趙忠であった

 

「な、何故陛下がこんなところにいるんですのッ!?」

 

「そんなことどうでもいいわ。それよりもえ・・・・とあなたは袁家の・・・」

 

「空丹様。袁紹です」

 

「ああ、そうね。ありがと黄。それよりも袁紹。沖田の言うことは本当よ。董卓は暴政をしていないわ!そしてあなたは張譲の文を鵜呑みにし自分の目でそれを確かめないで私の信頼する沖田や董卓を討伐しようとは何事よ!!」

 

「は、はッ!!」

 

霊帝の雷に袁紹は顔を青くし思わず頭を下げた。そして趙忠は張譲を見て

 

「張譲殿。あなたのことは前から怪しいと思っていましたがまさかこんなことをするとはね」

 

「はっ!何を言っているんだ趙忠、私は無実だ。沖田の出した資料も偽物かもしれんのに何の証拠があって・・・」

 

と、張譲は白を切るが、趙忠は目を細め

 

「証拠ならあるわよ・・・・例の者持ってきてくださる?」

 

「はい。これです」

 

そう言うと天幕から凪や真桜そして沙和が入りある資料を渡す。そして趙忠はその資料を張譲の前に見せる

 

「この資料がなんだ?」

 

「これはあなたが殺した丁原が残した置き土産よ。あの子が命を懸けてまとめたあなたがこれまでしてきた悪行を記録したものよ。この報告書によればあなた沖田殿や董卓は愚か劉脇様の命まで狙ってたそうね!」

 

張譲はその資料を見て顔を青くする。そうその資料はかつて自分がしてきた悪行を細かく記録したのが書いてあった。そして霊帝は

 

「すぐにこのバカな戦争を止めなさい!そしてこの連合に参加した皆のものに罪はなし。ただし袁紹は総大将の責任として領地の一割を没収する!そして張譲!!貴様は私の妹だけではなく、信頼する沖田や董卓の命を狙ったこと決して許しはしないわ。あなたには苦しい罰が下されるのを覚悟することね!!連れて行きなさい!!」

 

「くっ・・・・・」

 

霊帝の言葉に張譲は悔しそうな顔をする。そして兵士たちが張譲を連れて行こうとしたとき

 

ボムっ!!

 

『っ!?』

 

急に張譲の周りから煙幕が現れ、そして煙幕が晴れると張譲の姿は消えて残っていたのは切れた縄だけであったのだった。そのことにみんなが驚く中、趙忠が

 

「みなさん。悪党の張譲は今私の兵士が探しておりますので、あなたたちはすぐに平和条約を結びなさい!それでいいですか陛下?」

 

「ええ、かまわないわ。それではすぐに準備をなさい!」

 

と霊帝が頷き、みんなが混乱する中、直ちに平和条約への準備が始められるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洛陽のとある宿

 

「張譲様。ご無事で何よりです」

 

「王允。助かった・・・・」

 

と宿の中で張譲がそう言う。そうあの煙は王允が煙球を使い張譲の縄を切ってここまで運んだのだ

 

「くそっ・・・沖田め。全部あいつのせいだ。あいつさえいなければすべてうまくいってたのに・・・・」

 

と、悔しそうな顔でそう言うと王允が

 

「それでどうしますか張譲様。もうここにはいられません。いつ追手が来るかもわかりません」

 

「そうだな・・・・この大陸にいても反董卓連合に参加していた奴に捕まる・・・・・とすると南蛮・・・・いや大秦だな」

 

「大秦・・・・・・・・・・羅馬のことですか?ですがあそこはすごく遠いいですよ?」

 

「この際だ仕方がない。出発は夜だ。そして南蛮を通ってそこへ行く。そして、いずれ機会があったらこの国に戻りいつかあの沖田に復讐してやる!」

 

「わかりました。ではすぐに出発の準備をします!」

 

と、そう言い王允が部屋を出ようとしたとき

 

グサっ!!

 

「ぐっ!?」

 

何かが王允の腹を貫くそれは短剣であった。そして

 

「羅馬よりも安全な場所がありますよ王允殿。張譲様。それは地獄という場所ですよ」

 

と、王允を刺したのは樊稠子と雪風であった。その目は氷のように冷たい視線であった。

 

「き・・・・貴様は・・・・・はん・・・・・ちゅう」

 

そう言い王允は倒れ血を流し絶命する。それを見て張譲は目を見開き

 

「は、樊稠!?貴様何を!?お前は私の味方ではないのか!?」

 

「張譲様・・・・いいえ張譲。貴様は一つ勘違いをしている。私は貴様についてはいない。私があんたの仲間になっていたのはあんたの本性を探るため。それだけではない。張譲。貴様、夜腑迂瑠(やぷうる)村事件のことは知っているな?」

 

「な、なんだと?」

 

「10年前、成都の隅にある小さな村、夜腑迂瑠村が漢王朝の役人によって皆殺しにされた」

 

「ああ、あの村には疫病が蔓延していたからそれを焼却するために村を焼き払った。しかし人はいなかったはずだ」

 

「違う!そんなのは表の作った理由だ!!あの村を焼き払った理由は、漢王朝に仕えたとある高官に不満を持った人たち、そしてその男の悪行を知っている者たちを口封じするために殺したんだ!それも女子供を含めた無差別虐殺だ!そしてその悪行をしその村の人たちの虐殺を指示し計画を立ててたその男は貴様だ張譲!」

 

「ふっ、何を根拠に?」

 

「・・・・・私はお前が皆殺しにしたあの村の生き残りだ」

 

「っ!?」

 

その言葉に張譲は目を見開く

 

「馬鹿な!?あの村には生存者はいないとその殲滅隊の隊長がそう報告したはずだ・・・・」

 

「あの時幼い私はその隊長に命を救われ育てられた。そして私はその育ての親が無くなる前にその真実を聞かされ、それ以来張譲貴様に復讐する機会をうかがっていた。もし心を入れ替えましな人間になってれば命を取らず牢屋に入れようと思っていたが、あんたは月さまの命だけではなく私が最も敬愛する隊長の命をも狙い、そしてこんな戦争を引き起こした。もはや私はあんたに慈悲をかける気はないわ。たとえ漢王朝の役人だろうが皇帝であろうが、平和を乱しこの国の人たちに厄災をもたらすものは悪・即・斬のもとに斬り捨てるわ」

 

「沖田の指示か?」

 

「いいえ、隊長はこのことは知らないわ。これは私怨よ。死になさい張譲これは天誅だ」

 

そう言い雪風は短刀を手に張譲に近づくすると張譲は顔を青くし

 

「ま、待って!待ってくれ!金ならいくらでも払う!一生遊んで暮らせるぐらいの金を払うぞ樊稠!」

 

と命乞いをするが、樊稠はふっと笑い

 

「犬はエサで飼える。人は金で飼える・・・・・・だけど天水の狼を飼えるものは何人にもできないわ」

 

そう言い、雪風は剣を振り上げ張譲の首を斬り、張譲は悲鳴を上げる暇もなく絶命した。そして一人残された雪風は

 

「・・・・父上、母上。仇はとりました」

 

と、そう言い静かに部屋を出るのであった。こうして反董卓連合は終結したのであった。

 

 



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平和条約会議

更新が遅れて申し訳ございません。やっと書けました・・・・


張譲の陰謀で始まった反董卓連合はこの乱の首謀者の張譲の企いが暴かれたのと漢王朝現皇帝である霊帝の鶴の一声で終結した。因みに張譲なのだが行方をくらませた後とある宿屋で従者の女性と共に遺体で発見された。そして、その遺体の傍には『天誅』と書かれた紙が置かれていて、張譲が何者かによって殺害されたのはわかったが犯人が誰なのかは不明であった。ただ、張譲はその裏で暗殺やら暴政などをしていたためいろいろと他の人間に恨まれていたため、おそらく犯行は張譲に恨みを持った者の犯行ということで片付けられた。

そして現在解散した連合軍は董卓軍と平和条約を結ぶため現在代表者とその護衛役数名が洛陽内に入っている。そして連合軍が洛陽に入り目にしたものは

 

「な、なんですのこれ・・・・本当にここが洛陽なんですの?」

 

と、みんなの気持ちを代わりに応えるかのように袁紹が呟く。彼女たちが目にしたものは荒廃した洛陽の街を想像していたのだがそこにあったのは想像とはかけ離れたとてもお活気のある街で今まで荒廃していたのとは違う賑やかな街へとなっていた。そしてこの街を見て華琳は

 

「やはり、あの檄文はガセだったようね。それにしても今まで荒れていた洛陽の街を活気のある雰囲気に生まれ変わらせるなんてさすが吹雪ね・・・・」

 

と、そう呟き、

 

「すごい・・・」

 

そう呟いたのは先ほどまで暗い表情をしていた劉備。そしてほかの皆は唖然とした顔をしたのと同時に自分たちがしたことはなんも無意味な戦いをしていたという実感を改めて感じるのであった。そして連合軍各国代表者たちはそのまま会見場所へと向かうのであった

 

 

 

 

 

「それではそれではこれより反董卓連合終結の宣言と平和条約の会議を始めたいと思います。霊帝様」

 

「うむ。では始めなさい。あ、因みにこの条約の立会人は朕こと霊帝が務めるわ」

 

と、霊帝がそう言うと彼女の前に机が二つあり片方の机には連合軍総大将袁紹以下、華琳、雪蓮そして劉備に北郷、そして馬騰が座っていて反対側の机には怪我から復帰し北郷と同じ天の御使いの称号を持つ吹雪と董卓軍軍師の詠、そして・・・・・

 

「初めまして連合の皆さん・・・・わたしが董卓です」

 

洛陽太守である董卓こと月が正装をして彼女たちの前に出て頭を下げる。初めて見る月の姿にみんなは「あれが董卓なのか?檄文で書かれていたのと違う」などと話して何やら半信半疑のような顔をし北郷に至っては目を丸くし「あれが董卓っ!?」と言いたげに驚いていた。まあ、それはそうだろう。実際吹雪も初めて月に出会った時は驚いたのだから。そして平和条約会議は順調に進み、無事調印することが出来た。しかし、この反董卓連合の戦いで連合軍総大将だった袁紹は確かめもせず檄文を鵜呑みにし無意味に洛陽へ侵軍した事、そして多くの兵たちを死なせた責任を取らされ領土の一割を取り上げられたのだったのだが・・・・・

 

「待ってください陛下・・・・・」

 

「?どうかしたのかしら董卓?」

 

と、月が席から立ち上がり

 

「今回の戦争の原因は袁紹さんのせいだけではありません。彼女もこの戦争に巻き込まれた被害者の一人にすぎません。それでも袁紹さんが罰せられるというのなら、私も罰せられなきゃいけません」

 

「なっ!月!?」

 

月の言葉に詠が驚き、それを聞いた霊帝こと空丹は

 

「あら董卓。なぜあなたが罰せられなきゃいけないの?今回の乱は張譲のた企みによって起きたことじゃない」

 

「そうよ月。あなたはなにも悪くないじゃないの!」

 

と、二人はそう言うが月は首を横に振り

 

「いいえ、今回の乱の原因は張譲だけではありません。洛陽の太守である私の力が不足していたこと、そして張譲の悪行を止めることが出来なかったのが私の罪です。ですから陛下、なにとぞ厳しきお裁きを」

 

と、月が頭を下げると吹雪も立ち上がり

 

「いや、月のせいじゃない。俺も天の御使いの一人として・・・・洛陽の治安を守る警邏隊の隊長として、張譲の企みに気付かず放っておいた俺に責任がある。ですから陛下罰するなら月ではなく俺を罰してください。陛下、あなたが俺に死を命じるのなら俺は喜んでこの腹を斬りましょう」

 

「僕も謹んで罰を受けます」

 

と吹雪や詠がそう言う。吹雪は洛陽に入り漢王朝の役人である張譲を怪しいと警戒し、雪風に頼んで調査はしていたのだがなかなか尻尾をつかめず、確かな証拠がなかなかったため。動こうにも動けない状態であったのだ。そして張譲の完全な証拠をつかんだのは自分が負傷した直後であった。すると空丹は

 

「そうね~確かにあなた達信頼して政務を任せたのにこの乱を起こしてしまったからには何かしらの罰を与えないとね~」

 

と、空丹はいたずらっぽい笑みを浮かべる。そして

 

 

「董卓。あなたの罰はこの乱を引き起こした責任として、都洛陽の太守を止めてもらうわ。そして沖田。あなたもここ洛陽警邏隊の隊長を止めてもらう。その代わりに董卓。あなたたちには長安を任せるわ」

 

「え?」

 

空丹の言葉に月はもちろんほかの皆は驚く長安といえば洛陽に次ぐ大きな都。そこを月に任せるというのだ。

 

「あの・・・それは・・・」

 

月が戸惑う中、空丹の傍にいた黄が

 

「最近あそこの街の治安が洛陽以上に悪くなっていまして、それであなた方にはそこの治安維持、そしてそこを治めていただきたいのよ。これが陛下があなた方に与える罰です。そうですよね空丹様?」

 

「ええ、そうよ。ただ死刑にするのは簡単だけど、それじゃあ、なんの解決にもならないわ。だからこの責任は生きて償わせてもらうわよ董卓。他の者は異論はないわね?」

 

と、空丹がそう言うが誰も異議を唱える者はいなかった

 

「それではこれで平和条約会議を終わります。それと空いた洛陽太守の後任者は後程、知らせますので、では解散してください」

 

と、趙忠の号令によって平和条約会議終了と同時に反董卓連合は解散したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平和条約が終わった後、空丹と黄は部屋でお茶を飲みながらゆっくりとした時を過ごしていた。すると黄が

 

「よろしかったのですか空丹様?」

 

「ん?何が黄」

 

「罰といってあの沖田を陛下の物にできたのではないですか?陛下はあの男のことをとても気に入っていたじゃないですか?」

 

「いいのよ。確かに罰といいつつ沖田を手に入れることも可能だったわ。でもね本人の意思もなくそんな束縛な事をするのは朕は嫌いなのよ。それに沖田は何にも囚われないし誰の者でもないしね」

 

「空丹様。やはり沖田のことを・・・・」

 

「さア、どうでしょうね。そこは想像に任せるわ」

 

と、少し寂しそうな笑顔でそう言いお茶を飲む空丹。

 

「・・・・それで空丹様。これからどうするおつもりですか?」

 

「こうなってしまったのも朕の責任であるからね。これを機に朕は漢王朝の皇帝の座を正式に妹である白湯に譲るわ。朕・・・・・いえ、私は白湯の相談役をするつもりよ。あの子が困った時助けられるようにね」

 

「そうですか・・・・・でも漢王朝はこのままどうなってしまうんでしょうね」

 

「恐らく、白湯の代で終わるでしょうね。漢王朝は既に限界。今更立て直そうにも無理に等しいわ。なら一度、全てを破壊してから新たに作ればいいだけの話よ」

 

「ですがそれだとほかの諸国が自分の国を作るため戦争を始めます。そうなればこの大陸は大きな内乱祭りとなるのでは?」

 

「遅かれ早かれそうなるでしょうね・・・・・いや、もうなりつつあるわね。既に漢王朝は滅亡してもおかしくなかったのよ。宦官のせいで政治は廃れ、忠臣は殺されるか地方に送られる。残ったのは酒や肉の脂で肥えた宦官……。だから黄巾の乱が起きたと私は思うよ」

 

「空丹様。黄巾の乱を知っていたのですか?」

 

「ええ、黄。あなたは私に気を遣ってそのことを知られないようにいろいろと手を加えていたみたいだけど。私だって世間知らずではないわ。常に新聞くらい読んでいるわよあなたに内緒でね」

 

「そうなんですか・・・・・・・それにしても。あの時の会議の空丹様はいつもと違って能弁でしたわね。皆さん普段の空丹様の雰囲気と様子が違う空丹様を見て驚かれていましたわよ」

 

「箱入り娘になりきって演技するのも大変なのよ。まあ、珍しいお菓子や高級お菓子が好きな設定は素の時でも同じなのだけれどもね」

 

「・・・・で、空丹様?董卓が洛陽を離れた後の洛陽の太守は誰になさるつもりですか?」

 

「その件なら、問題ないわよ、沖田が信用している彼女(・・)を太守にするつもりよ。それよりも黄。旅に出た時に買ったお菓子まだあるかしら?」

 

「はい。空丹様が苦労して自らの足で赴き並んで買ったあのお菓子なら、まだたくさんありますよ」

 

「そう、じゃあ、白湯も呼んで頂戴」

 

「ふふ・・・かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所会議が終わり俺はというと・・・・・

 

「「「隊長(吹雪)ーーっ!!!」」」

 

「わぷっ!!」

 

みんなの元に戻ったらいきなり桜花や川内や美佳や夕張そして鈴に抱き着かれた。斗志と志乃はなんかもじもじしながら嬉しそうな顔をする

 

「よ”がった~無事でよがったっす~!!」

 

「本当よ!あんたがいなくて大変だったんだから!」

 

「良かったです!生きていてよかったです!!」

 

「吹雪さん・・‥よかった無事で!!」

 

そしてその目には涙でたまっていた。そうか‥‥そんなに心配させちまったのか。すると

 

「隊長・・・・」

 

「よう、斗志。俺がいない間、隊長代理ありがとな。やっぱり頼りになるぜ」

 

「いえ、私は自分のしたことをしただけです///それよりも無事で本当によかったです・・・・」

 

と、顔を赤くし嬉しそうにもじもじして言う。すると

 

「吹雪様・・・・・・」

 

と、志乃がやってきた

 

「志乃。心配かけたようだな」

 

「いえ私は信じていましたよ・・・・吹雪様は必ずお戻りになるって・・・・」

 

と、冷静そうに言う志乃だがその目は涙で潤んでいた。そしてアンチョビさんが

 

「まったくお前というやつは!志乃をこんなに心配させて~困った奴だ。まっ!無事でよかったよ!!」

 

と、喜びながら俺の肩をバンバン叩く。すると今度は星がやってきて

 

「吹雪殿。ご無事で何よりです。見な心配しておりましたぞ?」

 

「ああ、星も心配かけてごめん」

 

「いや、謝る必要はない。ただお詫びに今夜一緒に夜伽でもしてくれれば・・・・」

 

と、星が妖艶な笑みでそう言うと

 

「あ!星!!一人だけ抜け駆けとはずるいっす!!」

 

「そうよ!吹雪はあんたの者だけじゃないのよ!!」

 

「そうだ!私だって隊長と!!」

 

と、何やら斗志たちが星と揉めていると・・・・・

 

「兄上ー!!」

 

と、いきなりねねが俺に抱き着いてきた

 

「兄上!よかった!!よかったなのですぞ!!」

 

と、泣きながら俺の胸に顔を埋め嬉しそうにそう言うねね。なんだろう。いつもは俺に挨拶代わりにちんきゅーキックをしていたねねがいつも以上に滅茶苦茶可愛いく見える。俺は再びねねの顔を見るとねねは目を真っ赤に泣きはらし鼻をぐすぐすとすすっていた。こんなになるまで、俺のことを心配してくれていたのか

 

「ごめんなねね。心配かけたな」

 

と、そう言い俺はねねの頭を撫でる。

 

「吹雪っ!!」

 

と、そこへ華雄たちがやってきてそして・・・・

 

「馬鹿者ぉー!!!」

 

「うわっ!!」

 

と、ねねの次は華雄がいきなり俺に抱き着いてきた。

 

「この馬鹿者!!どれだけ心配させたと思っている!!私を助けるためとはいえもうあんなことをするのはやめろ!いいな!!」

 

「か、華雄・・・・く、苦しい」

 

「みんなを心配させた罰や。我慢せい吹雪。あ、華雄、次はうちが吹雪抱きしめる番やからな」

 

「右に同じです。みんなに無茶するなと言ってあなたが無茶をしてどうするんですか?」

 

と、霞と夢華がそう言う。そんな中、華雄は嬉しそうに俺に抱き着く。か、華雄・・・・心配してくれたのはありがたいけど、胸のせいで・・・・息ができない。これは本当に窒息死する・・・・すると

 

「華雄・・・・・そこまで。これ以上抱き着くと吹雪、窒息する」

 

「ああ、すまんすまん。つい嬉しくてな」

 

と、そこに母さんがやってきて華雄に「そう言うと華雄は俺を離す。そして

 

「吹雪・・・・・・」

 

母さんが俺のほうへ近づく。その目には何やら炎が揺れるように揺らいでいた。もしかして怒っているのか?いや、怒っているだろうな。無茶やって死にかけてみんなを心配させたんだから。すると・・・・

 

「良かった・・・・・・」

 

と、母さんは俺を優しく抱きしめる。

 

「良かった・・・・・生きてて本当に良かった・・・・・」

 

と涙を流し俺を抱きしめ俺の頭を撫でてそう言う母さん。そして俺は

 

「・・・・・ただいま・・・・母さん。みんな」

 

と、そう言うのであった。

 

 



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戦いの後

「今日はいい天気っすね隊長」

 

「そうだな~」

 

あの平和条約から翌日、俺と桜花は洛陽の街を歩いていた。理由は言うまでもなくここでの最後の警邏の仕事だ。あと数日したら俺たち董卓軍は洛陽を離れ長安へ行くことになっている。そう思いながら俺は不審者や犯罪者がいないか念入りに見廻っていた。もちろん俺だけではなく斗志たちも最後の警邏の仕事をしている。すると・・・・

 

「朝から警邏とは精が出るわね吹雪」

 

と、後ろから声がし振り向くとそこには華琳や季衣や流琉そして桂花がいた

 

「やあ、華琳。街の視察かい?」

 

「ええ、まあそんなところね。・・・・・で、あなた怪我の方は大丈夫なの?」

 

「ああ、おかげさまでこの通り元気さ」

 

「本当に?兄ちゃん痛くない?」

 

「ああ、もう大丈夫だよ季衣」

 

「えへへ~♪」

 

心配そうに言う季衣に俺は頭を撫でると季衣は嬉しそうに目を細める

 

「そう・・・・それよりも礼を言うわ。もしあなたが春蘭を庇ってくれなければ、春蘭は毒矢にやられていたわ」

 

「そんなお礼を言われることはしてないよ。ただ勝手に体が動いただけさ。それに礼を言うのはこっちの方さ。俺や月を助けるため凪や桂花を使ってにいろいろと調べてやってくれたんだろ?」

 

「さあ?なんのことかしらね?ねえ桂花」

 

「ええ、なんで私があんたのような奴のために動かなきゃいけないのよ。それと話しかけないでよね妊娠しちゃうから」

 

と、華琳がふっと笑い、桂花は相変わらずというかなんていうかそんな感じだな。

 

「それにしてもあなたってやっぱり変な男ね」

 

「ん?なにが?」

 

「あなた、戦争中に捕らえた敵兵をまるで客のような扱いをしたり、好きに洛陽の街を歩かせたていうじゃない。普通はそんなことしないわよ?」

 

そう、あの平和条約の後、俺たちは反董卓連合戦の時に捕らえた捕虜を解放した。ただ一部の捕虜は董卓軍にいたいということで残った者もいた。だが、連合軍の奴らが驚いたのはそれではない。解放された捕虜があるで何事もなかったかのように元気な姿で戻ってきたことに驚いていたのだという。

 

「まあ、確かに彼らは敵兵であり捕虜だ。ただ彼らは犯罪者でも囚人でもない。ただ己の信念のため戦ったに過ぎないんだ。だから非人道的なことはしないよ」

 

「そう・・・・」

 

と、華琳がそう言うと

 

「あーっ!いたのじゃ麗羽!」

 

「見つけましたわっ!華琳さん!」

 

「・・・・・・・またうるさいのが」

 

俺と華琳が歩きながら話しているとそこへ袁紹と・・・・・袁紹を小さくしたような少女がやってくる。身なりと顔を見て袁紹の親戚な感じがするんだが・・・・・・

 

「あ、いっちー!元気ー?」

 

「おー。きょっちーも流琉も元気そうでなによりだ」

 

と、季衣が文醜に挨拶すると文醜は元気な声であいさつする。それにしてもいっちーにきょっちー?

 

「こんにちわ、みなさん。そして沖田さん」

 

と、顔良が丁寧にお辞儀して挨拶をする。なんだろう顔良さん見ているとこの人が袁紹軍の一番の苦労人って気がするんだが・・・・・すると

 

「おうーいっちー!元気にしてるっすか?」

 

「おーイェイ!おうっち!今日もあたいは元気だぜー!」

 

と、なぜか元気に挨拶している。確か二人って死合いをしたんだよな?

 

「おい、桜花。文醜と仲良くなっているが何かあったのか?」

 

「ん?ああ、隊長。実は隊長たちが条約会議にいる間、交流してたらすっかり意気投合しちゃって~そうだよないっちー?」

 

「そうだぜ。少し前までは死合いして怪我負わされたんだけどさ、話とかしたら共通することが多くて今ではすっかり仲良しさなあ、おうっちー?」

 

と二人は肩を並べ大笑いしながらそう言う。ま、まあ、仲がいいのはいいことだな・・・・・するとと袁紹が

 

「そんなことよりも、聞きましたわよ!あなたここの太守になるそうなんですってね!!なぜ漢王朝の都である洛陽の太守は名門の私ではなくなんで田舎娘のあなたなんですか!!」

 

と、袁紹がそう言う。そう実はここ洛陽のの太守の後任者は華琳となっていている。因みに凪たちもここの警邏を任させることになっていて現在斗志たちと一緒に警邏の見回りを手伝っている

 

「陛下直々に指名されたのよ。問題があるようなら、確認してもらっても構わないけれど?」

 

「な、陛下直々に!?」

 

「ええ、陛下が言うにはとある人物(・・・・・)やの推薦によるものだって言っていたわ」

 

とそう言うと華琳は俺のほうをちらっと見る。俺はその目線を反らす

 

「なっ!?」

 

「ずるいのじゃ!三公を輩出した名門袁家の妾たちを出し抜いて!!」

 

「く~・・・・・・・・・っ!点数稼ぎも良い所ですわ!ええい、猪々子さん、斗詩さん!こんな所にいる場合ではありませんわっ!行きますわよっ!」

 

「木を見て瓶なのじゃ!」

 

「ひゃっ、ちょっと、麗羽さまー!」

 

「きゃーっ!ひっぱらないでー!」

 

と、そう言い二人を引っ張る袁紹。すると

 

「華琳さんっ!」

 

「・・・・・・・ん?」

 

袁紹は立ち止まって華琳に振り返ると・・・・

 

「この、タマ無しーっ!」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

「ちょっと麗羽さま、下品ですよぅ!」

 

そう言い袁紹は嵐のように去って行った。そして華琳は

 

「そ、そりゃあ、玉はないでしょうよ・・・・・・・・・・・」

 

「なんだったんだあいつら・・・・・」

 

てか、女の子が玉とか言うなよ・・・・・すると桜花が

 

「隊長。そろそろ仕事に戻らないと・・・・」

 

「ああ、そうだったな。それじゃあ華琳。俺はこれで」

 

「え~兄ちゃん。もう行っちゃうの~もっと話そうよ」

 

「無理言わないの季衣。兄様は仕事中なんだから・・・・・」

 

季衣にそう言う流琉だがその顔は少し残念そうな名残惜しそうな顔をしていた。それを見た俺は

 

「まだ数日はここにいるから。暇ができたらゆっくり話そうな」

 

「「うん(はい!)」」

 

俺は二人の頭の上にポンと手を乗せ撫でると二人は嬉しそうに返事をする。

 

「じゃあ、華琳また・・・・・」

 

「ええ、警邏頑張ってね吹雪」

 

と、華琳がそう言うと俺は桜花おとっもに警邏へと戻るのであった。華琳はその様子を吹雪が見えなくなるまで見ていた。すると華琳が

 

「そう言えば桂花」

 

「はい」

 

「さっき劉備軍が食料を他の兵たちにふるまっていたわよね?」

 

「はい。傷ついた兵を労うとかで、でも食料や人数が足りずあの関羽も炊き出しているようです。董卓たちもそれに協力しているようですが・・・・」

 

「そう・・・劉備、・その名、心に留めておきましょう。桂花、劉備にこちらの予備の糧食を届けるよう手配しておきなさい」

 

 

「それは構いませんが・・・・・華琳さま。あの劉備という輩、いずれ華琳さまの覇業の障害に・・・・・・」

 

「・・・・・・でしょうね。けれど、その時は正面から叩き潰せば良いだけよ。違うかしら?それに一番の敵になる可能性は劉備ではないでしょ?」

 

「・・・・・・御意。ではすぐに手配します」

 

「それと流琉も手伝ってあげて」 

 

「わかりました。行こう季衣」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長、随分と曹操と仲がいいんっすね?それに真名も・・・・」

 

「まあ、華琳とは数か月、華琳の客将をしていたからな」

 

「そうっすか。でも彼女がここの太守で大丈夫なんすっかね~」

 

「大丈夫だろ。あいつは民を疎かにしない奴だからな」

 

と、街中で桜花とそう話し合っていると

 

「おい、沖田」

 

と、声がした。今度は男の声だ。振り向くと

 

「・・・・・北郷一刀」

 

そこには北郷がいたすると桜花が

 

「白い天の御使い。うちの隊長になんか用っすか?」

 

と、警戒した目でそう言う。すると

 

「・・・・・桜花。すまないが先に行っててくれ。どうやらこいつと話するの長くなりそうだからな」

 

「・・・・・わかったっす。では先に仕事に戻ります。では」

 

そう言い桜花は俺に敬礼した後、仕事に戻りその場には俺と北郷だけとなった。

 

「・・・・・で、なんの用だ北郷?まあ、ここではなんだ。どこか適当な店で話さないか?俺もお前に話したいことがいっぱいあるしな」

 

「・・・・・・わかった」

 

と、そう言い俺と北郷はどこか適当な店を探しに行くのであった。しばらく歩いているとちょうどいいところに店があったのでそこに入り席に座る

 

「・・・・で、俺になんか用か北郷。まあ、なにを訊きたいかはわかるがな」

 

と、俺がそう言うと北郷は

 

「沖田!なんで董卓軍が銃を持っている!?それに大砲も!!」

 

やはりその質問か・・・・・

 

「簡単さ、うちの部下に頼んで自衛用として作ってもらった。製造方法はとある本を見て作った。で、それを聞いてどうするんだ?」

 

「・・・・できれば譲ってほしい」

 

「なんで?」

 

「なんでって決まっているだろう!?作るんだよ。それさえあればみんなを守れる!!」

 

と、北郷が力強くそう言う。俺は深いため息をし

 

「断る。今のお前らには必要ないものだ」

 

「なっ!?どうしてだよ!!」

 

俺の言葉に北郷は驚いてそう言うと

 

「当たり前だ!仮に製造方法を教えたらお前はその近代兵器を何に使うんだよ?」

 

「さっきも言ったじゃないかみんなを守るため・・・・桃香の願いのために使うんだよ!!」

 

「北郷、確かお前や劉備に願いは「みんなが笑って暮せる世界」だよな?今の時代は戦乱の時代。つまり大陸を平定するために他国が戦争をしている状態だ。その理想を現実にするためには他国を占領して大陸を平定するしかなくなるだろ?つまり俺がお前に重火器の製造を教えたら劉備軍はそれを使い他の国へ占領政策をする可能性があるだろうが。そしてその重火器で何万人の人たちが血を流す。汜水関、虎牢関以上の犠牲者の血が流れるんだぞ?」

 

「っ!?」

 

俺のその言葉に北郷は、はっとした表情になる。

 

「俺たち董卓軍は相手が手を出さない、またよほどのことがない限り近代兵器の使用は制限しているが、お前らはどうなんだよ?侵略ではなく自衛目的で使わないって言いきれるのか?」

 

「・・・・・・・」

 

北郷は返す言葉もなくただ黙ってしまう。そして吹雪は

 

「それにだ。例え俺が製造方法を教えて大陸を平定しても劉備の理想とはかけ離れた銃という暴力による恐怖が支配する平和になっちまう。俺はお前らにそんな理想をもっては欲しくない。お前らの理想は立派なんだからそんなもんには頼るな」

 

劉備の掲げる思想は悪くはない。まあ、まだ実力が足りないが、もしそれを叶える力を身に着けた時はきっと大陸は劉備の言った通りの世界になるかもしれないしな。

 

「沖田・・・・・そう・・・だよな。すまない今の言葉きかなかったことにしてくれ」

 

「ああ、今のはただの戯言だったということで聞き流すよ」

 

と、そう言い俺と北郷はお茶を一杯飲むと北郷が

 

「だ、だが沖田。お前銃や大砲を作る本を持っているって言ってたよな?もし盗まれたらどうするんだよ?」

 

「ああ、その件なら大丈夫だ。あの本なら反董卓連合が勃発する前に燃やした。これ以上の火種を作らないためにな」

 

「え!?燃やした?」

 

「ああ、もしお前の言う通りそれを盗まれたらその盗んだ奴はそれを製造するだろう。そしてそれを使って攻撃された国はそれに対抗してもっと強大な兵器を作りその繰り返し。血を吐きながら続ける悲しいマラソンが起きてしまうからな」

 

そう、天水で見つけたあの旧日本軍が書いた本は反董卓連合が起きる前に月や詠や志乃そして夕張と相談して燃やしたのだ。ただ設計図は夕張の頭にインプットされているから製造には支障がない。それに酒の製造が書かれたページは抜き取って大切に保管してある

 

「そうか・・・・・」

 

「そういうことさ。それじゃあ俺はそろそろ仕事に戻るよ。それとお茶と菓子代は俺が払っといてやるからゆっくりしていってくれ」

 

そう言い俺は財布から二人分の料金を出し机に置くと席を立ち

 

「・・・それじゃあ、また会おうぜ。今度会う時は敵ではなく仲間として会いたいな・・・・」

 

とそう言い俺は店を出るのであった。そして北郷は何も言えずに席に座ったままであった。

 



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中華統一編
これからの大陸


反董卓連合の戦い終結から1ヶ月が経ったある日。いろんなことがあった。まず俺たちは洛陽から長安に移った。そして長安に着いた時、そこに住んでいた町の人たちは俺たち董卓軍を歓迎してくれた。そして歓迎してくれた街の人たちの期待に応えるべく長安についた俺たちがまずしたのは治安維持とか壊れた街の復興とかをした。

そんな中俺たちのもとにある一つ情報が入った。それは洛陽にいる華琳が魏の建国を発表したのだ

 

「・・・・思っていたよりも早いな・・・・・」

 

と、俺は呟く。確か魏の国ができるのは曹操が官渡の戦いに勝利して中国北部の覇権を獲得したのが始まりだったはずだ。これも外史ってやつなのかな…‥と、そう思っていると・・・・・

 

「あ、吹雪、こんなところにいたのね」

 

と、そこで詠がやってくる

 

「やあ、詠。おはよう。何か俺に用か?」

 

「うん。ちょっと僕の部屋に来てくれる?今日、あなた非番なんでしょ?」

 

「え?ああ。別にかまわないぜ」

 

と、そう言い俺は詠についていく。そして詠の部屋につく。

 

「で、詠。俺に用って何?」

 

俺がそう訊くと詠は地図を広げ、

 

「吹雪。あなた、この状況どう見ているの?」

 

「・・・・え?それはどういう・・・・」

 

俺は詠の言葉に目を丸くする。

 

「だーから!反董卓連合の戦いは終わったでしょ?この先、どうなるかあなたは想像できているでしょ?」

 

「ああ、それか・・・・そうだな。詠。もう新聞は見たよな?」

 

「ええ、曹操が魏の建国を発表したのと、陛下が皇帝の座から退位したんでしょ?」

 

そう、華琳が魏の建国を宣言したのとは他に霊帝が皇帝の座を退位し漢王朝は滅亡した。しかし霊帝やその妹の劉脇様はそのまま華琳の客人として平和に暮らしているという。

 

「ああ、そのことに今の世は群雄割拠の時代…いわゆる大陸統一のため諸侯による紛争へとなりつつある。現に小さい諸侯は互いに激しい鍔迫り合いを始めているからな・・・・」

 

「そう・・・・・で、他はどう動くと思う?」

 

「そうだな・・・・・・詠はどう見る?」

 

「そうね・・・・・曹操のいる魏は洛陽の治安維持とか兵力強化の地盤固めで忙しそうだし・・・・呉は今、袁術から独立するための機会をうかがっている。劉備は徐州の州牧に任命されて忙しい・・・・後は公孫瓚に袁紹ね」

 

「ああ、公孫瓚、いや白蓮は領土を広げる野望は持っていない・・・・残るは」

 

「袁紹ね・・・・」

 

「ああ、あの戦争の後、袁紹は多くの兵を失った挙句、戦争の責任を取るため陛下から領土を取られ、現在崖っぷちの状態だ。その状態を打開するためには・・・・・」

 

「どこかへせめて失った領土や物資を手に入れる・・・・袁紹ならやりそうね。」

 

「ああ、それに雪風たち情報部が手に入れた情報なんだけど袁紹は反董卓連合後、冀州へ帰還して軍事力の増強と訓練をしているそうだ」

 

「そう・・・・それじゃあ、袁紹はまたどこかへ侵軍する可能性があるね」

 

「ああ・・・・一応、長安の国境付近の警備兵を増やしたり銃士隊を配備して警戒はしているが、まだ油断できないな・・・・」

 

と、その後、俺と詠は今後の袁紹軍の動きについての警戒と対策の話をするのであった。そしてその後、俺は詠の部屋を後に思、ある所に行くそこは夕張が担当している技術開発部であった。すると・・・・・

 

「なにやッとんねんこのドアホ!すぐに作り直せ!!」

 

「それは無理な相談ね~私にも職人としての意地があるからね~」

 

「ん?」

 

ドアの向こうで霞の怒鳴り声が聞こえそして夕張の声が聞こえる。俺はドアを開けると、そこには霞と夕張が何やら言い争っていた

 

「・・・・・・何してんだよ二人とも?」

 

「あ、吹雪。また刀の手入れのお願い?」

 

「ああ、そうだけど・・・・・どうしたの?霞と言い争いしているみたいだけど?」

 

と、そう訊くと霞が俺の肩をガシッと掴み

 

「吹雪っ!ええとこに来た!ちょっとうちの話、聞いてくれへん?」

 

と、すごい剣幕でそういう霞

 

「べつにかまわないけど霞、お前これから出撃じゃなかったけ?霞がいないって鈴が半泣きで探していたぞ?」

 

そう実は霞は国境付近にいる盗賊の討伐のため出撃するように詠に言われたのだがなかなか姿を現さず、軍師見習いである鈴が方々探していたのだ。

 

「それにも必要なことなんや!鈴には悪いけど待たせてまらうわ!」

 

「え!?そんな大事なことか?」

 

俺がそう言うと霞が頷く。それほどまで重要なことって何だろうすると・・・・

 

「そや!これ見てみ!」

 

と、そう言い霞が掲げたのはいつも霞が愛用している偃月刀だった確か名前は・・・・『飛龍偃月刀』だったけ?

 

「え?その偃月刀がどうしたの?」

 

「見てわかるやろ!この前の賊討伐の遠征でポッキリ折れてもうたから夕張に頼んで新調してもらってん!」

 

「へ~そうなのか・・・・で、それがなんか問題でも起きたのか?また折れたとか?」

 

「それは絶対にないわよ。柄も刃も一から設計を見直してそして最高の素材を使って作り直したのよ。それに強度も大砲の砲弾が当たっても砕けないほどに頑丈にしてあるから、ちょっとやそっと乱暴に使っても問題ないわよ」

 

なるほど…要するに以前使っていたのよりもパワーアップしたってことか。でも霞はそれのどこが気に入らないんだろう?

 

「もしかして霞。以前より重くなったとかそういうようなこと?」

 

「いや、それは別に問題あらへん。まあ、確かに重くはなったんだけどな。別に不満はあらへんよ。振り回した具合は前よりもええくらいやし、ようやってくれたと思うとる・・・・けどな!」

 

「けど?」

 

俺が首をかしげてそう訊くと霞は偃月刀の柄の部分を指で差し

 

「ここの龍の角が一本増えとるのはどないなっとんねん!夕張!説明してもらおか!!」

 

「・・・・・・・え?角?」

 

俺は、霞の意外な回答に目を丸くする。リュウの角ってあの柄についてあるあのトゲトゲのことだよな?別に増えたようなそんな違和感がないんだが、むしろ前のと見分けがつかない・・・・・

 

「せや!せっかく関羽と同じ偃月刀と同じ拵えにしとったのにどうしてくれるんや!台無しやないか!」

 

と、霞が頬を膨らませてそう言うと夕張が

 

「仕方ないじゃない!重量の均衡を保つためには一本増やすしか方法がなかったのよ!それに龍は角が多い方がかっこいいじゃないのよ!」

 

「何がかっこいいじゃ!すぐ直せ!」

 

「無理!どうしてもって言うなら角の代わりに牙を増やさせてもらうわ」

 

「あほか!そんなもんさっきと変わらへんやないか!」

 

「じゃあ、首を三本に・・・・」

 

「どこのキン〇ギド〇やっ!!」

 

と、二人の口論が続く。というより霞。お前なんでキン〇ギド〇を知っているんだよ・・・・・・

 

「まあ、まあ、二人とも落ち着いて・・・・・・・で、ちょっと訊いてもいいか?」

 

「「なんや(何)!?」」

 

俺が訊くと二人はものすごい形相で睨む。俺は一瞬怯むが気を取り直し

 

「それって、武器の機能としてはなんか問題とかはある?」

 

「「ないよ」」

 

とあっさり答える二人に俺は苦笑してしまった。

 

「とにかくうちの士気にかかわる大問題や!すぐに直し!!」

 

「いいや!せっかく強化したのにそれを直すなんて職人の意地としてそれはできないわ!」

 

「なんやて!」

 

と、二人が言い争うする中、俺は二人を何とか止め、そして俺は霞を何とか説得し霞は渋々ながら納得してくれて賊の討伐に出撃したのであった。

 

「はぁ~たかが角一本でこんな喧嘩になるなんて・・・・・夕張もそんなに意地になることないのに・・・・」

 

「あのね、吹雪にとってはそうかもしれないけど職人はたった一本の角でも作るものに強いこだわりがあるのよ・・・・・・まあ、霞の言うこともわかるけど。ここはやっぱり譲れないわ」

 

「そ、そうなのか・・・・・」

 

「そう言うこと。で、吹雪は刀の手入れだよね?見せてくれる?」

 

「ああ」

 

俺はそう言い夕張に菊一文字を渡し、夕張はその刃を研ぐ。すると

 

「ああ、そう言えば吹雪。この前使った急造手榴弾を改造中したんだけどね。前は柄付きの奴だったんだけど今は玉形に改良したわよ」

 

と、研ぎながらそう言う。玉型ってそれが手榴弾本来の姿なんだけどな

 

「そうか・・・・・そう言えば夕張。大砲の方はどうなっている?」

 

「ああ、大砲なら今製造中よ。ただあの駐退復座機だったけ?あれを製造するのは時間が掛かりすぎちゃうから。そんなに大量には作れないわ」

 

いやいや・・・駐退復座機付きの大砲を作れる時点で十分すごいと思うけど・・・・・

 

「で、それを補うためそれを使わない奴も製造しているわ。はいこれ設計図」

 

と、夕張はその設計図を渡し、俺はそれを見る。その設計図に書かれていたのは幕末時代に使用された4斤山砲それも砲身を伸ばした長四斤山砲であった。四斤山砲は幕末から明治初期までに使われた旧日本陸軍の主力野砲で射程は2・6キロメートルで四斤とは砲弾の重さが4キロだからその名がついた大砲だ。因みに4斤山砲は青銅でも製造できる

 

「砲弾の方は?」

 

「今、百個ぐらいで来ているわ」

 

「そうか・・・・まあ、できればこれを演習以外に使うことがないといいんだけどな」

 

「そうね…私もできればそう願っているんだけど今はどこもかしこも争いをしているこのご時世だからね~いつ敵が長安に攻め込む可能性があるし・・・・・さっ、刀の手入れ終わったわよ」

 

と、そう言い夕張は研ぎなおしたかたななを俺に渡す

 

「いつもありがとうな夕張」

 

「いいって、いいってそれよりも吹雪。胸の傷はもう大丈夫?」

 

「ああ、もう平気だよ」

 

「そう、でもあんま無茶しちゃだめだからね。あんたが死んだら悲しむ人がいっぱいいるんだから。特に月様がね」

 

「・・・・え?月が?」

 

「ええ、そうよ。もしかしてあなた気付いていないの?」

 

「何が?」

 

と俺はそう言うと夕張ははあ~とため息をつき

 

「いえ、なんでもないわ」

 

「そうか。じゃあ、夕張、またな」

 

とそう言い俺は部屋を出るのであった。そして夕張は

 

「まったく。鈍感なんだから吹雪は・・・・・月様も大変ね。それに私自身もね・・・・」

 

と、ポツリとつぶやくのであった。

 

 

 



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拠点フェイズ 白銀の狐、主君への思い

やっと書き終えることができました。今回は拠点フェイズ志乃です


「よしっ!今日もいい天気だな」

 

明朝、俺は庭の所で新鮮な空気を吸い背伸びをする。昨日は雨だった上に詠と一緒に書簡の山との戦いだったため結構疲れた。そして今は非番なためどうするか考えていた。

 

「・・・・いい天気だし釣りでも行こうかな」

 

と、そう呟き俺は部屋から釣り竿を持つ。因みに釣り竿は美佳の手作りだ。そして俺はいつものように刀を差しそして万が一のため九九式小銃を肩に担ぐ。

 

「あとは籠だな・・・・・」

 

と、俺は籠を探しに行こうとすると

 

ワンワンッ!!

 

と1匹の赤毛の犬がやってくる。そしてその犬は俺の周りをぐるぐる回り嬉しそうに吠える

 

「やあ、セキト。今日も元気だな」

 

と、俺はしゃがんでセキトと呼んだその犬を撫でる。そうこの犬の名前はセキト。母さんの愛犬だ。するとセキトは俺のズボンの裾を噛みそして引っ張る

 

「おいおい、どうしたんだよセキト。何か言いたいことがあるのか?」

 

と、そう言うとセキトは『ワンッ!』とまるでそうだと言いたげに吠え、そして俺をどこかに誘導するように歩き俺もセキトの後についていく

 

「な、なあセキト。どこへ連れて行こうとするんだ?俺、籠を探さなくちゃいけないんだけど?」

 

「ワンッ!」

 

と、そう言いセキトが誘導した場所は籠がいっぱい置いてあるところだった

 

「籠だ・・・・まさかセキト。俺の為に?」

 

と、そう言うとセキトは吠え、そして一番でかい籠に近づき、その籠の匂いを嗅いだ後まるで『これを使いな』っというかのようにワンッと吠える。

 

「・・・・ありがとなセキト。おかげで籠を探す手間が省けたよ」

 

と、俺はセキトにお礼を言い撫でるとセキトは嬉しそうに吠え、そして何やらそばに落ちてある布のような物を拾うと、どこかへ行ってしまった。なんだろうあの黒い布のような物は?

 

「・・・・・・まっ、いいか」

 

細かいことを気にしたら負けだ。そう思い俺はセキトが勧めた大きい籠に近づく。するとその籠には白い布がかぶせてあった。

 

「・・・・・何だこの布?」

 

俺は不思議に思いその布をめくる。すると・・・・

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・すみません。籠、間違えました」

 

「ちょっ!?吹雪様!?」

 

・・・・・やっぱり見間違えじゃなかった。

 

「な、何やっているんだ志乃?てか、お前仕事は?」

 

そう籠の中にいたのは志乃だった。

 

「それはわたくしのセリフです吹雪様。それに今日、私は非番です」

 

ああ、そう言えばそうだったな

 

「それで吹雪様。こんな朝早くどちらへお出かけですか?」

 

「ああ、ちょっと近くの川で釣りでもしようと思ってね」

 

「銃を背負ってですか?」

 

「ああ、熊とか猪とかの対策にね。それよりも志乃。なんでお前こんな籠の中に入っていたんだ?」

 

「はい。朝、本を読もうかと資料室に行くため廊下を歩いていたところ庭で吹雪様が何やら支度をしていたので・・・・荷物入れ代わりに籠を持っていく可能性が高いと思いましてこうやって忍び込んで待っていました」

 

で、俺は志乃の目論通りに動いて今に至るってか・・・・てかもしかしてセキト。始めからこうするつもりで俺に志乃の入っていた籠を勧めたのかな?すると志乃が

 

「・・・・・で、吹雪様。どこの川に行くおつもりなのですか?」

 

「だから、近くの川だってば」

 

「その近くの川っというのが気になるのです。もしかしたらあなた様の言うすぐ近くの川というのは長安の国境近くにある大きな川ではありませんか?」

 

「大正解♪。流石、志乃。よくわかったな。あそこはいい釣り場でな~よく大物が取れるんだよ。夕方には戻るつもりさ」

 

「そうですか・・・・・・」

 

と、志乃は心配そうな目で俺を見る、俺はふっと息をつき

 

「そんなに心配なら志乃も一緒に行くか?もしも俺が馬鹿なことをすれば止めればいいしさ」

 

「ここでゆっくりするという考えはないのですか?」

 

「あると思う?」

 

「ないですね。あなた様がゆっくりする姿は似合いません」

 

「じゃあ、決まりだな。心配ないよ。ただ単に川で釣りをして魚を捕るだけだからさ」

 

と、不適の笑みでそう言うと志乃はため息をつき

 

「まったく・・・・あなたという人はいつも能天気ですね。わかりました。では行きましょう吹雪様」

 

そう言い志乃は籠から出て、俺とともに国境沿いの川へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!これで10匹目!!」

 

国境沿いにある大きな川についた俺と志乃は、セミの鳴く音や川の音を聞きながら釣り糸を垂らし魚釣りを楽しんでいた。季節は夏のため暑いが。俺のいた時代に比べれば涼しい方だ。向こうじゃ暑いだけじゃなく日差しもきつかったからな・・・・・

 

「それにしても吹雪様は本当に釣りが得意なのですね」

 

「まあな。子供のころから祖父さんに教わったからな。早朝から叩き起こされて川やら海やらの釣りに付き合わされたっけ」

 

「そうなんですか。ところで吹雪様は海を見たことがあるのですか?」

 

「俺の国は島国だったからな。子供のころはよく港にある船を見に行ったけ」

 

「そうですか・・・・・・あ、吹雪様。竿が引いてます」

 

志乃に言われ俺は竿を見ると竿がぐいぐいと引いていた

 

「本当だ。今日は魚料理食べ放題だな!」

 

そう言い俺は竿を力強く引く

 

「(くっ!重くて、でかい・・・・・まさかの主級か!?)志乃!悪いけど手伝ってくれ!!」

 

「はい!」

 

俺の言葉に志乃は頷き、体に抱き着き俺の竿を握る

 

「行くぞ志乃!」

 

「はい!」

 

俺がそう言い俺と志乃は竿を思いっきり引っ張る。だが魚もつられるのが嫌らしく激しく抵抗する。

 

「志乃ガンバレ!」

 

「はい!」

 

「12の3で引っ張るぞ!行くぞ12のー3っ!!」

 

そう言い二人は力を合わせ竿を引っ張る。すると水面から黒い影がみえた。よしこれで釣れる・・・・そう思った瞬間。最後の抵抗なのか川の主は思いっきり竿を引っ張る

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

あまりの強い引きに俺と志乃はバランスを崩し引っ張られ宙を飛び川へと落ちようとしていた。

 

「・・・・くっ!」

 

吹雪は川に落ちる直前、志乃を庇う形で仰向けに志乃を抱きそして川に落ちるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・さま・・・・・ぶきさま・・・・吹雪様!」

 

「ん・・・・・」

 

川に落ちた後誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。俺は目を開けると・・・

 

「吹雪様!」

 

「・・・・志乃」

 

そこには志乃が俺の上に乗っかった状態で心配そうな顔で俺に呼びかけていた

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「いててて・・・・ああ、大丈夫だよ。落ちた場所が思っていたよりも浅かったみたいだし大したことないよ」

 

「そうですか・・・・・・・っ!?吹雪様、おでこが!!」

 

「え?」

 

俺はおでこに手を当て自分の手を見ると血がついていた恐らく川に落ちた時に岩とか当たって擦りむいたんだろう

 

「ああ、大丈夫だよ。ただのかすり傷さ。放っておけば治るって」

 

と、笑ってそう言うと

 

「笑い事じゃありません!!」

 

志乃が怒鳴り俺は一瞬ビクッとなる

 

「し、志乃?」

 

「吹雪様・・・・・・」

 

と、志乃は急に声を落とし悲しそうな声を出す

 

「吹雪様。私が川に落ちた時とっさに庇ってくださいましたね。私なんかの為に怪我をして・・・・・・」

 

「え?それはまあ、男だったら庇って当然・・・・・」

 

「私には吹雪様の方が大切です!!吹雪様。あなたはそうやって自分よりも他人のことを最優先に考えて無茶して・・・・・反董卓連合の時も春蘭さんを庇って毒矢を受けたと聞いた時は頭が真っ白になりました。もしかしたら死んでしまうかと思ったのです!大切な人がいなくなってしまうと・・・・・その時は胸が張り裂けそうで…辛かったのですよ」

 

ポトッ・・・・・

 

と、俺の服に一滴の水が落ちる。それは川の水のしずくではなく志乃の目から流れる涙であった。

 

「もう・・・・・いい加減に・・・・して・・・ください。吹雪様が死んでしまったら・・・・私・・・・お願いです吹雪様・・・・私たちの前から…いなくならないでください・・・・」

 

「・・・・志乃」

 

と、涙を流しそう言う志乃を俺は手を差し伸べその涙を拭う

 

「ごめんな志乃・・・・いつも心配ばかりさせちゃって・・・・そうだよな。志乃を泣かせるような奴は主として男として失格だな・・・・」

 

「・・・・でしたら、絶対とは言いませんがこれからは無茶をせず、もっと仲に頼ってください。約束ですよ?」

 

「ああ、約束する・・・・・・」

 

通れと志乃は指切りをして約束する。すると

 

「ん?吹雪様。どうしたのですか急に目を背けて?」

 

と、志乃は俺が顔を赤くし目を背けているのに気づく

 

「い、いや…その・・・・志乃。言いにくいんだが・・・・」

 

「なんですか?なんでも行ってください」

 

「あの・・・その・・・・・・・・下、見えてるんだけど・・・・」

 

「・・・・・へ?」

 

そう言われ、志乃は下を見ると急に顔を赤くする。そうスカートがめくれて下着がみえちゃっているのだ。それを知った志乃は

 

「人が心配をしている時に、あ、あなた様は!!!」

 

「うわっ!冷たっ!?水、冷たっ!?」

 

と、志乃は顔を真っ赤にしながら俺に水をかける。そして志乃は立ち上がりそして走り出す

 

「志乃!?どこへ?」

 

「この司馬懿、一生の不覚です!!」

 

と、そう言い志乃は俺が持ってきた大きい籠の中に入る

 

「(へ!?なんで籠の中!?)あ、あの・・・・・志乃?本当にごめんてば」

 

俺は志乃に近づくと

 

「別に体を見られて怒っているんじゃないんです。むしろ見てほしいというか・・・・・」

 

「え?」

 

「なんでもありません。ただ、軍師である私が主である吹雪様に泣き顔を見せてしまうなんて軍師として・・・・女性として恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちです。ただここには穴がないので代わりに籠に入って恥を凌ぐしかないじゃありませんか・・・・・」

 

と、涙声でそういう志乃に俺は志乃が入っている籠の傍に寄り添い

 

「そっか、じゃあ気の済むまでそこにいていいよ。俺は志乃の傍にずっといるからさ」

 

そ、そう言い、俺は志乃が籠から出てくる夕暮れまでずっとそばにいるのであった。そして籠の中にいる志乃はというと・・・・

 

「(やはりあなた様に仕えてよかったです・・・・・・我が主・・・そして愛しき人・・・・・)」

 

そう心の中でそう呟くのであった。

 




なんか内容が戦国恋姫っぽくなってしまいました・・・・


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アンチョビ、仲間と再会する

「今日も異常はないな」

 

隊士の一人が警邏のパトロールをしていた。すると・・・・

 

「班長!」

 

と一人の女性隊士が慌ててやってきた。

 

「おう!どうした事件かっ!?」

 

「あ、いえ・・・・その。事件というかなんというか・・・・」

 

「ん?どうした。はっきり言え」

 

「それが、近くの店で異国の人が店の主人と口論しているみたいなのですが・・・・」

 

「異国?どんな奴だ?」

 

「はっ・・・それが話している言語はアンチョビ様の話しているラテン語らしいんですが…その何を言ってるのかわからなくて・・・・」

 

なぜ隊士がラテン語を知っているかというと、董卓軍は外交のことも考えアンチョビの教育のもとラテン語も習っているのだ。因みにラテン語は董卓軍の暗号文に使われてたりする。

 

「お前な・・・・アンチョビ様の講義真面目に受けないからこうなるんだぞ」

 

「じゃあ、班長は話せるんですか?」

 

「ま、まあ、片言だけどな・・・・・」

 

「それじゃあ、意味ないじゃないですか・・・・・」

 

「まあ、とにかく内容はわかった。俺は一足先に店に行く。お前は隊長とアンチョビ様を呼んでこい」

 

「わ、わかりました!」

 

そう敬礼して二人はわかれる。こうして長安にとある小さな出来事が始まったのである。

 

 

 

 

長安の歓楽街

 

「アンチョビさんこの前のお祭りの屋台はどうだった?」

 

「いや~この前はたっぷり稼げたな~。私のローマ料理食べてくれてみんな喜んでたし嬉しいことこの上ないよ」

 

と嬉しそうに言うアンチョビさん。そう、前に長安で祭りがあった時アンチョビさんは非番の日を利用して屋台を出して街の皆に料理をふるまったのだ。もろんアンチョビさんだけではなく桜花や美佳も手伝ってたっけ。ん?そう言えば・・・・

 

「そう言えば、アンチョビさん。ローマ人なのに漢語ペラペラですね・・・」

 

「天の国出身のお前に言われたくはないが・・・・まあ、水鏡先生のところにいたときに習ったんだよ。こう見えて私は勉強するのが好きなんだぞ?」

 

「へ~そうなんだ・・・」

 

「なんだ。まるで私が勉強なんて得意じゃないって顔だな」

 

「あ、いえ、そう言うわけじゃ・・・・」

 

と俺がそう言うとアンチョビさんは笑いだし

 

「いいて、いいって。そう言うのは祖国でも同じこと言われたし別に気にしてないぞ」

 

とそう言うアンチョビさん。すると急に何やら深刻そうな顔をする

 

「どうしたんだアンチョビさん?具合でも悪いのか?」

 

「いや、そうじゃないんだ。ただ、仲間のことを思い出していたんだ」

 

「仲間?そう言えばアンチョビさんは・・・・」

 

「ああそうだ。昔私は帝国の命を受けここへ侵軍するため部下とともに漢へ向かったんだ。だけど途中で盗賊やら異民族ら奇襲を受けて・・・・」

 

「部隊は壊滅。仲間は散り散りになった・・・・・」

 

「ああ・・・・私は運よく水鏡先生に助けられたけどな。その時私はいつも仲間のことを思うんだ。無事に祖国に戻ったのかまた、私みたいに誰かに助けられてどこかで生きているのか、それとも死んだのか・・・・・・」

 

と、どこか悲し気に遠くを見るアンチョビさん。俺はアンチョビさんの肩にポンと手を置き

 

「大丈夫ですよアンチョビさん。アンチョビさんの仲間は絶対にどこかで生きていますよ」

 

「吹雪・・・・・・ありがとな・・・そうだよな。あいつらはしっかりしているからきっと元気にしているはずだよな」

 

とそう言い笑顔で答える。すると・・・・

 

「隊長ぉー!!アンチョビ様ぁー!!」

 

と一人の警邏隊士が走ってきて俺たちに敬礼する

 

「ほ・・・・ほう・・・・ほうこく・・・します!」

 

「ほら、少し落ち着けって・・・・どうかしたのか?」

 

と息を切らしながらそう言う隊士をアンチョビさんが落ち着かせる。そして隊士は落ち着いたのか呼吸を整え

 

「はっ!先ほど西地区の店で異国の人たちが店の人と揉めているんです」

 

「「異国の人?」」

 

「はい。なんでも喋っている言葉がラテン語のようなんですが・・・・・」

 

「ラテン語?」

 

「・・・・・・まさか!!」

 

と、その隊士の言葉を聞き、俺は首を傾げアンチョビは驚きそしてその隊士の肩をぐっとつかみ

 

「その店は西地区のどこにある!何処にあるんだ!!」

 

と、すごい剣幕でそう言うと

 

「えっと・・・その西地区の○○という名の料理屋です・・・わっ!?」

 

と隊士がそう言うとアンチョビさんはその手を離しものすごい速さでその場所へと走り出す

 

「あ、アンチョビさん!?」

 

俺は急いでアンチョビさんを追いかけるのであった。そして俺とアンチョビさんはその西地区の料亭近くに着くとその料亭の前ではたくさんの人だかりができていた。

 

「ちょっとそこを通してくれ!!」

 

と、アンチョビさんが人混みの中へ入り俺は野次馬の一人に訊くと

 

「ああ、なんかさ、あそこにいる異国の姉ちゃんたちが言っている言葉はわからないが、たぶん自分の持っているお金が使えないのか店の人と揉めていてな。そこで居合わせた郭汜様がその人たちを止めようとしたのですが・・・・・」

 

野次馬の言葉に俺は店の前を見ると、その店の前では複数の外国人らしき女性たちと桜花率いる少数の警邏隊が互いに抜刀する姿勢をし睨み合っていた。これは止めないと・・・・・そう思い俺は桜花たちを止めようとした瞬間、先ほどの異国のの女性たちの内二人が剣を抜き桜花に飛び掛かろうとしたその時、アンチョビさんが何やらラテン語で叫ぶとその少女たちは立ち止まりアンチョビさんの方へ顔を向けるのであった・・・・・

 

 

 

吹雪たちが来る数分前、

 

「いや~今日も事件が無くて平和ですね郭汜小隊長」

 

「そうっすね~太陽は輝き、雲一転もない青空。なんかいいことありそうだな」

 

と、西地区の警邏の担当をしていた桜花は部下の数人を連れて街をパトロールしていた。すると・・・・

 

「あっ!郭汜様!」

 

と、そこへ班長各の隊士が慌ててやって来た

 

「おう、どうした事件っすか?」

 

「は、はい!先ほど西地区の店の前で異国の人たちが何やら騒ぎを起こしているとのことで今向かっているところです」

 

「わかったすぐに行くっす!おい!行くぞお前ら!!」

 

「了解!」

 

と、そう言い桜花たちは数人の部下を引き連れその場に向かう。そしてその店に着くとそこには数人の異国の女性4人が店の店主と揉めていた。そして桜花は

 

「あれっすね。ちょっとあんたら何騒いでいるんすか?」

 

と、そう訊くと店の主人が

 

「ああ、これは郭汜様。あ、あの…このお客様が・・・・お金を払わなくて・・・・・」

 

「無銭飲食すか?」

 

「はい・・・・お金は持っているみたいなんですがどうも異国のお金で・・・・」

 

と、そう言い、桜花はその異国人たちを見るとその手に持っていたのはこの国では使われていないお金だった。すると、外国人の一人が何やら喋る。その言葉に桜花は少しむっとなる。桜花はアンチョビのラテン語の授業をまじめに受けていたので日常会話ぐらい会話ができるのだ。そしてその外国人が喋った内容は

 

『あんたら田舎人種がこの金の価値もわからないなんてな。いいからあんたらは黙ってこの金受け取ればいいんだ!』

 

と、無茶苦茶なことを言っていたのだ。すると隣にいる長い金髪の女性が

 

『パネトーネ。それはあまりにも強引じゃ・・・・・』

 

と、困った顔でそう言うと桜花は

 

「『・・・・・ここはあんたらの国とは違うっす。よってあんたの国の通貨もここじゃなんも価値もないし使えないっすよ。郷に入れば郷に従え。ここでご飯を食べるからにはちゃんとここの国のお金を使うっす』

 

とラテン語でそう返すとその少女たちは桜花がラテン語をしゃべったことに驚き目を見開く。そして桜花は

 

『もし、ここの通貨持っていないなら、ちょっと役所まで同行してもらうっすよ』

 

と、そう言った瞬間。三人のうち二人が剣に手をかけた。そして

 

『ふざけるな!なんで私たちが役所に行かなきゃいけないんだ!金ならこの金でいいじゃないか!』

 

『そうだ!そうだ!』

 

『どうしてもっというなら力づくでやりな!!』

 

『ちょっと!アマレット、パトネーゼ、ジェラート!やめなさいって!』

 

と。金髪の女性が止めようとするが三人はその人の言葉が聞こえないのか桜花たちを睨み今にも襲い掛かりそうな体制をとっていた。そして桜花たちも

 

「どうやら交渉決裂っすね・・・・・しゃあない。少し荒っぽくなるすっけど仕方ないっす!」

 

そう言い桜花は剣を持ちそして後ろにいる隊士たちは楯や警棒を手に持ち態勢を整え、いつ両者が激突してもおかしくなかった。そして・・・・・

 

「「「おりゃあぁー!!!」」」

 

と、しびれを切らしたのか三人が剣を振りかざし桜花たちに向かおうとした瞬間

 

『アマレット!パトネーゼ、ジェラート!!やめんか!!』

 

「「「「っ!?」」」」

 

と誰かがラテン語でそう叫び桜花に向かおうとした三人は動きを止め、桜花もその声の方を見る。

 

「あ、アンチョビ姐さん?」

 

と、桜花がそう言うと、外国人の4人はアンチョビを見て目を丸くし、そしてさっき3人を止めようとした金髪の少女が

 

『・・・・・ユリウス隊長』

 

『『『centurio(百人隊長)!?』』』

 

と、そう言うのと同時に先ほどの三人もアンチョビを見て驚くのであった。それを見た俺は

 

「もしかして、あの4人って・・・・・・」

 

その後、アンチョビさんはその4人にラテン語で何か話し三人は武器をしまう。そして俺も桜花に武器をしまうしまうように指示し、そして事情を聴くためその外国人の人と一緒に店へ入るのであった。

 

 



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アンチョビさんの決意

「本当に申し訳ない吹雪!!ほらお前らも謝れ!!」

 

「すみませんでした」

 

「「すいません・・・・」」

 

と、店の中でアンチョビさんが頭を下げると先ほどの金髪の女性やほかのローマ人の女性も頭を下げる。特に先ほど桜花と喧嘩しそうになっていた二人はあの後、事情を詳しく聞いたアンチョビさんにこってり叱られたためである。

 

「いや、良いんだよアンチョビさん。店の人もお金払ってもらったからいいって言っているし。それにしてもこの人たちがアンチョビさんの仲間だったなんて・・・・」

 

「はい。始めまして私はカルネチア・マルチィ。ユリウス隊長の補佐をしていたものです。気軽にカルパッチョと呼んでください。で、後ろにいるのが仲間のアマレットとパネトーネとジェラートです」

 

と、丁寧にあいさつをするカルパッチョさん。因みに俺は今ラテン語で話している。またわからない単語があったらアンチョビさんが通訳をしてくれていた。因みに桜花は表で警護している。

 

「それにしてもまさかここでお前たちに会えるなんてな~お前たち元気でよかったよ」

 

「はい。私もユリウス隊長に会えるなんて感激です」

 

と、アンチョビさんが嬉しそうにそう言う。まあ久しぶりに仲間に会えたんだからそれはそうだろ

 

「・・・・・で、カルパッチョ。なんでお前たちはこの街に来たんだ?それ以前にほかの仲間はどうした?」

 

と、そう言うとカルパッチョさんは暗い顔をし

 

「わかりません・・・・・あの奇襲攻撃の後、私たちはユリウス隊長とはぐれ散り散りになりました。生き残った私の部隊は食料も尽き欠けていたのですぐにローマへと戻ったのですが、その後、生きて戻った部隊は私たちだけでした・・・・・・」

 

「そうか・・・・・やっぱりか・・・・やっぱり私のミスだな。私があの時、敵に襲撃される可能性があったのに平原を歩くなんて言い出したから・・・・・」

 

「そんな!ユリウス隊長のせいじゃありません!」

 

「そうですよ!あの時は私たちがアンチョビさんが反対しようとしたときに無理に言って決断させたのが原因っす!!」

 

「そうですよ!」

 

「カルパッチョ・・・・・すまないな」

 

と、カルパッチョさんたちがそう言う。アンチョビさんて昔から部下とかに慕われているんだな・・・・・これは俺の出る幕はないな

 

「じゃあ、アンチョビさん。俺は警邏に戻るよ。アンチョビさんはゆっくり仲間の人と話しててよ。積もる話もあるだろ?」

 

「ああ、吹雪もすまないな」

 

「じゃあ・・・・・桜花。ここはアンチョビさんに任せよう」

 

「はいっす」

 

そう言い俺は桜花を連れて店を出るのであった。

 

「あ、あのユリウス隊長。あの少年は・・・・・」

 

「ん?ああ、吹雪か?この街の役人の隊長で私の上官かな?」

 

と、そう言うとパネトーネが

 

「あのガキが隊長の上司!?」

 

「ふざけやがって~あんな弱そうなやつがアンチョビ様の上司だと!?」

 

「納得いかないっす!」

 

と、三人がそう言うとアンチョビが

 

「まあ、まあ、アマレット、パネトーネ。ジェラート落ち着けって、あいつは結構強いぞ。私よりも強いなあいつは」

 

「ユリウス隊長よりもですか?でも隊長はローマで『ローマの閃光』と呼ばれるほどの剣士じゃないですか」

 

「まあな。だが世界はローマよりも広し。私よりも強い剣士はこの大陸、いやこの国にたくさんいた。所詮私の剣の強さも井の中の蛙だたな・・・・」

 

と、アンチョビはお茶を飲んでそう言うそして

 

「・・・・・で、カルパッチョ。お前らここへ何しに来たんだ?観光目的でもましてや私を探しに来たんじゃないよな?」

 

と、少し鋭い目つきでそう言うとカルパッチョたちの顔色が変わる。そして

 

「な、いきなり何を言っているんですか隊長。私たちはただ単に旅をしていただけですよ?」

 

「ローマ軍団の甲冑を着てか?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

「カルパッチョ。お前・・・・帝国からの斥候だな?」

 

「っ!?」

 

「カルパッチョ。私を甘く見るな、今はここの警邏の小隊長だが、ローマでは貴族の娘であり百人隊長を務めた身だ。大方、帝国の連中はまだここを取ることを諦めておらず、そこで現地調査としてお前たちを送った。違うか?」

 

と、そう言うと4人は黙ってしまう。どうやら図星のようだ。するとカルパッチョは

 

「・・・・・はい。実はそうなんです。私たちはアンチョビ様の救出でも、ましては観光目的で来たのではありません。ここを侵略する目的で帝国の命を受けて現地調査に来た間諜なんです」

 

「カルパッチョさん!」

 

「いいんだ、ジェラート。そうか・・・やっぱり諦めていなかったのか帝国は・・・・」

 

「はい」

 

と、カルパッチョは返事をしアンチョビは複雑そうな顔をする。アンチョビにとってこの国はもう一つの故郷のような感じがあったからだ。そして何よりもこの国に住む人たちのことを考えると・・・・・

 

「ユリウス隊長・・・・・・ローマに戻りませんか?」

 

「なに?」

 

「私たちは明日、ここから発ってローマに戻る予定です。その時に私たちと一緒に帰りましょう。隊長の両親も心配しています」

 

「そうですよ隊長、一緒にローマに帰りましょう」

 

「「隊長!!」」

 

と、そう言う中アンチョビはただ黙って目をつむっていた。そして・・・・

 

「わたしはローマには・・・・・・・・・・・帰らない」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

アンチョビの言葉に三人は目を丸くするそしてこう伝えた

 

「そして祖国に伝えろ。自分たちが侵略しようとしている場所は人も街も森もないただの砂漠だけの不毛の地だとな」

 

「どうしてですかアンチョビ様!?」

 

「そうですよ!!」

 

と、アマレットやジェラートがそう言いとカルパッチョが

 

「なぜですか隊長?あなたは祖国へ帰りたくはないんですか!?祖国にはあなたの両親や弟がいるんですよ!?」

 

「ああ、帰りたいさ。だけどそれは今ではない。私にはまだやることがあるからな」

 

「ですが!・・・それに先ほどの発言は・・・・・」

 

「そのまんまの意味だカルパッチョ。お前たちにはこの街を見てどう思う?この国、いや大陸は内乱が起きてはいるが私たちの国に負けず劣らず…いや、それ以上の笑顔が溢れている。そんな国を侵略するなんてもってのほかだ。昔の私ならここを攻略する計画を立てて祖国へ戻っただろう。だけど、今の私にはそれはできない。ここには大切なものが出来すぎたからな・・・・・・」

 

「隊長・・・・・わかりました。祖国にはそう伝えておきます」

 

「カルパッチョさん!?」

 

「パネトーネ。あなたもこの街を見てどう思った?」

 

「それは・・・・・平和な街だと思いました」

 

「そう、平和な街・・・・・こんな町わが祖国ローマでもなかなか見ないわ。ユリウス隊長の言う通りこの国を侵略するなんて間違っていると思うわ」

 

「それはそうすっけど・・・・・でも、帝国の軍部の連中納得しないと思いますよ?」

 

「納得させるしかないわ。幸い私のおじは穏健派の元老院だし、それにさっきのアンチョビ様の言った言葉を言えば・・・上手くいくはずよ」

 

「それはそうですけど・・・・・でも隊長と別れるなんて嫌ですよ。せっかく会えたのに・・・・」

 

「私だってお前たちと別れるのは寂しいさ。だがこれが今生の別れではない。私はいずれお前たちのもとに帰るささ・・・・あ、そうだ。ローマに帰る前にこれ食べてけ」

 

と、そう言いアンチョビは店の店主に何か言うと店主は頷いて厨房に入る

 

「あ、あのユリウス隊長、いったい何を?」

 

「まあ、待っていればわかるって」

 

とそう言いしばらくすると店の主人が

 

「お待ち同様。なぽりたんできたよアンチョビさん。いつも警邏ご苦労様」

 

「ああ、店主もご苦労さん」

 

アンチョビは店主に礼を言うと店主は作業場に戻った

 

「あ、あのユリウス隊長、これは?」

 

「パスタっぽいですけど・・・・・これ茹でてありませんか?普通パスタって焼くものじゃないですか?」

 

「まあ、ローマじゃそうなんだけどな。これはその今までのパスタの常識を覆すパスタ料理さ、さあ、食べてみろ」

そう言われ4人は恐る恐るナポリタンを食べる。そして・・・・

 

「これは・・・・・!?」

 

「う、美味いです!!」

 

「こんなおいしいパスタ食べたことねえぜ!!」

 

「そうか!お前たちにもこのパスタの素晴らしさがわかったか!」

 

と、感激の声を漏らしアンチョビが嬉しそうな顔をする。するとカルパッチョが

 

「あ、あの・・・・ユリウス隊長。このパスタの味、祖国へ持ち帰ってもいいでしょうか?」

 

「ああ、もちろんだ!むしろぜひそうしてくれ!ローマを武力による力ではなく料理や文化などで全世界にしらしらめてくれ。頼むぞカルパッチョ」

 

「はっ!」

 

「お前たちもカルパッチョをしっかり支えてくれ」

 

「「「わかりました」」」

 

と、その後、アンチョビとカルパチョたちはナポリタンの味を堪能するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか・・・・・帰ってしまうのか」

 

「はい。私たちはまだ旅の途中でして・・・・・」

 

と、その後カルパッチョたちは旅支度を整え、西門の前にいたそして西門にはアンチョビの他、吹雪が見送りに来ていた

 

「そうか・・・・・気を付けてな」

 

「はい。それと沖田さんでしたっけ?」

 

「はい」

 

俺がそう返事するとカルパッチョさんが吹雪に近づき

 

「ユリウス隊長のことお願いします」

 

と、そう言うと吹雪はふふっと笑い

 

「ああ、任せてくれアンチョビさんは俺たちの大事な家族だからな」

 

と、そう言うとカルパッチョは安心したような顔をし、そして吹雪たちに頭を下げると仲間である三人を連れて長安を去るのであった。そして

 

「いいのかアンチョビさん。仲間と一緒に行かなくて?」

 

そう訊くとアンチョビさんはふっと笑い

 

「ああ、まだ私にはやることがあるからな。祖国に帰るのはそれが終わってからだ。・・・・・さて、吹雪、そろそろ戻ろうか」

 

「あ、ああ・・・そうだな」

 

と、そう言い二人は街へと戻るのであった。一方、カルパッチョたちは無事にローマにもどり、先ほどアンチョビが言った言葉を元老院や皇帝に報告すると、時の皇帝はその報告を信じ漢侵攻を取りやめるのであった。因みになんだがカルパッチョたちはアンチョビが紹介したナポリタンスパゲッティを広め、ローマで大流行するのはまた、別の話・・・・・・



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拠点フェイズ 月と吹雪の逢引き

久しぶりの投稿です


「あ~やっと終わった~」

 

俺は部屋で山積みになった警邏や軍の訓練案、そして政務なんかの書類仕事を終え、背伸びしていた。ここ長安に来てから数日達がやっぱり書類仕事はつらい。たまに志乃や美佳や斗志たちが手伝ってくれるんだがそれでも結構きついのだ。そう思っていると

 

コンコン

 

と、ノックの音がした。誰だろう?

 

「開いているよ」

 

と、そう言うと

 

「お邪魔します吹雪さん」

 

「ゆ、月?」

 

と、そこに入って来たのはお茶を持った月であった。すると月は微笑んで

 

「仕事で疲れていると思ってお茶とお茶菓子を持ってきました」

 

「ああ、ありがとう月」

 

と、そう言うと月は茶を注ぐ。そして月は

 

「吹雪さん。大丈夫ですか仕事の方は?」

 

「ああ、最初は大変だったけど今はだんだんとなれてきたよ。それに大変なのは月も同じだろ?」

 

「はい。でも詠ちゃんやみなさんのおかげで太守としての役目や仕事を果たせることができています」

 

と、にこやかにそう言うが彼女の顔は少し疲れていた顔であった。

 

「月、本当に大丈夫か?あまり無理しないほうが・・・・」

 

「いえ、大丈夫です。それに今はこんなご時世ですので休むわけにはいきません」

 

と、彼女は太守としての責任感があるのか無理をして仕事をしているみたいだ。これは何とかしないと

 

「いいや、そうやって無理をするのはかえってよくないよ。たまには息抜きをしないと倒れちゃうぞ?」

 

と、そう言うと月は少し考え、

 

「・・・・そうだ。吹雪さん。明日は予定空いていますか?」

 

「・・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、

 

「あれ?月?月?どこにいるの?」

 

と、彼女の幼馴染であり親友である詠は書簡を手にし、月の部屋を覗くが誰もいない。そして詠はひたすら月を探すのだがどこにもいない。

 

「もう、月ったら、どこにいるのよ。それに吹雪の姿も見えないし。二人してどこに行ったのよまったく」

 

と、少し怒りながら廊下を歩くと

 

「あ、恋!?」

 

「・・・・・詠?」

 

そこで偶然、恋に会う

 

「どうか・・・したの?」

 

「月がいなくなって、それにあんたの息子も」

 

「月と吹雪が?・・・・・二人ならさっき街で見かけた」

 

「え!?ほんと!?」

 

と詠がそう言うと恋が頷くと詠は

 

「こうしちゃいられないわ・・・・恋、ちょっと月たちを探すの手伝ってくれる?」

 

「・・・・?いいよ」

 

と、そう言い二人は恋が月たちを目撃したという街へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、吹雪と月は長安の街中を歩いていた。吹雪はいつもの軍服を着ていたのだが九九式小銃は所持してはおらず、代わりに軍刀と護身の南部一四年式拳銃を持っていた。そして月はいつもの太守としての格好ではなくお忍びでいく村娘トントンの格好をしていた。

 

「いいのか月?俺が買い物の付き添いなんて?」

 

「はい。荷物が多くなるかもしれないので・・・・あの嫌でしたか?」

 

「いいや、別に問題ないさ」

 

そう今、俺は月の買い物の付き添いとして一緒にいる。なんでも日常品とかが足りなくなっているとか何とか・・・・・

 

「・・・・で、月。まずはどこの店に行く?」

 

「そうですね・・・・まずは服とか見てみたいですね。どこかいいお店知りませんか?」

 

「服屋か・・・・・そういう系が売っている場所というと南地区の歓楽街だな。あそこはいろんなのがあるから

 

「そうなんですか。じゃあ、そこに行ってみましょう吹雪さん」

 

「そうだな」

 

と、そう言い俺と月は南地区の服屋へと向かうのであった。そして南地区についてみると人であふれていた。

 

「結構、人が多いんですね吹雪さん」

 

「ああ、南地区は食べ物屋や日用品を売る店が多いからなそれに観光場でも有名だから人が多いんだよ」

 

と、そう話しながら俺と月は服屋へと向かうのだが人込みでなかなか前へ進めない。それどころか・・・・・

 

ドンッ!!

 

「きゃっ!?」

 

月は人混みに押された挙句、人にぶつかり転びそうになるが

 

「月、大丈夫か?」

 

「ふ、吹雪さん・・・・」

 

と、吹雪はそう言う。吹雪は月が倒れそうになるのを見て急いで彼女手を取り、月が転ぶのを防いだ。そしてその状態は吹雪が月を抱きかかえるようなるような感じで立っていた

 

「月、大丈夫。怪我はないか?」

 

「は・・・はい・・・ありがとうございます吹雪さん///」

 

「そうか・・・よかった」

 

吹雪はほっと胸を撫で下ろすと月は顔を赤くしそう答える。そして吹雪は月に手を差し伸べて

 

「ここだとまた人にぶつかって転ぶかもしれないから、手を繋いで歩こう月」

 

「は、はい///」

 

と、月は頷き吹雪の手を握る。そして吹雪と月はお互いはぐれないように手を繋いで歩くのであった。すると・・・・

 

「おや?吹雪殿に月ではないですか?」

 

「あれ?星に川内?」

 

と、そこへ偶然、星と川内に出会う。

 

「二人ともここで何をしているの?」

 

「その言葉そのままそっくり返すわよ吹雪。あなたこそこんなところで何をしているのよ?それになんでここに月がいるのよ?」

 

「ああ、それが・・・」

 

と、俺が説明しようとしたとき星が

 

「ふむ・・・・もしかして吹雪殿はいつものようにお忍びで街の視察に行く月の護衛をしておられるのかな?」

 

「は?」

 

と、少しいたずらっぽい笑みでそういう星に俺が一瞬きょとんとしたがやがて彼女の言いたいことがわかり

 

「ああ、そうなんだよ。な、月?」

 

「は、はい。そうなんです」

 

「なんだそうだったの。いや、てっきり二人とも仕事をさぼって逢引でもしているかと思ったわ♪」

 

「はう・・・あ、逢引///」

 

と、月は顔を赤くし恥ずかしそうにそう呟く。そして川内と星は

 

「さて二人の邪魔をするのはここまでにして私たちは警邏に戻るとするか川内」

 

「そうだね。じゃあ、吹雪、月。またね」

 

と、そう言い二人は去る。そして去り際に星が俺の耳元で

 

「吹雪殿。思う存分楽しんでくだされ」

 

小さく俺に囁き去っていく。存分に楽しむって何を楽しむだろうか?それはともかく俺と月は目的地である服屋につく。そしてその店にはありとあらゆる服が置いてあった。そして店からは店員さんが出てきて

 

「いらっしゃいませ。あら?これは沖田様。今日はどの言った御用で?あれ。そこの可愛い子は誰ですか?」

 

「ああ、知り合いの村娘の子だよ」

 

「そうなんですか・・・・もしかして本日来店した目的は?」

 

「ああ、実は連れが服を買いたくてな。彼女に似合う服はないかな?」

 

「はい。お任せください。うちの店はありとあらゆる国の服を取り寄せています!すぐに彼女さんに似合う服も見つかりますよ~ささっ!試着室へどうぞ!!」

 

「はう!?」

 

と、そう言い店員さんは目をキラキラさせ腕に大量の服を持ちながら月の手を引っ張り試着室へ連れて行く。月はその力に抗えるはずもなくそのまま試着室に入り。そして店員さんにいろんな服を勧められていた。そして俺は近くにある椅子に座る。そして俺は月が服をなんだろう誰かと服を買いに行くのって華琳と一緒に服屋に行って以来だな・・・・そんなことを考えてしばらく椅子に座ってい待って居ると・・・・・

 

「お待たせしました。」

 

と、先ほどの店員さんがやってきて

 

「では、お披露目です」

 

とそう言い試着室のカーテンを開けるとそこにはきれいなメイド服姿の月の姿があった。なんでこんなところにあるはずのないメルヘンチックなメイド服があるんだ?俺が不思議にそう思う中、月は

 

「あ・・・あの・・・吹雪さん・・・・どうですか?」

 

と、顔を赤くしもじもじしながらそう言うと俺は

 

「ああ、とっても似合うし可愛いよ月」

 

「そ、そうですか・・・・嬉しいです///」

 

と、そう言いい月は嬉しそうな笑みを見せる。これはお世辞ではなく本心だ。それほど月のメイド姿が似合っていてとても可愛いのだ。すると店員さんも

 

「そうでしょ?これは何でも徐州にいる白き天の御使いが制作したものなんですよ」

 

なるほど、このメイド服は北郷の仕業か。なんというか・・・・・・グッジョブだ。その後、月はその服が気に入ったのかメイド服を二着買い。そしてそのほかのおしゃれな服を数枚買うのであった。そしてその後は他の店とかで買い物をしてそして現在、

 

「奇麗な夕日ですね・・・・」

 

「そうだな・・・・」

 

俺と月は小高い丘の上、大きな桜の木の下に座り夕日に輝く長安の街を見ていた。この景色は俺と月の秘密の場所でありたまにここに来て夕日に輝く街を見るのが楽しみであった。そして月は

 

「吹雪さん。今日は私の為に買い物に付き合ってくれてありがとうございました」

 

「いいや、お礼を言われることはしてないよ。ちょうどいい気分転換になったしな。それよりも今回の買い物の付き添い本当に俺でよかったのか?詠でもよかったんじゃ?」

 

「詠ちゃんは忙しいそうだったから、邪魔をしちゃ悪いと思って・・・・・」

 

「そうか・・・・・それよりも今日はいい風が吹いて気持ちがいいな」

 

「そうですね・・・・」

 

と、寝っ転がりそう言う俺に月は微笑む。すると買い物の疲れが出たのか、はたまた風の気持ちよさなのか急に眠気が襲いうとうとし始めそして最後には俺は瞼を閉じて寝てしまうのであった。

 

「・・・・吹雪さん?」

 

月は吹雪の顔を覗き込むが、返事がない

 

「吹雪さん・・・・・寝ちゃったのですか?」

 

と、話しかけるが吹雪は吹雪な小さな寝息を立てて眠っていた。それを見た月はそっと吹雪の傍に近づきそして吹雪の頭をそっと持ちそして自分の膝の上に置く。そして月はそっと吹雪の頭を撫で、そして月はそっと吹雪の頬にキスをし顔を赤くし

 

「吹雪さん・・・・・・・好きです。愛しています・・・・」

 

と、そう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も~月に吹雪ったらどこにいるのよ!というよりここの地区の人混みが多くて前へ進めないわ・・・」

 

「・・・・・・ここ長安の街の中で一番賑やかな場所・・・・だから人が多い」

 

一方、吹雪と月を探している詠と恋の二人はしばらく街の中を捜索していたのだが人が多すぎてなかなか見つけられずに今、喫茶店らしき店で休憩をしていた。

 

「それにしてもあの二人ったら、本当にどこに行ったのよまったく・・・・住民の話によればそれらしき人物が楽しそうに買い物していたって聞いたけど・・・・まったく」

 

「詠。なんで・・・あの二人に拘るの?別に・・・・気にする必要はない・・・・」

 

「なんでって、それは月のことが心配だし、それに書簡の仕事をしているはずの吹雪が見当たらないし・・・・それに万が一街で月が危ない目に会ったら・・・・」

 

「書簡って・・・・言っても・・・すぐに提出するようなものじゃないし・・・・月は意外としっかり者。それに吹雪が一緒についている。だからあまり心配することはない。・・・・・でしょ詠?」

 

「それはそうだけど・・・・て、恋」

 

「・・・なに?」

 

「あなたの能弁な言葉を聞くとなんか違和感があるわ。なんていうか・・・・その・・・」

 

「年増みたい?」

 

「い、いや…そういうわけじゃ・・・・・」

 

恋がジト目でそう言うと詠は慌てて否定する。すると恋はふうと息をつき

 

「別にいい・・・・体は若いままだけど・・・・・実年齢をを数えたらそう言われてもおかしくないし。それに向こうの世界でいろんなこと知ったから・・・・・」

 

「向こうの世界って天の国のこと?」

 

と、そう言うと恋は頷く

 

「そう、あの世界で恋は、大切な人である総司にに出会い、そして吹雪という大切な宝物を授かった・・・・あの世界での5年の出来事は・・・恋にとって大切な思い出・・・・」

 

「そうなの・・・・「だけど・・・」だけど?」

 

「ただちょっと心残りがある」

 

「何よ心残りって?」

 

「吹雪のこと・・・・・」

 

「吹雪?」

 

「うん・・・・吹雪の成長したところを見れたのは恋は嬉しい。だけど、できれば子供のころから育てたかった・・・・吹雪の小学校の入学式やら参観日に参加したかったし、運動会なんかで吹雪の頑張りようビデオカメラで撮って、家で家族みんなで笑いながらその映像を見たかった・・・・吹雪の反抗期とか満喫したかった・・・・・それに・・・・」

 

「ちょっ、恋?」

 

と、そのまま語りだす恋に詠は苦笑を浮かべ、そして恋の愚痴が終わる夕暮れまで付き合わされるのであった。

 



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仲華国設立

宮中

 

「で、どうしたんだ詠、月?俺を呼んで。何かあったのか?」

 

月との買い物が終わってしばらくしたある翌朝、俺は今、月や詠に呼ばれ宮中の広場にいた。すると月が

 

「沖田さん・・・・実は、陛下から手紙が来たんです」

 

「え?霊帝様から?」

 

俺は月の言葉に首をかしげる。空丹から手紙って珍しい・・・・そう思っていると詠が首を横に振り

 

「いいえ違うわよ霊帝様じゃないわ。その妹君の献帝様よ。霊帝様は皇帝の座を降りて献帝様の相談役になったんじゃないの」

 

「ああ、そう言えばそうだったな。」

 

俺は前に呼んだ新聞の内容を思い出す。因みに献帝様とは、以前お忍びで洛陽の街を視察していた白湯こと劉脇様のことである。あの反董卓連合の後、空丹、白湯は王座を降り事実上漢王朝は滅んだんだが、いまだに皇帝としての権威は残っているためか、彼女たちの補佐をしていた趙忠を含めそれに従う者がまだ多かった。

 

「で、その手紙にはなんて書いてあるんだ詠?」

 

「ええ、それがね・・・・」

 

と、俺がそう訊くと詠は手紙の内容を読んだ。その手紙の内容は・・・・・

 

『お元気ですかと董卓、そして沖田。朕はとっても元気なの。あ、それと空丹姉さまと黄も洛陽の都でとっても元気に過ごしているの。それで、朕がこの手紙を送ったのは、董卓たちは知っていると思うけど最近、曹操が自身の治めている場所を魏と名づけて独立国家を作ったの。で、朕が言いたいことはね。これを機に董卓たちも董卓のところも独立国を名乗って見てはどう?もう漢王朝はなんも力もないし、だからなおさら、この乱世に満ちた大陸を統一して平和を作ってくれる人が必要なの。だから姉上も黄もそして朕も董卓には漢の太守ではなく一国の王として沖田とともにこの大陸をあの洛陽の街のように平和にしてほしいの。それに国として対等になっていたほうがいろいろと便利なことがあるってお姉ちゃんも言っていたし。だから董卓よそして沖田よ。この国のことをよろしく頼むぞ。これは漢王朝皇帝である朕の最後の頼みなの』

 

「・・・・・・・というわけよ吹雪」

 

詠が読み終わるとあたりは静寂に包まれ緊張が漂っていた

 

「これは驚いた・・・・まさか献帝様が俺たちに独立国家を設立しろというなんてな・・・・」

 

「ええ、最初その文を見た時、僕も驚いたわ。でも確かに献帝様の言うことにも一理あるわ。・・・・・で、月。月は大丈夫なの?背負える?」

 

詠が真剣な目で月を見ると月はしばらく黙っていたがや果て強い意志を込めた瞳を輝かせて頷くと

 

「うん、私は・・・皆の背中に隠れているだけじゃ駄目だって分かったから、だから背負っていく!みんなが安心して平和に暮らせる世の中な世界にするためにも私、頑張るからね。だから詠ちゃん。吹雪さん・・・・二人とも・・・私に協力して支えてくれますか?」

 

と、そう言うと俺と詠は顔を見合わせそして頷くと

 

「ああ、もちろんだ月!詠やみんなと一緒に平和な国を作ろう」

 

「吹雪の言う通りよ月。僕が月以外の誰に力を貸すわけ?私の智謀知略、その全てはとうの昔に月に捧げているわよ!これからも、ずっとね!」

 

「ありがとう・・・・二人とも・・・・」

 

と、強い決意を込めて俺たちはそう言い三人はがっちりと手を握りそう言うのであった。

それからしばらくした後、月は自分の収める領地の国号を『仲華』と命名した。名の意味は俺の知っている『中華』とは違い、まず最初の『仲』は仲間や友を意味し、『華』は文字通り野に咲く花のことを意味差していたすなわち月の命名した仲華とは『きれいに咲くたくさんの花の如く、人が見ななかよくそしてみな兄弟や家族のように暮らせるような世界』という願いを込めて命名したものであった。そして翌日、月はみんなを呼び、『仲華国』の設立とそのわけを話し、そして自分の決意を皆に言う。月のその真剣な決意にみんなは全員真剣な目で月を見つめ一度頷き、片膝をついて眼を伏せ両の手を眼前へと重ね、最上の礼を取る。そしてそれを見た月は頷き

 

「今この時、ここ長安の国号を『仲華国』とし、そしてその誰もが平穏に暮らせる世の中を目指します。皆さん。頼りない私だと思いますが、協力してくれますか?」

 

彼女の、普段の優しい主の決意の前には不遜な言葉は何一つ要らない、皆が返した言葉はただ一言

 

「「「「御意っ!!!」」」」

 

と、その返事に月は微笑み

 

「みなさん。ともに住む民衆の笑みや平和のために、私たちの子孫の為に、平和な世の中を目指して頑張りましょう!!!」

 

「「「おおぉーーー!!!」」」

 

と、月の言葉にでその場にいた将も軍師も皆、歓喜の声を上げるのであった。こうして仲華国が設立されたのであった。

その後、仲華国の旗が作られた。紺色の生地に明星と月を合わせた旗だ。紺は夜空、明星と月はどんな暗い中でも優しくみんなを照らせるようにとの願いという意味であり月に関しては董卓…月をもじっているらしい。

だが俺はこの旗に見覚えがあった

 

「これって・・・・・台湾の青天白日旗じゃないか?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

俺は風でなびいている旗を見てそう呟くのであった

 

 

 

仲華国が建国され、それから数日後、長安の国境付近

 

「ふふぁ~暇だな国境の警備なんて」

 

「おい、またあくびかよ。不謹慎だぞ」

 

「だって暇なんだからしょうがねえじゃないかよ」

 

「まったく。お前、それでも天の御使い沖田様が率いる第三師団の兵士か?」

 

「そう言うお前こそ、服装のボタンが外れてがだらしねえぞ。それでも栄えある徐栄隊こと第二師団の兵士の言うことじゃないだろ?」

 

「う、それを言われると痛いな・・・・それにしてもこの西洋服というのか?なんかぴっちりして落ち着かないな」

 

「まあ、最初はみんなそう思うんだよ。でも慣れれば平気さ」

 

と、長安の国境付近の屯所にいる兵士二人が話し合う。そう、今二人が来ているのは今までの鎧姿ではなく吹雪隊の着ていたあの西洋式の軍服であった。あの反董卓連合の戦いで重い鎧を着て思うように動けず戦うことができなかった他の部隊と連合軍に対し、吹雪隊の西洋服による奇襲戦法や機動力を生かした戦法で連合軍を苦しめた。そしてその戦訓もあってか戦争終結後、董卓軍もとい仲華国は服装を吹雪隊と同じ西洋式の軍服に統一したのだ。ただし黒服軍服の吹雪隊に対し徐栄隊は青色の軍服である。わかりやすく言うのであれば吹雪隊軍服は旧日本陸軍。華雄軍はドイツ軍式、霞軍はアメリカ騎兵隊風の軍服でそして徐栄こと夢華はフランス式となっている。因みにこれは余談ではあるがアンチョビさんの軍服はイタリア軍統帥風の軍服になっている

 

「ま、とにかく。こうも事件とか騒ぎがないと暇でしょうがねえや。ここいらでドカァーンと事件とか騒ぎとかないかな。いい加減、国境警備も飽きてきたぜ」

 

「おい、縁起でもないこと言うんじゃないよ。反董卓連合の戦いが終わって半年もたっていないのに。それに今の言葉、李郭教官や徐栄将軍の耳に入ったら大目玉だぞ」

 

「そうだな。それもそうだな」

 

と、二人は笑いながらそう言うと

 

「誰が大目玉ですって?」

 

「「っ!?徐、徐栄将軍!?」

 

急に後ろから声がし二人が振り向くとそこには徐栄こと夢華がいた。彼女は現在国境に侵入する敵兵が来ないかを監視するためのっ国境警備隊の指揮をしている。それを見た二人の警備兵派顔を青ざめ彼女に敬礼すると夢華も返礼をする。そして

 

「あなた達、くつろぐのはいいけど。今はどこもかしこ戦争している状態よ。そしてその国がいつ私たちの国へ攻めてくるかわからないのよ。もっと気を引き締めて仕事をしなさい」

 

「は、はっ!し、失礼しました将軍!!」

 

と、夢華に軽く注意されると・・・・・

 

「徐栄将軍!!」

 

と、一人の兵士がやってきて彼女に敬礼する

 

「何事?」

 

「はっ!今、白馬に乗った武将とその背後に多数の騎兵がこちらへとやってきます!!」

 

「なんですって?まさか敵かしら?・・・・・・で、先頭のの馬に乗っている人物は誰かわかるかしら?」

 

「は・・・・・それが・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

練兵所

 

ダァーン!!ダァーン!!!ダァーン!!!

 

「ふう・・・・・久しぶりに撃つから腕が少し落ちたかな・・・・・?」

 

と、俺は99式小銃のボルトを動かしてそう言う。今俺は練兵所の隅の銃士隊が使用している射撃場で射撃の練習をしていた。なぜ練習をしているかというといつ何時、敵が来るかわからない。仲華国が設立されてから、いまだに大きな戦は起きていない。だが、もし敵がこちらに攻めて来た時、射撃の腕が落ちていたら敵にやられ話にならないからな。だから俺は体がなまらないように、射撃の練習なんかをしている。因みに剣術なんかはたまに母さんや斗志たちが相手にしてくれていたりする。すると・・・・・

 

「あ、吹雪さん!!」

 

「ああ、美佳」

 

と、そこへ美佳がやって来た。しかも何やら慌てているのか息を切らしながら俺のところに来る

 

「はぁ・・・はぁ・・・・やっとみつけました」

 

「どうしたんだ?そんなに慌てて?」

 

「あ、はい。実は先ほど夢華さんが国境から公孫瓚殿やその部下たちをこちらへ連れて戻られて・・・・・」

 

「白蓮を?」

 

「はい。なんでも負傷した公孫瓚殿を保護したとか・・・・・とにかく一度、宮中へ戻ってください」

 

「わかった。すぐに行く」

 

と、俺は美佳に連れられ公孫瓚こと白蓮が待っているという宮中へと向かうのであった。この時、俺は何やら大きな戦いが始まるとそう予感がしたのであった・・・・・・・

 

 




因みに徐栄隊の軍服ですがガルパンのbc自由学園のパンツァージャケットをモチーフにしています


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幽州陥落と迫りくる荒くれもの

美佳に呼ばれた俺は、月たちのいる玉座の間に向かう。そして玉座の間に着くと、広間には月や詠の他、母さんやねね、霞に橘花たちが集まっていた。

 

 

「吹雪遅いわよ」

 

「ああ、すまん詠。話は美佳から聞いたよ。公孫瓚殿が夢華に保護されたんだって?」

 

俺が月に訊くと月は頷いて

 

「はい。しかも傷だらけで夢華さんに連れてこられて・・・・・」

 

「で、彼女は今どこに?」

 

「いま。桜花や川内たちが傷の手当をしているで。もうすぐ来ると思うけどな?」

 

と、霞がそう言うと

 

「董卓様。公孫瓚殿をお連れしました」

 

と、そこへ夢華がやってきてその後ろから桜花と川内そして・・・・・・

 

「うう・・・すまない沖田。董卓、いきなり転がり込んできて・・」

 

桜花と川内に支えられながら包帯まみれでボロボロの姿になった公孫瓚がやって来た

 

「公孫瓚殿!どうしたんだ!?そんな傷だらけで、いったい何が起きた?」

 

「訳を話してもらえますか公孫瓚さん?」

 

俺と月が訪ねると公孫瓚は悔しそうな悲しそうな顔をし

 

「じ、実は麗羽が・・袁紹の奴がいきなり奇襲を掛けてきて、遼東の城を・・・・いや私の領地にある幽州の城、全てを落とされたんだ」

 

「なんだと!?幽州が!?」

 

公孫瓚の言葉を聞いてみんなの言葉を代弁するかのように華雄がそう言う。やはり袁紹の奴、どこかへ攻めると思っていたが、まさか幽州を攻めるとは・・・・

 

「ああ、反董卓連合の後、私は幽州に戻った後、すぐ戦後の後始末と内政に取り掛かって何とか安定して来たんだが、ある時、いきなり冀州から袁紹の使者がやって来たと思ったら突然、宣戦布告書を渡してきたんだ。それと同時に袁紹の軍勢がいきなり国境を越えて瞬く間に数々の城を占領されたんだ」

 

「反撃はしなかったのですか?」

 

「もちろんしたさ!でもいきなり攻めてきたから迎え撃つ準備もできず、そのまま袁紹に幽州の大半を奪われ、そして最後の抵抗に我が自慢の騎馬軍団で袁紹本陣へ突撃したんだが・・・・・・」

 

「力及ばず、か?」

 

「ああ、袁紹本陣へ突っ込んだと思ったがそれは罠で側面に潜んでいた伏兵に弓とかの側面攻撃で部隊は壊滅状態になって・・・・・」

 

「落ちのびてきたという訳ですな。」

 

「恥ずかしながら、そういうことだよ。」

 

星の言葉に公孫瓚は頷く。すると志乃が

 

「でも、なんで公孫瓚さんはわざわざここ、長安へもとい仲華へ?もし亡命をなさるんなら幽州から遠いここよりも、公孫瓚殿の幼馴染である劉備殿のいる徐州へ行くのが最短距離ではなかったんですか?」

 

確かに志乃の言う通りだ、ここから幽州まではかなり遠い。それに比べ劉備のいる徐州は公孫瓚のいる幽州と目と鼻の先だ。もし彼女が袁紹の手から逃れるには先ほど志乃が言ったように幼馴染である劉備のところに行くはずだ

。すると公孫瓚は

 

「確かに最初は桃香・・・・・劉備や北郷のいる徐州へ逃げるはずだった。だがどうやら袁紹たちに読まれていたみたいで徐州の国境付近で文醜や顔良たちに待ち伏せされて徐州へ行くことはできなかった。だから私は進路を変えてここ、長安へ行くことにしたんだ・・・・」

 

「そうですか・・・・それは大変でしたね公孫瓚さん」

 

「そうだな。でも無事で何よりだ」

 

「董卓・・・・・沖田・・・・」

 

「公孫瓚さん。事情は分かりました。公孫瓚さん。私たち仲華はあなたたちを喜んで歓迎します。どうか気が済むまでこの国に滞在してください。いいよね。吹雪さん。詠ちゃん?」

 

「ああ、もちろんだ。困った時はお互い様だしな」

 

「僕も月がいいって言うならそれでいいけど」

 

「すまない・・・・・・」

 

と、三人がそう言うと公孫瓚は嬉しさのあまり涙を流し頭を下げると、霞が

 

「気にせんでいいで。こういう時はお互いに助け合わんとな。だろ華雄?」

 

「うむ。その通りだな」

 

そう言うと夢華と志乃は

 

「ま、ともかく今はこれからのことね。幽州を取り北方に袁紹の国が出来た以上、反董卓連合から続いている諸侯同士の紛争が以前よりも大きくなるのは目に見えてきましたね」

 

「確かにそうですね・・・・今の袁紹に背後を脅かすものが居なくなった。次に狙うのは・・・・・恐らく」

 

「西進か南下あたりって言うこと志乃?」

 

「はい詠。その可能性はあると思います。反董卓連合終結後、袁紹は戦争責任として陛下に領地を一部取り上げられただけでなくあの戦いで主力ともいえる兵士を多く失い。挙句の果てには望んでいた大きな物、この場合は陛下のおられる洛陽であったり、それに近しいもののことですが、それを手にすることができませんでしたから」

 

「恐らく、袁紹さんは、『そうなれば自力で領土を拡大して手に入れるしかない!』と、そう思ったんでしょう」

 

「なるほど・・・・・吹雪の予想が当たったってわけね・・・・」

 

志乃と鈴の言葉に詠が頷く。そう実際に袁紹は以前、俺と詠が予想していたことが起きた。すると斗志が

 

「公孫賛殿の土地を奪い、後顧の憂いを断った、というわけですか隊長?」

 

「ああ。袁紹の南には曹操が居るし、西には剽悍で名高くそして闘将馬騰さんたちが守る涼州がある。攻めるなら攻めやすい北方。手に取るようにわかる現状だ」

 

「甘かった。麗羽がそんなことするはずないって思ってたんだが・・。」

 

俺の言葉に公孫瓚さんは悔しそうに言う。すると星が

 

「確かにそうですな。乱世の兆しが見えていたのだから、太守としておおいに用心すべきでしたな」

 

「おい、星。いくら何でも言いすぎっすよ!」

 

と、桜花が星にそう言うが、公孫瓚は首を横に振り

 

「いや、良いんだ。星の言うことは尤もだよ。私が甘かった・・・・・私が甘かったせいでこうなったんだ」

 

と、顔を伏せ、暗い表情で言う中、俺は彼女の肩をポンっと叩き

 

「確かに甘かったかもしれない。だが、俺はそう言う人のいい所、結構好きだぜ。星たちもそうだろ?」

 

「はい。吹雪殿のおっしゃる通りです。」

 

「私もだ。何か腹黒いことを考えている奴よりずっと信頼できる」

 

「うちもそうっす」

 

と、俺の言葉に星や斗志、桜花が返事をする。そのことに公孫瓚は

 

「う・・・みんな」

 

と涙ぐむ。すると星は

 

「さて、今はとにかく、白珪殿の今後のことを考えましょう。白珪殿。今後、どうする?傷が癒えたら袁紹に奪われた領土を奪い返すために行動するのか?」

 

星がそう訊くと、公孫瓚は首を横に振り

 

「いや、麗羽の軍勢はすでに私の手に負えるものじゃ無くなってる。もう今の私では太刀打ち出来ないんだ。」

 

と、そう言う。確かに今の公孫瓚さんを見れば保護された公孫瓚さんの兵を見てもたったの数百人程度、しかも皆手負いだ。それに対して幽州を手に入れ、どんどん兵を増し領土を拡大してる袁紹に戦いを挑んだって勝ち目があるわけはない

 

「なら、どうすんの?」

 

霞がそう言うと、公孫瓚さんは臣下の礼を取るポーズをし

 

「沖田や董卓・・・・・いや董卓様さえ良ければ、私をお前達の下に置いて欲しい。」

 

と頭を下げる。それを見た詠が

 

「え?つまり、あんたは僕たちの仲間になりたいってこと?」

 

「仲間?いや、私は董卓様達に臣下の礼を・・。」

 

と、きょとんとしてそう言う公孫瓚に月は

 

「それなら必要ありません公孫瓚さん。私たちは形式上は臣下や主従としていますが実際に私たちの関係は家族であり仲間なんです。ですから私たちは公孫瓚さんを部下としても家臣でもなく仲間・・・・・家族として迎え入れたいんです」

 

「俺も月と同意見だ。確かに上下関係の規則は多少はあるが俺たち董卓軍の関係は主に家族関係みたいなもんだ。だから公孫瓚。俺たちの仲間にならないか?」

 

と、俺と月がそう言い公孫瓚はしばらく呆けていたが

 

「星・・・・・・あの二人って少し変わっているんだな?」

 

「ふむ。我らはもっと主らしくしていただきたいのだが、吹雪殿や月はそういうのがあまり好きではないようでな」

 

「そうなのよ。僕も月に『もっと、王らしく堂々としなさい』って言っているんだけど月は相変わらずなのよね。ま、でも僕にとっては今のままの月の方が好きなんだけどね」

 

と、星と詠がそう言い公孫瓚こと白蓮は二人を見る。そして最初に彼女の頭に写ったのは徐州にいる親友とそしてその親友を支える一人の少年だった

 

「(似ている・・・・・董卓殿と沖田はどこか桃香や北郷に似ているな・・・・・ふふ。なるほどな。そんな二人だから洛陽の街の人たちに笑顔が溢れていたんだな。それでそんな2人だからこそ皆集まったんだろうな)」

 

と白蓮はふっと笑い。そして

 

「董卓殿、沖田。私も・・その仲間に・・・・・家族に入れてもらっても良いか?」

 

と、そう言うと俺と月は笑い

 

「ああ、もちろんだよ」

 

「これからよろしくお願いします。公孫瓚さん」

 

と、月は公孫瓚に手を差し伸べるが公孫瓚は首を傾げ

 

「あ、あの・・・それはなんだ?」

 

「これは握手っといって、吹雪さんの故郷。天の国の挨拶の一つだそうです。だから改めてよろしくお願いします公孫瓚さん」

 

と、そう言うと公孫瓚さんは笑顔を見せ月の手を握り

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。董卓様、沖田。私の事は真名である白蓮と呼んでくれ。」

 

「ふふ。よろしくお願いします白蓮さん。私のことも様ではなく気軽に真名である月と呼んでください」

 

「俺も、吹雪でいい。これからよろしくな白蓮」

 

と、こうして公孫瓚こと白蓮は俺たち董卓軍に加わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、袁紹陣地では

 

「すみません姫。公孫瓚に逃げられちゃいました。せっかく琉巳が包囲計画をしてくれたのに」

 

と、袁紹の陣で白蓮を追撃していた文醜が袁紹に申し訳なさそうに言うと、

 

「おーほほ!別にいいですわよ。幽州も手に入ったことだし、あんな田舎娘。逃したところで別に何の問題もありませんわ!!」

 

と、土地を手に入れ喜んでいる袁紹は上機嫌に高笑いをしてそう言う。すると郭図が

 

「それで麗羽様。次はどこを攻めるおつもりですか?」

 

「次は徐州と長安を攻めますわ」

 

「え!?徐州と長安をですか!?」

 

「ええ、そうですわ真直さん。次は劉備さんのいる徐州と董卓さんのいる長安を手に入れますわ。そして徐州を手にした後はあの忌々しいくるくる娘の曹操さんの国を手に入れます」

 

「でも上手くいきますか?劉備の所にはあの関羽がいるんですよ?それに董卓の所には天の御使いの沖田吹雪さんもいるんですよそれに彼らの持つ天の武器だって・・・・・」

 

と、そう言うと麗羽はニヤッと笑い

 

「大丈夫ですわよ。斗詩。そう思って、徐州攻略では美羽さんと共同戦線を張ることになりましたのよ。そうすれば挟み撃ちにし、あっという間に徐州を攻めることができますわそれに長安を攻めて手に入れればあのブ男の持つ天の国の武器とやらも手に入ることができますわ。おーほほっ!」

 

と、高笑いすると田豊が

 

「お待ちください。麗羽様。今は幽州を取ったばかりで兵たちも疲れています。それに共同戦線といえども冀州を離れれば留守を狙って曹操が攻める可能性もあります。ここはまず、国内を安定させたのち軍備を増強し、冀州に十分守備軍が置ける状態にしてから徐州と長安を攻めてはどうですか?」

 

と、田豊こと真直が提案する。確かに彼女の言う通り袁紹の軍は公孫瓚を破り幽州を手にすることができたのだが、その戦いで兵の消耗も激しく兵たちは疲れていた。しかも反董卓連合後、袁紹の国は国内がまだ立ち直っておらず不安定な状態なのだ。そして袁紹が本拠地を構える冀州の防衛兵も、数が少なく大軍が攻め込まれたらひとたまりもない。そこで真直はすぐに徐州を攻めるのではなく国内を安定して兵力を増やし手からでもいいんじゃないかと提案するのだが・・・・・

 

「却下ですわ」

 

「ええー!?なんでですか!?」

 

「そんな気の長くようなこと。わたくしは待つことはできませんわ。それに曹操さんも今は国内を安定するため忙しいみたいだしすぐには攻めてはこないでしょ?」

 

「う~そんな~」

 

と、そう言い田豊はしょげてしまう。そんなことを気にせず麗羽は

 

「さて、徐州へは私自ら行きますが長安は誰が行きますの?」

 

と、そう言うと文醜が

 

「はいはい!私が行くぜ!反董卓連合で郭巳にやられたときの借りを返したいからな!!」

 

と、ガッツポーズをしてそう言うと・・・・

 

「ごめん。ごめ~ン遅くなったわ~」

 

と、そこへ、ラフな格好をし少し筋肉質な女性が入って来た

 

「あら、雫さん。随分と遅かったんじゃありませんの?それより雫さん!なんですのその格好はちゃんとわたくしと同じ華憐で雅な黄金の鎧を着なさい!」

 

「いや~ごめんね。麗羽様。ちょっと道に迷ってね。それと鎧なんだけどさ、あれ派手すぎる上に重くて、あんなんじゃまともに戦えやしないわ。だから私はこの格好で十分なのよ」

 

と、お気楽にそう言う女性。彼女の名は張コウ。袁紹に仕える将で、顔良と文醜の姉貴分的なで存在であり、袁紹軍では古参にはいる武将だ。因みに文醜こと猪々子とは少し仲が悪い。すると張コウは頭を掻き

 

「で、話はさっき表でちらって聞いたけど。長安ならあたしが行くわよ。ちょうど暇していてね。だから長安攻略なら私がもらって行くわよ。あ。それと猪々子は来なくていいわよ。あんた病み上がりだしかえって足手まといだからね~」

 

「なっ!?なんだっとどういう意味だよ雫の姉貴!!」

 

と、その言葉にカチンときたのか張コウにつかみかかろうとしたが張コウは腕を上げ、そしてその拳がちょうど猪々子の顔面に当たる

 

「ぶ、文ちゃん!?」

 

「あら、ごめん猪々子。手が滑っちゃったわ~でも大丈夫よ私あんたより強いから~」

 

と、そう言いい、天幕を出る

 

「ダ、大丈夫、文ちゃん。鼻血出てるよ?」

 

と、顔良が鼻血を出している文醜に心配してそう訊くと、文醜は無言で机の下に置いてあるバケツを取り天幕を出たかと思うと馬用の水桶にある水を汲み、そして・・・・・・

 

バシャァー!!!

 

無言で張コウにバケツの水を頭上からぶっかけたのだ

 

「なっ!?ぶ、文ちゃん!?」

 

そのいきなりのことに顔良はおろか田豊や郭図、そして袁紹は驚く

 

「おっと、悪いな姉貴~手が滑っちまったよ~」

 

「・・・・・・・・」

 

と、わざとらしい笑みを見せる顔良に張コウはじっと文醜を睨む

 

「姉貴は風邪ひくといけないから冀州へ戻りなよ。長安や徐州はあたいたちがやるからさ~」

 

と、にやけてそう言うと張コウが

 

「おっーと、手が滑ったぁー!!」

 

と、怒り声で文醜の顔を殴ると文醜も負けずに

 

「悪い姉貴!足が滑った!!」

 

と、足をかけて張コウ転ばすと

 

「ごめんなさいね肘が滑っちゃって!!」

 

と倒れ際に文醜の背中目掛けて肘打ちをする。すると文醜が

 

「滑らせすぎでしょ!もうろくしているのか姉貴は!!」

 

「あんたに言われたくないわよ!!」

 

と、そう言い二人は武器を取り出しまるで龍玉に出てきそうなバトルをする。それを見た袁紹陣は

 

「ぶ、文ちゃんと雫さん・・・・相変わらず仲が悪いわね・・・・・」

 

「はぁ~もっと仲良くできないのかしら?・・・・麗羽様。どうしましょう?」

 

「あの二人の仲はもうどうしようもできませんわ。仕方ありません。猪々子はわたくしと一緒に徐州へ行きますから。代わりに雫さんを長安へ向かわせますわ。それと真直さん。琉巳さん。雫さんだけだといろいろと心配なので一緒についていってあげて・・・・・」

 

「かしこまりました・・・・真直もそれでいいわね?」

 

「はい・・・・でも雫さんと一緒ですか・・・・・胃が痛いですわ」

 

と、麗羽の言葉に両軍師はため息をつくのであった

 



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白蓮の仕事

投稿遅くなって申し訳ございませんでした


洛陽

 

「華琳様。たった今、北方にはなっていた細作が、つい先ほど戻ってまいりました」

 

「ふむ・・・・北方で何か動きがあったのかしら凛?」

 

「御意、袁紹が河北へと電発し、公孫瓚の領土を併呑したようです」

 

「な、なに!?」

 

凛の言葉に春蘭が驚くと秋蘭は

 

「袁紹が、公孫瓚を追い散らしたとなると・・・・・・」

 

「後顧の憂いが無くなるっということね。桂花。袁紹だったら次はどこを攻めるか想像はついているわよね?」

 

「はい。恐らく、西か南の両方を攻める可能性があります」

 

「あら?南はともかくなぜ、袁紹が西へ攻めるのかしら?権力の中枢を欲している袁紹がわざわざ回り道をし、私たちの領土を通って、西を攻める根拠でもあるのかしら?」

 

と、少しいたずらっぽい笑みを浮かべる華琳に、桂花はふっと笑い

 

「はい。恐らく袁紹は天の国の武器である銃を所持している長安へ攻める可能性があります。袁紹は知っての通りと欲深なところがあります。自分の天下を早く統一するにはあの馬鹿が持っている天の国の武器が必要になります。そして連中が攻める場所はその武器を唯一所持している西の長安つまり・・・・」

 

「仲華国ってわけね桂花?」

 

「御意」

 

「そう、確かにあの袁紹ならやりかねないわね・・・・・で、袁紹は他に何か動きを見せているのかしら?」

 

と、華琳がそう訊くと凛が

 

「はっ、細作の情報によれば袁紹は南の袁術と連合を組んで東にいる劉備の土地へと攻める準備をしているとのことです。恐らく近いうちに激突するでしょう・・・・・」

 

「東にも動きありか・・・・華琳様。我々はどう動きましょう?」

 

秋蘭が華琳に訊くと

 

「そうね。存念はあるけれど・・・・・凛。あなたの腹案を聞かせなさい」

 

「はっ。東方の動きに関しては、今のところ放置するのがいいでしょう」

 

「その根拠なんだ?」

 

凛の言葉に春蘭が首置かしげると、鈴は眼鏡をくいッと上げ

 

「袁術、袁紹軍は反董卓連合後、あの戦いで失った兵や糧食を増やし回復しかけてはいるが兵たちの士気は低く、また兵も十分な訓練がされておらず烏合の衆ばかり、さらに将となる人物が両陣営とも袁紹の張コウや軍師である田豊や郭図を除けば、やそろいもそろって愚人。兵は劣れど、一騎当千の将をそろえている劉備が負けるはずはないでしょう」

 

「それがどうして、放置しても良いということに繋るのだ?」

 

「劉備の性格です。外へ行かず。内へ内へと向かう傾向があります」

 

「なるほど。劉備からは長安の董卓同様、他国へ攻め入り領土を広げようとする野心は見えませんね」

 

「そう、ですから東方は放置してよいかと」

 

桂花が納得したように言頷き、凛もそう言うと華琳は

 

「なるほど・・・・・風の意見は?」

 

「ぐ~」

 

「おい、寝るな!!起きろ風!軍議の最中に寝る奴があるか!!」

 

「・・・おっ!!」

 

と、寝ていた風に春蘭が起こす。それを見た華琳は微笑み

 

「ふふ、相変わらずね。それよりも風。東方よりもさらに南にいる孫策の様子はどうなっているのかしら?」

 

「孫策さんですか?今は雌伏の時といったところでしょう。東方、北方が騒がしくなっていても、そうそう動かないと思います」

 

「その根拠はなんだ?」

 

「いくら大軍とはいえ、袁術の軍が健在なのが一点ですが、あとのことはわかりませんね~」

 

「おい、風。少しは真剣にそして、まじめに仕事をしてくれ」

 

「そうは言われましても、我らが主と同様の英傑の考えなど、凡人にはわからないものですよ~」

 

と、春蘭の言葉に風がそう言うと華琳が

 

「風も孫策を英傑と?」

 

「はい。だからこそ、今は外部に対して動くことはないかと、あるとすれば袁術よりの独立を画策するって感じでしょうね・・・・・それよりも風が一番気になるのは西の国にある国です」

 

「董卓のこと?」

 

「はい。董卓さんたちはこちらから攻撃をしなければ、相手の国を攻めてこないと思いますが、ないとも言えません。それにあの国は反董卓連合の時もそうですが天の国の武器を所有しています。万が一交戦になった時はこちらの勝利は低いです」

 

と、風がそう言うと華琳はふふっと笑い

 

「そう言うと思って、もう手は打ってあるわ・・・・・桂花!」

 

「はっ!」

 

「柳琳たちはもう長安へ着いているかしら?」

 

「はい。予定ではそろそろ着くころです。ですが本気ですか華琳様?董卓たちを魏の美食の会へ招待するのは?」

 

「ええ、かまわないわよ。董卓や吹雪にはいろいろと借りがあるからね。ここらで返さないといけないわ。それに董卓とはゆっくりと話したいことがあるしね」

 

と、華琳は意味を含めた笑みを見せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、場所は戻って長安では、月や詠の他、各師団、師団長が集まっていた。その理由は白蓮のこれからのことだ。白蓮は一応董卓軍所属になったのだが、どこの部署に入れるかはまだ決まってなく。これから白蓮と一緒に相談して決めることになったのだ。そして月が

 

「では、皆さん。白蓮さんのこれからについてですが・・・・・・吹雪さんどうします?」

 

「ああ、仲間になってくれたのなら、どんな仕事を任せればいいのかとか、そのあたり相談しないといけないからな。で、詠。白蓮は?」

 

「白蓮なら、斗志たちが呼んできているわよ。もうすぐ来ると思うけど?・・・・そう言えば星。あなた前に白蓮の客将をしていたって言っていたけど、彼女の実力ってどの位?」

 

「ふむ。私が白蓮の客将をしていたのは、ほんの数日ぐらいでしたからあまり胸を張っては言えないが、白蓮殿なら、軍事も内政も両方とも普通(・・)にこなしてくれるでしょうな」

 

「確かにそうだな、あれを見る限り普通(・・)に仕事をこなしそうだ」

 

「私も華雄に同意見です。あの正確なら普通(・・)にこなせるでしょう」

 

「うちもそう思うな。ふつ~に仕事してくれると思うで」

 

「普通は……大事」

 

と、星の言葉に華雄、夢華、霞、そして母さんがうんうんと頷く。すると

 

「ふ、普通普通って連呼しないでくれ・・・・・少しへこむじゃないか」

 

「ああ、白蓮。疲れているところ呼び出してごめんな」

 

斗志や桜さんに連れてこられた白蓮が苦笑してそう言う中、俺がそう言うと白蓮は

 

「いいって、いいって。構わないって。で、用ってなんだ?」

 

とそう訊くと詠が

 

「あんた私たちの仲間になってくれたのは嬉しいんだけど、働からずもの食うべからずってね。だから白蓮には何かの仕事についてもらいたいのよ」

 

「なるほど・・・・それは当然だな。で、私は何をすればいいんだ?」

 

「それなんだけださ。まず第一に来れはお願いなんだけど。白蓮が連れてきた兵士を董卓軍に組み込んでも構わないか?」

 

「ああ、それはかまわないよ沖田。兵たちには私から通達するよ」

 

「すまない。後これが本題なんだけど、白蓮って得意なものは何?」

 

「得意なもの?」

 

「得意?」

 

「ああ、例にすると詠や志乃たちは実務作業や内政が得意だし、華雄や母さんたちは軍事を担当してもらっているんだ」

 

「それで白蓮さんには、白蓮さんの得意な事を教えてもらい、その職に就いてもらおうかと思っているんです」

 

と俺と月の言葉に白蓮は少し考えこむ素振りを始め

 

「得意なことか・・・・・・内政に関しても軍事に関してもそこそこ得意だぞ?」

 

「そ、そこそこですか?」

 

と白蓮のそこそこという言葉に皆黙り込んでしまう。そこそこ、つまり普通って言うことだ。そのことにみんなが悩んでしまう。すると白蓮はみんなの気持ちに気付いたのか

 

「うっ・・・・・普通で悪かったな。どうせ私はそこら辺にいる普通の女だよ・・・・ふんっ」

 

と、少しいじけてしまうと星が

 

「いや、いや、それでこそ、愛しい伯珪殿だと、心底そう思うぞ。私は」

 

「せ、星・・・・そこまでまじめに慰められると、なんかとどめを刺された気分だぞ・・・私はどこまで行っても普通なのか・・・・」

 

と、ガックシ項垂れると

 

「そうか?俺はそれはそれでいいと思うぞ?」

 

「え?」

 

おれの言葉に白蓮は顔を上げる

 

「だってそうじゃないか?普通って言うのはなんもないと思うけど、本当はそれで幸せなんじゃないかなって?」

 

「幸せ?」

 

「ああ、普通に産まれて普通に育って普通に死ぬ。これは幸せな事だと思わないか?」

 

「・・・。」

「権力を得て、城を得て、官位を得る。これも幸せかもしれないが、大きなものを得ると人はそれ相応に苦労もするし、常に何かと戦わなければならないからな。それに俺だって、今は天の御使いだとか董卓軍の第三師団の師団長だとか言われているけど、元々はただのどこにでもいる普通の一般市民だぞ?」

 

「沖田が?」

 

「そう、そう。それにさ、仕事を普通にこなすって言うことはそれはそれでかなり優秀ってことなんだから別に気を落ち込ませるようなことじゃないじゃないか」

 

「お、沖田ぁ・・・・ありがとう」

 

と、俺がそう言うと白蓮は目を潤ませて俺の手を握りそう言うと周りは

 

「吹雪の奴、相手を慰めるの得意だな・・・・まあ、私もそれで慰められたが・・・・」

 

「はぁ・・・・吹雪ってなんでそう知らずのうち相手をたらすのかな・・・・・」

 

「はうう・・・・・」

 

「恋。母親としてあんたはどないに思う?」

 

「?別に?あれは口説いているとかそう言うのじゃなくて、吹雪はただ、白蓮のことを慰めてフォローしただけ・・・・母親として誇りに思う・・・・・」

 

と、皆がそう言う中、

 

「さて、問題は白蓮の仕事場だけど…どうするか・・・・」

 

と俺は皆が小声で話していることに気付かず考えていると、、

 

「吹雪~いるか?」

 

と、そこへアンチョビさんがやって来た。

 

「あ、アンチョビさん」

 

「ああ、すまない。なんか大切な話の最中だったか?」

 

「いや、別にそんな重要なことじゃ無いよ。で、なんか用?」

 

「ああ、前に頼んだ、私の隊の補佐の人の件なんだけど・・・・」

 

「ああ、そう言えばそうだったな。で、見つかったの?」

 

「いいや、みんな素直で自分の気持ちに正直なんだけど、補佐をしてくれる人材が一人もいなくてな・・・・」

 

と乾いた笑いをするアンチョビさん。そう言えばアンチョビさんの隊って、結構ヤンキーぽい子が多いんだよな・・・・アンチョビさんも大変だ。

 

「そうか・・・・で、アンチョビさん的にはどんな人が有望なんだ?」

 

「そうだな・・・・・私的にはあまり武とか政とか優秀すぎるのは勘弁だな。いろいろと大変だし、強いて言うなら両方の仕事ができてその仕事を普通にこなせる人物かな?」

 

「両方の仕事を普通にこなせる人物」

 

「そうだ」

 

と、そう言うとみんなの視線が白蓮に向く

 

「え?なに?」

 

どうやら白蓮の仕事が決まったみたいだ・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、長安の県境にある小さな宿屋では、袁紹軍の将軍である張コウが誰かと話していた

 

「あんたたちのおかげで無事に曹操のいる洛陽やらの面倒な国境を超えることができたわ~ありがとね」

 

「別にあんたにお礼を言われることはしてないよ。僕たちはただ、人が大勢通ってもばれない裏道を通ったに過ぎないんだから」

 

「そう、それよりも意外だわね。官軍嫌いのあんたが私に手を貸すなんてさ?」

 

「ああ、官軍は嫌いだし手を貸す気はないよ。ただ共通の敵が同じだけ。そうだよね、黒山衆のおちびちゃん?」

 

「チビ言うな!粛清するわよ!まったくもう・・・・雪波。飴」

 

「はい。どうぞ深雪様」

 

と長身の女性に肩車された小学生ぐらいの少女がそう言うと紫の長髪の少女が笑って

 

「ごめんごめん。でもまさか黒山衆の棟梁である君も張コウの部下になんてね」

 

「部下じゃないわよ!あくまで協力関係なだけなんだから!それに私はただ、面白そうなことに首を突っ込んでいるだけなの。それを言うならあなたもそうじゃないの周倉?」

 

「僕は先ほど言ったように共通の敵がいるだけ、袁紹なんて潰そうと思えばいくらでも潰すことができるしね」

 

「へ~麗羽様を潰すね~まあ、そんな戯言はいいわ。であんたが言う敵って誰のことかしら?」

 

と、張コウがそう言うと周倉はニヤッと笑い

 

「もちろん。あの枯草色の天の御使いの沖田吹雪に・・・・・決まっているじゃないか」

 

 

 

 

 



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拠点フェイズ 桜吹雪

本編の話がまだ、まとまっていないのでここで郭汜こと桜花の拠点フェイズを書きました


「郭巳小隊長。仕事お疲れ様です」

 

「主任ご苦労様です」

 

「おう、李権にお前らもお疲れさん!」

 

吹雪の部下であり副隊長補佐役である郭巳こと桜花が部下の警邏隊士に笑顔でそういう。今、桜花は警邏隊や吹雪隊の予算の書類作業をしていた。普段はボーイッシュで他の警邏隊からは「戦闘狂」とか呼ばれている彼女だが、実は計算が得意中の得意で戦の無い日は警邏をしたり、そして隊士たちの給金や部隊の資金などのお金の管理を任せられている。

 

「あれ?小隊長。なんか機嫌がいいですけどどうかしたんですか?」

 

と、女性隊士の一人がそう訊く。しつこいようであるが吹雪隊の隊士の大半が女性隊士で、大体6~7割くらいが女性である。なぜこうなったかというと志願兵の多くが女性であったからだ。

話を戻そう。実際に桜花はどこか楽しそうな、まるで遠足に行く直前の子供みたいに嬉しそうな笑みをしていた

 

「ああ、実はな隊長に買い物に誘われて明日、二人で買い物に行くんすよ」

 

と、そう言うと

 

「「「えーーー!!」」」

 

いきなりその場にいた女性隊士たちは声を上げ

 

「主任それって逢引きじゃないですか!!」

 

「きゃ~うちの小隊長にもとうとう春が!!」

 

「めでたいわね!!今夜は赤飯でもたく?」

 

と、桜花の部下たちがそう騒いでいると桜花は首を傾げ

 

「おい、あんたら何言っているんすか?明日はただ隊長と買い物に行くだけっすよ?」

 

と、そう言うと

 

「小隊長(主任)は全然わかってない!!」

 

「え・・・・え?」

 

隊士たちの言葉に桜花は目を丸くしうろたえると

 

「主任。隊長と二人っきりなんですよ!!」

 

「そうだぜ!男と女が二人っきりで買い物。これを逢引きと言わずしてなんていいましょう!!」

 

「お、おう・・・・」

 

と、桜花は苦笑すると頭を掻き

 

「でも逢引きってやっぱり大げさだよお前ら・・・・それにあたいって斗志やアンチョビ姐さんと違って、がさつだし男勝りだし、全然女の子っぽくないからな。そんな人が隊長と釣り合うはずないっすよ」

 

と、少し寂しそうに言うと

 

「そんなでっかい武器を持っているのに何を言っているんですか小隊長!!」

 

と、女性隊士は桜花の胸を指を指してそう叫ぶ

 

「郭巳小隊長にはそんな大きいのがあるじゃないですか!!それを使って隊長を誘惑すれば一発で落ちますよ!!」

 

「そうですよ!李郭副長ほどではないですけどその胸なら、どんな男でもいちころですよ!!」

 

「そうですよ主任!それに主任は料理もできるんですし。女の子の魅力は十分ありますよ!!」

 

「そ、そうっすか?」

 

と、ぐいぐいと詰め寄る隊士たちに桜花は自覚がないのか首をかしげると、隊士たちは

 

「まあ、それはいいんです小隊長。それで明日の隊長と一緒の買い物どのような服で出かけるんですか?」

 

「え?いつもの警邏服っすけど?」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

桜花の言葉に隊士たちは絶句し。そして円陣を組む

 

「(ねえ、李権さん。どう思います?)」

 

「(どう思うも。これじゃあだめよ。ここは一つ私たちが主任のために一肌脱がないと)」

 

「(そうですよね!)」

 

とそう何かひそひそと話した後、隊士たちは桜花を見つめ

 

「ん?どうしたんだお前ら?」

 

と、桜花は隊士たちを見て不思議そうに首をかしげると

 

「小隊長」

 

「ん?なんすか?」

 

「これも小隊長のためです。お覚悟を」

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらない日常の中、俺は街でポツンと立っていた

 

「遅いな・・・・・桜花の奴・・・」

 

と軍帽をくいッと上げてそう呟くと

 

「隊長。お待たせしましたっす!!」

 

と元気のいい声が聞こえ俺は

 

「おお、桜花。待っていた・・・・・」

 

と、振り向くとそこにはいつもの軍服姿とは違って女の子らしい奇麗なワンピースを着た桜花がもじもじしながら立っていた。

 

「ど、どうしたんだ。その格好?」

 

「あ、あのっすね隊長。これは・・・・その李権たちが無理やり着せたんですよ」

 

「李権?李権って桜花の副官の?」

 

「そうっす。あいつに「主任も女の子らしくしなきゃだめですよ」って言われて・・・・・でもやっぱり変ですよね。あたいがこんなヒラヒラな服なんて似合わないっすよね。やっぱりいつもの警邏服に着替え直したほうがいいっすよね」

 

恥ずかしそうに顔を赤くしてそう言うと俺は首を傾げ

 

「え?そんな必要はないよ」

 

「え?」

 

「確かに一瞬驚いたけど。桜花、その服に合っているじゃん。結構可愛いよ」

 

「か、かわっ///!?」

 

と、桜花は顔をさらに赤くする

 

「ん?どうした桜花?」

 

「な、なんでもないっすよ隊長!!さっ!さっさと買い物に行きやしょう!!」

 

「え?ああ、そうだな。じゃあ行こうか」

 

俺は桜花の慌てように疑問を感じながら桜花とともに買い物に出かけるのであった。そして俺と桜花は街中を歩いている時、

 

「あ、あの隊長。そう言えばなんであたいを買い物に誘ったんすか?誘うなら斗志や志乃たちでもよかったんじゃないっすか?」

 

「ん?それは秘密だよ桜花。まあ一緒に買い物すればわかるよ」

 

「そ、そうっすか・・・・」

 

とそう言ったきり桜花は黙ってしまった。すると桜花は俺の服を見て

 

「そう言えば隊長の服ってその枯草の軍服だけっすか?」

 

と、そう言う。そう今淹れの来ている服はいつもの旧陸軍の九八式軍衣の格好だった

 

「いや、ほかにもあるけど俺はこっちの方がしっくりくるからな・・・・」

 

「他の買おうとは思わないんすか?」

 

「ん~買っていることは買っているんだけど、似合わないからな・・・・・」

 

と、頭を掻いてそう言う。そう俺は今着ている軍服以外にも買っているのだが、結局、ほかの隊士に「誰?」とか言われたり、川内に「モブの一般市民」と、からかわれたりと、結局人前ではいつもの軍服姿のまんまなのだ。

すると桜花が目をキラキラさせ

 

「じゃあ、値が隊長に似合う服を探すっすよ!!あたい、よく斗志と一緒に服とか買いに行っているすから、いい店知っているんです!!」

 

「え!?ちょっ!!?」

 

俺は桜花に腕を引っ張られて服屋に連れて行かれるのであった。そして

 

「桜花、ここって・・・・」

 

「はい!あたいの一番のおすすめの店っすよ!ここはありとあらゆる服が置いてあるんすよ!」

 

「おお、そうかそれは楽しみだ」

 

俺が笑顔でそう言うと桜花は

 

「よっしゃぁー!気合が入って来たっす!!少し待っててくださいっす!!」

 

と、そう言い店の中にいる店員に俺の似合いそうな服がないか聞いてその定員と一緒に俺に似合いそうな服を探しに行くのであった。

 

「やれやれ、桜花はお転婆だな」

 

ふっと笑う。まあそれが彼女の魅了だ。軍だと他の師団の隊士からは「お気楽」だとか「戦闘狂」なんて言われているけど。俺はそれはそれでいいと思っている。誰が何と言おうと桜花は俺の大切な仲間だ。それに確かに桜花は喧嘩っ早いところがあるが身分に関係なく誰にでも気軽に接したりと、フレンドリーで優しいな子だ。

そう言うことを思っていると

 

「隊長!お待たせしましたぁ!!」

 

と、桜花は一着の服を持ってきて俺の所に来る。

 

「これなんかどうっすか!色もそんなに派手ではなく地味でもない。けど、まさに隊長にピッタリの服っすよ!!」

 

「桜花。少し落ち着けって」

 

俺は苦笑して桜花が持ってきた服を見てみる。それは一見、警邏隊の着ている黒服に似ているが、少し違ってどちらかというと土方歳三が函館戦争で着ていたあの西洋風の黒服に似ていた。俺はその服を試着してみる。うん、どのサイズもぴったりだ

 

「どうっすか隊長?」

 

「ああ、すごく着心地がいいよ。よし、これにしようかな」

 

「マジっすか!?」

 

「ああ、桜花。ありがとな」

 

とニコッと笑うと桜花は

 

「そうっすか!あたいも頑張った甲斐があったっす!」

 

と嬉しそうに笑うのであった。そして俺はその服を買うて桜花の方へ行くと桜花は何かじっと見つめてた。

 

「桜花。何見ているんだ?」

 

と桜花に訊くが桜花は聞こえていないのかただじっとある物を見ていた。俺は桜花の見ているものを見るとそこに置いてあったのは俺のいた世界の学生服であった。しかもその制服はどちらかというと第二次大戦のイタリア少女団のような制服であった。これで黒マントなんかあれば完璧なんだがな

 

「‥‥桜花?」

 

「ふぁ///!?」

 

と俺はもう一度桜花に声をかけると今度は気づいたのか、俺の方へ振り向く

 

「桜花。もしかしてその服。着てみたいのか?」

 

「え・・・・え!?ああ、いや…そのなんでもないっすよ!ただこの服アンチョビ姐さんが着たら似合うかな~てあははは!!」

 

笑って誤魔化す桜花だが、明らかに着たがっているのがすぐわかる。

 

「桜花。やせ我慢しないで素直に着てみたらどうだ?」

 

「え、そんな。やせ我慢って。それにあんなかわいらしい服。ガサツで男勝りなあたいには絶対に似合わないっすよ」

 

「そんなことないよ。絶対に似合うって一度着てみたら。わかるよ」

 

「ほんとっすか?着てみて『やっぱ似合わない』って言って笑わないっすか?」

 

「ああ、言わないよ本当だ。」

 

「・・・・・・・・じゃあ、着てみるっす」

 

と、そう言い桜花はその服をもって試着室に行く。そしてしばらくすると試着室からうかがでてきて

 

「ど、どうっすか?」

 

と、もじもじしながら出てきた桜花。彼女が着ている服は先ほどの学生服で、とても可愛らしい姿であった

 

「ああ、とても似合っているよ桜花」

 

「ほんとっすか?」

 

「ああ、本当だよ。とってもかわいいよ」

 

俺は素直な気持ちでそう言うと桜花は嬉しそうにそして恥ずかしそうに顔を赤くし

 

「良かった・・・・」

 

と、小さな声でつぶやく。そして桜花は

 

「じゃあ、これ買ってくるっす!」

 

と、嬉しそうにそう言い。その服を購入するのであった。そして店を出たのであった。そして俺は桜花が服を買っている時に不意に奇麗な髪飾りの方を見ていた。

 

 

 

 

 

 

あれから翌日、

 

「う~ん・・・・今日も書類が多かったな」

 

俺は部屋で書簡とかの書類仕事をしていて今やっとのことで書き終え背伸びをしていると

 

コンコン

 

と、ドアからノックの音がする

 

「ん?誰だろう?どうぞ」

 

俺がそう言うとドアが開き

 

「隊長。失礼しまっす!」

 

そこへ桜花が入ってくる

 

「おう、桜花。どうしたんだ?」

 

「いえ、今日の警邏報告書の提出を」

 

「そうか。ご苦労さん。後で書くからそこに置いといてくれ」

 

と、俺は肩を叩きながらそう言と

 

「隊長。肩がこっているんすか?」

 

「まあ、ずっと書類仕事ばっかりだっらからな」

 

そう言うと桜花は

 

「じゃあ、あたいが隊長の肩を揉んでやるっすよ!」

 

「え?いいのか?」

 

「はいっす!任せてください!!」

 

「そうか?じゃあ、お願いしようかな?」

 

とそう言うと桜花は俺の肩に手を置き肩を揉む

 

「隊長。力加減はどうっすか?」

 

「ああ、ちょうどいいよ。とても気持ちいいよ桜花」

 

俺がそう言い振り向くと桜花は嬉しそうに笑みをこぼし、そして

 

「隊長。昨日はありがとうっす。あたいなんかにあんな奇麗な服を選んでくれて・・・・・女の子として見てくれて」

 

と、俺の肩を揉みながら桜花はそう言い

 

「あたい。小さい頃から男勝りでお転婆でさ、他の女の子みたいにおしゃれとか可愛い服とか着たことないし。あたい全然女の子らしくないからさ・・・・」

 

と、少し寂しそうに言う

 

「桜花・・・・・・」

 

「でもっすね・・・・」

 

と、そう言うと桜花は俺の肩を揉むのをやめ、代わりに俺の首に抱き着くいわゆるあすなろ抱きってやつだ。俺は桜花の方へ振り向くと桜花は

 

「でも、あたいは隊長に可愛い・・・女の子らしいと言われて本当に嬉しかったっす。こんなあたいでも隊長と一緒なら女の子でいられる。そう、思ったんすよ」

 

桜花は柔らかい笑みでそういう。その笑顔は文字通り桜の花が咲いたような奇麗でかわいらしい笑みであった。

 

「桜花・・・・」

 

俺は彼女の笑みを見て自然と笑っていた。すると俺はふっとあることを思い出す

 

「あ、そうだ。桜花。お前に渡したいものがあるんだよ」

 

「へ?」

 

俺の言葉に桜花は首をかしげると俺は机の引き出しから小さな袋を出し桜花に渡す

 

「た、隊長。それはなんすか?」

 

「開けてみろよ」

 

俺がそう言い桜花は袋を開けて出すとそれは奇麗な桜の形をした髪飾りであった

 

「隊長・・・・・これは?」

 

「桜花。今日は何の日だか知っているか?」

 

「え?今日っすか?う~ん・・・・隊長の誕生日・・・・・・いや違うな。斗志の誕生日でもないし・・・・・何の日でしたっけ?」

 

「桜花。今日はお前の誕生日じゃないかよ」

 

「え?そう言えば今日はあたいの誕生日っだったっすね。今まで忘れてたっすよ。て、あれ?隊長はあたいの誕生日の日。知っていたんすか?」

 

「ああ、斗志から聞いた。で、これは俺からの誕生日の贈り物だよ。もっといいのがないか探してたんだけどこれしか思い浮かばなくて・・・・」

 

と少し照れ臭そうに言う俺に桜花は首を横に振り

 

「いいや。隊長があたいの誕生日を覚えてくれたこと・・・あたいの為に贈り物を考えてくれた気持ち自体が贈り物みたいなものっす・・・・あ、あの隊長。この髪飾りつけてもいいっすか?」

 

「ああ」

 

俺は頷くと桜花は髪飾りをつける

 

「ど、どうっすか隊長?」

 

「ああ、とっても似合っているよ桜花」

 

と、そう言うと桜花はにこっと笑い。

 

「隊長!ありがとうっす!あたい一生、隊長についていきますね!」

 

元気いっぱいの笑みを見せる。良かった。桜花の奴気に入ってくれたみたいだ。そして桜花は

 

「隊長。もう日が暮れたし、そろそろ夕飯の時間ですから今夜は斗志たちと一緒にご飯食べに行きましょう!」

 

「ああ、そうだな。行こうか桜花」

 

「はいっす!」

 

と、俺と桜花はともに部屋を出て、斗志たちのいるところへと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、桜花はいつものように警邏服に着替え駐在所に来ると

 

「主任。仕事お疲れ様です」

 

副官の利権以下数名の隊士が待っていた

 

「おう、李権。今日もあたいらの班は西地区を警邏するから気を引き締めろよ」

 

「はい。・・・あら?主任。その髪飾りは?」

 

と、そう訊く桜花の髪には桜の髪飾りが飾られていた

 

「ああ、これっすか。この髪飾りはあたいの大切な人からもらったものっすよ」

 

「へ~小隊長。因みに誰からなんすか?」

 

「秘密~♪ほら、さっさと行くっすよ」

 

と笑顔でそう答え先に行く桜花を見て隊士たちは

 

「小隊長。昨日は上手くいったみたいだね」

 

「そうね。やっぱり主任は隊長と一緒にいるときの笑顔が一番輝いているよね」

 

と、微笑ましそうにそう話し合う中、桜花は

 

「(やっぱり、あたい。隊長と出会ってよかったす)」

 

と満面の笑みでそう言い、彼女の差している髪飾りがきらりと光るのであった

 



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魏からの来訪者

あけましておめでとうございます。投稿遅くなって申し訳ございませんでした


長安の街

 

「ここが長安ですか・・・・・」

 

「はい。前に来た時よりも栄えていますね曹純さま」

 

長安の大通りの道で金髪の女性と青みのかかった黒い長髪をした女性以下複数の兵士が歩いていた

 

「そうですね。これもここを収める董卓殿のおかげかもしれませんね王双」

 

「はっ・・・・しかし本当に曹操様はかの者たちを、美食の会へと招待されるのですか?一度は刃を向け合ったのに・・・・?」

 

「お姉さまにはお姉さまの考えがあるのですよ王双。それにお姉さま、沖田さんに会うの楽しみにしていたみたいですし」

 

「沖田って言うと・・・・・あの天の御使いの一人であり董卓軍の第三軍の将軍のあの沖田吹雪のことですか?」

 

「ええ、お姉さま。沖田殿の話をするときいつも楽しそうに話していましたから」

 

「そ、そうですか・・・・・」

 

と、曹純と呼ばれた金髪の少女はそう言いうと王双と呼ばれた女性とともに董卓こと月のいる屋敷へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

屋敷

 

 

「ねぇ・・・・・起きて・・・・」

 

「う、う~ん・・・・・」

 

俺は寝ている中、急に誰かの声が聞こえる。誰だ・・・・?

 

「ねえ、起きてってば・・・・・」

 

「ごめん・・・昨日徹夜したから、寝かしてくれ・・・・」

 

俺はそう言い布団をひっかぶってそう言うとまたかわいらしい声が聞こえる

 

「ねぇ・・・起きてってばぁ~お兄ちゃん・・・・」

 

さっきから思うんだが、この声は一体誰だ?もしかしてねねか?いや、あいつは俺を「兄上」とは呼んでいるが「お兄ちゃん」とは言わないし・・・季衣や流琉は「兄ちゃん」とか兄様とか言うし・・・・・もしかして香風か?確かにあいつなら俺を「お兄ちゃん」って言うしもしかしたら・・・・いやいや、その三人は今、華琳の国にいるんだから違うな・・・・じゃあ誰だ?いやそれ以前に・・・・

 

「ごめん・・・・・本当にあともう少し寝かせてくれ・・・・・」

 

俺は少し寝ぼけながらそう言うと

 

「もう・・・・起きないんだったら、こうしちゃうんだからぁ・・・・・・・はむっ」

 

「うひゃぁ!?」

 

急に誰かが可愛い声とともに俺の耳たぶを咥え始め、俺はそれに驚き体を起こしあたりを見渡すと

 

「おや?ようやくお目覚めか」

 

「せ、星?」

 

そこには星が目の前に立って俺の顔を覗いていた

 

「はい?」

 

「い、今お前、何かした?」

 

「いえ、別に。あまりにも吹雪殿がよくお休みだったので甘い愛の囁きなどを少々・・・」

 

「え?・・・でもさっきの声って・・・・部屋にいたの星だけだよな?」

 

「はい。そうですが?」

 

あれ?でも今の声は確かに星とは違う声だったよな・・・・・・俺、疲れているのかな・・・・

 

「まあ、良いか・・・・・・」

 

「おや?吹雪殿はねねのようにもっと激しい起こし方の方が良かったですかな?ふむ・・・・ならば次は吹雪の腹の上で回転して起こしましょうか?」

 

いや、そんなことしたら俺の腹えぐれるだろう・・・・・・・

 

「とにかく今度はもっとましな起こし方をしてくれ」

 

「はっ、考えておきましょう」

 

このいたずら小僧みたいな表情・・・・明らかに無難じゃない起こし方をする気だ・・・・・目を覚ましたら槍とか突きつけられてたらどうしよう・・・・いやそれよりも

 

「ところで星・・・・」

 

「なんでしょう?」

 

「どこから入ったんだ?確か鍵はかけていたはずなんだけど?」

 

俺はドアに鍵をかけてたはずなんだけど・・・・・何で星がここにいるのかが不思議であった。すると星は

 

「は、入り口の鍵がかかっておりましたので窓から侵入させていただきました」

 

「ま、窓?」

 

「はい・・・・それよりも吹雪殿、不用心ですぞ。私が刺客であったなら吹雪殿のお命はありませんでしたぞ?」

 

「気を付けるよ・・・まあ、俺に暗殺されるほどの器があるかはわからないけどな。まあ暗殺されるようならそれまでの人間なんだろうな」

 

俺が少し笑って言うと

 

「吹雪殿・・・・・たとえ冗談でもそれは笑えませんぞ」

 

いつもと違い星は真剣な顔つきでそういう

 

「吹雪殿はただの一般市民ではないのです。あなたは天の御使いでありこの軍の一軍の将兵を預かる将軍であり、警邏隊の隊長であり、そして何よりも皆、あなたのことを慕っておいでなのですぞ」

 

「星・・・・・・」

 

「それに私だって、吹雪殿を心から慕っているのです。ですから軽々しくそう言うことは言わないでいただきたい。」

 

「星・・・・・・すまない。俺少し寝ぼけていたみたいだな」

 

「ええ、今の言葉はただの寝言とということにしましょう」

 

「すまない星・・・・・ところで星。一体何の用?他国が攻めてきた…て感じじゃないけど?」

 

急用だったらこんな呑気な起こし方はしないし、何よりもし何かあったら斗志か志乃が起こしに来ているはずだ。すると星は

 

「何。ただ単に吹雪殿の可愛らしい寝顔を見に来ただけですよ」

 

「そ、そうか・・・・」

 

と、俺はそう言い起きて軍服を着ようとするのだが、

 

「おや?もう着替えてしまうのですか?何ならもう一眠りしてもよろしいのですぞ?」

 

「いや、もうそろそろ起きないといけないと思ってな・・・・」

 

「ふむ・・・・それはいけない。何ならわたくしめが添い寝して寝かしつけましょうかな?」

 

と、そう言い星は俺をベットに押し倒す

 

「え?ちょっと星?今の話聞いていなかった?俺起きるって言ったんだけど!?」

 

「聞いておりましたがまだ、日は昇っておりませぬし寝るのにまだもう少し余裕があります。それとも吹雪殿は私に添い寝されるのが嫌だと?」

 

「い、いや…そういうわけじゃ・・・それに星のような美少女に添い寝されるのを拒否するなんて還ってなんか罰が当るよ」

 

「何なら別に問題ないではありませぬか・・・・・」

 

と、妖艶な笑みを見せる星。すると、

 

ドドドドッ!!!

 

と、ドアの向こうから足音が聞こえ、そして誰かがドアを蹴破って入って来た。そして

 

「兄上~かわいい妹のねねが起こしに着てましたぞ!感謝するのです!!」

 

とそこに入って来たのは母さんの軍師であり俺の義理の妹である陳宮ことねねであった。ねねは嬉しそうにニコニコと笑みをこぼして俺に言うのだが・・・・・

 

「さあ、起きてください兄う・・・・・・・・っ!?」

 

ねねは俺が星に押し倒されているところを見ると硬直し、やがて顔を下に向けわなわなと震えだす。その間彼女の体から赤いオーラが見え始めて・・・・

 

「朝から何をしているのですか兄上!!!」

 

と、顔を真っ赤にしてそう言うのと同時に

 

「スーパーちんきゅーキィークッ!!!!!」

 

「どわぁー!!!?」

 

ねねの必殺技の飛び蹴りを喰らい俺はベットから吹っ飛ばされるのであった。因みになんだが星はどさくさにまぎれ姿を消していたのであった

 

 

 

 

 

 

 

「いてて・・・・・ねねの奴思いっきり蹴りやがって・・・・・」

 

俺は首筋を叩きながら廊下を歩く。あの後ねねはプリプリと怒りながらどこかへ行ってしまった。それよりもあの蹴り技。すさまじいな・・・まるで某仮面ヒーロー並みのキックだな・・・・実際に喰らったことはないけど。俺がそう思いながら首筋をさすっていると

 

「吹雪様。おはようございます」

 

「おはようございます吹雪さん」

 

「ああ、志乃に鈴。おはよう」

 

あくびをしながら志乃と鈴がやってくる。

 

「どうかしたんですか吹雪さん。首をさすっているみたいですが?」

 

「ああ、朝ちょっとな」

 

「大方。星が吹雪様の部屋へ忍び込み、夜這い・・・・いえ朝這いをかけているところをねねさんに目撃されて彼女の飛び蹴りを喰らったのではありませんか?」

 

流石は天下名軍師の司馬懿。すごい勘だな・・・・まるで見てきたような言い方だな・・・・

 

「ああ、まあそんなところだよ・・・・・・・」

 

「はぁ~まったくあなたという方は・・・・・」

 

となぜか志乃に呆れた顔でため息をつかれた。え?なんでだ?なんか俺ため息つかれるようなことしたかな?そんなことを思ってると、桜さんがやって来た

 

「あら。三人ともおはよう」

 

「あ、桜さん。おはようございます」

 

「おはよう桜。・・・あれ?なんか慌ててるみたいだけど、どうしたの?」

 

「ええ、さっき、月の所にお客が来てね。その人にお茶とお茶菓子をお持ちすることになっなのよ」

 

「お客?」

 

「そう言えば、さっき街を歩いたのですが、何やら他国の使者らしき人が護衛の兵士を連れて歩いているのを見ました」

 

「ほんと鈴?」

 

「はい先生」

 

「他国か・・・・・・桜さん。そのお客って誰だかわかる?」

 

俺がそう訊くと桜さんは考えるそぶりを見せて

 

「う~ん・・・・・確か曹純さんとか言っていたような・・・・・」

 

「曹純?」

 

桜の言葉に鈴が首をかしげると鈴が

 

「確か・・・・魏の曹操殿の従妹であり、曹魏最強を誇る親衛隊「虎豹騎」の指揮官のはずです」

 

「華琳の従妹か・・・・・会ったことないな?」

 

「私もです。私と吹雪様が曹操殿の客将をしていた時はいませんでしたから・・・・・」

 

俺と志乃が首をかしげてそう思っていると桜さんが

 

「まあまあ、良いじゃないのそんなことはとにかくお客様がいらしたのでしたら、ちゃんと御もてなしをしないといけないからね。それじゃあ私は行くけど、吹雪たちも来る?」

 

「ええ、ぜひ。それと客人のおもてなしのお手伝いもしますよ桜さん」

 

「あら、ありがとうね。志乃ちゃんはどうする?」

 

「私も行きます。主が行くのに軍師である私が行かないのは変ですから」

 

「わ、私も行きます!!」

 

と、そう言い俺たちは桜さんと一緒に月や客人のいる広間に向かうのであった

 

 

 

 

 

 

「美食の会・・・・ですか?」

 

一方、宮中では魏から来た曹純が月と詠と会話していた。

 

「はい。当家では月に一度、華琳お姉様自ら腕を振るって、招いた客人をもてなす美食の会というものを開いております。そこでお姉さまは董卓様との親睦を深めたいと是非、皆様方を魏へ招待したいとのことです」

 

「そうですか・・・・」

 

と月は曹純から渡された華琳からの手紙を読みながら頷く。すると、

 

「わかりました。そのお誘い謹んでお受けします。詠ちゃんもいいよね?」

 

「え?僕は断る理由はないけど?でも、今はいつ袁紹の軍がこっちに攻めるか警戒しているのに大丈夫なの?」

 

「うん・・・確かにそれも心配だけど、せっかくのお誘いを断ったら悪いと思うの」

 

「月・・・・わかったわ。じゃあ、国境の警備の編成と残す軍。そして月の護衛の人数はあとで吹雪たちと相談してみるわ」

 

「うん。ありがとう詠ちゃん」

 

詠の言葉に月は頷くと、曹純が

 

「あ、あの・・・・ところで御使い様である沖田様は今どこに?」

 

「え?吹雪?あいつなら・・・・・・」

 

と、詠がそう言うと・・・・

 

「お茶をお持ちしました」

 

と、そこへお茶を持った桜と吹雪がやってきて桜さんが湯飲みや皿を置き、志乃と吹雪が机の上にお茶菓子を置く。そして鈴が

 

「まずは長旅によって喉が渇いていると思うから喉を潤してください」

 

と鈴はそう言い少し大きめの湯飲みにぬるま湯で作った茶を入れて出し

 

「さあどうぞ」

 

「え?ええ、ありがとうございます」

 

最初は首をかしげた曹純だったが、言われた通り大きめの器のお茶を飲む。最初はちょっとずつ飲んでいた彼も、ぬるま湯で飲みやすいと分かった瞬間、煽るように飲み干した。そして鈴は少し小さめの器に熱いお茶を入れる

 

「では、次にこちらの熱々のお茶をお飲みください」

 

と、そう言い勧め、そう仁はその茶を飲む。それを見た吹雪は

 

「(これって・・・・まるで三杯の茶だな)」

 

と、鈴のお茶のやり取りがかつて戦国時代、まだお寺の小姓だった石田三成がその寺にある土地の領主であった豊臣秀吉をもてなすために行った三杯茶のやり取りに似ていた。そして曹純さんはその茶を飲み干しそして出された茶菓子を食べるとふぅーと一息つき

 

「美味しいお茶とお茶菓子ありがとうございました。お心遣いに感謝します」

 

と、曹純さんはにこっと笑って俺たちに言う。そして俺は小声で

 

「鈴。さっきのお茶のやり取りって・・・・」

 

「はい。前に屋敷の書庫で読んだ。『お客様が来た時のお茶のおもてなし方』という題名の本を読んときのを参考にしました」

 

「なるほど・・・・・」

 

俺が納得したように頷くと、曹純さんは俺のほうへ向き

 

「初めまして。あなたが噂に聞いた枯草色の御使いの沖田吹雪さんですね」

 

「え?ええそうですよ」

 

と返事をすると曹純さんがにっこりと笑い

 

「やっぱり、あなたが沖田さんですね!お姉さまからよく話を聞いています」

 

と、嬉しそうにそう言う。彼女が曹純か・・・確かによく見ると華琳に似ているな。特に笑った時の顔なんかがそっくりだ

 

「初めまして。私の名は曹純。性が曹、名が純・・・字が子和と申します。以後、お見知りおきを沖田様」

 

「こちらこそ、俺は沖田吹雪です。それと様付けはいいですよ曹純さん。俺のことは沖田でも吹雪でも好きなように呼んでください」

 

「では、吹雪さんとお呼びさせていただきますね。それと私のことは柳琳と呼んでください」

 

「え?それ真名だけどいいのか?」

 

「はい。お姉さまが信頼する殿方なので是非」

 

「ああ、よろしく柳琳」

 

と俺は手を差し出すと柳琳は首を傾げ

 

「あ、あの・・・・・これは何ですか?」

 

「え?ああ、。そう言えばまだ握手とかそういう習慣って言うのはないか・・・・・これは握手っといって。互いの手と手を握る天の国の挨拶の一つだよ」

 

と、笑顔で俺はそう言うと柳琳は少し顔を赤く、恐る恐る俺の手を握り

 

「はい。こちらこそよろしくお願いします吹雪さん」

 

と笑顔で言うのであった。それを見たほかの皆は

 

「あらあら♪」

 

「はぁ~もう吹雪様ったら・・・・・・」

 

「アハハ・・・でもそれが吹雪さんですから・・・・」

 

「あ~もう、なんで吹雪は知らずのうちに・・・・」

 

「はうう・・・・」

 

と、みんな呆れた目でそういう。え!?なんで?俺ただ曹純さんと握手しているだけだよ!?俺はみんなの視線に疑問を持ちそして苦笑するのであった

 

 

 



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柳琳、吹雪に街の案内をされる

曹純さんが長安に来てそして美食の回に招待された後。俺と月はすぐに洛陽に行く人員の編成に取り掛かった。。まず仲華国の王である月とその参謀であり軍師の詠が来るのは当然であり、そしてその護衛は月の親衛隊の隊長である夢華と母さんと桜さんと霞。そして俺以下、軍師である志乃と鈴。そして副官である斗志と桜花と夕張そして星と雪風の他小隊規模の兵が一緒に行くことになった。

因みに華雄こと橘花は「宴には興味ないし、長安を空にはできない」と、そう言い留守をすることになり華雄の他にも美佳やアンチョビさん白蓮。そして川内が長安に残り、侵略軍に備えて残ることになった。

出発は護衛隊の準備や長旅の兵糧準備のため5日後ということになった。そして今俺はというと・・・・

 

「おはようございます柳琳。昨日はよく眠れました?」

 

「はい。おかげさまで。今日は街の案内をしてくれてありがとうございます」

 

「・・・・・・」

 

と、柳琳が笑顔でそう言う。そう今日は柳琳に長安の街を案内するのだ。因みに俺はいつもの九九式小銃を持ってはいない。さすがにお客を案内するのにライフルは必要ないだろう。だが、万が一の護身として軍刀と南部拳銃を所持している。そして柳琳の副官である王双さんはじっと俺のほうを怪しむように睨む

 

「どうかしたんですか王双さん?」

 

「本当ねどうかしたの鶫?」

 

と、俺と柳琳が心配そうに訊くと

 

「・・・・・いいえ、たいしたことはありません。ただ少し緊張して疲れているだけです」

 

「それはいけませんな・・・・」

 

「そうですね。鶫。あなたは屋敷に戻って休んだ方がいいじゃ・・・・?」

 

「そう言うわけにはまいりません、私は柳琳様の護衛として来ているのです。離れるわけにはいきません」

 

「でも・・・・・」

 

「大丈夫です柳琳様。少し疲れているだけで体は何ともありませんよ。御使い殿もお気になさらず」

 

「そうですか・・・・・でっもあまり無茶はしないでくれ。具合が悪くなったらすぐに言ってくれ」

 

「心遣い感謝します」

 

と、王双さんは頭を下げる。だがその目はどこか俺を警戒するかのような目で合った。俺は少しその目に疑問を感じたが、そんなことは気にせず

 

「それでは街を案内します」

 

と、そう言い俺は柳琳たちを街へと案内するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「吹雪さん。あの建物はなんですか?見たこともないのですが?」

 

「ああ、あっちにあるのが学校で、その奥のほうには無料の診療所が置いてあるんですよ」

 

「診療所はわかりますけど、学校という言葉は聞いたことがありませんね?どういうものなんですか?」

 

「そうだな・・・・簡単に言えば私塾のようなものだよ。子供たちを集めて一定以上の教養を身に着かせるんだ」

 

「私塾・・・・・・そう言えば前にお姉さまが基本的な学力を平均的に身に着けさせるための私塾を立てる計画を立てていましたけど・・・・・」

 

柳琳が感心してそう言う。華琳の奴・・・・すでに学校を建設する計画を立てるとはさすがだな・・・・すると王双が

 

「それにしてもこの街の風景も交通整理もしっかりしている・・・・曹操様に仕官する前に一度来たことがあったがまるで見違えるようだな・・・・・・」

 

と無表情だがどこか感心したような表情をする王双さん。すると街の人が

 

「あ、沖田将軍。こんにちわ」

 

「おう、おっちゃん。今日もいい天気だな。何か困っていることないか?」

 

「いえいえ、沖田様や董卓様のおかげで私たちは安心して暮らせますよ」

 

「あら?そちらの女の子は彼女かい御使い様?」

 

「いやいや奥さん。この人は観光客だよ。今街の案内をしてね」

 

「そうかい!あ、これ食べてきなうちの店で作った新作の肉まんだよ」

 

「アハハ。ありがと」

 

「御使いさま、新作の服が出来上がったのです。見に来てくれませんか?」

 

「ごめん、今は忙しくて。あとで見せてもらいよ。」

 

『御使いのお兄ちゃん!』

 

「おう。みんなちゃんと学校に行っているか?勉強頑張っているか?」

 

「うん!ちゃんと言っているよ!」

 

「勉強だって頑張っているよ!司馬懿先生やお兄ちゃんの授業楽しいもん!」

 

「アハハ!そうか。宿題忘れるなよ!」

 

『は~い!!』

 

と、町の人と楽しそうに話す姿を見た柳琳は

 

「沖田さんって街の人に慕われているんですね鶫」

 

「はい・・・・・そうですね柳琳様。彼の者は天水やあの洛陽の荒廃した町を瞬く間に立て直した人物です。楽進隊長に話の通り素晴らしい人だと思います」

 

「そう言えばあなたは虎豹騎に入る前は警邏隊の楽進隊に所属していたのだったわよね?」

 

「はい。沖田殿が曹操様のもとを去った後に入隊しました」

 

と、そう話をしていると吹雪が戻ってきて

 

「すまない柳琳。王双さん」

 

「いいえ、吹雪さんて街の人に好かれているんですね」

 

「まあ、いつも警邏で顔を合わせてますからね。会わせるうちに自然と仲良くなったんですよ」

 

「ふふ。そうなんですか」

 

柳琳はにっこりと笑い

 

「そう言えば、吹雪さんは以前お姉さまの客将をしていたのですね?」

 

「ああ、数か月の間だけな。そう言えば柳琳はその時いなかったな?」

 

「はい。あの時私と姉さんと栄華ちゃん・・・・あ、栄華ちゃんていうのは私の従妹で曹洪というんですが、その時は別の用事があってしばらく成都の方へ行っていたんです」

 

「へ~そうなんだ」

 

だから、あの時、会わなかったのか・・・・

 

「お姉さまや桂花さんからよく聞いていました。陳留の警邏体制や治安改善は皆吹雪さんの案だとか・・・・・」

 

「いや、あれは俺が思いついたものじゃないよ。ただ俺の国で使われていた政策方法を華琳に教えただけだし、何より治安が良くなったのは俺じゃなくて、隊士たちの頑張りによって実現したんだ。だから俺はなんもしてないよ」

 

「ふふ、謙遜なんですね」

 

そんな話をしながら俺は柳琳を連れて街や畑や牧場などを案内する。そしてしばらく案内をすると王双さんが

 

「それで御使い殿。次はどこへ・・・・・」

 

「そうですね・・・・・二人はどこか行きたい場所はある?」

 

と、そう言うと王双さんの目が光り

 

「・・・・・では練兵場を見てみたいです」

 

「ん?別にかまいませんが柳琳さんは?」

 

「はい。私も皆さんがどんな訓練をしているのか興味があります」

 

「そうですか。じゃあ案内するよ」

 

と、言うことで俺は二人を連れて練兵所に案内するのだった。そして訓練場に着いた時、二人が見たものは・・・・

 

「うちの訓練とあんまり変わりませんね・・・どちらかというか派手さがないですね?」

 

二人が目にしたものは兵たちが上官と一緒にランニングをしたり、槍や剣の素振りをしたり、障害物を越えたりと演習に派手さがなかったが、訓練兵たちの士気は非常に高く歌を歌いながらランニングをしている兵たちもいた。歌っている歌は・・・某海兵隊映画や某細胞漫画の黒服連中が歌っているような歌であった。

 

「そうですね・・・・でも士気は高そうです」

 

「わかるのか柳琳?」

 

「はい。一応、私も一軍の将ですから。それに兵たちが声をそろえてあんなにハキハキと歌いながら訓練をするのは士気が高い証拠です」

 

「なるほど・・・・」

 

さすが虎豹騎の隊長だ。すごい観察力だ。すると王双が

 

「沖田殿。風の噂に聞いた沖田殿の武器である銃というのは今どこにあるのですか?」

 

「ん?王双さん銃に興味あるの?」

 

「はい。枯草の御使いが所持する雷鳴を轟かす兵器であり、反董卓連合の戦いで無数いた敵兵をなぎ倒した超兵器である銃がどんなものか興味ありまして是非、この目で見たいと思います」

 

興味津々の顔で俺に迫ると柳琳は

 

「鶫。そんな急なこと言ったら吹雪さんが困るd・・・・・」

 

「いや、別にいいですよ?それに確か西の練兵所辺りで銃士隊が射撃訓練をする予定ですから見てみます?」

 

「え!?いいんですか吹雪さん!そんなことをして確か銃って言えば董卓軍の秘密兵器なんじゃ?」

 

「秘密兵器?誰がそんなこと言ったの?別に秘密にするほどじゃないよ。それに反董卓連合の件ですでに他の諸国に知られているし」

 

「そ、そうなのですか?」

 

俺の言葉に柳琳は意外な顔をする。彼女から見れば銃は天の国の武器であり董卓軍の秘密兵器で他国から来た客人に簡単に見せるとは思いもしなかったのだろう。だが彼女の思いとは裏腹に吹雪は別に銃を秘密にしようとは思っていなかった。なぜならあの反董卓連合の戦いの時、洛陽の街の瓦版屋、つまり新聞社が堂々と

『董卓軍の新兵器!侵略者を撃退!!』

と表紙にデカデカと宣伝されていたのだ。そのため今更秘密にする必要もないし、今まで漢王朝がやっていた検閲をする気なんてなく、むしろ新聞社に協力を求め、その真意を誤解を無きように伝えるようにとお願いしている。これは月や詠も公認済みのことである

 

「ああ。それで王双さん。銃士隊の訓練見に行きますか?」

 

「はい!ぜひお願いします!」

 

「柳琳も見に行くか?」

 

「え?は、はい是非」

 

と、そう言い俺は二人を連れて銃士隊のいる練兵所へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

「よし!次!!・・・・・ほら、そこ!もっと狙いをつけて!!そこ、弾丸の装填が遅いわよグズグズしてたら敵にバッサリ斬られるわよ!」

 

練兵所に着くとそこには地面に伏せ銃を構えた銃士隊の隊士が100メートル離れた的に向かって射撃訓練をしていて、その様子を銃士隊の隊長及び工兵隊の隊長である夕張が指揮していた。隊士の持つ銃は、以前の単発式ボルトアクションを改良した型で、大陸の砂塵やほこりが機関部に入るのを防ぐためにダストカバーが付けられたのと、銃身を少し長くして三八式歩兵銃のような長さになっている。因みに新型銃の見た目はドイツのKar98kに似ている

 

「あれが銃ですか・・・・・」

 

銃隊士の持つ銃を見て柳琳はそう呟く

 

「ああ、あれが銃士隊の主力小銃の一式歩兵銃Ⅱ型・・・・・・」

 

と、そう言いかけた時、王双は吹雪の肩を掴み

 

「御使い殿。あれをぜひ我が魏に売ってはくれませんか?もしくは製造方法を・・・」

 

「あ~すまない王双さん。華琳にも言っているんだが、製造方法は国家機密なので教えることはできませんし、他国への輸出も禁止しているのでそれはできないんですよ」

 

「う、うむ・・・・じゃあどのくらい装備しているのだ?」

 

「正確な数も教えることはできませんが一人一丁持っていると認識してください」

 

「な、なるほど・・・・・」

 

王双は吹雪の言葉に銃士隊の持つ銃を見て羨ましそうな顔をし、そして彼女は銃の威力を見て、吹雪たちには聞こえない声で

 

「曹操様がなぜ董卓たちを美食の会に呼んだ本当の理由が少しわかった気がします」

 

とそう呟くのであった。

 

そして訓練所を一通り見終えを空も赤く染まったころ、俺たちは屋敷へと戻った。そして部屋の前で柳琳は

 

「吹雪さん。今日は街を案内してくれて、ありがとうございました」

 

「いえ、こちらこそ楽しんでいただけて良かったよ。それじゃあ俺は部屋に戻るから、何か困ったことがあったら気軽に呼んでよ」

 

「はい。ありがとうございます・・・・・・・」

 

「ん?どうしたの?」

 

「あ、いえ、ただ。先ほど街で見たように吹雪さんって本当にお優しいと思って」

 

「そんなことないよ。俺はただ当たり前のことをしているだけだから。じゃあ、また明日」

 

「はい」

 

そう言い吹雪はにっこりと笑いその場を後にするのだった。そして柳琳は

 

「吹雪さん・・・・・」

 

と、少し顔を赤らめてそう呟くのであった。

 

 



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視察

魏への旅まであと2日。今のところ遠征準備はあともう少しで完了するところまで行った。

長安に残る守備軍は華雄こと橘花の指揮する第四軍とアンチョビや川内ら第三軍、そして俺の代わりに警邏隊長代理をすることになった美佳率いる警邏部隊も着々と留守中の敵の襲撃に備える準備をしている。国境沿いの砦には三八式野砲や夕張製長四斤山砲の他、連弩など多数配備されている。また雪風たち隠密部隊が他国の動きを調べて特に袁紹軍の行動に目を光らせていた。

そして魏こと洛陽に行く遠征部隊の護衛隊の武装も剣や槍や連弩の他、護身用の夕張特性のリボルバー拳銃を持つ部隊もいた。俺は事務室で遠征に行く書類の整理とそして長安に残す俺の部隊の確認の書類に目を通していた。

 

「警邏隊長代行は美佳なら問題ないとして・・・・・アンチョビさんや川内らの部隊編成はと・・・・・ああ、それとこの西国境の砦もあとで視察に行かないとな・・・・・」

 

俺は頭を少し掻き書類仕事をしていると、ドアからノックの音がする

 

「誰?」

 

「はっ!斗志以下、桜花、雪風です隊長。入ってもいいですか?」

 

「ああ、いいよ」

 

俺がそう言うとドアが開きそこから、斗志と桜花そして雪風が入ってくる。俺が初めてこの世界に来てからずっと俺を支えてくれた三人。吹雪軍の将兵からは三人を『天水三羽烏』と言う人もいる

 

「お茶をお持ちしました隊長」

 

「後、疲れていると思いますからお菓子も持ってきました」

 

「自分は偵察の報告をしに来ました」

 

「ああ、三人ともお疲れ。俺も大体の書類仕事が終わったところだから、まあ座れよ。そうだお菓子があるなら皆で食べないか?」

 

「ふふ、そう言うと思ってすでに用意しています」

 

「そうか。それじゃあ、少し休憩にしようか」

 

そう言うと吹雪たちは椅子に座り桜花の持ってきたお菓子やお茶を机に置く

 

「おや?桜花。このお菓子、お饅頭みたいだけどなんか変わっているわね?それにその氷水の入った器にその砂糖

は何?」

 

雪風が桜花の持ってきたお菓子に首をかしげると、桜花は

 

「あ、これ。水まんじゅうっすよ」

 

「「水まんじゅう?」」

 

聞きなれない単語に斗志と雪風が首をかしげると桜花は

 

「そうっす。なんでも隊長の故郷の天の国のお菓子で、試しに作ってみたんすよ。ね。隊長」

 

「ああ、まさかここでも作れるとは思わなかったがな」

 

そう、桜花が持ってきたのは日本の新潟県長岡名物の水まんじゅうだった。この水まんじゅうは彼の連合艦隊令長官山本五十六が好んで食べていたとされるもので俺も映画でこの水まんじゅうを見て食べたくなり、買ってきて食べたものだ。そのことを前に桜花とアンチョビさんに話したら、興味を持ち作ってくれたのだ

 

「天の国のお菓子ですか・・・・・・して隊長。この水まんじゅうはどうやって食べるのですか?」

 

「ああ、これはな、まず小皿にまんじゅうを入れてな。そして氷水と砂糖をかけて食べるんだ。こういう暑い日にはこういった菓子は美味いんだぞ」

 

そう言いうと吹雪は4つの小皿にまんじゅうを入れそこに氷水を入れ氷水に浸ったまんじゅうの上に砂糖をたっぷり入れると匙でそれを潰して食べる

 

「うん…‥美味い。ほら、斗志たちもどうだ?」

 

「はぁ・・・・」

 

そう言う斗志と雪風だが慣れないのか怪訝そうな顔をすると桜花は

 

「そんな顔をするなよ雪風、斗志。これ結構いけるんだぜ」

 

「え?桜花は食べたのか?」

 

「ああ、はじめは『え!?』って思ったけど食ってみたらすげぇ美味しいんだ。ほら前に食堂で隊長がやった麻婆丼のようなもんすよ」

 

「「あ~なるほど」」

 

桜花の言葉に二人は納得した顔をし、そして三人は吹雪と同じ作法で水まんじゅうを食べる

 

「あ、美味しい」

 

「ほんとです・・・・」

 

「だろ~」

 

と、その後は吹雪たち4人は水まんじゅうの味を堪能した。中でも甘い物好きである斗志はこの水まんじゅうのことが気に入ったのかとても喜んでいた。そして吹雪はお茶を飲むと

 

「で、斗志。訊きたいことがあるんだけど。柳琳さんたちはどう?楽しんでいるかな?」

 

「はい、とても。今は桜さんたちと買い物を楽しんでいます」

 

「そうか・・・良かった。で、雪風。さっき偵察の報告とか言っていたけど?」

 

「はい。現在。密偵の報告によれば国境付近に怪しい集団がちらほらと動いているため警戒が必要との連絡が入りました」

 

「怪しい集団?袁紹軍の斥候か?それとも他国の・・・・」

 

「それはまだわかりません。ただこちらも警備とかの警戒を厳重にしていますので、何かつかめたらすぐに報告します」

 

「そうか・・・・で、その目撃情報はどこからだ?」

 

「はい。西国境付近あたりです。あそこの砦は今だ修復や改修工事の途中ですので、おそらく攻めるとするならそこを襲撃する可能性があります」

 

「そうか・・・・・ならちょうどいいな」

 

「丁度いいとは?」

 

「ああ、斗志。実はなここを出る前に西国境の砦を視察しようかなっと思ってな」

 

「それはいいことですが、隊長。先ほど雪風に不審な集団の目撃情報が出ているのにそこに行くなんて」

 

「だからこそだ。天の御使いと担がれているこんな俺でも、そこで一生懸命に働いている将兵の労いの言葉ぐらいは掛けることができる」

 

「隊長・・・・・わかりました。では護衛の兵は倍に増やします」

 

「いいや斗志。いつもの人数でいい」

 

「いや、しかし」

 

「いつも通りでいいんだ。護衛を増やしたらそれこそ兵たちを不安にさせてしまうよ」

 

「隊長。では私も護衛に着きます。そして他の護衛は腕利きの兵を遣わせますので」

 

「うん。頼む斗志」

 

「はい!任せてください!」

 

吹雪の言葉に斗志は嬉しそうに言うと雪風はふふと笑い

 

「ん?どうしたんすか雪風?」

 

「いや、桜花。斗志も昔に比べてだいぶ変わったな~と思って」

 

「ああ、そう言えばそうっすね。始めて隊長にあった時は隊長の顔面に蹴りを入れたすから~」

 

「なあぁ!桜花それは言わないでくれ!それを言うならお前だって隊長にかみついただろ!文字通り!!」

 

「うわぁー!斗志、人の黒歴史を言うな!!」

 

「桜花が先に行ったからでしょうが!!」

 

「何を!この黒ゴス邪教巫女!!」

 

「なあぁぁぁー!そのことは忘れろ///!!」

 

と、二人はワイワイ言い始めると雪風はお茶を飲む吹雪を見て

 

「隊長。止めないでいいんですか?」

 

「ああ、あれはただじゃれ合っているだけだからな。少ししたら落ち着くだろう」

 

「それもそうですね・・・・・それにしても隊長。初めてお会いしてからもうずいぶんの月日が経ちましたね」

 

「そうだな・・・・・天水のころからもうそんなに経つんだな・・・・・警邏隊から始まって、池田屋事件から黄巾の乱、そして反董卓連合戦・・・・・この戦いから俺たち警邏隊はいつの間にか一個軍団ほどの組織になっちまったな」

 

「はい。人生とは何が起きるかわからないものですね」

 

「だな・・・・・で、二人ともそろそろ落ち着いたか?」

 

吹雪は言い争いをしていた斗志と桜花を見ると

 

「え、ええ…今のところ落ち着きました」

 

「うちもっす・・・・・何か互いの黒歴史言い合っているうちにばかばかしく思ってきたっすよ」

 

「そ、そうか・・・・・」

 

二人の黒歴史とは何なのか気になる吹雪であったがそこは訊かないほうが無難だと思いその言葉を飲み込むと。桜花が

 

「隊長!今日はいい天気ですし歌でも歌いやしょう!」

 

「え?」

 

「士気を高めるためにも!そして久しぶりに隊長が歌うところもみたいっすし!!」

 

「本命はそこか桜花」

 

「まあいいじゃないの斗志、それに私も隊長が歌うところ久しぶりに訊きたいし。斗志は隊長の歌聞きたくないの?」

 

「それは聞きたいけど・・・・・・」

 

そう言うと斗志はちらっと吹雪のほうを見ると吹雪はふっと笑い

 

「そうだな。それじゃあここはひとつ、なんか歌うかな・・・・・」

 

そう言うと吹雪は歌いだす。その歌は軍歌でもなければ現代の歌でもなく、昔、祖父が良く歌っていた『長岡甚句』という歌であった。そして歌を歌っている間、斗志と桜花たちはリズムに乗って手を叩き、気が付けば一緒に手を叩きながら歌っていた

 

 

 

 

 

 

数時間後、吹雪は長安を出る前に斗志と志乃以下、計16名の護衛を連れて西国境沿いの砦へと視察に向かった。そして兵舎の情報部では、士官らしき兵は一通の書簡を見つける

 

「おい・・・・・・この書簡はなんだ?」

 

「はっ!これは沖田将軍の行動予定で、今日、西国境沿いの砦を視察するとのことで、すでに訪問する西国境の砦に使者を送って・・・・・」

 

「馬鹿もん!!」

 

と若き兵がそう言うと士官らしき兵が怒鳴り

 

「沖田将軍の行動予定を平文で送る奴がいるか!敵の間者に奪われ見られたらどうする!!」

 

怒りと慌てさを混ぜた顔でそういう。基本、董卓軍での伝令書や大事なことが書かれている命令書なんかは基本、暗号で描き、三人の伝令兵に渡し、別々のルートで行くことになっている。また暗号は、アンチョビの母国であるローマのラテン語、もしくは吹雪の故郷である日本語で書かれているはずなのだがその若き兵が送ったのは、暗号の書かれていない平文であった。

 

 

 

 

 

一方、西沿い国境付近・・・・・

 

「周倉様!張燕様!」

 

「何?騒がしいけどどうしたの?」

 

「はっ!たった今董卓軍の伝令兵らしき兵を殺したんですが、こんなものを持っていました」

 

「どれどれ?」

 

「ナニコレ?なんかの命令書かしら?」

 

周倉が部下に渡された書簡を読む中、張燕は必死にのぞき込もうとするが背が小さいため届かない。そして読み終えた周倉は

 

「へ~・・・・あの沖田がこちらの方へ向かっているらしいよ。しかも少数で」

 

「なんですって?なら好機じゃないの周倉」

 

「ええ、全軍に伝達!予定より早めに襲撃する!一応協力関係である張コウ達にもこう伝えろ!『クジャクがこちらにやって来た!』とね!!」

 

そう言うや否や周倉はにやりと笑い、そして隣にいる張燕もふふっと薄気味悪い笑みを出し

 

「さて、盗賊連合の出撃だね・・・・・首を洗って待っていろ沖田」



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襲撃、クジャクは舞い降りた

とある野営地

 

「張コウ様!!」

 

「どうしたんだい?」

 

「先ほど、周倉、張燕ら盗賊連合から伝令が来ました!」

 

「伝言?なに?長安に攻め込むって?」

 

「いえ、それが…‥『クジャクが舞い降りた』・・・・・だそうです」

 

兵士の言葉を聞いて張コウは目を細める

 

「・・・・へぇ・・・・・で、クジャクを守る鷲の数は?」

 

「護衛は16人だそうです」

 

「そうかい。それほどの鷲の数なら、あの燕と狐もクジャクを狩るにはたやすいだろうね。あいわかった。ではこちらもクジャクの巣でも攻撃させてもらうかな?」

 

そう言うと、張コウはあくびをし、立ち上がり天幕を出ようとすると兵士が

 

「張コウ将軍。どちらへ?」

 

「あん?寝るんだよ。寝て襲撃のための体力をつけないとね。あんたらも今のうちにゆっくり休んどきな。次の戦いは激しくなると思うからさ」

 

「は?・・・・はっ!」

 

そう言い張コウは天幕を出てもう一つの天幕に入るとそこには郭図こと琉巳がいた

 

「あら、もうおやすみですか雫さん?」

 

「ん?なんだ流巳か?真直はどうしたんだい?」

 

「真直さんなら、いまだに天幕で作戦を練っていますわ。盗賊連合が失敗した時の対策として、もしくは徐州を責めている麗羽様が攻略に失敗した時のための作戦を練っているんでしょ?」

 

「苦労人だね~あの子も・・・・・あのような知略がうちにいるのは大変ありがたいと思うが正直言ってここにいても・・・・・」

 

「宝の持ち腐れ・・・・・と?」

 

「ま、そう言うことになるのかね?あいつの才能は麗羽様という器には入りきらない物なのかもね。あいつの知はもっと別の所で発揮されるんじゃないかと私は思うよ・・・・おっと。私としたことが。おい琉巳」

 

「ご安心を今のは聞かなかったことにします。しかし、それについては同意見です。正直言って袁家の終着点は近いと私も正直思っていましたし・・・・・それと張コウ将軍。くれぐれも・・・・」

 

「わかっている。チクったりしないわよ」

 

そう言い鎧を外し薄着姿になりながらそう言う張コウこと雫に琉巳は

 

「それより、先ほど伝令兵から何かを聞いたみたいですが?」

 

「ああ・・・・クジャク・・・・沖田が西砦に訪問しに来るらしい」

 

「沖田・・・・・あの御使いですか・・・・・ですが、孔雀という暗号名は国の王、または将軍職に就く者を表します。なぜ沖田だと?もしかしたら別の人物の可能性があるんじゃないですか?」

 

「ふっ、張燕の小娘。ご丁寧に説明付きの手紙をよこしてたんだよ。先ほど仲華軍の伝令兵を殺し、その命令書を奪って確認したところ、沖田が数時間後、私たちが攻める目標にしている西砦を少数の護衛を連れて視察しに来ることになっているらしい」

 

「それで…張燕や周倉はなんと?」

 

「言わずともわかるだろ琉巳?」

 

「ええ…想像はつきます・・・・となるともしや彼女もいるのですか?あの白銀の狐も」

 

「白銀の狐?なんだそれ?」

 

「知らないのですか?最近巷の噂で『天の御使いである沖田吹雪に過ぎたるもの3つあり、天界の武器と鬼の副長、李郭、そして…‥白銀の狐、司馬懿』と・・・・・」

 

「司馬懿か・・・・・確か琉巳が是非、知略対決をしてみたいと言ってた沖田の筆頭軍師だったな?」

 

「ええ、まさかこういう形で出会うことになろうとは、世の中不思議です。」

 

「ま、出会えるかどうかはあの盗賊連合で無事に切り抜けることができたらの話だがな。まあたったの少数で数千人以上いる相手の奇襲を受けたら・・・・・・ひとたまりもねえ。・・・・ここは奴らの知恵と強運に恵まれているか見せてもらうとするよ・・・・・」

 

そう言い張コウは欠伸をして寝転ぶのであった。そして琉巳は

 

「ここはお手並み拝見です。司馬懿殿・・・・・」

 

静かにそう言うと彼女は天幕を出るのであった

 

 

 

 

 

 

 

一方、同時刻、沖田率いる視察部隊は西砦へと向かっていた。

そして、向かう人物は吹雪以下、志乃、鈴の両軍師他、護衛を務める斗志や星の他、斗志が選抜した兵士16名が吹雪を囲う形、いわゆる輪形陣で目的地である西砦へと馬で向かっていた

 

「隊長、後、数刻で、西砦に着きます」

 

「そうか・・・・・・・そう言えば西砦には美佳や川内が現場指揮を執っていたっけ」

 

「はい。二人とも吹雪様に会いたがってました・・・・・・それにしても暗いですね。この道は」

 

「そうだな・・・・・木が生い茂って日が隠れているからな。まるでジャングルを歩いているみたいだ」

 

「じゃんぐる?」

 

「ああ、密林っというか、こういう森林のことを言うんだよ」

 

「そうなんですか。吹雪様はそのジャングルという場所に行ったことがあるんですか?」

 

「いや、まだないよ。本とかで知った」

 

志乃と吹雪が話す中、周りを護衛する斗志たちはあたりを警戒していた。雪風の情報では西国境付近で怪しい集団が発見され、もしかしたら袁紹軍じゃないかと推測されているため敵の襲撃に警戒しているのだ

そんな中、一緒に視察部隊にいる李儒こと鈴は少しおどおどした表情であたりを見ていた。いつもは宮中や屋敷で書簡仕事などをしていた彼女だが、今回初めての少し遠い場所に行くので緊張しているのだ。

 

「(ウっ・・・初めての視察・・・・街や屋敷以外出たことが無いから緊張する・・・・・)」

 

不安そうな表情をする鈴。気を紛らわそうとあたりをきょろきょろと見るが辺りは森林に囲まれ太陽もその木々によって隠され周りは薄暗いため彼女の気持ちがよけいに大きくなる。

 

「(どうしよう・・・・・何か怖い)」

 

そう思うっているとそれを見た吹雪が

 

「ん?どうしたんだ鈴?」

 

「ひゃい!?えっと・・・その」

 

声を掛けられびっくりする鈴。

 

「もしかして怖いの?」

 

「鈴大丈夫ですか?」

 

「あ、・・・・だ、大丈夫です吹雪さん、先生、アハハハ・・・・」

 

と、笑って誤魔化そうとするのだが、志乃には見透かされたのか

 

「鈴?」

 

「す、すみません先生。本当は私、暗いところがちょっと怖いです」

 

気まずそうにそう言う鈴。するとそれを見た吹雪は

 

「そうか。まあ確かに木のせいで日も隠れて暗いし、鈴が不安になるのも仕方ないか・・・・・良し、歌でも歌うか」

 

「え?」

 

「歌でも歌えば不安な気持ちも吹き飛ぶ。斗志!」

 

「はい!歌謡行進ですね。何を歌います?」

 

「そうだな・・・・・・軍歌もいいが、ここはひとつ『洛陽の娘』を歌おう」

 

「了解!おい聞いた!みんな歌うわよ!!」

 

『『了解!!』』

 

斗志の号令に皆は返事をし、そして歌いだす。吹雪の言った『洛陽の娘』とは日本の歌謡曲『酋長の娘』・『ラバさん』をこちら風にアレンジし、替え歌にしたものだ。みんなが陽気に歌い、気付けば鈴も不安も吹き飛んだのかみんなと一緒に陽気に歌っていた。すると前方に、何者かが馬に乗ってやって来た。それは美佳であった

 

「吹雪さん。お迎えに来ました」

 

「ああ、美佳。わざわざ出迎えすまないな」

 

「いいえ、私も沖田さんに早く会いたかったので。あ、それと西砦にいる兵やその現場の監督をしている川内も皆楽しみに待っていますよ」

 

「そっか、西砦には川内もいたっけな」

 

「はい。川内も『早く吹雪来ないかな~』なんて言っていました。それより吹雪さん。先ほど歌っていた歌は・・・・・洛陽の娘ですか?」

 

「ああ、ちょっと景気づけにな。美佳は知っているだろ?」

 

「はい。あの歌は洛陽でも大流行していましたからね。近所の子供たちも歌っていましたよ」

 

「そうか・・・・」

 

そんなにはやっていたのは知らなかった。もしCDとかミュージックプレイヤーとかあったら大量に売れてたのかもしれない。いや、もしかしたら夕張か真桜なら、CD、ミュージックプレイヤーは無理でもレコードや蓄音機とか作りそうだな・・・・あとで夕張に相談でもしようかな。そう考えていた。そしてしばらく美佳とともに西砦へ向かい。あともう少しの距離まで来た

 

「あと30分くらいで着くかな・・・・・・」

 

俺がそう呟いた瞬間

 

「っ!?敵襲!!」

 

「「っ!?」」

 

直掩についていた兵士が声を上げると二時方向と10時方向の少し丘となっているところから総勢100名以上はいるだろうか、かといって、服装を見るからに仲華軍の兵でもない。そしてその軍勢の先頭には

 

「久しぶりだね。沖田吹雪。黄巾の乱以来か?」

 

「っ!?お前は周倉!」

 

軍団の先頭にいたのは無敗の異名をとり、かつて黄巾の乱で一騎打ちをした周倉であった。そしてその隣には

 

「私とは初対面のはずだよね沖田」

 

と、周倉の隣に小学生くらいで弩を持った少女がいた

 

「・・・・・・周倉。その子供は誰だ?君の子?」

 

「なっ!違うわよ!!誰が子供でこんな奴の!私は黒山衆棟梁の張燕よ!!」

 

「まあまあ、落ち着きなって。張ちゃん」

 

「誰が張ちゃんよっ!!」

 

顔を真っ赤にしてかんかんに怒る少女こと張燕。張燕・・・しかも黒山衆と言えば漢王朝も討伐することは不可能で、もうお手上げと言われた大盗賊だったけ・・・そのリーダーの張燕がまさか小学生ぐらいの少女だったとは・・・・そう思う中、周倉は剣を張燕は短刀を抜き

 

「「沖田吹雪!貴様の命、私ら盗賊連合がもらい受ける!!」」

 

そう殺気を出して俺にそう宣言するのであった



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沖田大ピンチ、盗賊連合

あけましておめでとうございます。この頃アイディアが浮かばず更新が遅れてしまいました


長安の町のとある飲食店

 

「な、なんだ!この味は!?」

 

「この、なぽりたんという料理とても美味しいですねアンチョビさん」

 

「そうか!そう言ってもらえると嬉しいぞ!」

 

長安を訪問しに来た柳琳と王双にアンチョビが鉄板ナポリタンを振舞っていた。

 

「それよりも・・・・」

 

「ん?どうしたの王双?」

 

「いえ、柳琳様。私の気のせいだと思うのですが・・・街中を歩く際、何やら警邏隊や役人たちが騒がしく見えたので・・・・」

 

「そう言えばそうですね?アンチョビさん。何か知っていますか?」

 

「さあな。ただ。反董卓連合の後、敗残兵によって結成された盗賊団や袁紹軍の襲撃に警戒しているからな~あの戦いで袁紹に恨まれているし~」

 

「あれは袁紹の自業自得だと思うますが?」

 

「まあ、それはそうなんだがな・・・・・さてと・・・ほい、次の料理で来たぞ」

 

「あ・・・あのアンチョビさん」

 

「ん?どうしたんだ?もしかしてパスタ気に入らなかったか?」

 

「い、いえ・・・その沖田さんは今どこに・・・・」

 

「吹雪か?あいつならちょっと用事があってな国境付近の砦のほうへ視察に行ったよ。夕方には戻るはずだよ」

 

「そうですか・・・・・」

 

柳琳が少し残念そうにそう言うと王双はすっと立ち上がる

 

「ん?どうしたんだ王双さん?」

 

「鶫?」

 

「すみません柳琳様。少し用があるので少し別行動をとらせていただきます・・・・・・では」

 

と頭を下げると店を出るのであった

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、宮中では・・・・

 

「なんですって!?西砦に武装した兵が襲撃に来たですって!?」

 

詠が兵の報告を聞いて驚く。兵の報告によれば、突如、西砦に武装集団が現れ、攻撃をし始めたという。それを聞いた月が

 

「それで城の状況はどうなっていますか?」

 

「はっ!張済様が今、必死に戦って城を守っています」

 

「そう・・・・・っ!?そう言えば吹雪がその砦に視察に行くって言ってたわね!吹雪たちの隊はどうなったの!まさか・・・・」

 

「現在のところ不明ですが樊稠様の情報偵察隊からは沖田将軍が敵に討取られたという報告はまだ聞いていません。現在、華雄将軍と呂布将軍が援軍として西砦へと向かっております」

 

「敵の素性は?」

 

「旗が掲げ上げられていないため不明。ただいま調査中とのことです!」

 

兵士が報告を終える

 

「詠ちゃん・・・・・」

 

「おそらく袁紹の兵よ・・・・とにかく今は吹雪たちが無事なのを祈るしかないわ・・・・・」

 

「吹雪さん・・・・・」

 

詠と月は心配な表情をし吹雪のことを思うのであった

 

 

 

 

 

 

西砦附近の森の中

 

「斗志!星!無事か!?今、何人いる?」

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・いるのは私と星と志乃と鈴と美佳・・・・・そして護衛の兵士12名です・・・・隊長。残りの4名は残念ですが・・・・・・」

 

「戦死か・・・・負傷兵は?」

 

「いません‥‥といいたいところですが吹雪様。皆森の中を走り回ったせいで擦り傷だらけです」

 

「深手を受けるよりはましですけど・・・・」

 

吹雪たちは息を切らし擦り傷だらけでそう言う

 

「それより。何とか撒けましたね・・・・・いくら精鋭をそろえたといっても100名以上はさすがに厳しいわ」

 

「斗志の言う通りだな・・・・私も強くなったと思ったがやはり多勢に無勢だな・・・・・しかもこう足場の悪く薄暗い場所で戦うとなるとな」

 

斗志と星がため息をつきながらあたりを警戒しながらそう言う

 

「でも、この薄暗さと、吹雪さんが使用した煙幕弾のおかげで何とか窮地を脱しましたね先生」

 

「ええ。それに乗っていた馬を砦から逆方向へ走らせたら連中、それを追いかけましたからね・・・・幸いこの密林の薄暗さのおかげで馬上は見えにくい。少しは時間が稼げます。その隙に私たちは西砦に向かえば川内がいます」

 

「そうだな・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

志乃がそう話す中、美佳は深刻そうな表情で黙ったままだ。周倉や張燕の襲撃を受けてからずっとだ・・・・・・

 

「美佳。どうしたんだ。もしかして怪我でも・・・・・」

 

「え?いいや。斗志さん大丈夫です。それより急ぎましょう。連中が戻ってくる前に」

 

「そうだな・・・・さて徒歩だと西砦まで・・・・30分か。確かに急いだほうがいいな。みんな西砦まで歩けるか?」

 

「大丈夫です隊長。自分は歩けます」

 

「私もだ吹雪殿」

 

「私も頑張って歩きます吹雪様」

 

「私もです」

 

と、全員が頷き、美佳も

 

「私も大丈夫であります。全力で吹雪さんを守ります」

 

と、頷き、俺たちは敵の襲撃に警戒しながら徒歩で西砦へと向かうことを決断し、西砦まで歩くのであった

 

 

 

 

一方、周倉と張燕たちは

 

「追え!追えーっ!!!絶対に逃がすな!!」

 

張燕が馬で逃げる沖田たちを馬で追っていたが、周倉は

 

「全く沖田め、いきなり煙球を使うとはな!やはり最後の別れの時間をやらずにそのまま一斉にかかってせばよかったな。なあ張ちゃん!」

 

「だから張ちゃんっていうのやめなさいよ周倉!別にいいでしょ!これから殺されるんだから最後の別れ位させてやっても!この張燕様は器が大きいのよ!田舎者のあんたとは違ってね」

 

「残念。僕は都生まれの元役人よ・・・まあ今の王朝に不満を持って役人をやめて盗賊やているんだけどね。あんたもそうでしょ」

 

「私は根っからの盗賊よ。周倉。それにしても薄暗いわね。昼間だっていうのに追っている馬も薄暗くてよく見えないし・・・・」

 

「そうだね。馬の上は全く見えないわ・・・・まるで誰もいなかったかのようね」

 

そう言うと周倉はピタッと立ち止まり

 

「・・・・・・・まさか」

 

「どうしたのよ周倉?」

 

何かに気づいた周倉に張燕が首をかしげると周倉は

 

「ちょっと僕は確認したいことがある!張燕はそのまま追いかけて、すぐに追いつく!!」

 

「あっ!周倉!!」

 

張燕がそう言う中、周倉はたった一人先ほど来た道を全力疾走で戻るのであった

 

 

 

 

 

「もうすぐ砦だ・・・・みんな後、もう少しだぞ」

 

密林の中、吹雪たちは川内がいる西砦へと向かう途中、あたりを警戒しながら小休止を取っていた。吹雪は自分の九九式小銃や南部一四年式に弾丸を込めほかの兵士たちも剣やら槍を布で拭いていた。すると偵察に出ていた兵士二人が戻ってきた

 

「沖田閣下。今戻りました」

 

「閣下はやめてくれ。で、どうだ?西砦は?」

 

「実は、言いにくいのですが・・・・・・」

 

「やはり盗賊連合とかいう集団に襲撃されているのか?」

 

「わかりません。ただ遠目で見ても西砦で交戦しているのが見えました」

 

「敵の旗印は?」

 

「旗は掲げられておらず不明。しかし襲撃者の武装や装備、そして黄金の鎧を見てもかなり整ったもの。盗賊の類ではなく」

 

「どこかの国の正規兵・・・・・・・・志乃、鈴?」

 

「おそらく・・・・いえ、間違いなくその集団の正体は」

 

「袁紹軍で間違いないと思います。それに黄金の鎧は袁紹軍の兵士しか装備していません。恐らく袁紹軍は先ほど我々を襲撃した盗賊連合も恐らくは袁紹の軍門に下ったとしか・・・・」

 

「それはないと思います」

 

鈴の言葉に美佳が否定の言葉を言う

 

「美佳。それはどういうことだ?」

 

「張燕はどうかはわかりませんが、あの周倉が官軍である袁紹の軍門に下るとは考えられません。彼女はああ見えて誇り高い性格なので絶対に袁紹のような性格の官軍の将の下にはつかないと思います・・・・・」

 

確かに美佳の言う通り周倉は官軍のことを嫌っている。そんな彼女が袁紹の部下になることはあり得ない

 

「美佳。お主なんで周倉のことをそんなに知っているんだ?」

 

「そ・・・・・それは」

 

星は少し怪しむように美佳を見ると、美佳は少し戸惑った表情を見せる。すると斗志

 

「星、そのことは後で訊こう。今はどうやって西砦へと入るかです。聞けば西砦は襲撃を受け、中に入れない状態。戻るにしても半日以上はかかりますその間に先ほどの盗賊軍団に襲われたらひとたまりもありません。安全な場所はあの砦の中だけです」

 

「敵中突破するしかないっか・・・・・・」

 

「はい。残念ですが、策を練ってもこの方法しかありません。この森を利用してもすぐに感ずかれてしまいます。ただ的中突破するには・・・・・」

 

「囮が必要となります」

 

志乃と鈴が

 

「じゃ、俺が・・・・」

 

「吹雪殿はわれらの大将です!我々が助かっても吹雪殿が死んでしまわれば意味がありません!!」

 

「星・・・・・」

 

「そうです隊長。一人だけかっこつけるのはもうやめてください。もし隊長が戦死するとなれば私もここで自害してあの世までついていきますよ」

 

「斗志・・・・」

 

「吹雪様。皆の言う通りです。あなたが死んでしまわれたら私たちの存在する意味がなくなってしまいます。私は最後まで一緒についていきます」

 

「私も先生と同じ意見です。軍師としてこういうのはおかしいと思いますが、ここは私たちだけで強行突破して砦の中へ入りましょ!」

 

「志乃・・・・鈴」

 

「我々も同じ意見です将軍!」

 

「ここは強行突破して連中の度肝を抜いてやりましょう!!」

 

皆の言葉に俺は頷き

 

「わかった。無事に砦へ入れるか、はたまた武運拙く玉砕するかは知らないが俺についてこい!!」

 

俺は九九式小銃に三十年式銃剣をつけ、斗志と星や兵たちは剣や槍を志乃と鈴は短剣を手に持ち砦へと向かおうとしたその時

 

「袁紹軍の連中にあんたはやらせないよ。あんたを殺すのは僕なんだからな沖田!!」

 

と、どこからか声がすると馬が掻ける音がし、振り向くと

 

「周倉!?」

 

「やはりここにいたか沖田っ!!」

 

そこには周倉が馬に乗って猛スピードでこちらに向かってきた。そして周倉は剣を抜き、馬から飛び降りて

 

「沖田吹雪っ!!覚悟しろ!!」

 

そう言い俺に斬りかかろうとするが・・・・・・

 

ガキンッ!!

 

誰かが俺の前に出て剣で周倉の一撃を受け止める。その人物は

 

「美、美佳!?」

 

そう、美佳が俺の前に出て剣で周倉の一撃を止めてくれたのだ。すると美佳が

 

「もうやめて(ゆう)!!もうこれ以上、罪を重ねないで!!」

 

「お、お前は・・・李粛・・・・美佳か!?」

 

周倉は美佳を見て驚いた表情を見せるのであった。

 

 

 



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李粛、周倉と対決す

お久しぶりです。ずっと投稿を止めてすみませんでした


「お前・・・・・美佳か!?」

 

俺に斬りかかる周倉の一撃を止めたのは美佳だった。そして周倉は自分の一撃を止めた美花に驚いた表情をした

 

「久しぶりね・・・・・10年ぶりかしら?」

 

剣で押さえながら美佳がそう言う。どうやら美佳は周倉と知り合いらしい。現に周倉は美佳のことを真名で呼んでいたし、仲が良かったのは間違いないだろう

 

「美佳…お前なんで‥‥洛陽の・・・・漢王朝の役人をしていたはずじゃ・・・」

 

「ええ、元だけどね。今は仲華国、第三師団、第七部隊隊長をしているわ。そして今は沖田さんの護衛よ!!」

 

そう言い力強く言うと美佳は剣を振り払うと周倉は一歩下がる。そして美佳は

 

「吹雪さん!ここは私に任せて早く行ってください!」

 

「美佳!」

 

「急がないとすぐに敵兵がやってきます!私が時間を稼ぐので早く!!」

 

「何言っているんだ!お前を置いていくなんてできるかよ!」

 

「いいから速く行ってください!大丈夫です。すぐに私も追いつきますから!」

 

「それ死亡フラグ!!」

 

俺が全力で突っ込む、すると周倉が

 

「お前に用はない美佳!僕の目的は沖田の首だ!!」

 

そう言い再び俺に向かおうとするが

 

「させない!!」

 

美佳は周倉の前に立ち再び剣で周倉に向かって周倉の剣を受け止める。そして美佳は

 

「吹雪さん!早く!早く行ってください!!」

 

「だ、だけど・・・・」

 

仲間を見捨てるなんて俺にはできなかった。すると・・・

 

「隊長すみません!!」

 

「ぐはっ!!」

 

斗志の言葉とともに首筋に激しい痛みが出て俺はそのまま意識を失うのだった

 

 

 

 

 

「斗志さん!?」

 

斗志は吹雪の首筋に激しいチョップを決め、吹雪を気絶させた。それを見た鈴は驚くと、志乃が頭を下げ

 

「斗志さん。すみません・・・・」

 

「いや、いいんです。こうでもしなければ隊長の命は守れません。美佳・・・・」

 

「はい。斗志さん。ここは私がなるべく食い止めます。ですから早く砦の中で・・・・」

 

「わかった。早く戻って来いよ」

 

斗志がそう言うと美佳は頷き、そして気絶した吹雪を星とほかの護衛兵が抱える。そして星は

 

「美佳。犬死はするなよ。お前とは今後も仕事の愚痴を言いながら楽しく飲み合いながら語りたいからな」

 

「わかってます。次の休日には私が奢りますから」

 

とニコッと笑うと護衛兵たちが

 

「り、李粛小隊長・・・・・」

 

「ほら、あんたら泣かない泣かない。これが別れじゃないんだから。早く隊長を安全なところに連れて行きなさい!!」

 

「「はい!!」」

 

と、涙ぐんで斗志たちは気絶した吹雪を担いで西砦へと向かうのであった

 

「させるかっ!!」

 

周倉はそう言い追いかけようとするが

 

「悠!あんたの相手は私よ!!」

 

そう言い美佳が立ちはだかると周倉は

 

「邪魔をするな美佳!!たとえ幼馴染でも邪魔をすればあんたでも斬る!」

 

「それは私のセリフよ悠。私はあの人を守るためならあなたでも戦うわ」

 

「ふん!弱虫で文官志望だったお前に何ができるっていうの!」

 

そう言い周倉はあざ笑うかのようにそう言うと美佳は剣を構え

 

「もう洛陽のころの私じゃないわよ悠!吹雪さんをどうしても仕留めたいのなら、私を倒してから行きなさい!」

 

「言われなくても行くぞ!!」

 

そう言い周倉は美佳に斬りかかり、美佳はそれをよけ突き技を出す

 

「そんな突き技大したことないわ。あんたやっぱり昔と実力が・・・・・・・」

 

周倉は美佳の突き技をよけ、そう言いかけた瞬間。美佳はすかさずつき技から横薙ぎの攻撃に入る。そうそれは吹雪が採用し、隊士たちの技の一つである死角なしの技『平突き』である。

 

『(っ!?沖田と同じ技!?)』

 

周倉はいきなりの横薙ぎ攻撃に驚く。

いつもなら相手を警戒するところだったが相手は幼馴染である美佳で実力も変わっていないと思っていたため少しだけ油断していたのだ

美佳の攻撃を避けた周倉だったが、その隙を与えずに美佳は今度は剣を上へと振り上げる

 

「っ!?」

 

急な攻撃の変化に周倉は慌てて、飛びさが利権を構える。その瞬間彼女の頬から一筋の切り傷ができ、そこから血が流れる

 

「・・・・・」

 

周倉はそっと頬の傷を触り手に着いた血を見るとニヤッと笑い

 

「へ~・・・・今まで私にかすり傷すら与えなかった美佳がここまでやるなんてね・・・・・」

 

「どう?少しは成長したでしょ?悠。私はもうあのころとは違うの日々剣の鍛錬をしたのよ」

 

「そのようね・・・・・・なら・・」

 

そう言い周倉は再び剣を構えて

 

「手加減はいらないようね」

 

そう言いさっきのこもった眼で美佳に言うのだった

 

 

 

 

 

 

 

一方、西砦では・・・

 

「撃てっ!一人たりとも砦に近づけるな!!」

 

「「「「おうっ!!」」」」

 

川内率いる部隊が現在、砦に進行している軍団に対し、攻撃をしていた。兵たちは砦に備えられていた銃や連発弩、噴進矢、そして最新兵器の大砲を使い迎撃していた

 

「張済様!」

 

「どうしたの!!」

 

「東の方を見てください!」

 

「東ですって?」

 

部下の言葉に川内は夕張が開発した双眼鏡で見てみると

 

「あれは・・・・先生に斗志!」

 

双眼鏡で見た先には敵陣から少し離れた森の中に茂みの中に隠れている斗志たちの姿を見つけた

 

「どうやら無事だったみたいね・・・・・何とかして中に入れて助けないと・・・・・・・でもこんな状況でどうやって・・・・・・そうだ。ねえ、あんた!」

 

「は?・・・はっ!」

 

「迫撃砲あるかしら?」

 

「迫撃砲・・・ですか?確か訓練用のやつが一基、置いてありますが・・・・」

 

「砲弾の中に煙幕弾はある?」

 

「え?は、はい在りますが」

 

「ならすぐに持ってきて私が合図したら、敵のいる城門の前に煙幕弾を落して」

 

「りょ、了解しました!」

 

「後、君、すぐに私の行ったように手旗信号を掲げて」

 

「旗信号ですか?どこに?」

 

「場所がばれるから、適当なところで…そう敵がよく見える高いところから振って」

 

「はっ!」

 

そう言い川内は兵に手旗信号の内容を伝えると兵は砦の高いところへと向かいそして川内に言われた内容の旗を振る。

それを見た敵兵は『何をしているんだ?』とばかりに首をかしげる手旗信号は仲華軍にだけ採用されている通信手段のため、敵兵にはわからなかったのだ。

そしてその手旗信号を見たのは敵兵だけではなかった

 

「先生!砦から手旗信号です!!」

 

「なんですって?」

 

鈴のその言葉に志乃と斗志はこっそり茂みから顔を出し、白の高いところから手旗信号をしている兵を見る

 

「ええっと・・・・『これより鏑矢のすぐ後に煙幕を張る・・・その隙に城の中に入れ・・・・張済より』川内さんからです!」

 

「煙幕か…川内も考えるな…斗志」

 

「ええ。隊長は私が運ぶから、全員いつでも走れるよう準備をしなさい!煙幕が上がったらまっ直ぐに門へと向かえ!」

 

「「おうっ!」」

 

兵士たちが返事をした瞬間、砦から鏑矢がはなたれ甲高い音が鳴り響く。そしてその瞬間砲撃音が一発鳴り響くと城門の前や敵陣が真っ白な煙に覆われる。

 

「今よ!進めっ!!」

 

斗志の号令とともに星たちは全速力で走りだす。そして斗志たちは煙幕の中に突入する。ゲホゲホッと咽る声が聞こえる中、斗志たちは無我夢中で走り出す。そして砦の壁にたどり着き。斗志は欠員がいないか確認する

 

「(壱‥弐‥三・・・・志乃たちもみんないるわね)」

 

濃い煙幕の中を全員が無事にたどり着いたことを確認した斗志。すると

 

「斗志こっちだ!早く入れ!煙幕が晴れちゃうわよ」

 

と、隠し扉から川内が顔を出し斗志を呼ぶ

 

「川内。助かった。全員隠し扉に入れ」

 

そう指示すると兵たちと志乃は仲へと入っていく。ぞ時手全員が入ったことを確認すると。斗志は背負っていた吹雪を志乃たちに渡す

 

「志乃、川内。隊長をお願い」

 

「え?斗志さんはどうするの?」

 

「私は美佳を助けに行く。あいつ一人放っておくことができない。隊長だってきっとそうするさ」

 

そう言い刀をぎゅっと力強く握りしめそう言うと、

 

「ならば我も行こう」

 

「星・・・・」

 

「無敗の周倉というやつがどんな実力か試したくてな・・・・」

 

「すまない感謝する」

 

そう言い斗志と星は頷き後のことを志乃たちに頼み煙幕が晴れる前に先ほど来た道を戻るのであった

 

 

 

 

一方、美佳の方は

 

「きゃっ!!」

 

周倉と戦っていた美佳は体中傷だらけになりながらも彼女と戦っていたが、だんだんと周倉が押し上げていき、危険な状態だった

 

「へ~私の11連撃。ちゃんと避けれるようになったんだ~でもそんな体じゃ、もうまともに戦うことは無理ね・・・・・幼馴染のよしみよ今日はここまでにしてあげる。そこで休んでなさい。私は沖田を殺るから・・・」

 

「はは・・・・まだ終わってないわよ悠・・・・私はまだ生きているわ。私が生きている限り絶対にあんたを吹雪さんのところに行かせない・・・」

 

「あんたなんでそこまであいつのことを・・・」

 

「あの人は・・・・・私と悠ができなかったあの荒れ果てた洛陽の町に再び笑顔を取り戻してくれたわ・・・それだけじゃない・・あの人は・・・吹雪さんや董卓様はいつも民のことを大切にしてくれた・・・・自ら出向いて貧しい人たちや生活に苦しんでいる人たちを見捨てず、助けてくれた。洛陽だけじゃない…天水もそしてここ長安にもみんなが笑顔でいられる世界を作ってくれたのよ・・・・だからその人たちを殺そうとするあんたを・・・平和を乱そうとするあんたを私は全力で止める」

 

「美佳・・・・」

 

「悠・・・あんたは今の今まで何をしていたのよ!いきなり役人をやめ盗賊になり、周辺の村を襲って・・・・それじゃあ私利私欲に動いていた官僚のやつらと変わらないじゃない!!」

 

「・・・れ」

 

「悠!昔のあんたはそんな人じゃなかった!いつもみんなに笑顔で接し、困っている人がいたら、助けてあげて、私はそんなあんたに憧れていたのよ!」

 

「・・・まれ」

 

「でも今のあんたはあんたは違うわ!今のあんたは官軍に恨みだけしか持たず、官軍との戦いでは村に住む人を巻き込んで、新たな悲劇を生んで、それがあなたの本当にしたかったことなの!!」

 

「黙れ!!」

 

美佳の言葉に周倉は切りかかり美佳は剣でその一撃を受け止める

 

「あんたに何が分かる!!役人だった父さんも母さんも漢王朝の文官たちにあらぬ濡れ衣を着せられ殺された!僕は官軍の連中が嫌いだ!両親を奪ったやつらが憎い!奴らへの復讐を果たす為に1人でも多くの官軍の者を殺す!たとえ民を巻き添えにしてももう僕のような奴を出さないためにも今いる官軍連中を始末する!お前がそれを邪魔するのなら・・・たとえ幼馴染でも・・・・親友だとしてもお前を・・・・・殺す!!」

 

そう言い周倉が再び振り上げて美佳に斬りつけようとしたとき・・・・

 

「全く…意味がない演説だな」

 

「っ!?」

 

誰かが間に入り周倉の一撃を剣で止める

 

「き、貴様…誰だ!」

 

周倉はその人物を睨んでそう言う。美佳はその人物に見覚えがあった

 

「あなたは・・・・・王双さん?」

 

そう、二人の間に入ったのは柳琳の部下の王双だったのだった

 

 

 



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