思いつきシリーズ (ベンジャー)
しおりを挟む

ニュージェネクロスシリーズのキャラ設定集(随時更新)

来元(らいもと) コウマ/ウルトラマンギンガ

年齢15歳(無印)

性別男

一人称は「俺」

イメージCV 柿原徹也

誕生日は7月10日。

夢バカ

夢は冒険家になって貧しい国で暮らす人達と仲良くなり、その人達を笑顔にすること。

戦姫絶唱シンフォギアGingaの主人公。

中学時代は響と未来と同じ中学であり、曲がったことが大嫌いな彼は未来と同じく学校でいじめられていた響を支えており、響や未来とは比較的に仲が良い。

中学卒業後、海外へと両親と共に旅立ったが、すぐにギンガスパークに呼び寄せられて一時帰国し、実家の神社でギンガスパークを見つけてそこでタロウと出会い、タロウの頼みを聞いてスパークドールズ探しを手伝うこととなる。

その際にもダークライブした人間と戦ったこと、タロウに鍛えられたことからそれなりに戦えるようになっている。

それと女子高である筈のリディアンに何回か当たり前な顔して普通にいたりするが一応の許可は取っている模様

ただし響と未来が話し合っている時などに自分も会話に参加しているのにも関わらず、2人からは存在を気付かれていないというパターンが多い。

自分の持つ「夢」というものをとても誇りに想っており、そのことから夢を否定するクリスや零無とは幾度もぶつかりあったが……後に和解し、特にクリスとは関わる内にその中で互いに惹かれあい、最終的に恋仲となった。

S&GXでは一応は正式にS.O.N.G.のメンバーになったようでその中で設立された主に怪獣や宇宙人に対抗するためのチーム「UPG」に加入する。

そのため今回は完全に日本に帰国して高校に通っている。

キャラクターのモデルになったのはグレンラガンのシモン。

 

 

 

 

諸星 零無 (もろぼし れいむ)/ウルトラマンビクトリー/ウルトラマンゼロ

/ゼロダークネス/ウルトラマンゼロ・アーリースタイル

年齢16歳。(G時点)

性別 男

一人称は「俺」

イメージCV 岡本信彦

誕生日は7月15日

ポンコツ

「G」編以降のもう1人の主人公であり、その昔はマリアの実妹であるセレナに好意を持っており、彼女に告白することが自分自身の「夢」となっていたがセレナが死んでしまったために「夢を持たなければこんなにも辛い想いをすることはなかった」と思うようになってしまい、その上彼女を守れなかった後悔もあって夢を否定するようになってしまった。

しかし、それでも尚セレナのことは引きずっており、彼女の映っている写真を持ち続けている。

ダミースパークを使ってゼロダークネスへと変身するが……原作と同様の能力や戦い方などは行えるものの戦闘力がかなり落ちてしまっている。

それでもギンガとほぼ互角に戦えるくらいの戦闘力は持っており、コウマとは何度も激突している。

尚、ウルトラマンダーク、ウルトラセブンダーク、初代ウルトラマンやウルトラセブンにもライブしたことがある。

またマリア達同様に根っからの悪人ではなく、ウェルが殺そうとした子供たちを庇ったり、暴走する響を止めようとしたり、マリア達仲間を本当に大切に想っていたりと悪人としては不向きの性格をしている。

尚、切歌に不意にキスされたのを切っ掛けに段々と彼女をなによりも大切に想うようになり、コウマ達との関わりあいなどもあり過去のことを完全に吹っ切れさせ、「新しい夢」を見つけ出すことができた。

ちなみに最初の頃はクールキャラぽかったのだが後にあれは「どうせ悪役に徹するならクールキャラっぽくしよう!」という高校デビューならぬ悪役デビューのノリで行った演技である。

またうっかりとマリア達がシャワーしているところを目撃してしまったりネフィリムのことを可愛いと言ったり、コウマに「お前と馴れ合うつもりはない」と言いつつその前に一緒に仲よさそうにラーメン食べてたりと地味に残念な部分が目立つポンコツである。

「S&GX」では遥か昔、彼の両親ビクトリアンがビクトリアン同士の争いからビクトリーランサーと共に守るため、現代に送られた地底人であることが判明し、事情をナスターシャから聞かされていたマリアからビクトリーランサーとビクトリウムの石でできたペンダントを渡され、ウルトラマンビクトリーへと変身した。

尚、この頃には既に切歌とは交際しているのだが……割と彼女である筈の切歌から結構厳しい態度を取られることもしばしば。(これはマリアや調も同様)

コウマと同様に「UPG」に加入する。

尚、彼もまたコウマと同じ高校に通っている模様。

 

 

 

 

 

西崎 夜空(にしざき よぞら)/ウルトラマンエックス

年齢 25歳

性別 男

一人称は「俺」

誕生日は7月14日。

提督。

イメージCV 古川慎

このシリーズの新世代組の中では紅葉や番外編のキャラのような例を覗けば最年長。

数ある鎮守府の1つに所属する提督の1人。

性格は基本的には真面目で部下想いな人物であり、艦娘たちからの信頼も厚く、艦娘たちのことを兵器としては考えず過去のこともあり彼女たちのことは自分の「家族」として扱っている。

そのため彼女たちを傷つける者に対してはよく激怒することも多い。

大空 大地と同様に両親は行方不明となり、両親を探すため怪獣達、深海凄艦などの共存を目指すため、また艦娘達を守るために提督になった。

と言っても両親が行方不明になったのは実は提督に着任したばかりの頃である。

尚、提督に着任したての頃は基本的な鎮守府と同様に駆逐艦だけではなく空母や戦艦も所持している鎮守府にいたのだが様々な事情により風上 光が務めていた鎮守府に秘書艦の時雨と共に後釜として着任することになった。

しかし前鎮守府との交流は今でも続いているらしく、今でもたまに遊びに行ったり連絡を取り合ったりはしている。

そして提督としても優秀であり、今まで轟沈艦を出したことはない。

また秘書艦である時雨とは初期艦を除けば1番最初に出会った艦娘であるためかとても仲が良く、よく無意識にイチャついたりしており、時雨に膝枕してたり彼女の頭を撫でていたり、時雨にデートに誘って互いに手を繋いだりする無自覚カップル。

そのこともあってか艦娘の中では時雨との絆が1番強く互いに最も信頼しあっている。

また年下であるコウマや零無に対しては「ウルトラマンとしては先輩なので」ということで基本的に敬語を使っている。

隊長が主役でウルトラマンというイメージの元作ったキャラなので理想の上司のようなキャラクターになるように心がけたキャラでもある。

そのため特捜戦隊デカレンジャーのドギー・クルーガーをモデルにしている。

夜空本人も艦娘達にとって理想の上司になれるように心がけている。

 

 

 

 

 

 

 

高坂 紅葉(こうさか もみじ)/ウルトラマンオーブ

年齢 16歳(?)

性別 男

一人称は「俺」

誕生日は7月9日。

ほのキチカレーパン野郎。

イメージCV 日野聡(女装時 丹下桜)

高坂 穂乃果と雪穂の兄であり、μ'sのマネージャーを務めている。

家族や友人をとても大切にしており、特に穂乃果や雪穂のことは溺愛しているシスコン。

しかも重度のシスコンらしく、マガジャッパのせいで体臭がキツくなった際は穂乃果や雪穂に「臭い」と言われてかなりのショックを受けていた。

ただし、最近は「もう少し兄離れ、妹離れしよう(特に穂乃果)」と考えており、それが中々できないのが悩みの様子。

またメンタルも弱いらしく、妹2人から言われた時ほどではないが絵里、海未、ことりからも「臭い」と言われた際は激しく落ち込んでいたが……あくまでメンタルが弱いのは日常的な範囲のみである。

ただ過去にマガゼットンと交戦し、その際に1人の少女を戦いに巻き込んでしまったことをずっと後悔しており、今も尚それを引きずっている。

好きなものは学校と家の和菓子とカレーパンであり、よく食べている大食らいなのだが……本人曰く「幾ら食べても太らない体質」らしい。

ちなみにあんなに可愛い妹が2人もいて海未とことりとも幼馴染みな上に仲がいいことから周りの男子生徒からは妬まれており、実は男友達がいない。

最も本人はあまり気にしていないが。

尚、穂乃果同様彼もよく口にしている「ファイト」という言葉は小さい頃に穂乃果が言っていたのを気に入ったのを真似しているからである。

また彼の出生には色々と秘密があるようで……?

実はかつて怪獣人 プレシャーとの戦闘の際、プレシャーの魔法によって赤ん坊に変えられてしまい、記憶も消され高坂家の家の前に偶然置き去りにされ、高坂家が引き取ったのが真相である。

その為、穂乃果や雪穂とは血が繋がらない兄妹で本来の誕生日は12月24日。

とは言え、若干大人びた言動などするものの性格などは基本見た目相応である。

実年齢も1000は越えている可能性があるため、ニュージェネの中では最年長だったりする。

尚、記憶は中学を卒業する頃にはプレッシャーの魔法の効果が切れて元に戻っている。

ちなみに紅葉という名前は赤ん坊に変えられる前から同じ名前で同じなのはただの全くの偶然である。

女装に対してもあまり抵抗がないらしく、穂乃果に頼まれてメイド服を着た際は最初こそ戸惑ったもののすぐにノリノリでまた頼まれれば何時でもやっても良いとさえ思っている。

尚、紅葉は女顔ではないのだが女装時にはことりのメイクによって顔立ちも美少女のそれになっていた。

ちなみにその際、自身の声を女性のものに変えるという変な特技を披露していた。

穂乃果のことは本当の妹のように想っているが、昔大切な存在だった女性と重ねているようで複雑な感情を抱いている。

穂乃果とは血の繋がりのない兄妹の筈なのだが、波長が似てるからかやたらと息のあったやり取りをすることが多い。

ジードのクライシス・インパクトにも参戦していた模様。

実は会ったことはないが「クレナイ・ガイ」のこともある程度は知っており、ガイは「全ての次元において最初に現れたウルトラマンオーブ」であると認識している。

 

 

 

 

 

 

栗本(くりもと) 無爪(なつめ)/ウルトラマンジード

年齢 15歳

性別 男

一人称は「僕」

イメージCV 小林沙苗

誕生日 7月8日。

ベッドの下の巨乳好きのムッツリツンデレ野郎。

父親は言わずもがなあの「ウルトラマンベリアル」

諸事情により幼い頃、高海家の旅館に引き取られて以降ずっとそこで暮らしており、現在高校1年生になったばかり。

年上である千歌は「千歌ねえ」、曜は「曜ねえ」、果南は「カナねえ」と呼んでおり、ツンツンした態度を取りながらも慕っているツンデレであり、3人からも本当の弟のように可愛がられてる。

また千歌に対しては他2人よりもツンの部分が多いがそれだけ彼女のことが好きということであり、密かに想いを寄せてる。

また「爆裂戦記 ドンシャイン」という特撮ヒーローにハマっており、部屋にはドンシャインのグッズが溢れんばかりに集められており、自作のコスプレ衣装まで作るほど。(ちなみに制作期間は2年)

ちなみに決め台詞でもある「ジーッとしてても、ドーにもならない」は元々は千歌が使っていたものであり、無爪はそれを真似て使っている。

 

 

 

 

 

南 春木(みなみ はるき)/ウルトラマンロッソ

年齢14歳

性別 男

一人称「俺」

誕生日7月7日

イメージCV 小西克幸

筋肉バカの脳筋。

南家の長男で南 ヒナタ、南 良の実兄。

性格は熱血漢で、大体のことは気合いと根性を口癖に、なんでもそれで解決しようとする脳筋だが、一応冷静さも併せ持つ。

風とは姉と兄という立場で同じクラスメイトということもあり、親友のような間柄。

母親が行方不明であるため家の家事などは大体は彼が担当であり、少しだけ世話焼きな面もあるため、年下で後輩でもある友奈、東郷、樹のことは妹のように想っている。

運動神経が良く、大抵のスポーツはそれなりに上手くこなせるのでよく勇者部の活動の一環として部活の助っ人によく呼ばれたりする。

キャラのモデルは「グレンラガン」の「カミナ」

 

 

 

 

 

 

南 良(みなみ りょう)/ウルトラマンブル

年齢12歳

性別 男

一人称「俺」

イメージCV 朴ロ美

誕生日3月8日

友奈ちゃんガチ勢候補

春木の弟にしてヒナタの兄。

日本の妖怪や伝承などが好きで好きなことなると少し周りが見えなくなり、結構ズボラなのが玉に瑕。

だが、中学1年とは思えないほどの頭脳の持ち主。

友奈に好意を寄せているが、そのせいで東郷から敵視されており、彼女とは犬猿の仲で良の方もライバル視している。

しかしなんやかんやで仲良くやっており、喧嘩友達のような関係。

上記の趣味については東郷とも話が合う模様。

将来は優秀な科学者となり、四国の外に蔓延したウイルスを駆逐するのが夢。

何気に紅葉の例を覗けば誕生日が7月じゃないのは初。

ちなみに兄弟揃ってニュージェネでは最年少。

 

 

 

 

 

 

光和(みつわ) ゼン/ネリル星人 ゼン/ウルトラマンタイガ/ウルトラマンタイタス(予定)/ウルトラマンフーマ(予定)

男性

誕生日7月6日。

年齢 15歳。

いろはいろはと五月蠅い奴。

いろはちゃん可愛いし、なんか放っておけないのも分かるが。

地球人とネリル星人のハーフであり、ネリル星人の姿に変身することも可能。

また地球人とネリル星人のハーフだからか身体能力は常人以上のものを発揮できるが、それでも魔女の使い魔すら倒せるかどうか程度のものであり、一応身体を鍛えてはいるようだが本人の戦闘力自体は低め。

ネリル星人の能力を使用することができるが、未だに不完全で上手く扱うことができない。

ただし、タイガが自身の身体の中で目覚めたことで彼のサポートを受けることである程度自由に能力を使えるようにはなり、身体能力も向上した。

小学3年生くらいの時にかつてチビスケという生物を橋の下で飼っていたが、レキューム人に連れ去られ、そのまま取り逃がしてその際に腕を怪我してしまった時、いろはと出会った。(この時にタイガとも一体化している)

彼女に傷を手当てされ、チビスケのことで落ち込んでいた自分をずっと傍にいて励ましてくれたこと、宇宙人と地球人のハーフである自分をあっさりと受け入れてくれた彼女に対して強い恩義を感じ、それ以来いろはに対しては依存染みた感情を持つように。

尚、本人曰く、いろは以外に友人を作るつもりはないとのことだが、これは自分が地球人と宇宙人のハーフである為、そのことで他人に迫害されることを恐れている為である。

なので本人は必要以上に他人と積極的に関わろうとしない。

ただ魔法少女として戦ういろはのことは何時も気にかけており、そんな彼女には自分以外にも友達を作って心安らげる場所がもっと出来ればと願っている。

もしくはいろはが魔女と戦うことをやめてくれればと願っているが、いろはの性格上、それは出来ないし、説得も無理だろうとその辺は半ば諦めている。

また宇宙人と地球人の血を両方引いている影響か、魔女の気配などを魔法少女よりも強く感じ取ることができ、その能力を使って魔女を発見したりなどしていろはの戦いをサポートしているが・・・・・・。

自分に出来るサポートがそれくらいしかないことに悩んでおり、タイガの力が発現するまでは何時もそのことで悩んでいた。

タイガに変身できる力を手に入れた時はいろはの力になれるかもしれないと喜んでいたが、同時にいろはのような娘にこそ、ウルトラマンの力は相応しいのではないかと考えていたりもする。

家が貧乏であり、主食は主にもやし。

メンタル面に少し難ありな部分がある。

キャラのモデルは「1000円ヒーロー」という漫画の主人公、「日朝 千」

 

 

 

 

 

赤間(せきま) ライ/ウルトラマンゼット

年齢17歳。

男性。

誕生日 6月20日。

イメージCV 前野智昭

ストレイジに仮入隊中の青年であり、虹ヶ咲では体育科。

来年にはストレイジに本格的に入隊する予定。

仮入隊中なので特空機には中々乗せて貰えないがシュミレーション訓練での成績はそこそこ良い。

今までオタクっぽい感じのキャラは何人かいたが本格的な初のアニオタ主人公。

同時にスクールアイドルのことを最初から認知しており、尚且つそのファン。

とは言え、好きなスクールアイドルは優木 せつ菜のみである。

歩夢、侑とは幼馴染みで歩夢や侑は知らないが果林や愛とも何年か前に知り合っている。

ちなみに実は初恋の相手が歩夢だったりするのだが、中学の頃告白して見事に撃沈された過去を持つ。

その後は歩夢と微妙な関係が続いてしまったが侑のおかげで今では昔と同じように普通の友人としてお互い接するように。

ついでに進次郎という名前の同じドルオタの友人がいたりする。

 

 

 

 

 

 

番外編

 

 

モロボシ・ラン/ウルトラマンゼロ

年齢5900歳

性別 男

誕生日 不明

イメージ CV 宮野真守

ご存じウルトラセブンの息子

リリなのDCD&HEROSやシンフォギアサーガ、シンフォギアGinga Gに登場したゼロ、ランとは同一人物。

その為地球のことは本家よりもちょっと詳しかったりする。

性格に関しては原点のゼロとほぼ同じ。

ゼロが最初に同化したランをモデルに擬態した人間態。

弦十郎からの誘いにより、怪獣や宇宙人に主に対抗するチーム「UPG」の隊長に任命され、ウルトラフュージョンブレスを使いこなさせる為にコウマと零無に特訓を課せたりしている。

ギンガ、ジードではレギュラーキャラとなっており、ギンガの時はジードの時と違って体調が万全ということもあり、人手が足りない場合、本当にピンチの時のみ戦闘に参加している。

これは後輩が自分に頼ってばかりにしないようにすることと、コウマ達を少しでも成長させる為。

ニュージェネクロスシリーズに登場したのはS&GXからだが、G編でも少しだけゼロの状態で零無と会話している。

零無と名字が被っているのは零無のビクトリアンの設定が後付けの為である。

ジードでも一応レギュラーで登場するが、ダークロプスゼロと戦って以降はレイジと同化している為、ランとしての登場は僅か。

既にオーブとは面識があるのでμ'sのことも知っている。

 

 

 

 

 

早橋(はやばし) カイト/ウルトラマンマックス

年齢16歳

性別 男

誕生日 7月2日

S&GX編から登場する人物で、エタルガーとの戦闘で負傷していたマックスを発見したことを切っ掛けに事件に巻き込まれる。

最初はトウマ・カイトの姿を借りたマックスと共に行動していたが、瓦礫に埋もれそうになった子犬を助けようとして命を落としかけ、それを見たマックスが彼の行動を見たことでマックスと一体化。

最初こそ手にしたマックスの力を「力があるから悪い奴を倒し、みんなを守れる」という考えを持っていたが、ランやマックス、コウマからの言葉によって「力が無くても誰かを守ろうとする」ことが大事なのだと気づき、それ以降は力に対しての認識を改めている。

エルフナインとはボルストに追われていたところを助けたことから仲がよく、また響とは自分の持つ力について同じように悩んでいたことやその際傍に未来も一緒にいたことから彼女等とも仲が良い。

 

 

 

 

 

 

風上 光(かざかみ ひかり)/ウルトラマンメビウス

年齢28歳。

性別 男

誕生日 4月8日

イメージCV  櫻井孝宏

こっちだとヘタレ無い不幸属性

夜空が努める鎮守府の前任の提督であり、夜空と同じく怪獣との共存なども目指していた。

夜空は彼のその理想に影響され、怪獣との共存を目指すようになった。

ただ怪我をした深海棲艦を助けた結果、恩を仇で返される結果となり、そのことで責任を取って提督をやめ、一時期、一部の艦娘達とも関係がギクシャクしていた。

今では和解しているのだが、光は未だにそのことを気にしており、その辺若干ウザいがられている。

また別鎮守府には「龍夜」という兄がおり、彼は今夜空が以前努めていた鎮守府で提督をやっている。

ヴェールヌイのアメコミ好きもこいつに影響されたせい。

生身の戦闘力も高く、ランクの低い深海棲艦程度ならあしらえたり特殊な武器を使って倒すこともできるほど。

奈々とは幼馴染みであり、親友同士。

メビウスとの出会いは本編では語られていないが、裏設定では怪獣災害で降り注いで来た瓦礫から子供を助けて親に預けたらその後バナナの皮を踏んづけて滑って工事中で蓋が開けてあったマンホールの中に落ちて溺れているところを子供を命がけで救ったところを認められ、メビウスに助けられて同化した。

尚、メビウスと同化した後は各地でバイトを点々としながら他の鎮守府が怪獣災害の対処の手伝いを影ながら行っている模様。

 

 

 

 

ラグナ/無幻魔人 ラグナ

年齢不明(外見は20代前半)

性別 男

誕生日 不明

紅葉の変態ストーカー

イメージCV 小野坂昌也

彼を一言で言うなら変態。

黒いスーツを着込んだ紳士風の男性であり、紅葉の好敵手的キャラクターでよく声を出して笑ったりするが大抵その場合は咳き込む。

穂乃果の頬をいやらしい手つきで触ったり女風呂を覗こうとしたりして兎に角変態。

しかし、オーブを倒す為ならば卑怯な手段なども取る非情さを併せ持つ。

また紅葉の出生なども知っている数少ない人物で彼のことを敵視し度々彼にちょっかいをかけてくる。

若干鬱陶しく絡むこともしばしば。

「無幻魔人 ラグナ」、もしくは「ラグナ魔人態」と呼ばれる形態に変化可能で、外見はまんまジャグラスジャグラー魔人態。

ちなみに海未は彼の好みドストライクらしい。(元ネタは怪獣娘)

尚、ニジガクZには彼そっくりの「倉名 武」という人物がいるが・・・・・・?

 

 

 

渡辺(わたなべ) レイジ/ウルトラマンゼロ

年齢25歳

性別 男

誕生日 12月12日

ヤクザフェイス教師

曜の従兄である男性で、千歌、無爪、果南とも顔なじみ。

最近浦の星学院に赴任し、千歌達のクラスの副担任となった。

ヤクザのような外見をしているが、性格は至って温厚な上に気弱気味で、自分の怖い顔を気にしてる。

しかし、咄嗟に自分の身を挺して子供を庇おうとするなど強い勇気の持ち主。

その際に命を落としてしまうが、その勇気を認められ、ウルトラマンゼロと一体化する。

キャラのモデルは「トクサツガガガ」の「任侠さん」

 

 

 

 

脳魂宇宙人 ザム星人ザルド

AIBに所属する宇宙人のエージェントの1人であり、美渡とは同期でAIBに入隊し、彼女と共々ゼナ直属の部下となる。

地球人に擬態することはできるものの、戦闘になると擬態する為の装置を使ったとしてもなぜかどうしてもザム星人の姿に戻ってしまう悩みを持つ。

また、ドジが多くて間抜けな一面もあるものの戦闘力は極めて高く、ゼナやランにも匹敵するレベル。

実はAIBに入る前はほんの少しの間だけ宇宙Gメンに所属していた過去を持つが・・・・・・ポカをやらかして責任を取らされた後、退職することになった過去を持つ。

AIBに入隊したのはAIBから戦闘力の高さを買われた為。

地球人やジードに対しては好意的であり、暇があれば内浦のイベントにも積極的に参加していたりする。

海開きの時も実は隅っこ辺りにいてゴミ拾いしていた。

 

 

 

 

 

荒井

ライザーと怪獣カプセルを使い、怪獣を使役したりベリアル融合獣へと変身することができる男性。

年齢、誕生日、共に不明。

ストルム星出身のヒューマノイドタイプの宇宙人。

ストルム星には地球と同じく「特撮ヒーロー」が放送されており、彼も特撮ヒーロー番組が好きな無爪と同じ特オタであったが、無爪とは正反対に彼が好きになったのはヒーローではなく、悪役・・・・・・ヴィランというヒーローに憧れる無爪とは対になる存在である。

ヒーローではなく、ヴィランに魅了された人物であるため実在する本当の悪であるウルトラマンベリアルに強い憧れを抱いている。

そのため、ベリアルに対して強い忠誠心を持っており、彼を盲目的なまでに崇拝している。

また、リトルスターをジードに集めさせているのを目的としているようだがそれ以外にも「ヒーローを倒した悪となる」という目標を持っている。

またジードに対して愛憎が入り交じった複雑な感情を抱いているようだが、彼がヒーローとして成長していることには期待している模様。

そして感情的になりやすい面もあるようで、倒したと思っていたゼロが復活した際には怒りのあまり頭を手すりに叩きつけて額から血を流すといった奇行に及んだこともある。

 

 

 

新世代ヒーローズ+ZのOP&EDイメージ

 

戦姫絶唱シンフォギアGinga

OP「Legend of Galaxy 〜銀河の覇者」

ED「Meteor Light」

 

戦姫絶唱シンフォギアGinga G

OP「Legend of Galaxy 〜銀河の覇者(2番)」

ED「Next Destination」

 

戦姫絶唱シンフォギアGinga S&GX

OP「英雄の詩」

ED「Rebirth-day」

 

ウルトラマンX collection

OP「ウルトラマンX」

ED「鎮守府の朝」

 

ラブライブ! オーブ!!

OP「オーブの祈り」

ED「きっと青春が聞こえる」

 

ラブライブ! ジードサンシャイン!!

OP「GEEDの証」

ED「ユメ語るよりユメ歌おう」

 

結城友奈は勇者である R/Bの章

OP「Hands」

ED「Aurora Days」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オリジナル怪獣やヴィランの設定(随時更新)

イフェメラ・メカレーター

「エクこれ」に登場。

ノワール星人バイスによって改造され、メカレーター化したイフェメラ。

本来は一日しかない命のイフェメラだが、メカレーター化されたことで無理矢理生き長らえされている。

口から火炎弾を吐くことが可能で本編未使用だが角からの怪光線を放つこともできる上、元々好戦的で無いイフェメラをより好戦的な性格にバイスによって改造している。

 

 

 

 

ガーゴルゴン・メカレーター

「エクこれ」に登場。

スネーク星人 ネイルに改造され、強化されたガーゴルゴン。

胸部には機械で出来た装甲に、右腕も機械化されて長く尖った爪を持ち、同じく左腕も機械化されその腕は剣のような形となった姿。

瞬間移動なども可能であり、2本の触手の口から機械の剣を出現させたり、前方にのみだがバリアを発生させることができる。

さらにダークサンダーエナジーを浴びたことによってさらに強化され、背中に突起物のようなものが生えた姿にもなり、この状態だとバリアを張らずともザナディウム光線を耐えきるほどの防御力も誇る。

 

 

 

 

宇宙商人 スネーク星人 ネイル

「エクこれ」に登場。

「阿久野」という人間に化けて軍に入り込み、ダークメフィストドライなどとも手を組んで裏で暗躍していたエクこれの第1部の黒幕的な存在。

正体はヘビを人型にしたかのような宇宙人であり、身体が傷ついても脱皮することでダメージを帳消しにすることができる。

エクこれ世界にてノワール星人達にメカレーター技術を提供した張本人でもあり、一度死んだ艦娘や深海棲艦などを改造して改造艦娘や改造深海棲艦などを作り出した人物でもある。

またバラックシップを量産できるほどの技術力も持つ。

俊敏な動きが得意で戦闘力もそこそこあり、刀のようなものを武器とする。

現状唯一の完全オリジナルキャラの宇宙人でもある。

 

 

 

 

異次元超人 エックスキラー

「エクこれ」に登場

ヤプールがアルギュロスを使ってエックスのデータを読みこませて作りあげたエースキラーの改良ロボ。

最初はエースキラーだったがヤプールの指示によってエックスの力を持ったエックスキラーに変化した。

モンスアーマー、艦娘アーマーを含むエックスの全てのデータをインプットされているため、エックスキラーもアーマーの装着が可能。

さらにエックスが新たなアーマーを使用したとしてもそれを瞬時にコピーし自身に装着することができる。

 

 

 

 

一角超獣 バキシムデストロイヤー

「エクこれ」「ラブオーブ」に登場。

バキシムが村雨を取り込んで彼女の艤装を装着したバキシム。

通常のバキシムの技に加えて魚雷や主砲による攻撃を行い、純粋な戦闘力もアップしている。

尚、撃ち込んだ魚雷は地面を掘り進み、対象に向かって直撃させるという技である。

 

 

 

 

武装暴君マグマ星人 マクリル

「ジードサンシャイン」に登場。

サーベルやフック以外にもマグマキャノン、マグマショット、マグマハンマーなど様々な武器を扱う為「サーベル暴君」ではなく別名が「武装暴君」となっている。

特にマグマキャノンはソリッドバーニングですら耐えきれない程の強力な威力を持つ。

また、これら以外にも様々な武器を持っていると思われる。

リトルスター保持者を狙う宇宙人に高値で売るためにリトルスターを発症した黒澤 ルビィを捕えようとした。

 

 

 

超古代怪獣 マグマゴルザ

「ラブオーブ」に登場。

ゴルザ(強化)のさらなる強化体であり、体表は赤く、赤い血管のようなものが浮き出ており、さらにマシッブな体型となって両腕も通常時より太くなった姿をしている。

「グハハハハ」と笑うかのような鳴き声をあげる。

霧門岳の地底深く眠っていたグランゴンのマグマコアを捕食し、さらに霧門岳の山の中にあったマグマエネルギーを吸収し、ゴルザ(強化)以上の超強化を果たした。

通常形態に比べて動きは遅いもののパワーストロングを圧倒できる程のパワーを誇り、超高熱熱線を強化した強力光線「ハイパー超高熱熱線」が武器。

ゴルザ(強化)の光線吸収能力も使用ができる。

尚、マグマコアがラゴラスエヴォのように露出してないのはラゴラス以上に身体に馴染んでいたことで完全に同化した為。

元々パワーストロングに対抗して強化の方を出す予定だったが、強化でもパワーストロングにパワー負けしそうと思い、さらなる強化形態として出しました。

 

 

 

 

ピッコラ星雲人 ピッコル

「ラブオーブ」に登場。

わんぱく宇宙人 ピッコロの同族。

どういう訳か人間社会に紛れて暮らしているようでA-RISEのファンとなっていた。

柄の悪い不良のような性格をしており、μ'sのことを嫌っており、ラブライブ予選でリーダーである穂乃果を拉致しようとしたがオーブに阻まれ失敗。

戦闘ではピッコロと同じ技や武器、さらには「ピッコルソード」という剣や口から白い煙を放ち、相手の視界を遮る技を使う。

しかもピッコルの目は特殊なため、自分も煙の中にいたとしても相手の位置が分かる。

最後はオーブのフルディウム光線を受け、大人しくなったところをオーブに説得され自分のやっている行いが逆にA-RISEの心を傷つける行為だと理解し、改心。

最後は穂乃果に誘われる形でμ'sのライブを生で見て「凄い」と呟いていた。

その後は再び人間社会に紛れ込んで、A-RISEを応援しながら平和に生活しており、応援してるアイドルが違ってる人達とも仲良くやっている模様。

 

 

 

 

 

宇宙球体コアスフィア

ニジガクZにて登場したビー玉サイズの宇宙球体スフィアで、ニジガクZの2話と3話に登場したダランビアやネオダランビア、ネオダランビアⅡ、サンダーダランビアには全て内部にこのコアスフィアが存在していた。

このコアスフィアが存在する限り、ダランビアは何度倒されても復活し、その都度パワーアップし、さらに一度戦った相手の動きのパターンは完全に把握し、攻撃を封殺するという能力を持つ。

ただし、不意打ちによる攻撃などは当たる場合がある。

このコアスフィアを破壊しない限り、例えダランビアが身体をバラバラにされても破片はテレポートなりなんなりしてコアスフィアに集まってくるため、破片の回収などは困難。

研究所から破片が消えていたのも破片がテレポートしていたから。

さらに復活する度に再生速度も上がっていき、最終的には倒された直後に復活する速度にまでなった。

最後はオメガブレードの超感覚能力と心眼の合わせ技によって弱点であるコアスフィアの位置を把握され、貫かれた為に敗北した。

また、このコアスフィアは何かを探していたようだが・・・・・・?

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新世代ウルトラマンオリジナルタイプ

ウルトラマンエックス 時雨アーマー

駆逐艦時雨のサイバーカードを使い、X字が描かれた黒い鎧を胴体に纏い、時雨の2門の主砲を手に持ち、両足には魚雷を発射するための艤装が装着された姿。

主砲は砲弾で敵に遠距離攻撃を行えると同時に逆手に持つことでトンファーの要領で接近攻撃を行い、重い打撃を与えることができる接近、遠距離に特化した艦娘アーマー。

また両足の艤装から魚雷を地面に撃ち込むことで相手の足下を爆発させることができる。

必殺技は両手に持った主砲にエネルギーをチャージして放つ「バーストデストロイヤー」

 

 

ウルトラマンエックス 夕張アーマー

夕張の艤装を模した艦娘アーマーであり、両腕に主砲が装着され、時雨の時は「持つ」タイプの主砲だったのに対し、夕張のは「両腕に装着」するタイプの主砲が装備されたエックスの姿。

最強の対潜攻撃力を持つ夕張の力を反映している為、主に隠れた敵を見つけ出したりする時に使用するアーマーであり、100発100中の射撃精度を誇る。

必殺技は主砲から幾つもの弾丸を放つ「フルスロットルブラスト」

 

 

ウルトラマンエックス アルティメットハイブリットアーマー

ゴモラアーマーの胴体、右肩にレ級の尻尾に装着された主砲、エレキングアーマーの左肩、さらに左腕にはベムスターアーマーの盾、左手にグビラアーマーのドリル、右手にはゼットンアーマーの腕、両肩の上に時雨アーマーの主砲、背中には夕張アーマーの艤装がエックスに装着された姿。

弱体化したとはいえグリーザ第3形態を圧倒する戦闘力を発揮し、ゴモラ、エレキング、ベムスター、ゼットン、グビラ、レ級、時雨、夕張の力を使用していたが設定上他の怪獣、深海棲艦、艦娘の力も使用可能である。

必殺技は全てのエネルギーを放出して放つ「ハイパーウルティメイトザナディウム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンロッソ ダイテング

ダイテングクリスタルを使用したロッソの形態。

赤かった足の部分と頭部、胸部は白に、腕は黒になり、右肩にはカラスの嘴を模した黒いショルダーが現れ、左には黒い翼のようなショルダーが現れた剣士形態。

刃物のような切れ味を誇る手刀で主に戦う。

さらに1つの光の刀「生大刀」を生成し、それを武器にして戦うこともできる。

必殺技はエネルギーをチャージして敵を横一閃に生大刀で切り裂く「一閃緋那汰」と身体を高速回転させて生大刀で敵を切り刻む「ソードトルネード」

尚、ダイテングクリスタルはロッソと相性が良い。

 

 

 

ウルトラマンロッソ シュテンドウジ

ロッソがシュテンドウジクリスタルを使用した形態。

胸部が黒くなりX字の赤い鎧のようなものが装着され、赤かった頭部と足と手の部分は桃色に変化し、その後腕に赤いガントレットのようなものが装着された姿。

両腕から放つ衝撃波「ナックルインパクト」が主な武器。

必殺技は巨大な拳を模った衝撃波を放つ「ナックルビッグインパクト」

 

 

ウルトラマンロッソ ワニュウドウ

ワニュウドウクリスタルを使用したロッソの形態。

左腕には旋刃盤のような武器、「神屋楯比売」が装着されたオレンジ色のロッソ。

光のワイヤーで繋いだ神屋楯比売を回転させながらヨーヨーのように振るうことで相手を斬りつけて戦う中々に凶悪な形態。

また別に神屋楯比売を飛ばさない状態のままでもこれを八つ裂き光輪よろしく回転させながら相手に斬りかかることも可能。

必殺技はワイヤーから切り離して神屋楯比売をブーメランのように投げつけ、相手を切り刻む「大輪車旋風刃」。

尚、ワニュウドウクリスタルはロッソと相性が良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンブル シュテンドウジ

ブルがシュテンドウジクリスタルを使用した形態。

胸部が黒くなりX字の赤い鎧のようなものが装着され、青かった頭部と足と手の部分は桃色に変化し、その後腕に赤いガントレットのようなものが装着された姿。

主に肉弾戦を得意とした形態。

ロッソと違って遠距離攻撃は出来ないが、その打撃は重い。

千回の拳を連続で叩き込む「千回連続勇者パンチ」

尚、シュテンドウジクリスタルはブルと相性が良い。

 

 

 

ウルトラマンブル ユキジョロウ

ブルがユキジョロウクリスタルを使用した形態。

ブルの青かった部分は白となり、カラータイマーはそのままであるが、胸部にはX字のような模様の入った姿。

燃費が良い形態の為、光線技に当たる氷系の技が連続して使うことが出来る。

氷柱を幾つか形成するとそれを相手に雨のように降り注がせる「アイスレイン」が必殺技だが、それをさらに広範囲で放つ「ワザリングハイツ」という必殺技も存在する。

ただし、範囲が広すぎるため使用する所は限られる。

またユキジョロウクリスタルはブルとの相性が良い。

他にもブリザードシュート両手から放つ強力な冷気光線、アイスシューターという自分の周囲に鋭く尖った槍のような氷を出現させ、それを一気に相手に向かって飛ばす技がある。

 

 

 

 

ウルトラマンブル ダイテング

ブルがダイテングクリスタルを使用し、足の部分と頭部、胸部は白に、腕は黒になり、右肩にはカラスの嘴を模した黒いショルダーが現れ、左には黒い翼のようなショルダーが現れた姿。

ブルがダイテングクリスタルを使用した場合、遠距離攻撃の技が多くなるがユキジョロウとは違い燃費が良い訳では無いので使いすぎには注意。

両手でX字を描くように振るうことでX字の斬撃を飛ばす「クロスブレイカー」、両手を光らせ、勢いよく振るうことで光のナイフを放つ「ナイフスラッシュ」といった技を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンゼット エプシロンワイルド

下半身は黒、上半身はオレンジで両手に桃色の手甲のようなものが装着され、プロテクターが無くなり、「ゼット・オリジナル」にも近い状態の姿。

響、夕立、友奈の力を使った形態で荒々しい戦い方を得意とする。

鉤爪型の光の武器、「ゼスティウムクロー」を武器として使用できる。

右拳と両足にエネルギーを溜め、両足に溜めたエネルギーを一気に放出することで一時的に加速し、一気に敵と距離を取ってエネルギーを溜めた右拳を放って繰り出す技「ゼスティウムソニック」が必殺技。

 

 

 

ウルトラマンゼット オメガブレード

翼、菊月、夏凜のメダルを使って変身する姿。

ゼット・オリジナルの青かった部分と黒い部分が水色に変化、さらに赤い腰マントが装着され、胸部と肩には黒い鎧のようなものが装着され、胸部には三日月のような模様が入った姿にして剣士形態。

主に「ゼスティウムブレード」という光の剣を使って戦う。

この形態になるとゼットはガンマフューチャーのように落ち着いた口調になるのが特徴。

感覚が鋭く研ぎ澄まされた形態でもあるため、「心眼」との相性もよく、初陣であるサンダーダランビア戦ではサンダーダランビアの内部にあるコアスフィアを的確にブレードで貫いて見せた。

必殺技はブレードを十時に振るって放つ光刃「ゼスティウムスラッシュ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定だけ考えてみた

結城友奈は勇者である×仮面ライダーBLACK RX

タイトルの通りゆゆゆとRXのクロスオーバーでもしゆゆゆ世界にRXがいたらこんな感じになるだろうという物語。

キングストーンの導きによりクライシス帝国と戦いを終えた南 光太郎がゆゆゆの世界へと訪れ、勇者と共にバーテックスと戦う。

当然ながらバーテックスの1体や2体程度では最速相手にならず、もうあいつ1人で良いんじゃ無いかな状態。

しかし、それだと勇者を活躍させられないのでRXが1体のバーテックスを相手にしている間に勇者達も別のバーテックスと戦闘などを行う感じ。

勇者だけでも厄介なのにさらにもっと厄介すぎるRXの強さに天の神も頭を悩ませる結果に。

また大赦のやり方などに対しては当然ながら光太郎は反発。

大赦に殴り込み・・・・・・というよりも神樹に供物を返すように直談判しに行く。

友奈にかけられた天の神の呪いなどもキングストーンフラッシュで打ち消す。

最後は大満開友奈との勇者パンチとRXキックで天の神に大ダメージを与えた後、リボルケインでトドメ。

本編と違って完全に天の神を倒すことになる。

 

 

 

 

 

 

はたらく細胞×ウルトラセブン

恐らく数人は考えたであろう組み合わせ。

「宇宙『細菌』 ダリー」が白血球達のいる人の体内に寄生。

いつものように赤血球を襲いかかろうとしたところを白血球が助けに入るがキラーTやマクロファージが駆けつけても尚苦戦。

そんな時にミクロサイズとなったウルトラセブンが現れ、白血球達と共にダリーを対峙するという短編物語。

 

 

 

 

 

 

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術×仮面ライダーエボル

主人公はエボルトの力を持ち、別の世界でビルド達に倒されたオリキャラ。

なぜか持っていたパンドラボックスに60本のフルボトルを所持し、黒いパンドラパネルも既に体内に取り込んでいる為、エボル・ブラックホールフォームやエボルト怪人態、究極態にも変身が可能。

無論、トランスチームガンやコブラフルボトルも所持している為ブラッドスタークにも変身できる。

さらにはレジェンドライダーフルボトルも所持している為、レジェンドライダーの最強形態やフォーゼウィザードなどの姿にも変身が可能。

ちなみにボトルは普段はウィザードフルボトルの力で異空間に仕舞ってある。

ただしビルド達に倒され、惑星を滅ぼすということにも飽きた為、野心はなく、自由気ままに生きることに。

レムとシェラによって召喚され、隷従の首輪をつけられそうになるがダイヤモンドフルボトルの力で跳ね返した為、原作通り彼女達に首輪がつけられる。

彼女達の首輪を外すことへの手伝いはあまり積極的ではないが「面白そうな雰囲気がありそうだから」ということで彼女達と行動を共にすることに。

魔術関連のことは大体ウィザードフルボトルで解決(クレブスクルムの復活など)

ちなみに主人公は基本的にはスタークかコブラフォームで舐めプ。

分身態を作り出すこともできるのでスタークとエボルが同時に存在することが可能。

エボルト究極態になったらもはや誰も手がつけられないレベル。

 

 

 

 

 

昭和ウルトラシリーズ(ジョーニアス含む)×アニメ等のクロスオーバー。

平成、新世代はもう書いたり書く予定だったりするのでまだやったことのない昭和ウルトラシリーズとのクロスオーバーで一応全員主人公はオリキャラ。

 

 

初代ウルトラマン×乃木若葉は勇者である。

ヒロインは千景。

主人公は正義感が強く、千景と仲の良かった幼馴染みなのだが、千景の母が浮気をする前に主人公が転校してしまった為、千景のいじめなどについては本人が語らないこともあり知らない。

その数年後にバーテックスの襲来に遭い、他の人達を守るために勇敢に立ち向かい、殺されてしまうが・・・・・・。

主人公がその勇敢さを認めたウルトラマンが主人公と同化し、バーテックスや天の神が作り出した怪獣達と勇者達と共に戦う物語。

時には千景の町の人達の醜さなどを見て戦うことをやめようとすることもあるが、勇者達を見てそんな人間達だけではないと考え、犠牲を一人も出さず、最後まで戦い抜く。

最後は最強の敵、ゼットンと相打ちし、瀕死の重傷を負ってしまうがゾフィーが命を持って来た為に主人公もウルトラマンも助かり、同化を解いてウルトラマンとゾフィーはいつか人間達が世界を取り戻すことを信じ、地球を去ることに。

その数日後、四国の外の世界は炎の海に包まれ、天の神によって地球に結界を張られた為、それからウルトラマン達が地球を訪れることは無かったが・・・・・・。

ゆゆゆの時代では昔よりもグレードアップされた勇者システムと、ULTRAMANスーツが開発されていた。

 

 

 

 

鷲尾須美×ウルトラセブン

全6話ほどとかなり短いお話。

上記とは世界観が繋がらず、またゆゆゆ本編とも繋がらない独立した物語。

主人公は敵の宇宙人と戦っている最中、ブラックホールに飲み込まれてこの世界へとやってきたウルトラセブン。

年齢は高校生くらいで若干ゼロのように破天荒でやんちゃな部分もある。

敵はセブンや勇者を倒し、神樹を倒せば地球を侵略して良いと天の神と契約を結んだ宇宙人達や天の神が操る怪獣達。

途中、勇者達と共に敵に立ち向かうセブンだったが、怪我をした須美や園子、銀に代わってスコーピオン・バーテックスの毒を受け、ブラックギラス、レッドギラスに足を折られて瀕死の重傷を負わされてしまう。

なんとか一命を取り留め銀も生存するものの主人公は変身不可能なほどのダメージを受け、それによりセブン上司になんとか帰り道を用意するので、今すぐ光の国に帰り治療を受けるように指示が来る。

だが、今光の国に帰ればまたこの世界に来れる保証はなく、かと言ってまだ幼い彼女達を置いて帰ることもできず苦悩する。

結局、決断ができないまま樹海で彼女達の戦いを見守るしかなくなってしまうのだが・・・・・・。

苦戦しつつも諦めない彼女達の戦いを見ていても立ってもいられず、ウルトラ念力を駆使しながら生身で敵へと挑むことに。

当然、それで敵に勝つことなどもできないでいたが、それでも諦めない一同の心の光によってウルトラアイが奇跡的に復活。

さらにはセブンも「ウルトラセブンX」への強化変身が可能となる。(セブンXは本来は弱体化したセブンだがショーなどでは強化形態扱いなのでこの話でも強化形態扱いである)

最後の戦いでは須美達が満開してその後遺症を受けるのは本編と同じで須美は足の機能と記憶を失うが、セブンがいるため園子は複数回の満開はしておらず、奉られることもなく普通に銀と一緒に進学。

須美のことは彼女と同じ中学校に行かせることを条件に大赦からの命令で銀共々勇者のことは黙っているように指示を受ける。

そしてセブンは再び身体に不調が表れ始めた為、役目を終え、名残惜しくも銀と園子に説得され故郷へと帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

ラブライブ!PDP×帰ってきたウルトラマン

主人公は上原歩夢とは幼馴染みだが彼女より1つ上の年上でμ'sやAqoursの大ファンのドルオタ。

性格のイメージ的にはどっかのじゃがいもカシラのかずみん。

怪獣が出現し、落ちて来た瓦礫の山から歩夢を庇い一度命を落とすが・・・・・・その行動を見たウルトラマンジャックが彼の命を救うためにも同化し、復活。

以降は迫り来る怪獣達と戦うことになる。

最初こそウルトラマンの力を手に入れ、調子に乗っていたもののそのせいで知人に怪我を負わせてしまったが為に反省し、以降は手にした力を正しく使おうと強く決意。

また歩夢達の活動にも積極的に協力し、ファン0号を自称し彼女等のマネージャーなども務める。

途中、セブンからウルトラブレスレットを託される。

またナックル星人の策略で家族や歩夢を傷つけられたことで怒りに我を忘れてジャックはナックル星人やナックル星人が使役するブラックキングと戦うが、敗北して囚われ処刑寸前となってしまう。

しかし、世界観こそ繋がらないが上記の前2作の主人公のウルトラマンとセブンがウルトラの星作戦を決行し、ジャックを救出してピンチを脱出。

最後まで共にナックル星人達の野望を打ち砕く為に3人は共闘する。

そして最後の戦いではバット星人とバット星人が育てたゼットン(ブヨブヨしてないし弱くないちゃんとしたゼットン)と戦い、勝利し、歩夢達の活動を最後まで見届けて数年は地球に留まるが・・・・・・ジャックと完全に同化した主人公は光の国の命令で他の任務につかなくならねばなり、歩夢達に「ウルトラ5つの誓い」を残して地球を去ることになる。

尚、ラブオーブ、ラブジード同様に虹ヶ咲学園は共学設定。

オールスターズの設定が入る可能性が大いにあり、μ'sやAqoursの方が虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会より先に誕生している。

オールスターズの要素が入っている為、パラレルワールドの高坂 紅葉、栗本 無爪が登場するが・・・・・・こちらの世界では2人ともウルトラマンではなく普通の一般人。

ちなみにラブオーブ同様に紅葉は穂乃果の義理の兄で無爪も両親を交通事故で亡くした為、高海家に引き取られた設定。

尚、ラグナは海外からの留学生で紅葉を当然ライバル視しており、同じく特定の人物をライバル視しているかすみとは意気投合する。

 

 

 

 

ウルトラマン80×艦これ

深海棲艦がマイナスエネルギーによって生まれた存在である為、主人公の80が地球へと派遣され鎮守府で提督をやることに。

エクこれとは異なり、駆逐艦以外の艦娘も数多く登場する。

深海棲艦は倒されれば艦娘に、また艦娘が倒されれば深海棲艦になることを早くに知り、自分が80であることはなんとか誤魔化しつつ主人公は人間離れした身体能力と深海棲艦を倒せる特殊な武器を使い、深海棲艦を救う為にも自ら前線に立って仲間の艦娘達と共に深海棲艦と戦う。

当然ながらマイナスエネルギーが原因で現れる怪獣や宇宙人とも戦うこととなる。

途中、副司令としてユリアンが登場。

80本編よりもユリアンの戦闘シーンも多く、80とも何度か共闘を行う。

しかし、プラズマ、マイナズマとの戦闘で80は大ダメージを負い、ユリアンと共に撃破したものの主人公には光の国への帰還命令が出てしまう。

最後は艦娘達が80とユリアンの正体を見抜き、自分達だけの力で怪獣を倒すこと、全ての深海棲艦を艦娘に戻すことを約束。

そして80やユリアンに頼ることなく怪獣倒したことで80は彼女等を信じ、後任を任せるに相応しい提督を新たに見つけ出した後、80とユリアンは地球を去ることに。

その25年後、80とユリアンが再び「同窓会」として艦娘のみんなと再会を果たすところで物語が終了する。

 

 

エース、タロウ、レオ、ジョーニアスはまだ思いつかない為保留。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーバロン×盾の勇者の成り上がり

盾の勇者として紘汰との最後の戦いに敗れた後の駆紋戒斗が召喚される話。

召喚された当初は尚文と違い、「自分達を助けて欲しいから、ワザワザ余所の世界から助けを呼んだのか? そんな他人頼りな国など勝手に滅べば良い」と他の3勇者同様、下手をすればそれ以上にかなり攻撃的な態度を取ったり、王であるオルトクレイ相手にも最初から偉そうな態度を取るなど序盤はツッコミ不在状態に。

しかし、波の話を聞き、最終的には波と戦うことを決めるがそれも国や世界の為ではなく、「どこにいても自分のやることは変わらない」として自分の強さを証明するために戦うことを決める。

戦極ドライバー、ゲネシスドライバーを所持しているが、ドライバーは盾の効果によって「盾」として認識しないため装備することはできない・・・・・・なんてことはなく、「盾如きが俺を支配するつもりか? ふざけるな!!」という感じで無理矢理装着し、そのせいで「盾以外装備できない」というシステムがイカれてしまい、普通に盾以外も装備できることに。

ちなみに戒斗曰く「俺に盾など不要!! 戦いは攻撃あるのみだ!!」とのことで盾の能力はモンスターを吸収してレベルアップする以外殆ど使わないなど盾涙目なことに。

またマルティ・・・・・・ビッチ強姦容疑がかけられた際には元々信用してなかったこともあり「証拠不十分の上に下らんことで呼び出すな!」と逆ギレ。

後にラフタリアを「目の奥に、強さを感じた」という理由で奴隷として購入し、戦力として厳しくも優しく育てることに。

またラフタリアの毎晩のように見る悪夢に対しても、かつてシャプールにも聞かせた過去の自分の家族の話を行い、「戦うべき相手がいるなら戦え」と戒斗なりに彼女を励ます。

最初の波を抑えた戦いの後、原作同様元康とラフタリアを賭けて決闘することになるが・・・・・・戒斗の戦闘経験の長さもあり、元康を圧倒。

勝利寸前というところでマルティからの横槍が入り、首に元康に槍を突きつけられ、オルトクレイが元康の勝利を宣言するが・・・・・・。

それを戒斗は全く聞いておらず、元康に反撃し、マルティにも攻撃を仕掛ける。

無論、「自分が勝ったのだから大人しく負けを認めろ」という元康だが、「仲間に後ろから俺を攻撃させておいて貴様の勝利だと? ふざけるな!!」と言って聞く耳持たず。

当然、元康はマルティがそんな卑怯な真似をしたとは信じず、戒斗の負け惜しみだと主張するが・・・・・・。

「そうやってしらばっくれるつもりか? そうやって仲間に後ろから攻撃させるような弱者は俺が叩きつぶす!!!!」と言って戒斗も元康がマルティに指示してやったとしか考えていないため、話にならず。

元康もマルティも2人纏めてボッコボッコにされる始末。

その為、ラフタリアを人質にしようとするオルトクレイだが、その前に戒斗が「もやは決闘は無意味」として無理矢理ラフタリアを奪還。

大騒ぎになりかけるが、そこで他の勇者の錬と樹がマルティの不正を訴えたので事態はなんとか収まる。

ちなみに戒斗が所持しているロックシードはバナナ、マンゴー、オーズのロックシードとなぜか所持していたリンゴ、カチドキロックシードを持っている。

リンゴロックシードはオーバーロード化している影響かノーリスクでの使用が可能になっている。

そのためロード・バロンとしての力も持っているが、そちらは奥の手として滅多に使わない。

恐らくグラス戦で初めて使うと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロの使い魔×ARROW

グリーンアローとなって活躍中の才人がルイズに召喚される話。(つまりは中の人ネタ)

才人の年齢はゼロ魔本編とは変わらないが絶海の孤島、リアン・ユー(香港やロシアにいたこともある)での地獄の5年間を過ごした為、年齢に似合わずかなり達観した雰囲気を持ち大人びている。

また、発信器、ワイヤー、爆発性の矢なども自分の手で製作しており、どこで材料を手に入れているのか幾ら使っても全くそれらの矢が減らなかったりする。

才人以外にもスパルタンことジョン・ディグルなども登場し、シエスタと同じ厨房で働いているという設定で才人とは相棒同士とも言える間柄になる。

ちなみにこのスパルタンは銃は使わずもっぱら肉弾戦特化だったりする。

フェリシティなども情報屋という設定で登場し、才人のもう1人の相棒となるアーセナルことロイ・ハーパーも元こそ泥として登場する。

ちなみにデルフは才人がもっぱらロイに貸し与える為、半ばロイの私物化。

ちなみに武器もアローよりも多く装備していること、デルフや棍棒、弓矢など数多くの武器をロイが使用することからそれが由来でアーセナルの名前になる。

尚、ゼロ戦はアトムスーツになっており、その世界のレイ・パーマーが主な装着者となる。

ゲームキャラである春奈もブラックキャナリーとして登場。

ワイルド・ドッグ、ラグマン、ミスター・テリフィックもアウトサイダーズとして登場。(原作ではメンバーではなかったと思われるがドラマでカーティスがアウトサイダーズをチーム名にしようとしていたのでそれをこちらでは採用した)

またオールド・オスマンを助けたのはヴィジランテで現代では何者かがコスチュームを受け継いで悪人なら貴族だろうが平民だろうが容赦なく殺す私刑執行人となっている。

他にも登場しそうなヒーローはスーパーマン、スーパーガール、ヒューマン・ターゲット、フラッシュ(別の世界から来たという設定)、ホークマン、ホークガール、シャザム、アクアマン、バットマン、ナイトウイング、コンスタンティン、グリーンランタン(レギュラー化する可能性あり)、マーシャンマン・ハンター、ワンダーウーマン。

ヴィランはダーク・アーチャー、ウェザー・ウィザード、キャプテン・ブーメラン、ヴァーティゴ伯爵、ブラックアダム、ゾッド将軍、ダミアン・ダーク、ラーズ・アル・グールが率いるリーグ・オブ・アサシン、ベイン、ジョーカー、ハーレイ・クイン、デッドショット、デスストローク(時には味方に)、シネストロ、クライムシンジケート。

ラスボス候補はドラマ版プロメテウスことエイドリアン・チェイス(初代ヴィジランテじゃない方)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パワーレンジャー要素が強いジュウレンジャー、ダイレンジャー、オーレンジャー、アバレンジャー×複数の何かの作品。

ジュウレンのアイテムはゾードンが作った装備という設定で登場しており、守護獣達もメカという設定で登場する。(ちなみに名前はメガゾードではない)

主人公は勿論ティラノレンジャーであるが、途中で事情により変身者が交代し、ドラゴンレンジャーが主役に昇格される。(つまりトミー・オリバーポジ)

だが途中で敵の執拗な攻撃によって一時期パワーを失う。

しかししばらくしてから新たにキバレンジャーの力をゾードンから与えられ、前線復帰することに成功。

後にドラゴンレンジャーの力を持った新・主人公のクローンも敵に操られる形で登場するのだが敵を倒した為にクローンも味方となり、7人で力を合わせて戦う。

さらに、最初にジュウレンジャーが使用するロボは大獣神だが途中で気伝獣の力を使うことも可能となり、大獣神と使い分けて使用する。(三神将も登場するかは未定)

これらの設定がダイレンジャー要素を入れたジュウレンジャー編であり、オーレンジャー編ではバラノイアにジュウレンジャーの力が通用しない為、ジュウレンジャーの力を失う代わりに超力を使い新たにオーレンジャーの力を主人公達が得る。

主人公はキバレンジャーからオーレッドへの変身能力を得る。

またキングレンジャーもリキとほぼ同じ設定で登場するが、ジオのように戦闘で傷を負ったことでパワーの維持が難しくなり、初代主人公に受け渡す。

ただジオと違いキングレンジャーの力はそのまま初代主人公のものとなり、終始力を受け継いだまま。

アバレンジャーはこれらの出来事から数年後の設定であり、ダイノアースからの救援を主人公がキャッチし、エヴォリアンの地球侵略を知り、対抗するために先ずは彼等の世界へ向かったことでアバレブラックの力を手に入れる。

その後、エヴォリアンからアナザーアース・・・・・・地球を守るために主人公がアバレンジャーになれる素質・・・・・・つまりはダイノガッツの強い人間を探すことになる。

アバレンジャー編はレッドとのダブル主人公勢になる可能性あり。

アバレキラーも最初こそ敵として登場するが、敵に洗脳されたという設定でダイノサンダーと同じように善と悪の存在に別れ、ダイノマインダーの危険性もなくなっている。

ある時、ダイノコマンダーが突如として不具合が起こり、主人公は突然の昏睡状態に陥る。

これはドラゴンレンジャー、キバレンジャー、オーレッド、アバレブラック等数多くの戦士に変身してきたことで身体にそれらのエネルギーが主人公の身体に溜った為、ダイノコマンダーが不具合を起こした。

そして夢の中でドラゴンレンジャー、キバレンジャー、オーレッドが主人公の目の前に現れ、彼等は「テスト」と称して主人公へと襲いかかって来る。

やがてドラゴンレンジャー達全員を退けた主人公は彼等から新たな力を授かり、ドラゴンレンジャー、キバレンジャー、オーレッド、アバレブラックに変身することができる「マスターモーファー」を手に入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ニュージェネレーションヴィランズ

ニュージェネレーションウルトラマンそれぞれの宿敵、ダークルギエル、ラグナ、荒井、アキラ、トレギアを主役にした作品。

ビクトリー、エックスの宿敵ポジはいないので代わりにエタルガーとエックスキラーが加わる可能性あり。

ちなみに何名かは能力が制限され、全員等身大にしかなれない。

ルギエルはダークスパークで相手をスパークドールズにする能力が使えないが、幾つかの怪獣のスパークドールズを所持しているため巨大化こそできないがタイプチェンジの要領で他の怪獣や宇宙人に変身可能。

エタルガーは人間態に変身できるようになり、エタルガー本来の姿にもなれるが等身大にしかなれず、エタルダミーも作れない。

エックスキラーも等身大にしかなれないがエースキラーの能力に切り替えることは可能。

ラグナの場合、既にダークリングを失っている状態なので唯一能力に制限がない。

荒井はフュージョンライズできるがやはり等身大にしかなれない。

アキラはオーブダークにしか変身できず、他の怪獣に変身することはできず、当然巨大化も不可能。

トレギアも基本等身大でしか活動できない。

 

 

 

 

仮面ライダークロック

言うなれば昭和ライダーの力を継承するジオウとも言えるライダーであり、未来では「最高の英雄」として語り継がれているらしい。(救世主とほぼ意味被ってる気もするが)

昭和ライダーである1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、BLACK、BLACK RX、シン、ZO、J、3号(個人的に3号は昭和ライダーだと思っているので)までのライドウォッチを使用することでそれに対応した格形態のアーマーを装着することができる。

昭和ライダーのアナザーライダーも登場するが、「昭和ライダーがいなければライダーの歴史が無くなる」ということでアナザーライダーが誕生しても本家のライダーの存在が無かったことにはならない。

最強フォームは全ての昭和ライダーのライドウォッチを使用することで誕生する「レジェンドクロック」。

全ての昭和ライダーの能力の使用ができ、昭和ライダーや昭和ライダーの武器の召喚が可能となっている。

その気になればBLACK、RX、バイオライダー、ロボライダーの4人を召喚することも可能。

ちなみに彼に仕える存在として青い服装の「青ウォズ」も登場し、仮面ライダーウォズにも変身するがシノビ、クイズ、キカイ、ギンガに加えてNEW電王、アクア、ポセイドン、ダークドライブ、ハッタリのミライドウォッチを所持し、それらの格形態にフォームチェンジができる。

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギアGinga×SSSS.GRIDMAN 夢を唄う英雄

シンフォギアXDでのグリッドマンコラボをベースとしたエピソード。

異世界に行くメンバーは原作と同じ響、クリス、マリア、翼に加えてコウマが行くことに。

グリッドマンギアやグリッドナイトギアは登場せず、そのまんまグリッドマンやグリッドナイトに響や翼は変身する。

ちなみに巨大化しなくてもクリスやマリアは怪獣相手でもそこそこ戦えたりするが、やはり巨大化した方が戦闘は有利に運べるので巨大化は積極的に行う。

そしてそれをコウマに(主にクリスのみが)弄られることに。

マリアも帰って来てから零無に弄られることに。

 

 

 

平成ウルトラマン三部作×ラブライブシリーズ

それぞれ初代ラブライブ!×ウルトラマンティガ、サンシャイン!!×ウルトラマンダイナ、ニジガク×ウルトラマンガイアでクロスオーバーさせた作品。

ティガ×初代ラブライブ!とダイナ×サンシャイン!!は世界観が繋がっており、ダイナの時代ではティガはもういないことになっているが、ダイナにて中盤、もしくは劇場版の話でクイーンモネラが中ボス、又は映画ボスとして登場し、一時的に復活した前作主人公との共演がある。

ニジガク×ガイアはアニメがどのような感じになるかにもよるが、一応はアニメベースであり、ティガ、ダイナの世界とは世界観の繋がりはない。

この辺はラブオーブやラブジードのようなもの。

当然アグルも登場し、W主人公勢である。

ただアグルはやはり最初は敵対関係にあり、途中、アグルは力をガイアに渡して一時退場。

アグルが退場している時にニジガクの世界になんでも願いを叶える赤い球がやってきて事件が起きるが、同じように赤い球の力によって前作、前々作の主人公が登場し、事件の解決に当たる。

 

 

 

ラブオーブクロニクル オリジンサーガ 『乃木若葉の章』

ラブオーブの外伝作品であり、ラブオーブのオリジンサーガに当たる作品。

ベゼルブやクイーンベゼルブはバーテックスと同じ天の神に造られた存在として登場し、ベゼルブ以外の怪獣達は別の惑星からベゼルブの毒に侵され、操られた怪獣という設定で登場する。

そのため戦神は登場しない可能性が高い。

紅葉やラグナが主役の作品なのだが、ラグナは今と違って変態臭さは無く、真面目な面が多い。

反対に逆に紅葉は新春期男子のような性格で、(今のラグナほど変態臭くはないが)今と立場が逆転したような立ち位置にいる。

過去作から飛翔 アスカ、春歌 ムサシ、高山 ツトム、藤崎 ヒロヤの4人も登場する。

また神樹の立ち位置は命の樹に近い立ち位置となっている。

尚、ラグナも一度ベゼルブの毒に侵されかけるのだが、その際、神樹が造り出した果実(ベゼルブの毒に対しての解毒剤的なものでもあるが、一般人に使用するのはまだ危険段階であり、量産もこの時点では難しい)を止むを得ず飲み込ませたことで身体の毒が解毒させると同時に魔人態になる力を得る。

つまり、ラグナは疑似勇者とも言える存在となる。

後々の彼の行動を見れば、神樹は彼から力を奪いそうであるが、特殊な状況である為か彼から力を奪うことは出来ない模様。

ゆゆルブとは世界観は繋がってはいないが、ゆゆルブに繋がるかのような描写は入る。

後に紅葉がオーブリングを手に入れることを見越し、アスカ達はそれぞれダイナ、ガイア、アグル、コスモスのカードを紅葉に渡すことに。

 

 

 

ニュージェネレーションヒロインズ

クリス、切歌、時雨、穂乃果、千歌、東郷、友奈を主役にした作品。

時系列はギャラクシークロスの事件から少し経った日、様々な世界で謎の異常自体が発生し、その異常自体に立ち向かうべく、事件を解決するには1人では難しいということでウルトラマンディアスが彼女等に救援を求めるという話。

尚、ニュージェネレーションヒーローズはこの時、グリムドの封印に向かって行ったので全員が不在となっている。

イメージ的には時間軸ではなく、異世界を旅するレジェンド・オブ・トゥモローのような作品でディケイドみたいにアニメや漫画、特撮の世界などを廻ることになる。

ちなみにディアスはリップ・ハンター枠。

 

 

 

 

 

 

スーパーマンVSホームランダー

真のヒーローであるスーパーマンと、クソ似非ヒーローのホームランダーが対決する短編。

物語はホームランダーとクイーンメイヴがハイジャックされた飛行機の乗客達を助けようとしたが、操縦桿も壊れ(というかホームランダーが壊した)ホームランダーが「乗客を全員助けるのは無理だから諦めよう」と乗客を簡単に無捨てようとしたところから始まる。

メイヴが1人ずつ地上まで運んで助ければと提案するが、ホームランダーは明らかに面倒だからやらないといった態度で断ってしまう。

そして一組の親子だけでもとメイヴは頼むが残りを見殺しにしたことがバレるとホームランダーは拒絶。

そのままホームランダーは乗客を見殺しにしようとするが、乗客達がホームランダー達が自分達を見捨てることに気付き、詰め寄るが・・・・・・。

「下がれ! 席に戻らないとレーザーで焼き殺すぞ!」と乗客達を脅したところで、「下がるのは君だ」と言いながらいつの間にか現れたスーパーマンが登場。

ホームランダーやメイヴはホームランダーに酷似した格好のスーパーマンを怪訝そうに見るが、スーパーマンはそんな2人をスルーしてホームランダーが面倒くさがった「1人ずつ乗客を地上に降ろす」という作戦で乗客を全員無事に救い出してしまう。

最も、スーパーマンの場合は運び出すときは2、3人担いでたりするのだが。

見事に乗客全員を救い出すことに成功し、メイヴも彼に感謝するのだが、ホームランダーは「自分が乗客を見捨てようとしたことがバレてしまう」と考え、スーパーマンが救い出した乗客を目から放つレーザーで皆殺しにしようとする。

無論、それを殴り飛ばして阻止するスーパーマン。

それが引き金となり、自分にはできなかったことを平然とやってのけ、尚且つ自分を殴ったスーパーマンに苛立ち、そのままホームランダーはスーパーマンに襲いかかり、2人は戦闘に発展。

しかし、所詮ホームランダーはスーパーマンの劣化版。

ホームランダーの攻撃は殴ろうがレーザーで攻撃しようがまるでスーパーマンには通用せず、逆にスーパーマンに圧倒されてしまう。

追い詰められ、「私はヒーローだ! お前のような私の力を真似たような偽者に負ける訳がない!!」と真似してんのはどっちだと言いたくなるような台詞を吐くホームランダー。

しかし、スーパーマンは「君はヒーローなんかじゃない」と真っ向からホームランダーがヒーローであることを否定する。

さらには「悪党と呼ぶことすら生温い、人殺しだ」とスーパーマンに言われ、逆上するホームランダー。

「最後に勝つのは私だ!」

「いいや、君は負ける」

「私が負ける? 私が負けると思うその根拠はなんだ!?」

「・・・・・・相手が私だからだ」

というやり取りを行った後、スーパーマンはホームランダーを一発KOし、その後スーパーマンは仲間達と協力し似非ヒーロー達が所属するヴォート社の悪事を世界中に暴いていくと言うストーリー。

 

 

 

 

 

 

 

大怪獣バトルを取り扱った作品。

ウルトラアドベンチャーの話をベースにストーリーは進められる。

主役怪獣は「金属生命体 アルギュロス」で主人公は地球人のレイオニクスで、怪獣オタク。(この辺りはアドベンチャーの主人公と共通

ただし、主人公は怪獣のフィギュアを自作したりしており、その辺りはグリッドマンのアカネと共通している。

主人公達のいる世界は「アドベンチャー」とは分岐した世界であり、かつてギャラクシークライシスが起こった為に、この地球ではM78星雲やそれ以外の世界のウルトラマンや怪獣達の記録が残っている。

主人公にバトルナイザーを託すのはアルギュロス自身であり、当初は自身を操ることのできる主を探していた。

アルギュロス自身には善意のようなものがあるようで、バトルナイザーを主人公に託す前から積極的に人を守ろうとし、同時に主人公に対する忠誠心は高く、見た目通りの騎士然とした性格をしている模様。

そのため原作のあのニヤッと笑みも滅多に見せることはないが、茶目っ気を出してニヤッとすることはある様子。

それをやる度に主人公からは気味悪がられるが。

またアルギュロスはタイプチェンジの要領でニセアグルの姿と使い分けて戦うことが可能であり、『第二覚醒』を主人公が果たすとアルギュロスはEXに当たる形態として「ニセアグルV2」へとパワーアップする。

そして主人公の操る怪獣はアルギュロス以外にも「彗星怪獣 ガイガレード」「バリヤー怪獣 ガギ(因みに雄」が仲間に後に加わることとなる。

この2体も主人公が第二覚醒を果たすとガギは見た目こそあまり変わらないが戦闘力が大幅に強化され、ガイガレードは「ネオガイガレード」に進化する。

尚、なぜアルギュロス、ガイガレード、ガギなのかと言うと大怪獣バトルのレイが操る怪獣がそれぞれ「Q」「マン」「セブン」で登場した怪獣達だった為、こちらでは「平成三部作」で登場した怪獣を選出したのが理由。

では何故アルギュロス、ガギ、ガイガレードなのかと言うと・・・・・・単にそれぞれティガ、ダイナ、ガイアに登場した怪獣達の中でも作者の推し怪獣だからである。

特にアルギュロスさん。

アルギュロス、ガギ、ガイガレードのチョイスに対する異論は認めない!

 

 

 

 

 

 

ニュージェネクロスシリーズ What if…?

マーベルのWhat ifのアニメを観て触発されたニュージェネクロスシリーズのもしもの話。

ただし詳しい設定などは基本あまり考えてない。

 

もしもシンフォギンガのヒロインが響だったら?

投票でヒロインがクリスに決まったため、もしも響が投票で買っていたらという想像の元考えられた話となる。

 

もしもラブオーブとジードサンシャインの世界観が繋がっていたら?

当初、ラブオーブとジードサンシャインの世界観は繋がっている案があったが、流石に難しいということで没になった。

ジードの1話でちょっとだけオーブが登場したのはその名残り。

ニジガクZと繋がったバージョンも存在する。

 

もしもすべてのニュージェネクロスシリーズの世界観が繋がっていたら?

上の上位互換バージョン。

しかし、ニュージェネヒロインズ以外のキャラ達の絡みや共闘などが多く見れる話となる。

 

もしもいろはが魔法少女じゃなかったら?

元々いろはは魔法少女にはならない運命にあり、正史世界ではういやねむ、灯火も病死し、両親も海外出張でいなくなり、学校には友達もいない中、最後は交通事故にあっていろはが亡くなる話を聞き、ここにゼンがいたら……という想像の元に思い付いたもしもの話。

つまり、この世界線だとトレギア大勝利ルート。

このことからタイガどころかいろはの死を受けたゼンも闇墜ちすることとなる。

変身者であるゼン諸共同時に闇墜ちしたということもあり、タイタスとフーマすら強制的に闇の力に取り込こまれてしまい、それによって闇のトライストリウムとも言える「ウルトラマンタイガ トライストリウムダーク」へと変貌してしまう。

逆に言えば、いろはが魔法少女の世界線であるタイレコだと・・・・・・?

 

 

もしも紅葉とラグナの立場が逆だったら?

所謂善悪逆転ものであり、このラグナはオーブの光に選ばれるだけの素質があり、紅葉には逆にそれが欠けていたという体の設定。

つまり、穂乃果の義兄がラグナということとなり、恐らく彼が主人公の場合は海未がヒロインという状態になると思われる。

尚、紅葉はラグナに比べると正統派ライバルといったキャラ。

 

もしも歩夢がライの告白を受け入れていたら?

単にニジガクZのヒロインが歩夢ちゃんになるだけです。

それでもせっつーのファンになるのは変わらないので、ライがハーレム状態になる可能性あり。

機会があれば歩夢ちゃんがヒロインの作品を書きたいという願望みたいなものも込めたネタ。

 

もしもコウマが悪人でダークルギエルだったら?

響や未来とコウマが出会ったのは響がいじめを受けているのを見て、いても立ってもいられなくなったことが切っ掛けで2人と友人になったが、もしそれよりも以前からコウマと響、未来が友人同士で、コウマもツヴァイウイングのライブに来ていたらという話。

つまり、ノイズによるライブ会場襲撃の悲劇がコウマ自身にも降りかかり、彼もまた生存者となった為にいじめを受けることとなった世界線であり、結果、心ない誰かによって家を燃やされ、家族を全員失ったために一部を除き、この世の全てを憎むようになる。

それが切っ掛けで心に闇を抱えるようになったことでダークルギエルから宿主として目をつけられるが、逆にコウマ自身の驚異的な精神力によって逆にルギエルの方が乗っ取られてしまう。

ルギエルの力を奪ったことでルギエルの記憶も読み取ることが可能となり、自分の邪魔者になるであろうウルトラマンギンガの宿るギンガスパークを破壊。

さらにフィーネの誘いを受けて彼女の陣営に付く。

最も悪人になったと言ったがどちらかと言えばダークヒーロー的な立ち位置となり、クリスの戦争の火種を無くしたいという考えに賛同したり、彼女と交流するのは変わらない。

しかし、邪魔者は容赦なく叩きつぶすというスタイルであり、いざとなれば人を殺すことも躊躇したりはしない。

 

 

 

ウルトラマンフレア(ラブライブ!×オリトラマン)

ラブオーブ本編終了後の続編にして穂乃果を主人公にしたオリトラマン作品。

時系列的にはギャラクシークロスの後。

ダークキラーやダークディアスとの戦いが終わった後にティガのスパークドールズとライトスパークをコウマに返却したが、ギャラクシークロスでの出来事でクリスや切歌、時雨や友奈に東郷といったウルトラマンの力を持たなくとも共に戦う他のニュージェネヒロイン達の姿を見たことで、ふっと「自分もあんな風に戦えればな」と思うところから話は始まる。

ダークキラー達との戦いが終わり、再びしばらく紅葉と中々会えない日が続く中、ある日の朝穂乃果が目を覚ますと彼女はなぜか惑星0-50の頂上、戦士の頂に辿り着いていた。

穂乃果はなんでそんな場所にいるのか、何が起こったのか分からなかったが目の前にあった光の輪に吸い寄せられるように手で触れたことで穂乃果はティガではない完全に彼女だけのウルトラマンへの変身能力を手に入れることとなる。

そして気付けば自分の住んでいる地球に戻って来ており、そこから穂乃果は再び現れた怪獣達に対処していくというストーリー。

穂乃果の変身するウルトラマンは「ウルトラマンフレア」。

尚、名称が「ウーマン」ではなく「マン」なのは穂乃果的には「ウルトラウーマンフレアよりウルトラマンフレアの方が響きがカッコイイから」とのことらしい。

他にもフレアの姿は普通に男性っぽいのもあり(ジャスティス的な感じか)、「グリージョちゃんみたいに見た目が可愛らしい訳じゃないし」というのも理由の1つ。

尚、フレアの外見は身体に炎のような模様が刻まれており、胸部には銀色のプロテクターで中央部にはカラータイマーが存在し、右肩には太陽のような刺青のようなものが入っている。

「フレア」という名前の通り主に炎を使った攻撃を得意とする。

 

 

 

 

遊戯王×虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

歩夢ちゃんヒロインにした作品書いてみたいなって考えてたらふっと浮かんだもの。

恐らくはアニメ版ベースで、侑の代わりにオリキャラの主人公が置き換わった作品になると思われる。

ただし、侑の存在は完全には抹消せず、歩夢が幼い頃に両親の都合で転校したという設定。

その時に侑と別れた寂しさから大泣きしていたところを主人公に励まされたことで関わりを持つこととなる。

尚、侑とは現在は離ればなれなのは変わらないが連絡はずっと取り合ってる模様。

主人公の主に使うデッキは「ヴァレット」になると思われる。

ニジガクメンバーの使用するデッキは歩夢の場合は「六花」

せつ菜は「転生炎獣」

愛は絶対「『アイ』だけに!』とか言いながら「@イグニスター」を使う。(アニメでこのデッキを使っていたキャラの名前も『アイ』だった為)

エマは未定

果林は「DD」

彼方は未定

璃奈は「裏サイバー」と「表サイバー」

かすみは「トリックスター」

しずくは「EM」を使うと思われる。

 

 

戦姫絶唱シンフォギアGinga XDコラボ編

以前にも書いたグリッドマンとのコラボの延長線上の作品。

XDが結構自分の知っている作品とコラボしているのでそれらのコラボ作品にもしもコウマ達が登場したらという話。

コラボ作品はULTRAMAN、ゴジラ、SSSS.DYNAZENON、キラメイジャー、リリなのになると思われる。

 

 

 

ニジガクZ×タイガレコード

 

文章にするとなんか難しそうだったので大まかなあらすじ的なものを。

 

ゼットとタイガの共演はあったけどハルキとヒロユキの共演って今のところ全然無いなという発想から生まれたニジガクZとタイガレコードのクロスオーバーストーリー。

尚、タイレコは時系列的にニュージェネクライマックス後なのでゼンはタイガ達と別れた後になっていることやあくまで変身者同士の共演をメインにしているため、タイガ、タイタス、フーマのトライスクワッドは登場しない。

代わりに登場するのはトライスクワッドをモチーフとしたウルトラマンスーツ。

なんでそんなものがあるのかと言うとゼン曰く「ある人達が俺の為に開発してくれた」らしい。

ニジガクZはデルタライズクロー登場後になると思われる。

この話のメインヴィランは人間の体液を欲するエイダシク星人と、エイダシク星人によって改造され、タイレコ世界から連れて来られたた魔女シャルロッテ。

エイダシク星人は改造されたシャルロッテを使うことで餌となる人間を集めさせており、ゼンといろははそんなエイダシク星人達を追ってやってくる。

しかし、ニジガクZの世界に来た際になぜかはぐれてしまい、お互いを探してその世界を彷徨っているといろははシャルロッテによって結界内に閉じ込められ、襲われそうになったせつ菜や偶然彼女と一緒にいたライ(尚、この時ライはやむ無くゼットに変身しようとしていた)を発見し救出。

そして本物の魔法少女が現れたことにせつ菜とライは大興奮し、そんな2人に引きつつ既に多くの戦いを潜り抜けてきたいろははシャルロッテ相手にも善戦するが、そこへエイダシクが戦闘に加わったことで不利な状況となり、ライが助太刀に入ろうとするが生身で勝てる筈も無く吹っ飛ばされてしまう。

ただし、それによってライが変身できる状況となったことで等身大ゼットに変身。

ちなみにある事情によって等身大ゼットは長時間の変身やこの状態でもウルトラフュージョンできるようになっている。

それによってゼットはいろはと共闘、いろははこの世界のウルトラマンの出現に驚くものの共にエイダシクとシャルロッテを追い詰め、ゼットがシャルロッテにトドメを刺そうとした瞬間タイガのウルトラマンスーツを纏ったゼンに何故か妨害されてしまう。

当然、そのことに怒るゼットだったが、ゼンはシャルロッテは自分が倒すと言って聞かず、無視を決め込む。

結局最終的に2体を取り逃がしてしまい、戦闘終了後にライはそのことをゼンに責め立てるが、ゼンは「あれは俺達の問題だからお前は関わるな」と冷たい態度を取られてしまい、2人は険悪な雰囲気となってしまう。

ちなみに別の場所ではゼンとライとは違い、せつ菜がいろはにあれこれと質問攻めしており、「武器とかフードとかちょっと触っても良いですか!?」と若干いろはが引いていたもののゼンやライと違い友好的な関係を結んでいた。

そしてこの後、ゼンにも質問攻めにしようとしたがライとの険悪な雰囲気を見て即座にやめた。

またこの時せつ菜と話している内に彼女がスクールアイドルだと聞いていろはは穂乃果や千歌のことを思い出す描写がある。

尚、ゼットがシャルロッテにトドメを刺そうとした時にゼンが妨害したのはシャルロッテが「元人間」であるため。

元人間と言えど自分達とは関係の無い世界の住人に人を殺すような真似をさせたくなかった為に敢えてライに対して突き放すような冷たい態度を取っていた。

しかし、そんなゼンの考えを見抜いていたいろはがライに直接そのことを話したことでゼンが自分を気遣っていたことに気付き、ライが「これ以上、犠牲者が増えることを魔法少女だったあの娘も望んではいないのではないか」と説得したことでゼンとのわだかまりが解消され、ストレイジの力も借りてエイダシクとシャルロッテの居場所を突き止め、ライ、ゼン、いろはの3人は共闘。

いろはは2人のフォローに周り、アルファエッジ&タイガスーツ、ベータスマッシュ&タイタススーツ、オメガブレード&フーマスーツといったタイプチェンジラッシュでエイダシクとシャルロッテを追い詰め、最後はデルタライズクローとトライストリウムとなった2人のウルトラマンによってエイダシクとシャルロッテを撃破することに成功。

その後、エイダシクとシャルロッテを倒したことでゼンといろはは自分達の世界に帰ろうとするがせつ菜に呼び止められて、その日が自分のライブの日だったこともあり、帰る前に折角だからライブを見て帰って欲しいと言われ、ライにも誘われたことで3人でライブを見ることに。

その後、せつ菜はいろはからサインを貰い、せつ菜のライブに感動したいろはもせつ菜からサインを貰ったことでせつ菜とライは元の世界に帰るゼンといろはを見送るところで話の幕は閉じる。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

僕たち、ツインテールになります。 その1

「ツインテールって……いいよね」

「突然なんですか……」

 

制服を着て学校帰りの2人の男女……1人は温和な顔つきに、穏やかな表情を浮かべる青年「風上(かざかみ) 光(ひかり)」は「ツインテールがいい」なんてことを幼馴染で少し髪が長い親友の少女である「海原(うみはら) 奈々(なな)」へと話しかけた。

 

「いや、なんか知らないけど……最近ツインテールがいいなぁって思ってさ。 結構可愛いじゃないか、ツインテールって」

「えぇー? アレ可愛いですか? ツインテールなんてみんななんかやる気なさそうな目してるじゃないですか」

「いや、そんなことないでしょ? それぞれそれは違うと思うけどなぁ……」

 

しかし、奈々は一向に光に同意する気はなく、「いやいや、ツインテールってみんな私たちから見れば同じ顔にしか見えませんよ殆ど」と返されてしまい、光は首を傾げて奈々を見つめる。

 

どうも、先ほどから話が噛み合っていないような気がするからだ。

 

「ねえ、奈々……一応言っておくけどツインテールって髪型のことだからね?」

「えぇ!? ツインテールって髪型なんですか!!? てっきりあのMATに目を潰されたやつかと」

「いや、全然違う。 髪を左右に結んだ感じの髪型のことだから」

 

光はそんな奈々にクスクスと笑みを浮かべて彼女の髪へとそっと触れると突然のことに奈々は目を見開いて驚き、顔を真っ赤にする。

 

「ひ、光! なにを!?////」

「奈々ってさ。 ツインテール似合いそうだよね」

「えっ!? そ、そうですかね……」

「うん、絶対に似合うよ! 長いのは無理かもしれないけど、小さいツインテールならできそうだし。 僕が保証する」

 

彼女は顔を赤くしたまま「ひ、光がそう言うのなら……」と答えて明日から髪型をツインテールにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3、4年後……今現在、奈々と光は喫茶『アドレシェンツァ』という店で2人が通う初等部から大学部まで一貫進学が可能な超エスカレーター校の「私立陽月学園高等」の中等部からの付き合いである同級生2人と一緒に食事をとっていた。

 

「なんか、ごめんね? 僕達まで御馳走になっちゃって」

「あぁ、別に気にしなくてもいいわよ。 そーじの奢りだしね♪」

 

光はこの店の主人の息子である赤い髪の少年「観束(みつか) 総二(そうじ)」に謝罪するが……当の本人なにかほっこりとした笑顔で考え事をしているため返事がなく、代わりに彼の幼馴染である青いツインテールの髪をした少女「津辺(つわべ) 愛香(あいか)」が総二の代わりに答えた。

 

「はあああ……やっぱりツインテールはいいよなぁ~」

 

そんなことをボソッと呟く総二に呆れたように「また言ってる」と呆れたような目で総二を見つめる愛香、しかし、そんな彼の隣に奈々が素早く座り込み「ですよね!!」と目をキラキラさせながら総二に同意した。

 

「特に金髪のツインテールとか小柄のツインテールは最高だと思うんですよ!! 特に……幼女とか!!」

「奈々、その発言はなんか君が言うと危ない発言に聞こえるんだけど……?」

 

苦笑しながらツッコミを入れる光だが、奈々は特に気にした様子はない。

 

「いや、俺の場合ツインテールの良さはその人がどれくらい上手くツインテールにしてるかによるかなぁ……」

「まあ、私もかんわいい美少女なら誰でもいいんですけどね。 でもそんな人がいたら持ち帰りたい!! 持ち帰って……うへへへ……」

「奈々ぁ!! 女の子がしちゃいけない顔してるよ!?」

 

光が慌てて奈々に変な想像をしているのをやめさせようとするが奈々は「邪魔しないでください光!!」と逆に光を怒鳴りつけ……「妄想の中でくら色々なプレイくらいさせてくれてもいいじゃないですか!!」となにかとんでもないことを叫んだ。

 

「なにとんでもないこと言ってるの!?」

「でもあれだよなぁ、奈々! 入学早々あんな素敵なツインテールを拝めるなんて思わなかった」

「えっ? あぁ……『神堂(しんどう) 慧理那(えりな)』会長ですか……。 確かに、私も初めて見たときは誘か……頭を撫で回したい気持ちでいっぱいになりましたね」

 

それを聞いた愛香と光は「今なに言いかけた?」と冷や汗をかきながらジトーっとした目で奈々を見つめ、2人は何時か奈々が本当に誘拐とかなにかしないかどうか心配で心配で仕方がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り、入学当初……生徒会長である黄色い髪をした先端にカールがかかったツインテールの少女「神堂 慧理那」が入学式での挨拶を行っていた。

 

「入学。 おめでとうございます。 あなた達には無限の可能性があります。 わたくし、神堂 慧理那が……そして陽月学園高等部が……その輝く未来を開花させる道標となることを約束しますわ」

 

ちなみに……彼女は年齢が15の割には小さく、土台がないと前に置いてある教卓に身体の半分以上が隠れてしまうほどである。

 

さらに言えば……その土台には「会長専用」などとも書いてあった。

 

(あの娘を見ると奈々は結構暴走するからなぁ……大丈夫かな?)

 

光は流石にこの状況で奈々が暴走することはないだろうとは思ったがやはり不安なものは不安なのでこっそり隣に立つ奈々の顔を見てみると頬をほんのり赤く染めているものの至って真面目な顔をしており、「よかった、ちゃんと我慢できてる……」と胸を撫で下ろしたが……。

 

『ダラダラダラ……』

 

奈々の花からは大量の鼻血が溢れ出ており、体育館の床を汚していた。

 

(って鼻血鼻血いいいいいいいいいいい!!!!!?)

 

また奈々は自分が鼻血を出していることに全く気づいておらず、心の中では……。

 

(きゃあああああ!!!! ちっちゃくて可愛い上にツインテールがよく似あってますううううううう!!!!? 持ち帰りたいぃ、持ち帰りたいよおおおおおおおおお!!!!! 何度見ても可愛すぎて……死ぬぅ……。 いえ、あの娘の頭を撫でるまでは死ねませんね!!)

 

なんてことを考えていたりするわけである。

 

また、総二はというと……流石に奈々ほどではないが慧理那に……正確にはそのツインテールに見惚れており、その見事なツインテールに総二は唖然ともしていた。

 

(育ちの良さを窺わせるふんわりと丸まった先端。 身ぶり手ぶりが激しくなるにつれ、それに合わせて空を舞うツインテールにさながらパートナーの手を取り、ダンスフロアで舞う姫君のような……なんて高貴で……麗しいツインテール……!!)

 

ちなみに総二はそれ以降ずっと彼女のツインテールについて考えていたため、どの部活に入るかを決めるアンケートを書くのを忘れてしまい、そのせいで咄嗟に彼はアンケートに「ツインテール」と書いてしまったりしたが。

 

その結果……。

 

「あれ~? 名前が未記入のものがありますね~」

「あっ、すいません、多分俺です……。 ぼんやりしてて……」

 

総二は戸惑いつつも間の抜けた声で喋る担任の教師に謝るが……。

 

「ツインテール部? あぁ、新設希望ですね~」

「いや、俺は部活を創りたいんじゃなくて……」

「そっか~ツインテール部か~。 観束くんはツインテールが好きなんですね~」

「それはもちろん」

 

キリッとした顔で条件反射で総二はついつい答えてしまい、せっかく知らない顔ばかりで心機一転と思っていたのに……今までの学生生活通り、自分の3年間のポジションが固定されてしまった瞬間だった。

 

「それでは皆さん。 HPを終わりますが……最近この近辺で変質者が増えているそうですから、注意してくださいね♪」

 

それだけを言い残して教室を去っていく担任、だが……その発言は今言われるとまるで総二が変質者であると言っているようなものだった。

 

「今それこのタイミングで言うことか!? なあ先生ちょっと待ってくれ!! 俺は本気なんだ!! 本気でツインテールが好きなんだ!! あっ……違……その……」

 

言い訳御無用の大惨事……その発言が自ら火に油を注ぐような真似をしたせいで総二は思った、「自分の高校生活は終わった」っと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああ!!!!? 余計なことまで思い出した……。 終わった、俺の高校生活」

「ちょっとそーじ、声大きい」

 

といつの間にか総二のカレーライスまで食べ始めてる愛香が大きな声を出す総二に注意するが……。

 

「いいだろ俺ん家なんだから!! っていうか何時の間にオメーは人の分のカレーまで!!」

「安心してください!! 総二さんの分のデザートのプリンは私が頂きましたから!!」

 

見事な笑顔でサムズアップする奈々に総二は「おいふざけんなあああああああああ!!!!!?」と怒鳴りあげるが……あの時のことをすぐに思い出し、総二はまた頭を抱えた。

 

「間違って変なこと書いたことより、その後のやりとりがまずかったのよ」

「分かってたならフォローしてくれよ~、友達だろ~」

 

それを聞いて愛香は「ムス」とした表情を浮かべて顔を反らした。

 

「友達、ねぇ……」

「なんだよ」

 

奈々は口元を「押さえてあらら」とクスクスと笑うが……ハッキリ言えば自分も愛香と似たような境遇であることを思い出し、奈々は光の方をチラっと見ると光はすぐに自分の視線に気づき、「どうかした?」と笑顔で問いかけてきた。

 

その笑顔に奈々は一瞬「ドキッ」と心臓が高鳴り、彼女は光から顔を背けた。

 

そして愛香はそんな鈍い総二に対して「なんでもないわよ! バーカ!」と舌をぺろっと出して「べー」っとするが……それを見た瞬間奈々の目つきが変わり、愛香へといきなり抱きついてきた。

 

「うぅ! 愛香さん今の可愛すぎますうううううううう!!!!!」

「わあ!? ちょ、ちょっと奈々!?」

「もう1回!! もう1回やってください!! やっぱりツインテール+ツンデレという定番もいいものですよね~!! あぁ、もう最高過ぎてヤヴァすぎて……泣けますねえええええええ!!!!」

「奈々、いい加減離れよう? 愛香さん困ってるから」

 

光は苦笑しつつ奈々の首根っこを引っ張って愛香からどうにか奈々を引き離すことに成功したのだが……今度は総二が「いつもの癖」で愛香のツインテールの先を指で無意識に弄っていた。

 

そのことに愛香は呆れつつも「ちょっとそーじ、また」と注意を促し、総二も「悪いな」と謝って手を離した。

 

「んまあ、友達っていうか腐れ縁というか……お前とは多分一生の付き合いになると思ってるからよろしく頼むわ」

「そーじ……」

 

ほんのりと頬が赤くなる愛香、そしてそれを見ていた奈々はあることは思っていた。

 

(今の……下手したらプロポーズですよね……?)

 

無論総二はそんなこと無意識にやっているので狙ってやった訳ではない……決して。

 

しかし、奈々や光からしてみれば総二はよくもまあ、こんなラノベ系主人公みたいな鈍感男がいたものだと悪い意味で感心するしかない。

 

(まっ、『自分に対する好意に気づかない』というのは光も同じなんですがね……)

 

再び光の方をチラッと少しだけ見つめる奈々だが……次の瞬間「ゴッ!!」という鈍い音が総二達の方から聞こえてきた慌てて視線を戻すとそこには赤く腫れた顔を押さえてのた打ち回る総二の姿があった。

 

視線を光の方に向けていた奈々は一体なにが起こったのか分からず、光に尋ねると光曰く……「総二くんが愛香さんにまたNGワード使ったんだよ」と苦笑しながら説明し、それを聞いた奈々は「あぁ、なるほど」と納得した。

 

ちなみに総二がこんなことになっているのかというと……先ほどのプロポーズをしてるかのような台詞の後に総二が……。

 

『一緒にいるとからかわれたりもするけど特に異性って感じたことないっていうかよく食うし、よく殴るし、胸も無……』

 

とこの台詞の後に愛香からの鉄拳を喰らったのだ。

 

「総二さん、流石に女の子にそれは……女性を胸でからかうのはよくないよ……」

 

苦笑しつつ光は用意周到に氷の入った袋を用意して愛香をからかったことへの注意をしながら総二の殴られた顔を冷やしていた。

 

「ぐっ……おおおお! でも光、ああやってぽんぽん殴らなければもう完ぺ……」

 

するとその時、総二は「ゾク」っとなにかの気配を感じて振り返るとそこには……新聞を読んで座っている女性客がいた。

 

総二は今は出かけている母がちゃんと店を閉めていたはずだと思っていたのだが、やはり店を閉め忘れたのだろうかと総二は考える。

 

「んっ……?」

 

総二は再度その女性を見つめるとその新聞には大きな穴がいつの間にか開けられており、「じー」とこちらの様子を伺っていた。

 

もはや怪しさほぼ100%である。

 

(す、すっげー見てる……!! いつの間にか穴があるし)

 

すると今度はその女性は新聞を投げ捨てて素早くこちらへと駆け寄り、「あの……」と総二に「だけ」声をかけてきた。

 

「っ!? 嘘、気配を感じなかったわよ……!!」

(いつも周囲の気配察知して生きてるのか……)

 

心の中で愛香の言動にツッコミを入れる総二だが、長い銀髪に巨大な胸を持つその女性は総二以外には用がないらしく、愛香や奈々、光達のことは放っておいて総二の手を握り締める。

 

「私、『トゥアール』と申します。 相席よろしいですか?」

 

にっこりとした笑顔を総二に向けるが……総二は突然のことは言葉が見つからず、あたふたとした様子を見せる。

 

「えーっと、ごめんなさい。 遠慮してもらえます? 私たち今御話し中なので……」

「っていうかガラガラですから相席いらないとも思いますけどね~」

 

愛香の言葉に同意するようなことを言う奈々が……奈々の今の顔を見た光ならばわかる……奈々は「確実にこの状況を楽しむ気だ」ということに……。

 

また、愛香の反論を聞いたトゥアールはというと、特に気にしたかのような様子もなくへかーっと笑顔を見せ……愛香に言ってはいけないことを言ってしまった。

 

「あっ、そちらの『貧乳』さんには特に用はありませんので!」

「……っ! いきなり現れてなんなの? あたしのツレでしょうが!! なに考えてんのよ、大人しそうな顔しておっぱい目立つ服を着てムカつくわね……!! 谷間に何度もストロー差すわよ!!!!」

「おい落ち着け愛香!!?」

 

一体それはどういう仕返しなのだと思う光、また奈々はというと「まるで自分の期待している展開通り!!」とでも言いたげな顔をして目をキラキラさせていた。

 

(……もう少し、ツッコミの上手い人がほしい……)

 

それは光の切なる願いだった……が、多分それは叶うことはないだろう。

 

(それにしてもよく見たら綺麗な銀髪だな……。 外国人か? それにしても愛香と同い年くらいに見えるのに歴然たる差……)

 

総二はトゥアールと愛香の胸の大きさを心の中で比較してそんなことを考え、また同時に「その煌めく銀髪ならさぞツインテールが似合うだろうに……」と。

 

トゥアールはそんな総二の考えに気づいたのか、再び総二の両手を握りしめて「ツインテール、お好きなんですね?」と問いかけると総二は即答で「そりゃもう!!」と答えた。

 

「大好……」

 

だが次の瞬間、トゥアールは怪しげな赤いブレスレットを総二の手に装着させようとし……それを素早く愛香が後ろからトゥアールの頭を掴んでテーブルの上に叩きつけた。

 

「おっぱい見せびらかしながらなにはめようとしてんのよ!? なにそれ!? ブレスレット!?」

「お、お前初対面の人に……!?」

「そうですよ愛香さん!! こんなに綺麗で可愛い顔をしてる娘になんてことしてるんですか!!? 顔はやめてください!」

「顔以外もダメだよ!!?」

 

上から愛香、総二、奈々、光がそれぞれにそれぞれそんなことを言い、愛香は「分かった!! あんた詐欺師でしょ!? 変なブレスレットをはめさせてお金いっぱい取る気よ!!」と人差し指を差してそう言い放つがトゥアールは「決して怪しい者ではない!!」と必死に否定する。

 

「まあ、ハメてほしいのは本当ですけど。 色々な意味で♡」

(怪しさしかない!!)

 

とこんな感じで目をハートにさせて口元から涎を垂らすトゥアールは奈々は兎も角全員から全く信用されておらず、逆にますます怪しさが増したのだった。

 

「えーっと、奈々のお姉さんかなにか?」

「失敬な!! 幾ら私でも下ネタは言いませんよ!?」

「あぁ、うん……否定するとこそこなんだ……」

 

どことなくトゥアールの雰囲気が奈々に近いものを感じたのでもしかして血縁者かなにかではないだろうかと思ったが、奈々自身こんな人は知らないというのだ。

 

「つけてくれないと困るんです。 お願いします、つけて……」

 

トゥアールは自身の胸を総二の腕に押し当て、それには当然幾らツインテールバカの総二でもかなり動揺するものだった。

 

「つけてくれたら……なんでも言うことを聞きますから」

 

涙目で訴えるトゥアールを見て総二は「なんでも言うことを聞く」という言葉に驚き、顔を真っ赤にして咄嗟にやらしいことを考え……ることはなく「だったらツインテールにして貰おう!!」という考えが彼の頭を過るのだった。

 

「私になにをしても構いません。 王道でもちょっと特殊な感じでも! むしろ特殊なこと大歓迎です!! はぁ、はぁ……」

 

トゥアールはなぜか顔を赤くして洗い息をし始めるが幼馴染である愛香には総二が今、なにを考えているかなど手に取るように分かった。

 

「あんた、なに考えてるか想像つくけど無駄よ。 こいつになんでもしてって言ったらツインテールにしてくれって言われるに決まってるんだから」

「えっ!? そっちですか!? 男の子なのに!!?」

 

それを聞いていた奈々は「男の子だとやっぱりエッチなこととか頼むものなんですか光?」と尋ね、光は「僕に聞かないでよ!?」と顔を少し赤くしてそう返した。

 

「まったまた~、ちょっと前金代わりにこの辺ガバーッとそちらの方にはない驚きのふんわり感……」

 

とまた胸のことを言われたことによって怒った愛香の鋼鉄ビンタがトゥアールの頬に炸裂し、頬を押さえて膝を突くトゥアール。

 

「だ、大丈夫か!? こいつたまに手加減分からなくて……。 けど、なんだってそんなに俺にソレをつけたがるんだ?」

「……だって、これを、つけないと……。 世界からツインテールが消えてなくなってしまいます!!」

「なっ!!?」

 

総二「に」とってはかなりの衝撃的なことをトゥアールの口から聞いた瞬間、総二は驚きの表情を浮かべるが……他3名は「はっ?」と訳が分からないといった顔を浮かべて首を傾げていた。

 

「それどういう!!」

 

そして総二が詳しくトゥアールから話を聞こうとした瞬間、トゥアールはその一瞬の隙を突いて「えい」とブレスレットを総二の腕に強制的に装着してしまったのだ。

 

「ふぅー、これで『奴ら』がいつ来ても安心です」

 

なぜか「これで一安心!」とでも言いたげな顔をして安堵しているトゥアールだが、愛香はトゥアールのつけたブレスレットを無理やり取り外そうとしていた。

 

しかし、なぜか無理やり押し込んだ結婚指輪のようにビクともせず、それでも愛香は諦めずにブレスレットを取り外そうと試みた。

 

「ぎゃああああああああ!!!!? 腕が、腕が千切れるううううううう!!!!?」

「ちょっ! 愛香さん!! 本当に腕が千切れるから落ち着いて!!?」

 

光が必死に愛香を総二から引き離そうとするが腕っ節は愛香の方が「当然」強いので光では愛香を引き離すことができず、逆に返り討ちになっていた。

 

「ちょっ、おま、光になにして!!?」

「今はそれよりこれを取り外すことよ!!」

 

一方で奈々は先ほどトゥアールが呟いていた言葉を聞き逃しておらず、彼女は先ほどトゥアールの言った「奴ら」について尋ねていた。

 

「あの、あなたが先ほど言っていた『奴ら』とは……?」

 

しかし……。

 

「申訳ありません!! 少し急ぎます!!」

「「「「えっ? なに?」」」」

「ポチッとな☆」

 

トゥアールはポケットからスイッチのようなものを取り出すとそれを押し、彼女と、彼女の周りにいた者達は白い光へと包まれてその場から消え去り、その場には誰もいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして5人はというと……どこかの駐車場までワープしてきてししまうのだった。

 

「なっ!? 瞬間移動した!? どうなってんだ!?」

 

いきなりどこかの駐車場に飛ばされて当然戸惑う総二達、一方で奈々は大して驚いた様子もなく、むしろどこか感心しているようだった。

 

愛香は一体自分たちになにをしたのかとトゥアールを睨みつけるがトゥアールは全員静かにするように注意を促す。

 

「もっと早くこうするべきでした。 迎え撃つつもりが後手に回りましたね」

 

一体彼女はなにを言っているのか分からず、困惑する総二……すると、逃げ惑う様子のまだ幼い少女の前にトカゲのような……だが人の形をした「怪人」が立ち塞がり、その後ろには戦闘員らしき怪人達もいた。

 

「連れて行け」

 

トカゲの怪人「リザドギルティ」は戦闘員の「アルティロイド」達にその少女を「連れて行け」と指示するとアルティロイドは「モケー!!」と答えて少女をどこかへと連れて行った。

 

「やああああ!! ママ~!!」

 

泣きじゃくる少女だが、アルテロイドは特に気にした様子はなく、少女をどこかへと連れて行く。

 

「な、なんなんだあの怪物……」

「総二様、私からあまり離れないでください!! 『認識撹乱』の作用範囲はそんなに広くありません。 兎に角、私の傍にいる限りは安全ですから……」

「にんしき、かくらん?」

 

言っている意味は分からないが、兎に角明らかに見つかりそうなところに立っているのにリザドギルティ達がこちらに気づいていないところを見ると本当にトゥアールの傍は安全らしい。

 

するとその時、リザドギルティはアルティロイドを「者ども集まれぃ!!」と呼び掛けて一度集める。

 

「この世界に生きとし生けるツインテールを……我等の手中に収めるのだー!!!!!」

「ぶっ!?」

 

そこで愛香が「ちょっとそーじ、アンタ着ぐるみ着てなにやってんのよ」と言われてしまい、総二は当然「俺じゃねえ!!」と否定する。

 

「むっ? なんだ貴様は……?」

「なにが目的か知らないけど……小さな女の子を泣かすな……!! 早く母親の元に返せ!!」

 

いつの間にか飛び出していた光が蹴りをリザドギルティへと放つがリザドギルティは光の足首を掴んで持ち上げ、遠くへと放り投げてしまい、投げ飛ばされた光は車に激突する……寸前に、白衣を着こんだ男性が受け止め、彼を救ったのだ。

 

「光!!」

「あぁ!? いけません!!」

 

トゥアールが光の元に駆け寄る奈々を引き止めようとするがそれよりも早く奈々は光の元へと駆け寄り、彼女は慌てて光に怪我などをしていなかを尋ねる。

 

「うん、心配してくれてありがとう。 でも、僕は平気『カシャ』……カシャ?」

 

光が右腕を見るとそこには総二がトゥアールによって装着された色が違うだけで同じブレスレットがいつの間にか装着されており、いつの間にか後ろに立っていたブスレレットを装着させた男性の顔を覗き込むと男性はスマイル満開でサムズアップを見せていた。

 

「えぇーーーーー!!!!!? なにしてるんですかあなたぁ!!?」

「はっはっは!! まあまあ、そう慌てないでくれたまえ。 私はプロフェッサー・リョーガ。 とりあえずほら、変身して」

「変身って……いきなり言われても意味分かりませんよ!? そもそもあいつ等なんなんですか!?」

「いやぁ、説明してる暇はないんだがねぇ……」

 

リョーガは「ほら」と先ほどの怪物達の方へと指さすと怪物……リザドギルティは腕を組んで奈々の方を凝視するように見つめており、奈々はリザドギルティに見つめられて「うわぁ……」という声を出し、若干引き気味だった。

 

「ふむ、そこの女は中々素晴らしいツインテール属性の持ち主だな少女よ!! 幼子でないのが実に惜しい」

「なに言ってんですかこいつ」

「そーいう種族だからねー」

 

リョーガは目の前に怪物が今にも迫って来ようとしているというのに呑気に「はっはっはっは!!」と笑っており、光は血相を変えた様子で「いいから早くどうすればいいのか教えてください!!」とリョーガに尋ねる。

 

「まあ、分かりやすく言うとだね。 奴等はツインテール属性が好きでそれを他人から奪う。 奪われた人間は無気力となり、最終的にその世界は笑顔の消えた世界となる。 ちなみに私はそんな異世界から来て奴らに対抗する兵器作って君に使って貰い、彼等を撃破してほしい。 以上」

「説明簡潔すぎやしませんか!!?」

「なにをゴチャゴチャと……んっ? どうした?」

 

するとその時、アルティロイド達が慌てた様子でリザドギルティ達の元へと駆け寄り、リザドギルティは一体どうしたのかとアルティロイド達に尋ねる。

 

「なに!? 極上のツインテールだと!?」

 

リザドギルティはすぐに連れてくるようにアルティロイド達に命令するとアルティロイド達はすぐにある人物を連れてきた。

 

「えっ……!? アレって会長さん……!!?」

 

それは自分達が通っている学校の生徒会長の慧理那であり、その様子をリザドギルティが他のことに気を取られている間に急いで車の物陰に隠れて光、奈々、リョーガは伺っていた。

 

「ってちょっと、君、さっさと行って戦ってくれよ」

「いや、だからそんなこと急に言われても……」

「光になにやらせる気ですかあなた」

 

奈々からも疑いの眼差しを向けられるリョーガだが、リョーガは大して気にした様子はなく「早く行ってくれたまえ!!」と言ってグイグイと光の腕を引っ張りリザドギルティの前に放り出そうとする。

 

「ほほう、なかなかの幼子!! しかもお譲様でツインテール……。まさしく完全体に近い!!」

 

慧理那はアルティロイド達によってソファに座らされており、慧理那はリザドギルティをキッと睨みつけた。

 

「仰ってる意味がわかりませんわ!! そんなことより他の子達を解放しなさい!!」

「ゴチャゴチャ言わずに貴様はこれを持てぃ!!」

「きゃっ!?」

 

そうしてリザドギルティは慧理那に無理やりぬいぐるみを抱かせ「腕白な幼子にはやはりこれが似合う」などと呟き、じっくりぬいぐるみを抱いてソファに座る慧理那を満足げに見つめる。

 

「ツインテール・ぬいぐるみ、そしてソファに持たれかかる姿!! これこそが俺が長年の修行の末に見つけ出した黄金比よ!!」

 

訳の分からないことばかり言っているリザドギルティに光はかなり呆れたような表情を見せており、また一方で奈々は「一里ありますね」となぜかリザドギルティに同意してしまっている。

 

「いや、なに同意してるの!?」

「同意せずにいられますか……!? 合法ロリの美少女がぬいぐみを持ってソファにもたれかかる!! 滅茶苦茶抱きしめたいじゃないですか……!!」

 

なんてことを言っている間にリザドギルティは「集めたツインテールを全員輪に通せ」とアルティロイド達に命令し、突然巨大な輪が出現してリザドギルティが「始めろ」と合図を出すと慧理那が突然空中へと浮かびあがる。

 

「っ……あのリングに彼女がもしも通ったら……彼女はどうなるんですか!?」

「ツインテールが解かれるだけさ」

「えっ……?」

 

リョーガから返ってきた返答に光は頭に疑問符を浮かべ、それだけなら別に大した問題はないのではないかと思われたが……問題はその先にあった。

 

「ただし、外見はなんともなってないし、身体に異常が起きることもない。 だが……あれを通ると『なにかを愛する』という気持ち、心が殺されるも同然のことなんだ。 さっき言った笑顔のない世界とはそういう意味だよ」

「心が……殺される……?」

「ほら、迷ってる暇なんてないよ。 もうすぐあの娘がリングに通ってしまうよ? それを使えば奴等と戦える」

「っ……」

 

リョーガは光の腕に装着してあるブレスレットを指差し、光は一瞬戸惑ったが……あの怪物達がツインテールを奪い、本当にリョーガの言うとおり心を殺すのだとすれば……光には彼女たちを助ける選択肢以外なかった。

 

そしてなによりも……。

 

「ねえ、奈々……」

「はい?」

「奈々は僕のためにツインテールにしてくれたんだよね?」

「あっ、えぇ……まあ……」

 

奈々は少し頬を赤く染めながら顔を俯かせつつそう答えると、光は彼女に笑みを向けた。

 

「じゃあ、奈々のツインテールと心も守らないとね!」

「光……」

「よっし! じゃあ光くん、『変身!!』と叫んでくれたまえ」

 

光はリョーガの言葉に頷くとブレスを胸の前で掲げ、叫ぶ。

 

「変身!!」

『テイルチェンジ・セイヴァー』

 

そんな電子音声が聞こえ、光はその身体に輝く光を身に纏いリザドギルティ達に向かって駆け出して行く。

 

そして……慧理那がリングを通ろうとしたその時、光が彼女を抱きかかえてリングから遠ざけ、気を失っている慧理那をゆっくりと地面へと降ろした。

 

「ぬうう、何奴だ!!?」

『光くん、聞こえるね? 一応、その姿の名前は既に決まっている。 是非ともカッコよく名前を名乗って決めてくれたまえ!』

 

リョーガのそんな声が光に聞こえ、光は頷くと立ち上がり、リザドギルティの方へと振り返る。

 

「僕は……テイルセイヴァーだ!!」

「むう……ごヴぁあ!!?」

「ってえぇ!? なにもしてないのに吐血したぁ!?」

 

そしてなぜかリザドギルティは光改め「テイルセイヴァー」を見ると吐血し、リザドギルティは片膝を突き、胸を手で押さえながら不気味な小さな笑いをあげていた。

 

「ふふふ……まさか、まさかこんな素晴らしい幼子に出会えるとはな!! 少し膨らみかけの胸が少々残念ではあるが……」

「……んっ?」

 

なにか今、聞き捨てならないキーワードが幾つかあったことにセイヴァーは気づいた。

 

(んっ? 幼子? 膨らみかけの胸……?)

 

なんとなく……テイルセイヴァーは自分の胸を触ってみると「ふにゅ」という柔らかい感触を感じ、恐る恐る股の辺りを触れてみると……。

 

「ひゃう!?」

 

可愛らしい声が出た。

 

(んっ? アレ……そう言えば僕の声もなにか変……。 それになんか頭が少し重いような……。 っていうか男として1番大事なものがなくなってるんですけどおおおおおおお!!!!?)

 

テイルセイヴァーは急いで車の窓に映る自分の姿を確認してみるとそこに映っていたのは身長は小学6年生くらいで白スクのようなボディスーツを着込んでおり、左右の腰部、肩部には銀色のアーマーのようなものが装着され、髪の色は黒から銀髪へと変化しており、その髪は機械のリボンによってツインテールに結ばれた「少女」が立っていた。

 

「……えっ、なにこれ……なにこれえええええええええええええ!!!!!?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

僕たち、ツインテールになります。 その2

「なんだこれ……なんだこれええええええええ!!!!!!?」

 

そう叫ぶのはなぜか小学6年生くらいの身長の少女に変身してしまった主人公……「風上 光」、彼……否、この場合彼女(?)はなぜ自分が幼女へと変身してしまったのか分からず困惑し、急いで元凶と思われるリョーガに連絡を入れた。

 

『あの、なんで光が幼女になってんですか……』

 

が、それよりも先に幼馴染の奈々の声が聞こえ、自分の聞きたいことを聞いてくれていた。

 

『んんっ? ダメだったかい?』

『いいえ、滅茶苦茶ウルトラナイスです、だってあの娘私好み超絶美少女なんですもん!! むしろよくやってくれました!! 中身が光という所も高評価です!! 白スクですし!!』

『はっはっは!! いやぁー、話の通じる人でよかったよ~』

 

確かに聞きたいことは聞いてくれたのだが……光的にはその辺もっとちゃんとツッコんで欲しかった。

 

(うわあーーーーー!!!!! 意気投合しちゃいけない人達が意気投合し始めてるーーーーー!!!!?)

 

流石に相手が化け物とはいえ、不審がられたくない光……というよりもテイルセイヴァーは心の中でそう叫び、心の中で必死に奈々がちゃんとツッコミを入れてくれることを願うのだが……テイルセイヴァーのその切なる願いは……。

 

『だって普通に変身したらつまんないだろう? 男が女に変身する!! こっちの方が面白いじゃないか!!』

『遊び心ですね!』

『そうだ!! どうだ!! これが私の遊び心だ!!』

『いいですねいいですね!! テイルセイヴァーちゃん可愛いですし、今すぐお持ち帰りして身体を洗いっこしたり着替えっこしたり抱きしめながら眠りたいくらい可愛い。 あなたのそのセンス素晴らしいです!!』

 

見事無残に打ち砕かれた。

 

(遊びすぎだと思うんですけどぉ!? 後、今初めて幼馴染にちょっとした恐怖を感じたんだけど!? っていうか奈々ツッコんで!! ちゃんとツッコミ入れて!! 奈々基本ボケキャラのイメージだけどツッコミも一応こなせるでしょう!?)

 

しかし奈々は一向にリョーガにツッコミを入れるどころかどんどん彼と意気投合していき、これでは何時まで経っても平行線のままなため、その辺のことは後回しにして今は目の前の敵を倒すことに集中する。

 

「むう、どうやら悩み事は済んだらしいな。 ずっと頭を抱えていたままだったから何事かと思ったぞ。 それで貴様、自ら自分のツインテールを我等に差し出すか? それとも邪魔をしに来たのか?」

(心配してくれてた!! えっ? この人実は良い人じゃないの?)

 

セイヴァーは一瞬そんな考えが頭を過ったがすぐにその考えをかき消し、リザドギルティは先ほどの自分の問いかけを否定しなかった。

 

つまり、なんにせよリザドギルティと戦う以外の選択肢など最初からなかった。

 

それを再び再認識し、セイヴァーはリザドギルティの問いかけにハッキリと人差し指をリザドギルティに向けて言い放った。

 

「……邪魔をしに来た……」

 

そう言いながらセイヴァーは踏み出そうとした瞬間……偶然にも落ちていたバナナの皮を踏ん付けてしまい……。

 

「わぷ!?」

 

「すてん!」と転んでしまった。

 

『ちょっとカッコつけて行こうとしたらバナナ踏んでころんっと転んでしまう仕草がクソ可愛いんですけど!! やばい超持って帰りたいですううううううう!!!!』

『はっはっは! ちょっとカッコつけて飛びだそうとしたら今時バナナの皮で滑るとはね~』

(やめてえええええええ!!!!!? 凄い恥ずかしいからあああああああああ!!!!!)

 

奈々とリョーガの話し声を聞いたセイヴァーはみるみると顔を真っ赤にしていき、少し涙目だった。

 

「『涙目が可愛いなああああああ!!!!』」

「……アレ、なんか……ハモった……」

 

先ほど見事にリザドギルティと奈々の声が偶然にも重なり、セイヴァーは失礼だとは思いつつも奈々って結構この怪物と仲良くやれるのではないかと思わずにはいられなかった。

 

「と、取りあえず今度こそ!!」

 

今度こそリザドギルティ達に戦いを挑もうとするセイヴァーだったが……今度は眠っていた犬の尻尾を思いっきり踏んでしまい、尻尾を踏まれた犬(しかも結構デカイ)は「キャウン!!?」という鳴き声をあげて飛び起き、セイヴァーを睨み始めた。

 

「ガルルルル……!」

「へっ……?」

「ガウウウウウ!!!!!」

「わー!!? 追っかけてきたぁ!!?」

 

当然犬はセイヴァーへと襲いかかり、セイヴァーは必死に犬から走って逃げだすのだが……その走ってる途中……今度は眠っていた猫の尻尾を踏ん付けてしまい、猫からも追われる身となってしまう。

 

「わーん!!」

 

必死に犬と猫から逃げるのだが……近くで素振りしていた野球選手らしき人物が手を滑らせて持っていたバットが飛んで行き、それがセイヴァーの背中に直撃して吹っ飛ばされた。

 

『いや、なんでそこで素振りしてんですか!? さっさと逃げてくださいよ!! っていうか今の奴セイヴァーちゃんになんてことを!! ちょっとムッ殺してきます』

『あぁ、いいよ。 っていうかバット投げられたくらいで吹き飛ばされたりしないと思うんだがねぇ……。 あぁ、アレか、ギャグ補正か』

 

通信でリョーガと奈々……後ついでに奈々に現在進行形でムッ殺されているであろう野球選手のような格好の人の悲鳴が聞こえてきた気がしたが……セイヴァーはそれを気にするほどの余裕はなかった。

 

なぜならバットで吹き飛ばされた後は電信柱に顔から激突し、しかもその真下にいたゴミを漁っているカラス達の元まで落下してきたため今度はカラス達からも襲われ、犬には噛みつかれる、猫には引っ掻かれる、カラスには突かれると散々な目に合うセイヴァー。

 

「わああああああん!!!! 誰か助けてーーーーーー!!!!」

『あぁ、よりにもよって今日は『アレ』でしたか』

『『アレ』?』

『いやですね、光って不幸体質なんですよ。 いつもならそこまでじゃないんですが……その不幸体質がたまに本気出す時がありましてね。 その時いつもかなり酷い目にあうんですよ、光』

 

そこで見ていられなくなったリザドギルティがセイヴァーに襲いかかっているカラスや犬や猫を払いのけ、どうにかセイヴァーは助かることができたのだが。

 

「うぅ……ありがとう、ございます」

「なに、礼はいらん。 ツインテールが乱れては勿体がないからな」

「なんかいい人な上に紳士なんですがこの人!!?」

 

折角覚悟を決めたというのにこれではリザドギルティを倒すことを戸惑ってしまう。

 

「取りあえずショックが治るまではそこで座っていろ。 その間にツインテール属性を貰うが」

「えぇ!? ちょっ、それはダ……へぶ!!?」

 

セイヴァーがリザドギルティを引き止めようとしたのだがまた足元にバナナの皮が落ちており、セイヴァーはそれを思いっきり踏んですっ転び、立ちあがってもう1度リザドギルティの元へと向かおうとするがまた犬の尻尾を踏み……以下略。

 

リザドギルティはもう1度指をパチンと鳴らすと再び慧理那の身体が空中へと浮かび、彼女は今度こそその巨大なリングの中へと通り、ツインテールが解かれてしまうのだった。

 

「っ……! しまった……!!」

 

セイヴァーはそれを見て唖然とした表情を浮かべ、彼女は膝を突き……拳を地面へと叩きつけた。

 

「……クソ……!! 守れ、なかった……!!」

 

これで慧理那は……心を殺されてしまった、その事実にセイヴァーは悔しさ、悲しさ……そして自分への怒りの感情に支配された。

 

「僕が……僕が、グダグダやってるから……!!」

 

犬に噛まれようが猫に引っ掛かれようがカラスに突かれようがそんなもの気にせずにでも戦えば良かった、そうすればまだ慧理那を助けられたかもしれなかったのに……そんな後悔が、想いがセイヴァーの中で渦巻いていた。

 

だからかもしれない、赤いツインテールの「少女」が……こちらに向かって来ていることに気づくのが遅れたのだが……。

 

「やめろおおおおお!!!!!」

 

空高くジャンプしたその少女が地面へと着地し、リザドギルティはその赤い少女を見ると目を見開いた。

 

「貴様は……!?」

「この人たちのツインテールを……返せ……! テメーが奪ったツインテールを!!」

「うっ、うおおおおお!!!?」

 

するとリザドギルティがなぜかなにもされていないにも関わらず吹き飛ばされ、そのまま膝を突いてしまう。

 

「ぐうう! あまりに強大な幼気に吹き飛ばされたか……。 これはなんと見事なツインテールか……!」

「お、おい……?」

 

少女はリザドギルティの言っている意味が分からないらしく、一体なにを言ってるのか困惑していたが……。

 

「やはり起点にこの地を選んだ隊長殿の予感は正しかった!! お前だったのか、ようやく現れた究極のツインテール!!」

 

「究極のツインテール」……その言葉に少女は「まさか……」とでも言いたげな顔をし、ギギギ……と首を横に動かし、セイヴァーと同じく車の窓に映っている自分の姿を見ると少女は絶句した。

 

「お……お……女になってるじゃねえかーーーーーーー!!!!!」

 

自分の姿を確認したその少女は空に向かってそう叫んだ。

 

「また滅茶苦茶可愛い幼女キターーーーーーーーーー!!!!!」

 

そしてまた奈々も空に向かって両腕をあげ、そう叫んでいた。

 

一方でセイヴァーはというと……放心状態になりかけていたがあの少女の叫びによって我に返り、ハッとなって辺りを見回す。

 

「えっ? な、なに……僕と似たような格好してるあの女の子!?」

『1つ言えるのは彼女は君と同じように戦う力を持っているということ。 それと先ほどのリングを通ったあの女の子のことだけど……24時間以内にあのリングをぶっ壊せば元に戻る。 だからまだ諦めるのは早い』

『そうですそうです!! 光、ぱぱーっとやっつけちゃってくださいあんな連中! 光なら、できます』

 

リョーガと奈々の言葉を受けてセイヴァーは頷き、立ちあがると今度こそリザドギルティの元へと駆け出そうと……。

 

「ぎにゃあああああ!!!!?」

 

したのだが、勢いよく突っ込んできたバイクに吹き飛ばされてしまった。

 

『イチイチ決まらないねぇ、彼……』

『今日までこのアンラッキーデーを憎んだ日はないでしょうね、光は』

 

だが、偶然にセイヴァーが吹き飛ばされた先にいたのはあの赤い少女であり、いきなり吹き飛んできたセイヴァーに少女は「ビクッ」と肩を震わせた。

 

「あ、あぁ……怖がらないで!! 一応味方だから!!」

「う、うん……」

 

少女は戸惑いつつも倒れこんでいるセイヴァーに手を差し伸べて立ち上がらせ、セイヴァーと少女は2人並び立つ。

 

「ううむ、見れば見るほど素晴らしいツインテール……。 そしてテイルセイヴァーとやらも中々……。 どちらもワザワザ自ら出てこようとは……。 その究極のツインテール!! 回収させて貰う!!」

 

リザドギルティは命令してアルティロイド達は一斉にセイヴァーと少女に襲いかかり、少女は「や、やめろおおおおお!!!!」と駄々っ子のように手を振り回し、偶然振り回した腕がアルティロイドに直撃し、アルティロイドは吹き飛ばされて建物の壁に激突し消滅した。

 

一方でセイヴァーは少女とは対照的に落ち着いており、拳法家のようなファイティングポーズを取るが……あっという間にアルティロイド達にセイヴァーは囲まれてしまった。

 

「赤心少林拳! 十字倒脚!!」

 

四方から襲ってくるアルティロイド達に対して、 蹴り上げ、手による打撃、蹴り上げの攻撃で一瞬でアルティロイド達は吹き飛ばされてしまった。

 

「「「モケェー!!!!?」」」

『ねえ、奈々くん』

『はい?』

『今、彼明らかにどっかで見たことある拳法使ってたんだけど……』

 

奈々曰く、「昔、仮面ライダースーパー1に影響されて何時も真似してたらいつの間にかできたそうです。 ちなみに私もできます」とのことだった。

 

『さらに言うと護身術身につけるために昔から愛香さんの道場に私と光は結構通ってまして。 愛香さんに何時も鍛えて貰ってるんです。 ちなみに他にも色んなヒーローの技完全にとまでは行きませんが私と光、再現できますよ』

『ある意味凄いな君たち!?』

『えぇ、おかげで変な因縁つけてきた不良やらヤンキーやら複数人相手でも軽く倒せるくらいには強くなりました。 まあ、光は殆ど背負い投げとか受け流しとかで終わらせてましたが……。 ちなみにその不良やらヤンキーやら……光の説得で今では真面目な性格になってるそうです』

『なにそれ』

 

また、奈々が言うには生身でもそのくらい強い実力を身につけたと言っても愛香には全く通用しないらしく、昔2人で愛香に挑んだ時は0.5秒で瞬殺されたとか。

 

『ちなみに1人だと0.1秒で沈められました』

(昔って言っても中学の終わり頃だから最近だけどね)

 

リョーガと奈々の会話を聞きながら苦笑するセイヴァー。

 

「アルティロイドをあっさりと……! その凄まじし力、一体何者だ!?」

「……なんなの? 俺……」

 

リザドギルティに問いかけられ、そこから少し黙りこむ少女……少しするとなぜかしょんぼりとした雰囲気になり、そんなしょんぼりした少女の姿にリザドギルティはテンションがあがった。

 

「よく分からぬのがしょんぼりした幼子たまらぬ!! 彼女に抱かせる人形を持てい!!」

「「「モケェー!!」」」

 

リザドギルティの言われた通り、人形を持ってアルティロイド達が少女とセイヴァー……主に少女の方に近づき、涙目の少女は「やめろってば!!」と叫びながら手を突き出しアルティロイド達を吹き飛ばした。

 

「強さと可愛らしさのまさに究極体!! 出会えたことに感動すら覚えるぞ!! ますます気に入った。 大人しく回収されよ!!」

「こ、断る!!」

「っていうか僕のこと忘れてません?」

 

セイヴァーはいつの間にかリザドギルティの懐に潜り込んで拳を放ち、リザドギルティの腹部を殴りつけ、リザドギルティは殴り飛ばされる。

 

「くっ、ぐおぉ!?」

 

リザドギルティは殴られた箇所を抑えつつ、背中にある無数のヒレが身体から分離し、空高く飛びあがってきた。

 

尚、身体とヒレは完全に分離している訳ではなく薄い光の帯のようなもので繋がっており、セイヴァーへと襲いかかってくるがセイヴァーはそれらを全て素手で弾き、攻撃を完全に防いだ。

 

「くっ、あの攻撃を全て受け流すとは……!」

『そりゃ、ウルトラマンレオのケンドロス戦で生み出した技も光も私も取得してますからねぇ。 あの程度の攻撃どうってこともありませんよ』

『どんだけ取得してるんだ。 君たちちょっと凄すぎないか?』

 

もしかしてあの金属ブーメラン投げられる特訓をこの2人はやったんだろうか……とリョーガは思っていたのだがすぐに奈々から「普通に柔らかい素材でできたブーメランでやりましたよ」と付け足された。

 

『でも愛香さんにはどんな技使っても0.5秒以内に仕留められます』

 

さらにセイヴァーはリザドギルティへと真っ直ぐ駆け出して行き、空高くジャンプするとそのまま急降下キックをリザドギルティに叩き込み、リザドギルティは両腕を交差して攻撃を受け止めた。

 

「でええい!!」

 

負けじとリザドギルティも尻尾を振るってセイヴァーに反撃し、尻尾がセイヴァーに直撃して吹き飛ばされてしまう。

 

「ダメだ……! 押しきれない!!」

「ええい!! 今はお前に構っている暇はないのだテイルセイヴァーとやら!! 俺はあそこにいる究極のツインテールを回収せねばならん!! アルティロイド!!」

 

リザドギルティはアルティロイド達を呼び出し、一斉にセイヴァーへと向かわせて行き、セイヴァーは迷うことなくアルティロイド達を迎え撃つが……その隙にリザドギルティはあの少女の元へと向かってしまっていた。

 

少女の元へと向かったリザドギルティは少女に光線を放ち、少女はどうにか光線を回避するものの中々反撃することができずなかった。

 

「あぁ、良い。 光線の輝きと共に空を舞うツインテール。 今、俺は神話世界の楽園に迷い込んだ錯覚を覚えたぞ!!」

「本当に錯覚だ気持ち悪い!!」

「はぁ、はぁ……ツインテール……」

「ひい!?」

 

両手を突き出してまるでゾンビのように少女に近寄ってくるリザドギルティに少女は小さな悲鳴をあげ、その場に尻餅をついてしまった。

 

「そのツインテールを親指と人差し指で軽くつまんで俺の頬をペチペチ叩いてくれぬか……!」

「きゃー!!」

 

少女は慌ててリザドギルティにアッパーカットを決めて殴り飛ばしたが……尚もリザドギルティは立ち上がって「はぁ、はぁ……ツインテール」と呟きながら少女へと迫ろうとする。

 

(なんだよこいつ、逃げても逃げても追ってきてキモい……しつこい!! 大体、バカの1つ覚えみたいにツインテールツインテールって……どんだけツインテール好きの変態……ハッ!)

 

そこで少女はあることに気がついた。

 

このリザドギルティはまるで自分と同じなのだということに。

 

彼女自身もツインテールが大好きであり、愛している。

 

そのため自分がツインテールについて熱く語った時、あるいはその相手がツインテールを知らなくてもどういったものか知った時、決まって誰もが自分を不審な目で見てきた。

 

好きな髪型を主張してなにが悪い、いつも彼女はそう思っていたのだが……。

 

(みんなの目には、こんな風に映っていたのか……。 見るに耐えない。 なにも知らない人から見れば俺もこんな奴等と同類なんだ……!!)

 

彼女は頭を抱えてその場に蹲ってしまい、リザドギルティはそんな様子の彼女を見て首を傾げて声を掛けようとしてきたがそれよりも早くアルティロイドを全て倒し終えたセイヴァーの跳び蹴りがリザドギルティへと叩き込まれた。

 

「セイハーーーーーー!!!!」

「ぐおっ!?」

 

セイヴァーは地面に着地すると少女の元に駆け寄り、一体蹲ったりしてどうしたのかと問いかける。

 

「う、うぅ……。 俺も、一緒なんだよあいつと。 俺はツインテールが好きだ。 好きな髪型を主張してなにが悪い……そう思ってた。 でも、俺もあの怪物と同じように気持ち悪い奴だったんだなって思うと……うぅ……」

「……まさか……」

 

この言葉を聞いたセイヴァーはこの少女の正体がなんとなく分かった気がした。

 

よく見れば右腕にトゥアールが総二に渡していたものと同じ赤いブレスレットをつけているし、さらに先ほどの彼女の言動とツインテールが好きだという言葉……ここから導き出される答えは1つ。

 

この少女の正体は同じクラスの観束 総二でほぼ間違いないという答えに……。

 

(でもまだ確信はないけど……十分可能性はあるよね。 僕自身女の子になってるし)

 

セイヴァーは少女の肩に手を「ポン」と置き、彼女に微笑みかけた。

 

「本当に同じだと思う?」

「えっ……?」

「僕もツインテールは好きだよ。 まあ、ヒーロー物の方が好きなんだけどね。 でも、どっちにしたってそれを関する物を無理やり奪うような真似はしたくない。 無理やり奪うことが愛してるってことなんじゃない。 大切にしてるってことが本当に愛してるってことじゃないのかな? 君は……ツインテールを誰かから無理やり奪ったりしないだろう?」

 

セイヴァーの言葉を受けて少女は黙り込み……顔を俯かせる。

 

その時、少女の方にもセイヴァーと同じように誰かからか通信が入ってきた。

 

『そーじ!! 気を確かに持って!!』

 

それは観束 総二の幼馴染である津辺 愛香だったのだ。

 

つまり、セイヴァーのこの少女が総二であるという予想は見事に当たっており、愛香は少女……総二に対して言葉をかけた。

 

『あんだけ大口叩いておいてアンタのツインテール愛はそんなもん!!? ここでなにもできなかったら本当にそいつ等と同じになっちゃうわよ!! やる時はちゃんとやりなさい!! リボンよ、リボン型パーツを触って武器を思い浮かべるの……! ってトゥアールが言ってるわ!!』

 

ちなみにそのトゥアールは愛香と色々あったせいで「トゥアールが言ってる」というよりも「トゥアールが逝ってる」状態だったりするのだが……。

 

『お願いそいつらを倒してそーじはそいつ等と違うってこと証明してみせて!! 今、そいつ等を倒せるのはそーじだけなんだから!!』

 

セイヴァーも一応いるのだが愛香にとって眼中にはなかったらしい。

 

そして……少女……総二はというとセイヴァーと愛香の言葉を受けて笑みを零し、再び立ち上がり、満面の笑顔を少女は見せるのだった。

 

「ははっ、そっか……そうだよなぁ。 サンキュー! 愛香!」

(あっ、愛香さんもフォロー入れてくれたみたい……)

『きゃああ!! 万面笑顔のあの幼女超可愛いいいいいいいいいいい!!!!!』

 

奈々がそんなことを叫んでいるのが通信越しで聞こえてくるが、セイヴァーは呆れつつもこの平常運航な奈々のおかげでどこか安心して落ち着いて戦えるので、セイヴァーも彼女には感謝しており、小さくセイヴァーは奈々に「ありがと」と呟いた。

 

『えっ? なにか言いました?』

「いや、なんにも。 ところでリョーガさん、なにか武器はないんですか?」

『あるよ、頭のリボン型パーツを触れてみてくれたまえ。 武器の名前も頭に思い浮かぶ筈だから出す時はその武器の名前を叫んでくれ。 そうしないと出てこない』

 

セイヴァーは言われた通り、頭のリボン型パーツを手に触れると三角定規を細長くしたような2つの剣が出現する。

 

「ブレイクソード!! アロー&スパークモード!!」

『アローとスパークってダブルベクターですか』

『名前はそれから取ったからね』

 

同じく少女もリボン型のパーツに触れるとそこから炎が飛び出してそれが巨大な剣……「ブレイザーブレイド」となり、少女はブレイザーブレイドをその手に握る。

 

(おかげで目が覚めた。 そうだ、愛香の言うとおり、このままじゃ本当にあいつ等と同類だ。 でも違う! 俺はツインテールの子をこんな辛い目にあわせたりしない!! ましてはあの子たちからツインテールを奪って自分の物にするなんて……絶対にしない!!)

 

少女とセイヴァーは2人並び立ち、2人はブレイクソードとブレイザーブレイドを構える。

 

「お望み通りペチっとしてやるぜ!! 顔出せ!」

「フン、猪口才な!!」

 

リザドギルティは右手から光線を放つがそれは少女に直撃する前にかき消されてしまい、そのことにリザドギルティは驚きを隠せないでいた。

 

「我が攻撃を容易に弾くとは……セイヴァー同様恐るべき敵! 我はアルティメギルの切り込み隊長リザドギルティ!! 少女が人形を抱く姿こそ男子は心ときめくという信念の元に戦う者よ!! 改めて貴様等の名を聞こう!!」

「俺は……テイルレッドだ!!」

「じゃあ改めて名乗るよ。 僕は、テイルセイヴァー……。 ここからは、僕達のステージだ!!」

 

挿入歌「レッドブレイバー」

 

少女……「テイルレッド」はブレイザーブレイドを掲げあげて空中へと飛び上がり、リザドギルティは攻撃が来る前に回避しようとするが……。

 

「逃がすかぁ!!」

 

目にも止まらないスピードでリザドギルティのすぐ近くまで接近し、ブレイクソードでX字に斬りつける。

 

「ぐっ!!」

「ラア!!」

 

さらにそこでレッドが振りかざしたブレイザーブレイドがリザドギルティを斬りつけようとするがリザドギルティは間一髪攻撃をどうにか回避した。

 

「まっ、そんな気味悪い信念掲げる奴に名前覚えられたくねえけど!」

「ツインテールの信念ならば貴様にも同じく宿っていよう!?」

 

そんなリザドギルティの言葉に「一緒にすんな!!」とレッドは否定する。

 

「一目瞭然よ!! ツインテール愛がなくばそこまでの輝きは放てぬ」

「よく分かってんじゃねえか……だったら……」

「そう、我等にとってツインテールとは……奪うことこそが愛!!」

 

しかし、レッドとセイヴァーは2人同時に「違う!!」とリザドギルティに対して言い放つ。

 

「無理やり奪うことが愛な訳がないだろう!! 大切なものは……大切だと想って守ることが愛してるってことじゃないのか!?」

「それにだ!! ツインテールは……愛でてこそ輝くもんだってことも知りやがれ!!」

 

レッドは飛んでくるリザドギルティのヒレを弾きながらリザドギルティに接近し、一気に距離を詰めて行く。

 

「ってわわ!? 素手じゃないとこの攻撃はちょっと防ぎ辛い……!!」

『光くん!! オーラピラーというものをリザドギルティに向かって放ちたまえ!!』

「っ、了解……!! オーラピラーッ!!」

 

セイヴァーは右腕をリザドギルティに向かって突き出し、右腕から光線が放たれ……その光線がリザドギルティに直撃するとリザドギルティの動きが封じられる。

 

「ぬおおお!? 動けぬ!!」

「ブレイクソード!! ブレイカーモード!!」

「「完全解放(ブレイクレリーズ)!!」」

 

レッドはブレイザーブレイドの形状を変化させ刀身から炎を吹き出させて長さを2倍にした状態で上から振り下ろす「グランドブレイザー」を。

 

セイヴァーはブレイクソードを左右対称に合体させ、刀身を輝かせて相手をすれ違いざまに切り裂く「ブレイクセイヴァー」をリザドギルティへと繰り出した。

 

「グランド……ブレイザー!!!!!!」

「ブレイクセイヴァー!!!!!」

「ぬううう、ぐおおおおおおおおおお!!!!!?」

 

レッドとセイヴァーに切り裂かれたリザドギルティは悲鳴をあげ、身体中から火花を散らし始める。

 

「ふ……ふははは!! 素晴らしい究極のツインテール属性の前に果てる……。 なんの悔いがあろうか男子本壊の極み。 今日この日は未来永劫忘れぬであろう! そうだ記念写真を頼む。 どうせならばテイルセイヴァーも一緒に。 こう俺の肩にこてんっと頭を預けて……そうそう」

「お、おいちょっ……」

「ありがとう……さらばだ」

 

それだけを言い残すとリザドギルティはテイルレッドとテイルセイヴァーと一緒に記念写真を撮ったという妄想を浮かべながら倒れ爆発四散したのだった。

 

「勝手な幻想見て消えるなああああああああ!!!!!?」

「はは……。 っと、取りあえず、アレを破壊すればいいんですよねリョーガさん?」

『あぁ、バーンっとやってくれたまえ』

 

セイヴァーはブレイカーモードのブレイクソードを一振りしてその場に残っていたリングを破壊するとリングによって奪われたツインテールは元の女の子達の元へと返って行き、それを見て安心したセイヴァーとレッドはそのまま立ち去ろうとしたのだが……。

 

「あの……」

 

その時、聞き覚えのある声が聞こえて後ろを振り返るとそこには慧理那が立っており、彼女はセイヴァーとレッドに「助けていただき、ありがとうございました」とお礼を述べてきたのだ。

 

「い、いや、俺達……私たちはたまたま通りすがっただけで……」

「いえ、その……途中で目を覚ましてましたの」

「うぉう、もうダメだ。 誤魔化せないよ、レッド」

 

レッドは「ヤバい、完全に寝てるもんだと……」と思っていたらしいが、セイヴァーは特に気にした様子はなく、むしろ元気な慧理那の姿を見て心底安心したかのような表情を浮かべていた。

 

「良かったぁ、なんともなくて」

「えぇ、おかげさまで……。 それにしてもお2人ともまだ小さいのに本当に勇敢で強くて、感動いたしましたわ。 あの! また、お会いできますか……?」

 

そう尋ねられたレッドは、ニコっと笑顔を浮かべる。

 

「あなたが、ツインテールを愛する限り……」

 

レッドのその言葉を受けて慧理那は一瞬困り気味な表情を見せ、レッドは「アレ? 外したかな」と少し不安になったが……その時、「お譲様ーーーーーー!!!!」と慧理那に仕えているメイド達がこちらに向かって走ってくるのが見え、レッドとセイヴァーはすぐさま立ち去って行った。

 

(一応、総二さんに僕の正体は明かした方がいいかと思ったけど……先ずは奈々達のところに戻ろう)

 

そしてセイヴァーはレッドに断りを入れてから奈々とリョーガの元へと戻り、他に人目がないのを確認した後、セイヴァーは変身を解除し光の姿へと戻るのだった。

 

「はぁ……」

「っと、光」

 

倒れそうになった光を奈々が支え、奈々は光に「お疲れ様でした」と労いの言葉を送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……んっ、アレ? 何時の間に眠ってたのかな……僕)

 

光は薄らと目を覚まし、なにか後頭部に柔らかい感触があることに気づき、段々と頭を覚醒させていく。

 

(なんか、気持ちいいな……この枕……)

 

そしてやっとのことでボヤけた視界をハッキリさせて光は目を覚ますとそこには慈愛に満ちた笑みでこちらを見つめながら自分の頭を撫でる奈々の姿があり、光は顔を真っ赤にして飛び起きた。

 

「わっ、わわわ!? わーーーー!!!?」

「もう、そんなに驚くことないじゃないですか、光……。 昔はよくやってあげてたんですから」

「い、いや……でも!!」

「はっはっは!! いやー、若いっていいねぇ」

 

聞き覚えのある声が後ろから聞こえ、光は後ろを振り返るとそこにはリョーガが面白そうにこちらを見つめており、リョーガを見て「やっぱり夢じゃなかったんだな……」と改めて今日起こったことの出来事を信じざる得なかった。

 

「でっ……ここは……僕の家か。 兄さんは?」

「龍夜さんなら下の階で仕事してますよ。 一応リョーガさんのことはどうにか誤魔化して入らせて頂きましたが」

「そっか……。 それで……リョーガさん、説明してくれますか? あの怪物達は、僕が変身した姿のこと」

 

リョーガはあっさりと「いいよ」と答え、先ずはあの怪物……「エレメリアン」についてである。

 

あの怪物達の名は「エレメリアン」、そのエレメリアン達が結成した組織こそが「アルティメギル」と呼ばれるものであり、アルティメギル幾つもの世界を蹂躙した挙句この世界に乗り込んできたのだという。

 

その狙いは「エレメーラ」と呼ばれる人間の持つ「属性力」を奪うためだというのだ。

 

「属性力」とは人の心の中にあるなにかを愛する力であり、例えばツインテールに対する愛情が精神エネルギーとして凝縮したものを「ツインテール属性」と呼ぶとしよう。

 

「属性力」は誰もが持つ心の拠り所であり、彼等はそれを糧として生きる精神生命体……簡単にいえば「属性力を食べて生きる」者達である。

 

その中でも特にアルティメギルが狙っているのが「最強」と謳われるツインテール属性でああるのだという。

 

しかし、愛する力と言うのならば家族愛や友情といったものを普通は狙ってくるのではないかと思われるだろうが……それらはある程度の知的生命体にとっては本能であり誰にでもある普遍的な愛であるため、そういったものは狙われないのだというのだ。

 

「ちなみにテイルレッドが装着していたスーツはテイルギアと呼ばれるものでね。 あれは相当なツインテール属性がなければ使えない代物なんだな」

「じゃあ、僕にも協力なツインテール属性があるってことですか?」

「いいや、確かに君にもツインテール属性はあるようだがそれほどじゃないね。 まあ、その辺については後で説明しよう。 先ずはアルティメギルと私についてからだ」

 

そしてリョーガはそのアルティメギルによって滅ぼされた世界から来たらしく、その世界では殆どの人間がその属性力を奪いつくされ、無気力となり、俯瞰すればなに1つ変わっていないのかもしれないが……残されたのは心の希望も潤いもない寂しい世界へと成り果ててしまったのだというのだ。

 

「まあ、私は属性力は奪われてはいないのだがね」

「……リョーガさんはその……辛く、ないんですか?」

 

自分の世界がアルティメギルによって滅ぼされたという割にはあまり気にしていないようにも見える。

 

だから光はそんな質問をしてしまったのだが……リョーガは「さあねぇ」と受け流されてしまった。

 

「話は戻すが、先ほども言ったように属性力を奪われた人間は24時間を過ぎればもう元に戻ることはできない。 そして君が装着したあのスーツについてだが……あのスーツはトゥアールという科学者が制作した『テイルギア』を元に作っているんだよ。 ちなみに光くんが装着してるのは『テイルアーマー』だ」

「テイルギアに、テイルアーマー……」

 

元々、テイルギア自体そのトゥアールという女性科学者と共同で開発したシステムであり、リョーガはそれを自分がさらに改良したものがテイルチェンジャーなのだと光と奈々に説明する。

 

また、テイルギアは強いツインテール属性を持つ者でなければ使うことはできないのだがテイルアーマーは「ほんの少しでもツインテール属性があればテイルギアと同等の力を発揮する」というお手軽性のシステムとなっているという。

 

「そしてこれがテイルアーマーのスペックだ。 と言ってもさほどテイルギアと違いはないがね」

 

リョーガがポケットから取り出した折紙を広げると折り目が消えた液晶端末へと変形し、そのオーバーテクノロジーな端末を見て光達は「おぉ!」と声をあげた。

 

『以下 テイルアーマーについてのスペック。

 

テイルアーマー

ツインテール属性を核として装着者の属性力と共鳴し生成される対エレメリアン用強化武装。

地上のみならず深海や宇宙空間でも変わりなく運用出来る。

 

フォトンサークル

首に覆うパーツ。

認識攪乱(イマジンチャフ)を展開する。

 

フォースリヴォン

髪飾り型デバイスで装着者の属性力の高まりに呼応して武器を生成する。

 

フォトンヴェイル

全身を覆う、テイルアーマーの構成素材である極軟性金属。

ダイヤモンドの80倍の硬度を誇りながらも衣と同じように身軽に動ける。

 

スピリティカフィンガー

握力を強化するグローブ、パンチ力は100トン以上となる。

 

スピリティカレッグ

膝下から足首まで覆うパーツ、キック力は150トン以上。

 

テイルチェンジャー

普段は手首に装着されており、変身後はテイルチェンジャーの出力安定装置となる。

基地のメインコンピュータと連動し、稼働状況を0・001秒のタイムラグ無しで伝送する。

 

属性玉変換機構(エレメンタリーション)

左腕パーツにジョイントした属性玉(エレメリアンを倒した時に出てくる宝石のようなもの)の力を引き出す特殊装備。

変換された属性玉の力は実体化してテイルアーマー各部に装填される。

 

エクセリオンブースト

属性力を収束・開放する増幅装置。

 

エクセリオンショウツ

トイレに行きたくなっても、素早く吸収し分子分解し、大気に拡散してくれる機能。

 

フォトンアブソーバー

テイルギアを取り巻く精神エネルギーの防護膜』

 

「エクセリオンショウツの説明は見たくなかった……」

「ですねぇ……。 というかパンチ力とか何気に歴代最強スペックと謳われるアルティメットクウガを凌駕してるんですけど」

「まあ、それよりもだ。 大体の説明はこのくらいかな。 ちなみにテイルギアとスペックは殆ど同じだが……テイルアーマーにしかない機能もあったりするよ。 なにか質問はあるかい?」

 

そう聞かれてしばらく考え込んだ後、奈々が手をあげてリョーガに質問を投げかけた。

 

「あの、テイルアーマーやテイルギアを使うにあたってなにかリスクってありますか?」

「うーん、いや、特にはないとは思う。 強いて言うならばこれから命がけの戦うことになってしまうということだが……どうする? 光くん? 引き返すなら今だよ」

 

しかし、光は首を横に振った。

 

「相手は怪物……でも、怪物とはいえ僕は今日、彼を『殺した』……。 でも、だからって戦う力があるのにこの世界の人たちを見捨てるような真似はできない。 戦うことが罪なら、僕が背負ってやる……」

 

光は自分の右手を見ながらそう呟き、奈々は心配そうに彼を見つめつつ、光の右手を優しく握り締めた。

 

「光……辛くなった時は、存分に私に甘えてください」

「……奈々、ありがとう……」

 

そこで光の部屋の扉がノックされ、光は一瞬ビクッとなったがすぐに兄が来たのだと思い、部屋の扉を開ける。

 

「あっ、に、兄さん……どうしたの?」

 

扉を開けるとそこには光の兄であり、温和そうな顔つきとは違い、凛々しいというイメージがあいそうな顔つきをした光の兄……「風上(かざかみ)龍夜(りゅうや)」が立っており、龍夜は光を退かせるとリョーガの元まで歩み寄る。

 

「今さっき、怪物が暴れてその怪物と女の子2人が戦ったっていいうニュースが流されてたんだけど……そのニュースの女の子って……光、なのか……? それとも奈々か?」

「に、兄さん聞いてたの……!?」

「あぁ……悪いな、盗み聞きして。 まあ、どっちにしてもだ」

 

龍夜はリョーガを見下ろすとなぜかリョーガに向かって「ニコッ」と笑顔を向け、リョーガも頭に疑問符を浮かべつつ笑顔を浮かべると……。

 

龍夜にリョーガは後頭部を「ガシッ」と掴まれると思いっきりリョーガを床に叩きつけた。

 

「俺の弟とその幼馴染をなに危険な目にあわせてくれてんだてめえはあああああああああ!!!!!!?」

「ぐばああああああああああ!!!!!?」

 

尚、床に叩きつけられたリョーガは床に顔がめり込んでおり、光は冷や汗をかき、奈々は特に慌てる様子なくそっとリョーガに耳打ちした。

 

「リョーガさんリョーガさん……、光のお兄さんの龍夜さんは……ブラコンです」

「それを……早く言って、くれたまえ……ごふっ……」

「ってか……僕の部屋の床……」

「後で直す!!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

僕たち、ツインテールになります。 その3

時空の狭間にあるエレメリアン達の戦艦基地……そこにいるエレメリアン達はリザドギルティが人間……テイルレッドとテイルセイヴァーに2人がかりとはいえ倒されたという事実が信じられずにいた。

 

「バカな……有りえぬ!!」

「油断していたでは済まされぬぞ!!」

「どういうことだ……!!?」

 

そこで慌てふためくエレメリアン達に対し……そのエレメリアン達を束ねる隊長……竜を模した怪人「ドラグギルティ」が「静まれい!!」と部下のエレメリアン達に怒鳴り、怒鳴られたエレメリアン達は言われた通り一斉に黙り込んだ。

 

「ドラグギルティの力は師である我が1番よく知っている……これを見よ」

 

ドラグギルティは空中に巨大なモニターを映しだし、そこにはテイルレッドとテイルセイヴァーの姿が盛大に映し出され、エレメリアン達は「お、おぉー……」と感心の声があがる。

 

「むう、確かにあのツインテールならばリザドギルティ殿が倒されたのも頷ける」

 

やがて……エレメリアン達はリザドギルティの死を悼んでいた筈がいつの間にかテイルレッドとテイルセイヴァーの鑑賞会に移り変わってり、そんな時……この部屋……言うなれば会議室に1人の人影が見え、ドラグギルティはその影に気づき顔をそちらの方へと向ける。

 

「むっ? 貴様か……どうかしたのか?」

「……いや、なんか騒がしい声が聞こえてきたものだからどうしたのかと思ってな……。 一体どうした?」

 

その影の正体……その姿は見た目は銀色の鎧を着込み、背中には白いマント、黄色い両眼をした怪人……というよりもヒーロー然とした姿をしている戦士だった。

 

そんな彼がエレメリアン達の中に立つのは異常にシュールな光景であり、違和感しかなく、この戦士はエレメリアンとは別の存在だという雰囲気がその戦士から溢れ出ていた。

 

「丁度いい、実は先日、切り込み隊長のリザドギルティが地球侵略へと向かったのだが……そこにいたツインテールの戦士にやられてしまってな……」

「ツインテールの戦士……?」

 

戦士がモニターに映っているテイルレッドとテイルセイヴァーの姿を見ると戦士はどこか驚いたような様子を見せ……、鼻の辺りと思われる場所から盛大に鼻血(?)を大量に吹き出した。

 

「ぬお!? ど、どうしたのだ!? あまりのツインテールの美しさにやられたのか……!?」

「それもあるが1番は……あの娘……」

 

戦士が指さす方向にあったのはテイルセイヴァーが戦ってる姿であり、戦士は勢いよく立ちあがる・

 

「やべー!! やべー!! 今まで出会ってきたツインテールの女の子の中で滅茶苦茶好みの娘じゃねーか!! あの膨らみかけの胸とか揉んで大きくしてぇなあああああ!!!!! ふへへへへ!! あああああ可愛いいいいいいいい!!!! 彼女にして揉みくちゃにして可愛がりてえええええええ!!!!!」

「テイルセイヴァー……というらしいぞ。 そして赤いのはテイルレッド、どちらも素晴らしいツインテールであろう?」

「テイルレッドとかどうでもいいわ!! 俺はもうセイヴァーちゃんのためだけにこれから生きる!!」

 

そこでドラグギルティの部下のエレメリアン達が何人か戦士の元へと集まり、レッドやセイヴァーにはなにが似合うかなどの意見を求めてきたのだ。

 

「クオン様!! やはりテイルレッドに似合う服装は旧スク水ですよなぁ!!?」

「いいえ、やはりレッドにはナースが……」

「知るかぁ!! 俺はもうセイヴァーちゃん一筋で生きる!! そしてセイヴァーちゃんに似合うのはウェディングドレスだ!! 俺と式を挙げるためのなぁ!!」

「なんですとぉ!? それはちょっと……」

 

そこで1体のエレメリアン……「ウェディングドレス属性」を持つゾウの怪人……「エレファンギルティ」が「クオン」と呼ばれる戦士にそれだけは譲れないと主張するが……。

 

「俺もこれだけは譲れない!! ウェディングドレス姿のセイヴァーちゃんの隣に立つのはこの俺だああああああ!!!!!」

「流石にクオン様と言えどもそれだけは譲れませんぞおおおおおお!!!!?」

「んだとぉ!? ならばオレァクサムヲムッコロス!!」

「実力はあなたの方が上!! しかし!! 私とテイルセイヴァーの愛の力でそんな壁乗り越えてみせてやるうううううう!!!!」

「お前みたいなゾウなんかとセイヴァーちゃんとの間に愛がある訳ねえだろう!! あるのは俺だ!! なぜならセイヴァーちゃん俺の嫁だああああああ!!!! もう既に頭ん中では何百回何千回何万回とあんなことやこんなことしてウフフフ……! な展開迎えとんじゃボケええええええええ!!!!」

 

クオンからその言葉を聞いた瞬間、エレファンギルティが膝を突き、信じられないっといった表情を浮かべて口元を押さえ、クオンの顔を見つめる。

 

「そ……そんな……私でさえテイルセイヴァーとは何十回、何百回としかあんなことやこんなことを考えられなかったのに……クオン様は何百回どころか何千何万回だとおおおおおお!!!!?」

「フフ、今の時点で既に何億回かはあんなことやこんなことをしてるぞ」

「な、なんだとおおおおおおお!!? くっ、テイルレッドも同時に考えていたのが仇となったか……!!」

「所詮お前の愛などその程度なのだよ!! 真にセイヴァーちゃんを愛しているのはこの俺だということが分かったか!!」

 

とうとうエレファンギルティはクオンのセイヴァーを愛する心の前で敗北してしまい、彼は両膝と両手を地面につけ、クオンの方がセイヴァー……彼女のことを愛しているということを認めざる得なかったのだった……。

 

「いや、ですがやはりこのまま負けるのは……! クオン様、ドラグギルティ様、どうか次は俺を出撃させてください!!」

「むう、しかし、次に出る者の候補は既に決まっているのだが……」

「じゃあテイルレッドをタトルギルティの相手させて、セイヴァーちゃんの相手をエレファンギルティにさせればいいだろう」

 

ドラグギルティはエレファンギルティの申し出に腕を組んで少し悩んだが、クオンからの言葉を受けて頷く。

 

「ふむ、貴様がよいのならば構わぬが……」

「よし、という訳だエレファンギルティ!! お前のセイヴァーちゃんに対する愛を俺に見せてみろ!!」

「ハッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は移し、光の家では……。

 

「いや、あのぉ……すいません、悪気はなかったんです。 許してください」

 

龍夜によって家の裏庭で木の太い枝に縄をくぐり付けて縄で完全拘束したリョーガが逆さまに吊るされており、彼を縛って吊るし上げた当の本人である龍夜はリョーガの目の前で腕組をしてリョーガを見下ろしていた。

 

「許せるかぁ!!? こちとらなぁ、両親が海外出張で中々家にいないから、殆ど俺が光を育てたようなもんなんだよ!! まあ、父さんも母さんも帰ってきたらちゃんと光の面倒見てたけどな!? だがな……そんな光だからこそ、今日まで大切に育て上げてきた光だからこそ……危険な目に合わせるお前が許せねえんだよおおおおおおお!!!!」

「ぐはあああ!!!? ちょっ、やめ、脳が揺れる!! 私の天才的脳みそが飛び出るううううううう!!!!!?」

「自画自賛してんじゃねえぞこの変人科学者がああああああああ!!!!!」

 

龍夜はリョーガを両手で掴んで激しく揺れ動かし、だんだんとリョーガを揺らす力が強くなっていき……その度にだんだんとリョーガの顔が青ざめて今にも吐き出しそうな表情へと変わって行く。

 

「ちょっ、兄さんストップ!! 待った待った!!」

 

そこで慌てて光が龍夜を引き止め、リョーガはなんとか吐き出さずに済んでほっと安堵のため息を吐こうとするが……そんな暇もなく龍夜は今度は人差し指をリョーガの鼻の先に突くか突かないかくらいの微妙な距離で構える。

 

「……触るか触られないかの微妙な距離……。 どうだ、気持ち悪いだろう!」

「ぐううおおおおお!!!? やめろぉ! 微妙に鼻の先辺りがムズムズするぅ~!!」

「兄さん!!」

 

光が少し怒った様子で怒鳴ってきたので龍夜は「すまん」と謝罪して慌てて指を引っ込め、光はリョーガを縛っている縄を解いてリョーガはなんとか拘束から解放されることができたのだが……。

 

すかさずリョーガは龍夜によって頬を鷲掴みにされ、「メリメリメリ」という嫌な音が彼の頬から鳴り始める。

 

「んで? どういうことか説明して貰おうか? なんで光と、奈々をあんな危険な目にあわせた?」

「ぐが……ごう……(いや、その前に手を離して欲しいのだが……)」

「日本語喋れぇ!!」

「ぐがあ!? ごば!!? ごば!!?(えぇー!!!!? いや無理だろこの状況!!?)」

 

そしてそこですかさず光と奈々が止めに入り、リョーガは顔の骨を砕かれる前に脱出することに成功。

 

そこからやっとここで本題に入ることができ、先ず、龍夜はなぜ光をテイルアーマーの装着者に選んだのかを尋ねた。

 

「いやぁ、彼が勇敢にもエレメリアンに襲われている少女達を助けに行こうとした姿に心打たれてねぇー。 もし彼のような勇敢な人が殺されると思うと『私も胸が張り裂けそうだ!!』と思って彼に渡したんだよテイルチェンジャー」

 

リョーガからはそんな軽い感じで返事が返ってきたため、イマイチ彼のことが「嘘臭い」と信用できない龍夜。

 

それになによりも、光が危険なことをするのを黙って見過ごせなかった龍夜はどうにかしてテイルチェンジャーをリョーガに返そうと思い、光にテイルチェンジャーを外すように言うのだが……光はそれを「嫌だ」と拒否したのだ。 

 

龍夜は怪訝そうな表情を浮かべて光に必死にテイルチェンジャーを外すように言うが……光は頑なにそれを拒んだ。

 

「どの道外れないし……それに、僕、戦うよ……」

「戦うって……俺はお前が危ないことをするの黙って見過ごす訳にはいかない!! だから戦うなんてやめろ!!」

「ごめん、兄さん……それはできないよ。 だって僕が戦わなかったら、他の人が戦うことになるかもしれない。 今、ここで僕が戦うのをやめるのは自分勝手なことだと思うから。 他人を戦わせるくらいなら……自分で戦った方がいいに決まってる……」

 

そんなことを言う光に龍夜はなにかを言い返そうとしたがそこに奈々に肩をポンポンっと叩かれ、龍夜は奈々の方へと顔を向ける。

 

「ああ言ったら光は聞きませんよ。 昔から頑固な所ありますもん。 もう諦めた方がいいです」

「っ……」

 

奈々の言うとおり、こうなっては恐らく光は誰の言う言葉も聞かないだろう、そう考えた龍夜は「はぁ」とため息を吐いた。

 

「それになによりですね、龍夜さん……」

「んっ?」

「このまま行くとシリアスになってしまうという大問題が起きてしまいます」

「おぉ! それは確かに大変だ!」

 

取りあえず、龍夜はもう1度ため息を吐くと彼は光の頭を優しく撫でた。

 

「無茶はするなよ、辛くなったら言えよ。 あとTSとかなんか薄い本の餌食になりそうだから触手とか出してくるエレメリアンには気を付けろ。 もし18禁展開になりそうなら全力で俺の名前を叫べ。 すぐに助けに行く」

「いや、エレメリアンの相手は普通の人間には無理……ってかなんの心配してるんだいあなたは!?」

「そんなん知るか!! 弟守るくらいなら化け物の1匹や2匹叩き潰してやる!! 弟の貞操は奈々のもんだああああああああ!!!!! そんな怪物に奪われてたまるかあああああああ!!!!!」

 

光と奈々はその龍夜の盛大な叫びに「ぶっ!!?」と顔を真っ赤にして吹き出し、光と奈々は慌てて龍夜の口を塞いだ……のだがすぐに2人の手を掴んで引き離して盛大に叫んだ。

 

「光の童貞は奈々のもんだからなあああああああ!!!!! だから安心しろよ光に奈々ぁ!! 奈々が光の童貞奪うまで誰も光に手ぇ出させないからなあああああ!!!!!」

「ちょーーーーー!!!!? やめて!! 盛大に叫ばないでえええええええ!!!!?」

「きゃあああああ!!? ちょっと龍夜さん!! そもそも私と光はまだ付き合ってすらいませんからあああああ!!!!?」

 

顔を真っ赤にする光と奈々は急いで龍夜を取り押さえ、光は奈々に指示してガムテープを持ってきて貰い、2人は急いで龍夜をガムテープで拘束してガムテープで口を塞ぎ、どうにか龍夜が叫ぶのをやめさせることに成功した。

 

「っていうか私は2人とも既に付き合ってるものだと思っていたよ。 仲良さそうだったし」

「仲はいいですよ、彼女は僕の幼馴染で親友ですから」

「趣味も同じですしね~」

「むごー!! むごー!!」

 

リョーガと奈々と光が話している中、龍夜が拘束されて口を封じられた状態でなにか叫んでいたが、3人はガン無視した。

 

「あぁ、そうだ、テイルアーマーについて説明不足の所があった」

「説明不足?」

「そうだ。 大体のスペックはテイルギアと同等。 しかし、光くんが纏うアーマーにはテイルアーマーにあってテイルギアにないものがある。 それが……『フォームチェンジ』だ」

 

リョーガが言うにはテイルセイヴァーには幾つかの姿があるらしく、その姿を切り替えることによって様々な戦い方法を行うことが可能だというのだ。

 

そこから光はリョーガからそのテイルセイヴァーが変身できるフォームの性能などを聞くこととなり、先ず、通常形態のあの姿は「テイルセイヴァー・ブレイカーフォーム」という姿でバランスが取れた形態であり、格闘と剣術が最も得意なフォームであるというのだ。

 

「それで他のフォームについてだが……」

 

リョーガはブレイカーフォーム以外の形態についての説明をしようとしたその時、「ピンポーン!」と家のチャイムが鳴り、光がリョーガに説明をまた後にしてくれるよう頼んだ後、慌てて玄関に向かって出る。

 

「光お兄ちゃーん! お姉ちゃん来てるー?」

 

玄関に出て扉を開けて出るとそこには奈々に容姿が似ている小さな少女……奈々の妹である「海原 八重(うみはら やえ)」が立っており、どうやら彼女は帰りが遅い奈々を迎えに来たらしい。

 

「あぁ、八重ちゃん、こんにちわ。 奈々ならいるよ? ちょっと待って、今すぐ呼……」

「もう来ました」

「早ッ!!?」

 

いきなり玄関に奈々が現れたことに驚く光だが、そんな彼には構わず奈々は八重の元まで駆け寄って彼女を抱きしめた。

 

「ひゃあああ!! 今日も可愛いですねー!! 八重!! ちっちゃくって可愛くてあーもおおおおお!!」

「えへへ、お姉ちゃん帰りが遅いみたいだから迎えに来たよ? あっ、あと、お母さんたち今日は仕事で遅いみたいだから夜ご飯なにか買って食べてって」

「それなら家で食べればいい、どうせなら奈々、光も食べ……ぐほ!?」

 

いつの間にか拘束を解いた龍夜がやって来ていたが顔を赤くした奈々に殴られて黙らせた。

 

「ではお言葉に甘えて」

「どうせなら泊まって行ってくれても構わないぞ? あとついでに光も食べ……」

 

そこまで言いかて奈々はまた龍夜の顔面を殴ってまた黙りこませた。

 

「さっきから八重の前でなに言おうとしてんですか龍夜さん!!?」

「仕方がないだろぉ!!? 俺は早く光に結婚して欲しいんだよ!! お前らの仲も進展しないもんだからさぁ……!!」

 

取りあえず、またとんでもないことを叫びそうな雰囲気になっていたので光と奈々は龍夜を取り押さえてまたガムテープで拘束して動きを封じた後、八重と光と奈々は家の中へと入って行くのだった。

 

ちなみに、リョーガは光が龍夜を説得したため彼等の家で居候することになったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……光達の通っている陽月学園は1時間目の授業を中止して体育館に全校生徒が集められていた。

 

理由は勿論、昨日の怪物騒動についてのことである。

 

「皆さん! 知っての通り昨日、謎の怪物達が現れ暴れ回り、町は未曾有の危機に直面しました」

 

生徒会長の慧理那がスピーチでそのように怪物達のことを生徒達に話していたのだが……彼女の話を聞いていた光は微妙な顔をしていた。

 

(未曾有の危機……、いや、確かにその通りなのかもしれないけど……。 幼子、ぬいぐるみ、ツインテール連呼してたせいで微妙な感じが……)

「実は、わたくしも現場に居合わせ、そして狙われた1人です」

 

すると他の生徒達は「な……」「なんだってー!!?」と驚きの声をあげていき、生徒達がざわめき出す。

 

「ゆるせねぇ!!」

「この身に代えても倒してみせる!!」

「おい!! 誰か俺の身体にダイナマイト巻け!! 黙れ、今すぐにだ!!」

「怪物共絶対ぇ許さねえ!! 倒すしかねえ!!」

「おのれゴルゴム!! ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

「これも全て、乾巧って奴の仕業なんだ……」

「なんだって!? それは本当かい!!?」

「おのれディケイドオオオオオオオ!!!!!」

「おぉぉれぇぇのぉぉぉしぃぃぃにぃぃぃぃばぁぁぁしょぉぉぉ!!!!!」

 

とこんな感じで生徒達は怒りを露わにし、慧理那もそんな彼等を見て「皆さんのその正しき怒り、嬉しく思います」と笑みを浮かべるが……正直明らかに正しき怒りとしては微妙なのが何名かいた気がしたが……まあ、気のせいだろう。

 

(いや気のせいじゃない!! 明かにおかしいの混じってたよ!!? 特に最後!! 最後のだけ1番なんかおかしい!! いや、他にもおかしいのが幾つかあるけど!!)

「しかし狙われたのはわたくしだけではありません。この中にも何人かいらっしゃるでしょう。 まして学外の外に向ければ、更に多くの女性が、危うく侵略者の毒牙にかかるところだったのです」

 

そう語る慧理那の声は少しずつ甘くなっていき、それの表情はまるで憧れの君に恋い焦がれる姫君のようなものとなっており、「しかし、今こうしてわたくしは無事にここにいます。 テレビではまだ情報は少ないですが、ネットなどで知った人も多いでしょう。あの場に、風のように颯爽と現れた……正義の戦士たちに助けていただいたのです!!」と語ったところで、光はなにか嫌な予感がして仕方がなかった。

 

「わたくしは、あの少女たちに心奪われましたわ!!」

 

その慧理那が言い放った直後……「うおおおおおおおおおお!!!!!」っと、喝さいが巻き起こる。

 

「その言葉を待ってたぜ!!」

「良かった、ちっちゃい子ハァハァ言うのに正直引け目を感じてたんだ。 会長がそう言うのなら、もはや何の憂いもない!!」

「いや、駄目だろ……憂いを持って、しかしハァハァするんだよ!!」

 

ちなみにこれが全校生徒達のテイルレッドに対する大体の反応。

 

そしてテイルセイヴァーに対する反応はというと……。

 

「セイヴァーちゃんの活躍動画で見て思ったんだが……やべぇ、涙目やべぇ……!! 超泣かせてぇ……!! はぁ、はぁ……」

「泣かせるだけじゃ足りないだろ、路地裏に連れて行って嫌がってるのを無理やりという感じで……!」

「不幸属性系美少女か……フフ、安心しなよセイヴァーちゃん、俺が守ってやらないと。 早い所見つけ出して監禁……いや、なんでもない」

 

これがテイルセイヴァーに対する生徒達の大体の反応である。

 

(ぎにゃああああああああ!!!!!? なんか僕だけテイルレッドとの反応違うんですけどーーーーー!!!!? なんか物凄い危ない人達に好かれてるんですけどテイルセイヴァーがあああああああああ!!!!!?)

 

そこで慧理那が「これをご覧あれ!!」と慧理那が右手をあげるとメイドの1人がすかさずスクリーンを用意し、テイルレッドとテイルセイヴァーが盛大に映り、全校生徒達の「うおおおおおお!!!!」という大歓声があがった。

 

「オアーーーーーーーーッ!!!!!?」

 

その大歓声とは別に、総二の声も聞こえたりしていたが。

 

「神堂家は、あのお二人方を全力で支援すると決定しました!  皆さんもどうか、わたくしと共に新時代の救世主を応援していきましょう!! そして、世に平穏のあらんことを」

「救世主……ねぇ……」

 

光は「救世主」と言われることに少々抵抗を感じていた。

 

なぜならば光にとっては「大を救うために小を切り捨てる」という行動を取ったからだ。

 

(リザドギルティ……悪者でも、1つの命であることに変わりはない。 それを奪ったのは、僕だ……。 大勢を救うために、1つの命を奪った……。 それでも……)

 

それでも光は戦うことをやめないと誓った、自分が戦わなければ他の誰かが戦うことになるかもしれないから、黙って襲われてる人が見過ごせないから。

 

なによりもアルティメギルは最終的にはツインテール以外の全ての属性力をも狩りつくし、人々の心の輝きを奪う、だから守らなければならないと感じたから……光は戦うのを絶対にやめようとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人だけシリアスキャラだと嫌われますよ」

「いや、なに……いきなり?」

 

学校の帰り道、総二と愛香、光と奈々が4人で一緒に歩いている時、奈々がいきなり光にそんなことを言ってきたので光は驚いてしまっていた。

 

「あっ、そう言えば総二さん、テイルレッドとテイルセイヴァーのツインテールってどうでした?」

「んっ? なかなかいいツインテールだと思うぜ! セイヴァーのも纏まりがあって髪の色もあって輝いて見えたなぁー」

 

奈々に問いかけられ、総二はテイルレッドとテイルセイヴァーのツインテールのことを思い出しながら2人のツインテール(特にセイヴァー)について熱く語っており、光も我ながら可愛らしいツインテールだったと思いつつ、総二に同意して頷く。

 

「っていうか、なんで総二さんセイヴァーのツインテールばかり褒めてるの?」

「えっ!? い、いや……それは……!?」

 

光にそう聞かれてたじろく総二、その反応を見て光は「やっぱりほぼ間違いなさそうだな」と思いつつ頭の中でテイルレッドと総二の姿を重ね合わせていた。

 

「……」

「おや、愛香さん不機嫌そうですね。 もしかして総二さんがセイヴァーちゃんのことばかり褒めるもんだから妬いてるんですかぁ?」

「なっ、べ、べべべべべ別にそんなことないわよ!?」

 

先ほどから不機嫌そうな顔をしていたので奈々が悪戯っ子のような笑みを浮かべて愛香に尋ねると愛香は顔を真っ赤にして否定する……が、見ていてかなり分かりやすかった。

 

と、その時のことである……突然、空中にて超巨大なスクリーンが浮かびあがり、そこにはあの「クオン」という戦士が立っていた。

 

『人よ……。 見えて……いる……か。 人よ……聞こえている……か。 神は……嘆き、悲しんでいる。 愛さなければよかった……とな。 そうして流した黒い涙の中から俺達は……来た。 俺達は『アルティメギル』。 神に愛されし者……』

 

どっかで聞いたことあるような台詞を言うクオンに、光はすかさずツッコミを入れた。

 

「……仮面ライダーSPIRITSの読み過ぎだよ。 僕も好きだけどさ」

 

とそこでアルティメギル側からもクオンに向けてのツッコミが飛んできた。

 

『おいクオン!! 貴様!! 誰がバダンの地球侵略の宣言しろと言った!!?』

『しょーがねえだろドラグギルティ!! だって侵略理由がちょっとバカっぽいもの!! 少しでも威厳ある感じで言わないとダメだろ!!?』

『貴様は仮面ライダーSPIRITS読み過ぎなだけだ!! 知ってる者達からすれば『パクリ乙』と言われるだけではないか!!』

『じゃあちゃんとやれんのかぁー!? やれんだろうなぁ!!?』

『当然だ!! 元々我がやるつもりだったのに貴様が無理やり割り込んだのであろう!!?』

 

とそんな風になにやら仲間内で喧嘩していたが、そこでクオンはドラグギルティと交代し、気を取り直して世界侵略の宣言を行う。

 

『この世界に住まう全ての人類に告ぐ!!  我らは異世界より参った選ばれし神の徒、アルティメギル!! 我らは諸君らに危害を加えるつもりはない!! ただ、各々の持つ心の輝きを欲しているだけなのだ!!  抵抗は無駄である!!  そして抵抗をしなければ、命は保障する!! 世の平穏を約束しよう!』

『うん、まあまあだな』

「パクるよりマシです」

 

ドラグギルティの侵略宣言に「まあまあ」と言うクオンにすかさずツッコミを入れる光。

 

また、光の隣に立っている総二は拳を強く握りしめており、空中にいるドラグギルティを睨みつけていた。

 

(けど、心の輝き……それは、人の心を殺すってことだ……!! そんなことさせない、僕が……!! 例え……『1人』で戦うとしても……!!)

 

そして直後に空中の映像が映り変わり、亀のようなエレメリアン……「タトルギルティ」が映った。

 

『ふはは!! 我が名はタトルギルディ!! ドラグギルディ様の仰る通り、抵抗は無駄である!  綺羅星と光る青春の輝き……ブルマの属性力を頂く!』

 

だが、後ろの方からアルティロイドの1体が申し訳なさそうにタトルギルティに耳打ちする。

 

『……なにい、この世界では今はほとんど存在せぬだと!! おのれ愚かなる人類よ、自ら滅びの道を進むかああああああ!!』

(どの道滅ぼすつもりでしょうが!!)

 

そしてまたまた映像が映り変わって今度はエレファンギルティが現れ、エレファンギルティのいる場所はどこかの結婚式上だった。

 

『俺の名はエレファンギルティ!! ウェディングドレスを着たツインテールを愛する者よ!! テイルセイヴァー!! 人々の属性力を奪われたくなくば今すぐ俺の指定する場所へと来い!!』

「……奈々」

 

光は奈々を呼ぶと彼女は光に対して頷き、光はどこかへと走り出して行った。

 

「あっ、光どこへ!?」

「どうやら急用を思い出したようでして……」

 

なんとか奈々が光がいなくなったことを誤魔化し、その間に光は人気のないところへと駆け込む。

 

(まだ、総二さん達の前で変身するのはは控えておこう)

『やあやあ光くん!! お元気かな!? 面白いことに人生をかける戦国リョーガだよ!!』

「あっ、リョーガさん……」

『今の中継は見たね? エレファンギルティは君をご指名みたいだから奴のいる場所をテイルチェンジャーに転送しておいたよ。 テイルレッドはタトルギルティの方へと向かったらしい』

 

光はリョーガの言葉に頷くとテイルチェンジャーを胸の前で構え、叫ぶ。

 

「変身!!」

『テイルチェンジ・セイヴァー!』

 

「テイルセイヴァー・ブレイカーフォーム」に変身した光は、ビルからビルへと映って移動していき、やがて指定された結婚式場を発見するとセイヴァーはその場へと降り立った。

 

「お望み通り、来たよ……エレファンギルティ……?」

「おぉ、俺の呼びかけに応えてくれたかテイルセイヴァーよ!! 先ほどの中継でも名乗ったが、我が名はエレファンギルティ!! ウェディングドレスを愛する戦士!!」

「愛するって言うのなら、なにも奪わずに早くこの世界から手を退いてほしいんですけど……」

 

セイヴァーはエレファンギルティにそう言うも当然彼は「それはできぬ相談だ」と返して拒否した。

 

「ところでテイルセイヴァー!! 1つ相談なんだが……」

「んっ?」

「是非とも俺のためにこのウェディングドレスを着てはくれまいか!!?」

 

そう言いながらエレファンギルティが取り出したのはウェディングドレスだというのになぜか胸元が全開で空いていてヘソも丸見え、スカートも非常に短い服を取り出し、頬を赤らめたセイヴァーへと突進してくる。

 

「誰が着るかあああああああああ!!!!!? しかも本当にそれウェディングドレスなの!!?」

 

セイヴァーはエレファンギルティの突進を避けながらツッコミを繰り出し、立ち止まったエレファンギルティはセイヴァーに振り返って彼女を見つめる。

 

「実は俺はウェディングドレスを作るのが趣味でな……様々なバリエーションがあるのだ。 そしてなにより!! この純白のウェディングドレスはセイヴァー、お前に似合うと思って用意したのだ!!」

 

確かにセイヴァーは白い……、そのためセイヴァーが白というイメージがある。

 

そのためウェディングドレスを着ればさぞかし似合うであろうとエレファンギルティは思い、必死に全力で、息を荒げながらセイヴァーに断られてもセイヴァーにドレスを着せようと駆け出してくる。

 

「絶対嫌だから!!? ウェディングドレスなんて着るの!!? そもそもなんでそんなに露出度高いのそれ!? そんなウェディングドレスないでしょ!!?」

「なにを言うか!! 露出度を高くすることでお前のその白く美しい肌と、ウェディングドレスの白い輝き、さぞかし美しいであろう!!」

 

セイヴァーはエレファンギルティへとツッコミを入れつつ突進してくるエレファンギルティに拳を叩き込んで後退させ、セイヴァーは一気にエレファンギルティへと距離を詰める。

 

「さあ、なにも恥ずかしがることはない!! どうせならば今ここですぐにでもウェディングドレスを着てくれて構わん!! いや、是非とも生着替えしてウェディングドレスが段々とお前の肌と重なっていくところが見たい!! 是非とも外で生着替えを頼む!! はぁ……はぁ……はぁ……」

「誰が外で着替えるかあああああああああ!!!!!?」

 

そして一気に距離を詰めたセイヴァーはエレファンギルティの身体に掴みかかってその身体を持ち上げ、ぐるっと回して空中にエレファンギルティを投げ飛ばす。

 

「ウルトラハリケーン!!」

「ぐおおおおおお!!!!?」

 

さらに投げ飛ばしたエレファンギルティよりも高くセイヴァーは飛び上がり、回転しながら急降下しつつエレファンギルティにかかと落としをセイヴァーは繰り出す。

 

「ウルトラかかと落とし!!」

「なんのぉ!!」

 

が……その時、エレファンギルティに攻撃が当たる前に幾つものウェディングドレスがセイヴァーの周りに現れ、それらがセイヴァーに纏わりついて拘束し、空中で身動きが取れなくなり、セイヴァーはそのまま地面まで落下してしまう。

 

「くああ!!?」

「ふはははは!! これがウェディングドレスを愛するが故の能力よ!! さあ、大人しくこのウェディングドレスを着るのだ……ぐへへへへへ」

「ちょっ!? なんか手つきがおかしいんですけど!!? なんか嫌らしいんですけどぉ!!?」

 

セイヴァーの言うとおり、エレファンギルティの指先の動きがクネクネしていて非常に気持ち悪く、どこからどう見ても小さな女の子を襲おうとしている変質者の怪物だった。

 

「ぐっ……拘束が解けない……!」

『これはマズイ!! このまま行くと龍夜さんが昨日言ったように薄い本のネタにされてしまう!! まあ、それはそれで面白そうだが……』

「言ってる場合ですか!!? なにか方法は……!!」

『あぁ、そうだ!! アレだよ! フォームチェンジ!! すっかり説明するの忘れてた!!』

 

そこでリョーガがセイヴァーにはフォームチェンジ能力があることを思い出し、リョーガは急いでフォームチェンジについての説明を素早く行い、セイヴァーはリョーガの言葉に対して強く頷いた。

 

「そう言えば、リョーガさん……フォームチェンジする時掛け声とかは?」

『いいや、ないが?』

「じゃあ、勢いをつけるために……!! 超変身!!」

 

その瞬間、セイヴァーの身体が白い光へと包まれ、その輝きにエレファンギルティは目を背けてしまう。

 

「ぬう!? 一体なんだ!?」

 

白い光が卵のように割れてなくなり、それと同時にセイヴァーを拘束していたウェディングドレスがビリビリに破かれてセイヴァーは拘束から解放され……そしてそこには新たな姿となったテイルセイヴァーが立っていた。

 

「むっ!? 貴様は……!?」

 

セイヴァーの新たな姿を見て目を見開き、驚きを隠せないエレファンギルティ……そしてテイルセイヴァーの姿とは……!

 

白スクのようなボディスーツは黒い物へと変化しており、左右の腰部、肩部に装着された銀色のアーマーも同じく黒へと変化し、背中には黒のマント……そして鼻の先から上を隠すように蝙蝠のような仮面を顔に装着していた。

 

「テイルセイヴァー……その姿は!?」

「これは……バットナイトフォーム」

 

「テイルセイヴァー・バットナイトフォーム」へと変身を完了させたセイヴァー、そして新たな姿となったテイルセイヴァーを見たエレファンギルティは両膝を突き……拳を地面へと叩きつけた。

 

「黒……だとぉおおおお!!!!? バカなぁ!!? 俺は普通のテイルセイヴァーのためにウェディングドレスを作ったのに……作ったのにいいいいいい!!!!? 黒など用意していないぞ!! そん……なっ……夢は、潰えたか……」

「えっ……あの、ちょっと?」

 

なにか知らないが、エレファンギルティは勝手に戦意喪失してしまっている。

 

そのためセイヴァーはエレファンギルティを倒すのに躊躇してしまい、どうすればいいのか悩んでいたが……エレファンギルティはいきなり立ち上がり首をブンブンと勢いよく振って立ち上がった。

 

「いや、しかし!! ここで諦めては無理を言ってタトルギルティとは別行動させて頂いたクオン様に申し訳が立たぬ!! それに脱がせれば問題はないしな!!」

「……」

 

もはやもうツッコムのも疲れたセイヴァーはエレファンギルティが攻撃を仕掛けてくる前に、右手を掲げてこのバットナイトフォームの能力を発動した。

 

「バットフィールド!!」

 

すると次の瞬間、先ほどまで昼だったにも関わらず突然夜へと変わってしまい、そのことにエレファンギルティは眼を見開いて驚く。

 

「な、なんだ!? 突然夜に……!?」

「ナイトフィールドは特定の範囲内のみを夜にすることができる。 つまり、僕に有利な空間になるってことだ」

「な、なんだと!? むっ? そう言えばテイルセイヴァーはどこに……!?」

 

幸い、全く見えないということはなく、せいぜい少し薄暗いという感じなので特に視界の問題はなかった。

 

なのでいつの間にか消えたセイヴァーの姿をエレファンギルティはあたふたとセイヴァーを探して辺りを見回す。

 

その時、背後になにかが走り抜ける気配を感じ、エレファンギルティは「そこかぁ!!」とその巨大な鼻を伸ばして攻撃するが……既にそこにはなにもなく、その攻撃は空振りに終わった。

 

「どこだ!? どこにいる!!?」

 

すると今度は右から蝙蝠の形をした小さなブーメランが肩へと刺さり、それらが爆発する。

 

「ぐおう!? 右か!!」

 

エレファンギルティは鼻を伸ばしてブーメランが飛んできた方向へと攻撃するが……既にそこには誰もいなかった。

 

「奇襲攻撃を得意とする形態か……! 面白い!!」

「悪いけど……もう終わりだ」

「ぬっ!? ぐおおおう!!?」

 

後ろから声をかけられ、慌ててエレファンギルティは振り返るがいつの間にか背後に逆さまに立っていたセイヴァーにすぐに顔面を殴られてしまい、エレファンギルティは膝を突く。

 

「ふふふふ……そうか、さてはウェディングドレスに着替えるのが恥ずかしいから夜にしたのだな!!? 全く、俺はそこまで要求してはいないぞ!? それにウェディングドレスを着るならば太陽の光で照らされたお前の肌が俺は見たいのだあああああああ!!!!!」

「いや、知らないよおおおおおおお!!!!?」

 

エレファンギルティは鼻を伸ばしてセイヴァーに攻撃してくるがセイヴァーはその鼻を掴んでエレファンギルティを自分の方へと引き寄せ、膝蹴りをエレファンギルティへと叩き込む。

 

「ぐうお!!?」

「今だ……!! オーラピラーッ!!」

 

セイヴァーは空中へと蹴り飛ばされた右手から光線を放ち、空中でエレファンギルティを拘束するとすぐさまセイヴァーは必殺技を放つ体制へと入る。

 

「完全解放(ブレイクレリーズ)!!」

 

右足に紫色のオーロラを纏い、セイヴァーは地面を蹴って空高く飛びあがると右足を突き出して相手を蹴りぬく「ナイトジャッジ」をエレファンギルティへと炸裂した。

 

「ナイトジャッジ!!!!」

「ぐうううおおおおおお!!!!!? さ、最後に……テイルセイヴァーが着たウェディングドレスが見たかったああああああああ!!!!!?」

 

最後にエレファンギルティはそんな断末魔を残して爆発し、セイヴァーは地面へと降り立ってバットナイトフォームからブレイカーフォームへと戻るのだった。

 

セイヴァーはエレファンギルティから出てきた青い宝石のようなもの……「属性玉(エレメーラオーブ)」を回収する。

 

ちなみに前回のリザドギルティの属性玉はレッドが回収していた。

 

「さて……帰r」

「「「きゃああああああ!!!! セイヴァーちゃーん!!」」」」

「えっ?」

 

セイヴァーが帰ろうとしたその時、何人もの女性がセイヴァーの元へと駆けつけ、女性達はセイヴァーを取り囲むと彼女達はセイヴァーを一斉にもみくちゃにし始めた。

 

「きゃああ!! 可愛い~!! お家に持って帰りたーい♪」

「えぇ!? それは困っ……ひゃあ!! なんで胸揉んでるんですか!!?」

「いいじゃない、女の子同士なんだし♪」

「い、いやそーいう問題じゃなくて……ってうわぁ!!? 唾垂らしてきてる人がいる!!?」

「はぁはぁはぁ!! 幼女! 幼女おおおおおおおお!!!!!」

「うわああああああ!!!!!? 危ない人が混じってるううううううう!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからどうにか女性達の中から逃げだしてきたセイヴァーは途中、タトルギルティを倒して帰っているテイルレッドと偶然出会い、2人はとあるビルの上に降り立った。

 

「テイルセイヴァー!」

「テイルレッド……」

 

テイルレッドはセイヴァーと再会したことに嬉しそうに声をあげ、彼女の元へと駆け寄る。

 

「この間はありがとな。 それにしてもやっぱりいいツインテールだなぁ……」

「ありがと。 ところで1つ聞きたいことがあるんだけど……」

「んっ? なんだ?」

「単刀直入に言うよ? アルティメギルと戦うのを、やめてほしい」

 

いきなりセイヴァーのその発言に、レッドは「えっ?」と驚きの声をあげ、セイヴァーをジッと見つめる。

 

「……悪いけど、それはできない。 奴等はツインテールを狙ってるんだ。 俺はツインテールが大好きだ、だから……ツインテールを守るためにも俺はアルティメギルと戦って倒さないといけない」

「ツインテールは僕が守る。 できるなら、全部僕に任せてほしいんだけど……」

「いや、それでもダメだ。 俺は俺の意思でツインテールを守りたいと思った。 だから……!」

 

予想こそしていたが、やはりアルティメギルと戦うのをやめないというレッドの言葉を聞いたセイヴァーは「はぁ……」とため息を吐いた。

 

「なんでそんなこと言うんだよセイヴァー? 一緒に戦えばいいだろ! そうだ、君にも色々と聞きたいことがあるんだ! 良かったらこれから……」

「どうしてもやめない?」

 

レッドの言葉を遮り、セイヴァーがレッドへとそう問いかけるが……レッドの答えは相変わらず「NO」だった。

 

「そっか……なら……」

 

そして、セイヴァーはあろうことかレッドに拳を放ち、いきなり攻撃されてきたことに驚きつつもその拳を掴んで受け止めた。

 

「無理やりにでもやめさせる……!!」

「セイヴァー!!? なんで……!?」

 

セイヴァーは足を振り上げて蹴りをレッドへと放つがレッドは後方へと飛んで攻撃を回避。

 

しかしセイヴァーは頭の上のフォースリヴォンに触れてブレイクソード・アロー&スパークモードを取り出し、右手に持つブレイクソード……「アローソード」をレッドへと投げつける。

 

「くっ! ブレイザーブレイド!!」

 

同じくレッドもフォースリヴォンに触れると巨大な炎の剣「ブレイザーブレイド」が出現し、レッドは飛び上がってブレイザーブレイドをセイヴァーへと振り下ろす。

 

「テイ!!」

 

だがセイヴァーは左手に持つブレイクソード……スパークソードでレッドの振るってきたブレイザーブレイドを弾き、強烈な蹴りをレッドの腹部へと叩き込んだ。

 

「ぐっ!?」

『おいおいおい!! 一体なにをしてるんだい光くん!? やめるんだ!!』

「……嫌です」

 

リョーガの静止さえ聞かず、セイヴァーは膝を突いているレッドへと向かって走り出しスパークソードをレッドに振るおうとするが攻撃が当たる直前にレッドは空中へとジャンプし、セイヴァーに背後に回り込んでブレイザーブレイドの平らな面でセイヴァーの背中を叩きつける。

 

「があっ!!?」

 

そのままセイヴァーは吹き飛んで別のビルの屋上まで吹き飛ばされ、レッドは急いでセイヴァーの元まで行き、必死にセイヴァーに戦うのをやめるよう叫んだ。

 

「おいやめろ!! テイルセイヴァー!!」

 

セイヴァーはレッドの言葉には答えず、ただスパークソードを構える。

 

「アルティメギルは必ず僕が倒す、君が守りたいツインテールも絶対に守る。 だから、戦うのをやめてほしい……」

「無理だって……言ってんだろ……!!」

 

そしてセイヴァーとレッドは同時に互いに駆け出し、スパークソードとブレイザーブレイドが激突し合った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

僕たち、ツインテールになります。 その4

テイルセイヴァーのスパークソードとテイルレッドのブレイザーブレイドが激しくぶつかり合おうとしたその瞬間……!

 

「テイルセイヴァー!! 是非とも俺とけっこn……ぐばあああ!!!?」

「「ええええええ!!? なんか変なの来たァ!!?」」

 

振るわれたブレイザーブレイドとスパークソードの割って入りこむようにクオンが突如として現れ、いきなり現れるものだからレッドもセイヴァーも勢い余ってクオンを左右から切り裂くこととなり、クオンは火花を散らしながらその場に倒れこんだ。

 

が……何事も無かったかのように速攻で復活する。

 

「あっ……! お前確か宣戦布告の時にいた……!」

 

そこでレッドがクオンがアルティメギルの世界に向けての宣戦布告の時にドラグギルティと一緒にいた人物であることを思い出し、レッドはブレイザーブレイドを構えて警戒する。

 

「テイルレッド、俺はお前に興味はない。 俺が興味があるのは……」

 

クオンは視線をセイヴァーへと向けると彼は彼女の前で膝を突き、小さなケースを取り出して開くとそこには指輪が入っていた。

 

「テイルセイヴァー、俺はお前に一目惚れした。 是非とも結婚してくれ……!」

 

頬を赤く染めつつクオンはなんといきなりセイヴァーに対してプロポーズをし、求婚を求めてきたのだ。

 

そんなクオンを見てレッドは「なんで敵が敵にプロポーズしてんだよ!!」とツッコミを入れていたがクオンはレッドのことはガン無視し、セイヴァーの手を取って左手の薬指に指輪をはめようとするが……当然セイヴァーは手を振り払って拒否。

 

「結婚する訳ないでしょうがあああああ!!!!?」

「な、なぜだ!?」

「なぜって少し考えれば分かるでしょ普通に!?」

 

そもそもセイヴァーは元は男、しかも怪物に告白されるなんて虫図が走って仕方がない。

 

まあ、最も……例えセイヴァーが本当は男ではなく女だったとしてもこんな変態の怪物に告白されるなんて嫌だろうが……。

 

「いや分からんな。 なぜなら俺の中にあるこの想いは本物だからだ!! 俺はテイルセイヴァー、お前を愛している!! どうすれば俺のこの想いを分かってくれる!!?」

「一生分かるかあああああああ!!!!!?」

 

取りあえずセイヴァーは一発クオンを殴ろうと思って拳を振るったがクオンはセイヴァーの腕をあっさりと掴み上げてクオンはセイヴァーを自分の方へと引き寄せ抱きしめる。

 

「ぎゃああああ!!?」

「フフフ、そんなに照れることはないだろう? ハッ! テイルセイヴァー、もしかしてお前実はツンデレか!!? 僕っ娘のツンデレとは……惚れた甲斐があるな!!」

 

尚、この時通信越しに奈々の「テイルセイヴァーは僕っ娘のツンデレですか……あっ、やべ、鼻血が」なんて声が聞こえてきた気がしたがこれ以上精神力をガリガリ削られたくないのでセイヴァーは聞かないフリをすることに。

 

「子供はそうだなぁ……最低でも5人は欲しいな!! という訳で今日の夜は寝かさないぞテイルセイヴァー……?」

「ぎゃああああ!!!? 僕に何する気だよォ!!?」

「無論性的こう……「グランドブレイザー!!!!!」ぐばああああああ!!!!?」

 

とそこでレッドが必殺のグランドブレイザーをセイヴァーに当たらないようにクオンに直撃させ、クオンは空中へと大きく吹き飛ばされたが……吹き飛ばされただけで爆発はせず見事に着地に成功する。

 

「なっ!? グランドブレイザーを喰らって倒れない……!?」

「当たり前だ!! テイルセイヴァーと幸せな家庭を築くまで俺は死ぬ訳にはいかない!!」

「死ねよおおおおおおお!!!!? うわああああああああん!!」

 

余程クオンのことがトラウマになったのか、その場にへたり込んで大泣きするセイヴァー。

 

レッドはそんなセイヴァーを見て彼女はクオンに向かって人差し指を向けて言い放つ。

 

「お前! この娘が好きならこの娘が嫌がるようなことや泣かせるようなことをするんじゃねえ!! 男として最低だぞ!!」

「好きな娘ほど……虐めたくなるというだろう!!」

 

レッドの言葉に対してそう返すクオン。

 

「お前のはなんかベクトルが違うんだよぉ!!? 死ねよバカあああああああ!!!!」

 

余程クオンのことが嫌いになったのか、セイヴァーは珍しく相手に向かって暴言を吐き、それを聞いたクオンは若干ショックを受けて膝を突くが……「むしろ好きな娘に罵られるのはご褒美!!」とか言ってすぐに立ち上がって元気に。

 

そしてルパンダイブの如くセイヴァーに向かって突っ込んでくるがすかさずレッドがブレイザーブレイドを使って野球のバットを振るうように振るってすかさずクオンを殴り飛ばした。

 

『やべ、大泣きしてるセイヴァーちゃんクソ可愛いんですが……。 でも泣かせるのは許し難し……今すぐ私があいつをぶっ潰してきます!!』

「いや来たらダメだから! っていうか奈々!? あれリョーガさんは!?」

『なんか艦……なんとかっていうオンラインゲームで欲しいキャラクターがいるから課金しに行くとか言って出て行きましたよ。 あと、チーズバーガー買いに』

「あぁ、もしかして艦○れ? 僕、アニメしか知らないんだけど……奈々は好きそうだよね。 登場人物女の子しかいないし……」

『えっ、マジですか!? 私、夜ノヤッ○ーマンのレパ○ドちゃんが最高に可愛いロリっ娘だったので他のアニメあんまり見る気しなかったんですが……二次元も三次元の可愛い女の子も大好きな私としては是非とも見なければ!!』

 

いや、それよりも今はテイルレッドが相手をしてくれてはいるがクオンをどうにかしろというものである。

 

 

「ぐばあ」

 

最も……口や身体中のいたるところから血がピューピュー吹き出していたが。

 

「さっきのグランドブレイザーのダメージ効いてる!?」

 

セイヴァーの言うとおり……実は平気なフリして先ほど受けたグランドブレイザーの一撃はクオンにかなりのダメージを受けており、正直、後もう1発ほど喰らったら確実に死ぬだろう。

 

そのことにレッドは即座に気づき、流石にこんなにも弱っている相手を倒すのも気が引けてしまうため、レッドは全力でクオンと戦うことができなかった。

 

「むんっ? 隙あり!!」

 

そんなレッドの隙を突いてクオンは彼女の頭上を高くジャンプして飛び越え、そのまま全速力でセイヴァーの元へと駆け出していく。

 

「テイルセイヴァアアアアアア!!!!! 近いのキッスをおおおおおおおおお!!!!!」

「ぎゃあああああああ!!!!? 変態来たあああああああああ!!!!!?」

『ああああああああ!!!!? 光のファーストキスがぁ!!?』

 

テイルセイヴァーは今はクオンの奇行な行動のせいで殆ど戦意を喪失しており、しかも予想だにしない行動だったためセイヴァーはまともにクオンの動きに反応することができず、彼女はクオンへと抱きしめられてしまう。

 

「ふっはっはっはー!! 捕ったどおおおおおおおお!!!!」

『捕ったどおおおおお!! じゃ、ないですよこの変態野郎がああああああああ!!!!? セイヴァーちゃんに、っていうか光になにかしたらマジであなただけはぶち殺しますよ!!?』

 

何時もより言葉遣いが汚い奈々だが……まあ、これは仕方が無い、なにせセイヴァーは彼女が大好きな「可愛い女の子」でしかも「ロリ」、その上正体は自分の想い人である「風上光」で……今まさに変態の怪物に襲われそうになっているのだ。

 

ブチギレない要素などどこにもないだろう……。

 

そして遂に……テイルセイヴァーの唇にクオンの唇が触れようとした瞬間……。

 

突然背後から「ガシ」っと後頭部をクオンは誰かに掴まれ、無理矢理セイヴァーから引き離されるとクオンはそのまま地面へと誰かに頭を叩き付けられた。

 

「なにしてんだてめええええええええ!!!!!!」

「ぐばあああ!!?」

 

そこに現れたのはテイルセイヴァーこと風上光の実の兄……風上龍夜であり、龍夜は地面に叩き付けたクオンを起き上がらせまいとその背中を踏みつける。

 

その際「ゴチャ」という嫌な音がクオンの背中から鳴り、クオンは痛みのあまり泣き叫んでしまう。

 

「ぎゃあああああああ!!!!!? 背骨がぁ!!? 背骨が割れるぅ!!? なんだこいつ人間かぁ!!?」

「はぁ? 割れればいいだろ。 っていうか全身の骨砕けろ。 つーか砕く」

「えっ!? マジで砕……ぎゃああああああ!!!!? 腕がぁ!!? 腕の骨が砕けるううううううううう!!!!!?」

 

その光景にテイルレッドは唖然とし……一体どっちが怪物なのか分からなくなってしまうのだった。

 

というかどっちを助ければいいのか分からなかった。

 

『なんか……今戻ってきたらモニター越しに凄い光景見てしまったんだが……えっ? なに? 君のお兄さんなに?』

『龍夜さんは昔から光関連のことでブチギレると人外化しますからね。 あそこまでキレるのは珍しいです。 ああなったらもうテイルギアやアーマー纏わない限り愛香さんでも叶うかどうか……。 もしくはゴジラかスーパーマン呼ばないと』

 

一方でクオンと龍夜はというと……クオンはどうにか龍夜からの拘束から逃れ、折られかけた腰と右腕を左手で摩りながら冷や汗をかいていた。

 

「貴様……お前もテイルセイヴァーのファンかなにかか!? だから俺の邪魔をするのか!? そ、それともまさか……お前、セイヴァーちゃんの恋人……」

 

そう言った瞬間、クオンは龍夜の顔面パンチを喰らって空中へと浮き上がり、落下してきたところをさらに蹴りを入れて再び空中へと浮き上がらせ、クオンは地へと落下した。

 

「ぐふふう……」

「そんな訳ないだろ、俺、彼女いるし……」

『えぇ!? マジで!? あんな人外ブラコンに彼女なんているのかい!?』

『龍夜さんは普段は常人ですよ。 それで、彼女ですがいますよ。 今は海外に出てて遠距離恋愛中ですが……。 ちなみにその人もツインテで兄弟揃ってツインテ好きです』

 

そして……龍夜にフルボッコにされたクオンはというとクオンは龍夜がいてはセイヴァーに対してアプローチ(襲えない)ないのでここは一時撤退することに。

 

「だが、だが俺は諦めない。 必ず、必ずセイヴァーを手に入れてみせるからなああああああああ!!!!」

「諦めろおおおおおおお!!!!!? 二度とくるなああああああ!!!!」

 

クオンはそれだけ言い残し、姿を消してその場からいなくなるのだった。

 

「えーっと、あの……龍夜さん、ですよね?」

「んっ? あぁ、そうだけど……お前は総二だよな? 光の友達の……」

「やっぱり、テイルセイヴァーの正体は光なんですね……」

 

レッドはセイヴァーの方へと視線を向けるとセイヴァーは顔を俯かせており、レッドはなぜさっき自分を攻撃したのかセイヴァーへと問いかけた。

 

「なぁ、総二。 光がいきなり襲いかかったのは悪かった。 でも、光は怪物と言えど命を奪う行為を他の誰かにしてほしくなかったんだよ」

「えっ……」

「自分だけが戦えば、他の誰かは戦わなくて済む。 だから……だよな光?」

 

龍夜がセイヴァーへとそう問いかけるとセイヴァーは戸惑いながらも頷き、それを聞いたレッドは「そっか」とだけ呟く。

 

「光、気持ちは有り難いけど、俺は……」

「考えを変える気はないから」

 

レッドが言葉を発する前にセイヴァーはそれだけを言い残してその場をジャンプしながら立ち去って行き、龍夜もレッドに謝罪だけして急いでセイヴァーの後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光いいいいいいいいい!!!!!」

 

人気のない場所で変身を解除した光はそのまま家へと帰宅し、帰ってきた直後に泣きながら奈々が光へと抱きついた。

 

「えっ、ちょっと、奈々!?/////」

「うぅ、光、よく無事で……。 もう、あの時龍夜さんが来なかったらどうなってたかと思いましたよ……」

「なんか、心配かけたみたいでごめん……」

 

光も彼女を安心させるように優しく抱きしめ、光は奈々の頭を撫でる。

 

尚、その光景を遠くからニヤニヤした表情を浮かべているリョーガが見つめており、こっそりと光と奈々が抱き合う写真を撮っていたりした。

 

ちなみにその写真はその後、龍夜がリョーガに頼んで譲って貰った。

 

それからしばらくして光と奈々はお互いから離れ、奈々は先ほどモニターで見ていたレッドとセイヴァーのやり取りを思い出し、やはりレッドと一緒に戦うことはできないのかと問いかけていた。

 

「それは……無理だよ。 やっぱり、どうしても考えは変えられない。 できることなら、戦うのは僕1人がいい。 そうすれば他の誰かが戦って危ない目にあう必要がなくなるもの……」

「ホント、頑固ですね……光」

 

奈々は呆れたようにため息を吐き、奈々は「あなたの周りにいる人のことも考えてください」と言おうとしたが光は「絶対に大丈夫」と言い切りそうだったのでその辺は言わないでおいた。

 

「私も、戦えたらいいんですけど……。 そしたらあのクオンとかいう奴を血祭りにできるんですけどね……」

「冗談はやめて……。 っていうか幾ら敵だからって血祭りは可哀想だよ」

「あんなことされて可哀想って言える光はホント優しいですね……。 だからこそ、私は、あなたを守りたいんですけど……」

 

それでもやっぱり奈々が戦うのはダメだと光は言い、その後も龍夜も説得を試みこそしたもののやはり光の意見は変わらずだった。

 

そしてそれから数日は経ち、その間に毎日毎日律儀に出てくるエレメリアン達を倒して行く日々が続いた。

 

後、なぜかセイヴァー狙いのエレメリアンはみんな変態度が高かった。

 

勿論、セイヴァーはレッドに出会ったら戦いをやめてほしいと頼んでいたが、それでもレッドはツインテールを守るため、戦いをやめることはなかった。

 

「ってなんで毎日1体か2体ずつ律儀に出てくんだよテメーらはァ!!?」

 

場所は人気のない花畑……そこではテイルレッドとテイルセイヴァーが狐のエレメリアン、「フォクスギルティ」と馬のようなエレメリアン、「ホースギルティ」が2人の前に立ちはだかっていた。

 

(馬の方はなんかホースオルフェノクみたいだな……。 あっちの狐はなんかモモタロスみたいな声……)

 

セイヴァーの言うとおり、確かにホースギルティは身体の色が灰色でどことなくホースオルフェノクに似ていた。

 

「あぁ、やっとお会いできましたね、テイルレッド、テイルセイヴァー」

「こっちは会いたくないよ」

 

フォクスギルティに対してそう答えるセイヴァー。

 

「ふ、ふふ……その冷たい態度。 実に良い……! セイヴァーちゃんには是非とも俺を罵って貰いたい……!!」

 

そしてフォクスギルティの隣にいるホースギルティはそんなことを嘆いており、セイヴァーはまたやけに変態度が高い変態が来たものだと頭を抱えた。

 

「私はリボンに魅せられし者、フォクスギルティ」

「そして俺はツインテールの美少女に虐められることを生き甲斐としているホースギルティ!!」

「どうかお見知り置きを。 美しい女神達よ」

「「誰が覚えるか!!」」

 

レッドとセイヴァーは2人声を揃えて怒鳴る。

 

「可憐で力強い、そして素敵なリボンだ。 心がとろけますよ。 屈強な同胞達を倒した剣がリボンより生まれ出でし物だったとは……運命を、感じます」

 

フォクスギルティがそう言うとフォクスギルティの宙にリボンのようなものが浮かび上がり、それがレッドとセイヴァーの周りを囲んだ後、フォクスギルティの元へと戻ってくる。

 

(なんだ? 俺達の周りを回っただけ?)

「お、おぉ、これほどのものとは……ごふ」

 

なぜか悶えながら吐血するフォクスギルティ、それを見てレッドはもう構わないでブレイザーブレイドで斬ってもいいだろうかと思ったが……その時。

 

「結晶せよ、我が愛!!」

 

すると、リボンはどんどんと形を作っていき……やがてそのリボンは……テイルレッドとテイルセイヴァー瓜二つの人形となった。

 

「……俺たちじゃねーか!!」

 

レッドは怒鳴るようにフォクスギルティにそうツッコミ、セイヴァーはフォクスギルティに対して冷たい視線を送った。

 

「ぐおふ!? な、なんだその冷たい視線は!!? 羨ましいぞフォクスギルティ!! さあ、テイルセイヴァー!! 俺にも、是非とも俺にもおおおおおおおおお!!!!!」

「うるさいよ!?」

「はぁう!? ど、怒鳴られた……セイヴァーちゃんに怒鳴られた……ぐへへへ……」

 

相変わらずなぜかセイヴァー狙いのエレメリアンは変態度が高かった。

 

「リボンとは結ぶもの。 特にツインテールを引き立たせるには無二の存在。 あなたのそのツインテール属性を僭越ながら結ばせていただきました」

「まさか、僕たちの能力をコピーしたのか? いつか来ると思ってたけど……まさか偽物と戦うことになるとは……」

 

セイヴァーはてっきり自分達の能力をコピーした人形を使って自分達と戦わせるのかと思ったがフォクスギルティは首を横に振って否定した。

 

「まさか、シミュレートしただけのただの人形です。 リザドギルティほどの強大な人形属性を持たぬ私では自ら動かすことすらできません」

「リザドギルティとコンビで来なくてホント良かった!!」

「ホントな!!」

 

セイヴァーの言葉にレッドが激しく同意するが……「えっ? じゃあコピーしてどうすんの?」という疑問が発生する。

 

「ふふ、ですが見た目だけならこの通りほぼ忠実に……」

 

するとフォクスギルティはテイルレッドの人形へと頬ずりし、それを見たレッドは「ぞくぞくぞく」と背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

「ふははは!! よくやったぞフォクスギルティ!! そして俺はセイヴァーちゃん人形の片足をあげてぇ~、俺が地面に這いつくばれば……」

 

見事にホースギルティはテイルセイヴァーに頭を踏みつけられている格好となり、ホースギルティは息を荒げて歓喜の声をあげる。

 

「はぁはぁはぁ!! セイヴァーちゃんセイヴァーちゃんセイヴァーちゃあああああああああん!!!!! いい、実に良い……!! 踏まれてることで足の感触を味わえ、尚且つこの角度ならば生足が最高の位置で拝める……!! やはり踏まれるというのは気持ちがいいなぁ!!」

 

それを見ていたセイヴァーは「うっわぁ……」と心底嫌なそうな声をあげてドン引きしてしまう。

 

一方でフォクスギルティはレッド人形とダンスをし始め、それを見ていたレッドの目には幻覚だと分かっているにも関わらず、レッドにはその光景が本当の舞踏会で自分とフォクスギルティが楽しげに踊っている姿が見えていた。

 

(な、なんだ……? まるで、俺とあいつが踊ってるみたいで……すごい。 すごい……気持ち悪い!)

「さあ、前菜はここまでだ。 これからはメインディッシュ……。 本物のテイルセイヴァーちゃああああああん!! 俺を踏んでくれええええええ!!」

 

またホースギルティはセイヴァー人形で十分足の踏まれ心地を堪能した後、全速力でセイヴァーへと走ってくる。

 

「うわあああああ!!!!? 来るなあああああああ!!!!」

 

セイヴァーは向かってきたホースギルティの腹部に蹴りを叩き込み、腹部を蹴られたホースギルティはその場でうずくまってしまう。

 

「ごふぅ……!? ふ、ふふ……いいぞぉ! もっとだ! もっと俺を蹴ってくれえええええええ!!!!」

 

が、ホースギルティにとっては快楽に変換されてしまうため、ホースギルティはセイヴァーの足へとしがみつき、セイヴァーは悲鳴をあげながらホースギルティを突き放そうとする。

 

「わああああああ!!!!? 離れろぉ!?」

 

地面に倒れ込んだセイヴァーは掴まれている左足だけをどうにか解放させ、ホースギルティを突き放す為にホースギルティの顔をゲシゲシと蹴り付ける。

 

「あぁ、イイ……! 気持ちイイ……! ロリ美少女に顔面を蹴られるこの快感!! もっとぉ、もっと蹴ってえええええええええ!!!!!//////」

 

顔を赤くしながら「はぁはぁ」と興奮するホースギルティ、それを見たセイヴァーは気持ち悪さのあまり気絶してしまいそうだった。

 

(いや、気絶なんてしたらそれこそなにされるか分かったもんじゃない!)

 

だが、セイヴァーはこの後思い知らされることになる……まだホースギルティ「だけ」だったらマシだったということを。

 

「あぁ、もう、あなたが頼むから折角テイルセイヴァーの人形を作ってあげたというのに結局本物に手を出して……。 仕方がありません、テイルレッドほどではありませんが私もテイルセイヴァーは好きですからね。 2人同時に可愛がってあげましょう」

 

するとホースギルティによってほったらかしにされていたセイヴァー人形をフォクスギルティは回収し、レッド人形とセイヴァー人形に頬ずりをするフォクスギルティ。

 

「フフ、あぁ、コラコラ。 まだ体が拭き終わってないのですから湯冷めます。 ああもう、せっかくお風呂に入ったのにアイスキャンディーでベタベタにしてイケない子ですね」

 

とそんな風に裸で自分の周りを走り回るテイルセイヴァーとテイルレッドの妄想をするフォクスギルティ、しかもなぜかその妄想がレッドやセイヴァーにも見えてしまい、2人はその光景に悲鳴をあげる。

 

「ギャアアアアアアア!!? やめろぉ!!」

「僕の相手の方が変態度高いと思ったらどっちもどっちだったよホントにもう!!」

『あの狐、なんて妄想力なんですか……。 アキバレンジャーなれますよホント。 あっ、そうだ光。 帰ってきたらセイヴァーちゃんの姿のままで一緒にお風呂入りません?』

「言ってる場合!? 普通に入らないし!!」

 

通信機越しに「ちぇー」という残念そうな奈々の声が聞こえたが実際、今はそれどころではない。

 

この変態2体をさっさと倒してしまおう、変な妄想浮かべてるフォクスギルティから先ずは倒そうと思い、セイヴァーはスパークソードとアローソードを取り出してホースギルティを斬りつけて突き放し、セイヴァーはフォクスギルティに向かって駆け出していこうとするが……。

 

「もっと斬ってえええええええ!!」

「ごふっ!?」

 

先ほど斬りつけたホースギルティがすぐに戻ってきてセイヴァーの腰に抱きつき、セイヴァーはホースギルティ諸共地面へと倒れ込んでしまう。

 

「はぁはぁ……今の凄く気持ちよかった。 だからもう1回……いや、もう何百回でも斬ってくれええええええええ!!!!」

「うわああああああ!!!!!? 離せぇ!!?」

 

アローソードとスパークソードを置いてホースギルティを殴りまくるが一向にホースギルティはセイヴァーを離す気配がなく、逆にホースギルティは殴られて心底嬉しそうだった。

 

「あぁ、イイ!! 気持ちイイよぉ! もっとぉ、もっとぉ!?」

「ぎゃあああああああ!!!!!? 気持ち悪いいいいいいいいいい!!!!?」

 

また、テイルレッドは秘密基地にいるトゥアールに言われてレッド人形をさっさと破壊してフォクスギルティを倒そうと思い、ブレイザーブレイドを構えるが……。

 

レッド人形を壊すということは即ち自分の最高のツインテールを破壊することを意味しており、さらにレッドだけではなくセイヴァーの人形まであるため余計に手出しがレッドはできなかった。

 

「む、無理だ……。 俺にはツインテールを壊すなんて……」

「やはり、あなたは本物だ。 そう、これはただの人形、でもこれをあなたは破壊できない。 ツインテールを愛し、最強のツインテール属性を持つあなたはツインテールを滅する事ができないのですよ!」

「くっ……!」

 

そうフォクスギルティに言い放たれたレッドは遂に膝を突いて両手を力なく降ろし、完全に戦意喪失してしまった。

 

そしてそこからフォクスギルティの恐怖の妄想劇が再び始まった。

 

「てい!」

「あふ♡」

 

そこでセイヴァーはどうにかしてホースギルティを蹴り飛ばし、セイヴァーは2本のブレイクソードを持ってフォクスギルティへと向かって駆け出していく。

 

「ま、待てセイヴァー!!」

「レッドが人形を壊せないなら、僕が壊す!! だから言ったでしょ? こういう状況になったらレッドは戦えない、だから僕1人で戦うって!」

 

セイヴァーは2本のブレイクソードを振り上げてフォクスギルティを人形ごと斬りつけようとするが……なぜか、セイヴァーは人形を斬ろうとするその直前で手を止めてしまい、人形もフォクスギルティも斬られることなく無傷だった。

 

「……アレ?」

 

なぜ、自分は直前で手を止めてしまったのか分からず、困惑するセイヴァー。

 

するとそこにホースギルティがセイヴァーへと飛び掛かり、ホースギルティは血走った目で「俺を無視しないでくれよおおおおおお!!!! でもそれがまたいい!!」なんてことを叫びながら彼女へと抱きつき、再びセイヴァーは身動きがとれない状況となってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの光景を見ていた奈々はというと……。

 

「ちょっと、これどうすんですか。 これじゃ何時まで経っても終わりませんよ」

「はっはっは! 収拾がつかないねこれ。 だがそれが面白い」

「言ってる場合ですか! どうするんですかこの状況……」

 

リョーガは腕を組んで「うーん」と悩んだ後、さり気なく奈々の右腕にテイルチェンジャーを装着した。

 

「いや、なに勝手に装着してるんですか!?」

「いやぁ、新戦士はやはりもうしばらく経ってから登場すべきだと思って」

「そんなこと聞いてるんじゃないです。 っていうか私、変身できるんですか? というよりもテイルチェンジャーもう1個あったんですか!?」

 

リョーガは奈々が投げ掛ける質問全てに「Yes」と答え、しかもテイルチェンジャーはさらに後、もう1個作っているというのだ。

 

「取りあえず、君にもツインテール属性は少なからずある。 つまり、テイルチェンジャーを使う資格は十分にあるのさ」

「なんでさっさとこれを渡してくれなかったんですか……」

「新ライダーって結構後に出てくるだろ? そういうことだ」

「ギャレンやG3は1話で出てますよ。 戦隊で言うならマジマザーとかも1話で出てますし」

 

奈々のその返答にリョーガは黙り込んでしまい、奈々から顔を背けた。

 

「取りあえず、これがあれば光を助けられるんですね!」

「それを決めるのは君だ。 光くんに怒られるかな、私は」

「そんなことありませんよ。 これは、私が決めることですから」

「そうか。 ちなみに、セイヴァーと違って変身のかけ声は『蒸着』だから」

 

「なんでギャバン!?」とツッコミを入れた後、奈々はテイルチェンジャーを構えた後、変身をするためのかけ声を行う。

 

「蒸着!!」

 

奈々がそう叫ぶとオレンジ色の光が彼女の体を包み込み、やがてその光が消えると奈々はセイヴァーと同じくスク水に酷似したボディスーツに腕や足部にアーマーが装着され、腰にはライダーの変身ベルトのようなものが装着されて首には2つのマフラー巻かれた姿へと変身した。

 

「おぉ、変身できました! それで、リョーガさん、これの名前は決まってるんですか?」

「あぁ、勿論決まっているとも。 その名も……『テイルクロス』だ」

「テイルクロス……。 よし!」

 

奈々……改め「テイルクロス」は拳を握りしめるとリョーガの作った転送装置を使ってセイヴァーの元へと急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵本を読んで上げましょう。 おやおや、甘えん坊さんですねぇ……」

 

女性を蕩けさせるような甘え声でフォクスギルディの精神攻撃はついにクライマックスを迎える。

 

レッドはあれは偽物、と自分に何度言い聞かせても、フォクスギルティの強い意志で支えられたツインテールは、とても紛いの域で収まるものではなく、また、人形相手に妄想の限りを尽くせる心の力が、フォクスギルティはとてつもなかった。

 

尚、この光景を見ていたセイヴァーは「アキバレッドとどっちが妄想力が高いかな」なんてことを呟いていたりしたが。

 

相変わらずホースギルティに抱きつかれたままだったが。

 

「こ、ここまでなのか。 俺のツインテールは……こんな奴に負けてしまうのか……!」

(ああもう! 全然この馬離れないよ! っていうか、なんで僕はあの時人形を……)

 

そんな時、「そこまでよ変態!!」という声が聞こえ、セイヴァーとレッドが声がした方へと顔を向けるとそこにはレッドのスーツに酷似しているが……肌の露出が高いテイルギアを纏った青い少女が立っていた。

 

「むむっ!?」

「「えっ!?」」

 

テイルギアやテイルアーマーには認識撹乱という装着者の正体を隠すための装置が備わっている。

 

それには様々な効果の違いがあるようで、テイルギアやアーマーに搭載されているのは正体を守るための意識改竄特化型でステルスとしては使えないが、テイルギアの装着者と別の人間をイコールで結べなくする。

 

だが、正体を知る人間には効果が無いらしく、元から正体を知る者同士には意味がないのだ。

 

だからレッドはすぐにその青い少女が誰なのかが分かった。

 

「あい……か……?」

 

突然の乱入者にフォクスギルティは「何者です!?」と問いかけ、愛香は「あたしは……」と名乗ろうとした時、「いたぞ! あそこだ!」という声が聞こえて声のした方を向くと丁度そこにはマスコミがやってきているところだった。

 

(戦いを長引かせすぎたかな……)

 

カメラが何台か回っているが、愛香はそんなこと気にせず先ほどのフォクスギルティの問いかけに答えるべく名乗りをあげた。

 

「あたしは……テイルブルーよ!!」

「おおお……まさか、こんなに素晴らしい仲間がいらっしゃったとは……! 命の危機に追い詰められているというのに、なぜでしょう。 胸の高鳴りが抑えられませんよ!」

 

なぜかテイルブルーの登場に喜ぶフォクスギルティ、またそれと同時にホースギルティもなぜか喜びの声をあげた。

 

「お、おぉ! おぉ!! ドSっぽい少女キタアアアアアアア!!!!! ふ、ふふ!! セイヴァーもいいが、あのテイルブルーという者の方が俺のことを虐めてくれそうだ!!」

「はっ? 虐め? そんなことしないわよ、だってさっさと倒すから……」

「さっさと倒すだと? 無理な話だ、俺はドMだ。 どんな痛みにだって耐えてみせる!! という訳で俺をいたぶってくれえええええええ!!!!!」

 

早速ホースギルティが「待ちなさい!」と叫ぶフォクスギルティを無視してテイルブルーへと向かって駆け出していくがブルーは向かってきたホースギルティの頭を鷲掴みにし、ホースギルティを地面へと叩き付けた。

 

「  」

 

しかもホースギルティの身体の大半が地面に減り込んでおり、ピクリとも動かない。

 

「ちょっと、力入れすぎたかしら……?」

「ふ、ふふ……しかも強いとは中々手強そうですね……」

「ったく、ホントにそっくりで気味悪い人形達ね……。 でも」

 

愛香は左腕の手甲に装着されたパーツから、薄緑色に光輝く石を取り出し、スライド展開すると一際青く光る窪みが現れ、宙に浮いた属性玉エレメーラオーブがそこにマウントされる。

 

「属性玉変換機構エレメリーション! 属性玉エレメーラオーブ――――――人形属性ドール!!」

「それは……リザドギルティの……!」

「さっ、大人しくしなさい。 人形ちゃん」

 

するとセイヴァーとレッドの人形が人形属性の輝きに包まれ、あれほどリアルにできた人形はマネキンに顔写真だけを貼ったような形となり、フォクスギルティの視認できるほどの妄想は跡形も無く砕け散った。

 

「なぁ!?」

「ほいっと」

 

そしてセイヴァーとレッドの人形もなんの躊躇いなく蹴り一発で粉砕した。

 

「なにしてくれちゃってんの!?」

「バカな!? 何の躊躇いもなく破壊するとは! あなたの仲間を模したものですよ!」

「仲間なら、ここにいるじゃない。 ねっ?」

「仲間……」

 

そう言ってレッドの方へと振り返り、ウインクするブルー。

 

一方でセイヴァーは複雑そうな表情を浮かべていたが。

 

ちなみに、ブルーと同じように出撃したにも関わらず未だに出て来ていないテイルクロスはというと……。

 

(なんか先越されたあああああああ!!!!? 完全に出て行くタイミング逃してしまいました……。 あっ、でもやべぇ……あのテイルブルーって娘可愛い。 しかもウインクが可愛いいいいいいい!!!!)

 

出ていくタイミングをブルーに先越された上にブルーが可愛いと悶絶していた。

 

だが、その時……ブルーの攻撃で気を失っていたホースギルティが起き上がり、ブルーの姿を捉えるとホースギルティは一直線にブルーへと駆け出していく。

 

「うおおおおお!!!! なんださっきのは! 死にかけたぞ!! 是非とももう1回お願いしまああああああす!!!!」

「げっ、気がついた」

「ベストタイミングゥ!!」

 

しかしそこで丁度いいタイミングを見つけたクロスがホースギルティへと跳び蹴りを叩き込み、顔面を蹴られたホースギルティは大きく吹き飛ばされた。

 

「えっ、だ、誰……!?」

「追跡! 撲滅! いずれも~マッハぁ! 私の名は……テイルクロス!」

 

と「仮面ライダーマッハ」の決め台詞&ポーズを完全再現して颯爽と現れた「テイルクロス」……クロスはセイヴァーの元へと駆け寄るとそっと彼女の肩に手を置いた。

 

「も、もしかして……奈々!?」

「ご名答!」

「な……なんで、なんで来たんだ! どうして……! レッドだけでも……総二さんだけでも説得させるのが難しいのに、あのテイルブルーや奈々まで……どうして戦いに……!」

 

セイヴァーは奈々が、テイルクロスが戦いに来たことに驚きを隠せず、今すぐにでも家に戻ってほしいと頼むセイヴァーだったが……クロスはそれを聞き入れず、セイヴァーにデコピンを喰らわせた。

 

「あだっ!?」

「バッカですねぇ~光。 心配せずとも、私は戦いに来たんじゃありません」

「えっ、じゃあなにしに……」

「決まってるでしょう。 戦うのではなく、あなたを守る為に来たんです……」

 

優しい微笑みをクロスはセイヴァーへと向け、クロスはセイヴァーを抱きしめる。

 

その際にクロスは身長が変わっていないせいでセイヴァーの顔がクロスの胸に当たる形になってしまうが、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。

 

「あぁ、今気づきましたけど……光はきっと勘違いしています。 総二さんや、あのテイルブルーという方もきっと戦うためにここへと来てるんじゃない。 大切なものを『守る』ために来てるんです。 だから、光の説得が通じないのは当たり前ですよ」

「そんなの……屁理屈だ」

「光の言っていることも十分屁理屈です。 でも、ヒーローっていうのは……仲間がいるもんです。 人は誰でもヒーローになれる。 傷ついた人の肩にコートをかけて世界はまだ終わりじゃないと教えてくれる人とかね」

 

セイヴァーは「映画の台詞の引用じゃないか」と呆れ気味に言うが……クロスは「今少しあいそうかなと思いまして」と苦笑しながらセイヴァーへと答えた。

 

「戦うのがヒーローじゃないですよ、光。 いえ、テイルセイヴァー。 私はそんな風に、誰かを『守る』ために、今……ここにいます。 そして私は今、『君だけを守りたい』ってね?」

 

にっこりと笑顔を浮かべるクロスに、セイヴァーも釣られて笑みを浮かべてしまう。

 

「なんか、ホントにヒーローみたいでカッコいいよ、奈々。 いや、テイルクロス」

「後は私とテイルブルーに任せてくださいな!」

 

セイヴァーはクロスの言葉に頷き、クロスはブルーの隣へと並び立つ。

 

「アンタ……もしかして奈々?」

「えっ? そういうあなたは……」

「愛香よ」

「マジですか……」

 

ブルーはレッドから既にセイヴァーの正体を聞いていたこともあり、先ほどのクロスの行動を見てなんとなく彼女の正体にブルーは感付いたのだ。

 

「全く、お互い世話の焼ける幼馴染みを持ったもんね」

「えぇ、ホントに……。 では、2人で一緒に行きますか!」

「そうね!」

 

挿入歌「ブルー・エモーション」

 

テイルブルーとテイルクロスはフォースリヴォンに触れるとブルーは槍型の武器「ウェイブランス」を取り出し、クロスは弓矢型で両端に刃がついた武器「クロスアロー」を取り出す。

 

「ウェイブランス!!」

「クロスアロー!!」

 

そしてクロスはフォクスギルティ、ブルーはホースギルティへと向かって行く。

 

「くっ! こうなればあなたの人形を作ってあなたの精神も削ってあげましょう!」

「そうはいきませんよ! 属性玉変換機構エレメリーション!! 属性玉エレメーラオーブ!! ウェディングドレス!!」

 

すると地面から光の鞭が現れてフォクスギルティを拘束し、クロスは動きを封じたフォクスギルティにクロスアローを振りかざして斬りつける。

 

「ぐうお!?」

 

さらにクロスは腰にあるベルトの中央にある錠前のようなものに触れる。

 

『ブレイザーブレイド!』

 

すると空中からレッドの専用武器である筈のブレイザーブレイドが現れてフォクスギルティに激突し、クロスはブレイザーブレイドを左手に持つ。

 

「ぐっ、バカな。 なぜテイルレッドの武器を!?」

「やっぱりベルト見て思いましたけどこれ完全に戦極ドライバーじゃないですか。 しかも能力が極アームズ」

『いいだろう? 私の趣味だ!』

「まあ、いいですけど」

 

クロスはブレイザーブレイドとクロスアローを消し、再び錠前に触れると今度はアローソードとスパークソードが洗われる。

 

『ブレイクソード!』

 

2本の剣を持ったクロスはフォクスギルティにすれ違いにスパークソードとアローソードで胸部をX字を描くように斬りつけ、フォクスギルティは身体から火花をあげる。

 

一方テイルブルーはというと……。

 

「はぁはぁはぁ……! テイルブルー、君が相手をしてくれるとは! さあ俺を殴れ! 蹴れ! 斬れええええええええ!!!!」

「お望み通り、殴って蹴って斬ってぶっ飛ばしてやるわ!!」

 

テイルブルーはホースギルティへと向かってジャンプするとウェイブランスを振りかざしてホースギルティを斬りつけたが……やはりホースギルティにとっては快楽に変換されてしまう。

 

「あふう♡ いいよぉいいよぉ! もっときてくれえええええええ!!!!」

「あーもううざい!!」

 

向かってきたホースギルティをウェイブランスの尻柄部分で殴りつけ、さらにホースギルティの顎に強烈な膝蹴りを叩き込む。

 

(こいつ戦う気とかあんのかしら……)

「よし! 次は是非とも俺を踏みつけてくれ!! さあさあさあさあ!!」

「お断りよ!」

 

ブルーはジャンプして勢いをつけた拳をホースギルティの顔面に叩き込み、吹き飛ばされ……ホースギルティはフォクスギルティへとぶつかって2体とも地面へと倒れこむ。

 

「行くわよ、クロス!」

「ガレット!」

「「オーラピラー!!」」

 

2人の右腕から光の光線が放たれてフォクスギルティとホースギルティは拘束され、ブルーとクロスは完全解放ブレイクレリーズを発動。

 

「「完全解放ブレイクレリーズ!!」」

 

ブルーはウェイブランスを構え、クロスは合体させたブレイクソードを矢に見立ててクロスアローを構える。

 

「戦いは新米でもね……ツインテールは、あたしの方が先輩なんだからぁ!!」

 

三叉の槍から繰り出される 次元を穿つような強力な刺突攻撃「エグゼキュートウェイブ」をホースギルティへと放つ。

 

「エグゼキュートウェーーーーイブ!!!!」

 

さらにクロスはクロスアローにエネルギーをチャージを完了させ、ブレイクソードをフォクスギルティへと向かって発射した。

 

「ファイナルクロスシューーーーート!!!!!」

 

そして2体のエレメリアンの身体をブルーとクロスの技が貫き、2体は火花をあげる。

 

「ぐあああああ!? さ、最後に夢を……。 また、服を着ないで風邪をひいてしま……っ。 な、成る程! リボンにそんな使い方があああああああ!!!!!?」

「ふ、ふふ……テイルブルー、テイルセイヴァー、最後にこの俺を散々と蹴ったり殴ったりしてくれたこと、礼を言うぞ……。 そして最後にこのような痛み、というより滅茶苦茶気持ちイイことをしてくれて……ありがとうございましたあああああああ!!!!」

 

フォクスギルティとホースギルティはそんな断末魔を残して爆発し、クロスとブルーは属性玉を回収した。

 

「トゥアール、あたし、やったわよ」

「えっ? 殺った?」

 

そして戦いが終わった所を見越してマスコミが駆けつけてくる。

 

それを見たブルーはカメラに向かって「あたしも今日から参戦しまーす」と挨拶する。

 

「よろしくね。 4人揃って『ツインテイルズ』ってことで」

「あっ、すいません。 ブルー。 私とセイヴァーちゃんは『セイヴァーちゃん愛でる会』でお願いします」

「やだよ!?」

 

当然、クロスの意見はセイヴァーによって却下され、クロスは頬を膨らませて「じゃあセイヴァーちゃんが考えてください」と言われてしまった。

 

「えっと、じゃあ……『テイルズ・リーグ』」

「ジャスティス・リーグじゃないんですから」

「えっ、ダメ?」

「いえ、それにしましょう。 元々ヒーローもののパロディの固まりですし、私たち。 という訳で私とセイヴァーちゃんは『テイルズ・リーグ』ということで!」

 

そしてブルーはレッドを抱きかかえ、クロスはセイヴァーの手を4人は急いでその場から去って行った。

 

「お、おい!」

「いーのよ、『絵』は提供したし」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブ! AMAZONS

「何時まで寝てんのよ、いい加減起きないと遅刻しちゃうわよ、『ハルカ』」

 

自室のベッドで赤髪の少女にボスっと枕を顔に投げつけられた「ハルカ」と呼ばれた青年は咄嗟に起き上がり、自分を起こしに来てくれた少女に対し、ハルカは赤髪の少女に向かって優しそうな笑顔を浮かべ、朝の挨拶をするのだった。

 

「おはよう、『真姫』」

「『おはよう』じゃないわよ、全く……なんで何時もあたしがハルカを起こしに来ないといけないんだか……」

「ごめんね、なんでか目覚ましじゃ中々起きれなくて」

 

相変わらずハルカはニコニコとした笑顔を浮かべており、そんなハルカに対し「真姫」と呼ばれた少女は「ハァ……」と呆れたようなため息を吐く。

 

「朝食もう作ってあるからさっさと髪整えて着替えて来なさいよ、『お兄ちゃん』?」

 

真姫はハルカのことを「お兄ちゃん」と呼ぶが、実際に2人は血が繋がっている訳ではなく、2年前彼は養子としてこの家……西木野家に引き取られたのである。

 

そしてハルカはというと……なぜか未だにニコニコとした笑顔を浮かべており、真姫は怪訝そうな表情を見せ「何時まで笑ってんのよ、気持ち悪い」と言われてしまうが、そう言われてもハルカは特に怒る様子はない。

 

「いや、僕のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれるんだなぁって」

「そりゃ、最初こそ少しは警戒したけど……2年も経てばいい加減慣れるわよ。 っていうか、今『お兄ちゃん』って言ったのは皮肉のつもりだったんだけど……って良いから早く支度しなさいよ」

 

真姫に言われてハルカは苦笑しつつ「うん」と頷き、真姫が部屋から出て行くと同時にハルカは寝間着から学校の制服へと着替え、急いで下の階へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を済ませたハルカと真姫は自分たちが通う学校……「音ノ木坂学院」へと向かい、靴箱で2人は別れの挨拶をした後、互いに自分のクラスである教室へと向かって行き、ハルカは2年生であるため、2年の教室に向かって行くのだが……その途中、後ろから「よーっす!」という声が聞こえ、いきなり誰かが肩に勢いよく腕をかけてきたのだ。

 

「ハルカ! はよー!」

「ぐふっ! おはよう、風切(かざきり)くん」

 

ハルカの肩に腕をかけてきたのは同じクラスの男子生徒である「風切(かざきり) 二郎(じろう)」という人物であり、ハルカは二郎と一緒に自分たちのクラスへと向かい、教室につく間二郎は最近流行っているという「スクールアイドル」のことをハルカに熱く語るのだった。

 

「でさ! あのUTXってところにも『A-RISE』っていうのがいるらしいんだわ! 今度一緒にライブいかね?」

「うーん、僕はあんまりそういうの興味ないかなぁ?」

 

そんなハルカに対し二郎は「なんだよ連れねえな」と不満を零し、ハルカは苦笑しつつ「ごめんね」と謝るが……それでも二郎はめげずに「取りあえず一回ライブとか見てみろって!」とやたらと進めてくるため、ハルカは「帰ったら調べてみるよ」と言葉を返したその直後のことである。

 

「私の輝かしい高校生活がぁ~!!」

 

という叫び声にも似た声が聞こえ、ハルカと二郎が声のした方に顔を向けるとそこには彼等2人のクラスメイトでもある茶髪の少女「高坂 穂乃果」が友人と思われる2人の少女「園田 海未」と「南 ことり」の2人に支えられており、二郎とハルカは一体なんだと思い駆けつけてみるとそこには「廃校のお知らせ」と書かれた壁紙が張られていることに気付き、それを見た二郎とハルカも驚く様子を見せた。

 

「え、えぇ!? 廃校って嘘ォ!?」

「マジでかよ……。 あー、こいつ学校好きだもんなぁ。 それでこいつ倒れ……って気絶してやがる!?」

 

二郎の言う通り「廃校」という知らせがあまりにもショックだったのか穂乃果は気を失っており、穂乃果の幼馴染である海未とことりが何度呼びかけても起きる気配がなく、二郎は「しょうがねぇな」と頭をポリポリとかいた後、「保健室まで俺が運ぶから背中に乗せろ」としゃがみ込み、海未とことりは言われた通り穂乃果を二郎の背中に乗せる。

 

「よし、じゃあ行って来る」

「あっ、私たちもついて行きます」

「心配だからね」

「まぁ、別にいいけど……悪いけどハルカ、俺の鞄だけ教室に運んどいて」

 

それに対しハルカは「うん」と頷き二郎の鞄を預かると先に1人教室へと向かうことになり、二郎とことり、海未は穂乃果を保健室に運ぶことになったのだが……。

 

(高坂の足柔らけぇなぁ……。 ラッキー♪)

 

と二郎は不純なことを考えていた。

 

それからしばらく経った後……意識を取り戻した穂乃果が教室に戻って来たのだが……その表情は曇っており、ことりは「穂乃果ちゃん、大丈夫?」と心配そうに声をかけるが穂乃果は元気なく「うん……」と頷く。

 

そして席に着くと穂乃果は両手で顔を覆い「学校が無くなる学校が無くなる……うぅ……」と今にも泣き出しそうになっており、穂乃果の後ろの席であるハルカは穂乃果に「涙拭く?」とハンカチを渡そうとし、二郎はそこまで学校が穂乃果は好きだったのかと思ったのだが……。

 

「違います、あれは多分勘違いしてるんです」

「勘違い?」

 

海未の言葉にことりが首を傾げると穂乃果はいきなり「バンっ」と席を立ち上がると「どぉーしよー! 全然勉強してないよー!!」と今度こそ本当に泣きだしてしまい、穂乃果は「だって学校無くなったら別の高校入らなくちゃいけないんだよ!? 受験勉強とか編入試験とか!」と彼女はそれを気にしていたらしく、それを聞いた二郎も「なに!?」と驚きの声をあげる。

 

「えっ? なにそれマジで? やべぇ……俺も全然勉強してねぇ! どうしよう……!」

「えっ? あれ? 風切くん……? 穂乃果ちゃんも落ち着いて……」

「これが落ち着いていられる訳がないよぉ! 海末ちゃんやことりちゃん、ハルカくんはいいよぉ! そこそこ成績も良いしでも私は……ううぅ……!」

「ハルカお前の家確か金持ちだったよな! だったら金の権力でその辺をなんとか……!」

 

穂乃果と二郎が嘆いているとあまりにも2人が話を聞いてくれないので海未が少し強めに「だから落ち着きなさい!」と言い放ち、海未は自分たちが卒業するまで学校はなくならないということを説明し、学校が無くなるにしても今の生徒が卒業してからであるため、早くても学校が無くなるのは3年後だというのだ。

 

それを聞いて穂乃果は「良かったぁ~!」と一安心し、この話はその後昼休みまで持ち越しとなり、中庭の大きな木の下にある椅子に座り、穂乃果は安心して余程お腹が空いていたのか美味しそうにパンを少し多めに食べていた。

 

「いやぁ、今日もパンが美味い!」

「太りますよ?」

 

海未が呆れたように言うが、穂乃果は食べる量を減らす気は少なくとも今はないようだ。

 

「……」

「おっ? どうしたハルカ?」

 

弁当を食べていたハルカが神妙な顔をしていることに気付いた二郎がどうかしたのかとハルカに尋ねるとハルカは「なんか、今日の弁当味が薄いなぁって」と話し、それを聞いた穂乃果がハルカの弁当の卵焼きを「どれどれ」とひょいっと摘み食いすると穂乃果は「美味しい!!」とほっこりとした笑顔を見せる。

 

「ちょっと穂乃果、行事悪いですよ?」

「えー? ハルカくんこれ凄く美味しいよ?」

「えぇ~? 変だなぁ……」

 

その時だ……。

 

『……え……。 く……』

 

誰かの声が聞こえた。

 

「えっ? 風切くん何か言った?」

「えっ? いや、別に何も」

 

ハルカは穂乃果達も何か言ったかと尋ねたが、3人とも別に何も言っていないらしく、ハルカは気のせいかと思い味が薄いと感じつつもお腹が空いているため弁当を全て平らげるのだった。

 

「それにしても……廃校が正式に決まったら次から1年性は入って来なくなって……来年は2年と3年だけ」

「今の1年生は後輩がずっといないことになるのですね……」

 

ことりと海末は悲しげにそう語り、穂乃果もまた悲しそうな表情を浮かべていると「ねえ、ちょっといい?」と誰かが自分たちに話しかけ、穂乃果達は驚きつつも慌てて立ち上がった。

 

彼女達に声をかけたのはこの学校の生徒会長である金髪の少女「絢瀬 絵里」と副会長である「東條 希」であり、絵里は「南さん」とことりに声をかけ、ことりは緊張した様子で「はい!」と返事をした。

 

「あなた確か、理事長の娘よね? 廃校について理事長、なにか言ってなかった?」

「い、いえ、私も今日知ったので……」

 

絵里の質問にことりは緊張しながらも答え、それを聞くと絵里は「そう、ありがとう」とだけお礼を言って希も「ほなな~」とだけ挨拶をした後、2人はその場を立ち去ろうとするのだが穂乃果が「あの!」と声をかけたため、2人は立ち止まる。

 

「本当に学校、無くなっちゃうんですか?」

 

不安げに穂乃果が絵里にそう尋ねると絵里は「あなた達が気にすることじゃないわ」とだけ返し、希と一緒に今度こそ2人はその場を立ち去って行くのだった。

 

「なんか苦手だなぁ、僕……あいいう人」

「まぁ、ちょっととっつきにくい感じはするけど、あの2人はスタイル良いよなぁ! 胸大きいし……それに比べて南は兎も角年の近い2人は……」

「ちょっとどこ見てるの!?」

「どういう意味ですか!?」

 

なんて二郎が穂乃果と海未とのやり取りを行い、そんな様子をことりとハルカは苦笑いしながら見つめていた。

 

(それにしても……ご飯食べたのにお腹空いたなぁ……)

 

それからハルカ達はというと廃校になるのは入学希望者が定員を下回った場合のみであるため、なんとかして音ノ木坂の良さをアピールし入学希望者を増やす方法を考えたのだが……特に目立ったものもなく、部活でも微妙な成績ばかりという絶望的な状況ばかりであり、とても入学希望者を増やせるようなものがあるとは思えなかった。

 

「考えて見れば、目立つところがあればもう少し生徒が集まっている筈ですよね」

「せやな」

「せやな」

「同じような返事2回もしないでくださいよ、なんかムカっときます」

 

ハルカと二郎の返事に妙にイラっとした海未だったが、そんな時穂乃果が「私、この学校好きなんだけどなぁ……」と呟き、ことりも「私も好きだよ……」と返すと海末も「私もです……」と静かにそう答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、学校の教室にて……。

 

「アイドルだよ! アイドル!!」

 

今朝珍しく早起きした穂乃果は同じ街の巨大な学校……「UTX」に立ち寄ってきたらしく、そこのモニターで行われていた「A-RISE」と呼ばれる学園内で結成されたスクールアイドルのライブを見て来たらしく、それを見た穂乃果は「自分たちでスクールアイドルを結成して人気になれば廃校を阻止できるかもしれない」と考えたのだ。

 

「A-RISEって確か昨日風切くんが言ってたアイドルだよね?」

「ほぅ、まさかお前の口からA-RISEが出るとは思わなかったな。 でもナイスアイディア!! 確かに打開策は現状それしかなさそうだな!」

 

二郎は穂乃果の提案には賛成のようであり、二郎はハルカの腕を掴みあげると「よっしゃ、一緒に頑張ろうなハルカ!」と言い放ち、それを聞いた穂乃果は「えっ?」と首を傾げ、また同じく穂乃果の反応に「えっ?」と二郎は首を傾げたのだ。

 

「なんで二郎くんたちがやるの?」

「なに!? ここにイケメン2人がいるんだから当然だろう!」

「風切くん、自分で言ってて恥ずかしくない……? それと、スクールアイドルって女の子の方が多いみたいだよ」

 

兎に角、話を戻し穂乃果が言うには人気のあるスクールアイドルの通う学校は入学希望者がどんどん増えているという情報が確かに存在し、穂乃果は「それで私、考えたんだ!」と自分の考えを言おうとした直後……その場に海未がいないことに気付き、穂乃果は廊下を見ると海未がどこかに行こうとしているのを発見。

 

「海未ちゃーん! まだ話終わってないよー! いい方法思いついたんだから聞いてよー!」

「はぁ、私たちでスクールアイドルをやると言いだすつもりでしょ?」

「海未ちゃんエスパー!?」

 

自分の考えていることを言い当てられ穂乃果は驚くが苦笑しながらハルカが「そこまで言ったら誰でも基本は分かるよ」と言い、穂乃果は「それなら話が早い!」と海未の元へと駆け寄る。

 

「今から先生のところに行ってアイドル部を……!」

 

しかし海未は「お断りします」ときっぱりと断り、穂乃果は不満そうに「なんで!?」と声をあげるが海未はそんなことで本当に生徒が集まるとは思えないらしく、穂乃果の持ってきた雑誌に載っているスクールアイドルもプロと同じくらいに努力し真剣にやってきた人達であり、好奇心だけで始めても上手く行くとは到底思えないというのだ。

 

「そう言われたら海未ちゃんの言い分も正しい気もするけど……」

「えぇー!? は、ハルカくんまで!?」

「ハッキリ言います、アイドルは無しです!!」

 

海未に強くそう言い放たれ、穂乃果は言葉を返すことができず沈黙してしまった。

 

その後、穂乃果は少し気分転換にと思い屋上へと行き、「いい案だと思ったんだけどなー」と溜め息を零していると誰かの歌声が聞こえ、その歌の聞こえる場所に向かって歩いて行くと彼女は音楽室へと辿り着き、そこでは真姫がピアノを使い「愛してるばんざーい!」という曲を歌っていた。

 

隣にはハルカも座って真姫の曲を聞いており、一通り歌い終わるとハルカは笑みを浮かべて拍手……しかし拍手が余分に聞こえた真姫は教室の扉を見てみると穂乃果もまた拍手していることに気付き、思わず彼女は「ゔぇえ!?」という声をあげてしまった。

 

「凄い凄いすごーい! 感動しちゃったよ!」

「あれ? 穂乃果ちゃん?」

「あっ、ハルカくんもいたんだー! それにしても歌上手だねぇ! ピアノも上手だね! それに、アイドルみたいに可愛い!」

 

「アイドルみたいに可愛い」と言われ、真姫は顔を真っ赤にするとすぐさま椅子から立ち上がり、「ハルカ、先帰るわね」と伝えるとその場から去って行こうとするのだが……。

 

「あ、あの! いきなりなんだけど、あなたアイドルやってみたいと思わない!?」

(まだ諦めてなかったんだなぁ……穂乃果ちゃん)

 

苦笑いしつつ穂乃果は真姫をスクールアイドルに誘おうとしたのだが真姫は「なにそれ? 意味分かんない!」と一蹴し音楽室から出て行ってしまったのだった。

 

「あはは、だよね~」

「まさか僕の妹が勧誘されるとは思わなかったよ」

「えっ? あの娘ハルカくんの妹だったの!?」

「義妹だけどね。 血は繋がってないんだ」

 

穂乃果は「へぇ~」と感心したように声をあげた後、穂乃果は腕を組んで「ホント、どうしようか……」と思い悩むが……。

 

「僕は……やれば良いと思う」

「えっ?」

「何もしないで諦めるより、足掻いて足掻いて突っ走る方がきっと良いよ! 僕は応援する! それで穂乃果ちゃんの作るアイドルのファンの第1号になる!」

「……ありがと、ハルカくん! うん! こうなったら私1人でやってやるんだからー! ファイトだよ、私!」

 

それから穂乃果は人気のない場所を見つけて1人でダンスの練習を行うと言いだし、穂乃果は音楽室を出て行き、ハルカは「頑張って!」と手を振ってエールを送るのだった。

 

『……く……。 わ……』

 

するとその時、前と同じように誰かの声がハルカには聞こえ、ハルカは辺りを見回すがやはり誰もいない。

 

ハルカは何となく窓の外を見てみるがやはり特になにかある訳もなく、強いて言えば陸上部が部活動しているくらいだろうか。

 

(それにしても、お腹が空いた……最近なんでこんなに……。 何か食べたい……肉が食べたい……肉が……)

 

すると「ドクン……!」というハルカは心臓が大きく鳴り響いたのを感じ、突然の苦しみに苦痛に満ちた声をあげながらその場に膝を突いた。

 

「ぐぅぅ……あああああああ!!!!? はぁはぁはぁ……なんだ……これ……!?」

『え……く……わ……』

「誰なんだ……誰なんだよ一体!! はぁ、はぁ……」

 

それからはハルカは胸を押さえつけながら保健室に行こうと音楽室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、穂乃果のせいです、全然練習に集中できません……」

 

その頃、海未とことり、二郎は3人並んで歩いており、海未は穂乃果が変な話をするから弓道部の練習に全然集中できないと愚痴を零していたのだが……。

 

「それってスクールアイドルにちょっとは興味があるってこと?」

「あっ、いえ……それは! でも、やっぱり上手く行くとは思えません」

 

するとことりは「でもこういう事って何時も穂乃果ちゃんが言ってたよね」と言い、昔……穂乃果が大きな木を登ってみようと言いだした時のことを話しだし、ことりは「私たちがいつも尻込みしちゃうところを何時も引っ張ってくれて」と語るが海未は「そのせいで散々な目に何度もあったじゃないですか! 大体穂乃果は何時も強引すぎます!」と不満を口にするが……。

 

「でも海未ちゃん、後悔したこと……ある?」

 

ことりにそう聞かれ、海未は木に登った時に見た綺麗な景色を思い出し……ことりに案内された場所に辿り着くとそこには穂乃果が1人一生懸命にダンスの練習をしているのを見つけ、穂乃果は何度コケても立ち上がり練習を繰り返していたのだ。

 

「ねぇ、海未ちゃん……私、やってみようかな?」

「おう! 南も園田も高坂もお前等可愛いんだからぜってー出来る! 俺がお前等のファン第1号になってやる! だからよ……あいつに手、差し伸ばして来いよ!」

 

海未の背中を二郎は軽く叩くと彼女は戸惑いつつもまたコケてしまった穂乃果に「1人で練習しても意味がありませんよ。 やるなら、3人でやらないと」と声をかけながらそっと手を差し伸ばし、穂乃果は目尻に涙を溜めつつ嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「海未ちゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから生徒会長室で絵里にスクールアイドル部設立を認めて貰うために部活申請書を提出したのだが、部活を設立するにはせめて後2人必要とのことで立ち去ろうとした穂乃果達だったが、絵里はなぜこの時期に部活をやろうと彼女達が言いだしたのかを尋ね、穂乃果はその理由を話したのだが……それでは例え部員を集めても部を認めることができないと言い放ち、「部活生徒を集めるためにやるんじゃない。 思い付きで行動したところで状況は変えられないわ」と一蹴されてしまったのだ。

 

その帰り、二郎は穂乃果達と合流し穂乃果は部活が認められなかったことを説明した。

 

「うーん、名前だけなら俺とハルカのを貸せばなんとかなりそうだけど……それ以上の問題も山積みかぁ」

「ですね……」

 

取りあえず、今日は家に一度帰ってまた色々と考えようと海未が提案し、一同はそれぞれ家に帰ることにしたのだが……途中、穂乃果は立ち寄る場所があった為、寄り道をして行こうとするのだが……。

 

『グチャ……グチャ……』

「んっ? なんだろ?」

 

人気のない暗い路地裏で何かの音が聞こえた穂乃果はなんだろうと気にななり音のした方へと歩いて行くと……そこには蜘蛛にも似た巨大な怪物が人の腕をムシャムシャと貪り食っており、それを見た穂乃果は「ひっ!?」と声をあげ尻持ちをついてしまう。

 

『グフゥ……!』

 

すると怪物……「クモアマゾン」は穂乃果の存在に気づき、穂乃果は慌ててその場から逃げだそうとするがクモアマゾンは穂乃果の頭上を飛び越えて廻り込んで道を塞ぎ、その大きな口を開いて穂乃果に近づいて来たのだ。

 

「うわああ!? いやぁ!! 来ないで!!」

 

穂乃果は鞄をクモアマゾンに投げつけるがその程度怯む筈もなく、クモアマゾンは穂乃果に襲い掛かろうとした時……1人の男性が穂乃果とクモアマゾンの間に飛び込むように乱入し、男性はクモアマゾンを勢いよく蹴り飛ばした。

 

「おーおー、いたいた獲物さんが」

「あ、あなたは……?」

「んっー? ジンって名前だけど? まぁ、名前なんてどうでもいいや、お前さん早く逃げな」

 

穂乃果は戸惑いつつ「は、はい!」とその場から立ち上がって走り去り、「ジン」と名乗った男性はベルトのようなものをどこからか取り出すとそのベルトでポケットに入っていた卵を割るとそのまま中身を口に入れ、ベルト……「アマゾンズドライバー」を腰に装着し、左のグリップを握る。

 

「……アマゾン」

『アルファ』

 

するとジンの身体から高熱が発せられ、その高熱が収まるとトカゲの酷似した赤い姿……「仮面ライダーアマゾンアルファ」へと変身を完了させる。

 

「さぁて、狩りの時間ですよっと……」

『グルラアアアアア!!!!』

 

クモアマゾンは食事の邪魔をされたためか激怒したようにアルファに向かって跳びかかるがアルファは飛びかかってきたクモアマゾンの腹部を殴りつけ、クモアマゾンは地面を転がるがすぐさま反撃しようと口から蜘蛛糸のようなものを出して攻撃。

 

しかしアルファは腕の刃で蜘蛛糸を切り裂き、攻撃を全て防ぎ切る。

 

『グルアアアアアアア!!!!』

 

するとクモアマゾンはアルファに向かって駆け出しアルファを殴りつけようとするがアルファはクモアマゾンの攻撃を全て避け、腕の刃でクモアマゾンの腕の1つを斬り落とした後、廻し蹴りをクモアマゾンに喰らわせる。

 

「つまんねぇな……」

 

クモアマゾンはアルファに掴み掛って噛み付こうとして来るがアルファはクモアマゾンを突き飛ばして腹部に蹴りを叩き込んだ後、腕の刃を利用したチョップをクモアマゾンの頭部に叩き込み、「グチャ!」という音が聞こえるとクモアマゾンは頭から血を吹き出しもがき苦しむ。

 

『グアアアアアア!?』

 

そのまま勢いよくクモアマゾンを蹴り飛ばし、クモアマゾンは倒れこむのだがそこに……。

 

その場に息を切らしながらハルカが現れたのだ。

 

「あん? お前……」

「はぁ……はぁ……なんで、僕……こんなところに……」

「ハルカくん!?」

 

するとまだ逃げていなかったのか穂乃果が姿を現し、彼を心配して駆け寄ろうとしたのだがそれをアルファに腕で制され止められる。

 

「な、何するんですか!?」

「お前まだいたのか。 近づかない方が良いぞ。 でないと……お前、あいつに食われちまうぞ?」

「えっ?」

 

穂乃果がハルカに視線を移すとハルカの身体から高熱が発せられ……ハルカが「うおおおおおおお!!」と雄たけびをあげるとハルカの身体がみるみる内に変化し、ハルカはトカゲに酷似した緑色の怪物「トカゲアマゾン」へと変化したのだ。

 

「キジャアアアアアア!!!!!」

「ハルカ……くん?」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

世界の修復者

荒野には複数の異様な姿をした様々な戦士達が皆、同じ方向に向かって駆けだしており、中には前に進みながら遠距離攻撃などを行っている者等もいた。

 

空を飛ぶ者、バイクに跨って戦う者、電車の上に乗って戦う者、龍の背中に乗って戦う者など本当に様々な戦士がおり、「なにか」と戦っていた。

 

しかし、戦士達が向かう先から謎光線が戦士達「仮面ライダー」に降り注ぎ、全ての仮面ライダーはその光線により敗北し倒れた。

 

だが、そこへ灰色のオーロラのようなものが現れてオーロラからは新たな仮面ライダーが9人現れたのだ。

 

ライガ、クシド、セイバー、ゼータ、ガロス、氷鬼、マンティス、列王、ヤイバという9人の仮面ライダーが出現し、ライダー達が戦っていたたった1人の戦士……「仮面ライダーディセイド」を9人は取り囲んだ。

 

「みんな、行くぞ!!」

 

ライガの掛け声で彼を含める9人の仮面ライダー達は一斉にディセイドに襲い掛かり、ゼータのパンチを軽く受け止めたディセイドはゼータを蹴りつけ、隙を狙って斧型の武器「ガロスラウザー」をディセイドの背中に向けて振り下ろしたがディセイドは偶然近くにいたヤイバを捕えて自分の盾にしたのだ。

 

「ぐわあ!?」

「すまない、ヤイバ!!」

「誤ってる暇あんのか?」

 

ヤイバを押し退かし、ディセイドの鋭い蹴りがゼータに入り、ライガとマンティスが2人同時にディセイドに挑んできたがディセイドは2人の攻撃を受け流し、殴りかかってきたガロスの拳をかわして自分の拳をガロスの腹部に叩きこんだ。

 

「ぐはっ!?」

 

そこへ氷鬼が2本の棒型の武器「音撃棒・氷牙」でディセイドを叩きつけようとするもディセイドは氷鬼に振り返りざまに腰に下げていた剣「セイドブッカー」を握り、氷鬼を斬りつけた。

 

「ぐわあ!!?」

 

時王が剣型の武器である「ガイガッシャーソードモード」で、セイバーは2本の剣「ガルドブレード」で、ヤイバ、クシド、マンティスも同時にディセイドに攻撃を仕掛けるがディセイドはセイドブッカーをたった一度だけ振るうとセイドブッカーから斬撃が放たれ、ライガ、クシド、セイバー、ゼータ、ガロス、氷鬼、マンティス、列王、ヤイバに直撃し、9人は岩や壁に激突し、そのまま気を失ってしまったのだ。

 

全てのライダーが倒され、ただ1人だけ佇むそのライダーはどこか悪魔のようにも思えた。

 

そんなディセイドを、悲しそうに見る白いドレスを着た紫髪のロングヘアーの1人の女性がいた。

 

「ディセイド……」

 

女性は静かにそう呟くと、ディセイドの目の前には何時の間にかまた新たな仮面ライダーが1人だけ現れたのだ。

 

身体の色は青く、バッタを模した戦士「仮面ライダー1号」がディセイドに戦いを挑もうとしていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢から目覚めた少女「辛嶋(からしま)唯(ゆい)」はまたあの仮面の戦士達が戦う夢を見たことに頭を抱えていた。

 

(良い年こいてヒーロー物の夢みるなんて、というかそもそも私、女だしヒーロー物とか見たことないのにどうしてあんな夢見るんだろ?)

 

唯は高校を卒業し、家にいる自分の父親である「辛嶋浩一郎(からしまこういちろう)」と居候2人と一緒に暮らしているごく普通の女性である。

 

唯は家の2階にある部屋から出て1階の部屋のリビングまで降りるとそこには既に朝食を作っている父親の姿があった。

 

「おはようお父さん、本郷さんと幸助(こうすけ)くんは?」

「あぁ、本郷くんは教師の仕事で出かけて幸助くんは『ゲーセンに新しいゲーム入ったんで行ってきます!』ってドヤ顔で出かけたよ」

「もう、本郷さんはちゃんと働いてるのに幸助くんは本当にもう!」

 

唯はため息を吐きながら頭を抑え、幸助という青年が向かったゲームセンターに唯は足を運んだ。

 

ゲームセンターでは金髪で見た目は一見キャラ男、いや、実際そうなのかもしれないがそういう雰囲気を出している青年「神山(かみやま)幸助(こうすけ)」がゲームをプレイして遊んでいた。

 

そして唯が幸助を見つけるや否や彼に駆け寄り、足を振り上げて……かかと落としを決めた。

 

「ゴルラアアアア!!! 幸助ええええええ!!!」

「ごふうううう!!!? ちょ、いきなりなにすんの唯!? 俺まだゲームプレイしてる途中なのに、見ろお前、ゲームオーバーになっちまっただろうが!!」

「知るかボケェエエエエエエ!!! アンタさ、居候してる身でなにゲーセンなんかで遊んでるの!? 働けぇ!! そして本郷さんを見習ぇ!! 家賃払えやゴルラアアアア!!!」

 

再び大きく足を振り上げてかかと落としを決めようとする唯だが、幸助はギリギリ回避した。

 

「あぶねっ!? にしても見えたわ、白か」

「はっ? ってまさかアンタ……っ!?」

 

唯は短いという訳ではないがスカートを履いている、先程足を振り上げた際、幸助にその中を見られたということだ。

 

彼女は顔を真っ赤にして涙目でスカートを抑え、幸助の胸倉を掴んでゲームセンターから引きずり出してタコ殴りにした。

 

「っ~!////」

「ちょっ、タンマタンマ!! なんだよ別にみられるくらい、結局スカート履いてる奴なんてみんなただ腰に布巻いてるだけだろーが! そう考えたらアレだからね? スカート履いてる奴の方がよっぽど際どい……」

「意味分かんないことばっか言ってんじゃないわよ!!!」

 

その後とてつもない悲鳴が空に響き渡り、幸助は唯に半殺しにされ、フルボッコにされた幸助は唯の説教を受けながら2人揃って自分達の家に帰って行った。

 

因みにこの幸助という男、居候させて貰っている身にも関わらず一切働こうとはしない、ただ家の家事などはとてもよくこなしてくれるし、浩一郎がお人よし過ぎるために未だ家を追い出されずにいるのだ。

 

それと「本郷」という男について、フルネームは「本郷猛(ごほんごうたけし)」で彼は昔、高校の教師をやっていたのだがなにか問題を起こしてクビになり、しかも中々次の職が決まらなかったため彼の済んでいたアパートを追い出され、そんな本郷は浩一郎が見つけて彼を家に済ませたのだ。

 

本郷は幸助と違い、働き者で真面目、尚且つ唯も懐いているので彼は幸助とは全くの正反対と言えるだろう。

 

『ディセイド、この時が来たよ』

「っ!」

 

幸助の耳にはなにかが聞こえ、彼は後ろに振り返ったがそこには誰もおらず、唯が心配そうに「どうしたの?」尋ねてきたが幸助は首を横に振り、「なんでもない」とだけ返した。

 

だが、その時、幸助と唯の間に突如として灰色のオーロラが壁となって現れ、唯は幸助の元に、幸助は唯の元に行くことが出来なくなってしまった。

 

「唯!?」

「えっ? なにこれ? 幸助!!」

 

そこに唯の背後に空から蝙蝠の怪人「バット」が現れ、バットは唯に襲いかかろうとするが幸助がバットの存在を教えたため、唯はかろうじてバットの繰り出してきた攻撃をかわせたが危機は去っていない。

 

「唯、兎に角逃げて逃げまくれ!」

「わ、分かった!」

 

唯は言われた通りバットから逃げだしたのだがバットは飛行して唯を追い掛け、幸助はどうにかこの壁となったオーロラをどうにか破壊できないかと思ったがやはりダメだったため、幸助は別のルートを探して唯を探すことに。

 

しかしそれを阻むかのように立ちはだかるように白い白衣を着た老人が彼の目の前にいつの間にか立っていた。

 

「……『死神博士』」

「神山幸助、いや、ディセイドよ。 我等ショッカーに戻るのだ!」

「俺をアンタ達の仲間みたいに言うのやめてくんない? いや、割とガチで」

「お前がショッカーに戻れば……」

 

と幸助の言葉を全く聞かずに話を進める死神博士、それにイラッときた幸助は死神博士に怒鳴り散らした。

 

「人の話を聞けええええええ!!!」

「我等ショッカーは次元を超える装置を完成させ、様々な世界の悪を配下に置き我々ショッカーは『大ショッカー』としてパワーアップしたのだ!!」

 

結局人の話を聞かずに自分の言いたいことだけ言う死神博士だが、彼の言葉の内容は幸助も気になっていた。

 

死神博士はそのまま様々な世界の悪と同盟を組んで全ての世界を支配することだと死神博士は幸助に伝える。

 

「どうだディセイド? お前がこちらに戻ってくれば世界を全て支配した暁にはお前に好きな世界を1つ……うごふっ!?」

 

言い終わる前に幸助は死神に飛び蹴りを入れ、いきなりのことに死神博士は唖然としつつ幸助に怒り出す。

 

「お前人が喋ってる途中でなにをしとる!!?」

「お前にだけは言われたくねえんだけど!? つーかなに? 世界の1つくれてやるって? 良いんだよもうそういう使い古されたネタはさ、RPGじゃねえんだよコノヤロー」

「どうしても我々の所に戻ってこないつもりか?」

 

幸助は「だからそう言ってんじゃん」と返答し、死神博士はため息を吐き右手を掲げるとコブラと蛇を模した怪人2人、「コブラ」と「スネーク」が現れる。

 

「お前は貴重な人材だったんだが、止むを得んな」

 

コブラとスネークは2人がかりで幸助に襲いかかろうとしたが誰かが乗った赤いラインの入った黒いバイクが突然やってきてスネークとコブラを跳ね飛ばした。

 

バイクに乗るのは金色の角があるクワガタを模して赤い姿をした戦士「仮面ライダークウガ・マイティフォーム」だった。

 

クウガはバイク、「ビートチェイサー2000」を走らせてスネークとコブラの方に旋回し、ウィリーをしてトライチェイサーの前のタイヤでスネークとコブラを叩きつけ、コブラは後ろ頭についた触手を取り外して鞭として使い、鞭を使ってクウガの首を絞めつけてビートチェイサーから引きずり降ろす。

 

「うおっ!?」

 

クウガはどうにか鞭を外そうとするがその前にスネークが攻撃を仕掛け、クウガはスネークの攻撃を避けてスネークを殴りつけた。

 

「超変身!!」

 

クウガは紫のラインが入った銀色の姿「タイタンフォーム」になるとその姿はパワーに優れているため、そのパワーを使って鞭を引き千切る。

 

ビートチェイサーの片方のハンドルを引き抜くとそれは剣型の武器「タイタンソード」へと変わり、スネークはクウガを殴りつけるがタイタンフォームの装甲は硬く攻撃が通じず、タイタンソードでスネークを斬りつけ、腹部にタイタンソードを突き刺した。

 

「ううっ!?」

 

タイタンソードで相手の体を貫き、刀身からエネルギーを流し込む「カラミティタイタン」をクウガ繰り出した。

 

本来は「グロンギ」と呼ばれる怪人を封印するための技だが、どうやらこの技はグロンギ以外にも効く技らしい。

 

「ぐうう、うわああああ!!!?」

 

スネークは爆発を起こし、それを見たコブラは逃げるようにここから立ち去るがクウガはそれを追いはせず、先に幸助にある物を投げ渡した。

 

それは銀色の四角いバックルのようなものであり、クウガはそれだけを渡すとビートチェイサーに乗ってコブラを追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唯は必死にバットから走って逃げていたが、突如灰色のオーロラが目の前に現れてそれに唯は吸い込まれると周りには自分以外の人間がおり、いきなりのことで戸惑いはしたが人が大勢いるため正直言って少しだけ安心した。

 

だが、周りの人々に透明の牙のようなものが突き刺さり、人々の身体はみるみる内に透明になって倒れ死亡した。

 

「えっ?」

 

ステンドグラスの怪人「ファンガイア」の仕業であり、唯達の前に現れると人々の命「ライフエナジー」を吸い取ろうと襲い掛かってくる。

 

「きゃああああ!!?」

 

唯は急いでそこから逃げだすがまた灰色のオーロラに飲まれて自分のいる場所が変わり、今度は目の前に灰色の怪人「オルフェノク」達が待ち構えていた。

 

「い、いや……!」

 

唯はオルフェノク達から逃げようとするが1体のオルフェノクに腕を掴まれて捕まえられてしまい、唯は必死に逃れようとするが人間の力では到底振り解けない。

 

とそこへ、いきなり1人の男性がこちらに向かって駆けだし、唯の腕を掴んでいるオルフェノクを蹴り飛ばした、オルフェノクはその際唯の腕を離した。

 

「あっ、ほ、本郷さん!!」

「大丈夫か?」

「はい!」

 

本郷はオルフェノク達を睨みつけ、本郷はコートを捲ると腰には銀色のベルトがあり、中央の赤い風車が回転すると本郷は一瞬の内に姿を変え、黒いスーツを纏い、上半身はダークブルー、孵化緑のブーツとグローブを身につけ、赤いマフラーをなびかせ、そしてバッタを模した仮面を頭部に装着して最後にマスク「クラッシャー」を装着させて変身を完了させた。

 

この姿の名は「ホッパー1」又の名を……「仮面ライダー1号」

 

唯は夢の中で見た1号の姿に目を見開き、1号はスコーピオンオルフェノク、ラビットオルフェノクといった怪人達と対峙し、ラビットオルフェノクが先ず最初に1号に飛びかかるが1号はそれを飛び蹴りで蹴り飛ばし、スコーピオンオルフェノクが頭部に付いた3つのスコーピオンニードルで1号に身体を麻痺させる毒を打とうとするが1号は飛び上がってスコーピオンオルフェノクの背後に回り込み、スコーピオンオルフェノクは後ろに振り返ったが、1号の強烈なパンチ「ライダーパンチ」が顔面にめり込んで殴り飛ばされ灰となった崩れ落ちた。

 

右腕を左斜めに伸ばして左腕を拳にし、後ろへ引くようなファイティングポーズをとる1号は、向かってくるラビットオルフェノクに強力な飛び蹴り「ライダーキック」を放ち、ライダーキックを喰らったラビットオルフェノクは倒れこんだ後、フラついた状態で立ち上がるがすぐに倒れラビットオルフェノクも灰化した。

 

「本郷……さん?」

「大丈夫か、唯ちゃん?」

「本郷先生、あなた……一体」

 

唯が唖然としている中、新たな怪人達が現れた、その怪人達は全て虫を模した姿をした怪人が4体「ワーム・成虫体」であり、ワームは体を駆け巡るタキオン粒子を操作し、時間流を自在に行動できるようになることで超高速「クロックアップ」を使い、目にも止まらぬ速さでワーム達は1号に様々な角度から攻撃を行い、1号はなす術も無く攻撃を喰らって倒れこんでしまう。

 

「ぐわあああ!!?」

「本郷さん!!」

 

唯が本郷の元まで駆け寄ろうとするが彼女の目の前にまた灰色のオーロラが現れて今度はそれが壁となり、本郷の元に行くことができなくなってしまった。

 

しかも1号からも唯の元に行くことは出来ず、1号は何度も壁を殴りつけるがやはりビクともしない。

 

「幾ら『NEXTの世界』の1号だからって、その壁を壊すのは無理だよ」

「っ、幸助くん?」

 

1号に声をかけたのは幸助であり、彼は腰に先程クウガに渡された銀色の四角い箱を握っており、それを腰に当てると帯が伸びてベルトとなり左腰に装着されてある剣「セイドブッカー」からカードを取り出し、ベルト「ディセイドライバー」の中央にカードを装填した。

 

「変身!!」

『カメンライド・ディセイド!』

 

9つのシルエットが幸助に重なり、ディセイドライバーの中央から幾つかのプレートが出現し仮面に突き刺さり、その姿は世界の破壊者と呼ばれた「仮面ライダーディケイド」似ているが身体の色は灰色で胴体にはX字の紋章があり両肩は跳ね上がっている戦士「仮面ライダーディセイド」に変身を完了した。

 

「っらああああああ!!!」

 

大声をあげて灰色のオーロラの壁にパンチを叩きこむと壁にヒビが入っていき粉々に砕け散った。

 

「えっ!?」

 

唯もディセイドに気付き、ディセイドの方へと振り返って唖然とした、夢で見た戦士が目の前に2人もいるのだから。

 

ただの夢だと思っていたのに、現実にディセイドも1号も現れた。

 

「ピンチの連続ってやつか唯? 下がってろ」

 

ディセイドは唯を1号の元まで下がらせるとディセイドはセイドブッカーからカードを1枚取り出してディセイドライバーの中央に装填させる。

 

『カメンライド・マンティス!』

 

カマキリを模した緑色の戦士「仮面ライダーマンティス」にベルト以外変身するとD(ディセイド)マンティスは鎌を模した武器「ゼクトデスサイズ」を構えてワームに斬りかかるがワームはクロックアップを使って高速移動して回避、対するDマンティスもセイドブッカーからカードを取り出してドライバーに装填する。

 

『アタックライド・クロックアップ』

 

Dマンティスもワームと同等のスピード「クロックアップ」で動きまわり、向かってくるワーム達を次々とマンティスデスサイズで切裂き倒した。

 

「一丁あがりっと」

 

Dマンティスはドライバーからマンティスのカードを抜き取るとそのカードに描かれていたマンティスのカードがピンボケし力を失ってしまった。

 

「やっぱ、ちゃんと力を取り戻さないと使えるのは1回だけか……。 取り合えず、唯、本郷さん、一旦家に帰ろう」

 

1号も唯もなにがなんだか分からない状態だったが1号はサイクロン1号に乗り、ディセイドは自身の専用バイクである「マシンディセイダー」に跨り唯はその後ろに乗って今は家に帰ることにした。

 

しかしその途中、蜘蛛の糸のようなものに身体を縛られてバイクから降ろされ吊るされる唯、唯を吊るしたのは「仮面ライダーBLACK」の世界の悪の組織「ゴルゴム」の怪人「クモ怪人」であり、その他にもサボテン怪人やサイ怪人、コウモリ怪人にヤギ怪人など様々なゴルゴムの怪人が現れる。

 

「ここは俺に任せろ、早く唯ちゃんを!」

「そうさせて貰う」

 

ディセイドはセイドブッカーからカードを1枚抜き取り、ディセイドライバーにカードを装填しまた姿を変える。

 

『カメンライド・ヤイバ』

 

コウモリを模した銀色の戦士「仮面ライダーヤイバ」に変身するとヤイバの背中にコウモリの翼が生えてDヤイバは飛行しクモ怪人と唯の元まで行くとDヤイバはセイドブッカーでクモ怪人を斬りつけて地上に落とす。

 

Dヤイバはセイドブッカーで唯を縛っている蜘蛛の糸を切裂くと彼女を抱き抱えて(お姫様抱っこ)地上に降り立つ。

 

「全く、よく怪人に狙われるなお前は?」

「なっ……なっ……////」

「んっ? どうした? 顔が赤いぞ? お姫様抱っこされて照れてんのか?」

 

悪戯っぽく言うディセイドだが、別に唯は照れて顔を赤くしているのではなく……。

 

「お前なんかにまた助けられた上に初めてお姫様抱っこして貰うのがお前で最低最悪だああああああ!!!!」

 

怒りで顔が赤くなっているだけであり、しかもDヤイバの顔面にパンチを喰らわしてDヤイバは倒れ変身してるにも関わらず物凄い痛みが襲った。

 

因みに唯も流石にグーでライダーの仮面を殴るのは相当痛かったようで殴った方の手を擦ってる。

 

そんなことを2人がしている間、サイ怪人の突進を1号は真正面からどうにか受け止め、背後に立つサボテン怪人を蹴りつけてサイ怪人に膝蹴りを叩きこむ1号。

 

コウモリ怪人が空中から1号に向かって襲い掛かるが1号はジャンプしてコウモリ怪人の背中に飛び乗り、コウモリ怪人の翼を引き千切る。

 

「ギエエエ!!?」

「うおおおお!!」

 

コウモリ怪人から飛び下りた1号は勢いをつけた必殺キック、「ライダーキック」をサボテン怪人に繰り出してサボテン怪人は爆発を起こす。

 

「グアアア!!?」

 

そこにDヤイバも駆けつけ、両腕に巨大なクローの武器「バットクロー」が装備され、Dヤイバは1号と共にゴルゴムの怪人を蹴散らして行く。

 

2人は全てのゴルゴムを怪人を倒し終え、唯と一緒に家に帰ろうとするのだが今度は巨大な怪物達が現れ彼等の行く手を阻んだ。

 

「いい加減しつこいんだよ」

「確かにな」

 

ディセイドは新たなカードを取り出し、ディセイドライバーの中央に装填する。

 

『カメンライド・ヒョウキ!』

 

黒い身体に青いラインのある虎と鬼を模した戦士「仮面ライダー氷鬼」にディセイドは変身し、棒型の武器「音撃棒・氷牙」から氷の弾丸を次々に放ち巨大な怪物達を燃やし尽くす。

 

ディセイドは今まで使った「マンティス」「ヤイバ」「氷鬼」のカードを眺めるとそれらのカードは全てピンボケして力を失ってしまっていた。

 

それからディセイド達は今度は特に何事も無く無事に家の近くまで辿り着くことが出来たが不意に先程自分を呼んだ謎の声が聞こえてきた。

 

「どうしたの幸助くん?」

 

不思議そうに幸助を見つめる唯と変身を解いた本郷、すると3人の周りがいきなり暗くなって一瞬なにも見えなくなるが、そこに9つほどの地球が浮かび上がる。

 

「なんだこれは?」

 

一体どういうことなのか、本郷と唯が戸惑っているのとは正反対に幸助は妙に落ちついた雰囲気を出していた。

 

「待ってたよ、ディセイド、いや……幸助くん」

 

声のした方を見てみるとそこには笑顔を浮かべた1人の男性が立っており、幸助は男性に軽く頭を下げた。

 

「あの、教えてください。 今、この世界でなにが起こってるんですか!?」

 

なぜか分からないが目の前の男性が今の事態についてなにか知っていると唯は感じ、彼に質問をぶつけた。

 

「君達の世界で都市伝説のような噂になっている『怪人』は実在する。 それを束ねるのが『ショッカー』という悪の秘密結社だ。 ショッカーはある日、こことは違う世界に行く技術を手に入れた」

 

彼等はそれを使い、様々な世界の悪と同盟を結んで組織を巨大にしていき、遂にこの日、その巨大になったショッカー「大ショッカー」は全ての世界を手に入れるために侵略活動を開始しだした。

 

だが、ショッカーが次元を渡り歩き、様々な世界に干渉しその干渉した世界の者を他の世界に何度も引っ張りだしたりしているせいで遂には全ての次元に歪みが生じ世界が崩壊仕掛けているのだという。

 

男性は危険を犯してまで大ショッカーにもそのことを話したが大ショッカーは信じなかった。

 

そこでディセイドにはその歪みを新たに生まれた9人の仮面ライダーの力を取り戻すことで世界の歪みを止めて欲しいのだという。

 

なぜディセイドなのか、それは「世界の修正者」と呼ばれる存在だから、その力で歪んだ世界の歪みを修正して欲しいというのだ。

 

「本当ならこういうのは『ディケイド』の役目なんだけど、彼はクウガ~キバまでの力しか持っていないから君に頼むしかないんだ、ごめん……」

 

男性はどこか暗い表情で幸助に謝るが幸助は首を横に振る。

 

「謝ることなんかねーでしょ? こうなる前から覚悟は決まってる」

「うん、ありがと。 他の世界に渡る術は既に手配してあるから」

「君達が旅を終わるまで、この世界とこの世界の『笑顔』は俺と、俺の仲間達それに『風見』さんが守るから安心して」

 

本郷は「風見」という名前を聞いた驚いたような表情を見せる。

 

そして幸助は頷くと男性「五代雄介」はサムズアップを幸助達に送り、幸助、本郷、唯は元の空間に戻ってきた。

 

「幸助、今の人……知り合い? それに話がもう訳が分からないんだけど?」

「まっ、そんなこと良いじゃん。 取り合えず俺、しばらく旅に出るわ」

「はっ?」

 

いきなり幸助がそんなことを言いだして唯は眉を寄せる。

 

「だからさ、さっきの話聞いただろ? 俺は今から色んな世界に行かなきゃならないの」

「借金は?」

「はっ?」

 

今度は幸助が疑問の声をあげる番だった。

 

「借金払わずに出て行く奴があるかボケええええええええ!!!!」

 

唯の綺麗なストレートパンチが幸助の顔面に直撃し、幸助は顔を真っ赤に腫れさせながら倒れ、本郷は唯だけは怒らせないようにしようと心に誓うのだった。

 

「それに幸助くん、お金あるの?」

「あっ……」

 

どうやら頭に無かったらしい、そんな幸助に唯はため息を吐き、本郷は苦笑する。

 

「なんかよく分かんないけどさ、私もついていく。 本郷さんはどうします?」

 

それを幸助はなにか言いたそうにしていたが唯はかなりの頑固者だ、ちょっとやそっと言っただけでは絶対に飽きられめてはくれないだろう。

 

「僕は……この世界に残るよ。 風見達のことが気になるし」

「そうですか……」

 

唯はどこか寂しそうにするがすぐに笑顔になり、本郷は風見達を探すためにこの世界に残って早速風見という人物を探し始めることに。

 

その際、もしかすれば家ごと別の世界に行くかもしれないということを本郷に告げ、全財産は全部財布の中、持って行くものも特にないので本郷はそのまま別れを言って去って行った

 

幸助と唯の2人は家に戻って家に帰ってきたが、2人ともかなり疲れた顔をしている。

 

これだけ色々なことがあったんだ、当然だろう、すると浩一郎がやってきて幸助に届け物があると言い、その届け物を幸助に渡した。

 

「これは……?」

「んっ? 写真? なにも映ってないけど……」

 

その時、突然その写真が輝きだしその写真にはある絵が映っており、その絵には漆黒の姿をした4本角をしたクワガタを模した戦士、「アルティメットクウガ」とカブト虫を模した仮面、クウガ・マイティフォームに似た身体をし、首には赤いマフラーをなびかせ両腕と両足には白いラインのようなものがあり、身体の所々にはクウガがライジングフォームの箇所に似たものが装着された黒い戦士「仮面ライダーライガ」が戦っている絵が描かれていた。

 

「ライガの、世界」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ライガの世界

「ライガの世界か」

「ライガ? それも……」

 

「仮面ライダーとかいうやつなの?」と幸助に尋ねようとした唯だったが浩一郎が「ちょっとテレビ見てよ!!」となにか慌ただしく騒いでいた。

 

怪訝そうな表情を幸助と唯は浮かべるが、浩一郎がつけていたチャンネルでは今ニュースが放送されており、そこではあのカードに描かれていた戦士が「未確認生命体」と呼ばれる怪物達と警察官達と協力しながら戦っていた。

 

「あれが仮面ライダー、ライガか。 成程な、クウガとは正反対って感じだな」

 

確かにクウガはクワガタをモチーフとしており、対するライガはカブト虫を模した姿をしている。

 

「それで? 私達はなにをすればいいんですか?」

「さあな、取り合えずあそこに行ってみるか。 中々面白そうだしな」

「面白そうって私達がこの世界になにをしに来たのか分かってんのアンタ!!?」

 

怒鳴る唯に耳を塞ぎながら彼女の説教を喰らう幸助だが、幸助は急いで唯から逃げるように家から飛び出した、すると幸助の服装が突然変わり、警察官の格好となった。

 

「まっ、おおよそこの世界での役目は検討ついてたがな。 警察での位はやっぱり巡査か」

 

幸助はマシンディセイダーに跨り、ライガと警察、グロンギが戦っている場所へと向かった。

 

その頃、ライガが戦っているでは倉庫バッタを模したこの世界の怪人「グロンギ」の1人「ゴ・バダー・バ」ときのこを模した怪人「メ・ギノガ・デ」とライガは戦っており、警察はライガを援護する様に拳銃などでバダーやギノガに攻撃しライガを援護している。

 

「ぐっ、何時までこんなこと……!」

 

カブト虫を模した仮面、クウガ・マイティフォームに似た身体をし、首には赤いマフラーをなびかせ両腕と両足には白いラインのようなものがあり、身体の所々にはクウガがライジングフォームの箇所に似たものが装着された黒い戦士「仮面ライダーライガ・アタックフォーム」は飛びかかるように殴りかかってきたバダーの拳を受け止めてバダーを蹴りつけるが背後からギノガがライガを抑えつけ、ライガはバダーに思うように殴られ続ける。

 

「ぐあっ!? 離せ!!」

 

バダーを右足をあげてライガは蹴りつけ、続けざまに膝でギノガの腹部を殴った後にギノガの腕を掴んで背負い投げを繰り出したが直後にバダーの飛び蹴りを喰らう。

 

「うわああ!!?」

 

立ち上がったギノガは体内で猛毒の胞子を生成し、それをライガの口部目掛けて解き放とうとするが……。

 

「キモイ!!」

「ゴハア!!?」

 

ギノガが毒を流しこむには相手の口の中に入れさせる必要があり、傍から見ればグロンギが男だろうと女だろうとキスしようとするように見えるのでライガはギノガの毒だけは絶対に喰らわないようにしていた。

 

ライガはその時バダーがいないことに気付き、辺りを見回すとバダーはバイク、「バギブソン」に跨りライガに向かって走りださせてライガに体当たりを繰り出す。

 

体当たりを喰らって弾き飛ばされたライガだが、そこに1人の男性「八代カオル」が拳銃をライガに投げ渡した。

 

「これを使え!!」

「はい!! 光変身!!」

 

両肩に翼のようなものが装着され、深緑の身体をした「アローフォーム」に姿を変え、渡された拳銃は弓矢型の武器「ボルテックアロー」に変換される。

 

ギノガがライガに駆けだしてきて攻撃を仕掛けたがライガはそれをかわし、ギノガの背後に回り込んで電撃を纏わせた矢をボルテックアローから放ち、矢はギノガに突き刺さり「封」の文字が浮かび上がってギノガは爆発した。

 

「グギャアアアアア!!!?」

 

ボルテックアローを下げてアタックフォームに戻るライガだが、その手には力が入っておらず、ギノガが爆発した場所をどこか唖然とした雰囲気で眺めているようだった。

 

「なにしてるんだ!! まだ終わって無いぞ!!」

 

カオルの声にハッと我に返ったライガだったが既に遅く、ライガはバダーの操るバギブソンに跳ね飛ばされてしまった。

 

バギブソンをバダーは旋回させて再び倒れこんでいるライガに突撃してくるが突然、バダーの身体に火花が散ってバダーはバギブソンが振り落とされる。

 

「ぐおおおっ!!?」

「んっ?」

 

ライガが振り返るとそこには幸助の変身したディセイドが立っており、ライガに踏みよると彼の頭をポンポンと叩きサムズアップを送る。

 

「後は俺に任せな」

「あなたは一体……?」

「今はどうでもいいじゃねえかそんなことはよ」

 

ディセイドはセイドブッカーを構えてバダーに斬りかかり、バダーはそれをかわして廻し蹴りをディセイドに喰らわすがディセイドは落ちついた物腰でセイドブッカーからカードを1枚取り出し、ディセイドライバーに装填する。

 

『アタックライド・スラッシュ!』

 

セイドブッカーの刀身を強化し、ディセイドはそれで敵を切裂く「ディセイドスラッシュ」をバダーに繰り出してバダーに反撃の隙を与えなかった。

 

「さて、こいつでトドメだ」

『ファイナルアタックライド・ディディディディセイド!』

 

セイドブッカーから金色のカードを取り出し、それをディセイドライバーに装填するとディセイドの右足に光の渦のようなものが巻きつくように現れ、ディセイドは飛び上がってからの跳び蹴り、必殺の「ディメンションキック」をバダーに喰らわせ、バダーは爆発を起こして倒れた。

 

「グアアアアアアアア!!!!?」

「あなた、一体……グロンギですか? それとも……」

「お前と同じ、仮面ライダーだ」

 

ディセイドはそれだけ言うと外に置いてあったマシンディセイダーに跨って家に帰っていき、ライガは唖然としながら見ていることしか出来なかった。

 

そんなライガにカオルが駆けつけ、彼の肩に手を乗せる。

 

「『風上』彼等『は』もう、人間じゃない。 グロンギなんだ、元に戻す方法は無い、残念だが……」

 

カオルは暗い表情を見せ、ライガも仮面のせいで表情は見えないが恐らく仮面の下の表情はカオルと同じものだろう。

 

「なぜ君達がそんな目に会わないといけないんだ!! 折角未確認ゼロ号を倒したというのに!!」

「カオルさん、そんなに気にしなくても……」

 

ライガは変身を解除すると黒髪の青年の姿に戻り、カオルにそう言うがカオルは首を横に振った。

 

「気にしなくて良い? 無理だよ、君達を巻きこんだのは我々警察だ!」

「でも、誰かがやらなくちゃならなかった。 それがたまたま僕『達』だっただけなんです」

 

青年「風上光(かざかみひかり)」は笑みを浮かべてカオルにそう伝えるものの、カオルはバツが悪そうな表情で彼に謝り続け、光はそんなカオルに自分はどうしたらいいか分からずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に戻った幸助は部屋に帰ってきた直後、唯のドロップキックを喰らった。

 

「説教を最後まで聞かずにどこいっとんのじゃおのれはああああああ!!!!」

「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!?」

 

そのまま唯は幸助を踏みつけままの状態で腕を組んだまま幸助を見下ろす。

 

「なんだよお前、なに? お前? 女王様かなんかのプレイこれ? つーか暴力とかいい加減にしろよこのアマ」

「なんのこと言ってんのよアンタは!? 第一いい加減にしろはこっちの台詞よ!! 家賃アンタが払わない上に何時も妙な言い逃ればかりしてそりゃストレスも溜まるわ!!」

「ストレスってお前何時もこんな風に俺をボコボコにするんだからストレス発散出来てるだろ!!?」

「アンタのせいですぐにストレスが溜まっとんじゃボケええええええ!!!!」

 

幸助の胸倉を掴んで激しく揺する唯、彼女は怒りのあまり気付いてないようだが幸助は壁に頭をガンガンぶつけている。

 

「あだだだだ!!? ちょ、これぶつけてる! ぶつかってるから頭!! ねえ、割れて無い? 頭割れなーい? これ!!?」

 

そのまま唯に幸助は半殺しにされて彼は逆襲と言わんばかりに彼女に所持していた手錠をかけて逮捕した。

 

「はっ?」

「警官への暴行罪で逮捕、判決は死刑だな」

「ちょっと、なにしてんの幸助くん!?」

「逆襲」

 

幸助は唯は手錠をかけた状態にしたまま浩一郎の元にいき、またなにかニュースをやっているかどうか浩一郎に尋ねるもなにも特に変わったニュースはやっていないという。

 

「あぁ、それなんだけどさ。 私もそれなりにこの世界のことについて色々調べたのよ」

「調べたって、この短時間でか? どうやって調べたんだよお前は?」

 

まだついて間も無い筈のこの世界のことを大方は調べがついたという唯に幸助は一体彼女がどうやって調べたのか問いかけると彼女は胸を張って……。

 

「パソコンで検索したらあらかた情報が出てきたわ!! どうやら世界が変わればパソコンにもその世界のことなんかが乗っているようよ」

(パソコンの便利さぁー!!!?)

 

そんな風にあっさりとこの世界がどんな世界なのかというのが分かり、若干呆れたが手間が省けたので幸助は唯に一体どんな情報を得たのか尋ねたが、唯は自分の両手につけられた手錠を見せる。

 

「は、外させて頂きます……」

 

当然外した後は唯に殴られたが、兎に角話を戻して唯はこの世界で知ったことを全て幸助に話した。

 

まず、この世界では世間では「未確認生命体4号」と「未確認生命体5号」と呼ばれている「仮面ライダークウガ」と「仮面ライダーライガ」がゲームと称して人々を襲うグロンギと戦い、人々の笑顔を守っていた。

 

そして遂にはグロンギ達の王ともいえる存在「ン・ダグバ・ゼバ」と最強の姿になった漆黒の戦士「アルティメットクウガ」が激突し、ダグバは遂に倒されこの世界は平和になると思われた。

 

だが、ダグバを倒したクウガはその後暴走、しかも本来は「ン・ガミオ・ゼタ」が持っている筈の「人間をグロンギにしてしまう」という能力でクウガに触れられた人間は一度死に、グロンギとして甦るという恐ろしいものに変貌してしまったのだという。

 

「はぁ!? そんなバカな話あるか!! クウガは例え暴走しても人間をグロンギにする力は持ってない!!」

「そんなこと私に言われても……って、もしかしてその無かった筈の力を持つようになったのって……」

「大ショッカーのせいで世界が歪んだ影響か、まさか最初の世界でそこまで最悪な事態になってるとはな」

 

そう、クウガに人間をグロンギにする力は大ショッカーが世界を歪めてしまったせいだ、その影響でクウガは本来無かった筈の力を手に入れてしまったということ。

 

そこに突然誰かが無断で入ってきた、光とカオルだ。

 

2人は不思議そうに辺りを見回し、幸助達と顔を合わせるや否やカオルと光は頭を下げて慌てて謝った。

 

「あっ、すいません人の家でしたか!!」

「あの、ここ喫茶店だと思って入ったんですけど間違いでした!! すいません!!」

 

すぐさま出て行こうとする光とカオルだったが、幸助が2人を呼びとめた。

 

「ちょっと、アンタ等に聞きたいことがあるんだけどな?」

 

幸助が聞きたいこと、それは当然ライガやクウガのことについてだ、幸助は光とカオルを椅子に座らせると単刀直入に彼はあることを2人に聞いた。

 

「お前、5号か?」

「「ぶうううううう!!!!?」」

 

浩一郎が用意してくれたコーヒーを飲んでいた光とカオルが不意にそんな質問をされてコーヒーを幸助に浴びせるような形で拭きだした。

 

「……どうしてこうなるの?」

「あぁ!? すいません!!」

「本当にすまない!!」

 

必死に2人は幸助誤り、幸助は咳払いし、カオルはなぜ光がライガだと思うのかと聞いた所「ただの勘」であると答えた。

 

2人ともその返答に納得してなさそうだったが誤魔化せそうにもないし、誤魔化す必要も特に無い気もするので光自身が「自分が5号、ライガです」と自身がライガであることを明かしたのだ。

 

「それで、聞きたいことというのは?」

「あぁ、ちょっと4号に会いたいんだ、あいつは今どこにいる?」

 

いきなりぶっ飛んだ質問だった、クウガの居場所なんて知る訳もないしどこで今、なにをしているのかさえ分からない、ただ地道に人間のグロンギ化を行っていること以外なにも分からないのだ。

 

そこで幸助はだったらクウガとダグバが戦った場所だけでも教えろと言い出し、光とカオルは顔を見合わせて渋々彼にダグバとクウガが戦った場所を教えて貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、光やカオルも呼んで幸助は今は関係者以外立ち入り禁止になっているクウガとダグバが戦った山に来ていた。

 

「それにしても警察官じゃなきゃこんな所に入れなかったな」

 

この世界での役割が今はかなり役に立ったかのように思える幸助、そこに光とカオルがやってきて彼等と合流。

 

「それで幸助さん、一体なにをするつもりなんですか?」

「んっ? 別になにもしねえよ、ただクウガを探す手掛かりをな。 あっ、そう言えばさ、光はクウガとどんな関係なんだ?」

 

幸助は昨日唯から聞いた話ではクウガとライガは共に協力して戦い、グロンギを倒して行ったとある、ということはクウガに変身していた人物とはプライベートで知り合いではないのか、またどんな人物が変身していたのかと気になって光に尋ねた。

 

「それは……えっと」

 

突然暗い表情になる光に幸助はやってしまったという表情を見せ、手を合わせて彼に謝罪した。

 

「すまん! 悪いことを聞いたな」

「いえ……」

 

その時、大鎌を持ったカマキリを模したグロンギ「メ・ガリマ・バ」とウミヘビを模したグロンギ「ゴ・ベミウ・ギ」がどこからともなく現れこいらに敵意を向けてきた。

 

「ひょっとしてこいつ等この辺にいるかもしれないクウガを守る門番かなんかじゃないか?」

 

案外この現場にきて正解かもしれないと思う幸助、だったら彼等にクウガの居場所を吐かせると言い出す光、光は腰に両手を当てるとクウガのベルトに似た金色のベルト「ラルーン」が現れて2号ライダーに似た変身ポーズをとる。

 

「変身!!」

 

光は「仮面ライダーライガ・アタックフォーム」に変身し、ガリマとべミウに攻撃を仕掛けた。

 

「言え!! この近くにクウガがいるのか!!?」

 

ライガがガリマとべミウに問いただすが2体は答えずにガリマは大鎌でライガを斬りつけ、べミウが鞭を使ってライガに攻撃してくるがライガはそれをどうにかかわして2体から離れ距離を取る。

 

ガリマは大鎌をブーメランのように投げつけるがライガは臆せずにそれを掴み取って「光変身!!」と叫ぶと黒い鎧を纏い、鎧に金色と暗めの紫のラインが入った「カリバーフォーム」に変わり、大鎌はライガの能力により物質変換され日本刀に似た「ボルテックカリバー」となる。

 

するとガリマはあらかじめ用意していたのか、どこからか別の大鎌を取り出し大鎌でライガを斬りつけるがこの姿は防御力に長けている為に攻撃はあまり通用せず、逆にライガにボルテックカリバーに斬りつけられてダメージを負う。

 

そこにべミウが鞭でライガの背中を叩きつけ、再び鞭で叩きつけようとしたがライガは上手くボルテックカリバーに絡ませて防ぐもボルテックカリバーはその鞭の力で凍りついて折れてしまった。

 

「あぁ!?」

 

ガリマは大鎌、べミウは鞭で同時にライガに攻撃し、武器を失ったライガは不利な状況に追い込まれる。

 

「おい、俺の出番まで取るんじゃねえぞお前!!」

「えっ?」

 

カオルが幸助の言葉に眉を寄せて彼を見ると彼はディセイドが腰につけていたものと同じもの、「ディセイドライバー」を取り出した。

 

幸助はディセイドライバーを腰に装着してカードを中央に装填する。

 

「変身!!」

『カメンライド・ディセイド!』

 

9つのシルエットが重なってプレートが幾つか顔部に突き刺さり、幸助は「仮面ライダーディセイド」に変身を完了させた。

 

ディセイドはライガの元に行くとべミウを蹴りつけ、べミウから無理やり鞭を奪い取ってその鞭でべミウを拘束してガリマの方へと投げ飛ばす。

 

「ぶっ飛びー!! なんてな」

 

どこかのオカマみたいなことを言いながらべミウを投げ飛ばし、投げ飛ばされたべミウはガリマと激突。

 

「ぐっ……許して、ください!!」

 

ライガはそこを狙ってアタックフォームに戻ると右足に電気エネルギーを纏わせて駆けだし、飛び上がって敵に繰り出す必殺キック「アタックキック」を放ち、ガリマはかわしたがべミウはアタックキックを喰らって爆発四散した。

 

「ぐわああああ!!!?」

(もう、こんな悪夢を終わらせてみせる! だから、許してください……)

 

やはり既に死んで完全なグロンギとして甦ったといえど元は人間、それに抵抗があるのだろう、そんなライガは拳を握りしめて震わせるライガ、一方ディセイドはガリマとの戦闘を続けておりガリマは大鎌でディセイドを斬りつけるが負けじとディセイドもセイドブッカーでガリマを斬りつけた。

 

ディセイドはガリマの振るった大鎌をセイドブッカーで受け止め、ディセイドは素早く左腕でガリマを殴りつけた後ガリマの肩を掴んで膝蹴りを叩きこむ。

 

「さーて、そろそろしめぇにしますかな!!」

 

ディセイドはカードを1枚ディセイドライバーに装填する。

 

『ファイナルアタックライド・ディディディディセイド!』

 

右足に光の渦のようなものが巻きつくように現れ、ディセイドは飛び上がってからの跳び蹴り「ディメンションキック」をガリマに炸裂してガリマは爆発を起こし倒された。

 

「ギャアアアアアア!!!?」

「そうだ、こんな悪夢は終わらせる……『殲滅者』を倒して!!」

 

するとライガはあろうことかディセイドに不意打ちに近い形で彼の顔面を殴りつけたのだ。

 

「おい、なにしやがる!!?」

「幸助さん、いやディセイド!! あなたが、殲滅者だったんですね。 あなたのせいでこの世界は乱れが生じてクウガは……あの子はあんな悲しい目に!!」

 

ライガは蹴りをディセイドに放つがそれをディセイドは受け流し、ディセイドは訳が分からないままライガと戦うことになってしまった。

 

カオルは必死に光の名を呼び続けて彼を止めようとしているがライガに彼の声が全く届いておらず、ディセイドも説得を試みるもののやはり聞く耳を持たない。

 

「仕方がねえ、そんなに相手になりたいなら俺がなってやってやるよコンチクショウ!!」

 

セイドブッカーからカードをディセイドは取り出して装填する。

 

『アタックライド・ブラストスラッシュ!』

 

セイドブッカーをディセイドは振るうと赤い斬撃が放たれてライガに直撃し、ライガは倒れこんでその隙にディセイドは新たなカードを取り出した。

 

「お前に面白いものを見せてやるよ? 変身!!」

『カメンライド・ライガ!』

 

なんと、ディセイドはライガと同じ姿「Dライガ・アタックフォーム」に二段変身を行ったのだ、当然ライガもカオルも目を見開いて驚きの表情を浮かべる。

 

「そんなバカな!?」

「僕と同じ、ライガに!?」

 

Dライガはライガに駆けだして行き、ライガは戸惑いながらも蹴りを放ったがライガは腕で防ぎ逆にDライガがライガを蹴りつける。

 

今度は同時に拳を振るってお互いに命中し、2人とも後ろの方に後退するがライガは素早くDライガの両肩を掴むと膝蹴りを腹部に入れた後、頭突きを喰らわせる。

 

「ったぁ~!? テメーよくもやりやがったな!!」

 

Dライガは1枚のカードを取り出すとそれを装填し、Dライガは「アローフォーム」に変身し、ライガはダークブルーの身体で肩のショルダーも外れたような姿「ランサーフォーム」に変わり、その辺に落ちていた木の枝を拾い上げると槍型の武器「ボルテックランサー」に物質変換される。

 

Dライガはボルテックアローの矢を3本ほどをライガに放ち、ライガは駆けだしながらボルテックランサーで弾こうとしたのだが……ライガの足が少し突き出ていた岩につまずいて「ビターン!!」という音を立てながらすっ転んでしかもそのおかげでボルテックアローの矢を全てかわせた。

 

「「「……」」」

 

今ので完全に場が白け、ライガは仮面の下で顔を赤くしつつ立ち上がる。

 

「今の、ノーカンで////」

「「いや無理」」

 

無かったことにしようとしたが無理だった、そのままライガは戦いを続行し、Dライガはボルテックアローから矢を何発も放つが全てライガのボルテックランサーに弾かれてDライガはライガに斬りつけられる。

 

「オリャアア!!」

 

さらにライガは回し蹴りをDライガに喰らわせた後、ボルテックランサーでDライガを斬りつけ、ライガは飛び上がってボルテックランサーを投げ飛ばし、Dライガもボルテックアローの矢をライガに放ち、ボルテックランサーもボルテックアローの矢も2人に直撃しDライガはディセイド、ライガはアタックフォームに戻る。

 

そして、この戦いを木に隠れながら眺めるフードを深く被った青年がいた。

 

「俺はお前がディセイドだとは認めない、真のディセイドはお前なんかじゃない!! お前は潰す、大ショッカーの手を借りてでもな!!」

 

するとディセイドとライガの目の前に灰色のオーロラが現れてそこから胸にX字の赤い紋章があり、それ以外は銀色のメタリックな戦士と白いマントをつけた赤い怪人が現れた。

 

「仮面ライダー……X? それにアポロガイストか?」

 

メタリックな姿をした戦士は仮面ライダー5号、「仮面ライダーX」に似ていたがこちらは外見的にもより機械的な姿となっていて胸部にあった筈の「V」の2文字が無くなっている。

 

「まさか……『NEXTの世界』の……仮面ライダーXとアポロガイストか?」

「その通りなのだ! 我々に従わないライダーは我々の敵、よって貴様等を排除してやるのだ!!」

 

アポロガイストはディセイドとライガにそう言い放ち、Xはベルト「ライドル」から「ライドルホイップ」というフィッシングの剣のような武器を取り出す。

 

「ライドルホイップ!!」

 

XはライドルホイップはX字を描くように振るうとアポロガイストはライガに、Xはディセイドに攻撃を仕掛けてきたのだった。

 

その頃、幸助達の家では唯がなにか胸騒ぎがして彼女は急いで幸助達の向かった山に自分も向かって走り出して行った。

 

「あのバカ助は変なことやらかしてないでしょうね?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

笑顔

突然灰色のオーロラによって現れたNEXTの世界の「仮面ライダーX」と「アポロガイスト」の2人、Xはディセイドに、アポロガイストはライガに襲い掛かった。

 

アポロガイストは左手に細身の剣「アポロフルーレ」右手に右手に持つ2連装式の銃「アポロショット」を持ってライガにアポロショットによる弾丸を放つがライガはその辺に落ちていた木の枝を再び掴み取って「光変身!!」と叫んでランサーフォームに変わり、木の枝は「ボルテックランサー」に変換されて銃弾をボルテックランサーで弾いて防ぐ。

 

「オリャアア!!」

 

ライガはアポロガイストに飛びかかると同時にボルテックランサーを振りかざし、アポロガイストはアポロフルーレで防いで近距離でアポロショットをライガに突きつけて引き金を引いて弾丸がライガに直撃する、しかもランサーフォームは素早さに長けている分スピードは上がるがパワーと防御力はアタックフォームの時よりも落ちるので大きなダメージをライガは受けてしまった。

 

「ディセイド!! これもあなたの!!?」

「俺が知る訳ねえだろうがバカ!! 自分でちったぁ考えろ!!」

「考えろって言われても……」

 

アポロガイストは「話している暇があるのかな?」と言いながら強力な弾丸「マグナムショット」をライガに放つがライガは素早く「カリバーフォーム」に変わり、防御力をあげて身体でマグナムショットによる銃弾を受け止めるがマグナムショットは怪人を一撃で粉砕する程の威力があるためにライガは膝を突いてしまう。

 

「ぐっ……!?」

「ライドルホイップ!!」

 

細身の剣「ライドルホイップ」でディセイドに斬りかかるX、ディセイドはセイドブッカーでXの攻撃をどうにか受け流しているもののXはディセイドに反撃の隙を与えてはくれなかった。

 

「クソッ!!」

 

ここでセイドブッカーに「仮面ライダーディケイド」が使う武器である「ライドブッカー」のように銃形態の「ガンモード」があればXを撃って反撃に転じることが出来たのだろうが生憎ディセイド自身に遠距離攻撃は「ブラストスラッシュ」しか無い。

 

そこでディセイドは苦し紛れにセイドブッカーを無茶苦茶に振りまわし、Xは「なにしてるんだ?」という感じでディセイドを見ていたが突然ディセイドの手からセイドブッカーが滑り、そのまま手から滑り落ちたセイドブッカーはXに激突。

 

「なにいいいいい!!!?」

 

倒れこみながらXはあんな無茶苦茶にセイドブッカーを振るってしかも手を滑らせたせいでXに直撃し、反撃の道を作ったことにX自身もかなり驚きの声をあげた。

 

「おっ、ラッキー!」

 

ディセイドは素早くセイドブッカーを拾い上げるとセイドブッカーから1枚のカードを取り出して装填する。

 

『アタックライド・スラッシュ!』

 

スラッシュのカードでセイドブッカーの刀身を強化し、ディセイドはセイドブッカーでXに斬りかかるがXはそれをかわして逆に擦れ違いざまに横一閃にライドルホイップでディセイドを斬りつけ、ディセイドはすぐさまXに振り返ってセイドブッカーで攻撃を仕掛けるがXにセイドブッカーをライドルホイップで弾かれ、そのままXに廻し蹴りを喰らった。

 

「ぐはああ!!? つ、強い……!」

「当然だ! 既に俺はホッパー1やホッパー2、V3をも凌駕した存在なのだからな!!」

 

次第にディセイドとライガがXとアポロガイストに押されていき、アポロガイストとXはディセイドとライガを一か所に集め、Xは飛び上がって空中でX字の体勢を取り、エネルギーを集積した後、上空からキックを繰り出す「Xキック」をディセイドに、アポロガイストはマグナムショットをライガに放とうとアポロショットを構えた。

 

その時、突然唸り声のようなものが聞こえ、アポロガイストの右腕を黒い腕が掴み取ってXキックを放っている最中のXにアポロショットを向けてしまい、アポロガイストはその際引き金を引いてしったのだ。

 

「なっ、しまった!?」

「なに!? ぐわあああ!!?」

 

アポロショットから強力な弾丸「マグナムショット」がXに放たれて直撃し、アポロガイストはその黒い腕の人物に殴り飛ばされ、アポロガイストやディセイド達はその黒い腕の人物「仮面ライダークウガ・アルティメットフォーム(ブラックアイ)」を見て驚愕した。

 

「やっぱりここにいたようだな」

「クウガ……!!」

 

クウガはXとアポロガイストだけでなく、ライガやディセイドも睨みつけ4人全員に襲い掛かってきた。

 

「うおおおおおおおお!!!!!」

 

雄たけびのような声をあげながらクウガはアポロガイスト、X、ディセイドを強烈なパンチで次々と殴り飛ばし、ライガに向けても拳を放ったがライガはどうにかそれをかわしてクウガの腕を掴んでクウガに語りかける。

 

「『奈々』!! 僕だ、分からないのか!!? 勝機に戻ってくれ!!」

 

ライガはクウガに必死に呼びかけるもののクウガは答えてはくれず、ライガを突き離して彼の頭部を鷲掴みにして持ち上げる。

 

「ウアアアア……アアアア……!!」

「奈々……! 君はみんなの笑顔のために戦ってたんだ、そんな自分が誰かを悲しませるようなことをして良いのか……!!?」

 

しかし、クウガはなんの反応も示さずライガを放り投げる、直後にXがライドルホイップで背後からクウガに攻撃を仕掛けてきたがクウガは後ろを振り向かずに廻し蹴りでXを蹴り飛ばした。

 

「ぐはっ!!?」

「ここは一旦退くしかなさそうだな、ライガ!! 今回は貴様の力を見せて貰ったぞ、最後に貴様に1つ問う、我等大ショッカーの仲間になる気は無いか?」

 

アポロガイストの問いにライガは迷わずにこう答えた。

 

「よく分かんないんですけど、でもあなた達の仲間になっちゃいけないっていうのはよく分かりますよ」

「フン、断るか。 その選択を何時か必ず後悔させてやるのだ!! 行くぞ、X!」

 

Xは無言でアポロガイストに頷き、灰色のオーロラを出現させてその中へとXとアポロガイストは消えて行った。

 

それからアルティメットクウガはライガとディセイドに何度も攻撃を仕掛けてきてライガは必死にクウガに呼びかけるがなんの返事も返ってこず、ディセイドは遠慮なくクウガに攻撃を仕掛けるもアッサリと返り打ちに会い、全く手も足も出無い状況だった。

 

「流石はクウガの最強フォーム、って最強フォームはライアルだっけか?」

「なんの話をしてるんですか、それより彼女を助けるないと!」

「助けるってお前、あんなもんどうやって助け……「ウガアアアアアア!!!?」えっ?」

 

すると、突然クウガは頭を抱えて苦しみ出し、ディセイドとライガ何事かと思ったがクウガはディセイドとライガから逃げるようにどこかに去ろうとするクウガ、ライガはそんなクウガを追いかけようとするがクウガは両手から黒い衝撃波のようなものをライガに放ち喰らわせた。

 

「ぐああああっ!!?」

「おい、大丈夫か!!?」

 

ディセイドが慌ててライガに駆け寄るがライガはディセイドを突き離し、立ち上がって仮面の下でライガはディセイドを睨みつける。

 

「これも、奈々があんなことになったのも全部ディセイド!! あなたのせいだ!!」

「なんだと? まだ言うのかテメー!!」

 

ディセイドはライガの胸倉を掴んでライガと数秒睨みあうのだが……。

 

「なにしてんの幸助ええええええええ!!!!!」

 

ディセイド、というか幸助にとって最強で最凶で最悪の天敵が、ここに来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、唯の仲裁と言う名の半ば変身を解いた2人にゲンコツを落とし(といっても幸助は半ばフルボッコだったが)2人を反省させ、今唯は幸助の鼻を思いっきり引っ張って説教していた。

 

「イダダダダダ!!!? ちょ、折れるってこれ!! 俺の鼻!! 折れる折れる!!」

 

その時、幸助の鼻の辺りから『ゴキッ』と嫌な音が鳴り、幸助の鼻から血が流れ出した。

 

「ぎゃあああああ!!!? 折れたぁ!!? 完全にこれ折れたよぉ!!? つーか良い年こいて鼻血出しちゃったよオイイイイイ!!!」

「うるさい」

 

とそこで幸助に顔面パンチを喰らわせる唯、そしてさらに鼻から血を流す幸助、取り合えず両方の鼻にティッシュを詰めて鼻血はどうにか抑えたが、鼻に2つのティッシュを突っ込んだ状態なので唯は思わず「ぷっ」と笑みを零し、それに対して額に青筋を浮かべる幸助。

 

そんなことより、唯は幸助になぜライガと喧嘩なんていたのかと尋ねた所、先程までのことを幸助は唯に全て話した。

 

「殲滅者? なによそれ?」

「俺が聞きたいよ、こっちは修正者だっつーんだよバカ野郎」

 

苛立ちを込めながら光に向けて言い放つ幸助、因みに幸助が唯から説教受けている間光はカオルから説教を受けていたとか。

 

「すまないな、神山巡査、いきなり彼が襲いかかったりして」

「そうですね、取り合えず光に土下座でもして貰いましょうか?」

 

すると唯が「調子に乗るな」と言いながら幸助の頭にかかと落としを炸裂し、幸助は頭を抑えながら蹲りつつチラリと唯の顔を除きこみ、唯は怪訝そうに「なに?」と問いかけるとなぜか幸助はサムズアップ。

 

「だからさ、お前足あげたらスカートの中見えるの分かんないの? でも痛い想いしたけど良い想いもしたんで良いけどね」

 

それを言われて唯は顔を真っ赤にしてスカートを抑え、「このスケベ野郎!!」と幸助に軽くチョップ叩きこんで幸助は意識を失いかけたとか、軽くチョップでこのレベルとはなんと恐ろしい娘だろうか……。

 

「えっと、あの、本当にすいませんでした! でも、やっぱり全部信じられる訳じゃ……実際にディセイドは僕と同じライガに変身したし言い方が悪いかもしれませんけど、正直幸助さんは得体が知れない」

 

確かにそうだ、どこからやってきたのか分からない上に自分と同じ姿に変身するライガの能力、怪しまない方がおかしいかもしれない。

 

するとそこでカオルが苦笑しつつ唯と幸助に質問をしてきた、「君達は一体何者なんだ?」という至ってシンプルな質問だ、だが唯達の立場からその回答は非常に難しいものがあった。

 

「自分達は異世界の人間です」なんて答えたら確実に変人だと思われる、しかも目の前にいるカオルは本物の警察、下手になにか発言したら逮捕されかねない、そのため唯は必死になって言い訳を考えたのだが。

 

「俺達は異世界から来た」

「言ったよこの人!?」

 

あっさりと異世界から来たことを言う幸助に驚く唯、当然それを聞いた光やカオルも目を見開いて驚いている、勿論唯とは別の意味で。

 

「証拠はあるのか?」

「俺自身が証拠だろ? ライガでもクウガでも無いライダー「ディセイド」に変身したし、なにより俺はライガにも変身したんだからな」

 

言われてみれば確かにそれが証拠かもしれない、クウガやライガ、同じ戦士が2人以上いるとは考えにくい、なので正直言ってカオルは半信半疑な気持ちになっていた。

 

そこでカオルは本当に別の世界から来たとしてこの世界に来た目的はなにかと唯達に尋ねるとそれは唯が答えようとするが幸助が遮って彼が答えた。

 

「大ショッカーて奴等が世界を歪めちまってこのまま行けばやがて全ての世界が滅びてしまうらしいんだ、だけど世界を救う方法が1つだけある」

「その方法とは?」

「俺が持って「幸助くんが持ってる9つの世界のライダーの力を取り戻すことが必要だそうです」」

 

幸助の言葉を遮って唯が割り込んで答えてくる、唯は幸助に振り返るとどこか勝ち誇った顔をしており、幸助はそれに対して苛立った。

 

そのまま幸助と唯は睨みあいになり、今にも喧嘩しそうな勢いだったが慌ててカオルと光が割って入って止める。

 

「じゃあ今度はこっちが質問だ、光、お前はクウガに変身してる奴のことを知ってるんだよな?」

「え、えぇ、まあ……」

 

それから光はクウガに変身する女性『海原奈々(うみはらなな)』と自分は幼馴染であることを話し、ある日、とある遺跡から発見されたベルトの遺跡「アークル」と「ラルーン」をある日グロンギと戦うために自分達がそれを装着し、それからずっと2人で警察と協力しながらグロンギを誰かの涙を見たくないから、誰かの笑顔を守りたいから、それが理由でクウガもライガも戦い続けた。

 

だが、ここから唯が調べたように最後の戦いでダグバとアルティメットクウガが戦い、ダグバの敗北で決着がついたのだが直後にクウガが暴走し、直後に赤かった目はブラックアイへと変わり、本来ならば「ン・ガミオ・ゼタ」が持つ筈の、本来ならクウガに備わって無い筈の「人間をグロンギにする力」がなぜかクウガにその力が宿り、暴走したクウガは次々と人間をグロンギにしてしまったのだという。

 

「彼女はみんなの笑顔のために戦い続けた!! なのに……なのに今度は誰かを悲しませる存在になるなんて……!! だとしたら奈々は一体何のために……!」

 

光は半ば泣き顔で拳を握りしめ、奈々を助け出したい、暴走から解放してあげたいと強く望んでいた、勿論今までだってどうにかしてクウガを元に戻そうと努力した、だけど何時も上手くいかなかった、もしクウガがああなってしまった原因が少しでもあるのだとしたら先ずはそれを叩き潰したかった、だから光はディセイドを倒そうとしたのだ。

 

「奈々はあんなに苦しそうな声を出してた!! きっと助けを求めてるから!! だから、僕は必ず彼女を助け出す!!」

 

光はそれだけを言うとどこかへと歩き去って行き、カオルは警察を動かしてクウガを捜索すると言い出したのだがそれは幸助が止めた。

 

「流石に今回は警察がどうこう出来る問題じゃない、ここは一旦俺達に任せろ」

「しかし……!」

 

幸助はカオルの言葉を最後まで聞かずにディセイダーに跨り、ヘルメットを被ると彼は唯を見て悪戯な笑みを浮かべる。

 

「お前は歩いて帰れよ」

「はぁ!!? ってコラ、先に帰るな!!」

 

そのまま幸助はディセイダーを走らせて唯を置いて行く形で先に家に戻って行き、カオルに家に送って貰ったとか、当然の如く家に到着したら唯が幸助をボコッたが。

 

その夜、幸助はなぜか腕立て伏せなどを行って筋トレしていた、それを見た唯は不思議にそうにどうして幸助が筋トレなんてしているのか気になって尋ねると……。

 

「Xには俺の攻撃を全て防がれたからな。 これはもう、鍛えるしかないだろ? そうしなきゃアイツにも、大ショッカーにも勝てないからな」

「ふーん、それよりさ、光くん、クウガを助けるって言ってたけどどうやって助けるつもりなのかな?」

「さあな、ただあいつはクウガが苦しんでると言っていたが……俺にはどっちかって言うと……泣いてるように思えたぞ?」

 

幸助の言葉に唯は「えっ?」と首を傾げ、幸助の言葉の意味を尋ねたが幸助は「そのまんまの意味」としか答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、カオルから連絡があり、クウガがグロンギと共に現れて街で暴れまわり大惨事になっているのだという、警察は民間人を守るために出動しクウガとグロンギと今戦闘中で幸助は急いでディセイダーに乗り、現場に急行した。

 

現場では既に何名かの警察官が倒れており、そこにはライガとクウガも対峙している姿も確認できた、ライガはクウガに掴みかかりながら必死にクウガに何度も呼びかける。

 

「奈々!! 君はこんなことはしたくないんだろ? お願いだ、元に戻ってくれ!! 奈々!! 僕の声が聞こえないのか!!?」

 

何度もクウガに呼びかけるライガだったがクウガは何の反応も示さず、ライガを殴り飛ばし、その威力は殴り飛ばしたライガを建物の壁に埋めるほどだった。

 

「ぐああっ!!? ぐっ……あっ! 奈々、必ず助けるから……、その苦しみから絶対に救いだす……から……!」

 

ライガは尚もクウガに踏み寄ろうとして彼女に呼びかけるがやはりクウガは何の反応も示さず、グロンギ達を一斉にライガに襲わせてくる。

 

「退けえぇぇ!!」

 

ライガは拳をグロンギに向けて振るおうとしたが途中で腕を止め、その腕をプルプル震わせていた。

 

(もう、嫌だ……)

 

その隙にグロンギがライガを剣で斬りつけ、複数のグロンギがライガを集団で攻撃し、遂にはライガは変身解除にまで追い込まれてしまった。

 

そこにクウガがグロンギ達を下がらせ、グロンギ達はどこかに行ってしまい光の目の前に歩いてやってくるとクウガは光の首を掴んで持ち上げ、光はもがき苦しみながらどうにかしてクウガの手を離させようとする。

 

「奈……々……、元に……戻って……!」

 

その時、光の目から一粒の涙が流れ、クウガはそれを見ると光を掴んでいた腕を緩めた。

 

「っ!!? な、なみ……だ」

「奈々?」

 

さらにクウガはアルティメットになってからここで初めて喋り、そこへ颯爽とディセイダーに乗った幸助が現れディセイダーでクウガを弾き飛ばしてクウガの手から光を離れさせた。

 

「真打ち登場ってな」

「幸助さん?」

 

幸助はディセイドライバーを腰に装着するとカードを1枚取り出し、ドライバーに装填する。

 

「変身!!」

『カメンライド・ディセイド!』

 

9つのシルエットが重なり幸助は「仮面ライダーディセイド」に変身し、セイドブッカーを構えてクウガに向かって行こうとしたが光が慌ててディセイドの足を掴みそのままディセイドは「ズダーン!!」と派手にずっこけた。

 

「なにしやがんだコラお前!!? 折角俺がカッコよーく決めてたのに!!」

「カッコイイかどうかは別としてあなたまさか奈々を倒す気なんじゃ!!?」

「あぁ、そうだよ!!」

 

ディセイドは光を突き離して立ち上がってセイドブッカーを再び構え、クウガに向かって斬りかかるが突然ロープのようなものがディセイドの身体を拘束し、投げ飛ばした。

 

「ライドルロープ!!」

 

ディセイドを拘束したロープ、それはXがライドルホイップをロープ状態に変形させた「ライドロープ」であった。

 

いつの間にかXがここに来ていたのだ、しかもXの隣にはアポロガイストの代わりにあのフードの男が経っており、彼は腰にライダーのベルトのようなものを腰に装着しており、銃のグリップのようなアイテム「デルタフォン」を口元に近づけ「変身」と言うとデルタフォンから電子音声が流れる。

 

『スタンディングバイ・コンプリート』

 

そのままデルタフォンをベルト「デルタドライバー」の腰に装着してあるデジタルカメラ型の「デルタムーバー」と合体させると白いラインが入ったΔの文字をモチーフとした黒い戦士「仮面ライダーデルタ」に変身した。

 

「今度はデルタかよ」

「クウガはなんとしても我々大ショッカーの戦力として欲しい、だから倒されて貰っては困るんだよ」

 

Xはそう言いつつライドロープをライドルホイップに変え、デルタはデルタムーバーを構えて2人は再び変身したライガとディセイドに駆けだした。

 

「ディセイド!! 俺はお前をディセイドだとは認めない!! ディセイドが修正者? 世界を救う? 笑わせるな、紛いもののディセイド風情が!!」

 

デルタはそう叫びながら何度もディセイドに攻撃を繰り出してくるがデルタの言ってることなどディセイドには全く分からなかった。

 

「もしかしてお前か? 光に妙な吹き込みやがったのは?」

「そうだ、なのに奴はお前を始末しようとはしない、だから俺が直々に来たのさ!!」

 

デルタは回し蹴りをディセイドに喰らわせ、デルタムーバーの銃口をディセイドに向けて「ファイヤ」と言うとデルタムーバーから再び電子音が流れる。

 

『バーストモード』

 

トリガーを引いて光弾をディセイドに3発連続発射し、ディセイドはセイドブッカーで光弾を防ぎ、ディセイドはデルタに向かって駆けだしてセイドブッカーを振りかざしたがデルタはかわし、デルタムーバーをディセイドの横腹に突きつけるがディセイドは素早くデルタの腕を掴んで引き離し、ディセイドはそのままデルタを殴りつける。

 

一方、Xとライガはクウガが乱入したために殆ど三つ巴状態で戦っていたがライガはクウガとは戦おうとせずにまだ必死にクウガに呼びかけており、その度にクウガ、又はXから攻撃を受ける。

 

それを見たディセイドはセイドブッカーからカードを1枚取り出し、ディセイドライバーに装填する。

 

『アタックライド・イリュージョン!』

 

するとディセイドは実態のある3人に分身し、それぞれデルタ、Xと戦い合い、分身したディセイド2人はXを阻むように立ち塞がり、ディセイドはライガに「行け」とだけ伝え、ライガは頷きクウガの元へと行く。

 

「奈々!! 君はずっと自分の笑顔を犠牲にして戦い続けて……誰かの笑顔を守ってきた!! お願いだからもうやめてくれ奈々!! これじゃ君が何のために誰かの笑顔を守ってきたのか、分からないじゃないか!!」

「ウウウウ……ウアアアア……!!!」

 

クウガはライガを蹴りつけ、ライガの首を掴んで投げ飛ばし、ゆっくりと倒れこんだライガに近づいてくる。

 

「ぐ……うあ……!!」

 

ライガは悲しそうな声をあげながら立ち上がり、強く拳を握りしめそして目の前にやってきたクウガの顔に……思いっきり殴った。

 

「いい加減にしろぉ!! 必ず僕が助けるから!! 君が誰かの笑顔を守るなら、君の笑顔は僕が守るから!! だから戻ってこい、奈々あああああ!!!!」

 

するとクウガは突然頭を抱え込んで苦しみ出したのだ、しかもクウガの目は黒から赤に変わったかと思えばまた黒に戻り、黒に戻ったかと思えば赤になったりと自我が戻りそうで戻らないのだ。

 

「ウウウウアアアア……!! ひ、ひか……り?」

「奈々!!」

 

未だにクウガの目は黒になったり赤になったりとだが微かに自我を取り戻したのだが……。

 

「こ……ろ……して! 私、もう、戻れな……い! だから!!」

「そんなこと、出来る訳ないじゃないか!! 必ず助けるから!! 君の笑顔を僕が守るから!!」

 

ライガが必死になってクウガに言うが、クウガは首を横に振った。

 

「だ、から……私を……殺して? 誰かの、涙を……これ以上見たく無いから、そし……たら私、これ以上、誰……かの涙を、みな……くて……いいから」

「それで、君の笑顔を守れるのか!?」

「……うん、お……願い、光?」

 

ライガは仮面の下で唇を噛み締めた後、「分かった」と答え、そこに丁度ディセイドがライガの隣に並び立った。

 

「お前、最強フォームにはなれないんだろ? だったら手伝ってやる」

「えっ? っていうかあの2人は!?」

「後ろの方で俺の分身と戦ってる」

 

ライガが後ろを振り返ると確かに分身のディセイドがデルタとXと戦っていた、するとXが突然こんなことを言いだした。

 

「クウガを殺すだと!? 殺すことで笑顔を守るだと!!? ふざけるな!! なんなんだそのふざけたものは!!?」

「ふざけたもの? 違うな! こいつ等は誰かが悲しむ顔が見たく無い、それは自分の命を賭けてでもだ、なぜだか分かるか? こいつ等は誰かの笑顔が死ぬほど好きだからな!!」

 

ディセイドはXに言い放ち、Xは「そんな綺麗事!!」とバカにしたように言い返すがディセイドはその言葉に対して……。

 

「確かに綺麗事さ、だけどな、ある人が言ってたぞ。 だからこそ、現実にしたい、本当は綺麗事の方がいいんだからってな」

 

Xは「お前はなんなんだ?」と尋ねるとディセイドはこう言い放つ。

 

「どこからともなくやって来た仮面ライダーだ、覚えるか覚えないかはご自由に」

 

ディセイドはライガと共にクウガの方へと向き直り、セイドブッカーから3枚のカードが飛び出しそれを掴みとるとピンボケしていた絵が力を取り戻した。

 

「行くぞ、光」

「はい、幸助さん!!」

 

挿入歌「烈風の証~Wind and blaze」

 

クウガは再び完全にブラックアイとなると殴りかかってきたライガの拳を受け止めて逆にライガを殴りつけ、ディセイドはセイドブッカーでクウガの背中を斬りつけるもクウガは振り返りざまに拳を振るってディセイドを殴りつける。

 

「オリャアアア!!!」

 

そこでライガ駆けだして放つ必殺キック「アタックキック」をクウガに喰らわせ、クウガはそれに怯み、ディセイドはディセイドライバーにカードを装填し「スラッシュ」を発動する。

 

『アタックライド・スラッシュ!』

 

ディセイドはディセイドスラッシュによりクウガを斬りつけ、クウガの腹部を蹴った後に再びセイドブッカーで斬りつけるとセイドブッカーをライガに投げ渡しライガは「カリバーフォーム」に変わり、セイドブッカーはボルテックカリバーに変換し、ボルテックカリバーをクウガに振りかざしたがクウガはそれをかわしてボルテックカリバーを掴み取って奪い取るとそれを剣型の武器「ライジングタイタンソード」に変換してライガとディセイドを同時に斬りつける。

 

「あらかじめカード抜き取っておいて良かったよ」

 

ディセイドはどこにしまってあったのか、金色のカードを取り出すとディセイドライバーに装填し、ライガの後ろに立つ。

 

『ファイナルフォームライド・ラララライガ!』

「少し我慢しとけよ」

「えっ? なにが……うあっ!?」

 

ライガは巨大なカブト虫型の「ライガコウガス」に超絶変形し、その角でクウガを突き飛ばしその際手からライジングタイタンソードを手放しライジングタイタンソードはセイドブッカーに戻りディセイドはそれを掴み取る。

 

ディセイドはクウガを見るとクウガは平然と立っており、クウガは右手をディセイドとライガコウガスにかざし標的を体内から発火させる「超自然発火能力」を発動しようとしたがクウガは自身の左手で自身の右腕を抑えつけた。

 

見ればクウガの顔は左がレッドアイ、右がブラックアイという状態になっており、奈々自身が抑えつけたのだ。

 

「今の……内に!!」

「分かった」

 

ディセイドはライガコウガスの背中に乗るとライガコウガスはクウガに向かって行き、擦れ違いざまにディセイドがセイドブッカーでクウガを斬りつけ、旋回しディセイドはカードを1枚ドライバーに装填。

 

『ファイナルアタックライド・ラララライガ!』

「「ハアアアアア!!!!」」

 

ディセイドが飛び蹴り、ライガコウガスが突進を2人同時に敵に繰り出す技、必殺の「ディセイドビート」がクウガに炸裂し、クウガは大きく吹き飛んで倒れこんだがまだクウガは立ち上がった。

 

ライガコウガスは元の姿に戻るとディセイドと頷き合い、2人でクウガに向かって駆けだし、ディセイドはカードをドライバーに装填し、足に渦のようなものが纏わせて放つ「ディメンションキック」ライガは右足に電撃を纏わせて放つ「アタックキック」を2人同時に飛び上がって放つ必殺キック「ダブルライダーキック」をクウガに放った。

 

「「ダブルライダアアアアアアキイイイイイイック!!!!」」

 

ダブルライダーキックを受けたクウガは大きく吹き飛んで壁に激突し、クウガのベルト「アークル」目掛けて放ったためにアークルにヒビが入り、そしてクウガ自身にも身体に火花が走って倒れるとクウガの変身が解け、奈々は倒れこんだ。

 

「ウアアアアアアア!!!!?」

「奈々!!」

 

ライガは急いで彼女の元に駆け寄り、抱きかかえると奈々はライガに微笑みを向け、ライガの頬を撫でた。

 

「光、あり……がとう、ござい……ます。 あな、たは……私の、笑顔……守れ……まし……」

 

そこまで言いかけた時、奈々は目を閉じて撫でていた手は力なく落ちかけたがそれはライガはその手を掴んだことで落ちなかった。

 

「うう、くっ……奈々ぁ」

 

それを見ていたXは軽く舌打ちし、今は大ショッカーの本部に帰ってクウガが死んだことを伝えなければならないと考え灰色のオーロラを出現させてデルタと共に去ろうとするがデルタはそれを拒む。

 

「ならお前と俺達の協力関係もこまでだな」

「チッ、分かったよ」

 

デルタは渋々Xと共に灰色のオーロラの中に入っていき、Xと共にこの世界から去って行った。

 

「ZZZZZ……」

「って寝てるだけだったのおおおおおおおお!!!!?」

 

どうやら死んで無かったようだ、奈々の腰などをよく見たらアークルが自動修復をしており、アークルは完全に破壊されていなかったのだ。

 

ということはアークルに備わっている治療機能も作動するわけであり、奈々は一命を取り留めたと言えるだろう。

 

グロンギになっていた人々はディセイドがライガの力を取り戻した為にこの世界の「歪み」は無くなり、消え去った。

 

それから翌日、奈々は目を覚ましてクウガになって暴走し、多くの人達を自分が悲しませ、人間をグロンギにして殺してしまったことを深く悔んでいた。

 

だからこそ、奈々はその償いとして二度と暴走しないことを誓い、もっともっと多くの人達の笑顔を守る決意をし、自力で立ち直った、それが自分の出来る精一杯の償いだと思ったから。

 

それから奈々は幸助や光にお礼を言い、幸助はその際奈々にこの世界の歪みは止めたから優しいさを失わない限りもう暴走する恐れも無いだろうと言い、幸助は光と奈々と別れた。

 

家に戻った幸助だったが「私の出番が少なくない!!?」といきなり唯に愚痴られた幸助だった。

 

「まっ、良いじゃん、終わりよければすべて良しってね」

「よく無いわよ、私が」

 

幸助はこの世界の絵が描かれていたカードを取り出すとそのカードは眩い光を放って先程とは別の絵を映していた。

 

そこには蝙蝠を模した銀色の戦士が満月をバックに立っているという絵だった。

 

「次はヤイバの世界か」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ウェイクアップ! 銀色のヤイバ

ディセイド現時点で1度のみ使用可能カード・クシド・セイバー・ゼータ・ガロス・列王
消失カード・マンティス・ヤイバ・氷鬼
力を取り戻したカード・ライガ





大ショッカー本部、そこでは仮面ライダーXとアポロガイストの2人がなにかを話し合っていた。

 

「なあ、アポロガイスト」

「なんなのだ?」

「クウガとライガの奴等、どうしてあそこまで人の笑顔なんかのために命を賭けられたんだろうな? ただ好きだからと言って普通そこまでやるか?」

「まあ、世の中いろんな奴等がいるからな、それは怪人も人間も変わらんのだ」

 

それだけを言うとアポロガイストは背中を見せて歩き出し、どこかへと去って行き、入れ替わるようにXの元にフードの男が現れた。

 

「気になるのか? 風上光と、海原奈々が?」

「海原奈々は死んだだろ」

 

Xの言葉にフードの男はクスリと笑い、奈々がまだ生きていることをXに告げ、Xは仮面の下で唖然として驚いた。

 

「だが、クウガはもう自我を取り戻したし、そう簡単に暴走したアルティメットにもならんだろう。 それに、ディセイドが救ったあのライガの世界、ディセイドの力かもう俺達はあの世界に行くことが出来ない。 お前1人ではどうにもなりそうにないしな」

「ならば、あいつ等の方から別の世界に来て貰えば良いだけのことだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな世界、「ヤイバの世界」へと辿り着いた幸助達、幸助と唯は早速家から外に出ると幸助と唯の格好が突然変わり、彼の服装は「執事服」に変わり、唯に至っては「メイド服」へと変わった。

 

しかもお互い案外似合っているという事実、そして幸助と唯はお互いに顔を見合わせ……。

 

「「馬子にも衣装だな(ね)」」

 

と2人とも互いを見て同じ反応を示すが唯は「つまらぬ者で悪かったわね!!」と幸助に顔面パンチを喰らわせ、一発喰らい平手打ちくらいしてやろうかと思ったが敵いそうに無いのでやめた。

 

そこに幸助と同じように執事服を着た男性2人が現れて幸助と唯の元に近づくや否や2人の腕を掴んで無理やりどこかに連れて行こうとする。

 

「お前達だな!! 全くこんな所でなにを油売ってるんだ!!」

「さっさと行くぞ、王がお待ちになってるんだ!!」

「はあ!? ちょっと待ってくださいよ!」

 

幸助と唯が必死に抵抗して逃れようとするが男性2人の腕の力はとても強く、逃れることが出来なかった、しかしそれでも幸助と唯は必死に抵抗してあまりにも聞きわけがないので2人の男性はため息を吐くと顔に亀裂のようなものが走り、ライオンを模したステンドグラスの怪人「ライオンファンガイア」とアゲハ蝶を模したステンドグラスの怪人「スワローテイルファンガイア」へと姿を変えた。

 

「聞きわけが無さ過ぎるぞ!!」

「いい加減にして頂きたいですね、こうなれば気絶させてでも連れて行きますよ」

「ひゃあ!!?」

 

いきなりあの2人の男性がファンガイア、怪人に変身した為唯は尻もちをつき、さらにはNEXTの世界で自分もファンガイアに襲われた時のことを思い出してガタガタと彼女は目尻に涙を溜めて怯えている。

 

「ちょっ、そんな風に怯えられると軽くショックなんですけど……、別にファンガイアなんて見慣れてるでしょ?」

「オイオイ、暴力女ぁ、俺的にはこいつ等よりお前の方が怪人みたいでこえーんだけど?」

 

何時ものように軽口を叩く幸助だが、唯は未だにガタガタと身体を震わせており、今にも泣き出しそうだった。

 

それはそうだろう、なにせ彼女はファンガイアに襲われただけではなく「ファンガイアが人を殺す」という所を生でしかも間近で目撃したのだから、怖いに決まってる、すると幸助はライオンファンガイアの肩に手を置き……。

 

「お前、こいつ見てみろよ? これが人を襲いそうな顔か? まあ、襲いそうだけどアレだよお前、この人昔地球の平和守ってたじゃん、牡牛座の星を守る戦士だったじゃん」

「なんの話してんのアンタ!!? 確かに俺は人を襲うファンガイアから人々を守る使命を受けてるよ? でもそれ関係ないよね、完全に別の人の話だよね!!?」

 

なにか真顔で言う幸助にすかさずライオンファンガイアはツッコミを入れ、次に幸助はスワローテイルファンガイアを見るが……。

 

「ごめん、アンタはダメだわ、昔人を襲っては妖怪みたいな奴等に餌として与えていたイメージしかないわ」

「だからなんの話をしてるのですか!!? しかもそれ絶対に別の人ですよね!? 私関係ないですよね!?」

 

その時のことだ、突然1人の女性の悲鳴が聞こえ幸助達は声の聞こえた方へと振り向くとそこではイボイノシシを模したファンガイア「ウォートホッグファンガイア」が女性を追い掛けて襲っていた。

 

ライオンファンガイアとスワローテイルファンガイアはそれを見てため息を吐きつつ、彼女の元へと向かい、スワローテイルファンガイアを女性を庇うように立ち、ライオンファンガイアはウォートホッグファンガイアの行く手を阻む。

 

「速く逃げなさい」

「あ、有難うございます!」

 

女性はスワローテイルファンガイアに頭を下げてすぐさま逃げだし、ライオンファンガイアはウォートホッグファンガイアに「ファンガイアの掟を破るつもりか!!?」と問うとウォートホッグファンガイアは鼻で笑い、問いに答える。

 

「バカを言うな、平和ボケしたファンガイアが。 人間は我々の餌ではないか、この世界で人間との共存など有り得はしないのだ」

 

ウォートホッグファンガイアの言葉からしてこの世界では「人間とファンガイアが共存」した世界であることが伺えるが同時にウォートホッグファンガイアは人間との共存望まないということも分かる。

 

ファンガイアは元々人間の生命エネルギー「ライフエナジー」を餌としていた、だが、先代のファンガイアのキングによってファンガイア達の掟に「人間との共存」を決め人間とファンガイアは共存するようになった。

 

そしてライフエナジーに代わる装置をファンガイア達は開発し人間のライフエナジーを吸わなくてもファンガイア達は生きていけるのだが未だにその装置よりも人間のライフエナジーを好むファンガイアも多く存在する為、ウォートホッグファンガイアのような人間を餌としてしか見ず、掟も守らないファンガイアも多く存在する訳だ。

 

「人間を襲うな!!」

「貴様こそファンガイアとしての誇りはどうした!!?」

 

ライオンファンガイアとウォートホッグファンガイアは未だに言い争いを繰り広げているがやがて痺れを切らしたのか、ウォートホッグファンガイアはライオンファンガイアに突進攻撃を繰り出し、ライオンファンガイアは真正面から受け止め、ウォートホッグファンガイアとライオンファンガイアは同時に互いを殴りつける。

 

その後ライオンファンガイアは左足で回し蹴りをウォートホッグファンガイアに繰り出したがウォートホッグファンガイアはしゃがんでかわし、ライオンファンガイアを2度殴りつける。

 

「ふむ、流石はビーストタイプですね、彼相手にも互角に戦ってる」

「おい、感心して無いでお前も手伝えよ!!」

 

スワローテイルファンガイアは感心した声でライオンファンガイアとウォートホッグファンガイアの戦いを眺めており、ライオンファンガイアから助けの声を受けたので助太刀しようとしたが幸助に止められる。

 

「なんのつもりですか?」

「大方分かってるからよ、用はあいつはぶっ潰せばいいんだろ? 俺にやらせろ」

 

そう言うと幸助は腰にディセイドライバーを装着し、セイドブッカーからカードを取り出してドライバーの中央に装填する。

 

「変身!!」

『カメンライド・ディセイド!』

 

「仮面ライダーディセイド」に変身した幸助、当然それを見たスワローテイルファンガイアは目を見開き驚き、ディセイドはウォートホッグファンガイアにゆっくりと近づくとライオンファンガイアとウォートホッグファンガイアはディセイドに気付く。

 

本能的にウォートホッグファンガイアは敵と思ったのだろう、ウォートホッグファンガイアはディセイドに突進してくるがディセイドは右足をあげてウォートホッグファンガイアの顔を蹴りあげる。

 

「ぐおっ!?」

「パワーにはパワーだな」

 

すぐさまディセイドはセイドブッカーからカードを抜き取り、ドライバーにカードを装填する。

 

『フォームライド・ライガ! カリバー』

 

するとディセイドの姿は光が変身していた「仮面ライダーライガ・カリバーフォーム」とベルト以外は全く同じ姿に変身し、セイドブッカーを握るとセイドブッカーはDライガの能力により物質変換され「ボルテックカリバー」へと変換される。

 

「ウオラアア!!」

 

ウォートホッグファンガイアはDライガを殴りつけるがDライガの硬い装甲に逆にウォートホッグファンガイアの腕が弾かれる。

 

「ぐっ、かてぇ!」

「あぁ、硬いよ! オリャアア!!」

 

ボルテックカリバーを下から上にという風に振るってウォートホッグファンガイアを斬りつけ、続けざまに縦一閃、横一閃という風にウォートホッグファンガイアを斬りつけ、最後は金色のカードをディセイドライバーに装填する。

 

『ファイナルアタックライド・ラララライガ!』

 

ボルテックカリバーに電撃が纏わり、電撃を纏わせたボルテックカリバーをウォートホッグファンガイアに振りかざして切裂く必殺技「ライトニングカリバー」を炸裂し、ウォートホッグファンガイアは鏡が割れるように粉々に吹き飛んだ。

 

「うわああああ!!!?」

「凄い……!」

 

ライオンファンガイアは素直にディセイドに歓喜の声を零し、スワローテイルファンガイアは人間態に戻るとDライガに「あなたは何者です?」と問いかけ、Dライガはディセイドの姿へと戻った。

 

「仮面ライダーディセイドってもんですがなにか?」

 

「ディセイド」その名を聞いたスワローテイルファンガイアとライオンファンガイアは人間体に戻るとなにか強張った表情でこそこそとこちらを見てはなにか相談し始め、それをディセイドは怪訝に思ったが今は震えている唯の元へと駆け寄ろうとするが……ディセイドの前に1人の15歳ほどの青年が立ちはだかるように現れた。

 

「なんだお前?」

「お前がディセイドとかいう奴か?」

「そうだが、それがどうかしたか? 用が無いならさっさと退け、そこの涙の似合わない(暴力的な意味で)女をどうにかしたいんだがな?」

「女の涙は嫌いかよ? 王の命を狙ってる癖によく言う」

 

ディセイドは「えっ?」と首を傾げたが少年「龍夜りゅうや」の元に銀色の蝙蝠「ヤイバット」が飛んできて龍夜の手にヤイバットが噛みつくと彼の顔に亀裂のようなものが走り、腰には銀色のベルト「ヤイバベルト」が装着され、ベルトの止まり木にヤイバットが逆さまに装着される。

 

「変身!!」

 

そして龍夜の姿が変わり、「仮面ライダーキバ・キバフォーム」に似た外見をしているが赤かった所は銀色になっており、両足のどちらにも鎖で閉じられたような翼は無い戦士「仮面ライダーヤイバ・バットフォーム」に変身した。

 

「お前が仮面ライダーヤイバか」

「ディセイド!! お前は王の命を狙っていると聞いた、それは本当か!!」

「さあな、生憎ここで俺はなにをしたらいいのか分からん、だがもしかしたら俺がやるべきことは王様を倒すことかもしれないな」

 

ヤイバは「だったら……」と呟いた後、ディセイドに向かって駆けだしていき、ディセイドに蹴りを放ったがディセイドはそれをかわして右手に持つセイドブッカーをヤイバに振るうがヤイバはそれを左手で防ぎ、ディセイドの胸部を殴りつける。

 

「殲滅者だのなんだの言われるんじゃ無くてまさかこういうパターンで来るとはな、あのフード野郎」

「なにを言っているお前は!!」

 

すかさずヤイバがストレートパンチをディセイドに放ってきたがディセイドはセイドブッカーで受け流してそのままセイドブッカーでヤイバを斬りつける。

 

「ぐあっ!? 一筋縄でいく相手とは思っていなかったが……!」

 

ヤイバは右腰にある笛のような「マーメイドフェッスル」を手に取るとそれをヤイバットに噛ませて吹かせる。

 

『マーメイドロッド!』

 

その頃、この世界にある龍と城が合体したかのようなモンスター「キャッスルドラン」の中にいる「アームズモンスター」と呼ばれる内の1体、「マーメイド」が茶髪の少女の姿から人魚を模したモンスターに変わり、続いてロッド型の武器「マーメイドロッド」に変換されヤイバの元へと飛んで行った。

 

「呼ばれましたね、では行ってきます」

 

ヤイバがマーメイドロッドを右手に持つとヤイバの姿はダークブルーの姿へと変わった「マーメイドフォーム」となり、マーメイドロッドをディセイドに振るうがディセイドはセイドブッカーでガードしつつ、2人は移動しながら睨みあう。

 

「あっ、こ、幸助!!」

 

そこでファンガイアがもう自分の近くにいなくなったからか、唯は泣きやんでおり、彼女は立ちあがってヤイバとディセイドを慌てて追いかけた。

 

「否定しないということはやはり王の命を狙ってるんだな?」

「さあな、俺にも分からねえよ!! つーか分かんねえのに俺と戦うってどうなの?」

「それはそうだ、危険分子なのは間違いないんだからな!!」

 

ヤイバはディセイドを押し返し、マーメイドロッドでディセイドを叩きつけ、身体がくの字に曲がりながら吹き飛ぶとディセイドはセイドブッカーからカードを取り出してディセイドライバーに装填する。

 

『カメンライド・レツオウ!』

 

対するディセイドは身体はガオウや幽汽、仮面は電王ガンフォーム、肩のショルダーは電王ソードフォームに似た「仮面ライダー列王・フューチャーフォーム」に変身するとセイドブッカーとガイガッシャーソードモードという2つの剣でヤイバに対抗する。

 

ヤイバはマーメイドロッドを振るうがD列王はガイガッシャーで受け止め、ヤイバの腹部をD列王が蹴りつけて怯んだ所をガイガッシャーとセイドブッカーでヤイバを斬りつける。

 

「ぐああっ!? だったら、来い、ギガント!!」

『ギガントナックル!』

 

同じように右腰にあるフェッスル「ギガントフェッスル」を抜き取るとそれをヤイバットに噛ませて吹かせ、キャッスルドランにいる銀髪の少女がイエティを模したモンスター「ギガント」となると右腕に装着される巨大なナックル「ギガントナックル」へと変換されヤイバの元へと飛んで行き、それをヤイバが掴み取るとヤイバの姿は白くなり、その姿はどことなく「仮面ライダーレイ」にも若干酷似した姿「ギガントフォーム」となる。

 

「ほう、面白そうじゃんかよ」

 

D列王はガイガッシャーをヤイバに振り下ろすがヤイバの装甲は硬くなっており、セイドブッカーでもヤイバを斬りつけるが弾かれてしまう、そしてヤイバのギガントナックルによる強烈なパンチを受けてD列王は殴り飛ばされた。

 

「うわああああ!!!?」

 

D列王は倒れこむがよろめきつつも立ち上がるが、ヤイバは左腰にあるフェッスル「ウエイクアップフェッスル」を手にとってヤイバットに噛ませて吹かせる。

 

『ウエイクアップ! ギガント!』

 

ヤイバが右腕に装着しているギガントナックルからオーロラのようなものが解き放たれ、対するD列王もこのままではやられると感じカードをセイドブッカーからドライバーに装填する。

 

『ファイナルアタックライド・レレレレツオウ!』

(手加減出来るか……!?)

 

前回、クウガに光と一緒にダブルライダーキックを放った際はクウガのベルトの中心部となる「アマダム」の所を避けて攻撃したのでなんとか上手くいったが今回も同じような手が相手に通用するかは分からない、そんな不安が過る中、少し離れた位置ではフードの男は口元に笑みを作って嬉しそうにしていた。

 

「そうだ、それがお前の本当の役目だ! ヤイバを潰せ、殲滅者として!!」

 

だが、その時……。

 

「やあああああめえええええんんんんんかあああああああああい!!!!!!」

「ぐべふううう!!!?」

 

そこで唯がD列王とヤイバの間に割って入り……というか唯がライダーキック顔負けと思えるほどの超絶飛び蹴りをD列王に喰らわせて蹴り飛ばし、D列王は壁に「ドガーン!!」と大きな音を立てて激突した。

 

流石に一応唯は普通(?)の人間なのでD列王が変身解除に追い込まれることは無かったがそれでも頭から壁に激突したのでかなり痛かったらしく、D列王は頭を抑えながら変身を解いた。

 

「おまっ! 前の世界といい、いきなり襲いかかってきたのは向こうなんだよ!! この泣き虫暴力女!!」

「誰が泣き虫暴力女ですって!!? 第一アンタもちゃんと自分は敵対するつもりが無いって説明しなさいよ、めんどくさがるな!!」

「うるせーな!! 俺はそういうのが苦手なの、だったらお前がなんとかしろアバズレ女!!」

「誰がアバズレだああああああ!!!!」

 

唯は幸助の鼻に2本の指を突っ込んでヤイバの方へと思いっきり放り投げた。

 

「えぇ!? あの、ちょっと!?」

 

反応に遅れたヤイバは幸助と激突して2人諸共倒れこみ、ヤイバは変身が解けてマーメイドとギガントだった少女「セイナ」と「ネーナ」が龍夜の元に駆け寄り、セイナは龍夜を木の枝でツンツンっと突く。

 

「なにしてんだお前?」

「あぁ、生きてましたね」

「そりゃ生きてるだろうが」

 

龍夜は幸助を押し退かすと打ち所が悪かったのか、幸助は目を廻して気絶しており、龍夜は唯に目を向けると唯はビクッと肩を震わせたが、龍夜は唯に幸助について教えて欲しいと頼んできた。

 

「アンタ、こいつの知り合いなんだろ? さっきの会話は俺達を騙す演技でもなさそうだしな」

「どう見てもアレは本気で喧嘩しておったしな」

 

龍夜とネーナの順に喋り、一度唯達の家へと向かい、ゆっくり話をすることになった。

 

「「アレ? 俺達もしかしなくても忘れられてる?」」

 

そして忘れられてるライオンファンガイアとスワローテイルファンガイアであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから唯の家で唯と目を覚ました幸助から龍夜達は話を伺い、龍夜、セイナ、ネーナはしばらく話し合った後、彼等を信じることにした。

 

「なにせこちらにはキャッスルドランの中にはタイムスリップする技術がありますからね」

「タイムスリップする装置なんてものが作れるのだから、その気になれば異世界に行く装置も作れよう、だから我等はそなた達の話を信じる」

 

セイナとネーナがそう説明し、次に幸助が龍夜に「自分のことを教えたのは誰か」という質問を彼に問いかけると龍夜は「フードを被った男」と答えたので「ディセイドが王の命を狙いにくる」というのは真っ赤な嘘であることを龍夜に告げた。

 

「まあ、俺も悪い所があったとは思うが王の命を狙って無いならそうと言えば良いのに……危うくあのまま行けばどっちかが消えてたかもしれない」

「すいません、このバカでアホでうっすらトンカチのド阿呆のボケでしかもグータラな上に間抜けで……」

「オメーどんだけ俺の悪口ボロクソ言えば気が住む訳!? 俺でもそこまで言わねえよ、どんだけ嫌われてんの俺? 軽くショックなんだけど?」

 

幸助と唯のやり取りに苦笑する龍夜、セイナ、ネーナ、3人は話を聞き幸助や唯の雰囲気からも彼等が王の命を狙うとは思えなかったため、キャッスルドランに戻ることを告げて3人は帰って行った。

 

「つーか浩一郎さん、最近影薄いよな」

「言わないでくれないかな幸助くん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、今日はキャッスルドランにいるファンガイアの王のお世話をするためにそのメイドと執事としてキャッスルドランに唯を後ろに乗せて幸助はマシンディセイダーを走らせて向かっていたのだが、その途中美しい音色が聞こえてきた。

 

「これは……」

「んっ? どうしたの?」

「音楽が聞こえる、ヴァイオリンだ」

 

すると唯も耳を澄ますと確かにヴァイオリンの美しい音色が聞こえてきた、幸助はキャッスルドランからその音色が聞こえる所へと目的地を変え、唯も気になったのか珍しく文句1つ言わなかった。

 

その音色はとある公園から聞こえてきたもので青い髪をした龍夜と同い年くらいの少女がヴァイオリンを持って演奏していた。

 

因みに曲は「音也のエチュード」である。

 

「凄く、綺麗な音だね……」

「あぁ、そうだな」

 

演奏が終わると青髪の少女はこちらに気付いたのか、幸助達の方へと駆け寄ってくる。

 

「君さ! 昨日龍夜と戦ってた人だよね? その後は和解したみたいだけど」

「えっ? あぁ、まあそうだけど?」

「僕さ、ライハって言うんだ! よろしく、それで君達格好からしてメイドか執事みたいな感じだよね?」

 

幸助と唯は戸惑いつつ互いに顔を見合わせて頷く。

 

「じゃあ、龍夜のこと、よろしくね。 龍夜ってファンガイアと人間との共存凄く忙しくしてるから少しでも苦労を無くせるように……」

 

ライハの最後の言葉はどことなく悲しげであり、ライハはヴァイオリンをケースにしまって幸助と唯の2人に手を振りながらどこかへと走る。

 

「演奏良かったですよー!!」

「また聞かせてくれよ!!」

 

それが聞こえたライハは笑顔でまた大きく手を振り、唯は幸助を見ながらなにか意外そうな顔をしていた。

 

「なに? どした?」

「いや、幸助が素直にそんなこと言うなんて珍しいと思って、そんなに気に入ったの?」

「……あぁ」

 

幸助と唯はディセイダーに乗って今度こそキャッスルドランを目指そうとしたがその前に幸助の目の前に灰色のオーロラが現れて彼を飲み込んだ。

 

「幸助!!」

 

唯は追いかけようとするも間に合いそうになく灰色のオーロラが閉じようとした時1台のバイクに乗った女性が灰色のオーロラに自ら飛び込んだ。

 

「今の、まさか……!」

 

そして幸助が辿り着いた草原が広がる場所ではフードの男と黒い機械的なライダー、「仮面ライダーG4」が待ち構えていた。

 

「またお前か! しかもG4だと? おい、G4の装着者! 誰だか知らねえが今すぐそれを解除しろ!! でないと死ぬぞお前!!」

 

G4は強力な力を持つ代わりに装着員の意思や運動能力に肉体限界を一切無視して常にその状況において最善とされる動作を行うため、使用を続けると身体への過負荷で装着員は死亡するという大きなリスクを背負い、しかも装着者が死ねば後は自動的にG4が動くというまさに呪われた仮面ライダーとも呼べる恐ろしいものなのだ。

 

「フフッ、心配は無用さ、G4の装着者は大ショッカーがG4に適合するために作った改造人間が装着している、死ぬことは無い! そしてヤイバを倒せなかった、だから……」

 

フードの男は一定のポーズを取ると腰に金色のベルト「オルタリング」が現れる。

 

「変身!!」

 

両腰のスイッチを叩くとオルタリングの中央が輝きフードの男は龍を模した金色の戦士「仮面ライダーアギト・グランドフォーム」に変身した。

 

「俺が倒す」

「アギトにG4、最強タッグだなオイ」

 

幸助は冷や汗をかきつつ素早くディセイドライバーを装着してカードを装填する。

 

「変身!!」

『カメンライド・ディセイド!』

 

アギトとG4は共にディセイドに戦いを挑み、アギトの蹴りがディセイドに放たれるがディセイドはそれをガードしつつアギトを殴りつけるもアギトと入れ替わるようにG4がディセイドの目の前に現れてディセイドの胸部を殴りつけ、胸部から火花が散る。

 

「ぐあああっ!!? 流石はG4って所か! それよりもおいお前! なんでお前はデルタやアギトになれるんだ? 一体なんなんだお前は! 統一したライダーはねえのかよ!!」

「あったら様々なライダーに変身することなど出来ん!!」

 

G4は4基の小型ミサイルが装填された肩掛け式ミサイルランチャー「ギガント」からミサイルをディセイドに発射し爆発してディセイドは吹き飛ばされその先にあった深い谷底に落とされてしまった。

 

「うわあああ!!!?」

 




ディセイド現時点で1度のみ使用可能カード・クシド・セイバー・ゼータ・ガロス
消失カード・マンティス・ヤイバ・氷鬼・時王
力を取り戻したカード・ライガ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フィナーレ♪ 王を守る騎士

アギトとG4は谷底に落ちたディセイドの姿を確認しようと崖の下を覗き込むが、突然崖の下からクワガタを模したメカのようなものが飛び出した。

 

「うおっ!?」

「あれは……」

 

驚きの声をあげるG4とそのクワガタを見て仮面の下で驚いたかのような表情を浮かべるアギト・グランドフォーム、そのクワガタはクウガをサポートする「ゴウラム」であり、その背中には「仮面ライダークウガ・マイティフォーム」と「仮面ライダーディセイド」が乗っていた。

 

「クウガ! 確かにヤイバの世界に呼び寄せたが、まさか灰色のオーロラが消える直前にここに突入したのか?」

 

アギトの言葉からしてクウガは恐らくあの「海原奈々」が変身したクウガだろう、ディセイドは念のために「奈々か?」という質問をしてクウガはサムズアップして首を縦に振った。

 

「そうですよ、ライガの世界以来ですね幸助さん」

「なんで奈々が……」

「さあ? それよりも先ずは目の前の敵に集中しましょう!!」

 

クウガとディセイドはゴウラムから飛び下り、アギトとG4と対峙するがディセイドはふっとあのゴウラムをどこから出したのかクウガに尋ねてみた。

 

「ここに突入する際、ビートチェイサーと合体した状態できました!」

 

そう、前回灰色のオーロラに突入した女性とは奈々のことだったのだ。

 

「その描写が無かったのはネタバレ防止のためです!」

「おい、何気にメタ発言すんな」

 

ディセイドはクウガに注意した後、ディセイドとクウガは並び立ち、ディセイドはG4、クウガはアギトに向かっていき、クウガはアギトに殴りかかるがアギトはそれらを受け流し、カウンターパンチをクウガの顔面に喰らわせ、クウガを蹴りつける。

 

「くっ……タアアア!!」

 

クウガはアギトに飛び蹴りを放つがアギトはオルタリングの左の腰部を叩くと左腕と胴体が青く変わり「ストームフォーム」となるとオルタリングの中央から薙刀型の武器「ストームハルバード」が出現し、それを引き抜くとストームハルバードでクウガを叩き落とす。

 

叩き落とされたクウガは倒れこみ、アギトは容赦なくストームハルバードをクウガに振りかざすがクウガはそれを掴み取って受け止め、素早く立ち上がるとアギトの顔面を先程殴られたお返しと言わんばかりに2、3回殴りつけ、アギトを押し返すとドロップキックをアギトに喰らわせる。

 

「ぐっ!?」

 

クウガは両手を手を叩くとアギトに人差し指を向け、クイクイと余裕の態度を見せ、アギトはストームハルバードを強く握りしめる。

 

「貴様ぁ! 舐めるなよ!!」

 

ディセイドは右手に持つセイドブッカーをG4に振るうがG4は左手でセイドブッカーの刀身を掴んで開いている右手でディセイドを殴りつけるとそのままセイドブッカーを奪い取り、ディセイドを何度もセイドブッカーで斬りつける。

 

「ぐあああっ!!?」

 

G4はセイドブッカーを後ろの方に投げ捨て、ディセイドの両肩を掴んで腹部に何度も膝蹴りを喰らわせて投げ飛ばしたがディセイドは受け身をとってダメージを最小限に抑え、G4が投げ捨てたセイドブッカーを拾い上げるとセイドブッカーからカードを1枚、ディセイドライバーに装填する。

 

『アタックライド・ブラストスラッシュ!』

 

ディセイドはセイドブッカーを振るい、赤い斬撃をG4に飛ばし、直撃しG4の装甲から火花が飛び散り、G4はサブマシンガン型の武器「GM-01改四式」を取り出し、フルオート射撃による弾丸が放たれ、ディセイドは飛び退いてそれをかわしたが全てかわしきれずに左足に銃弾が幾つか直撃してしまう。

 

「ぐわあああっ!!?」

「幸助さん!!」

 

クウガは方膝を突くディセイドの元に駆けつけようとするが、アギトがそれよりも先にディセイドの元へ行き、ストームハルバードをディセイドに振りかざし、ディセイドはどうにかセイドブッカーで防ぎ、立ち上がろうとするが撃たれた左足が痛み、立ち上がることが出来なかった。

 

「超変身!!」

 

クウガは青い姿「ドラゴンフォーム」となるとアギトを蹴りつけ、その辺に落ちていた木の枝を拾い上げると木の枝は長い青い棒状の武器「ドラゴンロッド」に変換され、クウガとアギトはドラゴンロッドとストームハルバードで互いを突くようにして攻撃し、2人とも同じくらいの距離を吹き飛んだ。

 

「クソッ、これ以上はあんまり使いたくなかったんだが……」

 

ディセイドはカードを1枚取り出し、ディセイドライバーに装填する。

 

『カメンライド・クシド!』

 

ディセイドはアギト・グランドフォームに酷似しているが両腕や両足、背中は金色ではあるが「エクシードギルス」のように獣のような形になっており、クシドの口部もギルスに近いクラッシャーになっている「仮面ライダークシド」へと変身した。

 

「クシド……! アギトであり、ギルスでもあるライダーか」

 

アギトが言い、背中の伸縮自在の触手状の鞭「クシド・スティンガー」をDクシドは伸ばし、G4はGM-01改四式でクシド・スティンガーを撃つが構わずにクシド・スティンガーはG4の両腕を拘束して動きを封じ、Dクシドはカードをディセイドライバーに装填する。

 

『ファイナルアタックライド・ククククシド!』

 

クシドの2本の角「クロスホーン」が6本に展開し、面に発生した6本角を模したエネルギーを右足に溜めて右足で放つ跳び蹴り「ライダーキック」をG4に繰り出し、G4はライダーキックを喰らって一度は倒れこみ、なんとか立ち上がったが……やはり耐えきることは出来ずに倒れ爆発した。

 

「ぐわあああああ!!!?」

 

爆発はしたが、G4は完全に破壊されておらず、火花を散らし、所々が破損する程度で済んでいた、これは恐らくディセイドの左足にダメージがあったため、本来の力が出せなかったからだろう。

 

「チッ」

 

アギトは舌打ちするとG4に肩を貸して立ち上がり、灰色のオーロラを出現させその中へと消えていき、またクウガとディセイドのいた場所も元の場所に戻り、ディセイドとクウガの目の前には不安な表情をしている唯の姿が目に映った。

 

「おい、待てフード野郎!! お前の、お前の目的はなんだ!?」

 

するとフードの男の声がどこからともなく聞こえてきた。

 

『俺の目的? ディセイドを殲滅者にすることだ。 ディセイドはディケイドと同じく、ライダーを倒さなければならない存在! 全てのライダーを倒せ、ディセイド! そうすれば俺はお前を認め、お前の命も狙わない』

「ライダーを倒せだと? やる訳ねえだろボケ、考えてから物言えや」

 

フードの男は軽く舌打ちした後、それからは彼の声が聞こえてくることは無く、ディセイドとクウガは変身を解いた。

 

「いっつ……!?」

 

変身を解いた直後にG4に撃たれた左足を抑える幸助、唯はそれを見て慌てて幸助の元に駆け寄る。

 

「幸助!? どこか怪我してるの!?」

「あぁ、ちょっと撃たれてな。 幸い変身してたから銃弾とかは取り出さなくて良いぞ?」

 

後半は少し幸助は笑いながらボケてみたのだが、唯からはなんの反応はなく、幸助はなんだかいつもの彼女らしくないと感じつつ首を傾げ「どうした?」と尋ねた。

 

先程フードの男が言った言葉、「ディセイドはライダーを倒さなければならない存在」という言葉、唯の頭に過るのはライガ、クシド、セイバー、ゼータ、ガロス、氷鬼、マンティス、時王、ヤイバの9人の仮面ライダーに囲まれ戦うディセイドの姿、彼女は心配そうに幸助の顔を覗き込む。

 

「なんだよ、らしくねえな。 まあ、取り合えず、家から手当て道具かなんか持ってきてくれねえ? こんなんじゃ上手く歩けない」

「う、うん、分かった。 でも、なんで奈々さんがいるの?」

 

唯は奈々がいることが気になり、彼女を見ながら問いかけた。

 

「いえ、なんというか、あれから光と一緒に旅に出かけたんですけど……あのフード野郎が現れて灰色のオーロラを出現させ、それに飲み込まれたらこの世界に……」

 

奈々は腕を組みながらこの世界に来た時のことを思い返すが、幸助は奈々の言葉に少しだけ疑問に思う所があった。

 

「待て、光と一緒にってことは、あいつもこの世界に?」

「ええ、いますよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、スワローテイルファンガイアやライオンファンガイア、龍夜が仕えるファンガイアのキングがいる竜の城「キャッスルドラン」の玉座、そこにはロックミュージシャン風の衣装を纏ったファンガイアのキングが座っており、目の前にはセイナ、ネーナ、スワローテイルファンガイア、ライオンファンガイア、そして龍夜が跪いていた。

 

「それで、キング。 最近は掟を破るファンガイアが増えてきています、掟を背いたファンガイアは本来は処罰されます、ですがこうも多いとファンガイアはどんどん数を減らして行く。 そこでどうか王の意見を」

 

龍夜は人間についてもファンガイアについても真剣に考えている、だから彼は人間もファンガイアも生き残る道を選びたいのだが、キングの意見は……。

 

「なあ、龍夜? ファンガイアを減らしたくはないのならいっそのこと人間との共存という掟は廃止した方がいいんじゃないかこの際?」

 

その言葉は、キング以外のこの場にいた全員目を見開き、驚愕の表情をしていた。

 

「な、なにを言っているのですかキング?」

 

若干声を震わせながら言うライオンファンガイアにキングは「ふう……」とため息を突く。

 

「あのなぁ? よくよく考えたら人間って元々ファンガイアの餌だろ? 餌と共存するなんておかしいと思わないか? 人間と家畜の羊が共存出来ると思うか? それと同じだよ」

「な、なんてこと言うんですかキング!!? あなたらしくもない、あなたは何時も人間とファンガイアの共存について真剣に!!」

 

龍夜は必死になってキングに考えを改めるように訴えるがキングは……。

 

「だからさ、もう疲れたんだよいい加減、幾ら悩んだって結局なにも解決しない」

 

キングはこう言い、それでも尚龍夜は必死にキングに訴えかける。

 

「ですが!!」

「いい加減しつこいぞ、龍夜!」

 

それまでどことなくふざけた感じで喋っていたキングだったが、突然ドスの効いた声色となり、立ち上がるとキングの元に黒い蝙蝠型のモンスター「キバットバット二世」が現れ、キングの右手に噛みつく。

 

「ガブリ」

「変身」

 

キングの顔にステンドグラスのような模様が入り、黒いベルト「ダークキバットベルト」が装着され、二世が止まり木に止まるとキングの姿が変わり、「仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム」という姿に酷似した黒と赤の戦士「仮面ライダーダークキバ」へと変身した。

 

「キングに、よもや俺に逆らうつもりか龍夜?」

「なっ!」

 

ダークキバは徐々に龍夜に近づく、龍夜は逃げだそうともせず立ち尽くすだけでそんな彼の首をダークキバは握りしめた。

 

「あがっ!?」

「龍夜!!」

「龍夜さん!!」

 

セイナとネーナがどうにか助けに行こうとするが、ダークキバは仮面越しに2人を睨みつけ、殺気を飛ばしセイナとネーナの2人はその殺気に怯んでしまう。

 

「俺はお前の殺気なんぞに屈指はしないぞ!」

 

そこにヤイバットが現れて龍夜の右手に噛みつくと「ヤイバベルト」が出現し、ヤイバットは止まり木に止まり、龍夜を「仮面ライダーヤイバ・バットフォーム」に変身させる。

 

「フンッ」

 

しかし、ヤイバに変身してもダークキバが自身の首を掴む手を払うことは出来ず、ダークキバはヤイバを投げ飛ばすとキバの紋章を模した波動結界によって対象であるヤイバを拘束し、黒い雷のようなものがヤイバの身体を傷つける。

 

「ぐあああああっ!!?」

 

ヤイバは紋章から解放されると倒れ、ダークキバはヤイバに踏み寄ろうとするが誰かが突然扉からこの部屋に入くるなりいきなりダークキバに跳び蹴りを放った。

 

「変身!!」

 

そして跳び蹴りを放つ中で部屋に入ってきた人物「風上光」がそう叫ぶと彼の姿が変わり「仮面ライダーライガ・アタックフォーム」に変身し、一直線に蹴りがダークキバに向かって行くがダークキバはライガの足を払いのけてライガを殴り飛ばす。

 

「うあああ!!?」

「ほう、貴様が新しく入った俺の親衛隊か。 貴様もこの俺に逆らうのか? 人間風情が……」

 

床を転がりながらもライガは立ち上がり、ヤイバを庇うようにダークキバと対峙する。

 

「お前、確か光だったな? 逃げろ! 俺に構うな!」

「ええ、そうさせて貰いますよ。 だけど……」

 

ライガはセイナとネーナに顔を向け、彼女達がそれに気付くとライガはまるで「一緒に逃げよう」という風に頷き、彼女達にもそれが伝わったのか、彼女達も頷いて返した。

 

するとセイナとネーナもライガと並び立ち、真の姿であるダークブルーの姿をした人魚を模したモンスター、「マーメイド」にセイナは変身し、ネーナは白くイエティを模した真の姿「ギガント」に変身し、マーメイドとギガントは両手から光弾のようなものを床に放って煙幕を作り、ライガはヤイバを抱えてマーメイド達と共にキャッスルドランから脱出した。

 

キャッスルドランから脱出すると既に外は日が暮れていて真っ暗であり、ライガ達も変身を解いてどこか身を隠せる安全な場所を探しに向かうのだが、龍夜の耳にあるヴァイオリンのメロディーが聞こえてきた。

 

龍夜はセイナ達に頼んでそのメロディーの聞こえる場所へと行くとそこは床が抜けていたり、屋根が捲れていたりとボロボロの屋敷だった。

 

その屋敷の前に1人、ヴァイオリンの音楽を奏でるライハの姿が確認できた。

 

「ライハ!!」

「「ライハ!!?」」

 

驚きの声をあげるセイナとネーナに構わず、龍夜はすぐさまライハの元に駆け寄り、ライハは龍夜の姿を確認するや否や彼女はヴァイオリンを持ったまま龍夜に抱きつき、龍夜もライハを抱き締めた。

 

「どうしたの? 龍夜? まだ僕とは会える日じゃなかったと思うんだけど……?」

 

ライハの問いに龍夜は暗い表情を見せながらも、彼は彼女にここまで来た経緯を説明し、しばらくはここに身を隠すことになった。

 

だがしばらくして誰かがこの屋敷に近づく足音が聞こえ、龍夜達は警戒したが……やってきたのは足に包帯を巻いた幸助と、彼に肩を貸している唯と奈々だった。

 

「奈々? それに幸助さんに唯さん!!」

「本当にいたよ」

 

幸助は光が本当にいたことを確認し、龍夜達の元まで行くと3人は座り込み、セイナはなぜ自分達の場所が分かったのか尋ねると幸助は「ヴァイオリン」とだけ答えた。

 

「うん、あの時の綺麗なヴァイオリンの音が聞こえてきてね?」

「ええ、とても美しい音色でしたね」

 

唯と奈々に褒められてヴァイオリンを弾いていたライハは頬を赤くして「えへへ」と照れながら苦笑する。

 

「でも、僕にヴァイオリンを教えてくれたのは龍夜なんだー」

「じゃあ、龍夜さんもヴァイオリンを?」

「あぁ、でも最近はやらない、やる暇が無かったからな」

 

ライハ、光、龍夜の順に喋り、光は何気なく本来のファンガイアのキングは一体どういう人物だったのか龍夜に聞くと本来のキングは根は優しく、龍夜と同じ位、いや、それ以上にファンガイアと人間の共存について必死に考えるような人だった、だがつい最近まるで人が変わったように共存についてどうでもいいかのような態度を取るようになり、どうして彼がああなってしまったのか全く分からないのだ。

 

「成程な。 どうやらそのキングがこの世界の『歪み』のようだな」

 

幸助が独り言を呟き、その直後、屋敷の外から突然爆発音が鳴り響くと外には兵隊のファンガイアと「スワローテイルファンガイア」の人間態「ビショップ」が立っていた。

 

龍夜、光、幸助、唯、奈々、セイナ、ライハ、ネーナが外に出るとビショップは勝ち誇ったかのような笑みを浮かべる。

 

「キングの命により今のファンガイアの掟が無くなり、昔のファンガイアの掟が復活した! 『人間はファンガイアの餌、餌である人間を愛するようなファンガイアは即死刑』という掟がな」

「バカな、ビショップ!! お前はそれでいいのか!!?」

「私はただキングの命に従うまで、そしてあなたの愛する人間の女性、ライハを見張っていればいずれ現れると思いましたよ。 まあ、最も、同時にあなた達も見つけましたけどね」

 

ビショップはライハを見張っていればいずれ龍夜達が来るだろうと考え、ライハを探してついさっき見つけたのだが同時に龍夜達がそこにいたため、見張る手間が省けたようだ。

 

「はぁ、お前は人に命令されないと生きていけないのか? お前自身の考えは!? キングの意思とかそんなもん関係なくお前の意思はどうなんだよ!!」

 

幸助は怒鳴るようにビショップに言うがビショップは鼻で笑って一蹴する。

 

「フンッ、私の意思はキングと共にある!! そう言えば龍夜、お前は確か……純粋なファンガイアであるにも関わらずそこの人間の女性、ライハを愛していたなぁ?」

「えっ?」

 

龍夜がファンガイアであることに驚いたのは唯だけだった、なぜなら龍夜は既にヤイバがファンガイアの血を引いて無ければ変身出来ないことは大方予想していたり、光と奈々はこの世界に迷い込んだ際に彼から色々教えて貰った時に自分がファンガイアであることを話していたり、ライハにはこの世界の住人なのでそもそも隠す必要が無い為である。

 

「龍夜……さん? あなた、ファンガイア……」

 

ファンガイアにトラウマを持つ唯だが、なぜか龍夜からは恐怖じみた感じはしなかった。

 

それがなぜかは分からないが、スワローテイルファンガイアやライオンファンガイアとは違い、「彼は大丈夫」という雰囲気があったからだろうか。

 

「ファンガイアだからって、人間を愛してはいけないんですか? そんなの個人の自由じゃないですか!! 人間もファンガイアも関係なく!」

 

光は幸助や龍夜と一緒にビショップに訴えかけるがビショップは聞く耳を持たず、「時間の無駄だ」と言うと兵隊のファンガイア人間態達は顔にステンドグラスのような亀裂を走らせ、ビショップは「スワローテイルファンガイア」に変化すると幸助達に襲い掛かった。

 

「話しても無駄か!! 変身!!」

 

幸助はディセイドライバーを装着して「仮面ライダーディセイド」に変身し、光もラルーンを出現させ、構えをとって「仮面ライダーライガ・アタックフォーム」に変身し、龍夜もヤイバットを呼んで自身の右手に噛ませ「仮面ライダーヤイバ・バットフォーム」に変身し、セイナとネーナもマーメイドとギガントに変身した。

 

「やれ」

 

スワローテイルファンガイアの一声で兵隊のファンガイア達は一斉に攻撃をディセイド達に仕掛け、ヤイバは一直線にスワローテイルファンガイアに向かって行く。

 

「奈々!! 唯さんとライハさんを安全な場所まで!!」

 

ライガに言われて奈々は頷き、ライハと唯を引き連れてここから立ち去る。

 

「これって2人とも私が持って帰って良いパターンですか?」

「ダメ」

「唯だけ持って帰れ、そして二度と戻ってくるな唯だけ」

 

立ち去る際の奈々の問いにライガは即答し、ディセイドに至っては唯のみ許可を出した。

 

「お前が二度と戻ってくるなバカ幸助!!」

「うるせええええ!! テメーが1番戻ってくんなぁ!! 暴力女!!」

「いや、お前が戻ってくんなぷー太郎が!!」

 

等とディセイドと唯は言い争っていたが奈々によってすぐにライハと一緒に連れてここから逃げた、ただ、ライハだけは心配そうにヤイバを最後まで見ていたが。

 

ディセイドは先程の唯を見て口元で笑みを作って嬉しそうにしていた、彼女が少し無理をして強がっているようだが「何時もの」彼女に戻ってくれた為だ。

 

「ビショップ!! 頼む、考え直してくれ!! そしてキングと一緒に説得しよう!」

「しつこいぞ、龍夜!!」

 

ヤイバはスワローテイルファンガイアの剣で斬りつけられ、尚もヤイバは抵抗しようとはせずただ説得しようと必死だった。

 

「疑問に思わないのか!? キングの豹変のことを!!」

「ふう、仕方が無いですね。 ならば本当のことを教えてあげましょう……」

 

一度スワローテイルファンガイアは右手に構えていた剣を降ろし、左手で顔を覆い、そしてその左手を降ろすとスワローテイルファンガイアの顔にはミイラの仮面のようなものが装着されていた。

 

「その仮面は、お前まさか!」

「そう、今の私はファンガイアでは無い。 『レジェンドルガ』です」

 

レジェンドルガとはファンガイア以上の力を持ち、レジェンドルガに襲われた者はレジェンドルガと化し、命令のままに操られてしまうという恐ろしい能力を持った者達である。

 

しかし、レジェンドルガはかつて先代のキバによってレジェンドルガの王「仮面ライダーアーク」共々封印された筈だが、どういった経緯かは不明だがレジェンドルガは現代に復活してしまったらしい。

 

そして既にスワローテイルファンガイアはレジェンドルガの手によって「スワローテイルレジェンドルガ」にされてしまったそうだ。

 

だが問題なのは先程スワローテイルレジェンドルガは「キングの命令」と言ったことだ、レジェンドルガになった今も彼がキングの命令を聞くということはキングも……。

 

「まさか、キングもレジェンドルガに……」

「その通り、彼は既にファンガイアではないし、既にこの世からも存在しない」

「な……に?」

 

スワローテイルレジェンドルガの言っている意味が分からなかった、スワローテイルレジェンドルガの言葉からしてキングも既に彼と同じ仮面を張られて操られているものだと思った龍夜だったが「この世に存在しない」という言葉が理解不能だった。

 

「彼の魂は既に死んでいるのだよ、あのキングは……我等のロードの肉体が復活するまでの魂を入れるための器に過ぎない」

 

レジェンドルガの王、「アーク」は魂こそ復活したものの肉体は完全に復活することは出来ていなかった為、肉体が完全に復活するまでファンガイアのキングの身体に一時魂を映し、キングに成り済ましてこの世界について色々と調べ、今日この日まで大人しくしていたのだ。

 

「だけど、どうやってキングに?」

 

スワローテイルレジェンドルガはヤイバの疑問に順を追って説明する。

 

先ず、レジェンドルガの1体「マミーレジェンドルガ」がスワローテイルファンガイアに仮面を装着させ操り、レジェンドルガとなったスワローテイルファンガイアがファンガイアのキングを誘き寄せ、マミーレジェンドルガと共に不意打ちに近い形でキングを殺害し、その後キングの遺体をアークが眠る遺跡にまで持って行き彼の魂をキングの身体に宿した。

 

後は先程言った通り、キングに成り済ましたアークはそのままキングとして活動し、現代について色々と調べ、肉体の復活が近いこの日、ファンガイアと人間の共存を無くそうと目論んだのだ。

 

「おいちょっと待て、なんで人間とファンガイアの共存を無くそうと目論むんだ? 結局お前等人間もファンガイアもレジェンドルガに出来るんだろ?」

「人間とファンガイアの共存を無くし、争いを生ませる、我等のロードが完全復活するには持ってこいの祭りではないか?」

 

ディセイドの問いにスワローテイルレジェンドルガはそう答え、ディセイドはセイドブッカーでスワローテイルレジェンドルガを斬りつける。

 

「けっ、趣味の悪い祭りだな」

「恐らくここにいる連中も操られているのでしょうねレジェンドルガに」

 

ディセイドの隣に立つマーメイドがそう言うと、「大本を叩くか」とディセイドは呟き、それを聞いたヤイバは器とはいえそれはキングを倒すということに戸惑いを感じた。

 

「キングを……」

「確かに、龍夜さん、もうそれしかありません!! 彼等には罪はないんですから彼等と戦う訳には!」

 

ライガに言われて龍夜は静かに頷き、ディセイドはカードを1枚装填し、セイドブッカーから放つ斬撃「ブラストスラッシュ」をスワローテイルレジェンドルガ達の足元に放って煙幕を作り、キャッスルドランに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから幸助達はキャッスルドランにいるキング(アーク)を倒すために作戦会議を幸助達の家で立てることになり、ライハ達ともそこで合流した。

 

龍夜も一応戸惑いこそあったものの、彼もキングを倒す決意をし、キングを倒す作戦はキャッスルドランにこっそりと侵入してキングを全員で倒すというシンプルな作戦に決定した。

 

「そう言えば、龍夜さんはどうしてそこまでキングや、人間やファンガイアのことを真剣に考えるんですか?」

 

何気なく、龍夜に光が聞いてみると龍夜はほのかに口元に笑みを作ったが彼が答える前にライハがまるで自分のことかのように答えた。

 

「実はね、キングの息子なんだよ龍夜は! あのキングは龍夜以上にファンガイアや人間のことを真剣に考える人だった、彼と一緒にいる内に龍夜はどんどんそれに凄く影響されていったんだ」

「つっても、血の繋がりは無いよ。 拾って貰った身さ、そして俺を本当の息子のように育ててくれたことに感謝してる。 だから俺は、ヤイバになった」

 

自分を育ててくれたキングと、ヤイバ、一体どういう関係があるのかと疑問に思ったが、元々ヤイバの鎧は「王を守る騎士の鎧」として作られたものなのだ。

 

龍夜はその鎧を纏い、キングと共にこの世界を守る筈だった、なのに……。

 

「俺は守れなかった! それ所か今度はアークが乗り移っているといえどキングを倒そうとしてる!! だとしたら、俺は何のために……!」

 

唇を噛み締めて自分の膝を強く叩き、悔しそうにする龍夜、そんな龍夜の肩に光は手を置く。

 

「守れます、まだ」

「守れるだと? キングはもう死んでしまったんだぞ!!? なにが守れるっていうんだ!!?」

「彼の『意志』を、今のキング……アークを倒すことで」

 

アークに乗っ取られる前のキングは人間とファンガイアの共存を本気で考え、努力していた、しかし今のアークが乗り移ったキングは民間人の人間やファンガイアはまだそれに気付いていない。

 

まだ発表こそされていないものの、今のキングが「共存を廃止」などと言えば混乱が起き、人間とファンガイアは争う関係になるだろう、そんなことはアークに乗り移られる前のキングは望んではいない。

 

だから光はその「意志」を守れと龍夜に言ったのだ。

 

「意志を守る……かっ……」

「あ、あの……」

 

そこで唯がオズオズとした様子で龍夜に近寄り、彼に頭を下げて謝ったのだ。

 

「その、ごめんなさい!! 私、ファンガイアが人間を襲う所を見てファンガイアはみんな怖いものだって思ってて、でも、龍夜さんや今聞いた龍夜さん達の王様の話を聞いて優しい人もいるんだって分かって……」

「良いよ、気にしちゃいないさ俺は」

 

龍夜は唯に微笑みを向け、これは完全に何時もの調子に戻ったと思った幸助は早速試しに軽口を叩いてみる。

 

「俺的にはお前の方がよっぽどファンガイアより怖いんだけどな?」

「どういう意味だボケええええええ!!!!」

「うるせえええ!!! ボケにボケって言われたかねえんだよぉ!!」

 

そんな幸助と唯のやり取りを見た龍夜達は自然と笑みが零れるのだった。

 

翌日、朝早くからキャッスルドランに行き、なるべく見張りなどを避けてキング、アークの元へ行き、アークを叩くという作戦が決行されることになった。

 

「龍夜!」

 

家を出る際、ライハは龍夜を呼びとめ、彼に銀色の1つのフェッスルを預けた。

 

「これは?」

「キングから僕が預かってたものなんだ。 『もしも自分になにかあった時、君から龍夜に渡してくれ』って」

「そうか、ありがとな」

 

龍夜は微笑みながらライハの頭を撫でると、彼女と無事に戻ってくることを約束し、幸助、龍夜、光、奈々、セイナ、ネーナはキャッスルドランに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッスルドランの前に到着するとセイナ、ネーナ、龍夜のチーム、幸助、奈々、光の2チームに別れてキャッスルドランにそれぞれ別々の入り口から侵入し、上手く警備員のレジェンドルガにされたファンガイア達を避けて通ることに成功し、キングのいる最上階の1つ下の階で幸助達は合流したのだが……。

 

「ロードの完全復活を邪魔する奴は許さん」

 

ミイラを模したレジェンドルガ「マミーレジェンドルガ」とメデューサを模した「メデューサレジェンドルガ」マンドレイクを模した「マンドレイクレジェンドルガ」そしてガーゴイルを模した「ガーゴイルレジェンドルガ」である。

 

「おいでなすったか! 変身!!」

『変身!!』

 

幸助を始め、光達もそれぞれの変身ツールで「ディセイド」「ライガ・アタックフォーム」「クウガ・マイティフォーム」「ヤイバ・バットフォーム」「マーメイド」「ギガント」に変身し、レジェンドルガ達と戦い始める。

 

だが、その直後に外から誰かの叫び声のようなものが聞こえてきた。

 

「待ちなさーい!!!」

 

窓からガラスを割って1人の男性が入ってきた。

 

「さあ! この俺が助太刀に来たぞ!! 大丈夫だ事情は知っている、有り難く思いなさい、そして俺を敬いなさい!! この名護啓介を!!」

『 』

 

この瞬間、場が白けた。

 

「どうした? そうか、俺が来たことはそんなに嬉しくて声も出無いのか……」

「んな訳あるかああああああ!!!!? えっ? ちょっと、名護さん!!?」

 

ディセイドが名護に対してツッコミを入れるが名護は当然ディセイド=幸助に面識がないため彼は首を傾げる。

 

(あぁ、そう言えば『士』さんが訪れた『響鬼』の世界では性格が多少異なるけどオリジナルと同じ顔をしたザンキさんやイブキさん、トドロキにアキラさんがいたんだっけな)

 

だとすれば「この世界」の名護啓介がこの世界にいてもおかしくは無い。

 

「だーれがお前の登場なんざ喜ぶか! そうだな、むしろ俺を敬うんだ! 千年に一度の大天才『紅音也』様をな!!」

 

いつの間にかクウガの隣に「紅音也くれないおとや」と名乗る男性が現れており、クウガも突然出てきた音也に「ビクッ」と肩を震わせた。

 

「所でお前、確か女だったな?」

「えっ? えぇ、そうですけど……」

(お、音也さんまできたあああああああ!!!?)

「音也さん、名護さん!」

 

心の中でシャウトするディセイド、2人の登場にディセイドとは別の意味で驚きの声をあげるヤイバ、そしてクウガは戸惑いつつ音也に対して頷くと音也は……。

 

「そうか! 戦える女というのも悪くは無いな!! むしろ好きだ、大好物だ、つまりなにが言いたいかと言うとだな……お前は俺の、運命の女だ! やっと見つけた、俺の女神……!」

「貴様! また性懲りもなくナンパするのはやめなさい!!」

 

名護が音也に注意するが音也は聞く耳を持たない。

 

「おい何しに来たんだナンパ師と妖怪ボタンむしり!!」

「あぁ~、そうだったな。 先ずはこいつ等だ」

 

名護と音也はベルト、「イクサベルト」を腰に装着し電磁ナックルウェポン「イクサナックル」を取り出して片手でに押し当てる。

 

『レ・ディ・ー』

「「変身!!」」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

名護は白い姿をした「仮面ライダーイクサ・バーストモード」に変身し、音也もほぼ外見こそ一緒だが仮面の部分は赤い目の見えるバーストモードと異なり十字型のマークがついている「仮面ライダーイクサ・セーブモード」に変身した。

 

「その命、神に返しなさい!!」

「さーて、じゃあやりますか」

「ここは私達に任せなさい!!」

 

名護イクサがディセイド達に言い、レジェンドルガ達と戦い始めるとディセイド達はお礼を言った後、先にキングのいる部屋へと進んだ。

 

「私は残ってあの2人と一緒に戦います!」

「うん、よろしく奈々」

 

正しクウガだけはここに残り、ディセイド達が先に進んだ直後に兵隊のレジェンドルガ達も部屋やってきたがあまり強くは無かったので兵隊達は簡単に倒せた。

 

マンドレイクレジェンドルガは腕の蔦を伸ばして音也イクサの首を絞めつけるが逆に音也イクサはその蔦を握りしめ、引っ張ってマンドレイクの顔面を殴りつける。

 

そこに2体の兵隊レジェンドルガが音也イクサの両腕を抑えつけ、その隙にマンドレイクが蔦を伸ばして音也イクサを蔦で叩きつける。

 

「ぐうう!? 離しやがれこの!!」

 

音也イクサはどうにか兵隊レジェンドルガを突き離し、マンドレイクに向かって跳びかかるがマンドレイクは蔦で音也イクサをはたき落そうとするも腕で弾かれ、音也イクサはイクサナックルを取り外して右腕に持った状態でそのままマンドレイクを殴りつけ、マンドレイクは地を転がる。

 

「どうだ触手野郎?」

 

マミーレジェンドルガとメデューサレジェンドルガは名護イクサと戦い、名護イクサは剣型の武器「イクサカリバー・カリバーモード」でマミーに斬りかかるがマミーはイクサカリバーを掴んで右手から衝撃波を放ち、イクサの装甲から火花が飛び散る。

 

「うわああ!!?」

 

名護はイクサは倒れこみ、メデューサに踏みつけられた上に蹴りあげられるが名護イクサはイクサカリバーを銃形態の「ガンモード」に切り替え、弾丸をメデューサに撃ちこむ。

 

「ぐっ! 舐めた真似を!」

 

メデューサは背中から巨大な蛇を出現させてイクサに噛みつかせ、そのまま投げ捨てるように投げ飛ばし、壁に激突して倒れこむ。

 

流石にレジェンドルガ2体を相手にするのは少々キツかったようだが、名護イクサは立ち上がり、口部から携帯電話型の「イクサライザー」を取り外し、開いて「193」と番号を打つとイクサの装甲が弾け飛び、青い姿となった「ライジングイクサ」に強化変身した。

 

挿入歌「Fight For Justice 〜Individual-System NAGO ver.〜」

 

「魑魅魍魎跋扈するこの地獄変……名護啓介はここにいる! イクサ、爆現!!」

 

名護イクサはイクサライザーを銃形態の「ガンモード」に変形させ、兵隊レジェンドルガが複数名護イクサに襲いかかってくるが名護イクサはイクサカリバーをガンモードにしてイクサライザーとの2丁で銃弾を兵隊レジェンドルガ達に撃ち、退ける。

 

「おい、あいつ等は操られてるだけなんだから手を抜けよ?」

「分かっている! 俺を誰だと思っている!」

 

音也イクサと名護イクサの順で喋り、メデューサとマミーが2体同時に襲い掛かってくるが名護イクサは一瞬で2体の背後に回り込み、イクサカリバーをカリバーモードに変形させ、2体の背中を斬りつけ、再びガンモードにしたイクサカリバーとイクサライザーでメデューサとマミーを撃ちまくる。

 

「「ぐあああああっ!!?」」

 

挿入歌「仮面ライダークウガ!」

 

クウガは襲いかかって来た兵隊のレジェンドルガを1体殴り飛ばし、背後に立つレジェンドルガの1体も蹴りつけ、クウガは兵隊のレジェンドルガ達に囲まれる。

 

「女だからって舐めてますか?」

 

兵隊のレジェンドルガはクウガに攻撃を仕掛けるがどれもかわされ、腹部を殴ったりなどして気絶させ、兵隊のレジェンドルガ達を倒した。

 

ガーゴイルレジェンドルガは自身のスピードを活かし、クウガを翻弄して背後からクウガの背中を殴りつけてクウガは膝を突く。

 

「速い!」

 

すぐさま立ち上がってクウガはガーゴイルの胸部を素早く殴りつけたが、ガーゴイルは防御力も高いため、平然としており、逆に殴り飛ばされてしまう。

 

そのままクウガは両肩を掴まれて膝蹴りを叩きこまれ、顔面も何回も殴られ、クウガはどうにかガーゴイルから離れる。

 

(くっ、ここはライジングドラゴンが……? いや、相手は確かに速いけど攻撃力にはパワーは無い、だったら……!)

 

クウガは構えをとると紫色に金色のラインが入ったクウガ、「ライジングタイタンフォーム」となると名護イクサにイクサカリバーを貸してくれるように言い、事情はよく分からないが名護イクサは頼まれた通りクウガに投げ渡してイクサカリバーを貸し、クウガはイクサカリバーは紫色で刀身の先が金色になっている「ライジングタイタンソード」に変換するとただじっと動きを止めた。

 

「なんのつもりだ貴様?」

「……」

 

なにも答えず、ただじっと待っているクウガが自分を完全に舐め切っていると感じたガーゴイルは一瞬でクウガとの距離を詰め、クウガの胸部を殴りつけたが……。

 

「グアアッ!? かったぁ~!?」

 

クウガの装甲が予想以上に硬く、殴った手を擦るガーゴイル、だがそれが隙を生み、クウガはライジングタイタンソードでガーゴイルの腹部を突き刺す「ライジングカラミティタイタン」を繰り出した。

 

「グガッ!!? ガアアアアアッ!!!?」

 

ガーゴイルは爆発を起こし倒れ、音也イクサも「ナックルフェッスル」名護イクサは「ライザーフェッスル」というフェッスルをイクサベルトに装填させる。

 

『イ・ク・サ・ナ・ック・ル・ラ・イ・ズ・ア・ップ』

「植物園に帰れ、オラアアアアア!!!」

 

イクサナックルに全エネルギーを一点集中させ、相手を殴って粉砕する「ブロウクン・ファング」を音也イクサはマンドレイクに炸裂し、ブロウクン・ファングを受けたマンドレイクは爆発四散した。

 

「ウアアアアアッ!!?」

「ジャングルでも良かったんだがな?」

 

続けてイクサは最大稼働したエネルギーをイクサライザーへと集中させ、通常の数十倍もの威力を誇る強力なエネルギー波を発射する「ファイナルライジングブラスト」をメデューサとマミーに放ち、イクサはその反動で吹き飛ぶ。

 

「「ぐわああああああ!!!?」」

 

そしてファイナルライジングブラストを喰らったメデューサとマミーだったが、どうにか耐えきることが出来た。

 

しかし、イクサが反動を利用し、壁を蹴って再びメデューサとマミーに向かって行き、跳び蹴りを繰り出し、マミーに一度を喰らわせ、イクサはそのまま空中で反転して今度はメデューサに蹴りを喰らわせた。

 

「バカなぁ! 我々レジェンドルガが! ぐあああっ!?」

「うわあああああ!!!?」

 

断末魔をあげながらメデューサとマミーは爆発を起こし、イクサは床に着地すると両手を広げ……。

 

「どうだ!! これが俺の遊び心だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キングの部屋ではキングに成り済ましたアークがたたずんでおり、部屋にディセイド達が入ってきた。

 

「キング! いや、アーク!! お前は俺達が倒す!」

「フン、やってみろ」

 

アークは二世を呼びだすと自身の右手に噛ませ、ダークキバットベルトを出現させ、二世がその止まり木に止まり、アークは「仮面ライダーダークキバ」に変身する。

 

「おい蝙蝠! お前はそいつがキングじゃないことは分かってるだろ? さっさと変身を解除させろ!!」

 

ディセイドが二世に言うが二世は黙ったままで動こうとはしなかった。

 

「無駄だ、こいつは既に俺が洗脳し、操っている」

「そんな……二世!! 目を覚ませ!!」

「無駄だと言っている」

 

ダークキバはヤイバに向かって行き、右手でヤイバの首を掴んで持ち上げると右手から電撃を放ち、ヤイバにダメージを与える。

 

「ぐわあああ!!?」

 

マーメイドがダークキバの後ろから攻撃を仕掛けたがダークキバはすぐさまマーメイドに振り返ってダークキバを投げつける。

 

「きゃあっ!?」

「ぐっ!」

 

ダークキバは薄らと仮面の下で浮かべていると今度はギガントとライガがダークキバに戦いを挑んだ。

 

ライガとギガントは2人同時にダークキバを殴りつけるが、ダークキバは両腕でライガとギガントの拳を受け止めており、2人の腕を払いのけてギガントを蹴りつけ、ライガには廻し蹴りを喰らわせる。

 

「どうした? 複数でかかってもこの俺を倒せないのか?」

 

ダークキバはヤイバ達を挑発するがそこにディセイドがカードを装填し、「スラッシュ」を発動させ切れ味を強化させた「ディセイドスラッシュ」でセイドブッカーをダークキバに振るったがダークキバはセイドブッカーの刃を掴んでディセイドの横腹に2連続で蹴りつけ、最後はディセイドの顔面を殴って殴り飛ばした。

 

「うわあああ!!?」

「こうなれば……龍夜!! アレ、行くぞ!!」

「あぁ! 来い、セイナ、ネーナ!!」

 

ヤイバットに言われ、ヤイバはマーメイドとギガントのフェッスルをヤイバットに噛ませ、吹かせる。

 

『マーメイドロッド! ギガントナックル!』

 

マーメイドとギガントは「マーメイドロッド」「ギガントナックル」に変わり、ヤイバの両手に装備されるとヤイバの右腕はマーメイドフォーム、左腕はギガントフォームの「仮面ライダーヤイバ・マギバフォーム」となった。

 

ヤイバはマーメイドロッドを右手に持ちダークキバに振るうがダークキバにかわされ、続けてライガが右足に電撃エネルギーを纏わせて繰り出す跳び蹴り「アタックキック」をダークキバに放つもダークキバはキバの紋章でライガを拘束し、電撃でライガにダメージを与える。

 

「ぐあああああッ!!?」

「光を離せ!!」

 

ディセイドがセイドブッカーで斬りかかり、ヤイバがギガントナックルでダークキバに殴りかかるがダークキバはキバの紋章をディセイドとヤイバの足元に出現させ拘束し、さらにライガ、ヤイバ、ディセイドの真上にキバの紋章を出現させ、下に降ろして3人のライダーを挟み込み爆発が起き、ライガ、ディセイド、ヤイバは吹き飛ばされ3人は強制的に変身を解除させられ、マーメイドとギガントもセイナとネーナの姿に戻ってしまい、一同は倒れこんでしまう。

 

『うあああっ!!?』

「しかし、分からんなぁ。 俺が折角人間との共存の掟を無くしてやったんだ。 最も俺達レジェンドルガが楽しむ為だが、龍夜、お前もファンガイアなら素直に喜んだらどうだ?」

「断るに決まってるだろ……!! 人間との共存は俺と、キングの夢だ! 何時か、掟なんか無くっても良い世界にする、それが俺達の夢だから!」

「なぜだ? 人間なんぞ守る価値はないだろ?」

 

一方でその頃、唯の家で龍夜達の帰りを待っているライハはヴァイオリンケースからヴァイオリンを取り出し、演奏し始めた。

 

彼女が弾く曲は「Circle of Life」

 

場所を戻し、幸助と光も立ち上がり、ダークキバを睨みつけながら言い放つ。

 

「守る価値が無い? それは違う!! 龍夜さんは人間も、ファンガイアも関係なくみんなを『笑顔』にしたい! だから彼はファンガイアも人間も守るんだ!」

「俺の知っている人で、人間とファンガイアのハーフの男の人がいるんだがな。 最初その男は自分がファンガイアとのハーフだったことを知らなかった」

 

だが、後にファンガイアと人間のハーフであることを知ったその男は「自分が人間とファンガイアと共存するための懸け橋になろう」と考えたが、あることから一時的にファンガイアの血が目覚め、危うく人を襲う所だった。

 

そして自分の中のファンガイアの血を恐れ、誰とも関わろうとしないように生きて行くつもりだった、しかし、母の助言を受け彼は再び戦う決意をし、立ち直った。

 

「これはその男がその際言った言葉だ。 『僕は生きてみたいんだ、人間とかファンガイアとかじゃなくて、僕は……僕として』ってな。 龍夜はその男と同じじゃない、だけど、自分は自分として生きるっていうのはこいつも同じだ! ファンガイアとか関係なく、自分は自分としてこいつは生きる!!」

「貴様ぁ、何者だ?」

「どこからともなくやって来た仮面ライダーだ、覚えるか覚えないかはご自由に」

 

龍夜と彼のアームズモンスター達、そして光は立ち上がり、龍夜は一瞬だけ光に振り返る。

 

「戦ってください、あなたと……キングの夢のために!!」

「あぁ!」

 

光に言われ、龍夜は頷くとヤイバットを龍夜は呼びよせる。

 

「ヤイバット!!」

「おう、行くぞ龍夜!! ガブッ!」

 

ヤイバットは龍夜の右手に噛みつき、「ヤイバットベルト」を出現させ、幸助はディセイドライバーを装着し、光はラルーンを出現させる。

 

「「「変身!!」」」

『カメンライド・ディセイド!』

 

龍夜がヤイバに変身するとセイナとネーナはマーメイドロッドとギガントナックルに変わり、ヤイバは「マギバフォーム」となり、幸助はディセイド、光はライガ・アタックフォームに変身した。

 

挿入歌「Destiny's Play」

 

「いい加減に起きろ、コウモリモドキ!!」

『アタックライド・ブラストスラッシュ!』

 

ドライバーにカードを装填し、セイドブッカーから斬撃を放つ「ブラストスラッシュ」をディセイドはダークキバットベルトの止まり木に狙って放ち、命中し二世が止まり木から落っこちる。

 

「ぐおっ!? お、俺は一体なにを……!?」

「二世!! そいつはもうキングじゃない!!」

「むっ、そう言えばそうだったな、アークとやらにコントロールされていたのか、俺ともあろう者が情けない」

 

二世はすぐさまどこかへと飛んで行き、二世がいなくなったダークキバは変身が強制解除された。

 

「ぐっ、キバの鎧が! だったらキング自身の力を使ってくれる!! うおおおおっ!!」

 

変身が解けたキングは姿を蝙蝠を模したファンガイア「バットファンガイア」となるが、身体の色は本来の赤い色ではなく、黒一色で統一されたレジェンドルガ化したバットファンガイア、「バットレジェンドルガ」となったのだ。

 

「キング、今こそこれを使わせて貰います!」

 

ヤイバはキングがライハに預け、そして彼女から受け取ったフェッスルをヤイバットに噛ませて吹かせる。

 

「ザンバットブレード!」

 

するとこの部屋の壁の一か所が突然穴が空き、そこから「ザンバットソード」という剣に酷似した銀色の剣「ザンバットブレード(ザンバットバット無し)」が現れ、ヤイバの手に渡った。

 

「これは……、この剣は、ザンバットソードと同じくらい強い力を感じる!」

 

ヤイバはザンバットソードを構え、ディセイド、ライガと共にバットレジェンドルガに向かって行き、バットレジェンドルガは両腕から黒い光弾を放つがディセイドは「ディセイドスラッシュ」で、ヤイバはザンバットブレードで光弾を弾き、その光弾はそのままバットレジェンドルガに跳ね返された。

 

「ぐわあああ!!?」

「オリャアア!!」

 

さらにそこにライガが拳に電撃を纏わせたパンチをバットレジェンドルガに叩きこんだが、バットレジェンドルガは平然としてライガを殴り飛ばしたが、壁蹴って右足に電撃を纏わせた跳び蹴り「アタックキック」をバットレジェンドルガに喰らわせる。

 

「ぐっ!」

「どこを見ている!!」

 

ライガに反撃しようとしたバットレジェンドルガだったが、その隙を狙われてヤイバがザンバットブレードを振り下ろし、バットレジェンドルガを斬りつけた。

 

続けてザンバットブレードを左手に持ち、右手にギガントナックルを装備してバットレジェンドルガを殴りつけ、ライガとディセイドは真横からバットレジェンドルガに蹴りを放って蹴り飛ばし、ヤイバはジャンプしてギガントナックルをしまい、今度はマーメイドロッドを取り出し、ザンバットブレードと一緒に振り下ろしてバットレジェンドルガを斬りつけた。

 

「うおおおっ!!?」

 

ヤイバはバットフォームに一度戻ると、背後にディセイドが立ち、3枚のカードを取り出すとヤイバのピンボケしたカードは力を取り戻し、色が戻った。

 

ディセイドは早速その中の1枚をドライバーに装填し、ライガは「まさか……」と冷や汗をかく。

 

「少し、我慢しとけよ?」

「えっ? なにが……? うおっ!?」

 

ヤイバの背中をディセイドが触れるとヤイバが超絶変形し、巨大なザンバットブレード、「ヤイバットブレード」に変形した。

 

「りゅ、龍夜さん!?」

「なにがどうなって……」

 

これにはセイナもネーナも唖然とし、ディセイドはカードをもう1枚ドライバーに装填する。

 

『ファイナルアタックライド・ヤヤヤヤイバ!』

 

ヤイバットブレードの刀身が赤く輝き、ディセイドはバットレジェンドルガに刀身を赤く輝かせたヤイバットブレードを敵に向けて振り下ろす「ディセイドザンバット斬」を炸裂し、バットレジェンドルガは倒れこんだ。

 

「ぐあああっ!!? 完全復活出来なかったのと、自分の身体じゃなかったのが俺の敗因か、だが覚えておけ、俺達レジェンドルガはまた何時の日か……復活する!! ぐあああああッ!!?」

 

バットレジェンドルガはそれだけ言い残し、今度こそ倒れ爆発した。

 

「さよなら、父さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがと、光、幸助、アンタ等の協力でアークを倒すことが出来たよ」

「いえ、そんな。 これからも人とファンガイアのため、自分とキングの夢のために、頑張ってください龍夜さん」

「おう」

 

キャッスルドランから出た光と龍夜はそう話し合い、そしてアークを倒したという連絡を受けたライハや唯も今ここにきていた。

 

「見つけたぞ、俺の女神達!! お前等は世界一、いや、宇宙一美しい女だ! どうだ? 俺と夜のデートなんて……」

 

唯やライハを目にするや否や音也は早速ナンパし始め、ライハは知り合いだから馴れているのか軽く無視し、唯は頬を赤く染めて素直に喜んでいた。

 

「やめとけ音也さん、そいつはある意味妖怪だ、食われるぞ」

「幸助、アンタ後でボコすから覚悟しときないさいよマジで?」

 

ライハは龍夜に自分の持っているヴァイオリンとは別のヴァイオリンを龍夜に渡し、幸助達にお礼としてヴァイオリンを演奏することになり、音也も折角だからとどこからともなくヴァイオリンを取り出して3人で演奏をし始めた。

 

『~♪』

 

演奏が終わり、龍夜達と別れ、奈々や光と一緒に家に戻った幸助達、幸助はこれから光と奈々はどうするのか聞いた所……。

 

「私は、もっともっと沢山の笑顔を守りたいんです、異世界だろうとどこだろうと誰かの笑顔を守りたいんです」

「僕も奈々と同じ、それに色んな世界の人の笑顔を見てみたいですし」

「好きにしろ、だが家賃は払えよ?」

 

そう言う幸助の頭を唯は叩いた。

 

「アンタが言うな! そして勝手に決めるな! 別に良いけど、というかアンタ、後でボコるって言ったわよね? ちょっと来なさい」

「ちょっ、まっ……アアアアアアアアア!!!!?」

 

首根っこを掴まれて外に連れ出され、幸助の悲鳴が聞こえてきたが光も奈々も怖くて耳を塞いでいた。

 

悲鳴が聞こえなくなると、光は奈々の頭を撫で始めた。

 

「な、なんですか急に?」

「うん? いや、僕にとっては本当に奈々は運命の人だなーって?」

「な、なにを言ってるんですかもう////」

 

光は悪戯な笑みを浮かべてクスクス笑っており、丁度そこにボコられた幸助と唯が戻ってきた直後、幸助の持っていた異世界に渡る際に使うカードが輝き、光が収まるとカードには「仮面ライダーライア」に酷似した剣を持つライダー、「セイバー」の絵が描かれていた。

 

「セイバーの世界」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

乃木若葉は勇者である 流星の章 その1

島根県のとある神社、寺の中にて……。

 

黄色い髪の1人の少女「乃木 若葉」。

 

彼女は小学校のクラスメイト達と共に修学旅行に島根まで来ていたのだが、地震が発生した為、彼女はクラスメイト達と共にこの神社へと避難していたのだった。

 

「明日もここなのかな?」

「ついてないよねー。 折角四国から修学旅行で来たのに!」

「トランプでもする?」

「やるやる!」

 

同じクラスの女子生徒達がそんな風に騒いでいるのを見て若葉は他の避難してきた人達の迷惑になるかもしれないので注意すべきかと考えるが……。

 

(……いや、むしろ不安が和らぐならお喋りした方が良い。 しかし、ここには他の方々がいる、騒ぎすぎると迷惑が……!)

 

そんな風に考え込んでいると、先ほどの生徒達が若葉がこちらを睨んで(本人は睨んでるつもりはない)いることに気づく。

 

「乃木さんがこっち睨んでるよ。 怒られるから静かにしてよう」

(えっ……!?)

 

怯えた様子でそう言われた若葉は「誤解だ!」と言おうとするが、彼女は口下手なところがあるのでどう言って良いか分からず、口をパクパクさせるだけで言葉出なかった。

 

そして「睨まれてる」と誤解されたことにショックを受け、自分の頬を両手で添えながら落ち込んでいると……。

 

「わーかーばちゃん!」

 

そこに幼馴染みで親友でもある「上里 ひなた」が現れ、彼女は持っていたスマホで若葉の落ち込んだ写真を撮ったのだ。

 

「落ち込む若葉ちゃんも絵になりますね~。 若葉ちゃん秘蔵画像コレクションがまた増えました!」

「ひ~な~た~! そんなもの集めるな!! 消せ!!」

 

バッとひなたのスマホに手を伸ばす若葉だったが、ひなたはそれをすんなり躱してグイッと一差し指を若葉の額に押しつけて引き離す。

 

「あう!?」

「眉間のしわ、そんな顔してるから怖がられるんです」

 

ひなたはそんな若葉の頬を笑みを浮かべながらツンツンし、それに対して若葉は「見てたのか」と顔を赤くする。

 

「さしずめ今のイメージは『生真面目優等生』『鉄の女』ですね!」

 

ひなたにそう言われてショックを受けたのか、若葉は落ち込んだ表情を浮かべる。

 

そんな彼女を見てひなたは助け船を出そうと思い、若葉の手を引いて先ほどの女子グループの元へと半強制的に連れて行く。

 

「ひ、ひなた!?」

「こんばんわー、私達もお喋りに入れて貰っていいですか? ちなみに、さっきの若葉ちゃんは怒ってたんじゃなくて話しかけ方を悩んでたんですよ♪」

「んっー!」

 

若葉の口を塞ぎ、ひなたが女子生徒達にそう説明すると今の若葉の状態やひなたの説明を聞いてか、女子生徒達は「ぷっ」と笑い出し、若葉への誤解は解けたようだった。

 

「もっと厳しくて怖い人かと思ってた。 なんか、乃木さんのイメージ変わった!」

「これからも仲良くしてあげてくださいね?」

「もちろん、よろしくね乃木さん!」

 

ひなたの助け船のおかげで、こうして若葉はクラスの女子達と打ち解けることができたのだった。

 

「無愛想なのが玉に瑕ですけど、中身はこんなに可愛いんです!」

「か、かわいい!?」

「あはは、照れた乃木さんかわいい~」

 

それから……。

 

若葉とひなたは空気を吸いに外に出ており、若葉は先ほど助け船を出してくれたひなたに「さっきはありがとう」とお礼を述べる。

 

「ひなたがいてくれなかったら同級生から距離を置かれるところだった」

「若葉ちゃんが誤解されるのが嫌だっただけです。 1人で話しかけるのに気後れする時はいつでも手伝えます」

 

そんな風に微笑むひなたの手を若葉は突然ガッチリと両手で掴む。

 

「私はその友情に報いたい!! してほしいことがあったらなんでも言ってくれ!!」

「なんでも……」

 

ひなたは少しだけ考え込んだ後……。

 

「では、私の若葉ちゃん秘蔵画像コレクションを増やすために『コスプレ』とか……しかもこの際だから『過激』な……!」

「えっ、ちょっ、コス!?」

 

こんなひなたを見て若葉は先ほど自分が言ったことを少しだけ後悔するのだった。

 

「後でじっくり決めます!!」

「……そうか」

 

若干ひなたの発言に恐怖を感じつつも彼女は「自分の言ったことに嘘はつきたくない」という想いから「ともかく決まったら聞かせてくれ」とひなたに頼む。

 

「『何事にも報いを』。 それが乃木の生き様だからな」

「もう、真面目なんですから……」

 

そんな若葉にひなたは思わず笑みを零してしまう。

 

「でもクラスの人気者になったらきっと私には構ってくれなくなるんですよね……」

「そんな訳ないだろ!! なにがあってもひなたは1番の友達だ!!」

「フフ、冗談ですよ♪ 若葉ちゃんったら……」

 

その時のことである。

 

突然、地響きが起こり、若葉はまた地震が起こったのかと思ったが揺れはすぐに収まる。

 

そして若葉は地響きが収まると先ほどの振動で尻餅をついてしまったひなたの元へと急いで駆け寄る。

 

「ひなた!! 大丈夫か!? ひなた……?」

「怖い……」

 

突然、そんなことを呟きはじめるひなた。

 

ひなたの様子は見るからにどこかおかしく、彼女は虚ろな目でゆっくりと口を開く。

 

「なにか……凄く、怖いことが……」

 

すると、神社から突如白くて丸い巨大な牙を持った怪物がどこからともなく現れ、神社から悲鳴をあげながら大人の人々が怪物から逃げようと外に走って出て来る。

 

「みんな……!!」

 

それを見て若葉はクラスの女子達を心配し怪物達がいるのにも臆さず神社の中へと怪物達を避けながら入って行くのだが……、そこには代わりに口の周りが血だらけになっている怪物達の姿だけがあり、その内の1体の口からポロリと……。

 

先ほどまで楽しく談笑していたクラスメイトのポシェットが床に落ちた。

 

「あっ……あああああああ!!!!」

 

それを見て彼女達がこの怪物達に喰われ、殺されたことを即座に理解した若葉は怒りのまま折れた神社の柱を持って怪物に振りかざすのだが……柱は怪物に当たった直後にあっさりと粉々に砕かれ、彼女は怪物の体当たりに強く吹き飛ばされてしまう。

 

「うっく……!!?」

 

一瞬、意識が飛びかけるが彼女はその時、まだ神社から逃げ遅れている人達がいるのを発見。

 

(みんな、逃げ……ろ……)

 

なんとかみんなだけでも逃げて欲しいと願う若葉だったが、そこへ、ひなたの声が彼女の耳に届く。

 

「手を伸ばしてください!! そこにある筈です!!」

(……ひなた……。 そこ? なにが……)

 

若葉は言われた通り手を伸ばして何があるのか探して見るとそこには錆びれた刀が置かれており、手に取ると……なんと握ったその直後に彼女の持っていた刀の錆びは消え去ったのだ。

 

「錆が消えていく……。 まるで、生きているようだ……」

「それは祭壇に秘されていた古の神器。 美しく比類なき殺傷力を持つ冥府に由来する一本の刀……生大刀!!」

 

そして若葉は襲いかかってきた怪物をその刀……生大刀を横一線に振るい、真っ二つに切り裂く。

 

「いける! 倒せるぞ、このまま化け物を一掃して……!!」

 

若葉は神社の中にいる怪物達を次々と切り裂き、外にいる怪物達も倒そうと飛び出すのだが……。

 

外にはあの怪物達が空中で1つに合体し、より巨大な3体の怪物へと変化している光景が広がっていた。

 

「合体して、進化してる……!? こんな奴等、どうすれば……!」

「こっちです!!」

 

そこでひなたがこちらに向かって呼びかけていることに気づいた若葉は兎に角彼女の元へと行こうとするのだが、それを邪魔するかのように地面から大きな牙を持つ巨大な10メートルほどのミミズのような怪物が出現し、ミミズの怪物はその口を開き若葉に噛みつこうとしてくる。

 

「くっ!!」

 

身構える若葉だったが、そのミミズは突如空から現れた光の柱に阻まれ、弾かれたのだった。

 

「うっ、眩しい……!?」

 

そしてその光の中から現れたのは……1人の、銀色の巨人だった……。

 

「なんだ、あれは……」

『シュア!!』

 

巨人はミミズと同じく10メートルほどの大きさであり、巨人はミミズに向かって駈け出して行くと左手でミミズを掴みあげ、右拳でミミズを殴りまくる。

 

その後、巨人はミミズを地面から引っこ抜こうとするのだが背後にまた別の巨大ミミズが現れ、ミミズは巨人の肩に噛みつく。

 

『ウグア!!?』

 

悲痛な声をあげる巨人だが、巨人は腕に装着された刃を振るって2体目のミミズの身体を半分に切り裂き、1体目のミミズを地面に叩きつける。

 

『グッ……!』

「味方……なのか?」

 

巨人は先ほど噛まれた肩を手で押さえながら、巨人はひなたの方を指差し、若葉にそこに行くようジェスチャーで伝える。

 

「若葉ちゃん早く!!」

 

巨人の動作とひなたの言葉を受け、若葉はハッとなって急いでひなたの元へと向かう。

 

「私について来てください! 皆さんを安全な道へ誘導します!!」

「安全……?」

 

ひなたの言う通り、一同は彼女の言われた通りの道へと走って行き、なぜそんな保証があるのかは分からないが、確かに彼女の言われた通りの道を進めば進むほど怪物達の攻撃の手は緩み、疑問に思った若葉はひなたになぜそんなことが分かるんだと尋ねる。

 

「なんとなくです。 でも……みんなを死なせたりしません!!」

 

理由としては曖昧なところだが、彼女がハッキリとそう断言するのならば間違いないと若葉はひなたの言葉を信じ、彼女は強く頷く。

 

「分かった! 露払いは任せろ!! 生きたい者は私達について来い!!」

 

だが、そんな彼女達の道を遮るように巨大な獸の影が立ち塞がった。

 

「「「グルアアアアア!!!!!」」」

 

しかし、今度は若葉達の前に巨大なミミズが3体出現し、彼女達の行く手を阻む。

 

「おい、一体何体いるんだこのミミズは……!」

 

だが、1体目のミミズを倒した終えた巨人がが駆けつけてミミズの一体に跳び蹴りを叩き込み、他の2体のミミズを巨人は両腕で掴みあげて動きを封じる。

 

「「グルアアア!!?」」

『シェア!!』

 

それを見て若葉は「今の内だ!!」と声をかけて一同はすぐさまその場から走って離れる。

 

「ひなた、あの巨人は私達の味方なのか……?」

 

そして走っている途中、若葉はひなたがあの巨人について何か知っているのかを尋ねると彼女はゆっくりと首を頷かせた。

 

「はい、どうやらそのようです。 彼の名は……『ウルトラマン』」

 

 

 

 

 

 

「天の神」と呼ばれる存在が生み出した異形の怪物、「バーデックス」

 

それと同じく天の神によって生み出され同時に現れた犬やミミズなどが変異して生まれた怪物、「エレメント」

 

バーデックスとエレメントは人類に突如として現れ世界を壊し、罪のない人々の命を奪っていき、世界は滅びの一途を辿っていた。

 

しかし、「ウルトラマン」と呼ばれる光の巨人が現れ、バーデックスや次々と現れるエレメントに人類と共に対抗した。

 

だが、多勢に無勢、底知らずな相手の戦力差の前にウルトラマンと呼ばれる光の巨人は力尽き、消滅……生死不明となってしまう。

 

これで世界は今度こそ終わりかと思われたが、天の神々に反抗した土着の神々が力を1つにして巨大な大樹……「神樹」となることで四国や長野の一部などを結界となる植物の壁で覆い、バーテックスやエレメントの侵入を防ぐことに成功。

 

またこれによってこれらの地域は完全に外界と絶たれた状態となってしまったが、神樹は資源を供給する源でもある為、これによって人類が絶滅することは無くなったのだった。

 

だが、それはあくまで人類の絶滅が「間逃れた」だけであり、世界が救われた訳ではなかった。

 

結界の外では未だにバーデックスやエレメントが大量に徘徊しており、外の世界はまさに「怪獣無法地帯」と化していたのだ。

 

そしてそんな状況の中、ごくわずかな少女達が彼女……「乃木 若葉」と同じように特殊な力……。

 

神樹……神の力を使う「勇者」へと目覚める者達が現れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーデックスが初めて世界中に現れて3年後。

 

四国、香川県丸亀市に丸亀城にて……。

 

そこでは1人、若葉がそこから見える景色を眺めていた。

 

そこへ彼女の元へひなたがやって来る。

 

彼女は若葉とは違い、勇者はないがそれでも「巫女」という重要な立場に当たる人物であり、「巫女」とは神の声……。

 

つまり、神樹の声を聞くことができる存在であり、3年前、彼女が若葉や他の一般市民をバーデックスから安全な場所に案内することが出来たのも、彼女が神樹の声……「神託」を受け取ったからである。

 

「今日もここに来ていたんですね」

「あぁ……。 バーデックスは友達を、罪の無い人々の命を奪った。 何事にも報いを……私は必ずバーデックスに報いを受けさせる」

 

そう決意を胸にする若葉に、ひなたも「私もついていきます」と答える。

 

するとその時、「おーい!」と若葉を呼ぶ声が聞こえ、若葉とひなたが声のした方へと顔を向けるとそこには手を振る小柄な少女である「土居 球子」と大人しめな雰囲気のある少女「伊予島 杏」。

 

そして寡黙で内向的な少女である「郡 千景」と明るく元気な少女、「高嶋 友奈」が立っていた。

 

「戦闘訓練始まるぞ!」

「すまない、今行く」

 

球子に呼ばれ、若葉は彼女達の元へと向かい、ひなたも「私も巫女の訓練に行きます」と言って2人は別れ、バーデックスや怪獣達に対抗するため、それぞれの訓練を始めるのだった。

 

 




もうお分かりかと思いますが、ULTRAMAN2の要素を一部取り入れています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

乃木若葉は勇者である 流星の章 その2

あれから数日後……。

 

若葉は諏訪を守る勇者、「白鳥 歌野」と定期的に連絡を取り合っており、互いに近況報告を行っていた。

 

『諏訪より白鳥です。 定時の勇者通信を始めます』

 

会話以外で会ったことは無かったが、近況報告を終えた後は「うどんか蕎麦、どちらが優れているか」時には互いの地方にある名物勝負などを行っており、2人は親しい仲ではあった。

 

しかし……。

 

『乃……木さ……聞こ……か?』

 

最近はノイズが酷く、何時まで諏訪との通信ができるか分からない状況であった。

 

『最近多くなって来ましたね。 この通信もいつまで続けられるか……』

 

そんな歌野の言葉に若葉は僅かな不安を覚えるが、それを払拭するように彼女は歌野に「そろそろいつものアレをやらないか?」と提案する。

 

『そうですね、今日こそ雌雄を決しましょう!』

「うどんと蕎麦、どちらが優れているか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(昨日も決着がつかなかった……)

 

翌日……若葉は今はみんなで食堂でうどんを食べに来ていたところだった。

 

「にしてもさー。 毎日毎日訓練訓練、なんでタマ達がこんなことしなくちゃいけないんだろーな」

 

球子が愚痴るようにそう言うのだが、そんな彼女に杏が敵に対抗できるのは勇者だけだからと答えるがそれでも球子にはイマイチ納得できない。

 

「でも普通中学生って言ったら友達と遊びに行ったり、恋……とかしちゃったりさ。 そういう生活をしてるもんじゃん?」

 

そんな球子の言葉に若葉は「今は有事だ」と静かに答える。

 

「だからこそ神樹様を奉っている対バーデックス機関の『大社』が存在し戦う私達のために丸亀城を改築して傍に寮や食堂まで提供してくれている。 授業で何度も聞いているだろう? 私達が人類の矛となって……」

 

球子に若葉は少々厳しめの口調でそう答えるのだが、球子はそんなことは言われなくても分かっている。

 

だが、彼女は……自分達は軍人ではなくまだ中学生なのだ。

 

それだけではなくいずれは自分達は命がけの戦場に出る運命にあるのだから、思うところがない訳じゃないし、球子としてはみんなでそのことについての愚痴の1つや2つを言い合いたかったのだろう。

 

しかし、若葉からの真面目過ぎるとも取れる言葉に球子は苛立ち、立ち上がってつい大声で叫んでしまった。

 

「分かってるよ!! 分かってるけどさぁ!!」

 

だが、球子はすぐに冷静さを取り戻し、申し訳なさそうな表情を浮かべて「ごめん」と謝り、椅子に再び座り込む。

 

そんな時だ。

 

「ご馳走様!! 今日も美味しかった!!」

 

そこでうどんを平らげた友奈だったのだが、彼女は先ほどまでの様子をうどんを食べるのに夢中で見ていなかったのか「どうしたのみんな?」と首を傾げる。

 

そんな友奈に対し、一同は呆れたように「はぁ」と溜め息を吐く。

 

「なんで溜め息!?」

 

それにショックを受ける友奈だったが……。

 

「……大丈夫だよ、みんなで頑張ればなんとかなる! ねっ?」

 

どうやら話を全く聞いていなかった訳では無く、彼女はみんなを励ますようにそう言うのだった。

 

そう自信ありげに笑顔で語る友奈を見て若葉は何か思うところがあったのか、暗い顔を浮かべる。

 

「『仲間に自分の考えを押しつけてしまって、自分はリーダーに相応しくないのかもしれない』って感じの顔してるね?」

 

とそこで現れたのは彼女等の授業などを担当している大社の1人である青年「星川(ほしかわ) 一郎(いちろう)」である。

 

「星川さん……」

「若葉ちゃんは真面目過ぎるんだよ」

 

そんな一郎の言葉に同意するようにひなたも頷く。

 

「そうなんですよ星川さん! 若葉ちゃんったらそこが玉に瑕と言いますが……まぁ、そんな若葉ちゃんも可愛いんですが……」

「うん。 でもさ、多分球子ちゃんが若葉ちゃんに言って欲しかったのはそういうお堅い言葉じゃなくてももっと砕けた言葉なんかじゃないかな?」

 

「そうだろう球子ちゃん?」と一郎が球子に尋ねると球子は戸惑いつつも「お、おう……」と頷く。

 

「そ、そうなのか球子……?」

「ま、まぁ……少しはタマの言葉にも同意してほしかった……って気持ちはある、かな?」

 

それを聞いて若葉は「すまん」と軽く頭を下げ、一郎は「あんまり喧嘩したらダメだよ~」と若葉と球子の頭をポンポンっと軽く叩いた後、食堂のおばちゃんにうどんを注文するのだった。

 

「あの人、ホントに大社の人なのかしらね?」

 

するとそこで千景が疑問に思ったことを口にし、それに「というと?」とひなたが尋ねると千景曰く、他の大社の人達はなんというか……無感情というかそんなイメージがあったのだが……。

 

あの一郎という男はそういう雰囲気が一切なく、それを理由に千景は一郎はホントに大社の人間なのだろうかと疑問に思ったのだ。

 

「まぁ、確かに……大社の中では珍しく結構フレンドリーな人ですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、数日が経つある日のこと……。

 

『ごめ……なさ……通信の……悪くて……』

 

いつものように通信機器で歌野と連絡を取っていた若葉だったが、酷くノイズが入っていた。

 

「何かあったのか?」

『ちょっとしつこいバーデックスを退治した……だけ……。 でもその時……通信機が、壊れて……』

「通信機が……直りそうか?」

 

若葉が歌野に尋ねるが、なにかどうも歌野の様子がおかしいことが若葉には分かった。

 

『……そちらも頑張って……。 きっとなんとななります。 私も……予定よりも……』

「聞こえているか!? 白鳥さん!!? 応えてくれ!!』

『二年も長く……お役目を続けられて……。 乃木さん、後はよろしくお願いします』

 

それを最後に歌野との通信は完全に途切れてしまい、歌野の最後の言葉から若葉は諏訪が墜ちたということを即座に理解した。

 

さらに、次の瞬間彼女の持っていたスマホが突然大きな警報音が鳴り、辺り一帯の時間が止まる。

 

そしてスマホの画面には「樹海化警報」という文字が大きく映し出されていた。

 

すると世界は神樹がこの世界を守る為に作り出し、現実の世界の被害を最小限に抑えるための固有結界「樹海」が出現。

 

「来たか……バーデックス!! エレメント!!」

 

若葉は覚悟を決め、スマホにあるアプリを指で押すと戦闘装束……「勇者服」を彼女は身に纏い、変身を完了させる。

 

(白鳥さん、人類を守るお役目……確かに受け継いだ!! いや、白鳥さんだけじゃない。 ウルトラマンが人類を守ろうとしてくれた意思もだ!!)

 

若葉は生大刀を構えて力強く宣言する。

 

「我ら四国勇者が、丸亀城にて迎え撃つ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、この樹海化した世界は人間は勇者しか入ることができない筈にも関わらず、そんな彼女の様子をこの遠くの方からこっそりとあの一郎という男性が見つめていた。

 

当然、男性は勇者になることができないので彼は勇者ではない……。

 

「さて……先ずは勇者様達のお手並み拝見と行こうかな?」

 

一郎はそう不敵な笑みを浮かべて呟くのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

乃木若葉は勇者である 流星の章 その3

この「樹海」の中で動くことが出来るのはこっそりと若葉の様子を伺っていた一郎を除けば神樹によって選ばれた勇者達のみ。

 

つまり、今この世界にいるのは若葉、珠子、杏、友奈、千景の5人であり、友奈、千景、球子、杏は若葉に合流。

 

「それにしても、これが樹海化か……。 この結界で四国は守られてるんだよな?」

 

全員揃ったことと球子の言葉を聞き、若葉は念のために改めてこの樹海という世界はどういったものなのかを一同に説明する。

 

「だが、忘れないでほしい。 その防御は絶対じゃない。 樹海化は諸刃の剣だ」

 

若葉が言うにはこの樹海はあくまで現実世界での被害を「最小限」に抑えるための手段であり、樹海が過度の損傷を受ければその分だけ現実世界で災害や事故の形でフィードバックされてしまうし、それだけではなく長時間の樹海化で神樹の霊力が枯渇すると霊力による恵みで自給自足している人々が生活できなくなってしまう。

 

ただ基本的にバーデックスやエレメントはこの世界を破壊することが目的ではあるが、樹海を攻撃するようなことはしないらしく、基本的には人間を優先的に襲ってくる。

 

「だからみんなで協力して迅速に敵を打ち倒すんだ」

 

若葉は一同に向かってそう言い放つのだが……。

 

「みんなって……戦えない人もいるんじゃないの?」

 

チラリと千景はこの中でも最も大人しく、最も戦うことを恐れている杏を見ながら言い、そんな千景の発言に杏はビクっと肩を震わせる。

 

「そんな体たらくで戦闘なんて……」

「郡さん! 言い過ぎです!!」

 

そこで若葉に注意され、黙り込む千景。

 

「伊予島も……怖いのは分かるがもうちょっと……」

 

また若葉は杏にも注意するように言うのだが、そんな杏を庇うように球子が前に立つ。

 

「もういいだろう!! 無理強いするなよ!!」

 

その瞬間、若葉は一郎に「真面目が過ぎる」という言葉を思い出し、彼女は「またやってしまった」と思いすぐに「すまない」と謝罪。

 

しかし、そんな彼女に千景からのキツめの言葉が届く。

 

「兵の土気高揚指揮官の努め、リーダーの資質が足りてないのではないかしら?」

 

そんな重い空気を止めるかのように友奈が一言声をかけた。

 

「みんな! 仲良しなのは良いけど、話し合いは後にしようよ!」

「「「はぁ? 仲良し!?」」」

 

友奈の言葉に若葉、千景、球子が驚いたような表情を浮かべ、友奈は「だって喧嘩するほど仲が良いって……」と言うのだが、それを聞いて若葉達は「違う!!」と否定。

 

「で、でもさ! 喧嘩の原因(バーデックス)がそこまで来てる! 喧嘩するならアイツ等だよ!!」

 

その言葉に、若葉達は「確かに友奈の言う通りだ」と一同は納得し、若葉以外の4人は変身するためにスマホを取り出す。

 

「じゃあみんな? 準備はいい? みんなで仲良く勇者になーる!!」

 

そして彼女等は勇者に変身するためのアプリを起動させ、千景、友奈、球子はそれぞれ変身を完了させるのだが……。

 

ただ1人、臆病なところのある杏だけは戦うことへの恐怖心から変身することができないでいた。

 

「ご、ごめんなさい……!」

「気にすんな、タマ達だけで十分だ!!」

 

そんな杏に珠子は自分の胸を叩いてそう強く言い放つ。

 

(やはり、戦う覚悟がないと変身は難しいか……。 だが、戦えない者がいても構わない、リーダーとしてその分も私が戦うだけだ!!)

 

すると若葉は突然千景に「さっきはすいません」と謝罪する。

 

「言葉で示すべきではありませんでした。 だから私は今から……行動で示そうと思います!!」

 

若葉は千景にそう言い放ちながら彼女は先陣を切って迫り来る大量の小型のバーデックス、「星屑」達に突撃し、接近すると彼女は一気に生大刀を振るって切り裂く。

 

「勇者達よ!! 私に続け!!」

 

若葉の言葉に従うように、友奈と球子も戦闘を開始する。

 

友奈は拳で星屑を「天ノ逆手拳」という手甲型武器を装備した拳で貫き、球子は旋刃盤型の武器「神屋楯比売」に刃を展開し、ワイヤーを伸ばして星屑達を切り裂いていく。

 

(しかし、バーデックスはそれなりの数がいるが……エレメントらしき個体は見当たらないな……)

 

若葉はどこかにエレメントらしき怪物がいないか辺りを見回しながら敵を倒して行くのだが、未だにそれらしき個体は見当たらない。

 

そんな時だ、エレメントを探している途中……球子の背後からかつて若葉の前に現れたあのミミズの怪物が地中から出現したのは……。

 

「土井さん!! 後ろだ!! クソ!! まさかまたこいつだとは……!!」

「っ!?」

 

ミミズの怪物は彼女の手から武器が離れる隙を狙い、その大きな口を開けて彼女を飲み込もうとチャンスを地中から伺っていたのだ。

 

ミミズはそのまま一直線に球子を丸呑みにしようと向かって行くのだが……。

 

しかし、その時……ミミズの怪物はどこからか放たれた「金弓箭」と呼ばれる矢が次々に突き刺さり、そこにはクロスボウを持った勇者に変身した杏の姿があるのだった。

 

「タマっち先輩を助けないとって思ったら、変身……できちゃった……」

「あんず……よーし!! タマが前に立つから援護してくれ!!」

「うん!!」

 

照れ臭そうに話す杏だったが、珠子はそれを嬉しく思い、彼女等は共に星屑達に立ち向かう。

 

だが、ミミズの怪物は一体だけではない。

 

地中からはさらに次々と新たなミミズの怪物達が現れ、その数はざっと12体ほどである。

 

「お、おい! 若葉、こいつ等お構いなしに樹海の地面から次々出てきて穴ぼこにしちまってるけど……これ元の世界大丈夫なのか!?」

「くっ、恐らく被害は出ているだろう……! やはりこいつは厄介だな……!! 一体何匹いるんだ!?」

 

しかも、ミミズは基本地面の中にいるのでは迂闊に手を出すことができない。

 

ミミズが明けた穴を通って地中で戦うという手もあるが……それはあまりにもリスクが大きすぎる。

 

その為、若葉はどうやればなるべく樹海を傷つけず、尚且つミミズを全て倒す方法を考える。

 

「兎に角!! 今はこのミミズ共やバーデックスを倒すしかない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……遠く離れた位置で千景は……何も出来ず、動けないでいた。

 

別に敵になにかされた訳ではない、だが……彼女は「恐怖心」故に、動けないでいたのだ。

 

(伊予島さんだって戦っているのに……。 あんなに責めてしまったのに、どうして……どうして身体が動かないの……!)

 

千景は先ほど、臆病な杏に対して「戦えない人もいるんじゃないの?」と嘲笑気味に言ってしまったことを後悔した。

 

今となっては自分の方が恐怖心で動けなくなってしまったのだから当然だろう。

 

そんな彼女を心配してか、千景の元に友奈が駆け寄る。

 

「ぐんちゃん! どうかしたの?」

「高嶋……さん……。 ごめんなさい、私、偉そうなこと言ったのに……なのに……!」

 

友奈は千景がカタカタと身体を震わせていることに気づき、彼女は心配そうな視線を千景に送るが……すぐに笑みを浮かべて左手で千景の右手を握る。

 

「大丈夫だよ! 私が側にいる! 一緒に行こっ!!」

 

そう言いながら友奈は千景の手を握ったまま2人で一緒にジャンプし、真っ直ぐベ巨大ミミズに向かって行く。

 

「た、高嶋さん前に敵!! しかもあんな大きいの……!」

 

するとミミズも友奈達に気づき、牙を向き出しにして襲いかかろうとするのだが……友奈はそれを足を振り上げてミミズの顔を弾き、一度地面に着地してから再びジャンプ。

 

そしてそのまま真っ直ぐ向かって行き、拳をミミズに叩き込む。

 

「勇者パーンチ!!」

「グギャアア!!?」

 

それを喰らってミミズは倒れ込み、さらに続けざまに友奈は星屑の1体もオマケ感覚に拳一発で貫いて倒す。

 

「こんな奴等に私達は負けない! ぐんちゃんも自分の力を信じて!!」

「……っ」

 

友奈の言葉を受け、千景は自信を取り戻し、地面に着地すると同時にそこにいた星屑の1体を「大葉刈」という大鎌で真っ二つに切り裂く。

 

「……私にもできた……」

「その調子!! どんどん行こう!!」

 

友奈に励まされ、笑みを浮かべる千景は「うん」と頷くのだが……その時、千景の目に星屑達やミミズ達と戦っている若葉の姿が映る。

 

「凄いよね若葉ちゃん。 戦闘で敵を引きつけて1番多くの敵と戦ってる。 認めてあげても良いんじゃ無いかな?」

「……そう、だね……」

 

千景は今までどこかしら若葉に反発していた傾向があった。

 

しかし、今の友奈の言葉を受けて彼女は少しだけ、若葉の力を認めようかと思うのだった。

 

「はぁ、はぁ……おい! あの丸っこい奴等はほぼ倒せて来たけど、あのミミズ全然数が減ってねえぞ!?」

 

球子の言うように、若葉達は()()()()1()2()()()()()筈なのに()()()()()()()1()2()()おり、あのミミズ達は最初と全く数を減らしていないのだ。

 

「もしかしたら……」

「どうしたんですか?」

 

そんな彼女の様子に気づいてか、隣に立つ杏が若葉に問いかけると若葉は杏にある1つの可能性を説明する。

 

「私達は今まであのエレメントは1体1体が独立した存在だと思っていたのだが……もしかしたらあのミミズは『身体の一部』なのかもしれない」

「えっ? どういうことですか?」

 

つまり、若葉が言うにはこのミミズ達は独立した怪物ではなく、1体の怪物……つまり、本体があるのではないかと予想したのだ。

 

さらに言えばあのミミズはその本体がある限り再生可能だが、もしかすれば本体を叩けばこのミミズ達を倒せるかもしれないと若葉は考えた。

 

「一理あるわね。 確かに、この手の化け物にはゲームでもありがちね。 あながち間違ってないんじゃないかしら?」

 

ミミズの1体を鎌で真っ二つにしながら千景は少し癪な気持ちもあるが若葉に同意するように頷く。

 

「でも本体って言ってもどうやって……」

 

友奈が疑問を若葉にぶけようとした瞬間、友奈の足下からミミズが地面を突き破って出現し、友奈を軽く吹き飛ばしてしまう。

 

「うわああ~!!?」

「高嶋さん!!」

 

さらに、吹き飛ばされた彼女を喰らおうと別のミミズが空中で無防備になった友奈に喰らいつこうとするのだが……。

 

そのミミズを突如現れた眩い光がミミズを吹き飛ばし、落下する友奈をその光の中から現れた両手がしっかりと受け止める。

 

そして、やがて光は徐々に人型になっていき……、それは生死不明となっていた若葉がかつて見た胸にY字のクリスタルを持つ、「アンファンス」と呼ばれる形態の銀色の巨人……「ウルトラマン」がそこにいたのだ。

 

ウルトラマンはゆっくりと友奈を地面に降ろし、そんな彼女の元に真っ先に千景が駆け寄る。

 

「高嶋さん!! 大丈夫だった!?」

「う、うん……。 それよりも……」

 

友奈は振り返って千景と一緒にウルトラマンを見上げ、またそんな2人と同じように若葉、球子、杏も唖然とした様子でウルトラマンを見上げていた。

 

「生きて……いたのか? ウルトラマン……!」

 

若葉はかつて自分とひなたを助けてくれたウルトラマンが生きていてくれたことを喜び、ウルトラマンは頷くとミミズ達へと振り返り、ウルトラマンは立ち向かっていく。

 

『シェア!!』

 

ウルトラマンはミミズに向かって駈け出し、2体のミミズを両手で捕まえるとそのまま肘にある刃「エルボーエッジ」を振るって切り裂く。

 

しかし、やはり2体倒してもミミズはまた新たに2体のミミズが現れ、ウルトラマンは今度はそのミミズ達に向かって駈け出すのだが……。

 

今度は別のミミズが地面から現れてウルトラマンの足に絡みつき、ウルトラマンは躓いて倒れ込んでしまう。

 

『グアッ!!?』

 

ウルトラマンはすぐさま自分の足に絡みついたミミズを引き千切り、立ち上がるのだがまた新たなミミズが三方向から出現し、ウルトラマンの首、両手を拘束して動きを封じてしまう。

 

『グッ……!!』

「ウルトラマン……!! 危ない!!」

 

そこで杏がクロスボウから矢を放ってウルトラマンの首を締め付けていたミミズを撃ち抜き、また若葉と千景が刀と鎌でそれぞれウルトラマンの両手を拘束しているミミズを切り裂く。

 

「ウルトラマン!! このミミズ共は恐らく独立した生物じゃない!! こいつ等は多分身体の一部、本体が地中にいるんだ!!」

 

若葉のその言葉を聞き、ウルトラマンは頷くと襲いかかって来たミミズ3体を素早く両手で纏めて掴みあげ、一気に引っ張り上げる。

 

「ちょっと!! 地面から本体を引っ張り出すつもり!!?」

「そんなことしたら、地面が抉れて現実世界にも影響が……!?」

 

千景と杏はウルトラマンのその行動を見て現実にも悪影響が及ぶのではないかと危惧するが、ウルトラマンは一瞬動きを止めて2人を見つめながら……まるで「自分を信じろ」とでも言うように頷く。

 

「ここは、彼を信じてみよう」

 

若葉の言葉に杏は「は、はい」と戸惑いつつも頷き、現状引っ張り出すくらいしか敵を倒す打開策はないため、千景も渋々それに承知する。

 

そしてウルトラマンは一気に力を入れてミミズを地中から引っ張り上げると思った通り……地面を抉り、ミミズよりも巨大な……タコのような形をしているが、顔はまるでドラゴンのようにも怪物が現れたのだ。

 

「グルアアアアア!!!!」

 

どうやらあのミミズ達はあのドラゴンのような顔をした怪物の……タコに当たる足の部分らしく、若葉の予想は当たっていたのだ。

 

「やはりな……!!」

 

ドラゴンの顔に、足はミミズのようになっているタコ型のエレメント……「ワームタイプエレメント グリーガス」は地面から引っ張り出されて怒ったのか、12本の触手のミミズを伸ばしながらウルトラマンに攻撃を仕掛け、ウルトラマンはそれらをどうにか弾き飛ばす。

 

しかし、12本同時は多すぎたのか、全てを弾くことはできず、両手両足を拘束されてしまう。

 

「伊予島さん!! 私達が残りのミミズを引きつけるからその隙にあのエレメントの本体を!!」

 

若葉の指示を受け、杏は頷き、若葉、千景、友奈、球子はウルトラマンを拘束しているミミズ以外のグリーガルの足のミミズ達を相手に戦って引きつけ、その間に杏がクロスボウでグリーガルを撃ち抜こうとするのだが……。

 

グリーガルと杏の間に割り込むように、突然進化体の板のようなバーデックス……「キャンサー・バーデックス」が出現し、杏の矢はキャンサーに直撃したが、身体が反射板のようになっているキャンサーには攻撃が効かず、矢は弾かれてしまう。

 

「なら私が!! 勇者ぁ!! パーンチ!!」

 

そこで友奈が跳び上がってキャンサーを殴りつけるが、それでもキャンサーの身体は傷1つつかず、弾かれてしまう。

 

「私の拳も効かない!!?」

「それならばウルトラマンを拘束しているあのミミズを……!!」

 

若葉は先ず先にウルトラマンを拘束しているミミズを刀で切り裂こうとするのだが、それを防ぐようにキャンサーが素早い動きで前に立ち塞がり、若葉の振るった刀も弾いてしまった。

 

「くっ!! 邪魔だな……!!」

 

また、ウルトラマンもどうにか拘束を解こうとするのだが……中々振りほどくことができず、別のグリーガスのミミズがウルトラマンの左の肩に噛みつき、そのショルダー部分を食い千切る。

 

『ウグアアアア!!!!!?』

 

肩から火花を散らし、膝を突くウルトラマン。

 

さらにウルトラマンの胸のY字のクリスタル、「エナジーコア」が心臓の鼓動のような音を立てながら点滅を始める。

 

(マズいな、ここは私が『切り札』を使って……)

 

若葉の言う「切り札」とは神樹に蓄積された無数の概念記録にアクセスして抽出した力を自らに顕現させる力のことであり、若葉はその力を使おうとする。

 

しかし……それよりも速く、グリーガスの本体に向かって友奈が動いた。

 

「1回で効かないなら何百回だって千回だって叩き続ければ良い!!」

「友奈!?」

 

当然、邪魔はさせまえとキャンサーが友奈の前に立つが……。

 

友奈は伊勢の多度大社に伝わる一つ目の神、爆風を具現化した精霊……「一目連」の力を使い、彼女の戦闘力が大幅に上昇。

 

「千回ぃぃ……!! 連続勇者ぁ!! パーンチ!!!!」

 

それによって何発も何十発も何千発も拳をキャンサーに叩き込み、キャンサーの身体は粉々に砕け、そのまま真っ直ぐグリーガスに向かって突き進む。

 

無論、触手のミミズ達は本体を守ろうとするが……友奈はパンチや蹴りでそれらを全て弾き飛ばし、グリーガスの本体に到達するとグリーガス本体にもキャンサーと同じように連続の勇者パンチを叩きこむ。

 

「もういっちょぉ!! 千回ぃぃ……!! 連続勇者ぁ!! パーンチ!!!!」

 

友奈によって顔をボコボコに殴られたグリーガスはそこから大量の火花を散らして吹き飛び、その瞬間ウルトラマンの拘束も解かれる。

 

そして吹き飛ばされたグリーガスだが、やはり若葉の予想通り……本体である顔の傷はミミズとは違って再生はせず、友奈の攻撃を受けてグリーガスは耐えきれず倒れ爆発したのだった。

 

それを友奈はウルトラマンの方へと振り返ってVサインを見せ、それにウルトラマンは「ありがとう」でも言うように頷いた。

 

「友奈のやつ……」

 

また、その様子を見て若葉は苦笑するのだが……。

 

「若葉!! 危ない!!」

 

そこに、生き残っていた星屑の1体が大きな口を開けて彼女に噛みつこうとしていた。

 

だが……。

 

「マズいな。 食えたものではない」

 

若葉はあっさりと星屑を真っ二つに切り裂いた上に、星屑の身体の一部を逆に食い千切ってしまうのだった。

 

「逆にかじりやがった……。 タマ、これからは若葉を怒らせないようにする……」

「私も……」

 

尚、その光景を見て球子と杏は彼女に若干の恐怖を覚えていたとか。

 

これで全ての敵の殲滅は完了、そしてウルトラマンはフラつきながらもなんとか立ち上がり、最後の力を振り絞って両腕を胸の前で交差した後、両手を広げるとそこから光の粒子のようなものを降り注がせる。

 

するとグリーガスによって穴ぼこにされていた地面や、グリーガスが出現した穴が修復される。

 

「おぉ……! 成程、これがあるからウルトラマンはあの怪物を引っ張りだしたんだな!!」

 

そして敵を全て倒し、樹海も修復されたことにより、やがて樹海化は解け……それと同時にウルトラマンもその場から姿を消し去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから戦闘は終了し、彼女達は無事初陣を大勝利で飾ることができたのだったが……。

 

食堂にて……。

 

「若葉ちゃん!! 変なもの(バーデックス)食べちゃダメでしょ!! お腹壊したらどうするんですか!!?」

「む、昔友達を食ったあいつ等に報いを……すまない……」

 

若葉が星屑を食べたという話を聞き、ひなたは彼女に激怒、若葉は申し訳無さそうにひなたに頭を下げて謝っていた。

 

「若葉、ちょっと良いか?」

 

そこでひなたの説教が一通り終わると珠子が若葉に話しかけ、若葉は「なんだ?」と首を傾げる。

 

「戦闘の後にみんなで話し合ったんだ。 今まで大社が勝手に決めてたけどさ……。 これからもみんなのリーダーをお願いしても良いか?」

 

球子のその言葉を聞き、若葉はバッと千景の方に「良いのか!?」と自分がリーダーだったことに最も懐疑的だった千景に視線を向ける。

 

「どうして私を見るの?」

「いや、でも……!」

「高嶋さんもそう言うし、活躍してたし、反論はないわ」

 

照れ臭そうにしつつも、千景も若葉がリーダーということを認め、若葉は「ありがとうございます、郡さん……」と言いかけようとするが……そこで球子が「コラコラ」と一度止めに入る。

 

「さっき決めただろ、やり直し」

「……そうだな」

 

球子に言われ、若葉は一度咳払いした後……。

 

「友奈、ひなた、千景、球子、杏、みんなありがとうこれからもよろしく頼む」

 

若葉は笑顔を向けてみんなにそう声をかけるのだった。




ワームタイプエレメント グリーガス
タコに似た姿をしているが、足は12本あり、顔はドラゴンのようになっており、足に当たる部分は全てミミズのような姿をした怪物。
普段は本体である顔は地中に潜み、地上での戦闘や人間を捕食したりする時は自分の足であるミミズを使って行う。
この足のミミズ達は倒しても倒しても再生するため、まともに戦っても普通に勝ち目はない。
しかし、再生能力があるのは足のミミズだけであり、本体である顔が弱点。
ちなみにとあるモンスター映画に登場する怪物がモチーフ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黒の勇者の成り上がり

そこは「ヴォート・インターナショナル」と呼ばれる企業によって管理されるスーパーヒーロー達が活躍する世界。

 

その世界はヴォートに雇用された200名超のスーパーヒーロー達が存在しており、彼等は各地でのヒーロー活動の他、時には米政府や他国から恐れられる特殊兵器として、さらにまたある時には様々な作品やエンターテインメントに登場するポップアイコンとして活躍していた。

 

その中でも特に人気が高く、実力が認められた7人はヒーロー達のトップとも言えるスーパーヒーローチーム「セブン」への加入が認められるのだ。

 

しかし、そんなヒーロー達を管理するヴォート社であるがその実態はヒーローを利用して巨利を得ることしか考えない私利私欲の塊とも言うべき組織であり、ヴォート社に所属するヒーロー達の殆ども、表沙汰にこそなっていないがとてもヒーローとは呼べない悪行を裏で行っていた者ばかりと言うのが世の真実である。

 

例えば、セブンのメンバーであれば女性を事故とは言えひき殺し、粉々にしたにも関わらず多忙を理由にその恋人の男性や遺族に直接謝りにも来ないどころか、「歯を飲み込んじまった」と裏で話のネタにして笑い話にする世界最速の男こと、「Aトレイン」。

 

セブンに新たに加入した女性ヒーロー、「スターライト」を脅迫し、フ〇ラを強要した七つの海の支配者と呼ばれる男、「ディープ」。

 

透明化して女子トイレや産婦人科を覗くのを趣味としている透明人間、「トランスルーセント」。

 

自分の意に沿わなければ平然と気に入らない相手を殺し、表では「アメリカの象徴」「最高峰のヒーロー」と賞されるセブンのリーダー、「ホームランダー」。

 

中にはアマゾネス風のコスチュームを身に着ける白人女性の「クイーン・メイヴ」や先ほどのスターライトのように善性を失わないヒーローも一部こそいるが、そんな彼等が良くも悪くもスーパーヒーローとして活躍するのが、この世界の日常的風景。

 

そして先ほど紹介しなかったが、セブンのメンバー最後の1人、漆黒のコスチュームに身を包み、無愛想で寡黙で全てが謎に包まれ、ミステリアスな雰囲気を醸し出す男性、・・・・・・「ブラック・ノワール」はというと・・・・・・。

 

(・・・・・・暇だ)

 

ヴォートの命令に従い、現在はテロリストが潜んでいるであろう廃墟を高い崖の上から見下ろしつつ、沈みかける夕日を背に次の命令があるまで、暇を持て余しながらそこで待機していた。

 

(未だに次の命令が来ない。 やることがない。 暇だ)

 

彼のマスクには小型のカメラが装着されており、それを通してヴォート社にリアルタイムで映像が流されている。

 

そのため、今は仕事中にも関わらず下手にスマホゲームなんかでもして暇を潰していたら、間違い無く怒られてしまう。

 

怒られるのは嫌、それにもしもホームランダーの耳にでもそんな情報が入ってしまったら下手をすればほぼ間違い無く面倒なことになる。

 

だから彼はヴォートの命令である「夜中になるまで待機」という命令を忠実に守り、日が完全に沈むのを待っていたのだ。

 

(しかし、確かに俺は転生特典として『ブラック・ノワール』を選びこそしたが、『ザ・ボーイズ』の世界に転生するなんて聞いてない)

 

尚、このブラック・ノワール・・・・・・見た目や能力こそまさに正真正銘、「ザ・ボーイズ」という作品に登場するスーパーヒーロー、「ブラック・ノワール」と同じなのだが、先ほどの台詞からも察することができるように、実は彼、所謂「転生者」と呼ばれる者なのだ。

 

とある事件が切っ掛けで、彼は命を落とすこととなったのだが、その時ラノベなどでよくあるあの世で神と出会い、その時に彼は神からこの「ブラック・ノワール(ドラマ版)のコスチュームと能力」を転生特典として授かったのだ。

 

ちなみに、なぜブラック・ノワールなのかというと、前世の彼はAmazonプライムで配信されていたザ・ボーイズのドラマにドハマりし、その勢いのままに原作コミックスも購入。

 

中でも特にドラマ版の見た目の格好良さなどからブラック・ノワールを気に入り、彼は転生特典として神にブラック・ノワールの力を授かり、この世界へと転生したのだ。

 

最も、どこの世界に転生するかはランダムらしく、神にすらそれは分からなかったらしいが。

 

そしてその結果、なんだか原作とドラマの設定が混ざってる感じこそあるが、彼はまさかの本家本元のザ・ボーイズの世界に転生することとなり、今はこうしてヴォートの為にブラック・ノワールとして働いているという訳なのである。

 

(まぁ、意外とヒーロー活動自体は結構楽しいのだが、いずれは我々に挑んでくる『ザ・ボーイズ』の連中に対処しなくてはな・・・・・・。 楽しんでばかりはいられんな)

 

ただ、意外と彼自身は今の境遇に悲壮感などは特には抱いておらず、彼自身すっかりヴォートの色に染まってしまっているので、彼はむしろ楽しんでヴォートの為に働いていたのだが、1つだけ懸念があるとすれば自分達ヴォートやセブンに楯突いてくる「ザ・ボーイズ」と呼ばれる連中のこと。

 

しかし、そのザ・ボーイズというのが一体なんなのか、どういった者達なのか、それは特に説明せずとも良いだろう。

 

何故なら、彼・・・・・・ブラック・ノワールは・・・・・・。

 

この世界からこれから数十分後に消失するのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『時間だ、ブラック・ノワール。 殲滅しろ』

「・・・・・・」

 

夕日が完全に沈み、空の色が完全なる夜へと変わったことで、ブラック・ノワールはヴォートからの指示を受け取ると、彼は「了解」とでも言うようにコクリと頷き、テロリスト達の潜む廃墟に向かって駈け出して行く。

 

(さぁ、正義を執行するとしようか)

 

ノワールは先ずは木陰に隠れながら見張りのフェンスで作られた入り口に立つ、銃を構えた門番2人を刃先まで黒いナイフを投げ飛ばすことでそれを2人の頭に突き刺して殺害すると、ノワールはフェンスの入り口を飛び越えて敵のアジトへと潜入。

 

内部へと侵入したノワールは誰にも気付かれぬよう、影の中に潜み、近づいて来た女性の背後に回り込むと、女性の首根っこを掴んで勢いよく地面に叩きつけ、両手で上下に彼女の口を掴みあげるとそのまま顔が上下に真っ二つになるように力任せに引き裂く。

 

「あがぁ!?」

 

ノワールは引き裂いた女性の返り血を浴びながら屍となった彼女を投げ捨て、2人並んで一緒にアジトの中を巡回中だったテロリストの男性2人を発見。

 

するとノワールは彼等に気付かれぬようにゆっくりと背後から近づき、彼から見て右側の男性の首を手に持ったナイフで首筋を切断し、息の根を止めると即座に左側にいた男性がノワールの存在に気付き、銃口を向けるのだが・・・・・・。

 

ノワールは目にも止まらぬ速さで男性の懐に飛び込み、彼の腹に拳を叩き込むのだが・・・・・・その拳は男性の腹を貫通し、男性は目を見開き、口から血を吐き出しながら弱々しく地面に倒れ込む。

 

「ぐぅ・・・・・・アァ・・・・・・!? だ、ダァ・・・・・・だァず、ゲ・・・・・・テ・・・・・・!」

 

しかし、腹を貫かれてもまだ息はあったらしく、彼はノワールに必死に手を伸ばしながら助けを乞うが、当然ノワールは聞く耳を持たない。

 

(貴様等悪党に生きる価値なんてあると思っているのか?)

 

だからノワールは男性の頭を足で踏みつけ、少しずつゆっくりと足に力を込めていく。

 

「あ・・・・・・あァ゛!? やめ゛、d」

 

男性の片方の目玉が飛び出し、歯がポップコーンのようにポンポン弾けても、鼻の形が変形しようとも、ブラック・ノワールはその足を決して退かさず、最後には思いっきり力を込めて「グシャ!」と彼は男性の頭を完全に踏み潰し、グチャグチャとなった脳天が地面に転がると、それを見たノワールは「フッ」と小さく鼻で笑うのだった。

 

(中々に今のは面白かった。 面白い命乞いをする奴だった)

 

その後も、ブラック・ノワールは次々とテロリスト達を殺害して殲滅していき、時には相手の口の中に手を突っ込んで胃腸を取り出し、それを使って他の相手の首を背後から締め上げて窒息死させ、余裕があれば先ほど足で踏み潰した男性のようになるべく苦痛と死の恐怖を与えた末に息の根を止め、次々とテロリスト達を葬っていく。

 

しかし、その光景はまるで・・・・・・たった1人によるテロリスト達の大量虐殺とも呼べるものだった。

 

(任務・・・・・・完了・・・・・・)

 

最後にテロリスト達のリーダーを始末すると、ブラック・ノワールはマスクの内側にある、耳につけたインカムを操作してテロリスト達の殲滅を完了したことを伝えようとしたのだが・・・・・・。

 

しかし、次の瞬間、突如としてブラック・ノワールの視界が真っ白になり、気付けば彼は・・・・・・先ほどまでとは違う、見知らぬ場所に立っていたのだった。

 

(・・・・・・はっ? なんだ? 何が起きた!? どこだここは?)

 

 

 

 

 

「おぉ、やったぞ成功だ! 勇者様方、どうかこの世界をお救いください!」

(いきなりなんだ。 なんだこいつ等は・・・・・・?)

 

目の前にはローブを着た数人の男女が祈りを捧げるかのようなポーズで立っており、中央に立つローブを着た男性の言葉に対し、ブラック・ノワールは「はっ?」とでも言いたげに首を傾げる。

 

その際彼の後ろの方から「はっ?」と言う複数人の声が聞こえてきた為、ノワールは声のした方へと顔を向けるとそこには髪がぼさっとした盾を持った青年、黒髪の剣を持った少年、弓矢を持った薄い緑色の髪の青年、槍を持った金髪でロングポニーテールの青年が立っていた。

 

見たところ、彼等もまたノワール同様にどうして自分達がこんなところにいるのか理解できていないのか、困惑しているようで、それを瞬時に理解したノワールは万が一にも彼等に危険が及ばないようにする為にも、彼等を守るようにローブの男達の前に立ち塞がる。

 

「あっ? なんだこの妙な格好した奴は?」

「全身真っ黒・・・・・・」

「コスプレ・・・・・・?」

「バ、バットマン・・・・・・?」

(誰がバットマンじゃい! 確かにコウモリの耳とマントつければ殆どバットマンに見えなくもない気もするが! そもそもバットマンモドキなのはセックス依存症のテックナイトの方だ!)

 

ノワールの存在に気付いた青年達はそれぞれが彼の見た目に抱いた感想を口にし、バットマン呼ばわりされたことが少々気に入らなかったノワールは決して自分がバットマンではないことを教える為に、どこからか名刺を取り出し、それを自分をバットマン呼ばわりした盾を持つ青年に丁寧にお辞儀をしながら手渡す。

 

「名刺・・・・・・? えっと、、『ヴォート社 セブン所属 ブラック・ノワール』? ヴォート社? セブン? なんだそれ?」

 

盾の青年の問いかけに対し、ブラック・ノワールはコクコクと無言で頷く。

 

「というか、これ本名じゃないですよね? しかもブラック・ノワールって・・・・・・日本語に略すと『黒黒』じゃないですか」

(本名だよ! 人の名前バカにすんな! それにノワールブラックシュバルツとか名乗る奴よりはマシだろ!)

 

弓の青年の言葉に、ノワールは心の中でそう反論するのだが、「まぁ、初見ならこの反応は当然か」と考え、特に怒るようなことはせず、ノワールは「取りあえず話を続けろ」とでも言うようにジェスチャーしながらローブを着た男達に話しの続きをするように促す。

 

「勇者様、どうかこの世界をお救いください!」

 

するとそこで、ローブの男が再び、ブラック・ノワール達に声をかけてこの世界を救ってくれと懇願してきたのだ。

 

「それは、どういう意味ですか?」

「色々と込み入った事情がありますが、古の儀式により、あなた方伝説の四聖勇者を召喚させて頂きました」

 

弓を持った青年が問いかけると、司祭と思われるローブの男は詳しい説明は後ほどするとして、先ずは基本的な情報をノワール達に説明し、分かりやすく言えば彼等は自分達の世界を救って貰うために「四聖勇者」と呼ばれる伝説の勇者達を召喚したらしい。

 

(1人多くね・・・・・・?)

 

ノワールの言う通り、彼等が召喚したのは「四聖勇者」と呼ばれる存在であり、四聖と言うからには勇者は4人の筈なのだ。

 

しかし、今ここにいる召喚された勇者と思われる者達はノワール自身を含めて5人いる。

 

これは一体どういうことなのだろうかと思い、「5人いますけど?」と書かれたプラカードをどこからか取り出し、彼は司祭に問いかけた。

 

((((あのプラカードどこから出したんだ!?))))

 

盾を持つ青年達は、ノワールがどこにそんなプラカードを仕舞う場所があったのだろうかと頭に疑問符を浮かべたが、司祭は確かに勇者が5人いることに疑問を感じ、「確かに、何故か5人いますね・・・・・・」と首を傾げる。

 

「伝説では勇者は剣、弓、槍、盾を持つ4人の勇者とされていたのですが、あなたは一体・・・・・・なんの勇者なのでしょうか?」

(知らん、そんなのは俺の管轄外だ)

 

他の4人と違い、ノワールは自前のナイフ以外武器らしい武器は持っていない。

 

強いて他に武器があるとすれば、この自分の手に持っているプラカードで相手を撲殺するぐらいだが・・・・・・それぐらいしか無いので、ノワール自身にも自分がなんの勇者なのかは分からなかった。

 

「まぁ、仕方がありません。 その辺りの話はまた我等が王に会った時にさせて頂きます。 それよりも、この世界は今、滅亡の危機に立たされているのです。 勇者様方、どうかお力をお貸し下さい!」

 

司祭は神に祈るかのように両手を合わせ、ノワール達にこの世界を救ってくれと懇願し、そんな彼等の姿を見てノワールは顎に手を乗せ、「ふむ」と少しばかり考え込む。

 

(どうやらここは俺が先ほどまでいた世界とは違うようだな。 まさか異世界転生した身で、今度は異世界転移に巻き込まれるとはな。 いや、確かにアメコミは大体みんな最終的に元の世界に帰って来るとは言え、異世界転移なんて日常茶万事だが・・・・・・)

 

ノワールは状況的に考えて自分は盾の青年達と共に異世界に彼等によって「勇者」として召喚されたのだろうと冷静に分析し、先ずは何はともあれ情報収集が必要だと判断し、彼等から情報を得る為にも話だけならば聞いても良いだろうと考える。

 

(何よりも、彼等の言う『滅亡』とやらの話が本当ならばそれこそ、私のようなヒーローの出番だろうしな)

「まぁ、話だけなら・・・・・・」

 

司祭の話を聞いて、盾を持った青年もノワールと大体同じ考えなのか、話ぐらいなら聞いても良いだろうと思い、ノワールも盾の青年に同意するようにコクコクと頷き、サムズアップして「良いよ!」と司祭達に伝えるのだが・・・・・・。

 

「断る」

「えっ」

「・・・・・・」

 

しかし、剣を持った青年は司祭の頼みを一蹴し、それに続くように槍の青年や弓の青年も剣の少年に同意するように頷く。

 

「そうですね」

「元の世界には帰してくれるのか? 話はそれからだ」

「強制的に呼びつけた罪悪感はお前等にはないのか?」

 

剣を司祭達に突きつけながら、ブラック・ノワールと盾以外の青年達は司祭達に対して威嚇的な態度を取り、ノワールはそんな3人に呆れて小さく溜め息を吐き、頭を抱えるのだった。

 

「仮に平和になったらポイッと元の世界に戻されてはタダ働きですしね」

「こっちの意思をどれだけ汲み取ってくれるんだ? 話によっちゃ、俺達がお前等の敵に回るかもしれないぜ?」

(確かに彼等の言い分も理解できないこともないが・・・・・・。 今は右も左も分からない状況なんだぞ? 先ずはこの世界での情報を得るのが最優先だろうに)

 

剣の青年達が文句を垂れたくなる気持ちも分かるものの、幾ら何でも今の状況で強気に出てどうするとノワールは両手で「まぁまぁ、落ち着け」とでも言うように3人を宥める。

 

「ま、先ずは我が国『メルロマルク』の王に拝謁して頂きたい。 報奨金の交渉はそれからでお願い致します・・・・・・」

 

司祭は戸惑いつつもノワール達には報酬の交渉をするにしても先ずは王と会ってからして頂きたいと言われ、喧嘩腰だった3人はここでこの司祭と話していても、展開は前には進まないと判断した為、彼等は渋々納得し、司祭の案内されるまま一同は王のいる場所へと案内されるのだった。

 

「しょうがないな」

「考える余地はありそうですね」

「まあ、どいつが相手でも話は変わらねえけどな」

(なんでこいつ等こんな上から目線なんだ?)

 

 

 

 

 

 

その後、5人は司祭達の案内で謁見の間の玉座に腰掛けるこの国の王と思われる老人の前に連れて来られた。

 

「ほう、こやつ等が古から伝わる四聖勇者か・・・・・・。 むっ? しかし、勇者が1人多い上に1人だけ珍妙な格好をしているようだが・・・・・・まあよい。 ワシがメルロマルクの王、『オルトクレイ=メルロマルク32世』だ。 勇者達よ、それぞれの名を聞こう」

(珍妙ってなんだ!? かっこいいだろうがこのコスチューム! しかし、なんだか胡散臭い感じのジジイだな)

 

ノワールはこの国の王と名乗る老人、「オルトクレイ=メルロマルク32世」から胡散臭さを感じ取るものの、取りあえず今は情報が得るのが先決だと考え、今は何も言わずに黙っておくことにする。

 

「天木 錬、年齢は16歳。 高校生」

 

最初に剣を持った青年、「天木 錬」が名乗ると今度は槍を持った青年「北村 元康」がオルトクレイの前で名を名乗る。

 

「俺は北村 元康。 21歳、大学生だ」

 

それに続くように、今度は弓を持った青年「川澄 樹」が自ずからの名を名乗る。

 

「次は僕ですね。 川澄 樹。 17歳、高校生です」

 

それからブラック・ノワールがプラカードを取り出し、それを使って自己紹介を行う。

 

『私の名はブラック・ノワール。 年齢は数えてないから知らん。 ヴォート社という会社のセブンと呼ばれるチームに所属している』

「最後に俺だな。 俺は・・・・・・」

 

ノワールが自分の自己紹介を終えると、最後に盾を持った青年がオルトクレイに自分の名を名乗ろうとするのだが・・・・・・。

 

「ふむ。 レンにモトヤスにイツキ、そしてブラック・ノワールか・・・・・・」

「えっ、あの! 王様! 俺を忘れてる!」

「うん? おぉ、すまんな」

 

しかし、オルトクレイは盾の青年の存在を忘れ、彼はそのことについて謝罪をするのだが、ノワールはどうにも今のオルトクレイの行動に不信感を抱かずにはいられなかった。

 

(存在を忘れていたというよりも、今のは・・・・・・完全に無視していたような・・・・・・。 ワザとらしいな。 盾の彼が無礼な態度を取っている様子も無かったし)

「『王様』だなんてダメですよ、敬意を払わないと」

 

そんな盾の青年に対し、樹が相手はこの国の王なんだから気安く呼ぶのはダメだろうと注意するのだが、正直ノワールからすると「お前等よりはマシだろ」と心の中でツッコまずにはいられなかった。

 

「じゃあ、『陛下』とか? 堅苦しくねえ?」

「んん。 王様で良い」

 

咳払いをしつつ、オルトクレイが盾の青年にそう言うと、盾の青年は「まあ、なんでもいいや」と言って改めて自己紹介を行う。

 

「俺の名前は『岩谷 尚文』。 大学生だ」

「・・・・・・さて、先ずは事情を説明せねばなるまい」

「スルーかよ」

 

盾を持つ青年、「岩谷 尚文」はオルトクレイの自分に対する態度に少々腹正しさを感じはしたが、ここで文句を言っても仕方が無いので尚文は黙ってそのままオルトクレイの話を聞くこととなり、彼が言うにはこの世界には「終末の予言」というものがあり、それによると世界を破滅へと導く「波」と呼ばれる現象が幾重にもなって訪れる、波が振りまく厄災を撥ねのけなければ世界は滅んでしまうのだという。

 

尚、尚文達が召喚される前に第一波がこの国を襲った襲ったそうなのだが、その時は自国の騎士と冒険者達とでなんとか最初の波を退けることに成功したらしい。

 

だが、オルトクレイが言うには第二、第三の波はさらに強力なものとなることが予測されており、第2波まで既に一ヶ月を切っているのだそうだ。

 

ちなみに、各国には「龍刻の砂時計」という道具が古くから存在し、それで波が来るタイミングなどが分かるらしく、波が押し寄せなくなるまでその砂時計は砂を落とし続けるとのこと。

 

「わしらは波というものを甘く見ておった。 だが実際に目の当たりにして思い知ったのだ。 あれは四聖の勇者達だけが対抗できうるものだと。 そして伝承に従いお前達を召喚した」

 

第二、第三の波の規模を予想すると、とてもこの国・・・・・・否、この世界の人間だけで波に対抗することは困難だそうで、その為にオルトクレイは伝承に倣って四聖勇者なる者達をそれぞれ召喚したのだということを彼は尚文達に説明をしてくれた。

 

「もはや一刻も猶予もないのだ・・・・・・!」

 

両手に力を込めながら、オルトクレイが波の脅威を勇者として呼ばれた5人に伝えると、ノワールは「成程な」とでも言うように両腕を組みながら自分達が呼ばれた理由について納得する。

 

(つまり、波に対抗できる、ヒーローが必要なのだな? 救いを求める手があるのならば、それを掴むのがヒーローだ。 俺はやっても構わない)

 

ノワールとしてはこの世界の人々がその「波」の呼ばれるものの脅威に晒されているのならば、ヒーローとして手を差し伸べない訳にはいかない。

 

そのため、ノワールはオルトクレイの頼みを快く引き受けるつもりだった。

 

「話は分かった。 で、召喚されてまさか無報酬って訳じゃないよな?」

 

しかし、錬、元康、樹はノワールとは違い、あっさりと引き受けようとは思っていなかったようで・・・・・・。

 

「勿論、波を見事退けた暁には十分な報酬を差し上げます」

 

そんな錬の報酬についての問いかけに、オルトクレイの隣に立つ大臣らしき男性が応えると、彼は錬達にそれに見合った報酬を約束するのだった。

 

「へぇ。 まあ、約束してくれるなら良いけどな」

「敵にならない限りは協力してやる。 だが、飼い慣らせると思うなよ?」

「ですね、甘く見て貰っては困ります」

 

元康、錬、樹がそれぞれ言い放つと、尚文とノワールの2人は「常に上から目線だなこいつ等」と思わずにはいられなかった。

 

「話はついたな。 では勇者達よ、おのおののステータスを確認するのだ」

「えっ、ステータスってなに?」

 

オルトクレイのその言葉に尚文も樹も、元康もノワールも「ステータス」とは一体なんのことなのだろうかと思い、首を傾げていると・・・・・・。

 

「なんだお前等? この世界に来て真っ先に気付くことだろ」

(知るか。 なんだその情報通ですって顔は?)

 

錬だけはオルトクレイが一体なんのことを言っているのか理解していたようで、錬が言うには自分達の視界の端にアイコンのようなものがあるらしく、それに意識を集中するように言われると、アイコンが拡大され、オルトクレイの言う、自分達の現在の「ステータス」と呼ばれるものが表示される。

 

「・・・・・・」

 

ブラック・ノワール

黒の勇者

レベル 計測不能

装備 コンパウンドV

スキル 言語理解 鋼鉄の肉体と超人的超怪力

 

(なんだ、これは?)

 

ブラック・ノワールは自分のステータスに書かれた文字を読んで思わず固まってしまい、色々とツッコミどころがある自身のステータスに驚愕するのだった。

 

(黒の勇者ってなんだ!? まるで意味が分からんぞ! なんで俺のレベルは計測不能なんだ!? コンパウンドVが俺の装備ってどういうことだ!? あと、言語理解以外の俺の能力前いた世界と特に変わらないし!)

 

どうやら、ノワールのステータスは要するに前いた世界と特に変わらないようであり、彼は他のみんなも自分と同じような感じなのかと尚文達の話に耳を傾けてみると・・・・・・。

 

「レベル1、ですか。 これは不安ですね?」

「そうだなぁ。 これじゃ戦えるかどうか分からねえな」

 

樹や元康が話しているのを聞いてみたところ、どうも彼等は自分とは違い「計測不能」なんていうレベルは出ていないらしく、普通にレベル1からのスタートだったようだ。

 

(俺の身体に流れている、『コンパウンドV』の影響か?)

 

ブラック・ノワールの語る「コンパウンドV」とは所謂、スーパーヒーローを作り出すため彼の勤めるヒーロー達を管理する会社、ヴォートが作り上げた「薬物」であり、それを人に使用することで、彼等はスーパーパワーの持つ超人達を生み出し、人工的にスーパーヒーローを作っているのだ。

 

そしてこのブラック・ノワール、彼自身の身体にもまた、コンパウンドVの投与が施されており、コンパウンドVの液体が自分の血と一体となっていることから彼は恐らく、コンパウンドVがそういった意味で自分の装備品扱いになっているのだろうと予想を立てた。

 

「っていうか、なんだこれ?」

「ステータス魔法という勇者のみが使える能力です」

 

そこで尚文が自分のステータス画面を見つめながら、これがなんなのかと首を傾げていると、大臣がその疑問に応えるように口を開き、ステータスについてのことを軽く説明してくれた。

 

「ノワール殿も、そのステータスを確認すれば己がなんの勇者かも分かるであろう」

 

オルトクレイの言う通り、確かにステータスを確認したところ自分は「黒の勇者」と書かれていた。

 

しかし、なんだかこの胡散臭いおっさん達に自分の情報を開示するのは嫌だなと、そう思いノワールはスーツに仕込んであったナイフを取り出し、それをオルトクレイ達に見せつける。

 

「・・・・・・」

「もしや、『ナイフの勇者』・・・・・・ということですかな?」

「・・・・・・(コクリ」

 

大臣の問いかけに、ノワールは頷き、大臣とオルトクレイは何やらヒソヒソ話を始めるが、ノワールは特に気には留めなかった。

 

「やはり伝承にはそのような勇者はいなかったようだが・・・・・・まあよい」

「それで、俺達はこれからどうすればいいんだ?」

「これから冒険の旅に出て、所持された伝説の武器を育てて強化して頂きます」

 

今度は錬の問いかけに大臣が質問に応え、大臣の解答を聞いた尚文は勇者として召喚されたぐらいだから、チート能力があるのではないかと期待したのだが、流石に最初から強くてニューゲーム状態という訳にはいかないことに「最初から強い訳じゃないのか」と少しばかりガッカリするのだった。

 

「っていうか、俺のは武器ですらねえし・・・・・・」

「・・・・・・」

 

そんな風に少しばかり残念そうにする尚文に対し、ノワールが励ますように彼の肩をポンッと軽く叩くのだった。

 

(その、なんかすまん・・・・・・。 俺だけは最初から強くてニューゲームらしい)

「まっ、使い物になるまで他の武器とか使えばいいんじゃね?」

「そこはのちのち片付けていけば良いだろう。 兎に角、俺達は自分磨きをするべきだ」

「ひたすらレベル上げですね・・・・・・」

 

元康は盾が使い物になるまで他の武器を使っていけば良いと尚文に提案し、錬や樹もそこは後々考えるとして先ずは兎に角ひたすらに自分達自身を鍛えて行くのが先決だと話し、なら尚文はこの5人でパーティーを組んでレベルを上げしていこうと言うのだが、そこで大臣が待ったをかける。

 

「じゃあ、俺達5人でパーティーを結成すれば・・・・・・」

「お待ち下さい勇者様! 勇者様方は、別々に仲間を募り、冒険に出ることになります」

 

なんでも大臣が言うには言い伝えでは彼等勇者の持つ伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っているらしく、共に行動すると互いの成長を阻害すると言われているのだという。

 

そのため、パーティーを組むことは出来ず、そのためオルトクレイは勇者達と共に一緒に戦う仲間を明日までには募っておくとノワール達に伝えるのだった。

 

「日も傾いて来ておる。 今日はゆっくり休み、明日旅立つがよかろう 勇者の仲間はこちらで逸材を用意しておく」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ノワール、尚文、元康、錬、樹の5人は城の者が案内してくれた来賓室で今日はみんなで休むこととなり、現在は全員食事を済ませ、雑談をしているところだった。

 

「なあ、これってゲームみたいだよな」

 

部屋のソファで腰掛けながら自分のステータスを見ていると、不意に尚文は思ったこと口にする。

 

「っていうかゲームじゃね? 『エメラルドオンライン』そっくりじゃねえか?」

「えっ? なんだ、そのゲーム?」

「はあ? 超有名だろう?」

 

尚文の言葉に対し、そう返す元康だったが、超有名だったと言われても尚文は特にそんな名前のゲームなど聞いたことがなく、すると今度は横から樹が口を挟み、これは元康の言うそんな名前のゲームではないとのことだった。

 

「何を言っているんですか? ネットゲームなどではなく、コンシューマーゲームの世界ですよ。 『ディメンションウェーブ』っていう」

「違うだろ、VRMMOだ。 『ブレイブスターオンライン』とほぼ同じと言っていい」

 

しかし、今度は錬がこれはそんな名前のゲームではないと言いだし、一同は妙に自分達の話が噛み合わないことに違和感を覚え、元康は座っていた椅子から立ち上がってノワールにもゲームの話題を振る為、彼のいる方へと視線を向けるのだが・・・・・・。

 

「ってなにしてんだアンタ!?」

 

そこでは部屋の隅っこの方で一体どこで用意したのか床に一畳の茣蓙をひき、背後には障子の扉を立たせ、茶道に勤しむブラック・ノワールの姿があり、尚文達はそんな彼の姿に驚愕せずにはいられなかった。

 

(・・・・・・ふぅ。 落ち着く)

 

ズズズとお茶にストローを挿してマスクを被ったまま飲みながら、心を落ち着かせるノワール。

 

「いや落ち着ついてんじゃねえよ!? ツッコミどころありすぎんだろうが!? その畳と障子どっから用意したんだよ!? なに!? もしかして四次元ポケットでも持ってんの!? あと、なんでお茶飲む時はストローなんだよ!? そこまで本格的ならマスク外して最後までちゃんと普通に飲めよ!!?」

 

こんなカオスな状況にも関わらず、リラックスしているノワールの姿を見てすかさず元康がツッコミを入れて行くのだが、ノワールは特に意に返すようなことはせず、ただプラカードを掲げてそこに書かれた文字を元康に見せる。

 

『細かいこと気にするな、将来ハゲてしまうぞ?』

「ハゲねえよ! だってこれは細かいことじゃねえから!」

 

ノワールの奇行に頭を抱えながら、兎に角色々と情報を整理するためにもノワールを手招きして呼び寄せると、先ずは念のために一般常識の確認を行うことに。

 

「念のため、一般常識の確認だ。 千円札に描かれてる人は? せーの!」

「「「「湯田正人/谷和原剛太郎/小高縁一/谷原源剛太郎!! 誰!?」」」」

『俺は日本人じゃないからよくは知らん』

 

その後も去年の流行語大量や好きな声優など有名なサイトの名前やネット用語、有名ゲームの名前をお互いに尋ねあったが、どれも一致するものはなく、どうにも自分達はそれぞれ別々の日本から来たであろうことが予想された。

 

前世は日本人だが、現在はアメリカ人のノワールを除いて。

 

(ふむ。 私を知らない時点で薄々感じてはいたが、ホームランダーやクイーン・メイヴのような有名なヒーローの名前や世界中で話題になった、『テックナイト、隕石の穴にファックして世界を救う』というニュースも知らないようだったしな・・・・・・)

 

当然、テックナイトの事件のことを話した際、ノワールは尚文達から「なんだその事件!?」と盛大にツッコまれたが、彼の世界では実際に起こったことなのだから仕方がない。

 

「ハァ、どうやら僕達は別々の日本から来たようですね」

「そのようだ。 同じとは到底思えない」

『私はアメリカだがな』

「時代が違うだけかと思ったが、ここまで一致しないなんてなぁ」

 

樹、錬はこれまでお互いに知っている一般常識などについて全員で話し合った結果、全員がそれぞれ別々の世界から来ているのだろうと予想し、元康は時代が違うだけの可能性についても考慮したが、ここまで話が噛み合わないとなるとやはり全員別の世界からきたというのが色々と辻褄が合うだろう。

 

「っていうか、俺とノワール以外はみんなこの世界とそっくりなゲームやってたのかよ。 なんで俺達だけ知らないんだろう?」

 

ソファに腰かけながら、なぜ自分とノワールだけがこの世界について知らないのだろうかと頭に疑問符を浮かべていると、急に元康、錬、樹の3人が一斉に視線を意味深気に視線を向け、それに気付いた尚文は急にこちらを見つめて来る3人に戸惑う。

 

「えっ、なんだよ?」

「あっ、いえ、やっぱり盾だからかなーって」

「あっ、そう思う?」

「まあ、当然だろう」

 

樹、元康、錬の反応を見て尚文は「えっ、盾ってなんかダメなの!?」と彼等の態度から不安を覚え、そんな尚文を見て錬や樹と同じくこの世界そっくりのゲームをやっていたという元康が尚文に盾の勇者について自分の知っていることを話し、説明する。

 

「よし、元康お兄さんが常識の範囲内で教えてあげよう。 俺が知る限り、シールダー・・・・・・盾がメインの職業な?」

「うん?」

「高レベルは全然いない、負け組の職業だ」

「えっ? ノオー!!?」

 

尚文は、元康から盾についての話を聞くと、彼は頭を抱えながら悲痛な叫び声を上げるのだった。

 

「お前等の方は!?」

 

念のため、錬や樹のやっていたゲームは盾はどういった扱いなのだろうかと僅かな希望を抱いて2人に尋ねるのだが、どちらも元康と同じく扱いの悪い職業だったらしく、それを受けて尚文はショックのあまりソファに倒れ込んでしまうのだった。

 

(俺の世界には、ソルジャー・ボーイのように盾1つで戦うヒーローがいるんだが、彼がこの場にいれば尚文に色々とアドバイスできたかもしれんな。 元ネタのキャプテン・アメリカと比べるとヘタレだけどな、アイツ)

 

ノワールは自分の世界にいた自分と同じヴォートに所属している知り合いのヒーローのことを思い出しながら、尚文を励ますように彼の肩をポンポンと軽く叩くのだった。

 

『ちなみに君たちの世界のゲームでは俺と同じような5人目の勇者に当たる存在はいるのか?』

「あー、いや、俺の世界にはアンタと同じ職業に当たる奴はいなかったかな」

「俺の世界にもだ」

「僕も・・・・・・」

 

ノワールはプラカードを出しながら元康達に自分と同じようなポジションの職業などはあるのだろうかと尋ねるのだが、彼自身「ナイフの勇者」と偽ってこそいるが、それでもやはり彼と同じようなポジションのようなものは存在せず、3人が言うには基本的に盾、剣、槍、弓しかやはり無いとのことだった。

 

(ハァ・・・・・・。 まあいい、俺が弱いなら仲間に頼れば良いじゃないか。 中には、女の子だっているかもしれない)

 

またソファに寝転びながら、落ち込んでいた尚文はそう考えることで気持ちを切り替え、起き上がると彼はベランダに出て夜の街中を見つめる。

 

(盾的には敵の攻撃を防いで仲間を守る感じか。 元の世界では縁が無かったが、ここなら出会いだってあるかも。 へへ、大丈夫! 折角の異世界なんだ。 俺が弱くてもどうにかなるさ!)

 

気持ちを切り替えた尚文は、両手の拳を握りしめて決意を新たにすると、彼は気合いを入れるためにも大声で外に向かって叫ぶ。

 

「よーし!! 頑張るぞー!!」

「そ、そうだな。 明日は冒険の始まりだ。 部屋に戻って今日はさっさと寝ちまおうぜ」

 

急に叫んだ尚文に元康達は驚いたものの、彼の気持ちを汲んでか特に注意するようなことは言わず、元康は明日に備え、今日はもう寝ようと全員に提案するのだった。

 

(そうだよ! 明日からは俺の大冒険が始まるんだ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌朝、ノワール、尚文、錬、樹、錬の5人は再び王のいる謁見の魔に訪れ、そこではオルトクレイが勇者の仲間として用意したと思われる冒険者達の姿が確認出来た。

 

「伝説の勇者達と共に、波に立ち向かおうという者を募った。 さあ、未来の英雄達よ、旅立つのだ!」

 

すると、オルトクレイの号令の元、集められた冒険者達はそれぞれが仕えたい勇者達の元へと歩いて行き、尚文は「そっちが選ぶ側!?」と内心驚いたが、文句を言えるような状況ではないので彼は思わず目を瞑ってしまう。

 

しかし、ずっと目を閉じている訳にもいかない為、尚文は勇気を出して目を開けて出来れば可愛い女の子が1人でもいてくれと少しだけ邪な期待を抱きつつ、後ろを振り返って自分の仲間になってくれた人達を確認すると・・・・・・。

 

そこには錬は5人、樹は3人、元康は4人、尚文とノワールは0人といった非情な現実が広がっていたのだった。

 

「ちょっと王様!?」

「流石にわしもこのような事態が起こるとは・・・・・・」

 

この結果に対して尚文は流石にこれは酷すぎないかと苦情を入れるのだが、オルトクレイ曰く、自分もこの結果は予想できなかったと主張するのだが、ノワールはそんなオルトクレイの態度を見てどうにも「白々しい」と感じずにはいられなかった。

 

(王様の奴、なんだか、随分とワザとらしい態度だな。 やはりあの王、信用すべきではないのかもしれん)

「志願者ゼロとは人望がありませんね」

 

尚文とノワールの仲間になりたいという冒険者が0人であるという結果に対し、大臣が呆れたようにそう言うのだが、ノワールは正直、昨日来たばかりなのに人望もクソも無いだろうと思うのだった。

 

「むん? そんな噂が広がっておるのか」

「何かあったのですか?」

 

そんな時、オルトクレイの側近の1人が彼に耳打ちをすると、オルトクレイは元康の問いかけに応えるように先ほど側近から聞かされた話を説明し、なんでも盾の勇者とナイフの勇者はこの世界に疎いという噂が城下でささやかれているらしい。

 

「伝承で勇者はこの世界を理解しているとされている。 その条件を満たしていないのではないかとな」

「なっ・・・・・・」

「夕べの雑談、盗み聞きされてたんじゃないのか?」

「マジで!?」

 

そんな噂がささやかれているのは、昨日の自分達の雑談が誰かに聞かれたからではないかと元康は予想し、尚文はそんなことで仲間が誰も自分に来てくれないなど納得出来る筈もなく、錬に5人もいるなら少しは分けてくれと頼み込む。

 

「つうか錬! お前、5人もいるなら分けてくれよ!」

「俺はつるむのが嫌いなんだ。 ついていけないなら置いていく」

 

しかし、錬の元に集った冒険者達は、錬にそう強く言われてもその場を動こうとはせず・・・・・・。

 

「元康! これって酷く無いか!?」

「い、いやぁ、偏るとはなんとも・・・・・・」

「均等に分けた方が良いんでしょうけど、無理矢理では土気に関わりそうですね」

 

元康は「自分に言われても困る」と言いたげな表情を浮かべ、樹は無理矢理分けても士気に関わってしまうからと言われてしまうのだが、当然、それで尚文は納得できる筈もない。

 

「ノワールからもなんとか言ってくれよ! アンタも1人だろ!?」

『俺は別に1人でも良いが。 気が楽だ』

 

確かに、ノワールも尚文と同じく仲間0という状況ではあるが、1人の方が気楽だからと言って特に気にするようなことはしなかった。

 

『だが、確かに尚文と一緒に戦う仲間がいないのは幾ら何でも気の毒だ。 どうにかならないのか王様?』

 

しかし、昨日の話を聞いた限り、尚文の職業である盾は元康達の理屈だと負け組の武器、仲間がいなくて彼はどう強くなれば良いのだとノワールはオルトクレイにせめて仲間1人ぐらいは尚文に寄越せないのかと改善案を求めるのだが・・・・・・。

 

「勇者様! 私、盾の勇者様の元へと行っても良いですか?」

 

そんな時、尚文の元に行った冒険者の1人が手を挙げ、赤ぶ・・・・・・赤い髪の女性「マイン・スフィア」が尚文の元に行っても良いかと尋ね、元康は「良いのか?」とマインに問いかけるが、彼女はにっこりと笑って「はい」と応えるのだった。

 

(なんだ。 この女・・・・・・? この女の顔を見ていると何故か無性に顔面をブン殴りたくなる)

 

ただ、ノワールは尚文の元に行っても良いとの述べるマインの顔を見ると、なぜだか分からないが無性に彼女の顔を殴りたくなる衝動に駆られたが、彼は必死にその衝動を抑えつけ、必死に堪える。

 

(仕事が忙しくて最近色々と溜まってたからな。 イライラしてるんだろうか、私は。 この世界にも風浴ってあるだろうか?)

「他にナオフミ殿の下に行っても良いという者はおらんか?」

 

ノワールがそんなことを考え、尚文が見た目が美人ということもあり、マインが自分の仲間になってくれたことに内心喜んでいると、オルトクレイが他にも尚文の元に行きたいという冒険者はいないかと呼びかけるが、結局はそれ以上は集まらず・・・・・・。

 

「うーん、しょうがあるまい。 ナオフミ殿はこれから自身で気に入った仲間を勧誘し、人員を補充せよ」

「えっ、ああ・・・・・・はい!」

「勇者達には月々の援助金を配布するが、今回、ナオフミ殿とブラック・ノワール殿には他の勇者よりも増額するとしよう」

 

そうして、オルトクレイによって尚文とノワールには銀貨800枚、他の勇者には600枚と援助金がそれぞれ配布された。

 

「これで装備を整え、旅立つが良い!」

「「「「はい!!」」」」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「またな、尚文! 彼女をしっかり守ってやれよ!」

「手伝うことはできませんけど、仲間集め、頑張ってくださいね」

「時が来たら、また」

 

そして、元康、樹、錬は尚文と一時の別れの言葉を交わした後、それぞれ仲間達と共に冒険へと旅立つのだが・・・・・・ノワールだけは1人残り、取り出したメモ帳に文字を書き込み、マインに見られないようにこっそりと尚文にそれを見せる。

 

「んっ? なんだよ一体・・・・・・」

『あの女、警戒しておいた方が良い。 どうにも胡散臭い匂いがする』

「えっ、なんでそんなこと・・・・・・」

 

尚文はそのメモに書かれた文字を読んで、なんでそんなことを言うんだとノワールのことを少しだけ睨む。

 

『確証がある訳じゃない。 だが、私の仕事柄、あの女は信用するなと直感が訴えて止まないんだ。 兎に角、念のために警戒はしといた方が良い』

「うーん」

 

ノワールはマインには胡散臭い匂いがするから気をつけろと尚文に忠告するのだが、尚文としてはマインをあまり疑いたくは無いようで、そんな尚文を見てノワールは兎に角警戒だけはしといてくれとだけ伝え、尚文の肩を軽くポンッと叩くと彼もまた冒険の旅を始める為に城の外へと足を踏み出すのだった。

 

(さて・・・・・・それじゃ先ずは・・・・・・。 金も貰ったことだし、風浴に行ってスッキリしてくるか)

 

いやさっさと冒険に出ろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、勇者達が冒険(ノワールだけは風浴に何件か行っただけだが)へと旅だって翌朝。

 

ノワールは今、とある宿に部屋を借りて身体を休めていたのだが・・・・・・。

 

突然城の騎士達が一大事だから城までやって来て欲しいと急に呼び出され、彼は寝る時はスーツを着ていないのだから押しかけてくんなと騎士達に苛立ちつつも、何時もの漆黒のスーツに身を包み、ノワールはその「一大事」とやらが気になったこともあり、騎士達に従って彼等に言われた通り、城へと向かうのだった。

 

城の謁見の間に辿り着くと、そこには既に元康、錬、樹と・・・・・・なぜか怯えた表情のマインがいた。

 

『一体何があったんだ?』

「それは・・・・・・ッ」

 

何時もの文字の書かれたプラカードを掲げながら、ノワールは元康達に一体何があったのだろうかと尋ねると、元康はマインに気遣うような視線を向けた後、こっそりと何があったのかをノワールに耳打ちした。

 

(なに? 尚文が、仲間のマインを強姦しようとしただと?)

 

元康が言うには、昨日の夜、ノワールが借りていたのとは別の宿屋で、尚文が酒に酔った勢いで別室で休んでいたマインの部屋に押し入り、彼女を押し倒され、服を無理矢理破られて強姦されそうになったのだという。

 

「チッ、尚文がそんな奴だったなんてな・・・・・・」

「あぁ、胸くそが悪い」

「勇者の名に恥じる行いですね・・・・・・」

「・・・・・・」

 

元康と錬、樹はマインからの話を聞いて尚文に対して激しい怒りと軽蔑の感情を抱くが・・・・・・。

 

ただノワールだけはマインが強姦されそうになったという話を聞いても、元々彼女のことを胡散臭いと感じていたことから素直に信じることが出来なかった。

 

それになによりもマインの流す涙が物凄く嘘泣きっぽい。

 

だがしかし、なんにしても尚文が来ないことには話は始まらない。

 

今は城の騎士達が尚文を連行して来ているそうで、少しだけ元康達と共に尚文が来るのを待っていると、騎士達に身柄を拘束された尚文がやってきたのだ。

 

「なんなんだよ、一体・・・・・・!?」

 

雑に床に投げつけられ、尚文はそのことに腹正しさを感じながらも顔を上げると、彼はマインの姿を見てホッとしたような表情を浮かべる。

 

「マイン! 無事だったのか!?」

 

マインの身を案じていたかのような発言をする尚文だが、マインは怯えた表情で元康の背中に隠れ、そんな彼女の反応を見て尚文は首を傾げた。

 

「マイン? あっ、王様! 俺、寝込みに全財産と盾以外の装備品を全部盗まれてしまいました! どうか、犯人を捕まえて・・・・・・」

「黙れ外道!!」

 

尚文は寝ている最中、支給金や昨日マインと共に買い揃えた盾以外の装備品を盗まれてしまい、その犯人を捜してくれとオルトクレイに訴えようとしたのだが、その言葉は途中でオルトクレイの言葉によって遮られてしまい、彼に「外道」と呼ばれた尚文は一体なんのことか分からず、困惑してしまう。

 

「哀れな冒険者マインよ、すまぬがもう一度証言して貰えぬか?」

 

オルトクレイは頭を抱えながら、マインに証言をするように頼むと、彼女は身体を震わせながら、オルトクレイに言われた通り昨夜あった出来事を話し出す。

 

「っ、盾の勇者様がお酒に酔った勢いで、突然部屋に入ってきて私を押し倒して・・・・・・。 『まだ夜は明けてねえぜ』とか言って私の服を、無理矢理引き千切ったんです・・・・・・!」

「ぶふっ」

「えぇっ!?」

 

涙を流しながら、そう語るマインだが・・・・・・その内容は尚文に取って身に覚えのないものばかりだった。

 

覚えていないのは、酒を飲んでいるからでは無いかと思われるかもしれないが、昨日の夕食時にマインにワインを勧められてこそいたが、彼は「苦手だから」と言って断っていたのだ。

 

つまり、彼は昨日から酒の類などは一滴も飲んでなどいなかった。

 

しかし、それを証明できる者はこの場には他に誰もいない。

 

ちなみに「まだ夜は明けてねえぜ」というマインの台詞を聞いて「マインが考えたにしても尚文が実際に言っていたとしてもバカじゃねーの」と思わずノワールは吹き出してしまっていた。

 

「私、なんとか逃げ出して・・・・・・偶然、同じ宿に泊まっていたモトヤス様に助けを求めたんです!」

「な、なんだそりゃ・・・・・・!?」

(そりゃ、『まだ夜は明けねえぜ』とかなんだそりゃってなるよな)

 

正直言って、ノワールからするとこの光景は茶番にしか見えず、ただの勘でしか無いが恐らく尚文はマインに罠に嵌められ、ありもしない強姦未遂の容疑をかけられていると見える。

 

しかし、今の状況では自分が口出しをしても尚文を助ける為の材料が少なすぎることもあり、もうしばらくは様子を伺うしかなかった。

 

「マインが朝まで待って騎士を呼ぶ方が良いって言わなきゃ、俺がお前を斬り捨ててたところだぜ」

「何言ってんだよ!? 俺は昨日、飯を食って食い終わった後は部屋で寝て・・・・・・。 っていうか、その鎖かたびら、お前が枕荒らしだったのか!?」

(なに?)

 

尚文は現在、元康が着込んでいる鎖かたびらを見て、それは昨日武器屋で自分が購入したものと同じものであることに気づき、てっきり元康が盗んだのかと思ったのだが、その鎖かたびらは昨日、酒場でマインと会った際に彼女からプレゼントされたものだという。

 

「誰が枕荒らしだ! この服は昨日、酒場でマインと会った時にプレゼントして貰ったものだ!」

「我が国で最も犯してはならぬ禁忌を盾の勇者がな」

 

オルトクレイは呆れたような視線を尚文に向け、そんな彼の言葉に禁忌とは一体なんのことだと尚文は首を傾げる。

 

「メルロマルクで女性への性的暴行は例え未遂であっても極刑!」

「勇者で無ければ、即刻処刑ものだ!!」

 

大臣とオルトクレイの言い放ったその言葉に、尚文は驚愕し、彼は必死に自分の無実を訴える。

 

「処刑!? だから、誤解だって言ってるじゃないですか!? そこまで言うなら証拠を、証拠を出せ!!」

「盾の勇者の部屋を捜索していたところ、その・・・・・・このような物がベッドの上に・・・・・・」

 

尚文が訴えるのならば証拠を出せと言うと、騎士の1人が前に出てオルトクレイに片膝を突くと、彼は尚文が泊まっていた部屋を捜索していたところその証拠となるものが出てきたとのことで、彼はマインが着ていたと思われる下着が取り出され、それを見たマインは、昨夜のことを思い出してか顔を真っ赤にして悲鳴をあげる。

 

「あっ、いやああああ!!!?」

(耳障りな悲鳴だな。 なんでこいつを見てるとこんなイライラするんだ? だが、この時を待っていた)

 

ノワールはマインに鬱陶しさを感じつつ、彼はマスクの耳元当たりにあるスイッチをカチカチと押すとマスクの内部に仕込まれたある機能を起動させる。

 

「なんでだよ!? 俺が起きた時、そんなもの無かったぞ!?」

 

するとノワールはあくまでも無実を訴える尚文の元まで歩み寄り、彼の前に片膝を突いて尚文の腕を掴み、その手の平を見つめるとマスク内部に仕込まれた「指紋認証」機能により、尚文の指紋を読み取る。

 

「あっ、ノワール・・・・・・何を!?」

「・・・・・・」

 

ノワールのその行動に驚く尚文だったが、ノワールは尚文の肩に「心配するな」とでも言うように手を乗せると、今度は証拠として出された下着をマスク内部の機能を使ってスキャン。

 

(ふむ、やはりな)

 

その結果、騎士の持って来た下着には尚文の指紋どころか、髪の毛1つついていないことが判明し、ノワールはプラカードを取り出し、「彼は強姦などしていない」と尚文の無実を主張したのだ。

 

「なっ、何を根拠に・・・・・・!! 現にその下着が尚文がマインを襲ったっていう動かぬ証拠じゃないか!?」

『俺のマスクには様々な機能がついていてね。 指紋認証も出来る優れものなのさ。 そして尚文の手とその下着を読み取ったところ、下着には尚文の指紋どころか髪の毛1本すら存在しなかった』

 

元康は騎士の持って来た下着こそ、何よりの証拠だと主張するが、ノワールは尚文が本当にマインを強姦しようとしたのならば、服を破った時点で少なからず髪の毛1本や指紋の1つもついている筈だろうと訴えるが、元康はそんな話を信じようとはしない。

 

「だけど、だったらなんでマインは泣いてるんだよ!?」

『どうせ嘘泣きだろう? 何故かは分からないが、その女はどうにも尚文のことを悪者にしたいらしい』

「そんなことをして、マインになんの特があるんだ!?」

(だからそれは分からないって言ってんだろ、バカか!?)

 

元康はあくまでマインの話を信じているらしく、それは錬や樹もどうやら同じようでノワールは呆れて物も言えなかった。

 

「まさか、ナイフの勇者よ・・・・・・。 お主、さては盾の勇者とグルなのではないか!?」

(ハァ・・・・・・!?)

「確かに。 尚文さんの無罪を主張しているのはあなた1人」

「それに、アンタの言うマスク機能とやらが本当かどうかも怪しいしな。 元々、奇妙な格好もしてて怪しさ満点だしな」

 

尚文のことを庇ったことで、ノワールはオルトクレイから「もしかして尚文とグルなのではないか?」というあらぬ疑いをかけられ、それに樹や錬も同意するように頷き、彼等はノワールのことまでも疑いだしたのだ。

 

(成程、そう来る訳か・・・・・・)

「残念です。 何かおかしいことになるんじゃと心配はしてたんですが・・・・・・」

「勇者なら何をやっても許されると勘違いしている」

 

樹や錬はノワール共々、尚文を責め立てるような発言を行い、ノワールは「こいつ等殺してやろうかな」と一瞬思ったが、彼等もマインに恐らく騙されているだけなので、今はグッと彼等の身体を引き裂いてやりたいという衝動を必死に抑える。

 

「お前等はこの異世界の主人公なんかじゃない! 身の程を弁えろ!!」

「・・・・・・」

 

元康にそう言い放たれ、ノワールは内心苛立ちを募らせ、尚文はガクリと項垂れる。

 

(なんだ? これ・・・・・・。 なんなんだよ・・・・・・! マイン、マイン・・・・・・。 なんでお前そんなこと!? 俺達仲間じゃ・・・・・・)

 

尚文は、なんでマインがこんなことをしたのか分からず、彼はマインの方へと視線を向けるのだが・・・・・・その時、尚文はマインが僅かにほくそ笑んだことに気付いた。

 

「っ!?」

 

すると、マインは尚文に向けて「あっかんべー」をしながら、小馬鹿にしたような表情を見せた。

 

「・・・・・・!!」

 

尚、その表情はノワールも確認することができ、そんなマインのあっかんべーを見たノワールはその顔があまりにもムカついた為、頭に血が激しく上っていくのを感じた。

 

そして、それを見て、尚文はマインが自分の仲間になると言ったのはこの場で自分を陥れるための真っ赤な嘘であることに気づき、最初から彼女は自分を罠に嵌めるつもりだったのだ。

 

「お前、騙したな・・・・・・!」

 

そのことに気付いた尚文は、マインに激しい怒りを感じ、マインのことを睨み付けるのだが、次の瞬間・・・・・・。

 

「・・・・・・フン!!」

「ぶべっ!?」

 

あっかんべーしていたマインの顔面を、いつの間にかマインに急接近していたブラック・ノワールが思いっきりブン殴り、鼻の骨をヘシ折っていたのだ。

 

その一瞬の出来事に、尚文も元康も、錬も樹もオルトクレイも、その場にいた他の騎士達も、殴られたマインですら今、一体何が起こったのか分からず困惑し、唖然とするしかなかった。

 

「あ、あああああ・・・・・・! ひゃなが、わだじのひゃながぁ・・・・・・!?」

 

鼻血を出しながら、折られた鼻を必死に抑えるマインだが、さらにそこから全員が唖然としている隙にノワールがマインに飛びかかり、馬乗りとなると彼女を顔を何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、殴りまくる。

 

「ふぎゅっ!? ぶへっ!? や、や゛め゛・・・・・・!!? でっ・・・・・!?」

(聞こえんなぁ)

 

マインは必死に「やめて」と叫ぶが、ノワールは当然聞き入れず、歯が折れて顔にアザが出来、赤く膨れあがっても殴るのをやめず、執拗に殴り続ける。

 

「ハッ!? お、おい!! 何やってんだよテメー!!?」

 

そこでようやく我に返った元康が槍を構えてノワールを背中から突こうとするのだが、ノワールはバク宙で飛んで元康の後ろに回り込み、元康は素早く振り返りざまに槍を振るうが、ノワールはそれを右腕で受け止め、左拳を元康の腹部に叩き込み、気絶させる。

 

「き、きっさまぁ!!? マルティになにを・・・・・・!!?」

 

オルトクレイはノワールに執拗にマインを殴られたことに怒ったのか、王座から立ち上がって激しい怒りを見せるが、ノワールは「マルティって誰だよ」と思いつつ、オルトクレイに素早く近づいて彼の顔面に強烈な蹴りを叩き込み、オルトクレイは白目を剥きながら気を失い、玉座に倒れ込む。

 

「ノワールさん! 何を・・・・・・」

「女に手を挙げるとは、やはりお前も尚文と同じ最低な野郎だった訳だな・・・・・・!」

(女? 何を訳の分からんことを・・・・・・。 アイツは尚文を罠に嵌め、陥れた立派な悪党・・・・・・。 悪党は生きている価値などない、家畜以下の畜生だ。 そこに男も女も関係あるものか)

 

樹は矢を連射してノワールに向けて放つが、ノワールは地面に煙玉を投げることで煙幕を張り巡らせ、姿を眩ませる。

 

「目眩ましか!?」

 

ノワールの張った煙幕によって辺りが煙りに包まれ、マスクの機能で煙の中だろうか視界が良好なノワール以外のこの場にいた全員の視界が遮られてしまうのだが、その時、錬は背後に気配を感じ、後ろを振り返ると自分目がけて2本のナイフが飛んで来て、錬はそれを素早く剣を振るって煙をかき消すと同時にナイフを弾き飛ばすのだが・・・・・・。

 

「あいつ、どこに・・・・・・!?」

 

煙を晴らしても周囲にノワールの姿が確認出来ず、錬と樹が辺りを見回していると天井に張り付いていたノワールが錬と樹の2人目がけて落下し、2人の頭を掴んで2人の頭を掴んで地面の床に強く叩きつけたのだ。

 

「・・・・・・!!」

「「がああ!!?」」

(お前等は騙されてるだけだろうからな。 殺さないでおいてやるよ。 あの女も、尚文の冤罪を晴らす為にはまだ必要だから今はこの程度で済ませてやる。 最も、ぶち殺すのはどの道決定事項だがな)

 

そしてノワールは煙玉を床に投げつけて煙幕を作り出すと、ノワールは尚文を押さえ付けていた騎士の1人を蹴り飛ばし、その騎士が落とした剣を拾いあげるとさらにもう1人の尚文を取り押さえていた騎士の右腕を切断し、アッパーカットで殴り飛ばすと、ノワールは尚文の首根っこを掴んですぐさま城から飛び出すのだった。

 

「ぎゃああああ!!!? 俺の腕が、腕がああああ!!!?」

「お、おいノワール!?」

(これ以上、この場にいても無駄だろう。 幾ら冤罪であることを訴えても、あの場にいる連中はきっとまともに取り合おうとはしないだろうからな)











Qなんで転生系にしたの?

滅多に手を出さないジャンルだから、自分が書くとしたらどうなるのかなとか、思い、ちょっとそういう要素を入れてみた。

と言っても転生要素はほぼオマケみたいなもん。

それにブラック・ノワールをオリキャラ化するならこっちの方がやりやすそうだと思ったから。



Qなんで神様から転生特典を貰う描写入れなかったの?

テンプレをなるべく避けることと、そういう描写を入れるのは苦手だったから。

転生要素はオマケでしかないんだから無理にすることないと思って。



Qなんでブラック・ノワールをオリキャラ化したの?

ドラマでの掘り下げが全く無いから。

でも好きなキャラだから主人公にチョイスした。



ブラック・ノワール

年齢不明

男性

一人称は「俺」もしくは「私」

基本的には無口であり、コミュニケーションを取る際はメモ帳で書いた言葉やプラカードに書かれた言葉でやり取りを行う。

見た目はドラマ版ザ・ボーイズのブラック・ノワールだが原作の設定なども一部取り入れられている。

そのため彼の素顔はアイツにそっくりであり、実はヴォートが生み出した人工的に作り出した人造人間でもある。

本人も自分の出自に関しては知っているが、特に気にしてはいない様子。

前世からこうだったのか、それともヴォートに生み出され、ずっとヴォートという組織に育てられてきたからかは不明だが、彼の思考はすっかりとヴォートの思想に染まっており、テロリスト相手とは言え何人も無残に殺していく様はとてもヒーローと呼べるものではない。

本人にその自覚はなく、彼自身は自らをスーパーヒーローと称し、悪人は男だろうが女だろうが容赦なく皆殺しにすべきという危険思想を持つ。

しかも悪人を殺すことに快楽を感じており、楽しんですらいる。

そのためパニッシャーのような悪を憎む理由もなければロールシャッハのような信念もないというダークヒーロー、アンチヒーローと呼ぶにしてもはその辺はあまりにも薄っぺらい人物。

とは言え、彼自身悪人ではないと判断した人物に対しては比較的好意的に接しはする。

ちなみに他の勇者達とは違い言語理解能力を持っているようで、彼の所持している名刺や彼の書いた文字はそれを見た者が知っている言語に変換される模様。

つまり、尚文がブラック・ノワールの名刺を見てすらすらと文字が読めたのは尚文にはそれが日本語に見えていたからである。

本来は英語で書かれていた。

尚、普段は力をセーブしているようで本気を出せばホームランダー並の怪力を誇る。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。