ドラゴンクエストⅦ ~俺もエデンの戦士~ (ユキユキさん)
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第1話 ~謎の神殿

ひっそり。


ー???ー

 

俺の名はユーキス、エスタード島にあるフィッシュベルの村に住むイケメンだ。…ここだけの話、俺は所謂転生者。神の気まぐれによってこの世界に転生したのだ。神に文句を言う程、神経が太いわけではない。言われた通り転生したわけで、神も俺の態度に感心して特典の他に、おまけをくれた。

 

俺の希望した特典は、

 

・鍛えれば鍛える程強くなるハイスペックな身体。

・原作知識の消去。

 

この二つだ。やはり強くなることは男の夢、故にハイスペックな身体を希望した。そのお陰で今ではエスタード島最強である、物心が付いた時から鍛練を欠かさずにしていたからな。当然と言えるだろう、うん。…原作知識の消去は、知っていたらこの先つまらなくなるからな。真っ白な状態で物語を楽しみたいと思う、故にこの先…何が起きるのか分かりません。

 

神がくれたおまけは装飾品で、帝王の腕輪という物である。性能は、あらゆる攻撃で与えるダメージが2倍という化物仕様。俺以外装備不可、いやさ外すことの出来ない物である。

 

因みに俺は20歳、好青年であると言っておこう。

 

 

 

 

 

 

…で俺は今、二人の少年と共にいる。一応、幼馴染みで守り手のつもりである。

 

「さてと…、今日もここに来ることは誰にも言ってないよな? アルス、兄貴。」

 

少年の一人がそう聞いてくる。彼の名はキーファ、グランエスタードの王子である。俺の次ぐらいのイケメンだ、そしてヤンチャ。

 

「勿論言ってないさ! 男同士の約束だしね!」

 

答えるチビも少年の一人、名前をアルスという。漁師の息子でお人好し、キーファとは親友である。そして…、

 

ゴゴゴゴゴッ……!!

 

「いつも通りさっさと行こうか、二人共。」

 

一人で入り口を塞ぐ石をずらす俺。改めて名乗ろう、俺の名はユーキス。…だだのイケメンだ。

 

こうして俺達三人は色々と動き回っている。そしてこの行動から、物語が動き出すのであった。

 

────────────────────

 

ーユーキスー

 

少年二人と共に行動をしつつ、たまに一人で鍛練をする日々。平和な世なれど鍛練は必要、何が起きるか分からんからな。今日もいつも通り、村の東にある謎の神殿にて鍛練中。石像相手に木剣を振り回している。…え? 歴史的価値があるのではだって? ………ないない! あったら厳重に保護をするだろうがそれがないんだぜ? 故に大丈夫、問題ない。そんなわけで剣の鍛練だ! ……………あ! 石像が欠けちまった、…脆いもんだな。

 

 

 

 

 

神殿周辺を走って足腰を鍛えていると、キーファとアルスがこそこそと何かをやっている。また何かアホなことでも考えているのだろうか? …まぁ怪我をするようなことをしている様子もなし、特に問題はないだろう。…王様も大変だねぇ、ヤンチャが過ぎる王子で。心配し過ぎて倒れなきゃいいけどな。そんなことを考えながら走る俺、次は海で泳ぐとしますかね。

 

 

 

 

 

 

…今日は調子がいい、故に夜更けも鍛練中。そんな中で、キーファとアルスがまたぞろ何かをやろうとしている。こんな夜更けに何をしようというのか、これは流石にな。俺は気付かれぬように二人を追う、…この方角はあの神殿か?

 

 

 

 

 

 

二人を追って神殿に行くと、一番デカくて立派な石像の前で何かをしようとしていた。何をしようというのか? 危険なことが起きる前に、二人を連れ戻さねば。そう思って近付けば、二人の身体が光っているではないか! …ついでに俺も。…一体何が起きようとしているのかと思えば、石像から開かずの扉へ光が飛んでいき、…あの扉が開いたのだ。本当に、何が起きようとしている?

 

何やらはしゃぐ二人に俺は、

 

「お前達、…一体何をやらかしたんだ!」

 

背後からそう怒鳴った。それに驚いた二人は、腰を抜かしてから此方を見て、

 

「…あ、兄貴!?」

 

「ユキ兄、…これはその。」

 

しどろもどろになる二人。そんな二人に俺はニヤリと笑い、

 

「面白そうじゃないか、…俺も仲間に入れろ。」

 

そう言うと、二人は脱力してしまった。…何故?

 

二人と共に中へと入れば、…変な奴がいた。話を聞けば、他の遺跡にある貢物を取ってこいとか。それを集めれば、また…何かが起きる? それを聞いたキーファとアルスは、興奮して外へと飛び出していった。俺も後を追う中で、欠けた石板を二つも拾った。…これは何ぞや?とりあえず取っておこう。

 

────────────────────

 

二人の後を追い合流、二つの遺跡を巡って手に入れた四つの装備品。これがあの変な奴が言っていた貢物なのだろうか?

 

「…これさえあれば、何かが起きるんだろ? …くぅ~っ! 楽しみだぜ!」

 

「何が起きるのか、楽しみだね? キーファ、ユキ兄!」

 

テンションが高い二人の言葉に同意する。…俺も実際楽しみなのだ、これから起きるであろうことに。平和なのは良いことなのだが暇でな…、刺激が欲しいと思っていたのだよ。

 

神殿に戻って、手に入れた装備品を石像に捧げる。するとどうだろう、閉ざされていた扉が開き光に満たされる。変な奴は大はしゃぎ、めっちゃ喜んどる。そして光溢れる部屋の中へと消えた、キーファとアルスを伴い俺も中へ。すると頭に響くは謎の声、そして変な奴が言うにはここは復活の間。石板を持って来いとか言っているが、…あの拾った石板のことだろうか? 差し出してみるとはしゃぎ出す変な奴。…これを集めればいいんだな? そういうことらしいぞ、二人共。

 

その後、外へと出てみれば太陽の光。知らぬ間に朝か、…時間が経つのが早いな。とりあえず俺達は残りの石板を探すことに決め別れたわけで、俺はこの神殿周辺でも探してみようかね?城はキーファ、村はアルス、この二人に任せよう。宝探しだと張り切る二人を見て、俺は心がほっこりした。

 

 

 

 

 

 

暫くして、キーファ達が戻ってきた。…何か増えてるってかマリベル!? 驚く俺に対してマリベルは、

 

「ユーキスさんもアルス達の仲間だったのね!? 私をのけ者にするなんてヒドイわ!」

 

とプンスコ怒り出したので頭を撫でた、そしたら次にはご満悦。…女子とは分からぬものよ、なぁ…二人共。二人はニヤついて頷いていたけど、…何で?

 

そして残りの石板を填めた俺達は、光に包まれ……。




のんびりいくでしょう。


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第2話 ~ウッドパルナの村/カラーストーン採掘場

ひっそり。


ーユーキスー

 

…光が収まると、俺達は見知らぬ森の中にいた。キーファにアルス、そしてマリベルも無事のようで安心した。…しかし何なのかね? この場所は。エスタード島にこんな場所なんざ無い筈なんだが、色んな可能性を考えていると、

 

「空が暗いわっ!?」

 

マリベルが大声を上げてそんなことを言う。俺も見上げてみると、確かに暗い…気味の悪い空だ。夜…とは違う、何とも言えない。

 

…気付くとあの三人がいなくなっている、先にでも行ったのか? 一声掛けてくれてもいいじゃないか、…ちょっとだけショックを受ける俺。アイツ等が行ったであろう道を進むと、

 

「キャアアアアアアッ!!」

 

マリベルの悲鳴が! 俺は腰の木剣を抜き、悲鳴のした方へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

そして辿り着いた先では、魔物に襲われている三人が! キーファとアルスが、マリベルを守る為に頑張ってはいるが多勢に無勢。俺は慌てて乱入し、何とか三人を無事に救出する。マリベルは家に帰りたいと駄々を捏ね、キーファとアルスは魔物に興奮している。ワクワクが止まらないようだ、…勿論俺もワクワクしている。

 

…が、マリベルを無事に家へと送らなければならない。そしてこの場所は何処なのか、まずはそれを調べぬことには先へと進めない。なんていったって魔物がいるからである、即ち危険。三人を無事に家へと送る為、俺が頑張らなければならない。そういうわけで、俺から離れぬよう三人に言い聞かせてから先へと進んだ。

 

 

 

 

 

 

魔物の襲撃を警戒しながら進んでいくと、少し拓けた場所に出た。そこで一人の女性に出会う、彼女の名はマチルダというらしい。この場所にある墓に用があったみたいだ、…花の代わりに草を供えるか、…花が咲かないからというが何か悲しい。俺と同じ気持ちになったのだろう、マリベルがたまたま持っていた花の種をマチルダにあげた。それを受け取ったマチルダは、嬉しそうに墓の周りへと種を埋めていた。少しでも死んだ者の魂が安らげばと、…マチルダは心優しい女性のようだ。

 

俺は間を置き、彼女に事情を話した。すると…、

 

「申し上げにくいのですが…。」

 

どうやら俺達はまだ戻ることが出来ないらしい、…まだ? ……それはさておき、じゃあどうするかと考えていると、

 

「森を抜けた先に村があります、まずはそこをお目指しになったら如何でしょう?」

 

マチルダがそう提案してきた。それはありがたいな、先のことは村で考えればいい。魔物が出るような場所では、ゆっくり考えられんからな。…その村までマチルダが案内をしてくれるらしい、…それはとても助かる。

 

 

 

 

 

 

魔物を倒しながら進み、やっとこ村へと辿り着いた。マチルダはなかなかの手練れで、道中は楽であったと言っておこう。故にキーファとアルスに戦いながら、色々と教えたよ…戦いについてね。村に着いたのだから、他のことも教えなければな。そう思っていたら、

 

「…あら? マチルダさんの姿が見えないわ。」

 

マリベルが気付き、俺達も周囲を見渡すが…いない。村にあると思われる自宅にでも戻ったのだろう、俺達はそう考えた。その内会うだろう、…その時に礼を言えば。

 

せっかく村へ来たのだ、休める場所を探さねば。そう思って散策するも違和感、男性しかいない、無気力、自らの手で村を壊し続ける村人達。…この村で一体何が起きている? 帰る手段を考え、そして探さなければならない俺達はその前に、この現状を把握しておかなければならない。石橋を叩いて何とやら…だ。

 

…で情報収集の結果、突然現れた魔物達により女性達は拐われ、魔物達の命令によって男性達は破壊を続けているとのこと。全ては女性を助ける為…、何ということだろうか! 魔物達の行動とは何と恐ろしいことか、そして許せぬことか!キーファ達も怒りを滲ませている。これは俺達で何とかするしかないのでは? 不思議と使命感に燃えている自分にちょっと戸惑う。しかし俺だけではなく、キーファ達三人も燃えているから良しとしよう。…更に情報収集だ!

 

 

 

 

 

 

村を散策し情報収集をしていると、村の奥に小屋を見付けた。人目を避けるように建つこの小屋が怪しい、そう思い中へと入ってみるとベッドで眠る男性と小さな男の子が。小屋に入ってきた俺達に男の子は驚くも歓迎してくれた、…良い子のようだ。

 

そして話を聞くに男の子の名はパトリックといい、マチルダを知っているかと聞かれた。この村まで案内をしてくれたのは彼女だ、当然知っている。そのことをパトリックに言うと、安堵の息を吐く。彼曰く、この村を魔物から守ってくれているのは彼女らしい。…なるほど、姿を消したのは見廻りの為か。…彼女は本当に良い人のようだ、手練れなのも頷ける。

 

…で、ベッドで眠る男性はパトリックの父親で怪我をしているらしい。彼は村の戦士で、女性を助ける為に戦い怪我を負ったとのこと。そしてこの怪我を治すには、緑色の宝玉の輝きが必要だという。それがあるのは南東の鉱山、されど魔物が多くいる為に誰も行けないという。故に、マチルダに頼んで取ってきて貰おうと考えていたようだ。それと同時にマチルダを心配している、…本当に良い子だな。

 

この話を聞いてキーファが、

 

「なぁ兄貴、アルスにマリベル。その緑色の宝玉ってヤツ、俺達で取りに行かないか?」

 

そう提案してきた。それに賛成したのがアルス、反対がマリベルだ。因みに俺は賛成で、

 

「マリベル、もしかしたら鉱山で何か見付かるかもしれない。そう…帰る手掛かりがあるかもしれないのだ、ジッとしているより動いた方がいい。故に俺は行く、反対ならばここで大人しく…「行くわ!」…そうか。」

 

…何かマリベルが前のめりでそう言ってきた、…さっきは反対していたのにね? …やはりキーファとアルスはニヤついている、…解せぬ。

 

とにかく俺達が探しに行く、そのことをパトリックに伝えた。パトリックはそれに大喜び、そこまで喜ばれると是が非でも手に入れなければと思う。

 

 

 

 

 

 

村を出て襲い掛かってくる魔物を蹴散らす俺達、装備を新調した俺達の敵ではない。キーファとアルスは強いからな、…俺が鍛え上げたからなんだけど。覚悟を決めた二人に前衛を任せ、俺は後衛にてマリベルを守りつつ呪文で援護。特に苦労をすることもなく、カラーストーン採掘場へと辿り着くことが出来た。

 

採掘場内へと入って直ぐにマチルダと出会った、何故こんな所に…? と思ったが向こうも同じようで、

 

「ユーキスさん達、こんな所でお会いするとは…。奥に行くのでしたらお気を付けください、魔物の気配を多く感じますので。」

 

俺達とこの場で会ったことに驚きつつも、採掘場内の情報を教えてくれた。ついでなので、パトリックからのお願いと心配していたことを伝える。そして良ければ一緒に行かないか? と聞くも、

 

「この先にあるとは思いますが、緑色の物は数がありませんので…。それと申し訳ありません、私は急ぐ身ですのでお手伝いをすることが出来ません。…冷たいとお思いでしょうが、私はパトリックだけに構ってはいられないのです。」

 

…ごもっともな言葉ですな、じゃあ予定通り俺達だけで探すか。俺達はマチルダに別れを告げ、魔物の巣食う奥へと進む。

 

先程と同じようにキーファとアルスに前衛を任せて進むと、カラーストーンが道を塞ぐ場面に多く当たった。そこを知恵で乗り切り先へ進むと、最深部にて目的の緑色のカラーストーンを見付けた。キーファとアルスは大はしゃぎするも疑問が一つ、…これをどうやって持ち帰れば? うーむ…と悩んでいたら、

 

「ユーキスさん!」

 

背後から声を掛けられたので、振り向いてみればそこにマチルダが。どうしてここにいるのかと聞いてみると、心配になって戻ってきたとのこと。だが心配無用、コイツ等はなかなかに強いし俺もいる。まぁでも、心配してくれたのは嬉しかったり。素直に礼を言えばマチルダは照れ、マリベルはムッとする。何故そこでムッとするのかは俺には分からない、…マリベルは反抗期にでも入ったんか?

 

それはさておき、この緑色のカラーストーンをどうするかで悩んでいたことを伝える。それを聞いたマチルダは緑色のカラーストーンの前に立ち、手をかざして集中し始める。するとどうだろう、緑色のカラーストーンから一つの破片が。…丸ごと運ぼうと考えていた俺達が馬鹿みたいである、…破片でいいわけね。落ちた破片を拾い、俺に渡してくるマチルダ。

 

「これをパトリックにお渡しください。私が直接渡せばいいのでしょうが、急ぐ身であることは変わりませんので。…すみませんが私はここで失礼しますわ、ユーキスさん…それに皆さん、お気を付けてお帰りください。」

 

そう言って立ち去ろうとしたマチルダだが、何を思ったか立ち止まり…戻ってきた。そして…、

 

「忘れるところでしたわ。ユーキスさん達にこれを貰って頂きたいのです。」

 

渡されたのは木の人形、出来は良くないが…心が籠っているような気がする。この木の人形は一体…、

 

「その人形は…、私がまだ少女の頃に兄から貰った物です。ずっとお守りとして大事にしてきたのですが…、今の私には似合いませんから…。」

 

悲しそうな、そして寂しそうな表情のマチルダ。俺の手の中にある木の人形を一撫でした後、今度こそこの場から立ち去った。

 

…マチルダから貰った木の人形を大事に仕舞い、緑色の宝玉も同じく仕舞う。何とも言えない空気になってしまったが、パトリックの待つ村へと戻ろう。

 

 

 

 

 

 

村に戻った俺達は直ぐ様パトリックの下へ、手に入れた緑色の宝玉を渡す。それとマチルダとも出会い、手伝ってくれたことも伝えた。緑色の宝玉にマチルダのこと、パトリックはとても嬉しそうだ。パトリックは緑色の宝玉を、眠る父親の枕元に置いた。これで怪我が治るというが、…本当だろうか? 心配である。

 

一先ず安心というわけで、パトリックはマチルダとの出会いを話してくれた。マチルダは、パトリックと父親の命の恩人らしい。父親が戦いに行った後、心配になって魔物のアジトである東の塔へ行ったとのこと。そこには塔の入り口に倒れる父親と、その隣にマチルダの姿。…マチルダは父親を助ける為に魔物と戦ってくれた、マチルダのお陰で父親の命が救われた。…それがマチルダとパトリックの関係、マチルダを慕う理由であった。

 

その後、パトリックの厚意で宿屋へ泊まることに。宿屋に着き部屋へと行くと、俺以外の三人は直ぐに眠ってしまった。…だが俺は眠れずに考える、…マチルダのことを。彼女は不思議だ、色々と…。何より、何故東の塔にいたのか? 本当にパトリックの父親を救ったのか? 実はその逆で、彼女がパトリックの父親を…。そう考えていると、自然に眠気が…………。

 

────────────────────

 

ー???ー

 

「待ってよぉ、お兄ちゃん! 一人は危ないよ? 行くならみんなと一緒に行くべきよ。」

 

「そうしたいのはやまやまなんだがな、早く行かなければあの魔物を見失ってしまうかもしれない。まずは俺が足止めをし、その後村のみんなが加勢をしてくれる手筈だ。力を合わせて戦うんだ、だから大丈夫だよ。」

 

 

 

 

 

 

「そう心配するな〇〇〇〇、お守りにこれをやるから。…お前にやろうと思って作ったのだ、ほら。…見てくれは悪いけど頑張って作ったんだ、大切にしてくれよ。」

 

「…ありがとうお兄ちゃん! 大切にするね! …だから無事に帰ってきてね?」

 

「分かっているさ、良い子にしているんだぞ…マチルダ。ではな、…行ってくる!」




ひっそりひっそり。


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第3話 ~東の塔

うーむ…。


ーユーキスー

 

何とも目覚めが悪い、…あの夢は一体何だったのか? あの戦士は…、あの小さな女の子は…。分からない、分からないが一つだけ確かなことがある。マチルダ…、あの小さな女の子の名がマチルダということ。…マチルダ、夢の中のマチルダはキミの小さな…。

 

キーファ達三人も目覚め、父親の様子が気になるってことでパトリックの下へ。ノックをして返事を貰ってから入ってみれば、パトリックと父親が俺達を迎えてくれた。パトリックは父親の怪我が治ったと大はしゃぎ、父親…名をハンクというらしいが、今回の件で礼を言ってきた。パトリックはマチルダにもお礼を言ってねとハンクさんに言う。助けてくれたこと、マチルダは強く…村を守ってくれたこと、それを一生懸命説明する。その説明を聞いたハンクさんは、何処で会った時は礼を言うと約束していた。

 

そして次は俺達のこと、何故この村を訪れたのかを聞かれた。なかなかに説明は難しいが、俺はこれまでの経緯をハンクさんに話した。…それを聞いたハンクさんは、力になりたいがどうすればいいのかと悩む。そして…、

 

「思い付くことがあるとすれば、この地に根付いた悪しき力を払えば活路が見出だせるやも。…それが正解かどうかは分かりませんが、魔物退治をやるとしましょうか!」

 

悩んでいても仕方がないか、ハンクさんの言うように…魔物退治をやってみよう。村も救えるし、もしかしたら帰る為の手段が見付かるかもしれん。キーファ達三人にも聞いてみると、俺に任せるとのことだ。…ならば魔物退治の為に東の塔へ行きますか! ハンクさんも手伝ってくれるようだしな、やれることをやってみよう。

 

 

 

 

 

 

ハンクさんの案内で東の塔へと辿り着いたわけだが、その門前には巨大な魔物…ゴーレムっぽい奴が。…キーファ達はややビビり気味だが、俺としては負ける要素が一つもない。自己評価が低いみたいだが、キーファ達の方が断然に強い。…そうだな、自信を付けさせる為にもキーファ達だけで戦ってみようか。そう伝えると、

 

「あ…兄貴ぃ~っ!」

 

「そんなの無理だよ…!」

 

キーファとアルスはめっちゃ嫌がっているが、何故かマリベルは、

 

「ほら二人共! ユーキスさんが期待してくれているんだから、ちゃっちゃとデカ物退治をするわよ! 危なくなったら助けてくれる筈だから! ……もうっ、男でしょ!!」

 

と気合バリバリでした。マリベルにそう言われ、渋々その後に続くキーファとアルス。ハンクさんは三人をサポートしてくれるようで、ありがたいことです。俺は見てるだけで…、俺が交ざったらほぼ一撃だぜ? それじゃあ意味がないでしょ。

 

────────────────────

 

ーキーファー

 

兄貴の暴挙というべき宣言により、俺達だけであのデカイ奴と戦わなければならなくなった。アルスも俺と同じく渋々と剣を構え、助っ人としてハンクさんが加勢をしてくれるのはありがたいぜ! 一番張り切っているマリベルは、既に魔力を高めていて準備万端といったところか。…兄貴に期待されてやる気を出すのはいいけどさ、俺達を巻き込まないで欲しいよな。

 

しかしまぁ、兄貴に期待されるっていうのは正直嬉しい。兄貴はめちゃめちゃ強いからな、エスタード島最強はダテじゃない。兄貴だったらあのデカイ奴、余裕の一撃で倒すんだろうな。俺には出来ないことだぜ、勿論アルスも出来ないけどな。…出来ないことだけどやらなきゃいけないんだろう、俺達だけで倒せると判断したんだろうし。一応俺達は兄貴に鍛えられている、だからそう簡単に負けることはないと思う。思うけどこんなデカイ奴…、不安だぜ。

 

恐る恐る近付いていくと、…あっさり気付かれちまった! …めっちゃ迫ってくる、ハンパねぇ~! その圧力にビビってしまうが、流石というかハンクさんが先に仕掛けた。デカイ奴の攻撃を掻い潜り、一撃一撃…確実にダメージを与えているっぽい。スゲーと素直に感心しつつ、俺も立ち向かわなければならないよな…。後ろへ振り向き兄貴を見れば、頷いてから親指をグッと立てている。…行けってことだよなぁ~、…チクショー! やるっきゃねぇか!

 

デカイ奴と戦うハンクさんに続き、俺も果敢に攻める。アルスも負けじと攻め立てて、戦況は俺達の有利か? デカイ奴の攻撃は大振りで避けるのは容易い、そして確実に蓄積されるダメージ。…後もう一押しか? そう考えていると、背後から魔力のほとばしりを感じる。…マリベルか!? そう思った瞬間、俺は直ぐ様この場から飛び退く。アルスも慌てて退き、戦士の勘か…ハンクさんも退く。

 

その直後、デカイ奴に大きな火球が直撃。それがトドメになったのか、デカイ奴は音を立てて崩れた。……わりと余裕で倒せたな、俺達って意外と強かったり? 兄貴を見ればいい笑顔で親指を立てている。…ってことは、俺達は強かったってことか。単純に自信がなかっただけだったのかもな、俺達。…うん、今度から自信を持って立ち向かえるかもしれないぜ!

 

とりあえず、倒せたから良かったけど…、

 

「ふふん、やっぱり私のメラミは最強ね!」

 

…マリベルの奴、やっぱりメラミを放ちやがったのか!? 俺達に当たったらどうするつもりだったんだ! お人好しのアルスも流石に怒っているぞ、勿論俺も怒っている。ハンクさんは…大人だ、でも俺達は! 胸を張って調子に乗っているマリベルに、俺とアルスは怒鳴り込んでケンカになった。

 

────────────────────

 

ーユーキスー

 

やはり俺の目に狂いはなかった、キーファ達だけで倒せると。ハンクさんもいい仕事をしてくれる、流石としか言いようがない。俺はハンクさんに礼を言うも、彼はそれほどのものでもと謙遜する。それよりも、止めなくていいのですかと指を差された。差された方を見てみれば、キーファ達がケンカをしていた。キーファの腕に噛み付くマリベル、マリベルを引き剥がそうとしているアルス、悲鳴を上げるキーファ。…何をやっているのかね? アイツ等は。

 

ケンカを仲裁した俺は三人を褒める、そして一応…マリベルに注意もした。キーファとアルスはざまぁって顔をしているし、マリベルは物凄く落ち込んだ。…で、軽く先程の戦闘についての良い所と悪い所を指摘し、次は頑張るように言い聞かせる。ハンクさんも一緒に戦闘談義、三人の戦闘知識は上がったことだろう。

 

門を守る魔物を倒した俺達は塔の中へ、先程の反省もふまえて戦う三人はなかなかに連携が取れている。俺とハンクさんは感心しながらも三人をサポート、途中で見付けた石板も忘れずに回収する。危なげなく塔を登っていくと、門を守っていた魔物よりも気配の強い奴と対峙した。今回は俺もちょっとは……ん? キーファ達でやるの? マジで? …そうか、ならば任せた! ハンクさん、最低限のサポートをお願いします!

 

 

 

 

 

 

相手の魔物…蟹みたいな奴は手強い、門を守っていた魔物よりも強い。ハサミによる一撃は重く、盾を構えたキーファを弾き飛ばす。隙を見てはメラを放つマリベル、しかしそれをギリギリで全て避ける。タイミングを見て攻めようとするアルスには、メラを放ってタイミングをずらし余裕で避ける。三人連携の一撃を繰り出そうものなら、防御に徹して最小限のダメージにとどめる。…この蟹野郎は強い、三人も攻めあぐねている。

 

ハンクさんのホイミで体力を回復する三人、…どう攻めるのか? 蟹野郎も調子に乗っている、………ぶった斬りてぇ! 俺は無意識に一瞬だけ、蟹野郎に対して殺気を飛ばしてしまった。それを敏感に感じ取った蟹野郎は硬直する、…手助けしちゃった。

 

俺の無意識サポートに気付かないキーファ達は、この好機を見逃さずに突撃する。蟹野郎もギリギリで勘づき動こうとするも鈍い、その結果…蟹野郎は三人の連携攻撃の前に破れ去った。キーファによる最後の一撃、俺の教えた火炎斬りがとても良かった。

 

 

 

 

 

 

…破れた蟹野郎はしぶとく生きていた、魔物だけにタフな奴だな。親方様がいればどうのと喚いているが、…そんな時に蟹野郎が急に元気になった。タフだな…本当に…と思いつつ、背後より近付いてくる気配に悲しくなる。だってさ…、この気配は…、

 

「…マチルダ。」

 

見知った彼女の登場にキーファ達は驚く、ハンクさんは彼女を元凶と言う。やはり彼女が…と思った矢先、仲間であろう蟹野郎を斬った。

 

斬った後で此方に振り向いた彼女は、…とても悲しそうな表情で、

 

「…ユーキスさん達を驚かせてしまいましたね。…その者の言う通り、私こそがこの災いの元凶。村の女が戻らぬよう、その鍵役を授かった魔物の一人…。もっとも、ユーキスさんは薄々勘づいていたようですが。」

 

そう言うと彼女の周囲に闇が集まり、四散した後に現れたのが骸骨戦士。これが…彼女の本当の姿、禍々しい姿ではあるが…邪気を感じない。その姿でも、彼女の心根は変わらないのだろう。そんな彼女は、

 

「…ユーキスさん達には、これだけは信じて欲しいのです。あの時の私が、あの墓に花を供えたいと思ったこと…。その心までも嘘だったわけではありません、人間だった頃の想いが自然と…。私はパトリックのお陰で、ユーキスさんのお陰で……。」

 

そう言う彼女の言葉を遮り、ハンクさんが怒りをぶつける。しかし彼女は、

 

「貴方を助ける為にたった一人でパトリックは…。幼かった頃、死んだ兄を追った私と同じように…。」

 

やはりマチルダはあの夢の中に出てきた女の子、…ハンクさんも気付いたようだ。

 

「兄を追った私は囚われ…、そして…いつしか兄を裏切った村の人間を恨むように…。その悪意はやがて私を魔物にし…、だから私と同じ運命をパトリックには……。」

 

ハンクさんは苦しそうだ、苦しそうではあるが…、

 

「英雄パルナの妹よ、息子との約束だ。お前に礼を言わねばならん、故に…一度だけ言おう。連れ去った女達を村に戻し、この島の全てを戻すんだ。そうすれば俺は、…お前を斬らずに済む。」

 

ハンクさんの譲歩であろう、彼もマチルダのことを斬りたくないのだ。…俺と同じようにね、…しかし彼女は、

 

「……………。それは叶いません、私を殺さぬ限り…全ては戻らないのです。…故に遠慮はいりません、私をお斬りなさい。…心が戻った時に覚悟は出来ています。」

 

この世は残酷だ、…思い通りにはいかない。




どうするかな。


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第4話 ~マチルダ/帰還

次は、俺の系譜だなぁ~…。


ーユーキスー

 

その言葉通り、マチルダは何もしない。斬ってくれと言わんばかりに棒立ちだ、流石のハンクさんも苦悩しているようだ。襲い掛かってくるならば、迷うことなく討てるというのに何もしないから。それどころか、…彼女は死を望んでいる。望んでいるからこそ、討つ決心がなかなか出来ない。

 

俺も夢のせいか、彼女が小さな女の子と重なって見えてしまう。禍々しい骸骨戦士であるのに、悲しそうに此方を見る小さな女の子に。兄を殺され、その姿を魔物に変えられ災いを運ぶ。心優しき彼女をこのような姿に変えた者が許せない、討たなければならないこの現状がとても辛い。だがそれでもハンクさんは、そして俺達は彼女を討たねばならないのだ。

 

俺は決意を固める為に、彼女から貰った木の人形を取り出す。マチルダの兄の想いが込められた木の人形、彼女の想いが込められたお守り。想いの宿ったこの木の人形を持ち、彼女を呪縛から救ってあげよう。それが、これを託された俺の役目だと割り切るしか…。そう決意しマチルダの前に立つ、彼女はそんな俺を見て、

 

「……その人形、まだ持っていて下さったんですね。」

 

そう呟き剣を構える。何もしないことは俺達に、俺に苦しみを与えることに気付いたのだろうか? 彼女との一騎討ち、木の人形が立ち合ってくれる。マチルダもそこに思い至り、不甲斐ない姿を兄に見せるのを止め、兄と同じく戦士として…。彼女は魔物の姿から人の姿へ、そして…。

 

 

 

 

 

 

俺も剣を構えようとしたのだが、

 

「お待ち下さいユーキスさん、貴方に苦しみを与えるわけにはいきません。」

 

そう言って剣を構えようとする俺を止める。一体何を? …剣を構えなければ一騎討ちが、

 

「皆を解放する為には私の命が必要です。ですから……。」

 

覚悟を決めた顔の彼女を見て、俺の方が思い至った。マチルダは自らの手で命を…!? 俺は彼女を止めようとするが、間に合うことが出来ずに……。

 

 

 

 

 

 

倒れる彼女を寸前で抱き抱える、自らを傷付けた彼女は、

 

「…ユーキスさん、貴方はとても優しい方です。」

 

力無く、そして儚い笑みを浮かべるマチルダ。

 

「……初めて私と出会ったあの森を覚えていますね? …あの森の奥をもう一度、…お訪ね下さい。…さすれば。」

 

そう言いながら消えていくマチルダ、俺は何も言えずに見ているだけ、…その手を握るだけしか出来ない。

 

「……もし、…出来るのなら。…普通の少女として、…普通の生活を。そして……。」

 

消えゆく彼女を強く抱き締め、

 

「…出来るさ、…きっと。心優しいマチルダ、…君なら!」

 

そう言った俺の背に手を回し、

 

「……ありがとう、…ユーキスさん。……生まれ変わるなら、…貴方……と。」

 

その言葉を残し、彼女は消えてしまった。俺の手に、微かな感触を残して…。

 

光が解き放たれていく、この塔から……。呪縛から解き放たれた少女の魂が、闇を払って…暗い空が晴れ渡っていく。この地は平和になるだろう、なるだろうが…何とも言い難い悲しみは消えない。俺達は無言のまま、塔の外へと向かう。取り戻した太陽を、そして青空を。この身で浴びて、この目で確かめる為に…。

 

 

 

 

 

 

塔の中からでも確認はしていたが、外へ出てみると全然違うな。…この太陽と青空はとても眩しく美しい。

 

「空が…、綺麗に晴れ渡っていますな。しかし心までは晴れた気分にはなりません、それは仕方のなきこと。…愚痴を言っても始まりませんか、…戻りましょう…村へ。」

 

ハンクさんの言葉に俺は頷く、キーファ達も同じ気持ちのようだ。この地は救われたけど、やりきれない気持ちは拭えない。澄み渡る青空の下、俺達は重い足取りで村へと戻った。

 

 

 

 

 

 

村に戻った俺達が見たものは、女性達が戻ってきており活気に満ちた姿だった。それはとても喜ばしいことではあるのだけど、その影で犠牲となった兄妹がいると思うとな。そう思いながらハンクさんの家、パトリックの待つ家へと向かう。…マチルダのこと、パトリックにどう説明すればいいか考えてしまう。

 

ハンクさんの家の前にて、パトリックが俺達を迎えてくれた。父親であるハンクさんに抱き着き、無事に戻ってきたことを純粋に喜んでいる。ハンクさんは晴れぬであろう心を誤魔化し、パトリックの頭を撫でて笑みを浮かべる。魔物の脅威は無くなったと、魔物に怯える必要は無くなったと。それを聞いたパトリックは飛び跳ねて喜び、俺達に礼を言ってきた。

 

そしてやはりというか…、

 

「…そうだ! お父さん達、外でマチルダに会わなかった? マチルダにも教えてあげないと! 魔物に怯える必要は無いんだってことを!」

 

と言ってきたのだ、言葉に詰まるハンクさんの代わりに俺が…、

 

「マチルダには会えたよパトリック、キミとの約束通り…お父さんは礼も言った。」

 

それを聞いたパトリックは更に喜び、マチルダを探しに行くと言い出す。しかしそれは叶わない、彼女は何処を探してもいないのだから。だから…、

 

「闇は払われ、全ては元に戻ったんだ。それを確認したマチルダは、…旅立ったよ。パトリックに別れの言葉を言えない、それを残念に思いながらも旅立ったんだ。笑みを浮かべて、…遠くに旅立ったんだよパトリック。」

 

俺は嘘を吐く。パトリックに悲しい気持ちを抱かせてはいけない、彼女も気にしていたことだから。

 

ガッカリするパトリックに俺は、

 

「ショボくれるなよパトリック、マチルダに笑われるぞ? …この先会えるかどうかは分からないが、彼女の為に前向きにな。…そうだな、お父さんやマチルダのような戦士になるのもいいんじゃないか? 平和になったとしても何が起きるか分からない、そうすれば…。」

 

強くなれば、何処か遠くでマチルダの耳に入るかも。パトリックがいれば彼女も安心する、彼女が守った村を守るんだ。そんな感じの言葉をパトリックに言う、…ある意味洗脳みたいだがこれが一番良いことだと思う。彼には酷なことだからな、真実よりも偽りを。それが俺の出来ること、この地を去る俺のな。ハンクさんも言わないだろうし、俺達が去れば真実はこの地から消える。

 

 

 

 

 

 

俺の洗脳紛いの励ましによりパトリックは元気に、そのまま棒切れを持って外にへと飛び出していった。あの様子は…、素振りでもしに行ったのだろう。パトリックの姿を見たハンクさんは、俺に頭を下げた。そしてマチルダの残した想いを忘れることなく、この村を守り続けると約束してくれた。俺もキーファ達もそれを聞いて安心し、彼女の最後の言葉に従いあの場所に行くことにする。

 

俺達からもハンクさんに礼を言い、この村を後にする。途中パトリックにも会い、餞別として俺愛用の木剣と木の人形をあげた。かなり喜んでくれたな、あげた俺も嬉しい。村の入口で手を振り見送ってくれるパトリックに、俺達も手を振り返しながらあの場所へ。きっと何かがある筈だから…。

 

 

 

 

 

 

あの場所、森へとやって来た俺達の目に入ったもの。…あの墓の周りには、彩り豊かな花達が咲き乱れていた。…こんな短時間でここまで咲き乱れるとは、…マチルダの想いがそうさせたんだろうな。種をあげたマリベルも嬉しそうだ、勿論…俺も嬉しいしキーファとアルスもな。

 

花のお陰で少しは気分も良くなった、最後に良いものを見れたと、三人共々奥へと向かう。そして…、

 

「あの光の渦は何だろう?」

 

アルスが見付けた光の渦、初めて来た時には無かったもの。…これがマチルダの言っていたものなのだろうか? だが…、得体が知れないもの故に警戒はしてしまう。四人で固まりつつも近付くと、光の渦が広がって俺達を包み込む。…これは、…あの神殿の時と同じではないだろうか? そう思いながら、俺の視界は白に染まっていく。不思議と大丈夫、…そう思った。

 

 

 

 

 

 

視界が元に戻った時、俺の目の前には見覚えのある光景が…。キーファ達も同じようで、周囲をキョロキョロと見回している。そしてあの変な奴を見た瞬間、戻ってきたのだと確信した。変な奴は冒険が出来て良かっただろ? とか言ってくる、それは良かったのだがそれ以上に…。ただ単純に、先程までの冒険は夢だったのでは? と思ってみたり。

 

そうは思っても現実であったことは分かる、俺愛用の木剣が無いのだから。マリベルも俺と同じようで、花の種が無くなっていると興奮している。四人揃って同じ夢も変だとアルスが言う、キーファも結局現実であったと納得した直後、

 

ゴゴゴゴゴ…ッ!!

 

物凄い揺れが俺達を襲う、地震かとパニクるキーファ達。俺は冷静を保ちながら三人を宥めつつ、この揺れが治まるのを待った。

 

…暫くして揺れは治まった、キーファ達は未だに興奮中。まぁ何にせよ、無事だから良かった。とにかく今は帰ろう、こっちでは何も起きていないと思うがな。キーファ達の家族も心配しているだろうし、そんなわけでまずは解散。何かあった場合、再び集まるってことでね。

 

「とりあえず、俺は先に行くぞ。お前達より先に説明しておくよ、色々と隠してな。だから安心して戻ってきな、…俺に任せなさい!」

 

と言えば喜ぶ三人、…怒られたくはないもんな。

 

 

 

 

 

 

先に戻った俺は、フィッシュベルの村にてアルスとマリベルの親に事情を話しておく。何が起きるか分からんから、サバイバル的なことを教えていたと。アルスとマリベルの親は一応心配はしていたようだが、俺が一緒だというのは分かっていたらしく大丈夫だろうと思っていたようだ。そして姿を消していた理由を聞けば納得、むしろよろしくお願いすると言われた。俺の信用度がハンパない、…罪悪感があるぞ。

 

その話の過程で聞かされたのは、何やら突然…島が現れたらしい。その島についての会議が行われるから、俺に城へ来てくれという伝言があったようだ。…………島? 何それ気になる。…少しでもいいから、マチルダを失ったことによるモヤモヤを何とかしたい。そんな想いと共に、俺は城へと向かう。キーファの件を説明する為に、島についての会議へと参加する為に。

 

そこから何かが変わっていく気がする。それは良いことなのか、悪いことなのかは分からんけども。…世界が変わっていく、…そんな気がするんだ。




『なろう』中心に考えてますので、これより先は亀投稿になります。


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