極道、異世界へ (カミガミ)
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一章 始まり

作文て一体どうすれば…


目が覚めると、そこは真っ白の世界だった。

「ここは..一体...」

桐生一馬《きりゅうかずま》は困惑していた。

 

確か俺はあの騒動の後に...

 

桐生は広島での騒動で死んだ身になった。そして、身を隠す為日本を転々としていた。

 

今までの記憶はある..だが...どうやってここに来たのかは思い出せない

 

桐生は今まで自分が生きてきた時の記憶はあるのだが、ここに一体どうやってきたのかは全く憶えていなかった。

 

くそ...一体どうなってるんだ...

 

「気がついたか?」

「ッ!!」

困惑していた桐生の前に一人の老人が現れた。

 

いつの間に!?いや..それよりも....

 

「お前、何者なんだ?」

「儂か?そうじゃのう...神様ってところかのう」

「神様、だと?」

「うん、そうじゃ神様」

「……」

神様、目の前の老人は確かにそう言ったが、桐生は信じることが出来ていなかった。それもそのはず、誰だって初対面の人から神様などと言われて、信じる一人などいない。

 

神様だと..何を言っているんだこの老人は...いや、もし仮にそうだとしたらここは天国なのか?..なら、俺は死んだのか?

 

「安心せい、お主は死んではおらん」

「!..俺の考えていることがわかるのか?」

「ああ、そうじゃ。」

「なぜ、分かるんだ?」

「神様だからじゃ。」

 

なるほど、どうやら本当に神様らしいな。

 

「やっと信じてくれたか。疑い深いのう。」

「すまないな、それより俺の自己紹介がまだだったな、俺は「桐生一馬、じゃろ?」 ! ……それも神様だから知ってんのか?」

「ああ、そうじゃ、いや、正確には知っていた、かな?」

「どう言うことだ?」

「儂はな、お主のことを今までずっと見てきた。」

「…何?どうしてだ?」

「それはな、お主の生き方が理由じゃよ。」

「俺の、生き方?」

「お主の生き方は不器用で、力強く、そして誰より優しく生きてきた。そういう生き方に、儂は魅了されたんじゃ。」

老人は懐かしむように桐生の生き方について語った。老人の目は何か美しいものを見て感動した時の様な目をしていた。

「…別に俺はそんな風に生きてきたつもりはない。あんたが俺の生き方に感動しているのはわかったが、俺の生き方大したものじゃない。後悔や苦しみだらけの生き方だ。…守れなかったものもたくさんある。」

桐生は強かった。しかし、そんな桐生でも守れなかったものもあった。一緒に苦難を乗り越えていこうと頑張った親友、自分を兄貴と慕いいつもついて来た可愛い弟分、それらを守れずに失うたびに桐生は後悔や自分の無力さなどに苛まれてきた。

 

俺は...伝説の極道なんて言われていたが、実際はただの弱い男だったかも知れないな..

 

桐生は改めて自分の無力さを痛感した。今でも、目を閉じ思い出す度に胸が苦しくなる。親友や弟分の顔が、瞼の裏によみがえる。

 

皆...すまな「それがどうした。」

「!」

「守れなかったものがある?当然じゃ、お主はスーパーマンでも何でもないただの人だからな。いいか?これだけは憶えておけ。お主は守る側でもあり、守られる(・・・・)側でもあるということじゃ」

「守られる…」

「そうじゃ、お主は守れなかったのではない、守られたのじゃ。自分の仲間が命を賭して、その命はお主一人の命ではない。お主を守ってくれた仲間達の分まであるのじゃよ。そのことを肝に命じておくように。」

 

そうか...俺はお前達に守られたんだな...ふっ、ありがとなお前ら...

 

桐生は静かに一笑し、自分を守ってくれた仲間達に感謝をした。桐生の目にはもう後悔の面影はなく、覚悟が現れていた。

「そうじゃよ、その目を見たかったんじゃよ。やっと、お主らしくなったな。」

「ああ、ありがとなあんたのおかげで吹っ切れたぜ。いつまでも引きずっててもしょうがねぇ。守られた分の倍は、たくさんの人を守ってやるぜ。」

「うむ…おおそうじゃった、まだお主を連れてきた目的を言ってなかったな。」

老人は思い出したようにそう言った。

「そういえばそうだったな、どうして俺をこんなところに連れてきたんだ?」

「今さっきも言った通り、儂はお主の生き方が好きでのうそれをもう一度見たいんじゃよ。」

「…つまり、あんたの我が儘の為に俺は呼ばれたのか?」

「まぁそういうことじゃ。」

「はぁ...本気かよ。せっかく良いことを言ってくれて見直していたのに。」

「まぁそう言わずに。」

桐生は呆れていた。自分の我が儘の為に人間を呼び出すそんな自分勝手な神様がいるのか、いや、いない。(反語)

そう思っていたが、まさかいたとは。

「…で?俺はどうすれば良いんだ?」

「おぉ!儂の我が儘を聞いてくれるのか?」

「そうしないと話が進まないだろ?」

「それもそうじゃな。…お主には異世界に、行ってもらう。」

「異世界?」

「あぁそうじゃ、しかもただの異世界ではなくハンターハンターの世界に行ってもらう。」

「は、はんたーはんたー?」

見知らぬ言葉に桐生はぎこちない言葉遣いでオウム返しした。まるで、中学生か苦手な英語の発音をしているように。

「まぁ知らぬのも無理もない、とりあえず行ってみれば良い。」

「ちょっと待て、そんな全く知らない世界に行って大丈夫なのか?」

「心配するな、ちゃんと向こうの世界でもすぐ対応できるように設定するからな。あと、少し体を若くする程度じゃ。それでは、行ってくるのじゃ!」

老人がそう言う桐生を指差した瞬間、桐生は一瞬奇妙な浮遊感を感じた。

「え?」

桐生が現状を理解しようとした頃には、もうすでに落下が始まっていた。

ここでようやく自分の足元に穴が空き、それに落ちたのだと理解した。

そして、桐生の周りを眩い光が現れ始めたと共に、桐生は意識を失った。

 

 

 




めっちゃ下手…
誰かアドバイス下さいお願いします何でもしますから


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二章 天空闘技場

桐生さんの服装はお馴染みのグレーのスーツです。
そして、本文を見ればわかりますが開始地点は天空闘技場からになります。早く桐生さんを戦わせたかったからです。
ちゃんとゴン達とも旅をさせたり、ハンターライセンスも取らせますので心配なく。



桐生が再び目を覚ますとそこには、とてつもなく高い建物が目の前に建っていた。

「ここが、異世界?」

 

周りを見渡すと高層ビルなどが、建ち並んだいた。

 

建物は元の世界変わっていないな。

 

桐生が周りを見渡していると桐生のスーツにポケットから、紙が擦れる音がした。

 

…ん?ポケットに何かあるな。

 

ポケットに手を入れると一枚の紙が出てきた。その紙を開くと、

 

お主がこれを見ている頃にはもう着いていると思うがそこが異世界じゃ。お主はその世界で仲間達を見つけ、旅をしてもらいたい。見知らぬ文字をあると思うが安心せい、ちゃんと読めるようにしているからの。ちなみに、目の前の建物は天空闘技場というところじゃ。金と必要な物は用意してあるが、金が足りなくなったらそこで闘って稼ぐのじゃ。それじゃ、頑張るのじゃぞ。 by神様

 

…なるほどな。天空闘技場か、俺にぴったりのところだな。金はあるが、確かにこれだけじゃ心もとないな。とりあえずは稼ぐか。

 

金を稼ぐ必要がある。そう判断した桐生は、天空闘技場に向かった。

 

 

 

「天空闘技場へようこそ。こちらに必要事項をお書き下さい。」

そう言って空欄がある髪を渡してきた。

 

…本当に見たことない字だな。けど読むことができる、これもあの爺さんのおかげか。格闘技経験か…格闘家と何度か戦ったことはあるが、学んだことはねぇな。…まぁ良い、適当に10年と書いておくか。

 

必要なところを全て書き受付に紙をわたす。

「それでは中へどうぞ。」

受付に案内された先に行くとそこには、中央に16個ものリングが設置されており、その上で男達が戦っていた。

「ここで戦うのか。」

 

賽の河原みたいなところだな。恐らくここで勝って金を稼げば良いんだな。

 

桐生が観客席から試合を観戦していると、

「1859番、1811番の方Aのリングへどうぞ。」

 

早速俺の出番か…

 

係員に案内されてAのリングまで行く。リングに上がると、桐生の向かい側に若く屈強な男が上がってきた。

「なんだよ、おっさんじゃねぇか。おいおっさん、怪我をしたくなかったらとっと帰りな。」

そう言って男は桐生を挑発してきた。

 

こいつが俺の対戦相手か…闘技場だから格闘家が相手と思ったが、街のチンピラレベルだな。

 

「お前みたいなガキこそ此処に来ない方が良いぜ、怪我をする前に家に帰ってママに遊び相手でもして貰え。格闘技ごっこなら家でもできるぜ。」

「なんだとてめぇ!!」

挑発してきた男に桐生が挑発し返すと、男はこめかみに青筋が浮かんだ。

桐生の挑発に余程腹が立ったらしい。

 

「ここ一階では入場者のレベルを判断します。制限時間3分以内に自らの力を発揮して下さい。」

そんな二人を無視して審判が説明を始めた。

 

試合時間は3分以内、その間をこいつを倒せば良いんだな。

 

「それでは始め!」

「ぶっ殺してやるぜ!!」

審判の合図と共に目の前の男が桐生に向かって突撃してきた。

男は振りかぶった右腕で桐生の顔面めがけて拳を振るってきた。

 

遅い。

 

桐生は男の右腕を避けて男の顔面を殴った。

「がはっ!!」

すると男は場外まで飛んで行った。

 

!!…今のはそれ程強くは殴らなかった筈、手加減をするのを忘れたのか?いや違う。戦って初めてわかったが、力がみなぎっている、体も軽い!まるで若い頃のように動くことができる!

 

自分の体の変化に戸惑っている桐生の脳裏からある一つの事を思い出した。

 

そういえばあの爺さんが俺を異世界に送るときに、

 

少し体を若くする程度じゃ。って言ってたな。これもあの爺さんの仕業か…

 

「うお!まじかよ….」

「.一発で場外まで…」.

桐生の力に観客席がどよめく。

「…1859番、キミは120階へ。」

審判がそう言い、手に持っていた機械に操作すると、レシートのようなものが出てきた。

「頑張って下さい。」

「あぁ、ありがとう。」

審判から差し出された紙を受け取りその場を去る。

「こちらへどうぞ。」

係員に案内されてエレベーターに乗る。

「このビルでは200階までは10階単位でクラス分けされています。つまり、50階クラスの選手が一勝すれば60階クラスは上がり逆に敗者は40階クラスへ下がるシステムです。ちなみに、100階クラスになると専用の個室が用意されます。なので、キリュウ様の個室は既に用意されています。」

 

なるほど…そういうルールなのか。個室が用意されているのはありがたい。これで、宿に泊まる必要がない。

 

「120階でーす。キリュウ様は受付までファイトマネーを受け取りに行って下さい。」

 

ここが120階か、とりあえずファイトマネーを受け取りに行こう。

 

「いらっしゃませ。キリュウ様ですね。個室の鍵とファイトマネーです。」

「ありがとう」

鍵とファイトマネーを受け取る。

「ファイトマネーは、約缶ジュース一本文か…まぁ、一階だからな。

さてと、用意された個室へ行くか。」

 

受け取ったファイトマネーを持ち、個室へ向かった。

「ここが俺の部屋か。これで宿の心配は無いな。金は明日からまた戦って稼ごう。今日はひとまず休むか。」

 

 

 

 

「両者構え!始め!」

次の日、桐生は金を稼ぐ為闘技場で戦っていた。

 

120階って言っても強さは大して変わらないな。…それにしても改めて動くと本当に力がみなぎるな。これなら若い頃のように力強く、殴る!

「ぐわっ!」

桐生の左フックが相手の顔面に刺さり、体勢が崩れる。

「おらぁ!」

その隙をついて、さらに右アッパーで攻撃した。桐生のアッパーをもろに受けた相手はそのまま場外まで飛んでいった。

「ダウーン!キリュウ選手のアッパーをくらってしまい一発KOー!!キリュウ選手の一発KO勝ちー!!」

観客席から大きな声援が上がる。

 

…今の動きで思い出したぜ。若い頃の喧嘩のスタイル、チンピラスタイルを!!

 

「ファイトマネーは指定口座に振り込みました。」

 

すごいな…一戦するたびにこれだけの額が貰えるのか。これなら金の方は問題なさそうだな。

 

「ダウーン!キルア選手またしても一発KO勝ちぃー!おっと、隣の会場ではゴン選手がこれまた一発KO勝ち!!これで二人とも三日前に参加以来6戦連続無傷の勝利です!!」

 

そういえばあの少年たちもここ最近連勝しているな、子供ながら中々やるようだな。もしかしたら、いつか戦うかもな。

 

 

「さぁー始まりました!今回、対戦する選手は、圧倒的な力で対戦相手を一発KOで倒してきたキリュウ選手ー!!対するは、華麗なボクシングで相手を翻弄しキリュウ選手と同じく一発KOで勝ってきたギル選手ー!!」

 

 

 

「両者構え!始め!」

 

今日の対戦相手はボクサーか…相手のペースに飲まれないようにしないとな

 

キリュウとギルがお互いじりじりと間合いを詰める。

「キリュウ選手とギル選手お互い間合いを計っております!」

 

…間合いに入った、相手はまだ出さないか、ならこっちから行くぜ!

 

「おらぁ!」

桐生の右の拳がギルの顔面めがけて襲ってきた。ギルはその攻撃をダッキングでかわして、空いている桐生の右の脇腹にボディを入れようと左のパンチを繰り出した。桐生はそのパンチを右腕を引いて肘で受けギルの顔面めがけて今度は左の拳を振るった。しかし、ギルはその攻撃も体を後ろに引くことでかわした。

「おぉーっと!!お互い激しい攻防を繰り広げています!!」

桐生とギルの激しい攻防により、会場の熱気はヒートアップしていた。

 

…ちっ、厄介だなあのボクシングのスタイルが。今の俺のチンピラスタイルとでは相性が悪いな。

 

「ふっ、俺とお前じゃ相性が悪いな。ボクサーの俺からしたらパンチの威力は大したものだ、だが、動作が大きいうえにスピードが足りないな。そんなんじゃ、いつまで経っても俺に拳は当たらないぜ。」

「……」

「まぁ心配すんなよ。楽に倒してやるから、よ!!」

ギルが一気に桐生の間合いまで詰めて、そこからシャブを放ってきた。

桐生はそれを腕でガードしたり、かわしながら凌いでいる。

「ここで一気にギル選手が畳み掛けたー!!素早いシャブです!キリュウ選手これをなんとか凌いでいます!」

「どうした!?避けてばかりじゃ倒せないぜ!」

「……」

桐生はギルの攻撃をさばいて、ギルの顎が空いた瞬間にアッパーを放った。しかし、ギルはこれも素早く体を引いて避ける。

「だからって、攻撃しても倒せないがな!」

ギルはまたもや素早い攻撃繰り出し、桐生はそれを避ける。

 

「キリュウ選手防戦一方ー!!やはりキリュウ選手もギル選手のボクシングスタイルについていけないのかー!?」

(ちっ!中々しぶといな、上手く攻撃を防いでポイントがとれねぇ。)

すると、桐生が突然大きく後退して間合いを取った。

「…なるほどな。そうだったか。」

「あぁ?何納得してんだ?」

「いや、納得したんじゃねぇ、思い出したんだよ。」

「はぁ?何わけの分らねぇこと言ってんだよ!」

ギルが再び間合いを一気に詰める。

 

「ギル選手ここで勝負をかける気かー!?」

(さぁ!攻撃を打ってきな!そののろい攻撃をかわして、カウンターを入れてやるぜ!)

桐生は間合いを詰めてきたギルを迎え撃とうと構えをとったが、攻撃を出す気配がない。

(何もださねぇのか?ならその顔にストレートを打ち込んでや…っ!?)

ギルが攻撃を繰り出そうと思考している最中に突然、顔に衝撃が受けた。

「クリティカル!2ポイント!キリュウ!」

(ポイントッ!?なんだ!?攻撃したのか?いつ?!いや、それよりも…)

ギルの目の前には右ストレートを放とうとしている桐生が見えた。

(後ろへ、回避を…!)

ギルは慌てて後ろに下がり、なんとか桐生の攻撃をかわした。

「てめえ!一体何を…!?」

ギルは桐生の姿を見て思わず目を見開いた。なぜなら、桐生は両手の拳を顎の高さぐらいまで上げ、軽やかにステップを踏んでいたからだ。

 

「その構え、てめえもボクサーだったのか!?」

「何と!これまで力のみで戦っていたキリュウ選手がボクシングの構えをしています!キリュウ選手、実はボクサーだったのかー!?」

 

…やるのが久しぶりだから、あいつの動きを観察しながら思い出していたら時間が掛かっちまったぜ。ラッシュスタイル!

 

そう、桐生は攻撃を避けていたのではない、観察していたのだ。ラッシュスタイルを思い出す為に。

 

「いや、俺のはボクシングとは少し違ぇぞ。」

「何?一体どこが…」

「気になるならかかって来いよ、その身に教えてやるぜ。」

「てめえ!調子に乗ってんじゃねぇ!!」

ギルは今までと同じく素早いジャブを放つ。しかし、

「おぉーっと!キリュウ選手、ギル選手のジャブをことごとく避けていくー!」

当たらない。

 

「なっ!?」

(バカな!?ボクシングで俺より上だというのか?!)

「シッ!」

ギルがジャブを放とうとした瞬間、桐生はギルの顔面にジャブを繰り出した。

(…っ!見えねぇ?!しかも、重てえ!)

「クリティカル!3ポイント!キリュウ!」

「キリュウ選手またしても的確に攻撃を当てて、ポイントを稼ぐー!ギル選手は残り5ポイント取られると、TKOで負けになります!」

(くそっ!不味い、このままじゃ、ポイントを取られて負けてしまう!)

 

「どうした?自慢の素早い攻撃で当ててみろよ。」

「てめえ!ぶっ殺す!!」

桐生の挑発にギルの苛立ちが爆発した。ギルは怒りに任せて攻撃を繰り出す。

「ギル選手まるでマシンガンの様にパンチを放ちます!しかし…」

(当たらねぇ!?)

それでも、ギルが狂った様に打つパンチを全て桐生は避ける。そして、ギルの攻撃を掻い潜って放った、桐生の左のフックがギルの顔面を捉えようとしていた。

 

(不味い!!避けねぇと!)

ギルが左のフックをダッキングで避けようしたとき、桐生が左腕を引いて右腕でボディを放った。

(っ!左はフェイント、本命はこっちか!)

ギルが桐生のボディを防ぐため左腕を下げた瞬間、

「シッ!」

ギルの右のこめかみに強い衝撃がはしった。

「がっ!?」(何だ!?!何を…!)

困惑したギルが見たのは右脚を上げている桐生の姿をだった。

「て…めぇ…ボクシングなのに、ハイ、キックだと、」

ギルはそれを言い終える間も無く、力尽きた。

「言っただろ。俺のはボクシングとは少し違うと。俺がやっていたのはボクシングじゃねぇ、喧嘩だ。」

「ギル選手KO!キリュウ選手の勝利!!」

「なーんと!!キリュウ選手がボクシングでギル選手を翻弄しているかと思った瞬間、まさかのハイキックー!!キリュウ選手KO勝ちー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリュウ、か…くっくっくっ…♣️彼は、格別に美味しそうだなぁ♥️」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハイ、ということで
桐生さん、チンピラスタイル、ラッシュスタイル開眼!!
まだまだ桐生さんの強さを伝えきれてないので、もう少し頑張らないとなぁ。


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三章 ピエロ

必須タグの報告と感想ありがとうございます。
自分はまだ初心者なので指摘がえるとありがたいです。
それと感想もとても励みになりました。


「おらぁ!」

「がはっ!」

「ここでキリュウ選手の右ストレートがダンボ選手の顔にクリーンヒットォォー!!ダンボ選手KO!キリュウ選手の勝利です!!」

 

「シュッ、シュッ!」

「ぐはぁ!?」

「キリュウ選手、今度はジャブからアッパーへのコンビネーションが炸裂ぅー!サダム選手KO!キリュウ選手またもや勝利!!荒々しい喧嘩の様な戦い方で相手を圧倒したかと思えば、今度は華麗なボクシングで相手を圧倒しました!キリュウ選手の強さはこの二つの戦闘スタイルにあります!キリュウ選手これで6連勝です!200階まであと少しです!」

 

チンピラスタイルとラッシュスタイル、両方の戦い方にだいぶ慣れてきたな。これで180階、200階まであと少しか。

 

桐生は120階に上がってからは順調に勝ち星を増やしていき、今では、180階まで達していた。しかし、今の桐生には一つ悩みがあった。それは、

 

…あと一つ、確か別のスタイルがあったはずだ、それがはっきりと思い出せねぇ。

 

そう、3つ目のスタイルのことである。桐生が若かった頃は、チンピラスタイルとラッシュスタイルそれとは別に、もう1つのスタイルがあったのだ。桐生はそのスタイルを、うっすらと覚えているが明確に思い出せずにいた。

 

まぁ良い、取り敢えず自分の部屋に戻るか。

 

 

 

試合の後、桐生は自分の部屋に向かっていた、が、

 

()けられてるな。

 

桐生は尾行されていた。

 

俺が目的か?…何にせよこのままじゃ埒があかねぇ。

 

 

桐生は足を止め振り返り、

「おい、そこにいるのは誰だ?俺に用があるならとっとと出てきやがれ。」

と、恐らく廊下の曲がり角にいるであろう桐生を尾行する何者かに声をかけた。

 

 

すると、そこから

「やっぱり…♣️気づいていたんだね♥️」

ピエロの様な格好をした男が現れてきた。

「お前、一体何者だ?」

「ボクの名前はヒソカ♦️ただのピエロさ♥️」

ピエロの様な格好をした男はそう名乗った。

「ただのピエロが俺に何の用だ?」

「別に大した理由はないけど、強いて言えば確認、かな?」

「確認だと?」

 

ヒソカの言葉に桐生は首を傾げた。

「そう、確認♠️君がどれほど実力者なのか確認しに来たんだ♣️」

 

俺の実力を測りにきたのか…?一体何が目的だ?

 

「どうしてそんなことをするんだ?」

桐生はヒソカに問う。

「理由は簡単♠️君と戦うためさ♥️」

「俺と、戦う?」

「そうだよ♦️本当は君とは別の人達と戦いにここに来たんだ♠️けど、そこに君が現れた♣️ボクは戦闘が好きでね、特に強者との戦闘は尚更ね♥️だから、君と戦いたいんだ♦️」

 

「お前が戦闘狂なのはわかった。だが、どうして俺なんだ?強い奴ならほかにいるだろう。」

「確かにね♠️強い奴らは他にもいたよ、けど、その中で特に君は”ネン”の使い方が上手かったんだ♣️」

「ネン?ちょっと待て、ネンっての何だ?」

「…!」

桐生の言葉にヒソカは眉をひそめた。

 

「…君、ネンを知らないのか?」

「あぁ…そうだが?」

「……」

すると、ヒソカは顎に手を当て何か考え込む様な姿勢をとり、そこから動かなくなった。

「…?おい、どうしたんだ?」

動かなくなったヒソカに声をかける。

「くっくっくっ…♠️そういうこともあるのか♥️」

しかし、かえってきたの返事ではなく、楽しそうに笑う声だった。

「よし、君とは戦うのは君が200階に来てからだね♠️それじゃあ楽しみにしてるよ♥️」

 

「おい!ちょっと待て!俺は戦うなんて一言も言ってねぇぞ。」

その場から去ろうとしていたヒソカに、桐生が言う。

「ん?確かにそうだね♣️けど、戦わないなんて言葉も言ってないでしょ?」

「…ちっ、わかったよ。」

このまま話をしていてもキリがないと察した桐生は、渋々ヒソカの申し込みを受け入れた。

「それじゃあ200階で♥️」

こちらに手を振りながらヒソカは去っていった。

 

「君の悪りぃ野郎に目をつけられてしまったな。」

桐生は少し気分が憂鬱になりながら部屋に戻っていった。

 

 

 

その数日後

 

「キリュウ選手勝利ー!190階をクリアー!!」

 

ついに200階か…

 

桐生は200階に行くため、エレベーターに乗っていた。

 

…あいつと戦うのか。

 

脳裏に蘇るのは、ヒソカの愉快そうな顔。

桐生がそんなことを考えているとエレベーターがいつの間にか200階に着いていた。

 

ここが200階か。

 

桐生がエレベーターから降りたと同時に、隣のエレベーターから少年が二人降りて来た。

 

一人はツンツンした黒髪の少年でもう一人は、銀髪でつり目の少年だ。

そして桐生には、その少年たちに見覚えがあった。

 

あの少年たちは確か…

 

桐生が少年たちを見ていると、向こうも桐生に気づいたようで黒髪の少年が「あっ!」と声を出していた。

すると、少年たちは桐生に近づいて来た。

 

「おじさんって確かキリュウさん、でしょ?」

黒髪の少年が聞いてきた。

「あぁそうだ。お前たちは確か…ゴンとキルア、だったか?」

桐生は数日前にテレビでこの二人を見たことを思い出した。

 

黒髪の方がゴンで、銀髪の方がキルアだったな。

 

「あぁ、そうだぜ。あんたも200階に来てたんだな。」

「まぁな、そっちももう200階か中々やるな。」

「えへへ、まぁね。」

桐生の言葉にゴンは照れ笑いをした。

「おい、ゴンとキリュウ、話は後でも出来るぜ。とっとと受付に行こうぜ。」

「その通りだな、早く行こうか。」

ゴンとキルアと桐生は廊下進んでいった。

 

しかし、廊下進んでいるとゴンとキルアの足取りが重くなっていることに桐生が気づく。

「どうした?ゴン、キルア。」

心配して桐生が尋ねる。

 

「いや、なんでもないよ…」

ゴンはそう言ってはいるがとてもそうは見えなかった。進むに連れて冷や汗も噴き出している。それはキルアも同様だった。

「何でもないってことはねぇだろ。気分が悪いのか?」

「いや、大丈夫だ。さっさと行くぜ。」

「おいっ」

ゴンとキルアが桐生の制止を振り切り進もうとする、が、

「くっ!」

 

苦しそうな表情をして、足が止まってしまった。

「おい!やっぱり大丈夫じゃあないのか?一体どうした?」

桐生が慌てて駆け寄る。

 

怪我をしているのか?けど、外傷はどこにもない。

 

ゴンとキルアの身体を見るが、目立った外傷はない。

「キリュウさんは、殺気を感じないの?」

「殺気?」

ゴンが苦しそうに桐生にそう尋ねた。しかし、桐生にはゴンの言うような殺気は感じていない。

 

’殺気?…ゴンとキルアだけが感じているのか、仮にそうだとしたら一体誰が?

 

桐生は今の状況が飲み込めずにいた。

すると、キルアが

「おい!!一体だれだ!?そこにいる奴出てこいよ!!」

と何者かの気配を察知したのか廊下の奥にむかって叫んだ。

 

するとそこから一人の女性が出て来た。

 

あの女は受付か…

 

「キルア様とゴン様とキリュウ様ですね、あちらに受付がございますので今日中に200階クラス参戦の登録を行って下さい。」

受付の女性は淡々と説明を始めた。

「今夜の0時を過ぎますと登録不可能になりますので御注意下さい。ちなみに200階クラスには現在173名の選手が待機しております。また、このフロアからあらゆる武器の使用が認められますのでお持ちになればどうぞ。」

 

「この殺気…あいつかな?」

「わかんねー」

ゴンとキルアは未だに殺気を感じているせいか、受付をも警戒していた。

「また、このクラスからは原則としてファイトマネーはなくなります。名誉のみ戦いとなりますので納得された上で御参加下さい。」

しかし、受付は不審な行動はせず、説明をしているだけだった。

 

 

ゴンとキルアは受付を警戒しているが、恐らく殺気を放っているのはあいつじゃないだろう。

 

桐生は受付が不審な行動していないのでそう確信していた。

「! おい」

その時キルアがまた何かを察知したのかゴンと桐生に呼びかけた。

「どうした?キルア」

「もう一人誰かいる。」

キルアは受付の所から目を離さずに桐生の言葉に応答した。

 

桐生もキルアが注目している場所を見る。

すると、そこから現れたのは、

「♣️」

「お前は…」

「「ヒソカ!!?」」

数日前桐生のもとを訪ねたピエロのような男、ヒソカだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はちょっとキリが悪いまま終わってしまいました。うーん、文章が上手くならない。
どなたかアドバイスなどくれれば幸いです。


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四章 念

最近用事立て込んでしまい遅くなってしまいました。
申し訳ありません。

今回は桐生さんの設定に触れます。



「お前は…」

「「ヒソカ!?」」

ヒソカの姿を見てゴンとキルアは驚いていた。

 

「ん?ゴン達もあいつを知っているのか?」

ゴンとキルアがヒソカの名前を叫んだことを聞いた桐生が、ゴンに怪訝そうに尋ねた。

「うん、ちょっとした因縁があったね。天空闘技場(ここ)にきた目的もヒソカとの戦いに備えて強くなる為なんだ。ていうか、キリュウさんもヒソカを知っているの?」

今度はゴンが質問をした。

 

「ああ、俺は数日前にあいつに目をつけられてしまってな。ゴンと同じように俺もあいつと戦うことになっているらしいんだ。」

桐生は数日前のことを思い出しながらゴンとキルアに説明した。

「そういうことか、ところで何でお前がここにいるんだ?」

桐生の説明を聞いたキルアが緊張した声でヒソカに尋ねた。

「別に不思議じゃないだろ?ボクは戦闘が好きでここは格闘の中心地だ♦️君達こそ何でこんなトコにいるんだい?……なんてね♥️もちろん偶然なんかじゃなく君達を待っていた♦️」

ヒソカの言葉にゴンとキルアの顔が強張らせる。

 

「電脳ネットで飛行機のチケットを手配しただろう?あれはちょっとした操作で誰が何処へいつ行くのかが簡単に検索できるんだ♣️あとは私用船で先回りして空港で待ち後を尾けた♥️ここに来るのは予想できたがね♦️

一つ、予想外のこともあったけどね♠️」

ヒソカは桐生に目を向ける。

 

「まあそれは置いといて、ここの先輩としてゴンとキルア(きみたち)に忠告しよう♥️このフロアに脚を踏み入れるのは」

ヒソカが右腕を突き出し、

「まだ早い♠️」

手を振るった。

 

突如、ゴンとキルアキルアが何か衝撃を受け大きく後ろに吹き飛んだ。

桐生も衝撃を受けたが、その場で踏みとどまることが出来た。

 

何だ?今のは!?

 

桐生は突然受けた衝撃に困惑していた。

「出直したまえ♣️とにかく今は早い♦️」

「ざけんな!せっかくここまで来たのに……!!」

キルアがヒソカの言葉に反論しようとした時、ヒソカが再び右腕を突き出すのを見て口をつぐんだ。

 

「通さないよ♠️ってか通らないだろ?」

「「ぐっ…」」

「ゴン!キルア!」

ゴンとキルアはまた殺気のようなナニカを受けて苦悶の表情を浮かべる。

「ヒソカ!ゴンとキルアに何をした?」

「…本当に知らないんだね♣️」

「何のことだ?」

「そのことについては後ろのその人に聞けばわかるかもね♥️」

「後ろ?」

「無理はやめなさい。」

 

後ろから男の声が聞こえた。

桐生が後ろを振り向く。

そこにはシャツが出ていて眼鏡をかけている男がいた。

 

誰だ?こいつは……

 

「ウイングさん?!」

ゴンが驚いた表情で男の名前らしきことを言った。

「ゴン、こいつを知っているのか?」

「うん、少し前に知り合ったんだよ。」

 

ウイングって言うのか…

 

「彼の念に対し君達はあまりに無防備だ。極寒の地で全裸に凍えながらなぜつらいのかわかっていないようなもの。これ以上心身に負担をかけると死にかねないよ。」

「これが燃だと!?あいつが通さないって思うだけでこうなるってのか!?ウソつけ!!」

「はい、あれはウソです。」

ウイングとキルアが話をしている最中、桐生はあることが気になっていた。

 

「ちょっと待ってくれ、あんたもしかしてネンってやつを知っているのか?」

ウイングとキルアが口々に言っていたネン、と言う言葉である。

 

ヒソカも言っていたな、一体何なんだネンってのは?

 

「あなたは確かキリュウさん、でしたね?」

「俺のことを知っているのか?」

「ええ、ここではちょっとした有名な人ですからね。それに…」

ウイングは話すのをやめ、桐生を見つめる。

「どうしたんだ?」

「いえ…それよりも先程のキリュウさんの質問を聞く限りあなたはネンについては知らないんですか?」

 

「ああ、そうだ。」

「やはり……ではキリュウさんもゴン君とキルア君と一緒に念について教えます。だからひとまずここから退散しましょう。」

時計のデジタル音が静かになった廊下に響く。時刻は8時20分。

「もし…今日、登録できなかったとしたらオレ達どうなるの?」

ゴンが受付嬢に尋ねる。

 

「ゴン様とキリュウ様はまた1階から挑戦し直していただけます。ただ…」

「ただ…?」

「キルア様は以前登録を断ってらっしゃいますから、また未登録という形になりますと登録の意志なしとみなされ参加自体不可能となってしまいます。」

 

ここは一度退いた方が良いな……

 

桐生はゴンとキルアの様子を見ながらそう思った。今のままでは200階に行くどころか、この廊下を渡ることも出来ないと判断したのだ。

 

「ゴン、キルアここは一度退こう、そして、0時までに戻って来るんだ。ネンを覚えて。」

桐生の提案にゴンとキルアは頷いた。

「ウイング、俺達にネンを教えてくれ。」

「ええ、わかりました。それでは私の部屋に行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

「これが、念…」

桐生は目の前の光景を見て驚いていた。そこには本来花瓶に入っているはずの花が、花瓶に突き刺さっているという異様な光景だった。

 

「念とは体からあふれ出すオーラと呼ばれる生命エネルギーを自在に操る能力のこと!生命エネルギーは誰もが微量ながら放出しているがそのほとんどはたれ流しの状態になっている。これを肉体にとどまる技術を纒と言います。これによって肉体は頑強になり常人よりはるかに若さを保てます。」

「念を覚えればあの嫌な感じがしなくなるの?」

ゴンが廊下での出来事を聞く。

 

「はい、あれはヒソカの念を受けていたのです。念の使い手から身を守る方法は一つだけ、自分も念の使い手になり纒による防御で防ぐことです。」

「だからあんな感じかしたのか。」

「あれ?でもキリュウさんはあの嫌な感じはしなかったんだよね?」

「ああ、俺は何も感じなかったぜ。」

そう、ゴンとキルアがヒソカのオーラを当てられて苦しんでいた時、桐生だけはヒソカのオーラに反応していなかった。

「ってことは……」

考えうる可能性は一つ。

 

「そうです、桐生さんはあの時纒をしていたのです。」

桐生が念を使っていたということ。

「纒をしていた?つまり、俺はあの時念を使っていたのか?」

「はい。さらに言えば念を使っていたのはあの時だけではなく、今までの試合の中でも使っていました。」

「試合の中でも?…だからあんなに力が漲っていたのか。」

 

あの時、俺だけがヒソカのオーラを防いでいたのはわかった。しかし……

 

桐生はウイングの説明を聞いたが納得していなかった。なぜなら、桐生はついさっきまで念を知らなかったからだ。

「ウイング、俺はさっきまで念を知らなかったんだぞ?その俺がなぜ念を使えるんだ?」

「キリュウさんが不思議がるのも無理はありません。恐らくキリュウさんは今まで念を無意識に使っていたんだと思います。」

「念を、無意識に?どういうことだ?」

 

「そもそも念という力は誰もが内に秘めている力のこと。眠れるこの力を目覚めさせる方法は二つ、ゆっくり起こすか、ムリヤリ起こすか、です。しかし、キリュウさんの場合このどちらかで念を目覚めさせたという可能性はありません。なぜなら、このどちらかで目覚めた場合オーラを視認できるからです。オーラを視認出来ていないキリュウさんがこのどちらかの方法で目覚めたとは考えられない。」

「ちょっと待ってくれ。」

桐生が止まることなく説明をするのウイングを止める。

 

「すまないが簡潔に言ってくれ。」

「つまり、キリュウさんは生まれつき念を使えていたという風に考えるのが自然です。」

「「生まれつき?!」」

ゴンとキルアは驚いていた。

「そんなことがあるのか?」

桐生は信じられない様子でウイングに尋ねた。

 

「……正直なところ私もはっきりと断言できません。しかし、キリュウさんなら少しは心当たりがあるんじゃないですか?今までの人生の中で他の人とは違っていたところが。」

 

他の奴らと違ったところ……

 

桐生は今までの人生を振り返っていた。そして、一つだけ違っていたところを見つけた。

 

喧嘩の強さ、か?

 

桐生が他の人と違っていたところそれは喧嘩の強さだった。

今まで桐生は数え切れないほどの敵と戦ってきた。大人数や武器を持った相手、さらには銃を持った相手とも戦ってきた。そんな相手と戦うことはあったがどれも負けたことは無かった。

それは年をとっても変わらなかった。

 

今まで俺が喧嘩で負けなかったのは念を無意識に使っていたからなのか?

 

念を使えば体は頑強になり常人よりも若さを保てる、というウイングの説明を思い出した。

 

「今の説明を聞いて納得してくれましたか?」

「……ああ」

「話は終わった?」

桐生が説明を聞き終わると同時にゴンが尋ねてきた。

「話が終わったんなら早く念を教えてくれないかな?時間が無くなっちゃうしさ。」

キルアが時計に目を向けながらそう言った。

 

「ええ、わかりました。念を目覚まさせる方法はさっきも言った通り二つあります。ゆっくり起こすか、ムリヤリ起こすか、ですが、今回の場合は時間がありません。なので、ムリヤリ起こします。」

「ムリヤリってどうやって?」

「簡単です。これから君達に私のオーラを送ります。」

ウイングの言葉にゴンとキルアの表情が険しくなる。先程のヒソカのオーラを連想したからだ。

 

「もちろん君達の体を壊すことが目的じゃないので、手加減はしますが荒っぽい方法であることに変わりはない。この方法は眠っている体に喝を入れて纒をおこしやすい状態にする。”眠っている”とは体中の精孔という孔が閉じきっていてオーラがうまくめぐっていない状態のこと。私のオーラを君達の体内に一気に送ることによって精孔をこじ開けます。」

ウイングがゴンとキルアと桐生の背後にまわる。

そして、両腕を突き出した。

「キリュウさんにもオーラを送ります。オーラを視認出来ていないと言うことは目の精孔だけが開いていないかもしれないので、開くことによってオーラを視認できるようにします。」

 

 

「「っ」」

ゴンとキルアの頰がピクリと動く。

「感じましたか?オーラを。」

「うん、なんだがすごく熱くなってるよ。」

「見えないぶよぶよがまとわりついてる感じだ。」

「素晴らしい感性です。では、行きますよ。」

ウイングが一呼吸置く。そして、目をカッと見開いた。

 

次の瞬間、ゴンとキルアと桐生の背中に衝撃が走った。

「「おお!?」」

「これは……」

それと同時に驚いていた。なぜなら視えているからである。ゴンとキルアから迸っているオーラを。そして、桐生自身のオーラも。

「まるで湯気だ!そう!蒸気みたいだ!」

「全身から思いっきり立ち上ってるぜ!!」

 

これが、オーラ……

 

桐生も自身が纏っているオーラを視て驚いていた。

 

「いいですか?オーラを体にととめようと念じながら構えて下さい。目を閉じてどんな(ポーズ)でもいいです自分のイメージしやすい構えで!!」

ウイングの説明を聞いたゴンとキルアが、肩の力を抜き脱力した自然体だ構える。

「そして、オーラが血液のように全身をめぐっているよう想像してください。目を閉じて頭のてっぺんから右の肩、手、足と通りそして左側へ…

そして、その流れが次第にゆっくりととまり…体の周りでゆらいでいるイメージを思いうかべるのです。」

ウイングが説明を終える瞬間には、ゴンとキルアはオーラを身に纏っていた。

(なんて…子供達だ。)

そのあまりの習得の速さに冷や汗をかいていた。

 

「もう習得したのか、早いな。」

ゴンとキルアが桐生に目を向ける。

ここでゴンが疑問を覚えた。

「あれ?キリュウさんも纒を覚えたの?」

桐生のオーラは淀みなく桐生の周りをめぐっていたからである。

 

「いや、俺はオーラが見えるようになった時にはすでに纒をやっていたんだ。」

「そうか、キリュウはオーラが見えていないだけで元々纒は出来ていたのか。」

纒を行なったまま話をしているゴンとキルアの様子を見てウイングが納得したように頷いた。

「うん、イメージはしっかりと待ち続けていますね。では ……」

ウイングのオーラが大きくなる。

 

「これからゴン君とキルア君に敵意をもって念を飛ばします。無事防げれば彼の念の壁も破れるでしょう。」

ゴンとキルアが身構える。

「行きます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

200階の廊下で座っているヒソカの前にゴンとキルアそして桐生が姿を現した。

三人はヒソカの方に歩く。ここでヒソカが念を飛ばす。が、今度は怯むことなくゴンとキルアは念の壁を突破した。

ゴンとキルアを横目で見ていた桐生も若干の安堵を覚える。

「流石だね♥️もう纒を覚えたのかい?……キリュウも念が視えるようになったんだね♦️」

「ああ、まあな」

「まさかそっちから現れるとは思わなかったよ。手間がはぶけた。」

纒を覚えて自信がついたのかゴンは強気にヒソカにそう言った。

「くっくっく♥️纒を覚えたくらいで調子に乗っちゃダメだよ♦️念は奥が深い♣️」

ヒソカが両手の人差し指を立てるとそこからオーラが出てきた。オーラは最初はハートの形を作り徐々に形を変えてどくろの形になった。

 

「はっきり言って今のキミと戦う気は全くない♠️」

ヒソカが立ちあがりながら言った。

「だが、このクラスで一度でも勝つことができたら相手になろう♥️キリュウとの戦いはそのあとにやろう♦️」

言い終えるとヒソカは背を向け廊下の奥へ消えていった。

 

 

 

 

 

ゴン、キルア、桐生共に200階クラス到達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、というわけで桐生さんは今まで無意識に念を使っているという設定にしました。
自分的には桐生さんの化け物具合をみて考えた設定です。
しかし、色々と足りていないところがあるかも知れません。

今回の話をみて指摘する点があればどうぞして下さい。


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