俺の前世がうちはマダラなのは間違っていて欲しい (首ったけ)
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1話

相変わらずの思いつきで広げた話です。


突然ながら皆さんは前世を信じてますか?最近じゃ某アニメーション映画の歌にもあるようですが実際どうなんでしょうね。ちなみに俺は信じておりません、もし科学的とかナンタラカンタラで証明されたとしても絶対に信じません。絶対に絶対に絶対にゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニゼッタイニ....

 

 

中略

 

 

お見苦しいところをお見せした、スマン。まぁ結局のところ前世が何であったにしろ今を生きる俺たちには全くもって関係ないことだ...だが現実はそうはさせてくれないらしい。俺が生まれる前、落星雨(インベルティア)と後に呼ばれた未曾有の大災が起きた。これにより世界中に隕石が降り注ぎ、多くの都市が壊滅状態に。この結果、既存国家の力は著しく低下し、統合企業財体と呼ばれる新たな経済主体が取って代わった、まぁここら辺に関しては後で話そうそうしよう。

そして厄介なことにこの隕石群からは未知の元素である万応素(マナ)が検出され、科学技術の発展を促すと共に星脈世代(ジェネステラ)と呼ばれる特異な力、いわゆる特殊能力を持った新人類を生み出した。どこのMAVELだよ。

そしてこの万応素は今じゃ世界に拡散されておりいろいろなことになっている。その1つが星脈世代であり俺も一応その世代の人間だ、だが俺はただ時期が星脈世代なだけで特殊な能力はないと診断された。運がいいのやら悪いのやら、まぁこの時代に生まれたこと自体が運が悪いとでも言っておこう。

先ほど俺が言ったように俺には特殊な能力は微塵もない。だが1つ、他人には絶対できない特技がある、それはステルスヒッキーげふんげふん...先ほどの万応素を錬る(・・)事である。これも俺の変な事情が原因だ。

さて、長ったらしい話をしてスマン。ここで先ほど話した変な事情について触れよう、そもそも万応素を錬れるのは俺の前世にあたる人物がそれに近いものを錬る事ができたからだ、そこまでは良かった、うん、問題なのはその人物だ。そこは俺が全く知らない世界、今よりは技術が劣っておりそれをこの世界でいう万応素の役割を果たすチャクラなどで補っている世界、そこに存在する忍びという種族、その中の1人に俺の前世にあたる人物はいた。

木の葉という里の創設者の1人でもありうちはという一族の創設者の男。死してなおその後の世界に影響を与え続け一度世界を終わらせた男。その男こそが俺の前世にあたる男。

 

『うちはマダラ』

 

 




ちなみに大筒木インドラとかとは関係ありません。

何か至らぬ点や感想がありましたらご指摘ください。


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2話

気がつけばお気に入りが50を突破、これは書かねばと思い書きました。




ユリスと会う前にとある子と少しフラグを建てます


そびえ立つビルやそれに映る広告、そこには人気のアイドルなどの曲が流れておりそこが都市部である事がわかる。俺の乗っている船は現在、霧が少し残る海上をゆっくりながら進み賑やかなその都市へと向かっている。今俺が向かっている島は、北関東のクレーターに築かれた学園都市だ。決してレベルでランクづけされたり超電磁砲(レーンガン)一方通行(アクセラレーター)幻想殺し(イマジンブレイカー)などとは決して関係ない。場所は北関東だがどこの領土にもならないいわゆる治外法権となっている。まぁその国すらも今じゃ統合企業財団が台頭している。

都市は上から見ると六角形の形をしておりそれぞれの角には学園があり、中央区はここからも少し見えるように商業エリアなどがある。公共の施設はモノレールなど豊富でそれぞれの移動手段が学園などを通している。

ここは水上学園都市六花、通称アスタリスク。

ここからは余談だが中には星武祭行事で使われるドームが何個かあるらしい、まぁ俺には関わりのない話だ、正直言うと戦いになると前世がアイツ(マダラ)だからか知らんがとても興奮する、最近はその戦いたい欲求を抑える為マダラが前世で戦った人のある術、『創造再生』や『白毫の術』などを会得する為、額にチャクラこと万応素を集中させ続けることで紛らわしていたがそれも十分使えるようになったので要するに今の俺は「オラ戦いたくてウズウズすっぞ」状態なのである。まぁいざ戦うことになってもアスタリスクはみんな強いって聞くし、俺も負ける気はないけどなんとかなると思う。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ〜、やっと着いた」

 

港に降り俺は背伸びをしながら周りを見渡す。流石は学園都市、港でもかなりの設備である。正直ここで過ごしすぎたら本土に戻った時に苦労しそうだ。

 

「ふぅ〜さてと...」

 

俺はそう呟きながら俺をここに招待した昔馴染みのやつに渡された地図を見る、どうやら俺がここで所属する学園、星導館学園の寮が書かれてるらしいのだが...

 

「なんじゃこりゃ」

 

それは小学生が書いたとしても雑すぎる地図だった。だがここまできたら後には引けない、俺は未知なる都市へと足を進めた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

自分だけ違う世界に迷い込んだ気分だ、元々俺はあまりというか人混みが好きではない、というよりあまり外出したくない。究極のボッチこと俺はこういうところが大の苦手だ、度々克服しようとしてるものの緊張に似た何かのせいで少し気をそらすとアイツ(マダラ)の能力のひとつである眼の能力『永遠の万華鏡写輪眼』となってしまう、常時周りに悟られないように軽い瞳術をかけているが正直普通に平穏と過ごしたいため無心状態を貫きながらいる。そんな時

 

(ん?あの娘は...)

 

はっと気が変わりその子を眼で追う、その女性はヘッドフォンをして帽子を深く被った栗色の髪の少女、周りにうまく紛れているが結構な実力者であることがわかる、こうやって都市に出ているということはどっかの学園の生徒だろう、普通の生徒でこのくらいなら主席、いわゆる一位の能力に期待が高まるというものだ。心の中で謎の喜びを感じながらもその少女から眼を離した時、また別の一団が彼女を追っていた。

 

(なるほど、都市部でも影ながら勢力争いか、それは心踊るじゃねぇか)

 

先ほど船上で説明した通りこのように戦いの火種らしきものを認識するとこの通り心ピョンピョン状態である、現在少女をつけているのは3人、どちらも少女には遠く及ばないものの強いということはわかる。

この時すでに俺は戦いのことしか考えておらず、このまま放置してもあの少女が対処できるということなどすでにどうでもよくなっていた。

 

(おっ!路地裏に入った、そろそろか...)

 

少女はやはり3人の尾行に気付いている、それを承知で人気のない裏路地へと入ったのだ。俺もそれを確認すると人気のないとこからビルを登り、その路地裏を見れるところに立つとゆっくりと観戦することにした。

 

 

 

 

 

 

 

...すまんやっぱ無理。これはあれだ、謎の集団に路地裏で襲われそうになる少女を助けに行くだけだ、決して戦いたいわけではない。よしこれでオーケーだ。そう心に勝手に決めると俺はちょうど3人が少女に一斉に攻撃を仕掛けると同時にその3人が向かう中心、すなわち少女の元へと降り立った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一瞬の出来事だった。今私は人気のない路地裏にいる、理由は私を尾行してきた人たちを撃退するためこの路地裏に誘い込んだ、いつもならこの3人を撃退して終わり、その筈だった。私が応戦する構えを取ろうとした時、突然彼は現れた、それも私の真上から。

私は突然の事で気を取られたこともあり尻餅をついてしまう、だけど目だけは目の前に突然現れた彼に釘付けだった。

 

「......はっはー。こんな人気のない路地裏で、可愛い少女に向かってそんな物騒な物を使うなんて君たちは元気がいいなぁ」

 

彼は3方向から来た大斧や小刀をそれぞれの手で、足蹴り同じく足で止めそう言った。

 

「何かいいことでもあったのかい?」

 

そう言いながら、とても楽しそうな笑みを浮かべていた。そして彼に攻撃を防がれた3人は私と同じように彼が落ちた衝撃で少し後退する。

 

「おい!何だテメェ!どこのやつだ」

 

リーダー格と思われる男が強気にそう言った。流石はこの私を狙うのに仕向けられただけあってこの状態でも焦らずに行動している。

 

「.............。」

 

彼はただ沈黙を貫いていた。その様子を感じ取ったからかリーダー格の男は先程止められた大斧を振り回しながら構える。

 

「ケッ、まぁいい。グラスホッパー、こいつも殺るぞ」

 

男がそう言うと反対側の道にいる先程足で攻撃してきた男が「了解」と言った。その瞬間男が動くがその時の私の目は彼の眼に釘付けとなった、彼の目は死んだ魚とも例えられそうなほど淀み腐った目をしていた、だが次の瞬間、突然瞳孔が動き変化をを見せ勾玉模様を見せたと思えば目がが赤く染まり光る。

 

「オラァ!死に晒せぇぇ」

 

男は横一筋に大斧を振りかぶる。すると彼は即座に跳躍、見事に大斧を回避した、しかし。

 

「チェック!空中じゃ避けられんだろ」

 

突如男の背後に先程グラスホッパーと呼ばれた男が現れる。男はそのまま足を突き出し蹴りを放とうとする。その足は普通の靴ではなく少し装飾が施されており足の大きさも先程とは違い筋肉質に肥大化していた、どうやら足をああやって強化するのがあの男、グラスホッパーの能力らしい今彼は空中で身動きが取れない状態を狙われている、そしてその強靭な足から足蹴りが放たれたその時。

 

「それはお互い様だな」

 

彼はそう言うと足蹴りを片手で防ぐ、そしてそれと同時にもう片方の手を使い体をそらせそのままグラスホッパーの足に組み付きを決め...

 

ピキピキ....バキッ!

 

グラスホッパーの足が曲がる筈じゃない方向に曲がる、続けて彼は体を半回転させそのまま下のの男にグラスホッパーを叩きつけた。ここまでの動作で約数秒しか経過していない、私は能力などで鍛えているからこれまでの動きを認識できたが普通の生徒では何が起こったかさえ分からないだろう。

そして彼はまだ満足してないような笑みを浮かべ。

 

「おいおい、その程度か?まだ踊れるだろ、さらに別の技はないのか?もっと楽しませてくれよ」

 

すると彼の眼が勾玉模様からさらに変形し、車のギアの様な形へと変わる。

 

「クソったれがぁ!」

 

グラスホッパーを叩きつけられ、そのまま吹き飛んだ男はそう言うと。

 

「燃えカスにしてやる!」

 

そう言うと服を破り捨てた、そこには

 

(あれは!純星煌式武装(オーガルクス)

 

男の胸には鉄の穴が空いていた、恐らくあの純星煌式武装の代償はアレを体に埋め込むことと近いのだろう。そしてその部位に徐々に熱が溜まっていく。

 

「チリも残らずに燃えろォォォ!!!」

 

男の純星煌式武装から発せられた炎、私は自分の能力で事態の打開を図ろうとするが彼は動かずして一つ呟いた。

 

「このくらいなら加減しても大丈夫だな....」

 

そう言うと彼は一言、

 

「火遁・豪龍火の術」

 

それと同時に彼の口から巨大な炎の龍が放出されすぐに男の炎と衝突、すると彼の炎が男の炎を包んだと思いきやそのまま男の方に向け進んでいった。

 

「ぐっがぁぁぁぁ...」

 

後に残ったのは断末魔をあげながら黒焦げになった男と死にかけのグラスホッパーだけだった。

 

「すごい...」

 

自然と私はそう発していた。そこで私はもう1人の男の存在に気がつく、すぐさま男がいた方向へ目を向けるがいない。どうやら撤退した様だ。私がお礼を言おうと彼に話しかけようとした時

 

「丸見えだ...」

 

彼はそう言うと近くの壁に向かって素早く手を打ち付ける。すると「ぐがぁっ」という声とともに先程撤退したと思われる男が姿を表す、姿を透明化させ彼を狙っていた様だ。彼は男を軽く殴り気絶させると一つ溜息を吐きこの場を去ろうとする、私はあっけにとられながらも我に帰り彼に話しかける。

 

「ありがとね助けてくれて」

 

すると彼はこちらを少し見て

 

「気にすんな、俺が勝手に横槍入れてやっただけだ」

 

そう言いながらも戻ろうとする、すでに彼の眼はあの時の不思議な眼ではなく先程の腐ったような眼に戻っていた。私は改めて彼の容姿を見る。服装は私服で恐らく学園の生徒ではない、髪は後ろで結んでいて持ち物は特になく軽めの服装をしていた。

 

「いやでも助けてくれたのは事実だし、私にできることならなんでも言って、助けになるよ」

 

すると彼はピクリと止まる、どうやら何か困っているようだ。

 

「え、え〜と実はだな...星導館ってどこか知って...ますか?」

 

彼はやっと表情を崩し恥ずかしそうにそう言った。

 

「そのぐらいなら任せて、えっと案内すればいいの?」

 

彼とはこれっきりの付き合いじゃなくなりそうだと私の勘が告げる、ならばすることはただ一つ。彼とできるだけ一緒に行動する。

 

「いやいやそこまでしてもらうなんてできませんよ、何かに書いてくれればいいですよ」

 

彼はこれを拒否、思ったよりもガードが固い。だが私もこの程度では引き下がらない、もう少し粘ろうとしたその時遠くでサイレンの音がした。私が戦う前に呼んだ星猟警備隊が来たようだ、なんとタイミングが悪い。

 

「なんかヤバそうですし俺はもう行きます。それでは」

 

彼はそう言いながら走り出そうとする。私はできるだけ簡潔ながらもわかりやすく地図を書くと

 

「ちょっと!はいこれ、星導館までの道よ」

 

ギリギリ彼に渡すことができた。

 

「ありがとうございます、この借りはいつか返さしてもらいましゅ...」

 

...最後の最後で噛んだ、彼は恥ずかしそうに笑うと路地裏の壁を走りながら去っていった。最後まで予想を裏切る行動をした彼を見て私は...

 

「いいなぁ、星導館」

 

珍しく羨ましく感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




襲われた少女は一体誰なんだー

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3話

祝!お気に入り100突破!どんどんぱふぱふ

起きたらお気に入りが100を越してるという、夢じゃないかと二度寝しました。


ここは水上学園都市六花、少女を助けた後俺はある異常事態に直面していた。

 

ぷるぷる、ぷるぷる

 

現在俺は少女から書いて貰った地図を頼りに六花の中を進んでいる途中、俺を異変が襲った。

 

ぷるぷる、ぷるぷる、ぷるぷる

 

立ち止まり近くのベンチに腰を下ろす、そして自分の手を恐る恐る眺める。

 

(ば、ば、バカな手が震えるぞ!?)

 

別に俺はこの事態を危惧していたわけではない、実際ついに来たかと思うところである。アレを摂取せずに既に一週間が過ぎた、そろそろ摂取しなければいけないと思っていたがまさかこの様なことになるとは...

 

「どこだ、どこにある...」

 

俺はそれが入手できる場所を万華鏡写輪眼で全力で探す、見つけた!

早く、早く摂取しなければ。勘違いしないで欲しいから言うが俺は酒やタバコは勿論、薬も全くやってはいない。俺が求めるのはただ一つ、この世界の人類が生み出した唯一無二の最高の飲料水。

 

 

MAXコーヒーである

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

先程は醜態をさらした、すまない。だが今はもう大丈夫だ、あの後MAXコーヒーを二、三缶飲み干ししたが甘さしか感じなくなったがたいした問題じゃない。今現在俺はあの少女から貰った地図を頼りに進んでいる、今の所順調でそれらしき建物があるあたりを歩いていると。

 

「ん?あれは...」

 

上からヒラヒラと落ちてきたのは小さなハンカチ、白くて四隅に花の刺繍がされており新品の様に綺麗な事から持ち主に相当大切に使われていたことがわかる。さてと、これはどうしようか。現在俺には3つの選択肢がある。

 

一つ、このハンカチを紳士の如く持ち主に届ける。

 

二つ、寮の管理人さんなどに渡す。

 

三つ、見なかったことにする。

 

まず一はありえない、真のボッチたる俺はハンカチを持ち主に返すなどと高難易度なことを挑戦するほどバカじゃない。後は二つの選択肢だがここは無難に二つめの選択肢を選ぶとしよう。そうなれば早速入り口を探さなければ...

 

「ええい、よりにもよってこんな時に」

 

太めの前にそびえ立つ塀の向こう、学生寮と思われる建物の上からその様な声が聞こえる。このタイミングであの焦り様から接するにこのハンカチの持ち主だろう。

 

「はぁ〜...仕方ないか」

 

俺はやむおえず二つめの選択肢から変更、一つめの選択肢を選ぶ事にした。

目の前の塀は普通にジャンプして越え、そのまま寮の壁を走りその部屋へと向かった。この時俺はもう少し考えるべきだった、寮生活を経験してない俺でも寮が男女別に分かれていることは知っている。そして声のぬしは明らかに女性、つまり俺が向かった部屋がある寮は女子寮な訳で男子でありまだこの学園の生徒でもない、おまけに目が腐っている俺がそこへ向かうのは色々とアウトな訳であって、そして運が悪いことに悲惨なことがおれを襲った。そんなことを知る由もなく俺はどっかの大泥棒の如く窓枠に着地しハンカチを渡そうとする。

 

「えっと、こんな所からすみません。このハンカチ、あなたの...です...か......」

 

俺の声が徐々に小さく途切れていくのも無理もない、俺が浸入した部屋の主の少女は現在衣類を履こうとした途中、つまり下着姿だった。もちろん俺は女性の下着姿を初めて見るわけで何が起こってるのか整理するため硬直。ただ一つ言えることは少しムラムラした、しょうがないじゃん男の子だもん、逆にムラムラしなかった方が失礼だと思う。特殊性癖の人は除いて。

 

「へ?」

 

突然のことで驚きを隠せない少女、こちらも同じ状態です。

 

(あ、あれれぇ〜これやばくね?)

 

・・・・・

 

少しの間の沈黙、このままじゃ色々とマズイ。せっかくあそこから逃げてきたっつうのに刑務所に入るとかシャレにならねぇ。そう思い俺はすぐさま目を手で隠しながら弁解する。

 

「ご、ごめんなさい!俺はただ拾ったハンカチを届けに来ただけで...「後ろを向いてろ」...へ?」

 

俺の弁解を遮る様に少女は言った。

 

「いいから!さっさと後ろを向けー!」

 

叫びながら言う少女に従う様に俺は素早く後ろを向く、突然のことで慌てたが一応万応素を足に集中させているため落ちることはなく俺は外の景色を眺める。いやぁ〜絶景かな、後ろもかなり絶景だが

 

そこからまた沈黙、聞こえるのは少女が着替えをしてると思われる音だけ。まったく我ながらやらかしたと思う、女子の部屋に行くだけでも珍しいのにそれと同時に着替え中の女子の姿を見るとか難易度高すぎだろ、なんかもう俺女子の部屋行っちゃいけない気がする。

 

「はぁ、もういいぞ」

 

ため息を吐きながらそう言う少女、俺は恐る恐る前を向く。そこにいたのは学生服に身につけた美しい女性だった。俺はそれが世間一般的に美少女と呼ばれる部類なんだなぁと感じた。

 

「で、ハンカチとは?」

 

少女はそっけない顔でそう言った、やはり部屋に入られ着替えを見られたことを許してないようだ。

 

「あぁこれであってますか?」

 

命令口調な相手を前に俺は自然と敬語で話した。ここからはできるだけ相手を逆なでせずに穏便に解決しなければ...そう思いながら俺は拾ったハンカチを差し出す。すると少女は驚いた顔を一瞬見せ、そして安堵した表情をし「よかった」と呟いた。

 

「あぁやっぱりですか、さっき風に飛ばされてきたのを拾いまして」

 

俺はそう言いながらハンカチを少女に手渡す。

 

「す、すまない、これはとても...とても大切なものなんだ」

 

ハンカチの状態から察していたがとても大事なものらしい、少女は俺からハンカチを受け取るとそれを大事そうに握る。

 

「い、いや。俺は偶然拾っただけでして」

 

思ったよりこれはいい調子だ、このまま謙虚に行けばある程度抑えられるはず...

 

「それでも助かった!本っ当に感謝する」

 

少女は喜びを隠せない様子のまま俺にお辞儀をした。

 

「ちょっ!そんな大げさにやらなくても、俺はただ拾ったハンカチを...」

 

よし、いい感じだ。あとは簡単に謝罪をし自然に帰れれば...

 

「さて...」

 

まぁやっぱそうなるよねぇ。まぁそりゃそうだよね、窓から浸入され着替え姿を見られたんだ、このくらいじゃ終わらんよね。さて何をされるか、彼氏さん呼ばれてボコされてたかられるか?それとも警察呼ばれて刑務所か?もしそうなったら外国にでも飛ぼうかな...

俺がそんなことを考えながら帰ろうと外を向いた体を再び室内に向ける。

 

「これで筋は通したな」

 

筋って何ですか!どこの組の人だよ。

 

「では...」

 

少女の周りから水色の粒子が舞うのが視認できる、そしてそれと同時に彼女が万応素を使うのがわかる。

 

「くたばれ」

 

どうやら俺は相当ついていないらしい。ハンカチを届けようとした少女が着替え途中でその少女がよりにもよって...

 

「咲き誇れ、六弁の爆焔花(アマリリス)!」

 

魔女(ストレガ)だったとは。

ここで一つ、魔女(ストレガ)魔術師(ダンテ)について軽く説明しよう、この二つはいわゆる星脈世代における新人類だ。万応素の影響を受け生身でも上手く万応素とリンクできる異能者を女性なら魔女(ストレガ)、男性なら魔術師(ダンテ)と呼ばれている。まぁ当然一般社会では異端なわけでいろいろな問題が絶えないのだがそれを含めるケアもこのアスタリスクの役割だ。まぁその条件を満たさなかった俺にとっては完全とした人間という想像で若干憧れを感じていたがそれもここへ来る前の話だ。

そして彼らには特殊なオーラがある。念のため言っておくが某少年ジャンプの大人気漫画のオーラとは無関係だ。話を戻すが魔女や魔術師はそれを糧として使用する。そして先ほどの気配などから察するに目の前の少女は運が悪いことに魔女だったようだ。

 

俺は目の前を覆い尽くす炎の玉を避けようとせず受ける、足の万応素は同時に放し、玉が爆発する衝撃に身を任せながら俺は空中に投げ出される。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(あー起き上がりたくない)

 

現在俺は不法侵入した部屋の少女に撃退され寮の敷地内と思われる、流石にあの高さから自由落下したため体のところどころが痛んでいるが創造再生で数秒で回復した、すでに騒ぎを嗅ぎつけた生徒(野次馬)が集まってきてるようで話し声と視線が集まるのを感じる。至高のボッチにはかなり辛い状態である。だか流石にこの状態はいけないので俺はゆっくりと起き上がる。

 

「ほう。どうやら、体だけは頑丈なようだな」

 

少女は炎をまといながら部屋から降りてくる、気分はすでにラスボスと対面した勇者だ。まぁ悪いのは俺なんだが。

ついでに訂正するが俺は体が頑丈なわけではない、まぁ強化系の術を使えば頑丈になるがそれ以前に攻撃に当たらない、そして体の3分の2が吹き飛んでも普通に創造再生で再生されるというまさにお前人間じゃねぇ!状態だ、まぁ毎日ずっと万応素使わずに貯め続けたらこうなるよ、正直後悔している。

さて現実を見つめなおそう、少女はゆっくりと着地し言った。

 

「少しだけ、本気で相手をしてやる」

 

うわぁ、なんか好戦的だよこの人、アスタリスクの生徒が全員こうだったらやだなぁ。というかそんなことより弁解を述べなければ、もう無駄な気がするけど...

 

「ちょっ!ちょっとストップ!さっき君俺に感謝してなかったっけ」

 

こうしてる間にも生徒は集まっていく、どうやらこの少女はただの生徒ではないらしい。

 

「ハンカチを届けてくれたことには感謝する。だが!お前は女子寮に侵入し、私の着替えを覗き見したんだ!命をもって償うのが当然だろ」

 

なんか恐ろしいこと言い出したよ、やっぱ女子は怖い。

 

「安心しろ、おとなしくしていたらウェルダンぐらいで勘弁してやる」

 

どうやら中まででじっくりと焼くつもりじゃないですかやだー

 

「できればレア程度で勘弁して欲しいのだが」

 

こうなれば仕方ない、なんとか交渉するしか...

 

「最低でもウェルにしてやる」

 

もうこの人焼くこと確定してるよ!

 

「ローでも美味しい肉はあるんだぞ!」

 

こうなれば足掻くだけあがいてやる。

 

「私はヴェリー・ウェルダンも好きだぞ」

 

この人肉の焼き加減の10段階中の10段階選びやがった。チクショー、どうせぼっちになるから仕方ないが最終手段だ。

 

「ストップ!俺は今日初めてここに来て、まだ学生になってるかすらわからなくて、もちろんここが女子寮とも知らなかったんだ!」

 

これでどうだ。

 

「わかった、それは信じてやろう」

 

あぁ...この流れはアカン気がする「しかし!」ほらね

 

「私もこのままでは怒りが収まらない!となれば、お前名前は?」

 

「ひぃっ、比企谷...八幡です」

 

気迫に押されて答えてしまった。なんかまずい気がする。

 

「私はユリスだ、星導館学園序列5位だ」

 

どうやら少女はユリスと言うらしい、見た目通りの外国人か、まぁアスタリスクでは珍しくないだろう。というか序列5位ってなんてアンラッキー。

 

「埠頭の証たる赤蓮の名の下に、我ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは比企谷八幡への決闘を申請する!」

 

突如ユリスの校章が青く光り線を放つ、その線は俺が胸につけてた幼馴染から送られた校章に重なる。なんじゃこれ、決闘があるって聞いたけどこうやってやるのか、というかこれぶっちゃけ飛○石じゃん!これでラ○ュタまでいけんじゃん!これはあれか、ラピ○タは君の胸の中にあるってことかなのか?...っとふざけてる場合じゃない、なんとか事態を打開しなければ。

 

「お前が勝てばその言い分を受け入れ引き下がる、だが私が勝ったらその時は私を好きにさせてもらう。今日来たばかりと言ってもアスタリスクに来たんだ、決闘ぐらいはしってるな」

 

うわぁこれ晒し者一直線のコースだよ、周りの奴らユリスをなんか動画で撮ったりしてるし、呑気なもんだ。俺の立場を体験して欲しいね。とにかくこれなら勝負が成立しないことをわからせれば...

 

「だけど俺武器なんて持ってないし...」

 

このまま行けば決闘は無しに...

 

「んじゃこいつ使えよ!」

 

クソっ!俺の周りに味方はいないのか、今日はとことんついてない。

 

俺は自然と投げてきた煌式武装(ルークス)を受け取る。この武器に関してはなんか石を使って作ったって聞いた気がする、路地裏の男が使ってたやつはこれの上位互換だった気がする。まぁどちらにせよ厄介なことになった、こうなったら仕方ない。俺はため息を吐きながら煌式武装を起動し渋々と戦う意欲を見せる。するとユリスも構える、周りからは喝采などが聞こえ鬱陶しい。

俺は覚悟を決め宣言する。

 

「我比企谷八幡は汝ユリスの決闘申請を受諾する」

 

うわぁぁぁぁぁぁ、初めて行ったけどなにこれ?クソ恥ずかしいんだが。流石は材木座がリアルで行ってみたい場所だ、厨二感がヤバすぎる。だがしかし、今はそんなこと言ってる場合ではなくこれから先をなんとかしなければ.........うわぁぁぁぁぁぁやっぱり恥ずかしい..!

 

俺が宣言すると同時にスクリーンが現れた街の名前が表示される。ん?華焔の魔女?2つ名みたいなものか?どちらにせよ俺はああいうのやだなぁ...

 

「決闘のルールは知ってるな」

 

「あぁ。相手の校章を破壊した方が勝ち、だろ?」

 

「あぁそうだ」

 

これがアスタリスクで決められている決闘は のルールだ、俺にとってはこれは「相手の校章が壊れるまでいたぶってもいい」と言ってるように聞こえるのだが...

 

「カウントダウン、スタート。」

 

忌々しい機械音が決闘開始までの時間を告げる、そして開始の合図とともに、俺のアスタリスクでの初決闘が予期せぬ形で開始された。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

結果は皆さんご存知の通り俺の惨敗だ、まぁ今日来たばかりの奴が序列5位に勝つなんてどこのラノベだよって話だ、俺はしぶとく耐えながらもユリスに近づくことすらできずに惨敗した。この後ユリスの好きなようにされるがここで実力を出して注目を集めるよりは何倍もマシだ、俺がここに求めるのは心躍る戦いとか青春物語とかじゃなくて平穏と日々の安定感なのだから。かなり予想外なことが運悪く続いたがここからはうまく調整して切り抜けなければ。俺がそう思っていたその時

 

決闘が終わり、周りがユリスの勝利に盛り上がっていた生徒の影から何かが勢いよく発射される、標的は案の定ユリスだ、決闘の勝利で警戒が緩んでいるのかユリスはそれに気づいていない。このままではまた俺の計画が崩れる、多分このままユリスに攻撃が当たればそれが俺のせいになりさらに予想外な事態が起きる。え?考えすぎだって?うるせぇ、こういうことは腐った目の俺が犯人にされるのが決まってるようなもんだ、ソースは俺。

 

(クソったれ)

 

俺は写輪眼を使い何かの数を見極めると同時にユリスを守るように移動、そして煌式武装で飛んできた何かを素早く切断する。飛んできたのは1個、その小ささや長さからミサイルなどや玉ではないことがわかる。

 

「え?」

 

突然の事でユリスは目を丸くした状態だ、周りの生徒もすぐに静かになった。俺は切り落とし地面に落ちた何かを見る、ポリゴン片のように青い粒子が舞い消滅したもののそれをはっきりと認識できた。光の矢の煌式武装、それが飛んできたものの正体だった。

 

「あの光の矢、明らかに私を...」

 

どうやら破片はしっかりと認識できたようだ。

 

「そのようだな、まったくユリスさん、人気者も大変だな」

 

俺はそう軽口をこぼしながら言う、ユリスは何か言おうとしたがその時、明らかにおかしな動きをした生徒の影を俺はしっかりと写輪眼で捉える。

 

「逃すかぁ!」

 

俺は咄嗟に印を組もうとするがすぐ止める、実力を見せないために負けたのにこれじゃあまた無駄になる。俺は仕方なく生徒の壁を飛び越えその逃げようとした人物を追う、

だが地の利は向こうの優勢だ、まったくこうなるんならパンフレットの1つや2つ見ておくんだった。

 

「致し方ないか...」

 

俺は万華鏡写輪眼を発動、そのまま奴を神威で...ってこれはダメだな、まぁ動きをよく見てひとまず後を追うか...

 

 

「...ここは?」

 

俺が追いついたそ思い入ったのは袋小路の路地裏、すると上に積み上げられたガラクタの山が音を立てて落下する、俺はそれを躱していき敵の位置を見つける。

 

(ガラクタの陰に隠れて近接か...)

 

どうやら相手は複数いるらしい、まったくこの敵にもボッチの素晴らしさをわかってもらいたいものだ。俺がその攻撃をわざと受けそのまま組みつけようとした時。

 

「どーん」

 

そんな無気力な声が聞こえると同時に俺の背後から青色の玉が発射され俺に攻撃しようとした男に直撃する。フードのせいで顔は見られなかったが男はそのまま吹き飛ばされると新たに現れた人物に驚いたのかそのまま待機していたと思われる味方とともにマンホールに入り逃走、ご丁寧にガラクタを落として入れないようにしている。掃除してる人の気持ち考えろ。

 

俺は追撃を諦め先程援護してくれた人を見て礼を言う。

 

「さっきはありがとうございます、いやぁ〜助かりました」

 

俺がそういった先には人は少なく、すぐ近くには小さな水色の髪をしたなんとも無気力そうな雰囲気を出している少女がが立っていた。ってこの子も制服着ているってことは星導館学園の生徒ってことか?こんな子があんなもん出したの、なんかアスタリスクの恐ろしさを思い知った気がするよ。

無気力な少女はなぜか俺の顔をじっくりと眺めている、やっば、なんか見つめられるとドキドキする。中学時代の俺なら「こいつ俺のこと好きなんじゃね?」と勘違いしてしまうところだ、俺はこの小さな少女が武器を普通に使うというこのアスタリスクに少しだけの時間驚きながらも呆然と立ち尽くしていた。

 




自分、アニメしか見ておらず決闘の宣言?みたいなところ自信ないのですが...。後ユリスの名前が長い

感想や何かありましたらどうぞご指摘ください。


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4話

UA1万を突破しました!どんどんパフパフ

ところでUAとはなんでしょう?知っている人がいましたら教えてください。m(_ _)m


廊下から学園の外が見渡せる範囲の窓ガラスそこから差し込む光、その光のおかげからか電気はついておらずいい省エネだ、そんな廊下を俺は目の前の金髪の女性とともに歩いている。まずは俺がここにいる理由を説明するのは少し前、あの襲撃の結末について説明しなければならない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「えーっと、君がアレを撃ったのかい?」

 

俺は目の前にいる無気力な少女にそう尋ねる、よぉく見ると俺の昔の幼馴染と似ている、世界には同じ顔の人間が3人いるとかなんとかかんとかと聞くが...。俺がそんな事を考えてると突然少女が...

 

「......。」

 

沈黙を貫きながらも相変わらずボーとした顔で俺の顔を見つめ...全力ダッシュで逃げ出した。

 

(えぇぇぇ!まさかついにアレか?俺ただの不審者と思われたのか?まぁそうか、こんな目の腐った奴が話しかけてきたんだもんな...トホホ)

 

俺がそうやって脳内自虐を行っていると...

 

「おい八幡!これはどういう事だ!」

 

突然名前を呼ばれそちらを見る、すると寮の方向から綺麗な髪をなびかせ走ってくる少女がいる、ユリスだ。というかしょっぱな呼び捨てって流石人気者、コミュ力高い!あれ?呼び捨てとコミュ力って関係してたっけ?まぁいいや。

 

「ひゃっ!ひゃい、すいません!」

 

あまりの気迫にものすごく噛んだ、恥ずかしい。

 

「貴様、私が何に怒っているかわかっているのか?」

 

「えーっと、奴を取り逃がした事?」

 

思う限り理由がこれぐらいしかないしかしユリスは満足してないようで一言。

 

「私を舐めるなよ?」

 

ひぇぇぇ...何この子怖いんですけど!私を舐めるな?まだ俺が共犯と思われてんの?さっきの無気力な少女の一件もそうだけど俺ってそんな犯人に見える顔をしてるの?

 

「貴様は先程の襲撃、油断してたとしてもあの瞬間に襲撃に気づき私が気づけない速さで私を守った。」

 

どうやらユリスは俺に守られた事不満があるようだ。まぁそうか、負かした相手に救われるってのはこういうタイプには1番屈辱的だ。

 

「は、はははぁ。偶然ですよ偶然、ユリスさんもあのぐらい防げたでしょう?」

 

よし、少し強引だがこうすれば相手は意地を張らずにはいられないはずだ。

 

「いや無理だな」

 

「え?」

 

意外!思ったより潔かった、ハンカチの件で薄々感じていたがどうやらただのわがまま少女ではないそうだ。

 

「もし私が気づけたとしても避けられないし防げない、何より速さが足りない。だが貴様はどうだ?私が対応できない攻撃にあんな軽愚痴をこぼしながら貴様は当然のように襲撃から私を守り、あの人数の生徒の山から襲撃者を見分けたうえに生徒の壁を悠々と飛び全速力で去っていった。私はこれらの事から1つの答えしか導き出せないのだが...」

 

この流れはやばい。ユリスは既に俺が実力を隠した事、手を抜いて決闘をした事に気づいている。あんな好戦的なんだ、そんな事を知ったらどうなるか俺だって知ってる。

 

「貴様!私との決闘で手を抜いたな!」

 

「いやいやそんな滅相もありません」

 

完全に今の状況はマズイ、このままだと俺のさっきの行動が全て無駄になる...つまり

 

「もう一度だ!もう一度貴様に決闘を申請する!」

 

既にユリスの顔は真っ赤で怒りというか別の何かが入り混じってやけになっているような状態だ、再度俺とユリスの決闘が認証されそうになったその時。

その闘志を鎮めるかのように手を鳴らす音が辺りに響いた。

 

「はいはい、そこまでにしてくださいねぇ。残念ながらユリス、この度の決闘は無効とさして頂きます」

 

音のする方向からは制服を着た綺麗な金髪の女性が歩いてきていた。

 

「っ!お前か...一体何の権利があって邪魔をする!」

 

ユリスは相手が悪いのか気難しい顔をする、だが決闘はする気のようで俺にとっては大迷惑だ。

 

「赤蓮の総代たる権利をもって、この決闘を破棄します」

 

突如現れた女性はそう校章に手を当て唱える、すると校章が光り輝くと同時に俺とユリスの間で行われそうだった決闘が破棄された。というかなんかまた恥ずかしいの捉えたぞおい、俺はああいうのは死んでもやりたくないな...あっ、でもバルスって言ってはみたいな。まぁ何がともあれ俺はなんとか第2の決闘を回避できた事での安堵の息をつく。にしても決闘を破棄できるって誰にでもできるのか?それならさっきの時点で破棄して欲しかったのだが...

 

「最後の転入手続きがまだなので、正確には比企谷八幡君は厳密には星導館学園の生徒ではないのです」

 

悔しそうな顔をするユリス、どうやら反論できないらしい。なんとか助かった。

 

「あ、ありがとうございましゅっ...えーっとお名前は...」

 

噛んだ、今日で何回噛んでるんだ俺は!あんまり人と話さないからってこんなに噛む事はないだろう。

 

「はい。星導館学園生徒会長、クローディア・エンフィールドと申します。よろしくお願いします」

 

なるほど生徒会長か、だから決闘を破棄もできると...まぁ今の俺はそんな事よりもこの女性、クローディアさんを警戒する事が重要だ。別にこの人が嫌いとか強いとかの問題じゃないし今の状態ではそれも判断しかねる、ただ問題なのは1つ、この人が俺の苦手とするタイプの人かもしれないという事だ。この雰囲気といいクローディアさんは俺の元同級生である雪ノ下雪乃の姉、強化外骨格こと雪ノ下陽乃ととても似ていたからだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そして現在に至る、目の前にいる金髪の女性。なんふわっとしたお姉さん、クローディア....えーっと...エンフィールド?さんに連れられて廊下を歩いている。それにしてもやはりこの人の雰囲気や立ち振る舞いといい、本当に陽乃さんにそっくりだ、俺の行く先の生徒会にはマシな奴がいないのか

 

「へぇ〜生徒会長さんって1年生なんですか、てっきり上級生の方かと」

 

聞けばこの人俺と同じ学年だという、俺より年上には見えないしまぁ納得だな。

 

「はい、中等部からなので三年目になります」

 

どうやらアスタリスクにいる時間では圧倒的先輩らしい。

 

「私達は同じ学年ですから、もっと砕けた言葉遣いで結構ですよ」

 

デジャウだ、なんかこんな感じの会話を陽乃さんともした気がする。というかどちらも最強のボッチの俺にあって数分でそんなこと言うってなんて難易度が高いことを俺に要求するんだ。

 

「わ、わかりましたよ...クローディア...さん」

 

勇気を振り絞ってそう俺は言った。昔の俺ではこのようなことをすぐには実行できないだろう、だが今の俺は皮肉にも奉仕部での出来事から成長しこうやって普通の会話能力を身につけたのだ!

 

「クローディア、で結構ですよ」

 

なん...だと?...流石陽乃さんの面影を感じさせる人だ、この期に及んでもさらなる要求をするとは。よかろう、この八幡、新型(ニュータイプ)のボッチとして全身全霊で受けさせてもらおう。

 

「ひゃっ!ひゃあ...ク、クローディア...でどうでひゅか」

 

噛みすぎてもう原型がないが俺はめげずにそう言った。

 

「ふふ、それでは私も八幡と呼ばせていただきます。それにしても八幡はとても可愛いですね、いじりがいがあります」

 

クローディアは小悪魔のような顔をしてそう言った。前言撤回、もう新型(ニュータイプ)のボッチとか絶対名乗らん。だが俺もこのままやられっぱなしというにはいかない。

 

「そ、その敬語も辞めてくれ...ないかな?」

 

これで...どうだ!

 

「私のこれはただの習慣なのでお気になさらず」

 

習慣?まさか実はクローディアはお嬢様とかで昔からそう教えられてるのか?なるほど、それはとても俺としては夢がある事だ。

 

「私はとても腹黒いのでせめて外面や人当たりは良くしておかないといけないのです」

 

「え?腹黒?」

 

「えぇ、それはもう。私のお腹ときたら暗黒物質を煮立てて焦げ付かせたものに、餡蜜をかけたくらいに真っ黒ですから。なんでしたらご覧になりますか?」

 

「へぇ?」

 

俺が最後の餡蜜で甘くなるなぁと考えてるとそんな声が聞こえ俺は間抜けな声を出している俺をよそにクローディアはステップのような足取りで俺の前に出ると...

 

「ほら、真っ黒」

 

そう言いながら自然に自分の制服をたくし上げヘソのあたりをあらわにした。

 

「ちょっ!ギャァ!」

 

この人一体何考えてんだよ!まさかとんでもないビッチ野郎なのか?というか腹以外にも見えちゃってる!ピンク色の布が見えちゃっているから!ほんとなんて人だこの人は。

俺はそう思いながら戸惑っているのをクローディアは「ふふふ、面白い反応」と笑っている。俺はつい「やっぱろくな人じゃなかった」と小言をこぼす、それを聞いたのかクローディアが不思議そうな顔をする。

 

「初めから分かっていたのですか?私が腹黒かったりこんな行動を起こすと?」

 

どうやら先ほどの小言を聞き取ったらしい。かなりの地獄耳だ、流石自称腹黒。

 

「俺の知り合いの姉にあなたみたいな人がいるんですよ、それはもうとんでもない人がね」

 

俺がそう答えるとクローディアは「そうですか」と少し不機嫌そうに呟いた。

 

「どうぞお入りください」

 

今までに見たことがないセキュリティロックが解除され、俺はクローディアに促されるままその部屋に入った。部屋は執務室のような感じで廊下と同様に電気が付いていない、すると奥の窓が一斉に開きまばゆい光が差し込んだ、あまりの光に某ジブリ映画の大佐の真似をしたくなったがしたらそれでただの変人なのでやらない。だが少し目の汚れが浄化された気がする。

クローディアは奥の椅子の前に立つと改めてこう言った。

 

「では改めて、ようこそアスタリスクへ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

 

そこは人気のない小道、そこにいる少女は柄にもなく息を切らしており今は息を整えている。

少女はつい先程1人の男から逃げてきた、だが逃げたのは少女が一方的であり男の方は何が起こったのかわかっていない様子だった。

 

「どう...して...あそこに」

 

息を整えながらも少女は自分に問う。それは先程逃げてきた男についての事だった。

 

「八幡...」

 

6年ぶりの再会だった、心の準備は出来ているはずだった。だが問題だったのは心の準備をしている時に彼を見かけたからだ、一瞬パニック状態になり戸惑ったが彼が襲われているのを見るといてもたってもいられなくなりそのまま彼を援護した。そこまでは良かった、問題はその後だった、見ただけでもパニックになる少女が普通に受け答えができるわけがなく。

 

「えーっと、君がアレを撃ったのかい?」

 

彼の声が聞こえるだけで話せない。手紙などメールをしていた時は普通にできたのに、少女はたまらずその場から逃げるように自分ができる最大限の力で駆け出した。

どのみちこのままではダメだ、明日の自分に期待をしよう。そう自分で決めると少女は息を整え来た道を戻っていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「では改めて、ようこそアスタリスクへ」

 

クローディアがそう言った後、クローディアからこの島の事や学園の事、そして星武祭(フェスタ)の事などを説明された。それでわかった事はこの都市にはとんでもない科学技術が使われている事と先ほど説明された星武祭で星導館学園の成績は良いものじゃない事、そして俺にもその星武祭に出場し勝つ事を求めている事だ。というか星武祭を制してくださいってとんでもない無茶振りだな、ポケモン図鑑全て揃えろと言って一体のポケモンしかくれないオー○ド博士並みだぞ。いくら望みが叶うといってもそこまでやる義理もなければ望みもない、なぜなら俺の望みがこの現世で果たされない事は既に知ってしまっているから...絶望もしている。という訳で俺はこの話をきっぱりと断る。

 

「悪いけど俺そういうのは特にないんだよなぁ」

 

「あらあら、では。どうしてこの学園に?」

 

クローディアは何かを探るようにそう聞く。やはりこの人は陽乃さんと似ている、こういうタイプには嘘はつかない方が吉だ。

 

「詳しい経緯については話さないが、強いて言うなら...」

 

こういう場合には聞かれてない事は答えない方が良い。

 

「日々の安定感を探して...かな?」

 

そういうとクローディアは「日々の安定感ですか...」と何かを考えるように呟く。どうやらまだ納得してないようだ。

 

「それに俺は星脈世代だけど魔術師とかの特別な能力なんでありませんよ、そんな俺が勝てるほど星武祭は甘っちょろいわけないでしょ」

 

俺は自分が魔術師ではないことを活かしそう言う。

 

「そうですか。ですがあなたを我が学園に推薦した紗夜さんはあなたがとても強いと仰っていたのですが...何より次元が違うとか」

 

クローディアはあざとく考える仕草をしながらそう言った。

 

(アイツ、余計な事言いやがって。にしてもまだ覚えていやがったか)

 

俺は自分の幼馴染の顔を浮かべながらそう思った。というか本当にあの無気力少女、そっくりだったなぁ。

 

「ちなみに特待新入生には純星煌式武装の優先権が与えられます。何か希望はありますか?」

 

クローディアはパネルを操作しながらそれぞれこの学園が所有する純星煌式武装を開示する。

 

「普通のやつで良いよ、俺にはそれがお似合いだ」

 

するとクローディアは驚いた顔をしていた、俺が理由を聞く前に。

 

「すごい!紗夜さんの言ったとおりのことを言いましたわ」

 

アイツいつの間に予言能力を身につけたのか?

 

「まぁ一応こちらを」

 

クローディアはそう言うと、俺がユリスとの決闘で投げ渡された物と同じ煌式武装を渡してくれた。

 

「ん?そう言えばクローディア。あの時言ってた最後の転入手続きがどうとかって、どうゆう事?」

 

あの決闘が承認された事でわかったがまだ最後の転入手続きが終わってないという事は驚きだった。

 

「その事ですか...あれはですね...」

 

クローディアは勿体振るように言い、俺の後ろ日ゆっくりと移動する。そして

 

「えへっ」

 

真後ろから俺に抱きついた。

 

「うわっ、て。ええぇぇぇぇぇ!!」

 

だから一体なんなんだよこの人!いきなり抱きついてくるとか理解不能だよ、っていうか色々と当たってる、主に柔らかいものが。なんかめっちゃ良い匂いするし。とにかくこのままだと色々とマズイ。

 

「やっと、やっとお会いできました」

 

ご本人はそんな事知らんままでなんか言っているが今はそんな言葉を気にしている場合ではない。こうなれば最終手段だ、海老名さん直伝のBLオリジナルカップリングを妄想するんだ。というかしなければ俺のいろいろなところがマズイ事になる。まず片方はアイツ(マダラ)だ、こうすれば半分というか完全に八つ当たりだがザマァみろ。さて問題はもう片方だ、どこか身近な男を想像しろ...身近な男身近な男...材木座!君に決めた!

 

「...うっ」

 

予想外に威力が高すぎる。これは人間が考える事じゃないな、もうこの方法を使うのはやめよう、俺のSAN値がマッハで終わる。今思えば海老名さんいっつもこんな事考えてたんだよな、あの人本当に人間か?実は神話生物とかじゃないよな。まぁどちらにせよ俺は難所を乗り越えた。何かを失った気がするけど...

 

「うふふ、冗談です」

 

何が冗談ですだコノヤロー、人の気も知らないで。俺めっちゃシャイなんだからな、こんな事いきなりされたら心臓止まる、というか一瞬止まった気がした。

 

「まさかこれが最後の転入手続き?」

 

もしそうだったら壮大な男狩りだ、なんだかだんだんこの人が男の敵に見えてきた。

 

「いいえ、あれは嘘です...安心してください、あなたはとっくにこの学園の生徒ですよ」

 

なんだかどこかで安心した自分がいた、なんだろうこの全く嬉しくない気持ち。

 

「あの時はそれが1番効果的だったのです。ユリスは根が真面目ですから」

 

なるほどな、確かにユリスは無駄に義理堅いから真面目なんだろう。

俺は安堵と苦笑いを交えながらその部屋を後にした。どちらにせよここで無駄話をすればいつかボロが出るかもしれない、この部屋にいるクローディアは最もだが他にもタチ悪く盗み聞きや監視しているネズミ共(・・・・)に聞かれては色々と面倒だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ〜、困りましたね〜」

 

八幡が去った後の部屋にて、クローディア・エンフィールド溜息をつきながら困ったように呟いた。その理由は先程の彼が言った自分の無力さを話した時だった、確かに彼の言ったことに嘘はないように感じた、少なくてもクローディアはそう感じた。それだけなら良かった、あの行動さえ起こさなければ、クローディアにとってはただの遊び心だった、彼女は自身の純星煌式武装であるパン=ドラの能力である予知を少し使いもしもここで攻撃した時の八幡の反応を予知した、それがダメだった。彼女は見てしまった、自分の実力やパン=ドラの能力を持ってしても正しく手も足も出なかった。これも彼を推薦した彼女の言う通り、次元が違う。そして何よりも印象に残ったのは彼の目だった、黒い瞳孔の中が勾玉模様に変形し数々の形を作っていく光景だった。

 

「本当に...困りましたね〜」

 

未だに動けずに震えている自分を落ち着かせながらクローディアはそう呟いた。

 

 

 




やっとアニメ1話の半分が終わりました...

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5話

お気に入りが...200を突破...している...だと?

お気に入り登録ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。


自己紹介。それは学園での生活を行うのには避けては通れない道だ、長年ボッチをしている俺にとってはもはや試練というべきものでありその試練の中でも指折りの難所だ。まずはボッチには慣れることがない大量の視線、そして自己紹介に集まる期待、何より重要なのは切り上げるタイミングだ、これをミスればかなり辛い空気と痛い視線が俺に降りかかることになる。これらをなんとかしなければ...

 

「まぁ、そういうわけでこいつが特待転入生の比企谷八幡だ...適当に仲良くしろよ」

 

俺はできるだけ苦笑い君の笑みを浮かべながらも「よろしく」と言った。よかった、噛まずに言えた。第一段階はクリアだな。というか先程担任って説明された先生が釘バット持ってるんですけど、外見でわかりやすい分平塚先生よりはマシだろうがなんか普通がわからなくなってきた。

 

「さて席は...」

 

俺は目で追うように空いている席を探す、見つけた!ボッチにとっての楽園(エデン)、窓際の空席!

 

「ちょうどいい、火遊び相手の隣が空いてるな」

 

ちょっと先生!色々と突っ込みたいところがあるがまずはそこの席の隣も空いてるでしょうが!というか火遊び相手って俺が一方的に物理的な方で遊ばれただけなんだが...

 

「誰が火遊び相手ですか!」

 

珍しく敬語を使うユリス、クローディアの言う通り真面目ちゃんらしい。ていうかなに赤面してんの、そこは冷たく「あ、そういうのいいんで」みたいなこと言えばいいのに、本当に真面目ちゃんだな。

 

「お前以外に誰がいるんだ、朝っぱらから派手にやりやがって」

 

俺は派手にやられたんですが...というかこのひと口が素直なだけで平塚先生とどっこいどっこいだよ。俺はそう思いながらも指定された席に移動する。あぁ視線が痛い。俺が指定された席はユリスの隣、俺が願っていた窓際の空席の隣だった。クソッタレ、ボッチにとっての楽園(エデン)である隅っこが目の前にあるというのに...

 

「まさか同じクラスだったとは」

 

俺は席に座りながらそう言った。

 

「まったくだ」

 

ユリスもそう言った。

 

「笑えない冗談だ」

 

(笑えない冗談だ)

 

ユリスの言葉に合わせるように俺はそう心の中で言った。こうして俺の波乱の学園生活が始まった。というか波乱が起きすぎだろ、これならまだむこうの方がまだマシな気がする...アレ?なんか俺って思えば運というか神様に見放されてない?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

窓の外に夕焼けが光る、気づけばとっくに夕方だ。すでに生徒のほとんどは教室に残って雑談や帰宅しており俺も帰宅しようとした時、隣にいるユリスから声がかかってきた。ユリスは俺と同じように帰宅の準備をしていた、だが驚いた事に絶賛リア充していると思われていたユリスは今日俺が観察しただけでも生徒のほとんどが話しかけてくるどころか近づいてくる気配すらない、数人声をかけようとした奴はいたが行動には移れなかった。え?なんでわかるって?ボッチの人間観察能力舐めんなよ。まぁその孤高の少女ことユリスが声をかけてきたんだが。

 

「ひゃっ、ひゃい...なんでしょう」

 

安定の噛みである、もう色々と諦めた。

 

「そ、その、今朝助けてくれたことは感謝する」

 

どうやらあの襲撃についてのことらしい、普通なら少し嬉しいものだがなんかとてつもないデジャウがあるので正直いい予感がしない。

 

「あれは、まぁ目の前で人が撃たれるってのはいい気分じゃないしな。それであの事だけど、もう怒ってない?」

 

俺は恐る恐る聞く

 

「まぁ怒ってないわけでもないが...助けてくれたのは確かだしな」

 

どうやらもう俺が襲撃者の協力者っていう誤解は解けたようだ。

 

「今度の事は借しにしてくれていい」

 

「借し?」

 

「そうだ、要請があれば一度だけ力を貸そう」

 

どうやらあの事をユリスは彼女なりに俺に恩義を感じているようだ、流石真面目ちゃん。こう出るとは少し予想はしていた、だが俺はその恩義を少し裏切るとしよう。

 

「ならこっちも1つ借しだ、俺ができる事なら依頼として手伝ってやる」

 

するとユリスは驚きながらも不機嫌そうに

 

「なんの真似だ?そんな事をして貴様に利益はないだろう」

 

どうやら俺が何故そんな事をしたのかわからないらしい。まぁ普通なら理解できない事だろう、だが俺もこれに思う事があるだけだ。

 

「勘違いするなよ、俺も借りを作られるのが癪に触るだけだ。今のところはな」

 

それを聞くとユリスは変わらず厳しい顔をしたまま「勝手にしろ、だがそれ以外で馴れ合うつもりはない」教室から出て行った。

 

(こちらとしてもそれが1番望ましいけどな)

 

 

 

「へへへ、振られたな。まっ、相手があのユリスじゃ仕方ないか」

 

ユリスが去った後、俺の後ろからそう男の声がした。俺が振り返るとそこには先程までうつ伏せの状態だった男が顔を上げていた。茶髪にこのコミュ力、そしてこの雰囲気...俺が導き出した答えは1つ。

 

「なんだチャラ男型リア充か、生きてたんだな」

 

「え?なんか俺の対応ひどくない?」

 

リア充は許さん、それもチャラ男型とは。チャラ男型リア充は死すべし、慈悲はない。これボッチの常識。ホントダヨ、ハチマンウソツカナイ。

 

「んで?あのユリスってどういう事だ?」

 

その言葉には少し引っかかるところがある、実はユリスは真の腹黒だった、とか本当に笑えない冗談だ。

 

「そういえば今日来たばっかだから知らないのか、ユリスは正真正銘のお姫様なんだぜ」

 

「お姫様?」

 

まさかの新事実、真のお姫様はクローディアではなくユリスだったという。だがなんというか俺の知ってるお姫様とは随分と違う、もうちょっとおしとやかだと思った。

 

「意外だろ、なんせ人を寄せつけないからな」

 

それは今日の様子を見るだけでわかる、だがそれでは疑問が生まれる。

 

「人を寄せつけない?お姫様なんだろ?」

 

普通ならお姫様など社会的有利、または他人の憧れとなる対象はクラスのカースト、いわゆるスクールカーストの上位に君臨する事ができる。少なくとも俺はそう考えている、だがユリスはそこにいない。それが疑問だった。

 

「俺は夜吹英士郎、一応お前さんのルームメイトなんだぜ。よろしくな」

 

夜吹はそう言い握手を求める、俺は自然にそれに応じる。そして俺は夜吹の話を聞きながら教室を後にした。

すでに廊下には生徒の影は少なく夕焼けが廊下を照らしていた、その中を俺は夜吹にユリスの事を聞きながら歩いていた。

 

「んで夜吹、ユリスさんはお姫様なのになんであんなにリア充してないんだ?」

 

「リア充ってお前も言うなぁ」

 

夜吹は少し呆れたようにそう言うとユリスの事について話しだす。

 

落星雨(インベルディア)の後にヨーロッパで王国がいくつか復活しただろ、その中でリーゼルタニアって国があって、彼女はその王国の第一王女。それに加えて星脈世代(ジェネステラ)の中でも数パーセントしかいない魔女(ストレガ)なんだぜ」

 

そのくらいは知ってるし興味もない、だがここは空気を読んで話を聞くとしよう。

 

「それは最初は人気だったわけだ、あの可愛さに加え戦うお姫様、誰だって放っときはしない。それがなぁ」

 

夜吹は呆れながら続けた

 

「うるさい!黙れ!私は見世物ではない!っときたもんだ」

 

「なんだか簡単に想像できるなそれ」

 

いやでもわかるなその気持ち、俺も教室の隅でひっそりとしていて急に話を振られるてみんなの視線が集まるとそんな気分だもん。

 

「それをよく思わないやつらが次々と決闘で挑むも見事にそれを返り討ち、今じゃ星導館序列5位にまで駆け上がってけど」

 

「それで出来上がったのが今の状態と」

 

「そゆこと」

 

夜吹はへらへらと笑いながら語るが俺はあまり気にせず受け流す。

 

「もしかして信じてない?」

 

夜吹は俺の様子を見てそう言った。もちろん大体は信じているが俺には関係ない事だ、紗夜の奴は違う教室だろうがいつか自然に会えるだろう、よって今俺が求められるのは孤高のお姫様についての情報を求める事でも人探しをする事でもなく、自分の寮に戻る事だ。それにこいつにまだ借りがあったしな。

 

「今のところは五分五分ってところかな、人から教えられた情報をあまり信用しない事ぐらい常識だ...お前もそれは知ってるだろ?」

 

「あれ?なんの事かな?」

 

「あらかた新聞部って事だろ、情報に精通し面白そうなネタがあったらすぐに確かめに行く。随分と俺を嵌めてくれたな」

 

俺は懐からあの決闘の前で投げ入れられた煌式武装を夜吹に手渡す。

 

「あれ?ばれてた?」

 

「まぁ半分は感だけどな、ボッチ舐めんなよ」

 

すると夜吹は「参った参った」と言いながら降参のジェスチャーをする。

 

「お前のせいでめんどくさい事に巻き込まれたんだからな」

 

「その事は本当にすまん、その代わりいい感じな情報タダで話すから」

 

本当に反省しているのかまた俺を利用しようとしてるかは知らんがこの条件は俺にとっても悪い事ではない。

 

「まぁあまり期待しないでおくよ」

 

俺は変わらない態度で軽く受け流す。するとその様子を見て夜吹が

 

「あれ?まさか俺信用されてない?」

 

新聞部、情報屋は信頼が何よりも重要だ、そのぶんその筋に関しては敏感なようだ。だが俺に関してはその必要はないだろう。

 

「安心しろ、これが平常運転だ」

 

俺が今のところこのアスタリスクで信用できる人物は1人だけ、その1人も実際には全然会ってないからあってから再度判断するが今はその事よりも自分の寮に戻るのは先決だ、正直これ以上外に出たくないでござる。

 

俺がそう思いながら夜吹と寮に向かおうとしたその時。

 

「答えろユリス!」

 

突如あまり遠くない場所からそのような怒声が聞こえた。

あぁなんか帰れそうにないぞこれ、頭痛くなってきた。

 

 




テストが終わったーーーー。本当に疲れました。


感想や何かご指摘がありましたらよろしくお願いします。


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6話

やっとアニメ1話分が終わる...

そして夏休みがついに始まる...あぁ夏休み


「答えろユリス!」

 

近くから聞こえる怒声、だがそれは俺にとってただの面倒な事でしかないの夜吹に帰るように言ってみるが...

 

「まぁまぁいいじゃねぇか、ちょっと見てこようぜ」

 

そう言いながら俺の制服の襟を掴みほぼ無理やりに近くの茂みに連れて行く。そこからは現場がよく見えており夜吹は慣れた手つきでスクリーンを操作、目にかぶせるようなスクリーンが展開されそれを現場に向ける。俺はそれを横目で静かに観察、あれが最先端技術というものか。男としてはそんな感じの操作に少なからず浪漫を感じる、後で教えてもらお。

 

「なぜ新参者なんかと決闘をしやがった!」

 

現場に目を向けるとそこには4人の人影があった。

 

「応える義務はないな。何度言われようと、私はもうお前と決闘はしない」

 

「なんだと!」

 

ベンチに座り休んでいるユリスを正面に、強面で怒声を発したと思われる巨漢の男とその男の両端になぜか胸を張っているふくよかな男とエノキタケみたいなヒョロイ男がいた。正直俺の私見では周りの取り巻きはあの強面の男にとっては足手まといな気がするが...

 

「うっひょ〜、とくダネじゃねぇか!」

 

夜吹はそう言いながらもスクリーンを操作する。

 

「私は貴様を3度退けた、これ以上は何度やっても無駄だ」

 

ユリスは強面の男に対して冷たくそう言う、どうやら人を寄せつけないのは確定らしい。

 

「貴様ぁ!」

 

どうやら強面の男は怒りっぽい性格らしい、俺ならビビるような怒声を言い放っている。にしてもあの男、かなり鍛えていると見える、平均能力でこのアスタリスクについての生徒達、その中でも路地裏の奴らの次に期待が持てる人物かもしれない。

 

「夜吹、あいつは?」

 

俺は強面の男への興味本位で名前を聞いた。

 

「レスター・マクフェイル、うちの序列9位の冒頭の十二人(ページワン)だ」

 

「ん?冒頭の十二人(ページワン)ってなんだ?」

 

また聞き慣れない単語が出てきた、国語は得意だがこうもバンバンと新単語が出てくると疲れる。

 

「アスタリスクの各学院にはランキング制度があってな。そのランキング制度をネームドカルツと言うんだが、その中でも上位12人の事を冒頭の十二人(ページワン)と言うのさ」

 

なるほど、競争を自発的に推進する制度のように思えるが...魔女や魔術師が上位を独占する事は容易に予想ができるのであまり参考にしないほうがいいだろう、それより今はレスターと呼ばれる強面の男だ。

 

「あのレスターって奴、相当強いな」

 

「あぁそうなんだが、レスターはお姫様ととても相性が悪くてな、3回戦って一度も勝っていない」

 

夜吹はそう言いまた別のスクリーンを動かし俺にその戦闘映像を見せる。どうやら斧が武器らしい、そりゃ遠距離から中距離に対応できる相手とは相性が悪いのは明確だ。なのに戦いを挑むとは...レスター・マクフェイル、どうやら予想以上の強さを持ってるのか?それともただの無鉄砲なのか?

俺がそう推測していると突然レスターが斧を取り出しユリスの目の前に振り下ろす、路地裏であった奴らとは質がダントツで低いが手になじむ武器がないのか?まあそう言う事は後にしておこう、ユリスはその斧が当たらない事をわかっているようで避けない、やはり3回戦っているため間合いはすでに読まれているようだ。

 

「いいから俺と戦えって言ってんだよ!」

 

よほどユリスが噂の新参者と戦った事が気にくわないらしい、すでにレスターは怒りに似た信念のままに動いてるように感じた。周りがガヤガヤ言ってるが気にしない。

 

「調子にのるなよ!俺様の実力はこんなもんじゃねぇ!」

 

うわぁ、初めて見たよ自分のこと俺様っていう奴、自身の塊みたいなアイツ(マダラ)でも自分の事を俺とか言ってたのに、なんかここに来てから驚きがたくさんだ。

 

「ならばまず、それを証明することだ。私以外の相手でな」

 

ユリスは涼しい顔をしながらハンカチを取り出し服についた汚れを払っている。そしてその場を立ち去ろうとしたその時

 

「まちやがれ!」

 

レスターはそう言いながらユリスの手を掴む、よくそう平然と女性に触れるなレスター、もう思春期はとっくに過ぎたってか?ほんと尊敬します。レスターがつかんだユリスの手、その手から先ほど取り出したハンカチが地面へと落ちる。そこからユリスの空気が変わった、レスターはそれに気づいていないようで言葉を続ける。

 

「道楽でやっているお姫様なんかに、負けたままじゃいられねぇんだよ!」

 

だがその瞬間、レスターがユリスを掴んでいた手に星辰力が集まり炎を放った。どうやらレスターは知らないうちにユリスの逆鱗に触れたようだ。ユリスはそのまま落ちたハンカチを静かに拾う。

 

「道楽...だと?」

 

俺は確かにそう聞こえた、だがレスターはうまく聞き取れなかったようだ。ハンカチを拾ったユリスの周りからは星辰力が溢れるように出現する、その星辰力の流れに乗るようにユリスの髪がひらりと浮かぶ、そしてその星辰力は炎へと変わっていき。

 

「ならばお前は!何のために戦うのだ!

 

そうユリスの怒声とともにレスターに降り注ぐ。

 

「私には為すべきことがある!その為に星武祭(フェスタ)を制し、望むものを手に入れる!」

 

ユリスの声が強みを増していく。

 

「こんなところで、立ち止まっている暇などないのだ!」

 

その怒声は俺が朝体験したものとは違い、何かの信念によって発せられたものだった。

俺はユリスの姿を見て納得する。

 

(炎を纏いし、華焔の魔女。なるほどな、確かに華焔の魔女(グリューエンローゼ)だな)

 

俺がある程度納得しその場をそそくさと離れようとしたその時、

 

「うわっ、やっべ!そろそろ締め切りの時間だ」

 

夜吹がスクリーンで何かを確認しながらそう言うと同時に突然体を起こす、もちろん俺は驚きそのままバランスを崩し後ろへ倒れる。あとはお皆様の御察しの通りだ。

 

「誰だ!」

 

茂みの揺れる音でレスターが反応しこちらに視線を向ける。なんだろう、もう神様が俺を嫌ってるようにしか思えない、まさか前世のアイツ(マダラ)があんなロクでもないことしでかしたからそのツケが回ってきてるとかないよな?もしもそうならシャレにならねぇぞそれ。

 

「い、いやぁ〜...どうもこんにちは」

 

俺は倒れながらもそう挨拶をする、流石の登場に驚いているのか皆さん安定の無反応だ。だがこれはチャンスだ、この空気のまま八幡はクールにここを去るとしよう。

 

「それじゃあお取り込み中のようなので俺はここで、さよなら〜」

 

俺がそう言いながらその場から撤退しようとしたその時。

 

「あ!こいつ例の転校生ですよ!」

 

エノキタケが余計なことを言う、それと同時にレスターの視線が俺に刺さる。あぁもうやだこの流れ。

 

「なんだと!」

 

ほらやっぱりレスター君が反応しちゃったよ。どんどんこっちに来るよ、ここはもう腹を決めよう、こんな奴アイツ(マダラ)の体験から見た赤い気の龍を纏ったあの男に比べれば怖くない、コワクナイ。

ここはジャパニーズ作法といこう。

 

「どうも、私、比企谷八幡です。よろしく」

 

俺はそう言いながら手を差し出す。ここまできたら意地でも穏便に済ませてやる。

 

「あぁん?テメェ何ふざけたこと言ってやがる」

 

まぁそうなるよね、まぁここは少し脅しも混ぜて丸め込むか。

 

「あんたは多少礼儀がある奴だと見てるんだが、俺を失望させるなよ?」

 

俺はレスターにしか聞こえない声でそう言った。これでどうだ、こいつの本質が俺の見た通りならこれでうまく返してくるはず。

 

「けっ、わかったよ。レスター・マクフェイルだ、よろしく」

 

そう言い握手を交わす、やはり相当鍛えている、この様子ならまだ伸びようもある。

 

「おぉいいねいいね、このショットいいね」

 

そう言いながらチャラ男型リア充生命体こと夜吹が現れスクリーンでそのシーンを写す。

 

「ちょっと何撮ってるんですか!」

 

「レスター!これ以上はマズイよ」

 

取られるとマズイのかなんだか知らんがふくよかな奴とエノキタケが矢吹とレスターの間に立つ。

 

「俺は諦めねぇぞ!必ず俺の実力を認めさせてやる!」

 

レスターはそうユリスに言うと斧をしまい、取り巻きを連れて去って行った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「今朝の決闘といい、なんの真似だ比企谷八幡」

 

いやなんの真似とかそう言うの関係なくてその両方とも今そこでスクリーから撮影してるチャラ男型リア充生命体の所為なんだが...

 

「おい夜吹、お前何してくれてんの?」

 

すると夜吹はスクリーンをしまい相変わらずへらへらと笑っている。もう殴りたいコイツ。

 

「いやぁ〜お前面白いな、お前と関わってると特ダネが生まれる気がしてさ」

 

「テメェを明日の朝刊に乗せてやろうか?」

 

もちろん犯罪がらみの加害者で。

 

「それにしても先ほどのレスター相手にあの対応とは、貴様何者だ?」

 

「ただのボッチだよ。俺レベルにまでなれるとあれほどでも耐え凌げるんだぜ、最近のボッチはスゲェだろ」

 

俺はそう説明するがユリスはしかめっ面で

 

「そのふざけた態度がいつまで続くか実物だな、ここはお前が思ってるほど甘い場所ではないのだからな」

 

俺もそう願ってるよ、ある意味ここが最後の砦だしな。ん?そう言えばユリスって人を寄せつけないんだもよな...それってまさか。

 

「ユリス?お前ってボッチ?」

 

俺がそう発言すると同時にユリスはポカンとした顔を浮かべ夜吹は壮大に笑いを吹き出す。

 

「ぼ、ぼ、ぼ、ボッチな訳あるか!私は好きで1人でいるだけであって決してボッチでは...」

 

どうやら俺の言葉の真意に気づいたようで必死に弁解するユリス。

 

「別に恥なくてもいいんだユリス、ボッチは決して恥ずべきことではない、逆に誇ってもいいもんだ」

 

「やめろ!悟ったような顔でこっちを見るな!」

 

慌てながらも必死なユリス、なんか可愛く見えてきた。

 

「んじゃ友達はいるのか?この学園に?」

 

俺が意地悪半分にそう聞いた。するとユリスは

 

「...い...ない」

 

小さな声でそう言ったユリス、ここまでくるとさらに意地悪したくなってしまう。

 

「ん?なんだ?すまないうまく聞き取れなかった」

 

「いないと言っているだろうが!」

 

大きな声でそう叫ぶユリス。

 

「よしよく言ったユリス!ともにボッチを極めようではないか」

 

俺がそう言うとユリスは必死に「私はボッチではない」と連呼しながら何やらに考えている、おそらく現実逃避か何かしらの言い訳だろう。

 

「そうだ!今はまだ見定めているだけなのだ!」

 

突然何やら言い始めたよ

 

「えぇっとユリスさん?見定めているとは?」

 

俺が言葉を返すとユリスは何度も納得したように頷きながら答える。

 

「星武祭にともに参加する私のパートナーにふさわしい者を見定めている途中なのだ、だからまだ私はぼっちなどではない!言うなればボッチ予備軍だ!」

 

大声でそう宣言するユリス、そしてすぐに静寂が辺りに広がる。ユリスは冷静になるとそっと頭を手で覆い顔を真っ赤にしていた。これには流石の俺もかわいそうに感じ。

 

「まぁ...なんだ、俺が出来ることあったら力貸すからよ、脱ボッチしような?」

 

「.......うん」

 

こうしてユリスは脱ボッチに向けて走り出したのだった(完)

 

「えぇっと...もう質問オーケー?」

 

静寂の空気を破るかのように奴がそう言った。すると俺とユリスは同時に自然と言葉を放つ。

 

「「なんだチャラ男型リア充、まだいたのか」」

 

俺とユリスはそう同時に言う、やはりボッチ同士通じる何かがあるのだろう。

 

「あれ?俺ってもしかして周りからそう見られてるの?」

 

夜吹はそう言いながらも一つ間をおいてユリスに質問をする。

 

「もし星武祭でペアを組むとしたらどんなパートナーをご希望で?最初の星武祭、鳳凰星武祭(フェニックス)はタッグ戦だぜ」

 

夜吹がそう言うとユリスは考えながらも答える。それもそうだ、タッグ戦とはつまりツーペア、ボッチにとってはかなりの難所である。

 

「あまり贅沢は言わんが、まぁ最低でも冒頭の十二人(ページワン)程度の戦闘力を持ち、頭の回転が早く、強い意志と高潔な精神を秘めた騎士のごときものだな」

 

どこのラノベの主人公だよそれ、というか主人公でもそんな奴そうそういないぞ。というか生まれてこのかたそんな奴見たことねぇ。これには夜吹も

 

「それはまた...」

 

と苦笑いを浮かべながら呟くことしかできなかった。そしてそこに何かしらの音を鳴らしながらまたあのスクリーンが現れる、

 

「あっ!やっべ忘れてた。んじゃあ俺はこれで」

 

そう言い夜吹はこの場を後にする、だが俺はその行動を止めるために動く、まだ寮の場所も教えられてないし何よりユリスと2人きりでいられる自信がない。

ボッチ+ボッチ=究極の混沌(カオス)、それだけは回避しなければ...

 

「おい夜吹!俺まだ寮がどこにあるか知らな...ってあいつどこ行きやがった」

 

俺が夜吹を止めようと振り向いた瞬間、そこには既に奴の姿はなかった。チッ、逃げ足が速い奴め。

 

「ふっははは。まったく、今朝あんなめにあったのだから、案内図を見るなりすればよかろう。」

 

俺がそう苦い顔をしていると隣でユリスが笑っていた。俺としては笑い事ではないのだが...ん?いいこと思いついた。

 

「ユリス、教室での話あっただろう、要請があれば一度だけ助けになるってやつ」

 

「ん?ああ、あれがどうした?」

 

「男子寮の場所を教えてくれないか?俺からの要請だ、教えてくれるだけでいい、あとは自分で向かう」

 

するとユリスは驚いた顔をし。

 

「それだけなのか?本当にそんな小さいことなのか?」

 

「本当にこれだけだ、俺としても女に借しを作るってこと自体が好きじゃない。逆にこれ以外助けて欲しい事なんて思いつかないし思いつく予定も必要もない。んでどうだ?助けてくれるのか?」

 

するとユリスは少し考えながら言った。

 

「わかった。その要請に従い助けてやる。ただ1つ条件だ、私が直接案内する、そうでなければ私の気が収まらん」

 

「あぁ...別にいいですけど...」

 

俺は渋々それを了承した、その後俺はユリスについていく形で無事男子寮にたどり着けた。やはりユリスは今でも一目置かれる存在のようで男子たちが少し騒いだがもう反応することもめんどくさい。というか眠い、疲れた。だが男子寮で夜吹がカメラを構えながら待ってたのは流石にムカついたので寝る前に関節技をかけておいた。スッキリした。

 

こうして俺の忙しいアスタリスクの始まりの1日は終わりを告げる、今のところ全然手応えはないが果たして俺が探しているのはここにあるだろうか?まぁそんなことは後でゆっくりと考えよう。今最も俺にとって大切なのは....

 

 

 

 

 

 

アスタリスクに点在するMAXコーヒーの入手状況を覚えることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ボッチの雑談を入れた結果ユリスが星武祭に出る理由を飛ばしてしまった...どうしよう


感想や何かあったらどうぞご指摘がください。





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7話

お気に入り300突破!

パフパフどんどん。


これからもよろしくお願いします。


遠く昔、いや...違う。全く別の世界の光景を俺は見下ろしていた。いやこれは俺では無い。アイツ(マダラ)だ、知ってる限りだとこれはアイツ(マダラ)が2度目の目覚めた時の光景だ。見下ろす砂地にはおよそ5つの忍装束を着た人々、ぱっと見別々なもの達に見えるが額当ては『忍』と統一され、彼らが1つの目的のな目に団結していることがわかる。

隣にいる男がコイツ(マダラ)と話している。何回も聞き、聞き飽きた会話なので目の前の光景に集中しあの人を探す。見つけた、小さいおじさんと砂に乗っている少年の隣、他とは違う服装をした少年、この戦争の原因の1つでもありこの戦争を終わらせられる英雄『うずまきナルト』さんだ。俺がナルトさんを捉えた瞬間、突如左右から大量の砂が押し寄せる、アイツ(マダラ)は軽く避け乗っていた岩から飛び降りる、そして忍達を目の前に戦いを開始する。そしてその時、自分の意識が徐々に離れていく事を感じる。

 

(あぁ、今日はここまでか...明日からは気をつけないとな)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「んあ?またアレか...」

 

目覚めると知らない天井...とまではいかないが未だに見慣れていない天井だった、眠気が起きない、どうやら二度寝は出来なようだ。まぁしないけど。隣では寝相が悪いのか夜吹が布団を少し荒らしながら雑にいびきをかいて寝ていた。俺は立ち上がり洗面台へと向かった。

 

未だにはっきりとしない目をこすりながらも洗面台へとたどり着く。そこで俺は目の前に男がいることに気づく。長い髪に死んだような目、その男は先程夢で体験した男と酷似していた。

 

(なんでこいつがここに?まだ夢の中か?...ってこれは...)

 

完全な警戒をし構えたところで俺はやっと理解した。これは俺だ、普段は髪を結んでいるため目立たないが...というよりその為に結んでいるのだが髪を解けばあら不思議、目の腐り具合も合わせてうちはマダラと酷似してしまう。髪を切ることも考えたがこの長さになるまですぐ伸びてしまい諦めた。最近慣れてきたと思ったが寝ぼけていると構えてしまう。

周りを見渡しながら状況を徐々に整理する。そうだ、俺は昨日アスタリスクに来てここ、星導館学園に転校したばっかりだったんだ。にしても昨日はいろいろなことがあった...

 

路地裏で肩慣らしに準備運動をしたり。

MAXコーヒーが不足した結果死にかけたり。

女子寮でなんかのお姫様に絡まれたり。

そのお姫様が襲撃にあったり。

自称腹黒の人にあったり。

新聞部の夜吹に目をつけられたり。

なんか喧嘩にみたいな場面に巻き込まれたり。

エノキタケとふくよかな豚みたいなやつが学園内を歩いてたり。

結構見所がある奴もいたな。

 

まぁ今日から少しの間の目的はMAXコーヒーの入手状況を調べる事だな、ついでに紗夜の事も探してみるか...

路地裏の時のようにいつ襲撃があるかはわからない、念のため軽い仕込みをしとくか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

登校というものはいつの時代も憂鬱なものだ、自分が嫌いな場所を自分から向かうという事を強要されている。ほんとにやだ、というかこの制服にもなれないものがある、他の互角の学園よりはマシだと思うがやっぱり制服に関しても少し違和感を感じる、まぁこればかりはしょうがない。なんとか馴れよう。

俺は夜吹とともに教室に入る、教室は生徒達が賑やかに話しており俺はステルスヒッキーを発動しているので気づかれてはいない、俺は夜吹の影になる位置で周りの生徒に比較的気づかれないように移動するがその時俺の席の隣にいる人物、我がクラスのお姫様ことユリスさんだ。

 

「.......。」

 

無言で見つめられる、ほんの数秒の間なのにすごく長く感じた、さすがに気まずくなり俺は恐る恐る挨拶をする

 

「お、おはよう?」

 

なぜか疑問系になってしまったがなんとか言えた、するとユリスはやっと視線を俺から離し

 

「あぁ、おはよう」

 

と平然と返す、やはりボッチと言っても基礎的なコミュ力はあるらしい。脱ボッチは思ったより近いかもな。

まぁここまでは良かった、問題はこの後だ、一気に教室が静かになり周りの生徒達がこちらを驚いた顔で見ている。どの顔も「えっ?」と言っている顔だ。どちらにせよ大勢の人の視線はボッチにとっては痛い視線だ。

 

「今の聞いたか!」

 

「あのお姫様が挨拶を返した」

 

前言撤回、ここまでの評判とは思わなかった。

 

「っ!失礼だな貴様ら!私だって挨拶ぐらい返す!」

 

ユリスはそう一喝するとすぐに座り考え事を続ける。これは脱ボッチは上手くいかないかもな...

俺がそんな事を思いながら席に着くと隣の席の動きに気づき目を向ける。そこはユリスとは逆の席、昨日俺が悲願していた席にうつ伏せに座っていた少女が動いたようだ。昨日はいなかったが何か事情でもあったのだろうか?まぁ俺が気にすることもないので俺も机に伏せようとした時。

 

「...ん?」

 

起き上がった少女止めが合う、その少女は...

 

(あ...昨日の)

 

昨日の襲撃者の攻撃を防いだとみられる少女だった。だが今になってはあまり気になることはないので俺は変わらず無表情で見つめる少女を他所に俺は机に伏せようとする、その時。

 

「...八...幡」

 

微かに聞こえたその声、俺はその声に聞き覚えがあった。昔と変わらない、まるで夢を見ているかのような気分だ。

 

「へ?...なぜ俺の名を?」

 

どっかの映画の題名っぽいセリフを言いながら俺は少女を見る。相変わらずの無表情で小さい体、その姿はいつ見ても昔の幼馴染の姿を連想させる。

 

「忘れたのか?...私だ、沙々宮紗夜だ」

 

「え?マジで?」

 

俺は自然と口に出す。

 

「おおマジだ」

 

紗夜と名乗る少女は指でガッツポーズを作りながらもそういった。

 

...。

俺は呆然とした、確かにこの少女に激似な沙々宮紗夜は俺の知り合いでもあり幼馴染だ、俺をアスタリスクに誘ったのもこの星導館学園への手筈をしたのも紗夜だ。

 

だがこの姿は若すぎる、俺が最後に紗夜と会い別れたのは6年前、正直に言ってというか一目瞭然だが今の紗夜の姿はその6年前と変わらない。このことから導き出せる結論はたった1つ。

 

「ついに創一さんは不老不死にたどり着いたのか...ここまで姿が変わらないとは...」

 

紗夜の父親。沙々宮創一さんはマッドサイエンティストだ、機会が専門家と思っていたがどうやらついに人類の神秘に触れたらしい。

俺がそんな事を勝手に想像していると紗夜は。

 

「バカな事を言うな八幡...見るがいい、私の成長した姿を...」

 

口調も昔と変わらず抑揚のない声で紗夜はそう言うと立ち上がり決めポーズ?らしきポーズをした。

 

「いや変わってないだろ」

 

「いいや変わった、ちゃんと背も伸びた」

 

紗夜は自信に満ちたようにそう言った、俺はそれに対して紗夜のあまりの自身のせいかそれを肯定するしかなかった。

 

「しっかし世の中狭いもんだ、運命の再会ってやつか?」

 

夜吹はそう茶化すように言う。今の所俺が紗夜のおかげでここ、アスタリスクにいることはまだ知れ渡ってないようだ。ただ運命の再会ってのは少し言い過ぎだ、流石の紗夜でも冷たくあしらわれる気がするが...

 

「運命の再会...うん。夜吹は良いことを言う」

 

紗夜はガッツポーズを夜吹に向けながらもそう言った。

正直俺でも時々紗夜が考えてることが分からなくなる、その点を踏まえても俺はこいつを信頼したいと思うんだが...少し不安になってきた。

 

「えーっと創一さんは元気か?」

 

俺が話題を無理あり変えそう言う、すると紗夜は少し考える仕草をし。

 

「元気すぎるぐらいだ、少し自重して欲しい。私がここにいるのもお父さんがそうしろって言ったから」

 

どうやら創一さんも変わってないらしい、まぁ正直言ってあの人が落ち込んでる姿が想像できない。

 

「にしても創一さんが紗夜をアスタリスクへか...」

 

俺がそう呟くと紗夜はポケットから煌式武装を取り出しそれを起動させる。煌式武装からポリゴン片のようなものが現れ形を形成、それは突如銃になった。

 

「お父さんの作った銃、宣伝してこいって」

 

なるほどね確かにそれは創一さんが考えそうなことだ...

 

「ってそれだけ?」

 

「もちろん私は私なりの理由がある、だから平気」

 

無表情で語る紗夜、するとそこにハイエナの如くチャラ男型リア充の夜吹が反応する。

 

「ほうほう、それでその理由とは?」

 

手帳を取り出しメモの用意をしようとするが...

 

「それは...秘密...」

 

そう言われると何か思うことがあるのか夜吹は何かをメモ帳に書き込む。するとそこに

 

「無粋な勘ぐりはやめたほうがいい」

 

紗夜が煌式武装を夜吹の頭に突きつけながらそう言った、変わらず無表情のためなんか怖い、これには夜吹も降参する。

 

「オラオラ、さっさと席につけ!ホームルーム始めるぞ」

 

そう言いながら、教室の扉から担任の先生、八津崎匡子先生が現れる。匡子先生は紗夜を見つけると

 

「おっ沙々宮じゃねぇか、昨日はどうして休みやがった。聞いてやるから言ってみろ」

 

匡子先生は少し喧嘩腰で紗夜にそう聞いた。

 

「初めは来る気だった、だけど途中から気が変わった、それだけだ」

 

それを聞いた匡子先生は高笑いを軽くした後紗夜の頭にゲンコツを食らわせる。なんか平塚先生がいるみたいだ、というか紗夜痛そうだな。

 

「うぅ〜...痛い」

 

紗夜はやはり痛いようで頭を押さえる。

 

「アホ!これで何度目だ!次の休日は補習だからな」

 

そう言い匡子先生は教壇へ戻っていく。話を聞く限り紗夜は寝坊などの常連犯のようだ、朝が弱いのも変わってない。

不思議と俺はその光景を見ながら少し笑っていた。

 

 

 

 






さてと...こっからどうやって展開しようか...


感想や何かご指摘ありましたら報告よろしくです。


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8話

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

夏休みが始まったと思ったらいつの間にか終わっていた。

何を言ってるか話からねぇと思うが俺も何が起きたかわからねぇ。

ハードスケジュールとかそんなチャチなものじゃ断じてねぇ。

夏休みの恐怖の片鱗を味わった気分だぜ。














まず初めに夏休み中投稿できず申し訳ありませんでした。
実際今年の夏休みが生きてて1番忙しかったです。
夏休みの課題やボランティア、部活に季節外れの連日豪雨。他にも友達とラウンドワンやバーベキューなど充実した行事もありましたが結局夏休みなのに休めないという謎の状態に陥ってしまいました。
こんな私ですがこれからも「あ、この人失踪してないんだ」とか「ついに失踪したか」とか思ったり思わなかったりとしながらもこれからもよろしくお願いします。


久しぶりに会う幼馴染、まぁぼっちの俺でもこの事態には少しテンションが上がるわけで思い出話などに花を咲かせる。そんな話をした途中、ちょうど小町の近況報告をしたり紗夜がアスタリスクに来た理由や経緯などを聞いていた時。紗夜が自然と言った。

 

「そういえば八幡、私にアスタリスクのことを頼んだ後どこにいた?連絡が来るまで少し心配した」

 

.......そこを突かれるとは思ってなかった、どうやら紗夜は少し気になってたご様子でこのことをいつ聞こうか機会をうかがっていたようだ。ちなみに紗夜が言っていることは俺がここに来る前。ちょうど1年ぐらい前に俺が総武校に退学届を提出し家族三人の前で家出宣言をして紗夜にアスタリスクを提案された時からここに来る時までのことである。

まぁ隠すことでもないので正直に言う。

 

「それに関してはただの後始末だ、学校とかにある俺に関わるものを最低限度消してきた。さすがに家には小町が怖いから行かなかったけど」

 

俺がそう説明すると紗夜は「納得」と言いながら。

 

「それじゃあ隠れ家に隠してある秘蔵エロ本も消したのか」

 

「そうそう、背に腹は変えられないし....ってんなもん持ってないぞ!」

 

畜生!見事にカマをかけられた、少し経つうちにこんな技を身につけやがって。これじゃまるで紗夜がリア充みたいじゃないか。

 

「それで?八幡はどうしてここに来たんだ?」

 

紗夜は相変わらずの表情だがその言葉にはどこか重みがあった。俺は深く考えることなく言った。

 

「ここが最後の希望なんだよ、アスタリスクが」

 

俺は周りに聞こえないようにそう呟いた。

 

「それは昔八幡が言っていた『本物』についてのことか?」

 

「いやそうじゃない、実際向こうで本物についてはわかった。俺がアスタリスクに賭けてるのはその本物を守るための手段だ」

 

それを聞き紗夜が何かを言いかけた時。

 

「...ゴホンっ、少しいいか八幡」

 

紗夜に向かって話していた俺にとっては真後ろ、つまり紗夜とは反対側の席からその声は俺に向かって放たれた。

 

「ん?って...えーっとユリスさん。何かご用で?」

 

そこにはなぜか不機嫌そうなユリスが腕を組んで立っていた。あれれぇ?俺なんかやらかしたっけ?

 

「...その、なんだ...この後暇か?」

 

暇なのは言うまでもないができればこれ以上ユリスと関わりたくない。理由は言うまでもなく昨日の寮に戻った時の事だ、ボッチとは言ってもお姫様であり人気もあるようで少なからずだが騒ぎがあった。不機嫌な様子で俺に用があるのはきっとその時の事が原因だろう。全くもって迷惑だ、そんなことでいちいち呼び出されたら何をされるか...またこんがりと焼かれてしまう。

 

「ん?リースフェルト、八幡に何か用か?」

 

そこで俺と話していた人物、紗夜がそう言った、少し不機嫌に見えるのは話の腰を折られたからだろう。これは嬉しい、正直ユリスの要求を断る自信がない、あの気迫はキレた誰かさんに似ている。

 

「要というよりは私の不完全燃焼なだけだ、沙々宮には関係ない」

 

おやおや?なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ、これは逃げるタイミングを間違えたら地獄を見るかも...

 

「え、え〜っと。ユリスさん?その用ってのは...」

 

このままではなんかまずい、せめて用だけを聞かなければ。

 

「あぁ、昨日の件でな。あの後少し考えたんだがやはりあれだけでは私が納得しない」

 

うわぁ〜やっぱりか。さてと今回の火加減はどんな感じだろう、できればミディアム以下がいいなぁ。

 

「できればミディアム以下でお手柔らかに...」

 

俺がボソッとそう呟やくとユリスは困ったような顔をし。

 

「そうではない。...その、なんだ。お前はここに来たばっかりなんだろ」

 

ユリスが少しもじもじしながらそう言う、どうやら俺の考えていた状態とは違う?といいんだが。俺はそれに答えるとユリスは言った。

 

「私がこの学園を案内してやろう」

 

腕を組みながらそう言った。この時の俺はユリスがただ案内を名乗り出たのに対して未だに半分半分に疑っていた。まぁ断る理由もないし俺がそれに答えようとした時。

 

「待った」

 

どこかの某裁判ゲームのようにそう発言する人物が1人、紗夜だ。紗夜は先程より不機嫌そうな顔をして言った。

 

「そういうことなら私が八幡を案内する。」

 

それを聞いたユリスは少し驚いたと思うとそのまま紗夜と小さな口論が始まった。その時の俺というと。

 

(うわぁ〜、紗夜がすごく成長してるよ。なんかおいてかれた気分だよ。)

 

幼馴染のコミュ力の向上に驚いていた。

 

「そもそも!今年入学した沙々宮より、中等部からここにいる私の方が案内にふさわしい!」

 

ユリスが堂々と自信有り気にそう言う、いや実際自信はあるだろう。というより流石お姫様だな、主に口調が。

 

「え、えーっと...お二人方。」

 

にらみ合いが続く両者に対して俺はこの口論を機になんとかこの話を無効にしたその時。俺の八幡レーダーが赤く光る。

 

(こ、この反応は!しまった)

 

完全な油断だった。突如としてその人物は姿を現す。

 

「あら〜、そう言うことでしたら。私が1番適任ということになりますね」

 

そう言い現れる人物と同時に俺の右手を包む柔らかい感触。

 

「きやぁぁぁ!」

 

俺は意味不明な声を放ちながらすぐさま飛び退き机を挟んでその人物、自称腹黒のクローディアに向き直る。対するクローディアは「あらあら」と相変わらずの態度を取っていながら続ける。

 

「ユリスは中等部3年からの転入ですが、私はちゃんと1年生からここの生徒ですもの」

 

そう説明するクローディアに関して2人は

 

「誰」

 

「なぜお前はここにいる」

 

紗夜は予想通りの反応というかまぁ納得のいく反応だった。ユリスに関してはなんか因縁がありそうだ、正直もう関わりたくない。

そんな俺たちの反応を見てクローディアはわざとらしく落ち込みながら。

 

「あらぁ〜、皆さん釣れないです。せっかくですし私も混ぜてもらいたかったですのに」

 

誰でもわかる泣いたふりをしながらもそう言うクローディアに対し2人は

 

「嫌」

 

「不許可だ」

 

変わらぬご感想、どれも簡潔に述べていて素晴らしいですね。

 

「それでは、用件だけ済まして退散するとしましょう」

 

クローディアは相変わらずの笑顔に戻り俺にそれを渡す。

 

「一応目を通した方が良いと思いまして、煌式武装の選定です。適合率検査を明日行いますので問題ないようでしたらその書類にご署名いただきます」

 

そう言うのには興味ないというか俺にはすでにあるからいいが別に損するものじゃないだろう。というかこの人が署名を求めるとか何か裏がありそうだけど...流石に考えすぎか。

 

「ただの書類をわざわざ生徒会長自ら渡しに来るとは、生徒会長も随分暇なようだな」

 

ユリスが嫌味ったらしく言う、先ほどの反応もそうだが2人は知り合いで間違いなさそうだ。

 

「えぇ、うちの生徒はみんな良い子ばかりですから助かっています」

 

クローディアもユリスの扱いに迷いが無い、二人の関係が気になるところだ。主に同じボッチだと思われるユリスに対してだが。こうなったら俺も紗夜を見習って成長するとしよう。

 

「前から思ってたんだけど、ユリスさんとクローディアは友達なの?」

 

俺がそう言うとユリスは焦った顔で、クローディアは胡散臭い微笑みで同時に答えた。

 

「はい、そうですよ」

 

「断じて違う!」

 

ハモってる分仲よさそうに見えるんだが...

 

「あらあら、冷たいお言葉ですね」

 

俺が署名した書類を受け取りクローディアはそう言った。

 

「オペラ座舞踏会などで何度か顔を合わせただけの昔馴染みだ」

 

なるほど、お姫様ネットワークというやつか。

 

「用が済んだのならさっさと帰るがいい」

 

「シッシッ」

 

ユリスと紗夜がそう言うとクローディアは変わらず笑顔で教室を後にする。その去り際。

 

「うふふ、ごきげんよう。ですが、明日は私が八幡を独り占めさせていただきますのであしからず」

 

そう言って去っていった........ってまじかよ!明日あんな生物と1日付き合わされなきゃいけないの、陽乃さんも怖いけどあの人も相当怖いよ。はぁ〜、明日が怖い。

 

「全くあの女狐め、少し乳が大きいからといって調子に乗りおって。あんなものただの脂肪ではないか」

 

「同意」

 

ユリスはそう言い紗夜もうなづきながらも同意する、何かと仲いいんじゃね?この2人。まぁ経験上というかなんというかユリスは平均以上あるとみて間違いない、紗夜は...やめておこう。

 

結局学園を案内する事についてはユリスと紗夜が2人で案内することでかたがついた、今の俺には明日どうやってあの生物(クローディア)から生き残るかの方が重要なんだが。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その部屋は都内でも目立つ高級マンションの最上階にある、一般市民が一生かかってもたどり着けない額の部屋だ。今その部屋を使っているのは1人の少女のみ。

その少女は風呂上がりの少し濡れた髪のまま真剣にパソコンを睨みつけていた。そこに写っているのは彼女の両親の関係する施設の監視カメラなどの情報、それを彼女はある1人を探すために黙々と見ていた。

 

時間が過ぎていきそろそろ床に着く頃、彼女は窓から外を眺めていた。そして呟く、彼女が失って初めて気づいた、大切な存在を。

 

「比企谷君。私は、私達は貴方を諦めない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




☆祝!お気に入り400突破!☆

前書きを謝罪?に使ったためこちらに書かしていただきます。どうもありがとうございます。
これに目を通したのも始業式から家に帰った後なのでもろ媚びすぎて汗かきすぎました。
これからもどうぞよろしくお願いします。



久しぶりに書いたため少し息抜きというか小手調?のような回でした。

感想や何かご指摘ありましたら報告よろしくです。


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9話

お気に入り500人突破!!

ありがとうございます。


こんなグダグダな作品にこんなお気に入りがつくとは、感謝の極みでございます。


 

 

 

 

 

教室での事から場面は変わって屋外。時間は放課後。俺はユリスと紗夜と共に学園内を歩いていた。

どうやら紗夜も自信はないようでユリスが先頭で学園内を案内していく。

 

「ここはクラブ棟。まぁ報道系に文句を言う時に足を運ぶこともあろう」

 

なるほどな、まぁ今後目立つ行動はしないつもりだしようはないだろう。

 

「ふむふむ」

 

紗夜も頷く、あれ?気のせいかな?

 

 

また場面は変わりクラブ棟よりも少し大きな施設、なんか学園でこういう施設は統一されている気がする。さすが最新って感じだ。

 

「ここは委員会センター、福利厚生に関する事はここを通す必要がある」

 

なるほど福利厚生ね...あれ?福利厚生ってどういう意味だっけ?

 

「なるほど...」

 

紗夜は変わらず頷いている。やっぱ気のせいじゃないな、まさかこれは俺を案内するふりをして紗夜が案内されているようだ。

今の所は様子を見よう、なんか突っ込んだら負けな気がする。

 

 

またまた場面は変わり今度は屋内、食事をしている生徒を見かけるため食事処ということがわかる。

 

「学園内には7つの食事処があるが、ここの地下の食事処は比較的空いているので活用するといい」

 

ここは覚えておいたほうがいいな、流石ユリス、同じくボッチにとってはこういう場所こそがセーフゾーンだ。いい場所を知ってるじゃないか。

 

「おぉ。それは初耳」

 

どうやら紗夜も初めて知ったようだ。

 

 

場面はさらに変わって大きな噴水があるもの静かな公園、人影は見当たらない。俺としてはここも絶好の読書スポットだ。まぁ外に出たくないのは変わらないんだけど。

 

「沙々宮、私は別にお前を案内しているわけではないんだが」

 

どうやらユリスも確信を持ったようで少し苛立ちながらそう言った。

 

「私、方向音痴だから」

 

紗夜は抑揚のない声でそう答える。実際紗夜の方向音痴は尋常じゃない、俺は今まで紗夜が1人で予定通りにお使いなどを成功させたのを見た事がない。一度お父さんに紗夜専用のナビゲーションを作ってほしいぐらいだ。

 

「それでよく自分が案内するなどと言えたものだ」

 

「えへん」

 

「褒めてないぞ!」

 

なんかコントみたいになってるし、この2人本当は仲いいんじゃないか?

だがこの雰囲気はまずいと思う、少なくともよくはない。このままだとまた俺がなんかのとばっちりをくらいこんがりと焼かれてしまう、それだけは防がなければ。俺は覚悟を決め決死の行動を開始する。

 

「そ、そろそろ休憩にしませんか?ちょうどここ公園でちょうどいいし。俺なんか飲み物買ってきますよ」

 

これぞ俺が長年の学生生活で編み出した技。パシリをすると見せかけて修羅場などから脱出する、我ながら完璧な出来だ。

そう俺は心の中喜びながらガッツポーズをしその場を離れる。今回のこの行動に関しては珍しく正解だった。まぁ普通誰も思わないよね、休憩中の公園で襲撃に遭うなんて。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「リースフェルト、1つ聞きたい」

 

八幡がいなくなり噴水の水の音だけが響く公園、紗夜はユリスとあった時から疑問に思ったことを口にする。

 

「なんだ」

 

「どうして八幡を案内することになった。」

 

紗夜が知る限り八幡は昔と変わらずあまり積極的に人と関わらないタイプの人間だ、それがユリスのような人物ならなおさら。そんな八幡が今はユリスに案内をさせている。そこが今の紗夜にはわからなかった。

 

「あいつに借りがあってな。それだけにすぎん」

 

「借りとは?」

 

紗夜が無関心のような声ながら明らかに関心を持った様子にユリスも正直に答える。

 

「決闘の後にな、ちょっとな」

 

やはりあの時のことを恥じる気持ちがあるのかユリスは少し声を小さくして言った。だが紗夜が気になったのはただ1つだけだった。

 

「決闘?リースフェルトは八幡と決闘したのか?」

 

それは紗夜にとって今最も理解できないことだ。

 

「そうだ。知らなかったのか?」

 

「結果は」

 

紗夜が急かすように言う。

 

「私の勝ちだ、だが「それはおかしい」

 

ユリスの答えに紗夜が遮るように言葉を重ねた。

 

「な、なにがだ?」

 

突然のことに少し驚きながらユリスは答える。そんなユリストは対照的に紗夜は自信を持って言う。

 

「八幡と戦ってリースフェルトが無事なわけがない」

 

変わらずの言葉だがその言葉には先程感じられなかった自信が湧き出ていた。だからユリスはその発言に反感を覚えざるおえなかった。

 

「リースフェルトは強い、それは知ってる。でも、せいぜい私と同程度、それじゃ八幡の相手どころか準備運動にもならない」

 

「ほう。随分と大きく出たな」

 

ユリスと紗夜はお互い向かい合う。

 

「いいだろう、試してみるか」

 

ユリスがそう言い構えると紗夜も同じく構える。すでにこの公園の先程までの空気は悪化しておりまさに一触即発の状態だ。そんな時

 

 

「「っ!」」

 

 

突如感じだ敵意から2人は同時に左右へ回避行動をとる。2人がいたちょうど真ん中の位置、そこにあるベンチに3本の黄色い矢が命中する。ユリスはその矢に見覚えがあった、決闘の後に自分を狙ってきた矢だということを確認する。

 

(あの矢は、あの時の!)

 

すぐさま発射位置を特定する、噴水の池からこちらにボウガン式の煌式武装を構えるフードの人物を見つける。

 

(またもや不意打ちか)

 

相手の卑劣さに腹を立てながらユリス技を発動させる。

 

「咲き誇れ!鋭槍の白炎花(ロンギフローラム)

 

炎の槍が襲撃者に向かって突き進む。だがそこに突如別のフードの人物が現れ。

 

ガンッ!!

 

大きな音を立てながらも斧とみられる煌式武装で受け止める。

 

「なっ」

 

これにはユリスも驚きを隠せず2発目を構えようとするがそこに。

 

「どーん」

 

相変わらず無気力な声と同時に青く光る玉が襲撃者に向けて放たれる。

 

防ぐ手立てがないのか、またもや何か別の策があるのか襲撃者は抵抗するそぶりを見せずにその一撃が直撃、そのまま吹き飛ばされていく。

 

「な、なんだそれは」

 

あまりの突然のことで唖然とするユリス、ユリスはそのまま紗夜がいつの間にか取り出していた紗夜の何倍もあろう武器を見ながら言った。

 

「38式甲型敵弾銃、ヘルネクラウン」

 

「グルネードランチャーか」

 

ユリスの問いに紗夜は頷き答える。そして続けて言う。

 

「バースト」

 

そう言うと自由の先端にエネルギーが溜まっていき...

 

「ずどーん」

 

掛け声とともにそのエネルギーは襲撃者を噴水ごと吹き飛ばす、あまりの衝撃にユリスも身構える。

 

「見かけによらず過激だな、お前は」

 

「リースフェルト程じゃない。続き、する?」

 

紗夜が銃を構えたままそう聞くと。

 

「ふっ。いや、やめておこう」

 

「ならいい」

 

紗夜はそう言い銃をしまう。すると

 

「うわっ!なんじゃこりゃ!」

 

3つの飲み物を抱えながら今回珍しく難を逃れた八幡がやってくる。

 

「なにがあったんだよ...ってうわっ!」

 

今は亡き噴水跡地を眺めながら2人に近づきとにかく飲み物を渡そうとした八幡だったが突如驚きの声を上げる。

 

「どうしたそんな慌てて」

 

そんな八幡の様子をよそにユリスは不思議そうに近づく。

 

八幡が慌てるのも無理もない、今の2人は突然の戦闘で服がはだけておりそれと同時に壊れた噴水が撒き散らす水でしっとりと濡れてしまっている。つまりユリスは胸元とそれを支える下着が丸見えであり紗夜に至っては下着すら見えない始末だ。

 

「へ?なっ!」

 

ユリスはようやく自分の身になにが起こったのを確信する。すると顔を真っ赤にし自分と隣にいる紗夜を見る。

 

「ちょっ!み、見るな!」

 

急いで両手で胸を隠し八幡に警告する、当の八幡に至っては。

 

「わーすごーい、ふんすいがこわれてるー」

 

遠くの空を見て黄昏ながら必死に現実逃避していた。

 

「こっちを見たらただではすまさん!」

 

そんな八幡の様子もよそにユリスは変わらず警告を飛ばす。

 

「わーいいてんきなのにあめがふってるなーてんきあめかなー」

 

変わらず現実逃避を続ける八幡。

 

「むむっ、すけすけ。これはエロい」

 

紗夜にいたっては自分の状態を確認しながらも平常運転だ、するとユリスは自分のことのようにが焦りながら言う。

 

「さ、沙々宮も少しは隠せ!」

 

そして気づく、紗夜のある事に。

 

「お前下着はどうした!」

 

まるで信じられないものを見たユリスの質問に対して紗夜の答えはどこか悲しげだった。

 

「悲しいかな、私にはまだ必要ない」

 

「そんな場合ではない!さっさと隠さんか」

 

「わーにじがみえるぞー」

 

そして紗夜はそう言い切ると八幡とは別の方向を見て黄昏ていた。

 

そこには破壊されただ水を撒き散らす噴水だった物とその水に濡れながら慌てふためくお姫様とどこか悲しげに遠くを見つめる少女。そして何かをただつぶやきながら現実逃避をする少年がいた。

 








感想や何かご指摘がありましたらお願いします。


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10話

だいぶ遅くなりましたが新年おめでとうございます。

今年も気ままにこの小説をよろしくお願いいたします。


白いどこかの秘密基地のような廊下を俺は歩いていた、隣には自称腹黒のクローディア・エンフィールドさんがいる。

 

「昨日は大変だったようですね」

 

「あぁ、はい...」

 

この人は俺が最も苦手とするタイプの人だ、相手の腹の中は好き勝手覗き込もうとするくせに自分の考えは固く守っている。例えるなら某アニメの第10使徒だ、実写版あの鬼畜ATフィールドみたいなもんだ。

 

「犯人は捕まりそうか?」

 

「正直難しいですね、風紀委員会が調査を行ってますが犯人は消えていて、手がかりも残ってないようです。」

 

正直言ってもう関わりたく無い、というか風紀委員が調査をするって警察かよ!やっぱアスタリスクって凄いなぁ〜。にしても警察みたいな風紀委員か、なんかそのうち「ジャッジメントですわ!」とか言い出しそうだな。もしそうなったら材木座に写メでも送って自慢してやろう。

それにしても物騒すぎるだろ、いくら両者の許可を得て戦いができるにしても突然の不意打ちとかは犯罪だろ。まぁそれが認可されてるならもっと強い奴がいっぱいいると思うけど...

 

「アスタリスクにも警備隊はありますよ」

 

俺が不思議に思ったのを感じたのかクローディアが説明する。

 

「警備隊星猟、アスタリスクの警備隊なのですがその捜査権は学園内までに及ばないのです」

 

「ずいぶん複雑な仕組みなんだな、このアスタリスク」

 

「ふふふっ、面白いでしょ」

 

まるで他人事のような笑みで笑うクローディア、だがその心中はあまり嬉しく無いようで珍しくため息をすると言葉を漏らした。

 

「せめてユリスがもう少し協力的ならいいのですが...」

 

その言葉を聞いて俺はその時の様子を思い出す。

 

『調査は不要!警護もいらん!』

 

まさしくあのユリスそのものの反応だった、あれがこの星導館のお姫様の威厳というのだろう。結局あの後はそのままお開きとなった、俺としてはさっさと寮に戻れるから嬉しい限りだ。

 

「気を悪くしないでください、あの子は自分の手の中にあるものを守るのに精一杯なのでしょう。新しいものを手に入れようとすると、今あるものがこぼれ落ちてしまうと...」

 

その言葉を聞いて納得した、ユリスがボッチになった原因はクローディアが言った通りだろう。過去に何かあったか何かある前に悟ったか、前者なら良し、後者ならただの臆病者だ。

 

「今のままじゃダメだな」

 

「えぇ、そうですね」

 

クローディアがどう思い俺の言葉に相槌を打ったかはわからないが俺から言えばそういう奴は長生きしない。いくらユリスが強くてもこのままではいつか負けるだろう。不意打ちなどの卑怯な手、強力な力。それらの理不尽は努力で克服するのは至難の技だろう。

これは決して俺の話では無い、あの狂乱で満ちた戦いの時代を生き抜いたアイツ(マダラ)の経験から考えただけであってこの話に俺は当てはまらないだろう。そう思うだけでアイツに苛立ちが募る。

 

「着きました」

 

扉が開きその先には1人の男がいた、俺よりもひとまわり大きいゴツイ筋肉質の体。

 

「あら、もういらしてらしたか」

 

その声に気づき男が強面の顔をこちらに向ける、俺はその顔に見覚えがあった。

 

「なっ!」

 

向こうもこちらに気づいたようで驚く。

 

「こちら、もう1人の純星煌式武装(オーガルクス)申請者なんです。みなさん顔見知りでしたか?」

 

クローディアが変わらず悪意の無い笑顔で言う。わざとで言ってんのかこの人、俺としたら相当なバットタイミングだぞ。それからなんで俺が勝手に純星煌式武装(オーガルクス)の申請者にしてくれてるし、もしかしてまだ星武祭(フェスタ)の事を諦めてないとかか?まぁとにかく今回も前と変わらず挨拶をしなければ.....

 

「や、やぁ....久しぶり...かな?」

 

よく見れば周りには取り巻きのふくよかな豚とエノキタケがいた。個性が濃いな。

 

「確かレスター・マッスル「マクフェイルだ!」あっそうそう」

 

こうして俺は自称腹黒とふくよかな豚、エノキタケとレスター・マッスルと共に進んでいくのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

え〜、先程自分はホワイトベースっぽいって言いましたけど撤回します。

 

俺は自分で誰かにそう発言を撤回しながら周りを見渡す。ガラス越しに大きな空間、そしてそのガラス越しの制御室。制御室は前に何台かのパソコンとそれを操作する生徒、そして後ろにも数台それが設置されている。ここまでならまだホワイトベースでもいい気がするのだが問題はそこじゃない。

 

『適合率がマイナスに移行!危険です!直ちに退避してください』

 

警告と共にサイレンが鳴り響く。

クローディアさんの説明で純星煌式武装が意志を持っており使うには適合率が80%を超えなければならない。これはその適合率がマイナスを言ったためとても危険ということらしい。

 

さて、そろそろお分りいただけるだろう。

しっかりとした制御室に鳴り響く警告とサイレン、そして適合率。

 

NERV(ネルフ)かよ!

 

俺の心の中ではすでに警告やサイレンよりも喜びの歌が大音量で流れている、正直なところエヴァ好きとしては似ても似てなくてもこういうシチュエーションは興奮する。不謹慎だけど。

どっかに手を組んだMr.育児放棄司令官とかいるかな?あの人の育児放棄っぷりは有名だからな、さすがシンジ君の父親なだけはある。育成計画の方はかなり面白いから好きなんだけどなぁ。

まぁふざけた話はここまでにして現状を説明しよう。

現在俺は制御室の方におりガラス越しにあの純星煌式武装名前はなんて言ったっけ、確かセル・・・セルベ・・・まぁ完全体セルでいいだろう、そのセルなんとかを手にしようと正しく奮闘しているレスターを見ている。だが先ほどから相性が合わないのか知らないがマクスウェルは弾かれっぱなし、そのうえ適合率がマイナスに入って制御室もてんわやんわ。俺はステルスヒッキーを発動させているのでもうすでに俺のことなど視界にとらえても机と同じような平凡な気にも留めない印象だろう。

 

にしても・・・

 

赤色に染まる部屋の中でセルなんとかと対峙する、セルなんとかは刃先をレスターに向け襲いかかる。

 

「クソッ!」

 

さすがこの星導館学園の冒頭の十二人(ページ・ワン)だこのくらいなら簡単に避けるだろう。だがそれも時間の問題だ、レスターの性格上いつかボロが出るしこのままでは早く帰れなくなってしまう。今日は録画したアニメを見まくる予定だったのに・・・

こうなれば仕方あるまい、少し強引だが俺は行動に移した。

 

『あー、あー、マイクテス、マイクテス。レスター聞こえるか〜』

 

俺は向こうの部屋に通じてると思われるマイクに向けてしゃべる、周りはまだ気づいていないようだ。さすがステルスヒッキー、俺の中学校のみならず高校でも俺を助けてくれるとは、こればっかしは親に感謝しなきゃ。でもおかしいな?なんか悲しくなってくるぞ。

 

「何だテメェは!」

 

『聞こえる?オッケー。』

 

「いいから黙ってろ、今はテメェと話してる場合じゃねぇんだよ」

 

セルなんとかの猛攻を避け続けるレスター、だがまだ手に入れることに執着してるからかところどころ無駄な動きが目立っており所々に擦り傷も見える。

 

『なら手短に話すぞ、いいか?』

 

「だから黙ってろって言ってるだろ!テメェに言われることなんざ1つもねぇ!」

 

レスター聞こえるか怒号を無視し俺は言葉通り手短に話した。

 

『相手を武器と思うな。以上』

 

俺はそう言うとマイクを切り元の位置に自然と戻る、誰にもばれてないはず・・・

 

(っ!この気配は・・・)

 

さっとその方を向くと。

 

「あらあら」

 

少し笑いながらこちらを見つめるクローディアさん、その顔はまさに陽乃さんが俺を新しいおもちゃとして見つけた時の表情にそっくり。体から血の気が引く。

 

(ひえぇぇぇ〜)

 

気づかないように目線をレスターの方へ移す。

先ほどの俺の言葉がどう聞こえたのかは知らないが動きなどが先ほどのような乱暴なものとは全く違い、セルなんとかを捕まえることもできていた・・・だが。

 

『無茶です!早く避難してください!』

 

アナウンスの言う通りセルなんとかの適合率は未だに80%を越さずレスターはただそれを一生懸命抑えているだけだ。こればかりは先程までのことも含めての結果だろう。

 

だけどなぁセルなんとか・・・いやセルベレスタ

 

 

少し我儘が過ぎるぞ。

 

 

俺はセルベレスタに向けて万華鏡写輪眼を発動させる、すると突如セルベレスタの動きが止まり適合率も順調に上昇する。正直不安だったが一応純星煌式武装にもこの目は効くらしい。

こうしてレスターは晴れてセルベレスタを手にしたのだった、ところであの大斧はどうすんだろう。ちなみに俺は丁重にお断りした、あまりこういう武器を信用したくないし何よりも俺が使えそうな純星煌式武装がなかった。それよりも早く帰って録画したアニメを消化しなければ・・・

 

「おい比企谷と言ったな、お前何者だ」

 

帰り際、レスターに呼び止められる。はっきり言ってクローディアに面倒なことお願いされたしもう部屋に戻ってゴロゴロしたい。俺はそう思いながらも適度な返事を返す。

 

「ただのボッチだよ、言わせんな」

 

するとレスターは俺の顔をジロジロと凝視する。

 

「気のせいか?あの時お前の目が・・・まぁいい、おい比企谷!俺と勝負しろ」

 

やっぱりそうきたか、こいつの性格を考えるとこうくるのは容易に想像できた、だからすでに返事も考えている。

 

「いいぞ「なら今すぐに」ただし・・・」

 

俺はレスターを見て言った。

 

「お互いの厄介ごとに一通り始末をつけてからだ、その方がお前も気が楽だろ」

 

俺レスターにそう言い放つとそそくさとその場を後にした。

 




何とかこの時期にかけた、学校が始まる前にかけて良かったと安心。




何か感想やご指摘がありましたらよろしくお願いいたします。






追伸:クロスオーバーのタグを付け忘れていたので追加しました。


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11話

ヤベぇ、ゲームが楽しすぎます。

まじヤッベェわ。


というわけでいつも通りの亀にも勝る投稿速度の遅さです。
申し訳ございません。


女性の部屋に行くのって緊張するよね、ということで俺こと八幡はただいま我らが星導館学園の生徒会長、クローディアさんに呼び出されて現在まさに女子寮の指定された部屋へ向けて飛んでおります。中学時代の俺だったら「もしかしたら俺、告白されるんじゃ...」とか考えてるけど思ってるだろうが今俺の心はそんなのんきなもんじゃない。というか実際いい予感がしない、ユリスとの初対面も似たような感じだったし今は夜だし相手は腹黒クローディアだし、今度こそ俺住居侵入とかでお縄にかかっちゃうかもしれん。

 

そんなことを考えているうちに指定された部屋の前、ベランダに到着。クローディアの部屋のベランダは結構な広さであまり落ち着かないがこうやって訪問するにはとても良いベランダだ...俺なんでベランダの感想言ってんだろ。

 

「えーっとクローディアさん?八幡です。入りますよ」

 

俺はそう言いながら恐る恐る部屋の中へと入る。ちなみにクローディアの部屋?だがはっきり言って豪邸だった、ベランダの時点で他の人達と違うことはわかっていたが何より一人部屋だ、そういえばユリスもそうだっけ?もしかして女子は一人一部屋とかなのか?疑問が増えるばかりだ。そしてゆっくりと俺の目の前の扉が開き

 

「あら?いらしていたのですか」

 

「えっ?はっ?...え?」

 

突然のことで反応に困る、というか困らない方がおかしいと思う。特にぼっちである俺にとっては。

扉を開けて現れたのは俺をここに呼んだ人物、クローディア・エンフィールドだった、そこまでならまだいい。問題はそのクローディアの服装だ、まぁこの人の部屋だから何着ても口出しできる立場ではないんだが今その話は置いておこう。そして服装といったがそれも少し違うかもしれない、今のクローディアが着ているのはおそらく一枚のみ、クローディアはバスローブ姿で俺の前に現れたのだった。

先程言った通り自分の部屋で何を着てもそれはその人の自由だ、バスローブだって風呂上がりに来ているのが普通だし実際クローディアはその様子から見るに風呂上がりの後のようだ。ただ俺はそんなこと関係なしに心の奥底でこう叫んだ。

 

 

(ち、痴女だぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうぞお寛ぎください」

 

クローディアに案内され客間のような部屋に八幡は通された。八幡はソファにクローディアはバスローブ姿のままベットへと腰を下ろした。

 

「随分と広い部屋だな、生徒会長の特権ってやつか?」

 

八幡はこの部屋に入ってから感じた自分たちの部屋との違いについての疑問を聞いた。

 

「いいえ、この部屋は生徒会長としての特権でなく序列上位者の特権です。序列を上げていき冒頭の十二人(ページワン)になれば、このような個室もいただけるのですよ」

 

「やっぱりクローディアもページワンか、さすが生徒会長」

 

八幡は未だにクローディアの姿になれないからか適当な天井を眺めながら答える。

 

「なら八幡もどうですか?貴方ならページワンになるのも容易でしょうし」

 

「いやいや、何言ってるですか。確かに個室は羨ましいですけど、俺にそんな実力はありませんって。ここに入れたのも紗夜のおかげですし。というかそれならどうしてクローディアは生徒会長になったんだ?」

 

あまり触れられたくないのか、それともただ単に気になったのか、八幡は話題を変えた。

 

「気になります?当ててみてください」

 

クローディアが意地悪そうにそう言うと八幡は真上を見ながら「そうきたかぁ」とつぶやき考える仕草を見せる。

 

「親が決めたから」

 

「違います」

 

「推薦されたから」

 

「違います」

 

「んじゃ天命でも受けたから?」

 

「全然違います。八幡!もう少し真剣に考えてください。」

 

「いや最後のはふざけたと認めるにしても最初の2つは結構マジだぞ。正直言ってあと考えられる理由と言ったら罰ゲームか単なる面倒ごとを押し付けられたぐらいしか...」

 

「あらあら、本当にそれだけなら八幡は相当捻くれてるのですね、ですが最後のは少し惜しいです。」

 

そう言うとクローディアは答える。

 

「実際に生徒会長は面倒なだけで、実入りの少ない仕事です」

 

「なら何で生徒会長やってるんだ?」

 

するとクローディアは口元に指を当て...

 

「私は面倒なことが...好きなんです」

 

と足を組み直しながらも色っぽく答えるが。

 

「へぇ〜、そうなんだ。なんか大変そうだな」

 

八幡は天井を眺めているため効果はないようだ。

 

「それで、今日呼ばれたこともこの面倒なことと関係あるんだろ?」

 

「話が早くて助かります。これをご覧ください」

 

クローディアは手元のスクリーンを操作し八幡に見せる、そこには数名の星導館学園に所属する生徒が映っていた。

 

「彼らは次の鳳凰星武祭(フェニックス)にエントリーしてた学生だったのですが、ここ数週間の間に怪我で出場を辞退してしまうことになってしまいました。原因は様々なのですが、どうやら...」

 

「ユリスの時みたいに誰かに襲撃された?」

 

「その可能性が高いです」

 

「何か証拠はあるのか?」

 

「いいえ、今のところ何も」

 

そしてスクリーンが変わり二人の男が映される。

 

「ですが風紀委員はレスター・マクフェイル君とランディ・フック君に強い疑いを持っています。二人は昨日の襲撃時刻のアリバイがないそうです。」

 

「その情報に信憑性は?」

 

八幡はその二人に思うところがあるのかクローディアにそう尋ねる。

 

「おや?もしかして八幡、風紀委員の情報を疑ってるのですか?この学園の生徒会長としてその発言は少しいただけませんね」

 

するとクローディアは意地悪そうにそう返した。しかし八幡は変わらぬ調子で答える。

 

「どんな組織であっても俺はついこの間きたばかりの新参者だしボッチだし信じる気になれるかって話だ、結局のところ知り合いの知り合いの話の信憑性なんて乏しいもんだ。悪気はない、気分を害したなら謝罪するよ。すみませんでした」

 

するとクローディアはまだ不満があるようで

 

「私と八幡の関係は知り合いなのですか?」

 

「そこかよ、でも知り合いがダメなら何だ?他人か?」

 

八幡は予想外の答えに戸惑いつつも少し考えるが

 

「そう言う意味ではありません。私はてっきり貴方が紗夜さんと同じような感覚で私と接しているのかと...」

 

クローディアは彼をここに推薦した人物を例に挙げる

 

「と、友達ってことか?っていうか紗夜とだって腐れ縁みたいな感じで友達みたいになっただけであってそもそも友達って何だって話であって友達の定義というか...」

 

突然の事に八幡は予想外に戸惑いながらも思いつく限りの言葉を並べる、するとそんな様子を見てクローディアは何かを閃いたのか小悪魔めいた妖艶な笑みを浮かべる。

 

「そうですね〜。確かにお友達の定義は人それぞれ、どこからが友達なのかは難しいですね」

 

「そうそう、だから俺はそこら辺のリア充共とは違い軽はずみに友達なんては言わず同級生や知り合いという言葉を使ってるわけで...「ならもっと単純な関係ならいいですか?」え?」

 

これまでうまく自分のペースで話していた八幡だったがここでの返しは予想外だったため驚きというよりもなれないパターンに戸惑い隠せないようだ。

 

「もっと単純な関係...ですか?」

 

「えぇ、もっと単純で誰もがなれる関係です」

 

その言葉から八幡は奴隷やら社畜やらの言葉を思い浮かべるがクローディアが言った言葉はそのどちらとも違うものだった。

 

「一応聞きますけどそれはどういった関係で?」

 

「あらあら、私の口から言わせるなんて八幡は意地悪ですね」

 

するとクローディアは唇に指を当て言う。

 

「こ・い・び・「友達で十分です!」

 

すべて言い終わる前に何かしらの危険を感じた八幡が降参する。クローディアは「やっぱり八幡はいじりがいがあります」と言いながら笑みを浮かべる。

 

「それで?話は十分それたけどそいつらが犯人だって証拠はアリバイ以外にはあるのか?」

 

少し咳払いをし先程までの真面目な話題へと話を戻す。するとクローディアも真面目にそれに答える。

 

「いいえ、ですが1つだけ確かなことがあります。次に狙われるのは誰なのかわかっていることです」

 

「ユリスか...」

 

「えぇ、そこで八幡にお願いなのですが、しばらくユリスのそばについていてもらえないでしょうか。再び犯人の襲撃を受けた時、ユリス1人に対処できるとは限りませんから」

 

ある程度予想通りの言葉、八幡にとってはただの面倒ごとなのだが...

 

「あぁ、いいぞ。俺なんかが力になれるがわからんがやれることはやってやるよ」

 

八幡は珍しくこの提案を了承、これにはクローディアも驚いたようで。

 

「ふふふ、八幡は意外と世話焼きなのですね」

 

「勘違いするなよ、俺はすでに今回の件に少し関わってるだけだ、こうやって動くのは今回で最後だしユリスにも街の案内とかで借りは作っちまったからこれで帳消しにしたいだけだ...それに」

 

「それに?」

 

八幡の語尾に残した言葉に首をかしげるクローディア。

 

「この事件はどうやら、収束が近いようだしな。この一件で元のボッチライフを謳歌できるならそれでいい」

 

その言葉でクローディアは八幡の意思、ユリスのとは全く違う1人を常に望む意思の片鱗を感じた。

ユリスの場合は何かを守りたいがために別のものを拒絶する、言うならばどんなことでも1人で抱え込もうとする強い意思だ。しかし八幡の意思は弱く脆く崩れやすい、しかしすぐに元へと戻ろうとする、今回のように誰かのために動き少なからずの好意を持たれたとしてもそれを拒絶し元の孤独へと戻る。何かを守るために孤独を選んだユリスと違い、彼はただひたすら、自分のために孤独を望んでいた。

ボッチライフなどとふざけた言葉で言っているがその真意はユリスの意思よりも強く、そして異常なものなのだろう。

 

「ところでクローディアは何でそこまでユリスのことを?言いたくないならいいけど」

 

八幡はここに呼ばれてからある意味一番気になっていることについて聞いた。

 

「あら、生徒会長が同じ学園の生徒を守ろうとするのは当然ではありませんか?」

 

「本当にそれだけか?」

 

相変わらずの人間不信からか、八幡は自然とその言葉を疑った。

 

「私も、他の生徒と同じように私自身のなすべきことの為にここへやって来ました。私はそのために必要なことをしているだけです」

 

そう言いながらクローディアは立ち上がり、

 

「そうそう、お願いというからには報酬も必要ですね。」

 

そう言いながら八幡に歩み寄る。

 

「報酬か〜、ならMAXコーヒー1年分とかいいなぁ〜」

 

歩み寄るクローディアには目も向けずそんなことを言う八幡、そんな様子をよそにクローディアは八幡へと近づいていく。

 

「そうゆうのもいいですが。せっかくですから、この私を望んでくださっても、いいのですよ」

 

既に2人の距離は密接で、クローディアはバスローブ姿で八幡に倒れこむような形となっている。そんな状況にもかかわらず、八幡は未だに動じないまま、クローディアがだんだんと近づき八幡の体に触れた瞬間、

 

ぽふぅんっ!

 

そのような柔らかい音とともに少しばかりの煙そしてその中からは。

 

「あらあら、これは見事逃げられてしまいました」

 

クローディアの視線の先、先ほど八幡が座っていたはずの場所には缶コーヒーとそれを重りにした置手紙が1つ残されているだけだった。

 

『今日はもう遅いので早めに帰ります。

 

ps.ユリスのことについてはしっかりとやりますのでお構いなく』

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入り700越えって...マジすか



何か感想やご指摘がありましたらよろしくお願いいたします。


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12話

な……なん……とか……7月中に終わらせられた……


おつかれ自分。


そして読者の皆様、待ってない方も待ってくださった方も申し訳ございません。

久しぶりの投稿です。


残念ながら本日は素晴らしい晴天、公園には朝っぱらにも限らずリア充がイチャイチャしてやがる。マジで爆ぜろ。

まぁそう言ってる俺自身も今リア充お得意の公園で待ち合わせをやっている、普段こういう日は室内でダラダラ過ごす俺としてはあまり落ち着かない、場違い感を感じる。

まぁ幸いなのはこの公園にはあまり人がいないことだろう、ユリスも人気者だからな、俺なんかと会ってることを見られて変な噂でも経ったら面倒だ。考えすぎだとは思うけど……

それとこの際言っておくがよく日本人が待ち合わせに利用するあの某犬の像がある公園、あそこ待ち合わせに使う人が多すぎて逆に待ち合わせに向いてないぞ。前連れて行かれた時なんか人めっちゃいたし。

それを踏まえるとやっぱ人気のないことに悪いことないな、人気のない場所でさらにダラダラできることも加えればそこはもはや楽園だろう……ん?ちょっと待てよ?この理論だと我が家が1番ということになる、なるほど青い鳥は家の鳥かごにいる様に楽園は既にあったのか。

 

そうと決まればこうしちゃいられない、ユリスには適当な理由をつけて俺は楽園へ行かなければ!

 

 

「その……また、せたな……」

 

 

そんな声が背後から聞こえる、背後には確か駅の入り口があったはず。どうやら電車で来た様だ。

 

 

「いや、別に待ってはないが……」

 

 

俺はそう言いながら振り返る、するとそこには……

 

 

「どうした?私の顔に何かついてるのか?」

 

 

今までのイメージとはかけ離れた、清楚な日傘と白いワンピースを身につけたユリスの姿があった。

 

 

「いや、なんというか……イメージが変わるなと……」

 

「そ、そうか?って貴様はどんなイメージを私に持っていたんだ」

 

 

俺の自然と出た言葉にユリスは少し照れながらもそう返した。

にしても覚悟はしていたがやはり似合うというか美人というか、やはり綺麗な人は何着ても綺麗だと思わされる……ってそんなことを思ってる場合じゃない、俺は一刻も早く楽園へ行かねば!Home Sweet Homeだ、我が家が1番だ!

 

 

「なぁユリスさんここで一つ言いたいことが……」

 

 

俺がそう言った瞬間、脳裏に何かが浮かび上がる。

 

デート……ばっくれ……遭遇……オンナコワイ…うっ、頭が。

 

俺の第六感が言ってる。それはダメだと、あの事件を2度と起こしてはいけない、もしそうなったら……

 

 

「なんだ?ようがないならさっさと行くぞ」

 

「い、いやぁ〜。なんか……」

 

 

やばい、言葉の続きが、やはりぼっちの俺にはこれ以上のコミュ力はないか……なんとか次の言葉を……

 

 

「す、すごく似合ってるぞ」

 

 

これでどうだ!あのリア充怪人葉山の得意技、『容姿を褒める』だ!

 

 

「なっ!バカ、何をそんな恥ずかしいことを!大体これは本国から送られてきたものを適当に見繕ってだな……」

 

 

なんか俺が見たやつとは反応が違うがまぁなんとかなっただろう、というかユリスさん、恥ずかしいのはこっちもなんですけどね。

葉山のやつも良くこんな感じのことを日常的にできるもんだ、さすがリア充。

そんなことを思いながら、俺はユリスの後を追うように公園を後にした。

 

 

(今のところ異常はないな……このままで済めばいいが……)

 

 

・・・・・

 

 

「ここがアスタリスク最大の規模を誇るメインステージだ」

 

 

そして場所は変わりアスタリスクの都心部。

ユリスが説明したのはクソでかいステージ、マジでかい。

他にもなんか言ってた気がするが適当に相槌を打つ。俺には関係ないことだろうし。

いや待てよ……もしかしたら中には特設マッカン販売がやってる可能性も……

 

 

「おい、何を突っ立ってる。そろそろ食事にするぞ」

 

「あぁすまん、ちょっとな」

 

 

まぁ今考えることでもないだろう、紗夜も恐らく出ると思うしその応援がてら調べるとしよう。

俺はそんな感じに考えながらユリスの後を追っていった。

 

 

(まだ異常はなし、これはこのまま終わってくれるのでは?)

 

 

・・・・・

 

 

「それって、街中で絡まれるってことか!?」

 

「絡まれるって、決闘だと言ってるだろうに」

 

「いやルール無視で戦いふっかけられるってもうそれ決闘じゃないでしょ、絡まれたって言葉すら優しいぞ」

 

 

俺はユリスから受けた説明の中で「街中で突然戦いが始まることもある」という言葉にそう反応した。

初日の出来事で大体察したけどまじかよ。

いちゃもんつけられるのめんどいんだけどなぁ〜

これはもう本格的に引きこもりを開始するしかないな。

まぁどちらにせよ……

 

 

「いくら設備がいいと言ってもこんな街には……住みたくねぇ〜」

 

「同感だ」

 

 

俺の言葉にこちらに少し目配せし同意するユリス、その仕草に少しドキッとする。

正直言って危なかった、健全な中学生だったら恋に落ちてるところだった。

 

 

「な、なぁ……ところで八幡、昼食はここにしないか?」

 

 

そう言いながらユリスが指差すのは俺のいた本土にもあった某有名ファストフード店、アスタリスクにも進出してたとは……

確かに俺も腹は減ってる、この店も好きか嫌いかと言ったら好きの部類だ。

だがここで一つ問題だ、口実はどうであれ女性と出かける場合の食事にファストフード店を選んで良いものか?しかもユリスはお嬢様、ファストフード店なんかより高級フランス料理店とかのほうがいいのではないか?すなわちここで俺が取るべき行動は……

 

 

「あぁいいぞ、俺もここは好きだしな」

 

 

お嬢様に気遣いができると思ったか?残念!ハチマンだよ!!

まさに八幡

 

残念ながら俺はその程度の事情で気を使えるほどできた人間じゃない、女だから?お嬢様だから?だからどうした、俺はそういう差別はしないんだよ。

べ、別に、めんどくさいわけじゃないんだからね!

 

・・・まぁそういうわけでただいま俺はユリスとランチタイムなうだ。

昔の俺なら外食なんて家族以外とは考えられないだろうな、俺も成長したもんだ。前を見れば美味しそうにハンバーガーを頬張る美少女、眼福もんだなこれは。眼福の意味よく知らないけど

 

 

「にしてもユリスさん、よくこういう店があると知ってましたね。行きつけなんですか?」

 

「行きつけではない、ここに来たのは今日が初めてだ。だがこういうものがあると友人に教えてもらってな」

 

 

ほうほうほう、友人とな

 

 

「ユリスさんついに友達ができたんですか、いつですか?昨日とか?」

 

「お前な……あの時は言いそびれたが私にだって友人はいる。ここではなく、自分の……国にだな」

 

「そうか、それなら俺と一緒だな」

 

「お前もここへ来る前にも友人はいたのだな」

 

「いやいないけど」

 

「即答はないだろ!先ほどいると言ったばかりでは無いか、沙々宮とは知った仲なのだろ」

 

 

確かにそうだった、いつも即答してたからいつも通り即答してしまった。

にしても沙々宮以外だとまず戸塚かな?戸塚はマジで俺のマイエンジェル、戸塚に出会えたことだけで人生の意味があると言える。他には……特にいないな、材木座?誰だそいつ。

 

 

「確かに紗夜とは昔馴染みっていうが友達だな、あとは戸塚ぐらいかな」

 

「やはりというか少ないな」

 

「友達に量は関係無いだろ、俺はなりたい奴と友達になるだけだ」

 

「そうか。……そうなのか、なら……」

 

ユリスは俺の返事を聞くと少し顔をうつむきながら何かを言おうとする。

そんでもって昼食も特に異常はなし……とはどうやらいかないようだ。

 

 

「おやおや、謎の襲撃者とやらに襲われたっていうのにのんきに外食か?」

 

「立聞きとはいい趣味をしているな、レスター」

 

 

案の定現れたのはユリスに負けてから彼女に一途に決闘を申し込み続ける男ことレスター・マッスルとその愉快な仲間たち。たちと言っても少数派ですけど。

まぁそのあとは皆さんご存知の通りの言葉の応酬ですよ、レスターが決闘をしろとかなんとか言えばユリスは冷静に貴様とする気は無いといつも通りの対応するだけ。俺は何してるかって?俺はステルスヒッキーによって気配遮断EXのままハンバーガーを頬張ってる、やっぱ美味しいねジャンクフード。

 

 

「おいユリス!俺を馬鹿にするのもほどほどにしろよ!」

 

 

ユリスに何かを言われたのかレスターはさらに声を荒げる。しまいには純正煌式武装である戦斧を構えた、どうやらまだセルなんとかは手懐けてないらしい。

にしても本当にこいつら暇人かよ、もしユリスに合わなかったら一日中アスタリスク内を彷徨うんだぞ。もっと他にやることあるだろうに部屋にこもってアニメ見るとか部屋にこもってラノベ読むとか部屋にこもってetc

 

 

「レスターが正々堂々相手を叩き潰してきたことはみんな知ってるから!」

 

「そうですよ!決闘の隙を窺うような卑怯な真似、レスターさんがするはずがありません」

 

 

ん?なんか今どことなく違和感を感じた何かはわからないけど……いいや忘れよ、なんかもうめんどいし。

まぁそんなこんなで妙な違和感は残ったが無事争いはなかったようだ。よかったなぁ〜

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

さてとただいま昼下がり、俺とユリスは帰宅の途についているのだが……

 

 

「何見てんだよゴラァ」

 

「アァン!」

 

 

公園の真ん中で怖いにいちゃんたちがなんか喧嘩?していた。にしても……

 

 

「あれはレヴォルフの連中だな」

 

「あの制服、どっかで見たような……」

 

 

俺がそんなことを言ってる間に口喧嘩はただの喧嘩になっていた。それだけならまだよかったんだけど……

 

 

「まずいな……」

 

「嵌められたか」

 

 

その喧嘩の範囲はちょうど俺とユリスを取り囲むように広がりさりげなくこちら側にも手を出してくる連中がではじめた。おそらく乱闘に紛れて相手を痛めつけるのが目的なんだろう。見た目通りっていうかなんていうかこんな回りくどいやり方でしか戦えないのかこいつらは、面倒くさい連中だなレヴォルフ。

 

 

「明らかに正当防衛だな、焼き上げて問いただす」

 

 

どうやらユリスもレヴォルフの皆さんに負けず劣らずやる気のようだ、もしかして今こそレスターを呼んだほうがいいのでは?

まぁこの程度のチンピラ、俺のステルスヒッキーと写輪眼があれば軽くいなすのも朝飯前ってところだ。ここはユリスが奴らを片付けるのをのんきに観戦でもするとしよう。

にしてもユリス、「焼き上げて問いただす」ってかなりアグレッシブだな。

 

 

「ミディアムレアぐらいで勘弁してあげろよ」

 

 

俺はそういうとゆったりとユリスの蹂躙を観戦した。

 

 

 

・・・・・

 

 

 

現在ユリスによる蹂躙が終わりましてチンピラの毛根に危機が訪れたところ、話によれば俺らを襲うように頼んだのは黒ずくめ人物らしい。黒ずくめの人物……やばい、構成員がみんな酒の名前の某黒ずくめの組織しか浮かんでこない。

俺がそう思考を凝らしているとチンピラが近くの林を指差した。

 

 

「待て!」

 

「待つのはユリスさんだよ」

 

 

ユリスはその人物を追って走り出す、俺は追ってもいいけどもう帰りたいので仕方なくユリスの手を取る。

 

 

「八幡!なんのつもりだ!」

 

「なんのつもりだってこっちのセリフだぞ、あれ明らかに罠だろ」

 

 

止めた後も泊まろうとしないユリスはそのまま俺に問いただす、俺はそれに返事をするが取り入ってもらえてない。こうゆうの慣れてないんだけどなぁ、約束しちゃったしなぁ

 

 

「罠ならばなおさらそこへ飛び込み奴らを叩く!それ以外に方法があるというのか!」

 

「いやそれが1番の方法だな。力技でゴリ押し、シンプルイズベスト」

 

「ならばなぜ止める!奴らを逃してしまうぞ!」

 

 

これはダメだ、解決法しか見えてない。

使う魔法が炎なだけに一度燃えると治るのに一苦労するなこれ。

 

 

「じゃあもしユリスさんが彼らを追いかけたとしよう」

 

「あぁそしたらどうなると言うんだ」

 

「そして俺がここに取り残されるとしよう」

 

「ん?……それがどうした」

 

「もしかしたらさっきのやつは囮で本命は俺を叩きにくるかもしれない、相手は少なくともユリスに喧嘩を売るほどの対策か実力があり偶然にもこの場にはユリスに痛められながらもまだ息のあるチンピラもいる。さてユリスが飛び出した場合、危険に身を晒すのは俺がユリスどちらでしょう」

 

 

ユリスもおそらくクローディアに教えられたか自分で感づいているかはわからないがこの襲撃が星堂館学園の生徒を標的にしたことは知っているはず、ユリスの性格から考えてここは自分以外人物の危険を承知で自分の画を突き通せる場面ではないはずだ、さてどう出る。

 

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

 

長い沈黙、そして……

 

 

「はぁ〜、承知した。ここはお前の意見に従うとしよう」

 

「いやぁ〜そうか、助かった助かった」

 

 

マジで助かった。現状でのユリスを安全にする最良の方法がこれぐらいしかないからな、いやぁ〜ホント助かった。

 

まぁそんなわけで俺は無事に寮へ帰還せり、クローディアからの依頼も達成できたしこれからはぼっちライフを謳歌してやるぞ!

 

 

この時の俺は知らなかった、俺にこの先一切そのような生活が待っていないという残酷な現実に……

 

 

 




次回はいつになることやら……
まぁ気長に待ってくださいな


誤字などがありましたら連絡よろしくお願いします。

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