もしもカズマがプリヤの世界に行ったら。 (こしあんA)
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このすば
0話 この素晴らしい世界に決別を


カズマが異世界から来るシーンは欠かせないと後から思い、書きました。


 私佐藤和真は暇を持て余しております。ソファーで寝転んで『暇』と連続コールしていたら、アクア達に追い出されてしまった。全くこれだから心無い人間は…。

 

 

 暇つぶしにクエスト行くにも、刀は使わないからってあのダンジョン置いて来たからな。

そう、あの崩壊したダンジョンは魔王を倒し終えたあと少しばかり岩を退け地面を整え、俺の物置と化している。と言っても爆裂魔法のせいで狭くなってしまっている。弓はあるけど矢が無くなったら終わりだし。

また死んでエリス様のところへいくのもな。

 

 ん?エリス様のところ?…

 

 

 俺はいい事を思い付いた。『そうだ!天界へ行こう』

またエリス様のところでちょっかいだしてくるか。

思い立ったが吉日という言葉がある。俺はすぐさまテレポートした。

 

 

 

 

 

 エリス様はこの異世界の担当なのだがアクアに仕事を押し付けられアクアの代わりに仕事をしている。

もう魔王は倒し終え、今までの終止符を打つことが出来た。そして異世界に日本人を送る必要もないので日本で赤子からやり直すと天界ルールで完全に決まった。

 

 

「では衛宮士郎さん。貴方を日本へまた戻しもう一度赤子から…と言いたいところですが貴方は孤児となります。しかし、貴方はとある人の養子となります。捨てられる記憶は無い方が良いですよね?」

 

「はい」

 

「では貴方をその人達と出会うところまで特別にスキップさせて差し上げましょう。……このことは内緒ですよ」

 

「分かりました。こんな自分にここまでして頂けるなんて思っても見なかったです」

 

 そして衛宮士郎の周りに魔法陣が浮かぶ。しかしこの時ハプニングが起きてしまった。その瞬間カズマがテレポートして来たのである。

 エリス様は驚愕する。

 

「か、カズマさん!?な、何故こんなタイミングで」

 

 エリス様はかなり焦っていた。それもそのはず一人用の転移魔法陣に二人が入ったら、一人はその並行世界に飛ばされるか、最悪二人が重なってしまうことだってある。

 

「ちょ、ちょっとエリス様⁉︎な、何ですかこれ?」

 

 エリス様は申し訳なく答えた。

 

「日本への転移魔法陣です。しかも一人用の…」

 

 カズマは大体自分の置かれている現状を理解した。つまりこのままいったら、下手したら頭がパーになったり、この男と混ざったりするのだろう。アニメではお約束の展開だ。

 

「その、もしかしたら一人は違う世界。つまり並行世界に飛ばされるかも知れません。下手したら二人の体が混ざってしまうことも…」

 

「嫌だぁぁ!また学生やり直しとか冗談じゃねぇ!体が混ざるのも嫌だ!」

 

 俺は暇つぶしにここに来ただけでこんな事になるなんて。

ああ俺はなんて不幸な男だろう。いや、不幸なのはこの男か。また俺は小学生…いや赤子からやり直しか。俺は後悔した。『そうだ京都に行こう』的なノリでテレポートしたばっかりにこんな事になるなんて。

 

「すいません衛宮士郎さん。カズマさんの乱入でこんな事になってしまって。」

 

「…わ、悪かった。」

これにはぐうの音も出ない。

 

「別に良いですよ。また生まれ変われるなら願ったりです。」

 

 カズマは衛宮士郎が魔術なんて知らない人生を歩める道を、イリヤや切嗣達と幸せに暮らせる唯一の道をうばってしまったのである。

 

 

 そうして、衛宮士郎と佐藤和真は別々の日本へと転生された。

 

 

 

 

 

 

 意識がはっきりとし、視界に映ったのは病院と同じような天井だった。だが、薬の匂いがしたから病院だと分かった。俺が今何故こんなとこにいるのかが分からない。確か俺はエリス様のところに行って。…行って。

 

 俺にはテレポートした後の記憶がない。もしかしたらテレポートのミスをしてしまったのかも知れない。そうとなると、果たしてここはどこなのだろう。

 

 コンコンコンと一定のテンポを奏でる足音が聞こえる。それはこちらに近づいて来て、白いカーテンが開かれる。カーテンを開いた者の正体は黒いコートを羽織った三十代ほどの男性だった。

口を開き、マザーテレサのような慈悲深い心が現れたかのような声で俺に言いかける。

 

 

 

 

 後々考えてみると異世界にこんな化学薬品の匂いがするわけが無い。




これって転移ミスにはいりますよね?


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プリズマイリヤ
1話 異世界の次は日本ですか?


初めての投稿です。温かい目で見守って下さい


書き直しました。


 

  物語の始まり

 カズマがテレポートでエリスに会いに行こうとした時テレポートの失敗で飛ばされてしまいました。

 

 

 カズマは目が覚め辺りを見回した。

 

「なんかやけに物が大きさな...しっかしここはどこだよ」

 

 気が付いたら俺は病院みたいな所にいた 。

 

「目が覚めたかい、君は知らないおじさんの所に行くかそれとも、孤児院に行くかどれがいいぼーや」

 

 この人は自分にそう尋ねた。そう、20歳のおれに『ぼーや』と。 おかしいと思い鏡をみると、そこにはおそらく7歳くらいである自分の姿が映っていた 。

 

(なんで若返ってんだよ!……まあいいや今はどうするか決めるべきだ。孤児院に行く? 冗談じゃない!そんなとこいけるか!ならこの人の所に行こう)

 

「おじさんについていくよ」

自分の目的の遂行のため無邪気で、このまま放って置けばどうなる分からない。というような雰囲気を醸し出させる。芸達人スキルで。

 

「そうか、僕はね衛宮切嗣って言うんだそしてね僕は魔法使いなんだ。」

 

 そう切嗣が言う。カズマは平然と、そうなんだと言った。取り敢えず気にいってもらえるために話題を作らなくては。

考えろ。話題を。

 

何故この男は魔法職の癖に杖やローブを持っていない。魔法に長けた厨二病一族ですら杖を使うんだ。なのにどうして。

 

そうだそれを話題にしよう。

 

カズマは今後楽をする為に必死だった。

 

「でもそれらしいものなんで持ってないの?」

 

 

(それらしいもの?魔術に使う触媒の事か?いやでも何でそんな事を?)

 

 魔術師というのは本当だが、子供の印象に残る様にそんな事を言った。

 だが、カズマは魔術側の人間であるようなことを言った。子供とはいえ魔術師の者。自分は勘付かれてはいけない存在。

いっそのこと排除するべきか。

そんな言葉が脳裏をよぎる。

いや駄目だ。それでは何の為に僕はここまで頑張ってきたんだ。

 

「それらしいってどういうことかな?」

 

  果たしてこの人は自分で言った事を理解しているのだろうか。自分から魔法使いと言っておいて杖も何も持っておらず、そう尋ねて来た。まさかこいつは30歳すぎたら魔法使いになると言う事を言っているのだろうか。

 

「だって、おじさん冒険者でしょ?」

 

「は?」

 

 切嗣は唖然とした。

 

 カズマは話しが噛み合ってないことに気がつき切嗣に今までのことを話しここが日本という事が分かった。

 最初は切嗣も信じていなかったが、スキルを見せて今のうちはそういう事にした。

 

 こうしてカズマは衛宮家に入りカズマは、衛宮和真になった。

 

 切嗣はアイリスフィールにも話した。相変わらずアイリさんはあらあらと、いつていた。

 カズマは無事ニートにならずに学校に通えた。

 

 

 

 

 

  約10年後

 カズマは今、妹のイリヤに自分の作り話(自分の冒険譚)を話していた。

「冒険者は魔王と一対一で戦いました。そして全ての武器、魔法を使い尽くし矢は無くなり剣は壊れて冒険者は魔王に追い詰められててしまったのです。魔王は、”人間の癖に良くここまで戦った。もうお前は戦えまいここまで俺を追い詰めた褒美だ勝手に逃げるが良い”と言い、冒険者に見向きもしませんでした。その隙に冒険者は、全ての魔力を集め人類最大の魔法を使おうとしました。すると魔王は、”おい、その距離でその技を使えばお前も死ぬぞいいのかお前は死ぬのが怖くないのか。”と言ってきました。

冒険者は、”死ぬはちょー怖いよ何回も死んでるからなおさら怖いよでもお前を倒す方法がこれしかないんだ。”と言いました魔王は、”私はそれを食らってもギリギリ死なぬだろう”と言って冒険者を迷わせようとしましたが、冒険者は、”それでもこの爆発で瓦礫が落ちてたすからないだろ”と言いました。魔王はちっと舌打ちをして魔法を使おうとしました。ですが冒険者が先に魔法を撃ち魔王を倒したのです。

しかし ...冒険者も死んでしまいました。冒険者は神様の所に連れてこられ魔王をたおした褒美になんでも願いを叶えて差し上げましょうと、言いました。冒険者はあの俺の大っ嫌いなあの世界に送ってくれと頼みこの世で最弱と呼ばれた冒険者は勇者になったのです。めでたしめでたし」

 

「わぁすごく面白かった。これお兄ちゃんがつくったんでしよ凄いなぁ」

 

「あ、ああ」

 

 それが自分の事とは到底言えない。

 

「もう遅いしねるわじゃおやすみ」

 

 イリヤは俺の服の袖を掴み上目遣いで言ってきた。

 

「お兄ちゃんきょうは一緒に寝よお願いお兄ちゃん」

 

「しょーがねーなー」

 

 俺はやはりちょろい男だと思う。




クズマが書けるか心配になってきた。
どうやってライダー戦にしよう何かいいアイディアお願いします。


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2話 私の扱い酷くないですか?byライダー

どうも初めての戦闘です正直適当な気がしますアドバイスや指摘を待っています。 コメント下さいコメント下さいお願いします。


 俺は高校に無事合格し、運動があまり出来ないから運動をしないであろうと高を括って弓道部に入った。

一応弓スキルは持っていたので楽だ。

もちろん狙撃スキルを使うなんていうせこいことはしない。そして弓道をしているので弓スキルがかなり上がっている。どうしてそんな事が分かるかというと、冒険者カードと刀(チュンチュン丸)だけは持っていたためだ。

 

 

 弓を構え、限界まで引き絞った弦から手を離す。弦に押し出された矢は空を裂き徐々に落下しながら飛翔する。

 

 矢は一点の狂いもなくど真ん中に刺さった。

 

「先輩今日も見ていて良かったですよ。」

 

 こいつは間桐桜だ、なんか俺に懐いているかわいい後輩だ。

スタイルも良く、俺のドストライクゾーンです。ハイ

こんな考えがバレたらひとたまりもないだろうがな。

 

「全くお前は射ることだけは、いっちょ前だよな。」

 

 こいつは間桐慎二だ、俺の悪友で、ただ素直になれないツンデレなだけだ。俺とよくゲームをする仲だ。よくB○3で砂戦をしてボコボコにしている。

 

「もー兄さんそんなんだから嫌われるんですよ。ちゃんと良いとこ

 ろはあるのに勿体無いですよ。」

 

 本当に勿体無いと思う。まぁツンデレでそこをいじるのはとても楽しいがな。

 

「う、うるさいなお前は気にしなくていいんだよ。」

 

「よっ今日も慎二くんの、ツンデレ頂きました。」

 

「「「慎二くんのちょっとデレたところ見てみたい ハイハイ」」」

部員の皆も総動員で慎二を煽り立てる。

 本当にいじり甲斐があって最高である。

 

「う、うるさい僕はツンデレなんかじゃない。」

 

 

「「「そう顔を真っ赤にして否定してるところがツンデレなんだよなあぁぁ〜」」」

 

「な、なんだと。」

 

 そんな風にして部活が終わり家に帰った。

 

「ただいま」

 

「おかえりー(なさい)」

 

 

 

 ご飯も食べ終わり寝ようとしたら、物音が聞こえ、千里眼スキルを使い、玄関に行くとイリヤの姿が見え、こんな夜遅くに出ると不審者が出てイリヤが危険なので不審者が出た時容赦なく倒す為に、刀(チュンチュン丸)を持って潜伏スキルを使い追いかけた。

断じてこれはストーカーではない。

 

 すると、ついたのは俺の通う高校だった。するとなんとあの遠坂凛がいた。俺は凛達の近くに近ずくと、何かの魔法陣が現れ、おれも巻き込まれた。

 

 俺はすぐ茂みにかくれようすを伺った。すると変な格好の女の人が現れイリヤを攻撃した。

 

俺はそいつをいつでも串刺しにできるように道場の弓と大量の矢を持ってきた。

 

「もういや!帰りたい、なんなのこれ!」

 

 イリヤの悲鳴が聞こえ、イリヤを攻撃したクソ女に殺意を覚え矢を放つ。

 

「えっ!」

 

 いきなり矢が飛んできた。訳が分からなかった。ただ分かったことは、 矢が飛んで来た方向には私の大好きなお兄ちゃんがいた事。

 

「イリヤ敵を見ろ!凛、イリヤはどう戦うんだ、イリヤに教えろその間、俺が時間を稼ぐ。」

 

「えっ、ええ分かったわ」

 

 変な格好の女は凄く早い。俺の体力じゃ追いつく事は先ず不可能。弓矢も決定打にはならない。

 

「くそっ『バインド』」

 

 おれは他にも武道場にあった弓のげんを何本か引っこ抜きバインド用に持ってきた。

 どうやら、かなり効いているようだ。

 

「ライトニング」

 

夜に煌めく電撃はやつ目掛けて飛翔する。

 だがあまり効いていないようだ、さっきのは、かなり魔力を込めたのに。やはり本職には及ばないか。

 

「イリヤ分かったじゃあ行って来なさい。ってカズマ君あいつには魔術は効かないの。」

 

 それを早く言って欲しい。俺は無駄な魔力を使ってしまった事になる。

 

「ドレインタッチ」

 

 俺はバインドによってまだ身動きが取れない女に消費した魔力を腹いせに奪った。これはかなり効いているようだ。でも、あともうちょとで拘束が解けちまう。

 

 俺は何の迷いもなく後退した。

 

「フォイヤ」

何かの塊がやつ目掛けて飛ぶ。だが当たらない。

 この組み合わせはRPGで考えると遊び人と魔法使い。つまりタンカーが居ない。はっきり言ってバランスが悪い。

 

 さっき撃った弾も普通に躱された。次はそれを拡散させ当たるが恐らく出力が下がったのだろう。そこまでダメージを食らっている様子はなかった。

 俺も弓矢で応戦するが結局決定打にはならなかった。もう勝てないんじゃないかと考えていると、イリヤと同じくらいの女の子がスタスタと女の人に歩いて行った。

 

「ゲイボルグ」

 

 女の子は槍を何処からか出現させ心臓を一刺しで貫いた。

俺たちが苦戦を強いられていた敵を瞬殺してしまったのである。

 

俺何してたんだっけ?

 




書き直しました。


「どうですか?ライダーさんこれでいいでしょ?」
「いえまだまだ。と言いたいところですがまぁ今回はこれで勘弁して差し上げましょう。」
「あざぁーす」
「...やっぱりまd」
「ごめんなさい調子乗りました許して下さい」
「じゃあ次はキャスター戦のを」
「下書きした後に直しましたぁぁ。もうやりません!」
「やれよ」
「い、いつか」
「はやくやれよ」
「なんで!俺頑張ってるでしょ!もうちょっと褒めてよ」
「エライエライ」
「棒読みすんなよ。」

「「それではさようなら」」


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3話 カズマの優しさ

テスト期間なので投稿が遅れると思います。
さっき間違って3話けしてしまったので書き直しです。
誤字脱字が多すぎて泣けてくる


「クラスカードライダー回収完了」

 

さっきまで俺たちが苦戦していた敵を一撃で倒した女の子がまるで機械のように淡々と喋る。

 

「だ、だれ?」

 

そうイリヤが言うと後ろから甲高い声が鳴り響く。

 

「オーホッホッホ、無様ですわね相手の力に恐れをなして逃げ惑うとは、とんだ道化ですわね。」

 

ルヴィアが俺たちをバカにしてきた。俺をバカにするのは構わないが、イリヤをバカにするのは許せない。あいつには泣くまでスティールを喰らわせてやる

 

「お疲れ様美遊、これで私達の一歩リードですわオーホッホッホ」

 

(いやあんた何もしてないだろ)

 

すると凛がルヴィアにマジ蹴りをした。

 

(あっこれ絶対ヒートアップするだろ。)

 

俺はそう悟り隅っこに避難した。

 

「レ、レディに対するこの仕打ちとはやはり品のない」

 

「やかまし!」

 

そうして凛とルヴィアの殴り合いが始まった。すると、地響きが鳴った。

 

「カードを回収したので表面界が崩れようとしているのですね早く脱出しましょう」

 

まじか!というかこのステッキ喋るのかよ。

 

そんなこんなで美遊がサファイアを使って脱出してくれた。

 

こっちのステッキも喋るのかよ。

 

戻ってきたのか。

なんかあっという間に終わったから実感無いな。

というか、ルヴィアと凛はまだ殴り合いをしてるのか。

あっなんか殴り合い終わった。なんかまたオーホッホッホとか言って帰っていった。全く俺のこと気がついてなかったし。あれ、おれ存在空気?

 

「とりあえずお疲れ様ありがとねイリヤとカズマ君。それと、今更だけどカズマ君は魔術使えたんだ。カズマ君は()()()()の人間なの?それになんで英霊と戦って怪我一つ無いのよ!」

 

そう凛が尋ねてきた。

 

(俺が怪我一つしてないのは、搦め手はかりつかってるからなんだよなー)

 

「凛ちょっと耳貸せ。」

 

イリヤにはまだ異世界のことを言いたくない。

 

「ええ、分かったわ」

 

カズマは異世界のことをだいたい伝えた。

 

「流石に信じられないわよそんなこと」

 

カズマ(だろうな、まずそれをはいそうですかと、信じるひとがおかしい。)

 

「でも、俺はバインドって叫んだだけで糸があの女を拘束しただろ。それが証拠だ。いまはまだ、信じなくてもいいけどさ。」

 

「そっ、分かったわよ。でもカードの回収手伝ってちょうだい」

 

凛が上目遣いでそう言ってきた。反則だろそんなの。

 

まぁ面白そうだしイリヤも参加するみたいだし妹のイリヤが夜頑張ってる中寝ていられないもんな。イリヤは俺が守らないとな、例え俺が弱くても俺は、イリヤの兄ちゃんだもんな。

 

「ああ、いいよ」

 

「ありがと、じゃあ用がある時は学校で伝えるわねそへじゃさよなら。」

 

ああ、と俺は相づちをした。

 

「イリヤ帰るぞ〜。」

 

「まって、今行く」

 

そうして家へと歩き出したが、イリヤはもう疲れているだろう。

 

「イリヤおんぶしてやるよ疲れてるだろ。」

 

「えっ、でも」

 

今日頑張って敵と戦おうとしたお兄ちゃんの方が疲れてるはずなのに。

まるでお兄ちゃんが話してくれたあの冒険者のように必死に

戦ってくれた。それに比べて私は、、、何もしてない

 

「いいから子供は無理しなくていいんだよその間寝てていいから。」

 

「ありがとう」

 

イリヤはカズマにおんぶしてもらった。

ーーーーーーーーーー

イリヤ視点

(えへへ、お兄ちゃんの背中温かかくて落ち着く、いつも私のお願いを結局「しょーがねーなー」と言って聞いてくれる世界で一番優しい私のお兄ちゃんの背中だ。なんかだんだん眠くなってきた...zzz)

 

(おっ、もう寝たか後は、セラ達に見つからないように潜伏スキルを使って家に入ってベッドで寝かせるだけだな。)

 

そうして長い夜が終わった。




キャスター戦本当どうしよカズマが空気になっちまうよだれか助けて。


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4話 敗北

ノートに下書きして気が付いたら7話まで書いてましたwww
そういえば、クズマが書けない理由分かりました。カズマがクズマになる理由がアクア達に問題があってこっちの世界にはアクア達がいないからクズマの称号が無いんですね。

ロリマならもうすでになってるな。


「お兄ちゃんおはよー」

 

「おっ、ちゃんと起きれたか。」

 

と、安堵のため息を吐く。

 

(やっぱり心配してくれてたんだ。)///

 

イリヤの顔が赤くなった。

ーーーーーーーーーー

イリヤ視点

 

「今日は転校生がきます。」

 

教室がざわめきだした。

 

「美遊エーデルフェルトです。」

 

(みっ、美遊さん!)

こうして、今日美遊の天才児っぷりが披露されたのであった。

ーーーーーーーー

カズマ視点

お昼

 

「毎度備品の修理助かる。」

 

「いいってたまにやってるだけだから。」

 

そう俺は、鍛冶スキルがあるので備品の修理が多少出来るそれにやれば、スキルレベルも上がるのでやっている。

 

「いや、それに弁当も助かるカズマの弁当だけが私のタンパク源だ。」

 

「そんな大袈裟な、暇だから作ってるだけだよ。」

 

まっ、カズマはそんなこと思ってなく料理スキルが上がればセラに勝てるのでやっているのだ。

 

そんなこんなで、平和な昼休みがおわった。

 

凛に今日またカード回収をやるという事を伝えられた。

俺は弓矢と刀を持ってきた。矢は30本持ってきたそのうち、15本はスキル''エンチャント''でスキルを施した。

 

イリヤと美遊はなんか気まずそうにしている。

 

「なぁ美遊、イリヤとなんかあったのか?」

 

「はい、イリヤスフィールはこのカード回収を遊びだと思っています。だからもう来なくていいカード回収は私一人でやると言いました。それに貴方も一般人なのですから関わらなくてもいいんです。」

 

(どうしよう、俺も半分面白そうだとか思ってたから心が痛むんだが。)

 

「俺は戦えるしそれに、イリヤやお前のような女の子が頑張ってる中おちおち寝てられるかよ!それにな美遊お前は、一人でそんな抱え込むことないだろ俺たちは、仲間なんだからさ、たよれよな。あと、お願いなんだけどイリヤと、仲良くしてくれないか。」

 

(どうだ、ここまで考えて言ったんだ!これで静まってくれお願します。)

 

「わ、分かりました。」

 

そう言うと美遊は何かスッキリしたのかさっきよりもいい顔になった。

 

「なにしてるんですの、早く行きますわよ。」

 

「分かった、今行く。」

 

「「ジャンプ」」

ーーーーーーーーーー

 

「いや〜見事な惨敗でしたね。」

 

「何だったのよ!さっきの敵は。」

 

「どういうことですの!カレイドの魔法少女は無敵なのではなくって!」

 

「わっ、私にあたるのはおやめください。」

 

するとルビーがルヴィアの目に攻撃した。

 

「んだよ、せっかくここまで武装したのに。それに矢は物理障壁に防がれるし、魔法は通らないとか、チートだろそんなの。」

 

「空でも飛べない限り無理ね、でもそんな高度な技、、」

 

「そっか、飛んじゃえばよかったんだ。」

 

「ちょっとなんで、いきなりとべてるのよ!」

 

さすが俺の自慢の妹だ!(シスコン)

 

「えっ、だって魔法少女って飛ぶものでしょ?」

 

「なっ、なんて頼もしい思い込み!」

 

(アニメがまさか、こんなところで役に立つとは。)

 

アニメの力は偉大なり!

 

「美遊貴方も今すぐ飛んで見せなさい!」

 

「人は、飛べません。」

 

「なっ、なんで夢のない子!それだから飛べないのです。明日から特訓ですわ!」

 

(あっ、行っちゃった。)

 

「じゃあ、私の方で作戦立てとくわね。」バイバイ

 

「おう、じゃあな、俺も一応作戦立てとくよ。」

 

(そろそろあれを準備するか。)

 

こうしてまた夜が終わった。




そろそろ初級魔法の出番を出さないと。と焦っているこしあんです。
最近夏バテをしてしまいました。こういう時は甘い物に限ります。
みんな!少しでいいオラにこしあん分けてくれ〜
7話まで一気に投稿しようかな。、、、やっぱりやめましょう身体が持ちません。あと、決めましたクズマはもう書けないのであまり書きません。爆裂魔法は、多分バーサーカー戦に使うと思います。


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5話 親方空から女の子が!

夏バテでまともにご飯が食べれませんどうしよう。夏バテした時に食べるべき食べ物って何でしょう。誰か教えて下さい(コメント稼ぎ)
あっ、夏バテしたのは本当ですよ。


「この辺りでいいかな。」

 

「いいんじゃね。この辺りなら人目に触れず特訓できるんだから。」

 

イリヤ変身中

 

(イリヤ可愛いな)

 

そうしてしばらくイリヤは飛んでいた。

 

(良いな俺も飛んでみたいな。)

 

「クラスカードも使ってみようかな。インクルード。」

 

すると弓が現れた。だが、それだけで矢はなくすぐ弓は消えてしまった。

 

(それゴミじゃねーか!)

 

しばらく練習していると、空から美遊が落ちてきた。

 

落ちて来た理由を聞いたらルヴィアにヘリからパラシュート無しで落とされたらしい。

 

「ルヴィアは馬鹿なのか?というか、子供にする事かよ。」

 

そうして、美遊が空を飛べるように、イメージトレーニング(アニメ鑑賞)をしていた。すると、美遊が航空力学がどうたらとか言っていた。

本当に小学生か疑わしいぞ。

 

「まぁ、あれだ、”考えるな 幻想しろ”ってやつだ」

 

美遊がすっごく納得いかないって顔していた。

 

「ありがとう、おかげで参考になりました。」

 

そうして美遊は帰っていた。

 

「イリヤもう少し特訓するぞ。次は俺が矢を撃つからそれを避けろ。もちろん矢は本物だが威力は加減するし、ルビーの物理保護があれば大丈夫だろ。」

 

「わっ、分かった。なんかアニメの主人公の特訓みたいで面白そうだしやるよ。」

 

「おっし、ここらでいいか。そうだイリヤ念の為に防御力増加を、使ってやるよ。」

 

「あっ、ありがとう」

 

「準備できたな。それじゃ行くぞ”狙撃”」

 

カズマは左右に矢を撃った。イリヤは右に行こうとしたが、カズマはそれを読んでどっちに逃げても当たるように撃った。

 

その次は上や下に避けたりしたがカズマのデタラメな命中率にイリヤだけでなくルビーも驚いていた。

 

「どういうことですか!命中率だけで言ったら英霊に匹敵しますよ!」

 

(だろうな、俺の幸運の高さで狙撃スキル使ってるんだからな。まっ、威力は加減してるからちょっと狙うのが大変だけどな。)

 

そして、カズマはイリヤの進行方向に撃ちイリヤが怯んだ隙に撃ったりした。

 

「もう矢が無くなったし、全部拾って帰るぞ。」

 

「当てられすぎて、すっかり自信を無くしちゃったよ」トホホ

 

「大丈夫ですよイリヤさんお兄さんがおかしいんですよ命中率だけならあの英霊に匹敵もしくはそれを超えてますよ。」

 

「ってことは、キャスターにもしかしたらあそこまでやられるかもしれないの!」

 

「大丈夫ですよあれは英霊の現象です。理性があったらやばかったですが理性はありませんので、大丈夫ですよ。というより貴方のお兄さんは、一体何者なんですか!

それに、貴方のお兄さん威力を加減しているせいで、狙いにくかったんでしょう。」

 

「よくわかったな、ばれないと思ったんだけどな。」

 

(やっぱり私が怪我しないようにしてくれていたんだ。)///

 

イリヤの顔が赤く染まった。

 

「ほら、矢を集め終わったんだから帰って早くゴロゴロしようぜ。」

 

「まって、今行く〜」

 

「ただいま〜」

 

「おかえり(なさい)」

 

こうして土曜日が終わった。




イリヤが完全にカズマにデレてますね。あと美遊もデレさせる予定です。でもデレさせる為の内容がてきとうになってしまうかもしれません


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6話カズマの戦闘準備

9話までノート下書き終わりました。
カズマの固有結界詠唱入れようかな。
思い浮かんだら詠唱入れます


次の日。

 

(さてこれだけ火薬があれば大丈夫だろ。)

 

カズマは花火をありったけ買いダイナマイトを作ろうとしていた。

なんで、そんな事にお金を使えるかというと、カズマは持ち前の幸運で宝クジなどをやってこずかい稼ぎをしている。カズマはその金の大半を惜しみなく使った。

そして、カズマはその火薬をありったけ詰め込み普通のダイナマイトより遥かに強力なダイナマイトが3つ出来た。

 

矢45本をエンチャントして、前にエンチャントしたのと合わせて合計で、60本のエンチャント矢が出来た。

 

(あのキャスターの障壁を突破するにはブレイクスペルが必要だな。)

 

カズマは20本にブレイクスペルを施した。

 

あと40本

 

10本はライトニングを施した

 

あと30本

 

発動はランダムだが、強い不死王の手を20本施した。

 

あと10本

 

残り10本にはティンダを施し火矢を作った。

 

そして、そのうち3本にダイナマイトを縛り付けた。

 

なんでこんなに魔力を消費しても大丈夫なのは、10年前から石に魔力をドレインタッチで注いでマナタイトもどきを作ってそこから取り出しているからである。

 

(もうマナタイトが7割まで減っちまったな。)

 

(そうだ!凛にこっちの魔法...じゃなくて魔術を教えてもらおう。)

 

そうしてカズマは凛に電話した。

 

「もしもし、凛 あのさ、こっちの世界の魔術を教えて欲しいんだけどさ、凛の家どこ?」

 

「そっか、カズマ君こっちの世界の魔術知らないんだっけ。」

 

そうして、凛の家に向かった。

 

「じゃあ、初歩の魔術を教えるわね。」

 

「おっす、凛さんお願いします。」

 

「べつに、さん付けしなくてもいいわよ」

 

「いや、ただの気分転換だよ。」

 

そうして、カズマは強化と解析を教わった。

 

基礎の魔術だったので、両方スキルポイントが2しかかからなかった。

 

「凛今日はありがとう。じゃあな。」

 

「どういたしまして。今日の夜、キャスター退治お願いね。」

 

「ああ、任せとけ。」

 

(後は帰って刀の手入れするだけだな。)

 

そう考えて家に着くと、メイド服の美遊がいた。

 

「えっと、美遊その服何?」

 

「メイド服です。」

 

「いや、そうじゃなくて、なんでそんな服装してるの?」

 

 

「私は居場所が、食べ物がなかった。でもルヴィアさんがそれをもらった。だから私は代わりにカード回収をする。それに身の回りの事もする。」

 

「それでメイドか。この豪邸がお前の居場所か。」

 

「はい。それでは私は、これにて。」

 

「ああ、じゃあーな。」

 

カズマは家のドアを開けた。

 

「ただいま。」

 

「おかえり(なさい)」

 

俺は刀を手入れして今日のキャスター戦に備えた。




もっと話し膨らませようかな。でも膨らませると脱線しそうになるんだよな。


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7話 キャスター戦

1話がかなり見られていて驚きました。4話辺りから誤字脱字が減ってきて読みやすいかなとか思ってたんですけど1話人気ですね。出来れば新しいをもっと読んで欲しいと思っています。まあ読んでくれてすごく嬉しいんですけどね。


イリヤは陽動、美遊は本命の攻撃、俺は下にいる俺たちに飛んで来る攻撃を矢で攻撃を相殺したり、キャスターに攻撃する事になった。

「二度目の敗北は許されませんわよ」

 

「了解」

 

イリヤと美遊は空に飛んでった。

 

美遊は魔力の床を作ってジャンプしていた。

 

(なるほど、あれなら魔力の消費を抑えられるのか。)

 

「お〜」

 

イリヤは感心していると無数のレーザーにかこまれていた。そして、無数の魔術攻撃が飛んできた。

 

イリヤはそれをなんとか避けていた。

 

(やっぱり特訓しておいて良かったな。)

 

キャスターは2つの魔力の塊を出しそこから、散弾のような攻撃をした。

 

イリヤと美遊はそれを全て避けていた。

 

キャスターは、イリヤと美遊に攻撃しているがイリヤと美遊はすんの所で、避けたりと余裕そうだ。

 

(お兄ちゃんとの特訓のおかげでちゃんと避けられる!)

 

とイリヤが思っていると、イリヤ達に放ったキャスターの攻撃がカズマ達のほうに多少飛んで行った。

 

(やッべ、こっちに攻撃が飛んで来る!)

 

カズマはブレイクスペルの掛かった矢を放ちその攻撃を打ち消していた。しかも、1つの矢で4つから5つも消していた。

 

(あの散弾面倒だな。ブレイクスペルの掛かった矢を、もう5本も使っちまった。あと、15本しか無い。)

 

「中くらいの散弾!」

 

イリヤはキャスターの意識を自分へと向けた。

 

美遊はすかさず魔術反射炉の上へと登った。

 

「ランサーインクルー ッ!」

 

美遊がインクルードしようとするとキャスターの姿が消えて美遊の後ろに転移していた。

 

(まじか、こっちの世界のテレポート強すぎだろ!)

 

カズマはこれをちゃんと見て後で習得しようと心に決めた。

すると、美遊は「ライトニング」のような攻撃を喰らい橋の方へと飛ばされていった。

 

(まずい、これじゃあ美遊に攻撃が移っちまう。)

 

ーーーーーーーーー

美遊視点

「申し訳ございません美遊様、物理保護の強化が間に合わず。」

 

「大丈夫大したことな...ぐっ」

 

美遊の足からはかなりの血が出ていた。

 

「美遊様足を!」

 

「大丈夫このくらいリゼネレーションで。」

 

すると、キャスターは美遊への攻撃準備を行なった。

 

「まずい!」

 

「美遊!」

ーーーーーーーーーーーー

カズマ視点

 

カズマは足を強化して橋へと駆け出した。

 

(まずい、逃げきれない。)

 

美遊は諦めかけていた。

 

(頼む、間に合ってくれ!)

 

カズマはさらに、足を強化してジャンプした。

すると、ズドン!と、爆発音がした。

 

「間一髪だったな。」

 

さっきいた所を見るとそこが真っ黒焦げになっていた。

カズマは何ともない顔をしているがじつは、あのままでは助からなかった。だが、美遊を抱き上げて攻撃が飛んできた瞬間”回避スキル”が発動したのだ!

 

「あっ、ありがとうございます。」///

 

美遊は助かったことの安心感とカズマにお姫様抱っこで恥ずかしさが同時に襲って来た。

 

「ほら、もう大丈夫だ。またピンチになってもまた助けてやるよ。だから、安心して行ってこい。」

 

 

「はい!」

 

(しっかし、さっき強化で焦って魔力無駄に使っちまった。けど、美遊を助けれたしいいか。)

 

数え切れないキャスターの追尾してくる攻撃や、新たに魔術反射炉を生成して反射してくる攻撃を避けていた。

 

(凄いなイリヤあのキャスターの猛攻を避けて。)

 

カズマがそんな事を思っているがイリヤは、

 

(こんなのお兄ちゃんの弓矢の方が速い!)

 

っとイリヤは思っていた。

 

(逃げられるのならどこに転移しても当たる弾幕を張る!)

 

「いくよルビー!特大の散弾!」

 

(上手いなイリヤ、相手の力を利用するなんて。これなら、どこに転移しても当たるな。)

 

案の定キャスターはそれを喰らい怯んだ。その隙を美遊が見逃す筈がない。

 

「やっ、やったー」

 

「いえまだです。速くとどめの一撃を!」

 

すると凛とルヴィアが駆け出した。

 

「サインセット、轟風弾五連」

 

「サインセット轟風弾七連」

 

「やったの?」

 

 

(おいやめろ、それフラグや。まっ、さっき敵感知スキルを使っていたが、あれを喰らう前に反応が消えてたんだけどな。)

 

つまり凛とルヴィアは高い宝石を使って煙幕を作っただけだった。

カズマは、ライトニングがエンチャントされた矢を番え千里眼スキルを使い辺りを見回した。

 

ーーーーーー

美遊視点

「降りてらっしゃい美遊。カードの回収をしますわよ。」

 

「行きましょう美遊様。」

 

「うん。」

 

すると、遠くから紫色の光が見えた。

 

(まさか転移!まずいあの魔法陣は!)

 

「まずい、キャスターが、この表面界ごと焼き払おうとしている!」

 

美遊は、すぐ飛び出したが、気が付いた。

 

(しまった、撤退するべきだった。今から戻って撤退することも出来ないし、かといって攻撃も間に合わない!)

 

美遊がそう諦めていると、後ろから矢が飛んでキャスターの心臓に刺さった。すると、キャスターの心臓で電撃が走りキャスターは倒れた。

 

「ふぅー」

 

カズマは冷静な顔をしているが、内心は、

 

(あっぶねー!危うく皆んなで仲良く死んじまうとこだった!)

 

と焦っていた。

 

「あっ、危なかった。倒してくれてありがとねカズマ君」

 

「私からもお礼しますわカズマ」

 

「いいって、それより早くカード回収しようぜ。」

 

カズマは凛達がカードを回収している間にイリヤと美遊の所へ行った。

 

「イリヤよくキャスターの攻撃を回避したな。それに、美遊あの魔力砲凄い火力だったよ。」

 

「えへへ、でも私よりお兄ちゃんの方が活躍してたよ。あの時お兄ちゃんが倒さなかったら私達全員やられちゃってたもん。」

 

「そうです、私達よりカズマさんが頑張っていました。わたしのことを助けに来たり。わたしが諦めていた時カズマさんは諦めずたたかってくれていました。」

 

自分でそう言った時美遊は、カズマに助けてもらった時のことが脳によぎっていった。

 

《またピンチになっても助けてやるよ》

 

 

美遊の顔が赤くなった。

 

「そういえば、敵を倒したのになんで今回は空間がほうかいしないの?」

 

イリヤがそう言ってカズマは顔を青ざめた。

 

(まっ、まさか二人目の敵が)

 

スドン

 

カズマがそう考えていると、爆発音が鳴った。

 

(なんで俺はこんな簡単な事にきがつかなかったんだ!一人しか出てこないなんてきまってないのに。)

 

そこには真っ黒な鎧に目を覆うバイザーと真っ黒な剣を持つ女の人が立っていた。

 

 

 

 




セイバー戦どうしよう。取り敢えず凛とルヴィアの戦闘はスキップさせようと思っています。あと、もっと話を膨らませるため下書きをまたやり直しています。


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8話カズマvsセイバー前編

投稿が遅れて申し訳ございません。セイバー戦はカズマの活躍を増やさないとダメだと思いノートに付け足しをしたら付け足しし過ぎてノートが一冊終わっちゃいました。しかもセイバーまだかなり残っています。下書きを頑張っていたら爪が肉に食い込んで痛いです。しかもスマホにお話書いてないのに、イリヤとカズマのイチャつくところを妄想してしまいました。しかもそれをノートに写していない。
ああ、なんという怠惰!本当すいません。


「凛さんルヴィアさん!」

 

 凛とルヴィアがセイバーの攻撃を喰らい、パッと見た限り腹部にかなりの傷を負っており、血がダラダラと流れていた。

 

 「待て、イリヤ(スフイール)」

 

敵を無視し、凛達に近づこうとするイリヤの手を力強く握りイリヤを留めた。

 

 「闇雲に近ずいちゃだめ。」

 

 「落ち着いてくださいイリヤさん。……生体反応あり。大丈夫です2人は生きています。」

 

 「だったらなおさら!」

 

 っとイリヤは、焦りの顔を見せていた。

 

 「だからこそだ、今は冷静になって行動するべきなんだ。」

 

しかし、焦ってもいいことは何もない。無駄死にするだけだ。

 

 「お兄ちゃん……」

 

 イリヤは何かを思いついた顔をし、いつもの朗らかな顔をする。

 

 「あの槍は、あの槍なら一撃必殺なんじゃ。」

 

 「ごめんなさい。キャスターに攻撃するとき使おうとしたときに転移されて反撃を受けてダメージを与えず消えてしまった」

 

 「一度インクルードをしてしまうと数時間は使えません」

 

 っと、サファイアは俺たちに絶望的な状況を淡々と話した。

 

 (まじか、それに頼ろうと思ってたのに、おのれ! キャスター許さん。)

 

 「ライダーのカードは、単体では意味を成さなかった。キャスターは不明、本番で使うには危険過ぎる」

 

 「加えてアーチャーは役立たずか」

 

積みじゃね、っと俺は思う。

 

「美遊は、川の方からあいつに攻撃して凛達から離してくれ。俺は、美遊と同様攻撃して凛達から引き離す。イリヤは、右側の木の陰に隠れつつ接近して俺と美遊があいつを凛達から離したら急いで凛達を回収して安全な所に運んでくれ。」

 

「分かった。」

 

 美遊は急いで川の方に行った。

 

「敵とルヴィアさん達の距離が近すぎます。」

 

 カズマは、読心術スキルをで美遊の会話を聞き取った。

 

(そっか。魔力砲は威力が高すぎて凛達を巻き込んじまうのか。なら、俺が攻撃して引き離すか。)

 

 「”狙撃”」

 

 だが、そんなカズマの攻撃は、虚しくセイバーに容易く弾かれてしまった。

 

 (おかしい、あの矢にはライトニングを施したはず、それなのに少しも電撃を喰らった様子は無い。剣で弾かれても剣から電流が流れてダメージを喰らうと思ったんだけどな。

 あいつダクネスほどでは無いが、魔法防御が高いのか厄介だな。不意をついて矢を当てるしかないな。)

 

 カズマはどう不意を突くか考えていた。

 

 (鎧を着てるから矢そのものが刺さらないし、鎧にライトニングの矢を当てて感電させてもあの魔法防御じゃ効かないし足止めにすらならない。)

 

 (カズマさんの陽動は失敗してしまった。陽動出来るのはあと私だけ。私がやるしかない!)

 

 「シュート」

 

 美遊は、出力を抑えて魔力砲を撃った。

 だが、禍々しい黒い霧に当たると消えてしまった。

 

(あれは、リフレクションみたいなものか。反射されない分まだリフレクションよりマシだな。けどまずいなあれじゃ爆裂魔法も通らない。)

 

 カズマは、最悪イリヤと美遊からドレインタッチで魔力をもらい爆裂魔法で倒そうと考えたが、それすらできなくなってしまった。

 ーーーーーー

 イリヤ視点

 「どういうことまた、反射平面とかで...」

 

 「いえ、魔術を使っている様子はありません。あの黒い霧はまさか!」

 セイバーは、剣を大きく振った。すると、黒い斬撃が美遊に飛んでいった。

 

 美遊は防御の姿勢をとったが受けきれないと悟り避けようとした。

 美遊は、なんとか避けることができた。

 

 (斬撃飛ばせるとか、チートだろ。)

 

「美遊さん!」

 

 セイバーは、イリヤの声に反応してしまった。

 

 (しまった、イリヤが狙われちまった。俺が凛達の回収をすれば良かった。イリヤが攻撃して狙われないように考えたがそれが仇になっちまった。)

 

 カズマは2つ矢を放ったが、セイバーは難なく弾きイリヤにゆっくりと近づいていった。

 

 (俺の弓矢じゃあいつに弾かれて絶対ダメージを与えられない。)

 

 そして、イリヤに斬撃が放たれてしまった。

 

 「イリヤさんまずいです逃げてください。」

 

 「えっ」

 

 ルビーは、イリヤに忠告したが、間に合わずイリヤは、斬撃を喰らってしまった。

 だが、掠っただけで済んだ。

 

 だがイリヤの顔は、恐怖の顔に染まっていた。

 

(まずい、イリヤが完全に戦意喪失している。)

 

 「筋力増加、体力増加、速度上昇、幸運増加、知力上昇」

 

 セイバーが徐々にイリヤに近ずいていった。

 

 (もういや。お家帰りたい。)

 

 っと、イリヤは現実逃避していた。

 

 「イリヤ早く逃げてください。イリヤさん」

 

 ルビーの声もイリヤには、届かなかった。

 

 カズマは全てのステータスをあげ、弓矢をしまい刀を抜きセイバーに斬りかかった。カズマは、潜伏スキルとスニーキングスキルを使ったためセイバーはカズマが斬りかかる瞬間まできずかなかった。

 

 (ちっ、浅かったか。)

 

 セイバーは、標的をイリヤからカズマに変更した。

 セイバーは横払いの攻撃をしたがカズマは逃走スキルを使い転がって回避し、セイバーの背後に回りセイバーに攻撃したが、浅かった。

 

 カズマの剣スキルレベルが低く筋力も足りてなかった。だが、攻撃が当たれば浅くてもいい。刀が当たれば不死王の手が発動して、弱体化の発動が狙いだ。

 

 (分かってたけど、やっぱり俺の攻撃じゃダメか。というか、鎧があるから刀が通る訳無いじゃん刀がボロボロになっちゃうよ!バイザーがあるから目潰しができないし、スティール使うにも俺が女性に使うと高確率で下着が取れちまう。あいつの下着とってイリヤにお兄ちゃん最低とか言われたら俺立ち直れなくなっちまう。)

 

 それだけは阻止せねばと心に誓った。

 

 「スティール」

 一か八か使ってみたが、何も取れていなかった。

 

 (またレベル差か。)

 

 カズマは自分のレベルに嘆いていた。魔王戦の前にダンジョンでバニルとウィズにレベル上げを手伝ってもらいある程度上がったら、レベルをウィズに下げてもらいまたレベルを上げるを繰り返しスキルポイントがかなり集まって満足して30レベルまで上げてもう大丈夫だろうと妥協していた。そんな自分が嫌になった。

 さっき、キャスターを倒したおかげで40レベルまで上がっていたが、それでもレベルが足りてなかった。

 

 (バカかよ俺は。デュラハンにレベル差だ!とか言われたのに。だが、不死王の手を使えばレベルを下げて弱体化させることはできる!)

 

 セイバーの剣が振り下ろされると、黒く、禍々しい斬撃が俺へと向かい来る。

 俺はそれを避け、セイバーに接近したが、セイバーの剣がすぐ横に迫って来ていた。

 

 「か、”回避”」

 

 (あっぶねー。今の絶対死んでた!)

 

 俺は強化魔術で腕と脚と刀を強化する。

 

 セイバーはまたあのしょぼい攻撃か。っと油断していたのだろう。

 カズマが攻撃をしたら、カウンターを喰らわせようと考えていた。だが、カズマは強化魔術を使っており、威力が上がっていた。

さらに、不死王の手が運良く弱体化が発動し、重ねがけの弱体化を喰らっていたためセイバーはカズマの攻撃に怯んでしまった。その隙に、カズマは強化された脚で足蹴りをして距離を離した。

 

 

 (痛ってぇ! 足超痛い。まっ、それだけで済んだし良かった方か。一応さっき刀と足蹴りした時も不死王の手発動させてたし大丈夫だろう。)

 

 「スティール」

 

 一か八かで使ったらなんとかバイザーが取れた。

これで目を保護するものは無くなった。

 

 「クリエイトアース、ウィンドブレス。」

 

 砂がセイバーの目に入りセイバーは慌てていた。セイバーは近づかれないよう剣を振り回していた。

 

 だがカズマはそんな事を気にせず、しまった弓とダイナマイト付きの矢を取り出しセイバーに撃った。

 

 ドカン!っと、鼓膜が破裂しそうなほどの爆音と共に、セイバーの居る所に煙が発生していた。

 煙が晴れその中心にセイバーは堂々と立っていた。セイバーの鎧は少しヒビが入り、擦り傷が多少あるだけだった。

 

 (やっぱりあの程度の火力じゃダメか。)

 

 魔王と戦った時もそうだがダイナマイトはあまり傷つけていなかった。次からは金属でも入れておくか。

 

 セイバーは目から砂が取れ視力が回復していた。

 

 セイバーはカズマに大振りの攻撃では無く小振りの攻撃を主にしてきた。

 (くそっ、一撃が重い分大振りのほうが良かったんだけどな。)

 

 カズマは紙装甲なので別にどんなに威力が高くても低くても関係ないので、出来れば大振りのほうが良かった。

 セイバーは最初はカズマの事を雑魚だと侮り一撃で終わらせよとしていたが、いまはカズマのことを敵と認識し、少しの油断はない。

 セイバーは、フェイントや突きなどの攻撃をし、カズマは横へ後ろへと全てを回避していた。

 

 (くそっ、今はなんとか回避スキルが発動して避けれないものも回避できたが、このままじゃ俺がやられちまう。)

 

 カズマは目を強化してセイバーの攻撃を見切れるようにした。

 

 カズマは全てを避けるのでは無く刀で攻撃を受け流し、反撃し、受けきれない避け反撃しただが、セイバーもそれを手首を捻らせて剣で受け流し反撃しカズマはそれを受け流したり避けたりしていた。

 

 だが、どうしても決定打を与えることはできなかった。

 ーーーーーー

 美遊視点

 (凄い私たちのはいる余地がない。でもカズマさんは決定打を与えられてない。カズマさんはトリッキーな立ち回りをしているけど一つ一つの威力が低すぎてこのままじゃカズマさんの体力が尽きて負けちゃう。魔力砲で援護したいけど、カズマさんも巻き込んでしまう。私にはどうする事もできない。)

 

 ふと、美遊の脳裏にカズマの言葉が再生された。

 

 

 《ピンチなってもまた助けてやるよだから安心していってこい!》

 

 (そうだ!私はこんな事でウジウジしてる場合じゃない。カズマさんにもうこれで3度も助けられてる今度は私がいや”私達”がカズマさんを助ける!」

 

 美遊はイリヤの方へと急いで向かった。

 

 「イリヤスフイール協力して欲しい」

 

「なっ、何を?」

 

 美遊は作戦をイリヤに教えた。

 

 「わっ、分かった。」

 

 「それじゃ準備して。」

 

 イリヤと美遊は魔力を集中させた。

 

 カズマはジリ貧だった。さっきまではなんとか対応できていたが、セイバーの一撃が重かった為手首が悲鳴を上げていた。

 

 (くそっ、手首が痛くてうまく動かせない。)

 

 カズマは受け流すのを止め全て回避する事にしたが、数分で疲れてしまった。そして、セイバー横払い攻撃をし、カズマは後ろへおもいっきり下がったが足が石につまづき転んでしまった。

 

 (くそっ、こんな事でやられちまうのかよ。)

 

 カズマはもう無理だと思った。

 

 「今!」

 

 「フォイヤ!」

 

 「シュート!」

 

 美遊とイリヤの最大の一撃が放たれた。

 セイバーはカズマとの戦闘に夢中で魔力の霧が無くなっており、美遊とイリヤの最大の一撃を受け川へと飛ばされた。

 

 「終わったのか。」

 

 川はどこかの映画で見た事があるような割れ方をしていた。

 

 「いや〜ギリギリでしたね。」

 

 「本当だよ、早く帰ってお風呂入りたい。」

 

 っと、話していると川の方から凄い音がして振り向くとセイバーがいた。

 

 (嘘だろ、まだ生きてるのかよ。)

 

 セイバーは魔力を剣に集中させた。

 

 (絶対これはまずい、早く逃げないと!)

 

 カズマはイリヤと美遊を抱えて凛達の反対方向に逃げ凛達が巻き込まれないように逃げた。

 

 「約束された勝利の剣(エクスカリバー)

 

さっきまであった物が全て壊れ原型が無くなっていた。

 

 




凛とルヴィア完全空気ですね。あと今更ですがカズマのステータス表記しようか悩んでいます。そこで表記してしまうと後々変更出来なくて大変なんですよねー。あと、このままだとカズマがツヴァイになるとバゼットに相性がいいので普通に勝ってつまらないと思うので敵を追加しようと思います。


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8話 カズマVSセイバー後編

投稿遅れました。
第四次のサーバントを多少追加しようか検討中です。あっ、でも佐々木小次郎も出したいんだよな。


カズマは起き上がり砂埃を払い辺りを見渡した。

 

(なんだこれ瓦礫まみれじゃねーか。)

 

「イリヤ、美遊無事か?」

 

「なんとか。」

 

「はい、大丈夫です。」

 

凛とルヴィアは特に何も被害を受けていなかった。

 

(本当に被害を受けていないとは。)

 

カズマは絶対凛とルヴィアは被害を受けると思ったが少しでも凛とルヴィアの生存率を上げる為反対方向に逃げて良かったと思った。

 

(しょうがないまた、戦うか。)

 

カズマはイリヤと美遊を遠くに連れて行った。

 

「俺はもう一回あいつと戦うよ。」

 

「正気ですか?あんなのと戦ったら数分で死にますよ!」

 

ルビーはカズマにそう忠告したが、

 

「でも俺はあいつと数分戦って生きてるぞ。」

 

「ですが。」

 

「じゃあ、俺が数分だけ時間を稼ぐから凛とルヴィアを回収してくれ。そして、戻る準備が出来たら教えてくれ。」

 

「わっ、分かりましたでも、危ないと思ったらすぐ戻って来て下さい。」

 

「ああ。」

 

(あれ、これ魔王戦の時もこんな事言って俺死んだ気がするんだど。)

 

カズマはもうその事は考えない事にした。

 

ーーーーーー

ステッキ視点

 

「いいんですか、姉さん。」

 

「そうだよルビー。」

 

美遊もうなずいた。

 

「じゃあ、カズマさんよりセイバーとまともに戦える人はこの中にいるんですか?」

 

「そっ、それは、」

 

「 .....」

 

誰も反論することはできなかった。

 

「ですから少しだけ時間を稼いでもらってその内に凛さん達を回収しましょう。」

ーーーーーー

カズマ視点

「さあ、2ラウンド目と洒落込もうぜ!」

 

セイバーは剣を構えた。

 

カズマはクリエイトアースの時と同じ仕草をした。すると、セイバーはカズマの手を凝視して警戒した。

 

「フラッシュ」

 

違う方法でセイバーはまた視力を奪われた。さらにフラッシュを使った手に目を凝視していた為すごく痛がっていた。

 

カズマは弓と不死王の手がエンチャントされた矢を三つ番えた。

 

「三連狙撃」

 

1本目は手に刺さり、2本目は鎧に当たり、3本目は手甲に当たった。

2本は刺さらなかったが全て不死王の手が発動された。

 

視力が戻るとせこい技しか使ってこないカズマに怒っていた。

その仕返しかの様にセイバーはカズマに三つの斬撃を飛ばしてきた。

 

(まずい、左右どちらに避けても当たっちまう。回避スキルは発動するかどうか分からないし、そうだ!)

 

「クリエイトウォーター、フリーズ。」

 

俺は氷の坂を作り斬撃の軌道を上えとずらした。

 

(あっぶねーいまちょっと掠ったよ!初級魔法が無かったら死んでたよ俺!)

 

斬撃を凌いだ喜びもつかの間、セイバーは既に近ずいており、カズマに突きの構えをした。

 

俺は横に避けようとしたが、セイバーの突きの構えはフェイントで俺はセイバーの蹴りを喰らいかなり吹っ飛ばされ柱にぶつかった。

 

セイバーは距離を置く為の牽制の蹴りだったがそれを喰らったカズマがあっさりやられて失望していた。

 

(痛ってー、あの程度の蹴りでこの有様か。強化魔術を使って支援魔法も使ってステータスを全て上げても俺の防御力じゃダメなのか。俺は仲間を助ける時間稼ぎごときも出来ないのかよ。)

 

俺にダクネスみたいな硬さがあれば、っとカズマは思っていた。

 

(アクアが居ればこんな怪我すぐ治るのに。めぐみんが居ればあんな奴楽勝なのに。今いない奴の事考えてどうすんだよ。ごめんなイリヤお前達より先にやられてお兄ちゃん失格だな。ごめんな美遊ピンチになったら助けてやるとか言っといて結局助けられなくて。)

 

カズマはもう動けず周りを眺める事しか出来なかった。

 

まだ慣れていない強化魔術を長い時間使い筋肉が悲鳴を上げていた。

強化魔術を解いた瞬間筋肉痛に襲われた。

ーーーーーー

イリヤ視点

「うそ、お兄ちゃん」

 

ガタッっとイリヤは膝をつき目からは涙を出していた。

 

「そんな、カズマさん。」

 

「……」

 

「嘘だよね……、お兄ちゃんがこんな簡単にやられるなんてあり得ないよ。」

 

その時、私の中で何かが切れた。

 

「倒さなきゃ。」

 

どうやって?

「倒さなきゃ。」

 

どうやって?

 

「方法ならここにある。」

 

「インストール!」

 

すると、イリヤは光に包まれ、光が消えると赤い服に黒の甲冑を着て弓を持っていた。

 

「なっ、なんだあれ?」

 

セイバーはイリヤに斬撃を飛ばしたが、赤い花に防がれた。

 

(きっ、綺麗だ。)

 

カズマはその光景を目に焼き付けた。

 

イリヤは3本矢を放ち、空へ跳んで後ろに下がった。

 

そして、両手に中国刀が現れセイバーを斬りつけた。

セイバーはそれを喰らい反撃したが、中国刀を捨てて、後ろに下がりまた同じ中国刀が現れた。

 

(しっ、信じられないあの戦闘力。)

 

イリヤとセイバーは剣戟を繰り広げ、イリヤは中国刀をまるで翼のように見えた。

 

イリヤの回避が、イリヤのカウンターが、イリヤの剣戟が、イリヤの不意の足掛けが、その全てがカズマは美しいと思った。

 

イリヤは高く跳び剣を無数に投げた。

 

(剣が無限にあるのか!)

 

インストールとやらをするとアーチャーの本当の強さを実感した。

 

「トレースオーバーエッジ」

 

すると、中国刀が岩山の様にギザキザになった。

 

また剣戟が始まった。そして、イリヤが押していた。

 

セイバーは距離をとり斬撃を飛ばしたが、イリヤは二つの中国刀を投げセイバーの斬撃を相殺した。

 

カズマははっきりと見た。何も無いところから弓矢が現れた。

 

(あれは、凛が言ってた投影魔術って奴か。いやでも少し違うな。本当の投影魔術だったらセイバーの攻撃を防げるはずがない。特別な投影魔術ってところか。チートだな。)

 

だが、それは英霊なのでしょうがない。

 

イリヤは弓矢を撃ったが掠っただけでセイバーを怒らせてしまった。

 

セイバーの剣にドス黒い魔力が集まった。

 

イリヤは黄金の剣を創り出した。

 

(あれはアイリスの持ってたのと同じエクスカリバーか。まっ、アイリスが持ってたのは日本人が転生で持っていったレプリカだがな。)

 

イリヤとセイバーは剣に魔力を集め始めた。

だが、セイバーは俺の不死王の手で弱体化され、左手には、矢が刺さっておりちゃんと握れていなかった。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 

光と闇のぶつかり合い。最初は互角だったが、セイバーは弱体化されていた為だんだん押されていった。だが、負けるかとばかりに魔力の出力を上げた。イリヤも負けずに魔力の出力を上げた。

 

(すごい衝撃波だ。)

 

だが、このままだと長引くだろう。そうすると衝撃波で瓦礫が飛びカズマや凛達に当たってしまう。もしそれで頭にでも当たったら今度こそ死んじまう。カズマは弓矢を出し、足で弓を支え左手で矢を持ち弦を引きセイバーに放った。

セイバーに矢が当たりセイバーは集中が途切れ出力が下がり、イリヤに押し負け、イリヤが勝った。

 

そして、イリヤは倒れ身体から カードが出てきていつもの服装に戻った。

「か、カズマ君大丈夫!」

 

「ああ、なんとかな。それにしても蹴りを一発でここまでやられるとは情け無いな。」

 

俺は蹴られて柱に背中をぶつけ、その時頭を打って頭から血が出ていてさらに軽く脳震盪を起こしていた。さらに、強化魔術の使い過ぎた右腕と脚が痛い。

 

それよりお前とルヴィアは大丈夫なのかよ。」

 

「ええ、脇腹を掠った位だから。それよりカズマ君の怪我を治さないと。」

 

「治せるのか?」

 

「私の稚拙な治癒魔術じゃ気休めにしかならないけどね。」

 

「それでも頼む。」

 

俺は凛に治癒魔術を使ってもらった。カズマは治したくても、魔力ののこりが少なくあまり治せなく困っていたのでありがたかった。

 

「早く脱出しますわよ。」

 

っと今回役に立たなかった人がおっしゃいました。

 

「私の治癒魔術だとこのくらいが限界。応急処置程度だけど大丈夫?」

 

「ああ、だいぶ楽になったよ。だけど強化魔術の使い過ぎで足が筋肉痛になってうまく立てないから手を貸してくれ。」

 

「どうしてそうなるまで使ったのよ。」

っと凛が呆れていた。

 

「セイバーと近接戦闘した。」

 

「はぁー!物理保護無しでよく生きてたわね。」

 

「とりあえず肩貸してくれ。」

 

「分かったわ。」

 

そして俺たちは脱出した。

 

そして凛にベンチに座らせてもらった。

 

「それにしても、信じられないですわね。」

「本当です。」

 

「ま〜確かに信じられませんよね。私も見ていましたけどあんなにあのセイバーと戦ってこの程度の怪我で済むなんて。」

 

「この程度じゃねーよ。筋肉痛で歩きにくいんだよ右手は痛くて動かせないし。... それよりイリヤはどうなんだ。」

 

「大丈夫、気を失っているだけね。」

 

「何があったか分かりませんが、体の色々なところに負荷が掛かっているようですわね。」

 

「しょうがない、私がおぶって、」

 

「私がやります」

ボソッと元気無く美遊が言った。

 

「そっか、ありがとう」

 

「私が肩を貸してあげるわね。」

 

「いやいいよ、凛の治癒魔術のおかげでだいぶ楽になった。」

 

(それに美遊も今は凛達について来て欲しくないと思ってるだろうし。)

 

「そう、分かったわでも、無理しないでね。それじゃ」

 

「ああ。」

 

そして、俺は美遊の方へとゆっくり歩いて行った。

 

「カズマさんはもう歩いて大丈夫なんですか?」

 

「ああ、ただの筋肉痛だ。」

 

だが、カズマは歩くのがやっとである。

 

「でも蹴りを喰らって、」

 

「大丈夫だよ。ちょっと頭打っただけだから。それより、今日ピンチになったら助けるって約束したのにその約束を守れなくて悪かったな。俺は時間稼ぎすら出来なかった。」

 

「そんなことありません。私をキャスターの攻撃から助けてもらい、キャスターが空間ごと焼き払おうとして私が飛び出して間に合わないと思って諦めかけた時キャスターの止めをさして、セイバーと2度も戦ってくれた。私達を4回も守ってくれた。」

 

(でも、蹴りを一発喰らって無様にやられちまったしな。)

 

「あんなバケモノじみたのと戦ってキャスターは倒しセイバーの攻撃もあそこまで耐えたんですよ。本当ならありえません。」

 

「そのとうりです。かずまさんが居なかったらきっとやられていました。」

 

美遊とステッキ2本は慰めてくれた。

 

「なぁ美遊これを言うのは二回目だけど、守れなかった俺が言うことじゃないと思うけどもっと人を頼れよな。一人で解決しようとしなくていい。現に美遊は一人で特攻してピンチになっただろ、もしかしたらまた同じようにピンチになんかもしれない。だからオレ達を頼ってくれ。特にイリヤとかな。」

 

「えっ、」

 

「だってお前ら友達だろ?だってこんなピンチを一緒に潜り抜けて来たんだから。」

 

(そうか、私とイリヤはもう友達なのか。)

 

美遊は兄が願った事を思い出していた。

 

「美遊に友達が出来ますように...」

 

(お兄ちゃんやったよ私友達出来たんだよ。)

 

カズマがセイバーを倒していれば100点満点だが、まぁカズマにしては頑張った方なので、今のセリフは70点くらいだろう。

 

(頼れって言っても次の戦闘に参加するのは無理かな。筋肉痛だし、刀もボロボロだし。)

 

逆に刀がボロボロになっただけで折れなかったのは奇跡である。

 

そんなこんなで家に着いた。

 

ドアを開け俺は潜伏をつかい部屋に武器を置き、最後の魔力を強化魔術に使い筋肉痛の腕を無理矢理動かしイリヤを部屋に運んで、部屋に戻り眠りについた。




疲れました。カズマVSセイバーって書いたけど最初しか戦ってませんね。次のお話どうしよう。アサシン戦は適当に終わらせると思います。


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10話 全く妹の膝枕は最高だぜ!

遅れました。出来れば8月6日の午前くらいに投稿したかったのですが編集してる最中頭が痛くなってしまいました。

さて今回はご褒美回です。カズマはセイバー戦頑張りましたもんね。
9話目はセイバー戦の後編でしたが後編付けるの忘れましたあと9話と付けるのも忘れました。もしかしたら10話も付け忘れてるかもしれませんね。


「どういうことですか!」

 

セラはそれはそれはお怒りだった。

 

「いや、その 、夜外で慣れない運動をしてそのせいで筋肉痛になり帰る途中ボーッとしてどこかで頭を打って、...今に至ります。」

 

「至りますじゃありません!まったくイリヤさんが熱を出して学校をお休み。その兄はくだらない理由で怪我。学校に連絡する私の身にもなってください!」

 

「誠に申し訳ございません。」

 

カズマは土☆下☆座をした。

 

「まったく、今日は安静にしていてくださいね。」

 

(おやいつもなら説教を小一時間食らうんだがな。)

 

「怒らないんだな。」

 

カズマはセラに2、3時間ほど怒られることを覚悟したが、怒られなくてよかったとおもった。

 

「飽きれているだけです!昼にはご飯持ってきますね。」

 

「はいよ。」

 

セラが学校に怪我の理由を伝えるとカズマらしいと言われたらしい。

ーーーーーー

学校side

一方カズマが休んだ理由をホームルームでクラス全員に伝えられ凛とルヴィアと一成と慎二以外は笑っていた。

 

(よくあの怪我をそんな理由で納得させたわね〔ましたわね〕)

ーーーーーー

カズマside

 

「ヒール」

 

俺は全魔力をヒールに使った。

 

昨日までは、全く運動してない人がトライアスロンをした後の筋肉痛だったのが今は全く運動してない人が球技をした後の筋肉痛くらいにまで回復した。

 

カズマ(強化魔術を使い慣れる必要があるな。)

面倒くさいが全力で戦う度に筋肉痛になってしまったらたまらない。

 

俺はマナタイトもどきから魔力を吸った。

 

(4分の1くらいまでは回復したかな。)

 

取り敢えず一番酷使した腕に強化魔術を使った。あの時は無駄に魔力を注ぎ込んだりとっさに使ったせいでうまく使えていなかったが今集中させるとあの時より多少消費が抑えられていた。

 

(よしどんどん使い慣れて魔力の節約していくぞ!)

 

魔力値が平凡な俺はそう誓った。

 

冒険者カードを見ると強化魔術のスキルレベルが5になっていた。

 

セイバー戦でかなり使ったのと魔術の基礎だからなのかかなり上がっていた。

 

そしてしばらくして、

 

(おし、結構慣れてきたな。)

 

あの時より魔力の消費が少なくてもあの時と同じほどの強化が出来た。

 

どのくらい差があるかと言うと白熱電球とLED電球くらい違う。

あの時は魔力が全て強化に使われず大気に分散していたが今は全く分散していない。

 

(これ結構便利だな。)

 

もう支援魔法は使わなくてもいいと思ったが俺の生存率を上げる為には必要なのでまだ使うことにした。

カズマ(でもなぁ支援魔法に使う分の魔力があればかなり他のことに使えるんだよな。)

 

そして俺はする事が無くなった。

 

「暇だ!」

 

兄妹の心境が一致した瞬間であった。

ーーーーーー

イリヤside

「ひまひまひま〜もう熱は引いちゃったしする事ないし。」

 

(そうだお兄ちゃんの為にご飯作ってあげよう。)

 

イリヤは一階に降りた。

 

「イリヤさま安静にしてくださいと言ったでしょう」

 

「でもお兄ちゃんの為にご飯作ってあげたいの...だめ?」

 

セラは観念した顔をした。

 

「分かりましたでは一緒に作りましょう。」

 

セラとイリヤはレバニラ炒めを作ることになった。

 

「では筋肉痛によく効き作りやすいレバニラ炒めを作りましょう。」

 

そして、レバニラ炒めが作り終わった。

 

「イリヤさま上手に出来ましたね。では、私が運んでおきますね。」

 

「待って私が運ぶ。」

 

「イリヤさまは病み上がりですもし倒れでもしたら。」

 

「セラは過保護すぎイリヤはもうそんな歳じゃない。行ってきなイリヤ。」

 

「分かったリズ。」

 

イリヤは二階に上がった。

ーーーーーーー

セラとリズside

「リーゼリット!またそんな勝手なこと言って」

 

「そんなことよりイリヤとカズマはどうだったの?」

 

「また話題を逸らして...イリヤさんは10年間溜め込んだ魔力を半分ほど使ってますね。鍵も1つ外れていますね。」

 

「そう、カズマは?」

 

「最初は本当に怪我かと思いましたが切り傷や腹部に蹴られた後がありました。それに体力が無いとはいえあの筋肉痛は異常です。恐らく強化魔術を使い過ぎかと。しかしどこでそんなものを旦那さまは教えては無いそうですし。」

 

「そう。」

 

「イリヤさまのこと奥様になんと伝えれば。」

ーーーーーー

イリヤside

「お兄ちゃんご飯持ってきたよ。」

 

「ありがとな俺の為に。」

 

イリヤが俺に気を配ってくれた事にウルっとした。

 

(アクア達だったらきっとこんなことしてくれないだろう。アクアならプークスクスとか笑ってきそうだしな。やってくれるとしたらアイリスかクリスだろう)

 

よし、イリヤに甘えよう。

 

「ここに置いといていい?」

 

「食べさせて。」

 

イリヤ「え、」

 

(どういう事、お兄ちゃんが甘えてきた!こんな事二度とないだろうし、やろう!お兄ちゃんと触れ合うチャンス!)

 

「いいよ」

 

(まじか!駄目元で言ってみたが本当にOK貰えるとは思わなかった)

 

俺が縦向きに寝ていてイリヤは横向きにすわり膝枕までしてくれた。

 

(しかも膝枕までして貰えるなんて、セイバー怪我を負わせてくれてありがとう!)

 

カズマはセイバーに深く感謝した。

 

「お兄ちゃん はい、あーん。」

 

「あ、あーん。」

 

(やばい嬉しいけど滅茶苦茶恥ずかしい。でもイリヤの膝枕最高。)

 

「どう、美味しい?」

 

「ああ、美味しいな。」

 

「よかった。あのね私がセラと一緒に作ったんだよ。」

 

妹が優し過ぎてカズマは感動していた。

そして、きっとこれは前にエリス様に可愛い義理の妹がいる家系に生まれたいとお願いしたが、きっとエリス様が魔王を倒したおまけとしてそれも叶えてくれたのだろう。

 

(エリス様ありがとう!)

 

「お兄ちゃんなんで泣いてるの?」

 

「いや、俺の為にそこまでしてくれて涙出てきちゃった。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

そしてイリヤに食べさせてもらい全部食べ終わった。

 

「それじゃもう行くね。」

 

「待って、お願いしますもっと膝枕して下さい。」

 

それは俺の心からの叫びだった。

 

「わ、分かった。」

 

そして俺はイリヤの膝枕を堪能していた。

 

「ふぁ〜イリヤの膝枕最高。もっと頭撫でて。」

 

俺はイリヤにこんな事して貰えるのはもう二度と無いと思い後で後悔しないように全力で甘えていた。

 

「か、顔を膝に埋めて息吹きかけないで、く、くすぐったいよ」

 

「だってイリヤの膝枕気持ちいいんだもん。」

 

カズマはこの上ない程甘えていた。

 

「妹が兄に甘える展開は定番ですが、兄が妹に甘えるというのもなかなかいいですね〜」

 

「お、お兄ちゃんそろそろ寝た方がいいんじゃないの?」

 

「確かに膝枕されて頭を撫でられると凄く眠くなるが、こんな事二度と無い!思う存分味わうんだ!寝てたまるか!...あ」

 

思わず本音が出てしまった。

 

「お兄ちゃん」

 

「ごめんなさい」

 

(やばいこれでもしそんなこと考えてたんだお兄ちゃん..最低とか言われたらもう立ち直れない。)

 

カズマ最大のピンチ!

 

「別にたまにならしてあげてもいいのに。」

 

では無かったった様だ。

 

「えっ、」

 

思ったのと違う反応がきた。えっまじで、いいの!?

 

(どうしよう思わず本音が出ちゃった。)

 

「いや〜まさかここまでラブラブだとはいいですね〜いいですね〜」

 

カズマとイリヤは顔を赤くした。

 

しばらくして俺は睡魔に負けて眠ってしまった。

 

「あっようやく寝た。」

 

イリヤはカズマをゆっくりと膝から降ろし部屋に戻った。

 

夕方

 

俺は目が覚めた。

 

(ちくしょーもっとイリヤの膝枕を堪能したかった。)

 

俺がそう思っていると、

 

コンコン

 

「失礼するわ、カズマ君大丈夫?」

 

「強化魔術の酷使で筋肉痛になった事以外は大丈夫だよ。」

 

「でも本当に生きててよかったわよ」

 

「蹴り一発でであの有り様だけどな。」

 

「ま、まあよく英霊の蹴りで風穴開かなかったわね。」

 

(や、やめろー慰めは止めてくれ。)

 

「まあいいわ、今日もやるけどカズマ君は止めといたほうがいいわね。」

 

「だろうなぁ今の俺じゃ足手まといだろうしな。」

 

「それに次はアサシンだから余裕よ。」

 

「アサシンは侮らない方が良いぞ、暗闇から奇襲されて気がついたら死んでました何てことがあるからな。あとアサシンって言うくらいだから掠っても確実に殺せるように毒とか仕込んでるかもな。」

 

「...そうね。」

 

凛はそんな事考えてもいなかった。アサシンは隠れることしか能の無い雑魚だと思い込んでいたがカズマの言ったとうり奇襲されてしまってはたまらない。

 

そして、凛は帰っていった。

 

(はぁ、結局美遊との約束破っちまったな。)

 

あそこまで言ったのにこれじゃ口だけの人になっちまった。

 

その30分後

 

一成と慎二と桜が来た。

 

「カズマ怪我は大丈夫か?」

 

「ああ。」

 

「先輩、次は気をつけて下さいね。」

「肝に銘じます。」

 

「全くお前は本当のろまだな。」

 

「うっさい。」

 

全く慎二だけは一言余計である。

 

「朝カズマが来なくてそわそわしてホームルームで怪我したと聞いた時一番心配そうにしてたではないか。」

 

「そうですよ先輩が朝練来なくてずっと気にして今日まともに射れてなかったじゃないですか。」

 

「うるさいそんな事言うなよ!」

 

「おい慎二否定してないぞ。」

 

「あ、」

 

俺と桜と一成は思わず笑ってしまった。

 

しばらく慎二は顔を赤くして部屋の端で体育座りしていた。

 

「わ、悪りぃからかいすぎた。」

 

「じゃ、じゃあもう帰るからな早く治せよな!」

 

(結局心配してくれてたのか。)

 

ニートやってた時にはこんな友達ができるなんてあり得ないと思った。

 

「では私も帰らせてもらおう。」

 

「それでは先輩、さようなら。」

 

「ああ、じゃあな」

 

しばらくして

 

(そうだ!イリヤの部屋に行ってアーチャーのカード借りよう。

俺もインストール使ってみたい。)

 

善は急げだ、早く借りよう。そうしてイリヤの部屋に行った。

 

「イリヤいるか?」

 

「あ、お兄ちゃん起きたの?」

 

「それよりアーチャーのカード借してくれないか。」

 

「え、良いけどなんで?」

 

「何でも。」

 

イリヤにカードを借り急いで部屋に戻った。

 

(楽しみだな。まるで、新作ゲームを買った時と同じ気分だ。)

 

「インストール」

俺は光に包まれた。




アサシン戦どうしようかなアニメは結局爆発でおわっちゃったし。
ほんとアサシンに人権ありませんよね。カズマに解習得させたけど使い道がない。番外編の日常とか作ってでお買い物で品質の有無を見極めるくらいにしか使えない。
そういえばヘラクレスの宝具の十二の試練はキャスターのルールブレイカーで無効化とか出来ないんですかね。
本当クズマが書けない。書くとしたらイリヤ達が見ていないような時に発動させます。そうじゃ無いとカズマがイリヤにお兄ちゃん最低と言われカズマが死んじゃうから使えない。


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11話 アサシンに人権なし! byハサン

カード回収ってポ◯モンのバッチ集めみたいですよね。今は試練ですけど。


「それじゃ行くわよ!」

 

「ジャンプ」

 

そこは霧がかかり薄気味悪く、辺りが見渡しにくい森だった。

 

「敵は居ないし、カードも無い。どういう事ですの?」

 

「場所を間違えたとか?」

 

「それはないわ。表面界があるって事は歪みの原因のカードがここにあるわ。」

 

凛は表面界に入った瞬間から警戒していた。カズマが言ったとおり奇襲して来るなら、まだ戦闘態勢に入ってない時に狙われるかもしれないと思い警戒し、ずっと辺りを見回していた。

 

(奇襲されないように常時警戒するのがこんなにも大変だなんて思いもしなかったわ。)

 

イリヤ達は敵を探し回っていたが一向に見つからなかった。

 

「見つからないなぁ」

 

「面倒ですし魔力砲で一面焦土にでもしますか」

 

「そんなのただの破壊だよ。」

 

カズマが居ればきっと、探すのが面倒くさいから賛成していたであろう。

 

ゴソゴソ

 

背後から何か音がした気がした。

 

「ん?」

 

「どうしたのイリヤ?」

 

イリヤ「気のせいかもしれないけど、今何か動いたような...」

 

イリヤの首元にナイフが掠った。

 

「!!」

 

(しまった!ほんの一瞬油断しただけでこうなるなんて。)

 

ほんの一瞬油断しただけでカズマの言ったとうりになってしまった。

 

「美遊!」

 

「シュート」

 

美遊は魔力砲を放ったが、そこには何も居なかった。

「イリヤ!大丈夫?」

 

「う、うん大丈夫。」

 

「物理保護が効きました。薄皮一枚にとどまっています。」

 

「そう、良かった。」

 

もし毒があればルビーも気付くだろうし、イリヤにも異常が出るはずだが、何も無かっただから凛は怠っていた。即死性以外の毒のことを。

 

(アサシンの位置は不明、カズマ君の言ったとおり奇襲された。もしかしたら本当に気づかないうちに死んでいた。)

 

「こんな時カズマ君が居れば」と凛は思った。カズマが居ればどうしただろう。きっと簡単にやっつけてしまうのだろう。だが、今居ない人の事を考えてもどうにもならない。

 

凛達は方陣を組み全方位からの敵襲に警戒していた。

 

イリヤはアサシンを見つけ魔力砲を放とうとしたが、何故か魔力砲が出なかった。

 

「あれ..」

 

イリヤは目眩がして視界がおぼつかなかった。

 

また、ナイフがイリヤに飛んできたが、凛に助けてもらった。

 

「気を付けて!油断してると死ぬわよ!」

 

「え... 死ぬ?」

 

イリヤは、死の恐怖を受け付けられてしまった。

 

木の陰からぞろぞろとアサシンの集団が出てきた。

 

「な、なんですのこの数!」

 

「総勢五十以上!有り得ません!」

 

そしてイリヤ達は完全に包囲されてしまった。

 

凛が宝石を使いアサシンを数体倒し退路を作った。

 

「急いで!早く逃げるわよ!」

 

しかしイリヤは完全に毒がまわり動けなくなってしまった。

 

ルビー「魔力循環に異常発生!」

 

「ま、まさか!」

 

凛は今更きずいた。

 

(しまった、やっぱりカズマ君が居てくれれば!) 気づいたかもしれない。

 

ルヴィアも美遊もカズマが居れば思っていた。

 

(きっとこれはお兄ちゃんに頼り過ぎていた私達への報いなのだろう。いつも何気無く助けくれた。何回も何回も、ライダーの時も、キャスターの時も、セイバーの時も、もう駄目だと皆んなが思っても諦めずに戦って助けてくれた。けど、私達は甘え過ぎていたんだろう。)

 

アサシン全員は動けないイリヤに向かってナイフを投げた。

 

「イリヤ!」

 

(まるで王手をかけられた駒みたいだなぁとか思った。

..ただひとつ、 最初の一手出遅れをとった。 それだけ、 たったそれだけの事で私は死んじゃうの?...私だけじゃなくてこのままだと美遊も... 凛さんも... ルヴィアさんも.. 嫌だよそんなの...まだお兄ちゃんと一緒に居たい。..嫌だよこんなの、こんなの私のいるせかいじゃない!...守らなきゃ。)

 

ドン!

 

周りが一面焦土になっていた。

 

「…イリヤ」

 

(な、なにこれ。私がやったの?)

 

「危ないところだった、障壁が間に合わなかったら…私も…ルヴィアさん達も、」

 

「で、でもそうしないと皆んな死んじゃうと思ったから…」

 

「その結果がこれ、一歩間違えたら全員死んでた…貴方のせいで。」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「そもそも、最初に攻撃を受けたのは貴方で、動けなくなったのも貴方。貴方がミスを招き、貴方が魔力を暴発させた。そのせいで、皆んなが危険にさらされた。」

 

「そ、それは。」

 

イリヤは何も反論出来ない。

 

「貴方が居なければ、こんな危険な事にもならなかった…こんなは事もうたくさん。私は二度と一緒に戦いたくない!」

 

イリヤは泣き出し、帰ってしまった。

 

(言い過ぎてしまった。私だって全く気がつかなかったし、もしかしたら、私が攻撃されてたかもしれないのに…、それに、私はカズマさんが居てくれたらなんで思ってしまった。それなのに、イリヤを責めてしまった。しかも、私はカズマさんに頼り過ぎていた…。私が困ってる時、手を差し伸べてくれる。そんな優しいカズマさんに甘えていた。なのに、それなのに私はイリヤを傷つけてしまった。)

 

自分でも何であんなに責めてしまったのだろう、と考えていた。

 

(せっかく出来た友達なのに...)

 

 

 

 

 

そして、表面界には、アサシンのカードだけが有り、勝利の美酒に酔うことは出来なかった。




残りの敵もバーサーカーですね。勝てるかな?まぁカリバーン創ればたったの一撃で我の命を以下略になりますからね。本当どうしよう。



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12話 無限の技能vs無限の剣製 前編

プリズマイリヤの映画見て来ました。まさかフェイトにカズマ役の福島潤さんが出るとは思いませんでした。福島潤さんが務めたキャラはステイナイトキャスターの元マスターでしたね。

すっかり投稿遅れました。べ、別にfgoの10連ガチャ一発目でメイドオルタ当たってやり込んでなんてないんだからね。(前のfgoがログイン出来なくて一週間くらい前に新しく始めて☆5が当たるという何とも複雑な心境。でも、エミヤやセイバーオルタが消えました。
ついでに言うと新しく始めてもまたキャッシュエラーが発生して泣きました。100%までダウンロードが終わった瞬間ホーム画面に戻されると言うのを何回もやられました。でもなんやかんやでできる様になりメイドオルタもレベル60までは上げました。)

投稿が遅れた理由は他にもあります。まだ、一期の所も終わってないのに、ツヴァイヘルツの所のお話考えてました。
ノートには写してませんのでどうせ忘れます。


アサシン戦の数時間前

 

 

俺は光に包まれ目が覚めると空が真っ赤に染まり、無数に剣が刺さっている荒野に立っていた。

 

空中には回転の止まった歯車があり、無数の剣はまるで墓標のように見えた。

 

「おや、ここに人が来るとは珍しい。二人目(・・・)だな。」

 

そいつは前イリヤが着ていた装備と同じ物を着ていて、肌は日焼けした様に黒く、髪はストレスなのかそれとも、元々なのか白髪だった。

 

「あんた誰?」

 

「勝手に人の世界に来ておいて”あんただれ?”はないだろう。出来れば”ここはどこだ?”とかのリアクションを期待していたのだがね。」

 

「ココハドコダー」

 

「棒読みしてまでいわんでよい!私がバカみたいではないか!

そうだな私は... アーチャーと呼んでくれ。」

 

(どうやら本名は教えてくれないそうだ.... 気になる。)

 

「そうかアーチャー、でなんで俺こんなとこにいんの?」

 

「恐らくカードの誤作動かなんかだろう。」

 

「二人目ってことはイリヤもここに来たのか。」

 

イリヤがカード使った時きっと初代遊○王みたいにもう一人の僕的ななんかでイリヤが意識失ってこいつが代わりに戦ってくれたのだろう。でもそれってこいつがイリヤの体に入ったってことだよな...うらやまけしからん。

 

「!...いや、一人目は貴様と同じくらいの歳の男だったが。」

 

一瞬アーチャーはイリヤ(・・・)というワードで少し反応した。

 

「え!何?男にだけ反応したって事は...まさか、お前そんな趣味が...」

 

「違う!勝手に決めつけるな!私にそんな趣味はない!...

それより!」

 

おっと、話題をずらしましたね。

 

「カードを使ったということは英霊と戦っているのだろう?私もそいつらの事は少しばかり知っている。教えてやってもいいぞ。」

 

まじか!これで作戦を立てやすくなる。

 

「是非!」

 

アサシンは終わってるだろうから残りのバーサーカーについて教えてもらう事にした。

 

「バーサーカーの真名はヘラクレス。十二の試練を越えた英雄だ。」

 

「え、あの不死身のあいつ?よくゲームとかで出てくるあいつ?」

 

「ああ、そうだ。あいつはとにかく一撃が重い。まともに食らったら貴様などひき肉になるだろうな。」

 

「だろうな。まぁ紙耐久のカズマさんには関係ないな。」

 

「貴様....自分で言って悲しくないのか。」

 

「うっせ!一応気にしてんだよ」

 

「まぁいい。あいつは11回蘇生が掛かっており合計12回殺さなければならない。

更にBランク以下の攻撃は全て無効化されるため搦め手が通用せず、殺したとしても、その攻撃には耐性をつけて殆ど効かない。

威力が高ければ一度に何個か命を奪えるが、それでも2、3個が限界だろう。

つまり12回違う方法で殺さなければならない。」

 

無理ゲーじゃね?そもそも搦め手が通用しないなら俺いらなくね?

 

「強すぎない?俺戦わないで家にいていいかな。」

 

無論そんなつもりは多少ない。

 

「戯け!そんな事でどうする!貴様も他の英霊と戦って勝ったのだろう。少しはやる気を出せ!」

 

「だってセイバーと戦っても数分しか持たなかったし。」

 

アーチャー「十分ではないか。私もきっとそのくらいしか持たんよ。」

 

アーチャーはすごく感心していた。が、

 

言えない。目潰ししたなんて言えない。

 

「Bランク以上ってどこら辺から入るんだ?」

 

「そうだな。貴様の持っている爆弾付きの矢を三本合わせればAにギリギリ届くだろう」

 

(まじ!あんまり見せどころの無かったダイナマイトがやっと輝く時が来たのか。)

 

「そうだ!イリヤが使っていた黒と白の中国刀と赤い花の様な盾の名前教えてくれ。」

 

「中国刀は干将・莫耶という。盾はローアイアスという。」

 

「そっか。ありがとな。」

 

「待て、せっかくだ私と戦わないかね?少しでも生存率を上げる為の訓練として。」

 

 

(確かにこのままうっかり死んでまたあの世界に飛ばされてもめぐみんやダクネスたちとかなり歳の差だろうしな。 アクアは例外だがな。)

 

 

「いいけど、どんな手段を使っても構わないな?」

 

「ああ、いいとも」

 

カズマは支援魔法で全てのステータスを上げ強化魔術を腕、足、目、刀に使った。

 

「どんな怪我をしても現実の自分にはダメージがいかないから安心してくれ。もちろん痛いものは痛いからな。」

 

俺はアーチャーに攻撃したがヒョイっと躱され反撃の蹴りをされたが、回避スキルが発動して何とか避けることが出来た。

 

「”クリエイトアース”、”ウィンドブレス”」

 

「貴様!」

 

俺はすぐさま刀をしまい弓を取り出した。

 

「”狙撃”」

 

アーチャーは視力が回復し、矢を干将・莫耶で弾いき、空中に跳び干将・莫耶を投げ弓矢を投影した。

 

(やべ、なんかアーチャーの額に青筋浮いてる。完全にアーチャー怒ってますね。)

 

 

俺は弓矢を置き、両手で

 

「”スティール”」

 

 

俺は投擲された干将・莫耶を奪いアーチャーに投げた。

 

 

「”狙撃”」

 

(剣術はお世辞にも上手いとは言えないが、弓術はかなりの腕前だな。しかし、どんな手段を使ってもいいとは言ったがまさか目潰しをしてくるとはな。...セイバーにはしてないよな?)

 

 

俺は刀で斬りつけてそこから突きの攻撃をするなど色々混ぜているがヒョイっと躱されたり干将・莫耶で受け流したりと、必要最小限の動きで避けられ動きに全く無駄がない。なら!

 

(ほう、動きが変わったな。)

 

 

俺は強化魔術で更に足だけ強化して、なんとかアーチャーの速度に追いつけた。

 

アーチャーの速度には何とかついていけているが、アーチャーは中国刀が二本。カズマは日本刀一本。手数がやはり違う。

 

カズマは刀を捨てた。

 

「どうした、諦めたのか?」

 

「まさか、そんなわけないじゃん。お前と同じ土俵に立つだけだ。 ”クリエイトウォーター”、”フリーズ”」

 

カズマは氷の剣を二本作った。

 

「ほう、氷で剣を使ったか。たかがそれだけで同じ土俵に立ったと思っているのか?」

 

「んなわけ無いじゃん。ただそっちの方が手数が多いからそうしただけだ。」

 

アーチャーは笑った。

 

「そうかそうか、私も少し貴様を侮っていたみたいだな。では私も本気と行こう。」

 

投影開始(トレースオン)

 

そこには無数の剣が浮いていた。

 

「は?」

 

カズマは氷の剣をヤケクソ気味にアーチャーに向けて投げ、弓矢を取り出した。

 

「これを全て矢で弾くつもりか?さっき投げた剣で弾いて近づいてきたらどうかね?」

 

アーチャーは万遍の笑みをし、そう言ってきた。

 

「ふざけんなよ無理に決まってるだろ!お前ら英霊と違って俺はただの一般人なんだよ!英霊以外でそんなこと出来んのはな、弾道予測線を予測するキ○トくんくらいしかてきねーから。」

 

そんな無茶振りをするアーチャーに俺は激怒していた。

 

「最初に来た奴はそれをやってのけたがな。」

 

「何?そいつキ○トくんなの?」

 

アーチャーはそれを無視し、

 

「出来ないのならせめて避けてみろ。」

 

(絶対やだ!弓矢で迎撃したほうがよっぽどましだ!)

 

俺は飛んでくる剣を致命傷になりそうなやつだけを弾いた。

 

(強情な、回避くらいは覚えて貰わないと困る。)

 

アーチャーは矢が切れるまで撃ち続けた。

 

(よし、この調子で矢を、矢を?あれ、矢がない。)

 

カズマはハンスと戦った時と同様に矢が切れてしまった。

 

(またこのオチかよ!)

 

剣はカズマに向かって刻一刻と近づいている。

 

「て、”転移”」

 

(あっぶね、キャスターの使った転移魔術習得しといてよかった。)

 

なお、スキルポイントは15も持っていかれた模様。

 

「ほう、なかなかやるではないか。」

 

「じゃ、じゃあもうおわ...」

 

「ラウンド2」

 

その時のアーチャーの顔はそれはそれは笑顔でした。




「それでは今までで、やられた英霊のライダーさんを呼びました。」

「どうも、いろんなプリヤssで見せ所の無いまま消えていった噛ませ犬ライダーです。」

「ちょ、何でそんなにネガティブなんですか、元気出してくださいよ。」

「元はと言えば貴方が私の扱いを酷くしたのが元凶ですよ。何ですか拘束されて魔力と体力吸われた挙句大幅カットしてゲイボルグでトドメなんて今までのプリヤssで一番酷いんじゃないんですか?」

「いや、その本当に申し訳御座いません。」

「なら私主役のss本書いてください。もしくは、2話を修正して見せ場を下さい。」

「すいません、どっちもむr...」

「ベルレ...」

「ちょ、ちょっと待って下さい。こうしましょう後書きの雑談のレギュラーに貴方を任命します。これで今は我慢して下さい。」

「私それコハエースでかなりやって来ました。」

「あっ、そろそろお別れの時間だ。」

「ちょ、」

「またね〜」


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13話 無限の技能vs無限の剣製 後編

コメントで台本形式ってなんぞ?と思い調べました。(最後まで読んで無いのではっきりとはわかりませんが)「」の前に名前をつける事なんですよね?「はぁ?それ以外にもあるに決まってるだろ!」という場合はコメントで教えて下さい。
無知で本当すみません。




I am the bone of my sword(我が骨子は捻れ狂う)

 

すると、まるでドリルの様な剣が現れそれが、矢の様に細長くなった。

 

まぁずい。あれは絶対ヤバい。エクスカリバーほどでは無いだろうが、さっきまでの攻撃とは威力が絶対違う。なんとなくそう思う。

 

”偽・螺旋剣”(カラド、ボルグ)

 

カズマには矢はもう無く、刀は捨ててもう無く、氷の剣を造っても弾くことは恐らく出来ない。

 

どうすれば、

 

そんな事を考えている内にあの矢は刻一刻と近づいて来ている。

 

カズマはふと、ある事を思い出した。

 

 

そういえば、前にテレビで氷の上に銃を撃ったらどうなるかとかいうのやってたな。確か氷の上でコマのように回って氷自体はあんま削れて無かった。...もしかしたら上手くいくかもしれない。

 

「”クリエイトウォーター”、”フリーズ”」

 

俺は前にイリヤの使った盾...いや、こいつの盾をイメージし、氷で造り出す。

 

空中に浮かせる事は出来ないが、地面に着ける氷をより強固にし、衝撃に耐えられるようにした。

 

あとは祈るだけだ。

 

だが着弾と同時に爆発したが、俺は氷の盾に守られなんとか助かった。

 

「なんちゃってローアイアス」

 

「ふざけるな!....あ」

 

アーチャーは切れ、うっかり弦を離してしまい赤原猟犬を飛ばしてしまった。

 

「悪いうっかり永遠に追い続ける矢を放ってしまった。」

 

もちろんアーチャーは止めることは出来るが、カズマの為にはなるだろうと止めるつもりはない。それに、カズマに有らぬ疑いをされた怨みもあるので絶対に止めない。

 

カズマはひたすら逃げ回りひとつひとつ氷の剣で壊した。

 

「ではここらで休憩と行こう。」

 

「そうだな」

 

やっと休憩だ。もう動きたくない。

 

「なあアーチャーあの爆発って何?」

 

「あれは宝具に詰まった魔力を爆発させ相手にダメージを与えるものだ。因みに私が投影した物全て出来るぞ。」

 

え、 それってさっきスティール使った時も出来たってことだよな。

自分がバラバラになる想像なんてしたくないな。

 

投影開始(トレース、オン)

 

アーチャーは俺の刀を投影した。

 

「なんだこの名前...貴様が付けたのか?」

 

アーチャーは明らかに引いていた。

 

「違う!おれじゃない。でも何で刀の名前が分かったんだ。」

 

「それはだな」

 

アーチャー説明を受けた。

 

自分の投影魔術は普通とは違い、自分の意思で消すか壊れるかしない限り半永久的に残り続けること。

 

自分の投影魔術は剣に特化し、それ以外も造り出せるがかなり魔力が消費されること。

 

投影した剣や弓などの名を知ることができ、その使用者の経験、技量、身体能力までも憑依できるらしい。

 

チートだなとか思ったがアーチャーが憑依は体の負荷がやばいらしい。

 

「とまぁそんな所だ」

 

「なぁアーチャーお前がバーサーカーと戦ったら命何個奪える?」

 

「最低でも5ほどは奪える。魔力さえあれば全部奪えるはずだ。」

 

てことはこいつでも自分自身の魔力だけでは5くらいしか奪えないという事。無理ゲー。

 

ゲイボルグで一個、エクスカリバーで一個、魔力砲で一個、のこり9個。アーチャーのカードを使ったとしてものこり最低でも4個。あと4個を俺にやれってか?

 

「じゃあ俺がアーチャーのカードを使えば...」

 

「やめておけ貴様の体が壊れるぞ」

 

は?でも

 

「憑依を使わなければか?私の投影魔術は脳にかなりの負荷を掛ける5個命を奪うまでに脳が焼け、バーサーカーの命を9個奪うまでに肉体に限界が来て、最後まで行くまでに廃人になるだろう。もしかしたら5個命を奪った地点で廃人になるかもな。」

 

まじか。

 

「だがな貴様の刀を投影し、憑依してみた。勝てるだろう魔王を倒した英雄様。」

 

こいつそこまで分かるのか。というか英雄様はやめろ。笑うな。

確かに爆裂魔法を使えば出来るだろう他にも強力なスキルもある。

あとはマナタイトが持つかどうかだな。

 

「まぁ頑張れ。」

 

「ああ、」

 

俺はさりげなく肩を触り、

 

「”解析”」

 

仕返しにせめて名前だけでも知ってからかってやろう。

 

「な!」

 

え、なんだこれ名前は衛宮士郎 日本人?まじ?

 

なんだこの記憶

 

最初は火の海だった。その次は切嗣らしき人が居る。だがそこに居るべき人が居ない。そして、切嗣は静かに死んでいった。

 

なんで?

 

更にあり得ないことが

 

遠坂凛の姿そして金髪の女性恐らくあのセイバーだろう。間桐桜そしてイリヤの姿がそれを繰り返し三回もループして見せられた。

 

一つ目はまだ良かった。いや良くはない俺の親友の慎二の性格が変わっていた。更に慎二は死んでしまった。

 

二つ目はイリヤが...妹が死んでしまった。

 

そんなイリヤが、なんでなんでなんでなんでなんでなんで

 

だがこっちのイリヤでは無い。そうやって心を落ち着かせようとした。

 

だが三回目もイリヤが犠牲になってしまった。なんで?どうしてだ?

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?

 

「なんでだよ」

 

「........」

 

「なんとか言えよ正義の味方!なんでイリヤが死んでんだよなんで、イリヤが...」

 

「.....」

 

アーチャーは何も言わない。カズマだって分かっている。俺より辛いのはアーチャー、いや、衛宮士郎だという事を。

 

イリヤが死んだ後にイリヤの事が血の繋がりはないが兄妹と知った事そして自分が何もしてやれなかった事。きっと何回も悔やんでいたんだろう。だが、それに目を逸らし、苦しまないように、他人事のように考える衛宮士郎の事は許さない。

 

「衛宮士郎、イリヤが死んだ事には納得していないが、死んだイリヤの事に目を逸らしてんじゃねぇ!なんでイリヤの死にちゃんと向き合わないんだよ!1を捨てて10を救うのはいい。だがな、なんで大切な人から失っていくんだよ。正義の味方でも守るのにはな限界があるんだよ。なのになんでお前は大切な人を守らないんだよ。大切な人を守ってこそ正義の味方じゃ無いのかよ。」

 

嗚呼、そうか正義の味方に成りたいというのはきっと大切な人を守りたいという願いからだったんだな。

 

私の考えは間違っていた。だからきっと私は間違い続ける。だがその行いだけは正しい。私はそれさえ辞めてしまえば更に間違ってしまうだろう。

それにお前のおかげでまた答えを得る事ができた。ありがとう。

 

「すまない。私はきっと正義の味方に向いてないのだろう。私は間違い続けて来た。だから、その間違い続けて来た私からのお願いだ。

イリヤを守ってやってくれ。」

 

「当たり前だろそんなの俺は仮にもイリヤのお兄ちゃんだからな。それと、自分の目指した道を向いてないとかいうなよな。ちゃんと応援してくれた人もいるんだろ。」

 

「嗚呼、ありがとう。俺はお前のおかげで更に答えを得る事ができた。そろそろ時間だな。会う時は英霊の座で会おう。」

 

「冗談じゃない。そんなとこ行くかよ。じゃあな」

 

俺はまた光に包まれた。

 

ーーーー

 

「さらばだ。佐藤和真いや、衛宮和真...おっとまた呼ばれたようだなさて次はどこになるのやら。」

 

アーチャーは別の時間、別の世界に飛ばされた。

 

ーーーー

 

俺は元の場所に戻る時ははっきり意識があった。

 

その時、映像が現れた。

 

なぁーにこれ?

 

「妹を、美遊を助けてくれ、」

 

その姿は衛宮士郎の若い時の姿だった。違うとすれば白髪になっているところが多々あった。

 

「美遊に友達を作って欲しい。美遊に暖かでささやかな幸せを掴んで欲しい。そして、出来れば俺の守る事の出来なかった約束の”海に連れて行く”のを俺の代わりにやってくれないか」

 

またか、またこいつは報われないのか。どうしてこんなにこいつはひどい目に遭うんだ。

 

「安心しろもう友達は出来たよ。多分幸せだと思う。海にも連れて行くよ。」

 

「そうか、安心した。じゃあ俺はもう死んでもいいや」

 

「ふざけるな!死んでもいいや?それじゃあ確実に美遊は幸せになれないんだよ。美遊は兄以外頼れる人が居ないのに知らない場所に行ったんだぞ!兄に会いたいと思うはずだろ。なんでさそんな簡単な事がわからないんだよ。」

 

なんで衛宮士郎は皆んな大切な人の気持ちがわからず結局不幸になるんだよ。

 

「嗚呼、そうだったのか。」

 

「絶対死ぬなよ。死んだら美遊は幸せになれないからな。」

 

「嗚呼、分かった」

 

ーーーーーーーー

 

そして俺は元の場所に戻った。辺りは真っ暗になり、時計を見るとも11時を回っていた。

 

すると、イリヤの部屋から泣き声が聞こえた。きっと何かあったんだろう。

 

俺はイリヤの部屋に向かいとかノックもせず入った。

 

「イリヤ大丈夫か?何があったんだ。」

 

「お兄ちゃん。私、私ね。」

 

イリヤは顔を上げると抱きついて来た。お兄ちゃんにとっては嬉しいがそんなこと言えない。俺はイリヤを落ち着かせるために今日の昼のお返しに膝枕をした。

 

イリヤの話を聞くとアサシンに奇襲され、毒が回り動けなくなり無数のナイフが飛んで来たらしい。そりゃ泣くわ。

 

それだけでなくなんとかしようと爆発を起こしアサシンを倒したけど。美遊達も巻き込んでしまい危うく死んでしまうとこだったらしく美遊にめちゃくちゃ言われたらしい。

 

ごめん士郎約束が一瞬で破れちった。だが

 

「なぁイリヤ美遊は本当にそう思って言ったと思うか?」

 

「え、だって」

 

「美遊は不器用なんだよ。初めて出来た友達をこんなことに巻き込みたくないと思ったんだよ。多分友達っていう概念すら分かってないかもな。なぁイリヤ明日とは言わないから仲直りしよう。」

 

でも、

 

「じゃあなんであんなこと言って来たの?」

 

「イリヤはさ、アサシンにやられそうになった時戦意を失ったんだろ。多分これ以上はイリヤが、友達が死んじゃうと思ったからわざとそんな事を言ったんだろうさ。だから仲直り出来るよ。」

 

「わ、分かった。」

 

「ま、その前にイリヤが寝るまで膝枕してやるよ。今日のお返しにさ。」

 

やっぱりお兄ちゃんは優しかった。でも、私達はそれに頼りすぎてる。

 

「お兄ちゃんあのね、私達はお兄ちゃんの力に、優しさに甘えすぎてると思うの。」

 

「お兄ちゃんに甘えるのは妹の特権だろ」

 

「で、でも」

 

えっ何もう甘えてくれないの?そ、そんなぁー。お兄ちゃんにもっと甘えて欲しいのに。

 

「大丈夫だろ、俺だってイリヤに甘えてるし。それに俺はひと蹴りでやられちゃう弱い人間だからさ、俺はイリヤに甘えちゃうぞ。」

 

お兄ちゃんは自分で弱い人間と言った。なのになんであんな怖い敵に立ち向かっていくんだろう。

 

「じゃあなんで死んじゃうかも知れないのに、あんな敵に立ち向かったの?怖くないの?」

 

「怖いよ。死ぬのはすごく怖い。でもな、イリヤが死んじゃう方がもっと怖い。」

 

俺は死に過ぎて感覚が狂ってるんだろう。エミヤの事言えないな。まぁやばそうだったら逃げに徹するけどその事は言わないでおこう。

 

やっぱりお兄ちゃんはとても優しかった。

 

暫くして私は眠りに着いた。




どうも、「カズマ達にやられたサーヴァントの会」という番外編を考えている、I love こしあんです。
北朝鮮のミサイル怖いですね。12話目まだ作ってないのに俺死ぬのかと思ってました。自衛隊が撃ち墜とそうにも撃ち落とせませんからね。撃ち落としたら、ミサイルの破片が落ちて被害が出ますからね。更に核爆発で確か電子機器壊れますからね。本当怖い。

あと残るはバーサーカーだけ。本当どうしよう。

エミヤの行方も気になりますね。月行ったかな?”そこら辺考えとけよ”とか思わないで下さいよ。一応候補は考えております。

12話でやったライダーとの会話が面白いという人は是非コメントで、またやって下さいなどのコメント下さい(露骨なコメ稼ぎ)

そろそろコメントでフレンドリーな会話したい。堅苦しい会話は自分の文章力の無さが滲み出ちゃう。


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14話 バーサーカー戦前の一時

良く台本形式について読んで見ました。よく分からないのでタグに”.台本形式だったり台本形式じゃ無かったり”とタグを付けました。

コメントほすぃー。フレンドリーなコメント見たい。フレンドリーなコメントの返信したい。

ああークロ早く出したい。皆さんはイリヤ、美遊、クロの中で誰が好きですか。私はクロです。でもこの作品書いてるとイリヤが好きになってきちゃった。


イリヤは眠りに就きぐっすりと眠っていた。俺は、膝枕をやめ、イリヤを枕にそっと置き音を出さないように自分の部屋に戻った。

 

俺は、バーサーカーの命を少しでも多く奪えるように道具を作成している。まずは、ダイナマイトの作成。幸い火薬はまだ沢山あるので、今日は徹夜でダイナマイトを作れるだけ作る。そして、無心で作っているといつの間にか朝になっていた。

 

作成できたダイナマイトは6本。俺は、一本をティンダの掛かった矢に括り付けた。残りの5本は、バインド用に買っておいたがキャスターは空を飛んでいた為要らないと思い、置いてきて結局使わずにいたワイヤーに括り付け完成した。

 

今はとても眠い。出来れば学校に行きたく無い。だが、セラがそれを許してくれるはずが無く、俺は渋々学校に行く事を決意した。

俺は、着替え、下に降り朝食をとりに行った。

 

「いただきます。」

 

俺は疲れているせいかあまり食べる気がしない。今日の料理当番はセラだ。週でセラが5回、俺が2回だ。

 

昔セラが料理勝負を挑んできて俺は負けて小馬鹿にされたので、必死にセラの技術を盗み、必死に自分の技術を上げた。そして、俺が料理勝負を挑んでセラをぼこぼこにして「小馬鹿にした相手に負けるってどんな気持ち?」とからかうと、セラが泣き出しもうメイドは辞めさせていただきますと言ってきた。俺はとんでもない事をしてしまったと思い、俺はイリヤにお願いして一緒に何とか説得して貰いセラにメイドを続けて貰った。セラはそれから料理当番に俺を入れ、俺の技術を盗み、俺を越えようとした。俺は面倒くさいからやりたく無いと言うがそれを許してはくれなかった。余程負けたままが嫌なんだろう。

 

「ご馳走様。」

 

俺はご飯を食べ終え、歯磨きに行った。イリヤはまだ起きて来ない。やはりまだ不安なのだろう。歯磨きが終わり、俺は玄関を出た。

 

「行ってきます。」

「「行ってらっしゃい。」」

 

俺はこんなに学校に行きたく無いと思ったのはきっと初めてかも知れない。

「行きたくねぇ。だりぃー。」

 

俺はだらだらと歩き学校に向かった。唯一の救いは今日は先生の用事の為部活がない事だ。

 

俺は学校に着き、ホームルームの時間まで仮眠を取った。

俺は目が覚めた。いや、正しくは起こされた。先生かと思いすぐ起き上がったが凛とルヴィアだった。まだホームルームまで5分ある正直まだ寝かせて欲しいものだ。

 

「ふぁ〜あと五分」

「あと五分じゃない!ほら起きなさい。」

 

そう凛が言うと、体を揺らされる。徹夜した人に対して酷い扱いだ。

「俺は徹夜して眠いの!あと五分したら構ってあげるからそれまで待ってて。」

 

と俺が言うと、凛とルヴィアがキレて、俺を蹴り飛ばした。紙耐久の俺は為す術なく見事に飛ばされた。

 

「痛い。死ぬ。眠い。」

 

俺は寝ようとしたが、凛とルヴィアがそれを許さなかった。

 

「起きろって言ってるだろがー!(と言ってるのですわ!)」

 

凛とルヴィアはどうしても寝させてくれないので俺は寝るのをやめた。後で覚えとけよ。

 

「何の用だよ、俺は本当に徹夜して眠いの」

 

周りの人がジロジロ見ている。いや、見るんじゃなく止めて欲しい。

 

「カズマ君ちょっと来て。」

 

俺は借りて来た猫の様に大人しくした。果たして俺は何処に連れてかれるのだろう。周りの人は何やら面白い物を見つけたかのような顔だった。

 

俺は屋上に連れてかれた。

 

「何の用だよ。人を蹴り飛ばしといて。」

「それは貴方が悪いんでしょ!で、用っていうのがバーサーカーの事よ。本当に来るの?」

「あのな、アサシンの時は来れなかったから言えないと思うがここまで来たんだからやるに決まってるだろ。」

バーサーカーの事は伝えるべきか、だがどう説明すれば良いのか分からない。結局俺はこの日バーサーカーの事を言えなかった。

 

今日の授業も全て終わり下校時刻となった。いつももだったら「部活が無い日は何でこんなに清々しいいんだろう。」などと言って上機嫌で帰るが、今はそんな気分じゃ無い。

 

俺は帰宅し、バーサーカー戦の準備をしていた。イリヤは俺より学校が終わったはずだが居なかった。

ーーーー

 

バーサーカーを倒すには道具だけではまだ足りない。俺はゆんゆんがよく使うライトオブセイバーと魔王が使って来たインフェルノを習得し、詠唱を暗記した。本当はもっと上級魔法を習得したかったが、1日では到底覚えきれない。

俺は機動性を重視する為、矢を5本しか入れてない。どうせバーサーカーには足止めは通用しないのだから。あとはダイナマイト付きの針金と普通の針金を一本ずつ、刀を装備し、準備完了。

 

ーーーーー

時間までゴロゴロしてるとノックがした。

「お兄ちゃん、入ってもいい」

「いいぞ、どうした?」

「あのねお兄ちゃん「うん」美遊と結局仲直り出来なくてそして、凛さんに辞表を出しに行って来たの」

辞表とは果たしてそれは小学生のする事なのか。

「だからねお兄ちゃんも...」

そうイリヤが俺に言おうとすると、

「じゃあ俺はイリヤの分まで働いてきますか。「え、何で」いやいや、今日あそこまで言っといて来なかったら”クズマ”だとか”カスマ”だとか言われちまうよ。だから約束して欲しい。次の学校の日絶対仲直りしろよ。お兄ちゃんとの約束だ!」

「うん」

イリヤは迷いが晴れたのかさっきより多少明るくなっていた。

 

ーーーーー

外はすっかり暗くなり、あともう少しで集合の時刻となる。俺は、装備を整えゆっくりと忍び足で玄関へと向かった。すると、

「何処に行くんですか?」

外でセラが待ち構えていた。

「えっと、これはだな。散歩だ散歩。」

「私には夜中に銃刀法違反で捕まりに行く様にしか見えないのですが。」

そう、俺は刀を装備していた。

「魔術絡みなのでしょ?」

「あはは……いつからバレてた?」

「昨日の怪我からです。イリヤさんの魔力がかなり減ってました。そして、強化魔術の使用が貴方から見えました。そして、転んで頭を打ったと言ってましたが、蹴られたあとや、切り傷などがありました。」

セラがまるでドラマに出てくる刑事さんみたいな事を言っていた。セラは何でもかんでもお見通しでした。

「危ない事をするのはやめてください。それにその格好、まるで戦に行く武士の様な格好して」

ジャージで戦場を駆け巡る武士はいないはずだが。

「まぁ大丈夫だろセラだってどうせ、俺の事聞いただろ。「ですが」だったら心配すんなよ。何たって魔王を倒しちゃったカズマさんだぞ。」

セラは頑固な俺にようやく観念してくれた。

「死なないでくださいね」

「やめろよフラグになったらどうなるんだ。」

「そこくらいは締めて下さいよ。」

「はは、じゃあ行ってきます。」

俺はまるで遠足に行く子供の様に気楽に集合場所に向かった。

 

 




「台本形式って何だ!どうも主です。」
「どうもステイナイトライダーです。台本形式についてちゃんとよんだのですか?」
「読みました!ちゃんと”台本形式とは”って調べたんですからね。」
「それですら理解出来ないとは」
「やめて!俺をいじめないで!出番なくすよ!代わりにこのすばのメンバー呼ぶよ!」
「2話をリメイクしたら考え直してあげます。それとあの三人組を呼ぶとかのコーナー潰れますよ。」
「確かに、まぁネタも思いつかないしな。このコーナーは下書きもせずその場の思いつきで書いてます。」
「それ貴方本編でもやってますよね。」
「やめて!暴露しないで!それと2話のリメイクはコメントで2話リメイクはよとコメントされたら次回作を後回しにしてやりますよ。」
「リメイク催促は何処かで見たことある様な。」
「月姫じゃね?」
「「ではコメントや評価お待ちしております。」」

「ライダーさんの代わりに次はアサシンでも呼ぼうかな」 ボソ

「いまなんと?...」

おわり


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15話 不死身の英雄

サブタイトル考えるの難しいですよね。きっとこの回もいつかサブタイトル変えるんだろうな。今回は俺頑張りました。多分台本形式じゃ無いと思う。
台本形式は嫌われる傾向らしいけどそれでもお気に入り登録してくれる人は凄く心が広いと思います。
台本形式の事を知ってからお気に入り登録してくれた人には本当に頭が上がりません。


  俺は集合場所のビルに着いた。

  今は多分6時半位だろう。そういえば今日は 、ど○えもんの3時間スペシャルだったことを思い出した。流石に今から戻る訳にもいかず、録画して来れば良かったと後悔した。

 

「よっ、待ったか?」

 

「いいえ、今来たところよ。ところで何で矢を5本しか持って来てないの?」

 

「いや、その代わりに色々なもの持って来たじゃん。それに機動性を重視したんだよ。あとアサシンのカード貸して。」

 

「いいけど。はいアサシンのカード。」

 

「サンキュー。」

 

(成る程これがイリヤ達を苦しめた奴のカードか)

 

  俺は凛達にバレない様にこっそりカードを折れない程度に曲げた。

 そんなこんなで俺達は最後の決戦に向かった。

 

 

 

 

 

 ーーーー

 

 

 

 

 

  相手は2メートルはある。いや、もしかしたら3メートルあるかもしれないその巨体はこの狭い空間では驚異的な速度で突進してくる。まるで岩が転がって迫ってくるかのようである。

  美遊はその突進を上へ跳んで避けるが、フィールドが狭すぎて思うように動けない。

 

「シュート」

 

  しかし美遊の魔力砲はちっとも効いていない。

 

「...く、せめて足止め出来ないの ⁉︎」

 

「無理です...魔力砲が効いてる様子がありません !」

 

  それもそのはず、バーサーカーには一定ランク以下の攻撃は通用しない。やはりバーサーカーの事は言っておくべきだったかとカズマは思ったが、どう説明したらいいか分からないし、証拠がないから信じてくれるかどうかも怪しかった。

 

「”クリエイトウォーター”、”フリーズ”」

 

  俺はバーサーカーの足場を凍らせ、凛とルヴィアは宝石で足止め、そしてバーサーカーが怯んだ隙に美遊が素早くゲイボルグを使い殺した。

 

 

 

  あと11回。

 

 

 

  安心も束の間、バーサーカーはすぐ蘇生し、油断していた美遊を殴り飛ばした。俺は強化魔術で足を強化し、美遊を受け止めた。

 

「大丈夫か?」

 

「な、なんとか。」

 

  きっと物理保護が無ければ頭と身体がさようならしていただろう。

 

「■■■■■■■■ーーーーーッ」

 

  バーサーカーは声にならない声を上げた。真横に居たら飛ばされてしまいそうな迫力だった。

 

「取り敢えず撤退するわよあんな相手じゃ勝ち目がない。」

 

  凛がそう言うと俺達はビルの中へと撤退した。俺はバーサーカーの事を甘く見ていたかも知れない。

 

「サファイアここでいいわ」

 

「はい。限定次元反射炉形成!鏡界回廊一部反転!ジャン...」

 

 ーーー

 美遊視点

 

(このまま撤退したら次はイリヤが呼ばれる。それだけは絶対ダメ!イリヤは戦いを望んでない。それに私はイリヤにひどい事を言ってしまった。初めて出来た友達なのに。私はお兄ちゃんの願いまで私は...)

 

  私がそう考えて残ろうとした時、私より先に魔法陣から出た人がいた。それはカズマさんだった。

 

「カズマくん!」

 

「カズマ!」

 

「悪いな俺ちょっとここに残るわ、それと”スティール”」

 

  そう言うとカズマさんはステッキを奪い、

 

「このステッキが無いとここにこれないんだよな?来たかったらイリヤと仲直りして来い。そのくらいの時間は稼いでやるからさ。」

 

「なんでそこまで」

 

  私はカズマさんがそこまですることが理解できなかった。

 

「だって俺はイリヤのお兄ちゃんだからな。イリヤとその友達の中が悪かったら何としても仲直りさせたいものだろ?だから俺が死なない内にパパッと仲直りして早く来い。」

 

  カズマさんの言葉はあの時のお兄ちゃんに似ていた。

 

 

  そうして私達は元の世界へと戻された。

 

 ーーーー

 カズマ視点

 

  危なかった。もしあの時スティールで下着を盗んでいたら俺の株が大暴落するところだった。

 

「カズマさん何故こんな事を...」

 

「知らね。その場の勢いでやった後悔はしていない。」

 

「馬鹿なんですか?いいえ、馬鹿ですね。」

 

「仲直りして欲しいから。まぁサファイアにはまだ付き合ってもらうがな。...おっと来たな。」

 

  バーサーカーは猪の様に突進して来た。俺は取り敢えず広い所まで逃げることにした。

 

 ーーーーー

 

  ようやく俺は広そうな場所にたどり着いた。バーサーカーは俺に追いつくともう逃がさんぞと言わんばかりに迫って来た。もうここらでいいだろ。

 

「さて行くぞ大英雄(ヘラクレス)命の貯蔵は十分か ⁉︎」

 

「■■■■■■■■ーーーーーッ」

 

 バーサーカーは”誰が貴様なんぞに負けるか”と言う様に雄叫びを上げた。




「どうもツヴァイ編を考えてバーサーカー戦の事をちっとも考えてなかった主です。」
「どうもステイナイトライダーです。あなたツヴァイ編を考えていたけど結局ほとんど覚えて無いじゃ無いですか。いい加減ノートに写してください。」
「ごめんなさい。あと他の小説もやってみようかなとか考えていました。」
「私が主人公のですか⁉︎」
「いいえ、ヒロアカです。最初プリヤじゃ無くてヒロアカで士郎の奴書こうかなとか考えてましたが他の人がやっていたのでそれを読む事にしました。」
「それより私メインの作品を」
「無理!」
「...ベルレ」
「ま、まずい令呪をもって命ずこい、ランサー!」
「ほーん!」
「ランサーの盾」
「何故おれ!」
「ランサーが死んだ!この人でなし!」
「人でなしはあなたですよ。」

「「それではさようなら!」」


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16話 俺本気出します。 byカズマ

京都に修学旅行に行ってきました。座禅体験で最後に”けいさく”とかいう棒で叩かれたい人は残ってくださいとか言ってました。私はドMでは無いのでやりませんでした。殆どや人はやってましたけど。みんなドMだったんですね。俺と同じで叩かれなかった友達はみんな洗脳されてるとか、仏教はドMじゃ無いと出来ないとか言ってました。で一番強い威力で叩かれた人は「何でやらなかったんだよこの意気地なし」とドMが言っていました。「俺お前みたいに痛めつけられて悦びを覚えられるほどやばく無いから」って言ったら何か色々言われた挙句殴られたりしましたね。まぁ俺がダクネスだったら喜んでやっただろうけどな。

それで腹いせに神社でそいつが不幸になる様にお願いして、お賽銭入れました。

あとお坊さんは釣りを8時間して釣れたのは0匹だそうな。なんかシャムににてるなぁと思いました。

シャムお坊さんバージョン

「オイーーース。どうもシャムでーーす。ええ私は釣りをしにきました。8時間待って見ましたが何一つ釣れませんでした。」

面白くありませんか?


  俺はダイナマイト付きの矢を3本つがえ、突撃してくるバーサーカーに狙いを定めた。いつもの俺だったらあいつの威圧感に圧倒され狙いが定まらないだろう。だが、今の俺は精神が今までに無い程研ぎ澄まされている。

 

「”狙撃”」

 

 3本の矢はバーサーカーの顔面に命中し、その瞬間爆発し見事に頭が吹っ飛び、絶命した。

 

 

 

 

 後10回

 

 

 

 

「やりましたか?」

 

 おい、フラグだろ! まぁまだ生き返ることはしってるがな。

 

「エグいな」

 

 木っ端微塵になった頭が治るというよりは一から細胞ごと再生されているように見える。…夢ででてきそうだな。

 

 復活したバーサーカーは俺へと猛突進してくる。弓をしまい、刀を抜き、腕、足、刀を強化し、俺は走り出す。

 

 

 バーサーカーは右腕を大きく振り被り、凄まじいパンチを繰り出す。俺は地面を蹴り、左に避け、更に足を強化し、一歩一歩着実にバーサーカーに近付く。俺は刀をバーサーカーの心臓に刀を刺し、引き抜く。引き抜くときに、バーサーカーの肉を引き裂き、バーサーカーを絶命させた。

 

「や、やったー」

 

 バーサーカーを倒すまでに掛かった時間はたったの数秒の筈なのだが俺は数分戦った気分だ。

 

 

 後9回

 

 俺は距離を置き、弓とライトニングの矢を強化し構える。

 

「”狙撃”」

 

 バーサーカーが復活すると同時に矢を放つ。矢はバーサーカーの心臓に刺さり、心臓の内側から電流が走り心臓麻痺で死亡。

 

 

 後8回

 

 バーサーカーが絶命すると俺は、すぐさま潜伏スキルを使いバーサーカーが暴れ回って出来た瓦礫に隠れた。

 

「あれは一体何回復活するのですか !? 」

 

 サファイアが何か言っている気がするが今の俺には関係ない。さっきの強化魔術で消費した分の魔力を持って来たマナタイト擬きから吸収する。

 

 バーサーカーは俺を探すために…いやあれは完全に建物ごと俺を殺しに来ている。これだから知能の無い奴と戦うのは嫌なんだよ。

 

 

 俺はバーサーカー対策に作ったダイナマイト付きのワイヤーを出し、バインドの構えをする。

 

「■■■■ーーーッ」

 

 バーサーカーは雄叫びを上げ、ビルの柱を壊しながら進んでくる。バーサーカーの雄叫びは耳が壊れそうだ。…本当に少しでも知能があれば俺の大好きな搦め手が使えるのに。

 

「”バインド”」

 

 ワイヤーはバーサーカーの首に絡まった。正直言ってこれは死ぬかどうか怪しい。何故なら、もう既にダイナマイト付きの矢で殺している。一応金属を入れ、破片で殺せる様にはしている。だが所詮気休めだ殺せるかどうかは分からない。けどやるしか無い。…本当に面倒くさい。

 

「”ティンダ”」

 

 ライター程度の火力の炎が飛び、ダイナマイトに着火する。金属の破片が俺に飛んで来る可能性もあるから瓦礫に隠れた。

 

 ダイナマイトが五本全部爆発し終わり、様子を見ると、バーサーカーは火傷跡や破片で体の至る所にあった。よく見ると肺のある所に刺さった跡がある。どうせなら心臓に当たって欲しかった。

 その後バーサーカーは呼吸がだんだん浅く、弱々しくなり絶命した。

 

 後7回

 

 もう俺にはバーサーカーを倒せる道具はない。矢は残り1本、刀はもう何の役にも立たない。

 残る武装はマナタイト擬きだけ。

 もう武器には頼れない。あとは俺のスキルだけ。

 バーサーカーは既に復活し、俺を殺すべく向かって来る。まずは逃げないと。

 

 

 ーーーーー

 

 私衛宮和真ことカズマは逃げています。フェイントを掛けたりし、バーサーカーから必死に逃げております。しかし私の貧弱ステータスではもう限界です。強化魔術も使いました。支援魔法も使いステータスを全て上げ逃げ回りました。ですがもう無理です。逃げれません。…と思っていた時期も私にはありました。そうですスキルを使うのを忘れていました。今までずっと頼って来た最強の魔法がありました。

 

「”クリエイトアース”」

 

 そう、初級魔法です。よっしゃああぁぁこれで勝つる。

 

「”ウィンドブレス”」

 

 俺は砂を飛ばしバーサーカーの目に当てた。

 

「ッ⁉︎」

 

 バーサーカーは痛がっていた。超ざっまぁぁぁー。どうだよBランク以下が効かない?何言ってんだ砂はBランク以上なのか?あっれっれおかしいぞ〜ねぇねぇ今どんな気持ちたかが砂に目をやられるってどんな気持ち?

 

 おっとこんなことしている場合では無い。俺は消費した分の魔力と上級魔法を使う分の魔力をマナタイト擬きから吸い詠唱を始める。

 俺はバーサーカーの視力が戻ると同時に詠唱が終わった。

 

「”インフェルノ”」

 

 上級魔法インフェルノはバーサーカーの体を焼き尽くしバーサーカーは灰になった。表現するとしたらまさしく地獄の業火と言うべきだろう。

 

 …まぁ復活するけど。

 

 俺はすかさず上級魔法を放つ分の魔力をマナタイト擬きから吸い詠唱を始める。

 

「”カースド・アイシクルスピア”」

 

 俺は氷系統の上級魔法を放った。地面から棘の様な形の氷が生えてバーサーカーへと向かう。バーサーカーは負け仕舞いと拳で氷を砕き、前進して来るが無数に生える氷に体を刺され絶命する。

 

 何かこれを繰り返すだけで殺せる気がして来た。

 

「か、カズマ様⁉︎」

 

 おっといけないあともうちょっとでゲスマが発動する所だった。でもなぁ覚えてる上級魔法あと一個なんだよなぁ。

 

 また俺はマナタイト擬きから上級魔法を使う分の魔力を吸い詠唱を始める。

 

「”ライトオブセイバー”」

 

 魔力が手に集中され、凝縮された魔力が電気に変換され、それは両手剣程の長さになった。俺は稲妻の剣が宿った手でバーサーカーに斬りかかった。

 

「うおぉぉ!」

「■■■■■■ーーーッァ!?」

 

 バーサーカーの体は見事に真っ二つに引き裂かれ絶命した。

 

 

 後4回

 

 

 疲れた。魔力が急激に下がったり上がったりしたせいで怠い。

 バーサーカーは俺へと向かって来る。もうなりふり構っている場合じゃ無い。

 俺は抜刀し、バーサーカーの攻撃を受けきるしか無い。幸いまだ強化魔術も支援魔法も消えてない。

 

 もう既に前からは岩の様硬さの拳が迫って来ている。俺は横に避けるが、追撃がやって来る。俺はそれを刀で受け流し、カウンターに一発斜め切りを食らわせる。が、かすり傷程度しかダメージを与えられなかった。やはり俺の攻撃じゃダメか。

 

 

 

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 

 

 本当にやばいあれから数発受け流しているが腕がもう痛い。刀をしまい、全て交わす覚悟をしたが怖くて出来なかった。

 

 もう無理。俺の体力も残り僅か回避してもいつかおいつめられる。

 

 自分でも諦めが悪いと思うが、何か無いかと懐を漁ると一つだけ、たった一つだけあった。アサシンのカードだ。

 

 

「何をしているのですかもうカズマ様は頑張りました。英霊とあそこまで戦える人なんて見たことありません。ですからもう撤退を「ダメだ。それだけは」何故そこまで。」

 

「言ったろあいつが…美遊がイリヤと仲直りするまでの時間は稼ぐって。だから、俺はセイバー戦で出来なかった時間稼ぎを今度こそやってやる。それになサファイア時間を稼ぐって言っても何も戦わなくても出来んだぜ。「な、何をいっ」”クラスカードアサシンインストール”」

 

 俺は光に包まれ光が消えると黒い布の様なものを着ていた。そして、何か体が軽い気がする。これが英霊の力ってやつか。

 

「その…姿は⁉︎」

 

「さあラウンド2だぜ大英雄(ヘラクレス)

 




「どうもステイナイトライダーです」
「オイーーース主でーーーす。」
「…きも」
「酷い。そんなこと言わないで。」
「貴方の方がよっぽど酷いです。なんですか!神に人の不幸をお願いするなんて。」

「聖杯(神)なんでしょ!じゃなんで人の願いを叶えてくれないの」

「それは神は神でも神龍(シェンロン)です。お話が違います。それより貴方本文より前書きや後書きに力入れ過ぎじゃありませんか?」

「そ、そんな事ないよ…多分」

「今なんと?」

「おっとそろそろ書くのめんどくなってきたから終わりにします。」

「「それではさようなら」」


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17話 ごめんなさい

怒ったカズマかっこよくないですか?前にエミヤの記憶を見てイリヤが死んで死ぬ事を知っていたエミヤが助けなかった事を怒るカズマ。カッコ良すぎですね。
最初はカズマはエミヤに似ていると思ってたんですがカズマのイメージカラーが緑なのでどちらかと言うとゼル伝のリンクに似てますね。まあカズマはエミヤとリンクの中間の存在ですかね。

これを作ろうと思った原因は色々ありますがまあ一番はこのすばフェイト風ステータスを見たときに「そうだ!カズマが主人公の物語を書こう」と思ったんですよね。ヒロアカでやろうとしましたけど個性の名前が思いつかないという壁にぶつかったのでやめました。


 私が一人で倒そうと決意し、一人で魔法陣から出ようとした時カズマさんが先に魔法陣から出て私はそれに呆気を取られ動けなかった。カズマさんはもしかしたら私が一人で戦おうとした事を分かっていたのかも知れない。そう考えていたらもう元の世界に戻って来てしまった。

 

 イリヤと仲直り…

 

 それは美遊にとってあまりにも難しい事だった。美遊にはイリヤ以外に友達はできた事は一度も無い。まして、仲直りの仕方などどうすれば良いか。

 

 私がどうすればと考えているとルヴィアさんと凛さんに背中を押された。

 

「行って来なさい。私達が行くのも無粋でしょ?」

 

「ええ、そうですわ。何も難しい事ではありませんわ。自分の気持ちを、そしてどうしたいのかを言えば良いだけですわ。ほら美遊行ってらっしゃい。」

 

「はい!」

 

 私はイリヤの家に向かった。

 

「で、どうすんの?」

 

「なにがですか?」

 

「いや、こんな夜遅くに人様の家に行くっていうのもどうかと思うんだけど。」

 

「あ、」

 

「「……」」

 

 さっきまでは良い事を言っていたのに台無しである。

 

 ーーーー

 

 肝心のイリヤはというと、風呂に入っていた。……アイリスフィールと一緒に。

 何故こうなってしまったのだろう。

 

「ねぇ留守の間なにか変わった事あった?」

 

「えっ?ううん別に。」

「またまたー!あったでしょすっごーく変わったことが。」

「!!」

 

 バレてしまったのか。そうイリヤは思ったが、

 

「ほら、あの豪邸。私来るところ間違えちゃったかと思ったもの。」

 

 どうやら取り越し苦労だった。

 

「セラから聞いたけどイリヤのクラスメイトがすんでるんですってね。どんな子?」

「…み、美遊。」

「美遊ちゃんか、で、どんな子?」

「み、美遊は一人で何でもやる。何でもできちゃう。」

 美遊はみんなでやる事を私が怖気付いて逃げても責めないでまた一人でやろうとした。当たり前の様に。美遊は何でもできる。何でも一人でやろうとする。美遊は一人で大丈夫。美遊は……

 

 

 

 

「本当にそう思う?」

「なんでそうおもうの?」

「だってあなたが大丈夫じゃなさそうなんだもの。本当は心配でしょうがないんでしょ?「それは…」なら手伝ってあげれば良いじゃない。そんなにじぶんの力が怖いの?」

 

 ママは何か知っている様だった。ママが私の力のことを知っている?何故?

「なんで私の力を知ってるの?だったら教えて私の力は何なの!?」

「さぁ?」

「ちょ」

「口答え禁止」

 すると私の頭にチョップを食らわせて来た。

「ともかく私が言える事は一つ。力を恐れるのは間違えよ。だってその力は善悪が無いのだもの。さぁ進みなさい。逃げ出したのでしょう。それなら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーー

 

 

 

 

 はやくイリヤの家に行かないと、そうしないとカズマさんは…カズマさんはどこかお兄ちゃんに似ている。カズマさんは妹のために必死に戦っている。その様子がどこかお兄ちゃんに似ていた。いやそっくりだった。カズマさんまでそうなって欲しく無い。…いや私のしなくてはいけない事をカズマさんを理由にしてはいけない。

 

 私がイリヤの家へと向かい走っていると誰かとぶつかった。

 

「「いて」」

「「あ」」

 

 それはイリヤだった。

 

「「あの」」

「「え」」

 

 何とも会話がグダグダだった

 

「…その……ごめんなさい。昨日は言い過ぎてしまった。私はあんなことを言う資格なんてなかった。なのに私は…」

「私こそごめんなさい。あんな事で逃げ出して、友達を一人にして、そんなの友達じゃ無い。だからもう一度やり直そう」

「うん。一緒に。」

 

 イリヤと美遊は仲直りを成功できたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーー

 

 

 

 

 

 

「お、今日ドラえ○ん3時間スペシャルじゃん。予約しとこ。」

 帰ってきたカズマはリズに感謝するのはまた別のお話。

 

 、

 ーーーー

 

 俺はアサシンのカードをインストールしたおかげで何とか回避出来ている。

 投げナイフはあるのだがこいつには意味がない。それにしても体が異常に軽い。素早く動けるのでもうバーサーカーの攻撃は下手しなければ食らわないだろう。でもそれじゃダメだ。何としても倒さなくては。この英霊の力はこの程度じゃ無いはず。俺は自分自身に解析魔術を掛ける。

 

妄想幻像(ザバーニーヤ)

 

 それがこいつの能力分身。俺は自分を30体にまで分裂させた。

 

「”バインド”」

 

 俺は爆発で壊れてなかったワイヤーを拾いバーサーカーを拘束する。

 そして30人でバーサーカーを襲う。

 

「「「「ドレインタッチ」」」」

 

 バーサーカーはなす術なく体力と魔力を全て持って行かれ衰弱死した。

 

 

 後3回

 

 後あいつの命を奪えるのは爆裂魔法だけか。しかしここでは建物ごと壊れ、俺も死ぬ。斯くなる上は。

 

「偽、テレポート」

「こ、ここは、」

 

 そこは俺が最後に魔王と戦い命を落とした場、世界で最も深いダンジョン。そしてこのテレポートは本当のテレポートではない。こっちに来た時に既にテレポート先は全部消えていた。だがここは俺の心象風景として、残されていた。

 

「固有結界とやらだ。」

「そ、そんな。固有結界は最も魔法に近い魔術の最奥。何故あなたがそんなものを。」

「別に固有結界と言ってもおれの固有結界はちょっと違う。実際にここは存在する。だからここはおれが消そうとしない限り消えない。何ちゃって固有結界だよ。」

「だ、だからですか。…なんかゴミが散らかってますね。」

「そうだよ。ここは固有結界と言う名の倉庫だよ。よく食い終わった菓子のゴミを捨ててるんだよ。」

 そう、特に使うことが無かったから物置にしていた。きっと魔術師が聞いたらブチギレるんだろうな。切嗣に見せたらなんか泣いてたな。

「で、この固有結界(ゴミ箱)でどう戦うんですか。」

「まぁ見てろって。”クリエイトアース”、”クリエイトアースゴーレム”」

 おれはバーサーカーから奪った魔力で砂を出し、バーサーカーから奪った体力を魔力に変換し、三体のゴーレムを作った。

 おれはマナタイト擬きからまりょくを全て吸い尽くした。

「黒より黒く闇より深き漆黒に我が真紅の混交を望み給もう」

 一節、一節読むたびに凄まじいほど魔力が奪われていく。

「覚醒の時来たれリ、無謬の境界に堕ちし理」

 ゴーレムがバーサーカーを食い止めてくれている。

「むぎょうの歪みと成りて現出せよ!」

 めぐみんが究極にまで伸し上げた爆裂魔法。まだその威力には遠く及ばない。おれはサファイアからドレインタッチで魔力をもらう。

「担い手はここに一人異界の地でまたここに立つ。」

 それは詠唱には無かったはずの言葉が脳裏に流れ俺は呟いた。あいつ(エミヤ)の人生の詩の一部が何故⁉︎

 爆裂魔法はもう既に完成していた。俺の両手に宿った破壊の光は二つの剣の形になった。それはあいつの使っていた干将・莫耶だった。

 

 バーサーカーはゴーレムを既に壊し、こちらへと走り出している。

「”狙撃”」

 

 俺は干将・莫耶を投擲した。そして干将・莫耶は互いに引き合いバーサーカーに命中した。

 

壊れた爆裂魔法(ブロークンエクスプロージョン)

 

 剣の形に凝縮された魔力が解き放たれ、凄まじい爆発をした。それはめぐみんの爆裂魔法にも匹敵しうる威力だった。

 

「はは、まじかよ。」

 

 その爆発は固有結界ごと壊した。まさにブロークン‼︎

 

「はやく逃げてください。」

「言われなくてもそうするよ!」

 

 固有結界を解き、脱出した。今のはマジで死ぬと思った。…というか絶対死ぬ。骨すら残らない。

 

 本来はあと2回倒さなくてはいけない筈なのだがバーサーカーはもう居ない。詠唱に夢中でバーサーカーの事をちっとも見てなかったがもしかしたらゴーレムが殺してくれたのかもしれない。だがそれでもあと1回残っている。…そういえばエミヤが威力が高ければ一度に数個奪えるとか言ってたな。

 

「勝っちまったな。」

「ですね。」

「……帰るか。」

「…ですね。」

 

 何ともパッとしない。あっ!カード回収するの忘れた。俺は慌ててカードを探した。まさかさっきの爆発で無くなってないよな?

 

「あった。さて今度こそ帰るか。」

 

 すると目の前にイリヤ達が現れた。なかなか帰れないカズマとサファイアだった。

 

「お兄ちゃん!」

 

 俺はイリヤに抱き着かれた。何とも嬉しい展開だ。ああ、苦労してバーサーカー倒してよかった。

 

「ねぇ、バーサーカーは?」

「ん?ああ、それなら今さっき倒したぞ。」

「「「「「えっ?」」」」」

「本当です皆様。」

「まぁサファイアが言うのであれば本当でしょう。」

 

 あれ?おかしい。みんなに信用されてない。おれの信用度はステッキ以下なのか!?

 

「いや、その…カズマ君ってよく冗談言うからもしかしたらとか。」

「悪かったな。」

「それであいつは何回復活したのですか?」

「10回」

 皆んなはあり得ないと絶句していた。

「てことはカズマ君は一人で9回は奪ったって事?」

「まぁそうなるな。だから言ったろ。バーサーカーを倒す為に徹夜して準備したって。それなのに蹴り飛ばすとか…」

「「すいませんでした。」」

 全く誰のためにここまでやってやったと思ってるんだ。…まぁ取り敢えず守ったぜエミヤ、士郎。こうしてカズマはふたり?の約束を守った。

 

「それより仲直りしたんだな。良かったなイリヤ、美遊」

「まぁこれでこことはお別れですわね。」

「帰りますか。」

「だな。はぁー明日部活か…行きたくねぇ」

 本当に行きたくない。こんな死闘をした次の日に部活とか発狂しちまうよ。それよりふと疑問が浮かんだ。

「なぁ、さっきから全然崩壊してないよな?」

「確かに…!まさか…でもそんな筈ない。」

 そう、8体目…いやアサシンの数を入れたら数十体目なのだが。まさかバーサーカーもアサシンと同じように分身を!?それは本当に勝ち目がない。

 

 〜〜〜〜〜♪

 

 どこからか音楽が聞こえてくる。これはよく聞いたことのある曲だ。まさか!?

 




さぁ次の相手はだれでしょうね?ギルガメッシュかな?
「そんなわけないでしょう」
「なっ!ら、ライダーさん」
「そろそろ本編で出番が欲しいんですけど。私のクラスカードの使用はよ。」
「ごめんなさい。今は無理です。」
「なぜ?」
「カズマがインストールするのはアサシンだけなので。あとイリヤは分身で数体しか出せないそうですがカズマは頑張れば50体ほど出せます。マナタイト擬きを使えばの話ですがね。魔力補給なしでやれば全部使い果たして15体程度です。」


ついでにカズマのスキルを多少表記

ーカースドアイシクルスピア(オリジナル)Aマイナス

地面から無数に氷を出現させる。宝具レベルは魔法使い職が使えばAですがカズマはマナタイト擬きからの魔力補給で通常より多く魔力を込めてAマイナス。

このオリジナルスキルは氷系統の魔法でいいのないかなと探していた時”氷系統の魔法描写面倒いから簡単そうなの作ろう”となりました。

ー強化魔術

カズマの強化魔術は通常の強化魔術とは違いで成功率はスキルレベルと幸運に左右されます。つまりカズマにうってつけな魔術です。

ー解析魔術
強化魔術と何一つ変わりません。以上

「フッザけんなぁぁぁ!最後適当すぎだろ!」


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18話 再会

なんか忙しく投稿が遅れました。多分誤字脱字も酷いと思います
コメントを貰い修正しました。


 この曲聞き覚えがある…抜刀隊だ。それは日本の軍歌。アニメに影響され日本軍が大好きになった俺がわからないはずがない。それに俺の爺ちゃんも日本兵だったもんな。だが問題がある。銃火器を持っている相手に今の装備ではまともに戦えるはずが無い。遠距離武器といえば矢一本…どう考えても戦況は不利。……本当にあれ(・・)を使わないといけないなんてな。

 俺はそう思い切嗣から渡されたキャリコを取り出すが無い。おかしい固有結界にしまっておいた筈なのに……あっ!そういえば固有結界ごとぶっ壊したからキャリコが残ってるわけないじゃん。…やっちゃたぜ☆

「な、なにこの曲?」

「抜刀隊。日本の軍歌だ。つまり相手は、日本軍だ!……勝てなくね?もう帰ろうぜ!一発でも弾丸食らったら大変なことになるぞ。」

 

 本当に無理だ。日本軍の一般装備といえば三八式歩兵銃。つまりスナイパーライフルだ。食らったらひとたまりも無い。更に分隊には必ず軽機関銃を持った奴が一人おり、火力を補うために擲弾兵もいる。手榴弾も室内ではかなりの脅威である。

「冗談じゃありませんわ。こんな極東の古臭い兵士から逃げたと知られたらエーデルフェルト家の恥ですわ。」

「そうよ、それにこいつらも英霊なら私たちの任務の内でもあるわ。なら戦わない理由は無いわ!」

 

 ああもうめんどくせえ。ここいらを一面焦土にでもできればいいんだがそんなことしたらビルが崩れて死ぬ。

 相手は着実にこちらへと向かってくる。俺の残り魔力的に中級魔法は使えて4回、初級魔法は使えて15回程。バーサーカーから奪った体力ならまだ残っている。

 

 パァーン‼︎と発砲音がすると俺はすかさず

 

「”クリエイトウォーター””フリーズ”」

 

 俺は氷の壁を生成し、銃弾を防ぐ。

 

「……天…の…う陛下…万……歳…」

「そ…こく……のため………に」

「…だ…い……日本…帝国…万歳…」

 こいつらは英霊…いや英霊の現象と成り果てようともまだ日本の為に戦おうとしているのか。例え自我が無くなろうとも目の前にあるものを敵と認識し、たった一人の一兵となろと戦い続ける。

 

「イリヤと美遊は魔力砲で弾幕を張ってくれ。俺は側面から行く。凛とルヴィアは魔術で応戦。もし目眩しの魔術があるならそれも使ってくれ。」

 

「分かった(りました。)」

「了解(ですわ)!」

 

 俺は潜伏スキルを使い気配を消し、敵感知スキルで日本兵がいないか探る。美遊とイリヤは魔力砲で機銃掃射している。凛とルヴィアは丸い黒い弾を撃っている。

 

 俺は敵感知に反応があった所に行き日本兵を見つけ、後ろから慎重に近づき刀を振り下ろすが、間一髪のところ避けられてしまった。まさかこんな距離で避けられるとは思ってもいなかった。俺は刀で斬りかかるが、日本兵も刀で応戦する。その一撃は鋭く、速い。俺の剣術じゃまず勝てない。

 

「”クリエイトアース”」

 

 俺は砂を生成し、投げつける。

 

 俺は日本兵が怯んでいる内にドレインタッチを使い絶命させる。奪った体力は俺の3倍はあった。つまりこいつらはやばい。絶対接近戦じゃ勝てない。俺は倒した日本兵から物資を漁った。入手出来たのは三八式歩兵銃と十四年式拳銃に手榴弾一つと三八式歩兵銃の予備の弾薬二十発と十四年式拳銃の予備の弾薬3マガジン。これならいける。

 

 俺は手榴弾のピンを抜き、2秒置き投擲する。

「”狙撃”」

 手榴弾は爆発し、そこに隠れていた三人が死ぬ。

 俺は千里眼スキルを使い三八式歩兵銃を構え、辺りを見渡す。すると、パァーン‼︎という発砲音がし、俺は慌てて隠れる。覗いてみるとさっき俺がいた所に弾がめり込んでいる。まさか潜伏スキルを使っていて位置がバレるとは思っていなかった。位置がバレているのでこそこそ移動する。幸いイリヤと美遊が援護射撃をしてくれているため移動が楽だ。俺は移動し終わり一発射撃する。弾は日本兵の頭に当たり完全に死亡した。

 俺は隠れ、コッキングをし、位置を移動する。これは基本のことだ。銃撃戦では同じ場所で戦っていては場所を特定されやすく、手榴弾が飛んで来たら大変なことになる。ゲームでよく学んだ事だ。

 進んで行くとすぐ近くに三人の反応があった。俺は十四年式拳銃拳銃を取りだし、三発発砲する。その弾は見事に全て頭に当たった。

 

 しばらくすると日本兵が底力を見せて来た。残った日本兵が全員手榴弾や迫撃砲などを撃って来た。

 マジでやばい。このままだと確実にビルが崩れる。

 もう無理と目を瞑りまた目を開くとそこは森…いやジャングルだった。

 

 

 ここはサイパン。それは1944年6月15日から7月9日までの間日本兵とアメリカ兵の戦った場所。7月9日まで戦ったとは言ったが全ての日本兵が死んだ訳でなく、山奥などに隠れて、ゲリラ戦術を繰り広げていた。確か戦争が終わった三ヶ月後まで戦い続けた日本兵達も居たらしい。

「こ、ここは?」

「太平洋のどこか、おそらくサイパン辺りだろう。それよりここじゃあ遮蔽物が無さすぎる。”クリエイトウォーター”“フリーズ”取り敢えず隠れよう。」

「それよりお兄ちゃんその武器どこから手に入れたの?」

「ん?日本兵倒して奪って来た。」

「「「「……」」」」

「お、おい!なんでみんな黙り込むんだよ!」

「カズマ君紛争地帯で生き延びた傭兵かなんか?」

 凛の質問にみんな頷いて俺に聞いて来た。全く皆んなは俺の事を何だと思っているのだろう。

「ふざけんなよ、俺はただの一般市民だぞ。お前らは俺の事を何だと思ってるんだ⁉︎」

「「英霊とまともにやり合うやばい人」」

「お兄ちゃん」

「カズマさん」

「イリヤさんのお兄さん」

「バーサーカーをほぼ一人で倒すバカ」

 サファイアはもう敬語を使ってくれなくなってしまった。しかも罵倒された。

「OKよくわかった。イリヤと美遊とルビーは普通だな。凛とルヴィアは何だよやばい人ってそして、サファイアはなんだバカとは!」

「「「だって…」」」

 こいつらは本当に酷いな。サファイアはバーサーカーとの戦いで一緒に居た仲なのに全く。

「も、もういい!それより早くこいつら倒して帰るぞ!」

 俺は話題を変え、もう心を抉られないようにした。

「なぁイリヤ、美遊空飛んで日本兵が居そうな所に魔力砲飛ばしてくれないか?」

「「さ、流石にそれは…」」

「「あ、あなた最低ね(ですわね)…」」

 アメリカ兵もゲリラ戦に苦しめられて爆撃や火炎放射器、更には戦車に火炎放射器を搭載して離れた安全な場所から火を放って塹壕に居る日本兵を焼き殺したりしたのだからそれよりはまだ優しい方だと思うのだが。

「なんでだよ!アメリカ兵がした事よりは優しいと思うんだけど。それに、今やっているのは英霊との戦いじゃない。これは英霊との戦争だ!もうなりふり構ってる場合じゃない。人数は圧倒的不利、相手は全員武器を持っている。もしかしたら戦闘機だって出てくるかもしれない。それにまた迫撃砲を使われたら大変なことになる。だから、頼む!」

「「わ、分かった(りました)。」」

 イリヤと美遊は空高く飛んで行った。

「シュート」

「ファイア」

 イリヤと美遊は日本兵が居そうな所へ魔力砲を放った。

 

 空高くから魔力砲が日本兵に襲いかかる。

「ガハッ…」

「ガホッ…」

 日本兵は70年の時を経てまた地獄を見る。

 サイパン

 ここは70年前2つの国が戦い地獄となった楽園。鳥たちの囁きはなくあるのは人のうめき声と死体が腐った強烈な匂いと火薬の匂い。そこにはもう自然の楽園はもうない。木は枯れ花は散り、残ったのは死体の山に血の川。武器はその使用者の上に置かれ、まるで墓標のように連なっていた。

 

 俺は潜伏スキルと敵感知を使い横から塹壕と思われる所へ匍匐前進でゆっくりと着実に近付いた。

 敵感知に反応が出た。それは10人ほどの反応だった。手榴弾があれば楽だがもうない。十四年式拳銃はマガジンの残りは五発。リロードしても八発。戦えばまず死ぬ。俺は聞こえない程度に声を出す。

「”クラスカードアサシンインストール”」

 俺は一体の分身を出した。俺は分身に十四年式拳銃を持たせ接近させ俺は三八式歩兵銃を構え千里眼スキルを発動させた。

 分身は少しずつ近づき草木に隠れ日本兵の一人を射殺する。発砲音がすると日本兵は飛び出してきた。

「'狙撃”」

 銃弾は頭に当たり絶命する。俺は茂みに隠れコッキングをして場所を少し移動しまた構えて撃つ。その間俺に銃弾が雨のように襲ってくる。

「”狙撃”」

 俺は素早くコッキングしまた撃つ。それを続けて日本兵を倒す。俺は五発使い切り五人倒し分身は残り五発の十四年式拳銃で残り5人全て倒していた。まさか全部綺麗にヘッドショットするとは思わなかった。

 というよりすぐやられると思っていたがきっと狙いが俺に定まっていたからこいつは狙われなかったのだろう。

 

 俺は物資を漁り十四年式拳銃一丁と百式軽機関銃一丁と手榴弾10個と弾薬を手に入れた。待ちきれない弾薬と手榴弾は爆裂魔法でピカピカになった固有結界にしまった。他にもあったが早く戦いを終わらせたいので後回しにした。

 

 三八式歩兵銃をリロードし分身に渡し手に入れた百式軽機関銃と十四年式拳銃手榴弾を一個装備した。弓矢と刀は邪魔だから固有結界にしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく俺たちは日本兵と熾烈な戦いを強いられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「天皇陛下万歳」」」」」

 

 日本兵は最後の攻撃をしてきた。

 万歳突撃

 それは無謀な事などと罵られてきた行為。だが今の俺たちには脅威だ。なんせ人が足りない。

 イリヤと美遊は魔力砲で応戦するが英霊と成ったからなのか速度がとんでもない。みんなに合流する前に俺は集中砲火を受けたが、分身の装備を全て固有結界にしまわせ分身を囮にして逃げてきた。

 日本兵はもう余裕が無いのか最後の手段万歳突撃をしてきた。

「もうなんなのあれ!撃っても撃ってもきりがない。」

「本当よそれにこんなに人数がいるなんて思いもしなかったわ!」

「ええ、本当ですわ!」

 そう、日本兵は総勢約100人が襲いかかってきているのだ。

「そんなことより威力は無視して広い規模で魔力砲を撃ってくれ!」

 俺は百式軽機関銃で、イリヤと美遊は魔力砲で、凛とルヴィアは黒い弾で応戦している。

「くそ、弾が切れた。」

 俺はリロードせず百式軽機関銃を固有結界にしまい三八式歩兵銃を固有結界から出し発砲音する。それも五発撃ち終わる。三八式歩兵銃も固有結界にしまい十四年式拳銃を抜く。

 

 俺は万歳突撃がここまで脅威だとは思わなかった。確かにマシンガンやらのフルオートの銃が何挺もあれば楽だがそんなには持って無い。

 

 俺は十四年式拳銃も撃ち終わってしまった。もうここは百式軽機関銃に頼るしか無い。

 俺はリロードし発砲する。もう狙う余裕もない。俺は百式軽機関銃を撃ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつけばもう敵は居ない。敵感知を使っても範囲内には居ない。

「終わったのか」

「ええ、そう見たいね。」

「「「「「疲れた(わ)(ましたわ)」」」」」

 俺たちにどっと疲れが襲ってきた。だか休息も束の間。足音がして来た。

 とん…とん…とん

 とゆっくりと歩いて来た。

「「そんな」」

「嘘でしょ(ございましょう)!」

「まじか」

 だが足がおぼつかない。もう体はボロボロで到底戦える様子じゃなかった。

「さ……」

「さいごに……」

「…………らが…たかったな」

 なんと言っているのだろう断片しか聞き取れない。

「最後にみんなと桜が見たかったなぁ」

 そう呟くとその日本兵は倒れ込んだ。その囁きはまるで英霊の現象ではなく、まるで意思を取り戻したかのようだった。そしてその願いは俺の聞いたことのある言葉だった。

 

 

 

 ーーーー

 俺が異世界に行く前日本に住んで居た時。爺ちゃんが死ぬ時に最後に言った言葉と一言一句違わなかった。爺ちゃんは日本兵だった。サイパンの戦いの生き残りだったらしい。俺も爺ちゃんからその時の話を聞いた。爺ちゃんは俺かま産まれた時からいっぱい可愛がってくれた俺の大好きな爺ちゃんだ。爺ちゃんは親よりも俺のことを可愛がってくれて、というか可愛がりすぎて親の立場がないだろと婆ちゃんによく怒られていた。爺ちゃんとよく落とし穴を、作ったりとイタズラをして大はしゃぎしてはお婆ちゃんに二人ともよく怒られていた。そんなある日俺が小学五年生になって夏になった頃爺ちゃんが倒れた。そして医者に”持ってあと三ヶ月でしょう”と言われた。

 

 婆ちゃんは病院に毎日毎日通い初めてあった日のことや結婚したこと、子供が産まれた時の気持ち、子供が結婚した時の気持ち、孫が産まれた時の気持ちを語り合っていた。そして爺ちゃんは

「婆さんや…愛してるよ…この世で一番君を…」

 

「全く恥ずかしい事をよく病院で言えるね……私もあなたの事を愛しています。いたずら好きで孫のカズマとよくいたずらして、生き生きとしているあなたを、貴方達がどんないたずらをするか、その毎日毎日がずっと続いて欲しかった……そして、優しくて子供ぽくていたずら好きな貴方を……心から愛しています」

 

 

 

 俺も土日はお見舞いに行った。爺ちゃんは明るく元気に接してもしかしたら俺より長生きするんじゃないかとも思っていた。けど病状が悪化して爺ちゃんからは元気が無くなっていった。爺ちゃんは

 

「最後にみんなと桜が見たかったな」

 と、最後にそう呟いて息を引き取った。その年は雨がひどく桜が全て散ってしまった。だからその年は家族みんなで桜を見る事は出来なかった。

 

 ーーーー

 

 俺はすぐ走ってその日本兵を支え、ゆっくりと楽な態勢にさせた。

「爺ちゃんか⁉︎いや佐藤茂か?」

「って事は孫のカズマか?大っきくなったな。」

「生前の記憶があるのか?」

「ああ、あるさ英霊は自分が全盛期の時の肉体で召喚されるが記憶は老人のままだ。」

「お兄ちゃんその人誰?」

 イリヤ達にはこの事をどう説明すればいいか

「ねえ誰?」

「俺が引き取られる前一緒に暮らした爺ちゃん。」

(おいカズマどういう事だ?)

(いいから話し合わせろ)

(了解。それにしても良かったなこんな美人達に囲まれて)

 いや、俺の経験上凛とルヴィアからは、残念臭がする。これはアクア達ほどでは無いがダメな系だ。

 

「そうだったの?」

「あ、ああそうだよ。」

(なあカズマ)

(なんだよ。)

(あんな幼気な少女を騙していると心が痛むんだが)

(……耐えてくれ)

(なあカズマ(なんだ?)頼みが在るんだ……もう俺はすぐ消えるだからそれまで一緒にいてくれないか?)

 それは爺ちゃんの願い。あの時は叶えてあげられなかった。なら今回は絶対叶えないといけない。

 

「それだけでいいのか?」

「ああ」

 俺は爺ちゃんを腕の中にしっかりといれた。

 

 

「ああ、いいのう。孫の腕の中で死ねるなんて俺は世界一の幸せ者だよ」

「何いってんだよ爺ちゃん!桜をまだ見てないだろ!あれは最後に死ぬ前に心から叫んでたじゃないか⁉︎」

「いやいや、これだけで俺は幸せ…者…だ…よ……」

 爺ちゃんは光になって消えていった。もう俺の腕にはさっきまで感じていた温もりがもう無くなっていた。

「お兄ちゃん」

「カズマさん」

「「カズマ(君)」」

「さあもたもたしないで帰ろうぜ……」

「お兄ちゃん…涙」

「えっ!?」

 俺は知らずに泣いていたらしい。その後に悲しみがこみ上げてきた。もう17いや精神的には29になって妹の膝の上で泣いた。

 みんなは気を遣って二人っきりにしてくれた。

 

「悪いな、こんなに弱くて妹にみっともない姿見せちゃうお兄ちゃんで。」

 

 泣き止んだ後拾える限り弾薬と爺ちゃんの持っていた日の丸の鉢巻きを拾って脱出した。

 

「終わったな。」

「ですわね」

「そうね」

「「うん」」

「そういえば日本軍のカード無かったな」

「ええ、恐らくイレギュラーな事が起きたのでしょう」

「そうです。鏡面界とは並行世界との境目、つまり何が起きても不思議じゃありません。そう、きっと」

 

 

 

 

 そう、きっと冬木に現れた英霊達に共鳴され日本に眠る英霊達が呼び起こされ、発生したイレギュラーだったのかもしれない。虚数の彼方にいる日本兵達が偶然にも飛ばされたのかもしれない。

 その体が朽ちようとも魂は日本に残り続け日本の地に現れる。例え誰にもその魂が誰にも気付かれなくとも日本の英霊達の武器が、その担い手が日本の英霊を忘れることはない。

 

 この身は大和ために出来ている。

 決して心は砕けず血の一滴まで大和ために捧げる。

 己に許されたのは勝利か死のみ

 何度死のうとも靖国神社に入り生まれ代りまた戦う

 彼らの死体は山を成し血は川となる

 そう、きっと彼らは永遠に大和を守り抜くだろう




十四年式拳銃
八発装填
口径8mm
全長230mm
重量890g
有効射程50メートル

他はあとに説明します

こんな感じで日本軍を出しました。これは普通のステイナイトの方のサーヴァントです。本読んでたら鏡面界は並行世界との境目とか言ってたのでじゃあステイナイトの奴とも繋がるのでは!と思い入れました。クラスはバーサーカーです。土方さん的な奴です。ここが新撰組だ!的な感じでここが大和だ!とか言うんでしょうね。ほらゼロの時もランスロットが最後自我戻してたじゃ無いですか。だから大丈夫かなぁ〜と入れました


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19話 日常

戦闘シーンを書くのが苦手な俺には嬉しい日常シーン。けど日常シーンを長くやると本編進まなくなっちゃう。


 戻ってきた俺達は疲れて座り込んだ。俺は夜空を見上げてルヴィアに尋ねた。

「なぁ今何時?」

「もう土曜日の0時を過ぎていますわね。」

「まじ?……はぁしんじられねえよな俺…あと8時間後には部活だぜ!過酷すぎるだろ!社畜にも匹敵するんじゃないか俺の苦労。」

「カズマ君言ってる事がおっさんよ。」

「16歳なんですけど。」

 精神的には29歳くらいなんだけどな。

「はぁ…帰るか……あっそうそう。借りてたアサシンのカード返すわそんじぁ行くぞイリヤ。」

「あ、待って」

 俺はすぐさま家に帰った。

 

 カズマは凛とルヴィアがカードを巡って争う事など知る由もなかった。

 

「これから風呂入れるかな?」

「無理だと思うよ。」

「だよな一応風呂入ったけど走ったりして汗かいちまったしな。濡れタオルで体拭くか。」

 俺達はそんなこんなで家へと辿り着いたが問題がある。そう、鍵が掛かっていたのだ。

 俺は強化魔術で足を強化した。

 ついでに冒険者カードを取り出し、見てみるとにレベルが上がっていた。なんとレベル60を超えていた。しかも後もうちょっとで70まで行く。でもおかしい。俺の弱さならヘラクレスを何回も倒した地点で100行きそうなんだけどな。もしかして俺がだんだん強くなってきてレベルが上がりにくくなってきたのか!

 

「じゃイリヤも転身して二階に行くぞ。」

「やだ。疲れたお兄ちゃんお姫様抱っこして。」

 イリヤを見ると目がしょぼしょぼしていて眠そうだったというか寝ぼけてた。

「しょうがねーなぁ!」

 やはり俺はちょろいと思う。

 俺はイリヤをお姫様抱っこして自分の部屋まで跳んでいった。

 俺は行く前面倒いから網戸のまま行った事が功を奏し、窓から部屋に入る事が出来た。

 俺はイリヤを部屋で寝かせ、タオルで体を拭き寝巻きに着替え寝た。

 

 

 次の日

 

「怠い。」

 俺は朝起きて着替えをし、ある事を思い付いた。自分がこんな朝早く(6時半)に起きてイリヤが寝ているのが癪だから腹いせに起こして休日の惰眠を奪ってやろうと決意した。

 

「イリヤ起きろ!もう8時になるぞ!今日学校だろ遅刻するぞ(大嘘)」

 

「ん……お兄ちゃん…えへへ」

 

 イリヤは俺の肩に両腕を乗せ顔を近づけてきた。

 

「い、イリヤさん⁉︎ 寝ぼけてるんですか。」

 

 俺は手を離そうとしたが意外にも力が入っていてなかなかてを離すことができない。

 

「おはようの……」

 

 もしかして

 

「ちゅー…」

 

 朝のキスですかぁ!!!

 その時おれの唇とイリヤの唇が触れた。

 

「ッ!!!」

 

 なんと舌がだんだん伸びておれの唇に触れた。できる事ならもっとこれを続けたい。

 

 ずっと永遠に。

 

 そんなことを考えていると、あともう少しで口の中に舌が入って来てしまう。…落ち着けエミヤカズマこういう時どうすればいいか俺はゲームで学んだはずだ。俺がそう考えているとイリヤが目を覚まし唇を離した。

 

 少し勿体無い気がした。

 

「ん?」

 

「あのーイリヤ…」

 

 イリヤは自分が何をしてたのかを理解し叫びそうになっていた。これはまずい。もしこれでセラにバレたら殺される。

 

「ストップイリヤ!」

 

 俺はイリヤの口を押さえまず落ち着かせた。

 

「ま、まあ寝ぼけてこんな事が起こる事もあるさ。」

 

「そ、そうだよね」

 

 俺はイリヤの部屋から出て行こうとした。その時振り返って一言言った。

 

「そうそう。今のお兄ちゃんの”ファーストなんたら”ってやつでした。」

 

 俺のファーストなんたらはもうダクネスに取られたが体が若返っているからきっとそれも取り消しのはずだ。だから多分イリヤがおれの”ファーストなんたら”だろう……多分。

 

「ッ!!!」

 

 俺は一階に降りてセラの作ったご飯を食べた。

 

「はぁ部活怠い。めんどくさい何もしたくない。」

 

「何ニート発言してるんですかしっかりして下さい長男なんですから!」

 

 元ニートの俺にニート発言と言われても。

 

「じゃあセラ養って。いや…俺の為にご飯作ってくれ」

 

 俺は最後だけイケボで言うとセラは

 

「病院行けば」

 

 と冷徹に俺にそう言い放った。

 

「でもなんで訂正したんですか?あなたの事だから養ってくれとかいうと思ってたのですが」

 

「あのー怒らないで聞いてくれます?」

 

「はい?別に真面目に働くという事でしょう。怒られる所なんて…」

 

「実はさ、株あるじゃないですか?「はい」でですね、一万円を元にやってみたんですがなんかうまいこといって百万円ちょいに成っちゃいました。てへ☆」

 

 俺はセラにぶっ飛ばされ、帰ってきたらお話がありますと言われた。

 

 部活へのアンチテーゼ

「帰りたい♪帰りたい♪楽しいゲームが待っている♪帰りたい♪けど帰れない♪これから部活が待っている♪嫌だなぶーかつ♪」

 

 家に帰り隊

「前を望めば部活なり家に帰ればセラ怒る。部活のところへ行かざるは我が身の為なり俺の為。」

 

 俺は部活に行く間に適当に考えた替え歌を歌っていた。全く朝っぱらから何をやっているのだろうと自分でも突っ込みたくなる。

 

 朝は疲れていたのに今はとても元気だ。なんというか魔力が満ち溢れるような。いつからだろうと思い出すとイリヤとキスした時だ。まさか俺はイリヤとキスする事で真の能力に目覚めるのか!…んなわけないか。もしそうだったら完全に俺は変態だ。でも魔力がみなぎってくるって事は俺変態?

 

 部活の最中イリヤとの朝の出来事を思い出してしまい集中出来なかった。

 

「おいおい、どうしたカズマ顔が真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃないのか?」

 

 慎二が内心は心配しているのであろうが、平常心でそう尋ねて来た。

 

「そんなに赤いか?」

 

「ああ、トマトみたいだな。もう今日は帰った方が良いんじゃ無いのか。」

 

「いや熱はないよ。多分頭に血が上ってるだけだろ。」

 

「…それも十分危ないと思うんだが。」

 

「偶にあるから大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。」

 

「べ、別に心配なんてしてないよ!ただ忠告しただけだ!……それより、偶にでも頭に血が上るって危険じゃないのか?病院行けよ。」

 

 今度は慎二にさえ病院行けと言われた。果たして今日何人に病院行けと言われるのやら。

 

 

 部活も終わり残るはセラの説教。

 俺はそれにも耐え抜いた。

 

 

 俺は精神的に疲れたのでリビングで録画していたアニメ鑑賞をしようとした時、まさに神が降臨したのであった。なんと俺が諦めかけていたドラ○もん3時間スペシャルが録画されてあったのだ。

 

「あ、それ昨日録画しといたやつ。」

 

「まじ!リズが録画しといてくれたの!ありがとうございます」

 

 俺はリズに深く感謝した。

 

 そして3時間スペシャルも見終わり、夜慎二とB○3をした。その時何故かこれまでに感じたことのない程の悪寒が走った。

 そんなこんなで土曜日が終わる。

 

 次の日

 日曜日は特に何も無かった。そうお昼までは。

 イリヤの部屋からガラスが割れる音がした。俺は慌てて固有結界から十四年式拳銃を出しイリヤの部屋に入った。

 

「どうしたイリヤ!大丈夫か…」

 そこにはメイド服の凛がいた。

 

 事情を聞くと昨日俺達が帰った後カードをめぐる争いで宝石をほとんど使い、更に魔術師達の居る所から日本で協調性を学べだのカードを解析しろだの言われ、宝石を買うのにも金が無く、金に困りバイトをするがそのバイト先がルヴィアの家でパワハラを受けたと。そして、腹いせにツボでルヴィアの頭を殴打して来たと。

 

「人の頭蓋はツボよりも薄いですよ凛さん!」

 

「「そっか、そんなにお金に困ってたんだな(ね)。」

 

「同級生と小学生に同情される時が来ようとは……」

 

 確かに学校では優等生だったはずの遠坂凛がここまで堕ちようとは誰も思うまい。

 

「ところで壊したガラスどうすんの?」

 

「ああ、それは変化魔術で直しておくわ。」

 

 つまり何か物を壊しても治せるということ。だったら今度誰かの物を壊した時の為に習得しておこう。

 

 俺は冒険者カードを取り出し変化魔術を習得した。3ポイントで習得できた。

 

 その後美遊が窓から入って来た。美遊は凛を呼び戻しにきてお話をしていた。その後ルヴィアも窓から入って来た。

 

 

 玄関から来いよ。

 

 

 

 ルヴィアが凛に良いこと言って締めて一件落着下かと思われたが、俺達は見てしまった。ルヴィアが去り際に見せた邪悪な笑みを。それは”こんな面白い玩具を手放してなるものか”と雄弁していた。

 

 その後凛がルヴィアに560万を請求され373時間タダ働きしたのはまた別のお話。




ガラスを直すのって変化魔術で良いんでしたっけ?
セキスイハイムの替え歌はどうでしたか?学校でよく歌ってましたこれとはちょっと違いますけど。抜刀隊の替え歌の方は1分クオリティーです。

一応セキスイハイムの替え歌を
帰りたい♪けど帰れないまだまだ授業が待っている♪
帰りたい♪けど帰れない♪これから部活が待っている♪

こんな感じですかね

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ツヴァイ
1話黒イリヤ⁉︎


いやー違う作品に力入れすぎてこっちが疎かになってましたね


 火曜日

 それは悪夢の日。月曜日は部活が無いから一番好きだ。だが火曜日は部活があり、休日までのあまりの長さに絶望する。そんな日凛とルヴィアに呼び出された。

 高圧縮魔力を注入するらしい。だが俺は行けない。

「悪りぃ今日部活だ。」

「そお、じゃあイリヤ借りるけどいい?」

「イリヤ達が居ないとできないんだろ。それに俺呼ばれても多分することないぞ。」

「そうよね。じゃあこの件は私達で終わらせるわ。」

「分かった。そんじゃあ。」

 午後の授業も終わり部活の時間になった。

 

 そして部活も終わり家へと帰宅した。

「ただま。」

「おかえりなさい。」

 こうして悪魔の火曜日が終わり水曜日へ。そういえばイリヤがなんか疲れてたな。まあ高圧魔力を注入するんだから疲れるのは当たり前か。

 俺は日課の石に魔力を込める作業も終った。

 

 俺は学校に行った。お休みまで今日を入れてあと3日か。長い。

 俺は今日も凛達に呼ばれたが『部活』と答え、その場を去った。

 

 カズマはイリヤが2人になり、凛達はそれを伝えようとしたなんて知る由もなかった。

 

 そうして部活の時間になってしまった。やはり俺の最大の敵は部活かもしれない。部活と比べたらヘラクレスなんてただの雑魚のような気がしてきた。

 俺は弓を構えて放つ。当然ど真ん中。

「流石カズマと言ったところか。褒めてやるよ。」

「じゃあ俺と勝負するか?」

 すると慎二はすぐさまあやまった。

「すみませんでした!」

「へ」

 俺は顧問にもっと的を遠くしてやると言われた。そんなめんどいことしなくていいのに。

 40メートルの距離が一気に二倍の80メートルにまで離された。しかも的も小さくされた。

 そして顧問が当てられるもんなら当ててみろと言ってきた。流石にこれにはカチンときた。

 いいだろう、俺の実力見せてやる。もちろん狙撃スキルは使わない。

 俺は神経を集中する。

 周りのみんなはそれを真剣な表情で見守る。

 そして俺は放つ。射形は完璧。

 矢は的のど真ん中に当たる。

 みんなはそれに驚き声も出せていなかった。俺は顧問にドヤ顔で言った。

「ほら当ててやったぞ。」

 俺は完全に勝った。

 顧問は余程悔しいのか次はもっと小さくしてやると言ってきた。いやあれは悔しがって無いな。俺がどこまでやれるか試したいだけだあれ。

 別に的が動かないならどんなに離れていても変わらないと思う。

「すごいです先輩!射形も凄く綺麗でしかもど真ん中!」

「くそ!また腕上げやがったな。もう上げんなよ!俺が追いつかないだろ!」

「ねぇねぇ、悔しい?ねぇねぇ慎二君そんなに悔しいでちゅかぁぁ?」

 俺は最大限慎二を煽った。

 こうして部活も終わり家へと帰宅した。俺は家に帰ると豆の皮むきをセラに頼まれた。

 俺は豆の皮むきが大好きなのだ。終わるまでずっと同じ作業を無心ですることに快感を覚えてしまった。例で言えば、プチプチを潰す時のような感じだ。

 しばらくするとイリヤが帰ってきた。

「ただいまお兄ちゃん。」

「イリヤおかえり?」

 イリヤの肌は浅黒かった。1日でこんなになるか普通?

 するとイリヤの口からとんでもない言葉が出てきた。

「ねぇ、お兄ちゃんはどんな女の子が好きなの?」

 ふぁッ⁉︎イリヤはそんなこと聞いてくる子だったか?

 

 

 

 ーーー

 

 最悪。今お兄ちゃんと一緒にクロがいる。というかルヴィアさん家の警備ザル過ぎない!

 しかもとんでもないことを聞いている!

「恐らくクロさんは段落をひとつ繰り上げたのでしょう。」

「どど、どういうこと?」

「にゃろうの目的はズバリカズマさんです。その為に本物のイリヤさんが邪魔だったんですね。けど手出しできなくなったから今度は直接接触に行ったと。」

 最悪、最悪の敵だわ!これまで戦ってきたあの英霊より最低最悪の敵!

 

 

 

 

 ーーー

 果たしてイリヤはこんなにも大胆な子だったのだろうか。まさか何かがきっかけで覚醒したとか。

 大胆なイリヤ……ありだな。

「そ、そうだな強いて言うならロングヘアーで優しくて、包容感があって養ってくれる人?かな。あっ!あとポニーテルも好きだぞ。」

 俺はついパラサイト欲が出てしまった。でもその願いは本当だから。

「ニート発言ね。ロングヘアーか。じぁ私もストライクゾーン?」

 また大胆な発言を。

「手を出したら俺捕まるんですけど。」

「ええ、いいじゃん。私通報しないよ。」

 まじすかぁ。いやでもセラに殺される。取り敢えず話題を変えないと。

「そ、そんな事より肌どうしたんだ。1日でそんな日焼けするもんなのか?」

 これなら大丈夫なはず。

「んー?気になる?」

「そうだな。」

 早くなんとしても話題を変えなくては。

「お兄ちゃんてば妹の肌がそんなに気になるんだぁ。」

 どうやら地雷を更に踏んだようです。

「お兄ちゃんの肌フェチ。」

 肌フェチ⁉︎いつどこでそんな言葉覚えた。俺がそんな言葉覚えたの元の世界の15歳になった頃くらいだぞ。

 ーーーー

「なんて事!テロだわ!これは兄妹の仲をやばい感じに破壊するテロだわ!」

 でもお兄ちゃんの好みを聞けたのはラッキーかも。養ってくれる以外は。

「でもこれってイリヤさんが望んでいた事じゃないですか?ほら膝枕の件も。」

「は⁉︎何を」

「本当は兄妹の枠を超えたいのでは?壊したいのでは?クロさんはそんなイリヤさんの気持ちを直接的に表しているような。」

 それじゃまるで私が偽物みたいな言い方。だからって許せるわけじゃない。

 私は自分で自分にマジビンタをした。

 ーーー

 俺は何が起きているのか理解できない。イリヤが突然頬を押さえながら悶絶し始めた。

「だ、大丈夫か?頬押さえて、虫歯なんじゃないのか?」

「い、イリヤめ、それなら最後に、お兄ちゃんチュー!」

 イリヤはキスしようとしてくるといきなり悶絶して足を押さえ始めた。その歳で骨粗しょう症ですかね。もしくはいつのまにか骨折。

 

 あ、ありのまま今起こった事を説明するぜ!イリヤが大胆になったと思ったら頬を押さえ悶絶したかと思ったら、いきなりキスしようとして来た。そして今度は足を押さえて悶絶し始めた。

 な、何を言ってるか分からねぇだろうが俺も何言っているのか分からねぇ。一つ言えることは虫歯だとか骨粗しょう症だとかそんなチャチなもんじゃねぇ。

 

 するといきなり凛とルヴィアがイリヤを攫っていった。その時クロを借りて行くとか言っていた。なんで?それよりクロとは誰の事だろうか。人違いだよな?

 

 俺は玄関へと向かった。

 するとイリヤと美遊が居た。

「あれ?イリヤさっき凛とルヴィアに…」

「じ、実は…」

 イリヤは2人に分かれたらしい。そしてさっきの黒い方のイリヤは黒い事から名前がクロにされたそうな。犬かよ。そして戦闘もしたらしい。剣をどこからか出してくるらしい。倒した後イリヤに攻撃出来ないように痛覚共有の呪いをしたらしい。痛覚共有。それは俺のトラウマでもある

 そしてアーチャーのカードが消えていたらしい。つまりあいつはエミヤの力を使えるということか。強くね?俺勝てへんよ。だが疑問がある。イリヤが二人に分かれても肉体までは流石に分けられない。はたして肉体はどうしているんだろう?

 

 そして凛とルヴィアは俺に伝えようとしたが部活と俺は言いすぐさま去ったから言えなかったそうな。

 悪い事をしてしまった。

 

 

 

 

 俺は風呂も入り終わり午後10時に寝ようとした。

「はぁ、疲れた。明日も学校とかめんど。」

 俺はベットで横たわり天井を見上げた。するとクロがいた。

「はぁい、お兄ちゃん。」

 いつからそこにいたのだろう。俺は起き上がろうとしたが、クロは天井から降りて抵抗出来ないように腕を掴まれた。抵抗しようにも力が強くて抵抗出来ない。俺こんな弱かったけ?

 

 クロの瞳は獲物を捕まえた肉食動物のようだ。

「な、何が目的だ?」

「んー?魔力補給。」

「なら…」

 ドレインタッチでと言おうとしたが口を塞がれてしまった。そう、クロの口で。

「ッー!!!」

 なんと俺の口の中に舌が入って来た。体から魔力がだんだん無くなっていく。

 俺は抵抗する術もなく口の中をクロの舌に蹂躙される。舌と舌が絡まり、いやらしい音を立てる。だんだん頭がクラクラして頭がちっとも働かない。本能がこのまま堪能しろと言っている。

 だが俺は我慢する。べ、別にそんなことする度胸が無いとかそういうわけじゃ無いんだからね。

 俺はクロに全魔力を持っていかれた。

 

 キスが終わりクロは俺の口の中から舌を出す。その感触でさえ気絶しそうになるほど。口から離れた舌からは唾液が糸状に伸び、クロは勿体無いとばかりにそれを啜る。

「ふぅ、ご馳走さま。」

 なんとまあそんな言葉を言えるものだ。俺はその甘い言葉にドキッとする。出来ればもっとキスしたい。そんな欲望が湧いてくる。

「なぁにそんな顔して、だらしない。もっとして欲しいの?ならお願いしますキスして下さいって言えたらしてあげてもいいわよ。」

「はぁはぁ……いえ、理性…が吹っ飛びそうなので遠慮しておきます。」

 俺はあともうちょっとでお願いするところだった。あのクロの魅了はサキュバス並みだ。

「全くヘタレなんだから。」

 俺はまだ呼吸が荒い。

「そじゃあね、お兄ちゃん」

 クロが帰ると俺は魔力切れのせいかすぐ意識が無くなり眠りに就いた。

 

 

 

 次の日俺は目が覚めた。体が異常に怠い。これはあのキスの影響なのか?というかキスで魔力補給とかどこのギャルゲーだよ。

 俺は制服に着替え朝食を摂り自転車で学校に向かった。

 俺は普通に授業を受け午前の授業が終わった。

 一方その頃イリヤが大変な事になっているなどカズマは知る由もなかった。

 

 

 数日後

 俺は普通に学校に居たが、小学校の先生藤村大河に呼び出された。というか連れてかれた。

 なんでもイリヤがドッチボール中に倒れたらしい。俺は取り敢えず顧問に伝えて小学校に向かった。その時顧問がエアガンで使う様な小さな的を持っていてせっかくお前の為に準備したのにと言っていた。しかもそれを昨日の80メートルの距離でやらせようとしてたのだから驚きだ。

 

 

 時刻は多分五時。

「ん、んお兄ちゃん?」

 イリヤは目が覚めたらしい。

「よう、目が覚めたかイリヤ。…それにしてもドッチボールで意識失うとか…ぷぷっ」

「う、うるさい!」

 俺は笑うのを堪えていたがやはり無理だった、

 俺は学校に自転車を置きイリヤを負ぶって、てくてくと帰った。

 

 

 次の日の夜。

 一家はピンチを迎えた。なんと風呂場がぶっ壊れたのだった。なぜかと言うとイリヤはクロが現れてから弱体化したらしい。それでじぶんでも出来る事を増やそうとし、特訓したらしいが事故で風呂場に魔力砲が飛び風呂場がぶっ壊れたのである。

 

「と言うわけでお風呂をお借りしたく参上仕った訳なのですが」

 という訳で今に至るのである。なんとも馬鹿馬鹿しいことである。

 俺達はルビィアの家に上がらせてもらった。

「美遊は浴場まで案内して差し上げなさい。ついでに貴方も入るといいわ。」

「じゃあ俺はみんなの後に入るわ」

「カズマ様」

 後ろから気配なくいきなり現れた老人の執事はアサシンの様だった。今のが戦闘だったら確実に殺されてた。よくみると服越しからでも分かる鍛えられた筋肉。只者じゃないとだけ分かる。俺なんて握られただけでミンチになる気がする。

「何でしょうか?」

 不覚にも俺はオーラに圧倒され敬語を使ってしまった。

「ふむ、カズマ様はこちらに、私は使用人のオーギュストと申します。使用人用で恐縮ですが小浴場がございます。」

 俺はオーギュストに肩を力強く握られ連れていかれた。

「いだだだぁ!み、ミンチになる!俺の肉がミンチになっちゃう!」

 

 俺はその使用人専用の風呂場に連れていかれ今は体を洗っている。

「お背中をお流しいたしましょうか。」

「い、いえ結構です。」

「ほお、私に洗われるのはお嫌だと?」

 その表情は、拒否権なんてないと言っていた。

「いえ、是非。」

 俺は今絶賛背中を洗われています。でもめちゃくちゃ痛いです。このジジィ俺の事を洗濯物か何かかと思ってるんじゃないのか。

 

 ほぉ鍛え方はまずまず。ですが足りませんね。

「貴方はルヴィア様と共闘関係にあります。女性を、ルヴィアを守り抜く覚悟はお覚悟はおありですか?」

「一応あるよけど優先順位はイリヤだ。妹だから当たり前だけどな。その次は最近現れたクロ。聞けばクロが現れてからイリヤは弱体化したんだろ。つまりイリヤはクロと2つに分かれたと考えられる。だからさ、クロは妹な訳だろ。だからクロを守る。まあどっちも守りたいけど。どっちもなんて駄目か?」

 ほほうこの男はそこまでは覚悟は出来ていると。

「いえ素晴らしいと思います。つまりイリヤ様とクロ様は守り抜く対象としては同等という事ですか。ではその次は?」

「美遊かな、イリヤに出来た友達だし、それにもうしないと思うけど一人で解決しようとするからさ、そんな無理している子は守ってやりたくなるもんだろ。」

 

 

 ーーーー

 本当は違う。士郎に頼まれた。だから俺は美遊を守る。士郎は、あいつはあまりにも報われなさすぎる。ならあいつの願いくらいは叶えてやらないといけない。でもあいつも一緒に美遊と海に連れて行ってやりたかった。

 

 

 ーーーー

 ほほうそこまでとは。だがそれではルヴィア様はどうなる。

「ではルヴィア様と凛様は?」

「あいつらは美遊の次だ。というか俺が守らなくてもしぶとく生き残ると思うんだが、聞いたぞルヴィアのやつ頭にでっかい石が落ちて血だらけになってもピンピンしてたとか。むしろ俺が助けるなんて余計なお世話かもな。でも一応助けたに入るかは分からないけどバーサーカ相手に俺だけ残って戦ってやったぞ。まあアサシン戦の時は怪我で行けなかったけどな。本当に情けないな。」

 まさかここまでとは、見るからにチャランポランだと思っていたがちゃんと考えていたらしい。

 

 

 ーーーー

「あの、もうのぼせたので出ていいですか?」

 そう、俺は顔がゆでだこみたいに真っ赤になっていた。クラクラもする。

 

 一方その頃

 なんとなセラ達を誤魔化せた。あともう少しでクロの存在がバレるところだった。というよりあれは誤魔化せたのだろうか。

 そしてクロは何故か怒ってしまった。私はただ元の生活に戻りたいと言っただけなのに。

 そしてクロは風呂場を壊しどこかへ行ってしまった。

 

 

 

 ーーー

 俺は風呂から出ると美遊に声をかけられた。

 どうやらクロが怒って出て行ったらしい。理由はイリヤが元の生活に戻りたいと願ったからだろう。その願いは美遊達との出会いを全否定する内容だった。クロにとっては消えろと言われているのと変わらなかった。だがイリヤはそれを理解していない。

「なあ美遊、イリヤはそれを理解していると思うか?」

「いえ。」

「だよな、どうすればイリヤとクロは仲直りできるんだろうな。」

「「……」」

 二人とも答えは出なかった。

 

 




はい、キスシーンは俺の思いつきでやりました。後悔はしてない。
てきとうにやったら力入れすぎましたね


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2話 対立のクロ

テストが終わった喜びにより書きました。
ワーク辛いですよね。タイムラインでふざけたこと書きましたもん。

こしあん詠唱
体はペンで出来ている
血潮はインクで、心は紙
幾たびの勉強しても終わらない
ただ一つのワークの終了はなく、ただ一度の丸つけもなし
俺は一人ワークの丘で路頭に迷う
故に俺の勉強に意味はなく
現状は無限のワークが残っていた。

俺は言った。二度とワークを見たくない。出来ることなら提出物全て出したくないと。俺が斬り伏せようとしたのは自分自身(評価)信じていくもの(通知表)の為にペンを振るった。テストは終わりもはや引き返す道などない。ただ答えを見た。(ワークを終わらせる為に)
この結末をこしあんは未来永劫に呪い続けるだろう。だがそれでも俺は間違ってなどいなかった。…キリッ

すいません


 学校が終わり下校時刻となった。

 今日はどこも部活がない。そう、テスト期間中だからだ。下駄箱を見ると手紙があった。まさかラブなレターか!

 

 そんな訳ないかと気楽に開くとそれはクロからの招待状だった。

 

 なんだこの適当な地図は、地図は手書きで書かれ大体の位置が書かれていた。手紙には一人で来いと書いていた。

 俺は校舎の裏に行きテレポートで自分の部屋に転移した。

 敵感知を使ってみたが反応は2つ。セラとリズだ。俺は紙に行き場所を書き二階から飛び降り目的地へと向かった。

 途中テレポートで消費した分の魔力を得るためにドレインタッチで木などから枯れないように魔力をほんの少しずつ吸った。

 

 

 場所は森。近くに海がある。と言っても浜辺がある訳ではなく断崖絶壁だ。

「ここ…か、それにしても随分てきとうな地図だな。」

「悪かったわね出来の悪い地図で。やっほーお兄ちゃん。」

 クロは海の岩場に居た。

「よ、クロ。要件ってなんだ?それよりそこ危ないぞ。流されても助けるの無理だからな。早く登って来い。」

「ま、立ち話もなんだからとりあえず座って。」

 気付かないうちにクロは俺の後ろに立ち俺を恐らく投影したであろう椅子に座らせた。

「そっか、それならそうするか。クロの分の椅子も出さないのか?」

「私はこのままでいいわ。それより本題に入りましょう。」

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロは嬉しかった。兄と話せる事。兄が敵対しない事。それがもし風呂場の出来事を知らなかったとしても。

「ねえお兄ちゃん。風呂場の件の事知ってる?」

「知ってるぞ。美遊から聞いた。イリヤと敵同士になった……

 だろ?」

 兄はそのことを知っていた。なのに来てくれた。つまり私を選んでくれた。

「それを知っててなんで来たのかな?」

 クロはあの言葉を待っていた。その言葉とはクロが大切だから。と

 

 カズマは口を開く。クロは出てくる言葉に期待する。

「仲直り…かなお前らには喧嘩して欲しくない。争って欲しくない。だから。」

 それは期待どうりではなかった。つまり兄はどっちの味方でもあるという事。

「つまり私とイリヤどっちが大切なの。」

 

 クロの言葉がだんだんと冷たくなる。

「どっちもに決まってるだろ。どっちも大切なんだから。」

 つまり私を選んではくれない。つまりそういう事。なら

「だから仲直りをし…」

 

「無理、イリヤとは共存できない。イリヤは元に戻りたいと言った。その中に私はいない。美遊も凛もルヴィアも、そしてお兄ちゃんの一面をも否定した。つまりは私に消えろと言ったと同じ。

 なんで!私を選んでくれると思ったのに!なんで私を選んでくれないの。どうして、お兄ちゃんだけは私の味方だと思ったのに!もういい、そんなお兄ちゃん消えちゃえ!」

 

 その言葉はどこかで聞いたことのある言葉。それは、士郎の世界のイリヤ。士郎の記憶が俺の頭をよぎる。

 

 もしこれが並行世界だとしても違いすぎると思った。イリヤの性格がかなり違った。だからその一面は無いのかと思った。けど聖杯戦争に出てきた英霊は出てきている。ならイリヤは聖杯の機能があるはずだ。そして士郎の世界のような性格になるはず。その一面を切嗣達が封印したとしたら。その自我も封印されるのではないのか。

 そして度重なる戦闘により魔力が使われ封印が解けて二つに分かれたとしたら、クロは士郎の世界のイリヤとほぼ同じなのではないか。

 

 

 

 

 

 クロは干将・莫耶を投影し、襲い掛かってくる。完全に殺意に満ちた目。スティールを使えばブロークンファンタズムで剣を爆発させ俺が死ぬ。つまりスティールは使えない。だが俺はクロを傷つけたくはない。なら俺が取る行動は1つ。

 

「逃っげるんだよぉぉー!」

「こら!逃げるな!」

 俺は茂みに隠れ潜伏と敵感知を発動させ気配を隠しクロの居場所を把握する。

 今のうちに戦術を決める。クロを傷つけずにどうするか。バインドで無効化したくてもロープは無い。刀を使うわけにはいかない。弓はあるが、矢がない。ドレインタッチなど言語道断。

 なら使えるのは砂かけ戦法だけ。

「みぃーつけた!」

 今度は新たに投影した大剣で俺を斬りかかる。俺は前転回避をしなんとか死を免れた。

「しぶといわね!いい加減死になさい。」

 再び干将・莫耶を投影し、襲いかかる。2つの片手剣はまるで自分の腕のように使いこなしている。そこから生み出される剣戟は舞のよう。

 だがカズマはそれを見慣れている。エミヤの剣戟に比べればまだ可愛い方である。

 ステップで後ろに後退し、それをギリギリで回避する。

「これならどう!」

 クロは無数の剣を飛ばしてくる。もうこうなっては武器を使わないなんて言ってられない。

「"クリエイトウォーター""フリーズ"」

 氷で干将・莫耶に形の似た剣を作り出す。

「その程度お兄ちゃんにだって出来んだよ!」

 

 

 俺へと飛んでくる剣を致命傷になりうる物だけを弾き前へ、こうなればクロを倒し聞き分けさせないといけない。だが傷つけたりはしない。

 

 贋作の剣と氷の剣の戦い。

 

 と言っても氷の剣の方もよくよく言えば贋作になるだろう。自分の信念は無く、ただ他人のスキルを模倣してきたただの贋作。似た者同士と言えるだろう。

 一人は剣を、一人はスキルを

 

 氷の剣は干将・莫耶に打ち砕かれる。それでも氷の剣を作り続ける。刀で応戦すれば、手数の少ないこちらが負ける。それでも手が冷えてまともな感覚も消える。

 その時後ろにクロが転移し俺の首を干将・莫耶が狙う。

「"回避”」

 もう回避は無理だろうと思ったが回避スキルが何とか発動する。

「逃げることだけは一丁前ね。」

 クロは弓と矢を投影する。その矢はセイバーに使ったあの矢。

 

 俺は急いで固有結界にしまってある三八式歩兵銃を取り出す。手は震えてコッキング出来ているか怪しい。けど俺は今出せる全力の力でコッキングする。その時かじかんだ手からは血が出る。感覚が無いせいでいつもより力強くコッキングしてしまったせいでボルトと銃身の間に指を勢いよく挟んでしまった。だがそんな事考えている余裕はない。

 精神を集中させる。あの矢が放たれた後に射撃する。クロには当てず矢のギリギリを当て軌道を逸らす。それだけ。

 

 矢は放たれ、俺へと確実に向かってくる。

「"狙撃"」

 放たれた銃弾は矢に当たり矢の軌道を逸らす。銃弾はクロに当たることなくどこかに飛んでいく。矢は俺の頬を擦り飛んで行く。

 

 その後すぐイリヤ達が来た。

「クロお兄ちゃんに攻撃をするのをやめて!なんでそんなことするの!あの時はお兄ちゃんにくっついてたじゃない!」

「気が変わったのよ。私を選ばないお兄ちゃんはいらない。お兄ちゃんは私とイリヤ両方を選んだ。」

「だったらそれで、」

「良いわけないでしょ!貴方に存在を否定されてお兄ちゃんはそれを知っててイリヤの肩ももつ。許せるわけ無いでしょ。わたしには後何が残されてるって言うのよ!」

「落ち着けクロ!俺は両方一番大切だからどっちもかけがえの無い存在だから……虫が良いのは分かってる。けど俺はそれしか出来ない。俺はクロもイリヤも否定しない!だから二人とも仲良くできるように…」

 

「そんな事できるわけ無いでしょ!」

 クロはもう聞く耳持たない。クロは干将・莫耶で襲い掛かってくる。

 とその時車がとんでもない速度でこちらに向かって来た。その車は見覚えのある車だった。その車は木にぶつかりエンジンからは黒い煙が出ていた。

「あれ、あかないわね」

 母さんだった。母さんは車のドアを蹴り飛ばし出てきた。その車とは中古でも1500万円程する車だった。

「やほーただいまイリヤちゃん。カズマ。」

「ママ!(母さん)」

 一人場違いな銀髪の女性。アイリスフィール、イリヤの親で俺の義母だ。

「あら?イリヤちゃんいつのまに双子になったの?」

 クロは確実に怒っている。

「会いたかったわママ十年前わたしを無かったことにした素敵なママ。」

 やはり父さん達は封印をしたのか。

 クロはさっきの矢を母さんへと向ける。

 三八式歩兵銃をコッキングしまた迎撃の準備をする。今度は放たれた直後矢の横側に当て軌道を完全に逸らす。

「"狙撃"」

 銃弾は矢の横側に命中し軌道を逸らす。銃弾は跳弾し、俺の頬を掠める。今の当たったら確実に死んでいた。

「どうしてママに攻撃するの!攻撃してどうなるの!自分が何してるのか分かってるの!」

「分かんない、分かんないよ自分の感情が…分からない。」

 いきなり情緒不安定になった。やはりクロはどうすればいいか悩んでいたのか。 だから本来ならあんな恐ろしい呪いを恐れるはずなのにそれを恐れなかった。つまりイリヤを傷つけない口実が出来たから。

 

 

「さあクロちゃんおいで。ママが抱きしめてあげる。」

 母さんはそう言い手を広げる。

 クロは干将・莫耶を構え、襲いかかる。

 

「でもその前に躾は必要よね。」

 急にでかい拳がクロを襲った。しかも微笑みながら。俺は恐怖を覚えた。そう、これが母さんの怖いところだ。

「ま、ままママァ!い、今のは!」

「そうそう、こういう時は両成敗よね」

 といい、微笑みながらイリヤも殴った。俺はこっそり潜伏を使おうとしたが、

「どこに行くのかしら…カズマ」

 さっきのグーパンチが俺を襲ってくる。

「"回避"」

 何とか回避スキルが発動する。

 

 

「本当に昔から避ける事が上手よね。……ふふふ。」

 本当に怖い。俺の本能が逃げろと伝えてくる。長く頼ってきた敵感知までそう伝えてくるのがわかる。俺は逃げ出した。

「美遊ちゃん。カズマを捕まえて。」

「え!」

「お願い」

「………はい」

 俺は美遊に捕まりつれてこられた。

 

 

 クロの時といい今といい俺は年下に筋力で負けると言う情け無い状況になっている。一部の男性だったら年下の女の子に拘束されるなんて最高とかいいそうだが俺はそんな事を思わない。今なら確実に。代わってくれる人がいるなら代わって欲しい。

「や、やめろ美遊!やめてくれ!」

「ごめんなさいカズマさん。」

「カ☆ズ☆マ観念しなさい。」

「ねぇ待って!俺一般人!死んじゃう!イリヤとクロならまだ大丈夫かもしれないけど俺ただの一般人!」

 イリヤはステッキでの転身により身体能力が上がり、クロは英霊化しており耐えられるだろう。だが俺は違う。

 

「大丈夫よ強化魔術を使えるんでしょ?セラから聞いたわよ。」

 クソあのアマ!絶対許さない。

 俺は拳骨をくらい意識を失った。

 

 




次回も書き終わりましたが日曜日か土曜日までの辛抱です。ただ今日が特別なだけですから。

クロ可愛過ぎない?メインヒロインクロで良かった気がする。


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3話 もちろん俺は抵抗するで、コブシデ

サブタイトルふざけましたね。


 イリヤは夢を見た。

 それは知らない豪華な部屋。

 そこには切嗣(パパ)アイリスフィール(ママ)がいた。何かを会話している。けど私の記憶にはない。

 これはもしかしたら、いやもしかしなくてもクロの記憶。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 俺は目が覚めた。場所はルヴィアの屋敷だろう。本当に毎度毎度申し訳ない。

 まあ流石に家では話せないことなのだろう。

 

「あらカズマお目覚めの様ね。」

 そこには俺を強制的に眠らせた張本人が笑顔で座っていた。

「眠ったのは母さんのせいだけどな。あともうちょっとで天界に逝くところだったぞ。もう少し手加減してくれよ。俺が紙耐久なの知ってるよな!」

「ええ、知ってるわよ。だから昔よく鍛えてあげたじゃない?」

 

 鍛えられた…か。あれはいじめ同然だったのにな。

 

 あれはひどかった。『修行よ!』などと言いあの拳骨を食らわされ続けた。もちろん避けたが。しかし次の日に切嗣を呼ばれ切嗣に押さえつけられた。『切嗣はこれも訓練の一環だ!』と言ってきた。

 もちろん次の日、芸能達人になるスキルを使いイリヤの声で切嗣に『お父さん最低』と囁き続けた。

 

 そうこうしているとイリヤもクロも目覚めた。

 そして「教えて‼︎愛理ママのコーナー」が始まった。

 まずは聖杯戦争。

 その言葉に美遊が少し眉をひそめた気がした。

 

 

 どうやら俺の推測どうりクロは封印されたらしい。全てをリセットして一からやり直しなど都合が良すぎた。だからクロが苦しめられた。それなのに俺は、いや俺が口出しできる事でもなかったのだろう。

 

 クロは普通の人生をイリヤに歩ませるのはいい。なら魔術師としての人生を頂戴と、私をアインツベルンに返してと言った。だが帰ってくるのは辛い現実だった。

「アインツベルンはもう無いわ。もう、聖杯戦争は起こらないの。」

「えっ⁉︎」

 クロは絶望する。もう自分には何も残っていないと。

「なに…それ。それじゃあ、私の居場所はどこにあるのよ‼︎」

 

 クロの体から魔力が放出される。そう、それはつまり。

 

「うそっ?」

 クロの破滅を意味していた。

 クロの体は魔力で構成されていた。その魔力が放出された今からの体を構成するものはない。

 

「そっか、魔力使い過ぎちゃったか。魔力()が切れたわ。」

 クロにはもう色彩も鼓動も何もかも感じることが出来ない。

 だが、再びその感覚が戻る。

「えっ?」

 目を開くとそこには兄がいた。

 

 

 

 俺はクロに触れドレインタッチで魔力を送った。そして再び体は少しずつ構成されていく。

「消えないでくれ!頼む。昨日誓ったばかりなのに…俺はイリヤもクロも両方守って。だからお願いだ消えないでくれ!」

 

 

 

 

 それは暖かい何か今までの私にはなかったもの。兄はずっと支えようとしてきた。なのに私は、こんな事ならちゃんと冷静になればわかった事だったはず。なのに、私は。

 

 クロの体の崩壊は一時止まった。だがまた崩壊しだした。

「う、嘘だろ。消えないでくれ。俺が決めたばかりなのに。俺は妹が一人増えたくらいで助けられないのかよ。」

 

 兄の顔からは涙が浮かんでいた。最後に悲しんでくれる人が、お兄ちゃんが悲しんでくれるならいいかな。とクロは思う。

「もういいの。最後にお兄ちゃんが泣いてくれるなら。」

 後悔はない。

 

 

 

 

 まだ俺は諦められない。俺はこの前貯めたマナタイトを取り出す。それをドレインタッチで吸い尽くしクロへと送る。だが魔力が流れる速度は遅い。いや、全く流れていかない。まるでクロが拒んでいるかのよう。

「もういいの。ごめんね、お兄ちゃんが私の事ちゃんと考えてくれてたのに分からなくて。だから私の事は……諦めて。」

 違う、そうじゃない。俺が欲しいのはそんな言葉なんかじゃない。俺が欲しいのは笑っている妹の顔だ。

 

 ドレインタッチで魔力を渡せない。それなら、

 その時口と口が重なる。

 舌でクロの唇を無理矢理こじ開け、クロの舌と自分の舌を絡める。周りの目など関係なしに。

 魔力が空っぽになって行くのを感じる。

 自分からするキスなど初めてだ。全部相手からされたもの。俺は自らキスをした。

 だがそれでも足りない。仕方なく近くにある観葉植物に手を触れ魔量を奪い舌から舌はと魔力を渡す。それでも足りないと悟った俺は生命力も限界まで渡す。

 

「せい…はいなんだ…ろ。だ、だったら、ね、ねが…え。自分の…願いを。」

 

 俺は立つ力もなく倒れ込む。その後意識が消え目が覚めたのは約十分後。

 どうやら俺の生命力と魔力でも足りずイリヤがキスをし、魔力を渡し、クロは『生きたい』と願った。普通の生活でもなくただ生きたいと。

 

「お兄ちゃん目が覚めたのね。ありがとう。私の為に、あんなに頑張ってたのに。ちょっと違うからってあんなことしてごめんね。」

 

「いいよ別に。言ったろイリヤもクロも両方助けるって。いやぁー良かった良かった。また約束破るとこだったわ。今回はマジで洒落にならないし。」

「もお!最初だけだったらとてもロマンチックだったのに〜。」

 クロは頬を膨らませる。その仕草はとても可愛らしかった。

「はは、ごめんて。さて帰るか。」

「うん。お兄ちゃん。」

 と帰ろうとした時二人の人物に止められた。

 

「カズマ(お兄ちゃん)」

 二人とも目が笑っていなかった。

「なんでキスしたのからしら?別にあの技でも大丈夫でしょ?もしかしてそういう趣味?切嗣に相談しなきゃ。」

「勘弁してください。」

 それは本当にやばいです。キャリコとコンテンダーでおれやられちゃいます。

「お兄ちゃん。仕方ないとはいえキスはどうかと思うよ。」

「いや、だって。」

 クロは魔力が送られてくるのを拒んでいたから仕方ないし。

「どうやら教育が必要なようね。」

「そうだね。」

 一人は魔術の拳骨を、一人は転身を。一体俺は何をされるのだろうか。

「お兄ちゃんは私ともしておいて節操がないと思う。」

「カ☆ズ☆マ」

 より一層母さんの目が怖くなる。

「いやあれは起こそうとしたらイリヤが勝手に…」

「う、うるさい!」

 どうやら俺にはなんの権利もないらしい。

「そうそう。あの時の夜もお兄ちゃんとキスした時お兄ちゃん可愛かったわよ。抵抗したくてもできない。そんな悔しそうな目がだんだんとキスして欲しそうな顔へと変わる様子がとても。」

 クロが爆弾投下をした。今の現状で例えるならテポドンが落とされたかのようだ。

 そう、母さんとイリヤの顔は火を見るより明らかだった。

「本格的に教育が必要かしら。」

「私もお兄ちゃんに教育しなきゃね。」

 二人共めちゃくちゃ怖い。

 俺は切嗣に言われた事を思い出す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いいかいカズマ。女性を敵に回しちゃダメだぞ。女性は怖いんだ。怒らせたら魔術で編んだ拳を人に何回も何回も笑いながら食らわせてくるんだ。着実に…追い詰め最後まで…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 きっと切嗣が言っていたのはこの事だろう。切嗣に何があったかは考えたくない。

 

 イリヤはステッキを握る反対のぐるぐると回し肩慣らしをする。母さんも魔術の拳骨をぐるぐると回している。

「お、おい。まて、いや待ってください。」

「ダメよ教育しなきゃ。コブシデ。」

「私もコブシデ教育してあげる。」

 本当に二人とも怖い。

「もちろん俺は抵抗するで。コブシデ。」

 と一度でいいから言ってみたかった。

 俺はそれを言った後、何の迷いもなくドアを開け逃げた。

 

「イリヤ追いなさい。確実に追い詰めてじっくりと教育してあげるのよ!」

「了解!」

 切嗣の体験した事が大体わかった。俺は全力疾走した。それが人の家という事を忘れて。

 廊下の角を曲がりイリヤの視界から外れ、足音を消し、近くのドアを開けそこには入らず閉め、足音を消した状態で走る。

「イリヤ近くのドアに入ったわ!もうカズマは袋の鼠よ!もうゆっくりと攻めて恐怖を味あわせるの!」

「分かった!」

 さっきから本当に怖い。もしあのままあそこに逃げ込んでいたらとんでもないことになっていただろう。

 その廊下の角も曲がり、ドアを開ける音がバレないようにイリヤ達がドアを開けると同時にドアを開けた。

「ふう助かっ……てませんね」

 なんとそこは広場らしくドア同じ場所に繋がっていた。

「あらあらカズマ考えたらしいけど運が悪いわね。まさか広場にドアが繋がってるなんて。」

 俺はドアを開け逃げる為ドアへ向かったがそのには桃色の障壁が展開されていた。

「すごいですよイリヤさん!使い方はまあ、あれですが任意の座標に障壁を展開出来るなんて!」

 その後俺は成す術なく捕まった。

 

「や、やめて。やめてくださいイリヤ様。お、お前あれだろクロに嫉妬してんだろ!キスして欲しいならそう言えよ!」

「お兄ちゃんのバカ!」

 イリヤは顔を赤くし俺を叩いた。

 俺はイリヤになんの抵抗もできず運ばれてきた。

 

 

 

 私は今お兄ちゃんを捕まえて搬送している。お兄ちゃんが抵抗出来なくて悔しそうな顔をするのを見てなんだか気分が高鳴って変なスイッチが入っちゃいそうになる。

 

 

 

 

 何故だろう。イリヤからとてつもなくやばい感じがする。その後俺はなんの抵抗もできず、教育されたのであった。

 

 その後クロは正式に家族になり楽しい日々を送った。




完全にクロがヒロイン枠になってしまう。


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4話 食戟のイリヤ

クロに押し倒されるのを妄想しました。しかもなんと夢で見ました。
まあ相手はカズマですけどね!
もうね最近プリヤを見るとあれ?カズマが居ない!と思ってしまうことがたまにあるんですよね。
皆さんはありますか?
え?ない?
まさかね。


 ピピピピピッ! と目覚ましのうざい音がなる。俺はこの音が嫌いだ。

 なんたってあと数十分ほどしたら学校に行かなければならないのだから。目覚ましとは夢から現実へと人を陥れる人類が発明した最悪の道具である。

 俺は朝に憎しみを覚えながら目を開く。

 すると目の前にはピンクの物体が存在していた。これはもしかしなくても女性物の下着。

 

「く、クロさん!な、なにしてるんですか!ここ俺の部屋ですよ!」

 思わず敬語が出てしまった。

 それと同時にドアが開かれた。開いた人物とはイリヤだった。

 

「い、イリヤ!違うこれは…」

「ん〜おはようお兄ちゃん。お兄ちゃんって寝てる時抱き癖があるのね。ちょっと苦しかったわ。」

 クロがそう言い放つとイリヤは明らかに殺気を帯びている。

 俺は数日前のあの悪魔を思い出す。

 

 

 ーーー

 ーー

 ー

 

「や、やめてくれ!」

「だーめ。節操なくキスする悪い子にはちゃんとお仕置きしなきゃ。」

 母さんはにっこりと笑い俺にそう言ってくる。

「そうよお兄ちゃん。クロばかりずるい。お兄ちゃんはもうそんなことしないように反省させなきゃ…」

「「フフフ」」

 二人は不気味な笑みを浮かべ俺へと近づいてくる。

「やめて!俺が悪かったから!反省する。反省しますからどうかグーパンチだけはやめてくださ…」

「「だーめ」」

 その後俺は殴られては治癒を繰り返された。何回も何回も。

 

 ーーー

 ーー

 ー

 

「ふ、不潔!」

 俺はイリヤにマジビンタを食らった。

 

 その後俺達は下に降り朝ごはんを食べていた。

「立場をはっきりさせておくべきだと思うの!」

 まだマジビンタを食らった頬はヒリヒリする。

 

 俺は不潔じゃない。不潔じゃない。俺はそうボソボソ言い続けていた。あの時の『不潔』というのは『お兄ちゃんサイテー』ほど心へのダメージがある。

 

 今の上下関係は母さんが独断で付けこうなった。

 

  ①アイリ

  ーーー神の壁ーーー

  ②切嗣

  ーーー親の壁ーーー

  ③イリヤ

  ーーお嬢様の壁ーー

  ④セラ リズ

  ーーメイドの壁ーー

  ⑤カスマ

 

 おかしいな。俺の名前が『ズ』じゃなくて『ス』になってるんですが。

 

 じゃあとイリヤが俺の下にクロを書き兄の壁と書いた。

「おい待て。これには文句があるぞ。」

「何かしら?底辺だったのが一つ上に上がれてよかったじゃない。」

「いやいい訳がないだろ!」

 俺はペンで修正した。

 

 ①アイリ 切嗣

 ー夫婦の壁ー

 ②イリヤ クロ

 ーお嬢様の壁ー

 ③セラ リズ

 ーメイドの壁ー

 ④カズマ

 

「これでよし。」

「お兄ちゃんそれでいいんだ。」

 いいに決まってるだろ『カスマ』を直せたんだから。

「父さんと母さんは同じくらい大切だからな。地位は一緒にしてあげないと。もう俺が底辺なのは自覚自覚してるから…」

「カズマ…お母さん感動しちゃった。そうよね夫婦は一緒じゃなきゃね!」

 何故だろう。自分で言っているはずなのにとても虚しくて目から水が出てきそうになる。

 

「てことはイリヤとクロはどっちがお姉さん?」

 リズ。言わなくていい。絶対揉め事になる。

 俺はパンを口に入れ牛乳で無理やり胃の中に入れ学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ロンドンの時計塔

 カードを巡って論争が起こり何個かの勢力に分かれ、いまカードを持っている遠坂、エーデルフェルト家から強奪を企てている。

 しかし相手は一応にも一流の魔術師でありゼルレッチ卿から渡された魔術礼装も所持している。普通の魔術師では手も足も出ない。結局どの勢力も何もできずにいた。しかし一つの勢力が執行者を雇った。

「では君には日本へ飛んでもらう。遠坂、エーデルフェルトの者からカードを全て回収してこい。」

「はっ!了解しました。」

「それともう一人ある男をしばらく前に派遣しておる。そいつと協力するように。」

「その男の名前と言うのは?」

「知らん。名前を聞いても教えてくれないのだ。彼曰く『魔術師殺しとでも呼んでくれといっていたよ。」

「ッ⁉︎それは衛宮切嗣のことですか?」

「いや奴はとっくに引退している。それに時と場合さえ考えればあいつより強いかもしれんぞ?」

「はあ、そうですか。」

 カズマたちは気付かないであろう。もう既にまた日常が消えることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「到着‼︎」」

 イリヤとクロはどっちが姉になるか競っている。まずはどちらかが教室に着くか。

 イリヤとクロは滑り込みで教室に入ってきた。その時入り口の近くに居たタツコは吹っ飛ばされてしまった。

 結果は同着であった。

 その後は勝負が熾烈を極めた。

 今日10回は勝負をしたがどれも引き分けであった。

 

 そして最後の種目はドッチボールとなった。何故ならあの時決着のつかなかったドッチボールでけりをつけると言うことらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 何故だろう。いますごく嫌な予感がした。

 朝は巻き込まれないようにそそくさと逃げた。あとは知らんぷりするだけ。なのにいま俺の知らないところでなんだか大変な事が起こる気がする。

 

 数時間後

 案の定俺の予想は当たった。また初等部の大河先生に呼び出しを食らった。

 なんでもイリヤとクロがまたドッチボールを始め怪我をしたらしい。しかも前回より熾烈な戦いだったらしい。

 

 保健室の先生の折手死亜華憐と言うらしい。前にも居たがそういえば名前を聞くのは初めてだった。

「全く。これで2回目ですよ。本当どう言う神経してるんでしょうか。」

 全くそのとうりでございます。

「すいません!内の妹達が本当にすいません!」

「そうですよ。ほらもっと誠心誠意こめて土下座したらどうですか。それにどうせ送られてくるのなら瀕死の重体くらいで無いと」

「は?」

 いま何て言ったこの人?聞き違いだよな?

「だから瀕死の重体…」

「お前本当に保健の先生?」

「ええ、そうよ。だってそれなら苦しむ子供達を間近で見れるでしょ?ふふふ。」

 だれだこいつ雇った奴。

「ほら!怪我してないのなら帰りなさい!来るならせめて内蔵が飛び出るくらいで…」

「もう二度と来ねぇよ!」

 俺は初等部を去った。

 

 

 

 俺は高等部へと着いた。

「よう、カズマ。どうした。そんなに怒って。」

「いや、何でもない。ただ…世の中本当クソだよなって。」

「…本当に何があった⁉︎」

 何も無い。そう、あるはずがない。無いと信じたい。

 休み時間はもう終わってしまった。おれの学校での一番安らげる時間が過ぎてしまった。

 

 

 

 その後の午後の授業はもちろん真面目に受け下校時間となった。

「なあカズマ今週のジャンプ買いに行こうぜ。」

「OK」

 

 俺達はてくてくと歩きコンビニへと向かいジャンプを買った。

「じゃあな。また明日。」

「おう。また明日な。」

 俺はまたてくてくと家へと向かった。

 

 

「だだいま。」

「「おかえりお兄ちゃん!」」

 二階に上がりバックを置き着替え、一階へと降りソファーでゴロゴロとした。今はリズが居ない。つまりいつもはリズが居座るソファーは俺が安らげる。

「お兄ちゃん。」

「なんだ?」

 俺は横になりぐったりとしながら答える。

「あのね明日調理実習でパウンドケーキ作るの。だからねお兄ちゃんの為に美味しく作るから楽しみにしててね!」

 調理実習か。懐かしいな。今じゃパウンドケーキとか作るのか。

「わ、私も作るから、クロより美味しく作るから!」

 イリヤは私も私もと言ってくる。

「楽しみにしてるよ。」

 どうやらドッチボールでも決着がつかなかった為今度は料理勝負となった。もう問題ごとさえ無ければ良い。

 本当問題ごとは辞めてくれ。

 

 次の日。

 調理実習当日の日となった。

 きっと今頃頑張って作っているのだろう。でも心の中で何か嫌な予感がする。いや、でも料理だし大丈夫だと思う。そう信じたい。

 

 料理…か

 そういえばセラに料理勝負でボコボコにされ悔しくて必死に練習したけど一回火加減を間違って黒焦げにしたんだよな。あの時は内心焦っていたのだろう。

 料理もここまで上手くなれたのも何気にイリヤのお陰かもな。

 

 

 

 

 一方その頃

 

「明らかに戦力差があると思うんですけど!」

 そう、じゃんけんで決めたらなんとクロチームには美遊とミミ。

 二人とも料理は得意である。

 対してイリヤチームは特に料理は得意では無いナナキとスズカ、それと未だに何を作るかを理解していないタツコ。

「早くハンバーグ作ろうぜ!」

 終わった。はっきり言って終わった。野球で例えるなら33ー4である。明らかなるオーバーキル。

 

 順調にレシピ通り作りバターと小麦粉を混ぜる作業へと移行した。しかし、その時悲劇が起きてしまった。

 クリーム状になったバターに砂糖を投入。だがそれ以外に何かが混入された。

「タツコが何か入れた!」

「「何してんだゴルァ!」」

 二人のグーパンダブルアタックを食らいタツコは吹き飛んだ。

「何入れた!一体何を入れたんだ!」

「ナツメグ。」

「「「ナツメグ‼︎」」」

 そう、それは本来ハンバーグに加える調味料であるはず。そう、タツコはハンバーグを作る気でいた。材料に肉は存在しなかったはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 何故だろう。本当に嫌な予感がする。間違って何か入れてないよな?

 結局その時間は授業に集中できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 イリヤは絶望的状況から諦めはしなかった。料理に引き算はない。だが味を足すことは出来る。イリヤは誤魔化すためにココアパウダーを加えた。

 料理は分量が命ではない。料理は愛情である。

 イリヤはそう言った。だがそんなイリヤに第二の絶望が降り注ぐ。

「タツコがまた何か入れた!」

 そう、タツコの妨害である。

「「何してんだお前!今度は何入れた!何入れた!」」

「フ、フリ○ク」

 まず何故学校にそんな物を持ってきているのかは疑問であるがそれは置いておいて何故入れたかを聞く。

 タツコ曰く

『ミントの風味を足そうかと』だそうだ。

 タツコの行動は悲劇しか生まないのだろうか。結局時間切れとなりフリス○入りのパウンドケーキが完成した。

 

 

 

 

 昼

 やはり不安だ。まあ考えても仕方がないだろう。さてそういえば弁当でどっちが良く出来てるか慎二と勝負するんだっけか。

 慎二は桜と二人で一緒に作ったらしい。

「く、悔しいが今日は負けにしておいてやる。でもいつか必ず勝ってやるからな!」

「おけおけ。いつかな。」

「くそ!馬鹿にしやがって!」

 慎二は箸で俺の唐揚げを奪った。

「あっ!テメェ!卑怯だぞ返せ!」

「だーめもう食べちゃいました!」

 俺は仕返しに慎二のエビフライを奪った。それは見事な手際で。流石スティールを極めた俺だ。スキルを使わずとも華麗に奪うことが出来る。

「あっ!このカスマ!返せ!」

「残念もう食べちゃいました!」

 仕返しに俺も言い返した。

「くそ!…せっかく桜が一番頑張ってつくってくれたのに

「ん?言った?」

 最後の方はよく聞き取れなかった。

「なんでもねぇよ!」

 

「オーホッホホホ。無様ですわね遠坂凛。」

 高らかと響く特徴のあるルヴィアの声。また喧嘩でもしてるのかと声のする方を向くとルヴィアは豪華な弁当にしては大きすぎる箱を持ち、凛はゼブンのシャケおにぎり2個と選ばれたお茶だけであった。

 

 凛はルヴィアのツボを壊してしまったためその弁償。宝石魔術の為の宝石購入の為にお金を貯めている。まさしく『贅沢は敵だ!』状態である。

 これが貧富の差ってやつか。

「慎二ちょっと移動しようぜ。」

「あ、ああ。」

 俺達は机を凛の所へと移動させた。

「よっこいしょっと。」

「カ、カズマ君?どうかしたの?」

「いやさおにぎり2個じゃ午後の授業辛いだろ。俺だったらまず寝る。」

「おいおいカズマ。お前なんかと比べられても困るだろ。」

 皆同じく。という顔をしている。

「うっせ!」

「ほらほらそんな騒いで無いでさ早く飯食おうぜ。」

 と慎二は満遍の笑みを浮かべて言う。

 コイツ!元凶のくせしやがって。

「いいのカズマ君?」

「いいよ。足りなかったら慎二の分食べるから。」

「食わせねぇからな!」

 とワイワイし昼休みが終わり午後の授業も部活も終わった。

 

 

 

 

 

「へぇー初めての割りには良く出来てるじゃん。」

「でしょでしょ!じゃあ勝利した方には勝利のキスをお願いするわ。もちろんちゃんと公正に審査してよね。」

 公正にか。

「安心しろよ。俺は料理に関しては朝は許さない‼︎」

 

 

 審査結果。

 まずクロの方はすごく良く出来ていた。きっと一つ一つの工程をていねいに重ねたのだろう。仕上がりにムラがない。食べる人に対する想いが感じられる味だった。

「そうでしょ!そうでしょ!」

「ただ、これは俺じゃなく別の誰かのための味だな。一般的なものより甘い。そしてイリヤの方には入っているラム酒漬けのドライフルーツが入っていない。多分これは俺より小さい子向けの味だな。」

 その時クロはハッとなる。

 あれはミミが弟の為に作ったものだと気づく。けど

「けどそれがなんだっていうの!美味しければ誰が作ってもいいじゃない!」

「そうか?」

「えっ!何?まさかそっちの方が美味しかったっていうの?」

 そんなはずはない。色を見た時は焦がしちゃったか。と思ったがそれはココアパウダーの色だった。きっとココアパウダーで何かをしたのだろう。それは多分なにかの味の誤魔化し的なことだろう。何故か入っていたナツメグとか。

「いえ、はっきり言って美味しくなかったです。フリ○クは何かの間違いだと信じたいです。あとナツメグ。」

「じゃあ!」

「でもなそういうことじゃないんだよ。イリヤは多分もう覚えて無いだろうけど。」

 

 

 

 そうそれは昔のこと。

 学校でもその思い出に浸っていたが、あれは俺が料理を焦がした日のこと。

 失敗したことにイラついて失敗作の料理を捨てようとしたらイリヤは

 それを食べてくれた。不味くても最後まで。

 

 

 

 

「なんてもう覚えてないよな。『料理は愛情』っていうけどそれは作る側だけじゃなく食べる側にも言えるんだよな。だから。」

 そう、きっといろいろなアクシデントが起きてそれでも俺のために試行錯誤したのだろう。

「イリヤが俺の為に一生懸命作ったって事は伝わったよ。」

 俺はイリヤのおでこにキスをした。

 

 イリヤは突然の事で顔を真っ赤に染めた。

 次の瞬間俺の後頭部へとナニかが襲いかかった。

「このシスコンアンドロリコン!」

「真剣白刃取り!」

 それは吸引力の変わらないただ一つの掃除機ダイ○ンだった。

「セラさん。吸引力の変わらないただ一つの掃除機ダイ○ンは人を叩くためにつかうものじゃないんだよ!ほら学校の女子に言われたでしょ!『そこの男子!箒でチャンバラごっこしないで真面目に掃除してって』まったく教育がなってねぇな!」

「ええ、そうですねカズマにはまた一度再教育が必要なようですね。」

 さっきよりもダイ○ンの重さが増す。俺も負けじまいと全力で耐える。

 

 そんな俺とセラの横でイリヤはまだボーッとしそれにイラついたクロがイリヤの脇腹をど突き反撃にイリヤは頭でクロの腹をど突いた。

 

 

「リズ!カズマを取り押さえなさい!」

「了解。」

 セラの命令によりリズは俺を後ろからがっしりと羽交い締めする。リズの怪力により俺は成す術が無くなった。

「いだだだあ!り、リズや、やめて!」

「だーめ。お姉ちゃん達には逆らっちゃダメなんだよ。」

 セラは抵抗出来ない俺へゆっくりと近寄り満遍の笑みを浮かべる。

「あの、セラさん目が笑ってませんよ。ねぇ無言で近寄ってこないで!ごめんなさいもうしません。だから勘弁してください。」

「問答無用!」

 抵抗出来ない俺はセラの鉄拳制裁を食らった。

 

 結局どっちが姉かという目的は二人とも忘れていた。

 

 

 

 

 俺は今セラにコンセントでぐるぐる巻きにされ頭を足で踏まれグリグリされている。そういうのは俺じゃなくてドMの人にやってあげてほしい。

「そういえばなんで今朝自分でお弁当を作ったんです?」

「ちょっとした弁当勝負があってさ…一応勝ったぞ。」

「ほうこれが勝者の姿ですか。」

 そうですよ。勝者の姿ですよ。メイドのセラに足で踏まれ上から蔑まれた目で見られている俺が勝者の姿ですよ。

 

 

 次の日。

「本当世の中って理不尽だよな。」

「本当に何があったんだ!」

 今日は何故か慎二に優しくされた。




グーパンチからの治癒またグーパンチ。この無限ループ怖いな。
あのケイネスの名言みたいですよね。
「ただでは殺さぬ。治癒で肺と心臓だけを治癒してじっくりいたぶってやる!」
って
死なないからもっと酷いな。


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5話 この最大の敵に屈辱を!

自分で言うのもなんですが力作のはずです。誤字脱字が!


 数日後

 セラによって受けた痛みも完全に引きいつも通りの生活を送っていた。ただ。

 

「あらカスマさんお帰りなさい。」

 

 セラに不名誉な名をつけられてしまったのである。

 

「あのそろそろその名で呼ぶのはやめてくれません?」

 

「あら私何か間違えしたか?カスマさん。」

 

「勘弁してください。」

 

 俺はそれはそれは見事な土下座をした。

 

「しばらくその状態でいるといいです。」

 セラは俺の頭へと足を乗せる。

 更にその状態で

「そういえばカスマさん宛の荷物が届いていますよ。」

 

 

 

「さて中身は何かな。」

 知ってるけど。

 中にはサバイバルナイフ、拳銃ホルスター(サバゲ用)と同じく、マガジンポーチ(サバゲ用)が入っていた。

 ちなみにサバゲ用と言ってもちゃんと銃は納められるし、マガジンも収納できる。

 何故こんな買い物をしたかと言うと一度メタロギアごっこをしてみたかったのだ。

 日本軍版のメタロギアである。あとは爺ちゃんの鉢巻、某ブロック栄養食を持てば完璧である。

 俺はコンビニへと向かい某ブロック栄養食プレーン味とチョコ味を大人買いした。コンビニの店員にはドン引きされたが。

 

 家に再度帰宅し、部屋で鉢巻を額に巻き、片手に十四年式拳銃を、そしてもう片方の手にナイフ。これで完璧。

 

 次の日

 俺は学校帰りにスーパーで食材を買い、誰にもみられないように固有結界にしまう。木々から魔力を吸い、テレポートに必要な分の魔力を補い詠唱を唱える。

 

 

 

 

 

 とある紛争地帯

 切嗣は窮地に追い込まれていた。

 

 3日間休まずに戦い続けていた切嗣の身体と弾薬は限界に達していた。

 今回は通常戦闘のため対魔術師戦用のキャリコ、コンテンダーなどは置き、安いが紛争地帯など銃のメンテが楽なアサルトライフルのAKMにべレッタを装備してきたがAKMの弾薬は底をつき、べレッタの弾薬は1マガジン分だけ。さらに、自分を付け狙っていた魔術師のお出ましとまできた。

 

 しかもべレッタは奴の攻撃によりおしゃかになってしまった。残る武装はナイフのみ。

 そのとき、一人の少年が現れた。それは自分の息子だった。

 

 

「父さん何してん…その怪我どうしたんだ!」

 切嗣は負傷していた。命に関わるほどでは無いが、こんなことをした奴の事許せるはずがない。

 俺は固有結界からナイフを取り出し、懐に隠した。

「あっ、なんだこのガキ。とっととお家に帰りな。と言ってもこんなところにまともな家なんてないだろうけどな。」

 男はこの地域の人間だと思っているのだろう。それならそれを利用するしかないな。

「おじさんは何してるの?」

「お兄さんと呼べ。まあいい。教えてやるよ。とーっても悪い事。酷い目に遭いたくないならどっか言ってな。」

 しっし、と手を払いこちらには目もくれず切嗣へと歩いていく。

 

 ふ、ちょろい。

 

 俺は足音を出さず接近し、やつの脊髄をナイフの柄で叩く。素人の俺がこんな事をすると下手したら死ぬが運良く意識を刈り取ることに成功。

 

 その後気絶させた男からテレポートに必要な魔力を奪い、そこら辺にいた虫を口に入れておいた。

 

「カズマどうしてここ…グッ」

 切嗣は負傷した箇所を苦しそうに押さえた。

「無茶すんなって『ヒール』」

 気休め程度だがやらないよりかはマシだろう。

 その後水で濡らしたタオルで切嗣の身体を洗う。

 

「ありがとうカズマ。所でなんであの時キャリコを使わなかったんだい?非殺傷弾のゴム弾も渡しといたはずだけど。」

 

「壊しました。」

 

「よろしいならば戦争だ。」

 

「んだとごら!というかなんでキャリコなんだよ!せめてP90とかくれよ。」

 

「何言ってるんだ!キャリコこそ至高。ハンドガンでフルオート。さらに装填弾数50発なんだぞ!」

 

 そのかわり5発以上連射しようものなら壊れるし、リロードしにくいし、アンバランスだし。

 まあ言わないけど。

 

「それより食事の時間だ、切嗣。」

 

 俺はさっき買った食材と携帯コンロにフライパンを取り出す。

 

「いや、僕には携帯食料があるし…」

 

「うっせ!どうせジャンクフードだろ。」

 

 俺は切嗣の持っているジャンクフードと隠し持っていたタバコを没収した。

「ま、待ってくれ!タバコは、タバコだけはやめてくれ! それとハンバーガー!」

 

 懲りない切嗣に俺はいい事を思いついた。

 

「切嗣最近太ったんじゃないか?それとタバコはやめとけ。あ、そうそうそう言えばイリヤがこの前『タバコ吸ってる人って最低。これからタバコ吸ってる人見かけたら軽蔑しよう』とか言ってたな。それに母さんにも嫌われるぞ。」

 気がつくと切嗣は顔が真っ青に変色し、『もう一緒に胡桃の芽も探しに行けないね』とか『ふざけるな!馬鹿野郎!』と言っていた。

 

「助けてくれカズマ!あの『ピュリフィケーション』とやらで肺の中を浄化してくれ。頼む!じゃないと。イリヤ!アイリ!…ああ、やめてくれ。そんな目で見ないでくれ!」

 

 やばいやりすぎた。

 

 俺はすぐさま『ピュリヒィケーション』を使用し、肺を浄化する。

 その後、回鍋肉(肉無し)を作り、ブロック栄養食を渡し、日本へと帰国した。

 

 

 今日も今日とてメタロギアごっこをしていると、いつのまにか土曜の部活の時間となっていた。

 流石に部屋に武器を置くのはまずいので、俺は十四年式拳銃、サバイバルナイフ、ホルスター、マガジンポーチと鉢巻を部活用のバックに適当にしまいこんだ。

 後々考えてみると固有結界にしまった方が早かったかもしれないがこの時はそんな考えが頭の中からすっぽ抜けていた。

 

 俺は朝飯も口にせず自転車を猛スピードで漕ぎ学校へと向かった。

 

 

「間に合え!」

 

 俺は武道場へ華麗な全力ヘッドスライディングをかました。

 

「五分の遅刻だな。」

 

「すいません。」

 

 しかし、現実は無情である。俺の努力は虚しく、遅刻という結果に終わったのであった。

 その後部活の時間、空腹との凄まじい死闘に打ち勝ち部活を終えた。

 

 

 

 

 俺は魔術協会に属する魔術師殺しの異名を持つエリート。と思いたい。

 訳あって極東の日本に来ている。

 そう、ここに派遣された理由は監視だ。と言っても聖堂教会の監視役がいるがな。

 

 監視相手は凛とルヴィアとか言う奴らしい。だがそんなのは関係ねぇ!今必要なのは金だ!見てるだけで日本円にして500万円も貰える。しかも食費代、交通費、宿代分など協会が出してくれると言う椀飯振舞い。

 俺は100万円を貰い日本へと旅立った。

 

 

 

 おかしい。100万はあったはずの金が半分になっている。なんでだ。俺の予定では倍になっているはずなのに。

 

「なんで俺の選ぶ馬は毎回負けるんだ!」

 

 俺はこの件の失敗を反省し、ちゃっちゃと終わらせる事にした。

 金を節約すれば残りの金は全部俺のもの!そしてこれを元手に金を倍、いや十倍にしてやる。今度こそはうまくいくはず!

 

 この国には郷に入れば郷に従えという言葉があるらしい。俺はそれに従い、早速ジャパニーズカルチャーのあんぱん見張りというものを試し早1ヶ月。

 朝昼晩あんぱんを食べ続けた俺は糖尿病になってしまった。しかも、見張り中に老いぼれ執事に襲われたり、頭上から高い拳に拳骨くらったり。もう日本怖い。早くイギリスに帰りたい。

 

 しかしまだか神は俺を見捨ててはいなかったのだ!

 3人の女子小学生は非常に魔術研究に使えそうだ。しかも上玉じゃねえか。さらに一人はどうやらカードのお陰で存在しているらしいし。

 他にも高校生くらいの男も魔術研究に使えそうだ。まあせいぜいほかの魔術師に高値で売るか。

 

 ふふふ、ふははは!天は俺に味方してくれている。これで借金生活ともおさらばだ。

 そうだ。あの男は一番弱そうだしあいつを捕まえて人質にすれば3人中二人は手に入りそうだしそれをまた人質にすれば!

  俺ってば冴えてる!

 そうだ。折角だし悪役っぽい台詞でも考えておこう。

 

 そんなことを考えていると協会からの報告があった。

 バゼット・フラガ・ミッツとかいう化け物が来るから協力する様にとの事らしい。

 ここは先輩ヅラして顎で使って楽して終わらせるか。

 

 

 空港前。

「よお、待ってたぜ。」

 

 こういう時は第一印象が肝心だ。ここで舐められたら俺が楽できなくなる。

 

「貴方が『魔術師殺し』ですか、さほど強く無さそうですね。」

「あっ、テメェ立場わかってねぇようだな。どっちが上か証明してやろうじゃねえか、脳筋女!」

 

 空を切る音が真横からする。恐る恐る横に振り向くとそこには殺人拳が存在していた。

 

「次言ったら命はありませんよ。」

 

「す、すいませんでした!」

 俺は見事な土下座を敢行し事なきを得た。

 

 

 

 

 

 どうしよう。今俺のバッグにはセーフティーは掛かっているとはいえ銃が入っている。はっきり言ってこれは流石にやばいだろ。

 念のため的感知を使用し、索敵をした。

 すると1つだけ反応があった。やはり使っておいて正解だった。

 

 しばらくしてもまだその反応が消えることはなかった。付けられている。

 でも誰に?

 もしかしてカードを回収しに来た協会の者?でもそれはないだろ。

 いや、凛とルヴィアに渡されたルビーとサファイアはかなり強力な魔術礼装。持ち逃げされたら困るという理由で監視役を付ける。そして自分で言うのもなんだが1番弱そうな俺を人質にすると。考えられる。

 

 家には向かわず、そこら辺の林へと向かい自転車を置く。

 

「出て来たらどうだ。」

 

「まじ?いつからバレてた?」

 

 出て来たのは黒髪白人。ワイシャツに黒いズボン。完全にサラリーマンぽい男が木の裏から現れた。

 奴はグローブ(野球のじゃないよ)を手に嵌めるとルーン文字らしきものが光りだす。さらに、タロットカードによく似た何かを胸ポケットから出し、辺り一面を覆う。

「即席の結界…か?」

 

「さて、どうだろうな。」

 

「敵意を持った相手。でいいんだよな?」

 

 俺は朝焦ってバックの中に押し込んだサバイバルナイフ、十四年式拳銃それとマガジンポーチにホルスターを取り出し、バッグを投げ捨て、十四年式拳銃を構え、セーフティーを外す。

 

「おいおい、日本は銃所持禁止だろ?お前どんな教育受けてんの?」

 

 何も言わず発砲。だがそれを奴はグローブで受け止める。

 

「銃で返事とか。さてはお前本当はアメリカンだろ?」

 

 強化魔術を先程から発動しようとするが何度試しても発動出来ない。さっきの発砲時も狙撃スキルを使用したはずなのだが、それすら発動した感じはしなかった。

 

 何故?

 

 そんなことを考えていると奴は既にこちらに接近しており拳の射程圏内に入っていた。

 咄嗟に後ろへと飛び回避行動を取るが結局奴の拳は俺に直撃し吹き飛びその拍子に十四年式拳銃を手放してしまう。

 たがおかしい。直撃したとはいえ威力は軽減したはず。なのに俺は吹き飛ばされた。恐らくあの光ったグローブに威力を上げる効果が付与されているのだろう。

 

「ゲホッ、ゲホッ…なんで魔術が使えないんだよ。」

 

「さあ、何でだろうな?」

 

 絶対こいつの仕業だ。

 俺の予想だが、あのタロットカードらしき物が魔術、そしてスキルまでもが無効。

 いや、無効の場合奴のグローブに付与された魔術も消されてしまう。つまり発動を封じる。

 ん?と思うかもしれないが遊○王をやっている者なら違いが分かるであろう。

 遊○王の場合『無効』は既に発動していたとしても無効。だが『発動を封じる』の場合は既に発動し、その効果が切れるまでは適用されず再び発動しようとした時に発動を封じれる。

 つまりまのグローブは効力が切れるまでは発動し続ける。と言うことだ。

 

 

 右フックからの左フック。そして回し蹴り。

 俺は奴の右フックをナイフを駆使し、軌道を逸らすが追撃の左フックを食らい怯んだところに奴の回し蹴りが顔面にヒットし、仰向けに倒れてしまう。

 

「おら!どうしたよ!」

 奴は俺の上に立ち右拳を振り下ろす。ナイフを両手で支えの刃の部分でそれを防ぐ。

 

「おら!」

 

 俺は刃部分を支えていた方の拳で奴の股間目掛けて放つ。

 奴は堪らず後ろに飛んだ。

 

「て、テメェなんて恐ろしい事を。」

「今だ!」

 俺は1メートル程離れた十四年式拳銃に手を伸ばし掴む。そして十四年式拳銃の銃口を奴に向け話しかける。

 

「なんで俺のことを狙った?」

 

「あっ、そんなの決まってんだろ。お前を人質にして3人のガキを手入れる為だ。あいつらかなりの魔力持ってるし、一人はカードのお陰で存在出来てる。魔術研究にかなり使えるだろ。それにまだ熟してないがかなりの上玉じゃねえか。

 そうだ。お前を人質にし、あいつら捕まえたらお前を拘束してお前の目の前であいつらをたっぷり味わってやるよ。その後あの3人は俺の魔術研究材料に。

 お前も珍しい魔術を使うから高値で売れるだろ。あっ、土下座して俺の靴の裏舐めれば痛い目見なくて済むぞ。」

(ふう、一週間考えた台詞を噛まずに言えたぜ。)

「黙れ!それ以上口を開くんじゃねぇ!」

 俺だけなら靴の裏でもなんでも舐めてやる。多分。だがイリヤとクロは妹だ。それに美遊は士郎に任された。3人は何が何でも守りきる。

 

「立場分かってんのか?お前はあの珍しい魔術を使えない。白兵戦では天と地ほどの差がある。今お前が頼れるのはその弱小火器とナイフ一本だけ。あーあ、折角痛い目見せないようにしてやろうと思ったのにな。」

 奴は俺へと接近。距離にして約5メートル。

 

 これなら。

 俺は4発を発砲。

 やつは怯むことなく前進し、2発はグローブで防ぎら残りの2発は脇腹を掠めていった。

 

 やつは既に俺の懐へと入っていた。

 防ぎきれない。

 奴の渾身の右ストレートは俺の鳩尾に命中する。

 

「ぐっ、」

「まだだ。」

 追い討ちとばかりに蹴りを入れ、地面をボールの様に転がる。

 

 痛い。苦しい。

 胃液が出て来そうだ。

「どうした。降伏するか?」

「冗談だろ?」

 まだ俺は戦える。スキルが無くたって、イリヤ達くらい守って見せる。

 起き上がろうとすると視界の隅にバッグからはみ出た布が目に入った。

 俺はそれを掴み額に巻く。

 

 意味なんて無い。

 何の魔術的効果も無い。

 分かってる。だが手が無意識的に動き、口が勝手に開いていた。

 

「爺ちゃん、見てるか?」

 

 それは囁き程度の音量だった為、奴には聞こえるはず無かった。奴には酸素を得る為の呼吸程度にしか見えなかった。

 

 だがその声は誰かに届いたのだろう。この世には居ない誰かに。

 

 

 

 起き上がり、十四年式拳銃をホルスターに納め、右手にサバイバルナイフを構える。

 

「いい加減くたばっちまえよ!」

 

 やつはそう言いながら右フックを繰り出す。

 サバイバルナイフを逆手持ちし受け流し、持ち方を直し突き刺す。

 

「甘いんだよ!」

 

 だがそれは読まれていた。手の甲で防ぎ膝を脇腹に入る。

 意識が朦朧とする中、不思議と力が湧いて来ていた。

 足に踏ん張りを効かせ、その場に踏みとどまり、左手でホルスターから十四年式拳銃を抜き奴の両膝を撃ち抜く。

 

「ぐっ、クソっ!」

 

 膝を負傷し自身の体重を支えきれず膝をついた奴の横に立ち、逆手持ちに直し柄で脊髄チョップを決める。

 やつは何も言わず倒れ込んだ。どうやら落とすことに成功したらしい。

 先程まではテンションがハイになっていたのかまだやれると思ったが終わり頭が冷めてくるとだんだん視界がぼやけて来た。

 自分でもよくここまで出来たと思う。

 

 

 もう休もう。と脳が命令するが、それに逆らい最後の力を振り絞って

 俺は、

 奴のカードをビリビリに破き捨てた。

 

 

 

 




爺ちゃんの形見にはどんな効果があるんでしょうね?

今回登場した男の人はロクアカのグレンとこのすばのダストを足して二で割った感じですね。


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6話 悲劇再び

最近カズマのアイデンティティが無くなってきていると思うんです。
今年中に投稿する為3000字とかなり少なめです。
今年最後の投稿です。なんだかそう思うと特別に感じますよね。
誤字脱字もスペシャルですね分かります。


空が

青くない。

 

ぼやけた視界に大きすぎず小さすぎずといった男性を誘惑する魔力を帯びた球体が映った。

Cカップ、か。

 

「あら、起きましたか…どこ見てるんですか?」

 

「胸です。」

 

「ロリコン、シスコン、そしてオープンな変態。セクハラで訴えますよ。この駄犬。」

 

「勘弁してください。」

 

「ふふっ、ほらもっと誠心誠意込めて謝罪しなさい。この駄犬。」

 

この女は確か初等部の保健の先生のカレンだったか。

そういや前にも謝った気がするんだけど。

 

どうやら俺はあいつを倒した後気絶した。その後なんやかんやでカレンに膝枕されていると。

なんのご褒美だよ。

 

「そういや、奴は?……いっつ」

 

起き上がろうとするが激痛が走りまたカレンの膝の上へと頭が戻っていく。

 

「なんですか?私の膝が恋しくなりましたか?この駄犬。という精神攻撃はこのくらいにして、その怪我で立ち上がれるとでも思ってるんですか?頭まで犬並みとはもうダメかも知れませんね。」

 

「その犬並みの奴を膝枕してるのは誰ですかね?」

 

「あら、そんな態度とって良いとでも思ってるんですか?この状態では主導権は私にあるんですよ。」

あっ、これは悪いこと考えてる時の俺と同じ顔してますね。

カレンは俺が奴に殴られた箇所を突きながら脇腹をくすぐり出した。

 

ふっ、馬鹿め俺にはくすぐりは効か、ないの…

カレンに脇腹を優しく触れるか触れないか程の撫でその度体がビクンと動く。

それと同時に俺を痛みが襲う。

 

「いだだだぁ!…あっ、ちょっ、ちょっと。いだい。くすぐったい。や、やめ…くれ。やめてくださいカレン様!」

 

「ふっ、愉悦。」

 

こいつ後で泣かす。と思ったが俺が怪我をしている箇所には包帯が巻かれていた。

何だかんだこいつが治療してくれたんだよな。

 

「しばらくこの状態でいなさい。」

 

「じゃあこのまま聞くぞ。あのは男は誰なんだ?他にもいるのか?」

 

「あの男は魔術協会から派遣された通称『魔術師殺し』あなたがビリビリに引き裂いたカードは神代から現在まで受け継がれた魔術礼装。この事が魔術協会に知られたらあなたは一生付け狙われるでしょうね。」

 

何と恐ろしいことを。

 

「テープで誤魔化せませんか?」

 

「無理に決まっているでしょう。あと他にもいますよ名はバゼット・フラガ・マクレミッツ。間違いなく最強の執行者です。目的はカード回収。」

 

魔術協会は意見の食い違いにより政権分裂。ルヴィアと凛からカードを奪い取ろうと送ったのがあの2人らしい。

カードの回収が目的ならアーチャーのカードを媒介とし、存在しているクロも狙われる。イリヤと美遊も交戦するだろう。ならば急がなくては。

 

傷付いた身体に鞭を打ち立ち上がろうするがまだ立ち上がれない。

「だから怪我で動けないと言ったばかりでしょう。それにまだ治癒も完了していません。それに焦る必要はありませんよ。まだ彼女はそこら辺をうろちょろと迷子になっていますから。」

 

何だろう。アクア達と通じる何かを感じる。

 

「だからしばらく私に膝枕されてなさい。別に感謝してくれても良いんですよ。あなたみたいな人が女性に膝枕されるなんて二度とない体験ですよ。良いんですよケダモノのように顔を私の膝にうずくめても。」

 

「そうか、じゃあ遠慮なく。スゥーハァ……スゥーハァ、バビボブ」

 

「ひゃ、…や、やはりケダモノですね」

 

自分からどうぞって言ったくせに。

 

このままうつ伏せでいると窒息しそうなので頭を横に傾けると赤い布にぐるぐる巻きにされた何かが視界に映る。

 

「何あれ?」

 

「あなたが戦っていたあの男ですよ。気絶してはいますが念の為拘束しておきました。なので安心して寝てもよろしいですよ。」

 

カレンの暖かい手が俺の瞼を閉ざし深い眠りに就いた。

 

 

 

 

「あら、やっと目を覚ましましたね。もう午後の5時過ぎですよ。治癒はもうとっくに終えました。もう歩いても大丈夫でしょう。で、あの男はどうします?」

 

と、芋虫状態の男を指差す。

 

「俺の知り合いにさ、金持ちのホモと知り合いの奴がいるんだよ。」

「それはそれは、いい知り合いを持ちましたね。」

「だな。」

「「フフフ」」

 

俺達の微笑ましい笑い声は奴にはどのように感じたのだろうか。

 

その後ドレインタッチで魔力と体力を殆ど吸い取ってから例のホモにこいつの身柄を明け渡した。

 

「いやぁ、カズマくんには感謝しなきゃな。今度うちにどうだい?」

「遠慮しときます。」

 

この男は全国に展開している大手株式会社の店舗のうちの1つの社長。

経営力は凄いのだが性癖のせいで男性社員は殆ど存在しない。女性にとってはパワハラを受けることもないので天職であろう。

 

ただ男性社員は全員セクハラを受け、会社を辞めるか新たな性癖に目覚めるかのどちらかである。

 

因みに俺が株で100万稼いだ時に投資した会社はこの男の会社である。

 

「お、おい。や、やめろ。た、助けてくれ!」

 

「さあ誰にも邪魔されない二人だけの世界へ行こう。何、恥ずかしがらなくてもいいんだ。最初は誰だってそうなんだ。僕がありとあらゆる快感を君に教えてあげるよ。」

 

アダムとアダムとはまさしくこのことを言うのだろう。

しばらくこいつの会社に投資するのやめとこ。

 

「や、やめてくれ!嫌だ。俺は男じゃなくて女が好きなんだよ!」

 

体力と魔力を殆ど吸われたあいつは抵抗する術もなく輸送されていった。

 

「「ふっ、愉悦」」

 

後はバゼットか。みんなに伝えるべきだろう。

それにしても腹減った。

今日何も食ってない。

 

固有結界からブロック栄養食を取り出し食べながらルヴィア邸へと向かった。

 

 

 

 

ルヴィア邸に到着。といっても俺の家の真横だが。

 

門から少し覗いてみるが特に異変がない事に安堵し、門の手前に自転車を止め門を開ける。

そこにはさっきとは異なる景色が広がっていた。

屋敷は倒壊し、瓦礫の山と化していた。さらに負傷した美遊そしてイリヤ、クロがいた。

 

「また乱入者ですか。たしかあなたはあなたあの男が狙っていたはず。何故ここに?もしや、迷っているのでは?仕方ありません。私が代わりに倒すとでもしましょう。」

 

バゼットはファイティングポーズを取る。

こちらも十四年式拳銃をホルスターから抜き、片手はスキルを使うため空けておく。

 

「『クリエイト・アース』」

周りに聞こえないほどの音量で呪文を唱え砂を生成する。

「隙があり過ぎです。」

バゼットは俺へと猪突猛進。

バゼットへとアンダースローで目に向かい投げバゼットが怯んだ隙に十四年式拳銃の弾丸三発を発砲。

 

だがバゼットは音速よりやや速い325m/sの弾丸を全て直感で避け切ってしまった。

 

不利を悟り潜伏スキルを使用し、林に逃げ込んだ。

十四年式拳銃をホルスターに仕舞い込み、固有結界から三八式歩兵銃を取り出す。

 

「くっ、どこに行ったのです!」

 

「『狙撃』」

 

引き金を引き、音速の二倍をも超える速度を得た金属がバゼットの顔面へと放たれる。

だが今度は腕をクロスさせ銃弾を受け切りやがった。

 

「もう大体の位置は掴みました。」

 

バゼットはその怪力にモノを言わせ草を引っこ抜くかのように木を引っこ抜き、おおよその位置を付けこちらは投擲した。

いくら三八式歩兵銃の弾丸が通常のスナイパーライフルの弾丸より一回り小さい6.5mmとはいえ受けきるとは思っていなかった為離脱の準備が出来ていなかった。

 

「うおっ、」

 

直撃は避けれたが着弾と同時に起きた衝撃により吹き飛び地面へとヘッドバットした。

 

「ぺっ、ぺっ、口の中がじゃりじゃりする。」

 

「さあ、今度こそ終わりです。」

 

やつの目的はカード回収。そしてあの惨状。恐らくカードはほとんど取られた。もしこのまま負ければクロの中にあるカードも抉り取られてしまう。

もしそんなことになればカードを核とし存在するクロは消失。

そんな事させるはずがない。だが奴に勝つには英霊化するしかない。だがカードは奴が持っている。つまりあれをやるしかない。

 

「ああ、クッソ。どんなもん取られても文句言うなよ!『スティール‼︎』」

 

 

俺の手には生暖かい布が握られていた。

 

 

 





今年の7月から始めて早5ヶ月。今年このクロスオーバーを読んでいただき誠にありがとうございます。来年もよろしくお願いします。
では良いお年を!

とまあ堅苦しい挨拶はこのくらいにしてカズマがとうとうパンツ取っちゃいましたね。
カレンに罵ってもらえないかな。


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7話 被弾のカズマ

あけましておめでとうございます!
本当は午前零時に投稿して驚かせてやろうとしたんですけど終わらなくて2時に寝て目が覚めたら12時でした。


バゼットとこのすばの検察官のセナさんって声優同じなんですよね。だからバゼットは男運がないのか。
因みに題名は誤字ではありませんからね。


俺は自惚れていたのだろう。現実とは常に非情だったのだ。俺はそれを忘れていた。日本に転生してからというもの俺の理想は揃っていた。だから俺は忘れてしまっていたんだ。

 

女性にスティールを使うとほぼ必ず下着を取ってしまうことを。

 

「あの、すいません。これ返しま…」

『す』と言おうとした時バゼットは顔を真っ赤にし、どう見ても即死級の威力を持った右ストレートが目の前まで迫っていた。

 

「『回避』」

 

必ず発動する訳ではないが自動的に発動する回避スキルのおかげで体が勝手に右斜め前へと前転し一命を取り遂げた。

 

「あ、あなただけは絶対に殺します!」

赤面し涙を浮かべたバゼットさんは、それはそれはお怒りだった。

 

 

 

俺は身の危険を感じオートスキルでは無いはずの逃走スキルが勝手に発動していた。

 

 

 

 

「待ちなさい!さっきから何故あなたは正々堂々と戦おうとしないのですか!」

 

と言いながらバゼットは一心不乱に引っこ抜いた木や石ころを野球選手顔負けの投擲をしてきた。

俺は逃走スキルと回避スキルを駆使し必死に逃げ回った。

 

「卑怯なのはどっちだ!ライフル弾すら受け切りやがって。怪物かテメェ!」

 

「ほう、人を化け物扱いとは卑怯者の割にいい度胸です、ね!」

バゼットの怪力でのフルスウィングにより射出された石は轟音と共に俺の背中にと被弾した。

 

「ゲホッ、ゲホッ。いってぇ。」

「さあ、これでラストです。絶対に殺します!」

 

まずい。これはまずい。

 

「『スティール』」

 

頼むこれが最後のチャンスだ。お願いしますエリス様どうか俺に幸運を!

もしこれでブラでも取れたら笑い話にすらならない。

 

俺の手にはカードが握られていた。

 

「ラッキー!『インストール』」

俺はカードのクラスすら確認せずインストールし光に包まれ闇を照らした。

次第に光が薄れていき、さっきとは真逆で闇に溶け込むような黒い布に黒い肌。

アサシン、か。

こいつとは本当に縁があるな。

イリヤ達を傷つけられた。だが逆にバーサーカーとの戦い、日本軍との戦いでは本当にお世話になった。

あと他にも何かあった気がするが忘れた。まあ忘れるくらいだから大した事では無いのだろう。多分

 

妄想幻像(ザバーニーヤ)

五体に分身し四方八方へと散り気配遮断スキル、潜伏スキル、敵感知スキルを発動する。

バゼットは防御態勢に入った。

 

一斉に毒の塗られたナイフを投擲。

それはバゼットの皮膚を掠るだけであった。だがそれで良い。毒を蓄積さえできれば。

 

「位置はだいたい掴みました。」

バゼットが防御態勢に入ったのは俺たちの位置を掴むためだったらしい。

飛んできた五本の内一本が飛んできた方へと走って行った。だがそこには誰もいない。

何故なら攻撃したら即離脱という一撃離脱を徹底することに決めた。

 

「なっ!確かに物音はしなかった。音を出さないように移動したとしてもそう遠くにはいけないはず。それならもうとっくに発見できるはずなのに。」

 

投擲されたナイフの軌道のとうり一直線に走ったバゼットは木にぶつかった。つまりもう奴はいないという事。

因みにバゼットが追っている俺の分身がどこにいるかというとその木の上にいます。

本当になんで上を見ないのか。

まあ発見させるつもりも無いけどな。

 

バゼットが一人を追っている隙に他の四人がナイフを投擲。

やはり掠るだけである。

 

それを繰り返しているうちにバゼットもそれに慣れていき一人、また一人と消され、残り3人となってしまった。

こうなっては一撃離脱も難しい。このまま徐々に追い詰められていくくらいなら最後の抵抗でもしてやる。

分身二人に突撃命令を出し3人がかりでバゼットを相手する。

 

一人はナイフを持ち突き刺しにかかる。だが簡単に躱される。

だがもう一人が木から飛び降り、落ちていくに連れ倍増する威力と全体重を乗せた踵落としがバゼットの脳天めがけ振り下ろされる。

 

「まだまだ全然軽いです。」

両腕をクロスさせ受け切った。

だが俺と最初に攻撃をした分身がバゼットの腹部と背中を突き刺す。だが浅い。さらにその間に踵落としをした分身は消されていた。

 

俺と最後の分身は撤退しようとするが腹部を攻撃した分身は両腕で抱きしめられ体が鯱鉾(シャチホコ)のようにありえない方向に曲がっていた。

 

それを見てはっきりわかった。掴まれたら死ぬ。

だがこれはチャンスだ。今バゼットは動けない。

脚を強化し全力疾走。

その勢いを利用し膝蹴りを背中に食らわせる。

これが俺が与えられる最大の一撃であろう。

だがその一撃は全然効いていなかった。ちょっと仰け反っただけである。

 

だがさっきの攻撃により収穫もあった。

首筋に印のようなものがあった。黒と同じものである。

 

 

 

痛い、めっちゃ痛い。まるでダクネスを殴った時のようだ。

 

「あなたには驚かされ続けましたがそれももう終わりです。大人しくしていれば痛い思いをせずに楽になりますよ。」

 

「やーだね!」

 

「そうですか。」

速い。だがそれは想定済み。腕を強化し受け止める。威力を殺す為でもあるが後ろへと勢いよく飛ぶ。そのおかげで死なずに済んだ。その代わり盛大に吹き飛んだ。

イリヤ達の所に。

 

「「お兄ちゃん!」」

「ゲボバッ!」

 

イリヤ達の所に飛ばされる所までは良かった。そう計算どうりだったのだ。

だが飛んだ先に待っていたのは木であった。

そのせいで木に強く背中を打った。幸いにも英霊化していたおかげなのか予想していたよりは大丈夫だった。

その代わり英霊化が解けカードが体から出ていき、元の武装した状態へと戻される。

 

「悪いな…イリヤ、クロ。お兄ちゃん負けちゃった。時間稼ぎ程度にしかならなかった。情けないお兄ちゃんでごめんな。後は頼んだ。暫くは一歩も動けねぇ。」

 

「あなただけは絶対に許さない!」

クロは先程までの苦痛に耐え凌ぎ、その瞳には燃えたぎる闘志が宿っていた。

同じくイリヤも瞳に闘志を宿していた。

 

そう、兄を傷付けたこの女を許せるはずが無いと。

 

クロは干将・莫耶を投影。

イリヤは星型の魔術障壁をバゼットの座標へと展開する。

バゼットは一直線に走りそのギリギリ後ろには魔術障壁が展開されて行く。

クロはバゼットの平行に追尾する。

 

「面倒です。まずはあなたをねじ伏せます。」

ホルスターから十四年式拳銃を即座に抜き早撃ちをする。

銃身から2発の弾丸がバゼットへと命中。それと同時に煙が発生した。特殊弾である。

前に発砲した銃弾は通常弾だったのに何故今特殊弾なのかと突っ込みたいが、思わぬ誤算によりバゼットの視界を封じることには成功した。

 

「なっ、煙幕⁉︎」

「今だ!イリヤ、クロやっちまえ!」

と某水戸のご隠居さんのような台詞を吐く。

その台詞と同時に2人は反撃の一手にでる。

 

この煙幕が晴れるまでに勝敗が決するであろう。

 

 

 

 

飛来物は五つ。水平方向のものは魔力弾上空のものは剣。この程度なら。

 

 

 

 

上空に散らばっていた四つの剣は次第に引き合いバゼットの進路を塞いでいた。

回転した剣が巻き起こした風によりバゼットから半径3メートルが晴れ斜め右下に1人の影が視界にほんのちょっぴり映る。

それは白と黒の剣。干将・莫耶を携えたクロであった。

 

バゼットは自分へと飛翔する剣を全て無視し、クロに右ストレートを放つ。

それによって俺と同様吹き飛ぶが、右ストレートを食らうと同時に斬りかかる。そして四つの剣がバゼットの体を切り裂く。だがそれと同時に全ての剣は虚しく砕けていった。

 

だがクロはこれで良かったのだ。クロの目的は倒す事ではなく注意を惹きつけること。クロは自分に願うのでは無くイリヤに託した。

イリヤならやってくれる。そう信じた故の捨て身の特攻である。

 

妹が死する覚悟で突撃して行った。なのに俺は何も出来ず座っている。

 

 

完全に攻撃を終えたバゼットは背後から近づいてくるイリヤが居た。バゼットはその存在に気付き振り返ろうとした。

 

「…体が動かない⁉︎」

「やっと効きだしたか。」

そう、英霊化した時に蓄積させた神経毒である。

 

そして、イリヤの手がバゼットの首筋に届いた。

そしてそこから赤い紋章が現れた。

 

突然の事に驚いたのかバゼットは距離をとった。

なんでもう動けるの?

二回はちゃんとぶすりと刺したはずなのに。

 

「一体何をしたのです。」

 

イリヤは沈黙を続ける。

 

「答えないのなら!」

まずい。

 

立ち上がらなくては、そう思っているのに体が言うことを聞かない。

「転移!」

 

 

転移魔術それはキャスター戦の時に目撃し、習得した。

エミヤとの戦い以降一度も使ってないからすっかり忘れてた。

全魔力を注ぎ詠唱無しで発動しバゼットとイリヤの間に転移し、三八式歩兵銃の銃床で防ぐ。

 

イリヤは無事に済んだが俺はバランスを取れない状態からの防御の為簡単に尻餅をついてしまった。

 

「本当にあなたと言う人は無力化しても害をなすとは。」

人をゴキブリかダニのような言い方をし、俺の顔面めがけて拳が振り下ろされる。それと同時に俺も三八式歩兵銃の照準をバゼットに向ける。

 

「チェックメイトよバゼット。」

一触即発の事態はその声により終わりを告げた。

 

「「「「凛(さん)」」」」

「よがっだ、いぎでだんだ。」

「そりゃこっちや台詞よ。おまけにルヴィアも無事よ」

 

おまけなのか。

 

「一体何を…」

「それはイリヤが今感じている痛み。『死痛の隷属』主人の受けた痛みを奴隷にも共有させ主人が死ねば奴隷もまた命を落とす。古い呪いよ。」

「呪術…協会の魔術師ともあろう者が!」

えっ、呪術だめなの?俺のイメージだとガンガン呪いやってると思った。

だって魔術師と言えば黒い釜にヤバいもの入れてグツグツ煮込んで完成したものを相手に使ってるイメージなんですけど。

 

 

「痛みと死の共有ですか。」

「そう、つまりこれでもうフラガは使えない。」

その後なんか説明してたが因果の葛藤やらなんやらが発動するらしい。

分からん。

 

だがそんな事しなくても最もコストが安い対処方法を思いついた。そうスティールである。

あっ、だめだ下着取っちまう。バゼット強すぎだろ。

 

「50点ですね。」

俺の英語の点とそこまで変わんねぇな。

「これでフラガは封じられたのかもしれません。しかしそれだけです。そんなもの死なない程度に殴ればいい。その気になれば自分の痛覚など無視できる。」

 

これだから脳筋は

 

「なら追加点をお願いするわ。」

と言い紙を取り出した。

まるでタコの足のように広がった黒い模様。

なんかこれパイレーツで見たことあるんだけど。

 

「これはこの街の地脈地図。以前地脈の正常化を行ってね。その経過観察を撮ったもの。ようはレントゲンね。分かるかしら左下の方。」

 

正方形ですね。

 

「地脈の収縮点に…正方形の場?まさか!」

 

自分だけで勝手に解釈するのやめていただけます?

 

「前任者なら分かるわよね?正確には正方形ではなく立方体。」

 

知ってた。俺もそうなんじゃないかと思ってたよ。

 

「虚数域からの魔力吸収。」

 

虚数域ってなんだよ。

というかこの流れ嫌な予感がする。

 

「8枚目のカードよ。」

ですよね。8枚目って何かな?前にエミヤの過去を見た時他に出てない奴と言えばアサシンの佐々木小次郎かな?

 

ああ、秘剣燕返しどう攻略するかな。

うん、現実逃避はもう止めよう。絶対ギルガメッシュだ。

10年分貯めた魔力があれば30分くらいなら生き延びられそうなんだけどな。

 

その後も話は進み地脈が云々、地脈を弄れるのは凛だけ。

その結果一時休戦となった。

凛の交渉により奪われた6枚のうち3枚を取り戻せた。

それに守れたのは3枚だけじゃないしな。

 

 

「さて、これで一件落着ね。」

「この屋敷以外はですけどね。」

腹部を損傷、頭部からはかなりの出血。本当に良く生きてたな。

 

一件落着か。だが俺はそんな事思ってはいない。出来ることなら俺の持てる全ての弾丸、手榴弾を全てバゼットに浴びせてやりたいくらいだ。

そこでいいことを思いついた。

 

「なあ、ルヴィア話がある。」

「何ですの?」

俺はルヴィアと大事な、そしてとても真面目な話し合いをイリヤ達に聞こえない音量で話し合った。

 

 

「俺はまだこの状況に納得していない。」

「ええ、私もですわ。エーデルフェルト家の者がやられっぱなしでは癪ですわ。」

「そこで話がある。バゼットとの戦いでこの屋敷は倒壊した。それは誰の責任だ?」

ここで俺の言いたい事を察したようだ。

「バゼットですわね。」

「そう、そこで悪事を働いた者にはその対価に見合う然るべき制裁を与えなければならない。自分の尻拭いは自分でやらなきゃな。そこでこの屋敷の修繕費をバゼット個人に請求するのはどうだろう。」

「とても素晴らしいですわ!」

 

俺とルヴィアの利害の一致により、ここに固い結束が結ばれたのであった。

「あなたとは将来良いビジネスパートナーになれそうですわ。」

「奇遇だな俺もそう思ってたところだ。」

 

「フフフ、アッハッハッハッ!」

「オーホッホッホッホッホッホ!」

 

イリヤ達は会話の内容を聞き取る事はできなかった。だがカズマとルヴィアの悪い大人を象徴するような顔と、誰が聞いても悪魔の笑い声と錯覚するような高らかな笑い声を聞き、4人は敵であるはずのバゼット同情し、またこの2人を同時に怒らせてはいけないと悟ったのであった。

 

 

 

 

「さあ、もう帰ろうお兄ちゃん。」

そのイリヤ言葉を聞き帰ろうとする。

「どうしたの兄ちゃん?ほらはやく帰ろ。」

クロも優しく声をかけてくれている。

「体が動きません。」

そう、尻餅をついた状況からちっとも動けないのである。

ルヴィアとの会話の時も俺は座り込んでいた。

 

「はあ?何言ってんのカズマ君?足伸ばしてくつろいでるじゃない」

 

「足がつって動けません。因みに魔力も体力も残りわずかです。」

 

「はいはい、じゃあ起こすわよ。せーの!」

「『ドレインタッチ』」

「みぎゃっ!」

いきなり魔力と体力を吸われ奇声をあげた。

青筋を浮かべた凛は俺の胸倉を掴み軽々と持ち上げた。

 

「このバカ!私に一体何した!」

「体力と魔力を少しだけ貰いました。」

 

その後りんに散々怒られ、その間にイリヤとクロは帰ってしまった。

 

「ただい…」

「今の今まで帰ってこないとはいい度胸ですね。」

はは、この体力でセラの説教を耐え切れる気がしねぇ。

 

「…そんな傷だらけで…イリヤさんもクロさんも泥だらけで帰ってきて。それであなたは朝部活に行ってから今の今まで一度も帰って来ず連絡もよこさないで…」

セラの目頭は赤く腫れ少量の涙を流し、俺を抱擁した。

「これ以上私を心配させないでください。」

せらはきっと今まで心配しながら待ってくれていたのだろう。

「ごめん」

「ごめんじゃありません!もう二度と私を心配させないでくださいね。」

さらに強く俺を強く抱き締め、セラの涙は俺の肩を少しばかり濡らした。

 

 

「はやくお風呂に入って来なさい。ご飯はできてますから。」

 

 

 

 

 

 

俺は風呂で疲れを取り、今日を振り返った。

本当に色々なことがあった。

朝飯抜きで部活。その後あの男との戦い。バゼットとの戦い。本当に壮絶な連戦だった。

まあ、あの男は色んな意味でまだ連戦してるだろうがな。

 

だがブラック栄養食一箱だけでよく凌げたと思う。

そう考えるとろくな飯が無かった日本兵はよく戦ったと思う。あれは今の俺、いや日本人には真似出来ない。

 

俺は20分も風呂に入っていた。

 

 

「はぁ、腹減った。飯だ飯。」

 

「待ってください。その前にせめて絆創膏くらい貼りましょう。」

 

今日初めてのまともな飯から遠退いた。

 

「湿布も貼っときますか?」

 

「ああ、背中強く打ったから貼ってくれ。」

 

「はいはい。ここですか?」

 

「ああ、そこそこ。」

 

その後やっと飯にありつけた。

 

晩飯はシャケ、ご飯、味噌汁。とシンプルだ。

 

俺は最初に味噌汁を飲み体の芯から温めた。

夏だけど。

その後シャケを口に含み白米を掻き込み、いつのまにか食べ終わってしまった。




ゲボバ

いやぁ、つかれた。これノート10ページ使いましたからね。
皆さんは書くときノートに下書きしますか?
あと何の器具を使って執筆してますか?
私はスマホです。
ノート見ながらスマホで執筆大変ですよ。パソコン欲しいな。

コメントが来る度バジリスクタイムを踊りそうになる。

あと執筆中手先が凍えるとき
『天皇陛下万歳!』
と叫びはしませんが万歳すると手先が暖かくなります。

でもコメントが来る度バジリスクタイムを踊る前に
『天皇陛下万歳!』と両手を上げています。


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8話 プレゼント

いつのまにか執筆していた。
今日はifルートを二つ作った豪華3本立てとなっております。
誤字もいつもより多く存在しております。
そういえばしゃいみんさんとのコメント見た人はわかると思いますがフェイトを知るきっかけがこのすばだったんですよね。
録画消すのめんどくさいからそのままにしてたらプリズマイリヤドライが録画されていて
「なにこれプリキュア?」
とおもってましたね。
で次のお話見た時イリヤとクロが濃厚なキスをしてたんですよ。
よし、全部見よう!となりました。


バゼットとの戦いからは早一週間が過ぎた。

俺がバゼットに受けた怪我もだんだん治りつつある。

 

それより問題がある。8枚目のカード。確実にギルガメッシュであろう。

 

あと1ヶ月ほどすれば下準備が終わり数日は作戦会議をする予定らしい。

つまり俺は1ヶ月分の魔力しか貯めることができない。

そう思っていた時代が私にもありました。

別に凛とルヴィアから貰えばよくね?と。

早速ルヴィア邸へと向かった。

 

 

 

 

やはり信じられない。一週間程度で屋敷とは直せるものなのだろうか。

そんな考えはそこらに捨ててインターホンを鳴らした。

 

「はい、どなたでございましょう?」

「衛宮和真です。カードの件で参りました。」

「畏まりました。」

 

 

 

 

「で、どのようなお話ですの?」

「魔力下さい。」

「はっ?」

「カズマ様自分が何をおっしゃっているかお分かりですか?返答によってはあなた様の体が蜂の巣になることになりますが。」

 

何を言っているのだろう。

 

「あっそうそう、ハイデルからも貰うわ。」

「セバス……オーギュストです。まさかカズマ様にそのような趣味があろうとは。」

 

そうだハイデルはあっちの世界の執事だった。

 

「なっ、な、ななな、」

 

ルヴィアもルヴィアで顔を赤くしてどうしたのだろう。まさか俺に惚れ、そんな訳ないよな。…OK理解した。

そうだよ凛はともかくルヴィアとオーギュストはドレインタッチのこと知らないんだった。

ルヴィアはいいとしてオーギュストと…それ以上は考えるのやめよう。

 

「ち、違う!そういう意味で言ったんじゃない!ほら2人とも手出して。」

 

キョトンとした顔で2人は手を差し出す。

「ほい『ドレインタッチ』」

 

俺は以前マナタイト擬きとして使用していた石を取り出し、魔力を移動させる。

さらにもう一つ出し、生命力を貯め込む。

 

「こ、これは魔力と生命力を持っていかれますわ。あまり大したことないですけど。」

「ええ、そうですね。」

 

この野郎。人が手加減してやってるのに。

俺は吸収量を多くした。

 

「ぐっ、」

「ふむ、吸われる量が上がりましたね。まあ生命力には少しばかり自信がありますが。」

 

オギュストは魔力は俺とそこまで変わらないものの生命力はルヴィアの倍はあった。

本当に老人なのかこいつ。

 

その日オーギュストとルヴィアからありったけ吸い取り、また今度吸い取りに来る約束をした。

屋敷から出る途中凛からも魔力を貰った。

今日だけで2ヶ月分集まった。つまり六日通えば、俺の一年分に匹敵するという訳だ。

 

その後ホームセンターで500グラム分の質の良い石を購入した。

 

 

 

 

「さて、魔道具作製にかかるとするか。」

その前に所持品確認だ。

何にエンチャントするかを決めなくてはならない。

 

刀、サバイバルナイフ、銃剣

三八式歩兵銃、十四年式拳銃二丁、百式機関短銃

手榴弾10個

マガジンポーチ、拳銃ホルスター、爺ちゃんの鉢巻

 

めっちゃある。

そして気がついたのだが銃剣あるならサバイバルナイフ要らなくね?

 

拳銃のマガジンは空含めて20個

ライフルマガジンは30個。バゼット戦で一発発砲。

残弾数149発

百式機関短銃のマガジンは10個

 

あれ?30分くらいなら生き残れそう。

いやだめだ目的を忘れるな。目的は倒すことだ。どれも決定打にはなり得ない。

どれにエンチャントすべきか悩みどころである。

俺が使える中で最も威力が高いのは爆裂魔法。その制御の難しい魔法に耐え得るものと言えば手榴弾か。

 

これはただの手榴弾ではない。英霊が所持していた物だ。つまり宝具化している可能性が高い。

それなら耐えられるはず。

 

後は無数に射出される武器の対処法だ。風魔法で吹き飛ばすか氷の壁で守るか。一応二つとも作っておく。それをエンチャントするために石を買ってきたのだ。

 

そして念のためもう一つ。

相手は魔力によって存在出来ている。それならドレインタッチが効果的であろう。

体に刺さり貫通しないようなものが好ましい。

三八式歩兵銃は貫通力が高いため却下。

百式機関短銃は拳銃弾のため貫通力は低いがマガジンから全て取り出すのはめんどくさいし、貫通する恐れもあるので却下。

 

十四年式拳銃は和製ルガーと呼ばれているが、モーゼル社の拳銃を元に作っている。だが元にしている銃よりパワーが足りなく、南部製の威力に欠ける弾を使っていて大きい割りに威力が足りないなど言われている。だが体に残る目的では最適であろう。

 

なんか負ける気がしなくなってきた。

 

 

 

 

イリヤとクロと美遊の誕生日パーティーを海でやることになった。イリヤとクロは分かるが、まさか3人が同じ日に生まれたとは思わなかった。

もし出来ることなら誕生日パーティーに士郎を呼んでやりたい。

 

士郎…か。

 

きっと俺の居場所は元々士郎の為のもののはずだったのだろう。きっと俺が転移ミスで、そのせいで唯一魔術なんかに関わらず士郎が幸せに暮らせる世界だったのかもしれない。

だがイリヤは魔術に巻き込まれた。それは士郎ではどうも出来ないだろう。なぜなら魔術に関わらなかったからである。

 

そういえばエミヤも『イリヤを頼んだぞ』って頼まれた。つまり俺が士郎の代わりに、士郎にできないことをやる。

1人で背負って大事な人を置いて逝くなんてことはしない。

 

 

あいつは剣を、俺は人の技を模倣する。案外似た者同士なのかもな。

 

 

俺は深く目を閉じもし士郎と美遊が会える時が来たときのために誕生日パーティーの記念撮影をしようと心に決めた。

 

 

 

 

さて、気づけば数十日が過ぎ今日が終われば夏休みとなる。

 

その間魔道具作製は困難を極めていた。そう、爆裂魔法の付与である。俺のレベルではどうしても作ることが出来なかった。

 

石は初級魔法しか付与できなかった。そのため氷の壁は『クリエイトウォーター』と『フリーズ』を付与した石を二つ同時に使う羽目になった。

因みに種類が分かるように風魔法が付与された石には緑を、水魔法には青を、氷魔法は水色を塗った。

 

10個ずつ完成した。

 

ドレインタッチの件はまず弾を抜き取るのがとても面倒く、まだ三マガジン分しか付与できていない。

途中飽き、刀、サバイバルナイフ、銃剣の刀身にドレインタッチを付与した。

それを自分が得るために柄の部分に貯蓄できる仕組みにし、欲しい時は自分でドレインタッチを発動し吸い取れるようにした。

 

弓道部の俺が言うのもなんだが弓矢はもう時代遅れな気がするので何もしていない。

 

更に、もう無いだろうが氷の剣で戦う場合手が凍えて感覚が無くなるので、それを予防する為防刃性のグローブを購入した。

それを全て武装してみるとこれから戦争にでも行くかのような装備になってしまった。

 

爆裂魔法を付与するのは諦めた。自分で詠唱しよう。

威力を少しでも上げる為25センチ程度の杖も作製した。因みに素材は一成の寺の神木の近くに落ちてた枝である。これで流石に威力は改善されるであろう。

 

 

 

 

 

今日イリヤ達は水着を買いに行くらしい。だからその隙にばれずにプレゼントを買いに行くことにした。

 

「待ってください。今度はどこに行くというんですか。あれだけ心配させといてまたどこかに行ってしまうんですか。」

「イリヤ達の誕生日プレゼント選び。」

「待ってくださいあなたには前科があります。監視役として私も行きます。」

人を犯罪者呼ばわりするのやめていただけます?

 

しばらく待ってくださいと言いセラは部屋へ向かっていった。

 

 

 

 

「お待たせしました。」

それはいつものエプロン姿のセラとは違いそこらのアイドルなんかと同じくらい美人だった。

 

「では行きましょう。」

「お、おう。」

 

おかしい、いつも接してきたはずのセラなのになんだこの胸を締め付ける感覚は。

 

「どうかいたしましたか?」

「え、いやなんでもないで、なんでもない。」

 

どうしたんだ衛宮和真。ギャルゲでこんなシュチュエーション飽きるほど見てきただろ。よくあるテンプレだテンプレ。

そう俺はテンプレなんかじゃどうにもならない。

 

「やはりどこか調子がおかしいのでは?」

 

とセラは邪魔な自分の前髪と俺の前髪を手でどかし自分の額を俺の額にぺたりと貼り付けた。

 

何この甘酸っぱい感覚。

手を額に当てられただけで心拍数が上がったのに更にそこから額と額をくっつけるだと!

吐息がかかってくすぐったいしセラの顔が間近に。

なんてレベルの高い攻撃だ。

 

いやまて、心は兎も角体は思春期真っ盛りのカズマさんにはちょっと荷が重いだけだ。

リアルだとこんなギャルゲテンプレでも俺は揺さぶられるのか。なんてちょろい男なんだ俺は!

 

 

 

 

「カズマどうしたんですか。」

「いや…なんでもない」

 

なんでもないわけないだろ。さっきから街の男の目線がさらに釘付けなんだぞ。

おばさんは若いって良いわね。とか言ってるし。女子高校生とかはキャーキャー言ってるし。

男からの嫉妬の目もやばい。

 

俺の敵感知スキルが過去にないほど反応している。男達の目線はまるで見たものを石化させるのではないか、いや見ただけで殺せるんじゃないかと錯覚するほどの怒りの形相であった。

 

これが直死の魔眼というやつか

 

 

 

 

俺は血走った男どもの中を敵中突破に成功。一部やくざみたいなのが銃をチラつかせていた気がする。

 

日本軍はあれよりも過酷な包囲網を突破し数十キロという距離を傷付きながら集中砲火を回避して特攻して逝ったんだ。

数多くの英霊や魔王軍幹部と渡り合ってきた俺ですら数十人の非戦闘員の敵中突破がやっとなのに日本軍はそれと比にもならない戦闘機、戦艦の包囲網を突破したんだ。

日本軍何者?

 

もうアクア平和ボケした日本人じゃ無くて昔の日本人連れてけば数人足らずで一週間くらいで魔王倒しちまうんじゃないのか?

 

それ以上はやめよう。俺の功績がちっぽけなものになっちまう。

 

 

「にしてもどんなの選べば良いんだ?」

分からない。俺が誕生日に強請るものといえばゲームだ。そんなもの渡してキレられたら俺はもう立ち直れないであろう。

身近な人で考えよう。

めぐみんに渡すとしたら…中二病セット

ダクネスに渡すとしたら…三角木馬

アクアなら…酒だ

アイリスなら…指輪返してねぇ

だめだロクなもの思いつかない。妹やその友達の美遊に指輪渡した日にはセラに殺される。

もしそれが士郎にバレたら並行世界だろうがなんだろうが次元を超えて俺を殺しにきそうだ。

 

「なあ、セラなら何が欲しい?」

「なっ!そ、そうですね…最新の調理器具でしょうか。」

人選ミスった。

「イリヤ達が欲しがるわけない」

「ですよね。縫いぐるみなんてどうでしょう?」

「そんなんで喜ぶのは低学年までだ。」

 

いや、大人でも集めている人はいるけど。

 

「だから残るのはアクセサリーくらいなんだけどあんま高過ぎるのだと遠慮されそうだし、安過ぎると怒るだろうし。」

「難しいですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「これなんてどうでしょう。」

それは星型の手首に着けるアクセサリーであった。値段的にも安過ぎず高過ぎずって感じのものだな。

「これはイリヤのにするか。」

理由はバゼット戦でイリヤが展開した障壁が星型のものだった事やなんとなく星といえばイリヤって感じがした。

「つまりあと二つですか。同じものにはしないんですね。」

「そんなことしたら怒るだろ。真面目に選ばなきゃな。」

 

 

 

 

 

「これにしよう。」

「はあ、それですか。良いと思いますよ。」

それはハートの形をしたイリヤのと同様手首に着けるものだ。とりあえず手首に着けることだけは統一させよう。

 

ハートにした理由は決して、そう決してクロが俺を誘惑してきたり夜中襲ったりしてきて魅了といえばハートと連想したものではない。そう決してだ。

ハートすなわち命。

クロはカードのおかげで存在出来ている。だからクロには消えないで欲しい。もっと長く出来ることなら俺より長く生きて欲しい。と自分勝手な願いを込めたもの。

因みにこの考えもすぐ思いついたものだ。そう、決して三十分悩んだ末に思いついたものではない。

 

「うわ、もうすこしでお昼になってしまいます。イリヤ様は友達と出かけ一緒にご飯を食べてくると仰ってましたがリズはどうしましょう。」

 

その時スマホのバイブレーションが鳴った。

 

「もしもし、リズだよ。」

「ああ、もしもし。」

「ご飯は自分で作ったから大丈『すいません注文されたピザ二枚お届けに参りました。』はーい。」

「おい。」

「と言うわけでじゃあねリズには内緒ね。」

 

と半端強引に電源を切りやがった。

「どうしたんですか?」

「ああ、リズからで料理作ったから大丈夫だって。」

「そうですか。ではあと一つ探しましょう。」

「「おー!」」

「店内ではお静かにお願いします」

「「すいませんでした」」

 

 

 

 

 

「これなんてどうでしょう。」

六芒星か。残り美遊しか居ないがこれは美遊のにしよう。

理由はイリヤ、クロ、ルヴィア、凛、士郎、俺と離れ離れになったとしても会えるよう。縁が切れないようにと願ったもの。

別に俺を入れたのは俺を抜いたら星型になってダブっちまうと考えたからじゃないからね。ね!

 

 

 

その後セラと昼飯を食べたのだが周りの視線が気になって俺はろくに食えなかった。

「ではせっかくですし夕飯の食材でも買って帰りましょう。」

「良いぞ。」

 

 

 

 

予想はしていたが周りの視線がやばい。男の嫉妬の視線や独身女嫉妬か声が聞こえる。

 

「あいつ俺と変わってくれ。」

「くそ、なんであんなもやしみたいな男があんな美人と歩いてんだよ。」

「私より若くて綺麗で彼氏持ちなんて、キイィィ!妬ましい。ぱるぱるぱる。」

 

周りの視線が本当にやばい。

セラは気付かず何食わぬ顔顔でどんどん食材をカートに乗せていく。とそこで異物に気付く。

 

「あの、セラさんこれなんですか?」

「……」

「はいはい。買えば良いんでしょ買えば。」

「はい、ありがとうございます。」

そんな笑顔で見ないで。心拍数がまた上がっちゃう。

因みに周りからは

「天使だ。」

「セラちゃんっていうのか。…覚えたぞ。」

「俺、もう死んでも良いや。」

「変わってくれ、俺とそこ変わってくれ。」

「ま、負けた。完全に負けたわ。」

 

ちょっと1人やばい人いますね。

そんなことに気づかずセラは上機嫌でした。

 

 

 

 

 

 

 

ifルート

 

「カズマどこいくの?」

「買い物。」

「私も行く。ついでにお菓子かって。」

「それが目的か。」

 

 

道中男の視線が全てリズの胸に集まっていた。

 

 

「これなんて良さそうだな。」

それは三つセットのアクセサリー。

「いいんじゃない。イリヤもクロもあとその友達も喜ぶと思うよ。カズマ早くお菓子。」

 

その後俺は1ヶ月分のお菓子を買わされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

もういっちょifルート

 

「行ってきます。」

「「いってら(しゃい)」」

 

 

 

 

どうしよう、どんなもの買えばいいんだ。そう考えていると見覚えのある姿が目に移った。

「あっ」

「えっ」

カレンさんでした。

 

 

 

「で妹とその友達の誕生日プレゼントを買いに来たと。やはりシスマにロリマですね。いいでしょう。私が手伝ってあげましょう。」

 

まあ悩んでいたしちょうどいいか。

 

「では高過ぎず安過ぎずというようなものにしましょう。お財布にも優しいですし。」

「いや前に株やって百万ちょいあるから大丈夫だぞ。」

「ひゃ、100万。ですがそんな高いものだと学校には持っていけませんよ。」

そうだよプレゼントしても着ける機会が無いんじゃ意味ないじゃん。

カレンにあって助かった。

 

 

1時間たらずで目的を遂行できた。だが女性店員のカレンへの嫉妬の目がやばかった。あと男性店員がカレンに鼻伸ばしまくりだったり俺に嫉妬の目線を送っていた。

帰る時俺とカレンは女性店員と男性店員を鼻で笑ってから帰った。

 

 

「ありがとな。じゃこれで…」

「待ってください。手伝ってあげてそれだけですか?もっと何かあるでしょう。昼飯奢りで勘弁してあげましょう。」

「なんでそんな上から目線なの。」

 

 

 

 

 

「さあ、じゃんじゃん食べてください。あなたの奢りですから。」

「なんでそんなに偉そうなんだよ。」

 

ここは中華料理店だ。

暇な時ずっと徘徊する俺だがここには一度もきたことがない。

 

「お待ちになりましたネ。」

出されたのは地獄の業火のように錬成された禍々しいほどの紅だった。

 

 

 

カレンは手を休める事なく麻婆豆腐の形をした何かを口に運んでいた。

 

俺は恐る恐るスプーンですくい口に少量含む。

「かっら!なんだよこれ辛過ぎるだろ!」

悶絶するがまずは決して飲まない何故なら余計に辛く感じるからである。

「ふっ、愉悦。」

このアマ!

 

だが食べれないわけではない。

辛くて体が拒絶反応を起こすだが某河童のお菓子のフレーズのように食べることをやめられない。

 

辛い辛いと言いながら結局一皿食べ終わっていた。

「お代わりお願いします。」

俺はいつのまにか注文をしていた。

 

 

 




軍オタが魔法世界に転生したら現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました⁉︎
という作品をご存知でしょうか。
私はプリズマイリヤとこのすばのクロスオーバーを執筆してるので流石に漫画買うかと思い探したんですよ。
そしたらAK47を持った男と女の絵があってよし買おう。と決断しました。
「いやまてよ、漫画より小説の方買った方がいいんじゃないか」と思って買いました。
つまりこの作品を知るきっかけとなったのはフェイトをしるきっかけとなったこのすばのおかげなのです。




みんな投稿早いですねって褒めて褒めて。
コメントのおかげでやる気が出てこんなに早く終わったんだから。


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9話 この三人に祝福を

よし、今日は休もう。
手が勝手に動いてた。
あと下書きしたんですよ。字が汚くて読めませんでした。



「なあ一成、慎二今度海行かね?」

俺は夏休みの初日保護者としてイリヤ達に着いて行く。だがセラに1人では不安なのでせめてもう2人くらい呼んではどうかと言われた。

まあ俺もそのつもりだったのだ。

 

どうせお守りするなら犠牲者は多い方がいい。それに1人だとずっと見てなきゃいけないから自分が泳げない。

ただひたすら日を浴びるとかどんな罰ゲームだよ。

 

「はあ?なんでだよ。と言うか男三人で行くとか虚し過ぎだろ!」

 

「イリヤ達が海に行くんだとさ。それで俺が行くんだが1人だとめんど……不安だからさ。」

 

「「今なんつった(といった)」

「それにほら男だけがいやなら桜でも呼べだいいだろ。」

「その日桜は用事があるんだよ。」

 

桜の水着を見て見たい気がするが諦めるとするか。

 

「じゃあ一人でナンパでもしてこい。」

「それ僕が行く意味ないよね⁉︎」

「じゃあ俺と一成の二人で行くからお前は家に引きこもってろよ。」

「待てよ。なんで僕を除け者にするんだよ。行くよ。行けばいいんだろ。だから除け者にするのだけはやめてくれ!」

 

よし、道連れ成功。

計画通り!

 

 

 

 

 

 

夏休み前日

美遊が家にお泊まりすることになった。

その影響により俺は買い出しをセラに押し付けられた。

 

なに作るかな。

パーティーぽいのでデザートでも入れるか。

 

今日は商店街の魚が安売りされていたので白身の魚を人数分購入した。今日は天ぷらにするか。

あとついでにカルパッチョ用の魚を購入した。

後は茶碗蒸しでも作ってデザートはフルーツをトッピングして終わりにするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

「お帰り(なさい)」

「「おかえりお兄ちゃん」」

「お邪魔していますカズマさん。」

 

 

「で、なに作るんですか?」

「天ぷら、茶わん蒸し、カルパッチョ。」

「なぜ最後はイタリア料理なのかは問わないでおいてあげましょう。」

 

内臓を取り、魚を三枚下ろしにし、そこから一口サイズほどに切る。そしてカリッとなるまで上げる。

野菜は薩摩芋、椎茸。ここまでは定番。それ以外はトウモロコシ、ゴーヤを天ぷらにした。

 

「これを食べるんですか?」

「大丈夫だってちゃんと試食して味は確認済みだからさ。」

そう、意外といけたのである。

 

 

次はカルパッチョ

すぐ終わった。

魚を一口サイズに切って玉ねぎをスライス。玉ねぎは生だと辛いので茹でてみた。ついでにキャベツを入れ、オリーブの代わりに和風ドレッシングを入れてみた。美味いかどうかは分からないが。

 

後は茶碗蒸し

六人分なので卵は6個。

だし汁2400cc

醤油大さじ12杯

みりん大さじ6杯

酒大さじ6杯

塩を少量6回入れる

 

卵を掻き混ぜさっきの調味料を入れていく。6杯の茶碗に入れそして具材を入れ蓋をしレンジでチンして完成。

 

 

うーん楽

 

 

 

「はいお待ち。」

「味噌汁はどうしたんですかね?」

忘れてた。

「作っときましたよ」

 

 

「「わーいお兄ちゃんが作ったご飯だ。」」

「今日はいつもより豪華でよいよい。カズマ早く食べよ私お腹空いた。」

 

「はいはい。それじゃ。」

 

「「「「「「いただきます」」」」」」

 

 

「「美味しい」」

イリヤとクロのその幸せに満ちた声でお兄ちゃんはお腹いっぱいです。

 

「はむはむはむ。」

リスのように食べ物を口に入れるリズには腹一杯になるという概念があるのだろうか。

 

「美味しい」

 

美遊のその声は儚く触れてしまえば消えてしまいそうだった。

 

 

士郎、もうこっち来てくれよ。美遊を幸せにしてやってくれよ。

なんでだよなんでもやしで引きこもりのニートなんかにこんな重い荷を持たせるんだよ。

それだけじゃない。爺ちゃんだって特になにも言えずに鉢巻だけ残して消えやがってもう少しだけ話させろよ。

 

なんでだよ。なんでよってたかって俺に背負わせてくるんだよ。俺は自分の命すら守らないんだぞ。なんで英霊様や俺よりも強い士郎が背負わず俺が背負うんだよ。おかしいだろ。

 

俺なんかじゃ美遊を幸せにすることが出来ないのに。

 

 

 

8枚目のカードとの戦いになったら妹すら守ることが出来ない。

今のままじゃ確実に俺達は負ける。策だけじゃ駄目だ。いっそアメリカにでも行ってブラックマーケットでRPG7やブローニング社の重機関銃でも購入するか。

駄目だ俺の英語の点数を思い出せ。

 

一か八か自殺して命を捨ててリッチーになるか。それは最終手段にとっておこう。

 

そうして食欲の進まないまま晩飯が終わっていた。

 

 

 

「さて、また魔道具作製するか。」

先ずマガジンから弾丸を抜く作業から始めた。

専用の器具でもあれば良いのだが流石に半世紀以上前のものが残っているとは到底考えきれない。

 

30分かかり二つのマガジンから弾を取り出す作業を終えた。

 

「「出たよ(ました)。」」

さて風呂に入ってくるか。

 

 

 

マジでどうする。

あの日からも魔力をもらいに行きもう一年半分は溜まった。

ただ爆裂魔法放つだけなら15回くらいは撃てるぞ。ただめぐみんの威力に全然匹敵しないだけで。

あの時みたいに3ヶ月分の魔力を使えばめぐみんに後10歩くらいで届くのに。

 

 

 

 

 

 

「さてさっきの続きをやるか。」

 

16発の弾にエンチャントを発動し、ドレインタッチを付与する。その間1時間半も掛かった。

なんか隣がうるさい。ガールズトークってやつか。一応注意してくるか。

 

 

 

「おーい、もうちょっと音量下げろ。」

「あらカズマ女の子の部屋に入るなんてやっぱり去勢しなきゃね。」

 

といい手でアレを切る仕草をしてくる。マジでシャレにならん。

 

「え、カズマさん去勢されるんですか。」

「私お兄ちゃんが去勢しても愛せるよ。」

「なっ、ななな。」

 

うん、そこまで愛してくれるのは嬉しいんだけど切らないよね。

 

「あら、真実の愛ね。」

「何言ってんの!ねぇ切らないでね。というか明日早いんだからもう寝ろ!」

 

うん、俺ももう寝よ。

 

「眠れねぇ。」

さっきまで作業して頭が冴えて眠れない。

よし作業続行しよう。

弾丸を取り除く作業は飽きたから石にエンチャントするか。

 

 

 

 

 

『チュンチュン』

 

 

朝か。

どうやら張り切って作業しようとした瞬間寝たらしい。

 

 

 

 

「「「「「「海だ!」」」」」」

「ぶべらっ」

一人車に撥ねられました。

 

 

「おい、さっき車の運転手からせめてものお詫びにと一万置いていったぞ。」

あかん、それ以上はあかん。

 

「お前らさっきのは無事で済んだからいいけど次からはちゃんと気を付けろよ。」

「全く危なっかしいのではないか。」

「そうだぞ怒られるのは俺たちなんだからな。全くカズマが誘った理由が今分かった。」

「ああ、俺もだ。」

 

「私達問題児扱いされてる!」

 

当たり前だ。道路であんな事したら問題児確定だよ。

 

「イリヤ、イリヤ。あの眼鏡男子とワカメは誰だ。」

 

「柳洞一成だ。お初にお目にかかる。」

「誰がワカメだ。間桐慎二だよ。」

ワカメ、ププッ今度からそうやって呼んでやろ。

 

「ほほーう、ほうほうそれで三人はどのようなご関係で?」

あっ、こいつ駄目な系だその年で腐女子はないぞ小学五年生。

 

「友人関係です。」

これで大丈夫だろう。

 

「ふむ、普通の一言で済ませるのもいささか寂しいな。」

「だな。」

ちょっと二人とも!今はダメ今は絶対ダメだ。余計なこと言うなよ

 

「カズマにはいつも生徒会の雑務、用具点検をしてもらってないやはやカズマがいないと思うと俺はどうして良いかわからんよ。」

 

あっ、もう手遅れだ。俺何も言わないでおこう。

 

「そうだな同じ弓道部員で僕の苦手な弓具の点検をしてもらったり弁当対決したりしてるな。毎回負けたり大事なオカズを奪われたりしたが」

 

おい、桜と一緒に作ったって言え。絶対やばい。

さっきからその女の子がプシュプシュ煙出したり顔を真っ赤にして何か走り書きしてるから。

 

「お兄さんのほうは」

「友人です」

「もう一声」

「数少ない友人」

 

これくらいなら大丈夫…じゃないわ

ヨダレまで出てる。

 

「アリガトウゴザイマシタッッ!」

 

なんだろ、ものすごく帰りたい。

 

「ほらカズマ何やってんだ少しくらい泳ごうぜ。」

「そうだなじゃイリヤ達の近くでな。」

「じゃあ一成留守番よろしく。」

「はあっ?ちょっとまて貴様ら抜け駆けは許さんぞ!」

 

その後一成が陸上部顔負けの走りを見せ俺たちを捕まえました。

 

「嫌だ!せめて泳がせろ。」

「たわけ、貴様らだけ助かるなど許さん。道連れだ。」

 

その時初めて一成の歪んだ顔を見ました。

 

 

 

 

 

 

 

イリヤ達が崖の方へ行っていたので一成に伝えイリヤ達のところへと向かった。

慎二がぎゃーわ叫んでいたが一成が鳩尾を入れ慎二は気絶した。これからは一成を怒らせないようにしよう。

 

 

 

イリヤと美遊は何か話しをしていた。明らかに空気が暗かったが関係ない。

 

「おーいお前らそんなとこにいて海に落ちても俺三人も助けられないからな。」

 

そんなことを気にして落ちでもしたらめんどくさいからだ。

 

 

「アイスキャンディーいかがっすか!」

うるせぇ。

それはバゼットでした。

「「「「バッ、バセット!」」」」

 

距離を取り固有結界から百式機関短銃を取り出し構える。

 

「子供にそんな反応をされると落ち込みますね。安心しなさいここでやり合うつもりはありません。なぜならわたしはいまはただのアイスキャンディー屋さんなのですから!!」

 

プライドなどどこかに捨てた元何執行者のバゼットさんはそれはそれは見事なダメットさんへと昇格していました。

 

 

その後約束された観光地価格(ボッタクリ)されたアイスキャンディーを買わされてしまいました。

 

 

『イリヤ&クロ&美遊お誕生日おめでとう‼︎』

歓声ムードの中みゆが手を挙げた。

「あの誕生日なんて祝うものなの?」

暫しの間静寂が続いた。

 

慎二と一成がなんとかしろという目でこちらを見て肘でついてくる。

 

こいつら。

 

「そうだな誕生日ってのは生まれてきたことに祝福し産んでくれたことに感謝する。そして今日まで生きてきた事の確認と自分の中での一年の区切り。個人個人のお正月みたいなものだな。」

 

なんか言ってる自分が恥ずかしくなってきた。

 

俺の隣で笑いを堪えてる慎二と一成には制裁してやる。

 

「感謝と…祝福」

 

「とまあ堅苦しい事はそこらに置いといてほら誕生日プレゼントだ。イリヤ、クロ、美遊お誕生日おめでとう。」

 

本当に士郎にこの光景を見せてやりたいよ。

本当に来てくれよ。いつまで俺はお前の妹に黙ってればいいんだよ。言ったってどうにもならないし、並行世界に行く方法なんてないし。もし可能性があるとしたら俺が魔術師の道を歩むしかない。でもそんなことしたら家族みんなは悲しむだろう。どうしたらいいんだよ。

 

俺はそんな思いをこころに留め無駄と分かっていても記念にと写真を撮った。

 

 

 

なんでこうなったんだ?

 

『まてぇ!』

「アイスキャンディーいかがっすか!」

 

一人なんか違うのがいる。

 

そのとき逃げているイリヤの額に上空からルビーが体当たりをした。

 

ルビーがこちらへと注射を飛ばして来た。

「うおっ、『回避』」

「ちっ、避けやがりましたか。まあいいです。先に他を無力化します。」

 

と言い10本の注射がみんなの頭にぶすりと刺さった。

9名が悟りを開き残り1名が阿修羅と化していた。

 

「ではお楽しみの時間ですよ。」

いつのまにか俺の背後にいたルビーに気づかず注射を打たれ倒れ込んだ。

ダメだ意識が朦朧とする。

固有結界からサバイバルナイフを取り出し腕の皮膚を切る。

 

「はぁ、はぁ、俺の体に何入れた。」

「惚れ薬です。」

「OK『ピュリフィケーション』ぜぇ、ぜぇ。」

「思ったより耐えますね。これならどうです。」

 

まだ動けない体に三本の注射が打たれる。

 

倒れる間も俺は自然とイリヤだけを見ていた。イリヤを見るだけで体温が上がっていき思考が疎かになる。

イリヤを押し倒したい。そんな感情が心の奥底から湧き上がってくる。

 

「イリ…ヤ、イリヤ、イリヤ。」

 

俺はイリヤを押し倒してしまった。

涙ぐんだイリヤの顔に嗜虐心を煽られる。

「お兄…ちゃん」

涙目になりながら霞んだ声を出すイリヤに俺の本能が最も先に進め、後先なんて考えるなと命令してくる。

 

「さあ、さあ、早く。」

 

「ダメ…だ」

「えっ?」

「ダメだ…そんなの、イリヤが…嫌がっている。それに、するなら無理やり、じゃなく、てちゃんと……許可が、」

 

そうだダメだ

俺は嫌がっているイリヤを見たくないしそんな顔させたくない。

そう考えているのにもう自分では声すら出せなくなっていた。

そして唇がイリヤと触れる。

 

その後俺の顎に鈍い痛みが走った。

 

「姉さんはやり過ぎです。私が皆様のアフターケアをします。それと姉さん後で覚えておいてくださいね。」

 

「嫌だ忘れたくない!」

 

意識が遠くなる中その声だけはひっきり聞こえた。

 

 

 

「はー疲れた。」

「一時はどうなることかと、どうなる、ん?何がどうなったんだっけ?」

「あれなんか一部の記憶があやふやなんだけど。」

 

ああ、俺も…全部覚えてる。なんで俺だけアフターケアされてないの。もしかして俺の運が良すぎて頭がパーにならなかったとか。

まあみんな忘れてるからもう掘り起こさないようにしよう。

イリヤを泣かせる事させたくないし。

 

くそ、サキュバスサービスがあればあの続きができるのに。夢なら良いよね?妄想ならどこまで行っても妄想だし少しくらいあの続きを妄想しても良いよね。

 

よし、そうしよう。

 

 




アニメでやってた祭りと遊園地カットしますね。多分
あとドラマCDのは確実にカットで


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10話 最終決戦?

にわとこの杖ないかな。
これ分かる人いる?

祭りとかは全カットです
まあきっと番外編でやりますよきっと

精神的に辛くなったので3800字と少ないです。


それはある暑い夏の日のこと

 

「バイク免許とったどーー‼︎」

 

バイク免許を取れたのである。

 

後はさらに怒られた後も株をやり500万ほど貯まっているので良いバイクを買おう。

出来るだけ低燃費でハイブリッドのやつ。それなら『ライトニング』でも充電して走れるし。

 

思い立ったが吉日

俺はその日都市まで行き新型バイクを購入した。

 

 

「いやっほー!たーのしー!」

 

低燃費さらにハイブリッドでこの速度。最高かよ。

 

もしバイクで出掛けている最中燃料が尽きたらシャレにならないため

18リットル入るタンクを3個購入し、燃料を入れておき固有結界にしまった。

つまりもうこれで固有結界内では戦う事は不可能だ。

 

 

あの日からも凛とルヴィアからたまに魔力をもらいに行ったが作業などがあるせいで最近は魔力を半分程度しかもらえない。

そのかわりオーギュストから生命力はかなりもらった。これで死ぬことはあまりないだろう。

 

 

 

 

 

 

「8枚目のカード回収作戦会議を始めるわ。」

 

バゼットとは一時休戦となっていたがカード回収ではライバルという感じになっているらしい。

こっちは工事して掘ったから空道だが「転移した先は地面の中では?」という意見もあったがシュレディンガーの猫と同じと言っていた。

 

分からん。

 

今回の敵は前までの敵と魔力量が比にならないらしい。

つまり長引けば長引くほどこちらが不利。なら初『撃に最大火力を撃ちこむ』という事になった。

 

因みに俺達の持っているクラスカードが「アサシン」「キャスター」「バーサーカー」だ。

アサシンは決定打にはならない。

キャスターは俺の魔法攻撃力じゃ転身中のイリヤ以下。

バーサーカーはインストールしたらどうなるか分からない。

 

結局最後は爆裂魔法か。

高速詠唱のスキルでも習得しとこ。

 

 

 

 

 

この日までに20個のマガジンの内10個は付与できた。

石はそれぞれ20個ずつ。

 

後は最低限の装備をするだけ。

 

武器は十四年式拳銃一丁、サバイバルナイフ、手榴弾一個。

水、氷、風の魔法が込められた石を5個ずつ。

マガジンは銃に入っているのを含め四つ。そして杖

 

 

あとの武器は固有結界に全てしまってある。

三八式歩兵銃には銃剣を装着しておいた。

 

あとは補助品

マガジンポーチ、ホルスター、そして要らないと思っていたが念のためサバイバルナイフの鞘。

 

服装

ジャージ一丁、爺ちゃんの鉢巻、スニーカーシューズ、防刃グローブ。

 

これで完璧

 

 

 

 

「イリヤ、ク……」

 

「8人目のクラスなんて存在しない。」

母さんの声だ。どうやらイリヤとクロもいるらしい。

俺は8枚目についてはもう知っているので何も言わない。外で待ってるか。

 

 

「またどこかに行くんですか?」

「ちょっとそこらへんまで…」

「戦争に行くの間違いでは」

 

確かにな、ギルガメッシュの宝具は完全に戦争レベル。たかだか兵士数人が集まっても戦争を終わらせることなんて不可能だ。

 

「出来る事なら言って欲しくありません。あなたが傷付くのをもう見たくありません。嫌です行かないでください。」

 

セラは泣いていた。それも大粒の涙を零し顔を歪め顔を赤くしながら。

 

「大丈夫だって、切嗣に聞いたろ?俺は魔王を倒したカズマさんだって。」

 

「ですが。」

 

「大丈夫俺みたいにスキルのない日本人はな昔圧倒的物量を誇るアメリカ、中国、イギリス、オランダ、途中からソ連までもが寄ってたかっていじめて来たのに行きて帰ってきた奴がいるんだぞ。

そんな奴に比べたら今回なんて楽勝だよ。なんたって俺は大和魂を受け継いだカズマさんだぞ。行きて帰ってくるに決まってるだろ。

傷だらけでは帰ってくるだろうけどさしたらまた絆創膏でも貼ってくれ。」

 

「はい。」

 

「じゃあ行く前に大和魂を受け継いだカズマさんから一言。天皇陛下万歳!」

 

「ばかですか?」

 

「大和魂があったら叫ばずにはいられないんだよ。」

 

「セラだったらヒトラー閣下万歳か?」

 

そんな風に笑顔を見せセラの頭を撫で安心させる。

次こそはみんなにカッコ悪い姿は見せない。誰も死なせない。俺も死なない。

 

「ではご武運を。」

「じゃあな。」

 

セラはドアを閉める最後までこちらを見ていた。

くそ、これじゃあリッチーになれないだろ。

 

 

しばらくしてイリヤとクロが来た。

「待ってたぞ。ほら乗れ。ちゃんとヘルメットは被れよ。」

俺は両手に出したヘルメットをイリヤとクロの頭に被せる。

 

「ほら行くぞ。」

「じゃあ私お兄ちゃんの後ろ。」

「ああ!クロずるい。じゃあ私お兄ちゃんの前座る。」

 

「それはいいけど暴れんなよ。戦闘前に死亡なんて最悪だからな。」

 

 

 

目的地に着いた。

どうやらバゼットは来てないらしい。

 

時間内に来なかったら置いていくという事になった。

 

バゼットは見計らったかのように『ゼロ』と同時にやって来た。

 

 

『ジャンプ』

 

 

ええ、悲報ですバゼットさん呪い解除しちゃいました。

さらに続いて悲報です。転移先には悪意が満ちきっており、やつの魔力が肌に触れピリピリと感じる。

黒い霧。それはセイバーの比ではない。

 

まずルヴィアが先行した。

あらかじめ元の世界で嵌めていたであろう宝石に触れ魔法陣を敷いていく。

 

世界蛇の口(ヨルムンガンド)

 

先ずは捕縛成功

 

打ち砕く雷神の指!(トールハンマー)

 

高速回転増幅路。

 

回転力を利用し威力を高める。それは銃にも用いられている技術。原点はコマらしい。

 

駒の様に回転しながら撃ち出される魔力の弾は黒い霧を切り払う。

 

「任せたわよカズマ、クロ!」

 

 

 

 

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に我が真紅の混交を望み給う」

 

「創造の理念を鑑定し、基本となる骨子を想定し、」

 

「無謬の境界に堕ちし理。歪みとなりて現出せよ!」

 

「構成された材質を複製し、制作に及ぶ技術を模倣し、」

 

「踊れ、踊れ、踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ事なき崩壊なり。

 

「成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現し、あらゆる工程を凌駕し尽くし、」

 

「万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!」

 

「ここに、幻想を結び剣と成す!」

 

今度こそめぐみんを超えてやる。

 

ある人を超えるべき一撃(エクスプロージョン)

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

 

クロは自身が投影できる内で最強の宝具エクスカリバーを、俺は練られる限界の魔力半年分で放った。

 

だがそれは大きな盾に防がれた。

爆裂魔法はどんな存在にもダメージを与えられる、そしてクロが壊した宝具は人類の持つ最強の武器エクスカリバーを火薬とし爆発させた。

なのにあの盾は表面にヒビが入っただけであった。

 

あれを例えるのなら正しく神の盾(イージス)とでも言うべきだ。

 

クソ、カスルギのグラムがあれば斬ることが出来るだろう。だが俺にはそんなものはない。

 

「撤退だ!もうあんなのは原子爆弾でもなきゃ倒せねぇ。」

 

皆が後退して行くのに対し一人前進する者がいた。

ああ、あいつは

 

死んだな。

 

 

 

 

 

どうして。いやそれよりこの飛ばされる武具は硬化のルーンによりタングステン鋼より硬いこのグローブを貫通したそれは、

 

 

 

 

やつは獣のような雄叫びを上げバゼットにトドメの一撃を放ち心臓へと深く入った。

 

 

「条件……完了」

 

蘇生魔術

正しくバーサーカーとでも言うべきか。

 

バゼットは前進し奴に怒涛の連打を繰り出す。だがそれも魔力によって高速修復されてしまう。

バゼットは距離を取り仕切り直しをした。

 

その災害がこちらにもやって来た。

 

 

俺は氷と水の石を投げ氷の壁を出現させる。だがそれもすぐヒビが入って行く。

結局全てを防ぐのに水と氷の石は手持ち全てを使い切ってしまった。

 

「早く撤退の準備を!」

 

「ジャンプ」

 

 

 

 

ジャンプしましたか。

賢明な判断だ。これで私は倒す以外無くなった。

 

詰めだ。

 

フラガ相手の切り札を封じる魔術礼装。

剣の弾幕は消えやつは丸裸となった。

 

ここで仕留める

だが一つの剣が額へと向かっていた。

 

避けられない

 

 

「『狙撃』」

 

金属と金属の擦れ合う独特の音が響いた。

 

 

 

「早くしろバゼット!イリヤ撤退の準備。クロは俺と一緒に奴の宝具を撃ち落としてくれ。」

 

 

こちらに向かってくる宝具はクロが、バゼットに向かう宝具は俺が三八式歩兵銃で弾く。

 

「『狙撃』」

 

剣にぶつかり跳弾する。そして剣も軌道を逸れ違う武具へとぶつかりお弾きのように武具は散り散りとなりバゼットに当たることはなかった。

 

そしてバゼットは奴の心臓(カード)だけを抉りとった。

 

そのカードはアーチャーだった。

 

やつは核となるカードを抉られてもなお動いていた。

 

 

「セイ…ハイ」

 

その後奴は俺達に根源的な恐怖をもたらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、死ぬかと思った!」

 

「何があったのです?」

 

「地獄、いえ、神話を見ました。信じられませんが奴のクラスはアーチャーでした」

 

その時俺以外に衝撃が走った。

 

うん、知ってる。

 

 

とその時地響きが鳴った。

とても嫌な予感がする。こういう時って言うのは大体

 

敵襲だ。

 

 

「まさかこっちの世界でこれを使う事になるとは。」

ルヴィアの触れた宝石を起点に線が広がっていく。

「逃げますわよ!」

自爆スイッチですか!

イリヤと美遊は空を飛び凛とルヴィアは持ち運ばれている。

バゼットとクロは階段の手すりを足場に跳躍していく。

 

俺は?

 

「ま、まて!俺なんにも出来ないんだけど。」

このままでは俺は死ぬ!

あ、今俺の上で不穏な音がしたんだけど。あ、瓦礫落ちて来た。

し、死ぬぅ!

「転移!」

なんとか助かった。

下を見ると俺の居た所だけ瓦礫が集中してるんだけど。

 

あっ、なんか瓦礫が動いて、

そこから飛行機の様なものが飛んで行った。

ギルガメッシュあんなの持ってんの?

 

奴は空高く飛んで行き街の方へと向かって行った。




セラはメインヒロインですかね?
きっとコメントにはセラチャンカワイイヤッターという文字で溢れていることでしょう。

えぇ、悲報です。たぶん次は原作のシーンはカットする所は出来るだけカットします。だって長いし。
ギルとイリヤの会話のシーンなんて出来ることなら全カットしたいくらい長いんですよ。


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11話 この左手にパオンヌを!





「おいどうすんだよあれ。」

 

あれと言うのは街の空を悠々と飛んでいるナニカだ。

この中で飛べるイリヤと美遊が追いかけても宝具の投射を誘発するのみ。それが一つでも落ちたら、なんて考えたくもない。

 

「手詰まりよ。こんなのもうどうしようも…!」

 

 

「豚の鳴き声がするわ。」

 

カレン…か。

 

 

「観察し、思考し、行動しなさい。」

 

じゃあさっきから気になってた事を聞くか。

 

「街に明かりが無いんだが、人避けの魔術とかあるの?」

「正解。因みに結界です。これで人目を気にする必要は無くなりました。では次に見るべきは!」

 

あからさまに誘導尋問してますね。

 

「あいつがどうするか。か?さっきから浮いてるだけで何もしてないな。無差別攻撃をする気はないって主張してるな。英霊の現象のくせして。そう言えば『セイハイ』って言ってたな。あっ、動いた。」

 

「なんだ。もう殆ど答えは出てるじゃないですか。『セイハイ』と言ったのでしょう?ならあれは聖杯の眠る地。円蔵山のはらわた地下大空洞です。」

 

こいつどこまで知ってんの?

 

「まあいいや偵察に行って来る。」

 

俺はバイクを停めた駐車場へと向かう。

 

「「私も!」」

 

美遊が先行しイリヤがそれを追う形になり言い出しっぺの俺が置いて行かれた。

 

「いい、私達が着くまで決して交戦しちゃダメだからね!」

イリヤ達が会話しているが離れてしまっているため全然聞き取れない。

途中ガンドが飛び交っていたが気にしたら負けだ。

 

 

地上を走っているせいなのかイリヤ達に離されていっている気がする。

 

 

 

 

 

「聖杯戦争は10年前に不完全な形で終結。聖杯は成ることなく術式は半壊したまま大空洞で今も眠っているはずよ。」

 

「聖杯戦争がこの土地で起こったってこと⁉︎有り得ないわ。そんな大儀式セカンドオーナーである遠坂に…」

 

「知ってたんじゃない。でも問題はもう一つの聖杯戦争が存在する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで?

 

「君さぁもうちょっと優しくしてくれないかなぁ?あっ、その左手のことも含めてね。」

 

なんでこうなってしまったのだろう。

 

私は確か儀式を止めようとしてあの黒いヒトを儀式陣から押し出そうとしたら裸の男の子が出てきて

それで…それで私…触っちゃった触っちゃった。握っちゃったよ。

まだお兄ちゃんのすら見たことないのに。

 

見ていたらそれはそれで問題な気がするがイリヤの手には男の子のパオンヌが握られていた。

 

 

最近冬木にイリヤさんと美遊さんが居ました。二人は山に偵察にすると飛行機らしきものからドスンとヒトが飛び降り儀式陣で不気味に笑いました。

イリヤさんはそれ止めようとステッキで黒いヒトを押し出しました。すると黒いヒトが二つに割れ中から全裸の男の子が出てきました。

その子にイリヤさんの初めてが奪われてしまいました。

 

 

 

「やれやれだね。1番驚いてるのは僕だよ?それにしても参ったな。まさかこんな事になるなんて。軽はずみなことしてくれたよね。」

 

全裸の子は恥ずかしいところなんてないとばかりに隠しもせず優雅にたっていた。

 

「いっっ…やぁぁ!」

イリヤは無我夢中に散弾を飛ばした。

 

「いやー、しかし何が何やら、一体これは?」

「それはこっちが聞きたいよ。それにしても全くおかしいよこの場。こんな混じり方してるなんて。」

 

混じり?なんのことだろう。

 

そんなことを考えていると後ろの渦がドーム状になり膨張していた。

 

「気を付けてね。あれに触れたら多分死ぬよ。」

そんなことを言っている内にどんどんドーム状のものは膨張していく。

 

「イリヤ早く脱出を!」

「う、うん。」

「まっ、待ってよ。君らだけ飛べるなんてズルいよ!」

 

結局全裸の子も助ける事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ!何イリヤの前で全裸になってんだこの変態クソガキが!」

 

俺はイリヤ達を追いかけていくとイリヤ達の目の前で全裸の状態でいる金髪の子が居たのでなんの迷いもなく、さらに加速し時速100k近くのバイクで全裸のガキに体当たりを敢行した。

 

「危なっ!」

「転移」

 

奴はヒョイっと体を逸らし俺の体当たりを回避してしまい俺は木に激突しかけたので

バイクを固有結界に収納し、転移で地面に着地する。

だが慣性の法則やらなんやらのせいで勢いは消えておらず地面を転がった。

 

「げほっ、げほっ。おいお前服着ろ!」

「ところでお兄さん誰?」

「いいから着ろ!」

ブチ切れた俺は十四年式拳銃を抜き銃口を向ける。

 

「はいはい。ちょっと待ってくださいね。うわ、ロクなもの入ってないな。あっ、あったあった。

8枚目のカード。その英霊です。これでお話し出来るよね?」

 

「今なんつった?」

 

こいつがギルガメッシュ?

えっ、だってあいつの記憶じゃ。

 

 

突然イリヤの持っていたカードが光り出し脈打ち始めた。

 

「へぇ、君カード持ってたんだ。他のカードもここに近づいてるみたいだしやっぱり惹かれ合うものなのかな。 ねぇ、美遊ちゃん。」

 

何故こいつが美遊の名を。

 

「ごめんね僕の半身はどうしても聖杯が欲しいみたいだ。聖杯戦争は君がいなくちゃ始まらない。君は何せ…」

 

「それ以上口を開くな!」

 

美遊は至近距離で魔力弾を放つ。が魔力の壁によって防がれてしまう。

 

「あれ?もしかして秘密だったかな?並行世界のお姫様。」

 

こいつどこまで知ってるんだ。

いや、それよりもこいつはギルガメッシュで要は敵。

サバイバルナイフを抜き突撃。

 

「猪かい君?さっきも見ただろこの程度じゃ…」

「どうせそれ魔力で作ってるんだろ?」

 

サバイバルナイフで刺した所だけ面白いくらい穴が開いていく。

 

「は?なんだいその武器。僕そんなの知らないんだけど。全く引っ込んでろよ雑種!」

 

射出される魔力弾にりより吹き飛んでしまう。

 

「お兄ちゃん!」

 

「部外者は消えた。仕切り直しといこう。残念だけど諦めてね。これが君の運命(Fate)だと思って。」

 

突如現れた巨大な腕に美遊は囚われてしまった。

 

「待ってて今助ける。シュナイデン!」

 

だがそれは巨大な腕に生えた盾によって防がれてしまう。

 

 

 

 

 

 

ダメだったんだ。拒んでも抗っても逃げても無駄だったんだ。これが私の運命(Fate)

 

 

 

 

 

「美遊!」

イリヤは手を伸ばし美遊の手を握ろうとする。だが掴んだのは美遊のステッキ。サファイアだった。

 

「壊して私ごとこの怪物を。ごめんなさい。関係ないあなたを巻き込んでしまって。」

美遊の声はだんだん遠退いていく。

「ごめんなさい今までずっと言えなくて、さよな…」

最後の言葉はイリヤに届く事なく怪物の中へと取り込まれていった。

 

 

「これが…運命なんですか?これが美遊さんの世界の聖杯戦争?」

 

「そう、イレギュラーが多すぎるけどね。万能の願望器たる聖杯を降霊させるための儀式ー聖杯戦争」

 

「美遊は…美遊も聖杯戦争の為に生まれたの?」

 

「美遊も?ああ、君も聖杯戦争の関係者なのか。まあ別に珍しくもない。いろんな世界で、いろんな時代で繰り返し行われる『業』だものね。でもね彼女は特別だ。彼女の為に聖杯戦争戦争が作られたんだよ。」

 

次から次へと驚きの事実がまるで当たり前かのように流れてくる。

更にあの子は美遊が

「人間が聖杯の機能を持ったのではなく聖杯に人間めいた人格を持ってしまった世界が生んだバグ」と言った。

まるで美遊が人間ではなく人形だと、誰にも望まれて生まれてこなかったと。

 

そんな、そんな

「勝手な事言わないで!」

 

「怒りなら僕じゃなくて彼女の運命か、それを利用しようとした大人達か、理性を失って肥大化した哀れなこの僕にぶつけてよ。」

 

といい残しあの子は怪物に取り込まれていった。

 

 

 

 

美遊もあの英霊の子も勝手な事ばかり

「インクルード!」

イリヤはバーサーカーのクラスカードをステッキを触媒にし巨大な剣にする。

その名は射殺す百頭(ナインライブズ)

 

 

劣化物(レプリカ)じゃ原典(オリジナル)には勝てないよ。」

 

対してギルガメッシュが巨大なクロスボウによって射出される巨大な矢は真・射殺す百頭(ナインライブズ)

イリヤの持っていた大剣はあっさりと砕かれてしまった。

そしていくつかの宝具がイリヤの体を串刺しにする。

 

「あーあ、逃げればよかったのに。こんな形で無駄に命を散らすなんて…」

 

溜息をついて呆れる。だがすぐ異変に気付いた。あれはステッキを媒介にしたアサシン()だった。

そしてイリヤはギルガメッシュのところに辿り着いた。

そしてイリヤはギルガメッシュの頬を引っ叩いた。

 

だが相手は英霊。

痛くも痒くも無い。

 

「驚いた。後一本ステッキがあったらまずかったかも。」

「美遊はどこ⁉︎」

「僕の中さ、丁度真ん中くらいかな。ちゃんと生きてる。でも君はここで死んじゃうかもだけどね。」

 

イリヤには逃げる手段がない。大人しく串刺しにされるしかない。

そうイリヤには。

 

「転移」

「へぇ、もう動けるんだ。」

「お兄ちゃん!」

「ゲホッ、ゲホッ。」

地面に鮮血が散らばる。

 

俺は魔力弾によって負傷した。だがその程度でイリヤのピンチに動かない訳にはいかない。

イリヤに接近するのに一回。撤退するのに一回。計2回も使用した。

 

「『ヒール』てめぇよくも美遊を食いやがったな。ギルガメッシュ!」

「ふーん知ってたんだ。」

「お兄ちゃん、イリヤ!…なんなのよこれ⁉︎」

「しかしどうしてこんな異形に!」

 

「そんな事より美遊があの中にいる。転身しろイリヤ!みんなで助けるぞ!」

 

「自分ごと壊してって、これが運命だ、って。あなたには関係ないって。」

 

「それがどうした。まさか見捨てるのか友達を!」

 

「違う!私怒ってるんだよ。あんな事友達に言う台詞じゃない。絶対助け出してひっぱたく!」

 

「よく言ったイリヤ。」

 

さて、妹が頑張るんだ。俺だって頑張んなくっちゃお兄ちゃんの名が泣くよな。

悪いけどエミヤ。お前との約束破らせてもらう。

 

「『憑依経験ウィザード』」

巨大化したギルガメッシュは人が扱うなど不可能な、まるで山を斬るために作られた巨人の、いや神の武器かと思われるそれを大雑把に振り下ろした。

 

「『高速詠唱』」

「カレイド ライナー ツヴァイ フォーム!」

 

「『ライト・オブ・セイバー』」

「シュナイデン」

固有結界から取り出した刀に稲妻とも呼ぶべきそれが纏っていく。

 

「ハアアア!」

 

そして奴の剣というには重すぎるナニカをイリヤと切断する。

一人だったら切断は不可能だったであろう。

 

 

 

 

 

憑依経験

 

エミヤが投影した武器の使い手の技量、理念などを自身に憑依させる技。だが異物が体に入ってくるということは当然危険な事である。

 

だが俺はその憑依経験を利用しもしかしたら自分が成っていたかもしれない職業。それになる事だ。ただし他の職業のスキルは消えないが威力などは激減する。

だがそのかわりウィザードなら魔力、魔法攻撃力、そして適正スキルの威力上昇などがある。

ようはクラスチェンジだ。

いまの俺のレベルでウィザードだったらどのくらい強いんだろうな。

 

冒険者というのはステータスが上がりにくい。

だが憑依経験によって多少は補える。

おそらくこの憑依経験は冒険者に打って付けのスキルだ。

 

「無駄だよ。どんな小手先の技を使っても圧倒的物量には勝てないよ。」

 

そう言い無数の宝具を射出する。

 

「クラス複重『アーチャー!』」

最弱職冒険者とはその名の通り全ての職業を象徴するもの。ならば一つの職業に固執する必要はない。

 

「『狙撃!』」

刀を固有結界に収納し新たに十四年式拳銃を一丁取り出し元々ホルスターにあった十四年式拳銃を抜き全弾16発を発砲。

 

真の力を発揮した狙撃スキルにより威力が上がった弾は全て奴の宝具にぶつかり跳弾。またぶつかった宝具も軌道が外れ隣の宝具と衝突し合い爆発。

それにより他の宝具も誘発されその爆発の威力を得た弾丸は加速し、奴の肉を抉りながら進み、やがて威力が無くなり奴の体の中に残った。

 

左手の十四年式拳銃を固有結界に収納し右手の十四年式拳銃を再装填。

 

「すごい、すごいよ君達。正直言うと不安だったんだ。僕とまともに渡り合える者がいるのかって。さあ僕と奪い合おう聖杯(美遊)

 

「クラス複重『武闘家』

武闘家になった事によって底上げされた筋力によって跳躍。奴の複数ある腕の内の一つに着地し全身。

 

「『インフェルノ』」

地獄の業火がさっきまで俺がいた腕を燃やし尽くす。

 

「はは、なんの力もない君がそんな事したらどうなるか分かってる?」

「分かってるに決まってるだろ!イリヤが、妹が頑張ってんだ俺が隅っこで観戦してられるかよ。」

「いいね、実に良い。気に入った。」

 

そう言って奴は無数の宝具が俺の頭上に展開される。

俺は風の魔法を封じ込めた石を足元に叩きつけ上昇気流が発生し宝具の直撃を避ける。

 

「さっきから子供騙しの技だけでその場凌ぎをしている。でもねそろそろ本気出してくれる。じゃないと死んじゃうよ。」

 

「クラス複重『戦士』」

俺の脳に今の自分じゃ有り得ないほどの剣術が蓄積される。

 

「ハアアア!」

刀を固有結界から出し、奴の体を刺し全身。

 

「へぇ、僕から魔力、生命力を吸ってるのか。でもねそんなの大した量じゃないんだよ。」

 

また奴は宝具を俺の目の前に展開し、射出。

圧倒的物量が俺を襲い掛かる。

 

「『回避』」

それでも何発かは被弾する。

 

「おかしいな、君程度じゃあれの内どれか一つでも被弾したらただじゃ済まないんだけどな。その鉢巻が助けてくれているようだね。」

 

「お兄ちゃん!」

イリヤはもうギルに最接近していた。

「転移!」

イリヤの座標を認識し転移する。

 

奴はあの時クロと俺が壊せなかった巨大な盾を出現させた。

 

「『ライト・オブ・セイバー』」

詠唱してる暇など無く完全に詠唱を無視し、足りない分を高速詠唱、魔力によって補われた上級魔法。

 

イリヤは魔力で編み出した剣を、

俺は借り物の剣を

奴の盾めがけて振り下ろす。

 

 

「神々の盾すら貫くか。これならあるいは成るかしれない。友の為、家族のために身を滅ぼすか。ふふ、フハハ。いいだろ君達こそ僕の全力に相応しい!」

 

もう詠唱など

 

「世界ごと君達を切り裂き今ここに原初の地獄をおりなそう!」

「筋肉も、血管も、リンパ腺も、神経も、私の全てを使って!」

 

こいつらが喋っている間しかない!

 

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に我が真紅の混交を望み給う!」

残った全魔力を使ってやる。

 

多元重奏飽和砲撃(クヴィン テット フォイア)!」

天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)!」

エクスプロージョン(人類の抵抗)!」

 

 

 

 

 

水の音がする

光も音も何も無いのに

どうしてこの音だけ聞こえてるくんだろう。

黒…何も無い暗闇

そう、これが本来の私の世界。

全てを叶える力と引き換えに私は全てを失った。

 

望んでそう生まれたんじゃ無い。でも聖杯として生まれてしまった以上私の意志は関係無い。

私自身に光は必要無いんだ。私は光を与える役割の器。

 

 

なのに

 

光を、居場所を与えてくれた人がいた。こんな私でもちょっとだけ人間らしくなれる世界があった。

 

でもその優しさももう終わり。

 

本来私なんかが手にする事ができないものだった。

この世界で過ごした3ヶ月はきっと最後に見ることを許された夢。

 

悲しみはない。夢から覚めるだけ

ただ元の自分に戻るだけ。

 

 

 

 

でもただ一つ心残りがあるとすれば

 

お兄ちゃん

 

ごめんねお兄ちゃんの最後の願いちゃんと叶えられなかった。運命からはやっぱり逃れられない。

 

私はただ別の世界に投げただけでもね。

優しい人に出会えたよ。友達ちゃんと作れたよ。

 

 

そんな事を自分の中で言っているとだんだん暗闇が晴れていき目を開けると

 

イリヤが居た。

それだけじゃないみんな、みんな居た。

 

「泣いてるとこ初めて見た。」

「えっ、」

どうやら私は泣いていたらしい。

 

 

あーあ黒い方の僕はカードになっちゃったか。まあ半分だけでも受肉できたんだ。儲けものと考えよう。

 

「あー、疲れた。」

「そりゃこっちの台詞だ。」

「ありゃ、無抵抗の僕を殺すのかい?」

「いいや別に。もう戦う意志はないんだろ?」

「当たり前ですよ。元々はカードの方の僕が欲しがってたんですから。」

「じゃあ良しとしよう。これからどうすんだ?」

 

「さあ、適当にプラプラ旅でもしますかね。あっ、でもお兄さん達といるのも楽しそうですけどね。」

「それならルヴィアにでも養ってもらえ。さて妹達のガールズトークが終わった事だしあっちに行くか。」

そんなことしたら僕殺されない?

 

 

 

「おーい、イリ…」

俺の言葉を遮り凄まじい轟音が鳴った。

突然の事で何が起きたか分からない。だが体が動かない事だけは分かる。

 

「エアで切り裂いた世界の裂け目…まさか!」

 

親方空から女の子が二人!

金髪と赤毛のツインテール二人組が落下してきた。

「インストール」

 

「ようやく見つけたと思ったらおまけがうじゃうじゃいるんですけど。」

「知るか、今は美遊様をお連れするのみ。」

 

「お迎えに参りました美遊様。」

「いや、戻りたく…ない」

「そんな口が利けるようになるとは。ですがバカンスはもうおしまいです。」

 

もう一人の赤毛の奴が美遊の首を踏みつけ意識を刈り取る。

 

「テメェらなんて事を!」

震える手で十四年式拳銃を抜き引き金を引くが生憎弾切れだった。

 

「粗末に扱うな馬鹿者!中身がこぼれでもしたらどうする!」

「知るかよ。それよりほら揺り戻しだ。」

 

その瞬間辺りが真っ白に光り何も見えなかった。

「イリヤ、クロ、美遊、みんな、どこだ!」

 

その後意識が消えた。

 

 

意識が覚め目を開けるとそこは

真っ赤に染まる街だった。

 

 

 

「美遊!」

そう叫んだ後意識が消え、目が覚めるとそこは辺り一面白銀の世界だった。




そう言えば軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレム作っちゃいました⁉︎
を四巻買ってきました。最初は二巻にしようと思ってたんですけど十一巻を見るとココノとリースが攻撃機?に乗ってて良し買おう。ってなりました。


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ドライ
1話 炎上汚染都市


皆さんお待たせいたしました。文章に納得がいかなく改良したり何度も読み直しました。
今回は5000字程度です。本当に何してたんだって話ですよね。
前にも言いましたが自分は受験生です。
いや勉強しろよ。と思いの方もいるでしょう。小説を書いていたお陰で40点しか無かった国語の点数が今では7、80点取れるようになりました。



意識が徐々にはっきりとし、瞼を開けると暗闇の世界に眩しい過ぎる程の光が入り込む。そのせいで視界が真っ白になる。

 

 

やっと光に慣れ、視界に映ったのは真っ赤に染まる空であった。

 

周りからは何かが焼ける音が聞こえてくる。

それはどこかで見た事のある光景だった。

確かそれはエミヤの記憶を覗いたときに見たものだ。

 

夢か、そうに決まっている。またあいつの記憶を見ているだけなんだ。

 

そう言えば脳の働きもしっかりとしてない。確認のため頬を引っ張ってみると痛かった。それではっきり分かった。いや分かってしまった。

 

現実だと。

 

俺は現実を受け入れ起き上がろうとしても体が起き上がろうとしてくれない。流石にあれ(憑依経験)はやり過ぎた。

だがイリヤ達と会わなくてはいけない。肘を地面に打ち付けその反動で起き上がろうとするが当然そんな事できるわけがない。体を捻り横向きになろうとする。だが体全身に何とも言えない鈍い痛みが走り、また仰向けの状態に戻ってしまった。

 

体力も魔力も全て使い果たしたらこんな感じなのか。生命力を溜め込んだ石を出そうにも魔力が無く固有結界から取り出すことが不可能。

 

駄目か。

そう思うと体から力が抜け自然と頭が横へと落ちる。そこにはあいつを斬りつけ魔力や生命力を吸った刀が俺の横に置かれていた。

俺は刀を掴みドレインタッチで溜め込まれた魔力と生命力を吸収し、何とか起き上がることが出来た。

 

起き上がった俺の視界に看板が映った。そこには『2004 冬木』と書かれていた。

 

「まじかよ」

 

タイムスリップをしてしまった。いやあの街が過去に大火災にあったなど聞いた事がない。

それで分かった。間違いない。並行世界だ。さらに時間も大幅にずれている。

 

 

俺は今の現状に絶望し、頭を垂れる。

だがその絶望が功を奏した。俺の足元には光るナニカがあった。拾って埃を払うと元の姿へと戻る。

それはイリヤ、クロ、美遊にプレゼントしたものだった。

 

俺はそれをしっかりと握り歩み始めた。

 

 

 

 

 

「イリヤ!クロ!美遊!凛!ルヴィア!バゼット!」

 

もう1時間はみんなを探し回った。だが人影すら見当たらない。

自分の無力さ、この世の理不尽さに腹を立てる。

 

「みんなに会えないんじゃ、こんな物持っていたってどうせ意味なんて無い!…ッ」

 

イリヤ達へプレゼントをしたアクセサリーに八つ当たりし地面に叩きつけようとする。だが出来なかった。

唯一イリヤ達の事を感じられる物だったからだ。

 

視界が霞み頬に暖かい感触を感じた。知らぬ間に俺は大粒の涙を流していたらしい。

 

「なんで、なんで俺を一人にするんだよ。最初は親を置いて先立ってその次はアクア達を置いて日本に戻ってきて、その次は妹達とはぐれて、なんでいつもいつも俺にだけそんな仕打ちをするんだよ。

俺は運が良いんじゃなかったのかよ。どうなんだよ!」

 

何を言っても何か帰って来るわけでもない。

 

ただただ静寂が続く。

 

 

だがそれをかき消したのは足音だった。

振り返るとそれは武装した骸骨達だった。

骸骨達は俺を嘲笑うかのような骨の擦れ合う音をだす。その音は今の俺を現すかのように何もかもが空っぽだった。

 

「うるせえよ。」

 

だが骸骨達はまだ骨を擦り合わせ音を鳴らす。

 

「黙れって言ってるだろ!」

 

俺は一体の骸骨の頭を掴みドレインタッチで魔力を吸い取り頭を地面へと振り下ろし砕く。

だがまだ数体、数十体いる。

刀を抜刀はせず骸骨に近づき足を掛け後ろに倒れたところを鞘の先で打ち砕く。

 

「『スティール』『狙撃』」

骸骨の頭を奪いほかの骸骨の頭へと当てる。

 

 

 

 

気づくと俺の足元にはいくつもの残骸があった。だがそんなものに興味はない。俺はまたイリヤ達を探すためハッキリとしない足取りで歩き出した。

その姿はまるで何かに取り憑かれているようで、虚ろな目をしていた。

 

 

 

 

 

(きひひぃ、こんな所に間抜けな獲物がいるとは)

 

奴は足をふらつかせ重心が整っていなかった。この程度の雑魚なら簡単にひねり潰せる。

だがそれでは面白くもなんともない。どう調理してやろうか。

全身黒く、仮面を被った布一枚の男はナイフを舐め獲物をはっきりと眼に焼き付ける。

『よし、今だ。』とばかりにカズマに飛びかかる。

全身黒い男はカズマの背後からナイフを持ち飛びかかった。

だがその次の瞬間黒い男の胴と腰はさよならしていた。

「はぁ?」

意味が分からなかった。飛んだとは言えど足音一つ出さなかった。それなのに奴に気付かれ切断されていたのだ。

 

 

 

 

 

敵感知に反応があった。

さっきから付けられているが足音がしない。アサシンだろう。だが敵感知がビンビンに反応している。

 

油断しているな。

 

俺は醜悪なまでに顔を歪めどう調理してやろうかと考える。

その次の瞬間敵感知に引っかかった敵に動きがあった。

まだ俺には戦士を憑依させた時の感覚は残っている。

俺は振り返り、抜刀をして奴の体を半分に切り裂く。

 

「はぁ?」

 

敵は間抜けな声と同時に倒れこんだ。

「真っ二つにされても動くのか。流石は英霊といったところか。」

 

俺はサバイバルナイフを抜き何度も突き刺す。

 

「ガァッ、や、やめ…グォッ、おねが…い…しま……もうやめ…」

「英霊、ともあろう、ものが、命乞いをするわけ、ないよな!」

その間も俺は奴と楽しい会話をしながらサバイバルナイフを突き刺す。だがそれもやがて飽き、ソードブレーカーの特徴的なギザギザをも利用し何度もグリグリと抉る。

 

30秒もしない内にそいつは粒子となって消えていった。

 

つまらない。

 

 

「キャァー!」

 

甲高い女性特有の悲鳴。

だがイリヤ達ではない。もっと大人びた、そう凛やルヴィアくらいだと思われる。

やっと人に会える。妹達ではないとはいえ凛かルヴィアに会えるかもしれない。なぜバゼットを含めなかったかと言うとバゼットが悲鳴をあげる事などそうそう無いからだ。

そう希望を持ち歩き始める。

 

だがその期待もすぐ打ち砕けた。悲鳴を上げた者の正体は白髪のロングヘアーの知らない女だった。

彼女は迫り来る骸骨達を凛達が使っていたガンドらしきもので交戦している。助けるのも面倒だが彼女から何か情報を聞き取れるかもしれない。

刀を持ち抜刀はせずさっきと同様に鞘の先で頭部を破壊する。だがそれでは体力の無駄遣いだ。残りの骸骨は約10体これなら

 

「『スティール』」

 

それを10回繰り返すだけ。

そして頭を奪われた骸骨は全て動かなくなる。

 

「大丈夫か。あと一つ聞く。ここはどこだ?」

 

俺は聞きたいことだけを淡々と話し掛ける。

 

「あんた誰よ、レイシフトの時あんた居なかったわよね?」

「いいから質問に答えろ。それとも今の疑問文が答えか?」

 

助けてやったのに上から目線のこいつに苛つきを覚え十四年式拳銃を抜きマガジンを交換し薬室に弾を1発装填する。

 

「特異点Fよ。」

 

「もっと具体的に言え。今ここでは何が起きてるんだ。」

 

「カルデア内部で爆発が起きて気が付いたらここに居たの。それ以外のことは知らないわ。」

 

それだけかよ。魔力を無駄に使った。早くイリヤ達を探さないとな。

 

とその時敵感知に反応があった。

 

「所長から離れてください!」

「『回避』」

 

十字の形をした盾を持った桃色の髪の女に不意打ちを食らうところだった。もし回避スキルが発動していなかったらあの盾で潰されていたであろう。

俺は十四年式拳銃の銃口をそいつに向け、警戒する。

 

「マシュなのよね?待ってこの人は助けてくれたのだからその盾は下ろしてあげなさい。」

白髪の言葉により奴は盾を下ろす。

やはり人助けはするものだな。

「マシュ置いてかないでくれよ。」

 

そこに青目で黒髪の男がこちらに駆けつけてきた。

 

「すいません先輩。先行し過ぎました。」

 

やはりこの声聞いた事がある。

 

「はぁ、はぁ、マシュってこんなに体力あったのか。で、この人は?」

「所長に銃口を向けていました。でもどうやら所長を助けたらしいです。でもこの人はカルデアにはいなかったはず。もしかしたらサーヴァントかもしれませ…」

「それ十四年式拳銃かい!見せて見せて!」

 

どうやらこいつは軍オタらしい。

俺はマガジンを抜き薬室から弾を取り出しそいつに渡す。

 

「うわぁ、本物だ!まさか生きている間に日本兵の武器を拝めるどころか触れる事ができるなんて。他には、他には何があるの?その額に巻いてる鉢巻も日本兵のでしょ!見せて触らせて!」

 

「これだけは絶対見せないし、貸さないからな。そして早く返せ。ところでお前誰だよ。」

「ああ、ごめんごめん。つい興奮しちゃって、俺は藤丸立香、この子はマシュでマシュは俺のサーヴァントだ。」

 

成る程そういうプレイか。

というのは冗談だ。エミヤの記憶でちゃんと知っている。

 

「俺は衛宮和真だ。じゃあな。」

「ちょ、ちょっと待って。この状況で一人で行くのは危険だ。それにどこにいくんだよ!」

「妹達を、離れ離れになった妹達を探しにいくんだよ。」

『ちょっ、ちょっと待ってくれ。』

 

電話越しのような声が聞こえてくる。

『今妹「達」と言ったよね。何人いるんだい?』

「妹2人、その友達1人、そして後は3人。計6人だ。」

『そうか、残念だがこの特異点には人間の反応は君達を除いていないんだ。』

 

嘘だろ。じゃあ俺は1人だけ違う並行世界に来ちまったって事かよ。

これからいったい俺はどうすればいいんだ。

 

「レイシフトとか言ったか。それを使えば並行世界に行けるか?」

『無理だ。だがもしその子達に関係しているものがあればなんとかなる…かもしれない。ただそれでも成功率は低い。』

関係あるもの…か。ある。俺がイリヤ達にプレゼントしたもの。

 

「ある。じゃあ早速俺を送ってくれ!」

『残念だけど特異点を解決しないと回収出来ないんだ。』

 

なんだよそれ。ふざけんなよ。俺に何の関係があるんだよ。

 

だが背に腹は変えられない。

 

「分かった協力する。で、何をすれば良いんだ。」

『この冬木を正常化させる事。まず情報交換と行こう。カズマくんはここで何と出会った。マシュちゃん達も教えてくれ。』

 

俺は何があったかを説明した。骸骨を倒した事、アサシンを倒した事。画面男と白髪は『有り得ない』を連発していた。

 

マシュ達は何者かに狙撃を受けたらしい。おそらくアーチャーの英霊だろうという事になった。

途中白髪のあいつが画面越しの奴に文句言ってたが気にしないようにしよう。

 

『成る程。これは聖杯戦争だね。本来…』

 

聖杯戦争とは7人のマスターと7人のサーヴァントがペアを組み殺しあうバロルロワイヤル。だが人の反応はない。英霊が暴走した事によって起きた特異点だとか。だから元の聖杯を手に入れる必要がある。

 

「ところで画面のあんたと白髪のお前誰?」

「白髪じゃないわよ!銀髪!私はオルガマリーよ」

 

撃たれて死にそうな名前してるな。

 

『僕はロマニ・アーキマン。Dr.ロマンと呼ばれているよ。』

「で、ロマンどこに行けば良いんだ。」

『聖杯戦争だから全サーヴァントを倒せば良いんじゃないかい。』

「それ無事に終わるのか?」

 

もう二度とバーサーカーとは戦いたく無いんだが。でもそれ以外イリヤ達と出会える方法は無い。いやでもエミヤの記憶だとセイバー生きてたし1人くらいなら残してもいいのでは。

 

『勿論その状態で戦ったら間違いなく全滅だろうね。だから英霊を召喚するんだよ。』

 

え、なにそれいきなりヌルゲーになったな。マシュさんはサーヴァントだから英霊召喚は出来ないとしても立香とオルガマリーは召喚出来るし当たりの英霊を召喚すれば楽勝だ。俺も召喚出来ればさらに

良い。

 

「僕はもうマシュと契約してるから無理じゃないの?」

「……私は適正が無いわよ。」

「ムリゲー。おいロマンこれであと6人も英霊倒せんのかよ。」

あと6人。ゲイボルグとかどうすんだよ。最低でも1人死人が出るぞ。エクスカリバーとかどう対処するんだ。バーサーカーなんて考えたくも無い。

 

『カルデアのマスターは何体でも契約可能だよ。適正とカルデアの電力を変換した魔力があればね。でも流石に1日に連続で契約は体に負担が掛かるからもう立香くんはもう駄目だよ。』

 

電力で魔力に変換できるのか。強過ぎ。

だが立香はもう契約不可。

「俺にカルデアの魔力を俺に供給出来るか?」

『何の意図があるか分からないけどもし君がサーヴァントだったら可能だよ。』

 

はい詰んだ。どうすんだよこれ。

 

『一か八か君が英霊召喚をして欲しい。』

 

狡賢い手段でやっと英霊と渡り合える一般人になにを求めてんだよ。いや冷静になって考えてみると俺逸般人だわ。

 

『ここじゃなんだ。取り敢えず場所を変えよう。』

 

ロマンの言葉により俺達は歩き始めた。

 

「ねぇ、ねぇもう一回。もう一回だけ見せて。なんなら他の武器でもいいから。」

 

こいつうぜぇ。

俺は仕方なく武器を渡した。

 

「ナニコレ」

「日本刀だ。ほら日本軍も使ってただろ?これで我慢しておけ。因みに間違っても刀身には触れるなよ。」

 

刀くらい渡しておけば骸骨にむざむざやられることは無いだろう。

 

「嫌だ。もっと十四年式拳銃見せて、触らせて、握らせて!」

 

立香はその場で寝そべり子供のように駄々を捏ねる。さっきからグダグダと無駄な抵抗を。

今度からこいつの名前はぐだ男と呼ぼう。

 

立香が駄々を捏ね転がる度に白い制服は汚れていく。カルデアの清掃員は大変そうだな。

 

 

「置いてくぞぐだ男。」

「ぐだ男って俺のこと⁉︎…待って置いてかないで!」

 

本当に気楽で良いよな。

 

 

 

 

 

 

行く宛も無くただ闇雲に歩いた結果大橋近くまで来た。

 

『じゃあまずは魔法陣を描いてくれ。』

「「どうやって?」」

俺とぐだ男が同時に尋ねる。

「私がやるわよ。」

「召喚は出来ないくせに魔法陣は描けるんだな。」

 

その次の瞬間俺の真横をガンドらしきものが通り抜けた。

 

「次余計なこと言ったら風穴開けるわよ。」

「上等だテメェ。今すぐスティールでお前の身ぐるみ剥いでやろうかこの白髪!」

「誰が白髪よ!」

 

俺と白髪は五分に渡る不毛な戦いを繰り広げた。と言っても取っ組み合いをしていたがとうとう切れた俺がスティールでパンツ剥いで泣かせただけだけど。

 

3人にはクズだ。カスだと言われた。マシュには初めて言われた気がしなかったのが不思議だ。

 

「グスッ、ヒッグ、びぇええん。」

 

未だ白髪は泣き止まず子供のように泣き喚く。

 

「所長いい加減泣き止んでください。クズマも早く謝ってください。」

「誰がクズマだ!」

「いいから早く謝ってください。」

さっきよりトーンの下がったマシュの声に恐怖を覚え俺が極め続けた究極の土下座により事なきを得た。

 

 

 

「じゃあ始めるわよ。」

段々と魔法陣が完成していった。その作成の様子に俺は目を奪われた。

 

「ふぅ、後は詠唱と私の宝石と血を使えば完成よ。」

流石に座りっぱなしは疲れたのか体を伸ばし体をほぐしていた。

 

俺は一呼吸する。

さっきまで地面に集中し視野が狭くなっていたが、視野が広がる。

その視界には異物が目に映った。

 

「なあ、特異点には人の石像なんてあるのか?」

 

そう、辺りには無数の石像が置かれていた。

 




社会のテストで第二次世界大戦だけ出ないかな。
そしたら高得点取れる気がする。

ドライって書きましたがイリヤ達の出番はまだですね。すいません
ちなみにfgoを付け足すのは八月中に既に決めていました。


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2話 英霊召喚

国語の点数が上がることが証明されたのでやります。
ええ、皆さまスキーをしたことはありますか?
私はあります。中一の時スキー学習で行きました。

ええ、皆さまスノーモービルに突っ込んだことはありますか?
私はあります。大和魂の込もった万歳突撃を敢行しました。
次の日インフルにかかって帰りました。
帰ってしたことと言えば気力を振り絞って自分の部屋へと行きこのすばを見ました。



『今すぐそこから離れるんだ!サーヴァント反応が出た!』

 

 こいつ移動しろとか言っておいてサーヴァント出たとか。まさか誘導してないよな。それとも良くある『上層部が無能』とかいうやつか。

 

 急いで撤退しようとするがいかにも触ってはいけないという雰囲気を醸し出している鎖が俺達の周りを囲んでいた。

 

 刹那、空を裂く音がふと耳に入る。直感的にやばいと感じた俺は全力で右に全力で飛ぶ。

 

「ぺっ、ぺっ、ばっちい。口の中に砂利が入っちまった」

 

「残念仕留められると思ったのですが」

 

 声のした方へと頭を向ける。

 

 いかにも死神が持っていそうな鎌を携え黒いローブに全身を隠したロングヘアーの女が俺たちを見下すかのように優雅に佇んでいた。

 

「今度は新鮮な獲物が四匹。どう調理して差し上げましょうか」

 

 舌で口元を舐め、食材を吟味するかのようにこちらを眺める。

 

 周りには石像。そして見覚えのある長い髪。間違いなくメデューサであろう。だが本来のクラスであるライダーの面影は何一つなく、クラスを識別できるものは鎌らしき何かである。

 

 1番考えられるものとすればランサー辺りが妥当であろうか。

 

 

 

「その石像…いや何の為に人を石に変えた。答えろ、メデューサ!」

 

 俺がここまで激昂しているのにも訳がある。別に何の罪もない人間が石にされて怒っている。などと聖人のような考えは無い。赤の他人など別にどうでもいい。

 

 だが石化された者の内の2人の顔は知っている。なぜ何年も時間がズレているのにも関わらず高校生なのかはどうでもいいが、石となった慎二と一成の姿があった。

 

 そんな信じられない光景に目を見開く。

 

「何故私の真名を?と尋ねたいところですが、ああ、納得しました。やはり石化でバレましたか。で、何故石に変えたですか。決まっているでしょう。私の魔力源(食事)です」

 

 

 と言い、俺を見てから何か思いついたのか顔が一瞬歪んだ気がした。

 

「さて、私も小腹が空いて来たことですし間食と行きましょうか」

 

 奴はスタスタと石となった一成と慎二へと向かっていく。そして愛でるように慎二と一成の像を撫でる。

 

「おい、何をする気だ。辞め…」

 

『ろ』という俺の声は奴の手によって頭が砕かれた慎二と一成の石像の首から溢れ出る鮮血の飛沫によって掻き消された。

 

「あら、お知り合いでしたか。まあ別に貴方も、もうすぐ合わせてあげるので気にしなくてもいいんですよ」

 

 奴は俺が顔を歪めたあの一瞬を見逃してなどいなかった。

 

 血管が破裂するのではと言うほど頭に血が上り、自身の血圧が上がっていくのが手に取るようにわかる。

 

 次の瞬間

 俺はサバイバルナイフを抜き奴へと駆け走る。

 奴は俺を一撃で倒すため態勢を整える。

 

「『クリエイトウォーター』『フリーズ』」

 

 炎上した街に一瞬で水を凍らせるほどの冷気が走る。

 

 穂先が刻一刻と俺の眉間目掛け迫り来る。

 氷が張られた地面に向かってスライディングをし、摩擦のなくなった地面を勢いよく滑った。

 

 穂先は俺の頭上すれすれを通り過ぎていき、鎌は空だけを切り裂いた。その空を切り裂く音に身震いし、不本意ながら奴への殺意が一瞬削がれ頭に上った血が引いていく。

 友人が無残な姿にされたというのに、こんな時すら足がすくむ自分に腹が立つ。

 自身への怒りにより、また殺意が込み上げてくる。

 

 頭の中にはもう恐怖は無い。俺の全身に犇めく感情は奴を殺すということのみ。

 

 

 英霊にあるかどうかは疑わしいが大動脈がある太ももの内側をサバイバルナイフで傷つけんとサバイバルナイフを顔まで引き、突きを繰り出す。

 

 だが鮮血の代わりに高々い金属音が鳴り響くだけであった。

 

「惜しい、惜しい。あともう少しで私に傷一つくらいは付いたかもしれませんのに」

 

 嘘だろ攻撃を終えた直後にサバイバルナイフを防ぐなんて。

 俺の滑りは止まることなく奴の股をすり抜ける。

 

 その後何の迷いもなく逃げ出した。だが後ろから俺を追いかけてくる足音がする。

 後ろに振り向くな。

 

 そう俺の本能が告げている。

 

「さあ、野兎のように逃げ惑いなさい。」

 

 逃走スキルを使用し一心不乱に走る。マシュ達の方へと。

 

「ちょっ、まっ、来ないでください」

 

 そう言いながらマシュは味方である俺に向かって盾を構えた。

 地面を蹴り跳躍。その後、マシュの盾を踏み台にしマシュの後ろへと辿り着く。

 

 

 それと同時に俺の背後から甲高い金属音が鳴り響く。

 

 

 どうやら奴の標的を俺からマシュへと変更することに成功したらしい。

 

 

 計画通り

 

 

「あんた……最低ね」

 

「なら英霊同士の戦いに割り込んでみろ」

 

「遠慮しておくわ」

 

 身震いしオルガマリーは一歩下がる。

そう、今英霊同士の戦いが間近で繰り広げられている。2人はその神秘的ともいうべき光景に目を奪われている。

それに気を取られ、俺の存在など2人の頭からは抜けているはずだ。

 

誰もがその戦いに魅入られている中俺は1人潜伏スキルを使用し狙撃ポイントへ移動。

 

距離にして約30メートル。

瓦礫の山に身を隠し、三八式歩兵銃を固有結界から取り出す。

身を隠しながら狙撃する為、三八式歩兵銃を瓦礫の山の上に置き固定する必要がある。

瓦礫を少し手で払い銃一つ固定出来る隙間を作り、三八式歩兵銃を固定。

 

後はマシュを囮にし、奴の動きを止まったと同時に頭を撃ち抜く。

それまではただひたすらに待つ。

誰にも見つからずに。

 

 

 

 

「何と初々しい。あなたサーヴァントとして戦うのは初めて?なら先輩として教えてあげる!」

 

一瞬姿が消えたと思いきや、いつの間にかマシュの目の前に現れた。

奴の鎌はマシュの頭目掛けて振り下ろされる。

 

遥か遠くまで鳴り響く金属音。

突然吹き荒れる突風が俺と所長を襲う。

 

これが英霊同士の戦い。

 

先程の突風により舞い上がった土煙のせいで一寸先すら見えはしないが、鳴り止まることのない金属音が戦いの壮絶さを物語っている。

 

「必死ですね。大変良い。でも気を付けなさい。私の槍は不死殺しの槍。この槍で付けた傷は何をしても治らない。そう肉体を完全に治癒出来る奇跡であろうと。」

 

あいつ!

あんな事を言われれば誰であろうと恐怖を覚える。恐怖を覚えれば身は竦み、思考は鈍る。

 

普通自分から能力を教える奴なんていない。だがあの槍は能力を教える事で本領を発揮する。

奴はそれを聞いて怯えきった人間を弄び石化させたのだろう。

あいつはそうやって遊んでいるんだ。きっと盾を構えて怯えた顔をするマシュを見ようとしているのだろう。

 

そうして少しずつ傷を与えて殺す。

 

マシュがそんな姿になるのを考えたく無い。

さらに自分がやられる事も自然と脳裏に浮かび上がる。

戦ってもいない。ただ見ているだけですら足が竦む。

 

マシュはどんな思いで戦っているのだろう。

 

どう見ても鎌としか見えない槍の穂先をまるで弓を射るかのように体まで引き、放つ。

そうして一撃が繰り出された。

 

先程までの激闘で崩れた体勢を整え、しっかりと盾で受け止める。

この金属音が鳴り響く限りマシュに傷が付く心配はない。

 

期待していたのと違ったのか奴は顔を歪める。

 

 

「あまり初々しすぎるのも癪に触ります。」

 

 

受け切ったまでは良かった。だが尋常では無いほどの火花が飛び散る。

それだけでマシュがどれほど重い一撃を凌いでいるのかが分かる。

いや、分かってしまった。

 

なのに、それなのに……俺は、マスターである俺はどうする事も出来ない。

 

何も出来ない、役立たず。そんな言葉が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

鍔迫り合いにも似たような状況となり2人の動きが停滞する。

今しかない。

そう思い引き金を引く。

 

「『狙撃』」

 

三八式歩兵銃から撃ち放たれた弾丸は、奴の頭部目掛けて突き進む。

だがマズルフラッシュを視界の端で捉えた奴は反射的に後ろへと下り弾丸は先程まで奴の居た場所を通り過ぎる。

 

本来、三八式歩兵銃のマズルフラッシュはあまり出ない。というか全くと言って良い程出ない。

これは流石英霊としか言いようが無い。

 

弾丸が通り過ぎた後直後にやって来きた本当に小さな音を奴は聞き逃さなかった。

奴は獲物を見つけた肉食動物のような目をし、こちらへと向かってくる。

 

接近戦は免れない。

三八式歩兵銃を固有結界に入れ、新たに百式機関短銃を出す。

 

百式機関短銃を手に握った時にはもう既に接近され鎌を振り下ろす寸前だった。

降り掛かる鎌の柄を木製の銃床で受ける。

 

本来の用途とは異なる使い方をしているため銃床はミシミシと悲鳴をあげる。

 

「はぁああ!」

 

体を左にずらし、銃口側を握っている左手を前に押し鎌を地面へと叩きつける。

そこから更に半回転させ左脇に持っていき、脇で固定。

奴に背中を向ける形となり引き金を引く。

全弾発射しきるまで絶対に引き金から指を離してたまるか。

 

「……グゥッ」

 

何発もの弾丸が奴の体に穴を開ける。さらに質の悪いことに体を貫通せず体内に残る。

俺にとっては万々歳だけどな。

 

だが俺は全弾撃ち切ることはなかった。

体が軽いと思ったら宙に浮いており百式機関短銃すら手から離していた。

 

何が起きたか理解し、頭がクリーンになるとさっきまでは気がつかなかった背中の鈍い痛みに気が付いた。

 

刺された?

いやそれでは吹き飛ぶことはない。

 

考えられるのはただ一つ。

蹴られた。

 

またかよ。

と思い出に浸る。

それでさっきまで思い出さないようにと堪えていた感情、思いが湧き上がって来る。

胸に熱い何かが染み渡ると同時にどうする事も出来ない虚無感が俺を襲う。

 

その次の瞬間

地面に打ち付けられ、更に激痛が走り、それすら考える暇がなくなる。

 

「……はっ、……くっ 」

 

痛い。

いやそんな表現ではぬるい。

身体中軋み、打ち付けられ擦り剥いた皮膚は肉が露わになり空気が加熱させた針のように肉を突き刺す。

 

いずれその感覚もなくなる。

きっと脳が理解していないおかげであろう。

 

「……マ、…ズマ、…じょう…かい!」

 

視界がまるで曇ったガラスから向こうを見るかのようにぼやけて見える。

耳に何か詰まったかのように声が篭って、聞き取れない所もある。

 

黒に肌色、青。

立香か。

 

 

 

 

 

 

「カズマ!カズマ!大丈夫かい⁉︎」

 

目には光が無く、息は段々浅いものとなっていく。

 

「り……か」

声はまるで生まれたての子犬みたいに弱々しかった。

当然だ。英霊に蹴られたらひとたまりもない。

「カズマ!」

さっきまで怒ったり、笑ったり…理由はどうあれあれほど表情豊かな顔の面影など無かった。

 

「一蹴り……で…この…ザマか……ははは」

 

自嘲するかのように乾いた笑いをする。

 

「イリヤ…クロ…」

 

『会いたい』その一言だけは言わなかった。本当は言いたいはずだ。だが言ったところで虚しいだけ。

そうだ。カズマは妹達に会うためだけに死地に身を投じ、生身で英霊と戦った。

身体能力だって俺とそこまで変わらない筈なのに。

 

それなのに俺は…

所長みたいに魔術は使えない。ただのお荷物。

 

「俺を魔法陣に連れて行け。」

「えっ、」

 

そんなことしたらカズマの体が。

 

「いいから早く、引きずってでもいい。やるんだよマシュが凌いでいる内に英霊召喚を!」

 

確かにマシュが耐えている間に対抗手段が見出さなけれれば『死』のみ。

 

魔法陣には所長が置いたであろう宝石等が置かれ、後は恐らく血を使うだけであろう。

 

「俺の腰にサバイバルナイフがあるだろう。それで俺の腕を切って血を出せ!」

 

「何を言ってるんだ!もうカズマは体力を消耗し過ぎだ!俺がやる。」

 

俺はカズマの腰にあるサバイバルナイフを抜き襟を捲り腕を切り魔法陣に血を流す。

 

「バカ…やめろ。それは」

 

切る際に体から生命力とでもいうべき何かが抜けていく。いや吸われていく感じがする。

 

「それじゃ俺の後に続いて詠唱してくれ!」

 

「「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。振り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出て、王国に至る。

三叉路は循環せよ。

閉じよ、(満たせ)閉じよ、(満たせ)閉じよ、(満たせ)

閉じよ、(満たせ)閉じよ(満たせ)

繰り返す都度に五度。

ーーーー告げる

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば

応えよ!

誓いを此処に。

我は常世総ての善となる者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

いずれ魔法陣に青白い光が広がっていき眩い光と魔力の重圧が俺達を襲う。

 

 

 

「はぁ、とうとう召喚されちまったか。クラスは……やっぱりか予想はしてたけどな。あーあ働きたくねぇ。ちゃっちゃと終わらせちまおうぜマス……なんだカズマじゃねぇか。」

金髪の英霊からは微塵もやる気を感じず、剰えカズマを知っているかのような言動をしていた。

 

「だ、ダスト!お前英霊になれるのか?まぁいい。早くあのローブ女をぶっ殺せ!」

「へいへい。あー、働きたくねぇ。報酬として後で酒寄越せよ。」

 

英霊には何かしら触媒が必要な筈だ。何かしらの縁が。

俺はてっきり鉢巻を触媒に日本軍を呼び出すのかと思っていた。

 

 

成る程。理解した。

こいつら同類だ。




戦場之郵便配達というドラマを見てみました。YouTubeで。
コメント見たらなんか三流以下とか演技が下手とか言われてました。
でも硫黄島の人達が物資を届けに来た人達のご飯を隠れて見ていたところが本当にリアルで涙出ましたね。
出来ることなら今日本で捨てられちゃう食べ物をタイムスリップしてたべさせてあげたいですね。


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3話 英霊対決

お久しぶりです皆さん。
もう卒業式も終わったのでひたすら執筆してますね。


「はぁ、オラかかって来いよ黒ローブ! 」

 遣る瀬無いといった様子で溜息をつきで槍を握り走り出す。

 

「また乱入者ですか……あら、同業者? ならもうお遊びはやめにしなくてはなりませんね」

 

 だろうな。どう見ても遊んでいた。相手がギリギリの所を踏ん張っている光景を眺めて顔を歪めてたからな。

 

 互いに得物を構え、ジリジリと距離を詰めて行く。

 緊張が張り詰め、まさに一触即発の状態。

 周りの者は固唾を飲み、見守る事しか出来なかった。

 

 刹那、二つの影が動き、そよ風が発生した。

 それでようやく見ていた者は戦いの火蓋が切って落とされた事に気が付いた。

 

 

 

 

 

 耳をつんざく風切り音

 

 次へ、また次へと繰り出される両者の槍。

 それは空を裂き、ぶつかり、高々い金属音は千里にまで響き渡る程に。

 

 こちらが攻めればあちらが、あちらが攻めればこちらが見事な槍捌きにより、互いの槍は上へ、下へと動くばかりで互いに傷が付く事は無かった。

 

 

 ダストの放つ槍を奴はもう慣れたとでも言うかのようにあっさりと槍で下へと受け流してしまう。

 だがそれはダストの罠であった。その事に奴は気付いてももう手遅れ。

 テコの原理を利用し右脚を支点にし、両手で力点に力を入れ、作用点の穂先は奴の槍を上へと押し出し、奴の体はガラ空きになった。

 今だとばかりに槍を持ち直し渾身の一撃を放つ。

 

 

 その凄まじい勢いにより奴は吹き飛んだ。

『決まった』そう思った。だが違っていた。吹っ飛んだように見えたのはただ単に直撃する前にバックステップで後ろに下がっただけ。それでギリギリで避け、擦り傷程度なのであった。

 

 

「危ない、危ない。私も槍だけでは飽きてきましたね。そろそろ違うものでも出しますか。」

 

 腹部を摩りながら、ダストを睨む眼光は蛇のように黄色く、どこか狂っており、他に顔を付しているカズマと戦っているダスト以外は身震いしていた。

 だが立香はもう目を閉じようとはしないし、逸らしもしない。まるで親の仇を見るかのように瞬き一つせず、爪が肉に食い込むほど手を握りしめた。

 

 

 今後嫌という程こんな光景を見るんだ。今の内に慣れておかなければ…

 

 立香はそう硬く誓うのであった。

 

 ローブから長ったらしい髪を出す。何事かと思えばそれが鎖へと変化する。

 鎖は生きた蛇のように唸り、複雑に動き回りダストを狙っている。その筈なのだが、全くそうは見えない。

 どこに向かって行くのかと魅入っているといつのまにか四方八方から這い寄られ囲まれていた。

 

「あっぶな」

 

 これにはたまらずダストも勢いよく後ろへと跳ぶ。

 だが、どこまでも、どこまでも。得物を喰らうまで追尾し続ける。

 

 相手は鎖。槍でなぎ払おうものなら絡め取られ、対抗手段すら無くなってしまう。

 いくらチンピラのダストさんと呼ばれた男でも拳で抵抗するのは不可能。

 

 だがなんとか躱せている。嫌という程磨いた槍術は、足運びは、体の芯にまで染み付き、衰えるどころか、肉体を捨て、英霊へと上華され身体能力も、技術も全盛期を凌駕する程である。

 

 

 ただ、英霊の身にはまだ慣れていなかった。

 

「あっ、やべ、飛び過ぎた。」

 

 ダストが真上へと跳躍した際に得た運動エネルギーは次第に衰え、重力と運動エネルギーは釣り合い一瞬静止する。

 

 それを今だとばかりに鎖達は襲いかかる。

 ダストは体を捻りなんとか避けきる。

 

「うっひょぉおお!英霊になると空中で移動できんのかよ。」

 

 これは決して敵を侮辱しているわけでも、挑発しているわけでもない。……多分

 

 

 

 だが奴は微かに青筋を浮かべていた。

 

「おいおい、遠隔操作している時は動けないお約束だろ?守れよな。」

 

 そんな知識どこで得たのかは謎だがそれは大体やられ役が言う台詞であろう。

 

 もうメデューサの堪忍袋の尾は限界に達していた。

 遂に切れてしまった奴はなりふり構わず得物を振るう。

 とは言え究極にまで極めた英霊の技の質は、そう易々と落ちたりなどしない。

 

 繰り出されるそれは突風を起こし、砂煙が舞い上がる。

 

「よっ、ほっ、やっ、と。」

 

 一歩、二歩、三歩と後退し、何事も無かったかのような顔をする。

 

「惨めですね。先程から逃げているばかりで何も出来てませんね。なんですか?もしかしてその手に持っている槍は飾りですか?貴方ランサーではなく、ランナーですか?」

 

 顔を醜悪なまでに歪め、蔑み、笑いを堪えるように言う。

 

 

 因みに聞いていた者の大半は

『あれ程煽られたんだ。それくらい言っても良いと思うぞ』

 と内心思っていた。

 

 

 だがそんな言葉に常日頃から誹謗中傷を浴びせられてきたこの男には効きはしない。

 

 たがそんなダストの足が止まった。

 それは怒りに我を忘れたからでは無かった。

 

 メデューサへと振り向いたダストの顔は一言で言って冷淡だった。

 目を見るだけで身体の芯まで凍り付くような感覚に襲われる。

 そして口を開き淡々と一言話すだけであった。

 

「で、それだけか?」

「は?」

 

 突然の豹変ぶりに素っ頓狂な声を出し、まさに鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「これ以上お前に引き出しが無いってなら……死ね」

 

 槍の穂先はメデューサに触れる。

 そう思えば、槍は驚く程簡単に肉を引き裂き、心臓へと到達する。

 穂先を抜く。

 メデューサは倒れ、やつ胸から噴水の如く鮮血が噴き出し、宙を舞いその一部がダストの顔に付着する。

 

 本当に一瞬の事だった。

 

「ああ、やはり呆気ないですね。今度会ったら次こそ八つ裂きにして犬の餌にしてあげる。覚えてなさ…」

「知るかよ」

 

 横たわるメデューサの顔を魔力で強化した足で踏み付け、その間に付着した血を手で拭い舐める。

 

「雑魚の割には無駄に魔力あるんだな」

 

 踏まれ喋る事は出来なくとも足で塞がっていない目でダストを睨みつける。

 その瞳には憎悪が宿っていた。

 

「あっ、なんだその目は」

 

 今度は槍で眼球を潰す。一回、二回と。

 そして両目を潰し終わる頃にはメデューサは光の粒子になって消えていった。

 

 

 さあ、これで良いんだろマスター(カズマ)。全く嫌な仕事させてくれるな。まあ俺にゃお似合いか。

 

 そう淡々と心の中で呟く。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「よお、随分無様な姿だなカズマ」

 

 横たわる俺の姿を見て鼻で笑う。

 

「うるせえ、自害させるぞ。大体俺にはくだらない言葉に反論する

 余裕もねぇんだわ。立たせてくれない?」

 

「お前サーヴァントをなんだとも思っている訳?……よっと」

 

 そうは言いながらも俺を立たせ、肩を貸してくれる。

 

「おーい、白髪。治癒してくれ。」

「白髪言うな!」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 どうしてこうなってしまったのだろう。

 

「転身しなさいイリヤ。叩き潰してあげる。」

 

 どうして。

 そもそもなんで私はここ(並行世界)に。

 

 あれは……

 

 

 

 

 

 

 暗闇の世界が徐々にきえていく。

 それはまるで劇が始まる時の幕のように。

 そして暗闇の世界は無くなり溢れんばかりの光が目に降り注ぐ。

 そんな光景にも慣れ視界に映ったのは白銀に染まる世界だった。

 地面はとても冷たくふかふかの雪。木々は全て枯れ、まさしく冬の光景。

 確か今は夏真っ盛りだったはず。それなのに視界に入るのは真逆の光景。

 

 

 

 手足の先の感覚が無くなってきた。思うように動かすこともできないし動いているのかどうかも分からない。

 先程までは感じ取っていた肌を突き刺すような寒さも感じない。今のままの薄着では低体温症になってしまう。

 

 この場に誰かいないかと立ち上がりあたりを見渡すが目視出来なかった。

 どうやらここは森らしい。

 街を見つけた。

「何……これ」

 それは見慣れた冬木の街のはずなのだがあるはずのないクレーター。海が異常なまでに引いていた。干潮では説明がつかない程に。

 

 

 

 今はお兄ちゃんもクロも美遊もルビーも、誰も居ない。

 そうだ、美遊を助けなきゃ。

 でも、どうやって。

 2枚目のアーチャーのカードは金髪の女の人が手に入れちゃったし、もう1人は大の大人が数人がかりでも持ち上げられないようなハンマーを片手で持ってたし。

 

 ルビー無しの私じゃどう足掻いても『死』しか待ってない。

 としあえず探さなきゃ、みんなを。

 そう決意して私は歩き出した。

 

 

 探した。思い当たる場所全てを。

 しかし誰一人として見つからなかった。

 自分の家に帰れば家族が、兄が待っているかもしれないという淡い期待を抱き、家のある場所に近づくにつれ歩く速度が上がって行くのを自分でも感じた。

 しかし家があるはずの場所には『売地』と書かれた看板が突き刺さっていただけであった。

 

 私はあまりの事に膝を地面へと落としてしまう。

 

 大きなクレーターを見た時から分かってはいた。探し回って分かったが人の気配が微塵もせず、夏の筈なのに雪が降っている。

 間違いない。並行世界だ。

 

 

 この時、私は限りなく絶望をした。

 そんな時田中さんと出会った。

 その子は記憶が曖昧で俗に言う記憶喪失だった。

 でも『エインズワース』を知っているような言い振りをしていた。

 

 田中さんと話をしている時出会ってしまった。

 

 ハンマーを持っていた子。

 名をベアトリス・フラワーチャイルド。

 

 ルビーが居ない状況で。

 

 彼女の力は凄まじく電柱をあっさりと壊し私達を下敷きにしようとした。

 田中さんは下敷きにされたのにも関わらず平然と立ち上がった。

 それが彼女の琴線を刺激してしまったらしく、田中さんは英霊化した彼女の拳によって吹き飛ばされてしまった。

 それでもまだ生きていた。

 私はその場に立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 目の前で人がやられている。

 それなのに私は何も出来ないまま心の中で『お兄ちゃん』と叫んだ。

 こんな時でさえ人に頼ってしまう。そんな自分が嫌になった。それでも立ち尽くすばかり。

 

 彼女は何か命令をされたのか『命拾いしたな』と言い帰って行った。

 

 

 

 

 

「麻婆ラーメン2人前お待ち」

 

 そんな声と同時にまるで地獄の業火を表したかのような禍々しい赤。それはスープとは言えず麺がそれに沈み豆腐、ひき肉等の麻婆に使う具材だけが自己主張していた。

 果たして現世においてここまで地獄に近いものがあっただろうか。そもそも存在自体許されるのだろうか。もしも地球に修正力が存在すると言うのなら既にこれは修正され消えているであろう。

 

「どうした、食わんのか?」

 

「えっ、いや……」

 

「まさか私の作った飯を食えんとでも言うのか?どうしても無理と言うのなら……」

 

 食べなくてもいい。

 そんな言葉を期待した。

 だが現実は非情である。

 

「首から下を土に埋めて口から麻婆を流し込んでやろう。それに隣の客を見てみろ。」

 

 その指示に従い田中さんの方を見る。

 

「ごちそうさまです」

 

 丼が地面にぶつかる音と同時に完食の合図を送る。

 

「口の中とお腹が焼け爛れたようにズンガズンガして汗と震えが止まらないです。」

 

 料理の感想ではなかった。

 

 これを……食べる。

 店主さんは既にスコップを持ってきていた。

『食べなかったら埋める』

 そう目が語っていた。

 私は死する覚悟で食した。

 

 

 

 ☆

 

 

「麻婆ラーメン二つで3200円だ」

 

 お金を請求されました。

 私はてっきり行き倒れの田中さんを見て同情して作ってくれたと思ったのですが世間は外の寒さよりも厳しいようです。

 

「まさか文無しではあるまいな!」

 

 鷹のような鋭い眼光でこちらを睨む。

 

「た、田中さん。お金は……」

 私は足を竦ませながら田中さんにたずねた。

「お金?何ですかそれ。うまいもんですか?」

 終わった。

「ほう、食い逃げとは舐められたものだな。だが丁度豚骨が切れていたところだ。文字通り身体で支払ってもらうとしよう。」

 

 日本の昔話に出てきそうな大きな出刃包丁を手にする。

 それはラーメン屋さんが放っていいレベルの殺気では無かった。

 

 出刃包丁はゆらゆらと揺れ怪しげな光を放つ。

 一歩、二歩、三歩とこちらに歩みを寄せる。

 

「こんにちはー、おじさんやってる?」

 

 私達はギルくんに助けられました。(代わりに払ってもらいました)

 

 

 

 ギルくんに出会えなかったら私はもう生きていなかったと思う。

 

 それからギルくんとは利害の一致により停戦協定を結んだ。

 私はギルくんの力を、ギルくんは好奇心に惹かれエインズワースの工房があるというクレーターの真ん中へと向かった。

 

 そこから地獄が始まった。

 

「誰だ……?」

 のどが潰されたようにひどくガラガラな声。

 水分など有るはずのない枯れた木をこれでもかと絞って出したような涙が彼の瞳から溢れ落ちた音がする。

 牢屋の奥の壁にぐったりと持たれたついている。

 光は牢屋の奥まで照らす事が出来ず胸から上の部分は見ることが出来ない。

 だが他の部位は見ることが出来る。いや見えてしまう。

 それは小学五年生が見るには余りにも残酷な光景。服はボロ雑巾のようになり両手は何キロもありそうな金属製の手枷で拘束され、脚や

腕は砂漠に佇む枯れ木のようだった。

果たして人はここまで心身共に枯れることが出来るのだろうか。

 

彼の話を聞くには美遊の兄で、拐われた美遊を取り戻す為エインズワースと一人で戦い、美遊を別の世界へと送った。だが、結局は戻ってきてしまった。

彼は運命の鎖からは逃げられないと言った。

 

彼は叫ぶ。

枯れゆく命を使い、地の淵から天へと願いが届くように。

『美遊を救ってくれ! 』と

次の瞬間。

おどろおどろしい黒い電流が彼の身体を走り、彼は糸の切れた操り人形のように動かなくなる。

 

「死に損ないが喚くと思えば侵入者か。どうやってここに忍び込んだ。答えよ。こなえぬのなら」

 

一筋の閃光がこちらへと飛翔する。

 

「下がってイリヤさん」

一筋の閃光はギルくんが出した黄金の波紋に吸い込まれて行った。

「貴様何をした!」

今度は弾幕を張り制圧しようとするが、また、ギルくんの出す黄金の波紋の中に吸い込まれる。

 

「12本か、総数に比べればちりみたいな数だけど、ご返却どーも」

「お前は……」

「こうして見て改めて実感するよ。贅沢で、傲慢な戦い方だ。」

 

ギルくんは自嘲するように鼻で笑う。

 

「本来一人の英霊に対し宝具は一つ。そんな神話や伝承に謳われる宝具の原典を星の数ほど有し、それを矢のように無造作に放つ。

故にアーチャー、故に最強。それこそが人類最古の英雄。英雄王ギルガメッシュ

その宝具は宝物庫そのもの。僕のカードの使い心地はどうだい?

ねぇ、アンジェリカ」

 

彼女は何かに気がついきはっとしたように目を見開く。

 

「まさか、受肉したのか?」

「さすが理解が早い。まぁ受肉と言っても半分だけだけどね」

「成る程、財宝の一部が消えていたのはお前と二分していたためか。向こうの世界で随分と遊んできたらしい」

「君らにとっては幸運だったかもね。完全な受肉だったら()()()()()、僕が完全に塗り替えていた」

 

私は二人の会話について行けず、終始沈黙を守った。

田中さんなんてもう夢の中に入っていた。

 

「カード風情がよく吼える。大人しく私に使われていれば良かったものを」

「ああ、全く。傲慢や慢心まで真似しなくたっていいのにさ。ああ、そうそう。イリヤさんたちここに居ても流れ弾で死ぬだけだから先に行って。僕の目的はこの女の使っているカード。君はこの先に居るはずの友を助けに!」

 

ギルくんはそう言い、私に例の布を渡す。

 

「逃すと思っているのか? 貴様らはここでまとめて皆殺しだ」

 

彼女は王の財へと繋がる門を開く。

 

「逃すさ、さあ、行って!」

 

ギルくんの投げた黄金一色のアクセサリーはあたり一帯を眩い光で塗りつぶし、敵の動きを一瞬止まらせた。

 

私は田中さんの手を引っ張り、例の布を使い出口へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

咄嗟に飛び出してきたのは良いけど美遊がどこにいるかわからない。

 

「ついてきてくださぁい」

「田中さん、美遊がどこにいるかわかるの?」

「感? というやつです!」

 

不安だ。

 

「突っ込みます!」

窓へと突撃し、入り込んだ所までは良かった。ただ、床が数メートル下に存在していた。

 

「堕ちるです」

「え?」

 

どうやら私の不安は見事に的中してしまいました。

 

「おーお、見事な落ちっぷりだな」

 

敵、ベアトリスが待っていました。

 

 




最初ダストたちのところで終わらせようと思ったんですが結構文字が少ないからイリヤ達を入れました。と言っても原作と殆ど同じなので心苦しいですが。
ある一つのぐだりをやるために必要なのです。
どうかご理解お願いします。戦闘シーンも大幅カットして入れたいところだけ入れますので。すぐ終わると思います。


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4話 理想と現実はいつも異なる

自分のを読み返すと
〜する。〜だった。
などが多すぎてなんか今更ながら小説ぽくないなと思います。
言葉って難しいですね。


抗うことのできない圧倒的な暴力。

田中さんはまた傷を負ってしまった。

何回も、何回も、英霊の力が田中さんを襲って、私は見ていられなくなって近くに落ちていた布で巻かれた棒を持って立ち向かった。

当然私なんかが勝てるわけない。それでも身体が勝手に動いた。

世界がゆっくりと動く。スロー再生みたいに。これなら迫り来る鉄拳を避けられると思った。でも私の身体の動きもスローだった。

これが走馬灯。もう少しで死ぬ。でも違った。

彼女の鉄拳とただの棒っきれがぶつかった瞬間まばゆい光が布の中から溢れてると思いきや、その棒っきれはルビーだった。

 

前にクロが言ったように私は運が良いらしい。

私はルビー(武器)を手に、大空に羽ばたく。

「フォイヤ」

撃ち出される魔力弾。それは戦いの合図となるゴング。

 

 

分かってはいた。私の攻撃は火力不足。何も出来ず防戦一方。それももう直ぐ終わり負ける。このままでは。だがまだかーどがある。

 

私は覚えている。クロが二度に渡ってやってみせた時の感覚を。一か八か、私はキャスターのカードをホルスターから取り出し、インストールした。

 

キャスター、それは余りにも理不尽な強さで一度は敗北してしまった相手。ほんの数秒で私達を絶望の淵へと陥れた者のカード。

だからこそ選んだ。

互いが必殺の一撃。宝具を放たなくてはならない局面。私はあの時キャスターが空間ごと焼き払おうとしたあの技を使った。

それでも圧倒的な暴力の前では無力。一つの神話の頂点の力には遠く及ばない。

目の前に迫り来るは『死』

それから私を守ってくれたのは田中さんだった。さっきまで四肢に落ちている剣を刺され、生身黒ひげをされていた田中さんはもう嫌な筈なのに。

 

「何で……」

 

その問い掛けに田中さんは笑顔で答えた。

 

「痛いのは嫌です。でも、イリヤさんが痛いのはもっと嫌です」

 

そう言い残し、光に包まれて行った。

間も無く私も光に包まれた。

 

 

ほんの数分前

放たれるは無数の宝具。どれも一級品。喰らえばひとたまりもない。

だが、それを苦ともせず門を開き王の財へと仕舞い込む。

 

「このままでは埒が明かん。行けエルキドゥ」

 

複数の門から放たれる鎖はギルの身体に絡みつき、手足を拘束し、宙に吊るし上げる。

 

「敵うとでも思ったのか? 財の殆どをこちらが有しているのだ。当然の結果であろう……逃げた二人は今捕まえたようだ。意外と呆気ないものだな。」

「はは」

 

ギルはこんな劣勢の中笑った。それは勝負を投げ出した者の吹っ切れた笑いではない。

 

「何がおかしい」

「笑うよそりゃ、こんな面白い事の真っ只中に居るんだ。そんな時人は笑うし、怒るし、泣くのさ。それこそが人間であろう?」

 

勝利を確信した。もしくは、こちらに機がある。そのような笑いだった。

 

「と言っても君には理解できなかったかな?」

拘束され、泥で顔が汚れようとも余裕の笑みは消えなかった。

 

「成る程、つまり私は侮辱されたのだな。ならば、人間らしくその侮辱に応えるとしよう」

 

門が開かれ無数の宝具が空に舞う。

ギルはそれを待ってましたとでもいうように笑みをこぼす。

アンジェリカの射出した宝具を全てを彼女が出したエルキドゥが全ての宝具を絡め取った。

 

「鎖が勝手に!?」

 

鎖は使い手を裏切り、持ち主の手へと戻ってきたのだ。

 

「僕だってさ笑うし、怒るんだよ。いい加減僕の()を勝手に使うなよ雑種!」

 

眉間にしわを寄せ、ギルの眼光は獣のように鋭かった。

 

 

金属と金属が擦れ合う音。

空を羽ばたく鎖はアンジェリカの周りに留まり球状となり拘束する。

 

宝具を五つ射出し、鎖を払い除け、脱出に成功する。だが、脱出の際に使った宝具は全て回収されてしまう。

 

ギルは手に持つ鎖を自身の身体以上に使いこなす。

襲い来るは7本の鎖。

 

「前門解放」

 

何十、何百という門が7本の鎖を撃ち落とす為だけに開かれる。

待っていましたとばかりに全ての鎖を門の中に入れ、射出前にその全てを絡めとる。

 

「知ってるかいアンジェリカ? この国には宝の持ち腐れという言葉があるそうだ。全く哀しいくらい君のためにある言葉だね!」

 

宝具を絡め取った鎖を引っ張り、門から引きづり出された宝具はアンジェリカへと雨のように降り注ぐ。

 

「粋がるなよ、カード風情が!」

 

剣が雨のように降り注ぎ我が身を貫かれながらもある一つの宝具を射出する。

それは一つの通路を塞ぐ程大きい。一級品であることは当然。それは神々が造ったもの。

アンジェリカはその剣に守られ、これ以上の負傷を被ることは無かった。

 

「斬山剣か、そういやイリヤさんとお兄さんにおられたんだよね。けど、こんな狭い地下水路で出すなんて優雅な光景とは言い難いな」

 

「付け上がるな小僧。搦め手が二度通用すると思うな!」

 

「似合わないな、怒りの真似事はよしなよ。さあ、諦めずに掛かってきなよ僕の戦力はたったの264本。王の財を持つ者がこんな小兵に負けちゃいけない」

 

先程まで激昂の表情を見せていたアンジェリカは人形のように『無』の表情をする人形のようになる。

 

「理解した。いくら最強の英霊と言えど、その特性全てを知っている貴様とでは相性が悪い」

「躾がなってないな。降伏する者の態度じゃない」

「舐めるなと言った筈だ、小さき王」

「君をかい?」

「エインズワースをだ!」

 

どこかに隠し持っていたクラスカードを取り出した。

宝具の射出ではなく、カードを媒介にしての射出。

これではエルキドゥで絡め取って仕舞うという対処が出来ない。それなら先手必勝と鎖を放つ。

狙うはアンジェリカ本人。だが鎖はアンジェリカに到達する事はなく、彼女の目の前で消え、彼女の後ろに現れる。

 

「言った筈だ。搦め手がにどつうようすると思うなと」

 

置換魔術で空間を出鱈目に繋いだという事は理解した。

 

「なら」

「なら全方位から。か? 無駄だ、それでは間に合わん。インク……」

 

 

彼女の言葉を遮る地響き。壁の崩壊と共にイリヤと田中さんが現れた。

 

「あら、ぼろ負けって感じ?」

「田中さん、大丈夫! 田中さん!」

 

何があったか田中さんの服はちりも残さず消え、スッポンポン。その肌の彼方此方は黒く焦げ、打撲痕、刺し傷が見られる。

 

 

その後わたし達は命かながら逃げ出せた。

もしあの時クロが狙撃して敵の進行を阻害してくれなかったら、エインズワースの当主が何を考えてか撤退命令を出してくれなかったら死んでいた。

 

 

 

学校の屋上から見渡す冬木の街並み。

私たちの住んでいた地区はゴーストタウン化していた。その街を黄昏て見ていた。

 

それは今までの出来事を振り返れる時間。

嫌でも考えてしまう。

 

家族と会えない寂しさ。大好きな兄の行方は未だに不明。クラスカードを使っても、手も足も出なかった。

今頃兄は何をやっているのだろう。考えれば考えるほど心が張り裂けそうになる。

考えないようにしても、夜という時間は嫌な事までも振り返らせる。

 

「またウジウジイリヤ」

 

嫌気がさしたような声

 

「さっきからずっとぼんやり。余裕よね。こんな状況で腑抜けて居られるなんて」

 

『腑抜けなんか!』と言葉に出そうとするが出なかった。

 

「分かってるわよ。ウジウジして居られる状況じゃないくらい。でも、こんな誰も居ない世界に飛ばされて、とても敵わない敵に襲われて……お兄ちゃんの行方もまだ分からないし……平気なわけないでしょ! 弱音くらい吐かせてよ!」

 

「本当世話がやけるったら」

 

突如現れる突風。それは屋上のフェンスをいとも容易く吹き飛ばす。

真夜中の空に剣が月夜に照らされ怪しく輝いていた。

 

「転身しなさいイリヤ、叩き潰して上げるわ」

 

夜空に輝く閃光。

干将・莫耶は自然のように美しく、それでいて恐ろしい。

襲い掛かる干将・莫耶を障壁を張り塞ぐ。見て分かるようにイリヤには戦意はない。

 

「やめてクロ! どうしてこんな事……」

「切り替えが遅いわ、あなたは今剣を向けられているのよ。襲う理由を敵に尋ねてどうするの? こんなんじゃこの先……いいえ、今ここで死ぬわよ」

 

殺気を孕んだ声。黒は本当にわたしを殺す気だ。

私は一瞬で鳥肌が立つ。

 

「そ、そんな事出来るわけないよ! クロには痛覚共有の呪いが……」

「そういえば抑止力だったのよね。でも、もういいか」

 

呪いの紋章に手を当てるとまるでテレビのマジシャンがマジックでものを消す時のようにすっと消えた。

 

「さぁ、これで心置きなく斬り潰せるわ! 」

 

地面を勢い良く蹴り、こちらへと向かって来る。干将・莫耶はイリヤの首へと狙いを定める。

 

「インストール」

 

怪しく煌めく複数の赤い閃光。それはいとも容易く干将・莫耶を貫き破壊する。

 

「トレース・オン」

 

新たに干将・莫耶を投影。無の空間から剣が現れる。

襲い掛かる二つの剣。それは翼の様に舞い、どんな角度からも攻め入る。

相手は二本、こちらは一本。手数で言えばこちらが不利。それを精密な槍さばきで不利を不利とも思わせぬ戦い振りをし、全てを防ぎきる。

 

「使い心地はどう? ゲイボルグの使い手、太陽神の息子。半神半人。ケルト神話の大英雄ーークーフーリンのカードは」

 

「知ってたんならやめてよ! わかってるでしょ、この槍は!」

 

ゲイボルグ

心臓を穿つという結果を先に作ってから槍を放つ。因果を逆転させた必中不可避の魔槍。そう、相手は死ぬ!

 

「頼もしい槍じゃない。それが本当かどうか試して見たら?」

「クロ、おかしいよ。どうしてそこまで怒ってるの? 私が一体何をしたって言うのよ!」

 

クロは返答せず、襲い掛かる。そうして、沈黙を維持したまま戦いが始まる。

 

イリヤは槍で黒の攻撃を逸らし、牽制するだけ。防戦一方。

やろうと思えばいつだって真名を解放し、心臓を穿つ事が出来る。だがしない。出来ない。

そんな消極的なイリヤの態度に腹を立てたのか、弓を使い始めた。クロは本気だ。

だがそれでもイリヤは攻撃に転じない。だからこそ攻撃メインのランサーを辞め、クラスを変える。

 

上書き(オーバーライト)インストール」

 

 

剣を三つ投影し、本質を矢へと変換する。弦を極限にまで引く。弓はミシミシと悲鳴をあげる。

息を吸い込み、脳をクリーンにする。当てられる。当たる。そう想い弦から指を離す。

放たれた三つの矢は着弾と同時に爆発する。それを苦ともせず、目にも留まらぬ速さで駆け抜ける。

空に響き渡る金属音。それはクロの四肢を拘束し、動きを封じる。

 

上書き、通常では行わない外法。故に身体への代償は大きく、鈍い痛みがイリヤの内側から襲う。

 

「敏捷性は最高クラスね。カードを使いこなせるようになってきたじゃない。」

 

分からない。私には分からない。クロが何を考えて、行動しているのか。

 

「……ちゃんと話してよ。言葉にしてくれなきゃ分かんない! ちょっと弱気になる事がそんなにいけないの! 目が覚めたら一人で、私の知っている街じゃなくて、お兄ちゃんも、クロも、ママもセラもリズも、みんな、みんな居なくて、敵はあまりにも大きくて、強くて、美遊を……」

 

自分で言っている間に気が付いてしまった。

美遊もこんな気持ちだったのではないのだろうか。考えて見れば、美遊からしたら、わたし達の世界の方こそ並行世界で、知っている人が、兄も居なくて。それで、カード回収のためにとても大きくて、強い敵と何度も立ち向かっていった。3ヶ月の間弱音を吐かず。

今感じているわたしの感情は美遊も感じて居たのではないのか。

考えれば考えるほどわたしが置かれている状況と同じ。しかも、一人なのだからどれほど辛かった事か。

そんなこと客観的に見ればわかった事だ。

 

「その顔、ようやく気付いたようね。どれだけ心細かったか、怖かったか。今ならわかるでしょう? あの子の友達ならわたし達は弱音なんて吐いちゃダメ。それに、お兄ちゃんならこの逆行くらい笑って吹き飛ばすわよ。弱いながらも自信の持てる全てを使い、知恵を振り絞って、諦めなんてしないわよ」

 

 

 

 

燃え盛る絶望の街に犇めく黒い影達。

走る。走り続ける。逃走スキルを使い。敵感知に反応する複数の敵。走っても、走っても、敵影は振り切れない。

足音は聞こえず、無音で飛ぶナイフ。

 

「ひぃーあ! 助けてぇ! もう駄目、まじで体力が!」

 

もう諦めようかな。

 

「プークスクス。何あいつ、超必死じゃない」

「ぎゃぁあはっは、全くだぜ。面白すぎて、腹が裂けちまう。」

「本当よね」

 

(前言撤回、何としても生き残ってやる!)

 

二人は腹を抱え地面に膝を落とし、地面をドンドンと叩いたり、地面を転がり回ったり。

そんな無防備な姿を見せても尚、二人を見向きもせず、カズマをまるで親の仇。同胞の敵討ちをするかのように追い掛け回す。

 

「キシャシャシャシャ」と奇声を上げ、追い掛け回す。これを経験した者は、もう黒い物を見たく無いであろう。

カズマは大粒の涙を流し、必死に駆け回る。

 

「ぷ、ププッ」

「駄目だ……クッ、こ……堪えるんだマシュ。カズマに制裁される」

 

ダスト、白髪、覚えとけよ。

そもそも何故こんな事になったのかーー

 

そう、それは、白髪から治癒を受けて探索している途中いきなり奴らは現れた。

 

「我ら影の英霊。今ここに無残にも殺された同胞の仇討ちを!」

 

とか言って俺だけ襲ってきて、これ見よがしにあの二人が笑って。

 

俺が何をしたと言うのだ。

いや、前言撤回。したわ、あのハサンをストレス発散に無残に殺したわ。

 

そして今。

 

「『クリエイトウォーター』」

 

地面に水がばら撒かれ、水溜りが出来る。

 

「『フリーズ』」

 

氷点下の空気が発生し、地面にばら撒かれた水が凍てつき、地面に氷が張る。

何人の者かが摩擦の無くなった氷の上を走り、滑り、見事に頭から落ちる。

 

後方確認を行うと、無様な姿を晒した者が3人居た。

距離にして五メートル。右手をホルスターに寄せ、十四年式拳銃をホルスターから抜き、大体の位置に三発を発砲。

 

「『狙撃』『狙撃』『狙撃』」

 

この距離で狙撃スキルを使えば、俺の幸運ではまず外れることはない。

南部弾は奴らの身体の表面を破り、体内へと肉を喰い千切りながら進む。

弾は奴らの身体を貫き通す前に運動エネルギーが無くなり体内へと留まる。それだけならまだ良い。弾にはドレインタッチを付与したもの。身体の内側から寄生虫のようにみるみると魔力や生命力を奪い尽くす。

 

敵感知に反応する残りの敵は12人。目視出来る敵はあと2人。

魔力は既存の量の半分ほど。出来る限り無駄を省き、節約しなくてはならない。

十四年式拳銃をホルスターに仕舞い、腰に手を伸ばし、新たにサバイバルナイフを取り出す。

 

「『クリエイトウォーター』『フリーズ』」

 

サバイバルナイフの取っ手の部分に手を添え、取っ手の一直線上に水を出し、瞬時に凍らせ槍とする。

 

「『狙撃』」

 

投擲された槍はアサシンの右胸に突き刺さる。

惜しい、あと少しで心臓に刺せたのに。

 

アサシンは氷の柄を掴み、引き抜こうとするが、刀で言う鍔の部分が良い返しとなっており抜くことが出来ない。

後目視出来る敵は1人。

ワンショットワンキルというのを知っているだろうか。FPSゲームのスナイパーのあれだ。ゲームの中では基本的にスナイパーでしか出来ないがそれを拳銃で行う方法を知っているだろうか。

 

「『クリエイトウォーター』『フリーズ』」

 

最小限の魔力で敵の足元に水を飛ばし瞬時に凍らせる。

 

あとは簡単。手も足も出なくなった敵の顔を左手で固定し、十四年式拳銃の銃身を口の中に無理やり押し込み引き金を引く。

 

「ワンショットワンキル」

 

すぐさま敵は動かなくなり、消えていった。

ちなみに他の敵は死んではいない。ピクピクと痙攣を起こしているだけ。とは言えどもいずれ死ぬ。

 

「せ、先輩」

「ああ」

「「カズマの方が悪役みたい」」

カズマに聞こえないように2人は小声で話していた。

 

 

後は隠れ潜んでいる物を倒すだけ。一番面倒だ。以前俺がバゼットにやったように1人を探しているうちに他の者から集中砲火をされそうで怖い。

そこで一つ名案が浮かぶ。

 

「ダスト、チェンジ」

「いいよ、いいよ、俺はここで見てるから」

「令呪を持って命ず」

「お、おい。何をする気だ! や、やめ……」

「自害せよ……」

「わっかりましたー! この不肖ダスト、是非ともやらせて頂きます!」

 

そう言い残し、ダストは地面を蹴り、疾風の如く駆け出した。

 

「さあ、かかって来いよ雑魚ども!」

 

相手はナイフ。こちらは槍。人数で有利を持っていても正面対決ではアサシンは手も足も出ない。だが地の利は活かせる。周りには身を隠せる瓦礫や家宅が数多く存在する。

 

カズマに負傷を負わされた者の一人が、蹌踉めきながらも逃走を図る。

1秒もしないうちにその者はダストの槍に身体を貫かれ、絶命する。

 

「何逃げたんだお前」

 

ダストの声を聞く者は悪寒を感じた。

 

 

獲物を捕らえたダストの動きが止まる。今だとばかりにナイフが一斉に投擲される。

燃え盛る炎がこの暗い街を灯せども、まだ薄暗い。ナイフは黒く塗装されているため目視不可。

全方位からナイフがダストの首を喰い千切りろうと襲い掛かる。

 

突然ダストの周りから気流が発生し、ナイフの軌道を逸らし、ナイフは明後日の方向へと飛んでいく。

 

「悪いな、英霊特典でな。死んだだけで飛び道具を無効化してくれる能力をくれるなんて有難い事だ。ナイフの飛んできた方向を逆算してお前らのおおよその位置は掴めた。チェックメイトだよ、お前らは」

 

(はやくこいつらやらねぇと俺が死ぬ!)

カッコいい台詞を吐いたと思えば、結局ダストであった。

 

真・ダスト無双が始まった。

圧倒的な力の前に居場所のバレたアサシンは最早一般人となんら変わりはしなかった。

一人の者は『アサシンに人権なし!』また一人の者は『うわ、私たちの出番少な過ぎ』と嘆いていた。

 

「はぁ、はやく酒飲みてぇ」

 

ダストは何かに解放されたような清々しさ。まるで仕事終わりのサラリーマンのような顔をしていた。

 

 




イリヤ達の会話のからのカズマ達へのぐだりをやりたかった。こんなネタを風呂に入っている時に思いついて自分で笑ってましたね。ちなみに夏休み中。
だから戦闘シーンの妄想もまだ弓と刀だったんですよね。考えてみると今のカズマには無理だわと諦めていた時に日本兵を入れて武器を手に入れてこれなら行ける! と思ってたんですよね。

アサシン可愛そうですね。

文字は前と比べて千文字くらい増えましたがどうでしたか?


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5話 我は他力を求める者也

お久しぶりです
今回は5千文字弱しか有りませんが許してください。


「よぉ、ランサーとは随分良いご身分だこった」

 

どこかから響くようにして聞こえてくる男の声。

 

どこに居るのか分からないその声の主に警戒し、皆臨戦態勢に移る。 ダストは槍を、マシュは盾を構え。俺は十四年式拳銃をホルスターから抜き、右手に持つ。白髪はガンドの構えを取り、円の形を作る。

 

立香は俺が渡した刀を構えても無駄と即理解して円の中に入り、四方八方を見渡す。

前に出られて死なれるよりはマシだ。まあ餌にしても誘き出すのも良いけど。

 

「おいおい、何もやり合おうなんて気はねぇよ」

 

突如としてダストの居る側に現れた薄い水色のフードを被った男。

その存在に俺は全く気が付く事が出来なかった。

 

「ああ? 誰だオメェ? 第一お前は英霊で、この聖杯戦争は皆敵だろ? 大体な、フードをかぶって居る奴は怪しいって相場が決まってるんだよ」

「そりゃすまんな。ほれ、これで文句ねぇだろ?」

 

そう言って男はフードを外す。

特徴的な青い髪。ファンタジーゲームの魔法使い職が持っているような木製の杖。

それは彼の身長と同等の長さ。

 

あいつ(エミヤ)の記憶で見たことのある者。だが今回は持っている得物が違った。

 

「フードを外したからって敵じゃないって言えんのかよ? ああ?」

 

喧嘩腰に話しかけるダスト。ダストの言い分は最もであるが、もはやチンピラである。

元々か。

 

「はいはい、理由を言えばいいんだろ?」

 

彼は気怠そうに瓦礫の上の埃を手で払って、腰を深く下ろし、座り込み、話し始める。

 

この聖杯戦争は普通のそれとは違う。マスターが居ないと思ったらセイバーが暴走していきなり斬りかかってきたらしい。斬られなかった自分以外は何故かセイバーの配下になったらしい。しかも斬られた奴ら全員質が落ちているらしい。

 

それで奴らの事が気に入らなく、それと敵対している俺たちに手を貸すとのこと。それに敵は多い方が楽しみがあると戦闘民族のような台詞を言っていた。

 

もう既にライダーとランサーを倒し、今丁度アサシンを俺たちが倒して残りはバーサーカー、アーチャー、そして元締のセイバー。

セイバーさえ倒せばあとは倒さなくても解決するらしい。

バーサーカーに関しては手を出さなければ、滅多に襲ってくることはないとのこと。

 

そして聖杯を使ってまで叶えたい望みはないだとか。

強いて言えば良いマスターに恵まれたいとのこと。

今まで何があったのか問いただしたいところだが、聞いてはいけない気がした。

 

 

何はともあれ

キャスターが仲間になった。

 

 

「よいしょ……と。ほんじゃまあ行くとしますかね」

 

キャスターは勢いよく起き上がり、杖をつき、一人スタスタと歩いて行く。

 

「「「「「どこにだよ」」」」」

 

これが初めて皆の意見が合致した時であった。

俺たちの言葉にキャスターの歩みが止まった。

 

「決まってんだろ。奴は聖杯を守っている。だったら聖杯の眠る地円蔵山のはらわた。大空洞だ。」

 

またか。これでもう二度目。

ギルガメッシュ戦の時のことが脳裏に蘇る。

次は失ってはならない。何もかも。生きて五体満足の状態でイリヤ達に会う。

その為だったらなんだってやる。

俺は決意を胸にキャスターに着いて行く。

 

 

 

地面が振動し、小さな石ころが揺れる。

 

「何これ? 地震?」

 

『違う! サーヴァントだ! 真っ直ぐこちらに向かってきている。速度的に逃げ切れない。総員戦闘態勢に移行してくれ!』

 

こいつほとんど同じ内容しか言わねぇな。

某アニメの『青野野球しようぜ』に匹敵するのではないか。

 

敵は砂塵を舞い上げ、家宅や瓦礫などの障害物を壊しながら進行する。

 

「なんだありゃ、まるでデストロイヤーみてぇだな」

「おいおい、ありゃバーサーカーだぜ」

 

真名ヘラクレス

あの時の戦闘が昨日のように鮮明に思い出される。魔力にものを言わせ上級魔法で復活しては殺し、復活しては殺す。というハメ殺しが出来たから勝てたというもの。

いくら質が落ちているとは言え、カードではなく本物の英霊。上級魔法でも1発で仕留められるかどうか怪しい。

いくら味方が多くてもアタッカーがダストとキャスターしか居ない。俺は魔力の補給さえあればアタッカーに転じれる。

しかし無いものは無い。

 

皆武器を構え、俺だけが苦悶の表情を浮かべる中ある一人の者が皆の前に立つ。

 

「先行きな。元締のセイバーさえ倒しちまえば解決さね」

 

「で、でも……」

 

「男が情けねぇ声で喚くんじゃねぇ! 誰か一人が食い止めなきゃならんし、それに奴を全員で攻撃したところで倒せねえよだろうよ。それにな俺は一対一の手に汗握る死闘を期待してたんだよ。まあランサーで呼ばれなかったってのがちと心残りだがな。ほらさっさと行きやがれ!」

 

その合図と共に皆一斉に大空洞へと向かい走り出す。

 

キャスターが残って足止めすると言った時、俺は内心両手を上げるほど喜んだ。

あのままの皆で戦えば間違いなく全滅。誰かを犠牲にしなくてはならなかった。

 

皆健闘を祈るように深刻な顔をしていた。

俺の内心を勘付かれないように皆の表情に同調した。

自分は本当にどうしようもない奴だ。イリヤに会う為いざ仕方ない、コラテラルダメージだなどと自分を擁護するつもりもない。分かっている。元々自分はこんな奴だ。

 

 

 

 

イリヤ達に会う為ならどんな手でも使う。それも己の欲を満たす為。

 

 

 

 

 

大空洞への道のり。

一成の神社の姿は目視可能。目的地まではもう少しのところまで来た。

 

「キャスター大丈夫かな」

 

「気になるならお前だけ回れ右して前進。その後犬死してこい」

 

「ちょっ、ちょっと……」

 

「なんてこというんですか! たしかにあなたはロクでもありません。ええ、そうですとも。それでもあなたは妹達に会いたいが為にひたすら頑張って。見直したと思ったら……どんな思考をしたらあの方を心配する先輩にそんなことを言えるんですか!」

 

心の底から出したような大きな声。

 

「マ……マシュ」

 

「お前ら! 他人の心配する余裕があるなら今この状況をどうにかしやがれ!!!」

 

俺は不満を訴えるかのように叫ぶ。

 

「そうだぞテメェら!」

 

そう、今は敵に四方八方を塞がれているのであった。

いくらダストが強いからと言って、今くっちゃべってる俺らを守りながら、湯水のごとく沸いて出る敵を槍で一体ずつ倒すのは骨が折れるであろう。

 

「そうよ、確かに心配だろうけど会話してないで、あなた達も戦って!」

 

「お前本当は大して心配してないだろ」

 

『ちょ、ちょっと……』といったのは俺の言動に注意したのではなく戦えという事だ。

 

「すいません所長!」

「やぁーい、怒られてやんのぉおおお!!!」

「あんたもよ」

「だってよ立香」

「だから、あんたよ!」

 

いや、だってね立香も一応刀持ってるし、数は多くても所詮雑魚だし。

一部竜牙兵とか言う骸骨の上位互換が紛れ込んでるけど。

それでも油断すれば今の貧弱な武装では俺はあっさりと死ねる。

そう、それはコボルドで経験したことだ。どこかの誰かさんを盾にして弓で倒して調子に乗ったらいつのまにか囲まれてボコボコにされて死んだ。

 

それでも今は決戦前に魔力を出来るだけ補給しておきたい。

 

「『スティール』『ドレインタッチ』」

 

骸骨から奪った頭蓋骨から魔力、生命力を吸い取り、活動を停止させる。

スティールで消費した分の魔力の元は取れる。だが利潤はやはり少ない。まだ足りない。これでは初級魔法一回分撃てるかどうか。

最低でも上級魔法一回分の魔力は集めておきたい。

槍を持っている者以外を狙う。

槍を使われては近づきにくいからだ。

 

逃走スキルを使用し、回避率を高め、槍を持たない骸骨共の集団へと走る。

敵は十体。

剣が六体、弓が四体。

 

射出される四本の矢。

それは横一列に並び俺の進行を阻害しようと飛来する。

地面に寝そべり、矢を避ける。

矢特有の空を裂く音が通り過ぎると同時に、素早く起き上がり前進。

前からは六体の剣を持った骸骨はこちらへと向かい来る。

構わず前進。

 

六体の骸骨は俺の前で、半円の形となり俺を待ち構える。六本の剣は俺の体へと突き出される。

スライディングで骸骨共の足元を通り過ぎる。それと同時に両脇の骸骨二体の足に手を触れ魔力、生命力を奪い取る。

 

剣は俺を突き刺す事はなく、剣同士が空中で交わるだけ。

 

両手で地面を押し立ち上がって弓持ちへと向かう。

もう既に矢は再装填されており、俺を射抜かんとばかりに飛来する。

魔法を使わずどう防ぐか。

一、二を争う事態で名案など浮かばず、手を顔の前でクロスし、致命傷だけは回避する。

あわよくば『回避』スキルが発動してくれることを期待して。

結局のところ発動せず、腕に鋭く、神経を焼かれる様な痛みが走った。

どうやら三本刺さったようだ。

 

矢が刺さるのは初めてだ。

異世界ではまともに戦わず、本当に戦ったのは数回ほど。

魔法を喰らう体験はした。矢はなかった。

果たして矢とはここまで痛いものなのだろうか。もっと弓を使う敵と戦う機会があれば魔法を使わずとも回避する手段が何か思いついていたかもしれない。

 

しかし反省は後だ。

今は目の前の敵を倒す。

痛みを堪え、前進し、両腕を伸ばし、二体の骸骨の頭蓋骨を鷲掴みし、地面に叩き落とす。

 

「『ドレインタッチ』」

すぐさま骸骨は活動を停止した。

 

その後残りの弓持ち二体に飛びかかりドレインタッチで魔力、生命力を吸い尽くす。

 

活動の停止した骸骨の弓と腕に刺さった三本の矢抜く。

狙撃スキルを使わず矢を放つ。

 

1本目

 

最も接近している骸骨に狙いを定め迅速に放ち、すぐさま日本間の矢を番える。

矢は頭蓋骨を貫き、骸骨は地面に倒れる。

 

2本目

 

1本目放たれた後1秒と掛からず放たれ、最後の一本を番える。

それも先ほどと変わらず見事頭蓋骨を貫き、同じく骸骨は地面に倒れる。

 

最後の矢

放つと同時に俺は矢が向かう敵とは別の敵へと向かう。

見てはいないがどうせ何処かには当たるであろう。

 

 

骸骨は俺へ剣を振り下ろす。

弓柄で受け、刃は弓柄に食い込む。

その骸骨の胴体を蹴り飛ばし、距離を取る。

 

後は二体。

サバイバルナイフを逆手に持つ。

またも骸骨は剣を振り下ろす。

ソードブレイカーで受け、砕き割り、後ろへと回り、柄で剥き出しの頸椎を力の限り叩くと骸骨の活動は停止された。

 

姿勢を低くし、残りの骸骨に向かって走る。

俺の顔面を串刺しにしようと剣は突き出される。

地面を勢いよく蹴り、骸骨へ突撃。

骨に顔面を埋め、両手でしっかりと骸骨を抱きつく形となった。

何が悲しくてこんなことをしなくてはならないのか。顔も痛い。

 

「『ドレインタッチ』」

 

だが魔力を得る為いざ仕方ない。

 

「カズマ、後ろ!」

 

立香の声に反応し、後ろを振り向くと、骸骨が剣が落ちて来ていた。

咄嗟に右手を出し、剣を防ごうとした。

もう右手は無くなってしまうであろう。

 

もうイリヤ達を抱きしめられなくなるのか。

 

手を引こうにも、もう遅い。

剣を振り下ろされ俺の手は

 

 

 

「んん……切れてない⁉︎」

 

 

 

しかも全然痛くない。今更気が付いたが手にグローブが装着されている。

そういえばギルガメッシュ戦前に無駄ってわかっていても気休めとして防刃製のグローブを購入してたのを忘れていた。

 

優勢になったことでつい顔が緩んでしまう。

 

「ぐっヘッヘッヘ」

 

そのまま剣を掴み、奪い取り、左手で骸骨の頭を握る。

 

「『ドレインタッチ』」

 

骸骨が活動停止したことを確認後、蹴り飛ばした骸骨から順に弓で倒していった敵から魔力を奪い取り、制圧完了。

 

今回の反省。

 

魔法は範囲攻撃など多々あり、制圧力に優れている。だがそれが無くなったらどうだ。俺はあんな奴らを相手に苦戦を強いられた。銃があるからと言って弾は無限じゃない。

それに固有結界から物を出すときは手数料がかかる。配達と同じで物の大きさによって消費する魔力も違う。

そもそも刀を渡していなければもっと楽に倒せたのではないのか。

それ以上は辞めておこう。

 

反省終了。

 

 

「おいカズマ、そんなところで油を売ってないでとっととこっちに来い。このままじゃ埒があかねぇ。俺が突破口を切り開く。それに続け!」

 

槍の柄の端と端を握り前進。

前に待ち構えている骸骨共は槍に押され、次々とダストの前へとゴミのように溜まっていく。

それでもダストは止まることを知らず、速度は加速していく一方だ。ダストの周りでは微風が起こる。

そうして敵のど真ん中に一筋の道が作られた。

 

俺たちはダストロードを走る。

 

しかし敵も俺たちを逃すつもりは毛頭なく、弓を持つ者は弓を番え、一斉射撃をおこない、剣、槍を持つ者はこちらへ接近してくる。

 

「走れ! 両端から撃たれたら盾では防ぎ切れない。英霊化しているマシュは兎も角、俺たち一般人は止まったら蜂の巣にされるぞ!」

 

「私は魔術師よ!」

 

「なら魔術の一つくらい使って矢を全部弾き返してみろ!」

 

「ロクな宝石のない今の私じゃ無理よ!」

 

「お前使えねぇ」

 

そんなこんな走りながら会話をしているとで矢の雨が降り注ぐが、運良く掠ったくらいで、誰も負傷はしていない。

それでも第2波はやってくる。

 

「はぁ⁉︎ ならあなたはどうにかできるんでしょうね?」

 

「使いたくないなから魔力のあるお前に頼ってんだよ!」

 

 

「頼……分かればいいのよ。仕方ないわね。出来れば温存していたかったけど。見せてあげるわ」

 

取り出したるは二つの緑色の宝石。

凛達が普段使っているものよりは一回り小さい。

それを第2波が来ると同時に両端へと投げる。

すると光の障壁が現れ、矢は全て光の壁に弾かれた。

 

「おお、スッゲェ。魔法みたいじゃんか。」

 

そうだよこれだよ。まさに近代ファンタジー系。いままでのお子ちゃまステッキや魔術師がレベルを上げて物理で殴ってきたそれとは訳が違う。れっきとした魔術。

俺は子供が真新しいものを見るときのような高揚感に包まれる。異世界に初めて着いた時もこんな感じだった気がする。

 

「フン、ようやく私の凄さが分かったようね」

 

「お前ら! 早く来い! 俺がどんだけ頑張ってると思ってるんだ!」

 

 

 

 




たまに三人称になったりすることがあるかもしれませんが寛容な精神で見守って下さい。
お願いします。


そういえば防刃グローブを作中で書いているつもりだったんですけど無くて冷や汗かきました。


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6話 この剣の世界で決着を!

皆さんお久しぶりです
ゴブリンスレイヤーの小説3巻買ってきてかなり読んでおり、これに手がつきませんでした。許してくださいなんでもしません!
しかし!今回は一万字を超えました。

そう言えばですね。お宝を見つけました。小学一年生くらいかな?
ドラえもん三時間スペシャルを録画してDVDに残してあってそれがなんと!『ドラえもんのび太の魔界大冒険』でした!


 大地を揺らし、向かい来るギリシャ神話の大英雄ヘラクレス。

 そんな強者を相手に両手を地面に突き刺した杖に置き、前を見据え堂々と立ち、視線を敵へと向けるアイルランドの大英雄クーフーリン。

 

 自慢の槍を取り上げられようともその品格までは無くならない。

 

 やっと強者と戦える。

 それ故か早く戦いたいとウズウズし落ち着かない。鼓動は高鳴るばかりだ。

 

「さて、おっぱじめるとするかね!」

 

 あらかじめ仕込んでおいたルーン魔術を起動。

 彼方から響く爆発音。それでも奴の進行の歩みは止まらない。

 彼はキャスターの特権である魔術を行使する。

 身体強化で肉体を限りなく全盛期に近づけ、自身の杖に炎を象徴するルーン文字を刻み、力を付与する。

 

 今やれる事はもうやった。あとは戦地に赴くのみ。

 早く戦いたいと体が動き出し、彼我の距離はもう既に10メートルにまで迫っていた。

 手を伸ばし空中に次々とルーン文字を刻む。文字はやがて白く輝き、やがて火球となりて射出される。

 それに紛れ込み、自身も肉弾となり駆け出す。

 

 火球はビーサーカーに命中するも、鋼鉄の鎧のような筋肉に阻まれ、バーサーカーの身体には手で掻いたような些細な痕ができ、煙が発生するだけ。

 だが、その煙はバーサーカーの視界を覆い尽くす。

 

 地面を蹴り、跳躍。バーサーカーの頭上へと回り込み、落下の勢いを乗せ、杖の握り手で脳天へと振り下ろす。

 鉄筋コンクリートの壁を叩きつけたような衝撃が手首を襲う。

 

「流石にびくともしねぇか」

 

 獅子のような雄叫びを上げ、岩石からくり抜いたような斧剣が空高くから振り下ろされる。

 振り下ろされた一撃は大地を揺さぶった。

 右へと転がり、回避。その後ルーン魔術で牽制し、スライディングでバーサーカーの大人一人通れるような股を潜り抜け、背中へと回り込む。

 先程の魔術攻撃と比にならない量のルーン文字を次々と空中に刻んでいく。

 

「とっておきだぜ」

 

 50は優に超える火球は輝きを帯び、バーサーカーの背一点に向け集中砲火。

 火球はマシンガンの如く連続で射出され、バーサーカーの表面に傷を付け焼いていく。それは次第に小さな傷口となり、遂に火球は肉を喰い千切り、燃やしていく。血液は煮えたぎり、火球は内臓へと辿り着き、引火する。

 心臓が燃え尽きる頃には、もう既に絶命していた。

 バーサーカーにとっては耐え難く、無限にも感じた苦痛の時間は10秒にも満たなかった。

 

 

 それでも食い千切られ、燃やされた身体は呪いによって細胞ごと再生する。

 

「■■■■■■ーーーーッ!!!」

 

 鼓膜が破れてしまうような轟音。何を言いたいのかは分からない。それでも言葉にならない雄叫びは、まだまだ序の口だと言っているようであった。

 

 一回、二回、三回と振り下ろされる斧剣。奴はまるでその攻撃しか知らないような攻撃を繰り返す。

 だが少しでも受け損なえば致命傷。最悪『死』

 死神はいつだって鎌の刃をキャスターの首に添えている。

 

 それを避け杖の先端、石突を突き出すが、振り下ろした斧剣を無理矢理起こし、斧剣の腹で受け、飛び蹴りを繰り出す。

 

 そんな最中彼は呟く。

 

「我が魔術の檻。茨の如き緑の巨人」

 

 自分を律するかのように。

 右へ、左へと避け、身をよじり、相手の動きを見切り、回避する。

 

「因果応報、人事の厄を清める社。倒壊するはウィッカーマン。焼き尽くせ木々の巨人」

 

 互いに一歩も引かぬ戦い。

 動く度、熱が上がり、血液が滾る。彼らは戦う度、アドレナリンが湧き出て、脳は回転し、戦闘前より視界が広くなる。

 

 

 より戦いは激化する。

 

 

 

 過去に名を馳せ、雄々しく散って行った英霊達。出会うことのない彼らは出会い戦う。

 この光景を目に焼き付ける者はいない。歴史には残らない。残ってはいけない。戦いが終われば一輪の花のように儚く散る。それが英霊。

 

 

灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)

 

 突如として姿を現した木製の人形。木一本まるごと切り、木同士を編んだようなあまりの巨大な人形。バーサーカーの三倍の高さを有していた。

 中身は何もなく、胴体はまるで鳥籠のよう。

 

「さあ、出し惜しみは無しだぜ」

 

 拳を握り、天高く掲げ、バーサーカーへと振り落とす。

 バーサーカーはまるでそれに応えるかのように剣を地面に突き刺し、広く、鋼のように硬い胸板を前に出す。

 遂に拳は振り落とされる。

 バーサーカーはそれを胸板で受け止めてみせた。

 凄まじい衝撃。バーサーカーの足元にはクレーターが形成されていた。

 

 だがこの程度ではこの鋼鉄の化物を打ち破れない。

 バーサーカーは人形の手をその丸太のような巨大な両腕で抱きしめる。

 恐ろしい程の怪力に木はミシミシと悲鳴を上げ始めた。

 

 両足を軸に身体を捻る。すると、なんと自分の何倍もの大きさの人形が浮き上がり、ハンマー投げのように回り始めた。

 回り続け、次第に小さな風が発生し始めた。

 風はいずれ嵐となる。それも長くは続かない。

 バーサーカーが手を離し、人形は遥か彼方へと吹き飛ばされる。人形は住宅街へと背から墜落し、家宅を破壊する。

 

 大地を揺らし、駆け出す黒い影。バーサーカだ。

 バーサーカーは投げ出した直後自動車のような速さで追いかけて来たのだ。

 跳躍し、勢いの乗ったまま飛び蹴りを人形の顔に見舞う。

 それだけで顔は原型が無くなり、紙をくしゃくしゃにしたように歪む。

 

「それ、今だ!」

 人形は右手で動きの止まったバーサーカーを捕まえ、左手で自身の胴体にある扉を開く。

 バーサーカーは雄叫びをあげながら両腕に力を入れ、拘束を解こうとする。

 しかし、軋み、手が悲鳴をあげることはあっても拘束は解けず、より一層握る力は強まり、鋼鉄の身体に指が食い込む。

 遂にバーサーカーは人形の空の胴体の中へと閉じ込められた。

 圧倒的な威圧感を放っていたバーサーカーも今では籠に閉じ込められた鳥。

 脱出を試み、辺りを殴り抵抗を続ける。

 だが人形は脱獄を許さない。我が身を焼き、自らを炎の監獄とし、バーサーカーに死刑を下す。

 業火は直ぐバーサーカーへと燃え移り、肉体を焼く。

 肉は黒く焦げ、神経が焼け爛れ、血液は煮えたぎり蒸発する。

 死神の鎌はバーサーカーの首元まで近づいており、刈り取る首を愛でるように撫でている。

 己の身が焼けようとも抵抗は続く。死が近づくたび、よしやってやろうじゃないかと力がみなぎる。

 遂に網目の木材が炎と暴力に繊維は負け千切れかける。それに追い打ちをかけるように引きちぎり小さな穴ができる。その隙間に両手を突っ込み、引き裂く。

 小さな穴はやがては大きな穴へとなり、やっと人一人分通れる穴が出来る。だが、バーサーカーのその巨大な体躯ではまだ通れない。

 

 と、その時バーサーカーの動きが止まった。

 バーサーカーは業火でその身を焼かれ、死神に首を刈り取られ命は尽きていた。

 鋼鉄の肉体は燃えかすのようになり情けなかった。

 

 

「流石に脱出の一歩手前までやられるとは思わなかったぜ」

 その声は驚いているというよりも、どこか相手を賞賛しているようであった。

 

 炭となった身体はまた呪いによって細胞ごと再生し、元通りとなる。

 再生したと同時に頭上から杖を振り下ろし、襲い掛かる。

 

「ハァァァッ!」

 

 鐘を鳴したような音が鳴り響き、杖は叩いた反動で跳ね返る。

 効き目が無いとわかるや否やバーサーカーの顔面を踏み台とし、跳躍と同時に火球を撃ち煙幕を発生させ牽制。

 空中へと避難。

 

「なっ!」

 

 突如煙の中から巨木と勘違いするほどの腕が伸び彼の足を捕らえた。

 その光景はまさに恐怖だった。

 捕らえられたキャスターは宙ぶらりんとなる。

 

「こっの!」

 

 杖から火球を放つ。

 無駄だとは分かってはいるが抵抗しないほどキャスターは腑抜けていない。

 

 効きはしない。それでも目障りと感じたのか握る手を強める。

 無駄なく鍛え上げられた彼の筋肉は圧縮、潰され、鉄のように丈夫だった骨はミシミシと悲鳴をあげる。

 

「ガアァアッ!」

 

 折れた。へし折られたのだ。血管も破裂し内出血を起こす。折れた骨は神経を切り裂き、内側から焼かれるような痛みが走る。

 

 そうそう味わうことのない痛みに苦悶の表情を浮かべ、その声を聞いたら二度と忘れることのできないような悲痛な叫びを上げる。

 

 バーサーカーは子供がオモチャを振り回し遊ぶかのようにキャスターを振り回す。

 彼にはとてつもないGが降りかかり、意識は薄れ、肺は縮まる。眼球には血液が溜まり、視界が真っ赤に染まる。

 

 顔から地面に叩きつけられ 、皮が磨り減り、剥がれ、筋肉が見えた。

 

「……クソッ!!」

 

 振り回され、何度も地面に叩きつけられ、視界が赤く染まり、ボヤける中虚ろな目で狙いを定めルーン魔術を放つ。

 しかし、傷など付くことはない。

 

「いい加減……にしやがれ!」

 

 やけくそ気味に何十発もの魔術を放つ。それはビーサーカーの視界一面を覆う。それは顔面に雨のように降り注ぎ、煙が発生する。だが傷一つ付かない。

 

「おいおい、嘘だろ! さっきはそれ効いたじゃねぇ……」

 最後の言葉は発せられず、投げ飛ばされる。

 景色が次々と変わり、どこまで飛ばされるのか。

 次の瞬間、背が何かに打ち付けられた。

 塀だ。塀に打ち付けられた。

 塀には人形の跡が出来、彼の背骨は複雑に折れた。

 

 頭部からは血が滴り落ち、掴まれた右足まるで、デンプンにヨウ素液を垂らしたように青紫色へと変色し、そこだけ歪に腫れ上がっていた。

 

 バーサーカーはキャスターを投げ飛ばした後斧剣を回収し、彼へと向かう。

 

 杖を頼りに左足で負傷した足を庇うようにして立ち上がる。

 

「キャスターだからって油断したか?

  言っとくが、俺は割と手強いぜ?」

 

 右足が役に立たなくなった最中彼は無邪気に笑う。

 

 二人は惹かれ合うように前へと出る。

 突き出される一撃。喰らえば胴にポッカリと穴が開くであろう。

 左足で地面を蹴り右へと跳び、回避。だが、直ぐ横払いの一撃が迫る。

 手で着地。地面を押し空へと跳び回避。

 

 暴風とも表現できる凄まじいバーサーカーの猛攻。それを負傷した足を庇いながらも片手でバク転し、回避する。

 

「それ、大仕掛けだ!」

 

 彼の手の着いた場所にはルーン文字が浮かぶ。

 それはバーサーカーを囲み、魔法陣を形成する。

 

 真紅に染まる球体が現れる。近くにいるだけで皮膚が爛れるほどに熱く煌めいていた。正しく灼熱の太陽。

 

 それはバーサーカーを包み込む。

 中からはおどろおどろしい呻き声が響き渡る。次第にそれも小さく、弱々しいものとなっていき、やがて聞こえなくなった。

 

 聞こえなくなってから10秒ほどだろうか、内側から再び雄叫びが聞こえ、灼熱の太陽は振り払われた。

 

 彼は知らない。これが奪えた最後の命だということを。

 それでも戦いは続く。

 辺り一帯はそれに伴い、破壊される。

 

 

 柳洞寺を超え、大空洞へと続く一本道。

 一番前からダスト、マシュ、立香、白髪、俺という順番にいる。と言っても一列に並んでいるというわけではないが。

 

 ここら辺は寺という神聖な場所だからか、災害の火の粉は降り注いではいない。その代わり、辺りは薄暗く、空は赤黒い。『千里眼』スキルを持つ俺以外は足元の確認すら困難で、索敵どころでは無いであろう。

 

 鷹の目を持つもの以外は。

 

 弦が弾かれるような小さな音。その後金属と金属がぶつかり合う音がし、地面に何かが刺さった。

 それを弾いたのは最前列にいたダストだ。

 

「おいおい、こんな暗がりから俺の後ろの姉ちゃんを不意打ちとは、アサシンよりアサシンしてるな。転職を勧めるぜ、アーチャーさんよ」

 

 丘に見える弓を持った一人の男の姿。

 

「全く、私はとことんランサーに好かれているようだな」

 

 皮肉がかった聞き覚えのある声。

 

「悪いが俺にそんな趣味はねぇ、ボン、キュ、ボンの姉ちゃんを出しな。後酒」

 

「悪いが私も君のようなチンピラを相手にする時間の余裕は、ないのでね!」

 

 矢を再び番、マシュへと狙いを定める。

 

 その最中前へと出る者が居た。

 

「よ、よぉ。『次会う時は英霊の座で会おう』だったか? なるほど、ここが英霊の座かぁ〜」

 

 俺はニヤニヤと顔を緩め、アーチャーに問いかける。

 その瞬間アーチャーが信じられないものを見たかのような顔をし、硬直した。

 

「………さあ、何のことかね?」

 

 アーチャーは弦から矢を外し、空中に無数の剣を投影する。剣先は俺へと向いていた。

 

「あ、あの。アーチャーさん!」

 

 アーチャーの目が笑ってない。背筋に寒気を感じた俺は一目散に逃げ出した。

 後ろに振り向く瞬間アーチャーの額に青筋が浮いていたのが確認できた。

 

 

 剣は容赦なく降り注ぐ。

 

「ギャァァァッ!!許して、許したください。アーチャーさん、

 いえ、アーチャー様! さっきのは冗談です。ですからどうか弱き私めをお許し下さい。そしてどうか剣を下ろしてください!」

 

 畜生! あいつ覚えとけよ。今度ソシャゲ感覚でお前が出るまで英霊召喚してやる。出たら扱き使ってやる!

 

「おいおい、あんまりうちのマスターを虐めると後が、怖いぜ!」

 

 疾風の如く駆け、突如としてアーチャーの目の前へと現れ、槍を振り下ろす。

 後ろへと大きく跳び、手に持つ矢を再び番、放つ。

 矢は真っ直ぐと飛翔し、ダストを射抜くかと思えた。だが目の前で磁石のS極とS極のように矢は離れる。

 

「矢避けの加護の前じゃご自慢の弓矢は使えねぇだろ! フハハハ、俺TUEEE!!!」

 

 彼はケラケラと嗤う。

 

 地面を蹴り駆け出す。

 槍を短く持ち直し、身を乗り出す勢いで突き出す。

 決まった。心臓のコース。そう思えた。

 

「あっ、なんだそれ……?」

 

 あまりの異常さに間の抜けた声がこの静寂に響き渡る。

 聞こえたのは槍が肉を引き裂く音では無く、金属の音。黒と白。二つの剣が無から現れ、槍からアーチャーを守ったのと同時に、破損し、二分の一の大きさになる。

 それを投げ捨て、新たに一寸違わず同じ白黒の剣が現れる。

 

「剣士の真似事か? あいつがお前らを気に食わない理由が今分かった」

 

「また彼か、クラスは変われど思考までは変わらぬか」

 

 互いに距離を取り仕切り直す。

 

「おい、お前ら先に行け。今も奮闘しているであろうあいつのためにもな」

 

「「「「了解」」」」

 

 俺たち四人はそう言って走り出した。

 

「それと盾の姉ちゃん。こいつがお前を狙ったって事はセイバーに近づかれたら問題があるんだろう。つまりお前がこの戦いのカギを握っている。その盾でしっかりと守ってやれ」

 

「はい!」

 

 ダストに呼ばれ、止めた足は再び動き出す。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 カズマ達が見えなくなりこの場には二人の者が残っていた。

 

「お前案外優しいのな。俺が喋っている間、簡単に攻撃出来ただろうに」

 

「何を言うか、白々しい。君は会話の間、一瞬たりとも視線を私から外さなかったではないか。それに君のマスターとて姿が見えなくなるまでこちらを凝視していたではないか。君も分かっていたであろう?」

 

「さあ? なんのことやら」

 

 地面を蹴り、疾風の如く駆け出す。ダストが先手を取った。

 繰り出される一撃。穂先は弾丸のように速く、鋭い。

 二つの剣を上へと振り払い、穂先はアーチャーの頭上を通り越した。

 

 二つの剣を振り払ったと同時に姿勢を低くし、駆け出す。

 ダストの懐へと潜り込み、斜め十字に交わる二つの剣を斜め下に振り下ろし、ダストの腹部へと襲いかかる。

 が、引き裂かれる事はなかった。

 

 放った槍を懐へと戻し、柄で防いだ。

 

「オラッ!!」

 

 身を捻り、回し蹴りをアーチャーへと繰り出した。

 

「グッ!!!」

 

 それは腹部へと的中し、吹き飛ばされ、手に持つ剣を手放してしまう。

 両足、片手を地面に着け勢いを殺し、着地する。

 目の前には先程自身を蹴ったダストが猛獣のような獰猛な瞳をし、こちらへと迫り来ていた。

 

 右肘を引き、左手を前へと出し、標準をアーチャーに合わせる。

 彼はもう攻撃の準備を終えていた。

 

I am the born of my sword (体は剣で出来ている)

 

 何を言っているのだと困惑し、ダストの歩みが一瞬止まる。

 

熾天覆う七つの円環(ローアイアス)

 

 神々しい煌めきと同時に桜が花開く。

 放たれた槍はアーチャーを貫かんと前に伸びるが手を阻むようにして現れた光の花に易々と弾かれる。

 

 当然のように花に傷は無い。

 本来は七つあるはずの花弁は弱体化に因るものなのか3つしか存在しない。それでも、一つ一つが古の城壁と同等の防御力を誇る。

 

 

 あれを打ち砕くために、短く持った槍で何度も何度も突く。

 迸る閃光。

 どれほど突いたであろうか。百は突いたであろう。それでも目の前の花弁は傷付かない。

 

Steel is my body,and fire is my blood. (血潮は鉄で、心は硝子)I have created over thousand blades (幾たびの戦場を越えて不敗)Unknown to Death.(ただの一度も敗走はなく)Nor known to life.(ただの一度も理解されない)Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う)Yet,those hands will never hold anything.(故にその生涯に意味はなく)

 

 So as I pray,UNLMITED BLADE WORKS (その体はきっと剣で出来ていた)

 

 

 文字通り世界が変わった。

 この世界には草木の代わりに剣が生えた無機物の世界。剣は二つとして同じものはなく、それぞれ形、大きさ、柄が異なっている。剣は墓標のように突き立てられ主人の印をこの世に残そうとしているように見えた。

 

 

 それでも世界は後悔を払拭したように澄み渡るほど青く、雲一つない快晴だった。

 

「固有結界とやらか。アーチャーの癖して剣は使うわ、魔術は使うわ、暗殺は企てるわ。本当にカズマみてぇだな」

 

「ハッハッハッ、馬鹿にするならそれ相応の言葉使いを教えてやろう。これは隠しダネでね。驚いてくれて結構」

 

 アーチャーは近くに生える剣を抜き、剣先をこちらへと向ける。

 

「これから君が相手にするのは無限の剣。たとえ偽物であろうと二つたりとして同じものは無い。さあ、付き合ってもらうぞ。私の()が尽きるまで‼︎」

 

「上等だ、使い果たす前にその命を果たしてやる」

 

 二人は吸い込まれるように駆け出す。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「ハァァァ!」

「ラァァア!」

 

 幾度となく繰り返される剣戟。

 いくらダストが攻めようとも彼は防御に徹し、全てを受け止め、時には避ける。

 いくら剣の質が悪く、すぐ壊せるからと言っても剣はどこからともなく彼の手へと飛び、彼はそれ全てを掴み逃す事はなく、しっかりと柄を握る。

 

 片手に握る剣を壊せば、もう片手で反撃され、その間に剣が飛んでくる。

 矢避けの加護で弾き飛ばせればいいのだが対象がダストではなく彼の為発動出来ない。

 

 彼は突然剣を空中に置くようにして捨て、後ろへと撤退する。

 

 槍をつく構えをし、前へと駆け出す。その時彼は不敵に笑う。

 

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

「……ッ!!!」

 

 ダストの足元に自分捨てた剣近づくと同時に剣を爆発させる。

 彼が一直線に逃げれば槍を持つダストは一直線に追いかけるしかない。その一直線上に剣を捨て、ダストが近づいたと同時に爆破。

 

「クッソ! 危ねぇ、もう少しランクが高けりゃ足が吹っ飛んでた」

 

 ダストは本能的危険を察知したのか跳躍し、爆発から免れていた。

 

「オラッ!」

 

 何かが空中を切り裂く鋭い音。

 ダストは槍を投擲した。

 

 地面に生えた剣を飛ばし、槍に対抗する。

 剣は最接近すると同時に爆破し、威力を弱める。

 

「来い!」

 

 ダストは防がれると分かるや否や、着地と同時に愛槍を呼び戻し、手に掴む。目の前の彼はいつのまにか岩から刳り貫いた斬れ味もヘッタクレもない人が持つには巨大過ぎたものを片手で掴んでいた。

 

 

是・射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)

 

 ダストは防御に徹し槍でいなそうとするが、神速を持って放たれる重い9連撃を全て受けきる事は出来ず、何発かが急所に命中する。

 

 四肢が引きちぎれそうなほどの激痛。

 だが、まだしっかりと役割は果たしている

 

「……ハァ、ハァ……ゴフッ」

 

 口から噴き出る血液。

 それは乾いた大地を潤す。

 

「……しぶといな、ゴキブリかなんか君は?」

「……悪いが俺は幾度となく俺を襲った借金生活により培った耐久力は伊達じゃないぜ」

「……戦闘継続スキルと言え。馬鹿者」

 

 息が上がっているのはダストだけではない。アーチャーもだ。

 あれほどの大技。固有結界を維持したままでの使用は彼の体にダメージが無いはずがない。

 

「私にももう余裕は無い。さあ、受け切ってみせろ」

 

 アーチャーの背後から数十、数百、数千、数万にも及ぶ名剣、宝剣、業物、神剣、魔剣、妖刀、鋭刃、鈍。一切の区別なく空へと羽ばたく。

 

 剣は豪雨の如くダストへと降り注がれる。

 ダストはそんなもの御構い無しに突っ走る。

 

 突風がダストの周りで発生し、剣はダストに到達する事はなく志半ばで死に行くように次々と地面へと突き刺さっていく。大半は。

 

 ダストの得た矢避けの加護は生まれつきでは無く、英霊となってからランサーのクラスたらしめる為後付けで与えられたもの。防げるのもCマイナスが限界であろう。

 

 突風に晒され、剣の多くが目標に辿り着く事なく志半ばで地面に突き刺さっていく。

 志半ばで絶えていった同胞の為にも、残った剣達は絶えていった剣達の遺志を継ぎ貫かなければならない。ダストを。それが例え我が身一本だけであろうとも。

 

 

 残った剣のいくつかは空を切る音と同時にダストの身を貫いた。

 鮮血が舞い、剣からは血が滴り落ちる。

 

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

 

 体を貫いた剣は爆発し、内側から肉体が壊れる。

 

 

 

 

 爆発し、煙が発生する。と、その時、煙から何かが飛び出し、光を反射する。

 ダストの槍だ。

 槍は一矢報いらんとばかりにアーチャーへと飛来する。

 それを槍だと認識した時、20メートルにまでも近づいていた。

 

 I am the born …(体は……)

 

 全てを詠唱し終わる前に槍はアーチャーの心臓を貫いていた。

 

「……ゴフッ、」

 

 口から血液を吐き出す。貫いた槍からは血が垂れ落ちる。

 

「……やけくそに投げた槍が当たったのか……お前相当運ねぇな」

 

 煙幕の中から足を引きずるようにして出てくるダスト。

 爆発により肉が吹き飛び、皮は張り裂け、筋肉や骨が露わとなり神経が空気に刺激され突き刺されるような痛みが全身を襲う。

 

「それにしても……何故手を抜いた

 

「さぁ、なんのことサッパリだが?」

「惚けるな。何故一本しか爆破しなかった? まさか一本ずつしか爆破出来ないなんて言わねえよな?」

 

 そう、まだ3本の剣がダストに突き刺さっていた。

 

 体に刺さった剣を抜く。その度に鮮血が宙を舞う。

 

「黙秘権を行使させてもらう」

 

「とことんふざけやがって。まあその分こっちの損害も少なくて助かった。それよりあの爆破の被害を最小限で防ぐ為に魔力をかなり使っちまった。

 マスターがあんなんだから魔力の補給も期待できない。それに今戦っているから魔力をもらうわけにはいかない。魔力をもらうが恨むなよ」

 

「別に構わん。それよりあの小僧に伝えろ。どうしてここに来たかは知らんが……イリヤを、そしてあいつを頼む!」

 

「誰かは知らんが分かった。血啜るからな。」

 

 槍を抜き、付着した血を舐める。

 

「ストローはいるかね?」

「……とことんふざけた野郎だ。一本貰おう」

「ああ」

 

 そう言い無からストローを創り出す。

 

 

 

 その数十分前

 ダストと別れ走り行く四人の影。

 

 俺は絶望の淵にいた。

 アタッカーを失ってしまった。

 

 立香ーー戦力外

 

 白髪ーー魔術師

 

 マシューー盾役

 

 どうしろと。

 俺にセイバーを倒せと! 無理!

 何! 対魔力って。エクスカリバーとか奪ってやろうか!

 

「グッ!!」

 

 そう、もう既に敵さんと衝突しています。

 

 アーサー王

 あいつの記憶のセイバーではなく俺が戦った時と同じ姿の黒いセイバー。

 あの時の生きた心地のしない感覚が戻ってくる。しかもあの時と比べ強さは段違いに強い。

 

 振り落とされるたび大地を揺らす。

 それを受け止めるマシュがどれほど凄いのかが分かる。なら俺はマシュとセイバーの攻防の最中セイバーに不意打ちをする。

 

 百式機関短銃を取り出し、着剣。マガジンを交換。

 突けば魔力が奪え、遠距離攻撃までもが出来る優れもの。ただあまりにも不恰好だった。

 

 潜伏スキルを使い彼女らの攻防の最中セイバーの背後へと回る。

 音を立てず、姿勢を低く保ち近づく。

 近づくにつれ彼女らの戦いで発生する突風の圧力は俺へとより強く降りかかる。あと7メートル。

 5メートル。

 

 もう限界だ。これ以上近づきたくない。

 強化魔術で百式機関短銃を強化。

 

 右膝を地面に着け、銃床を肩に当て狙いを定め固定する。

 狙うは後頭部。

 

「『狙撃』」

 

 引き金を引き、撃鉄が落とされ、百式の銃口は火を噴いた。

 全弾撃ち切るまで引き金から指を離さない。

 

 と、突然

 

「『回避』」

 

 体が動き、右へと転がった。

 未だ弾は撃ち終わっていない。

 

 先程自分がいた場所を見ると小さなクレーターが出来ていた。

 それでも彼女の攻撃は止まない。

 追撃の手が伸びる。

 

 来る、横払いだ。

 態勢は不完全。受ければ上半身と下半身はさようなら。

 百式機関短銃の銃床で受け止めた。

 

 木製の銃床には剣が食い込む。

 

 銃を前へと押しセイバーへと銃口向け発砲。

 

 ダダダダッ……と僅かに残っていたという発砲音だった。

 

 セイバーは百式機関短銃の銃床に食い込んだ剣を取るため、百式ごと空高く掲げる。

 俺は突然の事で百式機関短銃から手を離してしまった。

 

「お、おい。何する気だ! や、やめ……」

 

 百式機関短銃ごと剣を地面へと叩きつけ、百式機関短銃は原型を留め無かった。

 

「ガガガガアアアアアアアァァァッ!!!!!!」

 

 

 激しい怒りが湧き上がり、絶叫する。何も出来ずただただ日本軍の爺ちゃん達の魂とも言える武器が壊されるのを見ていただけの自分に無性に腹が立ち全身を掻き毟りたい衝動に襲われる。

 

「ぶっ殺す。『憑依経験、戦士』」

 

 全身にまたあの時の激痛が走る。

 

「スティール」

 

 立香の持つ俺の刀を奪い鞘から引き抜く。

 

「かかって来いよ、ブリカス野郎!」

 

奪えるだけ魔力を奪ってやる。




結構頑張った。みんな褒めて褒めて。
嘘です! すみません

いやぁ、アーチャーとカズマの会話あれのためにこれをやったってもんですからね。

アーチャーとカズマの戦いを書いている時グランドオーダーで『合わせたいな』って思って伏線の『おや、またなんちゃらかんチャラ〜〜』だけ入れときました。まさか本当にやるとは思わなかったです。



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