名探偵ミューズ (sunlight)
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名探偵登場

初めまして、この度、ハーメルンに小説を投稿させていただきます。sunlightと申します。この小説はラブライブとミステリー・サスペンスもののクロスです。原作とはまるっきり無視しています。初心者で至らぬ点が多いと思いますが、見ていただけるとうれしいです。


ある大きな屋敷で殺人事件が起こった。屋敷の主人が胸を刺され殺されたのだ。その屋敷でオレンジ色のサイドテールの髪型に青い瞳をした17歳くらいの少女が、屋敷の大広間で事件の関係者を呼び集めて事件の推理を話していた。

「トリックは、今、説明した通りです。そして、このトリックができた人は1人しかいません。」

「は、犯人は、誰なんだ。」

少女が、ゆっくりと腕を上げて、ビシッと、1人の人間を指差した。

「犯人は、奥さん、あなたしかいません‼︎」

その少女は、両腕を骨折している奥さんを指差した。

大広間が静まり返る。

「そ、そんな悪い冗談はやめてください。私は、両腕を「下手な芝居は、やめてくださいよ。」え?」

「もう、嘘はバレてるんだよ‼︎」

少女は、奥さんに近づいて、思いっきり奥さんを突き飛ばした、よろけた拍子に折れている奥さんの腕が動いて奥さんの体を支える。

「奥様、腕が‼︎」

「し、しまった‼︎」

「あなたの通っていた、病院からは聞きました。あなたの両腕は、もうとっくに治ってるんだよ。」

少女は笑顔で言った。

少女は続けた。

「それに、あなたが、ご主人と折り合いが悪くて、最近よく揉めていた、ということも、もう、調べてあるし。動機も十分あるんだよ。」

少女は、奥さんの前に立って言った。

「もう、観念しなさい。」

その言葉に奥さんはその場に四つん這いになって倒れる。

 

事件現場に駆けつけていた刑事たちがその少女を驚きの目で見ている。

「す、すごいね、君は、」

1人の刑事が、少女に声をかけると、

「そんなことないですよ〜、たまたま解けただけですから。」

さっき推理していたときと違い、照れくさそうに笑う少女。

その姿は、年相応の少女だった。

「事件が解決して、刑事さんたちの役に立てて良かったです!」

少女は、刑事たちに眩しいくらいの笑顔をむけた。

その笑顔に思わず、刑事たちだけではなく、周りにいた男女問わず全員が見惚れてしまった。

固まったまま動かない刑事たちに、少女は、「どうしたんですか?」と聞く。ようやく、我にかえった刑事たちは、少女に「事件を解決してくれてありがとうございました‼︎」と、持ち前の大きな声で言う。

少女は、さっきの笑顔で、「いえいえ、どういたしまして、」と言った。

「じゃあ、私はこれで」

少女が、事件現場から立ち去ろうとすると、

「待ってくれ‼︎」と1人の刑事が呼び止めた。

「君の名前を教えてくれ。」

少女は、驚いたようだが、すぐに笑顔で言った。

「私の名前は、高坂穂乃果です!」

少女は、そう言うと刑事たちに手を振って立ち去った。

 

 

 

 




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名探偵の仲間たち

今回は、他のμ'sメンバーも登場です。
今回は、穂乃果視点で進みます。かなり短いです。


私こと、高坂穂乃果は、今、幼馴染を始めとした8人の友人たちに囲まれて困っています。

「穂乃果、また、1人で事件を解決したんですか⁉︎」

「酷いよ。穂乃果ちゃん! 私たちも、解決に携わりたかったのに」

「事件が、起きたら、1人で解決しないでみんなで協力して解決するって決めたでしょ!」

こんな風に、みんなに責められています。

「だ、だって、仕方ないじゃん、事件は早く解決しないといけないし…」

私が言っても。

「相談するくらいの時間はあるでしょ‼︎」

「1人でまた、良いとこ全部持っていって」

「抜け駆けは穂乃果の得意技だからね〜」

矢継ぎ早に私に詰め寄る8人を説得出来る言葉が思いつかないので、私は、

「今度からは、ちゃんとみんなと一緒に解決するよ!」

と言うことしかできなかった。

みんなは、まだ納得いってないような顔をしていたけど、「破ったらパン食べるの1ヶ月禁止やで。」という希ちゃんの一言で落ち着いた。

 

紹介が遅ましたが、私たちは、高校生探偵団と人からは呼ばれている者たちです。

何故こう呼ばれるかは、学校で起きたある事件をたまたま居合わせた、この9人が解き明かしたことがきっかけなんだけど、それは、また別のお話だ。

それ事件を解決して以来、噂はどんどん広まり、私たちはいつの間にかそう呼ばれるようになった。

だけど、「探偵団と言われるだけだと、嫌よ。」という、メンバーの1人であるにこちゃんの言葉により、私たちは探偵団の名前をみんな音楽が好きだからという理由で9人の音楽の女神を意味する「μ's」という名前に決めた。

名前が決まった後は、私たちμ'sの噂を聞いていろいろな事件が私たちのところに次々に舞い込んでくるようになった。

そのことが理由で、漫画とかでよくあり現実ではありえないとおもっていたけど、警察の人にも何人か知り合いが出来てしまった。

今では、私たちと知り合いになった警察の人たちの方から、「この事件を解決して欲しい」と頼まれるようになるまでになってしまった。

 

私たちは、これからたくさんの事件に巻き込まれるハメになっていくだろう。

でも、私たちは、どんな謎も事件も解き明かしてみせる‼︎

 

そして、次の事件は、もう、すぐそばに近づいていた。

 

 

 

次回予告

海未ちゃんの両親に誘われて穂乃果とことりの海未の幼馴染トリオは、街に新しく出来た、船が料理を運んでくることで人気の料亭である、流水亭に、やってくる、しかし、その店で、穂乃果たちの隣の部屋で食事をしていた、3人の大学生の1人が殺害されてしまう。一緒に来ていた、大学生2人には、完璧なアリバイがあった。穂乃果、ことり、海未の3人が完璧なアリバイを崩し事件解決に挑む!

 




ご指摘、感想をおまちしております。


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流水亭殺人事件 事件編

前回の予告通り、今回は流水亭で起きた事件です。


ある日曜日の昼、穂乃果が、いつものように自室でゲームをしていると、

「穂乃果ー、海未ちゃんから電話よー」

穂乃果のお母さんが穂乃果を呼ぶ声が聞こえた。

(海未ちゃんから? どうしたんだろう?)

急いで、お母さんのところにいき、お母さんから受話器を受け取った。

「もしもし、どうしたの海未ちゃん?」

「あ、穂乃果ですか?」

すぐに返事が返って来た。

「なんか事件?」

穂乃果が聞くと。

「違いますよ。今日は穂乃果を食事に誘おうと思いましてね。」

海未がいった。

「食事?」

穂乃果が聞くと海未が答えた。

「ほら、町に新しく出来た、流水亭っていう料亭があるじゃないですか。今夜、そこに私の家族と親戚とで行く予定だったのですが、急に親戚が来れなくなりまして、せっかくですから、穂乃果もご一緒にどうかと思いまして。」

海未が言うと穂乃果は

「でも、私が行っていいの?」

と聞くと海未は

「はい、親戚の分の予約がしてありますから、2人分ありますから、ことりも、さっき電話して誘いました。ことりも行くと行っていました。」

と言った。

「分かった。それじゃあお言葉に甘えてご一緒させてもらうよ!」

穂乃果が言うと海未は

「分かりました! それじゃあ、6時に私の家の前に集合です。」

と嬉しそうに言った。

 

 

 

 

ー6時ー

「はぁ、はぁ、ま、間に合った。」

穂乃果が息をきらしながら海未の家に走って来た。そこには、穂乃果以外の人がみんなが待っていた。

「遅いですよ‼︎ 穂乃果!」

「まあまあ、海未ちゃん落ちついて」

いつものように遅れて来た穂乃果を海未がしかり、ことりが宥めるというお馴染みの光景だ。

海未の両親は穂乃果たち3人のやりとりをみて、微笑ましそうに笑った。

そして、予定より少しだけ遅れたが海未の家の車が流水亭へ向けて出発した。

 

 

ー流水亭ー

流水亭に着くと、たくさんの人が並んでいた。穂乃果とことりの2人は、

「えっ! こんなに並んでいるの?」

「すごい人気なんだね…」

穂乃果は驚き、ことりは唖然としていた。

海未の父親が2人に言う。

「大丈夫だよ。予約してあるから、予約の時間が来ればちゃんと料理が食べられるよ。」

2人は、それを聞いたとき、「よかった…」と安堵した。

「あの、ここってどうしてこんなに人気なんですか?」

落ち着いた穂乃果が海未の母親に聞くと、

「それわね、いや、私が説明するより、実際に人気の理由をみた方が早いわ

ね。その橋の下を見てみて」

海未の母親は料理を食べる部屋と玄関の水路にかかっている橋の下を指差した。穂乃果とことりは、すぐに橋まで行き橋の下を覗き込む。

そのとき、水路の一番奥の障子があき、小さな船の上にお酒が乗せられる。

「よし! いいぞ!」

お酒を乗せた定員の威勢の良い声を合図に、定員が、リモコンのスイッチを押した。船は、穂乃果たちの橋の下を通って客室の方に進んで行った。

「へー、船が、料理を運んで行くんだー。人気になるはずだね。」

穂乃果が言うと、「気にいった?」

とレジ係の女の人が穂乃果に聞いた。

「あれより、大きな船もあるのよ。」

レジ係の女の人が言うと、

「部屋に行った船はどうなるんですか?」

穂乃果が聞くと、

「お客様が部屋で料理をおろして部屋に置いてあるリモコンを操作すれば、自動的に流水亭を一周して船着場に着くようなシステムになっているのよ。」

レジ係の女の人が丁寧に説明する。

「他にも、船は「すいません。予約をした者ですが。」は、はい! ごめんねまたこの話は今度ね。」

レジ係の女の人は、大学生くらいの2人の客のところに向かった。

「八の間を予約なされた、佐川様ですね。」

レジ係の女の人が言うと

「え? おい、佐川お前、」

「フン、俺じゃねえよ」

背の高い小太りの男が隣の、佐川という男に聞くと、佐川は予約したのは自分じゃないと言う。そのとき

「おー、杉山、佐川遅かったじゃないか。」

と2人と同い年くらいの小柄の男が客室の方から手を振りながらやって来た。

「すいません、太田先輩、佐川の奴が遅れてしまって。」

杉山が謝るが、隣で佐川が不貞腐れたように言った。

「フン、こんなところでお祝いして貰わなくても良かったのによ。」

そんな佐川の態度に杉山が怒る。

「おい! 今日はお前の誕生日を祝おう、と言って来れたのは太田先輩の方からなんだぞ!」

「うるせえな、他の客に迷惑がかかるのがわかんねーのかよ。バカ」

佐川は杉山にそう言うと杉山を押しのけ、「君、この店で1番高いものは何だ?」と定員に聞いた。

「はい、フグの白子ですけど…」

「じゃあ、それを3人前もらおう、いいですよね、先輩? なんてったって俺のお祝いなんだから。」

太田に言うと、

「あ、ああ、もちろんいいとも、今日は佐川君のお祝いだからね。」

太田は、定員にフグの白子の追加注文をすると客室に入っていった。

「何だろうね、あの、佐川って人、嫌な人だね〜」

ことりが呟いた。

 

 

 

それからしばらくして予約した時間になり、穂乃果たちは、二の間の客室に入った。

穂乃果たちの隣の部屋からさっきの3人の声が聞こえた、

(あの人たちとなりの三の間なんだ)と穂乃果は思った。

 

しばらくして料理が大きな船に乗ってやって来た。

「うわー、すごい料理だ!」

穂乃果が思わずはしゃぐと

「穂乃果、行儀が悪いですよ。」

と言いながら海未が嗜める。

しかし、船は穂乃果たちの部屋には止まらず隣の部屋で止まった。

「なーんだ、私たちのじゃなかったのか、」

穂乃果ががっかりすると、

 

『太田先輩、すごい料理ですね〜』

『お祝いだからなぁ』

『にしても、佐川の奴、さっき部屋に出ていったきり帰ってきませんね。』

『トイレにでも行ってるんだよ。すぐに、帰ってくるさ。』

 

隣の部屋の会話が聞こえたので、余計にお腹が空いたように感じた。

 

 

しばらくして、穂乃果たちの部屋にも、料理が届いた。

「この、刺身すごく美味しい!」

「この吸物もすごく美味しいよ!」

人気がある通り料理もすごく美味しく穂乃果たちが満足していると、

『あ、あれ? コンタクトが! コンタクトレンズはどこにいった?』

隣の部屋から太田の声が聞こえて来た。

ガチャン‼︎

『あっ! しまった! やってしまった〜 』

何事か? と思い、水路から隣の部屋を見ると、障子がピシャッと閉まった。

『あった、あった。良かった〜』

「あまり、落ち着きのない人ですね…」

海未が呟いた。

 

 

 

ことりたちが残りの料理を食べていると、

「美味しそうだなあ」

余程、お腹が空いていたのか、穂乃果が、料理を食べ終わっていた。

「海未ちゃん今、何時?」

退屈に耐えかねたのか穂乃果が海未に時間を訪ねた。

「8時ですよ。」

「もう8時か〜」

穂乃果が、そう言った時、ウイスキーのセットが乗った大きな船が二の間の前を通り過ぎて行った。

(喫水線がすごく上にあったなあ、此処の大きな船はみんなああなのかな?)

穂乃果がそんなことを考えているとき…

 

 

「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

「っ‼︎」

突然悲鳴が聞こえてみんなが驚く。

「な、何だ?」

「何かあったのかしら?」

海未の両親がそう言っていると、

「行くよ! 海未ちゃん! ことりちゃん!」

穂乃果の声を合図に、3人が飛び出して行った。

部屋を出ると、八の間の客室の前でレジ係のお姉さんが腰を抜かしているのが見えた。

急いで穂乃果たちもそこにむかう。

「どうしたの⁉︎」

「お、お客さんが!!」

そう言って、部屋の中を指差した。

穂乃果たちが部屋をみて見ると、

「うわっ!」

「こ、これは…」

そこには、胸をナイフで刺され廊下の方に足を向けたまま、テーブルの上に倒れ込んで死んでいる。佐川の死体があったのだ!

「さ、佐川君!」

太田が上着を着ながら八の間に走って来た。

海未が佐川の手首に触り脈をはかる。

「し、死んでます…」

海未が言うと、

「これは殺人事件です。早く警察に連絡を! それと、誰もこの店から出さないで下さい!」

穂乃果がレジ係のお姉さんに言った。

「は、はい!」

本来なら、女子高生の指示など聞かないものだが、そんなことをいっている場合ではない。

 

その時、ことりと海未は、部屋と死体を調べていた。

「本当に佐川さんがこの角度で倒れたとすると、下座にいた佐川さんは正面から胸をナイフで刺されてテーブルの上に倒れたと言うことになるけど…」

海未は水路を調べていた。

「入り口以外から犯人が入ったとなるとこの水路しかないですが、もし、犯人が、水路から侵入したのなら部屋の中は水浸しのはず…」

「「うーん」」

海未とことりが首をかしげて考える。

「何かわかった?」

穂乃果が指示を出し終えて2人に聞くと、

「「いや、全然」」 と2人は答える。

3人が八の間から出ると、流水亭の入り口から、杉山が入って来ていた。

(あれ、あの人どこにいってたんだろう。)

穂乃果が杉山を怪しむ。

杉山は、太田のところに行き、

「太田先輩何かあったんですか?」

「さ、佐川君が八の間で亡くなっているんだ!」

「ええっ!?」

 

「……」

穂乃果、海未、ことりの3人は2人をじっと見ていた。

 

 

 

しばらくして警察が到着して、捜査が始まった。

「死亡したのは、佐川博道さん、21歳、西欧大学3年生です。死因はナイフで刺されたことによる失血死です。死亡推定時刻は、大体、7時半から8時の間だそうです。 そして、こちらが、被害者の佐川さんと一緒に来ていた。太田雄二さんと杉山猛さんです。」

1人の刑事が警部に説明する。

「今日は、佐川君の誕生日を祝うために此処に来たんです。てっきりトイレへ行ったと思っていたのに、こんなことになるなんて…」

太田が言うと、

「森警部、第一発見者の方がこちらに…」

森が第一発見者のところに話を聞きに行こうとした時、森は、事件の起きた八の間にオレンジ色のサイドテールをした少女が入って行くのを見た。

注意しに行こうとしたが、森はその髪の色と髪型に見覚えがあった。もしや、と思い八の間に行くと、そこには、この間屋敷の主人が殺害された事件を解決してくれた少女がいた。

森はその少女に問いかけた。

「もしかして、君は高坂穂乃果さんかい?」と、

少女は、不思議そうに首をかしげて言った。

「はい、私は高坂穂乃果ですけど…」

すると、森の顔が喜びに満ちた顔になった。実は、あの事件の後、森は彼女についていろいろ調べていたのだ、警察も手を焼く事件をいくつも彼女と彼女の仲間が解決していると知った時は驚いた。

森は穂乃果に言った。

「お願いします。この事件を解決するのに協力してくれませんか⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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流水亭殺人事件 捜査編

前回の続きです。


森から急にそう頼まれて驚く穂乃果たち、元からそのつもりだったから断る理由はない。

「はい。良いですよ‼︎」

穂乃果が笑顔で言うと、森の顔が喜びに満ちた顔になった。

「ありがとうございます‼︎」

森は穂乃果にお礼を言うと、

「では、早速こっちで事件の捜査を…」

森が穂乃果の腕を引いて、さっきの刑事の方へ行こうとすると、

「待ってください。あの2人も一緒でいいですか?」

穂乃果が、呆然としていた海未とことりを指差した。

「え?」

森は驚いた顔をしたが、すぐに、2人が何者なのか気づき、

「ああ、探偵団のμ'sのメンバーの方ですね。 ご協力お願いします‼︎」

と、2人に頼んだ。

2人は余りの急展開に理解が追いつかなかったが、やっと理解し、

「は、はい、お願いします、」

と、たどたどしく言った。

「あ、自己紹介が遅れましたね。私は、警視庁捜査一課の警部の森と申します。よろしくお願いします!」

森が自己紹介すると、海未とことりもハッとなり、

「あ、これは、申し遅れました! 私は、園田海未と申します。」

「わ、私は、南ことりです…」

2人も自己紹介をすると、森は笑顔で、

「ああ、園田さんと南さんだね。 よろしくね。」と言った。

海未とことりは、森の気さくな態度に好感を持ち、2人も笑顔で、「はい! よろしくお願いします!」と言った。

自己紹介も終わったところで、森がそろそろ事件の捜査に戻りましょう。の言葉で森と穂乃果たち3人はさっきの刑事のところへ戻っていった。

 

 

森が戻ってくると、

「森警部、どこにいってたんですか?」

と、森の部下であろう若い刑事が森に聞いた。

「すまんな。石田くん、でも、その代わり強力な助っ人を連れてきたぞ‼︎」

森が誇らしげに言うと、石田と呼ばれた若い刑事は、「え?」と言う表情をした。

「お前も、μ'sの噂は聞いているだろう?」

森が石田に聞くと、「は、はい」と石田は答える。

「その人たちが助っ人だよ!」

森が嬉しそうに言うと、

「え⁉︎」

と石田が驚く。

 

「よろしくお願いします‼︎ 石田刑事‼︎」

石田の後ろから元気な少女の声が聞こえた。

見ると、オレンジ色のサイドテールの髪型をした少女が、眩しい笑顔で立っていた。その後ろには、ベージュの髪を上から結んである少女と、淡い青色のロングヘアーの少女が立っていた。

「も、もしかしてこの子達が?」

石田が聞くと、

「ああ、そうだ。」

と、森が答えた。

「というわけで、石田、この3人も捜査に参加させるぞ。」

森の言葉に石田は頷いた。

警察の中でも彼女たちμ'sの評価が高いのは事実だ。

現に、我々警察が解けなかった事件を彼女たちは解決しているからだ。

でも、石田には穂乃果たちがどうしても事件を解決出来るような名探偵には見えなかった。

不安もあったが警察の中でも話題のμ'sという探偵団に興味はあったので捜査に参加させることにした。

(お手並み拝見ってところだな。)

石田は心の中で呟いた。

 

 

 

事情聴衆を受けている太田と杉山のところに森たちが戻ると捜査が再開された。

「えー、では、まずアリバイ調べから、太田さんあなたは、8時ごろ何処にいましたか?」

森が太田に聞いた。

「僕はずっと三の間にいました。」

太田が答える。

「その頃は、確か太田さんが悲鳴をあげた時ですよね?」

穂乃果が太田に聞いた。

「そうだけど… 刑事さん、この子は?」

太田が森に穂乃果のことを聞くと、「ああ、いえ、お気になさらずに質問に答えてください。」と返された。

太田が穂乃果を方を向く。

「うん。コンタクトを探している時に皿をひっくり返してね。僕はコンタクトがないとよく見えないんだ。」

太田が穂乃果に言う。

「なるほど、では、杉山さんあなたは?」

森が今度は杉山に聞く。

「料理を船から降ろした後、太田先輩から、タバコを買ってくるように言われて、歩いて10分くらいの近くのコンビニに行ってました。あっ、レシートもあります!」

杉山が証言をした後、森にレシートを渡した。

「レシートの時間は19時53分か…」

森が言うと、

「森警部、他のお客さんは?」

穂乃果が森に聞くと代わりに石田が答えた。

「他の部屋の客は全員4人以上で来ていて、何人かトイレやらに立った人もいたらしい。まあ、それはこれから調べるところだけどね。 ちなみに従業員には全員アリバイがあったよ。」

「ありがとうございます。」

穂乃果は石田にお礼を言った。

森は次は第一発見者のレジ係のひとに話を聞いた。

「第一発見者はあなたですね。レジ係の安藤優子さん」

森が安藤に聞くと、

「は、はい。八の間に入られたきりご注文がなかったので様子を見に行ったらあのようなことに…」

「八の間に被害者以外で入った人はいましたか?」

「1人もいませんでした。」

安藤が答えた。

「確かですか?」

森が安藤に確認する。

「はい。私はずっとレジにいて橋を見ていました。入り口はあの玄関だけですし、橋を渡らなければ部屋には行けません」

安藤が言うと、

「じゃあ、犯人はどうやって八の間に行ったんだ?」

森が顔をしかめると、横から穂乃果が、

「森警部、犯人は水路を通って八の間に行ったんじゃないんですか? そこの安藤さんに聞いたんですけど、ここの水路は流水亭の周りをグルリと一周して船着場につきますし。外からは、水路に入らないように柵がありましたからね。」

穂乃果の考えを聞いて森は、

「なるほど、一理あるな。つまり、内部犯だと言うことか…」

森はすぐに部下に指示を出した。

「よし、石田くん水路を通った人間を見た人がいるか目撃者を探すんだ。」

「はい!」

森の指示を受けて石田たちは客室に向かって行った。

 

 

石田たちが聞き込みをしているとき、穂乃果、ことり、海未の3人は事件の状況を整理していた。

「犯人の目星ついた? 穂乃果ちゃん」

ことりが穂乃果に聞くと、

「犯人は、杉山さんか、太田さんのどちらかだよ。」

と、穂乃果が答える。

「そうですね。4人以上で来ている客が仲間や安藤さんの目を盗んで八の間に行くのは不可能ですからね。」

海未も賛同する。

「そう、つまり、1人になる時間があったあの2人にだけ犯行が可能だってこと。」

と穂乃果が言う。

「でも、杉山さんはレシートのアリバイがあったし、太田さんの悲鳴を聞いたのは、他ならぬ私たちだよ? それに、あの声と音はテープか何かでながしていたとしてもその後の障子が閉まるのはどうやってしたの?」

ことりが穂乃果に聞くと、

「それは、まだ、分からない。まあ、今は目撃者がいるかどうかの報告を待とうよ。」

穂乃果がことりと海未に言った。

 

 

それからしばらくして聞き込みが終わり、

「ええっ! 誰も水路を通った人を見ていない⁉︎」

報告を受けた森が言う。

「はい、水路を通った人間を見た人は誰もおらず、通ったのは船だけだったと言ってました。」

石田が説明する。

「なら、水路の中を潜って行ったんじゃないのか?」

森が石田に聞くと、

「いえ、水路は50センチくらいの深さしかないので潜って行くのは不可能です。」

石田が手帳を見て言う。

「それに、潜って行ったのなら八の間が水浸しになってるはずですよ。」

穂乃果が森に言う。

「うーん、そうなると外部犯の線が強くなってきたな。」

「そうですね。」

 

外部犯が犯人だと考え始めた森たちを無視して穂乃果たちはもう一度八の間の客室を調べていた。

「ん?」

すると、ことりが佐川の死体に何かを見つけた。

「どうしたの? ことりちゃん」

穂乃果と海未がことりのところに行くと、

「2人とも見て、佐川さんの右手の親指に何かついてるよ。」

ことりが言うところを2人が見ると、確かに佐川の死体の右手の親指に何かタレのようなものがついていた。

「なんだろうコレ?」

穂乃果が鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、ハッとした顔になった。

「コレ、フグの白子のタレだ!」

それと同時に穂乃果の頭の中にイナズマのような衝撃か走った。

「もしかしたら!」

穂乃果はよくわかっていない海未とことりを残して八の間を飛び出して行った。

「ほ、穂乃果何処に行くんですか?」

「ま、待ってよ〜穂乃果ちゃ〜ん」

海未とことりも穂乃果を慌てて追いかける。

 

穂乃果は真っ直ぐに安藤のところに走って行った。

「安藤さん! ちょっと船を見せてくれませんか?」

安藤はいきなり走ってきた穂乃果に驚いたが、

「良いわよ。」

と、すぐに許可してくれた。

海未とことりも追いつき一緒に船着場に向かう。

 

 

船着場に着くと穂乃果は船を見渡した。

「安藤さん、船はこれで全部ですか?」

穂乃果が安藤に聞くと、

「ええ、そうだけど…」

(全部で5隻その中で大きい船が1隻か)

穂乃果は再度、安藤に聞いた。

「8時ごろ、三の間に向かったウイスキーが乗ってたのもこの船だった?」

「ええ、そうよ、7時半に料理を、8時にウイスキーがくるように注文を受けたのよ。でも、なんでウイスキーまで、大きな船でくるように頼んだのかしら?」

考え始めた安藤を尻目に穂乃果は大きい船のはめ板を外した。

(あれ?)

見ると、佐川の指についていたタレがはめ板の上に少しだがついていたのだ。

(やっぱりこのトリックだったんだ。)

穂乃果は今度は船の中を調べた。

「中は、モーターとセンサーしか入っていない、かなりの空間があるね、となると、」

穂乃果ははめ板を戻すと

「安藤さん、ありがとう‼︎」

いつもの眩しい笑顔で安藤にお礼を言うと、船着場を走って出て行った。

「あ! 穂乃果! 待ってください!」

「待ってよ〜」

海未とことりも安藤にお礼を言うと穂乃果に続いて船着場を走って出て行った。

船着場から出た穂乃果は三の間にはいり、部屋をしらべていた。

テーブルを見ると、ほとんどの料理が残っていた。

(あれ?)

穂乃果はあることに気づいた。

(割り箸の袋が1つ足りない。それに、タレをこぼした後がある)

穂乃果の頭の中に再びイナズマが走った。

(そういうことか‼︎ だとすると、ここにその後が残ってるはず!)

穂乃果は水路の障子を調べた。

すると、障子と反対側の障子に小さな穴とその間に濡れた後があった。

 

この瞬間穂乃果の頭の中で全ての謎が解けて、真相が一本の線につながった!

 

(これでアリバイは崩れた! 間違いない、犯人はあの人だ! しかも、言い逃れできない証拠を持っている‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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流水亭殺人事件 解決編

解決編です。
上手く書けたか評価をお願いします。


「ええっ! 事件の真相が分かった⁉︎」

 

穂乃果の言葉に海未とことりが驚く。

 

「うん! 全部分かったよ‼︎」

 

穂乃果がいつもの笑顔で2人に言った。

 

「で、でも、犯人はどうやって八の間に言ったんですか⁉︎ レジ係の安藤さんの言葉によると客室には橋を渡らないと行けなくて、誰も橋を渡って八の間に行ったのを見ていないと言ってましたよ⁉︎」

 

「それに、水路から八の間に行こうにも、誰も水路を通った人間を見ていないと言ってたんだよ⁉︎ それなのに、誰がどうやって八の間にいた佐川さんを殺害出来たの⁉︎」

 

穂乃果の「全部分かった」宣言に海未とことりが機関銃のように質問する。

穂乃果は笑顔で2人に言った。

 

「それも、全部明らかにするから、ちなみに犯人は、佐川さんと一緒に流水亭に来ていたあの2人のどちらかだよ。 まぁ、詳しい推理は警察と犯人の前で話すよ。」

 

 

穂乃果は森たちのところに歩いて行った。

 

 

 

 

「森警部、五の間の客は全員アリバイが確認されました…」

「分かった。」

 

 

森たちは全部の部屋の客のアリバイを確認していた。

 

「あの〜、僕たちはいつまでここに?」

 

太田が森に帰って良いかを促す。

 

「そうですね。お二人にはお引き取り頂いても大丈夫で「ちょっと待ってください。」す?」

 

アリバイが証明された太田たちを帰そうとした森をはっきりした声が止めた。

声がした方をみんなが見ると穂乃果が立っていた。

でも、いつもの穂乃果とは違う凛々しい顔だ。

森はこの顔に見覚えがあった。屋敷の殺人事件の時に推理をしていた時の顔だ。

森は穂乃果に聞いた。

 

「もしかして事件の謎が解けたのか⁉︎」

 

すると、穂乃果は笑顔で「はい!」と答えた。

 

「じ、じゃあ聞かせてくれ!」

 

森は興奮する気持ちを抑えて言った。

 

 

「分かりました。じゃあ、まず犯人がどうやって八の間に行ったか説明します。」

 

「どうやって行ったんだ⁉︎」

 

「犯人はやっぱり水路を通って八の間に行ったんです。」

 

森が聞くと穂乃果は冷静に返した。

しかし、石田は頭をおさえた。

 

「おいおい、君は目撃証言を聞いてなかったのかい? 水路は船以外通らなかったって、」

 

石田が言うと穂乃果はニヤっと笑った。

 

「そう、まさにその通り。犯人は船を使ったんですよ。」

「「「「「船を?」」」」」

 

森たちだけではなく海未とことりもクエスチョンマークを頭に浮かべた。

 

「大きな船には小柄の人間なら隠れられる空間があるんですよ。」

 

穂乃果は説明を始めた。

 

「まず、犯人は料理を全部、大きい船で運んでくるように前もって頼み、料理を降ろした後、船のはめ板を外して船に乗り込んだ。そして、リモコンを操作し船を部屋から出発させ、途中で、八の間に着く頃合いを見はからい犯人は船のセンサーのスイッチを足でオフにした。八の間に船は止まる。 佐川さんは当然驚いたでしょうね。 でも、警戒はしなかった。 まさか、親しい間柄の人間が自分を殺害しに来たとは思いませんからね。 犯人はそのすきをついて佐川さんをナイフで刺殺したんです。 でも、このままだと、佐川さんは水路の方向を向いたまま死んでいることになり、このトリックがバレてしまう恐れがある、それを防ぐために犯人は佐川さんの死体を廊下の方に向けたんです。」

 

「「「な、なるほど」」」

 

その場にいた全員が感心していた。

 

「で、でも犯人はその後どうやって部屋に戻ったんだ⁉︎」

 

石田が聞くと穂乃果は答えた。

 

「簡単な事ですよ。船に再び乗り込みセンサーのスイッチをオンにして船着場に船をつかせる。後は、そのまま待っているだけです。 8じに注文した品とともに、船が部屋に運んでくれますからね。」

 

穂乃果は一息置いて続けた。

 

「でも、犯人にとって誤算だったのは、私にあるものを見られた事です。」

 

穂乃果の言葉に全員が「ある物?」と聞いた。

 

「喫水線ですよ、8じに大きい船が二の間を通った時、船にはお酒のセットしか乗ってなかったのに喫水線が異常に上にあったんです。その時は疑問にしか思いませんでしたが、それは、犯人が船に潜んでいた証拠です。」

 

穂乃果が言うと、

 

「ち、ちょっと待って、今のトリックが出来るのは、部屋で一人きりになった場合のみ、それって!」

 

 

ことりがその人物を見た。

それを合図に穂乃果は犯人を指差した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、犯人は太田さん、あなたです‼︎」

 

 

 

 

 

 

「ええっ!」

「なんだって‼︎」

「お、太田先輩が⁉︎」

 

全員が驚いた。穂乃果は推理を続ける。

 

「太田さん、貴方はおそらく「佐川さんに別の部屋で2人きりで話したい秘密の話がある」とでも言って八の間を予約させた。そして、部屋に料理がついて船から料理を降ろした後、杉山さんにタバコを買いに行かせた。それも、わざわざレジにない銘柄を指定してコンビニまでね!」

 

「ちょっと待ってください‼︎」

 

穂乃果に太田が反論した。

 

「犯行時刻に僕は三の間にいたと証言したのは、君じゃないか! 僕の声が聞こえただろ? その後障子も閉まっただろ? そのアリバイのある僕がどうやって佐川君を殺害しに行けるんだよ!」

 

太田が穂乃果に反論すると穂乃果は涼しい顔で返した。

 

「確かに、私たちは太田さんの声は聞こえた。でも、姿はみていない。それに

太田さん、貴方はレコーダーを持ってるんじゃないですか?」

 

太田はグッと言葉に詰まった。

 

「そ、それなら講義で聞き逃しのないようにいつもカバンに持ち歩いているけど… 声や音はそれでやったとしても障子はどうやって閉めるんですか⁉︎」

 

太田が聞くと穂乃果は軽く笑った。

 

「そのトリックも、もう、解けていますよ。 障子を閉めることくらい簡単に出来るんですゴムとピンと割り箸の袋、そして氷を使えばね」

 

太田の顔が青くなった。

 

「仕掛けは簡単、まず障子と障子の間にゴムをピンで止めて反対側の障子のところに割り箸の袋を丸めておいて袋の端をピンで止める。次に、ゴムのついた障子を割り箸の袋のところまで引いてピンで止める。後は、料理について来た氷を割り箸の袋の丸めたところに入れるだけ。これで仕掛けは完成。 後は、時間が経てば氷が溶けて濡れた袋は弱くなってちぎれる。割り箸の袋が千切れれば障子はゴムの力で閉まるというわけです。」

 

「な、なるほど…!」

 

全員が穂乃果の推理力に唖然としていた。

 

「太田さんは、三の間に戻るとゴムとピンを回収してデータを消去した。濡れた割り箸の袋も水路に流せば証拠もなくなると言うことですよ。」

 

「そうだとしても証拠はない! 僕が佐川君を殺害したと言うのなら証拠を見せてみろ‼︎ 証拠を‼︎」

 

太田が言うと、穂乃果は今度は杉山の方をみた。

 

「杉山さん、船から料理を降ろした時、フグの白子のタレをこぼしませんでしたか?」

 

「え? あ、うん。こぼしたよ。船のはめ板の上に。」

 

ことりも海未も森たちも杉山も太田でさえもキョトンとした顔をした。それを気に留めずに穂乃果は続ける。

 

「太田さん、貴方は安藤さんの悲鳴を聞いて八の間に駆けつけた時上着を着ながら着ましたよね。慌てて駆けつけた人が普通上着を着ながら来るでしょうか?」

 

「そ、それは…」

 

太田は口ごもった。穂乃果は続ける。

 

「上着を着たのは、はめ板を外して船に乗り込んだ時、下の服にフグの白子のタレがついたからじゃないですか?」

 

 

「太田さん、その上着をちょっと脱いでくれますか?」

 

森が太田に聞く。

太田も言い返す。

 

「た、確かにタレのシミはついてますよ。でも、これは、コンタクトを落とした時に皿をひっくり返してついたものですよ。」

 

「本当にそうでしょうか? 料理を船から降ろした時三の間にいなかった佐川さんの指にもフグの白子のタレがついてるんですよ。」

 

穂乃果はフッと軽く笑った。

 

「それは、一体いつ付いたんでしょうかね〜」

 

太田の顔が真っ青になった。

 

「ま、まさか…!」

 

「そうですよ‼︎ 佐川さんが貴方に刺された時に咄嗟に握ったんですよ! あなたの服についたフグの白子のタレのシミをね! したがって貴方の服のタレのシミの部分に佐川さんの指紋がしっかりと残っているはずです‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果の言葉に太田はその場に四つん這いに崩れ落ちた。

 

 

「佐川君は、僕が裏口入学なのを何処かで知ってバラされたくなければ、自分に絶対服従するようにと脅してきたんだ…。 さらに自分に5000万の金を払えと要求してきて、僕の我慢は限界を超えたんだ…!」

 

太田の手に手錠が掛けられた。

太田はうなだれたまま呟いた。

 

「あのフグの白子は予定外の注文だった。 あれさえ頼まなければ完璧だったのに…」

 

太田はそのまま警察に連行されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…」

 

事件が解決し緊張がとけたのか穂乃果の顔がいつもの顔に戻った。

穂乃果は森たちの方を見て「事件が解決して良かったです‼︎」と眩しい満面の笑顔を向けた。

森のみならず捜査に来ていた警察全員が穂乃果に事件解決のお礼を言った。

石田もその中にいた。

はじめは穂乃果たちの推理力を信じていなかったがこの事件を通して信じるしかないからだ。

 

「大した女子高生だな。」

 

石田で誰にも聞こえない小さな声でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、石田もこの後、穂乃果たちとともにさまざまな事件に巻き込まれていく、だけどその話はまた今度にしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー次回予告ー

希の誘いで町の外れにある『暗闇寺』と言う古い寺で肝試しをすることになった、穂乃果、凛、真姫、花陽、絵里、希の6人、しかし、この寺には本物の幽霊が出るという噂があると希が言う。いつにも増して真剣な希の言葉を確かめるべく暗闇寺で肝試しをする6人、しかし、そこで幽霊の仕業としか思えないことが起こる… 果たして、幽霊は本当にいるのか? それとも何かの裏があるのか? 6人がこの暗闇寺の謎に挑む‼︎

 

 

 

 

 




ご指摘、感想お待ちしております。


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暗闇寺幽霊事件 事件編

予告通り今回は町外れにある古い寺で起きた不思議な事件です。


「え? 幽霊の出る寺?」

「そうや‼︎ 今夜みんなで行ってみいひん?」

 

開口一番にそう穂乃果に言ったのは希だ。他のメンバーも『急に何を言いだすんだ?』と言いたそうな顔をしていた。

 

「この街にそんな寺あったっけ?」

「さあ?」

 

希以外のメンバーは首をかしげた。

希は意気揚々と話を続けた。

 

「それがあるんや! 神社に来た参拝客が言うてたんやけどな。町外れにある古い寺に幽霊が出るらしいんや!」

 

希が言うとみんなは「嘘〜」や「幽霊なんていないわよ」と否定的な言葉を言った。希はその言葉を待ってましたとばかりに言った。

 

「そうやろ? せやから今夜みんなでその寺行って幽霊が本当にいるか確かめて見ようってことや!」

 

希が言うと、「私行きたい‼︎」と早速穂乃果が名乗りを上げた。

それを合図に他のメンバーも

 

「凛も行ってみたい‼︎ かよちんも行こうよ〜」

「ええっ⁉︎ わ、私も⁉︎」

 

凛も名乗りを上げ、いつものように花陽を誘う。

 

「全く、そんなことに付き合うなんて嫌よ。」

 

真姫は拒否しようとするが

 

「真姫ちゃん、怖いんだ〜」

「な! そんな訳ないでしょ!」

 

穂乃果が真姫に言うと、真姫が言い返す。

 

「無理するのは良く無いにゃ〜」

「怖がりはお家で大人しくしといたらええもんな」

 

「な⁉︎ 良いわよ。行ってやろうじゃない‼︎」

 

凛と希からも怖がりだと言われ負けず嫌いな真姫はすぐに乗せられた。

 

「他のみんなは?」

 

穂乃果が海未たちを見渡して聞いた。

 

「すいません。今日は親戚が家に来ましてその手伝いがあるんです…」

「私も今日はお母さんと約束があるし…」

「妹たちの面倒見ないといけないから今夜は無理ね」

 

海未、ことり、にこの3人が今夜は来れないと断る。

 

「絵里ちゃんは?」

 

穂乃果が聞くと絵里はガタガタ震えていた。

察した穂乃果たちが絵里は誘わないでおこうと思った瞬間!

 

「あれ〜、絵里ちはどないするん?」

 

希が絵里を空気を読まずに誘う。

 

「もしかして怖い〜?」

 

希がおちょくるように聞くと、

 

「そ、そんな訳ないでしょ……!」

 

否定したが震える声で顔を青くしながら言われても説得力はゼロだ。

その後も希がさらに絵里をおちょくるので、穂乃果はさすがに絵里が可哀想になったのか困り顔でフォローを入れる。

 

「やめなよ、希ちゃん、怖がりな人を無理矢理連れて行くのは良くないよ」

 

穂乃果はフォローのつもりで言ったが、かえって絵里のプライドを傷つける言葉となったのか絵里はフラッと立ち上がり。

 

「こ、怖くなんかないわよ… 行ってやろうじゃない……!」

 

全然大丈夫には見えなかったがここで何かまた言ったら絵里が暴走すると判断した花陽が「じ、じゃあ、集合とかどうします?」と無理矢理話題を変えた。

 

「そやなぁ〜、じゃあ、今夜深夜1時半にその寺の近くに大浦公園っていう公園があるから、そこで待ち合わせや!」

 

希が言うと、穂乃果と凛は「はーい!」と元気に返事をして頷き花陽と真姫は苦笑し絵里はガタガタ震えていた。

 

 

 

 

 

 

ー深夜1時半 大浦公園ー

 

「はぁ、はぁっ、間に合ったよ〜」

「遅いわよ! 穂乃果!」

 

深夜になり、大浦公園に集まったμ’sのメンバー、いつものように遅刻癖のある穂乃果に真姫が怒る。

 

「本当にごめんね。ちょっと寝坊してね〜…」

「まったく…」

 

頰を掻きながら謝る穂乃果に真姫が呆れる。

 

「あはは…」

 

このやり取りを見て花陽は苦笑し、希は微笑ましそうに見ていた。

 

「ね、ねぇ…やっぱり行くの?」

 

そんな中で絵里が震えた声で聞いくと、希が「当然‼︎」と返す。

絵里が絶望したような顔になった。

 

「まあまあ、とにかく行ってみようよ。」

 

穂乃果が絵里を宥めて早くその寺に向かうように促す。それに従い全員が暗闇寺に向かって歩き出した。

 

 

暗闇寺は大浦公園の向かい側にあり、大きな木で入り口の石段も覆われており、寺が公園からは見えなくなっている。さらに廃寺になっているので、この街に住んでいる人でも知っている人は少ない。おまけに近隣の住民も、幽霊のうわさ話のせいで近寄らないでいるらしく、石段を登りおわった穂乃果たちは誰も手入れをしてないだろう寺を見て絶句した。

小枝や葉っぱがそこら中に散らばり、寺の壁にももひび割れた箇所がいくつもあった。

 

幽霊の出る心霊スポットにはもってこいのシチュエーションだった。

 

「うわぁ…、これは酷すぎだよ…」

 

暗闇寺のあまりの状況に思わず凛が呟いた。

 

「廃寺になるとこんな風になるのかしら?」

 

凛に続いて真姫も呟く。

 

「それにしても、こんな寺だと本当に幽霊が出そうだよ…」

 

花陽が不安げに言うと皆は震え上がった。

 

「の、希ちゃん肝心の幽霊は何処にいるの? 」

穂乃果が震えた声で聞いた。

 

「あ、あぁ、参拝客が言うには幽霊はここであることをすると出るらしいんよ。」

 

希が言うと全員が「あること?」と聞き返す。

希は持ってきたバッグの中から小型の蝋燭立てと蝋燭を取り出した。

 

「これは、5人でやるゲームみたいなもんでね、この一辺が30メートルくらいある暗闇寺の回廊の階段と4つの角のところに1人ずつ待機するんや。スタートはこの入り口の人からね。」

 

希は入り口を指差して説明を続けた。

 

「まずこの蝋燭を持った最初の1人が、入り口から入って反時計回りに向かって進み進んだ角を曲がったところに控えている人にこの蝋燭を渡すんや。最初の人から受け取った人は次の人が待っている角に向かって歩き出す。ちなみに蝋燭の受け渡しの時にお互いの顔を見せてはいかんで。そして、蝋燭を渡した最初の人は44秒数えたら自分が渡した人が待っていた角に移動して、グルっと蝋燭がリレーされていくのを待つんや。そして蝋燭を持って行った人は、次の角までたどり着いたら角の向こうを覗かず蝋燭を次の人に渡す。こうやって最初に蝋燭を受け取った人が、最初の位置に戻ってくるまでの蝋燭リレーを続けるというわけや!」

 

希の説明が終わった。

 

「でも、私たち6人いるよ。この蝋燭リレーは5人でやるゲームなんでしょ?」

 

穂乃果が希に聞くと

 

「大丈夫や。こんな事になると思ってクジを用意してきたで。ハズレをひいた人が不参加や。」

 

希がクジをバックから取り出し、みんなに見せた。

 

「さあ〜、みんな、どれでも好きなクジをとって」

 

全員がクジをとり一斉にひくとハズレをひいたのは希だった。

 

「あ! うちがハズレや!」

希が言うと、「相変わらずの運の良さね…」や「クジに仕掛けはなさそうだったしね…」と、いつものように希の強運に他の真姫と凛はぼやいた。

 

「ま、まあまあ、みんな位置につこうよ。」

 

穂乃果が言うと希を除いたみんなでじゃんけんををして順番を決めた。

 

じゃんけんの結果

 

1番目 絵里

2番目 穂乃果

3番目 花陽

4番目 真姫

5番目 凛

 

になった。

 

「それじゃあ私は2番目だからそこの角だね。」

 

「私はあっちね。」

 

「凛は最後だからむこうにゃ〜」

 

最初の絵里以外の4人は所定の位置につくために暗闇寺に入って行った。

絵里は希と一緒に入り口でスタートを待っていた。

 

「みんなが所定の位置に着いた頃合いを見計らって始めよか。絵里ち」

「参ったわねぇ…。 意地を張ってこの寺に来たはいいけど結構苦手なのよね… こういうの… 特にこういうお寺とかって…」

 

絵里が言うと希もかえした。

 

「ウチは平気やけど、幽霊は出ないと思うで。参拝客の言っていたシチュエーションとちょっと違うし」

 

「ええっ! そうだったの⁉︎ な〜んだ。」

 

希の言葉に絵里が安心した顔をした。

 

「そや! 怖がる必要はあらへん! そろそろいい頃合いやで。」

 

希が絵里に蝋燭を渡した。

 

「行ってらっしゃい。絵里ち。ウチはここで待っとるから」

 

「う、うん。」

 

絵里は暗闇寺に入って行った。

 

幽霊は出ないと希に言われても暗いところは怖いことには変わらない。

絵里は思わず身震いをした。

絵里は暗闇寺の廊下を歩き穂乃果のいる角に来た。

 

「ほ、穂乃果、蝋燭よ…」

 

絵里が震えた声で穂乃果に言った。

 

「うん!」

 

穂乃果がルール通りに顔を見せず手だけを出して絵里から蝋燭を受け取った。

穂乃果がそのまま行こうとしたが。

 

「ほ、穂乃果、やっぱり怖いわ…」

 

絵里が消えそうな声で穂乃果に言った。

 

「絵里ちゃん、大丈夫?」

 

穂乃果は歩くのを止まり絵里に聞いた。

 

「ご、ゴメンネ。私、やっぱり行けない…」

 

絵里が震える声で穂乃果に言った。

 

「そう…」

 

穂乃果は少し黙った後に絵里に言った。

 

「それなら絵里ちゃん。あの入り口のところで希ちゃんと一緒に待ってなよ!」

 

穂乃果が言ったら絵里の顔が輝いた。

 

「本当? 良いの⁉︎」

 

絵里が言うと穂乃果は優しい声で返した。

 

「平気さ! 1人抜けても出来そうだしね。それじゃあ私は行くね。」

 

穂乃果はそう言うと暗闇寺の廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果に抜けても良いと言われた絵里は暗い暗闇寺の廊下を歩いて怖い思いをせずに済んだので大喜びで希のいる入り口に戻って行った。

 

「あれ? 絵里ち行ったんやないの?」

 

希が絵里が暗闇寺の入り口に戻って来たことに驚きながら聞いた。

 

「ええ… やっぱり無理みたいで穂乃果がこの入り口で希と待っててって言ったのよ。」

 

絵里が言うと希の顔が少し青くなった。

 

「じ、じゃあ、4人でやるの?」

 

希が聞くと絵里は「うん」と頷いた。

 

「ゴメン絵里ち、ウチ下の公園の自販機でちょっと飲み物買ってくるわ。」

 

希が暗闇寺の石段に向かった。

 

「ええっ⁉︎ ここに私1人で待ってるの⁉︎」

 

絵里が言うと、希もこう返した。

 

「ちょっと本当に怖くなって来たんや。参拝客の言っていた幽霊の出るシチュエーションとまったく同じシチュエーションなんやもん」

 

希が言うと絵里の頭の上にクエスチョンマークが浮かんだ。

 

「お、同じシチュエーション?」

 

絵里が聞くと希が返す。

 

「心配せんでもええ、絵里ちが抜けたらこの蝋燭リレー、最後まで続かずに1周で終了する筈やからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽霊さえ出て来なければ………ね」

「え⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希はそう言うと石段を降りて行った。1人残された絵里は今の希の言葉を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「どういうこと? 同じシチュエーションって……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の暗闇寺の穂乃果は蝋燭を持って廊下をゆっくり注意深く歩いていた。

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

(さっきから床板の軋む音しかしない…。 真っ暗で何も見えない……。すごい不気味だよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

「遅いなぁ…」

 

 

穂乃果からの蝋燭が着くのを待っている花陽は穂乃果からの蝋燭が遅くてもどかしい思いをしていた。

 

「花陽ちゃん、蝋燭…」

 

「あ、ありがとう。穂乃果ちゃん。」

 

 

やっと穂乃果からの蝋燭が届き穂乃果にお礼を言い、花陽は次の真姫のいる角に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

(本当に暗い廊下だなぁ…。 蝋燭がないと何も見えないよ……)

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

一方、花陽の次の角にいる真姫は、

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

(花陽の足音が近づいてくるわね…)

 

 

「真姫ちゃん、蝋燭……」

 

 

「ええ」

 

 

花陽からの蝋燭を受け取った真姫は次の角に向かって廊下を歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

 

(やっぱり不気味ね。この廊下は…)

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の凛も真姫からの蝋燭が着くのを待っていた。

 

「遅いにゃー そろそろ蝋燭が着く筈なのに…」

 

 

スッ

 

 

「うわっ!」

 

「何驚いているのよ…」

 

いきなり角から出てきた蝋燭に凛が驚くと真姫が呆れた声で言う。

 

「ゴメンにゃ。 これを次の人に渡せばいいんでしょ?」

「そうよ」

 

凛も次の角に歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

(やっぱり怖いにゃ… 早く終わりたいよ…)

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃入り口にいた絵里は凛が歩いて行くのを見ていた。

 

 

(あ、凛が通った… そろそろ1周ね…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛が次の角に着いた。

 

「おーい、きたよ〜っ、早く蝋燭受け取ってー!」

「……」

 

スッ

 

返事は返って来なかったが代わりに手が出てきたので凛はサッと蝋燭を渡した。

 

 

 

絵里はずっとお寺の入り口で蝋燭リレーの様子を見ていた。

 

(花陽… 真姫… あ、穂乃果も通った… これで全員回ったわね…)

 

 

 

 

穂乃果が最初の位置に戻り、蝋燭リレーが終わった。

 

「ふ〜〜っ! 全員これで1周したからもう終わりかな? 絵里ちゃんそろそろ終わりにしよう! 今、みんなを呼ぶね。おーい!」

 

穂乃果の呼びかけに暗闇寺の中に入っていた3人が入り口に集まった。

「終わったね。」

 

「幽霊なんて出なかったわね。」

 

「本当に何もなくてよかったにゃー。」

 

暗闇寺から出てきた花陽、真姫、凛がそれぞれ言った。

 

「まあ、グルグル回るだけなんだから何もおきる訳ないわね」

 

真姫が言うとみんなが笑った。

 

「あれ? 希ちゃんは?」

 

穂乃果が言うと絵里が答えた。

 

「ああ、下にジュース買いに行っているわよ…」

 

絵里はそう言うと希が言っていた事を思い出しその事を穂乃果たちに話した。

 

「それにしても希、変な事を言っていたのよねー。」

 

絵里が言うと「変な事?」と4人が聞き返す。

 

「うん。なんか参拝客の言っていた幽霊の出るシチュエーションとまったく同じシチュエーションだから怖くなったって…」

 

絵里が言うと「同じシチュエーションってどういう意味?」と近くにいた真姫が絵里に聞き返した。

 

「さあ…? 私が最初に一抜けしちゃって残りの穂乃果、花陽、真姫、凛の4人でやるってことなんじゃないかしら? でも、こうも言っていたのよね…」

 

絵里は一呼吸置いて続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が抜けて4人になっちゃったら最後までいかずに1周で終わっちゃうはずだって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えっ⁉︎」」

 

 

 

 

 

 

 

 

この言葉にいち早く花陽と真姫が反応した。

 

「絵里… あなたは抜けてたの…?」

 

真姫が言うと絵里が申し訳なさそうに言った。

 

「………うん。ゴメン…… やっぱりお寺の真っ暗な廊下を1人で歩くのはさすがに…」

 

絵里が言うと2人の顔からサーッと血の気がひいた。

 

「……ウ、ウソ! そ、それじゃあ出たってこと⁉︎ 本物が……⁉︎」

 

花陽はそれを聞いてガタガタと震えだした。

 

「えっ?」

 

「何? 一体どういうこと?」

 

「?」

 

意味の分かっていない穂乃果、絵里、凛の3人が真姫に聞いた。

 

「分からないの? あなたたち……」

 

3人が頷くと真姫は血の気の引いた青い顔のまま言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対にあり得ないのよ‼︎ 4人でこの蝋燭リレーが成立することは………!」

 

 

 

 




ご指摘、感想よろしくお願いします。


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暗闇寺幽霊事件 解決編

解決編です。
上手く書けたかコメントをお願いします。



「どういうこと? 今の蝋燭リレーが4人だと成り立たないって」

「そこのところもうちょっと詳しく教えてよ。」

 

さっきの発言に穂乃果と凛が疑問を持ち真姫に聞いた。

 

「ああ、だから、つまりーー…」

 

真姫が説明しようとすると「待った!」と花陽が止めた。

 

「真姫ちゃん… この話をした方がみんなが理解しやすいかもしれない……」

花陽が言うと「この話って?」とみんなが花陽を見た。

 

 

「うん… この話は私がネットで読んだ怪談なんだけどね。東京のある大学の山岳部に伝わっていた実話だっていう話…」

 

(((ゴクッ……)))

 

みんなが息を飲んだ。

花陽は話し始めた。

 

 

 

 

 

 

昔、ある冬山で5人の山岳部員が吹雪にまかれて道を見失ったんだって、そのうちの1人は運悪く落石で頭を砕かれて死んでしまって、残りの4人で死体を背負って必死に寒さを凌ぐ場所を探し回ったそうなんだ…

4人の山岳部員たちは吹雪の中歩いていると幸運にも山小屋を見つけたんだ。

助かるかもしれない、そう思って山小屋の中に入ったんだ。

ところが山小屋は無人で電気も暖房も食糧もなく真っ暗闇でお互いの顔すらわからない中、今度は寒さと疲労で襲ってくる眠気と戦うハメになったんだ…

 

 

「おいっ…寝るな! 寝たら最後だぞ!」

「ダ、ダメよ… このままじゃ……いつか…寝てしまうわ……」

 

 

全員が諦めかけたその時、その中の1人にナイスアイデアが浮かんだんだ。

 

「……そうだ! こうしよう……」

 

その人は自分の考えを全員に話した。

 

「全員が四隅に座るんだ! それで立ち上がって隅にいる人のところに行き肩を叩いて起こすんだ! これを繰り返してぐるぐる回れば自分の番が回ってくるまでほんの少しは眠れるだろうし、起きたら今度は次の人に繋ぐっていう義務感で立ち上がれる‼︎ 朝までそうやって頑張り続ければ助かるかもしれない……!」

 

その人が説明すると、

 

「………いいですね!」

「やってみよう!」

 

全員が納得した。

4人の部員たちは遭難者の遺体を部屋の中央に置いて四隅に座った。

そして、何も見えない山小屋の中で肩を叩き合いなんとか吹雪がやむ夜明け前まで頑張り続けて、彼らは無事に下山したんだけどね……

 

 

 

 

花陽の話が終わると「あっ!」と絵里が声をあげた。

花陽は続けた。

 

「そう… ところが、その中の一人が気づいちゃったんだよ! この肩叩きリレーの不自然さにね……!」

 

 

「あっ‼︎ それって確かにあり得ない‼︎」

 

 

穂乃果も分かったようだ、一人ポカンとしているのは凛だ。

 

「え? どこがおかしいの? この話…」

凛が聞くと「気づかないの⁉︎」と真姫が凛に言った。

 

「え… いや、だってさ…… 4人が隅にいてぐるぐる回って肩を叩き合ってるだけでしょ? それのどこがあり得ないの?」

 

凛が聞くと花陽が解説する。

 

「いい? 凛ちゃん。 ここでよーく頭に思い浮かべてよ、この時の山小屋の状況…」

 

凛は花陽に言われた通りに思い浮かべた。

 

「山小屋の四隅にそれぞれ一人ずつ部屋の中央には仲間の遺体…… 山小屋の中はすぐ隣の人の顔すら見えないほど真っ暗だ!」

 

凛は頑張ってイメージする。

 

「そして、まず1人目が壁伝いに移動して2人目の肩を叩く…。叩かれた2人目は立ち上がってそこに1人目が入れ替わりに座る…… そして2人目はそのまま壁伝いに3人目のところへ行き肩を叩く…… 同じように3人目は立ち上がって今度は4人目の肩を叩きに行く…」

 

花陽は話を一度止めて凛の方を見た。

 

「さて、ここで凛ちゃんに問題です! 4人目は一体誰の肩を叩くでしょう?」

 

花陽の問題に凛が答えた。

 

「え? そんなの簡単でしょ? 4人しかいないんだからぐるっと回って……」

凛はそこまでいうと「え?」と言葉を詰まらせた。

 

 

「凛ちゃんも気づいたみたいだね…」

 

花陽が凛に言った。

 

 

 

 

 

 

 

「だ……誰も…いない……!」

 

 

 

 

 

 

 

ようやく理解できた凛が震える声で言った。

 

 

「そう! …にもかかわらず4人目は『誰か』の肩を叩き…… その『誰か』はまた1人目の肩を叩きそれは夜明け前まで続いたーー… わかる通りこの話のオチは部屋の中央で死んでいる人がその『誰か』となって肩叩きリレーの穴を埋めて仲間を助けた…ってことになってるんだけどね…」

 

花陽の説明が終わると真姫が暗闇寺を見上げながら凛に言った。

 

「今の話とまったく同じことがこの暗闇寺の蝋燭リレーで起こっていたのよ……!」

 

凛は息を飲んだ。

 

「本来なら絵里が抜けて誰もいないはずの角で4人目の凛は『誰か』に蝋燭を渡してその『誰か』は穂乃果に蝋燭を渡していたのよ……!」

 

凛の顔からサーッと血の気が引いた。

 

「じ…じゃあ…凛が蝋燭を渡したあの白い手は…まさか……!」

 

凛はあの白い手を思い出して震えだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、幽霊の手だった………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわーーーーーっっっっっっっっ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫? みんな…」

 

驚いて大声を出して抱き合って震えている5人に希が聞いた。

 

「の、希! 驚かさないでよ!」

「びっくりしたじゃん‼︎」

 

希がいきなり声をかけて穂乃果たちを脅かしたので、みんなは震えながら希に怒る。

 

そんなことを気にせずに希が口を開く。

 

「参拝客が言っていたシチュエーションと同じや! その参拝客も4人でこの暗闇寺でまったく同じ蝋燭リレーをしたんや。その時も4人では回れないんやって事に気付かないで、それで全部終わった後にで気づいたんやって……」

 

希が真剣な顔をして続けた。

 

「その蝋燭を受け取っていた手のひとつが幽霊の手だったってことに…」

 

みんなの顔が真っ青になった。

 

「嘘……」

「どうしよう〜〜〜…… こんなところで肝試しなんてするんじゃなかった〜」

「う〜〜ん… とうとう本物の幽霊を見ちゃったんだね私たち‼︎」

「あり得ない…… 幽霊なんているわけがない……」

 

 

花陽、凛、穂乃果、絵里がそれぞれの反応を示しているなかで真姫は暗闇寺の廊下をじっと見ていた。

 

 

「ねえ……、もう一度この暗闇寺を調べてみない?」

 

 

真姫が全員に提案した。

 

 

「ダメよ‼︎」

「こ、こんな寺、怖くて無理だよ〜……!」

 

 

全員が猛反対した。

 

 

「この世に幽霊がいるなんてどうも私は信じられないのよ。だから何かトリックがあるはずよ。この暗闇寺にね…」

 

 

真姫が暗闇寺を見上げた。

 

 

「ウチは賛成や……」

 

 

希が震えた声で言った。

 

 

「それなら穂乃果も行く!」

「じ、じゃあ、私も!」

「凛も行くにゃ〜…!」

 

 

希の声を始めに穂乃果たちも行く気になったようだ。1人震えて反対しているのは絵里だ。

 

 

「わ、私は行かないわよ! ここで待ってるから……!」

 

 

断固として行かないと言い張る絵里に穂乃果たちは一緒に調べる事を諦め絵里に暗闇寺の入り口で待っているように言った。

絵里を残し穂乃果、真姫、凛、花陽、希の5人は暗闇寺に入って行った。

 

 

 

 

 

暗闇寺に入ると穂乃果が4人を呼び止め提案をした。

 

 

「二手に分かれて調べよう。入り口から入って左側からは私と真姫ちゃんが調べるよ。希ちゃんと花陽ちゃんと凛ちゃんは右側から調べてもらえる?」

 

 

穂乃果の提案に全員が賛成し、穂乃果と真姫は左側に、希と花陽と凛は右側に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシ… ギシ… ギシ…

 

 

 

 

床の軋む音がするなか穂乃果たちは携帯電話の灯を頼りに真っ暗な廊下を調べ始めた。

 

 

「壁には変な仕掛けはないね。」

 

 

穂乃果が暗闇寺の廊下の壁を触って調べながら呟いた。

 

 

「床にも抜け穴みたいなものはないわよ…」

 

 

真姫は床を調べていた。

2人が調べていると反対側から調べていた花陽たちがやってきた。

 

 

「なんか仕掛けや抜け穴見つかった?」

「こっち側からは何も…」

 

 

穂乃果が聞くと花陽が首を振った。

 

 

「そっち側はどうだった?」

「何もなかったわよ…」

 

 

希の問いに真姫が答える。

 

 

「うーん、壁に隠し扉とか床に抜け穴とかがあったら幽霊のトリックの説明は簡単に出来るんだけど…」

 

 

穂乃果が首を捻った。

 

 

「とりあえず、一度、入り口に戻ろうよ。おいてきた絵里ちゃんも心配だし…」

 

 

凛がそう言うと全員が入り口に向かった。

 

 

 

 

 

 

「あっ! やっと、出てきた! もーすごく怖かったのよ〜」

 

 

暗闇寺から出てくると絵里が穂乃果に抱きつきながら言った。しかし、抱きついている手が震えているあたり1人でいるのは本当に怖かったのだろう。

みんなが絵里を宥めているなか、真姫は1人だけ蝋燭リレーの事を考えていた。

 

 

(そう… 幽霊なんているわけがないわ。 でも、4人でこの蝋燭リレーが成立するなんてあり得ない。だとすると、見落としているところに仕掛けが…? 天井とか?)

 

 

真姫はそう思ったがすぐに首を振った。

 

 

(いや、そんな面倒くさい仕掛けを作って見ず知らずの人を脅かす人なんているわけがない。となると… もっと単純に考えるべきなのかしら?)

 

 

真姫は最初から考え直した。

 

 

(絵里が抜けたから最初の角には誰もいない… 入り口には絵里がいるわけだからこっそり誰かが入り口から入って加わるのは無理ね… )

 

 

 

 

「ん? 待って」

 

 

 

 

真姫は頭に何か引っかかった。そして次の瞬間!

 

 

(あ! そうか! そう言う事だったのね!)

 

 

真姫の頭にイナズマのような衝撃が走り全ての謎の真相が一本の線に繋がった!

 

 

 

 

(なるほど… やっぱり幽霊なんていなかったのね。このトリックが可能なのは1人しかいないわ!)

 

 

 

 

 

 

「みんなちょっと良い?」

 

 

幽霊騒動の真相がわかった真姫が4人に呼びかける。

 

 

「どうしたの?」

 

 

穂乃果が聞くと真姫は答えた。

 

 

「何もかもわかったのよ、私…」

 

 

真姫はフッと軽く笑った。

 

 

「幽霊の正体ーー… それとそいつがどうやって化けて出たのかもね!」

 

 

「ええっ!」

 

 

真姫の告白に真姫以外の全員が驚く。

 

 

「ま、真姫‼︎ 貴女は本当は霊能者だったの⁉︎」

 

 

絵里が聞くとズコッと真姫がこけた。

真姫は立ち上がり「違うわよ!」と絵里に行った。

 

 

「そう言う事じゃなくてこの『暗闇寺幽霊事件』に隠されたトリックが分かったのよ!」

 

 

真姫が言うと4人は驚いた顔になった。

 

 

「ト、トリックってどんな……?」

 

 

花陽が真姫に聞いた。

 

 

「トリックって言ってもそんな大袈裟なトリックではないわ。ちょっとした心理的盲点をついた『目くらまし』に過ぎないのよ」

真姫は4人を見て続けた。

 

 

「しかも、私の考えが正しければそれが可能だった人間は1人しかいないわ、

そもそもこの事件はもっと単純に考えるべきだったのよ。何しろこのトリックを仕掛けた『幽霊』は私たち6人の中にいるんだから」

 

 

真姫が言うと絵里が「じゃあ、犯人は凛! 貴女ね!」と絵里が凛を指差した。指差された凛は必死に違うと言う。

 

「り、凛は何もしてないにゃ! ただ真姫ちゃんから受け取った蝋燭を次の穂乃果ちゃん… じゃなくて… 曲がり角の向こうで待っていた相手に歩いて行って渡しただけだにゃ! それで44秒数えて角の向こうに移ってそれを3回繰り返して…「おかしいのはそこよ」……え?」

 

 

真姫は凛を見て言った。

 

 

「そもそもその3回が変なのよ」

 

 

「どういうこと?」

 

 

花陽か真姫に聞いた。

真姫は説明を始める。

 

 

「仮に絵里の代わりに幽霊が加わって5人でこの蝋燭リレーをやったとして、同じルールで穂乃果が最初の場所に戻ってくるまで蝋燭リレーを続けると、本来は凛が次の『誰か』に蝋燭を渡す機会は4回になるはずなのよ。これは、簡単なパズルトリックよ。私たちの中で誰かが一人二役をしていたのよ。そしてその犯人は……」

 

 

真姫は犯人を指差した。

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果! 貴女しかいないわ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜〜⁉︎ わ、私?」

 

 

穂乃果が驚くと真姫が軽く笑った。

 

 

「まだ、しらを切るの? 貴女がしたことは全部見抜けているのよ。」

 

 

真姫が挑戦的な顔をした。

 

 

「それなら、説明してや……」

 

 

まだよく分かっていない希たちが真姫に言った。

 

 

「いいわよ。穂乃果が取った行動はこうよ! まず、最初の角で絵里が穂乃果に蝋燭を渡す。その時、絵里は怖くなったからと言っているのを聞いて、穂乃果は咄嗟に4人でもこの蝋燭リレーができるようにちょっとイタズラを仕掛けようと考えた。」

 

 

真姫は穂乃果を見て続けた。

 

 

「まず、絵里を暗闇寺の入り口階段前で待つように言って、その後、絵里から受け取った蝋燭を次の花陽に渡した後、本当なら花陽がいたこの位置で待たないといけないのに、穂乃果は元いた位置まで絵里に気付かないように戻って一回りして凛からの蝋燭が届くのを待ったのよ」

 

 

「「「「あっ‼︎」」」」

 

 

全員が気づいたらしく声をあげる。

真姫は続けた。

 

 

「そして、今度は凛から蝋燭を受け取ると、2つ先の角に待っている花陽に蝋燭を渡し、またひとつバックして今度は最初に花陽がいた位置で凛を待つ… それを同じように繰り返すと、あたかも1人誰もいない筈の『誰か』が加わっていたかのように、最後まで蝋燭リレーは何の滞りもなく繋がっていく…」

 

 

真姫がそこまで言うと、「ちょっと待って!」と穂乃果が真姫の言葉を遮った。

 

 

「言いたいことは分かったけどさ。そのトリックは私じゃなくても最後の凛ちゃんにもできるじゃん? ほら、最初に受け取った時に凛ちゃんが2区画進むのさ!」

 

 

「それはできないわ!」

 

 

真姫が穂乃果の言葉を否定した。

 

 

「なぜなら、入り口で絵里が蝋燭リレーの様子を見ているんだからね! 凛が次の『誰か』に蝋燭を渡さずに2区画進もうとしたらすぐにバレてしまうわ!」

 

 

真姫は一息置いて続けた。

 

 

「つまり… このパズルトリックを実行できたのは穂乃果ーー… 第一走者の貴女しかいないということよ…!」

 

 

真姫がいうと穂乃果は黙って俯いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フ、フフフ…… あはははははは!」

 

 

穂乃果は大笑いをし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜 バレちゃった 流石だよ真姫ちゃん! 最初からあんまり怖がってなかったもんな〜! それならこんな単純なトリックなんてすぐにバレちゃうもんね⁉︎」

 

 

大笑いした後穂乃果は笑顔で言った。

 

 

「ひどいにゃ! 穂乃果ちゃん! 凛たちのこと騙したのにゃ⁉︎」

「ほ・の・か〜〜〜〜‼︎」

 

 

凛と絵里が穂乃果に食ってかかるのを見て真姫が軽く笑った。

 

 

「私が心理トリックって言ったのはまさにそう言う事なのよ、恐れや思い込みは冷静な推理力を奪ってしまうわ。だから、ちょっと考えれば誰でも見抜けたトリックにみんな騙されてしまったのよ。希が言ってた参拝客もきっと第一走者が同じトリックを使ったのよ」

 

 

真姫はそう言うと穂乃果を見た。

 

 

「まあ、さすが穂乃果ね… なかなかの心理トリックと言いたいところだけど……」

 

 

真姫は穂乃果を呆れた目で見た。

 

 

「いくら幽霊の出る寺だからといって仲間を驚かして面白がるなんて悪趣味がすぎるわよ?」

 

 

真姫が言うと、

 

 

「そうよ! 穂乃果! 覚悟しなさい!」

「ひどい穂乃果ちゃんにはお仕置きにゃ〜!」

「悪い子にはワシワシMaxや!」

 

 

全員が穂乃果に攻撃体制を取った。

 

 

「わー! ごめんなさい! ちょっと悪ふざけをしただけで…」

 

 

穂乃果が言っても、

 

 

「「「「「問答無用‼︎」」」」」

 

 

全員が穂乃果を取り囲むと

 

 

「ギャーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

穂乃果の悲鳴が暗闇寺に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、『暗闇寺には夜になると少女の悲鳴が聞こえる』と言う新しい噂が生まれたという……

 

 

 

 

 

 

 

 

ー次回予告ー

音ノ木坂学園の近くにある美術館に甲冑の鎧を身につけた中世の騎士が美術館内を深夜に歩き回ると言う噂を聞いたμ’sの9人。噂が本当かを確かめるべく美術館に行ったらその美術館とオーナーと館長が美術館の閉鎖の問題で揉めていた。噂が本当か確かめるために穂乃果たちは手分けして美術館の中を楽しみながら聞き込みをしているうちにこの美術館にある複雑な事情を知っていく。

さらに、その美術館のオーナーが美術館にある絵になぞらえて殺されてしまう。そして、犯行現場を撮っていた防犯カメラに映っていたのは噂にあった中世の騎士⁉︎ 摩訶不思議な美術館殺人事件、μ’sの9人がこの謎に挑む!

 

 

 




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美術館殺人事件 事件編

今回は美術館で起きた事件です。


穂乃果たちの通う音ノ木坂学園の近くにある音ノ木美術館、そこには甲冑の鎧を身につけた騎士が深夜2時に出ると言う噂がある…

 

ー深夜2時 音ノ木美術館ー

「うひゃーおっかない…」

深夜2時の音ノ木美術館に1人の警備員の声が響いた。誰もいない夜の美術館は展示物が酷く不気味に見える。

「早く帰りたい… こんな所…」

警備員が泣き言を言うと

『………』

何処からの部屋から奇妙な声が聞こえてきた。

「な、何… 今の声…」

警備員は声が聞こえた部屋に向かった。

「こ、この部屋だ…」

警備員が声の聞こえた部屋に入ると

 

 

 

ガシャン… ガシャン… ガシャン…

 

 

部屋の中から何かが擦れるような音が聞こえてくる。

そう、まさに鎧をきた人間が歩いているような…

しかも、その音はだんだん近づいてくる。

 

 

ガシャン… ガシャン… ガシャン…

 

 

「な、何だ…?」

 

 

警備員は音のしている部屋を懐中電灯で照らした。

そして、懐中電灯の光に照らされて闇に浮かび上がったのは!

 

 

 

ガシャン!

 

 

 

 

甲冑の鎧を身につけた中世の騎士が自分にむけて剣を振り上げていた!

 

 

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

警備員の悲鳴が美術館に響き渡った。

 

 

 

 

ー1週間後ー

「ええっ⁉︎ 中世の甲冑が勝手に⁉︎」

「そうだよ! 気にならない?」

そうみんなに言っているのは穂乃果だ。

放課後、みんなでいつものように帰ろうとした時、穂乃果がみんなの顔を見渡して言ったのだ。

穂乃果は目を輝かせながら続けた。

「そうだよ! 音ノ木坂学園の近くにある美術館で警備員が見たんだって! 今、その話題で近所じゃ評判だよ‼︎」

穂乃果はそう言うとみんなを笑顔で見ながら言った。

「ねえ! 面白そうだから、今度の週末みんなで美術館に行ってみようよ‼︎」

穂乃果が言うとみんなは大笑いした。

「ハハ… そんな話を間に受けるなんて穂乃果もまだ子供ねー!」

「そうよね〜 大方美術館が逆引きのために流した作り話よ!」

にこと真姫が穂乃果に言うと穂乃果はムッとした。

「そうかな〜 にこちゃんと真姫ちゃんは本当は怖いんじゃないの〜?」

穂乃果は挑発めいた言葉をにこと真姫に投げかけると単純なにこと負けず嫌いな真姫は敏感に反応した。

「な、何ですって! 良いわよ! 行ってやるわよ!」

「そうよ! 今度の週末、音ノ木美術館に集合よ! みんないいわね! 来なかったら許さないわよ!」

にこと真姫はそう言うと海未たちを見て言った。

「「「………」」」

海未たちは半ば強制的に参加させられたことに苦笑した。

穂乃果はというとしてやったりと言うような顔をしていた。

 

 

 

ー日曜日ー

「わー! 綺麗な色の絵がいっぱい!」

「これは芸術の山ね!」

なんだかんだで日曜日になりμ’sの9人は音ノ木美術館にやって来た。最初は嫌々だった海未たちだったが綺麗な絵を見ているうちにそんな気もなくなった。

「綺麗な色の絵だね〜」

「そうにゃ〜」

花陽と凛が美術館のエントランスホールに飾られていた絵を見て呟いた。

その絵は真昼の高原を描いた絵だった。

 

「ほう… その絵が気に入ったかな? お嬢さん…」

「え?」

花陽たちの後ろから声がかけられた。

その人物は白髭を生やした年配の男性だった。

年配の男性は絵を指差しながら説明をしてくれた。

「この絵は『和やかな高原』と言ってな、レナーの代表作の一つじゃ… あまり有名ではないが、私は彼の作品のあたたかいタッチと突き抜けるような透明感が好きでの…」

年配の男性はそう言うと今度は両手を広げた。

「からの作品だけじゃない… 私はここにあるすべての作品を愛してますよ…」

そして、憂いを帯びた表情でこう言った。

 

「まるで、我が子のように…」

 

 

年配の男性がそう言うと凛が男性に気になっていたことを聞いた。

「あの… あなたは?」

「ああ… 私はこの美術館の館長をしている飯山です…」

凛が聞くと男性は笑顔で答えた。

「あ、館長さんでしたか! どうりで絵に詳しいわけか!」

凛と花陽が納得していると飯山館長は凛たちの後ろにある絵を説明しようとした。その絵は丁度美術館の職員の人が手入れをしようとしていたところだった。

その時、

 

「おい! 中原! お前何をやっとるか⁉︎」

 

ビクッ!

 

飯山館長がさっきとは打って変わった鋭い声を中原と呼ばれた痩せた若い職員にむけて飛ばした。

飯山館長は中原を睨みつける。

 

「作品を扱うときは必ず手袋をつけろといつも言っとるだろーが‼︎ 作品を台無しにする気か⁉︎」

「あ… す、すみません…」

 

飯山館長に言われてようやく中原は手袋をしていないことに気付いたらしく飯山館長に謝った。

飯山館長はそんな中原を一瞥すると「君はもういい」と言い別の職員に仕事を命じた。

 

「ちっ… なんだあのジジィ…」

 

中原は飯山館長に対して舌打ちをしながら穂乃果たちの横を通って行った。

 

「何? あの態度の悪い人…」

「芸術品を台無しにされたらそりゃ怒るわよね〜」

 

ことりと真姫が去っていった中原を見て呟いた。

 

 

 

 

 

「ふん… 相変わらず寂しい客入りだな…」

中原が去った後、今度は白いスーツに身を包んだ中年男性が図面を持った男性と共に美術館を見回しながらやって来た。

「い、祝迫オーナー…」

飯山館長が中年男性を見て呟いた。

どうやらこの音ノ木美術館のオーナーらしい。

祝迫は飯山館長をジロリと細い目で見るとフンと鼻を鳴らした。

「まあ、あと10日もしたらこの音ノ木美術館は閉鎖だ… それまではしっかり頼んだよ…」

祝迫は作品をわざと手袋をしていない手で触りながら飯山館長にこう言った。

 

 

「このカビの生えたガラクタどもの面倒をな…」

「っ⁉︎」

 

 

飯山館長はそれを聞いて肩をびくりと震わせた。

周りにいる、他の美術館の職員も祝迫を睨みつけている。

祝迫はそんな飯山館長と職員を見渡すとニヤッと笑い図面を持った設計士らしい人と打ち合わせを始めた。

 

 

「……」

 

 

飯山館長たちがそんな祝迫を見ていると海未が飯山館長に尋ねた。

「あの、この美術館なくなるんですか?」

海未が聞くと飯山館長はため息をつきながら話した。

「はい… 来月には取り壊しの作業が始まると思います… なんでもここに大きなショッピングモールが建つとかで…」

飯山館長の言葉にμ’sの9人は驚いた。

「シ、ショッピングモール? なんでまた⁉︎」

にこが飯山館長に聞いた。

「実は前のオーナーの会社が経営破綻で倒産してしまって… それで、この美術館を今の祝迫オーナーに売ってしまったんです… 前のオーナーはこの美術館を続ける約束で祝迫オーナーに売ったんですが… 「あいつのせいだ…!」」

飯山館長がそこまで言ったところでさっき仕事を頼まれた美術館の職員が呟いた。

美術館の職員は悔しそうに呟く。

「あの祝迫オーナーのやつ… この美術館を買った途端『こんな美術館よりショッピングモールを建てた方が良い』と言い出したんだ……!」

「あ、有馬くん…」

有馬と呼ばれた職員は俯いた。

「あ、あいつのせいで50年の伝統を誇るこの美術館が… くっ……!」

 

「「「………」」」

 

穂乃果たちはなんとも言えない気持ちになった。

 

 

 

ガンッ! ドシャッ!

 

 

「「「⁉︎」」」

 

 

その時、何かが床に落ちる音が響いた。

みんなが見るとさっき絵に素手で触ろうとして飯山館長に怒られた中原と言う職員が台車に積まれていた、美術品であろう甲冑を落としていたのだ。

「あの人また作品を乱暴に扱ってるやん…」

希が思わず呟いた。

そんな中原を見て祝迫が中原に言う。

「おいおい、気をつけてくれよ… たとえガラクタだとはいえ高く売らなければならんのだからな…」

「い、祝迫オーナー…」

中原が祝迫の名を呼ぶと祝迫は中原の前に立った。

「ん? 貴方は確か中原くんだったな、噂は私もいろいろ聞いてるよ…」

「……」

中原は祝迫から顔を逸らした、祝迫は中原の肩をポンポンと叩いた。

「まあいい… 早めに金の算段をしておけよ… ハッハッハ!」

祝迫はそう言うと高笑いしながら次の設計士との打ち合わせの場所に向かった。

 

 

「〜〜〜! くそっ‼︎」

 

 

ガシャン!!!! バキッ!

 

 

「うわ! まただ!」

祝迫が去った後、祝迫の言っていた言葉が気に障ったのか中原がさっき台車から落とした甲冑を乱暴に台車に乗せた。

乱暴に台車に乗せたせいで甲冑から変な音がした。

しかし、中原はそれを気に留めずにさっさと運んで行ってしまった。

「あの人、本当に作品を大事にする気あるのかしら?」

真姫が呟くと飯山館長がため息を吐いた。

「あの中原くんの癖はどうにかならんのかのぅ…」

飯山館長はそう言うと穂乃果たちに笑顔を向けた。

「まあ、みなさん、ごゆっくり鑑賞したいってください…」

飯山館長はそう言うと、有馬の肩を支えながら去って行った。

 

 

(あれ? さっきはあんなに怒っていたのに… 何でだろ…)

穂乃果はさっきは素手で絵に触ったことであんなに中原に怒っていたのに、甲冑を乱暴に扱ったことに対しては何もいわなかった館長に首を傾げた。

 

 

「穂乃果、行きますよ」

「う、うん…」

海未が穂乃果に言うと穂乃果は気にはなったがあとについて行った。

 

 

 

 

それから穂乃果たちは学年ごとにわかれて見終わったら美術館のエントランスホールに集合と言う約束をして美術館を見て回った。

ペガサスの剥製や天使が描かれている絵画などが展示されている天空の間、

王冠や隕石やお城が描かれている絵画が展示されている大地の間、

海賊船の模型やポセイドンが描かれている絵画が展示されている海原の間、

部屋ごとに名前が付けられその名前に合ったさまざまな美術品が展示されていてμ’sのメンバーは興味津々だった。

 

「えーと… 次は…」

海原の間を見終わったら後、穂乃果たちが次の部屋に移動しようとすると、

「ん? あれは…?」

通路の先にことりが何かを見つけた。

「立ち入り禁止?」

海原の間の隣にある廊下に立ち入り禁止の看板が建っていた、どうやらそこから先には行けないらしい。

「変だなー この先にはもう一つ部屋があるはずなのに…」

穂乃果が呟くと海未が仕方ないと言いその部屋を飛ばし、別の部屋に移動した。

 

 

 

ーPM 5時10分ー

「ふ〜… ひと通り回ったね!」

「面白かったね!」

「そうですね!」

穂乃果たちが一番乗りでエントランスホールに着き他のメンバーを待っていると、後から1年生組と3年生組が到着した。

「全部見て回ったからそろそろ帰る?」

「そうね… もう5時過ぎてるし…」

「そうだね!」

みんなが帰ろうと荷物をまとめると、

「ん?」

その時、穂乃果が何かに気付いたらしくエントランスホールからの出口とは反対方向に歩いて行った。

「ち、ちょっと、穂乃果ー!」

みんなも慌ててその後を追いかけた。

 

 

 

みんなが穂乃果に追いつくと、穂乃果はエントランスホールから1番近くにある海原の間の隣にある通路に立っていた。

「どうしたの?」

ことりが聞くと穂乃果はことりを見て答えた。

「ここにあったさっきは立ち入り禁止の看板があったのになくなってるんだよ… おかしいな、立ち入り禁止だったのに…」

穂乃果が言うとみんなも言い出した。

「私たちが来たときもそうだったわよ」

「ウチらが来たときも」

真姫たちが来たときも希たちが来たときも立ち入り禁止の看板は建っていたらしい。

その時、凛がみんなに言った。

「ねえねえ! せっかく来たんだからこの部屋にも行ってみようよ!」

凛の提案に気になっていたのだろうみんなが賛成した。

そして、みんなで最後の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「さ、最後の部屋って、ここ…?」

穂乃果が代表で口を開く。

最後の部屋は今までの明るい雰囲気の部屋とはかけ離れた部屋だった。

部屋全体が薄暗く、斧や鎌が壁には飾られており魔物のような置物が周りには置かれており見るからに不気味な雰囲気が出ている部屋だ。

そう、この部屋は『地獄の間』だ。

 

「ず、随分怖い部屋ね…」

「じ、地獄の間だからね…」

 

今までの部屋との雰囲気の違いに穂乃果たちが戸惑いながら部屋の美術品を見始める。

 

 

ジーーッ…

 

そんな、穂乃果たちを天井近くにある防犯カメラが静かに撮っていた。

 

 

 

「ねえ! これ見て!」

それぞれが美術品を見ていると花陽が入り口からの正面に壁に飾られている大きな絵を指差した。

花陽が指差したその絵をみんなが見る。

「うわー…」

「大きな絵ねー…」

「まさに地獄絵やね…」

みんながその大きな絵についての感想を述べた。

花陽が指差した大きな絵は正義の騎士が悪魔を剣で葬っている絵だった。

騎士の剣は悪魔のノド元を一突きにしていた。

迫力はあるがとてもグロテスクな絵だ。

穂乃果が作品のネームプレートを見た。

「この絵の題名は『天罰』って言うみたいだよ! 正義の騎士が悪魔を聖なる剣で封じ込めた様を描いた作品だって!」

穂乃果が作品の説明をした時…

 

 

ピチャン… ピチャン…

 

 

「ん?」

「どうしたの?」

凛が何かに気付いたらしく声をあげた。

声をあげた凛にどうしたのかと真姫が聞く。

「何か変な音聞こえない…? 水が滴るような…」

凛が言うとみんなが耳をすませた。

確かに水音のような音が聞こえる。

「何か変な匂いもしない…?」

絵里が鼻をつまみながら言った。

確かに鼻につく嫌な匂いがする。

普通の女子高生ならこの匂いがなんなのかわからないが穂乃果たちにはすぐにこの匂いがなんなのか分かった。

「これ… 血の匂いよ!」

「「「⁉︎」」」

真姫が言うとみんなは「やっぱり!」というような顔になった。

「で、でもその血はどこに…?」

海未が血を探すために部屋を見渡した。

すると部屋の一番奥に何かがぶら下がっていた。

「ん?」

海未がそれが何なのかを確かめに行くと…

 

 

ピチャン… ピチャン…

 

 

「ひっ… あ…あ… あ…」

海未はそれが何なのかを見て声が出なかった。

 

 

「どうしたの? 海未ちゃん?」

「原因見つけたの?」

残りの8人が海未のもとにやってきた。

「あ、あれ…」

海未が指差した方を見るとそこにあったのは…!

 

 

 

 

 

身体中を滅多刺しにされ、首に剣を刺されて壁に突き刺されている祝迫オーナーの死体あったのだ!

 

 

 

 

「い、祝迫オーナー⁉︎」

「ひっ!」

「うわァァァァ‼︎」

 

 

 

 

 




ご指摘、感想お待ちしております。


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美術館殺人事件 捜査編

遅くなりました。前回の続きです。


パシャッ! パシャッ!

 

 

音ノ木美術館の地獄の間に警察のカメラのフラッシュが焚かれる、あの後、穂乃果たちは美術館の人に報告し、警察に連絡を入れて、今は警察の現場検証の真っ最中だ。

 

 

「えー、死亡したのは祝迫弘文さん、56歳、この音ノ木美術館のオーナーです。死因は鋭利な刃物でノドを刺されたことによる失血死です。死亡推定時刻は午後4時から5時の間だそうです」

 

流水亭の事件のときの刑事である石田が手帳を見ながら報告をしている。

報告を受けているのはこの事件の担当者の捜査一課の森警部だ。

 

「そして、第一発見者は君たちだよね?」

 

石田が穂乃果たちを見て言った。

 

穂乃果たちは全員「はい」と返事を返す。

穂乃果たちは事件のときの状況を説明する。

 

「私たちがこの地獄の間に来たときにはもう、祝迫オーナーはノドを刺された状態で死んでいました…」

 

穂乃果言うと森は今度は集まっていた美術館の職員たちを見た。

 

「そうかあ… なら、誰か犯人を見た人は?」

 

「そ、それが誰も…」

 

森が犯人を見たか美術館の職員たちに訪ねたが美術館の職員たちは全員首を振った。

 

「あっ!」

 

その時、美術館の職員である有馬が何かを思い出したかのような声をあげた。

 

「刑事さん! この美術館には各部屋ごとに防犯カメラがついているんです! もしかしたら防犯カメラに犯人が映っているかも!」

 

「わかるんですか?」

 

「ハイ! いつも撮ってありますので……」

 

 

 

有馬が言うと森たちは防犯カメラの犯人の映像をチェックするために警備室に向かった。

 

 

警察が美術館の監視カメラを見に行こうとしている頃、μ’sの9人は集まって話し合いをしていた。

 

「二手に分かれよう、私とことりちゃんのと海未ちゃんと真姫ちゃんは警備室に映像を調べる。残りのみんなはこの地獄の間と祝迫オーナーについて調べてもらえる?」

 

実は事件現場ではいつも穂乃果がこんな風に役割分担をするのだ。

穂乃果曰く、一つをみんなで調べるよりも手分けして調べて、集まった情報で推理した方が効率が良いとのことだからだ。

 

穂乃果の分担にみんなは納得し、それぞれの場所に向かった。

 

 

 

 

ー警備室ー

 

警備室に着くと早速、映像を見るために全員が画面を見る。

穂乃果たちは警察に完全な信頼を置かれているため一緒に見ても何も言われない。

 

映像が巻き戻され死亡推定時刻の時間から再生された。

 

「あ! 祝迫オーナーが来た!」

 

再生されると画面には祝迫オーナーが映っていた。

時計を見てキョロキョロしていることから誰かと待ち合わせをしているようだ。

 

これに犯人の姿が映っていることは間違いない。

 

「さあ出てこい犯人! お前の面をしっかり見届けてやる!」

 

1人の警官がそう言った次の瞬間!

 

 

「「「え?」」」

 

 

全員が目を疑った。

なぜなら画面に映っている映像が信じられなかったからだ。

 

 

何故なら祝迫オーナーの後ろにあった甲冑が剣を振りかざし祝迫オーナーに襲いかかったからだ!

 

 

「「「な⁉︎ なにぃ⁉︎」」」

 

 

警備室で映像を見ている全員が驚いて声を上げるがその間も映像は再生され続ける。

 

甲冑の騎士は祝迫オーナーに剣を振りかざすと後ろから背中を斬りつけた。

祝迫オーナーは何かを甲冑の騎士の背に向けて何か言っているが防犯カメラの映像には音声は流れないため、何を言っているのか聞こえない。

 

甲冑の騎士の後ろにいる祝迫オーナーは慌てて何かをしている。

 

そして、甲冑の騎士は背中を抑えて逃げようとしている祝迫オーナーの前に逃さないとばかりに前に回り込み腹部に剣を刺し、そのあと素早い動きで祝迫オーナーの首を掴み…

 

 

 

 

グシャッ!!!!

 

 

 

剣を祝迫オーナーの首元に突き刺した…

 

 

 

 

 

 

それは、誰もが目を瞑りたくなるほどの惨劇の瞬間だった。

 

 

防犯カメラの映像を見ていた全員が言葉を失っていた。

 

 

ピッ

 

 

かろうじて理性の残っていた穂乃果が一旦映像をとめた。

 

「のど元を一突きで殺すなんて…」

 

森警部が呟いた時、「ん⁉︎ これは!」と急に海未が大声をあげた。

 

「どうしたのかね⁉︎」

 

森が驚きながら海未に聞くと海未は答える。

 

「この絵の構図、あの死体の近くに展示されていた絵とそっくりなんですよ!」

 

海未が答えると絵を見た穂乃果たちもそうだと頷く。

 

「ほ、本当か⁉︎」

 

「はい! 確か題名は『天罰』というものです!」

 

海未はそう言うと映像を指差ながら言った。

 

「おそらく犯人はあの絵に重ね合わせるためにこんな派手な殺し方をしたんでしょう…」

 

海未が言うと石田がくちをはさんだ。

 

「しかし、大胆な犯人だな… こんな甲冑に身を包んでいたのなら客に見られたらそれこそ大騒ぎになっていたと言うのに…」

 

「「「⁉︎」」」

 

その言葉に敏感に2年生組が反応した。

 

「ちょっと待って! そういえば犯行のあったこの地獄の間に行く通路は立ち入り禁止立て札で塞がれていました!」

 

「ええっ⁉︎」

 

ことりが言うことに2年生組以外の全員が驚く。

 

「そうだね… あれは四時頃だったよね….?」

 

「でも5時半くらいに私たちみんなで行った時には無くなっていましたね…」

 

穂乃果と海未も頷く。

 

「そうね、防犯カメラの表示の時間も犯行時刻は4時半ごろね… 穂乃果たちが見たその立ち入り禁止の立て札は犯人が建てたものに間違いなさそうね…」

 

 

真姫が顎に手をあてながら呟いた。

 

 

 

「つまり状況を整理すると、犯人は立ち入り禁止の立て札を建てて人を遠ざけた後、甲冑を着てあの部屋に潜んであらかじめ呼び出しておいた祝迫オーナーを殺したと言うことになるけど…」

 

 

穂乃果は一呼吸置いて続けた。

 

「そう考えると犯人は立ち入り禁止の立て札や甲冑の保管場所や犯行現場の位置関係をよく知っているこの音ノ木美術館の関係者である人たちにいると言うことになりますね…」

 

穂乃果が言うと森警部が穂乃果たちに言った。

 

「それについては大丈夫だ、今、他の刑事たちが美術館の職員たちのアリバイを調べてるから…」

 

森警部がそう言うと「ん?」とずっと映像を見ていた真姫が声をあげた。

全員が真姫を見ると、

 

「このオーナー最初に斬りかかった弾みで甲冑を着た犯人が倒れたスキに何かなにかしているわよ?」

 

映像を巻き戻しながら言う真姫の言葉を聞いて全員がもう一度防犯カメラの前に集まる。

 

「ほら、何かに気づいて壁の札を取って… 机の上のペンを取って… ん? 何か驚いた顔をしてるわね…」

 

真姫がそこまで言った次の瞬間!

 

 

「「「「あ⁉︎」」」」

 

 

全員が驚いた。

 

それもそのはず祝迫オーナーが壁の札に机の上にあったペンで何か書いているのだ!

 

そして、その後祝迫オーナーはペンを投げ捨て紙を手でまるめて刺されたのだ。

 

「殺人の映像はここで終わり、つまり、まだあの紙は祝迫オーナーの手の中に…⁉︎」

 

穂乃果が言うと全員が殺人現場の地獄の間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ー地獄の間ー

 

地獄の間では刑事たちが美術館の関係者たちにアリバイ調べをしていた。

穂乃果たちが死体の方に行こうとすると、すでに絵里と希がいた。

 

「絵里ちゃん! 希ちゃん! その手の中に何か紙がない⁉︎」

 

穂乃果が聞くと絵里と希は「あるわよ…」と考え込んでいるふうに言い紙を渡した。

 

「おい! 死体にはだれも近づけていないな!」

 

森が聞くと「はい!」と1人の刑事がこたえた。

絵里に渡された紙を全員が見るとそこに書かれていたのは…

 

 

 

【ナカハラ】

 

 

「ナ、ナカハラ⁉︎」

 

片仮名でナカハラと書かれていたのだ。

 

「えっ⁉︎」

 

声が聞こえたのだろう、中原は自分の名前が書かれていたことに驚いた。

 

「どうして、おれの名前が…」

 

中原が動揺していると石田が詰め寄る。

 

「フン、防犯カメラから正体を隠すために甲冑に身を包んだようだが、被害者は犯人の正体に気づいていたようだな…」

 

「ち、違う! 犯人はおれじゃない!」

 

石田が言うと中原は違うと必死で首を横に振り否定する。

 

「嘘をつくな! 防犯カメラを見る限り犯人はこの紙には一切触れていないし、死体発見後も誰も触っちゃいない! つまりこれはオーナーが死に際に犯人の名前を書き残したダイイングメッセージなんだよ!」

 

石田が中原に指を突きつけながら言うと森警部も中原に詰め寄る。

 

「それでは、聞きましょうか? 犯行のあった午後4時半ごろあなたは何処で何をしていていましたか…?」

 

「そ、その頃はたしか…」

 

中原が震える声で自分のアリバイを言う。

 

「い、飯山館長に頼まれた仕事を1人で事務室でしていました…」

 

中原が言うと「本当か?」と森が飯山に聞く。

 

「ハ、ハイ… 確かに中原くんに言いつけました…」

 

森の問いに飯山が頷く。

 

「『1人で」ということは、あなたの姿は誰も見ていないという事になりますね…」

 

森が中原に声を低くして聞くと、中原はブンブン首を横に振る。

 

「ち、ちょっと待ってくださいよ… そもそも何でおれが祝迫オーナーを殺さないといけないんですか… それに、祝迫オーナーを殺す動機なら飯山館長の方があるじゃないですか!」

 

中原が逆ギレ気味に森に言い返すと石田が首をふる。

 

「飯山館長は犯人ではないですよ、有馬と言う職員が飯山館長と一緒にいたと証言していますからね…」

 

石田の声に中原は目を見開いた。

 

「そ、そんな、バカな…」

 

中原が震えながら言うとその声を他の声が遮った。

 

「誤魔化しても無駄ですよ、中原さん…」

 

「あ、有馬…」

 

その声は中原の代わりに飯山館長に仕事を頼まれていて、飯山館長のアリバイを証人である有馬だった。

 

「どういうことですか?」

 

森が聞くと有馬は中原を睨みつけながら続ける。

 

「あなたが密かにこの美術館の美術品を密かに売りさばいていたことが前日発覚して、祝迫オーナーに多額の損害賠償を請求されていたではないですか!」

 

中原が言うと「本当ですか?」と石田が有馬に聞く

 

「ええ… 本当だったらこんな奴なんて即クビなんですが、飯山館長があと数日だから居させてやろうって…」

 

有馬が言うと石田館長再び中原に詰め寄った。

 

「成る程… それで金に困って祝迫オーナーを殺したと言う訳か…」

 

「ち、違う! 殺したのはおれじゃない! 信じてください!」

 

「フン、まあ良い… 今、部下の刑事たちに犯行に使われたあの甲冑を探させているからな… 見つかればハッキリするでしょう…」

 

森の言葉に中原は俯いて黙った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、μ’sのメンバーは一通り情報が集まったため、全員で集まり事件について話し合っていた。

 

「ねえ、本当にあの中原って人が犯人だと思う?」

 

凛が全員に聞いた。

 

「いや、私は中原さんが犯人だとは思わないね」

 

「私も」

「私も」

「ウチもや」

 

穂乃果を始めとして全員が首を横に振った。

凛も同意見だったらしく首を縦に振った。

 

「だって、おかしいもんね、中原さんは美術館の人間だ… あの防犯カメラのことなんて分かっていたはずなのに… 何でわざわざ甲冑を着て正体を隠さないといけないこの地獄の間を犯行現場に選ぶわけがない」

 

「そうね、地獄の間のあの『天罰』と言う絵に重ね合わせるためと言えども、あの美術品を乱暴に扱った行動から見てあの中原って人はさほど美術品には関心がなさそうよね… そんな人がわざわざ絵に重ね合わせるためにわざわざあんな事をするかしら…?」

 

凛と絵里が言うとことりがくちを挟んだ。

 

「でも、あのダイイングメッセージは明らかな証拠だよ? 被害者が書くところも防犯カメラにはちゃんと映ってあったし、その後は誰も触れていない…」

 

「そこが謎なんだよ…」

 

ことりの言葉に穂乃果が腕を組んだ。

 

ダイイングメッセージの謎が解けないと前に進まない。

 

全員が難しい顔になる。

 

「アリバイはどうだった?」

 

穂乃果が防犯カメラを見ていない残りのメンバーに聞くと花陽がこたえた。

 

「アリバイは、警察の人が言うにはやっぱり美術館の関係者は中原さん以外は全員アリバイがあったらしいよ…」

 

花陽が言うと全員がまた難しい顔になる。

少しの沈黙の後、「あっ!」とにこが声をあげた。

 

「ねえみんな、さっき私、祝迫オーナーの死体の近くにこんなボールペンが転がっていたのを見つけたんだけど…」

 

にこがポケットから音ノ木美術館のロゴが入ったボールペンを見せた。

 

「それは今年、この美術館の50周年記念で作ったボールペンだよ、私たちもパンフレットと一緒にもらったじゃん」

 

ボールペンを見ながらことりがにこに言った。

 

「じゃあ、誰かが置き忘れたのね…」

 

そういうと、にこがパンフレットの表紙にサラサラとそのボールペンで自分の名前を書いた。

 

「ちゃんと書けるわね… うーん、色の太さもあの【ナカハラ】と言う文字とそっくりね。恐らくこれはこのボールペンと同じもので書かれたのね…」

 

そう言うと、全員が沈黙した。

 

 

 

 

 

「ねえ、もう一回防犯カメラを見てみようよ。 今度は全員で」

 

沈黙が続いた後、穂乃果が全員を見渡して言った。

 

その言葉に全員が頷き、μ’sの9人が再び防犯カメラの映像を見れる警備室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー警備室ー

 

警備室に戻ってきたμ’sは警官にことわりを入れ中に入れてもらい、再び防犯カメラの映像を再生させた。

 

「うーん… 見るからに特に変わった所はないわね…」

 

絵里が呟いた。みんなも同じ意見らしく難しい顔のままだ。

映像はちょうど祝迫オーナーが何かを書いているところだ。

 

「ん⁉︎ 今の所、もう一度!」

 

その時、突然に穂乃果が操作をしていた絵里の手からリモコンをひったくり映像を巻き戻した。

 

「ど、どうしたの?」

 

「何かに気づいたん?」

 

ことりと希が穂乃果に聞くと、穂乃果は「やっぱり…」と呟いた。

 

「何がやっぱりなんですか?」

 

海未が穂乃果に聞くと、ピタッと穂乃果が映像を止めた。

止めたところは祝迫オーナーが壁から札を取ったところだ。

 

「よく見て、壁から札を取ったときの祝迫オーナーの顔を…」

 

「「「「え?」」」」

 

穂乃果の言葉に全員が壁から札を取ったときの祝迫オーナーの顔を見る。

 

「「「「⁉︎」」」」

 

全員が驚いた、何故ならすごく驚いた顔をしていたからだ。

 

「こ、この表情はなに⁉︎ なんで犯人の名前を書くために取った札を見ただけでこんな驚いた顔をしているの⁉︎」

 

にこが言うと希も言う。

 

「それに書き終えた後、なんでペンを投げ捨てたんや⁉︎ 音がすれば犯人に気づかれるかもしれないのに…」

 

 

希がそれまで言うと穂乃果が何かを思いついたらしく、にこに聞いた。

 

 

「ねえ、にこちゃん、あのボールペンを拾ったときにペン先は引っ込んでたよね?」

 

 

「え、ええ… そうよ、最初から引っ込んでたわ…」

 

 

穂乃果はそう言うと「おかしい…」と呟いた。

 

 

「な、何が?」

 

まだ、よくわかってない他のメンバーが穂乃果に聞いた。

 

「おかしいじゃん! 普通、これから殺されるかもしれないという人間がわざわざ書き終えたあとペン先を戻すなんて…」

 

穂乃果が言うと、「確かに…」全員が納得する。

 

「あ‼︎」

 

全員が納得したとき穂乃果が再び声をあげた。

 

「も、もしかしたら!」

 

声をあげるなや否や穂乃果は警備室を走って出て行き、地獄の間のほうに戻って行った。

他のメンバーも出て行った穂乃果を慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー地獄の間ー

 

地獄の間に戻ると穂乃果は【ナカハラ】と書かれた紙を鑑識から見せてもらえるように頼んだ。

紙を見ると表面には何かでグリグリ【ナカハラ】という文字を抉った跡があった。

 

「なるほど… やっぱりそうだったのか…」

 

穂乃果が呟くと、「ちょっと、自分だけで納得してないで私たちにも教えなさいよ!」と、真姫が不貞腐れたように穂乃果に聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「森警部! 中原さんのロッカーから犯行に使われたと思われる甲冑が!」

 

「「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」」

 

 

 

1人の刑事が中原のロッカーから血まみれの甲冑を持ってきたのだ!

 

「成る程… やっぱり、犯人は中原さん、貴方のようですね…」

 

それを見て石田が中原に詰め寄った。

 

「そ、んな… 違う! おれは犯人じゃない!」

 

中原は必死に違うと言った。

 

「じゃあ、なんで、あんたのロッカーからこの血まみれの甲冑がでてきたんだ!」

 

石田が中原に言うと、中原は答えれずに押し黙った。

 

「答えは簡単だ! それは、中原さん! あんたが犯人だからだよ!」

 

中原を指差しながら石田はそう言うと続けた。

 

「あんたは、あらかじめこの部屋に呼び出しておいた祝迫オーナーを待ち伏せて刺し殺した。防犯カメラから正体を隠すためにわざわざあの甲冑を着てね‼︎ しかし、防犯カメラは別の証拠をしっかりと捕らえていた、 あんたのスキをついて祝迫オーナーが壁に貼ってあったこの札に文字を書き残す所をな! 防犯カメラの映像を見る限り犯人はこの紙には一切触れていない! 死体発見後も誰も触っていない! すなわち、これは、祝迫オーナーが死ぬ間際に犯人の名前を書いたダイイングメッセージなんだよ‼︎」

 

石田がそう言うと中原はそれでも違うと言う。

 

 

「まだ、しらを切るのか! おまけにあんたはこの美術館の職員で唯一アリバイがないじゃないか‼︎」

 

「だ、だからそれは… 飯山館長に頼まれた仕事を1人で事務室で…」

 

中原はそこまで言うと、「嘘をつくな!」とさらに石田たちから詰め寄られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マズいわね… このままだと本当に中原さんが…」

 

「あの人が犯人である可能性は極めて低いのに…」

 

絵里と花陽が言うと「違う」と横から言われた。

それは、穂乃果だった。

 

「中原さんが犯人の可能性が極めて低いんじゃない、中原さんが犯人なわけがないんだ…」

 

「でも、だったら犯人は誰なの? 美術館の職員は中原さん以外は全員、アリバイがあったのよ?」

 

穂乃果ににこが聞くと「それはまだ分からない…」と穂乃果は目を伏せた。

 

その時、

 

 

 

 

 

「にしても、あの甲冑が飾りつけようのレプリカで良かったなぁ、美術品だったら返り血を浴びて台無しだったぜ…」

 

「そういえばあの甲冑、昼間、中原が運んでたやつだよな!」

 

穂乃果たちの近くで美術館の職員たちが話していた。

当然、その声は穂乃果たちにも聞こえた。

 

「へぇー、あの甲冑はレプリカやったんや…」

 

「成る程… だから飯山館長は中原さんがあの甲冑を乱暴に台車に乗せても何も言わなかったのか…」

 

会話を聞いていた穂乃果と希が呟いた。

美術館の職員たちは会話を続ける。

 

「いやー、それにしても、犯行に使われた甲冑がレプリカだったのがせめてもの救いだよな…」

 

「ああ、他の美術品も難を逃れたようだし…」

 

「それにしても、祝迫オーナーが刺されて吊るされていたところにかけられていた絵画も命びろいしたよな!」

 

「そうね… 昨日、たまたま手入れのために外したもんね… あったら今頃血まみれよね…」

 

 

 

美術品の職員たちは安心したように話していた。

 

しかし、この会話で何かをつかんだ人間がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん⁉︎ そういえば、あの時、祝迫オーナーが取ったのは絵の説明の札…」

 

 

その会話を聞いていた穂乃果は防犯カメラの映像を思いだし、祝迫オーナーが刺されて吊るされていた壁を見た。

 

「⁉︎」

 

穂乃果は驚いた。

なぜなら絵だけ外されていて札しかなかったからだ!

 

(なんで… 手入れのために外したのなら普通は名札も一緒に外すのに… なんで名札だけ…?)

 

穂乃果はそう考えると、ピカッと頭の中に閃光が走った。

 

(そういうことか… 分かったぞ! 犯人のトリックが!)

 

しかし、すぐに引っかかりが出来た。

 

(でもまてよ、これは、中原さんのアリバイを消滅させないとできないトリック! となると犯人は…)

 

穂乃果は犯人と思われる人物を見たが、

 

(いや、美術館の職員には中原さん以外は全員アリバイがあるということは警察が調べたんだ… だったら、犯行はあの人には無理だ…)

 

穂乃果がそう考えていると、

 

 

 

ガシャーン!!!!

 

 

 

「「「「⁉︎」」」」

 

突然、大きな音が部屋に響き渡った。

みんながその方を見ると犯行に使われたという甲冑を警官が落とした音だった。

 

「あわわ…」

 

警官が落とした甲冑を慌てて拾おうとすると近くにいた花陽が手伝った。

 

「あ、ありがとうございます…」

 

警官が恥ずかしそうに花陽に言うと、

 

「大丈夫ですよ、困ったときはお互い様です、何より1人より2人でした方が良いですから!」

 

花陽が笑顔で言うと、美少女に笑顔でそんなことを言われた警官は真っ赤になった。

 

 

 

 

そんな時、

 

 

 

 

 

「1人より2人…?」

 

穂乃果と花陽の言っていた言葉を考えていた。

 

そして、その時、穂乃果の頭の中で全ての謎が1本の線につながった!

 

 

 

 

 

 

 

 

(そうか! そう言うことだったんだ! アリバイなんて調べても無駄だったんだ! 間違いない、犯人はあの人だ!)




次回は解決編です。
オリジナル展開を含みます。


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美術館殺人事件 解決編

解決編です。
上手く書けたか評価をお願いします。
オリジナル展開があるので元ネタを知っている人はご了承ください。



一方、そのころ警察は石田の考えが正しいと判断し中原を逮捕しようとしていた。

「中原さん、とりあえず、署まで来てもらいましょうか…」

「ち、違う! おれは殺してなんていない!」

中原は必死に容疑を否認するが警察は聞く耳を持たなかった。

「まだ、言い逃れをするのか! 犯人はあんたしか… 「それは違いますよ!」…⁉︎」

石田が中原に再び詰め寄ろうとした時、穂乃果がその声を遮った。

その時の彼女の顔はいつもの明るい顔ではなく、推理をするときの顔になっていた。

μ’sの他のメンバーは穂乃果を見て、

「ほ、穂乃果? まさか、犯人がわかったのですか?」

海未が聞くと、「うん」と穂乃果が頷いた。

 

 

 

 

 

「おいおい、ちょっと待ってくれ… 犯人はあの中原という人に決まってるだろ? たくさんの証拠がそれを示している… おまけにこの美術館の職員には彼以外全員にアリバイがあったんだぞ?」

石田が言うと穂乃果は首を横に振った。

「それは、本当の犯人が中原さんに罪をきせるために用意したものですよ、それにアリバイなんていくら調べても無駄だったんです」

「どういうことだ?」

森が穂乃果に聞いた。

穂乃果は推理を続ける。

「だって、犯人のアリバイを証明するそのアリバイの証人も嘘をついているんですから…」

「「「「な、なんだって⁉︎」」」」

その言葉に全員が驚いた。

「そう、つまり犯人は1人じゃないということです!」

穂乃果が言うと、

「で、では、この美術館の人間の誰かが犯人だということしか分からないじゃないか!」

石田が言うと「そうです」と穂乃果が言った。

「でも、その犯人が誰かはすぐにわかります、ある実験をすればね…」

穂乃果の言葉に「ある実験?」と全員がクエスチョンマークを頭に浮かべた。

「簡単なことです。 この紙に美術館の職員なら持っているペンで自分の名前を書いてください」

穂乃果はそう言うと美術館のパンフレットを差し出した。

「そんなことをなんだってしないといけないんだ?」

「いいから、いいから」

穂乃果は強引に森たちにお願いした。

 

 

 

ー5分後ー

カリカリカリ…

 

「『水山連』と… これで良いんですか?」

「はい、 最後の人」

穂乃果は美術館の職員に片っ端からその人の持っているペンで名前を書かせた。

最後の人は飯山館長だ、

「飯山館長、どうぞ名前を…」

「……」

しかし、飯山館長はペンを出したが名前を書かなかった。

「………」

そして、ペンを持っている手は震えていた。

「あれ? どうしたんですか? なんでペンを持ってるのに書かないんですか?」

穂乃果はペンを持ったまま固まっている飯山館長に聞いたが飯山館長は黙ったままだ。

「もしかして、そのボールペンって文字を書けないんですか? でも、だったらなんでそんなボールペンを持っていたんですか?」

「……!」

飯山館長は顔を青くして俯いた。

穂乃果が聞くとそれを聞いていた石田と森が飯山館長のボールペンを見た後、穂乃果にどういうことだと聞いた。

穂乃果は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういうことですよ… 犯人の1人は飯山館長! 貴方だというね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は飯山館長を見て言った。

周りにいた全員がその言葉に驚く。

「お、おい、待ってくれ… なんで書けないボールペンを持っていただけで犯人なんだよ……?」

いち早く我に帰った石田が穂乃果に聞くと、穂乃果は祝迫オーナーが握っていた【ナカハラ】と書かれた紙をみんなに見せた。

「順を追って説明します。 まず、この紙をよく見てください。 この【ナカハラ】という文字の上に何か細く尖ったペンみたいなものでえぐったような跡があるでしょう?」

穂乃果が説明してもみんなは頭にクエスチョンマークを浮かべたままだ。

穂乃果は説明を続けた。

「本当に祝迫オーナーがこの【ナカハラ】という文字を書いたのならこんな後はあの防犯カメラの映像を見る限りつかないはずです。 本当にこの文字を書いたのなら祝迫オーナーは書いた後ペンを投げ捨てたのですから…」

「ち、ちょっと待ってくれ! じゃあ、このえぐったような跡は誰がつけたんだ‼︎」

石田が穂乃果に言うと穂乃果は答えた。

 

 

「それをつけたのが、祝迫オーナーですよ」

「「「ええっ⁉︎」」」

 

 

全員が驚いた顔になったが穂乃果は気にせずに続けた。

「そもそも根本からみなさんは騙されているんです。 そのえぐったような跡をつけたのが祝迫オーナーだということは、その紙に書かれていた【ナカハラ】という文字は犯人によって最初から書かれていたものだったんです」

「な、なんだって⁉︎」

石田が驚くと今度は森が穂乃果に聞く。

「し、しかしだな… そもそもその紙はあの後ろにあった絵画の名札だったんだぞ? 祝迫オーナーはなんでわざわざそんな札を咄嗟にとは言え取ったんだ? 別の札を取る可能性もあっただろうに…」

森の問いに穂乃果は首を振る。

「その可能性は限りなくゼロに近かったでしょうね。 何故なら、祝迫オーナーが札を取ったのは犯人にこう言われたから… 『おい! 後ろの札を見てみろ! 犯人の名前が書いてあるぞ!」ってね!」

穂乃果は紙をおいて推理を続ける。

「でも、祝迫オーナーが取った札には犯人の名前ではなく【ナカハラ】と書いてあった。 驚いた祝迫オーナーは慌てて机の上にあったボールペンを咄嗟に取り、そのボールペンで本当の犯人の名前を書こうとした。自分を殺そうとしている張本人の名前をね! でも、書けなかった、何故ならそのボールペンはあらかじめ犯人が用意していた 『書けないボールペン』だったからですよ!」

「つ、つまり、その紙に残っているえぐったような跡はその時のものってわけね…」

「なるほど… あの時祝迫オーナーがペンを捨てて紙をぐしゃぐしゃに丸めたのは手でその紙をもみ潰すためだったんですね」

穂乃果の説明に真姫と海未が納得をする。

「つまり、これはあの無音の防犯カメラの映像と書けないボールペンを使って、真実とは全然違う内容を私たちに錯覚させたトリックだったんですよ!」

穂乃果がそこまで言うとにこが口を挟んだ。

 

 

 

「でも、私が見つけたこのボールペンは書けるわよ…? ホラ……」

「「「ええっ…?」」」

 

 

 

 

にこがパンフレットに自分が拾ったボールペンは書けると言った。

しかし、穂乃果は冷静に、にこに聞き返した。

「確か、そのボールペンは見つけた時はペン先が引っ込んでいたんだよね?」

穂乃果が聞くと「ええ…」とにこが頷く。

未だによく理解していない石田が「どういうことだ?」と穂乃果に聞いた。

穂乃果は説明を続ける。

「ペン先が引っ込んでいるのはおかしいでしょ? これから、殺されるかもしれない人間がわざわざペン先を元に戻すなんて…」

「だからなんなんだ?」

石田が穂乃果に聞くと穂乃果はペンを見せながら続けた。

「だから… おそらく犯人は、祝迫オーナーが使った書けないボールペンと、にこちゃんが見つけたこの普通に書けるボールペンをすり替える時に、うっかりペン先を出す前のボールペンを置いてしまったんですよ! そして、祝迫オーナーをあんな派手な殺し方で殺したのは絵になぞらえるためだけではなかったんです。 のど元を一突きで殺すなど派手な殺し方をした理由は人の目を死体に向けさせるためだったんです。 普通、あんな派手な死体を見たら騒ぎを聞いて駆けつけたみんなの視線は死体に注がれます。 ボールペンをすり替えるためにしゃがんで見つかりでもしたらトリックがバレてしまうかもしれない。 だから、絵になぞらえていると私たちにミスリードさせ、死体に私たちが気を取られているどさくさにまぎれてボールペンをすり替えたんです…」

穂乃果は説明が終わると飯山館長を見た。

 

 

 

「つまり、この犯行ができたのは、書けないボールペンを現在でも持っている人物である、飯山館長… 貴方しかいないんですよ…」

 

 

「………」

 

 

穂乃果がそう言うと飯山館長は目を伏せた。

 

「そして、さっきの通り犯人が2人いるとすると、飯山館長のアリバイを証明する人がもう1人の犯人です…」

 

穂乃果はそう言うともう1人の犯人を指差した。

 

「それは貴方でしたよね… 有馬さん…」

 

「……!」

 

「まだ言い逃れをする気なら、なんで飯山館長と一緒にいたという嘘の証言をしたのか説明してください、今すぐに!」

 

「………」

 

穂乃果がそこまで言うと有馬は床に崩れ落ちた。

 

「も、もうダメです… 飯山館長…!」

 

有馬は力なく呟いた。

飯山館長が有馬の肩に優しく手を置いた。

 

「有馬くん… 君は巻き込まれただけだよ…! 私の復讐計画に… あの腹わたの腐った悪魔を殺すための計画に……!」

 

 

飯山館長は有馬の肩から手を離し、憂いを帯びた表情で言った。

 

「では、犯行を認めるんですね?」

 

「はい… 私があの悪魔を殺し、有馬くんがアリバイの確保を手伝うというものです。 それ以外はそこの名探偵さんの言った通りてすよ…」

 

森が飯山館長に聞くと飯山館長が穂乃果を指差して微笑みながら言った。

その微笑みは後悔している自虐的なものではなく、どこかやりきったような達成感に満ちた笑顔だった。

 

「それにしても上手い具合に防犯カメラに映ったものですね…」

「いや、上手い具合にじゃないと思うよ」

石田が言うと穂乃果が口を挟んだ。

どういうことかと絵里が穂乃果に聞く。

 

「恐らくこれは計算づくの犯行だよ。 だって名札をとったときに前に転ぶタイミングやペンや名札の位置は祝迫オーナーの性格を考慮しないと出来っこないし、それに、この部屋でこの日のために何回も練習してたんだと思うし…」

 

「こ、この部屋で…?」

 

花陽が聞くと穂乃果が続けた。

 

「私たちがこの美術館に来た理由… 深夜に甲冑の騎士が歩き回ると言う噂、あれは祝迫オーナーを殺すために飯山館長と有馬さんが練習していたからできた噂なんだよ」

 

穂乃果は「そうですよね?」と言うと飯山館長を見た。

飯山館長は微笑みながら呟いた。

 

「まさかそこまで分かっておられるとは… 警察の方たちに信頼されているだけのことはありますね…」

 

飯山館長はそう言うと軽く上を向いて続けた。

 

「ええ、その通りですよ… 自分でも愚かなことだとは思いましたが、私利私欲のためにこの聖なる美術館を乗っ取り、我が子同然に可愛がっている美術品たちをゴミ呼ばわりして売りさばこうとした悪魔を殺さないと気が済まなかったんです… この美術館を乗っ取ったあの悪魔をこの世界から消し去るためにね…」

 

飯山館長はそこまで言うと、今度は中原の方を見た。

 

「そして、勝手に作品を売り飛ばした中原くん… 君にも罰を与えたかった…」

 

「っ………」

 

飯山館長の視線から逃げるように中原は目を逸らして唇を噛み締めた。

そんな中原を見たあと飯山館長は今度はなぞらえるために使われた絵である『天罰』を見て続けた。

 

「なぞらえるつもりが、この絵の通りになってしまったのですね…」

 

「え? 違うでしょう? この絵の通りだったら貴方たちには裁きはくだらないはずよ?」

 

飯山館長の言葉ににこが横槍を入れると、飯山館長は微笑みながら首を振った。

 

「いいえ… この絵の通りですよ… 正義の騎士は悪魔を葬ったが、その返り血を浴びた正義の騎士はやがて悪に身を染めてしまうのですから… まさに今の私たちのように…」

 

飯山館長は有馬を肩を抱いて起こし、森の方に向かった。

ガチャリと2人の手に手錠がかけられる。

 

「何はどうあれ、私たちは殺人者です… 私たちもまた、あの『天罰』と同じく悪に身を染めてしまったのです… その証拠に純粋な正義の眼は欺けませんでしたから…」

 

飯山館長はμ’sの9人を一瞬見たあと自分から警察についていった。

 

 

 

 

こうして美術館を舞台にした殺人事件は幕を閉じた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー1週間後ー

 

「へー あの美術館は続けることになったんですね!」

「うん! なんでも事件の後、作品の素晴らしさとかが広まって続ける声がすごく増えたんだって!」

 

美術館の事件から1週間後、μ’sのメンバーが新聞を見ると、新聞には『音ノ木美術館閉鎖取り消し! リニューアルオープン!』という見出しがあった。

海未と凛は美術館が閉鎖にならなかったことに嬉しそうだ。

 

「今度、リニューアルオープンした美術館にまた行ってみる?」

「そうやな! 今度は9人みんなで回ろうか!」

 

穂乃果と希がリニューアルオープンした美術館にもう一度みんなで行こうと提案した。

みんなは笑顔で二つ返事で了承した。

 

「ねぇ! 見てよ! ここ!」

 

ちょうどその時、にこが美術館リニューアルオープンの隣の記事を指差した。

 

「私たちの活躍が新聞に乗ってるわよ!」

 

にこが鼻息荒く興奮しながら言うのでみんなはその記事をみた。

そこには、『高校生探偵団、μ’sがまたもやお手柄! 見事事件解決!』と書かれており、9人の集合した写真が貼ってあった。

目立ちたがり屋のにこは大喜びしていたがことりや花陽は恥ずかしそうだった。

 

「これで、私たちの名探偵ぶりがまた一つ証明されたわね!」

 

 

「にこっち、テンション高いなぁ…」

「解決の推理をしたのは穂乃果なのに…」

 

ぴょんぴょん嬉しそうに跳ねながら喜んでいるテンションの高いにこの横で希と真姫は呆れながら苦笑した。

 

 

 

 

 

ー次回予告ー

穂乃果の提案で他県の高校生と交友を深めるためのイベント『ホームステイの受け入れ』のパンフレットをたまたま見つけたことで、そのイベントに応募するμ’sの9人、結果はなんと9人全員が見事当選してしまう。

当選したことで穂乃果たちは他県の見知らぬ高校生たちを迎え入れるためにそれぞれが家に帰り事情を説明し了承を得てホームステイへの準備に取り掛かる。

 

一方、【奇跡(ミラクル)】と呼ばれる9人の探偵団もμ’sと同様全員が当選していた、こちらもネットでたまたま見つけた『ホームステイのイベントに参加して見知らぬ他県の高校生と交友を持とう』というもので当選したら『ホームステイの受け入れ』で当選した相手の家に3日間ホームステイして交友を持つというものだ。

当選したのは天才発明家の石川勇樹たちとその仲間達だ。

彼らも秋葉原に旅行できるのと有名な探偵団であるμ’sに会えることに浮き足立っていたが、先生が引率でつくことになり少し憂鬱な気持ちになりながらも楽しみに待つ。

 

これが今回の事件の始まりだった。

 

2つの探偵団が秋葉原に集まった時、その事件は起きた。

 

ただのホームステイが恐ろしい事件になる。

 

悪夢のような3日間のホームステイは静かに幕を開けようとしていた……

 

 

 




ご指摘、感想をよろしければお願いします。
次回は【水岸薫】様とのコラボ作品です。


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水岸薫様とのコラボ作品 〜集められた2つの探偵団〜 プロローグ

お待たせしました。

プロローグを投稿致します。

今回は水岸薫様とのコラボ作品です。

完全オリジナルです。


【巨大な建造物を一瞬にして消すこと】それはあらゆるマジシャンにとって究極の夢である。

 

誰もが信じられないと思うだろうが、ノベール・クレマンと言う人間が70年代の初頭にエッフェル塔を消滅させた。

 

世界にはそれだけではなく、様々な不思議な出来事が起こっている。

 

しかし、不思議な出来事の裏にあるのはほぼ人間の仕業だ。

 

 

その例としてこんな話がある。

 

昔、あるアメリカの学者会が【超能力の発見】というテーマに基づいた、超能力者の発見のために、超能力者を発見する団体を創り上げた。

 

そこで、我こそは超能力者だという者たちを呼び集めて、自分たちの前で超能力を披露してその超能力が本物だと言うことを学者たちに証明し、できれば多額の賞金を与えるというものだ。

 

あらゆるマジシャンや大道芸人が奇跡や魔法に似せたトリックで学者たちを欺こうとしたが学者たちにトリックを全て見破られ、超能力者が出現することはなかった。

 

学界は1年間もそれを続けたが本物の超能力者は1人も見つからなかった。

 

学者たちが【超能力はこの世に存在しない】と諦めかけた時、1人の女がその団体に切り込んで来たのだ。

 

イギリスからやって来た年若い10代の女で、自分は【X線の目を持つ】透視能力があると言う者だった。

 

その女の言葉に今までのマジシャンや大道芸人のイカサマやトリックを見抜いてきた学者会の学者たちは『嘘だ』や『そんな訳がない』と信じなかった。

 

しかし、その後のその女の実演でその考えは見事に覆されることになる。

 

論より証拠ということで実演によるもので自分の能力を証明する女。

 

それは、後ろをむかせた女に周囲が見えないように目隠しをさせ、学者たちが女に見えないように紙に文字を書き、女が用意した鉄の箱に入れ、透視するところを学者たちに見られながら鉄の箱に入った紙に書かれている文字を透視するものでイカサマのしようがないものだと思われていた。

 

しかし、女はいとも簡単にその文字を正確に読み取った。

 

同じことを10回連続でしても結果は変わらなかった。

 

学者たちはこの女こそ本物の超能力者だと認めざるを得なかった。

 

学者会は女に超能力者と認め多額の賞金を与えようとした時、それに待ったをかける者がいた。

 

それは、ユーキルーカと言う、当時のアメリカの理工学者(今でいう発明家)だった。

年も若く優秀な理工学者としてアメリカでは注目されていた。

彼も最近、この学者会に呼ばれて入ったのだ。

 

ユーキルーカは女に言った、『もう一度、私にだけそれを見せてくれないか?』と。

 

女はもう一度それを実演して見せた。

 

学者たちは首を傾げている。

女は紙には一度も触れていないし箱に入れるまでの間は紙を見ている様子もなかった。

それに、文字を書いている時に女は後ろを向いて目隠しをしていたため、その時に盗み見ることも不可能だ。

 

学者たちにはどう考えてもこの女は超能力者としか思えかった。

 

しかし、ユーキルーカは女の実演が終わるとニヤリと笑った。

 

女も学者たちもユーキルーカの微笑みの理由が分からずポカンとしていると、ユーキルーカがそれを見て口を開いた。

 

 

そして、こう言った………

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは実に簡単なトリックです。 この後、100回やっても200回やってもこのトリックはみなさんには絶対に見破ることは出来ないでしょう… それは何故か? このトリックが、みなさんの考えているよりはるかに簡単だからです」

 

 

 

 

 

ユーキルーカから女のトリックの種明かしを聞いたとき、学者たちは唖然とした…

 

 

 

 

女のトリックは女が用意した鉄の箱に小さな隙間ができておりそこから女は中の文字を盗み見ていたのだ!

 

 

学者たちは今までのマジシャンたちのトリックからそんな簡単なトリックな訳がないと考えてこんな簡単なトリックに騙されていたのだ。

 

ユーキルーカの証明したこの時点でこの世に超能力は存在しないということが明らかになった瞬間だった。

 

 

 

しかし、未だ世界では前述の通り不思議なことが起こっている。

 

 

それは、東京の秋葉原でも起きた。

 

 

現在のユーキルーカが何者かにより誘拐される。

 

 

これも、前述の通り不思議な出来事の裏には必ず人間の影が潜んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、本当にそれが全てなのだろうか………?

 




ご指摘、感想をよろしければお願いします。

水岸薫様、プロローグはこんなのでよろしいのでしょうか?


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水岸薫様とのコラボ作品 〜集められた2つの探偵団〜 出会い

前回の続きです。

お待たせしました。


ー秋葉原駅ー

 

とある土曜日の朝8時、平日の東京の駅は通勤、通学ラッシュでこの時間は賑わっている。

今日は土曜日じゃないかとツッコムかもしれないが土曜日でも東京の駅は平日には及ばずとも相変わらず賑わっている。

 

仕事に出かける者は少なくても社会人や学生などは遊びや旅行などに利用するために駅を出入りしているのだ。

 

秋葉原も例外ではない。

 

 

そんな秋葉原の駅を9人の少女たちが目まぐるしく動いていた。

知っての通り、全国的に有名な探偵団であるμ’sだ。

 

「あーん! ホームステイの相手の子たちは何処にいるのー⁉︎」

 

「穂乃果! 大声をだすのはやめなさい! はしたない…」

 

「まあまあ…」

 

穂乃果が嘆きの声を上げるとストッパー役の海未が嗜めことりが宥める。

お馴染みの光景がそこにはあった。

 

 

『ホームステイの子たち』何故、穂乃果がこう言っているのかと言うと事の発端は今から1週間前に遡る。

 

 

 

 

ー1週間前ー

 

「ホームステイの受け入れ募集中! 他県の子たちと交流を持とう!」ネットでこのボランティアの記事を見つけたことがきっかけだった。

これを見て、μ’sのリーダーでありエンジンでもある穂乃果が『これに応募しよう』と言い出したのだ。

始めは嫌がっていた他のμ’sメンバーだったが応募するのはタダなため穂乃果と共に応募した。

しかし、これには抽選があってその抽選に当選しないとホームステイの受け入れが出来ないのだ。

 

そして、応募したらなんと信じられないことに9人全員が当選していたのだ!

奇跡とも思える出来事にみんなが驚く。

当選してしまった今、後戻りはできないので反対派だった海未や真姫、にこも両親に許可を取りホームステイの受け入れの準備を始めた。

 

ホームステイする相手は神奈川県の高校生たちだ。

 

そして、今日がそのホームステイする子達との対面なのだ。

 

ホームステイする子たちとは午前8時に秋葉原駅で対面とパンフレットに書いてあり、穂乃果たちはそのホームステイする子たちを探しているのだ。

 

ホームステイの当選と同時に自分のホームステイの相手のプロフィールがお互いに送られるため名前と顔写真がそれに載せられていて相手の名前と顔は一応知らされている。

 

しかし、なかなか見つけられずにいたため、冒頭のシーンに戻る。

 

「他の場所も探して見ましょうか…?」

 

海未の意見に満場一致で頷き、μ’sのメンバーは秋葉原駅内を移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー別sideー

 

「ホームステイの相手の子たちは、一体何処にいるのよ〜!」

 

「勇樹のメカで探し出せないの?」

 

「無茶言うなよ… 俺だって万能屋じゃないんだ…」

 

同時刻、秋葉原の駅でμ’sと同じ人数で固まって移動している9人がいた。

 

小柄な体型でクマの顔が描かれた茶色のパーカーに薄茶色の長袖を着ており、ピンク色の髪色のツインテールにハートのヘアピンより元気な印象を与える少女が声を張り上げ、それを聞き流しながら青髪のサラサラのショートヘアーで水色のワンピースに白いタイツを履いて頭に青色のゴーグルをしており、太い眉毛と赤色の伊達メガネが特徴の少女が前にいた、男子にしては小柄で黒色のオカッパ頭で二本のアホ毛の生えており、白いシャツに黒の線の入ったズボン、頭に目立つ黄色の洒落た帽子を被っている少年に聞いた。

 

どうやら勇樹と呼ばれたその少年のメカでホームステイの相手を探し出して欲しいらしい…

 

勇樹はメカを創るのが得意らしいが、今は生憎そんなメカは持ってはおらず迷惑そうに駅の中で騒ぎ立てるツインテールの少女を見ていた。

 

もう気づいていると思うがこの3人はかなりの個性的な格好だ。

3人以外もかなりの個性的な格好をしている。

 

格好や動作からして個性的な面々で9人は秋葉原の駅では一際目立っていた。

 

いや、9人ではない、ちゃんと大人がいた。

 

「はいはい! ホームステイの相手の子たちをみんなで探すわし!」

 

異様なほど高いテンションで9人の先頭を歩く若い女性が…

因みにこのテンションの高い女性はミラクルの顧問のような存在の先生だったりする。

 

背もそれなりに高くすらっと伸びた長い手足、たわわに実った大きな胸、大きな少しのつり目、すんなりした鼻筋と整った形の良い唇、側から見ればかなりの美人でモデルと見間違えるほどのプロポーションを誇っている。

 

しかし、田舎生まれであろうの方言の訛りなのか少し標準語からずれたイントネーションで訛りなからしゃべっている姿はなかなか周囲から好奇の視線を向けられている。

 

「他の場所を探してみるか…」

 

小柄な少年の言葉にみんなが納得して個性的な面々は秋葉原駅を移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋葉原駅の1Fにはいないみたいだから2Fを探してみようか…」

 

「秋葉原駅の2Fにはいないみたいだから1Fを探してみようか…」

 

 

 

 

 

穂乃果たちは上りのエスカレーターに乗り上の階に上る。

勇樹たちは下りのエスカレーターに乗り下の階に下る。

上りと下りのエスカレーターの重なる場所にμ’sの9人とミラクルの9人がすれ違う。

 

 

 

スッ…

 

 

 

「「…ん?」」

 

 

 

 

その時、エスカレーターがすれ違った、それだけで振り返る2人がいた。

μ’sのリーダーの高坂穂乃果とミラクルの頭脳の石川勇樹だ。

2人は引き合うように互いを探したが見つからない。

 

「穂乃果、どうしたんですか?」

 

「勇樹? どうしたの?」

 

μ’sは海未がミラクルは水色のワンピースの少女が2人に聞く。

 

「「いや、何でもないよ」」

 

2人は同じ言葉を言った。

 

2つの探偵団が出会うのまで後数時間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数時間後ー

 

 

あれから数時間経ってようやく合流できた、とは言っても、ホームステイの案内役の人が来てくれたからだが…

 

ちなみに、このホームステイには案内役の人が1人付いている。

本来なら合流した時に連絡を入れて来るはずなのだが、時間になっても合流しないのでしょうがなくμ’sの絵里と海未が連絡をして案内役の人にすれ違いを取り持ってもらったのだ。

 

合流した後、場所を移動しホームステイの案内役の人の計らいで自己紹介が行われることになった。

まずは、言い出しっぺの案内役の人からだ。

 

「では、私から自己紹介しますね。 私の名前は山村志保、3日間あなたたちのホームステイの案内役を務めさせていただきます」

 

山村志保と名乗った案内役の女性は20代前半のように若くてスタイルの良い美人だった。

ミラクルの先生と並ぶほどのルックスを誇っていた。

人好きのするいい笑いを浮かべて自己紹介をした。

 

次は、μ’sとミラクルの自己紹介なのだが何分彼らは初対面だ。

思春期特有の恥ずかしさがある。

μ’sはミラクルのメンバーの個性的な格好に目を奪われていたし、ミラクルはμ’sのメンバーの予想以上のルックスのレベルの高さに目を奪われていた。

 

互いに目を奪われあっていたが、ここで自己紹介が動く。

 

 

 

スッ…

 

 

 

「ミラクルの皆さん、こんにちは! 私の名前は高坂穂乃果です! μ’sのリーダーをしています。 3日間という短い間ですが、他県と高校生の絆を深められると思います! よろしくお願いします!」

 

 

 

そう言って大好評のいつもの眩しい笑顔で手を差し出し握手を求めた。

 

 

相手がどんな人だか分からないので自己紹介に躊躇っていたが、ここはμ’s一高いコミニュケーション能力を持つμ’sの頼れるリーダーである穂乃果が挨拶する。

 

そして、ミラクルの真ん中にいた石川勇樹に手を差し出し握手を求めた。

 

 

 

「あ、ああ、石川勇樹だ ミラクルという探偵団のメンバーだ……!」

 

 

名乗った少年は【石川勇樹】と言い黒色のおかっぱ頭の髪型で瓶底眼鏡と2本のアホ毛を生やして頭に黄色の帽子を被っているのが特徴の少年だ。

身体に小さい生存プログラムのメモリーが埋め込まれた半分機械人間の人口サイボーグでいろいろなもので発明を作る天才発明家だと言う。

本人曰く運動と女性が苦手だと言う。

ミラクルの仲間からはミラクルの頭脳と呼ばれていた。

 

 

 

 

 

 

勇樹も自己紹介し返したが差し出された手に少しだけ抵抗していた。

それにすぐに気づいた穂乃果が「どうしたの?」と眉を少し上げた。

 

 

隣にいた灰色の短髪の少年が慌てて補足する。

 

 

「あ、勇樹は少し女性が苦手なんだ、君が嫌いとかじゃないよ!」

 

 

そう言うと穂乃果が「あ、ご、ごめん…!」と申し訳なさそうに手を引っ込めた。

 

少し気まずい雰囲気になったがミラクルの顧問の先生が『みんなも自己紹介しよう!』と明るく言ったので気を取り直して自己紹介をする。

 

 

勇樹の隣にいた灰色の短髪で背中から謎のチューブが出ていた少年は【太田陽】と言い太陽会社と呼ばれる会社の社長の息子だと言う。

お金持ち繋がりということで真姫と面識があるらしく、真姫の家にホームステイと案内役の山村に言われた時は真姫も陽も嬉しそうだった。

特に真姫は陽のファンと自分で言うくらいに憧れていたらしく、普段の彼女からは考えられないくらい喜んでいたらしくμ’sのメンバーは苦笑していた。

 

 

 

 

その隣にいた女性にしては高めの身長であり黄色のショートヘアーで黒色の帽子に灰色のコートを着ている少女は【暗山伊江】と言い実家が古い銭湯を営んでおり通称は格闘銭湯女と呼ばれているそうだ。

名前は暗いが性格は明るく自己紹介も活発でホームステイ先の矢澤にこともすぐに打ち解けていた。

女だが一人称が俺と言うオレっ娘というのも特徴だった。

因みに陽とは恋人関係らしい。

 

 

そのまた隣にいた人物は【佐々木桜】と言い世界的に有名な女優だ。

μ’sのメンバーを知っていたらしく本物に出会えたことに嬉しそうだ。

180センチメートルというかなりの長身で黒色のマフラーを巻いているのが特徴だ。

ホームステイする先の綾瀬絵里はハラショーと嬉しそうにしている。

 

 

 

次に自己紹介する少年は【中弐小森】と言いかなり小柄で緑色のはねたボブヘアーと両手に大きめの手袋の特徴だった。

自称【趣味こもり】と言うだけあり締まりのない服装をしており目の下に不健康そうにクマができていた。

これは、本人曰く、小さい頃、特殊な病状を患い外にあまりでないらしくゲームばかりをしているからこうなったそうだ。

ホームステイ先の東條希からは少し心配されていたが本人はあまり気にしていないようだ。

 

 

 

次に自己紹介する少女は【美樹幹子】と言いかなり高い身長で青いショートヘアーに赤縁の伊達メガネをかけており頭に青色のゴーグルをかけてかなり太い眉毛が特徴だ。

通称《不思議冒険家》と名乗るだけあり冒険が大好きらしく将来は冒険家が夢だそうだ。

運動神経がとても良いらしくボーイッシュなボクっ娘というところもホームステイ先の星空凛と気が合ったらしくてすぐに意気投合してハイタッチしていた。

身長差があるので幹子がしゃがんでたが…

因みにその後、凛を男の子だと間違えて凛に少し怒られたのは笑い話だ。

 

 

 

 

次に自己紹介する女性は【百合子・ビューティー】と言いバレー選手以上の長身で水色の三つ編みに頭にピンクのリボンを付けており白いストールを身につけて、アンテナのようなカチューシャが特徴の女性だ。

何でもいじめに遭っていた時に勇樹に助けられてから勇樹に好意を持ち今では恋人関係らしい。

身長が高いことが密かなコンプレックスである事も自己紹介で話した。

ホームステイ先の小泉花陽は人見知りな性格が災いして遠慮がちだったが穂乃果が取り持っていた。

 

 

 

次に自己紹介する少女は【シャーロック・アレン】と言いこれもまた女性にしてはモデルのような高い身長で赤い色の三つ編みのショートヘアーの髪型で右目に眼帯でフェンシングに使う棒を持ち歩いていて8つの蜘蛛の目のようなゴーグルを幹子のように頭に装着しているのが特徴の少女だ。

通称、《文和樹ガール》と呼ばれるイギリスからの留学生で英語、日本語、フランス語の三ヶ国語をペラペラ流暢に喋れるのが自慢だという。

背中から4本のアームが隠れているらしくピンチの時はこれを使うと言い分にμ’sのメンバーは苦笑した。

日本の文化が大好きでホームステイ先の園田海未とはすぐに意気投合したが留学生ということもあり日本の文化についての認識が若干ズレており訂正されていた。

 

 

 

次に自己紹介する少女は【祝福音】と言いピンク色のにこと同じツインテールの髪型で中学生と間違うような体型でハートのヘアピンとクマのぬいぐるみを持っており、クマがよっぽど好きなのかクマの刺繍が入った茶色の服にリュックを背負っているのが特徴の少女だ。

メルヘンチックで自己紹介から東京って『夢の国だって聞いたけどどこがそうでシンデレラとかいるの?』と聞いてμ’sを困らせたが、穂乃果が『それは東京ディズニーランドだよ』と説明して理解したらしくガッカリしていた。

仲間からは空想お馬鹿さんと通称されているがそれが彼女にとっては地雷だったらしく激怒していた。

ホームステイ先の南ことりとは裁縫と料理が得意という点で意気投合したらしく怒りの感情は吹っ飛んだらしく楽しそうにしていた。

 

 

 

最後に自己紹介する女性は【及川恵】と言いミラクルの顧問であり探偵団の所長となっている人だ。

焦茶色のショートヘアーで背も高くモデルのようなルックスでかなりの巨乳だ。

先生というのも感じさせないような元気な性格で親しみやすくμ’sのメンバーはすぐに好感を持った。

ホームステイ先はないのでホームステイの保護者ということで自腹で東京のホテルに泊まるらしい。

 

 

 

自己紹介もそれなりに終わり、ホームステイする前にそれなりに親睦を深めるために東京都内を自由に散策ということになった。

 

案内役の山村は夕刻になったらホームステイ先に送るため迎えに来るとそうだ、昼食はお台場付近のアクアシティに予約を入れているから摂るように言い、集合場所を連絡して別れた。

 

自由散策では東京都民のμ’sが案内を務める。

バラバラに行動すると集合が大変なので全員で行動することになった。

 

最初はお台場を見学しようと言う案に決まり移動する。

しかし、途中にある大きなゲームセンターである東京レジャーランドに小森が寄ろうと効かないため、希に後ろから胸を揉まれる【ワシワシ】をお仕置きと称されてされた。

μ’sも天敵な攻撃のためこれは小森を助けられなかった。

揉んだ時に小森の結構大きな胸に希は驚いたが、にこや凛、海未から刺されそうなので黙っておくことにした。

 

 

ゲームセンターに結局寄り、凛と幹子はペアで相手をなぎ倒すバーチャルゲームをプレイした。

運動神経抜群の2人はオールクリアでゲームを終えて大喜びだ。

 

他にも、射撃ゲームで海未とアレンがペアで最高スコアを叩き出したり、桜が機械限定のゲームであるチャンバラゲームに素早い剣さばきで最高スコアを叩き出したりして、ゲームセンターの注目を浴びていた。

 

しかし、その中でも1番注目を浴びたのは小森だ。

小森は大喜びでゲームに没頭し、様々なゲームでハイスコアを叩き出してゲームセンターの店員やゲーマーたちを驚かしておりそこから出たのはおよそ2時間後だった。

 

昼過ぎになり昼食を取るためお台場の近くのアクアシティに入る。

 

「すげぇ! でかい店だな! オレ、こんな大きな店見たことないよ!」

 

「いっぱい、ものがあって良いものが浮かんできそうだ!」

 

伊江と勇樹が些か興奮したように言った。

他のミラクルのメンバーも興奮していた。

μ’sのメンバーにとっては見慣れた光景でもミラクルにとっては新鮮なようだ。

 

予約の店は大きな中華レストランで19人が入れるようになっていた。

そこで、さらにいろいろな会話を交わし親睦を深めた。

 

 

 

 

しかし、昼食が終わり店を出ようとした時…

 

 

 

「いや〜 とても美味しかったね〜」

 

「そうだね!」

 

「日本の料理は本当に美味しいな」

 

 

穂乃果と福音、アレンの3人が料理に感想をこぼしている。

他のみんなも満足そうにお腹をさすっていた。

そこに来訪者がやって来た。

 

 

 

「すいませーん! そこの人たち!」

 

「!」

 

みんなが声のした方を振り返ると小太りな中年男性が追いかけて来た。

それは、中華料理屋にいたお客さんだった。

 

「ミラクルっていう探偵団って君達だよね?」

 

「え、ええ…」

 

 

中年男性の言葉に陽が返答する。

 

 

「あ、良かった。 実は君たちにこれを渡せと言われてね…」

 

 

中年男性はそう言うとポケットから封筒を取り出して陽に見せた。

 

「何だろう?」

 

陽が封筒を開けて中を見ると1枚の紙が入っていた。

綺麗に畳まれている。

紙を広げるとそこには文字が書いてあった、それを見た途端に陽の表情がピシリと固まった。

 

 

「こ、これは…」

 

 

顔色の悪くなった陽を見てほかのメンバーも陽の持っている紙を見る。

 

 

「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」

 

 

全員が目を見開いた。

 

 

そこに書かれていたのは…

 

 

 

 

 

 

《オマエタチノ仲間ノ天才発明家ノ石川勇樹ヲ貰イニクル、拒否スルノナラコウダ!》

 

 

「こ、これは予告状⁉︎」

 

「ゆ、勇樹を貰いにって…」

 

 

絵里と幹子が驚きの声を上げる。

全員が勇樹の方を見る。

勇樹も目を見開いて動揺していた。

 

 

「ちょっと待って! ここの《拒否スルノナラコウダ!》ってどういう意味なの⁉︎」

 

 

穂乃果が予告状に書いてある文字について呟いた途端!

 

 

 

ドッガーーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

何と今の飲食店の前に置いてあった豚のオブジェが大爆発を起こしたのだ!

幸い近くには人はいなかったため怪我人は出なかったがアクアシティは大騒ぎになった。

 

そして、爆発したオブジェの近くにさっきの封筒と同じ封筒が落ちていた。

もしやと思って近づくとそこに書かれていたのは案の定予告状の続きだった。

 

 

 

 

《分カッタカナ? 因ミニ警察ニ知ラセタラコレヨリ大キナ花火ヲアゲルヨ〜? 君タチノ勇樹ハ今日、一瞬ノ内ニ消滅スルヨ〜? コレハ誰ニモ防ゲナイカラネ〜》

 

 

 

「こ、これは…」

 

 

穂乃果が呟くと全員が言葉を失った。

この予告状の送り主は今日の内に石川勇樹を誘拐するというのだ。

そして、《一瞬ノ内ニ消滅スル》と言う謎の文章を書き記してしていた。

 

 

 

「ちょっと、アンタ! 一体どういうつもり⁉︎」

 

「こんな騒動起こすなんて福音怒ったよ!」

 

 

真姫と福音が予告状を渡した中年男性に突っかかる。

中年男性は呆然としていたが漸く我に返り手を顔の前でバイバイするように振りながら弁明し始める。

 

 

「い、いや違う! 私はこんなこと知らないぞ! 私はフードを被った人に、変な格好をしたミラクルと言う探偵団の石川勇樹にこれを渡せと言われただけで… ただ君たちにこの封筒を渡せとしか…」

 

 

しかし、その声は届かず、福音たちだけではなく他のメンバーも中年男性を疑い始めた。

だがそこに他の人物が横槍を入れた。

 

「「その人の言っていることは本当だと思うよ(ぞ)?」」

 

「え⁉︎」

 

その横槍を入れた人物は穂乃果と勇樹だった。

同じことをハモった2人は顔を見合わせたが、今は中年男性の無実を証明するのが先なので説明をし始める。

 

 

「その人が本当に予告状を出したのなら、私たちに『君たちがミラクルと言う探偵団か?』なんて聞かないと思うし、その予告状の書き方から犯人はかなり自信過剰で自分の計画に自信を持っているようだから、いつまでもここに残っているようなミスはしたいと思うし」

 

 

「それに、そのオジさんは爆発した時にあんなにびっくりして呆然とまでするのは可笑しいだろう? 自分が仕掛けたトラップにびっくりするのは相当の間抜けか馬鹿だ。つまりオジさんは犯人ではない全くの無関係の人間だってことだ。 つまり、ここを爆発させて予告状を出したのはオジさんの言っていたフードを被った謎の人物だと言うことだ」

 

 

「な、なるほど…」

 

「そ、そう言われてみればそうね…」

 

 

 

 

 

穂乃果と勇樹の説明に全員納得したらしく真姫と福音はいきなり疑ったことを中年男性に謝罪した。

 

 

その後、中年男性から説明を求めたが中年男性はフードの人間としか覚えておらず、男か女かも分からないとしか言えなかった。

 

 

警察に連絡しようにもこのような事が起きたら無闇に連絡できない。

 

 

あれこれ、考えている内に集合時間になり集合場所にやむを得ず移動するしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー集合場所ー

 

集合場所で山村に事情を説明すると山村は驚いたような顔をして勇樹の心配をした。

 

全員が勇樹の心配したが勇樹はこう言った。

 

「犯人の特徴さえも分からない今、どうする事も出来ないし、警察もこの予告状だけでは信じてくれない可能性がある、だからこのままホームステイを続けて俺が囮となるよ…」

 

勇樹のこの言葉に全員が猛反対したが勇樹は譲らなかった。

 

結局、勇樹以外の全員の方が折れてその案が可決された。

 

そして、勇樹を守るために最低1人は勇樹の側を離れない事が条件とされた。

手紙には〈今日中〉と書いてあった為、穂乃果の説明通り自信過剰な犯人ならばミスしたら勇樹を狙うことはもうないと推測したが、念のためホームステイ中はこの条件で3日間を過ごすことになった。

 

 

そのため、勇樹のホームステイ先のの穂乃果には厳重に注意がされた。

 

 

 

今後の方針が決まり、ホームステイ先に行くために市営バスに乗り込んだ。

この時間は人が少なくスムーズに乗れたのは幸いだった。

バスの中にはμ’sとミラクルと及川先生と山村を除いても数人しかいなかった。

 

 

バスのドアが閉まりホームステイ先に出発した。

 

 

 

 

 

十数分ほど市営バスに揺られるとトンネルの前で止まった。

このトンネルはトンネル内のライトの故障により工事中なのだ。

トンネル内のライトが壊れているためトンネル内は真っ暗で何も見えないためトンネル内では減速が義務付けられている。

 

 

バスはトンネルに音を立てて入って行った。

 

 

 

 

そして、このトンネルで予告状の通りに一瞬にして消える出来事が起こる。

 

それはまるで、トンネルが人を吸い込んだかのように…

 

 




【水内薫様】これでよろしいでしょうか?

事件は私の完全オリジナルですので上手くなくてすいません…

出会い編をかなりすっ飛ばしてすいません…

次回からはガチガチシリアスになります。

ご指摘、感想をいただければ早く続きを投稿できるようにします。


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水岸薫様とのコラボ作品 〜集められた2つの探偵団〜 消えた天才発明家〜

前回の続きです。

今回からシリアスになります。


μ’sとミラクルが市営バスに揺られること十数分、バスは路地下のトンネルに止まった。

このトンネルはトンネル内のライトの故障により工事中だ、そのため、現在は片面通行になっておりその手前の工事現場の信号で停止したのだ。

トンネル内のライトが壊れているためトンネル内は真っ暗で何も見えないためトンネル内では減速が義務付けられている。

 

工事現場の信号が青になりバスはガタン、ガタンと音を立ててゆっくりとトンネル内に入っていった。

 

 

 

「うわぁ、本当に真っ暗で何も見えない…」

 

「互いの位置すら掴めないわね…」

 

トンネル内に入るとやはり真っ暗で互いの位置すら掴めない状況だ。

声で判別するしかなく今のは陽と真姫の声だ。

 

このトンネルは案外長いに加え減速が義務付けられているためトンネル内にバスがいる時間は普通と比べて長い。

 

真っ暗なトンネルは酷く不気味でまるで心霊スポットのようだった。

 

ガタガタとバスは義務付けられている通りに減速しながらトンネルを進んでいく。

 

 

 

真ん中くらいまで来ただろうか、まだトンネルの出口が見えないその時にそれは起きた。

 

 

 

『フフフフハハハハハ!! μ’sノ皆サン! ミラクルノ皆サン! 私ノ支配スルトンネルヘヨウコソ…』

 

 

「⁉︎」

 

「な、何⁉︎ この声⁉︎」

 

 

トンネル内に突如不気味な声が鳴り響いたのだ。

機械で声を変えているため男性か女性かも分からない。

謎の声は続けた。

 

『私ハアクアシティデ君タチニ予告状ヲ出シタ張本人デス! 今カラ予告通リ貴女タチノ勇樹ヲイタダキマス! コノトンネルデ彼ハ一瞬ニシテ消滅シマスヨ』

 

「「「「「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」」」」」」

 

その言葉に全員が戦慄する。

他の乗客たちもこの只事ではない事態に騒ぎ始めた。

 

 

「な、なんだ⁉︎ 今の声は⁉︎ 一体このバスで何が起きてるんだ⁉︎」

 

「勇樹! 勇樹は大丈夫なの⁉︎」

 

「誰か! 勇樹君は⁉︎」

 

バスの中は大騒ぎになった。

トンネルの中は真っ暗に加えこの市営バスは明かりがないため誰も周りの状況を把握できない。

そして、その時!

 

 

キラッ

 

「…え?」

 

暗闇の中で何かが光るものを穂乃果が見た。

それとほぼ同時に、

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

勇樹の悲鳴がバスの中に響き渡った。

普段の彼なら考えられないほどの悲鳴だ。

 

「な、何!」

 

「勇樹⁉︎」

 

「勇樹! クソッ! これじゃあ真っ暗で周りの様子が分からない!」

 

「こうなったら… 先生! 勇樹のメカのカメラのフラッシュだ!」

 

「え? ああ‼︎」

 

パシャッ!

 

トンネルの中は真っ暗で場所が掴めず陽が先生に勇樹のメカのカメラのフラッシュで辺りを照らすように指示を出した。

突然の指示に先生の反応と理解がワンテンポ遅れて車内が一瞬明るく照らされる。

しかし…

 

 

「ええっ⁉︎」

 

 

全員が一瞬のフラッシュにバスの状況を把握した時に目を見開いた。

何と、今のフラッシュの同じように勇樹の姿がバスの中から跡形もなく消えていたのだ。

 

それと同時にトンネルから市営バスがでる。

ふたたびバスの中は太陽の光に照らされ明るくなる。

 

明るくなり全員が市営バスを見ると、何とそこには、勇樹の姿が跡形もなく消えていたのだ!

 

「ゆ、勇樹君が消えた⁉︎」

 

「な、何で⁉︎」

 

ことりとにこが驚きの声を上げる、他のみんなも同じように驚いたり外を見回したり呆然としたりしていた。

市営バスは慌ててトンネルの付近の脇道に急停車する。

この脇道は今は使われていない古い公園に面していて人がいないため大型のバスでも停車できるのだ。

その中で穂乃果は市営バスを見る。

 

 

(っん…! この市営バスの窓は事故防止のためにはめ殺しで開かない! 進行方向隣の前のドアにはことりちゃんと小森ちゃん! 後ろのドアには山村さんがいる… ドアが開いた様子も窓が割られた様子もないよ!)

 

穂乃果が考えていると別の方から母が飛ぶ。

 

 

「な、なんや⁉︎ この手紙と札⁉︎」

 

 

希が窓に貼られた手紙と札を見つけた。

札には【攻取強奪】と書かれていた札だった。

 

 

「これって【攻取強奪】⁉︎」

 

 

「ええっ⁉︎ 【攻取強奪】ってあらゆる手で奪うって意味の四字熟語⁉︎」

 

 

希と絵里が貼られてあった札に気を取られていると幹子が手紙を開いて読み始めた。

 

「これ… 『少年少女タチヨ! 私ノ消失現象ハイカガダッタカナ? 君タチノ天才発明家ハ私ガ消滅サセテシマッタヨ! 私ハ実ハ超能力者ナンダヨ… 忠告シテオクガ私ノコトヲ暴トハ思ワナイコトダネ! 君タチモ勇樹ミタイニ消シチャウヨ〜? マア、マダアキラメナイノナラトンネルノ中二彼ハ留マッテイルカモ知レナイカラ探シテ見ルト良イネ〜?』っだって!」

 

 

「ってことは、勇樹君はまだあのトンネルの中に…?」

 

「「「「「「「「「「「「っ‼︎」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

案内役の山村さんの声でμ’sとミラクルのメンバー全員が我に帰り、非常口のドアを開けてすぐにバスを飛び出した。

運転手と他の乗客もその後についていきトンネルの方へと走り出す。

 

そして、トンネルの入り口近くにいた作業員に声をかける。

 

 

「すいません! 工事中に… 中に友達がいるんです!」

 

「ええっ! バスの中から降りたのかい?」

 

福音が作業員に言うと、作業員は驚いた顔をした。

 

「本当なんです! 仕事中すいませんがトンネルの中を探させてください!」

 

陽が言うと作業員は他の作業員やそこの頭らしき人を呼び集めた。

1分くらい話し合った後、作業員たちの頭らしき人が穂乃果たちの元にやって来た。

 

「分かった、工事も今日は丁度終わったところだからトンネルの反対側の作業員たちに連絡してトンネルを一時封鎖して君たちの友達を探そう、ただし封鎖は20分が限界だ。 それに封鎖が終わったら反対側の作業員たちと一緒に私たちも探すのを手伝おう」

 

頭の好意に全員が心の底からお礼を言った。

 

その後、トンネルの工事中には欠かせない懐中電灯が何人かに手渡された。

作業員たちはヘッドライト付きのヘルメットで探す。

 

作業員の1人が【通行止め】の看板を出して赤旗を振って車を停めるようにトンネルの反対側の作業員に連絡している。

片面通行だったのは幸いだった。

 

 

そして、作業員たちと一緒にμ’sとミラクルはトンネルの中に入った。

 

とは言っても、懐中電灯は数に限りがあり4人と3人のグループに分かれて探すことになったが…

 

 

 

 

 

 

ー20分後ー

 

μ’sとミラクルは愕然としていた。

あれからトンネル内をいくら探しても勇樹は見つからなかったのだ。

作業員たちも封鎖の限界が来て車を通さなければならない、頭が外に出たのかもしれないと出入り口の作業員に聞くが、「人っ子一人としてトンネルから歩行者は出てこなかった」と言うばかりだった。

そうなると、勇樹はこのトンネルから出ていないと言うことになるがトンネルには勇樹の姿は跡形もなかった。

 

 

「そ、そんなバカな…」

 

「う、嘘でしょ……?」

 

「な、なんで…⁉︎」

 

全員が信じられなかった。

途中から案内役の山村さんや市営バスの運転手や他の乗客も手伝ったが、勇樹は見つからなかった。

 

 

まるで一瞬のうちにトンネルの暗い闇の中に溶け込んでしまったかのように…

 

 

穂乃果は必死にこめかみを叩きながら考えていた。

 

 

(勇樹君はこのトンネルにはいないと言うことはさっきの車の中に勇樹君を連れ込んだことはあり得ない! トンネルにいないと言うことはどうやって勇樹君を一瞬のうちに犯人は消したんだ⁉︎ 第一、あの市営バスの中からどうやって勇樹くんを外に連れ出したんだ⁉︎)

 

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォ………!

 

 

必死に穂乃果は勇樹が消失した謎のことを考えていると突然、トンネルの中から強い風が吹きつけてきた。

 

 

「⁉︎」

 

 

穂乃果は驚いてトンネルを見るがトンネルは何も答えず、今の強い風が吹きつけてきたことなんて素知らぬ振りをしているかのように佇んでいた。

穂乃果は思わず身震いをした。

 

今の風の音はまるで人を1人飲み込んだ恐ろしい悪魔のトンネルの声のように聞こえたからだ。

 

 




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