俺が一番可愛い ( マイ天使GXⅢ)
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クール系ロリ燕たん

ノリと勢いで生きている


 ――飛鳥(あすか) (つばめ)はTS転生者である

 

「うん、俺ってば超可愛い。寝ぼけ眼も最高だ。眠そうな半目と、寝癖ではねた髪が間抜けでそこがまたそそる。いつものキッとした鋭い視線と無表情な顔とのギャップが素晴らしい。

 そしてその愛らしい姿に口元が緩む姿がまたキュンとくる。あー、もう何しても可愛いな俺って奴は」

 

 燕は転生後すぐに自分がTS転生者であることに気が付く。そんな趣味のない燕はそれはもう項垂れ、泣いた。

 しかし、小学生五年生の年齢に達した辺りで自分が美少女であることに気が付いた。しかも彼の好みであった"格好良いクール系の美少女"だ。このまま成長すればイメージは氷とかいう格好良い美女になるに違いないと確信するほどである。それからは着せ替え人形のように自分を着飾る日々が続いた。

 その結果、普段はボーイッシュな服を着る男勝りという設定をつくり、たまにロリロリなふわふわファッションに身を包み、慣れない恥ずかしさで顔を赤め、それを誤魔化すためにキッと睨み付けるという高等技術まで会得するほどになった。

 

「――良い」

 

 小学六年生となった燕は新たなクラスで一人の少女を見てそう呟いた。

 何が良いかというと容姿が良かったのだ。燕の転生した世界は何かと容姿のレベルが高い。それこそ不細工という言葉が性格に向けてしか使用できないほどに皆が皆、整った容姿をしていた。しかし、燕は転生者故にその高水準を軽く凌駕する容姿の持ち主である。燕の通う学校においては一番と言っても過言ではない。

 

「何言ってんの? 燕たんが世界最強の美少女なのは当たり前だろ!」

 

 と、このように本人もそれを自覚している。ナルシストと端から見れば嫌味なやつだが、そこは安心転生者。燕に不利になるようなことは本人が失敗しない限り訪れない。良くある転生とはそういうものであり、燕のそれもテンプレである。それに彼の燕へのキャラメイキングはちょっとやそっとで崩れるようなものではない。

 百々のつまり、何が言いたいかというと燕と並び立つ者がいなかったのだ。となると、やはりファッションショーや撮影会は燕単体となる。無論それだけでも彼を刺激し萌えさせたが、やはりマンネリというものがある。もう一人加えて百合百合しいファッションショーや撮影会をしてみたいという願望があった。しかし叶わず。そんな中で現れたのが燕が「良い」と判断した少女、凰 鈴音であった。

 

「……しまった」

 

 燕は鈴とファッションショーや撮影会を行うため、早速接触を行おうとした。無難に自己紹介を交わし、遊ぶ約束をして、普通の小学生のように振る舞い友好を深めていく。そしてお楽しみである。そう考えたがやめた。燕のキャラはクールキャラ。自ら輪を広げるのは違う気がしたのだ。そも、キャラを考えるのであればファッションショーを行うのもおかしな話である。なので鈴を引きずり込もうとすれば、あっちからの接触を待ち、自然な形でファッションショーと悟られぬようにそれを行わなければならず、その難易度の高さに彼は枕を濡らした。

 

「はぁ……可愛いなぁ……燕たん今日も可愛いよぉ」

 

 翌日には燕たんは一人で十分可愛いからそれで良いと立ち直った彼は何時もの如く鏡の前で、危ない発言をしながら顔を蕩かしていた。

 

「行ってらっしゃい燕」

 

「ん、行ってくる」

 

 早起きをしてたっぷり一時半もの時間をそれに費やし、燕は登校した。自分の教室につき、席に座った燕は本を取り出して、周りを遮断する。クールキャラは主要メンバー以外には心を開かずというテンプレに従ったものだ。残念ながら主要メンバーは未だいないのでボッチである。ボッチであるが美少女なので問題はない。それだけで絵になる。美少女ずるいな、と心で思いながら自身が今その美少女であることに笑みが溢れた。僅かな微笑みだったがその笑顔に落とされる男子数人。普段の無表情からのそれは破壊力抜群であった。

 

「……」

 

 その日の放課後からだろうか、燕への小さないたずらが始まった。気になる子にいじわるというアレである。可憐でクールな燕だがまだ幼く、そのいじわるは精神にダメージを与え――なかった。当然である中身は変態だ。逆に燕の人気の高さに喜んだ。むしろなんでこれまでなかったんだと怒っていた。

 

「あんた達やめなさいよ!」

 

 そんな日々はしばらく続き、いじわるはいじめに変わった。とはいっても小学生レベルの可愛らしいいじめなので燕は特に気にも止めなかったのだが、周りはそうではなかった。

 ある日、ついに正義感にかられた何時か燕が目をつけた少女、鈴がそれを行っていた男子にキレたのだ。

 それからは良くある展開である。鈴が男子を言いくるめ無事解決、鈴と燕は友人となった。一応は一人でも満足していた彼だったが、やはり二人でというのは捨てきれないのでこの状況を喜んだ。

 

 勿論、全て彼の思惑である。

 

 なにせ彼は転生者、この程度造作もない。いじわるまでは偶然だが、それからは鈴が接触してくるように、周りにはいじわるの存在を完璧に隠し、鈴にだけその存在を匂わせていたのである。あとは正義感の強い鈴が釣れるのを待つだけの簡単な作業。見事に成功した。

 

「じゃぁ、行きましょう燕!」

 

「ん」

 

 そして鈴と燕はほぼ毎日遊ぶようになる。タイプが違うので基本的に鈴がはしゃいでそれを燕が見守る感じだったがそれも絵になるので彼は喜んだ。

 

 しかし、残念なことに一つ誤算があった。確かに鈴は燕を助けたがそれは一人でやったことではない。そう、鈴は彼女の思い人である織斑一夏を助っ人としていたのだ。

 

「それ重そうだな、俺が持つよ」

 

 それはつまり鈴と燕の関係に織斑一夏も入るという訳であって。織斑一夏は男であり、ということは百合百合しなくなるわけで。

 

 

 彼は心の底からこう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――テメェはいらねぇよ織斑ぁ!

 

 

 

 

 




(´・д・`)


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クール系中学生燕たん

私は帰ってきた!


「ぐへへ、今日も美人さんだね。普段の無表情から一変、とろけ顔のだらしない顔も素敵だよ燕たん。ペロペロしたいよ燕たん。――あかん、ヨダレ垂れてきた。いや、でもヨダレでテラテラな燕たんも可愛い(かわゆい)マジ天使。燕たんマジ燕」

 

 鏡に写るのはヨダレを垂らして鏡にかじりつく燕の姿。うへっ、でへへ、ぐへへ、などという気持ちの悪い笑いを可愛い声で溢すその姿はもはや妖怪の類である。それでも美少女なのだから素体のスペックは凄まじいものだ。それをマイナスにしかねない彼にはある意味才能があるのだろう。

 一通り満足したのか彼はキャラ崩壊とも言える自分の観賞を終えた。男であったときならば袖で拭き取っていたであろうヨダレを"燕たんの服が汚れるだろう、馬鹿め"と誰に言うでもなく叫びタオルで拭き取る。

 そしてキリッと顔をつくると今度はキャラコンセプト通りのクールキャラの顔で自己観賞を始めた。因みにこれは本日二度目である。クールキャラからキャラ崩壊、そしてクールキャラの流れだ。

 

「燕ー、鈴ちゃん来たわよー」

 

「今行く」

 

 毎日行われる自己観賞は、朝の八時になる少し前に迎えに来る鈴を合図に終了する。

 鞄を持ち燕は、母の呼び声に応えて二階の自室から玄関に向かう。

 

「おはよっ、燕」

 

「おはよう」

 

 ドアを開くとそこには揺れるスカートとツインテール、八重歯輝くニパッと笑顔、制服姿の鈴である。

 制服、そう彼女らは中学生になっていたのだ。燕は自身の制服姿で一週間、鈴の制服姿で五日ほどデレデレしていた。

 

(やべぇな、絶対領域やべぇな。なんでこの娘ニーソなんだ。やべぇな可愛いなぁ、可愛いなぁ、鈴ちゃんマジで鈴ちゃん! ま、勿論燕たんも負けてないけどね! むしろ燕たんの黒タイツの方が圧倒的だけどね! 姿鏡じゃないと見れないのが残念です。帰ったら堪能するから良いけどな! ああ、でもニーソも良いよね。明日はそうしよう。絶対領域燕たん、やべぇな、負ける気がしない。さすが燕さんだぜ)

 

 訂正、今でもデレデレしていた。そんな風に内心でデレデレしていると自然と歩く早さが遅くなる。それに気が付き、鈴は"何してるのよ早く行くわよ"と手を取り、時には腕を組み歩く。全て中の人の策略である。中身男が少女と腕を組み歩くのはギリギリアウトというかアウトな気がするが、少女と腕を組めて嬉しいと言うよりは美少女と腕を組む燕の姿が嬉しいのでギリギリセーフだ。いや、やっぱりアウトである。

 

「はは、相変わらず仲良いよな鈴と燕は」

 

 織斑の声。中の人、激おこである。あれからどうにか織斑を遠ざけようとしたが彼は鈴の思い人であるため不可能であった。彼にならば上手いこと引き裂くこともできないことはなかったが、一応彼も人の子である。そんなことはできなかった。非人道的なことはできないヘタレである。それに絵面的に織斑が邪魔なだけで織斑自身のことはさほど嫌ってはいないのだ。性格も良く顔も良い、料理も上手いし、美味い。加えて、最近では意識すれば織斑を一時的にシャットアウトできる能力にも目覚めたので彼的には問題はない。能力名、織斑ガン無視である。

 

「いやぁ、本当眼福眼福」

 

「毎日ごちそうさまです」

 

 故に彼は叫ぶ。

 

 ――増えんな美男子どもがッ!

 

 気が付けば五反田と御手洗という男が側にいる。なんと男女比率が逆転した。これには燕の中の人も激おこプンプンである。何故女子が増えないのかと、彼は泣いた。しかしそれでも鈴の思い人でもない彼らを切らないのかは理由がある。

 

(まぁ、織斑は千冬さんいるし、五反田は蘭ちゃんいるから良いけど。御手洗はマジで早く美少女連れてこないと大人気ない方法で距離とるからな。美少女舐めんなよ)

 

 彼ら繋がりの美少女、美女がいるからである。織斑の姉の千冬。彼女のビシッと決めたスーツ姿は燕の脳裏に焼き付いている。むしろ焼き付けた。仕事のできる格好良い系美女だ。燕の周りにはいないタイプなので初めて会ったその日、彼は狂喜乱舞した。無論、心の中でである。そして踊っている最中に彼女があのブリュンヒルデであることに気が付きさらに激しく踊った。その時ばかりは織斑に感謝し、織斑の手を握り"ありがとう"と微笑んだ。悲しいことに、これがあんなことになることを燕は知らない。いや、引き延ばす必要もないだろう。織斑、美少女飛鳥燕にポッとなった。いつも無表情な美少女、意識せずいつも隣にいた美少女の見たことのない笑顔。ギャップ萌えにやられた織斑であった。南無。

 そして五反田関係の美少女、蘭に関しても中の人、デレンデレンである。クール系美少女の優しい年上の美少女である燕は蘭にとっては理想のお姉さんであり、ものの数秒でお姉ちゃん呼びになった。結果、彼は妹ポジションゲット、と喜んだ。そしてお姉ちゃん呼ばわりされて少し嫌がりながらも実は嬉し恥ずかしで耳は赤いという上級テクニックを使用し、部屋の鏡でそれをチラ見して"これだよ、これ"と彼は悶えた。

 それ故に五反田はこのグループにいることを許可していたが、御手洗は千冬と蘭でプラスになった分情けで許可しているだけである。急げ御手洗。

 

 

 ところ変わって昼休みの屋上。燕一行は昼食をとっていた。

 

「はい、燕、あーん」

 

「いい、自分で食べれる」

 

 とか言いつつ、きちんと"あーん"をする燕。勿論私はしたくないけど鈴がどうしてもって言うから仕方なくよ、仕方なく、的な演技はバッチリである。

 

 

 ――うん、幸せ。美少女に生まれ変われてよかった

 

 

 美少女にあーんなど前世では考えられなかった。やはり美少女は最強である。と彼はまだ見ぬ神様に感謝をした。

 

 

 しかし、幸せというのは続かない訳で。

 

 

 

「――俺と付き合ってくれ、燕!」

 

 

 放課後、屋上。覚悟を決めた顔の織斑と立ち尽くす燕。そう言うまでもなく告白である。

 なるほど、そういうこともあるだろう。中の人は頷いた。というより今までなかったのがおかしいのだ。そう理解はしたがこれを受けるつもりはなかった。なにせ中身は男、そして織斑は鈴の思い人。受け入れる要素がひとつもない。しかしこのままだと振ったとすれば今の関係が崩れる可能性がある。織斑は振られた女と一緒にいるのはあれだし、鈴としても微妙な感じになるのだ。織斑はどうでも良いが鈴と離れるのは有り得ない。

 受け入れることも断ることもできないこの状況、しかし我らが中の人は転生者である。変態ではあるが転生なのだ。この状況を引っくり返すことなど容易いのだ。

 

「――? 風の音で聞こえなかった」

 

 秘技"え、なんだって?"である。

 

「え、あ、いや、やっぱり何でもない」

 

 織斑、イケメンといえど思春期である。二度告白する勇気はなかった。中の人勝利である。ずるい。

 

「……ふぅ」

 

 燕は"また明日"と立ち去る織斑を見送りため息をついた。

 

「あれほどの高スペックイケメンを落とすか……ふっ、さすが燕たんだぜっ」

 

 

 全力のドヤ顔であった。

 

 

 




ぶっちゃけエタッてた。久々に小説情報を見たら真っ赤だった。テンションが上がった。書いた←今ココ

感謝! またね!


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クール系被写体モデル燕たん

そんな、続き書いてくれとか、大好きとか、言われちゃうと調子乗っちゃう。


「生の燕たんも良いけど写真越しでも魅力二百%だよぉ。愛らしい。一度に色んな燕たんを見れるのが素晴らしいよね。部屋中に写真を張りまくるストーカーの気持ちが今ならわかる気がする。したいもん。今すぐ燕たんの写真に囲まれたいもの。燕たんに囲まれて、燕たんの匂いに囲まれ、そして俺自信が燕たん。たはー、それなんて天国! ……いや、流石に変態すぎるのではなかろうか……? というかこれまでの行動って全部変態じゃね?」

 

 休日の朝、いつもとは趣向を変え鏡ではなく撮影した写真――燕たんの写真集いちご味vol12を眺めながら一人言を言っていた。そしてその最中、ふと我に返る。転生して自分が美少女になってからはそれはもう変態だが、それまでは普通の人であった。故に時たまこうやって我に返り、己の行動を省みて"ひょっとして変態なのではなかろうか"と疑問を持つ。

 

「ま、燕たんの魅力なら仕方ないよね。俺じゃなくてもこうなる。というか普通の反応とか燕たんに失礼だし。こう、なんというか、崇めるべきだし。……パネェな、燕たんの魅力マジでパネェ。流石魅力二千%だぜ。宗教でもつくるか。飛鳥燕教。戦争とかなくなりそう。いや、むしろ起きるかもしれん。流石は燕たん!」

 

 そしてすぐに変態に戻る。手の施しようがない。因みに至極どうでも良いが、いちご味が可愛らしい服を着た燕の写真集でブルーベリー味がクール系、他にも多種多様用意されていて、厚さは辞書並である。そろそろ本棚も限界だ。

 

「燕ー! ご飯できたわよ!」

 

「今行く」

 

 パンプキン味vol9というハロウィンで仮想をした燕の写真集を閉じ、一階のリビングへ向かう燕。朝の七時から眺め始めていたので約五時間、写真集を眺めていたことになる。ここまでくるともはや彼は狂信者である。宗教というのも有り得ない話ではなくなってきた。いくらなんでも自分好きすぎである。確かに学校一の美少女といっても過言ではないが、ここまでは彼くらいだ。変態である。

 

「そういえばあれ届いてたわよ――IS学園のやつ」

 

「……そう」

 

 昼飯であるパスタを母親、飛鳥雀と食べていると不意にそう言った。ISのやつとはIS学園――高校に入学するにあたって必要な書類やら入学までにこなさなければならない課題であったり、そういった類いのものである。

 それを聞いた燕は興味無さげに返答したが、内心ではフェスティバルが開催されていた。

 なにせIS学園は名の通りISについて学ぶ学校であり、そして女性しか操縦できないという性質上――女子校である。彼が喜ばない訳がない。

 そしてさらっと流れたが燕はもう中学三年生になっていた。それどころか卒業まで数ヶ月である。その間に鈴が転校、というか中国に帰ったり、その際一夏に味噌汁告白もどきの酢豚告白をしていたり、一夏は全く気付いていなかったりと結構なイベントがあった。鈴と離れるのは寂しいし悲しかったが、今の時代ネットで繋がれるし、ビデオ電話もあるのでさほど落ち込まずに済んでいる。告白の方は全く知らずである。

 

「ごちそうさま」

 

 それから燕は昼食を食べ終え、IS関連の荷物を自室へともっていく。そして丁寧にそして素早く開封し、課題やら資料やら代表候補生に関する資料を無視して、同梱されていたIS学園の制服を手にとった。

 

「なるほど、これがIS学園の制服か」

 

 白を基調とし、赤のラインの入った可愛らしい制服であった。そして燕は例の如くそれを着るとファッションショーをして撮影を行い、一通りのそれが終ると膝をつく。その表情は苦痛に歪んでいた。そんな燕たんも可愛いと器用にもその顔を維持しながらパシャリする彼。余裕である。全然苦痛を感じていない。

 

「どうすれば良いんだ」

 

 元々高校は女子校に入る予定だったが、彼はどうせなら、とIS学園に入ることにした。外見美少女、中身変態だが男の子、ロボットが好きな人種である。女子校でしかもロボット、パワードスーツ動かせるとか世界は俺のためにある、とは彼の言葉だ。

 そしてまたさらっと流れたが、燕は日本の代表候補生になっていた。燕たんに中途半端な立場はいらねぇ、と普段から勉強をして優等生であったことと、転生者特有の魔力SSSみたいな感じでIS適性はSということが判明し、あれよあれよと日本の代表候補生になっていたのだ。IS学園の入学も一瞬で決まった。

 では何故順風満帆以上に見える彼が苦痛の表情を浮かべたのかと言えば理由は制服にある。

 

「改造すべきかしないべきか。するならどう改造すればベストなんだ……?」

 

 IS学園の制服は改造可であり、故にどうするかを悩んでいたのだ。

 キャラ的には制服なんて気にしない、無改造であるのが自然である。しかし見映えのためか、モブとの差別化のためか、上手く話せないおとなしい系のキャラが制服を改造していたりするので、改造したとしてもキャラが壊れるわけではない。であるからして彼は悩んでいた。制服は一着だけ、慎重にならざるを得ないのである。

 

「お父さん、もっと制服欲しい」

 

 上目遣い、父親、飛鳥朱鷺撃沈。制服が一着しかないなら増やせば良いじゃない。燕はおねだりで制服を十着手にいれた。父親のお小遣いは数ヶ月無しである。

 

 IS学園の入学も決まった、制服も決まった、代表候補生にもなり燕のキャラも更に上の領域へ立ち入った。一夏達とも自然なカタチで別れられるし、全ては順調である。

 

「臨時ニュースです、男性がISを――」

 

 あとは女子校での百合百合を楽しむだけと喜んでいた彼の目に飛び込んだのはそんなニュース。しかも動かしたのは一夏であり、IS学園に入学することに云々のような情報が流れていた。これには中の人も鳥おこである。

 

 

 

 

 故に彼は心の底からこう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――テメェはいらねぇよ織斑ぁ!

 

 

 




((ヾ(≧Θ≦メ)ノ)) とりおこ


鬼おこの蛇版の鳥版的な


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クール系高校生燕たん

漢数字と数字が混じってるすみません。
あと短い。あと変態。あと女子校には百合いるよね、という偏見があります。です。



(生の燕たんが可愛いのは当然である。それはもう世界の真理と言っても過言ではない。必然の理だ。辞書を開いて"可愛い"を引けば0歳から十代半ばまでの飛鳥燕が、"綺麗"を引けば十代半ばから没年までの飛鳥燕の名前が出てくることがそれを証明している。ただし状況によっては"可愛くて綺麗"であるのでその限りではないけれど。つまり飛鳥燕は常に"可愛い"そして"綺麗"なのである。もし書いていない辞書があったらそれは未完成で発売してしまった辞書だ。書き加えることを勧める。

 このように生の燕たんが可愛いのは当然であった。確認するまでもないが一応。では生ではない燕たんはどうか。これもまた可愛いのは先日再確認した。アルバムが増えて増えて仕方がない。そう、生ではない燕たんも可愛いのだ。それは知っていた。知っていたが――)

 

「――まさか窓にうっすらと写る燕たんも可愛いとは最強じゃないか。ヤバイな。敵無しではないか。うん、かわゆい」

 

 小声で呟く燕。所は女の園、IS学園。窓際の前から二番目の席に座った彼女、彼は窓に写る自分を眺めてポーカーフェイスを保ちながらうっとりとしていた。器用である。因みに周りからは窓の外を見て物思いにふける美少女に見えていた。

 IS学園には共学の学校から上がってくるものも多いが、やはり女子校ということで生まれてこれまで女子校だったという者も多数いる。ということで百合百合しい者もいて、そんな燕を見て惚れる者も数人いた。

 早くも百合ハーレム形成かと思われたがしかし、良かったのか悪かったのか、燕は自分に夢中でそれに気が付かなかったので百合ハーレム形成ならず。代わりにファンクラブができた。後に織斑姉弟のファンクラブと並びIS三大ファンクラブの一角となるのだが、それを知った燕は燕ファンクラブが突き抜けて一位でないことに内心でまる一日ほど不満を愚痴ったり、一位になるため暗躍したりするのだがそれはまた別の話。

 あと、燕の視界の端で織斑が"女子ばっかだ。どうすれば良いんだ。助けて燕"と頭を抱えていたが、燕はガン無視した。別にこんなに近くに超絶美少女燕たんがいるのに気が付かないとかマジ有り得ないとか、それに対してむくれているとかではない。いや、本当の意味で。ツンデレとか織斑に傾きかけているとかではない。燕の中の人は"女にTSした系男子"にありがちな身体に引っ張られて少しずつ女になっていくとか、堕ちちゃうとかそんなことは全くなかった。何故かといえば中の人がゴリゴリの女好きだからである。そして何より今は燕が大好き、否、愛しているからであった。

 

「三年間頑張りましょうねっ」

 

 燕はその言葉で現実に戻ってきた。

 

(ヤバい。燕たんに魅了されて逝きかけてた。危ない危ない。だって制服燕たん可愛いんだもん。仕方ないよね。)

 

 見惚れていたとかそのレベルではなかった燕。どこまで言っても自分スキーな燕であったが、ふと教壇の方へ視線を向け感嘆を漏らした。

 

(ほう、良いね良いね。鈴ちゃん、千冬さん、蘭ちゃん以来の逸材だ)

 

 教壇に立つのは燕及び織斑が通うことになった一組の副担任である山田真耶である。

 

(緑の髪、というのは少々奇抜かもしれないが、違和感がないほどに似合っている。自分の声に反応がないのが不安なのかアタフタあわあわしているのが非常にグッドだ。眼鏡というのも今までいないタイプで素晴らしい。そして何より幼さの残る顔立ちに対してあの胸! 圧倒的な胸! なんだアレ。ロリ巨乳とか初めて見た。たゆんたゆんしてるぜアレ。それだけでも価値がある。しかも多分だがドジッ娘属性もありそうだ。なんだ完璧か。そういうキャラとして完成しているにもほどがある。そういった意味では1番濃い。エロくて可愛いとか反則だ。燕たんにもその胸を分けてくれ。いや、後々成長するから良いけどね。それに本を読むときだけ眼鏡の燕たんには勝てないしな! 結論燕たんの勝ち! そしてハーレム要員候補ね! おぉやべぇ、キャラ忘れて彼女の胸に顔を埋めて甘える燕たんの絵がマジヤッベーイ。うわぁ抱きつきたい)

 

 変態である。

 

 しかし性的な下心はなく、純粋に"絵"として抱きつきたい、なのでまだマシだ。……いや、やっぱりアウトである。変態だ。

 

(いや待てよ。逆に彼女を燕たんが膝枕して頭を撫でつつ"大丈夫"などと声をかけるというのはどうだろうか。あれだ巷で人気のJKママという奴だ。それの百合バージョン。うん、うんうん。悪くない。むしろ良いじゃないか。私の方が歳上なのに、とか言いながらも嬉しそうに顔を赤らめるとか良くない? 良いよね! 俺って天才、そして燕たんマジお母さん。凄いな、幅が広がった。燕たんの可能性は無限大だな!)

 

 変態である。

 

 

 

 




何も進まない。変態発言して終わるという。

チョロチョロと続くよ! 

あと作者は女に堕ちていくTSも好きです。

しかしこの作品では落とされません。感想でもそう言われている通り一夏が不憫ですがそれでも燕はこのまま女好きで最後までいきます。


……と言いながら上で言った通り一夏にデレデレする燕も見てみたかったり。IFとか番外編とかでやるかも。しかしとりあえずは本編頑張ります。投稿速度遅いけどね!

これからもよろしくしてくれると嬉しいな!



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片思い中剣道ガール箒ちゃん

さらっとしか確認してないから変なとこがあるかもしれない。

少しいつもと違う感じ。少し。

※箒ちゃんキャラ崩壊気味


 篠ノ之箒は内心喜んでいた。その要因はこの女性だらけの教室でただ一人の男、一夏にある。

 

(う、うむ。テレビで見たときは驚いて同姓同名の別人かもしれないかと思ったが間違いない。一夏だ。別れる前はどちらかと言えば可愛さの方が際立っていたが、今はその可愛らしいは鳴りを潜めて男らしさが際立ってる。か、格好良いではないか。ショタ一夏も良かったが今の一夏も良い。むしろ今の方が良いな。流石一夏だ。……大好きだ!)

 

 との通り、箒は一夏の幼馴染である。しかも惚れていた。しかしISの開発者が箒の実の姉であるため一ヶ所に止まるのは危険ということで引っ越すことになり一夏と離ればなれになったのだ。そのため一夏を思う気持ちは日々強くなり、再会した今爆発しそうになっていた。

 

(しかし……うむ。女だらけのところに一人という環境のせいかどうしてわからず頭を抱える一夏は可愛らしいというか愛らしい。今すぐ声をかけてやりたいが先生がいるところで立ち上がる訳にもいくまい。頑張れ一夏、私は応援してるぞ! あぁ、でも困った一夏をもう少し見ていたい気もする。ど、どうすれば良いのだ!)

 

 訂正壊れていた。箒は落ち着くために深呼吸し、首を振る。どちらにしろ自分にはどうすることもできないと気が付き冷静になった。冷静になったところで、いわゆる好きな人成分、一夏分を吸収しようと一夏の方へ視線を向ける。

 

「……!?」

 

 そして重なる視線。一夏も箒を見ていた。

 

(い、一夏がこっち見ている。熱い視線を向けて、わ、私を見てりゅぅー! だ、駄目だそんな、いきなり目と目を合わせるなんてそんな! しかも意識せずに、ふと見たときに合うなんて……う、運命のようではないか! いや、運命だ! 男の一夏がISを動かしてしかもIS学園に通うことになって更に同じクラスになった時点で運命に違いない! ふふ、私と一夏は赤い糸で繋がっていたのだな)

 

 によによ、と良い感じに舞い上がっていた箒。対して一夏は救世主を見つけたかのように安堵した。その瞬間、副担である真耶に声をかけられ一夏は驚き大声を出してしまう。それを見てクラスメイト達は少し笑い、箒はそれを見て萌えていた。燕は窓に写った自分に見惚れている。

 

「自己紹介をお願いできるかな?」

 

 自己紹介が『あ』から始り『お』の順番、つまり一夏の順番にきていたのだ。因みに燕は飛鳥で『あ』なので既に自己紹介を終えていたが頭を抱えていた一夏はそれに気が付かなかった。

 

「織斑一夏です。よ、よろしくお願いします」

 

 そんな一夏に対し、それ以上の情報を、と見つめるクラスメイトの彼女達。どうすればと助けを求め一夏は箒に視線を向けた。

 

(ま、また視線があった。やはり私と一夏は結ばれる運命にあるのだな。うむ……う、うむ? な、何故そんなに力強く見つめてくるのだ? そんなに見つめられると、さ、流石に恥ずかしいというか照れるというか……。む、無理だ。これ以上見つめ合ってしまっては頭が沸騰してしまう!)

 

 視線を逸らす箒。見つめ合ったと言っても二秒ほどだったのだが、会うのが久々過ぎて乙女ゲージがすぐにオーバーフローしてしまうほど一夏に対してチョロくなっていた。

 そして見捨てられる形となった一夏は追い詰められていた。沈黙が辛くなった一夏は"誰でも良い誰か助けを……!"と辺りを見渡す。そしてついに端から見れば窓の外を眺める美少女、燕の存在に気が付いた。

 

「つば――」

 

「いつまで黙っている、まともな自己紹介もできないのか」

 

 燕がいたことへの嬉しさと、燕なら助けてくれるという期待から声に出して彼女を呼ぼうとして机に顔を沈めた。いつのまにか現れたスーツ姿の女性、このクラスの担任に殴られたからである。

 

「なにす――千冬姉!?」

 

「織斑先生と呼べ」

 

 抗議しようとしたところでその人物が自分の姉だと気付き驚く一夏に、担任――織斑千冬はもう一度拳を振り下ろした。

 

「担任の織斑千冬だ」

 

 普通ならば暴力教師だとSNSで拡散間違いなしだったがその教師があの織斑千冬であったことで歓声が上がる。

 

「キャー! 千冬様よ!」

 

「私、千冬様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

 

(千冬さんここで働いていたとは! まるで運命のようではないか。いや、運命だ! 運命に違いない)

 

 そして燕の中の人も沸いていた。

 

(家で見た少し着崩したスーツ姿の千冬さんも良かったがやはり仕事モードのキリっとした千冬さんも良い。タイトスカートから伸びる綺麗で締まった足。その足は黒タイツで隠れている。だがそれが良い。横のスリットから覗くのが素足ではなく、黒いタイツの足なのが素晴らしいのだ。露出ゼロにも関わらず溢れる色気。これが鈴ちゃん達では出せない大人の魅力なのである。燕を抱き寄せ、胸元のボタンを外しながら耳元で囁く千冬さんとかどうだろうか。うん、良いよね)

 

 当たり前ではあるが沸き方が皆と違った。中の人絶好調である。手遅れだ。

 

「それでは三年間頑張りましょうね」

 

 大事なことなので真耶は二度目を言ってこの時間を締め、一度解散となった。

 すると何処からともなく生徒という生徒がこのクラスへ押し寄せてくる。唯一の男を見にきたのだ。加えて一夏の周りの座席の生徒も立ち上り友人の元へ行き一夏を囲うようにヒソヒソしていた。一夏だけがそこに座っていたので余計に視線が突き刺ささる。

 

(顔を青くして泣きそうになっている一夏も良い。可愛らしくて昔のショタ一夏を見ているようで懐かしいな。しかしこのままにしておくのは可哀想だ。うむ、ここで一夏を誘いだし、助けよう。ふ、二人きりにもなれるからな、えへ)

 

 私が行く、ズルい、じゃぁ行きなよ、ええ緊張するよ、などとヒソヒソして悪気が無いにしろ一夏を精神的に追い詰める中、箒は一夏を助けようとした。その時である。

 

「立ったわ」

 

「動いた!」

 

 一夏は立ち上り、箒の方へ歩いていく。周りの女子はそれを見てキャッキャしていた。まさに一夏パンダである。

 

(な、え、い、一夏がこっちに……! い、以心伝心というやつだろうか。そ、それとも一夏も私と二人きりで話がしたくてこっちに来るのか。ふ、二人きりなんてそんなっ)

 

 自分から二人きりになろうとしていたが、逆に来られたことでテンパる箒。しかしそんなみっともない姿を一夏に見せることはできない。箒は急いで自分を落ち着かせキリっとした。

 

「なんだ一夏、私に何かよ――」

 

「燕! 同じクラスなら声かけてくれよな!」

 

 嬉しさで胸が一杯だったが、それを悟られまいと何でもないように一夏に話しかけたが、一夏が話しかけたのは箒――ではなくその後ろに座る燕であった。

 

「え!?」

 

 私じゃないの、と箒。

 

「え!?」

 

 箒の声に驚く一夏。

 

「……何?」

 

 呼ばれて何かと応える燕。

 

「……え?」

 

 状況が飲み込めずもう一度首を傾ける箒。

 

「箒……?」

 

 何事か、と一夏。

 

(……このポニテの娘、鈴ちゃん並みじゃないか。おいおいIS学園は天国か何かか!)

 

 箒可愛い、と燕。

 

 

 

 なんとも微妙な空気となった。

 

 




ふと見たら感想が来てたから書いた。釣られちゃった。単純なんだ私。

もうお気付きかもしれないが、基本的に中の人が変態発言するだけの話なのでマンネリ。加えてプロットも何もない。でも、書きたい。的な感じでなので、たまには中の人抑え目で。

そして気が付く、これヒロインも不憫じゃねと。男はあれだけど美少女が不憫なのは、ね? どうしよこれ。未来の私に丸投げしときます。

じゃぁ、またいつか!


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クール系名探偵燕たん

うん、こんなのしか書けないんだ。変態ですまない。しかし、うん、書いてるのは楽しい。

あと最近あとがきがちょい長いからウザイと思ったら飛ばしてね。


(ツリ目がちで仏頂面だから一見キツい印象を受けるがしかし、それすらも絵になるほどの美人だ。まだ高校生になったばかりというのに、可愛いよりも美しいが似合う女性は多くはない。この部門においては現時点で一位と言っても過言ではないだろう。しかもただの美人ではない。教室からここにくるまでの数少ない織斑との会話しか聞かなかったが、彼女は専らの堅物だ。いや、堅物と言っては語弊がある。委員長タイプとでも言えば良いのか。おそらくではあるが、エッチいのはいけないと思いますタイプだろう。ラッキースケベをしようものなら机の横にあった木刀が飛んでくるに違いない。そんな感じで破廉恥とかそういうのが苦手そうなのにスカートが短いの良いよね。元からその長さならば仕方がないが、標準のIS学園のスカートと比べると明らかに短いのでそれはない。つまり自ら改造して短くしているのだ。……良いよね! あと、特筆すべきは胸だ。彼女の癖かどうかわかないが、腕を組んでいてそれが胸を強調して凄いことになっている。サイズ的にはメロンサイズ。それが腕組みにより下の方から押されて、ぎゅむぅ、と潰れその柔らかさを存分にアピールしていた。破廉恥いくない派なのに自分が一番破廉恥パターンのやつです。なんだ、最高かよ。これで胸が大きいのがコンプレックス、でも好きな人が喜ぶなら、うぅ、みたいなのだと尚良し。ああ、この娘、箒ちゃんと仲良くなるのが楽しみである。鈴ちゃんと蘭ちゃんは年相応になかったし、千冬さんはそもそもあんまり会えなかったから貴重だ。膝枕とかしてほしい。そしてそのまま上を見上げたら……うん、良いよね。素晴らしい。燕たん含め同年代では今まで鈴ちゃんサイズだったから、こう夢が広がるよね。

 勿論可愛くて美しくて天使でベリーキュートな女神である燕たんが一番なのは言うまでもないけどね。天使で女神という矛盾をも超越する燕たんマジ超越者。双丘に関しても年相応に成長しているし、小さすぎず大きすぎずの黄金比だからもう最高だ。負ける気がしない。形も色も柔らかさも天下一品である。燕たんの燕は燕たんなのだ。もう芸術の域に達している。

 結論、やっぱり燕たんが一番!)

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 中の人がいつもの結論に至ったところで屋上に到着した。とりあえず微妙な空気をなんとかしたかったため一夏は二人を連れてきたものの、その微妙な空気の原因がわからなかったためどうすることもできず黙りこんでしまう。燕は燕でキャラ的に自ら話しかけることはしないので黙っていた。

 

(確か飛鳥燕と言っていたな。果たして彼女は一夏とどういう関係なのだろうか。見る限り知り合い以上の関係性ではある。一夏の反応的には友人なのは確かだ。し、しかし私を差し置いて彼女に声をかけるのはどういうことなのだろうか。ま、まさか私よりもこの娘との方が近しいのか……? 幼馴染みの私よりも? そ、そんな訳はない! だって先程も愛を語ってくれたではないか! 呼吸を止めて一秒真剣な顔をしてくれたではないか! そ、そうだ私と一夏は運命の赤い糸で結ばれているのだ。そんな訳はない。……で、では何故私ではなく彼女に声を? うぅ、わからない。わかないぞ一夏。何故私ではなく……! いや、それよりも何故誰も喋らないのだ! これでは何も話が進まないではないか! わ、私か? 私が一言目を喋らないといけないのか? でも、ま、万が一、二人の関係性を聞いて恋人なんて返ってきたらこのままフライしてしまうぞ。……いやそんな訳はない。だって私と一夏は……う、うむ、ふふ。そうだ、問題はない。何も心配する必要はないのだ。うむ。であれば、ここで私が話しかけ空気が読める良い女だと一夏に思い知らせてやろう)

 

「その、だな。い、一夏と……その、飛鳥はどういった関係なのだ?」

 

 そんな訳で沈黙を破ったのは箒であった。本当は心配で心臓がバクバクであったが捏造も交え自分を鼓舞し沈黙を破ったのだ。

 

「え? お、俺と燕の関係?」

 

 対象が燕ではなく鈴ならば幼馴染とか友達と即答していたが、一夏自身、燕とそれ以上の関係になりたかったため言い淀んだ。

 

「い、一夏?」

 

 その様子に箒涙目。今にも"ぐすん"としそうである。それを見て唐変木一夏は驚きと何故だという疑問で頭がパニック。

 

「ただの友達」

 

 カオスになりかけたところで燕の一言。箒は顔を"ぱぁ"と綻ばせ安堵した。一夏は少し落胆して、まだまだこれからと意気込んだ。燕は箒の仏頂面からの笑顔のギャップに萌えていた。それはもう見事で綺麗な三角である。

 

「そ、そうか……そうか。……む?」

 

 心底嬉しそうな箒に燕は手を差し伸べる。首を傾けた箒に燕は改めて自己紹介を行った。

 

「飛鳥燕。よろしく箒」

 

「うむ、篠ノ之箒だ。よろしく頼む燕」

 

(柔らかい、手が柔らかい。ずっと触ってたいこれ。スベスベじゃねぇか。無論燕たんの手が至高だけど、自分の手と他の人の手はやっぱこう違うよね)

 

 箒と燕が握手を交わしたところでチャイムが鳴り、ここはお開きとなった。

 

 




 感想がいつも以上に来てビックリしてたらお気に入りが倍プッシュされてて驚いた。だから書いた。やっぱり嬉しいよね。モチベーションってこういうことだと思う。ありがとうございます。感謝☆

 しかし、圧倒的ワンパターン。変態発言してあとチョロチョロ書いて終わり。大丈夫これ? 大丈夫? 多分初戦闘のセシリア戦までこのままだけど大丈夫? いや、多分戦闘あってもこのままだと思うけど。

 あと、まえがきに長いからって注意したから少し無駄話します。
 いちかわいいってあるじゃないですか。それで思ったんですけど男全員TSしたら幸せになると思うの。百合百合ISとか凄く平和だと思う。良くない?

 ……ちょっとそういうのあるか探してくるから、またね! 


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クール系小悪魔二次元燕たん

今更な気がしますが下ネタあります



「このように――」

 

 真耶によるISの授業が始まりしばらく、燕は授業を受けるふりをして絵を描いていた。描いていたのは勿論燕自身の絵である。絵とは言え飛鳥燕を不格好に描く訳にはいかないと、死ぬ気で練習していたのでその絵はプロ並みであった。

 

(たっはー! 二次元燕たんマジサキュバス! 次元を一つ落としたところで揺るがない美しさと可愛さ! 流石燕たん、超越可愛い! こう、三次元にはなかった可愛さがあるよね。アニメ調になったことによって綺麗さ可愛さに加えてエロさが加わり、もはや死角無しと言っても過言ではない! いや、まぁエロさ加わったのはローレグサキュバスの格好してるからなんだけどね。流石に親元でそのコスプレは買えないから絵で着せてみたけど……うん、ヤバイ。きわきわの下着がもうたまらんです。腰のラインもそそるよね。あと絵だからこそできる巨乳化。個人的にはバランス取れたのが好きだけど、たまには大きいのも良い。あふれんばかりの双丘、かーっ、たまりませんね! やっぱり二次元の強みってこれだ。有り得ないが有り得るんだもの。夢が広がる。広がりすぎてもう……ん? 有り得ないが……有り得る。……っ! 触し――)

 

「参考書はどうした」

 

「電話帳と間違えて捨てました!」

 

「馬鹿者」

 

 中の人の思考が完全にファンタジー系十八禁に突入していた一方で、教室では一夏が千冬に殴られていた。理由は会話の通りである。

 

「再発行してやるから、一週間で覚えろ」

 

「一週間で!?」

 

 電話帳と間違えるほどの参考書を一週間で覚えろという無茶ぶりに一夏は顔を青くした。青くし過ぎで少し顔色が悪い一夏は助けを求めるため燕の方を向くが、燕はお絵描きで忙しく気付いていない。ならば、と箒の方を見ると目が合うが、そのまま視線を外された。一夏は見捨てられたと本日何回目かの頭を抱える。その実、箒は見捨てたのではなく、一夏の方を見ていると突然目が合い恥ずかしくなって思わず視線を外しただけであった。

 

「この時間はここまです」

 

 一夏は、その後一つも理解できないまま授業を終えた。呪文のような専門用語の連続で一夏は疲労困憊である。そんな一夏は少しでも癒されようと燕の方を向こうとそちらへ視線を向けるが、そこで視界に入ったのは燕ではなく制服。誰かと視線を上にするとそこには見慣れぬ金髪の少女がいた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「んぁ?」

 

「まぁ! なんですのそのお返事は! この私に話しかけられてその態度はなんですの!」

 

「いや、悪いけど君のこと知らないし」

 

「なっ! 私を知らないと? このイギリス代表候補生であるセシリア・オルコットを!?」

 

(勿論知っているとも。この世界のルールか、真理か、何か知らないが特別な地位にいる女性ほどレベルが高くなる。そしてこの世界ではISが優位な位置にある故にIS操縦者は格段にレベルが高い。その最強のIS操縦者であるブリュンヒルデたる千冬さんが今まで会った大人の中で一番レベルが高いのがそれを物語っている。それに気が付いてからは国家代表は勿論、代表候補生に至るまで公表されているIS操縦者はチェック済みだ。そんな俺が知らないわけはないのである。

 特に彼女、セシリア・オルコットは代表候補生の中でも群を抜いていた。しかし、うん。やはり写真越しよりも生で見た方が可愛い。煌めくナチュラルブロンドや透き通るようなイギリス人特有の白い肌も、生だと段違いだ。そして何より彼女の性格も良い。金髪ドリルに相応しい気の強さとプライドの高さ。写真を、ドリルを見たときにそんな感じの性格ではなかろうかと思っていたがやはりその通り。容姿も素晴らしかったが性格が合わさることで完璧となった。やっぱり美少女は直接見るに限る。……一つ懸念なのはチョロそうなとこだ。もう様式美として金髪ドリルは落ちるのが早い。でもそこが良い。好き)

 

 自分のことを知らなかった一夏に対し、セシリアが机を叩きながら驚き、少し怒りを表したところでセシリアの存在に気が付いた燕はそう評価した。日本人っぽい鈴は別として外国人らしい外国人美少女を前に中の人は大喜びである。

 

「また来ますわ!」

 

 中の人が生セシリアにテンションを上げている間も会話は進み、一夏が無知であったり、セシリアがエリートですわしたりして、最後にはセシリアが捨て台詞を吐き、その休み時間は終わる。一夏は疲れ、燕は満足し、セシリアはより男への評価を下げ、箒は一夏の周りにまた美少女がと内心アタフタしていた。

 

「お、終わった」

 

 その後も何度か出席簿で叩かれつつも、なんとか一日目を乗り越えた一夏は息を深く吐き、力を抜いた。女性だらけの中にいるというだけでも疲れるというのに、それに加えて専門用語オンパレードのISの授業。一夏のHPはゼロである。もうこのまま寝てしまいたかったがそうも行かず、なんとか立ち上った。

 

「燕、一緒に帰ろうぜ」

 

 折角だから箒と燕と寮へ向かおうとした一夏。しかし箒は既にいなかったので燕に声をかけた。

 

「ん。良いよ」

 

 燕はそれを承諾し、一夏の隣に立ってから、疲れからか動きに少しラグのある一夏の袖をくいっ、と引っ張って"行こ?"としてから歩き始めた。

 燕――中の人は一夏を遠ざけたり無視したりすることはあるが、それは自分が美少女と戯れているのを邪魔されたりするからであり、別段心の底から嫌っている訳ではない。むしろ中の人は男なので友人として接するのならアリである。自分が燕ではなくかつての男の自分であったならば親友になっていたと思うほどだ。だからこそこうやって一緒に帰るくらいは許容範囲なのである。因みに"袖くいっ"はキャラ作りの際に無意識で出るほどに染み着けた故にである。燕的には特に意味はないが、一夏は萌えていた。小悪魔である。

 

 



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クール系編集者燕たん

(´・д・`)


 手を繋ぐでも組むでもなく、たまに腕と腕が触れるような男をドギマギさせる絶妙な距離を保ち歩く燕と振り回される一夏。二人は寮に着くと別れ各々の部屋へと向かった。

 

「た、助けて燕!」

 

「っ!? な、何故燕に助けを求めるのだ!?」

 

 そして一夏がラッキースケベをして同室であった箒に追い詰められていた頃、燕は一人、鏡の前でいつもの如く萌えていた。

 

「美少女のパジャマはその字面だけで萌える。甘美な響きだ。そう、例えばモコモコなパジャマを美少女、燕たんが着ているところを想像して欲しい。なんとまぁ可愛らしいことだろうか。可愛いものに可愛いものを掛け合わせたのだから当然の帰結である。モコモコふわふわパジャマにキュートな笑顔。パーフェクト。

 例えば、着ぐるみ系パジャマ。言うまでもなくグッドだ。フード猫耳とかも良い。古今東西、動物と美少女というのは切っても切れない関係なのだ。獣耳美少女。はい、完璧。モコモコパジャマと同じで可愛いものに可愛いは正義なのである。

 例えばネグリジェ。妖艶さとまだ高校生になったばかりという幼さ残る燕たんの身体! ギャップと危険な感じがたまらない。ネグリジェで月夜バックに艶やかに笑う燕たんとかどうだろうか。素晴しい。いや、妖艶さで言うなら和服風のパジャマを着崩し和室で日本酒片手に、とかの方が……うん、両方萌える。

 しかし、しかしながら今の燕たんはどれでもない。ずはり、男物パーカーにゆったり目のショートパンツである。明らかにオーバーサイズの黒色の色気の"い"の字もない地味なパーカーに身を包む燕たん。袖は勿論、萌え袖。大きい故に丈が合わず、スカート状態。しかもショートパンツなので見えない。他人から見れば穿いてるか穿いてないかわからないエロティック! くっはー! たまりませんな! だがこれで終わらないのが燕たんである。なんと、パーカーの下は裸なのだ。素肌である。素肌パーカーである……素肌パーカーである! しかもチャックを開きやすいように改造してあるから、寝返り程度で少しずつ開いていくのだ。つまり寝起きはパーカーオープンの見えるか見えないかのギリギリライン! 素肌パーカー最高! イカれてる。燕たんマジイカれてる。流石俺。夏はベタに裸Yシャツね! 下は穿くけどね!」

 

 そんな感じで中の人はIS学園でもマイペースに燕を堪能していた。色々なポーズをとったり、それを動画で撮影したりである。しかしこれでは終わらない。持ち込んだ機材で編集してBGMを流し自作イメージビデオを製作していた。もはやその技術はプロにも勝る。

 

「はい、チャック全下ろし! あ、危ない、危ないよ燕たん! そんなに動いたら! 見えちゃう、もう見える、もう見える、もう見え――はい残念髪の毛バリア、からの謎の光! そして手ブラでフィニッシュ! 燕たんは汚れない。微エロまでです。残念でした! 残念じゃないけど残念でした!」

 

 因みに燕は一人部屋である。日本の代表候補生としての権力と美少女っぷりを最大限にいかして"お願い"した結果だ。上目遣いで一発である。それでいいのかIS学園、それで良いのか日本政府。

 

「む。これ以上は燕の肌に悪いな。寝よう」

 

 こうして燕はIS学園一日目を終えた。

 

 

「燕、一緒に朝飯食べようぜ」

 

「良いよ。……箒、機嫌悪い?」

 

「別に悪くない」

 

 翌朝、燕は一夏と箒に誘われ一緒に朝飯をとることになった。中の人は箒と朝食、と喜んだが箒の表情は険しいものである。何故かと食べながら思考を巡らせ中の人は一つの可能性にたどり着き、一夏に聞こえない小さな声で箒に声をかけた。

 

「別に取らないよ?」

 

「……何だ」

 

「一夏のこと」

 

「っ!?」

 

「好きでしょ?」

 

「え、は、え、ち、違っ」

 

「ん、食べ終わったから先行く」

 

 不機嫌な理由はそれではなかったが、吹き飛んだ。恥ずかしさと諸々とで箒は顔を赤くした。応援するよと言う意味を込めて燕は早々に食べ終えてその場を後にする。内心またしても織斑ラヴァーか! クソッタレ! と思っていながらも変なところで常識人な中の人は応援することにした。略奪はいけんです、とは中の人。

 

(ま、俺には燕たんがいるからね!)

 

 相も変わらず自分大好き人間であった。

 

 

「――クラス代表戦に出るクラス代表を決める。自薦他薦は問わない」

 

 朝食後、授業開始と同時に千冬がそう言ったことで、クラス代表を決めることになった。

 

「はい! 織斑くんがいいと思います!」

 

 早速に手が上がるが、他薦。しかも珍しいというだけで一夏が選出された。それを皮切りに、私も織斑くん! と声が続き、一夏がクラス代表で決定かと思われたが我慢ならない人が一人いた。

 

「納得いきませんわ!」

 

 イギリス代表候補生のセシリア・オルコットである。机を叩き、少々過激な言葉も混ぜて自分の方がクラス代表に相応しいと言った。

 クラス代表をしたくなかった一夏は最初はセシリアに譲ろうと考えていたが、演説の途中の過激発言が癇に障ってしまい、イギリスに対する過激発言で対抗。

 

「決闘ですわ!」

 

 売り言葉に買い言葉と収集がつかなくなり、ついにセシリアは一夏に決闘を申し込み、一夏もそれに応えた。

 

「では、来週織斑と――」

 

「――私もやる」

 

 それを見ていた千冬は承諾し、話をしめようとしたところで燕が手を上げ自薦した。

 

「そうか。なら来週は織斑、オルコット、飛鳥の三名によるクラス代表決定戦を行う」

 

 普段は大人しい燕。その燕が手を上げたことに一夏と千冬は驚いた。そして同時に、燕は日本代表候補生として黙っていられなかったのだと、納得する。千冬はそんな燕に感心し、一夏は自分も負けられないと決意を固めた。

 

(セシリアちゃんのISスーツ姿を間近で見るチャンスがこんなに早く訪れようとは! 俺ってば超運良い! 隅々まで堪能してやるぜ! ぐへへ)

 

 中の人、絶好調である。

 



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